インフィニット・ストラトス 桜踊りし希望の剣 (神近 舞)
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Prologue Chapter Ⅰ【001】終幕

皆さまはじめまして。

神近 舞と申します。

ハーメルンでの処女作となります。

駄文、稚拙、誤字、脱字等、至らぬの多々ありますことを御許し下さい...。

それでは、どうぞ!


シャーロット(Charlotte)エインズワース(Ainsworth)

 

それが私を識別する言葉(コード)である。

 

幼い頃から知的好奇心が旺盛で、家には大量の学術本を持ち帰った。

 

小学校で2回飛び級をし、中学校でも1回飛び級をした。

 

弱冠15歳にして某有名大学に合格。

 

大学卒業後、某情報系専門学校に入学。

 

専門学校卒業後、某大手ゲーム企業に就職。

 

最初は上手くいかなかったものの、先輩や同僚の助言に助けられた。

 

そして就職から12年、私は新作ゲームのチームリーダーに就任。

 

今までの経験をフル活用し、チームリーダーとしての役目を全うした。

 

約4年の歳月を費やした新作は大ヒット。

 

その功績を認められ、次のゲームでもチームリーダーを任された。

 

......しかし、平穏だった私の生活は突然の終幕を迎えた。

 

信頼していた部下と尊敬していた上司に裏切られていた。

 

私はその瞬間を目撃してしまった。

 

ショックを受けた私は、それから1週間程、仕事に手がつけられなかった。

 

......そして、事件は起こった。

 

前に私がチームリーダーとして製作したゲームにおいて、約12万人(3%)のユーザーの個人情報が流出してしまっていたのだ。

 

不測の事態に戸惑っていた私達の元に、2人の男が現れた。

 

あの日、私を裏切った2人だ。

 

2人は言った。この状況を生み出したのは彼女()である、と。

 

このとき、私は完全に理解した。

 

主犯は彼ら2人である、と。

 

私は彼らの悪意から免れるために、必死に抵抗した。

 

しかし、その抵抗も無意味に終わり、私は解雇処分となった。

 

裁判の結果、懲役3年 執行猶予5年が言い渡された。

 

結局、冤罪をかけられ、晴らすことが出来ぬまま、私は帰宅した。

 

そこには、私を温かく迎え入れてくれる彼女の姿は無かった。

 

悲哀の涙を流した、冷たく暗い夜であった。

 

裁判から3週間が経った。

 

私に残されたものはほとんど無く、希望さえも消えかかっていた。

 

その夜、何の理由もなく外に出た。

 

僅かな電灯の光と夜を映す巨大な闇。

 

その光景は、私の今の心境を表している気がした。

 

歩いて10分が経った頃だっただろうか。

 

1人の男が現れた。

 

着ているスーツは何故か紅く染まっていた。

 

男と目が合った。

 

その男を見た記憶があった。

 

4年前に解雇処分となった元後輩であった。

 

彼は私を睨み付けながら言いはなった。

 

お前のせいで俺は破滅したのだ、と。

 

彼が解雇処分となった理由は、社員の個人情報を流出したためである。

 

偶然、私はその現場を目撃し、社長に報告したにすぎない。

 

つまり、先程の言葉は合っているようで合っていないのだ。

 

そんなことを思っていたとき、突然彼は紅色に装飾されたナイフを取り出した。

 

得物を取り出しながら彼は言った。

 

つい最近出現した、〇〇〇社所属のゲームプログラマー連続殺人事件の犯人、俺はその正体を一番よく理解している、と。

 

本能的に私は逃走を図った。

 

しかし、私の思考は逃走にばかり意識が向いていたために、後ろから放たれた殺意(弾丸)に気づかなかった。

 

殺意は私の左肩を貫き、そこで生じた痛覚に私は悶絶した。

 

あまりの痛みに、私はその場にうずくまった。

 

彼は私の下にすぐに追いついた。

 

彼はナイフと杭を手に持ち、下卑た笑みを浮かべながら、私の四肢を杭で突き刺し、私を固定する。

 

四肢から発せられる警告(痛み)を受け、私は思った。

 

......私も...終わり...か。

 

そこから意識が無くなるのは容易かった。

 

腕を切られ、脚を貫かれ、腹部を殴られ、心臓を踏まれ、最後は脳を撃たれた。

 

私が記憶しているのはここまでだ。

 

Le 15 Septembre 20XX

 

この日、私の約37年という短い人生(旅路)は断たれた。




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Chapter Ⅱ【002】理解

第3学期だぁ...。

地獄の再臨だぁ...。


私の意識は届くことのないところまで落ちて行く。

 

深い...深い...奈落の底へと。

 

私の心は届くことのないところまで落ちて行く。

 

暗い...暗い...絶壁の底へと......。

 

........................。

 

..................。

 

............。

 

......。

 

...。

 

......ん?

