INFINITE Be The One!!! (テントウムシ!!!)
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キャラ設定集(第1章)

兎野春万(仮面ライダービルド)

 

CV:犬飼貴丈

年齢:16?歳

身長:173cm

体重:53kg

IS適正値:E(通常男性数値)

 

今作の主人公。

記憶喪失の天才物理学者(多分)。海から漂着したところを布仏虚に助けられ、そのままIS学園へ。

フルボトルの研究が自身の記憶に影響があると分かり、以降フルボトルの研究に熱を入れている。ライダーシステムの開発にも成功し、仮面ライダービルドとして始動した。

ライダーシステムの理念は『兵器ではなく多くの人を守る力』というが、何故これを作ろうと思ったかは自身にも真相は不明。ライダーシステムとフルボトルに関しては春万以外は作るのが、かなり困難な仕様となっている。

性格はかなりおおらかであり、研究好き。研究と実験のこと以外はあまり興味を持たない。しかし困っている人がいると無視出来ないお人好しでもある。布仏虚とは研究仲間であり、学園でのサポーターでもあり、関係は良好。甘い物好き。スカイナに負けて以降、最近はISに関してもかなり勉強を進めている。いずれIS界にて衝撃を齎すやもしれない存在へとなっている。

ビルドに対しても少しづつ取り戻し始めている記憶から、ライダーシステムの考えをより強く意識し始めている。

 

 

布仏虚

 

CV:工藤晴香

年齢:16歳

身長:168cm

体重:48kg

IS適正値:A-

専用機:なし

 

今作のヒロイン。

学年首席であり開発部部員。臨海学校の前、たまたま海辺近くを散歩していたところ、打ち上げられている兎野春万を見つけ救助し、そこから数奇な運命に翻弄されることになる。

更識家の現頭首:更識楯無(刀柰)の専属メイドであり、布仏本音の姉。春万のフルボトルの研究に何故か付き合わされているが、徐々に楽しみ出してしまった根っからの研究好き。

性格は常に冷静沈着、思慮深く、たった3ヶ月で教師の信頼を獲得してしまった根っからの優等生。無類の可愛い物好き。

文武両道であり布仏の宝とまで呼ばれる彼女に、周囲の人はお固い完璧超人のように見えていたようだが春万と関わり、少しづつ彼女の魅力を周りが感じている。というかクラスメイトは既に魅了され、篭絡されている模様(春万談)。

自身はISの操縦が苦手であると思っている。そのため整備科志望であるが、技術では実質ダリルの次に上手い。

最近はダリルのヘル・ハウンドの改造などに精を出しているが、それに加えてビルドのサポートと生徒会役員、学級委員にと仕事を抱えすぎている模様。怒らせると恐い。クーデレ。かなりの過労体質。

意外にジャンクフード好き。

 

 

甲斐龍斗

 

CV:赤楚衛二

年齢:15歳

身長:172cm

体重:65kg

IS適正値:E

 

今作のキーマン。

生身でスマッシュと戦っていた所を春万に助けられる。

病弱な妹、明香里を探すも、ナイトローグによってスマッシュとされてしまい、失意の中で天涯孤独の身となるも、春万と共に行動し始める。

その行動原理は・・・。

随時更新。

 

 

ノイス・ファルティナ

 

CV:茅野愛衣

年齢:28歳

身長:164cm

体重:秘密♡

IS適正値:B-

 

IS学園の養護教諭。虚と共に春万を運び、IS学園へと入れた第一人者。学園でもかなり人気であったが、今年入った織斑千冬に人気を取られたよう。春万や虚の良き理解者。フランス人。コーヒー好き。しかしコーヒーを自分で入れると激マズになってしまう。

 

 

織斑千冬

 

CV:豊口めぐみ

年齢:22歳

身長:166cm

体重:言うわけないだろ

IS適正値:S

専用機:暮桜(凍結中)

 

言わずと知れたブリュンヒルデ。ドイツで教官を終え、今年新任教師として一年一組の副担任となった。18歳の時にモンド・グロッソで優勝し、21歳の時にドイツで教官を務めた。性格は原作と大差なし。

一夏大好き超絶ブラコン。お酒好き。かの天災=篠ノ之束とは親友だが、正直束と関わるとろくなことになった試しがない。

 

 

ダリル・ケイシー

 

CV:雨宮天

年齢:16歳

身長:175cm

体重:54kg

IS適正値:A

専用機:制作中→ヘル・ハウンドver1.1(第2.5世代)

 

一年一組のクラス代表であり、アメリカ代表候補生。虚のルームメイト。ISの実力は学年トップ。

クラスメイト達からは何故か姐さん、お姉様と呼ばれ出した。かなり男前な性格。

専用機は『ヘル・ハウンド』。

姿形は何処と無く、某ロボットアニメのKMFのガウェインに似ている。

その両肩にはケルベロスの様な肩型特殊射撃武装があり、元々は火球のみであったが、虚、及び開発部の面々により使用エネルギー効率を再調整を行い、虚の案により火球の威力を10%下げることで火炎放射、超音波の三つの三種戦略的変更型ナノマシン兵器を搭載することに成功した。但し、第3世代型の特徴であるイメージインターフェースは備わっていないため、炎のコントロールは不可。

三種の特殊ナノマシン武装が加えられた事でその他の銃火器を拡張領域に装備できなくなってしまった。

加えて、第2世代ながらも、第3世代をより重視した設計であったため、燃費は悪い。

虚や開発部の人間は今後も要改造が必要であると踏んでいる。

余談だが、この当時のヘル・ハウンドは後にアメリカ国家代表専用機となる『ファング・クエイク』の制作のためのテスト機体でもあり、両腕のパワーを無理矢理引き出しているため、機体のスペック上、パワーは当時の全ISの中でもトップを争うが、スピードが殺してしまった欠陥機となってしまっている。

その為扱うことが非常に難しいが、ダリルのパイロットスキルが高いため、余りその影響は出ていない模様。

 

 

スカイナ=セタンス

 

CV:能登麻美子

年齢:18歳

身長:179cm

IS適正値:S

専用機:ゲイ=ボルグ(第2世代)

 

IS学園3年にして学園最強の生徒会長。アイルランド国家代表。見た目はどこかの影の女王さんに似ている。

実力的にも織斑千冬といい勝負行うことが出来る程、戦闘力は凄まじい程高いが、やはり一歩及ばない。

性格はガサツであり、デスクワークを余り得意としていない。他は大体万能にこなせる。

戦うことが大好きなバーサーカー気質。

専用機ゲイ=ボルグはアイルランドが開発の際、コードネーム・Rという人物の技術提供を元に作られた機体であり、これから量産を目処に作成されている。

よってスカイナの専用機の正式名称はゲイ=ボルグ・オリジンというのが正しい。

ゲイ=ボルグは織斑千冬の一撃必殺を意識したISとなっており、2本の槍を用いて、エネルギー攻撃を行うことが出来る。

その際、一本目の槍を相手に刺し、相手をスタンさせ行動を封じ、二本目の槍を相手に向けて投げ放つという形をスカイナは好んで取る。

この躱すことの出来ない絶対必中の攻撃と圧倒的操縦センスから、スカイナは『ブリュンヒルデの再来』と呼ばれるのであった。

本人はあまりこの二つ名が好きではないようだが・・・。

 



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第1章:1年生編 第1話:出会いと始まりの少年少女

虚Side

ちょうどその日はとても晴れ晴れした日でした。

私は明後日の臨海学校のための準備を済ませ、一人で散歩していました。

あ、申し遅れました。私は布仏虚です。IS学園高等部、1年3組に所属しています。

私、誰に話しているのでしょうか?まぁいいです。

それはそうと、私は今、非常に大変な状況にいます。

なにせ、目の前で男の子が岩場に打ち上げられているのですから。

とりあえず、先生に連絡して男の子を救出し、先生が来るのを待っています。お陰で制服がびしょびしょです。

彼は頭から少しだけ血が出ていて、体温冷たくなっているので、温めるために上着を着せ、体をくっつけています。

私は、初めて男の子と体をくっつけたので非常に恥ずかしい状態なのです。し、しかし、仕方ないですよね。これは医療行為であるので、それよりも彼の命が危険なのでもう少しだけ頑張ります。

 

「ん?なんでしょうかこれ?これは、兎かしら?」

 

彼の手に何かが握られていました。赤い『ボトル』のようなものでした。

これでも私はISの技術者を目指しているので、ある程度の知識はあるのですが、どうもISに使うようなものではないですね。

だからといって飲むものでも無いようです。取り敢えず大事そうに握っていたので、これが何なのかが気になります。

 

今更ですが、何故彼はここに打ち上げられていたのでしょうか。彼がどこから来て、いったい誰なのか、私物を探っては見ましたが、特にそのボトル以外は何も持ってはいませんでした。外見は日本人のようですが・・・。

 

「布仏さ〜ん」

 

後ろから私を呼ぶ声がしました。先生が来たようです。

とりあえずこのボトルは私が持ってましょう。後で目が覚めた時にでも渡しましょう。

 

「布仏さん、このコは?」

 

「私が散歩していた時にそこの岩場に打ち上げられていました。彼が誰なのかは私にも分かりません。身分証も何も持っていませんでしたから」

 

「とりあえず、保健室に運びましょう。担架も持ってきましたからね」

 

「ありがとうございますファルティナ先生」

 

「いえいえ、さぁ早くしないとこのコが危ないわ」

はい!!!

 

この日の出会いが私にとって大きく運命が変わる日だとは全くとして思いませんでした。

虚Sideout

 

 

???Side

 

「はぁはぁはぁはぁ」

 

少年は後ろから何者かに追われていた。

 

「いた◼️」

 

「くっ」

 

「こ◼️◼️終わ◼️よ◼️◼️◼️◼️」

 

「さて、そいつはどうかな」

 

追い詰められながらも、少年の手には赤いボトルが握られ、それを振り出した。

 

「なにを?」「そ◼️は!!!」

 

「フフ、さぁ、◼️◼️を◼️めようか 」

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「っは!!!・・・い、今のはいったい。って頭痛った」

 

「・・・・目が覚めましたか?」

 

「ん?」

 

そう言われて横を向くと眼鏡の良く似合う少女と、スーツをきた威圧感のある女性と金髪の良く似合う外国人がいた。というかここは一体どこだ。

 

「ここはIS学園だ」

 

「うわっ心読まれた!!!」

 

「顔に出てるぞ」

 

威圧感のある女性は何事も無かったかのように、当たり前に俺の思考を読んでいた。この人、出来る!!!

 

「そ、そうですか〜。えっと〜?」

 

「それよりもだ、お前は誰だ、何故打ち上げられていた」

 

「えっと、俺の名前は・・・何だ?俺は誰?」

 

「惚けているのか?」

 

「仕方ないかも知れません。彼は頭を打っていたようなので」

 

「そうか」

 

「俺は、俺は、誰だ。誰なんだ。」

 

俺は、いったい誰なんだ。・・・そうだ、何か、何か大切なものを持っていたような。

 

「そ、そうだ、俺は何か持っていなかったか?」

 

「そ、それなら私が」

 

そう眼鏡の女の子が取り出したのは赤いボトルであった。ボトル?

それは、そうだ、ボトルだ。『フルボトル』!!!

 

「それだ!!!」

 

「きゃ!」

 

「す、すまん。」

 

思わず強引に取ってしまったが、今はどうでもいい。これだ、これがあれば・・・うっ頭が・・・・。

 

「うっ・・・っは、はぁはぁ。」

 

「あ、あの大丈夫ですか?」

 

「あ、あぁ。大丈夫。」

 

「それは一体なんだ」

 

そう威圧感のある女性が尋ねてきた。

この人の威圧感、どこかで喰らったことがあるような・・・。

 

「これは・・・そう、『フルボトル』といって、俺が開発したものです」

 

「そうか、それよりもお前は誰なんだ。頭を抱えていたようだから何かしら思い出したようだしな。」

 

「えっと、名前は・・・・・・そう、ハルマ、『兎野春万』それが俺の名前だと、思います」

 

「そう、なら兎野君。君はどこから来て、なんであんなふうになっていたの?」

 

「えっと、肝心のそこは何とも・・・。すいません。そこまでは覚えていないです」

 

「なら質問を変えましょう。今、君の覚えていることを全部話して」

 

「は、はい。自分の名前とこのフルボトルのことと、あとは・・・誰かというより何かから追われて逃げてきたことですね」

 

「追われて来た?何から?」

 

金髪の保健医の女性は急いでメモを取りながら、俺の発言に反応を示していた。

何か思い出す様なことは今の所はないのが申し訳ないが。

 

「わからない。兎に角でっかいものからとしか」

 

「それでは、先程言っていたフルボトルとはなんだ?お前が開発したと言っていたがお前は博士か何かなのか?」

 

「フルボトルとはナノマシンから作ったものなんですが、すいません、まだ記憶に靄がかかったみたいなので、詳細なことは言えないです。俺が博士かどうかもわからないです」

 

そう、俺は別に博士という訳ではないと思うが、何故かこれを作ったのは自分であると確信だけはあるのだ。

 

「織斑先生、とりあえず今日はここまでにしてください。まだ起きたばかりなので頭も混乱しているようなので」

 

「そうですね。では、今日は保健室で絶対安静だ。保健室からは出るなよ。それと、そのフルボトルは私が預かっておく。分からないとはいえ、爆弾でもあったら危険だからな」

 

「は、はい。分かりました」

 

そう言って俺からフルボトルが取り上げられてしまった。まぁ今はあったとしてもどうしようもないしな。

 

「では失礼します。ファルティナ先生、後はよろしくお願いします。私はこの件を報告しに行きます」

 

「はい、ありがとうございました。織斑先生」

 

「いえ、では」

 

そう言って保健室から織斑先生?という威圧感のある女性は出ていった。

残ったのは眼鏡をかけた三つ編みの少女と、金髪の保健医さんだけだった。

 

「とりあえず兎野君?君は彼女にお礼を言いなさい。海から打ち上げられていた君を救助してくれたのだから」

 

「え、は、はぁ。そ、そのありがとう、えっと・・・?」

 

「布仏虚です」

 

そう名乗る少女は如何にも出来る女の雰囲気を持っていた。

 

「そうか、ありがとう布仏さん。助かったよ」

 

「いえ、それよりも無事で良かったです」

 

「記憶喪失ではあるけどな」

 

そう、記憶喪失。俺は自分の記憶がすっぽぬけているようだ。そして俺の記憶の鍵となるのがフルボトルということは分かったが。

 

「私はノイス・ファルティナ。このIS学園で養護教諭をしているわ。よろしくね兎野君」

 

「どうも、よろしくお願いします。えっと、IS学園?」

 

ISというのがいまいちよく分からないが、何かの略称なのだろうか。

というかここが学園だということに今初めて気づいた。

 

「あなたIS学園を知らないの?」

 

「すまない、ISというのもよく分からないんだが。」

 

「ISというのは・・・・・・・・・・・・・・というのであって・・・・」

 

布仏さんは事細かく、IS、『インフィニットストラトス』について説明してくれた。

というか、ISというのはこの世界を実質支配している様なものでは無いだろうか。

そう思うと、何故か危険信号のようなものが頭に響き渡るのだった。

 

「あ、あの、とりあえず宇宙へ行く用のパワードスーツってことであっているか?」

 

「え、えぇ。ごめんなさい。説明し過ぎましたね」

 

「いや、別に良いよ」

 

「はいはい、とりあえず布仏さんはもう寮に戻りなさい。そろそろ18時過ぎてしまいますよ」

 

「は、はい。では」

 

「あ、布仏さん、明日も来てくださいね。学園長に説明するのに第一発見者がいた方がわかりやすいからね」

 

「分かりました。それでは失礼しました」

 

眼鏡の少女、布仏虚と出会ったのはこの時からであった。俺にとっては命の恩人であり、この出会いこそが運命であったのだった。

 

 



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第2話:記憶喪失な天才物理学者

春万Side

次の日、俺はファルティナさんとこの学園についてなど色々なことを聞いた。勿論俺は昨日と変わらず何も思い出せていない。

記憶はいきなりは蘇らないと言われたから、ゆっくりと思い出していこうと思う。

 

とりあえず今はフルボトルを調べたくて仕方ない。

あれを調べることは俺の記憶に繋がるのではないかと思った。

その事をファルティナさんに言うと

 

「何だか分からないけど、本当に博士みたいね」

 

と言われた。俺は◼️◼️学者だ。何学者だ?

また記憶が蘇りそうで蘇らない。

なんというか気持ち悪い状態だ。本当に最悪だ。

それはそうと布仏さんも夕方になるときた。そこで俺は布仏と色々話した。その時にISについても興味を持った。なんというかフルボトルに活かせそうな技術が山ほどありそうだった。

そう話していると彼女が

「まるで物理学者みたいなことを言うのね」と言われた。

物理学者、そう、それだ!!!

 

「俺は天才物理学者だった!!!」

 

「・・・クス、自分で天才と言いますか?」

 

「悪いか?何せ真実だからな」

 

「どうしてそう言いきれるのですか?」

 

「そりゃこのフルボトルが証明してくれる」

 

「そう、ですか。フフ、貴方って変な人ですね」

 

笑われはしたが間違いない。わた・・俺は天才物理学者だ。

フルボトルを作ったのは間違いなく俺で、今ならどういう風に作ったかも思い出せた。そしてそのフルボトルを使うための『ドライバー』の設計図が記憶の中から蘇ってきた。

俺は彼女にペンと紙に設計図を書き出した。

書いていて分かったが、この設計図も1度どこかで書いたというかなんというか、何故今ここでこの設計図が頭の中で組み上がったのかが謎だ。

しかし、このドライバーは◼️◼️◼️にとって大事なものであり、これは決して兵器では無いということだけが、俺の頭と心が叫んでいるようだ。1度形にしてみないと完全な詳細まで分からないが、この発明は世界に大きな影響を与える。それだけは確信して思える。布仏さんがとても不思議そうに俺の書いている設計図を見ていた。

 

「これは設計図ですか?」

 

「あぁ、これはこの世界を大きく変える大発明さ。」

 

「大発明ですか?よく分かりませんが、とても興味深いですね」

 

「お、これが何か分かるのか?」

 

「いえ、何なのかは分かりません。ですが、私も整備科志望ですので、それとなくは理解できますからね」

 

じっくりと俺の作り上げていく設計図を見て、勉強しているようにも見えた。

なんというか、真面目で熱心な子だなって思う。

 

「へー、そうなの。・・・よし、出来た!!!」

 

「少し見せてもらっても?」

 

「いいよ。どうぞ」

 

布仏に設計図を渡したちょうどその時に、織斑先生?と呼ばれていた威圧感のある女性が入ってきた。

そして脈絡もなく、俺の思考を読み解いてきた。

 

「今失礼なこと考えなかったか?」

 

「いえ、そんなことは、決して」

 

この人、やっぱりどっかであったことがあるような。

見間違いかな?

 

「まぁいい、それよりも動けるか?」

 

「えぇ、1日休んでいたので歩けるくらいには」

 

「ならば学園長室に来い。話がある」

 

「分かりました」

 

そう言われたので頷くしか無かった。

ただ、記憶喪失の俺に身内がいるのかどうかは分からないからどうしようもない。

とりあえず学園長という方がどう判断するかによるが、最悪の場合は今の内に考えておこう。

 

「布仏、お前も来てもらうぞ。どういう状況だったのかは発見者に聞いた方が分かるからな」

 

「分かりました。しかし、織斑先生に報告した通りですがよろしいでしょうか?」

 

「構わん」

 

「それじゃあ私も行かなきゃね。一応現場を見てるから」

 

「もちろんです。ファルティナ先生にも説明をと理事長が仰っていたので」

 

理事長と出た瞬間に、ファルティナさんの表情が如何にも嫌そうなものになった。

嫌いな人なのだろうか。

布仏さんも何かを察したかのような表情をしていたが、本当にどんな人なのだろうか、逆に興味が湧いてきた。

 

「理事長ですかー。説明大変そうですね」

 

「大変ですが仕方ないですよ。あの理事長は女尊男卑の思想がありますから。学園に男を入れたとなると」

 

女尊男卑、ISが世界に広まってから女性至上世界となってしまった為にこれまでの男尊女卑が完全に逆転してしまったようだ。

今の世の中では、男が生きていくのはかなり辛いと考えられるだろう。

 

「危険な状態だったので仕方なかったんですけどね。分かりましたよ」

 

やはり、普通に考えても女子高に男がいるというのは不味いのだろうな。

特にこのご時世、ISによって出来た女尊男卑の風潮がこの学園は特に強いらしい。

まさかの理事長がそうなのだから。さてこれからどうしようかな。

 

「兎野君?」

 

「あぁ、ごめん。よいしょっとっと」

 

「危ない!大丈夫?」

 

「お、おう。大丈夫、大丈夫」

 

やっぱりかなり体力をもっていかれているのか、立とうとしてふらついてしまった。

本音を言えばもう少し休みたいが仕方ない。そう思いつつ力を振り絞ってゆっくりと歩き出した。



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第3話:ライダーシステムとフルボトル

天っ才物理学者の兎野春万は気がついたら女子だらけの学園、IS学園へと漂着していた。何故俺がここに流れ着いたのか、俺の記憶は何故なくなったのか?多くの疑問を残した俺だが、俺の天っ才的な発明品であるフルボトルがその鍵を握っている。いやーやっぱり俺って天っ才だな?
「脈絡もなくいきなり自分を天才だとか言う貴方の頭はもう一度打った方がいいんじゃないですか。このナルシスト」
うるさいよ!!!さぁ、どうなる第3話。


場面は変わる。学園長室に到着すると明らかにイラついている理事長と真剣な眼差しではあるがどこかしら優しさを感じるような目でみている学園長が待っていた。なんだこの正反対な態度は。

 

「織斑先生、そい・・その子が行き倒れになっていたという男ですか?」

 

「はい、そうです。健康状態の確認のために保健室で安静にさせていました」

 

「そうでしたか。それで君の名前は?」

 

「兎野春万です。」

 

「織斑先生から聞いたところ自分がどこから来たのかも何も覚えていないそうですが、本当ですか?」

 

「えぇ、何も。覚えているのは名前とフルボトルと何かから逃げてきたということだけですね。」

 

「ふん、男の言うことなど信用出来ません。学園長、即刻この学園から叩き出しましょう」

 

「まぁまぁ、先程も言った通り聞かなければならないこともありますから、冷静になってください」

 

「ぐっ、」

 

「失礼しましたね。それで、君の言う『フルボトル』とはなんなのですか?」

 

「フルボトルとは、その名の通りそのボトルを振って使うものです。」

 

「なんだお前、思い出したのか?」

 

「はい、1日ゆっくり休んだおかげか、記憶を取り戻す鍵ともなり得るからなのか思い出せました。」

 

「そうか、なら説明を」

 

「分かりました。続けますね。あ、その前に先生に渡したフルボトルがあるとわかりやすいんですが・・・。」

 

「それは・・・」

 

「織斑先生、渡して上げてください。元々は彼のものなのですから」

 

「ですが、これは昨日調べてみたところ、全く解明できなかった代物です。もしも危機となり得るものでしたら」

 

「大丈夫だと思いますよ。彼は私たちを危険に晒そうなどとは全く思ってないようですので」

 

「っ・・・分かりました。兎野、これを返す。ただし、ちゃんと説明をしてくれ」

 

「分かりました。では改めて続けますね。このフルボトルの名前は『ラビットフルボトル』。有機物、兎の成分が入ったものです。」

 

「兎?何故、兎?」

 

「このフルボトルを製作するにあたって、成分の元はナノマシンから出来てます。」

 

「ナノマシンということはISや医療に使われるナノマシンということか?」

 

「えっと、ISにどんなナノマシンが使われているのかは知りませんが、このフルボトルは俺が初めて成功した発明品なんです。確か、使ったナノマシンの種類は遺伝子系統のナノマシンだったはずです。」

 

「ISで使われるのは自然物を生成するためのナノマシンであったはずだ」

 

「なら少し違いますね。それを使う場合は無機物のフルボトルが作れると思いますから。少し脱線しましたが、このフルボトルの性能は勿論振って発動します。」

 

「私は振ったが何も起きなかったぞ」

 

「え、そうなんですか!!!それは新たな研究課題になりますね。フルボトルは使える人が限られるのか。あ、すいません、と、とりあえずこのラビットフルボトルは振ると 」

 

「?」

 

「このように、えいっ!って、痛った!!!」

 

「ワオ!すごいジャンプ力」

 

「イタタ、っとこのように、高い跳躍力が一時的に手に入ります。それも、このフルボトルを振れば振るほど効果が上がります。」

 

「そうですか、それは分かりました。ですがそれは一体なんのために使うのですか?一見特殊な力が手に入っているだけで、ISがある時点では余りにもインパクトにかけますし、正直使いませんよね」

 

「いえ、まず、このフルボトルは一本では使いません。本来は2つのフルボトルを用いて使うものですから。」

 

「2つですか?ですがそれも・・」

 

「フルボトルだけだとですが、これはある装置の鍵となるものなんです。」

 

「ある装置?」

 

「はい。布仏さん、さっき書いた紙ってどこだっけ?」

 

「それなら私が持っているわ。はい」

 

「うん、ありがとう。これです。その名も『ライダーシステム』です。このドライバーに2つの、それぞれ有機物と無機物のフルボトルを差すことで変身することが出来るものです。」

 

「ライダーシステムですか。これはどんなコンセプトのものなのですか?」

 

「勿論、対IS用ですけど。」

 

「何?お前は戦争でも始める気だったのか?」

 

「ふん、やはり男など頭の悪いことしか考えないようですね。何が対IS用ですか!男、しかも年端もいかない若造がISに敵う兵器など作れるわけないでしょう!!!」

 

「ライダーシステムは兵器じゃありません!!!これはISの暴走を止めるために使うものです!!!決して人を傷つけるものじゃない!!!」

 

「ふ、ふん。そんなことはどうでもいいです。学園長、これで分かりましたよね、やはり男など野蛮で危険なんです。さっさと学園から追い出しましょう」

 

しまった、つい熱くなってしまった。どうするか、このままじゃ路頭に迷って死ぬかも。

 

「まぁまぁ、2人とも落ち着いてください。まず、君のことを調べましたが、貴方には両親もいなければ戸籍もありませんでした」

 

「(更識家が調べましたから間違いないです)」

 

「つまり俺は身寄りもなければ行く宛もなしってことですね。それは何だか不気味だな」

 

「残念ながら。貴方が兎野春万君という事も証明できていないという状態です」

 

「誰かにそう呼ばれていた記憶が薄らあったんですけどね。それが誰かは思い出せないんだけど・・・」

 

「このまま学園から外に放り出したとしても、貴方はどうすることも出来ないでしょう」

 

「そうでしょうね。このままだと野垂れ死にますね」

 

「なので提案があります」

 

「提案?」

 

「貴方が先程仰っていたライダーシステム、それを1週間で作り上げ、本学園に入学することです」

 

「は?」

 

「は?」

 

「へ?」

 

「ふ?」

 

「ひ〜?」

 

「ほう」

 

「なんで遊んでるんですか先生方」

 

「別に遊んでないですよ〜、私、全然喋ってなかったからね」

 

「そうですね、ファルティナ先生もいましたね」

 

「酷いよ布仏さん」

 

「いやあの、なぜ?俺は男ですよ。ISは動かせませんよ。」

 

「貴方は先程暴走したISを止めるためといいました。もしそれが本当に可能ならば学園はより安全に保たれますからね」

 

「学園長、どういうことですか?」

 

「もしかして、学園にあるISが暴走した時のための抑止力として欲しい、ということですか?」

 

「えぇそうですよ。見た所、貴方は技術者の様な口ぶりですから、実力があればISの整備科に所属できるでしょうし、そろそろ男性にもIS学園で通えるように考えていたところですので、それのテスト学生としてもですが」

 

「ま、待ってください学園長!!!本気ですか。この神聖な学園に穢らわしい男を入れるなど」

 

「理事長先生、そのような発言は一学園の長としてはあまり宜しくないのではありませんか?」

 

「くっ、ですが・・」

 

「それに私は心配しているのですよ.」

 

「心配?」

 

「もしも、学園にあるIS全てが暴走した際、いったい誰が止めるのですか?」

 

「そ、それは・・・」

 

「その為にも彼の言うような抑止力が学園に居さいすれば、対処出来ます。そのような保険としても考えていただけませんか?」

 

「うっ・・・・・わ、分かりました。ですが、それはISバトルで勝利してからですよ」

 

「勿論です。学園に入学する以上、試験は受けて頂きます。勿論兎野君が試験に通った際には必要事項は全てこちらで用意します。それでよろしいですか兎野君?」

 

「俺としても願ったり叶ったりですよ。ありがとうございます学園長先生。1週間もあれば完成させられます。設計は全てこの頭に入っているので。」

 

「そうですか。ではそういう方向で。ただし、開発には必ず誰かを見張らせます。貴方は未だ不穏分子であることには変わりありませんからね」

 

「了解です。資源さえあれば今からでも作りますよ。」

 

「宜しい。それでは織斑先生、1週間彼の監視をお願いしますね」

 

「分かりました。兎野、開発には何が必要なのかを後で私に出してくれ。揃い次第始めてくれて構わない」

 

「ありがとうございます。でも本当にいいんですか?記憶が無いとはいえもしかしたらテロリストだとか、スパイとかかもしれないんですよ。」

 

「フッ、大丈夫だ。若造程度に負けるほど落ちぶれてはいない」

 

「フフ、伊達にブリュンヒルデの称号は貰えませんからね」

 

「そう、ですか。では遠慮なく作らせてもらいますね。」

 

こうして俺は◼️◼️◼️となったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第4話:鋼のムーンサルト!!!

天っ才物理学者の兎野春万はIS学園で拾われ、そこの学園長に自分の戸籍は一切ない身元不明人であることが分かった。俺はこのまま外へ出ても野垂れ死ぬだけであったが、学園長がこの学園で転入試験を受け合格したらIS学園の生徒として通えわせて貰えるようだ。ただし、ISとも戦わなければ行けないようだ。しかしそこは天っ才であるこの俺だ。自身の発明品でこの事態をどう乗り切るのか?さぁどうなる第4話!!!



春万Side

あれから1週間、何とか作り上げることが出来た。

え、どういう風に作ったかだって?それは企業秘密さ。

織斑先生は訳分からなそうな顔していたからあまり期待はしない方がいいな。布仏にも臨海学校から帰ってきてから手伝って貰った。

というより織斑先生が自分はどうにも手伝えないから、代わりとして事情を知っていて、技術力もある彼女なら問題ないとして手伝って貰った。

布仏が学年首席と聞いた時は驚いたが、納得の能力だった。

流石わからないところがあるとはいえ、ドライバーが4日で出来てしまったことにはなんとも言えなかった。

そこから2日かけて奇跡的に出来た、無機物フルボトル『タンクフルボトル』を作り上げることに成功し、半日かけて武器を作った。

ドライバーにはISに持ちいられている技術である量子化技術を用いることで収納を可能とした。

それとは別ではあるが、タンクフルボトルを生成した際、『自分がラファール・リヴァイブというISに追い回されてラビットフルボトルを使って海にダイブした』という記憶が蘇った。

ただ、何故そんな状況なのか、不自然な記憶でもあり、こんな風に断片的なのをゆっくりとしか思い出せないというのには、もどかしさを感じていた。

そんなことよりも、今日は待ちに待った試験日。

どうにかしてでも勝って、自分の生存を確立しなければならない。

ライダーシステムは兵器じゃなく、抑止力ということを証明しなければいけない大事な日なのだが、今の俺にとって実際そんなことよりも、フルボトルの力を試せることに興奮しているんだがな。

 

「ところで筆記試験の方は大丈夫なんですか?」

 

「まぁ何とかなったよ。なにせ、天っ才だからな!!!」

 

「・・・・」

 

「待って、ゴミを見るような目で見ないでね」

 

「・・・はぁ。とりあえず頑張って下さいね」

 

「勿論。それじゃ行って来る」

 

「来ましたね、今日はよろしくお願いしますね」

 

そう言ってこのアリーナで待っていたのは茶髪の髪の女性だった。

 

「それじゃ、よろしくお願いします」

 

「と、とりあえずこの試験のルールとしては私のSE(シールドエネルギー)を半分まで削れば合格という全生徒が受けた試験となりますけど、何か質問はありますか?」

 

「いえ、ただ俺の場合はどうなるんですか?変身の解除が不合格ってことですか?」

 

「制限時間20分の間に削れなければ不合格ということですね。私は攻撃よりも妨害という形で自分のSEを守るので、それを考えた上で頑張って下さいね。」

 

「分かりました。丁寧な説明ありがとうございます。」

 

「いえ、先生としては当然ですから。ただ、未知の相手と闘うのは少し怖いですが、全力でやらせてもらいますからね」

 

「えぇ、それではそういうことで。」

 

「フフ、『さぁ、実験を始めようか』!!!」

 

そう言い、俺はフルボトルを振り出すのだった。

春万Sideout

 

虚Side

『さぁ、実験を始めようか』!!!

 

そう言って彼は赤と青の2つのフルボトルを振り始めた。

赤いフルボトルは『ラビットフルボトル』。

高い跳躍力を手に入れることが出来ます。もう1つの青いフルボトルの方は『タンクフルボトル』。

戦車の様なスピードが手に入るボトルです。

その2つのフルボトルを私たち2人で作ったビルドドライバーにセットする事で誰も見たことがないような力が手に入ります。

 

【ラビット】

 

【タンク】

 

【BEST MATCH!!!】

 

確かベストマッチする事で、2つのフルボトルの力を最大限に引き出すことが出来ると彼は言っていました。

これで条件が整った様ですから、次の手順ですね。

ベルトの横にあるレバーを回してフルボトルの成分をドライバーに流し、力を解放します。

そうしている《スナップライドビルダー》と呼ばれるステージが展開しましたが、まるで科学実験しているような状態になりました。

これで準備完了ですね。

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!イェーイ!!!】

 

「それじゃあ、始めようか!!!」

 

赤と青の力が混ざりあったような姿が生まれました。兎と戦車がベストマッチって本当によく分かりませんね。でも私はこれから起きることにワクワクさせながら、彼がどのように闘うのかにきたいしていました。

 

「あれがアイツの言っていたライダーシステムと言うやつか?」

 

「はい、その名も『仮面ライダービルド』と言うらしいです」

 

「ISとは違い空を飛べないようだな」

 

「そうですね。ですが彼なら何か面白いことをしてくれる気がします」

 

「ほぅ、信頼している様だな。随分と仲良くなったものだ」

 

「それは・・どうでしょうかね。この4日間で彼に散々付き合ってみて、なんというか面白い人なんだな、ということくらいしか分かっていませんよ」

 

「だが、なにかするのだろうか。これでアイツがISに本当に勝ってしまったら、世界がまた一変するかもな」

 

「一変するかは分かりませんが、台風のような人であるということですね。クス、マスクで隠れてはいますがとても楽しそうですからね。」

 

「ふ、そうだな。向こう側からしたら気味悪いと思うがな」

 

「そうですね。でも彼がこれからやることは本宮先生をきっと驚かせるでしょうね。いえ、私達も驚きそうですが。」

 

「そうだな。さて、お手並み拝見といこうか」

 

そう、彼ならもしかしたら本当にISに勝ってしまうかもしれない。私には何となくそんな予感がしてならなかった。そんなことになれば、これからが楽しくなりそうです。



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第5話:天災の発明vs天っ才の発明

天っ才物理学者の兎野春万はつ、つ、ついに仮面ライダービルドとなるのであった。いやーやっぱりそんな凄いものたった一週間で作っちゃうなんて、やっぱ俺は天っ「皆さん、貴方のその天才天才という自意識過剰さに呆れ果てていますよ。それでは、どうなる第5話。」俺のセリフ取るなよ〜。


「そ、それが貴方の・・・」

 

「そう、これこそ俺の最大の発明、その名も『仮面ライダービルド』。

作る、形成するっていう意味のビルドだ。以後お見知りおきを。」

 

「は、はぁ(何なんですかねあれ?)。えっとそれでは試験を始めますね」

 

「さぁ、ビルドの初陣だ。張り切っきていくぞー!!!」

 

『それでは始め』

 

「行きます!!!」

 

織斑先生の掛け声の元、先生は空を飛んだ。

ここで一つ、ビルドは空を飛べません。

それでは問題です。この状態で俺はこれからどうするでしょうか?

チクタクチクタク、はい終わり。

答えは、左足で思いっきり跳ぶでしたー。

え、何言ってんだバカだって?俺はバカじゃなくて天才物理学者だ!!!そこ間違えない!!!

まぁ見てなって。ビルドの左足、クイックラッシュレッグには強化バネ、ホップスプリンガーが付いておりそのまま、ラビットフルボトルの力を最大限に使用出来る。

その力を使えば、先生が飛んでいる高さなんて一瞬さ!!!それとこの武器があればな!!!

 

「フフ、『勝利の法則は決まった!!!』」

 

先生は上空に上がってからラファールの通常兵装であるアサルトライフルを持って狙いを定めている。俺は決めゼリフを言うとその場で思いっきりジャンプし、ベルトから武装『ドリルクラッシャー』を取り出し回転しながら、切りつけに行った。

 

「へ!」

 

先生とっさ飛んできた俺に驚いたのか、緊急回避を行い背中を見せるというミスをした。

そのミスを見逃さず、一瞬でブレードモードからガンモードへ切り替え、空を飛ぶためのスラスターを狙って撃ち抜いた。

スラスターを撃ち抜かれたことで上空で体を維持出来なくなっため、やむなく先生は不時着することに。

そう、俺はこのためにISの構造を出来る限り頭に叩き込んだんだ。空を飛ぶ相手にはその空を飛べるスラスターを破壊してしまえば地上に引きずり下ろせるからな。

俺は地上に着地してからもう一度ブレードモードに切り替えて、ベルトにセットしてあるラビットフルボトルを抜き、ドリルクラッシャーに挿した。

 

【Ready~Go!】

 

このドリルクラッシャーにフルボトルを挿すことでフルボトルの力を引き出した必殺技を放てる。

その名も・・・。

 

【ボルテック ・ブレイク!!!】

 

「これで終わりだ!!!」

 

「へ、きゃーーー!!!」

 

俺は一気に先生に迫り思いっきり切りつけた。

ボルテック・ブレイクは綺麗に決まり、ラファールのSEは完全に無くなった。先生は絶対防御が発動したため無事なようだ。

 

「よっしゃ、実験成功だな!!!」

 

「ぅぅ、イタタ。SEは全部削らなくてもいいんですよ〜」

 

「そうでしたね〜。そんなことよりも早くデータを解析して、より完璧なものにしあげないと!!!使ってみて少し手がブレたりしたからな。改良のしがいがあるな。ベルトもよりいいものに仕上げないとな。必殺技もちゃんと放てるように。とりあえず俺は合格ですよね?」

 

「えぇ?! えっと、た、多分ですが。報告もありますから後日には分かるはずです。それよりもまだそれ、完成してないんですか?」

 

「えぇ、かなり急造だったので完璧に仕上げる時間もありませんでしたからね。特に問題はなかったみたいだから細かいところをメンテナンスするだけですが。それじゃあお疲れ様でした〜。さぁ、早く改良して再実験しなくちゃな!!!」

 

そうして俺は開発室にはしってむかうのであった。

あ、途中で布仏も捕まえていった。布仏がいると開発がより早く進むからな!!!彼女は

「私、用事が〜」って言ってたけど、そんなのは後回しにしてくれ。さぁ、実験を始めようか!!!HAHAHA

え?ISの修理をまずしろだって。知らないな。

 

虚Side

彼はいきなり空を跳んだかと思いきや武装を取り出して攻撃しに行った。

いくら高く跳べるからといってあんな真っ直ぐに攻撃しに行ったら避けられてしまうと思いました。

ですが彼には計算通りだったようです。本宮先生は咄嗟のことで緊急回避したために背中を空けてしまったようです。

彼は落ちていく中で武装をライフルモードへ切り替えISのスラスターを狙って撃ち抜きました。

はぁ、修理が大変なんですけどね。先生は機体を維持できなくなったのでやむなく地上に降りたのですが、彼はそこからまたドリルモードへ切り替えてラビットフルボトルをドリルクラッシャーに挿しました。

一体何をするのかと思いきやそのまま武器が力を解放し、先生に切りつけたところ、一撃で残りのSEを削り切ってしまいました。試験官をたった3分で倒すなんて驚きました。それもISではない兵器でです。

これでこれで彼は試験を合格しましたが、それよりも彼の言っていた通りISに勝ってしまいました。

これが世界に知られれば、本当に世界の情勢が変わってしまいます。その片棒を私が担いでしまいましたが。

なんというか・・・・大変クレイジーですね。何故でしょうか、この胸から込み上げてくる熱いものは。

彼が実験する時にワクワクするように、私もとても興奮してきます。ISの整備だけでは感じられないような面白さを私は感じました。

これが恋なんですね(違います)。

そんなことを思っていたら彼がいきなり私のところに来て、

 

「さっきの実験データを元に改良するから手伝ってくれ!!!」

 

「へ?」

 

私は間抜けな返事してしまいましたが、それよりもいきなり手を引かれて開発室に直行させられました。

あの、私、お嬢様に君の事についての報告しなければならないのですが。それを言ったところで彼は「すぐ終わるから〜(多分)」と言いました。

はぁ、今日も徹夜コースですか。ドライバーを作った際も徹夜させられたのですが・・・。

お嬢様、報告が遅れましたが、彼はただの発明馬鹿です。自称天才物理学者という名のナルシストです。

他に言うことはありませんが、とりあえず彼、兎野春万君は危険人物という訳ではなさそうですよ。それと兎野君、先生のISの整備もしますからね。逃げないでください。

 

 

 

 

 

 



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第6話:合格通知とトライアルフォーム

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は前回、先生とのISバトルにおいて見事な勝利を納めるのであった。いやー、素晴らしい戦いぶりだったよな。
「それはどうも、こちらとしてはいきなり夜遅くまであの後付き合わされたのですが。それについては何か弁明はお有りで?」
目が怖いです布仏さんや。と、とりあえず、第6話どうぞ!!!



次の日、俺は学園長から直々に合格通知を言い渡された。理事長がその時に「別に君のことを認めた訳ではありませんからね」とツンデレみたいなことを言われ吐き気が・・・・・・・あんた年齢考えろよ。

 

「君にはこの学園で初の男性特待生ということで転入してもらいます。初の試みですので嫌がらせややっかみなどもあるでしょうが、立派に努めてくださいね。貴方にはこの学園での抑止力としても期待していますからね。勿論勉学も確りとなさってくださいね。それにしても筆記試験を満点で合格するとは本当に大したものですね」

 

「それはありがとうございます。」

 

「せっかくですので、ISにも携わってみるのも何か貴方のためになるかもしれませんからね。フルボトルの研究ばかりにならないようにして下さいね」

 

「了解です。ところで俺の住む場所ってどうなるんですか?流石にもう、懲罰部屋は勘弁して欲しいんですが。」

 

「それに関してはこちらでプレハブ小屋を用意しますが、場所や、管理、費用なども考えると会議などで決定しなければなりませんから、2ヶ月以上先までかかってしまいます。ですので、一時的ではありますが女子寮の中から一人部屋を・・・」

 

「いや、あの女子寮じゃなくて開発室で寝泊まりって出来ませんか?だいたいフルボトルの研究中に寝落ちしちゃいそうなので。というより女子寮なんて入ったらそれこそ捕まっちゃいそうなので勘弁してください。」

 

「開発室ですか?そうですね〜。・・・分かりました。一時的にそこにベッドとシャワーを置き、貴方の部屋としましょう」

 

「学園長、よろしいのですか?」

 

「別に構いませんよ。彼が望んでいるのですから。流石に女子と同じ部屋にというのは出来ませんからね。やはり君も女子寮というのは些か問題があると思いますよね。それと兎野君の転入は夏休み明けの二学期からということになります」

 

「分かりました。部屋の件はありがとうございます。これで研究に集中できそうです。」

 

「いえいえ、それと兎野君は男子として初であり、この学園のことなどをサポートするために布仏さんと行動してもらいますね。布仏さんよろしくお願いしますね」

 

「・・・学園長、お言葉ですが私は布仏家の長女として楯無お嬢様にお仕えしているのですが、」

 

布仏のお家は中々に名のある家なのだろうか?詳しくは分からないが、お嬢様というよりは口調的に誰か仕えている人のような奉仕する人という印象が強い。今の言葉で誰かに仕えているのは分かったが、それが俺と何の関係があるかは分からない。そんなことを考えていると突然ドアの方から声がした。

 

「フフ、虚ちゃん、これは更識家としての任務でもあるのよ。」

 

「ん?誰だ?」

 

「お嬢様!!!何故ここに?と言うよりも、どういうことですか?」

 

「ちょっと虚ちゃん、耳拝借、・・・・・・・ということよ」

 

「・・・そう、でしたか。当主であるお嬢様が言うのであるならば承りました。ということで兎野君、これからよろしくお願いします。できる限り学園ではサポートします。」

 

どういうことでよろしくなんだ??というか君は誰だ?

 

「私は更識楯無。IS学園中等部3年中等部生徒会長よ。君の護衛ということも兼ねて更識の任務ということよ。よろしくお願いしますね。」

 

「・・・いや、あの更識って何?」

 

「昔から国の裏で暗躍していた対暗部用暗部ですよ」

 

「対暗部用暗部??日本ってそんな国家だっけ?

・・・あー、まぁいいや。考えても無駄だな。とりあえず布仏は俺の研究を手伝ってくれるってことか?」

 

「まぁそうなりますね。出来る限りですが。私も開発部のこともありますから。ですが、出来る限り手伝いますよ。フルボトルは貴方の記憶に繋がる大切なものなのですからね」

 

「ん。それならいいよ。布仏がいた方が研究スピードが上がるからな。」

 

「私としてはその技術をそのままISに活かせると思いますからね」

 

「ということはお互いwin-winってことだな。それじゃこれからよろしくな。」

 

「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

 

布仏はとても綺麗なお辞儀をしてきた。やはりいいとこの育ちなのだろう。

 

「むーー、なんか唐突に二人の世界に入っちゃったんですけど。私、完全に忘れ去られたわ」

 

「フフ、貴方達2人を見ていると、これからとんでもない様なことが起こりそうで、とても興味深いですね。あぁ、忘れていました。兎野君」

 

「はい?」

 

「フルボトルの研究を行う際には必ず報告してくださいね。貴方の記憶が蘇った時に知っている人が多くいた方が良いですからね。それに一人の生徒にIS以上の力を持つ者がいるとなる周りの人が不安になりますからね」

 

「分かりました。出来る限り報告します。色々とありがとうございました。」

 

「いえいえ、これを勝ち取ったのは貴方なのですから当然ですよ。それと特待生ということで学費免除の上、一月5万円程のお金も支給しますから、有意義に使ってくださいね」

 

「おぉ、何から何までありがとうございます!!!」

 

〜~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~~~〜~

 

それから俺は夏休みの一月半、ひたすらフルボトルの研究に勤しんだ。え?中身を言えってか?

ひたすら開発室にこもってナノマシンを分解して成分化してエンプティボトルに入れてまた分解してフルボトル生成マシン(ナノマシンの不純物や熱分解と冷却化を繰り返して成分を固形化しフルボトルとして形にする機械)にぶち込んで何日かしてから、出来上がる。その後、成分がちゃんと使えるのかの実験して、失敗したらやり直してを繰り返しただけだよ。

何かしらイベントがなかったかだと?あるわけないだろ。あ、開発部の部員になったくらいだな。ISのこともちょくちょくしてたら、開発部の部長さんに気に入られたからだ。入部した時に部活棟の榊原先生に会ったが、何故か獣みたいな目でロックオンされたのだが・・・。少し怖かった。それと開発部って変人が多くてかなり頭おかしいとこではあるが面白いぞ。おい、今俺の事も変人だとか思っただろ。

そんなことよりも、今はアリーナに来て、新しいフルボトルの性能テストをしているところだ。

 

【ハリネズミ】

【ダイヤモンド】

 

「ベストマッチじゃないか。よし、とりあえずラストの性能テスト始めるぞ。布仏ー、データ取りよろしく。」

 

「本当に人使いが荒くないですか?・・・分かりましたよ」

 

【Are you ready?】

 

「よし。変身!!!」

 

独特の音を鳴らしてハリネズミとダイヤモンドのトライアルフォームに変身し動いてみる。

トライアルフォームとはベストマッチとは違い、ただ2つを合わせただけのフォームであり、最大限に力を引き出すことは出来ないが、フルボトルの種類に応じて何千通りもの戦い方が出来る。

これもまた重要なんだ。まずハリネズミの力は右腕にBLDスパインナックルの能力が付与される。ダイヤモンドの力は様々な物体を結晶に変える能力がある。

戦略としては、敵の銃弾や実体剣を結晶化させ、その結晶を投げつけISの足止めをし、BLDスパインナックルで一気に削りきる算段で行こうと思うが、相手が光学銃の場合は結晶化出来るかが不安だ。だが防御力には十分である。

欲をいえば、攻撃力の高いのと組み合わせるのが望ましいだろうな。30分ほど試し、最後にレバーを再度回して必殺技を放ってみる。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテックアタック!!!】

 

的に向かって力を解放してみたが、イマイチ攻撃力に欠けてしまう。やはりベストマッチじゃないと最大威力が発揮出来ないようだ。

とりあえずこのデータもちゃんと後で活かせるように戦略も練り直しだな。

 

「終わりましたか?なら、早く戻ってください。そろそろアリーナの使用時間が過ぎますから」

 

「おう!毎度サンキューな。」

 

「そうですか。感謝しているならもう少しいたわってください」

 

「しょうがないなー。後でなんか甘いものでも買ってやるよ。」

 

「あ、甘いもので釣られませんからね」

 

「チョロいw」

 

「キザみますよ」

 

「す、すみませんでした!!!」

 

なんだかんだ言いながら付き合ってくれる布仏に感謝しつつ開発室に戻る俺たちであった。今日も平和だな!!!

 

 

 

 

 

 

 



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第7話:入学とバトルガール?!

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者で晴れて学生となった兎野春万はようやく夏休みが明け、初のクラス対面となった!!!
しかし、平穏に始まるはずだった学生生活に突如イベントが!!!
「それよりも早く出したかったあの設計図を見せてください。早く試したいです」
お、おぉう。なんかノリノリな布仏は放っておいて、第7話どうぞ!!!
「早く!!!」


虚Side

今日は夏休み明け初の登校日。今年の夏休みはひたすら開発室にこもってました。フルボトルの研究を手伝いましたが彼にしか分からないことが多く役に立った気がしませんね。逆に彼には開発部で色々手伝ってもらい、先輩達には「男の子だからって侮っちゃダメだね〜」とも言われていましたね。ISのことを一頻り教えましたが飲み込みが早く流石というところでした。ただ、その時に「さっすが俺、天っ才でしょ!!!」と五月蝿かったですが。

 

「おはようございます、皆さん」

 

「「「おはようございます」」」

 

「はい、おはようございます。今日は皆さんに新しい仲間が増えますよ」

 

「この時期に転入生ですか?」

 

十中八九彼ですね。特待生ということで入ってきますが、私のクラスでしたか。今年は荒れそうですね。

 

「それじゃあ入ってきてください」

 

「どうも〜」

 

「「「え?男子!!!」」」

 

「はい、今日からこの学園で初の男性特待生として入学してもらった兎野春万君です。皆さん仲良くしてくださいね」

 

「いやいや先生!ここ女子校ですよ。それなのに男子って」

 

「岡野さん、ここIS学園も変わらなければいけませんからね。世界でISは女性のみが使えるということで女尊男卑の風潮が広まってしまいました。ですがそれでは永遠に男性が虐げられてしまう世界になってしまいます。男性にもISに携われる世の中を作っていく為にも、まずは最もISに携わりやすいこの学園から変わっていかなければならないのです」

 

「ですけど、無知無能な男がISに関わったってあまり意味ないんじゃありませんか?」

 

「勿論、特待生ということですので普通の生徒よりも入学率は難しいとは思いますよ。ですが、彼は無能では無いですよ。言っておきますが、兎野君は筆記試験はオール満点の優等生ですよ」

 

そういうば、筆記試験はなんとかなると言っていましたが本当に何とかなったのですね。それ以上に満点ということは凄いですね。実技試験もリミッターが付いていたとはいえ、ISを倒していますからね。これだけ見るとかなりの優等生ということですね。

 

「「「オール満点!!!」」」

 

「うぉ、びっくりした。というかそろそろ終わらせませんか?動物園のパンダみたいな状態なんですけど。それと、個人情報を簡単に漏らさないでください」

 

「あぁ、ごめんなさいね。とりあえず席は布仏さんの隣ね。」

 

「ん?あぁ布仏と同じクラスだったな。よろしく」

 

「えぇ、よろしくお願いします」

 

「あ、そうだ。布仏、見ろよこれ」

 

「ん?なんですか?フルボトル?」

 

彼の手には新しい黄色のフルボトルとスマホ?のようなものがありました。

 

「そう、昨日布仏が帰った後にな。その時に出来たフルボトルで、『ライオンフルボトル』だ」

 

「そうですか。何かまた思い出しましたか?」

 

「んーと、どうだろ?なんか金髪の女?になんか言われていたんだよな?何て言われたかは分からないけど。にしても本当に断片的なものしか思い出せないから困るよな。もうちょっと分かりやすく思い出して欲しいものだ。まぁフルボトルの研究してれば次第に思い出していくはずだし、今は考えても仕方ないしな」

 

「金髪の女性だけではなんとも言えないですね。まぁ、ゆっくりと思い出していってください。それともうひとつ、そのスマホ?のようなものはなんですか?」

 

「よくぞ聞いてくれた。これは『ビルドフォン』って言ってな、普通のスマホよりも高性能な携帯だ。さらに、このビルドフォンには普通のスマホと違い、隠された機能があってな」

 

彼は悪戯をするかのような笑みを浮かべて説明してくれました。正直その才能はISで活かして欲しいのですが。この自称天才物理学者(笑)は自分の研究以外はあまり興味がなさそうなんですよね。本当に殴りたい。いや、キザみたくなりますね。

 

「隠された機能?なんですかそれは?」

 

「それはだな、このライオンフルボトルをこのビルドフォンにセットしてこうすると」

 

彼は徐にビルドフォンに先程のライオンフルボトルを挿し込むと、

 

【ビルドチェンジ】

 

そう音がなり、彼は軽く投げた。すると、みるみるうちにバイクへと変わってしまいました。

 

「え、バイク?」

 

「そうそう、凄いでしょ!!!最高でしょ!!!天っ才でしょ!!!」

 

「兎野君!!!何しているんですか!!!これから授業なのに何故バイクなんか、というかどこからバイク出したんですか!!!」

 

「あ、しまった。すいませーん」

 

本当にこの天才は頭がいいのか、馬鹿なのか分かりませんね。ですがその技術、後で私に教えてくださいね。可変機なんてロマンの塊じゃないですか!!!

 

「ん?布仏の目がキラキラしてるんだが、なんだ、変形にロマンでも感じたのか?とことん趣味が合うなwww」

 

「そ、そんなんじゃ、あり、ませんよ。ただ、後でそれの設計図見せてください。とても興味が湧きましたから。」

 

「いいよ、その代わり今日も研究に付き合ってもらうからな」

 

「仕方ないですね。今日は何の研究をするんですか?」

 

「今日はな、フルボトルに使用するナノマシンをだな・・・」

 

「そこ二人、イチャイチャしてないで授業始めますよ!!!」

 

「してません(よ)!!!」

 

 

~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~

 

 

昼休み、私たちは食堂でお昼を摂ることにしたのですが、そこで困ったことになりました。それは・・・。

 

「おい、そこの男、ちょっとオレに付き合え!」

 

「・・・えっと、君は誰?」

 

「俺はダリル・ケイシー、アメリカの代表候補生だ。お前強いらしいな。ちょっと俺と模擬戦しよぜ」

 

「布仏、何この脳筋バカ?」

 

「私に聞かないでください。ダリル貴方も戦闘狂みたいなこと言わないでください。貴方が使った後のISを整備するの大変なんですから」

 

「えぇーイイじゃん。やろうぜ、ISを使わずにどうやって戦うのか興味あるんだよ!!!」

 

「というか、なんでそんなことがバレてるのかを知りたいんだが」

 

「え?織斑先生が普通に言ってたぞ」

 

「あの人か!!!たくっ、個人情報もあったもんじゃないな」

 

織斑先生ですか・・・。あまり簡単に個人情報を漏らさないでくださいね。

 

「まぁそんなことよりも、やろうぜ!!!」

 

「うーん・・・・・、まぁいいよ。新しいフルボトルも試したいし。やるか」

 

「本当にやるんですか?貴方が前に戦った時は、先生のISにはリミッターがかかっていたので弱体化していましたが、今回は変わってきてしまいますよ」

 

「やっぱりリミッターがかかってたのか。それじゃあ尚更やるよ。ちゃんと本領発揮出来るISと戦って勝たないと意味無いからな。いい実験になるよ」

 

「アリーナはもう借りてあるから放課後に第3アリーナな。虚、お前も来いよ!!!それじゃな」

 

「・・・なんか嵐のような奴だな。それよりもこうしちゃいられない。早速開発中のフルボトルを完成させないと」

 

あ、ちょっと、お昼がまだ・・・。はぁ、今回はお昼抜きですか。お嬢様、私の胃はこの1年で穴が空きそうですよ。

 

 

 

 

 

 



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第8話:バトルガールのバトルスタイル!!!

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は、突如バトルガールのダリル・ケイシーに勝負を仕掛けられてしまった。
入学早々いきなり試合って思った俺だが、ビルドお披露目には最っ高の舞台になるために、この試合を受けた。
「男だからとかそういうのはなしだからな。どんな相手でもオレがぶっ潰す!!!」
っとかなり気合十分みたいだが、さてどうなる、第8話!!!
今日は言えた〜!!!
「それは良かったですね」



虚Side

結局昼休みを全部使い、新しいフルボトルを完成させることが出来ました。ライオンフルボトルを作ってから直ぐに取り掛かっていたそうなので、意外に早く出来て良かったですね。彼曰く、フルボトルは完成するのが早いのと遅いので別れているそうです。直ぐにできればいいですが、夏休み期間でたった3つしか出来なかったことにかなり渋った顔をしていましたからね。これで合計6つですね。記憶の方はフルボトルを作るといきなり来たり、寝てる時に思い出したりとこれもバラバラなようです。なるべく早く記憶が取り戻せるといいですね。

 

「そのフルボトルは試さなくていいんですか?」

 

「んー、試す時間ないし、出来る限り試合中に試してみる。もしかしたらこのフルボトルが勝利の法則に繋がるかもしれないしな」

 

「そうですか。それじゃあデータ取りは任せてください。」

 

「あぁ、助かる。それと、彼女は何のISを使うんだ?」

 

「彼女の専用機は今は製作中だったはずですから、ラファールを使ってくるのでは?」

 

「それなら前と同じようにスラスター早いからだな」

 

「私としてはあまりして欲しくないですが。先輩達もスラスターを直すのに時間がかかる為に後輩の私まで参加したのですから。今度は兎野君にも手伝ってもらいますからね。」

 

「げぇ、マジかよ。でも空飛ぶ相手にはこうしないとだな」

 

「そういえば、試合方法はどうするんですか?SEのないビルドだと変身解除しか勝利方法がなくないですか?」

 

「いや、そこら辺も考えてビルドフォンを作ったのさ。これに入っているアプリを使うことで、ビルドドライバーと連動出来る。ビルドのIS戦専用SEモードっていうやつを作ってあるから大丈夫」

 

「SEモードとはなんですか?」

 

「このモードはISのSEを調べてみて作ったんだけど、ドライバーにこのモードを起動させるとビルドが受けたダメージ判定をISのSEに換算して行えるようにしたんだ。勿論SEが尽きたら強制的に変身解除を行えるようにしたんだ。まぁ使う機会なんて模擬戦の時だけなんだけどな。逆にこれがあるから心置き無く実験出来る。流石俺だな!!!」

 

「最後のがなければ尊敬出来ました。ただ、SEを調べるなんてことしてたんですね。」

 

「ちょうどISの整備を手伝ってる時に思い付いてな、先輩達にSEについてを教えてもらったからな」

 

「ふーん、先輩に教えて貰っていたんですね。一番近くにいる私ではなく、先輩に・・・。」

 

「いや、ちょっと怖いよ布仏。ちょうど忙しそうだったし、まぁ布仏には大方ISのこと教えて貰ったし、流石にこれ以上迷惑をかける気は・・・」

 

「ジーーーー。」

 

「あ、すいません。次は先に聞きますから。迷惑かけます」

 

「今度は私を頼ってくださいね。そのためにサポート役を受けたのですから。でないと、キザみますよ。」

 

「キザむ!!! 怖いわ(布仏は怒らせないようにしないとな)。」

 

何となく頼られなかったことに悲しいです。気分が落ちたので後で何か甘いものでも買ってもらいますね。

 

~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~~

 

放課後、予定していた通りダリルとの模擬戦の時間になりました。彼、模擬戦が楽しみで仕方なかったのか授業中ずっとソワソワしてました。こういう所は子供っぽいと言いますか、何となくお嬢様みたいで可愛らしいかったです。そんなことがありましたが、今の彼はどことなく真剣にフルボトルを選んでいました。

 

「んー、どれで行こうかな?なぁ布仏、どれがいいと思う?」

 

「私に聞かれても・・・。そうですね。とりあえず貴方のデータから見てハリネズミでの牽制は使えると思います。ダリルは単純なパワー勝負を好むタイプなので、それに対応出来れば勝てる見込みはあると思いますよ。」

 

「おおぅ、結構真剣考えてくれるのな」

 

「貴方が考えろと言ったじゃないですか。それよりも早くしないと、彼女、もう待機しますよ。」

 

「え!マジか。早いな。よし、じゃあ行ってくる。今回もデータ取りよろしく!!!」

 

「はいはい、分かりましたよ。頑張って下さい。」

 

「おう。それじゃあ行ってきます」

 

彼はアリーナのピットに向かっていきました。さぁ、今回はどんな戦いを見せてくれるのか、楽しみです。

虚Side out

 

春万Side

俺はこれからダリルとの模擬戦となる。今回はどんな法則で驚かせようかな?楽しみだ。そう思いつつアリーナのフィールドに出たのだが・・・、

 

「「「ワァーーーー!!!」」」

 

「観客多いな!!!」

 

「あーやっと来たよ。待たせすぎだゾお前!!!」

 

「すまんすまん、ちょっと準備してたら遅れた。」

 

「よっし、さぁ始めようぜ。お前の力、オレに見せてくれよな」

 

「なんて言うか男らしいなお前。」

 

「オレは女だ!!!」

 

「はいはい、それじゃ、実験を始めようか!!!」

 

【ハリネズミ】

 

【タンク】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

俺は【トライアルフォーム:ハリネズミタンク】でダリル・ケイシーに挑む。

 

「へー、そいつがお前のISモドキか。」

 

ISモドキじゃないよ。そうだな、生徒に言うのは初めてだったな。

名前は『仮面ライダービルド』。作る、形成するって意味のビルドだ。以後お見知り置きを!!!

 

「仮面ライダー?」

 

「仮面ライダーってのは、人々の愛と平和の為に人知れず戦うヒーローのことさ。」

 

「人知れずじゃないじゃん」

 

「細かいことは気にしない気にしない。」

 

「まぁいいや、さっさと始めるゾ!!!ところでお前、SEはどうなるんだ?」

 

「そこはこいつ(ビルドフォン)で測ってあるから大丈夫。SEモード起動。これで完了!!!何時でもいいぞ!!!」

 

「よし、それじゃ行くゾ!!!」

 

ダリルはスピードを一気に上げて真っ正面から突っ込んできた。俺はこれを回避しつつ、ドリルクラッシャーを取り出し、ガンモードに切り替えて撃つ。ダリルもラファールのシールドを使って簡単に防ぐ。フィールドを縦横無尽に駆け回りつつ動けるように俺はビルドフォンにライオンフルボトルを挿しマシンビルダーへと変形させ攻撃する。その際に、ハリネズミフルボトルをドリルクラッシャーに挿し、ボルテックブレイクでダリルを牽制する。まずはダリルのシールドの破壊ヲ目的にした方が良さそうなのだが、流石に硬い。ダリルモードうまい具合にシールドで防ぐ。それに合わせてアサルトライフルで反撃される。そうこうしていると、なにか思いついたのか、ダリルがシールドを突き出しながら突っ込んできた。

 

「しまった!!!」

 

「遅い遅い!!!」

 

「くっ。」

 

「貰った!!!」

 

「ヤバい!!!グワーッ。」

 

かなり強いのを食らった。今のでマシンビルダーもスマホモードに戻ってしまった。残りのSEも300を切った。これ以上は不味いかな。ただここまで観察してきて、やはり布仏の言った通りパワー勝負が得意なようだ。それに合わせてかなり正確な起動操作を行うから遠距離も当たりが悪い。流石代表候補生と言ったところだ。さて、そろそろフォームチェンジと行きますか。相手のパワーに対してはこの『ゴリラフルボトル』で、あのライフルに対してはこの『ダイヤモンドフルボトル』だな。

 

「全然足りねぇなぁ!」

 

「仕方ない。今度はこいつだ」

 

【ゴリラ】

 

【ダイヤモンド】

 

【ベストマッチ!!!】

 

「え!ベストマッチ!!!キターーーーーー!!!」

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【輝きのデストロイヤー=ゴリラモンド!!!イェイ】

 

「な、なんだ?ベストマッチ?」

 

「フフ、勝利の法則は決まった!!!」

 

 

 

 



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第9話:煌めき輝くデストロイヤー!!!

