仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT (風人Ⅱ)
しおりを挟む

プロローグ

 

 

──目が覚めた時、"私"は何故か荒れ果てた荒野のど真ん中に立っていた。

 

 

此処はどこ?

 

 

そんな疑問を胸に強風が吹き荒れ、砂埃が舞うだけで何もない荒野を呆然と見回し佇んでいた。その時……

 

 

 

 

 

―ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアァァンッッッッ!!!!!―

 

 

「?!キャアアアアアアッ!!」

 

 

 

 

 

突如、何処からともなく飛来した無数の銃弾が"私"の周りに降り注ぎ、突然の爆発音に驚いた"私"は耳を抑えてその場にしゃがみこんでしまう。そして恐る恐る目を開けて目の前に視線を戻すと、其処には何処から現れたのか、見慣れない様々な仮面を身に付けた戦士達が荒野を駆け抜けて"何か"と戦い始める光景が広がっていた……。

 

 

―ウオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!―

 

 

「……あ……あぁ……」

 

 

"私"はその戦いを見てただ立ち尽くし、恐怖を感じるしかなかった……。

 

 

仮面の戦士達が、上空から降り注ぐマゼンタの砲弾で吹き飛ばされていく。

 

 

空を翔る居城の姿をした竜も、戦場を走る列車も撃ち落とされてしまった。

 

 

それでも尚、仮面の戦士達はボロボロに傷付きながらもマシンを駆って"何か"へと立ち向かっていく。

 

 

―グゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!―

 

 

だが、それでも一人、また一人と、仮面の戦士達が戦場を飛び交うマゼンタの銃弾の前に悲痛な悲鳴を上げて倒れていく。

 

 

そして──

 

 

―ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーオォンッッッッ!!!!―

 

 

「キャアァァァッ!!!」

 

 

 

全ての戦士達が倒れた瞬間、最後に巨大な爆発が私の周りに巻き起こった。

 

 

──其処で、私は見た。

 

 

倒れた無数の仮面の戦士達を、たった一人で倒した仮面の戦士を……。

 

 

 

 

──私はあの戦士を知っている。

 

 

──私は彼を知っている。

 

 

彼は──

 

 

 

 

 

「───ディケイド……」

 

 

 

 

その名を口にした瞬間、何故か理由もなく"私"の頬を一筋の涙が伝い

 

 

"私"の意識は闇へと途切れた──

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーディケイド&リリカルなのは

九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT

 

 

 

始まります──

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

主人公設定

 

黒月 零

 

性別:男

 

年齢:19歳

 

容姿:漆黒の髪に真赤の瞳

 

魔導師ランク:空戦S+

 

階級:一等空尉

 

役職:戦技教導官

 

所持デバイス:アルテスタ(呼称アルティ)

 

魔法術式:ミッドチルダ式

 

趣味:写真撮影、散歩

 

 

解説:本編の主人公。幼い頃、何故かボロボロの姿で高町家の前で倒れてた所をなのは達に拾われ、身寄りがない事から高町家の家族として迎え入れられた経緯を持つ。

 

 

高町家に拾われた当初は自分の名前や手に握り締めていたインテリジェンスデバイスのアルテスタ(通称アルティ)以外の記憶を全て失っており、最初の頃はアルティ以外には心を開かず冷たい人間性の持ち主だったが、なのはを始めとした多くの仲間や友人達と共にPT事件、闇の書事件、JS事件などの多くの苦難を共にしていく内になのは達の優しさに影響を受け、彼女達と協力して共に事件解決に導いた一人となる。

 

 

性格はなのは達との関わりで幼少期から大分改善されたとは言え、基本的に無愛想で天邪鬼。デリカシーの無さや口の悪さから初対面の人間から悪印象を持たれがちな性格をしている反面、仲間想いで情に厚い一面もあり、管理局に入ったのもなのは達を近くで守る為という理由が大部分を占めている。

 

 

しかしそんな一面も常軌を逸している部分が多く、過去に局内で闇の書事件の一件ではやてや守護騎士達が陰口でなじられたり、提督に就任したクロノを親の七光りと馬鹿にしていた輩に素行の悪い不良という体で喧嘩を売ったり、自分が無茶をしたり汚名を被れば事態が解決すると踏めば即座に実行に移したりするなど、良くも悪くも自分を顧みずに身を呈して仲間を守ろうとする危うさはなのは達の長年の悩みの種となっており、彼女達や周りから度々その件で叱られる事が多い。

 

 

その異常なまでに仲間を守ろうとする無茶無謀さも元からだったという訳でなく、PT事件や闇の書事件後から片鱗が見え始め、明確にタガが外れ出したのは高町なのはの墜落事件以降であり、その一件が原因となって新たな『悲劇』へ繋がる事となり……

 

 

中学の頃、誕生日(高町家に迎え入れられた日)に幼なじみであるなのは達から貰った二眼レフカメラが宝物であり、仕事の時以外はいつも首に掛けて歩いてる。

 

 

だが、何故か彼が撮る写真はどれも酷く歪んでしまうせいでまともな写真を撮る事が出来ず、カメラを貰ってから数年経った今でも腕前は変わらず上達出来ていない。最初の頃はその事で悩んでしまう事も多かったが、今では此処まで来ると逆に愛着が湧いてきてこれはこれでいいか、と思えてきてる模様。

 

 

また自分に自覚はないが顔はかなり良い。そのため局内ではクロノ達と並び(その性格を知らない者も含めて)女性からの人気が高く、女性局員からの告白が絶えない(全て断っているが

 

 

しかし、そんな本人は女運がすこぶる悪い上に恋愛感覚が異常なまでに鈍い。どちらも壊滅的と言っていい程でどんな手を尽くしても改善が出来ず、後者に関しては特にそれ以外に有り得ないという場面で『自分なんぞを恋愛対象として見るなんてありえないとして……』など、自己評価の低さから真っ先に一番の可能性を切り捨てるタチの悪さだが、その異常さは何処か可笑しく……?

 

 

JS事件を解決し、期間満了が迫る機動六課で平穏な日々を過ごす中、自分達の世界で起きた滅びをきっかけに全てのライダーに変身する戦士、仮面ライダーディケイドとなってなのは達と共にライダーの世界を旅する事になる。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章/ライダー大戦①

 

 

―機動六課・ロビー―

 

 

──管理局所属、古代遺物管理部の機動課第六部隊。通称『機動六課』

 

 

それは嘗て、地球での闇の書事件に関わったとされる八神 はやてが設立し、数ヶ月前に発生したジェイル・スカリエッティ事件(通称JS事件)を終息へと導く貢献を果たしたとして、ミッドチルダではそれなりに名が知れ渡っている部隊の名だ。

 

 

しかし、あくまで試験的に設立・運用された部隊であり、当初から決まっていた1年という運用期間が間近に迫っている為、現在部隊内は局員達が撤去作業と次の部隊先への引っ越しに追われ中々多忙な日々に追われていた。そんな中……

 

 

「──ん…………んんっ…………あ、れ…………わた、し…………?」

 

 

ロビーの一角のデスク。机の上に山のように積まれた書類に囲まれながら、デスクの上に突っ伏して眠っていた栗色の髪をサイドポニーに結んだ女性……この機動六課の部隊の一つであるスターズの隊長を務め、管理局内でもエース・オブ・エースとしてその名が広く知れ渡っている"高町 なのは"が頬を伝う涙の感覚から目を覚まし、寝惚けた目を擦りながら辺りを見回した後、頭を抑え溜め息と共に項垂れてしまう。

 

 

なのは(あっちゃー……いつの間にか眠っちゃってたかぁ……昨日も遅くまで作業してたから、きっと疲れが残ってたんだっ……)

 

 

やってしまったと、なのはは思わず両手で顔を覆って軽く落ち込んでしまう。もうすぐこの機動六課とも別れ、教え子達も次の部隊で頑張る為に残された日々を訓練に費やしているというのに、教導官の自分がこれでは示しが付かな過ぎる。

 

 

なのは「あーもうだめだめ、しっかりしなきゃっ……って、アレ……?私、なんで泣いて……?」

 

 

きっと大きな事件が終わったばかりで気が抜けているんだと、自分に喝を入れようと両頬をペちペち叩こうとするが、其処で漸く自分の頬に痕が残る涙の存在に気付き、なのはは困惑を露わに涙の線が残る頬を拭った手をジッと見つめていく。

 

 

なのは(……そういえば、夢の中で変な光景を見てたような……アレって一体……?)

 

 

見た事もない様々な仮面の戦士達が何かと戦い、倒されていくという凄惨な夢。

 

 

そして、最後に現れた謎の仮面の戦士。

 

 

今でも鮮明に思い出せる先程の夢を思い出し、なのはは涙を拭った掌を見つめながら目を細めた。

 

 

なのは「ディケイド……何でそう呼んだんだろう……私……」

 

 

何故自分があの仮面の戦士の名前を知っているのか分からない。何処かで見た覚えがあるのだろうかと過去に自分が関わった事件の記憶などを思い返してみても、やはりディケイドという名に覚えはない。

 

 

そもそも結局、あの夢は一体何だったのか?もしや働き過ぎのあまり自分の身体が夢となって訴え掛けている無意識な警告なのではと、夢の内容に身に覚えが無さ過ぎるあまりそんな不安まで覚え始めていた、そんな時……

 

 

 

 

―……せって……!―

 

 

―で……が……!―

 

 

なのは「……?何だろ……?玄関の方が騒がしい?」

 

 

 

 

謎の夢について考え込んでたその時、何やらロビーの入り口の方から騒々しい声が響き、気になったなのははデスクから立ち上がって玄関の方へと向かっていく。

 

 

その道中、何故か作業中にも関わらず足を止めて遠巻きにロビー入り口の方を見つめてざわめく局員達の姿が多く見られ、頭上に疑問符を浮かべながら入り口の方に向かい彼らの視線の先を追うと、其処には……

 

 

「──いいから!早くあの男を出せって言ってるんだっ!」

 

 

「此処で働いてるって本人の口から直接聞いてるんだからっ!いないハズがないでしょっ?!」

 

 

「で、ですからそれは……!」

 

 

──ロビーの受付カウンターに大勢の一般人が押し寄せ、口々にクレームを口にしながら応答する局員に迫る光景があった。

 

 

なのは「な、何この騒ぎっ?どうなってるの?!」

 

 

「あ、な、なのはさん丁度良かったっ……!実は──!」

 

 

「どうもこうもないですよっ!アンタ等のとこの局員さんが撮った写真、何なんですかコレッ!」

 

 

なのは「しゃ、写真……?」

 

 

いきなり何の話だ?と、まだ頭が覚醒し切ってないが為に理解が及ばず一瞬困惑してしまうなのはだが、彼等が揃って手にしてる写真を目にした直後に段々と頭が冴え始め、「まさか……!」と、誰かが置いたと思われる受付カウンターの上の"見慣れた写真"を手にして見て、やっぱりかと項垂れてしまった。

 

 

なのは「……あ、あの、皆さんもしかして、全員同じ人に写真を撮られましたか……?黒髪で、目が真赤い、無愛想な……」

 

 

「そうだよっ!その人に町中でいきなり声掛けられて、『写真一枚どうですかー?』って言われてっ!」

 

 

「あの管理局のエースが撮る写真ならと喜んでモデル引き受けて、言われた通り此処まで取りに来たのにっ!何なのよこの写真っ?!」

 

 

腹ただしげにそう言いながら女性がなのはに突き付けるのは、"彼"が撮った数枚の写真。

 

 

しかし、その写真は何故かどれも酷く歪んでいてモデルになっている女性の顔が上手く撮れていない。

 

 

単純に下手というレベルではなく、中にはグニャリとアメ細工のように顔が歪んでるなど、最早不気味さすら感じる出来だ。

 

 

その最早見慣れた写真を見て間違いないと確信し、聞けば他の人達が持参した写真も同じようにまとなモノが一つもないらしい。

 

 

そうして彼等から一通り話を聞いたなのはは頭痛の走る頭を手で抑えて深々と溜め息を吐くと、受付カウンターの上の一角に束になって置かれてる『黒月零への苦情(クレーム)届』と書かれた書類を手馴れた手付きで一枚手に取り彼らの前に差し出した。

 

 

なのは「……取りあえず、彼への苦情のある方は名前と住所を筆記して受付の彼女に届け出て下さい……。彼の方は私が連れて、後で皆さんのご自宅に直接お伺いして謝罪をさせますので」

 

 

「そんなの待ってられるかよっ!」

 

 

「良いからあの男出せよっ!こっちは写真撮る時に金払ってんだっ!なのにこんな不出来なもん出されたんじゃ、一言文句言わないと気が済まないってのっ!」

 

 

なのは「申し訳ありません、生憎黒月一等空尉は只今休暇で外出中でして……ですがご安心下さい♪黒月の方は私が

 

 

か な ら ず

 

 

見つけ出し次第、皆さんの下にお連れして謝罪させますので♪」

 

 

「……え……あ、はい……わかりました……」

 

 

(ありゃー……なのはさんがまたお怒りだよ……こりゃ今日も零さん、血を見るな……)

 

 

(ついこの間も別件でやらかして、廊下で正座させられた上に首からプラカードぶら下げてなかったっけ……なんて書かれてたか忘れちゃったけど……)

 

 

(八神部隊長とフェイトさんが本局に出向中なのが唯一の救いかなぁ……前にあの三人相手に絞られた後、流石の零さんも死んだような顔になってたし……)

 

 

なのはの応対の内容に納得が行かず怒り心頭な様子の市民達だったが、彼ら以上の怒りの炎を背後に燃えたぎらせるなのはの素晴らしい笑顔の威圧感に気圧されて震え上がる彼らの姿を目にし、局員達は揃ってこれから地獄が待つであろう"彼"の身を案じて内心静かに合掌していくのであった。

 

 

 

 

 

◇◇◆

 

 

 

 

 

―自然公園―

 

 

ミッドチルダ中央区画にある、とある自然公園。綺麗な噴水や自然、様々な遊具などを取り揃えてる事からお年寄りから子供までの憩いの場としてそれなりに人気のあるその場所にて、傍らにマゼンタと黒の派手めのバイクを停め、一人の青年が芝生の上で片膝を着きながら風景を撮影する姿があった。

 

 

首から下げたピンク色の二眼のレフカメラのファインダーを真赤い瞳で覗き込み、青年が気に入った風景にレンズを向けてシャッターを切ろうと指に力を込めた、其処へ……

 

 

「──やっと見付けたぞっ!」

 

 

「……?」

 

 

背後から不意に怒鳴り声が聞こえ、怪訝な顔でファインダーから顔を上げた青年が振り返る。

 

 

其処には何やら強面の厳つい二人組の男達がズンズンッと公園の入り口の方から怒りを露わにした足取りで歩み寄って来る姿があり、青年の前に立つと共に男の一人が一枚の写真……六課に押し寄せたクレーム客が持参していたのと同じ、光が酷く歪んでまともに撮れていないピンボケ写真を取り出し突き付けた。

 

 

「六課って所にもいやしねぇから探したぞっ!何なんだこの写真っ?!」

 

 

「俺の『全てを撮ってやる』とか自信満々に言って人に金まで払わせといて、それで出来たのがこんなトンデモ写真かっ!?ふざけんなっ!」

 

 

ピンボケ写真の件に加え、彼を探す為に此処まで足を運ばされた事で余計に熱が入っているのか、怒り心頭な様子の男達。

 

 

しかし当の本人……"黒月 零"は男達が突き出す写真を真顔でジーッと見つめた後、男の一人の手から写真を手に取りあからさまに肩を落とした。

 

 

零「あー……また駄目だったか……やっぱ一朝一夕でそう簡単に上手くなる筈もないわな……」

 

 

「『また』?『やっぱり』?オメーやっぱまともに撮る気なんかなかったんじゃっ……!―ガバッ!―……あれ?」

 

 

溜め息混じりにガッカリした様子で自分の写真を眺める零に男の一人が思わず掴み掛かろうとするが、軽い身のこなしで避けられた上、男の手にいつの間にか一枚の茶封筒……零が男達から写真撮影の際に受け取った料金が握られており、何が起きたのか分からず困惑する男を余所に零が軽い口調で口を開く。

 

 

零「受け取った料金ならその封筒の中に全額入ってる。他にも金を取られた奴がいるんなら、六課の届け出に名前と住所を書いといてくれ。受け取った料金はいつでも返せるようにそのまま残してあるから、後で俺が個人で全員に返して回っておくよ」

 

 

「は、はあっ?ふざけんなっ!其処は先ず謝罪が先だろうがっ!」

 

 

零「ウン?謝罪、と言われてもなぁ……生憎、それが今の俺の自信作である事に違いはないんだ。出来が気に入らないという意見も分かるが、それも含めて"俺"でもあるし、実際に悪いとも思っていないのに心にも無い謝罪をするなんて俺には出来ん。まぁ代わりにと言ったらアレだが、次にまた変な勧誘や詐欺にでも遭った時に今回の事を思い出すといいぞ。その程度の価値はある教訓にはなっただろ?」

 

 

「んなっ……!こ、こんの野郎っ……!「待て」……えっ、あ、兄貴っ?」

 

 

悪びれる所か寧ろ開き直り、微笑を浮かべて飄々とそんな傍若無人な発言を口にする零に男の一人が再び憤って掴み掛かろうとするが、兄貴と呼ばれた男がそれを制止し、弟分の手から奪い取った茶封筒の中の料金を確認していく。

 

 

「……確かに払った金は全部入ってんな……しかし解せねぇ。目的が金儲けでもねえなら、この前の事件を解決した管理局のエーユー様がこんな事して、何でわざわざ市民様のお怒りを買うような真似してんだ?」

 

 

零「……またそれか……取りあえず、その英雄呼びは止めてくれ。実際にこの前の事件の解決に貢献したのはなのは達……機動六課のメンバーや、次元航行隊を率いたハラオウン提督とその部下だ。俺はただ自分の仕事を全うしただけに過ぎん」

 

 

兄貴分の男の英雄呼びにあからさまに嫌そうな顔を浮かべながらそう訂正しつつ、零はトイカメラのレンズを調整し、適当な風景を撮影しながら改めて男の質問に答えていく。

 

 

零「別に、何か大した理由があるって訳でもないさ。かれこれコイツで写真を撮り続けて……5、6年?くらい経つが、どれだけ撮っても何故かいつもそんな感じで一向に上手くならなくてな……最初は自分でも不出来な写真だとは思ってたが、此処まで来ると逆に愛着も湧いてきて『まあこんなもんだろう』と漠然と受け入れるようになってた」

 

 

カシャッ!と、そんな零の話の合間にもシャッター音が何度も鳴り響き、男達の方にもレンズを向けようとするも、彼の写真の出来を知っている男達は慌ててレンズから逃げるように両端に避けた。

 

 

零「……ただ最近、少しだけ普通の写真を撮りたいって欲が沸いてきたもんでな……。其処で一つ考え付いて、人から金を貰って撮るとなれば『これは失敗出来ない!』と自ずと何時もより気合が入って今度こそ上手く撮れるんじゃないか……などと考えた訳なんだが、その目論見も外れたみたいでなぁ……」

 

 

「なんだそりゃ……」

 

 

「ようするに何の意味もねえって事じゃねぇかよっ!ったく、こっちにまで無駄な時間使わせやがってっ!」

 

 

零「オイオイ、そう簡単に何でもかんでも無駄と決め付けるなんてあまりに早計だろう?例えば俺なんかは今回の一件で、自分の写真の腕前がそう簡単に上がる事はないと分かった。そっちは今後遭うかもしれない詐欺被害のシュミレーションが出来た。な?物は考えようって奴だ」

 

 

「仮にも公務員の台詞とは思えねぇ暴論だな、オイ……」

 

 

あまりに酷い開き直りように至極真っ当過ぎるツッコミを入れてしまう兄貴分の男。しかしやはりと言うべきか零は気にする素振りもなく、二眼のレフカメラのファインダーから顔を上げて溜め息を漏らし、

 

 

零「大体本当の無駄っていうのは、今後使われるかも分からないモノに力も時間も労力も注ぎ込むって事だ。それで言えば有名なエースオブエースなんて見てみろ?アイツ、未だに胸の脂肪が無駄に増え続けてると来たもんだ。今後何かに使う機会があるかも分からんというのに、あれこそこれ以上増やして何の意味があるというのか」

 

 

「ふーん……誰の何が無駄って?」

 

 

零「現在進行形で増え続けるお前の胸の脂肪以外に何があるってんだ?まぁ、お前に限らずフェイトやはやても似たようなもんだし、昔からそんな感じだったから今更って気もしなくもな、い……が…………」

 

 

全くなぁ、などと後ろ首を摩りながら自分の幼馴染組の身体的特徴の一部分をdisるという、下手をしなくてもセクハラ間違い無しの発言をする零だが、其処で漸く、自分の今の発言を拾ったのが目の前の男達ではない事、同時に今の声に滅茶苦茶聞き覚えがある事に気付いて固まり、今の声がした方へとギギギギィッ……と錆びれたロボットのようにぎこちなく振り返った。其処には……

 

 

 

 

 

なのは「──そっかぁー……私の胸ってそんなに無駄なんだぁー……なるほどなぁー……貴重な意見をありがとうねー?零くぅーん♪」

 

 

 

 

 

──局員の制服の上に外出用のコートを羽織り、後ろ腰に両手を組んだ高町なのはが、これ以上ないほどニコニコの笑顔を浮かべていつの間にか佇んでいる姿があったのだった。

 

 

……無論、その背後には轟々と燃え盛る赤い業火と巨大な般若の幻影が浮かび上がり、心做しか声のトーンがいつもより低く感じられた。

 

 

零「………………………………………………………あの…………いつからこちらに居らしていたので…………?」

 

 

なのは「んー?うーん、そうだなぁ……『謝罪、と言われてもなぁ……』……の辺りぐらいからかなぁー?」

 

 

零「……ああ、そんな前から……成る程……因みに、何故こちらにおいでになられたのか聞くのは野暮……というヤツでしょーか……?」

 

 

なのは「そうだねぇー、理由なら寧ろ零君の方が一番分かってると思うかなぁー♪」

 

 

零「…………ソウカー…………」

 

 

顔こそ何時もの見慣れた笑顔に見えるが、額にはビキィッとしっかり怒りの血管マークが浮かび上がっているのが目に見えて分かる。

 

 

それに気付いた無表情の零の額から一筋の汗が伝い、一度なのはに背を向けて深呼吸をし、一気に空気を吐いたあと……

 

 

 

 

 

ドバァッ!!と地を蹴り上げ勢いよく公園の入り口に向けダッシュする零だが、それを先に読んでいたかのように、歴戦のアメフト部員も顔負けのなのはの見事な腰タックルが炸裂し地面に抑え込まれていった。

 

 

零「ぬぅゥおおおおおおおおおおッッ!!!?しまったぁァああああああああああッッ!!!!」

 

 

なのは「犯人確保ぉおおおおーーーーッ!!大人しく観念しなさぁああああーーーーいぃッ!!!」

 

 

「なっ……何なんだこりゃっ……?」

 

 

「さ、さぁ……」

 

 

なのは「あっ、そちらのお二人も零君の写真の被害に遭われた方々ですねっ?ちょっと待ってて下さいっ!今から少し締め上げて大人しくさせた後に必ず頭を下げさせて謝罪させますからっ!!」

 

 

零「いだだだだだだだだだだだだだだだっっ!!!!な、何が"少し"だ嘘を吐けぇええええっっ!!!!今のコレも完全に私怨が入ってるだろうがぁああっっ!!!!あっ、待てっ、極まってるっっ!!!!今完全に極まってるそれ以上腕は曲がらんっっ!!!!グア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッッッ?!!!!」

 

 

ギギギギギギギギギィッ!!と、これ以上ないほど見事に決まったなのはの腕挫十字固から逃れる事が叶わず悲痛な叫びが公園中に響き渡り、こうして愚か者は正義の公務員の御用となったのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章/ライダー大戦②

 

 

それから約十数分後。あの後必死に逃走を試みようとした零はなのはの手によって締め上げられた後、半ば強引に頭を下げさせられて男達に謝罪しどうにかその場を収める事が出来た。

 

 

そしてその後、そのまま六課に連行しようとするもなのはの技が極まり過ぎたせいか零がまともに動けなくなってしまい、仕方がないと一旦公園のベンチで休憩し零が回復するのを待つ事になった。

 

 

零「ぐぅおおおっ……未だに腕の感覚がねえぞっ……どんだけ馬鹿力込めやがったんだお前はっ……」

 

 

なのは「自業自得。人様に迷惑を掛けた上に見ず知らずの人達の前で人の胸捕まえて、散々好き勝手言ってくれたんだから当然の報いでしょ」

 

 

零「だからそれはさっきから何度も謝っとろうがっ……!」

 

 

未だ快調に至らない左腕を揉みほぐすようにマッサージしながらそう言い返す零だが、そんな零をジトーとした目で睨んでいたなのはは自身の膝の上に両肘を立て、頬杖を付きながら溜め息を漏らした。

 

 

なのは「全くもう……私達にそうやって簡単に謝れるのに、なんであの人達にも素直に謝る事が出来ないのかなぁ、零君は……」

 

 

零「それも何度も言ったろっ……。確かに出来が良いとは言えないだろうが、俺は別にあの写真を失敗作とは思ってないんだっ。自信満々で出した物を悪いとも思っていないのに頭を下げられる筈も無し、寧ろ売り物にならないと自覚して商売してるとしたらそっちの方がタチ悪いだろう?」

 

 

なのは「ああ言えばこう言うんだからっ……だったら何でさっき、「まともな写真を撮りたくなった」なんて言ったのっ?あの写真を失敗と思ってないなら、わざわざ上手く撮れるようになる必要もないでしょっ?」

 

 

そもそもな話、彼が人からお金を貰って写真を撮影する様になったのは此処最近の話だ。

 

 

JS事件解決前まではあくまでも個人の趣味として写真を撮っていたし、それ以外殆ど無趣味で、自分の写真の腕も自覚している彼がこんな顧客の不評を買うしかない無駄な商売をするとも思えない。

 

 

何せ今まで局員として働いて貰ってきた給料や報酬でさえ使い道が思い付かないと今も自分の口座に腐らせているのだから、金銭的に困ってるというのも恐らくないだろう。

 

 

だのに一体何のつもりで彼等や自分達を此処まで振り回すのかと、納得いかない様子でジト目を向けるなのはの視線も気にせず、零はベンチから立ち上がって無事である利き腕で適当な風景を撮影していく。

 

 

零「出来に不満がないとは言え、何事においても向上心というモノは大事だろ?普通の写真も撮れるようになれば、その分趣味の幅だって広がるしな。……後はまぁ、そうだな……」

 

 

なのは「……?」

 

 

今まで饒舌に話していたのに突然歯切れが悪くなり、口を噤む零。そんな零の様子の変化になのはも訝しげに眉を潜めると、零は機動六課がある方角の空を見つめ……

 

 

零「……まぁ、こんな不出来な写真を『門出の記念に欲しい』だなんて言われて、らしくなく張り切り過ぎてたとこは確かにあったかもな……」

 

 

なのは「え……」

 

 

ポツリと小声でそう呟いた零の言葉に、なのはが僅かに目を見開き思わず聞き返すが、零はそれ以上語らず再び写真撮影に戻ってしまう。

 

 

一方のなのはは今の零の言葉の意図が読めず怪訝な表情を浮かべていたが、その時ふと、彼女の脳裏に数日前のとある記憶が過ぎった。

 

 

それは六課の運用期間終了の明確な日程が発表された日。

 

 

部隊を設立した日から分かっていた事とは言え、改めて突き付けられる終わりに感傷を覚えながらも、残り限られた時間の中で新人達の教育に力を注ぐ事に決意を改めたあの日の訓練終わりに、彼がFWメンバーから何かをせがまれていたのを目にした気がする。

 

 

今の彼の言葉の起因が其処にあるのだとすれば……

 

 

なのは「──ほんと素直じゃない……そういう事なら先に相談してよ……こんな事しなくても、言ってくれたら私や他の皆も違うやり方で手伝えた事があったかもしれないのにっ」

 

 

零「……俺が生半可なやり方じゃ上達しないってのは、長年お前が一番近くで見てきてよく知ってるだろう?期間満了まで時間も少ない以上、こうでもして自分を追い込まないと間に合うかどうか分からんしな……ま、結果はこの通り大失敗だったんだが、っと」

 

 

―カシャッ!―

 

 

なのは「わっ……!ちょっ、今気が抜けてる時の顔撮ったでしょうっ?!消してよ今の写真っ!」

 

 

零「無茶を言うなよ、最近のデジカメじゃあるまいし……まあしかし、今のは中々良い顔してたじゃないか?FWの奴らに見せる写真の楽しみが更に増えたなぁ」

 

 

なのは「ほんっとに止めてっ!ああもうっ、何で私達そのカメラをプレゼントしちゃったんだろうって今更ながら後悔してきたっ……!」

 

 

零「ほほーう?過去を見つめ直すのは良い事だ、その調子で今まで自分がどれだけ無茶無謀な真似を繰り返してきたかを改めるといい。特にお前にとってはいい薬になるだろうよ」

 

 

なのは「それ零君が言えた口じゃないでしょーっ?!ついこの前だって、私とフェイトちゃんに来てた任務の受注書を無断で書き替えた上に一人で勝手に引き受けたりなんかしてっ!まだこの前の事件から日にちも経ってないのにその任務で無茶したせいで、アルティさんも調子悪くしてメンテナンス行きになったの忘れたのっ?!」

 

 

零「アルティはともかく俺は良いんだよ、男だし。ワーカホリックのお前と違ってこうやって趣味で適度に息抜きもしてるしな。心のゆとりも身体の出来も違うのさ」

 

 

なのは「良い訳ないよっ!差別だよそれっ!」

 

 

ガーッ!!と、抗議100%で零を睨みながら大音量で叫ぶなのはだが、この会話も何度も繰り返してきた零の方は慣れた様子で何処吹く風とばかりに明後日の方を向きながら撮影を続けていき、今度は公園の池を撮ろうとファインダーを覗き込んだ、その時……

 

 

 

 

―ブォオオオオオオオオオオオオオオンッ……―

 

 

零「……ッ?!」

 

 

 

 

ファインダーから見る風景が突然銀色のオーロラのように歪み始め、そのオーロラから一人の青年の姿が徐々に映し出された。

 

 

『ディケイド……今日、貴方の世界が終わりを告げます……』

 

 

零「なっ……」

 

 

オーロラから出現した謎の青年の口から告げられた意味深な言葉。その内容に零も動揺し思わずカメラから目を離し顔を上げるが、其処には銀色のオーロラも、青年の姿もなく何処かへと消えてしまっていた。

 

 

零「……何だ、今の……ディケイド……?」

 

 

なのは「もうほらっ!動けるようになったんなら早く帰るよっ!まだ他にも苦情に来た人達への謝罪とお金の返金が残ってるんだからっ!」

 

 

再びファインダーを覗き青年の姿を探そうとする零だが、痺れを切らしたかのように零の両肩を強めに揺らしてくるなのはに、零は僅かに戸惑った眼差しでなのはの方に振り返った。

 

 

なのは「……?何?どうしたの?」

 

 

零「なのは……お前、今の……」

 

 

なのは「今の?……あ、ごめん、もしかして今肩掴んだの痛かった……?」

 

 

零「……いや、それは大丈夫だ……ただ……」

 

 

なのは「?」

 

 

さっきの謎のオーロラと青年の姿が見えていなかったのか、なのはの様子は特に先程と変わりない。それでますます困惑を深めた零はもう一度池の方に振り向き、先程の青年について考え込む。

 

 

零(何だったんだ今のは……白昼夢?まさか、俺まで働き過ぎで幻覚を見たなんて言うんじゃないだろうなっ……)

 

 

なのは「……ーい……おーい……ねぇ、本当に大丈夫なの零君っ?」

 

 

零「ん……あぁ、平気だ……そうだな……今日はもうそろそろ戻るとするか……」

 

 

なのは「そ、そう?何か急に素直になったけど……どっか可笑しくなった訳じゃないよね……?」

 

 

零「何でちょっと素直に従っただけで頭の心配までされなきゃならんのだっ……はぁ、いいから帰るぞ……何か急にドッと疲れが出てきた……」

 

 

なのは「???」

 

 

こんな真昼間から幻を見るとは、これではなのはをワーカホリックとは笑えない。今日は大人しく彼女の言う通りに従っておこうと踵を返し、不思議そうに小首を傾げるなのはを尻目に六課への帰路に付こうと歩き出した、その時……

 

 

 

 

―ブオォォォォオンッ!―

 

 

零「……ッ?!」

 

 

なのは「え……な、何ッ?!」

 

 

 

 

突如零達の目の前から灰色のオーロラが何処からともなく現れ、そのまま壁のように猛スピードで迫ったかと思えば二人の前を潜り抜けるように通り抜けていったのである。

 

 

零(今のは、さっきのっ……?!)

 

 

なのは「な、何だったのっ?今、確かっ……!」

 

 

「──きゃあああああああああああああああああああっっっっ!!!!」

 

 

零&なのは「「?!」」

 

 

先程幻覚かと思われた銀色のオーロラが再び出現し驚愕を露わにする零の隣でも、初めて目撃した銀色のオーロラになのはも動揺を隠せずにいたが、今度は何処からか悲鳴が響き渡り、慌てて今の悲鳴が聞こえてきた方へと振り返ると、其処には……

 

 

―ブォオオオオオオオオオオオオオオオンッ……!!!!―

 

 

──ミッドの上空を先程と同じ銀色のオーロラが覆い尽くし、更にはそのオーロラが次々とビルや建物を呑み込んで消滅させていくというありえない光景が広がっていたのだ。

 

 

突然のそんな非常事態を目の当たりにして零達だけでなく周りの人々もパニックになる中、更に消滅したビルから数え切れない程の数の巨大な怪物達が翼を羽ばたかせて姿を現した。

 

 

零「何だありゃっ……?!」

 

 

なのは「か、怪物っ……?!って、待って、何かこっちに来てるっ?!」

 

 

オーロラに続いて突如現れた謎の怪物の群れを見て戸惑う暇もなく、空を慌てて指指すなのはの言う通り、複数の巨大な怪物の一体が群れから離れて低空飛行で零となのはに目掛けて迫り来る姿があった。

 

 

零「まずいっ……!なのは!早く逃げ──!」

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオンッ!!!―

 

 

零「うぉおおおおおおおおおおッ!!?」

 

 

なのは「キャアァァァァァァァアッ!!?」

 

 

迫り来る巨大な怪物を見て零が咄嗟になのはに逃げるように呼び掛けようとするが、それよりも早く怪物が零となのはの間を横切り、二人を左右別々に吹き飛ばしてしまう。

 

 

更にそれだけで終わらず、直後、怪物が横切った場所に突然銀色のオーロラが壁のように現れ、二人の間を隔ててしまった。

 

 

零「ッ?!なのはッ!!」

 

 

なのは「ッ……うぅっ……な、何がっ……って、れ、零君っ?!」

 

 

オーロラの向こう側に隔てられたなのはを見て慌てて零がオーロラの壁に駆け寄ると、怪物が横切った衝撃で地面に倒れ込んでしまっていたなのはも壁の存在に漸く気付き、ふらつきながら身を起こしオーロラの壁に近付いていく。

 

 

零「おいなのは、無事かっ?!何処か怪我はっ?!」

 

 

なのは「わ、私は大丈夫……!それより何なのこれっ?!結界っ?障壁っ……?!」

 

 

零「いや、俺にも分からないが何かが違う!コイツは一体っ……?!」

 

 

二人の間を隔てる壁を何度も叩いたり殴り付けたりしてもビクともしない。唐突な事態の連続に状況が一切呑み込めず困惑が深まるばかりな中、突然壁の色が徐々に濃くなっていき、向こう側に見えるなのはの姿が見えなくなり始めていた。

 

 

零「ッ?!お、おいなのはっ……?!何だどうなってるっ?!なのはァッ!!」

 

 

なのは『──?!──!!──ッ!!!』

 

 

必死に壁を殴って向こう側のなのはに呼び掛け続ける零だが、それも虚しく徐々に壁の色が濃くなるにつれてなのはの声も届かなくなっていき、やがて完全に向こう側も見えなくなってしまった。

 

 

零「お、おいッ?!クソッ!一体何がどうなってるんだッ?!」

 

 

なのはの姿が完全に見えなくなってしまい、零は苛立ちをぶつけるように壁を殴りながら彼女を探しに急いでその場を離れようとするが、振り返った先には自分達がいた公園はなく、何故か空に満月が浮かぶ、何処かの見知らぬ街中の夜の広場のような場所へといつの間にか変わっていた。

 

 

零「……何だ……これ……?」

 

 

「──どうやら、始まったみたいですね……」

 

 

零「ッ?!」

 

 

いつの間にか場所が変わっただけでなく、空も夜中にまでなっていて零が不思議そうに辺りを見回していると、突然聞き覚えのある声が聞こえて振り返った。すると其処には、先程の公園でファインダーに映っていた青年がゆっくりとこちらに向かって歩いて来る姿があった。

 

 

零「お前……さっきの……!」

 

 

「貴方のバックルとカードは何処です?」

 

 

零「……?バックル?カード?……何の事だ?」

 

 

いきなり投げ掛けられた質問の意味が分からず零は首を傾げながら青年に聞き返してしまうが、青年はその問いに何も答えず、その身体が徐々に透明になって消えていく。

 

 

「急いでください……世界を救うには、貴方の力が必要です……」

 

 

零「お、おい待て!何の話をしてんだ?!おいッ!!」

 

 

徐々に消えていく謎の青年に向けて叫ぶ零だが、青年の姿はそのまま透明化していき、周りの景色に溶け込むように何処かへと完全に消え去ってしまった。

 

 

零「クッ、何なんだクソッ!……とにかく、早くアイツを探さないと……!」

 

 

突然起きた不可解な異変に、消えた謎の青年。理解不能の展開ばかりが続き未だに混乱が収まらないが、零は青年の言葉が気になりながらも、取り敢えず今はなのはを探し出して無事を確かめなければと、急いでその場から走り出していくのだった。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章/ライダー大戦③

 

 

その一方……

 

 

なのは「──皆さんこっちにっ!こっちへ避難をっ!零君っ!零くーんっ!!何処に行ったのっ?!」

 

 

謎のオーロラの向こうに消えた零とはぐれてしまった後、なのはは未だミッド中で発生する異常事態によるパニックで逃げ惑う人々を避難シェルターまで誘導しつつ、はぐれてしまった零を探し続けていた。

 

 

だが、避難誘導を続けてる間にも謎のオーロラは上空から立て続けに発生して次々と街を呑み込んでいき、空は無数の怪物に埋め尽くされ完全に都市機能も壊滅状態に陥っていた。

 

 

なのは「ミッドが……何なのこれ……一体何がっ……?」

 

 

「なのはさんっ!」

 

 

なのは「……へ?」

 

 

慣れ親しんだ自分達の街の変わり果てた姿に呆然と立ち尽くしてしまうなのはだが、背後から聞こえた聞き慣れた声に思わず振り返ると、其処には人混みの中から青い髪を揺らして駆け寄って来る一人の少女……零となのはの教え子の一人である、FWメンバーの"スバル・ナカジマ"の姿があった。

 

 

なのは「スバル……!どうして此処に?!」

 

 

スバル「わ、わかりませんっ。さっきまでティア達と一緒で六課にいた筈なんですけど、急に変なオーロラみたいなのが現れて、気が付いたら外に……なのはさんは?」

 

 

なのは「私?私もさっきまで零君と一緒だったんだけど……」

 

 

―ブォォォォォォンッ!―

 

 

「「……えっ!?」」

 

 

二人が事情を説明し合っている中、突然二人の目の前から銀色のオーロラが出現し、まるで分厚い壁のようになのは達を含む周りの人達と共に潜り抜けた瞬間、周りの景色がミッドとは違う別の場所へと変わっていった。

 

 

なのは「な、何これ……?!」

 

 

スバル「こ、これって、さっきのと同じ……?」

 

 

あまりに唐突な事態になのはとスバルだけでなく、オーロラに巻き込まれた周囲の人々も忙しなく周りを見回して戸惑っていた中、その時……

 

 

「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!?」

 

 

「「?!」」

 

 

突然男性の痛々しい悲鳴が耳に届き、なのは達はその声がした方へと慌てて振り向く。其処には……

 

 

『グウウゥゥゥッ……!!』

 

 

なのは「あ、あれは?!」

 

 

スバル「か、怪物?!」

 

 

再び出現した銀色のオーロラの向こう側から、獣や虫などの様々な動物の姿を形取った異形の怪物の群れ……アンデッドが次々と現れ、逃げ惑う一般人達を一方的に襲う姿があったのだった。

 

 

なのは「次から次へと、何が起きてるの……?!とにかく、行くよスバルっ!」

 

 

スバル「は、はいっ!」

 

 

先程から起こり続ける事態に未だに困惑しながらも、このまま一般市民が襲われるのをただ黙って見ているわけにもいかないと、二人はすぐさま待機状態の自分のデバイスを取り出し構えていく。

 

 

なのは「行くよ、レイジングハート!」

 

 

スバル「マッハキャリバー!」

 

 

「「Set Up!」」

 

 

待機状態のデバイスを掲げて高らかに叫ぶと共に、それぞれのデバイスから桃色と青色の光が発せられて二人の身体に身に纏われ、二人の姿が戦闘時のバリアジャケットへと変化……する事はなく、光が突如弾け飛ぶように霧散し消滅してしまったのであった。

 

 

なのは「ッ?!レ、レイジングハートッ?!」

 

 

スバル「マッハキャリバーっ?!な、何でっ?!」

 

 

何故かバリアジャケットを身に纏う事が出来ず、二人のデバイスが起動しない。思わぬ事態に二人も戸惑った様子で自身のデバイスに必死に呼び掛けてみるも、二つのデバイスからの返事は何も返って来なかった。

 

 

『シャアァアアアアッ……!』

 

 

その間にもアンデッド達は次々と一般人達を無惨にも襲っていき、次の標的をなのはとスバルに狙い定めてゆっくりと近付いてくる。

 

 

なのは「くッ……スバル!とにかく今は逃げるよ!こっち!」

 

 

スバル「は、はい!」

 

 

原因は不明だが、デバイスがなければ戦う事は不可能だ。動揺と混乱を隠し此処は逃げ延びる事を先決しなければと即座に判断し、なのははスバルの腕を掴み、周りの人達と共にアンデッド達から逃げ始めたが、その途中で再びオーロラがなのは達を遮断し、今度もまた全く別の場所に変わっていた。

 

 

なのは「こ、此処は……?」

 

 

スバル「また別の場所?!」

 

 

再び場所が変わり、何処かの町中でなのは達は突然の事に驚くが、先程まで追ってきていたアンデッド達の姿がない事を確認すると一先ず安心し身体の力を抜いていくが……

 

 

 

 

―ヒュンッ……ザシュッ!―

 

 

「あぁっ?!あ……あぁ……」

 

 

「「っ!?」」

 

 

突然二人の近くにいた女性の背後に牙のような物が現れて女性の首に突き刺さり、その女性の身体が徐々に透明となって倒れてしまい、全く動かなくなってしまったのだ。

 

 

スバル「だ、大丈夫ですかっ?!しっかりして下さいっ!」

 

 

なのは「……ッ?!駄目スバル!!離れて!!」

 

 

スバル「……え?わっ?!」

 

 

―ガキイィィィィンッ!―

 

 

慌てて傍に駆け寄ったスバルがその女性の身体を必死に揺さ振り呼び掛けていた中、何かに気付いたなのはが強引にスバルを女性から引き離したと共に、スバルのいた場所に先程と同じ牙が突き刺さったのだ。

 

 

そしてそのすぐ直後、先程のアンデッドとは違う新たな怪物……ファンガイアが物陰から次々と現れた。

 

 

なのは「また違う怪物っ……?!」

 

 

『貴様らの……ライフエナジーを寄越せぇッ!!』

 

 

新たに現れたファンガイア達を見て戸惑うなのは達だが、それを余所にファンガイア達は奇声と唸り声を上げながら周りの人々に先程と同じ牙のようなもので次々と襲い掛かり始める。

 

 

なのはとスバルも危うく牙に襲われそうになるも一息吐く間もなく再び逃げ出すが、また目の前の景色が歪み、今度は何処かの更地へと変わっていった。

 

 

なのは「ま、また変わった……」

 

 

スバル「こ、今度は何処……?」

 

 

憔悴し切った様子で周囲を見渡し、また何処からか怪物が現れないかなのはとスバルが警戒する中、二人の目の前に突如砂で出来た上半身と下半身が逆の怪物が何処からともなく現れた。

 

 

『アァァア……お前の望みを言えぇ……どんな望みも叶えてやるぅぅぅ……』

 

 

なのは「な、何これっ?!」

 

 

スバル「す、砂の怪物っ?!」

 

 

体中が砂で形成される、上半身と下半身が逆の怪物……イマジンは二人にゆっくりと詰め寄って来る。しかもその数は一体だけでなく、次々となのは達の周りにも現れて二人に迫ってきていた。

 

 

『さぁ早く言え!望みを!』

 

 

『お前の願いをぉ!』

 

 

『どんな望みも叶えてやるぅ!』

 

 

スバル「わ、私の……望み……?」

 

 

四方から絶え間なく投げ掛けられる『どんな望みも叶える』というイマジン達の言葉を聞かされていく内に、一瞬スバルの脳裏に一人の女性……今は亡き自分の母の姿が横切った。

 

 

なのは「ッ?!スバル!言ったら駄目!逃げるよ!!」

 

 

―ドシャアッ!―

 

 

『グォオッ?!』

 

 

そんなスバルの様子に気付いたなのははすぐに彼女の腕を掴み、スバルの腕を引っ張りながらイマジン達を蹴り飛ばしその場から駆け出していった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

そしてその頃……

 

 

零「邪魔だぁッ!退けぇッ!」

 

 

―ブウォオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!―

 

 

『グオォッ?!』

 

 

『ギャッ?!』

 

 

なのはを探しに向かった零は先程の公園に置き去りにしていた自身のバイク、マシンディケイダーを回収し、襲い掛かってくる怪物達をバイクで薙ぎ払いながら混乱に包まれるミッドの街中を走り続けていた。

 

 

零「チィッ!さっきから何なんだコイツ等は?!何処かの管理外世界の怪物か?!」

 

 

あれから数十分ほど時間が経ち、あの後も何度も出現したオーロラにより別の場所に飛ばされながらも何とかなのはとはぐれた公園にまで戻る事は出来た。

 

 

しかし其処には既になのはの姿はなく、バイクを回収してなのはを探し続けていた零の前にその後も再びオーロラが立て続けに現れ、其処から先程のような謎の怪物達が次々と現れては人々やミッドの街を襲うという阿鼻叫喚の地獄が瞬く間に広がっていき、街の至る所から立ち上る黒煙を見上げて零は舌打ちしてしまう。

 

 

零「クソッ……!アルティが手元にないって時にっ、そもそも管理局はこんな非常事態に何やってんだっ?!」

 

 

そう、周囲を見渡してみても局員達が出動している様子はなく、先程から念話や通信で六課に連絡を取ろうと試みても何故か通じる気配がなかった。

 

 

零(クッ……一体何が起きてるんだっ……?しかもさっきから妙な胸騒ぎがするし……とにかく急がねぇとっ……!)

 

 

立て続けに起こる不穏な現象と共に増す嫌な予感に駆られるように、零はディケイダーのスピードを更に上げ、無数の怪物が跋扈する街中を駆け抜けていくのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章/ライダー大戦④

 

 

なのは「ハァッ……ハァッ……ハァッ……」

 

 

スバル「も、もう駄目っ……動けないっ……」

 

 

何故か突然デバイスが使えなくなり、戦う事が出来なくなってしまった二人はあれから様々な怪物に襲われながらも必死に逃げ続けていたが、遂に体力の限界となり二人はその場で膝から倒れてしまう。

 

 

だが、此処で立ち止まっていてはまた何時先程のような怪物達に襲われるか分からない以上、なのはとスバルは何とか震える膝に鞭を打って立ち上がり再び歩き出していくが……

 

 

なのは「はぁっ、はぁっ……っ?あ、あれは……?」

 

 

倒壊したビルや建物の瓦礫の間を歩き続ける中、なのはの目にある物が映り、瓦礫の山の一部の下に近付いていく。

 

 

なのは「これって、確か……」

 

 

なのはが瓦礫の山の隙間から見つけたのは、カメラに酷似ようなバックルと本の形をしたケースのようなもの。瓦礫に埋まっていたせいか二つともかなり汚れており、スバルもなのはに近づくと、彼女の手に握られたバックルとケースを見て目を見開いた。

 

 

スバル「あ、あれ……それって確か、今朝夢に出てきた……?」

 

 

なのは「……え?も、もしかしてスバルも見たの?あの変な夢?」

 

 

スバル「私もって……じゃあやっぱり、なのはさんもあの夢を……?」

 

 

なのは「……私も……?」

 

 

困惑を浮かべるなのはに対し、スバルが戸惑い気味に説明をしていく。彼女の話では、どうやらなのはが見たあの夢はスバルや彼女と同じメンバーのティアナ達、加えて今日の訓練で彼女達の教導を行っていたヴィータやシグナム、更にはその二人の話ではなのはの親友であるフェイトやはやても同様に例の夢を見たらしく、その話を聞いたなのはは衝撃を隠せない様子で更に困惑してしまう。

 

 

なのは「私だけじゃなくて、皆まで同じ夢を……?」

 

 

スバル「は、はい……でも、これって偶然じゃないですよね……?皆揃って同じ夢を見るだなんて有り得ないし……」

 

 

なのは「そう、だよね……」

 

 

謎のオーロラと共に消えていく街、人を襲う怪物の出現に加えて、自分が見た不可思議な夢をフェイトやはやて、スバル達も揃って見ていた事を知りなのはの中の疑問が更に深まる中、二人は自然と見覚えのあるソレ……機動六課の面々が見たという夢の最後に出てきた仮面の戦士が腰に身につけていたバックルとケースを見下ろしていく。

 

 

なのは「あれがただの夢じゃないなら、コレも何なんだろ……デバイス……じゃないよね……?」

 

 

「──おい……!おいっ!なのはっ!スバルっ!聞こえるかっ?!」

 

 

なのは&スバル「「……っ!?」」

 

 

二人がバックルとケースの正体について考え込む中、何処からか突然二人の名を呼ぶ声が聞こえ驚きと共にその声がする方へと振り向くと、其処にはオーロラの壁の向こう側にいる零の姿があった。

 

 

スバル「れ、零さん?!」

 

 

なのは「良かった……!無事だったんだね……!」

 

 

零「無事って状況じゃないだろう!何なんだよこれ……ッ?!」

 

 

漸く再会出来た事になのは達が喜ぶ中、零は突然目を大きく見開いて驚きの表情を浮かべ、それに気付いた二人は零の視線を追って後ろに振り返り、そして絶句した。

 

 

何故なら其処には、なのは達を見て不気味に微笑んで佇む彼女達と同じ顔の二人……"なのは"と"スバル"の姿があったからだ。

 

 

スバル「えっ……私と、なのはさんが……もう一人……?!」

 

 

零「な、何でなのはとスバルが……?!」

 

 

もう一人のなのはとスバルを見て三人が固まってしまう中、笑っていたなのはとスバルの姿が突然緑色の異形の姿に変わり、更に脱皮するようにその姿が砕けたかと思いきや、中から虫のような姿の怪物が姿を現した。

 

 

なのは「ま、また別の怪物……?!」

 

 

スバル「な、何でこんなのがミッドに沢山っ……」

 

 

デバイスは謎の機能不能で戦えず、背後はオーロラの壁に阻まれて逃げ場がない。そんな最悪の状況下で現れた虫のような姿の怪物……ワームの出現に二人が怯えて後退る中、そんな二人にワームが唸り声と共にゆっくりと近づいていく。

 

 

零「なのはッ!!スバルッ!!クッソォオォォォォォォォォォォォォォオッ!!!」

 

 

ワームに襲われ掛ける二人を助け出そうと零は力任せにオーロラの壁を全力で殴り続けるが、やはり壁はビクともせず、その間にもワームは二人に迫り絶体絶命の危機に陥っていた。

 

 

零「クソッ……!クソォッ!こんなものなのかッ?!世界が終わる日ってのはっ…………ッ?!」

 

 

自分には何も出来ないのか。胸に飛来する無力感のあまり顔を俯かせてしまう零だが、その時、なのはの手に握られているカメラのようなバックルとケースを見て、先程の青年の言葉をふと思い出していく。

 

 

(貴方のバックルとカードは何処です?)

 

 

零「バックル……カード……っ!?そいつの事かッ!なのは!スバル!それを渡せッ!」

 

 

スバル「えっ?!」

 

 

なのは「で、でも……これは……」

 

 

青年が言っていたバックルとカードがなのはが持っているソレだと確信した零にその二つを渡すように言われるが、なのはとスバルはあの夢の事もあってこの二つを渡すのを躊躇してしまう中、零は不安がる二人の目を真っ直ぐと見据え、

 

 

零「安心しろ、世界を救ってやる……多分……」

 

 

根拠などない。だが、目の前の二人を絶対に助け出すという決意から力強い眼差しでそう言い切る零に、彼の言葉を聞いてなのはとスバルは逡巡し躊躇いながらも、零を信じて頷き、バックルとケースを差し出した。

 

 

すると、バックルとケースは壁をすり抜けて汚れが消え、本来の姿に戻ったそれを零が受け取るが、それと同時にワームの背後に出現した銀色のオーロラから更に複数のワームが飛び出し、なのは達へと襲い掛かってきた。

 

 

なのは「ッ!スバルッ!下がってッ!」

 

 

迫り来るワームの群れを見てなのはは咄嗟にスバルを自分の後ろに下がらせ、近くに転がる鉄パイプを拾いワーム達を追い払おうと全力で抵抗していく。

 

 

その間に零はカメラのようなバックルを素早く腰に当てると、バックル端から伸びたベルトが腰に巻かれて装着されていき、更に本のようなケースを開いて一枚のカードを取り出す。

 

 

『シャアァアアアアッ!!』

 

 

―バキィッ!―

 

 

なのは「ぐぅっ?!」

 

 

スバル「な、なのはさんッ!!」

 

 

必死に抵抗するなのはの手から無慈悲にも鉄パイプが払われ、ワーム達が一斉になのはへと飛び掛かる。

 

 

振り下ろされるワームの凶刃を前になのはは鉄パイプを払われた手を抑え最早此処までかと思わず目を逸らし、目に涙を浮かべるスバルの悲痛な叫びが木霊する中、零は取り出したカードを構え、

 

 

零「──変身ッ!」

 

 

カードをバックルに装填し、両手で元の状態に戻すようにバックルをスライドさせた。

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章/ライダー大戦⑤

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

バックルから電子音声が鳴り響いた瞬間、零を囲むように出現した九つのエンブレムが人型の残像となって零と一つになるように重なっていき、灰色の異形のスーツとなって零の身体に身に纏わられた。

 

 

更にバックルから飛び出したカード状のプレートが仮面に刺さったと同時に灰色だったスーツが鮮やかなマゼンタへと変わっていき、全ての変身を完了した零から放たれた衝撃波がオーロラの壁を砕き、破壊された壁の破片がワーム達に直撃して吹っ飛ばしていったのである。

 

 

スバル「え……れ、零……さん……?」

 

 

なのは「零君……どうして……」

 

 

変身した零の姿を見て、二人は驚愕のあまり呆然と立ち尽くしてしまう。何故ならその姿は、二人が夢の中で見た仮面の戦士と全く同じ姿……『仮面ライダーディケイド』そのものだったからだ。

 

 

一方で、ディケイドに変身した零はすぐさまなのはとスバルを囲んでいるワーム達へと挑み掛かろうとするが、ワーム達は突然目にも止まらぬ速さでその場から逃走してしまう。

 

 

ディケイド『チィッ……!ちょこまかと!』

 

 

一旦距離を取ってスピードで撹乱するつもりなのか、肉眼では捉え切れない速さで周囲を駆け巡るワーム達に舌打ちすると、ディケイドは逃げ遅れたサナギ体のワームの背中を蹴り飛ばしつつ即座に左腰に装着される本型のケース、ライドブッカーを開いて赤いカブトムシの仮面の戦士が描かれたカードを取り出し、腰に巻いたバックル……ディケイドライバーに装填してスライドさせていく。

 

 

『KAMENRIDE:KABUTO!』

 

 

鳴り響く電子音声と共にディケイドの姿が徐々に変わっていき、バックルにセットしたカードの戦士と同じ姿をした赤いカブトムシを連想させる仮面と青い複眼のライダー……仮面ライダーカブトに姿を変えていった。

 

 

なのは&スバル「「変わった?!」」

 

 

『!!』

 

 

―バゴォオオオオオオオオオオオオオンッッ!!―

 

 

カブトへと姿を変えたディケイドを見てなのはとスバルが驚愕する中、一体のワームが高速で移動しながら柱を破壊し無数の瓦礫をDカブトに向けて放つ。だが、Dカブトは冷静にもう一枚カードを取り出してバックルに装填し、スライドさせた。

 

 

『ATTACKRIDE:CLOCK UP!』

 

 

再び電子音声が響いた瞬間、突如周りの時間がスローモーションのように流れ始めた。

 

 

そしてDカブトは左腰に装着するライドブッカーを剣形態のソードモードに変形させて超速度で飛び出すと、空中でほぼ止まっている瓦礫を剣で弾きながら同じ時間の流れの中を駆けるワーム達の間を素早く駆け抜けライドブッカーで次々と斬り捨てていく。

 

 

―ザシュッ!ガギィッ!ズシャッ!―

 

 

Dカブト『ハァアッ!ハッ!ゼェエアアッ!』

 

 

『グガッ……ガァアアアアアアアアアアッ!!?』

 

 

ワーム達の動きを読んだ立ち回りで最後の一体を斬り裂き、Dカブトがスルリとライドブッカーの刃を撫でたと共に時間の流れが元に戻り、直後にワーム達は悲痛な断末魔を上げながら緑色の爆発を立て続けに起こし爆散していったのであった。

 

 

Dカブト『ふうっ……どうにか片付いたか……』

 

 

ライドブッカーを元の本型の形態にして左腰に戻しながらワーム達の撃破を確認し一息吐くDカブト。だが、直後にバックルが独りでに開らかれカブトのカードが飛び出し、カードを手にしたDカブトの姿がディケイドへと戻ってしまう。

 

 

ディケイド『……なんで今俺、このカードを選んだんだ?』

 

 

戦いの最中、何故かワームにはこのカードが有効だと身体が勝手に理解して動き、そのまま流れるように違和感なく戦えた自分に謎に感じるディケイドだが、バックルから弾かれたカブトのカードは突然その絵柄を失ってしまった。

 

 

ディケイド『ッ?!何だ、今の……?』

 

 

いきなり絵柄が消えたカブトのカードに驚きディケイドは疑問を感じながらも、未だに街のあちこちから巻き起こる爆発音を聞いて我に返り、ともかく急いでこの場を離れる為にカードを仕舞い、此処まで乗ってきたマシンディケイダーに搭乗して走らせなのはとスバルの前に止まった。

 

 

ディケイド『二人とも、来い……!此処を離れるぞ!』

 

 

なのは「……ディケイド……?」

 

 

零の声で喋り掛ける夢の中で見たディケイドの姿を見て、思わずその名前を口にするなのはにディケイドも仮面の下で目を見開いた。

 

 

ディケイド『なのは、お前……何でその名前を知ってるんだ?』

 

 

なのは「あ……そ、それは……」

 

 

夢の事を一人知らない零は、何故かディケイドの事を知っているなのはに訝しげにそう聞き返すも、なのはの方も夢の件をどう説明すればいいか迷い言い淀んでしまい、顔を俯かせるなのはを見てスバルが慌てて助け舟を出す。

 

 

スバル「と、ところで、これからどうするんですか?街は今も怪物だらけだし、安全な場所は何処にもないんじゃ……」

 

 

ディケイド『……かもな……ただ此処から近くに、俺の行き付けの写真館がある。六課とも連絡が付かない以上、一先ず其処に匿ってもらって六課と連絡が付かないか試す。お前らも休ませないといけないしな……』

 

 

此処までなりふり構わず全力で逃げてきたのを物語ってるかのように、服もボロボロで体中も擦り傷だらけのなのはとスバルを見てそう言うと、そのまま二人をディケイダーの後ろに乗せ、ディケイドは自身の行き付けであるという写真館に向けてマシンを発進させていった。

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

ディケイダーを走らせて少しだけ時間が経った後、目の前から突然またオーロラが現れ景色が変わり、今度は廃虚と化した何処かの街に飛ばされた。

 

 

其処にはあの怪物達に襲われて既に息を引き取り、辺り一面に大勢の人々の亡骸が無造作に転がる残酷な光景が広がっており、そんな惨い光景を目の当たりにしたなのはもスバルも、彼等を守る立場でありながら何も出来なかった自分の無力さと悔しさに駆られて悲しげに目を伏せ、思わず顔を逸らしてしまう。

 

 

そしてディケイドもそんな二人の様子を横目に何も言えず口を閉ざす中、自分達の近くに転がる亡骸の中に見覚えのある二人組……零が公園で出会った強面の男達の亡骸を見付けると共に、兄貴分の男の手に決して放すまいと、零が以前撮った彼の子供が笑顔で映る不出来な写真が握られているのに気付いた。

 

 

なのは「……零君……?」

 

 

ディケイド『…………。行くぞ』

 

 

ディケイドの様子が僅かに可笑しい事に気付き、なのはが思わず声を掛けるも、ディケイドは顔を逸らして短くそう言いながら再びディケイダーを走らせ、目的地である写真館に向かって再び走り出す。

 

 

──だがその時、死んだ人間の亡骸が突然灰となり、其処から二本の触手が飛び出してなのはをディケイダーから引きずり降ろしてしまう。

 

 

なのは「キャアァアッ?!」

 

 

スバル「なのはさんっ?!」

 

 

ディケイド『何?!くっ……!』

 

 

ディケイダーから引きずり降ろされたなのはに気付き、ディケイドは慌ててバイクを止めてなのはを連れ戻そうとするが、直後に人間の亡骸が崩れた灰から灰色の怪物……オルフェノク達が現れ、二人が辿り着くよりも早く倒れるなのはを捕らえてしまう。

 

 

なのは「い、いやっ……!!離してぇっ!!」

 

 

なのはは必死に抵抗して逃れようとするが、怪物の並外れた力の前ではその抵抗も虚しく、オルフェノク達はそのままなのはを無理矢理何処かへ連れていこうと歩き出していってしまう。

 

 

スバル「れ、零さんっ!早くしないとなのはさんがっ!」

 

 

ディケイド『分かっているっ!』

 

 

強引に連れて行かれようとしているなのはを指差して焦るスバルにそう答えながらディケイドはライドブッカーから素早くカードを一枚取り出し、バックルに装填してスライドさせた。

 

 

『KAMENRIDE:FAIZ!』

 

 

ディケイドライバーから電子音声が響くと共にバックルからディケイドの全身に掛けて赤いラインが駆け巡り、紅の閃光が眩く発光する。

 

 

そして光が晴れると、ディケイドの姿は全身に紅いラインが走る金色のΦの瞳が特徴的なライダー……ファイズへと変わっていった。

 

 

スバル「ま、また別の姿になった……?!」

 

 

驚愕するスバルの反応を余所に、Dファイズはオルフェノク達からディケイダーの方に振り返りながら新たにカードを一枚抜き取り、バックルにセットする。

 

 

『ATTACKRIDE:AUTO VAJIN!』

 

 

再度ドライバーから電子音声が響くと、次に変化が起きたのはディケイダーの方だった。

 

 

バイクの前に出現した巨大なΦの紋章をディケイダーが潜り抜けると同時に別の形状のマシンに変化し、更にマシンは変形しながらなのはの下へ飛翔しそのまま人型の戦闘マシンになると、片腕に装備する盾型のホイールからマシンガンを放ってオルフェノク達を蹴散らし、そのままなのはを救出して離れた場所に下ろした。

 

 

なのは「えっ、ロ、ロボット……?!」

 

 

スバル「なのはさんっ!」

 

 

戦闘マシン……オートバジンを見て驚きの声を上げながら慌てて離れるなのはの下にDファイズとスバルが駆け寄るが、今の騒ぎを聞き付けたのか廃墟の物陰から続々と他のオルフェノク達が姿を現し、敵の増援を前にDファイズはすぐにオートバジンから一本の剣、ファイズエッジを抜き取った。

 

 

Dファイズ『隠れてろ、二人ともッ!ハァアアッ!』

 

 

二人にそう言いながらDファイズはファイズエッジを手にオルフェノク達に向かって突っ込んでいき、オートバジンも二人を守るように立ち構えると、なのはとスバルは廃墟の影に身を隠していく。

 

 

Dファイズ『ぜぇええいッ!ハァアアッ!』

 

 

―ザシュンッ!バシュウッ!ギシュンッ!―

 

 

『ヌァアッ?!』

 

 

『ゥッ…オオオォッ……?!』

 

 

一方でDファイズはオルフェノク達の攻撃を掻い潜りながらファイズエッジによる一閃をカウンターで次々と叩き込んでいき、最後の一体を斬り裂いてファイズエッジの刃を撫でた瞬間、オルフェノク達は身体にΦの紋章を刻まれながら悲痛な叫びと共に青色の炎を噴き出し、そのまま灰となって消滅していった。

 

 

Dファイズ『ッ……終わったか……一先ずこれでっ―ドゴォオオンッ!!―ぐぉおおッ?!』

 

 

灰になったオルフェノク達を見下ろして一息吐こうとしたDファイズだが、背後から突然凄まじい勢いで何かに激突されてその場に倒れ込んでしまった。

 

 

突然の不意打ちに苦痛で顔を歪めながらもすぐさま目の前に視線を向けると、其処にはDファイズに激突した巨大な物体……異変発生の際にミッドの上空にも現れた巨大な怪物が空を舞う姿があり、更に怪物はそのまま遠くで辺りを無差別に破壊する妖怪のような姿をした異形の群れ……魔化魍と合流してこちらに向かってこようとしていた。

 

 

Dファイズ『チッ、次から次へと!だったらっ……―バシュウッ!―……っ?!』

 

 

何とか身を起こしてファイズエッジを手に魔化魍を迎え撃とうとするDファイズだが、いきなりバックルから強制的にファイズのカードが弾かれてディケイドの姿に戻ってしまい、驚きと共にファイズのカードを手に取ると、先程のカブトと同様にファイズの絵柄が消滅してしまう。

 

 

ディケイド『クソッ、またか……?!』

 

 

原因も分からず立て続けに絵柄が消えていくカードを見て思わず毒づきながらも、ディケイドはファイズのカードをしまって新たに鬼の戦士が描かれたカードを取り出し、ドライバーのバックルに投げ入れた後に両手でスライドさせた。

 

 

『KAMENRIDE:HIBIKI!』

 

 

電子音声と共にディケイドの全身が紫色の炎に包まれていき、炎が収まり消え去ると、ディケイドは鬼のような姿をしたライダー、響鬼へと姿を変えていった。

 

 

なのは「こ、今度は鬼っ……?」

 

 

スバル「な、何かもう、驚き過ぎて疲れてきたっ……」

 

 

此処に至るまでにあまりにも色々起こり過ぎたせいでいよいよキャパオーバーなのか、なのはもスバルも疲労困憊気味な中、響鬼に変身したディケイドは続けて新たなカードをドライバーにセットしていく。

 

 

『ATTACKRIDE:ONGKIBO REKKA!』

 

 

再度鳴り響く電子音声と共にD響鬼は一度両手を叩くように払いつつ後ろ腰に両手を回し、其処から二本の太鼓の撥のような武器、音撃棒烈火を巧みに手の中で回転させながら取り出し両手に構えると、先端に炎を宿した音撃棒烈火を振るって魔化魍達に火炎弾を振り撒いていく。

 

 

D響鬼(……何故だ……?力の扱い方も、立ち回りも自然と分かる……?俺は、戦い方を知っているっ……?)

 

 

初めて扱う筈の力をさも自分のモノのように使える自身の身体に疑問と違和感を抱きながらも、トドメに全方位に向けて音撃棒烈火から放った火炎弾の五月雨撃ちで残りの魔化魍達を全滅させるD響鬼。

 

 

それと同時に、ドライバーに装填されていた響鬼のカードがバックルから弾かれディケイドに戻り、響鬼のカードは今までのカードと同様に絵柄が消えてしまい、ディケイドも変身が解除され零に戻ってしまう。

 

 

なのは「終わった、の……?」

 

 

スバル「も、もう私、限界が近いかもっ……」

 

 

零が魔化魍達を撃退したのを見届けて安堵するものの、不可解な異常の連続と化け物達の絶え間ない襲撃になのはもスバルも体力的にも気力的にもいよいよ辛いのかその場に力なくしゃがみこんでしまうが、零はそんな二人の下へと駆け寄り、出来るだけ身体を労わりながら二人をゆっくりと立ち上がらせていく。

 

 

零「色々とキツイだろうが、もう少しだけ耐えてくれっ。写真館に着いて身体を休ませたら、六課への連絡手段を探して救援を──」

 

 

―ブォオオオオンッ!―

 

 

写真館に着きさえすれば治療と休息が取れ、きっと六課へ連絡する事も出来る筈と、その希望を元に零が二人を励まそうとしたその時、またもやオーロラが三人を潜り抜けて場所が変わってしまう。

 

 

なのは「ッ……こ、此処って……」

 

 

零「ミッド……戻ってこれたのか……?」

 

 

オーロラを潜り抜けた先に繋がっていたのは、三人が先程の場所に飛ばされる前に走っていたミッドのハイウェイの近く。

 

 

しかし三人が違う場所に飛ばされている間にも状況は更に深刻化しているのか、街の被害は先程よりも更に広範囲に広がっているのがひと目でわかり、悠長にしている時間はなさそうだと踏んだ零は二人をディケイダーに乗せ、先を急いでマシンを走らせていくのであった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章/ライダー大戦⑥

 

 

それから十数分後。未だ混乱に包まれる街中を駆け抜けて漸く目的地である『光写真館』の近くにまで辿り着く事が出来た三人だが、写真館に向かうなのはとスバルの後ろでは零が先程の戦いでカードの絵柄が消えた事が気になり、念の為にカードを取り出して確認しようとするも、ライドブッカーから取り出した全てのカードを目にして驚愕してしまう。

 

 

零「何故だ……カードの力が全て消えてる?!」

 

 

そう、先程戦闘の後に消えてしまったカブト、ファイズ、響鬼のカードは勿論のこと、何故かまだ未使用の筈のディケイド以外の全てのカードの絵柄までいつの間にか消滅し、シルエット化してしまっていたのである。

 

 

零(どうなってるっ……力が永く続かないのか……?いやだとしても何故っ──)

 

 

 

 

―……それは、君が"嘗ての君"を捨ててしまったからだ―

 

 

 

 

零「──ッ?!」

 

 

力が消えた原因が分からず疑問を拭えない零の脳内に突然謎の声が響き、思わず足を止めて振り返り声の主を探してしまう。そんな零に気付き、なのはとスバルも足を止めて怪訝な表情を浮かべた。

 

 

スバル「零さん……?どうかしたんですか?」

 

 

零「……いや、何でもない。気にす──ッ?!二人共ッ!」

 

 

なのは「え、きゃあッ?!」

 

 

何かの聞き間違いか、そう思い踵を返そうとした零が何かに気付いて慌てて二人の頭を下げさせると、何処からか飛来した巨大な魔化魍が三人の頭上を飛び越えた。

 

 

そして紙一重で避けた三人が巨大な魔化魍の姿を目で追うと、其処には今まで零達を襲ってきたワームやオルフェノク、魔化魍を含めた魑魅魍魎の怪物達が巨大なビルの上で共食いしている光景があった。

 

 

なのは「な……なにあれ……」

 

 

零「共食いしてやがるっ……」

 

 

その異常な光景を目にし零達も言葉を失い絶句してしまう中、怪物達は突然次々と爆発を起こしてビルを倒壊させただけでなく、周囲一帯の街や人々の全てを無慈悲に飲み込む程の巨大な火の海と化してミッド中に広がっていってしまう。

 

 

スバル「ミ、ミッドがっ……?!」

 

 

なのは「だめ……駄目っ、こんなのっ!!」

 

 

零「ッ?!待てっ、なのはぁッ!」

 

 

嘗てのJS事件で自分達が守り切った筈の人々や街が炎に飲まれ、焼かれ、呆気なく消えていく。そんな理不尽でしかない光景を前に零もスバルもただただ呆然と立ち尽くすしかない中、目の前で業火に飲み込まれようとしている親子を見てなのはが堪らず助けようと飛び出し、零がそれを止めようと慌てて彼女の手を掴んだ瞬間、

 

 

 

 

──炎も人も、辺りの光景が全て突然固まり、まるで時が止まったかのように完全に動かなくなってしまったのである。

 

 

スバル「ッ?!と……とまっ、てる……?」

 

 

なのは「……も、もう訳が分からない……どうなってるの一体っ……」

 

 

最早世界の終わりかと思いきや時間までもが唐突に止まり、信じられない異常事態の連続に三人も訳が分からず唖然としてしまう中、目の前の親子が飲み込まれようとしていた炎の海の中から一人の人物……あの謎の青年がゆっくりと姿を現した。

 

 

零「ッ!お前、さっきの……」

 

 

「──どうやら、力の全てを失ってしまったようですね……ですが、時間はまだ少し残っています」

 

 

謎の青年は淡々とした口調でそう言いながら零達の前まで歩いて立ち止まるが、一方の零はこんな異常事態を前にしても表情の一つも崩さない訳知り顔の青年の反応に苛立ちを抑えられず、青年へと詰め寄りその胸ぐらを掴んだ。

 

 

零「一体何がどうなってるッ……!お前が言っていた世界の終わりってのは何だッ?!何故こんな事になったんだッ?!」

 

 

なのは「え……れ、零君……?」

 

 

スバル「い、いきなりどうしたんですか……?」

 

 

零「っ……!何っ?」

 

 

青年に憤りをぶつける零の姿を見て、何故か不思議そうに首を傾げるなのはとスバルの反応に零は戸惑い、思わず青年と二人の顔を交互に見比べる。

 

 

零「お前ら……まさか、コイツが見えていないのかっ……?」

 

 

まさかとは思い青年を指して二人にそう問い掛ける零だが、なのはもスバルも零が何を言っているのか理解出来ていない様子で頭上に疑問符を浮かべており、そんな二人の反応からやはり青年が見えていない事を理解した零は怪訝な眼差しを青年に向けて後退りしていく。

 

 

零「お前……一体何なんだ……?」

 

 

そもそも彼は敵なのか味方なのか、警戒心を露わにする零の質問に対し青年は何も答えようとせず、代わりに無言のまま僅かに掲げた右手の指を鳴らした瞬間、零と青年の周りが急に暗闇に包まれた。

 

 

突然光が消えた世界に招かれた零は動揺を浮かべて思わず辺りを見回してしまう中、暗闇の中で僅かながらも星のような煌めきを見付け、その光を頼りに次第に闇に慣れてきた目を擦ると、暗闇の向こう側に幾つもの星々……地球に酷似した十個の星を瞳に捉えた。

 

 

零「何だ……アレ……地球、に似てはいるが……?」

 

 

「ええ、全て地球ですよ」

 

 

零「なっ……馬鹿を言うな……!俺達が知る地球は一つしかない!あんな数、ある訳が──!」

 

 

「勿論、貴方達の知る地球はあの中に一つだけ。ですが他の地球は、貴方達の知るソレとは全く別の歴史と可能性を歩んだ並行世界……所謂パラレルワールドであり、それにより、貴方達の世界は"滅び"へと向かい始めています」

 

 

零「っ……どういう事だ……?」

 

 

いきなり明かされた並行世界という概念に辛うじて着いていくのがやっとの零だが、彼の説明の中に出てきた"滅び"というワードが気になりそう聞き返すと、青年は幾つもの地球を見つめながら話を続けていく。

 

 

「9つの世界に9人の仮面ライダーが生まれました。それは独立した別々の物語となり、決して交わる事はありませんでした……」

 

 

ですが、と一拍置いた青年が見つめるのは、幾つもの地球が空間内を漂う中で突然ぶつかり合い、互いに崩壊していく二つの地球同士。その信じられない光景を前に零も目を見張る中、青年は零に視線を向けて説明の続きを語る。

 

 

「……今、物語は歪み合って融合し、その為に世界が一つになろうとしています……やがて、全ての世界は消滅します」

 

 

零「消滅、だと……?」

 

 

世界同士が融合し、その果てに待つのは全ての世界の消滅。突然突き付けられた衝撃的な結論に零も言葉を失う中、同時に此処に至るまでに自分達の身に起こった異変の数々が脳を過ぎり、ハッとなる。

 

 

零「まさか……俺達の世界で起こったアレも、全部……」

 

 

「ええ……消滅していく街や人々、本来いる筈のない怪人、機能しなくなった魔法……それらも全て、交わる筈のなかった物語同士が融合し、世界のルールがぶつかり合い崩壊した影響によるものでしょう」

 

 

零「……そういう、ことか……嗚呼、大体分かってきたぜ……」

 

 

今までの不可解な異変やなのは達が突然魔法やデバイスを使えなくなり、管理局が機能している様子がなかったのも、全てはその"滅び"とやらに起因していた。

 

 

全く嬉しくもない疑問の解消に零も頭を抱え乾いた笑みを浮かべるしかない中、青年はそんな零をまっすぐ見据えて言い放った。

 

 

「ディケイド……貴方は9つの世界を旅しなければいけません。それが世界を救う、たった一つの方法です」

 

 

零「……旅……?」

 

 

訝しげな零の問いに、青年は無言で頷いて数多の地球を見上げていく。

 

 

「貴方は全ての仮面ライダーを破壊する者です。残念な事ですが、創造は破壊からしか生まれませんからね……最も、過去の記憶を失う前の貴方なら、その事を良くご存知だった筈ですが……」

 

 

零「ッ?!過去の、俺……?待てっ、俺が無くした記憶と今回の異変、何か関係があるのかっ……?!」

 

 

この十数年間、蘇る予兆もなく最早取り戻すのは不可能かと半ば諦めていた過去の自分の記憶を仄めかされ、驚愕を露わにする零に対し、青年は瞼を伏せて歩き回る。

 

 

「僕の口から全てを語る事は出来ません。ですが、その記憶を取り戻せるかは貴方次第……そして滅びの現象に巻き込まれ、ライダーの世界に跳ばされてしまった貴方の仲間達を救えるかも、貴方に掛かっています」

 

 

零「仲間……?まさか、フェイト達の事かっ?!」

 

 

自分の仲間であるフェイト達が滅びに巻き込まれ、ライダーの世界に跳ばされてしまっている。青年の口から告げられた仲間達の行方に零が動揺する中、二人の背後で十個の地球同士が激突し、其処から発生した閃光が眩い光となって空間内に広がっていき、二人の姿までも白く染め上げていってしまう。

 

 

―……全ての命運はディケイド、貴方次第です……世界を破壊し、世界を繋ぐ……それこそが、貴方の……―

 

 

零「グッ……!お、おい待てっ……!まだ聞きたい事が山ほどあるんだッ!おいッ!!」

 

 

光の眩しさを両腕で目を庇いながら青年を呼び止めようとする零だが、それも虚しく光は青年の姿を掻き消しながら辺り一帯を包み込んでいってしまう。

 

 

そして光が止んで目の前に視線を戻すと、いつの間にか元の場所に戻り、傍らには怪訝な眼差しを向けて心配そうにこちらを伺うなのはとスバルの姿だけが残されていたのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章/ライダー大戦⑦

 

―光写真館―

 

 

―ピッ!ピッ、ピッ!―

 

 

「──あれ?んん?テレビ、全然映らないね?」

 

 

その頃、零の行き付けと言われている此処光写真館では、この写真館の老主人である"光 栄次郎"が外の状況にも気付かないまま右手にリモコン、左手に新聞を手にノイズしか映らないテレビと格闘している最中にあった。其処へ……

 

 

―ガチャッ―

 

 

零「──爺さん、邪魔するぞ……」

 

 

栄次郎「ん……?おお!零君じゃないか!いらっしゃい!」

 

 

零「ああ、急に来てすまないな……って、爺さん?アンタ何やってんだ……?」

 

 

栄次郎「ん?うん……実はさっきから全然テレビが映らなくてねぇ。見たい番組がもうすぐ始まるのに困ってるんだよぉ……」

 

 

零(……外があんな状態になのにテレビの心配とは……やっぱり只者じゃないなこの爺さんっ……)

 

 

つい先程まで世界が終わりを迎えようとしていた中、そうとも知らず今の今まで映る筈もないテレビに食い付きリモコンを操作していた栄次郎を見て零も呆れを通り越して顔を引き攣る中、二人が今いる生活スペースのすぐ隣の撮影スタジオの入り口からなのはとスバルが中へと入ってきた。

 

 

なのは「お、お邪魔しまーす……」

 

 

スバル「失礼しまーす……?」

 

 

栄次郎「ん?あれ、お客さんかな?」

 

 

零「いや、客じゃなくて俺の連れだ。ほら、前にも何度か話してた……」

 

 

栄次郎「ああ、あー!前に話してくれた零君の彼女さんか!で、どっちの娘がそうなの?うん?」

 

 

スバル「え、ええ?!か、彼女ですか?!」

 

 

なのは「か、彼女というか、そのぉ……」

 

 

