この素晴らしい世界にゴロゴロを! (糖分四天王)
しおりを挟む

ああ雷神様
プロローグ



このすばにエネルもどきをぶっこんでみました。

思いつきなのでどこまで行けるかは未定です。

え?テイルズ? も、もちろん書きますよ~(;´_ゝ`)


 

目が覚めると真っ白な部屋で椅子に座っていた。いや、部屋というよりも空間に近い。 あれ? 何で俺はこんな場所に?

 

「目が覚めましたか?」

 

目の前を見ると白い翼が生えた金髪の美人がいた。多分天使が実在したらこんな人なのだろう。

 

「ようこそ、死後の世界へ。柏田春樹さん、残念ですが貴方の人生は終わりを迎えました。」

 

突然金髪の天使(仮)はそう告げた。俺の人生は終わり?え、死んだの俺!?

 

「えーと…終わりというのはどういうことで?」

 

「柏田さん、貴方は生前引っ越し業者のアルバイトをしていました。その作業中に階段を踏み外し運んでいたタンスと一緒に落下。 タンスに押し潰される形になってしまい、病院に搬送されましたが死亡してしまいました。」

 

あー、なんとなく思い出してきた。そこまでデカイタンスじゃなかったけど運が悪かったか。てか作業着のままじゃん俺…。 てことはここは死後の世界でこの天使(確信)は俺を地獄行きか天国行きかを決めるってことかな?

 

「それで…死んだのはわかりましたけど俺って天国行きになります?」

 

「それがですね、これから柏田さんには三つの選択肢があります。 一つは天国に行き、永遠とのんびり過ごす。一つは全ての記憶を消し別の人生を始める。そしてもう一つは異世界に行くことです。」

 

「異世界?」

 

「はい。実はその異世界は魔王が率いる魔王軍が存在し、人々が衰退し激減しているのです。その世界での転生を拒む人も増えていて、このままだと世界が無くなってしまうのです。」

 

まぁ、わざわざそんな物騒な世界で輪廻転生とかは正直いやだよな。

 

「そこで私たちは若くして亡くなった日本人をその世界に転生させようと考えました。」

 

「いやいや、平和ボケした日本人がそんな世界で戦えるわけないでしょ!?」

 

「ご安心ください。転生する際に特典を与えられます。それは特殊な力だったり強い武器だったり、1つだけ好きな物を持ってその異世界に行きます。」

 

成る程…それなら妥当だな。 魔剣とか超能力なんかも持って行けるのかな?

 

「では柏田春樹さん、三つの選択肢の中から選んでください。」

 

……正直天国ってのは嫌だな。何にも無さそうだし、地獄とかよりはマシだろうけど。 だからって別の人生か~それも御免だな。未練って訳じゃないがまだ17歳で死んだのだからもう少し生きたい。 …決まりだな。

 

「俺、異世界行きます。」

 

「わかりました!では、特典をお選びください。 武器でも能力でも、実在しないものも可能ですよ。」

 

実在しないもの?マンガとかアニメの物ってことかな? …ならあれだな。

 

「あの、ワンピースって漫画知ってます?」

 

「はい。あの有名な少年漫画ですね。」

 

そう、俺は生前ワンピースが大好きだった。最終回を読めずに死んだのはかなり痛いがまぁいい。 俺が欲しいのは悪魔の実。能力者として転生したい!問題は何の実を食べるかだ。やはりゴムゴム…いや、俺には上手く扱えない気がする。かといってハズレは食いたくない。何か、何かメチャクチャ強い悪魔の実は無かったっけ?

 

 

 

 

 

あ、あれだ。エネルって無敵だったよな。あいつでいいか。

 

 

 

 

 

「悪魔の実が欲しいんだ。自然(ロギア)系ゴロゴロの実が欲しい。」

 

「はい!悪魔の実ですね。」

 

すると天使の手元にまぶしい光とともに禍禍しい果実が現れた。 もしかしてあれが悪魔の実…?

 

「これがゴロゴロの実です。食べれば雷人間になれますよ。」

 

そうやって笑顔で俺に実を渡す天使。 俺は恐る恐るその実を齧る。

 

 

 

 

 

 

 

マッッッズゥゥゥゥイィィィィ!!!

 

 

思わず椅子から転げ落ちる。不味い不味い不味い!!!不味すぎて意味が分かんないよ!!!

 

「柏田さん!?大丈夫ですか!?」

 

「は、はいぃぃ…大丈夫…です。」

 

不味すぎる…能力者はこんな物を食ったのかよ……。でもなんかビリッとするような…? ふと手を見ると小さな電気がビリビリと弾けていた。 ま、マジで雷人間になってる!

 

「これで俺もエネルと同じ能力者ってわけだな。スゲェなこれ。」

 

すると天使は改めて俺と向き合い天に向かって両手をあげる。すると俺の足元に魔方陣が浮かびあがる。

 

「柏田春樹さん。これより貴方を異世界へと転送します。貴方が魔王を討ち倒した暁には1つだけどんな願いでも叶えましょう。」

 

何でも!?生き返ってまともな人生を始めることも出来るのか! よっしゃ!全力でボコシメにしてやるぜ! 待ってろ魔王!!

 

 

 

 

「貴方に祝福があらんことを───」

 

 

 

 

 

こうして俺は異世界へと転生する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






時系列はカズマがアクアを連れて転生したすぐ後です。
何話か後で原作組を出します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この雷人間にクエストを!



ワンピースで一番強いの誰?と聞かれたら
私はエネルと即答します。


そんな作者の思いつきの小説をお楽しみください。


 

 

 

 

皆さんこんにちは、柏田春樹です。

日本に住んでたピチピチの男子高校生でしたが不慮の事故で死亡し、今まさに異世界転生を果たしました。

 

「エルフにドワーフ…スゲェまさに異世界だ!!」

 

思わず一人ではしゃいでしまう。それもそうだ、俺もゲームや漫画を愛していた一人の男。こんな心踊る展開には作業着姿でもはしゃいでしまうというものだ。

 

「っと、ひとまず動かねぇとな。 まずは酒場かギルドに行ってみるのが王道かな? 能力も試したいしクエストやらないと。」

 

とりあえずデカイ建物を目指そう。にしても作業着って異世界だと浮くな…当たり前か。

 

 

 

 

 

ハルキ「このすばっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あった…。ここがギルド…。」

 

や、やっと着いた…割りとこの町の道が複雑で迷子になっちまった。 雷速で移動すればすぐだろうけど上手く扱えない。 下手やって暴発でもしたらエライ事になっちまう。親切に道を教えてくれたオバサンに感謝しよう。

 

「さて、冒険者になってくるか!」

 

気持ちを切り替えて意気揚々と扉を開ける。すると野太い男達の喧騒が聞こえた。ここは酒場も兼営しているようだ。

 

「おう兄ちゃん、見ねぇ顔だな。何しに来た。」

 

俺を見かけたモヒカンの荒くれものが声をかけてきた。

 

「冒険者になりたいんだ。受付は何処なんだ?」

 

「フッそうか命知らずめ……ようこそ地獄の入口へ!歓迎するぜ!受付はあっちだ。」

 

荒くれものは笑顔で答えると顎で受付を指す。 礼を言って受付に行くと金髪のお姉さんが窓口にいた。つくづく金髪に縁があるな。

 

「すいません、冒険者になりたいんスけど。」

 

「はい、それでは登録料として千エリス頂きます。」

 

えっ?なにエリスって?この世界の通貨か?でも不味いぞ、金なんか持ってねぇ…ましてや持ち物すら──

 

「ん?これは…」

 

ふとズボンの後ろポケットに小さな袋が入っていた。開けてみると中からじゃらじゃらと小銭のようなものが入っていた。お姉さんに見せたらこれで丁度千エリスらしい。あの天使が気を使って持たせてくれたのか?だとしたら助かった…至れり尽くせりだなこりゃ。

 

「はい、それでは冒険者について簡単な説明を致しますね。冒険者というのは人々に害をなすモンスターの討伐を請け負ったり、様々なクエストを請け負ういわゆる何でも屋のようなものです。冒険者はそれらを生業としてる人達の総称。そして冒険者には職業というのがあります。」

 

ふむ、職業か。魔法使いや剣士ってとこか。

 

「こちらは冒険者カードといいます。このカードには冒険者の詳細やレベルが表示されます。冒険者のレベルは生きものを食べたり、モンスターを倒したりするとその存在の魂の一部を冒険者が吸収します。それが経験値と呼ばれるものです。普通は経験値は目視出来ませんがこのカードで冒険者の経験値をはかることが出来ます。レベルがあがるとその職業の様々なスキルを会得することが出来るので頑張ってレベルをあげていきましょう。」

 

レベルか…ゲームみたく経験値たんまりのおいしいモンスターがいれば狩りまくろう。

 

「簡単な説明は以上です。次にこちらの紙に貴方のお名前と身長、体重、年齢、身体的特徴等を記入してください。」

 

お姉さんに言われた通りに紙に書いていく。 今さらだがスラスラと異世界の文字を書けてるな。 神様の転生って便利。

 

「ありがとうございます。では、こちらの機械に手を触れてください。その機械で貴方のステータスがわかります。ステータスに合わせた職業を決めてください。」

 

「はーい。」

 

俺は右手で機械に触れた。 チカチカと機械が動くと機械の下にあった冒険者カードに俺のステータスが書かれていく。 受付のお姉さんが俺のカードを見るといきなり目を見開いた。 受付側がザワ…ザワ…ってしてるし、いや別にギャンブルとかしてないよ?

 

「カ、カシワダハルキさん!? 貴方何者なんですか!?運がやや低く、知力が平均ですが、筋力や生命力は高水準!魔力は桁違いです!」

 

「へ?そんなすごいの?俺のステータス…。」

 

「すごいですよ! 以前冒険者登録されたアークプリーストには及びませんが、カシワダハルキさんならどんな職業にもなれます!」

 

俺にそんな隠された力が…? ってそんな訳ねーか。魔力はゴロゴロの実の補正だろうし、筋力とかは生前やってた肉体労働のアルバイトの影響だろうな。 にしても職業か…エネルの戦闘スタイルだと前衛で戦闘しつつ雷撃って感じか。だとすると万能職がいいな。

 

「あの、前衛もこなせる魔法使いみたいな職業って無いすか?」

 

「えっと、でしたらこの【魔法戦士】という職業はいかがでしょう?前衛と後衛をこなせる万能職業です。ただ専門職の【ソードマスター】や【アークウィザード】には劣りますが…。」

 

「いや、それでいいっス。魔法戦士でお願いします。」

 

こうして俺の冒険者カードは完成し、ギルドの職員達に歓迎された。 さっきのモヒカンも連れと一緒に歓声をあげる。 いよいよ本格的に異世界生活がスタートだ!

 

 

 

ひとまずクエスト受けよう、金がねぇ!!

 

 

 

 

 

荒くれもの「このすばぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

【討伐クエスト】

 【ジャイアントトードを三匹討伐せよ!】

 

 

 

 

「あー、だだっ広い草原だー。見渡す限り草だなー。」

 

冒険者登録を終えた後、俺はすぐにクエストを受けた。比較的簡単らしいジャイアントトードの討伐クエストだ。 装備品の費用どころか宿代すらないのだから即労働なのは覚悟していた、していたのだが…問題は…。

 

「ハァ…全く、なんだよこのスキル構成。これじゃ職業【魔法戦士】じゃなくて職業【神・エネル】じゃねーか。」

 

そう、問題は【魔法戦士】のスキル構成、いや俺のスキル構成にあった。普通の【魔法戦士】のスキルといえば炎魔法や剣技などが一般的だ。だが俺の冒険者カードには何も無かった。つまり、俺は【魔法戦士】のスキルを一つも修得出来ないのだ。その代わりスキル項目にあったのは、どれもこれもエネルが使った技ばかり。おそらくゴロゴロの実を特典として選んだ影響かもしれない。言ってみれば職業なんて俺にとってはお飾りなのだろう。 仕方がないのは理解したけど…正直少し期待してたのになぁ、ファイヤーボールとか。

 

「まぁ、気持ちを切り替えていくか…この能力なら余程の敵じゃなけりゃ無敵だ。」

 

ひとまず俺が現時点で覚えたスキルは

 ・雷速移動

 ・自然変化(ロギアへんげ)

 ・放電(ヴァーリー)

 ・電光(カリ)

 ・神の裁き(エル・トール)

 

この五つだ。 他のスキルはレベルが足りない、厳密にはポイントが足りないのでレベルがあがればどんどん技を使っていける。ぶっちゃけこの五つでも相当強いけど…。

 

さて、夕暮れも近いしとっととジャイアントトードとやらを見つけて──

 

「……でっか…。 ジャイアント過ぎるだろ!?あのトード(カエル)!?」

 

数メートル先に現れた巨大なカエルに驚く。いや驚くわ!ゾウくらいあんじゃねぇか!? あ、こっちに気づいた。正面から見たらキモチワル!

 

「えーあれを三匹かよ。やりたくねー…。」

 

言っていてもしゃーなしだな。スキルの試しがてらやるか。 まずは雷速移動。 まだ離れてるし丁度いい。瞬間移動をイメージして…スキル発動っ!

 

 

 

 

バチっ!!

 

 

 

「…は?」

 

 

それは一瞬だった。いや、例えとかじゃなくマジで速すぎィ!だってもう目の前にいるもん!ジャイアントトード! 向こうだって驚いてるよ! あ、こいつ舌伸ばした。

 

 

「つ、次はこれ!自然変化(ロギアへんげ)!」

 

スキルを発動すると俺の身体は雷に変わる。うわ!身体の感覚が無くなる!変な感覚だな。 流動する雷を舌で絡めたカエルは感電し、舌を伸ばしたまま痺れる。

 

「こいつでトドメだ! 2000万V放電(ヴァーリー)!」

 

 

 

ヴァリヴァリ!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 

ジャイアントトードに追い打ちをかける。電撃を浴びたカエルは黒焦げになりピクリとも動かなくなった。

 

「…よ、余裕でオーバーキル……。」

 

俺が絶句していると地面から2体出てきた。一匹は動かず、もう一匹は近づいてきた。と、兎に角技は全部試しておこう。 ジャイアントトードが目の前に来て大きく口を開けた。俺を捕食する気だな、だがそうはいかない。

 

 

電光(カリ)!」

 

 

ピッッシャァァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

突如その場に雷鳴が轟く。 発生源である俺は大した音は聞こえないが凄まじい音なのだろう。空気が音速で膨張する程の光熱を至近距離で受けたカエルは黒焦げを越えて炭になっていた。

 

「えぇぇ……これはエグいな…。」

 

 

最後の一匹は何やら戸惑っている。逃げようとしているのか? 正直このスキルはヤバイ匂いがプンプンするけど、ここまで来たらやろう。エネルの十八番を!

 

 

神の裁き(エル・トール)!!!」

 

 

 

 

ドガァァァァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 

上空から放たれた巨大な波動砲と思えるほどの雷がカエルに振り下ろされる。 カエルがいたそこにはデッカイクレーターが出来ており、カエルだったであろう黒焦げの肉片が微かにあった。

 

 

「……嘘だろおい…?」

 

 

正直予想を遥かに越えていた。原作ならみんな焦げてるだけだったから甘く見てた。 これでスキルは五つだけ?マジで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エネル強すぎだろォォォォォ!!?」

 

 

 

 

 

 

【クエスト達成!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





冒険者カード

カシワダハルキ 17歳

職業【魔法戦士】

170㎝
64キロ

容姿はマンガ〔ぐらんぶる〕の北原伊織を少し筋肉質にしたイメージ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この雷人間に出会いを!



この小説の主人公は一応真人間です。


エネルみたいにアクセル滅ぼそうとかは一切考えない良い子です。


 

 

 

クエストを達成してギルドに報告した俺はクエストの報酬を貰った。回収してくれるカエルの亡骸は残った黒焦げの一体だけだったので、そこまでの金額ではなかった。 まぁ、今日の晩飯と馬小屋の宿泊ぐらいまではありつけたので、早速ギルドで食事を貰う。

 

「カエルの唐揚げか…繁殖期らしいから安めの金額だけど、旨いのかこれ? あむっ……旨っ!」

 

淡白だが中々の歯ごたえ、意外にも美味だった。

 

「ハァ…にしてもどうすっかな…まさかゴロゴロの実がこんなにチートとは思わなかった…。」

 

軽はずみに選んだ悪魔の実が強すぎた。現在の俺の心境は半分興奮と半分不安と恐怖だ。耐久力の低いジャイアントトードとはいえたった五つのスキルであの強さだ。 コントロールすればマシになるかもしれない。だが、攻撃力と攻撃範囲が広すぎる。 どの技も危険すぎてポンポン撃てない。 それに──

 

万雷(ママラガン)雷迎(ライゴウ)、そして雷神(アマル)…修得すんのが怖いなこれ……。」

 

 

原作エネルの本気とも言える最強の技だ。 これらを放った日にはこの町アクセルすら焼け野原と化してしまう。 …何で俺は自然(ロギア)なんて選んだんだ!素直に超人(パラミシア)動物(ゾオン)選べば良かった!