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は記憶を失い、IS学園の生徒として入学したのであった。入学早々、ダリル・ケイシーに模擬戦を挑まれ、ビルドとなり模擬戦をしている中、ゴリラとダイヤモンドのベストマッチを発見し、新たなベストマッチフォーム:ゴリラモンドとなることに成功した。その力は一体どんなものなのか、さぁ、どうなる第9話。


虚Side

 

【輝きのデストロイヤー=ゴリラモンド!!!イェイ】

 

「勝利の法則は決まった!!!」

 

彼は決めゼリフを言うと何かしらアクションを起こそうとしていますね。ダリルに対して、ゴリラフルボトルとはまた面白い組み合わせを使いますね。

それにしてもベストマッチがダイヤモンドでしたか。やっぱりベストマッチの意味はよく分かりませんね。

兎野君はダリルに対してパワー勝負を持ち込むようです。ダリルはライフルで牽制を仕掛けました。すると、兎野君は左手を翳すと向かって行った弾が全てダイヤモンドのような鉱物へと形を変えました。これがダイヤモンドフルボトルの効果のようです。物質を鉱物へと変える能力なのでしょうか。

すると、彼はその変えた鉱物を左腕に纏い、

 

「一気に決める!!!」

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

ダリルに向かって鉱物を一気に撃ち、ラファールの周りを完全に囲い、銃弾の如くヒットして行きます。

 

「な、なんだよこれ。身動き出来ねぇ」

 

さらにその状態をコントロール出来るのか、兎野君の方へ引き寄せられていきました。彼はゴリラの腕にパワーを溜め込み、引き寄せたダリルに向かい、強烈な一撃を叩き込みました。ダリルは壁に激突し、ラファールのSEはなくなったようです。

この勝負は兎野君の勝ちのようです。今回もデータはしっかりと取れました。フフ、また一歩研究が進みますね。特に今回は新しいベストマッチが出来たのですから、彼も嬉しそうです。

虚Sideout

 

春万Side

ケイシーに向かいボルテック・フィニッシュを決め、ケイシーの纏っていたラファール・リヴァイブはSEを失くし、絶対防御が発動し試合が終了した。

 

「よし!実験成功だな!!!」

 

「っつー、痛た、負けちまった。お前強いな。ちょっと舐め過ぎてた」

 

「だろ!ビルドは様々なフォームを使いあらゆる面で対応出来る、超万能の力なんだ。そんなビルドを作った俺はやっぱ天っ才だな!!!」

 

「はー、よくわかんないけどISと互角以上に戦えるなんて凄いと思うゾ」

 

よし、それじゃあ早く開発室に戻ってデータの見直しと新たなベストマッチの力をもっと試さないと。それじゃ、今日はサンキュー!!!

 

「おう、こっちこそ無理矢理付き合ってもらってサンキューな」

 

俺達が話している頃、観客は開いた口が塞がらないようで、呆然とその結果を見ていた。それもそうだ、現代の最強兵器とされているISが、ビルドにやられ、それも男にやられたのだ。この観客の中にも勿論、女尊男卑の人間はいる。そんな奴らのプライドをへし折ったのだから、呆然もするだろう。

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

「ISが負けた?」

 

「あれ、何?なんで男の癖にISに勝てるような力を持ってるの?」

 

中には本気で感心するものも居る様だ。

 

「凄い、ISに勝っちゃった」

 

「ありえない、男に、それもあんな変なものにISが・・・」

 

「あ、あんなのまぐれよまぐれ。」

 

(ちっ、うるせぇな。というかなんでこんな人いるんだよ!!!)

 

ダリルは心の中で悪態をついていた。

今日、ISが最強の兵器という根底が覆ってしまったことが公に知れ渡った。それを覆したのが男であるということに女尊男卑派の生徒は彼、兎野春万を目の敵とし、逆に彼を尊敬する者も出た。それ以上に彼と戦いたいという猛者達の多くがターゲットとして決めたことを彼はまだ知らない。

 

(いやー、それにしても今日の実験は最高の実験となった。ラビットタンク以外に初のベストマッチが見つかるし、マシンビルダーの性能テストも出来た。収穫は十分にあった。ケイシーには感謝感謝だな。)

 

あれから時間も経ち、データを元に2つのフルボトルの性能の調査とベストマッチ状態の性能よの向上も知ることが出来た。今はまた新たにフルボトルの製作中。

今回は無機物系のフルボトルを2つ作る予定なので、ナノマシンを弄っている。1時間ほど前に一本を製作して今はナノマシン分解機に入れて、その間に2本目の製作に取り掛かっている。

思ってみたのだが、俺はナノマシンを簡単に作れるようだ。ある時は水から、ある時は酸素から、ある時は髪の毛から、結構簡単に作っている。

布仏曰く、「普通、そんな簡単に作れるわけがないのですが、これは新発見ですよ。学会に出した方がよっぽど世の為になると思いますよ。まぁ製作に関しては貴方くらいしか出来そうにないですが」とか言っていたな。

そんな物を一緒になって作ってる君も十分天才の領域に入っているんだけどな。よく言えば、俺よりも頭の柔らかさは上だし。なんかムカつく。それを言ったら「自称天っ才物理学者に言われると、多少嬉しいですね」とか言われた。

俺は自称じゃなくて、正真正銘天っ才だ!!!

まぁそれは置いといて、今あるフルボトルは、『ラビット、タンク、ハリネズミ、ゴリラ、ダイヤモンド、ライオン』といったところだ。中々に無機物系のフルボトルは有機物系に比べ多少作るのが難しい。ライオンフルボトルを製作した時も本当は無機物系のフルボトルを作る予定だったんだけど、何故か有機物系のライオンフルボトルが出来てしまった。まだまだフルボトルの研究は奥が深い。

すると、フルボトル生成マシンからレンジの音が開発室に響き渡る。

 

「フルボトル出来たようですね」

 

「ん?えぇーーーーーー!!!マジ!!!!!!というか今回は速いな。(さっきまでフルボトル作りは時間が掛かるって思ってたのに・・・)」

 

布仏が先に取っていたようだ。俺は急いで布仏の近くに行き、今回できたフルボトルを見に行った。

 

「は、はい。これです。というか近い・・・」

 

「これは・・・・・機関砲か?」

 

「そのようですね。これは一体どういう性能なんでしょうかね」

 

「さぁな、とりあえず試してみるか。」

 

【ライオン】

 

【ガトリング】

 

「・・・ベストマッチじゃないか。とりあえず変身」

 

少し試してみたのだが、ガトリングフルボトルにはロックオン能力があるようだ。ただ、これじゃガトリングって意味がよく分からない。

 

「もしかしたら、武装が必要なんじゃないですか?」

 

「それだ!!!ガトリング、ちょっと製作してみよう」

 

「武器制作ですか。ワクワクしますね。」

 

布仏もなんか気合入ってる。こういう武器作りが好きなのかな?男のロマンとか分かってそうだな。前もマシンビルダーの変形機構にかなり興味津々だったからな。いつもは無表情なのにこういう時に見せる顔はなんか好きだな。

俺の顔はクシャっと笑顔になっていた。

 

「な、なんですか?いきなり人の顔見て笑って」

 

「ハハ、いやー、お前のそういう所、ホントに好きだなーってな!!!」

 

「は、はぁーーーーー!!!」

 

布仏の顔はみるみるうちに真っ赤になっていった。だが、それも直ぐに収めたようだ。

 

「ん、んん。そ、それと、フルボトルはどうするんですか?(この男は天然なようですね。気をつけないと)」

 

「えっと〜。とりあえずフルボトルを作ってからな」

 

「了解です。でも私、後、2時間で寮に戻らないと織斑先生に怒られますから」

 

「時間めいっぱいまで頼む。いつも付き合わせてすまんな。本当に助かってる」

 

「いつものことじゃないですか。それでも何か感じているのであれば、お礼として何か買ってもらいましょうかね」

 

「がめついな」

 

「何か、文句でもあるのですか?」

 

「い、いえ、なんでも。さぁ、続きやるぞ。」

 

「フフ、それでは、考えておきますね」

 

不敵に、可愛らしく笑う布仏と共に武器作りに精を出すのであった。

春万Sideout

 

???Side

 

「ナハハハ!!!たまたま◼️ー◼️▪️◼️を見よう(盗撮しよう)としたら、面白いのを見てしまったぁ。ねぇねぇ、なに、この『ビルド』っての、それにこの子は・・・ふーん、なんか◾️さん、興味湧いてきたよ。ね、◼️ッくん」

 

『・・・あぁ、そうだな◼️』

 

春万達の日常に、黒い陰謀が動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 



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第10話:バトルガールのセンス

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万はバトルガールことダリル・ケイシーとの模擬戦で大勝利を収め、現在新たなフルボトル:ガトリングフルボトルに合う武器とベストマッチを捜索していた。
「ホントにコイツは頭が固いなーwww。もうちょっと柔らかくなれよ頭でっかち!!!」
うるっさいよ!!!今、大事なあらすじ紹介してるでしょうが!!!
「何処にそんな要素があるのですか?」
ちょっと布仏もかよ!!!もう、第10話どうぞ!!!



虚Side

おはようございます皆さん。布仏虚です。

唐突ですが眠いです。昨日から兎野君の新武器の構想を練っていたのですが、少し調子に乗り過ぎてしまい3時を過ぎてしまいました。流石に起きすぎました。え?早い?そんな貴方は今すぐ寝なさい。私からの忠告です。身体壊しますよ。ダリルなんて帰って直ぐに寝てしまいましたから、とても気持ちよくお休みしてましたよ。朝なんて「虚が珍しく夜更かししたんだ。目、全然開いてないゾwww」って言われました。

そういえば私、誰に話しかけているのでしょうか。それはそうと、昨日考えた案を兎野君に伝えないといけませんね。ですがまだ完璧に仕上がっていないので、そこはフルボトルとのベストマッチが見つかってからの方がいいと思います。

 

「布仏、おはようさん」

 

「おはようございます、兎野君。昨日はちゃんと寝ましたか?」

 

「おお、寝たよ。・・・5時に」

 

「やはりですか。5時って私より酷いじゃないですか。ちゃんと寝ないと授業中に寝てしまいますよ」

 

「そんなことよりもガトリングの性能に合う武器考えてたら全然寝れなかったんだよ」

 

彼はうまい具合に誤魔化しました。もし寝たら殴って起こしましょうか。

 

「そうは私も考えてましたよ。後で設計図を渡しますから、後は兎野君が考えた構想と組み合わせた方がよろしいかと。」

 

「おお!サンキュー。って布仏も考えてくれたんだな。やっぱ誰かいると早く進むな!!!」

 

「初めて設計をしてみましたが、色々と抜けてるところもあるとは思います。ですが、とても楽しかったですよ。いずれはISの武器開発にも役に立つと思いますからね」

 

「そっか。それはそうと最初の授業はなんだっけ?」

 

「最初は数学ですよ。まぁ貴方はよく別のことをしてますけど・・・。」

 

「それは・・・ハハハ」

 

「誤魔化しましたね」

 

「おはようございます、皆さん。朝のHRを始めますから席に着いてくださいね」

 

「「「おはようございます!!!」」」

 

「はい。それでは今日は初めに文化祭についてを・・・」

 

文化祭ですか、そういえばもうそんな時期でした。高校生初の文化祭ですから、何か楽しめたらいいですね。隣の兎野君は興味無さげですが。

 

「なぁ、文化祭ってなんだ?」

 

「文化祭知らないんですか?」

 

「おい、俺は記憶喪失なんだぞ。知るわけないだろ」

 

「そうでしたね(普通の学生なら知っていますけどね)」

 

「なんか忘れられてるんだけど!ちょっと布仏さん、そこは1番大切な所な」

 

「文化祭というのはですね、」

 

「うわっ、無視られた」

 

「文化祭というのはこの学園を2日間開放して、学園の紹介や、催し物を行うような、学校のお祭りのようなものです。」

 

「ふーん、催し物ね。それって楽しいの?」

 

「どうでしょうかね。一年生は今年初なのでよくは分かりませんが、去年見て楽しそうでしたよ」

 

「そっかー、まぁ俺は開発室に篭ってるからどうでもいいけど」

 

彼はいかにも気だるそうにサボりを決め込もうとしていました。実際に当日フルボトルの研究をしていそうです。学生としてこのようなお祭りには参加した方が楽しいと私は思います。

 

「流石にそれはダメですよ。一応、学校行事ですからちゃんと出てもらわないと」

 

「えぇー、マジかよ。そんな二日あればフルボトルの研究も少しは進むのに。よし、サボる」

 

「はぁー、駄目ですよ。サボらせませんからね」

 

そう言って当日は無理矢理にでも参加させようと思っていたところ、先生から思わぬ事を言われました。

 

「あぁ、兎野君。君は学園の警備担当になるから不参加という学園長からのお達しよ」

 

「警備?何故?たかだか学校の祭りなんかで」

 

「忘れたの?ここは普通の学校じゃなくてISを扱う学校なんですよ。警備もしっかりしないといけませんからね。今回は君も公の仕事として頑張って下さい」

 

一理ありますが、学生になった彼にそのようなことをやらせる学園はどうなのかと思いました。

 

「そうだったな。了解でーす(はぁ、最悪だ)」

 

「一応、ビルドはこういう時にこそでしたね。頑張って下さい」

 

「仕方ないさぁ。とりあえず布仏は楽しんでくれよ」

 

「えぇ、出来たら休憩時間に何か買ってきますよ?」

 

「本当か?それじゃ甘いのを・・・ある?」

 

「えぇ、多分あると思いますよ」

 

「そっか、それじゃよろしく」

 

「分かりました」

 

彼は文化祭を楽しむことがあまり出来そうにないので、せめて美味しいものを渡したいと思いました。

 

放課後、

私たちは開発室でガトリングフルボトルに合うフルボトルを探していました。ついさっき私たちの考えたガトリング案を形にしてみたのですが、やはり何かが不足しているよう形になってしまいました。完璧に仕上げる為にもベストマッチを探すことにしました。

今日だけでフルボトルが3個も出来てしまい、彼は

 

「ヒャッホーー、夜は焼き肉っしょ!!!」

 

とか言っていました。何故?

そうテンション高く言ったものの後で困り果てていましたね。

 

「ベストマッチってどれだ?これかな、あぁそれともこれか?」

 

と、今も騒いでます。すると突然の訪問者が来ました。

 

「おーす、ここに居るって聞いたんだけど?」

 

「ダリル、どうしたんですか?」

 

「おー虚、お前もいたのか。ってかここほんとに開発室なのか?なんか色々と変わってるんだけど・・・」

 

「そうですね、彼が夏休み中にここを改造してましたから。一応、ここでもISの開発、整備は出来ますよ。むしろ、こっちの方が細かい整備が出来ますから開発部の先輩もちょくちょく来ますよ」

 

「へー、それじゃあ、本国から専用機が来たらこっちで整備してもらうか。それよりも何してるんだ?」

 

「んー、今は、このフルボトルの組み合わせを探しているんだよ。はぁやっぱこのハリネズミかな?でも忍者っていうことも、いややっぱライオンか?」

 

忍者は流石にないと思いますが、ベストマッチは本当によくわかりませんね。

 

「ほーん、なんか面白そうだな。それじゃオレも、こいつはどうだこのオレンジのはどうだ?」

 

「あのな、そんな簡単じゃないのよ。ベストマッチを探すってのは。色々論理的にだな・・・」

 

【タカ】

 

【ガトリング】

 

【ベストマッチ!!!】

 

「ベストマッチ、しちゃいましたね」

 

「うそーん」

 

「どーよ、オレのセンスは!!!」

 

「ちょ、ちょっと。タカか、タカね。うんうん、そうなるとやっぱタカガトリンガー?ホークガトリンガー?うん『ホークガトリンガー』にしよう。うんそうしよう」

 

「うわっ無視られた」

 

「都合が悪くなるとすぐこうですね」

 

「ほら布仏、さっさとやるよ!完成させて明日には実験だ!!!ケイシー、明日模擬戦な!」

 

「お!いいぜ。そうだ、オレのことはダリルでいいぞ。オレも春万って言うから」

 

「あー、別いいぞ。んじゃよろしくなダリル!!!」

 

「オケオケ。模擬戦ならバッチコイ。次こそ勝ってやるからな。ところで見ていていいか?」

 

「別にいいと思うわ。ただ、分かるの?」

 

「いや、サッパリ。でもなんか面白そうだからな!!!」

 

「フフ、そう。それじゃあ始めましょうか」

 

今日も今日とて平和に研究して、開発してを繰り返しています。こうして考えると、兎野君の発明は面白いものが多くて、彼と会ってから

学生生活がより楽しいです。

フフ、本当にありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

この時はまだ知りませんでした。この学園に、脅威が迫っていることに・・・。それがこの物語を大きく変えることになることも。

 

 

 

 



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第11話:文化祭と迫る脅威

仮面ライダービルドであり天っ才物理学者の兎野春万は、学園のイベントである文化祭にて警備を担当することになったのだった。学生なのになんか色々とこの学園おかしいよね!!!
「そこに触れたらおしまいですよ」
何が終わるの!!!っとそんなことよりも、第11話どうぞ!!!


春万Side

はぁ、今日はかなり憂鬱だ。今日一日は文化祭ということで実験は行えず、終わったら掃除と明日の二日目の準備の手伝いとで全然研究できない。しかも俺は文化祭に参加するのではなく、俺が入学する条件でもある学園の警備に当たらなければならない。

万一にも来場者がISに乗って暴走しないようにする為にも警備に当たって欲しいという学園長のお達しだ。

というか、たかだか学生の祭り程度でこんな警備いるのかって思ったのだが、本宮先生曰く、

 

「IS学園は世界で最も有名な高校でもあり、倍率も物凄く高いんです。というわけで入りたい学生さんも世界規模でいるので、学園では通常、生徒及び先生方の招待状がないと入れないようになっています。それでも企業の人やジャーナリストなどもいるので、かなり大規模になってしまうんですよ。ですから警備もなるべく多くしているんです。だから頑張って下さい」

 

と言われてしまった。世界規模ってどんな高校だよって思うが、唯一ISを授業で使える学校なんてここ以外はないらしい。結構特別な学校だということは、授業でもよく分かる。まぁ、ISの授業なんて出ても、俺IS動かせないし、関係ないと思うんだけど、学園のルール上、俺のライダーシステムは専用機扱いらしい。よく分からん。

兎に角だ、今日は気が乗らないが、唯一の楽しみは布仏が持ってきてくれるらしい甘いもので手を打つとしよう。

こうして見るとIS学園の広さは桁違いなようだ。クラスは4クラス3学年しかないはずなのだが、アリーナは第6まであり、部活棟なども含めてかなりの大きさだ。海の上を埋め立てて作った為に、島のようになっている。本島に戻るにも専用のモノレール以外だと外に出られないようだ。かなり厳重に警備もされている。今日は例外ではあるが。人もかなりの人数だ。世界規模というのは伊達ではないようだ。

これだけの人数(推定1000人程)で招待された人の多さだ。多分これでも一部なのだろう。本当に人気なんだな。男は余りにも少ないが。居てお父さんか兄弟だろう。

さっきから多少目立つ。そう思い人気の少ないところに巡回に来たのだが、何か嫌な予感というか、悪寒というか、そんな感覚が頭をよぎった。すると・・・。

突然地面を突き破り、巨体が目の前に現れた。

 

『ギギ◼️◼️ギ!!!』

 

「なんだこいつは?IS?いや、それにしては所々機械っぽくない所もある。すると俺に向かい、突然襲ってきた」

 

『ギギガー!!!』

 

「うわっ、あぶね。お前誰だ?」

 

『グギ、ゴガ』

 

変な鳴き声を上げながら不可思議な怪物は俺に向かい両手を下手くそに使い攻撃してきた。

 

「だからあぶねって。反応なしか。たく、なんかよくわからないが、倒してもいいってことだよな!!!」

 

そうして俺はドライバーを腰に巻き、

 

【ラビット】

 

【タンク】

 

【ベストマッチ!!!】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!!イェーイ!!!】

 

俺は臨戦態勢としてビルドに変身した。

 

「いきなり襲ってきた奴にはちゃんと正当防衛が発生するよな。とりあえずこれでも食らっとけ!!!」

 

『ギゴ!!!』

 

俺はドリルクラッシャーをガンモードにし、距離を取りつつ攻撃する。見たところ相手は巨大な腕を用いて戦ってくる。

未だISなのかはわからない相手ではあるが、知性が低いのか突撃しかして来ない。それだけならばビルドの相手ではない。

とりあえず早く倒さないと騒ぎになる。ここは冷静にサクッと決めていこう。俺はハリネズミフルボトルを挿し、

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテックブレイク!!!】

 

「ギギ、ゴガ!!!」

 

「っと、まだ足りないならもういっちょ。」

 

俺はドライバーのレバーを回し、ベストマッチの持つ必殺技を放つ。

 

【Ready〜Go!】

 

「ちょーと待っててね」

 

「ギガ?」

 

俺は後ろに走り出し、地面をタンクの足で突き破り、頭の中で式を立てる。そして一気に地上に上がり・・・、

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

「くらえー!!!」

 

『ギッ!!!ガー!!!』

 

「ふぅ...」

 

かなりあっさり倒してしまった。すると目の前で武装が外れたのか、そこから出てきたのは、『銀髪の少女』であった。

 

「おーい、大丈夫か?」

 

続いてみたのだが、少女には反応がなかった。

 

「・・・」

 

「んー、気を失っているみたいだな。よし、とりあえず布仏に連絡しよう。保健室に運ばないと」

 

『オット、そうはさせないぜ。ほれ、こいつもだ』

 

すると、どこからともなく、不気味な声が聞こえてきた。

 

「ん?ってなんだ!!!もう一体いるのか!!!」

 

すると今度も地面から2体目のIS擬きが現れた。

ゲームの雑魚キャラじゃないんだから、そんな量産しないで欲しいのですが・・・。

それよりも学園の警備はどうなってるんだ?何故こんな簡単に敵が入ってきているのかが分からない。それ故にかなりまずい。未知なる敵からの強襲を現在受けているのである。

そんなことを考えていたが、今の優先を考え、目の前の敵に一度集中した。

今度の奴は先程の敵とは少しだけ違うようだ。さっきよりも明らかに好戦的で、形も多少スマートで速そうだ。とりあえず応援を呼ぼうと思ったのだが、ビルドフォンで連絡しようとすると、そこには圏外と書かれていた。

 

「圏外!!!何故?」

 

『あぁ、今この学園の通信機能はジャミングしていて使えなくしているぞ。さぁゲームの始まりだ。精々オレを楽しませてくれよ!!!』

 

「なっ!!!というか、何処から声がしてんだ?」

 

周りを見てみたが誰もいなく、目の前の化け物のみだった。

 

「・・・・」

 

さっきの巨体とは違い、やはり先程のよりも速く動く。それに知性もあるようだ。

 

「ちっ、仕方ない。一人でやるしかないか。あんまちょこまかするなよ。さっさと終わらせてもらうぞ」

 

「・・・・」

 

するとIS擬きは突如として体を分裂ならぬ分身したのだった。

 

「増えるのな!!!これは一体一体やってたらキリがないな。それならこいつだ」

 

俺はドライバーの拡張領域からオレンジ色と灰色のフルボトルを出し、3〜4回ほど振り、ビルドドライバーに挿した。

 

【タカ】

 

【ガトリング】

 

【ベストマッチ!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!イェイ!!!】

 

「勝利の法則は決まった!!!来い、『ホークガトリンガー』」

 

同じく拡張領域から武器を取り出した。

これこそ、俺と布仏の二人で作り上げた、

最強の武器『ホークガトリンガー』である。

なんとこれは、ガトリングフルボトルの性能を活かしつつ、超広範囲での攻撃が可能な武器なのである。これで、一気に叩く。

 

『ホゥ、中々面白そうじゃないか。HAZARDLv3.6といったとこか。まだまだ成長しそうだな』

 

そう答えるのは姿を見せずにいた不気味な『赤黒いコブラ』であった。

 



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第12話:天空を舞う暴れん坊!!!

仮面ライダービルドであり天っ才物理学者の兎野春万は現在交戦中。
というかこんな時にあらすじ紹介している場合じゃないな〜。
と、とりあえずさっさと第12話行っちゃって!!!


虚Side

そろそろ開発部の発表も一段落着きそうです。私のクラスの出し物は軽い喫茶店にしたようです。コスプレなるものをしていますが・・・。

それはそうと彼にお昼と頼まれた甘い物を買っていかないといけませんね。彼のことですから、今頃「糖分が足りねぇ」とか言ってそうですね。お嬢様達は明日来るらしいので、一緒に回ろうと思います。だからこそ出来だけ今日は仕事をして明日には持ち越さないように頑張りますが。さて、どこかに甘い物はありましたかね?

 

『ボカン!!!』

 

なんの音でしょうか?何かまた先輩達がやっているのでしょうかね?それよりも早く買いに行かないと売り切れてしまうかもしれないですね。そしたらかなり恨み言を言われそうです。そんなことを考えていると・・・。

 

「おね〜ちゃん!!!」

 

「ん?本音?それに簪お嬢様!」

 

「やっとおねーちゃん見つけたよ。携帯繋がらなくて困ってたんだよね〜」

 

「本音と探してたんです」

 

「そうだったんですか。本音、簪お嬢様を振り回しちゃ駄目でしょう」

 

「えへへ〜、ごめんなさ〜い。かんちゃんもごめんね?」

 

「ううん、いいよ。沢山回って面白そうなのいっぱい見つけられたから」

 

「すみません簪お嬢様。」

 

「ところでおね〜ちゃん、急いでるの?」

 

「いえ、そこまで急いではいないわ。ちょっとお昼に何か買っておこうと思ってただけ」

 

「そうだったんだ〜。そうだ、おね〜ちゃん。学園案内してよ〜。ね、かんちゃん!」

 

「あ、はい。お願いします虚さん。」

 

「えぇ、今日の役割は終わっているのでいいですよ。途中で何か買いながら回りましょうか」

 

「やった〜!何食べるかんちゃん?」

 

「もう本音、食べることしか考えてない?」

 

「そんなことないよ〜。いっぱい見てたもん」

 

「本当に?まぁいいですか。こっちです」

 

私はその時、本音達を優先して彼の下に行くのを遅くなってしまったことに後で後悔をしました。

虚Sideout

 

春万Side

 

【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!イェイ!!!】

 

「勝利の法則は決まった!!!」

 

ホークガトリンガーを取り出した俺は、4体に分身したIS擬きに攻撃を仕掛けた。このホークガトリンガーはガトリングフルボトルの性能を最大限に発揮する為の武器であるが、タカフルボトルとのベストマッチによる攻撃で、空中からの三次元攻撃を可能とした最強の武器である。タカフルボトルは空中飛行能力を得られる。それによって、ISとの戦いも格段に戦闘スタイルを変えることができる。空中戦に特化したフルボトルである。そして今、空中から攻撃していると、IS擬きは更に分身し、どんどん数を増やしていく。ただ、相手は空を飛べないようである。益々ISっぽくはない。

 

「際限なしに分身されても困るんだよな」

 

というよりも、体を分身するISなど知らないし、現在の技術力でそこまでの高度な分身を再現することは不可能なはずだ。現在ISは、最大でも第二世代型である。つい半年前に第三世代型に搭載するための技術、イメージインターフェースの研究に成功したとどこかの国が発表したらしい。それにより世界に第三世代型ISの研究が始まり、ようやくイメージインターフェースの試験段階という形に入ったばかりであり、未だISとして形に出来たものはないのである。そのはずであるが、このIS擬きはそのような未知なる技術を持っているようだ。非常に興味が湧く。今すぐにでも分解してその技術をビルドに活かしたくなる。そうと決まればさっさと倒すのみ。俺はホークガトリンガーを用いた必殺技を放つ。

 

【ten】【twenty】【thirty】【forty】【fifty】

【sixty】【seventy】【eighty】【ninty】

 

そう音を鳴らしながら、ホークガトリンガーのリボルバーを回しガトリングにエネルギーと弾数を溜めていく。そして、相手を計算し導き出された円球の中にIS擬き達を全て閉じ込め、ガトリングアイによって完全にロックされ、そして・・・。

 

【one-hundred!!!フルバレット!!!】

 

「いっけー!!!」

 

閉じ込めたIS擬き達に向かい100発の弾丸が逃がすことなく命中させていく。耐えきれなくなったIS擬き達は少しずつ爆散していき、1分後には全ての分身したIS擬き達を爆散させた。

 

「あれ?一体も残ってないんですけど?さっきやったのと耐久力が違うんですけど?しかし、やはりあれはISでは無いのか?」

 

そう結論づけ、とりあえず変身を解除した。

 

「仕方ない。さっきの女の子とりあえず運ばないと、ガッ!!!」

 

すると後ろから突然何かに刺された。そこから直ぐに体が全く動かなくなってしまった。思わずそこで俺は倒れ着いた。朦朧とする意識の中で目にした奴は銀髪の少女を抱えて・・・。

 

『フハハ、なかなか面白いショーを見せてもらったよ。HAZARDLvは0.1しか上がらなかったが、得るものはあった。また会おう。生きていれば、な。Ciao!!!』

 

「・・・・ま、て・・」

 

そいつは胸にコブラのマークをした赤黒い男であった。俺はそこで意識を手放した。

 

 

 

俺が次に目覚めた時は学園の保健室で、窓も真っ暗になっていた。起き上がろうとしたが、体が悲鳴をあげた。とりあえず、ゆっくり起き上がると、そこには布仏が眠っていた。

 

「ん?布仏?とりあえず起こすか。おい、風邪引くぞ」

 

「ん、んー。へ?兎野、君?」

 

「おう、天っ才物理学者の兎野春万だ。ってうお!」

 

「良かった、本当に良かった。目覚めなかったらどうしようかと」

 

そう涙目でいきなり抱きついてきた。布仏がかなり大きな持ち主だった(何処とは言わない)ことに驚きです。着痩せするタイプのようだ。

 

「お、おう。とりあえず大丈夫だ」

 

「何が大丈夫だですか!!!貴方、三日も眠っていたんですよ!!!本当に、本当に良かった。」

 

「三日もか!!!とりあえず落ち着け。というか離れろ。」

 

「〜〜〜。ご、ごめんなさい。つい。」

 

「お、おう」

 

そう言って顔を赤くしながらそっと離れてくれた。そういうのはあまりやめて欲しい。心臓に悪い。

 

「・・・俺はそんなに寝てたのか?」

 

「はい、蛇の、それもコブラの毒なんていうのにやられていて、あと少し遅かったら手遅れになっていたかもしれなかったんですからね。」

 

「コブラ、そうだ、あの子は?」

 

「あの子?えっと他に誰かいたのですか?」

 

「いや、コブラ男に連れ去られて、痛っ」

 

「貴方のいた所に大きな穴がありましたが、とりあえずその事は後日、体調が完全に治ってから聞きますから。まだ完全に治った訳では無いですから。」

 

「あ、あぁ。分かった」

 

「ファルティナ先生には私が言っておきますから。それと、お疲れ様でした。何が起きたか分かりませんが、戦ったのですよね。今はゆっくり休んで下さいね。」

 

「布仏、ありがとうな。君には2回も命を助けられたな。本当にありがとう」

 

「い、いえ。それではお休みなさい」

 

「あぁ、お休み」

 

布仏に精一杯の感謝しながら俺はその日コブラ男のことと、IS擬きのことを考えながら、ゆっくり眠った。

 

 

 

 

 



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第13話:明確になる敵

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は、タカとガトリングのベストマッチであるホークガトリングでISによく似た化け物を倒すことに成功したのであった。だがしかし、倒した直後後ろから赤黒い色をしたコブラ野郎に毒を刺され倒れてしまったのであった。コブラ野郎、次会った時は覚えてろよ〜。

『そうか、んじゃ楽しみにしてるぞ〜』

ってコブラ野郎!!!ちょ、待てこら!!!あぁ、もう。
とりあえず、さぁどうなる、第13話!!!



虚Side

保健室を出たあと、ファルティナ先生へ兎野君が目覚めたことを報告しに向かいました。彼が眠っていたここ三日間、心配で気が気ではありませんでした。

時は遡り、三日前、

私が簪お嬢様と本音に学園の案内をして一時間ほど経った後、お昼を持って兎野君に連絡を入れたのですが、全く繋がらず、警備の人にも聞いて回り彼が人通りの少ない方面へ向かったのを見たという人がいたので、その情報を頼りに向かっていくと、まさか彼が倒れているとは思いもしませんでした。最初はお腹をすかして倒れたのかと思いましたが、近づいてみると背中から少し出血していました。急いで彼を運び保健室へ連れていきました(男の子にしては結構軽かったです)。保健室でファルティナ先生に見てもらったところコブラの毒にやられているということが分かりました。何故この学園でコブラの毒なんかにやられるのかは全く理解できませんでしたが、彼が倒れていた近くに大きな穴があったことを思い出しました。

気にはなりましたが、そんなことよりも彼が心配だったのでスルーしてしまいましだが、あれが何か関係しているのだと思います。

その事をファルティナ先生に報告してみたのですが、直接の原因かは分からないがこの学園にコブラが出ることはないと仰いました。私もこの学園でコブラが出たなど聞いたことがありません。とりあえず医療用ナノマシンの血栓で毒はどうにかなるそうなので良かったです。それから織斑先生に連絡をし、空いていた穴を調査しましたが、サイズから見てISが地下から入ってきたという仮説が導かれましたが、この学園でISが地下から入ってこれるわけがありません。

しかし、一つだけこの仮説を決定づけることが文化祭中にありました。本音が私と連絡が取れないということで私を探していたということを言っていました。丁度その時刻、学園の通信機器及び周辺の通信状態がジャミングされていたようです。

織斑先生曰く、それの対応に追われていたために警備係と連絡が取れなかったようです。あの時私も兎野君と連絡を取っておけば、それに気づけたはずでした。本音の言った言葉に少しでも疑問に思っておけばいち早く気づけたことに悔しさを感じました。もしかして、あの時になった爆発音は彼が戦闘状態に入っていた音だったのでしょう。彼が起きたらちゃんと謝りましょう。それにしても一体も何があったのかも聞かねばなりませんね。

 

それから三日間、兎野君は目覚めませんでした。2日目の文化祭はお嬢様も来たのですが、

彼が今だ目覚めていなかったことが気が気ではなかったことが顔に出ていたのか、お嬢様にかなり揶揄われました。

お嬢様も昨日のことを知っているようで、彼が目覚め次第話を聞くということです。学園が襲撃されたことで、更識にも伝えられたのでしょう。

彼が目覚めるまで、彼のお見舞いには欠かさず行きました。彼が目覚めた時は喜びのあまり抱きついてしまったのは不覚でした。

でも、本当に良かったです。

虚Sideout

 

春万Side

俺が目覚めてから次の日、大事を取って授業は休み、今は学園長室にいる。その学園長室には俺と学園長、布仏に更識さんと、織斑先生の5人が集まっている。文化祭で起きたことを尋ねるためらしい。

 

「それで、あの時君には一体何が起きたのですか?」

 

「簡単に言うとIS擬き2体と戦闘しました」

 

「IS擬き?何故『擬き』と付けるんだ?」

 

「ISっぽかったんですが、明らかに現行の技術じゃなしえない力を持っていましたから」

 

「どんな能力だったんですか?」

 

「いきなり分身する。それも全て質量のある分身だ。分裂に近いかも。それに姿形がISとは多少異なっていたからな」

 

「姿形がですか?しかし、穴の大きさ的にISと同じではなかったのですか?」

 

「あぁ、大きさも間違いなくISサイズ。ただ、所々生物のような肉体があったんだ。それよりも俺にはもっときになることがあるんだ」

 

「気になること?なんでしょうか?」

 

「1体目のIS擬きを倒した時に爆発の後に銀髪の少女が中から出てきたのですが、2体目からは何も出なかったんです」

 

「銀髪の、少女。その少女はどうした?」

 

「コブラ男に連れ去られました。後ろからいきなり刺されて、すいません。助けられませんでした」

 

「そう、か。そのコブラ男ってのは誰だ?」

 

朦朧とした意識であったために完全には見えていなかったが、胸のマークにコブラのようなものがあったのを思い出した。

 

「意識が朦朧としていて完璧には見えなかったんですが、胸にコブラのマークをしていたからです。それも、俺のビルドに似たようなものだった」

 

「似ている、か。とりあえずそいつについては保留だな」

 

「話は変わるけど、1体目と2体目の違いはなんだったのかしら?」

 

「1体目はどこかぎこちなく、パワーに振り回されているって感じだったな。だけど2体目は適合していたのか、それなりの動きをしていた。1体目と違って力の使い方も違かったしな。まぁ、天っ才の俺はサクッと片付けたんだけどな。そうそう、ちゃんとホークガトリンガーも大活躍したんだぞ!!!」

 

「その後倒れましたけどね」

 

「うっ、そこは・・・」

 

俺は布仏に痛いところをつかれてしまった。あの時は油断して変身を解除してしまったために起きたことであり、もう少し警戒しておけば良かったと今更ながらに思った。

 

「そんなことよりも、そのIS擬きは一体何なのかは分かるの?」

 

「・・・あぁ、昨日それらしきものを思い出した。俺はここに来るのにISに追いかけられていたって思っていたんだけどな、あのIS擬きもいた」

 

俺はISとIS擬きが組んで攻撃してきたとは考えにくかったために、それらが仲間であるとは、ここで断言できなかった。断言してしまえば混乱を生みそうだったからだ。

 

「ということは兎野君の記憶にも影響があるようですね。貴方が一体もどんな人物だったのかも、そのIS擬きと何かが繋がっているのでしょう。それに中から人が出てくるということは、人体を無視した危険な兵器であることに間違いはないでしょう。学園が何故襲撃されたのかは分かりませんが、これから学園に危険が忍び寄っているのでしょう。最優先は生徒の安全の確保です。皆さん、よろしくお願いしますね」

 

「分かってます。もしかしたら、IS擬きは俺の作ったライダーシステムに何かしら関係があるかもしれませんからね」

 

「兎野、敵はそのIS擬きともう1体、コブラ男も含まれるだろう。コブラ男はそのIS擬きについて必ず何か知っているはずだ。それはお前の記憶に必ず繋がるはずだ。だが、一教師からすれば、生徒1人に今回のような危険なことを全て任せる訳にもいかない。今回はジャミングによって通信は遮断されたが、出来るのなら必ず連絡を入れろ。いいな」

 

「分かりました。次は逃がしはしないさ」

 

「更識もできる限り情報を手に入れるわ。そんな化け物みたいなのが現れた以上、動かない訳にはいかないわ」

 

話はそれで終わり、俺は開発室に戻った。

しかし、あのコブラ男の言っていたハザードレベルとは一体なんなんだ?また謎が深まるばかりではあるが、丁度その時、新しいフルボトルが出来たようだ。つい四日前に作っておいたやつだ。俺はいつも通り寝癖を作り、完成したフルボトルを見てみた。

 

「さぁ、これは一体なんだ?んーと、漫画か?」

 

新たなフルボトルと共に世界を巻き込んだ大きな陰謀に巻き込まれていくのであった。

 

 

 

 

 



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第14話:束の間の日常

仮面ライダービルドであり天っ才物理学者の兎野春万は、前回IS擬きに襲われ、コブラ野郎に毒を刺されと散々な目にあったのであった。
不運続きであったために、今回こそはフルボトル研究をさせてくれることを祈りながら、第14話どうぞ!!!


春万Side

俺は今、IS学園の近くにあるショッピングセンター、レゾナンスに来ている。何故って?いきなり布仏に連れてこられたんだよ。

 

「何か?」

 

「いえ、なんでも」

 

「そうですか。ほら早く行きますよ。今日は月一のセールなんですから」

 

「お前は主婦か!!!何故俺が荷物持ちなんだよ。研究させてくれよ」

 

「その研究にいつも付き合っている私に少しくらい労ってやると言ったのはどこの誰でしたっけ?」

 

「・・・俺です」

 

「フフ、よろしい。それに今日は貴方の服を選ぶんですからね。せめて制服以外の服は持っててくださいよ」

 

「余計なお世話だ!!!ったく服くらい自分で選ぶっての」

 

 

 

遡ること昨日、

俺はいつも通り授業後、開発室に戻ってフルボトルの開発をしていると、ダリルがいきなり突撃してきた。

 

「おいコラ、春万!生きてたんだな!!!」

 

「いや、勝手に殺すな」

 

「いやー、全然見かけなかったからてっきりなwww」

 

「おい、それで今日は何の用だ?というか用があるのか?」

 

「ない」

 

「やっぱりな。なら少しはISの操縦技術でも磨け。それか部活行け」

 

「専用機まだないし、部活行くと疲れるんだよ」

 

「そりゃ運動部は疲れるだろ」

 

「違ぇよ。何故か同い年の奴らからお姉様、お姉様うるせぇんだよな」

 

「・・・。お前、何したの」

 

「知らねぇよ、オレに言うな」

 

「あっそ。とりあえず研究の邪魔にならないようにしろよな。さてと、この漫画フルボトルとのベストマッチを探さないとな!!!」

 

「乙乙!!!今日もやってるね」

 

「蒲田先輩、こんにちは」

 

この先輩は蒲田夏目先輩。この開発部の部長であり、かなりサイコな武装をよく作る人だが、面白い人である。

俺はこの人にいつの間にか気に入られたようで、気が付いたら開発部に入っていた。ビルドの武装開発もこの人はよく手伝ってくれる。

この開発部は先輩が認めないと入れないようで(というよりも技術がないとついていけないため)、開発部の1年は俺と布仏とあと2人程しか入っていない。

主に活動目的として、武装やIS装甲などの開発やISの整備を兼ねてる。元々整備部だったらしいが、せっかくだから開発もしたいということで、名前を改めたらしい(と言うよりは整備科があるので要らなかった)。

 

「すいません、日直で遅れました」

 

「お、やっと来た。今日は新しい武器の開発もやるぞ」

 

「兎野君、私も自分のやりたい開発があるので手伝ってくださいね。それと、ダリルは早く部活に行きなさい」

 

「えー、ったくしょうがないなー。あ、そうだ、この2つベストマッチしたぞ!!!それじゃなー」

 

「は?そんな訳・・・」

 

【忍者】

 

【コミック】

 

【BEST MATCH!!!】

 

「・・・うそーん」

 

ダリルは悩む素振りなく一瞬にしてベストマッチを発見していた。俺は呆然としてしまった。

 

「なんでダリルはこんなベストマッチを簡単に見つけるのかね。ベストマッチ見つけるのに量子力学とか勉強してもいつも悩むのに何故・・・」

 

「良かったですね。忍者と漫画ですか、中々に面白そうな組み合わせですね。」

 

「し、仕方ない。こうなったら最強の武器を作ってやる。忍者とコミック、コミックかー!漫画、漫画、漫画・・・」

 

「なになに、今度は何悩んでるの?先輩に言ってご覧なさい」

 

「新しいビルドの武器を考えているんです。お題は忍者と漫画を組み合わせた武器の様です」

 

「ふむふむ、忍者と漫画かー。・・・そうだ!!!」

 

そう言って先輩は何かしらホワイトボードに描き始めた。あれは剣のようであった。

 

「剣?」

 

「そうそう。君のビルドってさ、近接武器に剣はないでしょ。ドリルクラッシャーは近接でも、切るってよりも削るだろう。なら今度は切る武器を作ればいいんじゃない?」

 

「そうだな、剣かー。うん、そのアイデア頂き!!!」

 

俺は早速設計図を書いた。頭の中がフル回転し、どんどん出来上がる。頭をガシガシしながらいつも通り、寝癖が立つ。やはり開発は最っ高である。

 

「忍者だから、忍法は使いたいな。それもなるべく効率よく出せるように武器に乗せてみよう。そうなると漫画、そうだ!!!四コマ漫画だ!!!これならコマごとに忍法を乗せられる。俺ってやっぱり天っ才だ。いける、これは最っ高の武器が出来る!!!」

 

そう言いながらどんどんホワイトボードに構想案を書いていく。

 

「乗せる忍法はやっぱり、分身の術に隠れ身の術。それとそれと、攻撃に火遁の術に風遁の術!!!これこれ。いいね、ボタンひとつで術を発動し、分身してからの一斉攻撃!!!よしよしこれだ!!!

名付けて《4コマ忍法刀》」

 

そう描き終わると先輩は笑いながら布仏に整備の誘いをしていた。

 

「ハハハ、いつもながら凄いね〜。あ、うっちゃん、これから打鉄の整備やるけど、どうする?」

 

「では、そちらをやります。ああなった彼は人の話を聞きませんし、1人で完成させるでしょうね。フルボトルを作る時は手伝いますが武器は設計図を書いたらあとは彼が1人で作り上げていきますからね。」

 

俺はそんなこと気付かずただひたすら集中していた。

 

「よーし、さてと設計図は決まった。あとは形にするだけ。えっと材料材料・・・」

 

 

 

そうして、

気が付くと次の日になってました。1日ひたすら武器作りをしていたために、かなり早めに作り上げてしまった。

 

「で、出来た。完成したぞ《4コマ忍法刀》、試したい、今すぐ試したい。何か何かないか?切れるもの。何かないか?」

 

試し斬りの為の何かを探していると、開発室の扉が開き、そこには呆れた顔をした布仏が佇んでいた。

 

「ハァ、やめてくださいね。それよりも早く朝食を食べに行かないと食堂が閉まってしまいますよ」

 

「えぇー。せっかく作ったのに」

 

「いいから行きますよ。」

 

「それよりもこんな朝早くから珍しいな。今日は休みだろ?」

 

「えっと、兎野君は今日、この後時間ありますよね?」

 

「まぁ、あるけど」

 

「では買い物に行きませんか?」

 

布仏から唐突な誘いであった。しかし一体どうしてなのかは全く分からなかったために訊ねた。

 

「え?何故?」

 

「兎野君は洋服など持ってませんよね。それにここに来てから一度も買い物していませんし、折角ですからと思ったのですが?」

 

思えば学園に来てからというもの、買い物ということをしていない。よって服も制服しか持っていなかった。しかし、外へは行く意味が特にないために今まで必要としていなかった。

 

「まぁそうだけど。なんだよ、この天っ才の俺とデートしたかったのか?」

 

「は?キザみますよ」

 

ちょっとジョークを挟んだだけだったのだが、布仏からゴミを見るような目で言われた。恐い。

 

「す、すんません。調子乗りました」

 

「その、いつも兎野君の開発のお手伝いをさせられている私に何か奢ってくださるんじゃなかったのですか?」

 

そういえばそのような約束をしたような、完全に忘れていた。

 

「あ!・・・忘れてた」

 

「ですから今日、お付き合いくださいね?」

 

最高の笑顔でそう言われた。これを断ったら命はないだろう。故にYesとしか言えなかった。

 

「・・・了解しました」

 

 

 

ということがあり、今俺達はレゾナンスに来ているんだ。確か‪α‬クルーズのパフェを奢れと言われたが、パフェくらいなら全然良い。だが今は、かれこれ2時間は着せ替え人形となっているんだが。

何か言うとキザまれるし、おっかない。しかし、今は何だかんだで楽しそうであるため良かった。

 

「次はコレです」

 

「まだやるの!!!」

 

「もちろんです。今日はとことん付き合ってもらいますからね。」

はは、一体いつ終わるんだこれ?

 

春万Sideout

 

『さてと、ショータイムだ。精々オレを楽しませてくれよ兎野春万』

 

【デビルスチーム!!!】

 

黒い煙を誰かに浴びせ、煙が晴れた時に、そこにはあの化け物がいた。

赤黒い血濡れのコブラが迫っていることに、俺はまだ気づいていなかった。

 

 



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第15話:忍び隠れのエンターテイナー!!!

仮面ライダービルドであり天っ才物理学者の兎野春万は、何故か布仏の買い物に付き合わされていたのであった。前回、研究させて欲しいって言ってたはずだったんだけど、これおっかしぃな〜?
「何か私に文句でも?もう手伝いませんよ」
・・・だー、分かった分かった、すいませんでした。
と、とりあえず第15話どうぞ。


春万Side

布仏の着せ替え人形とかし、現在荷物持ちとなっております。どうも天っ才物理学者で学生の兎野春万です。女子と買い物する際は荷物持ちになることは覚悟した方がいいと学びましたよ。ということで、これから昼食を食べに行くところだ。

 

「ありがとうございます。男の子がいると大荷物も楽々ですね?」

 

「そりゃそうですか。にしても女子はこんな買い物に時間がかかるのか?」

 

「普通じゃありませんか?」

 

「マジか」

 

俺達はそんな話をしながら近くのファーストフード店へと入った。そこで俺は人生初のハンバーガーというのを食べた。美味しかったよ。

 

「ハンバーガーをそんなに美味しそうに食べる人を初めて見ました」

 

「そうか?俺としては布仏もこういうの食べるんだって思ったけどな?」

 

「お嬢様と何回か来たことがありますから。それはそうと、学園には慣れましたか?」

 

「まぁな。最初は周りが女子しかいないから、どうかとは思ったけどな。案外研究してたら気にならないな」

 

「そうでしたか。友達は出来ましたか?」

 

「親みたいだな。えーと、ダリルくらい?」

 

「何故?時間はありましたよね?」

 

「何故ってな〜」

 

何故と言われても困る。いつも周りはチラチラとは見てくるものの、あまり話しかけては来ない。話しかけて来るやつは大体「なんで男がここに居るのよ!!!」とか、「さっさと消えて!!!」とかかなりのやっかみしかない。それも大体同学年だ。今のところ上級生からは特に何も言われてはいないのだが、チラチラとはみられる。

俺がこの学園に入ってまともに友達になったのはダリルだけだし、あと関わるのは開発部の人達くらいだ。一応、クラスの子と話そうとしたのだが、怖がれてしまったし、たとえ時間をかけたとしてもまともに話してくれるかどうかなんだ。

 

「話しかけたりしましたか?」

 

「一応したけどな、怖がられて逃げられたよ」

 

「そう、でしたか。私は逆にいろんな人と関わるようになりましたよ」

 

「え!そうなのか。なんで俺は・・・」

 

「IS学園の生徒は男の子の耐性があまりない子が半数以上ですかね。それ以外は女尊男卑派の子などですから」

 

「そっかー。それでお前はどんな会話してるんだ?」

 

「そうですね。まぁ、乙女の秘め事ということで」

 

「乙女って(笑)」

 

「・・・何か?」

 

冷ややかにゴミを見るような目で睨まれてしまった。一応、布仏は乙女でした。

 

「いえ、なんでもありませんですます」

 

「語尾が変になってますが。・・・そろそろ行きますか?」

 

「そうだな、んじゃ帰って研究を〜」

 

「何故帰ろうとしてるんですか?まだ買い物に付き合ってもらいますよ」

 

「え?まだあるの?」

 

布仏はまだ俺を連れ回したいようだ。既にかなり買い込んでいるようだが、これ以上何を買うのだろうか。だが、文句をいえばキザまれそうなので何も言わないでおこう。

 

「当たり前じゃないですか。ほら行きますよ」

 

「・・・・はぁ、了解了解」

 

俺達は店を出ようとしたその時、外で女性の悲鳴が鳴り響いた。

 

「「キャーーーー!!!」」

 

「ん?なんだ?」

 

「さぁ、なんでしょうか?」

 

そうしていると突如、爆発音が鳴り響いた。俺達は思わず店の外に出ると、文化祭で出現したあのIS擬きが暴れていた。

 

「兎野君、あれは一体?」

 

「アイツはIS擬きだ。ってことは、ヤバいな」

 

「あれが、文化祭で現れたIS擬きというやつですか。本当にISのようなサイズですね。それにフルフェイス型ですね」

 

「それも速くお客さんを避難させないと。それに、もしかしたら奴も」

 

「そうですね(奴とは一体?)。兎野君は?」

 

「アレは俺じゃないと倒せそうにもない。布仏はお客さん達を連れて避難してくれ。俺はあのIS擬きを止める」

 

「・・・っ。分かりました。気をつけてください」

 

「分かった。そっちも気をつけろよ!!!」

 

そうして俺はビルドドライバーを腰に巻き、フルボトルを振りドライバーに挿し込んだ。

 

【ラビット】

 

【タンク】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!!イェーイ!!!】

 

とりあえず、このIS擬きを人が少ないところにまで誘導しないといけない。これ以上ここで暴れられれば、怪我人を出してしまう。

そこで俺はビルドフォンにライオンフルボトルを挿し、ライドビルダーでIS擬きを誘導することにした。

 

「こっちだ」

 

「ギゴ!!!」

 

IS擬きはこちらに注意が向いたようで、こちら側に攻撃を仕掛けようとしてきた。

 

「よしよし、いい子だ。とりあえず、これでも喰らえ」

 

そうして俺はIS擬きに突進し、バイクで引きずった。その勢いのまま前方に投げ出し、ドリルクラッシャーで斬りつけつつ、人混みのいないような場所に出た。

 

「よし、ここなら思いっきりできるな」

 

「ギガギギ!!!」

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

そこで俺は新しい力を試すことにした。紫色の忍者フルボトル、黄色の漫画フルボトル、この2つのフルボトルを組み合わせることで、ビルドはまた、新たな力を手に入れる。

 

【忍者】

 

【コミック】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【忍びのエンターテイナー=ニンニンコミック!!!イェイ!!!】

 

勝利の法則は決まった!!!来い、4コマ忍法刀!!!

 

「ギガ・・・ガ!!!」

 

俺はビルドドライバーに搭載されている拡張領域から4コマ忍法刀を取り出し、IS擬きを斬りつけた。かなりの切れ味を誇る刀にIS擬きもかなり疲労させることが出来た。

そこでこの忍法刀のボルテックトリガーを引き、ギミックを発動させた。

 

【分身の術】

 

ペンフェイスモジュールにより頭で思い描いたビルドを8体をIS擬きの周りに描き分身として召喚した。自身を含めた9人のビルドで一気に斬り刻む。IS擬きは為す術なく切られ、かなりのダメージを負ったようだ。

そこで俺はフィニッシュとして、もう一度ボルテックトリガーを引いた。

 

【火遁の術=火炎斬り】

 

「ギギ、ガッ!!!」

 

IS擬きに対し、9人の一斉攻撃で爆散した。すると緑の煙の中からまた銀髪の少女が出てきた。

 

「・・ふぅ、あ、この子は」

 

『おいおい、結構早くカタがついちまったみたいだな』

 

「なっ!お前は、コブラ男!!!」

 

『ゴブラ男か。俺の名は『ブラッドスターク』ってんだ。イイ名前だろ』

 

「・・・ブラッド、スターク。お前の目的はなんだ?あのIS擬きは一体なんだ!!!この子に何をした」

 

『ハハハ、焦るなよ。俺の目的はな、お前のボトルだよ。とりあえず、そいつをこっちに渡しな』

 

俺のボトルを狙っている?このフルボトルが一体何の関係を持つかをこの時の俺はまだ知らなかった。

 

「誰が渡すか。それにボトルもな!!!」

 

『・・・フン、まぁいい。今日はお前の勝ちってことで引いてやる。お前はそのままちゃんとボトルを作ってくれよな。それとだ、最後にお前の言うIS擬きの名前も教えておいてやるよ』

 

「何?」

 

『あれの名前は《インフィニット・スマッシュ》。あとはそいつでも調べるといいさ。それじゃあな、Ciao!!!』

 

「な!ま、待て!!!っく、消えた」

 

『ブラッドスターク』と名乗った奴は煙に化けて消えてしまった。ブラッドスタークの目的は一体なんなんだ?

フルボトルが何かの悪意に巻き込まれようとしているというのは何故なのか。それに《インフィニット・スマッシュ》とは一体?

未だ謎ばかりが深まっていくばかりだ。

とりあえず俺はこの少女を抱え、布仏と合流しに向かった。

 

 

合流後、

先ず布仏にこの娘のことを尋ねられた。

 

「それでその子は誰ですか?」

 

「さぁな。あのIS擬きから出てきた。前も言っただろ、中から人が、って。前回は連れ去られたが、今回は助けられた」

 

「そう、ですか。それは良かったです。兎野君も怪我はありませんか?」

 

「あぁ、今回は大丈夫。とりあえず学園に戻るか」

 

「そうですね。その子も何らかの事件に巻き込まれてしまったのかもしれないですからね」

 

こうして、俺達の休日は波乱の結末となった。せめて休日くらい休ませて欲しいな。

 

 

 

 

 

???Side

 

LABO:《吾輩は猫である=名はNascita》

 

「あ、◾️っくん。おっかえりー。どうだった、ビルドは?」

 

そうブラッド・スタークの帰りを待っていたのはウサミミカチューシャをした、かの不思議の国のアリスのような格好をした世界で最も有名な美女であった。

 

『あぁ。1人《Adovansudo》を取られたというよりかは渡してきたが、特に問題は無い。しっかりと経験値を与えてきたさ。なに、心配は要らないぞ。全ては、計画通りだ』

 

「ウッフフ、そっかそっか〜。束さんも早くビルドに会いたいな〜。いつ会いに行こっかな〜」

 

そう、不敵な笑みを浮かべる女性は、このブラッドスタークと手を組んでいるものこそが、かの天災:『篠ノ之束』であるのだ。

この二人が何故手を組んでいるのかは、それは本人達のみぞ知る。

だが、この二人によって世界はこれからさらなる混沌と破滅へと向かっていくのは明らかであった。

 

 

 



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第16話:再会の教師

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は前回、忍者とコミックのベストマッチでスマッシュを撃破。中からまたしても銀髪の少女が出てきたり、コブラ野郎改め『ブラッドスターク』がなんか意味有りげに去っていったりとハチャメチャな一日となった。
遂に俺達は、世界を巻き込んだ陰謀に飲み込まれていくのであった!!!
「何カッコつけた言い回ししてるだか、これだから頭いい奴ってのは、とりあえず第16話、見ろや!!!」
おい、ダリル!!!人の台詞を取るな!!!



虚Side

学園に帰ってから、保健室に銀髪の少女を預けに行きました。気がつく気配のない少女に一抹の不安を感じましたが、一応息はあるようなので良かったです。今は保健室のベッドに寝かせています。

帰る途中、兎野君から起きたことを聞きましたが、何故ブラッドスタークはフルボトルを狙っているのか。

そして謎の敵、《インフィニット・スマッシュ》とは一体何なのか。色々と気になることがあります。

彼曰く、文化祭の時に襲ってきたのもそのスマッシュだったそうですが、最初に戦った時は今回と同じような銀髪の少女が中から出てきたそうですが、2体目からは出てこなかったようです。彼はそこにも引っかかっているようです。

 

「やっぱりこのフルボトルになんか関係してるのかな?というかなんでフルボトル?」

 

「何故でしょうかね?やはりスマッシュというのにも関わっているのでしょうか?」

 

「どうだろうな。フルボトルっていうのも未だ謎の代物だしな」

 

「自分で作っておきながらですか?」

 

「そう言われてもな〜、肝心のそこの記憶がないってのが困る。ただこれを作れって俺の頭が言ってくるんだから、俺の記憶に関係してる代物だし」

 

「そういえば記憶喪失でしたね」

 

「そこ忘れてたの!!!」

 

彼の普段の調子を見ていたら、そういう事も忘れてしまいがちですが、本当はちゃんと覚えています。

それよりも私はこれからの事に不安を覚えていました。

 

「・・・これからも、スマッシュというのは襲ってくるのでしょう

か?」

 

「無視ですか。・・・ただまぁ襲ってくるだろうな。とりあえずブラッドスタークを倒さない限り。いや、アイツの後ろにもまだ居るだろうからな」

 

「そう、ですか。」

 

私が感じる一抹の不安は、戦うことで貴方が傷ついていくことなのですが、その事には彼は気づかないようです。

 

「もし、スマッシュが人体実験で生まれた化け物であれば、よりやらないといけないからな。より一層、ビルドの実験を積まないとな。」

 

「怪我をしてまでですか?貴方は自分の命とビルド、どっちが大切だと思ってるのですか。」

 

私はそう尋ねてしまった。彼はビルドに対して並々ならない思いがあるのは、いつも見ていて分かります。しかし、文化祭の時のようにまた倒れて、今回も所々傷を負って、見ていて痛々しく感じてしまいました。

普通、私と同い年の男の子が何かの陰謀に巻き込まれて命の危険に晒されているなど思いたくもありませんが、これが現実なのです。ですから、せめて、自分の命くらい大事に、そう思っていたのですが・・・。

 

「何言ってんの、もちろんビルドに決まってんだろ。」

 

彼は当たり前のように平然とそう答えました。

 

「即答、ですか。というか自分の命と比べて即答しますか。」

 

「当たり前だろ。科学の進歩は多くの人を助けることが出来るんだからな。俺一人の命と比べる必要なんてない」

 

「は?」

 

この人は、自分の命を一体なんだと思っているのですか。私は久々に本気で怒りそうになりました。

 

「な、なんだよ。なんでそんなに怒ってるんだ?」

 

「怒りますよ。この世界に命よりも大事なものがありますか!!!もっと自分を大事にしてください!!!」

 

「え、あ、おう。な、なんかすいません。」

 

本当にこの人は、一体何を考えているのですか。おかしいにも程があります。何故私はこんなにもムキになっているのでしょうか。少しおかしくなってしまいましたかね。私らしくありませんね。

 

「・・・・・・」

 

「えっと、どうした?」

 

「へ?い、いえ、なんでもありません。兎に角、自分の体は大事にしてくださいね。一度やられているのですから」

 

これ以上言っても意味はないと思い、今回は切り上げることにしました。

 

「いや、あの時はちょっと油断してただけだし〜。」

 

「い・い・で・す・か?」

 

「は、はい」

 

「ごめんね二人とも。遅くなっちゃったね〜。あとは私が見ておくから早く寮に戻りなさい。」

 

「了解でーす。さぁ、寝る前に研究しないとな〜。」

 

逆にまだするんですね。そこに驚きです。本当に兎野君は研究バカですね。

 

 

 

 

 

次の日、昨日の少女の様子を見に保健室へと行くと、兎野君が何故かヘッドロックされてました。何故?

 

「失礼します。って何しているんですか?急にドMに目覚めたんですか?」

 

「い、いや違っ、って痛い痛い。HA☆NA☆SE!!!」

 

「ここは何処だ!!!貴様は何者だ!!!」

 

銀髪の少女は気が動転しているというよりかは、何が起きたかよく分かっていないようでした。その為に現状確認を優先するために尋問のようなことをしているようでした。

 

「私の名前は布仏虚と言います。ここはIS学園です。貴方の名前は?」

 

「私はドイツ軍人、ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐である。ここがあのIS学園だと言うのか?おかしい、私はドイツにいたはずだ」

 

ドイツ軍人?何故そのような方がスマッシュというのになっていたのでしょう。ドイツから連れてこられたということなのでしょうか?

 

「っだー。やっと離れた。お前は怪物に変身させられてたんだよ。ちゃんと話し聞けよな。それでとりあえずなんか覚えてることあるか?」

 

「怪物?何を言っているのだ貴様。それよりもここには教官いるのではないか?」

 

「はぁ?教官?誰だそれ?ダメだ布仏、話が通じない」

 

「・・・とりあえず貴方はドイツにいたのですよね」

 

「そうだ。ドイツにて任務に当たっていた。それよりも教官はいるのか?」

 

任務?ということは軍の任務中にスマッシュにさせられたということでしょうか?しかし、それではどうやってドイツからこの日本へ来たのでしょうか?

 

「いやだから、教官って誰?」

 

「それはもちろん・・・」

 

とそこでドアが開き、ファルティナ先生と織斑先生が入ってきました。織斑先生は何処か神妙な面持ちでしたが、大丈夫でしょうか?

 

「失礼する。やはり、ラウラなのか?」

 

「〜〜〜。はっ、お久しぶりです教官。」

 

「え?え?えーーーー!!!」

 

ボーデヴィッヒさんの教官は織斑先生であるようです。正直驚きました。ですが、思い出してみると、織斑先生は去年ドイツへ指導目的で旅立っていたと更識家で話されていた記憶があったような。

 

「何故ラウラがここに。兎野、布仏、昨日起きたことを説明してもらおうか。」

 

「分かりました」

 

私は昨日起きたことを織斑先生に話しました。戦闘の末、兎野君がボーデヴィッヒさんを助け、ここへ運んだということを伝えると私たち対し、織斑先生が頭を下げて感謝してきました。

かなり衝撃的な光景だったので私も戸惑いました。

 

「二人共ありがとう。私の指導生が世話になった。ところでラウラ、何か覚えていることはあるか?」

 

「い、いえ。私は任務に当たっていたら、いつの間にかここに。教官、私に一体何が起きたのですか?」

 

スマッシュになっていた記憶は無くなるということですか。厄介ですね。証拠隠滅も完璧にしているということでしょうか。どうやってスマッシュになったのかもこれでは分かりませんね。

 

「何も覚えていないってことか。困ったな。・・・そうだ、コブラ野郎は見たか?」

 

「コブラ野郎?いや、私は何も・・・。そうだ!記憶が飛ぶ前に、マスク姿の奴が現れたことは覚えいるぞ。だがコブラではなかったぞ」

 

これは有力な情報です。これによって、コブラとは別口から探れるかもしれません。

 

「どんな奴だった?覚えているか?」

 

「んーーーー。そう、『コウモリ』のようなマークがあったな」

 

「コウモリ?一体どういうことだ?」

 

「・・・敵はコブラ男だけではないということか。フン、誰だっていい、私の教え子に手を出したツケきちんとは払って貰うとしよう」

 

何故か織斑先生の周りからとてつもない殺気が出ています。ボーデヴィッヒさんが怯えてますよ。目はキラキラしてますが。

それにしても、ドイツですか。調べてみる価値はありそうですね。兎野君は先程から何か考え込んでいるようですが、どうしたのでしょうか。

 

今日はこれで終わりました。これ以上の情報をボーデヴィッヒさんからは引き出せそうに無いからです。

ボーデヴィッヒさんに関しては、体調が万全に回復したのち、きちんとした所で検査した後、織斑先生が責任もってドイツに送るそうです。

今回の事件により私たちは本格的に黒い陰謀に巻き込まれてしまったようです。

虚Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???Side

 

「はぁ、『スターク』は面倒を起こしますね。また新しいのをスマッシュにしないといけないじゃないですか。しかし、面倒ですがこれも全て◾️様のため、それでは」

 

銀髪をたなびかせながら、目を閉じたままの少女は右手に銃型の変身装置《トランスチームガン》を片手に、左手にはコウモリの絵が着いた薄紫色のフルボトルを振り、トランスチームガンへと挿し込んだ。

 

【Bat】

 

「蒸血」

 

冷えた様な声でそう言うと、まるで血が沸騰し、蒸発するような濃く覆われた煙をトランスチームガンから自身の左から右に振り抜きながら吐き出した。

 

【MIST・MATCH!!!】

 

【Bat!Ba、Bat!!!Fire!!!】

 

『さぁ、行こうか』

 

その煙の中から現れたのは黒く不気味に光るコウモリスーツの人物であった。

その名は『ナイトローグ』

 



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第17話:いつもの日常回

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は、前回、スマッシュの中から出てきたラウラ・ボーデヴィッヒを救出したのであった。そのボーデヴィッヒはまさかまさかの織斑先生の元教え子であったのだった。
なんか色々とあったけど、今回はゆっくり休める回だゾ!!!
とりあえず、第17話どうぞ!!!

