天塵崩地 (Rime casket)
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転生

リメイク版を投稿します


暗闇に沈んでいた意識が浮上していく、それと同時に周りの景色を見て呟く

 

「何処だ此処?」

 

 

そうとしか表現出来ないほどに何もない。上も下も、右や左すら分からない程に白く果てがあるのかすら疑わしくなるほどに何も無い

だが俺はこんな状況の中、妙に落ち着いていた。同年代の友人達からはよく

 

「お前の精神力の高さは異常だ」

 

と言われる。確かに流血沙汰の事件に遭遇したこともあるが特に気持ち悪くなったりもしなかったし、肝試しをやっても驚かす側の人間から

 

「もう少しは驚いてくれよ、自信なくすぜ…」

と言われたりもする

 

なんと言われようがこればっかりは直しようがないので諦めてもらうしかない。

 

さて、状況は把握した、状況を把握したら次はここに至るまでの経緯を思い出してみよう

 

俺の名前は粕川 智紀、歳は18で公立高校に通う精神力の高さを除けば上の下辺りに位置するごく普通の高校生だ。俺は学校から帰ったあと課題を終わらせて暇になったからリビングでニュースを見ていたはずだ。その後いきなり後ろから甲高い音を鳴らしながらトラックが突っ込んできて…あぁ、なるほど

 

「おそらくは突っ込んできたトラックに轢かれて死んでしまったってところか。となると此処は死後の世界ってことか?」

 

「ず、ずいぶん落ち着いているのですね…普通の人なら死んだ事実を受け入れられずに呆然としたり発狂したりするのですが…」

 

「起きてしまったことは変えられないしな、グダグダと悔やむよりも次にどう動くかを考えた方がよっぽどマシだ 」

 

「へ、へぇ…」

 

「で?死んだ俺に対して何か用か?神様」

 

「あ、分かるんですね…」

 

「死んでしまったこの状況で俺に話しかけるのは死神位のものだろう?」

 

「た、確かにそうですけど…私は死神じゃないですよ?」

 

「そうか。で?何の用なんだ?」

 

俺が振り向くとそこには世間一般には美人と呼ばれるような女性が居た。ただし、その女性が人ではないのはその背中に生えている三対六枚の翼が物語っている。さながら「天使」と呼ばれるような女性だ

 

「はい、本来であれば貴方は死ぬ運命では無かったのです。私の部下が謝って貴方の書類をシュレッダーにかけてしまいまして…」

 

「人間の命って書類で決まるのか…」

 

「意外でしたか?」

 

「いや、別に」

 

「話を戻すと、本来死ぬはずのない貴方が死んでしまったので、そのまま輪廻転生の輪にいれるとシステムがエラーを起こして大変なことになってしまう、そこで貴方には別の世界に転生してもらおう。ということになったんです」

 

「なるほど…」

 

「転生するにあたり、勝手に決めてしまうことも出来たのですが、それでは流石に可哀想だと思い、好きな世界に好きな能力を持って転生させることになったんです」

 

「ふむ…能力の数や行く世界に制限は」

 

「神に匹敵するような…それこそ何でも創り出せるみたいな能力でなければ制限はありませんし、転生する世界も制限はありません。」

 

俺は表には出さないがかなり興奮していた。俺も年頃の高校生だ、それなりに二次創作の小説等も読んでいるし、行きたい世界というのもある

 

「なら、行く世界はモンスターハンターの世界がいいんだが…可能か?」

 

「えっと…はい、大丈夫です」

 

「ならば次だ、転生するにあたって人間ではなくモンスターに転生することは?」

 

「それも問題ありませんが…いいんですか?」

 

「あぁ、最後に能力だが

・無限進化

・進化限界の撤廃

・進化制限の撤廃

・能力改造

・進化速度上昇

の5つと…まぁ、後はおまけ程度にすぐ死ぬ様な環境じゃなければいい」

 

「はい、全て可能です。以上でよろしいですか?」

 

「あぁ、頼む」

 

「では、貴方の次の生が幸せなものであることを願います」

 

そう言って女神が微笑んだ後、俺の意識は暗転した



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恐怖の予兆

次に目が覚めると真っ暗闇の中だった

 

「……あ、卵の中かこれ」

 

とりあえずいつまでも卵の中にいる訳にもいかないから卵を内側から啄いて壊していく

 

「む、意外と硬い…おらぁ!」

 

大声を出すと同時に渾身の一撃(頭突き)を繰り出すも

 

『ゴヂンッ!』

 

「あいだぁ!?」

 

予想以上に硬く頭を強かに打ち付けて目眩状態になってしまった。

 

「えぇ…何でこんなに硬いんだよ…出れねぇじゃん…」

 

グチグチ言いながらも地道に啄くこと1時間(体感)

 

パキパキ…

 

「お!壊れそう!どりゃあ!」

 

罅割れた場所に向かって思い切り頭突きを繰り出すと殻が割れて漸く外に出ることが出来た

 

「やっと出れたー…ってアレ?なんか声が高くなってる?」

 

外に出たはいいものの、自分の身体に違和感を覚えた。いやまぁ…モンスターに転生した訳だから違和感があるのは当たり前なんだが、そうじゃなくてこう…声が前よりも高くなったというか…

 

まぁ、今はそんなことより状況確認だ。まずフィールド

此処は…天空山か?寒くも暑くもないしガブラスは原生林や遺跡平原にはいなかったはずだ

 

次になんのモンスターに転生したかだが…体を見てみると黄色っぽい体色に、独特の縞模様と発達した前脚。飛ぶよりも滑空に適した翼…

 

うーん……分かった!ティガレックスだ!これ!

