赤い薔薇を追いかけて (delta10)
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始まりの衝撃

オリ主作品は初投稿になります。
今までpixivの方で書いていたのでいまいちハーメルンを使いこなせていませんが、優しく見守って頂ければ嬉しいです。


俺は音楽はやる側ではなく聴く側だ。

昔から音楽の成績は良くなかったし、動画を見てかっこいいと思う事はあっても、自分が弾いている姿は想像が出来ない。

 

そう思っていた。

「おい、健!今度ライブあんだけど、一緒に行かね?」

「ライブ?え、何の?」

「CiRCLEってライブハウスで、ガールズバンドのライブがあるんだよ!どう?興味ないか?今度の日曜」

「うーん…まぁその日予定無いし、いいよ。行くよ。」

「ホントか!?サンキュー!」

「でも何で俺誘ったんだよ。別に聡太一人で行っても気にしないタイプだろ。」

「いや、流石にガールズバンドのライブだから、ほら…男一人だとさ…。」

「それ言ったら俺が一緒でもあんま変わらんだろ…」

 

ガールズバンドってどんな曲やるんだろう。あんまりバンドとか普段聴かないから分かんないけど。

 

「なんか興味なさげな顔してんな、健。」

「そりゃ今誘われて、どんなライブなのかも分からんのに、ワクワクする方がおかしいだろ…」

「ったく、ドライだなー。そんな健に一つ教えとく、あの氷川さん出るぞ。」

「えっ…?聡太今なんて言った?」

「氷川さん出るぞ」

「…マジ!?氷川さんそういうイメージなかったわ…。」

「じゃ、そういう事で。日曜な。迷ったら困るから、どっかで待ち合わせて行こう。」

「おう…分かった。」

 

氷川さんは俺のクラスの風紀委員で、一言で言うと「お堅い人」だ。とはいえ、俺はあまりノリの良いタイプでは無いから、かえってそういう人の方が好みではあるし、別に氷川さんを敬遠している訳ではない。

しかし、あの氷川さんがバンド…。全く想像がつかない。

聡太の言う通り、少し楽しみになってきたな。

 

 

 

そしてやって来た日曜日、聡太と待ち合わせしてCiRCLEにやって来た。

やはり…女子率が高い…。

「いやー、健に一緒に来てもらってホントよかった。オレ一人だったら今頃肩身が狭すぎて帰ってたかもしれん…。」

「いや二人でも十分肩身狭いぞ。」

「言うな。それは。」

 

ライブハウスというのは来るのが初めてだが、どうやらチケットを買って1ドリンク付いてくる感じの様だ。

何を飲もうかな…

「あっ!聡くんだ!」

え、何おまえ知り合いいんのかなんて思っていると、向こうから紫のツインテールを揺らして走ってくる女の子が見える。

「お!あこ!相変わらず元気だな!全然緊張してなさそうじゃねぇか。」

「もうだいぶ慣れたかなー。今日も闇の力を見せてあげようぞ…」

「ははは!」

なんか不思議な子だな。こう、典型的な中二病というか…。

「なぁ聡太…。その、この子は…」

「ん?あぁ、あこはオレの幼馴染で、昔から家どうしで付き合いがあったんだ。」

「こんにちは!宇田川あこって言います!」

「どうも、俺は川内健でs」

 

「宇田川さん!一人であちこち行かないで下さい。」

「まぁまぁ、紗夜。」

「ですが…」

 

その声に憶えがあった。そう、あの氷川さん。

本当に今日のライブに出るんだな…。

 

「…っえ?雨宮さんと…川内さん。どうしてこちらにいらっしゃるんですか?」

「紗夜さん、聡くんの事知ってるんですか?」

「知ってるも何も、同じクラスですよ。宇田川さんこそ、雨宮さんと知り合いなんですか?」

「はい!昔からの幼馴染です!聡くんはギターやってるんです!」

「氷川さん。どうも。時々Roseliaのライブ見させてもらってるよ。こいつは今日が初めてだけど。」

「そうだったんですか。雨宮さんが時々ギグケースを背負っている姿は見ていたので、楽器をやっているんだろうなとは思っていましたが、ライブにも来てくださっていたとは…。川内さんは、なぜ今日来られたのですか?」

「自分は聡太に誘われて…。氷川さん、ギターとかやってるイメージ無かったよ。その、楽しみにしてる。」

「あ、ありがとうございます。これは、恥ずかしい姿は見せられませんね。さぁ、宇田川さん。そろそろです。」

「はーい!聡くん、楽しみにしててね!」

「おう!頑張れ!」

 

 

なんか色々いっぺんに起こって頭が混乱しているが、改めて、あの氷川さんがギターをやっているという事実に驚きを隠せない。氷川さんがどんな演奏をするのか、増々楽しみになってきたなぁ。

 

その後、ライブが始まると、代わる代わる色々なバンドが出てきた。ガールズバンドのライブと言われてなかなか想像がつかなかったが、各バンド個性があって、曲調も様々だった。ライブの中盤からは結構自分自身でも盛り上がってきて、氷川さんの演奏を聴ければいいやと思っていた少し前の自分はもうそこにはいない。

そして、ついに最後のバンド、氷川さんがギターをやっている“Roselia”だ。

トリという事は、かなり実力があるバンドという事だろう。

期待とここまでのテンションが頂点に到達したその瞬間、氷川さんのギターと宇田川さんのドラムから曲が始まった――。

 

…!!