「もはや適当ですね」「仕方ねぇよ、作者何も考えてないし」

作者はもっとしっかりしろよ。
うるせぇーーーー!!!Byテントウムシ!!!




春万Side

あの一件から数日、いつも通り朝ごはんを食べていた。だが今日は何故か色々な人にチラチラと見られる。好感を持った視線と興味あり気な視線等など、正直気が散って仕方がない。ゆっくりとご飯食べさせてくださいな。俺に一体何が起きたのだろうか、全く分からない。

そうしていると、布仏とダリルが俺の座っていた席に着いた。

 

「おはようございます。今日は早いですね」

 

「おはよう。徹夜明けだ」

 

「また、徹夜明けかよ。毎度毎度よくやるよな」

 

「悪いか?ビルドドライバーのメンテに、前に使った武器のメンテ、フルボトルの破損がないかとか色々やってたらね」

 

「ホントに研究バカだな」

 

「馬鹿じゃない、天っ才だ!!!」

 

「「はぁ」」

 

「なんだよ、2人して」

 

「そういえば、さっきからチラチラめっちゃ見られてるな。お前何した?」

 

「俺がした前提か!!!」

 

「もしかしたら、これが原因かもしれませんよ」

 

そう言い、布仏がスマホの画面を見せてきた。そこには最新トピックスとして、ビルドの姿が写っていた。いつの間にか写真を撮られていたようだ。

内容としては『謎の覆面戦士登場!!!暴走ISを押し留める。』と書いてあった。謎の覆面戦士って・・・。その下には『・・・この事件による死者は0人であり、怪我人も軽傷のよう・・・』と書いてあった。怪我人も軽傷だったようで少しホッとしつつ、仮面ライダーが多くの人々を救えたことに、俺は嬉しくなった。

 

「嬉しそうですね」

 

「ん?だって、死者はゼロ、怪我人も軽傷で済んだって、それが嬉しいんだよ。へへへ」

 

「・・・・・」

 

「あー、これお前か。すげぇことしたんだな。・・・ん?虚?」

 

「・・・へ、あ、はい、どうしたのですか?」

 

「・・・ふーん。そういうことな。ハハ、面白くなってきた」

 

2人で何かしらコソコソ話し始めた。布仏がいきなり顔真っ赤になっていたが、風邪か?まぁいいや、今日はなんかいい日だな。この調子でフルボトルも出来ないかな〜。

そう思っていた直後、突然頭痛がした。すると、ぼんやりと何かを思い出した。

 

『に◾️さん!!!』

 

黒い髪の少女にそう呼ばれた。顔にはモヤがかかっていて分からなかったが、何故、突然こんな記憶が蘇ったのか。それを知ることは出来ないようだ。

 

「兎野君?どうしたのですか?頭が痛いのですか?」

 

「ちゃんと寝ないからだ、バーカwww」

 

「・・・」

 

しかし、この少女は俺の事を知っている。ならばこの少女に会えば、何か思い出せるのではないか?だがこれだけでは誰なのかが分からない。せめてもう少し見れたらいいのだが・・・。

 

「あの、兎野君?本当に大丈夫ですか?」

 

「・・へ?あ、大丈夫だ。ちょっとクラっとしただけ。貧血かな?」

 

「ちゃんと寝ないからです。今日はちゃんと寝てくださいね。明日もそんな調子でしたら、キザみますからね」

 

「りょ、了解です」

 

布仏は怒らせると怖いです。そういえば、一度本気で固め技喰らって落とされた時があったな。思い出したら震えが・・・、今日はなるべく早く寝ようと思いました。

 

それから放課後、いつも通り開発室で今日はISの整備の手伝いと布仏の考えた武装の試作の手伝いをしている。ココ最近、布仏にはかなり手伝いをして貰っていた為、今日はその反対に俺が布仏の手伝いをすることにした。

彼女の考えた武装はどれも、通常のISに使うような武装ではなく、状況を選んだ武装であったり、破壊力がかなり大きくなったりとボツ案になりそうなのではあるが、先輩達の方がサイコな武器を作っていたりと、何が普通なのかが分からなくなってきた。

 

「兎野君、これはどうですか?」

 

「ん?・・・ハンマーと磁石?」

 

「はい、コンセプトとして、ハンマーで攻撃し当てることによってマークをつけ、その後ハンマー内部で磁力を発生させ、相手を常に逃がすことなく攻撃できるというものです」

 

このように中々ハードな武器をよく作っている。これでも先輩達曰く、可愛い部類だそうだ。今まで一体どんな武器を作ってきたのだろうと疑問に思う。

 

「兎野君?聞いていますか?」

 

「ん、あぁ」チン!

 

そうしていると、フルボトル生成マシンからフルボトルが出来上がる音がした。俺の頭の寝癖が立ち、急いでフルボトルを取り出しに向かった。

 

「おお!出来た出来た。えーと今回はなーんだ?」

 

「・・・はぁ。ホントにもう」

 

「おお?またボトルが出来たのかい?ちょいちょい先輩達に見せてみ。」

 

「これは〜、パンダ〜?」

 

「みねっち、そっち行かないでよ、まだ整備終わってないんだからー」

 

「あぁ〜、ごめんごめん〜」

 

この何ともおっとりした先輩は峯田千春先輩。2年生の開発部時期部長候補である。かなりおっとりしているが、整備技術はかなり高い人だ。

それはそうと、新しく出来たパンダフルボトルの能力は一体何なのかを調べてみないといけなくなってしまった。うん、仕方ないことだ。

早速、ベストマッチ探しだな。

 

「兎野君、今日はこっちの手伝いですよね。また落としますよ」

 

「え!いやー、フルボトル出来たし・・・」

 

「・・・」

 

「の、布仏さん!そんなゴミを見る目で俺を見ないでください!!!というか、落とすって・・・。」

 

「ハハ、布仏ちゃんには逆らえないねー。さ、整備の続きしないと、明日までに終わらないわー」

 

「ほら、早くしてください。まだまだ今日は付き合ってもらいますからね。もう遠慮はしませんから、覚悟してください。フフフ」

 

こ、怖っ!!!というか先輩達が全員裏切った。せっかくフルボトルが出来たのにー。

 

「何か、失礼なこと、考えました?」

 

「い、いえ。はぁ最っ悪だ」

 

今日も今日とて平和でした。

 

 

 



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第18話:風邪とコブラとキャノンボール

仮面ライダービルドであり、天才物理学者の兎野春万は、突如として現れた怪物、インフィニット・スマッシュから大勢の人々を守っているのであった。
「前回、特に何もしてないので言うことがないのですね」
う、痛いとこをつくな。
とりあえず、今回からまた物語が動くから、とりあえず第18話どうぞ!!!


虚Side

10月になり、私たちの学園では新たな催し物へと生徒達が準備を始めています。かく言う私たち開発部もかなり忙しいです。あの兎野君もココ最近は全然フルボトルの研究をしていません。というか出来ません。

何故そのような事態になっているかというと、このIS学園では10月の初めの週に『キャノンボール・ファスト』という行事があります。簡単に説明すると、ISを使用したレースです。安全性が保証されているため、妨害を可能としたレースで、一般中継によるテレビ放送もあり、かなり人気のスポーツ競技です。

その準備には、整備科の生徒が主にISの整備を行うのですが、何せ時間が足りないために、予備整備科でもある開発部もお手伝いとして駆られているのです。お手伝いであるはずなのですが、男子という理由もあってか、兎野君はひたすら力仕事などに追われ自身の研究に全然入れてないです。

これが始まってからずっとですから、かなりお疲れの様子です。まぁ私もですが、彼が一番疲れていますね。

 

「あの、兎野君。少し休憩にしませんか?」

 

「この駆動系の整備が終わったらな。先に休んでていいぞ」

 

これです。あのフルボトル研究以外全く興味示さない兎野君が真剣に取り組んでます。しかもこれで何回徹夜しているのでしょうか?今も、流石に六時間も休まず、ずっと通してやるのは体に悪いです。当日に体調を崩さなければいいですが・・・。

 

 

 

当日、

彼はやはり体調を崩しました。いつもフルボトルの研究の時は確りと休憩も入れているようですが、今回は働きすぎたようです。

お見舞いには朝、行ってきたのですがかなり体調が悪いようです。そんな状態の時に限って新しいフルボトルが出来てしまい、彼は研究しようとしていたのですが、流石に体が持たなかったのか、直ぐに眠ってしまいました。

ファルティナ先生の元へ行ったのですが、今日のキャノンボール・ファストで忙しくなってしまうそうなので、大人しく自分の部屋で寝てもらいました。今日一日、少し気がかりです。

 

(せめて今日は何も起きないといいのですが・・・)

 

そんな私の考えを他所に、

 

『人が多く密集しているようですね。丁度いいですね。◾️様の為によい見せしめとなってもらいましょう。やれ』

 

「「ギギ」」

 

黒いコウモリの脅威が迫っているの私は未だ知らずに。

虚Sideout

 

春万Side

 

(体がだるおも〜)

 

今日は朝から目が覚めると頭が痛く、気持ちが悪かった。風邪を引いたようだ。布仏が朝から頭に冷えピタやら薬などを持って、キャノンボール・ファストが始まるギリギリまで看病してくれた。非常に有難かった。

なぜだろうか、風邪を引くと無性に寂しくなってしまうのは気の所為なのだろうか?朝からフルボトルがせっかく出来たというのに、こんな体ではろくに研究も出来なかった。だからといって記憶が蘇ることもなく、寝ていると夢に今までの朧気な記憶のみが流れる。最後には必ずIS?のような奴らに追われて終わる。最っ悪な気分で目覚めてしまった。

最近は徹夜続きだったから全然寝てなかったが、寝るとこの調子で、正直寝るのが嫌だ。それでも今日は体がまともに言う事を聞かないから仕方ない。

ボーッと天井を眺めながめていると、扉が開いた。

 

「ん?誰だ?」

 

『よぉ!体調が悪そうだなぁ、兎野春万』

 

「な!ゲホ、何故お前が!!!」

 

そこに居たのは、赤黒いコブラ『ブラッドスターク』であった。

俺は咄嗟に起き上がり、よろめきながらもビルドドライバーを腰に巻いた。

 

「くっ、どうやって、入って来た?」

 

『オイオイ、今日はお前と話をしに来ただけだぞ。それにそんな体でどうするんだ?』

 

「そん、なの、信じられるか。はぁはぁ」

 

『今のお前と戦ったところでハザードレベルは上がりはしないしな、暇潰しに話をしに来たんだよ』

 

「んなの信じられか!!!」

 

【忍者】

【ガトリング】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

俺はトライアルフォーム:ニンニンガトリングとなり、ブラッドスタークに斬りかかった。

 

『ったく、今のお前じゃ相手にならねぇよ』

 

【エレキ・スチーム!】

 

ブラッドスタークはスチームブレードを取り出し、スチームチェンジバルブを捻り電気を帯びた。

俺は4コマ忍法刀とホークガトリンガーの銃剣で距離をとりつつ隙あらば、斬り掛かる。

俺は多少よろめきながらも4コマ忍法刀の分身の術で数を増やしていく。しかし、ブラッドスタークはうまい具合に全て足らい、多少の人数差を諸共せず、分身全てを斬り裂いた。

ホークガトリンガーのチャージ攻撃もブラッドスタークの持つ銃:トランスチームガンと組み合わせることでノーダメージで切り抜けられた。

 

『ほ、よっと。体調が悪い癖に中々動けるじゃないか。本当は仮病か?ハハハ』

 

「くっそ。ハァハァ、当たらねー。っ〜(頭が痛ぇー)」

 

『・・・はぁ。やめだやめ。ったく話をしに来たらこれか。仕方ない、日を改めるか。あぁ、これだけは聞いておかねーとな。』

 

「ハァハァ、なん、だよ」

 

『お前は《パンドラパネル》を持ってるか?それとも知っているか?』

 

「パンドラ、パネル?なんだ、それは?」

 

『なんだよハズレか〜。まぁ仕方ないな。それならいい』

 

「だから、それ、は、一体なんだ!!!」

 

『あぁ、なんだ自分で調べてみろ。次会った時、答え合わせといこうか。それとだ、ついでに教えといてやる。スマッシュが今頃お前の同級生を襲っているぞ。行くなら早く行け。俺はもう帰る。Ciao』

 

そうしてブラッドスタークは煙を吐いて消えた。

パンドラパネル、聞いたことが無い。一体どんなものなのかは分からないが、アイツが狙っているとしたら碌でもないものであるのだろう。いや、なんだ、このモヤモヤとした感じは。俺は、もしかしたらそれを・・・。

 

「って、考えてる暇なんてなかった。早く会場に行かないと、大変なことに、っ〜」

 

頭が痛い。体はかなり限界に近かった。しかし、俺が行かないと普通のISではスマッシュに勝てない。それでは多くの学生が大変なことになってしまう。屁垂れた体に鞭を打つように立ち上がり、開発室にある新しいフルボトルを持って会場に向かっていった。

 

(頼むから無事でいてくれよ、布仏、みんな。今行くからな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第19話:宙をぶっ飛べモノトーン!!!

「仮面ライダービルドであり、てぇんさい物理学者の桐生戦兎は東都の街で突如として現れた異形の怪物、スマッシュと人知れず戦っているのであった・・・」
ちょっちょっちょっ、戦兎さん!貴方この世界の人じゃないでしょ!!!
「え?・・・あっ!スタジオ間違えてたみたいだわ。ごっめーん」
「フフ、まさかの本家が乗っ取りを開始してきましたね」
ちょっと布仏さん!本家とか言っちゃダメ!!!
あぁえっと、と、とりあえず第19話どうぞ!!!


虚Side

キャノンボール・ファストが始まり、只今1年生達が大空を滑走しています。私ですか?出ませんよ。エントリーしていませんから。

担任の本宮先生からは、「せっかくだから出た方が良いよ、勿体ないよ〜」と言われましたが、元々整備科志望の私にとってはこのキャノンボール・ファストはデータ収集の為の大会としか思っていないので、そんな選手としてやる気のない私よりも、もっとやる気のある選手が出た方が試合としては生えますからね。

1年生達が続々とゴールし始めました。やはり一位はダリルでしたか。実力的に1年生の中では断トツに技術が高いですからね。

流石はアメリカ代表候補生と言えますね。

 

「これより30分後、2年生によるレースを行います。出場する選手はピットに集まってください、繰り返します・・・」

 

さて、ダリルの所に行ってみますか。

今頃鼻高々になっているでしょうね。

そう思っていたのですが・・・。

 

「むーーーー」

 

「ダリル?どうしたのですか?」

 

「ん?虚か。今日は春万見てないんだろ。せっかくのオレの勇姿を」

 

「・・・えぇ。仕方ないですよ、ちょっと頑張りすぎてしまったのですから。今日はゆっくりと休んで欲しいですからね」

 

「オレはアイツともやり合いたかったんだけどな〜。まぁ、仕方ないか。とりあえず先輩達の見に行こうぜ虚!!!」

 

「えぇ、そうですね」

 

そう、彼のことを考えていると、アリーナから突如爆発音が鳴り響きました。急いで私達はアリーナに向かって行きました。

そこには、今日に限りまた、インフィニット・スマッシュが現れたのです。

それも、前にボーデヴィッヒさんが言っていた、あの『黒いコウモリ』と一緒に・・・。

 

『どうも、IS学園の皆さん。それではさようなら』

 

変声機のようなもので声が変わっているため全く男なのか女なのかも分かりませんが、姿形はビルドと同じような形をしていました。

 

(あれもブラッドスタークと同じような相手なのでしょうか)

 

「そんなことよりも、早く避難しないと」

 

「そう、思ったんだけどな、扉が開かねぇんだよ。それになんだよあのISみたいなやつは?」

 

「スマッシュです。普通のISでは歯が経ちません」

 

このままでは、アリーナ内にいる先輩達が危ない。先輩達はISを纏っているため、無力化を図ろうとしたのですが、スマッシュはISのリミッターのようなものを解除した戦闘兵器であり、訓練用のISでは戦闘レベルが違うために敵いません。

それも2体もいるために更に厄介です。このままでは、最悪の事態になりかねない。

 

「ちっ、オレも出る。使えるISは?」

 

「今は全て貸し出してます。3年生にまで貸し出しているので予備はもうないです。その3年生達も生徒会長以外はもう・・・」

 

「それじゃあこのまま虐殺されるの見てろってのかよ。クソ、オレも専用機があれば、ってオイオイ、なんか一体がこっち来たぞ!!!」

 

「へ、あ、ぁ」

 

するとアリーナのバリアを簡単に破壊し私の目の前にスマッシュが迫っていました。私はどうすることも出来ずに腰を抜かし、その場で座り込んでしまいました。

 

「あ、ひっ(・・・申し訳ございません、お嬢様、本音。私はもう駄目なようです・・・)」

 

絶望的な状態に私は完全に諦めてしまいました。

スマッシュは私に向かい完全に狙いを定め、右手に持った曲刀を振りかぶり・・・。

 

「やらせるかってんだよ!!!」

 

そして、次に目を開けた時、私は何故か空を飛んでいました。

彼:ビルドにお姫様抱っこされながら、私は助けられました。

 

「へ?」

 

「ナイスタイミングってやつだな、無事か布仏?」

 

「う、兎野、君?なんで、寝てるはずじゃ」

 

「それは後だ、さっさと終わらせないとな。よいしょっと。とりあえず早く逃げろよな」

 

そう言い、アリーナの外に降ろされ、彼はまたアリーナの中に入っていってしまいました。

そんな彼の背中を呆然と見ながら、彼が怪我をしないことだけを祈ることしか今の私には出来ませんでした。

 

(・・・せめて無事で帰ってきてください。兎野君)

虚Sideout

 

春万Side

ビルド:ホークガトリングフォームとなりキャノンボール・ファストが行われているアリーナへ一気に飛んでいった手前、危うく布仏がスマッシュに斬られそうになっていた。ホントにゾッと仕掛けたが、最大スピードで助けることに成功した。頼むから心臓が止まるようなことはしないで欲しい。

そのまま布仏を抱えたまま上空から全体を見ると、スマッシュは2体、そして、あのドイツ軍人が言っていたコウモリ野郎がいた。

 

「体調は、大丈夫なのですか?」

 

「そこまで良くわない。だからといって寝ている訳にも行かないさ」

 

体調は余り優れないが、ここで何もしなければ多くの人に被害が出てしまう。それだけは絶対にさせる訳にはいかなかった。

とりあえず安全な所に布仏を降ろし、すぐさま会場に戻り、スマッシュに向けホークガトリンガーで牽制。二体いるため、両方の注意を引かねばならなかった。そこで俺は開発室から持ってきた新しいフルボトルを試すことにした。

 

【パンダ】

 

【ロケット】

 

【ベストマッチ!!!】

 

「ベストマッチか、よし」

 

勢いよくレバーを回し、ビルドに新たな力を解放する。

 

「ビルドアップ!!!」

 

【ぶっ飛びモノトーン=ロケットパンダ!!!イェーィ!!!】

 

「勝利の法則は決まった」

 

ビルド:ロケットパンダフォームへの変身が完了した。いつも通りの掛け声と共に、俺はまず曲刀を持ったスマッシュに対し、左手のスペースライドアームの火を噴かせ、一気に距離を詰める。そして右手のジャイアントスクラッチャーで頭から斬り裂いた。

すると、原型を留めることなく、スマッシュを撃破することに成功した。中からは前回とは異なり誰も出ては来なかった。

切り替えて、もう一体のスマッシュに距離を詰め攻撃を始める。

このスマッシュは鳥型で翼のような手の形をしている。

そのために空への飛行が可能であったため、上空へ飛びながら攻撃された。

しかし、このロケットパンダフォームはスペースライドアームとの切り離しが可能であり、スマッシュに向けて左手のロケットを発射させ、相手に命中させた。その後もう一度、右手のジャイアントスクラッチャーで三連撃を与え、完全に消滅させた。

 

『ちっ、仕方ない』

 

コウモリ野郎がそう言うと、こちらに向けて、トランスチームガンで撃ち込んできた。俺は右手を縦にする事で攻撃を防いだ。

 

「コウモリ野郎、お前は、何者だ?スタークとどういう関係なんだ」

 

『私の名はナイトローグ。貴様に教える義理はない』

 

「名前は、教えてくれるのね、っと」

 

コウモリ野郎ことナイトローグの攻撃を紙一重で避けつつ、反撃する。かなり押され気味ではあったが、そこで俺はレバーを再度回し、必殺技で形勢逆転を図ることにした。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

「これでどうだ!!!」

 

計算式で出来た弧と円を描きながら、円を周りスピードと遠心力を高め、ナイトローグに向けて突撃した。

 

『ぐっ』

 

かなりのダメージを入れることが出来たようで、ナイトローグも膝をついた。トドメを誘うと距離を詰めようとしたその時、ライフルの弾が俺の体が直撃した。

打った方向を見ると、そこにはブラッドスタークがいた。

 

『オイオイ、やられてんのかよ。仕方ないなぁ〜』

 

『スターク、何の用だ』

 

『用ってのは無いが、今日の所はやめにしておけ。十分だろう。今回はお前の負けだ』

 

『私は負けて等・・・分かった。今回は引こう』

 

『そんじゃあな、ビルド。Ciao』

 

そう言うと、二人ともパイプのような所から煙を出し、晴れた時には姿がなくなっていた。とりあえず今日は帰ったようだ。俺もそろそろ危なかった為に、良かった。

 

「ハァハァ、うぐっ」

 

限界が来たようで、その場で俺は変身が解け、倒れてしまった。そこから先の記憶がない。

 

 

 

 

 

次に目が覚めた時、俺はまた保健室にいた。誰かがまた運んできてくれたようだ。熱があり、その上あれだけ動いたのだ。体がだるいわ、頭は痛いわ、気持ち悪いわの3連チャンだった。

 

「ぅ〜〜ん」

 

「あ、起きましたか?」

 

横にはいつも通り?なのか、布仏とファルティナ先生がいた。布仏は若干泣きそうであるが、安堵した表情であった。

 

「兎野君、ごめんね〜。今日は忙しくてね、保健室に戻ってきたら直ぐに布仏さんが運んできてね。君ね、少ーし無茶し過ぎ!!!」

 

若干朦朧とした意識ではあるが聞き取れたので、首だけ縦に振った。実際今回はスタークにナイトローグという強敵二人と相手させられ、更にスマッシュだ。

危うく過労死するところだった。ナイトローグには必殺技を決められたからよかったものの、あの後二人同時に責められれば一巻の終わりだった。結構危うい対決を今回はしていたようだ。

 

「本当に、無事でよかった。貴方を助けた時、酷い高熱だったのですから、心配しました」

 

布仏も俯きながら消え入りそうな声でそう呟かれた。それを見て申し訳なさが込み上げてきたが、どうすることも出来なかった。

 

「貴方が戦わないと行けない相手なのは分かります。それだけ危険なことも。ですが、待つ人のことも考えてください」

 

そう言い、布仏は俺の袖の裾を軽く握り、涙目で訴えてきた。

俺はそれを聞き、固まってしまった。

待っている人、そんなこと考えたこともなかったからだ。

 

「貴方が多くの人々助けるために、あの様な危険な相手と命のやり取りを行い、ボロボロになって、倒れているのを見ると、私は、己の無力さに心が苦しくなります」

 

「仕方ないだろ、スマッシュはビルド出ないと倒せない。ISよりも殺戮をメインとした兵器だ。俺のビルドは、そういう脅威から多くの人々を守る防衛装置として生み出したんだ。俺はビルドとして、多くの人々を守りたいって思うから。だから、戦う。例え、それで俺が傷ついたとしても」

 

ビルドは防衛装置である。決して人を傷つけたりしてはならないし、ましては兵器でもない。

だが、こうして心が傷ついていく人を見ると、しかも自分を思ってだと、俺はどうすることも出来ないようだ。

しかし、俺はそれでも戦おうと思っている。

記憶のない俺だが、多くの人の明日を守るために、奴らを、人々に脅威を与える奴らを倒す。

そう、俺は決めている。だから、怪我をなんか考えたこと無かった。たとえ倒れたとしても、守れたのなら、それでいいと思っていたから。

しかし、布仏の言葉を聞き、どこかに引っかかってしまった。

 

「貴方はそう言うと思っていました。だから、これはお願いです。決して、自分を犠牲にだけはしないでください」

 

「・・・・あぁ。分かった。布仏がそういうのであれば」

 

俺は迷いながら、また明日を迎える。



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第20話:ビルドとしての決意

春万Side

ココ最近、布仏が暗い。不機嫌というよりは、元気がないという感じだ。学園では、キャノンボール・ファストはあれ以降行われるかの審議などで、先生方は奔走中であり、生徒達は恐怖を与えたスマッシュにどう対抗するかなどを生徒会を中心に活動が始まったりもしてはいるが、教室は若干の暗さをもっていた。

仕方がないとは思う。突如として化け物が自分達を襲ってきたのだ。その恐怖は簡単には消えはしない。心の傷までは、ビルドは守ることが出来ないから。

俺もかなり湿っぽくなってしまっているようだ。こういう時は研究するのが一番だ。気が紛れるし、熱が出て随分出来なかった為に張り切ってやりたいと思っている。

ただ、やはり布仏が気になってしまう。

せめて元気くらい取り戻して欲しいと思っている。これも俺のせいなのだろうか。

 

「はぁ」

 

「あ、あー、布仏?大丈夫か?」

 

「え、えぇ。すいません。ちょっと考え事で・・・」

 

「お、おぅ。ココ最近元気ないから、ちょっと心配なんだが」

 

「・・・・そう、ですね。ご心配お掛けしました。これでも大丈夫ですよ」

 

無理に作り笑いをする布仏が痛々しく見えてしまった。

 

 

それから数日間、布仏は俺のいる開発室には来ず、織斑先生と何か話し込んでいるようだった。

そんな光景をこっそり見ていた俺の背後から突然声がした。

 

「ストーカーか?」

 

多少勢いよく振り返って、全力で否定した。直ぐに気づいたが、話しかけてきたのはダリルであった。

 

「んなわけないだろ!!!ってダリルか」

 

「おう、それよりも何してんだ?」

 

「あー、ココ最近、布仏の奴元気ないからさ、それも何だか俺が原因ぽくてな。ちょっと気になってる」

 

「あー、虚はここの所元気なかったからな、あのキャノンボール以来かな?お前が原因だったのかよ。何したんだ?」

 

「いや、特に何もしてないんだけどな」

 

「何もしてなくてあんなに落ち込むわけないだろ。それに自分が何もしていないなら、なんでそんなに気にするんだ?」

 

そう言われるとそうだ。俺には特に思い当たることが・・・・多分ない。でもやはり友達だからこそ元気になって欲しい。

 

「友達だからだよ。それに、アイツがいないと研究が滞るんだよ」

 

「友達はいいとして、理由が最低だ」

 

酷い言いがかりを言われてしまった。これでもかなり心配をしているのだが、ダリルにはあまり伝わらなかったようだ。

 

「それにな、オレはお前になんか思うところがあると思うんだよな」

 

ダリルは神妙な顔をしながらそう言ってきた。

 

「思うところってなんだよ?」

 

「それは自分で考えろ。虚のことは、まぁオレに任せとけ」

 

少し思うところもあるが、今はダリルに任せることにした。

俺はその場を離れ、開発室に戻り、考えた。ダリルに言われた通り自分に何か思うことがあったのだろうか?そう考えていると、ふと、キャノンボール・ファストの時を思い出した。

 

「自分を犠牲にだけはしないでください」

 

消え入りそうな声で俺に訴えてきた布仏を思い出した。

俺にはよく分からない。俺は自分を犠牲にしたつもりは無い。

勿論戦うのだから傷だって付く。しかしスタークやナイトローグ、スマッシュと戦う上で無傷で戦うなんてことは出来ない。

しかし何故、俺は戦おうと決めたのだろう。

記憶のない俺が何故戦うのか、未だに俺は俺自身のことが分からない。何故ビルドを造ったのかも。

兵器でないと言いながら、現状最強であるISを凌駕する力を持ったビルドは本当に兵器では無いと言いきれるのか。

俺は一番大切な記憶を失くしながら、訳も分からず戦っている。それが現状だ。

その為に戦う理由が見つからない。

 

「困っているようだね、春万君?」

 

そう思い詰めていると、突然ファルティナ先生が入ってきた。

 

「ファルティナ先生、どうしたんですか?開発室に何か用でも?」

 

「んー、開発室ってよりも、君にだね〜。ちょっと保健室にいらっしゃい」

 

そう言われ、俺はファルティナ先生について行き保健室に行った。ファルティナ先生は椅子に座ると、俺に問いかけてきた。

 

「それで、何を悩んでいるのかな少年?」

 

「えっと、とりあえずいきなり何故?」

 

「この前さ、キャノンボールの時に君はあの怪物を倒すために無理して戦った。その結果、君はまたしても倒れた。布仏さんはかなり心配してたんだけどね。その時に彼女、かなり思い詰めていたのよ」

 

「それが、俺とどういう?」

 

「・・・春万君は鈍感なんだね〜」

 

「は?」

 

「まぁいいや、君たちの会話を聞いてた私はね、ふと思ったのよ。何故君は戦うのかなって」

 

的を射ていた。やはり先生もその疑問が湧いたようだ。

 

「正直に言うと、自分でも分かっていないんです」

 

「え、自分でも分からない?じゃあ君は理由も何も無く怪物達と戦っているっていうの?それはちょっとおかしくないかな?」

 

「っ、はい。俺はちゃんとした理由もなく、ただ目的も無く俺は戦っているんです」

 

理由もない俺が何故戦うのか、なんで俺はライダーシステムを作ったのか、思い出そうとすると、頭がグチャグチャになって何も分からなくなる。

 

「目的も無くってことはないよね。・・・もしかして、戦ってる時になんか思い出したの?」

 

「なっ、なんで」

 

「ふ〜ん。そっかぁ。それで、何を思い出したの?」

 

「・・・その、銀髪の少女と兎耳の付けた人が何か研究していた記憶が」

 

「銀髪の少女ってあのボーデヴィッヒちゃんと同じような?」

 

「はい、なんか変な箱みたいなものもありましたが」

 

「ふーん。それで、他は?」

 

「いや、今のところはそれだけで」

 

関係が余りないような記憶であったが、あの兎耳を付けた女性に俺は見覚えが非常にあった。

そして確信している。その女性は俺の事をよく知っているはずだと。

よく分からない確信ではあるのだが。

もっと思い出したいと思うほど、戦おうとしてしまうのである。

ビルドは多くの人を助けるためにと思ったはずなのに、これでは自分の記憶の為に戦っているのと同じだ。

 

「そっか〜。それじゃあ君は自分の記憶の為に戦っているってこと?」

 

「それはちが・・・」

 

黙ってしまった。俺ははっきりと言えなかった。何故ならその戦う理由を未だ見つけられていないからだ。

 

「自分はそう思ってはいない、でも体はそう動いてしまっているってことだね。だから戦う理由が見つからない、というよりも理由を決めきれないってところだね」

 

「・・・っ、はい。俺は多くの人の為にこのビルドを作りました。でも、それが本当に誰かのためになっていたのか、分からないんです。防衛装置と言いながら、根本は兵器と何ら変わりないのではないかと」

 

「君は面倒臭いタイプだね。良いかい?君は戦うことに理由を求めようとしているけどさ、それは違くないかい?」

 

「何が、違うって言うんですか?戦う為には必ず理由が・・・」

 

「そこに君がどうして戦うのかということに繋がるんだよ。君はビルドとなってどうしたいんだい?」

 

「ビルドとなって、どうって・・・」

 

「戦うための理由ってのは結局言い訳に過ぎないんだよ。命を背負って戦うにはそれ相応の覚悟があれば理由なんてのは自ずと分かってくるんじゃないかな?正義のヒーローくん?」

 

覚悟。そうだ、例え自らの命を落としたとしても、俺は多くの人を傷つけるスマッシュから俺は、守りたい。誰かが傷ついていく姿など見たくない。

ビルドは多くの人を守る為と思って造った防衛装置だ。

だから、人々を傷つけるスマッシュを野放しになど出来ない。奴らを野放しにすれば、きっと多くの人が傷つく。そんなことさせない。その為に、俺は・・・。

 

 

 

「俺は、守りたいです。大切な人たちを、多くの人の命を、多くの人の明日を守りたい。大切な人達に、多くの人々に希望ある明日を創りたい。俺の発明で。もう、誰かが悲しむ姿を見たくないから。そのために俺はビルドを造ったんだ!!!」

 

 

 

すんなりと言葉が出てきた。先程あれ程分からなかったはずの答えが、無意識に出てきていた。

例え記憶が無くなったとしても、俺は俺である。

今も記憶を無くす前も、俺は大切な人達を、多くの人々の明日を守りたいと願いビルドを造ったのだ。

そんな大切なことを、俺はやっと、やっと気づくことができた。

 

「それで良いんだよ。自分の気持ちは、例え記憶が無くなったとしても簡単には消えないのよ。うん、さっきよりもいい顔になったね」

 

「俺、これからもいっぱい、迷惑かけると思います。布仏に、勿論先生にも。でも、それでも俺はやります。やってみせます!!!」

 

「男の子はそれぐらいでないとね。それはそうと、君のその決意と一緒に記憶の方もしっかり整理しないとね」

 

「はい。あの、ありがとうございました。なんか、ファルティナ先生には見透かされてたみたいですね」

 

苦笑を浮かべながらそう俺は言った。

 

「それは勿論だよ。だって先生だもの。君たちのやり取りを見て、いずれこうなるかなって思っていたんだもの」

 

やはり、ファルティナ先生にはお見通しだったようだ。ファルティナ先生には勝てる気がしないな。

 

「それと、ちゃんとこのことは布仏さんにも言うこと!!!とりあえず、何故布仏さんが元気を無くしていたのかの理由は自分で分かったでしょ?」

 

布仏は俺が傷ついていくことが嫌だと言っていた。だが、傷ついてでも守りたいと思うものを全力で守りたい。

このことを分かってもらう為にも、しっかり話さなければいけない。

 

「はい、アイツとちゃんと話してみます。これからも沢山の心配をかけさせるかもしれないけど、スマッシュとの戦いには多くの意味があることを、ちゃんと伝えたいと思います」

 

「よろしい。はぁ〜、久しぶりに真面目に話したわ〜」

 

すると、ファルティナ先生は急に力が抜けたように、先程の凛々しい姿が一変して通常のだらけモードに戻ってしまった。衝撃的なギャップ差だ。

 

「それでは、失礼しました。本当にありがとうございました」

 

「いやいや、いつでも相談に来なさいな〜」

 

そう笑顔で送り出してくれたファルティナ先生に感謝しつつ、俺は布仏の元へ向かった。

春万Sideout

 

千冬Side

職員室に、何か疲れた様子でファルティナさんが入ってきた。疲れたというよりはデフォルトであるような気がするが。

 

「ファルティナ先生、どうしたのですか?」

 

「あー、千冬センセ。さっき相談事を受けてましてね。まぁ男の子の悩み事をサクッと解決したところですよ〜」

 

「男の子と言うと兎野ですね。それはお疲れ様です。どんな内容かは・・・まぁ聞きませんが」

 

流石に年頃の男子の悩みを一々聞こうと思うのは少々思うところがあるために聞くのは控えた。一夏にもそういうのがあるのだろうか?

あいつは余り無さそうだが、今度帰った時に一応聞いてみようか。

 

「おぉ〜、千冬センセにもデリカシーを考えることは出来たのですね〜。感心感心」

 

「ファルティナ先生、おちょくっているのですか(キレ気味)」

 

危うく、兎耳カチューシャを付けた幼馴染と同じように殴りたくなってしまったが、これでも社会人である。モラル位持たなければと思い、しっかり抑え込んだ。

 

「そんなセンセには私から特別にコーヒーを入れてあげましょ〜。デスクワークも疲れるでしょ」

 

「いえ、お気遣いなく。何卒新任の為、仕事が多いので」

 

「教員は大変ですものね〜。私は養護教諭ですけど。はいどうぞ」

 

「ありがとうございます。ゴク、ぶっ」

 

不味い、びっくりするほど不味い!!!ファルティナ先生は一体何をしたのだろうか?毒でも盛ったかと思うぐらい不味かった。

 

「千冬センセ?どうしたの?」

 

「い、いえ。それよりもこのコーヒーは?」

 

「あぁ、これはね、私の趣味のひとつでね、せっかくだから美味しい豆を使ったコーヒーをと思ってオリジナルブレンドの持ってきているの〜。どうどう?」

 

なんて答えれば良いのだろうか?束の時と同じレベルで困った私だった。

千冬Sideout

 

その後、

 

「さて、どんな味かな〜。・・・・・・不っ味!!!!!!」

 

自爆していたファルティナ先生であった。

 

 

 



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第21話:生徒会長、降臨(満を持して)!!!

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は、前回ファルティナ先生に俺の抱える悩みと向き合わせてくれたりと、また一つビルドとして、兎野春万として成長することが出来た。
「前回はシリアスっぽさしか出していないですよね。ナレーションすらもやらない始末・・・」
そ、それは・・・。とりあえず置いとこう!!!
さてさて今回からなんかまた始まるみたいだ。どうなる第21話!!!


春万Side

布仏に会い、俺の戦うことへの決意を伝えると、

 

「はぁ、本当にあなたという人は勝手です。クス、でもそれでこそが兎野君なのでしょうね。・・・分かりましたよ。私では貴方と一緒には戦うことは出来ませんが、私のできることを精一杯やりますね。それと、心配を掛けさせてしまいごめんなさい」

 

後で気づいたが傍から見ると俺達は仲違いをしていたようだ。結局、お互いがお互いを心配し合って、お互い悩んで、お互い凹んでいたようだ。気づいてみると馬鹿らしかった。そこに気づいた時には、二人で笑ってしまった。その時の布仏の笑顔に妙にドキッときたのは内緒だ。

 

 

あれから数日、これまで通り俺達はフルボトルの研究をしている。

そして今日、新たに真っ赤なフルボトル:消防車フルボトルが完成した。未だベストマッチは発見していないが、着実に研究は進んで行っている。だが、俺には新たに見つけなければならないものが出来た。

『パンドラパネル』。

スタークが言っていた探し物のようだが、それが一体どんなものなのかがまず掴めていない。しかし奴らの手に渡しては行けないものであることは分かる。

スマッシュと戦いつつ、スマッシュの研究と、スタークやナイトローグ達のことも掴まないといけないため、現在かなり忙しい。

来月は二年生の修学旅行に、体育祭などまだまだ行事が残っているようだが、本格的に時間が足りなくなってきてしまった。

一度、織斑先生や学園長に話す必要があるようだ。このことは布仏には言っているのだが、学園に簡単にスタークが入ってきた以上、他の人達には話さない方が良いだろう。

疑う訳では無いが、もしかしたら学園内に奴らのスパイが紛れ込んでいるかもしれない為に、迂闊な行動は避けることに決めた。

 

「よ!二人共。仲直りしたようだな」

 

「ダリルか、見ての通りだ。今日はどうした?」

 

「そうそう、オレのISがそろそろ出来上がるって言われてな。近々アメリカに戻ることになったんだよ」

 

「それだけ?」

 

「うん、それだけ」

 

「・・・・・・・」

 

俺達は無言で研究に戻った。

 

「反応無しかよ!!!」

 

「それにどう反応すればいいのですか?」

 

「暇なら部活行け」

 

「えー、いいじゃねぇかよ。そのISでよ、今度模擬戦やろうぜ」

 

「はいはい、気が乗ればな。さてと、それよりも新しく出来た消防車のベストマッチ探さないとな」

 

そう始めようとしていた時、フルボトル生成マシンから新しくフルボトルが出来る音が鳴り響いた。

 

「へ!マジか!!!さてさて今回は・・・やっほー3個出来てる〜!!!」

 

「そうですか。それでなんのフルボトルが出来たのですか?」

 

「えーと、掃除機か?それと・・・まぁとりあえず挿してみれば分かるだろ」

 

そう言い、俺はビルドドライバーを取り出しパソコンに繋げた。

 

「さてと、それじゃあこいつらから」

 

【ライオン】

 

【消防車】

 

【Are you ready?】

 

「ベストマッチじゃないか。変身」

 

トライアルフォームになり動きを確認する。消防車側の握力や能力確認を行う。

左腕には《マルチデリュージガン》という放水銃が付いている。これには高圧放水は勿論、消化剤や、火炎放射までも可能とした高性能遠距離武装が施されている。更に《BLDエマージェンシーグローブ》には応急手当用品や搬送用の防護フィルムも収納されている。

これを用いることでスマッシュとの戦闘中に火事や要救助者の手当も同時にこなすことが出来るためかなり実践的かつかなり使い勝手の良いフォームとなっている。

 

「これはまた便利ですね」

 

「それじゃあ次いってみるか」

 

そうして俺は消防車フルボトルを抜き、新たに出来た水色のフルボトルを挿し込んだ。

 

【オバケ】

 

【掃除機】

 

「これもか。いいと思ったんだけどな〜。ビルドアップ」

 

またしてもベストマッチにはならずトライアルフォームになった。

まずオバケにはものをすり抜ける能力があった。頭部の《ゴーストヘッドモジュール》から壁などの構造を分析する能力があり、これによりあらゆるものを透過して進むことが出来る。

掃除機の能力は、左腕に《ロングレンジクリーナー》という強化掃除機が付いている。この掃除機は吸引力が凄まじく、周囲のあらゆる物体を吸い込むことが出来る。それにより水や炎なども吸い込むことが出来る。

ベストマッチとはいかないが、充分戦闘に使えるだろう。

 

「オバケと掃除機・・・プフ、フフフ」

 

「ん?どうした布仏?ツボった?」

 

「だ、だって、フフ、アハハ」

 

「・・・あーー、ゴーストバスターズか!!!」

 

「ゴースト、バスターズ?何それ」

 

「フフフ、知らないのですか?とてもユニークで面白い映画ですよ」

 

「へー、映画か・・・。見てみよっかな」

 

「それじゃあ、今度一緒に見ようぜwww」

 

「ほぅ、それは中々面白そうだな。儂(私)も興味があるな」

 

すると突如ドアから知らない声がした。振り向くとそこには紫がかった長髪の超美人な女性がいた。

 

「え!」

 

「うぉわ!!!」

 

「えっと、どちら様?」

 

「そういえば御主とは初めてだったな」

 

「お、お前なぁー」

 

ダリルが珍しくワナワナと狼狽えている。布仏は目を見開いて驚いているようだ。一応制服を着ているため、学生であることは確かだが、この人はそんなに驚く人なのだろうか?

 

「う、兎野君、彼女はこの学園の生徒会長ですよ」

 

「生徒会長?それって偉いのか?」

 

「フフ、勿論だぞ。この学園において生徒会長とは学園長に次いでの権力の持ち主であり、この学園にて最強の称号でもあるのだ」

 

「へー、最強か・・・。それでその生徒会長が一体どういった要件で?」

 

「要件の前にだ、ちゃんと名乗っておかなければな。儂の名はスカイナ=セタンス。IS学園3年、生徒会長でありアイルランドの国家代表だ。よろしく頼むぞ勇士」

 

「国家、代表だって・・・」

 

正直、驚いた。IS学園では国家代表候補生ならダリルを始めとして1年生から3年生に至るまで、学年に5人ほどいる。ダリルはその中でも学年で一番の実力者であるが、まさかここに学園最強の人間が国家代表であるとは思わなかった。

 

「それで、その国家代表様はどういった要件で俺の所に?」

 

「要件を言っていなかったな。要件と言うよりは礼を言いに来たのだ」

 

「礼?」

 

「キャノンボール・ファストの時、儂は要人の警護についていたために、あの化け物達へ武力介入を行えなかった。生徒の長として生徒を守ることが出来なかった。それを御主がやり遂げてくれた。それの感謝を言いにだ。ありがとう」

 

「・・・フッ、別に構いませんよ。俺のやるべき事だったんですから」

 

「そうか。儂も次に襲撃してきた時は全力で相手をさせてもらうしよう。奴らにはしっかりと礼を返さねばな」

 

「それはそうと、生徒会長さん。俺と模擬戦しませんか?」

 

「ちょ、兎野君!!!何を言っているのですか!!!彼女は『ブリュンヒルデの再来』とまで言われるほどの実力者ですよ」

 

スカイナ=セタンス。

彼女は15歳で国家代表候補生となりその次の年には国家代表にまで登りつめた実力者である。かのブリュンヒルデ、織斑千冬とは一度だけ戦い、引き分けたという実績を持っている。

彼女の持つIS《ゲイ=ボルク》は、あのアルスターの戦士:クーフーリンが持っていたとされる武器名を型取り、武装も紅い槍を二本携え、圧倒的な実力を持ち、次のモンドグロッソにてアリーシャ・ジョセフスタを抑えて、一番の注目を集めている。他のIS大会にて、ノーダメージ勝利などを納めたために、ついた渾名が『ブリュンヒルデの再来』である。

これほどの人間と戦うことはビルドにとっても最高の実験となるだろう。だからこそやりたい。

 

「ビルドにとっての最高の実験になるからさ。それで、どうでしょうか?」

 

「フフ、ハハハ。中々愉快な奴よのぅ。今日は礼も兼ねてお話をしに来ただけだったのだが、面白い。良かろう。力を示せ、このスカイナにな」

 

「マジかよ。こいつ生徒会長に喧嘩売ったわ」

 

「人のこと言えないですよねダリル」

 

「ふ、ふーんだ」

 

このダリル、入学して1ヶ月でスカイナに喧嘩を売り、15分でやられたのだった。一応、この学園でスカイナと戦い5分以上立っていられた奴はダリル以外だと同じ生徒会メンバーに2人のみである。

 

「それじゃあ、いつやりますか?」

 

「今からと言いたいが、まだ仕事が残っていてな。明日の放課後やるとしよう。待っているぞ」

 

そう言い終わると出ていった生徒会長。すると後ろからとても苦い顔をしている布仏がいた。

 

「貴方という人は本当にもう」

 

「すまんすまん。それじゃあ、明日に向けて実験しないとな!!!」

 

「はぁ、仕方ありませんね。それにビルドならもしかするとですしね」

 

「そうそう、少しでも経験値を上げていかないと、スタークやナイトローグには勝てないしな。それじゃあやるか!!!」

 

「はい!とりあえず使うフルボトルと戦略を考えないといけませんね」

 

こうして俺達は、打倒生徒会長に向けて動き出した。

本音を言えば、少しでも戦いハザードレベルというのを上げ、奴らを倒すための力を手に入れることが目的だ。

奴らと対等以上に戦うにはハザードレベルの上昇が不可欠であることは研究から分かった。

今以上に強くなる為にもより一層研究に励む俺であった。

 

 

 

 

 

 



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第22話:吠えよ、たてがみサイクロン!!!

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は、今回、戦闘経験値を上げるために生徒会長であるスカイナ=セタンスさんに模擬戦を挑むのであった!!!
「学園最強に挑むなんてバカだよな!!!というか、どんどんオレの影薄くなっていってない?ねぇ?ねぇ?」
ハイハイ、出番に関しては作者に抗議しておけ。
それでは、第22話どうぞ!!!



春万Side

放課後、

昨日約束した通り、生徒会長と模擬戦をすることになったのだが、それをどこで聞きつけたのか、現在全校生徒がこの第2アリーナに集まっている。それどころか先生達までもがこの試合を見に来ていた。

 

「なんでこんな人がいっぱい居るんだよ」

 

「前にも同じような状況だったよな」

 

「前よりも酷いと思いますが・・・」

 

「フン、まさかお前がセタンスに喧嘩を売るとは思わなかったぞ、兎野」

 

「喧嘩売ったつもりはないんですけど」

 

俺はそう毒づきながら織斑先生に言った。

 

「ほれ、さっさと行ってこい。お前の喧嘩だ。しっかり成長してこい」

 

「春万、ドカンと一発噛ましてやれ」

 

「兎野君、頑張ってください」

 

「・・・おう」

 

俺は皆の激励を貰い、フィールドに出た。

フィールドには赤紫色をした戦姫が赤い槍を二本携えていた。

その姿は誰よりも美しく、放つプレッシャーはあの織斑先生にも勝るとも劣らず、自信に満ち溢れていた。

 

「待っていたぞ。さぁ手合わせと行こう勇士。なに、直ぐに終わるさ」

 

「それは随分な自信だこと。まぁ、そんな焦らずやりましょう。流石は学園最強だな。それじゃあ遠慮なく」

 

俺はビルドドライバーを腰に巻き、フルボトルを2本取り出し、振り出した。そしてエネルギーが溜まりドライバーに挿し込む。

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

【タカ】

 

【ガトリング】

 

【BEST MATCH!!!】

 

ドライバーのハンドルを勢いよく回し、いつもの待機音が鳴る。

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!】

 

【ISモード】

 

「それじゃあ、行くぞ勇士よ」

 

俺は勢いよく空を飛び、ホークガトリンガーによる牽制を入れる。だが、スカイナは全てを槍で防ぎ、スピードを上げて距離を詰めてくる。

 

【Ten】【Twenty】【Thirty】

 

30発をチャージした所で距離が警戒領域に入ったためにトリガーを引き、30発の弾丸を一斉に放った。しかし、それさえも全て槍によって撃ち落とされてしまった。

《ゲイ=ボルク》は第2.5世代型ISであり、出力はあの《暮桜》とほとんど変わらない。現行最高に近いステータスを持っている。

ビルドはそのようなISにも決して劣ることなく、それ以上にフォームチェンジなどによって勝っている。だが、それをものともしないのはスカイナの技術と経験が差を完全に詰め、上回ってくる。

 

「どうした、そんな程度か?」

 

「まだまだ、ビルドはそんなヤワじゃないっての!!!これでどうだ」

 

俺はレバーを回しエネルギーを溜め、必殺技を放つ。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

大空を大きく舞い、スピードを一気に上げていく(ISでいうと瞬時加速(イグニッションブースト)に当たる)。そしてホークガトリンガーにエネルギーが溜まり一気に連射する。スカイナは同じく落とそうとするが威力が先程とは比べ物にならないほど上がっているため、1発受ける事に押されていく。

 

「ぬ、やるな。だが、まだまだ、もっと力を見せてみよ!!!」

 

「これでもダメか。それなら今度はコイツだ」

 

【忍者】

 

【コミック】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【忍びのエンターテイナー=ニンニンコミック!!!イェイ】

 

「ほぅ、今度は紫と黄色か」

 

「色が変わるだけじゃないっての」

 

【分身の術】

 

俺は15体の分身を出し、跳躍しながら攻撃していく。だが・・・。

 

「はっ!」

 

二槍を回し分身の連撃を全て防ぎ、更にはカウンターにより全て撃ち落とされてしまった。俺は咄嗟に立て直し、4コマ忍法刀とドリルクラッシャーの二刀流で、レバーを回しもう一度必殺技を放った。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

「更にこれもだ」

 

【風遁の術=竜巻斬り】【火遁の術=火炎斬り】

 

15体の分身による竜巻と火炎の二つ斬りを使い、スカイナに直撃させることが出来た。流石にこれだけの攻撃を受けたために、スカイナは後ろへ後退した。しかしISには全く傷がついていなく、全て見切られていたようだ。

 

「やるな。だが、まだまだ」

 

「ちっ、まだ倒れないか」

 

「そろそろこちらも行くぞ」

 

そう言うと、5秒後には分身が2体しか残っていなかった。瞬時加速で槍を一気を振り抜き、分身を的確に消し去ってしまった。

 

「ぅそーん」

 

「フフ、筋はいいが青いな。数が増えたからといって戦闘力が増す訳では無いぞ」

 

「仕方ない。それじゃあ、本命をぶつけてみるか!!!」

 

そう言い、俺は今回、本命の切り札を出すことにした。その手には青と黄色のフルボトルを振り出し、ドライバーにセットする。

 

【ライオン】

 

【掃除機】

 

【ベストマッチ!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【たてがみサイクロン=ライオンクリーナー!!!イェーイ】

 

「勝利の法則は決まった!!!」

 

俺は空に浮いているスカイナに対し左腕のロングレンジクリーナーの吸引力で引き寄せた。

 

「な、何!!!引かれていく。上に上がれん。ならば」

 

そう言うと逆に近づいて一気に距離を詰めてきた。そして槍が赤く光り出し、

 

「ゲイ=ボルク!!!」

 

槍から赤い閃光が放たれ、鋭い一撃を打ち込んできた。

しかし、ロングレンジクリーナーに完全に吸収され、そのエネルギーが左肩の《BLDトラッシュコンバーター》に溜め込まれる。

そのエネルギーをライオンフルボトルの力によってパワーに変換されていく。

ライオンの馬力は今までのフルボトルとは打って代わり、桁違いの力を引き出す。レフトアイライオンが光り、反応速度を高め、一気に飛び上がり、スカイナに一撃を御見舞した。

 

「ぐ、がはっ」

 

観客は騒然としていた。会長と戦う時点で無謀であり、勝てる訳はないと思う生徒が大半を占めていたはずだった。しかし、誰もがあのブリュンヒルデの再来とまで呼ばれたスカイナ=セタンスを追い詰めているこの状況を見て、認識を改めだした。

仮面ライダービルドは強いのだと。

キャノンボール・ファストの時、誰もが死を痛感した時でさえ、たった一人で立ち向かい、退けた。その強さを学園の生徒達が認めた瞬間であった。

 

「これで、終わりだ」

 

俺はレバーを回し、最後の必殺技をぶつけた。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

ロングレンジクリーナーでもう一度再吸引を始め、また引きずり込みつつ、集めたエネルギーを右手の《ゴルドライオガントレット》に溜め込み、ライオン型のエネルギー砲を放った。

爆発により視界は塞いでいるが、倒したと確信を持っていた。

倒せたと、そう、思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

だが、スカイナ・セタンスはその場で槍を翳し立っていた。凛々しく、美しくその場に仁王立ちをしていた。

 

「フ、フフ、フハハハハハハ!!!ここまで追い詰められたのは織斑先生以外で初めてだ。それも年下の男子にだ。よいぞ、最高だビルドよ。久方ぶりに高ぶった!!!」

 

「な!嘘だろ!!!」

 

スイッチが入ったようにスカイナは個別連続瞬時加速を行いながら、必中必殺の攻撃を俺に向けて構えた。

 

『刺し穿ち!!!』

 

二槍にエネルギーが溜め込まれ赤く光りだし、一瞬のうちに接近され、一本目の槍がゼロ距離で刺し穿たれ、俺は空中に打ち上げられた。

そして大の字で体が硬直してしまった。

 

『突き穿つ!!!』

 

二本目の槍に最大威力のエネルギーが溜め込まれていた。

俺の体はビクともせず、まるで処刑を待つかのような状態であった。

そして、二本目の槍を投合し、完全に直撃してしまった。

俺のビルドフォンからSEが0のアラートが鳴り、俺は強制的に変身を解除させられた。

俺は負けたのだった。

 

「あ〜あぁ。・・・ハハ、負けちまった」

 

「あぁ、儂の勝ちだ勇士。いや春万よ」

 

「ハハハ、マジかー。勝利の法則は見えてたのにな〜」

 

そう、俺の計算に寸分の狂いは無く、勝利の法則は決まっていた。

だが、スカイナのISは動くことが出来た。ただそれだけだった。

 

「後一歩で儂も分からなかった。誇って良いぞ」

 

(フフ、正直、残りSEが10すら切っている。私の運が良かった、ということか。しかし、まさか私がここまで追い詰められるとはな。兎野春万、面白い奴よ)

 

スカイナの残りSEは4と表示されており、ほぼないにも等しい状態であったのだった。

しかし、俺は後一手足りなかった。ビルドが初めてISに負けたのである。

正直、負けるとは全く思ってもいなかった。あれだけのベストマッチを使用し、更にボルテック・フィニッシュも放った。それら全てをスカイナは見切り、受け流していた。

俺もビルドもまだまだ改良の余地が多くあるようだ。

先ずは戦略の見直しと見通しの甘さを変えなければ、これからのスマッシュとの戦いにボロを出しかねない。

しかし、今は敗北をしっかりと受け入れなければいけないな。

 

「よいしょっと。まさか負けるなんて思わなかった。でも、いい経験になった。ありがとうございました」

 

「うむ、またいつでも来るがいい。儂もより強くなってみせよう」

 

「そうですか。それじゃあ、再戦は出来るだけ早く要求しますよ」

 

俺は再戦の思いを強く抱き、スカイナの手を取って立ち上がった。

すると、スカイナから

 

「・・・ところでだ、御主生徒会に来ないか?いや、入れ」

 

「・・・・・・・は?」

 

「「「・・・・ええええええええええええ!!!!!!!」」」

 

「う、兎野君が・・・生徒会に?!」

 

ここにきてまさかの波乱な結末に終わるのであった。

俺は一体どうなるのか、まだまだ分からないようだ。

 

 

 

 



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第23話:2人で生徒会へ

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は、前回、学園の生徒会長であるスカイナ=セタンスに喧嘩を売った挙句、ベストマッチを駆使しながらも敗北を喫したのだった。
「まぁ、天狗になっていたお前には丁度いいだろう」
織斑先生、ちょっと勘弁して下さい。ホントに凹んでるんですから。
「凹んでいるにしては口元が笑っているぞ。フッ、まさかお前がマゾヒストだとは思わなかったなwww」
草生やすのやめてください。キャラが崩壊してますよ!!!
それに俺はマゾじゃありませんから!!!
あぁ、なんか変な方向に行っちゃったじゃないですか!!!ここ前書きですよ!!!
変なことしてすいませでした!!!とりあえず、第23話どうぞ!!!




虚Side

兎野君が生徒会長から生徒会へ入れ、とのお誘い?事件からはや1日。彼は結論を出すことなく、昨日の実験結果を元にまたしてもフルボトルの研究に打ち込んでいます。勿論私も手伝いということで徹夜状態でお手伝いをしています。また彼と一夜を共にしてしまいました。

後で織斑先生に怒られそうですね。

 

「っはー、また徹夜しちまったな」

 

「そうですね。それよりも、生徒会の件どうするのですか?」

 

「布仏は入った方が良いと思う?」

 

「私は、折角ですので入ることにメリットはあると思いますよ。一応、来年はお嬢様、更識楯無が生徒会長になるつもりですので、私も結局入ると思いますから」

 

「へー、そっか」

 

「それに、現在の生徒会メンバーに2年生は入っていないので実質貴方が生徒会の後釜に選ばれたも同然ですから、断れないと思いますよ」

 

「そっかー。とりあえず布仏も一緒にやらないか?」

 

「へ?ま、まぁ私は構いませんが、それは向こうが決めることでは?」

 

生徒会へ入るには生徒会長の承認によってのみ成立するため、現在の生徒会は実質学園の最高戦力を集めたメンバーとなっています。その中に私も入るとなると、気圧されそうですが、私も布仏家の人間です。お嬢様を後ろから支える為にも、今のうちに盤石な体制を整えておいて損は無いと思いました。

 

「まぁ生徒会って所の内容によるな。少し、学園の裏事情を知る必要性が出てきているからな」

 

「それはパンドラパネルに繋がっていると?」

 

「そこまでは分からないさ。でも、学園にいるかもしれないスパイさんを探すことはもしかしたら出来るかもしれないってことだ。学園の権力も握っておいて損はないと思うしな」

 

「そうですか。では月曜日の放課後に生徒会室へ行ってみましょうか」

 

「おう、そうだな。それはそうと、オバケのベストマッチ見つからなかったな」

 

「徹夜して見つけられないのは辛いです。というかもう寝たいのですが」

 

「俺のベットでどうぞ。俺はもうちょっと調べたいことがあるからそっちをやるわ」

 

「そうですか、では」

 

私は無意識ではあったのですが、兎野君のベットで4時間辺り眠ってしまいました。後で起きた時に顔から火が出る程に恥ずかしかったです。

 

 

 

月曜日、

放課後、私達は生徒会室へ向かいました。現在生徒会室の扉の前に来ているのですが、開いてません。まだ誰も来ていないようです。

それから2人で30分ほど待ち、

 

「ん?おぉ、春万か、それと、お主は確か学年主席の布仏虚か」

 

「どうもっす」

 

「こんにちは。布仏虚です」

 

「ほぅ、御主も生徒会へ入ってくれるのか?」

 

「兎野君次第ですが」

 

「そうか、事務仕事が出来るものが欲しかったのだ。ちょうど良い。お主も入るが良い。それと、掃除も頼めるか?」

 

そう言い、生徒会室の扉を開けると、そこはゴミだらけの部屋とかしていた。

 

「・・・・」

 

「汚ったな!!!」

 

「すまない、掃除は全員下手なものでな。手伝ってくれるか?」

 

「兎野君も机の上は同じくらい変わりませんよね」

 

「・・・・・し、知らないな〜」

 

俺の机は、色々な発明品や研究道具に資料等で結構ぐちゃぐちゃになってはいる。整頓はするものの、物が増える事に直ぐにぐちゃぐちゃになってしまう。

 

「生徒会は生徒の依頼や希望、学園の運営や学園長の指示等、多くの依頼をこなして行かねばならない。更に予算も我々生徒会が決めなければならないためにデスクワークも多い。だからこそのお前達だ」

 

「いやその脈絡で俺達ってのはよく分からないんですけど」

 

「お前達は学力もかなり優秀であることを知っている。更に言えば学園での揉め事、及び脅威から生徒を守る立場も生徒会は担っている。無許可でお主のビルドを使用すればそれは問題となるが、生徒会へ入れば、脅威とみなした時点で生徒会権限により使用許可が下される。お主にとってはメリットがあるだろう?」

 

考えてみれば国際方でISの無断使用は犯罪である。使用する際は必ず許可を撮る必要がある。ライダーシステムはその点関係はないが、学園長からも使用する際には許可を取るよう言われていた。

模擬戦時は勿論使用許可を貰っていたが、緊急時は完全に無断使用であった。なればこそ、生徒会へ入ればその点が許可される。

緊急時というのは個人的判断にもよるが、スマッシュとの戦闘時では間違いなく緊急性を要するので大丈夫だろう。

メリットは間違いなく大きいのは明らかであった。

 

「デメリットはあるのでしょうか?」

 

「デメリットと言われるようなものはほぼない。あるとすれば多少お前達の研究時間が削られることだな」

 

「それは俺にとって超デカイんですけど!!!」

 

「だがその代わりあの化け物と公に戦うことが出来るぞ?さぁどっちを獲るのだ?兎野春万」

 

まさかのデメリットに研究時間の減少であった。だが、スマッシュと戦うのに一々許可など取っている暇はない。なればこそ、ここはひとつ。

 

「・・・ハァ、最っ悪だ。分かりました。受けますよ」

 

「では、私もよろしくお願いします」

 

「うむ、ようこそIS学園、生徒会へ。歓迎するぞ二人共」

 

こうして俺達は生徒会へ入ることとなった。

するとドアが開き、そこには2人の女子生徒と織斑先生がいた。

 

「遅くなったな、今日の仕事だ。ん?何故此処に兎野達がいるんだ?」

 

「織斑教諭、今から2人が新しい生徒会メンバーになったということです」

 

すると眼鏡を掛けたツインテールの女子生徒が俺を軽く値踏みするかのように見てきた。

 

「ふーん。スカイナ、こいつ使えるのか?使えない奴入れても仕方ないぞ」

 

「ひなた〜、そんなこと言っちゃこの子達に失礼よ〜。あっ、どうも〜、こんにちは〜。私の名前は『ジブリア・マハーナ』。3年庶務でエジプトの代表候補生よ。よろしくね。ほらひなたもちゃんと挨拶!!!」

 

そう言って来たのは褐色肌の色気のある女子生徒。名は『ジブリア・マハーナ』。エジプトの代表候補生であり、次期国家代表レースにおいて独走中であるほどの実力者。

 

「分かったわよ。『皇ひなた』、3年書記、中国代表候補生。これでいいか」

 

何故か怒りながら言ってきたのが『皇ひなた』。中国と日本のクォーターであり、中国代表候補生。

この人もかなりの実力者であり、二つ名に『諧謔の吸血鬼』と言われてる。

本人は死ぬ程嫌がっているが・・・。

 

「おい後輩!!!使えなかったら即刻噛み殺すからな」

 

「恐っ!!!」

 

「それで私が此処、生徒会の顧問となっているという事だ。それでセタンスよ、こいつらの役職はどうするんだ?」

 

「そうですね、虚には会計を、春万には副会長にと思っています」

 

「ふむ、妥当だな。よし、早速だが仕事だ。布仏にはこれまで使用した今年度の予算から、次に何処にどれくらい使えるかの計算を。兎野にはこの書類の整理だ」

 

その日、俺達は生徒会入会直後にかなりの量の仕事をやらされ、開発室に戻った時には、研究をする気力が起きないほどに非常に疲れていた。

というより、仕事溜めすぎだコノヤロウ!!!

