何故こうなった。 (Big Versa)
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一話

日記形式に乗っかってみた。ガバゆるして何でもしますから。


f月o日

 

 

 気が付いたら代理人になってた。多分トラックに轢かれて転生したんだろう。

 いや待てよ夢なら覚めてくれマジで。何で俺が代理人に転生しなきゃならんのだ。しかも足がスース―するし、つまり俺は今あのメイド服を着てるってことだろ?恥ずかしくて死にそうだぞおい。

 ともあれ頬を抓ったら痛かった。現実じゃん、代理人好きだけど。

 これからどうしようか。

 

 

g月n日

 

 

 夜を三回迎えてようやく原形を保ってる建物を見つけた。ちなみに空腹感はまだない。嘘でしょ怖くなってきたぞこの身体。

 とりあえず手頃な廃墟にお邪魔してまずは鏡を探した。代理人の姿になったとはいえ一応確認する必要がある。これでただのメイドコスプレだったら発狂する。そんで飛び降りてやる。だが全身鏡に映った全体像はまさしく代理人そのものだった。黒髪のお団子ヘアもちゃんとある。顔も端整な女性だ、やったぜ。そしたら両脚の太腿に違和感を感じたのでスカートの上から触ってみると、あのサブアームが収納された状態で取り付けられていた。あーそういえばスカートたくし上げて攻撃するんだったよな。一回やってみるか。

 

 

 

 

 

 恥ずか死

 

 

r月w日

 

 

 そうだ昨日書き忘れてた。俺が今いる建物の中だが、どうやら集合住宅だったらしく同じような部屋が何個もあった。壁は壊されていて隣人が居たらプライバシーもクソも無いが、今は俺一人の根城だ。しばらくはここで身を潜めるしかない。

 というのも、代理人は鉄血の人形だ。助けてとグリフィンの人形に見つかったが最後、多分殺されるだろう。いや絶対殺される。しかも中身が戦争未経験ド素人の俺なもんだからあれのように単騎で圧倒することなんざまず無理、やる度胸も無い。つまり食料が欲しければこそこそスニーキングで行動するしかないのだ。同じ鉄血の誰かに見つけてもらえたなら話は別だが。

 まさか人類の敵として転生することになるとは。めちゃくちゃ後悔してる。せめてグリフィンの誰かだったんなら普通に生きれる可能性も十分あった筈だ。あ、カリーナは勘弁な。誰があんな書類仕事やるか。

 

 

q月p日

 

 

 屋内の探索で一階に降りると、まさかの食料品と飲料水を見つけた。これは神マップ、しばらくの間困ることは無いだろう。そして現在地から真っ直ぐ北に進むと工場があることも分かった。しかも一瞬だけだが装甲車の残骸が見えたので当たりだ。まさか軍需工場を引き当てるとは都合がいい。これで何かしら電力を確保できたり武器を手に入れたりすることが出来るかもしれない。

 すぐに工場に走っていったが、速い。全速力の速度が尋常じゃなかった。多分ロードバイクを追い越せそうなぐらいには出てたと思う。途中で怖くなったので急ブレーキをかけたらかかとが熱かった。こわ。

 シャッターの横にある扉から入るといきなり鉄血の人形の残骸が転がっていた。しかも少し血生臭い、久々に吐きそうになった。人形だから吐けるかは知らないけど。でもまあ、臭いが酷いのは入り口付近だけで奥に進むとそれなりに新鮮な空気が吸えた。

 どうもここは製造ラインらしく、殆ど、というか全部が機械化されているせいか大型の機械が複数コンベアに跨るようにして佇んでいた。すげえなこれ、鉄血の工場か。鉄血人形の残骸が足元に落ちていたりしたので生産工場といったところだろう。それで近くにあったレバーを引いたら動き出した。しかし素材がないのかただ稼働してるだけで生産される様子は一切ない。人形を作っても仕方ないので手頃な武器を作ることにした。とりあえず素材をぶっ込んでタブレットで適当に図面引いてっと。まあ何かは出来るでしょ。

 

 

j月x日

 

 

 面白半分で図面引いただけなのにマジでスナイパーライフル出来た。しかも重量感っていうか何かこう、すごい。

 簡単に言うとやってたゲームで使ってた銃を想像して図面引いたわけだが、現実に見るとヤバさが際立つ。無難にM4とかにしとけばよかった。それで特徴なんだが、まずボルトハンドルがレシーバーの左側にある。つまりコッキングする時に左手で操作しなきゃいけない。しかもコッキングの動作も特殊だ。引いて、上に上げて、引いて、押して、下に下げて、押してと手順が多い。素早くコッキング、なんてことは出来ないだろう。定点から迎え撃つのにこいつは適している。弾薬も作ったがこいつもまた曲者だ。何で12.7mmの劣化ウラン弾が出てくるんだよNATO弾でいいだろそこは。いくら人形でもオーバーキルだぞこれ。