 

「この三つは修得しても極力使わないようにしよう。あとは討伐クエストを数こなしてスキルに慣れるしかないか…。」

 

こんな結論しか出てこないが、やるしかない。選んでしまったのだからな! 特典は良く選べば良かった…ちょっと後悔。

 

 

 

 

 

 

 ハルキ「ごちそうさま!」

 

 

 

 

 

 

 

翌日。馬小屋は寝心地が悪かった…クセェし狭いし。金を貯めて格安の物件でも買おうか? さて、今日も今日とてクエストだ。前世じゃ社畜並みにアルバイトしてたから苦にはならんな。両親が仕事上手くいかなかったから俺まで働かされただけだけど…。

 

「ジャイアントトードは昨日倒したしなー、なんかないかな~。 ん?なんだこれ…初心者殺し?」

 

初心者殺し、地球で言うとサーベルタイガーのようなモンスター。ゴブリン等の弱いモンスターの回りを徘徊して釣られてきた冒険者を狩るらしい。 知能も戦闘力も高く、駆け出し冒険者にとっては天敵のようなモンスターだ。

 

「クエスト詳細を見る限り割りと強めのモンスターだな。報酬は…50万エリス!?」

 

ジャイアントトードに比べてすごい額だ! よっしゃこれ受けよう! ボコシメにしてこよう!程々に。

 

 

 

 

 

 

 カズマside

 

 

 

俺は佐藤和真。 日本で不慮の事故(?)で死んでしまった俺は、女神アクアを連れて異世界に転生した。だがこの女神、まっっったく使えねぇ!! 知力は最低!運も最悪!考えなしに突っ込む! もういやだこの駄女神!

 

「…来ないわね…。」

 

「そりゃ、あんな募集で来るかよ。」

 

俺達は今、アクアの提案で仲間を募集していた。俺としても使えないこいつの穴埋めとしても仲間は欲しい所だ。

 

「だって!だって!」

 

アクアは涙目で言い訳してる。ほとんど嘘に近いパーティの募集要項に上級職限定なんて募集で来るわけない。アクアに任せたのは失敗だ。そもそも連れてきた時点で失敗だ!

 

「ねぇカズマ、今失礼な事を考えなかった?」

 

そろそろ諦めて募集要項を書き直すか──

 

 

「すみません。募集の紙を見て来たのですが、ここでよろしいですか?」

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ハルキside

 

「この森にゴブリンがいるからこの辺りを徘徊してるんだよな?」

 

草原よりも少し歩いて広い森に入った俺は初心者殺しを探していた。

 

「初心者殺しって言うからにはそこそこ強いのか?せめて装備品くらい揃えてからの方が良かったかも──」

 

「グルルル……!」

 

いやがった!サーベルタイガーのようなモンスター、初心者殺しだ。明らかに俺に対して敵意を持ってる。すぐにでも飛びかかって来そうだ。 ……少し開き直ってみようかな。誰もいないし、せっかくだからエネルっぽくしてみるか。

 

 

「ヤハハハハ、おい初心者殺し。 俺を喰いたいのだろう? やるがいい…しばらく俺はじっとしていよう。お前の攻撃を避けもしないし手も出さない……煮るなり焼くなり好きにしてみろ。力の差をお前は知るだろう。」

 

うん。いい歳こいて中二病だな俺。 心なしかワクワクしちゃってる。 まぁいい。スキルのひとつ自然変化(ロギアへんげ)で確かめたい事があるからな。

 

 

 

 

 

 

 カズマside

 

 

 

「ムグムグ…すみません。ご馳走してもらって…。」

 

アクアの書いた募集チラシで本当に来るとはな、アクアもアクアでどや顔してるし、ウッザイ殴りたい!

 

「ごっくん…では改めて、我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法使いにして、爆裂魔法を操る者!」

 

…変な名前に中二病なロリッ子が来た。さっきアクアが紅魔族について言ってたな。 強い魔法使いが多い種族らしいが変な感性と名前を持ってるんだとか。

 

「この子アークウィザードよ。実力も相当じゃない。」

 

「そうだな。爆裂魔法の見物がてらクエストに行くか。いいか?めぐみん。」

 

「いいでしょう!我が爆裂魔法でどんな敵も滅ぼしてくれよう!」

 

名前と感性がどうあれ、実力があるのは確かだ。 これは幸先がいいかもしれない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハルキside

 

 

 

「ふぁ~あ、眠ぃ…」

 

思わず欠伸が出ちまった…自然変化(ロギアへんげ)だけでここまでチート染みてるとは、やベェなエネル。

 

「グォォォォォ!!」

 

「ああ……まだやってたのか……」

 

初心者殺しが俺に対して爪で引き裂こうとするも、雷となった俺の体には当たらず初心者殺しは感電する。思った通り、スキルを使うと体が少しずつダルくなってくる。魔法を使っているようなものだから魔力が減っていくらしい。5分間ずっと自然変化(ロギアへんげ)を使っているが、最初より疲労感がある。さすがに魔力も無尽蔵って訳じゃない。

 

「もう分かっただろう初心者殺し、俺は雷だ。どう足掻けば雷に勝てるというんだ……お前も遠雷くらい見ているだろう…? 人は古来より自然の恐怖を全て神と置き換えてきた。そうして理解出来ぬ怖さから逃げて来たんだ。人智の及ばぬ超常現象は全て神の仕業だとな。もはや勝てぬと全人類が諦めた天からの災害、それが俺だ。力の差というものが理解できたか?」

 

 

…俺はモンスター相手に何やってんだろ?恥ずかしくなってきた。 最初は少しノリノリだったけど、冷静になると痛々しいなこれ。

 

「グル…グルァァ!」

 

「ん?…逃げるとは今更だな。」

 

俺に背を向けて逃げる初心者殺し。しかし相手が俺では逃げ切れない。悪いが討伐させてもらう。俺は雷速移動を使い初心者殺しの目の前に立つ。

 

「ヤハハハハ。雷よりも速く動けるつもりか?約束の時間だ…そろそろ手を出させてもらうぞ。5000万V放電(ヴァーリー)。」

 

 

ヴァリヴァリ!!!ゴロゴロゴロ…!!

 

電撃を浴びた初心者殺しは黒焦げになり地に伏せる。いやー、にしてもやっぱ強すぎるよなこの能力。 仲間が出来たら気をつけて戦わないと、仲間に当たったらシャレにならん。 とりあえず初心者殺しと戦って分かったことが2つある。 1つは魔力の消費を考えて戦わないといけないこと。あとは…。

 

「もうエネルのマネすんのはやめよう。恥ずかしいしむなしい…。」

 

 

 

 

 

 

 

ハルキ「ヤハハ!このすば!」

 

 

 

 

 

 

 

俺はクエスト完了をギルドに報告するため森を後にした。初心者殺しの死体は原形が残ってるので5万エリスくらいで引き取ってくれる。今日で55万エリスも稼いだ計算だ。 ひとまず装備品を買おう。いつまでも作業着のままって訳にも──

 

 

ドゴォォォォォォォォォォン!!!

 

 

 

「うおぉぉぉ!?何だぁ!?」

 

 

いきなり凄い爆音が響いてきた。 アクセルからは少し離れた草原の方角からだ。

 

「誰かの魔法?それともモンスターか?」

 

気になった俺は爆音のした方角に向かった。

 

 

 

「く、喰われてんじゃねーー!!!」

 

「…何だあれ…。ジャイアントトードと冒険者か?」

 

爆音のした場所に着くと誰かを捕食した2体のカエルとジャージ姿の男が戦っていた。 ジャージってことは俺と同じ日本からの転生者か! 男がカエルを倒すと中から二人の女の子が出てきた。

 

「うぇぇぇ…生臭いよぉ…。」

 

「助かりましたカズマ…っ!?カズマ!後ろ!」

 

 

すると三人の後ろからもう一体カエルが出てきた。しかもさっきよりも一回りデカイジャイアントトードだ。不意をつかれたせいで三人とも動けずにいる。

 

 

「ああぁぁぁぁ!!もうダメだ喰われるー!!」

 

「いやぁぁぁ!!もう生臭いのいやぁぁぁ!!」

 

「ああ!カズマ!私まだ動けません!助けてください!」

 

 

三人とも絶体絶命だ! ヤベェ間に合え!!

 

 

神の裁き(エル・トール)!!」

 

 

 

 

ドガァァァァァァン!!!ゴロゴロゴロ…!!

 

 

 

なんとか神の裁き(エル・トール)が間に合いカエルを倒せた。 あ、アブね~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!大丈夫か?」

 

 

「え…誰?」

 

 

 

 

 

こうして俺は冒険者カズマと出会った。

 

 

 

 

 




カズマのパーティにハルキ君を入れるか迷ってます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この雷人間とキャベツ狩りを!




評価、お気に入り登録ありがとうございます!

思いつきの小説なのにありがたい事です。


 

 

 

 カズマside

 

「いやー助かりました。 三人ともぱっくりいかれるかと…。」

 

「間に合って良かったぜ、悪いな勝手にクエスト対象倒してよ。」

 

ジャイアントトードの討伐クエスト中に命の危機が迫った俺達は間一髪で助けられた。アクア(役立たず)はすぐに喰われてめぐみんはとんでもない威力の爆裂魔法を撃った後何にも出来なかったからな。俺一人じゃ危なかった。

 

「俺はサトウカズマ。冒険者やってんだ。んで、こっちは──」

 

 

「私は女神アクアよ!女神を助けるなんてなかなか殊勝じゃない。神として最大級の賛辞を贈るわ!」

 

「お前は素直に礼を言え!恩人なんだぞ!」

 

「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法使いにして、爆裂魔法を操る者! 助けてくれた事、感謝します!」

 

「お、おう…中々個性的なパーティだな…あ、俺はカシワダハルキって言うんだ。ハルキで良いぞ。」

 

ああ、良い奴だなハルキって…でもその格好、作業着だよな?名前も柏田春樹?ってことは多分──

 

 

「なぁハルキ、もしかしてハルキは日本生まれか?」

 

「…やっぱりな、カズマもか。俺も転生者だ。」

 

「?カズマ、ハルキと何を話しているんですか?」

 

ハルキも転生者か! つまりさっき助けたのは特典の力だな。 いいなぁ、俺もそんな力があればこんな困難には会わなかったのに…。

 

「んじゃ、俺は俺のクエスト報告に行かないといけないからもう行くな。 またな三人とも!」

 

 

 

バチッ!!!

 

 

 

「え!?消えた!?」

 

「カ、カズマさん!?急にハルキが消えたんですけど!?」

 

「何ですか!?瞬間移動(テレポート)ですか!?」

 

 

一瞬でハルキが姿を消した!?一体どんな能力なんだ!?……あ。

 

 

「一緒にギルド行こうぜって言っとけば良かった…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマ「このすば!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「カズマ~、早く行くわよ。ギルドに報告してお風呂行きたいんですけど~。」

 

「カエルって中は意外に温いんですね。」

 

「知りたくなかった…そんな情報。」

 

ハルキと別れた後、俺達はヌメヌメのまま歩いていた。 ハルキが消える時かすかに電気のようなものが見えていたから多分雷系の特典だ。 ああ、ハルキがうちのパーティに入ってくれないかなぁ…。

 

 

「それにしても、ハルキの魔法は凄い威力だったわね!めぐみんの爆裂魔法くらいあったんじゃないかしら。」

 

「そんなわけありませんよアクア! 爆裂魔法はどんな魔法も凌駕する最強の魔法なのです!」

 

「その爆裂魔法なんだがなめぐみん、これから爆裂魔法は緊急時以外は禁止な。 普段は他の魔法で──」

 

「使えません。」

 

「え?」

 

めぐみんは今何て言った? 他の魔法は使えない?

 

「私は爆裂魔法以外の魔法は使えません。」

 

「…マジか。」

「マジです。」

 

「何で爆裂魔法以外使えないの? スキルポイントはまだあったでしょ?私なんてアークプリーストのスキルと宴会芸スキルにポイントを振ってるわよ?」

 

宴会芸スキルなんて何に使うんだ?

 

「私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。私は爆裂魔法しか愛せない! 例え一日に一発が限度でも!放った後に倒れるとしても! だって私は、爆裂魔法を使う為だけにアークウィザードの道を選んだのですから!」

 

「素晴らしい!素晴らしいわ! 非効率ながらもロマンを追い求めるその姿に感動したわ!」

 

不味い、この魔法使いは駄目な系だ。 アクアが同調しているのが何よりの証拠だ。これ以上ポンコツが増えてたまるか!

 

「そうか!多分茨の道だろうが頑張れよ! 今回の報酬は山分けってことで、また機会があったら──」

 

「我が望みは爆裂魔法を撃つ事、それ以外は望みません。さぁ、アークウィザードの強大な力が今なら食費と雑費だけで!これはもう長期契約を交わすしかないのではないだろうか?」

 

「いやいや、その強大な力は俺達みたいな駆け出し弱小パーティには宝の持ち腐れだから!」

 

くっ!めぐみんの奴、力一杯俺の肩にしがみついてやがる。こいつ魔法使いの癖に意外な力を…

 

「おい放せ! お前さては他のパーティにも捨てられたんだろ!?放せ!」

 

「もうどこのパーティも拾ってくれないのです!お願いです! 見捨てないでください!!」

 

「ちょ!二人とも暴れないでよ!顔にヌメヌメがかかってる!」

 

するとめぐみんは通行人にも聞こえる大きな声で──

 

 

「どんなプレイでも大丈夫ですから!!先程のカエルを使ったマニアックプレイにも耐えてみせ──」

 

 

「わかったーー!!!これからよろしくなめぐみん!!」

 

 

 

 

 

 

カズマ「このすばぁ! 」

 

 

 

 

 

 

 

「あー、まさかめぐみんまでパーティに入るとは…また問題児が一人増えた…。」

 

 

俺は一人ギルドのテーブルで項垂れていた。アクアとめぐみんは風呂でヌメヌメを落としている。上級職ではあるが爆裂魔法しか使えない魔法使い。 …ダメだこのパーティ…。

 

 

「よっ、さっきぶりだなカズマ。」

 

「あ、ハルキ!」

 

顔を上げると昼間助けてくれたハルキがいた。

 

「どうしたんだ?そんなに落ち込んで。」

 

「ああ…聞いてくれハルキ…実はな──」

 

 

 

 

 

 

「──なるほど、つまりお前は特典で持っていける()として女神のアクアを連れてきたってわけか。頭いいなお前。」

 

「ところがあいつ、全く良いところが無い! 知力と運は最悪で自覚無いし!さっき入っためぐみんも爆裂魔法オンリーだし!もういやだ!こんな世界!」

 

「ま、まぁ落ち着けって。 あの二人もいつか強くなって頼りになるって、多分。」

 

 

ハルキが優しくフォローしてくれる。本当に良い奴だ…あ、そういえば転生の特典について聞いておこう。

 

「そういうハルキの特典って何なんだ?」

 

「ゴロゴロの実だ。ワンピースに出てきた悪魔の実。 カズマも知ってるだろう?」

 

「ゴロゴロの実って…エネルの能力か!?とんでもないチートじゃないか!?ちょ、ちょっと冒険者カード見せてくれ!」

 

「いいぜ、でもチート過ぎてよこの能力。 制御しないと危ないんだ。」

 

スゲェ…雷速移動もスキルになってる、あ!神の裁き(エル・トール)がある!俺達を助けてくれたのはこのスキルだったのか! 間違いない。ハルキがいてくれたらあの二人の穴埋めどころじゃない!一気に最強パーティだ!

 

 

「なぁハルキ、良ければ俺と一緒にパーティ組まないか?」

 

「んー悪いけど保留にしといてくれ。」

 

「え!?な、何で?」

 

「さっきも言ったけど俺のスキルは攻撃範囲が広すぎるんだ。 討伐クエストをこなして慣れるまではパーティは組まないようにしてんだ。」

 

 

ぐぅ!一理あるけど… いや!まだ諦めきれない! ハルキをパーティに入ってもらわないと俺の精神が!

 

「大丈夫だ! 俺のパーティにさっき入っためぐみんも爆裂魔法を使うから! いまさら雷くらいどうってことないから!」

 

 

「いや安心できねーよ、危険すぎるだろそんなパーティ。」

 

ちっくしょー! ハルキをパーティに誘うのは失敗か…。

 

 

「まぁ、気が向いたら一緒にクエストくらいは行くさ。んじゃ、俺は疲れたから宿に行くぜ。おやすみ。」

 

 

「ああ…おやすみ…。」

 

 

…よし、俺は誓った!次に入るパーティメンバーは絶対まともな奴を──

 

 

「すまない、ちょっといいだろうか。」

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハルキside

 

 

 

おはようございます。柏田春樹です。 俺は今日クエストは受けずに装備品を買いに街にやってきました。 昨日の初心者殺しの討伐クエストで50万エリスも手に入ったからな、これでやっと冒険者らしい格好になれるぜ!

