戦姫絶唱シンフォギア~I'm thinker~ (トライグルー)
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ルナアタック 黒い烏と白い孤児院

はじめまして私はここであなた方傭兵へのあらすじや説明を担当する無名のオペレーターです。以後お見知りおきを。
この小説は作者が「XD面白いなぁ!でもこの人が主役の作品ってないなぁ?なら書くかぁ!」と謎の衝動に刈られ書いた作品となります。正直優秀な傭兵であるあなた方へのお目汚しになる可能性もあり、それが無理と言うかたにはブラウザバックを推奨しますが、それでも読む覚悟がある場合は…。そうですね有名な言葉を送りましょう。













歓迎しよう盛大にな


『緊急事態発生!緊急事態発生!実験中の聖遺物が暴走中!職員は至急避難されたし!繰り返す!…』

 

「ハハハッ……だから言っただろ?失敗するって…」

 

 非常警報が鳴り響き、辺りに散らばる瓦礫と燃え盛る炎のなかで白いはずの白衣を所々真っ赤に染めた男は皮肉たっぷりに呟き、薄れる意識の中前方で暴れるアルビノ色のバケモノを見据える。

 

「上層部のクソッタレ共が…未だに謎が多い聖遺物でさえマトモに解析出来ないくせに……ゴフッ…!完全聖遺物なんて代物に手を出すからこうなるんだよ…なぁ?ネフィリム?」

 

 そして今も尚施設を破壊し続けているネフィリムと呼ばれるバケモノに対し愚痴るが、ソイツは返事を返すはずもなく、意識を遠退かせていったのだが。

 

 

『Seilien coffin airget-lamh tron』

 

「ッ!?」

 

 本来なら聞こえるはずもない歌に驚き意識を覚醒させた。

 

 

★★★★★

 

 

 F.I.S.。フィーネと呼ばれる人物が米国と協力し自分の為に作り上げた組織。

 目的はフィーネが米国と共に秘密裏に聖遺物の研究を進めている言わば裏組織であるのだが、この中にレセプターチルドレンという存在がおり、その用途は“フィーネの魂を受け止める器”というオカルトチックな目的の為に非合法に集められた子供の総称である。

 

 そしてある一人の少女はその日の訓練を終え同じレセプターチルドレンの自分の姉や年下の二人の少女、自分達に厳しくも母親のように接してくれる研究員と共に部屋に戻るはずだったのだが。

 

『緊急事態発生!緊急事態発生!現在実験中の聖遺物が暴走!職員は至急避難されたし!繰り返す!…』

 

「マム!?」

 

「皆、落ち着きなさい。緊急時のシェルターの場所は覚えていますね?まずはそこへ向かいましょう」

 

 緊急警報が発令され突然のことに少女達がおびえる。しかしマムと呼ばれた研究員は少女達を一言で落ち着かせトレーニングルームからシェルターのある場所へと避難させる途中事件は起こった。

 

「マム!マリア姉さん!危ない!?」

 

 最後尾を走る研究員とマリアと呼ばれた姉の上へ崩れた天井の瓦礫が落ちてきたのだ。そして咄嗟に研究員はマリアだけでも助かるようにと彼女を庇うように抱き寄せ衝撃に備えるが。

 

「糞が、最悪だぜ。ツイてねえ!ツイてねえよ!」

 

 そんな言葉が聞こえ瓦礫が激突するよりも前に上ではなく体の横から少し鈍い衝撃と共に二人とも前方へと吹き飛ばされた。

 

 

 

★★★★★

 

「マム!?姉さん!」

 

「マム!?」

 

「マリア無事デスか!」

 

 少女達が今まさに瓦礫に押し潰されそうだった二人へと駆け寄りその無事を確かめると安堵する。

 

「マリア大丈夫ですか?」

 

「えぇ、私は大丈夫よマム…それより何が……っ!?」

 

 そして潰されそうだった二人も互いに無事なのを確認したのだが、その答えは自分達が居た場所を見たときに理解した。

 

「そんな…」

 

 一人の男性研究員が咄嗟に突飛ばし身代わりになってくれたのだ。

 

 だからこそ彼女達はその研究員を助ける為にの元へと駆け寄る。

 

「な゙に゙やってるんだ、早ぐ行げ…!時間の無駄だ!」

 

 しかし研究員は彼女達を突き放した。彼にはもう一つの理由があるにしろ、それ以前に瓦礫が頭に当たり血を大量に流し両足は瓦礫に挟まれ誰から見てももう助からないからである。

 

「いいえ!助けます!」

 

 

 しかし彼女達も諦めなかった。たとえ彼が助かる可能性が少なくても。

 

★★★★★

 

 

幸い男は生きていた。生存者は居ないかなどの最終確認のための警備兵達が合流したからだ。

 

そして、男は近くの壁へともたれ掛かり警備兵にレセプターチルドレンの子供と自分以外の研究員を避難させろと指示を出す。

 

「何を言うのですか、貴方の方が重症なのですよ?先に避難するのは貴方です!」

 

だが、その研究員は無傷である自分達よりも重症の彼を優先したがったが男は研究員の襟をつかみ叫ぶ。

 

「バカ野郎が…違うんだよ…ここの近くにはヤツが…アンタ等が…アガートラームをもってる嬢ちゃんが一番危ねぇんだよ!」

 

「どういうです!…まさか!?」

 

マムと呼ばれる研究員が男の言葉を聞いた直後だった。

 

男が懸念していたヤツが壁を突き破り出て来たのだ。

 

そして、ソイツは目のない顔をヒクヒクと匂いを嗅ぐように動かし辺りを見渡すとそれを見た少女達や警備兵は男の逃げろという言葉を聞きやむを得ず走り出した。

 

 