 今度は人形の残骸も投げ入れて同じようにやってみた。

 書きたくもないゲテモノが出てきた。おえっ。

 

 

d月v日

 

 

 しかしこの工場、よくよく見れば人為的に壊された跡がたくさんある。まあグリフィンの部隊が突入して壊したんだろう、あそこは鉄血と分かればすぐに撃ってくるからな。でもそれは鉄血の方も同じなのだが。

 武器の威力を知るため簡単な的を作って一発だけライフルを撃ってみたが、まあ結果はお察し。厚さ5cmを簡単に貫きやがった。なにこれ怖い。今後は万が一の時以外は撃たないように自分で取り決めた。そうじゃなきゃスコープを覗いた先が全部R-18Gなことになる。となると通常時の武器は自動的にスカートたくし上げ機銃攻撃になるのだが、それもそれで恥ずかしいから却下。まあ戦わないに越したことはないから隠れて過ごすことにしよう。

 でも今日帰る途中にグリフィンの部隊が巡回してるっぽかった。しかもいつも行き来してる道を通っていたものだから、仕方なく迂回して帰ることにした。結果から言えば見つかることは無かった。っていうか見つかってたら日記を書く余裕なんてない。それに今日は鉄血のデータの一部が手に入った。役に立つとは思えないが、今後使う時は来るだろう。流し見したが、けっこう大事な情報っぽい。

 かーっ文字が多い!しかも暗号みたいなのあるし、すぐ解読できたけど。人形ってすげえわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

k月p日

 

 

まずい、AR小隊が中に入ってきた



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二話

s月i日

 

 

 生きてる、大歓喜。こうして日記を書けてるということはまさに生きてる証だった。

 っていうかめちゃくちゃ怖かったんですけど。何もういきなり手足縛られて尋問だぞ?何か皆銃口向けてくるしさー。めっちゃ泣きべそかいたぞ。しかしまあ、あのデータが役に立つとは思いもしなかった。内容全部暗記して知ってる情報という体で喋ったら案外納得してくれた。世の中何があるか分からんね。

 でも一つだけ気掛かりなことがある。ずばり記憶が飛んでる。一部がすっぽり無くなったように思い出せない。あの四人の名前も当然分からないので、一日一人ずつ覚えることにした。(一気に覚えるのは心情的にでき)ないです。

 

 

p月b日

 

 

 何で起きたらお前が抱き着いてるんだよSOP。正確な名前はM4 SOPMODⅡだが長いし他の子からもSOPと呼ばれているらしいのでそう呼ぶことにした。でもお前には警戒心がないのかよ。小学生でももうちょっとは距離を置くぞ。しかも俺一応敵サイドの人間人形だし。まあ何とか離れてもらって事は解決した。しかしまあ子犬みたいなやつだ、頭をわしゃわしゃ撫でてやると、SOPは「えへへ~」と笑っていた。四人の中では一番早く懐いてる。純粋な子だ。

 

 

 

 

 

 前言撤回。誘うようにニーソを脱ごうとするのはやめなさい。

 

 

l月e日

 

 

 またSOPだ、またSOPだ!(ピネガキ)何か抱きしめる力強くない?若干きしむ音がしたんですがそれは。いくら人形と言えど痛いものは痛い。まあよく懐くし甘えたがりの妹みたいな感じなのは分かるけども。しかも黒い義手(指が全部尖ってるやつ)が首に触れるのでビックリする。っていうかビクッてなった。SOPはげらげら笑ってたので仕返しにくすぐってやった。大人げないと思うがしゃーない。

 それで今日覚えたのはAR15。この子もST AR-15という名前だが縮めてもあれなのでスターと呼ぶことにした。でもこれ悪手だったかね、一回呼んでみたらあからさまに嫌そうな顔を向けられた。でも呼びやすいのこれしか思いつかなかったんだ、受け入れてくれ。そういやピンクの髪って珍しいな、人形だから普通かもしれないが。

 性格はまあ、俺からしたらちょっとなーって感じ。何かしら俺が手伝いをしていると隣でそれ以上のことをやる。負けず嫌いなのか努力家なのかは知らないが、「私の名誉のため」とか言ってやるべき以上の事をしたがる。余裕は持った方がいいぞ?

 でも他の子のことは俺も含めけっこう心配してるらしい。俺が工場に部品漁りに行く時もついてきた。「私も手伝いたいの、やらせて」って澄まし顔で言っていた。

 手伝ってくれるのは嬉しい。でも何故か俺が行く予定の場所にいたり音もなく傍を歩くのやめてくれ。そんでもって極めつけには、誰にも見られないで外に出たのに「どこ行くの?」とか言って一階で待ち伏せされた。デッドサイレンスでも付けてるのかお前は。怖いわ。

 

 

f月q日

 

 