 

 

「まずは防具だな。 防御性より機動性が欲しいな。」

 

防具店に入った俺は自分のスタイルに合った装備を選んでいく。 簡単な膝当てがついた動きやすいレザーグリーヴ。青色の短めのマント。中にはレザーシャツを装備した。うん、これなら戦いやすい。

 

 

「兄ちゃん、確か職業は【魔法戦士】だろう?だったらもう少し防御性を考えたら──」

 

「いや、これでいいよ。 オッサンこの装備いくらなんだ?」

 

「まぁ、兄ちゃんがそう言うならいいが…お代は6万エリスってところだ。」

 

 

とりあえずはこの装備で満足した俺は防具店のオッサンに金を支払い店を後にした。 さーて、次は武器だな。 剣とか斧も憧れてたけど、エネルと言えばあの武器だろう──

 

 

 

「おっ?いらっしゃい兄ちゃん! ウチの武器屋は何でも揃ってるぜ!」

 

 

防具店の近くの武器店に入った途端、元気のいい店主が声を掛けてきた。

 

 

「オッサン、身の丈ほどの棍棒が欲しいんだ。 良いの無いかな?」

 

 

「うーん、棍棒ならこっちにあるが…身の丈ほどのなんかあったか?」

 

 

そう言ってオッサンが案内した所には槍などがたくさん置かれていた。 分かっていた事だがエネルが持っていたような黄金の棍棒は無かった。 さて、どいつがいいか…ん?

 

「おお?長さも強さも丁度良さそうなのが…。」

 

 

「ああ兄ちゃん。ソイツは扱いづらいぜ? 棒術スキルがないと宝の持ち腐れだ。」

 

 

「棒術スキル?」

 

ふと俺の冒険者カードを見てみるとレベルが上がっていて修得出来るスキルが増えていた。 あ、棒術スキルと槍術スキルがあった。原作でもエネルって棒術凄かったからか?とりあえず修得しておくか。

 

 

「大丈夫。俺棒術スキル持ってるから。 オッサン、俺こいつにするよ。いくら?」

 

 

「そうか?正直誰もソイツに見向きもしなかったからな…よし!3万エリスでどうだ?」

 

 

安いな! こいつは得したぜ! エネルみたいに溶かして刃物には変えたり出来ないだろうが充分だ。 また金を貯めてもっと強そうな装備を買えばいいからな。それに棒術スキルと槍術スキル修得したらまたスキルポイント足りなくなったし。

 

 

「毎度あり!また来てくれよ!」

 

 

 

支払いを終えて店を後にする。これで武器と服が揃った。やっと冒険者らしい格好に──

 

 

 

 

 

ビーー!!ビーー!!

 

 

〔緊急クエスト!緊急クエスト!冒険者各員は至急正門前に集まってください!! 繰り返します!冒険者各員は至急正門前に集まってください!!〕

 

 

 

「何だ何だ? 街が騒がしいな。」

 

見てみれば街の住人達は避難してるし、冒険者達は正門に向かっていった。 俺も冒険者だし正門へと走る。 緊急クエストって…何かヤベェモンスターでも近づいてるのか?

 

 

 

 

 

「おーい!カズマ!」

 

「ハルキ!お前も来たのか…って装備買ったんだな。」

 

「ん?あーー!ハルキじゃない!」

 

 

正門に着くと大勢の冒険者達が集まっており、カズマ達の姿も見えた。 話しかけると隣にいたアクアがずんずんと俺に近づいてくる。

 

「カズマから聞いたわよ!特典としてワンピースの悪魔の実を貰ったみたいだけど、女神としては悪魔なんて名前のついた物認めないわよ!誰よ!?貴方に悪魔の実なんてあげたのは!」

 

「え?いや…名前は知らんけど金髪で羽の生えた天使みたいな神だったぞ。」

 

「きっと私の後任の子ね!天界に帰ったらその子にゴッドブローをかまして説教してやるわ!」

 

「その天使も仕事しただけだろ。お前もいい加減にしとけ、ハルキを困らせるな。」

 

どうやらアクアは悪魔の実が気に入らないらしい。神と悪魔だから気に入らないのかもな。 っと、そんなことよりも…。

 

「なぁ、これから一体何が──

 

 

「おーーい!!来たぞー!!!」

 

何が始まるのか聞こうとしたら突然前にいた冒険者が声をあげた。 前方からは大量の緑の球体が空を飛んで来て…え?もしかしてあれって…キャベツ?

 

「いい?カズマ、ハルキ。 この世界のキャベツは飛ぶわ。彼らは強い魔力と生命力をもって空へと羽ばたき大陸を渡り、海を越え、人知れぬ秘境でその生涯を終えるの。そう…簡単に喰われてたまるかとばかりに。」

 

「ってことはあれ全部空飛ぶキャベツかよ…。」

 

「ほんっとにろくでもない世界だな…俺、もう帰っていいかな?」

 

 

 【緊急クエスト!】

【街に飛来したキャベツを収穫せよ!!】

 

 

「「「ウォォォォォーーー!!!」」」

 

 

 

冒険者達がキャベツに向かって戦う姿は中々にシュールだな。 カズマはやる気をなくしているが、この際相手がキャベツでいいや。さっき修得した棒術スキルとこの武器を試すとするか。

 

 

「キャベツが相手か…気乗りしないけど、カズマ!先に行くぞ!」

 

 

 

バチッ!!

 

 

 

 

雷速移動で戦場に出た俺は早速キャベツに囲まれる。

 

 

「さぁ戦闘開始だ! 100万V放電(ヴァーリー)!!」

 

 

ヴァリヴァリ!!! ゴロゴロゴロ…!

 

 

横向きに放った放電(ヴァーリー)でキャベツを一掃し、別のキャベツと対峙する。

 

 

「よっと!」

 

 

バキッ!ドカッ!

 

 

棍棒でキャベツ達を打ちおとしていく。 しかし、まだ数ある棒術スキルを1つしか修得してないため、まだ上手く扱えない。 棒術スキルと槍術スキルは他とは違い初級や中級などがあるのだ。 まだコイツを扱うには棒術を鍛えなきゃだめだな。

 

 

ヒュンヒュン!!

 

 

 

「ヤベ! 電光(カリ)!!」

 

 

 

ピシャァァァァン!!! ゴロゴロゴロ…!

 

 

後ろからキャベツが不意打ちしてきたが何とか反応してスキルを発動する。 あーあ、キャベツが炭になっちまった。雷だと上手く捕獲出来ねーな。

 

 

「…す、すげぇ…!」

 

 

「何だあの青色マントの兄ちゃん…!」

 

 

 

他の冒険者に当たらないように弱く雷を撃ちながら戦っている。すると、なにか聞こえるような…?

 

 

 

 

「黒より黒く………我が深紅の………並ぶもの無き崩壊なり……!」

 

 

正門の近くを見るとめぐみんが爆裂魔法の詠唱をしていた。ま、まさかあいつ他の冒険者が密集してるのに撃つ気か!?嘘だろ!?

 

 

「私は逃げない! 後ろに守るべき者達がいる限り! ああっ!でも皆が私を見ている!傷つきボロボロにされた私を見てる…!!ああっ!たまらん!!」

 

 

近くで見たことない女騎士が変態なことを叫んでるし!!何この状況!?不味い!めぐみんが詠唱を終えた!

 

 

 

「エクスプロージョン!!!」

 

 

 

 

ドガァァァァァァァァン!!!

 

 

 

「ギァァァァァァァァァ!!」

 

「にャャャャャャャャン!!!」

 

 

 

バチッ!!!

 

 

 

「あ、あ、アブねぇーーー!!! 死ぬかと思った!!」

 

 

普通撃つかよ!?雷速移動が間に合ったから良かったものの、皆いるのにあんなとんでもない威力の爆裂魔法をぶっぱなすか!? 何故か一名喜んでたが…。

 

 

 

 

 

 

【クエスト完了!】

 

 

 

 

 

 

 




なんとなくアクアはワンピースは読んでるけど悪魔の実は嫌いかなというのは作者の妄想です。

皆さんはどんな悪魔の実が好きですか?




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この雷人間と盗賊で探検を!



明けましておめでとうございます!

仕事が始まったので執筆ペースが落ちていますが、
今年もこの素晴らしい世界にゴロゴロを!をよろしくお願いいたします。







 

 

 カズマside

 

 

「認めねぇ…ただのキャベツ炒めが何でこんなに美味いんだ…。」

 

キャベツのクエストを終え、俺達は収穫したキャベツを食べていた。

 

「しかし凄いわねダクネス!さすがクルセイダーね!」

 

「いや、私などただの固い女だ。私は不器用で攻撃も当たらない、壁になるくらいしか取り柄がない。」

 

その上、ドMだから自分でキャベツの群れに突っ込んでいったけどな…。

 

「私よりめぐみんの魔法の方が凄かったな。あの爆裂魔法の一撃は凄まじい威力だった。ああ…今思い出しても…クゥっ!」

 

何でちょっと興奮してんの?

 

 

「ふふ、我が爆裂魔法は何者も抗う事など叶わず…でも、カズマの活躍も目覚ましかったです。私を素早く回収していきましたし、そのあとキャベツをスティールしていきましたし。」

 

「そうね。クリスに教えてもらった盗賊スキルを使って気配を消してどんどんキャベツを収穫していたわね。 カズマ……アクアの名において、あなたに【華麗なるキャベツ泥棒】の称号を授けてあげるわ。」

 

「やかましいわ!そんな称号で呼んだらはったおすぞ!」

 

ああもう!新しく入ったダクネスはクルセイダーなのに壁役にしかならないし! もう嫌だこんなパーティ!

 

 

「でも、キャベツ狩りで一番目立ったのはやはりハルキですね。」

 

「?誰だ?そのハルキというのは?」

 

そう、ハルキだ。新しく装備した銀色の棍棒とゴロゴロのスキルでどんどんキャベツを狩っていった。途中強すぎてキャベツが炭になっていたけど、多分誰よりもキャベツを倒していたな。 あれ?そういえばハルキは?

 

 

「お~い!カズマ~! なーにしてんの~?」

 

横からハルキがえらい上機嫌でやって来た。あれ?ハルキの右手に持ってるのアクアがよく飲んでるシュワシュワじゃね? てことはハルキは酔ってるのか?

 

 

「モヒカンのオッサンがな~、いよっ!雷使いの兄ちゃん!とか言ってこのシュワシュワをくれたんだよ! 酒って初めて飲んだけど旨いな!」

 

完全に出来上がってるな…まぁ、この世界は未成年でも飲めるしな。 あ、そういやダクネスは初対面か。

 

 

「君がハルキか? 私はダクネス。クルセイダーを生業としている。 新しくカズマのパーティに入れて貰ったのだ。」

 

「おー!俺はカシワダハルキだ! 良かったなカズマ! いい人そうで!しかも美人じゃんか!ヤハハハハ!!」

 

おいハルキ!お前エネルと同じ笑い方になってるぞ!?それにお前も知ってるだろ!?コイツのドMっぷりを!ああ、今のハルキは酔ってるんだった…。

 

「そういえば他の冒険者も言ってたな。なんでもハルキは凄腕の雷使いだとか、皆が噂してたぜ。」

 

「それはそうですよ。ハルキの雷魔法に比べればカズマはキャベツか下着をスティールするくらいですから。」

 

「めぐみんはさっき俺の活躍を誉めてたよな!?なんで今になって貶すんだよ!こうなりゃ、もう一回ひんむいてやる!スティール!!」

 

めぐみんに向かってスティールを使うも、俺の手にあったのはダクネスの下着だった。

 

「あ、あれ!?なんでダクネスのなんだ!?」

 

「カズマ…最低ね…。」

 

「カズマじゃなくてクズマですね。」

 

「さ、さすがカズマ…!」

 

「ち、違…!」

 

「おいおいカズマ…。」

 

するとハルキがいきなり真剣な顔になった。 まさかハルキはこういうのは許さない真面目タイプか!?

 

「明日冒険者に転職するから、俺にそれ教えてくれ。」

 

「お前は真剣な顔で何言ってんだ。」

 

あれ?もしかしてハルキはクズ(こっち側)なのか?

 

「よっしゃ!モヒカンのオッサンともう一度飲み比べしてくるな! じゃあなカズマ!」

 

そう言ってハルキは他のテーブルに行った。 べろんべろんの状態で…ハルキのテーブルには屈強な冒険者達がジョッキを片手にイッキ飲みしている。 ハルキ…酒初めてなんだろ?もうちょっと飲むの押さえろよ…。

 

 

「だっしゃぁーーーっ!!!ナンボのもんじゃい!!」

 

 

ああ、酒を飲むとハルキもまともじゃなくなるのか…俺、魔王討伐とか無理な気がしてきた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カズマ「このすば…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハルキside

 

 

おはようございます。ハルキです。 キャベツ狩りから2日が経ちました。え?何で1日空いてるのかって? 二日酔で1日宿にいました…。初酒を飲み過ぎて気持ち悪かった…。2日目でようやく治ったので現在ギルドで朝食食ってます。

 

 

「ねぇ、ひょっとしてキミがカシワダハルキ?」

 

「んあ?」

 

顔をあげるとボーイッシュな銀髪の少女がいた。

 

 

「俺がカシワダハルキだけど…お前は?」

 

「あたしはクリス。見ての通り【盗賊】だよ。ちょっとキミと話がしたくてね。」

 

そう言ってクリスは俺の前の椅子に座る。 話したい?はて?初対面なんだが…。

 

「最近アクセルで噂になってる凄腕の雷使い。そこそこ有名人なんだよキミ。 初心者殺しを一人で討伐とか、大量のキャベツの収穫とかね。」

 

ふーん。自分じゃあんま自覚無かったけどな。一昨日もみんな雷使いの兄ちゃんとか呼んでたけど。

 

「それで本題なんだけど、ちょっと付き合ってくれないかな?」

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 クリス「このすば!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【探索クエスト!】

【街外れの洞窟を調査せよ!!】

 

 

 

 

「ごめんね。急にクエストに付き合わせちゃって。」

 

「別にいいさ。暇してたし、試したいスキルもあるし。」

 

酒場でクリスが話した頼みとは一緒にクエストを受けてくれとの事だ。探索自体はクリスにとっては朝飯前らしいが道中に危険なモンスターの巣が近くにあるらしい。そこでクリスは俺にボディーガードを依頼してきた。 まぁ、クリスの依頼も山分けらしいから俺にとっても悪くない話だ。それにキャベツ狩りでレベルが上がって覚えた新スキルを使えるいい機会だ。

 

「ところで、危険なモンスターって一体何なんだ?手練のクリスでも難しいのか?」

 

「一撃熊っていうモンスターだよ。こいつが中々に厄介者でね。ある意味このクエストの一番の難関なんだ。」

 

一撃熊。たしかギルドの掲示板にも討伐クエストとして貼られていた。 金額からして初心者殺しより強いらしい。

 

「ま、とりあえず俺はクリスの探索の邪魔にならないように敵をボコシメにすればいいんだろ?」

 

 

「ボ、ボコシメ? まぁ、頼もしいよ。よろしくねハルキ。」

 

笑顔で答えるクリス。 しっかし、クリスねぇ…そういえばどっかで聞いたような…あ!もしかしてカズマにスキルを教えたのって…!

 

 

「なぁ、クリスってカズマに──」

 

「ちょっと待って!索敵に引っ掛かった!」

 

 

話をしようとした俺を止め、茂みの方角を警戒するクリス。 すると、大きな足音とともに巨大な体躯をした熊が現れる。こいつがさっきクリスが話した一撃熊だろうか?うっはデッカー!

 

 

「ガアァァァァ!!」

 

「気がたってる…!今の状態は危険だよ!一旦離れて──」

 

「なークリス。こいつが一撃熊でいいのか?」

 

「そうだよ!ていうか呑気すぎだよキミ!?」

 

 

クリスは一撃熊と距離をとるが俺はお構い無しにクリスと会話する。俺の態度に腹をたてたのか、一撃熊はさらに怒る。

 

 

「ゴアァァァァァァァァ!!」

 

 

「さっきから…何喚いてんだ?鬱陶しい熊め!!」

 

俺は空に向かって腕を振り上げる。すると一撃熊の頭上に雷の塊が現れる。

 

 

神の裁き(エル・トール)!!!」

 

 

 

ドガァァァァァン!!! ゴロゴロゴロ…!

