べるぜバブ:転生してきた紋章?使い (黒歴史)
しおりを挟む

原作開始前
第1話いきなり始まる転生物語


契約悪魔はそのうち出します
あと投稿は月火水木金の週5で出して行きます
不定期更新はいつでも逃げられるようにする為の逃走ルートです

にしても、ゼブルスペルと令呪って似てね?似てない?
さいですかー…

最近面白いから読んでる『魔入りました!入間くん』と言う物の二次創作ないから一応書いたんだけど、第9話書いた時に気づいたの。あれなんだよね…バトル漫画じゃないの忘れてたんだよねー……
というわけで昔にハマったべるぜバブにした

ああ、今日は
『小説好きな人の初回祭り』略して『小祭り』…
やってやるぜぇぇぇぇえ!!!
今から12時間の間、1時間経つたびに1話投稿するぜぇ!!


 どうも、元18歳の高校生。現在7歳の小学3年生である神野(かみや)(しょう)と言います

 

 何故元高校生なのか、皆さんはハーメルンを読んでいる方ならわかりますように轢かれそうになってた子供突き飛ばして代わりに轢かれて目が覚めたら赤子になっていました

 何かの漫画とかの世界だったらいいな〜とか思ってたんだけど特に重要そうな展開も何もなかった

 強いて言うなら不良が異常に多い。石矢魔と言う不良が考えたような土地名と言う事だけ、異世界なんだからそれくらいありえる

 

 しかし今現在8月24日、俺の誕生日に右手の甲がジンジンと熱くなったためそこをみると、なんか(フェイト)(グランド)(オーダー)で見たあの令呪が出てきていた

 もしかしてFateの世界か!?と思っていたのだが、近くに英霊はいないし家族である父と母に『魔術とかってあるの?』と聞いたところ

 

「アニメでそう言うのを見たのかぁ。お父さんも昔はそんな物に憧れたなぁ……」

 

 とか言って微笑ましい目を向けられた。結局何もわからず終いなのに令呪が消えない

 思い切って「消えろ!」と念じたらすぐに消えた。試しに「出てこい!」と念じると令呪が浮かび上がる。何だこれ

 

 次の日の学校の帰り(この時期の小学生ならば行くでしょ?)に公園に寄って令呪(仮)を出し色々と実験してみた結果色々な事がわかりました

 

 一つ目:この令呪出してると身体能力が上がる

 試しに木を殴った結果、拳がヒリヒリするが無傷で木に小さなクレーターみたいなのができた。ジャンプしてみたらアホみたいに高く飛べる

 

 二つ目:この令呪、広がる

 出力とかあげられねーかなーとか思って「出力上がれ!」と念じたら何か令呪が右腕に広がり、試しに同じ木を殴ってみたらその木にさらに大きなクレーターができた

 ただしこれ以上は上がらなかった。鍛えたらもっと出るか?

 

 三つ目:魔力らしき物を感じられるようになった

 これは学校での話だが、友達が膝カックンしようと後ろから忍び寄って来ていたのだが、感覚的にそれがわかって回避できた。多分これが魔力なんじゃね?

 

 と、まあこんな感じで実験を終わらせ今日は帰った。とりあえず今後の課題は体を鍛えてみる事だ

 

 

 

 〜9月1日〜

 

 

 ああ、夏休みが終わって二学期。学校行きたくない。眠い、帰りたい

 そんな事を考えながら登校して教室に入るとあることに気づいた

 俺の席は一番後ろと言う悲しい席なのだが、そんな俺の席の隣に空席が一つ増えていた

 チャイムがなって先生が入ってくると「転校生を紹介します!」とか言ってる。その言葉に周りはザワザワとざわめき立った

 

「なあ翔、転校生って女子かな?」

「いや、男子かもよ?」

「夢がないな〜」

 

 前の席にいた友達とそんな事を話していると転校生が教室に入って来た。おかっぱ頭の髪型で無表情な女子だった

 その子が前に立つと先生に促され黒板に名前を書いていき、書き終わるとこちらに向き直って口を開いた

 

谷村(たにむら)千秋(ちあき)…です。よろしく」

 

 何か見たことも聞いたこともある。俺の好きなアニメで……『石矢魔』『不良』あっ…ここ、『べるぜバブ』の世界じゃん。てことは今俺の隣に座ったやつって、『烈怒帝瑠(レッドテイル)』にいたあの谷村千秋!?

 

「………」

「………」

 

 うおおおおおおおおおお!!気づいてない10秒前なら『話しかけようかな〜』とか考えてたけど登場人物か美人さんなら話は別だぁ!!緊張して話しかけられねぇ!!

 

「……ねぇ」

「んぁ?どうした。えーと」

「谷村千秋」

「ああそうそう谷村な!」

 

 いきなり話しかけてきた。焦って名前が出てこなかったが変に思われていないだろうか……

 

「……教科書、忘れたから…見せて」

「そんな事か、いいよ〜ホラ」

 

 そう言って教科書を出して……って初日から忘れるってどうなってんだ

 

 

 〜3年後〜

 

 

 え?一気に飛ばしすぎ!って?

 仕方ねーじゃん。何も進展もクソもないんだから

 谷村とは5年までは一緒だったしたまに話をしてたりしたけど6年になってクラスは別々になったし……ん?『なんでそこで谷村が出て来るの?』って?気にするな

 

 そんな話は置いといて、体を鍛えたら令呪もとい紋章の出力が上がった。ついでにプールで鍛えた肉体晒したら周りから『わーマッチョ〜』ってキャッキャしてた。子供か……子供だったわ

 

 

 

 空き地でサッカーした帰り。腹が減ったため急いで家に向かう途中、いつも特訓の成果を試している公園を通ろうとすると数人の人影が見えた。何してるのか子供特有の興味が出たためそっと近づく。すると

 

「ねぇ。谷村〜学校来たくないんだったら来ないでくれない?目障りだから」

「そうそう人見下した目してさぁ」

「………」

 

 ……俺と同じ6年の女4、5人が谷村を囲って罵声を浴びせている。女子にはグループが出来てるイメージあるからなぁ。無口無表情の谷村はグループに入れなかった奴って感じか?

 さらに谷村をよく見れば殴られたのか右頰あたりを腫らしてる。それなのに顔色一つ変えず、無言のままで睨みつけたままだ

 

「なんか言えよ!!!」

 

 囲ってた女子の一人が拳を振り上げ……っと、そんな事言ってる場合じゃあねーな

 

「お〜っすお前ら。なぁにしてんのかなぁ〜」

「ッ!……翔かぁ」

 

 後ろからの声にビクッとした女子連中はそのまま振り向くと俺を見て『良かった』と言った感じだ

 

「俺だったら何かあんのか?」

「……あんたには関係ないでしょ?さっさとどっか行ってくんない?ああ、あとこれを先生とかに言ったらうちらの兄貴が黙ってないから」

 

 ああ、そういう感じでグループ作ってんのね……名前忘れたけどアイツらの兄貴って石矢魔高校の不良だって有名なんだっけ…まあでも

 

「やなこった!なぁんでわざわざお前の言う事聞かねーといけねーんだよ!ヴァーカ!!!」

「…ッ!行くよ!!!」

「言ったら殺すからな!!」

「バーカバーカ!!!」

 

 ハッハッハ!!と高笑いしながら言ってやると小物臭漂う言葉を撒き散らしてどっか行ってしまった

 そのままそいつらが帰ったのを見ると俺は谷村に手を差し出し

 

「大丈夫?」

「………」

 

 oh……相変わらずの無言&無表情。なんかこっち見てるし……可愛いし。って、そうじゃない!

 

「そ、そうだ!ウチ寄ってくか?近くにあんだけどさ!手当てしねえと!!」

「………」コクンッ

 

 無言で頷き了承してくれた

 

 

 

「ただいま〜っと」

「おかえり〜翔…て!?お父さーーん!!!翔が顔を腫らした女の子連れてきたーーーーーーーー!!!?」

「なんだとーーーーーーーー!!!?」

 

 玄関を開けて言葉を出すと母さんが出迎えてくれたが顔腫らした谷村見た瞬間中に戻って帰ってきてた父さんに報告すると騒ぎを増し

 

「翔!!!父さんは言ったよなぁ!!!女の子はクズ以外は傷つけてはいかんと…さぁ今すぐ謝れぇ!!!」

「い、いや父さん母さん……ちょっと勘違いを「問答無用!!」ゲフォ!?」

 

 母さんからの平手打ちが綺麗に俺の頬に紅葉を作り出す

 

(ダメだこの両親、俺の話を全然聞いてねぇ。こうなったら谷村本人の言葉で誤解を解いてもらうしか……」

 

 そう思って谷村を見てみたのだが

 

 「ち、違います…翔くんは私の事を…」アセアセ

 

 めちゃくちゃ努力してくれてるが声が小さくて父さん母さんの声に掻き消されているため聞こえていなかった

 結局誤解が解けたのは俺が父さんに土下座させられた時だった




名前:神野 翔

年齢:15(石矢魔高校入学時)
原作知識:アニメだけ

好きな物&事:とりあえず肉
魔力の上限が上がった事を確認した時

好きな者:谷……知らないねぇ。もう一度タグを見てきたらどうですか?

嫌いな物:なし

説明:中学の頃に喧嘩に明け暮れる。成績良くても他校と揉めるせいで問題児扱いに
本人は気づいてないが学習能力が凄い。なんでもスポンジのように吸収して8、9割真似たりでき、さらにそれに工夫を加える事で10割に近い精度にする
避けの技術はない(感など、反射的に避ける感じである)ため、全ての拳を避けずに受け続けた結果。タフさが化け物になる
男鹿と始めて喧嘩した時に『避ける事も大切なんだな』と気づいた


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話ゲーム

ッシャアアアアア!!!
今から見る人も、一時間前から見てくれてる人もありがとな!!
やっぱり一時間経つたびに出すのは無理だったわ!!
だから今日はこれで終わり………


ハイ、嘘です
バリバリやります


 谷村に誤解を解いてもらったのは良いのだが……

 

「よくやった翔。父さんは鼻が高い」

「いや、鼻高くしてる暇あったら謝れよ。息子に無理矢理土下座させた事」

「……よくやった翔。父さんは鼻が高い」

「俺の言葉を完全になかった事にしようとすんじゃねーよ」

 

 父さんに突っ込みを入れると谷村を手当てしてる母さんが話しかけてきた

 

「もう、翔。『男は簡単に頭を下げちゃ駄目』っていつも教えられてるでしょ?」

「いや、今の問題は男としてじゃなくて親として頭下げないと駄目でしょうが。つーかその理屈なら母さんも俺に平手打ちしたよな?」

「……さっ!千秋ちゃん。これで大丈夫!痛みはない?」

 

 やべえ、この両親実の息子に頭を下げねえんだけど。二人揃ってしらばっくれてんだけど

 

「親御さんには連絡しといたから親御さんが来るまで翔の部屋で遊んでなさいな」

「おーい、息子を無視した挙句に何勝手な事話してんだ?駄目だからな、俺の部屋なんて」

「ほら、翔もオッケー出してる「聞けよババア」ああ?」

 

 ……………

 

「何か言った?♪」

「いえ、なんでもございません」

「じゃあ千秋ちゃんと部屋で遊んでてね〜♪」

「YES my mother」

 

 なんか気づいたら谷村以上に俺の顔腫れて、部屋に入る事を了承させられてたんだけど

 

「ほれ、ここが俺の部屋だ」

「わぁー……」

 

 俺の部屋のドアを開ける奥には一人用のベッド、その横に小さいテレビ&ゲーム、手前に本棚と着替えを入れてる引き出しと勉強机…普通だ

 

 話す事ないなーと話題が何かないか考えていると谷村はゲームのCDをじっと見つめて何かを掴み取ると若干興奮した様子で俺に見せた

 

「これ…やろう!」

「これは…ストIIIか。お前ってゲームすんのか?しかも格ゲー」

「かなり…得意…!!」

 

 ストリーキングファイターズIII。攻撃されると裸になっていくが裸になるほど高威力の技が撃てる一発逆転ゲーム。ただし素っ裸になると負けである

 

「いいよ〜やろうやろう」

「負けない……!!」

 

 火花を散らしてお互いコントローラーを握った

 キャラ選択。谷村はスピード系の男キャラ、俺は耐久系の女性キャラを選ぶと谷村が口を開いた

 

「……男の人って、そんなに女の人の裸見たいの?…変態」

「うっせー。男はみんなこんなもんだ」

 

『レディ……ゴー!!』

 

 開始のタイミングで先に動いたのは谷村、スピード系のキャラらしく間合いを詰めると連続攻撃を仕掛けてきた。俺は俺で耐久系らしくガードを固める

 

(よーし、隙が出来たら一瞬で勝負を仕掛けてや「隙なんて見せませんよ?」

 

 ガガガガガガッ!!

 

 連打が止まらない。ガードをする事で耐えてはいるが服が破けて際どい事になってしまっている

 

「谷村、お前これやり込んでんなぁ?」

「当然……!!!」

 

 谷村は攻めをやめない。あと少しで負けてしまう

 恐ろしく早い攻撃………

 

「俺でなけりゃこの隙、見逃しちゃうね」

「ッ!?」

 

 ほんの一瞬、谷村のキャラの隙とは言えないような隙に入り混んで一撃を入れた

 

「反撃開始と行きましょーかぁ♪」

「ッ、あと……一撃!!」

 

 谷村はもちろん反撃に出たがそれは俺が許さない。谷村と同じく止まらない連続攻撃を繰り出した

 俺と同じく谷村もガードしたが俺のキャラはあと一撃でKOされるくらい服はボロボロなため、攻撃力が上がってる

 そのため、俺の時とは違い谷村のキャラの体力はガードの上からゴリゴリ削られ早急に隙を見つけるのを迫られ、アタフタしてる内に

 

『1P WIN!!!』

 

 俺は右腕を掲げて勝利のポーズ。谷村は悔しそうに下を向いてプルプル震えてる

 

「もう一回!もう一回です!」

「ハッハッハ、慌てるんじゃあない。私は逃げも隠れもしやせんぞ?」

「調子に乗ってるのも今のうち!!」

 

 このままゲームを続けた

 

『1P WIN!!!』

『1P WIN!!!』

『1P WIN!!!』

 

「ウェーイ」

「もう…一戦…!」

 

 勝利に彩られた気分を満喫する。谷村は涙目で悔しそうに頬を膨らましながら『もう一戦…!』を繰り返す。何度やっても勝てないものは勝てないのだよ。腕上げて出直してこい。フハハハハハハァ!!!

 

 〜さらにやって〜

 

 谷村が負け過ぎて勝手に俺のベッドをうつ伏せで占拠してる。どうしよう。枕あたりのシーツの下に苦労して手に入れた男の秘宝があるんだが…早急に対処せねば

 

「(……確かアニメじゃあ改造エアガン使って敵倒してたなこの人……となると)そろそろ機嫌なおしてくれねーか?これやるから」

 

 俺は趣味で作ってた改造エアガンをベッドの下から取り出し谷村に見せる。うつ伏せの状態で顔を横に向けてそれを見た谷村はそれを受け取って口を開いた

 

「…これ、何?」

「エアガン」

 

 当たり前の事を当たり前のように答えた。違う、そうじゃないと言うのはわかってる

 

「あっいや……エアガンって言うのはわかるけど……他とはなんか違うかなーって」

「そりゃあそうだ。改造したエアガンだもん。人に当たれば怯むどころか痛みで悶絶するぞ?あ、そうだ」

 

 そう言ってベッドの下を探すと瓶に入った白いエアガンの弾を出してそれを手渡した

 

「エアガンには玉がねーとな。またあいつらが来たらこれで迎え撃てば良い」

「ありが…とう。…あれ?赤い、弾?」

 

 谷村が瓶の中に入っていた袋の中に入ってる赤い弾を見た

 

「ああ、そりゃあ……特殊弾(魔力込めた)だ。当たれば死ぬ」

「死っ「と言うのは冗談で」……脅かさないでください」

「当たれば気絶する」「駄目じゃないですか……」

 

 〜翌日〜

 

 放課後の昨日の公園にて、俺は前に立って谷村と話をしていた

 

「よーし谷村。エアガン持ってきたな?」

「…うん」

 

 一応確認すると谷村は片手にエアガンを持って俺に見せる

 エアガンを確認すると谷村と5mほど距離がある椅子を指差す

 

「よーし、それじゃあエアガンの射撃訓練っぽいのを開始する。あの椅子の上に空き缶が10個あるから全部当てて倒せ。試し撃ちとして最初の一発は多めに見よう」

「……わかった」

 

 谷村は一つ返事で了承するとエアガン片手に5m先の空き缶を狙い定める。そして一発目の引き金を引いた

 

 パンッ!

 カンッ!

 

 なんと一発目から命中、そのままスライドするかのような動きで次々と弾を撃ち出した

 

 パンッ!

 カンッ!

 パンッ!

 カンッ!

 パンッ!

 カンッ!

 …………

 

 文句なしの全弾命中、凄え

 撃ち終わった谷村は驚いていた俺の顔を見て不敵に笑うとボソッと言葉を出した

 

「……ヌルゲー」フッ…

 

 なんだろう、可愛いんだけどめちゃくちゃ腹立つ。何その「この程度できないと思ってたんですか?」って言ってそうな顔

 そんな事を考えていると不意に周りから他の人の声。それも大人の出すような低い声が聞こえてきた

 

「おう。クソガキ共、何してるんでちゅかー?」

「女の方は可愛いなぁ」

「うわぁロリコン引くわーwww」

「ちょーっとウチらの妹に対して調子に乗ってるらしいじゃんお前ら?殺されたくなかったら土下座して詫びろ」

「言うこと聞いてた方がいいぞー?」

 

 石矢魔名物の不良が出て来た。いかにもガラ悪い感じのやつ

 ……体は鍛えたとは言え小学生が高校生に勝てるわけない。かと言って土下座はしたくない。ロリコンいるから谷村置いてったらどうなるかわかったもんじゃない

 

 

 

 

 ……使うか、紋章

 

「はい時間切れ〜♪死「くたばれ」グボッハァ!?」

 

 拳を振りかぶる不良の動きがあまりにも隙だらけだったため思い切って殴ってみたら結構飛んだ

 地面に落ちると死んでないかな〜と思って落ちた後を見たけどピクピクしてたから生きてるだろう

 

「な、はっはぁ?」

「5mくらい飛んだぞ?」

「こんなガキのどこにこんな力が……」

 

 チャチャっと片付けよっと



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 8割くらいが谷村視点

ん?
「お前、こんな早くに大量に出して大丈夫なの?」
って?
大丈夫、大丈夫。祭りは1日で終わるもんでしょ?
あと、話のストックは25話くらいあるからまだ13話くらいストックが残ってる


 〜谷村視点・一人称〜(できるかはわからナッシブル)

 

 良い人

 最初に神野と話した時に感じた印象はその一言だった。小学校3年の転校した時、初日から教科書を忘れてしまうと言う失態を犯した

 初対面だし、話しかけづらかったが勇気だして教科書を見せてくれないか頼んでみると

 

「そんな事か。いいよ〜ホラ」

 

 あっさり教科書を見せてくれた。初日から忘れ物をしたのだから笑われる覚悟もあったのだが、笑う様子を少しも見せない。良い人だ

 

 それからの1年と約半年の間、たま〜に会うと普通に世間話だったり、宿題教えてたりと色々してクラスが別々になった6年生

 

「アンタ、いつも一人でいるけど何してんの?」

「うわ、こっち見た」

「いっつも無表情でキモいんだけど」

「学校こないでくんない?邪魔だから」

 

 公園で座って本を読んでいると4人の女子生徒が群れて口々に何かを言いながらこっちに来た。確か全員の兄が不良だからそれを盾に色々やってる人だったか。とりあえず関わりたくはないから無視をする事にした

 

 ゴッ!

 

「ねぇ?何無視してんの?」

 

 引っ叩かれた。頬が痛い

 倒れてる間にも周りは口々に罵ってくる

 

「なんか言えよ!」

 

 もう一回殴る気らしい。痛みに耐えるために目をギュッとつむるとまた聞き覚えのある別の声が届いた

 

「お〜っすお前ら。なぁにしてんのかなぁ〜」

 

 声のする方を見ると頭をポリポリかいている知り合いがいた。 大人じゃなかった事を安心したのか4人はいつもの脅しをするのだが

 

「やなこった!なぁんでわざわざお前の言う事聞かねーといけねーんだよヴァーカ!!!」

 

 思いっきり舌を出して馬鹿にするようにそう言った。今までさっきの脅しで引いていた人としか会ってないからなのか4人はそのまま捨て台詞を吐いてどこかに行ってしまった

 

「大丈夫?」

 

 神野は私を見ると気軽に話しかけて来てくれた。何を言えばいいのか分からない。「ありがとう」と言えばいいのだろうか

 内心アタフタして気まずい雰囲気が漂っているとと向こうから提案を切り出してきた

 

「そ、そうだ!ウチ寄ってくか?近くにあんだけどさ!手当てしねえと!」

 

 彼にお礼も言いたいし頷いて了承してついていくことにした

 

 

 

 

「ただいま〜っと」

「おかえり〜翔………」

 

 彼が玄関のドアを開けて帰った事を知らせると姉のような人がパタパタとスリッパを履きながら奥から出てきた。その人と目が合い、ぺこりとお辞儀をしようとしたのだが

 

「お父さーーん!!!翔が顔を腫らした女の子連れてきたーーーーーー!!!?」

「なんだとーーーーーーーーーー!!!?」

 

 お姉さんが叫ぶと奥から父親らしき人が出てきて神野に説教を始めた……ここからややこしいため翔で行きます

 その説教を聞いていると何やら誤解している。誤解を解こうと声を出したのだが、親と姉?の声でかき消される。あと少しで翔が土下座させられるところで声はやっと出た

 

「あの!翔くんは私のことを助けてくれたんです!」

「「へ?」」

 

 やっと伝わって誤解を解く事に成功した

 

 

 

 

 

 初めて男の人の部屋に入った……!

 わー…こんな感じなんだと部屋を見回しているとテレビとゲーム機があったため何があるか見る

 

(いっぱいある。ゲームのTPSとかの全種類もほぼある……)

 

 ゲームの種類の多さを見て驚いていたが、その中の一つ、ストIIIをすぐに手に取った

 

「(この人も、私と同じゲーム好き(ゲーマー)……!)これ…やろう!」

「これは…ストIIIか。お前ってゲームすんのか?しかも格ゲー」

「かなり…得意…!!」

 

 先程も行ったが驚いていた。だが、それと同時にある対抗心が出てきていた

 

「いいよ〜やろうやろう」

「(同じゲーム好き(ゲーマー)として…)負けない……!!」

 

 

 

 

『1P WIN!!』

 

 逆転負けした。それはもう綺麗に

 

「(はめたと思ったのに隙をついてやられた……けど次はそんな手には……)もう一回!もう一回です!」

「ハッハッハ、慌てるんじゃあない。私は逃げも隠れもしやせんぞ?」

「調子に乗ってるのも今のうちに!!」

 

 吠え面かかせてやる……!!

 

 

 

 全て負けた。最後の方なんて完全敗北、手も足も出なくなっていた

 今はゲームをやめてベッドで横になりながら考える

 

(二戦目はいい勝負だった……負けたけど。三戦目には反撃くらいしかできなくて、四戦目には手も足も出なくなった……まさか、学習された?)

 

 そんな事を考えていると彼がベッドの下に手を突っ込んで何かを探している。何となく音でわかった

 

「そろそろ機嫌なおしてくんねーか?これやるから」

 

 顔を横に向けて見たのはエアガン。とりあえずそれを受け取ると持てるのは持てるんだけど、なんだかズシッと重い感じがした。彼曰く改造エアガンらしい

 ……なんだろうか、初めて持った感じがしない。撃てば百発百中な気もした。とりあえず「今は撃てないから明日公園で練習を」と約束して迎えが来たためその日は帰った

 

 

 

 

 

 翌日の放課後、待ち合わせの公園でエアガンの練習を開始する。やる事は椅子の上にある空き缶をエアガンで倒せばいいらしい

 まず試しの一発目、とりあえずいつもやってるTPSの感覚で撃ってみる…………当たった

 

 続けて2発、3発と撃っていくと全て当たる。やっているうちに楽しくなっていき、全てが終わると謎の満足感があった

 彼の方を見てみると全て当てたのを見て驚いているようだ。チャンスと思い昨日の私と同じような気分をあじあわせる事にした

 

「……ヌルゲー」フッ…

 

「この程度できないと思っていたんですか?」と言う感じで言ってやった。あ、プルプルしてる……可愛い

 そんな事を考えていると声が届いた

 

「おう、クソガキ共。何してるんでちゅかー?」

 

 

 

 

 多分あの4人の兄である不良がやってきた。土下座しろとか言ってるが彼はそんな事をせずにあろう事か喧嘩を挑んだ

 無謀かと思われた喧嘩だったが、彼が殴ると漫画のように不良が吹っ飛んでいく光景を見てその考えは逆転した

 もちろん彼は反撃を受けて殴られる事もあったが、一発受ける毎に拳の打ち方を学んでるのか拳が鋭く、早くなっていった

 

「ハァ…勝った…!」

 

 4人目を倒して彼が一息ついて座ると後ろに不良が一人石を持って迫ってきていた。「危ない」と言っている暇はない

 瞬時に私はもらったエアガンに赤い弾を込めると不良に向けて撃った

 

「ギャペッ!?」

 

 弾は見事に不良のおでこに当たり、また漫画のような吹き飛び方をすると気絶したようだ

 彼を見るとニコニコとこちらを見て近づいてきていた。そして右手を出して何かを待っているようだ

 

「ありがとう。そんでナイス谷村♪」

「……うん。あ、あと、千秋でいい」

「あー、それなら俺も翔でいいよ」

 

 そう言って私達はハイタッチした後に翔を家に送り届けてから別れた

 

 

 〜オリ主視点〜(今更)

 

 いやあ、流石マジの石矢魔高校の不良。一発一発が痛い

 喧嘩慣れしてないから最初は初心者の貧弱パンチしか打てないから拳の握り方とか見て学習してみたけど結構良くなってんじゃね?

 さて、最後に最初に吹っ飛ばした奴が起き上がってきてるからそいつを沈めて終わりだな

 

 パンッ!「ギャペッ!?」

 

 カウンターをしようと思ったが、谷村があの改造エアガンと特殊弾を使って守ってくれた。…守ってもらうのってなんか嬉しいな

 

「ありがとう。そんでナイス谷村♪」

「……うん。あ、あと、千秋でいい」

 

 な、名前呼びを許してくれるのか……だったら俺も…

 

「あー、それなら俺も翔でいいよ」

「わかった」

 

 そう言葉を交わして家まで送ってもらい、その日は別れた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話原作主人公が現れた!

や〜っと原作主人公出てきた
疲れるわ〜(一ヶ月前に終わらせてる)


 石矢魔高校の不良(それも4人)を倒した事で俺の噂は瞬く間に広がった

 曰く、小学生にして最強の男(そんなわけない

 曰く、謎だった公園の木にできるクレーターはその男の仕業(なんでわかった!?

 曰く、その男を倒せば伝説(レジェンド)として名を挙げる(んなわけない

 曰く、後ろから不意を打っても勝つことはできない(千秋ーー!?

 などなど、中には所々に否定できないものがある

 

 最後のは千秋のエアガンでやられたのに俺がやったことにされたらしい。それは千秋本人が別にいいと言ってるため問題ないのだが、これで一番問題なのは小学校を卒業して中学校の帰り道と放課後、不良に絡まれる事だった

 

 他校の中学生から高校生までの不良が毎日毎日飽きもせず喧嘩を吹っかけてくる。流石にキリがないため遠回りして家に帰るのだが、あいつら、家に落書きしてくる

 とりあえず落書きしたやつは全員取っ捕まえて自分で消させた。それからは家にご丁寧に果たし状を送られてくるようになった

 

 字が汚すぎて読めないため、行かないって言うか行けないものが多かったが、読めるやつはたまにちゃんとあるためそれには答えて待ち合わせの場所に行って喧嘩する

 あ、喧嘩しまくったせいかゼブルスペルなしでも簡単に勝てるようになりました

 

 さて、その待ち合わせ場所で喧嘩した帰り(もちろん勝った)、『肉のフジノ』という肉屋が目に入った

 

「腹減ったな〜…コロッケあるかな?」

 

 一人でそう呟いてコロッケのある部分を見てみると奇跡的に一つだけ残っていた。それを見て即座に肉屋のおばちゃんに話しかける

 

「すいません、おばちゃん。コロッケ一つちょうだい」

「あいよ。ありがとうねぇ」

 

 そう言葉を交わしてコロッケとお金を交換し、受け取るとコロッケを齧りつつ帰る事を再開する

 

「おばちゃん。ゲンコツコロッケ一つ」

「あー、ごめんね男鹿ちゃん。今そこの人が最後の一個を買ってちゃったよ」

「何!?」

 

 何か後ろから聞き覚えのある名前と声が聞こえてきた。嫌な予感がするな、走って帰るか

 

「待て」

 

 走ろうとした俺の肩をガシッと肩を掴まれた。振り返ってみれば凄え怖い笑顔をこっちに向けた人がいた

 

「それ、譲ってくんない?」

「すまん。もう食った」

 

 

 

「よーし覚悟はできたか?俺のコロッケを食った罪は重いぞ」

「いや完全に俺のコロッケだったろうが。おーい連れの人!見てないで止めてくれねーか?」

「多分焼け石に水だからパス」「速攻で諦めんな」

 

 なんか河原で喧嘩する事になった。ていうか、主人公だよなこの人。『男鹿辰巳』だよな。観戦してるやつは『古市貴之』こと『キモ市』だよな

 

「なんかディスられた気がする」

 

 気にするな

 …っと。待てよ?これはこれで良い機会なんじゃないか?

 この際主人公と仲良くなればアニメしか見てないから漫画の最終回とか知らない俺でもなんとかやっていける…はず

 それに俺がもし負ければ真のレジェンドと男鹿が名を挙げてあの不良共を引き受けてくれる…はずだよな。そんでもう一つ

 

「……よし、やるか」

「おっやる気満々だな」

 

 今の俺が紋章なしでどれだけやれるか試すにしても良い機会だ。負ければラッキー。だけど全力でやる

 

「「っしゃあああああああああ!!!」」

 

 戦いの火蓋は切って落とされた

 

 

 

 

「……すげえ」

 

 観戦していた古市貴之はそれを見てそう言わざるを得なかった。彼の視線の先には男二人

 

「だあああああああああああああああ!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 真っ正面からの殴り合い、お互い避けるそぶりすら見せずに殴られては殴り返しを繰り返し続けている

 それももちろん驚くのだが、何よりも驚いたのは

 

「なんでアイツ、男鹿の攻撃受けて普通に戦えてんだよ。化け物か、アイツのタフさは……」

 

 男鹿が殴ればいつもなら壁にめり込むか空高く飛んで行くか……なのだが戦っている男はその二つには当てはまらない

 

「すげえ……」

「男鹿と戦ってるやつってもしかして神野じゃね?」

 

 気づけば古市以外にも観戦者が増えていた。彼らは二人の戦いを見て戦慄しながら口々に呟いていた

 

 

 

 

 

 口を切って出てきていた血をぺっと吐き出す。流石主人公、強い

 

「ハァッ…ハァッ…強えな、お前」

「ゼーッゼーッ…お前もなぁ」

 

 お互いに言葉を交わして同時に拳を握る最後の力だ

 

「…名前聞いてなかったな、俺は神野 翔ってんだ。お前は?」

「…男鹿 辰巳」

 

 あれ?俺達ってなんでこんな喧嘩してたんだっけか……まあいい、とりあえず

 

「「勝つのは俺だぁああああああああああああ!!!」」

 

 お互いの拳がお互いの顔面に刺さり、吹っ飛んだ

 

 

 〜翌日〜

 

 

「あ〜痛い……すっげえ痛い」

 

 俺は自分の家のベッドの上で包帯でぐるぐる巻きにされて横たわっている。何だこれ?少しでも動けば全身に痛みが走るんですけど

 

「そんなことより…弾の補充とエアガンのメンテ…お願い。……明日までに。…あとゲームしよ?」

「千秋さんよ。君、怪我人を一体何だと思ってんですか?」

「……今日こそ勝つ!」

「いやいや、今日こそ勝つじゃなくてね?休ませて欲しいって言うか……わかったよ。やればいいんだろ?だから睨みつけんな」

 

 今回ばかりは断ろうかと思ったが、頬を膨らませる千秋を見てそれは止めることにした。……ちくしょー

 

 

 まあ勝つんだけど

 

「何で…!怪我しているなら勝てるかと思ったのに…!」

「やっぱりそう言う事かい。でも残念だったな、この程度で負けるんなら俺は伝説とやらで呼ばれちゃいない」

「む〜〜〜!!!」

 

 初めてこの部屋で遊んだ時のように……つーかいつものようにベッドでうつ伏せになった。男の秘宝はもちろん別の場所に移したよ

 

「……翔」

「んあ?」

 

 いつも通りどう機嫌を直して貰おうかと考え込んでいるとこの状況で初めて千秋自身から声がかかった

 

「私、『烈怒帝瑠』に入る」

「そうか。頑張ってな」

「……ちょっと。もうちょっと……何か言ってくれても良いんじゃない?」

 

 千秋がジト目でこちらを見つめてくる

 

「いやあ、お前が決めた事なんだし俺は何も言わねーよ。せいぜい後悔はするなとしかなぁ」

「……確かに、男を作っちゃダメって言うルールがあるけど」

「え、そんなもんあったのか初耳」

 

 まあ知ってたけど普通は知らない話だよな……いきなり何でそんな話を持ってきてんのかは知らんが……

 

「へ?あ、ああ……騙された…」

「いや、俺がお前の何を騙したんだよ……」

 

 マジで意味がわからん。…はっ、まさか!

 

「お前、もしかして俺の事s「思い上がらないでください。殺しますよ?」すまんすまん謝るからエアガン突きつけないで」

 

 こんなはっきり言われたら結構心に来るんだけど。泣いていい?

 いいよね?女の前で情けない?すいません泣きません

 

「…じゃあ私は帰る…明日までにエアガンのメンテすませておいて」

「おう。玄関までしか行けないけど送ろうか?」

「結構です」「さいですか」

 

 よし決めた。千秋がドア閉めた瞬間ふて寝してやる。決めた決めた

 

 

 〜谷村(千秋)視点〜

 

 

「………」

 

 部屋を出ると先程の彼の言葉が頭をよぎる

 

『お前、もしかして俺の事s「〜〜〜〜〜!!!!」

 

 熱が篭る顔を抑える

 

(いやいや違う違う違います。翔はただのゲーム友達でエアガンくれた人でメンテしてくれる人で……あ)

 

 そこで谷村はあることに気づいた。……鞄忘れた

 

「はぁ……さっさと戻って鞄持って帰る。それだけ」

 

 そう一人呟いてガチャリとドアを開けた

 

「ん?どうした千秋?忘れ物?」

 

 ドアを開けた先にはベッドの上、私のいた辺りに彼がうつ伏せで寝ていた

 

「不潔!不純!不潔!」パンパンパン!!!

「どわあああああああ!!!?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始:石矢魔高校
第5話原作開始


ベル坊も来るな


 石矢魔高校に入学した

 勉強はしたが、今思えば万が一カチコミとかきたら退学させられかねんし、だったらカチコミ来たとしても退学にならない学校に行くしかないと言う考えのもとにここに入学する事ニしたのだ

 

 千秋は入学した瞬間に北関東制圧とやらに行ってしまった

「メンテありがとう。生きて帰ってくる」

(^・ω・^)bグッ

 と言う言葉を残して。そんな中俺はと言うと

 

「男鹿、どうした大事な話って?つまらん話だったら帰るぞ」

「まあまあ待て待て。今集まってもらったのはちょっとした相談に付き合ってもらいたいからだ」

「つーか、何でオレの家に普通に上がり込んでんだ二人共。オレはこれからデートなんだけど」

 

 古市の家で話があると言われて来てみれば……多分これ原作開始するアレだよね?赤子いるよね緑髪の

 あ、男鹿と古市は入学したら出会ってなんやかんやしたら仲良くなった

 

「なんかすっげえ雑な説明をされた気がしたが、まあいい」

 

 男鹿が説明を始めると同時になんだか頭に映像のようなものが流れてきた

 

 〜映像〜

 

 そこは地獄だった。屍の山のように倒れた不良がおり、その中に一人で立つ男が一人

 

「うぅ…」

「死ね……男鹿…」

 

(むかーしむかしあるところに、それはそれはハンサムで、かっこよくて、モテモテで、みんなに尊敬されまくっている)

 

 男は『死ね』と呟いた者に追い打ちに逆エビ固めをきめた

 

(尊敬されまくっている)

 

 気絶するまでやると男は当たり前のように倒れている者達に叫んだ

 

「全員土下座ァ!!!」

 

(心優しい若者がおりました)「「待て」」

 

 

 〜映像中止〜

 

 

「む?」

「いや、む?じゃーよ。心優しい若者ってお前だろ」

「心優しくてモテモテな奴は開口一番に『全員土下座ァ!!!』って叫ばねーよ」

 

 本当、こいつの何処にそんな要素あるんだよ

 ケーキを食ってた男鹿はフォークをこちらに向けると口の中の物を飲み込んで口を開く

 

「ばかめ。古市、翔、お前らばかめ。お前の母ちゃんでべそ!」

「でべそじゃねーよ」「母さんのへそって誰得?」

「いいか?よく考えてみろ。俺が理由もなく一人を土下座させるような男だと思うか?」

「「うん」」

 

 危機察知!『古市シールド!』

 古市を盾にすると男鹿が古市にスリーパーホールドをきめた

 

「そうかそうか続きが聞きたいか!!」

 

 

 

 〜映像再開〜

 

 男鹿は一人の足を掴んで上半身を川の水につけていた

 

(心優しい若者は川に洗濯に行きました。すると、川上の方から

 大きな……大きなおっさんがどんぶらこっこどんぶらこ「はいストーーーップ!!」

 

 〜映像中止〜

 

「おいこら古市、映像再開させたのに速攻で中止させてんじゃねーよ」

「そうだぜ古市、ここからが一番いい何処なんだしよ〜」

「おいお前ら、オレが悪いの!?話についていけてないオレが悪いの!?」

 

 

 

 〜めんどくなったんで抜粋します〜小説好きな人

 

 

「つーわけで割れたおっさんの中からこの赤子が出て来たんだわ。わかったか?」「ダーブーッ!!」

「はっきり言おう、まっっったくわからん」

「つーか、赤子脅した結果懐かれるってどういう事?」

 

 赤子を持つ男鹿に対してそう言う事しか言えない。アニメだったら学校の屋上で赤子の話をするんだけどなぁ…つか魔力凄えな。吐きそう……まあそろそろくるか?

