魔術師とジャンヌ ーオルタナティブー (北海海助)
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第一話『クリスマス』

ジ―――。

少女はつまらなそうにテレビの液晶を見つめる。

黒色の綿入りはんてん。その背中にはデカデカと『悪』という文字が書かれている。

そして温いコタツ。

テーブルの上に置いてあるミカン。

傍から見れば正月といった雰囲気だ。

 

「チッ。……どこもサンタサンタ」

 

テレビに映るサンタさんさえいなければ。

そう世間はクリスマス。

テレビの中の芸能人は全員サンタコス。

そして似たようなクリスマス企画。

少女はリモコンのチャンネル切り替えのボタンを強く押して舌打ちをする。

 

「あんなハゲデブのどこがいいってのよ」

「……そんなこと言ったらサンタさんからのプレゼントがないぞー。クネヒトが来るぞクネヒトが」

「フン。聖ニコラウスだろうがクネヒトだろうが来たら燃やし尽くすから大丈夫」

 

そんなニートみたいな格好の少女。

『アヴェンジャー』に俺は酷く呆れていた。

彼女の真名はジャンヌ・ダルク、らしい。

ジャンヌ・ダルクといえば『オルレアンの乙女』で知られている聖人。凄い高潔な人物で有名だ。

それなのに……。

 

「史実とかけ離れすぎだろ……」

「なんか言った?」

「言ってねぇよニート」

「う、うっさい!!」

 

怒鳴られた。

赤面しながらアヴェンジャーは俺に言う。それ自覚してるってことでいいんだよな?たぶん。

 

「なんか聖杯戦争終わってスゲー気が緩んだよな」

「緩んだ? 何を言ってるのかしらこの愚図は」

 

コイツは必ず罵倒を組み込んでくる。

本当に高潔な女だったのだろうか。

いや、聖杯戦争が始まった頃よりかはマシか。

あの頃のコイツは口もそんなに聞いてくれなかったし全然信頼もしてくれなかった。やっと後半の後半で今くらいになったのを俺は覚えてる。

そして、なんとか聖杯も得ることができた。

 

コイツと六騎全部倒すのはホントに苦労した。

言うことを全然聞いてくれないし、そして令呪を使おうとしたら『いいんですか? たったの三画なんですよ? あーあ。使ったらいざと言う時にどうするんだろうなぁ。もしも危険な時に三画ぜーんぶ無かったらどーするのかなー』などと言ってくる始末。

 

「ハァ。あの頃の俺にご褒美をあげたい」

「? なに言ってんの?」

 

本人は無自覚。

まぁ終わったことをいちいち気にしても仕方がないか。それにコイツに助けられたことも何度か……あった……かな?

 

「しっかし。手にした聖杯はお前に譲ったわけだけど。なんで受肉なんかしたの?」

「うぇ? な、なにが?そんなの私の勝手。貴方が気にする必要もないでしょう」

「お前アヴェンジャーだよな?復讐者のクラスでしょ?なんか復讐とかそういうの考えなかったの?」

 

アヴェンジャーの願いは基本的に復讐。だと思っていた。生前で復讐をやり遂げた英霊もいる。けどジャンヌ・ダルクの最後は国に裏切られて火刑。復讐なんてことはできなかったはずだ。

 

「……復讐ですか? フッ、知っていますか? 復讐はまた新たな復讐を生むモノ。そうやって永遠と復讐の連鎖は続いてくんです。そんなモノになんの意味が?」

「お前アヴェンジャー失格だよ」

 

たぶん誤魔化したんだろうな。

なにか他に理由があるんだろう。

 

「ていうかさ。また新しい漫画買ったの?」

「……買ってない」

「あのさ、外に漫画買いに行くのは構いはしないけど。できるだけ自重してくれよ?お前という存在が協会に知られたら真っ先に封印指定確定だ」

「買ってないって言ってるんだけど」

 