 

 

 




今更ですが、
通りすがる誰かさん、喰山さん、ファブニルさん、
高評価をして頂き、ありがとうございます!!!
励みにさせて頂きます!!!



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第24話:助けよレスキュー、貫け剣山!!!

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は前回、生徒会に入り・・・
「はーい、皆のアイドル!!!みーたんだよ!プンプン!!!」
「みーたーーーん!!!みーーたーーーん!!!心火を燃やして愛してるーーー!!!」
「美空!!!ここスタジオ違うぞ!!!早く出ろ!!!」
「おいエビフライ!!!みーたんの撮影邪魔すんな!!!」
「なんだとカズミン!!!やるか?」
「やってやろうじゃねえかコラ!!!表出ろや!!!」
「上等だよ!やってやらぁ!」
・・・・・・なぁにこれ。
ネタ切れですBy作者
は?仕事しろ作者!!!
「申し訳ございません、作者がネタを考えることをサボっていることに、改めまして本当に申し訳ございません!!!それでは第24話どうぞ」
あ、俺のセリフが・・・。


春万Side

生徒会副会長になってから、研究が多少滞るようになってしまったが、毎日生徒会がある訳ではなく、週に2日はちゃんと自分の研究だけが出来るため、現在それなりに充実している。合わせて、生徒会のパソコンから、世界各国へ簡単にアクセスが可能であり、パンドラパネルの捜索も行うことが出来るために、生徒会へ入ったメリットはかなり大きかった。

そして、会長達は大体の事情を学園長から聞いていたようで、その上でサポートや監視をする為に俺を生徒会へ入れたようだ。布仏を入れた理由は、更識家とのパイプを持てるというだけで大きなメリットになるために元々誘うつもりだったらしい。本人もかなり優秀であるために、即戦力として重要視されていたようだ。

学園もかなり打算的ではあったようで、俺達が生徒会へ入ったことで、学園長もよりビルドや更識家を動かしやすくなったことに違いはない。

 

「そろそろ、パンドラパネルの情報が欲しいところだな〜」

 

「更識家も未だにその情報は掴めていませんからね。それにしても、どうしてそこまでパンドラパネルにこだわるのでしょうか?」

 

「うーん、先ずはスタークが欲しがっているってところがあるし、俺がボトルを作るきっかけになったかもしれない物だからって理由かな」

 

「ボトルを作るきっかけですか?何か思い出したのですか?」

 

何故、ボトルの形をしたこのフルボトルを作ったのかが、もしかしたら分かる気がしたというのが本心であるが、確証が掴めない以上はカンとしか言えなかった。

 

「いや、なんて言うかカンってやつかな。偶には頭で考えるよりも、体が感じるものに従ってみるのも経験かなって思ってな」

 

「カン、ですか。・・・・・まぁ偶にはそういう考え方も良いと思いますよ」

 

「だろ。でもな、感覚派のダリルっぽくやってみたんだが、これまた難しいんだよなぁ」

 

少し沈黙の後、布仏は俺に提案してきた。

 

「話は変わるのですが、パンドラパネルを追う上で、やはりスタークかナイトローグを捕まえるのが一番いいのではないでしょうか?」

 

「出来れば苦労はしないな。今のところ、スタークには全く歯が立ってない状態なんだよな。ナイトローグは、まだまともに戦闘した訳じゃないから、戦闘パターンが全く掴めてない」

 

「そう、ですよね。それに、ハザードレベルとやらが、そこに関わってくるのでしょうね」

 

「ハザードレベルてのなんだが、スターク曰く、俺のハザードレベルは3.5らしい。これを元に仮説を立ててみたのだが」

 

俺はそこでホワイトボードにわかりやすく書き出してみた。

 

「これはあくまでも仮説だぞ。先ず、俺のことなんだけどな、通常の人間にはハザードレベルとやらは0から多少の誤差の範囲であると考えた。そして、スマッシュはそのハザードレベルを上げた存在、最低でも1以上はあるのではと考えている」

 

布仏は俺の仮説を聞くと疑問を浮かべたようだ。

 

「それでは貴方の3.5というのがよく分かりませんよ。基準値が不明です」

 

「まぁそうだよな。前にボーデヴィッヒの血を調べてみたんだけどな、微量にナノマシンによく似たガスのようなものが検出されたんだよ」

 

「ガス、ですか?」

 

「まぁ成分が全くの謎だったんだけどな。でももしかしたらそれが、人体を改造する能力があるかもしれないと俺は考えたんだ」

 

ボーデヴィッヒの血からは本当に微量ではあったのだが、特殊なガスのようなものが検出され、調べた際、人体に害を齎しドーピングのごとく身体能力を上げる成分が検出された。そこから推察したところ、このガスの大量吸引によってスマッシュが生まれているかもしれないという仮説を考えたのだった。

しかし、ボーデヴィッヒのように倒した後に出てくる者もあれば、何も出てこず爆散するだけの奴もいる。そこの区別が未だ不可解であるために完璧な結論とすることは出来ないのであった。

 

「もしも、そんなことをしているのであれば、国際法どころか、人道的にも外れるようなことになりますよ!!!」

 

「だからこそ、分からないことが多すぎて結論がマトモに出せていない。それでな、そのガスは俺の体にもあったんだ」

 

「な!で、では、兎野君も」

 

「だけど俺はスマッシュになっていない。だから分からないんだよ。何故俺はスマッシュになっていないのか。それにスマッシュから出てくる奴らは今のところあの銀髪の奴らだけなんだ。もしかしたら、これが大きな鍵なのかもしれない」

 

「・・・そうですね。未だに私達はスマッシュに関して分かっていないことが多すぎますからね」

 

ちょうどその時、俺のパソコンからアラームが鳴り響いた。

そのアラームはボーデヴィッヒを調べた際に得た情報を元に、スマッシュの情報を衛生へ繋げてスマッシュの反応を示す探知機に反応があったことを示すものである。

つい最近ようやく完成したものである。

 

「スマッシュか。場所は、工場近くのところか。よしちょっと行ってくる」

 

俺はビルドドライバーを腰に巻き、

 

【タカ】

 

【ガトリング】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「変身」

 

【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!】

 

ホークガトリングフォームとなり、スマッシュの現れた場所へ飛んで行った。

 

 

 

「だ、誰かー、助けてくれ!!!」

 

到着した時に、工場内部にいた人達の中で逃げ遅れた人がいたようで、スマッシュの破壊活動によって生まれた炎に囲まれていた。更に引火して爆発寸前でもあった。このままでは爆発に巻き込まれて死んでしまう。更に、その奥にはパワー型のスマッシュが暴れていた。そしてその隣にナイトローグもいた。今回の首謀者もナイトローグであるようだ。

 

「ってボーと見てる場合じゃなかった。何人かいるみたいだから、ホークガトリングじゃ、救助に間に合わない。・・・そうだ、消防車ボトルか!!!それじゃあ、実験を始めようか!!!」

 

俺は地面に降り、消防車ボトルとハリネズミボトルを取り出し、ビルドドライバーにセットした。

 

【ハリネズミ】

 

【消防車】

 

【BEST MATCH!!!】

 

「ベストマッチか!!!よし」

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ」

 

【レスキュー剣山=ファイアーヘッジホッグ!!!イェイ】

 

「勝利の法則は決まった!!!」

 

俺はいつもの決めゼリフを言いながら、ベストマッチフォームであるビルド=ファイアーヘッジホッグフォームとなり、先ず左手の《マルチデリュージガン》を伸ばし、砲門から消火剤を撒き炎を一気に消火した。運良く引火することなく消火することに成功したため、全員軽い火傷で済んだようだ。

 

「早く逃げてください!!!」

 

「あ、ありがとう」「た、助かったー」「おい、早く逃げるぞ!!!化け物が来る!!!」

 

後ろからスマッシュとナイトローグがこちらに気づいたらしく、こちらに向かってスマッシュが突撃してきた。

 

「それならこれでどうだ?」

 

俺は右手の《BLDスパインナックル》の形状を変化させ、針を伸ばしつつ、下から顎?に向けてアッパーを仕掛けた。スマッシュはそのまま打ち上げられ、地面と熱いキスをした。

その隙に俺はマルチデリュージガンから高圧放水をナイトローグへ行った。ナイトローグは腕を交差させ、放水を防いでいるが、俺の目的はナイトローグの行動を封じることであった。更に左手のBLDエマージェンシーグローブから防護フィルムを取り出し、放水を止めナイトローグへと、距離を詰めた。そして手に持った防護フィルムでナイトローグをグルグル巻きにし、行動を完全に封じ、スパインナックルで5連撃を喰らわせた。

ナイトローグへ攻撃を行っている間にスマッシュは起き上がり、俺に向かってもう一度突進を仕掛けてきた。

そこをうまい具合に避けつつ、レバーを回し一気にキメにかかった。

 

「残念でした。」

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

俺はマルチデリュージガンをスマッシュに刺さるまで伸ばし、そこから消化剤を一気にスマッシュに流し込み、風船のように膨らませる。膨らんだところで、スパインナックルの形状を変化させながら、跳び上がり、真上から風船を押しつぶすようにスパインナックルで叩きつける。

 

「これでフィニッシュだ!!!」

 

スパインナックルはトゲトゲであるため、風船のように膨らんだスマッシュは割れるように破壊することに成功した。

そして緑の爆煙が引くと、その中から『金色のバックル』を付けた銀髪の少女が倒れていた。そう、俺の記憶の中で見たことのある少女が倒れていたのであった。

俺はその事に動揺していると、その際に防護フィルムから抜け出したナイトローグが接近していることに気づくのが遅れてしまった。そのまま、ナイトローグと交戦に入るが、攻撃一つ一つが重く、あのスタークよりも強かった。

 

『なんだ、この程度か?』

 

「ちっ、こいつ」

 

俺の攻撃をまるでダンスでもするかのように躱し、カウンターを決めてくる。ナイトローグにはこのフォームでは戦いづらいと分かり、

 

「それなら、こいつでどうだ?」

 

【ラビット】

 

【タンク】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ」

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!!】

 

通常フォームであるラビットタンクフォームへ変え、拡張領域からドリルクラッシャーを取り出し、ナイトローグと斬り合いを始めた。

しかし、ナイトローグの方が上手のようであり、俺の攻撃を尽く防ぐ。そのままナイトローグはスチームブレードをトランスチームガンと合体させライフルモードへと移行し、ゼロ距離から射撃し吹き飛ばされてしまった。

倒れ込んでいた俺に畳み掛けるようにコウモリのフルボトルのようなものをトランスチームガンへ挿し、

 

【Bat】

 

【スチームブレイク=Bat!!!】

 

「ぐわぁぁぁ!!!」

 

ナイトローグのスチームブレイクが直撃し、俺は変身を解除されてしまう。更にドライバーも手の届かない場所まで飛んでいってしまった。

 

『これで終わりだ。呆気なかったな兎野春万』

 

そんな絶体絶命となっている所でまさかの援軍が来ることとなった。

 

「はぁぁぁ!!!」

 

『ん?何!!!』

 

上空から赤い槍がナイトローグ目掛けて投合されてきたのであった。

そして上空から降りてきたのは《ゲイ=ボルク》を纏った生徒会長と黒いISを纏った皇先輩であった。

 

「おい、後輩!!!無事か?無事なら返事しろ。無事でなくても返事しろ」

 

「無茶言うな〜、先輩は」

 

「フフ、キャノンボール・ファスト以来だな。やっと交えられるなコウモリよ」

 

スカイナ生徒会長は不敵な笑みを浮かべながらナイトローグを睨みつけていた。

 

『・・・邪魔が入ったか』

 

そう言うと蒸気を噴出し、姿を消してしまった。

 

「あ、待て!!!・・・ちっ、逃がしたか。春万は無事なようだな」

 

「俺は、まぁいつも通りですよ。それよりも、あそこで寝てる子を頼みますよひな先輩」

 

「あ?あー、分かったわよ。ってかひな先輩言うな!!!」

 

先輩達の助けもあり、今回は限りなく負けに近く、とりあえず何とかなったが、次、ナイトローグと戦った時、俺はナイトローグに勝つことが出来るか分からなかった。

 

(やはりビルドの強化が必要だな)

 

大きな課題が生まれるのであった。

 

 

???Side

ナイトローグはビルドとの戦い後、ラボ:《吾輩は猫である=名はNascita》へと戻って来た。そして、そのベールを脱いだのが・・・、

 

「はぁー、つっかれたー!!!久しぶりの運動だったよ〜」

 

『束自ら動くとはな。それでアイツを置いてきたって訳か』

 

「そうそう、クーちゃんがどう動いてくれるか、楽しみだね〜」

 

かの天災と星狩りは一体何をしようとしているのか。それはこの二人のみぞ知る。

 




高評価を下さった
ゴモラたかみさん、
ありがとうございます!!!


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第25話:金のバックルをはめし少女

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は前回、工場に現れたスマッシュに対して、ハリネズミと消防車のベストマッチであるファイヤーヘッジホッグフォームとなり、見事スマッシュを倒すことに成功したのであった!!!
「その後、コウモリにやられておったよなお主。まだまだ修行が足りないな。なんなら儂が稽古をつけてやっても構わないが」
遠慮しておきます!!!
「後輩の無様な姿はお笑いだったぞwww」
ひな先輩辛辣過ぎ!!!
まぁどうでもいい事は置いといて、
「「第25話見ろよ!!!」」
俺のセリフ〜!!!


春万Side

IS学園に戻り、保健室にて、

生徒会長とひな先輩と俺と布仏、次いでにファルティナ先生も。

俺は1つの疑問を生徒会長に問いかけた。

 

「ところで、無断でのIS使用って原則禁止じゃなかったですか?」

 

この生徒会長達は、俺がピンチの所を助けてくれたが、それはそれとして、ISを無断で使用することは《IS運用条約》通称《アラスカ条約》において禁止されているはずである。

しかしそんなことはさも分かっていたような口ぶりでひな先輩は答えた。

 

「そんなこと承知済みだ後輩。だからしっかりと許可を取ったに決まっているだろ。馬鹿かお前は?」

 

「え?許可ってどうやって?」

 

「軍に救助使用目的という名目だ。代表候補生ってのは端的に軍に所属することになるんだ。それ相応の目的ならばしっかり連絡を取ればある程度任用される。抜け穴くらいはあるっての。まぁ、多少時間はかかるけど」

 

まさかこの先輩達はアラスカ条約の抜け穴を狙って、今回助けに来てくれたようだ。

というかアラスカ条約って抜け穴あることに驚きだ。

 

「それもあって御主の戦闘には加勢することが出来なかったというのもある。遅くなって悪かったな」

 

「いえ、ベストタイミングでしたから。正直助けがなかったら、かなりやばかったですから」

 

「そうかそうか、感謝しろよな後輩!!!」

 

ひな先輩は思いっきり胸を張ってそう答えた。

この人は自尊心の塊のような人であるようだが、その実、決して悪い人ではなく、それどころか、かなり面倒見の良い先輩であることを、ココ数日で身にしみてわかっている。

今も内心は間に合って良かったと思っている程の優しい先輩であることをお忘れなく。

 

「ふ、素直に無事で良かったと言えばよかろうに。下手くそな奴だ」

 

「な!スカイナ、お前余計なことは言うな!!!」

 

ひな先輩は顔を真っ赤にしながら、生徒会長の言葉に思いっ切り動揺して、撤回しようとしている。俗に言うツンデレ全開だ。

 

「話題は変わるのだが、この少女がお前の言うスマッシュとやらから出てきたということか?」

 

「そうです。にしても、また銀髪か〜」

 

「ドイツで開発されていた人型特殊生物兵器:Adovansudoがスマッシュに関係しているようだな」

 

「正直、ドイツの研究所に行って見たいんですけどね。流石にそれは出来ませんよね」

 

Adovansudoを調べることで、その生態系や行われた実験のログ、若しかするとスマッシュを生産している所に辿り着くことが出来るかもしれない。

しかし、スマッシュがドイツから直送してくるというのは、余りにも的外れであり、現在俺が立てている仮説からもないと言える。

 

「実際、Adovansudoの実験は既に凍結しているからな。そこを調べようとするのは難しいだろうな」

 

「私の姉妹についてなら、調べずとも私がお話しましょう」

 

すると突如、ベッドで寝ていると思っていたはずのボーデヴィッヒによく似た銀髪の少女が目を閉じたまま体を起こして此方を向いていた。

 

「どうも、今回は助けて頂きありがとうございました。申し遅れました。私の名前は『クロエ』と申します」

 

「あぁ〜、いきなり起き上がっちゃダメよ〜。体の方は大丈夫〜?」

 

ファルティナ先生は愉快に迅速に駆け寄り尋ねた。

クロエと名乗った少女は一向に目を開けることなく、頷きながら大丈夫であると答えた。

 

「何故、目を開けないのだ?」

 

生徒会長が誰しもが思っていた疑問をストレートに尋ねた。生徒会長は意外にズボラなようだ。

すると、クロエは苦い様な顔をしながら、渋々答えてくれた。

 

「・・・《ボーダンオージェ=オーディンの瞳》というのを知っていますか?」

 

「ボーダンオージェって、あれか。ISの適合性向上の為に肉眼に擬似的ハイパーセンサーを搭載させるという人体実験によって埋め込まれた目だよな。理論上不適合等のリスクはないと言われていたが、実験は尽く失敗に終わったって書いてあったと思うが・・・」

 

クロエはそれを聞くと何かを思い出す様に俺達に告げた。

 

「私も、その実験を受け、失敗したんです。それで両目の視力を完全に失いました。一応、ハイパーセンサーでもあるので、力を使えば一時的にではありますが見ることは出来ますが、疲れてしまうので、いつもは見えていません」

 

やはり失敗した為に視力を失なったようだ。思えばボーデヴィッヒも左眼に眼帯を付けていた。彼女もまた、ボーダンオージェの被害者であったようだな。

 

「そうか、なんか悪かったな」

 

「スカイナはもう少しデリカシーを覚えろ。それでだ、お前は何処から来たやつなんだ?ドイツか?」

 

ひな先輩はさっきまでの空気をどうにかする為なのか、また重要なことを聞くことで話題を切り替えた。

 

「いいえ、私は束様の元でメイドのようなことをしていました」

 

「・・・・・・・・は?」

 

この子は今、なんと言った?

束様の元で?束様?

この少女はあの篠ノ之束と共に行動していたというのだろうか。そんなことであれば、この子は超重要人物であることに間違いない。

 

「束様、というのは『篠ノ之束』のこと、か?」

 

「はい。勿論です。私は実験失敗によって視力を失い、処分されるはずでした。そこをどういう偶然か、束様は私に興味を持ったようで、束様に拾われました。それ以降、束様の身の回りのお世話をしていました」

 

「それでは、篠ノ之博士の身内のような関係ですよね。篠ノ之博士がここに貴方を迎えに来るのでは?」

 

「それは・・・どうでしょうかね」

 

何故かクロエは悟ったような表情をしていた。

まるで来ないかのような言い方をすることに俺は違和感をおぼえた。

 

「ところで、その腕にはめているバックルはなんだ?」

 

「このバックルは束様に拾われた時から腕についていて、取れないんです」

 

「取れない?なんか特殊な物なのか?」

 

「束様も分からないそうです」

 

「あの、篠ノ之博士ですら分からないものなのですか!!!」

 

布仏は目を見張る様に、クロエの金色のバックルを見つめた。

あの天災:篠ノ之束ですら分からないことがあることに、俺以外の人間は皆驚きを隠せないようだ。

俺はそんなバックルに興味を抱いた。

 

「そのバックル、調べてもいいか?」

 

「え?構いませんが、分かるのですか?」

 

「分からないから調べるんだろ。ちょっと開発室から機材取ってくる」

 

俺は開発室に機材を取りに保健室を出た。

開発室に着くと、パソコンと成分検査機等など、諸々の機材を取り保健室に向かっていった。

 

 

 

 

 

俺が出て行った後に、開発室でレンジのような音が鳴り、電子レンジのような機械、フルボトル生成機から新たなフルボトルが出来上がっていた。

しかし、俺とすれ違うように開発室に入っていき、フルボトル生成機の前へ立ち、出来上がった白の狼のようなフルボトルと、緑色のプロペラのようなフルボトルを手に取り、そのままポケットに入れて持ち去って行くのであった。

 

 

 

 

 

保健室に戻り、クロエの腕を台座の上に置き線を伸ばしてパソコンと繋げ、成分の分析を始めた。

分析中は会長達が色々なことを聞いていた。

 

「篠ノ之博士は実際の所、どのような感じの生活をしているのだ?」

 

「常日頃、ISの研究をしていますよ」

 

「今どこにいるか分からないのか?」

 

「常に移動していますので、分かりませんね」

 

「やはりISコアを作ったりはしていないのですか?」

 

「そこまでは知識のない私にはなんとも言えませんね」

 

「部屋、汚い?」

 

ファルティナ先生、失礼だな。

 

「お察しの通りです」

 

(お察しの通りなのかよ!!!)

 

どうやら篠ノ之博士のラボは汚いようだ。研究者は大体そんなものである。実際自分もすぐ机は汚くなる。

っと、そんな間に解析が終了した。

 

「解析終了。協力ありがとな。さてと・・・」

 

解析結果から、データベースにアクセスしたのだが、成分はこの地球上のどの成分とも当てはまらなかった。地球外物質で出来たものであるようだ。

そしてこのバックルには、不純物を浄化することが出来る特殊な能力があるようだ。これによってクロエの代謝はかなり良いようだ。

試験官ベビーは生まれながらにしてナノマシンが体に施されているため、そのナノマシンの不純物を自ら浄化しているため、体の調子は常に良いようだ。

この浄化能力は、今使っているフルボトル生成機をより向上させることが出来るかもしれない。

 

「えっと、何か分かりましたか?」

 

「このバックルは不純物を浄化してくれる能力があるみたいだ。何故腕から外れないのかは分からないが、これをつけてる事で身體代謝は良くなっていくようだ」

 

「そう、ですか。凄いですね。束様ですらよく分からないとしか言わなかったものを」

 

「いや、結果を言うと俺もよく分からないとしか言い様がない。そのバックルもこの地球上には存在しない成分で出来てるし」

 

「つまり、宇宙から降ってきたもの、ということですか?」

 

「そうとも言えるな。まぁ、今はこれ以上調べようがないし、後はフルボトル生成機のシステム向上位に使えると思うが」

 

俺が結果を話し終えたところで、ファルティナ先生から割と当たり前のことを聞かれた。

 

「ところで、この子はこれからどうするの〜?篠ノ之博士と暮らしてたってことは、家なくない?」

 

言い得て妙だった。クロエは篠ノ之束と生活していたのであれば、篠ノ之束がクロエを迎えにこない限り、帰る場所がないのだ。

ドイツに送り返してしまえば、殺処分という残酷な運命が待っているため、それはナシであり、だからといって篠ノ之束が一体どこにいるのかも分からない。

奇しくも俺と同じような状況であった。

 

「それに関してなのだが、IS学園で預かることになった」

 

そんな話をしている所に、まるで図ったかのように織斑先生が入ってきた。

 

「どういうことですか?彼女は代表候補生でもなんでもありませんが」

 

会長がそう言うと、織斑先生はこめかみに手を置きながら、呆れるように口を開いた。

 

「・・・そのだな、そいつの心臓には生態同期型のISコアが埋め込まれているようだ。・・・それに頼まれたからな」

 

最後の方は声が多少小さくなっていたが、織斑先生は衝撃的なことを口にした。

生態同期型のISコアというのは聞いたことが無い。

口ぶりから、篠ノ之博士は医療目的でISコアを彼女の心臓に埋め込んだということである。

 

「心臓に、ISコア?聞いたことありませんよ!!!先生、それって誰が言ったんですか?」

 

ひな先輩は織斑先生に尋ねたが、その表情は何かを既に察しているようであり、確認するように織斑先生に問いた。

俺も心当たり、というよりも博士以外そんなことする人間は居ないだろう。

 

「分かっているだろうが、束だ。アイツはその少女が襲われたことを危惧して、安全な此処に預けたいと言ってきた。IS委員会も束の言うことに文句は言えないからな、決定事項だ」

 

「やはりスマッシュにさせられたことは、篠ノ之博士にとっても脅威であると感じたようですね」

 

「まぁ、そういう事だ。それと、束はお前に興味を持ったらしい。一度会って話をしてみたいとまで言ってきた。兎野、一応気を付けておけ」

 

篠ノ之博士は俺に興味を抱いたらしく、話したいとまで言ってきていたらしい。それは俺も願ったり叶ったりである。稀代の天災とは俺も話してみたい。

しかし、何故気を付けなければいけないのだろうか。

 

「ところで、今回もスマッシュは現れたようだが、何時になったら尻尾を掴めるんだ?」

 

「もうそろそろ尻尾は掴めそうですからご安心を」

 

「え?掴めているのですか?」

 

「勿論!!!俺は何も考えずに戦ったりはしないんだよ。なんせ天っ才だからな!!!」

 

「キモ。コイツ、馬鹿なのか?」

 

ひな先輩にかなり辛辣な言葉を言われてしまった。

 

「いつもの事ですよ。時期慣れますよ」

 

「慣れるのか!!!」

 

と、ここで俺は織斑先生に篠ノ之博士との関係を聞いてみた。

 

「織斑先生と篠ノ之博士ってどんな関係なんですか?直接連絡を取れるってことはそれなりに」

 

「ただの昔からの幼馴染だ」

 

「へー、知らなかった」

 

「春万は知らなかったのか。結構有名な話だぞ」

 

「そういえば、束が会った時に、お前に渡したい物があると言っていたぞ。何か、大事なものだから直接渡したいと言っていたな。詳しくは会った時に聞け。ただし気を付けろよ」

 

「何故、そんなに気を付けないといけないんですか?」

 

「アイツは・・・変態だからだ。特に興味を持った奴にはセクハラばっかするから気をつけろ」

 

セクハラだと!!!

篠ノ之博士の闇を知ってしまった気がする。やっぱ科学者は変態ばっかなようだ(ブーメラン)。

 

「クロエさん、今のは、本当?」

 

「・・・・・・・・ぇぇ」

 

クロエは小さな声で肯定していた。

 

 



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第26話:場を掻き乱すは大天災

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は謎の怪物、スマッシュと日夜戦っている(自意識過剰な)正義のヒーローである。
前回、クロエさんを助け出し、また新たな謎が生まれるのであった。
金のバックルの正体もイマイチわからずに終わってしまった。
加えて、篠ノ之博士がセクハラ変態であるという衝撃発言に、かなり参っている状態だ。
「どうして研究者はこんな変人ばかりなのでしょうか?」
ちょっと布仏さーん?それを言うと俺も変な人みたいなんですけど!!!
「・・・・・・フッ」
哀れまれた・・・。と、取り敢えず、
「第26話はこの束さんの出番だよー!!!イェーイイェーイ!!!ちーちゃん見てる??ちーちゃん?ちーちゃん!ちーーーーーーちゃーーーーーん!!!」
また、俺のセリフ・・・。




虚Side

あれから翌日、

クロエさんはIS学園へ編入という形で入学することになりました。

しかし、彼女は目が不自由な為にサポートという形で織斑先生が副担任をしている1組に編入しました。

まぁ、それは建前のようなものであり、実際は篠ノ之博士と関係がある少女への監視を目的とし、その適任者として織斑先生が選ばれたということです。

兎野君はナイトローグと戦ってから、ビルドの強化アイテム作りに躍起になっているようですが、フルボトルの特性をより理解し、出力を上げるために今一つ何かが足りないようで行き詰まっています。

 

「布仏〜、フルボトル生成機からフルボトル取った?」

 

「いえ、取っていませんけど」

 

「え・・・・・・うそーん」

 

兎野君の顔がみるみるうちに白くなっていきました。

私も今一度、フルボトル生成機を確かめてみましたが、確かに入れたはずの2つの成分を含んだフルボトルが無くなっていました。

 

「兎野君、もしかして」

 

「ちっ、やられた。最悪だ。盗まれたか」

 

兎野君は頭を掻きながら項垂れるように座り込んでしまいました。

今までのフルボトルは全てビルドドライバーの拡張領域に仕舞っていましたが、出来たばかりのフルボトルは1番盗まれる可能性があり、それが現実となってしまったようです。

 

「昨日はここに戻って来てから見なかったのですか?」

 

「あぁ、クロエから採ったデータを元にAdovansudoがスマッシュにどんな関係があるかをもう一度調べてた。完全に見忘れちまった。俺のミスだ」

 

兎野君は運悪く、今回はフルボトルではなく、スマッシュの方を優先して調べていたようです。

そうなると、フルボトルが盗まれた時間は私たちがクロエさんと保健室にいたあの時間に限られてきます。それ以外だと確りと鍵を掛けていますから、入ることが出来ません。学園のロックはそう簡単に破れるような代物でないため、ピッキング等も不可能ですから。

 

「しかし、保健室にいた間はここの鍵は掛けていたのですよね?」

 

「あぁ。だけど一度だけ、鍵を解除した時間があった」

 

「・・・クロエさんを調べる為に戻っていましたね」

 

「そういう事だ。多分犯人はここの学園の生徒か教員の誰かだけど、この人数を一人一人フルボトルを持ってるか調べることなんか、はっきり言って出来ない」

 

学園の生徒から教員、他にも学園関係者だけでも1000人以上の人間を一人一人調べることは無理に近いです。

今出来ることはこれ以上盗まれることがないように、厳重に保管できるシステムを作る等、防衛システムを上げることくらいしか出来ません。

 

「こうなったら、このお供アイテムを作ってやる!!!布仏、ちょっと手伝え、速攻で作り終えるぞ!!!」

 

「分かりました。設計図を貸して下さい、どういうコンセプトなのか知らないと作れませんから」

 

そう言うと、スケッチブックに書いてあった設計図を取り出すと、製作を始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、

 

『グワァ〜〜〜〜〜』

 

2人で一徹して作り上げたフルボトルを守る番人、いや人ではありませんが、番龍と言うべきでしょうか。

 

「出来た〜、名付けて《クローズドラゴン》」

 

そう言うと、クローズドラゴンは宙を舞い上がり飛び立ちました。

この《クローズドラゴン》はドラゴン型の自律行動ユニット。

フルボトルを装填できる《フルボトルスロット》を持ち、そこにフルボトルをセットすることで、頭部に付属している《ブレイズチャッカー》に成分が流れ、そのフルボトルに応じて形状変化できる蒼炎を備えている。

更に、製作中に兎野君が閃いた案で、ブラットスタークを意識してか、口部に《カプリファング》という牙を備えており、その牙で攻撃出来ます。また、解毒機能を持っており、治癒対象者に噛み付くことで毒を吸収、解毒を行うこともできる優れオトモです。

他にも色々と説明したいのですが、少々疲れてしまいましたので控えさせてもらいます。

 

「それにしても、かなりの力作が出来ましたね」

 

「おう、やっぱ俺は天っ才だな」

 

「1人だけですか?」

 

「・・・助かった」

 

「フフ、よろしい。さてと、もう朝ですし食堂へ行きますか?」

 

「そうだな」

 

『へー、ホントに面白いの作るね〜。束さん興味津々だよ〜』

 

そうして食堂へ向かおうとしていた矢先、後ろから興味津々な目でクローズドラゴンと私達を見る、ウサミミを付けた女性が話しかけてきました。

 

「へ?」

 

「ん?たばね、さん?」

 

ウサミミをつけた女性はクローズドラゴンをジャンプして捕まえ、全体を確りと事細かく観察していました。

 

「ん!ひゃっはろ〜!!!みんなのアイドル束さんだよぉ〜!!!君たちに会いに来ちゃった」

 

私はその人を見たことがありました。

そう、全世界で絶賛指名手配中であり、更識家の力を持ってしても全く見つけることが出来なかった稀代の大天災=篠ノ之束であったのだった。その表情は此方に興味を持ちながらも、何処か不気味でプレッシャーのある笑みを浮かべていました。

虚Sideout

 

春万Side

俺達の目の前に、あの篠ノ之束が来た。

 

「やぁやぁ、君が仮面ライダービルドの兎野春万だよね。んーと、ハルくんって呼ぶね。ところでところで、今日はキミに渡す物があって来たんだぁ〜!!!どう、驚いた?ねぇねぇ、驚いた?」

 

「驚くも何も、まさかそっちから来てくれるなんて思いもしませんでしたよ、篠ノ之博士」

 

そう言うと、篠ノ之博士はむくれた様に頬を膨らませて詰め寄ってきた。

 

「もぅ、硬っ苦しいのはなしだよ。束さんでいいよ!!!あっ!そこのメガネ掛けたキミはうっちゃんって呼ぶね。うんうん、そう呼ぼう!!!」

 

俺達は自己紹介もしていなかったはずなのに、篠ノ之博士「束さん!!!」s「た・ば・ね・さ・ん!!!」

束さんは俺達のことを知っていたようだ。

 

「あぁ!それはそうと、先ずはクーちゃんを助けてくれてアリガトね。束さんがクーちゃんにおつかい頼んだら全然帰ってこなくて、心配して探した時には、ビルドと黒いヤツが戦ってたりしてさ〜。キミがクーちゃんを助けてくれなかったら・・・。ホントにアリガトね」

 

「い、いえ。ナイトローグがスマッシュにはしてたのが偶々クロエさんだったってことですし、助け出せて良かったです」

 

束さんはクロエのことが大事なようだった。クロエは束さんは自分を道具のように思っているのではと思っていたようだが、それは違うようだ。

何故なら、大事じゃない人にこんなに悲しそうな顔はしないから。

 

「それはそうと、何故クロエさんを迎えに来ずに、この学園に入学させたんですか?」

 

「んー、クーちゃんはさ、目が見えないじゃん。それに、境遇的に束さん以外に心を開く人が居ないのは可哀想だなぁって思ってね、折角IS学園に拾われたなら、そこで友達を作って欲しいなぁ〜って思ったからなんだぁ。コレも親心ってやつなのかなぁ〜」

 

束さんがクロエさんのことをこんなに考えているとは思わなかった。

世間ではコミュニケーションが非常に取りづらく、多方の有象無象は無視されるなど、人間としてかなり酷いと言われているが、話してみてよくわかった。

この人は身近な人をとても大切にする人であり、思ったよりもずっと良い人である。

 

「そう、でしたか。大丈夫だと思いますよ。もう、何人か友達が出来てますから。俺を含めて」

 

「そっかそっか。それは良かった。キミになら任せられるよ〜。それはそうと、うっちゃんはずっと固まってるね」

 

そう言われて隣を見ると、布仏はずっと放心状態であったのだった。いつもの凛々しい姿とは裏腹に、今まで見たことないような状態で俺も戸惑ってしまった。

 

「布仏?どうした?大丈夫か?」

 

「へ!は!はい!えっと、目の前に篠ノ之博士がいらっしゃいますから、その、どうしたらいいか分からなくなってしまって」

 

「なぜに?」

 

「何故って!何を言っているですか!!!篠ノ之博士はISの生みの親であり、正真正銘の大天才ですよ。言動に多々問題があると聞きましたが、その腕は最早奇跡と呼べるくらいの代物ですよ!!!そんな人が目の前にいるのですよ!!!一体どうしたらいいんですか?」

 

布仏は死ぬ程テンパっていた。

元々布仏はISを学んでいた(現在進行形)生徒であり、その生みの親である篠ノ之束が目の前に現れたら、誰だってテンパってしまうみたいだ。

 

「なはは!!!そんなに焦ることないよ〜。それにしても、いい体してるねぇ〜。ちょっと束さんに触らせてぇ〜!!!」

 

束さんってこういうキャラなようだ。織斑先生が言っていた、興味を持った奴にはセクハラしまくるというのは間違いなかったようだ。

 

「ひゃ!ちょっ!はか、キャ!ちょっ、ダメ!兎、野君、見な、いれ!〜〜っ!」

 

布仏がめちゃくちゃにされています。目の前で。

正直、スゴくエッチぃです。

と、とりあえず布仏を助けなければ。

 

「ちょっ、束さん。目的忘れてませんか?」

 

「ん?・・・あ!ごっめーん。完全に忘れてたよ〜。あっ、うっちゃんもゴメンね。そういうのはまた今度にしようねぇ〜」

 

「〜〜〜はぅ。お嫁行けなくなってしまいます」

 

布仏は顔を真っ赤に染めながら俺の事を見てきた。

今のは俺が悪いの?

 

「もっと早く止めて下さい。バカ」

 

「えぇー、俺のせいか!!!今のどう考えても束さんが悪いだろ!!!」

 

「ならもっと早く止めてくれればいいじゃないですか!!!ジロジロ見すぎです。エッチ」

 

「わぁー、なんかラブコメが始まっちゃった〜」

 

束さんが遠い目をしながら俺達を見てきた。

二人共恥ずかしくなったので、とりあえず言い合いを止めて、今回の本題に入ろうとした。

するとまたしてもドアが開き、

 

「おい!!!兎野、布仏、何時までここにいるつもり・・・、束!!!」

 

「ち〜〜〜〜ちゃ〜〜ん!!!!!!!!!!!!」

 

織斑先生が運悪く入って来てしまった。

束さんは最大級にニコニコした表情になり、そのまま織斑先生に向かってルパンダイブをした。

 

「ちーちゃん、久しぶりだねぇ!!!さぁ今から愛を確かめ合おうぜ!!!スハスハクンクンベロベロチューーーーーー、ぶへ!!!!!!」

 

束さんは織斑先生に抱きついてから全身の匂いを嗅いだり下で舐めたりキスしようとしていたが、織斑先生はすかさず右手で顔面をキャッチし、そのままアイアンクローを決めていた。

 

「離れろ!!!何故お前がここにいる!!!」

 

「ち、ちー、ちゃん、頭、割れ、ちゃう、ピギャア!!!」

 

「ならそのまま割れておけ!!!」

 

織斑先生は束さんに一切の容赦なく、全力で頭を潰しにいっていた。

というより、先程から束さんの頭からミシミシなっているのは気の所為だろうか。

 

「と、とりあえず、織斑先生そこまでで。要件がまだでして」

 

「む、そう言えばお前はコイツに用があるんだったな。なら早くしろ。これから授業が始まるのだ」

 

「お、おぅ、ちーちゃんは相変わらずだねぇ。えっとね、今日はハルくんにこれを渡しに来たんだ」

 

すると、束さんはどっからともなく緑色の板のような物を渡してきた。

所々に何か差し込めるようになっているが、一体これは何なのか。

 

「えっと、これは?」

 

束さんに問うと、衝撃的なことを言われた。

 

「これは束さんが拾ってきた《パンドラパネル》だよ」

 

「・・・・・・・・・・・・は?パンドラ、パネル?」

 

「こ、これが、パンドラパネルなのですか!!!」

 

「うん、あのブラットスタークって奴が言ってたし。正直束さんはパンドラパネルなんかに興味無いもん。だからハルくんにあげる。おっと、そろそろ束さんはお暇させてもらうよ!!!クーちゃんをよろしくねじゃぁ、まったね〜!!!」

 

篠ノ之束は嵐のように去っていってしまった。俺達のこれから前に進むために必要な物だけを残していきながら。

何故、篠ノ之束はパンドラパネルを持っていたのか。それは彼女しか分からないだろう。

春万Sideout

 

 

一先ず、コレで彼はまた一つ器に近づいていく。

これでいい。束さん達の計画には、彼の成長は不可欠なのだから。それともう1人、不可欠な子も。君たちの成長によって、彼は完全体となれる。そして、パンドラボックスも。

 

「そろそろ動いていくね。運命の歯車って奴が。フフ、フッハッハハ!!!」

 

 

束の見ていたディスプレイには2人の少年が映っていた。

 

 

 

 



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第27話:ラブコメは唐突に

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は、前回遂にパンドラパネルを手に入れたのであった!!!
まさか篠ノ之博士が
「束さん!!!」
・・・失礼、束さんがパンドラパネルを持っているとは思わなかったな。
布仏は束さんを見て固まってたのは面白かったけどwww。
それはそうと、ダリルに最近会わないな。生きてる?
「生きてるわ!!!勝手に殺すな!!!言っとくけどな、ようやくオレの専用機が来たんだ。さぁ春万!勝負を」
はいはい、後でな。
「ちょっ、おい、オレの話はまだ」
それでは第27話をどうぞ!!!
「オレの話を聞けよ〜〜〜〜!!!」






春万Side

朝はかなり忙しかった。

束さんが突如現れ、更には俺たちが探していたパンドラパネルを渡してきた。

先ず、何故束さんがパンドラパネルを持っていたのかという疑問なのだが、束さんは国際指名手配を受けている要重要人物であるが、世界中各地に逃げ回っているそうだ。

その為、その道中にもしかしたら見つけてしまったのではないかと織斑先生が言っていた。

パンドラパネル自体、全くの不明物であり調べてみても分からないことが多すぎた。

パンドラパネルの構成成分はこの地球には存在しない物質であり、クロエの持っていたバックルに近い成分もあった。共通点はある様だ。

更にパンドラパネルには特徴的な部分が有る。パネルに左右に窪みがあり、そこにはフルボトルがピッタリとハマる仕組みとなっていた。

そこに左右1つずつベストマッチのフルボトルを差し込んでみると中央部分にベストマッチの表示が光った。

布仏はその現象に疑問を持ち、俺に質問してきた。

 

「このパネルとフルボトルには何か関係があるのでしょうか?フルボトルは貴方の発明品ですが、明らかにパンドラパネルにセットする為に作られたように見えますが」

 

「う〜ん。・・・分からん、としか言えない。フルボトルがこのパンドラパネルの為だけに作ったって言うのはイマイチピンと来ないな〜。もっと違う目的があったような・・・」

 

「その目的の副産物として、そのビルドドライバーを作ったということでしょうか?」

 

「まぁ、間違ってはないだろうな」

 

パンドラパネルにフルボトルがハマることと、宇宙の物という可能性から考えてみると、フルボトルは間違いなくこのパネルにハメるため作ったというのが前提なのだろう。

だが、それならビルドを作る必要は無いはずだ。

もしも、スタークやナイトローグがパンドラパネルを求めているとして、スターク達がビルドよりももっと前から存在している脅威だったとしたら。

 

「俺はもしかしたら、記憶を無くす前からスターク達の存在を知っていたら、ビルドはスターク達を倒す目的として作る予定だったのかもな」

 

「え?それならば、ビルドは必然的にスターク達と戦うこと前提で作られたということですよね。ですが、貴方はここに来た時は記憶をなくしていたじゃないですか」

 

「そうだよな、記憶を失くした俺までも失くす前の俺が計算してるなんてことは流石に無いか。あの時はフルボトルを見てビルドドライバーの発想が生まれたんだから」

 

「そう、ですよね」

 

俺達の間に微妙な空気が流れていた、ちょうどその時、空気をぶち壊す者が開発室の扉を開けた。

 

「よォお前ら!!!最近空気と化していたダリル様がやって来てやったぞ!!!」

 

「「あ、ダリル、居たんだ(ですね)」」

 

「ホントにひでぇなお前らは!!!」

 

エアクラッシャーことダリル・ケイシーが来た。

このダリルは、専用機を取りに帰って一週間程で帰ってきたのだが、帰ってきた時には偶々スマッシュとの戦闘が起きていたり等で全然会うことが出来ず、一人でひたすら専用機慣れの為に多くの生徒と模擬戦という名の憂さ晴らしをしていたのであった。うん、迷惑この上ないね!!!

 

「おい春万!約束忘れてないよな」

 

「約束?そんなのしたっけ?」

 

「したじゃねぇーなよ!専用機手に入れたら模擬戦しようって。ったく、ここ最近スルーされてばっかだったのに」

 

見た目かなり派手なクセして意外と寂しがり屋なダリルであった。無視され過ぎて半べそかいている始末であった。

 

「あー、そんなのしてたな。つい6話前の事だったから忘れてた」

 

「メタいことは言わないでください!!!」

 

布仏に怒られてしまった。

その後も人との約束を忘れるなどいけません、とつらつらと布仏に説教されてしまった。こういう所で口煩くなるなどオカン属性まで持っていた布仏だった。

 

「と、とりあえず、今からやるか?」

 

「いや、今からはアリーナ予約してないから無理だ。明後日の第4アリーナは予約済みだから明後日な。とりあえず虚、整備ヨロシク!!!」

 

「へ?私ですか?あなた達はとことん私を過労死させたがるのですね。生徒会の仕事もあるのですが、ね?兎野クン?」

 

布仏の目のハイライトは完全に旅行へ行ってしまったようだ。

一応、俺も仕事はしているのだが、デスクワークの6割方を布仏が請け負わされているので、正直頭が全く上がりません。更に昨日から2年生が修学旅行に行くなどして、そこで発生する金額計算までも生徒会が請け負わされているために、本当にここ最近、ずっと布仏は仕事しっぱなしであった。

 

「まぁ、兎野君はスマッシュと戦ったりしていましたから仕方ありませんが。それに、ダリルの新型専用機にも興味があるので引き受けますけど。今回はダリル側ということですがよろしいですか?」

 

「んー、まぁいいぞ。やるからには負けないようにしないとな。それと、ここ最近お前働きすぎだし、体調には気を付けろよ」

 

俺が労いの言葉を言ったことに驚いたのか、布仏はかなり惚けた顔をしていた。直ぐに気を取り直したのだが、その表情は嬉しそうであり、頬を朱に染めていた。

 

「・・・っ。・・・ありがとう、ございます」

 

そう言って駆け足でダリルと開発室を後にして行った。

俺はその顔を見て、何か心がザワつきを覚え、顔から何故か火が出るほどに熱くなっていた。

 

「・・・んッだよ、あの顔はよ・・・」

 

俺は真っ赤になった顔に手を当てながら、その表情はニヤっとした様な顔になっていた。

その日は、布仏の表情が全く忘れられずにいた。

春万Sideout

 

虚Side

 

『体調には気を付けろよ』

 

兎野君は何気なく、私のことを心配してくれたようです。

その言葉を聞いて、一瞬惚けてしまいました。

ですが、その後、意味を確りと感じ取ると、私は体の芯から暖かくなり、心臓がドキドキと鳴り響いていました。

 

(嬉しい)

 

たった、そんな他愛も無い言葉である筈なのですが、彼にそう言って貰えたことがとても嬉しく感じてしまいました。

その顔は間違いなく真っ赤に染まっていたのでしょう。

 

「ありがとう、ございます」

 

そんな在り来りな返答しかできず、そそくさと開発室を後にしました。

開発室を出て、部屋に戻っても心臓の高鳴りが治まることは無く、顔に両手を当てると、とても熱くなっていました。

 

「ほっほ〜う。なにやらオモシロいことになっているな〜」

 

「な!にゃんですきゃ」

 

思わず噛んでしまいました。私が噛むことなど殆ど無いのですが、何故だかとても焦ってしまいました。

ダリルの目はオモチャを見つけた様な目をしており、今にも弄りたいといった感情が滲み出ていました。

 

「やっぱりデキてるよな〜。でもなんかお似合いだし、応援するゾ!!!」

 

「何を応援するのですか!!!」

 

「ん?お前、流石に気づいてるよな」

 

ダリルが何やら核心を隠しながら言ってきますが、はっきりいって本当に分かりませんでした。

 

「だから、何を?」

 

「え!お前、マジか・・・」

 

「???」

 

ダリルパンドラ頭を抱えながら、哀れみの目を向けてきました。

 

「はぁ、まぁでも、お前ら研究バカだもんな〜。どっちも鈍感ときたか」

 

「鈍感?」

 

ダリルと話している内に先程までの熱は、すっかり引きましたが、今度はダリルに頭を抱えられるという始末。

やはり少し疲れてしまったのでしょうか。そうですね。ここ最近ずっと先輩がやれないデスクワークの締切、スマッシュの研究に学園長に送る報告書、更識家に送る報告書に、先生に頼まれていた研究資料の整理等など、寝不足などが多く疲れが溜まってしまったのでしょう。

だからなのか、兎野君のあの一言が凄く心に染みたと言いますか、彼が気遣ってくれることが凄く嬉しいと感じました。

 

「というかホントに大丈夫か?さっきからふらついて、ってわわっ!!!」

 

あれ、先程から立ちくらみでしょうか。

視界が回っていま・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、

私が目を覚ますと、自室の天井でした。

更に横をちらと見るとそこには兎野君が椅子に座りながら寝ていました。

時刻は朝の10時。今日は平日であり授業も勿論あります。

すぐに起き上がろうとしたのですが、頭がズキっとし、起き上がることが出来ませんでした。

 

「っ〜〜」

 

「・・・ん?あ、起きたか。ったく少しは休めってんだよ。心配したぞ」

 

「わた、しは?」

 

「仕事し過ぎで、風邪引いたってことだ。休みの連絡はもうしてあるからもう少し寝てろ」

 

兎野君は私のことを心配そうな目で、私の頭をそっと撫でてくれました。

どうやらまだ胸の高鳴りは治まりそうにありませんでした。

 

 



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第28話:ラブコメは唐突に、続

虚Side

只今、絶賛混乱中の布仏虚です。

何故此処に兎野君がいるのでしょうか。

昨日、ダリルと話している内に身体が熱くなってきて、視界が徐々にボヤけていき・・・。

目が覚めた時にはベッドで寝ていました。

起き上がろうとしたのですが、頭がズキっとし、起き上がることが出来ず、頭がグラグラとしていました。

間違いなく風邪をひいていたようです。

問題はその次です。

何故か私の隣で兎野君が椅子に座って寝ていたのです。

 

「ん?なんで、そんな不思議そうな顔してるんだ?」

 

「え、えっと、なぜ、いるのですか?」

 

そう問いかけると、兎野君は呆れたような顔をしていました。

 

「お前が風邪ひいたのに黙って授業なんか受けれるか」

 

少し顔を赤くしながら私に言ってきました。

直ぐに申し訳なさそうな表情を浮かべ、

 

「何時も迷惑掛けてるし、原因は俺にあるかもしれないしな。せめてこういう時位は俺を頼ってくれ」

 

申し訳なさそうに、それでいて、とても優しい表情を浮かべながら、私の頭を、そっと撫でてくれました。

男の子に頭を優しく撫でられるなど初めてで、正直とても恥ずかしくなってしまいましたが、同時に兎野君は私のことを本気で心配してくれていることに、昨夜と同じく心がポカポカと暖かくなりました。

私自身、体調管理を多少怠っていたということもあるので、この様な失態を犯してしまいました。

更識家のメイドとしては失格です。

 

「そんなこと、ありません。寧ろ頼っているのは、私のほうです。迷惑などと思っていませんよ」

 

「それでもだ。前に俺が倒れた時も、何時も近くに布仏がいてくれたからな。弱ってる時に誰かが近くにいてくれると安心するだろ。まぁ、だから今度は俺の番だ」

 

誰でもいい訳ではありません。大切な人が近くにいてくれることに安心するのですね。

そんなことを言われたら、ドキドキしてしまいます。

今の私の顔はきっと真っ赤になっているでしょうね。

そう思うと、気恥ずかしく感じてきました。

私は不意に兎野君から目を逸らし、ベッドに潜るように顔を隠しました。

 

「そう、ですか。ありがとう、ございます」

 

「とりあえず、もう少し寝てろ」

 

「はい、おやすみ、なさい」

 

「あぁ、おやすみ、『虚』」

 

目を閉じ、薄れゆく意識の中で、私の心臓はひたすら速く鼓動を打っていました。

この感情に名前があるのであれば、誰か私に教えてください。

虚Sideout

 

春万Side

昨夜に遡る。

布仏達を見送った後、心のざわつきを振り払うように、一人で新たにフルボトルの作成に没頭していた。

ダリルとの模擬戦に向けて、新たなフルボトルを使うことを決めていた。

ダリルは俺のビルドをよく知っており、更には今回から専用機ということでもあり、ダリルには大きなアドバンテージがある。

今回は盗まれることが無いよう、クローズドラゴンを待機させて、その上ロックも更に厳重にしてある為、盗まれる心配はないだろう。念には念を入れて隠しカメラも用意してある。

その為、今は安心してダリルとの模擬戦に使用するフルボトルと戦術を練りつつ、新たなフルボトルとの出会いにワクワクしていた。

そんな中、突如開発室の扉が開いた。

 

「は、春万!!!虚が、虚が」

 

扉を開けたのはダリルであった。だが、その表情は穏やかではなかった。

 

「どうした、布仏に何かあったのか?もしかしてスマッシュか!いやだが、アラートは鳴っていないし」

 

「いや、スマッシュじゃない。けど、虚が倒れたんだよ!!!」

 

布仏が、倒れた?

そう言われた瞬間、俺は急いで布仏の元へ走った。

 

 

 

部屋に着くと、ダリルが運んだのか、布仏はベッドに寝ていたのだが明らかに辛そうな表情をしていた。

頭の額を触ってみると、明らかに常時よりも熱くなっていた。

 

「熱だな。でもこの時間じゃ、ファルティナ先生も居ないだろうな。明日までどうしようもないな」

 

「オレ、風邪ひいたことないからこういうの分からないんだよ」

 

「記憶喪失の俺にそれを言うか」

 

「え?お前、記憶喪失なの?マジか!!!」

 

そういえば、ダリルにはは俺の記憶が無いことを言った覚えがなかった。

やってしまったと思ったが、今はそれどころではない。

 

「その話はまた今度な。とりあえず、額冷やさないと。氷水と濡れタオルを用意してくれるか?」

 

「お、おう。分かった」

 

とりあえず病人への対処法は考えれば大体わかる。

汗をかかせて、体に溜まった熱を出させる。

ただ、汗をかいたままにしては風邪を悪化させるだけなので、適度に拭かなければならない。

 

「体はダリルに拭かせるか。後は経過を見守るだけだな」

 

「ほい、これでいいのか?」

 

「あぁ、助かる」

 

それから俺は付きっきりで布仏の看病をしながら、一夜を明かした。

 

早朝、

今日は未だ平日であるため授業もあるのだが、布仏がこんな状態では授業なんか集中出来ないだろうと思い、ダリルに休むことを伝えた。

 

「それじゃ、行ってくるわ。一応、本宮先生には言っとくが、それが通るかは分からないぞ」

 

「後で補習なりなんなり受けると言っておけば、なんとかなるだろ。とりあえず頼むわ」

 

「はいよー(たく、こいつら早くくっつけ!!!)」

 

ダリルは何故か俺に対して生暖かい視線を送りながら部屋を出ていった。

それからは布仏をちょくちょく経過観察しながら、うとうとしていた。途中、

 

(布仏が眼鏡を外した顔見たこと無かったな。眼鏡を外しても美人なことに変わりないな)

 

などと考えていたのは内緒だ。

そんな時、布仏が目を覚まし、此方を見て目を見開いていた。

それから少し話しをして、

 

「ーーーおやすみ、なさい」

 

少し安心したのだろうか、いつもと違い、とても柔らかな笑顔をしながら目を閉じた。

俺もそれに返すように、

 

「あぁ、おやすみ、『虚』」

 

そう、自然に口から漏れた。

布仏には聞こえなかったようだが、そう言った俺は少し気恥ずかしくなっていたが、とてもしっくりときていた。

 

それから昼過ぎ頃にお粥を作っていると、ファルティナ先生が部屋を訪ねてきた。

ファルティナ先生に布仏の体調を診てもらった所、やはり疲れによって風邪を拗らせてしまったようだ。

 

「でも、対応が早かったみたいだね〜。これなら今夜中には熱は引くと思うよ〜。春万くんはグッジョブだね〜」

 

「いや、原因は俺にあると思うので。本当はこんなことにならないように、少し休んで欲しかったんですけどね」

 

「虚ちゃんは君の為に頑張りたかったんだと思うし、そんなふうに思い込むこともないと思うよ〜。ちょっと頑張り過ぎちゃっただけだし」

 

俺の為に。

そう思うと、余計に申し訳なくなってしまった。

実際、何時も無理やり付き合わせてしまっているので、やるせない。

そんなふうに思っていると、

 

「君も、虚ちゃんの為に頑張ってるでしょ〜。お互い様。持ちつ持たれつの良い関係だね」

 

「・・・そう、ですかね。うん、そうですね」

 

「うんうん、素直でよろしい。それじゃあ後は私が看てるから、戻ってもいいよ〜。あと、明日はちゃんと登校すること」

 

ファルティナ先生には本当に何時も助けられる。

何だかんだで俺達のことを何時も見守っていてくれる。

本当に有難い存在だ。

 

「分かりました。あ!さっきお粥作ってみたので、布仏が起きたら食べさせてあげて下さい。味は安心していいですから」

 

「了解〜!!!それじゃ、お疲れ様」

 

「布仏をお願いします。それでは」

 

布仏をファルティナ先生に任せて、俺は部屋を後にした。

 

 

 

翌日、

登校する前に織斑先生に呼ばれた。

案の定、放課後に昨日の補習を行うことを言われ、ダリルとの模擬戦は延期になってしまった。

 

(後でダリルに謝っとこ)

 

そうして教室に入ると、クラスメイト達全員が俺の事を見ていた。

 

「ん?な、なんだ?」

 

中には顔を抑えながら、チラチラ俺を見ていた。

そんな中、俺の後に布仏が教室に入ってきた。

 

「あ、兎野君。おはようございます。昨日は、ありがとうございました」

 

すると、布仏は頬を赤らめながら、昨日のことに対しての感謝を述べると、そそくさと自分の席に着いてしまった。

俺も追うように席に着いた。

 

「おはよう。体調はもう大丈夫か?」

 

「はい、お陰様で。治りも良かったので」

 

「そいつは良かった」

 

そんなふうに話していると、本宮先生が教室へ入ってきた。

 

「おはようございます。お、今日はちゃんと来てるね。フフ、授業休んでまで看病しちゃうなんて、本当に仲がいいね」

 

するとクラス全員が俺達を生暖かい視線を送ってきた。

隣の布仏も不思議そうな顔をしていた。

みんななんかあったのかな?

 

 

何処までも鈍感な二人であった。

 

 

 

 



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第29話:始動せし地獄の咆哮

仮面ライダービルドであり、天才物理学者の兎野春万は前回、
「あー、前回はただのお前らのイチャイチャだったから大して話すことないだろ!!!まぁ、今回はオレが主役の回だ!!!春万、覚悟しておけよコラっ!!!」
あっそう。まぁ今回も俺が天才的にダリルをボコボコにするから、尺が足りるか心配だなぁ。
「言いますね。私もダリルの専用機に手を加えているのですよ。そう簡単にはやられませんし、ましては貴方を倒してしまうかも知れませんよ?フフ、覚悟しておいて下さいね?」
・・・・・・もしかして、今回、やばい?
「それは本編を見れば分かりますよ。それでは、第29話をどうぞ!!!」
「ちゃっかり春万のセリフ取っていく虚は流石だわ」
もう、何も言うまい・・・・。


虚Side

昨日風邪をひいた為に今日の放課後に昨日の補習を行うことになってしまい、ダリルとの模擬戦は延期になってしまいました。

ダリルは残念そうにしていたのですが、私が整備を出来なかったこともあり、週末に日程を合わせるということで納得してもらいました。

折角ですから整備科の方に依頼すれば良いのでは、と告げたのですが、整備科の方々には他のIS等の調整などで忙しい様で、予約を行っても来週以降になってしまうようです。

加えて、ダリルは私の方が安心して頼めると笑顔で言ってくれました。

そのように頼られては断ることなど出来ませんし、更にアメリカの新型専用機を弄らせて貰えるということに、とても魅力を感じてしまいました。

風邪の件もあり、ダリルには誠心誠意、全力で整備して、模擬戦の時には120%まで引き出せる様に頑張りたいと思っています。

兎野君には悪いですが、今回は完全にダリル側に回ってしまいました。

明日からまた働き詰めですね。

 

「布仏、この問題を答えてみろ」

 

「・・はい。7/5Xです」

 

「正解だ」

 

いけませんね。少し集中が欠けてしまいました。

隣の兎野君は相変わらず別のことを考えていますね。

今回はダリルとの戦略を考えているのでしょうか。

 

「今日はここまでだ。課題を出しておくから、それをやって補習は終わりだ。明日までに提出しろ」

 

「「ありがとうございました」」

 

そういえば、風邪のことで思い出しました。

 

「ところで兎野君、私と話した時に、眠る前に私の名前を言いませんでしたか?」

 

「え!今それ!!!」

 

驚きつつも、頬を紅くしていました。

兎野君もそのような顔をするのですね。一つ発見です。

虚Sideout

 

春万Side

 

「ところで兎野君、私と話した時に、眠る前に私の名前を言いませんでしたか?」

 

唐突の出来事に俺は驚いた。

布仏はあの時、未だ意識があったようだ。

 

「え!今それ!!!」

 

「その反応を見るに、やはり言ってたのですね」

 

「カマかけたのか?」

 

布仏はイタズラに成功したようなニヤリとした表情をしていた。

 

「いえ、そのような気がしただけです。女の勘といったものですね」

 

「女の勘って恐い」

 

布仏はその後何かを考える様に仕草をし、少し顔を紅く染めながらこう切り出した。

 

「せ、折角ですし、そろそろ名前で呼び合いませんか?そ、その、ダリルとは会った時から名前で呼んでいましたし、皇先輩とか生徒会長なども名前で呼んでいますし、私だけ仲間外れのような感じなので・・・・・・どう、ですか?」

 

どうですか、じゃない。

そんな上目遣いで肩を竦めながら見られたら断ることなど出来ないだろう。

 

「まぁ、今更感凄いけどな。虚、これでいいか?」

 

「はい。えっと、春万君」

 

「「・・・・・・ぷっ」」

 

お互い見詰めながらそう言うことに、可笑しさを感じ、二人して吹き出してしまった。

なんと言えばいいか、これが平和ということなのだろう。

こんな何気無い日常を守ることもビルドとして戦うことの意味でもあるのだろう。

 

「フフ、それでは。また明日」

 

「あぁ、また明日な。体調にはくれぐれも気を付けろよ」

 

「分かっています。それでは」

 

そう言い部屋に戻る虚の背中を見つつ、俺は開発室に向かうのであった。

 

 

 

週末、

今日はダリルとの模擬戦を行う日である。

前日に確りと準備もしてきた為に、準備は万端だ。

ただ、ダリルの使う専用機は、機体名は『ヘル・ハウンド』。

第2.5世代型のアメリカの最新機のようだが、概要は全くと言っていい程に分からない。

未だに戦闘を行った実績は無いようで、今回が初の実戦ということだろう。

新型だからといっても、相手はあのダリルだ。

ビルドとも戦闘経験があり、更にその隣には虚もいる。

最もビルドに携わってきた虚ならば、ビルドのウィークポイントを探り当てて来るだろう。

ビルドは各フォームごとに尽く変化させることで、ハザードレベルでは測れない強さを持つが、その分、フォームチェンジを封じられれば、力負けしてしまう。

前回、模擬戦でスカイナ生徒会長に負けたことによって、俺はISの底力というのを身をもって体感している。

無理に攻めるのではなく、相手を見極め、勝利の法則を導き出すことが俺の、ビルドの戦い方だ。

もしかしたら、今回の模擬戦でビルドに何か役立つことが見つけられるかもしれない。

そういう面でも、相手のISを確りと研究していこう。

 

「さぁ、実験を始めようか!」

 

【タカ】

 

【ガトリング】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「変身」

 

【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!】

 

俺はホークガトリングフォームとなり、アリーナに出撃し、颯爽と上空へ舞い上がった。

遅れてダリルもアリーナに出て来た。

その格好に俺は度肝を抜いた。

 

「両肩にイヌ?なぁにそれ?」

 

「どうよ、カッコイイだろう。オレの専用機!!!」

 

ダリルのヘル・ハウンドはフルフェイス型に近い造形であり、かつ装甲もかなり厚い。カラーも漆黒と言える様なダークグレーであり、犬はイヌでも、地獄の番犬=ケルベロスのように獰猛な姿であった。

 

「中々に面白いなりしてるな。それじゃあ、始めるぞ!!!」

 

俺は拡張領域からホークガトリンガーを取り出し、ダリルに向けて数発打った。

しかしダリルは弾丸をいとも簡単に避けてた。

その直後、ダリルの両肩に備えてあった犬の様な顔をした砲門をこちらに向けると、口が開きそこから火球を打ってきた。

しかしその弾速はアサルトライフルと変わらないレベルのスピードであった。

 

「うおっ、危な」

 

「まだまだ行くぞコラ」

 

ダリル自身から放たれる威圧も相当なものだ。

アメリカに戻ってから何かあったのだろう。明らかに以前戦った時よりも強くなっている。

技術もスピードも桁違いに上がっている。

ヘル・ハウンドとの相性が良いのか、戦局もやや押され始めてきた。

ダリルは加えて、瞬時加速を使い接近戦に持ち込んできた。

負けじと左手で振り抜いたが、簡単に捕まれ、逆にヘル・ハウンドの一撃をモロに喰らった。

 

「グハッ!!!」

 

「パワーもラファールなんかと比べ物にもならねぇぞ。にしてもしぶといな。ならこいつはどうだ?」

 

そう言うと、掴んでいたビルドの左手を手首辺りから確りとつかみ直すと、そのまま一気に急降下し、地面に俺を叩き付けた。

 

「グッ!」

 

地面に叩き付けた俺は、クレーターが出来るほどの威力であった為に危うく意識を飛ばしかけた。

未だSEは149と耐えきれていたが、それでも俺への肉体ダメージは半端なものではなく、立った時には足がふらついてしまうほどであった。

 

「へぇ!やっぱり未だ立てるよな。それじゃ今度はコイツだ。喰らえ《ヘル・ファイア》」

 

何かを切り替えるような音がなり、今度は両肩の砲門から火球ではなく、火炎放射をしてきた。

俺は咄嗟に拡張領域から消防車フルボトルとラビットフルボトルを取り出した。

 

【ラビット】

 

【消防車】

 

【Are you ready?】

 

「っ、ビルドアップ」

 

トライアルフォーム=ラビット消防車にビルドアップし、左腕のマルチデリュージガンから消火剤を放出し、火炎放射をを打ち消しながら、左足のホップスプリンガーをバネのように伸縮させ、緊急回避を行った。

一気に壁際まで跳び上がり、火炎放射から逃れると、一箇所に固定しないように、ひたすら跳び回った。

 

「ちょこまかと、それならコイツだ。《ヘル・ハウリング》」

 

またしても何かが切り替わる音が鳴ると、ヘル・ハウンドの砲門から火炎放射ではなく、超音波を発し始めた。

 

「う、うるせぇ。たく、音量調整しろぉー」

 

ダリルは悪態を吐きながらもアリーナ全体に響き渡る《地獄の咆哮=ヘル・ハウリング》を放っていた。

その圧倒的不快音に俺の足も止まってしまった。

 

「へへ、足が止まったな。んじゃもういっちょ!!!」

 

もう一度、瞬時加速を行い右腕を振りかぶってきた。

俺はダリルが動く前に危険を察知し、もう一度拡張領域からフルボトルを取り出し、ドライバーに挿し込んだ。

 

【忍者】

 

【コミック】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【忍びのエンターテイナー=ニンニンコミック】

 

ニンニンコミックにビルドアップすると同時に、拡張領域から4コマ忍法刀を取り出した。

 

【分身の術】

 

4人に分身し、後ろに跳び上がる。

跳び上がった場所に丁度ダリルが右腕を振り抜き、クレーターを作っていた。

今回、アリーナにクレーターばっか作ってしまっている。

 

「だぁー、避けんなコラ」

 

「「「「避けるに決まってるだろ!!!」」」」

 

【【【【火遁の術=火炎斬り】】】】

 

「「「「はぁ!!!」」」」

 

4人で一斉に火炎斬りを行った。

しかし、ダリルはその場で回転し始めた。

 

「洒落せぇ!《ヘル・バーン》」

 

その場で回転しながら、両肩から火球を連続して放射してきた。

4人の俺達は全員火球を喰らってしまった。その為に分身は全て消されてしまった。

 

「たく、やってくれるな本当に」

 

「おぅ、どうだオレの『ヘル・ハウンド』はよ。虚の整備もあってか、めちゃくちゃ調子がイイんだぜ」

 

「はぁ。虚は敵だと厄介極まりないな」

 

「それじゃ、そろそろお前も見せろよ。ちゃんと用意してるんだろ?」

 

「おうとも。ヘル・ハウンドのことはだいたい分かった。さぁ、本日2回目の実験を始めようか!」

 

俺は拡張領域から新たに水色と緑のフルボトルを取り出した。

 

「昨日出来上がった新作だ」

 

いつもの様にフルボトルを振り、その効果を高めていく。

ダリルは律儀に待っていてくれるようだ。

ならば、誠心誠意、応えねばならない。

フルボトルを振り終え、ビルドドライバーに挿しこみ、レバーを思いっきり回し、実験場を作り上げる。

 

【海賊】

 

【電車】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【定刻の反逆者=海賊レッシャー!!!イェイ!!!】

 

右肩には船の様な形を模したものから漆黒のマントをたなびかせ、左腕には電車のレールと信号を模した様な黄緑色の腕を露出させながら、髑髏の瞳が地獄の番犬を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




キャラ設定集にヘル・ハウンドの大まかなことを載せておきました!!!