何やらとんでもない勘違いをしている栄次郎からの質問にスバルは思わず顔を赤くして慌ててしまい、なのはも言葉を濁しつつチラッと零の方を見るが、当の本人の零は適当に目に付いたハニワの置物を手に取りながら呆れ気味に溜め息を吐き、

 

 

零「前にも話したとは思うが、生憎俺とコイツらの間に爺さんが期待するようなロマンス溢れる浮かれた話なんてないぞ……。特に管理局なんてとこで働いてれば俺よりマシな男なんて幾らでもいるだろうし、わざわざ俺みたいな変わり種を好くような物好きでもないさ、ソイツ等は」

 

 

栄次郎「えー?そうかなぁ?」

 

 

なのは(あー……うん、シッテタ……どーせ変わり種を好くような物好きですよーっだっ……)

 

 

ナイナイと、片手を振って否定する零のいつも通りの反応に内心拗ねてそっぽを向いてしまうなのは。そしてスバルもそんな彼女の反応を察して苦笑いを浮かべると、話題を変えるのも兼ねて館内の撮影スタジオを物珍しげに見回していく。

 

 

スバル「そういえば私、写真館ってあんまり来たことってないかも……零さんはここ、確か行き付けって言ってましたよね?」

 

 

零「まあな。……あぁ、そういえば紹介もまだだったか。この人が写真館の館長を務めてる──」

 

 

栄次郎「初めまして、館長の光栄次郎です。皆さんのことは零君から常々聞いてますよ〜♪」

 

 

なのは「光、栄次郎さん……?その名前ってもしかして、地球の……?」

 

 

零「あぁ、爺さんは元々俺達と同じ地球出身らしい。ただ随分昔に次元震に巻き込まれてからこっちに跳ばされたらしく、其処からは色々あって此処で写真館を経営して過ごしてるんだとか……俺も初めて話を聞いた時は驚いたもんだ」

 

 

奥で三人への珈琲を用意し始める栄次郎の背中を見つめ、彼の過去について補足を加えながら二人にそう説明すると、零は近くの棚に仕舞われている救急箱を借りていく。

 

 

零「取りあえず、今は治療が先だな……説明しなきゃならない事も山ほどあるし……」

 

 

「「……?」」

 

 

テーブルの上に置いた救急箱から薬とガーゼを取り出しながら、これから説明しなければならない突拍子もない内容に零が今から頭痛を覚える中、そんな彼の様子になのはもスバルも互いに顔を見合わせて不思議そうに首を傾げていた。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

なのは「──じゃあ、私達の世界がこうなったのはその滅びのせいで、世界を救うには仮面ライダーって人達がいる世界を旅しなきゃいけない……ってこと?」

 

 

スバル「しかも、ティア達や部隊長達も、その滅びの現象に巻き込まれてライダー達の世界に跳ばされてるって……」

 

 

零「ああ……掻い摘んで説明すると、大体そういう事らしい」

 

 

それから十数分後。零は二人の治療を行いながら先程青年から教えられた経緯をなのはとスバルにも説明していた。

 

 

そして全ての話を終えた後、二人は何も言えず俯き包帯を巻いた自分の手を見下ろしてしまい、そんな二人の反応に零も救急箱を閉じながら溜め息混じりに呟く。

 

 

零「まぁ、すぐに理解しろと言われても飲み込めるような話じゃないだろうな。お前らのその反応も当然だ」

 

 

スバル「あ……い、いえ、確かに突拍子もない話だし、全部を全部理解出来たってワケでもないんですけど、でも……」

 

 

なのは「信じられない、なんて言えないよね……現に今、目の前であんな事が起こってる訳だし……」

 

 

そう言ってなのはは写真館の窓から差す赤い光を見つめ、世界が終わろうとしていた直前の光景を思い出し複雑げな表情を浮かべると、零の方に振り返って不安げに問い掛ける。

 

 

なのは「でも、本当に行くの……?魔法も使えないし、空だって飛べない今の私達じゃ出来る事も少ないのに……」

 

 

零「……それでも出来る事がない訳じゃない。現に今、俺達は此処にいるんだからな」

 

 

ライダーの世界とやらを旅するという事は、もしかしたら今後も自分達が襲われてきたあの怪物達と再び戦う事があるかもしれない。魔法を使えなくなり、戦う手段を失った今の自分達だけでそんな事が出来るのか不安を覚えるなのはに対し、零は椅子から立ち上がって二眼のレフカメラのファインダーを覗きながら何時もの調子で語る。

 

 

零「今までだってどうしようもなさそう状況で、死にそうな目に遭いながらも何だかんだで解決して来られたんだ。今回もそう変わらんさ。分かりやすい敵を叩いて、仲間を助けて、ついでに世界も救う……今まで俺達がやって来たことの延長線だろう?」

 

 

スバル「つ、ついでってっ……」

 

 

なのは「……マイペース過ぎ……こんな状況でもそういうとこは相変わらずなんだからっ……」

 

 

零「それが俺だからな。嫌ってほど知ってるだろ?……少なくとも、六課が無事に終われるまでは、俺もこんな所で終わるつもりはないさ……」

 

 

なのは「……あ……」

 

 

こんな差し迫った状況の中でも相変わらずな調子の零に呆れて言葉も出てこないなのはだったが、零が静かに呟いたその言葉を聞いた瞬間に公園での彼との会話が過ぎり、同時に気付いた。

 

 

彼が見てるのは世界の行く末というもっと大きなものではなく、その世界の中で自分達が一年を共にした機動六課が無事に終われる事や、教え子達の門出に少しでも上手くなった自分の写真を渡し、皆がそれぞれの選んだ道を歩む姿を見届けるという、もっと間近な未来。

 

 

自他共に認める弄れ者だし、根っからの善人とは言い難い彼だが、同時に身近な人達の為ならば文字通り命すら投げ出せる人である事を、"自分は良く知っている"。

 

 

例えそれが世界の終わりという状況の中であっても、仲間達の危機やその未来が奪われようとしているのなら迷わず往く人でもある事、そんな彼に見守られる自分がこれから先に描こうとしていた未来を思い出し、いきなり課せられた世界の命運という重みや今の力無き自分達だけで出来るのかという不安に苛まれてる場合ではないと、一度瞳を伏せて心を落ち着けたなのははソファーから立ち上がった。

 

 

なのは「……分かった。なら一緒にいくよ、私も。まだまだこの世界でやり残した事が沢山あるのに、此処で終わらされたらたまったものじゃないし」

 

 

スバル「なのはさん……うん、私も同意見です!せっかくこれからやるべき事が見えたのに、世界に終わられたら困りますから!」

 

 

零「……そうか……ま、俺一人でも事足りると思うが、九つもの世界を一人旅ってのも味気ないだろうしなぁ。特別に付き合わせてやっても構わんぞ?」

 

 

なのは「私達が付き合ってあげるのっ!大体零君一人に任せてたら、いつまで経っても旅が終わらずにずっと世界がこのままって可能性もあるしっ」

 

 

零「どんだけ信用がないんだよ俺はっ……言っとくが俺は元々大体の事を卒なく熟す方だ。余程の事でもない限り、俺がドジを踏むなんてある訳がないだろう?」

 

 

なのは「行く先々で女の子絡みのトラブルに巻き込まれては首を突っ込んで無茶して怪我した挙句、何故か助けた女の子が付いてくるのは?」

 

 

零「……………………………………………………………………………………………違う世界でまで同じ目に遭うとも限らんだろうよ…………」

 

 

スバル(あ、今すんごい間を空けてから目を逸らした……)

 

 

今の指摘に心当たりがありまくるのか、急に歯切れが悪くなりあからさまになのはから顔を逸らす零を見て、其処は否定はしないんだなぁと内心思ってしまうスバル。

 

 

因みに今のスバルの位置からはなのはの顔は見えないが、恐らくきっと凄い顔をしてるのだろうとこの一年で染み付いた経験故に何となーく分かり、初めの頃にオロオロしていた自分が今や懐かしいなぁーとスバルが遠い日の記憶に浸る中、隣に立つなのはが不意に溜め息をこぼし、椅子に腰を下ろしつつ若干投げ槍な口調で肝心な事を問い掛ける。

 

 

なのは「まあいいや……それで、そのライダーの世界にはどうやって行くの?確か並行世界って言ってたし、私達の世界みたいに船とかで次元世界に行くのとは違うんだよね?」

 

 

零「え?」

 

 

なのは「え?」

 

 

零「……………………」

 

 

なのは「……………………」

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

 

 

 

なのは「……ちょっと待って零君……まさかとは思うんだけどっ──」

 

 

零「…………………………………………………ああ………そーいえば、行き方自体の説明はなかったなぁ…………と…………」

 

 

スバル「え……えぇえええええええええええええっっ!!!?」

 

 

なのは「な、何でよりにもよって一番肝心な事を聞き忘れるのォッ?!だからそーゆー適当な所はあれほど直しなさいって口が酸っぱくなるほど言ったでしょっっ!!」

 

 

零「お、俺にばっかり責任があるとは言い切れないだろうこの場合ッ?!クッソッ、アイツちゃんとした説明も無しに消えやがってっ……!!」

 

 

まさかのエマージェンシー発生。ここに来てまさかのライダーの世界へ行く方法を聞き忘れるという大ポカをやらかしていた零にスバルは絶叫し、思わず両手で顔を覆ったなのはも零の胸ぐらを掴んでガクガクと前後に激しく揺さぶる中、三人分の珈琲を容れ終えた栄次郎が奥から現れテーブルの上にカップを並べていく。

 

 

栄次郎「まあまあ、取りあえず珈琲でも飲んで落ち着いて。話の内容はよく分からないけど、何事においても急いては事を仕損じる、だよ?」

 

 

スバル「うぅ……スミマセン……じゃあ、頂きますっ……」

 

 

なのは「嗚呼っ、もうほんとにどうしようこれっ!まさかスタートラインからいきなり躓くなんて思いもしなかったっ!」

 

 

零「あー……まあ落ち着け。爺さんの言う通り焦っても事が解決する訳じゃな、美味っ……解決する訳でもないんだ。一先ず冷静になってから三人でもう一度……しかし砂糖が欲しいな……」

 

 

なのは「喋るか飲むかどっちかにしてよぉっ!っていうかこうなったのは零君にも責任あるんだからちゃんと考えてよねぇッ?!」

 

 

実際問題かなりの非常事態であるのに会話の合間に珈琲を啜る零の不真面目さに怒り、再び抗議して零を叱り始めるなのは。そして栄次郎はそんな光景を何処か微笑ましげに一瞥しながら撮影スタジオの壁の一角にある撮影用の背景ロールを操作する鎖の調整を始めるが、何故か鎖を引っ張てもビクともせず一瞬訝しげな表情を浮かべるも、すぐに鎖が留め具に掛かったままだったのに気付いて留め具から鎖を外すと、一気に鎖が出て背景ロールが勢いよく降りてしまう。その時……

 

 

―パアァァァァァァァンッ!―

 

 

零「ッ!何だっ?」

 

 

勢いよく降りた背景ロールに不思議な絵が浮かび上がり、淡い光が何度か放たれたかと思いきや、光はすぐに止んで収まった。そして零達は謎の光を発した背景ロールの前に集まると、ロールには中心にそびえ立つ大きな山に向かって走る数台のパトカーの絵が描かれていた。

 

 

零「これは……」

 

 

スバル「……あ、あれ?何か、外の様子がさっきと可笑しくないですか?」

 

 

なのは「へ?」

 

 

スバルにそう言われ、二人も窓の方を見た。すると確かに、先程まで炎の海の赤い光が差していた窓からいつの間にか普通の日差しが差し込んでおり、二人と共に訝しげに窓を見ていた零は突然「まさか……!」と思い、慌てて写真館の外へと飛び出した。其処には……

 

 

零「……何だ、これ……」

 

 

写真館の外に出て、零は唖然として立ち尽くしてしまう。それもその筈、何故なら零が目にしたのは先程までの炎の海に飲まれ掛けるミッドの街並みではなく、自動車が目の前を行き交う道路沿いの風景に変わった外の世界だったからだ。更に……

 

 

『警ら中の各移動に連絡。春日部二丁目の北二倉庫にて、未確認生命体の出現を確認』

 

 

零「?今のは……って、何だこりゃ?!」

 

 

不意に聞こえてきた無線の声に驚き思わず肩を見れば、其処には何故か無線機が肩に留められており、加えて零の格好がいつの間にか警官の制服姿に変化していたのだ。

 

 

一体何が起こったのか?訳が分からぬまま周囲を見回すと光写真館の外観まで変化しているのに気付き、困惑する零は此処から見える巨大な山を見て、訝しげに目を細めた。

 

 

零「あれは……まさか……」

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

『事件現場の指揮は、警視庁未確認生命体対策本部員が担当する。現場にて対応する署員は、対策本部員の指示に従い、未確認の接近に注意。負傷・事故等無いように注意されたい。以上、警視庁』

 

 

「撃てっ!撃てぇええっ!」

 

 

―バババババババァンッ!!―

 

 

『ヌゥウウッ……ヌァアアッ!』

 

 

そして同じ頃、警察の無線にもあった北二倉庫では、大勢のパトカーと警官達が拳銃やライオットシールド等の装備を手に異形の怪物を包囲し、迎撃する光景があった。

 

 

しかし、異形の怪物……警察の無線の中で未確認生命体と呼称されていた怪人は自身に浴びせられる銃弾をものともせず、その強靭な腕力だけで近くのパトカーを軽々と転がして警官達を威嚇していく。

 

 

それでも警官達は退く事なく何とか此処で食い止めるべく懸命な一斉射撃を続ける中、一人の女刑事がパトカーの無線を使って警察の無線とは別の無線に繋げた。

 

 

「未確認生命体7号を確認……!優矢、聴こえてる?!」

 

 

『──大丈夫、聴こえてるよ姐さん!今ちょうど現場に向かってるとこだ!』

 

 

無線から聴こえたのは、まだ何処か少年っぽさが残る男の声。女刑事はその応答に頷き切羽詰まっていた表情にも僅かに力強さが戻るが、未確認生命体7号が警官の一人を捕まえると共にパトカーの上に叩き付けて襲い掛かろうとしているのを目にし、襲われる警官を急いで救出しようと未確認生命体7号の背中を銃で狙い定めるが……

 

 

―ガシャアアアアアアアアンッ!!―

 

 

『シャアアアアッ!』

 

 

「?!なっ、うぐぅッ?!」

 

 

「あ、綾瀬ぇッ!」

 

 

綾瀬と呼ばれた女刑事の背後にある倉庫の壁から突然もう一体の未確認生命体が現れ、そのまま一番近くの綾瀬の姿を捉えると共に彼女へと襲い掛かり、首を掴んで壁に叩き付けてしまったのだ。

 

 

もう一体の未確認生命体の出現により現場が混乱に包まれる中、其処へ一台のバイクが駆け付ける。そしてバイクに搭乗する少年がヘルメットを外すと、未確認生命体に襲われる綾瀬の姿を見て形相が変わった。

 

 

「姐さん……!?クッ!」

 

 

襲われる綾瀬を目にし、少年はすぐさまバイクから降りて自身の腹部に両手を翳す。すると少年の腹部にベルトが出現し、綾瀬の下へ駆け出しながら腕を前に構え、そして……

 

 

「変身ッ!」

 

 

高らかに叫び、少年がベルトの左側を左手の甲で軽く押すと、少年の体が徐々に赤い鎧の戦士へと変身していく。

 

 

そして完全に赤い戦士へ変身した少年は警官達の頭上を飛び越えながら拳を振りかざし、綾瀬に襲い掛かる未確認生命体を殴り付けて組み合いとなると、そのまま二体の未確認生命体を相手に戦闘を開始していくのであった。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

零「──クウガの……世界か……」

 

 

そして、光写真館の前では零が此処が自ずとあの青年が話していたライダーの世界である事に気付き、背景ロールにも描かれていた山……灯熔山を見つめて静かにそう呟いたのであった。

 

 

 

 

 

第一章/ライダー大戦END

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界①

 

栄次郎が操作して現れた背景ロールの絵により、違う世界へと訪れた零達。滅びへと向かう自分達の世界を救う為に彼等が最初に足を踏み入れたのは、未確認と呼ばれる怪人と戦う仮面ライダー、クウガの世界だった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

―光写真館―

 

 

スバル「──此処って、ホントに別世界なんですかね……?」

 

 

なのは「うん、多分……写真館の外も、私達がいたミッドとは全然違うし……」

 

 

零が外に飛び出したのと同じ頃、写真館に残されたなのはとスバルも窓から外を覗いて異常に気付き、滅びを迎える寸前で時が停止していた筈のミッドの街並みから見慣れぬ道路沿いに変わってしまっている外の風景を眺め、困惑を浮かべつつも何とか冷静さを保ち、今の状況を一つ一つ整理していた。其処へ……

 

 

―ガチャッ―

 

 

なのは「……あ、零君帰ってきたのかな──って、へっ?」

 

 

撮影スタジオの扉が開く音を聞き、先程出ていった零が戻ってきたのかと思いなのはとスバルが扉の方に振り返るも、二人の目が点となってしまう。

 

 

それもその筈、何故なら撮影スタジオにいきなり踏み込んできたのは一人の警官であり、何故か深々と帽子を被って不自然に顔を隠した警官は何も言わず二人の下へと近付き、重々しい口調で口を開いた。

 

 

「失礼、此処に凶悪な犯罪者がいると通報があった……署までご同行願おうか?」

 

 

スバル「え、えっ?ちょっ、ま、待って下さいっ!何の話ですかいきなりっ?!」

 

 

突然やって来て無茶苦茶な事を言い出した警官の身に覚えのない話に慌てふためくスバルだが、警官の方はお構い無しにと話をロクに聞かずなのはの腕を掴んでしまう。が直後、なのはは手の返しによって警官の手首を素早く掴み返し、警官の腕を捻って目の前のテーブルの上にねじ伏せてしまった。

 

 

スバル「うぇええええっ?!な、なのはさぁーんっ?!」

 

 

「いだだだだだだだァッ!!バカバカ待て待てっ!!ギブだギブっ、ギブっ!!」

 

 

スバル「……へ?い、今の声って……?」

 

 

警察官相手にいきなり乱暴な手段に出たなのはの行動を前に更に動揺してしまうスバルだったが、なのはの腕を必死にタップする警官の聞き覚えのある声を聞いて頭上に疑問符を浮かべ、そんな彼女の反応を他所になのはは警官をねじ伏せたままその帽子を剥ぎ取ると、素顔を晒した警官……零をジト目を睨み付けた。

 

 

スバル「れ、零さん?!」

 

 

なのは「……それで?急に出てったかと思えばこんな格好で戻ってきた上にいきなり人を悪者扱いしてくれるなんて、一体どういうつもりかなぁ零くんはぁっー?」

 

 

零「グゥッ……ちょっと冗談で驚かしてやろうとしただけだろうに、其処までマジになる事もないだろうがっ……!どうせ最初に入ってきた時点で俺だと気付いてただろっ!」

 

 

なのは「当然でしょ、そうじゃなかったら零君以外の人にこんな手荒な真似はしませんから」

 

 

零「其処は俺も含めろやっ!お前の中での俺の扱いは普通の人間以下かっ!」

 

 

クソッ、思いの外本気でやりおって……!と漸く解放された腕を摩って今更ながら相手が悪過ぎたと後悔してしまう零だが、一方で未だに呆然と固まっていたスバルはハッと我に返り、動揺が収まらないまま零の格好を眺めていく。

 

 

スバル「と、というか零さんっ、どうしたんですかソレっ?!さっきまで普通の格好してましたよねっ?!」

 

 

零「んあっ……?ああ……さあなぁ。外に出たらいつの間にかこの格好になってたんだよ、全くっ」

 

 

何が何だかと、ウンザリした様子で隠していた二眼のレフカメラをテーブルの上に置きながら零が椅子に腰掛けると、生活スペースの方からリモコンを片手に栄次郎が不意に顔を出し、零に呼び掛けた。

 

 

栄次郎「零君零君、ちょっといいかい?今やっとテレビが付いたんだけど、何か可笑しなニュースが流れてるんだよ」

 

 

なのは「?ニュース、ですか……?」

 

 

何だ?と揃って不思議そうに首を傾げながら、三人は生活スペースの方に足を踏み入れ栄次郎が指すテレビの画面に目を向けていく。

 

 

其処には彼の言う通り、何やら緊迫した様子のアナウンサーが何処かの事件現場を中継する映像が映し出されており、カメラが必死に追い掛ける画面の中で、謎の赤い戦士と異形が警官隊に囲まれながら激闘を繰り広げる姿があった。

 

 

スバル「あれって……?」

 

 

零「……『未確認生命体4号』、か……成る程、それがこの世界での仮面ライダーの呼び名らしい」

 

 

なのは「え?」

 

 

緊張感が伝わるカメラの向こうで殴り合う異形同士の戦いになのは達が釘付けになる中、二人の背後で部屋の隅に束になって重なっていた新聞の山から一枚手に取った零がそう呟き、振り返ったなのはとスバルに読んでいた新聞を手渡していく。

 

 

其処に書かれているのは、未確認生命体と呼ばれる謎の怪人達が人を襲い殺害してるという事件の事細かな詳細と、その未確認生命体と戦う謎の戦士、今もテレビに映る未確認生命体4号と呼ばれる仮面ライダーの記事の内容が記載されていた。

 

 

なのは「未確認生命、学者はグロンギと呼んでいるって……」

 

 

スバル「私達の世界に現れたのと同じ怪物が、この世界にもいるって事ですか……?」

 

 

零「みたいだな……。で、この世界ではその怪物、未確認とやらが現れ、それと警察が戦っていると言う訳か」

 

 

そう言いながら今もテレビで流れる緊迫した現場のニュース……未確認同士の戦いの陰に映る警官達を見つめる零の言葉を聞き、新聞から目を離したなのはも同様にテレビを見て複雑げに眉を寄せていく。

 

 

なのは「この世界は確かに、私達がいた世界とは違う……それは分かったけど、でも、其処から先はどうするの?私達の世界を救うには九つの世界を巡らなきゃいけないって言ってたけど、此処で何をすれば……」

 

 

そう、そもそもの話、世界を巡った先で自分達は一体何を果たせばいいのかを聞かされていないのだ。

 

 

この世界での目的が分からず、何をするべきなのかも分からないなのは達が俯き悩む中、そんな二人の様子を見て零も僅かに思考する素振りを見せた後、不意に何かを閃いたかのように胸ポケットを漁り、警察手帳と証明写真を取り出し二人に見せていく。

 

 

スバル「?それって……」

 

 

零「巡査、黒月零。恐らくそれがこの世界での俺の役割って奴なんだろう」

 

 

なのは「役割って……警察になる事が?」

 

 

零「この世界じゃ警察は未確認生命体、グロンギって連中と戦ってるんだろう?なら話は簡単だ、奴らと戦ってみてこの世界でやるべき事を探ってみればいい。その中で奴らを潰せば、それが正解って可能性もあるしな」

 

 

スバル「ええっ……?そ、そんな適当で良いんですかっ?」

 

 

零「大丈夫だ、任せておけ。取り敢えず俺はそのテレビに映ってる現場に行ってみる。その間、お前達も出来るだけこの世界での情報を集めてみてくれ。頼んだぞ?」

 

 

なのは「えっ、ちょ、そんなこといきなり言われても……!零君ってばー!」

 

 

テーブルの上のカメラを掴みながら軽く手を振って写真館を出ていく零の後を追い掛けるも、外に出た二人が追い付いた時には既に零は表に停めてあった警ら用の自転車に乗り、テレビに映っていた現場に向かって走り去っていた後だった。

 

 

なのは「ああ、もうっ……!相変わらず人の話を待たずに先に行っちゃうんだから……!」

 

 

スバル「あははっ……でもなんて言うか、違う世界に来ても零さんが相変わらずだと逆に安心感ありますよね。今は私達しかいないから特、に──って、なのはさん?!」

 

 

なのは「え?……え、スバル、その格好……って、何これぇええっ?!」

 

 

人の話も聞かずに先に行ってしまった零の身勝手さに憤るなのはを宥めようとするも、何故か突然驚愕し出したスバルの反応で振り返り、彼女と、自分の今の格好……いつの間にか何処かの学校の制服姿に変わってしまっている自分達の姿を見て、なのはとスバルの驚倒の悲鳴が写真館の前で木霊したのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界②

 

―北二倉庫内―

 

 

クウガ『はぁッ!でりゃッ!ハッ!』

 

 

一方その頃、北二倉庫内ではクウガに変身した少年が7号と呼ばれるヤドカリ型のグロンギと、突如現れた8号と呼ばれる鳥型のグロンギの両方を相手に戦いの場を変え戦闘を行っていたが、その近くに先程殺された女性警官の遺体が倒れているのを視界の端に捉え、クウガは目を開き息を拒んだ。

 

 

クウガ(また被害者が女性警官?!なんでまたっ……?)

 

 

女性警官の遺体を見てクウガがそんな疑問を覚えて動きが鈍ってしまう中、二体のグロンギ達はその隙を突くようにクウガに襲い掛かっていき、連携した動きでクウガを徐々に追い詰めていく。

 

 

クウガ『危なっ?!クソッ!考え事なんてしてる場合じゃないかっ……!』

 

 

相手が二体掛かりな以上、油断すればこちらがやられる。今はとにかく目の前に集中しなければと気を改めてグロンギの攻撃を必死に捌いて反撃に転じるクウガの下へ、クウガがグロンギ達を抑えてる間に警官隊の後退と負傷者の回収を終わらせた先程の女刑事……綾瀬が駆け付け、苦戦するクウガに指示していく。

 

 

綾瀬「相手のペースに律儀に付き合わないで!身軽に動くのよ!」

 

 

クウガ『っ、分かってるッ!』

 

 

綾瀬の指示にそう応えながらグロンギ達を退けて少し距離を取り、クウガは変身の時と同様の構えを取り身構える。

 

 

クウガ『超変身ッ!』

 

 

力強い掛け声と共に、クウガの身体が赤から身軽な軽装の青い姿……素早さと跳躍力に特化した形態である『仮面ライダークウガ・ドラゴンフォーム』へ徐々に変化していき、再攻撃を仕掛けてきたグロンギ達の攻撃を軽快な動きで掻い潜りながら近くに転がるパイプ棒を片足で拾い上げて手に取り、両手に身構えていく。

 

 

次の瞬間、クウガが手にするパイプ棒が一瞬で青い棒、ドラゴンフォームの専用武器であるドラゴンロッドにその姿を変えていき、クウガがそれを手に反撃に転じグロンギ達に挑んでいく中、丁度その場に警ら用の自転車で到着した零が自転車を降り、二眼のレフカメラを構えクウガを撮影し始めた。

 

 

零「仮面ライダークウガ。戦況に合わせてフォームチェンジ、周囲の物体を武器に出来る、か……便利に出来てるんだなぁ」

 

 

そんな独り言と共にクウガの能力に関心を覚えつつ、二眼のレフカメラでクウガの戦う姿を写真に収めていく零だが、すぐ近くでクウガの戦いを見守っていた綾瀬が零の存在に気付き慌てて近づいていく。

 

 

綾瀬「君、それ私物?というより何してるの?!後退しろって言われたでしょ!」

 

 

零「はいはい……あ、ところで一枚貰いますね」

 

 

怒鳴る綾瀬の注意も右から左へ聞き流し、今度は綾瀬まで撮影し始める零を見て綾瀬は言葉を失い、呆れて溜め息を吐いてしまう。その一方で……

 

 

クウガD『はぁッ!ダァッ!ハアァッ!!』

 

 

―ドゴオォォンッ!!―

 

 

『グゥッ?!ウッ……オオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッ!!?』

 

 

クウガの方は長いリーチを上手く活かしたドラゴンロッドの棒術で二体のグロンギを寄せ付けず圧倒していき、全力で突きを打ち込んだクウガの一撃が7号に叩き込まれ、悲痛な叫びと共に倒れる7号の身体に紋章が浮かび、爆発が発生して完全に7号を消滅させたのであった。

 

 

そして残った8号もこのままでは分が悪いと踏んだのか、背中から翼を生やして飛翔し、天井を突き破って逃走を測ろうとする。

 

 

綾瀬「優矢ッ!これ、使いなさいッ!」

 

 

それを見た綾瀬も空に逃げたグロンギの追撃の為、自分の拳銃をクウガに投げ渡した。

 

 

クウガD『分かったよ、姐さんッ!』

 

 

零「……姐さん?」

 

 

受け取った拳銃を手に頷いて応えるクウガの綾瀬への呼称が引っ掛かり、訝しげに眉間に皺を寄せる零にも気付かず、クウガは再び力強く叫ぶ。

 

 

クウガD『超変身ッ!』

 

 

再びその姿を徐々に変化させていき、クウガの身体が緑色の目と鎧を纏う姿……感覚に特化した形態の『仮面ライダークウガ・ペガサスフォーム』となると、右手に持つ拳銃も金色のラインが入った専用武器のペガサスボウガンへと同様に変化させ、変身を完了させたクウガは8号が逃げた天井の穴を通ってグロンギの追跡に向かっていった。

 

 

綾瀬「言いふらさないでよ」

 

 

屋上に向かうクウガを怪訝な眼差しで追う零に一言そう釘を刺すと、綾瀬も奥の階段からクウガの後を追おうと走り出し屋上へと上がっていった。

 

 

零「……成る程。あの刑事はクウガと協力関係にあるって訳か」

 

 

そしてクウガの正体は警察内でも秘密と、綾瀬の一言から様々な事情を汲み取った零は溜め息混じりに一人そう呟き、カメラを仕舞いながら8号とクウガが消えた穴を一瞥しその場を後にするのであった。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

―北二倉庫・屋上―

 

 

一方その頃、8号を追って屋上に上がったクウガは既に遥か上空へと飛び去っていく8号の背中を捉えると共に、ペガサスボウガンを構えて弓を引き、狙いを定めていく。そして……

 

 

―……バシュンッ!―

 

 

『───ッ?!ァッ、ギッ……ギャアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?』

 

 

ペガサスボウガンから放たれた矢が完璧に8号の背中を捉えて撃ち貫き、紋章が浮かぶ8号の身体から爆発が発生し空に爆炎を撒き散らしたのであった。

 

 

そして丁度8号撃破の場面で屋上に到着した綾瀬も上空に広がる火花を見上げて安堵の溜め息を漏らし、クウガの下に駆け寄っていくと、クウガも変身を解除して元の少年の姿に戻りながら綾瀬に拳銃を返していく。

 

 

「ほい、いつもありがとさん!」

 

 

綾瀬「……犠牲者が出てるんだから、あまりはしゃがないでちょうだい」

 

 

「はいはい。で、どうだったかな?今日の俺の変身さ!」

 

 

拳銃を受け取る綾瀬の注意も話半分に、今日の自分の戦いぶりを気にするようにそんな質問を投げ掛ける少年。それに対し綾瀬もジーッと少年の顔を呆れ気味に見つめた後、小さく吐息を吐きながら腕を組んで答えた。

 

 

綾瀬「7号と8号を同時に相手して確実に倒したのだし、まあまあって所ね」

 

 

「ホントに?あ、だったら、何か飯でもおごってくれよ!姐さん!」

 

 

綾瀬「いいから、今日はもう学校に戻りなさい。呼び付けた本人が言えた口じゃないけど、あまり学業を疎かにするものではないわよ?」

 

 

「え、も、戻れって言われてもなぁ……今日の授業はもう終わっちゃってるし……」

 

 

綾瀬「だったらカバンを取りに戻って家でゆっくり休みなさい、優矢。あなたの変身については、まだ分からない事が多いんだから」

 

 

あまり浮かれるものじゃないわと、そう言って綾瀬は少年……"桜川 優矢"に休むように言い聞かせその場を後にしていき、残された優矢も屋上を去る綾瀬の背中に虚しく伸ばした腕をガクリッと落とし、目に見えて気落ちしてしまう。其処へ……

 

 

「──今日もフラられちゃったみたいね……これで一体何度目になるかしら」

 

 

優矢「ウグッ……そ、その声はっ……」

 

 

傷心の男心に、グサリと突き刺さる少女の声が何処からともなく聞こえてきた。その声に釣られ優矢が振り返ると、其処にはいつからいたのか、綾瀬が出ていった扉の前に背中を預けて佇む茶髪の女の子の姿があった。

 

 

優矢「や、やまと……!なんでこんな所にいるんだよ?!」

 

 

「私の学校、今回の現場が近かったから休校になってね。このまま帰るのもなんだしと思って様子見に来たのよ。……これでも一応4号の正体を知ってる関係者なんだから、気になってしまうのも当然でしょ?」

 

 

ふぅ、と小さく溜め息を吐きながら肩を竦める茶髪の女の子……優矢の違う学校の後輩である"永森 やまと"の言葉に、優矢は眉を顰めて首を横に振った。

 

 

優矢「だからって事件現場に近付くんじゃないよ。ただでさえ未確認が出たってだけでも外に出るのは危ないってのにさ、またやまとの身に何かあったらこうが悲しむぞっ?」

 

 

やまと「それを言い出したら先輩だって人のこと言えないじゃない。今の話だと途中で授業を抜け出してきたみたいな感じだったし、いつも一緒にいるあの四人の先輩達、今頃先輩がいなくなったの気にして心配してるんじゃない?」

 

 

優矢「うっ……それ、は……」

 

 

実際彼女が指摘した通りなのか、図星を突かれたように顔を引き攣って視線を逸らしてしまう優矢を見て、やまとも二度目の溜め息と共に扉から背を離してドアノブに手を掛けた。

 

 

やまと「どうせこれから学校に戻るんでしょ?私もちょうど陵桜に用があるし、ついでに付き合ってあげる」

 

 

優矢「え?あ、あぁ、それは良いんだけどさ……何も其処まで気ぃ使ってくれなくても……」

 

 

やまと「ふぅん……先輩一人で彼女達相手に上手い言い訳が出来るとは思えないけど、本当に私がいなくても大丈夫なのかしら?」

 

 

優矢「うぐっ……すみません、フォローお願いします……」

 

 

時間的にまだ学校に残ってるであろう学校の仲間達と出くわした時に事件の件を伏せ、学校を抜け出した事をどう説明すべきか思い浮かばず項垂れる優矢に頼まれ、やまとも「よろしい」と頷き二人揃ってその場を後にしていくのであった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

―陵桜学園高等部―

 

 

その頃、春日部市にある私立の高等学校、陵桜学園。写真館の外に出た瞬間に何故かこの学校の制服の姿に変わってしまったなのはとスバルは、制服のポケットに入っていた生徒手帳からこの学校の名前と住所を調べ、此処に自分達がやるべき何かがあるのではないかとヒントを求め校門の前にまでやって来ていた。

 

 

スバル「陵桜学園高等学校……手帳に書かれたのって此処みたいですけど、本当にこの学校に何かあるんでしょうか?校舎の見た目とか、通う生徒さん達とか、どう見ても普通の学校にしか見えませんけど……」

 

 

なのは「うん……けど、零君みたいに私達の格好も此処の学校の服に変わったし、何も関係ないって事はないと思うから調べてみる価値はあるとは思うけど……でも、何でそれでよりによって制服っ?」

 

 

まさかこの年になって高校の制服を着る事になるとは想像もしてなかったからか、まだ歳若いスバルに比べて自分の制服姿に無理はないだろうかと大分気にしてしまうなのは。

 

 

そんな落ち着きのない様子のなのはの心情を察してスバルも苦笑いを漏らしてしまうも、学校から下校して出てくる大勢の生徒達の声を耳にして辺りを見渡し、若干困った顔を浮かべた。

 

 

スバル「でも学校の方はもう終わっちゃってるみたいですね、どうしよう……」

 

 

なのは「うーん……取りあえず、この辺の生徒さん達から話だけでも聞いてみよっか?学校が終わってるんならこの格好で校内を歩き回ってても不自然に思われないだろうし、此処まできたからには情報収集ぐらいして帰らないとね」

 

 

スバル「そうですね……じゃあ、話を聞けそう子に声掛けてみましょうか?えーっと……?」

 

 

なのはと話し合い方針を決め、一先ず事件の話などを聞けそうな生徒を探してスバルは下校中の生徒達の顔を見回していく。と其処へ……

 

 

「───あふぅ〜……今日の授業もキツかったぁ……特に夜通しネトゲ漬けだったから、目蓋が重いのなんのと……」

 

 

「大丈夫、こなちゃん?」

 

 

「自業自得でしょ。まったく、そんなにキツイならちゃんと睡眠取りなさいよね」

 

 

「柊さんの仰る通りですよ、泉さん。そんなに夜更かしばかりしていては身体にも悪いですし」

 

 

校門から出て来る生徒達の中に混じり、四人組の女子達がそんな雑談を交わしながら下校する姿がたまたまスバルの目に止まった。

 

 

スバル「うん、あの人達とかいいかも……あの、ちょっとすみませーん!」

 

 

「……?はい?」

 

 

あの四人なら話を聞いてくれそうだと踏み、スバルは手を振って呼び止めながら四人の女子達の下に駆け寄り、四人もその声を聞いて足を止め、不思議そうな面持ちでスバルの方へと振り返っていく。

 

 

スバル「突然呼び止めてすみません。あの、実はこの辺で未確認生命体の事件について色々話を聞いて回ってるんですけど、何かご存知だったりとかしませんか?」

 

 

「え、未確認の話……?」

 

 

「っていうか、貴方は?うちの生徒みたいだけど……何でそんな事件の話を?」

 

 

スバル「へ?あ、あー……それは、ええっとっ……」

 

 

「「「「……?」」」」

 

 

しまった、事件の話を探る事ばかりに気が向いてその辺りの帳尻を忘れていたと焦り、今更ながら自分の事をどう説明しようかと慌てふためいてしまうスバル。そしてそんなスバルを見て女子達も不審げな反応を浮かべる中、其処へスバルの後ろから苦笑を浮かべてなのはが割って入った。

 

 

なのは「急にごめんなさい。実は私と彼女も新聞部の部員で、今部の活動で世間を騒がせてる未確認生命体の事件の事を追ってるの。それで生徒の皆にも色々話を聞いて回ってて……」

 

 

「あ、な〜んだ〜、新聞部の人たちだったんだね〜」

 

 

「なんだそういうこと?それならそうとハッキリ言ってくれればいいのに」

 

 

変に言い淀むからちょっと身構えちゃったわよと、二人が新聞部の人間だと分かり不信感が晴れる女子達。咄嗟の助け舟に救われたスバルは彼女達に見えないように裏で「フォローありがとうございます……!」となのはに両手を合わせて感謝し、なのはもそれに対し苦笑いを返す中、四人組の一人のおっとりとした女子が頬に手を当てて首を傾げていく。

 

 

「それにしても事件の話ですか……正直、私達もテレビや新聞で広まってる情報程度の知識しか分かりませんし、あまりお力になれるかどうかは……」

 

 

「ま、この辺で未確認の事件とかあんまり聞かないしね。それだけ警察が頑張ってくれてるって事なんだろうけど……まあつい最近の話だと、女性警官ばかりが狙われてるって今朝のニュースでもやってたわよね?」

 

 

なのは「女性警官が……?」

 

 

「んー……んんっ……?」

 

 

ツインテールの女子が思い出すように語るその内容に二人も真剣な面持ちで聞き入る中、今にも眠そうに瞼を擦っていた小柄な青髪の女子がふとなのはとスバルの顔をジッと見つめて何やらその表情が怪訝なものに変わっていくも、他の女子三人はそんな事に気付かず事件に関する話を続けていく。

 

 

「そういえば携帯のニュースで知ったのですが、つい先程も、女性警官がまた一人未確認に狙われたのだとか……」

 

 

「ええ、マジでっ?ほんっとに最低ね未確認って……!力の弱い女の人ばかり狙うとかまんま暴漢かっつのっ」

 

 

「ううっ、本当に怖いよねぇ……あ、そういえばこなちゃん、確か昼休みの時に従姉のお姉さんもその事ですっごい愚痴ってた話してたよね?」

 

 

「ああ、アンタの従姉さんも確か婦警さんだったわよね。そういえばこの間も『未確認に狙われてるって分かってんのに明日も出勤するとか嫌だぁー!ふざけんなぁー!』って荒れてて大変だったみたいな話してたけど、最近はどんな──」

 

 

「──あああああああぁぁぁぁーーーーーーーーっっ?!そうだ、そうだよっ!やっぱりそうだ間違いないっ!!」

 

 

「「?!」」

 

 

ツインテールの女子が小柄な青髪の女子に話を振ろうとしたその時、青髪の女子は突然なのはとスバルの顔を指差しながら仰天の悲鳴を上げ始め、なのはとスバル、他の三人の女子もいきなり大声を上げた女子に驚き思わず後退りしてしまった。

 

 

「び、びっくりしたぁ……もぉこなちゃ〜ん、急に大声出さないでよぉ……」

 

 

「あ、ごめんつい……じゃないよつかさっ?!大変、一大事なんだよこれはっ!!顔や髪型が似てる上に声まで一緒とか、もうそっくりさんとかのレベルじゃないしっ!え、同一人物?まさかテレビから出てきちゃったとかっ?!」

 

 

「い、泉さんっ?」

 

 

「ああもうっ、さっきから何の話してんのよアンタはっ!ほら、アンタが急に訳わかんないこと言い出すからこの二人も引いてんじゃないのっ!」

 

 

「いやだってこの二人──!」

 

 

と、青髪の女子は突然の事態に戸惑うなのはとスバルの顔をビシィッ!と指差し、

 

 

「この二人、どっからどう見ても『魔法少女リリカルなのは 』のキャラクターにそっくりなんだよー!!」

 

 

なのは&スバル「「……へ?」」

 

 

どどん!なんて仰々しい効果音が何処からともなく聞こえてきそうな勢いで青髪の女子が告げたセリフに、三人の女子は勿論のこと、なのはとスバルも思わず呆気に取られてお互いの顔を見合わせてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界③

 

―警視庁・未確認生命体対策会議室―

 

 

一方その頃、優矢と別れて署に戻った綾瀬は未確認の対策会議に出席し、今回の事件を他の対策メンバーと共に洗い直していた。議題は勿論、先程殺害された女性警官についてである。

 

 

綾瀬「被害者はまた女性警察官でした。これまでと同様、職務中の女性警察官ばかりです」

 

 

「これで三人目か……しかし綾瀬よ、未確認が出現すればすぐ警官が出動する。被害者が警官なのはむしろ当然なんじゃないか?」

 

 

被害者が女性警官である事を注視する綾瀬の話に、彼女と共に会議に参加する刑事の一人が最もらしい意見を口にする。実際のところ、ホワイトボードにも書き記されている今までの事件の流れで被害者となったのはどれも女性警官ばかりではあるものの、一般市民に被害が出たという報告はされていない。

 

 

ならば彼女達が殺害されたのはその市民を守ろうとして代わりに殺されたのではないかと推察する刑事に対し、綾瀬は首を横に振って否定する。

 

 

綾瀬「いいえ、未確認生命体はこれまでも一定の手順に従って殺人を行い、被害者にも共通点がありました。なのに今回だけその例に漏れると言うのは、奴らの今までの習性を考えて有り得ないと思います」

 

 

「……グロンギゲーム殺人説か……奴らにそんな知性があるってのか……?」

 

 

未確認生命体がまるでゲームのように一定のルールの上で人を殺害している。これまでの会議でも度々議題になる事が多かったその定説が濃厚になりつつある事に他の対策班のメンバーも信じ難い様子を浮かべる中、一人の警察官がヤカンを手に会議室へ入り、そのまま淡々と対策班の空になった湯呑に麦茶を注ぎ足していく。

 

 

「では本当に女性警官ばかりが狙われているとして、女性警察官全員に護衛をつけろってのか?無理だろ!」

 

 

綾瀬「それは……」

 

 

署内だけで数えてもかなりの数の女性警官がいる。対策を練るにしてもそんな方法は確かに現実的ではないし、そもそもそれだけの数の護衛の為に人員を裂ける程の余裕もない。ならば一体どうするべきかと綾瀬も頭を悩ませると、湯呑に麦茶を注いでいた警官がホワイトボードの内容を一通り眺め、静かに口を開いた。

 

 

「規則を守って殺す……確かにまるでゲームのようだが、今回の場合はそれだけって訳でもなさそうだな……」

 

 

綾瀬「……え?」

 

 

ボソッと、何やら意味深な事を呟く警官の言葉を耳にして綾瀬が思わず振り返ると、彼の首から何故か警官服に似つかわしくないピンクの二眼のレフカメラが掛けられているのが目に入った。その見覚えのあるカメラを見て慌てて顔を上げると、綾瀬は漸く其処でその警察官が先程の事件現場で出くわした零である事に気付く。

 

 

綾瀬「貴方っ、確かさっきの……?!」

 

 

何故こんなところに?!、と椅子から勢いよく立ち上がろうとする綾瀬だが、その時、突然署内に無線が鳴り響いた。

 

 

『緊急通報。先程とは別の未確認生命体が警ら中のパトカーと接触した模様。繰り返す、先程とは別の未確認生命体が警ら中のパトカーと接触した模様』

 

 

綾瀬「ッ!9号……?」

 

 

零「…………」

 

 

署内に響くあまりに早すぎる次のグロンギの出現の報せに綾瀬も戸惑う中、対策班も慌ただしく会議室を飛び出していく。そして綾瀬もヤカンを手に佇む零を一瞥すると、彼等の後を追って会議室を飛び出しながら携帯で何処かに連絡を取り始めていき、そんな綾瀬の後ろ姿を見送りながら零もヤカンを台の上に置いて溜め息を一つこぼす。

 

 

零「流石に警察も手を焼いているか。しかしこのまま奴らの後手に回るってのも面白味がない……警官らしく証言を取るとするか──」

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

―灯溶山付近・河原―

 

 

「あ……あっ……ああッ……」

 

 

グロンギ出現の報せが届いてから二十分後、現場では再び現れたグロンギが警ら中のミニパトを襲撃し二人の女性警官の内の一人を襲っていた。そしてグロンギは女性警官の息の根を止めた事を確認すると、そのまま奥のトンネルに逃げ込んで逃走を測るが、其処へ……

 

 

―ブオォォォォォォッ!!―

 

 

『……?!クウガバ?!』

 

 

トンネルの向こうからライトを照らしながら現れた一台のバイクに阻まれ、足を止めたグロンギはクウガかと警戒し槍のような武器を取り出して身構えていく。しかし……

 

 

ディケイド『──クウガ?違うな』

 

 

マシンから降りてそう告げたのはクウガではなく、警視庁から駆け付けた零が変身するディケイドだったのだ。自身の知らない未知の戦士を目の当たりにしたグロンギも動揺し、思わず後退りして驚愕を浮かべた。

 

 

『リントビ ガザダバゲンギブギダボバ!』

 

 

ディケイド『グギグギうるせぇよ。ちょっと話を聞かせて欲しいだけだ』

 

 

そう言いながら悠然とした足取りでグロンギに近付こうとするディケイド。しかし既にディケイドを敵と認識したグロンギは構わず槍のような武器を振りかざして容赦なくディケイドへと襲い掛かり、それに対しディケイドも咄嗟に両腕で槍の攻撃を受け止めながらカウンターの拳でグロンギに反撃し、戦闘を開始していくのであった。

 

 

 

 

◆◇◇

 

 

 

 

トンネル内でそんな戦闘が行われる中、女性警官達が襲われた現場にパトカーに乗った綾瀬と、彼女から連絡を受け取った優矢、そしてたまたま彼と一緒に陵桜に向かう途中だったやまとが駆け付け、半壊されたパトカーと襲われた女性警官の下へ駆け寄り三人は目を開いた。

 

 

綾瀬「四人目の犠牲者……!」

 

 

優矢「っ、9号はッ?!」

 

 

殺された女性警官の痛ましい姿を見て険しげな表情になりながらもやまとに見せないように体で隠し、グロンギの居場所をもう一人の女性警官から聞き出そうとする優矢だが、その時……

 

 

―ドガアァンッ!―

 

 

『グォオオオオオッ?!』

 

 

「「「ッ?!」」」

 

 

突然トンネルからグロンギが吹っ飛ばされるように現れ、それを見て三人が驚きと共に振り返る中、更にトンネルの奥からディケイドがゆっくりと歩きながら現れた。

 

 

優矢「な、なんだアイツ……?」

 

 

綾瀬「未確認……10号?」

 

 

優矢と綾瀬は現れたディケイドを呆然と見つめ、やまとは怯える女性警官の肩を抱いて優矢達の後ろに急ぎ下がらせていく。そしてディケイドはグロンギの攻撃を上手く捌きつつ素早いパンチの応酬で殴り飛ばすと、腰に巻いたバックルのサイドハンドルを開き、左腰のライドブッカーから一枚のカードを抜き取った。

 

 

ディケイド『情報提供の礼だ、受け取れ』

 

 

そう言いながらカードをバックルに装填し、両手でサイドハンドルを閉じるようにスライドさせていった。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE·DE·DE·DECADE!』

 

 

電子音声が響き渡ると共に、ディケイドとグロンギの間にファイナルアタックライドのカードの形状をした十枚のビジョンが出現していく。それを確認したディケイドは空高く跳躍して右足を突き出すと、飛び蹴りの態勢のままグロンギに向けてカードを突き破るようにフィールドを次々と潜り抜けていき、そして……

 

 

ディケイド『ハアァァァァァァァァアッ!!』

 

 

―ドゴオォォンッ!!―

 

 

『グ、グオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーッ?!!!』

 

 

ディケイドの必殺技の一つ、ディメンションキックがグロンギに炸裂し、グロンギは断末魔の悲鳴を上げながら吹っ飛ばされ爆散していったのであった。

 

 

優矢「アイツ……自分の仲間を……?!」

 

 

同じ未確認を倒したディケイドを見て優矢達が驚愕を隠せないでいると、ディケイドは深い溜め息を吐きながら両手を叩くように払って身を起こし、トンネルの中に止めたディケイダーの下へ歩き出していく。

 

 

優矢「ッ!待てお前ッ!何で同じ未確認を倒したッ?!」

 

 

ディケイド『俺をグロンギと一緒にするな!』

 

 

優矢からの問いに簡潔にそう返したディケイドはディケイダーに跨りエンジンを掛け、マシンをUターンさせてその場を去ろうとする。

 

 

優矢「答えになってねぇぞっ!おい待てっ!」

 

 

綾瀬「優矢ッ!」

 

 

優矢は去っていくディケイドに向けて叫びながら追い掛けようとするが、綾瀬は深追いしようとする彼の腕を掴んで慌てて引き止め、二人がゴタついてる間にディケイドはディケイダーを駆りその場から走り去っていくのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界④

 

―光写真館―

 

 

零「──成る程。で、お前らもお前らでその陵桜って学校に何かあるんじゃないかと思い立って、情報収集に向かった訳か」

 

 

なのは「うん……取りあえず聞けた話だと、女性警察官が狙われてばかりいるっていうのは一般の人達の間でも知れ渡ってるみたい……」

 

 

スバル「あと、あの辺りじゃ未確認生命体の事件とかあんまり起こってはいない、とか……」

 

 

その日の夜。写真館の受付では今日の出来事や情報を交換して話し合う零達の姿があり、グロンギとの戦いからそのまま写真館に戻ってきた零は陵桜学園での二人の話を聞いて顎に手を添え思考に浸っていく。

 

 

零「あの周辺で事件は起きていないか……となると、奴の話も口からのデマカセって訳でもなさそうだ……」

 

 

なのは「?何の話……?」

 

 

零「……いや、こっちの話だ。まぁ取りあえずそっちも情報収集お疲れさん、と言いたい所だが……お前ら、何でそんな揃ってグッタリしてるんだ……?」

 

 

そう、先程から会話してる間ずっと気になっていたのだが、何故かなのはもスバルも受付カウンターに突っ伏していたり、壁に力無く寄り掛かってたりとやたら疲れ切った様子でグッタリしているのだ。

 

 

何かあったのだろうか?と、そんな純粋な疑問から訝しげに二人にそう問い掛ける零に対し、カウンターに突っ伏していたなのはが徐に顔を上げて何処か言い辛そうに視線を逸らす。

 

 

なのは「べ、別に対した事は何もなかったよっ……?ただその……その学園の情報収集に行った時、ちょっと変わった女の子に絡まれたぐらいで……」

 

 

零「……変わった女の子?」

 

 

何だそりゃ?と頭の上に浮かべる疑問符の数を増やして零が首を傾げると、なのはの隣の席に座って壁にもたれ掛かるスバルが苦笑いと共に口を開いた。

 

 

スバル「えと、私達もよく分かんないんですけど……何かその女の子曰く、私となのはさんがアニメ?のキャラクターにそっくりだとか大騒ぎになったんですよ……。それでその後、女の子から色々質問攻めにあって──」

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

『ねえねえねえねえ、二人はどうやってこっちに来たの?!っていうか何で?どっから来たの?!やっぱテレビの中から?取りあえずスバルがいるって事は『StrikerS』からってのは間違いないよね!あ、でももしかしてサウンドステージXの辺りとか?見た目の年齢的に『ViVid』や『Force』って事はないだろうけど……いやでも映画とかもあるしなぁー。もしかするとTV版準拠じゃないって事もありだそうだし、そうなるとマテリアル娘達もいたりとか──』

 

 

なのは『ちょ、ちょちょちょちょっとっ、待って待って待ってっ!!さっきから一体何の話をしてるのかサッパリ──?!』

 

 

『ああもうっ、いい加減にしときなさいよアンタはっ?!初対面の人間相手にまでオタクムーブ全力で絡むんじゃないわよっ!』

 

 

『あひっ、あひゃひゃひゃひゃっ!ひょ、ひょっろひはいっへばかがひーん!ほっへはひっはら……って、あーッ!ちょっと待ってよ二人共っ!まだ聞きたい事が沢山──!』

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

スバル「──みたいな感じで、女の子からの質問の勢いとか、名前とか魔法の事まで言い当てられた事にビックリしちゃってつい慌てて逃げてしまった……っていうのが今日の出来事でしてっ……」

 

 

零「……成る程……つまり、ふっ……この世界じゃお前らに似たキャラクターがアニメになってる上に、しかも、魔法少女とか呼ば……クッ!」

 

 

なのは「顔逸らしてるけど今絶対笑ってるよねッ?!ほらもおスバルゥーッ!!零君に話したらこういう反応されるから絶対言わないでってあれほど口止めしたでしょおーッ?!」

 

 

スバル「あ、す、すみませんっ!ぼーっとしてたからついポロッと……!」

 

 

零「ん、んん……!まあ落ち着け、そう怒ってやるなよ。いや、俺は悪くないと思うぞ?違う世界でも形は違えど、お前達の名が知れ渡っているのは幼馴染や教官としても鼻が高いからなぁ。だから寧ろ堂々と胸を張ってもいいだろう魔法少女リリカルなのはさん―ガァアンッ!―イッタァッ?!おまっ、いきなり足踏む事はないだろォッ?!」

 

 

なのは「そっちがあからさまに悪意しかない言い方するからでしょっ?!大体私、自分からそんな風に名乗った覚えなんかないもんっ!」

 

 

零「だからって手ぇ出すのは違うだろうがっ!魔法少女のクセに大人気ない真似なんかしてんじゃねぇよっ!」

 

 

なのは「にゃああああ!また言ったッ!もう今日という今日は絶対に許さないんだからァーッ!!」

 

 

スバル「ちょ、ちょっと二人ともっ?!落ち着いっ、ちょ、喧嘩は駄目ですってばーッ!!」

 

 

零の魔法少女弄りから勃発した姉弟喧嘩を始める零となのはを止めようと泣きそうになりながらも仲裁に入るスバル。だが二人はその声も聞こえていないのか聞く耳を持たず、近くの物をとにかく投げ合ったり、遂には椅子を持ち上げて武器に使ったりとドンドン悪化していく状況に頭を抱えそうになった。その時……

 

 

―ガチャッ―

 

 

優矢「こんばんわー……って、アレ?此処って喫茶店じゃなかったっけ?」

 

 

綾瀬「……どう見ても違うわよね」

 

 

不意に写真館の扉が開かれ、優矢と綾瀬が中に入ってきたのだ。二人が写真館の中を物珍しげに見渡す中、零となのはの喧嘩を仲裁しようとしていたスバルが二人に気付いて慌てふためく。

 

 

スバル「あ、い、いらっしゃいませー!ほらお二人もっ、お客さんが来ちゃいましたしもうその辺でっ……!」

 

 

なのは「ぜぇっ、ぜぇっ……だって、先に始めたのは零君の方っ……って、アレ……?その制服って、確か陵桜の……?」

 

 

優矢「え?」

 

 

二人が喧嘩で投げ合った物を慌てて床から拾い集めるスバルに止められて渋々引き下がると、なのなは優矢が着ている見覚えのある制服を見てそう呟き、一方で綾瀬は椅子に潰されて床に突っ伏す零の姿に気付き最初はギョッとするものの、良く見ると見覚えのある顔だと気付いて更に驚きを浮かべた。

 

 

綾瀬「も、もしかして貴方、黒月巡査?!どうして此処に……?」

 

 

零「グゥッ……どうして、と言われてもね……一応居候先なんですよ、この写真館……」

 

 

にしてもコレはないだろうッ……とぼやきながら零が頭の上の椅子を退けて徐に身を起こす中、来客の声を聞き付けたのか、奥の方から栄次郎が顔を出した。

 

 

栄次郎「あれ、零君達のお客さんかい?それならどうぞどうぞ!珈琲なら自信ありますんでね!」

 

 

零「……何か知らんが勘違いされてるな……」

 

 

スバル「えと……う、うちの館主さんもああ言ってますし、良かったらどうでしょう?あ、勿論サービスとかしますよ!」

 

 

優矢「えっと……じゃあ、姐さん。せっかくだからご馳走になりましょうよ」

 

 

綾瀬「……そうね。なら、お言葉に甘えて……」

 

 

いきなりの誘いに若干戸惑いながらも、栄次郎からの好意を無下には出来ないと素直に受け入れる優矢と綾瀬。それを見てスバルもこれで零もなのはが喧嘩を続行する事はないと踏み、内心「YES!」とガッツポーズを取っていくのであった。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

撮影スタジオ内に通され、奥から栄次郎の容れる珈琲の香ばしい匂いが漂う中、優矢と綾瀬は席に着いて先程彼等が遭遇した未確認生命体10号……ディケイドについて話し合っていた。

 

 

綾瀬「未確認を倒した彼……貴方は何者だと思う、優矢?」

 

 

優矢「何って、未確認10号だろ?次は倒してやるっ」

 

 

バシィッ!と、自身の掌に拳を打ち付けてディケイドへの対抗心を燃やす優矢。しかし一方で綾瀬の方はディケイドを其処まで敵視していないのか、落ち着いた口調で先程の現場での戦いを思い返し冷静な分析を口にする。

 

 

綾瀬「でも私には、彼はグロンギよりも貴方に近い存在に見えたわ」

 

 

優矢「?俺に、近い……?」

 

 

綾瀬「そう。……仮にもし、彼もグロンギと戦う存在なのだとしたら、彼の話を聞いてみたいと思うの」

 

 

優矢「聞いてみたいって……何だよそれッ!俺の代わりに戦わせようって事かッ?!」

 

 

ディケイドに肩入れする綾瀬に感情を剥き出しにし、思わずテーブルを叩いてしまう優矢。その大きな音に奥のなのはと栄次郎、珈琲を運ぼうとしたスバルも驚き肩をビクつかせる中、綾瀬はそんな彼女達に申し訳なさそうに会釈しながら小声で優矢を宥めた。

 

 

綾瀬「勝手に早とちりしないでっ。彼もグロンギと戦う者なら、貴方の力になってくれるかもと思っただけよっ」

 

 

優矢「え……あ……そっか……」

 

 

確かにディケイドがグロンギだけと戦う存在なら、今まで一人で戦ってきたクウガである自分にとっても大きな助けになる。綾瀬がそう言ったのも自分を心配しての事だと理解して優矢も安堵と嬉しさから思わず笑みを浮かべる中、其処へ零がカメラを手に二人の顔を撮りながら話に割って入った。

 

 

零「何やら大分親しげですね、綾瀬刑事。そちらの少年は?」

 

 

綾瀬「あ……彼は桜川優矢。ちょっと捜査に協力してもらってるのよ」

 

 

零「ほう……ちょっと、ですか……」

 

 

クウガの事を伏せ、あくまでも一般の捜査協力者である体で優矢を紹介する綾瀬。一方で零は何処か意味深な眼差しで優矢の顔を見つめていき、その嫌な視線に優矢も迷惑げに眉間に皺を寄せていく。

 

 

優矢「な、何だよ……」

 

 

零「……いいや、何も。それより綾瀬刑事、未確認の事件の件で一つ気付いた事があるのですが、良ければ少し時間を頂いても大丈夫でしょうか?」

 

 

綾瀬「え?」

 

 

優矢「いきなり出てきて図々しい奴だな……素人に何が分かるんだよっ」

 

 

零「少なくとも、あの4号とか言う訳の分からん奴よりもマシな事は言えると自負は出来るさ。何せ同業者だしな」

 

 

優矢「はあ?!」

 

 

わざわざ煽るような口ぶりをする零に優矢もカッとなって椅子から立ち上がるが、零はそれを無視して綾瀬の方を向いたまま話を続ける。

 

 

零「どうします、綾瀬刑事?話を聞くだけならタダな上、何よりこの解決法は4号の力を借りなくとも警察の力だけで行える……それなりに価値はあるとお約束出来ますが?」

 

 

綾瀬「…………詳しく聞かせてもらえるかしら?」

 

 

優矢「なっ……姐さんっ?!」

 

 

自分の力を必要としない零の話に耳を傾けようとする綾瀬に驚く優矢。そして零と綾瀬が事件の話を進めていく中、優矢はその様子を面白くなさそうに一瞥してそのまま写真館を出て行ってしまった。

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

綾瀬を置いて写真館を飛び出した優矢は、表に停めてあるバイクに跨りエンジンを掛けようとするが、其処へ優矢を追い掛けてスバルが写真館から出てきた。

 

 

優矢「……コーヒー代か?」

 

 

スバル「あ、いえ、そういう訳じゃないんですけど……」

 

 

両手を振って否定し、スバルは両手の指を絡めながら少し言い難そうに優矢に問う。

 

 

スバル「あの、一つ聞きたいんですけど……優矢さんってもしかして、4号……ですか?」

 

 

優矢「……何でそう思う」

 

 

スバル「えっと……さっき零さんが話してた時、4号の事で優矢さんが急に怒り出したから、もしかしたらそうなんじゃないかと思って……」

 

 

優矢「……もしそうだったらどうする?怖いか?」

 

 

スバル「いえ、そんな……!ただ、凄いなって……誰かを守る為にあんな怪物と戦えるなんて……」

 

 

自分も前線で戦う身であった為に分かるが、自らの意志で拳を握り締めて戦いの場に身を投じるなど余程の勇気がなければ出来ない筈。それなのに普通の学生の身でありながらグロンギと戦う優矢を凄いと褒めるスバルだが……

 

 

優矢「……別に、誰かの為に戦ってる訳じゃない」

 

 

スバル「……え?」

 

 

優矢「俺はただ、自分の為に戦ってるだけだ。そうじゃなきゃ、俺は……」

 

 

クウガとして自分がグロンギ達と戦うのも、全ては自分の為でしかない。そう言って今度こそバイクのエンジンを掛け走り去ろうとする優矢だが、スバルは僅かに逡巡する素振りを見せた後、優矢の背中に向けて口を開いた。

 

スバル「でも……!あの綾瀬さんって人、優矢さんの事とても心配してると思うんです……!だから零さんの話を聞こうとしてるのも、きっと優矢さんの負担を少しでも軽くしたい一心からなんじゃないかって……」

 

 

優矢「っ……何でそんな事が分かんだよっ」

 

 

まるで綾瀬の気持ちが分かるような口ぶりのスバルに優矢は思わず語気を強くして振り返ると、何処か複雑げな様子で俯くスバルの表情から何かただならぬ事情を悟り、もしやと思い問い掛ける。

 

 

優矢「もしかして……お前も誰かを心配してるから、か?」

 

 

スバル「……今の私達、前みたいに直接力になる事が出来ないから……警察官の綾瀬さんと違って、無事に帰って来て欲しいって祈る事ぐらいしか出来ませんけどねっ」

 

 

たははっ、と頭を掻いて何処か空元気に笑うと、スバルは優矢に頭を下げて一礼しそのまま写真館の中に戻っていく。そして優矢もそんなスバルの後ろ姿を見送ると、綾瀬が残る写真館を見上げながらスバルに言われた言葉を思い出し、複雑げに眉を顰め無言のまま俯いてしまうのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑤

 

―光写真館―

 

 

なのは「──誕生日繋がり?」

 

 

それから翌日。零は昨夜綾瀬と話した事件の話についてなのはに説明しながら、彼女と共に栄次郎の許可を取って借りた暗室に昨日撮影した写真を取りに向かっていた。

 

 

零「ああ。最初の犠牲者から昨日までの犠牲者の四人、彼女達の誕生日を並べて共通点を指摘したんだよ。最初は13日生まれ、次は27日、5日、そして最後に死亡した彼女は26日……それらの数字の最後を上から順に読んでいくと?」

 

 

なのは「?えっと……3、7、5、6で……み・な・ご・ろ……って、まさか?!」

 

 

零「そういう事だ。"皆殺し"の語呂合わせで、グロンギの奴らが犠牲者を狙っている……そう説明したら、最後に4が付く誕生日生まれの女性警官を重点的に警備するとの事で、さっき綾瀬刑事から連絡があった」

 

 

なのは「そっか、そういう事だったんだ……殺された被害者達にそんな繋がりがあったなんて……」

 

 

零「ああ。我ながら良く出来てると思う」

 

 

なのは「うん……うん?」

 

 

聞き間違いだろうか、今何か気になる台詞をサラッと言われたような気がするが、零は構わず到着した暗室の電気を付けて中に入っていき、現像した写真の確認作業を行っていくも、やはり零が撮影した写真はどれも酷くピンボケしていてまともな写真は一枚たりとも存在しなかった。

 

 

なのは「……やっぱり、この世界でも普通の写真は撮れないんだね」

 

 

零「らしいな」

 

 

なのは「らしいなって、そんな他人事みたいな……。零君は虚しくなったりとかしないの?こんなに沢山撮ってるのに、全然まともな写真が撮れないんだよ?」

 

 

零「前にも言っただろ?俺は自分の写真を失敗とは思っていないと。だからどんなに下手であろうと写真を撮るのを止める気はないし、例え一生このままだとしても、俺がこのカメラを手放すだなんて死んでも有り得ない」

 

 

愚問だと言わんばかりに、首に掛けたカメラを手に取って揺らしながらそう告げて暗室を後にしていく零。その言葉を聞いてなのはも一瞬呆気に取られるも、直後に自分達が贈ったカメラを其処まで大事にしてくれているのだと実感して紅に差す頬で嬉しそうに微笑み、零の後を追い掛けていく。

 

 

なのは「それでさっきの続きだけど、これでグロンギ達の目的を阻止出来たなら後は綾瀬刑事達が頑張ってくれるだろうし、もう私達に出来る事ってないんじゃないの?残りのグロンギの件も、クウガ……スバルが言ってた昨日の優矢君が倒してくれるだろうし……」

 

 

零「……それで済むならこっちも助かるんだがな……どうにもそう単純な話って訳でもなさそうだ」

 

 

そう言って撮影スタジオに戻ってきた零は、テーブルの上にドライバーと共に置いておいたライドブッカーから一枚のカード……未だ絵柄が甦らないクウガのカードを取り出してなのはに見せていく。

 

 

なのは「カードの力が戻ってない……」

 

 

零「俺達のこの世界での役目はまだ終わってない。そもそもな話、今やってるコレが本当に役目に沿って動けてるのか俺にも分からん。だから……」

 

 

なのは「……だから?」

 

 

一拍置く零になのはが怪訝な反応で思わず聞き返すと、零はクウガのカードを手にしたまま写真館の固定電話の下へ歩み寄り、受話器を手にしていく。

 

 

零「取りあえず、目に付く物から一つずつ片付けていこうと思う……シラミ潰しって奴だな」

 

 

そう言いながら零は固定電話に番号を入力していき、耳に当てた受話器の向こうから何度かコール音が聞こえた後、警視庁にいる綾瀬の応答の声が届いたのだった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

―灯溶山付近・河辺―

 

 

数十分後。零から突然の呼び出しを受け、綾瀬は優矢と共に彼が待ち合わせ場所に指定した山奥の河辺にやって来ていた。

 

 

因みに何故かは分からないが優矢に着いてきたやまとまで一緒であり、彼女曰く「先輩に何かあった時にフォロー出来る人間が傍にいた方がいいでしょ?ただでさえ4号の事は私生活でも内緒にしてるのだし」とのこと。

 

 

そしてそんな二人と共に綾瀬が奥へ進んでいくと、河辺の岩の上に座る零とスバルの姿を発見した。

 

 

零「やっと来たか。……何か知らない奴までいるが、まあいい」

 

 

綾瀬「……それで黒月巡査、さっきの電話はどういう事ですか?自分の推理が間違っていたって」

 

 

綾瀬がすぐに本題に入り、零に先程の電話……零が話した誕生日繋がりの推理が実は間違いだったという内容の意味を問い質すと、零はその疑問に答える代わりに懐から一枚の地図を取り出し、綾瀬達に見せていく。

 

 

その地図には灯溶山を中心に、所々に赤い×印が書かれていた。

 

 

綾瀬「これは……?」

 

 

零「今まで殺された女性警官達が襲われた場所だ」

 

 

そう言って零は岩場から腰を上げて立ち上がり、灯溶山を指差した。

 

 

零「あの山にグロンギの遺跡がある。奴らは今回のゲゲルで其処に眠る、究極の闇……とやらを復活させるつもりらしい」

 

 

綾瀬「究極の闇?一体何処からそんな情報を……?」

 

 

零「聞いたんだよ。昨日のグロンギ9号から直接」

 

 

「「……はあッ?!」」

 

 

サラッととんでもない発言を口にする零に綾瀬と優矢は思わず声を大に驚きの声を上げ、そんな二人の反応にスバルも苦笑を浮かべる中、やまとだけは不審げに目を細めて零の顔をジッと見つめていく。

 

 

そして零の突拍子のない話に一瞬思考が停止していた綾瀬だが、すぐに我に返り、余計に困惑した様子で零に疑問を投げ掛けた。

 

 

綾瀬「だったら例の、皆殺し……は何だったっていうのっ?」

 

 

零「アレは単なるデマカセだ。誕生日なんて何も関係ない。山から等距離の5箇所で、戦うリントの女性……つまり、女性警官を殺していくってのが本当のルールだったんだとさ」

 

 

優矢「何だよそれ、どうして嘘の推理なんか……」

 

 

綾瀬「……警察の警備を警視庁に集中させれば、此処に近づく女性警官も居なくなる……貴方、最初からそれを狙ってわざと嘘の推理を……?」

 

 

つまりはこの山に近付く人間の人払いを目的としたもの。零の真の狙いをこの場の誰より早く悟った綾瀬の問い掛けに対し、零もコートのポケットに両手を突っ込みながら不敵な笑みを浮かべ振り返る。

 

 

零「そう、これで山に近付く女性警官は誰もいない。……今此処にいるアンタを除いてな、綾瀬刑事」

 

 

綾瀬「……え?」

 

 

どういう意味だ?、と一瞬零の言葉の意味が分からず困惑する一同を他所に、零は無言のまま背後に視線を向け、

 

 

零「ゼレボギレ ギレズンザゾグ!(出て来いよ、来てるんだろ!)」

 

 

「「「ッ?!」」」

 

 

『グッ……!』

 

 

突然グロンギ語で叫び出した零に驚く綾瀬達。それと同時に何時から潜んでいたのか、木の上から二体のグロンギがゆっくりと姿を現した。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

一方その頃、写真館では二人の帰りを待って留守番をしていたなのはだったが、写真館から灯溶山の上空に出ている銀色のオーロラを目にし……

 

 

なのは「この世界にも、私達の世界と同じ滅びが……」

 

 

どうにも嫌な胸騒ぎを覚えて居ても立ってもいられなくなり、なのはは急いで写真館を飛び出し灯溶山へ走り出していくのだった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑥

 

 

『ゲゲルゾ ザジレスゾ(ゲゲルを始めるぞ)』

 

 

『ゴンダダバグゴンバ リント ゾボソゲザゴボシザ!(その戦うリントの女を殺せば終わりだ!)』

 

 

グロンギ達はそう言って木の上から飛び降りながら零達に徐々に近づいていき、零もポケットから両手を出してグロンギ達を睨み付けていく。

 

 

零「ボンダギロ ギダビラバシタ(今回も二体掛かりか)」

 

 

綾瀬「言語学者が解析しようとしても出来なかったのに……!」

 

 

グロンギ語で会話する零に驚きを禁じ得ない綾瀬の反応を他所に、零はそんな綾瀬に目を向けてグロンギ達の言葉を通訳していく。

 

 

零「此処で五人目を殺せば、究極の闇とやらが復活するらしいぜ」

 

 

優矢「クッ……!」

 

 

二人掛かりで迫るグロンギ達を前に、優矢は咄嗟に綾瀬の前に出て彼女を守ろうとする。だが零はそんな優矢を突然突き飛ばして綾瀬の方に振り返り……

 

 

―バキィッ!―

 

 

綾瀬「あぐっ?!」

 

 

なんと、綾瀬の顔をいきなり思いっきり拳で殴り付けたのである。

 

 

やまと「なっ……」

 

 

スバル「ちょっ?!零さんっ?!」

 

 

優矢「テメェッ!いきなりなんの真似だッ?!」

 

 

そんな零の突然の暴挙を見てスバルとやまとも慌てて綾瀬の傍に駆け寄り、優矢も怒りで零の胸ぐらを掴み詰め寄るが、零は無表情のまま顎で綾瀬を差す。

 

 

零「落ち着けよ。ほら、見てみろ」

 

 

優矢「はっ……?」

 

 

零にそう言われて優矢が綾瀬に視線を向けると、綾瀬の鼻から血が出て地面に滴り落ちていた。すると突然、それを見たグロンギ達が足を止めて絶句し後退りし始めていく。

 

 

『リントン ヂグバガセダ……?!(リントの血が流れた……?!)』

 

 

『ゲキバスゲゲル パギママギギダ!(聖なるゲゲルは失敗した!)』

 

 

やまと「?未確認が動揺してる……?」

 

 

優矢「急にどうしたんだ、こいつら……?」

 

 

鼻血を出す綾瀬を見て何故か後退りしていくグロンギ達の様子に優矢とやまとが疑問を覚える中、そんな二人の疑問に零が口を開いて答えていく。

 

 

零「よく思い出してみろ……コイツ等は今まで、一滴の血も流さずに女性警官達を殺し続けていた」

 

 

綾瀬「……あ」

 

 

淡々と語る零にそう言われ、綾瀬も其処で初めて気付いた。今までグロンギ達に殺された被害者の女性警官達の遺体から、ただの一滴も血が流れていなかった事を。

 

 

零「聖なるゲゲル……一滴の血を流さずに殺す事が最大のルール。だが残念だったな。血が流れた今、聖なるゲゲルは失敗だ!」

 

 

優矢「……お前……一体何がしたかったんだ……?」

 

 

状況が一転二転と移り変わりし過ぎて困惑してしまう優矢からそんな疑問を受け、零は懐から取り出したディケイドライバーを腰に巻き付けて答える。

 

 

零「決まってる。これ以上余計な犠牲を出す事なくゲゲルを終わらせたかっただけだ」

 

 

そう言いながら左腰に現れたライドブッカーを開き、零はディケイドのカードを取り出し身構えた。

 

 

零「後はコイツ等を始末するだけだ……変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

高らかに叫ぶと共に、零はバックルにカードをセットしてスライドさせる。そして鳴り響く電子音声と共に零の姿がディケイドへと変身していき、両手を払いながらグロンギ達へと突っ込んで戦闘を開始していくのであった。

 

 

優矢「……ディケイド?」

 

 

一方で残された優矢は変身したディケイドを見て何やら覚えがあるかのようにそんな呟きを漏らす中、ディケイドに変身した零はゲゲルの失敗から逃走を図ろうとしたグロンギ達の頭上を軽々と飛び越えて着地し、グロンギ達の前に立ち塞がった。

 

 

ディケイド『生憎だが逃がすつもりはない。ゲゲルと共に此処で終われ……』

 

 

『ヌゥウウウッ……シャアッ!』

 

 

冷淡にそう告げるディケイドを前に逃げられないと悟ったのか、グロンギ達はそれぞれ槍と大剣を手にディケイドに襲い掛かっていく。そしてディケイドも最初の一撃をかわしながら二体目のグロンギの攻撃を掻い潜って背中を蹴り付けると、距離を離して左腰のライドブッカーを剣形態に切り替え、グロンギの武器を弾きつつカウンターの一閃で斬り飛ばした。其処へ……

 

 

スバル「零さん!後ろです!」

 

 

ディケイド『ッ!ハアッ!』

 

 

―ガギィッ!ズバァアッ!―

 

 

『ヌガァアッ?!』

 

 

背後からディケイドに襲い掛かろうとしたグロンギの不意打ちをスバルが大声で知らせ、それを聞いたディケイドは咄嗟に振り向き様に振るった剣でグロンギの大剣を切り払い、そのまま返しの刃でグロンギを斬り裂き退け、スバルにサムズアップを返した。

 

 

ディケイド『ナイスだスバル、助かった!』

 

 

スバル「えへへっ」

 

 

サポートを褒められて照れ臭そうに頭を掻きながら、ディケイドにサムズアップを返すスバル。そして戦闘に戻ったディケイドは再攻撃を仕掛けてきたグロンギの槍の先端を掴んで引き寄せ、一体を集中して剣で繰り返しめった切りにしていき……

 

 

ディケイド『ハッ!ハァアアアアアアアッ!!』

 

 

―ガギイィイイイイイイイインッ!!―

 

 

『グッ、アッ……ギャアアアアアアアアアアアアアーーーーーーッッ!!!?』

 

 

トドメに放った全力の斬撃が叩き込まれ、グロンギは堪らず断末魔の悲鳴と共に爆散し完全に消滅していったのだった。それを確認したディケイドはライドブッカーを左腰に戻しながら一息吐いて両手を払っていくが、その戦いを傍観していた優矢とやまとの表情は何故か険しげに歪んでいた。

 

 

優矢「そうか、こいつがディケイド……」

 

 

やまと「あの人が言ってた事、間違いじゃなかったみたいね……どうするの、先輩?」

 

 

優矢「決まってるっ……!」

 

 

やまとにそう答えると共に、優矢は険しい表情のまま腹部に両手を翳してクウガのベルト、アークルを出現させながら勢いよく飛び出し、クウガに変身しながらディケイドへと飛び掛かっていった。

 

 

綾瀬「優矢ッ?!」

 

 

クウガ『ハァアアアアッ!!ダァアリャアッ!!』

 

 

―バキィイッ!!―

 

 

ディケイド『グウゥッ?!なっ……お前っ、何の真似だッ?!』

 

 

スバル「ゆ、優矢さん?!」

 

 

いきなり攻撃を仕掛けてきたクウガに殴られ、ディケイドだけでなく綾瀬とスバルも戸惑いを浮かべてしまうが、クウガは構わずディケイドに問答無用で拳を振りかざしていく。

 

 

クウガ『聞いていた通りだな、悪魔!』

 

 

ディケイド『ハァッ?!何だいきなり?!』

 

 

クウガ『いつか現れると聞いていた!全てのライダーを倒す為にってなぁ!』

 

 

ディケイド『チィッ!なにワケ分かんねぇこと言ってんだ!』

 

 

身に覚えもない謂れなき中傷を受けて毒づきながらもクウガからの攻撃を捌き続けていくディケイド。そして二人は戦いながら近くの廃寺院に場所を移してお互いに拳の応酬を繰り返していき、ディケイドがクウガの拳を屈んで避けながらその脇腹に打撃を叩き込み吹っ飛ばしていった。

 

 

クウガ『ガハァッ!グッ……まだだぁっ!』

 

 

ディケイド『いい加減にしろッ……!こっちはお前と戦うつもりなんか──』

 

 

『ウォオオオオオッ!!』

 

 

ディケイド『ッ?!―ガギィイイイインッ!!―グッ?!』

 

 

懲りずに身を起こして戦いを続けようとするクウガを見てディケイドも思わずキレ気味になりながら止めようとするが、其処へ先程の戦いの中でいつの間にか姿を隠していたもう一体のグロンギが乱入し、ディケイドに大剣で襲い掛かった。

 

 

突然の不意打ちを受けてディケイドもよろめきつつもグロンギの大剣を抑え込んで動きを封じる中、それを目にしたクウガは両腕を広げて身構えながら右足に力を溜めていき、

 

 

クウガ『邪魔だッ!ハァアッ!!』

 

 

―ドゴォオオンッ!!―

 

 

『グォッ?!イギッ……ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ?!!』

 

 

ディケイドが抑えるグロンギに目掛けて一気に駆け出し、力を溜めた右足でグロンギの脇腹に強烈な横蹴りを叩き込んでいったのだった。そして勢いよく吹っ飛ばされたグロンギが力なく倒れて木っ端微塵に爆散する中、異変に気付いて駆け付けたなのはが対峙するディケイドとクウガの姿を見て戸惑いを浮かべてしまう。

 

 

なのは「な、何これっ……?スバル、一体どうなってるのっ?!」

 

 

スバル「あっ、な、なのはさん……!えっと、それが私にも良く分からなくて……!」

 

 

駆け寄って来るなのはに状況説明を求められるも、同様に突然の事態に困惑するスバルにも今の混迷としたこの状況を上手く伝える事が出来ず、そんなスバルを見てなのはも困惑を深めながらディケイドとクウガに視線を向けると、突然頭の中にあるビジョンが浮かび上がった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

──それは、あの不可解な夢の続き。全ての仮面ライダーを倒したディケイドがただならぬ威圧感を放ちながら自分に歩み寄ろうとした中……

 

 

『……ま、てっ……』

 

 

全てのライダーが倒れる中、クウガだけがふらつきながら起き上がり、圧倒的な波動を放ちながら黒く禍々しい姿に変わり果ててディケイドへと果敢にも挑んでいく。そして一進一退の激しい攻防の末にディケイドとクウガは互いに距離を取ると、それぞれの右腕に圧倒的なまでの力を凝縮させていき……

 

 

『『ハアァァァァッ……ハアァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』』

 

 

互いに向けて振りかざした拳がクロスカウンターとなって激突した瞬間、二人を中心に凄まじい爆発が発生していき、自分をも巻き込んで全てを飲み込み何かもを消滅させてしまったのだった──。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

なのは「──めて……やめて……やめてっ!!二人が戦ったらっ!!」

 

 

スバル「な、なのはさん?どうしたんですか?!」

 

 

突然悲痛な叫びを上げ、二人を止めようと走り出すなのはをスバルも慌てて追い掛けるが、そんな二人の前にやまとが横から立ち塞がった。

 

 

スバル「あ、貴方は……?」

 

 

やまと「邪魔をしないで頂戴、アイツは此処で先輩が倒すのよ」

 

 

なのは「ど、どうしてっ……お願いっ、戦わないで零君っ!!」

 

 

ディケイド『……と言われてもな……向こうがやる気な以上、もう何を言っても無駄だと思うぞ……』

 

 

半ば諦めたようにそう言ってディケイドが振り向いた先には、クウガが撃破したグロンギの大剣を手に取りながら徐々にその身を紫色のラインが入った銀色の鎧の姿……攻撃力と防御力に特化した形態である『仮面ライダークウガ・タイタンフォーム』に変えていく共に、クウガが手にする大剣も紫の刃のタイタンソードに変容させる光景があり、それを見て最早逃げられないと悟ったディケイドはライドブッカーから一枚のカードを取り出していく。

 

 

ディケイド『こうなった以上、戦ってみるってのも手かもしれないな……それで俺も、何かを取り戻せるかもしれん』

 

 

『ATTACKRIDE:SLASH!』

 

 

そう言って脳裏に思い返すのは、この旅の中で自分の失われた記憶を取り戻せるかもしれないと告げたあの謎の青年の言葉。もしかすると、この戦いの中にそのきっかけがあるかもしれないという希望を胸にドライバーにカードを装填し、ソードモードに展開したライドブッカーを構えてクウガと向き合っていくと、クウガがタイタンソードを手に駆け出しディケイドへと斬り掛かっていった。

 

 

―ガギィッ!ギィンッ……!ガキャアァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

 

ディケイド『フッ……!ハァアッ!』

 

 

クウガT『グッ?!クッソッ……!』

 

 

持ち前の防御力を前面に押し出し、ノーガード戦法でディケイドの剣をその身で受け止めながらタイタンソードを振りかぶるクウガだが、対するディケイドはクウガの剣を次々と切り払いながら分身する刃で何かを探るようにクウガの胴体を何度も切り刻んでいく。

 

 

それでもビクともしないクウガが上段から大きく振りかざした剣を素早く掻い潜りながら、ディケイドはすれ違い様にクウガの脇の下に鋭い斬撃を叩き込んで吹っ飛ばしていった。

 

 

クウガT『ガハアァァッ!!グッ……な、んで……?!』

 

 

ディケイド『幾ら体中が固かろうが、身動きする為に柔軟な部分ってのは必ず何処かにあるモノだ!』

 

 

それはお前も例外じゃないと、クウガの関節部分を狙って立て続けにライドブッカーを振るい斬撃を繰り出していくディケイド。そしてディケイドの弱点を狙った猛攻の前にクウガが徐々に追い詰められていく中、二人を追いかけてきた綾瀬がクウガの下に慌てて駆け寄っていく。

 

 

綾瀬「優矢!もう止めなさい!何で黒月巡査を……!」

 

 

クウガT『クッ!』

 

 

綾瀬「ッ?!優矢?!」

 

 

クウガは止めに入る綾瀬の言葉も聞かず、綾瀬の手に握られている拳銃を強引に奪ってディケイドに向かって駆け出しながらペガサスフォームへ変わる。そして綾瀬から奪った拳銃をペガサスボウガンに変化させ、ディケイドに狙いを定めて放つが……

 

 

―ガギィンッ!―

 

 

ディケイド『それで狙ってるつもりか?射撃ってのは……』

 

 

ディケイドはライドブッカーでクウガの弾を防ぎ、今度は素早く銃形態のガンモードに切り替えながら新たにもう一枚のカードを取り出しバックルにセットした。

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

ディケイド『こうやるんだ!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガンッ!!―

 

 

クウガP『グアアァッ!?』

 

 

綾瀬「優矢っ!!」

 

 

電子音声が響くと共に引き金を引いた瞬間、ライドブッカーの銃口が分身しながら無数の銃撃を放ち、クウガはモロに直撃を受け吹っ飛ばされていった。しかしそれでも立ち上がり、クウガがペガサスボウガンを手に再びディケイドに挑んでいく中……

 

 

 

 

 

「──ディケイド……お前はこの世界にあってはならない……」

 

 

 

 

 

……そんな二人の戦いを、影から密かに見つめる謎の男の姿があった。そして男がそう呟いたと共に、何処からともなく銀色のオーロラが現れてディケイドとクウガが激闘を繰り広げる戦場を包み込んでいく。

 

 

ディケイド『ッ?!』

 

 

クウガP『な、何だ?!』

 

 

ディケイドとクウガは突然の事態に動揺し思わず攻撃の手を止める中、オーロラが徐々に晴れて消え去っていくと、二人の近くにある廃寺院の下にいつの間にか同じ姿をした緑色のライダーと茶色のライダーが現れ、ディケイド達を見据えていた。

 

 

『……兄貴、此処にも居たよ……ライダーが……!』

 

 

『あぁ……いくぜ、相棒……』

 

 

明らかな敵意を宿した眼差しでディケイドとクウガを捉え、同じ外見をした二人組の謎のライダー……『仮面ライダーキックホッパー』と『仮面ライダーパンチホッパー』はいきなりディケイドとクウガに向かって突っ込んで来る。

 

 

クウガP『な、何なんだこいつ等?!』

 

 

ディケイド『チッ、次から次へと……!』

 

 

突如現れたホッパー達に動揺するディケイドとクウガだが、ホッパー達はそんな二人の反応にも構わずそれぞれ鋭い蹴りと拳を振るい、問答無用で二人に襲い掛かっていくのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑦

 

 

戦いの最中、銀色のオーロラから突如出現したホッパー達の襲撃を受けるディケイドとクウガ。いきなり有無も言わさず襲ってきたホッパー達を前に二人も応戦するしかない中、クウガがパンチホッパーを迎撃しながらディケイドに向けて叫んだ。

 

 

クウガP『何なんだよコイツ等っ……?!コレもお前の罠かッ!』

 

 

ディケイド『冗談じゃねえッ!知るかよこんな奴等ッ!』

 

 

聞きたいのは寧ろこっちの方だと舌打ちしてライドブッカーの銃撃でキックホッパーを近付けまいとするディケイドだが、キックホッパーは素早い蹴りで弾を弾きながら一気に距離を詰めてディケイドに蹴り掛かり、一方のクウガもパンチホッパーが振るうラッシュの前にペガサスボウガンを構える間すら与えられずに防戦一方となりつつあった。

 

 

スバル「れ、零さんっ!」

 

 

なのは「駄目スバルッ!今の私達が行っても足手まといにしかならないッ!」

 

 

スバル「で、でもっ!」

 

 

苦戦を強いられるディケイドを見て堪らず飛び出しそうになるスバルの腕を掴んで引き止めながらも、なのはも内心ではディケイドを助けたい気持ちで一杯なのは同じだ。

 

 

しかしそれと同時に魔法が使えない今の自分達が助けに入った所で何も出来ない事を自覚しており、ただ足手まといにならないように見守る事しか出来ない無力感に苛まれながらも、なのはは一つある疑問を感じていた。

 

 

なのは(それにしても……あの二人、一体何処から……?)