アヴェンジャーは嘘をつくのが苦手だ。

戦闘面のここぞとばかりのハッタリはそれなりに得意だが、こういった面でも嘘は苦手。というより顔に出やすい。

 

「いいか。協会の上層部はハッキリ言ってどんな大英雄や神話級の怪物よりも厄介だと俺は思ってる」

「……ふーん」

「聞いてる?」

 

ポチポチとまたリモコンのチャンネル切り替えのボタンを押し始めた。たぶん俺の忠告も全て耳から耳へ流していたんだろう。

 

「―――あ」

「ん?」

 

釣られて声が出た。

アヴェンジャーはテレビをマジマジと見つめていた。そこに映っていたのは大きくコンガリと焼かれた美味しそうなローストチキン。そしてケーキ。

 

「食べたいの?」

「……何を言ってるかわかりませんね。主語もなしにいきなり食べたいの?とか。バカなんですか?」

「人をコケにするのもいい加減にしろよ。食べたいのかって聞いてんの。ローストチキン」

「う、く、た、……食べたい」

 

ちょうど夕飯はこれから。

それなら今日は豪勢にクリスマスパーティーでもしようかな。

 

「ケーキは?」

「……食べる」

「わかった。……それじゃあ買い出しに行くかな」

 

コクリとアヴェンジャーは頷く。

こういう所は女の子って感じだ。

 

「……一緒に行くか?」

「は?なんで」

 

なんでなんでって聞くの?

聞いたのがなんか恥ずかしくなってきたんだけど。

 

「行かねーならそれでいい」

「えぇ勝手に行ってちょうだい」

 

俺はコートを着てマフラーを首に巻いた。

そのまま買い物袋を持って外へ出た。

 

 

外は雪が降っている。

時間的に夕方だ。

それなのに空は星で満たされている。

けれども黒だ。

そんな黒々とした感じはどこかアイツに似ている。そんな今日はクリスマス。

それも相俟ってか思ってしまう。

 

「俺にとってアイツはクネヒト・ループレヒト」

 

クネヒト・ループレヒト。

聖ニコラウスの同伴者にして助手。

黒いサンタクロース。

 

「なのかなぁ……」

 

そんな思いに耽っていた時だ。

ドバン!!と後ろの扉が開いた。

 

「うわへ!!!なに?!」

 

振り返ればそこにいたのはアヴェンジャー。

ジャンヌ・ダルクだった。

それも外行き用の格好で。

 

「やっぱり私も行くわ」

「は?なんで」

 

理解不能すぎて目の前のコイツと同じ言葉が出てしまった。そこ言葉にピクリと眉を動かすがなんでもないような顔をして扉を閉めた。

 

「私がどこへ行こうが勝手でしょ?アンタに何か言われる筋合いはないわ」

「……へーへー」

 

ん―――。

何か引っかかる点があるけど。

 

「まぁいっか」

「? なにが?」

 

こうして俺とアヴェンジャー、もといジャンヌは都市部へと向かって行った。



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第二話『パーティー』

一通り見た後にアレ?キャラ崩壊してね?
と思った。
ジャンヌ・オルタってこんなだっけ?
ジャルタマン見てくる。


部屋は酷い有様だ。

全てが汚い。

そして。

服がはだけてボロボロな俺も汚されてしまった。

理由を説明しよう。

それは昨日のクリスマスパーティー。

そこで起こった悲劇の事件だ。

 

 

「これで足りるか」

 

俺とアヴェンジャーが住んでいる住宅街のすぐ隣にある都市部にあるスーパーマーケット。

店内であらかた今晩の食材をカゴに入れていた時だ。

 

「……飲み物が入ってないじゃない」

「あれホントだ。アヴェンジャー、ジンジャーエールとソーダ、あとお茶取ってきてくれ」

「は?なんで私が……」

「なんで着いてきたんだよ」

「チッ……はいはい」

「舌打ちをいちいちつくんじゃありません」

「チッチッチッ……」

「……おまえ」

 

アヴェンジャーは舌打ちをつきながら飲み物コーナーへ歩いて行った。すんごいマイペースって感じのゆっくりした歩き方で。

 

「……」

 

カゴの中を再度確認する。

パーティー用の食材と飲み物はアヴェンジャーが運んできてくれるからオーケー。

これくらいで良いかな?