 

何かおかしい。

 

何故私は死んでいない(・・・・・・)?

 

いや、多分それは違う。

 

あれほどの出血量では生還出来るはずがない。

 

そもそも脳幹を弾丸で抉られたのだから、生きているはずがない。

 

ならば、今の状況(・・・・)は一体何なのだ?

 

「ようやく気が付かれましたか」

 

突然、声が響いた。

 

誰かに呼ばれたらしい。

 

声の響いた方向を振り返ると、そこには金髪碧眼の女の子がいた。

 

年は私の半分位だろうか。

 

穢れを知らない純粋な娘、と言う言葉がピッタリだな、と感じた。

 

そんなことを思っていると、突然彼女は涙を流した。

 

......えっ...どういうこと?

 

いきなり涙を流したと思ったら、今度は土下座をした。

 

......何がどうなってんの?

 

私...初対面の女の子にこんなことをさせるような鬼畜女朗だったっけ?

 

そんなくだらないことを考えていると、彼女は口を開いた。

 

「申し訳ございませんでした...! 私は...貴女の人生を...守ることが出来ませんでした...!」

 

......What do you mean?(どういうこと?)

 

「実は...」

 

 

 

 

 

Side the Girl

 

私の名前はアルシエル(Arciel)

 

新米天使です。

 

5年前に生命管理課に所属され、多くの方々の人生を見守っていました。

 

そんなある日のことでした。

 

私はいつも通りの作業をしていました。

 

皆さんの人生が正常に動いているかの確認です。

 

朝からずっと作業をしていると、ある人物の人生の書類が置いてありました。

 

そう、シャーロットさん、貴女の人生の書類です。

 

それらの書類には、幾つもの加筆された跡があったのです。

 

その上、転生後に関することまで書かれていました。

 

個人の意思に関係なく転生後の人生を決定することは、私達の中では御法度とされていました。

 

よって私は、天神さまたちに報告したのですが......。

 

「そんなことあるわけなかろう」

 

「その人間の人生は最初からそうなっておる」

 

「転生後の状態も、彼女の意思のようだが?」

 

全く取り合ってもらえず......。

 

「人生操作は行われなかった、よって無罪!」

 

貴女の人生を守ることが出来なかったのです......。

 

Side Out

 

 

 

 

 

「そう...だったんだ...」

 

私の人生...いつの間にか狂い始めたと思ったら、そんなことになっていたなんて....。

 

「私が...私が早くこの事を知っていたら...私がもっと抵抗していれば...こんなことにならなかったはずです...。 だけど...私は...!」

 

「......」

 

彼女は後悔しているのだろう。

 

私を―――私の人生を―――救えなかったことに対して。

 

だけど...。

 

「私が...全て悪いんです...。 間違っていたんです...。 昔から...天界が腐敗していたのは知っていた...。 けれど...私はそれらに対して行動を起こすことが出来なかった...。 全て知っていたのに...。 全て分かっていたのに...。 私は...何も...!」

 

「そんなことはない!」

 

だけど...それは違うはずだ。

 

「君は間違ってなんかいない。 君は正しく行動出来ていたはずだよ。 君が悪い子だったら、そもそも私の人生に対して抗議なんてせずに、放置しているはずだよ? それに、君は腐敗に立ち向かっていたじゃん。 わざわざ天神(上司)に対して抗議するなんて、なかなか出来ないことだよ? 君はよく頑張った。 私はね、君が私のために動いてくれただけで、本当に嬉しかったんだよ?」

 

「......! ...うっ...うわあぁぁぁぁぁん!!!」

 

天使ちゃん(アルシエル)は駄々っ子であるかの如く泣き出した。

 

とても嬉しそうな表情を浮かべて。




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Chapter Ⅲ【003】恩恵

資格取得検定勉強...。

大変や...。


天使ちゃんが泣き出して10分ほど経った...のだろうか?