曲が始まった瞬間、ゾワッと鳥肌が立つ。ドラムのリズムがお腹にズンズンとぶつかって、ギターの鋭いサウンドが耳を埋め尽くす。いつもイヤホンを通して聴いている音とはまるで別物で、それはライブ感なんていう言葉では表しきれない。

“そこ”にいるから感じる音圧。“そこ”にいるから感じる、スピーカーを通すと消えてしまう息遣い。

今までのバンドでもそれは感じていたが、Roseliaだけは何かが違った。

すぐにボーカル、キーボード、ベースも旋律に加わる。その頃には、「氷川さんどんな演奏するんだろう。」と単純な興味半分で待っていた自分などいなくなって、完全に虜にされた自分がいた。

まるで雷が落ちた様に、なんて形容はこういう時の為にあるのだろう。

 

「次で最後の曲です。聴いて下さい。BLACK SHOUT」

時間はあっという間に過ぎて、最後の曲が始まった。

この時、この曲を聴かなければ、この後の自分はまるで違う道を歩んでいただろう。

曲の中盤を少し過ぎた頃、曲が間奏に入る。

すると、下手側で低音を刻んでいたベースが前に出てくる。

それまでリズムを刻んでいたピックを咥え、バチバチと叩く様な音に変わり、一気にベースが主役に躍り出る。

 

本当に、ただ偶々視線が通り過ぎただけだった。

たった一瞬の視線が、一時のベースソロが、

 

――俺の心を全部持っていってしまった――

 

 

運命の歯車が切り替わり、勢いよく回り出していく。

 

俺も弾きたい。俺も“向こう側”に行きたい。

 

「健!!おい、大丈夫か!」

ライブの後、俺はその場で立ち尽くして意識が軽くトリップしていた所を聡太に引き戻された。心配する聡太に、「聡太!俺、ベースやりたい!」と答えた時のあいつの驚き様はなかなか忘れられない。

 

とはいえ、聡太は「健がこんなに熱くなるなんて珍しいな。」と喜んでいた。前からお前は本気で打ち込む様なタイプでは無かったから、打ち込める物が見つかってよかった、と。

そこから、聡太に行きつけの楽器屋を教えてもらって、今日はついに楽器屋に行く日だ。ちなみに今日は聡太は自分の方の楽器の練習があるらしい。

あいつからは次の日曜にでも一緒に行ってやろうか?と言われたが、「一日でも早く欲しいんだ!」と言うと、「そうか。なら今日行ってこい。店員さんは皆親切だから健一人でも大丈夫だろ。」と笑って送り出してくれた。

 

「江戸川楽器店…ここだ!」

楽器屋なんて今まで入った事すら無いから緊張するが、ここで怯んでたら始まらない。

よし!行くぞ!

 

「こんにちは…」

自動ドアをくぐると、壁に所狭しと楽器が掛けてある。この辺りはギターのコーナーの様だ。ベースはどこだろう。

そのまま奥の方へ入っていくと、あった、ベースだ。

 

「いらっしゃい。初めて?」

「あ、はい。ベース始めようかなぁと思って…。」

「お!いいじゃん!友達が楽器やってるとかかな?」

「あ、そうですね…それもあるんですけど、この前友達にライブに連れて行ってもらって、それでなんか心臓掴まれたみたいに気になっちゃって…。それで友達にココを紹介してもらいました。」

「あ~なるほど、それは絶対始めた方が良いよ!お友達はココのお客さんなんだね。」

「はい、雨宮聡太っていうんですけど。」

「聡太くんか!いつも来てもらっているよ。そうか~聡太くんのお友達ね。」

「あ、それでベースなんですけど、初めてなので、どれがいいかとか分からなくて…。」

「よし、じゃあお兄さんに任せといて!」

そこから、店員さんと話し合って自分のベースを選んでいった。

予算の上限を伝え、何か希望はあるかと聞かれたので、

「赤いベース」

と伝えた。

これだけは譲れなかった。あの日、今こうして楽器店に来るきっかけになったRoseliaのベースが脳裏に張り付いてしまい、自分のベースも赤にしようと心に決めている。

「お!それは憧れのベーシストが赤いベースってパターンかな?」

「まさにそうです。」

「ちなみに…誰?」

「えーと、あの、Roseliaっていうバンドの…」

「あー!リサちゃんね!」

「え…お知り合いなんですか?」

「うん。リサちゃんもこのお店のお客さんだよ。」

そういえば確かにそれは全然ありえる。この楽器店はここいらでは一番大きい店らしいし…。

「そっかー、リサちゃんか。なるほどね…。」

そういって店員さんは何か意味ありげな視線を送ってくる。

「リサちゃん可愛いもんね。」

「何でそうなるんですか!?」

「え、違うの?」

「いや…、可愛いとは思いますけど、それとベースは別ですから。」

「いいと思うけどなー。青春で。」

そんな問答をしている間に、店員さんは俺をからかいながらもしっかり条件にあうベースを見繕ってくれた。

 