 

 

一撃熊に巨大な雷をお見舞いしてやった。 砂煙が晴れると一撃熊の亡骸があった。 神の裁き(エル・トール)を食らって原形があるモンスターは初めてだ。熊が固いのか、俺の実力不足か…。

 

 

「うわぁ…これがハルキの雷魔法…凄い威力…!これがハルキの試したかった魔法なの?」

 

「うんにゃ、ついいつものスキルを使っちまった。別の場所で使うか。行こうぜクリス」

 

 

 

 

 

 

 クリス・ハルキ「「この・すば!」」

 

 

 

 

 

 

「薄暗いな、松明だけじゃよく見えねぇ。」

 

「暗視スキルがあればいいんだけど…あたししか使えないしね。」

 

一撃熊を倒した俺達は街外れの洞窟にたどり着いた。 クリスを先頭に奥へと進んでいくが中は暗く松明が役にたたん。

 

「そういえばハルキ。さっき聞きたかった事って何?」

 

「ああ、この前カズマ達が話してたけどクリスってカズマに盗賊のスキルを教えたのか?」

 

「あー、うん…潜伏スキルとかスティールとか…ね。」

 

?歯切れが悪いな、教えたくなかったのか? …あ、まさかカズマ…。

 

「もしかして、教えてる途中でカズマに下着でもスティールされ──」

 

「わー!わー!言わなくていい!言わなくていいから!」

 

やっぱりか。カズマめ、クリスのような美少女の下着をスティールするなんて羨まけしからん。それもあいつの幸運が成せる事か。俺も運が高ければ【冒険者】になってたのにな。

 

「もう…恥ずかしいこと思い出させないでよ…あれ?これって…。」

 

「ん?どうしたクリス…なんだこれ?トーテム?」

 

通路を抜け広い空間に出た俺達。だがクリスが立ち止まった所には骨で出来たトーテムのようなものがあった。しかも近くに歪な形の松明があるし、知性があるモンスターがいるのかもしれないな。

 

「人間の仕業じゃないよね?だとしたら…!?ハルキ!後ろ!」

 

「ギャギャギャ!!」

 

「ん?」

 

 ブォォォン!!

 

クリスに言われ後ろを振り向くと小さなゴブリンが襲いかかって来た。木の棍棒で殴りかかってくるが、反応が早かった俺はすかさず自然変化(ロギアへんげ)で受け流す。

 

「ギャギャ!?」

 

「…悔い改めろ。」

 

 ビリリッ!!

 

 

ゴブリンの額に人差し指を当てて電気を流す。電気を浴びたゴブリンは口から煙をあげて倒れる。

 

 

「ハルキ!大丈夫!?」

 

「おお、心配いらねぇよ。それよりクリスは俺の後ろに、敵さんが団体で来やがった。」

 

洞窟の奥から大量のゴブリンがこの空間にやってくる。一体だけ一際デカイゴブリンがいるな、アイツが親玉か?

 

「クリス!新スキルを出すから伏せろ!」

 

「ええ!?洞窟で派手な魔法は危ないって!」

 

稲妻(サンゴ)!!」

 

 

 バリリッ!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

稲妻(サンゴ)

言ってしまえば神の裁き(エル・トール)の劣化版だ。稲妻(サンゴ)は腕を雷に変換し相手に向けて放つスキルだが、これを圧縮し巨大化したものが神の裁き(エル・トール)だ。神の裁き(エル・トール)に比べて威力は下がるが出が速いし加減がしやすい。エネルのは原作でシャンドラの上層遺跡をぶっ壊すくらいの威力だったが、俺はかなり抑えて撃った。最近はようやく調整に慣れてきた、これなら先制技にはもってこいだ。この洞窟でもある程度は使えるな。

 

「うん、いい感じだ。」

 

「ちょっとハルキ!危ないから雷魔法はダメだって!洞窟が崩れちゃうよ!」

 

「悪かったって、というか倒し損ねてるな三匹ほど。」

 

「もう…あたしは小さいゴブリン二匹をどうにかするからあの大きいゴブリンをお願い。なるべく暴れないで。」

 

クリスが念を押してくる。 俺も生き埋めになるのはごめんだ。 素直に棍棒で倒すか。

 

「バインド!」

 

「!?ギャーギャギャ!?」

 

クリスは自身の荷物からワイヤーのようなものを取り出しゴブリン達に向けてスキルを発動する。 するとワイヤーがゴブリン達を拘束しその隙にクリスがマジックダガーでトドメをさす。 おー鮮やかだな。さすが手練の盗賊。

 

「さて!こっちも終わらせるか。覚悟しろよデカゴブリン!」

 

「グギャギャ!!」

 

 

ブォォォン!!

 

 

バチッ!!

 

俺は棍棒を構えデカゴブリンと対峙する。 デカゴブリンは雄たけびをあげながら俺に拳を振り下ろす。 だが雷速移動でデカゴブリンの背後に回り攻撃を避ける。 デカゴブリンの拳は空を切る。

 

「オラ!!」

 

ドカッ!!

 

 

「ッ!?グギャ!!」

 

「トドメ!!」

 

 

ガゴォォォォン!!!

 

 

「グギャ…ギャ…。」

 

左頬を狙った一撃でデカゴブリンを叩く。 モロに受けたデカゴブリンはよろめき尻もちをつくが、そのまま脳天を狙って全力で棍棒を振り下ろした。 デカゴブリンは絶命し、地に伏せる。

 

 

「うっし!終わり!」

 

「あ…さっきの雷で奥への道が崩れちゃってる…。 仕方ない、ゴブリンの巣があったとだけギルドに報告しよう。 出ようかハルキ。」

 

 

 

 

 

 【クエスト完了!】

 

 

 

 

 ──ギルド 掲示板前──

 

 

「いい?ハルキの魔法は強力だけど同時に凄い危険な魔法でもあるんだよ? 使う場所は考えてね!」

 

「はい…すんません…。」

 

俺は現在、クエスト報告を終えたクリスに説教されてます。 洞窟の奥が崩れてしまったのでちゃんとした調査は出来ず、ゴブリンの巣があったということしか分からなかった。 一応クエスト完了ということなので報酬は貰えた。

 

「まぁ、キミがいなかったらクエスト達成は難しかったろうから、ちゃんと山分けするね。 はいこれ、報酬の5万エリス。」

 

「おう、サンキュー。 ところでクリスはこれからどうすんだ?」

 

「キミのおかげで大分楽させてもらったから、別の冒険者パーティともう一回クエストに行ってくるよ。 それじゃまた何かあったらよろしくねハルキ!またね!」

 

そう言ってクリスは他の冒険者達と一緒にギルドを出ていった。 真面目な奴だな。 さて、俺は今日は休もう。 しばらくは軽めのクエストにしてスキルの威力調整をやるか。

 

 

 

 

 

 

 ──それから数日後──

 

 

 〔緊急!緊急! 冒険者各員は至急正門前に集まって下さい!繰り返します!冒険者各員は至急正門前に集まって下さい!〕

 

宿屋で惰眠を貪っていたら緊急のアナウンスで起こされた。 はぁ…また野菜の収穫か?

 

 

 

 

 

 ハルキ「このすばぁ~」

 

 

 

 

 

 正門前に着くと街の外にはある一体のモンスターがいた。首のない馬に乗り、自身の首を左手に持った騎士 デュラハンだ。

 

 

「俺は最近この近くに住み着いている魔王軍幹部の者だが…。」

 

 

デュラハンはぷるぷると震えながら──

 

「ま、毎日毎日…おお、俺の城に!俺の城に毎日爆裂魔法を撃ちこんでくる!あ、頭のおかしい大馬鹿者は誰だァァァァーーーー!!!!!」

 

 

 

尋常じゃない怒りの叫びをあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作者が今悩んでいること。



エネル顔を出すかどうか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この雷人間と怒りのアンデッドを!

い、いつのまにか100件以上もお気に入りが…


ホントにありがとうございます!


 

 

 カズマside

 

 

 

「毎日俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでくる頭のおかしい大馬鹿者は誰だァァァァーーーー!!!!!」

 

…突然やって来た魔王軍の幹部のデュラハンは、それはそれはお怒りだった。 ここ最近俺とめぐみんで爆裂魔法を撃ち込んでいた廃城は奴の城だったようだ。隣のめぐみんを見ると冷や汗を大量にかいていた。 他の冒険者達の視線を浴びながら、覚悟を決めためぐみんはデュラハンの前へと向かう。

 

 

「貴様が…貴様が毎日爆裂魔法を撃ち込んできた大馬鹿者か!俺が魔王軍の幹部だと知っていて喧嘩を売っているなら堂々と攻めこんでくるがいい!それが嫌なら、街でガクガク震えているがいい!ねぇ、何でこんな陰湿な嫌がらせするの!?ただえさえこの辺りは不規則に雷がよく落ちるというのに、調子に乗ってポンポンポンポンポンポンポンポン撃ち込みにきおって!頭おかしいんじゃないのか貴様ーーーー!!!!!」

 

めぐみんに向かって凄い怒りをぶつけるデュラハン。… あれ?アイツ今雷がよく落ちるとか言わなかったか?

 

「………。」

 

近くにいたハルキを見るとめぐみんと同じ量の冷や汗をかいていた。

 

「おいハルキ、お前何をした。」

 

「エ?ナニガ?ナニモシラナイヨ?」

 

「嘘つけ!最近晴れ続きなのに雷がよく落ちるっていってたぞ! 明らかにお前のせいだろ!」

 

「ちょ、ちょっと待てカズマ! まずは俺の話を聞け!」

 

 

 

 ──回想──

 

 

それはクリスとのクエストが終わった翌日。今日はクエストは受けず森を歩いていた。 アクセルから離れた場所でスキルの特訓をするためだ。雷も強弱をつけて使いやすいようにすれば、昨日のようにはならんだろう。

 

「この辺りなら騒音がしても大丈夫だろ。なんか手頃な目標でもあれば…ん?あれは…。」

 

遠い場所に建っていたそれは廃城だった。うん。人が住んでる気配もないしあれでいいか。 まずはいつもの力加減でスキルを使ってみよう。

 

 

神の裁き(エル・トール)!!」

 

 

ドガァァァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

廃城に雷を落とす。今までは出力とかはあまり気にしなかったが、放電(ヴァーリー)なんかは100万から2億Vまで変えられるから他のスキルでも出来ると思う。 試しにやってみるか。

 

 

「MAX2億V 神の裁き(エル・トール)!!」

 

 

 ドガァァァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

うわ!さっきよりも凄まじい雷に変換した! でもかなりの魔力が持っていかれるな。にしてもあの城びくともしない…まぁいいか。強弱は掴めた、あとは慣れだ。 クエストを受けながら時々こうして練習しよう! こうして俺は時々ここに来て城に向かって雷を撃ち込んだ──

 

 

 ──回想終了──

 

 

 

「ってな訳さ。」

 

「お前じゃねーかぁ!!!」

 

 

 

 カズマ・ハルキ「「このすば!!」」

 

 

 

 

 ハルキside

 

 

カズマに怒られた俺はデュラハンの元まで歩く。ああ…後ろの冒険者達の視線が痛い…。

 

 

「我が名はめぐみん!紅魔族随一のアークウィザードにして、爆裂魔法を操る者!」

 

「…めぐみんってなんだ。馬鹿にしてるのか?」

 

「ち、違わい!」

 

めぐみんの近くに来たらなんかコントみたいなことしてるし。

 

「ん?何だ貴様?俺は今この頭のおかしい紅魔の娘と話しているのだ!」

 

「おい。誰の頭がおかしいのか聞こうじゃないか。」

 

「あーえっと…先程言っていた雷の事なんですけど…あれはその…俺のせいでして…。」

 

「…貴様かァァァァーーーー!!!!! 貴様もこいつと一緒に雷魔法を撃ってた馬鹿者か!なーんか天気不安定だなーって思ったら貴様の仕業かー!!」

 

「そうですか。ハルキも私と同じ穴の(むじな)でしたか。」

 

「いや、俺は時々だから!お前と一緒にすんな!」

 

 

「とにかく!俺はある調査の為にここに滞在している。貴様らがちょっかいを出さなければ手を出さん。攻められたくなければもう爆裂魔法と雷魔法を撃ってくるな!分かったな。」

 

まぁ、仕方ない。いくら相手が魔王軍幹部とはいえ今回は俺達が悪い。 それに大軍で来られても困るからな。スキルは使わんとこ。

 

「それは無理です。紅魔族は一日一回爆裂魔法を撃たねば死んでしまうのです。」

 

「おい!聞いたことないぞそんな話!」

 

「すぐバレる嘘をつくなお前は!」

 

どんだけこいつは爆裂魔法を撃ちたいんだよ!?

 

 

「ふん!そこの男は聞き分けは良さそうだが、貴様はどうあっても爆裂魔法をやめない気か!俺も魔に堕ちた身だが元は騎士よ。 弱者をいたぶる趣味はないが、貴様がその気ならこちらにも考えがあるぞ…!」

 

めぐみんは一歩前に出て叫ぶ。

 

「迷惑なのはこちらの方です!あなたがこの近くに住み着いたせいでろくなクエストを受けられないのです! ですがそれも今日まで!こっちには対アンデッドのスペシャリストがいるのです!アクア先生お願いします!」

 

「しれっとアクアに丸投げしたよこいつ!」

 

すると、先生と呼ばれてまんざらでもないのか、笑顔でアクアがやって来た。

 

 

「任されたわ! 覚悟しなさいこのクソアンデッド! 力の弱まる昼間に出てきたのが運のツキね!あんたを浄化して懸賞金をいただいてやるわ!」

 

デュラハンは首を前に突きだしアクアをまじまじと見る。

 

「ほう、貴様アークプリーストか。 だが駆け出しのプリーストに浄化される俺ではないわ! 紅魔の娘! 貴様に呪いをかけてくれる!」

 

するとデュラハンの右手の人差し指から黒いもやのようなものが飛んできた。

 

「汝に死の宣告を!一週間後に貴様は死ぬだろう!」

 

 

 

 ダッ!

 

「ぐあぁぁ!!」

 

「「ダクネス!!」」

 

俺とめぐみんの前に出たダクネスが俺達を庇い呪いを受ける。 黒いもやがダクネスの全身を包み、 もやが晴れるとダクネスが立ち上がる。 外傷などはないようだ。後からカズマもダクネスに駆け寄る。

 

「ふ…少し予定が狂ったが、まぁいい。紅魔の娘よ!その騎士に呪いをかけた! 一週間後に貴様の仲間が死ぬだろう! 己の浅はかさと愚かさを知るが──」

 

稲妻(サンゴ)

 

「ヌッ!?」

 

 

 バリリッ! ゴロゴロゴロ…!

 

デュラハンが喋っていたが関係ない。 俺はデュラハンに稲妻(サンゴ)を繰り出した。デュラハンは回避が間に合わず腕に雷が僅かに当たる。

 

 

「…いくら敵でも今回悪いのは確かに俺達だ。お前の文句も甘んじて受けるつもりだったけどな、俺の友達に手ぇだすなら、容赦しねぇぞ首なし野郎!」

 

「ほう、いい目だ。 貴様と闘うのが楽しみだ。だが俺がいい舞台を用意してやろう。呪いを解いてほしくば我が城にこい!」

 

「なんということだ!つまりお前は、呪いを解いてやる代わりに城に来てその身を差し出せというのか!?」

 

「「ファッ!?」」

 

いきなり後ろにいたダクネスが叫びだす。あるぇー?なんで顔赤くして興奮してるの?

 

「くっ!呪いを解く代わりにアンデット達に連れられあんな事やそんな事…!ああ!どうしようカズマ!「はいカズマです。」これは予想外に燃えるシチュエーションだ! 行きたくはない!行きたくはないのだが…! 仕方ない!止めるなよカズマ「うんカズマだよ。」出来るだけ抵抗してみる!では!行ってくりゅ!」

 

息を荒くしながらデュラハンに向かっているよ!?あのドMが! さっきまでこっちが真面目にやってんのに!俺とカズマで変態を羽交い締めにする。

 

「おい行くな!デュラハンの人困ってるだろ!」

 

「俺のシリアスな雰囲気返せこの変態!」

 

「きちぃ…」

 

 

 

 ダクネス「このすばぁ!!」

 

 

 

呪いを解いてほしくば城にこい。 そう言い残しデュラハンは去った。 心なしか疲れてたが…… デュラハンが去った後、めぐみんは一人で歩き出す。

 

 

「どこに行くんだ?めぐみん。」

 

「…ダクネスが呪いを受けてしまったのは私の責任です。だからこれは私一人で…。」

 

するとカズマはタメ息をついてめぐみんの肩を叩く。

 

「悪いのは俺とハルキもだ。 アイツの城だと気がつかなかった俺の責任でもあるし、ハルキも雷撃ちまくってたし。」

 

あ、ちゃっかり俺も入ってるし。 まぁ、このままって訳にもいかないな。

 

「ああ、だから背負い込むなよ。 そこで何故か落ち込んでる変態の呪いをちゃっちゃと解きに行くぞ!」

 

 

「二人とも…ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「 セイクリッド・ブレイクスペル!!」

 

 

パァァァとダクネスの体が光に包まれる。 アクアの浄化魔法だ。

 

 

「この私にかかれば呪いなんて一発よ!ねぇ、凄いでしょ!? よっ!花鳥風月!」

 

 

呑気に宴会芸を披露するアクア。 いや…空気読めよお前…。 デュラハンの城に用事が無くなったじゃん…もういいや!なんかどっと疲れた!