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第30話:永久に突き進みし反逆者

春万Side

 

【定刻の反逆者=海賊レッシャー】

 

俺は新フォーム、海賊レッシャーフォームにビルドアップし、ダリルのヘル・ハウンドを見つめていた。

 

「海賊?新しいヤツか。やっぱりあるだろうなって虚が言ってたな。だけど、寄りにもよってベストマッチかよ」

 

ダリルは俺の新たなフォームに驚きつつも、想定の範囲内と捉えているようだ。

それから、ダリルの『ヘル・ハウンド』をもう一度よく観察し始めた。

能力的には第2世代を圧倒的に凌駕しているが、その分の莫大なエネルギーを補うのは現技術では、長時間運用は難しいだろう。

その為、そろそろガス欠になりかねない状態だろう。

燃費を抑えた戦いをさせないように、虚が考える様な戦術を想定し、それの裏をかくために、対策を重点的に置いてきそうなベストマッチはあえて避けた。

ダリルと正面から真っ向勝負するには、どうしてもパワーが足りない。ゴリラモンドは完璧に対策されているだろうから使えなかった。

今回の海賊レッシャーフォームがダリルに有効かは未だ分からないが、やってみる価値はある。その為の秘策も用意している。

 

「それじゃあ、行くぞ!!!」

 

俺は拡張領域からドリルクラッシャーを取り出し、ガンモードへ変え、両肩に付いている特殊武装を狙い撃つ。

ダリルは咄嗟にそれを最低限の出力で避け、カウンターとしてヘル・ファイアを撃ってきた。

お互いに撃ち合う射撃を避け続けること、約10分、その時が来た。

ダリルの両肩の砲門から火球が放出しなくなった。

火を生成するエネルギー尽きたようだ。

 

「ちっ、エネルギーが尽きたか」

 

「やはりな、最初から飛ばしすぎなんだよ。これで見えたぞ」

 

俺はいつもの様に勝利を確信し、左手を左目になぞるようにモーションを行った。

 

「勝利の法則は決まった!!!」

 

しかし、ダリルの顔はそれすらも想定内の様な顔をしていた。

虚がその事を想定していないはずはないか。

しかし、特殊武装が使えなくなったこの状況で、ダリルに残されるのは、その腕っ節のパワーだ。ナイフ戦闘も視野に入れるが、接近戦を許さなければ、確実に勝てる。

 

「来い、『海賊ハッシャー』」

 

ドリルクラッシャーを拡張領域に戻し、掛け声と共に拡張領域から水色の弓型の武装を取り出した。

 

「なんだそれ?弓か?」

 

「新開発した最強武器だ。まぁ、その威力は身をもって味わっていけ」

 

そう宣言し、海賊ハッシャーに備え付けてある電車型の攻撃ユニット『ビルドアロー号』を射撃攻撃時件、エネルギー供給用のレール『トレインホームチャージ』になぞるように引き、攻撃モーションをとる。

軽くエネルギーが溜まった所で、ビルドアロー号から手を離す。

すると、ビルドアロー号がエネルギー体となりダリルに向かって、矢の如く放たれた。

ダリルはそれを簡単に避けたが、俺は追撃を行い4発目でダリルに直撃させた。

 

「グワッ。な、なんだこの威力。ガトリングの十発分かよ」

 

「驚くのはまだ早い」

 

更に俺はビルドアロー号を引き、今度はエネルギーを溜める。

 

【各駅電車】

 

そう鳴った所でビルドアロー号から手を離し、もう一度ダリルに向けて放つ。

 

【各駅電車=出発!!!】

 

「危ねぇ、そう簡単に当たってたまるか!!!」

 

先程よりもエネルギーが溜め込まれたチャージショットを行った。

ダリルは避けようとしたが、海賊ハッシャーのグリップ部分である『ブレイグリップ』には動作感知システムが搭載されており、敵の挙動や使用者の癖等を記録、分析し常に最適の攻撃を行うことができるようになっている。

ダリルの機動は既に記録されているので、最早ダリルに俺の攻撃を避けることは出来ない。

しかし、まだ各駅電車のスピードはチャージショットの中でも最も遅い。ダリルが避けている内に、もう一度ビルドアロー号を引っ張り、エネルギーを再チャージする。

 

【各駅電車】【急行電車】【快速電車】

 

【快速電車=出発!!!】

 

「ちっ!こいつ」

 

先程の各駅電車よりも速く威力の重い快速電車でダリルの致命的なダメージを与える。

それからトドメの一撃として、ビルドアロー号を引き再々チャージを行う。

狙いは完全に修正を終え、確実に当てる自信がある。

 

【各駅電車】【急行電車】【快速電車】

 

ビルドアロー号にフルチャージを告げる音が鳴る。

 

【海賊電車!!!】

 

ダリルに快速電車の攻撃がヒットし、ダメージによる停止状態中に、ビルドアロー号から手を離し、海賊ハッシャーの最高威力の必殺技を放った。

 

「これでフィニッシュだ」

 

【海賊電車=発射!!!】

 

最高威力を誇る海賊電車は一撃当てるだけでは消えず、何度も何度も追尾し、相手の残りSEを完全に消滅させるまでひたすら攻撃を続ける。

海賊レッシャーフォームは左目の『レフトアイ海賊』によって、視認されているターゲットに対し、敵の攻撃を見極める能力なども備えているため、動きをより理解しやすく、ターゲットを逃すことは無い。

ダリルにひたすら攻撃を続けるビルドアロー号にエネルギー切れのヘル・ハウンドは為す術もなく、SEを完全に削り切った。

絶対防御が発動し、模擬戦は終了となった。

俺は変身を解除し、アリーナで寝転んでいるダリルに歩いて近づいて行った。

 

「今回も俺の勝ちだな、ダリル」

 

「だぁー、くっそ。今回は勝てると思ったんだけどなぁー。毎度毎度チートアイテムばっか出しやがって」

 

「そんな、もっと褒めてくれ。この天っ才物理学者の俺を、この大発明を!!!凄いでしょ!最高でしょ!!天っ才でしょーーー!!!」

 

「Fa○k!!!」

 

ダリルは恨めしそうな顔をしながら、中指を立てて、俺に悪態をついた。

今回の実験は大成功で終わることが出来た。

今回のベストマッチフォームである海賊レッシャーフォームは、今後もかなり有用に使えるだろう。

ホークガトリングフォームは空中からの広範囲攻撃を可能とし、この海賊レッシャーフォームは一点集中型の遠距離攻撃を可能とした。

これならばブラッドスタークやナイトローグにも充分通用するだろう。

加えて、今回、ダリルの使ったヘル・ハウンドからも興味深い能力を見ることが出来た。

ナノマシンの炎を用いた武装。

まだまだ未完成な代物のようだが、ビルドにも充分使える技術である。

せっかくだから開発部全員で取り掛かれば、想定以上のものが出来るだろう。

それにしても、第2.5世代型がこれ程強力であれば、第3世代機はかなり未知なる技術に溢れているのではないだろうか。

その技術をビルドに活かすことが出来れば・・・。

 

(ISにも興味が出て来たな)

 

後に、俺はこの学園でISにより積極的に触っていくのであった。

 

 

 

アリーナから出て、現在食堂で虚と夕飯を食べていた。

ダリルは眠いらしく、早めに部屋で休んでいる。

それにしても、先程まで戦っていたからだろうか、体が少し重く感じた。

しかし、疲れを感じている暇などない。開発室に戻ったら、今回の戦闘データを取り出し、ビルドドライバーと海賊ハッシャーのメンテナンスを行わなければならない。

加えて明日から12月であるため、生徒会で何か会議を行うらしい。

 

「春万君、どうしました?先程からボーッとしていますが。どこか体調が優れないのですか?」

 

「いや、明日の会議のことを考えると憂鬱に感じてな」

 

「そうでしたか。明日は月一の先生を含めた会議でしたね。それでしたら、ドライバーのメンテナンスも今日の内にやっておかないといけませんね」

 

「そうそう。研究したいな〜」

 

「フフ、仕方ありませんよ。明日はなるべく早く終わらせられるように頑張りましょう。メンテナンスは私も手伝いますから」

 

「別にいいぞ?病み上がりだろうし」

 

「お構いなく。2人でやれば直ぐに終わるでしょう。早く終わらせて体を休めて下さい」

 

虚は微笑みながら俺にそう言った。

虚と会ってから、最初は余り笑わず仏頂面の多かったのだが、この半年程で笑顔が増えるようになった気がする。

それも、とても可愛らしく年相応の屈託の無い素敵な笑顔だ。

思えば、いつも迷惑をかけて、それに呆れた顔をしながらも最後まで付き合ってもらったり、怪我した時には誰よりも早く、それでいて隣にいてくれている。

本当にいいパートナーだと、俺は切実に感じた。

 

「?」

 

虚は首をコテンとしながら俺を不思議そうに見ていた。

 

「それじゃ、よろしく頼むわ、虚」

 

「っ///はい!!!」

 

俺達はいつもの様に開発室に向かっていくのであった。

 

2人の距離は始まりの時から少しづつ縮まっていっていた。

 

 

 

 

 



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第31話:生徒会での一幕

仮面ライダービルドであり、天才物理学者の兎野春万は前回、ダリルのヘル・ハウンドに苦戦を強いられるも、最強の海賊と電車の見事なベストマッチで倒すのであった。
今回もやっぱり俺ってば天才だな〜。
特にこの海賊ハッシャー。これを考えた俺を褒めてやりたくなくな。
「あの、春万君。口を開かずに手を動かしてくれませんか?貴方がやったのですから、ちゃんと元通り以上までに整備して下さい。ほら、ダリルなんかそこでいじけちゃってるんですよ!!!」
あ、はい、すいません。
それじゃあ気を取り直して、第31話どうぞ。


虚Side

模擬戦から数日、私達は今、机でパソコン画面と対峙していました。

そのパソコンの隣には山のような資料が佇んでおります。

学園の主な運営は生徒会が行うため、その為のイベント作成や予算管理なども行わなければならないので、正直ブラック企業です。

春万君も口から魂が抜け始め、ひな先輩は既に頭から湯気が立ち上っていました。

 

「グヌヌヌヌ、何故こんなに仕事があるんだーーー!」

 

「けん、きゅう、したい・・・」

 

二人とも余りの仕事量に嘆き始めました。

私も正直この量の仕事が、我々生徒会に回ってくるとは思いませんでした。

スカイナ会長はデスクワークを苦手としているために、肉体労働の方にかり出ています。肉体労働というのは、部活動への助っ人などです。

ジブリア先輩は黙々と仕事をしています。

多分ですが、私達が入るまではジブリア先輩だけでデスクワークを回していたのだと思います。

 

「にしても、なんでこんなに仕事あるんだ?」

 

「体育祭が無くなったからでしょ〜。まぁ、仕方なかったんだけどね〜。最後の体育祭くらいやらせて欲しかったな〜」

 

体育祭が無くなった理由は、10月に行われたキャノンボール・ファストが原因でした。

スマッシュの襲撃を受け、本格的に警備に問題があると考えた為、外部の人間を学園内に入れることを危険視した結果、学園警備を厳重にし、問題を完全に解決するまでは催し物を控えるというお達しが上の方から来てしまいました。

仕事が増えたのも、体育祭が無くなったための事後処理や生徒がその事に対して不満を申してきたので、それの対応と新たな催し物の企画案の考える事等、まだまだ仕事があります。

キャノンボールの件を聴いた時は春万君は顔を少し苦くしていましたが、私と目を合わせた時に吹っ切れたような顔をしていました。

もう心配は必要なくて良かったです。

 

「とりあえずデスクワークはキリのいいところまでで、体育祭の代理案を考えるぞ」

 

「ひなた〜、そんなこと言ったて、もう12月入っちゃったし〜、あと何があるの〜?」

 

「私にそう言われても知るかー!!!・・・・・お、おい後輩!!!なんかないのか」

 

最早ひな先輩は完全に考えることを放棄しています。

その上無茶振りです。ダメダメ上司で困りますね。

 

「無茶振りしないで下さい。それに無くなったならもういいじゃないですか」

 

「そうはいきませんよ。生徒の要望に応えるのも生徒会の務めですから。それに、3年の先輩方は最後の行事もせずに送り出す訳にはいきません。ちゃんと思い出に残る何かを考えましょう」

 

「布仏は真面目だな。後輩も見習ってとけ」

 

「いや、虚も後輩でしょ!!!」

 

 

 

 

それからなんだかんだと時間が過ぎてゆき、ホワイトボードに幾つかの案を出しました。そこから実現可能か案を練り直し、予算等の問題をまとめ、ようやく代理案が決まりました。

 

「それじゃ、この『クリスマス会』ってので良いな?ってかクリスマス会って餓鬼かよ」

 

「いいじゃない〜。女の子はこういうので盛り上がるしね〜。よし、気合い入れてやろう〜!!!」

 

「・・・まぁ、しょうがないから付き合ってやるか」

 

ジブリア先輩はとてもやる気のようですね。

ひな先輩は俗に言うツンデレというのでしょうね。可愛いらしいです。

私も昔、お嬢様達とひっそりやったことがありますが、学園全体で行うことに凄く興味が惹かれます。私も女子ですし・・・。

ただ一人、その場の勢いに着いて行けてない人がいます。

 

「なぁなぁ、クリスマス会って何やるの?知らないんだけど・・・」

 

春万君はそういうイベント事にはかなり疎いのは、今に始まったことではありませんし、多分、記憶を失う前も研究しかしていなさそうでした。

 

「クリスマスは分かりますよね?それを大きくしたイベントと捉えればいいと思いますよ」

 

そう言われても、頭に?マークをひたすら浮かべていましたが、そこら辺はイベントの準備をしていれば分かるでしょう。

しかし、学園全体で行うとしても中身をどうするかは生徒達の要望があった方が分かりやすそうですね。

その事を先輩方に進言してみたところ、

 

「んー、それなら各学年の担任の先生にクラスごとでどんなことをやりたいかを決めた方がいいかな〜。そうだ!せっかくだからクリスマスプレゼントも用意しましょ〜!!!」

 

「待て待て、そんな予算あるのか?」

 

「計算してみましょう。少し待っていてください。・・・・・・・あるにはありますが、もう少し予算が貰えればマグカップ辺りは大丈夫そうですよ。約一人あたり500円前後と言ったところですね」

 

「よし、それなら学園長と相談して引き出すぞ。ジブリア、お得意の交渉術で奪ってこい」

 

「おっけ〜!!!任せて〜」

 

ひな先輩がとても悪どい顔をしながらジブリア先輩に頼んでいました。

ジブリア先輩も、このクリスマス会にやる気を出しているので、二つ返事で了承していました。

ジブリア先輩は学園で屈指の交渉術を持っており、IS委員会との交渉話がある際は必ず同行する程、交渉に長けています。

そんな方が学園長に、ですか・・・。

正直、交渉の際は絶対に会いたくないですね。

 

 

それから更に時間が進み、既に時間は20時を越えていました。

残った事務仕事を片付けを漸く終わらせることが出来ました。

 

「疲れたー!!!なんか喉乾いたな。おい後輩!お茶」

 

「それなら私がやります」

 

春万君の場合、コーヒーは普通に入れるのですが、何故か激甘のコーヒーであったり、紅茶も激甘になっていたりと、兎に角、春万君に任せるのは危険なので私がそそくさとお茶を入れに行きました。

 

(茶葉は・・・紅茶しかないようですね。休みの日に茶葉を買っておきましょうか)

 

私はお嬢様に出す時と同じようにお茶を入れて、皆さんに渡しました。

渡された人達は静かに紅茶を飲み始めたのですが・・・。

 

「・・・・・・・・美味っ!」

 

先ず声を上げたのは春万君でした。

その後に、先輩達も固まっていたのですが、直ぐに意識を取り戻したのか、私の方を驚く様な目見ていました。

 

「お、お前・・・な、なんだこれ?ホントにあの紅茶?」

 

「え、えぇ。置いてあった茶葉を使っただけですが・・・」

 

「これは、凄い才能持った子が入ってきたものだわ〜!!!本当に美味しいわ〜。もっと早く飲みたかったな〜!!!」

 

「よ、よし。布仏!!!お前をお茶入れに任命決定!!!異論はなし!!!」

 

私の役職が会計件お茶入れ係になりました。

紅茶を飲み終わったあと、今日の仕事は終わりということで解散となりました。

明日からまた忙しくなりそうですね。

虚Sideout

 

「あれ?儂の出番は?無いのか?」

 

出番が全く無かったスカイナであった。

今日もIS学園は平和です。

 



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第32話:クリスマス会への準備

仮面ライダービルドであり、天才物理学者の
「なぁなぁ春万〜!!!」
ダリル、今ナレーション中だから。空気読め!!!
「テスト、どうだった?」
テスト?それがどうしたよ。ついこの間終わったでしょうが。
「オレさ、赤点ギリギリだったのよね」
「ダリル、こんな所に来る前に勉強しなさい」
「虚〜!そんなこと言わないでさー。てかお前らはどうだったんだよ!!!」
春万:満点
虚:満点
「この裏切り者共めーーー!!!」
さてと、こんなダリルは無視して、第32話どうぞ!!!


春万Side

俺達は朝のホームルームを使って昨日のイベント情報をクラスの皆に報告した。

 

「ということで、生徒会主催でクリスマス会を行うことになりました。奮って参加してくれ」

 

「春万君、説明が適当過ぎです。もう少しわかりやすく言ってください」

 

虚に怒られてしまった。

少しめんどくさいが、ちゃんとクラスの皆に分かりやすいように要約して説明をした。

 

「ハイハイ、えぇー、クリスマス会の内容を要約すると、クリスマスの前日に体育祭代わりの大会を開きます。上位入賞者には豪華景品をプレゼントー。参加は自由なだから、奮って参加してくれ。以上」

 

「あ、あのー、質問いいかな?」

 

フワッとした様な少女が手を挙げて質問してきた。

 

「どうぞ」

 

「えっとー、豪華景品って具体的になんですか?」

 

その質問は予想していたので、虚が冷静に対応してくれた。

 

「詳細などは本番のお楽しみですが、一つ挙げるとすれば『来年から食堂でのデザート無料券1年分』などですかね」

 

皆の求めているものなどお見通しです、と言わんばかりの笑みで質問に答えた。

それを聞いたクラスメイト達の目が一瞬にして餌を狙う獣の獰猛な目へと変わった。

 

「「「よっしゃーーーーやるわよーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」」」

 

最早女子高生の本気をその場で感じた俺であった。

と言うよりも、それほどデザート券が欲しいのか?

かく言う俺も欲しいのだが、今回生徒会メンバーは運営に全神経を注ぐために参加を封じられた。

元々、生徒会メンバーは最強軍団の塊なので、このイベントに参加する訳には行かないそうだ。

先輩達の為の思い出作りイベントの筈なのだが・・・。

まぁ、細かいことは気にしない気にしない。

 

「はいはい!大会ってISバトルをやるってこと?」

 

「いいえ、その内容を生徒の皆さんに考えてもらいたいのです。今日から1週間の間、生徒会宛てのアンケート用紙にやりたい事などを書いて提出してください。勿論提出は自由です。そして、イベント内容を承認された方にも賞品を用意しています。折角ですから、皆で最高のクリスマスを作りませんか?」

 

天然なのだろうが、キリッとした美人である虚が、クラスの皆を誘惑するようにそっと自分の想いを告げた。

横で見ていた俺も少しの間惚けるくらい強烈な仕草であった。

正直、めちゃくちゃグッときました。

勿論クラスの皆はというと、

 

(((((/////何この子、超ステキ//////)))))

 

ご覧の通りの反応であった。皆顔を紅くしながら首を縦に何度も頷き返していた。

 

「・・・フッ、チョロいですね」

 

ボソッと俺に聞こえる程度の声でそう呟いた。

虚は人心掌握術を持っているようだ。

恐るべし、更識家。

この一瞬で、その後『IS学園のお姉様』と呼ばれる程、多くの女子達を虜にしていくのであった。

その時の俺はというと、

 

(・・・・女って恐い)

 

虚は怒らせないようにしようと心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、

生徒会宛てに大量のアンケートが届いていた。

全てクリスマス会用の発案内容のアンケートである。その数、およそ1000枚近く。

たった一日でここまで送ってくるとは思わなかった。

 

「おいおいマジかよ。これ全部見るのか!」

 

「ハハ、今日も、研究は、出来ないな〜」

 

俺は半場諦め状態に陥っていた。

斯く言う、虚はそのアンケートを一枚一枚見ていき、仕分けを始めた。

その目は何故か普段より活き活きしていた。

 

「あの、虚?なんでそんな楽しそうなの?」

 

「へ?楽しそう、ですか?そ、そういうつもりはないのですが。そうですね、やりがいのある仕事をしている事が楽しく感じているんです。学生生活にもやりがいのある仕事ががあるのも醍醐味の一つですよ!!!」

 

虚にとって、仕事をしている時は自分の存在感を感じられるようだ。

元々、更識家のメイドとして仕えてきた為に、仕事に対してプライドとやりがいというのを見出してきたのだろう。

 

「お前はOLか!仕事一筋の仕事人間か!!!」

 

ひな先輩がドン引きの目で虚を見ていた。

虚もまるで心外であるような表情をしていたが、否定した所で、その染み付いた仕事人間の性格が変わることはないだろう。

俺はそんな何気ないやり取りを見つつ、アンケートの内容を見て精査を始めた。

アンケート内容にはあきらかに駄目な内容もあったが、そのようなものを全部排除した結果、

 

『ダンスパーティ』『プレゼント交換』『エキシビションマッチ』等など

 

など、在り来りであるが、充分思い出に残せるイベント内容だろう。

その上でサプライズを用意しておけば充分だろう。

イベントを考えることも大変だ。

大方の内容が決まっていき、今日の仕事は終わった。

虚がお茶を入れてくれる中、スカイナ会長はというと、簡単な書類作業を行っていた。

 

「会長は一体何してるんですか?」

 

「ん?いや何、そろそろ生徒会も引き継ぎに入るからな。それの事務作業だ」

 

「早いな〜。このイベントが終わったら卒業だけか〜」

 

3年生はこのイベントが終わると、全学年で行うイベントは無いのだ。

残すは卒業前の学年トーナメントのみとなる。

整備科の人はそのトーナメントの為に最高の整備を行うことが卒業製作に近いものであるのだ。

先輩達にとっては、そのトーナメントで、これまでの全てを出し切ろうとする為、かなり空気が重くなるらしい。

今回のイベントはそんな空気になる前に行える、最後の楽しく皆で出来るイベントなのだろう。

 

「あ!そういえば、次の生徒会長、お主だからな春万」

 

「・・・え?俺?」

 

「まぁ、妥当か。頑張れよ後輩。生徒会長はマジでキツイからな」

 

どうやら、最後の最後でまた爆弾を残していくのであった。

 

 

 



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第33話:スタークの陰謀

『ビルドだと思ったか?残念だったな、ブラッドスタークだ。今回はオレが主役だ。今回、春万はまぁ脇役だな』
っておい、スターク!!!何勝手に俺のナレーション始めてんだよ!!!
『ん〜?なんだよ、いい声してんだろ〜。声の仕事は得意なんだよ』
何言ってんだお前!!!それにここの主役は俺だぞ!!!俺!!!
やられ役のサブキャラは引っ込んでなさい!!!
『フッハハハ、つれないねぇ〜。そうカリカリするなよ、仲良くやろうぜ春万ぁ〜』
お断りだ!
『まぁオレが久々に活躍する第33話、見てくれよ』
スターーーーーク!!!。


春万Side

あれから数日、

クラスでは少しづつクリスマス会に向けて準備を始めていた。

俺は俺で時間が空いた時は開発室に篭もって研究を続けている。

ただ、ココ最近・・・、

 

「じーーーーーーーーーーー」

 

目を開けずにじーーー、とか言っている子にストーキングされている。

というか見えてる?

何故なのか、ここ最近あの銀髪の美少女、クロエさんにストーキングされていた。

ただ、俺が彼女の方を振り向くと直ぐに隠れてしまう。

加えて、彼女に声をかけようとすると、どこかへ逃げてしまう。

虚に相談をしたのだが、何故かゴミを見る目で、

 

「そうですか。良かったですねモテモテで。では、仕事がありますから」

 

など言われてしまった。

かなり辛辣な対応をされて、正直悲しくなっていた。

しかし、実際本当に何故、俺をつけるのかがわからない。

元々、束さんの助手の様な立場にいた少女であり、スマッシュにされ、助けて以来話していない。

1組に配属された様だが、その後は織斑先生がサポートしていただろう。

こうして考えると、何か俺にお礼でもしようとしているのだろうか?

そこで俺はもう一度声を掛けてみた。

 

「えっと、クロエさん?」

 

「っ!」

 

驚いてまた隠れてしまった。

流石に何度もそのようなことをされると、俺自身もむず痒い感覚に襲われらるため、逃さないように走って捕まえた。

 

「キャ!!!え、えっと・・・」

 

「とりあえず、俺になんか用か?ここ最近、ずっと俺つけてたよな?どうして?」

 

「そ、それは、その・・・・申し訳ございません。少し、お話をしたかったのですが、その、いきなり声を掛けるのは、失礼だと思いまして」

 

「なんだそんな事か。それじゃあ、開発室来なよ。あそこならゆっくり出来るし、お茶も出せるから」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

俺はクロエさんを自身の部屋である開発室に呼んだ。

着くまでは目が見えないこともあり、制服の裾をチョコんと掴んで付いて来ていた。

その仕草はとても可愛らしく普通の美少女であった。

こんな子がこれまで壮絶な人生を生きてきたということが、少し信じられない様な感覚を感じた。

 

開発室に着くと、俺はポットにお湯を沸かしながら、クロエさんに椅子を用意し座ってもらった。

目を閉じながらも、周りをキョロキョロと見渡していた。

目を閉じていてもボーダンオージェのハイパーセンサーを利用して周囲を感覚で感じているのだろう。

ポットのお湯が湧いたようで、取り敢えず置いてある紅茶を入れ、クロエさんに出した。

 

「紅茶で良かったかな?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「それで、話って?」

 

「用と言えるほどのお話ではありませんよ。ただ貴方とちゃんとお話したかっただけですよ。加えると、お礼も兼ねてでしたが、何も用意しておらず申し訳ございません」

 

「本当に、ただ話したかっただけ?」

 

「はい、そうですよ。その、付けるような真似をして申し訳ございませんでした」

 

クロエさんの目的は俺とただお話がしたかっただけのようだ。

嘘を言っているようには感じない。

それに加え、この子からは何か不思議な雰囲気を醸し出していた。

ミステリアスと言ったところだ。

 

「あの時は助けて頂き本当にありがとうございました。こうして学園に何事も無く通えているのも、兎野さんのお陰です」

 

「いや、俺は特に何も。ただ君がスマッシュになって暴れている所を止めただけだし。学園でやって行けるようにしたのは織斑先生の尽力の方が大きいし、束さんも関わっているだろうからな」

 

「束さん?兎野さんは束様と面識があるのですか?」

 

「あの後にね。まさかパンドラパネ・・・っとごめん、なんでもない」

 

「パンドラパネルのことですね。知っていますから大丈夫ですよ。これでも束様のお手伝いをしていましたから」

 

「それならさ、何か聞いてないか?」

 

「そうですね、私は束様の研究内容を理解出来る様な頭脳を持ち合わせていないので、申し訳ございません」

 

やはり、クロエさんは束さんの研究内容をしっかりとは知らされていないのだろう。

あの人の性格上、人にやらせるよりも自分でやった方が早いと思っているだろう。

 

「そっか〜。まぁいいよ。そんなことより、学園生活はどうだ?」

 

「楽しいですよ。1組の人達は私に優しく接してくださっていますし、ダリルさんはとてもよく話し掛けてくれますよ」

 

「そっか、ダリルは1組か。ダリルがなんか迷惑かけてないか?」

 

「そんなことありませんよ。とても優しいです。あまり勉学の方は得意ではなさそうでしたが・・・。それで、他のクラスですと、虚さんとはとても仲良くなりましたよ」

 

「ダリルにそこは期待するな。虚とはあれ以来か。まぁ、楽しく学園生活を送れているならいいかな」

 

それから、学園での思い出をいくつも語りだしていた。

とてもいい笑顔で、周りに華が咲いたかのようにぽわぽわしながら話してくれた。

本当に学園に来れて嬉しそうだった。

 

「それで・・・って、あ!ごめんなさい。一人で話し続けてしまって///」

 

「ハハ、別にいいよ。これでも生徒会副会長だ。学園で楽しく過ごせているのなら何も言わないよ」

 

そんな楽しいひとときに、突如としてアラームが鳴り響いた。

スマッシュが出現した際になるアラームを止め、その場所を見ると、今回は街中に出現したようだ。

 

「すまん、ちょっと行ってくる。クローズドラゴン、ここ頼むぞ」

 

『グワァ〜〜〜〜』

 

俺はクローズドラゴンに命令し、ドライバーを腰に巻き、鷹とガトリングのフルボトルを振り、ドライバーに挿し込んだ。

 

【タカ】

 

【ガトリング】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「変身」

 

【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!】

 

「それじゃあ、ここよろしくな!!!」

 

「へ?あ、はい。いってらっしゃいませ」

 

俺は開発室を出ると、翼をはためかせて大空に舞い上がった。

既に日も暮れ始めている中、ホークガトリンガーを取り出し、スマッシュの元へと向かって行った。

 

スマッシュが出現した場所に到着すると、そこには地面に大きな穴が空いていた。

これまで出現したのと同じような形であり、そこには下水道が通っていた。

 

(やはりな。これならば、もしかしたら・・・)

 

俺は頭に浮かべていた仮説が少しづつ形になっていた。

一先ずその事を頭の片隅に置き、今はスマッシュを探すことにした。

ビルドフォンを開いて、もう一度センサーを出すと、ここから少し移動していたため、もう一度空を飛んで向かった。

 

少し離れた先に、スマッシュと血濡れの色をした人型、間違いなくブラッド・スタークであった。

スマッシュの形はロボットアームの様な腕をしていた。

 

『ん?漸くお出ましか。待ちくたびれたぞ仮面ライダ〜』

 

「よう、スターク。お前には少し用があるんだ。付き合ってもらうぞ」

 

『ん〜?何かあるようだな。ま、用ならこいつに勝ってからにしてもらおうか』

 

「望む所だ。スマッシュがいる時点で逃しはしないさ」

 

スマッシュはスタークの合図を確認すると突撃して来た。

スマッシュの背中からブースターのような形状があり、そこから火を蒸かしながら加速してきた。

俺は咄嗟に上空に飛び直した。

見た所、加速に合わせたパワータイプのようだ。加えてロボットアームによる特殊攻撃が予想できるため、テクニック型とも言えるだろう。

ここは下手に考えず、パワーで一気に押し切った方がいいだろう。

そう考え、素早くライオンと掃除機のフルボトルを取り出しドライバーにフルボトルを挿し込んだ。

 

【ライオン】

 

【掃除機】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【たてがみサイクロン=ライオンクリーナー!!!】

 

『ほぅ、中々ゴリ押しできた様だな』

 

俺は背後に回り、加速するためのブースターを狙い、そこに向けて《ロングレンジクリーナー》を向け、強吸引を行い、加速するために蒸かしていた火を完全に吸収し切った。

ブースターから再度火を蒸せば加速は可能だが、俺は必殺技の威力上げの為のエネルギー吸収を行った。

そしてドライバーのレバーを回し《BLDトラッシュコンバーター》に溜め込まれたエネルギーを《ゴルドライオガントレット》にエネルギーを溜めた。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!イェーイ!!!】

 

スマッシュは再度加速を掛けてこちらに向かって来た。

その勢いを使い、右手のゴルドライオガントレットに溜め込まれたエネルギーに乗せてスマッシュにアッパーを噛まし、上空に打ち上げた。

加速し切っていたスマッシュは突如上空に打ち上げられたためにバランスを取れずにクルクルと回っている所に狙いをしっかりと定め、溜め込まれたエネルギーを放出した。

放出されたエネルギーはライオンの顔の様な質量のあるエネルギーであり、咆哮轟かせながらスマッシュに直撃させた。

スマッシュは空中で爆散し跡形もなく消滅した。

 

『ハッハハハ、やはり知性のないスマッシュじゃあ馬鹿みたいに突っ込むことしかしねぇな。それで、俺に何の用だ?』

 

「・・・お前を捕らえたら話しやすいんだがな」

 

『お前に捕まえられるのか?この俺を?フッハハハ、冗談が上手くなったじゃねぇか』

 

「・・・スターク、パンドラパネルを求める理由は何だ」

 

『ほぅ、その話題と来たか。なんだ、パネルを見つけたのか?はたまた手に入れたのか?』

 

「言うわけないだろ。教えろ!パネルには一体何の意味があるんだ」

 

『言っているのと同じだ。まぁいい、パネル一枚ごときに大きな理由は特に無い。強大なエネルギーを持った板としか分からないだろうからな』

 

「・・・パネル一枚ごときか。やはりパネルは何枚もあるだな」

 

『あぁ。折角だ、ここでお前にも言っておこう。パンドラパネルは計6枚ある。その6枚のパネル全てにベストマッチフルボトルを挿し込む。そうすれば強大なエネルギーを秘めたパンドラボックスが開くんだ』

 

強大なエネルギーとはよく分からないが、パンドラパネルは六枚、それを箱上にすることで、真の力が解放されるようだ。

やはり、フルボトルはパンドラボックスを開ける鍵であったようだ。

しかし、そうなると俺は元々パンドラボックスを知っていたということだろうか?

 

「パンドラボックスが開いたらどうなるんだ」

 

『どんな願いも叶う』

 

「願いが叶う?そんな非科学的なこと信じられるか!!!」

 

『パンドラパネルを調べていればわかるだろう。あれは元々地球にあるものでは無いとな』

 

「・・・・・・だとしてもだ。お前には渡しはしない」

 

『やれやれ、お前は未だこのゲームの参加者が俺とナイトローグ、そしてお前だけだとでも思っているのか?』

 

「ゲームだと?それにまだ誰かパンドラボックスを狙う奴がいるのか?」

 

『それ以上は自分で調べるんだな。俺はゲームメイカーだ。お前達に平等に情報を与えるさ。それにな、もう俺とナイトローグはつるんでいない、別々に考えるだな』

 

「それを信じる訳ないだろ。それにどちらも結局は敵だ。そこに変わりはない」

 

『そうか。それじゃ、俺はここらでお暇させてもらおうか』

 

「な!逃がすわけないだろ!!!」

 

俺はスタークに向けてロングレンジクリーナーを全開で作動させた。

しかしスタークは胸元からコブラを出現させ、吸引の勢いを使い噛み付かれた。

 

「ぐっ!」

 

『そうそう、帰る前にいい事教えといてやる。『兎野命(みこと)』って奴を調べてみろ。それじゃあな、Ciao!!!』

 

左手を使い、煽るようにスタークはその場を去って行った。

スタークの言っていた人物、兎野命・・・。

兎野、俺と同じ苗字を持つ人物は一体何を知っているのだろうか。

それと、俺とは一体どういう関係なのか。

言えることは間違いなくスターク達の関係者なのだろう。

俺は新たに重要な情報を得て、パンドラボックスを巡る戦いにより飲み込まれていくのであった。



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第34話:聖なる使者からの贈り物

仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の兎野春万は前回、ブラッドスタークから情報を引き出すも、謎を更に深めることとなった。
そして謎の人物『兎野命』。そいつが何かを握っているようだ。
それはそうと、本編なんか色々な方向に行っている気がするのは俺だけか?
まぁそんなことは一旦置いといて、第34話をどうぞ!!!


春万Side

学園に帰ると、開発室には未だクロエさんが待っていた。加えて虚もいた。

 

「あ!お帰りなさい」

 

「お疲れ様でした春万君。お疲れでしょうが、女の子を部屋で待たせるなんて紳士の風上にも置けないですね」

 

「あ、あぁ。すまん」

 

「行くのでしたら、ちゃんと私に連絡くらい下さい」

 

「次は気を付ける。クロエさんもゴメンな」

 

「いえ、待つことには慣れていますから。フフ、それにしてもお二人共本当に仲がよろしいですね」

 

「まぁな。取り敢えず今日はもう遅いし、女子寮まで送っていこうか」

 

「お構いなく。春万君はちゃんと体を休めて下さい。クロエさん、戻りましょうか」

 

「はい、それでは春万さん。あ!またここに来てもよろしいでしょうか?」

 

「おう、何時でもどうぞ。大体は研究してるから」

 

「そうでしたか。それでは次はお手伝いに訪れますね。それでは、お休みなさい」

 

「お休みなさい春万君」

 

「あぁ、お休みなさい」

 

俺は二人を見送ると、すぐさま『兎野命』について調べ始めた。

どういう人間なのか、一体俺になんの関わりがあるのだろうか?

スタークは兎野命についてを知っていそうな雰囲気ではあったが、あれ以上の情報は引き出せそうにはなかった。

検索をかけてみたところヒットはせず、結局その日は何も収穫も得られなかった。

 

次の日、

朝からクローズドラゴンが騒ぎだし、俺に向かって噛みつき出したので何事かと起きたところ、新たなフルボトルが出来上がっていた。

いつもの様に寝癖が立ち、急いで見ると、色は赤と白の2つの紅白フルボトルがあった。

 

「これは・・・・なんだ?えっと、ケーキかな?」

 

もうひとつの赤いフルボトルには、あのサンタクロースの形がしてあった。

 

『グワァ〜〜!!!!!!』

 

「ハハ、なんだ、縁起がいいのか?折角だ!このフルボトルの実験はクリスマス会にやるとしようか!!!よし、これは俺とクローズドラゴンの秘密な」

 

『グギャァス〜〜〜!!!』

 

クローズドラゴンも嬉しいのか、空中を盛大に舞っている。

クリスマス会もなんだかんだで楽しみになってきたな。

春万Sideout

 

虚Side

春万君がスマッシュと戦闘を行って以降、何だかよそよそしい日が増えました。

明日にはクリスマス会が行われるというのに大丈夫でしょうか?

今はそんなことよりも、学園全体で活気もかなり溢れています。

これはとてもいい僥倖ですね。

今回のイベントは体育祭野代わりのイベントという目的の他にも、キャノンボール・ファストで起きたスマッシュ事件以降、恐怖を感じ引きこもってしまったり、積極的に学園行事に参加することをためらってしまった生徒達に、これを機にもう一度学園復帰をして貰えるような環境づくりという意味も孕んでいます。

計画は思惑通りに順調に進み、心身疲労をしていた方達も続々と学園復帰をしているようです。

楽しい雰囲気というのはとても大切なのだと改めて学びました。

お嬢様のためにも、このような雰囲気は継続していけるように来年度も頑張らないといけませんね。

 

「布仏さーん!これはどこに置けばいいの?」

 

「それはステージにお願いします。それが終わったら今度はこちらの作業をお願いします」

 

「りょうかーい!!!」

 

私も設営係として今日は一日忙しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、

今日から冬休みなのですが、その初日を借りてクリスマス会を盛大に開きました。

現在、私はクラスから出て生徒会室に来ています。

そろそろ最初のイベントが始まるようです。

 

「あー、あー、聞こえるか、IS学園の諸君。儂は知っているだろうが、IS学園生徒会会長、スカイナ=セタンスだ。これより、IS学園による『ビックバンクリスマス』を始めるぞ!!!準備は良いな勇士達よ!!!早速だが、もう始めるぞ。最初のゲームは『プレゼントゲット大会』だ!これより生徒会役員には3本の鉢巻を着けさせた。その鉢巻を手に入れたものは、豪華賞品を与える。今から3時間、ルールは相手に危険な行為をしなければ何をしても構わない。さぁ、スタートだ!!!」

 

さぁ、逃げましょうか。

このゲームは相手に危害を加えなければどのようなこともしてもいいという、かなり偏ったルールによって行われたゲームです。

何でもしていいということは、ISを使用しても良いということです。

実際はこんなこと許可が下りるのか分からなかったのですが、先生方もかなり無理をしたようですね。

 

【ラビット】

 

【タンク】

 

【BEST MATCH!!!】

 

「あ!春万君狡いですよ!!!」

 

「何使ってもいいんだろ!ならビルドを使わない手はないな!!!」

 

【Are you ready?】

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!!】

 

「それじゃ、ガンバ!!!」

 

そう言うと左足に力を溜めて、バネのように跳んで行ってしまいました。

あれから、私はひたすら逃げ回るのですが、学園の人数的に逃げ切れるわけがないので、私は諦めることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームが終わり、これからのプログラムは全て体育館にて行われます。

次に行われるのは演劇部による演劇となっているので、生徒達は体育館へ移動することになりましたが、ちょうどその時に、春万君から連絡が来ました。

 

「もしもし、どうしました?」

 

「もしもし、あぁ、虚すまん。スマッシュが現れた。ちょっと行ってくる」

 

「あ、切られた。はぁ、結局春万君はスマッシュ退治ですか・・・。仕方ありませんね。私も早く体育館に行きましょうか」

 

『よう、お嬢さん』

 

春万君のことは諦め、取り敢えず体育館に向かおうとした時、後ろから不気味な声が私に呼びかけてきました。

 

「っ!誰?な、貴方は、ブラッドスターク!!!」

 

そこには赤黒い血濡れの蛇、ブラッドスタークが立っていた。

 

「・・・私に、何か用があるのでしょうか?」

 

『フハハ、冷静だな。流石は更識と言ったところか。なに、今日はお前と話をしに来ただけだ』

 

「私と、ですか?珍しいこともあるのですね」

 

正直、かなり焦っています。

この閉所で更に私は自衛のものを持っていません。

更に相手はあのブラッドスタークです。

春万君がいない状況では、かなり危険でしょう。

 

『そう身構えなくてもいい。今日は命を取りに来たわけじゃないからな』

 

「ならどのような目的なのでしょうか。私と話すことというのは、些か不可解です」

 

『そうかぁ?俺はお前にも興味を持っていたからな』

 

ブラッドスタークからは殺気というものを感じません。

多分本当なのでしょう。あまり信じない方がいいと思いますが、ブラッドスタークと話すことで、春万君の助けになる情報が得られるのであれば、危険を冒してでも引き出せしてみましょう。

 

「そうですか。貴方に興味を持たれても全く嬉しくありませんが、何か用があるのでしょう」

 

『肝が据わってるなぁ〜。・・・フッ、なぁ、お前は春万のことをどう思う?』

 

「どう、とは?」

 

『何故あいつに手を貸すんだ?』

 

「そ、それは・・・」

 

『フハハハ、真面目だねぇ〜。なに、少しからかっただけだ。まぁそこら辺は個人的感情で済むからな』

 

なにか含みを持ちながら、何事も無かったように流されました。

個人的感情とは、一体何を考えているのでしょうか。

マスクで素顔が隠れているので考えが読みにくいです。

 

『そんな睨むな。ただ、春万は普通の人間ではないということはお前もわかっているだろう?』

 

春万君が普通では無いのは薄々感じていました。

やはりスマッシュと何か関係があるのでしょうか。

 

「彼はスマッシュと何か関係があるのですか?」

 

『あるな。だが彼奴は特別でもある。普通のスマッシュとは枠組みが違うからな。春万の成長はオレにとって大事なことだからな。だから、春万がビルドとして成長する為に、お前の存在は欠かせないからなぁ』

 

成長する為?

敵であるはずならば春万君の成長を嬉しく思うはずはないです。

春万君のことに関しても、何か知っていそうですね。

少なからず、スタークと春万君は何かしら関わりがあるということでしょう。

ですが先ずは。

 

「教え下さい。貴方は一体何者なのですか!!!」

 

『おいおい、いきなりぶっ込んだ質問してくるねぇ。ミステリー小説でもあるだろう。そう簡単には正体は明かせないなぁ。いずれ分かるだろうよ。今は未だその時じゃあない。ところでだ。更識家といえば、お前達更識は亡国機業を追っていたな』

 

「何故貴方がそれを?」

 

スタークは座りながら煽ってくるように、それでいて全て見透かしているように反応してくる。

此方はやはり、かなりの情報源のようですね。

 

『俺はゲームメイカーだ。プレイヤーの動向を知るのも俺の役割だからな』

 

「亡国機業もあなたの言うゲームに含まれているのですね」

 

『あぁ、面白いだろ?ビルドにはより一層、強くなってもらわないとなぁ』

 

「貴方は一体何を企んでいるのですか」

 

『フッハハハ、全てはパンドラボックスを開けるためだよ』

 

「パンドラボックスを・・・。亡国機業もパンドラボックスを狙っていると?」

 

『正解だ。奴らはその力を手に入れようとしている。パンドラボックスの力は強大だからな。その力に魅了されるのも無理はない。この世界を手にすることの出来る力を秘めているからな。そこでどうだ?オレと手を組まないか?』

 

「そこで頷くとお思いでしたら、他を当たってください」

 

『だと思ったよ。中々、春万にお熱なこったな』

 

「なっ///」

 

『さてと、そろそろお暇させてもらうとするか。これからも春万のことをよろしく頼むよ。Ciao』

 

スタークは何故か気が済んだように煙を巻いて消えてしまった。

スタークと話していると大切な事を只管はぐらかされてしまいました。

それにあの口調、まるで春万君の親の様な話し方。

まさか、いや春万君に親族関係がある人間はいないはず。

春万君からもそのようなことは何も・・・。

そういえば、この前1人でブツブツと『ミコト、ミコト・・・』と呟いていたような。

1度、春万君から聞かねば分かりませんね。

そう思いながら、体育館へ戻っていきました。

その後ろで私を見ている影に気づくことなく・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館へ入ると、既に最後のプログラムであるプレゼント配りの時間になっていました。

 

「お、布仏!丁度良かった。お前、プレゼント知らないか?」

 

慌てるように、ひな先輩が尋ねてきました。

何かトラブルでもあったのでしょうか。

 

「いえ、私は知りませんが。何かトラブルでも?」

 

「プレゼントが無いんだよ!!!やばいな。これ暴動が置きかねないぞ」

 

配るはずのプレゼントが何者かに盗まれてしまったようです。

全生徒分もあるプレゼントを誰かが盗めるとは到底思えないのですが、このままでは最後の最後で失敗してしまいます。

何かで代用などはこの時間からは不可能ですし、加えて春万君は未だ帰ってきていないようですし、一体どうすれば。

 

「やばっ!先生達もスカイナに問い詰め始めちまった。だぁーー、ここまで来て最悪だよ」

 

最早詰んでいますね。

仕方ないので、生徒達に謝る他ありませんね。

そんな時、ステージ上から大きな笑い声の様なものが聞こえてきました。

 

「ハーハッハッハ!!!さぁ、実験を始めようか!!!」

 

【サンタクロース】

 

【ケーキ】

 

【BEST MATCH!!!】

 

「この声は、まさか!!!」

 

「あの馬鹿後輩、何やらかす気だ!!!」

 

いつもの様にビルドの実験を行う時の掛け声と共に春万君の声が体育館に響き渡りますが、一向に姿を現しませんでした。

ただ、その直後、私達は奇跡的なものを目の当たりにしました。

体育館の証明が全て落とされ、暗闇の中からまるで星が輝いているようなイルミネーションが体育館上に投影されました。

 

「キレイ・・・」「何これ!すごい!!!」

 

様々な声を上げながら生徒達が喜んでいました。

かく言う私も心踊らされていました。

そしてステージ上にまるでサンタクロースの様なビルドが現れたのです。

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

【聖なる使者=メリークリスマス!!!イェイ!!!】

 

「勝利のクリスマスは決まった!!!」

 

ビルドの新たなベストマッチフォームで、このクリスマスを祝う為のフォームのようです。

そしてビルドはステージ上でレバーを回し、必殺技の体勢をしていました。

今度は一体何をするのでしょうか?

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!イェーイ!!!】

 

ボルテック・フィニッシュの音が鳴り響くと、大きくジャンプし、赤と白の両腕を大きく開き出すと、キラキラした光が降ってきました。

その光の粒が手元に来ると、直ぐに小さく爆発し、右手にプレゼント箱が、左手にはケーキが出現したのです。

 

「ハハ、何だこれ?後輩の奴、凄いことするな!」

 

ひな先輩は嬉しそうに笑いながら褒めていました。

 

「フフ、そうですね。本当に、凄いですね」

 

「ホッホッホー、メリークリスマス!!!」

 

楽しそうに空中を舞いながら、聖夜の夜を祝福していました。

私はそんな姿をずっと見続けていました。

 

「メリークリスマス、春万君」

 

 

 

 



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第35話:新年は更識家にて?!

春万Side

 

「どうして、こうなった?」

 

『グワァ〜〜〜!!!』

 

俺はそう吐露しながら、まるで漫画にあるような大きな日本屋敷に来ていた。

クローズドラゴンも、まるで俺を嘲笑っているように俺の真上を飛び回っていた。

そして、俺の目の前の家の門には『更識』とだけ書かれていた。

 

「何をしているんですか?早く入って下さい。お嬢様がお待ちですから」

 

『グワァ〜、グワァ!!!』

 

「お、おう、了解です」

 

何故俺が更識家にいるのかは昨日を遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日、

クリスマス会も終わり冬休みに突入し、IS学園の生徒達は次々と帰省を始めていた。

留学生も、学年末のリーグマッチに備え、専用ISを調整しに戻ったり、最後の調整として訓練を行う為に帰国していた。

そのためダリルも帰国していた。

夏休みとは違い、冬休み期間は食堂で働くおばちゃん達も仕事納めの為、食堂は開いていないため、帰省する生徒が殆どであった。

そこで俺は困り果てていた。

元々住む場所もこのIS学園内の開発室以外はない為、態々ご飯を食べるには外に行かねばならなかった。

行く宛もない為、開発室で一人、途方に暮れていたのであった。

 

「あぁー、いっそカップ麺で暮らすか?いや、毎日カップ麺とか飽きるな。それに体に悪いだろうし・・・。それに食費も馬鹿にならないし。どうしようか?料理するか〜?」

 

俺は新たな金色のフルボトルを一本持ちながら頭を抱えていた。

このフルボトルは《ロックフルボトル》。

クリスマス会が終わり、開発室に帰ってきた時に出来上がっていたフルボトルだ。

今回は一本しか出来なかったため、ベストマッチを探すために既存のフルボトルだけで探していたのだが、それも先程終わったところである。

結果、ベストマッチは見つからなかった。

そのため、気分も少し落ち込んでおり、加えて先程までの問題が頭に浮かんでしまったため、どうしようもなく空気が沈んでいた。

 

「はぁ〜、お先真っ暗だな。最っ悪だ」

 

そんな時、開発室の扉が開き、いつも通り虚が来た。

だがその姿は、いつもの制服ではなく私服であった。

 

「おはようございます春万君、って空気が沈んでいませんか?どうかしましたか?」

 

「おはよう、いやなに、食費だとかを考えてたらお先真っ暗状態でな。ちょっと憂鬱になってた。それはそうと、今日はどっか行くのか?」

 

「はい、これから実家に帰省しようと、それで春万君に・・・」

 

「なんだよ、一々報告しに来なくても大丈夫だぞ。メールで教えてくれれば大丈夫だし」

 

そう言うと、虚は何故か不満そうな顔をしていた。

そして次の言葉に俺は唖然としてしまったのだった。

 

「違いますよ、一緒に来ませんかと言いに来たんです」

 

「・・・・・・は?」

 

「は?じゃないです。どうせこのままここに居ても不健康な生活を送るだけでしょう。それに・・・。いえ、取り敢えず行きますよ。準備して下さい!!!」

 

「え、いや、ちょっと!いきなり強引過ぎないか?」

 

「私としては、一緒に着いてきて欲しいのですが・・・。ダメ、でしたか?」

 

「ヴェ///わ、分かったよ、仕方ないな・・・」

 

何故か虚の上目遣いには適わなかった。

心臓がバクバクと音を立てて収まらなかった。

それを見て、虚は嬉しそうにしながら用意を始めていた。

 

「フフ、ありがとうございます。早く用意しましょうね。車は既に校門に来ていますから」

 

「え?車?まぁいいけど・・・」

 

そうして用意を済ませ、校門へ向かうと萌え袖というものをした、何処かのほほんとした少女がいた。

その少女はこちらに気づくと両手を大きく振りながら飛び跳ねていた。

 

「あ!お姉ちゃーん!!!こっちこっち!!!」

 

お姉ちゃん?!

 

「本音、迎えありがとね」

 

「ん〜ん。お嬢様がお姉ちゃん迎えに行ってあげてって言われたから〜。お嬢様、ちょっとだけ忙しそうだったんだ〜。それに私も早くお姉ちゃんに会いたかったからラッキ〜!!!」

 

そう言って虚に抱きついていた。

姉妹中はとても良いようだ。

虚自身も、久しぶりに会えて嬉しそうだ。

ただ、性格があまり似ていないな。

しっかり者の下は大抵だらっとしてしまうのだろうか。

 

「そう、ありがとう。簪お嬢様の方は元気だった?」

 

「うん、元気だよ。あ!えっと〜、後ろにいるのはお姉ちゃんの彼氏?」

 

「ち、違うわ!!!へ、変な勘違いしないの!!!」

 

「そうなの〜、てっきり・・・」

 

「俺は兎野春万だ。えっと虚とはクラスメイトで研究仲間、だよな?」

 

「わ、私に質問されても・・・。まぁ、認識としては正しいと思いますよ。ほら本音も挨拶」

 

「は〜い!布仏本音です!IS学園中等部二年生でーす。ヨロシクね〜!!!」

 

袖に若干隠れた小さな手を出てきた。

その顔もとてもニコニコしていて、春でも無いのに場がとても和やかになっていくようだった。

彼女の笑顔からはふわふわとした優しさが滲み出ていた。

 

「あぁ、よろしくね」

 

「私のことは本音で良いよ〜!!!それにお兄さんはと〜っても優しそうだよね〜。う〜ん、そうだ!お兄さんのことは『ウサのん』って呼んでいい?」

 

「ちょっと本音、仮にも、一応年上よ」

 

「ウサのんって・・・・何か面白いな!!!良いぞ!!!ったく本音ちゃんは可愛いな」

 

「えへへっ、ヤッタ〜!」

 

見ていて和む。

居るだけで和む。

この子がいれば世界は平和になるのではないか?

そんなくだらないことを考えながら、本音ちゃんの頭を撫でていると、虚からの視線を感じ取った。

ちらっと見ると、ジトっとした目で俺達を見ていた。

 

「本音、そんな自意識過剰な自称天才物理学者(笑)なんかに、直ぐに心を許さないの。それよりも早く行かないとお嬢様に怒られます」

 

「ちょっと虚さん?なんか(笑)って何?ってアツ!やめろクローズドラゴン」

 

『グワァ〜!!!』

 

クローズドラゴンは俺に向かって軽く火を吐きながら、虚の周りを軽く飛び回っていた。

クローズドラゴンは虚のことをかなり気に入っているみたいだ。

 

「うわぁ凄い!!!何これ、ドラゴン?」

 

『グワァ〜〜〜!!!』

 

本音ちゃんもクローズドラゴンに興味津々であった。

今日は開発室に何も置いてきていないため、クローズドラゴンも一緒に連れて来たのだ。

クローズドラゴンも外に出ることが好きな様で、結構はしゃいでいた。

 

「ほら行きますよ!!!」

 

「はーい。それじゃあ乗って乗って!!!出発進行〜!!!」

 

「無視、無視ですか〜。酷い・・・」

 

「ほら早く乗ってください。それと・・・」

 

本音ちゃんはそそくさと女子席に乗ってしまった。

虚は俺に急かしてきた。

ドアを開けて乗り込むと、隣に乗ってきた虚がそっと耳打ちしてきた。

 

「それと、本音に手を出したら、キザみますからね・・・」

 

凍えるような殺気を放ちながら俺に言ってきた。

恐怖を感じ固まってマトモに虚を見れなかった。

丁度、俺が虚の方を見ていない時、虚は頬を小さく膨らませていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在、

俺の目の前には大きな屋敷が聳えていた。

俺は緊張しつつ、虚と本音ちゃんについて行きながら更識家の屋敷へと入っていった。

玄関には、水色のショートヘアの少女、更識楯無が仁王立ちしながら、待ってましたとばかりの表情をしていた。

 

「やっと来たわね。おかえり、虚ちゃん、本音ちゃん。そして、いらっしゃい、春万君?」

 

「お邪魔します・・・」

 

「只今戻りました、お嬢様」

 

「うんうん、春万君は緊張してて可愛いわね。それじゃあ、上がって。お父さんが待ってるわ」

 

そうして釣られるがままに、居間へと足を運んだ。

そこには如何にも威厳の有りそうな袴を着た男性が座っていた。

 

「おかえり、虚、本音。そして君が、兎野春万君だね」

 

「は、はい。兎野春万、です」

 

「「只今戻りました、旦那様」」

 

虚も本音ちゃんも、頭をサッと下げて敬意を表していた。

というか、旦那様って何なんだ?

取り敢えず、俺も虚達に合わせるように頭を下げた。

 

「私は16代目更識家当主、更識刀夜だ。君を歓迎しよう」

 

「よろしくお願いします。えっと、刀夜さん」

 

「あぁ、よろしく。楯無、後は頼むぞ。私は未だ仕事が残っているからな。春万君、後でゆっくり話そう」

 

「私達も仕事があるので、失礼しますね。行くわよ本音」

 

「は〜い、ウサのん、後でね〜」

 

刀夜さんはそう言うと、すっと立ち上がり仕事へ向かっていった。

虚達も用があるようで、続いて退出して行った。

楯無は、刀夜さん達が完全に退出したことを確認してから、こちらへ向き座り直し、俺に説明を始めた。

 

「さてと、春万君も取り敢えず座って。今日、貴方に何故ここに来てもらったかをこれから説明するから」

 

「あぁ分かった」

 

「さてと、貴方をここに連れて来た、と言うよりは保護したって方が正確にはが正しいわね。まぁその理由はね、IS委員会にあるのよ」

 

「は?保護?それに何でIS委員会なんだ?俺、関係無くない?」

 

「大アリよ。これまで貴方は男でありながらIS学園に通っていた。これが大問題なのよ。IS委員会はこのことに対してIS学園に苦言を申してきたの。男は即刻退学させろって」

 

「だがそれは、男でも整備や開発技術がある人間をIS学園でこれから取り入れていくための前段階として入学を許可するって学園長が言っていたよな?」

 

「えぇ、だからその文句を弾く為に我々更識家の人間がお目付け役として近くに常にいたでしょう?」

 

「・・・・あ、虚のこと?」

 

「そうよ。だけど、問題は仮面ライダーに関してなの。なにせIS以上の戦闘力を誇る武力を持っているのよ。委員会の人間が動かない訳ないわ。今の貴方はね、現状、篠ノ之博士と同じレベルで危険人物とされているのよ」

 

「・・・・マジ?」

 

少し考えれば簡単に思い浮かんだことである。

ISという、現状最強の兵器を超える力を持ったビルドに対して、ISを神聖視している人間達からすれば邪魔でしか無かった。

 

「今回の冬季休業を期に、貴方を拘束して色々と調べるつもりだったらしいわ。でも、それは私達更識家が困るのよ」

 

「怖っ!ってか何でそこで更識家が困るんだ?」

 

「貴方が亡国機業に対抗出来る唯一の存在だからよ」

 

「なるほど、亡国機業か」

 

「そう。私達更識家は現在、亡国機業について調査してるのよ。勿論、このことは郊外厳禁よ。それでここ最近、貴方がIS学園に通いだした頃だったわね。亡国機業にある動きがあったの。これを見て貰える?」

 

「ん?これは・・・」

 

楯無が写真を一枚出してきた。

そこに映っていたのは、ナイトローグであった。そしてそのナイトローグの手には、未だシルバーカラーをしていたプロトタイプ型のビルドドライバーであった。

 

「何でナイトローグがビルドドライバーを持ってるんだ?でも見た限り、未だプロトタイプだ。何処でこれを?」

 

「ここは亡国機業の元アジト。今は変わっちゃってるみたい。でも貴方の使っているドライバーがこれと同じ種類で、しかも完成された状態で使われていた。それを見たら普通、怪しむわよ。だから貴方を監視していたの。亡国機業と関わりがあるんじゃないかってね」

 

「そう、だったのか。でも俺は記憶がなかったからな」

 

「それでも、もしもを考えてね。でもこの半年貴方を見て、一応大丈夫だろうという結論に至ったのよ。まぁ一応だからね」

 

「何で知らない奴らのせいで疑われなきゃいけないんだよ。というか、ナイトローグは敵だぞ!!!」

 

「えぇ、その件もあるからこそよ。ナイトローグが亡国機業と繋がっていたら、亡国機業は今、IS以上の戦力を有している可能性が高いのよ。だからこそ、こんな所で頭の固いお偉いさん達に貴方を渡す訳にはいかないのよ。だから、貴方を更識家が保護して、次いでに更識家に取り込もうってことになったのよ。亡国機業の対抗手段として、ね?」

 

まさか亡国機業とナイトローグが手を組んでいるとは思わなかった。

だが、奴らの手にプロトタイプのビルドドライバーを持っていることに疑問を持つ。

あのビルドドライバーは俺しか作り方が分からないはずだ。

それはそうと、亡国機業と全面的に戦えば、間違いなくライダーシステムは兵器として投入されかねない。

それだけは絶対に駄目だ。

 

「・・・・・保護ってのは分かったが、それを期に俺が、いや、ライダーシステムが兵器として使われるのなら、俺はその話には乗れない」

 

「私達は何も戦争しようとしてるわけじゃない。むしろ、その戦争を未然に防ぐ為の手段として、貴方に助力を願いたいの。今直ぐに決めなくてもいいわ。でもね、亡国機業は動き出してる。グズグズしてる訳にはこっちもいかないの。出来れば、ここにいる間に決めて欲しいのよ」

 

「分かった」

 

「それじゃあ、湿っぽいのは一旦終わり。これから冬季休業が終わるまで、ゆっくりしていってね。それはそうと、ライダーシステムについて教えてくれると嬉しいなー」

 

「見るのは構わないが、解体するなよ」

 

「えー、ケチな人」

 

文句を垂れながらも俺のビルドドライバーを観察していた。

ビルドドライバーとフルボトルに興味を持ってくれることは俺にとって嬉しい。

それから楯無は俺に質問しながら、ビルドに関して聞き入れていた。

そんな時に、居間の襖が開き、虚が立っていた。

 

「お嬢様、春万君、お昼の用意が出来ました」

 

「ん?虚ちゃん、いつの間に名前呼びになってたのね。なになに、何かあったの〜?」

 

「お嬢様のお昼はなしということですね。言っておきます」

 

「あ、ダメ!ちょっと意地悪しただけじゃない〜。ご飯食べる、食べます〜」

 

『グワァ〜』

 

なんとも微笑ましい光景であった。

クローズドラゴンは先程まで大人しくしていたが、虚が来てからまた飛び出した。

俺達は慌ただしく、ご飯を食べるのであった。

春万Sideout

 

???Side

 

「ハァハァ、何だよ彼奴は!くっそぉ!明香里は何処だ!!!」

 

ボロボロになり、被験者が着る白い服を血で汚しながら、下水道を只管走っていた。

妹の行方を探しながら、自分を追ってくる化け物から逃げていた。

光のある方向へ只管走り続けていた。



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第36話:巡り会い、動き出す歯車

春万Side

その日の夜、

夕飯を頂いた後に、刀夜さんに部屋に来るよう呼ばれた。

そこには、刀夜さんともう一人、男性が座っていた。

その位置取りからして、従者の方のようだ。

 

「ん!来たね。適当に座ってくれ」

 

「はい。・・・あの、其方は?」

 

俺は後ろに控えている人を尋ねると、刀夜さんは目線だけ送って、此方に向き直した。

 

「私は更識家16代目当主側付き、布仏仁と申します。君には虚と本音の父親と言った方が分かりやすいね」

 

言われてみると、眼鏡をした顔立ちや髪の色など虚達にそっくりであった。

 

「兎野春万です。いつも虚さんにはお世話になっています」

 

「フフ、こちらこそ、虚と仲良くしてくれてありがとう。彼女はあまり人と絡むことが得意ではなかったのだがね、君と出会って変わったようだ。虚にとって、君はとても大切な存在みたいだ。これからも、虚と仲良くしてくれると助かるよ」

 

仁さんはとても優しい表情を浮かべていた。

 

「フッ、君のことは逐一虚ちゃんから聞いているからね。親類の親としても礼を言おう。・・・・それでだ。話というのは、君に聞いておきたいことがあるんだ」

 

「聞いておきたいこと?」

 

刀夜さんは真剣な眼差しで俺を見つめていた。

何かを探っているのだろうか?