 

 

あの二人のライダー達は一体何者で、何処から現れたのか。前触れなく出現した先程のオーロラも自然に発生したにしてはタイミング的に何処か違和感を覚え、そんな尽きない疑問を抱いてなのはがスバルと共にディケイド達の戦いを見守る中、ペガサスボウガンを弾かれたクウガがパンチホッパーから距離を取り、腕を前に掲げて身構えた。

 

 

クウガP『超変身ッ!』

 

 

―バッ……!バキィイイイイッ!!―

 

 

パンチホッパー『グゥッ?!』

 

 

高らかに叫びながら勢いよく飛び出し、ドラゴンフォームに瞬時に姿を変えて懐に潜り込んだクウガの拳がパンチホッパーに炸裂し後退りさせていく。

 

 

そして先程とは打って変わって素早く軽快な動きで繰り出すクウガの攻撃を前にパンチホッパーも徐々に圧倒されていき、形勢逆転の流れを掴んだと実感したクウガの口から思わず笑みがこぼれた。

 

 

キックホッパー『ッ!貴様ァ、今相棒を笑ったなぁ……?』

 

 

その僅かな声を聞き逃さず、キックホッパーは何を思ったのか何故か今まで戦っていた筈のディケイドからクウガに標的を変え、パンチホッパーと戦うクウガの背後からいきなり飛び膝蹴りを叩き付けて吹っ飛ばしてしまった。

 

 

クウガD『ウグゥッ?!な、何ッ?!』

 

 

キックホッパー『笑ったなァアアアアアアアアアッ!!』

 

 

ディケイド『お、おい……』

 

 

「チッ、誰を狙ってるッ……!」

 

 

突如豹変したキックホッパーとパンチホッパーからの集中攻撃を浴びせられ、一対二という不利な状況に立たされて再び防戦を取るしかなくなってしまうクウガ。

 

 

そして影からその戦いを傍観していた謎の男もターゲットであるディケイドを狙わないホッパー達を見て苛立つ中、いきなりほっとかれてしまったディケイドは思わず溜め息を吐きながらライドブッカーの銃口を突き付けて銃撃し、ホッパー達を纏めて吹き飛ばしていった。

 

 

『『ぐうぅッ?!』』

 

 

ディケイド『お前ら……何者だ?何処から来やがった?』

 

 

訝しげな表情を浮かべてそう問い掛けるディケイドに対し、ホッパー達はまるで幽鬼のようにユラりと身を起こして答える。

 

 

キックホッパー『地獄からだ……』

 

 

パンチホッパー『お前等も……来い!』

 

 

ディケイド『そうかよ、まともに答える気は無しか……!』

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

答えになってない答えと共に再び迫り来るホッパー達を見据えながらドライバーに再びカードを装填し、ディケイドは電子音声と共に再度ホッパー達にライドブッカーの銃口を向けて乱射していく。

 

 

しかしその時、ディケイドとホッパー達の間に再びオーロラが現れ、ディケイドの放った銃弾はホッパー達に届かずオーロラに阻まれてしまった。

 

 

パンチホッパー『……行こうよ、兄貴』

 

 

キックホッパー『ああ……また別の地獄が待っている……』

 

 

突然現れたオーロラを見てお互いに視線を交わしそう言うと、ホッパー達は躊躇なくオーロラへと飛び込み、そのままオーロラと共に何処かへと消えていってしまった。

 

 

「ディケイド……これが始まりだ……」

 

 

そして残されたディケイドとクウガもホッパー達の気配が消えたのを確認し変身を解除していく中、謎の男は変身を解いた零を一瞥しながらその場から消えるように立ち去っていったのだった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

突然現れたホッパー達の襲撃をどうにか退ける事が出来た零と優矢。しかしホッパー達に横槍を入れられたせいでこれ以上戦う気も起きず、一先ず下山して先程の河辺へと戻る事になったのだが……

 

 

―ギギギギギギギギギィッ!―

 

 

零「イダダダダダダァッ?!馬鹿馬鹿馬鹿ッ!!鼻取れる鼻取れる鼻が取れるゥッ!!」

 

 

……何故か零はご立腹な様子のなのはに鼻を摘まれて引っ張り回されながら下山させられていき、河辺まで降りると共になのはは零の鼻から手を離して怒りを顕わに怒鳴った。

 

 

なのは「何で優矢君と戦ったの?!あれだけ止めてって言ったでしょ!」

 

 

零「グッ……其処で責められるの俺かっ?!文句があるなら向こうに言えばいいだろうっ!先に仕掛けてきたのはあっちだしっ、こっちは正当防衛でやり返しただけだろうがっ!」

 

 

なのは「戦い始めたら後も先もないのっ!二人があのまま戦い続けていたらっ──!」

 

 

戦いの末、あの夢の中の戦いの結末が現実になっていたかもしれない。勢いで思わずそう言い掛けるも、其処でふと冷静になりあの夢の事を口にするべきか否かなのはは迷い、そんななのはの様子を見て零も怪訝に首を傾げる中、二人のやり取りをハラハラしながら見守っていたスバルが間に割って入った。

 

 

スバル「で、でもお二人もちゃんと無事でしたし、取りあえずは良かったじゃないですか!結果的にはゲゲルも終わらせた訳ですし……」

 

 

零「……ま、そうだな。グロンギ共の目的を阻止したし、これでこの世界も救えたんだ。きっとこれで……」

 

 

先程のライダー達の正体など気になる謎は残るが、一先ずゲゲルを潰した事でこの世界の危機は去った筈と踏んで零も鼻を抑えつつ一息吐く中、彼等から少し離れた場所では……

 

 

優矢「──そ、そんなに怒る事ないだろっ!」

 

 

綾瀬「怒りもするわよっ……黒月零は人間だった、何故いきなり戦いを仕掛けたのっ?」

 

 

こちらでは先程の戦闘で零にいきなり戦いを仕掛けた件で優矢が綾瀬から説教を受けており、静かではあるものの凄まじい怒気を放つ綾瀬の威圧感を肌で感じて優矢もたじろぐ中、優矢の隣に立つやまとが後頭部に両手を回しフォローに入る。

 

 

やまと「私達は聞いてたのよ……ディケイドという敵が、何時か先輩の前に姿を現すって」

 

 

優矢「そ、そうなんだよっ!それでそいつが世界を破壊するって……!」

 

 

やまとのフォローを借りて何とか理由を説明する優矢だが、綾瀬にはそれも苦し紛れの言い訳にしか聞こえず溜め息を吐き、二人との会話を切り上げて零達の下に歩み寄っていく。

 

 

綾瀬「黒月巡査!聖なるゲゲルというのは本当なのですか?」

 

 

零「ああ、本当だ。あの山に究極の闇、とやらが眠ってたらしい」

 

 

綾瀬「その目覚めは阻止されたって事ね?今なら警察で倒せるかも……」

 

 

灯溶山を指差す零から証言を取り、綾瀬はこれまでの事を報告する為に急いで車に乗り警視庁に戻っていった。

 

 

優矢「ちょっ、あ、姐さんっ!」

 

 

やまと「綾瀬刑事の事を気にしてる場合?今はあっちが先でしょ、先輩」

 

 

優矢は車で走り去る綾瀬の後を慌てて追おうとするも、ジト目で睨むやまとに後ろから服の裾を引っ張られて引き留められてしまい、やまとに促され振り向いた先では零達がジッと二人を見つめていたのだった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑧

 

―光写真館―

 

 

それから数十分後。写真館に戻ってきた零達は丁度昼時という事で栄次郎特製のシチューを食べていたが、その中には何故か優矢とやまとも一緒になってシチューを食べていた。

 

 

優矢「……ウメェ!」

 

 

やまと「ホント……味付けがしっかりしてて美味しい」

 

 

栄次郎「ウメェだろう?そのシチュー、昨日から仕込みをしてた自信作だからね。まだまだおかわりあるから、沢山食べてってね〜」

 

 

優矢とやまとから絶賛され、栄次郎は自信満々にそう答えながら台所に戻っていく。

 

 

零「……じゃないだろッ!何でお前等が此処にいる?!」

 

 

優矢「いや、何でって……俺達は二人に招かれただけだし……」

 

 

あまりにも自然に場に溶け込み過ぎてて一瞬スルーしそうになるも、我に返った零からのツッコミに優矢もシチューを食べながら自分達を招いたなのはとスバルに目を向けていく。そしてそんな優矢に、スバルは先程から気になっていた疑問を投げ掛けた。

 

 

スバル「あの……優矢さんに少し聞きたい事があるんですけど、さっき零さんの事を"悪魔"って言ってましたよね?あれって一体──」

 

 

なのは「(ピクッ)」

 

 

先程の戦いで優矢が零に言い放った『悪魔』の意味を聞き出そうとした瞬間、そのワードを耳にしてなのはの持っていたスプーンがピクッと反応する。それに気付いたスバルもハッ!と青ざめて思わず口を塞ぐと、なのはの隣に座る零がそっと自分の肉を彼女の皿に移した。

 

 

零「安心しろ、お前の事じゃないから……」

 

 

なのは「……そう」

 

 

落ち着いた口調で零が宥めるようにそう言うとなのはは再びシチューを食べ進めていき、そんななのはの様子を横目に零とスバルも無言のままアイコンタクトを取って静かに頷き合った。

 

 

優矢「……え?なに今の?」

 

 

零「気にするな、昔取った杵柄を弄られすぎてちょっと過敏になってるだけだ……それよりほら、話を進めろ」

 

 

優矢「?……えっと、言われたんだよ。俺が最初に関わった未確認の事件で、攫われたやまとを助けようとして初めてベルトを手に入れた時に……」

 

 

これ以上は掘り下げるな、と無言の圧を出す零に話の続きを促されて若干戸惑いつつも、優矢は数ヶ月前の出来事を三人に話していく。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

数ヶ月前、灯熔山山頂付近の洞窟……

 

 

グロンギに誘拐されたやまとを救出する為に単身山に乗り込み、其処で手に入れたアークルを腰に巻いてクウガに変身した優矢はグロンギを撃退した後、変身を解いて自分の腰に巻かれたベルトを戸惑い気味に触れていた。

 

 

その背後にはグロンギに手に掛けられる寸前だったやまとが目の前で起こった出来事を未だ信じられない様子で見つめ地面に座り込む中、やまとの背後から事の成り行きを見守っていた男がゆっくりと優矢に近付き語り掛ける。

 

 

「いつか君の前に悪魔が現れる」

 

 

優矢「……悪魔?」

 

 

「全てを破壊する存在、ディケイド……それが君の本当の敵だ」

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

零「……じゃあ何か?お前達はそんな訳の分からん男の言葉を信じて俺を襲った訳か?」

 

 

優矢「い、いや、俺達だって最初は胡散臭いなぁーって思ったさ。でも実際に目の前に現れたら、あの男が言ってた事は本当だったんだって思うだろ……!」

 

 

やまと「それに加えて、貴方の言動もとても善人とは思えない振る舞いだから何か裏があるんじゃないかと変に勘ぐってしまったもの……いきなり綾瀬刑事の顔を殴り付けたりとかするし」

 

 

なのは「綾瀬刑事を殴ったぁ?!」

 

 

ダァンッ!と、全員分の皿をひっくり返さんばかりの勢いでなのはがテーブルの上に身を乗り出すように急に立ち上がった。その剣幕にビビって優矢も引き気味になりながらもコクコクッと頷き返すと、なのははスッと隣に座る零に振り返り、その視線から逃れるように零もサッと目を逸らした。

 

 

なのは「零君……?私、その話は聞かされてないんだけど、どういう事か説明してくれるかなぁ……?」

 

 

零「説明も何も、ゲゲルを潰す為にちょっと綾瀬刑事の手を借りただけだぞ……手っ取り早く鼻を殴って」

 

 

なのは「殴って、じゃないよっ!女の人の顔を殴るとか傷でも残ったらどうするのっ?!というか綾瀬刑事が問題にしてくれなかったから良かったけど普通に傷害になるんだからねソレッ?!」

 

 

零「いや俺もその辺は考えてちゃんと加減を、ちょっ、待てっ、首を掴んで絞めるなっ……!揺らすな馬鹿ッ!」

 

 

ブンブンブンブンッ!!と、綾瀬を殴った件を追求し首を掴んで前後に激しく揺さぶってくるなのはの手から逃れようとするも、あまりの力強さに振り解く事も叶わず成されるがままになってしまう零。

 

 

そして優矢とやまともそんな二人のやり取りを何とも言えない微妙な顔で見つめる中、スバルは一人優矢が話した謎の男の事が気になっていた。

 

 

スバル(零さんが世界を破壊する存在って……もしかして、その人はあの夢の事を知ってる……?)

 

 

だとしたらその男は何者なのか。なお深まる謎にモヤモヤとした気持ちになるスバルだが、そんな時……

 

 

栄次郎「あれ……?何か大変な事になってるね」

 

 

「「「……え?」」」

 

 

奥でテレビを見ていた栄次郎の声を聞き、零達は席から立ち上がってテレビを見ていく。其処には……

 

 

『灯溶山の頂上にて謎の黒い煙が発生し、今現在も煙が広がっています。原因は未だ不明で、先程灯熔山を調査する為に登った警官達との連絡が途絶えてしまい、中の状況は未だ不明です。また──』

 

 

やまと「ッ!これって……」

 

 

優矢「綾瀬の、姐さん……!」

 

 

テレビのニュースから流れているのは、灯溶山で発生した異常と山に突入した警官隊との連絡が途絶えたという緊急速報を知らせるもの。

 

 

それを見た優矢は不吉な予感を感じて慌てて写真館を飛び出していき、バイクに乗って灯溶山に急行していく。そしてやまとも優矢の後を追い掛けるように飛び出し、零達も写真館を飛び出すと、灯溶山の上空に銀色のオーロラが発生しているのが見えた。

 

 

スバル「あ、あれって、私達の世界と同じ……?!」

 

 

なのは「まさか……私達の役目って、まだ終わってなかったの?!」

 

 

予想だにしてなかった事態に二人が動揺する中、零は絵柄が消えたままのクウガのカードを見て舌打ちすると、カードを仕舞って表に停めていたディケイダーに跨がりヘルメットを身に付けていく。

 

 

零「二人は中で待ってろ!俺はアイツを追う!」

 

 

なのは「えっ?ま、待って!零君っ!」

 

 

なのはが呼び止めるが、零はそれを聞かずにディケイダーを発進させ、優矢を追うようにバイクを走らせて灯溶山に向かっていくのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑨

 

―灯溶山山頂―

 

 

その頃、灯溶山山頂から発生した黒い煙は徐々に広がっていき、封印されたグロンギを撃退する為に山頂に向かおうとしていた警官達は黒い煙を吸って次々と倒れていく。その中にいた綾瀬も大量に黒い煙を吸ってしまった為、よろめいてしまう。

 

 

「あ、綾瀬……逃げろ……これは……」

 

 

一人の刑事が綾瀬の身を案じそう呼び掛けるも、やがて間もなく息絶えてしまう。

 

 

一方でその頃、綾瀬達が目指そうとしていた山頂の空洞の中にある一つの石碑が崩れ、その中から一体のグロンギが現れた。

 

 

その風貌はまるで狼のように禍々しく、圧倒的な威圧感を放つグロンギが咆哮した瞬間、息絶えた筈の警官達が次々とグロンギとなって蘇っていく。

 

 

綾瀬「人間が、グロンギにッ……?!」

 

 

その目を疑うような光景を前に綾瀬が驚愕する中、そんな綾瀬にグロンギ達が襲い掛かろうとする。しかしその時、突然後ろから誰かに腕を掴まれて後ろに引っ張られた。

 

 

綾瀬「ッ?!ゆ、優矢……?」

 

 

優矢「姐さん!早く、こっちへ……!」

 

 

黒い煙を吸わないように鼻と口を塞ぎながら現れた優矢を見て驚く綾瀬の反応を他所に、優矢は綾瀬の腕を引っ張り急いで山を降りていく。

 

 

そしてグロンギとして蘇った警官達も優矢達を追っていく中、石碑から現れた狼のグロンギ……ン・ガミオ・ゼダも大勢のグロンギが山を下りていく光景を眺め、自身も山を降りようと一歩踏み出そうとした。その時……

 

 

ディケイド『ハアァッ!!』

 

 

―ドゴォオオッ!!―

 

 

優矢の後を追い掛けて灯溶山を登ってきた零が変身するディケイドが飛び出し、ガミオに殴り掛かった。だがガミオはディケイドの拳を受けても何故か反撃せず、何処か声を震わせながら口を開く。

 

 

『バゲゴセパレザレダ……?(何故俺は目覚めた……?)』

 

 

ディケイド『……何?』

 

 

『……俺は二度と目覚めぬ筈だったッ!!』

 

 

ディケイド『……そうかよ。気の毒になぁッ!』

 

 

ガミオが人語を話した事に内心驚くも、表情には出さずに再びガミオに拳を打ち込んでいくディケイド。だがガミオはディケイドの打撃を受けても通用している様子はなく、ディケイドの腕を掴んで無理矢理引き寄せ…

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!―

 

 

ディケイド『グッ、ガハァアアアアッ!!?』

 

 

ガミオが放ったまるで鉄球の如く強烈な打撃が腹を抉らんばかりの勢いで打ち込まれ、ディケイドはそのまま岩盤に叩き付けられてその場に倒れ込んでしまった。

 

 

『もう遅い……!リントは全てグロンギとなり、この世を究極の闇が覆い尽くすッ!!』

 

 

ガミオはそう言ってその身を黒い煙と化して街へと降りていく。そして黒い煙は徐々に街を覆い尽くしていき、煙を吸い込んだ街の人達も警官達のように続々と息絶えて間もなくグロンギとなり、他の街の人々を襲って殺戮を始めていくのであった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

―総合病院―

 

 

なのは「──あの中で、人間がグロンギに変わる……?」

 

 

優矢「……ああ、確かに見た……死んだ筈の人間が、グロンギになって蘇るのを……」

 

 

綾瀬が運び込まれたと連絡を受け、急いで病院に駆け付けたなのは達は優矢から告げられた衝撃的な事実に驚愕と戸惑いを隠せないまま、辺りを見渡していく。

 

 

病院内は既にグロンギの被害にあった者達で溢れ返り、突然の事態に病院側も対応が追い付かず混乱状態に陥っていた。

 

 

そんな中、なのはから連絡を受けて灯溶山から降りてきた零が病院に駆け付けるも、痣だらけのその顔を見たなのはが血相を変え零に駆け寄っていく。

 

 

なのは「零君?!どうしたのその怪我?!」

 

 

零「俺は大丈夫だ。それより……綾瀬は?」

 

 

優矢「……重傷だ……しかも、大量にガスを吸った……このままじゃグロンギにっ……!」

 

 

スバル「そんなっ……」

 

 

悔しげに拳を握って俯き、辛そうに答える優矢の口から聞かされた綾瀬の容態の重さに一同の空気も更に重くなる中、零は目を細めて淡々と語る。

 

 

零「グロンギは戦闘しか考えられない種族だったな。人間全てがそれに変わっちまえば、世界は……終わりだ」

 

 

優矢「ッ!ゲゲルは失敗したんだろッ?!一体どういう事なんだよッ!!」

 

 

やまと「先輩!落ち着いて!」

 

 

綾瀬を助けれなかった自分に対する怒りや悔しさを抑え切れず、堪らず零の胸倉を掴んで行き場のない怒りをぶつけてしまう優矢。そんな優矢をやまとも何とか落ち着かせようとするが、対する零は優矢の手を掴んでゆっくり下ろさせ、優矢の目をまっすぐ見つめていく。

 

 

零「元々奴は目覚める筈のなかった存在だ。だが、この世界にも俺達の世界と同じ……滅びの現象が起き始めてるんだ」

 

 

優矢「……俺達の、世界?」

 

 

スバル「……私達は、別の世界から来たんです。私達の世界を、救う為に……」

 

 

やまと「世界を……救う?」

 

 

自分達が違う世界から来た存在である事を正直に伝える零達だが、いきなり告げられたそんな突拍子のない話に優矢もやまともどんな反応を返せばいいか分からず戸惑ってしまい、その間にも病院内は外から次々と運び込まれる患者で溢れ、院内はさながら戦争状態になりつつあった。極め付けは……

 

 

「ガスで亡くなった患者を運び込まないでっ!!」

 

 

「でもまだ微かに息はあるんですっ!!」

 

 

「未確認になって暴れ出すんでしょうっ!?警察に運んでくださいっ!!」

 

 

「お願い助けてっ……!せめてこの子だけでもっ!!」

 

 

「ぁぁっ……ぅうっ……」

 

 

「綾瀬さんの容態がっ!!」

 

 

優矢「あ……あぁ……」

 

 

黒い煙を吸ったが為にグロンギになる事を恐れて患者の受け入れを拒否する医者、泣きながら助けを求める遺族達、看護師から伝えられる綾瀬の容態の急変、テレビで流されるグロンギ達の殺戮の光景と人々が恐怖する悲鳴に足がすくみ、優矢は怯えて立ち尽くしてしまう。

 

 

優矢「俺は……戦えないっ……」

 

 

やまと「先輩……」

 

 

零「…………」

 

 

混乱と絶望、あまりにも多くの死が渦巻くこの状況を前に戦意を失って俯いてしまう優矢。零はそんな彼を一瞥するも何も語ろうとはせずただ瞼を伏せ、グロンギ達を倒す為に病院の入り口に向かって歩き出していく。

 

 

なのは「ま、待って零君っ!今行ったら零君もグロンギにっ!」

 

 

零「いや、俺はこの世界の人間じゃない……もしかしたらって事もあるさ」

 

 

心配するなと、不安を帯びた顔で必死に止めるなのはの肩を叩いてそう言いながら病院を出ようとする零だが、その時……

 

 

スバル「……あれ?今のって……?」

 

 

現場の状況をテレビで見ていたスバルが不意にそんな呟きを漏らし、それに気付いた零となのははスバルの方に振り返り首を傾げた。

 

 

なのは「スバル?どうかしたの……?」

 

 

スバル「いえ、今テレビに見覚えのある人が映ったような……」

 

 

零「何?」

 

 

スバルにそう言われ、二人も彼女の視線を追うようにテレビを見ていく。其処には迫りくるグロンギ達から必死に逃げ惑う人々の姿が映し出されており、その中に……

 

 

なのは「……っ?!あ、あれって……?!」

 

 

スバル「……ティア?ティアです!ティアが彼処にっ!」

 

 

そう、グロンギ達の攻撃から必死に逃げ続ける人々の中に三人の見覚えのあるオレンジ色の髪の少女……零達の仲間であり、スバルのパートナーである"ティアナ・ランスター"の姿があったのだ。

 

 

テレビの中でグロンギに追われるティアナの姿をスバルが指差すと、なのははテレビと零を交互に見ながら焦りと共に叫ぶ。

 

 

なのは「で、でも、何でティアナがあんな所に?!」

 

 

零「……そうか……!アイツの言っていた、"他の世界に飛ばされた"ってのはこういう意味か!」

 

 

旅に出る前にあの謎の青年が言っていた言葉を思い出し、そういう事かと得心を得た零はすぐさまテレビの中継場所を確認する。どうやらこの病院からさほど距離は離れていないようだ。

 

 

零「とにかく今はグロンギよりティアナが先だな……行ってくる!」

 

 

スバル「あっ、待って下さい零さんっ!私も行きますっ!」

 

 

先ずはティアナの救出を先決して急いで病院を飛び出す零を、スバルも慌てて後を追い掛ける。そして二人が駐車場に停めておいたディケイダーに乗って現場に急行する中、そんな三人のやり取りを離れて見ていた優矢は何も言えず、ただその場から逃げるように綾瀬の病室へ早足で歩き出していった。

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

陵桜学園付近の商店街。この場所も未だ増え続ける多くのグロンギ達で溢れる中、逃げ惑う人々の中に混じってティアナも必死にグロンギ達から逃げ続けていた。

 

 

ティアナ「ハァッ、ハァッ……ど、どうなってんのよ一体っ……!いきなり知らない場所に飛ばされたかと思えば変な怪物に襲われるしっ、クロスミラージュも動かない上に六課と通信も繋がらないっ……!何が起きてるのっ?!」

 

 

自分が立たされる今の状況を掴み切れていないのか、混乱した様子で他の一般人達と共にグロンギ達から逃げて走り続けるティアナ。その時……

 

 

「きゃあっ!」

 

 

「ッ?!ゆたかっ!」

 

 

ティアナ「?!」

 

 

ティアナと一緒に逃げていた少女が突然足を挫いて転んでしまい、もう一人の少女がその少女に慌てて駆け寄る姿を視界の端に捉え、ティアナは踵を返して二人の少女の下に駆け寄っていく。

 

 

ティアナ「大丈夫ですか?!」

 

 

「あ、す、すみません……!ゆたか、立てるっ?」

 

 

「う、うん、大丈夫だよみなみちゃんっ。これぐらい……痛ッ!」

 

 

「ゆたか?!」

 

 

ティアナ「……もしかして……ちょっと、ごめんなさい!」

 

 

心配を掛けまいと笑って立ち上がろうとする少女だが、足を抑えて痛がるその様子を見てティアナが彼女の靴と靴下を脱がしていくと、少女の足は腫れて青く変色しつつあった。

 

 

ティアナ「(やっぱり足を捻挫してる……!これじゃ立ち上がって歩くのはとてもっ)……取り敢えず、此処は危険ですから急いで離れましょう。私が肩を貸しますから、貴方はそっちを──」

 

 

「──っ?!う、後ろっ!」

 

 

ティアナ「?!」

 

 

とにかく急いで此処を離れる為に自分も肩を貸そうとするティアナだが、少女が恐怖の悲鳴を荒らげティアナの背後を指差し、慌てて振り返ると、其処には数体のグロンギがジリジリと迫る光景があった。

 

 

「「あ……あぁ……」」

 

 

ティアナ「クッ!(まずい、怪我人を抱えたままじゃ逃げられない……こうなったら、私が囮に──!)」

 

 

迫るグロンギ達を前に二人の少女は恐怖で動けなくなり、ティアナはそんな二人を守ろうと少女達の前に立って構える。そして一体のグロンギが片手を振り上げてティアナに襲い掛かり、ティアナが目をつぶって顔を逸らした瞬間……

 

 

『──ティアナ!と他二名!伏せろッ!』

 

 

「「「……え?!」」」

 

 

三人の背後から突然そんな声が響き、ティアナはいきなりの事に戸惑いながらも反射的に動き、言われた通り二人の頭を屈ませて伏せた。その時……

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

 

『『ッ?!ゥッ……グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ?!!』』

 

 

電子音声と共に三人の頭上をマゼンタの銃弾が飛び越えてグロンギ達に撃ち込まれていき、グロンギ達は断末魔と共に爆発を起こし完全に消滅していったのであった。

 

 

ティアナ「ッ……い、今のは……?」

 

 

『ティアナ!無事か?!』

 

 

グロンギ達が爆散した跡の炎を呆然と見つめ何が起きたのか分からず困惑するティアナの下へと、今の銃弾を放った人物……零が変身したディケイドが駆け寄っていき、ディケイドを見たティアナは目を見開いて慌てて身を起こした。

 

 

ティアナ「あ、アンタは夢に出てきた?!というかその声って……もしかして、零さん?!」

 

 

ディケイド『?何だ夢って……いや、今はそれどころじゃないか。とりあえず無事だな?』

 

 

ティアナ「え、あ、は、はい……でも、この子が──」

 

 

ディケイドに変身しているのが零だと気付いて一瞬動揺を浮かべながらも、それより今は少女の怪我について説明をしなければと気を取り直そうとするティアナだが、其処へ……

 

 

スバル「ティーーアァァーーーーーーっっ!!!!」

 

 

ティアナ「え……ってスバルッ?!何でアン、ゴッハァッ?!」

 

 

突然聞こえた聞き慣れた声に釣られて思わず振り返ると、其処にはディケイドと一緒に駆け付けたスバルが勢いよく飛び込んでくる姿があった。

 

 

しかし勢いを付け過ぎたのか、スバルはそのまま驚くティアナに抱き着きながらも彼女の土手っ腹にタックルをかましてしまい、ティアナはそのまま女の子らしからぬ悲鳴と共に倒れるだけでなく、地面に思いっきり後頭部を打ち付けてしまった。

 

 

ディケイド(……oh……今とんでもない音がしたぞ、オイ……)

 

 

スバル「うぇえええんっ……ティア〜!無事で安心したよ〜!見付かって良かっだ〜!」

 

 

絶対に大丈夫とは言い難い鈍い音を立てて倒れたティアナを見てディケイドも仮面の下で顔を引き攣る中、スバルの方は自分がそんな大ダメージをティアナに与えているとも露知らず、倒れるティアナに抱き着いたまま滝のような勢いで涙を流し再会を喜んでいたが……

 

 

ティアナ「…………な…………け…………」

 

 

スバル「……へ?」

 

 

ティアナ「無事な訳あるかァァああああああああああああああああっっ!!!!」

 

 

ガバァアアッ!!と、そんな憤怒の雄叫びと共にティアナが上に乗っかるスバルを押し退ける勢いで立ち上がったのだった。

 

 

スバル「ひぃいいッ?!ど、どうしたのティアっ?あっ、もしかして何処か怪我してたとかっ?!」

 

 

ティアナ「今したわァっ!!頭に怪我っ!!アンタが抱き着いたせいでそのまま倒れてゴツンッ!ってぇっ!!」

 

 

スバル「え……あ、それは……えっと……ごめんっ」

 

 

ヒリヒリと痛むたんこぶが出来た頭を抑えて怒るティアナに怒鳴られ、申し訳なさそうに目を泳がせながら謝罪するスバル。そしてそんな二人のやり取りを無言で静観していたディケイドは呆れるように溜め息を吐き、変身を解除し零に戻っていった。

 

 

零「それだけ元気なら、とりあえずは大丈夫そうだな……無事で安心した。グロンギに襲われてると知った時は流石にヒヤッとしたぞ」

 

 

ティアナ「あ……零さん、あの、此処は一体……?というか今何が起きてるんですか、これっ?」

 

 

零「説明したいのは山々だが、悠長に話してる時間がない。詳しい話はなのはから聞いてくれ。今は……」

 

 

と、零は其処で一拍置くと、何が起きたのか分からず困惑した様子で零達を見つめる二人の少女に目を向けていく。

 

 

零「あの二人は?」

 

 

ティアナ「あっ、あの二人は一般人で、一人はあの怪物達から逃げてる時に怪我をしたみたいです」

 

 

零「そうか……ティアナ、これを」

 

 

ティアナ「え?」

 

 

僅かに何かを考える素振りを見せた後、零は懐から何かを取り出してティアナに手渡していき、ズッシリと重みを感じるその感覚にティアナが驚いて手元を見下ろすと、それは鈍い光を放つ黒い拳銃だった。

 

 

ティアナ「これ……?」

 

 

零「お前、今デバイスが使えないだろう?奴らを倒すのは無理でも怯ませる事ぐらいは出来る筈だ。それであの二人を連れてこの先の病院まで逃げろ」

 

 

スバル「えっ?れ、零さんはどうするんですかっ?というかこんなのいつの間に手に入れて……?!」

 

 

零「あぁ、それは綾瀬刑事からパクッ……んんっ……借りただけだ」

 

 

スバル(……今パクったって言おうとしたんじゃ……)

 

 

ティアナ(絶対に言おうとしたわよね、パクったって……)

 

 

あからさまに咳払いして言い直す零を見て冷や汗を流してしまうスバルとティアナ。

 

 

まあ実際のところは廃寺院での戦いでクウガが使っていた拳銃を零がたまたま拾って返しそびれたというのが真相なのだが、今は其処まで説明している時間はないと近くに停めておいたディケイダーへと近付き、マシンに跨っていく。

 

 

零「まぁ、病院に着いたら綾瀬刑事に返しておいてくれ。俺はこのままあの煙の中心に向かう……そっちは任せたぞ」

 

 

スバル「あっ、零さん?!」

 

 

慌てて呼び止めるスバルだが、そんな制止の声も聞かずに零はディケイダーを再び発進させて走り出し、未だに黒い煙が広がる街の中心へと向かっていったのだった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑩

 

 

その頃、未だ混乱に包まれる病院の一室ではベッドの上に横たわる綾瀬が弱々しく瞼を開いて意識を取り戻し、その傍らにはやまとと、綾瀬の手を握り締める優矢の姿もあった。

 

 

綾瀬「優矢……?」

 

 

優矢「綾瀬さん……」

 

 

傍らにいる優矢の顔を見て、一瞬だけ僅かに驚いた様子を見せる綾瀬。しかし直後に今の自分の姿、そして病室の外から聞こえてくる人々の混乱の声で今までの事を思い出し、優矢に目を向けていく。

 

 

綾瀬「優矢……此処で何をしてるの……?」

 

 

優矢「ッ……俺は……俺はただ、あんたに誉めてもらいたかった……あんたに……笑って欲しくて、今まで戦ってただけだ……今の俺じゃ……戦えないよっ……」

 

 

ただの高校生でしかなかった自分がクウガなどという超常の力でグロンギと戦って来られたのも、全ては目の前の唯一人の笑顔の為だった。

 

 

なのにその戦う理由を無くしてしまえば、ちっぽけな自分にこの力をどう使えばいいのかなんて分からない。

 

 

唯一の理由であった目の前の大切な人を失えば自分はもう戦う事は出来ないと、綾瀬の手を握りながら優矢は悔しそうに俯き、やまともなのはもそんな優矢の姿をただ黙って見ている事しか出来なかった。

 

 

綾瀬「……私はもうすぐ死ぬ……そうすれば、この体もグロンギに変わるわ……そうなったら……貴方は私を殺せる……?」

 

 

優矢「ッ?!で、出来ない!出来る筈ないっ……!」

 

 

自分が尊敬する人を殺せる筈がない。首を横に振って強く否定する優矢に対し、綾瀬は力無く微笑む。

 

 

綾瀬「私の笑顔の為に、あんなに強いなら……世界中の人の笑顔の為なら、貴方はもっと強くなれる……」

 

 

綾瀬は弱々しい声を必死に振り絞りながら、優矢の手を強く握り返す。

 

 

綾瀬「私に見せて……優矢……あなたの力を……」

 

 

優矢「ッ……命令かよ、綾瀬刑事……?」

 

 

綾瀬「……えぇ……命令よ……」

 

 

綾瀬が振り絞って出した声を聞いて、優矢は一瞬だけ悲痛な顔になる。しかし、彼女の言葉の中にある確かな願いを感じ取り、ゆっくりと綾瀬に頷き返すと、自分が今すべき事の為に、握っていた綾瀬の手を離し病室から飛び出していった。

 

 

なのは「……綾瀬さん」

 

 

優矢が出ていくのを見届けた綾瀬の表情は、笑っていた。その笑顔を見たなのはが思わず綾瀬の名を呟くと、綾瀬は何処か罪悪感の入り交じった声音で優矢が握り締めていた自分の手を見下ろしていく。

 

 

綾瀬「ずっと、あの子が心配だった……無茶ばかりして……まるで弟みたいで……でも、そんなあの子の心を利用した……これは、罰ね……」

 

 

なのは「違う……違います!そんな……!」

 

 

これが今まで優矢を利用してきた自分への報いだと、後悔するように自嘲する綾瀬の言葉をなのはが否定して必死に首を横に振る中、やまとは僅かに逡巡する素振りを見せた後、綾瀬に向き直って静かに口を開く。

 

 

やまと「例えそうだったとしても、あの人は多分それでもいいと笑ってたと思うわ……ある日突然、人間でなくなった自分がこれからどうすればいいか、道に迷っていたあの人の標となってくれた貴女の為になるなら、って……」

 

 

綾瀬「……永森さん……」

 

 

やまと「……正直、そんな貴女がずっと羨ましかった……あの人を普通の人間でいられなくなるきっかけを与えてしまったのは私なのに、何もしてあげられない自分が嫌だったから……」

 

 

なのは(……何もしてあげられない、自分……)

 

 

今まで自分が抱えていた鬱屈した気持ちを始めて告白するやまとのその言葉に、なのはも今の自分の姿を重ねて無言のまま俯いてしまう。

 

 

そんな時、病室の扉からグロンギ達から逃げ切ったスバルとティアナが息も絶え絶えの状態で現れ、そのまま床に倒れてしまった。

 

 

スバル「ハァッ……ハァッ……つ、疲れたァああああっ……!」

 

 

ティアナ「た、弾も切れたしっ、あと少し遠かったから危なかったわねっ……取り敢えずあの二人も医者に任せた事だし、もう大丈夫でしょうっ……」

 

 

なのは「ス、スバル?!それにティアナも?!大丈夫?!」

 

 

病室に入ってくると同時にいきなり倒れてしまったスバルとティアナを見て、なのはも動揺しつつも慌てて二人に近付いて肩を貸し、取り敢えず近くにある椅子に二人を座らせて休ませていく。

 

 

スバル「だ、大丈夫です……ちょっと、休めば……って、あれ……?優矢さんは……?」

 

 

なのは「あ、優矢君なら今さっき出ていったけど……多分入れ違いになったんだと思うよ……」

 

 

取り敢えず、なのはは先程までの事をスバルに、これまでの経緯をティアナに説明していくのであった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

ビルが立ち並ぶ繁華街。其処には今なおグロンギ達が人々を襲い、死に絶えた人がグロンギとなってまた人を襲うという地獄絵図が続いており、そんな凄惨な光景を一際大きい高層ビルの屋上から眺めるガミオの姿もあった。

 

 

『リントは全てグロンギと化し、戦いを求め続ける。そしてこの世を究極の闇が覆い尽くす!』

 

 

―ブォオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!―

 

 

『……ん?』

 

 

人々の骸をグロンギ化させるガミオの咆哮を掻き消すかのように何処からかエンジン音が鳴り響いた。

 

 

それを聞いたガミオが視線を下ろすと、其処には高層ビルの貨物用エレベーターから現れたディケイダーがグロンギを次々と跳ね飛ばしていく姿があり、ディケイダーに乗る青年……零はマシンを停めてヘルメットを徐に外していく。

 

 

『お前はクウガでもリントでもない』

 

 

零「……知るか」

 

 

ガミオの言葉を短く一蹴し、ディケイダーから降りた零は腰に巻いたままのドライバーのバックルを開くも、そんな零を見下ろしたままガミオは構わず言葉を続ける。

 

 

『どうやらお互い、この世界にはいてはならない存在らしいな』

 

 

零は黙ってガミオの言葉を聞きながら、ライドブッカーを開いてディケイドのカードを抜き取った。

 

 

『消えよ。リントは全て殺し合うグロンギとなる……それが宿命だったのだ』

 

 

零「……俺も嘗て、アンタと同じ事を考えていた気がするよ。人間とは所詮、戦い合う事しか出来ない。全てを破壊する、そんな存在だと……変身!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

バックルにカードを装填し、零は電子音声と共にディケイドに変身しながらガミオに目掛けて高らかに飛び上がり、ガミオの頭上を一息で飛び越えた。そしてガミオの背後に着地すると共にディケイドはガミオに突っ込み殴り掛かるが、ガミオは僅かに身を逸らして拳を避けながら逆にディケイドを殴り飛ばしてしまった。

 

 

ディケイド『ぐうっ?!うぁああああああああああッ!!』

 

 

ガミオの攻撃を受けたディケイドは高層ビルの屋上から落とされ、そのまま地上へと叩き付けられてしまう。

 

 

ディケイドに変身しているとは言えダメージは流石に半端ではないが、其処へ追い討ちを掛けるかのように地上に落ちたと同時に、ディケイドの周囲にいたグロンギ達がディケイドの姿を見つけてまるでゾンビのように迫って来ていた。

 

 

ディケイド『グッ……クソッ……一体どれだけの人間がグロンギに変わったんだっ……!』

 

 

『ガァアアアアアアッ!!』

 

 

『シャアアアアアアッ!!』

 

 

四方から続々と迫るグロンギの大群を見回しながら思わず毒づくと、ふらつく身体を起こしたディケイドは両手を叩くように払って襲い掛かるグロンギ達を迎え撃っていき、ガミオも近くまで降り、その光景を眺めていた。

 

 

そしてディケイドは最初に飛び掛ってきたグロンギの突撃をかわしながら脇腹を蹴り付けて退け、次に背後から羽交い締めして身動きを封じようとしたグロンギを強引に払い除けながら殴り飛ばし、左腰のライドブッカーをソードモードに切り替え周囲のグロンギ達を払うように剣を振るっていくが、それでもグロンギ達の猛攻は止まらず、寧ろ戦闘音を聞き付けて更にグロンギの数が増え、逃げ道を完全に塞いでいってしまう。

 

 

ディケイド『チィッ!邪魔をするなぁああああッ!!』

 

 

―ガギィイイイイインッ!!ザシュウゥッ!!ズバアァッ!!―

 

 

『ギャアッ?!』

 

 

『グァアアッ!』

 

 

それでもディケイドは抵抗を続けてグロンギ達を次々と斬り捨てていくが、やはり数が違い過ぎるグロンギ達に苦戦を強いられて徐々に戦い方も荒々しくなりつつあった。

 

 

倒しても倒しても、次から次に襲い来るグロンギ達の数を前に体力も徐々に限界に近付き、半ばヤケクソでライドブッカーを振り回していくも、グロンギの一体が死角からディケイドに突進して吹っ飛ばしてしまい、そのまま壁に叩き付けられた衝撃で変身が強制解除されボロボロの姿の零に戻ってしまった。

 

 

零「ガハァッ!ぅッ……ッ……クソッたれっ、めッ……!」

 

 

『アァアアアアアアアアアッ!!』

 

 

『グルァアアアアアアアアッ!!』

 

 

血塗れの手で壁に手を付きながら戦いを続けようとする零だが、そんな零にグロンギの大群が一斉に群がっていき、疲労困憊でまともに動けない零を四方から容赦なく殴り飛ばしていってしまう。

 

 

零「グゥッ?!この世界が、俺の死に場所っ……?」

 

 

グロンギ達の凄まじい力で絶え間なく殴られ続け、意識が朦朧とする中で一瞬自分の死を悟る零だが、その時ふと、破滅に向かう自分達の世界、そしてなのは達や他の仲間達の顔が頭を過ぎった。

 

 

零「ッ……!ふざけるなぁああああああッ!!」

 

 

―バキィイイッ!―

 

 

『ブァアアッ?!』

 

 

光を失い掛けていた瞳に力が戻り、零は闇雲にグロンギ達を殴り続けていく。だが生身の人間がグロンギ達に適う筈もなく、抵抗も虚しく返り討ちにあってしまう。

 

 

零「グッ、ァアッ……ウワァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」

 

 

遂にはグロンギ達に囲まれ、零の身体をバラバラにしようと無数の醜い手が伸びて零の腕や足、首を掴んで嫌な音を立てていく。

 

 

そのあまりの激痛に零も最早悲痛な悲鳴を上げる事しか出来ず、完全に追い詰められて絶体絶命の危機に陥っていた。その時……

 

 

 

 

 

 

―ブウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオォンッ!!!!―

 

 

 

 

 

──何処からともなく、青空にまで響き渡る轟音のようなエンジン音が鳴り響いた。

 

 

それを耳にした零が振り返ると、其処にはクウガに変身した優矢がバイクを駆って踊り場の階段を駆け下りて来る姿があり、そのまま猛スピードのウィリーでグロンギ達を薙ぎ払っていったのだった。

 

 

そしてその隙に零もクウガの乱入により数が減った他のグロンギ達を力づくで払い除けていき、クウガを見据えて僅かに笑みを浮かべていく。

 

 

零「ハァッ……ハァッ……来たか……」

 

 

クウガ『……ああ』

 

 

零の目をまっすぐ見つめ返して頷き、クウガはバイクから降りてグロンギ達と戦闘を開始していく。

 

 

クウガ『俺は、戦う!』

 

 

零「……あの人の為か?」

 

 

クウガ『あんた一人に戦わせたら、あの人は笑ってくれない!』

 

 

グロンギ達の攻撃を掻い潜りながら突き進み、クウガは拳を振りかざして必死に戦い続けていく。しかし……

 

 

『ヌゥウウウウウウォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!』

 

 

―バチィイイイイイイッ!!ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアァァンッッ!!!!!―

 

 

零「ッ?!ぐっ、うぐぁああああッ!!」

 

 

クウガ『ガハァアアッ?!』

 

 

上空に浮遊するガミオが巨大なエネルギー波を地上へ打ち込み、他のグロンギ達も巻き込みながら零とクウガを吹っ飛ばてしまい、そのあまりの威力にクウガも変身が解けて優矢に戻ってしまう。

 

 

『見たか!人間は強さを求め、戦いを求める!グロンギになるのも運命だ!』

 

 

倒れて悶え苦しむ優矢を指し、人間の本性が闘争を求めるグロンギに等しき存在であると自信に満ちた声で語るガミオ。

 

 

だが、零はボロボロの身体をふらつきながら起こして立ち上がり、ガミオを睨み付けた。

 

 

零「違うなっ……この男が戦うのは、誰も戦わなくていいようにする為だッ!」

 

 

『……何?』

 

 

零「例え自分一人が闇に墜ちたとしても、誰かを笑顔にしたいッ!そう信じてるッ!」

 

 

力強くそう言い切る零の言葉を聞き、傷付いた身体を起き上がらせた優矢は呆然と零を見つめていく中、そんな優矢を指差し、零はガミオに向けて告げる。

 

 

零「コイツが人の笑顔を守るなら……俺は、コイツの笑顔を守るッ!」

 

 

優矢「……お前……」

 

 

零「……知ってるか?コイツの笑顔、悪くない」

 

 

零のその言葉を聞いた瞬間、優矢の中で一つの強い決意が生まれ、優矢の表情も力強い表情に変わっていく。その変化を目にしたガミオも戸惑いを露わにし、動揺を浮かべて零を睨み付けた。

 

 

『貴様は、一体何者だ?!』

 

 

そう問い掛けるガミオに対し、零は不敵な笑みを浮かべて取り出したディケイドライバーを腰に装着し、左腰に出現したライドブッカーから抜き取ったディケイドのカードをガミオに見せるように掲げていく。

 

 

零「通りすがりの仮面ライダーだ……」

 

 

『ッ?!』

 

 

零「憶えておけッ!変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

零はカードをバックルに装填し、鳴り響く電子音声と共にディケイドに変身していく。そして変身を完了すると同時にライドブッカーが独りでに開かれ、中から絵柄の消えたクウガのカードを含む三枚のカードが飛び出していき、ディケイドがそれらを手に取った瞬間、絵柄のなかった三枚のカードに絵柄が浮き出ていった。

 

 

ディケイド『……優矢、いくぞ』

 

 

優矢「……ああッ!」

 

 

ディケイドの呼び掛けに力強く答えて頷き、優矢は腹部に両手を翳してアークルを出現させ、変身の構えを取った。

 

 

優矢「変身ッ!」

 

 

高らかに叫び、優矢はクウガに変身してガミオに向けて拳を構えていく。だが左右から再び大群のグロンギが現れたのを目にし、先ずはグロンギの大群を倒す為に二人はそれぞれ左右に別れグロンギ達と戦闘を開始していくのだった。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑪

 

 

クウガ『ハァアアッ!デリャアアッ!』

 

 

グロンギの大群に果敢に飛び掛かり、渾身の拳を叩き込んでグロンギ達を次々と倒していくクウガ。一方のディケイドもグロンギ達を殴り飛ばしながらライドブッカーからカードを取り出し、バックルに装填してスライドさせていく。

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

ディケイド『ハアァッ!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァンッ!!―

 

 

『ガァアッ?!』

 

 

『ギェエアアッ?!』

 

 

鳴り響く電子音声と共に、ライドブッカーをガンモードに変えて周りを囲むグロンギ達に向けて乱射するディケイド。そして怯んだグロンギ達を払い除け、ディケイドはクウガの下に駆け寄っていく。

 

 

ディケイド『邪魔だ!』

 

 

クウガに背後から組み付こうとしていたグロンギを蹴り飛ばし、ディケイドはクウガの後ろに付きながらライドブッカーから先程力が蘇った内のカードを一枚を取り出していき、それをバックルに投げ入れてスライドさせていった。

 

 

『FINALFORMRIDE:KU·KU·KU·KUUGA!』

 

 

ディケイド『優矢、ちょっとくすぐったいぞ』

 

 

クウガ『え?』

 

 

ディケイドはそう言いながらクウガの背中に手を伸ばす。すると次の瞬間、ディケイドが触れたクウガの背中が開かれ、其処から巨大な装甲が現れた。

 

 

クウガ『うわっ?!あ、あぁ……?!』

 

 

装甲が現れたと同時にクウガの身体が宙に浮かび上がり、その姿が徐々に変形され巨大なクワガタムシへと変化していく。

 

 

これがディケイドの持つカードの力の一部……ファイナルフォームライドにより、クウガはクウガゴウラムへと超絶変形したのだった。

 

 

『こ、これは……?』

 

 

ディケイド『これが、俺とお前の力だ!』

 

 

超絶変形した自分の姿を見てクウガゴウラムが戸惑いを浮かべる中、クウガゴウラムを見て危険を感じたグロンギ達が奇声を発して一斉に二人に襲い掛かる。だが、クウガゴウラムは構わずにグロンギ達へと突っ込んでいく。

 

 

『ハアァアアアアアッ!!』

 

 

クウガゴウラムの突進により、グロンギ達は纏めて吹っ飛びながら次々と爆発していき、それを見たガミオは再びエネルギー弾を放つ為に力を溜める。

 

 

『ヌゥウウッ、ヌオオオオオオオオオオオッ!!』

 

 

ガミオは地上を薙ぎ払うように再び巨大なエネルギー波を地上へと打ち込む。だがディケイドはそれを見てすぐさま跳躍してかわし、クウガゴウラムの上に着地して共にガミオに向かって突っ込んでいった。

 

 

『な、何?!』

 

 

『『うおぉおおおおおおおおおおおおおおおッ!!』』

 

 

猛スピードで迫る二人を見て動揺するガミオに目掛けて、先ずはディケイドが飛び掛かりソードモードに切り替えたライドブッカーですれ違い様に斬り裂き怯ませた。

 

 

其処へすかさずクウガゴウラムが二本の角でガミオを捕らえてビルの壁に思い切り叩きつけていき、その隙にディケイドが地上に降ると、クウガゴウラムは上空へ飛び上がってクウガに戻り、ビルの壁を走るように駆け降りていく。

 

 

クウガ『ハアァァッ!!』

 

 

『ヌオォッ?!』

 

 

そしてクウガは降下の勢いを利用してガミオに向けて飛び蹴りを放ち、そのままガミオと共に地上へと落下すると、ディケイドがライドブッカーを構え、ガミオに向かって跳躍した。

 

 

ディケイド『セアァッ!!』

 

 

―ガギィイイイインッ!!―

 

 

『グッ?!オォォォッ!!』

 

 

跳んできたディケイドに斬りつけられ、ガミオはバランスを崩しそのまま地上へと落下し叩き付けられるように地面に倒れる。そして二人も地上へと着地すると、倒れているガミオを見て一息吐くが……

 

 

『グッ、ググッ……グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーオオオオォォッッッ!!!!!!』

 

 

ガミオはふらつきながら身を起こし、いきなり大地を揺るがす程の雄叫びを上げ始めた。すると、周囲に残っていたグロンギ達がガミオの周りに集まっていき、ガミオは集まったグロンギ達を自分の中に吸収していく。

 

 

クウガ『アイツ……自分の仲間を吸収した?!』

 

 

ガミオは吸収を終えると再び上空へと飛翔し、ビルの屋上まで飛んでいく。そして屋上のヘリポートに体当たりして剥がし、ディケイドとクウガに向けて落としていった。

 

 

ディケイド『なっ、あんなのアリかよッ……!』

 

 

クウガ『任せろッ!』

 

 

落下してくるヘリポートを目にしてディケイドも怯む中、クウガは再びクウガゴウラムに姿を変えて飛翔し、落ちてくるヘリポートを真っ二つに切り裂いてディケイドを助けただけでなく、そのままガミオに向かって突っ込んでいく。

 

 

『な、何だとッ……?!』

 

 

ヘリポートを斬り裂き、迫り来るクウガゴウラムを見て分が悪いと踏んだガミオは慌ててその場から逃げようとするが……

 

 

『逃がすかぁッ!!』

 

 

『グゥオオッ?!』

 

 

後ろから追ってきたクウガゴウラムの角に捕えられ、そのまま元の場所へと戻されていく。そしてディケイドもライドブッカーから絵柄の戻ったもう一枚のカードを取り出し、ディケイドライバーに装填してスライドさせていった。

 

 

『FINALATTACKRIDE:KU·KU·KU·KUUGA!』

 

 

電子音声が響くと共にクウガゴウラムの背中の羽部分が開かれ、光輝く羽根を羽ばたかせながらディケイドに向けて急降下していく。

 

 

そしてディケイドもクウガを彷彿とさせる構えから駆け出して割れたヘリポートに飛び移ると、そのまま割れたヘリポートを一気に駆け上がって上空へと飛び上がり、クウガゴウラムと共に落下してくるガミオに向かって跳び蹴りを放った。そして……

 

 

ディケイド『ハアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーアアアァァッッ!!!』

 

 

『ウオォリャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!』

 

 

『グッ、オッ……ヌゥウオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオォォッッ!!!!?』

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオオォォンッッッ!!!!―

 

 

ディケイドとクウガゴウラムの必殺技……ディケイドアサルトが見事に炸裂し、ガミオは身体を激しく燃え上がらせながら地上へと堕ちていったのだった。

 

 

そしてディケイドと元の姿に戻ったクウガは地上に着地すると、身体が炎上して倒れるガミオにゆっくりと歩み寄っていく。

 

 

ディケイド『アンタも嘗ては、人だったのかもしれないな……』

 

 

『グゥッ……な、ならお前は、何処から来た……?』

 

 

ディケイド『……あー……悪い、忘れた』

 

 

ガミオの問いに一瞬考える素振りを見せるも、仮面の下で苦笑いを浮かべながら呆れた返事を返すディケイド。

 

 

だがその答えを聞いたガミオは可笑しそうに笑うと、徐に顔を上げ青空を見上げていく。

 

 

『リント……闇が、晴れるぞ……』

 

 

何処か穏やかな口調で最後の言葉を口にした共に、ガミオは爆発して消滅していった。そしてガミオの消滅と同時に街中を覆い尽くしていた黒い煙も消えていき、グロンギ達も次々と倒れて黒い煙と共に消えていったのだった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章/クウガ×らき☆すたの世界⑫

 

ガミオを倒し、急いで病院に戻った零と優矢は綾瀬の病室へと戻っていく。他の患者や医者の間をすり抜け、慌てて病室に入ると、其処には……

 

 

 

 

 

綾瀬「──────」

 

 

 

 

 

優矢「……綾瀬、さん……」

 

 

零「…………」

 

 

……既に息を引き取り、眠るように目を閉じる綾瀬と、彼女の傍らに座るやまとと涙を流すなのは達の姿があった。

 

 

やまと「……綾瀬刑事……最後まで笑ってたわ……」

 

 

髪で表情を隠し、やまとが静かにそう告げると、優矢は茫然自失のまま綾瀬に近付いて彼女の手を握り締めていく。その顔にはやまとの言う通り穏やかな笑みが浮かんでおり、優矢は溢れ出しそうになる涙を堪えるように綾瀬の手に額を当てていき、やまとも何も言わずそんな優矢の背中に触れて彼を慰めていく。

 

 

零「……いくぞ……俺達の役目は終わった」

 

 

なのは「……え?ま、待ってよ零君っ!」

 

 

そんな優矢達の姿を見てこれ以上此処に留まる訳にはいかないと思った零は、なのは達と共に綾瀬の病室を出ていき、そのまま病院を後にするのだった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

同時刻、灯溶山山頂。ガミオが目覚めたこの場所で零達を監視していた謎の男が消えていくグロンギ達の中で一人、崩れた石碑を眺めていた。

 

 

「……私は許さない……ディケイド……」

 

 

男がそう言うと辺りに銀色のオーロラが出現していき、そのオーロラと共に男はその場から消えていった。

 

 

 

 

◆◇◇

 

 

 

 

―光写真館―

 

 

零「──痛ッ!ば、馬鹿っ、もう少し丁寧にやれってッ!」

 

 

なのは「いいから我慢してッ!本当にもうっ、またこんなボロボロになってっ……!」

 

 

あれから数十分後、病院を後にした四人は光写真館に戻り休息を取り、零は先程の戦いで傷付いた箇所をなのはに治療してもらっていたが、その量が半端なく多い為、治療を終えるのに大分時間が掛かっていた。

 

 

なのは「はい、終わったよ。全く、ちょっと目を離した隙に無茶ばっかりするんだから……」

 

 

零「いや、それに関してはお前が言えた口じゃないだろうよ……」

 

 

なのは「私以上に零君が無理してるよ!昔から危険な任務が終わる度に会うのはいっつも医務室のベットの上だったし、他にも──!」

 

 

零「わ、分かった!分かったから!もう十二分に分かったからそれ以上はいい!」

 

 

ちょっとボヤいただけで百になって返ってきたなのはからの文句に慌てて止めに入る零。一方でなのははまだまだ言い足りないような様子で口を尖らせており、そんな二人を見てスバルとティアナも栄次郎が煎れてくれた珈琲を飲みながら苦笑いを浮かべていたが、スバルがふと気になっていた疑問を口にしていく。

 

 

スバル「それにしても、この世界の滅びを止める……それが私達の本当の役目だったんでしょうか?」

 

 

零「さあな……ただ一つだけ言えるのは、恐らく他の世界でもこの世界と同様に滅びの危機に瀕してる可能性が高いって事だ。多分、この先でもそういった脅威と戦う事は避けられないとは思う」

 

 

なのは「……この先も……」

 

 

つまりこの先の旅でも今回のような戦いが待ち受け、零はその度に一人戦って傷付く事になるかもしれない。体中に包帯を巻いた零の痛々しい姿を見てそんな不安を覚えるなのはを他所に、零はソファーから立ち上がって背景ロールに近付いていく。

 

 

零「取り敢えず、この世界での俺達の役目が終わった事に変わりはない。次の世界に向かわないといけない訳だが……」

 

 

栄次郎「──あれ?零君、もう動いても大丈夫なのかい?」

 

 

次のライダーの世界に向かう方法を考える中、背景ロールの脇から呑気な口調と共に栄次郎がひょっこり顔を出した。

 

 

零「爺さん……?アンタそんなとこで何やって……」

 

 

栄次郎「いやね、君の写真を額縁に飾ろうと思ってた所なんだよ。ほら、零君にしては今回の写真、中々イイ感じに撮れてたから」

 

 

そう言いながら栄次郎が差し出して見せたのは、額縁に収められた一枚の写真。其処には先日写真館に訪れた優矢と綾瀬が笑い合う姿が写し出されており、綾瀬の姿が影のように浮き出ていた。

 

 

その二人の穏やかな写真を見てなのは達も切なげな表情を浮かべる中、零は肩を竦めて溜め息を漏らした。

 

 

零「別に額縁に収める程の出来でもないだろう?個人用のアルバムとか売ってくれればそれに収めるだけで十分……」

 

 

栄次郎「いやいや、こういう味わいのある写真はちゃんとした額縁に入れておいてやらないと。ええっと、確かもう1枚の写真を入れる用の額縁がこの辺に……―ガシャンッ!―……あっ」

 

 

背景ロールの脇の物置を漁り額縁を探す中、栄次郎の肘が背景ロールを操作する鎖に当たってしまい、その衝撃でまた新しい絵の背景ロールが現れて一瞬淡い光を放った。

 

 

零「!これは……」

 

 

新たに出現した背景ロールに描かれているのは、満月の夜と高層ビル、そしてそのビルからドラゴンの首と手足が出ている不可思議な絵だった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

グロンギ達との戦いを終えた翌日。先の事件で今日は学校が休日となったこなた達は、こなたの従妹である"小早川 ゆたか"がグロンギの事件で怪我をして入院したという連絡を受けてお見舞いに訪れていた。

 

 

しかし実際の所は捻挫で一日病院で安静にしていただけで今日で退院出来ると聞いて安堵し、同じように彼女のお見舞いに来ていたみなみに後を任せて帰路に付いていた。

 

 

こなた「──いやぁー、でもホントに良かったよ〜。ゆーちゃんが怪我をしたって連絡受けた時は流石に私も心臓が飛び出そうなぐらいビックリしたし……」

 

 

かがみ「ホントにね。捻挫程度で済んだって聞いた時は安心したわ……っていうか、こっちはこっちでアンタから急に連絡来てパニックたってのっ」

 

 

こなた「い、いや、私もお父さんもいきなり病院から連絡もらって滅茶苦茶気が動転しちゃってたから……や、ほんとすみませんでしたっ……」

 

 

つかさ「ま、まあまあ、こなちゃんの気持ちも分からなくもないし……でも、二人とも無事で本当に良かったよねぇ」

 

 

みゆき「えぇ、本当に大事がなくて安心しました。でも、結局お二人を助けてくれたという二人の女の人、一体誰だったんでしょうね……」

 

 

こなた「ほんとにねー。名前も名乗らずにいなくなっちゃったからこっちもお礼が出来ないし、分かってる特徴と言えば、青髪のショートヘアにツインテールのオレンジ色の髪ってだけだけど……」

 

 

ゆたかとみなみが話してくれた二人を助けてくれた二人組の女の子の特徴を口にし、こなたの脳裏にふとこの前学校の校門前で出会った二人……なのはとスバルにそっくりな女子達の顔が過ぎる。

 

 

あの二人がいなくなった後、気になったこなたは後日学校の新聞部に二人を尋ねてみたのだが、何故か部員達は口を揃えてそんな二人は知らないと怪訝な反応を返されてしまった。

 

 

あの二人も結局何者だったのか。もし仮にあの二人が自分の知るアニメのキャラクターと同一人物だとするのなら、ゆたか達から聞いた特徴的に心当たりがない訳ではないのだが……

 

 

こなた「う〜、ぜんっぜん分からない……こんなにも漫画の中の名探偵が欲しいと思ったのは生まれて初めてかも……」

 

 

かがみ「なにさっきから一人でブツブツ言ってんのよ……っていうか、優矢は?アイツにも連絡したって言ってなかったっけ?」

 

 

こなた「え?あ、優矢は何か今日は大事な用があって行けないって。っていうか、何かゆーちゃんのお見舞いはもう昨日行ってて先に二人の様子を見てきてたっぽいよ?」

 

 

つかさ「え、そうなの?でも優矢君、何でゆたかちゃんが入院してるって知ってたのかなぁ……?」

 

 

みゆき「病院側も先日の事件の影響で混乱が続いてたせいで、泉さん達に連絡があったのも今朝頃になったという話でしたしね……。それに大事な用というのは一体?」

 

 

こなた「うーん、その辺の事は話してくれなかったんだよね……まぁ、どうせこれから優矢の家に寄ろうと思ってたとこだし、ついでに聞いてみたらいいんじゃないかな?」

 

 

そう言いながらこなたは三人と共に優矢の家に向かうべく歩き出していくが、この時の彼女達は知る由もない。彼の家を尋ねても優矢に会う事はなく、暫くこの世界に戻って来なくなる事を……。

 

 

 

 

◇◇◆

 

 

 

 

一方その頃、優矢はやまとと共に綾瀬家の墓に花を添えて拝んでいた。その顔は昨日までとは違い、力強い決意が秘められた顔付きとなっている。

 

 

―世界中の人の笑顔の為なら、貴方はもっと強くなれる……私に見せて……―

 

 

優矢「……綾瀬さん。俺、今なら出来る気がするよ。だから、見ていてくれ」

 

 

やまと「……先輩」

 

 

墓で眠る綾瀬に自分の想いを告げる優矢の表情は、まるで青空のように何処までも晴れやかな物だった。そんな優矢の顔を見てやまとも安堵するように微笑を浮かべていき、優矢は墓地の近くに停めておいたマシンに乗ってその場を後にしようとするも、片付けを申し出て此処に残る事を告げたやまとに申し訳なさそうな目を向けていく。

 

 

優矢「なぁ、ホントにいいのか?やっぱ俺も片付け手伝って──」

 

 

やまと「人の事を気に掛けるより、先ずは自分の心配をしなさい。まだ昨日の今日で戦いの傷も癒え切っていないのだから、ちゃんと安静にしてないと」

 

 

優矢「……そっか……悪いやまと。それと、いつもありがとうな……」

 

 

やまと「……一丁前の口を効くなんて、先輩の癖に生意気ね」

 

 

優矢「な、何でだよっ?!」

 

 

其処まで変な事は言ってないだろ?!とやまとからの辛口に慌てふためいてしまう優矢だが、やまとはそんな優矢に背中を向けて見えない所で小さく微笑む。

 

 

そして優矢も何も言わず綾瀬の墓へと戻っていくやまとの背中を疲れた顔で見つめるも、すぐに笑みを浮かべてヘルメットのバイザーを下ろし、やまとの厚意に甘えバイクを走らせてその場を後にしていくのだった。

 

 

──自分の後を追い掛けてくる、小さな白いコウモリの存在にも気付かず……。

 

 

 

 

クウガの世界 END

 

 

 





【挿絵表示】



桜川 優矢


解説:らき☆すたの世界におけるオリ主的存在であり、仮面ライダークウガの変身者。凌桜学園高等部三年に所属し、こなた達と同じクラスの高校生。


こなたとは幼なじみらしく、昔からよく遊んでいて今でもこなた達と友人関係にある。


またこなたの影響でオタク趣味にもそれなりに理解があり、特に彼女に勧められて半ば無理矢理プレイさせられた型月作品にどっぷりハマる事に。


性格は明るく前向きだが、普段から個性豊かな面々に囲まれていたからか、こなた達の中ではかがみに次ぐツッコミポジションだった模様。


ある日、グロンギに攫われた凌桜学園での後輩である八坂こうの親友、永森やまとを単身で助け出そうとした事をきっかけに謎の男の導きでクウガのベルトのアークルを手に入れ、彼女や後の事件で知り合った女刑事の綾瀬翔子の協力の下、仮面ライダークウガに変身してグロンギと戦う事になる。


元々はクウガである自分を受け入れてくれた綾瀬に恋慕を抱き、彼女に認められたい一心からグロンギと戦い続けていたが、死に際の彼女との最後のやり取り、零との共闘を通じて『世界中の人達の笑顔の為に戦う』という新たな道を見出すが、綾瀬の墓参りの帰宅中の謎の白いコウモリに出会い……?