★★★★★

彼女、セレナ・カデンツァヴナ・イヴはそのままシェルターへと逃げてしまうことも出来た。

 

『嬢ちゃん…こんな所でなにをやってるんだ?』

 

『えっと…その…』

 

『なるほど上層部のバカ共またか…。仕方ない…ホラ、飴玉やるから泣き止め。皆のところへ戻るぞ。…何やってる案内してやるから着いてこい』

 

それはほんの些細な切っ掛けだった。

 

『今度はどうした?確か今日はレセプターチルドレンのパッチテストの日のはずだぞ?あぁ、嬢ちゃんが一人目の…なるほどね』

 

それでもあの日の出来事以来、自分の姉とマムを助けてくれた研究員の所はどこか落ち着き。

 

『嬢ちゃんはお姉さんやお友達の所へ行かなくていいのか?確か担当はあのナスターシャ教授だろ?』

 

他の研究員と違いマムのように自分達を人としてみてくれる。

 

『落ち着くといわれてもさぁ?ここには面白いもなんてないんだけどねぇ…。ほら、オジさんも忙しいんだ、それに君をたぶらかしたとか言われてもアレだしね?』

 

だから絶対に見捨てることができなくて。

 

『糞が…!お前ら走れェ!』

 

気づいたときはマム達の制止を振り切り、白いバケモノの目の前に立ち。

 

『Seilien coffin airget-lamh tron』

 

守りたい人のために歌っていた。

 

★★★★★

 

 

「F.I.Sのゴミ虫共(警備兵共)が…最低限の仕事も出来ないか…!」

 

 

男の目の前で一人の少女がギアを纏いネフィリムと戦う。

 

懐に入り込み切つけながらも、ネフィリムの剛腕を避けさらに牽制といわんばかりにダガーを投擲する。

 

しかし戦況は決して良いものとは言えなかった。確かに手数だけなら少女の方が上であり機動力共にネフィリムを上回っていただろう。

 

だが、戦闘経験がない男にも見てわかるほど決定打に欠けていたのだ。例えるなら戦車にライフルを撃っても効果がないほどに。

 

だからこそ男は、この際賭けと言わんばかりに避難の際鞄の中へ入れておいたモノと赤色に光る薬品に手を伸ばした。

 

 

本来シンフォギアシステムの提唱者、櫻井了子が開発したLiNKERと呼ばれる薬は緑色をしており、用途は奏者と聖遺物の力を繋ぐための薬品である。

 

だがF.I.S.の一部の研究員は思ってしまったのだ。個人の才に左右される「歌による起動」では例えLINKERを使用しても十分な数値を得られないと。

 

だからこそ研究員たちは頭を悩ませた。櫻井理論を元に適合者でなくても可能な尚且つ安定したギア起動方法を。

 

意外にもその答えはすぐに出た。簡単な話だったのだ、適合値が満たないのなら上げてやれば良い、ギアと繋がることが難しいのなら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無理矢理繋げてしまえばいいと。

 

結果生まれたのが男の持っていた赤色のLINKER通称LINKER.typeΩであるのだが、後に研究員達がこの間違い気づくまでに数名のレセプターチルドレンが犠牲になるのだがそれはまた別の話である。

 

★★★★★

 

男は取り出したLINKERの入ったアンプルをピストル型の注射器へとセットし自身の首へと突き立てる。

 

「っ…!?クソッタレが…」

 

しかし注射器を構える手が震え一向に男の指は動こうとしなかった。

 

それもそうだこの薬の副作用は確実に人を殺す、男は知っているのだ失敗すれば死ぬと。

 

思い出したのだ。ある日、非合法に拉致した女軍人に改良に改良を重ね負荷を軽減した三番目のtype.αを投薬した際、ギアを起動するまでもなく血を吹き出して死んだことを。

 

しかし時間はそんな男を許してくれなかった。

 

「今度は何だ…!?」

 

自分の真横の壁へナニカが叩きつけられた。

 

男は最初ネフィリムが自分を狙い瓦礫を投げたかと思った。しかしあの怪物が道具をつかう知能を、ましてやわざと外す知能を持っているか?否である。なら何を吹き飛ばしたか…。

 

「コフッ……」

 

 

今まで戦っていたセレナである。

 

 

★★★★★

 

「嬢ちゃん!?何で逃げなかった!」

 

 

「すいません…どうしても見捨てることができなくて」

 

 

「だからって…嬢ちゃんは大事な正規適合者なんだぞ!?お前を失えばどれだけの損害が…!」

 

男はセレナが戻ってきたことを咎める。

 

「だって……お兄さんは私達を人として見てくれた。この施設にやって来て不安しかない私達に優しくしてくれた」

 

だがそんな男の建前は彼女前では通じず、ボロボロの体を奮い立たせたセレナは。

 

「あの怪物は目が覚めたばかりなんですよね?なら私が止めますから…もし私が死んじゃったらマリア姉さんに謝っておいてください」

 

「おい待てっ…!」

 

男に微笑み再びネフィリムへと向かっていった。

 

★★★★★

 

『いいですかセレナ。あなたの纏うギアの絶唱特性は恐らくベクトルの操作を可能とします。そしてベクトルというのは…』

 

セレナは自分がギアを纏えるようになった後ナスターシャから自らの絶唱の特性を説明されたことを思い出す。

 

(マムのいった通りなら私の絶唱でこの怪物や火事を止められるってことだよね…)

 

 

そしてセレナは深く息を吸い込み絶唱を放とうとするが…。

 

GrraAaaaAAAaaaaaa!