 

「ビルドについて、かな。何せ、正義のヒーローだ。話を聞いてみたいと思ったんだよ!!!せっかくだから色々と聞かせてくれないか?勿論、我々のことも君に話しておこう」

 

刀夜さんは虚の報告でビルドについて興味を持ったらしい。

それから俺は、これまでどのようなことをしてきたのか、ライダーシステムの思想や敵との戦い、フルボトルの研究についてなど、話せる内容を話した。

刀夜さんはコロコロと表情を変えながら、ビルドについてを真剣に聞いてくれた。

少し下がって聞いていた仁さんもとても興味深そうに聞いていた。

俺も更識家のことを教えて貰い、楯無や虚が今までどのようなことをしていたのかを聞ける範囲で教えて貰った。

 

「フム、そうか。ライダーシステムは兵器ではなく、多くの人を守るための装置、か。記憶がないにもかかわらず、ここまで善性を持った人間を見たのは久しぶりだ。君の話からは一切の曇りない信念を感じたよ」

 

「何だかそう言われると恥ずかしいですね」

 

「まるで、彼のようだな。苗字も『兎野』で同じだったな」

 

「彼?誰のことですか?」

 

「あぁ、彼というのは『兎野忍』という科学者だ。私の友人だ。だが、彼はもう何年も前に事故で亡くなってしまったのだけどね。彼とは更識家とも元々進行があったからね。君は彼に何処と無く似ているよ」

 

『兎野忍』、兎野命を調べている中で唯一ヒットした人間だ。

確か、宇宙工学を研究していた人間だ。

だが、今から何年も前に宇宙へのIS実証実験の際に起きた事故で亡くなったとされている。

その実験の失敗が原因でISの宇宙進出が滞ってしまったとされている。

 

「その人に関しては自分も調べました。苗字は一緒ですが全く関係がないようですね。確か家族は娘が一人居るだけだったはずですよね」

 

「あぁ、間違いない。もしかしたら隠し子かもしれないと思ったんだがな。まぁ残念なことに、親子鑑定も0%だったから宛は外れてしまったんだけどね。今も君のご家族を全力で探してはいるのだが、申し訳ない」

 

「いえ、調べてもらっているだけで有難いです。それはそうと、刀夜さん達は『兎野命』という人物を知ってますか?」

 

「命?何か君と関係しているのかい?」

 

「その、もしかしたら自分と関わりのある人かもしれないので、出来れば調べてもらえないでしょうか?」

 

「ん!ちょっと待ってくれ、命?ミコト?・・・・・仁、確か忍さんの娘さんの名前は」

 

「命さん、ですね。ですがその命さんは今から5年前に失踪して以来、行方不明です」

 

失踪している?

5年も前にいなくなっているのでは手掛かりも掴めないだろう。

彼女は俺の何か秘密を握っているはずなのだ。

今、彼女は一体何処に居るんだ。

 

「更識家の総力を挙げて捜索しよう。何か分かり次第、君に伝えよう。さぁ、もう今日は遅い。更識家の朝は早いからな。今日はもう寝なさい」

 

「は、はい。その、よろしく、お願いします」

 

「構わないよ。虚ちゃんのお願いでもあるからね。彼女にもお礼を言って上げてくれ」

 

「虚が・・・。はい、分かりました」

 

俺は立ち上がり、刀夜さん達にお辞儀をし、部屋を出た。

更識家の人達には感謝しきれないな。

その中でも、虚には特に。

そう思いながら、俺は部屋に戻り就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

次の日、

早朝から春万の寝顔を眺めながら、つついている虚の姿があった。

 

「・・・・・・・春万君、起きて下さい」

 

「・・・んあ?・・・・・・早くない?」

 

「普通ですよ?」

 

「マジか」

 

時刻は未だ6時にもなっていない。

俺は眠い目をこすりながら身体を確りと伸ばした。

眠気が少しづつ覚めていき、意識が確りと保たれた。

 

「ん、おはよう虚」

 

「はい、おはようございます春万君」

 

俺は虚に朝の挨拶を行い、大広間へと向かった。

大広間には更識家の面々と布仏家の面々が集まりだしていた。

俺が入って来た後に、本音ちゃんと眼鏡をかけた水色の髪をした少女が入って来た。

本音ちゃんは未だ眠そうだ。

本音ちゃんを観察し、ふと目線を逸らした時に、眼鏡をかけた少女と目が合った。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「ん?」

 

「あ、その、えっと・・・・」

 

辿々しくした後、人見知りなのか、何も言わずに本音ちゃんの後ろに隠れてしまった。

そんな光景を見ていた虚がそっと耳打ちしてきた。

 

「彼女はお嬢様の妹の簪お嬢様です。少し人見知りがあるのですが、本当はとても可愛らしい人ですよ」

 

「ふーん。まぁいきなり家に知らない男が居たらびっくりするだろうしな」

 

「それもそうですね。不審者ですからね」

 

「勝手に不審者にするな。俺は天才物理学者だぞ!!!」

 

「はいはい、それよりも朝ごはんの準備を手伝って下さい」

 

「無視ですか〜。はぁ、了解だ」

 

「フフ、分かればよろしい」

 

「な〜に?朝からアツアツね二人共!!!」

 

そんな所でケラケラと笑っている楯無が入って来ていた。

 

「お嬢様、後でお話が」

 

「え?虚ちゃん?何でそんな怒って・・・・ハ、ハハハ」

 

虚の眼力怖すぎだ。

虚から黒いオーラも出ていた。

相当怒ってるな。

 

「さぁご飯にしましょう」

 

その声と共に朝ご飯を頂いた。

 

 

 

 

 

 

ご飯も食べ終わり、部屋に戻ろうとした時、クローズドラゴンがビルドフォンを持って向かってきた。

ビルドフォンからはスマッシュ反応が二つあるのを示していた。

 

「・・・虚、行ってくる」

 

「スマッシュ、ですね。旦那様には私から言っておきます」

 

俺は確認を取り、外に出てビルドフォンにライオンフルボトルを挿し込んだ。

 

【ビルドチェンジ】

 

バイクモードに変形させ、ライドビルダーに跨り、スマッシュ反応の発生源へと向かった。

そんな後ろ姿を虚ともう一人、青髪の眼鏡をかけた少女が見送るのであった。

 

「・・・・・何、あれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマッシュの発生元へと辿り着くと、

生身の人間が、スマッシュと戦っていた。

 

「はぁ!」

 

生身の人間は立ち向かっていくが全く歯がたっていなかった。

生身の人間は見た目からして、自分とあまり変わらない年齢の少年であった。

戦い方から見て何か武道を行っていたのだろう。

 

「ぐっ、くっそ」

 

「クローズドラゴン、スマッシュの気を引いてくれ」

 

「グワァ〜〜」

 

クローズドラゴンにそう伝えると、ガドリングフルボトルを渡し、フルボトルスロットに入れると、

 

【CROSS-Z・FLAME!!!】

 

そう鳴り響き、スマッシュに向かって攻撃を開始した。

スマッシュはその攻撃に反応し、生身の人間を無視した。

俺は生身の人間に近づきながら問いかけた。

 

「大丈夫か?」

 

「ハァハァ、誰だテメェ。奴らの仲間か?」

 

「奴ら?」

 

「惚けんな!俺に人体実験したのはテメェらだろうが!!!」

 

「よく分からないが、取り敢えず俺はそこのスマッシュを倒しに来ただけだぞ?」

 

「あ?違ぇのか?」

 

「取り敢えず、詳しい話は後で聞くよ。フッ、生身の癖にスマッシュに立ち向かうなんて、お前勇気あんじゃねぇか。後は俺に任せておけ」

 

人体実験だとか、此奴からは興味深いことが聞けそうだ。

もしかしたら、スマッシュに繋がる何かを知っているかもしれない。

まぁ、今はそんなことよりも、此奴の勇気に答えてやらないといけないな。

俺はビルドドライバーを腰に巻き、ラビットフルボトルとタンクフルボトルを振って、ドライバーにセットした。

 

【ラビット】

 

【タンク】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!!イェーイ!!!】

 

「な、なんだそれ?」

 

「勝利の法則は決まった!!!」

 

俺はスマッシュとの距離を一気に詰め、連打していく。

研究済みのパワー型スマッシュである為、対処は楽であった。

ドライバーに内蔵されている拡張領域からドリルクラッシャーを取り出し、スマッシュの表面から削って行った。

五撃目で、スマッシュの胴体を突き、後方へ退かせると、パンダフルボトルをフルボトルスロットに挿し込んだ。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・ブレイク!!!】

 

「喰らえ!!!」

 

ボルテックトリガーを引き、パンダの爪を出現させながら、スマッシュを削り斬った。

スマッシュを火花を上げながら完全に疲労し切っていた。

そして俺はドリルクラッシャーを拡張領域へと戻し、今度はハリネズミフルボトルを取り出し、ラビットフルボトルと入れ替えた。

 

【ハリネズミ】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

トライアルフォーム=ハリネズミタンクへと変え、迫り来るスマッシュに対して、右手のBLDスパインナックルの針を最大まで伸ばし、スマッシュの攻撃を全てあしらった。

そのままスパインナックルで殴り続け、スマッシュを確実に疲労させていく。

スマッシュの隙が完全に出来たと分かり次第、ラビットフルボトルをもう一度振り、ハリネズミと入れ替えた。

 

【ラビット】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!!】

 

「フィニッシュだ」

 

ドライバーのレバーを回し、必殺技のエネルギーを溜め込んだ。

 

「ちょ〜っと待ってて」

 

俺は後方へ走り出し、地面に垂直に穴を開けた。

そこから一気に上へと上昇し、計算式で出来上がった形を元にスマッシュを逃がさないように挟み込み、必殺技を決め込んだ。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

ボルテック・フィニッシュをスマッシュに決め、爆散した。

俺はビルドフォンをもう一度見直すと、そこには未だスマッシュ反応がもう一つあるのだが、辺りを見てもスマッシュはいない。

今ここには先程の少年しかいない。

不思議に思っていると、緊張が抜けたのか、少年が座り込んでしまった。

 

「おいおい、大丈夫か?ってその手、結構怪我してるな」

 

「お、お前が仮面騎士だったんだな・・・」

 

「違う、仮面ライダーだ。仮面ライダービルド、作る、形成するって意味のビルドだ。以後お見知りおきを?」

 

「けいせい?何だそれ?」

 

「マジかよ。意味くらい自分で調べろバカ!!!」

 

「馬鹿ってなんだよ、馬鹿って」

 

「取り敢えず、ほれ。・・・・よっこら、うっ!」

 

俺はボロボロの少年の手を掴むと突如頭に電撃が走ったような痛みを覚えた。

そして、フラッシュバックするように頭に映像が流れた。

その記憶は、ガスマスクをつけた連中に囲まれながら人体実験を受けていた記憶であった。

 

「ど、どうしたんだよ?」

 

「・・・・・ハァハァ、人体、実験。あれは一体・・・」

 

そんなやり取りをしていると、軍隊なのか、銃を持った兵隊らしき人型のロボット?が此方に迫って来ていた。

ある程度の距離に達すると銃を構え始めた。

 

「彼奴らまた!」

 

「ん?なんだあれ?お前、アレに追いかけられてたのか?」

 

「あぁ、変な研究施設みたいな所で人体実験を受けさせられたんだよ。そこから逃げた時にアイツらに追われて、逃げ回ってたってことだ。というか、このままじゃ逃げられねぇ」

 

「変な研究施設ねぇ・・・・」

 

俺は今、思い出した記憶に似たような体験をしていたことを思い出していた。

俺もその人体実験を受けていたようだ。

そしてその実験場にはそこには、ナイトローグと周りに何人もの実験服を着させられた人間がいた。

 

「取り敢えず、謎が多すぎるな。ってそんなゆっくりしてられなかった」

 

俺はビルドフォンを変形させ、ライドビルダーの形へと変えた。

そこに跨り、後ろを見ると少年はボケっとしながら俺を眺めていた。

 

「・・・何やってんだよ。乗れよ!!!」

 

「え?あ、おう」

 

『グワァ〜!!!』

 

クローズドラゴンがあの兵隊達を足止めしている隙に、俺は急速発進させて、その場を離れるのであった。

その道中、

 

「はぁ、最悪だ。なんであんな軍隊なんかに追われなきゃ行けないんだか。・・・ところで、お前、名前は?」

 

「あ?俺は甲斐龍斗だ。お前は?」

 

「俺の名前は兎野春万だ。天才物理学者だ」

 

「自分で天才とか言うのかよ。歳もそんな変わらねぇだろうが。まぁ・・・・・・その、助けてくれてサンキュ」

 

「フッ、気にすんな。なんとなくお前を気に入っただけだ。それに・・・いや、なんかお前面白そうだしな。ズボンのチャックは全開だけどな!!!」

 

「ふぁ!何時からだよ!!!」

 

甲斐は急いでズボンのチャックを締め始めた。

 

「割と最初から」

 

「何で教えてくれねぇんだよ」

 

「教えるも何も、自分で気づけバーカ」

 

「お前、また馬鹿って、このやろ!!!」

 

「お前、揺らすな!!!転ぶだろうが!!!」

 

『グワァ(ヤレヤレ)』

 

こうして、俺と甲斐は運命に導かれるように出会ったのだった。

この出会いは偶然か?それとも必然か?

俺達の姿を見守る様に、ブラッドスタークは観察するのであった。

 



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第37話:記憶とのベストマッチ

仮面ライダービルドであり天才物理学者の兎野春万は前回も華麗にスマッシュを倒すも、謎の兵隊もどき達におわれる羽目に・・・
「自分で天才とかイタいにも程があるだろ。ただの記憶喪失の餓鬼だろ」
そんな此奴は甲斐龍斗、生身でスマッシュと戦っていたバカだ。
「おい、バカってなんだよ、せめて筋肉につけろ筋肉を!!!」
行くあてもないからってチャック全開でわんわん泣くもんだから心優しい俺が助けてやるのでした。
さてさてどうなる第37話!!!
「泣いてねぇからな!!!というかチャックのことはもっと早く教えろよな!!!」
「二人とも、もう少し真面目にやってください」


春万Side

甲斐を乗せたままライドビルダーを走らせ、更識家に帰って来た。

甲斐は更識家のデカさにかなり驚いていたが、今はそんなことはどうでもいい。

何故、俺が甲斐龍斗を更識家に連れてきたのかには理由がある。

俺はスマッシュの発生によって現場に向かった。

だが、その時あったスマッシュ反応は二つだった。

兵隊擬きが来たために、大急ぎでその場を離れたが、俺が離れると同時にあったスマッシュ反応はライドビルダーと同時に動いたのである。

だが、俺の後ろには甲斐しか乗っていない。

つまり、このスマッシュ反応は甲斐龍斗から発せられているものであると考えた。

考えた結果、甲斐が受けた人体実験に影響があると思われる。

それに加え、甲斐の手を握った時に思い出した俺の記憶は、俺が人体実験を受けていた記憶であった。

よって俺は、甲斐龍斗のことを知る必要が出てきた訳だ。

此奴には、俺の記憶に纏わる何かに繋がっている気がしたからだ。

 

「おかえりなさい春万君。ん?其方の方はどなたですか?」

 

「あぁ、コイツは甲斐龍斗。スマッシュの現場で生身で戦ってたバカだ。怪我してるから取り敢えず手当をと思ってな」

 

「そうでしたか。では居間の方に。私は救急箱を取ってきますね」

 

「って事だ。取り敢えず上がれよ」

 

「え?あ、おう・・」

 

甲斐を居間に案内し、そこに座らせると、周りをキョロキョロしながらソワソワとしていて、落ち着きがなかった。

まぁ、突然知らない人のこんな大きな屋敷に入ったら、誰だってソワソワと落ち着かなくなるだろう。

だが、そんな姿をクローズドラゴンは落ち着けと言うばかりに、軽く炎を吐き出した。

 

「アッツ!!!コイツ!!!」

 

「おいおいクローズドラゴン。一応怪我人だぞ」

 

『グワァー!!!』

 

そう注意すると、大人しく机の上に降り立って待機した。

 

「なぁ、俺を此処に連れてきたのは手当のためだけじゃないだろ?」

 

「まぁな。お前には色々と聞かなきゃならないことがあるからな。取り敢えずお前の話してくれ」

 

「話って?」

 

「全部だ」

 

「・・・おう、分かった」

 

そう言って、甲斐は話し始めた。

 

「俺が生まれたのは千葉の産婦人科だった。3203gの元気な赤ん坊で・・・」

 

此奴、やっぱり馬鹿だ!!!

甲斐は何故か回想シーン交えながら生い立ちを話し始めたのである。

 

「誰が生い立ちから話せっつたんだよ!!!」

 

俺は甲斐の回想シーンを遠くに吹き飛ばした。

 

「全部話せっつたのお前だろうがよ!!!」

 

「流れで分かるだろ馬鹿!!!」

 

「また馬鹿って、お前な〜!!!ってイタタ」

 

「怪我人の癖に暴れるからだ」

 

甲斐は自分の肩に手を当てながら、痛みを抑えようとしていた。

今更に思うと、生身でスマッシュに立ち向かう時点で馬鹿だが、スマッシュに立ち向かって生き残っている時点で普通とは多少なりとも言い難い。

そんな考えが頭を過ぎっていたその時、居間の襖が開き、虚が救急箱を持ってきながら、楯無や刀夜さんを連れて来た。

虚は俺とを一瞬目を合わせ、まるで俺の考えを理解しているかのような表情をし、手早く手当を始めていた。

俺はそんな虚を見て、彼女には色々と思考を読み取られているなと、感服しながら刀夜さん達に甲斐を連れて来た理由についてを話し始めた。

 

「それで、虚ちゃんに話があるって呼ばれてきたんだけど〜、この子がスマッシュの現場にいたって男の子?」

 

「あぁ、此奴は甲斐龍斗。まぁ理由があって此処に連れて来た」

 

「その理由って何かしら?」

 

俺はビルドフォンを楯無に渡し、スマッシュ反応を見てもらった。

 

「先ずはこれを見てみろ。それはスマッシュ反応を示す探知機アプリなんだが・・・」

 

「ふーん、スマッシュ反応が未だあるのね。それも此処に」

 

「そうだ。甲斐にはスマッシュ反応があるみたいなんだ。だがスマッシュに成ってはいない」

 

「何か、理由があるのかしら?」

 

「完全には分からないが、ただ此奴は人体実験を受けたと言っているんだ」

 

その事を告げた時、二人は甲斐のことを目を見開きながら驚いていた。

そんな二人を見て、手当てを終わらせた虚がこちらの話に加わってきた。

 

「人体実験、ですか。前に春万君は身体に何かを施してスマッシュになっているかもしれないと言っていましたね」

 

「あぁ、もしかしたら、その人体実験こそがスマッシュへと変える実験なのかもしれない」

 

「そう。それじゃあ、スマッシュは誰かが悪意を持って人為的に作り出した存在ということが確定ってことね」

 

「そこでなんだが、その、報告と言いますか。俺の記憶に関することなんだが。此奴と俺の記憶がベストマッチしちまったんだよ・・・」

 

「は?なんだよ、それ?」

 

甲斐は頭を傾げながら理解に苦しんでいた。

一方で、虚は俺の記憶についての話題が出ると、何かに気づいたように、不安そうな表情を浮かべながら反応を示した。

 

「・・・思い出したのですね」

 

「・・・あぁ。此奴の手を握った時にな。俺も、甲斐と同じように人体実験を、受けていたんだ」

 

「っ!・・・やはり、そう、でしたか」

 

虚の表情は下を向き、とても悲しそうであった。

だが、まるで予想していたようなその事を雰囲気でもあった。

そんな哀愁漂う空気の中、今まで口を聞くに徹していた刀夜さんが口を開いた。

 

「・・・ということは、春万君。君もスマッシュになる可能性があるということかね?」

 

「それは・・・」

 

「それは無いと思います、旦那様」

 

俺は言葉を詰まらせていると、虚がそれについてを否定した。

 

「春万君、ハザードレベルについてがこの件に関わってくるのではないですか?」

 

「そうか、ハザードレベルか。俺のハザードレベルは3.5。人体実験がそのハザードレベルを上げるための実験であったのなら、スマッシュはその時に生まれた副産物の可能性が高い」

 

「ん?つまりどういうことなの?」

 

「だから、甲斐がそのスマッシュにならず、人間の体を保ったまま、人体実験を終えたということは、俺と同じになる可能性が高いってことだ」

 

「それはつまり、仮面ライダーに変身出来る可能性があるということでしょうか」

 

虚がこの話題の一番の的確なことを述べた。

もしかしたら、甲斐は俺と同じく仮面ライダーになれるかもしれない可能性が出てきたのである。

スマッシュになってしまうハザードレベルの限界値を超えた人間。

未だこれは仮定の段階ではあるが、可能性は高い。

 

「いやつまり意味が分からないぞ?何の話してるだ?」

 

「はぁ、これだから馬鹿は」

 

「馬鹿馬鹿言い過ぎだっての!!!というか、そんなことはどうでもいいんだよ。俺はそんなことよりもやらなきゃならねぇ事があるんだよ!!!」

 

甲斐は先程までの話よりも、自分の大切な用事を思い出したのか、血相を変えて立ち上がるのであった。

楯無がそんな姿を見て何か良からぬ事情を察知したのか、その用事について尋ねた。

 

「何をしなきゃいけない事があるのかしら?」

 

「アイツを、俺の両親を殺したあのコウモリ野郎をぶっ飛ばすことに決まってんだろ!!!奴だけは、絶対に許さねぇ!!!」

 

「落ち着いて下さい!!!未だ怪我が治っているわけじゃないのですから」

 

甲斐は衝撃的な発言をしたのであった。

コウモリ野郎は間違いなくナイトローグだろう。

ナイトローグが甲斐の家族を殺した?

にわかには信じ難い話をしていた。

加えて何故、立ち向かおうとしているのか理解不能だ。

 

「その話、詳しく聞かせてくれ」

 

「あぁ、俺は妹と一緒にあの兵隊みたいな奴らから逃げてたんだけどな。途中ではぐれちまって、探してる最中にそのままアイツらに捕まって、人体実験を受けたんだ」

 

「その妹さんは携帯持ってるの?持ってるならここから連絡出来るかも」

 

「ホントか!!!貸してくれ!!!」

 

甲斐は大急ぎで妹さんに電話をかけたのだが、残念ながら妹さんに繋がることはなかった。

甲斐は見るからに不安そうな表情をしながら小さく俯いていた。

大事な妹が危険な目に会うかもしれない不安は、決して計り知れるものでは無い。

そんな姿を見て、俺は自分の無力さを感じていた。

刀夜さんは甲斐が電話をかけている間に、いつの間にかいなくなっていた。

多分、甲斐の家族のことを調べているのではと虚から聞いた。

更識家は動くのが早いな。

ナイトローグが亡国企業と関わっている以上、行動に何かしらの意味があるのだろうと考えたのかもしれない。

楯無は甲斐の妹さんを探す為に動き出したようだ。

俺も妹さんを探すことに手伝う事にした。

 

 

 

 

 

 

あれから数日が経過した。

未だに甲斐の妹さんは見つからずにいた。

そんな時、ビルドフォンに電話が来た。

相手は虚であった。

 

「どうした?妹さんが見つかったのか?」

 

『いえ、それよりもまずいことになりました。妹さんから連絡を受けたのか、突然、甲斐君が飛び出して行ってしまいました。急いで彼を追ってくれませんか!!!』

 

「分かった!!!ったくあの馬鹿は」

 

俺は急いでライオンフルボトルを取り出し、ビルドフォンに挿し込んだ。

 

【ビルドチェンジ!!!】

 

ライドビルダーに乗り、スマッシュ探知を使用することで甲斐を見つけようとした。

しかし、丁度その時にスマッシュ反応が出現してしまったのだった。

俺は苛立ちを感じながら、甲斐よりも先にスマッシュの方へ向かった。

そのスマッシュ反応は二つを指し示しながら。

春万Sideout

 

龍斗Side

俺は今、更識の家にあった自転車を使って、コウモリ野郎の言っていた場所に向かっていた。

少し前、妹に何度も電話をかけ続けていると、遂に繋がったのだ。

しかし妹の声は明らかに普通の声ではなかった。

 

「お兄ちゃん!!!助けて!!!イヤ、離して!!!」

 

「おい!明香里!!!明香里!!!」

 

俺は何度も呼び掛けたが、終ぞ返事は帰ってこなかった。

その上、次に聞こえた声は奴だった。

 

『甲斐龍斗だな。妹に合わせてやる。・・・に来い』

 

その場所には覚えがあったため、急いで家を出た。

自転車があったから勢いでそれに乗って、目的地に急いだ。

目的地に着き、自転車を乗り捨て、周りを見たのだが明香里はいなかった。

 

「明香里ー!明香里ーー!!!どこに居るんだ!!!返事してくれーーー!!!」

 

大声で叫ぶが反応はなかった。

コウモリ野郎が嘘をついた可能性を考えた。

しかしそう考えた時、あの怪物が現れたのだった。

 

『ギギガッ』

 

「お前は!ちっ、邪魔するな!!!」

 

俺は咄嗟にファイティングポーズを構えて怪物に向かって行き、拳を振るが、怪物は前と同じく、とても頑丈であり、攻撃が通じなかった。

それでも俺は諦めず殴り続けるが、怪物に殴られ吹き飛ばされた。

そんな俺を見えない所から観察している奴がいた。

 

『遅かったな、甲斐龍斗。約束は果たしだぞ』

 

「何言ってんだ!!!明香里は何処だ!!!」

 

そんな叫びに、まるで嘲笑うかのようにナイトローグは無情な真実を告げた。

 

『貴様の妹は目の前だ』

 

「は?・・・・・うそ、だろ。コイツが、明香里?」

 

『・・・・』

 

怪物は炎の球を作り出し、俺に向けて放ってきた。

紙一重で避けるも、先程言われた言葉に動揺してなのか、俺は後ろに衝撃で吹き飛んでしまった。

 

「うそ、だろ。本当に明香里なのか?うわっ!」

 

火球を連続で放ち、確実に俺を消し炭にしようとしていた。

俺はコイツが明香里であると信じられずにいた。

只管頭で否定しながらも、それが本当だったとしたらと考えてしまい、体が固まってしまった。

怪物はその隙を逃さずに火球を放とうとしていた。

その時、背後からバイク音を鳴らしながら、怪物に立ち向かっていく姿が目に映った。

 

「ったく、勝手に飛び出して行くな!!!そんなに死にたいのか!!!」

 

バイクで明香里を上手く攻撃しながら、俺から距離を離して行った。

バイクを降りて、変なあの機械を腰に巻き、明香里と戦おうとしていた。

俺は急いでそれを止めに走った。

 

「待ってくれ!あいつは明香里なんだ!!!」

 

「なに!!!・・・・っ」

 

俺はどうすることも出来ず、怪物と化してしまった明香里を見るのであった。

龍斗Sideout

 



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第38話:絶望の先に待つもの

仮面ライダービルドである兎野春万は甲斐龍斗の願いにより甲斐の妹さんを捜索していた。
そんな時、甲斐がナイトローグから連絡をもらい、妹さんの元へと向かっていくのであった。
しかし、再開した時には、妹さんの姿はスマッシュへと変えられてしまっていた。
さぁどうなる第38話。


春万Side

 

「あいつは明香里なんだ!!!」

 

「なに!」

 

初めて見た炎を扱うあのスマッシュが甲斐の妹さんであると、甲斐は絶望したような表情を浮かべながら俺を止めるようにすがり付いてきた。

しかし、スマッシュになった人間を一体どうすれば救えるんだ?

今までスマッシュ内から出てきた人間はどれも銀髪の髪が特徴であるAdvancedだけであった。

普通の人間は一度たりとも現れたことは無い。

今になってどうしてこんな・・・。

このままでは甲斐の妹を救うことが出来ない。

一体どうすれば・・・。

 

『グワァ〜〜』

 

そんな時、クローズドラゴンが俺に向かってボトルを投げつけてきた。

俺は咄嗟にそのボトルを受け止めた。

しかし、投げつけてきたボトルをよく見ると、それは未だ成分の入っていないエンプティボトルであった。

 

「何故これを?」

 

『グワァ、グワァ!!!』

 

クローズドラゴンはエンプティボトルを突き、首をスマッシュの方向に指し示した。

俺はその行動を見て、スマッシュの特性を思い出した。

インフィニット・スマッシュが人体実験によって生まれた怪物であると考えていた。

その事が正しいのであれば、スマッシュにされる際はナノマシンを改造した特殊なガスを注入させられる。

ナノマシンのガスであるのならば、そのガスをスマッシュから抜き去ってしまえば、元に戻るかもしれない。

甲斐の妹を助けることが出来るかもしれない。

 

「良くやったぞ、クローズドラゴン!!!」

 

『グワァ!!!』

 

「お、おい。どうするだよ!!!」

 

「取り敢えず、今は俺に任せろ」

 

俺はビルドドライバーを取り出し、腰に巻き、ラビットと消防車のフルボトルを取り出し、ドライバーに挿し込んだ。

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

【ラビット】

 

【消防車】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

俺はトライアルフォーム=ラビット消防車に変身し、マルチデリュージガンをスマッシュに向けて消化剤を撃とうとした。

それを阻止するかのように甲斐は俺の前に立ち塞がり、スマッシュと化してしまった妹さんを守ろうとしていた。

 

「やめろ、こいつは明香里なんだぞ!」

 

「そのスマッシュの成分を抜き取れば元に戻るかもしれない。今は俺に任せろ」

 

俺は甲斐を軽く払い除け、スマッシュに消化剤を使い、炎を消火しつつ、少しでも弱らせて成分を抜き取る隙を作ろうとした。

しかし、その攻撃を行う前に、マルチデリュージガンを狙って銃撃を喰らった。

攻撃を受けた方向を見ると、そこには煙を体中に巻きながら、全てを観察していたかのようにナイトローグが出現した。

 

『ハハハ、そんなことをすれば、その女は死ぬぞ』

 

「なに!」

 

『その女のハザードレベルは1。体の弱い人間は人体実験を受け、ガスを注入された時点で死に至る。最早、その女に何をしようとも助かる道は無い』

 

「な、くっそ」

 

「・・・うそ、だろ」

 

ナイトローグは無情な真実を俺たちに告げた。

元々、甲斐の妹さん=明香里さんは生まれつき病弱で、入退院を繰り返していたそうだ。

偶々、今回退院して買い物から帰ってきた時に両親を・・・。

甲斐が死に物狂いで明香里さんを探そうとしていたのは、いつ病気が再発して倒れるか心配だったからであった。

 

だが、これは、余りにも厳し過ぎる現実であった。

俺は折角助けることが出来るかもしれない道を見つけたと思っていたのに、助けることが出来ない無力さに打ちひしがれてしまった。

スマッシュは俺達に攻撃をしようとしていた。

しかし、攻撃を行おうとしていた右手とは裏腹に、左手で攻撃を必死に制していた。

自我を失っても尚、自分の兄を傷つけまいとして、逆に自分に攻撃をし始めていた。

 

「明香里、何を?」

 

「スマッシュに自我は無いはずだ。それでもお前を傷つけまいとして、自分を傷つけてるんだろう」

 

甲斐は見るからに辛そうな表情をしながら、スマッシュを静かに見つめていた。

 

「・・・・・なぁ、本当にもう助からねぇのかよ」

 

「それは・・・・・・・」

 

俺は答えることが出来なかった。

目の前で大切な人の命が失われかけているのを見てることしか出来ない少年を、自分の兄を必死に攻撃しないように耐え抜いている妹さんを救うことが俺には出来なかった。

せめて、あの苦しみから解放させることしか、俺に出来ることは残っていなかった。

 

「ならせめて、せめて元の姿に戻してやってくれよ!!!・・・・・頼む」

 

甲斐は涙を堪えながら、覚悟を決めたように頭を下げて俺に頼み込んできた。

俺は甲斐の思いを受け取り、せめて俺の出来る限りのことをやろうと決めた。

そうして、拡張領域から掃除機フルボトルを取り出し、消防車フルボトルと入れ替えた。

 

【掃除機】

 

【Are you ready?】

 

自分の放つ炎で体を燃やし続けているスマッシュにロングレンジクリーナーを向け、吸引を始め、炎を吸収していく。

炎を全て吸収しきると、スマッシュは倒れていた体を無理矢理起こし、火球を撃ってきた。

その炎も全て俺は吸引し、左肩の付属されているBLDトラッシュコンバーターにエネルギーが溜まったので、コンバーターのスイッチを押し、外に炎をとぐろ上に排出した。

その後、拡張領域からゴリラとダイヤモンドのフルボトルを取り出し、完成された式を元に工程をこなしていく。

 

【ゴリラ】

 

【ダイヤモンド】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ」

 

【輝きのデストロイヤー=ゴリラモンド!!!イェイ!!!】

 

とぐろ上に巻かれた炎を全てダイヤモンドに物質変換させ、右手でレバーを回す。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

ダイヤモンドを一点に集めながら、右手の《サドンデストロイヤー》にパワーを溜める。

溜まったところで、ダイヤモンドを殴り、スマッシュに向けて、ダイヤモンドを送り付け竜巻を起こしながらスマッシュの体を分解した。

スマッシュの体から、体を光輝かせながら、今にも消えそうな少女が出てきた。

甲斐はそれを見るや否や、血相を変えて走り、その少女を抱き抱えた。

俺は落ちてきそうなスマッシュの本体を右手で抑えながら、2人の別れを邪魔させまいと必死に守るのだった。

 

「っく、俺に出来るのはここまでだ」

 

甲斐は俺に軽く頭を下げ、直ぐに妹さんに向き直した。

 

「ハァ、ハァ、お兄、ちゃん。ご、めん、なさい」

 

「もういい。もう喋るな」

 

「私・・お兄ちゃんに、いっぱい、迷惑、かけ、ちゃったから・・・」

 

「迷惑なもんか!!!お前は、俺のたった一人の大切な、大切な妹なんだから!!!」

 

甲斐は涙を堪えることが出来ず、ポロポロと涙を零していた。

 

「ハァ、ハァ・・・お兄ちゃん。私、お兄ちゃんが・・・私の、お兄ちゃんで、良かった」

 

明香里さんは満面の笑みを向けながら、甲斐を見つめていた。

 

「グス、俺も、明香里が、妹で良かった」

 

「ハァ・・・ありが、とう、お兄ちゃん・・だい・・すき・・・・・」

 

明香里さんは最後の言葉を甲斐に送り、光となって消えてしまった。

甲斐はそんな最後を見届け、一人泣いていた。

俺はスマッシュを放り投げ、完全に倒し切った。

その際、エンプティボトルを開きながら傾けると、成分が徐々に吸い込まれていき、浄化前のボトルが出来あがった。

俺はそのボトルを強く握りしめながら、ここから離れようと、ビルドフォンを変形させた。

 

「・・・行くぞ」

 

「・・・もう、いいんだ。もう」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺は心の底から腹が立った。

俺は甲斐の胸ぐらを掴み叫んだ。

 

「何が、いいんだよ。何も知らないまま、自分の家族を失ったんだぞ!!!それを、もういいだと!!!巫山戯んな!!!悔しくないのか!!!このまま何も知らずに悲しみだけ背負っていく気なのか!!!」

 

「・・・・・でも、もう」

 

「俺は、お前も救いたいんだ。俺は、お前の両親も妹さんも助けることが出来なかった。だからせめて、お前だけでも、助けたいんだ」

 

これは俺の我儘なのだろう。

目の前で救えなかった命を見た。

だからこそ、アイツらを許せない。

もうこれ以上、同じような被害者を出したくない。

これ以上、誰かが悲しむのを見たくはない。

みんなに笑顔で明日を迎えて欲しい。

だから、

 

「だから、俺は戦う。お前はどうする」

 

「俺は・・・。知りたい。なんで明香里がこんな目にあったのかを、俺の家族をめちゃくちゃにした奴らをぶっ飛ばす!!!」

 

「・・・・・そうか。なら、行くぞ」

 

俺達はライドビルダーに乗り、更識家へと戻るのだった。

帰り道はお互い何も会話せず、ただひたすら哀愁を漂わせているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、

俺は今日起きた出来事が頭から離れず、余り寝付けずにいた。

ふと、外の空気を吸いに庭に出ると、満月の光が世界を暖かく照らしていた。

俺はポケットに手を突っ込むと、中には浄化していない、あのボトルが未だ入っていた。

無意識の内に持ってきてしまったのだろうか。

俺はそのボトルを見ながら今日の出来事をゆっくりと目を閉じて思い出していた。

 

「フッ、今日はやけに湿っぽくなる1日だったな。ったく、何度、無力感を味わったものか」

 

そんな風に月を見ながら一人黄昏ているところに、背後から忍び寄る影があった。

俺は気配を感じ後ろを軽く振り向くと、そこには三つ編みを下ろした虚がいた。

 

「こんな時間に外に出るなんて、珍しいですね」

 

「そうか?」

 

「・・・今日のことですね」

 

「まぁな」

 

「明香里さんを救えなかったこと、後悔しているのですか?・・・いえ、なんとなくですが、自分の無力さを痛感したという方が正しいでしょうか?」

 

「・・・・ハァ、虚にはなんでも見透かされるなぁ」

 

「貴方の考えていることが分かりやすいということだけです。フフ、何時もの私の気持ちが分かりましたか?貴方を見ていることしか出来ない私の気持ちが」

 

虚は俺の気持ちが痛いほど分かっているようだ。

出来ることなら一緒に戦いたいと思っているのだろう。

そんなことせずとも、いつも俺を支えてくれるのは君しか居ないだろうに。

 

「さぁな。俺は今日のことを忘れないようにしていただけだしな。もう、彼奴みたいに誰も悲しませたくないって改めて感じただけだ」

 

「そうですか。フフ、愛と平和の為に戦うヒーロー、ですね」

 

「愛と、平和か。・・・あぁ、俺はLOVE&Peaceの為に、このビルドの力を使う。それが、ライダーシステムを生み出した俺の使命であり、科学者の理想だからな。そうか、LOVE&Peaceか。良いなそれ」

 

俺は満月に向かってピースサインを送った。

虚もそんな俺を見てか、クスクスと笑いだしていた。

 

「さて、もう遅いですし、寝ましょうか?」

 

「そうだな・・・」

 

「ん?どうしました?」

 

「いや、今日は月が綺麗だなって」

 

「そうですね。私もずっと見ていたいです」

 

「ずっと、か。フッ、さて寝るか。おやすみ〜」

 

「えぇ、おやすみなさい春万君」

 

俺達はひっそりと就寝部屋に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな俺達の光景をひっそりと見ていた人影が一つ。

 

「あわあわあわ//////虚さん達、大胆///」

 

眼鏡を掛けた少女、更識簪は赤面しながら急いで自室に戻るのであった。

 

 

 

 

 



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第39話:新たな物語の幕開け

春万Side

あれから、ずっといじけているのか、考え込んでいるのか分からないが、部屋の隅でじっとしている甲斐の姿があった。

妹である明香里さんがスマッシュとされ、助けることも叶わず、目の前で消えてしまった事実は正直辛すぎる。

だが、それを乗り越えなければ、甲斐は一向に前に進むことは出来ないだろう。

今は悲しみに心沈めていてもいい。

だが、いずれ甲斐自身が立ち上がってくれることを、俺は信じることにした。

 

そして俺は回収したボトルを再度確認し、一刻も早くこのボトルを浄化しなければいけないと思うのだった。

一応年が明け、新年あけましておめでとうと言うのが礼儀なのだが、この状況ではどうもやる気が起きない。

そんなとき、空気をぶち壊すかのように楯無が勢い良く入って来た。

 

「あけまして、おめでとー!!!ことよろってやつね!!!っていつまで辛気臭い顔してるのよアンタは」

 

「あぁ?今はそんな気分じゃねぇんだよ。一人にしてくれ」

 

「ハァ、そんな時だからこそ1人でなんか居させないわよ。男の癖に何時までもいじけちゃって、ダッサーい」

 

「・・・別にいじけてなんかいねぇ。・・・少し考えてたんだ。どうして俺の家族がこんな目にあわなきゃいけなかったのか」

 

「それで、答えは出たの?」

 

「それは・・・・・・」

 

「それを知るために、俺達が居るんだろうが。何一人で考え込んでるんだか。お前のチンパンジー並の足りない脳みそじゃ永久に答えは出ないっての」

 

「んだと!!!俺はチンパンジーじゃねぇ!!!」

 

甲斐は頭から煙を炊かせながらキーキーと足踏みし始めた。

そんなことをするから馬鹿なんだと俺は思うのだが、間違っているだろうか?

 

「あら?チンパンジーじゃないの?」

 

「あぁ?うるせぇ、性悪女」

 

「カッチーン」

 

楯無は煽るように甲斐に言い放つと、甲斐も対抗して悪口を言い放った。

それから2人はひたすら口汚く罵りあい、まるで何かのナワバリ争いでもしているかのように、お互い目をバチバチと睨み合っていた。

この二人は相性が悪いのだろうか。

そんな痴話喧嘩をしていている二人を見て、俺はクシャっと笑い続けていた。

 

「「何笑ってんだよ(のよ)」」

 

「クク、息ピッタリだなお前ら。案外ベストマッチなのかもな!」

 

「「それは無い!!!」」

 

「えー、似合うと思うけどな〜」

 

「「絶対無い。此奴だけは無い!!!」」

 

そんな感じに平和に過ごしているのであった。

春万Sideout

 

 

 

その頃、IS学園にて。

開発室に不穏な影が一つあった。

その影は何かを探すかのように、春万の机や器具等をひっくり返し、目当てのものを見つける為にひたすら開発室を荒らしていた。

 

「無いねぇ〜。ハァ、やっぱりどっかに隠しちゃったか〜。多分ここには無いんだろうなぁ〜。春万くんは一体何処にやっちゃったのかな〜パンドラパネルちゃ〜ん?」

 

その人物が探していたのはパンドラパネルであった。

しかし、このような窃盗犯を想定し大事な物は全て保管していた為に事なきを得た。

だが、ここで気づいて欲しい。

1度大切なボトルを盗まれて以降、開発室のロックは強化してあるため、そう簡単に部外者が入ることは出来ないはずなのだ。

しかしその人物は、手に開発室の鍵を持って侵入していたのである。

そして・・・。

 

「まぁいいや〜。どうせ最後は私の手元に戻ってくるんだし。それはそうと・・おっ!みっけ〜。これこれ〜、ん?パスワードか〜。フッフフ〜ン、カチコチカチッと・・・はい、コピー完了〜!!!さぁてと、送っとこっと」

 

怪しげな人物は春万の研究データをコピーし、ある人物に転送されるのであった。

やることを終えたのか、そのまま開発室を出て職員室へと向かうのであった。

そう、春万の予想していたスパイとは学園内にいる人物であることに間違いなかった。

そして、開発室の扉の鍵を持つ人間はこの学園の中でも限られた人間のみであり、証拠は残っている可能性が高かった。

さて、研究データを奪ったスパイとは一体誰なのか。

 

 

 

○○○Side

 

「ん?おーきたきた〜!!!これがビルドのデータかー。流石ハルくん、本当に面白いねぇ〜。まるで彼奴の研究にそっくりだよ」

 

パソコンに向かい春万のデータを見ながら、不気味な笑みを浮かべるウサミミがトレードマークの不思議の国のアリスのコスプレをしている美女。

データの送信先はかの天災、常に裏で暗躍せし、篠ノ之束であった。

 

篠ノ之束、いえ、"束様"は私に兎野春万との接触及び、信頼の獲得を命令されていました。

何故そのような面倒な事を私に命令したのかを問うと、

 

「クーちゃん、それは勿論ハルくんのハザードレベルを上げるために重要だからだよ。感情の高ぶりによって強くなるライダーシステムは、感情を持つ人間の特権、◾️っくんには感情が無いから出来ないんだよ〜。それにね、彼らの成長は『PROJECT・BUILD』には絶対必須だしね〜」

 

「・・・彼、"ら"?兎野春万だけではないのですか?」

 

「あぁ〜、そういえばクーちゃんには言っていなかったね。それじゃあ教えてあげる。この計画のもう一人の要『甲斐龍斗』の存在を」

 

私はその時、束様の考えていた計画の全貌を知るのであった。

しかし、束様の口振りからして、『PROJECT・BUILD』という計画は束様自身が考えた計画では無いようです。

一体誰がこのような計画を考えたのでしょうか。

 

「それで、計画は進んでいるのでしょうか?」

 

「もっちろん!!!この束さんにかかれば、人の運命なんて束さんのシナリオ通りに動く人形だも〜ん」

 

全ての人間を嘲笑うかのように放った言葉は、篠ノ之束にとっては造作もない出来事であり、それを本当に行っていることに、私は何時も恐怖を覚えます。

 

「それにね、プロローグはもう終わりだよ。さぁ第一章の開幕だよ。精々楽しませてよね、ハルくん、りゅーくん」

 

束様は本のページをめくるようにシナリオを次に進め、手の平で世界を、運命を転がしているのであった。

 

 

 

話が一区切りつき、虚さんに習ったお茶を束様に出し、先程のシナリオのもうひとつの疑問を問いました。

 

「あの、束様。何故、亡国企業にトランスチームガンを渡してしまったのですか?あの様な死に体の組織に何か利用価値でもあるのでしょうか?」

 

「ん?あぁー、アレも束さん達のシナリオに含まれた道化たちだよ。まぁ束さんはアイツらなんかよりもあの子に興味を持ったからトランスチームガンを与えたんだ〜。いずれあの子も仮面ライダーになるし、その為の経験を積ませるためだよ。それにアイツらに貸したことで、アイツらは束さんの手足となって動いてくれるし、一石二鳥だよね〜」

 

笑いながら答える篠ノ之束という人間はやはり有象無象の人間などに興味を持たずゴミのように無関心を貫き、自分の気に入った者のみをいじめ殺すという狂気の超人なのだろう。

しかし、それでも私を救ってくれた束様に、私は忠誠を続けよう。

クロエSideout

 

ダリルSide

オレはこの冬休み中に、ヘル・ハウンドの調整を行うためアメリカに戻って来た。

研究所でヘル・ハウンドを渡すと、研究員から何故か色々と言われる羽目になった。

ヘル・ハウンドを改造されたのが気に食わないようだが、実際自分たちが制作した時よりも性能が大幅に上昇していたから、文句を言うしか無かったみたいだ。

オレにとっては誰が作ったかなんてどうでもいいし、専用機を手に入れられたら任務完了のはずだったんだが、叔母さんは何処までオレを働かそうとしているのだか分からない。

 

そうして所長さんの小言祭りから解放され外に出て、スマホを取り出すと連絡が入っていた。

ホテルの場所だけが書いてあり、その場所に行き部屋に入って行った。

そこには、ナニをやり終えて下着姿となっていた金髪の妙齢な美女:スコール・ミューゼルと完全に昇天していたオータムがいた。

 

「ハァ、それでわざわざアメリカに来た理由はなんだ?」

 

「なぁに、久しぶりに貴方に会いに来たのよ『レイン』。もっと何かあるでしょう?」

 

スコールはオレの本名:レイン・ミューゼルと呼び、オレに冗談を噛ましてきた。

此奴はオレの叔母さんではあるが、一度たりとも可愛がられたことなど無い。

むしろオレに嫌がらせして来るようなやつだ。正直あまり会いたくはなかった。

しかし、これでも亡国企業の実働部隊隊長。一応、オレの上司だから、仕方なくだが従うしかない。

 

「無いな。アンタはオレに会いたいなんてこと一度としてあるわけねぇだろ。それで、アイツは?」

 

「そろそろ戻ってくるわよ」

 

「あっそ。なら要件をさっさと言ってくれ。オレはアイツと会いたくねぇから」

 

「今日は任務としてここに来ただけよ。レインも報告の為に戻ってくる予定だったでしょう。その為よ。貴方にはこれまで通り、アメリカの代表候補生としてIS学園に引き続き潜入してくれと命令されたわ。ただ、貴方にも人体実験を受けるようにも命令されたわ。漸く亡国企業が本格的に動き出して行くわ」

 

「あの『ドライバー』か。まぁ、春万のボトルを奪うにはそれくらいしねぇとな」

 

「そのことで、あの篠ノ之博士が協力してくれることになったわ。これで亡国企業がこの世界に変革をもたらす第1歩となるわ」

 

スコールは野心を剥き出しにした笑みを浮かべながら、その拳を強く握り締めていた。

オレにとっても、この世界は余りにも腐っている。

オレが亡国企業に入ったのは、この世界を根底からひっくり返そうとしている亡国企業に関心を持ったからだ。

すると、扉が開き、そこには織斑千冬と同じ顔をした少女:Mが任務を終えて帰ってきた。

その手には、あの変身装置『トランスチームガン』が握られていた。

 

「レイン、くれぐれも深入りしないようにね。更識が前よりも我々を追ってる。貴方のお友達にもいたわね、『布仏虚』が。私としてはさっさと消しておいて欲しいんだけど。下手に手を汚すと足が着くから上司として辞めておきなさい」

 

「・・・・・・あっそ。オレはオレのやりたいようにやる。オレはあんたみてぇに裏から笑ってるだけのヤツはホントに嫌いだ」

 

「そう、褒め言葉として受け取っておくわ。そうそう、私達も近日中に日本に入ることになるわ」

 

「分かったよ・・・。んじゃあな」

 

俺はホテルをさっさと飛びだし、一人、頭を悩ませていた。

オレは本当にここにいてもいいのだろうか。

叔母さんに、亡国企業に利用されるだけでいいのだろうか。

未だオレは、答えを見つけられないでいた。

本当に、春万が羨ましい。

戦う意味を明確に持つ彼奴が羨ましい。

そんな彼奴を全力で支える虚が羨ましい。

オレには何も無いから。

守るものも、守りたいものも、支えたいと想う人も、支えてくれる人も、オレは何も持っていない。

オレはアイツらを嫉妬しているんだろうな。

オレに優しくないこの世界を呪うことでしか、オレはオレの存在を証明できないでいた。

仮面ライダーになれば、オレも変わるのだろうか。

変われるといいな。



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第40話:灯火は龍へと渡る

春万Side

 

「それでは、お世話になりました」

 

「うむ、また何時でも来なさい。歓迎しよう」

 

「ありがとうございます。仁さんもまた」

 

「えぇ、今回は仕事でバタバタしていてちゃんと話せていなかったね。今度は2人でゆっくりと」

 

そうして仁さんはそっと俺に近づいて耳打ちしてきた。

 

「娘のことを宜しくね。色々な意味で」

 

「は、はい。アハハハ」

 

仁さんは含みのある言い方で俺に言ってきた。

仁さんは一体俺に何を期待しているのだろうか?

俺は苦笑いしか出てこなかった。

 

「春万君、お父さんと何を話していたのですか?」

 

「い、いやなんでもねぇよ」

 

「へぇ〜、そうですか。ならいいです」

 

虚が疑いの眼差しを向けてきたが、俺はなんとなく目を合わせまいと視線を外した。

俺は明後日から授業が始まるため、IS学園に戻ろうとしていた。

虚は珍しく未だ溜めていた仕事を完遂し切っていないらしいため、明日IS学園に戻ってくるそうだ。

俺は一足早く戻り、研究を再開したかった。

この冬休みだけで色々とやることが増えてしまったからだ。

年明けからは生徒会長にもなるため、頭が既に痛い。

そうして"俺達"はIS学園へと戻ってきたのだった。

ん?"俺達"?あぁ、もう一人は此奴だ。

 

「で、なんで俺までここに来なきゃ行けなかったんだ?説明しろ春万!!!」

 

この頭が残念なくらいおバカな甲斐龍斗だ。

連れてきたのには理由がある。

 

「あのなぁ、何時までも更識家に置いておく訳にはいかないんだからしょうがないでしょ。仮にもお前は人体実験されてもスマッシュになってない特殊な人間、つまりは重要人物なんだからな。取り敢えず学園長に相談するのが先決なんだよ」

 

「さっぱり意味分からん」

 

「それにだ。お前はあの亡国機業に追われてる身だ。何時までも更識家に隠していたら、逆に彼処に危険が及ぶでしょうが。スマッシュの対応するにも出来るだけ応援と防衛設備が充分なIS学園の方が安全なんだよ」

 

「ほぅ、さっぱり分からん」

 

「ハァ、ダメだ、馬鹿にはなんも通じない」

 

「お前、またバカって。せめて筋肉付けろ、筋肉を!!!」

 

「はいはい、それとお前、チャック空いてるぞ」

 

「ファ!!!おま、それを先言えよな!!!」

 

こいつと話していると馬鹿になっていくのは俺だけか?

それはそうと、甲斐には自分で自分を守るだけの力がない。

それについてをずっと考えていたんだが、クローズドラゴンがひたすらこの浄化前のボトルが鍵であると言いたげに俺に進めてきたのだ。

もし、このボトルが甲斐に何らかの力を与えるのだとしたら、それはきっと・・・・・。

 

だから俺は甲斐を一緒に連れてきたのだ。

正直、甲斐のハザードレベルがどの位なのかは分からないが、きっと此奴は大きな可能性を秘めていると俺は確信している。

それに、甲斐の両親が何故殺されなければならなかったのか。

まだまだ此奴への謎が多い。

その為にも先ずは、

 

「という訳で甲斐龍斗をIS学園に入学させてください」

 

「えぇ、却下です」

 

俺達は早々に学園長室に行き、学園長に直々に頼み込んでみたのだが、あまり良くない反応をしていた。

学園長も若干呆れ顔で俺を見てくるのが辛い。

というか今この人、拒否した?

 

「え?今なんて?」

 

「ですから、却下です」

 

「何故?」

 

「あのですね兎野君。これ以上学園に面倒事を持ってこられても、学園としては困るのですよ。彼の境遇は分かりました、同情もしましょう。ですが、それでもわざわざ学園で受け持つ必要はありませんよね?」

 

「うっ・・・。それは、その・・・・・・・」

 

学園長は当たり前のことを告げてきた。

正直、これまでトラブル続きであり、これ以上トラブルを抱えたくないというのが本音だろう。

スマッシュによって鬱状態になってしまった生徒などもいた為、そんな奴らに狙われている甲斐を学園に入れたら、より生徒に危害が及ぶと考えるのは当然だろう。

 

「・・・それはそうと、彼には君と同じように仮面ライダーになることが可能なのですか?可能でしたら来年度の男子枠で学園長推薦として入学を許可しますが、その様子から察してなれないのですね」

 

「え?なれる可能性は高いと思いますけど。まぁ、それは甲斐次第ですが」

 

「そう、ですか。・・・・・・・・・仕方ありませんね。これまでのキミに免じて、三月になるまで待ちましょう。それまでに彼を仮面ライダーになれるようにしてください。君と同じ力を持つものならば、学園の守りもより強くなるでしょう。それまでは貴方が彼にちゃんと教育を施してくださいね。但し、出来なかった時は、分かってますね?次期生徒会長さん?」

 

「・・・・・・・・・・は、はぃ・・・・」

 

学園長の目は完全にオモチャを見るような目であった。

流石学園長、情報が早い。仕事が早い。恐い。

にしても学園長はかなり厳しい条件を突きつけてきたな。

この短い期間で仮面ライダーにしろって言われても、そもそもそんな簡単になれるもんじゃない。

最低でもハザードレベルを3.0以上にしなければ、このビルドドライバーを使えないのだから。

そんな焦りを感じている俺とは対称的に、甲斐の頭はお気楽な単細胞で出来ていたようだ。

 

「お?なんだよ俺もお前みたいなあれになればいいのかよ。それならちょっと貸してみろよ!」

 

馬鹿なことに甲斐は俺のビルドドライバーを腰に巻き、ラビットとタンクのフルボトルを挿し込んだ。

 

「あ!お前、待て!こんな所で!!!」

 

【Are you ready?】

 

「へんしん!・・・・ぐわぁぁぁぁぁぁあ!」

 

調子よく変身ポーズをとり、変身に失敗した。

甲斐は盛大にのたうち回って、ごろごろと転がりながら倒れ込むのであった。

 

「はぁ、あのなぁ、これはな、誰でも使える代物じゃないんだよ」

 

俺は転がっていたビルドドライバーを拾い上げ、甲斐を見下ろしていた。

学園長もかなり冷ややかな目で俺らの茶番を見ているのだった。

いや、本当にご迷惑ばっかかけて申し訳ございません。

そんな学園長はというと・・・。

 

(生徒会の仕事、増やしますね)

 

学園長は俺と目が合うと笑顔になり、分かってるよな?と言いたげなオーラを出していた。

その後、生徒会の仕事が今までの倍になり、虚の殺気を俺は一身に受けることになるのだった。

学園長をもう二度と怒らせないようにしようと誓う俺なのであった。

春万Sideout

 

虚Side

春万君達を送り出し、私は残っている仕事を片付け、学園に戻る準備をしていました。

報告ですが、お嬢様がついこの間、ロシアの国家代表となりました。

その際、現在お嬢様の使用している専用機『モスクワの深い霧(グストーイ・トゥマン・モスクヴェ)』の改造(設計資料など作成等)を手伝ってくれないかと言われ、つい熱が入ってしまい、仕事を疎かにしてしまったのは一生の不覚です。

幸い、雑務だけでしたから良かったですが。

準備も終わり、お嬢様の元へ戻ろうとした時、偶々、本音が簪お嬢様と何かしているのを見てしまいました。

その何かと言うのが・・・。

 

「変身!!!」

 

「わぁ、似てる似てる〜!!!」

 

春万君の真似でした。

お仕えしているお嬢様の妹君と自分の妹が、同級生のモノマネをしている状況とは一体何なんでしょうね?

しかし、ただモノマネをしているという事ではないようでした。

 

「ハァ、春万さん、カッコよかったなぁ〜。やっぱり本物の仮面騎士様はカッコよすぎだよ〜////」

 

「カンちゃん顔真っ赤っかだよ〜」

 

「だ、だって〜。まさか家に来たのが、あの仮面騎士様だなんて思わないじゃん。ハァ、虚さんが羨ましいなぁ」

 

ん?私が羨ましい?何故でしょうか?

簪お嬢様は春万君に夢を見ているようですが・・・、あの春万君ですよ?

一に研究、二に研究、三四も研究で、頭は研究のことばっかの春万君ですよ?

まぁ、良いところはいっぱいありますが、それでもかなりの変人さんですよ。

 

「そうだねぇ〜。お姉ちゃん達、ちょーラブラブだったもんね〜」

 

「うんうん、完全にあれは恋人と言うよりも夫婦だよね、本音」

 

「そだね〜」

 

私はその場で盛大にズッコケてしまいました。

貴方達2人は一体何を言っているのでしょうか?

春万君と私が、夫婦?

ないない。えぇ、有り得ませんとも。そうです、有り得ません。

だって私の好みとは全っぜん違いますもの。えぇ、そうですとも。

・・・私達が夫婦、ですか・・・・・。

何故か私は頭の中で、お腹を少し大きくしながら、キッチンに立って春万君の為に愛情込めてご飯を作り、玄関へ向かい彼に行ってきますのキスを・・・。

その姿はまるで主婦そのもの・・・。

 

「はぅ///ち、ちがいます!!!」

 

私はなんてものを想像しているのでしょうか。

い、いけません、このような破廉恥な妄想など、布仏家の長女としてあるまじき考えです。

それに、春万君と私の関係はそんなものではありません。

もっと清く・・・・・・今思えば、徹夜しながら研究する私達って全然清く正しくありませんね。

私と春万君の関係はそうですね、大切な研究仲間ということですね。

きっとそうです。

私としては誰かの為に全力で守る頼れるヒーローでもありますが、それは彼にはナイショですよ。

きっとこの関係は変わることはないでしょうね。

きっと・・・。

虚Sideout

 

春万Side

学園長への説明取り敢えずどうにかなった?ため、俺達はいつも通り開発室へ着いたのだが・・・。

 

「なんだよこれ、お前の部屋、汚すぎだろ」

 

「・・・・・・・・マジか、最悪だ」

 

開発室にまたしても何者かの侵入を許してしまったのだった。

俺は急いで何か盗まれていないかを確認した。

幸い、パンドラパネルはクローズドラゴンに備えてある拡張領域に入れていたため難を逃れた。

フルボトルも盗まれる心配は一切ない。

フルボトル生成機も壊されず、盗まれてもいなかった、

そう考えると、盗まれるものは残り一つ。

俺はパソコンを開くと、そこにはビルドの詳細なデータが開きっぱなしであった。

そして、そのデータをコピーされた後も残っていた。

 

「やってくれた。ビルドの戦闘データ達がコピーされたな。多分これでクローズドラゴンの中にパンドラパネルがあることもバレたな」

 

クローズドラゴンは元々、フルボトルやパンドラパネル等の大切な物を守る役目として作ったものだ。

研究者がこのデータを見れば、どんな役割を持つかなど簡単に分かるだろう。

取り敢えず、部屋に散らかっていた書類等を丁寧に拾い集め、新たなフルボトルの生成に取り組むことにした。

クロエさんの持っていたバングルのデータにより、フルボトル生成機の性能も格段に上がっているため、多分今回のボトルも直ぐに出来上がるだろう。

それまではゆっくりと待つとしようか。

甲斐?彼奴はIS学園を回ってくるとか言って出て行った。

この女尊男卑の浮き彫りなIS学園でチョロチョロと動けばどうなるのか分からないのだろうか。

やっぱり彼奴は馬鹿だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、

俺はフルボトルが出来上がるのを待ち、椅子に座りながら眠っていた。

そんな中、甲斐が血相を変えて帰った来たようだ。

寝ているから気づかなかったが。

 

「ハァハァ、なんだよここ。女、怖すぎだろ。お前よくこんなところで生活出来たな!!!」

 

「Zzz・・・・・・・・・」

 

「ん?って寝てんのかよ!!!」

 

そう甲斐が声をあげた瞬間、フルボトル生成機からレンジの音のような、完成音が鳴り響いた。

俺は一瞬で目を覚まし、頭に寝癖を立てるのであった。

 

「お!できたできた!!!えっとこれはなんだろ・・・・ドラゴン?」

 

俺は出来上がったフルボトルを取り出すと、そこには燃えるような青い龍の形をしたフルボトルがあり、握ると同時に体の内から力が溢れるような感覚をフルボトルから感じた。

 

『グワァ!!!グワァ!!!』

 

クローズドラゴンが俺に近寄って来て、このフルボトルを待っていたかのように喜びだした。

このフルボトルは彼女の、明香里さんの最後の魂が込められているのだろう。

それだけ大きな力を、このフルボトルから感じた。

俺は徐ろにそのフルボトルを握り締め、甲斐に向かって投げ渡した。

 

「ん?おっとっと。な、なんだよ」

 

「それはお前に返す。お前の妹さんの、明香里さんの最後の魂が込められたフルボトルだ。それは俺じゃなくて、お前が持ってろ。その方がきっと明香里さんも喜ぶ」

 

「明香里の、魂。・・・・・・・ありがとな、お前のおかげでどうにか立ち直れそうだ」

 

「礼はお前を完全に自由にするまで取っておけ。さてと、それはそうとお前には教育を施さないといけないんだったな。これから入学まで、みっちりとやって行くからな。次いでにフルボトルのことについてもかな。取り敢えず、覚悟しておけよ!!!」

 

「え?嘘だろ、マジで勉強すんのかよ!!!勘弁してくれ〜!!!」

 

こうして、彼女の命の灯火は龍の魂へと受け継がれるのであった。

俺達の運命も少しづつ、だが、確実に動いていくのであった。



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第41話:新・生徒会長スタンドアップ!!!

