5×█=?? (琵琶醐醒醍)
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とある1日

(3904)

栄枯盛衰

神々亡き逢魔時

暗闇の中で目覚める。

廃れた集合住宅(A l t b a u)の窓を覗く。道に車は無く、電灯すら見当たらない。

未だに人はこの街に住み続ける。愛着を持つ者、今の居場所を失いたくない者、もう動けない者。

100年耐えた建物は後100年耐える、誰もがそう考える。しかしもう此処は崩れる。恐らく。

一度、少し落ち着く。よし、荷造りしよう。気持ちを楽にして取りかかる。

どこだかで拾った缶詰めをリュックに入れる。このコップは割れる。置いていこう。

絵画は元のままに。いい目の保養になった。テーブルなんかは論外だ。

 

星は墜ち、日は昇る。

 

さぁ行こう。次は日向ぼっこがしやすいところにしよう。あの建物は意外と日に当たらなかった。

ドアを開け、部屋を見る。サヨナラだ。階段をミシミシ言わせながら降り、裏口から出る。

メーンストリートはこの時間でも危ない。というより荷物を指差され物々交換を強いられる。

そして食料とどうしようもないクズが入れ替わる。ブドウを奪われて1日立ち尽くした事もある。

それだけは避ける。足元の『何か』も避ける。*1

気付けばそれほど広くない道に出る。ここなら大丈夫だ。

まぁ人通りが少なすぎても宜しくはないのだが。

 

ロボットが『感情』そのものを得ることの可能性

 

今となっては街の外は廃墟である。荒れ地があれば草原もある。メガロポリスはもう消えた。

遠くで黒煙が上がる。軍の戦車がまた1つ死んだのだ。多分。

もはや誰も気にしない。でないと襲われる。………無人だからっていうのもあるが。

………失ったモノは多く、得たモノは少ない。

世界はありとあらゆる価値あるモノを失い、とても広い用地を手に入れた。

ついでに、ポストアポカリプスを体験できる場所もオマケで得た。

この体は何処かで生まれ、何処かで(多分)戦い、帰る場所が無くなり、

そして使おうに使えない通帳と、幾つかの缶詰めと自由を得た。

教会の大きすぎる聖書で撲殺をするという罪も得た。昔の事だ。何かを考えるのは疲れる。

 

ひとり子が罪を取り払われど、人は神を忘れてはならない

 

小高い丘の上に立つ。

1世紀前の『薬箱』が下に見える。ただ其処に住むのは少し根気が要る。

昼御飯にしよう。

謎のパテの缶詰めを開ける。まだ余裕だ。使い古したスプーンで掬い、食す。美味しい。

パンか何かが有れば良いのだが、そもそもパン屋と言う物を見た事がない。伝説上の物だ。

でもチーズなら有る。洞窟で見つけたからか、所々青くなっている。青くないチーズは無い。

もしかしたらまだ少し残っているかもしれない。あの時は半分あった。

手元のチーズが切れそうになったら行ってみよう。食事は心を落ち着かせる。

いやでも別の盗人がごっそり手に入れている事もあり得る。

そうだ今何個有る?

かなりあった。

さてさて、後何を食べようか………………

 

五感とは?何処まで似せれば完全と言えるのか?

 

適当に済ませ、新たな街を目指す。新たな住居を求めて。戸籍なんて誰も気にしない。

夕方には旧国境を越えられそうだ。特に何もなければ。その向こう側に行く。

空の缶詰めを置きっぱなしにし、リュックを背負う。まだ入る。

鳥が空を飛び、相も変わらず心地よく風が吹く。幾つかの自然は今も変わらない。

そう景色を眺めていると何かに躓く。足元にモノがある。どうも旅人の骸が此処は多い。

貴重な缶詰め補給地点ではある。とても有り難いけど、ここまで多いと、ねぇ?