 ところで何故俺の(元)根城に四人がいるのか聞くことにした。

 四人はAR小隊というエリート部隊であるらしく、色々な場所に赴いているらしい。それでこの近辺での長期派遣が決まって巡回していたところ俺と出くわしたということだ。まあ運が悪かったわな。でも助かっただけマシだ。SOPの力加減が間違ってなければの話だが。でも俺と一緒に和気藹々としてるのがバレたらやばくないか?代理人なわけだし。その旨を言ったが、スター曰く「嘘の報告をしておけば大丈夫」だそうだ。なるほどずる賢い。

 今日はM16A1を覚えた。黒い眼帯を着けた男勝りなやつだ。何故か少女とは思えなかったがまあ女性でもいいだろう。要するに姉御肌だ。今日もビールを一気飲みしてたし、酒が好きなのだろう。実際誘われたが物資云々の問題もあるのでやんわりと断っておいた。ところでライフルより背中に背負ってる長物の方が強そうだがあれは使わないのだろうか。聞こうとしたら酒の飲み過ぎだとスターに取り上げられていた。待てこの世の終わりのような顔で俺に縋るんじゃない。悪いが味方はしないぞ。

 

 

t月y日

 

 

 

 

 

 急募:SOPの対処法について

 

 

 

 

 

 何で知恵の輪みたいになってるんだよ寝相悪すぎだろ。っていうか確信犯だろお前口笛吹いても無駄だぞ。しかも吹けてねえし。人形特有のパワーで両手拘束されてるし痛い。そんでもって息を荒くして押し倒すんじゃない、そういうシチュはやめてくれ。

 今日覚えたのはM4A1。癒される。健気でちょっとおどおどしてるのが可愛げがある。とはいえこれでも部隊長の立場であるらしい。こんな個性豊かなメンバーだと苦労しそうだな。そう言うとM4は「それでも楽しいから大丈夫ですよ」とはにかんでいた。可愛いから撫でてやった。M16からはよく絡まれるらしい。姉妹だからそういうスキンシップもあって当たり前だろうな。

 ところでよく見ると両手の小指の部分が武骨な機械になっていた。というのも銃のフォアグリップを握るのに手が小さいので改造してもらったらしい。やってもらった人の名前を聞いたが機密情報だったからか教えてもらえなかった。気になるなぁ。

 

 

h月b日

 

 

 しばらく日が空いてしまったが、ペンが壊れてしまった。今はもう新しいものに変えてあるが、中々書き心地がいい。

 それはそうと備蓄品について問題が発生した。同居人が複数増えたわけだから今後足りなくなる可能性が浮上してきたのだ。というよりも絶対に足りなくなる。過度な節約はちょっと後ろめたいし。というわけで工場とは反対方向、3ブロック進んだ辺りには鉄血の部隊が通過しているらしいのでちょっかいをかけることにした。四人が制圧してる間に俺が物資を盗んでくるという至ってシンプルな計画だ。

 それで初めてやったのだが、結果としては上々の出来だった。M4とM16も持ち前の射撃精度で敵をけん制してくれたお陰で物資集めも捗った。だがSOPはグレネードランチャーを撃とうとするのをやめなさい。俺が巻き添えになる。そしてスターは囁くように言うのをやめてくれ。「怪我したらちゃんと血を舐め取ってあげるから……安心してね?」とか言わないでくれ。マジで青ざめるわ。

 

 

w月s日

 

 

 今日は昼過ぎに皆で工場の方に行った。なんでも予備のアタッチメントやら弾薬やらが欲しいというので、適当にタブレットで図面を引いて材料をぶち込んだ。弾薬は全員が5.56mmを使っているのでとりあえずたくさん作っておいた。

 問題は外骨格だが、これは人形のサイズに合わせて作るしかない。というわけで全員の上半身の採寸を測ることになった。最初はSOPからにしておいた。お前この前俺に素っ裸で襲い掛かって来たもんな。何とか諭して服は着させておいたが。

 改めて見るとちゃんと実ってる。肌白いなー。

 M16とM4に関しては理性が吹き飛びそうだった。あんなん直視するとかムリゲーやん。M16に至ってはニヤニヤしてるし、絶対バレてる。これ男だったら勃起してるからな、俺は今女だけど。

 

 

 

 

 

 ところでスターは嘆きのかb【塗りつぶされている】やばっ。



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三話

r月t日

 

 

 随分とホラーな体験をした。昨日の日記を書いている途中に肩に手を置かれて振り向いたらスターがいたんだよ。随分と笑みを浮かべていたが、まあ俺は冷や汗しか流れない。笑顔は威嚇表現だからね、しょうがないね。

 「だいりに~ん?」なんて間延びした声がもう怖い。しかも背後からゆっくり抱き着かれたぞ。抵抗できないように俺の両腕も封じられていたしPTSDになりそう。

 それでタイミングも悪いったらありゃしなかった。慌ててスターのことを書いていた部分を塗りつぶしたはいいものの本人から耳元で問い詰められたので白状することにした。やましいことは何も書いてないからな、絶対書いてないからな。ところがスターは俺の日記を一通り見て「可愛い趣味あるのね」と言い残して部屋を去っていった。こマ?検閲ガバガバすぎるだろ……