 そんな事を考えていると後ろから声が聞こえて来た

 

「懐く……?フン、勘違いも甚だしいな」

 

 古市の机の上にゴスロリ巨乳の人がいた。いや、誰かは知ってんだけどとりあえずいた

 

「貴様如きに坊っちゃまが懐くわけなかろう。死ねドブ男」

「あぁ!?誰だこら。誰がドブ男だ。いきなりどっから湧いて出たんだボケ。つーかそこ降りろ、あと靴脱げ、人ん家で偉そうにしやがって」

 

 男鹿は動じずに説教みたいな事を言った。……お前ん家じゃねーだろうが

 

「……フン」

 

 目の前の女は男鹿を馬鹿にしたように鼻で笑うと机から降りて両腕を広げ迎え入れる体勢を取った

 

「さぁ坊っちゃま。参りましょう。ヒルダがお迎えにあがりましたよ」

 

 その言葉を聞いて赤子は

 

「ダ」

 

 ひしっと男鹿の服を掴み直し、『絶対に離れないぞ』と言うオーラを発した。男鹿は…笑っていた。悪代官でも通りそうなゲス笑いだ

 

「嫌がってますなー」

「…えーと…坊っちゃま?ほらっ行きますよ!!」

 

 ヒルダは赤子と男鹿を離そうと足を掴み引っ張りだすが、赤子の手は馬鹿みたいに固く、男鹿から離れる様子は一切ない

 男鹿はもちろんゲス笑いを続ける

 

(……あっ、魔力がでかくなって来てる。退避退避〜)

 

 身の危険を感じた俺は後ろに数歩下がる。すると赤子はしつこいから切れたのか

 

「ダーーーーーーッ!!!」

「ぎゃあああああああああっっ!!!」

 

 放電を放ちヒルダを自らの力で引き離した

 

 

 

 靴を脱いだ若干焦げたヒルダは靴を脱いで正座しながら自己紹介を始めた

 

「失礼しました。私、その赤子に仕える侍女悪魔

 ヒルデガルダと申します」

 

 悪魔ねぇ…そう言えば俺の悪魔ってなんなんだろうか。気づいたらあったって感じだから見た事ないんだよね……

 あ、男鹿と古市は絶句してるよ

 

「そしてその方は、我々魔族の王となられるお方

 名を……カイゼル・デ・エンペラー・ナ・ベルゼバブ4世

 つまり魔王でございます」

 

 視線が全てベルゼバブ4世ことベル坊に集まる。するとテレパシーのようなものが頭の中で流れた

 

『おいおいマジか?悪魔通り越して魔王かよ!!つーか魔王てっ!!?』

『んなこと言ったっておめーさっきのバリバリどーすんだ!?説明できんのかボケ!!』

『ハァ!?お前がボケだボケ!!』

 

 ……映像だったりテレパシーだったり…凄えなこの世界

 

『おい翔、聞こえてんだろ!!返事しろボケ!!』

『うっせーよ!今頭の中で整理してんだよ!!話しかけんなボケ!!』

『話しかけてねーよボケ!!』

 

 整理など転生してから数日で終わっているが、嘘をつ…あ、そうだ

 

「あー、悪魔ならあの悩みの正体が分かるか?」

「「「あの悩み?」」」「ダ?」

 

 俺の言葉に部屋にいた全員が俺を見る。よーし頑張れ俺、何も知らない感じでな……あと急にヒルダが突っ込んで来ませんように

 そんな事を考えながら右手の甲を見せて説明を始めた

 

「いやあ、物心ついた時にな?こう言うの出せるようになったんだが、悪魔のあんたは知らない?」

「ッ!!!?」

 

 そう言って令呪(紋章)を出してヒルダに見せると彼女は一瞬驚き

 

「貴様、何者だ?」

「ふぁ!?」

 

 仕込み傘とでも言えば良いのだろうか?そこから剣を抜き出し顔に突きつけてきた

 

「何者って言われましても……」

「とぼけるな。正直に言った方が身のためだぞ?」

「とぼけてないって(うわあ、殺気と魔力が直に来てるよ…)」

 

 しばらく見つめ合うと先に諦めたのはヒルダからだった

 

「…まあいい。紋章使い(スペルマスター)を坊っちゃまの近くに置いておくのはいかんが、本当に何も知らないようだからこれで良いが

 

 坊っちゃまの身に何かあればすぐに貴様を消し去るぞ。わかったな

「はい…わかりました…って!?だからこれが何か知りたいんだって!!」

「まあそのうち教える。そのうち…な」

 

 教えない感じのあれじゃあないですか。いや、なんなのかも使い方もわかるけど

 話が終わったのを確認すると古市が手を上げで質問した

 

「ま、まあ翔の事は置いておいて、オレ達この子を連れて帰ってさえくれたらそれでもう…はい」

「ああ、いえ。それは無理でございます。何故なら貴方は選ばれてしまったのですから……」

 

 古市の言葉にヒルダが答え、男鹿に指を指す

 もちろん男鹿はそれの意味はわからない

 ヒルダは言葉を続けた

 

「魔王の親に」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話契約悪魔登場

 魔獣、悪魔、地獄、そんな物がそこら辺に転がっているような世界。魔界で大魔王はぷよぷよをしながら言った

 

「わし、明日から人間滅ぼす」

 

 突然の話で側近ですら言葉を発せない。大魔王は続けて理由を述べた

 

「なんかさーあいつらさーウザくない?

 増えすぎって感じでさー見ててキモいんですけど

 全部消し飛んだ方がスカッとするよねー」

 

 めちゃくちゃ適当である

 大魔王の側近が手帳を開きパラパラと予定を見て口を開く

 

「ですが大魔王様。明日は冥竜王の結婚式が…」

「まじでー?じゃ明後日!!明後日から絶対やる!!」

「明後日からは地獄チュパカブラ大捜索バスツアーです」

「えー超多忙じゃんわし。じゃーもういいや、あいつにやらせよう。この前生まれたわしの息子。ヒルダ」

 

 ジュースを持ってきていたヒルダに振り向かずに告げた

 

「お前、あいつ人間界に連れててってさー

 んで、適当な人間に育てさせながら滅ぼせ。なっ!!」

 

 

 

 

 

「っと言うわけでございまして…」

(((大魔王…適当だなー)))

 

 俺達3人の心が揃った。古市と俺は男鹿の方に手を乗せると死んだ目で口を開いた

 

「「ガンバ!!」」

「お前ら!?この状況で逃げる気か!?」

「うん…てゆーか帰れ」「見たいテレビがあるし話は後日に」

「おぉいっ!!冗談じゃねーぞ!何が魔王の親だ!!

 ちょっとがガキに懐かれたくらいで、ふざけんなよ!!知るかそんなもん!俺達はぜってーやらねーからなっ!!」

 

 いや、俺『達』って言うな

 

「つまり断ると……?」

「たりめーだ!!とっとと持って帰れや!!」

 

 ドンッとベル坊を机に置いて帰るように言う男鹿

 それに対してヒルダはコップに入った紅茶を飲むと笑顔で答えた

 

「そうですか……よかった…

 では、死んでください」

 

 先程の仕込み傘から剣を抜いた

 俺達は即座に逃げた

 

 

 

 

 

「みゃああああああっ!!!」

 

 結果的に古市の部屋はぶっ壊された。破壊された部屋を見て古市は発狂にも似た声を出している

 

「おおいっ!!待てお前らぁ!!てめぇら、あれ絶対弁償させるからなっ!!絶対だかんなぁ!!」

「アホかぁ!?俺達は悪くねえだろうが!!弁償させるならアレやった張本人にさせやがれ!!」

「あんな奴にそんな事言ったら殺されんだろうがぁ!!」

 

 言い争う俺と古市に対してベル坊を抱えた男鹿が口を挟んできた

 

「落ち着けお前ら、俺は大丈夫だ!!」

「「てめぇが一番落ち着けっっ!!何持ってきてんだそれぇっっ」」

「ん?何って……ぬがっ!!」

「ぬがっじゃねーよ!!さっさと置いてけよ」

 

 ベル坊に気づいた男鹿は背中にくっついたベル坊の足を掴んで離そうとするが掴んで離れる様子を見せない

 

「つーか翔!!お前あの変なやつ使ってあの女止めてこい!!」

「いやだから使い方がまるでわかんねーんだよ!!?」

 

 使い方はわかるがあの人に勝てる気がまるで湧かない

 せいぜい足止めが限界だろうし、何より危険人物扱いされて殺される

 

「諦めろ。悪魔から逃げられるとでも思ってるのか?」

 

 いつの間に追いついていたのかヒルダが電柱の真上で立っていた

 

「うるせーっ!!一生そこでカッコつけてろ!!」

「パンツ見えてますよー!!」

「今そんな事言ってる場合じゃねーぞ!!」

 

 口々に言いたい事を言って逃げると俺達の真上を通過して何かが道を遮る。それは鳥のような、竜のような、よくわからん存在

 

「「邪魔ァ!!!」」

 

 それを男鹿は蹴りで頭に俺は殴りで腹に一発ずつ入れて吹っ飛ばした

 

「お前らのそういうとこは素直に尊敬するよ」

「先手必勝だ」「やられる前にやれ」

 

『ははは、早く逃げねーとあのねーちゃんに殺されるぞ〜そら、早く早く〜』

 

「わかってるよそんな事……ん?お前ら、どっちか俺に話しかけてきたか?」

「ああ?お前が勝手にひとりごと言い出したんだろうが気持ち悪い」

 

 あれ?じゃあ誰が俺に話しかけてきたんだ?おい

 あ、鉄塔まで来た。原作通りならここで……

 

「それで逃げたつもりか?」

「…てめぇ最初からこうするつもりだったのかよ」

「悪魔は契約にうるさくてな……貴様が断ると言ってくれて助かった……」

 

 男鹿に向けたヒルダの剣が男鹿の頬に当たり、流れた血の一滴がベル坊に落ちる

 

「ヴ〜〜〜フ……ヴ……エグ」

「坊っちゃま……?」

 

 赤子に血はまだ早かったのか、泣き出すベル坊とともに魔力は暴走していき

 

 「ビエエエエェェン!!!」

 

 その魔力は放電という形で一気に解き放たれた

 巻き添えをギリギリで防げた古市が俺に話しかけてくる

 

「ちょ!?翔!!!なんなんだよコレェ!?男鹿は死んでんぞ!?」

「俺が知るかあ!!!侍女悪魔っつったか!?なんとかなんねーのかコレェ!!!」

 

 ヒルダに目を向けて叫ぶが彼女は呆然とした様子で答えた

 

「無理です。ああなってしまっては…もう坊っちゃまを止める事は……」

「無理って…じゃあどーすんですかあれ!!」

「だからどーしようもないと言っておろーが!!こんな…大泣き、止められるのは大魔王様くらいしか……」

 

 絶望的状況であるとヒルダは語るのだが、俺はこの後を知っているため、その瞬間を待った。そしてすぐにその時はきた

 

「え?」

 

 泣き止んだのだ、ベル坊が。止まったのだ、大魔王しか止める事が出来ないと言われていた大泣きが

 そしてそれを成し遂げた者は

 

「男が…ぎゃあぎゃあ泣くんじゃねぇ。ナメられちまうぞ」

 

 男鹿だった

 ……いや、凄えな。あれをゼロ距離で受けて普通に動けてるって(←多分同じ事になっても余裕で同じ結果になる人)

 そのまま男鹿はかっこよく背中を向けてその場から立ち去っていく

 ベル坊はそれを追おうとするが、さっきの魔力で鉄塔の一部が壊れ、ベル坊に向けて傾きだした

 

 このままでは潰されると思われたが、男鹿とベル坊が出した魔力で鉄塔が消し飛んだ

 

 

 

 〜翌日〜

 

「よう神野さんよ〜調子こいてんびゃ……」

「口動かす暇があるなら体動かせ、それでも口動かしたいならもっと強くなってから来い。……って、聞いちゃいねーか」

 

 いつも通り喧嘩吹っかけてくる者の顎を蹴り飛ばして気絶させる

 男鹿みたいに壁にめり込ませても良かったのだが、流石にそこまで悪魔していない

 

『アッハッハ、流石俺の契約者。あの程度なら屁でもないってね』

 

 先程から俺の周りを浮遊し続ける呪いの言葉のような物を体中に書かれた幽霊らしき者がそう話す。……こいつ、アンリマユだよな?最弱鯖で有名な

 

『ああ?誰が最弱だって?最強の間違いでしょうが』

 

 こいつ…俺の頭の中を読んでやがる……!

『お前も口に出さなくても念じれば話せるぞ?』

 あ、そう?じゃあ遠慮なく

 

『えーと、お前はアンリマユ…で良いんだよな?』

『ああそうだ。かつて魔界最強を謳われた魔界の神様だ』

『ああ、そうなの?まあそれは置いておいて、周りからお前見えてないみたいだけど、どういう事?』

 

 胸を張るアンリマユ……長いな、アンリで良いや。アンリに聞くと

 

『俺は大昔に死んだ英雄的存在、つまりは幽霊だ、だから悪魔にも人間にも常人には見えねーし、実体がねえから触れもしねえ』

『じゃあ、なんで俺に契約的なのしてんだ?あと、なんで急に出てきてんだ?』

『幽霊になると暇でね〜。何も食べる事は出来んし触る事も出来ん。精々女風呂覗く程度しかメリットないんだわ』

 

 いや、何普通に馬鹿みたいな事やってんだこの神様

 

『そんな暇な時に小せえ頃のお前を見た。ビビッと来たぜ〜?あ、こいつなら何かの暇潰しになるってな?だから契約した。俺の力で強制的に』

 

 さらっと凄い事に加えて子供だったから抵抗弱くて楽だったわ〜とか言う。要するにあれか?こいつは俺に暇潰しの為の道具になれってか?

 

『言い方悪いぞ?やばい事がない限り俺はただ傍観してるだけだよ。まあ、これからよろしくな翔』




アンリ・マユ(幽霊)
年齢:不明
強さ:未知数(強い)

何故主人公に取り憑いたのか

「いやぁ〜『暇だな〜』って人間界漂ってたら横目に映ったんだよな〜。ビビッときたよ?『コイツは面白い』ってね?
んで、取り憑いてみたら『テンセイシャ』らしいじゃん?
いや、よくわからないんだけど、『ゲンサクチシキ』とやらの未来予知能力もあったし、暇つぶしにいいかな〜ってね」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話vsおっさん

「聞いてくれお前ら、俺ん家はもうダメだ」

 

男鹿が丸二日の寝込みから覚めて帰ってくるなりいきなりそう呟いた

 

「なんでお前は魔王を連れてきてんの?」

「馬鹿古市、最終的に魔王の親にされたんだよ察してやれ」

「やめろこの野郎思い出したらイライラしてきた」

 

話が脱線した為無理矢理戻した

 

「悪魔に家が乗っ取られた」

「ふざけんな!オレん家のがもっとダメだ!あれから半壊してんだぞ!!」

 

男鹿が言うにはヒルダとベル坊が家に上がり込んできて

『今日からこの子共々お世話になります。ヒルデガルダと申します

不束者ですがよろしくお願いいたします』

と完全に誤解を招く言い方を頭を下げて言ったらしい

 

そういうわけで男鹿家族の中ではベル坊は男鹿とヒルダの間で出来た子供という設定になったらしい

そんで、親と認められた以上男鹿とベル坊には繋がりのような物があるらしく、ベル坊が泣くと盾を持っていようと電撃が男鹿を襲う

15m離れたら即死レベルで泣くという

 

「というわけでな…今やこの有様さ……」

 

男鹿が燃え尽きた声でそう言う。とりあえず俺から言える事は

 

「おー頑張れ二人共〜俺応援してっから」

「「この野郎…なんも被害がねぇ事を良い事に……!!」」

 

二人が睨みつけてくるが気にしない。これが愉悦と言う物か……

そんな事を考えながらベル坊が蝶を気にしていたのでそれを素早く掴みベル坊に渡す

 

「おいどうすんだ?確かに男鹿の野郎にガキがひっついてるが、ありゃあ捕まえらんねーぞ?」

「クソッ!せめてガキの方からこっちに来てくれりゃあなあ……」

 

後ろから声が聞こえてくる。まあモブ共の会話だし聞かなくていいや

今は準レギュラーっぽい奴らの相手だ

 

「おうおう、お前らが一年の神野っつーやつだな!?勝負しろ!!!」

顔中切り傷だらけの男キラーマシン阿倍

 

「グッナイ。神野くーん今日は寝かせてあげるよ」

キモいナルシスト、ただそれだけ。グッドナイト下川

 

「「男鹿をやるのはオレ達だぜ」」

弟の方が強そう。真田兄弟

 

2年の男子トップクラスが全員同じ場所に集まっていた。だが目的は別々になため別々に別れて戦うのだが

 

「えーっと、どっちがどっちだ?」

「馬鹿、男鹿はそっちの弟の方が強そうな兄弟をやるんだよ。んで、俺はこっちのナルシストと切り傷が相手だ」

「「「ああ!?」」」「兄者より強そう……」

 

弟以外の奴らが全員キレた

まず向かってきたのは阿倍、拳を振りかぶり殴りつけてきた。俺はそれを

 

ガスッ

 

不動のまま顔で受けた

 

「よしっ決まったぁ!!!」

「あ、終わり?」

「はっ?」

 

だが倒れない。一切ダメージを受けた感じがない

俺は拳を握り弓を引くように振りかぶると

 

「想像以上に弱い。俺を倒したけりゃもっと強くなってこい」

 

それだけ言って腹に一発お見舞いすると一撃で倒れた

 

「えーと、下川だったか?やるぞ」

「じ、上等だよコラァ!!?」

 

キモ川は阿倍と同じようにストレートのパンチを放ってきたが、俺はそれを屈むように避けて

 

「カエルパンチ」

 

カエルが飛び跳ねたようなジャンプで顎に一撃加えた。それだけでキモ川は空高く飛び、三秒ほどで地面に帰還した

ナルシストってキモいよな。自分に自信を持ってんのはいいけど……

 

「男鹿〜そっちは……うん。このめり込み具合は83点と言った感じか」

「はあ!?よく見ろ!!どー見ても90点は超えてんだろうが!!!」

「何の採点だよ」

 

真田兄弟は男鹿の腕によって絵になる感じで地面にめり込んでいた

それに点数をつける俺といちゃもんつける男鹿に突っ込みする古市

 

「てゆーか、お前やっぱドMなんじゃね?」

「違う違う。昔から受けすぎて癖みたいになってんだよ。現に二人目のやつはカウンターで勝ったしな」

 

 

〜翌日〜

 

「一応聞いとくけど、大丈夫か?」

「大丈夫に見えるか?今日だけ6回だ」

「俺はお前が生きてんのが不思議だよ」

 

俺と古市の前には黒こげの状態で横たわる男鹿とその上で遊んでいるベル坊がいた

 

「このままじゃマジであの夢のようになる…死ぬ…確実に俺死ぬ…っっなんとかしなければ!!」

「夢?」

「ああ…恐ろしい悪夢だ」

 

男鹿の見た夢は成長してでかくなったベル坊が腹を空かして大泣きすると言う物、成長した状態で泣くため、泣くだけで街一つ消し飛んだと言う

 

「「何一つそーならないと断言出来ないのが恐ろしいな」」

「だろ?」

 

恐ろしい。本当に恐ろしい

 

『俺は俺でそうなると面白いぞ?』

『黙れアンリ』

『冷たいなぁ』

 

姿を見せていない状態でアンリが話に入ってきたため適当にあしらう

あ、男鹿と古市とでっかいおっさんが笑い合ってる

あれが男鹿の話に出てきたでっかいおっさんである次元転送悪魔アランドロンだ

 

そのアランドロンから話された内容は何故男鹿が魔王の親として認められたか

まず、魔王であるため強い者にしか引かれない。さらに凶悪で残忍で傍若無人で人を人とも思わぬクソ野郎なら最高だと言う

奇跡的に全てが男鹿に当てはまる

 

「私も川に流れて薄れゆく意識の中、貴方が大勢の人間を土下座させ、高笑いしているのを見て確信しました

ああ、この男になら坊っちゃまを任せられると」

 

アランドロンの説明を聞くと「あれが原因かーっ」と嘆く男鹿

するとある事を閃いたらしい

 

「もしかしてあれか?俺より強くて凶悪でクソヤローがいたら、そいつが親に選ばれるって事か?」

「そりゃあ、確かにそんな人間がいれば…そーなりますかな…」

 

希望の光が見えた男鹿は笑った。それはもう悪魔みたいに凶悪に

ここは天下の不良高校石矢魔。普通なら一人くらいならいるかもしれないと言うのだろうが、俺は知っている。そんなやつは東条くらいしかいないと…まあ今はまだ早いが

 

「そうと決まれば行くぞお前ら!!」

「ちょ!?待てよ男鹿!!!」

「俺はここで漫画読んでるわ〜はははははは!!!今回神回だわ」

 

そう話して男鹿と古市は原作通り石矢魔最強の者は誰か?と言う噂を聞きに、俺はさっき言ったように漫画を読むことにした

 

「……ついていかなくても良いのですかな?」

 

アランドロンが俺に話しかけて来た

 

「いやいや、見たろ男鹿のあの顔。強さならともかく、凶悪さなら絶対勝てるやついないだろ(あ、将棋できる?)

まあ確かにそうですが…(あ、はいできますよ)

「……何か言いたそうな顔だな((将棋の準備を進める))

「いえ、まるで結果をわかっているというか、未来が確定しているのが目に見えてますと言うか((お茶を準備し正座する))

「うーん。男鹿は冗談なしで強いし、そこらのやつじゃあ相手にならないって信頼的な何かがあるんだよ((同じく正座する))

そうですか(お茶をどうぞ)

そうだよ(ありがとう)

 

「「では、よろしくお願いします」」

 

お互い頭を下げて俺とアランドロンの戦いが始まった

少しすると窓が割れる音とベル坊の雄叫びが青い空に木霊した

 

「やっぱり無理だったんですねぇ」

「予想通り過ぎたな。男鹿も将棋も、ほら王手」

「なんと!」

 

この後アランドロンとそれなりに仲良くなり、将棋仲間になった。まる!っと



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話ゼブルスペル

 屋上で昼寝をしていると男鹿が出入り口をドンッと勢いよく開け、右手の甲を見せながら叫んできた

 

「なあなあ翔!!これなんなんだよ!?お前にもこんなのがあったよなぁ!?」

「あー、それはあれだ」

「何故貴様がそれを知ってるのか知らんが…間違いなくあれだな」

「すいません。私が教えました。…にしても、見事なまでにアレですねえ」

 

 勝手に三人で話しが盛り上がる。それにアレアレ言う俺達に引き気味の男鹿が体も後ろに引いて口を開く

 

「何!?何なのアレって…!!何このキモいの!!」

 

 

 

 

 遅れて来た古市を加えてヒルダがゼブルスペルの説明を始めた

 

「それはコントラクトスペル…いわゆる、契約の刻印と言うやつだ

 その印は『蠅王紋(ようおうもん)/ゼブルスペル』、王家の紋だ

 光栄に思え、過去数千年その紋を刻まれた人間など数えるほどしかいない」

 

 ヒルダの話を聞いていると同じように聞いていたのかアンリが話しかけて来た

 

『ありがたく思えよ?お前なんか王家どころか神様なんだかんな?』

 

 うるさいわ。神は神でも悪魔の神だろうが男鹿より酷く感じるからやめて本当に

 そんな話を脳内でしていると男鹿達の話は進んでおり、周りの者をボロ雑巾のように扱えば真の魔王に近づくのだと教えられた

 

「よし決めたぁ!!俺今日から暴力を振るわねぇ!人も殴らねぇ!土下座もさせねぇ…スーパー良い人と呼ばれるようになる!!」

「それは普通の人だ」

「スタート地点からマイナスじゃ先が思いやられる……」

 

 男鹿の決意に俺と古市はツッコミを入れざるを得なかった

 

 

 

 

 

「なあ、お前ら、他にやる事ないわけ?石矢魔高校は登校してれば卒業できるから勉強しろとは言わないが、バイトとか……」

 

 帰る途中で喧嘩を売って来た奴らを返り討ちにし、正座させている時にふと呟いた。すると正座している奴らのリーダー格が口を開く

 

「へ、へい…なんせ俺らこの見た目ですし、どっこも雇ってくれなくてですね…」

「じゃあ見た目直せよ。特に髪」

「い、いや、リーゼントとかの髪型は俺達不良のシンボルですし……」

「馬鹿野郎。別にリーゼントじゃなくても良いじゃねーか

 リーゼントやめて馬鹿にする奴なんざほっとけ、大切なのは見た目じゃなくて男の器だろうが」

 

 なんかクサい発言をしているのはわかっているが、とりあえず適当に言っておく。すると不良達は涙を流し出した

 

「そ、そうだなぁ…そうだよなぁ……見た目よりも中身…だよなぁ…ありがとよ!お前のおかげでなんか大切なもんがわかった気がするぜ!!!」

「お、おう。頑張れよお前ら?」

 

 何だろう…適当に言った事に対してあの反応…馬鹿なのか?いや馬鹿ばっかだったなこの学校…ってか世界

 

『〜〜〜♪』

 

 俺のズボンのポケットからジャイアンの歌が流れてくる。着メロだ

 見れば古市からだ……アレじゃん。姫川じゃん

 確かヒルダと古市を人質みたいな事して男鹿を呼び出すんだよな?何で俺まで呼ばれんの?

 

「……もしもし?」

『おう神野か?』

「違います」

『あ、そうですかすいません』ブチッ

 

 これでよ『〜〜〜♪』またか

 

「もしもし?」

『おう神野か?』

「何だよまたアンタかよ……もういいよ。俺が神野って事にしといてやるよ。おいこらお前、貸した300円返せよ」

『300円は置いといて、お前のダチと男鹿の嫁は預かった。返して欲しけりゃ今から指定した場所に男鹿と来い。いいな?』

「…ああ、わかったよ。待ってやがれこの野郎」

 

 ……いいのかアレで?

 ……いいのかアレで!!?

 いや、あいつ普通にあのままだったら完全に別人の人呼んだって事にはなるんだが!?

 

「おい翔、何してんださっさと行くぞ」

「ああ、誰だよまったく今取り込み中…って男鹿!?」

 

 男鹿が割れたおっさんの中からこっちに来いと言ってくる

 うん。なんかおっさんの中に入るのはちょっと抵抗あるな。…入るんだけど

 

 

 

 

 

『男鹿と翔のアホーッ!!!ボケーッカスーッ!てめーら絶対化けて出てやるからなーっ!!』

 

 外から古市の声が聞こえる。それと同時にアランドロンが割れたのか出口がでてきた

 

「「誰がアホだこの野郎」」

 

 外に出ると敵兵らしき者達がいたため、遠慮なくその顔面をぶん殴る

 …あ、初めてめり込んだ

 

「16点。まあ初めてにしちゃあ上出来だな」

「おーマジか10点行けば良い方だと思ったが意外に高いな」

 

 愉快に話す俺達にリーゼントメガネの姫川が口を開いた

 

「見せるねぇ、良い登場だ。マジシャンにでもなったつもりか?」

「あぁ、男鹿くんのビックリイリュージョンの始まりだ

 全員消します」

 

 ある意味『喧嘩します』と言う宣言が出てきた

 

「いくらだ?」

「あ?」

「お前ら、いくらで俺の下につく?」

 

 そんな男鹿、ついでに俺に対して姫川がニタリと笑いながら交渉を持ちかけてきた

 

「つーか、誰だてめー」

 

 男鹿は当たり前だが誰だかわからない様子だ

 とぼけていると思ったのか二人の男が怒鳴るが男鹿は綺麗に天井にめり込ませる

 

 そのあと姫川と戦うのだが、戦いにならない。120万ボルトのスタンバトンをくらってもベル坊の夜泣きで耐性がついてる男鹿に効くわけがない

 原作だと最後に『魔王の咆哮(ゼブルブラスト)』で勝つのだが…ここで少しズレが起きた

 

(あれ?ゼブルスペルが片腕どころか肩まで広がってね?)

 

 感じられる魔力も桁違いに増えている。そのまま殴れば運が良くても悪くても姫川は死んでしまう

 

(よしやるぞアンリ)

(ほいさ〜)

 

 それは原作的にも社会的にもまずいため俺も紋章を解放する。ヒルダとアランドロンがこちらを見ているが、とりあえずやる事は建物に呪術を刻んで魔力吸収率を上げる事だ

 幸い呪術のやり方ならアンリに腐るほどあるらしい。問題はない

 

「『魔王の咆哮』!!!!」

 

 

 

 

 

 

 や〜すげえな男鹿の野郎。原作よりは廃墟ビルの崩壊は少なかったがそれでも壊されてんだぜ?魔力吸収した上で

 姫川にはちゃんと勝ったんだけど、今一番に考えないとダメなのは…

 

「さて、そろそろ質問。いや、尋問を始めようか。神野翔とやら」

「いや〜マジで勘弁してください本当に」

 

 ヒルダさんに縛り上げられて剣を俺の心臓に向けられているのだ

 

「ついに本性を現したな、紋章使い?言っておくが私に慈悲を求めない方が良いぞ?

 逃げられるとも思わぬようにな。こちらには知っての通り次元転送悪魔がいるのだ。地球の裏側まで逃げても追い続ける」

 

 というわけでめちゃくちゃピンチだ。逃げられんし、ヒルダは契約なしでめちゃくちゃ強いからな〜…案外アランドロンも侮れんし

 

「では質問だ。3秒以内に答えよ

 貴様は何者だ?使い方を教えてもいないのに呪術などと言う細かい事などできるはずないのだからな」

「正直に言いますと、俺は子供ん時気づいたら契約させられてたって感じです。俺の契約悪魔は実態がない幽霊らしくて、取り憑いたって感じがしっくりくるらしいんですけど……」

 

 正直に話した。ヒルダ達の反応は……

 

「頭大丈夫か貴様?」

「デスヨネー」

 

 まあ予想はしてたさ。してたけども……とりあえず出てきて爆笑してるアンリに聞くか

 

『アンリ、これどうすりゃ良いの?』

『あー腹痛い…俺の名前を出せば?必要なら俺が出る』

『え?出られるの?』

『ちょっと条件が出てくるけどな』

 

 とりあえずアンリの言葉に従い不安ながらもヒルダ達に名前を出す事にした

 

「あー、取り憑いた悪魔の名前はアンリマユって名前なんだけど」

 

 その一言でその場の空気が凍った。え、なになに?ヒルダどころかアランドロンからも殺気出てんだけど

 そんな事を考えているとヒルダから冷ややかな声が出てきた

 

 

「悪魔の前でその名を騙るか。その不敬は万死に値する」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話アンリ=神様

 アンリの名を出すと殺気がより鋭くなったヒルダを見て俺は口を開く

 そういえばアンリは悪魔の中の神様だったか?

 

「何故貴様がその名を知っているかは知らんが…そうだな、本当に貴様がアンリマユ様の契約者だと名乗るのであれば、その姿を口で表せ。仮に嘘だと発覚した場合、貴様の首を切り落とす」

「わ、わかった。わかりました」

 

 ヒルダの言葉にそう言うとアンリの姿を見ながら答えを出した

 

「えーと、俺くらいの身長に黒髪に茶色の目。赤い鉢巻と布だけ着てて、全身に俺の紋章の続きっぽいのが刻まれてんな」

 

 とりあえず言葉にできそうなのはこれくらいだ。手足に黒い包帯みたいなのついてるけどアレはなんなのか知らん

 

「……なるほど、魔界の絵に書かれていた通りだな。とりあえず信じよう……ところで私達にも見えるようには出来ないのか?」

「さぁ、聞いてみない事には……あ、無理らしい。今腕バッテンさせた」

「そうか…ではせめてどこにいるかは?」

「それくらいなら……あーそこの石の山のてっぺんで座ってる」

 

 できる限りの事を教えてやる。ヒルダとアランドロンは俺が指したアンリの居場所に立ち、跪くと二人共祈り出した

 ……宗教的なやつって魔界のでもあんのな

 

『まあ、一応神様ですしぃ?ホラホラ翔くん、この俺を崇め讃えても良いんだよ?』

『うっせー調子乗んな』

 

 

 

 

 

 ヒルダ達と別れて家に帰宅。『ただいま〜』と変わらず挨拶し、靴を脱いで自分の部屋へと向かい、自分の部屋のドアを開けると

 

「あ……おかえり」

「なんで普通に俺の部屋来て入った挙句にゲームしてんだよ」

 

 千秋が普通に座って俺のゲームをして楽しんでいた

 

「ん、エアガンのメンテと弾の補充お願い」

「無視ですかそうですか。…って、結構使ったなぁ」

「かなり、キツイ戦いだった……頑張った」

「頑張ったってお前……何だお前褒めて欲しいの?」

「………」

 

 冗談でそんな事を言うが沈黙が返ってきた

 

「まあとりあえず今日は帰ってくれ。明日エアガン渡すからそれまで予備の奴使ってて」

「わかった……」

 

 もう結構暗いため千秋はゲームをせずにすぐに帰ろうと立ち上がり荷物を持つと「あ」と何かを思い出した反応をする

 

「ちょっと、聞きたい事があるんだけど」

「何?」

「最近翔と男鹿って人が神崎と姫川を倒したって噂だけど本当?」

「いや、本当だけど俺見てただけだぞ?俺と男鹿達はただの友達って感じだし」

「そう。ありがとう」

 

 そう言って千秋は部屋から出て行った

 ……邦枝と一緒に俺をシメにくるというないよね?

 

「…とりあえずエアガンのメンテ始めるかぁ」

 

 とりあえず何も考えずにそれだけをする事に決めた

 それと同時にドアが開いて千秋がひょっこり出てきた

 

「……明日休みだし遊びに来る」

「明日用事あるから無理だわ」

「…スト(フォー)買った後に一緒にやろ?」

 

 用事の内容が速攻でバレた

 

 

 

 〜翌日〜

 

 家に帰ると千秋がゲーム片手にスタンバってた

 

「昨日から思ってたけどなんで俺の部屋勝手に入ってきてんの?」

「この家の支配者に許可を貰った」

「母さん……」

「ついでに言うとその次の支配者にも」

「父さん……」

「あと、翔に弟か妹ができるって言ってた」

「妹がいいな〜……って、ええ!!?」

 

 さらっとぶちまけられた衝撃的な内容を千秋からぶちまけられた

 

「それじゃあまた明日」

「待って!?なんで俺よりも先に千秋がそんな大事な事知ってんの…ねぇ!?」

 

 俺の叫びを無視して今度こそ千秋は帰ってしまった

 母さん父さんに聞いたところ『未来の家族だもの!』との事…いや、俺と千秋はそんな関係じゃねーから!!!

 

 

 〜翌日〜

 

 

「ストⅣ、ストⅣ…っと、あった…」

 

 ゲーム売り場でストⅣを探して見つけたため手に取ろうとすると他の人の手にぶつかる

 

「「あ、すいませ……ん?」」

「どうした夏目……お前は確か男鹿とつるんでる…」

 

 サラサラロングヘアーの男、夏目と謎の三つ編みの城山がいた

 

「なに〜?君もストⅣ買うの?」

「あ、はい。えーと……どこかで会いましたか?」

 

 ここで重要なのは俺は男鹿が神崎をぶっ飛ばすところを見ていない。要するにこの二人には会ったことはないのだ。それなのに名前を知っていたら後々面倒な事になるかもしれない

 

「神崎くんの友達。さっき神崎くん達の見舞いをしてストⅣを買いに来たんだけど」

「…城山だ」

「そうですか。この度はうちの男鹿がすいません」

「別にいいよ。石矢魔じゃ日常なんだし」

 

 夏目さんはいい奴だ。城山さんはなんか警戒してる感じなんだけど……まあいいや

 

「それじゃあ俺はこの辺で」

「ああ、オンラインでフレンド登録しない?」

「あー良いっすね〜」

 

 そう言ってオンラインで名乗る名前を互いに教えてその場で別れた。城山さんはゲームはやらないらしいので全くついて来れていない感じだった

 

 

 

「で、帰ってきたわけだけど。何してんの?」

「あ……いや、これは…その…」

 

 俺の部屋に帰ると部屋が千秋の手によって荒らされてた。見られた千秋はオドオドしてる。可愛い……って違う

 

「大丈夫。怒らないから、素直に言ってみ?」

「ほ、本当に怒らない?」

「(内容によっては)怒らない怒らない」

 

 そう言うとゆっくりと千秋は諦めたように息を吐くとゆっくりと答えてくれた

 

「……その、翔は持ってるのかな〜って」

「何を?」

「R18の…「ぶっ!?」持ってるの?」

 

 今度はジト目でこちらを見てくる。なので俺は

 

「持ってるよ?」

「嘘、男の人なら全員もってるって……え?」

「いやだから、あるって」

 

 開き直って正直に話す事にした『正直者には福がある』ってね

 …大概は福なんて来ないけど

 

「そう……」

「何若干落ち込んでんだよ。そら、やるぞストⅣ」

 

 そう言って千秋にコントローラーを渡してゲームの準備に取り掛かった

 

 

 

 

 結果だけ言うと最初の一戦は引き分けで三戦二勝一引き分け、ギリギリだった

 千秋に対して無敗を誇る俺に傷がつくところだった。危ねえ

 

「くっ…初心者どころか地味に変わった操作方法すらわかってない状態なら勝てると思ったのに……!!」

「いや、酷えな。悪魔かお前は…」

『呼んだ?』

『呼んでない』

『チッ(あー暇だな〜)』

 

 悔しがる千秋にツッコミを入れてその後数時間ゲームを続け、その日はメンテが完了したエアガンを鞄に入れると

 

「……暑いですね」

 

 火照った赤い顔をしながら急にそんな事を聞いてきた

 

「春だからな〜」

 

 なんとも思わない俺は適当な返事で返す

 

「………」ドサッ

「ん?……ッ!?!?」

 

 千秋が俺のベッドに倒れた。それだけならばそれでよかった…それだけならばッ!!!

 服が地味にはだけてる!やばいやばい理性が、理性がぁぁぁあ!!

 

「…おい、服がだらしない事になってるじょ」

 

 噛んだ!噛んだけど言いたい事は言えた!それでよしぃ!!

 

「ふふふっ……」

「な、なんだ「良いですよ?」ふぁ!?」

 

 色っぽいとでも言うのだろうか?そんな笑みと言葉で俺の理性は崩壊寸前。そんな時、横目にある者が映った

 

 

 

 『ヒューヒュー!やれやれー!襲え襲えー!(人として)死ねー!』

 『てめえか』

 

 

 何故か手のひらサイズまで小さくなってるアンリを掴む。そのまま握り潰しそうな力で握りしめながら問いかける

 

『お前だよなぁ?千秋がおかしくなったのは』

『そ、そうだ。ちょっと性欲を悪い方に傾けて…あぁ!?痛い痛い!解くから!解くから手を離してお願い!つーかなんで霊体に触れてんの!?』

 

 そう言うとアンリが何かをすると千秋が若干ひかり、正気に戻る

 

「あ、あれ?私は何を……ッ!?!?」

「あ、やべ」

 

 先程までの自分の言動を思い出したのかその顔はみるみる内に赤くなる。この後に起きる事を察した俺は耳を塞ぐ

 

 「あぁあぁあぁ…

 

 叫んでドアを開けてそのまま帰ってしまった。悪い事したなぁ

 

「さて、準備は出来てるか?」

「え?いや、さっき治した…」

「許すなんて言ってない」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話昼寝

いきなり評価に10……!?
あれか?皆さん恋愛要素が欲しかったのか…?
恋愛に飢えてるのか…?


「女王見に行くぞ」

「「は?」」

 

 開口一番に古市がそんな事を言い出した。そんな古市の言葉を聞いて古市を見ると…石矢魔の女子生徒をガン見していた。首の周り方キモい

 

「『は?』じゃねーよ!!」

「お、おう。え?何が?」

 

 男鹿は古市に若干引きながら答える。古市はそんな事は気にせず真剣に話し出す

 

「だーかーらっ女王見に行こうっつってんだろ!!何聞いてんだお前達は!!」

「あ…ああ」「な、なるほど…」

「そしてなんだそのテンションは!!」

 

 古市は俺達に指差してキレ気味に熱論しだした

 

「いいか男鹿、翔!!お前達は事の重大さがまるでわかっとらん!!周りを見ろ!!

 女子!女子!!女子!!!石矢魔にこんなに女子がいんだぞ!?」

「いや、だってうち共学だろ?」

「それくらい普通じゃん(千秋が石矢魔に入ってる時点で読者さんもわかってると思うし)」

「そうだけれでも!!アホな不良男子のみに囲まれて送る灰色生活…寒かった…だがしかぁしっ!!これからは違うぜ!!なぁお前等!!」

 

 ウザい。限りなくウザい…

 古市は置いといて女王見に行くったって、邦枝の側近に千秋いんだろ?昨日の事あって顔合わせづらいわ。どんな顔してあいつに会えってんだちくしょー

 

「よーし男鹿、お前古市と一緒に見てこい。俺は屋上で今週のジャンプ読んでっから」

「あ、てめえずりいぞ!俺にも見せろ!!」

「ジャンプなんかより女王だ!!行くぞお前等!!」

 

 ジャンプの奪い合いを始めようとする俺と男鹿の髪を掴んで引きずる古市。もちろん手を離させようとしたが何故か力がめっちゃ強い

 というわけで抵抗虚しくついていくことになった

 

 

 

 

「いたぞ!女王だ!」

「わかった。わかったから引っ張んのをやめろ」

「いだだだだだ!!!」

 

 ついに古市が見つけてしまったため、腹をくくる事にした。大丈夫、いつも通りいつも通り……

 

「男鹿辰巳!神野翔!アンタ等の悪行もこれまでよ!!」

 

 女王邦枝が木刀片手に突きつけてくる邦枝

 

(…原作通りなら男鹿に一回会ってるからな〜向こうだけ気まずいんだよね……さて俺は)

 

 そんな事を考えつつ、隣でギャーギャー騒ぐ男鹿と古市を差し置いて千秋の方を見た。いつも通り…だけど俺と目を合わせないようにしてる

 

 「まずは貴方から始末してあげる…聞いてんの?」

 

 なんか聞こえる…あれ?邦枝の声だ。あ、俺の事見てる

 あれか?男鹿だと気まずいから俺からやろうって?

 

「…あ、すまん。話聞いてなかったわ。もう一回言って「私の事ナメてんのかしら?」

 

 全て言い切る前に左胸に刺突を放ってきた。不意打ちに近かったが非は話を聞いていなかったこちらに多分あるんだろうし、仕方がない

 

 それよりも、ちょーっと楽しみにしていた事もある。男鹿に使って欲しかったが、致し方ない。俺が『受けて』『見る』

 

「心月流抜刀術 弍式ーーーー百華乱れ桜」

(こいっ!!!)

 

 邦枝は乱れる斬撃を放ち、俺は歯をくいしばる。俺には感で避けるなどと言う技術もクソもない物はそんなに上手く出来ない

 

 ドガガガッ!!!

