幸子「聖夜の贈り物」 (ヌコスキー)
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幸子「聖夜の贈り物」

〜事務所〜

 

幸子「おはようございます!」

輝子「おはよう…幸子ちゃん…。」

乃々「おはようございます…。」

幸子「この時期にそこ寒くないんですかお二方…?」

まゆ「まゆもいますよぉ。」

輝子「3人もいると…おしくらまんじゅうで暖かいぞ…。」

まゆ「幸子ちゃんも入りますか?」

乃々「さすがにこれ以上は厳しいと思いますけど…。」

幸子「遠慮しておきます。…そういえば杏さんっていますか?」

乃々「杏さんはさっききらりさんに担がれていきましたけど…。」

まゆ「お昼からクリスマスのイベントのお仕事らしいですよ。」

幸子「そうですか…おっと、そろそろレッスンに行かないといけませんね。」

輝子「なにか用事か…?私はしばらくここにいるから、伝言くらいはできるぞ…。」

幸子「ああいえ、急ぎでもないので大丈夫ですよ。」

輝子「そうか…レッスンがんばってきてね…。」

幸子「もちろんです!レッスンだってカンペキにこなしますよ!では行ってきますね。」パタン

輝子「…クリスマス…街をリア充たちがいつも以上に闊歩する日…。私には無縁だな…。」

乃々「でも小梅ちゃんと夜通し映画観るんですよね…?」

輝子「ん…?そうだけど…。」

乃々「それってリア充さんだと私は思うんですけど…。」

輝子「…なっ!?」

まゆ(幸子ちゃん…うまくできるかしら…?)

 

〜レッスンルーム〜

 

幸子(どのタイミングで渡しましょうか…。お昼にお仕事ということはそれから帰ってきて…)

トレーナー「輿水!振りを間違えてるぞ!」

幸子「っっ!!すみません!」

トレーナー「お前が間違えるとは珍しいな クリスマスだからと浮かれたか?」

友紀「へーえ?幸子ちゃんもクリスマスで浮かれるなんて可愛いところあるじゃん!」

幸子「ボクはいつもカワイイですよ!」

トレーナー「姫川はまずいつも間違ってる場所を直してから人のことを言え!」

友紀「はーい。」

紗枝「いつにも増して賑やかどすなあ。」

 

〜更衣室〜

 

友紀「は〜!やっと終わったぁー!今日は飲むぞー!」

紗枝「しかし珍しおすなあ。幸子はんが振りを間違うなんて。何か考え事でもしてはったんどす?」

幸子「うっ…。すみません。」

紗枝「まあ、うちもうまくできひんところがあったり、そこの人みたいにいつまでも直らへん人もいはるからそんな気にせんでもいいと思んますけど。」

友紀「もー紗枝はんは厳しいんだから。」

幸子「友紀さんはいい加減覚えてくださいよ! …では一足先に失礼しますね。」

友紀「お疲れー!…ん?幸子ちゃん!なんか忘れてるよ!」

幸子「え?あっ!!すみません、ありがとうございます。」

友紀「今日の幸子ちゃんいつもよりそそっかしくない?」

幸子「まるで普段もそそっかしいみたいな言い方しないでくださいよ!」

紗枝「でも気い付けはってな?よそ見して怪我でもしたらあきまへんえ?」

幸子「大丈夫ですよ!では今度こそ失礼します!」

友紀「…さっきのってクリスマスプレゼントかな?手に収まるくらい小さい箱だったけどなんなんだろ?」

紗枝「佩び物どすやろか?」

友紀「オビモノ?」

紗枝「あくせさりーのことどす。」

友紀「へー!でもプレゼント用意してるってことはクリスマス会でもするのかな?」

紗枝「どうどすやろか?」

 

〜廊下〜

 

幸子(ボクとしたことがレッスンにまで支障をきたしてしまうとは…。しっかりしないとー)

ボスッ

幸子「へぶっ!?」

きらり「きゃっ!ごめんにぃ幸子ちゃん!ケガしてない?」

幸子「大丈夫です!すみません、よそ見してたみたいで…そちらこそ大丈夫ですか?」

きらり「きらりは平気だよぉ☆ケガしてなくてよかったぁ〜!」

幸子「そういえばお仕事はもう終わったんですか?」

きらり「うん!これからクリスマスパーティーの飾り付けをするんだにぃ!幸子ちゃんも明日来る??」

幸子「そうですね…。その日はオフなので参加しましょうかね。」

きらり「おっけー☆そうそう!プレゼント交換もするから用意しておいてほしいにぃ☆」

幸子「わかりました!ボクが最高にカワイイプレゼントを用意しますよ!」

きらり「うんうん!それじゃまったにぃー☆」

幸子「はい!また後でー。 …きらりさんがいるということは杏さんももういるってことですかね。」

 