 

 

 

 

 

「最後の文は不問にしておくわ」じゃない、笑顔が怖いわピンク髪。

 

 

s月p日

 

 

 何で昨日の日記がスターとのリアルホラー体験しか書かれてないんだよ。どうせなら天使であるM4のことについて書くべきだった。

 まあそれはそれとして、今日もいつもの場所で鉄血の部隊にちょっかいをかけに行った。途中までは良かったのだが、物資を漁ってるときに運悪く敵と出くわしてしまった。相手は武装していなかったので不幸中の幸い、しかも俺は鉄血のハイエンドモデルである代理人なわけだから負けることなど考えもしなかった。お前はもう死んでいる、なんつって。

 前が見えねぇ。ちくしょうぼっこぼこにされたぞおい。あいつら容赦ってもんがない。一応俺が立場上上のはずだぞ?あれか、既に俺裏切り者扱いか?そりゃねえぜ。しかも全身痛いわ歩けないわで帰りはM16におぶってもらった。こいつ身長高いもんな、俺と大体同じくらいだ。俺の身長っていくつだ、185くらいか?

 

 

f月o日

 

 

 毎夜恒例のレズ知恵の輪にスターが参加しやがった。「もうSOPったら怖がりで仕方ないわね!私も一緒に寝てあげるわよ」って俺の寝床に入ってくるんじゃない。SOPといちゃついてろ。緩い笑顔で俺に絡みついてくるな。何が俺は私だけのものだアホ。どう足掻いてもSOPと一緒に近づいてくるのでその日は諦めることにした。こいつら可愛いんだけどなー。それを遥かに超えて恐怖しか感じなかった。だって力強いんだもん、しかもスターも加わったもんだから完全に身動きも取れない。

 しかし途中でM4が来たので、これはチャンスと思い協力してもらうことにした。内容は俺がM4を抱いて寝る事。簡単だが重要な案件なので頭を下げて懇願した。M4がむしろ逆効果なんじゃないかと言っていた気がするが俺には聞こえなかった。失敗はあり得ないと考えてたからな。

 なお結果はSOPに首を足で絞められ、スターに雁字搦めにされたりと散々だった模様。想定外も考えなきゃな、痛い。

 命からがら脱出して二人を部屋から追い出した後、痛みが引かないので外出は避けることにした。M4は残って俺の肩をほぐしてくれたりした。ありがと、お前には感謝しきれないわ。それでまあ、やったことといえばまだ使ったことのないサブアームの簡単な点検とM4と談笑したぐらいだ。

 でも意外と趣味が合うもんだな。好きなものと嫌いなものが一緒だったし、映画にも興味を示しているらしい。やはりエリート小隊だけあって休む暇も無いのだろうか。余裕ができたら連れていきたいけどな。それに俺の好きな銃や好きな女性のタイプを当ててきた。

 

 

 

 

 

 俺そんなこと言ったかな。

 

 

g月a日

 

 

 俺がM4を抱いて寝ても効果がないことが分かり、M4からは流石に無理なのではと打診された。まあ昨日が昨日だったしな。早急に次の対策を考えなければならない。でも肝心の対策を練るのを忘れたまま夜を迎えてしまった。やべえよ、案の定痛いし。これ翌朝死んでてもおかしくねえぞこれ。

 痛い朝を迎えた後、M16の提案で廃墟内でパルクールをやることになった。久々に体を動かしたいのと実戦にも備えたいからという理由だったが、実際は鉄血の物資をちょろまかす作業にも飽きてきたのだろう。俺もちょうど飽きてきていたところなので喜んで参加することにした。高スペックなこの身体も制御したいからな。この前みたいな悲劇は繰り返したくない。

 最初はM16からやったが、やはりと言うべきか難なくこなしていた。特に一本橋状態の鉄骨を走って渡ったのは驚いたな。さすが姉というところだろう。これはドヤ顔してもいい、ただやってる途中に酒を飲むのは駄目な。酔って銃を撃てないとかは冗談きつい。M4も無難にこなし、余裕のある顔で完走した。ご褒美に頭撫でてやる、うーん、高さピッタリ。後ろでM16が消沈しているが何も見てない。後でお前に譲るから。

 スターはちょいと問題ありな様子だった。足場を外して落ちかけるし何もない所で躓いたりと危なげない。挙句の果てにはバランスを崩して服を少し破いてしまっていた。ああパンツ見えてる、白か。

 悪くない。

 気にしてないふりしてそれとなく見ていたのだが、後ろからマガジンを差し込む音が聞こえたので慌てて別の方を見た。怖い怖い怖い、間近で5.56mmとか蜂の巣確定だ。俺の顔台無しになっちゃう。M4が服を修繕すると言い、俺は代わりの布を巻いてやった。俺の心情がバレたのか「私と二人きりになれば貰ってもいいわよ?」と顔を赤らめて言ってきた。お前はもうちょっと相手を選べ。

 SOPは、うん。何してるんだお前は。コースじゃないところ走ってどうする。怪我したら危ないから戻りなさい。あとトリプルアクセル決めながらショートカットするのも駄目だからな。

 さて最後は俺だ。華麗なる代理人の演舞をとくと見やがれ!