 

この空間、どうやら近くに時計らしきものないらしく、時間の経過がよく分からない。

 

そしてさっきから天使ちゃん...アルシエルだからアルちゃんでいいや...アルちゃんが頬を染め、視線を逸らしている。

 

どうやら、先程泣きじゃくっていたことに負い目を感じた挙げ句、そのことを恥ずかしがっているのだろう。

 

...うん、かわいい。

 

「うぅっ...先程は取り乱してしまいました...。 すいません...」

 

「別に構わないよ。 私は全然気にしていないから」

 

「お気遣い感謝します...」

 

...あれ?

 

なんだろう...何か大事なことを忘れているような...。

 

「......あっ、そうだ!? 私死んだんだよ! あのゲス野郎に殺されて!」

 

「あっ、そうでした!」

 

...アルちゃん...本題忘れちゃダメでしょ...。

 

 

 

 

 

「うーん、やっぱり死んでいたかぁ...」

 

「はい...申し訳ありません...」

 

「アルちゃんは悪くないでしょ? 」

 

「......はい」

 

「なら良し。 私の死の確認は終わり。 さっさと切り替えよう?」

 

アルちゃんがこれ以上気にする必要はない。

 

過ぎたことを考えていたところで、意味などないのだから。

 

「本題に入らせていただきます」

 

アルちゃんはそう言い、私を真剣な眼差しで見る。

 

「シャーロットさん。 貴女の魂はギリギリ輪廻の輪から外れずにいたため、他の魂と同様に、転生していただきます」

 

「うん」

 

「普通、人の魂は貴女のように、私達天使や、天神さまと対話をすることなく転生します。 しかし、私達のミスなどで命を落とした方、私達が注目していた方、自分たちの世界に対して一定以上の功績を残した方などは、こうして対話をし、次の人生に多少融通を利かせることが出来るのです」

 

「俗に言う、特典を持って転生する...ってこと?」

 

「その認識で間違いないかと。 特典...私達は希望的恩恵(アヴァンタージュ)と言っていますが...希望的恩恵の量や規模などは、私達のミスの大きさ、残された寿命、私達の認知度など、様々な要因が関わっています」

 

私の転生後の状態は、一部が決定されている。

 

恐らく、私の特典はそこに影響しないことが最低条件なのだろう。

 

「まず、転生後のデータをご覧下さい」

 

アルちゃんが手を虚空に広げる。

 

手のひらが示す場所に、ディスプレイのようなものが出現した。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

転生後のデータ

 

名前: Charlotte Ainsworth

 

種族: 人間

 

性別: 男

 

誕生日: 2020 September 15th (-18)

 

誕生地: City of Exeter, United Kingdom

 

必要世界貢献要求: 978

 

先天的技能容量: 2532

 

後天的技能容量: 2468

 

総技能容量: 5000

 

体躯: 一生涯男の娘(可愛い)

 

髪色: 金

 

虹彩: 緑 or 紅

 

精神成長: 428

 

肉体成長: 238

 

限界身長: +15

 

生殖能力: 94

 

........................

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

えぇ......。

 

まさかの性転換確定とか...。

 

私の第2の生を勝手に決めた奴殴りてぇ...。

 

まぁ、男の娘であるだけまだマシか...。

 

「...って言うか、必要世界貢献要求って何?」

 

「転生した世界に於いて、数値分の功績を残すと、次の人生で比較的良い生活をおくることが出来る、というものです」

 

「...もし、達成出来なかった場合は?」

 

「...人間に転生しない可能性が高いです」

 

......Oh, my god.

 

「ちなみにですが...転生後の世界についての情報は全て秘匿とさせていただきます」

 

「ん? なんで?」

 

「第1に、基本的恩恵などによる過剰なチート行為を防ぐため。 次に、転生後の世界を知ることで、世界貢献要求のリソースを必要以上に独占することを防ぐため。 最後に、他の魂に対する公平性を少しでもとれるようにするためです」

 

...うん、納得。

 

同じ世界に転生する人達のことを考えたら当たり前のことだよね。

 

「シャーロットさんは私の思った通りの清い心の持ち主です♪」

 

アルちゃんはそう言って微笑んだ。

 

...っていうか、アルちゃん、さっきからしれっと私の心を読んでない?