その後、試奏をして、候補から絞り込んでいく。といっても何も分からないのでベースの弾き方を教えてもらいながらだし、基準が無いから違いも何も無いが。

 

そして、

「よし、これにします!」

俺が選んだのは、奇しくもRoseliaのリサさんが使っているのと同じメーカーで、ちょうどリサさんが使っている物の初心者モデルの様な位置づけのベースらしい。このモデルは弾きやすい事で知られていて、「良いベースだよ。」とお墨付きも貰った。

 

「今日から川内くんもベーシストだね!今日はベーシストデビュー記念日だ!」

「今日はありがとうございました!いっぱい練習します!」

「おう!ガンガン弾いてやってくれ!それと、しばらくはネックが動くと思うから時々持ってきてね。」

「はい。分かりました。」

 

その日の帰り道は頬が緩みっぱなしだったと思う。

 

聡太に「ベース買ったぞ!」と写真を送ると、「おぉ、リサさんのベースに結構似てんじゃん!一目惚れかw」といじられたが、「明日暇か?放課後一緒にスタジオ行こうぜ!色々教えるからさ!」と言ってくれて、やっぱ聡太いいやつだわ、なんて思った。

ん?

「え、聡太もリサさんと知り合いなの?」

「直接話した事は無いけど、あこから話は聞く事あるし。」

「まじか…。」

「え?お前やっぱりリサさんに一目惚れしたのか?」

「どうなんだろう。それは自分でも分からない。惚れたのはベースなのか、リサさんなのか…。」

「自分の気持ちが分からないって。俺にはよくわかんねぇな。」

「これからベースをやってそことも向き合っていくつもりだよ。」

「そうか。でも、リサさん人気高いからうかうかしてると誰かに先行かれるぞ。」

 

結局その後も聡太とついつい長く話してしまい、結構夜更かしして布団に入った。しかもベースを買った興奮でなかなか寝付けない。これは明日寝不足で授業やばいだろうな。

 

しかし、本当に俺の今の熱はリサさんの対しての熱なのか、ベースに対しての熱なのか。

 

 

 

「重い…。」

睡眠不足の体をなんとか起こして、ベースを背負って花咲川までいつも通学路を歩いている訳だが、肩にギグケースのベルトが食い込んでずっしりとのしかかる。

家を出た頃は大して重く感じなかったのに…。

あと、意外と背中に突っかかって歩きにくい。

これは、遅刻しちゃうかもしれないぞ…。

 

予想外に歩くペースが落ちてしまい、いつもの感覚なら間に合う時間だったが、このペースだとギリギリだ。

朝からゼーゼー息を吐く羽目になり、始業時間すれすれになってようやく校門が見えてきた。

 

「ふ~、ギリギリ間に合ったぜ。」

「間に合っていません。始業時間には教室にいなくては遅刻です。」

「げ!氷川さん…。」

「え?川内さん?背中に背負っているのはベース…」

「いや、実は…ってここで引き止めないでよ!本当に遅刻しちゃうよ!」

「どのみちもう遅刻…って、危ないですよ!廊下を走らない!」

 

氷川さんの声を背中に受けながら、最後の力を振り絞って教室へ走る。

 

ガラッ!

「おう、川内。おはよう。遅刻だぞ。」

 

既に遅かった…。

 

 

朝から体力を使い、しかも遅刻までしてしまい、俺は最高にブルー。聡太には朝からいじられるし、今日はどうもバッドデイらしい。

朝、あそこで氷川さんに捕まらなければ…

 

「川内さん、少しよろしいですか?」

「氷川さん。廊下走ったのは、あれは…」

「それに関してはもういいです。次から気を付けて下さい。私が引き止めてしまったのもありますから。それで、今朝、ギグケース背負ってましたよね?」

「あぁ、そうなんだ。ベースだよ。」

「やはりそうでしたか。川内さん、以前からベース弾いていたのですか?」

「いや、実は「こいつリサさんに一目惚れしたんだって!」聡太!!急になんだよ!嘘言わないでくれ!」

「え~?だって昨日「話がめんどくさくなるから言うな!」…つまんね。」

「聡太が色々デタラメ言ってるけど、この前のRoseliaのライブがきっかけで始めたのは事実だよ。」

「そうなんですか。私達の音楽がきっかけとは、嬉しいですね。」

「まぁ、まだ始めたばかりだから、聡太に色々聞きながら頑張っていくよ。」

すると、氷川さんは少し考えてからこう言った。

「確かにそれもいいかもしれませんが、一度今井さんに教わってはどうでしょうか?やはりベース特有の技術もありますし。」

えっ…?ちょっと待ってくれいきなり会うのはまだ…

「おっ!!それいいかも!」

聡太ぁぁぁぁ!!