 

 

j月p日

 

 

「まったく代理人はしょうーがないなぁ!私がいないと寝れないのか、ほれ!」

 やめてくれ股関節が痛いんだ。鉄骨の上でカッコつけてスピンなんかするんじゃなかった。M4に付き添われながらも何とかゴールしてやった。いてぇ。

 

 

f月b日

 

 

 M4が三人とも謎の薬を使って引きずり出してくれた。ありがたいけど睡眠薬はヤバくね?あ、違うの?



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四話

f月a日

 

 

 結局無事だったのはM4が引きずり出してくれた日だけで、今日の朝も知恵の輪が出来上がっていた。服だけ溶かすスライムを護衛につけた方がいいのかねこれ。いや駄目だな、真っ先に俺の服が溶かされそう。外見女だけど性格はまんま男だから凌辱なんてされたら正気を保てない。それにしても日が経つにつれて拘束が固くなってきてる気がするんだが気のせいか?

 いっそM4と別室で眠るという苦渋の決断も必要なのかね。でもあいつの齎してくれる癒し効果は言葉では表せないものがある。うーん、悩む。

 まあそれは後々考えるとして、今日もパルクールをやった後にSOPが「かくれんぼしたーい!」と手を上げて俺に言ってきた。いやお前、パルクールは一種の訓練みたいなものだからな?お前だけだぞ戦術度外視の走りをしてるのは。それで理由を聞いたら覚束ない口調と身振り手振りで「隠密も重要だ」ということを言っていた。まあ、そういうことにはしておいた。娯楽もなきゃ駄目だしな。

 それで全員でかくれんぼをすることになった。

 ルールは鉄血対グリフィンを考慮して、俺とAR小隊に分かれて鬼と隠れ役をやるというものだ。鬼と隠れ役は交互にやり、見つかった時点で無力化判定で負け。今日は俺が鬼をやることになった。要は四人全員を見つければいいわけだ。

 廃墟をすべて使ってのかくれんぼだったが、一時間もしないうちに三人も捕まえてしまった。最後まで隠れ切ったのはSOPだけ。因みに小柄な体格を生かしてかそこそこ小さな箱に隠れてやり過ごしていたらしい。時間切れになった途端出てきて俺に抱き着いてきたので頭を撫でてやった。気持ちよさそうだなこいつ。

 問題はスターだ。またお前か。俺が近くに来たことを察知して後ろを尾行しようとするんじゃない。お前が躓かなきゃ気づかなかったぞマジで。しかも怖かった。ありゃ獲物を捕らえる目だ。

 

 

p月n日

 

 

 朝起きたらSOPが服の中に手を突っ込んで胸を揉んできやがった。気持ち悪い感覚に襲われるからやめてくれ。それとスター、お前は何俺の股に太腿を擦りつけようとしてるんだ。変にビビるからやめなさい。それに俺も大変なんだからな理性保つの。中身男で傍から見たらレズとか心こわれる。

 それで今日は俺が隠れる番だった。しかし正直言うとキツイな。結果論からすれば俺は無事逃げ切れたわけだが、何回かマジで焦った場面もあったしやはりそこはエリート小隊ってところだろうか。

 特筆すべきことといえば、チームワークがすごいことだろう。

 二手に分かれて隅から隅まで捜していたものだから正直驚いた。一人ずつで分かれるかも思っていたが。でも幸いだったのはルールに『隠れ役は動いてはいけない』ことを入れてなかった事だろう。そのおかげでこそこそ隠れ場所を変えることが出来た。俺も負けたくないんでな、本気でやったわ。

 だが気になることはないわけではない。まずスター、「待っててね……すぐに私しか見れないようにしてあげるからぁ……」って言って確実に俺の隠れ場所を突いてくるのやめろ。何が「代理人の匂い……あはぁ」だ。そんでもって顔を赤らめてモジモジするな、見てるこっちが恥ずかしい。

 SOPは「あはは、私がずーっと抱いてあげるから!」って言いながら息を荒くするんじゃない。しかも笑い方が怖い、ロッカーに隠れてるときに間近で見えた時は死ぬかと思ったわ。しかも隣のロッカーひしゃげてたし。何あの怪力。

 この訓練ちょっと考えものだな。いかんせん捕食者二名のせいだが。

 

 

j月z日

 

 

 もうどうやってもレズ知恵の輪には勝てないと悟ったので全員同じ部屋で寝ないかと提案を出してみた。まあ案の定すんなり承諾してくれたのだが、珍しくM4が喜びを表面に出していた。小声で「やったやった」って言ってたし嬉しかったのだろう。大人しい感じだと思ってたんだがな、喜ぶ時もあるよな。