イメージキャラクターはひぐらしのなく頃にの前原圭一






目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界①

 

 

クウガの世界を究極の闇から救う事に成功し、思わぬ形で次の世界に向かった零達。

 

 

その一方、墓参りを終えて家に戻った筈の優矢は謎の白いコウモリに呼ばれ、何処かへと連れていかれていた。

 

 

優矢「お、おいっ。何処まで行くんだよっ?」

 

 

「フフフ……こっちこっち♪」

 

 

謎の白いコウモリに誘われ、灰色のオーロラの中を彷徨う優矢は戸惑い気味に白いコウモリに行き先を問うも、白いコウモリは妖艶に笑うだけで何も答えずそのまま何処かへと飛び去っていってしまい、直後に灰色のオーロラが晴れて優矢はいつの間にか西洋風の豪華な部屋の中心に佇んでいた。

 

 

優矢「え……ど、何処だよ、此処っ?」

 

 

見知らぬ場所に出て、訳も分からず優矢が困惑した様子で部屋の中を見回す中、其処へ突然部屋の扉が開き、部屋の中に青い狼、緑の魚人、紫のフランケンのような怪物達を先頭に数人のメイド達が部屋の中へ入ってきた。

 

 

優矢「何だ……人間と……怪物……?」

 

 

恐らく普通の人間であろう筈のメイドの女性達と、異形の怪物達が共にいるという普通ならありえない光景を目の当たりにした優矢は呆気に取られ、呆然と立ち尽くす事しか出来ずにいたのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

 

そして同じ頃、次の世界に訪れた零となのはは一先ず写真館の外に出て周囲を見回し、クウガの世界の時とは明らかに違う街並みを見て零は肩を竦めてしまう。

 

 

零「成る程な……どうやらあの背景ロールを使えば、次の世界に着くって仕組みになってるらしい」

 

 

なのは「じゃあ、また次の世界に移動したって事なんだ……って、サラッて流し掛けたけどコレって相当なオーバーテクノロジーだよねっ?もしかしてあの背景ロール、実はロストロギアだったりとかするんじゃ……」

 

 

光写真館の外観を見上げると、やはり写真館もクウガの世界の時と同様に見た目が変化してしまっている。

 

 

一体本当にどういう仕組みになっているのか、並行世界間の移動という超常的に過ぎる現象を前になのはも懐疑的な眼差しを写真館に向ける中、突然灰色のオーロラが二人を包むように通過して過ぎ去り、零となのはの服装がいつの間に礼服に変わり、それぞれの手に黒と桜のバイオリンケースが握られていた。

 

 

なのは「え、ええっ?!また変わったっ?!」

 

 

零「おいおい、前回だけじゃなかったのかコレ……」

 

 

スバル「零さーん、なのはさーん?どうかしましたか……って、また変わってるっ?!」

 

 

ティアナ「な、何ですかその格好っ?!」

 

 

またもいきなり姿が変わった自分の格好を見て騒ぐなのはの声を聞き付け、遅れて写真館の外に出たスバルとティアナは二人の礼服姿を見て驚愕するも、零は特に動じる様子もなく手に持ったバイオリンケースを肩に担いで溜め息をこぼす。

 

 

零「俺にも良く分からんが、前の世界で警官やら学生やらをやらされてた所を踏まえるに、多分これが今回この世界での俺達の役目なんだろう……」

 

 

なのは「役割って……私にも?」

 

 

零「ああ。ただまぁ、こんな格好で何をしろと……うん?」

 

 

役割が分かりやすかった警官と違い、服装を見るに恐らくヴァイオリニストと思われる自身の格好を見てこの世界でやるべき事が読めず困惑する零だが、突然何かに気付いてカメラを構えていき、そんな零を見てなのは達も釣られて零がカメラのレンズを向ける先を追うと、其処には……

 

 

スバル「えっ……な、何あれ?!」

 

 

ティアナ「ビルに……竜の頭?」

 

 

そう、零がカメラを向ける先にあったのは、市街地の中心に建つ一際目立つ高層ビルの中腹から巨大な竜の頭が出ているという目を疑う光景だったのだ。

 

 

そのあまりにも突飛な光景になのは達も開いた口が塞がらないでいる中、零は高層ビルから頭を出す竜の写真を何枚か撮影して小さく呟く。

 

 

零「キャッスルドラン……キバの世界か……」

 

 

なのは「……え?零君、何であれの名前知ってるの?」

 

 

初めて訪れた世界である筈なのに、高層ビルから頭を出す竜……キャッスルドランの名前をまるで知っているような口ぶりで語る零になのはが疑問げに問い掛けるが、写真を撮り終えた零はファインダーから顔を離して暫し考える素振りを見せた後……

 

 

零「…………忘れた」

 

 

「「「ええぇっ……」」」

 

 

何かありそうな間を意味深に空けておきながらそんな呆れた返事を返され、思わず肩からずっこけにそうになるなのは達。とその時、突然強い風が零達の周りに吹き上がり、その風に乗って一枚のチラシが飛来しスバルの顔に巻き付いてしまう。

 

 

スバル「ぶぁうっ?!な、何これっ?!」

 

 

ティアナ「ハァッ……何やってんのよアンタは……ん?」

 

 

チラシが巻き付いただけで忙しなく慌てふためくスバルを見て呆れながらも、彼女の顔に纒わり付くチラシを取って上げるティアナ。

 

 

だが其処でチラシの内容が目に映って紙を読み始めていくと、ティアナは驚きで目を見開きながら零に慌ててチラシを見せていく。

 

 

ティアナ「れ、零さん!コレ、見て下さい!」

 

 

零「?」

 

 

スバル「ど、どうしたのティア?」

 

 

何やら急に慌て出したティアナの反応を見て訝しげに首を傾げながらも、零はティアナから受け取ったチラシを開きなのはとスバルと共に内容に目を通していくと、其処には……

 

 

スバル「"ファンガイアと人間の共存の手引き"……?」

 

 

チラシに書かれていたのは、人間とファンガイアと呼ばれる異形が交流を深めて町を盛り上げようという内容のものだった。しかも一緒に記載されている写真には、人間とファンガイアが仲良く笑い合う姿が映った集合写真が載っていた。

 

 

零「ファンガイアと人間の交流?何だこりゃ……どうなってんだ一体っ……?」

 

 

チラシに書かれた内容を見て零も手で口を覆い戸惑いを露わにするが、なのは達はその内容の意味がよく分からず首を傾げてしまう。

 

 

なのは「ねぇ零君、ファンガイアって一体何?」

 

 

零「……人間のライフエナジー……簡単に言えば命だな。ソイツを吸って人間を殺す怪物、分かりやすく言えば吸血鬼みたいな怪人達の事だ」

 

 

スバル「……あれ……?なのはさん、このファンガイアって確か、私達の世界で滅びの現象が起こった時にも現れたのと同じ怪人じゃ……?」

 

 

なのは「え?……ッ!そうだ……!確かあの時にも、ライフエナジーを寄越せって私達も襲われたんだ……!」

 

 

ティアナ「……じゃあホントに、この世界じゃ人間と怪人が一緒に暮らしてるってこと?」

 

 

見覚えのあるステンドグラスのような模様が特徴的なファンガイア達を見て元の世界で襲われた事を思い出し、人を襲う筈の存在がこの世界ではその人と共存しているという事実になのはとスバルは動揺し、ティアナも驚く中、零はチラシを折りたたんで胸のポケットに仕舞いながら市街地の方に視線を向けていく。

 

 

零「とにかく、この世界についてもう少し調べてみる必要があるな……よし、此処からは二手に別れるか。なのは、いくぞ」

 

 

なのは「え、ちょ、ちょっと待って!それじゃえっとっ、二人は聞き込みをお願い!何かあったら私達に連絡して!すぐに駆け付けるから!」

 

 

表に停めておいたディケイダーにさっさと乗って準備する零を慌てて追いつつ、なのははスバルとティアナにそう言いながらマシンの後部座席に乗り、ディケイダーで零と共にキャッスルドランが見える市街地の方へと向かっていった。

 

 

スバル「行っちゃった……えーっと、私達はどうしよっか……?」

 

 

ティアナ「どうするって……取り敢えず、私達は私達でこの世界の事を調べるしかないでしょ。ほら、行くわよ!」

 

 

スバル「えっ、ま、待ってよ!ティア~ッ!」

 

 

残された二人も、なのはから言い渡された指示通りに動くべく、情報収集の為に取りあえず近隣の人達から話を聞き出そうと歩き出していくのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界②

 

十分後。情報収集の為にスバルとティアナと二手に別れ、ディケイダーに乗って市内の繁華街に訪れた零となのは。

 

 

バイクで走行しながら二人が周囲を見渡すと、街のあちこちでは人間とファンガイアが実際に仲睦まじく共に暮らす光景が多く見られた。

 

 

なのは「凄いね……本当に人間とファンガイアが共存してる……」

 

 

零「らしいな。だが、二つの種族が平和に共存してるこの世界で何をしろっていうんだ……」

 

 

クウガの世界でならグロンギという分かりやすい倒すべき存在がいたが、ファンガイアが人間と共存しているのなら敵対する存在もなく、自分達がこの世界で果たすべき役目が分からず溜め息を漏らしてしまう零だが、その時……

 

 

―……ギギィッ……ギギギギィッ……ギギギィッ……!―

 

 

なのは「……え?」

 

 

バイクを走らせる中、不意に何処からともなくバイオリンのような音が聞こえてきた。しかし、その音は音楽と呼ぶにはあまりにも酷く不気味であり、なのはは薄気味悪さを感じて顔を引き攣らせながら零の肩を叩く。

 

 

なのは「ね、ねえ零君っ、この音って……」

 

 

零「……まさかファンガイア以外にも敵が?いや、だとしても──」

 

 

何度も肩を叩いて呼び掛けるも、零はこの世界での使命や戦うべき存在について考え込んでなのはの声も奇妙な音も聞こえておらず、無視する零になのはは頬を膨らませ……

 

 

なのは「もうっ……零君ってばぁッ!!」

 

 

―バゴンッ!―

 

 

零「痛ったァッ?!うぉおおおおおお危ねぇええええええええええーーーーーーーっっ!!!!?」

 

 

―キキキキィイイイイィィィィィィーーーーーーーッ!!―

 

 

怒ったなのはが自分の持っていたバイオリンケースで零の頭を後ろから小突き、いきなり不意を突かれて殴られたせいで零も手元が狂って危うく道端の電柱に激突しそうになり、蛇行しながらも何とか態勢を立て直しマシンを停車させた。

 

 

零「お、おまっ!いきなり何しでかしてくれてんだこの野郎ォッ?!遂に本気で俺を殺りに来たのかァッ?!」

 

 

なのは「零君が無視するからだよッ!……ってそうじゃなくて、何か変な音が聞こえて来ない?」

 

 

零「音っ……?」

 

 

危うく事故り掛けて泣きそうになりながら頭を抑えて抗議する零だが、なのはにそう言われて漸く不気味なバイオリンの音に気付き、険しげに眉を顰めていく。

 

 

零「随分と個性的な音楽だな……音は……あっちからか……よし、行ってみるか」

 

 

なのは「えっ?あ、うん」

 

 

奇妙な音の正体が気になった零は再びディケイダーを走らせ、なのはと共にその音が聞こえてくる住宅街の方へと向かっていった。

 

 

 

 

 

◇◇◆

 

 

 

 

 

一方その頃、零達とは別行動で街に着いたスバルとティアナは早速この世界での情勢について調べ始め、街ゆく人に田舎から出てきた体を装って話を聞き出したり、コンビニの雑誌から情報を集めたりなど暫く探索を続けた後、情勢の整理も兼ねて一旦休憩を挟もうと適当な飲食店に入っていた。

 

 

スバル「うあー、つぅーかぁーれぇーたぁーよぉー……イテッ!」

 

 

ティアナ「うっさいわよバカスバルっ。もうちょっと声を抑えなさい、他のお客さんに迷惑だから」

 

 

歩き疲れた足をパタパタ振りながら声を大にテーブルの上に突っ伏すスバルの頭を、ティアナがメニュー表で軽く叩いて注意する。

 

 

それに対し「ふぁーい……」とスバルは気の抜けた返事を返しつつ店内を軽く見回し、人間とファンガイアが一緒に食事をしたり、共に働く姿を物珍しげに見つめていく。

 

 

スバル「それにしても、調べれば調べるほど本当に平和みたいだね、この世界」

 

 

ティアナ「みたいね……それでも以前までは人間とファンガイアの間でそれなりにいざこざもあったみたいだし、紆余曲折あって漸く今の現状に落ち着いたらしいから、色々大変だったみたいだけど……でもまさか、本当に人間と怪人が共存してるなんて……」

 

 

スバル「でも、それっていい事じゃないかな?争いとか事件とかなさそうで」

 

 

ティアナ「まぁ、そうかもね。前の世界の時みたいにまた追い掛け回されるとかゴメンだし……」

 

 

スバル「あー……うん、それは確かに……」

 

 

クウガの世界でグロンギ達に襲われた事を思い出して溜め息を吐くティアナの言葉に、彼女と同様に元の世界で多種多様な怪人達から必死に逃げ回った記憶が蘇り複雑な表情を浮かべるスバル。

 

 

そうしてティアナは椅子にもたれ掛かりながら店の天井を仰ぎ、溜め息を一つこぼしてしまう。

 

 

ティアナ「でも、だとしたらこれからどうするかよね。こんな平和な世界で、私達は一体何をすればいいのか……」

 

 

スバル「うーん……あっ、じゃあさ!他の皆を探しに行かない?ティアみたいに、もしかしたら私達の世界の誰かがこの世界に飛ばされて何処かにいるかもしれないし!」

 

 

ティアナ「いるかもって、あんたねぇ……簡単には言うけど、この街も相当広いのよ?人も多いし、そう簡単に見つかるワケ──」

 

 

「おめでとうございまぁーーすっ!!見事、完食でぇーーすっ!!」

 

 

カランカランカランッ!と、テーブルに身を乗り出すスバルの提案に呆れるティアナの言葉を遮るように、突然店内に嬉々とした声と鐘を鳴らす金属音が響き渡った。

 

 

すると、その声を聞いた二人以外の客達が一斉に席から立ち上がり、今度は盛大な拍手が店内に響き渡る。

 

 

スバル「え?え?な、何がどうなってんの?」

 

 

ティアナ「わ、私が分かる訳ないでしょ!」

 

 

盛大な拍手が鳴り渡る店内を見回し、突然の事に理解が追い付かず困惑してしまうスバルとティアナだが、取りあえず何が起きてるのか探る為に自分達の後ろの席の客の一人に声を掛けた。

 

 

スバル「あ、あのー?これって、一体何ですか?」

 

 

「ん?君達知らないのかい?この店には"ビッグステーキ"っていう超巨大ステーキがあってね。それの完食に挑戦するイベントが行われてたんだよ」

 

 

ティアナ「あ、成る程。イベントをやってたんですね、ここ」

 

 

「そうそう。でも今までそれに挑戦して完食した人なんて一人もいなくてね。だけど、今親衛隊の人が挑戦して見事完食だよ!いやー、ファンガイアの人達でも無理だったあんな物を完食するなんて本当に凄いよ~」

 

 

へえ~、と二人は感心する。すると二人はそんな凄い物を完食したのは誰なんだろう?と興味が沸き、客達が視線を向けている先へと振り返って大食いチャレンジャーの顔を確かめると、其処には……

 

 

「──おう!ありがとな!いや~、でも何か照れ臭いな~♪」

 

 

―ゴォオンッ!!―

 

 

……盛大な拍手を浴びて照れ臭そうに頭を掻く噂のチャレンジャーの顔を目にした瞬間、二人はほぼ同時にテーブルに頭を打ち付けてしまった。

 

 

何故か?無論、そのチャレンジャーの顔に滅茶苦茶見覚えがあるからである。

 

 

スバル「……ねえティア……私、此処のところ色んなことに巻き込まれ過ぎて疲れてるのかな……?何か今、幻を見たような気が……」

 

 

ティアナ「……奇遇ね……多分それ、私が見たのと同じヤツだわ……」

 

 

いやほんと、何故よりにもよってこんな形でと、お互いに目頭を抑えて軽い現実逃避をしてしまう二人だが、そんな心境も他所に上機嫌な聞き馴染みのある声が再び聞こえてコレがリアルであると再認識させられる。

 

 

……こうなっては仕方がない。何処か観念したように溜め息を吐いた二人は徐に席から立ち上がると、他の客達の間を抜けて注目を浴びる件のチャレンジャーに恥ずかしそうに声を掛けた。

 

 

スバル「ヴィ、ヴィータ副隊長!」

 

 

ティアナ「何やってるんですかこんな所で!」

 

 

ヴィータ「──うん?って、スバル、ティアナ?!お前らなんで此処に?!」

 

 

件のチャレンジャーである幼い外見をした赤毛の少女……スバルとティアナが所属するスターズ分隊の副隊長であり、ヴォルケンリッターの鉄槌の騎士である"ヴィータ"は目の前に現れた見知った顔の二人を見て驚きで目を丸くするが、スバルとティアナの方は注目を浴びるヴィータに声を掛けた事で他の客達の視線を集めてしてしまい、恥ずかしさで顔が赤くなり萎縮してしまうのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は変わり、零となのはは不気味なバイオリン音の出処を追って住宅街を訪れ、音の発生源と思われる家の前まで来ていた。しかし……

 

 

零「……何だこの幽霊屋敷は……こんな所に人なんか住んでるのかっ?」

 

 

なのは「でも、あの音は此処から聞こえてくるんだから……多分誰かいるんじゃないかなぁ……?」

 

 

音の出所である家を半信半疑の眼差しで見つめる零にそう言いながらも、なのは自身もあまり自信はないのか何処か口調に覇気がないが、それも無理はない。

 

 

二人が辿り着いた音の出処である家は遠目に見れば豪邸のように見えるが、近くで良く見ると門は錆付いていてツタが巻き付いており、家の壁も所々ヒビ割れて窓が割れていたりなど、とてもじゃないが人が住んでいるようには見えない。

 

 

だが、肝心の奇妙な音は確かに今もこの廃墟のような家の中から鳴り響いていた。

 

 

なのは「うーん、どうしよう?流石に勝手に家の中に入るのはマズイだろうし……」

 

 

零「バレなきゃ別に問題ないだろう?見たところ廃墟のようだし誰も気にしな、おごはぁああッ?!」

 

 

なのは「駄目に決まってるでしょ?!不法侵入しただなんてスバル達に知れたら教官の面目丸潰れになり兼ねないんだから、下手な真似しないのっ!」

 

 

そう言ってなのはは人目を気にせず廃墟の中に踏み込もうとする零の襟首を掴み、力づくで引っ張って注意する。

 

 

そして無理矢理襟を引っ張られたせいで首が締まった零は喉を抑えて何度か激しく咳き込み、若干涙目になりながら廃墟を見上げて少し考える素振りを見せた後、目元を拭いディケイダーに積んである自身のバイオリンケースを手に取っていく。

 

 

なのは「?バイオリンなんて取り出してどうするの?」

 

 

零「この音を出してる奴を誘い出そうと思ってな。なのはも準備しろ」

 

 

なのは「え?で、でも私、バイオリンなんて弾いたこと……」

 

 

零「やってみればわかるさ。ほら、早くしろ」

 

 

なのは「う、うん……」

 

 

零に言われるがまま、なのはは戸惑いながらも自分のバイオリンをケースから取り出し演奏の準備を整えていく。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

一方、廃墟と化した家の中。室内は外と同様に荒れ果てており、床や壁が抜けていたり、辺りに蜘蛛の巣が張り巡らされていたりと、人が住んでいる気配は一切ない。

 

 

そんな家の中で一人、少年が埃被ったバイオリンを引いていたが、流れる音楽はとても音とは呼べない不快な物しか出ず、どれだけ引いても望む音が出ないバイオリンを見て少年は暗い表情で諦めたように溜め息を吐き、演奏を止めてしまう。その時……

 

 

 

 

―♪~♪♪~♪~♪♪―

 

 

 

 

「……?」

 

 

不意に外から美しい音楽が聞こえてくる。少年はそれが気になり、バイオリンを置いて窓から家の門を覗くと、其処には零となのはがデュエットで優雅にバイオリンを奏でている姿があった。

 

 

「……あの人達……」

 

 

二人の存在か、それとも二人が奏でる音楽が気になったのか、少年はまるで零達の音楽に誘われるように外へ出ていき、扉から顔を覗かせて家の中から出てきた少年を見て零となのはも演奏を止める。

 

 

零「よぉ、あの音楽を弾いていたのはお前か?だったら止めてくれ。余りの酷さに耳がおかしくなる」

 

 

なのは「もう零君っ!何でそんな言い方するのっ!ゴメンね?このお兄さん、人当たりは良くないけど別に悪気があって言った訳じゃ……」

 

 

意地の悪い言い方をする零を叱りつつ、なのははそう言いながら少年に笑顔で歩み寄る。が……

 

 

「近寄るな!」

 

 

なのは「……へ?」

 

 

少年は歩み寄ろうとしたなのはを怒鳴って止めた。その表情は険しく見えるが、何処か怯えているようにも見える。

 

 

「近寄るな……人間が僕に……」

 

 

零「……お前、ファンガイアか?」

 

 

「……だったら何?恐い?僕のこと……」

 

 

零「別に。お前が人間だろうとファンガイアだろうと関係ないし、どうでもいい。ただな、初対面の人間に対して礼儀って物がなってないだろ!」

 

 

なのは「ちょっ、待ってよ!相手はまだ子供なんだしっ、というか礼儀云々で零君がお説教出来る立場じゃないからねっ?!」

 

 

今の思いっきり自分に返ってきてるからソレっ!と少年の態度に怒鳴る零にごもっとなツッコミを返すなのはだが、そんな二人のやり取りを他所に少年は暗い表情を俯かせて顔を逸らしてしまう。

 

 

「関係ない……お前達に何が分かる……」

 

 

なのは「……ねえ君、もしかして何か悩みとかあるのかな……?もし私達で良ければ──」

 

 

と、人間を拒絶して寄せ付けようとしない少年の顔を見て何か気になるのか、なのはは少年と目線を合わせるように屈んで彼と話が出来ないか試みようとするが、その時……

 

 

―キャアァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!―

 

 

突如、街の方から女性の悲鳴が聞こえ、零達はその悲鳴が聞こえた方へと振り返る。

 

 

なのは「今の悲鳴は……?!」

 

 

零「……どう考えても何かあったって感じだな。行くぞ、なのは!」

 

 

なのは「う、うん!」

 

 

少年の事は気になるが、今は街の状況を確かめる為に二人はディケイダーに乗り込み、マシンを走らせて急いで現場へと向かっていく。

 

 

「…………」

 

 

そして、残された少年も騒ぎが気になるのか、零達が走り去っていった後に別方向から街へと向かっていった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界③

 

街中の広場。其処には零達が耳にした悲鳴の主と思われる女性が必死の形相で街ゆく人の肩とぶつかりながら脇目も振らず逃げる姿があり、その背後からはライオン型の白いファンガイア、ライオンファンガイアが追ってきていた。

 

 

―ドサァッ!―

 

 

「うあッ?!た、助けて……!お願いっ、お願いしますッ!」

 

 

『いいや、貴様は掟を破った。その重罪は命を持って償え!』

 

 

背後から追ってくるライオンファンガイアに気を取られ過ぎて転んでしまい、尻もちを着きながら後退りし必死にライオンファンガイアに命乞いをするも聞く耳を持たれず、ライオンファンガイアは拳を振り上げて女性に襲い掛かろうとするが……

 

 

「止せ!」

 

 

『……?!』

 

 

ライオンファンガイアの拳が振り下ろされようとした直前、悲鳴を聞き付けた零が漸くその場に到着し、女性は隙を見て急いで零の後ろへと隠れていった。

 

 

『貴様、一体何の真似だ?』

 

 

零「何だはこっちのセリフだ。これの何処が人間とファンガイアが仲良くだよ?」

 

 

『その女は掟を破ったのだ。掟を破った者を生かす訳にはいかない』

 

 

いいから其処を退けと、女性を引き渡すように威圧的に警告するライオンファンガイア。だが零は怯えた様子で自分の陰に隠れる女性を見て険しげに眉を顰め、ライオンファンガイアを見据えながら懐から取り出したディケイドライバーを腹部に当てて装着する。

 

 

零「生憎、殺されると分かってる人間を素直に引き渡すほど俺も人でなしじゃない……変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

左腰に現れたライドブッカーから抜き取ったカードをドライバーに装填し、電子音声と共に零の姿がディケイドへと一瞬で姿を変えていった。

 

 

『な、何だとッ?!』

 

 

ディケイド『あまり騒ぎを大きくしたくはないんでな、すぐに終わらせる!』

 

 

そう言って両手を叩くように払い、変身した零を見て困惑するライオンファンガイアに拳を振るって戦闘を開始するディケイド。

 

 

「……あれは……?」

 

 

その様子を近くの木の影から、先程廃墟のような家で零となのはが出会った少年が怪訝な眼差しでディケイドの戦いを見つめる姿があるが、それに気付かぬままディケイドはライオンファンガイアの拳を上手く捌きながら左腰に装着するライドブッカーをソードモードに切り替え、更に一枚のカードを取り出しバックルに装填してスライドさせた。

 

 

『ATTACKRIDE:SLASH!』

 

 

鳴り響く電子音声と共に刃が分身するライドブッカーを振るい、ライオファンガイアに斜め下、横一閃に斬撃を放ち、思わぬ攻撃にライオンファンガイアも対処出来ず全ての斬撃を刻み込まれた。

 

 

『グウゥッ?!キ、サマッ……何者ぉッ……?!』

 

 

ディケイド『仮面ライダーディケイド……通りすがりの仮面ライダーだ』

 

 

淡々とディケイドが名乗ると共に、ライオンファンガイアは断末魔の悲鳴を上げて硝子のように粉々に砕け散った。すると、その様子を陰から見ていた少年がディケイドの名を聞いた瞬間、何やら顔色を変えディケイドへと近づいていく。

 

 

「ディケイド……?ディケイドだと?!」

 

 

ディケイド『?お前、さっきの……』

 

 

木の影から姿を現した少年を見て構えを解くディケイド。だが、ディケイドを見つめる少年の顔は何故か険しく敵意を剥き出しにしており、そんな少年の下に何処からともなく金色の奇妙なコウモリが羽ばたいて現れた。

 

 

『ワタル!コイツ、キバーラが警告していた……!』

 

 

ディケイドの名を聞いて敵意を露わにする少年、"ワタル"の下に飛来した金色のコウモリが真剣な口調で呼び掛けると、ワタルは無言のまま右手を頭上に掲げる。

 

 

ワタル「キバット!」

 

 

『おう!キバっていくぜぇ!』

 

 

ワタルからの呼び掛けに陽気に応じ、キバットと呼ばれた金色のコウモリはワタルの手に捕まると、ワタルはそのまま自身の左手にキバットを近付けていき……

 

 

キバット『ガブッ!』

 

 

なんと、キバットはワタルの手に躊躇なく噛み付いたのである。しかしキバットに噛み付かれたワタル自身は動じる様子もなく、その顔にステンドグラスのような模様が浮き出て腰に何重もの鎖が巻き付いていき、赤いベルトへと変化していった。そして……

 

 

ワタル「変身ッ!」

 

 

高らかに叫び、腰に出現したバックルの止まり木にキバットをセットしたワタルの身体が徐々に変化を始めていき、小さかった背丈もディケイド並に変わっていく。

 

 

全ての変身を終えたその姿はコウモリを彷彿とさせる赤と黒の仮面と黄色い瞳、真紅の鎧を纏った異形の姿……この世界のライダーである『仮面ライダーキバ』へと変身したのだった。

 

 

「王子……!」

 

 

「王子だ!」

 

 

「キバの鎧、初めて見た!」

 

 

ディケイドと対峙するワタルが変身したキバを見て、周りの群衆がざわめていく。その中には、クウガの世界にも現れた謎の男と、優矢を誘った白いコウモリの姿もあった。

 

 

『ほ~らね?優矢ってのを連れてくれば、きっとディケイドも現れる。言ったとおりでしょ?』

 

 

「ディケイド……ここがお前の最後の場所だ」

 

 

そう言いながら謎の男が不敵な笑みを浮かべる中、ディケイドは群衆から聞こえてくるキバの名前から目の前の戦士がそうであると確信し、ライドブッカーの刃で軽く指す。

 

 

ディケイド『成る程……お前がキバ、この世界のライダーだったのか?』

 

 

ワタルがこの世界のライダーだった事に内心驚くも、それならそれで話が早いとキバにそう尋ねるディケイドだが、それに対しキバは何も答えずいきなりディケイドへと襲い掛かりハイキックを放った。

 

 

ディケイド『ッ?!何すんだいきなり?!』

 

 

キバ『お前の事は聞いているっ!悪魔っ!』

 

 

ディケイド『なっ……チッ、またそれかっ……いい加減、なのはの奴の気持ちが分かってきた気がするぞ……』

 

 

どうやらキバは前回の優矢の時と同様、何者かにディケイドが悪魔だと吹き込まれてるらしい。

 

 

身に覚えのない中傷にいよいよ管理局の白い悪魔だなんだのと呼ばれ続けてたなのはの気持ちに共感を覚えつつも、ディケイドはキバが繰り出す素早い拳をライドブッカーで弾いて何とか拮抗し、隙を突いてライドブッカーの柄頭でキバの顔を殴り付け怯ませた。

 

 

キバ『ぐっ!クソッ!』

 

 

キバット『おいワタル!少し落ち着けって!』

 

 

気を逸らせるキバを落ち着けようとベルトの止まり木に止まるキバットが宥めるが、キバはそれを無視してベルトの左腰に備え付けられた三色の笛型のアイテム……フエッスルの中から緑のフエッスルを取り出す。

 

 

キバ『来い!バッシャー!』

 

 

キバット『あー、しょうがねえ……!バッシャーマグナム!』

 

 

キバは緑のフエッスルをキバットに吹かせると、キバットの掛け声と共に奇妙なメロディーが流れ、辺りに鳴り響いていく。

 

 

 

 

 

◇◇◆

 

 

 

 

 

同時刻、キャッスルドラン内では王の側近である三体のアームズモンスター、ガルル、バッシャー、ドッガがある人物を探して城内を忙しなく走り回っていた。

 

 

『王子、やっぱり城の中にいないよ!』

 

 

『まただ……王に即位する件を持ち出すとすぐに逃げだされる……!』

 

 

『城にいないのなら我々だけで探すのは無理だ……すぐに出動中の親衛隊に連絡するぞ!』

 

 

城内を隈無く探しても見つからないこの城の主である王子が外に出ていったのかもしれないと推測し、三体は街でパトロール中の親衛隊にも連絡を入れようとするが、その時……

 

 

―♪♪~♪~―

 

 

キバットが吹いた笛のメロディーがキャッスルドラン城内に響き渡った。

 

 

『え、呼ばれた?!』

 

 

三体の内の一体、バッシャーは一瞬困惑を露わに他の二体と顔を見合わせるも、すぐにその姿を緑の彫像へと変えて城の外に飛び出していった。

 

 

 

 

 

◆◇◇

 

 

 

 

 

そしてキャッスルドランから飛んで来たバッシャーの彫像をキバが手に取ると、彫像は銃のように形状が変化し、キバの右腕と胴体に鎖が何重にも巻き付いて魚人を彷彿とさせる緑色の装甲に変わっていく。

 

 

最後にキバとキバットの瞳の色が緑へ変化していき、キバはバッシャーの力をその身に宿した遠距離射撃に優れた形態、『仮面ライダーキバ・バッシャーフォーム』にフォームチェンジしたのだった。

 

 

キバB『ハアッ!』

 

 

―ダンッダンッダンッダンッ!!―

 

 

ディケイド『クッ?!ガハァッ!』

 

 

姿を変えたキバが放つ水弾を咄嗟に身を翻して回避しつつライドブッカーソードモードを振るって何とか水弾を切り払うディケイド。しかし相手の連射速度が上回って次第に対処し切れなくなり、立て続けに水弾を食らって全身から火花を撒き散らし吹き飛ばされてしまった。

 

 

ディケイド『ッ……ガキンチョが、大人への礼儀ってのが分かってないようだな……!』

 

 

流石に子供相手ならなるべく穏便にと思ったが、向こうがその気なら最早加減はしない。水弾が直撃して激痛の走る肩を抑えて起き上がり、ディケイドは左腰に戻したライドブッカーからカードを一枚取り出す。そして……

 

 

ディケイド『変身ッ!』

 

 

『KAMENRIDE:KUUGA!』

 

 

ディケイドライバーにカードを装填しスライドさせた瞬間、電子音声と共にディケイドの身体が徐々に赤い鎧を纏うクワガタムシの仮面の戦士に変化していき、其処へ零と別れて悲鳴の主を探していたなのはが騒ぎを聞き付けて駆け付け、ディケイドの姿を見て驚愕した。

 

 

なのは「あれは……優矢君と同じクウガ?!」

 

 

そう、ディケイドが姿を変えたのは前の世界で優矢が変身したのと同じクウガであり、キバも他のライダーの姿に変わったディケイドを見て動揺を浮かべた。

 

 

キバB『姿が変わった……?!』

 

 

Dクウガ『本職でなら戦術や戦い方しか教えないが、今回は特別に礼儀作法も追加で仕込んでやる!』

 

 

キバB『クッ!』

 

 

そう言って勢いよく飛び出すDクウガを近付けまいと咄嗟にバッシャーマグナムを連射するキバ。だが、Dクウガは水弾を掻い潜ってキバに肉薄すると共にその手からバッシャーマグナムを叩き落とし、そのままキバに組み付いて膝蹴りを打ち込んで怯ませ投げ飛ばした。

 

 

キバB『グゥッ!クッ……ドッガ、お前だ!』

 

 

キバット『ドッガハンマー!』

 

 

何とか態勢を立て直したキバは今度は紫のフエッスルを取り出し、バックルのキバットに吹かせて重厚なメロディを鳴らせる。

 

 

直後、キャッスルドランから今度は紫の彫像がキバの下へ飛来し、キバがその彫像を手に取ると、彫像は拳のような鉄槌、ドッガハンマーへ形状を変えていく。

 

 

そしてキバの身体を再び鎖が巻き付いて両腕と胴体が紫の頑丈な鎧のような装甲へと変わり、最後にキバとキバットの瞳の色が紫に変化した姿……怪力自慢のドッガの力をその身に宿したパワータイプの形態、『仮面ライダーキバ・ドッガフォーム』にフォームチェンジしたのである。

 

 

キバD『ハアアアァッ!!』

 

 

―ブォオオオッ!!ドゴォオオオンッ!!―

 

 

Dクウガ『クッ……?!ゴハァアアッ!!』

 

 

巨大な鉄槌を軽々と振り回すキバの攻撃を咄嗟に回避するDクウガだが、続けて振り下ろされた一撃が肩を掠めただけでとてつもないパワーで身体がよろめき、直後にその隙を突いたキバの連撃をモロに受けて吹き飛んでしまい、壁に思い切り叩き付けられてしまう。

 

 

Dクウガ『っ、ぐッ……この野郎っ!』

 

 

『FORMRIDE:KUUGA!TITAN!』

 

 

いい加減頭にきたと、ライドブッカーから新たに取り出したカードを荒々しくバックルに装填し、電子音声と共にDクウガの姿が赤い鎧から白金の鎧姿……タイタンフォームに姿を変えていく。

 

 

しかしキバは臆すること無くドッガハンマーを構え直してDクウガに突っ込み再度全力で振るった打撃を叩き込もうとするが、Dクウガはタイタンフォームの防御力でドッガハンマーを正面から受け止めつつ、ドッガハンマーを掴みながらキバの身体を持ち上げ宙に投げ飛ばした。

 

 

キバD『うああッ?!』

 

 

DクウガT『この槌、借りるぞッ!』

 

 

そう言って投げ飛ばしたキバから奪ったドッガハンマーをクウガの能力であるモーフィングパワーでタイタンソードに変化させ、Dクウガは先程のお返しとばかりに起き上がろうとするキバをタイタンソードで斬り飛ばした。

 

 

そして地面を何度も転がり、何とか身を起こしたキバは苦々しげにDクウガを睨みながら左腰に残った青いフエッスルを手に取る。

 

 

キバD『ガルル、来い!』

 

 

キバット『ガルルセイバー!』

 

 

最後のフエッスルをキバットに吹かせると、キャッスルドランから飛来した青い彫像がキバの下に渡り、キバが手にした青い彫像は金色の刀身が輝くガルルセイバーへと変化する。

 

 

そしてキバの身体を鎖が巻き付いて左腕と胴体が狼男の毛皮と腕を模した青い鎧となり、瞳の色も青く変化した形態……スピードと脚力、剣技に特化した『仮面ライダーキバ・ガルルフォーム』にフォームチェンジし、ガルルセイバーを手にDクウガの剣と切り結んでいく。

 

 

―ガギィイッ!!ガァンッ、ガギィイインッ!!―

 

 

DクウガT『ッ!ほう、いい剣筋してるじゃないか……!精進すれば将来は俺やシグナムに匹敵するかもなっ!』

 

 

キバG『うるさい!』

 

 

狼の如く荒々しくも、しかしワタル自身の技量の良さが浮き出る太刀筋に感心を覚えるDクウガだが、キバは聞く耳を持たずタイタンソードを弾き、ガルルセイバーの柄頭部分でDクウガを殴り飛ばした。

 

 

DクウガT『痛ぅッ!このっ、少しぐらい話を聞けよっ!』

 

 

キバに殴られた顔を拭いつつ、Dクウガはライドブッカーから新たにカードを取り出しドライバーに装填してスライドさせた。

 

 

『FOMARIDE:KUUGA! DAAGON!』

 

 

電子音声と共に、Dクウガは徐々にその姿を変えてドラゴンフォームへと姿を変える。そして手に持つタイタンソードもドラゴンロッドに変えながら、Dクウガはキバと間合いを測りつつ語り掛けた。

 

 

DクウガD『一応断っておくが、俺は人間が襲われてる所を助けただけだし、悪魔ってのもただのデマだ。それでもまだ俺と戦う気か?』

 

 

キバ『ッ……黙れぇええッ!』

 

 

経緯を説明しても信用されず、キバは再びガルルセイバーを手にDクウガに斬り掛かる。

 

 

対するDクウガもキバの斬撃をドラゴンロッドで受け流しながら、横薙ぎに振るわれたガルルセイバーの一刀を身を翻して避けながら屈んで逆に足払いでキバを倒し、追撃でキバにドラゴンロッドを振りかぶるも、キバも負けじとまるでブレイクダンスのような足さばきでドラゴンロッドを弾き、その勢いを利用して獣の如く軽い身のこなしで軽々と起き上がった。

 

 

DクウガD『チィッ……!思いの外ッ──!』

 

 

キバG『ハァアアアアアアッ!!』

 

 

エリオやキャロとそう歳も変わらない子供とは思えぬ卓越したバトルセンスに内心驚きを禁じ得ないDクウガだが、狼のように飛び掛かりガルルセイバーを振りかざすキバを見てすぐさまシャンッと音を鳴らすドラゴンロッドを手の中で回転させながら後ろ腰に引き、キバに目掛けて一気に振り抜いた。その勝敗は……

 

 

―ガギィイイイイイイイイイイイイイイインッ!!!―

 

 

キバ『──うわぁああッ!!』

 

 

ディケイド『──グォオオッ!!』

 

 

──結果は相打ち。互いの肩と鳩尾に炸裂した一撃を前に二人は火花を撒き散らしながら吹き飛び、ダメージのあまり通常形態にまで戻ってしまったのだった。そのまま倒れて互いにダメージで顔を歪めるが、キバは一人ふらつきながら起き上がっていく。

 

 

ディケイド『ッ……おいおい、まだやる気かよっ?こっちとしてはもうそろそろ止めにしときたいんだが……』

 

 

キバ『うるさいっ!僕は……まだ戦えるっ!』

 

 

ディケイド側としてこの辺で切り上げたい所だが、キバは戦いを続けるつもりらしく徐に構えを取っていく。それを見てディケイドもやるしかなさそうだと諦めたように溜め息を吐きながら身を起こし、両者が再び激突しようとした、その時……

 

 

 

 

「──待て待て待て待てッ!!二人ともストォオオオーーーーーップッ!!」

 

 

 

 

『『……ッ?!』』

 

 

ディケイドとキバが再び衝突しようとした寸前、突然一人の少年が大声を上げながら二人の間に割り込んできたのだ。いきなりの乱入者にキバも驚愕して思わず構えを解くが、ディケイドと交戦中の二人を追ってきたなのははその少年の顔を見て別の意味で驚いてしまう。何故なら……

 

 

ディケイド『お前……!』

 

 

なのは「ゆ、優矢君っ?!」

 

 

そう、二人の間に割り込んだ少年の正体とは、前の世界で零と共に戦った仮面ライダークウガである桜川優矢だったのだ。

 

 

クウガの世界で別れたハズの彼が何故ここに?と、ディケイドとなのはも困惑した様子で優矢を見るが、優矢はまーまーとディケイドを宥めつつ、まるで忠臣のようにキバの前で跪き頭を垂れた。

 

 

優矢「王子、コイツは俺の知り合いです。悪魔などではありませんのでご安心ください」

 

 

キバ『……優矢、か……』

 

 

キバを落ち着かせようと笑い掛ける優矢を見て気が抜けたのか、キバは闘争心を鎮めて変身を解除しワタルに戻っていくと、ディケイドも零に戻りながら隣に駆け寄ってきたなのはに目を向けた。

 

 

零「なあ、これ一体どういう状況なんだ……?」

 

 

なのは「わ、私も分かんない……そもそも、何で優矢君がこの世界にっ?」

 

 

あまりに唐突過ぎる予想外な状況を前に二人もただただ困惑して立ち尽くす事しか出来ない中、其処へ騒ぎを聞き付けた別働隊のスバルとティアナ、そしてヴィータが零達の下に駆け付けた。

 

 

ティアナ「零さん!なのはさん!大丈夫ですか?!」

 

 

零「?ああ、お前達か。丁度良かった……って、お前ヴィータか?!」

 

 

なのは「ヴィータちゃんっ!良かったっ、ヴィータちゃんもこの世界に飛ばされてたんだねっ!」

 

 

ヴィータ「おう。お前らも無事だったみてぇだな。大体の事情はコイツらから聞いてるぜ」

 

 

へへっと、ヴィータの無事な姿を見て安堵するなのはに得意げに笑い返すと、ヴィータは優矢の下に近付いていく。

 

 

ヴィータ「おい優矢。何があったんだよ?街中が騒ぎでパニクってたぞ」

 

 

優矢「ああ、ちょっと色々あってね……ほら零!あんたがこの騒ぎを起こしたんだから謝れって!」

 

 

零「はぁっ?!何でだよ?!俺はただ人間がファンガイアに襲われてる所を助けただけで──!」

 

 

『人間ではない』

 

 

何故か騒ぎの原因にされて零が理由を話そうとしたその時、何処からか声が聞こえ全員がその方向を向くと、其処にはアゲハチョウを彷彿とさせる一体のファンガイア……スワローテイルファンガイアが先程零が助けた女性を捕まえて歩み寄ってくる姿があった。

 

 

『貴様が助けたこの女はファンガイアだ。そして、この女は人間のライフエナジーを吸うという最大の禁忌を犯した』

 

 

「ぐっ!うぅっ……!」

 

 

スワローテイルファンガイアが女性の首を掴む腕の力を強めると、女性の顔にステンドグラスのような模様が浮かび上がっていく。その模様こそ、彼女がファンガイアである証拠だった。

 

 

優矢「あのファンガイアは掟に背いて人間のライフエナジーを吸っていた。既に何人もの人が被害にあってるんだ」

 

 

「な、何が悪いのよッ!これがファンガイアの本能でしょうッ?!それを抑えて生きていける訳がないじゃないッ!何が掟よッ!何が禁忌よぉッ!!」

 

 

ワタル「……ッ……」

 

 

自分の行いを省みる所か、それが当たり前の事だと開き直る女性の言葉にワタルの表情が徐々に歪んでいく。そしてスワローテイルファンガイアは女性を自分の方に身体を向けさせると、片手を振り上げて女性の身体を引き裂いた。

 

 

「キャアァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?」

 

 

―ガシャアァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

 

ワタル「ッ!」

 

 

引き裂かれた女性は断末魔の悲鳴を上げながら硝子のように砕け散っていき、ワタルはその光景を直視出来ずに顔を背けてしまう。

 

 

優矢「ああいう風に掟を破るファンガイアを罰するのが、俺たち親衛隊の役目って訳さ。な、ワタル王子!」

 

 

ワタル「………」

 

 

零「…………」

 

 

優矢が親衛隊の事を熱く語りながらワタルに呼び掛けるが、ワタルは俯いたまま何も答えず、零達は無惨にも砕け散った女性の硝子の破片を見て何も言えず口を閉ざすしかなかった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界④

 

―光写真館―

 

 

あれから十数分後。一先ず誤解を解いてワタルと別れた一行は優矢とヴィータを写真館に招き入れ、二人から話を聞こうとした訳なのだが……

 

 

優矢「──ん~、旨い!幸せだ~♪」

 

 

ヴィータ「ギガうま!栄ちゃん中々やるじゃねぇか~♪」

 

 

栄次郎「そうでしょう?零君達が急にお客さんを連れてきたから慌てて用意したけど、喜んでもらえて良かったよ~」

 

 

零「……コイツら、何で来て早々無遠慮に人んちの飯をガツガツ食ってんだ……」

 

 

スバル「あ、あはは……」

 

 

ティアナ(っていうかヴィータ副隊長、確かさっき大食いチャレンジをクリアした後だった筈じゃ……どんな胃袋してるのよこの人っ……)

 

 

写真館に戻ってきた頃には丁度昼時であった為か、栄次郎が気を利かせて用意してくれていたテーブルの上の料理を優矢とヴィータが貪っていく光景を目にし、若干顔を引き攣らせる零と苦笑いを浮かべるスバル。

 

 

加えて先程まで大食いチャレンジをしていたとは思えないヴィータの食欲っぷりにティアナも引いてしまうが、このままでは話が進まないと零は薄く溜め息を吐き、優矢の隣の席に腰掛けて質問を投げ掛けた。

 

 

零「それで……?優矢、ヴィータ。お前らどうやってこの世界にきたんだ?」

 

 

優矢「ん?ん~……だって俺クウガだし♪「ブッ飛ばされたいのかお前……」……ひぇっ」

 

 

なのは「ま、まあまあ!あんまりカリカリしても話が進まないから……!」

 

 

優矢の冗談にわりとガチめなトーンと真顔でキレる零に、なのはが慌てて横から宥めに入る。そして優矢も零の放つ威圧感にビビり、今はジョークを言ってる場合ではないと悟ったのか気を取り直すように咳払いをした。

 

 

優矢「ゴホンッ。えーっと、この世界に着いた経緯だったよな……俺は綾瀬さんの墓参りを終えて家に帰ろうとした時に、突然現れた変なコウモリに誘われたんだよ。んで、気が付いたらいつの間にかキャッスルドランの中にいたってトコ」

 

 

ヴィータ「ムグムグ……あたしも六課の訓練所でシグナムと模擬戦してたら変なオーロラみたいなのに呑まれて、気付いたらあの城の中にいたんだよ」

 

 

そう言って二人はそれぞれの経緯を説明し終えると、食事を再開して再び料理を貪っていくが、話を聞いた零は頭を抑え呆れるように溜め息を漏らしてしまう。

 

 

零「ヴィータの方はだいだい分かったが、お前の方は意味が分かんねぇぞ……何なんだよその変なコウモリって……」

 

 

なのは「まあまあっ……それで二人は、この世界に着いた後にあの親衛隊に入ったってこと?」

 

 

ヴィータ「まあな。他に行く宛もなかったし、それにあのワタルって奴に興味があったし」

 

 

ティアナ「ワタルって……さっきのあの王子の事ですか?」

 

 

先程零が戦ったキバに変身していたワタルの顔を思い出し、疑問げに問うティアナの質問に対し二人は首を縦に振って肯定する。

 

 

優矢「あのワタルって子は人とファンガイアの間に生まれたらしくて、人間とファンガイアの架け橋になって本当の共存を実現しようとしてるらしいんだ。その話を聞いて、俺もその力になりたいって思ってさ」

 

 

ヴィータ「あたしも似たような理由と、助けてもらった恩もあるから親衛隊に入ったんだ。それに街の方でもさっきみたいなファンガイアが増え続けてるから、どうにかしたいって気持ちもあったからな」

 

 

どうやら二人は自分達を助けてくれたあの王子、ワタルが抱える人間とファンガイアの共存という夢に惹かれ、力がなりたいが為に親衛隊に入ったらしい。

 

 

その話を聞いてなのは達が二人に感心する中、零は無表情のまま一人黙々と料理を口にしていく。

 

 

零「まぁ、お前等のその意気込みは立派だとは思うが……あのガキがお前達の期待に応える事はないと思うぞ」

 

 

優矢「……何でだよ」

 

 

二人の話に水を差すかのようにきっぱりと言い切る零に、優矢が料理を食べる手を止めて思わず零を睨み付けるが、零はそんな優矢の目を見つめ返しながら淡々と話を続ける。

 

 

零「今のアイツには、それを行おうとする強い決意が感じられないからだ。奴と戦ってる時にも何処か迷いを感じた……今のアイツにそんな重い責任を任せても、その重みに耐え切れずに折れちまうのが目に見えてる」

 

 

優矢「やれるさ。アイツなら」

 

 

あの廃墟のような家で初めて出逢った時の人間に対する怯えよう、自分と戦っていた時のあの余裕の無さから何かを感じ取ったらしき零の言葉に、優矢は箸を置いて立ち上がりながら真剣な眼差しで零の前に立つ。

 

 

優矢「確かに、今のアイツは何処か迷ってるように見える。お前の言う通り、今のアイツに王の責務をやらせても難しいかもしれない……でもだからこそ、俺はアイツを支えてやりたいと思ったんだよ」

 

 

零「…………」

 

 

目を逸らさず、零の瞳をまっすぐ見据えて力強く語る優矢に対し、零も無言のまま優矢の目を見つめ返して何も答えない。そんな二人の間に走るピリピリとした空気になのは達も止めに入るべき若干迷う中、暫しの睨み合いの後、優矢が先に目を逸らして台所にいる栄次郎に笑顔で呼び掛けた。

 

 

優矢「ごちそうさんでした!飯、美味かったです!じゃあヴィータさん、俺、先に城に戻るから。今日は此処でゆっくりして行きなよ。せっかく仲間達と会えたんだしさ」

 

 

ヴィータ「お、おお。お前も気を付けて帰れよ?」

 

 

優矢「分かってるってっ」

 

 

それじゃ!と、優矢は片手を振って明るげに一同に挨拶しながら、写真館を出てキャッスルドランへと戻っていった。

 

 

そして、零は徐に窓際に移動し城に向かって走り去る優矢の背中を窓から無言で見送ると、そんな零の隣になのはが歩み寄り、窓から同じように優矢を見送りながら口を開く。

 

 

なのは「優矢君、本気であのワタルって子の力になりたいみたいだね……」

 

 

零「……ああ。だが、それでもあのワタルって奴の本当の心が見えなければ、アイツの助けは逆にあの王子の重荷を増やすだけだ……」

 

 

僅かに目を細めて何処か心配を含むようにそう呟くと、零は懐から絵柄の消えたキバのカードを取り出し、未だ力が戻る兆しのないシルエットのみのカードをジッと見つめていくのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑤

 

―キャッスルドラン・玉座の間―

 

 

『──それにしても、王子が無事に見付かって良かったよホントに』

 

 

『ああ。即位式を前に王子の御身に大事があれば、民達にも不安を与える事になるからな。やはり一日でも早く即位の儀を……』

 

 

数時間後、キャッスルドラン城内にある玉座の間。其処にはワタルがガルル達アームズモンスター達と共に玉座の間に集い、ワタルの王即位の式を開く日取りを考えていた。だが、当の本人のワタルは何やら浮かない様子で俯いており、それに気付いたバッシャーは訝しげにワタルの顔を覗き込んだ。

 

 

『王子?』

 

 

「僕は……王にはなれない」

 

 

『なっ……何故だ?!今日もキバとなり戦っていたではないか!』

 

 

ワタルの突然の発言にアームズモンスター達も騒然となるが、無言のままそれ以上は何も答えないワタルに、ガルルは誰も座っていない玉座を指し必死に呼び掛ける。

 

 

『王子っ、既に玉座は十年以上空位!そのためファンガイアの中には掟を忘れ、人を襲う者も多い!あなたが王になる事を、誰もが望んでいるのです!』

 

 

ワタル「…………」

 

 

だからどうか考え直して欲しいと説得を試みるガルルだが、ワタルはやはり浮かない表情のまま口を閉ざし、椅子から立ち上がってそのまま何も言わず玉座の間から出ていってしまった。

 

 

『お、王子……』

 

 

『やはり、アイツじゃ若すぎる』

 

 

『だが、他にキバを継げる者はない。あの方がお戻りにでもなれば別だが……』

 

 

しかしそれも叶わぬ事だと、空白の玉座を見つめ頭を悩ませてしまうアームドモンスター達だが、三体は気付かなかった。その様子を影から覗く不審な影の存在に……。

 

 

 

 

 

◇◇◆

 

 

 

 

夜が明けた早朝。ワタルは誰にも告げず再びキャッスルドランから抜け出し、行く宛もないまま街の中を歩き続けていた。其処へ、後ろからトライチェイサーに乗った優矢がやって来てワタルの前に止まり、ヘルメットを脱いで笑顔でワタルに軽く挨拶する。

 

 

優矢「よっ!こんな朝早くにどうしたんだよ、ワタル?」

 

 

ワタル「優矢……」

 

 

優矢の顔を見て一瞬立ち止まるワタル。しかしすぐに顔を背けてしまい、そのまま何処かへと歩き出していく。

 

 

優矢「ま、待ってくれって!そのさ、昨日は大変だったと思うけど、零の奴のこと許してやってくれないか?アイツあんなだけど本当は良い奴でさ、俺の友達っていうか……」

 

 

ワタル「……友達……?」

 

 

その言葉にワタルは思わず足を止めて振り返り、優矢も徐にバイクから降りると、トライチェイサーの後部座席の上に手を置いて言葉を続ける。

 

 

 

優矢「どっか行きたいとこでもあるのか?なら乗ってけよ、連れてくからさ」

 

 

ワタル「……行きたいところなんて……それに、僕は何処にも行けやしない……」

 

 

何処か諦めを含んだような口調で俯くワタル。だが、優矢は笑みを浮かべたまま首を横に振ってみせた。

 

 

優矢「そんな事ないさ。お前が本当に其処へ行きたいと望めば必ず行けるし、頼ってくれたら俺が連れていく。何処にでも、何処までも」

 

 

ワタル「…………」

 

 

その時は俺にひと声掛けてくれよな?と、胸を張って笑顔を向ける優矢にワタルも何処か期待の眼差しを向けるが、すぐにそれを振り払うように顔を伏せてしまう。

 

 

そんなワタルの様子を見て優矢も小首を傾げるが、直後に何かを思い出したように懐を漁り出す。

 

 

優矢「そうだ……まだこんな時間だし、どうせ何も食べずに城を出てきたんだろ?ほら、これやるよ」

 

 

そう言いながら優矢はワタルに歩み寄り手を取ると、その手にポケットから取り出したキャンディを握らせていき、ワタルは渡されたキャンディを見て一瞬戸惑うも、優矢はそのままバイクに戻ってヘルメットを被りながらマシンに跨っていく。

 

 

優矢「あんま一人で悩むなよ!俺やヴィータさんもいるんだし、辛い事があったら何時でも相談してくれ!」

 

 

じゃあな!と軽く挨拶すると共にヘルメットのバイザーを下ろし、トライチェイサーを発進させて何処かへと走り去っていく優矢。その後ろ姿をジッと見送りながら、ワタルは優矢から貰ったキャンディを大事そうに手の中で握り締めていたのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

それから更に数時間後。朝食を終えて写真館を後にした零となのははこの世界での自分達の役目について手掛かりを探しに、再び街に出て住宅街にやって来ていた。

 

 

なのは「──うーん……此処にもそれらしい手掛かりはなさそうだね……」

 

 

零「そうだなぁ」

 

 

―カシャッ!―

 

 

なのは「前の世界じゃ格好の見た目とかですぐに分かったけど、ヴァイオリニストなんて何をすればいいのか検討つかないよね……」

 

 

零「だなぁ」

 

 

―カシャッ!―

 

 

なのは「これだけ探してもヒントも見付からないし、次は何処を探そうかな……ねぇ、どうしようか?」

 

 

零「なー」

 

 

―カシャッ!―

 

 

なのは「‥‥‥零君。私の話、ちゃんと聞いてる?」

 

 

零「ふうむ……お、此処からだとあの城が良い感じに写るな。一枚っと」

 

 

―カシャッ!―

 

 

なのは「……って、やっぱり聞いてなかったんでしょうッ?!」

 

 

こっちは真剣にこの世界での役割に繋がる手掛かりを探しているというのに、人の気も知らず適当に返事をしながらカメラで周りの風景を撮っている零になのはが怒鳴る。

 

 

だが、零はそんななのはのお叱りを受けても特に気にせず写真を撮り続けていく。

 

 

零「そう騒ぐな。こうして写真を撮っていれば、何か手掛かりになるものが写ってる事だってあるかもだろう?そういう訳で俺はこっちで忙しいから、そっちの方はお前で探しといてくれ」

 

 

なのは「零君のブレブレ写真じゃ手掛かり写ってても全然分かんないでしょっ?!大体これは零君の役目なんだよっ?!なんで私が……!」

 

 

零「忘れたのか?お前も俺と同じ役目があるんだ、だったらお前が探しても俺が探しても結局は同じだろ」

 

 

なのは「もぉー!!何でそう言う屁理屈しか言えないのかなぁっ?!昔からそうやって都合の良い事ばっかり言ってっ!!」

 

 

零「それが俺だぞ?」

 

 

なのは「むっかぁあああああああっーーーー!!」

 

 

フッ、と軽く鼻を鳴らしておちょくるように笑う今の一言で完全に怒ったなのはが声を荒らげ、募りに募った今までの不満を含めて零の文句をガーッ!と言いまくる。だが零はそれも何処吹く風と聞き流し、再び写真を撮ろうとカメラのファインダーを覗いた。その時……

 

 

―……ギィー、ギィーギィー……ギギィーッ……―

 

 

零「……ん?」

 

 

なのは「え?」

 

 

何処からともなく奇妙な音が響き渡り、零は写真を撮るのを止め、なのはも零への文句を止めて辺りを見渡していく。

 

 

なのは「ねぇ、これって確かワタル君が弾いてたバイオリンと同じ音だよね……?」

 

 

そう、なのはの言う通り、その奇妙な音は昨日ワタルが弾いていたバイオリンの音と良く似ているが、零はその音を聞きながら何処か不可解そうに目を細めた。

 

 

零「確かに似てるはいるが、ワタルが弾いてたのとは少し違う……なのは、あの家に行ってみるぞ」

 

 

なのは「え?あ、うん……」

 

 

零もその音の正体が気になったのか、なのはにそう呼び掛けながら彼女と共に奇妙なバイオリンの音が聞こえてくる方向、ワタルと初めて会ったあの廃墟のような家へと向かっていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

ワタルと出会った廃墟。中は昨日と変わらず荒れていたが、其処には荒らんだ服を来た中年男性が窓際に立ってバイオリンを奏でていた。しかし男は懐かしそうな、だが何処か寂しそうな顔でバイオリンを弾き続けている。其処へ……

 

 

―♪~♪~♪~♪―

 

 

「……?」

 

 

その音に合わせるように不意に家の下から美しいメロディーが聞こえ、男は一瞬驚いて思わず演奏を止めたが、次第にそのメロディーに惹かれ心を委ねていく。

 

 

そしてその演奏を奏でていた零もなのはと共に階段を登って二階へと上がり、暫くバイオリンを奏でた後に演奏を止めて男と向き合った。

 

 

「……君達は?」

 

 

零「気にしないでくれ、単に通り掛かっただけだ……あんたは?」

 

 

「……以前この家に住んでいた者だ。愛する妻と、そしてその妻との間に産まれた子供と共に幸せな暮らしを送っていた……だが、そんな幸せも長くは続かなかった……」

 

 

そう言いながら手に握るバイオリンに視線を戻す男だが、その顔は何処か物悲しげに見える。

 

 

「夢見ていた……人間とファンガイアは共に生きていけると……だが、無理があったのかもしれないな。人間と共に生きるなどと……」

 

 

なのは「……もしかして、貴方はファンガイアなんですか?」

 

 

「……どうだろうね?では、私はもう行くよ。良い演奏をありがとう」

 

 

男は二人に礼を言うと、手に持っていたバイオリンを机の上に置いて家を出ていった。

 

 

なのは「零君……もしかしてあの人……」

 

 

零「……どうだろうな。仮にそうだったとしても、俺達が関わっていい事じゃなさそうだ……行こう」

 

 

なのは「……うん」

 

 

何かを察したなのはの言葉にそう答え、階段を降りていく零の姿を見てなのはも後を追おうと踏み出すが、その時……

 

 

―カチャッ……!―

 

 

なのは「へ?」

 

 

なのはが足を踏み出した瞬間、不意に何かを踏んだような感触と共に金属音が鳴った。それに気付いてなのはは自分の足を退かし足元を見てみると、其処には……

 

 

なのは「……腕時計?」

 

 

そう、其処にはボロボロに汚れている銀色の腕時計が床に落ちていたのだ。

 

 

なのははしゃがんでそれを手に取り、汚れを手で払ってまじまじと眺める。

 

 

時計自体は汚れてはいるが、壊れている様子はなく画面もちゃんと時間が表示されていてまだまだ使える様に見える。

 

 

もしや以前此処に住んでたというあの人達が使っていた物だろうか?そう考えながらなのはが首を傾げていると…

 

 

零「──おーい、どうしたなのは?何かあったのか?」

 

 

なのは「ッ!あ、ううん、何でもない!今いくから!」

 

 

もしかしたらコレもあの人にとって思い出の品かもしれないと思うと捨ててしまうのも躊躇してしまい、またあの人に会う事があれば綺麗にして返そうと考え、なのはは一度写真館に持ち帰ろうとその腕時計をポケットに仕舞い、零の下へ急ぎ階段を降りていった。

 

 

 

 

──その時、ポケットの中で腕時計の画面が僅かに輝き、ディケイドの紋章が浮き出ているとも気付かず……。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑥

 

それから数時間が経ち、時刻は夜になった。あれから街中を捜索してこの世界で果たすべき役目のヒントを探し続けたものの、やはり何処を見ても人間とファンガイアが手を取り合って暮らす光景しか見られず、昨日のように掟を破ったファンガイアと遭遇する事もなかった。

 

 

結局この日も収穫となる手掛かりを得られず、歩き疲れた零となのはは写真館に戻る前に休憩しようと近くの公園のベンチに腰掛けていた。

 

 

なのは「はぁ……色んな所探し歩いたけど、結局何にも見つからなかったね……」

 

 

零「ああ……全く、こんな平和な世界で一体何をやれっていうんだ……」

 

 

此処まで何も異変がないと、いよいよ自分達がこの世界に訪れた意味はないのでは?と思い始めてきた。

 

 

……いや、元の世界から飛ばされてきたヴィータもいた事だし全くの無意味とは言えないが、この世界に来てからの自分達の行動を振り返ると誤解からファンガイア、ワタルと戦ったりと、寧ろ自分達が現れた事で平和なこの世界を荒らしてるようにしか思えない。

 

 

これじゃ本当に……と、優矢やワタルに言われた『悪魔』の呼称を思い出し掛けるも、それを振り払うように軽く頭を振り、零はベンチから腰を上げて写真館に戻ろうとなのはに声を掛けようとした。その時……

 

 

 

 

『フフフ……見つけたわよ、ディケイド♪』

 

 

「「……?!」」

 

 

 

 

不意に何処からともなく妖しげな声が聞こえ、零となのはは驚き共に警戒して辺りを見渡す。すると、二人の目の前に奇妙な白いコウモリがクスクスと妖しげに笑いながら現れた。

 

 

なのは「?えと、これって……コウモリ、かな?」

 

 

零「……もしかしてこいつか?優矢が言っていた変なコウモリってのは」

 

 

『失礼ね!私はキバット族のキバーラっていうのよ!……そんな事よりディケイド、お前、自分がこの世界に何をしに来たか……知りたくない?』

 

 

零「!お前、何か知ってのか?!」

 

 

何か訳知りな口調でそう語る奇妙な白いコウモリ……キバーラの言葉に零が思わずそう聞き返すと、キバーラは二人の周囲を飛び回りながら薄く微笑み、

 

 

キバーラ『えぇ、勿論知ってるわよ。……お前は、この世界を破壊しに来た』

 

 

零「……何?」

 

 

―ブォオオオオオオオンッッ……!!―

 

 

冷たい声音でキバーラが不穏にそう答えたと同時に、周囲の景色が突然銀色のオーロラに包まれて歪み始めていき、オーロラが晴れると、いつの間にか二人は何処かのスタジアムの観客席に佇んでいた。

 

 

なのは「え?こ、此処ってっ?」

 

 

零「景色が変わった……?まさか、また別の世界に……?」

 

 

見知らぬ場所にいきなり飛ばされて戸惑うなのはとは対照に、零は胸でざわつく嫌な予感から警戒して辺りを見渡していく。其処へ……

 

 

―カタンッ……カタンッ……カタンッ……―

 

 

「「!」」

 

 

周囲を見回す二人の耳に不気味な足音が届き、すぐさま音がした方へと振り返る。すると其処には、黄色のラインが入った黒鉄の鎧を纏う紫の瞳の仮面ライダーがスタジアムの階段を徐に下りてくる姿があった。

 

 

零「お前は……?」

 

 

『──貰うぞ。お前のベルトを……』

 

 

怪訝な表情を向ける零の問いにも答えず、紫眼のライダー……『仮面ライダーカイザ』は右手にあらかじめ持っていたギリシャ文字のχを形状とした銃剣、カイザブレイガンの銃口を二人に突き付ける。

 

 

零「ッ?!伏せろなのはッ!」

 

 

なのは「え?キャアッ?!」

 

 

―バシュッバシュッバシュッ!!―

 

 

それを見て零が咄嗟になのはを抱き抱えながらその場から飛び退いた瞬間、カイザはいきなり発砲して二人が立っていた場所に風穴を開けたのである。続け様に放たれる銃弾の雨をどうにか掻い潜り、零はなのはと共に客席の陰に身を潜めながら懐からディケイドライバーを取り出す。

 

 

零「クソッ……!あの時の訳の分からんライダー達の仲間か?!なのはっ、隠れてろっ!」

 

 

なのは「う、うんっ!」

 

 

恐らくクウガの世界で突然襲ってきたホッパー達と同じライダーの襲撃か、当たって欲しくはなかった嫌な予感の的中に思わず舌打ちしながらもなのはを避難させ、バックルを腰に装着した零はライドブッカーから取り出したカードを構えながらカイザの前に躍り出た。

 

 

零「変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

カイザ『チッ!』

 

 

―バシュンッバシュンッ!!―

 

 

カードを装填したドライバーのサイドハンドルをスライドさせ、電子音声と共に灰色のスーツを身に纏う零に向けてカイザが変身を妨害しようと容赦なく銃撃する。

 

 

だが、零のバックルから飛び出したカード状のプレートが銃弾を跳ね除けて零を守り、そのまま仮面に収まると共にディケイドに変身した零は左腰のライドブッカーを瞬時にガンモードに切り替え、カイザに向けて銃撃し反撃を開始していった。

 

 

―バシュッ!バシュッバシュッバシュッバシュッ!!―

 

 

カイザ『ハッ!ハァッ!』

 

 

ディケイド『グゥッ!ハッ!』

 

 

スタジアムを駆け回りながら互いに目掛けて銃を乱射し、激しい銃撃戦を繰り広げてゆくディケイドとカイザ。其処へ……

 

 

―バッ!!―

 

 

カイザ『デェアアッ!!』

 

 

ディケイド『ッ!ハァッ!』

 

 

―バシュンバシュンッ!!―

 

 

ディケイド『グゥッ?!』

 

 

カイザ『づあッ?!』

 

 

カイザがいきなりディケイドに向かって飛び掛かりながら銃を撃ち出していき、ディケイドも即座にカイザを狙い撃って撃ち落とし互いに倒れてしまうも、直ぐさま身体を起こし互いに向けて銃口を突き付けた。

 

 

ディケイド『ッ!何故俺と戦うッ?!』

 

 

カイザ『……邪魔なんだよ……俺の思い通りにならないモノは全てッ!』

 

 

―バシュンッ!―

 

 

そう言いながら銃の引き金を引いてディケイドの顔を至近距離から撃つカイザ。しかしディケイドも咄嗟に首を横に動かし紙一重で銃弾を避けながらカイザに掴み掛かり投げ飛ばすが、カイザは受け身を取りながらバックルのメモリーカードを抜き取って銃剣に装填し、刃を展開してディケイドに斬り掛かっていったのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

優矢「──な、何だよコレっ……?!」

 

 

一方その頃、親衛隊として街をパトロールしていた優矢とヴィータは衝撃的な光景を目の当たりにしていた。二人の目の前にはライフエナジーを吸われてしまった無数の人間や粉々に砕かれたファンガイアの残骸が辺り一面に散乱していたのだ。

 

 

ヴィータは近くに倒れる人間に急いで駆け寄り息がないか確かめるも、徐に手を離して悔しげに唇を噛み締めた。

 

 

ヴィータ「駄目だ、やっぱり限界までライフエナジーを吸われてやがるっ……多分他の被害者も、もう……」

 

 

優矢「そんな……一体誰が……っ……?」

 

 

生存者は期待出来ないだろうと断言するヴィータの言葉に悲痛な顔を浮かべる優矢だが、その時ふと、目の前の凄惨な光景を見渡してある違和感に気付く。

 

 

ライフエナジーを吸われてしまった人間の骸とファンガイアの残骸はキャッスルドランに向かって道中まっすぐ続いており、それに気付いた優矢はハッと息を拒みヴィータの方に振り向いた。

 

 

優矢「ヴィータさん!ワタルが危ない!キャッスルドランに戻ろう!」

 

 

ヴィータ「は?あ、ああ!」

 

 

嫌な予感を感じて叫ぶ優矢に押されながらも、ヴィータは同行していた同じファンガイアの親衛隊に現場を任せると、念のため写真館のスバル達にも連絡しようと携帯から電話を掛けながら、二人はワタルの安否を確かめる為に急いでキャッスルドランに戻っていった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「キャアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?」

 

 

ワタル「……?!」

 

 

同時刻、キャッスルドランの玉座の間でワタルが窓から月を見上げていた最中、城内に突然悲鳴が響き渡り、驚愕を浮かべて思わず振り返った。

 

 

直後、入り口の扉が荒々しく開かれ、扉の奥から重厚な身体を持つカブト虫型のファンガイア……ビートルファンガイアが現れた。

 

 

『漸く見付けたぞ……王の印、キバの鎧……この俺が貰い受けるッ!』

 

 

ワタル「なっ……キバットッ!」

 

 

キバット『よっしゃあ!キバって行くぜ!』

 

 

敵意を剥き出しに迫るビートルファンガイアの襲撃に一瞬戸惑うも、すぐに真剣な表情に切り替わりキバットを呼ぶワタル。そしてワタルに応えその手に収まるキバットを手に近付けさせ、

 

 

キバット『ガブッ!』

 

 

ワタル「変身ッ!」

 

 

キバットを噛み付かせると共に顔にステンドグラスの模様を浮かび上がらせ、ワタルは腰に出現したベルトの止まり木にキバットをセットしキバへと変身していく。

 

 

だがビートルファンガイアはキバに変身したワタルを見ても臆する所か鼻で笑って悠然と迫り、キバはその佇まいから発せられる謎の威圧感に押されながらもそれを振り払うように身構え、ビートルファンガイアに突っ込み戦闘を開始していくのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑦

 

銀色のオーロラと共に現れた謎のライダー、カイザの襲撃に遭い、窮地に追いやられるディケイド。逆手持ちで巧みに振るうカイザブレイガンの斬撃を前に次第に防戦一方に追い込まれ、ライドブッカーを弾かれた隙を突かれて何度も鋭い斬撃を浴びせられていき、階段を勢いよく転げ落ちて地面に倒れ込んでしまう。

 

 

ディケイド『ぐうぅッ!』

 

 

なのは「零君っ?!」

 

 

倒れ伏すディケイドの姿を目にし、二人の戦いを離れて見ていたなのはが思わず駆け寄ろうとするが……

 

 

ディケイド『……ッ!来るななのはッ!』

 

 

なのは「え……?!」

 

 

カイザ『ツァアアアアッ!!』

 

 

其処へカイザがカイザブレイガンを振りかざしながら階段から飛び降り、追い討ちを掛けるようにディケイドへと容赦なく斬り掛かった。それを見たディケイドも咄嗟にライドブッカーを盾に斬撃を受け止めながらカイザの腹を蹴り飛ばして距離を開かせ、そのまま身を起こしてなのはから離れるように戦闘を再開していく。

 

 

なのは「ッ……このままじゃっ……レイジングハート……!お願い応えてっ!このままだと零君がっ!」

 

 

一時は持ち直したかのように思えたが、戦況は目に見えてディケイドが再び不利になりつつある。このままでは彼の身が危険だと悟ったなのはは縋る思いで首に掛けた待機状態のレイジングハートに必死に呼び掛けるも、やはりその声は届かず、機能が停止したレイジングハートからは何も返ってはこなかった。

 

 

なのは「お願い……お願いだからっ……!零君を助けたいのっ!だからっ!」

 

 

その場に崩れ落ちる様に膝を着き、必死に願うようにして叫ぶなのは。その時……

 

 

―ガギィイイイイイイイイイイイイイイインッ!!―

 

 

ディケイド『ガハァアッ!!』

 

 

なのは「ッ?!」

 

 

けたたましい斬撃音と悲痛な声がスタジアムに鳴り渡る。その声を聞いてなのはが弾かれたように顔を上げると、其処にはディケイドがフェンスに叩き付けられ、カイザの胸ぐらを掴まれ追い詰められる姿があった。

 

 

カイザ『がっかりだな……君の力はこの程度、という事でいいのかなぁ?』

 

 

ディケイド『ッ……!』

 

 

なのは「れ、零君っ!!」

 

 

最早黙って見ている事は出来ない。ディケイドの危機を前にいても立ってもいられず、なのははディケイドを助けるべくその場から走り出してしまうのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

一方その頃、キャッスルドランの城内では玉座を襲撃したビートルファンガイアの圧倒的な力の前にキバが手も足も出せず追い詰められていき、繰り出す技の一つ一つが通用せず首を掴まれて身体を持ち上げられてしまっていた。

 

 

『こんなものか……?弱い王にその鎧は相応しくない、キバの鎧を渡せ!』

 

 

キバ『ッ……ァッ……!ダメだっ……これは、王の資格だっ……!』

 

 

『いいや、お前はまだ王に即位していない!だから俺が王となる!』

 

 

そう言いながらビートルファンガイアは凄まじい力でキバを床に思いきり叩き付け、更に痛みに悶えるキバの胸を足で踏み付け踏みにじっていく。其処へ騒ぎに気付いて駆け付けたガルル達がその光景を目の当たりにし、動揺を露わにした。

 

 

『王子?!王子に手を出すとは、この狼藉者めっ!』

 

 

『待て!あの方は……』

 

 

キバを襲うビートルファンガイアに側近のファンガイアが飛び出そうとするも、ビートルファンガイアの姿を見たガルルが何故か片手でそれを制して止めに入る。そしてビートルファンガイアは踏み付けていたキバをガルル達の下へ蹴り飛ばしてしまい、何とか身を起こしたキバはガルルに目配りする。

 

 

キバ『ガルル……!お前の力を貸せ!』

 

 

このままでは奴に太刀打ち出来ない。戦い方を変える為に素早い身のこなしのガルルフォームになる為、ガルルに力を貸すように命じるキバだが、しかし……

 

 

『…………』

 

 

キバ『……?ガルル……?』

 

 

ガルルは何故かキバの命令に応えず、他のアームズモンスター達と共に顔を背けて口を閉ざしてしまう。臣下達のその様子にキバも困惑を浮かべ戸惑ってしまう中、一瞬で背後に接近したビートルファンガイアがキバを殴り飛ばし、そのまま足でキバを押さえ付けながら自らの手をキバットの前に翳していく。

 

 

『キバットバット三世よ……!我に従え!』

 

 

キバット『ッ?!ウ、ウオォォォォォォォォッ!!』

 

 

ビートルファンガイアの手から放出されるエネルギー波がキバットを捉えて包み込み、キバットの意識を封じ込んでしまう。そしてそのままキバットベルトから独りでに離れたキバットはビートルファンガイアの手に収まってしまい、キバットを奪われたキバも変身が解かれワタルに戻ってしまった。

 

 

ワタル「?!な、何でっ……?!」

 

 

変身が解け、王の資格であるキバの鎧を奪われたワタルは茫然自失となりその場から動けなくなってしまう。そしてビートルファンガイアはそんなワタルに目もくれず玉座に腰を下ろし、ガルル達もビートルファンガイアの前に並んで忠義の構えを取っていく。

 

 

『キバの鎧は受け継がれた』

 

 

『この方が、新たな王だ』

 

 

ワタルを見捨て、新たな王へと忠誠を誓うガルル達。だがその新たな王、ビートルファンガイアから発された言葉はこの場にいる者全ての意表を突くものだった。

 

 

『俺は掟など廃する……人間との共存など無意味。ファンガイアは人間を貪り尽くす。逆らう者は、滅ぼす!』

 

 

『ッ……?!』

 

 

ワタル「そ、そんな……」

 

 

今までの掟を廃し、人間を餌として貪る。それは嘗てこの世界で起こったとされる人間とファンガイアの争いを今一度起こすに等しい命令であり、ワタルだけでなく彼に忠誠を誓ったガルル達すらも驚愕を露わにしてしまうが……

 

 

「──そんなこと許すかよ!」

 

 

玉座の間の扉が勢いよく開かれ、其処から優矢、スバル、ティアナが現れ、優矢はワタルの前に飛び出してビートルファンガイアを睨み、スバルとティアナは傷付いたワタルに駆け寄って抱き寄せていく。

 

 

『貴様……!新たなファンガイアの王の御前だ!控えよ!』

 

 

優矢「違う!王は……ワタルだ!変身ッ!」

 

 

腹部に両手を翳し、アークルを出現させた優矢は即座にクウガに変身しながらビートルファンガイアへと飛び掛かる。しかし、それを阻むようにドッガが咄嗟にビートルファンガイアの前に出てクウガの拳を代わりに受け止めて防ぎ、ガルルとバッシャー、スワローテイルファンガイアが三方からクウガを攻め立ててビートルファンガイアから引き剥がしてしまう。

 

 

ティアナ「優矢さんっ!」

 

 

クウガ『グッ!俺の事は良いっ!二人は今の内にワタルをっ!』

 

 

スバル「っ……わ、分かりました……!王子!さぁ、早く逃げましょう!」

 

 

ワタル「あ……」

 

 

四体のファンガイアの攻撃を必死に捌くクウガに後ろ髪を引かれながらも、今の自分達に出来る事をする為に未だ呆然としているワタルをスバルが背中に抱え、玉座の間から脱出しようとした二人の前に扉の方からヴィータが現れた。

 

 

ヴィータ「スバル、ティアナ!退路は確保したぞ!急げ!」

 

 

「「はい!」」

 

 

城に潜入する際に三人とは別行動を取り、逃走経路を確保していたヴィータの後を追い掛け、二人はワタルを連れてキャッスルドランから脱出していくのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

一方、スタジアムでは…

 

 

カイザ『さぁ、君のベルトを貰おうか……』

 

 

なのは「零君ッ!!」

 

 

カイザはディケイドライバーを奪おうとディケイドの腰のバックルに徐に手を伸ばし、なのはもディケイドのピンチを前にデバイスも無しに助けに向かおうと走り出すが……

 

 

ディケイド『ッ……どうかな……?こっちはまだ手の内を明かし切っていない……!』

 

 

不敵な笑みと共にディケイドが一枚のカードをライドブッカーから取り出し、バックルに装填してスライドさせる。

 

 

『ATTACKRIDE:ILLUSION!』

 

 

ドライバーから鳴り響く電子音声と共に、カイザに首を掴まれるディケイドの身体が突如一人から三人に、更に三人から六人、九人と増え続けてカイザを包囲していったのである。

 

 

カイザ『何ッ?!』

 

 

なのは「ぶ、分身した?!」

 

 

分身したディケイド達に囲まれたカイザは驚き、なのはもまた同じように驚きを隠せず足を止めてしまう中、九人に分身したディケイド達はすぐさま数の多さを利用した立ち回りでカイザを翻弄しながら仕掛け、左右前後からの攻撃をカイザに絶え間なく浴びせていく。

 

 

カイザ『ぐううぅっ?!コ、コイツ等……?!』

 

 

なのは「あれって……フェイクシルエットみたいな幻影じゃない……全部実体がある?!」

 

 

そう、ディケイドが使用した新たなカード、イリュージョンは一体一体が確かな実体を持ち、それぞれ意思を持って動く分身を生み出せるトリッキーなカードなのである。

 

 

加えて一人一人の能力や技能も元のディケイドと同様であり、九人のディケイドは連携を組んでカイザの技を容易く弾きながら徐々に追い詰めていき、トドメに三人同時蹴りを打ち込みカイザをスタジアムの壁に叩き付けていった。

 

 

カイザ『がァああッ!ぐッ……キサマァッ……!』

 

 

『Redy!』

 

 

ディケイドを忌々しげに睨みながらどうにか身を起こし、カイザは自身のベルトに付属されているデジタル双眼鏡型のデバイスを手に取り、バックル表面に取り付けられてるメモリカードを装填して右足に装備していく。

 

 

カイザのその動作で何かを察したディケイドも即座に一人に戻りながらライドブッカーからカードを一枚取り出し、ディケイドライバーに装填しスライドさせていった。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE·DE·DE·DECADE!』

 

 

『EXCEED CHARGE!』

 

 

カイザ『ハァアアッ!』

 

 

ディケイドライバーから響く電子音声に合わせ、カイザもバックルに装填されてる携帯を開いてエンタキーを押し、バックル部分から右足に向けて黄色のラインに光を走らせながら一息で空高く跳躍する。

 

 

そしてディケイドも空へ跳び上がるカイザに目掛けて無数のカードの残像……ディメンションフィールドを展開していくと、カイザが突き出した右足のデバイスから放たれた黄色の閃光が円錐状のポインターとなって最後のカードの残像を捉え、カイザは上空で飛び蹴りの態勢を、ディケイドはカイザに目掛けてディメンションフィールドへと右足を突き出して飛び込み……

 

 

 

 

 

ディケイド『ハァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!ハァアアァッッッッ!!!!』

 

 

カイザ『デェエエエヤァアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!』

 

 

―チュドオォオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオオォォンッッッッ!!!!!!―

 

 

なのは「うっ、くっ……!!キャアアアアッ?!」

 

 

 

 

 

観客席の上空でディケイドとカイザの必殺技同士が激突した瞬間、凄まじい爆発と閃光が発生し、辺り一帯に衝撃波が広がっていったのである。そのあまりの威力に両腕で顔を庇い、衝撃波を耐えようとしたなのはも堪らず転倒してしまう中、爆風が止んだ黒煙の中からディケイドとカイザが勢いよく飛び出し、お互いに壁やフェンスに叩き付けられて苦悶の声を上げた。

 

 

ディケイド『グアゥッ!』

 

 

カイザ『グッ!……ッ……今日は、こんな所かなっ……』

 

 

ディケイドの技のダメージが見た目以上に響いているのか、ふらつきながら起き上がったカイザは襟を掴んで首を軽く鳴らすと、背後から再び出現した銀色のオーロラに呑まれてそのまま何処かへと姿を消していった。

 

 

そしてカイザの逃走を確認したディケイドも身を起こして変身を解除し零の姿に戻るも、それと同時に右腕を抑えながら片膝を着いてしまい、それを見たなのはも血相を変えて零の傍に駆け寄った。

 

 

なのは「零君!しっかりして……!大丈夫?!」

 

 

零「ッ……あぁ、大丈夫だ……それより今の奴は……」

 

 

なのは「あ、うん……前の二人組のライダーみたいに消えたちゃったみたいだね……」

 

 

零「……そうか」

 

 

零はなのはに支えられて何とか立ち上がり、銀色のオーロラと共にカイザが消えた場所を訝しげに見つめる。結局あの仮面ライダーは何故自分達をいきなり襲ってきたのか?募る疑問を胸に二人が考える中、辺りの景色が再び歪み始め、二人はまた公園の中へと戻っていた。其処へ……

 

 

キバーラ「フフフッ……アハハハッ♪」

 

 

スタジアムからいつの間にか姿を消していたキバーラが二人の前に現れ、妖しく笑いながら何処かへと飛んで夜の闇の中へと消えていってしまった。

 

 

零「おい……!待て!」

 

 

―ディケイド!仮面ライダー達と戦う悪魔よ!―

 

 

「「……?!」」

 

 

キバーラを呼び止めて後を追おうとしたその時、突如何処からか聞き慣れない男の声が響き渡った。思わず周りを見渡す二人だが、夜の闇に紛れているのか声の主と思われる人影は何処にも見当たらず、その間にも男の声は明らかな敵意を宿して零に呼び掛けていく。

 

 

―このキバの世界も、調和は取れていた。だが貴様が現れた事で調和が乱れ、破壊を望むキバが誕生してしまった!―

 

 

なのは「破壊を望む……キバ?」

 

 

零「どういう意味だ……?!答えろッ!」

 

 

意味深な発言をする声の主に向かって問い返すが、男の声は何も答えず、そのまま返事が返ってくる事はなかった。

 

 

零「……クソッ、逃げたみたいだな……」

 

 

なのは「みたいだね……でも、あの人の言っていた破壊のキバって……ワタル君に何かあったって事なのかな……?」

 

 

零「……かもな……ともかく、一旦写真館に戻るぞ……分からない事も増えたし、これからの事について話し合わないといけないしな……」

 

 

なのは「……うん」

 

 

新たに増えた謎や疑問に不穏の影を感じるも、此処で立ち往生していても何も変わらない。一先ず写真館に戻って傷を治療し、他の皆と合流して此処であった事を話し合おうと決めた零が歩き始めたのを見て、なのはも後を追うように歩き出す。だが……

 

 

零(……あの声、一体何者だったんだ……それに、俺の存在が世界を破壊する?まさか、俺の失った過去と何か関係があるのか……?)