「今日Roseliaの練習がありますので、少し話をしてみます。」

 

なんと、自分の意志もなしに話が進んでしまった。いつか会ってみたいとは思っていたが、これは急過ぎる。

 

「よかったな健。憧れのリサさんに会えるぞw」

「お前なぁ!」

 

Roseliaのライブを観たあの日から、色々な事が一気に進んでいく。一気に世界が広がった様だ。これからベースをやっていけば、更に世界が広がっていくのだろうか。

 

 




2019年明けましておめでとうございます。

そして、お読み頂きありがとうございます。
亀更新になると思いますがお付き合い下さると嬉しいです。


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対面の二重奏 Side健&聡太

おまたせしました。

いよいよ健が憧れの人に初対面となります。


楽器の練習において、基礎は一番大事だ。基礎がしっかりしていないと、遅かれ早かれどこかで躓く事になる。

 

俺はあの日の放課後、聡太に連れられて初めてスタジオに行った。聡太はギターをやっているが、ベースとギターは多少共通点もあるので基礎の基礎を教えてもらい、概ね練習のやり方を教わった。

曰く、基礎練習も大事だが適度に簡単な曲から練習してみろ、との事だ。

 

基本は家でYouTubeのレッスン動画を見ながら練習。今まで弦楽器の経験は無かったから、すべてが初めて。なかなか難しい。

そもそも、今やっている方法が正しいのかが分からない。

やはり、直接誰かに習うのが一番いい。

一番いいんだけど…

 

よりにもよってそれが、ベースを始めるきっかけになった人になるとは…。

 

さっきから俺は猛烈に緊張している。こんなに緊張していてはまともにレッスンにならないのではないだろうか。

 

聡太と氷川さんが勝手に話を進めて、トントン拍子でいって今日、ついにリサさんにベースを教えてもらう日がやってきてしまった。

 

Roseliaはやはりガールズバンドの中でもかなり技術があるらしく、楽器屋さんの話でも、ちょくちょくスカウトなんて言葉が出てきたりしていた。そんなバンドのベーシストに、まだ始めたばかりの超初心者が直接教えてもらうなんて恐れ多い。氷川さんにも聡太にも何度もそう言ったのだが、「初心者だからこそしっかり上手い人に教えてもらうべき」と強く押し切られてしまった。

 

はぁ…、緊張が…。

 

「おい、健お前緊張しすぎだぞ。そんなに身構えるなよ。」

 

あなたには分からないでしょうねぇ!!

こいつなんでこんなにケロッとしてんだ。

 

「ん?そろそろ着くらしいぞ。」

 

え、マジ?

 

「あ、雨宮さんお待たせしました。」

「氷川さんどうも!いやー、健ガッチガチに緊張してますよw」

「紗夜ー?アタシの事変な風に伝えてない?」

「いえ、そんな事は…」

 

うわ、あ、あのRoseliaの…

「本物だ…」

 

「え、アタシそんな芸能人とかじゃないよ?」

横で聡太が吹き出している。あ、氷川さんも。

「あ、あの、えーと、川内健といいます。その、Roseliaのライブで、リサさんのベースを見て…憧れて…」

「あー、君が川内くんね!紗夜から聞いてるよ☆いやでも照れるなー//アタシに憧れてベース始めてくれたなんて…」

「今井さん、今でこそ落ち着いてますけど、最初に話した時は凄い赤くなってましたよね。」

「ちょっと紗夜!それは言わないでって…。」

「アハハ!お互い照れてんじゃないすか!レッスン大丈夫ですか?」

「そうです。私と雨宮さんは別の部屋でギター合わせるんですから、二人でレッスンですよ。」

「…うん…!大丈夫!アタシも川内くんも慣れるよきっと!」

 

そんなこんなで俺とリサさん、聡太と氷川さんに分かれてスタジオに向かう。聡太は聡太で氷川さんとギターの約束をしていたとは。まぁ、聡太も結構ギターは上手いと聞いているし、俺とリサさんとは違って、お互いに腕をぶつけ合う感じだろう。

 

「川内くんは今まで他の楽器やってたりしたの?」

「いえ、ベースが初めてです。」

「えーそうなんだ!じゃあなおさら嬉しいな♪アタシ今までこういう事はなかったから。」

 

意外だ。あのRoseliaともなれば、その存在に憧れて楽器を始める人も少なくないだろうに。

 

「それじゃ、始めよっか。」

「はい、よろしくお願いします。」

リサさんの教え方はとても分かりやすくて、不器用な俺に合わせて丁寧に一つ一つやってくれる。曰く、「アタシもなかなか上手くならなくて、苦しい思いをしたから。」との事。

そして、聡太も言っていたが、楽しく進めて行くのがいい、楽しむのが一番、と繰り返し言われた。

「せっかく始めたんだから、楽しまなきゃね!」

その言葉が強く印象に残った。

 