 

「ーー……嘘でしょ?」

「…ッてーなぁ」

 

 故に全てを受けた上で勝つ。鼻血とかは…よかった、出てない

 にしても、流石女王。下手な当たり方したら気絶するな、これ

 壁までボロボロになってるし……

 

「よし、『見た』し早速実践といきましょーか」

「は?」

 

 そう言ってまだ真っ直ぐになっている鉄の窓枠を折って棒に変えると構えを取る

 

「その構えは…!?」

「えーと…心月流抜刀術ーー…」

 

 そこで俺の言葉は止まる。邦枝の後ろからは男鹿が接近しており、原作を知っている俺はこの後起きる事を察したのだ

 

「姐さん後ろ!!!」

「ッ!男鹿!?」

 

 えーと、大森って言ったか?その人が男鹿の接近に気づいて邦枝に報告するが避ける事が間に合わず肩を掴まれ

 

「こいつの、母親になってください」

 

 改めて思った。男鹿は馬鹿である

 

 

 

 

 

 zzz……

 

 今日は天気予報で晴れ、時々曇りなので晴れてる内に屋上で昼寝する。ああ、なんて平和なんだ

 

 「…ちょっと千秋?千秋の言ってた『男鹿の事を知ってる知り合い』って…」

 「…はい、そうです」

 「まさか葵姐さんだけじゃなく千秋まで男がいたなんて……」

 「大丈夫です。まだそんな関係じゃないので」

 

(んー…なんか平和な世界に雑音が入って来るんですが…誰だよまったく)

 

 そう思って薄目に声の聞こえる方を見ると女の知り合いと顔見知りがいた。何しにきたんだ?君達は男鹿の方に……

 ん?確か二人はそのあとMK5に……

 

「ねぇアンタ。ちょっと聞きたい事があるんだけど」

「うん?誰だアンタ……」

 

 とりあえず寝ぼけたフリをした。そのあと千秋の方に視線をやって手をポンっと叩く

 

「ああ、烈怒帝瑠の人か」

「なんで今千秋見て判断した」

「まあまあ落ち着いてー。えーと、喧嘩?」

「千秋のためにもそうしたいけど、今はウチの頭の事から考えないと」

「ああ、あの()鹿の事か」

 

 ケラケラ笑いながらそう返す。そのまま続けて問う

 

「んで、一体何を聞きてーんだ?」

「……男鹿が葵姐さんをどう思ってるか。それだけよ」

 

 警戒して長くなるかと思っていたが思いのほか簡単に質問してくれた

 

「そんな事?それなら簡単。『なんも考えてない』」

「は?どういう事?」

 

 大森…今更だが先輩でいいのだろうか?…まあいいや

 大森は頭に『?』マークを乗せながらまた聞いてくる

 

「わかりやすく言うと子供って初めて見たおもちゃとか見るとすぐ飛びつくだろ?それと同じ…ああ、違う違う。決してヤり捨てとかそんなクソみたいなやつじゃなくてですね」

 

 俺があたふたして誤解を解こうと言葉を発すると大森はため息一つ吐いて

 

「……わかってるわよ。強い奴がいたからちょっと興味が湧いた。で、あの姐さんにかけた言葉は言葉の綾みたいなやつでしょ?」

「わかってるなら結構です。凄え顔してたぞ今…「何か言った?」いえまったく」

 

 今さっきの時も中々怖かった……

 

「行くよ千秋!あれ?なんでそんなにムスッてしてんの?

 「…別に、なんでもありません」

 

 ……風も強くなってきたし、中に入るか

 

 

 

 右を見ても不良、左を見ても不良、前を向いても「殺す」とか言ってる不良、後ろを見れば不意打ち狙ってる不良

 

「が…は……」

 

 そしてそれを腹パン一発で済ませる俺。いつも通りだ

 

『MK5が男鹿に喧嘩売ってんぞ!!』

『マジか!?アイツら停学解けてやがったのか!!』

『男鹿嫁も一緒だ!!』

 

 そんな声が聞こえたため外を見ればちょうどM(マジで)K(空気読めない)5(五人)が男鹿に喧嘩を売り……今瞬殺されたところだ

 原作通りならこの後に夏目が来て、ある程度話して、大森と千秋が来て……

 

(あ、千秋がやばい)

 

 即座に走り出した。下手すれば原作改変とやらになるかもしれないが友達やられるよりかは幾分マシだ

 

 ドンッ

「あ、すまん!今急いでるから!!」

 

 誰かと肩でぶつかった。いつもなら喧嘩売られるのだが、今回は相手している暇はない。適当に謝ってそのまま進むことにした

 …余談だが、後々この時にちゃんと顔を確認しておくんだと後悔した

 

「なんなんすかね?アイツ……」

「ん?どうした虎」

「アイツ…強えなぁ」

 

 この時この正真正銘の喧嘩馬鹿に目をつけられたのだから



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話vsMK5(瞬殺)

べるぜバブ書いてて思ったんだが、Fateの令呪って契約の証と同時に魔力供給源みたいなアレだよね?
じゃあさじゃあさ!送るんじゃなくて逆に受け取る事も出来るんじゃ…


 見つからん。まったく二人が見つからん

 男鹿に喧嘩売りに行ってから多少移動してたしなぁ…

 

「あ、上から見ればわかるんじゃん」

 

 簡単な話だった。だが今から階段登る暇はないため紋章を発動させ、足に力を入れ、屋上に向けてジャンプする

 屋上に着地するとそこから辺りを見回して二人を探し

 

「見つけた」

 

 丁度MK5が千秋を不意打ちし、次は大森に不意打ちをするところだった。もちろん俺は屋上から飛び出してMK5の一人の真上まで飛ぶと隕石のような勢いで

 

「ライダァァァァァァキィィィィック!!!」

「男鹿は極あぶ!?」

 

 適当に叫びながらリーダーの碇の頭を狙って落下した。ふぅ……恥ずかしい

 

「あ、アンタは……」

「すまんなぁ、屋上からなんか見えたから何事かと飛んできたんだけど…邪魔だったか?」

「あ、いや…ありがとう」

 

 とっさに屋上から見てましたって事にしたけど、大丈夫だな。多分

 そんな事を考えているとMK5の一人の嶋村が口を開いた

 

「……神野か。お前まさか俺達の計画を知って」

「計画ぅ?知らんな俺はただ、昔からの友達がやられたからお前等が気に入らなくなっただけだ」

 

 結局は守れなかった事に俺は内心イラついている。それをやった目の前のやつらにもムカついている

 

「とりあえず全員くたばれ」

 

 そんな自分の我儘のような物で全員ボコる。そう決めた

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

「よし、勝ったな。えーと、大森さんっつったか?すまんが千秋を保険室まで運んでくれねーか?俺が運ぶと万が一見られた時に誤解されかねんから」

「別に良いよ、助けてくれたしそれで十分だよ」

 

 …てっきり「この程度で貸しでも作ったつもり?」とかを言うかと思ったんだけど

 

「そうか、んじゃ俺は男鹿達探しに行くわ〜さいなら」

 

 

 

 何故か男鹿と邦枝が原作通り屋上で戦い(男鹿無抵抗)を始めていた。俺と古市は屋上の出入り口の出っ張りの陰で見守る

 

「なあ古市、なんで男鹿が邦枝にボコられてんの?」

「知らん!けど、裏切り者の男鹿をボコられてんのを見るのはすっげえ爽快じゃね!?」

「お前を今日からクズ市って呼んでも良いか?」

「こんな面白いもんが見れるんならその程度何ともないね!」

 

 男鹿がやられるのを見てこの清々しい笑顔である。原作通り行くだろうから古市の思惑通りには行かないだろうけどな!

 

『……神野はどうしたの?』

『あ?アイツは一切関係ないだろ?アイツいなかったし(神崎のとき)手も出してないぞ?(姫川のとき)

『そう……あの子達が間違えたのかしら?

『?』

 

 なんか良い感じに俺だけの誤解が解けてる

 にしても、本当になんで原作通り行くんだ?大森が生き残ってるから誤解も何もないはずなんだけど……

 

 

 〜真実〜

 

 保険室で千秋を寝かせた大森はぶつぶつと独り言を呟いていた

 

「アイツ等、千秋の言った通り悪いやつじゃあないのかも……いや、神野の方はともかく、姐さんをなんとかしないと下のやつらに示しが……」

 

 そんな事だった。ぶつぶつと呟き続けている内に段々と大森に睡魔が襲ってくる

 

「ああ、意外と私も疲れてたのね…丁度もう一個ベッドあるし」

 

 そう言って大森はベッドに潜り眠り出した。そのあと3、4分すると…

 

「寧々さーん?ここにいるんすか…って!?

 二人共寝てる!?千秋はボロボロになって…確か二人は男鹿と神野に用があるって……まさか!!」

 

 

 〜終わり〜

 

 

 そう言うわけでこうなったのだが、俺が知るわけがなく。原作通り男鹿がボコボコにされていた

 MK5は全員もれなくボコボコにしたから大森の足止めとかはないはずなんだけど来ないな…

 

『心月流抜刀術 壱式ーーー破岩 菊一文字』

「いよっしゃああああああああ!!」

「うるせえぞクズ市」「ぶっ!?」

 

 男鹿が一撃入れられる度に古市が歓喜する。その顔に一発ぶん殴ってその口を黙らせる

 この後、オカマの美破が原作通り出てきて邦枝と…戦う前に復活した男鹿に顔面を叩きつけられる

 

「…何を…してくれてんのこのボケがぁぁっっっ!!!」

 

 顔から鼻血が出た『だけ』で美破は気絶すらしていない。タフさでは俺に次ぐんじゃないだろうか

 当の本人の美破はブチ切れたまま言葉を続ける

 

「てゆーか、なんなのアンタ!?さっきまでボコボコにやられてたクセに…空気読みなさいよ!

 アンタの出番はもうないの!終わりなの!!こっから先は女王対決でしょ!?そーゆー流れなの!!わっかんないかなぁ!?

 あーもう本当信じらんない!!私の美しい顔をよくも…絶対ぶっ殺すかr」

 

 長い話だと思ったのか全部言い切る前にまた男鹿が美破を叩きつけた

 

「うーーーん何言ってんだ?このオカマ」

「…ちょっとおおお!酷いじゃないのっアンタ悪魔!?さっきから乙女の顔をガンガン「タフな野郎だな〜翔までとはいかねーが」ごらぁぁぁあっ!!まだ人が話してる途中でしょうが!!」

「うるせー」

 

 無慈悲に男鹿が美破の顔をガンガン叩きつける。美破が叩きつけられる度にベル坊は上機嫌になる

 そんな事を2、3分続けるとやっと美破が沈んだ。凄えタフさ

 

「じゃ、続きをやろーか?」

「………私の、負けよ」

 

 変わらぬ顔で続きをやろうとするボロボロの男鹿に無傷の邦枝は自分から負けを認めた

 

 

 

 

「ちくしょうガッカリだよ!!これじゃあ二人は誤解が解けて仲直り、二人の仲はより親密に……!」

「別に良いじゃんクズ市、お前は彼女出来たことあんだろうが。一度も彼女出来たことない男鹿に少しはな〜」

「いや、そのクズの言う通り失望した。残忍さだけが取り柄だと思っておったのに、女相手では手も上げられんのか。…チェックメイトだ」

 

 クズ市の説得を試みるもヒルダがクズ市の言葉に同意しながらチェスで勝ちをもぎ取ってきた

 

「え…ヒルダさん!?いつからそこに……」

「ん?最初からいたぞ。な?ていうかお前チェス強くね?

「うむ、クズの『よしよしもっとやれ』と言う呟き、心にしみたぞ。ふん、もっと強くなってから挑んでくるんだな

 

 すげえドヤ顔がムカつくんだが。何こいつ、常日頃からドSっぽいな〜って思ってたけど……ああ、こいつ悪魔だったな

 

「では、あの男の方も終わった事だし坊っちゃまの所へ行かねば」

 

 そう言いながらヒルダは立ち上がると男鹿の元へ行きベル坊を抱っこしに行った

 

「なあ翔さん…いや様…どうかこの古市ことクズ市が先程まで言っていた事を男鹿には内緒に…」

 

 古市が土下座してこちらに願いに近い何かを口にしてきた。それに対して俺の反応は

 

「さて、俺もそろそろ出るか」

「ねぇ!?無視はやめて!?せめて『内緒にしてほしくば…』とか言って交渉して!?」

「………」

「だから無視はやめて!?怖いから!そう言うの怖いし不安だしで夜も寝れなくなるから!」

 

 古市はほっといてその場を後にした

 …ん?ああ、もちろん男鹿には言ったよ?

 シメられてる古市が恨めしそうにこっちを見るからとびきりの笑顔で返してやった。笑えたわ〜

 

『お前、あの侍女悪魔をドSとか言ってたけどお前も中々Sだよな』

『いや、どー考えても自業自得でしょうが。友達やられて喜んでるって……姫川の時の恩はどこ行ったんだよ』

『喜んではなくとも助けに行かない時点でお前も同類に近いぞ?』

『うっせー』

 

 こうして色々ありすぎた気がする1日は終わった

 次の日には原作通り邦枝は烈怒帝瑠から抜けて制服姿で登校してきた

 

 ところで、昨日の夜気づいたんだけどさ?寒気が止まらないんだけど…虎に睨まれてる感じとかって言えばいいのかね?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話テスト

 期末テスト……それは、中学生から上の人であればみんな経験してる嫌な期間である。そして石矢魔は勉強嫌い率が180%、故に忘れていたのだ。それの存在に

 

『明日実力テストやります!』

 

 まさかの一週間前とかではなく明日である

 

「あったのかそんなもん」

 

 原作知識はあったが、友達から聞いたところ漫画の方では「あれはアニメのオリジナル」と言っていたので、この学校はテストなんてものがないとばかり思っていた。体育祭も、修学旅行も、学校の行事と呼べる物は一つもないのだから

 

「実力って喧嘩の?」

「この学校ならありうる…」

 

 男鹿と古市がそんな会話をしている。確かにそれはありうるが

 

「馬鹿共、あれ見ろ。テストの科目」

 

 指をさした先、そこにはテストの科目が書かれた紙が貼っており、そこに一つだかりが出来ていた

 

『なにぃ!?テスト科目が四つも!?』

『国語!』

『算数!』

『理科!』

『グッナーイ!いや社会!』

 

 小学生のテスト科目だ。ならば簡単……

 

「おいお前ら…ウチの教師らマジだぜ……」

「「これが出来ない奴ばっかなんだよなぁ……」」

 

 これに焦る男鹿を見て俺と古市はそう言わざるを得なかった

 

 〜自宅〜

 

「……と言うわけで、勉強教えてください」

「いやいや、いつも通りとはいえ勝手に俺の部屋に入ってきて『と言うわけで』って」

 

 千秋がどういうわけで勉強を教えて欲しいのか全くわからない

 

「お前は小学生の頃は成績が良い優等生だったろうが」

「小学生の頃の思い出は…翔と遊んだ記憶を除いて全て消えた」

 

 記憶ってそんな簡単に、そんでそんな綺麗に一部分だけ残して消える物なのだろうか?いや記憶無くした事がないから何とも言えねーんだけども

 

「友達と一緒に勉強……なんだかワクワクする」

「それには同意する。んじゃま、とりあえず始めますか」

 

 ちょっと興奮気味に勉強の準備を出す千秋に笑いかけながら二人だけの勉強会を始めた

 

 ………

 

「千秋、体力ヤバくなってきた。回復頼む」

「わかった。早くこっち側に来てください。ていうか、明智光秀強いですね…」

「そらそうだ。本能寺の変は負けイベントだもん」

「先に言って……!」

 

 戦国ゲームの協力プレイをして楽しんでいると千秋から疑問の声が上がった

 

「あの…なにこれ?」

「ん?勉強会」

「ゲーム…してるけど」

「ゲームでやった方が覚えやすいだろう?」

 

 このゲーム。昔のゲームだけど実際の日本史からキャラが出てきてるから覚えやすいんだよなあ

 

「なるほど、要するにいつも通り遊んでいれば勝手に覚えていくだろうと……」

「そゆことそゆこと」

 

 この後めちゃくちゃ遊んだ……ちょっと変な事考えた人はその場で好きな人の名前を叫びなさい。きっと変な人を見る目で見られるから

 

 〜翌日(テスト当日)〜

 

「大魔王からの宿題?」

「ああ、今日中に少なくとも30人ぶっ飛ばさねーと…もしくは人に押し付けねーと夏休みの間、補修地獄に落とされちまう…」

「それまた面倒な話だな〜。つーかまだ諦めてねーのかよ」

「あたり前だろうが!マジでふざけんなよ大魔王!!」

 

 大魔王適当だからな〜何をするにしてもその場での思いつきだし、人間滅ぼすってのも浅い考えで思いついたかもだし

 

「ダーッ!!」

「シャアアアア!!」

 

 ベル坊は猫と喧嘩を始めていた。それを見て男鹿がメモ帳のような物を取り出し呟いた

 

「確か猫は10匹で一点だったな」

「そこは真面目にメモ取るんだな」

 

 そしてベル坊の戦いは始まりベル坊は無数のラッシュ、猫は猫パンチを無数に繰り出し、勝ったのは…猫

 押し負けたベル坊はその場で泣いたため電撃が…やべっ

 

「ダアアアアア!!!」

「ぎゃあああ!?」

「おーい男鹿と翔、何しtぎゃああああ!?」

 

 途中から来た古市まで巻き込んで黒こげになった。…俺は魔力でバリヤ張ったから無事無事

 

「は、そうだ!魔王の親であるからには、強くて凶悪で…さらに頭がキレる奴であるべきなんだ!

 いままでベル坊が懐かなかったのは敵がが全員馬鹿だったからだ!」

 

 アホな暴論を口にする男鹿。俺と古市はバカを見る目で男鹿を見るが、要するにいつもの目というわけで全然気づいていない

 

「男鹿、石矢魔にバカは何人いると思ってんだ?」

「バカめ!世の中にはいんだろ!何もしなくとも勉強ができる天才が!そいつが本当にいるならベル坊を押し付けられる!」

「要するに賭けって事じゃねーか…」

 

 

 

 

 テストの用紙が配られる。まずは国語、予想通り小学生の問題だ

 まあ国語って『文章を書け』と言われたら大体△で1、2点とかになって100点は無理なんだけど…

 

「ん?」

 

 なんか知らんが俺のテストをカンニングしてる奴が一人いた

 

「うしし…『神野 翔』っと」

 

 名前をカンニングしてどうする。俺のテストが二枚になんだろうが…

 次は算数…これは国語と違い答えが確定しているため100点は余裕だ

 

 カラカラカラ……

 そんな音が聞こえてきたためそちらを見るとア、イ、ウ、エ、オと書かれた鉛筆を転がし

 

「ふっ…俺にはこれがあるんだよ……」

 

 止まったマスの字を書いた馬鹿がいた。ちなみにその問題は

 316+684=ウ

 つまり不正解は確実である

 …まあそんな風にテストは終わり、ベル坊のテストもテスト終わりに男鹿を囲んで喧嘩をしようとした者がきたためそれら全てを倒す事で満点であった

 そして次の日のテスト結果…

 

 1年

 

 総合得点1位

 神野 翔

 

 総合得点2位

 谷村 千秋

 

 総合得点3位

 古市 貴之

 

 あと全員五十歩百歩

 

 となった

 次のテスト頑張ろう

 

「アッハッハ…まさかこんなに近くにベル坊押し付けられる奴がいたとはな!そうだったそうだった。お前は最初から悪魔の力使えんだし…」

「ふざけんな。誰が受け取るか」

 

 ベル坊をぐいぐい俺に渡そうとしてくる男鹿にそう言った

 さて、次は夏休み…丸々一ケ月の間、ずーっと休みと言うナイスなイベントだ

 海水浴、夏祭り…あとなんだっけ?まあいいや

 そんなイベントがちらほら見つかる時間だ

 そして、男鹿と東条が石矢魔最強をかけて戦う…そんなイベントもある…学校壊れるな

 

 

 〜はい夏休み〜

 

 

「プール行きたいからお金貸して」

「…なあ千秋。いつも予告もなしに家に来て、無断でノックもせずに俺の部屋に入る事は100歩譲って許そう。慣れたしな

 でもな、開口一番にそれはどうかと思うぞ?」

 

 部屋で18禁の本を見てアレをやっていたら千秋の魔力を感知し、即座に隠すと3D◯を開きあたかもゲームをやっていたかのように装いながらそう言う俺

 

「…なんだかイカ臭い?」

「おいコラ人の部屋をイカ臭いとか言うな。傷つくぞ?割とマジで傷つくぞ?

 …てか、なんでプールに行くくらいで金が必要なんだよ

 最近『お金貯まった♪』とかめちゃくちゃ嬉しそうに話してだじゃねーか」

 

 バレそうだったため、話題を変える。はい『露骨』とか言ったそこの君、今夜の夢は野◯先輩に襲われる夢を見るからね〜そういう呪いをかけたからね〜

 

「新作ゲーム買うのに費やしちゃった」てへっ

「え…何急に……」

「ああ、引かないで引かないで……」アワアワ…

 

 うむ。可愛い

 

「はぁ、しゃーねぇ。ほら、昼飯込みで1500円」

「いいの?」

「いらなかったか?」

「あ、いや…いる。ありがとう」

「どういたしまして。楽しんでこいよ〜」

「うん」

 

 そう言って千秋は俺の部屋から出て行った

 

『よーし、早速俺達もプール行くぞ〜女の水着をじっくりたっぷり見るんだ〜!』

『無理ではないけど難しいぞ?考えても見ろ、万が一千秋とばったり会っちまったら気まずいだろうが』

『…本音は?』

『気まずくてもいから千秋の水着姿見てみたいです』




野獣の呪い?
ああ、嘘嘘!そんなもんあるわけないじゃん
ほら、作者たまに嘘つきだぜ?



ちなみに『ホモは嘘つき』を思い浮かべたホモ達は本物の野獣の呪いが降りかかります


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話プール

ラストォ!!!


 プルルルル…プルルルル…

 

 携帯が鳴る。何事かと見てみれば男鹿の家からだった

 

「もしもし?」

『おう出たか!プール行こうぜ!』

「……男鹿か。いきなりだな…断っていい?」

『えー…古市の家に電話しても出ねーからお前と行こうと思ってんだけど…』

「古市は南の島に旅行に行くって言ってたぞ」

『何!?あの野郎……』

「古市連れて来たいならさ〜アランドロン使えばいいじゃん?」

『その手があったか!よーし待ってろよ古市!!』

 

 ガチャッツーッツーッ…

 

 古市を生贄にした。そのせいか喉から罪悪感(笑)が込み上げてくる

 そして俺は◯ョ◯ョ4部の殺人鬼のように両手を広げそれを吐き出した

 

「フ、フフフ…アハハハ!やったぞ!自由だ!俺は自由なんd『ガシィ』ん?」

 

 笑っているといつの間にかアランドロンが割れた状態で立っており、その中から見た事のある手が伸びて来て俺の腕を掴んでいた

 

「誰が自由だってぇぇぇえ?どうせならお前も道連れじゃぁぁぁあ!」

「これが神野殿の水着セットと財布ですな!」

 

 アランドロンの中から古市がゾンビのような顔で出てきて、アランドロンは器用に割れながら俺の水着セットと財布を自身の中に放り込んだ

 

「うわあああ!!離せ古市ぃ!!俺はここでクーラーとアイスを堪能するんだぁぁぁあ!!」

 

 そんな声も虚しく、俺はアランドロンの中へ引きずり込まれた

 

 …………

 

 出口が開いてペイッと吐き出すように外に出される。夏なので蒸し暑い…そんな中浮き輪を身につけた男鹿とベル坊が涼しい顔して待っていた

 

「おお!翔も来たのか!…コホンッ、市民プール。行こうぜ!!」

 

 俺は古市を心から恨んだ

 

 

 

 

「学生2枚」

「こっちは1枚」

 

 じゃんけんで勝負した結果、俺が男鹿の分を払う事になった

 

「なあ、何でこんな事になったんだっけ?」

「そりゃあお前…翔が俺を売って自由にしようとしたらオレが道連れにしたからだろ?」

 

 二人でそう話すと二人で男鹿を見る

 

『まだかーーあちーよ』

「「最初にプール行こうとか考えた男鹿(アイツ)が悪い」」

 

 そういう事にしてお互いを許す事にした

 男鹿、許すまじ

 

「すげー人だな…なあ、改めて聞くけど…これは何の拷問だ?」

「あ?何って…夏と言えばプールだろ?」

「まあ確かにね?それはそうなんだけどね?

 高級リゾートのプールサイドにいたこのオレがだ。何でこんなすし詰め状態の蒸し風呂みたいな市民プールにいなければならんのかと、オレは聞いているのだ」

 

 古市が長々しくそう男鹿に問いかけると

 

「翔がそうしろって言ったから」

「翔、この野郎…」

 

 古市が睨みつけてくるが俺も口を開いた

 

「俺も聞くけど、何で今日はクーラーとアイスを堪能しようとしていた俺がむしろ暑苦しい場所に引きずり込まれた?」

「なんかお前の差し金かと思ったから」

 

 古市…凄い勘が鋭いな

 次に古市と共に男鹿に聞いた。すると男鹿は真顔で、当たり前のように答える

 

「「これ、男鹿は楽しくねーだろ」」

「古市のガッカリした顔が見れればそれで良かったんだが、翔まで釣れたのはラッキーだった」

 

 コイツは悪魔だ。楽園にいた俺達を地獄から足を掴んで引きずり下ろす悪魔だ

 

「それ、逆にお前が俺達の所に来るって言う発想にはならなかったのか?」

「ははっ何言ってんだ。そんな事しても………あっ」

((死ねよもう…))

 

 

 

 

 腹が減ったからたこ焼き食う事にした。確か原作だと古市はジュース買いに行ってる。そこで大森と千秋に会ってるから…既にここには大森もいないはず

 確かベル坊がプールの中で泣いて電撃放つからな〜プールには入らないようにせねば…

 

「たこ焼き大盛り一つ」

「あいよ」

 

 12個入りのたこ焼きを頼んで金を渡す

 しばらくするとできたてのたこ焼きを渡されたのでその場から立ち去る。どこで食べようかキョロキョロして迷っていると

 

「「「あっ」」」

「ん?…あ」

 

 聞いたことのある声が3つ聞こえてきた。なんだなんだ?と視線を前に戻す。そこには古市、大森、千秋がそこにいた

 

 

 

 

 4人座れるテーブルに座る。別に無視してよかったのだが…ていうか無視しようと背を向けて歩き出したら肩に一つの手がポン、と置かれて

 

「一緒に食べよ?」

 

 千秋からそう言って誘われたのだ

 

「い、いや〜偶然ですね〜…ちょっと聞きたいんですが、そこの人と翔ってどういう関係なんですか?

 

 古市が開口一番にドスの効いた声で聞いてくる。嘘を言った所でバレる気がした俺は正直に答えた

 

「「幼馴染で、ゲーム仲間」」

 

 千秋と声が被った。それを聞いた古市は笑顔ではあったが、器用に俺だけに向けて殺気を向けてくる

 

アッハッハ。仲良いんだなぁ…ていうか、幼馴染なんて翔にいたんだぁ

「ま、まあ」

 

 冷や汗をかきながら怒気の篭った古市の言葉にそう返す

 そして表情はそのままに殺気をしまうと次の言葉を出した

 

「残念だなー女王の水着も見てみたかったのに」

 

 そのストレートな言葉を聞いて千秋は無言で後ずさる

 ……おいコラ、さりげなく俺のたこ焼き持ってくなコラ

 

「……姐さんは今修行中だからね。遊んでるヒマなんてないのよ」

 

 俺と千秋がわちゃわちゃしてると大森がそう言う

 あ、千秋がたこ焼き食ベだした。独り占めするつもりか!?

 

「……修行?まさか…花嫁修行ですか?」

「一から鍛え直すって言ってんのよ

 おまけにチームはやめるなんて言い出すし、本当に男鹿との一件があってから踏んだり蹴ったりよ」

 

 溜め息を吐きながらばつが悪そうにそう言う

 ああ、たこ焼きをそんなに急いで食べるから……ほら水!舌は火傷してないよな……?

 

「「アンタ等イチャイチャすんな!!?

 鬱陶しいわさっきから!!」」

 

 二人同時に怒鳴られた。解せぬ、どこにイチャイチャした所があるんだ?

 

 

「よう古市、久しぶりだな。相変わらず女連れか」

「あ?誰だお前ら」

 

 いや知ってんだけどさ?古市の中学時代の先輩だよね?名前忘れたけどさ……

 

「ああ?テメェ、誰に口聞いてんだコラ?目上のモンにはちゃんとした挨拶があんだろうが」

 

 古市の先輩が顔を近づけて睨みつけてくる

 ああ、こいつ弱いかもしれん

 とりあえず近づけは威嚇できるとか思ってるやつかこれ?

 ……まあ仕方ない。乗ってしまった原作()

 大事にすんのはアレだがこいつの息が臭えしサクッと

 

 バシャッ

 

「……テメェ、何のつもりだ?」

「いやー暑いっすねー、先パイ」

 

 古市がジュースを先輩にかけていた。てっきり原作では男鹿に頼ろうとしてたから俺に頼るかと思ったんだが

 まあ男は女の前くらいカッコつけたい生き物。そっとしておくかぁ

 

 

 

 

 

 この後古市は原作通りプールへ逃げて、追い詰められて、ベル坊で全員倒して今日は終わった。表側ではね……

 

「クソがぁ!!あの野郎…アイツはぜってえ後悔させてからブチ殺す!!二度と歯向かう気も起きねえくらいボコってから…」

「うっせーよ。そんなんだから古市にも負けんだよ負け犬」

 

 古市の先輩が予想通り喚き散らし、仲間と共に武器を持っていた。その言葉を笑いながら馬鹿にする

 

「お前は古市と一緒にいた……」

「えーと?目上のモンに対する挨拶とか何とか…だったか?

 石矢魔での挨拶の仕方でやってやるよ。ちょっとキツイかもだが、我慢してくれよ?」

 

 驚いている先輩を無視しし、拳をコキコキ鳴らして相変わらずの笑顔でそう言い放った

 すると仲間が何かに気づいたように焦りだす

 

「た、高島さん!こ、こいつ、石矢魔で噂の『伝説(レジェンド)』です!!?」

 

 お、俺って結構有名なのか?…いや、昔からそうだったし変わってねえか

 

「そんじゃあ早速の後始末、やりますかねぇ」




お疲れ様でしたぁ!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話

…なんか、土曜日にランキング見たら5位になってた
しかもお気に入り登録したら300超えてたし…どゆこと?


「あ……が……ぁ」

「…頭痛い」

 

 地味に数がいたから時間はかかったものの、全滅させる事くらいは楽だった。俺は倒れた人の山の上でカキ氷を食べ終えたところである

 

「そんじゃあ、さっさと帰るかっと…

 

 

 …お?」

 

 山から下りて真っ直ぐ進み、右に曲がった所で三人組の男がいた

 一人は長髪を後ろで結んでメガネかけた男

 もう一人は丸いサングラスをかけたオールバックの男

 最後の一人は虎のような風格を漂わせる、右側の眉に傷を負った男

 

(うん。間違いなく東条達だわ…ちょうど帰る方向にいるし…目を合わせないようにしてさっさと通り過ぎるか)

 

 東条=喧嘩バカ

 これはべるぜバブを知っている者であるならばこの図が出来上がるのは無理がないはず

 関われば間違いなく第一声は……

 

「『喧嘩…しようぜ?』」

 

 だ。……んん?

 なんだ?なんだか誰かと頭の中の声と重なったぞ?

 それに何だ?この右肩を掴む手は……いや、予想はついてるんだけどね?

 

 予想は外れてるかもしれないから外れてる事を祈って誰の手か見る

 

「お前、あの時のやつだろ?」

「え、えーと…確か東邦神姫の…」

 

 東条 英虎。間違いない…外れて欲しかった予想が当たった

 つーか、あの時ってどの時?

 

「あの時とは……?」

「あ?ホラ、石矢魔で肩ぶつかったろ?」

 

 覚えてるか、んなもん

 

「東条さん。やめてくださいよ。もう夜中ですよ?」

「そうだな。虎、今日のところはやめておけ」

 

 東条の隣にいたサングラスとメガネが東条を止めてくれる。有り難い……!

 

「「どうせ夏休みなんだし、明日河原辺りで約束すればいいじゃねえか(じゃないですか)?」」

「おおそうか!!」

 

 前言撤回。お前らなんか大嫌いだ

 とりあえずは明日の昼、河原辺りで集合!という形で別れたがどうしよう。マジでどうしよう

 東条の力は未知数だ。勝てるかどうか怪しい

 いや、喧嘩って最初から勝てるかどうかなんてわからないんだけどこう…勝てるためのビジョン的なものを想像するのだが、東条相手だとそのビジョンすらも浮かばなくなる

 

「勝てるのか、俺は?」

 

 魔力でも使えば今の東条であれば楽に勝てるだろう

 だが、できればそんなズルみたいな勝ち方で勝ちたくはない

 

『フッハッハッハ!!ついに魔神である俺の力が必要になったかな?』

 

 アンリが出てきた。幽霊に一体何ができるのだろうか

 

『おーい聞こえてんかんな?短期間で強くなれる方法を教えてやるのにな〜』

『何、ドーピング?』

『違う違う

 

 

 俺がお前の体を使って暴れるのさ!!!』

『却下。話にもならん』

『うわあああああああああああ!!!俺にも暴れさせろおおおぉ…』

 

 

 

 

 

 

 

 〜翌日〜

 

 男鹿から「ベル坊が風邪引いた」と言う電話があった。知るか、俺はそれどころじゃねーんだよ

 

「おう、来たか!!一つ食うか?」

「あ、はい一つだけ」

 

 東条がたこ焼きを焼きながら待っていた。そうだそうだ、そう言えば東条ってバイトしまくってんだったな

 

 たこ焼きを食べ終えると東条はメガネの人達と交代して河原に立つ。俺もとりあえず対面になるようにある程度距離を置いて立つ

 

「そんじゃあ始めるか……」

「はい…それじゃあ」

 

 先に踏み込み右で殴りかかる。東条もそれに反応したようで同じように右で殴りかかる

 

 ゴッ……

 

 鈍器で殴られたような音が二人から鳴る。吹っ飛ばされはしないが、東条も吹っ飛ばない

 とりあえずまた距離を置いた

 

「凄えな。……そういえば、名前聞いてなかった。名前は?」

「……神野 翔だ」

「そうか、そんじゃあ神野 翔。続きをやるか…!」

 

 今度は東条が踏み込み殴りかかって来た

 迫る拳を俺は

 

 ゴッ……

 

 額で受け止めて耐える。それを見て東条が驚いている隙にアッパーを顎に叩き込む

 

 ガシッ……

 

 顎に当たり、東条は上を向いたのだがそのままの状態で俺の腕を掴むと

 

「ふんっ!!!」

 

 頭突きをかましてきた。あまりの威力に意識が飛びかけだが、瞬間に舌を噛む事でそれは免れた

 

「ほー、凄えなお前。大体の奴はさっきので倒れるか、残りはまともに立つことすらできてねえぞ?」

「そりゃどう…もっ!!」

 

 顔面に飛び膝蹴りを食らわせると掴まれていた腕が外れた。そのまま空中で膝蹴りをした足を伸ばして神崎の十八番、かかと落としをまたも顔面に食らわせる

 

「……面白えなぁ。お前」

「バケモンかよ」

 

 飛び膝蹴りを顔面に叩き込んだことで脳は上へ、かかと落としで下へと揺れたはずなのに、あろうことか東条はそれを受けてもなお平然としていた

 そのまま足を掴むとニヤリと笑いながら

 

「本気を見せてやる」

「ッ!?」

 

 マズイと心よりも先に体が反応し余った片方の足で東条の首に蹴りを入れた。だが、ビクともしない

 もう片方の足も掴まれ上にぶん投げられる

 

 軽く10mは飛んでいるのではないだろうか?

 それくらいの高さから東条を見れば拳を固めて落ちてくるのを待っている

 

(ああ、負けたわこれ……)

 

 だったらせめてと腕で防御の姿勢に入った

 数秒後、東条の拳を受けた俺は水切りのような動きで反対側の河原まで吹っ飛ばされた

 

 

 

 戦いたくないとか言ってたけど……悔しいなぁ

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

「お帰り〜…って、凄い怪我!?どうしたの!?」

 

 家に帰ると母さんが出てきて俺を見るなり驚きの声を上げる

 

「喧嘩したら負けた」

「ああ、ほどほどにしなさいよ?アンタはお兄ちゃんになるんだから……」

「母さんも妊婦なんだからあんま無茶はやめてくれよ?」

 

 普通の言葉を交わして自分の部屋に向かう。ドアを開けると……

 千秋がいない。明日槍の雨でも降るのではないだろうか

 

 

 

『にしてもお前、あっさり負けたなぁ』

『わざわざ掘り返すなこの野郎』

 

 ベッドで横になって休んでいるとフヨフヨ浮いた状態のアンリが話しかけてくる

 

『こうなるとお前、ゲンサクとやらに置いてかれるぞ?

 お前の記憶だとまだ強くなるんだろ?あの東条とか言うやつ』

『いや、そりゃあ強くなんねーとって思ってるぞ?せめてリベンジしたいが、今のままじゃ結果は変わらんと思うし』

 

 短期間で強くなれる方法…そんなうまい話があるわけないし…心月流を学ぶってのも考えたが、間違いなく男鹿と東条の最終決戦は終わるし…

 

『…仕方ない。この悪魔の神、アンリマユ様が!直々にお前を鍛えてやらあ!!』

『は?お前に体預けるなんて事しねえぞ?大体、お前に実体はねえだろうが』

『まぁまぁ、とりあえず今日のところは眠れ。話はそれからだ』

『いやだから、俺の頭の中の原作を覗いたんならわかるだろうが!?男鹿と東条が戦うのは『はいはいわかってるわかってる。さっさと眠れ馬鹿』

 

 全然納得いかないがとりあえず眠る事にした。明日だけの特訓?できるわけないだろうが、馬鹿馬鹿しい……

 

『いったいいつから明日っつったよ?この夜の内に強くなるんだよ馬鹿タレ』

 

 アンリの声を聞きながら俺の意識は夢の中へ入り込んでいった

 

 

 〜夢の世界〜

 

 

「よう」

「……ああ?」

 

 目が醒めると何もない真っ平らな空間にアンリと二人でそこにいた

 ここはどこか?と視線で尋ねるとすぐに話してくれた

 

「ここは精神世界のほんの一部分だ。ここでお前は丸六年もの間、俺と修行をしてもらう」

「いや、六年は無理だろ?まさかお前、留年しろってか?」

「違う。精神世界には時間という概念が存在しないといっても過言ではない。一時間で一年という設定にしてある」

 

 要するに俺は六時間寝るからその分修行してろって事か

 なるほど、了解了解

 

「それじゃあ、始めますかぁ」

「おう、よろしく頼む……えーと、神様?」

「すまん。今まで崇めろとか言っといてあれだけどなんかむず痒くなるからやめて」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話修行終了

精神世界で強くなる→喧嘩が強くなる
現実世界で強くなる→体が強くなる


「いやぁ、お前。6年分修行しろとか言ったけどさ?

 面白いくらい俺の教えた事こなすから3年目でもう教える事なくなっちまったじゃねえか……」

「人はこれを天才と言う」

「うぜえな……仕方ない。とりあえず喧嘩においての技術は一通り教え終わった。あとは……魔力の使い方かね」

 

 武術などの技術は人間から教われとの事で、次は魔力の使い方に変わった。そしてそれを教える前に言い放たれる

 

「お前、ぜんっぜん俺の力を使えてない」

「え、マジで?ベル坊くらい出したら十分かとばかり…」

「アホか。確かにアイツは魔王の息子だが、神様である俺に届くわけないだろうが。ちなみに今のお前で出せる全力は俺の2割程度

 せめて、とか?4割くらいは出せるようになれ。最低でもあと1割は出せるように」

 

 アンリのその声を聞いてとりあえず損はないと判断し、首を縦に振る事で了承する

 

「よ〜し、なら……

 今まで以上にきついから気をつけろよ?」

 

 

 

 

 

 目が覚めた。朝だ……やっと帰ってきていた。カレンダーを見れば日付は変わらず夏休み真っ只中だ

 

『おっはー。気分はどうだ?』

『うん。なんか久々過ぎて泣けてきた』

 

 涙が出る。体感では6年間何もない世界にいたせいで家の近くにある木ですら見ただけで涙が出そうになる

 

 プルルルル……プルルルル……

 

 携帯電話が鳴った。見れば見た事のないところからだ

 とりあえず電話には出てみる事にした

 

「もしもし?」

『おお、翔。ベル坊見てねえか?』

 

 男鹿からだった。そういえばベル坊がどっか行って姉の美咲さんに見つけて連れ帰るまで家には入れないとか言われてたんだっけか?