 

「あっ…!」

 

ネフィリムがそれを許すはずもなくその剛腕がセレナに襲いかかろうとしたとき。

 

 

 

「ギャハハハハハハ!アッーハッハッハッハ!」

 

鉄の巨人がネフィリムを吹き飛ばした。




冒頭ぶりです傭兵の皆様。まさかこの作者の作品をここまで読みきる方がいるとは私は思いませんでした。しかし私のこの声を聞いているということはこの物語に多少なりとも興味を持ったという事実が含まれます。因ってもし次があればそのときもこの作品をよろしくお願いいたします。それでは。


ちなみにですが私はフラグを乱立するヴェニデのオペレーターではありませんのであしからず。

追伸。2/13.誤字を修正しました。傭兵の皆様誤字報告誠に感謝致します。


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ハングドマン

お久しぶりです傭兵の皆様、これより前回のおさらいもといブリーフィングを開始します。
前回、物語の冒頭でいきなりですが完全聖遺物であるネフィリムが暴走。そしてとある男性研究員が
逃げ遅れた子供及び職員へと避難勧告を出しますが一人の少女セレナはこれを無視。
さらにはネフィリムに対し反抗を開始しましたが重症を負いプランDへ以降(所謂ピンチです)。
よって、彼の今後行動に期待しましょう。





それはセレナがボロボロの体を奮い立たせ、ネフィリムへと向かって行った後の出来事だった。

 

「何でなんだろうな…まったく…」

 

自分の事を情けないと思いながらもポツリと呟く。

 

なぜなら男は一人の正義感が強い少女には酷だが自分の事を考えず、その辺の一研究員など見捨てて逃げてくれればと思った。

 

例え数秒、数十秒であってもこの身に残された力を振り絞って少女の逃げる時間を確保できればどれだけ気楽だったかと。

 

だが現実は違う、男は体に力が入らず少女は自らの命を燃やし自分を救おうとしている。

 

『あなたは自らの人生をどのように生きたいですか?』

 

だからこそ…。

 

「好きなように生きて理不尽に死んでやるさァ!」

 

男は迷い無く赤いLINKERを自らに打ち込み翼の形をした完全聖遺物を自分の胸へと突き刺した。

 

★★★★★

 

深海。一言で言えばそう表現するのが正しいほどに真っ暗で何もない空間に男いる。

 

「俺は…失敗したのか?」

 

男は疑問に思う、それは先程までLINKERの副作用に苦しめられ全身を激痛が掻き毟っている中、突如視界が暗転し、気がついたらここにいたからだ。

 

「いいや新入り失敗じゃない。ましてや成功でもないがな」

 

「誰だ?」

 

そしてふと声をかけられ振り向くとそこには顔は見えないが自分意外にもう一人男が立っており自分の事を新入りと呼ぶ。

 

「よぉ新入り俺がだれかって?俺は■■■■だ」

 

「なんだと?今なんて言った?」

 

だが彼の名前を聞き取ろうとするがまるで水中で喋っているかのごとくぼやける。

 

「ふむ?聞こえなかった……という訳じゃなさそうだ…寧ろぼやけたか?」

 

「どういうことだ?」

 

「言葉通りだよ新入り。多分お前にはまだ俺の名前が聞こえないそうだな…」

 

 

だからこそ彼は男のために自らの事をこう名乗った古王(オールドキング)と。

 

★★★★★

 

古王(オールドキング)だと?つまりアンタは王様なのか?」

 

「いいや、別に俺が王様をしていた訳じゃない古い友人がやっていたのさ」

 

「古い友人ね…それよりここは何処なんだ?」

 

「ここか?名前は色々あるが…俺はビッグボックスと呼んでいる。まぁ、説明しても理解できないと思うが…」

 

男は興味ないと言わんばかりに話題をそらす。そして今自分の置かれている状況に対しオールドキングは呆れた様に答えた。

 

「とりあえずは、お前の精神世界とでも思っとけばいいさ」

 

「精神世界だと?」

 

「あぁ、そうさ。現実と切り離された架空の世界。お前の精神の底さ」

 

「じゃあ外はどうなってる?俺はさっきまで…」

 

「そうだな、新入りの考えてる通りだよ。今お前からは見えてないだけだが、あの小娘は絶唱とかいうのを放とうとしてる。更に言えばあの小娘は死ぬ…絶対にな」

 

 

だが未だ解決に至っていない現実に男は焦り俯くが。

 

「なんだと…!じゃあ俺は間に合わなかっ「最後まで話を聞けよ新入り」っ!?」

 

「いいか?今の結果は俺が予測した未来の一つにすぎない。だが、お前はそれを覆す力を持ってる…解るか新入り?つまりは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ間に合うんだよ」

 

男はその言葉に俯いた顔をあげ勿体ぶってるオールドキングを睨む。

 

「守りたいんだろう?色々と、だったら聞かせてくれ新入り」

 

しかし彼はそんなのお構い無しと話を続け。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソノチカラデキサマハナニヲマモル?」

 

彼はそう告げた。

 

★★★★★

 

 

 

「ガハッ…!?っ…!戻って…きたのか?」

 

男はアビスから現実に引き戻され、まだ彼が言った未来が訪れていないことを確認する。そして、現実世界へ戻る際オールドキングとの会話を思い出す。

 

『いいか?新入り。今のお前に貸せるはほんの一握りの力だ…しかしその力はシンフォギアシステムとか言う訳のわからない紛い物とは違う』

 

『どういうことだ?』

 

『解らないのか新入り?お前が手を出したモノはお前らが言う完全聖遺物だ。つまりお前たち研究員の考える聖遺物の欠片がそよ風程度のエネルギーならコレはエネルギーの暴風に近いんだよ。言っただろ失敗でもないましてや成功でもないと』

 

『じゃあどうすればいいんだ?』

 

『さぁな?ソコは自分で考えろ。まぁ、自分の胸にてを当ててみろよ新入り(ハングドマン)あと、呑まれるなよ?』

 

 

「やってみるか…?」

 