 

 

カイザとの戦闘で傷付いた腕を見つめながら先程の声の主の言葉を思い出し、零の心中は疑問ばかりが溢れていた。そしてその後ろを歩くなのはの表情も暗く、何処か思い詰めているように見える。その理由は先程の、ディケイドとカイザの戦いにあった。

 

 

なのは(私……全然だめだ……レイジングハートがいないと、何も出来ない……)

 

 

傷ついていく零をただ黙って見ているしか出来なかった。それが堪らなく悔しかったし、自分の無力さを痛感した。魔法が使えなければ、自分はこんなにも弱いのだと……零の背中を見つめながら改めてそう思い、なのはは無意識に胸に当てた拳に力を込めてしまう。

 

 

なのは(私も一緒に戦って、零君を助けたい……だけど、無理なのかな……魔法が使えなくて、レイジングハートもいない今の私に……何が出来るんだろう……)

 

 

大事な相棒と一緒に戦えず、戦う力を失った今の自分に何ができるのか?自分は結局、このまま黙って零が一人戦って傷ついていくのを見ている事しか出来ないのか?なのはは暗い表情を浮かべながらも今の自分が零に一体何をしてやれるのか必死に考えながら、彼と共に光写真館への帰路に付いていくのであった。

 

 

 

 

 

──その時、自分のポケットが淡い光を放っていた事に気かぬまま……。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑧

 

 

それから数時間後、港区。

 

 

ティアナ「…ここまで来れば大丈夫ですかね…」

 

 

ヴィータ「あぁ、一先ずは此処で身を隠すぞ。優矢にも此処の場所は教えてあるから、合流したら一度写真館に戻る。いいな?」

 

 

『はい!』

 

 

ワタル「………」

 

 

キャッスルドランからどうにか無事に脱出し、港区の倉庫で身を隠していたヴィータはスバルとティアナにこれからの方針を話し合う中、ワタルは一人、座ったまま顔を俯いて何も喋らない。そんなワタルの様子を見たスバルがワタルに近づく。

 

 

スバル「大丈夫ですよ王子!私達が必ず王子を守りますし、それに零さん達の所に行けば絶対なんとかなりますから!」

 

 

ワタル「………」

 

 

ガッツポーズをとりながらワタルを元気づけようとするスバルだがワタルは俯いたままスバルから目を反らしてしまい、スバルはそんなワタルを見て苦笑いを浮かべて頬を掻く。

 

 

その時、外からバイクのエンジン音が聞こえ、ヴィータ達はそれを優矢だと思って倉庫の外へと出るが、

 

 

スバル「ゆ、優矢さんっ?!」

 

 

倉庫の外に出た瞬間、三人は驚愕した。そこにはバイクの近くに体中から血を流して倒れている優矢の姿があったのだ。三人は慌てて優矢に駆け寄ると必死に優矢の身体を揺さぶる。

 

 

ティアナ「大丈夫ですか?!しっかりして下さい!」

 

 

優矢「お、俺は…大丈夫だから…それより、ワタルは…?」

 

 

ヴィータ「あいつなら無事だ!今この中に…」

 

 

ワタル「……優矢」

 

 

そこへ、ヴィータ達の騒ぎ声が気になったワタルが外に出て来た。優矢はワタルの顔を見ると一安心し傷付いた身体を無理矢理動かしながら起き上がるとワタルに歩み寄る。

 

 

優矢「ワタル、零達の所へ行こう。あいつに事情を話せばきっと力を貸してくれる。その後に城に戻ってキバットを取り戻そう」

 

 

ワタルの手を掴んで写真館に向かおうとしたがワタルは優矢の手を乱暴に払って背を向けてしまった。

 

 

優矢「ワタル……」

 

 

ワタル「僕は…もう城には戻らない。僕はもう、王子じゃないんだ…」

 

 

キバットを奪われ、王の資格を無くし、側近達にも見捨てられた。全てを無くしたワタルは自分を見失ってしまい、ただ優矢達から目を背けて黙ってしまう。

 

 

ヴィータ「ワタルっ、お前それでいいのかよ!あのファンガイアは掟を廃して人間もファンガイアも見境なく襲おうとしてんだぞ!そうなったらこの世界がどうなるか、それぐらいお前だって分かってんだろ!」

 

 

ワタル「…ッ…五月蝿い!僕は帰りたくないと言ってるんだ!」

 

 

ヴィータの説得も聞かずにワタルは優矢のバイクに近づく。

 

 

 

ワタル「僕の行きたい所に連れてってくれるんだろ!?城以外なら何処でもいい!連れてってくれ!!」

 

 

優矢「……」

 

 

優矢は傷ついた身体を引きずってワタルに近寄る。

 

 

優矢「あぁ、連れてってやるさ。お前が本当に行きたい所になら……それは何処だ?」

 

 

ワタル「………わからない」

 

 

自分が何処に行きたいのかわからず、ワタルは優矢から目を反らした。

 

 

優矢「わかっている、はずだろ…?」

 

 

ワタルの肩を掴み、優しく言い聞かせる。

 

 

ワタル「……なんで、そこまで僕にこだわるんだ…。僕はもう、王子じゃないのに…」

 

 

自分はもう王にはなれない。それなのに何故ここまでして自分を助けるのか、ワタルは自分の疑問を優矢に投げ掛ける。

 

 

優矢「……俺はお前が王子だから今まで助けてきたんじゃない。お前が一人じゃ戦えないって知ってるからなんだ。だから俺は、お前の友達になって、お前を助けたいって、そう思ったんだ…」

 

 

ワタル「……友達」

 

 

ワタルがそう呟くと優矢は頷いてワタルの頭を撫でる。ヴィータ達はその様子を黙って見守る。だが……

 

 

ワタル「ッ!やめてくれッ!」

 

 

突然、ワタルは苦しそうな表情を浮かべ優矢の手を振り払って離れた。

 

 

優矢「わ、ワタル…?」

 

 

ヴィータ「お、おい?どうしたんだよ」

 

 

ワタル「だ、駄目だ…ッ!もう…ッ」

 

 

様子がおかしいワタルを見て心配になった優矢とヴィータ達はワタルに近づこうとした。だがその時、ワタルの顔にファンガイア特有のステンドグラスの様な模様が浮かび上がり、そして…

 

 

―ヒュッ……!ザシュッ!―

 

 

優矢「なっ?!グッ、アアアアアァァッ!!」

 

 

ティアナ「ッ?!優矢さん?!」

 

 

優矢の首元に突然半透明の牙のような物が刺さり、優矢のライフエナジーを吸おうとしていた。

 

 

ヴィータ「ワタルッ!!この馬鹿!!目を覚ませぇッ!!」

 

 

ワタル「……?!」

 

 

勢いよく肩を掴むヴィータの声を聞き、ワタルが正気に戻ると共に優矢の首元に刺さっていた牙も消え去った。それと同時に優矢はその場に倒れてしまう。

 

 

スバル「優矢さんっ…!しっかりして下さい!!優矢さぁん!!」

 

 

ワタル「ゆ、優矢…」

 

 

ライフエナジーを吸われ、ぐったりと倒れている優矢を見たワタルは泣きそうな表情を浮かべて優矢に近づこうとした。だが優矢はそれを手で制して止めると、スバルに支えられて立ち上がる。

 

 

優矢「だ…大丈夫だ、心配するな…ワタルは気にしなくていいから…な?」

 

 

ワタル「……ッ」

 

 

ワタルに心配をかけまいといつもの笑みを浮かべ、優矢はおぼつかない足取りで自分のバイクに近づく。

 

 

優矢「……俺は城に戻ってキバットを取り返してくるから……皆はワタルを連れて零の所へ行ってくれ……」

 

 

マシンチェイサーに跨がりながらそう言うと、ヘルメットを被ってエンジンを掛ける優矢。

 

 

ヴィータ「ま、待て優矢!その身体であいつらとまともに戦えるわけねぇだろ!お前も…!」

 

 

優矢「大丈夫だって……俺の事は気にしなくていいから……ワタルを頼む」

 

 

ヴィータ達にワタルを任せ、優矢はキバット奪還の為にキャッスルドランへと向かって走り去っていく。ヴィータ達は走り去っていく優矢の後ろ姿をただ黙って見ているしかなかった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑨

 

 

―光写真館―

 

 

なのは「──優矢君を、襲った?」

 

 

ワタル「…………」

 

 

ヴィータ「……まぁ、色々あってな……」

 

 

その後、ヴィータ達はワタルを写真館に連れて今までの経緯を零達に話していた。ヴィータ達が写真館に着いた時には既に昼時となっていた為、奥では栄次郎が昼食の準備をしていた。

 

 

栄次郎「零君、王子様も同じ物でいいのかな?」

 

 

零「なんでも食うだろ。王子と言ってもまだ子供なんだし」

 

 

カメラのファインダーを除きながら栄次郎に適当に受け答えする零。だが……

 

 

ワタル「……何も、食べない……食べたくない」

 

 

ワタルは首を横に振ってそれを拒否した。

 

 

なのは「でも、ワタル君。何か食べないと元気出ないよ?」

 

 

スバル「そうですよ!栄次郎さんの作るご飯、すっごく美味しいからきっと王子も気に入ると思いますよ?」

 

 

ワタル「……いいんだ……いらない……」

 

 

スバル「あうっ……」

 

 

なのはとスバルが料理を進めようとするが、ワタルはそれも拒否してしまう。困った様子で二人は顔を見合わせてしまうが、零はカメラのファインダーから目を離し、

 

 

零「それで腹が空いて、優矢のライフエナジーを吸おうとしたって訳か?」

 

 

ワタル「ッ!ち、違う!僕は……」

 

 

零の言葉に首を振って否定しながら、自分の服を掴む手に力を込める。ワタルの表情は次第に暗くなっていき、その顔を隠すように両手で隠した。

 

 

零「……お前は確か、人間とファンガイアの血を引いていたんだったな。お前の中に眠るファンガイアの血が、無意識の内に優矢のライフエナジーの欲していた……違うか?」

 

 

核心を突いた零の言葉に、ワタルは一瞬動揺したが、一度間をおいてゆっくりと頷いた。

 

 

ワタル「そうだ……僕はずっと怖かったんだ……人と親しくなって……その人と友達になりたいって思うと……心の何処かで、その人のライフエナジーが欲しくて堪らなくなるんだ……」

 

 

なのは「……だからあの時、私がワタル君に近寄ろうとしたのを嫌がったんだね?人と接して、親しくなるのが怖かったから」

 

 

ワタルと最初に出会った時の事を思い出しながら、なのはが優しげな口調で言う。ワタルはそれを聞いてゆっくりと頷いた。

 

 

ワタル「だから、僕が王になったら駄目なんだ。こんな僕が……人とファンガイアの間の懸け橋になる事は……不可能なんだ」

 

 

零「だから、ずっと一人で生きていくとでも言うのか?誰とも親しくならず、誰も好きにならずに、優矢の事も」

 

 

ワタル「………」

 

 

ワタルは俯いたまま何も答えない。それを肯定と受け取ったのか、零は深い溜め息を吐く。なのは達もそんなワタルの心境を察して掛ける言葉が見つからず黙ってしまうが、その時…

 

 

―バァンッ!―

 

 

ティアナ「あーーっっ……もう!!男のくせにいつまでもウジウジウジウジと、本っっ当にイライラする!!」

 

 

ワタル「?!」

 

 

スバル「え、ティ、ティア?!」

 

 

そんなワタルの様子を見兼ねたティアナがいきなりテーブルを強く叩いて立ち上がり、ワタルに向かって怒鳴り始めた。

 

 

ティアナ「アンタ、優矢さんの気持ちがわかんないの?!アンタの為に!アンタを助けたくてあんなに傷ついてまで必死に戦ってる!なのにアンタがそんなんでどうすんのよ!」

 

 

ワタル「ッ……でも、僕にはそんな資格……」

 

 

ティアナ「それはアンタが決めることじゃないでしょ!優矢さんは、アンタがいい王様になれるって信じてんのよ!だからあれだけボロボロになっても戦ってる!その気持ちに、誰よりも先ずアンタが応えないでどうすんのよッ!!」

 

 

スバル「ティ、ティア!落ち着いて!どうどうどうどう!」」

 

 

大音量で叫びまくるティアナを落ち着かせる為にスバルが宥める。そんなディアナの剣幕にワタルも呆気に取られる中、零達もそんなティアナの様子を見て苦笑いを浮かべる。

 

 

零「まあでも、ティアナの言う通りだな。あいつはあいつなりにお前の力になりなくて頑張ってるんだ。お前がお前自身をどう思おうが勝手だが……せめて、あいつの想いくらいは受け止めてやれ」

 

 

ワタル「……優矢の……想い、を……」

 

 

突然の事に驚いたものの、ティアナと零の言葉はワタルの心を揺さぶっていた。零は椅子から立ち上がるとワタルに近づく。

 

 

零「心配するな。もしお前がファンガイアになって人を襲う様な事をすれば……その時は俺がお前を倒す。俺は破壊者……悪魔だからな」

 

 

なのは「……零君……」

 

 

もしかすると、あの夜に謎の男から告げられた事と今のワタルを重ねているのだろうか。何処か陰のある零の横顔を見つめながらそう思うなのはを他所に、零はワタルから離れると、床に置いてあった自分のバイオリンケースを持つ。

 

 

なのは「行くの?」

 

 

零「あぁ。俺は今の王とやらの顔を拝んでくる。お前達はその間に優矢を助けに行ってくれ」

 

 

なのは「……うん。わかった。気をつけてね」

 

 

なのはの言葉に片手を上げて答え、零は写真館を出てキャッスルドランへと向かっていった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑩

 

 

一方その頃、キャッスルドラン地下では優矢がガルル達と戦闘を行っていた。しかし、優矢は先程までのダメージが身体に響いてまともに戦う事が出来ず、ただやられていくしか出来ずに敗れてしまっていた。

 

 

『こんな身体で乗り込んで来るなんて、馬鹿なヤツ……』

 

 

優矢「ぅ、ぐっ……ま、まだ……俺はまだ、戦えるっ……!!」

 

 

そう言って立ち上がろうとするも、優矢の身体は既に限界だった。しかし、ここで負けてはワタルに合わせる顔がない。優矢は力を振り絞って再び立ち上がろうとした。その時……

 

 

『──何故殺さない?』

 

 

『……ッ?!』

 

 

突如ガルル達の背後から声が響き、振り返る。其処には薄暗い闇の向こうから姿を現すビートルファンガイアの姿があり、地に倒れ伏す優矢を一瞥する。

 

 

『もはや掟など存在しないのだ。そいつのライフエナジーを吸え』

 

 

『ッ……王よ……!本当に掟を捨てるおつもりですか?!』

 

 

『人間との共存を断ち切れば、再び世界は混沌に満ちてしまいますぞ?!』

 

 

掟を廃しようとするビートルファンガイアに思わず反抗するガルル達。だが……

 

 

『貴様等……俺の命令が聞けぬのかッ!!』

 

 

―ガッ!―

 

 

『な、があッ?!』

 

 

反抗するガルル達に苛立ったビートルファンガイアはドッガの頭を掴み、紫色のエネルギー波をドッガに流し込む。そして……

 

 

『グゥッ?!ガアァァァァァァァァアーーーーッ?!!』

 

 

ドッガは光の粒子となってそのままビートルファンガイアに取り込まれてしまい、ビートルファンガイアの左肩の装甲に紫のステンドグラスの様な模様が浮かび上がる。

 

 

『う、うわぁあああああああッ!!』

 

 

ドッガが取り込まれる光景を目の当たりにし、恐怖を感じたバッシャーが背中を見せてその場から逃げ出そうとする。が……

 

 

『ハアァッ!』

 

 

『ウッ?!ぅ、ウァアアアアアアアアアアアスカーーーーッッ!!!』

 

 

ビートルファンガイアの片手から放たれた緑色のエネルギー波がバッシャーを捕えてしまい、バッシャーはドッガと同様に光の粒子となってビートルファンガイアに取り込まれ、今度はビートルファンガイアの左肩の装甲に緑のステンドグラスの様な模様が浮かび上がる。

 

 

『お、王よ……!何故こんな……!』

 

 

立て続けに仲間を失い、ガルルは後退りながらビートルファンガイアに問う。しかし、ビートルファンガイアは何も答えずに片手を中空にガルルに向けて掲げる。

 

 

『貴様も、俺の中で永遠に生きるがいい……ハァッ!!』

 

 

『グゥッ?!ガっ、グゥオオオオオオオオオオオーーーーーッッ!!!』

 

 

ビートルファンガイアの片手から放たれた青のエネルギー波がガルルに向かって放たれ、残ったガルルもビートルファンガイアに取り込まれてしまう。そして、ビートルファンガイアの胸部の装甲に青いステンドグラスのような模様が浮かび上がった。

 

 

優矢「あ、あいつ…自分の側近を……」

 

 

その光景を間近で見ていた優矢も、自身の部下を容赦なく取り込んだビートルファンガイアの無慈悲さに恐怖を感じてしまう中、ビートルファンガイアは倒れている優矢に目を向ける。

 

 

優矢は身体を動かして逃げようとしたがやはりダメージのせいでか全く身体が動かない。優矢は一瞬諦めて死ぬ覚悟を決めたが、しかし……

 

 

『…………』

 

 

―ザッ……―

 

 

優矢「……え?」

 

 

ビートルファンガイアは優矢に何もせず、無言で優矢に背中を見せてその場から去っていってしまった。

 

 

優矢「……あいつ……何で俺を殺さなかっ……た……」

 

 

ビートルファンガイアの不可解な行動に疑問を持ったが、優矢は其処で必死に繋ぎ止めていた意識が完全に途切れ、そのまま倒れてしまった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

それから数時間後。キャッスルドランの王座の間では、以前零となのはが廃屋の家で出会った男が窓際に立ち、城下に広がる街を見下ろしていた。

 

 

「……ワタル」

 

 

男は寂しげな表情で、ワタルの名を呟く。そんな時……

 

 

―……♪~♪♪~~♪~―

 

 

「…………彼か」

 

 

何処からか聞こえて来た演奏に男は耳を傾ける。男は暫くその演奏に聞き入っていると、その演奏に誘われるかのように王座の間から出ていった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

そして、その演奏を奏でていた零はキャッスルドランのある一室の部屋の中心で椅子に座ってバイオリンを奏でていた。

 

 

そして、バイオリンを弾き続けて数分後。部屋の扉が勢い良く開かれてスワローテイルファンガイアが踏み込んできた。

 

 

『人間め、最早容赦はせんぞ。王の命令だ……!』

 

 

ファンガイアは敵意を剥き出しに零にゆっくりと近づいていく。すると零も演奏を止めてバイオリンをケースに仕舞うと、懐からディケイドライバーを取り出して腰に装着し、スワローテイルファンガイアと向き直りディケイドのカードを構える。

 

 

零「……変身!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

バックルにカードを装填し、零はディケイドに変身すると共に左腰のライドブッカーをソードモードに変え、スワローテイルファンガイアに向かって駆け出し攻撃を開始した。

 

 

ディケイド『ハアァッ!!』

 

 

―ガギィイイッ!!ギンッ、ドグォオッ!!―

 

 

『グッ、ォオオオッ?!』

 

 

幾重もの残像のように放たれるディケイドのマゼンタの斬撃にスワローテイルファンガイアは押され、トドメに放たれた後ろ回し蹴りで窓際に向かって蹴り飛ばされる。そしてディケイドはライドブッカーから一枚のカードを取り出し、ディケイドライバーに投げ入れて片手でスライドさせた。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』

 

 

電子音声が響くと共に、ディケイドの目の前にディメンジョンフィールドが出現していく。そしてディケイドはライドブッカーを構え直しスワローテイルファンガイアに向かってディメンジョンフィールドを一直線に駆け抜け、ファンガイアを縦一閃に斬り裂いた。

 

 

『ガァッ?!ゥグアアァァァァァァァァーーーーッッ!!!』

 

 

ディケイドの必殺技、ディメンジョンスラッシュを受けたファンガイアは断末魔の悲鳴を上げながら硝子の様に砕け散った。ディケイドはそれを確認して構えを解くと、部屋の中へビートルファンガイアが足を踏み入れディケイドに歩み寄っていく。

 

 

ディケイド『あんたが新たな王か?』

 

 

『……俺は王座などに興味はない』

 

 

ディケイド『……なんだと?なら、何故ワタルから王座を奪った?』

 

 

『くだらぬ掟など忘れさせる為だ。人間とファンガイアは殺し合い、滅ぼし合うしかない。それを証明したかっただけだ!』

 

 

ビートルファンガイアは固く握り締めた拳を振りかざし、ディケイドに向かって駆け出して殴り掛かる。対するディケイドもライドブッカーSモードで初撃を受け流しながらビートルファンガイアの拳を正面から受け止めてせめぎ合う。

 

 

『貴様も信じてはいないだろう!人間とファンガイアの共存など!』

 

 

ディケイド『ッ……俺にとって人間とファンガイアなんて関係ない……!倒すべき敵は倒すだけ、だから俺はあんたを倒す!』

 

 

『フッ……愚かな』

 

 

ビートルファンガイアはディケイドとの間合いを離し、何処からか意識の無いキバットを取り出した。瞬間、ビートルファンガイアの腰に何重もの鎖が巻き付きキバットベルトが現れる。

 

 

『我が力を見るがいいッ!変身ッ!』

 

 

ビートルファンガイアがキバットベルトの止まり木部分にキバットをセットすると、ビートルファンガイアはキバへと変身した。

 

しかし、その姿はワタルが変身していたキバフォームではなく、右腕がバッシャー、左腕がガルル、胴体がドッガのフォームアーマーの姿……三体の怪人の力をその身に取り込んだドガバキフォームに変化していたのである。

 

 

ディケイド『なっ……』

 

 

キバDGB『これぞ王の力……!その身を持って味わうがいい!』

 

 

ライダーに変身しただけでなく、新たな姿に変貌したキバに驚愕するディケイドを他所に、ビートルファンガイアが変身したキバは何処からともなく取り出したドッガハンマーを引きずりながら迫る。その圧倒的な威圧感にディケイドも僅かに押されながらも咄嗟にライドブッカーSモードで対抗するが…

 

 

―ガキィイイッ!!ガッ!!ドゴォオオオオオオッ!!ドゴォオオオオオオオッ!!―

 

 

ディケイド『ガァッ!ッ、クソッタレめ……!デタラメかコイツ……!』

 

 

正面からライドブッカーで斬り掛かってもドッガの分厚い装甲の前に刃が弾かれ、剣を弾かれてよろめいた瞬間に圧倒的なパワーのハンマーの反撃を喰らってしまう。殴られた肩を抑えて膝を着くディケイドに、キバは更に追撃を仕掛ける。

 

 

キバDGB『どうした……?さっきまでの威勢は何処へ行ったァッ!!』

 

 

―ドゴォオオオオオオオッ!!―

 

 

ディケイド『グゥッ?!うぉおおおおぉぉおおっ!!』

 

 

―ガッシャアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!!―

 

 

横薙ぎに振るわれるドッガハンマーをライドブッカーで受け止めようとするが、そのあまりの力強さに踏み止まる事が叶わず、ディケイドはそのまま部屋の窓を突き破って外へと吹き飛でしまい、キバもディケイドを追撃する為に割れた窓から地上へと飛び降りて行った。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑪

 

同時刻。キャッスルドランの地下では、先程まで意識を失っていた優矢が漸く目を覚まし、地面を這い蹲るようにして傷ついた身体を引きずり、脱出を試みようとしていた。

 

 

優矢「っ…早く…早く零達に、あのファンガイアの事を…」

 

 

一刻も早く、零達にあのファンガイアの事を伝えなければと、優矢は傷ついた身体を無理矢理動かして写真館へと急ぐ。其処へ……

 

 

ワタル「──優矢!」

 

 

優矢「……ッ?!わ、ワタル!?」

 

 

地下の入り口の方から、優矢を助けに来たワタルが現れて優矢の下へと駆け寄って来たのだ。その後ろにはなのは達も一緒だ。

 

 

優矢「み、皆……?何で此処に?!」

 

 

スバル「何でって、勿論助けに来たに決まってるじゃないですか!」

 

 

ヴィータ「今零の奴があのファンガイアの相手をしてる筈だ!今の内にこっから逃げるぞ!」

 

 

優矢「零が…あいつと…?」

 

 

なのは達は傷付いた優矢を抱え、急いでその場から避難しようと歩き出す。その時……

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

ディケイド『ウグァアアアアアアアアアアッッ!!!!』

 

 

ティアナ「?!えッ?」

 

 

なのは「れ、零君ッ?!」

 

 

突然地下の天井が凄まじい音と共に崩れ、其処からディケイドが無数の瓦礫に混じっていきなり落下してきたのだ。なのは達は突然の事に驚くがすぐに我に返り、倒れているディケイドを見て思わず慌てて駆け寄ろうとした。だが……

 

 

キバDGB『ヌゥオオオオッ!!』

 

 

―バゴォオオオオオオンッッ!!―

 

 

ディケイド『ガハァアアッ!!グゥッ!!』

 

 

「「「なっ……!」」」

 

 

ディケイドが突き破ってきた穴から今度は鉄槌を振りかざしたキバが現れ、そのまま降下の勢いを利用してドッガハンマーでディケイドを容赦なく殴り付けた。ディケイドは倒れたまま突然の攻撃に為す術なく痛め付けられ、キバは怯んだディケイドへと更に追い打ちを掛けるようにドッガハンマーを容赦なく餅つきのように何度も何度も打ち付けていく。

 

 

なのは「れ、零君ッ!!」

 

 

優矢「駄目だッ!!あいつは……ワタルの側近達を全て取り込んだんだ……!今の奴には俺でも、零でも勝てないっ……!!」

 

 

スバル「そ、そんなっ……!」

 

 

優矢の口から告げられた衝撃的な事実に驚きを隠せないなのは達。そしてキバは無理矢理立たせたディケイドをドッガハンマーで殴り飛ばすと、なのは達と一緒にいるワタルの存在に気づき、ゆっくりとワタルに近づいていく。

 

 

キバDGB『お前に最後のチャンスをやろう。……其処にいる人間共のライフエナジーを吸い尽くせ』

 

 

ワタル「……?!」

 

 

キバから告げられた冷酷な命令。それを聞いてワタルだけでなく優矢達も驚愕するが、キバは構わず優矢達を顎で指す。

 

 

キバDGB『さあ早くしろ!人間のライフエナジーを吸う、それがファンガイアの本能なのだ!お前も、本当はそれを望んでいるのだろう!』

 

 

ワタル「…………」

 

 

キバに命じられ、ワタルは優矢の前に立つ。

 

 

優矢「ワタル……」

 

 

優矢はワタルを見上げ、しかしその顔には明確な覚悟を決めてワタルを見つめる。恐らく、いや、きっとワタルにならライフエナジーを吸われても構わないと思っているのかもしれない。そんな優矢の眼差しを受け、ワタルは一度顔を俯かせると、キバの方へと振り向き、徐に顔を上げて告げる。

 

 

ワタル「……この人を……この人達を、解放して……」

 

 

優矢「……!」

 

 

なのは「ワタル君……!」

 

 

キバ『ッッ……!!貴様ァアアッ!!』

 

 

―バキィッ!!―

 

 

ワタル「ぐぅっ!」

 

 

「「「 ワタル(君・王子)!!?」」」

 

 

予想とは反対の答えに、キバは激昴してワタルの顔を容赦なく殴り飛ばした。それを見たなのは達、そして優矢も身体が傷ついているにも関わらずに倒れるワタルの下へ駆け寄った。

 

 

優矢「ワタル!何で……!?」

 

 

ワタル「ッ……まだ……まだ、約束を果たしてもらってない……僕の行きたい所に、連れてってくれると……そう行ってくれたでしょ……?」

 

 

優矢「っ……お前……」

 

 

ワタル「漸くわかった……僕の本当に行きたい所が……まだ僕は……貴方の、友達ですか……?」

 

 

自分の、嘘偽りのない本当の気持ちを優矢に伝えるワタル。その言葉に優矢は一瞬息を飲んだが、すぐに微笑み、ワタルの頭の上に手を置いて笑顔を向けた。

 

 

優矢「当たり前だろ?俺も、零も、なのはさん達も……皆、お前の友達だ……」

 

 

優矢の言葉に、なのは達もワタルに向かって頷く。それを見て、ワタルの心を渦巻いていた迷いが消え去り、ワタルは明るい表情で優矢達に微笑み返した。

 

 

キバDGB『……なんだ……馬鹿な、人間とファンガイアの友情だと……?!』

 

 

人間とファンガイア。彼等が微笑み合う姿を目にし、キバは信じられないと戸惑う。その時、キバに吹き飛ばされたディケイドがよろよろと立ち上がり、キバに向かって語る。

 

 

ディケイド『そいつは信じているんだ……掟を。人間とファンガイアは、共に生きていけると……!』

 

 

キバDBG『ッ……共に生きていける?ふざけるな!そんなものは、ただの幻想にすぎない!』

 

 

ディケイド『お前にとってはそうかもしれない……だがワタルは、その幻想を信じ、信じる者の為にそれを実現しようとしている!それがワタルの強さであり、王の資格だ!』

 

 

キバDGB『ッ……!!』

 

 

今の優矢達とワタルの姿を指し、力強く言い切るディケイドの言葉にキバは思わず押し黙る。そして、その言葉を聞いてワタルも力強く頷き、身を起こしながらキバを真っ直ぐ見据える。

 

 

 

 

ワタル「僕は……王に……なりたいっっ!!」

 

 

 

 

偽りの王を見つめるその瞳に、力強い決意が宿る。

 

 

それは最早迷いのない、己の信じる未来を確かに見据えた覚悟を示していた。

 

 

キバDGB『ッ……ぅ……うぅあああああああああああああああぁぁぁっっ!!!!』

 

 

そんなワタルの決意を聞き、キバは激高の雄叫びを上げ、それを好機だと感じたディケイドはすぐさまライドブッカーをカードを一枚バックルに装填した。

 

 

ディケイド『お前もいい加減目を覚ませ!コウモリ!』

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガァンッ!!―

 

 

キバDGB『ガァアアッ!!?』

 

 

電子音声と共に即座に銃形態に切り替えたライドブッカーでキバのベルトに取り付けられているキバットに狙いを定め、無数の銃弾を乱射するディケイド。

 

 

完全に油断を突かれたキバはそのままダメージにより変身が解除されてビートルファンガイアに戻り、キバットもキバのバックルからフラフラと地面に墜ちていった。

 

 

キバット『い、痛たたたっ……ん?ここは……』

 

 

ワタル「キバット!」

 

 

キバット『ん……?おお!ワタル~!無事だったんだな~!』

 

 

ワタル「うん、キバットも無事で良かった。早速で悪いけど、キバットの力を貸してくれ!」

 

 

キバット『おう!何かよくわかんないが、ワタルの為だ!キバッていくぜ!ガブッ!』

 

 

そう言ってキバットがワタルの左手に噛み付くと、ワタルの顔にステンドグラスのような模様が浮かび上がり、腰に何重もの鎖が巻き付いてキバットベルトへ変化する。

 

 

ワタル「変身ッ!」

 

 

手にしたキバットを突き付けてベルトの止まり木部分にキバットをセットした瞬間、ワタルの姿がメロディーと共にキバへと変身する。そしてディケイドもライドブッカーをソードモードに切り替え、キバと共にビートルファンガイアに突っ込んでいった。

 

 

ヴィータ「よし、お前ら!今の内にここから離れるぞ!」

 

 

『はい!』

 

 

ディケイドとキバがビートルファンガイアと戦闘を開始したこの隙に、ヴィータ達も優矢を連れて避難を始める。だが……

 

 

なのは「…………」

 

 

スバル「……?なのは、さん?」

 

 

皆が移動を始める中、何故かなのはだけはその場から一歩も動かず、ディケイド達の戦いを無言で見守っていた。

 

 

ヴィータ「オイ!何やってんだなのは!早く此処から……!」

 

 

なのは「……ヴィータちゃん達は先に逃げて。私は……此処に残る……」

 

 

「「「っ?!」」」

 

 

なのはから告げられた予想外の言葉に、全員が驚愕する。

 

 

ヴィータ「お、お前っ、いきなり何言ってんだ?!」

 

 

ティアナ「そ、そうですよ!私達が此処にいたら、零さん達にも迷惑が……!」

 

 

なのは「うん、それは私もわかってる。けど、今此処で逃げたら…私は何時まで経っても零君に守ってもらうことしか出来ないと思うんだ…」

 

 

キバと肩を並べ、ビートルファンガイアに剣戟を見舞うディケイドの姿を見つめながらなのはは言葉を続ける。

 

 

なのは「私、ね……零君が一人で戦って、傷付いてる姿を見て、考えたんだ。多分……私は魔法やレイジングハートに頼りすぎてたんじゃないのかな、って……魔法を使っていく内に、自分も強くなってるって思い込んでたんだと思う。だから、それじゃ駄目なんだ。魔法に頼らず、私自身が……本当の意味で強くならなくちゃいけないって……そう思ったの」

 

 

スバル「……なのはさん……」

 

 

なのは「だから私は、零君を一人置いて逃げ出すだなんて出来ない……!何も出来ないとしても、あの人が身体を張って誰かの為に戦い続けた事を、生き証人としてこの目で見届けたい!此処で逃げたら、レイジングハートと一緒に戦う資格も、私自身が強くなることも、そして……零君の隣に立つ資格もなくなるから!」

 

 

自分の正直な思いを、自分が必死に考えて決めた決意をヴィータ達に力強く告げるなのは。その時だった。

 

 

 

 

―パアァァァッ……―

 

 

なのは「……え……?」

 

 

 

不意に、なのはのポケットが淡い光を放って輝き出した。突然の事に驚きながらなのはは自分のポケットに片手を入れ、その輝きを放っていると思われるものを取り出す。それは……

 

 

なのは「…これって…あの時の腕時計…?」

 

 

そう、なのはが取り出した輝きを放つそれの正体は、あの廃屋の家で拾った銀色の腕時計だったのだが、その腕時計は最初に拾った時とは違い、何故か全体を被っていた汚れが消えて本来の姿に戻っていた。

 

 

更にもう一つの違いとして、腕時計の画面に表示されているのは時間ではなく、何かのエンブレムが表示され点滅を繰り返していた。

 

 

なのは「?何だろ…このマーク…」

 

 

それが気になったなのはは、思わず画面に表示されているエンブレムに指先で触れてみた。その瞬間……

 

 

『RIDER SOUL TRANS!』

 

 

なのは「……えっ?」

 

 

画面のエンブレムにタッチした瞬間、突然電子音声が響いて腕時計となのはの腰が輝き出し、輝きが収まると、なのはの左腕には腕時計が、腰にはディケイドライバーに酷似したオレンジ色のベルトと、ディケイドの物と同じライドブッカーが左腰に装着されていた。

 

 

なのは「え?え……ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーっ!!?な、何これぇええっ!?」

 

 

ヴィータ「お、おい、なんだよそれっ?!」

 

 

スバル「そ、それってもしかして、ベルト……?!」

 

 

なのはの腰に突如出現したディケイドライバーに酷似したベルトを見て一同が戸惑う中、なのはの左腰にあるライドブッカーが勝手に開き、一枚のカードが飛び出した。

 

 

それを見てなのはが反射的に慌ててそのカードを手に取ると、そのカードにはディケイドに酷似した一人のライダーの姿が描かれていた。

 

 

なのは「これ……まさか……?」

 

 

―ドゴオォンッ!!―

 

 

ディケイド『グゥッ!!』

 

 

キバ『うわぁッ!!』

 

 

なのは「ッ?!」

 

 

そのカードを眺める中、ディケイドとキバがビートルファンガイアに吹き飛ばされて倒れる姿が視界の端に映る。それを見たなのははディケイド達とカードを交互に見ると、駄目元で零の見様見真似でカードを構えた。

 

 

ティアナ「な、なのはさん……!まさか……?!」

 

 

なのは「ふーーーっっ……変身ッ!」

 

 

高らかに叫ぶと共に、なのははカードを自分のバックルに装填し、両手でサイドハンドルをスライドさせた。

 

 

『KAMENRIDE:TRANS!』

 

 

その瞬間、ディケイドライバーに酷似した電子音声が鳴り響き、なのはの周りに九つシルエットが現れ、それら全てがなのはの身体に重なり灰色のスーツとなって身に纏う。

 

 

そして最後にバックルから出現した無数のカードが仮面部分に刺さると、灰色のスーツは鮮やかなオレンジ色へと変化していったのである。

 

 

『……?!な、何?!』

 

 

ディケイド『?!あ、あれは……?!』

 

 

スバル「な、なのはさんが……変身しちゃったぁああああああ?!」

 

 

その場いた全員が、なのはの姿に驚愕した。

 

 

その姿はディケイドに酷似しているが、スーツの色がオレンジであり、アーマーはディケイドと違ってシメントリーで瞳の色が白となっている。

 

 

誰もが予想だにしていなかった展開に一同が驚きから目を剥く中、変身したなのは……魔法に変わる新たな力を手にした『仮面ライダートランス』は、己の手を見下ろして感慨を覚えていた。

 

 

トランス『この力……これなら……!二人共!そこから離れて!』

 

 

『『……ッ!』』

 

 

なのはが変身したトランスの姿を見て未だ唖然としていたディケイドとキバだが、トランスに呼び掛けられて我に返り、ビートルファンガイアから慌てて離れる。それを確認したトランスはライドブッカーから一枚のカードを取り出し、バックルに装填した。

 

 

『ATTACKRIDE:ACCEL SHOOTER!』

 

 

鳴り響く電子音声が響くと共に、トランスはライドブッカーをガンモードに切り替えながらビートルファンガイアに銃口を向け、それと同時にトランスの周りに複数の魔力球が現れた。

 

 

トランス『アクセルシューター……!シュートッ!!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガァッ!!!―

 

 

『なッ?!ぐぁああああああッ!!』

 

 

トランスがライドブッカーのトリガーを引くと同時に、彼女の周囲に浮遊する魔力球が全てビートルファンガイアに向かって一斉に放たれ、ビートルファンガイアはそれらを受けて耐え切れずに吹き飛ばされていった。

 

 

キバ『す、凄い……!』

 

 

ディケイド『……何が一体どうなってんだ、こりゃ……』

 

 

ビートルファンガイアを吹き飛ばしたアクセルシューターの威力に驚嘆するキバの横で、立て続けに起こる超展開に頭の理解が追い付かず困惑するディケイド。そんな二人の下に、トランスが駆け寄っていく。

 

 

トランス『零君!ワタル君!大丈夫?!』

 

 

キバ『え……?あ、は、はい!』

 

 

ディケイド『なのは、お前……その姿は一体……?』

 

 

トランスと向き合い、変身した彼女の頭から足の爪先を眺めながら困惑するディケイドからの問いに、トランスも自身の姿を見て困った様子で頬を掻く。

 

 

トランス『え、えーっと……実は私にもよく分かんなくて……前に拾った腕時計を使ったらベルトが出てきて、勢いに任せてやったらこうなっちゃって……にゃはははっ』

 

 

ディケイド『勢いで、お前……というか、腕時計っ?』

 

 

笑って誤魔化すトランスから返された呆れた答えに、再び唖然となるディケイド。そんな時……

 

 

『ゥッ……ぐっ……!き、貴様等ァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!』

 

 

『『『!!』』』

 

 

先程のトランスの技で吹き飛ばされたビートルファンガイアが、身体から白煙を立ち上るせながら起き上がり、怒りを露わに殺気を放ちながら咆哮する。

 

 

ディケイド『チッ!取り敢えず話は後だ!なのは、お前も戦えるんだな?』

 

 

トランス『え、あ、うん……!いきなりで驚いたけど……大丈夫!今なら私も戦えるから!』

 

 

ディケイド『そうか、ならいい……!ワタル!なのは!行くぞ!』

 

 

キバ『はい!』

 

 

トランス『うん!』

 

 

なのはの突然の変身や腕時計の事など気になる点は多いが、何にせよ戦力が増えたのは助かる。

 

 

今はともかく戦いに集中すべく、トランスはライドブッカーの銃口をビートルファンガイアに向けて発砲し、彼女の援護でビートルファンガイアが動きを封じられている隙にキバは徒手空拳、ディケイドはライドブッカーによる剣戟でビートルファンガイアに挑み掛かっていくのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑫

 

 

トランス『ハッ!』

 

 

キバ『セェアアアアッ!!』

 

 

ディケイド『ハアァッ!』

 

 

―ズガガガガガガガガガァッ!!ガギィイイッ!!バキィイイッ!!―

 

 

『ガハァッ!グッ?!』

 

 

なのはが変身したトランスの参戦により、三対一という戦況で劣勢に陥るビートルファンガイア。

 

 

後方からのトランスの援護射撃で怯んだ所へ、肉薄したキバが目に止まらぬ高速ラッシュを打ち込んで後退りさせ、更にキバが退いた背後からディケイドがライドブッカーSモードをビートルファンガイアに押し付けながら壁際へと追い詰めて語り掛ける。

 

 

ディケイド『お前も望んでいたんだろ!ワタルが、お前の無くしてしまった夢を叶えてくれる事を!』

 

 

『ッ?!貴様……何者だ?!』

 

 

ディケイド『……通りすがりの仮面ライダーだ。憶えておけ!』

 

 

自らの確信を突かれて動揺するビートルファンガイアを押し付けたライドブッカーSモードを振り下ろして斬り裂き、更に追撃の上段回し蹴りで蹴り付けて吹き飛ばす。其処へキバがビートルファンガイアの後ろに回り込むと共に右腕を掴んで封じ、ディケイドもそれに続いてビートルファンガイアの左腕を掴んで動きを封じた。

 

 

キバ『捕まえたッ!』

 

 

『な、何を……!離せぇ!!』

 

 

ディケイド『そうはいくか……!なのは、今だッ!』

 

 

トランス『うん!』

 

 

ビートルファンガイアの動きを封じるディケイドの呼び掛けに応えながら、トランスはライドブッカーから新たにカードを取り出してトランスドライバーに装填した。

 

 

『ATTACKRIDE:SHIDEN ISSEN!』

 

 

電子音声と共にトランスがライドブッカーをソードモードに切り替えると、ライドブッカーの刀身が炎熱に包まれていく。そして剣の柄を両手で強く握り締め、トランスはライドブッカーを構えながらビートルファンガイアへ一気に駆ける。

 

 

トランス『紫電っ……一閃ッ!!』

 

 

―ザシュウゥウウウッッ!!!―

 

 

『がァあぁあああああああっっ!!!?』

 

 

上段から一気に振り下ろされたトランスの剣技……零やなのはと同じ六課の仲間であるシグナムが得意とする剣技のひとつである紫電一閃が見事に炸裂し、ビートルファンガイアはそのまま十数メートル先まで盛大に吹き飛ばされていった。

 

 

『ぁ……ぐぅっ……こ、こうなれば……!!』

 

 

このままでは分が悪いと感じたのか、トランスに斬り付けられた胸を抑えてビートルファンガイアはふらつきながら立ち上がると、背中の羽を広げ、天井を突き破って外へと逃げ出した。

 

 

ディケイド『逃がすか……!なのは、俺とワタルは奴を追う!お前は優矢達を連れて此処から避難してくれ!』

 

 

トランス『えっ?!だったら私も……ううん、わかった。二人共、気をつけて!』

 

 

キバ『はい!』

 

 

ディケイド『わかってる!行くぞ!』

 

 

先程からの激戦の影響で、此処も何時までも無事とは限らない。怪我人の優矢やヴィータ達の避難の手助けを了承してくれたトランスにこの場を任せ、ディケイドとキバはビートルファンガイアが突き破った天井を飛び越えてビートルファンガイアを追いかけていった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

そしてその一方、外へと逃げ出したビートルファンガイアは上空へと高く飛び、キャッスルドランの頭の上に飛び降りていた。

 

 

『ドラゴンよ!我に力を!』

 

 

ビートルファンガイアがそう叫ぶと、キャッスルドランは咆哮してビルの中から抜け出そうとする。其処へ、ビートルファンガイアを追ってきたディケイドとキバはキャッスルドランの様子を見て驚愕した。

 

 

キバ『キャッスルドランを奪うつもりだ……!』

 

 

ディケイド『おいおい……流石に怪獣が相手だと骨が折れるぞ……』

 

 

流石に此処までサイズ差が違う相手だと今の戦力で戦うのは分が悪過ぎる。一体どうしたものかとディケイドが溜め息混じりに呟くが、キバはキャッスルドランを見上げながら臆する様子を見せない。

 

 

キバ『それでも、倒してみせます!僕は……王だから!』

 

 

キバが力強くそう答えた瞬間、ディケイドの左腰のライドブッカーが独りでに開かれ、中から三枚のカードが飛び出しディケイドの手に収まる。その瞬間、今まで消えていたキバのカードを含む絵柄が全て浮かび上がっていった。

 

 

ディケイド『……そうだな。折角のお前の新しい門出だ。俺も最後まで付き合わせもらう』

 

 

ディケイドはそう言いながら絵柄の戻った三枚のカードから一枚抜き取り、ディケイドライバーに装填してスライドさせる。

 

 

『FINALFORMRIDE:KI·KI·KI·KIVA!』

 

 

ディケイド『ちょっとくすぐったいぞ』

 

 

キバ『……え?う、わっ?!』

 

 

キバの答えを待たず、背中に回り込んたディケイドはキバの背中を扉を開く様にして開いた。するとキバの背中にキバットの巨大な顔が現れ、直後にキバの身体が宙に浮かんで巨大な弓矢、キバアローへと超絶変形していったのだ。

 

 

キバ(A)『こ、これは……?』

 

 

ディケイド『これが、俺とお前の力だ。行くぞ!』

 

 

超絶変形した自身の姿に戸惑うキバアローを手にしながら、ディケイドは更にライドブッカーからもう一枚のカードを取り出してバックルに装填した。

 

 

『FINALATTACKRIDE:KI·KI·KI·KIVA!』

 

 

再度鳴り響く電子音声を耳に、ディケイドはキバアローの弓を徐に引きながら、キャッスルドランの頭上を陣取るビートルファンガイアに狙いを定めていく。

 

 

『……ッ?!な、何だ、あの姿は?!』

 

 

ビートルファンガイアは眼下のディケイドが手にするキバアローに気付き驚愕する。そして、限界まで弓を引いたキバアローの先端の矢に紅色に輝く膨大なエネルギーが溜まっていき…

 

 

―キバッて…いくぜぇ!―

 

 

キバットの掛け声と共に。先端の矢のヘルズゲートに巻き付いていたカテナが解放され、激しい輝きを放つ。瞬間……

 

 

 

ディケイド『ふっ──ハアァッ!!』

 

 

―バシュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥーーーーーーーーーーウウウウゥッッッッ!!!!!!!―

 

 

弓を手放したキバアローの先端から凄まじいエネルギーの矢が放たれ、血のように赤い光の線を描きながら猛スピードでビートルファンガイアに迫り、その胸を穿った。

 

 

『な、んっ……!!??グ、グアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァアアアーーーーーーーーッッッ!!!!』

 

 

エネルギーの矢の直撃を受け、ビートルファンガイアはそのままキャッスルドランの頭上から後方のビルへと吹き飛び、壁に叩きつけられて地上へと落ちていく。

 

 

ディケイド『よし、ワタル…行くぞ!』

 

 

キバ(A)『はい!』

 

 

呼び掛けに力強く応えると共に、キバアローはキバに戻ってディケイドの隣に並び立つ。そしてディケイドはファイナルアタックライドのカードを取り出してバックルに装填し、キバは赤い笛、ウェイクアップフエッスルをキバットに吹かせた。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE·DE·DE·DECADE!』

 

 

キバット『ウェイクアップ!』

 

 

ディケイドライバーの電子音声とキバットの奏でた音色と共に、ディケイドの目の前にはディメンジョンフィールドが現れ、キバの右足のヘルズゲートの鎖が解き放たれる。そして二人は上空に高く飛び上がると共に右足を突き出し、ビートルファンガイアに向かって猛スピードで猛スピードで迫り、そして……

 

 

 

ディケイド『ハアァァァァァァァッ……ハアァッ!!!』

 

 

キバ『ダァアアアアッ!!!』

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーオオオォンッッッ!!!!!!―

 

 

『ガァッ!!?グゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーッッッ!!!!』

 

 

ディケイドの必殺技、ディメンジョンキックとキバの必殺技、ダークネスムーンブレイクが同時に炸裂し、ビートルファンガイアは悲痛な雄叫びと共にビルを突き破って吹き飛ばされていったのだった。

 

 

そして、地上に着地した二人はキャッスルドランを見上げると、キャッスルドランもビートルファンガイアの支配から開放されて元の落ち着いた状態に戻っていた。

 

 

ディケイド『……終わったみたいだな』

 

 

キバ『……はい』

 

 

スバル「お〜い!!王子〜!!」

 

 

なのは「零くーん!!ワタルくーん!!」

 

 

漸く全てが終わり、感慨深い心持ちで変身を解除した零とワタルの後ろから優矢を抱えたなのは達がこちらに向かってくる姿が見える。

 

 

二人はそんな一行を見て互いに顔を見合わせながら微笑すると、二人揃ってなのは達の下へと歩き出していくのであった。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章/キバの世界⑬

 

 

 

『ハァ…ハァ…ハァ…』

 

 

以前、零達がワタルと出会った幽霊屋敷内。

 

 

其処には零達との戦闘で傷ついた瀕死状態のビートルファンガイアが薄汚れた台の上に寄り掛かる姿があり、その肉体が徐々に人間体へと変わっていくと、その姿は以前幽霊屋敷に訪れていた男性に変わっていった。

 

 

そして男の姿が変わり終えると共に、その場へ零となのはが訪れた。

 

 

「ハァ、ハァ……ワタルは……良い王に、なれるだろうか……?」

 

 

男は零達の来訪に驚く事なく、必死に声を振り絞って尋ねると、零は目を伏せて頷いた。

 

 

零「なれるさ……あんたの息子だからな」

 

 

「……気づいて……いたのか……」

 

 

零「何となく、だけどな……あんたはワタルに自分と同じ過ちを犯してほしくなかった。だから──」

 

 

零が男に近寄ろうとするが、男は手でそれを制して零の歩みを止め、椅子に座ってテーブルに置かれていたバイオリンを手に持って胸に抱く。

 

 

それを見た零は無言のままなのはに視線を向けると、なのはもそれを察したように頷いて互いのバイオリンを取り出し、演奏を始めた。

 

 

―♪♪~、♪~~♪♪~♪~―

 

 

家内に広がる二人の演奏。男は目を瞑り、その演奏を聴きながらバイオリンを抱く腕に力を込める。そして……

 

 

 

 

「…………ワタル……」

 

 

―ガシャアァァァァァアンッ……―

 

 

 

 

なのは「……ッ……」

 

 

零「………」

 

 

 

男は穏やかな表情を浮かべて、ワタルの名を呟くと最後は硝子のように砕け散り、男が抱いていたバイオリンはそのまま床に落ちていった。それを見た二人は演奏を止めて構えを解き、なのはは床に落ちたバイオリンに近づいて手に取っていく。

 

 

なのは「……これで、良かったのかな……あの人だってきっと、ワタル君と一緒に……」

 

 

零「……あれがあの男なりの、ワタルへの愛情だったんだろう。自分の子供を愛しているからこそ、子供に辛い試練を与えて強く成長させる……そして子供の為なら自分の命も捨てられる……本当の親を知らない俺でも、そういうものなんだと、俺にも分かる」

 

 

なのは「……うん」

 

 

なのはは切ない表情を浮かべ、バイオリンを強く胸に抱いた。すると、その家にワタルが訪れて二階に上がって来ると、二人の下に近づいて来る。

 

 

ワタル「懐かしいな……僕、此処で産まれたんです……」

 

 

零「……そうか」

 

 

ワタルに小さく微笑んで零は答える。ワタルはそれに頷き、窓際から外の景色……人間とファンガイアが共に暮らす世界を見据えていく。

 

 

ワタル「もう一度、此処から始めてみます……人間とファンガイアが、本当に共存出来る世界を!」

 

 

自分の決意を零となのはに打ち明けるワタル。なのははそんなワタルに近づき、自分が持っているバイオリンをワタルに差し出す。

 

 

なのは「大丈夫だよ。ワタル君ならきっと良い王様になれる。私達もワタル君の事、応援してるから」

 

 

ワタル「……はい!」

 

 

優しく微笑み掛けるなのはにワタルも明るく微笑み返し、なのはの手からバイオリンを受け取った。そして零もそんな二人の姿を前に微笑み、カメラを構えシャッターを切るのであった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

それから数時間後。ワタルの家を後に写真館へと戻った零は、写真を現像しながらなのはが拾った謎の腕時計を手に取ってそれを眺めていた。

 

 

零「──つまり、この変な腕時計を使ったらベルトが現れて、お前はライダーに変身出来たって事か……」

 

 

なのは「うん。それに変身して戦ってた時に使った力も、私の魔法やシグナムさんの技と同じだったし……一体なんなんだろ、この時計……」

 

 

二人は腕時計について考えていたが、やはり何も分からず溜め息を吐く。するとその時、零は腕時計の画面の上にアルファベットらしきものが小さく書かれている事に気づき、目を細めてそのアルファベットを読んでみた。

 

 

零「K…ウォッチ…?」

 

 

なのは「?何それ…」

 

 

零「……多分この腕時計の名前だと思うが……まぁ考えても全然わからないし、使えるものは貰っておけ」

 

 

手掛かりがないのでは考えても答えがわかる筈もなく、取り敢えず戦力として使えそうなものは貰っておこうと軽く考え、零はKウォッチと呼ばれる腕時計をなのはに投げ渡して現像した写真を持ってスバル達のいる部屋へと向かう。だが、その零の様子が何処かおかしい様な気がしたなのはは、もしかしてと思い零に聞いてみた。

 

 

なのは「ねぇ零君。もしかして……あの人が言ってた事気にしてる?」

 

 

零「……」

 

 

なのはが言うのは、カイザとの戦闘を終えた後に謎の男の声が言っていた事だろう。零はそれを聞いて足を止めた。どうやらなのはの予想は当たっていたらしい。

 

 

なのは「気にする必要なんてないよ。ワタル君は王様になったんだし、この世界もきっと良くなっていく。だから、零君は破壊者なんかじゃない」

 

 

零「…だといいんだけどな…」

 

 

零は再び歩き出してスバル達のいる部屋へと入っていく。だが、その中には何故か優矢も一緒になって零に挨拶してきた。

 

 

優矢「よっ!漸く来たな!」

 

 

零「……何でお前まで此処にいるんだ」

 

 

優矢「いやさ、俺もお前と一緒に九つの世界を旅したいって思ったんだ。それに元の世界に帰る方法もないし……なっ!いいだろ?」

 

 

零「…ハァ、勝手にしろ。俺には関係ない」

 

 

零が素っ気ない返事を返すと、優矢はよし!とガッツポーズを取って喜びを露わに栄次郎の煎れた珈琲を飲んでいたスバル達の所へと駆け寄っていった。

 

 

なのは「にゃははは……あれだけ酷い怪我があったのに、すっかり完治してるね……」

 

 

零「多分クウガのベルトが関係してるんじゃないか?…それよりも、さっさと次の世界に行くぞ」

 

 

適当に自分の予想を返しながら、零は壁際にある背景ロールに近づいて背景ロールを操作し始める。その時……

 

 

キバーラ「ちょーーっと待ちなさいよ!私も行くわ!」

 

 

突然窓からキバーラが侵入し、そのまま背景ロールに突っ込んでいく。だが既に零が背景ロールを操作していた為……

 

 

―シュルルルルッ!ムギュッ!―

 

 

キバーラ「え?ウギュッ!」

 

 

丁度下りてきた背景ロールの間に挟まれてしまったのだ。だが零はそんなキバーラに気づかずに背景ロールの絵を見つめた。それは……

 

 

零「?なんだ……この世界は……?」

 

 

背景ロールに描かれている絵は暗雲に包まれた空に巨大な満月、そしてその中心に聳え立つ黒い城の背景ロールだった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

一方その頃、何処かの深い森林。其処にはボロボロの姿の一人の少女が"何か"から逃れ必死に森の中を走っていた。

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、……キャアァっ?!」

 

 

だが、少女は走っている途中にツタに足を引っ掛けてその場に倒れてしまう。それでも少女はすぐに起き上がると、大木に背中を預けて荒れた呼吸を整えていく。

 

 

「ハァ…ハァ……ママ……パパァ……誰か……助けてぇっ……」

 

 

涙ぐみながらそう呟くと、少女は涙を拭いて再び深い森の奥へと走り去っていったのだった……。

 

 

 

 

キバの世界END

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作キャラ専用オリジナルライダー(一部ネタバレ注意)

 

【仮面ライダートランス】

 

なのはが拾った謎の腕時計、【Kウォッチ】を使う事により腰にライダーベルトを出現させ変身出来る。

また資格者は選ばないが、誰が変身するかによって現れるベルトが違い名称も違う。

 

 

 

ヴィータ:クウガタイプ

名称:トウガ

 

クウガによく似ているが、肩のアーマーはキバ・ドッガフォームのものに近く、角もクウガに比べてすこし開いている。戦闘スタイルはヴィータ+クウガとなっており、槌状の物体を巨大な槌、トウガハンマーへと変化出来る。

 

 

ギンガ:アギトタイプ

名称:レイス

 

アギトに似ているが、装甲は響鬼に近い部分がある。ベルトの左右の腰を同時に押す事でベルトの中心から銃剣・レイスガンブレードを召喚出来る。

 

 

キャロ:龍騎タイプ

名称:フリード

 

解説:龍騎に似ているが、キャロの使役竜のフリードリヒの意匠が所々施された白とピンクのアーマーに、仮面とバイザーがフリードの頭部に酷似している。又、契約モンスターは滅びの現象の影響でミラーモンスターとなったフリードリヒを使役して戦う。

 

 

ティアナ:ファイズタイプ名称:ヒート

 

解説:ファイズに似ているが、仮面の目の部分がφではなくHになっている。色は赤と白のツートンカラー。戦闘スタイルはファイズ+ティアナ。

 

 

シグナム:ブレイドタイプ名称:セイヴァー

 

ブレイドとギャレンを足して二で割り、紫で統一した感じのアーマーが特徴。戦闘スタイルはブレイラウザーとレヴァンティンの特徴を合わせた紅いの剣…セイヴァーラウザーとブレイドとギャレンのラウズカードを使用して戦う。

 

 

スバル:響鬼タイプ

名称:移鬼

 

響鬼に似ているが、色は薄い青色となっている。武器は音撃棒・真炎と音撃菅・真風、そして音撃玄・真雷を上手く使い分けて戦う。

 

 

フェイト:カブトタイプ

名称:ビート

 

カブトに似ているが、色は黒と黄色のツートンカラーで、角も少し長い。戦闘スタイルはフェイト+カブト。使用する武器はカブトと同じクナイガンであり、刃から雷を纏った斬撃を放つ事が出来る。

 

 

???:電王タイプ

名称:???

 

 

はやて:キバタイプ

名称:リイン

 

解説:キバの鎧に似ているが、所々に月のエンブレムが刻まれており、両足に鎖(カテナ)が巻き付けられている。ベルトのバックルにセットされたリインキバットはリインフォースⅡが変身した姿。

 

 

なのは:ディケイドタイプ名称:トランス

 

解説:ディケイドに似ているが、一番の違いはオレンジ色でアーマーがシンメトリーになっている。戦闘スタイルはディケイドと同じ。使用カードはディケイドと同じものやフェイト達が使用する魔法など多数。

 

 

 

【Kウォッチ】

 

なのはが拾った銀色に輝く謎の腕時計。画面の周りに九人のライダー達のエンブレムが印されており、戦闘の際には画面に浮かび上がるライダーエンブレムをタッチすると腰にライダーベルトが現れる。

 

 

 

深紅さんが考えて下さったオリジナルライダーです。

有り難うございます!

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界(今後の更新について大事なお知らせ有り)

お久しぶりです、風人IIです!ここ数ヶ月、更新を怠り申し訳ございませんっ。

最近までスランプだったり、入院をしていたり、執筆していたデータが消えてしまったりとアクシデントが続いてしまい、漸く普通に執筆が出来るようになれるまで快調致しました(ブランクが長くて執筆の癖が忘れ気味になっていますが……

さて、ここからが本題なのですが、今までお世話になっておりましたサイト様が閲覧出来なくなるとの事なので、そちらで書いておりました作品を可能な限りこちらに移してみようかと思っております。

リメイク前の十年以上前の作品ですので、主人公を含めて主要キャラの設定や人物描写の差異、他作品の作家様のコラボキャラ多数出演など、まだ右も左も分からない頃に描き始めたものばかりでお見苦しい部分も多いと思いますが、そちらも順次再編集して書き直していきたいと思いますので、どうか今後とも宜しくお願い致します





 

キバの世界での役目を終え、次の世界へ向かった零達。だが、零は新たに現れた背景ロールを見て妙な違和感を感じていた。

 

 

零「何だ…この世界は…」

 

 

スバル「?どうかしたんですか…?」

 

 

零の様子が気になったスバルが尋ねると、零は曖昧な返事を返して再び背景ロールを見る。

 

 

暗雲に包まれた空に巨大な満月、そして背景ロールの中心に描かれた黒い城。

 

 

これが何を意味するのか考えるが、考えた所で何かが分かるはずもなく、溜め息を吐いて考えるのを止めた。

 

 

零「いや、なんでもない。取り敢えず外に出てみるか…まずはこの世界について調べないと」

 

 

零は妙な違和感を感じながらもこの世界について調べる為、なのは達と共に外に出ていった。

 

 

キバーラ「ちょっと!早くこれを退かしなさいよー!こらぁぁーッ!」

 

 

一方で、未だ背景ロールに挟まれているキバーラは零達に向けて叫ぶが既に零達は外へと出ていってしまい、残った栄次郎も奥でスバル達が飲んだ後のコーヒーカップを洗っていた為、キバーラの叫びは虚しくも部屋中に響くだけだった…。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

零「……何だ…これ…」

 

 

外に出た瞬間、零達は外の光景を目にして唖然とした表情になる。外には街や人などがなく、見渡すかぎりが深い森林だった。だが、零達が一番驚いたものは此処から遠くに見える黒い城…背景ロールに描かれていたのと同じ巨大な城だった。

 

 

ティアナ「此処も…ライダーの世界なんですか?」

 

 

ヴィータ「にしても…何かおかしくねぇか?何つうかこう…変な感じがして気持ち悪りぃ…」

 

 

ティアナとヴィータも何処かこの世界に違和感を感じて疑問を口にする。すると零はライドブッカーから絵柄の消えたライダーカードを取り出してそれを眺めながら口を開いた。

 

 

零「…二人の言う通りだ…。この世界は…ライダーの世界じゃない」

 

 

なのは「えっ?それって、どういう事…?」

 

 

ライダーの世界ではないと言葉を口にする零。なのは達はそれが気になって零の方へと振り向いた。

 

 

零「俺にもよく分からないが、この世界に着いた瞬間に懐かしい様な…けど何か悪寒みたいなものを感じたんだ。多分この世界には…俺達の世界と関係する何かがあるんだと思う」

 

 

スバル「私達の…世界と?」

 

 

零の言葉になのは達は再び遠くにそびえ立つ黒い城に視線を向けた。すると零はカードを仕舞ってなのは達の前に出る。

 

 

零「取り敢えずこの世界については俺と優矢で一通り調べてみるから、お前達は写真館の中で待っててくれ。優矢、行くぞ」

 

 

優矢「えっ?あ、あぁ…」

 

 

なのは達に写真館で待ってるように言うと零は優矢を連れて森林の中へと歩いていった。

 

 

なのは「ちょ、ちょっと待って!零く…」

 

 

ヴィータ「なのは!此処は零の言う通りにしろって!」

 

 

ティアナ「副隊長の言う通りです!いくらなのさんが戦える様になったからって無闇に動くのは危険ですよ!」

 

 

零達を追おうとするなのはをヴィータとティアナが止めて説得する。

 

 

確かに、本当にこの世界がライダーの世界でなければ何が起こるか分からない。それに自分まで此処を離れて写真館が何者かに襲われたりした時に誰がみんなを守るのか…。なのははそこまで考えると一度間を置いて渋々と頷いた。

 

 

なのは「うん…分かった。じゃあ、私達も中で零君達の帰りを待ってよう?」

 

 

スバル「はい!」

 

 

全員が写真館の中に戻る中でなのははいつでも変身が出来る様にとKウォッチを取り出して左腕に装着すると写真館の中に戻ろうとする。その時…

 

 

 

―だ………け……―

 

 

 

なのは「…え?」

 

 

 

突然、何処からか声が聞こえた様な気がしてなのはは思わず辺りを見渡した。だが周りを見回しても何もなく、声の様なものが聞こえてくる事はなかった。

 

 

なのは「今の…一体?」

 

 

それが気になったなのはだが、中にいるスバル達に呼ばれ、なのははそれが気になったまま写真館の中へと戻っていった…。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界①

 

 

優矢「──しっかし、本当に何もないなぁこの世界は…」

 

 

零「そうだな…。ここまで来ると虫一匹すらいるかも怪しくなって来たぞ…」

 

 

あれから暫く森の中を探索していた零と優矢だったが、辺りに人がいないかと見回しても、人どころか動物一匹すらも見つからなかった。

 

 

優矢「なあ、やっぱ一旦戻らねえか?このままじゃ埒があかないし、なのはさん達にも手伝ってもらった方が効率いいって」

 

 

零「……まあ、これ以上の収穫は望めないだろうしな。仕方ない、一度写真館に──」

 

 

と、二人が来た道を引き返そうと踵を返した。その時……

 

 

 

―ドゴオオオォォンッ!―

 

 

 

『……ッ?!』

 

 

突如、轟音にも似た爆音が響き渡り、二人は驚いてそれが聞こえた方へと振り返った。

 

 

優矢「零!今の…!?」

 

 

零「あぁ、俺も聞こえた……!確か……あっちだったな。行くぞ!」

 

 

零と優矢はその爆音の正体を確かめる為に急いでそれが聞こえた場所へと向かっていった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

森を抜けた先にある広々とした更地。其処には怪奇な服を身に纏った二組の少女が黒煙に包まれた場所で何かを話していた。

 

 

「ケホッ、ケホッ、あらら…さすがにやり過ぎましたかね?」

 

 

丸い眼鏡に白いマントを纏った少女が立ちのぼる煙を手で払いながら隣の少女に話し掛ける。

 

 

「馬鹿者がッ!加減という物を知らんのか?!もし今ので死んでしまったらどうするつもりだ!」

 

 

一方で長身で紫色の髪のショートカットをした少女が眼鏡を掛けた少女に向かって怒鳴り声を上げた。

 

 

「大丈夫ですよ。ちゃーんと手加減はしていますし、それに"陛下"ならあの程度の攻撃では簡単に死にませんから」

 

 

眼鏡の少女は甘ったるい口調で簡単に説明すると黒煙の向こうから異形な姿をした化け物、レジェンドルガが歩いて来た。それを確認した眼鏡の少女はレジェンドルガに近づいて腕に抱えられている小さな少女に目を向ける。

 

 

「それにしても"ドクター"はまた陛下を使ってなにをするんでしょうねー。私達にもまだ詳しく話してもらってないし…」

 

 

「さあな……ドクターにはドクターのお考えがあるんだろう……そんな事よりも任務は終わったんだ、早く城に戻るぞ」

 

 

長身の少女がそういうと眼鏡の少女は「はーい」と返事を返し、レジェンドルガを連れて何処かへと向かって歩きだした。その時…

 

 

零「待てッ!」

 

 

『……?!』

 

 

先程の場所から駆けつけた零と優矢がその場に着いて少女達を呼び止めた。少女達は驚きながら振り返ると長身の少女は零達を見て顔をしかめた。

 

 

「人間…?どういう事だ?この世界について調べた時は人間は一人も存在しなかったはずだろう」

 

 

「うーん、そのはずだったんですけど。…もしかして調査不足でしたかね?」

 

 

二人は零と優矢を見ても特に動揺した様子を見せずに会話をしている。

 

 

優矢「お前ら…一体何者だ!?こんな所で何をやっていたんだ!」

 

 

「何…っていわれてもね。…悪い事してました~♪…って言えばどうするのかしら?」

 

 

優矢「っ…ふざけんな!こっちは真面目に聞いてんだよ!」

 

 

「我々が何者だろうと貴様には関係あるまい。こっちも忙しい身なんだ…今すぐ我々の前から消えるというなら見逃してやる。さっさと失せろ」

 

 

優矢「なんだと…!」

 

 

優矢は目の前の少女達を睨みながら身構える。だが、そんな優矢とは別に零は目の前の少女達を信じられないもの見るかのように目を開いて驚愕していた。その零の様子に気づいた優矢は怪訝な表情を浮かべて零を見た。

 

 

優矢「零…?どうしたんだよ?」

 

 

零(そんな……まさか……なんであいつ等がこんな所に…?!)

 

 

零はあの少女達の事をよく知っていた。

 

彼女達はミッドチルダで起こったある事件で、機動六課と敵対していた広域次元犯罪者が造った人造魔導師。

 

 

零やなのは達は彼女達とは何度も戦闘を行った事があり、その度に苦戦をしいられた強敵だった。しかし、目の前の彼女達はその事件の解決後、捜査に非協力的だったために彼女達を造った広域次元犯罪者と共に軌道拘置所に収容されているはずなのだ。

 

 

だから彼女達がここにいるはずがない。ありえない…と思った瞬間、そこで零は思考している中で一つの可能性が浮かんだ。

 

 

零(まさか…そんな…)

 

 

自分達の世界に起こった滅び…。その滅びの現象により自分の仲間達は別々の世界へと飛ばされた……。それらを組み合わせた瞬間、答えは簡単に出てしまった。

 

 

零(…そうか……そういう事かよ……くそッ!)

 

 

考えてみればすぐにわかる事だ。彼女達がこの世界にいる理由などそれしかない。零は心中で舌打ちすると一歩前に出て目の前の彼女達を睨みつけた。

 

 

零「…こっちの質問に答えてもらおうか。ここで何をしていた?」

 

 

「はぁ…まったく。さっきも言わなかった?貴方達には関係な――」

 

 

零「あるさ。こっちはもう一度お前達を逮捕しないといけないんだからな………"ナンバーズ"のトーレさんとクアットロさん…?」

 

 

『ッ?!』

 

 

不意に自分達の名を呼ばれた二人…トーレとクアットロは驚愕の表情を浮かべて零を睨みつけた。

 

 

トーレ「貴様…!何故私達の事を…?!」

 

 

零「知っているか……か?簡単な話だ…俺はお前達を知っている。お前達も記憶を掘り返してみればすぐに俺の事を思い出すさ」

 

 

零にそういわれるとクアットロが何かを思い出した様に納得して零を睨み返した。

 

 

クアットロ「成る程ね…。トーレ姉様。あの男、機動六課にいた隊長陣の一人ですよ」

 

 

トーレ「なに…?」

 

 

クアットロに言われてトーレも零の顔を見ると自然と記憶が蘇って納得した。

 

 

零「…思い出したか?ならもう一度質問だ。お前達はこの世界で何をしている?お前達以外にも誰かいるのか?」

 

 

零が再び問う。だが、クアットロが邪な笑みを浮かべながら零にその答えを返す。

 

 

クアットロ「ふふっ、馬鹿ね。答えろと言われて、私達が簡単に話すとでも思ってるの?」

 

 

クアットロは嘲笑うかの様に話すと片手を上げて指を鳴らした。すると、後ろに控えていたレジェンドルガが零達に右腕を向けてエネルギー弾を放った。

 

 

優矢「いっ!?」

 

 

零「チッ!」

 

 

―ドゴオォオオオオオオンッ!!―

 

 

放たれたエネルギー弾が零と優矢に直撃し爆発に呑まれていった。

 

 

クアットロ「ふふ~ん♪鼠二匹の始末かーんりょ~♪」

 

 

その凄まじい爆煙は零達のいた周囲を包み込んでいきクワットロはそれを見てほくそ笑む。その時…

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

―ズドドドドンッ!!!―

 

 

『……ッ!?』

 

 

電子音声と共に爆煙の中から複数の銃弾が放たれ、二人は慌ててそれをかわすと銃弾が放たれた方へと目を向ける。爆煙が晴れると、其処には…

 

 

ディケイド『──いきなりご挨拶だな。俺達でなかったら危うく死んでた所だ』

 

 

其処にはライドブッカーGモードを二人に向けて立つディケイドと……隅っこで砂埃だらけになった優矢が尻餅をついていた。

 

 

優矢「ゲホッ!ゲホッ!くっ、この、零!いきなり人の首根っこ引っ張り回してんじゃーねぇよ!」

 

 

ディケイド『知るか……そもそもボケッとしてたお前が悪いんだろ。助けてやっただけ有り難く思え』

 

 

優矢「そっちはありがとうなぁ!けど本気で振り回してくれたお陰で危うく首の骨逝き掛けたけどね?!」

 

 

と、優矢がディケイドに向かって怒鳴り漫才(?)をしている中、トーレとクアットロは姿の変わったディケイドを見て険しげな顔を浮かべていた。

 

 

トーレ「……クアットロ。まさかアレは…」

 

 

クアットロ「えぇ…恐らくアレが、あの男の言っていた悪魔……ディケイドだと思いますよ」

 

 

クアットロがそういうと、トーレは目の前にいるディケイドを強く睨みつけた。

 

 

トーレ「なるほどな。奴がディケイドなら、我々の邪魔をするに違いないか」

 

 

クアットロ「えぇ、それに陛下の事が知れれば確実に城へ乗り込んで来ますね。どうせなら、ついでに此処で始末しちゃいません?」

 

 

トーレ「同意見だ。そっちの方が後々事が楽に運ぶからな…アースキバット!」

 

 

トーレが叫んだ瞬間、何処からか黒と白のツートンカラーのコウモリがトーレの下へと飛んで来た。

 

 

アースキバット「お呼びですか?トーレ嬢」

 

 

トーレ「あぁ、あそこにいる奴らを消す。お前の力を貸せ」

 

 

アースキバット「承知」

 

 

アースキバットと呼ばれたコウモリが短く返事を返すと同時にトーレの腰に黒いベルトが現れる。そして…

 

 

トーレ「変身!」

 

 

アースキバット「変身!」

 

 

ディケイド&優矢『「?!」』

 

 

アースキバットが掛け声と共に黒いベルトの止まり木部分に止まると、トーレの目の前に巨大な紋章が現れその紋章が硝子の様に砕け散るとその破片がトーレの身体に集まっていく。するとトーレの姿は紫色の装甲に黄色い瞳、両腕と両足に鎖を巻いた仮面ライダー…『アース』へと姿を変えたのだ。

 

 

ディケイド『なっ!?』

 

 

アース『また以前の様に邪魔をされたくないのでな。ここで死んでもらうぞ…!管理局ッ!』

 

 

ディケイド達が驚いているのを他所にアースはディケイドに向かって突っ込んで来た。

 

 

ディケイド『チッ!下がれ優矢!アイツは俺が相手をする!』

 

 

優矢「わ、わかった!」

 

 

ディケイドは優矢を下がらせるとアースが放ってくる打撃をかわしながら後退しライドブッカーからカードを取り出してバックルに装填する。

 

 

『ATTACKRIDE:SLASH!』

 

 

ディケイド『ハァッ!』

 

 

ディケイドはライドブッカーをソードモードにするとアースに向かって斬りかかった。だが…

 

 

―ガキィィィンッ!―

 

 

ディケイド『なっ?!』

 

 

アース『ふん!』

 

 

なんと、アースは片手でライドブッカーの刃を軽々と受け止めたのだ。ディケイドがそれに驚いている中、アースはライドブッカーを払い、ディケイドの胴体に素早い蹴り技を打ち込んで吹っ飛ばした。

 

 

ディケイド『グッ!くそっ!速さでならこいつだ!』

 

 

すぐさま態勢を立て直したディケイドはカードを一枚ディケイドライバーに装填してスライドさせる。

 

 

『KAMENRIDE:KUUGA!』

 

 

電子音声が鳴るとディケイドは赤い戦士、Dクウガへと変身して姿を変えていった。

 

 

アース『な、なにッ!?』

 

 

優矢「あれは…クウガ!?」

 

 

クアットロ「ふ~ん…なるほどね~…」

 

 

アースと優矢はDクウガを見て驚愕し、クアットロは興味深そうに頷いてDクウガを見つめる。Dクウガは更にもう一枚カードを取り出してバックルに装填した。

 

 

『FORMRIDE:KUUGA! DRAGON!』

 

 

電子音声と同時にDクウガの姿が蒼い身体、ドラゴンフォームへと変わりアースに向かって身構えた。

 

 

アース『チッ!姿が変わったからといって何になる!』

 

 

アースは構わずにDクウガに向かって素早いパンチを放っていくがDクウガはそれよりも素早く動き、それをかわしながらアースに打撃を打ち込んで徐々に追い詰めていく。

 

 

Dクウガ『ハアァァァッ!』

 

 

―ドゴォォンッ!―

 

 

アース『グゥッ!ガハッ!』

 

 

Dクウガは一瞬でアースの懐に接近して渾身の蹴りを打ち込みアースは耐え切れずに後方へと吹っ飛ばされていった。するとDクウガはディケイドへと戻ってアースに追い撃ちを掛けようと駆け出した。だが…

 

 

―ドゴォォンッ!ドゴォォンッ!―

 

 

『!?』

 

 

クアットロ「はーい!そこまで!」

 

 

突如、レジェンドルガがディケイドとアースの間に向けて砲撃を放ち、二人の戦いを止めた。ディケイドはそれにより足を止めて思わずクアットロの方へと振り向いた。

 

 

クアットロ「流石にこれ以上遊んでたらウーノ姉様に怒られるし、私達はもう帰りまーす♪」

 

 

ディケイド『ッ!?ふざけるな!こっちはお前達に聞きたい事が山ほどあるんだ!黙ってお前達を見逃がすわけにいくか!』

 

 

ディケイドはクアットロに向かって叫ぶがクアットロはそれを聞くと怪しい笑みを浮かべた。

 

 

クアットロ「そう…でもこれを見ても、貴方は同じ事が言えるのかしらね?」

 

 

ディケイド『なに…?』

 

 

アース『ッ!クアットロ!』

 

 

アースがアワットロに向けて怒鳴るがクアットロは気にせずに言葉を続けた。

 

 

クアットロ「貴方があくまでも私達を捕まるっていうなら…」

 

 

クアットロが指を鳴らすと隣にいたレジェンドルガが腕に抱えていた少女をディケイドに見える様に地面に寝かせた。するとその少女を見たディケイドは仮面越しに目を開いて驚愕する。

 

 

ディケイド『ッ!?そんな…まさか…』

 

 

小さいツインテールをした金髪の少女。その少女を見たディケイドは一瞬自分の目を疑った。何故ならあの少女は………

 

 

クアットロ「ふふ、そっ♪貴方の大事な陛下が…どうなってもいいのかしら?」

 

 

優矢「陛下…?」

 

 

クアットロが再び指を鳴らすとレジェンドルガは腰に収めていた剣を取り出しその切っ先を少女に向けた。

 

 

ディケイド『ッ?!よせッ!その子には手を出すなッ!』

 

 

クアットロ「だったら貴方はどうすればいいのか………わかってるでしょう?」

 

 

ディケイド『クッ…ッ…』

 

 

クアットロの問いにディケイドは俯き、一度間を置くと次第に構えを解いて無防備となっていく。

 

 

優矢「零?!」

 

 

クアットロ「ふふん♪素直で結構♪それじゃ……トーレ姉様!」

 

 

 

アースキバット「ウェイクアップ!」

 

 

 

『ッ!?』

 

 

突如アースキバットの掛け声が響き渡り、ディケイドと優矢は慌ててアースの方へと振り向くと、アースは猛スピードでディケイドに向かって突っ込んで来た。その手には紫色の球体の様な形をしたエネルギーの塊が握られている。

 

 

ディケイド『くッ!?』

 

 

ディケイドは慌ててそれをかわそうとしたが、アースは既にディケイドの懐へと接近し紫色の球体をディケイドの身体に押し当てていた。そして……

 

 

ディケイド『ッ!?』

 

 

アース『ディバインド……インパルスッ!』

 

 

アースの言葉と同時に、紫色の球体が衝撃破となって辺りに広がり、ディケイドとその周囲が巨大な爆発に呑み込まれていった…。

 

 

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォーーーンッ!!!!!―

 

 

 

 

優矢「くっ?!うわぁぁっ!」

 

 

辺りが凄まじい爆発と衝撃破に包み込まれ、優矢は爆風に吹き飛ばされそうになるのを必死に耐える。暫くすると爆風が止み、視界を埋めていた煙が少しだけ晴れて来た。それを確認した優矢はディケイドとアースが戦っていた場所へと駆け出して行った。

 

 

優矢「零!何処だ!?零ッ!」

 

 

優矢は黒煙の中を走り回って必死に零の名を叫びながら零の姿を探す。

 

 

優矢「ッ…一体どこに……………ん?」

 

 

そこで優矢は煙の向こう側に何が地面に倒れているのに気づき、優矢は近くに駆け寄ってそれを確かめると、その表情が青ざめていった。

 

 

優矢「れ、零!?しっかりしろ!おいッ!?」

 

 

そう、地面に倒れていたものの正体は体中に怪我を負った零だったのだ。優矢は必死に零の身体を揺さぶって呼びかけるが、零からは何も返事は返って来ない。

 

 

優矢「くそっ!とにかく、早く零を写真館に…!」

 

 

零の状態を見てまずいと感じた優矢は零を背中に抱えあの二人がいないかと警戒して辺りを見渡した。だが既にその場には優矢達以外は誰もいなかった。

どうやらさっきの爆発に紛れて逃げたらしい。優矢は安心にも悔しさに似つかない感情を感じながらも、傷ついた零を抱えて急いで写真館へと戻っていった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界②

第四章/魔界城の世界(前編)④]

 

 

あの戦闘から約二時間後。

 

アースとの戦闘で傷ついた零は優矢に連れられて写真館に戻り、栄次郎達に治療をしてもらって部屋で休んでいる。その後、優矢は何があったのか問い詰めてくるなのは達にナンバーズと呼ばれる少女達の事、その二人が連れていった少女の事、そしてアースとの戦闘で零が重傷を負った事を話した。

 

 

スバル「な、ナンバーズ…!?」

 

 

ティアナ「なんでよ!?確かあの二人は拘置所に収容されてるはずじゃ…?!」

 

 

なのは「それに…その二人が連れていった女の子って………まさか…」

 

 

ヴィータ「なのは……ッ……クソッ!」

 

 

話を終えた後、なのは達の表情は驚愕と困惑のものへと変わり、その場の空気も重苦しいものに変わる。

 

 

そんな中で、優矢は気になっている疑問をなのは達に投げ掛けた。

 

 

優矢「な、なぁ。あいつらは一体何なんだ?皆の知り合いか…?」

 

 

優矢がなのは達に聞くが、なのは達も色々と混乱している為どう答えていいのか分からず俯いてしまう。

その時…

 

 

零「…それについては…俺が説明する…」

 