 

ティガレックス種の特徴としてはまず色、原種は今の俺と同じく黄色っぽい色だったし亜種は黒っぽい色だ。素材に「黒轟竜」って付くくらいだしな。更に希少種の「大轟竜」は爆発性の粉塵を発生させ、赤っぽい体色をしている。二つ名の「荒鉤爪」は基本は原種と変わらないが所々蒼くなっているし衝撃…というか振動?をよく利用した攻撃をしてくる。そして1番印象深いのがフロンティアに出てきた「辿異種」ティガレックス。爪が異常発達してその爪を使った攻撃に被弾すると【出血やられ】になる厄介な相手で俺が初めて倒した辿異種でもある。…って、これは蛇足か

 

「兎に角容姿は分かった。次は…此処はエリア3か?ガブラスいるし」

 

ふむ、大体一通りの状況は理解したそしたらまずは「グゥ〜…」

 

「……飯だな、腹が減っては戦は出来ぬと言うし、丁度よくガブラスもいる、最初の飯はアイツらで決まりだな」

 

恨みは無いが許せよ、これも生きる為だ…とはいえ飛ばれていては捕まえようがない。だがそこは問題ない。俺はティガレックスに転生した。ティガレックス最大の特徴は馬鹿でかい音量の「咆哮(バインドボイス)」だ。その威力は近くにいるハンターを吹き飛ばす程に大きい。亜種の方が原種の咆哮よりも更に大きな咆哮「大咆哮」を使うことが出来るが、普通のティガレックスでも充分だろう。なんせガブラスは大きな音に弱いのだ。音爆弾で落とせるほどに

つまりはどういう事かというと…

 

「スゥ~…グルアアアアアアアァァァァァ!!」

 

「ガギャアアァァァ!?」ドサドサ

 

この様にガブラスを咆哮で叩き落とせる訳だ。さて、落ちてきたらまた空に逃げられない様に首を噛み千切り絶命させる。さて、それでは転生してから初めての朝?ご飯をいただくとしよう

 

……

………

…………

 

結論から言えばガブラスはそこそこ美味しかった。例えるなら鶏肉だろうか?毒もあったが特に問題なく食べることが出来た毒がいい感じのアクセントになりスパイシーチキンみたいな感じだった。

 

腹も膨れたし丁度横穴みたいなものも見つけたからそこで寝るとしよう

 

俺は寝床(仮)に着くとスヤスヤと寝始めた

 

今思えば何故俺はこの時もっと辺りを警戒しなかったのかと問い詰めたくなる

 

ガブラスがいるということは古龍が近くにいるということなのに…

 

 

〜???〜

 

あはっ☆暇つぶしに天空山を見てたら面白いもの見つけちゃった♪あのティガレックス亜種…私と同種の匂いがする…♪楽しくなりそうだなぁ…♪でもーーーかぁ…ま、いっか♪



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自然界の脅威

「ゴガアアアアァァァァァァァァ!!!」

「ギシャアアアアアアァァァァァァァ!!!」

 

「!?」

 

スヤスヤと気持ちよく寝ていたら突然の大声にびっくりして飛び起きた。

 

「なんだなんだ!?いったいなんの騒ぎだ!?」

 

横穴から首を出して辺りを見回しているとエリア8の方から毒と爆炎が落ちてきた、よく見ると上の方で炎王龍テオ・テスカトルと霞龍オオナズチが喧嘩していた

 

「古龍?!なんでこんな所に…いやまぁ、ゲームじゃないんだから居ても可笑しくはないがなんで今…予兆なんて……ぁ、ガブラスか…しまったな…今ここでバレたら1発でThe・ENDだ…逃げれればいいが…」

 

そう言ってゆっくりゆっくり横穴から気配を殺して出ていく。今の所気づかれてはいないが何時見つかってもおかしくない…此処は慎重に……パキッ

 

俺って奴はどうしてこう運がないんだ!こんな所で小枝を踏むとかどんだけテンプレだよ!

