『Charlotte』もうひとりの『略奪』 (ミディオン)
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前編 崩壊する平和

この作品はアニメCharlotteを見てないとさっぱりわからない

二次創作です。

元のアニメにフライドポテトを添えた程度の出来となっています

それでもokな方はどうぞ。


乙坂 有宇は帰ってきた。

 

 世界から全ての能力を奪い、

 

 後は歳の経過と共に全ての能力が消える筈だった

 

 約束した人と再開し、多くの仲間と新たな人生を歩む筈だった

 

 しかし、なにかを忘れている。

 

 あの膨大な数の能力には類似、酷似、同類、相似、同位

 

 するような能力もあっただろう。

 

 ・・・・そう

 

 乙坂 有宇が感知できない

 

 史上最悪の同位体

 

 もう一人の『略奪』が

 

 乙坂 有宇とその仲間達から『平和』を奪い去る。

 

 

 

 乙坂 有宇は悪夢を見た。

 

 身長は同じ位で

 

 夜の闇に血まみれた

 

 髪は銀色・紫・金

 

 顔は褐色

 

 そいつがビルの上から笑っている夢を

 

 有宇「お前は誰だ!?」

 

 そいつは答えた

 

 笑いながら

 

 残酷な空気を漂わせてその名を言う

 

 「俺の名はヴィオ・ドッヴェルだ」

 

 

 

 乙坂 有宇は目を覚ました。

 

 朝だった。

 

 朝日を見ながら呟いた。

 

 有宇「僕は・・・役目を果たした筈だ・・・能力者は

 

 一人も居ないはずなのに・・・なんで・・・!?」

 

 

 

 友利 奈緒「ヴィオ?なんですかそれは?」

 

 有宇「夢に出てきた男だ、髪色が紫

 

 風貌は黄色人種、異様なまでの残忍なオーラ・・・

 

 おかしい・・・日本の学生達以外の能力は全て奪った

 

 ・・・筈なのに・・・。」

 

 友利「探知でわからないんですか?」

 

 『探知』してみる。

 

 しかし映らない。

 

 世界中の能力は確かに奪った。

 

 間違いない。

 

 探知能力には全く映らない。

 

 しかし、ノイズがザザッとなる。

 

 違和感は感じるが、結論

 

 有宇「・・・映らない。」

 

 疲れて軽くノイズ感覚になってんのかなと思う。

 

 友利「気のせいでしょ、じゃあ卒業式のスタッフやるんで

 

 あなたはベットで休んでおいて下さい。

 

 まだ回復しきれていないんですから・・・。」

 

 その時

 

 友利が薄くなって・・・消える・・・。

 

 有宇「あっ・・・とも・・り・・!!」

 

 友利「どうしたんですか?」

 

 普通にいた。

 

 有宇「あ・・・いや・・・なんでも無い・・・。」

 

 能力は出発時に奪った

 

 発動するわけが無い

 

 なんだろう・・・この妙な幻覚は・・・。

 

 どうして胸の奥がこんなにも不安なんだ?

 

 

 

 学校で卒業式が催されていた。

 

 有宇は体力回復のために病院で休み

 

 友利奈緒は申し訳程度で出席していた。

 

 乙坂隼翼が祝辞を述べている。

 

 隼翼「これから能力が使えない大人の世界に

 

 私達は旅立つ事になるでしょう。

 

 能力は成長すれば消える。

 

 皆さんにはその絶望に立ち向かう勇気と気概をもって

 

 この先人生を歩んでいただきたい。」

 

 ?「じゃぁ、今すぐその絶望にみんなで立ち向かって

 

 もらおうか?」

 

 隼翼「誰だ!?」

 

 体育館の天井が突如崩壊する。

 

 友利「歩未ちゃん!!」

 

 友利奈緒は乙坂歩未を庇って瓦礫を回避する。

 

 「うわぁあああああああ!!!」

 

 生徒たちに鉄骨の凶器が降り注ぐ。

 

 ?「いっやぁ、最高だよこの血の飛び散る光景は!!

 

 ネットにアップしたくなるねぇ!!」

 

 そいつの目が光ると秒速で生徒たちの体に次々と

 

 意識が乗り移り、

 

 ?「略奪完了!!がっはっははは!!がっはっはっは!!」

 

 倒れた隼翼がうめき声を出す。

 

 隼翼「貴様・・・!!」

 

 友利奈緒「歩美ちゃん・・・逃げて・・・。」

 

 歩美「奈緒さん・・奈緒さん・・!!」

 

 友利「いいから・・・歩美ちゃんは逃げて下さい・・・!!」

 

 歩美を抱きしめてこっそり裏から逃がした友利に

 

 そいつの魔の手が迫る。

 

 振り返った所に首を捕まれ持ち上げられる。

 

 ?「いい顔してんじゃねーか、能力は無いみてえだが

 

 味わってやろうか?生命力吸い上げてよぉ・・・?」

 

 ぶちゅ。

 

 友利「うぐっ!!」

 

 友利の唇を奪い、そこから生命力を『略奪』する。

 

 ゴブッゴブッゴブッゴブッゴブッゴブッゴブッゴブッ

 

 友利「うっ!!!うっ!!うっ・・・う・・・ぅ・・。」

 

 友利の抵抗力が消えていく。

 

 友利(身体の・・・感覚が・・・視界が・・・うす・・。)

 

 友利の身体が生命力を失って冷たくなっていく。

 

 友利の目が閉じていき、身体から生気が消える。

 

 友利の身体が手を離されてドサリと落ちる。

 

 ?「うめえ・・・いい命だったぜ。」

 

 高城丈士郎「ぬおおおおおお!!!」

 

 勇敢に悪魔に向かっていく高城。

 

 ?「消えうせろ!!邪魔だ!!」

 

 高城「ぐうああああああああああああ!!!」

 

 炎と雷に身体を受けながら男の前にゆっくり進んでいく高城

 

 高城「ぬおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 服が全焼しても筋肉で耐えながらそいつをぶん殴りにいく。

 

 ?「失せろ筋肉バァカ!!」

 

 キィーーーーーン!!!

 

 高城「ぬああああああ!!!」

 

 『サイコキネシス』で高城は吹き飛んで体育館の壁に

 

 全身を打ち付ける。

 

 ?「無駄死にだったな。」

 

 『破壊』の能力を使って高城を体育館の跡を崩して

 

 瓦礫の下敷きにする。

 

 高城「無駄じゃないさ・・・ゆさり・・・君だけでも・・

 

 しあわ・・・。」

 

 高城は満足そうな顔をして瓦礫の下で押し潰され

 

 息を引き取り、

 

 西森柚咲は本校舎の影に逃げ込み歩美と隠れて泣いていた。

 

 西森「丈士郎くん・・・ごめんなさい・・・。」

 

 歩美「奈緒さん・・・ゆさりん・・・。」

 

 名前で呼んであげることがせめてもの想いだった。

 

 ?「ぶあっはっはっはっはっは!!!ぶあっはっはっはっはっは!!!!」

 

 校舎の至るところ、街が片っ端から炎と雷、冷気で目茶苦茶に

 

 され、ボロボロになっていく。

 

 

 

        平和だった世界が........壊れた

 

 

 

 有宇「はっ!!」

 

 夕方、 有宇は起きた。

 

 あまりに酷すぎる悪夢を見た。

 

 いや。

 

 絶対悪夢だけであってほしいが現実を思わせる

 

 絶望感を持った夢。

 

 その時テレビが伝えたものは

 

 『絶望』だった。

 

 ニュースキャスター「世界各地を破壊したと思われる

 

 謎の能力者が日本に上陸し大きな爪痕を残して行きました

 

 これはかの大震災規模の破壊活動であり・・・。」

 

 各地が震災が起きたような悲惨な惨状が横たわっていた。

 

 そこに友利とかつて一緒に過ごした学園もあった。

 

 記憶が薄れていてわからなかった。

 

 しかし、一つだけわかったのはあの夢は夢では無いことだった

 

 病室に乙坂歩美と西森柚咲、そして乙坂隼翼が来た。

 

 西森「友利さんが・・・丈士郎さんが・・・。」

 

 歩美「私を庇って・・・奈緒さんが・・・高城さんが・・・

 

 死んじゃった・・・ごめんなさぁい!!・・・

 

 歩美にはなんにもできなくて・・・ごめんなさい!!ぁぁぁぁ!!」

 

 泣いて二人は崩れ落ちた。

 

 有宇「そんな・・・あの子が・・・!?嘘だ・・・う・・・

 

 嘘だっ!!!」

 

 記憶が薄れていても友利の死はあまりに衝撃的だった。

 

 有宇の目から思いもよらずに涙が出てくる。

 

 乙坂隼翼が有宇の元に来る。

 

 そして叫ぶ。

 

 隼翼「お願いだ・・・有宇・・・もう一度だけタイムリープ

 

 できないか・・・こんな終わり方なんてあまりに残酷過ぎる!!!