 

『っ!?』

 

 

そこへ体中に包帯を巻いた姿の零が入り口から現れ、壁を伝ってなのは達の下へ歩いて来た。

 

 

なのは「零君?!駄目だよ!そんな身体で…ッ!」

 

 

零「いや…俺の方は大丈夫だ。というか、今の状況で大人しく寝てなんていられないだろ…」

 

 

零はそう言ってテーブルの椅子に座り、それを見た優矢も向かいの椅子に座った。

 

 

零「じゃあ説明の前に…以前俺達の世界について話した時の事を覚えてるか?」

 

 

優矢「?えっと、科学が発達していて…魔法が存在する世界…だったか?インパクトのある話だったからよく覚えてるよ」

 

 

零「そうだ…アイツ等はその俺達の世界で、ある犯罪者が造った魔導師…"人造魔導師"なんだ…」

 

 

優矢「人造…魔導師?」

 

 

零達は人造魔導師の説明も加え、ナンバーズ達について簡単に話を纏めながら優矢に話し始めた。

 

 

 

 

 

…………………

 

 

……………

 

 

………

 

 

 

 

 

 

零「これが、人造魔導師とナンバーズについての全てだ。…分かったか?」

 

 

優矢「あ、あぁ…」

 

 

ナンバーズと人造魔導師についての説明を終えた後、優矢は驚愕していた。人間の身体に機械を融合させ、人工的に魔導師を作り上げる。その内容に優矢は信じられないといった表情を浮かべ、なのは達の間にも流れる空気も更に重くなる。

 

 

優矢「……じゃあさ。あの二人が連れていった女の子は?零はあの子の事知ってるみたいだったけど…」

 

 

優矢の問いに零は一度なのはの方に視線を向けると、それに気づいたなのはは頷く。すると零は優矢に視線を戻し、

 

 

 

零「……あの子の名前は"ヴィヴィオ"…俺となのはの"娘"だ……」

 

 

優矢「へえ……………………は?」

 

 

 

言葉の意味が理解出来ない…といった表情を浮かべて聞き返した優矢。零はそれを見て溜め息を吐き、優矢に向けてもう一度言う。

 

 

零「だから、あの子はヴィヴィオ。俺となのはの"娘"だ」

 

 

優矢「……ああ、娘……むすめ…………………………娘ぇぇえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーッ!!!!!????」

 

 

 

再び長い間が開いた後、光写真館の中を優矢の大絶叫が響き渡ったのだった……。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

一方その頃……。

 

 

光写真館から離れた場所にある森林。その中を二人の男女が歩いていた。一人は首にカメラを掛けている青年。そしてその青年の後ろを歩く小柄な少女…。二人は共通する奇怪な服装……トレジャーハンターの様な格好をして森の中を歩いていた。だが、青年の後ろを歩いていた少女が突然その場にしゃがみ込み、それに気づいた青年は少女に歩み寄る。

 

 

「はぁ…、おい"こなた"。こんな所で休んでる場合じゃないだろ?」

 

 

こなた「うぅ~~…だって仕方ないじゃん!何処まで行っても森ばっかで何にもないし!いい加減疲れたよ~」

 

 

こなたと呼ばれた少女は目の前にいる青年に向かって叫ぶが青年はそんなこなたを見てため息を吐きながら言う。

 

 

「…お前さぁ、前に体力には自信があるとか言ってなかったか?だったらこれくらいお前なら何ともないだろ?」

 

 

こなた「それでもさっきから四時間くらいは歩いてんじゃん!何で"進"は息切れ一つしてないの!?」

 

 

進「これが俺の普通なんだから仕方ないだろ?ほら、さっさとこの世界を調べて家に戻るぞ」

 

 

進と呼ばれた青年はそういうとこなたをその場に置いて再び歩き出した。

 

 

こなた「ちょっ!!?待ってよ進!」

 

 

それを見たこなたは慌てて立ち上がると進の後を追って駆け出した。その時…

 

 

―ドゴォォンッ!ドゴォォンッ!―

 

 

『ッ?!』

 

 

突然二人のいた場所に砲撃が放たれ、二人は驚きながら辺りを見回した。すると突如周りの茂みから数体のレジェンドルガ達が現れて進とこなたを包囲していく。

 

 

進「な、なんだよコイツ等!?おいこなた!コイツ等一体なんだ?!」

 

 

こなた「えっと、確かコイツ等は…レジェンドルガ!キバの映画に出て来た怪人だよ!」

 

 

進「キバの…?まさか俺達…キバの世界に戻って来たのか!?」

 

 

こなた「わかんないけど…でも気をつけて!コイツ等はファンガイアと違って目茶苦茶強いから…!」

 

 

進とこなたは背中合わせにレジェンドルガ達を警戒する。一方でレジェンドルガ達は二人を見て何かを話していた。

 

 

『こいつがディケイドか?』

 

 

『いや、確か奴が連れていたのは男だと聞いていたが…』

 

 

そう、実はこのレジェンドルガ達はクアットロが零と優矢に向けて放った追っ手だったのだが、進とこなたは運悪く、二人を探していたそのレジェンドルガ達に見つかってしまったのだ。突然の事に戸惑う二人を他所に、レジェンドルガ達はゆっくりと二人に近づいて来る。

 

 

進「チッ、仕方ねぇな…。行くぜ!こなた!」

 

 

こなた「うん!」

 

 

二人は互いに呼び掛け合い、カメラの様な形をした変身ツール…零と同じディケイドライバーとセカンドドライバーを腰に装着すると、左腰に現れたライドブッカーからカードを取り出して変身のポーズを構えた。

 

 

 

進「変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

 

こなた「変身!」

 

 

『KAMENRIDE:SECOND!』

 

 

 

バックルにカードを装填すると電子音声が響き、二人の周りにそれぞれ別のシルエットが現れる。それらが二人に重なると、こなたはディケイドに酷似した灰色のライダー『セカンド』に変身し進は『ディケイド』に変身してその姿を変えた。

 

 

そう、彼は……元道進は零とは違う別の並行世界に存在するディケイド。零達の世界と同じ様に滅びの現象によって滅びようとしている自分達の世界を救う為にライダー達の世界を旅する仮面ライダーだったのだ。

 

 

『ッ?!やはりコイツがディケイドだったか!!』

 

 

ディケイド(進)『何だ…?コイツ等俺を知ってるのか?』

 

 

二人に身構えるレジェンドルガ達を見て疑問府を浮かべるディケイド(進)。

 

 

『だが報告ではディケイドと一緒にいたのは男だったのだろう?!まさか…あの女は男かッ?!』

 

 

セカンド『んなッ?!わ、私はれっきとした女だぁぁぁぁぁぁぁーーッ!!!』

 

 

ディケイド(進)『何か話が噛み合わねぇが…とにかくコイツ等を倒すか!行くぞこなた!』

 

 

ディケイド(進)とセカンドはライドブッカーをソードモードに変え、レジェンドルガ達に突っ込んで戦闘を開始した。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界③

 

 

―光写真館―

 

 

零「……んで、少しは落ち着いたか?」

 

 

優矢「あ、あぁ……悪い、勝手に一人で騒いで……」

 

 

なのは「い、いいよそんなの!誰だって最初は驚くに決まってるしっ……」

 

 

あれから数十分後。零達は優矢にヴィヴィオの事、自分達がヴィヴィオの保護責任者になっている事を簡単に説明し騒いでいた優矢をなんとか落ち着かせた。

 

 

ティアナ「けど、これからどうするんですか?ヴィヴィオはあの二人に連れていかれたわけだし…」

 

 

スバル「というか…あの二人はヴィヴィオをどうする気なんだろ…」

 

 

零「それは……俺にもわからない。だが、今俺達にとって重要なのはヴィヴィオの救出だ。今はそれだけを考えよう」

 

 

ヴィータ「だけど、問題はどうやってヴィヴィオを助けるかだろ?あたしらは今デバイスも魔法も使えない…戦えるのは零と優矢と、Kウォッチを持ってるなのはだけなんだぞ……」

 

 

なのは「……うん」

 

 

そこまで話すと、誰も口を開かなくなりその場は沈黙となる。

 

恐らくクアットロ達やヴィヴィオはあの城にいると思うが、詳しい城までの道がわからない。それにこちらで戦えるのはたったの三人だけ。城まで向かう途中にはクアットロが放った追っ手のレジェンドルガ達が今も零達を探しているはずだ。

 

 

それをいちいち相手しながら敵の本拠地に突っ込むのは無謀すぎるだろう。零達はいい考えが全く浮かばず、どうすればいいのかと途方に暮れていると…

 

 

 

「──どうした?何やらお困りの様だな?」

 

 

 

『ッ?!』

 

 

 

突如、その場に聞き慣れぬ声が聞こえ零達は慌てて辺りを見渡した。すると窓の向こうから何かが写真館の中の様子を覗いているのに気づき、零は窓を開け放った。其処には…

 

 

零「お前は…ッ?!」

 

 

優矢「あん時の黒コウモリ?!」

 

 

アースキバット「…失礼だな。私にはアースキバットというちゃんとした名があるのだぞ」

 

 

そう、其処にいたのは宙を羽ばたくトーレと共にいた黒いキバット……アースキバットであり、いつの間にか写真館の近くにまで近付いていたアースキバットに一同は敵意の込めた目で睨みつける。

 

 

零「テメェ…一体何しに此処へ来やがった?」

 

 

低い声で零がそう問うと、アースキバットは近くにある木の枝に止まって零を見据える。

 

 

アースキバット「何、私はただ主達の命でお前達を迎えに来ただけだ」

 

 

零「……なに?」

 

 

スバル「む、迎え…?」

 

 

アースキバットの言葉の意味が理解出来ず零達の頭上に疑問符が浮かび上がる。そんな零達を他所にアースキバットは肯定の意味を込めて頷いた。

 

 

アースキバット「そうだ。私の主がお前達を客として城に招き入れたいらしい」

 

 

『…………』

 

 

予想外の返答に零達は唖然としてしまう。零はそんなアースキバットを再び睨みつけた。

 

 

零「何訳のわかんねぇ事言ってんだよ。こっちは殺され掛けたんだ、そんな話信じられるわけないだろ」

 

 

ティアナ「そうよ!そんな事言って、本当は私達を罠に嵌めようって魂胆なんじゃないの?!」

 

 

二人はアースキバットを警戒しながら言う。当然だろう。敵である彼等がこんな簡単に自分達をテリトリーに入れようとするなんて警戒するなという方が無理がある。何かの罠では?と考える零達だが、アースキバットはそんな零達の反応に溜め息を吐いた。

 

 

アースキバット「こちらとてお前達を招きたくなどない。だが、私の主がその男を大層気に入ったらしくてな……お前に会ってみたいなどと言い出したのだ」

 

 

零「……俺を?」

 

 

アースキバット「そうだ。もしお前達が城に来るなら、あの子供にも会わせてもいいと言っていたが…」

 

 

なのは「ッ!?ヴィヴィオは無事なんですか?!」

 

 

ヴィヴィオの安否をなのはが問い詰めると、アースキバットは「あぁ」と頷いた。ヴィヴィオの無事を聞いたなのははホッと胸を撫で下ろす。

 

 

零「……ちょっと待ってろ」

 

 

―カタンッ―

 

 

零は一度窓を閉めると、頭を抱えて溜め息を吐いた。

 

 

零「わけわかんねぇぞ…。あいつら一体何考えてんだ…」

 

 

優矢「でも…これってある意味チャンスだよな?これなら苦労せずに城へ行ける訳だし!」

 

 

スバル「そうですよ!それにこのチャンスを上手く使えば…ヴィヴィオを助ける事が出来るかも!」

 

 

確かに、これならわざわざ城に向かうまでにレジェンドルガ達の相手をせずに城へ入る事が出来るし、ヴィヴィオの救出も余り難しい事にはならないかもしれない。このチャンスを逃すわけにはいかないだろう。

 

 

零「…そうだな。アイツ等の言う通りになるのは癪だが、これで城に殴り込む手間が省けるし、それに…奴らの主とかいうのも気になる……奴らの誘いに乗ってみるか」

 

 

その後、零は少しの間だけアースキバットを外で待たせて皆と作戦会議を始めた。まずは先に零となのはがアースキバットについて行き、その後にスバルとティアナがアースキバットに気付かれない様に離れた位置から二人の後を追って城へと潜入し、ヴィヴィオを救出。優矢とヴィータはもしもの時の為に写真館で待機という方針に決まった。

 

 

零「よし、じゃあ……行くぞ…!」

 

 

一通りの作戦を立てた後、零となのははアースキバットに城への案内を頼むと写真館を出て城へと向かって行く。それから少しした後にスバルとティアナが二人の後を追って写真館を出ていった。

 

 

優矢「皆、大丈夫かな…」

 

 

ヴィータ「心配すんな。あいつらはそう簡単にやられる様な奴らじゃねぇよ…」

 

 

四人を見送った二人も写真館の周りを警戒しながら外の戸締まりをしっかりして中へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

気がつけば辺りは既に夜。空には満月が浮かび美しい輝きを放っていた……。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界④

 

―魔界城・廊下―

 

 

アースキバットに案内され、彼等の本拠地『魔界城』へとやって来た零となのははアースキバットの後ろをついて異様に長い廊下を歩いていた。

 

 

零「はあー……結構立派な城なんだな……」

 

 

城の内部の豪華な作りに率直な感想を口にする零。

 

 

アースキバット「そうであろう?この城は数千年もの歴史ある城でな。我々にとってもこの城は貴重な宝の一つなのだ」

 

 

零「なるほど……」

 

 

やけに得意げなアースキバットに適当に相打ちを打ちつつ、零はなのはに視線を向けると、なのはもこちらへと視線を向けて互いに小声で会話する。

 

 

零(なのは、あの二人は?)

 

 

なのは(大丈夫、ちゃんとお城に入ってそのままヴィヴィオを探しにいったみたいだよ)

 

 

零(そうか…よかった…)

 

 

零は心中で安心すると目の前のアースキバットに視線を向けた。取りあえず今はあの二人がヴィヴィオを助け出す事を信じよう。そう考えているとなのはが再び話し掛けて来た。

 

 

なのは(ねぇ零君?私……あのコウモリさんが言ってた主って人の事で、少し気になってる事があるんだけど…)

 

 

零(……何か気づいたのか?)

 

 

なのは(うん……何となくではあるけど……零君も、もしかして気付いてる……?)

 

 

零(……俺もなんとなくだけどな………捕まったはずのナンバーズがこの世界にいるなら、"奴"がいても可笑しくない…)

 

 

二人は会話の中で、ある男の姿を頭の中に思い浮かべた。自分の望みを叶える為に生体改造や戦闘機人など人の道を踏み外した研究を続けヴィヴィオやナンバーズ達を利用して管理局に反乱を起こした科学者。

 

 

その科学者の反乱は零達の世界で『JS事件』としてその名を残しその事件後、第9無人世界の「グリューエン」に存在する軌道拘置所に投獄されていたはずだが、もしその男がこの世界にいるのだとしたらクアットロ達がヴィヴィオを狙った理由も頷ける。そんな時……

 

 

アースキバット「──さぁ、着いたぞ。この扉の先が主達のいる……王座の間だ」

 

 

アースキバットの声で会話を切り上げ、二人はそこで一旦思考を中断し目の前に目を向ける。そこにあったのは石造りで出来た巨大な扉。アースキバットは二人を扉の前まで案内すると何処かへと飛び去っていった。それを見送った零は巨大な扉に歩み寄って扉に手を掛ける。

 

 

零「……よし、行くぞ」

 

 

なのは「…うん」

 

 

二人は警戒心を強め、巨大な扉をゆっくりと開けると、王座の間へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

──一方その頃、魔界城に侵入したスバルとティアナはヴィヴィオを探して魔界城の中を駆けずり回っていた。

 

 

スバル「ねぇティア!忍び込んだのはいいけど、これからどうするの?!」

 

 

ティアナ「取りあえず部屋を一つ一つ探すしかないでしょ!出来るだけ早くヴィヴィオを見つけて零さんとなのはさんの所に戻らないと!」

 

 

二人は目に映る部屋を全て調べていくが、見る部屋見る部屋が空部屋ばかり……。

 

 

スバル「え~ん!ヴィヴィオ~!どこにいるの~!?」

 

 

ティアナ「いいからさっさと探しなさいよ!ほら、次はあっちの部屋!」

 

 

やはり城という事もあり、広い上に部屋の数も多すぎる。そんな中で一人の少女を探すのは困難だ。それでも二人は片っ端からそれらしい部屋を調べてヴィヴィオを探していく。そんな時……

 

 

スバル「えっと……あれ?ねぇティア、あれ何だろ?」

 

 

ティアナ「え?」

 

 

スバルが廊下の曲がり角を曲がると何かに気づき、その方を指で示す。其処にあったのは…

 

 

ティアナ「階段…?」

 

 

其処にあったのは、地下へと続く薄暗い階段だった。二人はそれに近寄ると階段の奥を覗いた。奥は不気味な程暗くて何も見えず何処か怪しく感じる。だが、この奥から微かに声の様なものが聞こえて来る。

 

 

スバル「ティア…もしかして!」

 

 

ティアナ「えぇ、もしかしたらヴィヴィオはこの奥に……行くわよスバル!」

 

 

スバル「うん!」

 

 

もしかしたらヴィヴィオはこの奥に捕まってるのではと予想し、二人は地下へと続く薄暗い階段を駆け降りて奥へと進んでいった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑤

 

一方その頃、王座の間。

 

 

 

「ようこそ、お待ちしておりました」

 

 

零となのはが王座の間に入ると同時に、王座の脇に控えているウェーブの掛かった薄紫の女性が丁寧にお辞儀をして二人を迎え入れた。

 

 

零「………」

 

 

なのは「………」

 

 

二人は何も言わずに無言で部屋の中心へと歩いて行くが、二人の表情は険しい。その原因は部屋の一番奥にある王座に座っている男にあった。肩まで伸びる紫色の長髪に金色の瞳をした白衣の男。その男の姿を見て零は思わず頭を抱えたくなる。

 

 

出来れば外れていて欲しかった予想通りの人物であるその男は、そんな零の心境を知らずに零を見て喜びの表情を浮かべながら王座から立ち上った。

 

 

「やぁ、よく来てくれたね、黒月零君。何やら痛々しい格好をしているが、大丈夫かね?」

 

 

男は身体中包帯だらけの零を見て心配そうに問うが、その表情は笑っている。零はその男の態度に苛立ちを感じながらも表情には出さずに淡々と答える。

 

 

零「お前に心配される筋合いはねぇよ、というか…何故の俺の名を知ってる?お前に俺の名前を教えた記憶はないんだが」

 

 

「あぁ、君の事はこちら側で調べさせてもらったよ。君自身にはとても興味が沸いたからね。どうしても会いたかったんだよ…君に」

 

 

両手を広げながら愛おしそうに呟く男の言葉に零は一瞬寒気を感じ、自分の肩を両手で摩りながら目の前の男に答える。

 

 

 

零「そうかい。こっちはお前の面なんて二度見たくなかったよ………"ジェイル・スカリエッティ"」

 

 

 

零は男…「ジェイル・スカリエッティ」を敵意の込めた目で睨みつける。するとスカリエッティは妖気な笑みを浮かべながら王座に腰を下ろした。

 

 

ジェイル「嬉しいよ。君に私の名を覚えていてもらって」

 

 

零「ふざけろ、こっちはお前の事なんて綺麗サッパリ忘れたいんだよ。…そんな事よりもヴィヴィオは何処だ?何処にいる!」

 

 

声を荒らげてヴィヴィオの居場所を問い詰める零だが、スカリエッティはそんな零の形相を見てもただ妖気な笑みを浮かべているだけだった。

 

 

ジェイル「あの子なら無事さ。今は城の地下に閉じ込めているがそれ以外は何もしていない。安心していいよ」

 

 

なのは「なら今すぐヴィヴィオを返して!あの子は何も関係ないんだから!」

 

 

なのはが身を乗り出して叫ぶ。が、スカリエッティは怪しい笑みを浮かべたまま首を横に振る。

 

 

ジェイル「残念ながら、私の望みを叶える為にもあの子の力は必要不可欠だからね。それは出来ないんだよ。ふふふ」

 

 

なのは「っ!」

 

 

零(くそっ…やっぱりそう簡単にはいかないか…ヴィヴィオの事はスバル達に任せるしかないな…)

 

 

スバル達がヴィヴィオを助け出すのを信じ、今はこの男を捕まる事だけに専念すべきか。零はそう考えながら一歩前に出て目の前の男を睨む。

 

 

零「幾つかお前に質問がある。お前の目的なんだ?ヴィヴィオを使って、今度は何をしでかすつもりだ?」

 

 

目の前の男がヴィヴィオを狙うのは、恐らく聖王の力が関係していると思うが明確な理由はわからない。それが気になった零は目の前の男に直接問い質すと、スカリエッティは手の平を上に徐に手を伸ばす。

 

 

ジェイル「世界を旅している君達なら、既に知っているだろう?私達の世界と並行して存在する、数多の世界の事を…」

 

 

零「ッ!何でその事を……というかお前、ライダー達の世界を知ってるのか?!」

 

 

ジェイル「勿論だとも。世界が滅びようとしていたあの日、私達は突然現れた歪みに飲み込まれてこの世界へと辿り着いた。その後はこの城を拠点に、この世界について少しずつ調べていった。……そこで始めて知ったんだよ!私達の世界とは違う並行世界!それぞれの世界に存在するライダー達!そしてレジェンドルガの力を!」

 

 

今までの経緯を話していく中で興奮状態へと変わり、それでも声高らかに話を続けるスカリエッティ。

 

 

ジェイル「私達の世界では不可能だった事も可能に出来る力!魔法と対等……いやそれ以上の力を持つかもしれないライダー達!……心が揺さぶられたよ。それらを知って私はライダー達が、全ての並行世界が欲しくて堪らなくなった!だから私はこの世界で新たな力を手に入れ、この力を使って数多の世界を私の手に収める!それが私の新たな望みなのだよ!ふふふ……ふはははははははははは!!」

 

 

自らの新たな野望を語り、狂った様に笑うスカリエッティ。だがそんなスカリエッティの目的を聞き、なのはは怒りをあらわに叫ぶ。

 

 

なのは「そんな…そんな事の為に、貴方はまたヴィヴィオを利用するって言うの!?」

 

 

ジェイル「もちろん!あの子の中に眠る聖王の力に、私が独自に開発したライダーシステムとレジェンドルガの力を合わせればあの子は最強のライダーとして生まれ変わる!そうなれば数多の世界を手に入れるのもたやすい事だからね!」

 

 

なのは「ッ!ふざけないで!そんな事――ッ?!」

 

 

怒りを抑え切れず、スカリエッティに向かって思わず飛び出そうとしたなのはを零が手で制してそれを止めた。

 

 

なのは「零君!?」

 

 

零「…ジェイル・スカリエッティ。お前の目的はヴィヴィオとレジェンドルガ達を使って他の世界を手に入れる事。それで間違いないな?」

 

 

ジェイル「そう!そしてその為に、君のディケイドとしての力が欲しいんだよ!世界の破壊者である君の力さえあれば、私の夢を阻まんとする者達を消し去る事が出来る!私が世界を手にする事は約束されたも当然だからね!」

 

 

零「…………」

 

 

興奮冷めやらぬ様子で語り続けるスカリエッティだが、零は無表情のままで口を閉ざしている。それでも構わず、スカリエッティは玉座から身を乗り出して歪な笑みを向ける。

 

 

ジェイル「無論ただでとは言わない。君は確か過去の記憶がないのだろう?それも安心するといい。この世界に来てから、実は君の事を調べる中で君の過去の手掛かりになりそうな物を手に入れてね」

 

 

なのは「ぇ……零君の、過去……?」

 

 

零の失われた過去に関する手掛かり。その話を聞かされたなのはの顔に動揺が浮かび、スカリエッティは両手を広げ嬉嬉として叫ぶ。

 

 

スカリエッティ「私が君に興味を抱いたのはそこからさ!君にはとてつもない秘密がある!知られざる異聞がある!私はそれを解明したい!故にだ!世界を手に入れた暁には私がその記憶を取り戻す手伝いをしようじゃないか!」

 

 

そう言って、スカリエッティは零に向けて手を伸ばす。それが意味するのは仲間になれと言う意味だろう。

 

 

スカリエッティに協力すれば失われた過去を取り戻せるかもしれない。その可能性をチラつかされ、なのはは不安げな表情を浮かべて零を見つめる。そして、その肝心の零の答えは……

 

 

 

零「……なるほどな。お前の言いたい事はだいたい分かった……が、興味ないな」

 

 

 

戸惑う事も迷う事もなく、スカリエッティの誘いをバッサリと斬り捨てた。

 

 

ジェイル「……何だって?」

 

 

零の返答にスカリエッティが思わず聞き返すが、零は何も言わずに懐からディケイドライバーを取り出して構える。

 

 

ジェイル「……何のつもりかね?」

 

 

零「何?決まってるだろ。脱走した犯罪者をもう一度逮捕するんだよ」

 

 

当たり前の様にいいながらディケイドライバーを腰に装着すると、零はライドブッカーからディケイドのカードを取り出す。

 

 

なのは「零君……!」

 

 

零「だいたい、俺達がここに来たのはそんな馬鹿げた妄言を聞く為でも、お前のくだらない目的を手伝う為の駒になりたくて来たんじゃない…俺達の目的は最初からヴィヴィオを取り戻す事と……お前のその面ぶん殴りに来ただけなんだからな……!変身!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

迷いのない答えを告げてディケイドのカードをバックルに装填すると電子音声が鳴り、零はディケイドに変身して身構えた。

 

 

ジェイル「……交渉決裂か……ならば仕方ない。こちらもこちらなりのやり方で君を手に入れるとしよう。ウーノ」

 

 

ウーノ「はい、ドクター」

 

 

スカリエッティに呼ばれた女性…ウーノは短く答えると、彼女の立つ床下が開いてそこから大型のコンソールの様な機械が上がってくる。その機械が安定置に止まるとモニター及びコントロールパネルが出現し、ウーノは指先を走らせて機械を操作する。

すると…

 

 

―バチィッ!バシュュュュュュュュッ!!!―

 

 

ディケイド『ッ……?!なッ!?』

 

 

なのは「な、なに?!」

 

 

突如王座の前が激しく輝き出し、ディケイドとなのはは眩しさに耐え切れず目を瞑った。暫くすると光りが徐々に治まっていき、二人は目を開けて目の前を見ると、其処には……

 

 

『グゥゥゥゥ…』

 

 

白銀の肉体に、両手には巨大な爪の様な武器を付けた一体のレジェンドルガが王座の前に佇み、二人を睨み付けて唸り声を上げる姿があった。

 

 

なのは「あれは…!?」

 

 

ジェイル「私が以前レジェンドルガの研究をしていた時に造った人造レジェンドルガだ。これを使って君を手に入れるよ…ディケイド」

 

 

スカリエッティが左手を上げて指を鳴らすと、人造レジェンドルガが二人にゆっくりと近づいて来る。

 

 

ディケイド『…ッ…下がれなのは!早く!』

 

 

なのは「う、うん!」

 

 

なのはを下がらせながらディケイドはライドブッカーをSモードに変え、人造レジェンドルガ向けて構える。

 

直後、人造レジェンドルガは獣の雄叫びと共に両腕の爪を振りかざし、ディケイドに飛び掛かったのであった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑥

 

その頃、魔界城の地下。

 

 

其処には砂埃などで汚れた複数の独房が存在し、その中にある一つの牢屋に一人の少女が汚れた部屋の隅で膝を抱えて縮こまる姿があった。

 

 

「っ…ッ…うぅ……」

 

 

少女の瞳から涙の粒がこぼれ落ちそうになるが、涙が落ちる前に少女はすぐにそれを拭いて再び顔を俯かせる。

 

 

小さいツインテールをした金髪の髪に左右の目が赤と緑のオッドアイの少女。その少女こそ、零となのはの娘であり彼等が今助け出そうとしている少女……ヴィヴィオだった。

 

 

ヴィヴィオ「うっ……ッ…」

 

 

ヴィヴィオは泣きそうな表情を浮かべているが、その瞳から涙が溢れそうになるのを必死に堪えていた。

 

 

するとヴィヴィオは目尻に溜まった涙を拭き、何かを決心したようにその場から立ち上がり入り口の扉に近づいて扉を開けようとする。

 

 

だが案の定、扉には鍵が掛かっていて扉は開きそうになく、扉からの脱出は諦めて室内を見回すと、扉の向かいにある壁の一番上に小さな窓があるのを見つける。

 

 

彼処からなら抜け出せるかもしれない。一抹の望みをから、ヴィヴィオはその窓から外へ脱出しようと考えて壁をよじ登ろうとした。そんな時…

 

 

―ドゴォオンッ!!!―

 

 

ヴィヴィオ「ひっ!?」

 

 

突如、入り口の扉が何かによって突き破られ、ヴィヴィオは突然の事に驚いて尻餅をついてしまう。砂煙が辺りに立ちのぼっているせいで入り口の向こうがよく見えないが、煙の中で二つの影がうごめいているのに気づき、ヴィヴィオはまたあの怪物達が来たのではないかと思い震える身体を抑えながら入り口を見据える。するとその内の一つの影が牢屋の中へと入って来て…

 

 

スバル「──いた!ティア!ヴィヴィオ見つけたよ!」

 

 

ヴィヴィオ「……え!?」

 

 

扉の向こうから現れたのは、レジェンドルガではなく、魔界城に侵入してヴィヴィオを探していたスバルだったのだ。予想とは違う人物の登場にヴィヴィオは驚きを隠せずにいた。

 

 

ヴィヴィオ「お姉ちゃん、なんでここに…?」

 

 

スバル「ヴィヴィオが捕まってるって聞いたから、助けに来たんだよ。もう大丈夫だからね。すぐに零さん達にも会えるから」

 

 

ヴィヴィオ「パパ達に…?」

 

 

ヴィヴィオの言葉にスバルは「うん」と頷いて返し、ヴィヴィオを連れ部屋から出ようとした。その時、スバルはヴィヴィオの腰に着いているある物に気づき首を傾げた。

 

 

スバル「あれ?ねぇヴィヴィオ、そのベルトは?」

 

 

そう、ヴィヴィオの腰には黒と白のツートンカラーをしたベルトが装着されていたのだ。スバルはそれが気になってヴィヴィオに聞くが、ヴィヴィオはその問いにわからないと首を横に振った。

 

 

ヴィヴィオ「わかんない……部屋の中で起きたら最初から着いてて…外そうとしたけど全然取れなくて…」

 

 

ヴィヴィオにそう言われてスバルは試しにそのベルトを外そうとしてみたが、何かで固定されているのか確かに外れない。

 

 

スバル(う~ん……?なんだろこれ、爆弾……とかには見えないし、それになんか、零さんや優矢さんのベルトにも似てる気が──?)

 

 

ティアナ「スバルッ!何やってんの!?ヴィヴィオを見つけたんならさっさと逃げるわよ!」

 

 

何だか既視感のあるベルトに首を傾げる中、外で見張りをしていたティアナの声が聞こえスバルは思い出した様に声を上げて入り口の方に振り向いた。

 

 

スバル「あっ、ゴメン!すぐに行くから!さっ、ヴィヴィオ!早く逃げよ!」

 

 

ヴィヴィオ「う、うん!」

 

 

取りあえずベルトの事は後回しにし、スバルはヴィヴィオを背中に抱えて牢屋の外へと出るとティアナと合流する。

 

 

ティアナ「遅い!」

 

 

スバル「ご、ごめん!ちょっとあって!…それより、これからどうするの?」

 

 

ティアナ「……そうね……取りあえずヴィヴィオは助け出せたし、今から零さん達と合流して……これをなのはさんに渡さないと」

 

 

ティアナは自分のポケットから取り出した銀色の腕時計…Kウォッチを見ながら呟く。

 

 

元々はなのはの持ち物なのだが、今回の潜入にて何が起きるか分からないからと、なのはが写真館を出る前に事前にティアナに渡しておいたのだ。

 

 

スバル「あ、そっか。でも零さん達の居場所は…」

 

 

ティアナ「それなら零さん達と別れた場所までいけば何とかなるでしょ…とにかく急ぐわよ!」

 

 

スバル「ん、わかった!」

 

 

仮にレジェンドルガが襲ってきても、ライダーの力さえあれば何とかなる。ティアナはもしもの為にとKウォッチを左腕に装着し、ヴィヴィオを抱えたスバルと共に自分達が来た道を戻って地下から抜け出していった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、ヴィヴィオが捕まっていた部屋から離れた牢屋では……

 

 

こなた「───あれ? 今人の声が聞こえた様な…もしかして誰かいる!?おーい!!おーーい!!!」

 

 

地下牢の一番奥の牢屋にて、レジェンドルガ達との戦いで不覚を取り、捕まってしまっていたこなたがスバル達の声に気づいて扉を叩きながら大声を上げる。だが、既にスバル達は地下から脱出していた為にこなたの声は届いていなかった。

 

 

こなた「うう……どうしよう……このままじゃ……」

 

 

こなたは一瞬諦めてその場にしゃがみ込んでしまう。がその時……

 

 

―ドゴォォォンッ!―

 

 

こなた「ひょわああああっ!?な、なに?!」

 

 

突然前触れもなく牢屋の扉が突き破られ、慌ててこなたは扉の側から離れると砂埃が立ちのぼる扉の向こうを見た。すると砂埃の向こうから何かが牢屋の中へと入って来る。

それは……

 

 

進「こなた!無事か!?」

 

 

ゆたか「お姉ちゃん!大丈夫!?」

 

 

こなた「す、進!?ゆーちゃん!?」

 

 

牢屋の中に入って来たのは、こなたを救出しに魔界城に侵入した進とゆたかであり、思わぬ救援にこなたは目を丸くするのであった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑦

 

 

地下に監禁されていたヴィヴィオを助け出したスバルとティアナは、零となのはがいる王座の間へと向かって城の廊下を走っていた。

 

 

スバル「ティア!本当に零さん達はこの先にいるの!?」

 

 

ティアナ「此処までずっと一本道だったから多分そうだと思うけど…!とにかく今はこの道を辿っていくしかないでしょ!」

 

 

二人は王座の間に向かって続いていると思われる一本道の長い廊下を走り続ける。暫く二人が廊下を走り続けていると、長い廊下の一番奥、他の部屋の扉に比べてやけに仰々しい王座の間の入り口である石造りの扉が見えて来た。

 

 

スバル「ッ!ティア!もしかしてあそこが…!」

 

 

ティアナ「えぇ!多分あの先に零さんとなのはさんが……スバル!このまま突っ込むわよ!」

 

 

スバル「うん!ヴィヴィオ、しっかり掴まってて!」

 

 

ヴィヴィオ「う、うん!」

 

 

スバルに言われ、ヴィヴィオはスバルの肩にがっちりと掴まる。それを確認したスバルはティアナと共に廊下を疾走して一気に扉へと向かおうとするが……

 

 

 

―ドゴオォォォォォッ!!!―

 

 

『……ッ!?』

 

 

突如、二人の目の前で廊下の壁が巨大な爆発を起こし二人は突然の出来事に思わず足を止めた。

 

 

辺りが黒煙に包まれる中、その壊れた壁の奥から数体のレジェンドルガ達と一人の少女が現れ二人の目の前に立ちはだかる。

 

 

その少女を見たスバルとティアナは目を見開いて驚愕の表情を浮かべた。

 

 

ティアナ「あ、貴方は…!?」

 

 

トーレ「──なるほど。地下からあれを持ち出したのはお前達だったのか。これは予想外の獲物が掛かったものだ」

 

 

二人の目の前に立ちはだかる少女……トーレは二人を睨みつけながら呟き、スバルとティアナも突然現れたトーレに戸惑いを隠せずにいた。

 

 

スバル「な、何でこんな所にナンバーズが…!?」

 

 

トーレ「何故?可笑しな事を訊く。此処は元々我々の塒なのだから何処にいようと不思議はあるまい。……まあ強いて言うなら、お前達が此処に来るのを待って待ち伏せしていただけだ。お前達がそれを助け出した後に取る行動は城から抜け出すか、あるいはあの二人を助ける為に此処まで来るかの二つだけだろう?お前達の行動はわかりやすいからな」

 

 

ティアナ「ッ…なるほど…最初から私達の行動はそっちに筒抜けだったわけね……」

 

 

ティアナは自分達の行動がばれていたの事に内心で毒づいたが、そこで彼女の中で一つの疑問が生まれる。

 

 

ティアナ「でも、だったら何でもっと早く私達を捕まえなかったのよ?そんな回りくどい事をしなくても、貴方達なら私達が城に侵入した時点で捕まえれたはずじゃ…」

 

 

そう、考えてみれば彼女達の行動は不自然だ。何故彼女達は二人の存在に気づいた時点ですぐに二人を捕まえなかった?それが気になったティアナが問い掛けると、トーレは何処か不服げな面持ちで肩を竦めた。

 

 

トーレ「確かに、本来ならすぐにお前達の捕まえられたはずだったが、お前達が城に来る前に城へ侵入した奴らがいてな。そいつ等を追っていたせいで今までお前達の存在に気づけなかった。私達がお前達の存在に気づいたのはお前達が地下からそれを持ち出した後だったからな」

 

 

スバル「?…私達以外の…侵入者…?」

 

 

どういう事だ?とトーレの言う自分達以外の侵入者という言葉に疑問符を浮かべるスバルとティアナだが、トーレはそれ以上は語らず、そんな二人に向けて手を伸ばした。

 

 

トーレ「まぁ、此処から先の話はお前達には関係ない事だ。……それより、それをこちらに渡してもらおうか?私達も今は忙しい身でな。お前達と遊んでいる暇はないんだ」

 

 

ヴィヴィオ「う…ッ」

 

 

トーレがそういうとヴィヴィオは怯えた表情を浮かべた。それを見た二人は互いに顔を見合わせると、目を閉じて顔を俯かせる。

 

 

トーレ「さぁ、早くしろ。大人しく渡すなら命だけは助けてやる。お前達もこんな所で死にたくは……」

 

 

ティアナ「――断らせてもらいます」

 

 

トーレ「……何だと?」

 

 

ティアナが俯かせていた顔を上げ、力強い表情でトーレに答えた。予想とは反対の答えにトーレは険しい表情を浮かべ、隣に立つスバルにも視線を向けるが、スバルもティアナと同様の表情でトーレを見据えていた。

 

 

スバル「私達はヴィヴィオを助ける為に此処まで来たんです!だから、貴方達にヴィヴィオを渡したりはしません!」

 

 

ティアナ「貴方達がまたヴィヴィオを利用しようとするのなら、私達は全力でヴィヴィオを守る!貴方達なんかに…ヴィヴィオは絶対に渡さないッ!」

 

 

ヴィヴィオ「お姉ちゃん……」

 

 

トーレ「……交渉決裂か……ならば仕方ないな……アースキバット!」

 

 

淀みのない眼差しを向ける二人にこれ以上の交渉は無駄と判断し、トーレが腕を掲げると何処からかアースキバットが現れてその手に握られ、同時にトーレの腰に黒いベルトが現れた。

 

 

トーレ「変身!」

 

 

アースキバット「変身!」

 

 

アースキバットが掛け声と共に黒いベルトの止まり木部分に止まると、トーレはアースへと変身していった。

 

 

アース『ドクターの望みにそれは必要不可欠だからな。返してもらうぞ……』

 

 

ティアナ「…ッ!スバル!下がってて!あいつ等は私が何とかする!」

 

 

スバル「えっ…?!で、でも大丈夫なのティア!?」

 

 

ティアナ「…本音言っちゃえばあんまり大丈夫じゃないけど…でもやるしかないでしょ!あんたやヴィヴィオの事は…私が任されたんだから!!」

 

 

ティアナはトランスに変身しようと、Kウォッチの画面下にある小さいボタンを軽く押す。すると時間を表示していた画面が切り替わって一つのエンブレムが浮かび上がりティアナは画面に表示されているエンブレムをタッチした。

 

 

『RIDER SOUL HEAT!』

 

 

電子音声が鳴り響きティアナの腰が激しく輝き出してすぐにその輝きが徐々に治まっていった。だが……

 

 

ティアナ「……え?な、何これ!?なのはさんのベルトと違う…?!」

 

 

そう、輝きが治まると、ティアナの腰に装着されていたベルトはなのはが使っていたトランスドライバーではなく、赤と白のツートンカラーをした全く別物のベルトだったのだ。以前になのはが使っていたのとは違うそれを見てティアナは動揺してしまうが、右手にいつの間に何かが握られているのに気づき、自分の右手を見てみる。それは…

 

 

ティアナ「これ…ケータイ?」

 

 

ティアナの右手に握られていた物は、ティアナの腰に装着されているベルトと同じ色をしたケータイだったのだ。ティアナはそのケータイを開きケータイの画面を見ると、何故か自然と頭の中にそれの操作方法が浮かび上がっていく。

 

 

スバル「ティアッ!危ない!!」

 

 

ティアナ「ッ?!」

 

 

突然後ろからスバルの悲痛な声が響き、ティアナは慌てて前を向くと、目の前からレジェンドルガの拳が自分に向けて振りかざれていた。

 

 

『ヌゥアアアアッ!!』

 

 

ティアナ「くっ!」

 

 

―ドゴォンッ!!―

 

 

迫る拳を前に、ティアナは咄嗟に地面を転がる様にしてギリギリでかわし、レジェンドルガの拳は狙いを外して壁を突き破った。

そしてティアナはすぐに態勢を立て直してケータイを開くと、頭の中に浮かび上がった数字である8・1・0とボタンを入力し、最後にエンターキーを押した。

 

 

『Standing by…』

 

 

エンターキーを押すと電子音声が響き、ティアナはケータイを閉じてケータイを持つ右腕を空高く掲げる。

 

 

ティアナ「変身ッ!」

 

 

『Complete!』

 

 

高らかに叫びながらティアナがバックル部分にケータイをセットした瞬間、ティアナの全身を赤白いラインが駆け巡り、辺り一面が強い輝きに包まれていく。

 

 

アース『な、何?!』

 

 

スバル「ま、眩しいッ!」

 

 

その場にいた全員がその輝きに耐え切れず、目を背けた。すると次第にその輝きが治まっていき、全員が目を開いてティアナの方へと目を向ける。其処には……

 

 

アース『…ッ?!な、何だ…あれは?!』

 

 

スバル「…ティア…なの?でもあれって……トランスじゃない?!」

 

 

そう、スバルの言う通り、変身したティアナの姿はトランスではなく、赤と白のツートンカラーの装甲に黄色い光を放つH型の瞳。その姿は以前一度だけ零が変身したファイズや、キバの世界で戦ったカイザと同系統のライダーに見える。

 

 

これこそが、ティアナの変身した彼女専用のライダー、ファイズタイプの『仮面ライダーヒート』だ。

 

 

ヒート『こ、これは……何だかよくわからないけど、これなら!』

 

 

ヒートに変身したティアナは自分の姿に一瞬驚くが、全身から湧き上がる信じられない力で自信に満ち、アース達に向かって身構えた。

 

 

アース『ちっ、面倒な事に……お前達!すぐに奴等を消せ!絶対にドクターの下には向かわせるな!』

 

 

『ウオォオオオオオオオオオオ!!』

 

 

ヒートを見て危険と感じたアースがレジェンドルガ達に命令すると共に、レジェンドルガ達が一斉にヒートに向かって襲い掛かる。

 

 

ヒート『スバル!ヴィヴィオをお願い!』

 

 

スバル「……?!わ、分かった!」

 

 

未だ放心状態だったスバル達を下がらせ、ヒートは向かって来るレジェンドルガ達を迎え撃つ。

 

 

ヒート『ハアッ!セアッ!ハァッ!』

 

 

『グガァアアアッ!』

 

 

『グオォッ?!』

 

 

最初に飛び掛ってきたレジェンドルガの爪を掻い潜って避けながら背後から腰を蹴り飛ばし、続けて殴り掛かってきた個体の繰り出す拳を護身術の要領で捌きながら別のレジェンドルガにぶつけ合わせる。完全に相手の動きを読んだ体捌きで数の優劣差をものともしないヒートだが、

 

 

アース『ハアァァッ!!』

 

 

ヒート『ッ?!くっ!』

 

 

其処へアースが死角からヒートの隙を突いて蹴り技を打ち込み、ヒートは突然の攻撃に怯みながらもアースが放つ打撃技をかわしながら後退していく。

 

 

アース『どうした?!威勢のいい事を言っておきながら、この程度か!』

 

 

―ドゴオォオオオッ!!―

 

 

ヒート『ガハッ!』

 

 

スバル「ティア!?」

 

 

アースの強烈な回し蹴りが顔面に炸裂して吹っ飛ばされ、地面に倒れてしまうヒート。それを見て好機と見たレジェンドルガ達が一斉にヒートに襲い掛かる。

 

 

ヒート『クッ!甘くみないでよ…!こっちはまだ本気じゃないんだから!』

 

 

地面を転がってレジェンドルガ達の攻撃を避けながらすぐさま身を起こし、ヒートは左腰に装備しているHを模した形の武器……ヒートブレイガンを手に取り、ベルトのバックル部分に付いているミッションメモリーをヒートブレイガンに装填した。

 

 

『Redy!』

 

 

電子音声が響くと共に、ヒートはブレイガンの柄部分を掴んで二つに別ける。すると、二つに別かれたブレイガンに赤い光を放つ刀身が現れて双剣へと変わり、レジェンドルガ達に向かって一気に駆け出した。

 

 

ヒート『ハアァァァ!ハアァッ!!』

 

 

―ブォオオンッ!ザシュウゥッ!ザシュンッ!ザシュッ!―

 

 

『グアァァッ?!』

 

 

『ゴウゥッ?!』

 

 

舞うようにして双剣を振りかざし、すれ違い様に切り伏せてゆくヒートの剣舞を前にレジェンドルガ達は為す術もなく次々と吹っ飛ばされていく。

 

 

アース『貴様ァッ!』

 

 

ヒート『ふッ!セアァッ!』

 

 

―ブォンッ!ガキィイイッ!ザシュンッ!ザシュウッ!―

 

 

焦ったアースが再びヒートに向けて素早い打撃技を繰り出していくが、ヒートは左右横ステップでそれを避けながらアースの攻撃後に出来る隙を突いて双剣で攻撃していく。

 

 

アース『グッ!こ、こいつ?!』

 

 

ヒート『セアアァッ!!』

 

 

―ズバアァァッ!!―

 

 

アース『ぐあぁぁッ?!』

 

 

完全にこちらの動きを読んでるようにしか見えないヒートに驚きを隠せないアース。その隙を見逃さず、両手の剣でクロスを描くように放ったヒートの斬撃にアースも堪らず斬り飛ばされ、その隙に双剣を元の形のブレイガンに戻したヒートはバックル部分のケータイを開いてエンターキーを押していく。

 

 

『EXCEED CHARGE!』

 

 

電子音声と共にヒートがケータイを閉じると、バックル部分から右腕に向かって伸びたスーツ上のラインを赤白い光が走り、右腕に到達した瞬間、ヒートはブレイガンの銃口をレジェンドルガ達に合わせトリガーを引いた。

 

 

ヒート『ハアッ!』

 

 

―バシュッ!バシュッ!―

 

 

『ガッ?!』

 

 

『なッ?!』

 

 

ブレイガンの銃口から放たれたエネルギーネット弾がレジェンドルガ達に直撃し、動きを封じる。

 

 

それを確認したヒートはブレイガンに刃を出現させて右手に構えると、ブレイガンの刃が一際赤い輝きを放ち、それと同時にヒートの目の前にHを模する光の紋章が現れ、ヒートは光の紋章と一体化して赤い閃光となり目にも止まらぬ速さでレジェンドルガ達に向かって突っ込んでいった。

 

 

ヒート『ハアァァァァァァッ!!ヤアァァッ!!』

 

 

―ズバァアアアアアアアアアアアアッッ!!!!―

 

 

『『『ギッ……!!!?ギャアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!』』』

 

 

―ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!!―

 

 

赤い閃光となったヒートがレジェンドルガ達を一瞬の内に纏めて斬り裂き、成す術なく斬り裂かれたレジェンドルガ達は断末魔の悲鳴を上げて立て続けに爆散していった。

 

 

アース『なっ……馬鹿な?!』

 

 

目の前で起きた出来事にアースは信じられないと目を疑うが、ヒートはそんなアースに向けてブレイガンを構える。

 

 

ヒート『貴方の部下は全部片付いたわ。これ以上やるってんなら、こっちだって容赦は出来ないわよ』

 

 

アース『ッ!小娘がッ!』

 

 

アースは身を屈めてヒートと再び激突しようと踏み出し掛ける。その時……

 

 

クワットロ『──はーい、トーレ姉様?聞こえてます?』

 

 

アース『ッ!?クワットロ…!?』

 

 

ヒート&スバル『「……?」』

 

 

突然クワットロから音声通信が届き、アースはそれを聞いて足を止める。そんなアースの様子を見たヒートとスバルは不思議そうな表情を浮かべてアースを見据える。

 

 

アース『こんな時に何だ!今はお前と話ている暇はない!』

 

 

クワットロ『こっちだってちょっとヤバいんですよ~……実は城の中に侵入した奴らの正体……どうやら"あっち側のディケイド"だったみたいなんですよねぇ』

 

 

アース『ッ?!な、なに…!?』

 

 

"あっち側のディケイド"。それを聞いたアースは仮面越しに驚愕の表情を浮かべた。

 

 

クワットロ『今こっちの方であっち側のディケイド達と戦ってるんですけど…ちょっとまずい状況になってましてね。出来ればこちらへ援護に来てくれませんか?』

 

 

アース『くッ、それぐらい自分でどうにかしろ!こっちも今あれを持ち出した侵入者の相手をしているんだぞ!此処でコイツ等を逃す訳には…!』

 

 

クワットロ『でもこっちの方もドクターの大事な研究サンプルを持ち出したみたいなんですよ。それにそっちの侵入者達は今のところ城から抜け出すつもりはないみたいですし、そっちはドクターとウーノ姉様に任せても問題ないと思いますよ?』

 

 

アース『…………』

 

 

クワットロにそう言われ、アースは少し考える素振りを見せる。

 

 

アース『……分かった。今からそっちへ向かう。お前が今いる現在地を教えろ』

 

 

クワットロ『はーい。場所は――――』

 

 

アース『―――分かった。すぐにそちらへ向かう』

 

 

クワットロ『はぁい♪それじゃあお願いしますねー♪』

 

 

その言葉を最後にクワットロからの通信が切れ、アースは一度舌打ちをして何処かへ向かおうとする。

 

 

ヒート『ッ?!待ちなさいよ!あんた逃げる気?!』

 

 

アース『……逃げる?勘違いするな。お前達の相手をしている暇がなくなっただけだ』

 

 

アースはヒート達の方へと振り向くと右手を廊下の壁に向ける。それを見たヒートも思わず身構えた。

 

 

アース『この先に進みたいのなら好きにすればいい。だが、忠告はしておく。この先に進むのなら…覚悟は決めておけよ』

 

 

―バシュンッ!ドゴォォォッ!!―

 

 

ヒート&スバル『「?!」』

 

 

アースは廊下の壁に向けてエネルギー弾を放ち、辺りが爆風と黒煙に包まれアースの姿が目で確認出来なくなる。そして黒煙が少しずつ晴れていくと、其処には既にアースの姿はなく、彼女に破壊された巨大な壁の穴だけが残されていた。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑧

 

 

一方その頃、王座の間ではディケイドと人造レジェンドルガが攻防を入れ替えて激戦を繰り広げていた。人造レジェンドルガが繰り出して来る巨大な爪による攻撃をディケイドはライドブッカーで受け流しながら人造レジェンドルガに斬りかかり、人造レジェンドルガは両手の爪でそれを振り払い再び爪で攻撃するという膠着状態が続いていた。

 

 

ディケイド『チッ!ハアァッ!』

 

 

―ズバアァァンッ!!―

 

 

『グゥオォォッ!?』

 

 

そんな中で、ディケイドの放った一閃が人造レジェンドルガの脇腹にヒットし、不意を突かれた人造レジェンドルガはバランスを崩して吹っ飛ばされた。

 

 

なのは「よし……!今だよ零君!」

 

 

ディケイド『ああ、貰ったぁッ!』

 

 

一瞬のチャンスを逃さないと、ディケイドは態勢を立て直そうとしている人造レジェンドルガに向かって一気に駆け出し、ライドブッカーSモードを両手に構えて一刀両断に斬り裂いた

 

 

 

 

はずだった。

 

 

―ブオオォォンッ!!―

 

 

『グウウゥゥッ…』

 

 

『クヒャハハハハハ!』

 

 

ディケイド『?!何ッ?!』

 

 

なのは「ぶ、分離した!?」

 

 

そう、ディケイドが縦一閃に人造レジェンドルガを斬り裂いた瞬間、斬り裂かれた人造レジェンドルガの身体が二つに別れて同じ姿をした小柄なレジェンドルガ二体に分離してしまったのだ。驚いた様子のディケイド達を見て、スカリエッティは口元を吊り上げながらディケイド達に告げる。

 

 

ジェイル「ああ、言い忘れていたよ。実はそのレジェンドルガは分離体を持っていてね。もう一体のレジェンドルガを生み出して分離する事が出来るんだよ」

 

 

ディケイド『な…チィ!余計な能力を!』

 

 

ディケイドは毒づきながら二体の人造レジェンドルガが放ってくる攻撃をライドブッカーを使って防いでいくが、二体の左右同時攻撃に翻弄されて少しずつ押されていってしまう。そして…

 

 

『ヒャッハァーッ!!』

 

 

―ドゴオォッ!!―

 

 

ディケイド『ガハッ!!』

 

 

『ヌアァッ!!』

 

 

―ガキィィンッ!!―

 

 

ディケイド『ぐッ?!ぐあぁぁッ!!』

 

 

なのは「零君ッ?!」

 

 

二体が繰り出した連携攻撃を防ぎきれず、ディケイドは吹っ飛ばされて柱に激突しその場に倒れてしまう。それでもディケイドはよろめきながらも何とか起き上がろうとしたが……

 

 

なのは「駄目ッ!逃げて零君!!」

 

 

ディケイド『ッ?!』

 

 

悲鳴にも似たなのはの叫び。それを聞いたディケイドは慌てて目の前を見ると、二体の人造レジェンドルガ達が巨大な爪を振りかざして獣の如く飛び掛ってきていた。それを見たディケイドはこのまま態勢を立て直すのは無理だと判断し、倒れたままの状態でライドブッカーを構え何とかそれを防ごうとした。その時…

 

 

『Burst Mode!』

 

 

―バシュンッ!バシュンッ!―

 

 

『ギガアァッ?!』

 

 

『ギャッ?!』

 

 

ディケイド『……?!』

 

 

突如、その場に聞き慣れない電子音声が響き、それと同時にディケイドへ襲い掛かろうとした二体に複数の銃弾が直撃して王座の前まで吹っ飛ばしたのだ。突然の出来事にその場にいた全員がその銃弾の放たれた方、王座の間の入り口へと目を向けると、其処には……

 

 

ヒート『──よし、何とか間に合った!』

 

 

スバル「零さん!なのはさん!助けに来ました!」

 

 

ディケイド『お前ら……!』

 

 

なのは「ス、スバル?!それに……えっと…?」

 

 

王座の間の入り口から現れた二人、ヒートとスバルを見てディケイドとなのはは驚きの声を上げるが、なのははスバルの隣にいるヒートを見て誰だか分からず首を傾げ、ディケイドはティアナの姿がない事に気づきスバルと一緒にいるヒートを見て「まさか」と呟いた。

 

 

ディケイド『お前、もしかして……ティアナか?』

 

 

なのは「え?」

 

 

ヒート『あ、アハハ……えっと…その…あ、当たりで~すっ』

 

 

ディケイド『…当たりで~す…じゃないだろ?!一体なんだその姿は?!』

 

 

てっきりトランスの姿で助けに来ると思っていたのに、予想だにしてなかった全く別のライダーの姿で現れたティアナに思わぬ形で驚かされるディケイドに、ヒートは一度考える仕草を見せるが……

 

 

ヒート『あ、えーと……単に、Kウォッチを使ってトランスに変身しようとしただけなんですけど……そうしたら全然違うベルトが出て来てしまって……』

 

 

なのは「違うベルト?」

 

 

ヒート『はい…後は勢いで変身したらこうなって…それ以外の事はよく分からなくてっ…』

 

 

ディケイド『いきお……お前までそれか……』

 

 

キバの世界でトランスに変身した時のなのはと全く同じ答えに、ディケイドは思わず頭を抱える。すると……

 

 

ヴィヴィオ「……ママ?」

 

 

スバルの背中に抱えられていたヴィヴィオの目になのはの姿が映り、ヴィヴィオはすぐにスバルの背中から下りてなのはの下へと駆け寄った。

 

 

ヴィヴィオ「ママーッ!!」

 

 

なのは「え…?…ヴィヴィオ…?……ヴィヴィオッ!」

 

 

自分の下へ駆け寄って来るヴィヴィオの姿が目に映り一瞬我が目を疑ったが、それが本物のヴィヴィオだと気づいた瞬間、いつの間にか身体が勝手に動いてヴィヴィオの下へと向かって駆け出していた。ヒートとスバルはヴィヴィオを見送ると互いに顔を見合せて頷き、ヒートはブレイガンを構えて人造レジェンドルガ達に向かって駆け出した。

 

 

なのは「ヴィヴィオ!!」

 

 

ヴィヴィオ「ママ!!」

 

 

駆け寄った二人は抱き合い、互いの存在を確かめる様に強く抱きしめ合う。それが夢ではないと改めて感じるとなのはの双眸から次第に涙が溢れて来た。

 

 

なのは「よかった…本当によかったぁ……ごめんね、ママ、ヴィヴィオを助けにいけなくて…本当にごめんね…」

 

 

……今まではあまり表情には出していなかったが、やはりヴィヴィオを助けられなかった事で何処か自分を責めていた所があったのか、泣きながら何度もヴィヴィオに向けて謝るなのは。そんななのはの様子を見て、ヴィヴィオは彼女に見えない様に涙を拭き首を横に振った。

 

 

ヴィヴィオ「う、ううん!ヴィヴィオ、怖かったけど…でも泣かなかったよ!ママとパパ達が絶対助けに来てくれるって思ってたから…だから大丈夫だったよ!」

 

 

目を紅くし、なのはに満面の笑みを向けるヴィヴィオ。それを見たなのはも涙を拭いヴィヴィオに微笑みかける。するとそこへ、二人の様子を見守っていたディケイドが二人の下へと歩み寄りヴィヴィオの頭を撫でた。

 

 

ディケイド『そうか。強くなったな、ヴィヴィオ。えらいぞ』

 

 

ヴィヴィオ「?………………………パパ?」

 

 

ヴィヴィオが首を傾げながらそう呼び掛けると、ディケイドは「あぁ」と首を振って肯定した。

 

 

ディケイド『悪いな、この姿だと誰だかわかりづらいだろ?やっぱり、ちょっと変か?』

 

 

ディケイドが両手を広げながら苦笑し、流石に一度変身を解いて直接顔を見せるべきかと考えるが……

 

 

ヴィヴィオ「……」

 

 

なのは「ヴィヴィオ?」

 

 

ヴィヴィオ「……カッコイイ……」

 

 

『……え?』

 

 

何故か少し目を輝かせてディケイドを見つめるヴィヴィオに二人は呆気に取られ思わず間抜けな声を漏らしてしまった。その時……

 

 

ジェイル「──感動の再開は別に構わないが、お仲間の心配はしなくてもいいのかな?」

 

 

―ドゴォオオオオッ!!―

 

 

ヒート『うわぁッ!』

 

 

スバル「ティアッ!」

 

 

『「ッ?!」』

 

 

スカリエッティの言葉と共にヒートが三人の目の前にまで吹っ飛ばされ、その衝撃でヒートの変身の解除されティアナに戻ってしまった。

 

 

ディケイド『ティアナッ……!』

 

 

なのは「ティアナっ!大丈夫?!」

 

 

ティアナ「ッ……だ、大丈夫です……すみません、こんな……」

 

 

ディケイド『いや、気にするな。お前は充分によくやってくれた。後は俺となのはに任せろ。スバル、ティアナとヴィヴィオを頼む……!』

 

 

スバル「はい!」

 

 

ティアナ「なのはさん、後は、お願いします…」

 

 

なのは「うん、ありがとう。ティアナもゆっくり休んでて。ヴィヴィオ?少しの間だけお姉ちゃん達と一緒に隠れててね?」

 

 

ヴィヴィオ「……うん!」

 

 

優しく頭を撫でるなのはにヴィヴィオは笑って頷き返し、三人が下がるのを確認すると、なのははティアナから受け取ったKウォッチをを左腕に装着しKウォッチを操作して出た画面のライダーエンブレムをタッチした。

 

 

『RIDER SOUL TRANS!』

 

 

なのはは自分の腰にトランスドライバーを出現させると、ライドブッカーからトランスのカードを取り出す。

 

 

なのは「変身!」

 

 

『KAMENRIDE:TRANS!』

 

 

トランスのカードをバックルにセットし、なのははトランスへと変身しながら左腰のライドブッカーをガンモードに変えて身構えていく。

 

 

ジェイル「ほぉ、これは面白い事になって来たね…」

 

 

変身したトランスを見て、スカリエッティは怪しい笑みを浮かべ再び片手を上げて指を鳴らした。すると二体の人造レジェンドルガ達がそれに応えるかの様に咆哮し、ディケイドとトランスに向かって飛び掛ってくる。

 

 

ディケイド『さて、大事な教え子と娘が見てるんだ。カッコ悪い所はみせられないな……!』

 

 

トランス『もちろん……!こっちも最初から全力全開でいくよ!』

 

 

ディケイドとトランスは互いに持つライドブッカーを構える、向かって来る二体の人造レジェンドルガ達をそれぞれ迎え撃ち戦闘を開始していった。

 

 

 

トランス『はあぁぁッ!』

 

 

―ズガガガガァンッ!!―

 

 

『グゥアァァ?!』

 

 

ディケイド『せぇああッ!!』

 

―ズバアァッ!!バキィイイッ!!―

 

 

『ギッ!ギャアアァ?!』

 

 

ディケイドとトランスは二体の人造レジェンドルガ達と一対一の戦闘に持ち込んで攻撃していく。状況はディケイドとトランスが優勢であり、二体の人造レジェンドルガは得意の連携による戦闘を封じられ二人の攻撃を避けながら後退していくしかなかった。

 

 

『ぬぅッ!ハアァッ!』

 

 

トランス『っ、え!?』

 

 

一対一では自分に勝ち目がないと思ったのか、トランスが相手をしていた人造レジェンドルガがトランスの頭上を飛び超え、そのままもう一体の人造レジェンドルガと戦っているディケイドに向かって襲い掛かった。

 

 

トランス『まずい……!零君、後ろッ!』

 

 

ディケイド『何?!グッ!』

 

 

背後から別の人造レジェンドルガに蹴り飛ばされ不意打ちを受けたディケイドは受け身を取ってなんとか態勢を立て直すが、二体はディケイドが身を起こすと共に左右から同時に襲い掛かった。

 

 

トランス『零君ッ!これ使って!』

 

 

それを見たトランスは自分の持つライドブッカーをソードモードに変え、ディケイドに向かって投げ付けた。

 

 

―パシッ、ガギィイイッ!!―

 

 

『『?!』』

 

 

ディケイド『ハアァァッ!!』

 

 

―ズバァアアアッ!!―

 

 

『グガァッ?!』

 

 

『ウァアアッ?!』

 

 

トランスから受け取ったライドブッカーSモードと、自分のライドブッカーSモードを両手に構え、左右から襲い掛かって来た二体のレジェンドルガ達の同時攻撃を両手のライドブッカーで弾いて斬り飛ばしていく。すると、吹っ飛ばされた二体は地面に倒れながら今のダメージによって元の一体に戻っていった。

 

 

『グゥゥゥ…グオオオオオォォォッ!!』

 

 

一体に戻った人造レジェンドルガはゆっくりと起き上がる。しかし、もはや自分では二人に勝ち目がないと判断したのか、自棄になったようにディケイドに向かってくる。

 

 

ディケイド『なのは!』

 

 

トランス『うん!』

 

 

ディケイドは振り向かぬまま、トランスのライドブッカーを後ろへと投げて人造レジェンドルガの攻撃を自分のライドブッカーSモードで受け流して斬りつける。そしてトランスはディケイドが投げた自分のライドブッカーを受け取ると、瞬時にガンモードへと切り変えてカードを一枚取り出した。

 

 

トランス『零君!』

 

 

ディケイド『あぁ!』

 

 

トランスの呼び掛けに答えながら、ディケイドは人造レジェンドルガを横一閃に斬り裂いてその場にしゃがみ込む。

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

トランス『ハッ!』

 

 

―ズガガガガガガガガガァ!!―

 

 

『グゥッ?!』

 

 

ディケイドがその場にしゃがんだと同時に、トランスがライドブッカーGモードを人造レジェンドルガに乱射して怯ませる。そしてその隙にディケイドも一枚のカードを取り出してディケイドライバーにセットした。

 

 

『ATTACKRIDE:SLASH!』

 

 

ディケイド『ハアァッ!!』

 

 

―ズバァアアアアアアンッッ!!!!―

 

 

『グガアアァッ!!!?』

 

 

電子音声と共に、ディケイドはライドブッカーSモードを両手で構え下段から人造レジェンドルガを斬り上げて吹っ飛ばし、その隙に二人は隣り合わせに立ち構えそれぞれ一枚ずつカードを取り出す。

 

 

ディケイド『決めるぞ、なのは!』

 

 

トランス『わかった!』

 

 

互いに呼び掛け合い、二人は自分のバックルにそれぞれカードをセットしスライドさせていった。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE·DE·DE·DECADE!』

 

 

『FINALATTACKRIDE:T·T·T·TRANS!』

 

 

重なり響き合う電子音声と共に、ディケイドとトランスの目の前にディメンジョンフィールドが展開されていく。そして二人は上空へ高く飛んでキック態勢に入ると、人造レジェンドルガに向かって一気にディメンジョンフィールドを突き抜けていく。

 

 

ディケイド&トランス『『ハァアアアアアアアアアアアアアッ!!!ダァアアアアッ!!!』

 

 

『ゥ……グガアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!?』

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

最後のカードの残像を突き抜けたディケイドとトランスのWディメンジョンキックが同時に直撃し、人造レジェンドルガは断末魔の悲鳴を上げて爆散していった。

 

 

ディケイド『ッ……終わったみたいだな……』

 

 

トランス『う、うん…そうみたいだね…』

 

 

ディケイドとトランスが肩で息をしながら人造レジェンドルガが消滅した場所を見つめ、漸く一息吐く。すると物陰に隠れていたスバル達が二人の下に駆け寄って来た。

 

 

スバル「お二人共!やりましたね!」

 

 

トランス『うん、二人もありがとね。二人がいなかったら、ヴィヴィオを助ける事が出来なかったよ』

 

 

ティアナ「いえ、そんな…」

 

 

ヴィヴィオ「パパ~!」

 

 

ディケイド『おっと……大丈夫だったかヴィヴィオ?

さっきの戦いで怪我とかしなかったか?』

 

 

ヴィヴィオ「うん!大丈夫だった!」

 

 

ディケイド『そうか、ならよかった。……さて』

 

 

ディケイドは気を取り直し、王座に座っているスカリエッティを見つめる。

 

 

ディケイド『さぁ、お前の造ったご自慢の玩具は俺達が倒したぞ。お前はどうする気だ?』

 

 

ディケイドがスカリエッティに向かって問うが、スカリエッティは顔を俯かせたまま何も答えず、傍に控えるウーノも何も言わないスカリエッティを心配そうな表情を浮かべて見つめていた。

 

 

トランス『大人しく投降するなら、私達は貴方達に武器を向けません。武装を捨てて投降して下さい!』

 

 

トランスもこれ以上の戦いは望まないと、スカリエッティに説得を試みる。しかし……

 

 

ジェイル「……ふ、ふふふふふふ……」

 

 

ディケイド『……?』

 

 

ジェイル「ふははははははははははははははははは!!あッはははははははははははははははは!!!!」

 

 

 

突如、スカリエッティは王座から立ち上がり、狂ったように笑い出した。

 

 

ディケイド『……一体何がそんなに可笑しい?』

 

 

ジェイル「ふ、くくく……いやなに、ただ単に君のその力を見て嬉しく思っただけだよ」

 

 

ディケイド『……嬉しいだと?』

 

 

ジェイル「そうさ!やはり私の予想通り…いや、私の予想を超えた力を君は持っていた!これを喜ばないでどうするというのだね!」

 

 

そう言ってスカリエッティは笑いながら王座から下り、ディケイド達に近づいていく。

 

 

ジェイル「君の力は私の睨んだ通り素晴らしいものだ!ああ……!やはりこの力を"彼等"に譲るなどもったいない!やはりどんな手を使っても必ず君を手に入れてみせるよ!」

 

 

ディケイド『……しつこい奴だなお前も。言ったはずだぞ、俺はお前の駒になる気なんてないって』

 

 

ジェイル「あぁ、それは分かっているさ。だから、私が自分の力で君を手に入れる。この…ダークライダーの力でね!」

 

 

トランス『…ダーク…ライダー?』

 

 

トランスがスカリエッティの言葉に疑問を抱いて首を傾げる。

 

 

ウーノ「ドクター!まさか…!?」

 

 

ジェイル「ウーノ、君は地下に行ってクワットロ達の手助けをしてやってくれ。私は彼らの相手をする」

 

 

ウーノ「…………。分かりました。どうかお気をつけて…」

 

 

ウーノはそういうと機械のモニターを操作する。するとウーノのいる床が下がっていき城の地下へと消えていった。

 

 

ジェイル「さて、これで思う存分暴れられる。今から君達に見せようじゃないか……私の新たな力を……アークキバット」

 

 

スカリエッティが片手を中空に掲げると、奇妙な白いコウモリが彼の下へと飛んで来た。

 

 

アークキバット「さぁ~行きますよ~。どろ~ん、どろ~ん」

 

 

ジェイル「変身…」

 

 

アークキバット「へ~んし~ん!」

 

 

気の抜けた掛け声と共に、アークキバットと呼ばれた白いコウモリがスカリエッティの周りを飛び回る。瞬間、スカリエッティの身体が宙に浮き、そしてアークキバットがスカリエッティの腹部にくっつくとスカリエッティの周りに一人のライダーの形をしたオーラが現れ、そのオーラが拡散すると、スカリエッティの身体を包み込んで一人の黒いライダーへと変身していった。

 

 

トランス『なっ……』

 

 

ディケイド『な、なんだ…これは…!?』

 

 

ディケイド達は変身したスカリエッティの姿を唖然とした表情で見つめる。その姿は前の世界でワタルが変身したキバと似ているが、身体の色は黒く、瞳の上の部分が角の様に伸びており胸部にカテナが巻かれている。だが、ディケイド達が一番驚愕したのはその黒いライダーの"巨体"だった。

 

 

スバル「あ、あれって…あれもライダーなの!?」

 

 

ティアナ「何よあれ…こんな大きさって反則じゃない!?」

 

 

そう、その黒いライダーの身長はディケイド達の倍以上はあったのだ。推測すれば恐らく3m以上はあるだろう。ディケイド達はスカリエッティの変身した黒いライダー、『仮面ライダーアーク』の巨体を前に思わず後退ってしまう。

 

 

アーク『さぁ!君の力をもっと私に見せてくれ、ディケイド!』

 

 

重々しいエコーが掛かったスカリエッティの声と共に、アークは地響きを鳴らしながらディケイド達にゆっくり近づいていく。

 

 

ディケイド『ッ……いいぜ。だったら此処でお前との決着を着けてやる!行くぞなのは!』

 

 

トランス『っ……うん!』

 

 

アークの巨体に圧倒されそうになるのを啖呵を切って振り切り、ディケイドはライドブッカーをソードモードに、トランスはガンモードに切り替えてアークと戦闘を開始していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑧(裏)

 

王座の間でディケイド達とアークが戦い始めたその頃…

 

 

―魔界城・廊下―

 

 

 

セカンド『ヤアァァァッ!!』

 

 

―ズガガガガガガガガガァッ!!―

 

 

『グギャアァァァッ!!』

 

 

聖王『フェアリス!スピードを40パーセント削って、その分をアタックに!』

 

 

フェアリス「了承!」

 

 

聖王『ハアァァッ!!』

 

 

―ズバァァアアアンッッ!!!!―

 

 

『グガアァァァッ!!?』

 

 

アース『デリャアアッ!』

 

 

ディケイド(進)『グゥッ!セェアアッ!』

 

 

魔界城の廊下の一角。其処ではこなたを救出し城から脱出しようとしていた進達一行がクアットロ率いるレジェンドルガ達、そしてクアットロの援護に現れたアースと激戦を繰り広げていた。しかし、レジェンドルガ達の数が多過ぎる為にディケイド達は苦戦をしいられていたのだった。

 

 

セカンド『くっ、駄目…!コイツら全然減ってる気がしないよ!』

 

 

聖王『ッ!下がってゆたか!あまり前に出たら危ない!』

 

 

ゆたか「う、うん!」

 

 

クアットロ「ふふふ、随分と頑張るわね。でもそれもあとどれくらい持つか…」

 

 

セカンドに変身したこなたと聖王に変身したみなみがゆたかを守る様にしてレジェンドルガ達と戦っていくが、どんなに倒してもレジェンドルガ達の数が減っておらず、三人は徐々に壁際へと追い詰められていってしまう。

 

 

一方、三人から少し離れた場所ではディケイドに変身した進がアースとレジェンドルガ達を相手に単独で戦っていたが、あらゆる方向から仕掛けてくるレジェンドルガ達の攻撃にディケイドは苦戦してしまっていた。

 

 

ディケイド(進)『くそッ!コイツ等邪魔だッ!』

 

 

ディケイドは周りにいるレジェンドルガ達を払いのけながら毒づくが、レジェンドルガ達はそんな事はお構いなしにと次々とディケイドに襲い掛かっていく。

 

 

アース『そんな事を言ってる暇があるのか!!』

 

 

ディケイド(進)『うおッ!?チッ!お前もいい加減しつこいぞ!』

 

 

そんな中で、アースの繰り出す素早い打撃技がディケイドに襲い掛かりディケイドは何とかそれを回避していくが、周りにいるレジェンドルガ達の攻撃もある為に上手く避ける事が出来ない。

 

 

―ガクッ……!―

 

 

ディケイド(進)『グッ?!しまった!?』

 

 

その時、ディケイドは攻撃を避ける事に集中しすぎていた為に足がもつれてバランスを崩してしまった。

 

 

アース『ハアァァッ!』

 

 

ディケイド(進)『グゥッ!うわぁッ!!』

 

 

『進(さん)!!?』

 

 

その隙をアースのキックが襲い掛かり、ディケイドはセカンド達の目の前にまで吹っ飛ばされ、セカンド達は倒れたディケイドを見て思わず駆け寄った。

 

 

ゆたか「進さん!しっかりして下さい!大丈夫ですか!?」

 

 

ディケイド(進)『クッ、俺は大丈夫だ!それよりも…』

 

 

クアットロ「はーい。そこまでですよ、侵入者さん達?」

 

 

『?!』

 

 

クアットロの声にディケイド達は辺りを見渡した。其処にはクアットロとアース達が完全にディケイド達を包囲しており、ディケイド達はいつの間にか完全に壁際の方にまで追い詰められて逃げ道を無くしてしまっていた。

 

 

セカンド『や、やばいよ進!何処にも逃げ道がない!』

 

 

ディケイド(進)『くっ!』

 

 

完全に包囲されてしまったディケイド達は仮面越しに焦った表情を浮かべる。するとクアットロは一歩前に歩み出てディケイド達に語り掛ける。

 

 

クアットロ「さて、どうしますか、侵入者の皆さん?此処まですれば、貴方達が逃げる事は不可能だと思うけど?」

 

 

余裕な表情を浮かべるクアットロにディケイド達は何も言い返せず悔しい表情を浮かべていた。そしてクアットロはディケイド達に向けて更に言葉を続ける。

 

 

クアットロ「まぁでも、貴方達が持ち出したドクターの研究サンプルを返してくれるなら、命だけは助けて上げてもいいんだけど?」

 

 

クアットロがセカンドを見つめながらそう言うと、ディケイド達はセカンドを守るように前へ出た。

 

 

ディケイド(進)『ふざけんじゃねぇぞ!こなたはお前達の玩具なんかじゃねぇんだ!こなたを連れて行きたいなら、まず俺達を倒してからにしろ!』

 

 

ゆたか「進さんの言う通りです!貴方達なんかに絶対お姉ちゃんは渡しません!」

 

 

セカンド『進…ゆーちゃん…』

 

 

自分を守る為に仲間を売り渡せなど、そんな条件を呑むくらいならわざわざこんな危険な場所に潜り込んだりなんてしない。交渉決裂、クアットロは強情な二人を見るとやれやれといった表情を浮かべる。

 

 

クアットロ「ハァ~残念。あまり無駄な殺生はしたくなかったんですけどね~」

 

 

ディケイド(進)『チッ、何が無駄な殺生だ。散々俺達を殺そうとしやがったくせに…』

 

 

聖王『わざとらしいにも程がありますね』

 

 

明らかに芝居臭いクアットロの言動にディケイド達は苛立ちを覚えるが、クアットロは構わずに片手を掲げた。

 

 

クアットロ「まったく…せっかく最後のチャンスを与えたのに…本当に馬鹿な人間達ね」

 

 

アース『いい加減にしろよクアットロ…遊んでないでさっさと片付けろ』

 

 

クアットロ「ふふ、分かってますよ、トーレ姉様」

 

 

笑いながらアースに向けてそう言うと、クアットロは上げていた片手で指を鳴らした。するとレジェンドルガ達がディケイド達に向かってジリジリと歩み寄っていく。

 

 

セカンド『す、進…!どうすんの!?このままじゃ本当にやばいよ!』

 

 

ディケイド(進)『分かってる!けど…』

 

 

どんなに思考を巡らませてもこの状況から抜け出す方法が浮かばず、ディケイド達は焦りを浮かべて壁際の方へどんどん後退していく。その時、聖王が三人に小声で語り掛けて来た。

 

 

聖王(皆さん、少しいいですか)

 

 

ゆたか(え?みなみちゃん?)

 

 

ディケイド(進)(?どうしたんだ、みなみ?)

 

 

聖王(実は、この状況から脱出する方法が一つだけ考えついたんです)

 

 

セカンド(え?!本当に!?)

 

 

聖王(はい。ですが、その為にお二人の力が必要なんですが…)

 

 

ディケイド(進)(ここから逃げられるならなんだっていいさ、教えてくれ!)

 

 

聖王(わかりました。まずは……)

 

 

聖王は自分の考えた脱出法をディケイド達に教えていく。

 

 

ディケイド(進)(…成る程な。確かにそれなら此処から脱出出来るかもしれない…よし、やってみるか!)