 

 

 

 

 




次回はあのアンデッドが登場します!



あ、あとあの勇者(笑)も出す予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この冒険者に決闘を!

 

今回はカズマ回です!


いつゆんゆん出そうかな?


 

 

 ハルキside

 

 

おはようございます。ハルキです。デュラハン騒動から数日が経ちました。 アクアの浄化魔法によって呪いが無くなったダクネスは元気にカズマ達とクエストに行っている。

 

「ギルドのお姉さんに勧められた魔法道具店ってのは…いまだに道が分からん…。」

 

俺はクエストには行かずに魔法道具店を探していた。 これまで戦いをしてきて俺は気づいた事がある。 それは──

 

「魔力が桁違いとはいえ、エネルみたいにポンポンと技が撃てないんだよな…。」

 

そう、原作のエネルは無限並のエネルギーを操れるのだが俺は違う。 2億Vの雷を撃つとかなりの魔力が持っていかれるのだ。 エネルはポンポン出せるのに…。この世界での仕様なのか、周りの冒険者には魔法として認識される。 実際スキルにもなってるのでワンピースの世界のようには出来ないようだ。 この前アクアに聞いてみたら…。

 

 

 

 ──回想 ギルドの酒場──

 

 

 

 

「しょうがないから教えてあげるわ!いい?ハルキやカズマのいた日本もこの異世界も確かに実在するの。でもマンガとかの世界は創造物なの。だから創造物の世界から持ってきた特典を選ぶとその世界の仕様になるわ。」

 

「その世界の仕様?何だそりゃ?」

 

「例えばこの世界では魔法や技もスキルとして習得するでしょ? だから悪魔の実の能力者の技もこの世界では魔法扱いなの。使っていれば魔力も減っていくし、習得するにもポイントが必要。 あくまでもこの世界の雷人間になるの。」

 

ここでアクアの隣にいたカズマが話に入る。

 

「てことは悪魔の実の能力者の技もスキル扱いなら、俺でも習得出来るのか?」

 

「出来ないことはないけど、冒険者カード見てみなさいよ。」

 

「え?な、何だこれ!? 神の裁き(エル・トール)にスキルポイント50!?こんなに必要なのか!?」

 

「あれ?俺の時は5ポイントくらいだったけどな?」

 

アクアはシュワシュワを飲みながら話す。

 

「能力者じゃない人が習得するには何倍ものポイントが必要だし、威力もかなり落ちるの。 カズマじゃ無理ね。」

 

タメ息をついてがっかりするカズマ。 俺も正直少しへこんだ……エネルのような無双は出来ないってことだ。 やっぱり考えて闘うようにしないとな。

 

「まぁ、私がハルキの担当だったら悪魔の実なんてあげなかったけどね。 それよりも写○眼の方がいいわよ!」

 

「仕事しろよ女神様…てかお前ナ○ト派なの?」

 

 

 

 ──回想終了──

 

 

てな訳で、ゴロゴロ無双が出来ないってことだ。 そこで俺は魔力切れを考えて回復アイテムの購入を考えた。めぐみんみたいに撃ったら倒れるなんてことにはならないために魔法道具は必要だ。 高難易度のクエストをこなしてまだお金に余裕があるからな。ギルドのお姉さんに聞いてみたらここを勧められた。

 

「ウィズ魔法道具店ねぇ…。」

 

 

道具店に着いた俺は店のドアを開ける。 店内は道具が綺麗に並べられて、カウンターの奥に店主らしき綺麗な女性がいた。フム、大きい……どこがとは言わんけど。

 

「いらっしゃいませ。 何をお買い求めですか?」

 

「魔力を回復するアイテムが欲しいんだ。 この店に置いてるかな?」

 

「はい!魔力切れを回復するアイテムならこちらのマナタイトなど如何でしょう?」

 

店主さんは笑顔でカウンターから鉱石のような物を取り出した。マナタイトと呼ばれたその鉱石は キラキラと美しく輝いていた。

 

「こちらを使うと魔力が一気に回復するんです。 しかもこのマナタイトは最高品質ですよ!」

 

「へー!持ち運びしやすいしいいな! これいくらだ?」

 

「2000万エリスです。」

 

「高いわ!!!」

 

 

 

 

 ウィズ「このすば!?」

 

 

 

 

「ハァ…品質は低くていいから安めのとかないの?」

 

「で、ではこちらのマナタイトはどうでしょう? 品質は低くなりますが充分回復しますよ? こちらは10万エリスです。」

 

とりあえず安めのマナタイトを2つ購入する。 改めて品揃えを見るとかなりの魔道具が置いてあるな。

 

「この液体は何だ?回復薬に見えるけど…?」

 

「それは開けると爆発するポーションです。」

 

「危なっ!! …んじゃ、この指輪は?」

 

「それは装備して魔法を使うと自動で爆発する指輪です。」

 

「ただの自殺アイテムじゃねーか!! 爆弾屋かここは!?」

 

「ち、違うんです! これは結婚指輪にして愛する人を外敵から守り抜くというもので──」

 

「外敵以上に危険でしょーが!?」

 

ろくな物を置いて無いな。 この店主さんは商才が全然無いな。

 

「うう…何でなんでしょう…売れると思って仕入れたのに全く売れないんです…。」

 

「あー、店主さん。 客の俺が言うのもなんだが、駆けだしの街で2000万エリスのマナタイトは売れねぇし、置いてる品と場所を間違えてるからなぁ。 もう一度仕入れを確認してみたらどうよ?」

 

「は、はい! もう一度見直してみます! あ、それと私のことはウィズと呼んでください。」

 

「んじゃウィズ、俺はハルキでいいよ。 定期的にマナタイトを買いにくるから、また来るな。」

 

「はい!ハルキさん、ありがとうございます。また来てくださいね。」

 

 

こうして俺はウィズの店を出た。 商才ゼロな店だけど、まぁ人が良さそうな人だし、定期的に買い物してやるか。 店のお得意様になるのはそう遠くないかもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カズマside

 

 

あーわーれー女神ー売られてゆーくーよー。

 

ハァ…アクアの奴ずっと壊れた檻に引き込もってやがる…。 アクアは今回の湖の浄化クエストで散々な目にあった。 さすがに可哀想なのでクエストの分け前は全部アクアのに外に出たくないと言ってきた。

 

「アクアは大丈夫なのでしょうか? 凄いトラウマを植え付けられましたね。」

 

「ああ、ブルータルアリゲーターが檻を壊して振り回していたからな。 一人で檻に入れられ湖に取り残され襲われて…ハァァン…!」

 

「お前…今うらやましいって思ったろ?」

 

 

アクアを見ると死んだ眼をしながら運ばれている。 さすがに可哀想なのでしばらくはアクアに優しくしてやるか──

 

「女神様ーーー!!!」

 

すると後ろから立派な鎧と剣を持った男がアクアに近づいて来た。 男はスゴイ力で檻を曲げる。 ってオイオイ!?何だコイツ?

 

「何をしているのですかアクア様!? さぁ!早くこちらに!」

 

「おい、私の仲間に勝手に触るな。貴様何者だ。」

 

ダクネスが男の肩を掴み止めにかかる。 その姿はまさしく仲間を守るクルセイダーだ。 ダクネスとめぐみんが男を止めている間にアクアに話しかける。

 

「おいアクア、 あいつ誰だ? お前を女神って呼んだぞ?」

 

「……女神?」

 

「そうだよ!お前を女神って呼んだってことはあいつも転生者なんじゃないのか?」

 

「…そうよ!女神!女神なのよ私は!」

 

こいつ自分の事も忘れてたのか!アクアは直ぐに立ち直って男に話しかける。

 

「私が女神アクアよ! ところで、あなたは?」

 

「お、お忘れですか!? ミツルギキョウヤです! 貴方に魔剣グラムを頂いた!」

 

「…あー!いたわね! そんな人。 ごめんね。」

 

テヘペロと謝るアクア、 落ち込んでるぞこの男。 するとミツルギは立ち直って俺に話しかける。

 

 

「なぜアクア様が檻に入れられていたんだ? 教えてくれ。」

 

 

 

 

 カズマ・アクア「「このすば!!」」

 

 

 

 

「ハァァ!!?アクア様を檻に入れて湖に取り残した!?君は一体何を考えているんだ!!」

 

ミツルギは怒りながら俺の胸倉を掴む。

 

「おい!カズマから手を放せ!さっきから何なんだお前は!」

 

「ちょっと爆裂魔法を撃ちたくなってきました。」

 

「おいそれはやめて、俺達も死ぬだろ。」

 

 

ミツルギに対してアクアがもう気にしてないと言ってもミツルギは聴く耳をもたない。

 

「アクア様! 貴方は女神なのですよ!? こんな扱いを受けるべきではありません! ちゃんと衣食住は整っているのですか?」

 

「馬小屋で寝泊まりしてるけど。」

 

「貴様ーー!!」

 

さらにミツルギが食ってかかる。 俺を激しく揺さぶるミツルギをダクネスが引き剥がす。

 

「…君はクルセイダーだね? そっちの子はアークウィザードか。 こんな優秀なパーティーメンバーを引き連れておいて馬小屋だと? 君は恥ずかしくないのか!」

 

「おいアクア、冒険者は馬小屋暮らしが普通じゃないのか?」

 

「多分特典であげたあの魔剣グラムで高難易度クエストをバンバンこなしてるのよ。」

 

 

なるほど、こいつはハルキと同じように高難易度クエストをやって金持ちになってるのか。 正直ハルキとは大違いだな。 人の話も全く聞かないし…それに、こいつらが優秀?そんな!片鱗!一度も!見たこと!無いんだが!!

 

「ねぇ君たち、よければうちのパーティーに来ないか?好きな装備も買ってあげるし、毎日宿屋に泊まらせよう。どうかな?」

 

俺を無視してアクア達を誘ったミツルギ。 しかしアクア達は──

 

「ねぇ、あの人ドン引きなんですけど。 ナルシスト過ぎて引くんですけど。」

 

「どうしよう…私もあの男は生理的に受け付けない。 攻められるのが好きな私だが、何故か無性に殴りたいのだが…。」

 

「撃っていいですか?撃っていいですか?」

 

満場一致でNGでした。 まぁ、俺はどっちでも良かったがこいつらが嫌だってんならしょうがないよな。

 

 

「そういう訳だから、じゃあ。」

 

「待て!」

 

歩き出した俺の目の前に立つミツルギ。

 

 

「…退いてくれます?」

 

「いや、やっぱり諦めきれない!」

 

どうしよう…このあとの展開は目に見えてる。

 

「僕と決闘をしてくれ! 僕が勝ったらアクア様を譲ってくれ。 君が勝ったら何でもひとつ言う事を訊こう!」

 

「よしわかった!行くぞーー!!!」

「え?ちょっま!」

 

相手は特典持ちだ!先手必勝! 直ぐに襲いかかった俺の一撃をなんとか魔剣で受け流す。だが──

 

 

 

 「スティーール!!!」

 

「!ック!!」

 

 

すかさずスティールを発動し、俺の左手にミツルギが持っていた魔剣グラムがあった。

 

「ほいっと。」

 

ベゴォォン!!

 

「はごぉす!!?」

 

奪った魔剣グラムの腹でミツルギの脳天に振り下ろした。 ミツルギは白目をむいて倒れる。 よっしゃ!勝った!戦利品としてこいつはいただこう。

 

 

「ひ、卑怯者!!卑怯者ーーー!!!」

 

横からミツルギの取り巻きの女の子二人が叫んだ。 卑怯? 魔剣を使って決闘を挑んだこいつが卑怯だろ?

 

「この勝負、俺の勝ちって事でいいよな? 魔剣は貰っていくぞ。」

 

「嫌よ!その魔剣を返しなさい!その剣はキョウヤにしか扱えないのよ!」

 

「え?そうなの?」

 

「魔剣グラムはその痛い人限定よ。」

 

俺の疑問にアクアが答える。 …どうしようかな?

 

「まぁ使えないとしてもいいか、売ろう。」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! あんな勝負認めないわ! 私たちが相手よ!」

 

取り巻き二人が武器を構えるが、俺は二人に対して右手を向ける。

 

「…真の男女平等主義者な俺は、女の子相手でも平気でドロップキックをかませる男。 手加減してもらえると思うなよ。 公衆の面前で俺のスティールが炸裂するぞ。」

 

「「ヒィィッ!!」」

 

「ホーレホーレホホーレ!」

 

右手を動かしながらジリジリと近づく。 取り巻き二人は悲鳴をあげながら逃げていった。 アクア達と周りの人の目が痛い…やり過ぎた…。

 

 

 

 

 

 アク・めぐ・ダク「「「このすば…。」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハルキside

 

 

「おはようさん、カズマ。」

 

「おうハルキ、おはよう。」

 

 

ウィズの店で買い物した翌日。 朝食を食べにギルドに入った俺は同じく朝食中のカズマ達に会った。

 

 

「昨日はクエスト受けなかったのか?何してたんだ?」

 

「あぁ、ちょっとショッピングをな。 ところで──」

 

 

 

「なぁんでよォォーーー!!!」

 

 

「何でアクアは朝から荒れてんだ?」

 

「昨日のクエストで魔獣用の檻を壊してな、修理の請求がアクアにきたんだ。」

 

魔獣用の檻を壊したって…どんなクエスト受けたんだよ…。するとアクアが意気消沈しながらやって来た。

 

「お、おはようアクア。 そんな朝から落ち込むなって。」

 

「…クエスト報酬が30万エリス、檻の修理が20万エリス…それもこれもあの痛い人のせいよ! 次会ったらゴッドブローしてやる!」

 

ギリギリ歯ぎしりしながらメニューを見るアクア。 マジで昨日何があったんだ?

 

 

「見つけたぞ!佐藤和真!」

 

突然響いた声の方を振り向くと立派な鎧を纏った男が女の子二人を連れていた。

 

「君の事は色んな人から聞いたよ。 公衆の面前でスティールを使う鬼畜のカズマだってね!」

 

「おい!誰がそれ広めたのか詳しく!」

 

男はアクアの前に立ちアクアに話しかける。

 

 

「アクア様、僕は決して貴方を諦めません。ですからどうか、僕とパーティーを──」

 

 

ゴッドブロー!!

 

「グボォォーー!!」

 

いきなり右ストレートをかますアクア。 うーわ、盛大に飛んだよあいつ。

 

「ちょっと!アンタが昨日壊した檻の修理費30万エリスよ!? 全額払いなさいよ!」

 

 

さっき20万エリスとか言ってなかったか? 10万ぼったくったぞ。 アクアは男から金を受けとり上機嫌で唐揚げを注文する。金を支払った男は立ち上がっていきなりカズマに頭を下げた。

 

「佐藤和真。 昨日はズルい手でも勝者は君だ。 だが頼む!魔剣を返してくれないか! 虫のいい話なのは承知してる。だが、魔剣がないと僕は──」

 

「おーい、お前さん。」

 

「え?君は?」

 

「カズマが魔剣を所持していない件。」

 

俺がそう告げると男がカズマを見て顔をひきつらせる。

 

「さ、佐藤和真…魔剣は? 僕の魔剣は…?」

 

 

 

 

 

 

 「売った。」

 

チックショーーー!!

 

大声で叫びながらギルドを走り去っていった。 取り巻き二人が慌てて追いかけている。

 

「なぁ、何今の?」

 

「それがですね──」

 

それまでずっと食事していためぐみんが説明する。

 

 

 ~少女説明中~

 

 

「ヤーハッハッハ!! スティールで魔剣を取ったのか! 流石カズマ!機転が利くな ヤハハハ!!」

 

「話を聞いて爆笑するとは…ハルキもどこかずれてますね。」

 

 

 

 ビー!!ビー!!

 

 

 

〔緊急!!緊急!!冒険者各員は至急正門前に集まって下さい!繰り返します!冒険者各員は至急正門前に集まって下さい! とくにサトウカズマさん一行、及びカシワダハルキさんは大至急集まって下さい!〕

 

 

 

 

「「は?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の話の中で独自設定の説明がありました。


このすば世界での雷人間ということにしてみました。なんがデメリット的な要素が欲しかったので…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この雷人間に再び怒りのアンデッドを!




 時々アンデットなのかアンデッドなのかこんがらがっちゃう…。あれ?どっちだっけ?