 

 お願いだ有宇!!!みんなを・・・助けてくれ・・・俺には何も

 

 できないんだ・・・ちくしょう・・・俺の目さえ

 

 見えていれば・・・見えていれば・・・!!」

 

 有宇「目さえ・・・。」

 

 微かな記憶に褐色肌の女性が映る。

 

 傷つけられた右目に右手を無意識に触る。

 

 その時右目に『治癒』が発動し両目が開く。

 

 有宇「え?」

 

 右目を隠していた髪の毛を退ける。

 

 西森「目が・・・治っ・・・右目が開きました!!これで

 

 隼翼さんの目が治せれば・・・!!」

 

 やってみた。

 

 ダメだった。

 

 だが希望は繋いだ。

 

 小さな希望を。

 

 隼翼「やっぱり能力の代償の失明は治せないか・・・

 

 だが有宇・・・今のお前ならもう一度タイムリープできる。

 

 今回の事件を起こした奴を、猛威を振るう前に倒してきて

 

 くれないか?」

 

 有宇「ヴィオ・・・ドッヴェル・・・。夢の中で

 

 そいつはそう名乗っていた。でも・・・探知には

 

 引っ掛からなかったんだ。」

 

 隼翼「ヴィオ・ドッヴェル・・・確定はしてないが

 

 奴のことは次からそう呼ぼう。有宇、監視カメラと

 

 生き残った元能力者の情報を照合するとそいつはお前と

 

 同じ『略奪』の能力者だ。」

 

 有宇「僕と同じ・・・。」

 

 隼翼「そうだ、奴が能力を集める前に『略奪』するか

 

 倒してきて欲し・・・。」

 

 突如病院の片隅から爆発音がする。

 

 ?「ぎぃやぁへっへっへっへっへっへっへ!!!」

 

 西森がその声を聞いて恐怖で腰を落とす。

 

 『奴』が来たのだ。

 

 隼翼「どうやら・・・奴は待ってはくれないみたいだな。

 

 有宇!!早くタイムリープしろ!!今すぐだ!!」

 

 病院の窓ガラスを割ってそいつは目の前に現れる。

 

 その時。

 

 歩美「有宇お兄ちゃん!!あぁああああああ!!!」

 

 有宇の顔をを庇った歩美の背中にガラスの破片がびっしり

 

 刺さった。

 

 有宇「歩美っ・・・どうして・・・!?」

 

 歩美「お兄ちゃん・・・奈緒さんを・・・みんなを・・・

 

 助けて・・・あげて・・・。」

 

 有宇「・・・・・!!」

 

 隼翼「歩美!!くっ・・・。」

 

 隼翼は有宇の首根っこを掴んで、どうしてわかったのか

 

 最後の力を振り絞って病室の廊下へと有宇をぶん投げる。

 

 隼翼「俺達に構うな!!俺達を救えるのはお前だけだ!!

 

 振り返るな有宇!!もう迷うな・・・とっとと行きやがれ

 

 ええええ!!!!未来を変えろ!!有宇!!」

 

 ヴィオの視界を身を呈して塞ぐ隼翼。

 

 ヴィオ「はっはっはっは!!みんな壊れて泣き叫べぇえええ!!!」

 

 有宇「ぬああああああああああああああ!!!!」

 

 両目の中の光がもう一度回り出す。

 

 病院が・・・やつの『能力』で爆発し壊れていく。

 

 有宇はもう一度・・・過去へ飛ぶ。

 

 

 

 そこにあったものは。

 

 廃倉庫の内部だった。

 

 有宇「・・・え?」

 

 ???「おとなしく捕まりなさい。貴方はいい商品です。」

 

 有宇「は・・・?」

 

 高平から中華系のオッサンとマッチョがこっちになんか

 

 言ってる。

 

 後ろを見るとそこには黒髪ショートの黒マントロリ。

 

 ・・・・思い出した。

 

 こいつに目と耳をやられた事を。

 

 ここは友利と熊耳がここの何処かで監禁されてる

 

 よりによってそこにタイムリープしてしまったのである。

 

 有宇(どうするどうするどうするどうする!?このままじゃ

 

 確実に切り付けられる・・・痛い!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌・・・。)

 

 何を血迷ったのか。

 

 有宇「くるなぁああああああ!!!!」

 

 まだ相手が何もやってないのにも関わらず

 

 真っ先に『崩壊』を使い出す。

 

 中華系ブローカー達「ファッ!?」

 

 有宇「うわああああああああ!!!!」

 

 廃倉庫が崩壊しだす。

 

 地面のアスファルトがボロボロ壊れて宙を舞う。

 

 有宇(あれ?俺は何やってるんだっけ?)

 

 そうやって少し冷静になると、壊れた建物の中に白い髪が

 

 チラッと見えた。

 

 有宇は自分のやった事の重大さに気がついた。

 

 このままじゃ友利奈緒が死ぬ。

 

 タイムリープ前に失ってしまった大切な人が

 

 よりによってタイムリープした自分のせいで死ぬ。

 

 有宇(嫌だ・・・嫌だ嫌だ・・・そんなの・・・友利・・・

 

 死んじゃだめだ・・・。)

 

 有宇「友利いいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

 

 必死に手を伸ばし、意識が消えた。

 

 

 

 意識がブラックアウトした後

 

 病院で目を覚ました。

 

 有宇「・・・・・・!!友・・・いったっ・・・。」

 

 全身が痛い。

 

 いろいろ刺さっていたようだ。

 

 まるで準ミイラだ。

 

 有宇は横を見ると友利奈緒が生きていた。

 

 有宇「良かった・・・!!あれ・・・どうしたんだ・・・僕は

 

 あのあと・・・?」

 

 崩壊する廃倉庫の中でさらに『崩壊』を使って倉庫の

 

 破片や鉄骨を細かく砕き、その中を『飛行』で無理矢理

 

 移動しながら二人(?)突き飛ばし、そこから『念力』

 

 でさらに二人(?)を建物の残骸崩壊の中から必死に吹き飛ばし

 

 自分は残骸の下敷きになったが辛うじて生きていた。

 

 有宇「よかっ・・・くてっ。」

 

 また意識が落っこちて安眠に着いた。

 

 全身の痛みを忘れながら。

 

 

 

 その後しばらく時が経って

 

 意識を覚ました後に目時にこっぴどく怒られた。

 

 目時「どーして真っ先に『崩壊』なんて使ったの!?

 

 危うく三人とも死ぬところだったのよ!?」

 

 有宇「ご・・・ごめんなさい。」

 

 隼翼「いいじゃないか・・・みんな生きて帰ってきただけ

 

 もうけものだ。あのあとお前の傷が一番酷くて

 

 緊急治療で生死をさ迷ってたんだ。何がともあれ

 

 生きてて良かった。」

 

 奈緒「しばらくは全身の痛みを堪えながらリハビリですね。

 

 しかたありませんがしばらくは付き合ってあげましょう。」

 

 そこには五体満足で立っている友利奈緒の姿があった。

 

 有宇「すごくうれしいよ・・・ありがとう。」

 

 屈託の無い万遍の笑みで喜ぶ有宇。

 

 その反応に違和感を感じる友利。

 

 奈緒「貴方は本当に乙坂有宇ですか?」

 

 有宇「そうだけど・・・?」

 

 奈緒「・・・人格違いませんか?」

 

 有宇「そう・・・だっけ?」

 

 歩美「紛れも無くお兄ちゃんですけど、なんか雰囲気

 

 変わった気がします。」

 

 有宇「そうだ!!思い出した・・・みんなに伝えたい事がある。」

 

 

 

 隼翼「ヴィオ・ドッペェル?」

 

 奈緒「つまり貴方はヴィオ・ドッペェルっていうもう一人の

 

 略奪の能力者を・・・。」

 

 高城「手のつけられなくなる前に始末するために来たという

 

 訳ですね?」

 

 隼翼「『もう一人の略奪』か・・・にわかには信じがたいが

 

 おかしな話ではない。熊耳、探知できるか?」

 