〜事務所〜

 

幸子「カワイイボクが戻ってきましたよ!」ガチャ

輝子「あ、お帰り…幸子ちゃん…。」

杏「」グデェ

輝子「杏さんは見ての通りだ…。」

幸子「これは…しっかりエネルギー切れですね 起きるまで宿題でも進めましょうかね。」

輝子「もう宿題やるなんて偉いな…。私なんて開いてすらないぞ…。」

幸子「ボクは計画的ですから!というか輝子さんは溜めすぎて地獄を見るんですから、もっと計画的に消化していかないとダメですよ?」

輝子「うっ…が、頑張る…。…お、もうこんな時間か…。そろそろレッスンだ…行こっか…。」

小梅「うん…。」ニュ

幸子「小梅さんもいたんですか。お疲れ様です。」

小梅「お疲れ様…。ほんとは後ろからびっくりさせたかったけど…叫び声で杏さんが起きちゃうかもしれないと思ったから…。」

幸子「そもそも驚かさないでくださいよ!全く…。レッスン頑張ってください!」

輝子「ああ…。」

小梅「うん…じゃあね…。」バタン

 

幸子(……まだ起きませんかね。)

幸子「…」ジーッ

杏「…」

杏(な…なんなんだ?目が覚めたらなんか幸子にガン見されてる…。なんか杏が起きるの待ってるっぽいし…。寝たふりなのは気づかれてないっぽいししばらく様子見して…)

幸子「…」スッ コッ コッ コッ…

杏「…ふう。なんであんなに見てきたんだろ。なんか怒らせるようなことしたかな…。心当たりはまあ色々あるけど…。」

まゆ「幸子ちゃんは杏ちゃんに用事があるみたいですよぉ?」

杏「うおぁ!?…まゆもいたんだ。」

まゆ「うふふ…。幸子ちゃんは怒ってるわけじゃないと思いますよ?でも、お話はちゃんと聞いてあげて下さいね?」

杏「…てか知ってるならちょっとその内容教えててくれたりは…」

まゆ「知らないですよ?」

杏「えっ?」

まゆ「勘ですよ?ただ、まゆがそうだから幸子ちゃんもきっとそうだろうなって思っただけです。」

杏「んー…?ますますわからないんだけど。」

まゆ「うふふ…。それじゃお先に失礼しますね。」

杏「あっちょっと…行っちゃった。」

杏(意味深なこと言われてもなあ…ん?なんだろあれ…プレゼント?もしかして…)

(まゆ『幸子ちゃんは杏ちゃんに用事があるみたいですよぉ?』)

杏(…杏に?でも置き書きしておけばいいだろうし…)

(まゆ『お話はちゃんと聞いてあげて下さいね?』)

杏(…もしかしてそういう?いやいやないないない!……仮にあったとしたら袋の中の箱の大きさ的に…)

杏「…まさか、ね。」

……コッ コッ コッ

杏「…もしそうだとしても、ここじゃ雰囲気も足りないよまったく。」ガチャ

幸子「あっ!杏さ…」

杏「あ〜よく寝た。外の空気でも吸ってこようかな〜。」

幸子「あっちょっと!……無視することないじゃないですかもう。…外の空気ってことは屋上ですかね?」

 

〜屋上〜

 

杏(ちょっと強引だったかな?)

幸子「杏さん!!」

杏「……おお、幸子じゃん。」

幸子「とぼけないでくださいよ!さっき気づいてたじゃないですか絶対!」

杏「はは、やっぱりバレてた?」

幸子「もう…。」

杏「…それで、さっき杏をずっと見てた理由、教えてよ。」

幸子「ずっと見てたって…起きてたんですか!?」

杏「途中からね。でもあんなに見られてたら何かしたかなって思っちゃうじゃん。」

幸子「むう…。」

杏「で、どうしてなの?」

幸子「……これですっ!クリスマスですから!」

杏「ん、ありがと。……開けていいの?」

幸子「……はい。」

杏「……この箱…指輪?」

幸子「あなたにつけて欲しいと思ったんです。カワイイボクの選んだものを…」

 

「…大好きなあなたに。杏さん、ボクと付き合ってください。」

 