 

「見てねーけど……どうしたんだ?」

「いや、朝起きたらベル坊がいなくてよ?自由になったと思ったら姉貴に叩き出された」

 

 予想通りだった

 

「そうか。なら探すの手伝ってやろうか?」

「馬鹿め。せっかく自由になったのになんで探すんだよ」

 

 馬鹿はお前だ。なんで自由になったのに俺に見てないか聞くんだよ

 

「とりあえず探しといてやるからお前も探しとけよ?そんじゃ」

「あ、ちょ!?だから探すn」ガチャッ

 

 さて、河原で見物でもしますかぁ……

 

 

 

 

 〜河原〜

 

「よー古市」

「あ、翔……って、何だその怪我!?」

 

 河原に行くと原作通り男鹿と東条が喧嘩していた

 ベル坊は顔が赤い状態でサングラスの人に抱えられてるし

 

「昨日東条にやられた」

「あーなるほど、東条に……って、はぁ!?マジで!?」

「マジだ……っと、今は男鹿の方を見てねえと」

 

 そう言って古市に男鹿の方を見るように促す

 すると男鹿は東条に連打を仕掛けて、袖を引っ張る。すると掴んだ袖が破ける。そこには…

 

「ゼブルスペル………!!?」

 

 東条の肩に男鹿がいつも手の甲につけられているあの刻印が記されていた

 そして次の東条の攻撃で男鹿は吹っ飛び、川の中へボチャン。と落ちていった。これをやった東条はそのまま古市に向き直ると

 

「なあお前、アイツに伝えときな『楽しかったぜ』ってな」

 

 それだけ言うと今度は俺に向き直り

 

「さぁ、始めようか……!」

「は?」

 

 まるで意味がわからない。何故また俺と戦う事になっているのか…

 

「わかるぜ?お前、この短期間で強くなっただろ?

 隠そうとしても俺にはわかる」

 

 野生の感のようなものなのだろうか?一瞬で見抜かれるとは……けど

 

「今は断る。リベンジしたいがそんなボロボロの状態で俺と戦われても俺が納得しない」

「……そうか、ならまた今度やろうぜ!!」

 

 東条がニカッと笑いながらその場を後にする

 俺達はそれを見ると川に落ちた男鹿の方へと足を運んだ

 

 

 『うわっ臭え!死んだザリガニみたいな匂いがする!!』

 『うっせぇ!殺すぞコラァ!!』

 

 

 

 

 

 男鹿の無事を確認して別れて家に帰るととりあえず寝た。そのまま数時間、バッチリ眠り起きた時は夜中の2時

 原作だと男鹿が薬を受けて目を覚ましたところ辺りか?

 

「夜の散歩に行くかぁ……」

 

 夜の散歩とは言ったが、行く場所は東条のいる石矢魔高校だ

 原作改変になるんだろうが、東条へのリベンジがしたい

 

「……行ってきます」

 

 今も寝てるであろう家族に向けてそう言うと家の玄関を開けて家の合鍵で玄関に鍵をかける

 そのまま石矢魔高校へ向かう道を進み、数分後…

 

「神野ぁ…お前、東条の首を狙ってんだろ?」

「悪いがここからは通行止めだ。通りたくば俺達をぶっ飛ばして行け」

 

 石矢魔の不良十数人に囲まれた

 ……肩慣らしにはちょうどいいか

 

 そんな事を考えながら拳を握り臨戦体制に入る

 風が吹き、そこらの空き缶が転がる音がなるとそれを合図に一斉に不良達が動き出した

 

「死ねぇ!!」

 

 最初の拳が迫る。それを俺は

 

(スローモーションに見える)

 

 アンリとの特訓で動体視力が上がったのか、拳を見て避ける事が出来るようになった

 

「え?」

 

 ズドンッ

 

 カウンターのように一人目の頭を掴むとそのまま地面に叩きつけ、めり込ませる

 

(次!)

 

 そのまま十数人の不良を相手に喧嘩を続けた

 

 

 

 

 

 学校に着いたはいいが、敵がうじゃうじゃいたため裏門から入ってみれば誰もいなかったため、そこから敷地に入る。馬鹿だろあそこにいるやつ……

 

「お、やっときたか!」

「昼ぶりだな。東条」

 

 校庭にきてみればベル坊を背負った東条が花火の準備をしながらそこで待っていた

 

「「喧嘩、しようぜ…!」」

 

 お互い拳を構えながらそう口にする

 数秒睨み合い、そして

 

「「だああああああああ!!」」

 

 拳を握り同時に殴りかかる

 

「シッ!」

 

 先に手を出したのは東条、素早いストレートを放ってきたが、マトリックス避けをし、そのまま左でガラ空きの腹に一撃入れる。ボクシングで言うスマッシュだ

 

「効かねえなあ」

 

 予想通り東条にはほとんどのダメージが入っていない。だが、予想通りであるため、次の一手を出す

 

「もう…一発!!」

 

 続けて今度は右からの打ち下ろしを頭に叩き込む

 

 ドゴッ

 

「ハッハッハァ!!!やっぱ楽しいなぁ!!」

「ぐっ……!」

 

 だが東条倒れない。それどころかボディブローでの反撃もしてくる

 一発で東条の攻撃が止まるはずなく次に顔面、頬と次々に重い一撃が繰り出される

 

「ハッハッハッハッハッハッ!!!」

「調子にぃ……乗んなぁ!!!」

 

 隙が出来たため、顔面に全力の力で一発当てる。お返しとばかりに俺も次々と連打を繰り出したが、東条は倒れない

 

「ガアアアアアアアアア!!!」

「ハッハッハッハッハッ!!!」

 

 それどころか、◯ョ◯ョ3部のオラオラと無駄無駄のようなラッシュ対決になった。こうなると、とにかく手数の多い方が勝ちに近づく

 

「………ッ!」

「ッ、終わりだあああ!!!」

 

 足にもダメージが来ていたのかガクッとよろけた。その瞬間に東条が最後の一発を入れにかかる

 

「負……け……るかああ!!」

 

 足を無理矢理動かし、俺もその一発に合わせる

 お互いがお互いの拳に殴られ、その場で停止する

 

 ………

 

「やっぱ、喧嘩は面白えなぁ……!」

「ああ、今回も楽しかったぜ」

 

 そう言葉を交わして先に倒れたのは……

 

 

 東条だった

 

「……ッハァ!!ハァッ……!ハァ……!」

 

 勝ちを確信すると何故か苦しさが溢れてきたため一気に息を吸いこんだ。どうやら息をする事すらも忘れていたそうだ

 ……ベル坊が見ているが、こいつの親はアイツしか勤まらない

 そのアイツと言えば一体どこで何をしているのだろうか?

 

「よう男鹿。すまんな、先にやっちまったわ」

「うっせーぞコラ。俺の見せ場とんじゃねえよ」

 

 アイツ…男鹿辰巳はボロボロの状態の俺を見ていた

 

「そういえば、初めてお前と喧嘩した時も俺の喧嘩が終わった後だったな」

 

 そんな事を呟きながら俺はまた拳を固めた




……すいません。昨日感想が来て書き換えようかと思ったんだけど、ストックが12、3話くらいあるの
少し変えただけでそれ全てに影響出るから…ね?
全て書き換えないといけなくなっちゃうの…


期待外れで申し訳ありませんでしたぁーー!!!
こんな早くに「ストックする」と言う事のデメリットが牙を剥くとは思いもしませんでした!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話弁当

「フンッ!」ガスッ

「ぐっ…ああ!!」ドゴッ

 

 男鹿との対戦は血を血で洗う戦いだった。東条と戦った俺にはほとんど体力は残っていなかったが、『火事場の馬鹿力』と言う物が出たのだろう。ボロボロの状態からなんとか男鹿を同じくらいにボロボロにできた

 

「勝つのは……」

 

 次の瞬間、男鹿の拳に魔力が集まり出した

 それを察した俺は即座にゼブルスペルを出し、殴られる箇所を魔力で固める

 

「俺だぁ!!!」

「ッ……」

 

 強烈すぎる一撃が俺の腹に直撃する

 男鹿の手の甲を見ればベル坊の蠅王紋(ゼブルスペル)が現れていた。その後、原作通りこちらに向けられた花火を男鹿が片手で防ぎ、男鹿がベル坊に叱ると蠅王紋が消えていった

 

「悪りぃな。待たせちまった」

「アホか、こっちは少しは回復できてラッキーだったよ」

 

 もちろんお互い紋章を消して再度構える

 

「「勝つのは俺だあああ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 朝まで続いた殴り合いの末に勝利したのは

 

「ーーーーーッハァ〜…負けたかぁ」

「ハァ…お前、やっぱアホみたいにしぶといな」

「その代わりにお前の拳はアホみたいに痛いわボケ」

 

 男鹿だった

 東条にリベンジしたはいいんだが、その次の喧嘩で負けるとはなあ…世の中何が起こるかわからないもんだ

 

(この場で寝てしまいたいけど、原作通りならこの後に一大イベントが起こるから避難しねえと……あ、やべっ体動かん)

 

 そんな感じで悪戦苦闘していると東条の肩のゼブルスペルの話を男鹿と古市が聞き終えてしまう

 

「男鹿、お前が石矢魔最強だ

 もうこの学校はお前のもんだよ」

 

 ………

 

「……うん。それはいいんだけどね

 さっきから腕がもげそうなんですけど…」

 

 男鹿の右腕の筋肉が膨張し、雑巾を絞る時みたいに捻れていた

 

「ちょ…うわっ、何それお前……キモっ近寄んな!」

「おい古市!俺動けねーんだけど!?ちょ、近寄んな男鹿!!

 た、助けてぇぇぇぇえ!!!」

「ダーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 三人でわちゃわちゃしていると外野のヒルダから声が投げかけられた

 

「!!いかんっ坊っちゃまが興奮しておられる!!今まで溜まりに溜まった魔力が全てあの右腕に注ぎ込まれているのだ!!

 おいっ早く発散させるんだ!!破裂するぞ!!」

「あぁ!?発散ったって」

「なんでもいいから殴るのよ!!」

 

 

「くっ、おおおおおおおおおおおおっっ!!」

 

 

 

 

『えー私、ただいま信じられない光景の前におります

 ここは地元でも有名な不良高「石矢魔高校」、もうすぐ二学期という学生さんも多い事でしょう

 ところがご覧ください!なんでしょうかこれは!!校舎がないっ!!

 あるのは瓦礫の山・山・山!!

 一体昨夜一晩にして何があったのでしょうか!?

 近所の話では』ピッ…

 

 はい、石矢魔高校は壊滅しました。原作を知ってるからあんま驚かないけど、実際目の前で殴った瞬間には恐怖を覚えたね!

 ……アニメの方だとちょっと違ったけど。いや、大分違ったな

 

「石矢魔、なくなっちゃったね……」

「いや千秋さんや。『終電…なくなったね』みたいに言われても困るから…つーか何それ?新しいラブコメ?」

 

 自宅のベットで眠っている俺の隣で千秋が当たり前のように座っていた。流石にこの状態で『ゲーム…しよ?』とか言わないのはせめてもの救いだ

 

「まあ、本当に石矢魔なくなったが…俺達マジでどうすんだろうな?」

「さあ……はい」

 

 千秋が適当な返事を返して来ながら何かを取り出して俺の横に置いた

 

「……弁当?」

「うん」

「誰の?」

「翔の」

「コンビニ?」

「……手作り」

 

 …………

 なんだろうか、驚きと喜びで吐きそうなんだが……蟹と柿を同時に食ったような感じだ

 

「あ、ああ…ありがとう」

「食べて?今すぐ、感想聞きたい」

 

 凄い真剣な目で俺を見てくる。そんな目を見て断る事は出来ず、弁当を開け……開け……

 やばい、動いたら激痛走る

 

「すまん。体が痛いから無理だわ……後日感想言うから」

「………」

「なあ千秋?なんでお前が弁当開けてるの?見せびらかしたいの?」

「………はい」

 

 千秋が弁当を開けて箸を取るとおかずの一つをつまみ、俺の口元に近づけて来た……古市が見てたら血の涙を流していただろう

 

「……食べないの?」

「いやぁハッハッハ…い、今は腹が減ってなくてね…」

 

 これをしたら恥ずかしさで死ぬ。つーか今も恥ずかしい

 そう言う意味で断ったのだが、千秋も引く気は無いらしく言葉を出した

 

「嘘、今食べようとしてた」

「一口なら行けると思ってたんだけど、さっき言った通り動かせなくてな」

「だったら、この一口は行ける」

 

 やばいよこの子。絶対食べさせる気だわ…さっきから箸がジワジワ近づいて来てるもん

 そんな事を考えていると懐からキラリと何かを取り出した

 

「……何それ」

「猫じゃらし。これを…足の裏に」

「あ、お前ズルいぞ!!?いや、ちょ…やめ…ヤメロォー!!

 ……ハッハッハッハッハッハ!!!」

 

 いだだだだだ!?笑うたびに体に激痛が走る!?

 

「せい」

「ムグッ!?」

 

 笑う事で開いた口に無理矢理ねじ込んできた

 美味いけど、体痛い。なんだこれ

 

「美味しい?」

「うん。美味い美味い」

「適当に言ってるよね?」

「適当ではない。本心から言ってる」

 

 激痛に耐えながらちゃんと味を噛み締めて本音で答えたのに適当とは酷いな

 

「ところでなんで次のおかずが俺の口元に運ばれているのかな?」

「………あ、あ〜ん」

「いや、そう言う意味じゃなくてですね…あ〜もう、わかったよ食べるよ食べますよ食べればいいんでしょ!?だからそんな顔真っ赤の涙目で頬膨らませんな!」

 

 可愛い……悶絶死しそうになりながらもそのまま一口、二口、三口と食べていき、そのまま……

 

「ごちそうさん」

「お粗末様♪」

 

 若干機嫌が良くなった千秋が弁当をしまうと立ち上がってその場を後にする

 

「…あ、ちゃんと安静にしててよ?」

「さあな〜また喧嘩するかm…冗談です反省したんでエアガンこっちに向けないで」

 

 

 

 

 〜一気に飛んで三日後〜

 

 流石ギャグ漫画でもある『べるぜバブ』の世界……だった三日であれだけの傷が治るとは……

 

 プルルルルップルルルルッ

 

 携帯電話が鳴る。とりあえず携帯を手に取りそれに応じる

 

「もしもし男鹿か?」

「おう、翔はそろそろ動けんだろ?ちょーっとラミア達に帰る前にって頼まれたから河原に来といて欲しいんだが…」

 

 ああ、ベル坊直す医者が魔界に帰る時か……

 とりあえずちゃんとした対応を取らねば

 

「は?やだよ、つーかラミア達って誰だよ?新手の詐欺かコラ」

「へ?お前会ったことなかったか?ホラ、俺と喧嘩した時にいただろうが?」

「……すまん、心当たりがまるでない」

「……まあとりあえず河原来い!な!?」ガチャッ

 

 最後はほぼ強制的に来るように仕向けられた感じだ

 これで来なかったらシバかれる気がしたから行くけど、なんで俺が呼ばれるわけ?

 

 

 

 

 

 

『フハハハハ!!!見てるか翔!?これが本当の神に対する態度なのだよ!!今までの比例を詫びるなら許してやらない事もないぞ!!』

『本物の神様に召されてろ』

 

 はい、ラミア達もいつぞやの時のようにアンリに祈りを捧げていた。それを受けて物理的に鼻を高くして威張り散らすアンリ

 嗚呼、今祈りを捧げてる奴らにコイツがどんなやつなのか見せてやりたい…口で教えたら

 

『神に対するその不敬、万死に値する』

 

 とか、ヒルダさんに剣を突きつけられそうだ。そのまま焼き土下座させられる勢いで

 

「なぁ、アイツ等何してんの?」

 

 アンリが見えていない男鹿が俺に聞いてくる

 

「俺の契約悪魔は神様なんだとよ。だからアイツ等は祈りを捧げてるんだと」

「魔界にも宗教的なのってあるんだな」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖石矢魔
第17話魔界


 最後の挨拶を終えてラミア達が帰る時間になった。ちなみに挨拶がてらにラミアの師匠的存在のフォルカスにお茶と煎餅あげたらなんか機嫌が良くなった

 

「そろそろ行きますぞー」

 

 アランドロンが呼んでいる。二人が帰る時間になった

 いつも通りアランドロンが割れると二人が入って行くのだが…

 ベル坊がいつの間にかラミアの足をが掴んでいた

 

 ベル坊魔界へ→15m以上離れるのは絶対→ベル坊即死レベルで泣く→男鹿は死ぬ

 

「どこに行こうとしてんだコラァッッ!!!」

 

 上の過程を想像した男鹿がそうはさせまいとベル坊を掴んで引っ張る。だが、いつも男鹿がどれだけ暴れようとも離れないベル坊、そんな簡単に離せるわけがない

 

「おぉい古市、翔手伝えっ!!」

 

 男鹿にそう言われて古市が男鹿を、俺が古市を掴み引っ張る。だが離れない。つーかどんだけ強い力で掴んでんだベル坊

 

「男鹿!!もういい放せ!!」

「馬鹿野郎ッここでベル坊放したら俺が死んじまうだろうが!!」

「だからってお前このままじゃ…」

 

 そう言ってる間に俺にある考えが浮かんだ

 

「お前等!俺にいい考えがある!!」

「何!?そりゃ本当か!?」

 

 期待の眼差しを向ける男鹿に笑顔で答えた

 

「…逆に考えるんだ。放しちゃってもいいさ…と」

「ちくしょう期待した俺が馬鹿だった!!」

 

 駄目か、なら仕方ない

 

「もしくは〜〜……」

「へ?」

「お前等が魔界に行くんだよ!!」

 

 そう言って掴んでいた古市を放し、古市を後ろから蹴り飛ばす

 

「テメエエエエエエエエエエエエ!!?」

「うわああああああああ翔の裏切り者おおおおおお!!!」

 

 よし、これで万事解決……かと思ったが、閉まりかけのアランドロンから手が伸びて来て、ガッシリ俺の足を掴む

 

「お前も道連れじゃああああああああ……」

 

 アランドロンの中からゾンビのような男鹿の声が聞こえて来た

 

「往生際が悪いぞ男鹿!!さっさとこの手を放せお願いしますぅぅ…」

 

 そんな事を言っても男鹿が放すわけがなく、アランドロンの中に引きずり込まれた

 

「自分を抱きしめ〜〜転送!!!」

 

 

 

 〜魔界〜

 

 

「ハッ!?」

 

 目が醒めると森の中、原作が正しければここはヴラドの魔境だ

 

「いや〜懐かしの魔界はいいねぇ〜」

「お前にとってはそうかぁ〜…ん?」

 

 普通に出てきていたアンリにそう返すとある事に気付いた

 

「なんでお前、空中に浮いてないの?イメチェンみたいなあれ?」

 

 そう、いつもなら幽霊らしくプカプカ空に浮かんでいるのだが何故か浮いておらず、地に足をつけている

 その事に疑問を持って聞いたのだが、アンリは当たり前のように答えた

 

「あー、俺レベルになると空気中の魔力の濃い魔界では実態になる事もできんだよ」

「何それ聞いてないぞ」

「言わなかったからな」

 

 ……とまあ、茶番はさておき、なんか宇宙人がこっちを見ていた

 

「ヨップル」

「おー、ヨップル星人じゃねぇか!懐かし〜!ヨップルヨップル!」

 

 アンリがヨップル星人に凄い友好的に話しかけていた

 俺はあれには近寄りがたい……怖いし

 

 ピーーーーーッ!!

 

 遠くから口笛のような音が響いた。その瞬間に森全体がザワザワとざわめき出し、アンリと仲良く接していたヨップル星人が森の奥へ走り出し、そして消えていった

 

「あの口笛…ヴラドの魔境でヨップル星人に手を出した馬鹿がいるらしいな?全く、ヴラドの魔境に喧嘩売る奴の顔が見てみたいぜ」

「………」

 

 すまんアンリ、その馬鹿は俺の友達です

 

「なぁお前、今の状態のゲンサクチシキとやらで予言は出来んのか」

「え……?あ、ああ簡単だ。この後どうすれば人間界に帰れるのかはよくわかるぞ!!!」

 

 よくよく考えたら俺に取り憑いてる間、コイツ俺の頭の中読めるんだったか…原作知識も知ってるわけだけど、コイツの中では原作知識って予言って事にされてたのか……なるほど

 

「とりあえず森を抜ける事からだ。そこから始めないとなんも始まらねぇからな」

 

 〜というわけで〜

 

「着きました」

「何というテンポの良さ」

 

 うるせーよ別にいいだろうが……

 んで、森を抜けたけどここからどうするか……

 

「おい……」

「「ん?」」

 

 後ろからターバン巻いた4人程の男が俺達に声をかけてきた。ついでに言うと見るからに頭が悪そうだ

 

「おいコラそこのボウズ。今失礼な事を考えただろ?」

「考えてません」

 

 案外勘が鋭い。とりあえず……

 

「すいません。道に迷ってしまいまして……ちょっと教えてくれませんかね?」

 

 弱者を装って尋ねてみた。いい人なら素直に教えてくれるだろうがはたして……

 

「ハハハ、その必要はねえよ!なぜなら……俺達がお前らを襲うからだ」

 

 一人の男がそう言うと一斉に襲いかかってくる。まず一人目の顔面をぶん殴り撃沈させると…

 

「遅いぞ!たかが一人にどんだけ時間かけてんだ!」

 

 他は全てアンリが倒してしまった

 コイツは神、挑んだところで勝算など無いに等しい

 

「お?ちょっと嬉しい事を考えたな?」

「…悪魔ってみんな勘が鋭いのか?」

「いや?それより、この後はどうすんだ?」

「そうだな、とりあえずコイツらに事情聴取しないとな」

 

 ………

 

 襲ってきた12人はやはりと言うか、原作に出てくる盗賊の方々だった。原作通りであれば男鹿達はこの盗賊達のアジトに行ったはずなのでアジトの場所に案内してもらおうとしたのだが

 

「ナメてんじゃねーぞ?オレ達が仲間を売るとでも本気で思ってんのか?」

「全くだ。俺達の絆はダイヤモンドより硬いぜ!!」

 

 自慢げにそう言う盗賊達の言葉を聞いて俺とアンリは顔を見合わせ、ニヤリと笑う

 

「そっか〜ダイヤモンドよりもねぇ〜…なぁ翔さんや、ダイヤモンドってどれくらい加熱したら溶けるの?」

「800℃程度で液体をすっ飛ばして気体になるぞ。そのくらいの熱は出せる?」

「お安い御用で♪」

 

 悪魔のような笑顔(片方は悪魔)でウキウキ気分でそう話す

 それを聞いていた盗賊達は鼻で笑うと口を開いた

 

「ハッ、殺すつもりか?……やれよ。どうせ口はわらねえけどな!!」

「うん。そう言うと思ったよ?つーかそう言ってもらわないと俺が困る」

「……は?」

 

 

 

 

 

「すいませんごめんなさいなんでもはしませんが出来る範囲でやりますので許してくださいもう燃やさないでください」

 

 盗賊達全てが土下座で、かつ早口でそう言う

 硬い絆をアンリがへし折った。ただ…それだけだ

 

「ただ『火傷しない&死なない&燃えない見た目と熱さだけの炎』を使って生き地獄に叩き落としただけなのに……」

「おいコラ地味にエグかったから内容省いたのになんでお前が内容話してんだ」

 

 〜またまたというわけで〜

 

「来たぜ!盗賊の町!」

「作者の野郎手抜きか?」

 

 うるせえ!(天の声)男達が延々と旅を続ける姿なんぞ誰が見てえんだよ!?

 

「多分作者は◯ョ◯ョの…それも3部のファンを敵に回したな」

 

 ……コホンッえーと

 適当に話す作者とアンリは放っておいて、俺は盗賊達の様子を遠目で見る。なんだか騒々しい雰囲気が漂っており、大人数が一箇所に集まろうとしていた

 

「なんか慌ててんなぁ…あれか?もう男鹿達が来てて、突入していったのか?」

「さあな〜ってか、なんかこの丘動いてね?」

「あ、ホントだ。しかも地面に亀裂が入って来て……る…あっ」

「…何?さっきの明らかにヤバそうな『あっ』って」

 

 確か、原作知識に一つ心当たりが………

 

「アンリ…耳塞いどけ」

「へ?一応塞ぐけど、なんで?」

「今にわかる」

 

 下から何かが大きく息を吸い、そして叫ぶ

 

 「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 ヴラドの魔境の主の頭の上に、俺達はいた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話帰還&新学期

 揺れる。大地ではない、真下にいる巨大生物が

 

「ギャアアアア!?ヤバイ、どうしよう!?どうしようこれ!?」

「『実態解除』」

「ああ!?テメエ、ズルいぞコラ!!」

 

 アンリは即座に実態をなくして宙に浮く。取り残されたのは俺一人、マジでどうしよう

 

 「ダーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 下にいる巨大生物とはまた別の雄叫びが木霊する。その雄叫びが聞こえた場所を見てみれば、巨大ベル坊が人差し指を天に掲げて立っていた

 

「ああ!翔お前どこ行ってたんだよ!?こっちはお前のせいで散々な目にあってんだぞ!?」

「男鹿ああああああああ!!そんな事はいいから早く助けてくれえええ!!!」

 

 ベル坊の頭には男鹿が捕まっており俺に気づいて声をかけて来ていたが、今はそれどころではない

 ……だが何故か男鹿は嫌な笑みを浮かべていた。それはそれは悪魔のような、見れば冷や汗が止まらない笑み

 

「そうかそうか、お前はそこから動けないんだな。よーし……

 行け!!!ベツ人28号!!」

 『ダッ!!』

 

「あの〜男鹿さん?じ、冗談ですよね?まさか心優しい男鹿さんがそんな事……」

「安心しろ。お前をそこから降ろしてやるだけだ……やり方は問わないが…ベツ人キックだ!!!

 

 清々しい笑顔でクズみたいな発言をした後、ベル坊に躊躇なく攻撃命令を下した

 

「畜生やっぱそうなるか!!おいお前!ガードだ!ガードしろぉ!!!」

 「ガッ!!」

 

 俺の言葉が届いたのか真下の怪物は一つ返事で飛んでくるベル坊のキックを腕で受け止めた

 

「よーし次はそのまま足掴んで〜…ぶん投げろぉ!!」

 「ガアアアアアアアアア!!!」

 

 俺の言う通り怪物はベル坊をぶん投げると、ベル坊はかなり遠くに飛んで行く

 

「翔テメエ!何しやがんだ!!?」

「フハハハハ!勝てばよかろうなのだ!!よーし今だ!今のうちに畳み掛けろ!!!」

 「ガッ!!!」

 

 怪物はトドメのフットスタンプをベル坊の腹に……

 

 「ビ……」バチッ

 「ガ……?」

「「あっ………」」

 

 ヤバイ……この感じ、この魔力……ついでに静電気みたいな音…

 

 「ビヤアアアアアアアアアアアアア!!!」

 「ガアアアアアアアアアアアアアア!!?」

「「ギャアアアアアアアアアアアア!!?」」

 

 ベル坊が泣いた。そりゃあもうめちゃくちゃに

 

 

「いやぁ、凄えなベル坊の電撃。巨大化したのも相まって三途の川が見えたぞ?」

「全部お前があのデカブツ動かしてだから悪いんだろうが…」

 

 黒こげになった俺と男鹿が大地に横たわりながら話す。ベル坊は小さくなって疲れたのか寝てしまい、ヴラドの主は囚われていたアランドロンの娘、アンジェリカさんが説得して魔境へと帰っていった

 そして、別れの時がやって来た

 

『さらばだ。我が故郷よ』

『おいコラアンリ、よくも逃げてくれたなぁ…』

『逃げてない!!お前を見捨てただけだ!!』

『変わらん上にもっと悪いわぁ!!!』

『つーかなんで実態ないのに俺を掴めるんだよ…』

 

 とまあ、アンリにアイアンクローを握り潰すくらいの握力で食らわせているのだが、魔界にいるからなのか平然としている

 

 ちなみにアンジェリカさんに挨拶すると研究家としての血が騒いだのかアンリの生態についてアホみたいに聞かれた

 アンリ本人に実態化して貰えば楽だったのだが、アンジェリカさんの熱心さにドン引きして実態化はしなかった

 

 そんなこんなしているうちに男鹿達は挨拶を済ませたらしく、こちらを呼んでいる。帰りは次元転送悪魔であるアンジェリカさん

 

「みなさん無事のようで何よりですな」

 

 の父のアランドロンが勤まった。要するに行きと同じである

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず終わった。長い夏休みが

 だが、校舎がない。男鹿が壊したせいで…もちろん不良校でも青空教室をやるわけにはいかないので新しい校舎ができるまで別の学校で世話になるらしい

 世話になる学校の名は『私立聖石矢魔学園』、そこの特別教室に今はいるのだが…

 

(なぁ、なんだこの教室……)

(俺が知るか)

 

 古市からの視線での説明の要求に笑いながら答える

 東邦神姫やら、グッドナイトやら、MK5やら学年関係なしに一箇所に集められている

 馬鹿だから学年まとめても問題なしと思われてるのは確実である

 

「だから、なんでテメーらまで同じクラスなんだよ。一年坊」

「いやーそんな事オレに言われても……」

 

 さっそく神崎が不満なのか古市に突っかかるが古市が顔を合わせない

 姫川は携帯触りながら「別にこれも悪くない。特に席順がいい」と邦枝に聞くと、邦枝は隣にいる男鹿を横目でチラチラ見ていた

 

 ちなみに俺は一番後ろの席、隣と前にいるのは

 左隣に夏目、前に千秋、右隣に城山と悪くないメンツだ

 

「ねぇ、メンテ終わってる?終わってるんだったら今すぐ出して。…弾も」

「ん?あ〜いいよ。ホレ」

 

 千秋に前から頼まれたのでエアガンを取り出して弾と一緒に渡すと、即座に弾を装填し、邦枝を口説こうとしていたグッドナイト下川の脳天に一発撃ち込んだ

 

「う〜ん。我ながら凄い威力」

「ねぇねぇ、翔ちゃんってさ〜その一年の子とどんな関係なの?」

 

 ちょっと親しげな俺と千秋の関係について夏目が聞いてくる。……この人に全部話すと言いふらされそうだし前の弁当騒動とかは省いて

 

「幼馴染でコイツのエアガンのメンテしてやってる仲……です」

「ふーん。本当にそれだけ?」

「それはどう言う意味だ夏目?」

 

 夏目の意味深な一言に反対側で腕を組んでいた城山も興味を示したのか話に入ってきた

 すると夏目は左手の指で丸を作り、右手の指で一本の棒を作り……丸の中に棒を…

 

「コレ♪」

「ッッッッッッッッ!!!」

 

 城山が真っ赤になる。案外純粋な男であったらしい……

 

「コレ…?ちょっと…何なのかを」

「は、は〜い千秋さんはちゃんと前向いといてね〜!こっち向いたら駄目だぞ〜!!邦枝先輩守ってよ〜ね〜!!」

 

 聞き耳を立てていたのか千秋が興味を持ってこちらを見るために振り返る寸前で頭を固定して前だけを見せる

 アカン。千秋さんは18禁に近い男達の会話に入ったらアカン……!

 

「んで、どうなの?どこまで進んだ?」

「どこにも進まねーよ!?第一付き合ってすらねーし!!」

「え、そうなの?てっきり付き合ってるかもって…

 

 …例えば、手作りの弁当とか」

 ッ!

 

「その弁当を箸でつまんで『あ〜ん』とか……」

 ッッ!

 

「ま、烈怒帝瑠に入ってるし、あるわけないと言っちゃ当然かな〜」ニヤニヤ

 

 コ、コイツ気づいてやがる……!どうやってかは知らないがなんか気づいてる……!

 

『アキチー、顔が鬼赤いっすよ?』

『え、ちょ…大丈夫千秋!?』

 

 ……俺には背中しか見えないから気づかなかったけど、夏目って斜め後ろから千秋の顔色伺えるよな…?

 

「そういえば、聖石矢魔って普通に可愛い子が多いよね〜」

「ん?ああ、でしょうね」

 

 夏目がいきなりな事を言い出したが、とりあえず否定しない

 なんだか知らんが千秋がピクッと反応したのは気のせいだろうか

 

「この際だから気に入った子を口説いて付き合っちゃえば?」

「…うーん。それも…悪くはない、のか?」

 

 前に千秋に「もしかしてお前俺の事…」まで言ったらエアガン突きつけてまで否定してきたし……

 そう思い悩んでいると夏目がさらに後押ししようとする

 

「そうそう、男なんだし一回くらいは女の子と付き合って青春を謳歌しないt「今すぐその口を閉じてください」はーい、わかりました〜♪」

 

 言いかけたところで千秋のエアガンが夏目の脳天に突きつけられた事でその話を終えた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話漏らす&部活

今ニヤニヤしながら新しい話を書いています
何故って?
ふふふ……30話代の内にわかるさ


 何故か不機嫌な千秋のオーラを前から受けて怯えていると教室のドアが開き、声が聞こえて来た

 

「はーい静かにー、席につけー」

 

 入って来たのはグラサンかけた如何にも態度が悪い教師。教卓まで前に出ると黒板に名前を書き、手をパンパンと叩きながら自己紹介を始めた

 

「ーーというわけで、今日からこのクラスの担任を受け持つ事になった佐渡原(さどはら)(たくみ)だ。よろしく」

 

 …なんだろうか、あの腹立つ顔を無性に殴りたい。『わかるわ〜あるよね〜そう言うの』とアンリも納得するほどだ

 そんな事を考えながらジッとしていると佐渡原は言葉を続ける

 

「聞けば、君らはあのゴミ高校の中でもトップクラスのゴミらしいが、最初に言っておくぞ?この聖石矢魔学園に来たからには今までのような学園生活が送れると思うな

 反抗的な者、暴力を振るう者、その他ルールを守らない者には停学・退学など厳しい処分もあると思え」

 

 凄い上から目線な態度だ。ていうか、このメンツが喧嘩暴力を控えるとは到底思えないのだが…事実原作だと暴力沙汰になるわけだし

 

「まずは…そうだな。貴様、なんだそのシャツは?指定の物ではないな…脱げ」

 

 見せしめとして佐渡原が選んだのは携帯を持ってアロハシャツを着ていた姫川。だが…

 

「やなこった」

 

 当たり前のように反抗する。佐渡原は少し笑い姫川に詰め寄る

 

「ほう…停学になってもいいのか?」

「ククッバーカ。テメーこそ言葉に気をつけろ。教員一人クビにするくらいわけねーんだぜ?」

 

 姫川が持っていた携帯を二人だけにしか見えないようにしながら佐渡原に呟いた。間違いなく脅しである

 ちなみに俺はこの時かなり焦っていた

 

『ホラ見ろよ。顔に落書きしてやっぜ』

「………」

 

 アンリが佐渡原にイタズラを始めたのだ。夏目なら絶対笑っているのだろうが、耐えてるところが見られないのを察するに、俺しか落書きは見えてないはず

 

『おい、何してんだ?』

『何って…イタズラに決まってんじゃねーか?ばかじゃねーの?』

 

 こ、こいつぅ〜〜…!俺を誰も笑わないこの空気で笑わせようとしてやがる……!

 その後も、佐渡原が東条と腕相撲しようとしてる間に佐渡原のパンイチ姿を幻覚で俺に見せたり、男鹿を起こして『教室に来なさい!』とか言ってる間にデコに『ホモ』とか書いたりと……

 

「お、おい貴様ぁ…さっきからプルプルと震えているが何かあるのか?」

 

 黒こげでパンイチ(幻覚)で『ホモ』と書かれた佐渡原が俺の元へやってきた。…やばい笑える

 

「い…え…なんでも…ありません…」

「貴様ぁ…笑ってい…はぅ!?」

 

 何故か急に佐渡原が腹を抑えだしたかと思うと即座に教室に出て行った

 

『ハハハ…下痢腹にしてやったぜ』

『やっぱお前かぁ…』

 

 やはりアンリのイタズラだった。まあ今回は助かったし良しと…ビターーンッ!!!

「あっ…」

 ブリッ…

 

「「「「「……んん??」」」」」

 

 誰かが勢いよくコケた音がした。そのあとに聞き覚えのある男の声に何かが漏れる音……

 

『あの〜アンリ?』

『いや、これは想定外だぞ?』

 

 ………

 この後佐渡原は死んだ目で帰ってきたが、黒板にデカデカと『自習』の文字だけ書いて教室を出て行った

 不謹慎だが、パンイチで『ホモ』と書かれた男がアレを漏らしたかと思うと笑いかけた

 

 

 

 

 帰宅部であれば、下校の時間。俺は職員室である事を聞いていた

 佐渡原は既に帰ったらしいため、他の教師に聞く

 

「部活?」

「はい」

 

 そう、石矢魔には部活なんてものが一切ない。その為、せめて少しの間部活をやって思い出作り……

 なんてものは建前で原作のためである。言っちゃあアレだが、コレを書いている主は俺をどんな形であれ『六騎聖』と戦わせる気でいる

 そのあとのバレーボールの試合で出来るだけ強くしておきたいとの事

 

「…まあ別に構わんが、くれぐれも暴力沙汰を起こさないようにな」

「わかりました〜」

 

 先生から許可をもらったため、俺は職員室を後にした

 

 

 

 

「で、ボクシング部に来たわけデスか」

「そうだ。知っての通り俺達不良は暇なんだよ。人を殴って褒められるスポーツだろ?ボクシングって」

「確かにそうデスが……」

 

 最初にボクシング部に来てその部長に話をしている。その間、ボクシング部の人からの視線が痛い

 その部長とは原作でも出てきたハーフの人…えっと

 

「そう言えば名前を言ってなかったな。俺は神野翔だ」

「確かにそうデスね。新庄・アレックス・ロドリゲス・一郎デス。よろしく」

 

 うーん。やっぱ長い、ここは親しみを込めた感じに……

 

「ゲス郎……でいいか」

「よくありまセンよ!?」

 

 綺麗なツッコミ。やっぱ聖石矢魔だわ、古市とはツッコミの品が違う…いや知らんけどな?

 

「それで、ボクシングやらせてくれるか?」

「お断りしマス…と言いたいところデスが、やりたいと思っている人なら誰でも平等にやれるのがスポーツです」

 

 そう言うと新庄が振り向きスタスタと歩いてボクシンググローブを身につけた。そのままリングの上に上がり

 

「ですが、その前にアナタと1Rだけの一戦やりたいと思っていマス」

 

 新庄がそう言うと俺は不敵に笑って答えて見せた

 

「いいぜ。初めてやる相手が部長だと色々勉強になる」

「…当たり前デスが、蹴りはなしですよ」

 

 わかってるよ当たり前だろう?全く……

 

 

 「あ、グローブって紐式か…一人でどうつけんの?」

 「ここをこうしてデスね…」

 

 

「新庄先輩!不良なんかボコボコにしてやってください!!」

「終わったな!あの神野ってやつ!」

 

 周りがうるさい。早く開始のゴングっぽいの鳴らせよ…

 

 カァンッ!

 ドッ!

 

 鳴ったと同時に攻めてきたのは新庄からだった。ピーカブースタイルで体を丸めての急接近に俺は体が硬直し、動けない

 その間に新庄が一発目のボディブローを放つ

 

「……へエ、凄いデスね

 私のパンチを受けて公式戦では全て一発KOをシテイルはずなのですが……」

 

 微動だにしていない俺を見て新庄が即座に下がる

 

「そりゃあ凄いな。だが残念な事に俺はタフさが売りでね。それに、これ以上のパンチくらいは普通に受けた事ある」

「ソレは凄いデス。是非ともウチの部活に入って欲しい人材デスネ」

「コレまた残念。ここは部活動が盛んらしいからな、まだまだやりたい事は山ほどある。それに……」

 

 そこまで言うとススっと準備に入ると新庄が少しビックリ表情をし、口を開いた

 

「……ボクシングの経験があるのデスカ?」

「いんや?◯じめの一歩で見て興味持ってちょっと調べた程度だ」

 

 ピーカブースタイルも良かったが、コレが一番面白そうだ

 …ヒットマンスタイル

 

「シッ!」

「ッ!」

 

 突き出した左を一郎の顔に向けて鞭のように放つ。もちろん右左と左右に振りながら前に進んでくるが

 

 ドゴンッ!

「ガッ…!」

 

 近づいたところに全力の右を叩き込んだ

 

(案外上手くいくもんなのか?まあ今は追撃を……)

 

 次に出すのは左で抉りこむような連打。(バレットと言うやつか?)を当てに行く

 

「すいませんね。ハッキリと言ってアナタの事をナメていまシタ」

 

 それだけが聞こえると次の瞬間、新庄は俺のパンチを全て避け、俺の懐に潜り込む

 即座に使っていなかった右腕で防ごうと試みるが防ぎきれるか…

 

 カァンッ!