 熊耳「人使い荒いな、歯を全部刺し歯にしなくちゃいけないわ

 

 爪の再生に手間取るわの人間に・・・だが話が本当ならば

 

 由々しき事態だ、見てやろう。特定能力人物の察知が

 

 できるのが俺だけだからな。」

 

 熊耳は『乙坂有宇』以外の『略奪』の能力者の探知を行う

 

 熊耳「・・・見えない・・・反応が・・・。」

 

 パァン!! 周り「うわぁ!!」

 

 何故か世界地図がはじけ飛ぶ。

 

 熊耳「・・・そういうことか。」

 

 隼翼「どういうことだ?」

 

 熊耳「奴は確かにいる・・・だが『ジャミング』って能力で

 

 位置がわからない。そいつは既に能力探知を弾き飛ばす

 

 『ジャミング』って能力を『略奪』している。」

 

 隼翼「確かに・・・そのもう一人の『略奪』はいるんだな?」

 

 熊耳「ああ、間違いなく・・・いる。場所がわからないだけで

 

 明確に彼は生きている。」

 

 隼翼「わかった、そいつを探知するために世界のSNSの

 

 監視部隊を今から編成してそいつの動向を探る。

 

 そいつが話道理凶悪な奴ならば間違いなく不振な被害の

 

 しっぽを見せるからな。」

 

 奈緒「それが一番最速で危機がわかりますもんね。」

 

 有宇「じゃあ、早速能力集めに・・・(ズキズキズキ)

 

 痛っ!!!!!」

 

 隼翼「無理すんな、怪我の回復もリハビリも終わってないんだ

 

 友利、しばらく面倒を頼む。」

 

 奈緒「仕方ないっすね。」

 

 有宇「あ・・・ありがとう。」

 

 頬を紅く染めて無垢に反応する有宇に違和感を隠せない

 

 友利奈緒。

 

 奈緒「・・・本当に貴方は乙坂有宇ですか?変なものでも

 

 食べたのか・・・頭でも撃ったのか・・・人格でも

 

 乗っ取られたのか・・・?」

 

 有宇「僕は・・・そんなにおかしい?」

 

 奈緒「いや、もういいです。仕方がないから面倒でも

 

 見てあげましょう。」

 

 テレビ「盲目のバンド、ジ・エンドが公開演奏の

 

 自粛を発表しました。」

 

 奈緒「ええええええええええええ!!!!!!そんなぁあ!?」

 

 テレビ「サラ・シェーンさんはインタビューに対して

 

 公開演奏は自粛し作曲とレコード制作は続ける模様。」

 

 

 

 兄の様子を久々に特設病院へ見に行く友利奈緒

 

 奈緒「ショックだなぁ・・・ファンだったのに・・・

 

 ライブ自粛は悲しいなあ・・・まあ潰れた

 

 わけじゃないから対して心配は・・・。」

 

 「二人で~生きよう~♪一緒に~生きよう~♪

 

 たとえ何度でも~いがみ合うけど~♪

 

 離れず~に~ひとつ~でいようよ~♪」

 

 奈緒「この声は・・・!?」

 

 大好きな人の声。

 

 何度も心踊らされて来た人の声。

 

 また兄のカウンセリングを・・・・。

 

 開けると、布団の中で友利兄ともそもそ何かをやっていた

 

 友利兄「サラさん・・・それは・・・だめですって・・・。」

 

 奈緒「?」

 

 サラ・シェーン「遠慮するなよ、正気が戻った祝いだ。

 

 新しい愛の世界を私に教えてくれ・・・。」

 

 友利兄「他にいい人はたくさん・・・居たでしょう・・・?」

 

 サラ・シェーン「理由はいいから、君だけさ・・・。」

 

 友利兄「サラさん、僕には・・・あまりに重過ぎます・・・

 

 確かに・・・誰よりもサラさんのことを愛しています・・・

 

 でももっといい人なら居たはずです・・・。」

 

 サラ・シェーン「そんなことは無い・・・

 

 君をどうしてかほおって置けないんだ。」

 

 奈緒「・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

 思考回路が追いついていない友利奈緒はようやく理解した。

 

 自分の大好きな歌手が毛布の中で自分の兄と

 

 スキャンダル不可避な事態になっていることを。

 

 顔を真っ赤にして思わず叫んでしまった。

 

 奈緒「ふぁあああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 奈緒「どうして・・・うちの兄と?」

 

 冷静さを取り戻して外で座って二人で話すサラと友利

 

 サラ・シェーン「重たいものを失いあった仲だからさ。

 

 それに正気を取り戻したら凄くかわいい奴でな、

 

 互いに・・・補い合えるって感じたから・・・結婚した。」

 

 奈緒「そんなにサラっと・・・。」

 

 サラ・シェーン「駄洒落か?」

 

 奈緒「洒落抜きです!!あんな・・・うちの兄と・・・結婚

 

 だなんて・・・貴方には釣り合わないんじゃ無いでしょうか?」

 

 サラ・シェーンは友利奈緒のほっぺにキスをする。

 

 奈緒「うわぁわぁ!!」

 

 サラ・シェーン「男女夫婦っていうのはな、最初から完璧を

 

 求め合う関係じゃない・・・補い合い、

 

 完成させていくんだ。私は、盲目の時点で不足な人間だ。

 

 釣り合う釣り合わないの問題じゃない。

 

 どうして互いを選んだのか私にも彼にもわからない。

 

 わかるのはただひとつ・・・『運命』を感じたって事だ。」

 

 

 

 奈緒は部屋で考えた。

 

 兄にはサラがいる。

 

 隼翼には目時がいる。

 

 奈緒「私には・・・。」

 

 わからない。

 

 ただひとつ心に残ったのは

 

 奈緒「補い合い、完成って・・・何だろう?」

 

 

 

 



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中編 旅路

乙坂有宇のリハビリと全治が完了したその後

 

 世界の能力『略奪』の旅に出ることにした。

 

 空港

 

 西森「気をつけて下さい。」

 

 高城「期待していますよ?」

 

 隼翼「くれぐれも身体には気をつけて行ってこい。」

 

 今回出発前の違いは、奴と万が一遭遇した際に

 

 対抗できるように仲間の能力を奪わずにいること

 

 例外として熊耳さんから『探知能力』をいただいて行くこと

 

 である。

 

 仮にあっても奴の場所がわからない為である。

 

 有宇「えっと、それについてお願いがあるんだけど。」

 

 有宇は手を伸ばす。

 

 もう手の届かない場所で

 

 消えてほしくない大切な人へ

 

 有宇「奈緒・・・一緒に・・・来てくれないか?」

 

 奈緒「・・・は!?どうして?」

 

 有宇「僕の手の届かない場所で・・・消えないで欲しい。」

 

 あの時のショックが重く記憶にのしかかる。

 

 友利の死をこの目で見た訳じゃない。

 

 だが、手の届かない場所で

 

 大切な人を失った。

 

 そんなことはもう絶対に嫌だ。

 

 隼翼「友利・・・有宇の願いを聞いてやってくれないか?」

 

 奈緒「ふぇっ!?」

 

 隼翼「だが、有宇それはもっときつい道になるぞ?

 

 今まで以上に危険に晒され、大切な人を目の前で失うかも

 

 しれない覚悟が無いと勤まらないぞ?

 

 下手をすれば能力集めに支障をきたす事に・・・。」

 

 有宇「それでも・・・!!友利と一緒に行きたい!!」

 

 奈緒「・・・・・・・。」

 

 

 

 回想

 

 サラ・シェーン「男女っていうのは最初から完璧を

 

 求めるんじゃない・・・補い合い・・・完成させるんだ。」

 

 

 

 私は今までの経験上乙坂有宇を完全に信頼するのは難しい。

 

 だけど・・・彼の中で何かが変わっている。

 

 それに・・・危険はたくさんあるけど

 

 世界は回ってみたい。

 

 そして

 

        あの言葉の意味を知りたい

 

 

 

 奈緒「わかりました、行きましょう。

 

 ただし女子のわがままは貴方の想像を度外視してますよ?