そして、言われるがまま先程聖遺物を突き刺したであろう場所に触れ意識を集中すると異変は起きた。

 

それは淡い光と共に胸の辺りを中心に黒い突起物のような結晶が生えはじめるたのだ。

そして突然のことに男は焦ったがすでに遅く結晶は全身を覆い尽くし、男が反射的に閉じた目を開くと視点は高くなり自分は五メートル近くの巨人になっていたのだが。

 

「ハハハハッ…!」

 

同時に男の精神を黒いナニカが飲み込んだ。

 

 

★★★★★

 

「なに…あれ…」

 

セレナはギアの変身が解け無茶をしたせいで来るバックファイアの負荷があるにも関わらず目の前で起こる化け物同士の戦いから目を離せないでいた。

 

それは彼女が絶唱を放つ前にネフィリムの攻撃がセレナを葬ろうとした直後のこと。

 

突如乱入してきた鉄の巨人はネフィリムを蹴り飛ばし、ネフィリムもいきなりの事に驚きつつもセレナから巨人へとターゲットを変え襲いかかる。

 

だがそれが命取りだった。

 

ネフィリムが巨人の体をどれだけ殴り、切り裂こうとしてもその体は傷つかず、逆に巨人の持つ淡い青色の光を放つ鉄筋コンクリートの柱は確実にネフィリムの体を抉る。

 

だからこそ巨人はセレナがあんなにも苦戦させられたネフィリムを文字通り蹂躙している。

 

「ギャハハハハハハッ!!潰れろよ…ゴミ虫が…」

 

――MASS BLADE

 

「GraAaaaAr…!」

 

「凄い…」

 

そして巨人の最後の一振りがネフィリムの頭を吹き飛ばし頭部を失ったアルビノ色の巨体が音をたてて倒れ動かなくなる。

 

 

だがそれと見たセレナは緊張感が解けたのかはたまた戦闘後の疲労からなのか…。

 

「セレナァァァアァァ!」

 

頭上へと降り注ぐ瓦礫に気づかず、自分の姉の叫びを聞きながらも意識を落としてしまった。

 

「………ここは?」

 

次にセレナが目を覚ますとそこは見覚えの無い場所だった。

 

「確か…私…そうだマリア姉さん!…!?」

 

 

そして意識が覚醒するにつれ様々な事を思い出し、不安になる。だが自分の意思とは裏腹何故かに体に力は入らずセレナは起き上がることすらできなかった。

 

★★★★★

(私の体…どうなっちゃったんだろ…)

 

彼女が起き上がることができないままどれだけの時間がたっただろう。セレナは部屋の中をある程度見渡しながら自らの体の自由が利かない事を考える。

 

(多分無理しちゃったからだよね…マムやマリア姉さんに怒られちゃうかな…)

 

そしてセレナがそんな事を思っていると。

 

「やぁ、嬢ちゃん目が覚めたかい?」

 

「あっ…お兄さん!無事だったんですね!」

 

「あぁ、嬢ちゃんのお陰でね!この通り元気さ」

 

部屋の扉をノックし見慣れた男が入ってくる、そしてセレナは目覚めてからずっと安否が気になっていた彼が無事なことに気づきホッとしたのだった。

 

男はセレナの体を起こしてやり、ベッドの脇にある椅子へと腰掛けると真剣な表情しクリップボードに付けてある紙に何かを書き込み始め、セレナとボードを交互に見ながら質問を行っていく。

 

「ところで嬢ちゃんにとって辛い質問なんだが…目が覚めてから何か体に違和感とか無かったかな?例えば~…感覚が無いとか、目が見えないとか?」。

 

「えっと…お兄さんが言った通り特にありません…」

 

「そりゃよかった!じゃあ、特に問題はないね」

 

そして何気ない会話をしながらも一通り質問が終わると男はボードを脇に置き、彼女の体へ特に異常がないことを伝え部屋を出ようとすると。

 

「あのっ!」

 

「どしたの?」

 

「えっと…私が気を失った後…の事を教えてもらってもいいですか?」

 

セレナには気になる事があるのか男を呼び止め自分が気を失った後の事を聞く、すると男は少し考え込む素振りをすると片手の指を三本立てながら言った。

 

「………三つだけ」

 

「えっ?」

 

「キミにとってとても辛いと思うが…受け入れて欲しい現実が三つだけあるんだ…。」

 

「辛い事…ですか?」

 

「あぁ、だが返事は今じゃなくていい…気持ちの整理がついたら教えてくれ」

 

そして男はセレナが答えるのを待つのであった。

 

 




冒頭ぶりてす傭兵の皆様。
さて、またもや最後まで読んでいただいたことにクライアント(作者)はきっと喜んでいることでしょう。

更には一話を投稿してから少なからずお気に入り登録者が数名居たことによりクライアントも安心したと思います。

最後に私はこのあらすじにしか登場しませんが微力ながら傭兵の皆様の誤字報告や評価などの援護がクライアントのモチベーションアップへとつながることでしょう。
それては失礼いたします。


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偽りの生

お久しぶりです傭兵の皆様。
ではこれよりブリーフィングを開始します。

前回、暴走を始めた完全聖遺物ことネフィリムを突如現れた巨人…鉄のようなものに覆われている事から仮にACと呼びましょう。
そのACがネフィリムを撃破さらにその際男に助けられた少女セレナは見知らぬ部屋で目覚め、その際男に情報開示を提案します。が男は対価として3つの条件を付け加えました。
さて、内容はどの様なものかは解りませんが彼のことです決してろくなものではないでしょう…。

それではブリーフィングを終了します。


『教えてあげてもいいけど内容は決して良いことばかりじゃないよ?寧ろキミにとっては辛いことかもしれないし』

 

数日前男が言ったことを思い出す。

 

あの後男はセレナに対しある条件を出し返事は後日でも構わないと言い残し部屋を出ていった。

だからこそセレナはこの数日間様々な考えを巡らせる。

 

 

(辛い事…もしかしてマリア姉さんの事なのかな…?)