聡太との練習も楽しいし分かりやすかったが、やはりベースはベーシストに教わった方がいいのは本当だ。そうして気づくと、もう時計の針はかなり進んでいる。

「そうそう、ここはね~…っと、もう時間だ!」

「え?もうですか、あっという間でしたね。」

「本当だよね~。でも、これからも定期的に見てあげるからさ☆」

「いやいや、そんな、申し訳ないですよ。リサさんもRoseliaで忙しいのに。」

「気にしないでダイジョーブ!アタシもこうやって川内くんに教える事で基礎の見つめ直しにもなるし。ね?」

ちょっとここで上目遣いは卑怯じゃないですかね…。そんな事されたら断れる訳無い。

「でしたら…ぜひ、お願いします。」

「はーい。それじゃ、連絡先交換しようよ!いつも紗夜とか通してたら手間かかっちゃうし。」

「あ、はい。」

 

こうして俺はリサさん、もといリサ先生にベースを習う事になった。リサさんに憧れてベースを始めて、今日初めてリサさんに会って、そしてリサさんにベースを習う事になるなんて…。これからどうなっていくのか。

 

スタジオの受付に戻ると、既に氷川さんと聡太が待っていた。

「お!健、大丈夫か?練習になったか?」

「あぁ、なんとかな。」

「ハハハ!でも、川内くん頑張ってたよ!これからも楽しみ♪」

「これから"も"?」

「そうだよ♪これからも時々、川内くん見てあげようかなと思ってね。」

「へぇ、そうなんですか。」

「確かに、それがいいと思います。やはり独学では限界がありますし、誰かに見てもらった方がいいと思います。」

 

その後、リサさんと氷川さんと別れて聡太と帰っている途中に話を聞いていると、聡太と氷川さんもそれはそれで面白い事になっていた様だ。火花を散らす様にお互いバチバチに弾きあって、すっかり良きライバルになったと、聡太は少し楽しそうに語っていた。

 

次にリサさんに教えてもらうのは2週間後、細かく見てもらって申し訳ないが、最初は特に大事だからと多めに会う事になっている。本当にありがたい。

 

「なぁ、健。それで、やっぱお前リサさんに惚れてたのか?」

「あぁ、それは…まだ分からない。」

「はぁ⁉︎お前じゃあ今日なんで緊張してたんだよ?」

「憧れと好意は必ずしも同じではないだろ。今はまだ分からない。」

「(オレから見たら好きだと思うんだがなぁ)」

 

今日のリサさんとのレッスンは楽しかったし、確かにリサさんは美人だ。でも、美人だから付き合いたいというのは間違っていると思うし、やはり今はまだ自分の気持ちが分からない。

 

しかし今は"それ"を急ぐ必要はない気がする…

ベースに惚れているのだとしても、リサさんに惚れているのだとしても、

ベースを始めて、憧れの人にマンツーマンで教えてもらえて、楽しく弾ける。こんなに恵まれている事はないのだから。

 




お読み頂きありがとうございました。

前回特に言ってませんでしたが、花咲川は共学設定にしてます。
あと、紗夜さんはじめRoseliaの面々の雰囲気は初期より最近の雰囲気(厳しさの中にも柔らかさがある感じ)で考えています。

感想頂けると嬉しいです。


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対面の二重奏 Sideリサ&紗夜

前回の話と時間軸は平行で、視点が変わっています。


少し前なら、楽器をやっている友人に声をかけてわざわざRoseliaのベーシストを紹介するなんて事は無かっただろう。そんな事はムダだと早々に決めつけていたはずだ。こういう心境の変化も、私がRoseliaで過ごしてきた日々のおかげだと思う。

 

「あ、紗夜ー☆お待たせ!」

「いえ、大丈夫ですよ。」

 

今日は今井さんに川内さんのベースの指導をお願いしている。わざわざ休日を使ってもらう事になるが、今井さんは喜んで引き受けてくれた。とても照れてはいたけれど。

今井さんはいつも「Roseliaで一番下手なのはアタシだから」と言う。でも彼女は人一倍努力しているし、彼女の技術はメンバーみんなが信頼している。

だから、今日の川内さんへの指導で彼女には自信をつけて欲しい。あなたに憧れてベースを始めた人がいる、あなたの演奏はそれだけ人を魅了する力がある、それを知って欲しい。

 

それに、今井さんはベースの先生には適任だ。私も今彼女にお菓子作りを学んでいるが、今井さんは教え方が上手い。楽器は最初が肝心だ。最初は自分の実力と目標の姿のギャップが大きく、モチベーションを保つのが難しいから。彼女なら、楽器の楽しさをしっかり感じさせてくれるだろう。

 

「いやー、でもやっぱり緊張しちゃうなー」

「今井さんなら心配いりませんよ。私でも川内さんと難なく話せているんですから。」

「そうかなぁ。でも他人にベース教えた事無いし。」

「川内さんも初心者とはいえ、既にお知り合いの方に基礎はある程度教わったそうですし、今井さんはお菓子作りも丁寧に教えてくれますから、大丈夫です。」

「そう?」

「えぇ、ほら、もう着きますよ。」

 