 

 それでも行きます?」

 

 その言葉を聞いて乙坂有宇は笑顔で笑うと。

 

 有宇「うん!!行こう!!」

 

    手を引かれて

 

         かつて無い旅へと

 

                 今度は

 

                    二人で行く

 

        『もう一度・・・世界へ』

 

 

 

 

 

 最初の国へ。(※アニメ見てないとわからないです)

 

 友利達の能力を奪ってない為いろいろ考えて行動することに

 

 有宇「よし、まずは。」

 

 路地裏でそこらへんの怖そうなギャングに『乗り移り』

 

 ポケットの拳銃とナイフと弾薬をごみ箱へポイして蓋を

 

 閉めて前を向く。

 

 ギャングがおどおどしながら去るのを確認すると。

 

 有宇「はい、護身用。」と渡す有宇

 

 奈緒「えげつないな!!」

 

 有宇「君の為だ。」

 

 奈緒「・・・まあ、物騒なところこれからごろごろ回るのに

 

 躊躇ってられないか。」

 

 拳銃とナイフをしれっと所持する友利奈緒。

 

 

 

 そこで本命ターゲット発見。

 

 奈緒「あれが読心術の能力者ですか、んじゃタイミング

 

 合わせて下さい。」

 

 有宇「わかった。」

 

 まずは有宇が鍵を遠距離から開けて奈緒が侵入する

 

 『友利』は能力を使って『読心術』の能力者から

 

 姿が見えなくなる。

 

 しれっと後部座席右の鍵を開ける。

 

 読心術の能力者が運転席に入った瞬間通りすがりの有宇が

 

 能力を奪って車に侵入する。

 

 『読心術』「・・・(英)誰だ!?」

 

 すると誰も居ない筈の隣から声がしてナイフが首筋に

 

 突きつけられる。

 

 奈緒「英(えー、貴方が能力者のリーダーで

 

 良かったんでしたっけ?)」

 

 『読心術』「英(なんで相手の思考が読めない・・・

 

 能力を盗られた!?)」

 

 奈緒「英(んじゃあ仲間で探知役の方を教えて

 

 いただきましょうか?)」

 

 『読心術』(考えるな・・・考えるな・・・。)

 

 有宇がサイドミラーに指でわっかの合図を出すと

 

 奈緒「わかりました、もう用無しなんで失礼しまーす。」

 

 奈緒が鍵を奪い、二人とも車から出ると有宇がドアの鍵を

 

 念力で壊して閉じ込める。

 

 『読心術』「英(出せ!!ここから出せ!!)」

 

 

 

 能力探知の能力者のガードマンがガードマンを殴って倒し、

 

 意識が戻ったところで後頭部に岩が飛んできて気絶。

 

 そこで『能力者探知能力』をさっさと奪うとずらかる。

 

 

 

 奈緒「どんな感じで見えてるんですか?」

 

 有宇「ああ、リアルタイムでGPS信号みたいにはっきりと

 

 見える。ここに・・・。」

 

 熊耳さんから貰った『能力者探知』を組み合わせれば。

 

 有宇「これなら危険な能力者の能力を発見しつつ

 

 優先的に戦略を練って捕まえる事ができる。

 

 (これで奈緒への危険を回避できる!!)」

 

 奈緒「すいません・・・定期で・・・生理です。」

 

 有宇「ズルッ。」

 

 女の子の数々の常識にこれから悩まされる事となる。

 

 奪った能力をメモしながら日記帳につけていく友利

 

 デメリット、メリットを踏まえながら順調に奪っていく。

 

 友利「能力によっては奪ってデメリットが極端に高いやつは

 

 最後の最後に取っておきましょう。『聴覚覚醒』なんて

 

 夜眠れなくなるかも知れませんからね。

 

 リスク回避の為に旅の最後辺りにまとめて奪うことに

 

 しましょう。」

 

 熊耳さんの能力を貰ってからかなりリスクを回避しつつ能力の

 

 回収ができるようになった。

 

 ただ、友利の安全確保やトイレ、食料や水の補給等で遅延が

 

 発生した。

 

 

 

 奈緒「すいません、お風呂。」

 

 有宇「わかった・・・シャワーじゃだめか?」

 

 奈緒「それでいいです。」

 

 

 

 奈緒「ちょっと・・・生理が・・・後ろ向いてて

 

 くれませんか?」

 

 有宇「いいよ。(無垢ににっこり)」

 

 奈緒「貴方は本当にあのゲスだった有宇ですか?」

 

 有宇「???」

 

 それでも楽しいと感じた。

 

 ただ・・・定期でお風呂やシャワーやトイレ、ナプキンを

 

 ねだってくる事には結構苦労した。

 

 衛生面に女性は五月蝿い現実を直視しつつ進んでいく。

 

 友利は旅の進行状況を逐一隼翼に報告する。

 

 いろいろな苦難を歩ながら・・・能力を奪っていく中

 

 

 

 隼翼「ヴィオ・ドッペェルの行方は?」

 

 仲間「TwitterやFacebookが楽しい事以外にゃなにも

 

 みつからねえよ。」

 

 仲間「ここまで世界中から情報が無いと不気味だな。」

 

 隼翼「・・・・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 有宇「疲れてきた・・・。」

 

 奈緒「じゃあ、一旦帰りましょう。」

 

 有宇「え!?」

 

 奈緒「別に帰っちゃ悪いって訳じゃあ無いでしょ?」

 

 有宇「まあ・・・そうだけど。」

 

 奈緒「それにもう一回世界を回るんならもう少し準備

 

 しなきゃですね~♪」

 

 苦痛で辛いかと思いきやわりと楽しく元気そうにはしゃぐ

 

 友利。

 

 その時。危険な気配を瞬時に察知した。

 

 有宇「・・・伏せて!!」

 

 奈緒「ばっ!!」

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ==========

 

 ≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠

 

 兵士「弾が無くなるまで撃ち続けろ!!」

 

 機関銃の銃弾の嵐が襲い掛かり、バリアを張って友利も

 

 護り、バリアを膨らませて敵を一気に吹き飛ばす。

 

 奈緒「いやぁ~びっくりした~1秒気がつかなかったら

 

 蜂の巣でしたね~え?」

 

 有宇「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・。」

 

 有宇の疲弊っぷりを見て「ふう、」と息を吐くと

 

 奈緒「急いでいるかも知れませんけど、身体と心を壊したら

 

 元も子もありませんよ。」

 

 

 

 日本に一旦帰った有宇と友利。

 

 歩美「お帰りです有宇お兄ちゃん♪」

 

 その時何かぼ~っとしている様子の有宇。

 

 歩美「どうしたんですか?歩美の顔を忘れてしまったんですか?

 

 有宇お兄ちゃん!!」

 

 有宇「い、いやごめん、思い出したよごめん歩美。」

 

 奈緒はここで少し異変を察知した。

 

 だが核心には至らなかったので今は休養に専念した。

 

 

 

 休養の間に友利と電気店に行く。

 

 奈緒「隼翼さんには感謝しませんとね~世界回るからには 

 

 小型でいいカメラとかメモリーカードとかもろもろもろ

 

 準備しなきゃ罪でしょ?一生に一度行けるかわからない

 

 所に行くんですよ?能力奪って帰るだけじゃもったいない

 

 じゃないですか~♪」

 

 どうして旅で結構こっちは疲弊しているのに友利は

 

 こんなに元気なのだろう。

 

 見ているだけで元気になる。

 

 あんなに辛い旅路なのに。

 

 あんなに危ない目にあっているのに。

 

 すごいな友利。

 

 有宇「奈緒は・・・凄いな。」

 

 奈緒「何が?」

 

 有宇「僕はくじけたり、怖かったりするのに奈緒は

 

 いつも元気で・・・かわいい。」

 

 奈緒「そうですか?」

 

 有宇「そう。」

 

 奈緒「心にも無いことばっかり言って・・・まあ辛くないとか

 

 不便じゃ無いと言えば嘘になります。でも・・・。」

 

 いじめを受けていた回想が入る。

 

 奈緒「少なくとも学校にいるよりずっとずっと楽しいです

 

 次の日はあんな景色、こんな景色。保存しないのが

 

 もったいない広い世界・・・この先仕事に就職したり

 

 結婚したりしてたら二度と見ることができないかも

 

 しれない・・・確かに男女二人で行くことに危機感が

 

 無い訳じゃありません・・・大変で手間も時間も

 

 かかりますが・・・少なくともついていって良かったと

 

 感じています。」

 

 有宇「じゃあ、結婚して落ち着いたらもう一度海外へ行こう

 

 奈緒が海外でもう一回楽しめるように。」

 

 奈緒「そうと決まった訳でもないのに心にもない事を。」

 

 有宇「そんなことは無い、頑張って勉強して一緒に

 

 頑張ってもう一度海外へ行けるようになろう

 

 何度でも何度でも。」

 

 奈緒「勉強できるんですか~元カンニング魔に。」

 

 有宇「うん!!頑張るよ。」

 

 奈緒「胡散臭いな~。」

 

 そんなたわいもない時間を過ごしながら・・・能力集めを

 

 再開する。

 

 

 

 極寒のロシアから。

 

 奈緒「さっむ!!!!!」

 

 アフリカのビクトリアの滝やコロンビアのサンドアンドレス島

 

 チョモランマから新鷹山までカメラで撮り回った。

 

 

 

 能力を奪うついでに。

 

 

 

 有宇「疲れたよ~。」

 

 奈緒「じゃあ一緒に寝ましょう。」

 

 とある廃墟ビルで寝る二人。

 

 有宇「・・・うるさい・・・うるさい・・・うるさい・・・

 

 うる!!」

 

 奈緒「うるさい!!」

 

 ボコン!!