 

 

『うん(はい)!』

 

 

セカンド達は力強く頷いてそう答えると、ディケイド達はクアットロ達の方へ振り向いた。

 

 

クアットロ「…あら?漸く抵抗するのを諦めたのかしら?」

 

 

抵抗を止めたディケイド達を見て嘲笑うクアットロ。それを見たレジェンドルガ達もディケイド達へ一斉に襲い掛かった。その時…

 

 

ディケイド(進)『こなた!今だ!』

 

 

セカンド『うん!』

 

 

ディケイドの呼び掛けに答えながら、セカンドはライドブッカーからカードを取り出してセカンドライバーにセットした。

 

 

『ATTACKRIDE:MIST!』

 

 

電子音声が響くとセカンドの身体から白い霧が発生して辺り一面に広がっていきレジェンドルガ達は驚いて足を止めた。

 

 

クアットロ「?これは…」

 

 

アース『霧…?ふん、下手な小細工を!』

 

 

発生した白い霧を見てアースは鼻で笑い、構わずにディケイド達へ突っ込もうと身を屈める。その瞬間……

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!SONIC SMASH!』

 

 

『Full Charge!』

 

 

『?!』

 

 

不意に白い霧の中で二つの電子音声が響き渡った。そして……

 

 

『ハアアアアァァァッ!!!』

 

 

―ドゴオオオオオオオォォォォォンッ!!!―

 

 

アース『グゥッ?!』

 

 

クアットロ「なっ?!」

 

 

『グオオォォッ!!?』

 

 

突然、辺りが物凄い爆風に包まれ周りを包んでいた白い霧も爆風によって吹っ飛ばされていき、周りにいたレジェンドルガ達にも爆風に混じって吹っ飛んで来た瓦礫が直撃して次々と吹っ飛ばされていった。

 

 

暫くすると、視界を埋めていた黒煙が徐々に晴れて視界が戻っていく。

 

 

クアットロ「ッ!やられた…!」

 

 

アース『ちぃ!探せ!まだそう遠くには行っていないはずだ!急げ!』

 

 

目の前には既にディケイド達の姿がなく、そこにあったのは逃げた痕跡と思われる巨大な穴の開いた廊下の壁だけが残されていた…。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑨

 

―魔界城・王座の間―

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

『ATTACKRIDE:ACCEL SHOOTER!』

 

 

ディケイド『ハァッ!!』

 

 

トランス『シュートッ!!』

 

 

―ズドドドドドドドドドドドドドォオオオオッ!!!!―

 

 

ディケイドとトランスの同時攻撃がアークの頭部に見事命中し、アークの上半身が黒煙に包まれる。しかし……

 

 

―……ブォオオオオッッ!!!!―

 

 

『『……なっ……』』

 

 

アークは自分の身体を包み込んでいた黒煙を片手で払って姿を現した。その姿には傷一つすらなく、正しく"無傷"だった。

 

 

アーク『どうしたのかね?君の力はこんな物ではないだろう!』

 

 

―ドゴォオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

トランス『キャアッ?!』

 

 

ディケイド『ッ!クソッ!』

 

 

あれから約数十分。王座の間でアークと激戦を繰り広げていた二人だったが、どんな攻撃を仕掛けて幾ら打ち込んでも全く通用せず、二人は石柱すら意図も簡単に破壊するアークの必殺級の拳と蹴りを必死に避けながらアークに反撃していたが、スペック的にもアークの方が上な為か状況は明らかにディケイド達の方が不利に近かった。

 

 

アーク『ハアアァァッ!!』

 

 

―ドゴォオオオオオオオッッ!!!!!―

 

 

ディケイド『グァアアアアアアアッ!!』

 

 

トランス『きゃあああああああああッ!!』

 

 

―ガシャァアアアアンッッ!!!―

 

 

そんな状況の中で、アークの放った蹴り払いによってディケイドとトランスは勢いよく吹っ飛ばされ王座の間の石壁に叩きつけられてしまった。

 

 

ヴィヴィオ「パパッ!ママァッ!」

 

 

スバル「ヴィヴィオっ!行っちゃ駄目っ!危ないよっ!」

 

 

ティアナ「ッ…あいつ…なんてデタラメな強さなのよ…!!」

 

 

物陰からディケイド達の戦いをずっと見守っていた三人も、アークの圧倒的とも言える戦闘能力に驚愕し、それと同時にアークに恐怖を感じていた。

 

 

ディケイド『グッ…な、なのは…大丈夫か…?』

 

 

トランス『ぅ……う…うん…なん、とかっ……』

 

 

二人は苦しげな様子を浮かべながらも何とか起き上がろうとするが、アークから受けたダメージが半端なく大きかった為に身体がまったく言うことを聞かなかった。その時……

 

 

アーク『休んでいる暇があるのかね?』

 

 

『『ッ?!』』

 

 

不意に頭上から嘲笑うかの様な声が聞こえ、二人が慌てて上を見上げると、其処には二人に向けて右手を振りかざすアークの姿があった。

 

 

ディケイド『なのはぁッ!!』

 

 

トランス『きゃっ!!?』

 

 

―ドガァアアアアアアアアアアンッッ!!!!!―

 

 

直感的にまずいと感じたディケイドは動かない身体を無理矢理に動かしてトランスを抱え、ギリギリで振り下ろされたアークの拳を回避すると、狙いを外したアークの拳は床に直撃して巨大なクレーターを作り上げた。

 

 

トランス『ご、ごめん零君!大丈夫ッ?!』

 

 

ディケイド『っ、大丈夫だ……なのは、下がってろ……これで決着をつける……!』

 

 

このままでは自分達が敗れる。決着を焦ったディケイドはふらつく身体でトランスを退かして前に出ると、一気に勝負をつけるべくライドブッカーからファイナルアタックライドのカードを取り出してディケイドライバーにセットした。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』

 

 

電子音声が鳴ると同時にディケイドの目の前にディメンジョンフィールドが出現し、アークに向かって一直線に並んでいく。

 

 

ディケイド『ハァ…ハァ…ハァ……ハアァッ!!』

 

 

ディケイドは荒れた呼吸を一度整えると上空へと高くジャンプし、右足を突き出してディメンジョンフィールドを一気に潜り抜けていく。それを見たアークも左手を構えディケイドの必殺技を迎え撃つ。

 

 

ディケイド『ハアァアアアアアアアアアッ!!!!』

 

 

アーク『フッ…ヘアァアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

 

ディケイドのディメンジョンキックとアークの拳が激しくぶつかり合い、火花を散らした。だが……

 

 

―ジジジジジィッ……!!!!ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

ディケイド『ぐぅ?!ぐあぁああああああああッ!!!』

 

 

トランス『ッ?!零君!!』

 

 

『パパ(零さん)!!?』

 

 

なんと、ディケイドの渾身の必殺技はアークの拳に打ち負かされ派手に吹っ飛ばされてしまったのだ。ディケイドはそのまま勢いよく激突する柱を幾つも破壊しながら吹き飛ばされて地面に叩き付けられ、そんなディケイドにアークが追撃しようとするが、トランスは倒れたディケイドを助ける為にアークに向けて横からライドブッカーGモードを乱射し、スバルとティアナも倒れたディケイドに駆け寄った。

 

 

スバル「零さんッ!しっかりして下さいッ!零さんッ!!」

 

 

ヴィヴィオ「パパ……!しっかりしてぇッ!」

 

 

倒れたディケイドの身を起こさせて必死に呼び掛けるスバル達。すると……

 

 

ディケイド『───……ッ…み、耳元で…騒ぐな…ちゃんと聞こえてるから……』

 

 

ティアナ「零さんっ……!よかった…」

 

 

掠れ掠れに話すディケイドの声を聞き、スバル達も一先ずホッと胸を撫で下ろした。そこへ、トランスがライドブッカーをアークに向けて乱射しながらスバル達の下へと後退していく。

 

 

トランス『みんな!!一旦外に出るよ!!此処だと場所が悪すぎる!!』

 

 

スバル&ティアナ「「ッ!はい!!」」

 

 

こんな狭い空間ではあんな化け物の相手をまともにする事は出来ない。何処か広い空間に出て戦わなければと考えたトランスはディケイドを抱え、スバル達と共に王座の間の入り口から出て逃走を開始した。

 

 

アーク『ふむ。成る程、場所変える気か…ウーノ、聞こえているかい?』

 

 

ウーノ『なんでしょうか、ドクター?』

 

 

アークの目の前に小型の電子モニターが現れ、地下にいるウーノの姿が映し出される。

 

 

アーク『私は今から彼らを追う。君は引き続き、クアットロ達と共に侵入者達の追跡を頼むよ』

 

 

ウーノ『分かりました……お気をつけて……』

 

 

その言葉を最後に電子モニターが消え、アークもディケイドと奪われたヴィヴィオを取り返す為にディケイド達の後を追って王座の間から出ていった。

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

アークが去った後の王座の間。王座の間に誰もいなくなると部屋の中心に突然銀色のオーロラが現れ、オーロラが晴れると、其処にはコートを着た一人の男が険しい表情を浮かべ佇んでいた。

 

 

「ちっ!スカリエッティめ…余計な事をせずにさっさとディケイドを始末すればいいものを!」

 

 

アークが去った後の入り口を睨み、零を始末しない彼のやり口に謎の男も忌々しげに毒づく。

 

 

「ディケイドの事を教えてやればすぐにこれか……やはり奴も所詮は出来損ないということか……それに完全に"奴ら"の言いなりとなっているようだ……哀れな男だな……ッ?!」

 

 

その時、謎の男は何かを感じ取り驚愕と困惑の入り混じった様な表情を浮かべながら辺りを見渡した。

 

 

「この感じは……まさか、"七柱神"の?!なぜ奴がこの世界に……仕方ない、此処は一度退くとしよう……」

 

 

何かを感じ取った謎の男はそれから逃げるようにして銀色のオーロラに包み込まれ、男の姿は其処から消えてしまっていた。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑩

 

 

月明かりが差す長い廊下。王座の間から脱出した零達は駆け足で廊下を疾走し城の外へと向かっていた。

 

 

ティアナ「なのはさん!次はこっちです!」

 

 

なのは「わかった!」

 

 

ティアナを先頭に、その隣をヴィヴィオを抱えたスバルが走り、二人の後ろを走るなのははティアナに返事を返しながら零の肩を担ぎ直して先を急ぐ。

 

 

零「ッ…悪い…なのは…」

 

 

なのは「ううん、私は大丈夫だよ。それよりも、零君こそ大丈夫なの?なんかさっきから苦しそうな顔してるけど…」

 

 

零の顔を見てみれば大量な汗を流し、顔色も青ざめていて呼吸も何処か荒く苦しそうに見える。零のその様子になのはは心配を拭えず問い掛けた。

 

 

零「いや…全然大丈夫だ、ホントに何とも―――――ッ!」

 

 

なのは「えっ?!ど、どうかした!?」

 

 

突然、急に身体を押さえて苦痛の表情を浮かべた零の様子を見てなのはが慌てて零をその場に座らせる。

 

 

しかしその時、零の身体に触れたなのはの手に生暖かい液状の物がこびり付いた。それに気づいたなのはは自分の手の平を見てみると、驚愕で息を拒んだ。

 

 

なのは「これって…血!!?」

 

 

そう、なのはの手に付いたのは生暖かい真っ赤な血だったのだ。それを見た瞬間、なのはは「まさか!」と何かに気づいて零の服を掴んだ。

 

 

零「ッ?!お、おい!やめ――」

 

 

―ガバッ!!―

 

 

なのはは零の制止を聞かず、強引に零の服を左右に引っぺ返した。

 

 

なのは「ッ!?こ、これッ……!?」

 

 

零の服の下の身体を見た途端、なのはの表情がどんどん青ざめて絶句してしまう。其処には、零の身体に巻き付いている包帯の上から大量の血が流れ出ていたのだ。包帯は既に血によって真っ赤に染まっており、端から見ても大量出血をしていると分かってしまう程ひどいものになっている。

 

 

なのは「れ、零君!!傷が!傷が開い、んぐぅッ?!」

 

 

零の怪我を見てなのはが思わず叫ぼうとしたが、零がなのはの口を手で押さえてそれを防いだ。すると、二人の先を走っていたスバル達がその様子に気づいて立ち止まり、二人の方へと振り向いた。

 

 

スバル「?二人とも、どうかしたんですかー?!」

 

 

零「いやっ、何でもない……!ちょっとつまずいただけだから気にするな!」

 

 

汗を流しながらも表情は変えずスバル達にそう答えた零は、なのはの口から手を離し、真っ赤な包帯が見えない様に服を元の状態に戻して壁を伝って歩き出す。なのはもそれを見ると慌てて零の身体を支え歩きながら、小声で零に問い掛けた。

 

 

なのは(零君っ、この怪我の傷…何時から…?!)

 

 

零(……最初は多分あのレジェンドルガと戦ってた途中で…此処までひどくなったのはスカリエッティと激突した辺り……だったかな……どうやら無理しすぎたせいで傷が開いちまったみたい……やれやれだ……)

 

 

ははは…と自嘲気味に苦笑する零。

 

 

なのは(笑い事なんかじゃないよ!!どうして!?どうしてこんなになるまで一言も言ってくれなかったの!?)

 

 

自分の身体の事をまるで他人事のように語る零になのはが怒りを露わにするが、その他にも自分には何も話してくれなかったことや零の怪我に気づけなかった後悔などがなのはの心を埋め尽くしていた。すると、零はそんななのはの様子を見た溜め息を吐いた。

 

 

零(俺が怪我の事を話したりしたら、どうせお前は俺が戦うのを止めたに違いないだろ……?それに、もしお前が俺の怪我の事を知った上で俺と一緒に戦っても、俺が余り無茶しないようにと今度はお前が無茶をする可能性だってあった……黒月さんの予想は外れていますか?)

 

 

なのは(そ……それは…)

 

 

零の言葉は全て的を突いており、なのははそれに否定も何も出来ず顔を俯かせてしまう。すると零は小さく溜め息を吐いて一度間を置くと、再びなのはに語り掛ける。

 

 

零(…今ヴィヴィオを守って戦えるのは俺達しかいないだ…だから…今は自分の事なんか考えてる暇はないんだよ…なのは)

 

 

なのは(そ、それは……そうかもしれないけど……でも!)

 

 

確かに零の言葉に間違いはないが、やはり納得が出来ずなのはは零に向けて訴え続ける。と、そこで零はヴィヴィオが心配そうな顔でこちらを見ている事に気づき、小さく笑いながらヴィヴィオに向けて手を振った。ヴィヴィオはそれを見て安心したのか笑顔を浮かべて零に手を振り返す。

 

 

零(悪い、なのは。もう決めたんだ。ヴィヴィオをアイツ等から守りきるまでは何があっても、何が起きても全力でヴィヴィオの為に戦うって……此処で戦わないと、多分俺は後悔すると思うから……だからお前が止めても、俺は戦う事を絶対に止めない……絶対にだ)

 

 

それは真摯の答え。

 

 

零は真剣な表情でなのはの目を見ながら断言した。

 

 

すると、そんな彼の目を見たなのはは何も言えなくなってしまい顔を俯かせてしまう。

 

 

なのは(ずるいよ零君は…そんな顔で言われたら…何も言えなくなっちゃうよ…)

 

 

彼は何時もそうだ。自分達がどんなに止めても、決して自分のやり方を曲げない強情な所……長い付き合いだから分かる。彼がこうなってしまえば何を言っても無駄だと。

 

 

零(……悪い…けど…)

 

 

なのは(……ううん、何も言わなくていいよ……零君の気持ちはちゃんと伝わってるから。だから私も、全力で零君やヴィヴィオを守るから……絶対に、零君を一人で戦わせたりはしないから……)

 

 

だから、彼女も自分の中で決めた決意を……何があっても、決して彼を一人では戦わせないと、彼と共に戦うという強い想いを零に告げた。そんななのはの言葉に零は一瞬呆気に取られたが、自然と笑みが浮かび上がる。

 

 

零(すまない……いや違うよな……ありがとう、なのは…)

 

 

なのは(あ…う、うんっ…)

 

 

苦しげな表情を浮かべながらも零はなのはに感謝して小さく微笑む。しかし、至近距離からそんな顔を見せられたなのはは自分の顔が熱くなっていくのを感じて俯いてしまい、そんな彼女の様子に零は「はて?」と小首を傾げる。と……

 

 

スバル「零さん!なのはさん!こっちの方に下へ続く階段がありました!!」

 

 

目の前からスバルの声が聞こえ、二人が目の前に顔を向けると、二人から数メートル先にいるスバル達が下の階へと続く階段の前に立って二人が来るのを待っていた。

 

 

零はそれに「すぐに行く!」と答え、なのはに支えられながら廊下の途中にある曲がり角の前を通ろうとした、その時……

 

 

―ドゴオォッ!!―

 

 

零「……なっ?!」

 

 

なのは「キャッ?!」

 

 

「うおッ?!」

 

 

「ほわぁッ?!」

 

 

零となのはが曲がり角の前を通った瞬間、何かが急に飛び出して二人とぶつかり合い、その衝撃で二人と飛び出した何かは互いに吹っ飛ばされてしまったのだ。それを見たスバル達が驚きの声を上げながら、慌てて二人の下へと駆け寄った。

 

 

ティアナ「ちょっ!?大丈夫ですか二人共!?」

 

 

なのは「あいたたっ……う、うん、大丈夫っ…」

 

 

零「ぐっ、何なんだ一体!……ん?」

 

 

零は痛む身体を片手で押さえながら顔を上げると、目の前には自分達とぶつかったらしきカメラを首に掛けた青年と小柄な少女が尻もちを着く姿があった。

 

 

零(…………誰だ?)

 

 

ゆたか「──お、お姉ちゃん!進さん!大丈夫ですか!?」

 

 

こなた「いたたた…う、うん、ダイジョブ、ちょっと頭ぶつけただけだからっ」

 

 

みなみ「進さん、大丈夫ですか?」

 

 

進「痛ってぇ~…くそっ!今度は一体何なんだ!?」

 

 

尻餅をついていた青年と少女……進とこなたはパンパンッと服に付いた汚れを払って立ち上がり、自分達とぶつかった相手である零達に視線を向ける。すると、零達とぶつかった進とこなた、そして二人の下に駆け寄って来たゆたかが、なのは達を見て驚愕した。

 

 

進「な、なのは?!」

 

 

ゆたか「なのはさん!?何でこんな所にいるんですか!?」

 

 

なのは「……え?」

 

 

自分達とぶつかった相手の一人である進とゆたかにいきなり自分の名前に呼ばれて呆然とするなのはだが、進達はそんななのはの様子に気づかずになのはに詰め寄る。

 

 

進「お前…!家で大人しくしてろって言っただろ!?こんな所で何やってんだ!」

 

 

なのは「え?え?あ、あの……貴方たち、誰ですか?どうして私の名前を?」

 

 

こなた「?何言ってんのさ?…というか何でスバルとティアナ…ヴィヴィオまでここに…というかこの世界にいるわけ!?」

 

 

ヴィヴィオ「?」

 

 

スバル「へ?……って、ああ!?貴方確か、クウガの世界で陵桜学園で私達を問い詰めてきた高校生さん?!」

 

 

ティアナ「そ、それにそっちの子達、確かクウガの世界でグロンギに襲われてた…?」

 

 

みなみ「……?私達、が?」

 

 

こなた「はえ?な、何言ってんのっ?クウガの世界って、何で二人がその事……?」

 

 

ゆたか「それに私とみなみちゃんがグロンギに襲われてたって……私達、クウガの世界に行ったことはありませんけど……?」

 

 

ティアナ「え?で、でもだって……?!」

 

 

お互いに知ってる顔の筈なのに、何故か全く話が噛み合わず困惑してしまうスバル達とこなた達だが、すると……

 

 

―チョンチョン…―

 

 

進「……ん?」

 

 

不意に後ろの方から進の肩を何かが突き、進は思わず後ろの方へと振り返った。すると……

 

 

―カシャッ!―

 

 

進「ッ?!な…!?」

 

 

零「はい、一枚頂きました…っと」

 

 

「「「零(君・さん)!?」」

 

 

進が振り返ると、そこには何時の間にか進の至近距離に立ち自分のカメラで進を撮影する零がいたのだ。

 

 

進はいきなりの背後を取られた上に写真まで撮られて戸惑い唖然とした表情を浮かべ、零はそんな進の様子を見ても構わずに進の顔をカメラで撮影していく。

 

 

零「ほお、思ったよりいい顔するじゃないか……成る程、久方ぶりに良い被写体に出会えたかもしれんな……」

 

 

進の写真を撮っていく零はファインダーを覗きながら何度も顔を頷かせる。一方で写真を取られていた進は漸く我に返り、驚いた表情を浮かべたまま慌てて零から離れた。

 

 

進(何だこいつ…?!いつの間に俺の背後に回ったんだ?!気配も何も感じなかったぞ…?!)

 

 

気配を少しも感じさせずに自分の背後をとった零に向けて進は少し身構えると、自分を撮影し続ける零に問い掛けた。

 

 

進「お前…一体誰だ?こんな場所で何やってんだよ?」

 

 

零「?いや、誰、といきなり不躾に言われてもな……肩書きで良いのなら、天才カメラマンとかか?」

 

 

なのは「いや絶対違うから。本当にやめて。その肩書きが流行り出したら被害被るの絶対周りだから」

 

 

スバル(す、すごい真顔になってる……)

 

 

ティアナ(……そういえば、零さんの写真のクレーム対処で隊長陣の中じゃなのはさん達が一番苦労してたんだったわね……)

 

 

キリッと、若干キメ顔で天才カメラマンを自称する零になのはも横から本気でダメ出しするのを見て、スバルもティアナも六課にいた頃のなのは達の気苦労を思い出して何とも言えない顔を浮かべてしまう。

 

 

ゆたか「え、えーと……そ、それより、何でなのはさんが此処にいるんですか!?確か私達の家で留守番していたはずじゃ…!」

 

 

なのは「…へ?」

 

 

ゆたかが怪訝な表情を浮かべてなのはにそう問い掛けると、わりと本気でなのはにダメ出しされて若干落ち込んでいた零がそれを聞いて訝しげに眉を顰めた。

 

 

零「お前達の、家?…何だなのは、お前こいつらと知り合いだったのか?」

 

 

なのは「え?う、ううん、知らないよ?私もスバルも、知ってるのは其処の青髪の女の子だけだし……それ以外は初対面、だと思うけど……」

 

 

ゆたか「えっ?そ、そんな…どうして…?」

 

 

こなた「な、なにが、どうなってんの?」

 

 

まったく噛み合わない会話になのはとゆたか達は訳が分からないといった表情を浮かべて困惑してしまうが、零は「ふむ」と顎に手を添えて思案し、進達の顔を見回した。

 

 

零「というか、お前達の方こそ一体誰何なんだ?何でなのは達の事を――」

 

 

 

―……ゴォン……―

 

 

 

零「……ん?」

 

 

 

零が進達の正体を聞き出そうとしたその時、不意に自分の立っている足元が一瞬揺れたような気がした。零は「なんだ?」と疑問を感じて進に視線を向けると進も……いや、進だけではなく、なのは達やこなた達も自分の足元を見て怪訝な表情を浮かべていた。その時……

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!―

 

 

零「ぐぅあああッ!!?」

 

 

進「うわあああッ!!?」

 

 

『零君(さん・パパ)!?』

 

 

『進(さん)!?』

 

 

突如、零と進の間を割るように床が巨大な爆発を起こしたのだ。零と進は突然の出来事に対処できず、爆風によってなのは達とこなた達の目の前まで吹っ飛ばされてしまった。

 

 

こなた「進?!ちょっ大丈夫!?」

 

 

進「クッ!今度は一体何なんだよ!?」

 

 

なのは「零君?!大丈夫!?」

 

 

零「ぬぉぉぉぉっ……!くそッ!次から次へと何だ!?今ので若干傷に響いただろ!?」

 

 

地面に倒れた二人はなのはとこなたに支えられて立ち上がると、先程まで自分達が立っていた場所を見て驚愕した。

 

 

進「な、何だよコレ?!」

 

 

零「これは…!」

 

 

そこには、零達と進達の間に境界線を張ったかのように廊下が粉々に割れて地割れを形作ってしまっていたのだ。出口に続いている廊下には進達が、その反対側には零達がいる為、零達は今まで向かっていた出口からの脱出が出来なくなってしまったのだ。

 

 

スバル「ちょっ?!コレってやばいよ!?」

 

 

ティアナ「私達が知ってる出口はこの先なのに…これじゃ城から脱出できない…!」

 

 

道を遮られて脱出ができなくなってしまった零達は焦りを浮かべる。その時…

 

 

『……以外と簡単にこちらの策に嵌まってくれたな』

 

 

『ッ?!』

 

 

不意に進達の後ろから声が聞こえ、進達は後ろへと振り返った。そこには…

 

 

進「お前は?!」

 

 

零「トーレ?!」

 

 

そこにはいつの間にか、数体のレジェンドルガ達を引き連れたアースが進達の後ろに立ち構えていたのだ。進達は急いで自分達のバックルを取り出そうとしたが、それよりも早くアース達が進達を捕らえて動きを封じた。

 

 

ゆたか「きゃあッ?!」

 

 

みなみ「ゆたか?!」

 

 

進「くっ!?離せこのっ!!」

 

 

こなた「はーなーしーてー!」

 

 

アース『悪いがそうはいかない。お前達の相手は私達がする事になってるいるんでな。場所を変えさせてもらうぞ!』

 

 

進「何?!うわぁぁぁ!!」

 

 

アース達は進達を無理矢理連れて廊下の壁を突き破り、そのまま外へと飛び出して進達を何処かへと連れ去っていってしまった。

 

 

スバル「れ、零さん!あの人達が!」

 

 

零「クッ!仕方ないか…!なのは!」

 

 

なのは「うん!」

 

 

『RIDER SOUL TRANCE!』

 

 

取りあえず今は進達の救出を最優先にしなければと思い、零はディケイドライバーを懐から取り出して腰に装着し、なのはもKウォッチを操作してトランスドライバーを腰に出現させると二人はライドブッカーからカードを取り出そうとした。だが…

 

 

―ドゴオォンッ!ドゴオォンッ!―

 

 

『!?』

 

 

突如零達の周りに砲撃のようなものが放たれ、零達はその砲撃が放たれた方向へと振り向いた。そこには……

 

 

アーク『ふふふ…漸く見つけたよ、黒月零君!』

 

 

零「?!スカリエッティ!?」

 

 

なのは「そんな?!こんな時に…?!」

 

 

そう、其処には零達がいる廊下の向こう側から、巨大な振動を響かせる歩みと共にこちらへと近付いて来るアークの姿があったのだ。アークの姿を見た零は険しい表情を浮かべてアークを睨みつける。

 

 

零「くそっ!今お前の相手をしてる暇はねぇんだよ!行くぞなのは!」

 

 

なのは「ッ!わかった!」

 

 

逃げ道を無くし、進達が連れ去られた上に最悪の敵の出現という状況に零達は内心焦ってしまうが、とにかく今は戦わなければと、零となのははそれぞれのライドブッカーからディケイドとトランスのカードを取り出した。

 

 

『変身ッ!』

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

『KAMENRIDE:TRANS!』

 

 

バックルにカードをセットすると零はディケイドに、なのははトランスへと変身した。そして二人はアークに向かって駆け出し、自分の腰にあるライドブッカーをソードモードに切り替えるとアークに飛びかかって斬りかかる。だが…

 

 

―ガキィィンッ!―

 

 

トランス『くっ?!』

 

 

ディケイド『ちぃ!』

 

 

二人が振り下ろしたライドブッカーの刃はアークが素手で軽々と受けて止めてしまい、アークはそんな二人を見て深い溜め息を吐いた。

 

 

アーク『やれやれ、まだ分からないのかな?君達では私には勝てないと………絶対にねぇええええッッ!!!!』

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

ディケイド『ぐああっ!!!』

 

 

トランス『うぁああっ!!!』

 

 

『零さん!?なのはさん!!』

 

 

ヴィヴィオ「ママ!パパ!」

 

 

アークがライドブッカーの刃を掴んだまま二人を廊下の壁に向かって思いっきり投げつけ、ディケイドとトランスはそのまま城の壁を突き破って外へ吹っ飛ばされてしまい、アークも二人が突き破った壁を通ってディケイド達を追いかけていった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑪

 

 

魔界城から少し離れた場所にある広々とした荒れ地。其処では、アース達によって城の外へと連れ出された進達とその進達に襲い掛かるアースとレジェンドルガ達の姿があった。

 

 

『ヌァアァッ!』

 

 

こなた「うわっ!!」

 

 

進「グッ?!クソッ!」

 

 

アース『フンッ!ハアッ!』

 

 

六体のレジェンドルガ達とアースに包囲され、逃げ道を無くした進達はあらゆる方向から襲い掛かるレジェンドルガ達の攻撃を何とかギリギリ避け続けていた。だが、休む間もなく次々と襲い掛かるレジェンドルガ達によって進達は変身をする暇もなく、攻撃をよける事しか出来ずにいた。そして…

 

 

アース『ハァアアッ!』

 

 

―バキィッ!ドゴォッ!―

 

 

進「ガハッ?!グッ!!」

 

 

ゆたか「進さん!?ウアッ?!」

 

 

みなみ「ゆたか!ウグッ!?」

 

 

不意を突かれてアースとレジェンドルガ達の攻撃が進達に襲い掛かり、進達は広場の中心にまで吹っ飛ばされてしまった。四人は何とか傷付いた身体を起こすが、目の前からレジェンドルガ達がジリジリと進達へ迫って来る。進達はそれを見て怪我した箇所を片手で抑えながら立ち上がって後退していく。

 

 

進「ハァ…ハァ……こ、これはちょっと……いや、かなりヤベェな……」

 

 

こなた「ハァ…ハァ…そ、そうだね…」

 

 

進達の表情には既に余裕なんて物は残されていなかった。身体中が傷だらけ、衣服も所々擦り切れており、その姿を見ただけで相当のダメージを負っていると分かる。とそこへ、進達の目の前にいるレジェンドルガ達の間を一人の少女が通り抜けて現れ、現れた少女…クアットロは進達の姿を見てほくそ笑んだ。

 

 

クアットロ「あらら、ぶざまな格好♪そんなボロボロになってもまだ戦うつもりなんてね~。まぁ、人間にしては中々の根性を持ってるじゃない?」

 

 

進「チィ!またお前か!」

 

 

みなみ「ッ!本当にしつこい人ですね…!」

 

 

進とみなみは再び現れたクアットロを睨みつけるが、クアットロはそんな二人の眼差しに気にも止めず言葉を続けた。

 

 

クアットロ「さあて、これからどうするのかしら…?変身も出来ないんじゃさっきみたいに逃げる事は不可能。その身体で私達から逃れる事も不可能に近い。…完全に手詰まりなんじゃないかしら?」

 

 

『くッ!』

 

 

反論しようにもクアットロの言葉は的を突いている為に何も言い返せない。変身しようとすればレジェンドルガ達が邪魔をするし、生身の身体のままではレジェンドルガ達に対抗出来ない。

 

 

クアットロの言う通り完全に手詰まりとなった状況の中で、進達はこの状況から脱出する方法は何か無いかと必死に思考を巡らましていく。とそこへ…

 

 

―ドゴォオォォォッ!!!―

 

 

零「ぐぁあああッ!!」

 

 

なのは「きぁあああッ!!」

 

 

『?!』

 

 

突如、その場に悲鳴が響き渡り、その場にいる全員がその声が聞こえた方へと振り向く。すると、そこには森林の中から吹っ飛ばされて来た零となのは、そしてその二人を追い掛けて森林の中から飛び出して来たスバル達が倒れている二人の下へと駆け寄ってくる姿があった。

 

 

ゆたか「あれって…なのはさん達と城の中で会った男の人?!」

 

 

進「な、何でアイツ等がこんな所にいるんだ?!」

 

 

突然現れた零達に驚きの声を上げる進達。

 

 

ヴィヴィオ「ママ!パパ!」

 

 

ティアナ「二人共!しっかりして下さい!」

 

 

なのは「…ッ…み、みんな…!」

 

 

零「クッ!…ば、馬鹿…!早く逃げろ!ここにいたらお前等も…『他人の心配をしている余裕があるのかね?』…ッ?!」

 

 

零の言葉を遮るように森林の方から声が響き、零達は森林の方へと振り向くと、森の中にある木々が次々と倒れていき、その中からアークがゆっくりと姿を現して零達に迫って来た。

 

 

ゆたか「な、何あれ?!」

 

 

進「で、でかすぎるだろう?!なんだよあいつは?!」

 

 

現れたアークを見た進達も、その姿の大きさに思わず驚愕してしまう。

 

 

みなみ「い、泉先輩…あれは一体…?!」

 

 

こなた「そ、そんな…あれって、アーク?!キバの映画に出て来た巨大ライダーだよ!」

 

 

進「あ、あれもライダーかよ?!いくらなんでも体格がおかしいだろ?!」

 

 

明らかに限度を越えているアークの巨体に進達は驚きと戸惑いを隠せずいる。そんな中で、アークは倒れている零達にゆっくりと近づいていき零達もアークが近づく度に身体を引きずって後退していく。

 

 

アーク『もういい加減諦めたまえ零君。君は私の下に来るに相応しい人材だ。このような場所で散っていい存在ではないのだよ。さあ、大人しく君の娘と共に私の所に来るんだ!』

 

 

零「…ッ…うるせぇよ…何度も言わせるな…俺はお前の駒になるつもりも、ヴィヴィオをお前のくだらない目的の為なんかに渡すつもりもないッ!!」

 

 

アークに向かって叫びながら零は再び立ち上がり、ディケイドに変身しようとディケイドライバーとライドブッカーを取り出した。だが……

 

 

アーク『そうか…ならば仕方がない……ハアッ!』

 

 

―バシュウウウウッ!!!―

 

 

零「?!な、何?!」

 

 

零がディケイドライバーを腰に装着しようとした瞬間、アークが零に片手を向けて黒いエネルギー波を放ち、ディケイドライバーとライドブッカーが零の手から勝手に離れてアークの手に握られた。

 

 

スバル「れ、零さんのベルトが……?!」

 

 

 

なのは「そんな……!」

 

 

アーク『ククク…どうするかね零君?これで君は変身が出来ない…戦う力を失った君が私に敵うはずもない…君の負けだ!』

 

 

零「チィッ……!」

 

 

奪ったディケイドライバーとライドブッカーを零に見せつけながら煽るアークに零も思わず舌打ちしてしまう。一方で、その光景を見ていた進達はアークの手に握られているディケイドライバーとライドブッカーを見て驚いていた。

 

 

みなみ「あれは…ディケイドライバーとライドブッカー?!」

 

 

ゆたか「な、何であの人が進さんのベルトを持ってるんですか?!」

 

 

こなた「進…!もしかして廊下でぶつかった時に取られちゃったとか?!」

 

 

進「い、いや、俺のバックルとカードはちゃんと此処にあるぞ…?」

 

 

進はそう言って自分の懐からディケイドライバーとライドブッカー取り出しそれをこなた達に見せる。

 

 

こなた「あ、あれ?何で?」

 

 

ゆたか「進さんがコレを持ってるなら…何であの人があれを…」

 

 

進「…何がどうなってんだ…アイツは一体…?」

 

 

なぜ進の物と同じディケイドライバーとライドブッカーを零が持っているのか。進達はアークの手に握られているディケイドライバーとライドブッカー、そして零を見て訝しげな表情を浮かべていた。だが…

 

 

アース『敵を目の前にしてよそ見とは、随分と余裕だな』

 

 

『ッ!?』

 

 

背後からアースの声が聞こえ、進達が慌てて振り返ると、其処にはアースとレジェンドルガ達が進達に片手を向けてエネルギーを集めている姿があった。

 

 

進「!?ヤベェ!」

 

 

身の危険を感じた進達はそれを回避しようとアース達から離れようとする。だが、時は既に遅く…

 

 

『ハァアッ!!』

 

 

―スドドドドドドドドッ!!ドゴォオオオオンッ!!―

 

 

『ウァアァァァァァアッ!!?』

 

 

アース達の放ったエネルギー弾がマシンガンの如く放たれ、進達は爆風と共に別々の方向へと散って吹っ飛ばされていき、その攻撃によって発生した爆風が離れた場所にいる零達にも襲い掛かった。

 

 

零「こ、これは…?!」

 

 

ティアナ「こ、今度は一体なんなのよ?!」

 

 

スバル「ゲホッ!ゲホッ!うぅ…何にも見えない……!」

 

 

状況を確認しようと辺りを見回す零達だが、周りは黒煙に包まれている為に何が起きたのか分からず混乱してしまう。更に……

 

 

―シュウゥゥゥゥゥ…ズドォオオオオォォォーーンッ!!!―

 

 

『ッ?!ウアァァァァァアッ?!!」

 

 

突如、黒煙に包まれる中で零達の後ろから砲撃のようなエネルギー弾が向かって来て、零達は反応が遅れてそれをかわせずに直撃して吹っ飛ばされてしまう。零は空中で何とか態勢を立て直して着地し慌てて辺りを見回した。すると…

 

 

ヴィヴィオ「キャアァァッ!」

 

 

零「?!ヴィヴィオ!!?」

 

 

黒煙の向こうからヴィヴィオが吹っ飛ばされて来るのが目に映り、零は慌てて地面に墜ちようとしていたヴィヴィオを自分の身体をクッションにして受け止めた。

 

 

ヴィヴィオ「わっ?!パ、パパ…?」

 

 

零「大丈夫かヴィヴィオッ!?何処か怪我とかしてないか?!」

 

 

血相を変えてヴィヴィオに怪我がないか問い掛ける零にヴィヴィオは大丈夫だと頷き、零はホッと胸を撫で下ろしてヴィヴィオを地面に下ろし、未だ黒煙に包まれている辺りの景色を見渡して他のみんなを探す。

 

 

零「クソッ……!なのは達は何処だ……?!アイツらも無事なんだろうな!?」

 

 

零は黒煙の中を見渡して必死になのは達の姿を探すが、この黒煙が視界を邪魔している為に中々みつからない。暫くその場でなのは達を探していた零だったが、遂にジッとしている事が出来なくなりその場から動こうとした。その瞬間…

 

 

―ドォオンッ!―

 

 

零「おわぁっ!?」

 

 

「なぁっ?!」

 

 

突然後ろから何かがぶつかり零はその衝撃でバランスを崩しかけたが何とかその場で踏ん張ると後ろに振り返ってヴィヴィオを守るように立ち構える。振り返った先には黒煙の向こう側でうごめく一つの影があった。

 

 

零(チッ!こんな時に一体何だ!?レジェンドルガか…トーレか…まさかスカリエッティとかじゃねぇだろうな…!)

 

 

頭の中に浮かび上がる嫌なビジョンを振り払うように軽く頭を横に振ると、黒煙の向こうで側でうごめく影を睨みつけながら右拳を岩のように硬く握る。すると黒煙は徐々に薄れて目の前の景色が目で見えるようになっていく。そこにいたのは…

 

 

零「…ッ?!お、お前は…?!」

 

 

進「…?!お前、さっきの…?」

 

 

其処にいたのは、自分と同じようにボロボロの姿で身構えている進だった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

一方、零達から離れた場所にある大木の陰では…

 

 

「…ちっ!今ので仕留められなかったとは…しくじったか…!」

 

 

其処には王座の間で姿を消したはずの男が、零と進を険しい表情で睨んで悔しそうに唇を噛み締めていた。どうやら零達を狙っていた先程の攻撃は彼が仕掛けた物だったらしい。

 

 

「元道進…お前もいずれは全てを破壊する存在だ…。この世界のディケイドと共に始末してくれる!」

 

 

謎の男がそう呟くと共に男の背後に銀色のオーロラが現れ、オーロラが晴れると、其処には青い瞳に金色の装甲、カブトムシを連想させるような姿をした一人のライダーがその場に現れ左手に持つ青い薔薇を遠くにいる零と進の姿に重ね合わせていた―――。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑫

 

謎の男とアース達によって仲間達と逸れてしまった零と進、そしてヴィヴィオ。そんな中で、彼等は思いもよらぬ形で再会を果たしていた。

 

 

零「お前、なんで此処に…というかこんな所で何やってんだ!?」

 

 

先程城の中でアース達に連れ去られたはずの進が何故此処にいるのか、一先ず適当な岩陰に進と共に身を潜めた零の疑問に、進は小さく溜め息を吐いて答える。

 

 

進「何でも何もない。俺達はあの後ここに連れて来られて、あの怪物達と……それと気持ち悪い笑い方をする眼鏡の女に一方的にやられてたんだよ」

 

 

零(…眼鏡の女?…ああ、クアットロの事か…確かにアイツの笑い方は苛つく上に気持ち悪いからな…分かりやすい上に共感出来るわ…)

 

 

バツが悪そうに言う進の言葉に納得して頷く零だったが、進の周りを見て一つ疑問を感じ首を傾げる。

 

 

零「? なあ、お前と一緒にいた子達はどうした?確かあの子達もお前と一緒に連れていかれたはずじゃ…」

 

 

そう、アース達に連れていかれた時に進と一緒にいたはずの少女達……こなた、ゆたか、みなみの三人の姿が何処にも見当たらず尋ねると、進は再び溜め息を吐きながら額に手を当てて答える。

 

 

進「ちょっと訳ありでな。さっき言った怪物達のせいで皆とはぐれちまったんだ。それで皆を探していた時に此処でお前と会った。そんな所だ…そういうお前は?」

 

 

零「…俺もお前と似たようなもんだ。いきなり攻撃されて、その時に俺達は皆と逸れ、あいつ等を探していたところにお前が現れた……って所だ」

 

 

互いの経緯を簡単に纏めて話すと二人は辺りを見回し、零は進を横目で見ながら口を開く。

 

 

零「それで、さっきは聞きそびれたからもう一度聞くが…お前一体誰だ?せめて名前だけでも教えてくれるとこっちも色々と助かるんだが」

 

 

進「……気にするな、ただの通りすがりだ。呼びたければ好きなように「そうか……じゃあ仏頂面で」元道進だッ!!!」

 

 

かっこよく決めようとした瞬間に絶対に呼ばれたくない名前を出され、進は咄嗟に振り返って改めて名を名乗った。

 

 

零「元道進か…いい名前じゃないか。俺は黒月零。まあ、お前の言葉を借りれば同じくただの通りすがりだ。それでこっちが……ヴィヴィオ、おいで」

 

 

ヴィヴィオ「う、うん」

 

 

先程から零の後ろに隠れていたヴィヴィオを前に出すとヴィヴィオは進の前に立ちペコッと可愛らしく頭を下げた。

 

 

ヴィヴィオ「えと…ヴィヴィオです。はじめまして」

 

 

少し照れた様子で丁寧にお辞儀をするヴィヴィオ。だが……

 

 

進「………え?……はじめ…まして……?」

 

 

ヴィヴィオ「…?」

 

 

零「?どうした元道?」

 

 

ヴィヴィオが進に挨拶をした瞬間、進は衝撃を受けたような表情を浮かべ、零とヴィヴィオは「?」と頭上に疑問符を浮かべて首を傾げる。すると固まっていた進が漸く我に返り戸惑った様子でヴィヴィオに問い掛けて来た。

 

 

進「ちょ、ちょっと待て?!ヴィヴィオ!何ではじめましてなんだ?!俺の事忘れたのか?!!」

 

 

ヴィヴィオ「え?え?」

 

 

零「おい、ちょっ、落ち着け元道!!どうしたんだ急に?!」

 

 

戸惑った様子でヴィヴィオに問い詰めて来る進を後ろから羽交い締めにして落ち着かせようとする零。すると進は何かに気づいたようにハッと声を上げて零の方に振り返った。

 

 

零「お、おい?どうした?そんな怖い顔をして…ウグゥッ?!ま、待て元道!落ち着け!何で首を締め…ってか苦しい!苦しいって!首が締まって!呼吸がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

進「やかましい!!お前の仕業か!?何か色々とおかしいと思ったら全部お前の仕業だろッ?!なのは達に一体な・に・を・し・た!?全部吐けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

零「い、意味が…分からな……ちょっ!堕ちる堕ちる堕ちる堕ちる!!!本当に堕ちる!!!!!」

 

 

零の首をガッチリと締めて問い詰める進だが、呼吸ができない今の零にそんな問いに答えられる余裕があるはずもなかった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

一方その頃…零達のいる場所から少し離れた所では…

 

 

こなた「進ー!進ー!何処にいるのー!?」

 

 

ゆたか「進さん!いるのなら返事をして下さい!進さん!」

 

 

先程の攻撃によってバラバラに散ったこなた達三人は何とか合流出来たのだが、肝心の進の姿が見つからず、三人は未だ見つからない進を探して黒煙の中を駆け回っていたのだ。

 

 

みなみ「泉先輩!ゆたか!駄目です、こっちにもいません!」

 

 

ゆたか「……進さん。一体どこに行ったんだろ…無事だといいんだけど」

 

 

こなた「…進ならきっと大丈夫だと思うけど、ここまで探しても見つからないんじゃちょっと心配だよね…よし!次はあっちを探してみよう!」

 

 

ゆたか「あっ!お、お姉ちゃん待って!」

 

 

胸の中で渦巻く不安を振り払うように大声を上げて進の探索を再開するこなた。ゆたかとみなみもそんなこなたの後を追ってその場から歩み出した、が。

 

 

―ズドドドドドドドドドドドォオオオオッ!!!!―

 

 

『ッ?!』

 

 

突如こなた達の周りに複数のが砲弾が放たれ、こなた達は思わず足を止めて振り向いた。そこには…

 

 

『──漸く見つけたぞ……ロードの研究のサンプル!』

 

 

こなた「?!レジェンドルガッ?!」

 

 

こなた達が振り向いた先にいたのは、ゆっくりとこなた達に近づいて来るレジェンドルガ達だった。しかも、その数はおよそ十体。今のこなた達にとっては迷惑な数だ。

 

 

こなた「もうッ!なんでこんな時に出て来んのさ!!みなみちゃん…ゆーちゃんをお願い!」

 

 

みなみ「はい!」

 

 

とにかく今はレジェンドルガと戦うしかない。こなたはみなみにゆたかを任せると懐からセカンドライバーを取り出し変身して戦おうとした。その時…

 

 

 

『ATTACKRIDE:PHANTOM BLAZER!』

 

 

―ズドォオオオオオオオンッ!!!―

 

 

『グゴォッ?!グァアアアアアアアアアッ!!?』

 

 

 

こなた「…え?」

 

 

突如、その場に電子音声が響いたと同時にレジェンドルガ達の真横から極太の巨大な砲撃が放れ、十体はいたレジェンドルガの内の最前線にいた四体がその砲撃に包まれ、断末魔を上げながら消滅していった。それを見ていたこなた達も残りのレジェンドルガ達も呆然となり、その砲撃が放れた方向……先程の砲撃によって黒煙が晴れた場所を見た。そこにいたのは…

 

 

トランス『──よし、何とか間に合った!』

 

 

スバル「うわっ…よ、容赦ないですねなのはさんっ」

 

 

ティアナ「……塵一つ残さず完全に消滅……手加減なしだとここまですごいなんてねっ」

 

 

そこには、トランスに変身したなのはと先程の砲撃の威力を見て顔を引き攣らせているスバルとティアナが立っていた。

 

 

先程の謎の男の攻撃で零とヴィヴィオと逸れたなのは達は、二人を探していた途中、偶然にもこなた達が襲われていた場面を目の当たりにし三人を助ける為に加勢に入ったらしい。そして、突然現れたトランス達を見たこなた達は…

 

 

みなみ「あれは……ディケイド?」

 

 

ゆたか「だ、だけど…鎧の形も色も違う…お姉ちゃん…あれって一体?」

 

 

こなた「わ、わかんない…あれも原作にないライダーだし…というか何でスバルとティアナがあのライダーと一緒にいるの?!」

 

 

突然現れたトランス達にこなた達が驚いている中、トランスは一人レジェンドルガ達にゆっくりと近づいていく。

 

 

『貴様!我々の邪魔をするなッ!』

 

 

トランス『そういう訳には行かないよ!あんな小さい女の子達にまで手を出そうなんて…そっちがその気なら、私も容赦はしないから!』

 

 

トランスはそう言って腰にあるライドブッカーをソードモードに切り替えながらレジェンドルガ達に向かって斬りかかり、その間にスバルとティアナがこなた達の下へと駆け寄っていく。

 

 

ティアナ「大丈夫ですか!何処か怪我は?」

 

 

ゆたか「あ、だ、大丈夫です」

 

 

こなた「ね、ねぇ二人共…あの人は一体…?」

 

 

こなたは呆然とした様子でトランスを指差すとスバルがその問いに答える。

 

 

スバル「ああ、うん。あの人はなのはさんだよ。さっき城の中で会ったの時の人…ってもう知ってるよね、あははっ」

 

 

苦笑いを浮かべながら頬を掻くスバル。だが、それを聞いたこなた達は目を見開いて驚愕の表情を浮かべながらトランスを見つめる。

 

 

ゆたか「あのライダーが…なのは…さん?」

 

 

こなた「ど、どういう事?…だってなのはさんの変身するライダーってナノハのはずじゃなかったの!?」

 

 

『…ナノハ?』

 

 

困惑した表情を浮かべながら言うこなたの言葉に首を傾げる二人。その一方で、トランスは次々とレジェンドルガ達を斬り裂いていき、ある程度ダメージを与えるとレジェンドルガ達との距離を離した。

 

 

トランス『さて、じゃあそろそろ終わらせてもらうよ。私達も零君とヴィヴィオを探さないといけないんだから!』

 

 

トランスはライドブッカーソードモードからカードを二枚取り出し、その内の一枚をトランスドライバーにセットしスライドさせる。

 

 

『ATTACKRIDE:SHIDEN ISSEN!』

 

 

電子音声が鳴るとライドブッカーの刀身を炎熱が包み込み、更にトランスは取り出したもう一枚のカードをトランスドライバーにセットしスライドさせる。

 

 

『ATTACKRIDE:SONIC MOVE!』

 

 

再び響いた電子音声と共にトランスはライドブッカーを両手で構え身を屈める。そして…

 

 

トランス『…フッ!』

 

 

トランスが力強く足を踏み出した瞬間、その場にいる全員の視界からトランスの姿が消えた、と同時に。

 

 

―ズバァンッ!ズバァンッ!ズバァンッ!ズバァンッ!ズバァンッ!―

 

 

トランスは目にも止まらぬ速さでレジェンドルガ達の間を通過し、それと同時に手に持つ炎を纏ったライドブッカーでレジェンドルガ達を斬り裂いていく。そしてトランスが最後の一体の横を過ぎ去ると、炎の消えたライドブッカーの刀身を軽く撫でる。次の瞬間……

 

 

『………アッ?……ガッ?!グガアアァァァッ?!!』

 

 

―ドシュウゥゥゥゥゥッ!サァァァァァァ…―

 

 

レジェンドルガ六体の内の五体の身体に切り刻まれた斬り傷から炎が吹き出し、その炎が包み込まれたレジェンドルガ達の身体は灰となり、風に吹かれて消え去っていった。

 

 

『っ?!クソッ!』

 

 

トランス『あッ!逃がさないよ!』

 

 

最後に残ったレジェンドルガがその場から逃走を始め、トランスはそれを見逃さず逃走したレジェンドルガを追おうと駆け出した。だが…

 

 

 

 

『HYPER CLOCK UP!』

 

 

 

 

『……?……ガッ?!グォオオオオオオオーーッ!!!?』

 

 

―ドゴォオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

『……?!』

 

 

突如、その場に無機質な電子音声が響いたと同時に、逃走したレジェンドルガが大爆発を起こして散っていったのだ。

 

 

そして爆炎が少しずつ晴れていくと、爆発したレジェンドルガのいた場所の中央に黄金の装甲、青い瞳を輝かせるカブトムシのような姿をしたライダーが立ち構えていた。

 

 

トランス『?!だ、誰?!』

 

 

突然目の前に現れた黄金のライダーにトランスが思わず問い掛ける。すると、黄金のライダーは左手に持つ青い薔薇を見つめながら口を開いた。

 

 

『なるほど、貴方の血は美しい色合いをしている様だ……破壊者達の血よりも先に、貴方の血を私の薔薇の色取りに加わえましょう……』

 

 

トランス『え?―ドゴォオンッ!―グッ?!ウァァァァッ!!?』

 

 

スバル「?!なのはさん?!」

 

 

トランスが黄金のライダーの呟きに聞き返した瞬間、黄金のライダーが一瞬でトランスの懐へと入り強力な打撃を打ち込んでトランスを吹っ飛ばした。そして黄金のライダーは吹っ飛ばしたトランスの追撃を始め、その場から再び駆け出していくのだった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑬

 

一方その頃、トランス達がいる場所から数十キロ離れた先の場所

では、合流したアーク、アース、クアットロ、そして数十体以上のレジェンドルガ達が、突然目の前に出現した銀色のオーロラによって道を阻まれ足止めにあっていた。

 

 

アース『チッ!一体なんなんだこの歪みは!?何故破壊できない?!』

 

 

クアットロ「うーん、厄介ですね~。これじゃあ外にも出れなさそうだし…」

 

 

レジェンドルガ達の大群の最前線にいるアースが歪みの壁を殴りつけている一方で、遠方にいるクアットロは歪みの壁を見上げながら困ったような表情を浮かべている。

 

 

アーク『…なるほど…これも君の仕業かね?』

 

 

その一方、レジェンドルガ達の大群の一番後方にいるアークが自分の後ろにある森林の方へ振り返りながら言うと森林の中から一人の男が現れゆっくりとアークに歩み寄っていく。

 

 

「…ああ、お前ではディケイドを始末するのは無理だと分かったからな。私の手で奴らを消す事にしたよ」

 

 

そう言って謎の男が険しい表情でアークを睨みつけるが、アークはそれでも仮面越しに歪んだ笑みを浮かべているだけだった。

 

 

アーク『なるほど。ならばそうなる前に私が先に彼を手に入れるよ。…もう一人の方は君にくれてもいいがね』

 

 

「ちっ、本当に欲望の強い男だ。……まあいい、この世界のディケイドも別世界のディケイドも私が始末する。お前の出番はここまでだ…スカリエッティ」

 

 

謎の男がそう言うと、男の周りの空間が銀色のオーロラに包まれていき、オーロラが晴れると男の姿はそこから消え去っていた。

 

 

アーク『……愚かな男だ。あの力の素晴らしさを理解出来ないとは』

 

 

アークは男が消えた場所を見てそう呟くと、目の前の銀色のオーロラに視線を移し、レジェンドルガ達を退かしてアースのいる最前線にまで歩いていく。

 

 

アース『ドクター?』

 

 

アーク『下がっていたまえトーレ。この程度の物なら私一人で壊せる…フンッ!』

 

 

―ドォオンッ!ドォオンッ!ドォオンッ!ドォオンッ!―

 

 

アークが目の前の歪みの壁を何度も殴りつけていくと歪みの壁に少しずつ皹が入っていく。すると、アークのその姿を見て感化されたアースやレジェンドルガ達も目の前の歪みの壁に向かってエネルギー弾を放ち歪みの壁の破壊作業に入った。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

一方その頃……。

 

 

―ドゴォンッ!バキィッ!ドゴォッ!―

 

 

トランス『グゥッ!クッ!貴方は一体何者ですか?!なんでいきなり…!』

 

 

『私が何者であろうと貴方に関係ありません。私はただ、薔薇が見つめてくれる限り戦うだけ……それだけです!』

 

 

トランス『グッ?!』

 

 

突如襲い掛かって来た謎のライダーと戦闘を行いライドブッカーソードモードで対抗するトランス。だが、謎のライダーの放つ激しいボディラッシュによってトランスは防御する事しか出来ず、防戦一方となっていた。

 

 

ゆたか「な、なのはさん!」

 

 

スバル「ティ、ティア!何とかならないの!?このままじゃなのはさんが!」

 

 

ティアナ「そんな事言ったってどうする事も出来ないわよ!私はもう変身出来ないし…というか一体何なの、あのライダー?!」

 

 

謎のライダーに追い詰められていくトランスを見てゆたかもスバルも焦り、ティアナもいきなり現れた謎のライダーにただただ困惑を浮かべるしかない中、あの謎のライダーを見たこなたは驚愕していた。

 

 

こなた「そんな…あれってコーカサス?!アークの次にアイツまで出て来るなんて!」

 

 

みなみ「?泉先輩、あのライダーの事知ってるんですか?」

 

 

謎のライダーを見て驚いているこなたにみなみが怪訝そうに問い掛けると、こなたは戸惑いながらゆっくりと頷く。

 

 

こなた「う、うん。あれはコーカサスっていうライダーで、カブトの映画に出て来たライダーの一人だよ!」

 

 

こなたの説明では、あの謎のライダーの正体はカブトの映画に出て来た敵ライダー、コーカサスと呼ばれる名のライダーらしい。原作ではカブトの世界に存在する組織、「ZECT」の中でも最強と呼ばれるライダーでありその強さは「彼と戦う者は、戦う前から敗北している」と囁かれる程の強さを持つライダーなのだ。

 

 

ゆたか「そ、そんな……あのライダーってそんなに強いんですか?!」

 

 

こなた「…うん。進がいないのはちょっとやばいけど、アイツが"アレ"を使う前に私達でアイツを倒さないと!」

 

 

コーカサスが"あの力"を使えばトランスにも自分達にも勝ち目などない。そうなる前に何としてもコーカサスを倒さなければと、

こなたはセカンドライバーを取り出し腰に装着する。

 

 

みなみ「待って下さい泉先輩、私も行きます!」

 

 

こなた「みなみちゃん…。うん、分かった。スバル!ティアナ!ゆーちゃんの事お願い!」

 

 

スバル「え?」

 

 

ティアナ「ちょっ、貴方達、何を!?」

 

 

前に出た二人を呼び止めるティアナだが、二人はそれを聞かず、こなたは左腰のライドブッカーからカードを、みなみはセイオウベルトを腰に装着しポケットからライダーパスを取り出した。そして…

 

 

『変身ッ!』

 

 

『KAMENRIDE:SECOND!』

 

『Holy form』

 

 

スバル&ティアナ「「……え?!」」

 

 

二人が自分のバックルにカードとパスをセット&セタッチした瞬間バックルから電子音声が響き、こなたはセカンドに、みなみは聖王に変身してその姿を変えていった。それを見ていたスバルとティアナはいきなりライダーに変身した二人を唖然とした表情で固まってしまうが、セカンドと聖王はそんな二人を他所にライドブッカーGモードとセイガッシャーを構え、セカンドはライドブッカーガンモードの狙いをコーカサスに向け乱射した。

 

 

―ズガガガガガガッ!―

 

 

コーカサス『ウグゥッ?!』

 

 

トランス『えっ?!』

 

 

聖王『ハアァァッ!』

 

 

コーカサスがセカンドの乱射に怯んだ瞬間を聖王がセイガッシャーで斬りかかるが、コーカサスは直ぐさま後退してそれをかわし、その間にセカンドが聖王の下へと駆け寄って来る。すると、トランスは直ぐに後ろへと後退し二人を警戒してライドブッカーソードモードを構える。

 

 

セカンド『ちょっ?!なのはさん落ち着いて!!私達だよ!』

 

 

トランス『え?…その声…もしかしてさっきの女の子?』

 

 

セカンド『そうだよ!も~、いつまでそうやって知らない振りしてるの?此処まで来ると逆に質が悪いよ~』

 

 

トランス『?…えーと…』

 

 

ため息混じりで言うセカンドの言葉にトランスは首を傾げる。自分の事を知ってると言う事は自分はこの子達と知り合いなのか?と、自分の記憶を掘り返して彼女達の事を思い出さそうとするが、やはりそんな記憶はない。

 

 

トランス『えっと……ゴメンね、全然思い出させないんだけど、前に会った事あったかな?』

 

 

セカンド『………え?ちょっ、本当にもうそんな振りいいって!それともなんか怒ってる?!もしかして私がなんか怒らせるような事した!?』

 

 

トランス『う、ううん!そうじゃなくて!…悪いけど、本当に思い出せないの。ゴメンね…』

 

 

セカンド(え、ええっ……?どゆこと?最初は冗談かと思ったけど、でもそんなふうには見えないし……?)

 

 

自分の事を知らないと申し訳なさそうに謝るトランスが嘘を言ってるようにも見えず、いよいよ訳が分からず困惑してしまうセカンド。すると…

 

 

コーカサス『フンッ!デアァァッ!』

 

 

聖王『クッ!ハァァッ!』

 

 

―ガキィンッ!ドゴォッ!ガキィィンッ!―

 

 

トランス『ッ!とりあえずその話しは後でしよう!今はあの子を助けないと!』

 

 

セカンド『えっ?あ、は、はい!』

 

 

一人でコーカサスと奮闘する聖王を見たトランスがライドブッカーソードモードを構えコーカサスに突撃し、セカンドも疑問を拭えないままだが、取り敢えずその話しは後にし後方からライドブッカーガンモードをコーカサスに乱射し二人の援護に回っていった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

一方その頃、なのは達とこなた達と逸れた零と進達は……。

 

 

 

進「…痛ぅ~…と言うと、つまりあれか?お前となのは達は滅びかけている自分達の世界を救う為に色々な世界を旅して、その時にばらばらになったフェイト達も探している…と?」

 

 

零「ゲホッ!ゲホッ!ッ…ああ…そうだよ。くそっ…もう少しで三途の川を渡り切る所だった…」

 

 

と、痛そうに自分の頭を押さえている進に、零が自分の首筋を撫でながら答える。

 

 

あの後、進に首をガッチリと掴まれた状態が長く続いたせいで冗談抜きで呼吸困難に陥り、死の一歩手前まで来た瞬間に進へ脳天チョップを喰らわせ、進を正気に戻した事により命の危機から逃れたのだ。

 

 

因みに、進は頭に血が上りすぎていた為に零が死にかけていた事にまったく気づいていなかったという。

 

 

進(……けど、一体どういう事だ?なのは達の世界は俺達が救ったはずだ……なのにあいつ等の世界が滅びかけている上にフェイト達が行方不明…?何がどうなってんだ……)

 

 

零の説明に進は訳がわからないといった表情を浮かべて自分の頭を摩っている。

 

 

零「――ゲホッ、ンンッ!……ところで、さっきのは一体なんだったんだ?ヴィヴィオの事やなのは達の事がどうのこうの言っていたが……というか、城の中で最初に会った時にもなのは達を知ってるような事言ってただろ?何故だ?」

 

 

ヴィヴィオ「~♪」

 

 

自分の膝に座るヴィヴィオの頭を撫でながら未だに頭を押さえている進に問い掛けると、進は若干不機嫌そうな表情を浮かべて零に視線を移す。

 

 

進「何故って、俺となのははナノハの世界で一緒に戦ってるし、何より今は共に世界を旅しているんだからな。知ってて当然だろ」

 

 

素っ気ない言い方で零の問い答える進。すると、零は進の言葉に幾つか疑問を抱いた。

 

 

零「ナノハの世界?…一緒に旅?……待て元道。どう意味だそれは?それだとまるで――」

 

 

進の言葉が頭の中で引っ掛かり、気になった零は進に言葉の意味を求めて再び問い掛けようとした。その時…

 

 

―ズドォオオオオオオオオオオンッッッ!!―

 

 

『?!』

 

 

突然その場に轟音が響き渡り三人は驚いて思わず辺りを見渡した。

 

 

進「黒月!今の!」

 

 

零「ああ!今の音は…まさかなのは達か…?』

 

 

進「…分からない。だが何かあるのは確かだろ。確か音は……あっちからだ!」

 

 

その音の感じからして一大事だと気づいた二人は急いでその轟音が聞こえた方向へと走り出した。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑬(裏)

 

同時刻、魔界城・王座の間。

零達とアークの激戦により、壁や柱、床などの至る所が破壊されてボロボロになったその場所で、二人の男が何かを探して部屋の中を歩き回っていた。

 

 

「いや~…それにしても、随分と派手にやったもんだよな~」

 

 

黒を特徴とした服装の男が破壊された柱に触れながらそう言うと、もう一方の男がそれに同意するように頷いた。

 

 

「そうだな……けど、この世界のディケイドとアークがここにいないって事は…もしかして戦いの場を何処に変えたって事か?」

 

 

「多分な。どうやら無駄足を踏んじまったらしい……ん?」

 

 

黒い服装の男が部屋の中を歩きながらそう言うと、何かに気づき辺りを見回す。

 

 

「?…なあ"智大"、"昌平"の奴はどうした?ここに来る途中まで一緒だったはずだろ?」

 

 

黒い服装の男が誰かを探し辺りを見渡しながらそう聞くと、智大と呼ばれた男は何処か呆れたようにため息を吐いてその問いに答える。

 

 

智大「アイツならここに来る途中、城の中を探検するとか言ってどっかに行っちゃったまま、それっきりだよ」

 

 

智大が返した答えを聞くと男は呆気に取られ、額を押さえながら同じく呆れた様にため息を吐く。

 

 

「またかよ、こんな非常事態って時にアイツは……」

 

 

智大「まあ、アイツの自由気ままは今始まった事じゃないし、気にしても仕方ないと思うぞ。"幸助"?」

 

 

智大が幸助と呼ばれる男にそう言いながら苦笑いを向けると、幸助はやれやれといった表情を浮かべて首を小さく左右に振る。

 

 

幸助「それもそうだな。とりあえず、今はアイツの事よりディケイド達の足取り調べねぇと……」

 

 

智大「そうだな……そういえば幸助、"シズク"さんは一体どうしたんだ?てっきりお前と一緒だと思ったんだけど…」

 

 

幸助「ん…?ああ、アイツならまだこの世界に来てねぇぞ。俺達の世界にはまだ大量のレジェンドルガ達がいるからな…あらかた片付いたらこの世界に来るって言ってたぜ」

 

 

柱に背中を預けながら簡単に説明する幸助。智大もそれを聞くと「そうか」と納得したように頷く。その時……

 

 

―PPPPP…PPPPPP…―

 

 

幸助「?なんだ…?」

 

 

智大「あっ、僕の携帯だ……ん?……誰だコレ?」

 

 

着信音の鳴る自分の携帯を懐から取り出しディスプレイに表情されている番号を見てみるが、ディスプレイに表情されていたのは見知らぬ番号。智大は、はて?と首を傾げながら携帯の通話ボタンを押し携帯を耳に当てる。

 

 

智大「…もしもし?」

 

 

『やっほーい♪智大♪俺だ俺!』

 

 

智大「?………その声……まさか、昌平か?!」

 

 

『ピンポーン♪大・正・解♪』

 

 

智大の携帯の向こうから聞こえてくる陽気な声。その声の主こそ先程自分達が話していた男、昌平だった。

 

 

智大「おまっ、なんで僕の携帯に……というかお前も携帯持ってたんだな…てか使い方知ってたのか?」

 

 

昌平『……それって遠回しに俺の事馬鹿にしてない?いくら俺でも携帯ぐらい持ってるっつの…まっ、いいけどさ。それよりもちょっと頼みがあるんだけどいいか?』

 

 

智大「……頼み?」

 

 

予想していなかった昌平の言葉に思わず聞き返すと、昌平は『YES♪』と軽快に答え自分の頼みを智大に伝える。

 

 

 

昌平『実はさあ、城の中を探検してたら帰り道が分からなくなっちまったんだよね~。というわけで智大、悪いんだけど迎えに来てくれ♪』

 

 

 

智大「……………はあ?」

 

 

 

何言ってんだコイツ?と、昌平の頼みを聞いた瞬間、智大は唖然とした表情を浮かべながらそう思う。だが、昌平はそんな智大の反応を他所に『それじゃあ待ってるから、早く来てくれよ~♪じゃっ!』と、その言葉を最後に電話を切られてしまい、後に聞こえてくるのはプー…プー…と通話が切れた音だけだった。

 

 

幸助「…どうした智大?誰からの電話だったんだ?」

 

 

携帯を握ったまま固まっている智大を見て幸助が思わず問い掛けた。すると、智大は今の電話の相手が昌平だという事、昌平の言っていた頼みを教えると、同じように幸助も唖然とした表情を浮かべ二人はガクッと両肩を落とし、不本意ながらも城の中で迷子になった昌平の迎えにいく為、調査を一度中断して王座の間を後にした。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

一方その頃、光写真館から少し離れた場所にある森林の中では、光写真館と酷似した一つの建物が現れその建物の扉が開くと、中から三人の男女が姿を現した。

 

 

「ウォオオオオオー!ジャングルじゃんジャングル!すっごいね~!!」

 

 

茶髪の少女がハイテンションでそう叫ぶと自分の首に掛けているトイカメラで辺りの景色を撮影し始める。するとその様子を見ていた二人の男女が呆れてため息を吐いた。

 

 

「ハァ…"ツカサ"、少しは落ち着けよな…てかここって何の世界だ?見た感じ人も町も何もないようだが」

 

 

「ですよね。どこを見ても森ばっかりだし………ん?あれは…」

 

 

少女が何かを見つけてその方向を見ると、ツカサと呼ばれた少女と少年も少女の視線を追ってその方向を見る。すると、少年は驚愕の表情を浮かべ、ツカサは「オオオオオーー!!!!」と更にテンションを上げながらトイカメラを構え何かを激写していく。

 

 

三人が見つけたのはここから遠くに見える場所でそびえ立つ城……魔界城だった。

 

 

「な、何だあれ…城?!」

 

 

「……あっ、もしかして、背景ロールに描かれてた黒い城って…アレの事?」

 

 

ツカサ「凄い凄い凄い凄いすごいよ~♪生の魔界城だ~♪よし!"俊介"!"裕香"!あの城に行こう!もしかしたらあそこにアークとかがいるかも~♪」

 

 

俊介「は?お、おい待てよツカサ!」

 

 

裕香「ま、待ってください!一人で出歩くのは危険ですよ!!」

 

 

俊介と呼ばれた少年と、裕香と呼ばれた少女が興奮状態で城へと向かっていくツカサを呼び止めるが、ツカサはそれを聞かず二人を置いてズンズンと森の中を歩き魔界城へ向かおうとする。その時……

 

 

―ズドォォォォォォンッ!!―

 

 

『ッ?!!』

 

 

不意に森の中で轟音に似た爆音が響き渡り、三人は驚きのあまり足を止めて辺りを見渡した。

 

 

俊介「な、何だよ今の…?」

 

 

裕香「…今の音は…爆音?結構近かったですよね?確か…えーと…」

 

 

いきなり聞こえて来た轟音に動揺する俊介とは反対に、落ち着いた様子の裕香は先程の音が聞こえた来た方向を探して辺りを見回している。とその時、いつの間にか二人の隣にいたツカサが「おおおっ?!」と、何かに反応するように飛び跳ねた。

 

 

ツカサ「わかる…私にはわかるぞ~!この先に何人ものライダー達がいると私の中に眠るライダーセンサーが反応しているぞ~!」

 

 

俊介「……また根拠のない事を。つかそんな意味不明で信憑性のないセンサーなんかアテになるか馬鹿」

 

 

ツカサ「馬鹿とは失礼な!私のライダーヲタとしての魂がそう言ってんだから間違いないの!」

 

 

俊介「…センサーじゃなかったのかよ」

 

 

裕香「ま、まあまあ…ところで、さっきの音が聞こえてきた場所って分かるんですか?」

 

 

俊介を宥めながら裕香が怪訝そうにツカサに問う。するとツカサは少し悩むように顎に手を添え、あちらこちらを見渡している。

 

 

ツカサ「ん~とね…あっちだよ!」

 

 

暫く悩むような素振りを見せていたツカサが指である方向を示すと、俊介が訝しい目つきでツカサを見た。

 

 

俊介「お前なぁ、本当に分かってて言っ…「さあ!さっさっと行くよ二人共!私について来なさい!」…って人の話しを聞けよ!!」

 

 

ツカサに向かって叫ぶ俊介だが、聞こえていないのか、それとも聞こえておきながら敢えて無視しているのか定かではないが、ツカサは何も答えずに木々の間を抜けて歩いていく。俊介と裕香はそれを見て再びため息を吐くと急いでツカサの後を追ってその場から駆け出し、三人はその轟音が聞こえてきた方……コーカサスと戦闘を行っているトランス、セカンド、聖王達のいる場所へと向かっていった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑭

 

その頃、場所は戻ってトランス達が戦闘を行っている戦場では……

 

 

 

『ATTACKRIDE:ACCEL SHOOTER!』

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

トランス『シュートッ!』

 

 

セカンド『ハアァッ!!』

 

 

コーカサスと距離を離したトランスとセカンドはバックルにカードを装填し、ライドブッカーガンモードをコーカサスに向け乱射していく。しかし…

 

 

―ズガガガガガガァッ!!―

 

 

コーカサス『クロックアップ!』

 

 

『CLOCK UP!』

 

 

トランス『ッ?!消えた!?』

 

 

セカンド『ヤバッ!?クロックアップ?!』

 

 

トランスとセカンドの射撃がコーカサスに直撃しようとした瞬間、コーカサスが自分のベルトの右側にあるボタンを軽く押してクロックアップを発動させ自身に迫って来た銃弾を高速で動いて回避し、三人の視界からもコーカサスの姿を目で追うことが出来なくなる。

 

 

聖王『任せてください…フェアリス!アタックを50、ディフェンスを全て削ってその分をスピードに!』

 

 

フェアリス「了承」

 

 

聖王が左手に持つホーリーフェアリスに指示を出すと聖王の両足が赤く輝き出し、その場から踏み出した瞬間、信じられないくらいのスピードで動き出し、そのスピードによってクロックアップの世界にいるコーカサスへと一瞬で追いついた。

 

 

コーカサス『何!?』

 

 

聖王『フッ!ハァアッ!』

 

 

コーカサスに追いついたと同時に、聖王は両手に持つホーリーフェアリスとセイガッシャーでコーカサスに斬りかかった。コーカサスは聖王が自分のクロックアップについて来た事に驚きながらも振り下ろされた剣を紙一重でかわし、聖王から距離を離す。

 

 

コーカサス『…これは驚きました。まさかクロックアップについて来られる能力がこの世に存在したとは…中々やりますね』

 

 

聖王『貴方に誉められても何も嬉しくはありません。…早く始めましょう。出来れば早く終わらせたい』

 

 

コーカサスの言葉を冷たく切り捨て、聖王は両手に持つ剣をゆっくりと構えていく。それを見たコーカサスも少し微笑しながら再び構える。そして二人は無言のまま、相手の出方を伺って立ち回り、辺りに緊張感に包まれた静寂が流れる。

そして…

 

 

 

 

『………………』

 

 

 

 

―……………ザッ…―

 

 

 

『ッ!!』

 

 

 

どちらかの足音が響き、二人の耳にその音が届くと同時にその場から勢いよく飛び出し相手に向かって剣と拳を振りかざした。

 

 

―ズドオォンッ!ズドオォンッ!ズドオォンッ!ズドオォンッ!ズドオォンッ!ズガガガガガガガッ!!!ズドォォォォォンッ!!!―

 

 

『『ハアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』』

 

 

スピードを極限にまで上げた聖王とクロックアップを発動させたコーカサスが音速の世界で激しくぶつかり合う。コーカサスの素早いラッシュが次々と放たれる中、聖王は最低限の動きでそれらを回避し両手に持つホーリーフェアリスとセイガッシャーでコーカサスに反撃していく。

 

 

トランス『す、凄い……』

 

 

『……………』

 

 

風を切って何度もぶつかり合う緑の閃光と金色の閃光を遠くから見ていたトランスは驚きを隠せずにおり、スバル達に至っては心ここにあらずといった感じでその戦いを見ていた。だが、そんなトランス達とは違ってセカンドは一人、コーカサスの戦いを見てある一つの大きな疑問を考えていた。

 

 

セカンド(…変だ。何でコーカサスはアレじゃなくてクロックアップを使うんだろ。確かコーカサスはアレを使う事を前提にして戦うライダーだったはずなんだけど…)

 

 

そう、セカンドの思っている通り、本来コーカサスはクロックアップを使って高速戦闘を行う事はないに等しい。何故ならあのライダーにはクロックアップを越える力を持っており、その力を使って戦う事があのライダーのバトルスタイルだったはずだ。だが、コーカサスはその力を持っているにも関わらず、一向にそれを使おうとしない。それが不審に思えたセカンドは、二つの閃光を見つめながらその疑問を考えていた。

 

 

コーカサス『フンッ!ハァァッ!』

 

 

聖王『グゥッ!クッ!』

 

 

一方で音速の世界で戦う二人。先程まではコーカサスと互角に渡り合っていた聖王だったが、今ではこちらが剣を振りかざせば相手は軽々とそれを避け、攻撃した後の隙を狙って拳を打ち込んでくる。どうやら既にこちらの剣術はコーカサスに見切られてしまったようだ。そう思った聖王は剣で戦う事をあきらめ、後方へと高く跳んでコーカサスから距離を離す。

 

 

コーカサス『逃がしません!』

 

 

聖王が距離を離した同時にコーカサスが態勢を低くし聖王に向かって一気に飛び出した。聖王はそれに気づくとホーリーフェアリスを地面に突き刺し、セイガッシャーのパーツを一つ取り外すとコーカサスに向けてブーメランの如く投げつけた。

 

 

コーカサス『?!このようなものがッ!!』

 

 

だが案の定、コーカサスはそれを片手で軽々と払い、構わず聖王へと再び突撃する。もちろん彼女も今のでコーカサスにダメージを与えられると思っていない。今のはただの注意を引く為の時間稼ぎ…言わば囮だ。現に聖王はセイガッシャーのパーツを投げたと同時に残りのパーツを組み直し、今度は縦一列に組み立てている。そして、コーカサスが払ったパーツがこちらへと跳ね返って来るとセイガッシャーの先端に勝手にくっつき、セイガッシャーは槍のような形態に変わったのだ。

 

 

コーカサス『な、何?!』

 

 

聖王『フッ!ハアァッ!!』

 

 

セイガッシャーが変わったのを見たコーカサスは驚きのあまり思わずその場で立ち止まってしまう。それを好機と思った聖王はセイガッシャーを構え、コーカサスの胴体に向け素早くセイガッシャーを突き立てた。

 

 

―ズドオォンッ!!―

 

 

コーカサス『グッ?!グアァァァーーッ!!!』

 

 

聖王の突貫が直撃しコーカサスは耐え切れずに吹っ飛ばされ、地面を転がるようにして倒れ込んだ。それを見た聖王はセイガッシャーを地面に突き刺し、ベルトの後ろ腰にあるライダーパスを取り出してバックルに翳した。

 

 

『Full Charge!』

 

 

電子音声が響くと、聖王は地面に突き刺していたホーリーフェアリスを引き抜く。するとホーリーフェアリスの刀身を風が包み込み、それを両手で構え、コーカサスに向って駆け出す。

 

 

聖王『セェェェェェェアッ!!!』

 

 

―ズバァァァァンッ!!!―

 

 

コーカサス『グアァッ!!グッ…ウッ…』

 

 

振り下ろされたホーリーフェアリスがコーカサスのボディを斬り裂き、コーカサスはふらつきながら後退していくとその場で両膝を付けて座り込み、ピクリとも動かなくなってしまった。

 

 

聖王『……ふぅ』

 

 

それを確認した聖王は警戒を解き、ホーリーフェアリスを軽く払った後に一息吐く。と、同時に周りの時間の流れが元に戻り、全員が地面に座り込むコーカサスの姿に気づくと驚愕した表情を浮かべていた。

 

 

スバル「あ、あれ?もしかして…もう終わっちゃった!?」

 

 

ティアナ「い、一体今…何が起きたわけ?」

 

 

セカンド(!…コーカサスが負けた…ってことは最後までアレを使わなかったんだ…なんだ、私が心配する必要なんてなかったみたい)

 

 

スバルとティアナは目の前の光景に呆気に取られ、セカンドは先程までの自分の心配はただの杞憂だったのかと肩を少し落として一息吐いた。すると聖王が変身を解除してみなみに戻り、セカンド達の下へと近づいていく。

 

 

みなみ「二人共、無事でしたか?」

 

 

ゆたか「えっ?あ、う、うん!」

 

 

セカンド『うん、こっちは全然大丈夫だよ。というか、私ほとんど何もやってないしっ……』

 

 

セカンドはみなみに向けて苦笑いを浮かべると変身を解除してこなたに戻っていき、トランスもこなた達の様子を遠くから見つめながら変身を解除し、なのはに戻っていく。

 

 

スバル「なのはさん、大丈夫でしたか!」

 

 

なのは「二人共…うん、私は全然大丈夫だよ。あの子達の助けもあったから」

 

 

ティアナ「そうですか…良かった」

 

 

なのはの下に駆け寄って来たスバルとティアナがなのはの無事を確認するとホッと一安心し、三人はそのまま零とヴィヴィオの探索を再開しようと歩き出した。その時……

 

 

こなた「ちょっ?!ちょっと待ってっ!」

 

 

なのは「え?」

 

 

突然呼び止められ、三人は少し驚きながらも後ろへと振り返ると、そこにはこなた達がこちらへと向かって走って来る姿があった。

 

 

こなた「ハァ、ハァ…も~ひどいよなのはさん…さっきなのはさん達の話を聞かせてくれるって約束したばっかじゃんっ」

 

 

なのは「えっ?……あ」

 

 

そういえばそうだった。

先程の戦闘の前に彼女達と話した事についてまた話しを聞かなければならないのをすっかり忘れていた。

 

 

なのは「ご、ゴメンね!私達も先を急いでたからすっかり忘れてた!」

 

 

『……ハァッ……』

 

 

なのはの謝罪にこなた達…いや、一緒にいたスバル達もそれを聞いて呆然とし、ほぼ同時にため息を吐いて肩を落とした。当の本人であるなのははそれを見てもただ苦笑いを浮かべるしか出来ずにいる。

 

 

なのは「えっと…えっと……と、とりあえず自己紹介からしよっか!私は高町 なのは……って知ってるよね、さっきも名前で呼んでたし」

 

 

こなた「あ、えっと…(…とりあえずこっちも名乗った方がいいのかな?なのはさん達は私達の事を忘れてるみたいだし…)…私は泉こなた、気軽にこなたって呼んでくれていいよ」

 

 

とりあえず互いに簡単な自己紹介を終えた後、なのは達とこなた達は先程の話しの続きを話し始めた。

 

 

 

 

だがしかし、そこにいる全員はまだ気づいていなかった。

 

 

先程の戦闘で聖王によって倒されたはずのコーカサスがまだ生きており、その手には銀色のカブトムシのような形状をしたツールが握られていた事を……。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑭(裏)

一方その頃、魔界城のとある部屋では……

 

 

 

昌平「いや~助かったよ二人~♪あのままずっと迷子だったらどうしよ~って困ってた所だったからさ♪」

 

 

智大「まったく…こっちは遊びに来たんじゃないんだぞ!一刻も早くこの事件を解決しないといけないんだって言うのに…」

 

 

幸助「智大の言う通りだぞ昌平。早くアークを見つけて奴を倒さないといけないんだ。さっさと終わらせないといけないってお前も分かってんだろ?」

 

 

昌平「わぁーてるよ。二人して言わなくてもちゃんと分かってますって♪」

 

 

智大(……本当に分かってんのかコイツ)

 

 

どう見てもこっちの言葉を右から左へと聞き流しているようにしか見えない昌平の言動に頭を抱えたい衝動に駆られながら、二人は深いため息を吐いた。

 

 

……あの後、無事(?)に昌平と合流を果たした幸助と智大は一度中断していた調査を再び再開し、スカリエッティの使っていた研究室へと足を運んで本棚や机に置いてある資料を手に取り目を通していた。

 

 

幸助「しっかし、随分と惨い内容しか書いてねぇな、この資料」

 

 

智大「あぁ、人間の身体に機械を融合させた上にレジェンドルガの力を加える……更には他の世界のライダー達にレジェンドルガの力を融合させる事まで載ってるぞ」

 

 

資料を読みながら会話を続ける二人。その内容は全て幸助の言う通り人間が考えられるものではない惨いものばかりであり、幾つもの資料を読み進めていく内にスカリエッティの研究やその目的が明確になっていき、二人の表情も自然と険しくなっていた。

 

 