 

 

 ハルキside

 

 

 召集を受けた俺達は急いで武装し正門前に集まる。重装備のダクネスは少し遅れている。

 

「一体何があったんだ?」

 

「まさかまたあいつじゃ……あー、いたよ」

 

 予想通りそこにいたのはいつぞやのデュラハンだ。ただ今回は後ろに大量のアンデッドモンスターを連れている。デュラハンは俺達と目が合うとプルプル震え始めた。

 

「何で城に来ないのだ!この人でなしどもがァァァァーーー!!!」

 

「「…はぁ?」」

 

 何かスゲェ怒ってんだけど?するとカズマが一歩前に出てデュラハンに問いかける。

 

「何でなんだ?もう爆裂魔法も雷も撃ち込んでいないのに…」

 

「ああ、あれ以来お前の城に近づいてもないぞ?」

 

「撃ち込んでいないだと…!何をぬかすか白々しい!確かに雷は止んだが、そこの頭のおかしい紅魔の娘があれから毎日欠かさず通っておるわ!」

 

 カズマが驚いてめぐみんを見る。だがめぐみんがスーッと目をそらす。そんなめぐみんの頬をカズマが引っ張る。

 

「お前かァァーー!!」

 

「いひゃいれす!いひゃいれす!違うのれすカズマ!今までなら何もない草原に魔法を放つだけで我慢出来たのですが、城への魔法攻撃の魅力を覚えてから…大きくて固いものじゃないと我慢出来ない体に…!」

 

「モジモジしながら答えるな!大体お前は魔法を撃ったら動けなくなるだろ!てことは一緒に行った共犯者が──」

 

 するとアクアがそーっとカズマの近くから逃げようとしていたので俺は肩を掴んで止める。

 

「待ちたまえよ女神様。カズマ、共犯者を捕らえました」

 

「お前かァァーー!!」

 

「いひゃい!いひゃい!だってアイツのせいでろくなクエスト受けられないから!腹いせがしたかったのよ!」

 

 子供かっ! するとデュラハンの方から禍禍しいオーラのようなものが飛んできた。

 

「聞け愚か者ども!この俺が真に頭にきている事は他にある。貴様らには仲間の死に報いようという気概はないのか!俺はこれでも生前は真っ当な騎士だった!その俺から言わせれば、仲間を庇って呪いを受けたあの騎士の鑑のようなクルセイダーの死を無駄にするな…ど…」

 

「い、いやぁ…騎士の鑑なんて…」

 

「アッレェェーー!!?」

 

 いつの間にかダクネスが合流していた。あー、あのデュラハンはダクネスが呪いで死んだと思ってたのか。

 

「なーに?あのデュラハンもしかしてずっと城で待ってたの?帰った後呪いが解かれたと知らずに?プークスクス!ウケるんですけどーー!」

 

「おいおい、煽るな煽るな」

 

 アクアが指を指して爆笑する。デュラハンの奴、もう怒りが頂点に達したみたいだ。

 

「調子に乗るなよ!俺が本気をだせば、こんな駆けだしの街などすぐに滅ぼせるのだぞ!」

 

「アンデッドの癖に生意気よ!今度こそ浄化してやるわ!」

 

 するとアクアの元に愛用の杖が現れる。だがデュラハンは鼻で笑っていた。

 

「前に言ったはずだ。駆けだしプリーストの浄化魔法ごとき効く訳が──」

 

 

 

 「ターンアンデッド!!」

 

ギャャャャーーー!!!アハッハーーー!!!

 

 メッチャ効いてる!? 馬から落ちて転げ回ってるぞ!?

 

「か、カズマさん!どうしよう!私の浄化魔法が効いてないわ!」

 

「いや効いてると思うぞ、ギャャャって言ってるし」

 

 アクアは駆けだしでも一応女神だからな、たかが浄化魔法でもかなり効くはずだ。しばらく転がってたデュラハンはゆっくり立ち上がる。

 

「ぐぅっ…!貴様…本当に駆けだしか? 魔王様の加護を受けた俺の鎧は並の浄化魔法は効かないはず…ええいまぁよい!アンデッドナイトよ!奴等を殲滅しろ!」

 

 デュラハンの掛け声と共に大量のアンデッドナイトが歩きだす。

 

「あ!あいつアクアの浄化魔法が効いてるからってビビって部下にやらせるつもりだぞ!」

 

「ち、違うわい!始めからボスが相手では恰好つかないからな。まずは手下を戦わして貴様らの力量を──」

 

「セイクリッド・ターンアンデッド!!」

 

ギャャャャーーー!!! アハッハーーーー!!!

 

 カズマの言葉を必死に否定するデュラハンだが、アクアが唱えた浄化魔法にまたやられ体からプスプスと煙を出しながら地面を転げ回る。

 

「ググ…もうよい!アンデッドナイト!!奴等に絶望をくれてやれ!!!」

 

 

「ヤベェぞ!プリースト呼べー!」

「誰か教会で聖水ありったけ持ってきてー!」

 

 冒険者が慌てている中、アンデッドナイトは真っ直ぐに走りだした。

 

 

 ……アクアに向かって。

 

 

「え?えぇーーー!!?何で私だけ狙われるの!?私女神なのに!日頃の行いもいいはずなのに!」

 

「ああ!?ずるいぞ!私は本当に日頃の行いもいいはずなのに!」

 

「お、おい!手下達よ!何をしている!そいつだけではなく街の冒険者達に行け!」

 

 デュラハンの命令にも従わず一心不乱に逃げるアクアに迫るアンデッドナイト達。 時にダクネスさん?何で羨ましそうにしてるのん?

 

「さ迷える魂であるアンデッドナイト達は本能的に女神に救いを求めてるのか…」

 

「あー、だからアンデッドにたかられてるのか。難儀な体質してるなあいつ…」

 

 カズマの推察に納得してるとアクアがアンデッドナイトを引き連れて走って来た。ってオイオイオイ!?

 

「カズマさーーん!!!カズマさーーん!!!」

 

「お、おい!バカ!こっち来んな!」

 

 俺もカズマに巻き込まれ一緒に逃げる羽目に。アンデッドナイトは他の冒険者には目もくれない。

 

「カズマさーーん!!!何とかしてー!!!」

 

「おいカズマ!「カズマですけど!?」どうすんだ!?あいつらいっそ俺の雷で──」

 

「いや待て!それよりも……!めぐみん!!爆裂魔法の準備だ!」

 

「は、はい!」

 

 カズマは遠くに逃げていためぐみんに指示をしながらアクアを共にある場所へと走る。その場所は──

 

「アクア!ハルキ!今だ!」

 

「そういう事か!!」

 

「いやァァーー!!」

 

「何!?」

 

 デュラハンの元に走り、アンデッド達を一ヶ所に集める。

 

「めぐみんー!今だー!」

 

「なんて絶好のシチュエーション…!感謝します!深く感謝しますよカズマ!」

 

 めぐみんは杖を向け詠唱を始める。

 

「万象を成し得る根源たる力…太古に刻まれしその記憶…我が呼び声に応え…今ここに蘇れ! 我が名はめぐみん!紅魔族随一のアークウィザードにして、爆裂魔法を操る者!」

 

 

 「エクスプロージョン!!!

 

 

 

 ドゴォォォォン!!!

 

 

 めぐみんの爆裂魔法が発動し、凄まじい爆発がアンデッドを包む。

 

「や、やりました……あうっ」

 

「おんぶはいるかー?」

 

 カズマがめぐみんをおんぶして正門へと向かう。デュラハン共々爆裂魔法に巻き込ませるとは、流石カズマだな。

 

「オォーー!!やるじゃないか!頭のおかしい子!!」

 

「見直したぜ!!頭のおかしい子ーー!!」

 

「カズマ、ちょっと下ろしてください。あの人達ぶん殴ります」

 

「やめなさい」

 

 皆がめぐみんを頭のおかしい子って呼び始めた。あーあ、カズマにおんぶされてるめぐみんがキレてるよ…。

 

「フッフッフ…ハーッハッハ!!面白い…!面白いぞ!!」

 

「!?なに!?」

 

 突如戦場に笑い声が響く。 爆裂魔法によって舞っていた砂煙が晴れるとそこには、無傷のデュラハンが立っていた。

 

「な、何で!?爆裂魔法を受けたはずじゃ…!」

 

「ちっ!手下達が盾になったのか!」

 

 カズマが驚く中デュラハンは体から禍禍しいオーラを放つ。どうやら戦闘体勢に入ったようだ。

 

「手下達を全滅させるとはな、中々のものよ! その強さを認め!この俺が直々に相手をしてやろう!さぁ!このベルディアが相手だ!!」

 

 

 

 【緊急クエスト】

【魔王軍幹部ベルディアを討伐せよ!】

 

 

 

 

 

 カズマside

 

 めぐみんの魔力も空だ!アクアの浄化魔法もハルキの雷も致命傷にはならない!魔王軍幹部なんてどうやって…!

 

「カズマ!」

 

 ダクネスが俺たちの前に立った。 ダクネスでもデュラハン相手じゃ…!

 

 

「ビビる事はねぇ!もうじきこの街の切り札が来る!」

「いや!あの人にばっか頼っていられねぇ!俺達もやるぞ!!」

 

 冒険者達が各々武器を構えデュラハンに突撃していく。

 

「おい待て!数で押してもこいつには……」

 

 ハルキの言葉は届かず、五人でデュラハンを取り囲んだ。

 

「…どうやら先に死にたいようだな」ヒュッ!

 

 するとデュラハンは自身の首を空高く放り投げる。首は魔方陣によって空中で止り俺達を見下ろす。

 

 

「「オォォォォーーー!!!」」

 

 冒険者達が一斉にデュラハンに攻撃を仕掛けるが──

 

 

「…フンッ!!」

 

「「「グァァァッ!!!」」」

 

デュラハンの横凪ぎの一撃で五人とも斬られてしまう。たった一振りで五人も倒されちまった…!ヤバイ…!アイツ本物だ!

 

「フンッ雑魚共め…」

 

「貴様…!よくも仲間を!!」

 

 ダクネスが剣を抜きデュラハンへと駆ける。 あれ?ハルキは…?アイツどこ行ったんだこんな時に!

 

「アンタなんか…!ミツルギさんが来たら終わりなんだから!」

「そうだ!あの魔剣を持った兄ちゃんが来たら勝てるさ!」

 

 他の冒険者達が言っていた切り札ってミツルギの事だったのか!あれ?ミツルギ…?ってことは…ヤバイ!絶対来ない!そいつの魔剣俺が売った!

 

「やはり来るかクルセイダーよ!」

「ハァァァ!!!」

 

 ダクネスとデュラハンが交戦する。ダクネスが全力の力で剣を振るう中、デュラハンは余裕だった。

 

「ぐっ!なんて力だ…!その力で私を痛めつけるのか辱しめるのか…!やれるものならやってみろ!むしろやってみせろ!!」

 

「変な妄想をするな!」

 

「こんな時くらい真面目にやれこの変態クルセイダー!!」

 

「くっくぅ…!二人で言葉攻めとは…!お前達二人は私をどうする気だ!!」

 

「どうもしねぇよ!!」

 

「ちったぁ頭冷やせ!クリエイトウォーター!」

 

「!?」

 

 変態ダクネスの頭に水をかける。だがこのブレない変態はさらに頬を赤くして息を切らす。ん?デュラハンの奴は何で大袈裟に水を避けた?

 

「さらに水攻めまで…どんなご褒美だ!」

 

「ええい!真面目にやれ!」

 

 

 

 しびれを切らしたデュラハンの剣がダクネスに振り下ろされるがダクネスも反応してダクネスとデュラハンの剣がぶつかり合う。 何度か鍔迫り合いになるもダクネスが仕掛ける。

 

「ハァァァ!ヤッ!」

 

「……ヘッ?」

 

 …全部外して岩とか切ってるし!やだもう恥ずかしい!まったく当たんないなんて!

 

「つまらんな…興醒めだ!」

 

 やがてつまらなそうにダクネスを横凪ぎの一閃で斬った。

 

「さて、次の相手は…何!?」

 

「ああ!!新調したての鎧が!」

 

 だがダクネスの馬鹿げた防御力のお陰で斬られたのは鎧だけだった。

 

「何だというのだ貴様は…?あのプリーストやアークウィザードといい、あの雷使いの冒険者といい…!」

 

 ブツブツと呟くデュラハン。今がチャンスだ!俺は奇襲をかける為にめぐみんを近くの岩場に置き、静かに近づく。

 

 

「しまった!」

「今だ!スティーール!!!」

 

 奇襲に成功した俺はスティールを発動する。しかし、俺の手には何もなかった。

 

「今のは少し焦ったぞ。だが、俺は魔王軍幹部だ。レベル差という奴だ。」

 

 後ろからデュラハンの剣が俺の首を捉える。 死ぬのか?また死ぬのか俺は?

 

「私の仲間に手を出すな!!」

 

 ダクネスが剣を捨てデュラハンにタックルを食らわす。しかしデュラハンはびくともせずダクネスを突き飛ばす。

 

「ちょうどいい。聖騎士の貴様の首を魔王様に捧げよう。」

 

 どうする!?何か弱点とか無いのか?このままじゃダクネスが!

 

「死ぬがいい!!」

 

 そしてダクネスの首にデュラハンの剣が迫る。

 

「ダクネスーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「神の裁き(エル・トール)!!!」

 

 

 ドガァァァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

「グァァァ!!」

「くっ!な、何が…?」

 

 瞬間、デュラハンに巨大な雷が落ちる。運よくダクネスには当たらなかった。

 

 

「悪いな、怪我人を運んでたら遅くなった。待ったか?」

 

「「ハルキ!」」

 

 俺達の後ろからハルキがやって来た。 見てみると先程斬られた冒険者達がいなくなってる。今まで冒険者を運んでいたのか!

 

「やったーー!!雷使いの兄ちゃんだー!!」

「ハルキー!やっちまえー!」

 

 

「さてと…ダクネス!交代だ!後は俺がやる」

 

 ダクネスの前に出てデュラハンを見据えるハルキ。だが、ダクネスはボロボロでもまだ目は諦めていなかった。

 

「待ってくれハルキ!私は騎士だ!クルセイダーとして敵を前に退くなど!」

 

「気持ちは分かるけど、ダクネスなら攻撃に耐えられてもデュラハンには勝てない。違うか?ダクネスにはカズマ達を守ってほしいんだ。騎士であるお前しか出来ない事だ。 頼めるか?」

 

 ダクネスの肩に手を置きハルキは説得する。 ダクネスは目を閉じしばらくすると息を切らし興奮する。

 

「お預けプレイか……悪くないな……」

 

「…お前本当にブレないな」

 

「ごめんハルキ。うちの変態が本当にごめん」

 

 頬を赤くしながらとダクネスは俺の側に来る。俺達を見たハルキは一人でデュラハンの元へと歩く。

 

 

「気を付けろハルキ!アイツは強いぞ!」

 

「おう!任せとけ!」

 

 

 そしてついにハルキはデュラハンの元に着く。デュラハンはさっきの雷のダメージから回復していた。

 

「次はお前か雷使いよ。出来ればお前とは城の最上階で戦いたかったが、まぁいい。 あの時から貴様との戦いを楽しみにしていたぞ!」

 

「ああ、正直俺も楽しみにしてたよ。ようやく戦いらしい戦いが出来そうだからな!」

 

「フハハハ!!面白い!!では始めようか!我は魔王軍幹部が一人デュラハンのベルディア!!いざ尋常に勝負!」

 

「駆けだし冒険者のカシワダハルキ!…そうだな、ここはこう名乗ろうか──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「我は神なり!!

 

 

 

 

 

 




 

 早めにハルキVSベルディアを書きたかったから少し適当になっちゃったかな?


 次回はエネル節全開の予定です!ハルキ君は潜在的に中二病かもですね。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この雷鳴轟く戦いに意外な決着を!

 

 戦闘描写上手く出来てるかな?

 テイルズの時から下手だったから…






 

 

 ハルキside

 

「「行くぞッ!」」

 

 俺とベルディアが動いたのはほぼ同時だった。ベルディアの大剣が振り下ろされるが、俺は右に体を避け棍棒でベルディアの左上半身を狙う。

 

「ふんっ!」

「チッ!」

 

 しかしベルディアの左腕の籠手で棍棒が防がれる。そのまま剣と棍棒の撃ち合いが続く。

 

「大した動きだ!中々の棒術だな!」

「棒術に加えてこの前体術スキルも修得したんでなッ!」

 

 ベルディアは剣による突きを繰り出す。俺は棍棒を地面に突き刺し軸にする。そのまま体を浮かしベルディアの頭上まで跳び攻撃を回避する。

 

「馬鹿め!空中では身動きが取れんだろう!」

 

 ズアァァ!!