 

「気のせいですよ♪」

 

......そういうことにしておこう......。

 

「さて、そろそろ基本的恩恵を決めることにしましょうか」

 

「そうだね。 っと言っても、大体決まっているけどね。」

 

私が希望する恩恵は、次の通りだ。

 

1. 前世の記憶と此処での記憶を完全に保持する。

 

2. 魔法を使える。

 

3. 三本の剣を保持する。

 

4. 天使の翼を持つ。

 

5. 人の感情を知ることが出来る。

 

6. 世界の記憶に接続(アクセス)することが出来る。

 

こんなところだけれど...流石に欲張り過ぎだよなぁ...。

 

「このような形式にすれば可能です」

 

...いいんだ...。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

後天的技能容量: 1538/2468

 

01. 前世に於ける記憶の完全保持(0108)

 

02. 天界に於ける記憶の完全保持(0120)

 

03. 魔法の行使能力(0300)

 

04. 宝剣の所有権の保持(0234)

 

05. 天翼の保持(0168)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

よく収まったなぁ...。

 

えっと、あとは魔法と剣の詳細かぁ...。

 

...よし、これはどうかな?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

後天的技能容量: 0600/2468

 

[魔法の詳細]

 

01. 世界の記憶に接続する魔法(0200)

 

02. 自身を囲む球状領域外からのベクトルを反転する魔法(0144)

 

03. 人の感情の読み取る魔法(0120)

 

04. エネルギーを別のエネルギーに変換、又は保存する魔法(0090)

 

05. 肉体的ダメージを回復する魔法(0070)

 

06. 自身が認識した物質を別の空間に相互移動する魔法(0050)

 

[宝剣の詳細]

 

01. 聖剣エクスカリバー(0078)

 

02. 聖剣ジョワユーズ(0078)

 

03. 魔剣レーヴァテイン(0108)

 

[予備用の技能容量]

 

0600/2468

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

よし、これでOK!

 

「この確認を了承すると、二度と変更することは出来ません。 その設定で宜しいですか?」

 

「......はい、了承します」

 

もう後悔はない。 次の人生では幸せな最期をむかえてやる!

 

「それでは、しばらくの間、共に同じ世界に転生する方々との会話をお楽しみ下さい」

 

あっ、そういうこともするんだ。

 

アルちゃんがそう言った直後、アルちゃんのすぐ後ろから、4つの人影が現れた。




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Chapter Ⅳ【004】考察

検定嫌だぁ...。

助けてくれぇ...。


4つの人影が現れた瞬間、アルちゃんが翼を広げ、上空へと翔んでいった。

 

空の彼方へと昇っていったアルちゃんを見届けた私は、再び人影達に注目する。

 

私よりも背が高く、学校の制服を着た黒髪黒目の少年。

 

なんとなく見覚えのある銀髪蒼目の女性。

 

白髪赤目のアルビノと思われる男の子。

 

私よりも少し背が低く、学校の制服を着た茶髪茶目の少女。

 

...個性的な人達だなぁ...。

 

そんなことを考えていると、少女が開口した。

 

「あのぉ...貴女も...亡くなった方...なのですか?」

 

その言葉を聞き、私と彼女達は同類(亡者)であると分かった。

 

「...うん。 私はシャーロット・エインズワース。 転生後も同じ名前なんだ。 宜しくね?」

 

私はその言葉を発すると同時に、そっと友好の証(右手)を差し出した。

 

「あっ...はい! 宜しく...お願いします!」

 

そして、彼女は返事をすると共に私の右手を強く握った。

 

その光景を見ていたのか、残りの3人も友好的な表情を私に向ける。

 

...って。

 

「オリヴァー先輩!? 貴女もですか!?」

 

「シャルちゃん...うん。 私も死んじゃった」

 

メアリー(Mary)オリヴァー(Oliver)

 

私の勤めていた会社の先輩で、銀髪蒼目が特徴の女性だ。

 

私がチームリーダーとなったときに、私と共に協力してくれた人だ。

 

私が冤罪をかけられた時も、最後まで抵抗して下さった人だ。

 

私はその時の出来事を鮮明思い出していると、突然先輩が自身の両手を叩き、自身を注目させる。

 

「さて、此処でずっと無言ってのも何だし、自己紹介でもしましょうか」

 

先輩の提案に誰も反論しなかった。

 

「じゃあ、私からね。 メアリー(Mary)オリヴァー(Oliver)よ。 死亡時の年齢は40。 転生後はアリス(Alice)エインズワース(Ainsworth)という名前で、2014年7月1日に生まれる予定よ」

 

恐らくだが、先輩が転生後の情報まで開示したのは、他の皆に対して敵意がないことを伝えているのだろう。

 

...って、エインズワース?