 

「入っても大丈夫かい?」

 

「あっ、はい!」

 

(でも…前に進まなきゃダメだよね!)

 

しかし目覚めてから定期的に行っている問診の時間なのかはたまた彼女の性格故かセレナは答えを決めた。

 

★★★★★

 

「…………」

 

「なにか言いたそうな顔だね。まだ悩んでるのかい?」

 

「はい…」

 

いつもの問診が終わり、俯いているセレナの心境を悟ったのか男が声をかける。

 

 

「まぁ仕方ないよね。いきなり無理言っちゃったしさ…。それに君はまだ子供だ心の準備ってのも時間が「でも!」ん?」

 

男はセレナを慰め部屋を出ようとするが彼女はそれを引き留め真剣な表情をし男の目を真っ直ぐに見ながらに言う。

 

「この数日考えて思ったたんです。このままじゃダメだって!」

 

「いいのかい?」

 

「はい…!だから教えてくださいあの後の事を!」

 

だからなのかセレナの言葉を聞いた男は少し目を見開き驚いた表情をする。

そして男は両手を肩の辺りまで上げ降参したのかベッドの脇にある椅子へと腰掛け直し話始めた。

 

 

「いいかい?じゃあ一つ目だ。これは多分内容的には一番軽いと思うけどキミはもうお姉さんとは会えない」

 

「えっ…じゃあ…マリア姉さんは……」

 

男はまず彼女に自分の姉とはもう会えないと伝える。

そしてセレナはあの時聞こえた声は本物でもしかしたら自分が生きているのは姉が何かしらの身代わりになり助けてくれたからではと思ってしまう。

 

「おっと、勘違いしないでくれ?キミのお姉さんは生きてる勿論五体満足でね」  

 

「マリア姉さんは生きてるんですか!?」

 

「そうさ、会えない事を除いてはね」

 

だがセレナの心配は杞憂に終わり、男はセレナが落ち着くのを待ち話を続けた。

 

★★★★★

 

「と言うわけで二つ目だ。わかってると思うけどここはあの研究所じゃない」

 

男が二つ目の話が始める。セレナは男が言う此処はあの孤児院ではないという言葉に分かっていたのかコクりと頷く、がある疑問が浮かんだ。

 

「質問…してもいいですか?」

 

「なんだい?」

 

「マリア姉さんと会えないのは私の怪我が治りきってないから、前にいた子達みたいに治療の為に他の所にいるから会えないんですよね?」

 

セレナは自分が聖遺物の適合者となり、自分の姉を含むあの研究所にいたレセプターチルドレン全員にパッチテストが実施された際、適合しなかった子供は他の施設に連れていかれたことを思い出し自分はその施設の一つにいると思い男に聞くが。

 

「マムが言ってました居なくなった他の子達は別の研究所に行ったって」

 

男は首を横に降りながら否定する。

 

「残念だけど違うよ、ここは俺の隠れ家で施設なんかじゃない。寧ろここが奴らに関係のある場所なら今頃俺は殺されるか実験動物扱いされて此処に居ない」

 

「殺…される?」

 

そして男は未だ状況が理解出来ていないセレナに対し自分が何故その様な立場にあるのか説明を続ける。

 

「そうだ、世界でも数少ない正規適合者が生きていてましてや完全聖遺物のネフィリム倒し、そんな大業をなしたに少女を一研究員でしかない俺が連れ去ったとなれば米国政府も黙ってはいない」

 

「でも決してわざとじゃないんですよね?なら許してもらえ…「いいや無理だね」どうしてですか!?」

 

 

「どうしてって言われてもさぁ…俺体はもう人間じゃないし?」

 

「なんでそういうことを言うんです!お兄さんはどう見ても人間じゃないですか!そもそも実験動物というのも酷すぎます!だってお兄さんは…っ!?」

 

そしてセレナは自分の命を救ってくれた男が何故そこまで酷い目に遭わなければならないのか解らず男に問いただす。

しかしセレナは男が白衣の下に着ているシャツをずらしたことで男の言葉を理解する。

それは心臓に近い場所に翼のような形をしたモノが完全に男の肉体と融合しており、微かに脈打って見えたからだ。

 

「言葉として表すなら…完全な融合症例ってやつかな?」

 

「融合…症例?」

 

申し訳なさそうに笑顔を作り男はセレナに説明する。

 

「そうそう、難しい話になるけど本来完全聖遺物の起動のためには膨大なフォニックゲインが必要でね。それこそ機械や一人分の歌じゃまず無理だ…例外を除いてね」

 

「じゃあなんであの怪物は起動できたんですか?」

 

「ネフィリムってのは元々ネフィルという複数の存在が集合したモノでさぁ、意外にもネフィル単体でのフォニックゲイン値は意外と低いんだよ…ホラ、皆で歌の練習をしたことがあっただろう?機械の前でさ」

 

「あっ!」

 

勿論セレナは覚えていたあの怪物が現れた日、何時もの訓練を繰り越してまで行った歌の練習を。

 

「けど奴ら油断したのかネフィル単体の起動には成功したが共食いをし統一体であるネフィリムを扱いきれなかったんだろうねぇ…愚かなことだよホント」

 

「じゃあ…お兄さんはもう…」

 

「そうだねぇ…残念だけどそんな完全聖遺物と融合しちゃってる俺は戻ったら即モルモットになっちゃうから君はともかく俺は絶賛逃亡中ってわけ」

 

だからこそセレナは思ってしまう。

もし、私達があの怪物を起こさなければあんなことにはならなかったのではと。

 

「ごめんなさい…」

 

 