 

 1R終了のゴングが鳴ると一郎の拳はピタリと止まり、終わり背を向けて歩き出す

 

「ハッ、やっぱ不良は威勢だけかよダッセーn「黙りなサイ!」ッ!新庄先輩…!」

 

 周りの声を止めたのは一郎だった。彼はグローブを取ると素手で手を出して来る。それに気づいた俺は即座にグローブを取りそれに応じて握手を交わした

 

「後輩がすいませんね。良い試合でした。少しとは言え楽しかったデス」

「うん。まあ俺も楽しかったぞ?最後は油断したけどなっ!」

「フッ…アナタとは次は私の土俵ではなくアナタの土俵で戦ってみたいですね」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話嫉妬

 家に帰ると母さんが迎えてくれてくれるのだが、その表情はちょっと怒っているようだった

 母さんはちょいちょいと手招きする為近づくと次は耳を貸せとの事なので耳を貸すと耳打ちしてきた

 

「ちょっと翔。千秋ちゃんになにやったの?凄い不機嫌だったんだけど」

「いつも通り勝手に俺の部屋に入れてんのね、もう諦めでるけど……てか、何もしてねーよ。心当たりも…ある」

「あるの?」

 

 不機嫌になったのは朝にあった夏目の話があってからだが……それを母さんに言うとまた訪ねて来る

 

「そういえば、今日帰りが遅かったけど…何してたの?」

「部活動を体験してきた。石矢魔にはなかったからな」

 

 すると母さんはニコニコと笑い出すため「何?」と尋ねると

 

「母さんは何も言わないわ♪ちゃんと翔が悩みなさい♪」

 

 と、何故か上機嫌にキッチンに帰って行った……いや、千秋の機嫌をどうにかしたいんだけど!?

 

 「昔のお父さんもあんな感じだったかしら〜♪」

 

 

 

 

「お、おーい千秋…ッ!」

 

 自分の部屋に入るためにドアを開けると邪悪なオーラ的な物が開けたドアの隙間から漏れ出て来る

 猛烈にドアをしめたい衝動に駆られたがそこはグッと耐えて気合でドアを開けた

 

「……おかえり」

「ち、千秋さん?なんでそんなに不機嫌なんですかね?」

「不機嫌じゃない」

「いやでも「不機嫌じゃない」はい」

 

 ……………………………

(き、気まずいっ!だ、誰かっ誰かこの空気を消し去って!)

 

 そんな事を考えていると先に口を開いたのは千秋からだった

 

「……ねぇ」

「ひゃ、ひゃい!?」

「なんでこんなに遅かったの?」

 

 …ああ、何故か知らんが今なら浮気がバレた男の心がわかる気がする。何故か知らんし浮気もしてないが

 

「部活動やりたかったからやりに行ってきた」

「……本当に?」

「神に誓っても良い」

 

 そう言うとアンリが『お?俺に誓うの?誓っちゃうの?』とか言ってきたが何も言わずに無視する。今は目の前の状況をどうするかが重要だ

 

「……女の子漁ってたりとかじゃない?」

「安心しろ。それは断じてない」

 

 ハッキリと目を見てそう言うと唐突に千秋から放たれていたオーラが一気に退き、千秋がホッと息を吐き出す

 

「……よかった」

「え、よかった?」

「なんでもない。それより、ゲームしよ?今日こそ勝つから」

 

 そう言うと千秋がいつもの調子でゲームの準備に取り掛かる。良い事なのだが、全く意味がわからない

 そんな事を考えているとアンリがやれやれといった感じで口を開いた

 

『……まだわかってねえのか』

『なんだよ、お前ならわかるってか?』

『ここまでくるとなぁ…まあコレはお前が気づいてやらなきゃ意味ねーし』

 

 そう言うとアンリはフッと消えて行く。俺の中に入って行ったようだ

 

(俺が気づいてやらねーと…ねぇ…分からん)

 

 少し考えたが、すぐにその思考は放棄してゲームに勤しむ事にした

 

 

 

 〜翌日〜

 

 自習

 

 佐渡原が学校に来ていないらしい。それは仕方ないだろう…漏らしたんだろうし

 

「なんかさ……人数減ってね?」

「あん?そうか?」

「そうだよ、見ろよ。東条とか前列のMK5とか丸々いねーぞ」

「いや、東条はともかくMK5は別に良いだろ?」

 

 男鹿、古市、俺で話していると東条の手下その1の相沢が口を開く

 

「東条『さん』だ。バイトの虫だからなあの人

 ま、MK5がどうのこうのは同意だが、妙な噂が流れてる。お前らも気をつけな」

「噂?」

 

 相沢の発言に古市が疑問のような声を上げると次に大森が口を挟んできた

 

「六騎聖…あたしも聞いたよ。ウチら石矢魔を追い出そうとしてる奴らがいるってさ」

「それ六騎聖何ですか?」

「そんなに強いのか?そいつら」

「…わかんないケド。もしかしたらMK5もそいつらにやられたのかも」

 

 大森がそう言うと次は神崎が口を開いた

 

「何ビビってやがる。情けねーだけの話じゃねーか」

「はあ?」

「要するにMK5が雑魚だって話だろ?」

「その噂が本当だったとして、こんなショボイ学校の奴にやられるなんてよ。石矢魔の恥だぜ」

 

 神崎が冷たくそう言い放つと大森が神崎に掴みかかった

 

「てゆーかな何あんた?構ってほしーんですか?」

「あ?どこ掴んでんだクソアマ」

 

 喧嘩が始まる寸前になった。すると周りの反応は

 

「お、ケンカか!?」

「姐さん助太刀しますよ!!」

「いいぞやれやれ!!」

 

 …うん。すぐこうなるし追い出そうとされても致し方ないね

 

「やめなさいっ!!!」

 

 誰かが叫んだため、喧嘩はせずに声のした方を全員が見る

 邦枝だった。彼女はスタスタと男鹿の元まで歩くと口を開いた

 

「ちょ…ちょちょ…ちょ…ちょっと付き合いなさいよ」

 

 少し恥ずかしそうに出た言葉に全員が固まり、何も声を発しない

 少しの無言の時間が流れた後……

 

 

 『うおおおおおおおおおっ』

 

 

「クイーンが男鹿を誘ったあぁああっ!!」

「ついに愛の告白かぁあ!?」

「ヒューヒューッ!」

「姐さぁあん早まっちゃいけませんっ!!」

 

 教室内にいた全てのテンションが上がる

 

 「ちっ…違うわよっ!!」

「しかも相手はコブ付きの嫁付きだぞ!?」

「既に茨の道は見えていると言うのにっっ!!」

 「違うったら!!」

 

 邦枝が必死に誤解を解こうとしていたがテンションが中学生レベルまであがる周りは騒ぐのをやめない

 すると少なかった冷静組にいた姫川がいじっていた携帯を見ながら携帯から得たであろう情報を口にした

 

「お前ら、帝毛の奴らと揉めたんだって?ヤバいんじゃねーの転校初日に、結構問題になってるらしーじゃねーか」

 

 …原作で知ってるが、とりあえず古市に聞いてみる

 

「…マジで?」

「マジだ。石矢魔とは違うから当たり前っちゃ当たり前だけど…」

「へぇ……」

 

 流石この先あと一回校舎を壊す男鹿。喧嘩を止めるなんて言葉を言ってた時がなかったかのようだ

 

「それより喉乾いたからついてきてくんね?」

「ああ、いいぞ。俺もトイレ行きてえし」

 

 

 

 ジャーッ

 

(ふー、スッキリした。案外デカイの出た……ん?)

 

 手を拭きながら古市のいる自販機当たりを歩くと古市が小さい聖石矢魔の人と話していた……って、地味に重要人物じゃねーか

 

「おう古市。友達?」

「ああ、三木。コイツがお前の言ってたもう一人の…」

「へぇ…結構強そうだね」

 

 ……無視かよ

 

「ああ、古市?だからコイツのは「にしても、知ってる奴がいて助かったよ。正直この学校アウェー感ハンパなくてさ」

「……不良アレルギーだからね。ウチは」

「いやだからオレ不良じゃねーって」

 

 また無視された。いや、三度目の正直っ!

 

「だ「忠告しとくよ。六騎聖に会ったら、絶対に戦っちゃいけない」

 

 二度あることは三度ある

 もう後で聞くわ。まあ原作で苗字だけは知ってんだが

 そんな事を考えると三木が続けた

 

「この学校の秩序を任されてる連中だ。彼らのターゲットは今完全に君達になっている。どっちが強いとかそういう事じゃないんだ

 戦った時点で君達の負けだ。それを教えているとおきたくてね」

 

 そういうと三木は背を向けてスタスタと歩き出した

 

「男鹿にも伝えといてくれ」

「ちょっ…ちょちょっ待て待て!!」

 

 勝手に喋って勝手に行こうとする三木を古市が止めて、質問する

 

「その六騎聖ってどんな奴だよ!?何が特徴とかねーのか!?」

 

 古市がそう尋ねると三木がゆっくりと口を開く

 

紋章(エンブレム)…彼らは襟の裏に十字を背負った獅子の形の紋章をつけている

 こんな風にね」

 

 三木が襟の裏を見せるとさっき言ったような十字架と獅子のバッジをつけていた。つまりコイツが、コイツ自身がかの六騎聖なのである



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話六騎聖

 古市を置いて教室に帰る途中、なんか知らんが大森、千秋、真田兄弟が焦った感じで走って来ていた

 なんでも、城山が聖石矢魔(ココ)で何かをやったら何かすると退学になる事を逆手にやられたようで、それを聞いて神崎がキレたらしく、殴り込みに行ったそうだ

 

「ついて来て!!」

「え?なんで俺が…」

「いいから早くっ!!」

 

 もうほとんど手遅れだろうがとりあえずついていくことにした

 

 

 

 騒ぎになっている教室の窓が割れていた。その教室のドアから中を見ると既に神崎が生徒の胸ぐらを掴み今すぐにでも殴りかかりそうになっていた

 

「神崎っ!!待ちなさいっ!!」

 

 大森が神崎にそう叫ぶが

 

「てめーらも邪魔すんな。城山の分はキッチリ返させて貰わねーと」

「……マズいですね、先輩」

 

 神崎を止めに来たのは古市の知り合いと言う三木だった

 

「これじゃあいくらなんでも、僕が止めなきゃいけない…」

「あ?なんだてめーは…」

 

 神崎が言い切る前に三木の手が神崎の顔まで来ており

 

 パァン!

 

「…危ないな」

「ッ!」

 

 その腕を俺が上に向けて弾いた。そのため三木の攻撃は空を切り、神崎に当たる事はなかった

 そうなると余裕そうな表情から一気に顔色が変わった三木が後ろに下がる

 

「…神野君…って言ったかな?

 いいの?そこの先輩庇ったら君まで退学になるけど…」

「石矢魔高校自体が退学になるわけじゃないしな〜デメリットと言えば出席日数だけだし別に…なぁ?」

 

 そう言うと俺は神崎を見て笑顔で言い放つ

 

「そう言うわけだから神崎先輩。今のところはやめにしません?」

「あ?バカかお前。なんでそんな話になるんだボケ」

「石矢魔が戻ったら仲間集めて何倍にもしてお礼参りした方が良くないですか?そっちの方が退学なんてないんだし」

「「「ッ!?!?」」」

 

 教室中の生徒達が一斉に顔面蒼白に変わる。それに伴い神崎の憤怒の表情が消えて邪悪な笑みを含み出した。そこに俺は更に笑いかける

 

「見たところ、六騎聖とやら以外はみんな貧弱なんだし別に後からでも…ね?」

「…確かにな。そっちの方が良いな」

 

 そう言うと神崎は手を放しスタスタと教室から出て行った

 

「…石矢魔の皆さん。放課後は是非旧校舎屋上へ来てください。我々部長連がお待ちしております」

 

 三木は周りが蒼白になる中、余裕そうに言う。俺達はそれだけ聞いてその教室を後にした

 

 

 教室に帰るために歩いている途中、アンリが俺の後ろから口を開く

 

『流石にお前………面白すぎだろぉ!!!

 

 流石悪魔の神様。こういう事にはアホみたいに喜ぶ

 

『見たか!?あの人間共の表情!!絶望の表情だったぜ!?

 全く最高(最悪)だよお前は!ヒャーハハハッ!!!』

『うん。うるさい』

 

 狂ったように笑うアンリにそう言いながら歩いていると男鹿と邦枝が走ってこちらに来た

 

「ちょ!?あんた達、何もしてないわよね!?」

「当たり前だろうが、この恨みは後に取っとく」

「はぁ!?」

 

 意味がわからないと言う感じの邦枝に大森があそこで何があったのか説明すると次は俺に突っかかって来る

 

「ちょっと!?何したか分かってんの!?」

「一時的に戦争止めただけ。そのあとは知らん」

「そのそのあとがダメなんでしょ!?」

「『今から』よりはマシだと思うぞ?」

 

 そこまで言うと邦枝は何も言わずに教室に向かって歩き出した

 

 

 

 〜神崎と夏目は城山の見舞いのために先に帰った〜

 

「で、旧校舎屋上は行くの?」

「ダメよ!!」

 

 俺が話を切り出すと邦枝が止める

 

「そうなるとアイツらの思う壺だわ。ねぇ、男鹿あなたも…」

 

 邦枝が隣にいるはずの男鹿に話を切り出すが、男鹿はそこにいない

 

「いない…帰った?」

「まさかアイツ一人で」

 

 …………

 

「よし、俺も帰る!」

「待ちなさいっ!!」

 

 俺の言葉の裏を察したのか邦枝が待ったをかけようとするが傍観していた姫川が立ち上がりながら口を開く

 

「何言ってやがる。俺の方が超帰るに決まってんだろ?」

「ちょっと!!あんた達!!」

 

 邦枝の制止の言葉を無視して俺達は屋上へと足を運んだ

 

 

 

 

「ん?一人知ってるやついるぞ?」

「どーでもいいが、俺の石矢魔をナメてくれた礼はしねーと…な」

「言っとくけど、私は止めに来ただけだから!!」

 

 屋上に来てみればやっぱり男鹿がいた

 男鹿、俺、邦枝、姫川でこちらは四人、対する六騎聖とやらは二人足りずに同じく四人

 すると一番不良(こっち)側にいそうな男がリンゴを片手に呟いた

 

「で、ドイツが一番強いんだ?」(郷 宏道)

「男鹿でしょうね……一番手前のあの男です」(三木 久也)

「確かに…彼のタフさには少々驚かされマシタが…私は別の人に興味がありマスね」(新庄・アレックス・ロドリゲス・一郎)

「……邦枝。萌え…」(榊 光輝)

 

 それぞれ言いたいことを言っている。最後のやつはよくわからん

 すると不良っぽいやつが立ち上がり、不敵な笑みを浮かべて口を開いた

 

「どうした?何遠慮してやがる。来いよ、さっさと始めようぜ

 安心しろ。手ぇ出したら退学なんてセコイ事は言わねえ

 俺達ゃ本気のてめーらをぶっ潰してーだけだ」

 

 そこまで言うと向こうで何かの話し合いを始めた。大方、誰が誰の相手をするかの話だろう

 数秒で終わったのか即座にリンゴを持っていた郷がリンゴを上に投げた瞬間、高速スピードで突っ込んで来る

 

「その首もらっt」ガッ!

 

 蹴りをギリギリで防がれた。しかも、腕とは言え受けたにもかかわらず数センチのけぞっただけ…強いなぁ

 

「いきなり王やらキングやらは取れねーだろう?」

「………」

 

 俺と郷、榊と姫川、三木と邦枝、新庄と男鹿で戦う事になった

 えーっと、何部の部長だったか?

 

 ゴッッ!!

 

 すぐに何かを殴る音がした。見れば男鹿が新庄を拳一発で吹っ飛ばしていた。流石男鹿、容赦ねー……

 だが、新庄もタダでは倒れずにボクシングの構えをしたまま立ち上がっていた

 

「負けるわけにはいかないのデス。我々が…不良などに…!!」

 

 聖石矢魔としてのプライドか、優等生としてのプライドか、はたまた六騎聖としてのプライドか…最後まで立ち上がり、そして彼は屋上の出入り口のところを見る

 

「ウチの生徒デスね…?去りなさい…ここは危険デス

 いつ他の不良が襲って来るかわかりマセン…ヨ…」

 

 そこまで言うとドシャッと新庄はうつ伏せになって倒れてしまった

 

 

「アレックス……っと」

 

 郷が新庄を見ている隙をついてパンチを放つが、ギリギリで避けられてしまう

 

「警告しとくけど…よそ見とか、仲間やられて涙してる暇なんて…喧嘩には一切ないからな?」

「そりゃどう…も!!」

 

 迫って来た郷は掴みかかってきたが、ステップでそれを回避する

 

「早えなあ…」

「タフさには自信あるけど、絞め技にはねー……」

 

 うーむ。けど近づかないと倒せないこのジレンマ……どうしようか

 

「……しゃーない。本気でやるか」

「は?」

 

 

 ドゴンッ!!

 

 

 早く動き、顔面にパンチを叩き込んだ。そのまま地面に叩きつけるように殴られた郷はスーパーボールのように一回だけ跳ねた後に止まる

 

「フーッ…終わりか?」

 

 そう呟いてはみたが、彼は大の字になったまま反応はない。完全に気絶したようだ

 ……やりすぎたかもなぁ。いや、夏目の代わりに俺が来たんだから自由にして良かったんだろうけど

 

『うむ。今のパンチは良かったぞ』

『何師匠みたいな面して言ってんだ』

『実際師匠ですし』

 

 アンリは相変わらずだった

 ……あ、魔力っぽいのがゆっくり近づいて来てる

 多分この戦いもそろそろ終わるだろうな。男鹿も三木にめり込みパンチ、めり込みキック繰り出したし

 

「……帰るか」

 

 そう言って屋上の出口へとスタスタと歩いて行った

 途中で古市とその他2名、その少し後にメガネとすれ違ったが無視して歩いていった

 

「いや、無視せんといてや?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第22話練習

 素行不良、器物破損により以下の者は退学処分とす

 ・男鹿 辰巳(1年)・古市 貴之(1年)

 ・神野 翔(1年)・邦枝 葵(2年)

 ・東条 英虎(3年)・神崎 一(3年)

 ・姫川 竜也(3年)

 

 

「もちろんウチの生徒にも非はあった。それは認めよう

 だが君達は厳重注意を受けた上での過失だ

 何か言い分はあるかね?」

 

 指導室で椅子に座って机の上で手を組んでいるいかにも偉そうな先生がそんな事を言う。言い切った後、古市がゆっくりと手を上げて口を開いた

 

「あの…僕…何もしていないんですけど…

 正直ここに呼び出された意味が分からないと言うか…」

 

 そうだ。古市はただ見ていただけ、その場にいただけなのに何故退学とされているのか…それは座っている先生の隣で立っていた体育系の先生と太った先生が叫ぶように説明した

 

「とぼけるな!!お前があれこれ入れ知恵したんだろ!?

 いわば主犯格じゃないか!!何が『知将』だ!恥を知れ!」

 

 古市は所々で『知将』や『恥将』やらで呼ばれている…らしい。今回はそれが災いしたらしく……要するに噂だけで判断したと言う事だ

 あ、古市が灰になった

 

「待ってくださいっ!!彼は本当に無関係です」

「邦枝先輩!!」

 

 邦枝が待ったをかけて古市を庇う

 灰になりかけていた古市は彼女の言葉で息を吹き返す

 

「いえ、そもそもの責任は全てみんなを止められなかった私にあります。私が退学になるのは仕方のない事です

 ですがここにいる者はせめて聖石矢魔の方々と同じ処分であるべきです」

「ほう」

 

 邦枝の言い分に先生側が興味を持った

 

「ちなみに、ウチの生徒で処罰の対象となったのは3人

 城山君に怪我を負わせた1年3組の生徒、仲代君・森君・角田君ら。それぞれ二週間の停学処分となっている

 部長連に関しては特に処罰はない」

「はぁ?」「おいおいおい」

 

 ありえないような内容に俺と姫川が不満げな表情、反応をしたのだが先生は構わず続けた

 

「残念だが彼らと君らでは全く立場が違う

 彼らには校内の秩序を守る為多少の制裁行為が認められている。今回の件もその範疇だ

 特に君達が来る事が決まってからはその権限を強く行使するようこちらからも働きかけた

 彼らに落ち度はないよ」

 

 当たり前のように六騎聖は無実と言う先生にみんなが突っかかる

 

「納得できません!!」

「話にならねーな」

「こっちは無抵抗であっちはやりたい放題ってことか?」

「ちょっと!!あんた達も何か言いなさいよ!!」

 

 邦枝がずっとだんまりを決め込んでいた男鹿と東条にそう言うと顎に手を当てて考えた後に口を開いた

 

「とりあえずあのメガネと喧嘩しに行きてーんだけど」

「もういいか?俺もあのチビぶっ飛ばさねーと」

「話聞いてたっ!!?退学よ!?退学!!わかってんの!?」

「えーだってしょうがねーじゃん」

「決まっちゃったもんはな〜」

「しょうがなくねーよ!!足掻こうよそこは!」

 

 この馬鹿2人が話を聞いているわけがない。ていうか、退学を受け入れようとしている

 

「いや、案外そいつらの言う通りだぜ…

 どうせ退学になるんだ。だったら奴らと決着つけてからってのも悪くねぇ」

 

 姫川がそう言うと全員がその意見に納得して指導室から出ようとする。完全に聖石矢魔で最後の思い出作りをする気だ

 

「待ちなさい」

 

 今度は先生側から待ったが入る

 

「やれやれ、確かにこのままではまた騒ぎを起こされかねないね

 ではこうしよう…一ヶ月後、本校で行われる学園祭

 そこで君達7人対部長連で決着の場を設けよう」

 

「ただし」と先生は付け加えて続ける

 

「喧嘩ではなくスポーツでだ。学生らしくね

 競技に関しては部長連の有利にならぬ様一考しよう

 そしてもし君達が勝った場合、今の処分も考え直す。退学はそれまで保留だ

 どうだね?破格の条件だと思うが」

「いいやまだだね」

 

 姫川が指を突きつけて更に要求した

 

「あいつらにリスクがねぇ。俺達が勝ったら六騎聖の権限とやらを取り下げてもらうぜ」

 

 これを断れば学園祭に入る意味はない。断ればさっき言った様に喧嘩しに行くだけ。故に

 

「いいだろう。ただし勝敗がどうあれ、その後は一切揉め事を起こさないと違ってもらうぞ」

「当然❤︎」

 

 

 〜教室〜

 

 

「それにしても、スポーツって一体何をさせるつもりかしら」

「サッカーとか野球ッスかね?」

「やった事ねーぞそんなもん」

「大丈夫大丈夫。要は何しても勝てばいいんだから」

「下剤とか毒とか盛ってみる?」

「翔ちゃんって真面目なイメージあるけどたまにヤバイ事言うよね〜」

 

 話が終わりペチャクチャ話し合っていると空気だった佐渡原が前で口を開いた

 

「はい、えーと…静かにしてください。突然ですが、今日は転入生を紹介します。君入って」

 

 そこまで言うと教室のドアがガラッと開き、人が入ってくる

 

『おー、魔王の侍女悪魔じゃねーか。驚いてないとこを見るに、ゲンサクチシキでわかってたのか?』

『うん。まあな』

 

 頭の中でアンリと話していると佐渡原が説明を始めた

 

「聖石矢魔への転入生なのだが、本人の強い意向があってこのクラスに来る事になりました。えー名前は……ヒ…ヒル…?」

「ヒルデガルダです。ヒルダとお呼びください」

「これ本名?」

 

 おー男鹿達驚いてる驚いてるw

 そう内心笑っているとヒルダが口をは開き、佐渡原に質問した

 

「先生。私はどこに座ればよいのでしょうか?」

「ん?好きな所に座りなさい。いっぱい空いてるでしょ」

 

 そう聞くとヒルダはフッと笑い。男鹿の前の席に座っている男に近づき佐渡原の言う通りの行動を移した

 

「なるほど、おい貴様。どけ

 

(((えええええええええええええ……)))

(晩御飯何かな〜…)

 

 ヒルダのいきなりな反応に俺以外の全員が同じ事を考える

 だが表ではヒルダはベル坊の母さんとなっている。子育ての為に男鹿の近くの席に着くのは当然であるため最終的にヒルダが男鹿の前の席に着く事になった

 

「みんなっ!学園祭の競技が決まったわよっ!!」

 

 烈怒帝瑠の一年2人(花澤と飛鳥)が教室のドアを開けて大声で言う

 

「「バレーボールです!!」」

 

 ……チーム戦の競技、それも協力しないと上手く出来ないスポーツ。うん無理だわ、協力なんて言葉が呼び出し退学メンバーにあるとは全く思えんし

 

 

 〜放課後〜

 

 ピーーーッ

 

「全員集合!!」

「ダーッ」

「うっす」

「眠い…」

 

 邦枝が笛を吹いて返事したのはベル坊、古市、俺

 男鹿は寝て…あ、花澤に叩き起こされた

 

「これだけ?」

「やだな〜邦枝さん。残りの人らがこんな練習に集まるわけないじゃないですか〜」

 

 HAHAHA…と皮肉に笑う

 

「あいつら…退学になってもいいのかしら」

「姐さんっこーなったら色仕掛けっスよ色仕掛け!!」

 

 邦枝が今の状況に頭を抱えていると花澤が右乳を持ち上げながら提案を切り出した

 

「い…色仕掛け?」

「そーっすよ!!ちゃんと練習に来て試合に勝ったらおっぱい見せるとか言うんすよっ!!奴らこれでオニやる気出しますよ!!」

 

 もちろん花澤の提案は却下され、大森に締め上げられた

 一連の流れを見ているとトントンと肩を叩かれたためそちらを見ると何故か顔が赤い千秋がいた

 

「ん?あー千秋か。どした?」

「見せたら…やる気だす?」

「あー、大丈夫。大丈夫だから、アイツの事は鵜呑みにしなくていいから。やる気は出してるから」

「そう……」

 

 なんで若干残念そうなんだよ……

 

「翔くん!!せっかくなんだし、断るのであれば代わりに俺が…」

「「死ね。変態」」

 

 俺の拳と千秋のエアガンが古市を襲った



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第23話

「翔〜お客だぞ〜」

「わかった〜今行く〜」

 

 家族でご飯を食ってると家のチャイムが鳴ったため、父さんが出たのだが、客とやらは俺に用があるらしい

 とりあえず呼び出しに応じるために玄関から出ると

 

「ちゃお♪」

 バタンッ

 

 ……なんだろうか。何か見た事あるおっさんが気持ち悪い笑顔で手を振ってたんだけど

 ……試しにもう一度玄関を開けると

 

「パカッ!!」

 

 今度は割れた状態で待ち構えていた。もちろん即座にドアを

「早くせんか」

 閉める前にガスッとヒルダに背中を蹴られて無理矢理中に入れられた

 

 

「で、何もない空間で縛られてる訳だけど。先輩方はどうですか?」

「俺は晩飯食ってたらいきなり…」と神崎

「テレビ見てたらいきなりデカイおっさんが現れて…気がついた時にはこの状態だ…」と姫川

 

 同じような経緯で集められた邦枝以外の退学組のメンバー

 

「そんなのまだマシっすよ……俺なんか脱糞してるトコにケツ拭くどころかズボンも履かずに連れてこられたんスよ?

 もう尊厳とかねーっスよ」

「大丈夫だ古市。お前は元から汚れてる」

「フォローになってねーよ!!?」

 

 東条はガッツリ寝てる。多分明日も朝からバイトなのだろう

 男鹿は……連れてこられる前、ベル坊が泣いたのか黒こげ状態

 

「全員集まったようだな……」

 

 全員でこの状態と状況でどういう事なのか話し合っているとヒルダが歩いて来て話に割り込んできた

 

「では本題に入るとしよう」

「「男鹿ヨメ!!」」

 

 いきなり現れたヒルダに突っかかったのは神崎と姫川だ

 

「テメェの仕業かこの野郎っっ!!」

「そういえばあのおっさんも見たことあんぞ!!

「さっさと帰らせろやブスッ!!」

 

 ガスッ

『ブス』と言う言葉に即座に反応したヒルダが言った神崎に蹴りを入れた。ハイヒールのかかとの部分で蹴られたからかなり痛そう

 

「私は唯の使いだ。貴様らを集めたあるお方のな…」

 

 そう言うとヒルダはスッとディスクを取り出しいつの間にか出て来ていたプロジェクターに入れる

 

「このディスクにそのお方の言葉が入っておる。まずはそれを見て貰おうか」

 

 そうして全員が『あのお方』をこの目で見るためにジッと映された画面を見る。そこに移ったのは……

 

『ようこそ諸君。私の名はMr.バレーボール』

「「「さっきのおっさんじゃねーかっっ!!!」」」

 

 おっさんであった

 …いやせめてモザイクとか入れろよ。即バレしてんじゃねーか

「予算がなかったのだ。仕方あるまい」

 ヒルダさんや。それはわかっても言っちゃいけないやつだ。あとナチュラルに心読むのもやめてください

 

「なんでモニター越し!?」

「黒幕気取りか!!」

「無駄に3Dだ!!」

「直接来い直接!」

「何この茶番!?」

 

『左手は添えるだけ』

 

「バスケットボールだそれは!!」

「おちょくってんのかテメーマジで殺すぞ!?」

 

 ギャーギャー騒いでいるとやっとMr.バレーボールことアランドロンが本題を切り出した

 

『フフフ…いいね。その若さ、負けん気

 そんな君達を集めたのは他でもないある映像を見て貰うためだ』

「映像…?」

『フフフ…volleyball(バレーボール)のvはvictry(ヴィクトリー)のv!!』

 

 …………

 

『ではスタート!!』

 

 意味がわからない

 

 

 

 

 映像は六騎聖がバレーボールの練習を真面目にやっている様子だった。だが少し…いや大分おかしな事があった

 

『てゆーかあのリーゼント、超キモいんですけどー』

『ですよねー。しかも姑息ですし、下剤とか使ってきそうー』

『あるあるー卑怯って言うか小っさーい。練習する気合もないですよ絶対』

『それならあの王は取れないとか言ったやつ、相当キモいZE☆』

『神崎とか言う馬鹿もいたけど、どんな顔か忘れたZE☆』

『待て待てそんな事ゆーたら、東条とかゆーやつはドブの匂いがしたZE☆』

『だったら男鹿と赤ん坊はウンコの臭いでした!!』

 

 完全にアテレコ。普通の人なら気付くものなのだが…

 

「「「「ほう……」」」」

 

 生憎とこの場にはその普通が少なかった

 

 〜翌日〜

 

「よっしゃ翔トス上げろコラァ!!」

「男鹿ァ!あれやんぞぉ!」

「シャアッ!」

「「ジャンプで見たプラステンポォ!!!」」

 

 ……なんか違う気がするけどまあいいや

 

「声出せオラァーッ!!」

「っしゃあこーいっ!!」

「コラァ邦枝遅えぞ!!」

 

 いつの間に来ていたのか邦枝もこちらを見て呆然としていた

 邦枝は置いといて、気合いを入れて練習に励んでいると神崎が不満になっていた一つの事を口にした

 

「ってゆーかなんで俺がレシーバー!?男鹿!!テメェ変われ!!もしくは神野が俺にトス上げろや!!」

「いや」「ダッ」

「先輩レシーブした後にすぐには動けないでしょうが」

「気合いでなんとかしたるわコラァ!!」

 

 そんな揉め事が発生しているとバレーボールのやり方を読んでいた古市がポジションの部分を見せる

 

「ポジションはちゃんと決めた方がいいらしいッスよ。勝つ為にはそれぞれ特性を活かさないと。例えばレシーブ専門のポジションとか」

「俺はやだぞそんなポジション」

 

 リベロ

 バレーボールで守備専門にする選手

 他の選手とは異なるユニフォームを着る

 

 ………

 

「これってアレか?1人だけユニフォームが違うって事はチームのリーダー的な?」

「だったら俺が…」

「私よ!!」

 

 リベロがリーダー的存在であると勘違いした男鹿と神崎が口論になりかけた時、割って入って来たのは邦枝

 

「リベロは私がやる。アンタ達どうせ何もわかってないんでしょ?」

「おいおい邦枝テメェも案外セコイな。そんなにキャプテンになりてーのか?」

 

「私が決めてやろう」

 

 どこからともなく声が聞こえて来たかと思えばボールが俺に飛んできた為、ギリギリレシーブで弾いた。だが、弾いたボールは勢いを殺していない為壁に激突した瞬間に破裂した

 

「私のサーブを拾えた者がリベロ。それでどうだ?」

 

 淡々とそう言う者はやっぱりヒルダだった

 ヒルダの言葉を聞いた者達は動かない。まあ完全に殺人サーブだからな、仕方ないね

 

 長いので割愛?

 

 邦枝がリベロに決まった。最初の一本は反応すら出来なかったが2本目になるとそれは綺麗に返した

 この後も姫川の長いリーゼントがネットに引っかかってたり

 髪を下ろしてみればイケメンだったり

 男鹿が途中から抜けたかと思えばボロボロの状態だったり

 

 

 などがあったが、練習は終わり学園祭当日

(こまけえ事は気にすんな!)

 

 

「「「お帰りなさいませ、ご主人様」」」

「お帰りなさいました」

 

 迎えの言葉が来るメイドに古市が笑顔で返す

 

「……なぁ古市、何故俺達はメイド喫茶なんぞに来てんだ?

 あ、プリンと紅茶一つ」

「『なんぞ』とはなんだね『なんぞ』とは……メイド喫茶。良い響きじゃあないか。オムライスに名前を書いて貰おうかな?」

 

 注文しながら言葉を交わす。…いや、後30分で試合開始だぜ?

 何してのマジで……アンリは『あの子可愛いな〜』とかうるせーし

 

「うっす!貴方があの『伝説(レジェンド)』と呼ばれてる風谷さんっすか!!俺、男鹿さんの舎弟やらせてもらってる山村和也って言います!カズって呼んでください!!」

 

 なんか自己紹介してる執事がいるんだが……

 

「そう言うわけだ。カズとも仲良くやれよ翔くんや」

「意味が分からん」

 

 そうこうしてる間に料理が届いた

 

「お待たせしました〜!プリンと紅茶とオムライスになります〜!

 古市さん。この人だぁれ?オガさんの知り合い?」

「梓くん。その通りこの馬鹿は知り合いだ」

「誰が馬鹿だ」

 

 梓と呼ばれる人は「へー」と言いながらオムライスにケチャップで字を書いていく。そして出て来たのは『ちしょう』の文字

 

 恥将

 

 ……この子天然だわ。恐ろしい…

 

 ちなみにこの後、邦枝に見つかって引きずられていった




活動報告を上げました。一応見ていてくださると幸いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第24話スポーツの描写など無理無理

もうどうせなんで飢えた皆さんが待ってる要素まで一気にやる事にしました
33話まで10分おきに出すよ


『両チーム整列!!!』

 

 ギリギリでチーム全員が集まった。…俺と古市以外全員寝坊したらしい

 

「会長ーっ!!頼みますよーっ!!」

「不良なんか軽く捻っちゃって下さい!!」

「イ・ズ・マセンパーイ❤︎」

 

 並んでいると相手側の黄色い声援が飛んでいる。それに対してこちらの不良側には相変わらずのブーイング。アウェー感がやばい

 

『他は別に気にしてないんだろうし、俺もできるだけ堂々とするか』

『そうそう、堂々としとけ。仮に六騎聖とやらが負けたらアイツらどんな顔するか凄え気になる』

 

 ……アンリの心情はほっといて。バレーボールの試合が始まる

 その前に審判が男鹿に訪ねてきた

 

「赤ん坊背負ってる選手はもしかして…そのままで試合するんですか?」

「…ダメなのか?」

「いやっダメってゆーか逆にいいんですか!?」

 

 六騎聖側にも受け入れられてる子育て番長、両チーム異論がないためベル坊が男鹿の背中に乗るのは通った

 

『只今より、六騎聖 対 石矢魔によるバレーボール、エキシビション3セットマッチ…試合開始です!!!』

 

 先行のサーブは六騎聖の新庄から

 高い位置からのスパイクサーブで打ってきたが

 邦枝が難なく拾い、セッターの俺の元へ

 俺はある人物をチラッと見て叫びながらトスを上げた

 

「姫川ぁ!!」

「「はっ?」」

 

 そう言って上げたのは姫川の所、六騎聖のブロックは東条の所に待機していたため間抜けな声を上げた

 

 ダンッ

 

 ブロックがなかった姫川のアタックは六騎聖側のコートを跳ねた

 

「先制点頂きぃ!!」

 

 俺がやったのは視線を東条に向けただけ、それだけで六騎聖側は東条の方へトスが行くと予想し、騙されてくれたのでありがたい

 こうも上手く行くとは思わなかったが

 

「ホレ、東条のサーブ」

「おう、任せとけ」

 

 東条が悪魔のような笑みを浮かべながらボールを受け取る

 

「…言っとくけど、蹴ったり頭突きだったりはダメだぞ?」

「……隠したりは?」

「無理に決まってる」

「じゃあどうやって打つんだよ!?」

「手を使うって発想はないのか?」

「天才かお前!?」

「なんでだよ」

 

 よかった。釘刺しといて……

 

「で、なんで男鹿までびっくりしてんだよ」

「え?あ、いや別に?」

 

 こいつ…東条と同じ事しようとしてたな

 

 〜このまま試合は続き〜

 

 15(聖石矢魔)22(石矢魔)

 原作とは違って最初から真面目なこちらは男鹿と東条の反則はなくこちらがリードしていた

 

(俺の予想が正しければ、そろそろかな〜サーブも向こうで出馬だし)

 

 パァン!!

 

 リベロである邦枝が吹っ飛んだ

 理由は言わずともわかるように出馬である

 

「……うん。初めて見たけどやっぱ凄えな」

 

 どうせなら勝ちたいし(作者も色々限界だし)、やってみるか

 

「邦枝、ちょっとやりたい事があるんだけど…」

 

 

 

 

 前衛 男鹿、神崎、姫川

 後衛 邦枝、東条、俺

 

(バレーとしては普通だけど、違うのは……)

 

 出馬がサーブを打ってきた。威力は邦枝を吹っ飛ばした時とほとんど変わらない。それを…俺が取った

 腕が折れるかと思えるほどの威力。それを俺は無理矢理と言う力技で上げた

 

「頼んだ邦枝ぁ!!」

「任せて!!」

 

 上げたボールを邦枝がアタックラインを踏まずに跳ぶ事でトスを上げる

 

「ッシャオラァ!!」

 

 それを男鹿が打つ事でボールは床を跳ねた

 

 

 1セット目は難なく勝利

 頭はアレだが身体能力なら負けてない。それが石矢魔

 

「「「「おいお前、今失礼な事考えたろ?」」」」

「ハッハッハ。そんなわけないじゃあないか」

 

 全員感が良すぎる。テレパシーでも……ああ、あったなそんなの

 

 

 

 〜作者の都合上、スキップが多くてすいません〜

 

 

 24ー25

 うん。強い、六騎聖、強い

 このまま勝てるかと思ったら結構食いついてきた。それに出馬の方はサーブの威力が段々と上がって来てる。やべえなこれ

 

「あと2点、あと2点で勝ち……」

 

 俺のサーブが来た

 ……賭けて一発本気の威力か、安全性を取って普通か

 

「………やってみるか」

 

 ボールを投げると構える。大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせて

 それを見た六騎聖は全員が驚きの表情を浮かべた

 使っているのは出馬八神流の突き、威力は申し分ない…はず

 

「フンっ!!!」

 

 ボールはネットを超えて出馬の元へ、もちろん本家の彼はそれを取るが、いきなりの事で弾いた形となり、こちら側のコートへチャンスボールとして帰ってきた

 

「神野!」

「ッシャア!!」

 

 邦枝のパスに反応してトスを上げる体制にい入った

 それを知っていたかのように動いていた者が1人

 

「男鹿!」

「めり込み……アタック!!!」

 

 

 ……作者ぁ。いくらなんでもこれはないんじゃないですかね?

 いや、スポーツなんて描写やった事ないのはわかるけどさぁ…

 あ?さっさと整列して話進めろって?

 

 

『あー、あー…テステス』

 

 スピーカーから知らない男の声が聞こえた。前の方を見てみれば顔に3本の傷がついたアフロ男がいた

 

『はーい静粛に〜。いい試合だったねー、聖石矢魔の皆さん。うんとってもいい試合だった』

 

 悪意の無いような言葉を発する謎の男に観客もザワザワし始める

 それを無視して男は続けた

 

『スポーツを通じて一致団結、流れる汗迸る情熱

 お互い死力を出して戦ったその先にはもう一切わだかまりもなくいつしか認め合い一つになる聖石矢魔と石矢魔……ってか?』

 

 そこまで言うと男ら一気に雰囲気を変えてドスの効いた声を発した

 

『クソ似合わねー事してんじゃねーぞ。男鹿!!』

 

 もちろんこの男の名を知っている。えーと…「霧矢!!!」そうそう霧矢だ

 霧矢はゆっくりと床を歩きながらマイクを口元から話して自分の声で話した

 

「天下の不良校石矢魔のトップ達が揃いも揃ってバレーって……

 お前ら全員死ねよ」

 

 その言葉に神崎と姫川が反応する

 だが、代わりに出てきたのは六騎聖の出馬

 

「出てってもらえるか?ここは君みたいのが来るとこやない」

『……残念だなーロッキセーの兄ちゃん。てめーらの出番はねーよ』

 

 そう言って霧矢が指差した先にはハゲの集団『帝毛高校』が既に聖石矢魔の生徒を抑えていた。人質である

 

 ゴガッ!!!