春万Side

俺は今、生徒会室の前に来ているのだが、何故か織斑先生とスカイナ会長が格闘していた。

 

「セ、タ、ン、ス〜!!!」

 

「織斑、先生・・。ちょっ、貴方のアイアンクローは洒落には〜!!!痛い痛い!!!」

 

「寄りにもよって何故兎野なんだ!!!布仏もいただろ!!!」

 

「そ、それは色々と考えてですね・・・・」

 

織斑先生は俺が生徒会長になることに対して苦言を言い、次いでにスカイナ会長をアイアンクローしている。

この人に体罰だとかは求めてはならない。

社会的に強すぎる、というかそれを求めて来る生徒もいる。

最早この学園は末期だ。

話を元に戻すが、俺は俺でこの変な状況を傍観、と言うよりは諦めモードで眺めていた。

今更であるが、俺が生徒会長になることには問題だらけであるのだ。

先ずは性別。これが一番の問題であり、男がこの学園にいることでかなり異常な目でいつも見られていた。

未だこの学園は女尊男卑が強く根付いているため、やっかみがなかった試しがない。まぁ、会長と戦って以降、かなり人数は減った方ではあるが。

それに考えてみて欲しい。

ISを動かせない男が、このISを専門的に扱う学園の生徒会長になるというのは如何なものであるだろうか。

かなりの批判を喰らうだろう。

しかし、このIS学園の生徒会長とは、つまり学園最強の称号を意味するものでもある。

3年であるスカイナ会長達が抜ける今、この学園で最強はつまり、ライダーシステムを扱う俺であるらしい。

ライダーシステムとISは全くの別物なのだが、大丈夫なのだろうか。

だが、学園長はそれを知っていながらも認めているような態度であったのを、未だ覚えている。

今更ながらのことに悩んでいると、背後から丁度更識家から帰ってきた虚の声がしてきた。

 

「何事ですか?」

 

「あぁ、俺が生徒会長になることを織斑先生があまり良くは思っていないらしい。会長に文句件理由を聞きに来たってところだろう。俺もさっき来たばっかりだから詳しいのはよく分からん」

 

「そうでしたか、織斑先生が(多分、仕事が増えるからでしょうね)・・・。それはまた大変ですね。春万君が生徒会長ですからね。頭が痛くなるでしょうね。それはそうと、あのボトルの方はどうなったのですか?」

 

何故か俺のせいである様な言い方をされたが、取り敢えず無視だ。

 

「よく聞いてくれた!帰ってから浄化してみた所、なんとドラゴンのフルボトルが出来たんだよ。…ただ、ちょっと特殊なフルボトルみたいなんだ」

 

「特殊、ですか?何か引っかかることでもあったのですか?」

 

甲斐に渡したものの、一旦データを撮る為に、甲斐を勉強させている間に貸してもらい、データを取っていた。

だが、ドラゴンフルボトルは使ってみると、暴走したかのように力が爆発的過ぎて抑えきれず、加えて体に負担までもかかってしまうという状態であった。

 

「まぁな。今までのフルボトルと違って、全然扱いきれないんだ。力の制御が効かないフルボトルなんて初めてだ。・・・どうだ虚?興味深いだろう?」

 

俺が誘うように言うと、虚は目を細めながらその誘いに乗るように興味を示していた。やはり俺と虚の感覚は何処か近いのだろう。

自分に共感を持ってくれる人間がいることはとても嬉しい。

 

「っ!・・・フフフ、そうですね、とても興味深いお誘いですね。今後の研究に、より精が出そうですよ」

 

「ハハ、虚ならそう言うと思った。それじゃあ早速手伝ってくれないか?やっぱりお前がいないと捗らないからな」

 

「もう、仕方ありませんね。私がいないとダメダメな天才物理学者さん?」

 

虚はなんとも不名誉なことを言ってきたが、俺はいつもの様に自意識過剰にお返しをしてあげた。

 

「ダメダメじゃねぇよ。何時でも完璧な天才物理学者だ」

 

「本当に春万君はナルシストですよね。まぁそうしておきましょうか。それでは行きましょうか?あちらはまだまだ長続きしそうですからね」

 

織斑先生は未だスカイナ会長に未だ文句をタラタラと言っていた。

俺達はそんな姿を見て呆れながら彼女達をスルーし、開発室へと戻るのだった。

そんな2人のやり取りを傍目から感じていた2人はと言うと、

 

((アイツら、私(儂)の前で堂々とイチャイチャしやがって!!!さっさと付き合え、研究バカップル!!!))

 

「「へっくし!!!」」

 

俺と虚は何故か同時にくしゃみが出てしまった。

こんな偶然もあるものなんだな。

 

 

 

 

 

開発室に戻り、俺達はドラゴンフルボトルのデータと睨めっこしていた。

甲斐はその間、IS学園に入る為の最低限度の知識を勉強させていた。

頭の出来がかなり残念である甲斐は、頭をずっと抱えながら唸り声を上げているのだった。

 

「うぬぬぬ、分からん!!!・・・・あっちあっつ!!!やめ、やめろっての」

 

『グワァ!!!』

 

そんな甲斐を監視するようにクローズドラゴンが宙を舞っていた。

少しでもサボろうとすると、クローズフレイムを容赦なく放ち、甲斐の頭を焦がしていくのであった。

そうして1時間程経ち、データをまとめ終えると虚は何かに気づいたのか、俺にあることを提案してきた。

 

「考えたのですが、パワー制御が難しいのならば、このフルボトルを一本だけで使うことは出来ませんか?」

 

「一本だけ?・・・・・・そうか、このフルボトルを制御するためのアイテムを作れば、このじゃじゃ馬フルボトルをうまい具合に扱えるかもしれないな。アイテムか〜。ん?」

 

そこで俺は気づいた。

フルボトルはドラゴンであった。甲斐の頭の上を舞っているクローズドラゴンも同じ龍型の発明品。

・・・それならば、クローズドラゴンを介することで力の制御を可能に出来るよう、調整すればどうだろうか。

クローズドラゴンもこのフルボトルと相性が良ければ、クローズドラゴンだけでも十分なサポートを行えるだろう。

それに彼奴の・・・・・・・・・・・。

 

「それならクローズドラゴンを使うか。このフルボトルは彼奴のだ。お目付け役としてクローズドラゴンを彼奴に貸したが、もしもの時に活躍してくれるかもしれないしな。それと・・・・・ってな訳で、どうだ?」

 

「フム、それは面白そうですね。武器は私に考えさせてくださいよ。今ならいい案が浮かびそうなんで」

 

そうと決まれば、いつも通り俺達は忙しく動き出した。

虚が一体どんな武器を考えてくれるのかにも興味深い。

先ずはクローズドラゴンの改造案から始め、次の日にはクローズドラゴンのメンテナンスと同時に、拡張領域の増長・調整を終え、クローズドラゴンには新たにあるギミックを搭載するのであった。

ビルドドライバーと連携できるように拡張されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、新学期が始まると、最初の全校集会が始まった。

甲斐は開発室でお留守番だ。その間に勉強を行わせている。

今日の俺は生徒会副会長であるため、舞台袖に控えていた。

本日をもって現生徒会3年のメンバーは引退し、俺達へ引き継ぎを行うため、これから生徒会は俺と虚の2人のみとなってしまう。

なるべく早めに生徒会役員を集めることを織斑先生にしつこく言われたが、それは後々やることにしよう。

今日の朝まで織斑先生は俺が生徒会長になることに苦言を申していたが、もう考えることをやめてどうでも良くなってしまったようだ(多分疲れたのだろう)。

 

「本日をもって3年生徒会役員及び儂、スカイナ・セタンスは生徒会長の任を終える。そのため、次の生徒会長として儂は兎野春万に引き継がせることにした。春万、後はよろしく頼むぞ」

 

スカイナ前会長に呼ばれたため、壇上に出るとそこでは多くの生徒が怪訝な顔をしていた。

女尊男卑の思考が強い人に至っては、今にも噛みつきそうな顔をしながら、俺を睨んでいた。

誰にも祝ってもらえない新生徒会長って、どうなんだ?

 

「えぇ〜、という訳で、新生徒会長として自分がなることになりました。・・・多分、ここにいる大体の人はなんで俺がって思うだろう。ISを動かせない男がこのIS学園の生徒会長になることはかなり可笑しいと思えるだろう。だが、それは君達の凝り固まった思考がそう思っているだけだ」

 

あえて俺は生徒達に煽るような言い方をした。

勿論意味があるからやったのだが、その煽りに殆どの生徒や教員が食いつき俺を睨みつけていた。

それを無視しながら、話を続けていった。

 

「この学園の生徒会長につける条件はただ一つ、学園最強であること。それは決してIS技術という条件だけではない。俺の持つライダーシステムは皆も知っているように、ISと互角以上に戦える。だが、俺はライダーシステムの強さを皆に見せつけたいわけじゃない。ライダーシステムはこの学園を守る為の防衛装置であることを理解して欲しい。皆も知っているだろうが、ここ最近この学園は外部からの攻撃を多く受けるようになった。キャノンボール・ファストの時、多くの生徒達に被害を出してしまったことに対して、責任を取らせて欲しい。

その為にも、これから襲い来るかもしれない外敵からこの学園の生徒である君達を守るために、全力で生徒会長を張りたいと思っている。これからよろしく、お願いします」

 

俺は自分なりに考えたことを述べ、壇上から降りた。

虚が控えていたのだが、彼女の様子からして若干俺の事を心配していたようだが、何事もなく終わって安堵している様子だった。

 

 

生徒達は様々な反応を示していた。

ある者は、彼に不安を抱きながらも、生徒会長として任せることを決め、ある者は、未だ彼に不信感と嫌悪感を隠せずにいた。

またある者は、私こそが生徒会長に相応しいと思うのだった。

教員も様々な反応をしていた。

男などに任せられないと思う者もいれば、彼の今後に期待し、見守ることを決める者。

十人十色の反応であるが、間違いなく男ということだけで思考を停止し、下に見ようとする人間は少しづつ減っていたのは事実であった。

 

 

俺こうして、晴れて?なのか良くはわからないが、IS学園生徒会会長となったのだった。



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第42話:未知なるドラゴンの可能性

春万Side

俺が生徒会長になってから数週間後、

仕事にも少しづつ慣れてきたが、やはり量が半端ではなかった。

誰かもう1人程欲しい状況なのだが、これまた上手くいかない。

何奴も此奴も、男が生徒会長の生徒会なんかに入る訳ないって言う。

それ以上に、生徒会長の座を狙う輩が多すぎる。

今は安らぐ暇がほぼ無い状態なのだ。

勿論、研究だって進みが悪い。

なるべく早く仕事を終わらせる様に2人で頑張っているが、どうしてもペースが遅くなってしまう。

というか、何故この生徒会に二年生が居ないのかが不思議であったが、どうも二年生は生徒会に興味がない人が殆どであったため、誘うに誘えない。

一年生は先程の様に女尊男卑の強い奴か、能力的に向いてない者、興味がない者ばかりであり、全然人が集まらない。

俺達の結論として、新入生に期待することにし、今は俺と虚の二人で頑張って回すことにしたのだ。

新生徒会の最初のイベントは、今年度最後の学年別トーナメントである。

新年度からは、三年生は既にスイッチが入っており、聞かれていた通りにかなりピリピリとした状態であった。

 

そんななか、織斑先生が生徒会室の扉を開けて入ってきた。

その手には大量の資料を抱えていた。

 

「ほら兎野、仕事の追加だ」

 

「最悪だ。もう勘弁してくれよ〜」

 

「会長、さっさとやりますよ」

 

「・・・・はぁ。了解だ」

 

虚は仕事モードであるため、俺の事を『会長』と呼ぶようになっていた。勿論、普段は『春万君』と呼んでくれるが、何故か一線を引かれた感じで少し寂しい気持ちになっていた。

 

 

 

話は変わるが、甲斐のことについてだ。

 

つい先日、新たなスマッシュが出現した時のことだ。

俺はスマッシュの元へ向かい、学園を空けていた。

その日もいつも通り、ビルドとしてスマッシュと戦っていた。

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!イェーイ!!!】

 

「はぁ!!!」

 

スマッシュはボルテック・フィニッシュを受け、爆発するも今までとは違いがその姿は未だ残っていた。

俺はエンプティボトルを持って、成分を抜き取ると、徐々に姿が女性の姿へと戻っていくのだった。

その女性に駆け寄り、経緯を聞いたのだが、スマッシュにされる前後のことは何も覚えていないようだった。

スマッシュにされた人間は記憶に何らかの影響を与えるようだ。

取り敢えず、救急車を呼びその女性を病院へと連れて行った。

そして、手に握っていた成分を抜き終えたボトルは調べたところ、ナノマシンから作られたガスが元の成分となっていることが分かった。

一先ずやることを終え、IS学園に戻ろうとした時、織斑先生から電話がかかっていた。

 

「どうしました?」

 

『よく聞け、学園に兵隊らしき部隊を先導してブラッドスタークが襲撃してきた。今、教員部隊がISで対応している。狙いは何かは分からんが………ん?あのバカは何を!』

 

突然織斑先生が焦ったような口調に変わった。

想定外の事態が起きたようだ。

 

「何かあったんですか!!!」

 

『お前の連れがブラッドスタークと交戦中だ!!!兎野、今すぐ戻って来い!!!』

 

「了解!!!」

 

俺はそれを聞いた瞬間、ホークガトリングフォームになり、最高速度でIS学園に戻った。

兵隊やスタークがいるということは、狙いは間違いなく甲斐だ。

あのバカは後先考えずに一体何をしでかしてくれているのだか。

多分、クローズドラゴンが何とか持ちこたえてくれていると思うが、時間の問題だろう。

 

「頼むから、無事でいてくれよ!!!」

 

俺は嫌な予感を感じつつ、空を飛んで行った。

そんな俺を影から一人の少女が眺めていた。

 

「兎野、春万・・・」

 

その少女の顔は、かのブリュンヒルデと瓜二つの顔であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園に戻ると、既に教員部隊が兵隊擬きを全て制圧し切っていた。

その中には、スカイナさんやひな先輩、ジブリール先輩が専用機を持って加わっていた。その表情はかなり苛立っていたようだが・・・。

兵隊擬きを制圧したとなれば、残るはブラッドスタークだけだが、その姿が見当たらない。交戦中していた甲斐も見当たらない。

俺が甲斐を探していると、織斑先生を見つけた為、上京を聞きに行った。

 

「織斑先生、甲斐は?」

 

「スタークが煙を巻いた時に一緒に消えていた。連れ去られた可能性が高い。何度も済まないが向かってくれるか?相手がブラッドスタークである以上、ビルドの力が頼りだ」

 

「勿論です、彼奴は俺が倒さなきゃいけない奴ですから。それよりも今は甲斐の安全が大事です。ビルドフォンなら……いた!!!」

 

甲斐の反応は町外れにあったため、俺はもう一度翼を広げ、そこに向かった。

お願いだから無茶だけはしてくれるなよ、甲斐!!!

春万Sideout

 

龍斗Side

 

「てめぇ、何のつもりだ!!!ここ何処だ!!!」

 

『さぁ、何処だと思う?』

 

俺はよく周りを見渡しすと、周りに置かれてあるベッドや透明な箱に見覚えがあった。

あれは俺が人体実験を受けた時に入れられた箱だ。

 

『気づいたか?ここはお前を実験した場所だ。用済みになる前に、もう一度お前を人体実験しようと思ってな。さっさと大人しくしてもらおう、か!!!』

 

コブラ男は俺の腹目掛けて右腕を振り抜いてきたが、俺はこれでも武道を嗜んでいた者。

攻撃をしっかりと見切り、体を軽く小さく避けカウンターをした。

しかし、カウンターは全く効き目がなく、マスクで隠れた顔を殴るもビクともしない。

此奴が襲って来てからずっと避けては攻撃を繰り返していたが、徐々にスタミナも減ってきていた。

 

『隙あり!!!』

 

「ぐわぁ!」

 

コブラ男の攻撃をまともに喰らってしまい、後ろに吹き飛ばされた。

そして、コブラ男は触手の様な物を俺に伸ばし、俺は刺されてしまった。

刺された箇所から毒が入ってきたのか、体が全く反応せず、全身にこれまで味わったことの無いような激痛と吐き気を催した。

どうすることも出来ずに、朧気な視界でコブラ男を睨むも、その気力も段々と失われていってしまった。

 

『あぁしまった。つい毒入れちまったよ。あぁ〜あ、折角のサンプルを殺しちまったよ』

 

コブラ男は右手を頭に当てながら、わざとらしく自身の行いを反省していた。

すると、死にかける寸前、俺の周りいつも飛んでいるドラゴンが俺の首に噛みついてきた。

 

「ぐうぇ、てめ、何、すん……あれ?動ける」

 

毒を完全に俺から吸収し、口から吐き出していた。

そう言えば、春万の野郎が言っていたな。

 

『こいつはお前にやる。一応監視の名目だが、お前がピンチの時に必ず助けてくれるはずだ。ちゃんと可愛がってくれよ』

 

『いらねぇよ、ンなもん』

 

『グワァ!!!』

 

『あっつあっつ!!!』

 

……そんなことがあったな。

本当に助けてくれるんだな。

正直、もうダメかと思ったが、此奴がいて良かった。後で彼奴に感謝しとくか。

 

「サンキューな」

 

『クギャァス!!!』

 

クローズドラゴンが嬉しそうに反応し、それから突然俺のポケットからフルボトルと言うやつを取り出し、投げ渡してきた。

まるでこれで戦えと言っているようだった。

俺はそれを信じ、フルボトルを握り締めながらコブラ男にパンチを入れた。

 

『ん?そんなのじゃあ効かないゾ。ほれお返し、だ!』

 

「ぐはっ!な、なんで」

 

しかし、コブラ男には全くダメージを与えられず、逆にカウンターを喰らってしまった。

俺はやけくそになって握っていたフルボトルを何度も振った。

すると、体のそこから力が漲ってくるのが分かった。

そう言えば、春万の野郎はこんなことも言っていたな。

 

『良いか?コイツはフルボトルって言ってな、一本だけでも凄まじい力を持っている物だ。コイツの使い方は、文字通り振るんだ。フルボトルは振れば振るほど、成分が活性化して効果が増すんだ』

 

『へー、全っ然分からん』

 

『はぁ、もう一度言うからな・・・・・』

 

あれはこういうことだったんだな。

そうしてフルボトルを振り終え、俺はもう一度コブラ男に殴りに挑んだ。

 

「おりゃぁああ!!!」

 

『何度も同じことを、っ!何!!!グワァ!!!』

 

「よっしゃー!!!何だよ全然やれるじゃねぇかよ」

 

『……フッハハハ、ハザードレベル2.2か。良いゾ、その調子でもっと打ってこい!!!』

 

「言われずともやってやらぁ!!!うぉぉぉぉおおおお!!!」

 

『ハザードレベル2.3…2.4…2.5…2.6!!!良いぞ、もっとだ、もっと本気で来い!!!』

 

「うぉりゃぁぁぁぁああ!!!」

 

『ぐぉ、やるじゃねぇか。それじゃあお返しと行こうか!!!』

 

俺とコブラ男は只管殴り合いを行った。

だが、相手は春万と同じように全身をしっかりとマスクで覆っているが、俺は生身。

勿論ダメージを多く受けるのは俺の方だ。

体がもう持ちそうになかった。

 

「ぐっ」

 

『そろそろ限界か?なら終わりにしてやるか』

 

「くっそ!」

 

【CROSS-Z・FLAME!!!】

 

『何だと?ちょこまかと、はぁ!!!』

 

クローズドラゴンが炎を出して援護するも、コブラ男は胸から巨大なコブラを出現させ、クローズドラゴンを吹き飛ばしてしまった。

未だコブラ男は余裕を持っている。

今の俺じゃあ此奴には勝てない。

力が、もっと俺に力があれば、明香里のことも、今もどうにか出来たのに、どうして俺には無いんだ。

俺はドラゴンのマークをしたフルボトルを更に強く握り締め、自分の無力さを呪っていた。

 

「ったく、お前はいつもいつもボロボロだな」

 

「はる、ま…」

 

そんな俺の目の前に、彼奴が現れたのだった。

 

「ヒーローは遅れてやってくるもんだ。サブキャラのお前はいい味出してたぞ」

 

「な!お前な〜。ったく、遅いんだよ!!!」

 

「よく持ちこたえたな。後は俺に任せろ」

 

俺は手に持つフルボトルを見直した。

これで此奴の、春万の役に立つのなら・・・。

明香里、春万に力を貸してやってくれ!!!

俺はクローズドラゴンにドラゴンフルボトルを渡し、春万に届けさせた。

 

「俺はもうキツイ。せめて、それを使って、くれ・・・」

 

俺は春万にフルボトルを渡るのを見て、気絶してしまった。

龍斗Sideout

 

春万Side

俺はクローズドラゴンに付けてある発信機から居場所を特定し、ホークガトリングフォームで向かって行った。

反応のあった場所は下水処理場であった。

俺は今までの仮定から、これまでのスマッシュが出現した際、必ずと言っていいほど大きな穴が近くに出来ていた。

その穴の先には必ず下水道に繋がっていたため、その下水がたどり着く場所から候補に三つまで絞れていたのだが、それ以降出てきていなかったため、難航中だった。

だが、今回、クローズドラゴンの居場所から俺の候補の中にあった下水処理場にいたため、漸く敵のアジトを見つけることが出来た。

急いでそこに向かうと、表向きは何も無い下水処理場だったが、その地下へ行こうとすると兵隊が何人もいた為、タンクフルボトルと忍者フルボトルを取り出し、地上戦に切り替えた。

 

【忍者】

 

【タンク】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

トライアルフォーム:忍者タンクフォームとなり、迫り来るロボットの兵隊を4コマ忍法刀で切り刻み、そのまま奥へ進んで行くと、ボロボロの甲斐が今にも倒れそうになりながらも、スタークに立ち向かっている姿が見えた。

何とか、甲斐が倒れそうになった時に駆け付けることが出来た。

 

 

 

 

 

そうして甲斐からドラゴンフルボトルを託され、俺はスタークへ向き直す。

甲斐は安心したのかそのまま気絶してしまったようだ。

 

『ほぅ、ヒーローのお出ましと来たか。良いゾ、お前も一緒にスマッシュにしてやるか!!!』

 

「寝言は寝て言え!!!ここでお前の化けの皮を剥いでやる」

 

俺は託されたドラゴンフルボトルを振り、ビルドドライバーに挿し込んだ。

 

【ドラゴン】

 

【ロボット】

 

「ベストマッチじゃないか。仕方ない」

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

俺はトライアルフォーム:ドラゴンロボットフォームとなりスタークと戦闘を始めた。

 

「さぁ、実験を始めようか・・・っ」

 

一瞬だが、体に電撃のような痺れを感じながら・・・。

ドラゴンフルボトルの能力は凄まじく、パワーがとてつもなく高く、スタークにもかなりのダメージを与えることが出来た。

俺は右腕の《ドラゴラッシュアーム》に力を溜めると、蒼い炎が現れ、力が漲ってくる。

そのパワーを一気に放出し、右腕でスタークを殴り飛ばすことに成功した。

更にスタークに近付き、左腕の《デモリションワン》でスタークを掴み上げ、もう一度右腕のパンチを喰らわそうとした時、スタークはいつの間にか手に持っていた《スチームブレード》を《ライフルモード》に切り替えていた。

 

【スチームショット・COBRA!!!】

 

「ぐはっ!」

 

ゼロ距離射撃でかなりのダメージを喰らってしまった。

 

『中々面白い手を使うじゃねぇか。今日は引いてやる。次会う時にはもっと成長していてくれよな、二人共。Ciao!!!』

 

「な、待て!!!・・・ぐっ、ぐわぁー!!!」

 

スタークを逃すまいと追いかけようとした時、ドラゴンフルボトルの力が暴走し、力を制御することが出来ず、火柱を上げながら、ドラゴンハーフボディが蒼い炎を燃やしながら、体を炎で包み込み、俺の体を焼き付くそうとした。

俺はそれに耐えられず、変身が強制解除してしまった。

ドラゴンフルボトルの可能性とその力の強大さを身に染みて覚えるのだった。




サン&ムーンさん、高評価有難うございます!!!


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第43話:封印を解き放つファンタジスタ

春万Side

俺達はブラッドスタークとの戦闘でボロボロになりながらも何とか実験場であった下水処理場から出て、ライドビルダーでフラフラに走りながらも何とかIS学園に戻るのだった。

 

「ったく、起きろって、イタタ」

 

「・・・・・」

 

「ダメだ、完全に気絶してやがる。早く帰って、こいつを調べないとな」

 

俺はあの実験場だった場所からあるデータが壊れていたが少しだけ残っているのを発見し、それをコピーして持ってきていたのだ。

データを復元できれば、あの場所でどのような実験が行われていたのかが分かるだろう。

データを消したつもりだったのだろうが、爪が甘いのか、雑な消し方であったため、データの復元は難しくはないだろう。

クローズドラゴンも先の戦闘でかなり破損してしまっていた。

早く戻って治さねばならないと思うも、俺の体もダメージが大きく、意識を保っている状態でやっとな状態だった。

バイクもフラフラな運転になりかけているため、降りた方が良いだろうか?

一応、変身を強制解除されてしまったため、強制解除後の再度変身することは体に更に負担を強いるため、今の体の状態ではホークガトリングフォームで空を飛ぶどころか、知らないところに墜落してしまう可能性の方が高いと判断したため、ライドビルダーに乗ることにしたのだ。

 

 

 

そうして学園に戻ったあと、今回の件を先ず、学園に報告した。

 

「無理をさせたな兎野。私は何も出来なかった。本当に、済まない」

 

「いえ、何とか生きて帰って来れまs、イタタタタ。ハ、ハハ〜」

 

「今すぐに休め。後処理は私がやっておく。学園の生徒会長がこんなボロボロな姿でいたら問題だ。」

 

ブラッドスタークとの戦闘によって体にかなりのダメージが蓄積したのに加え、ドラゴンフルボトルの暴走によって俺は倒れ、甲斐は生身での戦闘を行い、その末に倒れてしまったことも含め、織斑先生も生徒を守れなかったことや、その生徒に無理をさせたことに対して申し訳なさそうに俺を労ってくれた。

今回の件を更識家には報告し、亡国企業の実験場であった可能性の高い場所を見つけたことには大手柄であり、刀夜さんからはとても感謝されたのだが、虚はボロボロの俺達の姿を見て申し訳なさそうな目で見つめられていた。

彼女は多分巻き込んだことを悔いているのだろう。後でフォローしてやらないとな。

そう思いながら、俺は疲れから眠ってしまった・・・・・・。

春万Sideout

 

虚Side

 

「・・・・はぁ」

 

私は更識家の追う亡国企業の件に彼らを巻き込み、ボロボロになるまで傷つけてしまったことに申し訳なさを感じていました。

我々が請け負っていた任務を、力が必要だからと言って安易に彼らを利用してしまいました。

私は更識家でも何度もこの様な光景を見てきました。

任務の度に傷ついてゆく部下、時には帰ってこない者もいました。

このままでは、いずれ彼らも帰ってこないかもしれないと思ってしまいます。

それでも私は任務の最前線に出ることを許されていません。

お嬢様からも、お父さんからも、旦那様からも。

きっと、春万君も絶対に許してくれませんよね。

貴方を見ていると、時々私は思います。

私は貴方を支えられていますか?

私は貴方に必要とされていますか?

本当は貴方が傷つくところなんて見たくないです。

ずっと一緒に楽しく研究していたいです。

ですが、それでも貴方は戦うのですよね。

だから私ももう少しだけ・・・。

挫けそうな心を強く持ち、私は眠る春万君の手をそっと握りながら、彼の寝顔を眺めていました。

そんな時、春万君の持つビルドフォンの着信音がなり、私はそれを見てある場所へ向かいました。

そして私は・・・・・・・・・。

 

 

 

私は・・・。

 

 

 

 

 

わた、し?

 

 

 

『ぅ、ぅぅ・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

はるま、くん、たす、けて・・・。

虚Sideout

 

 

 

 

春万Side

目が覚めた時、俺の顔を覗くダリルの姿があった。

 

「うおっ!起きた!!!」

 

「人の顔を見てそんな驚くことか?」

 

「ところでそこで爆睡してる奴は誰だ?」

 

「スピーーーZzz」

 

俺は不意に隣を見ると、そこでは口を開け、間抜け面を晒している甲斐の姿があった。

俺、此奴と一緒に寝てたのかよ!!!

 

「おい、甲斐!!!起きろ!!!」

 

甲斐の腹を引っぱたいて強引に起こしてみると、傷が響いたのか痛がりながら泣く泣く起きるのだった。

 

「ぐへっ!な、何すんだよ!!!」

 

「なんでお前は俺のベッドで寝てんだよ、狭いだろうが!!!」

 

「知るかよ!ってかいつの間に戻って来たのか!!!」

 

「俺が引きづって、連れてきたんだよ。いいから退け」

 

「ったく、分かったっての。よいしょっとっとっと、痛っ!」

 

未だ全然回復していないため、お互いに体が変な動きをしていた。

そんな光景を面白がりながら見るダリルが俺の背中を軽く引っぱたいてきた。しかし、そんなことをされれば・・・。

 

「痛っ!!!!痛い痛い!!!やめ、ぐぉっ、辛すぎだろ〜」

 

「ってか誰だよ、このデカ女?」

 

「あ?何だとこのエビフライ頭」

 

「んだよ、エビフライの何処が悪いんだよ!!!」

 

「いや別に悪かぁねぇけど、ソースぶっかけんぞ?」

 

「んだとォ〜!!!」

 

「猿か?おめぇ?」

 

「んなわけねぇだろ!」

 

甲斐が猿のようにキーキー鳴き始めた。

この2人の性格がミスマッチしている気がするのは俺の気の所為だろうか?

そう言えば、いつもはもう居てもおかしくないが、未だ虚を見ていないがどうしたのだろうか?

 

「お目覚めのようね。倒れたって聞いたけど、元気そうね二人とも」

 

「あ!性悪女!!!」

 

「誰が性悪女よ!この鶏頭!!!」

 

「どう見たって鳥じゃねぇだろうが!!!」

 

「会話が成り立ってない・・・」

 

楯無は落ち着くと、周りをキョロキョロと見始めた。

誰かを探しているのだろうか。

 

「ところで、虚ちゃんは?」

 

「ん?お前も知らないのか?」

 

「あれ?ここに居ると思ってオレ来たんだけど・・・」

 

「「「「・・・・・・?」」」」

 

俺はそこでふと机の上を見ると、ビルドフォンが無くなっていることに気づいた。

 

「あれ?ビルドフォンは?」

 

「さぁ?落としたんじゃねぇか?」

 

「いや落とさねぇよ」

 

しかし、楯無は深刻そうな表情をしながら、電話を耳に当てていた。

電話相手は虚だと思うが、繋がらないようだ。

 

「・・・・だめ、繋がらない。こんなこと今まで一度もなかったのに」

 

「一度もって凄いな」

 

「虚ちゃんは更識家の従者よ。主である私と連絡がつかなくなるような事態ということがどういう意味か。春万君、貴方なら分かるでしょ」

 

更識家の従者である虚が、主と連絡がつかないということは、まさに緊急事態が起きているということは明白である。

そんな時、パソコンからスマッシュ反応を知らせる警報が鳴り響いた。

俺は急いで向かおうとしたのだが、体の傷が響き、膝を着いてしまった。

 

「ったく、仕方ねぇな。俺も行ってやるか!」

 

「何言ってんだ、お前はここで寝てろ!スマッシュは俺の仕事だ。サブキャラのお前が出る幕はねぇよ」

 

「な、なんだよそれ!!!んじゃ知らねぇよ」

 

甲斐もボロボロな体で着いてこようとしたが、俺はそれを止めた。

生身でスマッシュに挑むことがどれ程危険なことなのかを知らず、馬鹿な此奴は全くの考え無しに動こうとしている。

そんなことをすればより一層怪我をしてしまう。

兎に角、俺はボロボロな体にムチを打って立ち上がり、ビルドドライバーを腰に巻き付けた。

ビルドフォンが手元に無いため、パソコンから出現場所のデータを送り、タカとガトリングのにフルボトルを取り出して変身した。

 

【タカ】

 

【ガトリング】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!イェイ!!!】

 

「待ちなさい。貴方、そんなボロボロな体で行く気なの?」

 

「なら、俺以外に誰がスマッシュを倒すんだ?」

 

「それは・・・」

 

楯無も俺の体の心配をしているようだが、はっきり言ってお節介もいいところだ。

俺の体は俺の自由だ。

無理しようが、そこに助けを求める人がいるのなら、ビルドとして、仮面ライダーとして助けに行かないといけない。

今回は何故かいつもと違い、胸騒ぎがしてならない。

楯無を押し退け、廊下に出るとファルティナ先生が丁度通りかかってきた。

 

「あ!春万くん、ダメよ安静にしてないと!!!」

 

「すいません、急いでますから、説教は後で聞きます!!!」

 

俺はファルティナ先生を無視して、スマッシュの出現場所へと飛んで向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

出現場所であるガス工場へと到着すると、そこにはナイトローグとその兵士擬き達が俺を待ち構えていた。

 

『来たか。・・・殺れ』

 

『『『『・・・・・・』』』』

 

指示をしたと同時に、ナイトローグは煙で姿を隠して消え去ってしまった。

そして、残った兵士達はナイトローグの命令を執行するように無言で俺に銃を打ってきた。

俺はホークガトリンガーを取り出し、上空から一気に兵士達を攻撃した。

数を減らされた兵士達は突如、組体操のような形を取り、合体し始めた。

俺はそれを見て、ゴリラとダイヤモンドのフルボトルを取り出し、ビルドドライバーにセットした。

 

【ゴリラ】

 

【ダイヤモンド】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【輝きのデストロイヤー=ゴリラモンド!!!イェイ】

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

そして一気にレバーを回し、巨大な合体ロボに向けて、ボルテック・フィニッシュをぶつけた。

ゴリラの最大パワーで地面にヒビを入れ、バランスが崩れたところを、もう一度上からゴリラのパワーで叩き潰した。

兵士達を完全に殲滅し終え、俺は近くあるスマッシュ反応のあった場所へと向かっていった。

そしてそこには、眼鏡もかけず、白い被験服を着た虚が一人、朧気な目をしながらフラフラと立っていた。

 

「虚?なんでお前がこんなところに?」

 

『・・・・は、るま、く、ん?・・・うっ、ぁぁアア!!!』

 

そう呟くと、体から炎を燃やしながら、スマッシュへと姿を変えてしまうのだった。

そしてその後ろからナイトローグが現れ、同時に俺へと襲い掛かってきた。

 

『貴様の持つボトルを寄越せ』

 

「・・・・くっ、巫山戯んな!!!てめぇ、よくも、よくも虚を!!!!!!」

 

『ぅぅあ!』

 

スマッシュの体を炎が包み込み、そのまま炎の翼で上空を飛び出した。

上空から、俺に向かって体当たりするように突撃してきた。

俺はダイヤモンドフルボトルの力で、纏う炎をダイヤモンドへと変質させ、レバーを回し、もう一度ボルテック・フィニッシュを撃ち込んだ。

しかし、スマッシュは爆発をするも、再度体から炎を発生させ、ダメージを治したかのように、再び立ち上がり、突撃してきた。

 

「なに!くっ!」

 

スマッシュに何度も、何度も、強攻撃を叩き込んでも、倒れては炎を発生させて再び復活し、倒れては立ち上がりと繰り返していた。

俺は前日のダメージもあり、体には疲労が溜まっている状態であったため、限界に近かった。

そんな状態の俺に追い打ちを掛けるように、ナイトローグのに強撃を喰らってしまった。

そして、倒れ込んだ俺に、上空から炎のに翼を翻したスマッシュがプレスを仕掛け、俺は変身を強制解除してしまった。

 

「がっ、くっそ・・・」

 

虚を助けるどころか、返り討ちにされてしまい、心身共に立ち上がる気力も最早無くなっていた。

そんな俺に近付き、死体蹴りかのように、俺の腹を蹴り飛ばし、転がってしまったビルドドライバーからフルボトルが飛び出してしまった。

俺は這いつくばりながらも、転がってしまったフルボトルを奪われないように掴むも、ナイトローグに捕まり、逢えなく奪われてしまった。

 

『ククク、無様だなビルド。いや、兎野春万。自身の大切な女は救えず、フルボトルも奪われ、そして最後には貴様自身の命さえ奪われる羽目になるのだからな』

 

「っ・・・・・・・」

 

ナイトローグは俺にトランスチームガンを向けて、トドメを刺そうとしていた。

俺は最期までナイトローグを睨みながらも、その拳に力はなく、全てを諦めかけていた。

そんな絶対絶命の状態でまさか彼奴が来るとは思いもしなかった。

 

「うぉりゃあ!」

 

『なに!ぐっ、貴様!!!』

 

「ハァ、ハァ、大丈夫かよ、やっぱ俺がいた方が良かっただろ」

 

『グワァ!!!』

 

甲斐は嬉しそうな顔をしながら、ファイティングポーズを取っていた。

その手にはドラゴンフルボトルを確りと握り締めながら、クローズドラゴンが隣で援護するように構えていた。

 

「ぐっ、お前、なんで来たんだ!!!」

 

「ヒーローは遅れてやってくるもんだろ。お前は黙ってそこで見てろ!!!」

 

甲斐はナイトローグに向かって突っ込んでいくも、スマッシュがそれを阻んだ。

 

「邪魔だぁぁ!!!」

 

甲斐はフルボトルを握り締めた右手で思いっきり殴ると、纏っていた炎を諸共せず、殴り飛ばした。

見た限りではあるが、彼奴は最早普通の人間では無くなってきていた。

そして、そのままナイトローグへと向かって行った。

クローズドラゴンも援護するように、ナイトローグへと向かって行き、蒼い炎を放射していた。

 

「コウモリ野郎、お前が、明香里を、家族を!てめぇだけは絶対に許さねぇ!!!」

 

『ちっ、邪魔だぁ!』

 

「ぐほっ!まだまだぁ!」

 

「・・・・・・・・最悪だ。何やってんだ俺は」

 

甲斐は諦めずに何度も何度もナイトローグを殴っていた。

俺はそんな姿を見て、倒れている自分が情けなくなっていた。

彼奴は生身であれ程までに戦っているのに、俺はこんなところで倒れ込んで、虚を救うことすらも諦めかけていた。

情けない、本当に情けない。

俺は力を振り絞りながら、体をもう一度起こし、ナイトローグへと走って行った。

目的は、奴が手に持っていたビルドドライバー。

甲斐の攻撃で落としてしまったようだ。

あれを奪い返すために、甲斐が作った隙をつき、俺は全力で走り抜けた。

 

「ぐはっ!くっそ・・・がはっ!!!」

 

ビルドドライバーを回収に成功すると、甲斐はナイトローグの攻撃をモロに喰らってしまい、吹き飛ばされてしまった。

俺はあることを思いつき、甲斐にそれを伝えた。

 

「甲斐!!!お前のフルボトルを貸せ!!!」

 

「ハァ、ハァ、あぁ?・・・何だか、よく分からねぇが、仕方ねぇ。これを彼奴に、頼む!!!うっ・・・」

 

クローズドラゴンが甲斐のフルボトルをフルボトルスロットに挿しこみ、ナイトローグへ蒼炎を放射し、隙を出来ると、俺の元へ来て二つのフルボトルを届けてくれた。

ビルドドライバーが手元にある状況、そしてクローズドラゴンには1本だけ内蔵されているロックフルボトル、そして甲斐の持つドラゴンフルボトル。

これらを使い、俺はもう一度変身を試みた。

本当は強制解除後の変身は体に更に負担を掛けるのだが、俺は今、戦える力が必要であるため、そんなことを気にしてなどいなかった。

 

「甲斐、お前の力、借りるぞ。・・・さぁ、実験を始めようか」

 

手にはドラゴンフルボトルとロックフルボトルを振り、計算式を回りに創り出していた。

そして、ビルドドライバーへと挿しこみ、不可能に近いと思われる実験へと挑むのだった。

 

【ドラゴン】

 

【ロック】

 

【BEST MATCH!!!】

 

「ヘッ、ベストマッチか。最高だな!!!」

 

土壇場でのベストマッチは不敵に笑う俺に勝利の法則を導き出してくれた。

そして何よりも、今この場で誰よりも救いたい人へ、必ず助けてみせると一層強く決意させてくれた。

 

【Are you ready?】

 

「・・・変身!!!」

 

【封印のファンタジスタ=キードラゴン!!!イェイ!!!】

 

「虚、今助けるからな。はぁぁあ!!!」

 

俺はスマッシュへと変えられてしまった虚を助け出す為に、決死の戦闘を挑むのであった。

 



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第44話:不死身の炎から解き放て!!!

春万Side

 

【封印のファンタジスタ=キードラゴン!!!イェイ!!!】

 

「今助けるからな、虚。うぉぉお!!!」

 

虚が変えられてしまったスマッシュは不死身の炎を纏い、その炎を翼にすることで空を飛ぶことが可能なスマッシュである。

名付けるとするならば、『フェニックススマッシュ』。

不死鳥が如く、何度も再生してしまうが、その分だけ虚に負担がかかってしまう。

これ以上、虚に負担を掛けてしまえば、最悪の場合、また救うことが出来なくなってしまう。

そんなことは絶対にさせない。

もうこれ以上、誰かが悲しむのを、誰かが目の前で消え去ってしまうのも見たくはない。

それに、俺にとって虚は大切な存在だ。

決して失いたくない、大切な存在だ。

だからこそ、救ってみせる。このキードラゴンの力で!!!

 

「はぁ!」

 

『グッ、ぅぅあぁぁ!!!』

 

スマッシュは更に炎を纏わせながら、低空飛行で突撃してきた。

俺は右手の《BLDインファントグローブ》に蒼い炎を発現させ、拳にその炎のエネルギーを溜めてスマッシュに向けて拳を突き出した。

不死の炎と蒼炎。

制したのは、ビルドの蒼炎であった。

スマッシュの纏っている炎を蒼炎が一気に燃え上がらせ、色を全て蒼に染め上げた。

ナイトローグはその状況を不味いと感じたようで、スチームブレードを取り出し、襲いかかって来た。

しかし、元々二人共相手に取るつもりで戦闘を行っていたため、対処も直ぐに出来た。

このナイトローグは前回と同じ様な戦い方であったため、データも充分にあり、スチームブレードを全て捌ききった。

 

『バカな!』

 

「残念だったな、これでも俺は一度負けた相手は研究する質でね。こいつでどうだ!!!」

 

俺は左腕の《バインダーマスターキー》で反撃し、そのままナイトローグを拘束するための拘束型攻撃で、ナイトローグの動きを完全に封じきることが出来た。

そして、そのままナイトローグに対し追撃を仕掛けようとした時、ドラゴンフルボトルの副作用が出始めてしまった。

 

「グッ、まだ、もって、くれ!!!」

 

俺は踏ん張りながらもドラゴンフルボトルの暴走を強引に抑え込み、今にも拘束から抜け出しそうなナイトローグへ右腕のストレートをぶつけた。

 

『グッ!!!』

 

拘束を同時に壊しながら、後方へ吹き飛ばすことに成功した。

そしてナイトローグは、回収していたフルボトル数個を地面に撒き散らした。

俺はそのフルボトルを拾おうとしたが、その直後、背後から疲労していたフェニックススマッシュが炎を纏わせながら突撃してきた。

それも、今までよりもより速度を上げて突進されてしまい、咄嗟の判断では間に合わず、スマッシュの攻撃が直撃してしまった。

 

「な!ぐはっ!」

 

最早体も限界に来ていたが、それでも助けたいという思いが、俺に何度も力をくれ、立ち上がることが出来た。

ナイトローグもその光景を見て、驚きを隠せずにいた。

 

『何故、まだ立てる!最早貴様に力など残ってはいないはずだ』

 

「誰かを助けたいという思いが、俺を何度だって立ち上がらせてくれるんだよ!!!お前には絶対に分からないことだ!!!こんな所で未だ倒れる訳には行かねぇんだよ!!!」

 

彼処で倒れている彼奴の想いも受け継いでいるんだ。

限界なんて何度だってぶち抜いてみせる。

俺はもう一度、全身に気合を入れ、フェニックススマッシュに攻撃を再度開始した。

左目の《ドラゴンフェイスモジュール》が感情が昂ったために、発熱し始め、より全身に力が行き渡り始めた。

そうしたことで先程以上に勘が冴え渡り、より【キードラゴンフォーム】の性能を引き出せるようになった。

《ライトアイロック》を機能をより精確に、精密に作用し始め、フェニックススマッシュとナイトローグの位置を完全に把握出来た。

《レフトアイドラゴン》により、反応速度がより高まり、フェニックススマッシュの突進を回避すると同時に、強烈なカウンターをお返しすることに成功した。

加えてナイトローグの行動を完全に把握していたため、【ライフルモード】へと変えていたトランスチームガンの必殺攻撃までも、躱すことが出来た。

 

『馬鹿な!先程までと動きが上がっているだと・・・』

 

「こいつでどうだ!!!」

 

俺は躱した直後、ビルドドライバーのレバーを回し、ナイトローグへボルテック・フィニッシュを放った。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!イェイ!!!】

 

《バインダーマスターキー》を右に左に大きく振り回し、ナイトローグにチェーンのような形をしたエネルギー体で、もう一度体を完全に拘束し、《ドラゴンハーフボディ》全身から蒼炎を放ち、自分の頭の上に炎が集まりだした。

それを全て右腕に小さく濃密に集約し、ナイトローグへ向けて炎をぶつけた。

直後、ナイトローグは大爆発を起こし、体にはダメージ過多による電流が流れ出していた。

 

『グッ、兎野、春万ぁぁあ!!!貴様だけは絶対に許さん。次は無いと思え!!!』

 

負け惜しみのような捨て台詞を吐きながら、円筒のような部分から煙を巻き、姿を消してしまった。

 

「フグッ、ヤバいな。もう持たない。さっさと決める。勝利の法則は決まった!!!」

 

急かすように右手を《ライトアイロック》をなぞる様に、いつもの決めポーズを行い、右腕に付いている白刃《ファングオブブレイド》で既に疲労しているフェニックススマッシュを斬りつけ、同時に炎を溜め込んだ爆砕パンチを喰らわせ、瀕死寸前にまで追い込んだ。

しかし、フェニックススマッシュは炎を全身に纏わせることで傷を修復しようとしていた。

しかし、これ以上ダメージを治させるつもりは毛頭無い。

修復中は体が止まるため、その隙を突き、レバーを回し再度ボルテック・フィニッシュを使用した。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!イェイ!!!】

 

俺はある程度の距離を取り、体全身に蒼炎を放ち、両手を広げ、右足を後ろに構えながら、フェニックススマッシュに向かって走っていった。

そして、距離感が絶妙な位置となった時、両足で跳び上がり、空中で一回転し、右足の《ロックアップシューズ》を突き出した。

正しく、初代から受け継がれたライダーキックを仕掛け、見事決めた。

更にロックアップシューズには特殊装置が組み込まれており、蹴りを決めた直後に、フェニックススマッシュの体を封じることが出来た。

爆発後、再び再生されないように炎を生成させないように体を完全に拘束することに成功した。

 

そうして、エンプティボトルを取り出し、急いでスマッシュの成分を抜き取った。

すると見る見るうちに虚の姿へと戻っていった。

ホッと安心するのもつかの間、気が抜けたと同時に抑え込んでいたドラゴンフルボトルの力が暴走し、変身を強制解除させられてしまった。

倒れそうな体に更に無理をして、虚に走って向かっていき、抱きとめた。

 

「ハァハァ、虚、良かった・・・」

 

俺は反射的に虚のことを抱き締めていた。

すると、意識を取り戻したのか、俺の右手にそっと手を置いて反応を示してくれた。

 

「っ、はるま、くん?・・・ありがとう、ございます」

 

その目には涙を薄らと浮かべていた。

相当怖かったのだろう。それ以上に辛かったのだろう。

虚も感極まって抱き締め返してくれた。

 

「ごめん。遅くなった」

 

「そんなこと、ありません。本当にありがとう、私の、ヒーロー」

 

「・・・・・っ」

 

俺はそんなことを言われるべきでは無いだろう。

お前を、守れず、スマッシュにさせられて、傷つけてしまった。

甲斐だって、ボロボロにさせて、ナイトローグも倒せず、甲斐がいなければ諦めかけていた。

そんな奴がヒーローと呼ばれる資格は無いだろう。

俺は、ポロポロと目から涙が溢れて止まらなかった。止められなかった。

そして、より一層、虚を強く抱き締めていた。

 

「ごめん。本当にごめん。・・・結局、俺はお前を傷つけた。お前を守れなかった。俺はヒーローなんかじゃない。大切な人もまともに守れないのに、多くの人を守るなんて・・・」

 

「そんなこと、ありませんよ?貴方は立派にヒーローです。誰がなんと言おうと、例え貴方がそれを否定しても、私にとって、貴方はヒーローなのですから。ん、自信を、持ってください。ちゃんと貴方は多くの人守れていますから。だからもう泣かないでください。貴方が、涙を流していたら、私も悲しいです」

 

虚もより一層強く抱き締め返しながら、俺を慰めてくれた。

その目からはゆっくりとと涙を流しながら・・・。

あれだけのことが起きながらも、俺を必死に思いやってくれる優しい君に、俺は一体何を返せるのだろう。

 

結局俺達をはそのまま、俺が泣き止むまで、虚が只管俺の頭を撫で続けてくれた。

春万Sideout

 

虚Side

頭をそっと撫でて春万君が泣き止むと、そのまま糸が切れたように疲れ切ってしまったのか私を抱き締めながら眠りについてしまったようです。

私も先程までスマッシュとして暴れ回っていたようなので、体には倦怠感を感じています。

一応、スマッシュになっていた前後の記憶が朧気でまともに思い出すことが出来ずにいます。

私も疲れているため立ち上がることが出来ずにいますが、春万君達は私を救い出そうと必死に戦ってくれていたようで、そのまま眠っています。

私は白い被験者服のポケットの中から、ビルドフォンが入っていることに気づきました。

そういえば、記憶を失う前にそのまま持って行ってしまったことを思い出しました。

私は彼に申し訳なさを感じるも、心がとても満たされていました。

彼が初めて私に弱音を全力で吐いてくれたことが嬉しくて仕方ありません。

私でも、貴方の役に立てているのだと、貴方の大切に入っているのだと思うと、胸がキュッと締め付けられていきました。

私を抱き締めながら眠っている貴方をより一層、愛おしく感じます。

春万君を抱き締めずにはいられず、優しく、包み込むようにもう一度抱き締め返すと、春万君もそれに応えるように眠りながらも優しく私を抱きしめ直してくれました。

 

そんな状況をひっそりと見ている子が一人。

 

「起きて早々にこれだよ。ったく、こっちは必死に助けてやったてのに、イチャイチャしやがって。イテテ」

 

「っ///か、甲斐君。これは、内緒ね」

 

「へいへい。それよりも、早く運ぶぞ。こいつ、めちゃくちゃ無茶してたからな。間に合って良かったわ。うぐっ・・・」

 

甲斐君もかなりの深手を負っていました。

そんな状態で意識をしっかり持って、立ち上がっている姿を見ると、本当に強靭な精神力の持ち主なのだとしみじみ思います。

ですが今は怪我人。これ以上無理をさせる訳には行きません。

 

「甲斐君、貴方も大人しく休みなさい。お嬢様には既に連絡しましたから。直ぐに来てくれますよ」

 

「あいつにか?まぁいいや。俺はまぁ大丈夫だしな!!!イギッ!」

 

「はぁ、何処が大丈夫なのですか?いいから座るなり寝るなりしていなさい。でないと、キザみますよ?」

 

「ぴぇ!す、すいません・・・」

 

一瞬にして座り直し、静かに待機し直していました。

この子は、子犬感が漂ってきますね。

本当に、お嬢様によく似てますね。

 

「ところでよ、いつまでそうしてんだ?」

 

「疲れて寝てしまったのですから、今はこのままそっとしておいて下さい」

 

「ふーん。・・・・そいつな、俺の為にも戦ってくれたんだ。俺じゃあ、あのコウモリ野郎に勝てねぇからって。だからって2体同時に相手して、ボロボロになりながらも何度も立ち上がってよ。正直、嫉妬しちまった。誰かを助けるためにこんなに命張って戦えるなんて、すげぇなってさ」

 

甲斐君は独り言のように呟いていました。

私にしてみれば、貴方も充分に凄いと思いますけどね。

 

「俺はさ、知らない誰かのためには戦えねぇ。今回みたいに、自分にとって大切な人の為なら、違ぇけどよ。此奴はそんなことお構い無しに戦うだろ?でもよ、それなら誰が此奴を守るんだよ。多くの人の為に命張って守って、自分が犠牲になるんじゃ報われねぇじゃねぇかよ」

 

甲斐君は春万君のことをよく見ていました。

短い時間でこれだけ春万君のことを理解していたなんて・・・。

春万君は多くの人を守り、明日を創るという信念のために、いつも体を張っています。

しかし、彼を守る人は誰もいません。

私では彼を守れない。守る力を持っていませんでした。

いつも無事を祈って帰りを待つしかできない。

甲斐君、貴方ならもしかしたら・・・。

 

「俺はさ、家族のこととからあるけど、それ以上に此奴に恩を感じてるんだ。此奴は、春万は俺を見捨てなかった。ただ家族を失った不幸な餓鬼だった俺を導いてくれたんだと思う。だから、俺は春万の為に戦いたい。まだ誰かを守るために命を張れるほど、人間できちゃいないけど、此奴なら信じられる。だからさ、力を貸してほしい。俺だけじゃ絶対に守れない。多分心の方はお前じゃないとダメなんだと思う。だから、頼む」

 

甲斐君は真剣な眼差しを私に送ってきながら、春万君の為に戦う覚悟を決めたようです。

勿論、私の答えは決まっています。

 

「分かりました。私も春万君を支えたいです。私と春万君で創り上げたビルドなのですから。・・・それでは先ず甲斐君には仮面ライダーになってもらわないと行けませんね?」

 

「お、おぅ。そう簡単になれないんだろ?はぁ、全土手長だー」

 

「えっと、前途多難では無いですかね?」

 

「そ、そうとも言うな・・・」

 

「帰ったら勉強ですね」

 

「勘弁して下さい」

 

「虚ちゃーん!かーいー!春万くーん!」

 

「迎えが来てくれたようですね」

 

そんなやり取りしていると、お嬢様が迎えに来てくれました。

お嬢様にも迷惑をかけてしまったので、後でお詫びしておきましょう。

こうして、私達の波乱な一日が幕を下ろしました。

しかし、未だこの騒乱は収まっていませんでした。

虚Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマッシュとの戦いが見える場所で紅い血濡れの蛇を模した、ブラッドスタークが春万達をずっと観戦していた。

小さな蛇がブラッドスタークの元へと帰って行った。

 

『ふむふむ、ハザードレベル3.8か。いい調子だなぁ。やはり想い人がスマッシュにされたことでハザードレベルが上がったか。さてと、甲斐、今度はお前の番だ。精々オレを楽しませてくれよなぁ?フハハハ』

 

その手には一枚の写真が握られていた。

そこに写っていたのは、水色のショートヘアの少女、『更識楯無』であるのだった。

一体、ブラッドスタークは何を考えているのだろうか。

それは本人のみぞ知ることだろう。



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第45話:目覚めよ、ドラゴンの魂!!!

虚Side

春万君達が私を救い出した翌日、ファルティナ先生の元で私は健康診断を受けていました。

春万君と甲斐君は保健室のベッドで未だに眠っています。

二人共、かなり無理をしたようで身体がボロボロな様です。

甲斐君はまだいい方ですが、春万君はドラゴンフルボトルの影響と、再変身の身体的影響により、これ以上の戦闘を行っていれば命を落としたかもしれないほどの状態でした。

ファルティナ先生も今回の件はかなり怒っているようで、先程、私も怒られてしまいました。

 

「ん、ふぁぁ。よく寝た・・・」

 

「ぐがぁーー!!!」

 

「・・・ん?お前はいつまで寝てんだ、起きろバカ!!!」

 

春万君は起きて早々、隣で眠っていた甲斐君を叩いて起こそうとしていました。痛そう・・・。

 

「イッタ!!!ん?あ?ん?なんだ?」

 

「お、二人共おはよう。さてと起きて早々悪いけど、君達に言わなければいけないことがあるわ」

 

ファルティナ先生が真剣な表情をして、二人の目の前に立ち尽くしていました。

 

「先ずは甲斐君、君は暫く筋トレは禁止。確りと体を休めなさい」

 

「え!嘘だろ!!!」

 

「春万君、君はもっと重いよ。私からは一つ、ドクターストップを出します」

 

「は?どういう?」

 

「戦うことをです!!!私が良いと言うまで仮面ライダーにはなることは許しません」

 

当然でしょうね。

甲斐君から帰りに聞いた内容によると、無茶と無理の積み重ねで、既に戦えるような体ではなかったはずなのに、それでも戦いに出て、体を使い潰してしまったのですから。

 

「そんなの聞けるわけないだろ!スマッシュが出た時は誰が戦うんだよ!!!」

 

「それでも駄目なものは駄目!!!これ以上戦えば死ぬよ!!!」

 

「うぐっ、でも」

 

「でもも何も無い。このドライバーは私が預かりますからね」

 

「・・・・・最悪だ」

 

 

 

 

 

 

 

春万君と甲斐君はフラフラした状態で開発室に戻り、これからのことについて話し合いを始めました。

 

「はぁ、ドライバーは没収されるは、フルボトルは盗られるわ、最悪だ」

 

「なぁ、一体何本盗られたんだよ?」

 

春万君は記憶を辿りながら盗まれてしまったフルボトルの数を数えだしました。

 

「1、2、3、4・・・・18本だな」

 

「めちゃくちゃ盗られてんじゃねぇかよ!!!どうすんだよこれから!!!」

 

「分かってるよ、とりあえず今あるフルボトルはというと・・・」

 

残っているフルボトルは、甲斐君の持つドラゴンフルボトル、ロックフルボトル、ロボットフルボトル、そして私から抜き取った浄化前のボトルが一本の計4本。

そのうちドラゴンフルボトルがじゃじゃ馬のように暴走してしまう危険なフルボトルとなっているため、戦闘にはあまり向かないです。

 

「春万君はドラゴンフルボトルでの戦闘はもう駄目ですよ。体がもう変身に持たないと思いますから」

 

「んー、そう言われてもな〜。こうなったら、お前がなるしかないな」

 

春万君は椅子に座りながら、天井近くで待機しているクローズドラゴンに指を指していました。

 

「俺が?何に?」

 

「変身するだよ。クローズドラゴンを使ってな」

 

「え!遂にか!!!」

 

「ただ、今のお前じゃ変身できない。ハザードレベルが多分足りない。それに一番大事なこともな」

 

春万君は諦めたような表情を浮かべながら、ボトルをフルボトル生成機に入れて浄化を開始しました。

春万君の言う、一番大事なこと。

きっと気持ちのことなのでしょう。

 

「んだよ、結局駄目なのか?」

 

「ビルドドライバーで変身できるのはハザードレベルが3以上じゃないと駄目なんだよ。だからまず無理だ。今は諦めろ」

 

「分かったよ」

 

そう言って甲斐君は開発室を出て何処かへ行ってしまいました。

こうして二人きりになると昨日のことをふと思い出してしまい、少し顔が熱くなってしまいますね。

春万君は真剣な表情をしながら私にあることを尋ねてきました。

 

「なぁ虚。スマッシュにされる前に何か覚えてるか?」

 

「覚えていることですか?あの日・・・」

 

あの日、私は開発室を出て、保健室に行っていました。

ファルティナ先生が何か伝えたいことがあるからということで向かったのですが、ファルティナ先生は保健室には居らず、仕方なく自室に戻ろうとしたその時でした。

後ろを振り向くと、不覚にも誰かに頭を殴られ意識が飛んでしまいました。

気づいた時には、透明なケースに入れられて、白い防護服を着た作業員のような人達にガスを入れられて・・・。

意識がだんだんと遠くなっていくのを未だに覚えています。

あの時に感じた恐怖は二度と忘れられないでしょうね。

春万君に事情を説明すると、とても思い詰めたような暗い表情をして、私に頭を下げていました。

 

「すまない。お前を危険な目にあわせて」

 

「もぅ、謝らなくていいですよ。ちゃんと貴方に助けて貰ったから今、ここに居るのですよ?」

 

私が気にしていないように言うと、春万君はキョトンとしたような顔をして私を見ていました。

なんとも可愛らしい顔ですよ。

 

「・・・・はぁ。なんか俺だけめちゃくちゃ罪悪感抱えてるっぽいじゃん」

 

「ふん、いい気味です。私はそれがいつもなんですよ?」

 

「あ、えっと、すまん」

 

「また謝って、でも、あの時初めて貴方が私に弱音を吐いてくれたことは、今でも確りと覚えてますよ」

 

春万君はそのことを言われると顔を真っ赤にしながら、そっぽを向いてしまいました。

多分恥ずかしいのでしょうね。

私はいつもの仕返しにと、ちょっとばかし攻めてみることにしました。

 

「忘れろ」

 

「嫌です」

 

「勘弁してくれ」

 

「フフフ、ダーメ。顔が真っ赤ですよ?」

 

「くっお前な〜///」

 

私は春万君に近づいてそっと抱き寄せて頭を優しく撫でてみました。

少し大胆すぎでしょうか?