 

 そこらにあった鉄パイプで上手に有宇の意識を落として寝る。

 

 有宇「・・・☆・・・☆・・・☆・・・。」

 

 

 

 射撃演習場でどの銃が身体に合うか練習する二人。

 

 奈緒「・・・銃も・・・わりといいですね・・・。

 

 これとかこれとか・・・。」

 

 バケツ一杯に溜まった薬莢に苦笑いする有宇

 

 

 

 豪邸ベランダから『ハイジャンプ』の能力者が入って

 

 来るとき。

 

 『ハイジャンプ』「し、死神!?」

 

 有宇「ああ、しにが・・・。」

 

 監視カメラの死角で。

 

 奈緒「はむはむ。」

 

 ケーキを手で下を持って頬張る友利奈緒。

 

 奈緒「このケーキ美味しっ(小声)」

 

 『ハイジャンプ』「・・・・・・・。」

 

 有宇「今だ。(能力略奪)」

 

 『ハイジャンプ』「しまっ!?」

 

 

 

 屋上から雷の能力奪って落ちていく有宇尻目に

 

 有宇「うはははははははは!!」

 

 別の建物付近で「お~あのビルの形いいですねあれ、

 

 撮っときましょう。」

 

 有宇     ↓

 

 

 

 暇な映画館の中で一緒に寝たり。

 

 

 

 砂漠にて。軍用ジープを運転する奈緒。

 

 後ろには能力者とおもわしき4人が寝てる。

 

 奈緒「免許無くても一応逮捕されない場所ってあるんですね。」

 

 有宇「うん!!楽しい!!」

 

 奈緒「だめだ・・・知らないうちに常識壊れてきた。」

 

 

 

 まだ能力未発症のキャリアの群れを有宇がソマリアで

 

 回収している時は

 

 友利「いや~アフリカでも治安いいとこあるんですね~。」

 

 遥か離れたケープタウンでクレープかじって待ってる友利。

 

 流石に同行は危ないので治安のいいところで待機。

 

 

 

 中東の能力者収容所に有宇が行ってる時には

 

 友利はドバイで変装してあちこちうろうろ。

 

 

 

 テロリスト「確保!!・・・い、いな・・・!?」

 

 パン、パン、パン、パン!!

 

 テロリスト「くそお!!どこ・・・。」

 

 手榴弾のまとまり落下。

 

 ドドドーーーーン!!!

 

 テロリスト「ぎいやあああああああ!!」

 

 奈緒「いやあ、日頃鍛えた護身術も馬鹿にはできませんね。」

 

 気がつけば多少の暴漢程度なら返り討ちにできるようになった

 

 有宇「無事!?」

 

 テレポートで現れる有宇

 

 奈緒「おっそい!!」

 

 

 

 オーストラリアでエミューの群れを見て回ったり

 

 エアーズロックに登って二人をタイムシャッターで撮影する

 

 奈緒。

 

 

 

 アメリカで

 

 奈緒「グランドキャニオンでごろごろ~ごろごろ~。」

 

 少し有宇も呆れていらいらすることもあった

 

 世話も大変だった。

 

 それでも楽しい時間はあっという間に過ぎた。

 

 

 

 しかし、楽しく世界を一緒に回って気がつかなかったが

 

 奴の危機は嫡嫡と迫っていた。

 

 

 

 そんなとき、有宇がカサフスタンの研究所で

 

 能力を『略奪』して回ってる最中についに出会ってしまった

 

 友利を安全そうなホテルに泊めて。

 

 奈緒「まあ、一人でホテルは少し不安ですがまあお金は

 

 払っているし警戒をしていればたいしたことは・・・。」

 

 きゃぁああーーーーー!!!

 

 わああああああーーーー!!!

 

 ドズン!!ドズン!!ドズン!!

 

 多数の悲鳴と銃声が聞こえた。

 

 そこでドアに耳を当てて気配を確認しつつ下手に出ずに 

 

 ベットの下に隠れる。

 

 下手に自分がいることを自己主張するよりはリスクを

 

 回避できる。

 

 そこで部屋に奴が入ってきた。

 

 そう、忘れかけていた凶悪なもう一人の『略奪』である。

 

 ヴィオ「さあ、能力者ちゃーん♪出てきてくだちゃいね~♪

 

 奪ってぶち殺してあげるからさ~♪ね~出てきてよ~♪」

 

 どう考えても空気も雰囲気も言動もやばい。

 

 奈緒(奪う!?やばい・・・下手したら殺される!?)

 

 ヴィオ「そこにいることはわかってるんだぜ出てこい!!」

 

 奈緒「うおぉぉっ!?」

 

 ベットから『サイコキネシス』で無理矢理引っ張り出された

 

 その時、奈緒は拳銃を撃つ準備を既にしていた。

 

 パン!!!パパパン!!

 

 ダムダム弾入りの拳銃を撃ち込みバリアをあえて張らせて

 

 怯ませ敵の『サイコキネシス』の物理エネルギーを逆に使って

 

 窓ガラスを割って外へ逃げる。

 

 ヴィオ「よし、略奪・・・。」

 

 ダァン!!ダァン!!

 

 落下しながらの不安定な体制から更新した拳銃を両手で構えて

 

 眼球にピンポイントで狙い撃つ。

 

 その弾丸から身を護るために『略奪』を中断してバリアを

 

 展開する。

 

 腰にあった手榴弾の束をピンを抜いて相手目掛けて

 

 投げて爆発させる。

 

 ヴィオ「やっぱ気持ち変わったわ、死ねぇえええええ!!!」

 

 電撃・炎・レーザーを混ぜたようなものをチャージし

 

 落下しながら友利目掛けて撃ち込もうとする。

 

 奈緒「ゆーーーーーーーーう!!」

 

 その直後地面寸前で友利の近くに瞬間移動で現れ

 

 抱きしめてその場から消える乙坂有宇。

 

 地面にエネルギーが衝突したあと大爆発が一帯に広がる。

 

 

 

 カンボジア上空

 

 奈緒「わああああああああああああ!!!!」

 

 有宇「ごめん高さ間違えたああああ!!!!」

 

 奈緒「さっきのビルの100倍は高いっすよ!?

 

 何を間違えたらこんな高さにぃいい!?」

 

 有宇「大丈夫なんとかするぅううう!!!」

 

 奈緒「楽しいけど加減しろおおおおお!!!」

 

 二人は某ジブリ映画の二人より高い場所から

 

 かなり速い速度で地上に落ていく。

 

 

 

 フィリピンのホテル

 

 ぐったりと横たわる乙坂有宇を尻目に

 

 スマホで連絡する友利奈緒。

 

 隼翼「緊急事態だ!!もう一人の『略奪』が世界の都市を

 

 破壊しながら現れた!!」

 

 奈緒「ハイ、もうとっくに遭遇しました。

 

 幸いなことに『その場所から歩いた分と同じだけカロリー

 

 を消費しないと使えない瞬間移動』を入手できている以上

 

 あいつが無理してここまで来たら疲弊して逆に好都合な

 

 距離に逃げたので今のところ大丈夫です」

 

 隼翼「それならいいが・・・新たにわかった情報がある。

 

 あいつの被害は確認できても顔が割れないんだ。」

 

 奈緒「どういう事っすか?」

 

 隼翼「あいつはもう一つの『ジャミング』を入手していて

 

 写真やカメラ、ビデオに一切身体や顔が映らない。そのかわり

 

 肉眼では丸見えだからTwitterの似顔絵で辛うじて

 

 特徴がわかるにとどまる。」

 

 Twitter写真コメント

 

 『なんであいつ映ってねえ!?』

 

 『どうなってんだ!?これじゃあ異常気象にしかみえねえ!?』

 