 

 出馬がそちらに気を取られているうちに霧矢がマイクで殴る

 続けて口を開いた

 

『ここにいる全員が人質だ。わかったら大人しくしてな』

 

 いつもの出馬であればこの程度なんて事なく反撃していたのだろうが人質がいるせいで何もできない

 

「ねえ神野。あの男、男鹿にやけに執着してるようだけど……」

「中学の時の男鹿は知らん。1、2回会った程度だから、古市に聞いた方がいい、んだけど離れてるから無理だな。どうする?」

「……決まってんでしょ?」

 

 邦枝が六騎聖を含めた周りに視線を向けると全員が頷き、霧矢の視線が男鹿と飛び出した三木とそれを相手にするハゲの四天王に向いている隙に全員が動き出した

 

 

 

 

「ゼブルブラストォ!!!」

 

 電撃でできた柱が霧矢の服を都合よくパンツを残して消え去った

 

『おお、凄え魔力』

『は、俺のが凄えし?なんなら今試してやってもいいんだぜ?』

『赤子と張り合ってどうする』

 

 問題は男鹿のゼブルスペルが全身に行き渡ってる事なんだよなぁ

 なんか邦枝が『説明求む』って目でこっち見てるし…

 

『皆さん本日の主役張ってくれた男鹿親子にもう一度拍手を!!』

 

 おっと、話が進んでた。とりあえずここは流れに乗って誤魔化すか

 

「へー、男鹿ってこんなドッキリ計画してたのかー凄いなーアハハハハハ……!!」パチパチ…

「………」パチパチ…

 

 やばいよ、誤魔化しきれてないよ。めっちゃガン見してるよ、今すぐにでも質問飛んできそうだよ。た、助けて古市ぃぃぃぃぃい!!

 

 

 

(なんか、翔が凄えこっち見てきてるんだけど……)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ベヘモット34柱師団
第25話新担任


 朝、俺はなんか凄え話しかけてこられる

 

「あ、あの!昨日の試合見ました!凄かったです!!」

「おう、ありがとな」

 

 もしもこれが不良共なら楽だった。さっさとボコボコにすれば良いのだが、聖石矢魔の生徒…しかも好意でやってくれてるのでそれが絶対に出来ない

 学園祭の一件があってから聖石矢魔の生徒達が話しかけて来るようになった(主に女子が)多分男は邦枝の方言ってんだろうな。ファンクラブとか出来てそう

 

「にしても、千秋以外の女と話したのって久々だな〜」

「……そうだね」

「だがこれもこれで悪くない」

「………へぇ」カチャッ

(あれ?なんか後頭部に固い感触と冷たい感触と悪寒が来てるんだけど……あと俺は誰と話してた?)

 

 そう不思議に思い振り返ってみるとやはりと言うか、千秋がエアガン突きつけてジッとこちらを見つめていた

 

「変態…」

「おーい、俺が何かしましたかね〜。人の顔見て変態扱いは酷くないですか〜?」

 

 冷たい目をしている千秋。とりあえず学校に向かわないといけない為、前を向き直して歩くことにした

 

「変態…童貞……変態童貞…!」

「あのな?そういうのは傷つくから、勝手な呼び方に納得しないでください」

 

 

 〜教室〜

 

 

「ちくしょう…なんで…なんで俺以外の奴らだけぇ……」

 

 古市が何もかもを破壊しそうな感じで呟いている。こいつは本来試合で活躍しないまでも邦枝の代わりとし試合をやるのだが俺が潰したから活躍なんて一つもしてない

 

「おい男鹿、一体どこ行く気だ?」

 

 いつの間にか教室のドアを開けようとしていた男鹿に声をかけると男鹿はこちらを向かずに口を開いた

 

「トイレ」

 

 

 

 

 少しすると赤いハチマキ頭に巻いたおっさんが気絶した男鹿と東条を担いでやってきた

 そのありえないような光景に教室内の全員が唖然としているとおっさんは2人を席に座らせ黒板に名前を書いた

 

 早乙女 禅十郎

 

「今日からお前らの担任になる、早乙女だ」

 

 ……………

(嘘でしょ?)邦枝が男鹿を

(これ、こいつがやったのかよ…)姫川が東条を

(タンニン…)花澤が国語辞典でお茶の成分を

 それぞれ見ていると早乙女先生が笑い出す

 

「はっはっはっ、どーしたぁ!?元気ねーぞ、このクソッタレ共が!!

 心配すんな。前任の先生なら了承済みだ。もともと俺が来るまでの臨時だからな。マゾ原先生も今頃肩の荷が降りてホッとしてるだろーよ」

「佐渡原先生です」

 

 名前を間違えた早乙女先生の間違いを正すのだが、早乙女先生は変わらず笑い出す

 

「ん?そうか?

 まぁどっちでもいいさ、サドでもマゾでも。細けえ事は気にすんなクソッタレ」

(((本当に教師か…!?こいつ…)))

 

 

 

「はっはっはっいや〜すまんな!わざわざ来てもらって!」

 

 放課後、何故か先生に呼ばれて来た。先生が笑っているのだが、雰囲気が笑っていない

 一通り笑うとフゥ…と吐き出し、マジな目になって俺に聞いて来た

 

「お前、何モンだ?」

「紋章使いです」

 

 正直に答えた。男鹿と東条を一撃でノックダウンさせるような男に喧嘩なんぞ売れるか

 

「そうか……率直に聞くが、俺と敵対する意思はあるか?」

「ないな。最近魔力使ってないし」

『全くよ〜使えよ本当に…俺は暇で暇でしょうが『お前は黙ってろ』

 

 先生と見つめ合う…ピリピリとした空気が肌で感じられるが、途端にその空気は消え失せて

 

「そうかそうか!なら安心だわ!あ、俺用事があるからこれでな!!気をつけて帰れよクソッタレ!!」

「え?ああ、はい」

 

 ツカツカと笑いながら歩いて行く早乙女を見送って俺も帰る

 校門まで来るとデカイ魔力が出たが、これは先生の仕業だろうな

 

「まぁ俺は帰るから関係ないけどな〜…」

 

 

 

 〜夜〜

 

 

 キンキーンッ!

 晩御飯を食べてジャンプを読んでいるとメールが1通飛んで来た

 

 差出人:古市

 応援求む

 今すぐゲームのソフト持ってオレの家に来い。あとついでにポテトチップス(のり塩味)も買ってこい。絶対だ

 

 そんな内容のメールだった。多分焔王が来た!!とかなんだろうな

 とりあえずメールの内容に従って古市の家に向かう

 

 

 

「おーい来たぞ〜って熱いっ!?」

 

 とりあえず古市の家族に挨拶して古市の部屋に入ると秋なのにもかかわらず蒸し暑い部屋が待ち構えていた

 見れば今にも泣き出しそうな緑髪の子供(焔王)その侍女らしき人達3人(ヨルダ、イザベラ、サテュラ)3人がそいつを讃える歌を歌い、古市とヒルダもそれに便乗して歌う

 男鹿はベル坊に「土下座して謝れ!」とか言って行動に移させようとしていた

 俗に言うカオスである

 

『ふむ、察した。おい翔、体乗っ取らせろ』

『え、なん『いいから変われ』

 

 そう言って半端強制的に体を乗っ取られ……いや、俺が魂になったから入れ替わったと言うべきか

 

「うん。初めてやったがやっぱ肉体があるっていいなぁ」

「おい翔!!感動にふけってねぇで一緒に歌え!!こいつ泣いたらここら一帯火の海だぞ!?」

 

 己の手のひらを見ながら感動している(アンリ)に古市が話しかけた。だが、アンリはそれを聞くと鼻で笑い、告げた

 

「なんで俺がそんなクソガキの為にそんなくだらない歌を歌わにゃならんのだ?まあ、見とけ」

 

 (アンリ)はそう言ってる間にも熱はどんどん上がり、ついには古市の部屋の机にも火がついた

 だがアンリは余裕綽々な態度で焔王の前にかがみ、一回息を吸い込むと

 

「フッ!!」

「「「ッ!?!?!?」」」

 

 ロウソクのように息を吹きかける

 すると焔王のから出て来ていた炎は全て消滅し、焔王自身も何が起こったのかわからないようで泣き止んでしまっていた

 

「こんな感じか」

 

 当たり前のようにやってのけたこの悪魔は立ち上がり、焔王に手を差し出すと

 

「それ以上動いたらタダでは済みませんよ?」

「何者だ。お前?」

「さっさと跪きなさい。人間如きが」

 

 眼鏡の人(イザベラ)が本を持って焔王を守るように前に立ち、ヒルダに似た人(ヨルダ)がモップをこの場の女で唯一の貧乳(サテュラ)が銃を頭に突きつけて来ていた

 

「おい、何かアタシだけおかしくなかったか、なぁ?」

「うるせえぞ貧乳。お前は黙って牛乳飲んでろ」

 

 見た目は翔でも中身は別人、こんな状況になってもアンリははっきりと言いやがった

 

『まあ実際死んでも死ぬのは翔だけだし?俺は最初から魂だから死なないし?』

『おいこら変われ。今すぐ変われこら』

 

 見てみれば貧乳は涙目になり、隣にいるヒルダ擬きがそれを慰めていた

 

「……悪魔に対してその言動。よほど死にたいようで」

「すいません。ウチの悪魔が出てきました。許してくださいホントマジで……」

 

 とりあえず土下座で謝る事にした

 全てアンリが悪いのだが、アンリがした事は全て俺がやった事にされる。最悪だ

 

「もしや…ヒルダの話に出たアンリ様の契約者…ですか?」

「え?あ、はい」

「先程の言動は全てアンリ様がやった事だと?」

「はい……」

「アンリ様はどこに……」

「そこら辺をフヨフヨ漂って…います」

 

 そう言うと即座に侍女悪魔達はアンリの方へ向き、祈り出した

 

『…ホント、アンリって何なの?』

『神様』

『いや、そうなんだけどそうじゃなくてな』

 

 

「で、古市。何があった?」

「それはかくかくしかじかで…」

「まるまるうまうま、よしわかった。要するにこいつ…焔王様がゲーム好きだからソフトいっぱい持ってる俺を呼んだと」

「そゆことそゆこと」

 

 そうと決まれば

 

「焔王様、ゲームしようぜ」

「うむ!お主がカミヤとか言う人間じゃな!!

 余はゲームでも最強じゃからな!覚悟しとれ!!」

「ほう?ソフトの初心者どころかこの世界のゲームの初心者に負けてやれるほど俺は慈悲深くないぞ?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第26話ジャンプフォース買ったが…

男鹿「俺が出てねぇ…だと!?」
神野「銀魂すら出てねーんだから当たり前だボケ」


「し、知らぬであった…まさか人間界のゲームがここまで進んでいようとは…革命じゃ、これは革命じゃよ」

 

 とりあえずテレビゲームで13連勝くらいすると泣くかと思われた焔王は泣かずに現代のゲームの凄さを実感していた

 

「イザベラ!ヨルダ!サテュラ!明日ゲームショップに行くぞ!!人間を滅ぼすのはその後じゃ!!」

「「「はい。坊っちゃま」」」

 

 ゲームを知らなかったら焔王が問答無用で燃やされてたかもしれないからこれで良し…に見えるが

 

「そうそう、一つ言い忘れておった。イザベラ!!」

「はい」

 

 焔王が何かを思い出したらしく、イザベラに声をかけると彼女はゆっくりと丁寧に話し出した

 

「先程の話の続きですが…確かに大魔王様はご兄弟が協力するようにとおっしゃいました。それは我々とて吝かではありません

 ですが、坊っちゃまの家臣達はそうは考えないでしょう」

 

 そこまで聞いたヒルダが何かに気づいた感じだったが、イザベラは遠慮なく続ける

 

「焔王様とベルゼ様。どちらがより手柄を立てるか。世継ぎに相応しいのはどちらか試されていると

 中にはベルゼ様にまで危害を加えんとする過激な者まで出て来るやも知れません」

「ベヘモット34柱師団……」

 

 話を聞いていると男鹿がコソコソと俺に近づき耳打ちしてきた

 

「…なぁ翔。どう言う事?」

「簡単に言うと『焔王の部下がお前とベル坊殺しに来るかもだから気をつけてね★』って事だ」

「はぁ!?お前マジでふざけんなよ!?」

「俺に言うな」

 

 

 〜帰宅〜

 

 

 さて、そろそろ俺もヤバくない?

 アニメではこの後古市に呼び出されて、男鹿が悪魔にやられたって知らせを聞いて、焔王とゲームでドンパチやって……やって……

 

 どうすんだっけ?

 ………

 

 やべぇ、忘れた。もう原作知識何てないじゃん。何か後ろから凄え魔力が来てるし………うん?後ろ?

 

「……誰ですかね〜」

「ほぅ。多少魔力があるだけだと思ったが……中々に強いな」

 

 振り向いてみれば小さい男の子(いわゆるショタってやつかな?)がそこに立っていた

 

「問おう。貴様は何者だ?」

「人に名前を聞く時はまず自分から〜ってどっかの誰かから聞いてないのか?」

「…失礼した。俺はベヘモット34柱師団、柱爵 ナーガと言う

 再度問おう。貴様は何者だ?」

「神野 翔だ」

 

 とりあえず自己紹介したし「そうか、殺す前に覚えておこう」

 ドンッッッッッ!!!

 

「危ねえなぁ…いきなり何しやがる」

「やはり貴様は話に聞いていた紋章使い(スペルマスター)か」

 

 ギリギリ紋章を発動させ、腕をクロスにして防ぐ事は出来た。…それでも2、3m吹き飛ぶって何なの?

 

『おお!ついに使ったな?使っちゃったな!?よっしゃああああ!!久々に発散できるぜぇぇぇえ!!』

『うるせえぞ。黙れ』

 

 めちゃくちゃはしゃいでいるアンリを黙らせて現実を見る。アニメでもこいつ見たけど、やっぱ強いな。魔力全開でも勝てるかは分からんぞ

 

「まぁやらねーと死ぬ事には変わらんか」

 

 1人で勝手につぶやくと魔力を上げていく。それと同時にゼブルスペルの紋章が広がっていき、顔あたりまで侵食する

 身体能力が上がった事を確認すると両足に力を込めて

 

「先手必勝!!『魔神の一撃(スペルブロー)』!!」

「………」

 

 一気に前に向かって解放した。振りかぶった右腕には魔力を回し、威力を上げた。これなら『ガシッ』効くと思ってたんだけどな

 

「…まさか神と呼ばれた悪魔の契約者がこれほどとは…宝の持ち腐れだな」

「……オオオオオオ…ラァッ!!!」

 

 次は左腕で殴りかかる。だがそれもあっさりと受け止められる

 

「……もういい、茶番に付き合ってやる暇はない。だが仮にも神の力をその身に宿しているのだ。我々の敵になりうる可能性がある者は潰しておく必要がある」

「ガッ……!」

 

 そう言うとナーガは俺の開いていた腹に向かって蹴りを入れて突き放すと右手に魔力を集中させる

 

「水燼濁々……ッ!!」

 

 ナーガが何かに気づいた

 集中していた魔力が一向に出てこないのだ

 

「……貴様、何をした?」

「別に?ただただ呪いを貼りつけただけ」

 

 俺はゆっくりと立ち上がり、その技の名前を呟いた

 

「『呪禁の理(スペル・ルール)』それを受けると魔力を体外に放出できなくなるって技だ」

「……であれば、殴り殺せば俺の勝ちだろう?」

「勝てたらいいな?」

 

 お互い拳を構えて相手の出方を伺う……かと思われたが桁外れの魔力が俺達に届いた

 

「ヘカドスの所か……お前との戦いは後日にしよう」

 

 そう言うとナーガは魔力が来た方向へと魔力なしの身体能力で飛んで行った

 

「……痛いな」

 

 蹴られた腹をさすってそう呟く

 

『まぁ本家の力だとあんなもんだろ。てゆーか、遠慮なく使いやがったな『呪禁の理』』

『あれ使わねーと死んでたろうが、チートみたいなアレだから絶対使いたくなかったけどな』

 

 つーかやべぇなベヘモット34柱師団。最近全然魔力使ってなかった事もあるだろうが、あんなにあっさりと負けるとはな……

 

『また精神世界で修行やるか?』

『精神面と肉体面じゃ全然違うから却下。前にやったのは『今』出せる範囲の出力で強くなる方法だろ?必要なのは『今以上』の出力だ』

 

 つっても、そんな簡単に出力なんか上がるわけがないし、第一教えてくれるやつも……あっ

 

 

 〜翌日〜

 

「で、お前は俺に教えを乞いに来た…と」

「まぁ…はい」

 

 とりあえず早乙女先生が紋章使いであったのを思い出して教えを乞う事にした

 

「はぁ…お前はいい奴だなクソッタレ。男鹿とは大違いだわ」

「褒めてんですか、貶してんですか」

「褒めて貶してんだよ」

 

 意味がわからない

 

「えーと、最終的にどうなんですか?修行つけてくれるんですか?」

「まぁ、教えて欲しいっつーんなら教えないわけにはいかねえな。俺も教師だし」

 

 とりあえずOKらしい。となるとすぐ修行を『コンコン』

 ドアがノックされた。早乙女先生は「開いてるぞ」とだけ言ってノックした者を中に入れる

 

「やっと見つけたぜ。早乙女禅十郎……いや、禅さん…」

「トラか…相変わらずメチャクチャ元気そうじゃねーか…」

 

 東条英虎、その男が傷だらけの状態で早乙女先生の元へやってきた

 

 

 

「ーーと言うわけだ…お前も悪魔に絡まれて災難だったな…トラ」

「よくわからんが…禅さんは奴らの事知ってんのか…?」

「何回同じ説明させる気だよ…」

 

 こんな感じの説明を10回以上、ずっと続けていた。眠い

 俺がこの部屋から出ればいいのだが……

 

「ああもう!!神野、もう一度トラに説明してやれ!!」

「ああ、頼むぜ、神野。なんだかもう一度説明を受けたらわかりそうな気がする…!!」

 

 この繰り返しに俺が組み込まれた。だから説明をするため、ここから出るに出られない状況になってしまったのだ

 

「あー、東条。アンタの戦ったのは正真正銘の悪魔でな?」

「おう、悪魔のような強さだったぞ」

「強さもそうだが悪魔なんだよ!本物の!」

「お前の知り合いって事か?」

「ち・が・う!!敵なの、俺、早乙女先生、東条、男鹿!!全ての敵!!」

「敵ならぶっ飛ばさねーと…」

「だから、強いの!お前や男鹿でも勝てねーくらいに強いの!喧嘩したら負けんの!」

「何言ってやがる。同じ人間なんだから強くなれば」

「悪魔だっつってんだろうが!!」

「……あ、熊!!」

「そうじゃねーよ!!」

 

 ダメだこいつ。ぜんっぜん理解しねぇ!!

 あれか?底が割れたコップみたいに注げば注ぐほど説明した部分が抜けてんのか?

 

「先生、お手上げです。人格から変えないと一生理解できませんよ。こいつ」

「まぁ、うん…昔からこうだったからな、こいつは」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第27話修行

 〜山奥〜

 

「よーし、修行するぞ〜」

 

 早乙女先生が頭をボリボリ掻きながらやる気のなさそうな言い方で修行開始の宣言をした

 

「お前の契約悪魔はアンコロモチだったか?魔力がアホ程あるらしいからな、魔力解放したら結構強くなるからな。しっかりついて来いよ〜」

 

 先生がそんな事を言うとアンリが突然出てきて叫びだす

 

『アンリマユだボケェ!!間違えんな!神様だぞコラ!!』

「先生、アンリマユです。本人が間違えられてキレてます」

「あ?別に良いだろうが。俺見えてねーし…あと俺の事は師匠と呼べ」

「断る」

 

 先生は小指で鼻をほじりながら気軽にそう言うがアンリが近くでギャーギャー言うものだから集中できる気がしない

 

「ほいっと…えーと?これをこうして……」

 

 ガシャッと持ってきていたラジカセを地面に置くとカセットテープを入れて色々と弄るとスタートボタンを押す

 ♪〜♪〜♪〜

 

『ようてめぇら!歯ぁ磨いたか!?禅十郎さんだ!!

 修行だって楽しくなくちゃな!!って事で俺と一緒にレッツ魔力解放!!』

 

 不快な音楽が流れると先生はマイクを持って体操のような準備に入った

 

『おい神野!!何ボサッとしてやがる!!お前もやるんだよ!!』

「え?ああ、うん」

 

 言われたのでとりあえず俺もやる。……何故かアンリも体操の準備に入った

 

『ヘイッヘイッ!!ワンツーさんしっ!!

 いつまでたっても成長期!!ハイッ!!』

「『いつまでたっても成長期!!』」

『オーケイクソッタレ!!

 じゃあ次は腕を前にムカつく奴の前歯を叩き折る運動だ!!』

 ………

 

 〜5時間後〜

 

「ハァ〜ハァ〜」

「よく頑張ったな!うん、よく頑張った!!しかし……

 なんでこんな体操が修行と言うのに突っ込まねぇの?バカなの!?」

「自覚あったんかい!?」

 

 いや、原作でこれがあったから十分だったんだけどさ?

 修行と言い張ってたし、自覚ないのかな〜とか思ってたよ?

 自覚あったよ!!もう自分で変な体操って認めてたよ!?

 

「まぁ、やる事が早くて良かった。お陰でもう次のステップに入れる」

 

 ラジカセの巻き戻しボタンを押して最初からまで戻し、再生ボタンを押した

 

「察してると思うが、こいつはただのラジカセじゃなくてな。

 テメーの声がしこたま録音してある。そんで録音した声の主を実態化させる機能がある

 …もうわかったと思うが、テメーの修行相手は」

 

 ラジカセから黒っぽい何かが現れ、そのまま俺と同じデカさまで大きくなると形を変えて

 

「テメー自身だ」

 

 黒い俺へと姿を変えた

 そのまま黒い俺は動き出し…

 

「うおっ…」

「☆¥%4mp○¥2%」

 

 …一気に俺の前まで到達したかと思うと問答無用で腹に一撃食らった

 

「そいつは録音した声の主の潜在能力を引き出す。まぁ死なねーように頑張れよクソッタレ」

(まぁ、知ってたけど……案外俺って強かったのか?)

 

 話を聞かずにそういった感動を覚えながら無言で拳を構えると今度はこっちの番とばかりに俺が拳を振るう

 ボコォッ!!

 

 良い音を鳴らしながら拳が命中し…

 

「☆$°……」

 

 …たが、全然聞いた様子がない。黒い俺も余裕そうな声を出して拳を固めて一撃目で腹、二撃目で顔と連続で攻撃を叩き込んでくる

 

「いっっってぇなぁ!!!」

 

 反撃に俺も10連ほど殴るが、やはり聞いたそぶりを見せない

 タフすぎだろコイツ……!

 

「こりゃあ……倒すのに時間かかりそうだな

 まぁ頑張れよ。俺向こうで昼飯食ってるから」

「あ、コラお前……ズルいぞ!!俺にも食わせロボォ!?」

 

 こうして、黒い俺との修行の日々が始まった

 

 

 〜1、2日後〜

 

 

「おいおいお前……成長早くね?」

「うるせえよ。アンタにとっちゃ1、2日程度なんだろうがこっちからすれば2年くらいなんだよ」

「?」

 

 地面に大の字になりながら横たわる俺

あの後何が起こったのかと言うとあの黒いやつにアンリが取り付いた。それでそのままこの前の精神世界的なものに連れてかれ……

 

「まぁ、これでベヘモットの奴らの殆どに遅れを取ることはねえはずだ。そんじゃあ今から新技を「あ、間に合ってます」…は?」

 

 途中で割り込んできた俺の発言に先生が変な顔になった

 それは気にせず俺は説明する

 

「アンリが『技なら腐るほどある。それ教えてやるからさっさと強くなれ』…と、一応神様だからな。やれる事は色々あるんだと」

「まぁ…うん。それならもういいかな?」

 

 …心なしかガッカリしているようにも見える

 あれか。部活とかで初めて後輩が出来た時みたいに張り切りまくってたのか?

 

「なんか…すいません」

「謝るな。なんか刺さる感じがする」

 

 

 

 

「翔〜古市君から電話来てるわよ〜」

 

 家に帰るとちょうど母さんが電話を持って俺の元へやってきた

 すぐにそれを受け取ると耳に近づける

 

「はい変わりました」

『翔!!お前一体何処行ってたんだよ!?こっちは大変だったんだぞ!!』

「うるせーよ古市。そんなんだからクズ市やらキモ市やら変なあだ名が出来んだぞ!!」

『そんなんはどうでも良い!!焔王見つけんぞ焔王!!』

 

 ああ、今古市らのゲーム戦争か。知ってたら不自然なはずなので落ち着いて……

 

「焔王?んなもんどう探すんだよ」

『ゲームだよゲーム!!……ああ、もう!!お前今から言う所に来い!!わかったな!!』ブッ…

 

 ……めちゃくちゃだなぁ

 まぁいいや、俺もゲームしたいし

 

 

 〜と言うわけで〜

 

 

「来ました」

「何言ってんだお前」

 

 えー現在俺はヘリポートが屋上にある高級マンションに来ています!

 なんとここはですね25階から上は全て姫川が借りているマンションらしいです!正直引きますね!

 

「んで、みんながいるって言うゲーム部屋は何処?」

「2505の場所……」

 

 古市がなんか落ち込むようなそぶりを見せる

 

「どうかしたのか?」

「いや、焔王は案外一発で見つかったからメッセージ送ったんだけどさ1時間も返信して来ないんだよ

 と、ついたぞ」

 

 ドアを開けると中にいたメンバーは以下の通り

 神崎、姫川

 城山、夏目

 大森、千秋

 花澤、ラミア

 

「おう、来たか」

「神崎先輩。様子はどうですか?」

「全然だ。てか、もう落ちてんじゃねーか?」

 

 古市と神崎が状況の説明を話し合う

 

「千秋。すまんなちょっといいか?」

「ん…」

 

 その間にパソコンで焔王に向けてのメッセージを送る

 

【おっす焔王。神野 翔ですが元気にしてますか?ほら、古市の家でアンタに10連勝くらいしたやつだよ

 どうです?ここらで一戦交えて見ませんか?それとも…

 …また俺に負けるのが怖いですか?】

 

「送信っと」

「いやアンタ大丈夫!?これでアイツが怒ったりして通信が切断されたら……」

 

 ラミアが心配そうな声を出して来るが、俺は余裕と言った感じで返す

 

「大丈夫大丈夫。ああいう奴はプライドだけは一人前に高いからな。周りの侍女さんらも主人がナメられてるから……ほら乗ってきた」

 

 1分以内に返って来たメッセージを見てみれば

 

【ムキーーーー!!お主調子に乗るなよ!!

 余はもうこのゲーム極めたし!!余はもう無敵だし!!

 もうお主如きに負ける余はもういないわぁ!!!】

 

 あはは〜面白いくらい予想通り〜♪

 

【よし、ならば勝負です。しかし、これは男の勝負。何かをかけて勝負をしましょう。こちらは貴方の居場所を要求します。そちらは?】

 

 今度は5分程すると返信が返って来た。さてさて何を要求するのかな〜♪

 

【お主】

 

 ………んん???



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第28話えぇ…

 見間違いじゃないかと目をこすると再度返信を見てみる

【お主】

 ……えぇ…

 

「おい、あのガキってあっち系だったりするのか?」

 

 神崎が驚きながらもラミアに聞くと、ラミアも驚きながらも答えた

 

「あ、あっち系って言うものの意味はわからないけど……多分違う」

「じゃあこれ何?なんで翔ちゃんが賭けの対象として要求されてんの?」

 

 ラミアの言葉の後に夏目が問うが、答えがわからない

 その頃に俺と古市はテレパシーで会話する

 

『おい翔。これどう思うよ?』

『え、えーと…悪魔って命を代価にどんな願いも叶えるみたいな設定をどこかで……』

 ………

『『やっべえええええええええええ!!!』』

 

 やばいやばいと古市と俺で焦ってると花澤がある事に気付いて口を開く

 

「あ、また返信が来たっスよ?」

「「「なに?」」」

 

 その場にいた全員がパソコンを凝視する

 そこに書かれていたメッセージは…

 

【というのは冗談じゃ!ぬははは!騙されたな!?

 本当に欲しいと言うか、お願いと言うべき物じゃな!

 オンラインのRPGゲームでレアアイテムが欲しいからそれが取れるエリアで手伝って欲しい!】

 

 このガキィィィィ……

 ヒヤヒヤした気分を返せコラ

 

【追記、焔王様の侍女です。もう一つ要求に焔王様が泣いた時の対処を要求したいのですがよろしいですか?】

 

 ……頭が下がります

 とりあえず俺が返信する

 

【まあ…はい、交渉成立です】

 

 

 

「よし、これで大丈夫…なはず」

「大丈夫でしょ?たかだか泣く子をあやすだけだよ?」

 

 夏目がニコニコ笑いながらそんなことを言うが、泣いた時こいつ炎出すからな。焼け野原だぞ?一瞬で

 その中に突撃してあやせってんだから酷い話だよまったく。向こうには次元転送悪魔がいるからどこからともかく攫われるだろうし

 

「よし、俺がや「待って」…千秋?」

 

 俺がゲームをやろうとすると千秋から待ったがかかった

 

「…これは、私が始めたゲーム……たとえ翔でも横取りは許さない」

「お、おう。ぜ、絶対勝てよ?絶対だかんな?」

「当たり前…いつもいつも、私は誰に勝負を挑んでると思ってる…?」

 

 …原作では確か負けてたけど、俺で鍛えられているはずだからな……多少の不安があるが、千秋ならやれる!俺は信じてる!!

 

 

 2ー3

 YOU LOSE……

 

 負けました……なんか最初から『ゼロフレーム浮かし脱ぎ』使って来てた…

 俺が変わろうとしたんだけど、千秋が「ゲーマーとして負けられない……!!」とか言ってスイッチ入って、結構食らいついてたんだけど負けた

 

「まあまあ、こっちが失った物は少ないんだし…」

「そうっスよ!たかだか子供あやす程度大丈夫ッスよ!!」

 

 夏目と花澤がそんなことを言うが…わかっているのか?火事の中で子供あやす事の難しさ…アンリが吹き消せば終わりなんだけどさぁ…

 現在は最初の要求であるレアアイテムを探す手伝いをしている

 ちなみに千秋はあの後侍女さんに30戦ほど挑んでコテンパンにされソファでふて寝してる

 

【褒めてやるぞお主!!お主のおかげで早くもレアアイテムゲットじゃ!!!】

【そりゃどうも…というわけで再戦を申し込みます】

 

 とりあえず最初の要求を達成させた瞬間に再戦を申し込んでみた

 さて、どう出るか……

 

【良いぞ!!…しかし、再戦と言うても同じゲームじゃ余もつまらん。と言うわけでどうじゃ?別のゲームで勝負をつけると言うのは?ジ・エンド・オブ・ウォー4と言うゲームじゃ】

 

 ほう…これは原作通り行く流れか?

 そうだよな?

 

「…どうする?」

「ど、どうするも何も」

「ストⅣじゃ谷村ですら30連敗してんだぞ?やるしなないっしょ?」

「え、私ゲームやった事ないんだケド……」

 

 俺が周りに聞くと古市、夏目がそう言い周りがそれに賛同するように頷く。大森が何か言った気がしたが大した事ではないだろう

 

【わかりました。ですが、こちらには10人集まっておりますがゲームをやった事がない人がいるので明日の午後3時辺りまで時間をください】

【良い。余の方も数を合わせなくてはならんのでな。では諸君、明日の3時にまた会おう】

 

 …………

 

「さて、明日の午後3時ですね」

「そうだな。お前ら、今日のところは帰れ」

 

 姫川が俺達を返すように促す。すると神崎が前に出て物申した

 

「ケチくせえな姫川。泊めてくれよ」

「うるせえよ。明日の為の準備すんだよ」

 

 そう言う事で止まる事は姫川に却下され、俺達は帰る事になった

 

「あのソフト、翔の家にあったよね…?練習するから貸して…」

「良いぞ。ついでにウチで食ってくか?」

 

 何か古市の嫉妬の視線を受けた

 

 

 〜翌日〜

 

 

「全員揃ったな。じゃあ練習すっから席につけ」

 

 6人から変わり10人でゲーム出来る部屋に改装された部屋で姫川が部屋で待っていた

 

「ってお前これ一人でやったのかよ?」

「まさか、人と金はこうやって使うんだよ。一部屋に集まった方が有利だからな。ちなみにあっちのサブモニターで全員の動きがチェック出来るようになってる」

 

 秘密基地みたいだ

 全員が引きながらも着席する

 

「え?え?もう練習すんの!?私まだ説明書読んでないんだケド!?

 

 大森が混乱して助けを求めているが、やりながら覚えろとの事

 

「まず移動は左スティック。右スティックで視点変更だ」

「ひ…左スティック??こ…これかしら…」

 

 大森が試しにボタンを押すと大森のキャラは手榴弾を俺に投げてきた……

 

「って!?わあああああ!!!やばいやばいパスッ!!!」

「え?ぎゃあああああっっ神野何するんスかああああ!?」

 

 飛んできた手榴弾を花澤に投げると花澤がいきなり死んだ

 

「寧々さん左スティックはこれです!」

「え?こ…これ?」

「きゃあぁぁぁっっ!!」

 

 今度は谷村にアサルトライフルを乱射する。ダメだこりゃ

 

 

「大森さん。左スティックはこれで……」

「う、うん」

 

 とりあえず俺が直接基本的な操作を教える事になった

 

「とりあえず移動してみてください」

「え、えーと…これ?」

「おお!!出来たじゃないですか!!覚えるの早いですね!!」

「え?そ、そうなの?」

 

 多分この人褒めると伸びるタイプ。だったら基本的な事でも褒めまくればすぐに強くなる

 

「……翔。私もわからないところがあるんだけど」

 

 ゲームに集中していたはずの千秋が急に俺に話しかけてきた

 だが、それに対して俺は当たり前の事を話した

 

「いや千秋、お前徹夜で鍛えたって言ってたろ?」

「あう……そ、それにしても翔と寧々さん…近くない…ですか」

 

 次に俺と大森の距離について話を持ちかけてくる

 ……近いな、うん。近い

 

「すいません大森さん。ちょっと「べ、別に良い。気にしてないし、教えてもらってる側なのにどうこう文句言うのは…ね」

「寧々さん…?!」Σ(゚д゚)

 

 熱でもあるのだろうか…大森が顔を赤くしながらそんな事を言い出した

 

 

 〜大森視点〜(出来るかわからない…けど、やる!!)

 

 うん。神野のおかげで色々わかって来た…

 …なんだろ、ゲームが楽しい

 

「そ、それにしても翔と寧々さん…近くない…ですか?」

 

 千秋の言葉が耳に入る。言われてみてみれば神野がかなり近い…ってか、近すぎ!?!?

 それに気づいた神野はこちらを見るなり申し訳なさそうな顔をする。そのまま口を開き

 

「すいません大森さん。ちょっと「べ、別に良い。気にしてないし、教えてもらってる側なのに文句言うのは…ね」

 

 あ、あれ?私、何言ってんだろ……離れたくない?

 ッハ!?違う違うってかダメダメ!私は烈怒帝瑠…葵姐さん千秋に続いて私までそんな風になったら後輩に示しがつかなくなる!!!

 

「………」

 

 ああああ!!千秋!そんな目で見ないで!違う、違うからね!?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第29話ゲーム

「時間だ…」

 

 誰かがそう呟いた

 

「…あぁ…まぁ、やる事はやった。全員準備はいいな?」

 

 全員がそれに対して頷く。そして姫川がゲーム開始の宣言みたいなのを口にした

 

「よぉしっ!オンラインに繋ぐぞ!!」

 

 チームAとして10人入った

 チームBには焔王が入り、それと共にメッセージが送られてきた

 

 焔王

【約束通り来てやったぞ】

【有り難く思うがよい

 この勝負、そち達が勝てば余の居場所を教えてやろう】

【ただしーーーー

 余が勝った時には嬉しさのあまり…

 余…超泣くから】

 

 ……ヤバイ。と俺と古市とラミアが考え、凄い表情になってしまった

 

 イザベラ

【その時は神野さん。よろしくお願いいたします】

 

 …はい

 

 

 〜ゲームの世界〜

 

 

「えーと、こちら神野工兵。戦車の前で待機中、ですが相手が先に取りました。早急に工兵部隊に戻ります。どうぞ」

 

『こちら突撃部隊第1班神崎と古市!!こっちは敵に見つかって攻撃されてる!!他はどうなっている!?』

 

『はいはーい。こちら突撃部隊第2班夏目と城山。生きてるよーなんか城ちゃんがさっきからぐるぐる回って笑えるけど』

 

『あっ、こちら工兵部隊花澤と大森ッス。ぶっちゃけ寧々さんも回ってまーす』

 

『……衛生部隊ラミアと千秋、工兵部隊の元へ向かいます』

 

『偵察部隊姫川。全員確認できるとこにいるぜ』

 

 とまあ、茶番は置いといて……ちょっと攻めるか

 

「姫川先輩。敵戦車の位置はわかりますか?」

「あ? ちゃんと見えるぞ。…まさか迫撃砲で吹っ飛ばそうとかか?」

 

 姫川に尋ねると普通に返してきた。よしよし、ならば

 

「いえいえ、敵戦車の周りに敵はいますか?作戦会議みたいなのしてない?」

「ああ、よくわかったな。なんか一部を除いて集まってっけど」

 

 予想通り。ならば……

 

「よーし、じゃあスイッチ……」

「は?ちょっと待て、それなんの「オン」

 

 ドッグォォオン!!!!!!

 

 どこかで大爆発が起きた。無論敵戦車がだ

 

「翔ちゃん何したの?」

「C4を2個くらい仕掛けてわざと取らせました。姫川先輩お願いしまーす」

「わーってるよ」

 

 爆発に巻き込まれながらも生き残った奴は姫川先輩がスナイプしてトドメを刺す。これで3人も敵は倒されたらしい

 戦車も倒したから一石二鳥

 

「……すいません。こっちに2両目の戦車が取られました」

「うぉい!?」

 

 千秋からの証言によれば、待ち伏せを囮にして回り込んできたとの事

 戦車強いし……まぁ原作知ってる側からすればまだ安心なんだが

 

「あ、踏み潰されました」

「なんかでっかいロボ見つけたんスけど」

 

 1/80の確率で出てくる激レアマシン『クレイジーフロッグ』。それを操縦する花澤が戦車を踏み潰した

 そっからは花澤の自由奔放な動かし方で無双していたのだが、地雷を踏んだりロケットランチャー飛んできたりでものの数分で壊れた

 

「てへっ」

「「「てへっじゃねーよ!!このパー子がっ!!」」」

 

 全員が花澤を責め立てる

 

「な、なんスかみんなして…」

「てめーアレがどれだけ貴重な武器か分かってんのか!!」

「まぁまぁ、それよりも相手の手際の早さに驚くべきでしょ。こいつら相当やり慣れてるよ」

「そうです。冷静になってください。振り出しに戻っただけです

 それに寧々さんが乗ってたら私達まで踏み潰されてましたよ」

「ねぇ千秋…?ちょっと私に冷たくなってない?」

 

 

 

 有利な状況が続く中、相手も痺れを切らしたのか行動を開始し始めた

 チートと言うオンラインで最悪の武器を使って

 

「死んじゃったっ!?何いまの…!!」

「うおおおお!!!や、やられた…!!何もないところから急にチェーンソーが…っ!!真っ二つにされたぞ!!なんて残虐なゲームだ!!」

 

 いきなり光学迷彩のチートを使い大森と城山を殺した

 更にはぶっ壊れたはずの『クレイジーフロッグ』を直して使い

 

「なんで俺だけ狙って来るんですかねぇ!?」

 

 どういうわけか『クレイジーフロッグ』は俺のみを集中的に狙って来ていた。なぜだ!?なぜ俺だけこんな目に……

 

「戦車ごと爆破しようとした恨みだな」

「是非もない!!!」

 

 それを見た姫川は立ち上がり、自分のゲームを城山に預ける

 

「10分程持ち堪えろ。その間に用意する」

「10分!?こんな奴からあと10分!?」

 

 〜10分後〜

 

 もちろん死にました

 当たり前でしょうが、ロボから踏まれないように逃げてたら透明人間からもバンバン撃って来るとか無理無理

 姫川帰ってきた後は原作通りでした

 

 姫川がゲーム自体を買い取る

 ↓

 こちらの指示でゲーム自体の設定を弄れる

(不正に改造してるわけではないためチートではない)

 ↓

 ゾンビになり、死なない

 クレイジーフロッグ×5召喚→合体ロボ完成

 ↓

 合体ロボで敵のクレイジーフロッグ潰して勝ち

 

 

 

 

「と言うわけなので、早速焔王坊っちゃまを止めてください」

「いきなり攫ってしまう形になり申し訳ありません」

「頑張れよ!!私達の未来はお前にかかってんだからな!!」

 

 はい、契約通り焔王様を泣き止ませなければならなくなりました

『すいません。どうにかしてここから離れてください』

 っと、声だけ転送して来たから「トイレに行く」と言う名目で離れたら即座に攫われた

 

「んで、来てみれば焔王様が負けた悔しさで泣き始めてた…と」

『泣き虫だな〜本当に大魔王の息子か?』

 

 アンリが宙に浮きながら…

『って、お前ゲーム中どこにいたの?』

『お前の中で寝てた』

 

 まぁそんな事を話しながら焔王に近づく。暑い熱いアツイ……

 アンリ曰く『今のお前の実力なら全力で息を吹きかければ消えるはずだ!!頑張れ!!』との事

 いや、お前がやれよ。確実だろうが

 

「んじゃま、早速………」

 

 そう言いながらゼブルスペルを全力発動させ、そのまま息を吸い込む。

 

 魔力に属性付与…水。魔力を肺の中の空気に付与……行くぞオラァ!