 

 空中へ跳んだ俺にベルディアは飛ぶ斬撃を放つ。だが──

 

「不届き……電光(カリ)!!」

 

 

 ピッシャァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 俺がスキル電光(カリ)を発動し斬撃をかき消す。その場に雷鳴が轟く中、俺は回転しながら着地する。

 

「馬鹿な…!斬撃をかき消すだと!?」

 

「お前が扱えるエネルギーなど俺にとっては無に等しいんだよ」

 

(くっ…!奴の雷魔法は予想以上の力だ…! 奴のペースに乗ると不利だな。 距離を取って死の宣告で動揺を誘うか…!)

 

 ベルディアが後ろに跳び俺から距離を取るがこれも無意味だ。

 

「俺から距離を取るとは無駄な事を!稲妻(サンゴ)!!」

 

 

 バリリッ!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 腕を正面に突きだし雷を浴びせる。直撃したベルディアは痺れたものの、大したダメージにはならない。

 

「おのれ…!汝に死の宣告を!一週間後に死にさらせぇ!」

 

 

 バチッ!!

 

 ベルディアの指から呪いが俺に放たれる。しかし姿を消した俺には当たらなかった。

 

「空に投げたお前の首は飾りか?」

 

 

 バチッ!!

 

 

「何!?ど、どこに…?」

 

 ベルディアの真後ろに雷速移動した俺はまた雷速で姿を消す。 ベルディアの首は上空から俺を探すも見つからない。そうだろうな、俺がいるのはお前の首の横だ。

 

「500万…1000万…2000万V放電(ヴァーリー)!!」

 

 

 ヴァリヴァリ!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

「グギャャャャ!!」

 

 両手の人さし指を上と下から首を挟むように放電する。2000万Vの電撃を浴びた首は魔方陣が消え地面へと落ちる。ベルディアの体は急いで首を回収に向かう。

 

「ヤハハハ!やはり首は体のように頑丈とはいかない様だな!」

 

「ハァ…ハァ…!上空に移動するなど……どこまで規格外なんだお前は…!」

 

「俺のスキル雷速移動は雷の速度で縦横無尽に駆け巡る。並の生物ではまず捉えられない速度さ」

 

「成る程…!だが、俺にもう死角は無い!全力で貴様を葬り去ってくれる!」

 

 そう言ってベルディアは再び首を空高く放り投げ、上空から俺を見下ろす。ベルディアの体は両手で大剣を構えその場で大剣を振るう。

 

「食らうがいい!!!」

「1億V放電(ヴァーリー)!!」

 

 

 ドガァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 ベルディアが放った斬撃はさっきかき消した斬撃よりも巨大だった。俺は1億Vの電撃で相殺する。

 

 

(そろそろ魔力を回復させねぇと……体相手だと半端な雷じゃダメージにならない…億単位で攻撃したいけどマナタイトは二つしかない、()()()()()に持っていくまでは無駄撃ちは避けたほうがいいか…!)

 

 砂煙の中でマナタイトを取りだし魔力を回復させる。使い終わったマナタイトをその辺に放り投げると、煙からベルディアが飛び出して来た。

 

「砂煙の中へ隠れたつもりか?見えているぞ!」

 

「くっそっ!」

 

 剣と棍棒の弾く音が戦場に鳴り響く。ベルディアの攻撃が激しさを増し、俺は防戦一方だ。

 

「こっの…!電光(カリ)!!」

「おっと!」

 

 

 ピッシャァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 至近距離で電光(カリ)を発動し無理矢理ベルディアを遠ざける。 そして俺はそのまま右手に雷を溜めてベルディアに向かって右手を突きだす。

 

神の裁き(エル・トール)!!」

「甘いわ!!」

 

 

 ドガァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 何!?神の裁き(エル・トール)を避けやがった!?

 

 

「フッフ…!やはりな!貴様の使える雷魔法はどうやら五つの様だ。遠距離の魔法が二つ、近距離が二つ、そして雷速での移動法で一つ。そして棒術による近接格闘…これが貴様のスキル全てだろう?」

 

「……調子に乗って出しすぎたか…チッ!」

 

「フハハハ!!確かに貴様の魔法は驚異だが所詮戦いは駆けだしの素人!手の内が分かれば対処などいくらでも出来るわ!」

 

「!?稲妻(サンゴ)!!」

 

 バリリッ!!ゴロゴロゴロ…!

 

「ふんっ!」

 

 走り出したベルディアに向かって稲妻(サンゴ)を繰り出すもベルディアは走りながら大剣を振るうことで雷を消していた。くっそ!出力を抑えすぎた!

 

「どうした?余裕が無くなってきたぞ!」

「いーや!ようやく対等ってとこだろ!8000万V放電(ヴァーリー)!!」

 

 ヴァリヴァリ!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 苦し紛れに放った電撃はベルディアに避けられ微かに当たるだけだ。さらに攻撃するベルディアにまた防御だけになってしまう。

 

神の裁き(エル・トール)!!」

「!?」

 

 ドガァァン!!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 不意打ちの雷がまともに当たりベルディアの体が吹っ飛ぶ。 今だ!早めにマナタイトで回復を──

 

「油断したな。魔力の回復を急ぎ過ぎたのが仇になったな。俺は魔王軍幹部、ステータスもレベルも段違いよ」

 

「……!!吹っ飛ばしたのにもう戻って来たのかよ…!」

 

 くそっ!吹っ飛ばしたのに早すぎる…!回復し終わったのに…!ベルディアはもう戻って来て俺の首に大剣を向ける。

 

「回復したとてもう遅い!お前の雷よりも早く俺の魔剣がお前の体を貫くだろう…!」

 

「は、ハルキ!!逃げて下さい!!」

「ハルキ!危ない!!」

 

 めぐみんが大声をあげ、ダクネスが俺の元に走ってくる。

 

「フハハハ!!この戦い楽しかったぞ……さらばだ!カシワダハルキよ!」

 

 

「「ハルキーーー!!!」」

 

 

 

 

 ザシュ……!

 

 

 

 ベルディアの魔剣が俺の胸に突き刺さる。

 

 

 

 

 「グァァァァァ!!!!」

 

 突然、俺の体を貫いたベルディアが叫びだし片膝をつく。

 

「この時を待ってたんだ……お前が油断して近づくこの瞬間を!MAX2億V放電(ヴァーリー)!!」

 

 

 ヴァリヴァリ!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

「ガァァァァァ!!!!」

 

 

 最大出力の雷を浴びたベルディアは体から煙をあげる。2億の電撃は流石のこいつでも致命傷になるダメージだ。上空にあった首も魔方陣が解け俺の足下に転がる。

 

「…思ったより甘いじゃあないか。魔力の回復を許したのが仇になったな」

 

「な…ぜ…?お前の体を…貫いたハズ…」

 

「お前は俺のスキルは五つと言ったな。今俺が使っていたのは確かに五つだ。だが、一つだけ読み違いがある。俺のスキルは六つだ」

 

 

 そう、戦いが始まってからずっと隠していたスキル。それは──

 

 

自然変化(ロギアへんげ)といってな、俺の全身を電気エネルギー、つまり雷に変換するスキルだ。雷でも斬れないかぎりお前は俺に傷一つつけられないのさ……不用意に触れれば感電してダメージを受けてしまう俺の切り札だ」

 

「そんな馬鹿げたスキルが…あるはずが……!」

 

「それがあるからここに立っているんだが?」

 

 ベルディアは片膝をついたまま声も絶え絶えになっていた。それでも意識は失わず、首はしっかりと俺を見ていた。

 

「何故……最初から使わなかった?」

 

「言っただろ?この時を待ってたって。お前が接近して隙だらけになる状況が欲しかったのさ。確実に2億Vの雷を当てる為にな。まさかここまで上手くいくとはな、ヤハハハハ!」

 

 

 ベルディアに大ダメージを与えるには億単位の電撃しかない。しかし確実に当てるには隙が必要だった。無い知恵を絞って考えた作戦だったが上手くいったな。カズマの悪知恵に比べりゃなんてことはないんだがな。

 

 

「まだだ…!まだ終わらん!!俺が負けるかァァーーー!!!」

 

「ほう…まだこれほどの力を出せるとはな!」

 

 ベルディアは力を振り絞り立ち上がる。 ボロボロの体から黒いオーラを放出し魔剣を構える。俺も棍棒を構える。マナタイトはもう無いからな。すぐに決着はつくだろう。

 

「終わらせてやるよ!ベルディア!!」

「ほざけ!終わりはお前だカシワダハルキ!!」

 

 

 ベルディアは魔剣を、俺は雷を溜めた右手を構えお互いに最後の一撃を───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「セイクリッド・クリエイトウォーター!!!」」

 

 

 

 「「ふぇ?」」

 

 

 

 ザッパァァァァン!!!

 

 

 出すことはなく、突如上からとんでもない量の水が流れてきた。

 

 

「な、何!?水が…!」

「ガボボボボ……」

 

 

 あ……俺泳げなくなってたの忘れてた……そのまま水に流されながら俺の意識は途切れていった───

 

 

 

 

 

 

 

 

 カズマside

 

 

「す、スゲェ…!なんて激しいんだ!」

「凄い戦いですよこれは…!」

 

 俺達はハルキから離れて戦いを見ていた。スゲェ戦いだ!まるで次元が違う!でも──

 

 

「お前が扱えるエネルギーなど俺にとっては無に等しいんだよ」

 

 言ってる事はまんまエネルじゃねーか……あいつ戦闘になると性格変わるな…。

 

 

 バチッ!!

 

 

「ハルキが姿を消した!?」

「ダクネス!上です!」

 

 

 ハルキは雷速移動でベルディアの首まで移動して攻撃していた。ハイレベル過ぎるよ!自然(ロギア)系の戦い超恐い!

 

 

「カーズマー!怪我人の救出終わったわよー!」

「アクア!お前も離れてろよ、巻き込まれるぞ!」

 

 ここで冒険者達の治療をしていたアクアが合流した。正直誰もハルキの戦いには入れない。ベルディアもハルキも強すぎる!!

 

 

「ハルキが戦ってるの?せっかくこの女神がアンデッドを浄化してやろうと思ったのに」

 

「あんなレベルの戦いに割っていける訳ないだろ。お前よりハルキの方がよっぽど神らしい強さだよ」

 

「なんですってぇ!!ゴロゴロの実なんてあんな神気取りの奴の能力の何がいいのよ!!それに神は私なんですけど!!謝って!ねぇ謝って!!」

 

「二人とも!訳の分からない言い合いをしてる場合じゃありません!!ハルキが…!ハルキが!」

 

 めぐみんが指差す方を見るといつの間にかハルキがベルディアに追い詰められている。何でだ!?さっきまでハルキが押してたのに!

 

 

「我慢出来ん!私がハルキの助けに──」

 

「待てダクネス!ハルキならきっと大丈夫だ!」

 

「カズマ!?何で言い切れるのですか!?ハルキがピンチなんですよ!?」

 

 

 さっきからハルキは自然変化(ロギアへんげ)を出していない。おそらくは油断してベルディアが剣で刺した所でカウンターの様に使うんだろう。あれさえあれば負けることはないからな。

 

 

 

「なら、私が魔法で援護してあげるわ!水の女神の力をとくと見せてあげるわよ!」

 

 

 そう言ってアクアが魔法の詠唱を始めた。オイバカ!!お前も自然(ロギア)の性質知ってるだろ!?少しは考えろよ!

 

 

「グァァァァァ!!」

 

 

 突如戦場からベルディアの叫び声が聞こえた。やっぱりな、俺の読み通りハルキはカウンターで電撃を浴びせていた。

 

 

「な、何ですか……?あれ…?」

「は、ハルキの体が……雷に…!」

 

「お前らは見たこと無かったな。アイツの魔法の一つ、自然変化(ロギアへんげ)だ。体を雷に変換する魔法らしい」

 

 

「そんな魔法聞いた事がありませんよ!」

「もしあったとしても、反則級ではないか…!」

 

 

 めぐみんとダクネスが驚愕する。そうだろうな、俺は漫画でだけど初めて見たときはあまりのチートっぷりに驚いたからな。…ん?

 

 

 

「この世にある全ての眷属達よ…!水の女神アクアが命ず…!我が願いに応え、その力を世界に示せ…!」

 

 

「こいつハルキが無事なの気づいてねーーー!!」

 

 

「セイクリッド・クリエイトウォーター!!!」

 

 

 

 

 「「「ギヤャャャーーー!!!」」」

 

 

 

 

 

「どうカズマ!?女神の力が分かった?」

 

「この駄女神が!誰が大洪水起こせって言ったよ!」

 

 

 街まで滅茶苦茶だ!戦場を見てみると水により弱体化したベルディアがいた。その横に──

 

 

「………」

 

「白目むいて気絶してるーーー!!!!」

 

 ハルキが溺れて気を失っていた。しまったー!!能力者は泳げないの忘れてたー!!

 

 

「ぐうっ…!こんな量の水を出すとは……馬鹿なんじゃないのか?」

 

「ヤバい!まだベルディアがいる!」

 

 ハルキが気絶したからもうこいつとまともに戦える奴が居ない!何とか奴の武器を奪えば…!ベルディアはさっきの戦闘と水で弱ってるんだ!一か八かやってやる!!

 

 

「スティーール!!」

 

「馬鹿め!性懲りも無く仕掛けてきおって…!」

 

 

 

 ダメ元で出したスティールは一応成功し、俺を手にあったのは──

 

 

「……あの…首…返してくれません…?」

 

 

 ベルディアの首だった。…チャーーンス!

 

「オーーイ!!皆サッカーしようぜ!サッカーっていうのはなーーー!!!」

 

 

 ガシャャン!!

 

「こうやって手を使わず足だけでボールを運ぶ遊びだよ!!」

 

 

「痛だだ!!あの!ちょ!ヤメ…痛い!!」

 

 

 俺は冒険者達に向かってベルディアの首を蹴った。冒険者達もノリノリでベルディアの首を蹴りまくる。

 

 

「体のほうはボロボロだな。よしアクア!やれ!」

 

「任されたわ!さぁ女神の力で浄化されなさい!」

 

 

 

 

「セイクリッド・ターンアンデッド!!」

 

 

「グァァァー!!馬鹿な…!この俺が駆けだしなんぞにーー!!!」

 

 

 

 

 アクアの浄化魔法によりベルディアは首もろとも浄化された───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲホッゲホッ!!クソッ!何が起きたんだ?」

 

「あ!ハルキ大丈夫か?」

 

 ベルディアが浄化された後、気を失っていたハルキが目を覚ました。

 

「あ、そうだベルディアは?まだ決着ついてない!」

 

「あー、ベルディアは……その……」

 

 

 ここでアクアがどや顔でハルキに近づく。

 

 

「デュラハンなら私が魔法で浄化してやったわ!どうハルキ?水の女神様の援護と魔王軍幹部すら浄化出来る実力!私のほうがよっぽど神らしいんじゃないかしら!」

 

「………」

 

 

 ゆらりと立ちあがるハルキ。そして──

 

 

「こんの……駄女神がァァーーー!!!」

 

 

 ゴッチィィン!!!

 

 

「いっったーーー!!!」

 

 

 全力で拳骨を食らわせた。 いいぞもっとやれ。

 

 

 

 

 【魔王軍幹部ベルディア討伐完了!】

 

 

 

 

 

 

 






 次回は第一章エピローグということでお話としては短いと思います。


 書いてる内についついハルキ君がエネル口調になっちゃう……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エピローグ

 

 今回はかなり短いお話になりました。


 毎回ちょこっと隠れてるパロディネタはどこかな?




 

 

 カズマside

 

 

 ベルディアを討伐した翌日、俺とハルキは討伐報酬を貰いにギルドへと向かっていた。

 

 

「あ、ようやく来たのですねカズマとハルキ。もう皆来てますよ」

 

 遅れてやって来た俺達にめぐみん達が近づく。ちなみにアクアはもう出来上がっていた。

 

「カズマ遅かったじゃないの~、さぁ早く報酬貰いに行きましょ!」

 

「ウッ!酒臭…!おいおい押すなって!」

 

「んじゃ、俺も……」

 

「待って下さい!ハルキには少し聞きたい事があるのです!貴方の雷魔法の事、詳しく聞こうじゃないか!」

 

「ああ、私も気になっていた。あんな反則じみたスキルの数々。何処でその魔法を教わったのだ!?」

 

「ちょちょ!二人とも近ぇよ!おいカズマ!何とかしてくれよ!」

 

 ハルキはめぐみんとダクネスに捕まって動けなくなっていた。助けてやろうにもアクアがぐいぐい押すので俺も動けなかった。そしてそのまま俺は受付に着く。

 

「カズマさん。貴方の活躍により魔王軍幹部ベルディアを討伐することが出来ました。貴方のとっさの機転と知恵がなければこの街は滅びていたかもしれません。本当にありがとうございます」

 

 いや~そこまで誉められると恥ずかしいな。

 

「サトウカズマさんのパーティには特別報酬金として3億エリスが送られます」

 

「「マジで!!?」」

 

「おいおい!スゲーなカズマー!」

「カズマさーん!奢ってー!」

 

 他の冒険者達の奢れコールが響く中、俺はこの金でのんびり暮らそうかなぁと考えていると、受付のお姉さんが申し訳なさそうにしているのに気づく。

 

 

「……実はカズマさんのパーティメンバーのアクアさんが放った水魔法が街の中まで響きまして、街の外壁や家などが壊れてしまいまして……流石に街を守ったパーティに全額支払ってもらうなんてことは出来ませんから、一部だけでも払って頂きたくて……」

 

 そう言ってお姉さんは俺に小切手を渡してきた。書いてあった金額は──

 

「べ、弁償金額3億4千万エリスゥゥゥーー!!?」

 

 ってことは報酬が3億だから4千万エリス借金ってことか!?