春万君も口では嫌がっていますが、顔を真っ赤にさせていて、体は素直でした。

 

「ったく、もういい///」

 

「フフ、もっと甘えてくれてもいいんですよ?」

 

「勘弁してくれ・・・」

 

私は撫でるのをやめて、そのまま座っている春万君の頭を抱きしめて

みました。

春万君は抱き締められたことに恥ずかしがって離れようとしますが、私は離れないようにギュッと力を入れて、逃がさないようにして、私が思っていることをそっと呟いてみました。

 

「な!虚!!!何して・・・」

 

「私になら、どんな弱音を吐いてくれたっていいんですよ?」

 

「なっ・・・・・・」

 

「私は全て受け入れますから。貴方が壊れていく姿は見たくありません。辛かったら辛いと、苦しかったら苦しいと、ちゃんと言ってください。少しでも、貴方を支えたいです」

 

「虚・・・・・・・。なら、少しだけ」

 

春万君はそれを許してくれたのか、そっと私の腰に手を回してくれました。

回す手からは私をより強く感じれる様にしながら。

そして私の言った言葉に返事をしてくれました。

 

「虚は、いつも俺を支えてくれてるよ。本当にありがとう。俺はお前が居ないときっと何も出来ないんだろうな」

 

「そんなことないですよ。成し遂げてるじゃないですか。ビルドとして、多くの人を貴方は守っています。私もその一人です」

 

「・・・・俺さ、思うんだ」

 

「何を、ですか?」

 

「人々を守れても、虚や他の大切な人を守れなかったらって。全部守ることって出来るのかなってさ」

 

「出来ますよ。貴方ならきっと」

 

「・・・・フッ、サンキュ。なんか元気出た」

 

私はその言葉を聞き、そっと春万君から離れると、彼の表情も活き活きとしていました。

そんな表情を見て私も心がとてもポカポカとして、胸がキュッとしました。

 

「あらあら、二人共お熱いこと〜。お姉さん憧れちゃうな〜。虚ちゃんったら意外と隅に置けないわね」

 

「な!お嬢様!!!」

 

お嬢様は『熱愛?!』と描かれた扇子を広げながら口元を隠して、私達のやり取りを盗み見していました。

流石お嬢様、最低ですね。

春万君は何故か呆れた顔をしながら、ため息をついていました。

私も正直とてもため息をつきたいですよ。

 

「・・・・お嬢様、後でお話があります」

 

「え?あ、その、ご、ごめんなさい。だ、だから虚ちゃん?そんな怒らないで〜」

 

「怒る?何を言っているのでしょうね?この駄シスコン変態お嬢様は」

 

「ししし、シスコンじゃないわわわよぉぉぉぉ」

 

シスコンと言われてかなり動揺していますね。

まぁ本当に簪お嬢様が好き過ぎて、こっそりと彼女の下着の匂いを嗅いでしまうような変態ですから、本当にどうしましょう。

 

「おい、エアクラッシャー二号、何の用だ?」

 

「エアクラッシャー?!それに二号って・・・」

 

「ん?どうした?なんかあったのか?」

 

「お、エアクラッシャー一号基、筋肉バカだ」

 

「はぁ?いきなり失礼な奴だな」

 

一号は甲斐君だったのですね。

何となく分かりますが。

それはそうとお嬢様は何故来たのでしょうか。

すると、お嬢様はいじけるような表情をしながら、本題へと移しました。

 

「はいこれ」

 

「なんだこれ?」

 

「フルボトルの隠し場所よ」

 

ナイトローグを追跡出来たようで、フルボトルの場所が分かったとなると春万君は椅子から飛び上がり興奮していました。

 

「マジか!でかしたぞ!」

 

「お前、よく見つけたな!!!」

 

「フフ、更識を舐めないでちょうだい。善は急げと言うけど、今の貴方達じゃ無理そうだし、ここには私達が向かうことにするわ」

 

「それ、大丈夫なのか?」

 

「隠密は私達の得意分野よ。貴方達はそんな体じゃ戦えなさそうだし。という訳で、あなた達は今回はお休みよ。確りと体を治しなさいね。終わったら連絡するわ。それじゃ虚ちゃん、宜しくね」

 

お嬢様は報告と釘を刺してからそのままいなくなってしまいました。

またお節介なことですが、お嬢様なりの優しさというのが滲み出ていました。

なんだかんだ言って、お嬢様も心配性ですね。

 

「はぁ、そういうことですから二人とも、ちゃんと体を休めてくださいね。もう無茶はしないように、いいですね?」

 

「「はーい」」

 

二人共とても適当な返事ですね。

この約束は本当に守ってくれるのでしょうか、心配です。

虚Sideout

 

春万Side

楯無に釘を刺されたのだが、正直スマッシュが出た時どうするのだろうか。

結局は俺がまた戦うことになるのだから、今の内にファルティナ先生からビルドドライバーを返してもらった方が良いだろう。

俺は楯無の返信を待ちながら、クローズドラゴンの再調整と新しい武装作りの構想を考えていた。

 

「なぁ、本当に俺が仮面ライダーになれるのか?」

 

甲斐は暇そうにしながら、俺に尋ねてきた。

俺は決まり切った答えをそのまま告げてやった。

 

「無理だな」

 

「はぁ?意味わかんねぇ。さっきはなれるとか言ってただろ!!!」

 

「今のお前じゃ、妹のことを引きずりながらボトルを振り続けることぐらいが関の山だ」

 

「んだと!!!」

 

此奴は本当の意味で仮面ライダーになるということを理解していない。

そんな奴が簡単に変身などできるわけが無いのだ。

 

「あのな、力を手に入れるってことは、それ相応の責任と覚悟が必要なんだよ。今のお前にはそれを背負う責任も覚悟無いだろ」

 

「・・・なんだよ、それ」

 

「はぁ、とりあえずお前は黙ってゆっくり休んでろ」

 

甲斐は不貞腐れながらベッドに横たわり、そのまま眠りについたようだ。

クローズドラゴンを甲斐の為に改良したはいいが、肝心の甲斐自信がまだ力を振るう覚悟がない。

誰かを守りたいという思いがない限り、仮面ライダーの持つ真の力は決して使うことが出来ない。

俺はクローズドラゴンの整備を終え、新たな武装作りに取り組んだ。

 

 

 

 

 

時刻は6時過ぎ、剣型の新武装を完成させるために、またも徹夜をしてしまったが、体の調子は良い方であった。

やはり好きなことをすると時間を忘れて没頭してしまうな。

すると朝早くから開発室の扉が開き、虚とダリルが尋ねてきた。

 

「おはようございます」「おはよう!!!」

 

「おぅ、二人共おはよう。今日は早いな」

 

「はぁ、やっぱり徹夜してましたか・・・。体を休めなさいと言いましたよね?」

 

「この方が気が紛れるんだよ。お前もわかるだろ?」

 

「ったく、春万は本当に研究バカだなぁ。それじゃ虚、宜しくな!!!」

 

ダリルが俺を笑いながら開発室の椅子に座り、虚に何かアクセサリーのようなものを渡していた。

多分あれはI待機状態のISの筈だ。

ダリルはISの整備でも頼んだのだろうか?

 

すると、虚はヘル・ハウンドを起動させて、データ入力を始めた。

あのデータであると、ヘル・ハウンドのバージョンアップを行おうとしているようだ。

そういえば、もうすぐ学年別トーナメントである。

それに向けて、ヘル・ハウンドを改造しようとしているのだろう。

俺はそのことに興味を持ち、俺も手伝おうとした時、ビルドフォンにムービーが届いた。

宛先を確認すると、『更識楯無』と書かれていた。

態々ムービーで送ってくる必要あるか?

 

「ん?楯無からだ」

 

「お嬢様からですか?」

 

しかし、内容を見ると衝撃的なものであった。

 

『うっ、うぅぅぅ、あぁぁぁ!』

 

楯無がスマッシュにされている映像だった。

状況が上手く飲み込めずにいると、またしてもナイトローグが現れた。

このメールはナイトローグから送られたものだった。

 

『更識も大したことは無いようだ。兎野春万、この女を街へと放つ。残りのボトルを持ってこい。待っている・・・』

 

「そんな、今度は、お嬢様まで・・・」

 

「行くしかねぇな」

 

「だ、ダメ!!!そんな体じゃ・・・」

 

「俺がやらなきゃ誰がやるんだ?」

 

「それ、は・・・」

 

虚が止めたい気持ちは分かる。

しかし、またも大事な仲間をスマッシュへと変えたナイトローグを許しておく訳には行かなかった。

俺はそのまま保健室へと急ぎ、ファルティナ先生にビルドドライバーを返してもらうように言った。

 

「ダメ!なんで直ぐに約束破ろうとするのかなぁ?」

 

「非常時ですから。お願いします」

 

「・・・・・・はぁ。保健医失格だなぁ〜。はい。但し、無茶だけはしないように。後で反省文書いてもらうように言っておくからね!!!」

 

「はっ!いくらでも書いてやりますよ!!!」

 

ファルティナ先生からビルドドライバーを受け取り、その足で急いでスマッシュ反応の指し示す場所まで走って行った。

距離あるなこれ!!!

 

 

 

スマッシュとナイトローグを発見し、俺は手に持つフルボトルを振りドライバーにセットした。

 

【ドラゴン】

 

【ロック】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

【封印のファンタジスタ=キードラゴン!!!イェイ!!!】

 

『フン、来い!!!』

 

「はっ!」

 

俺はナイトローグとスマッシュと死闘を始めるのだった。

春万Sideout

 

龍斗Side

俺はどうしたらいいのだろう。

力を手に入れる覚悟か。

よく分からない。

春万が慌ただしく出て行くのを感じ、俺は目が覚めた。

すると、虚が心配そうな顔をしながら、何かを祈っていた。

もしかすると、彼奴はまた誰かを助けに行ったのだろうか。

あんな体で向かったとしても返り討ちにあうだけだ。

また無茶しようとしていることは馬鹿な俺でも直ぐに理解出来た。

 

(助けに、行かねぇと)

 

そんな思いを感じ取ったのか、青いドラゴンが俺の頭上を飛び回り始めた。

何となく着いて来いと言ってそうな感じがしたので、そのままドラゴンについて行くことにした。

 

道中、俺はずっと考え込んでいた。

戦う覚悟なんかよく分からない。

俺は春万みたいに、見ず知らずの誰かを助けられるほど人間できちゃいない。

ふと、明香里の言葉を思い出した。

 

『お兄ちゃんは、いつも誰にでも優しくて自慢のカッコイイお兄ちゃんで居てね!』

 

病室でよく言われたな。

正義のヒーローに憧れていた明香里にとって、俺はヒーローだったのだろうか。

カッコイイお兄ちゃんか・・・。

なぁ明香里、今の兄ちゃんはカッコ悪いよな。

お前の事をいつまでも心に引きずって、俺を助けてくれた恩人に恩もまともに返せていない。

誰かの為にあんなに命懸けで戦える彼奴は、本当にカッコイイ。

俺はあんな風に戦えない。

だけど、そんな彼奴を一体誰が守るんだ。

ボロボロになっても戦う彼奴を誰が守ってやるんだ。

そう思うと不思議と体の芯から力が湧き上がってきた。

春万や楯無、虚など、俺を救ってくれた奴らを守るためにも、これ以上、春万一人に辛い思いをさせない為にも、俺が、戦う!!!

俺は決意を固めて、春万の元へと走って行った。

 

クローズドラゴンについて行くと、見えてきたのは春万とあのコウモリ野郎とスマッシュが戦っていた。

しかし、既にビルドの体からは蒼い炎が出始めており、やがて動きが止まってしまった。

体が変身に耐えられなくなり、強制的に変身解除させられてしまった。

倒れ込む春万に追い打ちをかけるように、足で春万の体を押さえ込み、手に持つフルボトルを盗ろうとしていた。

 

「春万ぁ!こっちだ!!!」

 

「ぐっ、ん?よし!」

 

俺は咄嗟に春万に叫び、フルボトルを此方に投げるように言い、春万も俺に気づいたようで、フルボトルを二つ投げ渡してきた。

俺は確りとキャッチし、明香里の形見であるドラゴンフルボトルを振り、ドラゴンの力を拳に宿した。

スマッシュが俺に気づき、そのまま突撃してくるも、拳を突き出して反撃した。

しかし、パワーが足りず、スマッシュは再度向かって来た。

俺達は取っ組み合いになるも、ナイトローグがその状況を良しとせず、俺の腹に向けて一発拳を入れてきた。

やはり攻撃は重く、俺は後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐわぁ、くっそ!!!ぐっ」

 

『生身の雑魚などに負ける訳が無い。これで貴様も終わりだ』

 

【ライフルモード】

 

手に持っていた銃をライフルのような形にして、俺を撃ち殺そうとした時、春万が咄嗟に銃を掴んで射線から外すも、生身ではナイトローグに叶わず、絶体絶命のピンチであった。

俺は手に握りしめたドラゴンフルボトルを見て、もう一度立ち上がった。

誰か知らない奴を守るんじゃない。

俺は彼奴を、春万を守りたいんだ。

誰かの為に命を懸けて戦える、そんなヒーローを守ってやりたいんだ。

春万が守りたいものなら、俺も守りたい。

それがあいつに対しての最高の恩返しだと信じて。

 

「うぉぉぉおおお!!!!!」

 

『無駄なことを。ん?何、バカな!!!また成長したというのか!!!』

 

俺は手に持つドラゴンフルボトルをもう一度振り直し、ナイトローグに向けて渾身の一撃を喰らわせるのだった。

ナイトローグを後方へ下がれせることが出来、更に体の芯からとてつもない力が湧き上がってきていた。

そんな俺を待っていたかのように、背後から突然背中を叩かれ、振り向きざまにコブラ野郎の声が響いた。

 

『フッフフハハハ!!!遂に、遂に覚醒したかぁぁぁ!』

 

「お前!いつの間に!!!」

 

コブラ野郎は俺の隣に立ち、俺の肩に手を置いて笑いに堪えていた。

そのまま手に持っていた銃でコウモリ野郎が持っていた春万のビルドドライバーを撃ち抜いて、地面に落とさせた。

コウモリ野郎はそれに驚いている隙に、春万はビルドドライバーを取り戻すことに成功したようだ。

 

『スターク、貴様どういうつもりだ!!!』

 

「・・・・・そうか!甲斐、これ使え!!!」

 

春万は何かに気づいたのか、俺に向かって春万の持つビルドドライバーを投げてきた。

俺は落とさないようにキャッチして、春万を見直すと、俺に頷きながら、行け、と一言呟くのが見えた。

 

『さぁ見せてみろ甲斐。お前の力をなぁ!!!』

 

コブラ野郎はそう言うとすぐに煙で消えてしまった。

俺は受け取ったビルドドライバーを腰に巻くと、頭上からクローズドラゴンが形を変形させて俺の手に収まった。

 

「行けるのか?」

 

俺は手に持つドラゴンフルボトルを振り、クローズドラゴンのフルボトルスロットへ挿し込んだ。

 

【Wake up!!!】

 

【CROSS-Z DRAGON!!!】

 

そしてそのままビルドドライバーに挿し込み、レバーを回して変身準備を完了した。

 

【Are you ready?】

 

俺は肩をゆっくりと二回程回し、気持ちを落ち着けて、拳を鳴らして叫んだ。

 

「変身!!!」

 

【Wake up burning!!!Get CROSS-Z DRAGON!!!Yeah!!!】

 

「今の俺は、負ける気がしねぇ!!!」

 

蒼き龍の戦士が遂に目覚めるのだった。



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第46話:その名は仮面ライダークローズ!!!

春万Side

 

【Wake up burning!!!Get CROSS-Z DRAGON!!!Yeah!!!】

 

「今の俺は、負ける気がしねぇ!!!」

 

俺の目の前で、蒼炎に燃える新たな仮面ライダーが誕生したのだった。

遂に甲斐が変身することに成功した瞬間であった。

 

「あいつ、マジで変身しちまったよ・・・。フッ、最っ高だな!!!」

 

俺は甲斐の背中をじっと眺めながら、事の顛末を見守るのだった。

春万Sideout

 

龍斗Side

俺は仮面ライダーへと変身すると、今までとは比べ物にならないほどの力が全身に漲っていた。

ナイトローグは俺が変身出来たことに驚きを隠せずにいた。

 

『変身、しただと・・・。これも彼奴の計算のうちということか』

 

よく分からないが、今はこいつらをぶっ倒すことに集中することにした。

スマッシュはそのまま体から水のようなものを出して、波乗りしながらこちらに向かってきた。

俺は拳をギュッと握り締め、正拳突きの構えを取り、間合いが詰まった瞬間、拳をスマッシュに向けて突き出した。

蒼い炎を微かに燃やしながら、スマッシュを勢いよく後方へ吹き飛ばした。

スマッシュは俺の一撃によって完全にダウンしていた。

その隙を見逃すことなく、レバーを一気に回して両手を広げて足に力を溜め込んだ。

 

【Ready〜Go!】

 

ドライバーの準備音が鳴ると同時に《クローズドラゴン・ブレイズ》が召喚され、俺の体を纏うように動き、背後に待機していた。

 

【ドラゴニック・フィニッシュ!!!】

 

俺は《クローズドラゴン・ブレイズ》の吐き出した炎に乗り、右足の《ドラゴラッシュレッグ》に蒼炎を纏い、スマッシュに向けてボレーキックを叩き込んだ。

スマッシュは必殺技に耐えきれず緑色の煙をあげながら爆砕した。

ナイトローグもその圧倒的なパワーに怯んだのか、後退りしながら狼狽えていた。

 

『バカな、一撃、だと・・・。ちっ!』

 

スチームブレードを再度握り直し、俺に向かってくるが、その攻撃を全て躱し、カウンターとしてワンツーを叩き込んだ。

更に追い打ちをかけようと間合いを詰めると、左手にトランスチームガンが握られており、それをこちらに向けて発砲してきた。

間合いを詰めようとしていたため、その攻撃は直撃してしまったが、今までとは違い、ダメージは全然感じていなかった。

俺はもう一度攻撃をしようとした時、ドライバーから突如剣型の武器が現れた。

 

【ビートクローザー!!!】

 

《ビートクローザー》を手に取り、間合いを再度詰めて、そのままナイトローグを斬りつけた。

トランスチームガンとスチームブレードで応戦しようとするも、リーチの長さが違い、先ずトランスチームガンを持つ左手を斬って、トランスチームガンを叩き落とした。

その後、鍔迫り合いになるが《ビートクローザー》のグリップエンドに備えてある《グリップエンドスターター》を1回引っ張った。

すると、刀身の《ビートアップゲージ》が起動し、赤い部分まで光ることで《ビートアップチャージャー》に力が溜まっていくことを示していた。

 

【ヒッパレー!!!】

 

【スマッシュ・ヒット!!!】

 

刀身を蒼い炎で纏わせ、接近してきていたナイトローグを斬りつけた。

しかしナイトローグはダメージを受けるも大きなダメージを負わせることは出来なかった為に再度鍔迫り合いとなった。

今度は《グリップエンドスターター》を二回引き、剣に力と負荷をかけてナイトローグに体重をかけた。

 

【ヒッパレー!!!ヒッパレー!!!】

 

そして、グリップに付属されている《クローズビートリガー》を引き、一気に斬りつけた。

 

【ミリオン・ヒット!!!】

 

すると、ビート音の様な斬撃が発生し、ナイトローグは攻撃を耐えるのに精一杯であり、ミリオン・ヒットを退けるも腕からは火花を放っていた。

俺はもう一度《クローズビートリガー》を、今度は3回引き、よりパワーを上げて後方へ退いたナイトローグに接近し、回転するように斬りつけた。

 

【ヒッパレー!!!ヒッパレー!!!ヒッパレー!!!】

 

【メガ・ヒット!!!】

 

今度は円を描くようにビートが刻まれ、ナイトローグの腹部に完全に決まり、遂にナイトローグは地面に膝をつけた。

此方を恨めしそうに見詰めるマスクからは尋常ではないほどの殺気を感じた。

 

『き、貴様〜、何だこの力は』

 

「強いだろ、俺だけの力じゃねぇからなぁ!!!」

 

俺は今度こそナイトローグを倒す為に、ベルトの横にセットされているフルボトルスロットからロックフルボトルを取り出し、軽く振ってから《ビートクローザー》の《フルボトルスロット》に入れ、《ビートクローザー》が持つ必殺技を発動させた。

 

【スペシャル・チューン】

 

フルボトルがセットされたことによって、そのフルボトルが持つ特性を引き出した必殺技を放つことができるようになる。

 

【ヒッパレー!!!ヒッパレー!!!】

 

【ミリオン・スラッシュ!!!】

 

刀身に再び蒼い炎が生まれ、それが少しづつ丸く収縮し、火炎弾が出来上がり、それを野球のバットを振るような形でナイトローグへ向けて放った。

ナイトローグは両手を交差して自信を守ろうとするも、攻撃が強すぎた為、弾き返すことも、受け止めることも出来ず吹き飛ばされてしまった。

 

『ぐっ、お、覚えていろ』

 

ナイトローグは煙を撒いて逃げるようにその場から消え去ってしまった。

俺はもう一度自分の姿を再確認し、改めて仮面ライダーになったことに実感を持った。

この力があれば、今度こそ守れるはずだ。

 

俺は変身を解除して、俺の事を静かに座りながら見ていた春万のの元へと行き、手を差し伸べた。

 

「ほれ、また無茶しやがって」

 

「・・・はぁ、フフ、サンキュ。よいしょっと!!!」

 

俺の手を掴み、よろめきながらも確りと立ち上がった春万の表情は今まで見た中でも最高の笑顔であった。

 

「どうよ、俺の活躍は」

 

「まぁまぁだな。サブキャラのくせによく頑張ったといったところだな」

 

「サブキャラってなんだよ!!!俺が来なけきゃ負けてたくせによ」

 

「負けてないし、あのままやっても勝ってたし〜」

 

春万は調子のいいことを抜かしていたが、その体には幾つ物傷が出来ており、正直そのまま戦っていたら本当に危なかったのだろう。

俺の初陣は何ともヒーローっぽい大活躍を見せたのだった!!!

それはそうと、彼処で火花を上げながら倒れ込んでいるスマッシュをそのままにしておいてもいいのだろうか?

 

「おい春万、あれ、あのままで良いのかよ?」

 

「あれ?・・・っあ!!!やっべ!!!」

 

春万は急いで空のボトルを取り出してスマッシュに向けると、みるみる内にスマッシュの成分が抜き取られていき、スマッシュの姿から人間に戻っていった。

ただ、その人間は何処かで見たことのあった、水色の髪をした性悪女だったことに俺は驚愕していた。

 

「って!楯無ぃ!!!どういうことだよ春万!!!」

 

「あっ、お前には言ってなかったな。まぁいいや、早く虚に連絡しないと。お前は介抱しろ!!!・・・・あっ、もしもし?」

 

「はぁ?人任せかよ。まぁいいや。おい、起きろ性悪女!」

 

俺は仕方なく楯無を抱いて、肩を軽く叩きながら呼びかけた。

すると、目を覚ましたのか、朧気な目で俺の方を向いてきた。

こいつ、フルボトルのある場所に行くんじゃなかったか?

 

「か、い?なんで?」

 

「なんではこっちが聞きてぇよ。どうしてお前がスマッシュにされてんだよ?」

 

「そっ、か〜。一応、ボトルの居場所に行ったんだけどね、待ち伏せされてて、フルボトルを見つけたと思ったらいきなり背後から殴られて・・・スマッシュにされてた、のね。不覚だわ」

 

楯無は心底悔しそうな顔をしていたが、結局はナイトローグ達に一杯食わされたという事だ。

仕事出来ますオーラはどこに行ったんだ?元々無いか。

 

「今、失礼なこと考えなかった?」

 

「いや、別に・・・」

 

「怪しい・・・。というか、何時まで乙女の柔肌を触ってんのよ!!!エッチ!!!」

 

「はぁ?助けてやったのにそれは無いだろうが!!!」

 

「・・・お前を助けたのは、甲斐で間違いないぞ」

 

「ホントなの?・・・・そ、その・・・あ、あり、ありが、とう。助けてくれて」

 

楯無は俺の言葉を疑うような目をしていたが、そこで春万がフォローしてくれたおかげで、楯無は恥ずかしがるようにしながらお礼を言ってきた。

 

「おう」

 

「ほらお前達、さっさと帰るぞ。フルボトルが出来上がったっていう知らせも届いたしな!!!」

 

俺達はそのまま学園に帰って行くのであった。

・・・・徒歩で。

龍斗Sideout

 

春万Side

戦闘も終わりIS学園へと戻り、開発室の扉を開けると、楯無の存在を確認できた為に、虚が急いで楯無の手を取っていた。

 

「お嬢様、ご無事ですか?」

 

「アハハ、ちょっと失敗しちゃっただけよ。体も大丈夫よ」

 

「良かった、本当に良かった。春万君、甲斐君、二人共本当にありがとう」

 

丁寧に俺たちに頭を下げるが、今回俺は特に何もしていないからその礼を受けるとる訳にはいかなかった。

今回楯無を助けることが出来たのは、正真正銘、甲斐が仮面ライダーに変身することが出来たからだ。

まさかあの土壇場で変身するとは思わなかった。

こいつの成長速度は尋常でないことは確かなのだろう。

一体、何処まで此奴は強くなるのだろうか。

 

「へへ、なんせ俺が遂にビルドになったからな!!!」

 

「ビルドに、ですか?」

 

「お前はビルドじゃねぇよ」

 

「はぁ?どういうことだよ!!!」

 

「・・・クローズ、『仮面ライダークローズ』だ。それがお前の仮面ライダーとしての名前だ」

 

「クローズ、クローズかぁー。気に入った!!!」

 

『仮面ライダークローズ』。名前の由来としては、ビルドは作る、形成するという名の無限の可能性を持つが、クローズはボトルを一本、ドラゴン単一の完成された存在、そして寄り添う・閉じる、という意味を持った名前にしてみた。意味はもっと色々あるが・・・。

まぁ、甲斐が気に入ってくれたのであれば良しとしよう。

仮面ライダービルドのサブキャラとして・・・んん、ビルドの相棒として、これからの甲斐に期待を込めるとしよう。

 

「クローズ、クローズ。明香里ぃ〜、遂に仮面ライダーになっちまったぞ!!!」

 

「甲斐のくせに生意気・・・」

 

「・・・お嬢様、顔が少し紅いようですが、横になって休まれてはいかがですか?」

 

楯無は甲斐を見ながら悪態をついていたが、その表情は何か意識してしまった少女であった。

 

「甲斐、いえ・・・『龍斗』、その、改めて助けてくれてありがとね」

 

「あ?なんだよ改まって。つうかお前、顔真っ赤だぞ?大丈夫か?」

 

甲斐は楯無を心配してか、そっとおでことおでこを合わせて体温を測っていた。

楯無は恥ずかしさからか、顔から火がでそうなほど紅く染め上げており、頭から湯気が出ていた。

完全に沸騰してしまったようだ。

 

「ち、ちか、い!」

 

「お、おい!大丈夫か?ど、どうすんだよこれ!!!」

 

俺の方を向いて、この状況をどうにかして欲しそうにしていたが、完全にお前のせいだと言いたくなる。

俺は無視して、新しく出来上がっていたフルボトルへと視点を変えるのだった。

新しく出来ていたフルボトルは、赤い鳥のマークが描かれていた。

名前は『フェニックスフルボトル』、不死鳥が絵柄がそれを示していた。

虚が変えられたスマッシュの特性を完全に抽出できたようで、虚もそのフルボトルを感慨深く観察していた。

このフルボトルとベストマッチを探そうとしたが、現在持っているフルボトルはドラゴンとロック以外には、この『ロボットフルボトル』のみであった。

流石にロボットは無いだろうと思ったのだが、試しにビルドドライバーに挿し込んでみた。

 

【フェニックス】

 

【ロボット】

 

【BEST MATCH!!!】

 

「ヴェ!!!ベストマッチしちゃったよ!!!うそーん・・・」

 

フェニックスとロボットって一体何処がベストマッチなのだろうか。

さっぱり分からない。

やはりベストマッチの意味は今後も研究課題として研究を続けていかねばならない。

俺はより一層研究に精を出そうとしていたのだが、そこでふと思い出したことがあった。

 

「そういえば、これでお前、入学できるな」

 

「・・・・・・あぁ!そっか!!!進路決まったわ!!!」

 

甲斐が仮面ライダーに変身することがIS学園への入学条件とされていたため、これで晴れて甲斐もIS学園のみ生徒として認められることとなったのだった。

まぁ、その前に先ず学年別トーナメントのみ仕事として強制的に駆り出されるのは目に見えているのだが、後で言えばいいだろう。

 

すると、ここに来て完全に忘れ去られていた存在が声を大にして、存在を強調してきた。

 

「オレを忘れるなぁーーー!!!」

 

「「「「あっ!忘れてた」」」」

 

「ひでぇよ。虚は特にひでぇよ!隣に居たじゃん!!!」

 

「それどころでは無くて・・・ごめんなさいダリル?」

 

「グス、こうなったら、ヘル・ハウンドをお前らで最凶にしてもらうからな!!!」

 

ダリル学園完全に駄々をこね始めたのだが、今回完全に忘れていたこちらが悪いのでお願いを叶えてあげることにした。

ISにもせっかくだから、ビルドの持ちうる技術を投入してみようと思う。

ISにもビルドの技術が導入できるのか分からないが、虚は久々にISに携われる為、嬉しそうにしながらも腕がなっているようだ。

それはそうと、もう一つ同時に、甲斐用のビルドドライバーを作ってあげないといけない。

クローズとしてこれから変身する為にも、今回はそのお祝いとしてビルドドライバーを送ってあげよう。

虚にその事を耳打ちすると、笑顔でハンドサインでOKのサインを出してくれた。

余談だが、虚からいい匂いがしてドキドキしてしまった。

 

「そ、それじゃあ、私は一旦家に戻るわね。私じゃあ、言いたくないけど足でまといになっちゃったし。奴らの居場所を見つけたら知らせるから、今度はよろしくね?そ、それじゃあ・・・・龍斗も、じゃ、じゃあね」

 

「お、おぅ」

 

「お嬢様、お気をつけて」

 

「「じゃあな〜」」

 

楯無は最後の最後まで甲斐に対して何か特別なものを感じていたようであり、恥ずかしさから帰る時も逃げるように立ち去って行ってしまった。

甲斐はそのことに対して頭から?マークを量産しており、まるで理解していなかった。

こいつ朴念仁かよ。

俺も虚もやれやれと首を横に振っていた。

 

「ん?なぁ、なんで彼奴逃げるように行くんだ?」

 

「はぁ、この唐変木っ」

 

「はぁ、甲斐君は朴念仁ですね」

 

「はぁ?なんだよそれ!俺は木でも棒でもねぇぞ!!!」

 

意味を理解していなかったようで、唐変木を何かの木と、朴念仁を棒だと思ったようだ。

後学力の低さも滲み出ており、俺達は完全に呆れていた。

 

「・・・バーカ」

 

「本当に、おバカさんです」

 

「二人揃って馬鹿って!せめて筋肉つけろ、筋肉を!!!」

 

甲斐はひたすら自分の大胸筋を強調しながら言ってきた。

正直キモイぞ、甲斐。

 

俺達の波乱な数日が漸く幕を閉じたのであった。

次からは学年別トーナメントだな。

忙しくなりそうだ。

春万Sideout

 

 

(え?お前らもよっぽど唐変木の朴念仁だと思うんだけど!!!オレがおかしい訳じゃないよね?)

 

一人だけ全てを察し、春万と虚にツッコミを入れていたダリルであった。

 

 

 



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第47話:争奪、フルボトルバトル!!!

虚Side

ダリルにお願いされて、ヘル・ハウンドのバージョンアップに取り組むこととなりました。

春万君はヘル・ハウンドの新たな武装を考えながらも、甲斐君用のビルドドライバーの制作を行い、さらに生徒会長としての仕事を並行して行っています。

そのためかなり疲労している様です。

私もフォローはしているのですが、生徒会の仕事がここ最近の分が溜まりに溜まってしまい、全く終わる気配がありません。

現在、私達は生徒会室にて、これから行われる学年別トーナメントの最終事項や進行を考えているところです。

 

「ふぅ、とりあえずこんな所か?・・・なぁ虚、今更ながらに思うんだが、ISも動かせないのに、どうして俺は生徒会長になってるんだろうな?」

 

「今更ですね。会長がIS学園最強だからでは?」

 

「いつから最強になったんだよ?ライダーシステムはISじゃねぇのに、何でなんだ?」

 

会長は脈絡も無く、それでいて至極当たり前の事を呟き始めました。

思えば不思議ですね。

ISのことを学ぶ為の学園で、その学園の生徒会長はISを動かせない男性なのですから。

しかし、IS学園生徒会規約には生徒会長になれる者は学園にて最強でなければならない、としか書かれていないためISを使ってという細かい規約は無く、強ければ誰でもなれるというものなのです。

一体誰がこんな適当な規約を作ったのでしょうかね?

 

「いっその事、規約を変えましょうか?今ならそれが出来る立場ですが・・・」

 

「んー、それもどうなんだろうな。この立場なら生徒を守ることも仕事の一つとして捉えられるし、それに学園長がなぁ〜」

 

「そうですね。学園長は会長に期待していますから。それを無碍にすれば・・・・・・それなりの待遇が待ってるでしょうね」

 

「勘弁してくれ・・・。というか、仕事増えてない?」

 

「仕方ありませんよ、ほら口ではなく手を動かして下さい」

 

春万君は渋々ながら書類に手を伸ばして仕事をこなし始めました。

私も書類に手を伸ばして仕事を片付けようしていると、書類の山の中に怪しげな書類があることに気づきました。

手書きで書いてある書類の内容を確認すると、そこにはこの学園の地下に関することが記載されていました。

このIS学園の地下には凍結されているISがあり、それと同様に兎野春万にとって重要な物が保管されているとの情報でした。

一体誰がこのような内容を書いたのかは分かりませんが、情報は不確定であり信用性は薄いという判断をしてこの内容は無視しようしました。

そもそも、この学園に地下は存在していません。

誰が何の目的でこのような物を送ってきたのでしょうか。

そもそも地下を知っているのならば自分で行けばいいはずです。

態々生徒会に言う必要はないはず。

それにしても、凍結されているISとはなんでしょうか。

何故そのようなISを学園が保持していなければならないのでしょう。

きちんとした研究機関に預けるのが当たり前なのですが。

春万君にとっての重要な物とは一体なんなんでしょう。

そして紙の裏を見てみると、そこにはウサギのマークがついているのが確認できました。

 

「ウサギ?」

 

「ん?どうした?」

 

「い、いえ、なんでもありません」

 

このマークは一体なんの意味があるのでしょう。

何処かで見たことがある様なマークなのですが、思い出すことが出来ませんでした。

私は一日、このウサギマークのことが気になってしまい、仕事を終えて自室に戻ると一目散にこのマークについて調べてみることにしました。

 

そして分かったことというのは、確かにこのマークは見たことがあるものでした。

それもこの世界ではとびきり重要なマークでした。

このウサギのマークはあの束博士が国連に送る時に必ずついているマークでした。

束博士が態々生徒会に手紙を出してくるということに対して、余りにも非現実的なことだと思い、やはりこの手紙は誰かの悪戯なのだと結論づけて、そのまま見過ごしてしまいました。

それが後に繋がっているとも知らずに。

虚Sideout

 

春万Side

俺は甲斐と二人である研究所へと向かっていた。

楯無曰く、そこにフルボトルが隠されている可能性が高いということらしい。

前回のナイトローグ戦からはや一週間程過ぎ、体も少しは良くなり、甲斐も頗る調子は良さそうだった。

 

出かける前、俺は徹夜で作り終えた甲斐用のビルドドライバーを机に置き、眠気に耐えながら、ある事を考えていた。

甲斐が仮面ライダークローズとして変身出来るようになったのは喜ばしいことだ。

しかし、余りにも成長速度が早すぎる。

ブラットスタークは甲斐の成長を待っていたかのような口ぶりであり、不気味さをより一層覚えた。

それに、スマッシュの傾向が変わり始めている。

明香里さんに虚、楯無と俺達の周りにいる人間に人体実験を行いスマッシュへと変貌させている。

それも、まるで俺達の怒りを買うような煽りしながらスターク達は襲ってくる。

そこでスタークの言っていたある事を思い出した。

 

「俺達の成長することを望んでいたな。何故だ。やはり分からない。態々敵である俺達の成長を望む必要などないはずだ。何が目的なんだ。このまま俺達が強くなっていくことが奴の思惑なのか?そんな訳ない。何かスタークには別の目的があるのか。パンドラボックスを開くこと以外にも、何かが・・・」

 

俺はスタークが考えていることが、ナイトローグとは違うことに確信を持っていたが、スタークの考えることにはとてつもない闇が潜んでいるようで仕方なかった。

このままスタークを野放しにしておくのはかなり危険だろう。

しかし、奴は亡国機業とは関わりが無いわけじゃないはずだ。

一体、何が動いているのかが分からず、不安を抱えていた。

 

そんな時に楯無から連絡を受け、フルボトルの居場所を知らせてくれたようだ。

今度は間違いないようであり、スタークがフルボトルを握っている写真も付属してあった。

甲斐を呼んで、フルボトルの奪取を行う為のルートを確認し終わり、いざ現地へ向かおうとする前に、俺はビルドドライバーを甲斐に投げ渡した。

 

「な、なんだよいきなり。これお前のだろ?」

 

「それはお前のビルドドライバーだ。作ってやったんだから感謝しろよな〜。それじゃあ行くぞ」

 

「ありがとよ。ってからもっと丁寧に扱えよな!!!」

 

ライドビルダーを展開して、目的地へルート設定していると、甲斐が何か考えながら俺に告げてきた。

 

「なぁ、これでフルボトルがなかったらどうすんだよ?」

 

「それは・・・今考えたって仕方ないだろ?そのときはそのときだ」

 

ライドビルダーで二人乗りをしながら目的地へと向かっている途中、その研究所近くでスマッシュ反応が現れたため、俺はスピードを上げて向かっていくのだった。

 

スマッシュ反応の元へと向かうと、そこには大量の兵士:ガーディアン達が警備をしており、いかにも怪しさ全開の研究所であった。

この研究所の名前はIS装備開発企業『みつるぎ』というらしいが、どう見たってISの武装を製造しているようには見えなかった。

楯無曰く、こここそが新たな亡国機業の表向きの企業らしい。

とりあえずここに侵入するための完璧な変装をしているのだが、見た目が何分餓鬼である為、ガーディアン達が怪しそうに俺たちを監視していた。

 

「おい、これバレてるだろ」

 

「しっ、静かにしてろ。今バレたら俺達は不法侵入なんだから、公的には俺達が悪くなんだよ。そっと潜入するぞ」

 

「ほんとに大丈夫なのかよ」

 

ガーディアン達はなんとかやり過ごすことができ、そのまま内部に侵入し、情報通り地下に向かって行くと、突如空洞のような行き止まりに到達してしまった。

 

「おい、行き止まりだぞ?どうすんだよ?」

 

「俺に聞くな!えっとここは・・・」

 

『ネズミが態々袋に入ってきてくれるとは僥倖だな。残りのボトルもここで回収させてもらおう』

 

ナイトローグは俺たちを待っていたかのように現れ、ガーディアンとスマッシュを連れて不敵に笑っていた。

やはりここが亡国機業のアジトで間違いなかったようだ。

となると、ここの近くに間違いなくフルボトルが隠されているはずだ。

甲斐は既にやる気満々でビルドドライバーを腰に巻き付けていた。

 

「ナイトローグ、はっ、いいぜ、やってやらぁ!」

 

「はぁ、結局こうなるのか。仕方ない、やるぞ!!!」

 

俺もビルドドライバーを腰に巻くと、フェニックスフルボトルとロボットフルボトルを取り出して適度に振り、ドライバーに挿し込んだ。

甲斐もクローズドラゴンを変形させて、ドラゴンフルボトルを振り出しフルボトルスロットに挿し込んでから、ビルドドライバーにセットした。

 

【フェニックス】【ロボット】

 

【BEST MATCH!!!】

 

 

【Wake up!】

 

【CROSS-Z・DRAGON!!!】

 

ボルテックレバーを勢いよく回し、スナップライドビルダーを展開させ、変身の構えを取った。

 

【【Are you ready?】】

 

「「変身!!!」」

 

【不死身の兵器=フェニックスロボ!!!イェイ!!!】

【Wake up burning!!!Get CROSS-Z・DRAGON!!!Yeah!!!】

 

『・・・殺れ』

 

「さぁ、実験を始めようか?」

「今の俺は、負けん気がしねぇ!!!」

 

二人の仮面ライダーがスマッシュ達の前に立ちはだかっていた。

プレススマッシュとフライングスマッシュ、そして5人のガーディアンが襲ってくるが、先ず俺は飛び上がったフライングスマッシュに向かって、背部の燃焼飛行ユニット《エンパイリアルウイング》で飛び上がり、右腕の燃焼攻撃ユニット《フレイムリヴァイバー》でフライングスマッシュを掴むと、内部から燃焼させながら、左腕のパワーアーム《デモリションワン》で掴み直し壁に叩きつけ、フライングスマッシュを撃破する。

 

クローズは拳の《CZインファイトグローブ》の性能をフルに引き出しており、プレススマッシュに対して蒼い炎を上げながらラッシュを決め込み、最後の一発は拳を強く握り、拳を硬化させながら蒼炎を纏い、一気に詰め寄り、プレススマッシュを打ち抜いた。

 

残りはナイトローグとガーディアン達、俺がナイトローグへと迫ろうとしたのだが・・・。

 

「彼奴は俺がやる!!!」

 

「は?何言ってんだよ!お前はあのガーディアン達やれよ!!!」

 

「はぁ?巫山戯んなよな!今回は俺が主役だぁー!!!」

 

「あ、おい!・・・うっそーん」

 

主役だと叫びながらナイトローグへと突進していくサブキャラに呆れながら、仕方なくガーディアン達の相手をすることにしたが、何せ5人も相手にしなければならないのは中々に面倒くさい。

そのため、ボルテックレバーには手を掛けて、しっかりと回し、ボルテック・フィニッシュの体制をとり、一掃することにした。

 

【Ready〜Go!!!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!イェイ!!!】

 

全身を炎で包み、《エンパイリアルウイング》を起動させて、不死鳥のごとく飛び上がり、ガーディアンの中の一体を《デモリションワン》で掴み破壊すると、破壊したガーディアンを炎で包み込み、形を作り替え、ガーディアン素材のモーニングスターを作り上げ、炎で燃えながら残りのガーディアンを圧殺した。

残り最後の一体には、そのままモーニングスターを投げ飛ばし、壁に激突しながら破壊したのだった。

すると、破壊した場所から奇妙な穴が出来上がっており、そこには奪われたフルボトル達と赤いパンドラパネルが隠されてあった。

 

「あったァ!」

 

『ちっ、貴様ら!!!なにっ』

 

「お前の相手は俺だっつうの!!!これでも喰らえ!!!」

 

【スペシャルチューン】

 

【ヒッパレー!!!ヒッパレー!!!】

 

【ミリオン・スラッシュ!!!】

 

甲斐はビートクローザーを取り出して、ナイトローグに渾身の一撃を放つ。

しかしナイトローグはしぶとい為、なんとか耐え切っていたが、俺は甲斐を援護するために海賊フルボトルと電車フルボトルを取り、ドライバーにセットし直した。

 

【海賊】

 

【電車】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【定刻の反逆者=海賊レッシャー!!!イェイ!!!】

 

ビルドアップと同時に拡張領域から《カイゾクハッシャー》を取り出しナイトローグへと距離を縮めた。

距離を詰めると、《カイゾクハッシャー》に装着された刃《カトラスアンカーエッジ》でナイトローグに斬りかかり、怯んだ隙にクローズのビートクローザーによる連撃との完璧なコンビネーション攻撃を決め、ナイトローグに膝をつかせるのだった。

 

俺たち二人のコンビネーション攻撃をまともに喰らったナイトローグは二対一の状況を不利だと判断すると、蝙蝠の羽の様な物を生やして地上へ飛び上がって行ってしまった。

俺達もそれを追って地上へ出て、ナイトローグを見つけると、その隣には目付きの鋭い、厳つい女性が立っていた。

その手にはトランスチームガンとは違い、一回り大きくなったサイズのパープル色の変身銃ガーディアン握られていた。

 

「だらしねぇなぁ〜。仕方ねぇから、このオータム様が助太刀に来てやったぜ。感謝しろよな『エム』?」

 

『ちっ・・・』

 

ナイトローグを『エム』と呼ぶ女性の名前は『オータム』というらしい。

ナイトローグは煙を出してその場からまたしても消えてしまった。

亡国機業の連中がどんな容姿をしているのかは知らないが、やはりと言うべきか女性であった。

となると、ナイトローグももしかして女性?なのだろうか。

それに関しては、倒して変身解除させればわかることだろう。

甲斐は既にファイティングポーズを取り直し、既に戦闘準備していた。

 

「オウムだかオタクだかなんだか知らねぇが、誰が相手だろうが俺がぶっ潰してやらぁ!」

 

「オータムだ!はっ、正義の味方様が吐くようなセリフじゃねぇなぁ、お前!いいぜ、テメェの相手はこのオータム様がやってやろじゃねぇか。この『カイザーシステム』でなぁ!」

 

【FUNKY!!!】

 

そう言うと、オータムは持っている変身銃の引き金を引くと、銃口から煙が発生し、オータムを包み込むと、煙の中から光が発生し、煙が晴れた時、その場にいたのは真っ黒なマスク姿をしたオータムがいた。

 

「こいつの名前は『ネビュラヘルブロス』。テメェらの使ってる『ライダーシステム』とは格が違うんだよ!!!」

 

そう言いながら俺達に向かって突撃してきたので、クローズは向かって来る『ネビュラヘルブロス』に正面から立ち向かい、俺は後方から《カイゾクハッシャー》の《ビルドアロー号》を手前に引きエネルギーを溜め込みながら目標を確りと『ネビュラヘルブロス』へと絞っていた。

 

クローズは真正面から攻撃を受け止めたのだが、その攻撃は予想外にもクローズと対等以上のパワーをしていた。

クローズもなんとか踏み止まり、右腕のジャブを入れようとするも軽く左腕で止められてしまい、逆にカウンターを喰らってしまい吹き飛ばされてしまった。

 

「がはっ!や、やべぇ、彼奴強ぇ!」

 

「甲斐、伏せろ!!!」

 

「え?お、おう!」

 

【海賊電車=ハッシャー!!!】

 

フルチャージされたカイゾクハッシャーの一撃をネビュラヘルブロスへと放つと、その特殊な機動に翻弄され、直撃させることに成功した。

見たところあの、ネビュラヘルブロスというのはパワーはクローズ以上ではあるものの、防御性能が低いのか、一撃喰らうと動きが止まっていた。

あれは多分プロトタイプなのだろう。

それならば勝機は十分にある。

俺はいつも通り、物理式を創造しながら、勝利の法則を導き出した。

 

「これだ!勝利の法則は決まった!!!」

 

右手で右目を沿うようにしながら、いつもの決めポーズを取り、そのまま拡張領域からラビットフルボトルとタンクフルボトルを取り出してビルドドライバーにセットし直した。

 

【タカ】

 

【ガトリング】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!イェイ!!!】

 

「あ?なんだ?」

 

俺は拡張領域から更に《ホークガトリンガー》と《ドリルクラッシャー》を《ガンモード》にしてフェニックスフルボトルを挿し込み、上空へ飛び上がると、真上から立体的に動きながら的確にネビュラヘルブロスの四肢を攻撃し破壊していく。

ネビュラヘルブロスもなんとか応戦しようと、手に持つ銃を向けて撃ってくるも、螺旋瞬時加速擬きの動きをして完全に回避していた。

 

「螺旋瞬時加速だと?てめぇ、ISでもねぇ癖にんな事出来んのか、ちょこまかと。こうなりゃ、こっちもやってやろうじゃねぇかよ!!!」

 

そう言うと、ネビュラヘルブロスの体が光に包まれた。

その直後、なんとネビュラヘルブロスはラファール・リヴァイブをに乗っていた。

 

「ISだと?」

 

「ハッハッハ!!!お前ら貧弱な男とは違ぇんだよ!!!」

 

そう言うとネビュラヘルブロスは拡張領域から重機関銃『デザート・フォックス』取り出し、そのまま空中戦へと持ち込んで来た。

しかし、相手は強化スーツを来た上でのISの使用。

さらに、訓練用の整備されたISとも違く、完全に対象を抹殺出来るようにリミッターも解除されている仕様であり、ライダーシステムにも充分対抗出来るしようとなっていた。

オータム自身も中々の操縦技術を持っているようであり、ホークガトリングフォームと完全に渡り歩いていた。

空中での高速銃撃戦は今まで一度も経験してこなかった為、どうにも経験値不足が出てきてしまっていた。

 

「スラスターさえ破壊できればいい、それで勝利の法則は見える!!!」

 

【Ten】【Twenty】【Thirty】【Forty】【Fifty】

 

《ホークガトリンガー》を50発分チャージし、俺は攻撃を喰らう覚悟で飛び込み、なんとかラファールを捕らえようとした。

オータムの攻撃をもろに喰らい、更に背部の飛行ユニット《ソレスタルウイング》も撃ち抜かれたが、なんとかラファールにしがみつくことに成功し、スラスターに向けてホークガトリンガーを撃ち込み、ラファールのスラスターを完全に破壊することに成功した。

 

「スラスターを!てめぇ!!!」

 

「IS戦で最高の手だからな。使わない手はない。甲斐!!!一気に決めるぞ!!!」

 

「え?あ、おう!!!」

 

スラスターを破壊したことによって制御を失ったラファールはそのまま地上へ落下していった。

スラスターの破壊は第二世代型のISだから出来ることであり、ダリルのヘル・ハウンド等はその対策が万全にされているため、中々通用しなくなっているのだが、取り付くことさえできれば、後はISの内部構造を把握していればどうとでもなるのだ。

 

俺はそのまま地上へ降りると同時に、拡張領域からラビットフルボトルとタンクフルボトルを取り出して、タカフルボトルとガトリングフルボトルと入れ替えるようにセットし直した。

 

【ラビット】

 

【タンク】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!!!」

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!!イェーイ!!!】

 

「「はっ!」」

 

俺は基本フォームであるラビットタンクフォームへとビルドアップし、ラファールの絶対防御を発動させるために、クローズと二人で跳び上がり、コンビネーションキックを喰らわせた。

この攻撃で漸くラファールの絶対防御が発動し、待機状態へと戻せた。

しかし、オータムは未だネビュラヘルブロスに変身中であるため、最後の追い打ちとして、二人でボルテックレバーを回し、力を全て足に溜め込んだ。

 

【【Ready〜Go!】】

 

【【ボルテック(ドラゴニック)・フィニッシュ!!!】】

 

「「はぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!!」」

 

「ぐっわぁぁあ!!!」

 

二人の最大の攻撃を直撃させ、なんとかネビュラヘルブロスを倒すことが出来た。

変身が解けたのか、オータムがボロボロの姿でその場で倒れていたため、拘束しようと近づこうとした時、俺達は背後から攻撃を受けて怯んでしまった。

 

「痛っ!なんだ?」

 

「その子に触れないでちょうだい」

 

「誰だ?」

 

ヒールの音を鳴らしながら、ナイトローグと金髪の妙齢の美女がそこに立っていた。

 

「フフ、また会うわ。その時に名乗りましょう。サヨナラ、ビルド」

 

ナイトローグがトランスチームガンから煙を巻かせて姿を消してしまった。

今回で奴らの技術力が上がっていることに俺は少し焦りを覚えるのだった。

 

「ナイトローグ、彼奴なんでまた戻ってきたんだ?アッシー君か?」

 

「台無しだよ、このバカ!!!」

 

「バカってなんだよ!せめて筋肉つけろ!!!」

 

「・・・最悪だ」

 

締めが悪くて申し訳ない。



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第48話:学年別トーナメント開催!!!

春万Side

フルボトルを取り返してから数日、予定していた通りに学年別トーナメントが開催された。

俺は生徒会長として開会の宣言をし終えると、そのまま会場の警備係と連絡を取りながら、甲斐と二人で警備についていた。

 

「なぁ、なんでお前は出ねぇんだ?」

 

「あのなぁ、ISの大会なのにライダーシステムを使える訳ないだろ。それに俺がこの学園に居れるのも、こうやって学園の安全を守るという理由があるからなんだよ。前にも話したと思うが?」

 

「…そうだったか?ってことは俺が入学してもこういうイベントには参加出来ねぇってことだよな?」

 

「まぁな。とりあえず辺りをしっかりと見ておけよ。今回は要人も来てるんだからな。警備設備の強化を行ったからって油断は出来ないからな」

 

「おう」

 

俺達は警備をしながらも行われている大会の結果が気になって仕方なかっただけ言っておこう。

春万Sideout

 

ダリルSide

一回戦目は大したことの無い奴で、正直不完全燃焼で終わってしまった。

女尊男卑思考が強い奴で、オレが春万達に関わっていることが気に食わなかったそうだが、口でどうこう言う前に実力つけて出直して来いと言ってやった。

 

この学年末の学年別トーナメントでは学年別上位4人決まるまで予選として行い、4人決まり次第、全学年合同のトーナメント戦となる。

いわば、上位まで残った真の強者だけが他学年と戦わせて貰えるってことだ。

会場を分けて全学年同時に行っているため、試合が終わった後は他学年の試合を見ることも出来る。

オレは勿論、今年のIS学園不動の最強を誇るスカイナ・セタンスの試合を見ていた。

奴は他の奴らとは一線を引く強さを持っている。

この学園で唯一あの春万、ビルドにISで勝ったのだから。

でなければ、『ブリュンヒルデの再来』とは呼ばれないだろう。

他にも生徒会メンバーは目が外せないだろう。

今からでもオレは武者震いがしていた。

強い奴と戦うことがどれほど楽しいかをオレは知っている。

戦っている時だけは任務のことを考えずに済む。

 

「ダリル、お疲れ様。瞬殺だったわね」

 

「サンキュー虚。相手が弱すぎだっただけだけどな。それはそうと次は誰とだ?」

 

「ちょっと待って・・・次はシェリアさんね。フランス代表候補生ね。2回戦で厳しい相手と当たったわね」

 

虚がタブレット端末から更新された情報を提示してくれた。

『シェリア・ジュベーネ』、今年の夏過ぎにフランスから転入してきたフランス代表候補生で使用ISはラファール・リヴァイブ。

ただ戦闘スタイルが独特で、片手に銃を持ち、もう片方は剣を持つというスタイルを取り、瞬時加速の起動速度は現在のフランス代表候補生の中でもトップクラス。

加えて、代表候補生の中でも唯一の高等テクニックである『稲妻軌道』が出来る人間だ。

はっきり言ってかなり強い相手である。

だからといって負けるつもりは毛頭ないが。

 

「おっし、代表候補生か。アメリカとフランス、どっちが強いか勝負と言ったところか。今からでも滾ってきたなぁ!」

 

「ヘル・ハウンドの調子も良さそうでしたね。機動力が今までの倍近くにまで上がってたわ。悔しいけど、やはり春万君は天才ね」

 

「なぁに言ってんだよ、充分虚も天才だろうが。コンマ1のズレすらも許さないあのストイックで完璧な整備はお前しか出来ないだろ」

 

「褒められてるのか貶されてるのか分からないのだけれど・・・」

 

「褒めてる褒めてる。それじゃ次も整備頼むわ」

 

「任せてちょうだい。最高の状態で届けるから。……はぁ、春万君が居ればもっと早く進むのだけれど」

 

「ヘヘ、本当に虚は春万が好きだなぁ〜」

 

「な、何を言ってるんですかダリル///そういうのではなくて……」

 

虚は顔を真っ赤にしながら春万との関係を否定しようとしていたが、傍から見れば既にカップル同然なのである。

いい加減、自分の気持ちに気づいて欲しいのだが、二人とも。

オレは虚を軽くからかってから別れると、叔母さんから連絡が来た。

オレは溜息につきながら連絡に応じた。

 

「なんだよ」

 

『あら、せっかく初戦突破おめでとうと言ってあげるつもりだったのに酷い反応ね?』

 

「アンタに言われても全然嬉しくないんだが。それで一体何の用だ」

 

『この学園の地下にある物があるそうよ。それを回収して頂戴』

 

「はぁ?未だ試合があるのに出来るわけねぇだろ!!!他当たれ」

 

『こんなお遊びにお熱な事ね。仕方ないわね、他に頼むわ』

 

そう言って無理な要件を突っ撥ねると、あっさりと受け入れて電話を切ってしまった。

他に宛があるのならばオレじゃなくて最初からそっちに頼めばいいものを、本当にあの人はよく分からない。

それはそうと、この学園に地下などあっただろうか。

そんな話は一度も聞いたことがないが、そこにある物とは一体なんの事なのだろうか。

この学園にも、俺達生徒には言えないような内容があるのだろうが、もしかしたら生徒会長の春万ならば地下について知っているかもしれない。

オレ自身が気になるから、後でこっそり調べてみるとしよう。

オレは一旦その事を忘れて、試合を見ることにした。

 

一試合目から一時間後、二回戦が始まり、オレは三戦目に出場するため整備室に向かいISを取りに行った。

整備室に着くと、整備科とその手伝いに来ている開発部の連中がごった返していた。

かなりの汗臭さと油臭さが出ているが、それはそれで仕事人っぽくてカッコ良かった。

整備されているISの中から自身のISを見つけると、そこには新品のようにピカピカに完全整備されたオレのヘル・ハウンドver2.0があった。

 

「やぁやぁダリルちゃん。ヘル・ハウンドを取りに来たのかい?整備は完璧に終わってるよ〜。いつでも行けるからね!!!」

 

「ん?ナツ先輩!アザース!!!それじゃ行ってきますわ!!!」

 

「行ってらっしゃい!良いデータが取れることを期待しておくよ!私の新たな武器作りへの可能性を広げるために!!!」

 

「お、おぅ」

 

「蒲田先輩!こっち手伝ってください!!!」

 

「ごめんよぉー虚ちゃ〜ん。今行くね〜」

 

本当に開発部のメンツはぶっ飛んでる奴が多いな。

虚以外まともな奴いるのか心配になってきたな。

思えば春万も相当ぶっ飛んでる気が……。

 

ISを受け取りそのままピットへ行くと、織斑先生が仁王立ちしながら生徒達を見守っていた。

オレがピットに着いたことに気づいたのか、こちらを向いて不敵な笑いをしていた。

 

「フッ、次は一回戦とは違って充分強いぞ。全力で行ってこい」

 

「……センセがオレに激励してくれるなんてビックリなんだが」

 

「別にケイシーを贔屓している訳では無い。ただ、ルールを守って存分に戦って欲しいだけだ。私は生徒達が活き活きとしながら戦っている姿を観るのが好ましいと思っているだけだ。熱い試合を観れば私自身も滾るからな」

 

そこに立っていたのはIS学園の教員:織斑千冬先生ではなく、ブリュンヒルデと言われた最強のIS乗り:織斑千冬だった。

まるでその言動からはかかって来いと言わんばかりの闘気を感じた。

 

「なんスか、優勝したら戦ってくれるんすか?」

 

「…………フッ、さぁな」

 

もしかしたら、このブリュンヒルデと戦えるチャンスが巡ってくるというのだろうか。

そんなこと匂わせれば、滾らないわけがなかった。

今のオレは相当にクシャッとした顔をしているだろう。

だがそれは嬉しさからだ、あのブリュンヒルデと戦えるかもしれないということがどれほどの意味を持つか、IS乗りとして最高に光栄なことだろう。

なお一層負ける訳には行かなくなってしまったようだ。

 

「ククク、面白くなってきやがった」

 

二戦目が終わり、三戦目が始まろうとしていた。

オレはISを展開し、アリーナ内へと飛んでいくのだった。

少し遅れてジュベーネがラファールを纏ってオレの正面に現れた。

 

「ヨロシクねケイシーさん。最初に言っておくけど、私はかなり強いわよ?」

 

「はっ、その方が張合いがあるってもんだ。相手にとって不足無し。……心の火、心火だ。心火を燃やして、ぶっ潰す!!!」

 

「いいワ、受けて立ちましょう!!!」

 

「行くぞゴラァ!!!」

 

オレは炎の家系と言われるミューゼル家の家訓を、ルーティンとして言い、戦いへの覚悟を決めて開幕から瞬時加速をしていった。

両手にはアサルトカノン《ガルム・ディスペンサー》を持ち、ラファールの胸と足を狙いに行った。

ジュベーネは横回転しながらオレの攻撃を避けつつ、左手に持っているアサルトカノン《ガルム》でヘル・ハウンドの右肩を狙ってきた。

身体を半身にしながら銃弾を避け、再度右手に持った《ガルム・ディスペンサー》で反撃。

一進一退の銃撃戦はお互いの銃弾が尽きるまで行われた。

 

銃撃戦でお互いに相手との距離感を掴むと、ジュベーネは先ず右手に持つ近接ブレード《ブレッド・スライサー》で一気に瞬時加速で間合いを詰めて斬りかかって来た。

オレは両肩の犬頭から《ヘル・バーン》で牽制しながら向かってきたジュベーネに拳で対応する。

拳と剣による鍔迫り合いが起きるが、ジュベーネは表情は真剣ではあるが力があまり入っていないように感じた。

性能差でパワーに差があるのだろう。

 

「フフ、やるじゃない。でもこれならどうかしら?」

 

するとジュベーネは一旦後方へ下がりオレとの距離を取り直すと、そのまま左右ジグザグに動き回る『稲妻軌道』をしながらオレに接近してきた。

《ヘル・バーン》で撃ち落とそうとするも稲妻軌道に翻弄され全て避けられてしまった。

ジュベーネのラファールはこの時、稼働率74%という数字をたたき出していた。

ジュベーネはオレの背後を取ると、すかさず《ブレッド・スライサー》で斬りつけてきた。

落下するように地面に不時着し機体状況を確認すると、背部にあるメインスラスターは軽度の損害であったが、無理に瞬時加速を行えば使えなくなってしまう状態であった。

 

「やってくれるじゃねぇかよ。でもまだまだ終わらねぇぞ!!!」

 

「そう来なくては面白くありませんわ!!!お互いの全力を持って最高のショーにしましょう」

 

「いくぞゴラァー!!!」

 

オレはラファールの各部にターゲット絞って《ヘル・バーン》を放ちながら、近接ブレード《デモリション・ブラック》を取り出しスラスターを二度吹かせながら、瞬時加速よりは遅いが充分なスピードを出して距離を詰めに行った。

ジュベーネも左手に持つ《ガルム》の弾を再装填し、オレの頭目掛けて撃ってきた。

 

「瞬時加速は使わないのかしら?その程度のスピードでは、私を捕えられませんわよ?」

 

「んなこと分かってるっての!!!戦い方ってのはただ単純に突っ込むだけじゃねぇんだよ!!!」

 

ビルドとの戦いはオレにとっても特別な体験であるのだ。

常にフォームを変えてくるビルドとの戦いで、オレはいかに弱点を早く見つけるかに全てをかけていた。

その戦い方が身についているオレにとって、戦い方が変わることの無いISとの戦いで相手の弱点見つけることは容易だった。

勿論機体の弱点だけではなく、ジュベーネ本人の弱点を見つけ悟らせぬようにそこを突くことが勝利への道である。

 

ジュベーネは機動力に自信があり、加えてライフル等の遠距離攻撃はほぼ完璧に見切り防ぐことが出来るが、唯一近接格闘戦は弱い。

特に鍔迫り合いには、滅法弱いのだ。

ジュベーネは近接ブレードでの攻撃を行うが、それは何時でも稲妻軌道を発動させれるようにし、背後を取ってから斬り裂くことが得意なのであって、パワー勝負が弱点であった。

パワー勝負に持ち込んで一気に片をつける。

 

「シッ!!!」

 

「なっ!」

 

強弱をつけた加速で少しづつジュベーネとの距離を詰めていき、パワー勝負に持ち込むための最後の追い込みとして、ギリギリのところで瞬時加速を行った。

メインスラスターがギシギシと嫌な音を立てているが、この瞬時加速にジュベーネは驚き、直ぐに対応しようとするが一歩遅い。

右手に持った《デモリション・ブラック》で斬りかかり、その攻撃を防ごうと《ブレッド・スライサー》で受け止め鍔迫り合いとなるが、瞬時加速の勢いの上に、このヘル・ハウンド自体のパワーも相まって一気に地面まで追い詰めた。

地面にラファールの足が着くと、この攻撃からなんとか逃れようと必死に押し返してくるが、空中からスラスターを全開で吹かせながら両手で押し潰そうとしているオレの方が圧倒的に有利であった。

 

「くっ、ぐっ、うぅぅ」

 

「最大、強大、極限、これがオレの力だァー!!!!!!!!!」

 

「きゃぁぁぁぁー!!!」

 

オレの最大威力で斬り裂き、ジュベーネを壁際まで吹き飛ばした。

煙を上げながら勝利コールが流れるのを待った。

しかし、いつまで経っても勝利コールは流れず、ハイパーセンサーで確認すると、突如上空にジュベーネが飛び上がった。

 

「ハァハァハァ、危なかったわ。ハァハァ、まさか単純に突っ込むんじゃなくて強弱をつけてゆっくりと距離を詰めてくるなんて、いやらしいじゃない。さっきの攻撃は正直やられたって思ったわ。でも、次は通用しないわよ。一気に終わらせてもらいますわ!」

 

「ちっ!そう何度もやらせるか!!!」

 

ジュベーネはもう一度稲妻軌道をしながら接近してきたため、《ヘル・バーン》から《ヘル・ハウリング》へと切り替え、超音波による攻撃で機動力を殺しに行った。

超音波の爆音による攻撃でジュベーネは稲妻軌道を途中で止めてしまった。

その隙を逃すことなく、もう一度瞬時加速で今度こそ落とそうとしたのだが、先程でメインスラスターが故障してしまい瞬時加速が出来なくなっていた。

 

「しまった!」

 

「くっ、チャンス、ですわ!!!」

 

瞬時加速が出来ないことに戸惑ってしまい、《ヘル・ハウリング》を止めてしまった為、再度ジュベーネは稲妻軌道を開始し、今度は稲妻軌道を行いながら《ガルム》をばら撒き、オレの行動を完全に封じこんできた。

 

「くっそ、これじゃあ不味いな。仕方ない、あれを使うしかねぇか」

 

「フッ、何をしてもスラスターがやられた時点で終わりですわ!!!コレでフィニッシュ!!!」

 

そう言うとジュベーネは両手に持っている武装を瞬時に入れ替え、新たに多連装導弾《大蛇》を両手に持って撃ってきた。

 

「なっ!ミサイルだと!!!ぐわぁぁ!!!」

 

「……フゥ、やり、ましたわ」

 

ジュベーネはやり切ったような表情しながら煙が晴れるのをじっと待っていた。

しかし、煙が晴れた時、ヘル・ハウンドからは炎が溢れ出ていた。

オレはミサイルを全て喰らったのだが、この炎で全て防ぎきったのだった。

 

「嘘……」

 

「まさか土壇場で『高速切替』なんか使いやがって…。此奴は決勝まで残してたかったんだけどな」

 

「なんですかそれは?炎を纏ってる?」

 

「此奴は《ヘル・ウォール》。炎の壁によってあらゆる攻撃を防ぐことが出来るヘル・ハウンドの第四の特殊武装だ」

 

《ヘル・ウォール》は両肩から全身を纏うように炎を放ち、敵の遠近関わらず攻撃をシャットアウトする炎の壁である。

この特殊武装には、ビルドのフェニックスロボフォームの技術を応用され、遠距離攻撃を全て無効にし、近接時は炎によってダメージを負わせることも可能な防御壁として再現した。

ただ、燃費があまり宜しくないため、使える回数は3回が限界というのが唯一のデメリットである。

 

「お前も稲妻軌道し過ぎてスラスターが酷いことになってるんじゃないか?」

 

「フッ、よくお分かりのようで」

 

「それじゃあ、遠慮なくやらせてもらうぜ!!!」

 

稲妻軌道はスラスターを酷使する為、訓練用のラファールでの一試合の使用頻度は二回が限界である。

ジュベーネは既に二回行ってしまったため、これ以上行うことは出来ず、瞬時加速を行ってもスラスターが破壊してしまう恐れがあるため機動力に大きな制限がついてしまっていた。

 

オレはジュベーネの機動を完璧に把握したため、最後の攻撃として《ヘル・ウォール》を解き、ラファールへとターゲットを確りと定めた。

 

「ヘル・ファイア!!!」

 

今持てる最大威力の《ヘル・ファイア》をジュベーネに浴びせ、漸くラファールのSEが0になった。

二戦目にしてここまでの死闘をさせられるハメになるとは思わなかったが、オレは勝利への喜びを確りと噛み締めるのだった。



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