 するとSOPが寒いのは嫌だと言い、いかにも暖かそうなふかふかの毛布を持ち込んできた。何それいつの間にそんなもんあったんだ。

 聞いてみれば、一階の倉庫の奥で眠っていたらしい。それで持ってきたんだとか。それにしてもデカい。俺含めて横に並んでも軽く入る。まあこれからは横並びで寝るとするか。眠いし今日はこれで切り上げる。おやすみ。

 

 

s月r日

 

 

 何で俺が真ん中のポジションなんですかね(震え声)

 

 

w月p日

 

 

 そういえば今日の仕事帰り、仕事っていうのは物資盗みのことな。それをやった帰りにスターから「貴女って変わった喋り方よね」と言われた。今更だが俺も気づいた。確かに身体は代理人だしそうなる以上女の身体の構造なわけだ。だが喋り方はそのまんまである。それどころか一人称も『俺』だしな。今思えばギャップが凄い。

 そういや普通にあぐらもかいてたなぁ。もうちょっとおしとやかにした方がいいのか?これメイド服みたいだし。そんなことを言ったらM4から「今のままでも可愛い……ですよ……」と恥ずかしげに返された。あーお前可愛い。抱きしめてやりたい。っていうか抱きしめた。当の本人はびっくりしてたが許してくれ、お前もこうされるの好きだろ?

 M4は「代理人の、好みは……全部知ってましたので……」と耳まで赤くさせていた。俺の理性が吹き飛びそうだったが、後ろからのM16の喚きで現実に引き戻された。助かったのかどうなのかこれもう分かんねえな。

 SOPとスターは捕食者の目で俺を見ていた。俺だけを見ていた。これがあれか?ヤンデレなのか?身近にそういうのがいるのは初めてなのでよく分からない。でも俺が危険一歩手前なのは確かかもしれない。

 

 

 

 

 

ところで何でM4は俺の好み全部知ってたんだ?言ったとしても好きな食べ物とかだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ代理人」

「何だ?」

 

 

俺は一旦酒を飲むのを止めた。何か神妙そうな顔してるなお前。

 

 

「ああ、何てことないんだ……明日ちょっと本部に帰らなきゃいけなくなってな。しばらくしたらまた戻ってくるんだが」

 

 

うおいマジかよ。

 

 

「嘘は付けねえしな。データベースの何やらとか装備の何やらで色々あってな。詳しいことは機密情報で言えない」

 

 

まあそれは仕方ないわな。でもいざとなると寂しいな。俺なんてまた一人暮らしだ。

 

 

「ハハハ、メイドが一人廃墟に佇むか。しかも鉄血だしな。ホラーものだ」

 

 

鉄血なんて知らねえよ。普通の兵士にやられた時点で、向こうにとって俺は敵だしな。

 

 

「確かに。でもあまり落ち込むなよ?また帰ったら遊んだり盗み働いたりしようぜ?」

 

 

ああ、それまではちょいと体を休めとく。

 

 

「んじゃ、私はそろそろ寝るかな……あ、そうだ。何か壁に変な穴が空いてたって、AR15が直しておいてくれてたぞ」

 

 

そうなのか、分かった。おやすみ。

 

 

「ああ、おやすみ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘だろ、お前ら



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五話

t月q日

 

 

 今日の朝はAR小隊が帰る日だったので見送ることにした。個性的だし寝起きも地獄だったが、毎日暮らしてると情が湧いてくる。一応廃墟を出るところまでは同伴したが、それ以上は俺が鉄血の代理人だという事情も兼ねてやめておくことにした。SOPも寂しそうにしてたなそういえば。どうせ一週間もしたら戻ってくるんだ、そんな顔したいのは俺だって同じだ。M16ともまた皆で盗みやらパルクールやらやろうと約束を交わした。

 これからしばらくは暇になるな。

 

 

o月m日

 

 

 案の定暇になっていた。しかもめっちゃ静か。まあ四人も一気に人が減ったらそりゃそうなるわな。でも退屈でしょうがない。

 誰もいないので外に散歩しに行くことにした。もちろんグリフィンの巡回コースは避けて通るようにしている。とはいえパルクールをやって身体の制御が効くようにはなってきているので逃げようと思えば逃げられる状態だ。一番は見つからないことだが。あいつらどんな武装してるか分からねえし、そもそも俺自身はぶっ飛ばすなんてことしたくねえしな。無闇に女の子に武力行使するのはいけないって、はっきり分かんだね。

 

 

y月e日

 

 

 あいつらが本部に帰って三日ぐらい経った。それで今日の朝に起きたら体に違和感を覚えていた。何か軽い感じだったが、その原因はすぐに分かる。毎日知恵の輪状態だったから普通の朝に違和感を感じてるわけだ。そう思うと変に物足りなさを感じた。二度とやられたいとは思わないけどな、あんなの毎日続いたらマジで死んでしまう。お前らの事やぞSOPとスター。特にスター、お前がけっこうヤバかったぞ淫乱ピンクまな板。