取り敢えず足元のバッグをしゃがんで漁る。

いい感じに有る。

いい感じに居る

3人。

しゃがんでいた奴が右から突っ込む。トロいナイファーだ。

さっと右手だけで頭を撃ち抜く。一部の人形(自分含めて極少数)は拳銃を真横に撃てる。

その拳銃は地面の上に。

そして立つ。

暇なく後方から1人、跳ぶのは良くないと思うよ?あぁでもその斧は危ないね。

持ち替えたサブマシンガンでスポンジにする。1機撃墜。

やたらと動きがゆっくりに見える。電脳の負荷は大きい。

左の奴は身を屈めたまま逃げる。多分唯一の正常者。

適当に足に撃ち込む。弾代の無駄、これ以上は止めよう。雑な扱いの拳銃を拾う。結構使った。

さて漁りなおそう。

………………9mmか。

 

従属までが限界 原典で(設定上)は。だが

 

必要な物、売れそうな物を持ち、再び進む。思ったほど良い物が無かった。基準が高すぎたか。

だが食料は当たりだ。お陰で少し漁りすぎた。ちょっと重い。

この状況だと次の対処は面倒になる。今日中の国境越えはムリ。日は傾いてるし。

幸い、近くに小さめの街が見える。決めた。あそこに一旦潜ろう。

そう思うと体は軽い。リュックの中身を整理したいし。

 

しかし直ぐにそれは無理だと分かった。

 

鉄血の襲撃。

中心の尖塔が崩壊する。

墜ち行く鐘が陥落を奏でる。

人々の喚き声は炎に掻き消される。

定められた命令(Order)に従い略奪をする連中。

大禍時と雑多な煙が辺りの光を奪う。

そして大火が(ソレ)を補う。

……もう離れよう。まだそこまで近くない。

あーあ、野宿は勘弁と思わなければよかった。

街道からやや離れ、身を隠す。先客は居ない。

そしてチラリと見る。

装甲兵と四脚戦車(Manticore)、サブマシンガンと拳銃では処理出来ない。

必死に潜む。………あれもしかして本当は見つかっているのでは?

そこまで彼らのレーダーはトチ狂ってはいないハズ。見つけても可笑しくない。

それともレーダーが在庫切れ?これなら理解できそうだ。

しばらくすると別の勢力が現れる。PMCの連中だ。ダミーを引き連れている。

鉄血を軽々と射貫き、黙らせる。恐ろしきライフル小隊である。

その隙はアサルトライフル小隊が埋める。物量万歳。

鉄クズが街道の景色に追加され、小隊は街へ進む。さりげなく部隊を再編している。

手元のトランシーバーが音を拾う。他に3つ4つのセットが居るようだ。

きっとこの街を制圧してくれるだろう、んでも売り手が居ないのでは?手持ちが減らない。

………まぁいっか。とりあえず寝床が欲しい。こっそり後をつけて、入場しよう。

だが、背後で眠っていた四脚戦車が動き出した。

クソッタレが。

エネルギー弾のガトリングが火を吹く。走れるだけ走る。

PMCは街の中、使えない奴らだ。

滑り込みつつ敵のアサルトライフル(落とし物)を取る。狙いが余り定まらない。

アイツはそこまで装甲を張っていない。上手くいけば抜ける。

避け続ける。弾切れは何時だ。左足の外骨格が悲鳴をあげる。下手にパージは出来ない。

リュックを放り投げ、撃つ。手榴弾が缶詰めごと炸裂する。

アイツの動きが止まる。光も煙も炎も飛び出る。センサーがふらつく。

処理が追い付かない(過重負荷)。一度落とす。

爆発が収まる。再起動。感覚が戻る。アイツの脚が1つ粉々になった。まだ動かない。

背を向けない程度にひたすら逃げる。今なら距離が取れる。

「コッチよ!!」

誰かが叫ぶ。右か?左か?人間は光らない。エンジン音が何処かから近付く。

アイツを視界に入れる。

駆動音。

(4-1)脚が立つ。

ガトリングが空を撃ち、止まる。

引きずり、こちらを向く。

照準が向く音。

 