あとは……ケーキか。

 

「食べたそうにしてたのアイツだし。……アイツに決めさせるか」

 

その数分後にアヴェンジャーは戻ってきた。

カゴの中に無造作に瓶のジンジャーエールとペットボトルのソーダとお茶が入れられる。

 

「飲み物到着。よし……」

「礼ぐらい言ったらどうなんです?まぁ、貴方のその空っぽな脳ミソでは無理ですか」

「へーへーあんがとあんがと」

 

お決まりの罵倒。

今じゃあ日常会話みたいになってきてるので言われてもなんも響かなくなってきた。

 

 

買った物を全部袋に入れる。

これであとはケーキだけかな。

 

「なぁアヴェンジャー」

「ん?」

「ケーキ何がいい?」

 

袋を持ってすぐ向かえにあるケーキ販売コーナーに目を向ける。ガラス張りのケースに色々とケーキが入れられているのが見えた。

 

「……アレ」

「え?」

 

ウソだろマジですか。

アヴェンジャーが指をさしたケーキ。

それはクリスマス限定超巨大ホールケーキとかいう名前を付けられたケーキだった。

 

「あのな。あぁいう高い奴じゃなくてな」

「何言ってんの?よく見なさい」

「え?」

 

よくよく見ればクリスマス大特価超大安売りという表記が出されていた。うんとても安いね。

 

「後で食えなくなっても知らんぞ俺は」

「舐めないでくれないかしら。私に限界なんてものは存在しないわ……!」

 

そんなドヤ顔で言われても。

フフンと頬を上げてドヤ顔をするアヴェンジャー。ホントに大丈夫なのかこの子は。

 

「あのこのクリスマス限定っての一つください」

「エッ」

 

店員さんがギョッとする。

うんそんな気はしてた。

多分初めて今売れたなコレ。

 

 

片手で持つのは困難。

だから巨大ケーキはアヴェンジャーに持たせることに。アヴェンジャーは満足気な顔をして笑っている。

こういう所は普通の女の子なんだけどなぁ。

 

「アヴェンジャー」

「ん?」

「嬉しいか?」

「ナッ!?……何がですか?」

「いやめっちゃニヤニヤしてんじゃん」

「し、してない!!!」

「アハハ顔が赤いぞ」

「み、見るな!!こっちを見るな!!!」

 

白い息を荒げながら頬を赤く染めて怒鳴る。

弄るのは楽しいんだけどなぁ。

反応が面白いし。

 

「っと。家が見えてきた」

 

俺達が住んでいる一軒家が見えてきた。

どこにでもある普通の家だ。

アヴェンジャーは一足先に敷地内へと入っていく。

 

「ただいまっと」

 

ポケットから出した鍵で開けて中へ入る。

外は冬真っ只中、家の中は断然暖かい。

思わずため息が出てしまう。

 

「アヴェンジャー。ケーキは冷蔵庫の中に頑張って入れてくれ。あと手洗いウガイはちゃんとしろよ」

「わかってるわよ。そんなこといちいち言わなくてもできるから」

 

ムッとした顔で睨んでくる。

しつこかったですねすみません。

最近はインフルエンザとかも流行ってるみたいだし気をつけていかないと。って考えてしまうとしつこくなっちゃうんだよなぁ。

 

「……」

 

なんだろう。

俺はアイツの母親かなんかなんだろうか。

 

「? 何見てんの?」

「いや。反抗期っていつ抜けんのかなぁって」

「喧嘩売ってんの?」

 

売ってないです。

さて、買った食材はすべて台所の調理台に。

飲み物は適当に冷蔵庫へぶち込む。

 

「よし調理開始だな」

 