 何か生き残ってた窓が割れたんですけど。何これ怖い。ぼく怪奇現象は無理。

 でも一人暮らしに戻ると食料に余裕が出てくるな。あいつらが来る前の生活に戻っているが、けっこう贅沢な使い方だ。やっぱり節約の反動なのかね。

 それで昼食を食べた後は、いつもの工場に行くことにした。スナイパーライフルも使ってないし重いしでそれを素材として新しい武器でも造ろうかと考えていた。しかし着いた後で何の武器にしようか迷うな。5.56mmはあいつらが全部持って行ってしまったし。かといって新しく弾薬も造るとなると材料が足りない。鉄血の物資を盗む作戦はあいつらと連携して初めて成り立つものだ。まさか工場に着いてからそれに気づくとは、少し後悔の念にかられた。とはいえ何かしら自衛用の武器を造らなきゃいけないことには変わりないので、同じ弾薬のリボルバーを造ることにした。それならせっかくついてきた劣化ウラン弾を無駄にすることもないしライフルより嵩張らないので一石二鳥だ。

 というわけで完成したリボルバーがまあデカい。劣化ウラン弾を撃つために大口径化を考慮して図面を引いた結果、とんでもない武器が出来上がってしまった。それで試しに一発撃ってみたのだが、反動は見た目通りに大きい。手のしびれとかは無いのだが、それでも何かと手が震えたりしていた。これも万が一の時以外は使わないようにしないとな。これ撃って腕を壊したなんて状態は洒落にならない。

 そういえば奥の方にパソコンがあったのであいつらの上司とかグリフィンについて調べてみることにした。M4が上司の存在を示唆していたのを思い出したので鉄血が独自に調査したらしいグリフィンのデータベースを見ることにした。考えてみればグリフィンも鉄血もやってることは同じだなこりゃ。領地奪い合って情報を盗んで、俺は鉄血の立場にあるわけではないが、鉄血の方もそれが正しいと思って行動に移してるんだと思う。

 何か俺の持論書いちゃったな。長々と。まあそれはそれとして、調べてはみたが一つだけ有力な情報を得られた。それはAR小隊に言えることだが、電脳の中に鉄血人形を破壊するようなプログラムを仕込まれているらしい。深層心理みたいなものだ。

 こりゃマズい。非常にマズい。

 

 

p月v日

 

 

 眠れない。しかも手がふるえる、なんでだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

k月z日

 

 

 マジでふざけんなよグリフィン。ほんとクソ企業にも程があるだろ。

 急に帰ってきたあいつらに殺されかけた。何で撃ってくるんだよ俺を騙したのかあいつらは。普通に一緒に過ごしてただけだってのに。あれか、元からなれ合いは嘘だったってか?なら尚更グリフィンが許せねぇ。あいつらの上司とやらを気の済むまでぶん殴りたい気分だクソッタレが。

 あいつらが俺を殺そうとしてるとなると、スターの言ってた「嘘の報告」とやらも全部バレていたのかもしれない。それでパソコンで見たあのプログラムを表に出るようにして俺を始末しようって算段だ。そうに違いねえ。ああクソ、何でだよマジで俺が何をしたってんだ。理不尽すぎんだろ、危害加えてねえのに畜生が。

 塞がれていた壁の穴は昨日のうちに開けておいたので、逃げ道は確保できた。後武器と食料がちょっと。振り向かずにとにかく走って逃げた。あんなん振り向けねえよ、しかも腹と両脚にけっこうな数をもらってしまった。今も血が出てる。いたい。

 もう歩けそうにないから近くの空き家の地下室に逃げ込んだ。っていうか血で文字がにじんでる。



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六話







ひっさびさの投稿です()ゆるして。








q月o日

 

 

 逃げ続けて三日、俺は今知らない空き家に身を潜めている。特に追ってくる様子は見受けられなかったのでとりあえずは一安心というところだろう。

 しかしまだ止血が十分じゃない。貴重な飲料水を消毒液代わりにして持ち出しておいたボロ布で一応の処置はしたが、闇医者でもいいから本格的な治療はした方が良いのかもしれない。いや、人形だから修復か。

 

 

h月y日

 

 

 俺がない頭で考えてみたが、まあ状況は芳しくないな。うん。いくら物資を持ち出したとしても極端に少ない。配給は一度三日三晩食わなくても異常は無かったので問題視するほどでもないんだが、いかんせん弾薬が少なすぎる。シリンダーに装填されている6発分しかないものだから敵に遭遇したとしても撃てない。というかこの弾薬は火薬が多く、撃った時の音も大きいものだから周りにバレる可能性が高い。鉄血からは裏切り者扱いされ、グリフィンからは専ら敵、そんでもってAR小隊に絶賛追われているわけだから俺はもう逃げるしか選択肢がない。クソゲーかな。

 日記で愚痴っても仕方ないので移動の準備をしておいた。此処もいつ調べられるか分からないしな、油断なんてこれっぽっちも出来やしない。あ~早くのんびり休みたいわ。

 