「気にすることないさ、とりあえず最後の話だけど場所を変えようか…」

 

そして男はポツリと呟かれた一言に対して慰みの言葉を返すと彼女を背負い部屋からでるのであった。

 

★★★★★

 

「さて、まずはキミの容態から説明しようか」

 

「容態ですか?」

 

男は隠れ家と言うだけあり一見民家のような廊下を歩きながらセレナに彼女の体がどうなってしまったのかを話始める。

 

「そうだ、あの戦闘の後キミの体は酷く衰弱してね、全身打撲に骨折複数。更には無茶な戦闘によるバックファイア…下手をすれば死んでいたかもしれないほどキミの体はボロボロだった」

 

そして恐らく隠されていたであろう階段を下り薄暗い地下室へと進み。

 

「申し訳ないと思ったよ。こんな大人のゴタゴタに巻き込まれて…こんな幼い命が失われていいのかって」

 

「お兄さん!これって!?」

 

男は大きな円柱状の水槽の前で足を止めるがセレナはその水槽の中身を見て驚かずにはいられなかった。

 

「初めに話しただろう?しばらくお姉さんと会えないのってさ。本当に…悪いと思ってるさ…恨んでくれてもいい」

 

何故ならその中には自分と瓜二つの少女が呼吸器をつけ浮いているからである。

 

「あの戦いの後あの施設ではキミを救えないと思った俺は急ぎこの隠れ家へと向かいキミをこの医療ポットへと入れた。そして半年も経たない内に体の治療は終わったんだが…肝心のキミ自身が目覚めなかった…」

 

男はセレナを近くの椅子へと座らせると彼女の前にしゃがみ、セレナが半年もの間意識が目覚めなかった事やこの隠れ家の存在する理由、あの施設であった事の全てを話してゆく。

 

「だから外法だが俺のこの聖遺物の能力で作った体へ一時的にキミの精神のみを移し目覚めさせる足掛かりにしようとしたんだ」

 

「でもどうやって私の意識だけを?」

 

「それはね、これさ」

 

男はセレナの疑問に対しまるで待機状態のギアのような黒いペンダントを白衣のポケットから取り出し彼女に見せる。

 

 

「これはキミの本体とその体を繋ぐ架け橋、言わばアンテナみたいなものさ」

 

そして男はペンダントをセレナの首へ掛けてあげると話を続けた。

 

★★★★★

 

「さて、仕上げだ治療に半年もかけたが…正直あとはキミがあの体へ戻るだけでそのほとんどが完了する」

 

「戻るだけで?」  

 

「あぁ、後はリハビリに短くても約一年~二年。それが終わればキミは自由だ、だから最初に言ったように施設に戻ってキミのお姉さんに会うもよし。ここから新たな人生を始めるもよしだ勿論その場合はある程度の援助もさせてもらうけどね、だからそっから先は君次第だよ」

 

医療ポットの前で液晶パネルを弄くりながら男はセレナに話しかける。

 

「リハビリが終わったらお兄さんはどうするんですか?」

 

だがセレナは自分はともかく男が今後どうなるのか気になり質問する。

すると男はセレナの質問に対し答えた。

 

「俺かい?そうだねぇ~…ちょっと世界を見て回ろうかなって思ってるよ。こう、自由にブラブラとさ!」

 

「世界…ですか?」

 

「まぁね~。実は俺さぁ今の職場に対して結構不満持っててさぁ、もし辞める事ができたら世界旅行でもいこうかなって思ってたんだよね~あそこ口止め料も含め給料だけはいいから」

 

まぁ、安住の地を探すって意味もあるけど、と付け加え男は楽しそうに話す。

だからこそセレナ少し悩んだ、もし自分がこのままリハビリを終え自分の姉や皆の所へ戻ったとしてこの男はどうなるのか。

また、その場合自分はもう二度と会えないかもしれない彼になにも返せないのではないかと。

だからこそ…。

 

「あの!」

 

「ん?」

 

「私も連れてって行ってください!」

 

「は?」

 

セレナはそう言い男は操作していた手を止め唖然とする。

それもそうだ、男は彼女に自分の姉の所へ戻るか第二の人生を歩ませ自分とは今後関わらせない様に選択肢を与えたのにも関わらず彼女は自分に着いてくると言い出したのだから。

 

★★★★★

 

「今…何て言った?ついてくるって言ったかい?」

 

「はい!」

 

男の問いに対してセレナは真っ直ぐに答える。

 

 

「アハハッ、冗談が上手いね嬢ちゃんは……」

 

「冗談なんかじゃありません!私はまだお兄さんになにも返せてないんです!だからっ!」

 

「……着いてきてどうするつもりだい?」

 

「それは…解らないですけど…なにかできることがあると思います!」

 

セレナの性格を知っているのか、それとも彼女の意思に押し負けたのか男は諦めまた指を三本立てる。

 

「………ハァ。じゃあまた条件を3つ決めよう」

 

「条件ですか?」

 

「そ、条件。一つ着いてきたければリハビリを一年以内に終わらせること、タイムリミットは嬢ちゃんがこの体へ戻ってリハビリを開始した瞬間からでね。もしその期間を過ぎたら…教授に連絡してキミを迎えに来てもらってサヨナラだ」

 

「はい!」

 

「二つ。決して無茶はしないこと。俺も時間がある訳じゃないからまた怪我をされても困るしね」

 

男は一つ一つ条件を出しなが指を折ってゆくそして三本目の指を折る直前彼は今までのへらへらとした表情から一転しセレナをまるで睨んでいるかのようなキツイ表情になり彼女に問いた。

 

「3つ。その決断はもう二度と皆とは会えないってわかってるんだろうな?」

 

「それは…」 

 

男はセレナにどうしても聞きたかった、自分に着いてくると言うことはそういうことだと。

 