アヴェンジャーは超高速で部屋着に着替えてコタツへイン。その速さはどこかの大英雄を超えていたと思う。

 

 

時刻は七時過ぎ。

夕食にはちょうどいい時間だ。

そして我が家の食卓テーブルにはローストチキンやケーキが並んでいた。

 

「アヴェンジャー、何飲みたい?」

「ジンジャーエール」

 

要望の通りにアヴェンジャーのコップに瓶からジンジャーエールを注ぐ。

俺は……。俺もジンジャーエールでいいか。

 

「んじゃ食うか」

 

こうして俺とアヴェンジャーのクリスマスパーティーは始まった。

乾いていた喉を潤すためにコップの中のジンジャーエールを口に運ぶ。

そこでだ。

そこで違和感を感じたのだ。

 

「あれ。これジンジャーエールか?」

 

なんか前に飲んだやつとは味が違うような。

チラリとアヴェンジャーの方を見る。

既に二杯目をコップに注ぎ、猛スピードで飲み干していた。

 

「おいアヴェンジャー?」

 

声を掛けても返事がない。

それよりもブツブツと何か言っている。

 

「ねぇ」

「ん、あ、なに?」

 

突然こちらへ話しかけてきた。

その時の顔は火照っているかのように赤く染まっていた。どこか色気のある表情に思わず面食らう。

 

「なんでアンタは。そんなにわらしにちょっかいかけてくるわけ?なに好きなの?」

「……は?」

 

呂律が回ってないような喋り方。

ニヤニヤと笑みを浮かべながら話すアヴェンジャー。その感じはどこか酔っ払ったオッサンの様であった。

 

「ねぇえ。どっちなのぉ?あ。恥ずかしくて言えないんだぁ?この恥ずかしがり屋め……!」

 

グイグイと手で俺の胸を押す。

なにこれ。

なにこのウザイ感じ。

 

「ん―――」

「?……おいどうし――ッッ!!!???」

 

バキッ!!

効果音が一つ。

流れるように倒れる俺。

 

「ッッデエェェェェ!!!!」

「アハハハハ」

 

コイツ思いっきり瓶で殴りやがった!!

しかも躊躇なく頭!!!

アヴェンジャーの握る割れた瓶を見る。

たまたま見えたラベルには『神殺し』の文字が入っていた。

 

「酒じゃねえぇぇかぁぁああ!!!!」

「ウァ―――」

 

ジロリとアヴェンジャーの獲物を見るような目が俺をゆっくりと見下ろす。

 

「おい!アヴェンジャー!目ぇさま」

「……んふ」

「―――ッ!?」

 

アヴェンジャーは悶える俺の体に馬乗りになる。

艶っぽい息を吐きながら顔を近づけてきた。

ほんのりと酒の匂いがする。

 

「おい離れろよ、つか目ェ覚めせ」

「黙りなさい」

 

グッとアヴェンジャーの肩を抑える。

それでもアヴェンジャーは肩を抑える俺の手を握りグイッと離す。

 

「筋力Aの馬鹿力が……ッ!!」

「ねぇ」

「んは……ッ!?」

 

耳元で囁く。

その度に背筋がゾゾと凍りつく。

 

「いつもいつもアヴェンジャーってウザったいのよ。もう聖杯戦争は終わったのよ?それなのにいちいちクラス名で呼ぶなんてバカバカしいと思わない?」

「何が言いたい……?」

「名前で呼びなさいよ」

 

震えた声が聞こえる。

耳元で言われたその言葉はハッキリと俺に伝わった。

 

「ジャンヌ・ダルクって名前で言ってよ」

「……嫌だね」

 

受肉したサーヴァント。

元英霊にして人間。

神の声を聞くことができたとされる聖人。

かつての百年戦争においてオルレアンの乙女と謳われた聖処女、ジャンヌ・ダルク。

 

「なんで……?なんでよ……!」

「そんな怒ることかよ」

 

彼女はどこか寂しそうで、そして憤りを感じながら出す震えた声で囁いた。

 