 『機会だと映らないので書いてみました。』

 

 

 

 食事を取って考える二人。

 

 奈緒「厄介ですね・・・いつ日本を襲撃するかわからないし

 

 ・・・一旦私を日本に置いてきてください。」

 

 有宇「どうして!?」

 

 奈緒「わたしのせいで能力集めに遅延を発生させてしまった

 

 ・・・これはとても重い事実です。

 

 私がついて行かずに応援だけやってれば・・・。」

 

 有宇「そんなことを言うな!!!」

 

 有宇が声を荒げて抱きしめ叫んだ。

 

 奈緒「!?」

 

 有宇「確かに・・・寄り道したり・・・ご飯を確保したり

 

 ・・・大変だった・・・だけど!!君がいてくれなかったら

 

 絶対に僕は壊れてしまっていた・・・辛いときどうしたら

 

 いいかわからなかった・・・君が居なかったらこんなに

 

 楽しくは無かった・・・間違ってもそんなことを言うな!!」

 

 友利は顔を赤らめて言った。

 

 奈緒「似合いませんね・・・その台詞・・・言われるとは

 

 思ってなかったです・・・そんなに・・・私の事・・・

 

 大事ですか?」

 

 有宇「当たり前だ!!能力たとえいくつ取り逃そうが僕は君を

 

 選ぶ!!」

 

 友利はため息をつくと「しょうがないなあ」と小声でつぶやくと

 

 奈緒「それでも一旦戻りましょう、万が一今すぐ日本に

 

 来られてしまう可能性もあるんです。

 

 みんなの無事も考慮して作戦会議をすることも含めて

 

 一旦帰りましょうそれじゃダメですか?」

 

 有宇「それなら・・・いい。」

 

 奈緒「了解、じゃあ行きましょう!!日本へ!!」

 

 自分が引いて行った手はいつのまにか僕を引いて導いていた。

 

 僕が標になっていたんじゃない。

 

 彼女が僕の道標なんだと。

 

 

 

 



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後編 絶望に勝つ勇気

社交事例で空港から出てくる二人

 

 日本へ久しぶりに帰ってきた。

 

 歩美「お帰りなさいです!!有宇お兄ちゃん!!」

 

 隼翼「お帰り有宇、友利。」

 

 高城「どうぞご無事で帰られました。」

 

 西森「お帰りなさい奈緒ちゃん。」

 

 奈緒「いえいえ、任務途中で帰ってきてしまって・・・

 

 恐縮です。」

 

 隼翼「いいや、旅の経緯や進行状況を整理するのに

 

 休暇も必要だ。それに会敵した以上対策を練らなきゃ

 

 いけない、ヴィオへの対策が最優先事項だ。

 

 一旦研究所で事の次第を整理しよう。」

 

 歩美がなにか異変に気がついた。

 

 歩美「有宇お兄ちゃん?」

 

 有宇「・・・誰?君達・・・?」

 

 歩美「何を言ってるんですか!!もう、友利さんのこと

 

 ばっかり考えて歩美の事忘れちゃったんですか?」

 

 有宇「本当に・・・思い出せないんだ・・・皆のことが・・・」

 

 場が・・・沈黙した。

 

 

 

 シャーロット研究所

 

 博士「どうやら・・・過度な能力略奪による脳の

 

 キャパシティオーバー(容量過多)のようだね。

 

 本来人間の記憶能力は世界中のどのコンピューターよりも

 

 底無しレベルで記憶できるが大概次の日には覚えたことの

 

 7割は忘れる、しかし能力を過度に摂取しすぎて記憶領域を

 

 圧迫しているのが見て取れる。『略奪』による能力摂取

 

 記録は大人になる過程で消失し、忘れる事はできるが

 

 それまでは消えない。これ以上能力を摂取

 

 しすぎて単体で向かわせ『略奪』を続ければ記憶障害で路頭に

 

 迷うこと間違いないだろう。」

 

 奈緒「結局一人で能力集めるのが危険な状況になったと

 

 言うことですか・・・じゃあなんで私は覚えてるんですか?」

 

 博士「君の事が好きで好きで忘れられないんじゃろ?」

 

 奈緒「冗談言ったら白衣焼きますよ?」

 

 博士「はっはっは、冗談じゃ冗談。毎日君という記憶が

 

 刷新されている以上忘れようが無かったんじゃろう。

 

 毎日同じものを見ていればいやがおうでも脳に染み付く。

 

 大事な人なら尚更じゃ・・・しかし・・・これ以上能力を

 

 集めてどうなるかわしにもわからん・・・。」

 

 奈緒「そうですか・・・これがタイムリープ前の人格と

 

 後の人格との違和感の強すぎた原因・・・おそらく

 

 タイムリープ前に一旦能力回収しに行ったときも

 

 元の記憶が消えて・・・ゲスだった頃の乙坂有宇が

 

 壊れて行った・・・私が同伴しなかった時はあらゆる

 

 能力のデメリットやストレスまで抱えてさらに記憶の

 

 消滅の一端を担いこうなったということだった訳ですか。

 

 なんとまあ・・・よっぽど・・・辛かったんでしょう。」

 

 乙坂有宇は乙坂有宇のままだった。しかし・・・心が

 

 変質せずには生きていけなかった。

 

 

 

 学校の寮内

 

 奈緒「結局単体での能力集めが難しいって結論になりましたね

 

 奴が東アジアから別の何処か行くまで中止だそうです。

 

 でもなんであいつあんなに危険な能力を大量に保有できたん

 

 でしょうか?危険なレベルの能力なら戦略を練って

 

 最優先で回収したはずなのに・・・。」

 

 有宇「キャリアだ。」

 

 奈緒「キャリア?」

 

 有宇「奴は俺達の知らない能力を一番最初の時点で

 

 『略奪』していた。つまり奴はどういうデメリットが

 

 あるかはわからないがまだ発症していない『能力』を

 

 『略奪』し、自分の中で発動できる可能性を考えれば

 

 難しい話でもない・・似たような能力ならいくつあっても

 

 おかしくはない。」

 

 奈緒「ひっどい話ですね~いっそ能力全部集めさせて

 

 相手を傷つけることを全部スッキリ忘れさせるって

 

 手は無いんですかね~。」

 

 有宇は夢の記憶を無理矢理たどって考えた。

 

 有宇「それは無い、奴は倒さない限り確実に僕たちを

 

 襲いに来る。」

 

 奈緒「酷いなそれ・・・本当ですか?。」

 

 有宇「考えるんだ・・・なにか奴の弱点が・・・。」

 

 奈緒「人間は生涯脳の数%しか使わないで死んでいくとは

 

 聞いたことがありますが、まあ記憶全部無くなる覚悟で皆で

 

 協力してあいつから能力を奪うっていうのが一番無難じゃ

 

 無いでしょうか?」

 

 有宇「奈緒・・・俺は行ってくる。」

 

 何かに気がついたように歩き出す有宇

 

 奈緒「行くって、単体で奴を倒しに?それとも能力探しですが?」

 

 有宇「確かに僕の記憶はほとんど消えてわからなくなった

 

 でも・・・かすかに覚えている事がある・・・それは・・・

 

 奴を倒すのに必要な・・・最後の能力だ。」

 

 

 

 中国 都会

 

 車が大量に浮き上がり、銃を持った人民解放軍が自然発火で

 

 次々ともがき苦しみ死んでいく。

 

 人民解放軍「ぐああああああああああ!!!!」

 

 ビルが崩壊して崩れていき戦車がねじまがる。

 

 大衆「わぁああああああああああああ!!!!!」

 

 ヴィオ「わっはっはっはぁ!!最っ高だねえええええ!!!

 

 大衆の悲鳴はよぉおおおおお!!!」

 

 多くの人間が悲鳴を上げて逃げ回る中、幼い子供が

 

 一人取り残され「お母さん~どこ~?」と

 

 泣きながらうろうろしていた。

 

 どういう訳かそのもう一人の略奪は舌打ちをすると。

 

 ヴィオ「しかたねえサービスだ、お前だけは見逃して・・・。」

 

 「わぁああああああ!!!!」

 

 ところが逃げる大衆の人込みに子供が巻き込まれて

 

 踏み潰され血まみれになって倒れた。

 

 ヴィオ「ちっ・・・やっぱり皆殺しにしてやる・・・

 

 う゛ぁあああああああ!!!」

 

 大衆「ぎやあああああああ!!!」

 

 電撃を食らって涙目になる大人たち。

 

 おじさん「やめてくれ・・・死にたくない・・・。」

 

 青年「俺達が何をしたって・・・。」

 

 ヴィオ「うるせええええええ!!!人間は、人間はこれだから

 

 大嫌いだあああああ!!!」

 

 怒りを込めてレーザーチャージをするヴィオ。

 

 そこに手を広げて止めに来たのは頭にお団子

 

 ヘアーをした女の子だった。

 

 ヴィオ「なんだてめえ?」

 

 女の子「皆をこれ以上傷つけちゃダメ!!」

 

 ヴィオ「悪人を庇うのか・・・自分の利益の為なら

 

 そこらへんの弱者の命を平気で踏みにじる連中をか?」

 

 女の子「だからってそんなことをしていい理由にならない!!