 

「ゴガアアアアアアアァァァァァァァアァァアァアァ!!!」

 

「ヤバい気付かれた!こうなりゃ逃げるんだよおおおぉぉぉ!!」

 

俺はテオ・テスカトルの威嚇を聞いた瞬間自分でも驚くほどの速度で逃げ出した。幸い、眼中に無かったのか俺の後方に爆炎ブレス(・・・・・)を1発撃っただけでそれ以上は仕掛けてこなかった。

 

だが、後ろを見てみると爆炎ブレスの着弾したところは綺麗に穴が空いていた。

 

 

俺は今この時を持って実感した。ゲームで倒してきた古龍は古龍じゃない。という事に

確かにゲーム的には他とは一線を画す能力や強さを持ってはいたが、フィールドをまるごと破壊するような能力は使ってこなかった。だがこの世界の古龍は山を吹き飛ばすなんて芸当を欠伸でもするかのように行ってくる。まさに【規格外】の存在だった。

 

「俺は決めたぞ…何時か、何時か今よりも強くなって必ず彼奴らに勝ってやる!」

 

今日この時を持って俺はのんびりスローライフをサバイバル生活に切りかえた。強くならなきゃのんびりスローライフを送る暇なんてありやしないのだから…

〜〜〜〜〜古龍観測隊より大老殿へ〜〜〜〜〜

 

 

天空山にて確認されていた二つ名持ち古龍の「天焔龍テオ・テスカトル」と「幻影龍オオナズチ」が争っている所を発見。どうやら天焔龍が幻影龍を刺激した様です。大至急天空山への立ち入り制限して下さい。尚、天空山からティガレックスの幼体と思われる個体が逃げ出していきました。詳しくは見えませんでしたが、皮膜が少しだけ紫がかっていたようにも見えました。

 

〜〜〜〜〜大老殿より古龍観測隊へ〜〜〜〜〜

 

了解。天空山への立ち入りを禁止し、今代のモンスターハンターを向かわせます。

ティガレックスについては今は放っておいても良いでしょう。引き続き観測を無理のない範囲で(・・・・・・・・)行って下さい

 

 

 

〜〜〜〜〜古流観測隊より大老殿へ〜〜〜〜〜

 

了解。引き続き観測を続けます



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前途多難な特訓開始ぃ!

よう…俺だ、前回命からがら逃げ仰せたティガレックスだ。今俺がどこにいるかと言うとな…

 

 

地底洞窟

 

 

 

 

にいるんだ。此処まで飲まず食わずの全力疾走で走ってきた。お陰で暫くは筋肉痛で動けねぇよ畜生め!とりあえず筋肉痛が治ったら修行開始だ。目指せ古龍級生物!

 

 

 

~~~~〜〜〜〜〜~

 

 

よし、筋肉痛も治ったな。早速修行開始…と行く前にまずは何を鍛えるか考えないとな…

 

地底洞窟に出現するモンスターは

アルセルタス

ババコンガ(通常種/亜種)

ケチャワチャ

ドスジャギィ

ドスゲネポス

ゲリョス(通常種/亜種)

フルフル(通常種/亜種)

リオレイア亜種

ティガレックス

テツカブラ(通常種/亜種)

ネルスキュラ……

あとはラージャンとイビルジョーか…

 

とりあえず俺の持っていない水と麻痺、電気炎は獲得したいところだな。あとは毒を強化できればいい感じか。

 

ん?龍属性は狙わないのかって?…………あんなバケモンにどう挑めと?

今ならイビルジョーやラージャンのヤバさが多少分かる。

 

あいつらは『古龍級生物』と呼ばれる奴らだ。古龍に匹敵する程の強さを持つ彼奴らに今の状態で挑んで無事でいられるとは到底思えない…と言うか最悪瞬殺されて終わりだ。なら地道に強さを鍛えてテオとナズチに挑む前の試練って形にした方が効率はいいはずだ。彼奴らは少なくともテオ・ナズチよりは弱いだろうしな

 

とりあえずまずは生後ひと月も経ってないしドスジャギィとドスゲネポス辺りから行くか。その次にアルセルタスとゲリョスとババコンガって順に行こうそうしよう

 

そうとなれば早速ドスモンス探しだ!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

……何処にもいねぇ!ゲネポスやジャギィはいるのにその親玉のドスが居ねぇのは何でだ!?あれか?呪いか?呪いなのか!?終いにゃ泣くぞコンチクショウ!

一応ゲネポスを食べて弱い麻痺毒は手に入れたが実戦で使える様なレベルには達してないし…このままドスモンス会えないとか勘弁してくれよ…

 

そんなことを考えている俺を突然寒気が襲った。気温的な寒気ではなく、本能的な寒気…

つまり「今の自分では死ぬ可能性が高い存在が近くにいる」

という事だ。

 

「っ…おいおい冗談だろ?テオ・ナズチに続いてここでもかよ…!」

 

俺はどうやら、本格的に呪われているらしい…

 

「グゴアアアアアァァァァァァァアアアア!!」

 

そして俺の前に現れたのは金の鱗を持ちそこらの鋼鉄位なら易々と引き裂きそうな鋭い爪と人間の骨なんか簡単に噛み砕いてしまうてあろう大きな牙を携え、鋭い眼光で俺を睨む……

 

 

ドスゲネポスだった。

 

 

ってドスゲネポス!?ドスゲネポスって金色の鱗だったっけ!?…いや、此処は現実なんだ…。進化したドスゲネポスがいても不思議じゃない。

 

とにかく、この世界に来てから初の戦闘だ。勝てる見込みは低いが…それでも足掻いてやる!行くぞドスゲネポス!

 

「グゴアアアアアァァァァァァァアアアア!!!!」

 

「ギシャアアアアアァァァァァアアアアオ!!!」

 



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