まずい。

 

すぐ近くでフラッシュと煙が湧く。

アイツが爆発する。あれは、戦車砲。薬莢が落ちる音。

躊躇っている場合ではない。フラッシュが出た方に走る。エンジンが更に呻く。

1台、ライトを付けて此方に来て、そして止まる。

「後ろから乗って!逃げるよ!」

その手を握り、引き上げられつつ乗り込んだ。

 

DSI-8

 

今日もいい天気だ。木陰で人生を謳歌する。

乗ったのはクラシカルな戦車のような何か。いわゆる突撃砲ってモノだ。砲塔は無い。

気の利いた(片割れの)乗員が手を差し伸べていなかったら、乗れずじまいになっただろう。

車内でその彼女は質問をした。人形を直せる所を知らないか、と。

何故知らないのかはさておき、一応分かると言っておいた。

すると見返りに食事の保証と来た。チーズも缶詰めも、リュックごと吹き飛んでいる。

となるとこの保証は幸運以上の何者でもない。

だが信用しきれない。

………まぁ四脚戦車にトドメを刺してくれたのだ。居なかったら階段踏み外しで地獄直行だった。

だから言ってやった。

記録(存在証明)は何処に?

She looks just like you.

14か?██か?

00(3878)*281(9520)

どちらかに有る。

一体アタイは誰に似ているんだ!?

どちらだろうとそれほど変わらないじゃないか。

「OK、一緒に行こう」


Another Side,Another Story

*1
邪魔な楽器も避ける。

*2
xaafeulacnxxhq(『鍵』を探せ)




とってもながーいあとがきのコーナー

作者 「ここからは台本形式なのだ」
416「と、いっても話す事なんてあるの?」
作者 「投稿までの道のりが長かったなァ、くらいかな」
416「へぇ………」
作者 「何せ周りが良作揃いで。こんなの投稿して良いのかどうか…」
416「まぁ、良いんじゃない?折角特殊タグ山盛りにしてるのに」
作者 「それがやりたかっただけなんだけどねぇ」
416「そう言ってアズー○レーンのを1つ放置しっ放しよね」
作者 「げぇっ」
416「ところで艦○r
作者 「それは後で書く、うん。大幅改稿もする」
416「そう。」

追記。
作者 「思い出した。実は某所に、ある作品のパロディを突っ込んでた」
416「あらら、やらかしたのね」
作者 「本当に申し訳ない」
追記ここまで。

どうも。作者の琵琶醐醒醍です。久しぶりの投稿です。
普段はチラ裏投稿ですが、マトモな作品になった(と思う)ので今回は通常投稿としました。
まァラストはかなーり遊びましたが。
続きは書きません。書いたとしてもかなりの低クオリティーになります。
(既に低クオリティーでは?と言ってはならない)
それでは、良いお年を。今年も宜しくお願いいたします。

以下、人物設定


主人公

戦術人形の1人。一人称は███。リュックを背負って旅をしている。
缶詰めに目がない。が、マンティコアとの戦闘で手元の缶詰めは爆発四散してしまった。
一度につき同時に5人と戦えるとか。
特に裏設定がある訳でもない。
割とどうでもいい事だが、通帳は服のどこかのポケットに入れていた為、無事だったそうな。
(ただし国家が統治している都市にしかその銀行は無い)



彼女が何者かって?まァ本文の中にヒントがあるし、それに皆、
()()()()の事が大好きじゃないか。

簡単だよね。

『クラシカルな戦車のような何か』

第二次世界大戦中に計画されたSU-85iそのものである。
所有者(車長も務める。主人公に手を差し伸べた方)の私物だそうな。
一体誰に作らせたのやら。
実は操縦席からの視界が絶望的に悪い。
その為、作者は乗員の数を(初期設定の1人から)2人に変更するハメになった。
それでも満足に運用は出来ない。(作者がどうしてもこの作品に出したかったが為の弊害)

その他は多分需要無いでしょうし、省略。


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