 

 君がそんな事をしたらいっしょじゃない!!」

 

 ヴィオ「うるせえ・・・そいつらを庇うお前も同罪だ!!」

 

 手の平に紫のエネルギーを溜めて大人と女の子を容赦無く

 

 消しにぶちまける。

 

 女の子は目を閉じた。

 

 だが、そのエネルギーが女の子を消すことは無かった。

 

 そのエネルギーは何かに遮られるように防がれたのだ。

 

 目を開けて目の前にいたのは・・・黒く長い衣服を見に纏った

 

 見ず知らずの日本人だった。

 

 女の子「え・・・?」

 

 ヴィオ「なんだてめえは?・・・!?」

 

 その瞬間有宇は目の前に瞬間移動し至近距離からぶん殴った。

 

 地面を蹴って砂埃ごとヴィオを吹き飛ばす。

 

 ヴィオ「ぐっ・・・!!」

 

 女の子「え・・・どうなっ・・・あたなは・・・?。」

 

 どういう訳か有宇は女の子から能力を『略奪』する。

 

 女の子「えっ・・・!?」

 

 男性「馬鹿野郎!!逃げるぞ!!」

 

 女の子「あっ、ちょっと・・・!!」

 

 彼氏とおもわしき男性が彼女の手を引っ張って戦場から

 

 遠ざける。

 

 ヴィオ「てめえ・・・そんなに奪われたけりゃ・・・!?」

 

 有宇は『崩壊』と『念力』を使って視界を塞ぎ相手の『略奪』

 

 を阻止する。

 

 ヴィオ「馬鹿が!!俺でも瞬間移動はつか・・・。」

 

 ヴィイジュバッ!!!

 

 有宇がポケットに持っていたナイフが、

 

 瞬間移動で背後に回ったヴィオの顔面を切り付ける。

 

 左目がざっくりと赤い縦線が刻まれてヴィオが悲鳴を上げる

 

 ヴィオ「ぐぁああああ!!!・・・くひひひははははは!!!

 

 ヴァカが!!!寿命を縮めると引き換えに致命傷からでも

 

 回復でき・・・・!?な・・・いつの間・・・!!」

 

 片目を手の平がいつの間にかくっつくように凍りついていた。

 

 有宇は加速を使って蹴りつける。

 

 ヴィオはバリアで防ぐも有宇は隼翼の仲間から貰った

 

 『透化』ですり抜け、『加速』でボッコボッコ蹴りつけていく

 

 ヴィオ「グバァ!!グバァ!!グバァ!!グバァ!!アベッ!!ガッ!!

 

 ぬああああああ!!!」

 

 ヴィオは『衝撃波』で吹き飛ばして『略奪』を試みるも、

 

 『砂嵐』を起こされて、視界を塞がれ『略奪』ができない

 

 ヴィオ「くそっ!!なんだこいつは!?」

 

 ウィダーゼリーを飲みながら『テレパシー』で語り開ける。

 

 少ない単語しかテレパシーできない上に声が小さいという

 

 酷い代物を使って。

 

 有宇(今のお前では俺には勝てない・・・。)

 

 しかしそのメッセージは大声以上に十分伝わった

 

 ヴィオが砂嵐を吹き飛ばした時には乙坂有宇はもう居なかった

 

 ヴィオ「ちっ・・・ぬぅああああああああああああ!!!」

 

 悔しさを滲ませた悲鳴が大地に響いた。

 

 空から攻撃機がミサイルを発射してヴィオを殺しにいく。

 

 ヴィオ「うるせえええええ!!!」

 

 ヴィオは誘導ミサイルの方向をひっくり返して攻撃機を

 

 撃墜する。 

 

 戦闘機パイロット「いわこっちゃない!!俺は知らない!!

 

 逃げるからな!!」

 

 そのパイロットは逃亡先にアジア1位2位を争う安全な国へ

 

 一目散に逃げていく。

 

 

 

 日本対馬上空

 

 中国人戦闘機パイロットは仲間達が散々訳のわからない

 

 能力者に虐殺されて何も考えずに一目散に逃げだし

 

 安全な飛行場着陸の為に通信を開く。

 

 パイロット「日本海上自衛官に通達する!!投稿する!!

 

 だから話を聞いてくれ!!安全と身柄の保障以外は求めてな・・」

 

 小声「ご苦労様・・・。」

 

 パイロット「ふぁっ!?」

 

 後ろを振り返るも声の主はおらず、戦闘機の真下にテレポート

 

 して現れ、上空から地上へ乙坂有宇は帰っていく。

 

 

 

 シャーロット研究所に帰った乙坂有宇

 

 奈緒「何やってたんですか!?一人で能力摂取しすぎたら

 

 記憶喪失で帰れなくなるんですよ!?」

 

 有宇「すまない・・・だけど・・・あいつが今度来たら

 

 確実に勝てる、後はその確信を掴むだけだ。」

 

 頼もしい顔で友利奈緒を見つめて答える有宇。

 

 友利は(?)となっていたが有宇の顔は自信に溢れていた。

 

 

 

 その後世界中で能力を奪いながらヴィオは暴れ回った。

 

 モニタールーム

 

 熊耳「あらゆる国家の能力施設や主要軍事拠点が壊滅

 

 ・・・本当にここでのんびりして大丈夫なのか!?」

 

 隼翼「一応・・・確認は取れているが・・・有宇の

 

 言う通りあらかた日本で渡してもらえる能力は渡した。

 

 ただ万が一の事も考えて能力を保持し続ける連中も

 

 残した。後は・・・賭けだ。」

 

 

 

 ヴィオはついに日本に上陸してきた。

 

 日本にある悪の能力者施設を破壊し尽くした後

 

 決戦の場所へと足を運んだ。

 

 そこはよりによって乙坂有宇と友利奈緒が初めて出会った

 

 場所だった。

 

 ヴィオは『破壊』の限りを撒き散らして叫んだ!!

 

 ヴィオ「リベンジだぁああああ!!!出てこい赤目野郎ぅううう!!

 

 出てこなきゃこの場所を破壊し尽くしてやるぅうううう!!!」

 

 有宇は無言で一人で奴の前に現れる。

 

 ヴィオ「もう、お前には負けねえ。世界のキャリアから

 

 も能力開化した連中からも能力を奪い尽くした。

 

 さあ決着をつけてやるぞ!!」

 

 有宇「ハンデをくれてやる。」

 

 ヴィオ「ハンデだぁ!?まだこの期に及んでふざけてんのかぁ!?」

 

 有宇「お前の誇る最強の能力を一つ、一回だけ食らってやる。」

 

 ヴィオ「はぁあああああ!?」

 

 有宇「ただし、生半可なら防ぐかも知れない。いっぱい能力

 

 奪いすぎて自分の誇れる能力なんてなんにも無いかも

 

 しれないが。」

 

 ヴィオ「・・・ふっはっはっはっはっはっはっは!!!いいだろう

 

 食らわせてやる、後悔すんなよぉおおおお!!?

 

 これが俺が産まれた時から持ってるお望み通り

 

 自分が誇れる『最強の能力』だぁああああ!!」

 

 乙坂有宇が・・・持ってる能力を全て『略奪』する。

 

 有宇の仲間達があぁぁっ!!!と声を上げて見守る。

 

 ヴィオ「ぶははははははははは!!!マヌケが!!全て

 

 奪ってやったぞ!!もう俺には誰も勝てねえ!!お前には

 

 対抗手段がねえ!!!すげえ量の能力だ!!!せっかく頑張って

 

 集めた能力引き渡すとは!!お前はヴァカ!!ヴァカ!!ヴァカ!!