「危険だからだ」

「……?」

「お前にも言ったろ?封印指定執行者のこと」

 

封印指定。

それは魔術協会から与えられる称号。

と同時に標本にしますという通達でもある。

 

「危険なんだよアイツらは」

「そんなの私がなんとか」

「お前じゃ無理だ」

 

かつて俺はとある封印指定執行者と会ったことがある。その時に思いっきり腕を弾き飛ばされた経験がある。その時から俺は右手が義手だ。正確に言えば限りなく人間の腕に近い義手。

その時から封印指定執行者に対して少しトラウマがあった。

 

「頼むよ。これはお前を想って」

 

言ってるんだ、そう言おうとした時だ。

ガシリと胸倉を掴まれた。

 

「私のこと想ってるなら私の少しのワガママくらい聞いてくれたって良いじゃない……ッ!!」

 

怒鳴られた。

彼女は涙ぐみながら俺に言う。

 

「もういい。我慢はやめる」

「は?我慢なんてしてないだろ」

 

寧ろ自分のしたいことやってんじゃん。

漫画買ったりゲームしたり。

 

「うぇ……ッ!?」

 

グイッと胸倉を引かれる。

さらに俺とアヴェンジャーの距離が近くなった。

 

「あ、あの!?なにするんですか?」

「何って。……キスに決まってるじゃない」

 

キッス!?!?!?

ちょっとたった二杯でここまで酔えるか!?

 

「本気で目を覚ませ!!?」

「覚めてるわよ」

「いやいや!!今のお前ホントおかしいから!!」

「うっさいわね」

 

そして。

ゆっくりとアヴェンジャーは迫る。

 

 

「……」

 

俺は今、アヴェンジャーの口を手で抑えていた。

あと数センチで本当にキスをしていたところだ。

 

「……あ。おい」

「アンタは。私のこと嫌いなの?」

「嫌いじゃねぇよ」

「好きなの?」

「ホント酒の力ってスゲーな。お前自分で今何言ってるか理解してんのか?普段のお前ならこんなこと聞かねぇのに」

 

ガシッと俺の手を握る。

力は強く俺は苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「わかった。俺の負けだ」

「は?」

「そこを退いてくれ。ジャンヌ」

 

ここはもう潔く願いを聞こう。

名前で呼んだら素直にアヴェンジャー、もといジャンヌは俺から退けてくれた。

 

「フゥ……アベ。ジャンヌ今日はもう……」

「ん……ん……ん……」

 

あれれ?なんか飲んでるゾー?

ってそれ酒!?

瓶は割れたはずなのにどうして!?

いや殴る前に注いでおいたのか!?

 

「ぷは……フフフ」

「あれ、なにその顔」

 

目一杯ゴキュゴキュとコップに注がれたお酒を飲み干した後。まるで黒い笑みを浮かべながらジャンヌは俺を見つめる。

ガシーン!!すごいスピードで俺の胸倉を掴み。

ビリビリッ!!

俺のTシャツはいとも簡単に裂けていった。

 

「いや―――ッ!!??」

「ウフフフ」

「キャ―――ッ!!なんかキャラ違うよジャンヌさん!いつものグてっとした冷静さはどうしたと言うんですの――ッ!?」

 

ジャンヌは再び俺の体に馬乗りになる。

そして耳元でフゥと息を吹かれた。

 

「んはぁ……じゃなくて!?」

「私がいっぱい慰めてあげる」

「い、いやぁ―――ッ!!!???」

 

この日を境に俺は。

男としての何かと純情を失った。

 

 

結局。

ジャンヌが寝落ちするまで俺は耐えた。

 

「ん……あれ?パーティー……って!!??」

「あぁジャンヌおはよう」

 

起きて早々に赤面するジャンヌ。

そのまま俺との距離を取る。

 

「な、なんで裸なの!?近付くな汚れる!!」

「え、えぇなんで?」

 

そしてこの日から。

俺は天才魔術師の他にド変態というレッテルを貼られたのであった。



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