出会いは唐突だった。
高3の9月、夏休みが明けまだ暑さの残る季節、まだまだ夏休みのだらけ具合が抜けきってないころ僕は彼女と出会った。
それは体育祭に向けてのフォークダンスを練習している体育の授業中のことだった。普段の授業通り体操と柔軟をしクラスごとに輪をつくり練習する。クラスでの練習が終わったら次は別のクラスも混ぜての練習だった。2つのクラス総勢80人の大きな輪だ。
僕は陰キャではあるがボッチではない。ただ友達は少なかった。
大きな輪となり踊るわけだから当然横の人と手を繋ぐ。フォークダンスだから男女ペアでだ。ここで僕は大きな壁にぶつかった。女の子に知り合いなんていない…。
しかし、ボッチになり先生とペアを組むことだけは避けたかった。
だから僕は勇気を出してそばにいた女の子に声をかけた。
「僕とペアを組んでくれませんか?」ってね。
声は震えてたと思う。仕方ないだろコミュ障なんだから。
でもその女の子は僕を見てからこう言ったんだ。
「いいよ」って。
こうして僕はペアを手に入れたわけだ。でも僕はこの勇気をだした行動を今では少し後悔している。そのことについてはおいおい話していこう。
ここで重要なことは僕がペアを手に入れたという事実だ。
一度も話したことがなく顔をはっきり見たこともない相手だということは置いといて。
そして僕はお礼と動作の確認をするために女の子の方を向いて顔を見た。
一目惚れだった。
正直この時まで一目惚れなんて都市伝説だと思ってた。
顔を一目見ただけで好きになるなんて頭おかしいだろってね。
ただ実際に自分が味わうと電気が走ったっていう表現がしっくりきた。体がビリビリってなって、心臓が早鐘を打つようにドクンドクンと動く。ありきたりな表現だけど、これが1番当てはまったんだ。
その女の子は平均より身長の低い僕よりさらに低かった。
それでいて整った顔をしていた。はっきり言おうめっちゃかわいい。
人それぞれに好みはあるけどその女の子は僕の好み、ストライクゾーンのど真ん中だった。
話を戻そう。
ペアを組んだ僕は練習をするために彼女の手を握ったんだ。
その手はとても小さくて柔らかく温かかった。
そして音楽が流れ練習が始まる。
僕は踊って間ずっと彼女を見つめていた。
陰キャでコミュ障である僕にとって女の子と触れ合うという経験は今までほとんどなかった。
この思い出だけで残りの高校生活はがんばれるって思ってた。
しかし、音楽が終わりペアを解散するとき彼女は笑顔を僕にむけてこう言ったんだ。
「○○くんだよね?今日はありがとう。また機会があったらよろしくね」って。
彼女にとってはこの言葉は社交辞令だったのだろう。
でも、僕はこの笑顔を見てこう思ったんだ。
この子が好きだってね。
ちょろいだろう。僕だってそう思う。
でも、女の子を自分から好きなったのは初めてだったから許してください。
この日の放課後僕は部室に友達を集めてこう言ったんだ。
「一目惚れした子がいるんだ。だれか連絡先持ってない?」ってね
最初から他力本願なのは見逃してください。
長くなってしまったけどこれが僕と彼女の出会いだった。
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