 

 大馬鹿野郎だ!!!絶望に嘆きながらおとなしくなぶり殺しに

 

 して・・・・・。」

 

 ブブブブ・・・。

 

 キィーーーーン。

 

 その時ヴィオの視界にノイズが、頭に耳鳴りのような 

 

 頭痛が走る。

 

 ヴィオ「え?なんだ?」

 

 耳穴から、視界から血が流れ出して全身にどんどん

 

 激痛が駆け巡っていく。

 

 ヴィオ「なんだ・・・これは・・・!?わっ・・・うわぁああ!!!」

 

 予想以上だった。 

 

 友利が遠距離でカメラ撮影していて驚く。

 

 奈緒「ええええええええ!?あのラスボスじみた奴があっさり!?

 

 あんなに世界破壊してた奴が!?」

 

 有宇「予想を超えた状態に僕も正直驚いている。

 

 博士に確認したところ、発症した能力を脳が使う容量は

 

 0.01%100人で1%だ。そして世界で能力の発症する割合が

 

 最初は9000人という割合だったが人工の増加率と

 

 キャリアの割合を含めた場合15000人となる。

 

 そう、世界中全員の能力を集めた場合50%オーバーする。

 

 そして・・・脳が記憶を忘れる自己防衛機能を促す時間を

 

 待たずに残り約50%分の能力記録は何処へ行くと思う?そう、

 

 脳の生存必須機能記録を圧迫して君の生命を脅かす。

 

 僕が最後に『勇気』の能力を必要としたのは

 

 僕が君に全ての能力を奪われた後の『絶望』に打ち勝つ為

 

 たとえ全ての能力を失ってもたった一人の人を

 

 どんな苦難を超えてでも愛し続け、苦難の現実に打ち勝つ

 

 『勇気』・・・それが・・・お前に対峙する最後の能力だ。

 

 例を言う、お前があの時半分能力を奪ってくれて

 

 いなかったら・・・僕は旅の終わりに死んでいたと。」

 

 男は悲鳴を上げまくり、能力を暴走させて周りを破壊しながら

 

 立ち上がる。

 

 ヴィオ「う、うううううう・・・・・・

 

 ヴぁあああああああああああああああああああああ

 

 あああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 有宇「・・・・!?」

 

 電撃、業火、凍結、重力、光線、竜巻、そして目一杯の

 

 『憎悪』が全てを混沌とさせながら暴走する。

 

 ヴィオ「ふざけんなあああああああ!!!!こんなくっだらねえ

 

 理由でぇええ!!!中二病じみた説教のようなやられかたを

 

 ぉおおおおお!!!俺は全てを世界に奪われた!!!」

 

 

 

 回想

 

 幸せに暮らしていたど真ん中で全てを殺され、

 

 大切な者(友や恋人)を理不尽に殺され

 

 大人たちにボッコボコに殴られ、

 

 研究者小声(キャリア略奪は・・・略奪を続ければ

 

 続ける程、怒りと負の感情が溜まって・・・。)

 

 最後の心の支えだった母のような研究者も

 

 目の前で銃殺された。

 

 決めた。

 

 全てを壊す・・・俺を差し置いて幸せに笑ってる全ての

 

 連中をぉおおおおおおお!!!!ぶっ殺す!!!!!

 

 

 

 ヴィオ「もぉおおおおおお誰も信じねえぇえええ!!!

 

 俺達がこんなに泣いているのに、他人は高見の見物をして

 

 幸福を謳歌できているこんな世界が許せねええ・・・・・

 

 うぇえええええええええええ!!!!全てぇ滅べぇええ!!!

 

 滅べぇえええ!!!ぐあぁああああああああ!!!!!!」

 

 目から、耳から、毛穴から黒い血が噴き出して止まらない

 

 能力の暴走の渦は悪化し巨大化する一方。

 

 有宇は幻想でそいつの記憶を垣間見た。

 

 呆気に取られて動けなかった。

 

 エネルギーの余波が巨大化していき、このままでは

 

 有宇を巻き込んで殺すにも関わらずだ

 

 隼翼「有宇!!!!逃げろ!!!!このままじゃ死ぬぞ!!!」

 

 奈緒「大丈夫っす、正確には能力奪った総数はだいたい

 

 無害能力除いて約14900人のはずですから。」

 

 だが仮に逃げても能力が全て無くなった有宇には

 

 成す術は無い。

 

 戸惑い後ずさりする有宇。

 

 彼の運命をどうしたら笑顔にできたのか。

 

 そんなことを考えてる間に巻き込まれて死にそうな状態。

 

 その時だった。

 

 乙坂有宇の腹を抱えてあいつが現れた。

 

 有宇「へ?」

 

 高城丈士郎「確かここで初めて出会った時こうでしたね?

 

 女性を悲しめるのはナイト失格ですよ?」

 

 ≡≡≡≡≡3≡≡≡≡≡≡≡3≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡3

 

 能力の暴走爆発は辺り一帯を津波後の瓦礫より粉々の

 

 状態に巻き込んだ。

 

 もう町の一部がゴッソリエネルギーに食いちぎられ、

 

 その場所にはもう憎悪の『略奪者』はこの世に居なかった。

 

 

 

 有宇「うわぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!」

 

 高城の『自称瞬間移動』によって暴走エネルギーの

 

 魔の手から逃れたものの。

 

 どっぽぉおおおおおん!!!

 

 ⌒  ⌒  ⌒  ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ーーーーー

 

 川を水切りして無事(?)脱出成功した。

 

 有宇「・・・・げほっげほっげほっげほっげほっ!!!

 

 なんか前にもこんなことがあったような・・。」

 

 高城「ぶっはっはっはっはっはっは!!!ゆさりん護るために

 

 取っておいたかいがありましたよ!!」

 

 有宇「・・・ごめん・・・ぼーーーっとしてた。

 

 助けて貰ってすまない・・・。」

 

 高城「最後に期待すべきはやはり日々努力した自分ですよ。」

 

 親指を立てて笑う高城。

 

 隼翼「有宇ーーーーーーーーー!!!!」

 

 皆が二人の元にかけより無事を確認する。

 

 隼翼「やっと・・・終わったんだな・・・。」

 

 有宇「ああ・・・でもかわいそうなやつだった。

 

 出会い方さえ・・・よければ・・・彼は・・・友達に・・・

 

 なれたかもしれない。」

 

 ヴィオ・ドッペェル・・・脳容量生命圧迫により 

 

 死亡・・・・・。

 

 こうして『もうひとりの略奪』事件は

 

 完全に幕を降ろした。

 

 

 

 数年後

 

 乙坂有宇は全ての能力を失った後、友利奈緒を将来

 

 支えるために学校の教師となった。総合言語学科だ。

 

 友利奈緒と今度は能力無しで、行きたい場所へと行くために。

 

 奈緒「やれやれ、あんなんだった貴方が真面目に教師に

 

 なっちゃうとかびっくりします。」

 

 そこにいたのは学園含め総合経営担当者となって世界を

 

 走り回るCEOにまで上り詰めた友利奈緒だった。

 

 有宇「君の方がよっぽどすごいじゃないか。

 

 子供を何人も産みながら経営事業までするなんて。」

 

 奈緒「どーして貴方の子供を何人も何人も産みながら

 

 一緒にいるのか?どーして貴方に身体何度も許しちゃったのか

 

 全く、エロイ事は無駄に上手いだから(赤面小声)

 

 今でも本当に不思議です。」

 

 有宇「しゅん・・・。」

 

 奈緒「冗談ですよ貴方、子供を代わりに育てて貰って本当に

 

 感謝してます。それに生半可な収入じゃ世界を飛び回って

 

 見たい場所へと行けないじゃ無いですか。」

 

 青春が終われば

 

 夢も目標も無い人間は現実を相手に絶対に絶望を味わう。

 

 でも・・・誰かの手を取って・・・一緒に幸せになるために

 

 共に努力をして絶望の壁を破壊し、相克を克服した

 

 先に・・・成長した愛を見出だす。

 

 貴方と私が通じ合わなければ見えない愛を

 

 時間をかけて育てなくては人は・・・完成しない。

 

 あの旅でもし不便さ故に彼女を捨てて行ったならば

 

 ここまで成長できなかった。

 

 奈緒「貴方が世界を見せてくれたから今の私があるんです。

 

 今度世界を見に行くときは・・・。」

 

 

 

 家族と一緒に行きましょう。

 

 

 

           そしてみんなと一緒に笑いましょう。

 

 

 

 子供達を二人で愛でながら、能力が消えた今も

 

 変わることなく繋がり続けますように。

 

 

 

 



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