「フッ!!!」

 

 全力で息を吹きかけた。するとどうだろう、焔王様の炎が綺麗さっぱり消えていた。…結構疲れた

 

「うっ…うっ…」

 

 炎は消えたがまだまだ全然泣き止まない。そのため、慰めるように頭に手を乗せて口を開いた

 

「泣くなよ。大魔王の息子だろ?お前」

「余は…負けた…悔しいのじゃ…余は強いはずなのに…なのに…」

「強いんだったら尚更だ。たかが一回負けた程度で泣き出してんじゃねぇ!…ああ、もう。お前にいいこと教えてやるよ」

 

 どれだけ言っても泣き止まない焔王に昔聞いたような言葉を送ることにした

 

「勝った時より、負けた時の方が学べる事は多いんだぜ?」

「ど、どういう事じゃ?」

「要するに、元々最強だったお前はこの負けでさらに強くなったんだよ。だから次は負けたりは……するかもだが、勝つまで足掻け。以上だ!!」

 

 ………あれ?俺、余計な事言った気がする

 

 

 

 

「おー神野。長いかったじゃねーか、ウンチか?ウンチだったのか?」

「はい。大きい方でした。それで、向こうは何を言ってますか?」

 

 帰ってきて俺がそう聞くと百聞は一見にしかず、と言う事でゲームでのメッセージを見せられた

 

【うむ。余はぬしらに負けた事で成長したのじゃ!

 次は負けん。次は余が勝つからな!次に勝てたら余の居場所を教えてやろう!!】

 

 ………なんだろうか、古市とラミアの視線が鋭い。「お前何かしたろ?」みたいな視線が俺に突き刺さる

 見てみれば2人にちょいちょいと手招きされる。…来いって事ね

 

 

「おいコラ。テメー、一体焔王に何しやがった」

「さっきトイレに行ったのアレよね?アイツ泣き止ませに行ったって事よね?」

 

 外に出るなり2人に詰め寄られる

 誤魔化しは無理だろう。と言うわけで正直にさっきあった事を話さなくてはならなくなった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第30話眠いby作者

 アレから丸2日、焔王は何度も負け何度も負け……たが、「次じゃ次!!」とかを続けた

 ラミア曰く、「アイツはゲームで負けを認めた事なんてなかった」らしい。つまり、こっちが負けるまで永遠にもう一回と言い続けてる。しかも俺がアイツを焚きつけたせいで更にそれは強化されただろうとの事……いや、マジですいませんでした

 

「おはよ〜〜交代の時間よ〜」

 

 男共が徹夜でやっでる間に仮眠を取っていた女共が起きてきた

 …これで丸3日だな

 

「負けてやりたいんだけど、その場合火の海…にはならないが、居場所を教えてもらえなくなるからなぁ」

「って事は俺が焚きつけなくても同じ結果になってたよな?」

 

 俺が古市とヒソヒソ声で話していると古市がある事に気づいたようで、ラミアの方に目を向ける

 

「つーかさ…そんなに仲良いならラミアから呼びかけてみたらいいんじゃね?」

「は?」

 

 その一言に全員が反応した

 

「そうだ古市。テメーいい事言ったぞ。いい事言った〜100点

 2人合わせて200点!!」

 

 既にピークが来ていた神崎が壊れながらもそれに賛成するとすぐに行動に出た

 

【お久しぶりね

 エンオウちゃま〜(^○^)

 ラミアよ うっふん♡】

 

「何そのメッセージ!?」

「うん。酷いな、色々と……」

 

 性格から考えて有り得ないだろ。そのメッセージ

 

「ちょっとパンチ足りなくないっすか?」

「そうだな。もう少しリアリティーを足してみるか」

「♡マークいっぱいつける女って俺嫌いなんだよねー」

 

 だが、三徹してる奴らがそんな思考をするわけなくその後も色々付け足して送信した。…最後のやつには同意する

 

「おっ、待て待て。もう返信が来たぞ」

「マジかよはえーな」

「なになに?」

 

【ぬぉぉぉぉぉっっ!!

 ラミアー!!ラミアかっっ!!

 なぜお主がっっっ!!

 どこじゃ!?今こっちに来とるのか!?】

 

 ーーーーー…めっちゃ食いついた

 

【すいません焔王様。さっきのメッセージはラミアのものではありません。とりあえず本物のラミアに打たせますのでちょっとお待ちください】

 

 とりあえずあの気持ち悪いメッセージ書いた奴らは夏目以外寝かしといた。向こうはどうかしらんが、こっちはメッセージ見ていてイライラしたからな

 

【アンタ一体どこにいんのよ!?

 アンタがどっかに行ったせいで探してるこっちは大変なんだから!!】

 

「……何これツンデレ?」

「どっからどう見てもそうですね。本当にありがとうございました」

「違うわよ!!?」

 

 夏目と俺が呟くとラミアが全力で否定する。しかし送信して約10秒、メッセージが帰ってきた

 

【スマンラミア…

 故あって今は身を隠しておるのじゃ…

 しかし余はいつでもお前の事を大切に思っておるぞ】

 

「えーっ!!何これ何これ!!彼氏!?」

「なっ…なんでもありませんっっ!!ってか、全然違いますっ」

 

 女共が告白みたいなメッセージに食いついた。……千秋がラミアの肩持って相談し始めたが…まぁどうでもいい事だろう

 

 「先輩、どうやったら、告白とかって素直に出来るの…!?」

 「知らないわよ!!気持ちの問題でしょう!?」

 

 

【ホラ、焔王様。ラミアも会いたがってるし、負けを認めて場所を教えないと絶対に会えませんよ】

 

 向こうには次元転送悪魔がいるが、こっちは神様。攫われる事を防ぐ術ならいくらでもある。簡単には攫えないからな!

 ……そのあと何の返信も帰って来ず、ゲームだけが続いた

 

 

『なー翔。お前のゲンサクチシキだとアイツらこの部屋の隣にいるんだろう?なんでそれを教えない?』

『いや、知ってたら知ってたで面倒な事になるんだよ。なんでお前が知ってる!?とかさ』

 

 次元転送悪魔の力で別次元の部屋にいるだろうしな。それもなんとか出来るが時間がかかるし面倒くさい

 

『まぁでもあと少しで俺も行動できるようになるぞ』

『ああ、もしかしてあのラミアって嬢ちゃんに仕掛けた呪術か?』

『ああ、古市達がコンビニに行って数分。そろそろ……ホラ来た』

 

 そう言うと玄関の戸が開いた音がして見てみれば古市、ラミアと共に買い物に行った夏目と花澤が帰ってきた

 

「古市君とラミアちゃん帰ってないの?おかしーな」

「夏目先輩は一緒じゃなかったんですか?」

「途中まで一緒だったんだけど……」

「…はぁ、仕方ない。ちょっと探して来ます。どこで道草食ってんだアイツら…

 

 よし!大義名分ができた!行くぜぇ!!!

 

 と言うわけで玄関から出た瞬間に呪術を発動、座標であるラミアの元へ瞬間移動した

 

 

 〜古市〜

 

 不味い不味い不味い!!完全に怒ってるよヨルダさん!!てかなんだよ、外界から切り離すって!?完全におっさんと力が違うじゃねーか!!!クッソ、こうなるんなら翔を連れてくれば良かったなぁ!!

 

「てゆーかぁ、別に命を狙ってるわけじゃないんだしぃ。楽しく、ゲームしましょうよ?」

 

 笑いながらこちらに手を差し伸べるヨルダさん。クソ!万事休すか

 

『生憎だなヨルダ。アランドロンを見縊らん方がいいぞ?』

 

 どこからか聞いた事のある声がした

 いつの間にか持っていたラミアの通信機からだ

 

『2人とも通信機から離れていろ』

 

 声の指示通り通信機から離れると通信機がひかり、そこから段々と人影が現れそれが形作られる

 

「フム、初めてにしては上出来だ」

 

 ヒルダさぁぁぁあん!!!

 

 

 

 ヒルダさんとヨルダさんが戦っていると遅れてやってきたサテュラさんとイザベラさんに背後を取られた……あれ?なんかもう1人人影が…

 

「ふん。少し遅かったが、流石アンリ様の契約者ってところか?」

「せっかく助けに来たのに遅いって…別次元の空間じゃ時間にズレが生じるから仕方ないでしょうが」

 

 翔ぉぉぉぉぉお!!!

 

 

 〜神野〜

 

「この野郎はなせ!!!」

 

 サテュラの銃を持つ方の腕を掴んでいると引き離そうと腕に力を入れてもがいてくる。しかしその瞬間に銃を奪い、どこぞのボスみたいに銃を解体して投げ返す

 その間にヒルダはイザベラの持つ魔道書みたいな本をバラバラに切り刻み、ヨルダを一撃で気絶させた

 

「はっや」

「当然……ッ!」

 

 ヒルダが当たり前と言った態度で言おうとしたが、その言葉はいきなり現れた魔力と穴の開いた空間に遮られた

 そしてこの魔力は知っている……アレ?

 

「早速お出ましだ。ヨルダの能力が解除されてようやくここを見つけたか…無能な家臣どもが…」

 

 穴の開いた空間は転送玉による空間の歪み。そしてそれをよく使う集団をよく知っている

 

「来るぞ…ここからが本番だ…気を引きしめろ」

「わーってるよ」

 

 警戒するヒルダの指示に言われなくとも既に戦闘準備には入っている。正直、2、3日(2、3年)の修行により負ける気は毛頭ないのだが、既に自分にとってのイレギュラーが出た以上警戒に越したことはないはずだ

 

「ご苦労だったな。侍女悪魔」

 

 出てきたのは顔の左側に変な模様を入れた厨二病みたいな男。そいつが最初に手を出したのは気絶していたヨルダ。片腕で首を掴み持ち上げる

 

「動くな。てめぇらもすぐシメてやるよ。そう慌てんな」

 

 イザベラとサテュラが助けに入ろうとするが後から出てきた残り2人の悪魔に止められた。1人はヤンキーみたいな雰囲気の悪魔、もう1人はこの前俺がぶっ飛ばされたショタ

 

『さて、原作知識が役に立たなくなってきたぞ……』

『なんだ、もう無くなるのか?ゲンサクチシキ…まぁお前と一緒にいたら中々楽しいから良いけどな!』

 

 内心で舌打ちしているとアンリが嬉しい事を言ってくれる。……こいつの期待にも答えていきたいもんだな



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第31話vsナーガ

 ドゴォッ

 

 ヒルダが厨二…ヘカドスを屋上まで吹き飛ばした。やっぱヒルダって強え……

 ヒルダは吹っ飛ばしたヘカドスを追って屋上へ飛んで行った

 

「まぁ、あっちも始めたし…こちらも始めますか」

 

 ヒルダを見送った後に、俺はショタ…ナーガを睨みつける

 それを見たナーガは察してくれたのか隣にいるヤンキー…グラフェルに指示を出した

 

「グラフェル、援護に行ってやれ。あいつ1人ではあの女は手に余る」

「あいよ、殺してもいいのか?」

「どっちでも構わん」

 

 そう少しの会話をするとグラフェルはヒルダ達を追って屋上へと行ってしまった

 

「さて……どうやらこの前で実力の違いが分からんかったらしいな?たかだか2、3日で柱爵に勝てると思ってるのであれば「うるせえ」

 

 とりあえずガラ空きの腹に一発。ベラベラ喋っている暇があんなら体動かせ。俺はわざわざ変身シーンを待ってやる心優しい悪役じゃねーんだよ

 

「また……あの魔力封じか?」

「残念、アレは奥の手中の奥の手。そう何回も使いたくはないんだよ。だから今回アレは使わねぇ」

 

 腹をさするナーガにそう言うと癇に障ったのか魔力を全力で外に放出してきた

 

「…仮にそれが真実だとして、貴様は後悔する事になるぞ?

 この水竜王と呼ばれた男を敵に回したのだからな!!!」

 

 魔力で部屋全体が揺れる。しかしその魔力は即座に収まった

 なくなったからではない、一箇所に凝縮されたからだ

 

「……この階全体を吹っ飛ばす気か?」

「仮にこの階に人がいなくとも、後ろの者達は大丈夫ではない」

 

 その言葉に古市とラミアがハッとする。それに合わせてナーガは勝ちを確信したように笑い、貯めた魔力を放出した

 

「喰らえ『水燼濁々…蛇竜掌』!!」

 

 容赦ない攻撃。魔力が俺達を飲み込むべく迫ってくる

 その攻撃を俺は……

 

 片腕で掴む事で止めた

 

「「「は?」」」

 

 その場にいた全員がこうなるとは思っていなかったのか間抜けな声を口から出す

 

「よーーっ……はっ!!!」

 

 掴んだ攻撃はもう一つの腕でも掴み、握り潰すようにする事で消した。その瞬間にナーガの前へ移動する

 

「ッ!」

「お前らが敵に回したのは水竜やら火竜やらそんな生易しいもんじゃない…神様だ」

 

 まず腹にボディブローを一発。次に下に向いた顔面に膝を一発

 最後にまた開いた腹に全力のストレートを一発

 そうするとナーガは壁を貫通しそのまま外へ飛んでいく。俺は自分の魔力を羽にして空を飛ぶ事で追撃しに行く

 

「な…めるなぁ!!!」

 

 魔力を竜の形にして足場にしたナーガが追撃しに来た俺を待ち構え拳を握っていた。ギリギリまで引きつけた俺に向けてナーガは拳を突き出し……当たる事はなかった

 

「遅えよ」

 

 避けた瞬間に腹に一発。かちあげるようにナーガを上に吹っ飛ばした

 …あれ?ナーガが吹っ飛んだ先に何か……

 

 ドガァァァァアン!!!

 

 ナーガと別の何かが接触した瞬間に爆発した

 ……アレじゃね?『魔王の刻印(ゼブルエンブレム)』使ったときのシーンだろアレ。ヘカドス吹っ飛んだシーンだろ

 

『なんか……申し訳ないな』

『まぁ…うん』

 

 俺とアンリはそんな事を口々に呟いた

 

 

 

 

 屋上に飛んでいくと当たり前だが男鹿達がそこにいた

 

「おー男鹿。久しぶりだな!!」

「…久しぶりってほど経ってねーだろうが」

 

 久しぶりの男鹿の顔を見た感動で色々口にしてしまう

 

「そうだそうだ。お前はこんなアホ面してたな…ベル坊もお前によく似て……」

「おい、喧嘩売ってんなら買うぞ?言っとくが強いからな?強くなったからな?」「ダーッ!!」

 

 そんな他愛ない会話をしているとグラフェルがありえないものを見たような表情でこちらを見ていた

 

「あ…ありえねぇ…ナーガが、やられた?

 人間如きに?」

 

 まぁ自分の上司がやられてたら大体こんな感じだわな……

 

 

 あ、スーパーミルクタイム……

 

 

 

 まぁ、そんなわけで今回の襲撃の件は終わった。マンションの崩壊もスーパーミルクタイムの出番もなく……

 ナーガ達は一時退却と言うわけで焔王の元へ向かい、ヨルダの力を使い魔界へ帰っていった……古市がロリコン扱いされるアレもないのか…

 

「とりあえず、下の奴らに終わったって報告しにいくぞ」

「男鹿とヒルダさんは……帰ってもいいな」

 

 そう言うわけで下の階に戻り、ゲーム部屋がある階まで帰ってきた

 

「なーんか色々あったな」

「色々の部分が濃すぎな気もするが…」

「まぁ一件落着って事でいいじゃない」

 

 そうツカツカと歩き、2505と2504の間に差し掛かったとき、それは起こった

 

 ガッ…

「あっ…」

「キャッ…」

 ドサッ…

 

 つまづいて古市がラミアを押し倒した形になる。ついでに言うと手すりみたいな物に引っかかってズボンが…

 

「急に相手が動かなくなってんだけど……って言うか、アイツらどこに……」「翔も一体どこに…」「あれ?あそこに誰かいるッスよ?」

「忘れ物したのじゃ……」

 

 そこに狙って現れたかのような大森と千秋、あと焔王

 

「ロリコン」「変態」「不潔」

「貴様、古市とか言ったかの…余の嫁を…

 全面戦争じゃ!!!貴様だけは全軍を率いて余の手でぶち殺すっっ!!!

 

 ……古市、俺はお前を尊敬する

 

「いやいやいやっ誤解ッスよ誤解!!やめてくださいよ変な想像…!!」

「そ…そうよ!!古市はただコケただけなんだから!!!」

 

 頑張って古市達が誤解を解こうとするものの、周りの反応は…

 

「2人して取り繕う所がますます怪しいッス…」

「そう言えば買い出しの後ずっといなかった…」

「…説明はいいからズボン上げなさい」

 

 ◯oLOVEるみたいな状況にもなっているため誤解は解けない

 そうこうしてる間にいつの間にか千秋が俺の前まで来て腕を掴むと古市とは反対方向に引っ張り出す

 

「…そこの、不潔な男とは離れて……翔が穢れる…!」

「待って谷村さん!誤解!!誤解だから!!翔も誤解だって証言してぇ!!!」

 

 古市が見ていた俺に誤解を解くようにそう言うが……

 

「〜〜、!〜〜!!」

「口聞いちゃダメ……!」

 

 口を押さえられたため喋る事が出来ない……お前は俺の母さんか何か?

 まぁそう言うわけで最期の最期で古市はやらかしたとさ、めでたしめでたし……

 

 

 〜帰り道〜

 

 

「めでたくねーよ!?何っ、俺ロリコン呼ばわりされたし。そっとされてたけど焔王に全軍率いて殺しにくるって言われたんだけど!?」

「安心しろ古市、もしくは諦めろ。お前の運命は決まっていたようなもんだ」

「お前が誤解を解いてくれなかったからこうなったんだろうが!!」

「千秋に文句つけるつもりかコラァ!!!」

「んな事誰も言ってねぇだろうがぁ!!!」

 

 夜の帰り道、歩きながら口喧嘩する俺達。そんな中、反対側の古市の隣でシクシク泣くおっさんが1人

 

「可哀想な貴之…おーいおいおい」

「なんで呼び捨てっ!!?ドサグサに紛れて距離詰めてんじゃねーぞおっさんっっ!!」

 

 こんな絶望的な状況に落とされてもなおアランドロンに突っ込みを入れる余裕がある古市は本当に凄えと思う

 いや、漫画のツッコミ要員は全員こうなのか?

 

「まぁ…頑張って生きろ」

 

 それだけ古市に言い残し、別れ道に着いたためそこで別れる。後ろから「え、ちょ、ちょっと待って!?待って!?おーーい!!!」と言う声が聞こえてきたが耳を傾けずに帰り道を進んだ

 

『お前戦い方がドMなのになぁ…こう言うときはSになるよな』

『アホか。これから忙しくなるってのに古市の面倒まで見切れるか。アレでも漫画で言う重要キャラだ。そうそう簡単に死ぬ事はないだろうし大丈夫だろ』



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第32話…皆さん。そろそろ飢えてるでしょ?

オラァッ!!!
こういうの見たかったりしたんだろコラァッ!!!


 家に帰って来た。時間がもう夕方であった為、帰ってすぐに晩御飯の時間になったのだが

 

「……なんで、千秋が普通に俺の家の食卓の中に入って来てるの?」

 

 それを聞くと腹が少し大きくなって来た母さんが説明した

 

「私が帰るときに千秋ちゃんとバッタリ会っちゃって〜荷物を代わりに持ってくれたのよ?本当に良い子だわ〜」

「…妊婦さんに…優しくするのは、当たり前ですから」

 

 そんなやりとりを父さんも「本当によく出来た子だ…」と感心していた。そして両親揃って同じことを同時に口にした

 

「「こんな馬鹿息子ですが、よろしくお願いします」」

 

 瞬間、俺と千秋の顔が赤くなった

 

「おい、違うからな!?俺達まだ付き合ってないからな!?って言うか、どんだけ先の話してんだよ!?」

「そ、そそそそうですよ!!私達はまだ付き合っていませんし、それにちょっとグループの掟で……」

 

 必死に弁明しようとしたが両親は聞いた上でニコニコとした表情で口を開いた

 

「そうかぁ…2人共『まだ』付き合ってないのかぁ…」

「あらあら…『まだ』付き合ってないのね〜」

 

 ニコニコしたまま、わざわざ『まだ』の部分を強調してくる。それを聞いてまた2人揃って顔を赤くする

 そんな俺達を見て両親はニコニコしたまま食事を進めた

 

 

 

「「…………………」」

 

 俺の部屋、いつも通り千秋とゲームを……せずに黙った状態でベッドに座っていた。ちなみにベッドの端と端に座っているため、間にはかなり気まずい空気が流れている

 

 いつもなら気楽にゲームをしているのだが、先程自分達で掘った墓穴を思い返す

 

『まだ』付き合ってない

 

 ……俺だけが「まだ」って言うのはわかる。いつか玉砕覚悟の告白しようと思ってたし……けど、千秋も「まだ」と言った。それはつまり、千秋も俺と同じ考えで、それはつまり千秋も俺の事……

 

「「……………ッ」」

 

 不意に横目に千秋を見てみると千秋も横目で俺を見ていた。目があった俺達は即座に視線を外した

 横目で見た千秋の顔は俺と同じ考えに行き着いていたのか顔が赤く……その…可愛いかった……

 

(ちくしょうアンリめ…なんでこんな時に限って茶化してくれないんだよ)

 

 内心で自分の契約悪魔に八つ当たりする。だが、そんな事は今のチクタクと動き、針を鳴らす時計の音しかここには響かない状態ではなんの意味もない

 そんな中、俺は気合いでやっと口を動かして声を発した

 

「……千秋。ゲーム、やるか?」

 

 ……ヘタレって言うな。これでも頑張ったんだぞ?

 

「……やめとく」

 

 予想はしてたがやっぱり断られた。またも気まずい空気が流れてくる

 そんな空気に耐えきれず、ついに俺は先程の発言について聞く事にした

 

「その、千秋ってさ?俺の事、好きだったり…したの?」

 ヘタレでダメならストレートに言う事にした。…遠回しに聞く方法が思いつかなかっただけだが

 

「……ッ」

 聞くと千秋はピクリと動き、顔をさらに赤くした。数秒は何も言わなかったが、やっぱり気まずい空気から脱出したいのか

 

「…………うん」

 ついに認めた。……うん。逃げたい

 顔を真っ赤にしているのが自分でもよく分かる

 昔に同じ事を聞こうとしたらエアガン突きつけられて否定してきたため半端諦めていたのだが……いや、今思えば照れ隠しと言うものの気がしてきた

 

「…翔は、どうなの?「まだ」って事は……翔も、その…私の事?」

 吹っ切れたのか顔は赤いが覗き込むようにこちらを見ながら千秋が聞いてくる。…千秋がハッキリ言ってくれたんだし俺も

 

「…………はい」「ッ」

 自分の想いを認めると千秋は赤面のまま嬉しそうな、恥ずかしそうな…わけのわからない顔をした

 また数秒立った後、呟くように千秋が問いかけてきた

 

「その…私、烈怒帝瑠の一員だよ?絶対の掟で彼氏…作ると脱退しないといけないから…高校卒業まで…」

「大丈夫。それまで千秋を待つから。ってか、卒業と同時に告白しようと思ってたし」

 ゆっくりと紡ぐ言葉に俺は堂々と答える

 

「…ッ…私、翔の好み女の子じゃないかもしれないよ?いつも屋根裏に隠してるエ、エッチな本の人みたいに…おっぱいはないし…」

 

 バレてたorz

 …はっ!?危ない危ない。ちゃんと堂々と答えなければ……

 

「確かに胸はもうちょいある方が……冗談。そう言う所を含めて千秋の全てが俺の好みだ」

 冗談でキッと睨みつけてきた千秋だが、そのあとに出した言葉でまたまた顔を真っ赤に染める

 

 そして俺は卒業する時にやろうとした事を今する事に決めた。これからが気まずくなるかもしれないが、もう決めた事だ。やるなら思いっきりやる

 

「……谷村千秋さん」

「……っはい」

 

 ベッドで正座して真剣な目で谷村を見つめるとこれから何をされるのか察した千秋も正座して俺と目を合わせる

 そして俺は俺なりの全力で言いたい事を口にした

 

 

 

「……卒業したら俺と…付き合ってください」

 

 

 

 さて、千秋の返答は…

 

 

 

「……こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

 

 ……静かな時間が過ぎていく。俺にはそれが永遠にも感じられた

 俺達の顔はお互い真っ赤なままではあったが、お互いの表情は変わってきていた

 

「は、ははは……」

「えへへ……」

 

 

 

 ああ、これが幸せと言うものか………

 

 

 

「「おめでとーーーーーーーー!!!!!!」」

 

 ドアが急に開いたかと思うとそこから祝福の言葉を叫びながら現れたのは母さんと父さん

 

「いやあ、まさかと思って聞いていたけど…やったなぁ翔!!」

「千秋ちゃんも馬鹿息子を貰ってくれてありがとうねぇ」

 

 いつになくテンションが上がりまくってる両親。…母さん、腹に子供がいるんだから無茶しない方が……ってそうじゃない!!

 

「ちょっと待てアンタ等。一体いつから聞いてた!?」

「いつからって……『千秋。ゲーム、やるか?』って所だな」

「最初からじゃねえかちくしょう!!!」

 

 やばい、恥ずかしい……いや待て、なんか危険信号みたいなのがビビッときた!

 

「……早く録画したカメラを出して」

「ええ!?なんでバレ……あっ」

「やっぱりかぁ!!今すぐ出せぇぇぇ!!!」

 

 そのカメラの中身は俺が預かった。これで大丈夫…なはず

 

((こんな事もあろうかと入る前に中身を別のと入れ替えておいて正解だった……!))

 

 この後、中身を確認した時にすり替えられているのに気づいたのだが、既にどこかに隠されており、見つける事は出来なかった

 

 

『おいアンリ、お前何かしらの方法で隠し場所わかるだろ』

『え〜面倒臭いし、何よりお前の困る顔が見たいから無理』

 

 こちらの状況を見てケラケラ笑っていたアンリに助けて貰おうかと思ったが予想通り無理でした

 

 

 〜翌日〜

 

 

「「………」」

 

 あれ、なんで俺は千秋と一緒に登校してんの?

 確かに告白はしたよ?でもあれ卒業したらって話だったよね?

 今の今まで一緒に登校なんてした事ないんだけど…えっ、告白したらこんなに距離縮まんの?

 

「おはよ〜アキチー……あれ?なんで神野までいるんスか?」

 

 校門まで来ると花澤が手を振りながら挨拶しに来たのだが、何故か一緒にいる俺について聞いてきた

 

「あ、ゆかちー……べ、別に意味なんか…ないよ?ね、ねぇ?」

 

 若干焦りながら千秋が俺に振る…いやなんで俺に振るの

 

「まあ、なんもないな。先に教室行ってるぞ」

「あ、うん。バイバイ」

 

 花澤の隣を通る時「ハハーン…」と目がキラリと光った気がしたが気のせいだろう。いや、気のせいであってくれ

 石矢魔の教室で広められたらあの脳内中学生共が凄いからかってくる。そんな被害は邦枝と男鹿の仲だけで十分だ

 あと古市が絶対血の涙を流しながらこっちを見てくる



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第33話にはエ□要素なんて一切ありません!……いや、本当だよ!?

ん?
「□がロに見えるから意味ない」
って?
わざとだよ


 教室でのんびりと寝ていると前の席に誰かが座ったため、起きてしまった。……千秋しかいないな。うん

 まぁいいや。と二度寝しようとすると千秋以外の気配と魔力複数が俺の周りを囲んだ

 

『……アンリ。一回周りを見てみて報告してくれる?』

『ああ良いぞ。あと、予想ついてるのにそうやって現実から目を背けようとするその姿勢。嫌いじゃあないぜ……まぁ現実は変わるわけないんだが』

 

 そう言ってアンリは辺りをぐるっと見渡し、俺に一つ一つ教えてくれた

 

 1:何故か知らんがこのクラスの人達の殆どが俺と千秋を中心に囲んでいる

 2:ほとんど全員の顔が気持ち悪いくらい笑っている

 3:古市は血の涙とはいかないまでも、目の色変えてこちらを見ている

 4:千秋の顔が真っ赤っか

 5:なんか邦枝に取り憑いている悪魔がこちらに土下座をしている

 

 ……らしい

 1から4は置いといて、5はあれだろ。コマちゃんだろそういえばアイツ、神社にいたんだっけか…幽霊的なのは普通に見えてんのか?

 っと話は戻って問題は1から4の話だ。何、気持ち悪い笑みって…顔を上げたくないんだけど、嫌な予感しかしないんだけど

 

「しょ、翔。起きて……」

 

 千秋が俺を起こすために揺する。…起きなきゃ…ダメ?

 いや、別に起きなくていいよね?よし…寝…る…かぁ……

 

 

 

 「アキチー!目覚めない時はキスッスよキス!」

 「はい起きましたーー!!!」

「「「チッ」」」

 

 

 危ねぇ…キスされたって知ったら恥ずかしさで死んでたわ…

 起きてしまったしどうしましょ。スーパーミルクタイムがなかったから男鹿とベル坊入れ替わってないんだよな…で、代わりに出てきたのがこのイベント…と

 

「むふふ…神野〜アキチーから聞いたんスけど、昨日告白ましたよね〜〜?」花澤

「いやぁ、いつかはやると思ってたけどこんなに早くなんて…案外翔ちゃんも積極的だねぇ」夏目

「全くだ。いつかっつっても卒業まで我慢するもんだと思ってたんだが……」神崎

「…うちのモンに手を出したんだし…覚悟、出来てるわよねえ?」大森

「大森先輩!あの裏切り者をやっちゃってください!」…クズ市

 

 アンリの言った通り極少数を除いてニコニコした笑顔をこちらに向けている。とりあえず極少数の中に俺を殺そうとしてる奴がいるため、逃げたいのだが、数が多く、逃げ出せる気がしない

 

 アンリに頼めば逃げられる筈なのだが

 

『あ、あんさんはあの伝説の英雄、アンリマユ様やありまへんか?!』

『ふふふ…そう!この俺こそがかの有名なアンリマユ様だ!』

 

 なんか馬鹿な事してる真っ最中である為、助けてくれるか怪しい

 さて、どうするか…一か八か…いや、それだと失敗したらが怖い。確実な腕っ節でやるか?

 

「言っとくがテメー、暴力なんぞでこの場を収めよう物なら即退学だ。それで無事かと思っても大間違い。お前が居なくなった学校で谷村にじっくりこってり聞き出すまでだ」

 

 姫川が周りと同じく気持ち悪い笑みと舌舐めずりをしながらそう脅す

 ……今思えばそもそも千秋になんでこうなったのか聞いてないな

 

「な、なあ千秋。なんでこんな事になってるわけ?」

 「ご、ごめん……実は…」

 

 俺が聞くと千秋は初めて俺の家に上がった時のような小さな声で何があったのか語り出した

 

 

 〜回想〜

 

 

 翔と千秋が別れた後、3人の女達が会話をしていた

 3人の中の1人はおかっぱの髪型が特徴、この2次創作のヒロイン。谷村千秋だ

 

「アキチー。神野と一体何があったんスか〜?」

「だ、だから何もないって」

「本当に〜?」

 

 千秋と話しているのは同じ烈怒帝瑠のメンバー

 茶髪ロングヘアーの花澤 由佳

 目つきが鋭く、常にマスクをしている飛鳥 涼子

 

 最初は花澤だけだったのだが、後から合流した飛鳥に花澤が別れる前の事を話すと興味を持ち、2人に増えたのだ

 

「なんかあったんッスよね〜?教えてくれないンスか〜それなら〜」

「ほらほら早くゲロっちゃわないと〜」

「「こうだ!!」」

「ッ!?」

 

 

 〜R18?〜

 

 誰もいない教室で、ソレは行われていた

 

「ハァ…ハァ…や、やめて……ハァ…ハァ……」

「ほらほら早く言わないと今度は脇を攻めるッスよ?」

「じゃあアタシは首元を……」

 

 ヤられすぎて息も絶え絶え、顔も真っ赤になった千秋に容赦なく花澤と飛鳥が追い打ちをかける準備をする

 

「にしても、アキチーって感度良いッスね〜」

「ホント、少しやったら触れただけでピクって…」

 

 フルフルと震えている千秋に対して花澤と飛鳥は楽しそうに話す

 これは烈怒帝瑠の中にいるかもしれない裏切り者(彼氏持ち)の疑惑を持つ者は全員がこれを受ける。そして裏切りが発覚すると人数を集めて更なる仕打ちを受ける…らしい

 

「「さあ、準備は出来てる(ッスか)?」」

「ぁ、ぁぁ……」

「「そーれ!!!」」

「きゃあああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 ( ´_ゝ`)(作者)<くすぐりの刑を!!!!!!

 

「「こちょこちょこちょ〜〜」」

「あはははは!!!」

 

 ……これを見ている男達は紳士なんだから、この話のタイトルや『R18?』を見て期待で喉を鳴らしてなんか…ないよね?(ゲス顔

 

『いいぞ!もっとやれ!』とか思ったり言ったりした人は……これで満足してください

 

『これ以上は…ないの?』とか思った人は……諦めろ。もしくは作者がR18をやるのを祈れ

 

 

 〜回想終了〜

 

 

「……と言うわけで、最終的に…昨日の、事を」

「お前もお前で大変だったんだな」

 

 何があったのかを最後まで聞くと千秋にそう呟いた

 ……いや、俺は…勘違いはしてないからね?◯合みたいな想像なんぞしてないからね?

 ゲイが嫌なようにレズも嫌なんだからね?

 

「話は終わったか?」

「ククク…どうやって虐めてやろうか」

「「「ふふふふふふふふふふふふふふふ……」」」

 

 俺達を囲っていた奴らがゆっくりと俺達に近づく、すると千秋は焦った様子で口を開く

 

「わ、私が…全部話したはずだよね。ユカチー!?」

「確かにそうっス。だけど後から気づいたんスよ……」

「「「告白の言葉とか、何処で告白したのかは聞いていない!!」」」

 

 仲良いな〜…ってそうじゃない!!細かい部分は聞いてなかったのかよ!?って事は『卒業したら』って部分も知らないわけ!?

 

「葵姐さんはまだマシだった……だけど神野ぁ…アンタはついにアタシらの掟を破った。死ね」

 

 大森のこの殺意の理由もわかった。まあ、それは置いといて……

 

『手伝えアンリ!!』

『ほいさ〜。面白くなってきたなぁ!!』

 

 長い話の間にコマちゃんとアンリの話は終わっていた為すぐに呼び出せた

 

「よっしゃ捕まれ千秋ぃ!!」

「へ?きゃあああ!!?」

 

 紋章を発動させ千秋を抱えたまま天井に飛び上がり手を打ち付け天井に留まる。しかしこのままでは飛び道具又は箒などで落とされるのでドアに向けて飛ぶ

 

「逃げたぞ!追えぇ!!」

「「「おおおお!!!」」」

 

 囲んでいた全員が襲いかかってくる。捕まる前に俺は千秋の手を握り走り出した

 

 

 

『逃したぞ。何処行ったアイツら!?』

『外に逃げたかもしれんぞ!!』

『探せーー!!!』

 

 外が騒がしい。あの脳内中学生共はなんとか負けたらしい

 ん?『俺達は一体何処にいるの?』だって?

 

 掃除道具入れの中

 ……いや、使われてないやつだから箒も中もないよ?不潔じゃないからね?

 

「ハァ…ハァ…なん、とか…負けたね…」

「ああ、なんと……か…な…」

「…ちょっと、汗…掻いた」

「さっさと出て行きたいもんd」

 

 そこで俺の声は止まる……近い。近すぎる

 いや、それだけならばまだいい。その、千秋が小さいから下を向かないとダメなんだが…他のちっさいのが見えてるのだ。女性の胸の下着が……

 ついでに言うと…汗掻いてんじゃん。千秋……理性が…

 

『狼になっちゃダメだよ!君は昨日言ったじゃないか!卒業したらって!』

 

 俺の中の天使が現れた。となると次は悪魔が現れるのは必然

 

『襲え襲え…千秋も多分それを望んでる…さあ』

『そうだぜ翔。このアンリ様も付いている…さあ』

 

 俺の中の悪魔とアンリが……

 

『って、何普通に入ってきてんだコラ』

『いや、しゃーねーじゃん。俺の立場的に…ねぇ?』

 

 天使と悪魔を差し置いて俺とアンリでそんな話をしていると

 

「…どうか、したの?しょ…」

 

 千秋がこちらを見ると俺と同じく口が止まった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第34話久々の投稿

律儀に全裸待機してた人
鼻をほじってた人
それを食べた人
他の2次創作を見てた人
R18でイカ臭いことやってた人……




全期間の方で前回のUA見たが、32話と33話の違いが凄いな。百合が好きだったのか?(言うことが違う


 〜千秋視点〜(できるかわからナッシブル

 

 な、なんとか逃げ切った……くすぐりの刑は…凄かったし、捕まったらやばい、よね?

 今は2人で掃除道具入れの中に入ってやり過ごしてるけど、もう少し待つ方が良いのかな?

 

「…ちょっと、汗…掻いた…」

「さっさと出て行きたいもんd」

 

 翔の言葉がそこで止まる。どうしたんだろう?

 狭いから外は翔しか見えないし……何かあったのかな?

 

「……どうか、したの?しょ」

 

 彼の顔を見るために顔を上げると目が合ったと同時にあることに気づいた。……顔が近い…

 

「「………」」

 

 ど、どうしよう。こう言う時ってどうすれば良いのかな?

 ……なんで私の視線は彼の唇に向いてるんだろ

 

『ダメ……ここは学校。しかも、今は追われの身。バレたら後から何を言われるか分かったものじゃない』

『別に良い。昔から、こう言うのを妄想してたんだし……もう欲望に忠実で良い……』

 

 私の中の悪魔と天使が囁き合う

 でも今は天使についていった方が良いかな

 

「ん…………ん?」

 

 そう思い悪魔を振り切ろうとすると腰の辺りに硬いナニかが……

 ……え、えーと。これって、ナニ……だよね?

 

「千秋。違うからな?血液が股間の辺りに回ってきてるだけだからな?か、勘違いすんなよ?」

 

 翔はそう言うが、その言葉には葵姐さんと同じような感じがした…っていうか、その説明もナニ…って事、だよね?

 

「血液が股間に来ただけでこんなに大きく……ない?」

「いや、だからそういってんだろ?」

 

 え、男の人ってみんなこんな感じなの?

 

 

 〜翔視点〜

 

 

 あっっっぶねぇ!!!危うく千秋から変態扱いされるとこだったぁ!!!

 俺の股間が確かにナニが膨張していた。だが、それなら小さくすれば良い。…ちなみに魔力とかは使ってないぞ?

 

『当たり前だろ。俺の魔力をそんな汚ねえことに使えるか』

『というわけでこうなった』

 

 俺がやったことは簡単。足の裏のみに意識を集中させるだけ

 これでやましいことは考えなくなるし、股間に行った血液が足の裏に行くから汚いバベルが立つ事は早々にない

 

 

 あ、ちなみに立ってたら手遅れだけど、立ってない状態なら現実でもやれるから立たせたくない時におススメ…難しいけどな!

 ん?