ドアをくぐると、既に川内さんと雨宮さんが受付に座っていた。あら、川内さん、相当緊張している…。

 

「雨宮さん、お待たせしました。」

「氷川さんどうも!いやー、健ガッチガチに緊張してますよw」

「紗夜ー?アタシの事変な風に伝えてない?」

「いえ、そんな事は…」

今井さんの事は特に変な風には伝えていないはずだ。優しく教えてくれるから余り身構えないで大丈夫と言ったのだけれど。

 

「本物だ…」

「フフッ」

川内さんの一言に思わず吹き出してしまった。どうやら私の想像以上に、川内さんにとって今井さんは雲の上の存在だったのかしら。

 

「え、アタシそんな芸能人とかじゃないよ?」

「あ、あの、えーと、川内健といいます。その、Roseliaのライブで、リサさんのベースを見て…憧れて…」

「あー、君が川内くんね!紗夜から聞いてるよ☆いやでも照れるなー//アタシに憧れてベース始めてくれたなんて…」

「今井さん、今でこそ落ち着いてますけど、最初に話した時は凄い赤くなってましたよね。」

「ちょっと紗夜!それは言わないでって…。」

「アハハ!お互い照れてんじゃないすか!レッスン大丈夫ですか?」

「そうです。私と雨宮さんは別の部屋でギター合わせるんですから、二人でレッスンですよ。」

「…うん…!大丈夫!アタシも川内くんも慣れるよきっと!」

 

ここで二人と二人に分かれてスタジオに向かう。今日の一番の目的は川内さんと今井さんのレッスンだが、実は私は私で、雨宮さんとのギターセッションが楽しみだったのだ。私は主にCiRCLEで弾いていたからあまり知らなかったが、調べてみると雨宮さんも腕の立つギタリストらしい。

久しぶりに燃えている。

 

「氷川さん、今日はよろしく。Roseliaのギタリストとセッションなんて光栄だよ。」

「あら、ありがとうございます。私も光栄ですよ。サポートギタリストとして名高い雨宮さんと弾けるんですから。」

「あれ、気付いてる?」

「知り合いに少し聞いてみたんですよ。最初に言ってくれればよかったのに。」

「わざわざ言う事ではないかなと思ってね。」

 

私はRoseliaの看板を背負っている。ふふ、こういうのも久しぶりね…。

 

 

その後、時間が来るまで私と雨宮さんはお互いに音をぶつけ合っていた訳だが、今井さんの方もかなりうまくいっていた様だ。これからも継続して今井さんが見てあげる事になったらしい。

私としては嬉しい限りだ。

他人に教える事は自分を見つめ直す事にも繋がるし、私にとってのRoseliaがそうだった様に、今井さんにとってこの経験が彼女をいい方向に変えるきっかけになって欲しい。

 

「今井さん、どうでした?レッスンは。」

「いやー、すごく楽しかったよ!川内くん飲み込みもいいし、助かった~。」

「そうですか。それは私としてもよかったです。しかし、これからも見てあげる事になったんですね。」

「うん!なんかやっぱりアタシに憧れて始めてくれたの嬉しいし、せっかくだからこれからも見てあげたいなーと思ったんだ。川内くん遠慮してたけど、そこはうまく…ね♪」

「そういう所…今井さん得意ですよね。」

「そういえば、紗夜の方はどうだったのー?雨宮さん、だっけ…」

「こちらも大変刺激になりましたよ。ライバルというか、負けたくない相手ですね。」

「えー!紗夜にそこまで思わせるって、雨宮さんすごい人なんだね!」

 

少し前まで、こういう馴れ合いみたいな物は嫌っていたけれど、出会いというのは思いがけない所に転がっているものね。

これからはどんな未来が待っているのかしら。




お読み頂きありがとうございます。
自分自身、ベースを習っている身なので教える側の気持ちは想像もつかなかったのですが、なんとか書いてみました。

また、今まで一応1話/週のペースでやっていますが、1月後半が大学の試験期間の為、投稿が一時滞るかもしれません。申し訳ない限りですが、楽しみに待って頂ければありがたいです。


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重ね合わせの心情

バンドっていいよね!


エレキギターやエレキベースの便利な点として、家でも練習しやすいという事を挙げる人は多い。アンプに繋いで音を出す仕組みで、楽器その物の生の音は結構小さい。ヘッドホンアンプという物に繋げば音楽を聴くイヤホンやヘッドホンから自分の楽器の音を出力させられるので、夜でも比較的気兼ねなく練習する事が出来る。

俺もヘッドホンアンプを使って練習していて、2週間に1回のリサさんからのレッスンの時だけスタジオのアンプで音を出している。

 

「じゃあ今日は小さな恋のうたの練習やろっか。」

「はい、今日もよろしくお願いします、リサさん。」

 

今日はリサさんからの3回目のレッスンだ。初回のレッスンの終わりに、リサさんから最初の練習曲として「小さな恋のうた」の楽譜を貰った。その時は「いきなり曲なんて無理です。」と言ってしまったが、この曲はベースの最初の1曲として有名でリサさんも最初に覚えた曲だから弾けるよと励まされた。