「嬢ちゃんはまだ13だ色々と判断するには早すぎる年なんだよ「でも!」でもじゃない。お泊まり会じゃないんだよ…だからこの一年でよく考えるんだ…」

 

「……はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――一年後

 

とある一人の少女が自分の背よりも少し大きいバックを背負い隣にいる男と見慣れない町を歩く。

 

「お兄さん!あそこに行ってみましょう!」

 

「ハイハイ、全く元気だねえ」

 

だがその少女の顔はとても明るく楽しげだった。




『メッセージログを再生します』
『え?もう始まってる!?コホン、拝啓マリア姉さんや皆へこのログが見つかったということは多分この場所が誰かにバレたということです。
えっと、その…これを聞いているのがマリア姉さんかは解りません、でももしそうなら私からのワガママを一つだけ聞いてください。
私はこの人に二度も助けてもらいました…けどまだなにも返せてません。だからこの人に着いていくことにします!もちろんまた再会できたときいっぱいしかってくれてもいい。その代わり私はいっぱいの思い出話を用意しているからマリア姉さん、切歌ちゃん、調ちゃん、マム。また会う日までお元気で!
セレナ・カデンツァヴナ・イブより』

『メッセージログを終了します』

『追伸通話ログが一件存在。再生します』 
『どうも教授お久しぶりです。実は彼女…セレナのことなのですが…肉体へのダメージも酷くまだ眠っています…恐らく半年はかかるでしょう。
えぇ、彼女のお姉さんにはなんと……なるほど死亡したと…。
ギアの方は…ダメでしたか…わかりました。俺ですか?そうですね…彼女の治療が終わり次第、世界を少し回った後日本にいる櫻井女史の元を訪ねてみようかと。
はい、セレナちゃんには悪いですが彼女には最悪第二の人生を歩んでもらうことになりますね。
俺の連れに?ご冗談を…それは雛鳥の刷り込みにすぎません…それに彼女は俺の嘘に簡単に騙されてしまうほど世の中を知らないだから……ハァ…わかりました…ですが貴女だけはマリアちゃん達に恨まれることはしないように…。
あの時、あの崩落時。貴女やマリアちゃんが無傷で生還できたから良いもの下手をすればあの瓦礫の下敷きになっていたのは…いや、考えるのは止めましょう。ではそうですねまた会う日までお元気で』

『通話ログを終了します』


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片翼が墜ちる時

さて、傭兵の皆様。前回のブリーフィング……を始めたいところなのですが……。
この作者はなぜ泣き叫んでいるのかが解りません…はい?この際本当は全員生存ルートで行きたかった?発言の意味が不明です。
コホン、とりあえず傭兵の皆様、ブリーフィングは行えませんでしたが私から一言。
とうとう彼女達の物語が動き始めます、よってあなた方が思い描く物語にはならないかもしれません。
ですがそれでもこの作品を読むとなればそれなりのお覚悟を…。









追伸、そもそもこの作者の作品にこの話数にてすでに数十名の傭兵登録(お気に入り登録)があることがおかしいのです…何故です、私が間違っているとでも…?


「ハァ…全く…トラブルとは無縁の地を選びたかったのにさぁ…どうしてこうも…」

 

「お兄さん!?そんな悠長にしてる場合じゃないですよ!ノイズが押し寄せてきてるんですから早く逃げないと!」

 

とあるライブ会場、観客及び関係者含めおよそ約十万人近くが入ることができる場所。

その中では大勢の人間が何かから逃げるように出口へと向かいまるで津波のように押し寄せる、だが感傷に浸っているその男は人の波に拐われず逆にライブ会場の中心を見るように立っており付き添いの少女も流されまいと必死に男の腕へとしがみ付いていた。

 

「でもさぁ~…商店街の福引きでこのライブのチケット当てたのセナりんだよ?」

 

「だっていきなり大量のノイズが溢れ出てくるなんて思わないじゃないですか!?」

 

「まぁ、そうだよねぇ…」

 

そして男は少女に対しここに居る経緯を語りだすがその原因は数日前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おめでとう大当たりだよお嬢さん!

 

「えぇ!?」

 

とある日の買い物の帰り道。少女と男はスーパーでその日使う食材を買い帰路につくなか、その店で偶然貰った福引き券を使い運試しとばかりにその商店街で開催していた福引きを行う。

少女は副賞である高級食材などが当たればいいなと思いハンドルを回すが結果はご覧の通り一等を引き当ててしまった。

 

「ほら!特賞のツヴァイウィングライブペアチケットさ!まったく運が良いねぇ!」

 

「ツヴァイウィング?」

 

「知らないのかい!?今話題歌い手さん達だよ!しかも今度開催するライブはドデカイらしくてね!なんでも予約キャンセル待ちが千件を超えてるんだってよ!」

 

男と少女は今までの旅をしていたせいかこの国のメディアには乏しくほんの数週間前にこの国へと着いたばかりであり、その事を知らない受付のおじさんは驚きながらも二人に快く説明した。

 

「それって凄いことですよね!お兄さん行ってみませんか?」

 

少女は男に期待の眼差しを向けると男はやれやれと首を降りながら答えた。

 

「まぁいいんじゃない?この国には少し長めに滞在する予定だったしさ。それにセナりんも歌好きでしょ?」

 

そしてこれが二人のライブに来るまでの経緯である。

 

★★★★★

 

「でもさぁオカシイんだよね~」

 

「な、なにがですか?うわっ!?」

 

大勢の人間が逃げ誰もいなくなった会場の脇、男は片腕を自身の聖遺物で覆い巨大な腕とし少女を庇いながらもその腕を振るい近寄ってくるノイズ達を薙ぎ倒していく。

 