 

「じゃあ、次は俺が。 俺の名前は神崎(かんざき) 悠人(ゆうと)。 17歳で死んだ。 2023年11月18日に、(すめらぎ) 龍馬(りょうま)として転生する予定だ」

 

制服の着た少年、神崎君にも敵意は無い模様。

 

「僕にも自己紹介を。 ヴァレリー(Valéry)セリーヌ(CÉLINE)です。 11歳で死にました。 2024年2月14日に、ユーリ(Youri)ドラクロワ(DELACROIX)として転生する予定です」

 

アルビノの特徴を持つ男の子、セリーヌ君にも敵意は無い...と言うより、悪意というものを知らなさそうだ。

 

「次は私が...。 成瀬(なるせ) (きょう)...です...。 16歳で...死にました...。 2022年7月12日に...夜竹(やたけ) 舞華(まいか)...として...転生予定」

 

茶髪茶目の少女、成瀬ちゃんも問題無いみたい。

 

おっと、私が残っていたか。

 

「最後は私だね。 私はシャーロット(Charlotte)エインズワース(Ainsworth)。 享年37。 2020年9月15日に、今と同じ名前で転生する予定だよ」

 

「エインズワース? もしかして、シャルちゃんと私は姉妹になる可能性がある...ってことなの?」

 

「それは...まだ断言出来ませんね...。 出生地を聞いていますか?」

 

「えぇっと...確か、イギリスのエクセター市だった気がするわ」

 

「あれ? 私と同じ出生地...?」

 

...姉妹という可能性が濃厚だな、コレは。

 

そんなことを考えていると、突然私の体が発光した。

 

...もしかして、コレが転生の合図なのだろうか?

 

そう思った刹那、私の視界は自分が発した光に塗り潰された。

 

 

 

 

 

Side Others

 

時は、シャーロットが残りの転生者と対面する前にまで遡る。

 

4人の転生者は同じ場所に集められ、天神―――アルシエルの意見を最初から聞いていなかった者―――がアルシエルの説明とほぼ同様のものを行った。

 

そして、最後にこの言葉を付け加えた。

 

『シャーロット・エインズワースという大罪人を赦すな』と。

 

天神達にとって、シャーロットの存在はとても目障りであった。

 

何故なら、彼女の存在は天界の腐敗を払拭出来る唯一の材料となるためである。

 

言うなれば、彼女は天界に於ける改革派―――天神達による天界の統治という旧体制を崩すことを主張する者達のこと―――を支える柱である。

 

先程の言葉の意図はとても簡単だ。

 

改革派は彼女を希望の象徴としている。

 

ならば、彼女を見せしめとして、深い絶望の底に叩き落とせば、改革派は心の支えを失い、勢力の縮小及び弱体化が可能なのではないだろうか。

 

そうなれば、改革派を一掃することができ、自分達による天界の統治が続く。

 

また、彼女の魂を完全に消滅させることによって、改革派の残党が現れる可能性を限りなく低くすることが出来るだろう。

 

天神達にとって、人間の魂を完全に消滅させるのはとても容易い。

 

しかし、人生改変は却って改革派の怒りを買う愚策である。

 

自分達が下界に降り、自らの手で彼女を消し去るなど論外。

 

よって、彼らは残りの転生者に期待した(・・・・・・・・・・・)のだ。

 

転生者である彼女が、他の転生者によって殺される。

 

このことに意味があるのだ。

 

何故なら、転生したという自覚のある転生者は基本的に良識者(・・・・・・・)なのだ。

 

すなわち、自覚ある転生者は正義である。

 

その正義によってシャーロットが殺されるということは、シャーロットが悪であることを示す。

 

正義の主張に負ける主張は、悪の主張以外に他ならないからである。

 

今まで信奉し続けていた存在が悪であると知れば、改革派は自分達の考えが悪であると知り、絶望し、自然な形で消滅するだろう。

 

そして、彼女の死後、自然な形で天神達の下に彼女の魂を呼び寄せ、完全に消し去る。

 

こうすることで、自分達が正しいことを証明する。

 

それこそが、『大罪人を赦すな』発言の真の意図である。

 

...だが、しかし。

 

天神達は彼らに対して、あまり期待していなかった。

 

あの4人は元々、超が付くほどの善人である。

 

その為、先程の発言だけで殺人を犯すような人間であるとは思えなかったのだ。

 

故に彼らは保険(・・)を用意していた。

 

自分達の計画を確実に成功させるために......。

 

Side Out




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