 

「どう?練習順調?」

「そうですね…テンポを落として何とか弾けるって感じで、まだ所々よく分からない箇所もあります。」

「なるほどね…」

「すいません。自分不器用で…。」

「全然!そんな事ないよー。楽器経験無いのに、川内くんすごい頑張ってると思うよ。焦っちゃだめ、ゆっくりやろう?」

 

今日も最初は基礎練習から。ベースはフレットを押さえる時に小指までしっかりと使える様にすると後々苦しまずに済むから、指を動かす練習はとても大事だ。とはいっても、今はまだ指が固くて基礎練習をする時は結構指が痛くなる。でも最初のレッスンよりは動く様になった気がする。

 

「うんうん♪この前より速いテンポで弾ける様になってるね!順調順調!」

「じゃあ次は小さな恋のうたやっていこっか!」

 

そこからはリサさんと一緒に弾いたり、俺だけで弾いたりしながら少しずつテンポを上げていった。途中苦手な箇所は集中的に練習して、大体原曲の8割位のテンポまで自分の限界を引き上げる事が出来た。

 

「はい!じゃあ時間的に今日はここまでかな。」

「ありがとうございます。あの、リサさん、少し聞いていいですか?」

「うん、どうしたのー?」

「あの、いつもリサさんスマホを繋いで曲出してますけど、音程を変えずにテンポをいじるのってどうやってるんですか?」

「あー、それはね、アプリでそういうのがあるんだー☆練習に便利だから、後でLINEで送るよ!」

「すいません。お願いします。」

「……」

リサさんが急に不満そうな顔をする。あれ、何か俺まずい事言っちゃっただろうか。

「川内くん」

「はい」

「アタシと川内くんさ、同級生だよね」

「はい」

「…気付かない?」

「……はい…すいません…」

「それだよそれ!敬語!同級生なんだから、タメ語じゃないとダメ!」

「えっ…いやでもリサさんに教えてもらってる立場だし…」

「そーゆー事気にしない!それにアタシだってプロの先生って訳じゃないんだから…ね?」

「……はぁぁ~…分かりまs」

「はいそこ!」

「分かったよ、リサさん」

「うん!そっちの方が好き!」

 

──ドキッ!──

 

えっ?

 

「おーい。川内くん大丈夫?」

「あ…はい。大丈夫です。じゃなくて大丈夫だよ。」

「じゃあ今日もお疲れ様!」

そう言ってリサさんはスタジオの受付に荷物を置く。あれ?もう鍵は返したはずだけど…

「リサさん、帰らないの?」

「あー、今日はね、この後ここでRoseliaの練習があるの。」

「え、そうだったんだ…。」

あのRoseliaの練習…。またあの音を聴いてみたい…。

「ん、どうしたの?あ、別に練習前だからとか気にしなくていいよ。そこはアタシもばっちり管理してるから!」

「…あ、あのさ…。Roseliaの練習、見学させてくれないかな?」

「えっ?見学?」

 


 

リサさんは練習を見学したいという俺のお願いに一瞬驚きはしたが、すぐにメンバーに連絡を取ってくれた。恐らく大丈夫だろうと言っていた。

「川内くんって、アタシと紗夜以外のRoseliaのメンバーに会った事あったっけ?」

「えーと、宇田川さん?だっけ、には最初のライブの時に会った事はあるよ。聡太と宇田川さんが幼馴染らしくて…。」

「へー、そうなんだ。あれ、川内くんって、その雨宮くんに誘われてライブ来てくれたんだよね?」

「そうだね。あの時聡太の誘いを断ってたら今もベースやってなかったと思うと、人生分かんないなぁと思うね。」

「ホントだね。そうだ、何で川内くんはライブ来ようと思ったのー?」

「それは、えーと、氷川さんがギター弾くって聞いて…。氷川さん風紀委員で、楽器弾いてる姿想像つかなくてね。ハッキリ言うと、珍しい物見たさだね。」

「へぇ…そうだったんですね。初めて知りました。」

 

ん?スタジオの入口の方から聞き覚えのある声が…。しかもこの声音はちょっと怒ってる時の…。

 

「…氷川さん…?」

「川内さんこんにちは。なるほど私は見物の対象でしたか。」

「いやっ、その、それは言葉の綾で…」

「こーら、紗夜?川内くんイジメないの!」

「あっ!聡くんのお友達の人だー!!」

「あこちゃん…急に大声出したら驚いちゃうよ…」

「リサ、私は見学は許可したけど、お喋りするなら帰ってもらうわよ。」

「えっ…あの…」

「はい皆いっぺんに喋らない!友希那もこう言ってるし、まずスタジオ入ろう?」

 

一気に色んな人に話しかけられてオーバーフローしかけたが、リサさんが納めてくれた…。それにしても、この5人が"Roselia"か!