 

i月y日

 

 

 空き家が見つからなかったので使い古されたシェルターに身を潜めることにした。今までよりも狭いが屋根と壁がある分マシだ。それに狭い方が保温性が保てる。このシェルター自体も人目につかないような場所に位置しているので余程のことがない限り見つかることは無いだろう。

 しかし肝心の弾薬の調達問題はまだ解決していない。それどころか今後の見通しすら何も立っていない状況だ。鉄血の部隊からちょろまかそうにもあいつらがいなきゃそもそも行動に移せないし、近くに鉄血の工場があるわけでもない。一回グリフィンの基地から物資を盗もうとも考えたが、そんなことしたら確実に捕まる。セキュリティシステムもどうなってるか分かったものじゃないからな。つまり思いついたどの作戦も実行不可能という結論に至ったわけである。絶望的過ぎて草も生えないぞこんなん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおいおいおい、こりゃどういうことだお前ら?」

 

 

荷物の整理をしていたら足音が聞こえ、振り向けば俺は4つの銃口を向けられていた。どれもこれも見覚えがある銃だし、何より俺が散々見知った姿が立ち並んでいる。何だよこれは。あれか、騙して悪いがみたいな展開か?

 

 

「……」

「いやぁ、困ったなぁ!いきなり銃向けられるのは流石にビビるぞ。確かに俺は鉄血だが正面切って戦えるわけじゃないし……そもそもお前らに敵意なんて微塵も持ってないし「代理人」……えっと、SOP?」

 

 

急にSOPが『普段の声』じゃない声で俺の名前を呼んだ。何か、その、目が怖い。前みたいな人懐こい子犬みたいな目付きなんかじゃなかった。捕食者、というよりも……

 

 

「私……鉄血の部品とか大好きなんだ……」

「あ……?そう、なのか。そりゃあ初耳な趣味だな、うん。あー、あれか。コレクション、か……?」

「すぐに壊してあげるからね?」

「まあまあ待て待て。そりゃやりたい気持ちもあるだろうが……ほら、あれだ!鉄血兵もいるだろ?そいつをぶっ壊して遊ぶ~なんてな。ハハハ……ハハ……」

 

 

今更かもしれないが明らかにおかしい。SOPだけじゃない。M16もM4もスターも、皆殺意を隠そうとしていなかった。マジで俺を殺すつもりなのか?いや、よく考えろ。そもそも俺は何も恨みを買った覚えは無いし、こいつらも俺を嫌っていた様子もない。それに俺を嫌っていたならば毎朝俺に絡まってくるのは何だったんだって言う話だ。何だ、何が原因なんだ?

 

 

それよりもまずは説得だ。

 

 

「いやぁ、そうだ。ほら、M4、注意してくれよ?無邪気っつっても加減を知らなきゃアレだしさ……M16もさ、酒でも飲んで水に流そうぜ?俺も何したか分かってないけどな……」

「悪いな代理人。今はそんな気分じゃねえんだ。任務が最優先だ」

「あー……スターは?小隊を補佐する立場なんだろ?ここは一言説得させておいて……」

「グリフィンの上位権限によらない限り上書き及び抹消は行えません」

「えっと、M4は……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アハハハ、あ、命令しなきゃ―――えっと、皆さん、殺してください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やべえな、これ。

 

 

「クソがッ……!」

 

 

すぐに振り向いて穴を突き破って飛び降りた。高さ何mだ?ああいや、それどころじゃねえな。

 

 

「痛ッ!?いってぇぇ……!」

 

 

着地のせいなのか、はたまた撃たれたのかは知らない。でも痛い、物凄く痛い。あれ、どうやったら痛覚切れるんだっけ……?

 

 

ああもうクソが、クソが、クソが!とりあえず遠いところに逃げよう。あいつらも人形とはいえ限界がある筈だ。それに俺は鉄血人形のハイエンドモデル、そう簡単にやられてたまるか。

 

 

「逃がさないわよ!」

「待てェ!!」

「姉さん、足を狙ってくださいね」

「任せろ……これが運の尽きだ」

 

 

クソ、あいつらも追ってくるか……!このままじゃ……

 

 

 

 

 

直後、視界が揺れた。

 

 

 

 

 

「あー……あ……?」

 

 

痛い。色んなところが痛い。焼けるように痛い。何だ、撃たれたのか……?よくわかんねえや。

 

 

「逃がすわけねえだろ」

 

 

M16が歩いてくる。こいつ、眼光鋭いな……やべ、めっちゃ血出てるし。っていうかどうしよ。まだ死にたくないんだけどなぁ……

 

 

「冗談、よしてくれよ……」

「これが冗談に見えるってか?それは違うな、お前は死ぬんだ。それで任務達成だ」

「……」

 

 

―――馬鹿野郎が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奥の手があるんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閃光だ。これでいい、目を潰せたら時間は稼げる。ちょっと博打っぽいが……死ぬよりはマシだ。



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