 

 

 ガクガク震える俺からそーっと逃げようとするアクア。逃がさねぇぞ!!

 

「お前ェェェ!!!何してくれてんだァァーーー!!!」

 

「いひゃい!!いひゃい!!カズマさんやふぇてー!」

 

「おーおー賑やかだな。どうした?」

 

 アクアの頬を全力で引っ張ってるとめぐみんとダクネスから逃げてきたハルキがやって来た。

 

「あ!カシワダハルキさんにも特別報酬金が出ています。 ハルキさんには1億エリスです!」

 

「「1億!!?」」

 

 ハルキ一人でそんなに貰えるのか!は!そうだ…!優しいハルキなら借金肩代わりしてくれるかも…!

 

 

「ハルキ頼む!4千万エリスの借金肩代わりしてくれないか!?このままじゃ借金地獄だ!」

 

 

 

 ニコッ

 

 

 笑顔…!まさかハルキ、本気で肩代わりしてくれ──

 

「やだよ、自分たちの借金は自分たちで何とかしろよい」

 

「ハルキ様ーーー!!!!」

 

 見捨てられた!!……ベルディアを討伐したのに借金4千万エリスなんて……嘘だろ?嘘だと言ってくれ…!

 

 

「今日は飲めや歌えの大騒ぎじゃー!!俺が奢ってやるぜーー!!杯を乾すと書いてカンパーーイ!!!」

 

 

「「「「イエーーーーイ!!!」」」」

 

 

 俺達をよそに酒盛りを始めたハルキは、後で殴ろう。 ……クエストやろう。金を稼いで早く魔王を倒そう!!このろくでもない世界から脱出するために!!

 

 

 

 





 次回は第2章のプロローグなのでまた短くなります。


 では第2章、中二病でも神がしたい!でお会いしましょう。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

中二病でも神がしたい!
プロローグ


 

 新章スタートです!

 
 次回は普通に長く書きます。




 

 

 カズマside

 

 

「佐藤和真さん」

 

 俺はまたこの空間に来ていた。目の前には初めて見る銀髪の女神がいる。

 

「佐藤和真さん。残念ですが貴方の人生は終わりを迎えました」

 

 目の前の女神が俺の死を告げる。ああ、また俺は死んだのか。

 

 ふと、俺の目から一筋の涙が落ちる。どうして?

 

 

「貴方の次の人生に祝福があらんことを──」

 

 

 俺は……また転生するのか、ああそうか…今分かった。俺は……あのろくでもない世界を気に入っていたんだ。

 

 

 もう少しポンコツなあいつらと一緒に冒険したかったなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハルキside

 

 

 

 今思えばあの子との出会いは些細なもんだったな。

 

 

「あなたは……紅魔族の名前を聞いても笑わないんですか?」

 

 

 俺は、あの子がどこか俺に似ていると思った。前世じゃ友達が少なかったから俺もこの子と似た者同士なのかなって。

 

 

「いいんですよ……私なんかに気を使わなくて」

 

 

 なんか放っとけなかったんだ。だから俺は、あの子と友達になった。不思議と自分から友達になりたかった。

 

 

 

 だから、あの時は全然思ってなかったんだ。

 

 

 

 

「私……貴方と友達になれて良かったです!!」

 

 

 

 目の前のこの子がカズマ達に負けないくらいのトラブルメーカーになるなんて、夢にも思ってなかった。

 

 

 

 

 

 

 カズマside

 

 

「金が欲しい!!」

 

 早朝のギルドに俺の叫びが響く。

 

「はぁ?そんなの誰だって欲しいに決まってるじゃない。というか、カズマは甲斐性が無さすぎるわよ。女神を馬小屋に寝泊まりさせて恥ずかしくないの?分かったら早く私を楽させてよ!」

 

「借金があんだよ!その女神が作ったクソデカイ借金が!」

 

 

 目の前でふざけた事をぬかすアクアを睨む。だがこいつはさらに食ってかかる。

 

「なによ!私がいなかったら今頃この街は滅びてたかも知れないのよ!?皆もっと私を崇めてよ!もっともっと誉めて甘やかしてよ!!」

 

 

「この構ってちゃんが!お前が余計な事をしなければハルキがあのままベルディアを討伐したんだよ!そんなにお前の活躍が凄かったって言うなら!報酬も借金も全部お前のな!借金一人で返済してこい!」

 

 

「待ってカズマ!ごめんなさい!!調子に乗った事は謝るから見捨てないでぇーー!!!」

 

 

 アクアを置いていこうとするとしがみついて泣きついてきた。泣きたいのはこっちなんだよ…!

 

 

「カズマ、クエストを見てきたぞ」

 

「ですが、やはり冬の影響でろくなクエストがありませんね…」

 

 ダクネスとめぐみんが掲示板から戻ってきた。 さて、どうするか、他の冒険者達はベルディア討伐クエストで懐があたたかいのでクエストを受けていない。でも季節の影響でクエストは高難易度のクエストしか残っていない。

 

 

「俺もクエスト見てみるか、行くぞ」

 

 

 俺は三人を連れてクエストを見てみた。 三人とも自分の受けたいクエストばっか提案してきたが、俺は簡単そうな雪精の討伐クエストに行くことにした。

 

 

 

 

 

 だがこれは、俺の命に関わる超危険なクエストだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




 

 この作品を書いてて思った事

 ・エネル本人がこのすば世界に来たらどうなるか。

 ・万雷や雷迎という大陸破壊レベルの技をめぐみんが見たらどうなるか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

この雷人間と白狼退治を!

 

 えー、長らくお待たせしました。

 平成最後の大仕事が山盛りよ!


 また執筆頑張ります!



 

 

 ハルキside

 

 

「な!頼むよオッチャン!」

 

「いや、そうは言うがお前なぁ…」

 

 ベルディアとの戦いから三日たったある日、俺は朝から武器屋に来ていた。そして店主のオッチャンに頭を下げていた。

 

「どうしてもそれがいいんだ!作れるだろ?頼む!」

 

「作れるは作れるけどよぉ、なんだってこれがいいんだ?」

 

 そして店主は俺が持ってきた()()を指差す。

 

 

「黄金で棍棒作ってくれ、なんて頼みをする奴なんか普通いないぞ?」

 

 

 そう、俺はこの三日間色んな店を渡り、やっとの思いで黄金を手に入れたのだ。8000万エリスも散財したがようやく黄金の塊を買えたので加工を頼みに武器屋に来たのだ。

 

「せっかく1億エリスも貰えたのにこんな事に使うとはな……どうして黄金の武器なんか欲しがるんだ?そんなもん、成金冒険者だって使わないぞ?」

 

「いやぁ……黄金じゃないと俺の魔法を最大限引き出せないっつーか……そんな感じ」

 

「?まぁ言われた通り作ってやるが、後悔しても責任取らねぇぞ?」

 

「そっか!サンキューオッチャン!しばらくしたらまた来るよ!」

 

 

 

 

 

 ハルキ「このすば!」

 

 

 

 武器屋を後にした俺はクエストを受けにギルドへと向かっていた。ギルドが見えてくると、入り口に防寒対策のしたカズマ達がいた。

 

「お?ハルキか、おはよう」

 

「おはようカズマ、しっかしどうしたんだ?マタギみたいな格好して」

 

「これから皆で雪精の討伐クエストに行くのよ!私は雪精を捕まえて飼うの!」

 

 カズマの隣にいたアクアが虫取り網を掲げて言った。雪精か、冬の時期には高難易度のクエストばかりだが雪精の討伐クエストは比較的簡単そうなクエストだ。

 

「ところで、ハルキはその格好で寒くないのですか?その装備では防寒対策が出来ていないでしょう?」

 

「ああ、俺は電熱で体を温めてるから冬でも大丈夫なんだ。夏には弱いけど」

 

「相変わらず凄いなゴロゴロの能力……」

 

 カズマ達と雑談していると、しびれを切らしたアクアが騒ぎ始めた。

 

「カズマ!早く行きましょ!雪精討伐!ねぇ早く!!」

 

「うるさいな分かったよ!じゃあハルキ、また夜にでも」

 

「おう、気を付けてな」

 

 こうしてカズマ達は出発した。さて、俺も適当にクエスト受けようかな。金があっても仕事はしないと落ち着かない……

 

「社畜根性が染み付いてるな俺……」

 

 

 

 

 

 カズマ「さむーーーい!!」

 

 

 

 

 

 

 【討伐クエスト】

【白狼の群れを討伐せよ!】

 

 

「「「アオォォォォーーーン!!!」」」

 

「うるっせぇな……」

 

 俺が受けたクエストは白狼の群れの討伐クエストだ。冬に現れる数十匹の狼が荒れているらしい。正直、白狼一匹一匹は初心者殺しよりもかなり弱いが、数の暴力と言わんばかりの数だ。並の駆けだし冒険者には難しいだろう。

 

「まぁ、俺には関係ねーか…!」

 

「グルルルル……」

 

 二、三匹が殺意むき出しで近づいてくる。俺は棍棒を構えもせず棒立ちで突っ立っていた。

 

「グルォォォ!!」

 

「ヤハハ、電光(カリ)!」

 

 

 ピッシャャン!! ゴロゴロゴロ…!

 

 

 飛びかかってきた狼達に電光(カリ)をおみまいしてやった。電熱を浴びた狼達は断末魔すらあげる間もなく絶命した。

 

「まとめて終わらす!神の裁き(エル・トール)!!!」

 

 

 ドガァァァン!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 白狼の群れに向かって強めの神の裁き(エル・トール)を放つ。白狼達は一匹残らず灰になっていた。

 

「こんなもんか、さーて帰るか……ん?」

 

 ワー!ドドドドド!

 

 ふと耳を澄ますと遠くから何か声と走る音が聞こえてきた。気になって声のした方角に進んでみると──

 

 

「だから言ったんだよ!クエストなんざ受ける意味ねーって!!」

 

「お前だって途中から乗り気になってただろ!!」

 

「ダスト!キース!そんなこと言ってないで早く走れ!」

 

「なんでコボルト討伐したのに白狼の群れに追われるのよー!!」

 

 冒険者パーティが白狼に追われていた。なんだ、まだいたのか白狼は。しゃーなしだ、討伐しておかないと。雷速移動!!

 

 

 バチッ!!

 

 

「「!?誰だ!?」」

 

「おい、危ないから伏せてろよ」

 

「待って!後ろ後ろ!」

 

「ガルルル!!」

 

 逃げてる冒険者達と白狼達の間に入り冒険者達と話していると、白狼がそのままの勢いで俺に噛みついてくるも俺には無意味だ、自然変化(ロギアへんげ)があるからな。

 

 

 ビリリッ!!

 

「悪いが俺は雷だ……相手が悪い。神の裁き(エル・トール)

 

 

 ドガァァァン!!ゴロゴロゴロ…!

 

 

 雷で一気に薙ぎ払い群れを倒していく。これで群れはいなくなったろ。さて……

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん。ありがとう……」

 

「凄まじい雷魔法だったな、もしかして…噂の雷使いか?」

 

「雷使い?お前がそうだってのか?」

 

「お、おいダスト…!」

 

 するとダストと呼ばれたくすんだ金髪が近づいてきた。

 

「俺はアクセルの冒険者を取り仕切る腕利き冒険者のダストだ!雷使いだか何だか知らねぇが俺の事はダストさんとでも呼べ!そして助けてくれてありがとうな!」

 

「「「………」」」

 

「ヤハハハハ!!面白いなお前!」

 

 

 

 

 

 

  ダストさん「このすば!!」

 

 

 

 

「ふーん、暇つぶしにコボルトの討伐クエストねぇ…」

 

 

 その後、ダスト達と意気投合した俺はダスト達の話を聞いていた。さっき面白い自己紹介したダスト。アーチャーのキース、クルセイダーでパーティリーダーのテイラー、紅一点でウィザードのリーンの四人パーティらしい。

 

「そうなんだよ、キースの奴が気まぐれに言うからこんな目に……」

 

「お前だって途中から乗ってたじゃねーか!」

 

「まぁ、要はキースが暇つぶしに簡単なクエストでもどうだ?って言ってきてな。俺達も賛成したんだ。」

 

「この前のデュラハン討伐に参加した冒険者パーティはいくらかお金が入ってきたから、この冬にわざわざクエスト受ける意味もないんだけどね。」

 

 なるほど、他の冒険者達が昼から飲んだくれてた理由が分かった。カズマ達みたいに借金があるパーティくらいしかクエストを受けないのか。あれ?じゃあ何もないのに働いてる俺は?

 

「そういえばハルキはあの白狼の討伐クエストを受けたんだろ?やっぱり強いな、流石たった一人で魔王軍幹部相手にしただけはあるな。」

 

「ねぇ?ハルキの冒険者カード見せてよ。今までどんなモンスターを倒したのか気になるし」

 

 そうリーンが言ってきたので、俺は冒険者カードを見せる。カードを見た四人は次第に青ざめていった。

 

「え…えぇ!?白狼30匹に初心者殺し、一撃熊まで!しかも職業【魔法戦士】!?中級職業じゃない!?」

 

「見ろ!スキルなんか聞いたことすらないものばかりだ。どうなってンだよ!?」

 

 ダスト達が騒ぎ始めたが、最近は慣れてきた。めぐみん達が隙あらば聞き出そうとしてくるからな。

 

「凄いなハルキは……言っちゃわりぃがバケモンだな」

 

 ハッキリと言い過ぎじゃね?言っとくけどまだ駆けだしだぞ?

 

 

「さて!そろそろ戻ろうか。寒くなってきたしな」

 

 テイラーの言葉で立ち上がるダスト達。俺も一緒に戻ろうかな。

 

「おいハルキ!雷速移動で運んでくれよ!」

 

「アッシー扱いすんじゃねぇ。てかそんなことしたら黒こげになんぞ」

 

 

 

 

 ハルキ「ゴロゴロゴロゴロ…」

 

 

 

 

 

 

 ~夜 ギルドの酒場~

 

 

「何だ、駄目だったのか」

 

「ああ、クエストはリタイアしたよ」

 

 その日の夜、クエストから戻ったカズマと一緒に飲んでいた。ちなみにアクア達はレンタルした防寒着を返しに行っている。

 

 

「しっかし冬将軍て……お天気ニュースでしか聞いたことねぇぞ」

 

「アホな転生者のせいらしいぞ。俺なんかそいつに首チョンパされたし!」

 

 カズマ達は雪精討伐クエストの途中で冬将軍という激強モンスターと遭遇した。雪精を倒され怒った冬将軍にカズマは首を切られたらしい。

 

「まぁ、アクアのおかげで生き返ったんだけどさ。まさか二度死ぬとはな」

 

「ああ、蘇生魔法って奴か。間一髪だったな」

 

「でも、死んだ時にエリス様って女神に会ってな。スッゲェ良い人だったよ!いや、女神か」

 

 

 女神エリス

 たしかアクアの後輩の女神とか言ってたっけ?エリス教ってのがこの世界のほとんどが信仰してる宗教らしい。俺?俺は神には祈らねぇ。強いて言うならエネル教だ。

 

「可愛かったなぁエリス様……また会えないかな?」

 

「まぁ、命があって良かったじゃないか。次の転生先が良い世界とは限らないぞ?もしかしたら、次はリザードマンに転生して、バカ強いスライムに仕える人生かも知れないだろ?」

 

「何で次の転生先がそんな具体的なんだよ」

 

 

 もしくはちっこい赤いドラゴンとかかもな。

 

「カズマ。装備の返却終わりましたよ」

 

「すいませーん!シュワシュワと唐揚げ大盛り!」

 

「む?ハルキもいたのか。こんばんは」

 

 

 するとアクア達がやって来た。てかアクア注文早くね?

 

 

「………」

 

「ん?どしたカズマ?」

 

 ふとカズマが三人を見つめだした。心なしか哀れみの目をしてるように見える。

 

 

「フッ……」

 

「「「!!」」」

 

 三人を鼻で笑って三人がギャアギャアと騒ぎだす。きっと昼間会った女神エリスとやらとこいつらを比べたんだろうな。カズマが惚れ込んだ女神エリス様ねぇ……一度見てみたいもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 さーて……

 新年度も頑張って執筆しよう!

 なるべく早く書きますね…


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。