杏「……3つ。」

幸子「へ?」

杏「3つ言わせて。」

幸子「はい…。」

杏「まず1つ目。プレゼントのチョイスが重い!」

幸子「…はい?」

杏「指輪て!!結婚前提!?急にその重さ渡されても杏は受けきれないよ!?」

幸子「…」

杏「2つ目。場所にロマンチックさが足りない!」

幸子「……杏さんからロマンチックなんて言葉が出てくるなんて…。」

杏「杏だって花も恥じらう17歳!流石に告白シーンにくらい夢だって見るよ!それに他の部屋には人いるのにもしも来られたらどうするのさ!」

幸子「それは…。」

杏「……ラスト3つ目。ちょっと近くに来て。」

幸子「?」

 

 

杏「…これからもよろしくってことで。」

幸子「!?!?!?!?」

杏「杏だってこういうことするキャラじゃないんだから意味くらいわかってよ?それに……まあ……一応初めて、だし…。」

幸子「……」ポカーン

杏「いつまで上の空してんのさ!」ベシィ

幸子「ハッ!…いえ、杏さんから来るとは思ってもいなかったので…。」

杏「ああもう!やっぱ杏のキャラじゃない!!このムード終わり!!……そうだ。明日オフでしょ?クリスマスパーティーのプレゼント見繕ってよ。」

幸子「それってつまりデ…」

杏「 だああああ!さりげなく言ってるのを!察して!!」

幸子「…ぷふっ。」

杏「わーらーうーなー!!」

幸子「いえ…あなたが好きで本当に良かったと思ったんです。」

杏「……むう。」

幸子「杏さん。」

杏「……なにさ。」

幸子「メリークリスマス、明日もよろしくお願いします。」

杏「…メリクリ。」

 

〜翌日〜

 

幸子「……」

杏「やっほー幸子。」

幸子「遅いですよ!!そちらから時間指定したのに30分もボクを待たせるなんて!」

杏「ごめんごめん。」

幸子「全く…。ちゃんとボクをエスコートしてくださいね?」

杏「わかったよう…。」

幸子「♪」

杏(こりゃまた上機嫌なこと。)

 

幸子「それにするんですか?」

杏「パーティーのプレゼントなんて安っちい面白グッズで十分でしょ。」

幸子「まあ杏さんらしいといえばらしいですかね。」

杏「まるで杏が安い女みたいに言ってくれるじゃない。」

幸子「そうは言ってませんよ!」

杏「どうだかねぇ。幸子は随分しっかりしたもの買うじゃん。」

幸子「貰って嬉しいものの方がいいじゃないですか!カワイイボクの写真でも良かったんですがそれだと貰って一目で誰のものかわかってしまって面白みに欠けるというものですから!」

杏「うわー貰って一番困るやつじゃん。」

幸子「ボクの写真が困るものだって言うんですか!?」

杏「はっはっは。」

 

幸子「パーティーまでまだ時間がありますね。」

杏「お昼から動いて疲れたから一眠りするよ。」

幸子「えぇ!?もっと色々なところ寄ったりしないんですか!?」

杏「本来クリスマスは家でまったり過ごす日なんだし妥当でしょ?」

幸子「むう…。」

杏「ああそうそう、はいこれ。」

幸子「…?」

杏「……幸子はまだ若いんだからお金の使い方考えなよ?」

幸子「この箱…もしかして今日遅れたのって…」

杏「それ以上の発言は杏の特権で禁止です。」

幸子「…もう、素直じゃないんですから!」

杏「あ、言っとくけど指にははめないからね昨日の指輪。杏がアクセサリーなんてつけてたら何事かと思われちゃうし。流石に他のみんなにはバラさないからね?」

幸子「まあそこはしょうがないですね。」

杏(まあ幸子がわかりやすいから遅かれ早かれ気付かれるんだろうけど。現に1人知ってるし。)

幸子「…何か失礼なこと考えてません?」

杏「別にぃ?」

幸子「絶対考えてましたよね!?誤魔化す発言が露骨すぎますよ!」

杏「幸子ほどじゃないけどなぁ。」

幸子「どういう意味ですかそれ!!」

杏「まあまあいいじゃんなんだって。それじゃまた後でね。」

幸子「ちょっと!せめて事務所までくらい送り届けてくださいよ!!…全く、あの人らしいとはいえ仕方ないですねぇ♪」

 

〜一方、事務所〜

 

輝子「なんだかまゆさん上機嫌だな…。いいことあった…?」

まゆ「うふふ…。どうでしょうね。」

輝子「…?」

 

 

おわり



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