「なんで神野は立ってたのになくなったの?って?」

 主人公補正だよ(汚い)

 

 

「そ、そんなに……」

「え?」

「そんなに、私は魅力がない?」

「!?」

 

 千秋が俯いて何かを呟いたかと思うと涙目と上目遣いでこちらを見てきた。やっべえ可愛い、襲いたい

 

「勘違いすんなよ?状況が状況なだけだ。こんな状況じゃなけりゃ襲ってる」

「本当?」

「ああ、本当だ」

 

 ……………

 

「「何でこんな話をしてんだろう」」

 

 声がハモった事で少し笑った

 

「「「みぃぃぃいつけたぁぁぁ……」」」

 

 そのせいで居場所がバレましたが、この後のくすぐりの拷問を耐えてなんとかなりました

 

 

 〜数日後〜

 

 

「うぉおおおおおおおおっっっ石矢魔復活っっっ!!!」

「「「バンザーイ!バンザーイ!」」」

「うう…ついにこの時が…俺達の楽園がかえってくるんだ」

「長かったな…」

「あぁっっ!!」

 

 石矢魔(の校舎)復活。その知らせを聞いてクラスの男共が騒いでいた

 うん?確か壊されたのが夏休み…あれからの帰還は三ヶ月…あれ?校舎はこんな早くに建つっけ?

 

『まぁ、悪魔野学園って事になるから…ってか、アニメでも学園ぶっ壊されたし、多分まだまだ聖石矢魔の世話になるんだろうけどな』

『お、まだゲンサクチシキが残ってんのか?』

『まぁこれが最後の原作知識なんだけどな』

 

 アンリとそんな話をしていると腕をぐいぐい引っ張る者がいたためそちらを見る

 

「ほら、翔も行こ?」

「そういえば千秋も石矢魔復活の噂を聞いてソワソワしてたな」

「ソ、ソワソワなんかしてない!!!」

「はいはいしてないね〜〜っと」

「む〜〜…」

 

 

 

 

「ーーーー〜〜…っっ」

 

 新しい校舎を見た俺達は言葉にならない叫び声を上げる

 それもそのはず、目の前に建つ建物は聖石矢魔のような…いや、それ以上の外観をしていた

 

「まるで城じゃねーか」

「パッ…パネェッ!これが新しい石校っスか!!」

「やっぱ姫ちゃんが関わってるんじゃないの?凄すぎるよこれ…」

 

 みんながみんな同じような感想を述べる。これが誰の学校なのかを知っている俺はそこまで良い感想は出ないが思った事はある

 

『大魔王って少なくともこんな校舎建てられるくらい金持ちだったんだな…』

『当たり前だろ。あんな適当な生活してても叛逆一つ起きないのがその証拠だ』

 

 大魔王だから力で黙らせてるんじゃ……いや、それなら国が崩壊してるか。一応王様だし

 

「フッ…関係ねーな。誰が作ろうと…今日からこいつは俺様のもんだっっ!!」

「あっ!!ズルイっスよ神崎さん!!」

「落書き順はさっきUNOで決めたじゃないスか!!」

「神崎さんぶっちぎりドベだったじゃないスか!!」

 

 いきなり神崎がカラースプレーで落書きを始めようとしたため全員がそれを止める

 そうこうしている間に謎の業者達がやってきて『石矢魔高校』と書かれた看板を取り外し始めた

 

 大森が抗議しようとしたが、新しい看板を俺達に見せつける事で黙らせた

『悪魔野学園』

 間違いなく焔王のための学校である。何やってんだマジで

 

「やぁ皆さん!!話は聞きましたよ。石矢魔の校舎がついに完成したんですね」

 

 いつの間にか出てきたおっさんが割れて胴着を着た古市が中から笑顔で現れた。半数の者が驚いた顔のまま古市を見る

 

「どうしたんですか?ハトが豆鉄砲くらったような顔して。この格好ですか?やだなぁ秘密の特訓とかじゃないですよ

 そもそも悪魔野学園なんてないっスから。あれ俺が適当こねただけで…」

 

 そこまで言ってやっと看板に目が行った

 残念だったな古市。本当に建ったよ。悪魔野学園

 

「ど…どーするよ…」

「どーするったって」

「このまま帰るわけにもいかないでしょ」

「乗り込みますか!!」

 

 周りがざわつき始め、ついには乗り込む事にした

 全員が歩を進め始めると古市が俺に耳打ちしてくる

 

『おい、どういう事だこれ!?』

『俺が知るか。ってか、俺はお前がどこに行ってたのか気になる』

『んなもんどうでも良いだろうが!!これアレだろ。中にいるやつら全員悪魔だろ!?』

『うん。間違いねーな、校舎の中から魔力がプンプンしてるし』

『はぁ!?それマジでやばいやつだよな!?止めなくて良いのか!?』

『いや、一回そう考えてみたんだが……』

 

 俺がそう言うと古市と共に前を見る

 

「おーいどうしたお前ら?置いてくぞ〜」

「うわっ、この銅像趣味悪ッ!」

「あ…あのガキ…!!……マジで何者だよ…!!」

「早く行こ。翔…とロリコン」

 

『あの人達がそう簡単に止まるとは思えんのだが』

『あー、納得』

 

 

 

 

 中に入る扉はたった一つだけ、中は薄暗く。ホラーゲームのような雰囲気だった。とりあえず問答無用でドアを開けて中に入ると、中は豪華なシャンデリアやソファが並んでいた

 はっきり言って汚したくない物ばかりだ。でもこれもボロボロにしようとするもんだから不良は怖い

 

 

 ぎぃぃぃ…バタン

 

 

 音がしたところを見ると入った扉が閉ざされていた。…はて、そんなに強い風が吹いてる感じはしなかったんだが……

 

「神野。見たッスか?」

「いや、音聞いて見たらああなってた」

「翔、ゆかちー?」

 

 花澤も見ていたらしいが、俺と同じ感じであったらしい

 俺達の言動に対して不思議に思ったのか千秋が来た

 

「い…いまあの扉勝手に閉まらなかったっスか?」

「はぁ?風だろ?」

「由香っ!!いい加減にしなさいよっっ!!」

 

 烈怒帝瑠の面々は大森を除いて普通の反応……っと、魔力急接近

 

「よっ…オラァ!!!」ガンッ!!!

 

 花澤の後ろから来た攻撃に対して防ぎ、さらに反撃をして吹っ飛ばす

 当たったのは確かだが、小手調べ程度の一発だったため、敵は足の力で吹っ飛ぶ勢いを殺した

 

「ありゃりゃ……防がれちゃった♪」

「アギエル。君は馬鹿かね?相手はあの英雄、アンリマユの契約者だぞ?」

「あの…程度の不意打ちくらい…防ぐのは…当たり前」

 

 ついに3人の悪魔が姿を現した…にしても

 

「あ、自己紹介忘れてたね!ベヘモット34柱師団 柱将 アギエルちゃんだよ!!」

 

 ビキニアーマー…良いな




これほど汚い主人公補正があっただろうか……


あと、まだ話数のストックできてないから次の投稿は来週の月曜になります
そっからは前みたいに月曜から金曜まで毎日毎週12時に投稿させていただきます
この2次創作が皆さまの一日の暇つぶしに慣れれば幸いです



あ、ただいまっす(遅い)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第35話べるぜバブ

やっぱ2次創作書くのやめますわ
風呂入りながらまた毎日やると思ったら体から涙が出ましたし
とりあえずベヘモット34柱師団の終わりまで毎日やって未完で終わらせます


バンッ!

ヒュッ!

 

後ろから銃のような物で誰かに頭を狙って撃たれたため、首を動かして避ける。敵かと思ったが、よくよく見れば魔力の篭ったエアガンの弾だった

 

「ちょ、千秋。何してんの!?」

「…ちょっと翔が変な事考えた気がしたんで……」

 

女は勘がいいって言う認識だったけど、案外間違ってなかったな

……あ、そういえば相手が自己紹介してる最中だったな

 

「…同じく柱将 オネドル」鎖で縛られた20世紀少年

「…柱将…ゼラ」目の左側に傷がついた人

 

わざわざ待っててくれてた!良い人だ!ゼラって人以外は変な格好してるけど中身は絶対良い人だ!

 

「…で、君達だよねぇ、ベルゼ様の家臣って。なんか弱そー」

 

アギエルが俺以外の者に目を配るがそんな感想しか出てこない

かと思えば次の瞬間には俺の前に来ており

 

「それで君がナーガちゃんをフルボッコにした……と」

 

そう言いながら舌なめずりする。そういえばコイツ戦闘狂みたいな感じだったな〜

 

「あ…あんた達こそその制服…!!悪魔野学園の生徒ね!?

どういう事よこれ!!」

「にょ?アクマノ…?」

 

大森が声を上げて突っかかるがアギエルはわかってない様子

 

「焔王坊っちゃまがつけた…」

「あーあーそーそー悪魔野学園!!知ってる知ってる!!

坊っちゃまのネーミングセンスにも困ったものよねー」

 

オネドルに一言受けると全て思い出したように相槌を打ち、世間話でもしているような雰囲気に持ち出してくる

 

「おいコラねーちゃんよ。ナメてんじゃねーぞ」

「つーかなんだその格好…痴女か!?あ"ぁっ!?」

 

女とわかって強気になったモブ2名がアギエルの前に出る

当たり前だが、そんなものに動じる事はなく笑いながらデコピンで吹っ飛ばした

 

「言い忘れてたけど侵入禁止だよ」

「アギエル。敵は柱爵すら倒した相手だ。油断するなよ」

「…他は良い…3人がかりで…」

 

3人の悪魔の視線は全て俺に向いている。どうやら他は弱いから俺だけに狙いを定めたらしい

そこにもう1人魔力を持った人間が現れた

 

「ねぇ神野。もしかしてもう始まっちゃってた?」

「いや、全然。今始めるところ」

 

邦枝がこまちゃんを引き連れてやって来た

 

「葵姐さんっ!!」

「寧々…みんなも、出来るだけ遠くへ逃げて

ここは私達が引き受ける」

 

邦枝がそう言うと全員頷きその場を後にした

……原作じゃ邦枝だけで戦ってたんだけどなぁ

 

「神野、1人もらうわよ」

「どうぞご勝手に〜」

 

そう言うとある1人と1匹が口を開いた

 

『あの真ん中の眼鏡っ娘えぇなぁ。エロいわあれ』

『うむ。攻撃した弾みにウッカリポロリがあっても仕方ねぇよなぁ』

「「うん。一回黙ろうかエロ悪魔共」」

 

………

 

「邦枝さん。アンタ見えてたのかコイツ」

「まあ…うん。最近ね」

 

 

〜神野vsオネドル&ゼラ〜

〜邦枝vsアギエル〜

 

 

「まずは小手調べ」

 

そう言って先に動いたのは俺。ゼラとか言う無口野郎の顔面目掛けて殴りかかる。しかし、それはジャラジャラと鳴る鎖に邪魔された

 

「そう簡単にはさせませんよ」

 

オネドルの鎖に邪魔され、一瞬だけ動きが止まった瞬間にゼラの右腕に魔力が集まり、俺の腹に一発、二発と入れられた

俺は紋章を出し、鎖を力で破壊すると一旦距離を取る。それを見た2人は驚きの表情をしながら口を開いた

 

「……まさか、紋章なしであの速さを出すとはね」

「…本番は…ここからか」

 

改めて柱将2人は身構える。しかし

 

「「は?」」

 

既に俺は2人の目の前にいる

 

「くっ…」

「遅い」

 

ゼラがいち早く反応し、パンチを放ったが、それを避け、そのままジョルトでカウンターを合わせた

次にオネドルが先程とは比べ物にならない数の鎖を出し、俺を捉えようとするが

 

「お前も遅い」

 

鎖を赤外線から避けるような動きで全て避けながらオネドルに近づくと顔面に一発入れてKO…やばい、スラスラ動ける

 

「そっちも終わったようね」

「邦枝さん」

 

強くなった実感がして感動していると邦枝が話しかけて来た

……後ろにビキニアーマー以外がボロボロの人がいるけど無視しよう

 

『いやぁ、アンリはん。ポロリありまへんでしたわ』

『…でもあれはあれで…エロい』

『む…確かにっっ!』

 

こっち側の馬鹿共もほっとく事にした

 

 

 

 

古市の話によると焔王は一週間後にこの校舎で戦争ゲームを始めようとの事

………アニメじゃ男鹿がスーパーコロッケタイムなる物を使ってこの校舎ぶっ壊すって話だったんだが……ぶっ壊されなかったところを見るに…もう原作知識はなくなったな

 

「翔。保険室に行くぞ!!!」

「ああ?どうした急に……」

「男鹿がやらたんだよ!!あの男鹿が!!」

「あー、男鹿が……男鹿が?」

「ヒルダさんも攫われたって話だ!!」

「ヒルダまで!?」

 

確かにアニメじゃ全然勝ててなかったな。ヒルダもあのままじゃ連れてかれてたし、当たり前っちゃ当たり前か

 

 

 

 

「男鹿っ!!ヒルダさんが攫われたって本当かっ!」

「災難だったな〜」

「古市、翔…」

 

古市が保険室に来るや否や叫びなから入り、俺は普通な感じで挨拶すると中に入る。男鹿はラミアに足の怪我を治しているところだった

古市はズカズカと中に入ると男鹿の胸ぐらを掴み

 

「何やってんだよお前はっっ!!強くなったんじゃなかったのかよっ!!」

「あ?お前らこそ聞いてんぞ?学校乗っ取られてすごすご帰ってきたんだって?情けねーな」

「「あぁ!?」」

 

流石にそれは見逃さんぞ俺は。古市だけならともかく、俺まで情け無いとは

 

「バーカお前はお前と違って2人も敵倒しましたー。1人も倒せなかったお前とは違うんだよ」

「バカか、そこらの雑魚吹っ飛ばしてるだけの癖に何言ってんだバーカ。どうせなら全員倒してから帰ってこい」

「バカっつった方がバーカ」

「先に言ったのはテメーだろバーカ」

 

そんなくだらない喧嘩をしているとポタポタと水が落ちる音がする。音のする方へと目を向けるとラミアがそこで泣いていた

 

「私の…私のせいだ…私が捕まったらよかったのに…

なんでヒルダ姉様なの…焔王(あのバカ)…ヒルダ姉様が死んじゃったら私…私…」

 

そう言って泣き出すラミア。しかし、そこにラミアの頭を撫でる赤子が1人

 

「坊っちゃま…」

「アーウィー…ダブッ」

 

ベル坊の言葉はわからないが言いたい事は大体わかる。『安心しな……ヒルダは俺達が助ける』的な事だろう

それを見た男鹿()がフッと笑いベル坊を撫でる

 

「ちっ、いつもなら真っ先に泣きだしてるやつが…」

「……だな」

「まぁでも、こいつの言う通りだ」

 

そう言って俺達は立ち上がり歩き出す

 

「「「俺達がなんとかする。泣くな!!」」」

 

保険室の出入り口には邦枝が待ち構えていた。そして彼女は笑いながら口を開く

 

「人数は多い方がいいでしょう?」

 

 

 

 

 

教室に行くと全員が悪魔と戦う気満々でそこにいた

だが敵の数はベヘモット34柱師団総勢394人に加えてこの教室以外の石矢魔高校の人間の大半。明らかに頭数が足りない

東条は来るらしいが、それでも足りない。そう悩んでいると六騎聖が現れ、喧嘩を止めるかと思われたが、むしろ加勢してくれるそうだ

だが、まだこれでも心もとない…

 

「さーてと。お前らー、特別授業を始めるぞー

強くなりたい奴は全員グラウンドに集合」

 

次にツカツカと歩いて出てきたのは早乙女先生。この一週間の間、死ぬ方がマシと言うレベルの特訓メニューを用意しているとのこと

……なんだろうか。一言言っても良いすか?

 

 

 

 

何、この地味に熱い展開!?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第36話男鹿、帰還

 し…死ぬ……え?早乙女先生の修行ってマジで死ぬ方がマシだと思えるんだが…

 

「オラッてめーらさっさと起きろっ!!」

 

 だがまだまだ修行は終わらない

 

 

 

 

「男鹿と邦枝が別の場所で暗黒武闘(スーパーミルクタイム)の修行?」

 

 早乙女先生に呼ばれたかと思えばそんな報告を受けた

 

「よし、わかったらお前の修行も再開だ」

「あのー修行再開の前に何故俺もその修行に行けないのか聞きたいのですが……」

 

 そう言って説明を求めると早乙女先生は右手の小指で鼻をほじりながら面倒臭そうに説明しだした

 

「あ?テメーの悪魔は神様だぞ?大魔王とか比較にならんくらいの魔力がある。テメーが修行してやっと1、2割出せる程度だ。そんな奴に暗黒武闘でリミッター解除してみろ。即死だぞ?」

 

 ああ……納得。アンリって中身がアレだけど一応神様だからね。強さと魔力も化け物なんだよね

 

『アレってなんだアレって…代わりに俺の技教えてやったろうが』

『あの技は……ハッキリ言ってチート過ぎませんかね?ゲームじゃ最弱鯖の宝具として結構心に焼き付けてんだけど』

『鯖?宝具?……何言ってるかは知らんが俺の技だぜ?信用しろよ』

アンタ(最弱)の技だから信用できないんでしょうが』

 

 ……もうFGOやってる人ならわかるよね?わからない?

 

「そんじゃま、修行始めんぞ〜修行内容は……ひたすら俺のしごきだ」

「……ん?待って、それさっきまでと全然変わら「よっしゃあ行くぞぉぉお!!」

 

 

 〜3日後〜

 

 

 し…死ねる……アレ?これ最初にも言わなかった?

 

「よくついてきたな〜俺の特訓に」

「特訓じゃねーだろ!!ただのサンドバッグ状態をずっと続けてただけじゃねーか!!」

「…人はそれを特訓と「言わねーよ!!ただの一方試合だよ!!」まあ、強くなってんのは確かだから」

 

 

 〜古市宅〜

 

 

「っと言うわけで俺は修行と言う名のしごきを受けてきたわけだが、古市、お前は何してた?」

「何もしてねーよ。俺が鍛えた所で強くなれるわけがねーんだし。ってか、何普通に俺の家に来てんだ。帰れよオメーの家に」

 

 とりあえず古市の家に来てみたが、あんまり歓迎されていない様子

 

「…で、どう思う」

「アランドロンか?似合ってると思うぜ。お前に」

「そっちじゃねーよ!!俺をホモにしようとすんじゃねーよ!!!俺は女が好きなんだよ!!!」

「…ラミアか、ロリコンが」

「そっちでもねーよ!!!」

 

 うーん。久々に聞いた古市のツッコミ。なんか来る物があるね〜

 そんな事を考えていると古市が一息ついて話を戻す

 

「悪魔野学園のはなしだよ。一応みんなやる気になって修行してるけどさ。ぶっちゃけ勝てると思うか?」

「…難しい話だな。なんせ相手は戦闘特化の悪魔、大体力で負けるし。頭数でもなー」

 

 …これ、原作通り行ってんだろうか?勝てる気がまるでしないんだけど……大丈夫だよね?

 

「だよなー…あ、焔王の侍女悪魔が仲間になったんだけど、それは…」

「無理だな。全員皆殺しがオチだわ」

「同感だなたまにはいい事言うじゃねーか翔」「ダブダ」

 

 上を見上げる古市

 お茶を飲む俺

 バリバリと煎餅を食べる男鹿が…

 

「つーかこの菓子しけってんぞ。ケーキとかねーのかよ?ケーキとか」

「ちょっとアンタ!何一人でバクバク食べてんのよ!!私の分も残しなさいよ!!」

「今俺は1匹の飢えた狼なのさ」

 

 ラミアもいつの間にかそこにおり、男鹿に自分にも寄越せと言っているが男鹿が渡す気は毛頭ないらしい

 

「あ、古市

 

 

 駅前まで行ってケーキ買ってこいよ」

「いきなり現れて何言ってんのっ!?」

「おまっ…いつ帰ってきたんだよ!!」

 

 当たり前のように古市にケーキを要求する男鹿、ケーキは無理だが替えの煎餅を出すと男鹿とラミアが全力でそれに貪りつく

 

「あ?今だよ今。いやー大変だったよ。なんせ片道6時間の船旅だからよー。もう腹減っちゃって減っちゃって」

「古市アンタカップ麺くらい作ってきなさいよ」

「なんなのお前ら二人してっ!!山賊!?」

「なんかラミアが男鹿に似てきてる気がする」

 

 とりあえず二人が食べ終えた所でやっと男鹿が話を進めた

 

「忠告しにきてやった」

「「忠告?」」

「あぁ、一応お前らも絡んでる話だからな」

「「?」」

 

 そしてそのまま一泊置いて男鹿は口を開く

 

「今から俺、悪魔野学園ぶっ潰してくるわ」

「「………あ"?」」

 

「色々考えたんだが、やっぱこの戦いは俺がケリつけなきゃなーーと思ってよ…

 そもそも、焔王とお前が戦ってどっちが勝とうが意味なんてねーんだ。あのガキはダシに使われてるだけだからな」

 

 そう言いながら立ち上がり言葉を続ける

 

「奴らの狙いは俺だ。つーわけでお前らは手ぇ出すんじゃねーぞ」

「ちょっ…待て待て待て何言ってんだお前!?ぶっ潰して来るってまさか……一人で行く気か!?」

「ん?そーだけど?」

 

 堂々と宣言する男鹿……ああ、そういえば根は良い奴なんだよなコイツ。…土下座させるけど

 そんな事を考えていると魔力が急に現れ、空間に穴が空きそこに出てきたのは

 

「ヒルダさんっ!?」

 

 ぼろぼろの状態のヒルダ……の格好をしたヨルダだった

 転移門から出た瞬間彼女はふらりと崩れ、男鹿に受け止められる

 

「ヨルダ…どうしてヒルダ姉様の格好を…!!何が…ムグッ!?」

 

 しかし、ヨルダが口をパクパクしているが、ラミアの声でかき消されていたため、口を塞がせてもらった

 

「…男鹿…辰巳…

 ヒルダを助けてーー…」

 

 ヨルダの性格を考えればありえないような言葉が口から出た

 それを聞いた男鹿はフッと笑い言葉を返した

 

「……最初からそのつもりだ」

 

 

 〜悪魔野学園〜

 

 

「で、なんでついてきてんだハゲ。殺すぞっ!!」

「ハゲてねーし。そもそもお前のあの言葉で納得でもすると思ってたのか馬鹿。こんな楽しそうな事を俺がやらねー訳ねーだろうが」

 

 男鹿の言葉にそう返すと男鹿は「チッ」と舌打ちする

 そうしてる間に耳が魚のエラになってる門番が数人おり、俺達に気づくや否や槍をこちらに向けて来る

 

「ん?なんだお前は……」

「おいっ止まれっ!!」

 

 それを見た男鹿が少し笑い、俺と共に拳を固めながらある提案を持ち出した

 

「それじゃあ競争だ。俺達で394人全員倒して……

 先にボス倒した方の勝ちだ」

「了……解ッ!!!」

 

 ドゴォッ!!!

 

 戦争の火蓋が切られた

 

 

 

 

『敵襲だーーっ!!!人間が夜襲をかけてきたぞーーっ!!

 て、敵の数は二人ッ!!!間違いありません!!人間は…

 あの契約者と要注意人物です!!』

 

 けたたましいサイレンと共にスピーカーから人の声が発せられる

 ちなみに男鹿とは別行動。バラバラに動いての競争と言う事になった

 

「い、行かせるなぁ!!!」

「敵は一人だ!!!取り囲めば勝てるぞ!!!」

「う…うおおおお!!!」

 

 数人のモブ共が槍を持って囲み、突進して来る

 

「…フンッ」

 

 俺はそれを鼻で笑うと紋章を発動させ、地面に足を突き刺すように打ち付ける

 

「取り囲めば勝てる……?馬鹿じゃねーの?」

 

 すると地面がグラグラと揺れ出し、囲んでいたモブ共が体制を崩し足を止める。その隙に高速で動きその場にいた全員に腹パンを一発ずつ当てて続ける

 

「そう言う小賢しい所とは別の所に強者は存在する……って、どこかの漫画で見た」

 

 気絶した者達に言ったのだが、もちろん聞いている訳がない

 するとコツッコツッと誰かの、ついでに言うと複数の足音が俺の元へ近づいてきていた

 

「第11の柱 ラベド」白目ハゲ

「第21の柱 ワスボガ」鼻毛モヒカン

「第22の柱 クソブラー」デブ

 

 この3人が俺の目の前に現れるなり自己紹介を始めた

 

 …………

 

「「「いや、お前も名乗れよ。なんかこっちが恥ずかしくなっちまったじゃねーか」」」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第37話ナンプレ

『男鹿、翔!!!ヒルダさんを見つけた!!時計塔の屋上だ!!急げ!!磔にされて火をつけられてる!!』

「はぁ?なんだそれ。魔女狩りかなんかやってんのか?…いや、あながち間違いではないな」

『そうだな。ヒルダは魔女だ』

 

 耳につけておいた通信機から古市の声がし、ヒルダの状況を聞くと何故…と思ったが間違いではないと言うと男鹿もそれに納得する

 

「…ああ、すまんすまん。自己紹介だったな

 俺が悪魔の神アンリ・マユの契約者、神野 翔です」

 

 とりあえず「自己紹介しろ」と言われたところであるため自己紹介した。ついでに疑問になっていた事を聞く事にした

 

「ところで、俺の中ではアンリの名前を使ったら拝みだすやつしか見た事ないんだが、おたくらはなんでそうしないの?」

 

 そう、今までのコイツらの言動から察するに俺がアンリの契約者だとはもう知っているはず、にも関わらず拝まない。それはどう言う事か

 それを聞くとラベドと言う白目ハゲが説明してくれた

 

「我々ベヘモット34柱師団にとって神とは崇め讃えるために存在していない。ただ、越えるべき壁として存在している」

「……向上心が高いこって」

 

 戦闘特化の悪魔の集団なだけあって志は高い

 人間にこんなやついるかな?

 

「先手必勝ですね」

 

 少し考えている間にラベドがナイフを片手に脳天めがけて突っ込んできた。ガンッと言う鉄の音が鳴る

 ラベドのナイフの先

 がない。それどころか刀身がない

 

「馬鹿なッ!!」

「お探しの物はこれか?」

 

 そう言って俺の右手で転がすのはなくなった刀身。それを見せた後、即座に握り潰し、拳を固めるとアッパーで顎を捉えて吹っ飛ばす

 ラベドは縦に3回転ほどすると15〜20mの範囲辺りで落ち、そこから立ち上がる事はなかった

 

「次は」

 

 言葉を言い切る前に鼻毛モヒカンのラスボガが俺を掴んで上にぶん投げ、下で拳を固める。間違いなく落ちる瞬間に俺を殴る気である

 だったらこの軌道から脱出すれば良いのだが、どうせなので迎え撃つつもりでその体制に入る

 その時だった

 

「僕を忘れてもらっちゃ困るよ」

 

 デブのクソブラーが俺と同じく空中にいた。俺と違うのは俺よりも高くにいることくらいか

 それくらいどうって事ない…と思いながら俺は落ちだすのだが、俺の背中に一気に体重がのしかかった

 クソブラーの落ちる速度が速いらしい

 

「……油断した」

 

 クソブラーとの落下地点ではワスボガが待ち構えているのを見て思わずそう呟いた。後に腹の辺りに衝撃が走り、土煙で辺りが見えなくなった

 

 〜ちょっと三人称〜

 

 土煙の中からクソブラーとワスボガが飛び出して来る

 

「…やったか?」

「ワスボガ、そのセリフはこの人間界では生存フラグ…と言うらしいよ。まあ生きていたとしても、かなりのダメージ…が…」

 

 クソブラーが自信ありげに語っていたが、その言葉は止まる

 一人の男が腹をさすりながら威風堂々と出てきたからだ。その男は言うまでもなく神野 翔と名乗った人間である

 

「いやぁ、油断した油断した。すまんな、どんな相手にも油断しない…基本中の基本だわ。勉強になった

 さっきの攻撃も効いた。少しな」

 

 笑顔を浮かべながらそう言う翔に対してワスボガとクソブラーは戦いを続けるために構えを取る

 

「でも」

「ーーなっ…」

 

 その瞬間にはワスボガの懐に翔がいた。あまりの速さにワスボガは一瞬反応が遅れ、それが致命的となり翔の一撃を許してしまった

 

「『神・冥王殺』ッ!!!」

 

 三木の技を見様見真似でやって見たやつを使った

 

(ちゃんと出来るか不安だったけどなんとか出来た……あと少し鍛えてなかったらこっちがダメージくらうとこだったけど…)

 

 そんな事を考えながらクソブラーに回し蹴りを頭に当てて気絶させた

 

 〜一人称〜

 

 入り口を忘れたため壁を壊して出入り口を作った。そこには敵がいたが、全てがモブであったため、全員漏れなくめり込ませて先に進む

 進む間に葉巻加えたおっさんやグラフェルみたいな別人達が倒れていたが、多分男鹿のせいだろう

 

「…何やってんだ邦枝さん。いや間違えた、なんでここにいんの?」

「……ッ、神野。先に行って、ここは私達がやる」

 

 その先には邦枝と何故かアギエルが他の女達と戦ってた。お言葉に甘えて上に行こうとしたが

 

「行かせないよ!ここは第5の柱、エリムちゃんが相手になるよ!!」

 

 魔女らしい帽子に杖、アニメや漫画で出てきそうなダボダボの上着を着た…子供がいた。弱そう

 

「…あの、すいません。この中に保護者さんいますか?」

「子供扱いするなぁ!くらえー!」

 

 魔法使いの服装をしてるくせに杖で殴ってくるが、ダメージにならない。少しホッコリした程度だ

 ……はっ!?まさかこの姿は仮の姿でここから急成長して

 

「いや、急成長とかそんな事はないよー。ってか、ぶっちゃけ無視して進んじゃって良いよー」

「あ、そうでしたか。ありがとうございます」

 

 アギエルには俺の考えが分かっていたらしく、それに対して答えてくれたため、ぺこりと頭を下げて上へと向かった

 …勝手な勘違いしてしまうとこっちが恥ずかしいな

 

 

 

 

 上に上がる途中で死体のようになったモブ達が転がっている。間違いなく男鹿の仕業だろう

 今思えばこの競争で負ければ後で男鹿になんて言われるかわかったものではない。そう思った俺は急いでモブ達を踏みつけながら先を急いだ。そして……

 

「よし新しいフロアに来た〜…って、どうした男鹿!?あと東条!?」

「しょ、翔かー…おいテメー、アレを何度かしやがれ…目が回る…」

「お、俺達にこんな事させるとは…相手はやばいぞ神野…」

 

 フロアに来るなり目にしたのは吐血しながら倒れている男鹿とベル坊、膝をついて弱体化している東条の姿だった

 

(馬鹿な……男鹿と東条を同時に弱体化させる?一体何が……)

 

 そう思い、男鹿達が苦戦している相手を見るとそこにはピエロ、イケメン(死ね)、二足歩行の犬……そして

 

「ナンプレ?」

「はい、ナンプレです。私の自作です」

 

 俺が呟くとピエロがそう教えてくれた

 

「…俺、ゲームは好きだけどこんな感じのゲームはあんまりなぁ」

『なら、俺が変わろうか?…神野』

 

 声がした、通信機からだ。そしてその声の主は…多分

 

『姫川…か?』

『なんで疑問文なんだよ!?忘れてんじゃねーぞボケ!!』

「…できんの?時間がかかりそうなんだが」

『愚問だな。こんな素人くせー問題5秒ありゃ十分だ』

 

 ……姫川って実は頭が良い?いや、あの勉強嫌い率180%を誇る石矢魔高校の生徒だ。そんなわけがない、趣味だ趣味

 

「あー、俺がやるわ。別に良いよな?」

「本当ですか!?良かった、この問題が無駄にならなくて!!」

 

 

 

 結果は完全勝利、これでこのフロアは突破…なのかと思ったが

 ピエロが言うには様々な場所に様々なゲームが設置されており、それら全てにおいて勝利しなければならないとこのフロアは開かないのだとか……時間がない

 かと思えば姫川以外の人達が既にゲームを始めており、そいつらが勝つまで休む時間となった

 

 待っている間に情報共有、まずは何故東条がここにいるのか

「泊まり込みで石矢魔の校舎を建ててんだ」との事

 つまり俺達が始めてここに来た時も既にこいつはいて、更には自分の学校が乗っ取られたと言う事にも気付かずにせっせと校舎を完成させようとしていたと言う事だ

 

「男鹿、コイツ馬鹿か?」

「馬鹿じゃねえ男鹿だ。コイツはアホだ。可愛そうなくらいのアホだ」

「うん。馬鹿でアホだ」

 

「??」

 

 俺と男鹿でヒソヒソと話し、東条は?マークを頭から出しているとゲームに勝った合図のランプが4つ全てひかり、扉が開く

 

「さて、ラスボス戦だ」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第38話vsベヘモット

 さてさてさーて、やっと最上階へ向かう階段を登りきったんだが

 

「さぁ3人仲良く殺しあって貰いましょうか?」

 

 ロン毛とアホ毛と細目の悪魔にそんな事を言われています

 ラミア曰くこの学校に付けられていた篝火全てが悪魔の催眠術の一種らしく、それにかかっていると思っているらしい

 

「アダッ

 ダブッ!!

 アダブッ!!」

 

 ベル坊は言葉の意味がほとんどわからなかったらしく、混乱している。あ、かかってないのは敵対してるとは言え王族だからだね

 

「…どうした?さっさと三人で殴りあべっ」

 

 そうこうしてる内に何の警戒もなく男鹿と東条に近づき2人から同時に殴られた。まあ、あの馬鹿2人でも催眠術だとわかってたらかかるはずないわな

 

 茶番は終わってラスボス戦。ジャバウォック

 こいつはヤバい。隣にいる爺さんもヤバい

 

「ダブッアダッダブダッ!!」

「わかってるよ。まずはヒルダを助けろってんだろ?心配すんな、もう火は消えてんじゃねーか」

 

 男鹿はベル坊に言われ十字架にかけられたヒルダを見ながらそう呟いた。何故かは知らんがその顔には若干焦りの表情をしている

「火は消えてる」と言う事から察するにその炎に何かあったのだろうか

 

「女が気になるか?」

 

 ジャバウォックはよそ見をしている男鹿にそう呟くとヒルダに向けて手を突き出し、広げ、そこに魔力を集め……発射した

 

「…てめえ今殺そうとしやがったな…」

「…それがどうした?」

 

 ギリギリで助けた男鹿の言葉にジャバウォックは笑いながら答える

 俺はその隙に近づき拳を握り、弓を引きしぼるように腕を引く

 

「ぶっ飛…!?」

 

 突き出そうとした拳を収め、腕をクロスしてガードの姿勢に入る。その瞬間、腕に衝撃が伝わり5、6mほど後退した

 ジャバウォックは手を広げたまま動いていないため、ジャバウォックがやった事ではないのは明らか、ならば誰が横槍を入れてきたか…

 

「ほっほっほ、すまんのう。お主の相手は儂じゃよ」

 

 ジャバウォックの親父、ベヘモットだった

 

「何すんだ糞爺」

「なに、アンリ・マユの力は知っての通り強大。もしもの時のために儂が出張ってきたと言うだけじゃよ。不確定要素は出来るだけ排除したいしの」

 

 爺さんは淡々と言う

 とりあえず避けられない戦いだと言うのはよく分かった。そのため、男鹿に向かって声をかけた

 

「男鹿、そう言うわけでこれはこの糞爺と喧嘩してくる。…負けんじゃねーぞ」

「ああ?何言ってやがる。俺が負けると思うか?」

「一回負けてっから言ってんだろボケ」

「んだこら、誰がボケだハゲ」

 

 とりあえずお互い罵り合いながら喧嘩を始めた

 

 

 〜校庭〜

 

 

「とりあえずここでいっか?」

「まあの…にしても、久々の実践じゃと心が躍るわい」

 

 三人の邪魔になる為離れて校庭に出てきた。ベヘモットは肩をコキコキ鳴らして準備体操に入っている

 

 

「そこにドロップキィィィィクッッ!!!」

「うぉっ!?」

 

 顔面にドロップキックを喰らわせようとしたが当たらなかった。…確かこう言う時のセリフは

 

「チッ、外したか」

「お主、ズルくない?人が準備入ってる時に攻撃とか…」

「アンタ、聖人君子でも相手しているつもりだったか?残念ながら相手は不良だよ」

「他の奴らよりはマシだとは思ったんじゃがなぁ…」

 

 そう言うとベヘモットは魔力を全身に行き渡らせ、構えた

 瞬間に目の前に拳が来ていた

 

「ぶっ!?」

 

 避ける事も出来ずに顔面に当たる。一回転したがそこで地に足をつけ、衝撃を吸収する

 顔を上げると次は足が目の前に

 

(そうだったそうだった。こいつはこんなでもベヘモット34柱師団の頂点に立つ奴だった)

 

 蹴りがスローに見えた世界で俺はそんな事を考えているとまた顔面に衝撃が襲った

 

 

 

 

 

『なぁなぁ。そろそろ紋章を使おうぜ?』

 

 仰向けで大の字になりながら倒れていると宙に浮いたアンリが話しかけて来た

 

『そうだな。強いし、アレを試すには十分な相手だ』

『お、マジで!?ついにアレを使う!?つかっちゃうの!?』

 

 俺の言葉を聞くとテンションが上がるアンリ。最近教えてくれた奥の手をもう使うのだ。嬉しくないはずないだろう

 

 

 

「なんじゃ?もう終わりかのう?」

「んなわけないだろうが?」

 

 持ち前のタフさで余裕で立ち上がった俺は即座に紋章を使い、全身に広げていく

 

「やるぞ、アンリ」

『ほい来たー!!』

「『行くぜぇ!!テメェの自業自得だぁ!!!』」

 

 そう言うとアンリは俺の体に溶け込んでいく。暗黒武闘(スーパーミルクタイム)と言うが、今の俺では(アンリ)の魔力は受け止めきれない。ならばとアンリが出した奥義

 

 

 

『一時的に人間をやめちまえばいいんだよ!!』

 

 

 

 俺の体は体格から変化していく。全体的にスラリと細くなる

 次に手足。手は爪が鋭く伸び4本指に。足は長く獣のように

 最後に顔。ネズミのような、犬のような、人間以外の何者か

 

「…ははっ。なんじゃそりゃ?」

 

 そこには1匹の化け物が現れた。ただの化け物なら魔界にもいるだろうが、こいつはジャンルが違う

 異形の姿から感じられる魔力が桁違い。早急に手を打たねば負ける。ベヘモットの体からそう警戒音がうるさく言ってくる

 

「…わかっておるわいそんな事」

 

 ベヘモットは1人そう呟くと魔力を全集中し、最高の一撃を放つ為の準備に入る

 それを見た怪物は何もしない

 慢心しているのかまだ制御出来ていないのか。それはわからないがベヘモットはこれをチャンスと捉え、魔力を貯め続ける

 

「…来たな?」

 

 そしてその時が来た。ベヘモットは貯めた魔力を目の前の怪物に向け、一気に放出する

 それを怪物は避けるわけではなく、ただただ真正面からそれを受け止める

 

「『…………』」

 

 衝撃で辺りに砂埃が舞う。少しずつその砂埃が晴れていき

 

「……嘘じゃろ?」

 

 そこに佇む怪物は全くの無傷。余裕でその場に立っていた

 攻撃が終わった事を確認したのか怪物は腕をクロスし、魔力を貯め始めた。そして2、3秒で貯め終わり

 

「『逆しまに死ね。偽り写し記す万象(ヴェルグアヴェスター)』」

 

 全方位に放たれた暴力的な魔力がベヘモットを襲った

 

 

 

 偽り写し記す万象。受けたダメージを己の魔力込みで数倍にして返すアンリの奥の手の一つ

 FGOじゃ攻撃を受けないと使えない宝具で有名

 

「……んで、戻って見たは良いけど。何これ?」

『分からん。とりあえずオレ達がいない間に何かが起こったのは確実だ』

 

 そんな会話を交わしている俺とアンリの目の前には今もなお燃えている校舎があった

 

「…男鹿、あの後何があった?」

 

 とりあえずヒルダを抱えて出てきた男鹿に何があったのかを問いただすことにした

 男鹿はぼろぼろだが、汗をかきつつ答える

 

「いや、ジャバウォックは倒したんだよ?うん

 けどさ?そのあと何やかんやで焔王がいてさ」

 

 そう言われて焔王の方を見るとイザベラに泣きついている焔王の姿があった

 

「あぁ…うん。もう大丈夫、察した」

 

 

「見事じゃ。神谷翔、男鹿辰巳」

 

 さらっとやられたはずのベヘモットが出てきた。そしてベヘモットは言葉を続ける

 

「この学園はやはりお前さん達にふさわしい。返そう」

「全力でいらなくなっただけだろ」

「つーかなんでアレ受けて二足歩行できてんだよ」

 

 と言うわけで悪魔野学園とのいざこざは幕を閉じた

 …あれ、なんで焔王様がついてくんの?

 え、ゲーム?じゃあ古市の家に行かなくちゃな。家燃えても大丈夫なように




はい、これで終わりです。駄作から始まり駄作に終わる
実に俺らしい最後だと思います
では皆さん。さようなら( ´Д`)y━・~~















ひゃっは〜!自由だ〜!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。