 

スタジオに入るとすぐ、5人それぞれが楽器等の準備を進めていく。

まだ準備の段階だけど、それでもスタジオには緊張感が漂う。

「はい!じゃあ、これから練習だけど、アタシから。もう連絡はしてたけど、今日は急遽、アタシがベース見てあげてる川内くんが見学する事になったんだ。みんなヨロシクねー☆」

「時間は一秒も無駄出来ないわ。みんな手短に自己紹介頼むわね。私は湊友希那。Roseliaのボーカルよ。」

「では、次は私が。と言っても既にご存知ですね。氷川紗夜です。Roseliaのギターをやっています。」

「アタシはいいかな?でも一応ね。Roseliaのベース、今井リサだよ☆」

「じゃあ次はあこ!宇田川あこです!今日はあこの闇の波動を見せてあげようぞ!!」

「あ…えっと、白金燐子です…Roseliaのキーボード担当です…。よろしく…お願いします…。」

「川内健です。今日は急なお願いですいません。Roseliaのライブを見てベースを始めました。今日はよろしくお願いします!」

 

この人達がRoselia。俺の音楽の原点。あの時の衝撃を、もう一度見たい!

 

「そう…。じゃあ練習を始めるわよ。最初はこの前の練習の確認から。早速だけど、合わせるわ。」

「あこのカウントで行きます!」

 

チッチッチッ──

宇田川さんがスティックでカウントをとり曲が始まる。ライブの時と違って観客は俺だけ。当然スタジオに歓声はなく、全ての音が俺の身体にぶつかってくる。

 

湊さんのまるで胸を貫く様な歌声

氷川さんの緻密で力強いギター

リサさんの揺るぎなく全体を支えるベース

白金さんの落ち着きの中に熱を帯びたキーボード

宇田川さんの旋律を引っ張るドラム

各パートの重ね合わせが"バンドの音"になるはずなのに、Roseliaの音は、そんな単純な足し算じゃなくて、それぞれのパートが掛け合わさって何倍にも大きい物になっている気がする。

 

それから、フレーズの確認や合わせを繰り返し練習は進んでいった。リサさんも、いつも俺に教えている時とは少し違う、ピリっとした雰囲気を纏っていた。

 

一方で俺は、心の中にある気持ちが浮かんできていた。

 

「さーて、そろそろ終わりだね!」

「そうね、今回はそれぞれかなり良くなっていると思うわ。次の練習では更に良い物にしていきましょう。」

「あー、りんりん疲れたよぉ〜」

「あこちゃん、お疲れ様。」

練習が終わると張り詰めた空気がふわっと緩む。やはり彼女達も俺と同じ高校生。こういう所は変わらない。

 

「片付け、手伝うよ。シールドとか巻けばいいかな?」

「え?ありがとう。助かるよー☆そうだね、シールドお願いします!それと、川内くん、どうだった?見学してみて。」

「そうだな…ホント、すごかった…かな。ごめん、語彙力なくて上手く言葉に出来ないんだけど…それと……」

「うんうん」

「皆で演奏するって…いいなぁって…」

「川内くん、それ分かるよー。アタシも楽器始めた頃、友希那と合わせるの楽しかったんだー♪」

「だよねだよね‼あこもそう思う‼皆で演奏すると、一人でやる時の何倍もバーン‼てするよね!」

「アハハ‼でも確かに、川内くんのその気持ち、楽器始めると皆が気付いていく気持ちなんだ。」

リサさんはなんだか俺の話を聞いて嬉しそうだし、宇田川さんまで話に飛びついてきた。"皆で演奏したい"という気持ち、今まで別世界の様に感じていたRoseliaの人達でも、この気持ちは変わらないんだ。

 

「あ!そうだ‼ねー川内くん。この後、時間ある?」

「う、うん。時間は大丈夫だよ…。どうしたの?」

「友希那ー?この後、いつも通りファミレス行くでしょ?川内くんも一緒でいい?」

「えっ⁉いや、それは流石に悪いよ!練習見せてもらえただけでも満足だから。」

「そんな事言わないの☆友希那、どうかな?」

「そうね…今日は特に話し合う事もないし、いいんじゃないかしら。私も、リサがどういう教え方をしているのか少し聞かせて貰いたいわ。」

「いいですね。それは確かにお聞きしたいです。」

「あこは聡くんの事聞きたい!」

「えっ…わ、私は…」

「ちょっとー、友希那と紗夜にそういう事見定められるのはキビシーかなー。で、川内くん、いいよね?」

「え、あぁ、分かったよ…」

「ヤッター‼」

 

えー、マジですかー。神様一体どんなサイコロの転がし方してんのかなー。

ご飯?

憧れの人達と?

女の子と?

5:1で?

なんじゃこりゃー!!!!




お読み頂きありがとうございました。
CD音源に被せで弾いてる時と、スタジオでセッションやる時だと、本当に全然違います。
初めてスタジオで合わせて弾いた時、自分自身かなり感動してクセになってしまいました。

さて、これからの時期、大学が試験期間に突入しますので、1月中は更新出来ないと思います。
本当に申し訳ありません。ゆっくりお待ち下さい。


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