幸助「こいつァマジで止めねーと不味い事になるかもな。ほっといたらどんだけの被害者が出るか分かったもんじゃねぇ」

 

 

智大「そうだなぁ……けど、こんだけの技術力をこんな短期間で何処で手に入れたのかって疑問もある。幾らあの男が天才とは言え、こんな何もない世界でどうやってこんな機材……」

 

 

昌平「……多分、その答えがこれなんじゃねーかな」

 

 

「「……?」」

 

 

二人が資料を読んでいた途中、二人が読んでいたものとは別のファイルを読んでいた昌平の言葉に二人は反応し、気になった幸助と智大は昌平の読んでいたファイルを覗き込む。其処に書かれていたものは……

 

 

幸助「…まさか…コレは…」

 

 

そのファイルに書かれていた内容を見た幸助と智大は僅かに目を剥き、昌平は先程までの飄々とした言動から打って変わり真剣な顔付きで智大にファイルを渡す。

 

 

昌平「なーんかキナ臭せぇなぁーと思っちゃいたが、わりと洒落にならねぇ感じだわ、コレ。どーするよ?」

 

 

智大「……どうもこうもない。直接スカリエッティを締めて、奴に洗いざらい吐いてもらうだけさ」

 

 

智大がそう言うと幸助と昌平も真剣な表情で頷き、そのファイルを持って三人は研究室から出ようとした。だが……

 

 

「―――申し訳ありませんが、ここから先に貴方達を進ませるワケにはいきません」

 

 

「「「……!」」」

 

 

三人が部屋から出ようとしたその時、突然部屋の扉が閉まってロックがかかり、それと同時に辺りの物陰から複数レジェンドルガ、そして数体のファンガイアが姿を現し三人を包囲した。

 

 

智大「コイツ等…いつの間に!?」

 

 

幸助「チッ、どうやら俺達の事はあっちにバレてたらしいな…」

 

 

「ええ、貴方達がここに来るずっと前から、貴方達の動きを把握してましたから…」

 

 

暗闇に包まれた部屋の奥から少女の声が響き、レジェンドルガ達の間を抜けて幸助達の前に桃色の長髪をした一人の少女が姿を現した。

 

 

幸助「ほお…ナンバーズか。てっきりディケイド達を追うために全員が動いてると思ってたんだが…どうやら見当違いだったようだ」

 

 

「……ナンバーズ7・セッテと申します。混沌の神・カオス、調律者・ガンナ、そしてディロード……貴方達は危険人物として認識されています。よって、此処で排除させてもらいます……」

 

 

現れた少女、ナンバーズの一人のセッテはそう言って片手を上げると、周りにいたレジェンドルガ達がそれを合図に一斉に三人へ襲い掛かって来た。

 

 

智大「悪いね……!それは流石にお断りさせてもらうよ!」

 

 

昌平「デートのお誘いなら喜んで受けるんだけど!」

 

 

幸助「智大!昌平!行くぞッ!」

 

 

三人はレジェンドルガ達の攻撃を軽々と避けると、レジェンドルガ達から距離を離しながら幸助は腰にベルトを出現させ、智大はバックルを、昌平は十枚のトランプを宙に広げ、そのトランプが全て腰に集まってバックルに変わる。そして…

 

 

『変身ッ!』

 

 

『GATE UP!』

 

『KAMENRIDE:GANNA!』

 

『KAMENRIDE:DELOAD!』

 

 

幸助は高らかに叫び、智大と昌平がカードをバックルに装填してスライドさせると、それぞれの電子音声が響き鳴り、幸助、智大、昌平の三人はライダーとなってその姿を変えた。

 

 

カオス『天が呼ぶ、地が呼ぶ、風が呼ぶ!お前達を弄べと俺を呼ぶ!混沌の神、仮面ライダーカオスッ!只今推参!!』

 

 

ガンナ『…その決め台詞…久しぶりに聞いたような気がするな…』

 

 

ディロード『だな、ここ最近は色々と省略されてたし』

 

 

カオス『うるせぇっ!!人がせっかく決めたんだから水差すなっ!』

 

 

幸助が変身したライダー、『カオス』が智大と昌平が変身したライダー『ガンナ』と『ディロード』に怒鳴るが、二人は何処か馴れた調子で「ハイハイ」と適当に聞き流す。

 

 

セッテ「……ライダーに変身されてしまいましたか……ですが、それでも貴方達を倒す事に変わりありません。行きなさい!」

 

 

『ウオォォォォッ!』

 

 

カオス『ハッ!お前達みたいな雑魚に俺達が倒せるかよ!』

 

 

ガンナ『こっちも先を急いでるんだ!早く終わらせてもらうぞ!』

 

 

ディロード『速攻で打ち負かす!いっくぜぇぇぇぇ!』

 

 

三人はそれぞれに武器を構えるとレジェンドルガ達に向かって駆け出して攻撃を開始した。

 

 

カオス『ハァッ!セイッ!』

 

 

ガンナ『フッ!ハッ!』

 

 

クロノスとガンナはレジェンドルガ達に接近してカオスブレイドとガンナブラスターで攻撃していくと、一旦レジェンドルガ達との距離を離す。

 

 

カオス『さーて、お次はこいつで行くぜッ!イフリートッ!』

 

 

『IFRIT FORM!』

 

 

ガンナ『こっちも行くぞ!変身ッ!』

 

 

『KAMENRIDE:GATAKKU!』

 

 

カオスのベルトから電子音声が響くと、カオスの身体を業火が包み込む。そして炎が晴れるとその姿は黒から真紅へ、そして手に持つクロノスブレイドは巨大な斧へと変わってイフリートフォームに、ガンナはカードをバックルに装填するとクワガタを連想させる青いライダー、ガタックへと変身したのだ。

 

 

セッテ「!あれが…カオスの持つ聖霊の力と、ガンナの持つディケイドと同じ、他のライダーに変身する能力…」

 

 

セッテが姿の変わった二人を観察するように見つめてそう呟き、フォームチェンジを終えたクロノスとGガタックは手に持つ武器で次々とレジェンドルガ達を倒していく。

 

 

ディロード『フッ、やってるなあの二人。それじゃ、こっちも数を増やすとしますか♪』

 

 

レジェンドルガの攻撃をかわしながら余裕そうに呟いたディロードはカードを一枚取り出しライドロッドにライズさせる。

 

 

『KAMENRIDE:KUUGA!』

 

 

ディロードがカードを通しすと電子音声が響き、それと同時に辺りに幾つものシルエットが駆け巡りそれが一つになると赤いクワガタのような戦士、クウガへと変わったのだ。

 

 

セッテ「ライダーを召喚した…!?なるほど、あれがディロードの能力という事ですか」

 

 

出現したクウガを驚いた様子で見つめるセッテ。ディロードとクウガはそれを他所に次々とレジェンドルガ達を倒していく。

 

 

カオスIF『そらそらぁああ!!ボサッとしてると上半身と下半身が真っ二つだぜぇええ!!』

 

 

『グギャァァァァァッ?!』

 

 

カオスは手に持つイフリートアックスを豪快に振り回してファンガイア達を真っ二つにしていき、斬り裂かれたファンガイア達は次々と爆発を起こし消滅していく。

 

 

Gガタック『それじゃあ、こっちも決めさせてもらおうか!』

 

 

ディロード『待ってました!』

 

 

カオスIF『んじゃっ、こっちも行かせてもらうぞ!』

 

 

クロノスはイフリートアックスを構え、Gガタックとディロードはバックルとライドロッドにカードをセット&ライズさせる。

 

 

『END OF CRASH!』

 

 

『FINALATTACKRIDE:GA・GA・GA・GATAKKU!』

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DELOAD!』

 

 

それぞれの電子音声が響くと、イフリートアックスを激しい炎が包み込み、Gガタックの右足が雷のような激しい輝きを、ディロードはライドロッドを高速回転させレジェンドルガ達に突撃する。

 

 

『『『デリャァァァァァァァァァァァァァァッ!!!』』』

 

 

『グゥオオオオオッ?!!』

 

 

―ドゴォォォォォンッ!!!―

 

 

セッテ「くっ?!」

 

 

三人の必殺技がレジェンドルガ達に直撃して爆発を起こし、爆風が晴れるとレジェンドルガ達は全て全滅しており、残っているのはセッテただ一人だけとなった。

 

 

ディロード『さーて、どうするよ嬢さん?お前の部下はもういないぜ?』

 

 

セッテ「クッ……」

 

 

ディロードの言葉にセッテは焦りを浮かべ、何処からかブーメランのような形をした武器を取り出して構える。だが…

 

 

―チャキッ…―

 

 

セッテ「!」

 

 

カオス『止めとけ。お前一人で俺達三人を相手に出来るわけねぇだろ?』

 

 

ガンナ『大人しくこっちの指示に従うのなら、君に危害は加えない…ディケイド達とアークの居場所、教えてくれないかな?』

 

 

いつの間にかセッテの後ろに回り込んだカオスとガンナがセッテの首筋に剣を突き付けながら投降を促す。

 

 

するとセッテも流石にこの三人から逃げられないと悟ったのか、両手に持つ武器を下ろし、両手を静かに上げるのだった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑮

 

 

 

なのは「──つまり、私達とこなたちゃん達は私達の世界で一緒に戦った仲間で、私達とは色々な世界を巡って一緒に旅をしている仲間……って事?」

 

 

こなた「うん…ホントにみんな忘れちゃったの?」

 

 

スバル「えーと、忘れたというか…」

 

 

ティアナ「……悪いけど私達、貴方達と会った事なんてないわよ?それに話しに出て来た…えっと…メタルスだっけ?そんな敵と戦った覚えなんてないし…」

 

 

ゆたか「そ、そんな…一体どうして…」

 

 

話を始めて数分後、こなた達はなのは達に自分達の事、そしてなのは達が前の世界で自分達と一緒に戦い、今は一緒に色んな世界を旅している仲間である事を説明した。

 

 

しかし、なのは達はそれらの話を聞いても何の事か分からずにただ首を傾げる事しか出来ず、こなた達は自分達を知らないと言うなのは達の言葉に沈んだ表情を浮かべていた。と、そこへ…

 

 

みなみ「あの、泉先輩、ゆたか、少しお話が…」

 

 

こなた「?みなみちゃん?どうかしたの?」

 

 

みなみ「はい…実はなのはさん達の事について、とても重要な事が分かったんですけど…」

 

 

こなた「なぬっ!?」

 

 

ゆたか「ホント!?みなみちゃん!」

 

 

みなみ「うん…だから、ちょっとこっちに」

 

 

こなた達三人はなのは達から少し離れた所に移動し、みなみからなのは達の事についての情報を聞く。

 

 

こなた「………ッ?!それってホント!?」

 

 

みなみ「はい…なのはさん達の様子がおかしい事が気になってさっき家の方に連絡してみたんですけど、なのはさん達はちゃんと家にいて、私達が城に向かった後も家から一歩も外に出てなかったそうです」

 

 

みなみの言葉にこなたとゆたかは困惑し驚愕と動揺を隠せないでいた。

 

 

ゆたか「ど、どういう事!?だって現になのはさん達はあそこに…!」

 

 

こなた「……わかんない。でもとりあえず、あそこにいるなのはさん達から話を聞くしかないね……なのはさん!」

 

 

悩んだ表情を浮かべていたこなたが自分達の気になっている事を聞き出すためになのはに詰め寄っていく。

 

 

なのは「ど、どうしたの?こなたちゃん?」

 

 

こなた「今から私が言う質問に全部、正直に答えて!先ずは、えーと―――」

 

 

先ず何処から質問すべきか。沢山あり過ぎて悩みながらもこなたが自分の気になっている疑問を聞き出す為になのはに疑問を投げかけようと口を開いた。だが……

 

 

 

 

 

 

『HYPER CLOCK UP!』

 

 

『――――えっ?』

 

 

 

 

 

 

……二度と聴くはずのなかったその無機質な電子音声によって、それは遮られてしまった。

 

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

一方その頃……。

 

 

 

進「こなたーッ!ゆたかーッ!みなみーッ!何処にいるんだーッ?!」

 

 

零「なのはーッ!スバルーッ!ティアナーッ!いるのかーッ!?いないならいないと言えーッ!!」

 

 

ヴィヴィオ「言えーッ!」

 

 

進「…いや、それは流石に無理だろ」

 

 

先程の轟音が響いた場所へと向かっていた三人。

黒煙によって周りが何も見えない中、進とヴィヴィオを背中に抱えた零はただひたすらにその方に向かって走っていたのだが、道標にと頼りにしていた金属音と爆音が急に聞こえなくなり、それによって道が分からなくなってしまった三人は辺りを見渡し皆の名を黒煙に向かって手当り次第に叫んでいた。

 

 

進「くそっ、ここは一体どこなんだ!?俺達は今どこら辺にいるんだよ?!」

 

 

零「俺が知るか…!それよりも、さっきまで聞こえてた音がおさまったみたいだが…まさか、あいつらに何かあったのか…?」

 

 

進「…さあな。だが急いだ方がいいと言うのだけは分かるんだが……チッ!この煙のせいで!」

 

 

辺り一面を覆っている黒煙のせいで周りは何も見えず、これのせいで今自分達が何処にいるかもまったく分からない。こうしている間にも皆の身に危機が迫っているのではと、零と進はそう考えるだけで焦燥感を感じていた。その時…

 

 

『キャァァァァァァァッ!!!』

 

 

『ッ?!』

 

 

突然何処からともなく悲鳴が響き、二人は声が聞こえて来た方へと振り返った。

 

 

進「今の声は…!?」

 

 

零「…まさか、なのは達か!?元道!こっちだ!」

 

 

進「ちょ、おい!黒月っ!」

 

 

再びヴィヴィオを背中に抱え悲鳴が聞こえて来た方向へと向かって走る零。進も零の後を追ってそこから走り出した。

そして二人が暫く走ると、黒煙の向こう側へと出る事ができ、その先にあった光景を見て二人は驚愕した。

 

 

 

コーカサス『…………』

 

 

 

ティアナ「うっ…うぅ…」

 

 

みなみ「っ…くっ…!」

 

 

零「ッ?!なのはっ!スバルっ!ティアナっ!」

 

 

ヴィヴィオ「ママっ!」

 

 

進「こなたっ……!ゆたかっ!みなみっ!」

 

 

なのは「うっ…れ、零…君…ヴィヴィオ…?」

 

 

こなた「…進…?もぉ…おそい、よ…」

 

 

二人が目にしたのは、ボロボロに傷ついた皆が地面に倒れている姿と、皆から少し離れた場所に佇むライダー、コーカサスの姿。二人は皆のその姿を見てだいだいの状況が分かり、コーカサスに視線を移して睨みつけた。

 

 

零「ッ…お前一体誰だ!こいつらに何をしたっ!」

 

 

怒りをあらわにコーカサスに向けて叫ぶ零。すると、コーカサスはゆっくりとした動作で二人の方へと振り返る。

 

 

コーカサス『ほお、君達が破壊者ですか……成る程、それなりの修羅場をくぐり抜けてきているみたいですね』

 

 

零「…なんだと?」

 

 

進(…まさか、また鳴滝の仕業か?ちっ!余計な奴を送り込んできやがって!)

 

 

コーカサスの言葉に疑問を持つ零とは別に、進は険しい表情で舌打ちする。すると、コーカサスはまがまがしい殺気を放ちながらそんな二人にゆっくりと歩み寄って来る。

 

 

ヴィヴィオ「うっ…」

 

 

零(ッ!まずい…バックルとカードはさっきスカリエッティに奪われたままだ…このままじゃ…!)

 

 

変身が出来ない今の状態ではコーカサスと戦えない。零は内心焦りを浮かべながらヴィヴィオを守るようにして構える。すると、進が二人の前に立ってコーカサスと対峙する。

 

 

零「…元道?」

 

 

進「…黒月、お前はヴィヴィオを連れて下がってろ。あいつは俺が食い止める!」

 

 

進はそう言ってポケットからバックルを取り出し、自分の腰に装着するとライドブッカーから一枚のカードを取り出した。

 

 

進「変身っ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

電子音声が響くと、進は瞬時にディケイドへ変身して直ぐ様腰にあるライドブッカーをソードモードに切り替えコーカサスに向けて構えた。

 

 

スバル「あ、あれって…!?」

 

 

なのは「零君と同じ…ディケイド?!」

 

 

倒れているなのは達がディケイドに変身した進を見て驚愕し、ディケイド(進)の近くにいた零もそれを見て驚愕していた。

 

 

零「元道…お前…?!」

 

 

ディケイド(進)『話は後だ!お前達は下がってろ!』

 

 

ディケイド(進)はそう言いながらライドブッカーから一枚のカードを取り出し、すぐにそれをディケイドライバーに装填してスライドさせる。

 

 

『KAMENRIDE:FAIZ!』

 

 

電子音声と共にディケイドの身体に赤い閃光が浮かび上がり、一瞬激しく輝くとディケイド(進)はファイズへと変身した。

 

 

ティアナ「変わった!?」

 

 

零「今度はファイズ?!あいつ、あんなカードまで持ってるのか…?!」

 

 

Dファイズを見て唖然とした表情を浮かべる零達だが、Dファイズはコーカサスに向かって突っ込み、ライドブッカーソードモードで斬りかかっていく。

 

 

コーカサス『ほお、中々やりますね。彼女達よりかは楽しめそうだ』

 

 

Dファイズ『そうかよ!それは光栄だなッ!』

 

 

Dファイズはライドブッカーソードモードでコーカサスに攻撃していくが、コーカサスはそれらを片手で弾いてDファイズの攻撃を防いでいく。

 

 

Dファイズ『お前に幾つか聞きたい事がある!鳴滝は一体今度は何をする気だ!何か知っているんだろ!』

 

 

コーカサス『私から話す事は何もありません……ですが、私のするべき事は貴方達破壊者を始末すること……それだけは教えてさしあげましょう』

 

 

Dファイズ『?…貴方達?―ドゴォオオオッ!!―ウァッ!?』

 

 

Dファイズがコーカサスの言葉に疑問を覚えた瞬間、コーカサスはその隙を逃さず攻撃を仕掛けてDファイズを吹っ飛ばしてしまう。

 

 

コーカサス『さて、こちらもあまり時間を掛けられません。……早く終わらせてもらいますよ』

 

 

Dファイズ『ッ……悪いな。俺はそう簡単に終わるような奴じゃないんだよ!』

 

 

態勢を立て直したDファイズはライドブッカーを開き、そこから一枚のカードを取り出してディケイドライバーに投げ入れた。

 

 

『FORMRIDE:FAIZ!AXEL!』

 

 

電子音声が響いた瞬間、Dファイズの胸部のアーマーが展開し、肩の定位置に収まるとボディーの色が銀色に、そして瞳の色が黄色から赤色へと変わっていった。

 

 

スバル「ま、また変わった…!?」

 

 

零「…ファイズのアクセルフォーム…あのカードも使えるようになってるのか…」

 

 

姿の変わったDファイズを見て再び唖然とした表情を浮かべる零達。その一方で、Dファイズは左腕に装着されているファイズアクセルを、コーカサスはベルトの右側にあるボタンを押そうとする。

 

 

こなた「っ!待って進っ!そいつには普通の高速戦は通用しな――」

 

 

『START UP!』

 

『CLOCK UP!』

 

 

二人の戦いを見ていたこなたが何かを言いかけたが、その時には既に二人の姿は消え、Dファイズとコーカサスは音速の世界で激しくぶつかり合っていた。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑮(裏)

 

―魔界城付近・森林―

 

 

 

ツカサ「──あぅあぅ~、ここは一体何処ですか~?私は今何処にいるんですか~?」

 

 

俊介「……結局こうなるんじゃねぇかよ」

 

 

裕香「ま、まあまあ…」

 

 

あれから数時間。ツカサ達は先程の爆音が響いた場所へと向かっていたのだが、予想通りというか案の定、見事なまでに道に迷い迷子になっていた。

 

 

その原因であるツカサはと言うと先程から「あぅあぅ~」と媚び媚びの声を上げてオロオロしてばかりで、その様子を見ていた俊介は予想通りの展開にイライラを募らせ、裕香がそれを必死に宥めている流れがずっと続いてる状態だった。

 

 

俊介「…んで?ツカサさんは一体この状況をどう打破する気なんでしょうかね?ちゃんとこうなる事は予測していたんだろ?」

 

 

流石の俊介もツカサの無責任な行動にはいい加減胃が痛いと言うだけでは済みそうではなかった。必死に怒りを抑え、器用に片眉をピクピクと動かしながら普段通りの口調でツカサに問い掛ける。すると、その問いにツカサはゆっくりと俊介の方へと振り返り……

 

 

 

 

ツカサ「……まっ!ドンマイだね!エヘ♪」

 

 

 

 

見事なまでの可愛らしい笑顔でごまかしたんだとさ。

 

 

 

 

裕香「ストップッ!!ストップストーーップッ!!!!落ち着いてくださいッ!!冷静になりましょう!!ねっ?!ねーっ?!」

 

 

俊介「フフフフ…安心しろ裕香…別にそんな危ない事をしようとしているんじゃないんだぞ?ただすこーし、こいつのふざけた頭を冷やしてやろうとしているだけなんだから全然大丈夫なんだぞ……?」

 

 

裕香「だったらその手に持つ鈍器はなんですかッ?!というか何処から取り出したんですかそんな物ッ!!!いつもの俊介君に戻って下さーーーい!!!!」

 

 

ツカサ「おほ~、遂に俊介が壊れちゃったね~♪漸く私との〇〇禁な方向に目覚めたのかな?も~♪この、き・ち・く~♪」

 

 

俊介「コロスぅうううううッッ!!!!!!」

 

 

裕香「火に油を注ぐような事しないで下さいッ!!!!」

 

 

……もはや状況は悪化する一方。ツカサは俊介に挑発的な言い方をするわ、我慢の限界を越えツカサに殴りかかろうとする俊介を裕香が後ろから羽交い締めにして必死に止めようとするわで、色々と収集がつかなくなってしまっていた。

 

 

ツカサ「………ん?」

 

 

と、そんな時。何かに気づいたのか、俊介をからかっていたツカサが急に表情を変えて辺りを見回し始めた。

 

 

俊介「……?ツカサ?」

 

 

裕香「…どうかしたんですか?」

 

 

ツカサのその様子に気づき、疑問を感じた二人が落ち着きを取り戻してツカサに問い掛けた。すると…

 

 

ツカサ「──俊介、裕香、今すぐ戦う準備をして!敵が来るよ!」

 

 

「「え……?」」

 

 

緊迫した様子のツカサがそう叫んだ瞬間、突如目の前の茂みから数十体のレジェンドルガ達が飛び出し、ツカサ達の目の前に現れた。

 

 

『人間?……なるほどな。まさかこんな場所にまで人間がいたとは…』

 

 

俊介「な、何だコイツ等?!」

 

 

裕香「まさか…この世界の怪物?!」

 

 

ツカサ「へ~、やっぱりね!アークの世界ならレジェンドルガもいるんじゃないかと思ってたよ。まぁでも、コイツ等を倒さないと先に行けないか…俊介!裕香!行くよ!」

 

 

裕香「う、うん!」

 

 

俊介「仕方ない…さっさと終わらせるぞ!」

 

 

向こうは完全にこちらを獲物として捉えて襲う気満々だ。ならばこのまま黙ってやられる訳には行かないと、ツカサと俊介は腰にバックルを装着してカードとライダーパスを取り出し、裕香は腰に両手を翳して優矢のものと同じベルト、アークルを出現させて変身ポーズを構える。

 

 

『変身ッ!』

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

『Hijack Form』

 

 

三人はそれぞれの変身動作を行うと、俊介は牙が印象的な黒い鎧に、レールを模した赤いマフラーを首に巻いた黒いライダー『幽汽』へと変身し、ツカサと裕香の姿はスーツではなくドレスのような服装となって、頭には複眼のような髪留めを装着した仮面ライダー……いや、"ライダー少女"『ディケイド』と『クウガ』に変身した。

 

 

『ッ?!こ、こいつら…ライダー?!』

 

 

『どういう事だ?!何故ライダーがこんなにも?!』

 

 

『いや…それよりもあの女…まさかディケイド?!』

 

 

『ど、どういう事だ?何故この世界に三人目のディケイドが…?!』

 

 

幽汽(俊介)『?何だコイツ等…何を動揺してんだ?』

 

 

クウガ(裕香)「一体どうしたんでしょうか…?」

 

 

ディケイド(ツカサ)「いいじゃんいいじゃん、そんな事はどうだってさ!さっさと終わらせよ!」

 

 

三人の姿を見て動揺しているレジェンドルガ達に幽汽とクウガが疑問を感じている一方で、大して興味のないディケイドはライドブッカーを開き、そこから一枚のカードを取り出してバックルに装填しスライドさせる。

 

 

『KAMENRIDE:HIBIKI!』

 

 

電子音声と共にディケイドの身体を紫炎が包み込み、炎が晴れると、ディケイドの姿は法衣を纏い角のようなものを付けた髪留めをした姿、D響鬼へと変身した。

 

 

D響鬼「よ~し!早くコイツ等を倒して……アークに会いに行ぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

幽汽(俊介)「……フフッ、何かもう慣れて来たのかな?胃があんまり痛まなくなって来たよ」

 

 

クウガ(裕香)「そ、その…今は戦いに集中しましょう!後で胃薬を用意しますから!ねっ?」

 

 

自分達が迷子である事を忘れてそうなD響鬼は放置し、一先ず幽汽とクウガは目の前にいるレジェンドルガ達に突撃していく。先陣を切った幽汽はザヴェジガッシャーで、クウガはそれに続いて打撃を放ってレジェンドルガ達を殴り倒していき、D響鬼は離れた距離でライドブッカーからカードを取り出してディケイドライバーに装填する。

 

 

『ATTACKRIDE:ONGKIBO REKKA!』

 

 

D響鬼「よ~し!いっくよーー!!!」

 

 

電子音声が鳴ると同時にD響鬼は後ろ腰にある音撃棒烈火を取り出し、先端に炎を宿らせるとレジェンドルガ達に向けて振りかざし炎の弾を次々に放っていく。

 

 

―ドオオオォォォォンッ!ドオォォォンッ!ドオォォォンッ!―

 

 

D響鬼「フッ!!ハッ!!デアッ!!」

 

 

幽汽(俊介)『ウオリャァァァァッ!!』

 

 

クウガ(裕香)「フッ!!ハァァァッ!!」

 

 

三人はそれぞれが得意とする戦い方で次々とレジェンドルガ達を倒していく。そしてものの数分もしない内にレジェンドルガ達は全滅し、周囲にもう敵影が見られないのを確認した三人は構えを解き、D響鬼もディケイドに戻っていく。

 

 

クウガ(裕香)「ふぅ…何とか倒せましたね…』

 

 

ディケイド(ツカサ)「楽勝楽勝♪雑魚の相手なんて御てのものよ♪」

 

 

幽汽(俊介)『浮かれんなよツカサ。…けど、こいつらこんな所で何やってたんだろうな…?』

 

 

取り敢えず襲われたので反撃はしたものの、そもそもこんな何もない場所でレジェンドルガ達は一体何をしていたのか。何となくそんな疑問を口にしながら幽汽は辺りを見回していたが、その時…

 

 

―……バゴオオォンッ!!―

 

 

『ガァアアアアアアッ!!』

 

 

クウガ(裕香)「?!キャアアアッ?!」

 

 

幽汽(俊介)『グッ?!な、何?!』

 

 

ディケイド(ツカサ)「ッ?!俊介?裕香?!ウァッ?!」

 

 

突然幽汽とクウガの足元から四体のレジェンドルガ達が飛び出し、二人両腕を掴んで動きを封じてしまったのだ。更にそれだけではなく、ディケイドの後ろからも四体のレジェンドルガが更に現れ、ディケイドを焦点に不意打ちを仕掛けて来た。

 

 

ディケイド(ツカサ)『アゥッ!くっ!卑怯だよ!いきなり不意打ちを仕掛けた上に人質を取るなんて!』

 

 

『フンッ、貴様等の道理など知った事ではない!』

 

 

『連中の命が惜しければ抵抗はしない事だ。ディケイドが三人もいれば我等に勝ち目はない……どんな手を使っても、貴様だけは倒す!』

 

 

ディケイド(ツカサ)「くっ!」

 

 

幽汽(俊介)『ツカサ!』

 

 

クウガ(裕香)「このっ!離しなさいっ、卑怯者!」

 

 

幽汽とクウガはレジェンドルガの拘束から逃れようとするが簡単には行かず、その間にも二人を人質に取られてるせいでディケイドは抵抗も出来ず一方的に痛め付けられ、レジェンドルガ達の連携攻撃に段々追い詰められ吹っ飛ばされてしまう。

 

 

ディケイド(ツカサ)「うっ…こん、のぉ…っ!」

 

 

『ディケイド、貴様自身に恨みはないが、ロードの身の為だ。だから……お前は此処で死ねェェェェェェェェェェェェッ!!』

 

 

『「ツカサ!!」』

 

 

レジェンドルガが振りかざした武器が、倒れるディケイドに向けて勢いよく振り下ろされる。幽汽とクウガの悲痛な叫びを耳に、ディケイドは目を強く閉じ痛みに堪えようとする。だが、その時…

 

 

 

 

―ブオォオオオオオオオオオオッ…―

 

 

 

 

『『『……?!』』』

 

 

ディケイド(ツカサ)「…え?…これは…」

 

 

レジェンドルガが振り下ろした武器がディケイドを切り裂く寸前当、突然ディケイド達とレジェンドルガ達を囲むように銀色のオーロラが出現したのだ。その場にいる全員が突然の出来事に驚いていると、誰もが予想だにしていなかった異変が起き始めた。

 

 

 

 

―……フッ……ズガガガガガガガガガガァアアアッ!!!!!!ドゴオォオオオオオオオオオオンッ!!!!!!―

 

 

 

 

『アガッ?!グガアァァァァァァァァァアッ!!』

 

 

幽汽(俊介)『ウアァッ?!』

 

 

クウガ(裕香)「キャアァッ!?」

 

 

『な、何だッ?!』

 

 

ディケイド(ツカサ)「え?え?な、何コレ?!」

 

 

ディケイド達は目の前の光景を見て唖然とした表情を浮かべ困惑する。それもそのはずだ。何故なら、いきなり銀色のオーロラが出現したかと思いきや、直後に突然レジェンドルガが次々と爆発を起こして散っていったからだ。更に…

 

 

―…フッ…グサアァッ!!―

 

 

『グガアァッ?!アガァ…アアァ…ッ!』

 

 

「「『……?!』」」

 

 

最後に残ったレジェンドルガの胸を、突然後ろから何が突き刺した。レジェンドルガの胸をからは剣の先のようなものが突き出て、その刃に貫かれたレジェンドルガは首だけを動かして後ろの方を向くと、"ソレ"を見て息を拒んだ。

 

 

『き、貴様は…?!何故…貴様…が…―ズザアァァッ!!―ギガアァァァァァァァアッ?!!』

 

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォオンッ!!!―

 

 

レジェンドルガが驚愕と恐怖の入れ混じった声で何かを呟き掛けるが、突き刺されていた剣がそのままレジェンドルガの胸から右肩までを斬り上げ、レジェンドルガは断末魔を上げて散っていったのだった。

 

 

ディケイド(ツカサ)「な、何?!一体なにが起きてるの?!」

 

 

最後に残ったレジェンドルガも爆発を起こして散っていき、残されたディケイド達は目の前で何が起きたのか全く理解出来ずに混乱するしかなかった。そして、その爆発により発生した爆煙が少しずつ晴れていくと、煙の向こう側から一つの人影が見え始めて来た。それは…

 

 

 

 

『………………』

 

 

 

 

 

幽汽(俊介)『?!な、何だ…アイツ…?』

 

 

クウガ(裕香)「ラ…ライダー?」

 

 

そう、爆煙の中から姿を現したのは、怪しい輝きを放つ赤黒い鎧に、鋭く尖った両肩のアーマー、右手には禍々しいオーラを放つ赤い剣を手にした、何処かディケイドに似た姿をした謎のライダーだったのだ。

 

 

ディケイド(ツカサ)「……あ…ああぁ……あぁ…」

 

 

幽汽(俊介)『……?ツカサ…?』

 

 

その謎のライダーの近くに立つディケイドの様子に、幽汽が怪訝な表情を浮かべた。

 

 

可笑しい。いつもの彼女ならどんなライダーでも目の前に現れた瞬間、テンションが最高潮に上がったり写真を激写しまくったりするはずなのだが、ディケイドは目の前にいるライダーを見て明らかに怯えて固まっていたのだ。すると、先程からジッと佇んでいた謎のライダーがディケイドにゆっくりと近寄る。

 

 

『……ディケイ、ド……いいや、違う…おマえじゃ…ナイ…』

 

 

ディケイド(ツカサ)「…え…?―ズバアァンッ!!―キャアァァァァアッ!!!」

 

 

クウガ(裕香)「なっ?!」

 

 

幽汽(俊介)『ツカサァッ!!』

 

 

なんと、謎のライダーはディケイドを見て何かを呟いた瞬間、いきなり有無も言わさず右手に持つ剣でディケイドを斬り飛ばしたのだ。ディケイドはそのまま近くの大木に叩きつけられ、謎のライダーはディケイドを見つめながら僅かに口を開く。

 

 

『ディケイドも…ライダーも……全テの世界ニ必要なイ…ライダーは存在しテはナらない……"レイ"も…ライダーも…存在してはナラナイ……こんナ、世界……!』

 

 

語る言葉が、所々カタコトで拙い。それだけでも謎のライダーの異常さが伝わり、憎悪を込めたような口調と共に謎のライダーは右手に持つ剣を持ち直しディケイドに向かって再び斬りかかっていった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑮(裏ー2)

 

 

 

―ズバァアアアッ!!!ガギィイイイッ!!!―

 

 

ディケイド(ツカサ)「ウァァァァッ!!」

 

 

クウガ(裕香)『ツカサァ!』

 

 

幽汽(俊介)「何やってんだツカサッ!!なんで戦わないんだよッ!?」

 

 

突然現れた謎のライダーの放つ斬撃が無抵抗のディケイドを斬り刻んでいく。一方でディケイドは何故か先程から反撃どころか防御や回避も行おうともせず、幽汽とクウガは何もせずに攻撃を黙って受けていくディケイドを見て疑問や焦りを感じていた。

 

 

ディケイド(ツカサ)「クッ…う…うぅ…」

 

 

『………………』

 

 

―ドゴオォッ!!―

 

 

ディケイド(ツカサ)「ウグッ!?」

 

 

謎のライダーは無言のまま地面に倒れているディケイドに近づき片足でディケイドを動けないように抑えつけ、右手に持つ剣を両手で握り締めながらその切っ先をディケイドの胸に突きつける。

 

 

ディケイド(ツカサ)「うっ…うぅ…」

 

 

『……哀れ、ダナ……この先二待つ、クルシミもシらず……そうなる、前二、ココで……お前の旅ヲ終えろ』

 

 

ディケイドを片足で抑えつけたまま、謎のライダーは両手に持つ剣を掲げ、その切っ先をディケイドの左胸に向けてその命を刈り取ろうと勢いよく剣を振り下ろした。だが…

 

 

幽汽(俊介)『させるかァァァァァァァァッ!!!』

 

 

『……!』

 

 

―ガキィイイイイイイイイッ!!―

 

 

謎のライダーの剣がディケイドの胸に突き刺さろうとした瞬間、横から幽汽が飛び出して謎のライダーに斬りかかった。謎のライダーは突然の攻撃に驚きながらもそれを防いで後退し、その間にクウガと幽汽がディケイドに駆け寄る。

 

 

クウガ(裕香)「大丈夫ツカサ?!しっかりして!」

 

 

ディケイド(ツカサ)「…あ…裕香……俊介…?」

 

 

幽汽(俊介)『この馬鹿!何やってんだ!あんな奴、いつものお前なら簡単に倒せるはずだろッ?!』

 

 

幽汽がディケイドに向けて大音量で怒鳴るが、ディケイドは顔を俯かせたままで何も答えない。

 

 

幽汽(俊介)『…ツカサ?』

 

 

ディケイド(ツカサ)「…あ…あはは…ゴメン……何か、アイツを見たら…身体中が震えちゃってさ……全然…思い通りに動かないんだよ…ね」

 

 

震えた声で申し訳なさそうに謝るディケイドに幽汽は一瞬戸惑った。ディケイドには何時ものような元気はなく、身体中をガタガタと震わせて弱々しく見える。長い付き合いである幽汽でさえディケイドのそんな姿は見た事がない為、驚きや戸惑いを隠せずにいた。そんな時……

 

 

『……なるほど……幽汽にクウガか……一度に二人ノライダーが現レルとは……探す手間が省けタ』

 

 

『ッ?!!』

 

 

背後から聞こえてきた無機的な声に、幽汽とクウガが反応して慌てて振り返った。その瞬間、

 

 

『ATTACKRIDE:SPIRAL BLADE!』

 

 

―ズバアァアアアアアアンッ!!―

 

 

幽汽(俊介)『グアァァァァァァアッ!!』

 

 

クウガ(裕香)「キャアァァァァァアッ!!」

 

 

ディケイド(ツカサ)「?!俊介ッ!裕香ッ!」

 

 

二人が振り返った瞬間、謎のライダーが凄まじい風を巻き付けた剣戟で幽汽とクウガを纏めて斬り飛ばした。ディケイドはそれを見て思わず二人の下に駆け寄ろうとするが、謎のライダーがそれを許さないと言う様にディケイドの首筋に剣を突き付けた。

 

 

ディケイド(ツカサ)「ッ…な…何で?何でこんな事するの…?貴方は一体…誰っ?」

 

 

震えた口調でそう問い掛けると、謎のライダーはディケイドに剣を突き付けたままゆっくりと口を開く。

 

 

『かつテ…ライダーとしテ戦い…ライダーと言ウ運命に……全テを奪ワレた者だ……』

 

 

ディケイド(ツカサ)「えっ?―ズバアァァアンッ!!―ウアァァッ!!」

 

 

幽汽(俊介)『クッ…!ツカ…サ…ッ!』

 

 

クウガ(裕香)「…!身体が…動かない…っ!」

 

 

謎のライダーに圧されて不利になっているディケイドを助けようとする幽汽とクウガだが、先程の攻撃により身体が麻痺を起こしまともに動こうとせず、二人は黙ってただその光景を見ている事しか出来なかった。その間にも、謎のライダーはまるで憎しみを叩き付けるようにディケイドを何度も何度も斬りつけて吹っ飛ばしていく。

 

 

『コレで……終わらせヨう……ソレが……オマエに、とっても……』

 

 

謎のライダーはそう言って左腰のカードフォルダーからカードを取り出し、右手に持つ剣に装填してスライドさせる。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DI・DI・DI・DIREED!』

 

 

電子音声が響くと、謎のライダーの周りにカードの形をした九枚のディメンジョンフィールドが発生し、何度か謎のライダーを中心に回ると、一枚、また一枚と剣に集束されていき、全てのディメンジョンフィールドが刀身に集まると、刃が徐々に伸び、遂には数十メートル程まで伸びた巨大な光刃となっていった。

 

 

ディケイド(ツカサ)「クッ……!」

 

 

幽汽(俊介)『ツカサッ!!立って逃げろッ!!早くッ!!』

 

 

あれを直感的に見て危険だと感じた幽汽がディケイドに叫ぶが、ディケイドは今まで受けたダメージによって身体が全く言う事を聞いてくれず、そして……

 

 

『……さヨならだ……別世界のディケイド……ウオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

―シュウウウウウゥッ……ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガァアアアアアアッッッッ!!!!!!!―

 

 

謎のライダーが右手に持つ剣を横薙ぎに払うと、光刃が大地を削りながら徐々にディケイドへと近づていき、光刃がディケイドに直撃しようとした、その時…

 

 

 

 

 

『END OF CRASH!』

 

 

『ゲル・ギム・ガン・ゴー・グフォ…ふんッ!ウィィィィィィィタァァァァァァァァァッ!!!』

 

 

―ズガアァンッ!!スガガガガガガガガガガガァ…ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!―

 

 

『……?!』

 

 

「「『……え?!』」」

 

 

突然上空から何者かが現れ、そのまま降下の勢いを利用して謎のライダーがディケイドに向けて放った光刃に向かって両手を固く握り締めた鉄拳をぶつけ合わせ、巨大な大爆発を起こして辺りを爆風が包み込んでいった。

 

 

ディケイド(ツカサ)「ケホッ!ケホッケホッ!こ、今度は何?!まさか、また敵?!」

 

 

次から次へと続く急展開にディケイドは混乱し、また新たな敵が出現したのではと辺りを警戒する。すると…

 

 

『──大丈夫だよ。助けに来たのは私だから』

 

 

ディケイド(ツカサ)「え?……その声は……」

 

 

爆煙の中から聞こえた優しげな声に、ディケイドは疑問符を浮かべる。次第に爆煙が強風に吹かれて少しだけ晴れると、いつの間にかディケイドの目の前には一人のライダーがディケイドを守るようにして立ち構えて謎のライダーと対峙している。そのライダーを見たディケイドは信じられないものを見る様に目を見開いて驚愕した。そのライダーとは…

 

 

ディケイド(ツカサ)「ガ、ガイア…?…まさか…"シズク"?シズクなの?!」

 

 

ガイア『──うん♪久しぶりだねツカサ。元気にしてた?』

 

 

目の前にいたのは、漆黒の翼を背中にし、両膝にはドリルを、両腕には巨大な手甲をして頭部からは後ろ髪を靡かせている獅子のような姿をしたライダー……ツカサ達の異世界の友人である、シズクと呼ばれる少女が変身した『仮面ライダーガイア』だったのだ。

 

 

ディケイド(ツカサ)「えっ?ちょっ、何で?!何でシズクがここにいるの?!」

 

 

ガイア『アハハ…まあ…それについては後で説明するから、今は…』

 

 

ガイアは一度ディケイドとの会話を中断し、目の前に視線を戻す。そこには右手に剣を持って構えた謎のライダーが、殺気を放ちながらガイアを睨みつけていた。

 

 

『…ナるほド…お前達マでこの世界ニに来てイタトは…予想外ダッたよ…』

 

 

ガイア『……それはこっちの台詞だよ。なんで貴方がここにいるの?貴方はこの時間―ズバアァンッ!―…ッ!』

 

 

ガイアが何かを言いかけた瞬間、謎のライダーがそれを遮るように斬撃破を放ち、ガイアの頬を掠めた。

 

 

『ソれ以上ハ禁句だ…本当ならこのセカイのライダー達を潰シてから戻ろうとオモッていたが…お前達がイルのなら話は別だ……今回はコノ辺りでヤメにしよう…』

 

 

謎のライダーがそう言うと、背後から銀色のオーロラが出現していく。

 

 

ガイア『ッ!逃げる気?!』

 

 

『……イマはまだ、オマエ達と事を荒立てる必要ガないのでな……イズレまたアエるさ……例エ俺でなくとも……"いつか"の──』

 

 

謎のライダーはガイアに向けてそう言うと、銀色のオーロラが謎のライダーを包み込み、そのままオーロラと共に謎のライダーは何処かへと消え去ってしまった。

 

 

ディケイド(ツカサ)「消え、た……ハァ~、助かった~!ありがとねシズク!さっきのは流石の私もやばかったよ~。てか、さっきのライダーは一体なんだったの?………シズク?」

 

 

謎のライダーが消えて安心したのか、いつもの調子に戻ったディケイドがさっきのライダーの事についてガイアに説明を要求するが、ガイアは深刻そうな様子で両腕を組み、何やら考えに浸っていた。

 

 

ガイア(まさか、彼が此処まで来ていたなんて…もしかして、この世界のディケイドに引き寄せられて?いやでも――)

 

 

ガイアは先程のライダーについて何か心当たりがあるらしく、その事について何かを深く考えていた。そんな時…

 

 

ディケイド(ツカサ)「―――――シズク?聞いてるの?オーーイ!シ・ズ・クー!」

 

 

ガイア『…えッ?!あっ!な、何?ツカサ…?』

 

 

考え事に集中していた為に、ディケイドが話し掛けていた事に気づかなかったガイアが漸く我に返り、慌てて返事を返した。

 

 

ディケイド(ツカサ)「もお!「な、何?ツカサ…?」じゃないよ!さっきから聞いてるじゃん!あのライダーは一体何なのかって!」

 

 

ガイア『えっ?あ、ああ…えーと…それは…』

 

 

説明を要求して詰め寄ってくるディケイドに戸惑いながらも何とか説明しようとするガイア。すると……

 

 

俊介「ツカサーッ!何処にいるんだーッ!?」

 

 

裕香「返事をしてーッ!!」

 

 

黒煙の向こうからディケイドを探しに来た俊介と裕香の声が聞こえ、ディケイドはそれに反応して振り返った。

 

 

ディケイド(ツカサ)「あっ、俊介と裕香だ」

 

 

ガイア『ああ、それなら二人も含めて一緒に説明するよ。そっちの方が私も色々と説明しやすいし、これからの事も皆と話し合わないといけないしね』

 

 

ディケイド(ツカサ)「ああ、そっか……じゃあそうと決まればさっさと二人を迎えに行こ!」

 

 

ガイア『うん』

 

 

取りあえず二人は変身を解除すると、先程の事やこれからの事について話し合う為に俊介と裕香と一度合流しようと考えてその場から歩み出していった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

―???―

 

 

 

一方その頃……

 

 

 

辺りが銀色のオーロラに包まれた無空間。そんな何も無い空間にで、先程ディケイド達と戦っていた謎のライダーが自分の世界へと向かう為にその場所を歩いていた。

 

 

『……奴らのセいでレイを探せず、別世界のディケイドも仕留められなかっタが……まあイイ……いズれは奴らと戦ウ事になるンダ、急ぐ必要モないか……』

 

 

謎のライダーは誰に言う訳でもなく、ただ一人呟きながら無空間を歩いていく。

 

 

『……なノは…フェイト…ハやて……皆……俺はモう迷わナイ……オレは必ず、ライダーを一人ノコラズ消し去っテみせる……ダから……見ていてクレ…』

 

 

謎のライダーは僅かに哀しみの混じったような声で決意を固めるように言うと変身を解除して元の姿に戻っていく。その姿は全身に黒いコートを着て頭にフードを被った男であり、男はフードを深く被って自分の世界へと戻る為に歩みを進めていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑯(前)

 

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァアアアッッッッ!!!!!!―

 

 

 

Dファイズ『ハァァッ!セヤァッ!』

 

 

コーカサス『ハッ……!やはりやりますね!流石は破壊者と呼ばれるだけはある!』

 

 

Dファイズ『チッ!破壊者破壊者って、何度もうるせぇんだよ!』

 

 

音速の世界で格闘戦を繰り広げるDファイズとコーカサス。素早いラッシュを繰り返してくるコーカサスの攻撃をかわしながら、Dファイズは素早く蹴りを放って反撃しコーカサスとの距離を離していく。

 

 

コーカサス『ハアァァッ!!』

 

 

Dファイズ『ッ!デアアァァッ!!』

 

 

―ドゴォオオンッ!!―

 

 

Dファイズ『グゥッ!』

 

 

コーカサス『グッ!』

 

 

猛スピードで突撃して来たコーカサスにDファイズも迎え撃ち、互いに放ったクロスカウンターが互いのボディを殴り付けて二人は勢いよく吹っ飛ばされてしまう。

 

 

Dファイズ(っ!あと7秒か…早めにケリを付けねぇとな!)

 

 

ファイズアクセルを見てそう思ったDファイズは直ぐ様起き上がり、ライドブッカーを開いて其処から一枚のカードを取り出した。

 

 

Dファイズ『こっちは時間が迫ってるんでな!そろそろ決めさせてもらうぜ!』

 

 

取り出したカードをコーカサスに見せつけるようにしてそう言うと、Dファイズは取り出したカードをディケイドライバーに投げ入れスライドさせた。

 

 

『FINALATTACKRIDE:FA・FA・FA・FAIZ!』

 

 

Dファイズ『ふっ!』

 

 

電子音声が鳴ると同時に、Dファイズは空高く飛び上がる。するとコーカサスの周りに複数の赤い円錐状の光が出現してコーカサスをロックオンし、Dファイズは空中前転した後に右足をコーカサスに向ける。

 

 

Dファイズ『セエァァァァァァァァァッ!!!』

 

 

Dファイズはそのまま降下を利用しコーカサスに向けて必殺技を放とうとした。だが、

 

 

 

 

 

『HYPER CLOCK UP!』

 

 

 

 

 

―フッ……―

 

 

Dファイズ『──……?!なッ!?』

 

 

Dファイズの必殺技であるアクセルクリムゾンスマッシュがコーカサスに直撃しようとした瞬間電子音声が響き、それと同時に、目の前にいたはずのコーカサスの姿が突然消えてしまった。

 

 

Dファイズ『な、なんだ?一体何処に…―ドゴォオッ!!―グァッ!!?』

 

 

Dファイズは着地しすぐにコーカサスの姿を探していたが、突然背中から何かに殴られたような衝撃が走りDファイズは耐え切れずに吹っ飛ばされてしまう。

 

 

Dファイズ『グッ…何なんだ一体…?!―バキィッ!!―ウアァッ!!!』

 

 

突然の出来事に戸惑いながらも何とか態勢を立て直そうとするが、それを許さないとばかりにDファイズは気がつかぬ内に何かによって何度も吹っ飛ばされていく。そして…

 

 

『TIME OUT!』

 

 

ファイズアクセルから時間切れを示す電子音声が響き、Dファイズはディケイド(進)へと戻ってしまい、それと同時に周りの時間の流れが元に戻ってしまった。

 

 

零「……?!元道ッ!?」

 

 

『進(さん)?!』

 

 

時間の流れが戻ったと同時に、零とこなた達は地面に倒れているディケイド(進)に気づき驚愕の声を上げる。その時…

 

 

『HYPER CLOCK OVER!』

 

 

先程聞こえた電子音声が再び響き、ディケイド(進)から離れた所にクロックアップの効果が切れたコーカサスが姿を現した。

 

 

ディケイド(進)『クッ!何だったんだ今のは…?!俺の速さでも追いつく事が出来なかったぞ…!?』

 

 

突然とんでもないスピードで動き出したコーカサスにディケイド(進)はふらつきながら立ち上がり、目の前に佇むコーカサスを見て困惑ふる。すると、こなたがディケイド(進)の様子を見て何が起こったのか気づき、何とか身体を起こしてディケイド(進)に叫ぶ。

 

 

こなた「に、逃げて進っ!そいつの力には、今の進じゃ太刀打ち出来ない!」

 

 

ディケイド(進)『?こなた…アイツの力の事知ってるのか…?』

 

 

こなた「うん!そいつにはハイパーゼクターって言うアイテムを使った、"ハイパークロックアップ"っていうクロックアップを越えた力を持ってるの!その速さにはファイズのアクセルフォームでもカブトのクロックアップでも対抗出来ないんだよ!」

 

 

「「「なッ……」」」

 

 

こなたから告げられた衝撃的な事実に、ディケイド(進)や零達は驚愕した。クロックアップの力だけでも限度を越えたものなのに、それをも越える化け物じみた力を目の前にいる敵が持っている。その事実にディケイド(進)や零達は戦慄する中、コーカサスはこなたを知識に感心を覚えていた。

 

 

コーカサス『ほお、この力の事を知ってる者がいたとは……確かに、そこにいる彼女の言う通り私にはクロックアップを越える力を持っています。例え破壊者である貴方達でも、この力に打ち勝つ事は叶いませんよ』

 

 

自信に満ちた口調でコーカサスはそう言うと、ディケイド(進)に悠然と近づいていく。

 

 

ディケイド(進)『クッ…(確かにアイツの力は面倒なものだ……けど、さっきこなたの言っていたハイパーゼクターとかって言う奴を壊せば、俺にも勝機があるはずだ…!』

 

 

ディケイド(進)はコーカサスの左腰に備え付けられた銀色のカブトムシのようなツールが先程こなたが言っていたハイパーゼクターだと予測し、それを狙って腰にあるライドブッカーをガンモードに変えコーカサスの左腰を狙う。だが…

 

 

『HYPER CLOCK UP!』

 

 

―シュンッ…ドゴォオオンッ!!ドゴォオオンッ!!―

 

 

ディケイド(進)『グゥッ?!ウアァァァァアッ!!!』

 

 

その狙いをコーカサスも予測しているのか、コーカサスは再びハイパークロックアップを発動させて超高速で動き出し、ディケイド(進)を一方的に殴り飛ばしていく。そのダメージによって変身が解除されてディケイドから進に戻ってしまった。

 

 

ゆたか「す、進さんっ!」

 

 

こなた「うぅっ!駄目ぇ…全然動けない…!」

 

 

なのは「っ!お願い…っ!動いてぇ…!」

 

 

進を助ける為になのは達は起き上がろうとするが、先程コーカサスから受けたダメージがまだ残っており、全身に痛みが走ってまったく動けなかった。

 

 

『HYPER CLOCK OVER!』

 

 

進「うっ…ぐぅ…!」

 

 

コーカサス『破壊者とは言っても所詮この程度ですか。大した事ありませんでしたね……さて』

 

 

零「ッ!」

 

 

コーカサスは倒れている進から視線を外し、今度は零とヴィヴィオの方に視線を移し二人の方へとゆっくり近づいて来る。

 

 

コーカサス『彼は後回しにしても問題はないようだ。先に貴方から始末して差し上げましょう』

 

 

零「チィッ!」

 

 

ヴィヴィオ「パ…パパ…」

 

 

零は険しい表情を浮かべてヴィヴィオを自分の後ろに下がらせ、コーカサスを睨みつける。コーカサスは二人に近づきながら左腰にあるハイパーゼクターのホーンに触れ上下に可動させた。

 

 

『MAXIMUM RIDER POWER!』

 

 

ハイパーゼクターから電子音声が響くと、ハイパーゼクターからコーカサスの角にエネルギーが流れていき、今度は角から右足に流れコーカサスの右足が輝き出した。

 

 

零(クソッ!どうする…?!このままじゃヴィヴィオも…!)

 

 

何か手段はないかと必死に考える零だが、どんなに考えた所でそんな考えが浮かぶはずもない。それに怪我のせいでヴィヴィオを連れて逃げる事も出来そうにない。零は自分の無力さを悔しく思い、血が滲むまでに手を握り締める。すると、ヴィヴィオは零のその様子を見て泣きそうな表情を浮かべ、零の服を力強く握り締める。

 

 

ヴィヴィオ(…やだ…やだ……このままじゃパパが……パパが死んじゃうなんて……絶対いやだぁ!」

 

 

何も出来ない。ただ見ているしか出来ない。目の前で皆が傷ついていくのを見ているしか出来ない。ヴィヴィオはそれが耐え切れず、ただ自分の無力さを恨むしか出来ずにいた。

 

 

進「く…黒月!逃げろッ!早くッ!」

 

 

なのは「止めて…!二人に手を出さないで!!」

 

 

みなみ「ぐっ!まだ…動けないっ…!」

 

 

こなた「動いてよ…!お願いだからッ!」

 

 

ヴィヴィオ(……ママも……お姉ちゃん達も……皆死んじゃう……やだ……そんなの絶対いやだ!!!)

 

 

──皆を守る力が欲しい。

 

 

守ってもらうのではなく、助けてもらうのではなく、

 

 

皆を守る為の、助ける為の力が欲しい。

 

 

ヴィヴィオは強くそう思い、目尻に涙を浮かべて零の服を握る手に力を込めた。そして……

 

 

 

コーカサス『まずは…一人目………ハアァァァァァァァァァァッ!!!』

 

 

 

零「ッ!クソッ!」

 

 

 

進「黒月ィッ!!」

 

 

『零(君・さん)ッ!!』

 

 

コーカサスは零に向けてライダーキックを放ち、零は死を覚悟しながらもヴィヴィオだけは守ろうと自分の身体を盾にするようにしてヴィヴィオの前で両腕を広げた。その瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

ヴィヴィオ「やめて……やめて………これ以上……皆を…!……傷つけないでぇええええええええええええええッ!!!!」

 

 

 

『Cord…Set Up!』

 

 

 

―シュウウウウウゥゥゥゥ……ズドオォォォォォォォォォォオンッ!!!!―

 

 

コーカサス『?!なっ……グアァァァアッ!!』

 

 

『ッ?!』

 

 

コーカサスのキックが零の頭を蹴り砕こうとした寸前、突然ヴィヴィオの腰に巻かれていたベルトから独特な電子音声が鳴り響き、それと同時にベルトが激しく輝き出し光の波動が発生した。それはコーカサスを吹っ飛ばしただけでなく、光の波動が拡散しヴィヴィオの身体を包み込んでいった。

 

 

零「?!ヴィ…ヴィオ…?」

 

 

目の前には光に身を包まれたヴィヴィオの姿があり、その姿は今までの小さい姿から徐々に大きくなっていき、十代半ば程度と思われる少女の姿『聖王モード』となった。

 

更に、その身体の上には聖王モードのヴィヴィオが着ていた戦闘服をイメージしたような黒と白のツートンカラーのライダースーツを身に纏い、背中からキバ・エンペラーフォームが身に付けているマントを黒一色に染めた様なマントが出現し、最後にマスク部分の額に埋め込まれている赤い宝石が輝くと、灰色だった複眼が緑色となって輝き出した。

 

 

『―――ふっ、ハアァアッ!!』

 

 

―ドゴオォオオオオッ!!!!!!―

 

 

全ての変身を終えたヴィヴィオ……否、新たなライダーは自身の身を包んでいた光を片手で振り払うと衝撃波が発生し、新たなライダーが佇む大地が轟音と土煙を起てて沈没した。

 

 

なのは「ッ?!ヴィ、ヴィヴィ…オ?」

 

 

こなた「ヴィ、ヴィヴィオが……ライダーになっちゃった?!」

 

 

進「!…あれは……そうか……あれが―――」

 

 

零「―――『ナンバーズ』……か」

 

 

なのは達が新たなライダーを見て驚く中、零と進は何故かあのライダーの名が脳裏に浮かび、思わず小さく呟いた。そしてナンバーズは背中のマントを翻し、零の横を素通るとコーカサスの下へゆっくりと近づいていく。

 

 

コーカサス『…っ!クッ!何者かは知りませんが、私の邪魔をするのなら排除するまで!!』

 

 

ナンバーズから放たれるとてつもない気迫に圧倒されながらも、コーカサスは拳を振りかざしナンバーズへと突っ込んでいく。だが…

 

 

―パシッ!―

 

 

コーカサス『……なっ?!』

 

 

ナンバーズ『ふっ──!ハアァアアアアアアッ!!』

 

 

―ズドオォン!ズドオォン!ズドドドドドドドドドドドッッッッ!!!!―

 

 

コーカサスが突き出した拳を片手で払い除け、ナンバーズはそのまま身体をコマのように回転させた後にコーカサスに高速の蹴りを打ち込んでいく。その蹴りはマシンガンの如く次々とコーカサスに直撃してダメージを与えていき、コーカサスの身体も少しずつ宙に浮かんでいく。そして…

 

 

ナンバーズ『セェェアァァァァァアッ!!』

 

 

―ズドオォォォォォォオンッ!!―

 

 

コーカサス『グッ?!!アァァァァァアッ!!?』

 

 

―ドゴオォォォォォオンッ!!―

 

 

とどめに放った回転蹴りがコーカサスの頭部に打ち込まれ、それをもろに受けたコーカサスは約30mの距離まで吹っ飛ばされ地面に叩きつけれていった。

 

 

コーカサス『…アッ…ガッ…グゥッ…!』

 

 

ナンバーズ『…もう誰も、傷つけさせない。今度は私が…皆を守ってみせる!!』

 

 

凜とした声で言い放ち、ナンバーズは漆黒のマントを翻して自らが蹴り飛ばしたコーカサスの下へと歩み出していった。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章/魔界城の世界⑯(後)

 

 

零「…凄いな……あれがナンバーズの力か…」

 

 

スバル「ヴィ、ヴィヴィオ…強~いっ…」

 

 

進「いや…というかデタラメ過ぎるだろ。あの強さ…」

 

 

ゆたか「ヴィヴィオちゃん…凄っごいパワフルですね…」

 

 

ナンバーズの戦いを離れた場所から見ていた零達はナンバーズの戦闘能力を見て驚愕し、そのあまりの凄まじさに唖然とした表情を浮かべていた。

 

 

ナンバーズ『ふッ!ハアァッ!』

 

 

コーカサス『グゥッ!ハアァッ!』

 

 

一方、戦闘を開始したナンバーズとコーカサスは互いに拳と拳を何度もぶつけ合い、激しい格闘戦が続いている。ナンバーズは必要最低限の動きでコーカサスの攻撃を次々とかわしながら反撃していき、一歩も引かない互角の戦いを繰り広げていた。

 

 

なのは「……ヴィヴィオ……くっ…うぅっ!」

 

 

こなた「?!なのはさん…?!」

 

 

ナンバーズが戦う姿を見ていたなのははふらつきながらゆっくりと起き上がり、Kウォッチを操作して自分の腰にトランスドライバーを出現させた。

 

 

ティアナ「な、なのはさん!無茶ですよ!そんな身体で動いたら…!」

 

 

ゆたか「そ、そうですよ!ただでさえそんなにボロボロなのに…!」

 

 

なのは「ッ…ううん…こんな所で…ジッとしてるワケには行かないよ…ヴィヴィオが戦ってるのに…私だけが休んでるなんて出来ないからね…」

 

 

なのははそう言いながら左腰にあるライドブッカーからトランスのカードを取り出して変身しようとする。すると、なのはの隣に同じくボロボロの姿をしたこなたとみなみが立ち並ぶ。

 

 

なのは「?…こなたちゃん…みなみちゃん…」

 

 

こなた「ッ…私も行くよ。アイツに負けたままっていうのも悔しいし、二人にだけ戦わせるワケにも行かないしね♪」

 

 

みなみ「どこまで戦えるかは分かりませんが、私達も加勢します…」

 

 

力強い表情でそう告げる二人になのはは一瞬呆気に取られるが、すぐに笑って頷き返し、二人もそれぞれの変身ツールを取り出して腰に装着する。そして…

 

 

『変身ッ!!』

 

 

『KAMENRIDE:TRANS!』

 

『KAMENRIDE:SECOND!』

 

『Holy form』

 

 

三人はそれぞれの変身動作を行い、なのははトランス、こなたはセカンド、みなみは聖王へと変身していった。そして変身を終えたトランスはすぐにライドブッカーをガンモードに変え、カードを一枚取り出す。

 

 

コーカサス『グオアォッ!グゥッ…!こうなれば!』

 

 

ナンバーズ『ッ!やらさせない!!』

 

 

このままでは自分が追い込まれると焦りを感じたコーカサスがハイパークロックアップを発動させて一気に勝負を付けようとし、それを見たナンバーズはすぐにそれを阻止しようと駆け出した。とその時…

 

 

『ATTACKRIDE:ACCEL SHOOTER!』

 

 

―ズガガガガガガガガッ!!―

 

 

コーカサス『ッ?!グアァッ!!』

 

 

不意にコーカサスに複数の弾丸が降り注ぎ、コーカサスは反応が遅れて防御出来ずに吹っ飛ばされていった。更に今の攻撃によってハイパーゼクターがコーカサスの左腰から外れて宙を飛び、それをトランスが横から跳んでハイパーゼクターを掴み取った。

 

 

トランス『……成る程、これがこなたちゃんの言ってたハイパーゼクターだね。これが無ければあんな風に動く事は出来ないんでしょ?』

 

 

コーカサス『な…ッ?!』

 

 

ナンバーズ『なのはママ!』

 

 

そう言って掴み取ったハイパーゼクターを見せびらかすようにコーカサスに見せるトランス。其処へナンバーズの隣にセカンドと聖王も駆け寄って立ち並び、トランスもハイパーゼクターを懐に仕舞うと三人の下へと下がって武器を構えた。

 

 

コーカサス『くっ…どこまで邪魔を…っ!いいでしょう!ならば先に貴方達から殺して差し上げます!!』

 

 

トランス『悪いけど、倒されるのは貴方の方だよ!』

 

 

聖王『アレを封じたのなら互角に戦える…今度こそ、貴方を倒してみせます!』

 

 

セカンド『そう言う事~♪んじゃ!こっちもそろそろ本気でいかせてもらうよ!変身ッ!』

 

 

『LYRICALRIDE:SUBARU!』

 

 

セカンドがライドブッカーから取り出したカードをセカンドライバーにセットした瞬間、セカンドの身体を風が包み込み、風が晴れるとセカンドの姿は白い薄着を来て右腕に篭手のような物を装備し白いバンダナを額に巻き付けた青髪の少女…スバルへと変身していったのだ。

 

 

トランス『……え?えぇぇぇぇえっ!!?』

 

 

ティアナ「こっ、ここっ、こなたが…ッ?!」

 

 

スバル「わ…私になっちゃったぁぁぁぁッ!?」

 

 

零「……あんな変身まであるのか……え、もしかしてお前もアレ出来るのか……?」

 

 

進「やんねーよ!ちょっと引いた目でこっち見んな!」

 

 

トランスとスバル達が変身したCスバルを見て我が目を疑い驚愕してしまう中、零は何を想像したのか進の方を見て少しドン引く様子を見せる。そして、そんな一行の反応を他所にCスバルは再びライドブッカーからカードを取り出しセカンドライバーに装填してスライドさせた。

 

 

『FORMRIDE:SUBARU!LOAD!』

 

 

電子音声と共にCスバルの髪の色が緑となり右腕に付けられてるマッハキャリバーが変形してサバイバルナイフのような刃が出現した。

 

 

この姿がCスバルのフォーム形態、『ロードフォーム』である。新たな姿へと変わったCスバルを見てトランスやスバル達は再び唖然とし、零は興味深そうにCスバルを見ている。

 

 

Cスバル『さ~て!いっちょキバッて行きますかっ!………あれ?……オ~イ、なのはさん?大丈夫~?』

 

 

固まったまま動こうとしないトランスの前で手を振ってみるCスバル。すると、トランスもそれで漸く我に返った。

 

 

トランス『ハッ?!あっ、だ、大丈夫だよ!ちょっとビックリしただけだから!うん!』

 

 

Cスバル『そう?ならいいんだけど…んじゃま、気を取り直して行きますか!』

 

 

聖王『はい。フェアリス、アタックスタイルへ移行。ディフェンスを削って一気にパワーで押し倒すよ』

 

 

フェアリス「了承」

 

 

トランス『……私も気を取り直してと……こっちも速攻で行かせてもらうよ!』

 

 

『ATTACKRIDE:SHIDN ISSEN!』

 

『ATTACKRIDE:BOOST UP ACCELERATION!』

 

 

ステータスの設定を終えた聖王と、カードで自身の能力を上げたトランスは武器を構えてコーカサスに突撃し、Cスバルも持ち前の瞬発力を使ってコーカサスを翻弄させ、三人は連携を取りながらコーカサスを追い詰めていく。

 

 

ナンバーズ『三人共すごい……よし!なら私も!』

 

 

ナンバーズはそう言って自分のベルトのバックル部分から携帯のような形をした変身ツール『Kナンバー』を取り出して開き、画面に表示されている『SAMON』を選んだ後に9の番号を押した。

 

 

『SAMON!NOVE!』

 

 

ナンバーズ『"ノーヴェ"!来て!』

 

 

ナンバーズはKナンバーを閉じ、ベルトの左側からKナンバーをスライドさせるようにセットした。

 

 

『Set Up!』

 

 

ベルトにセットしたKナンバーから電子音声が響き、それと同時にナンバーズの隣にBJのような服を纏い右手にスバルのデバイスであるリボルバーナックルとマッハキャリバーに似た簡素な篭手を付け、両足にはローラーブーツの様な物を装備した赤い髪の少女が出現した。

 

 

 

一方、トランスとセカンドと聖王は互いに連携を取りながらコーカサスを追い詰めていき、コーカサスも三人の息の合った見事なコンビネーションに圧され追い詰められていった。

 

 

コーカサス『ガハアァッ!ば、馬鹿な…こんなハズでは…!』

 

 

Cスバル『いい加減あきらめなよ!今のお前じゃ私達には勝てないんだから!』

 

 

トランス『こなたちゃんの言う通りです……私達も命までを奪ったりはしません。今すぐ戦闘を止めて引いて下さい!』

 

 

地面に片膝を付いて倒れるコーカサスをトランスが説得する。しかし…

 

 

コーカサス『クッ…!私が…敗れる…?ありえない!私に敗北など……ッ!』

 

 

コーカサスは再び立ち上がろうとした時、三人から離れた場所にいる零と進の姿が視界に入り、コーカサスは何かを思い付いたようにベルトの右側を押した。

 

 

『CLOCK UP!』

 

 

零「……ッ?!グアっ?!」

 

 

進「なっ?!」

 

 

『?!!』

 

 

電子音声が鳴ったと同時に、コーカサスの姿が三人の視界から消え、直後に零と進の悲鳴に似た声が聞こえて三人はその方に振り返った。すると、其処には零と進の首に腕を回して立つコーカサスの姿があった。

 

トランス『?!零君ッ!』

 

 

Cスバル『進ッ!』

 

 

コーカサス『おっと、動かないで下さい。それ以上近寄れば…この二人の首をへし折りますよ?』

 

 

零「ッ!テメェ!」

 

 

進「コイツ!離せ!」

 

 

二人を人質に取られた為に動きを封じられてしまった三人は、悔しそうな表情を浮かべてコーカサスを睨みつけ、コーカサスはそんな三人を見て勝ち誇ったような笑みを浮かべた。その時……

 

 

『Final Attack!Nove!』

 

 

『『『……!!?』』』

 

 

コーカサス『な、何?!』

 

 

不意にコーカサスの背後から電子音声が響き、コーカサスが振り返ると、其処には右腕にエネルギーを溜めて構えるナンバーズと赤髪の少女が身構える姿があった。

 

 

スバル「ッ?!う、うそッ…あれって?!」

 

 

ティアナ「な、何でアイツが此処に…?!」

 

 

スバルとティアナはナンバーズの隣に立つ赤髪の少女を見て信じられないもの見るように目を開き、零とトランスも驚愕した表情を浮かべて赤髪の少女を見つめる中、赤髪の少女は態勢を低くした状態のままナンバーズに呼び掛ける。

 

 

「よしっ、行くぞ!ヴィヴィオッ!!」

 

 

ナンバーズ『うん!ハアァァァァァァ……ハアァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

右腕にエネルギーを溜め終えたナンバーズと赤髪の少女はコーカサスに向かって同時に駆け出し、凄まじいエネルギーを込めた右腕をコーカサスに向けて突き出しながら突っ込んでいく。

 

 

コーカサス『ッ?!チィ!』

 

 

「「うおおっ?!」」

 

 

猛スピードで突っ込んで来るナンバーズ達を見て危険だと感じたコーカサスは、零と進を投げ飛ばし、向かって来る二人を迎え撃つ為に右腕に付いているカブティックゼクターを可動させる。

 

 

『RIDER BEAT!』

 

 

電子音声が響くと同時にコーカサスの右腕が激しく輝き出し、コーカサスは輝く右腕に力を込めてナンバーズ達に殴り掛かった。

 

 

コーカサス『ハアァァァァァァァアッ!!』

 

 

『「デリャアァァァァァァァァァァアッ!!」』

 

 

―ズガアァアンッッ!!!!ズガガガガガガガガガガガッッ……ズドオォオオオオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

コーカサス『ぅ……グアァァァァァァアッ!?』

 

 

二人の必殺技とコーカサスのライダービートが正面から激しくぶつかり合うが、二人の方がパワーが上だった為か、コーカサスは二人に押し負け吹っ飛ばされていった。

 

 

「へっ!やるじゃねぇかヴィヴィオ。今のは中々いいパンチだったぜ?」

 

 

ナンバーズ『えへへ~♪ありがとう♪』

 

 

赤髪の少女の褒め言葉にナンバーズは嬉しそうに答える。だが、零達は二人のその様子を見て唖然とし、いち早く我に返った零とティアナが慌てて赤髪の少女に呼び掛けた。

 

 

ティアナ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ?!おかしいでしょ?!なんでアンタ普通に溶け込んでんのよ?!」

 

 

零「というか、何でお前がこんなところにいるんだ?!"ノーヴェ"!」

 

 

そう、ナンバーズと一緒にいる赤髪の少女、ノーヴェは零達の仲間の一人であり、彼女も滅びの現象で違う世界に飛ばされた……と思っていたのだが、何故か普通にナンバーズと一緒に零達を助けたのだった。

 

 

ノーヴェ「ったく、相変わらず細かいこと気にする奴だな零……そんな面倒な事は後で話せばいいだろう?それよりも……ほら、あの金ピカがマジギレしてるみたいだぞ?」

 

 

呆れたようなノーヴェの言葉に、零達は吹っ飛ばされたコーカサスの方に視線を向ける。其処には殺気を全開に放ちながらゆっくりと起き上がり、こちらへと向かって来るコーカサスの姿があった。

 

 

コーカサス『許しません…一度ならず二度までもっ!貴方達全員…、ここで私が殺しますッ!!』

 

 

進「オイオイ…あれでまだ生きてんのかよ?」

 

 

零「いい加減しつこいにも程があるだろ……」

 

 

尋常じゃない殺気を放ってくるコーカサスに呆れた眼差しを向けながら溜め息を吐く進と零。その殺気を感じて唖然としていたトランス達は正気に戻り、ナンバーズはバックル部分にあるKナンバーを開きノーヴェに視線を向ける。

 

 

ナンバーズ『ノーヴェ、一度戻って。私達だけの力じゃあの人を倒すのは無理みたい…』

 

 

ノーヴェ「ああ、どうやらそうみてぇだな。ワリィヴィヴィオ、後は頼んだぞ?」

 

 

少し悔しげなノーヴェの言葉にナンバーズは力強く頷き、それと同時にノーヴェは光の球体となってベルトにセットされてるKナンバーに吸い込まれるように戻っていく。そしてナンバーズはノーヴェがKナンバーに戻ったのを確認すると、今度はKナンバーの12の番号を入力する。

 

 

『SAMON!DEED!』

 

 

ナンバーズ『"ディード"!お願い!』

 

 

『Set Up!』

 

 

電子音声が響きナンバーズはそれと同時にKナンバーを閉じると、ナンバーズの隣に人型の残像が出現して徐々に実体化していき、BJを身に纏い、両手に赤い光を刀身とした双剣を持った栗色のストレートヘアーの少女となっていった。

 

 

零「?!あれは…!」

 

 

ティアナ「ディ、ディード?!何であの子までここに?!」

 

 

ナンバーズの隣に現れた少女、"ディード"を見て零達は驚くが、ディードはそんな反応を他所に隣に立つナンバーズに目を向ける。

 

 

ディード「陛下、行きますよ?準備はいいですか?」

 

 

ナンバーズ『うん!』

 

 

ナンバーズは力強く答えると、再びKナンバーを開き、今度は『1212』と番号を入力した後にエンターキーを押してKナンバーを閉じた。

 

 

『Final Attack!Deed!』

 

 

無機質な電子音声と共に、ナンバーズの両手にディードが持つのと同じ双剣『ツインブレイズ』が出現した。そして二人は両手に持つツインブレイズを構えて身を屈めると、ツインブレイズの刀身にエネルギーが溜まっていき、徐々に激しく輝き出した。

 

 

コーカサス『ッ?!クッ?!』

 

 

それを見たコーカサスはすぐさま防御態勢を取ってそれを防ごうとするが、

 

 

『ハアアァァァ……ハアァァァァァァァアッ!!!』

 

 

―ズバアァァァァァァァァァアッ!!!―

 

 

コーカサス『グググググッ……グアァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

双剣にエネルギーを溜め終えたナンバーズとディードが同時にツインブレイズ振るうと巨大な斬撃破が放たれ、コーカサスは何とかそれを受け止めるも耐え切れずに吹っ飛ばされていった。それを確認した二人も構えを解くと、ディードは先程のノーヴェと同じく光の球体となりKナンバーに戻っていく。

 

 

Cスバル『す、凄いよヴィヴィオ!』

 

 

聖王『あれが、ヴィヴィオの力…?』

 

 

トランス『…もしかして、ヴィヴィオの力はナンバーズ達を呼び出せるって事?―ブオォォンッ!―…え?』

 

 

トランスがナンバーズ達を見てその能力を分析する中、突然トランスのライドブッカーが勝手に開き、そこから三枚のカードが飛び出してトランスの手に収まる。

 

 

それは零の持つカードと同じシルエットだけのカードであり、トランスがそれらのカードを手に取った瞬間、聖王の絵柄が入ったカードとファイナルアタックライド、そしてファイナルフォームライドのカードとなって浮かび上がっていった。

 

 

トランス『これはって…よしっ!』

 

 

トランスはそれらのカードを見て一瞬驚いたが、すぐに気を取り直してファイナルフォームライドのカードを手に取り、トランスドライバーに装填してスライドさせる。

 

 

『FINALFORMRIDE:SE・SE・SE・SEIーO!』

 

 

トランス『みなみちゃん、少しくすぐったいけど我慢して!』

 

 

聖王『……は?―ドンッ!―アウッ?!』

 

 

トランスは聖王の後ろに回って背中を開くように両手を広げると、聖王の身体が宙に浮きながらその姿を徐々に変えていき、聖王の武器、ホーリーフェアリスを模した巨大な大剣……『セイオウセイヴァー』へと超絶変形したのだった。

 

 

Cスバル『え、えぇっ?!み、みなみちゃんが…』

 

 

ゆたか「け、剣になっちゃった?!」

 

 

進「アイツ…なんで聖王のファイナルフォームライドを…?!」

 

 

超絶変形したセイオウセイヴァーを見て驚く進とCスバルとゆたか。トランスはその間にセイオウセイヴァーを持って構えると、周囲の風がセイオウセイヴァーの刀身に集束され激しく輝き出した。

 

 

トランス『行くよ、みなみちゃん!ヤアァァァァァアッ!!!』

 

 

―バシュウゥッ!ドゴオォオオオオオオオオオオンッ!!―

 

 

トランスはコーカサスに向けてセイオウセイヴァーを思いっ切り振り下ろすと、セイオウセイヴァーの刀身から巨大な風の刃が発生し、コーカサスに直撃して吹っ飛ばしていった。

 

 

コーカサス『ガハァッ!!な、何だっ、アレはッ?!』

 

 

Cスバル『スッゴ……あれがなのはさんとみなみちゃんの力……よ~し、私も負けてらんないね!ティアナ~?カモ~ン!』

 

 

ティアナ「へ?わ、私?」

 

 

トランスの力を見て感化されたCスバルはティアナを呼び出すと、セカンドへと戻って自分のライドブッカーからカードを取り出し、一度ティアナとカードを交互に見ながら少しだけ考えるような仕草をみせる。

 

 

セカンド『う~ん…ちょっと気が引けるけど…仕方ないよね~♪ティアナ、ちょっと我慢して!』

 

 

ティアナ「………え?」

 

 

セカンドの言葉にティアナは何となく嫌な予感を感じ取ったが、時すでに遅し。セカンドは戸惑うティアナを他所にセカンドライバーにカードを装填しスライドさせた。

 

 

『FINALFORMRIDE:TE・TE・TE・TEANA!』

 

 

セカンド『いっくよ~!せ~の!』

 

 

ティアナ「ま、待って!?一体な―ドンッ!―にゃぁぁぁぁぁぁッ!!?」

 

 

嫌な予感からティアナが身を引こうとするが、セカンドは構わずティアナの背中を問答無用で押した。すると次の瞬間、ティアナの身体が宙に浮びながら変化していき、まるでティアナのデバイス、クロスミラージュを模した巨大なレーザー抱『ティアナバレル』に超絶変形しセカンドの手に収まった。

 

 

トランス『え…あれって…?!』

 

 

スバル「ティ、ティアも武器に変わっちゃったぁ?!」

 

 

零「…………。なぁ、アレって俺にも使えたりするか?特になのはやフェイトやはやて辺りの……」

 

 

進「……なんでその三人チョイスなんだよ」

 

 

 

まさか生身の人間まで武器になるとは思わず、ティアナバレルを見てトランスとスバルは驚愕し、零に関しては何を企んでるのかわりとマジな顔で進にそんな質問を投げ掛けていた。

 

 

コーカサス『くっ?!これ以上は好きにやらせません!』

 

 

超絶変形したティアナを見たコーカサスには既に余裕など無く、コーカサスはティアナバレルを構えるセカンドに向かって突っ込んでいく。しかし……

 

 

『SAMON!DIECI!…Set Up!』

 

 

コーカサス『……ッ?!―ズドドドドドドォンッ!!―ウアァァァアッ!!?』

 

 

トランスやセカンドのモノではない電子音声が響き、コーカサスがそれに気づいて振り返った瞬間、二つの閃光が直撃し吹っ飛ばされた。それを見て零達が振り向くと、其処にはナンバーズと茶色の長髪を薄黄色のリボンで結わえた少女が大型の狙撃抱を構えて佇む姿があった。

 

 

零「"ディエチ"!お前も来てくれたのか!」

 

 

ディエチ「うん、ヴィヴィオや零達の為だしね。私も手伝うよ」

 

 

茶髪の少女、"ディエチ"は自身の持つ狙撃抱を持ち直しながら頬笑んで答える。するとトランスは自分のライドブッカーから先程絵柄の戻ったもう一枚のカードを取り出しながら、セカンドとナンバーズに呼び掛ける。

 

 

トランス『よしっ…こなたちゃん!ヴィヴィオ!ディエチ!決めるよ!』

 

 

セカンド『待ってましたッ!』

 

 

ディエチ「うん