「今までの出現パターンからだと本来ならノイズは不特定多数の場所に数匹…多くて数十匹しか出現しないはずなんだけどさぁ…この量はそれを遥かに超えているんだよね~」

 

「確かに前に見たノイズの量と違いますけどこれだけ広ければそれなりに出てくるんじゃ…」

 

少女は男の言葉に対しそんなことを呟くが男は惜しいねと言いつつも説明を続ける。

 

「まぁ、セナりんの言う通り本来ならそう考えるのが妥当なんだけどさぁ…恐らくこの地下で何かしらの実験してたっぽいよ多分…」

 

「実験?この私達の下でですか?」

 

「そうそう。本当に聖遺物人間であるこの体ってのはこんな時便利だよ、同類(完全聖遺物)の感じがひしひしと伝わってくるからさ。でも…」

 

 

そして男が新たな反応を感じ取りその方向を向く、すると二人からはかなりの距離に位置するがステージ上では片や青色、片や朱色のギアを纏った少女二人がそれぞれノイズを屠り対応しているのが見える。

 

「あの娘…あれ結構ヤバイかもね……」

 

だが男だけは二人の装者とは別に瓦礫の間を縫って逃げる一人の幼い少女に気付きそう呟くのであった。

 

★★★★★

 

 

『翼、奏くん!悪いがこちらも避難民の誘導で手が放せん!だからノイズへの対応は各自臨機応変に挑んでくれ!それから、了子君の話では近くに微弱ながら聖遺物の反応もあるとの報告だ。とりあえず再度言うが観客の避難が完了するまでノイズの相手を頼む!』

 

「わかりました司令!」

 

「わかってるよ弦十郎のダンナ!それじゃどんどん行くぞ翼!」

 

ボーカルユニット、ツヴァイウィングの広大な特設ライブ会場。そこでは弦十郎と呼ばれる上司からの通信を受け、二人のシンフォギア装者がそれぞれアームドギアを展開し出現した大量のノイズを倒してゆく。

 

「やあぁぁ!」

 

「たりゃぁぁ!!」

 

奏と呼ばれる少女は槍でノイズの群を突き崩し、翼と呼ばれた少女は一体一体を的確に刀で斬り倒す。

しかし一見ノイズの軍勢に対し優勢に見られる二人だがそうではなかった。

 

「ハァ……ハァ……クソッ!時限式はここまでだってのか!?」

 

「奏!?」

 

それは奏が戦闘によるダメージなどを除けばまだ戦える翼に対し、彼女は肩で息をするほど疲弊していたからだ。そんな中…。

 

「いやあぁぁぁ!?」

 

「「っ!?」」

 

二人は逃げ遅れたであろう一人の少女が数匹のノイズに襲われそうになっているのを目撃し、少女に一番近かった奏は即座に走り出す。

 

「ぐっ…」

 

そして奏は身を挺して少女の盾となりノイズからの攻撃を防ぐが。

 

「……えっ」

 

攻撃を受け砕け散ったギアの欠片が少女の胸へと直撃する。

 

「おい死ぬなッ!?頼む目を開けてくれッ!」

 

少女は自分に何が起こったかも判らずその場に倒れ込み胸の鋭い痛みを感じながらも意識を遠退かせていくが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生きるのを諦めるな!

 

少女にはその言葉が確かに聞こえたのだった。

 

★★★★★

 

所変わって男と少女がいる会場の脇。男はこの国の組織になるべくバレないよう彼女達が討ち漏らしたノイズを攻撃し、外にいる観客の所へ行かぬよう足止めしていた。

 

(しかし…聖遺物の実験とはいえノイズの量が異常すぎる……まさか米国の連中ソロモンの杖を?あのネフィリムでさえダメだった奴らが?)

 

男は連れの少女を庇いながらも中央の状況や出現しているノイズの量を見ながら様々な考えを巡らせる。

 

(まさかこの会場で行われた実験は完全聖遺物の起動か?だとしたらなぜ失敗した?そもそも逆にこの国が完全聖遺物を所有していたとしてその実験を失敗させる理由がどこにある?)  

 

しかし男には検討がつかなかった。彼は少女と旅をする前、所属していた組織から自分のIDが消えない内に出来る限りの情報を引きずり出している。だからこそこの国の所有しているであろう聖遺物の情報も多少持っていたのだが。

 

「お兄さん!」

 

「どしたのセナりん?」

 

「あの人もしかして絶唱を使う気なんじゃないですか!?だとしたら止めないと!」

 

連れの少女に呼び止められ男は一旦思考を放棄する。

少女は男がノイズを倒しながら移動していた際、自分達の位置がステージの中央に近くなったのか先ほど彼だけが見えていたものを視認する。

そして朱色が特徴のシンフォギアを纏う少女の状態を見てもしかしてと思い声をあげた。

 

「でもセナりんを置いてきぼりにしたら誰がノイズから守るんだい?」

 

「それならお兄さんから貰ったお守りがあります!それにあんな状態で絶唱なんて使ったら!?」

 

少女はノイズに対しそれなりの防衛手段があるのか男に彼女達の元へ向かうよう提案する。

 

「いいや…アレだけはダメだ。約束しただろう?俺が居ない状況でノイズ共から逃げれずどうしてもという場合でしか使ってはダメだと」

 

「それでも!このままでは後ろにいるあの娘まで死んでしまいます!」

 

「…………わかったよ…だが約束は絶対に守ること。あとあの子達を助けに行くのは君を外へ避難させてあとだいいね?」 

 

「はい!」

 

しかし男は男はその提案を却下し彼女の護衛を優先するが最終的に押し負けたのか不服そうな顔をしながらも彼女を抱え会場の外へと急ぐのであった。

 

★★★★★

 

戦い始めてからどのくらい経っただろうか。まだ何十匹

もいるノイズの大群を前に奏は色々なことを思ってしまう。

 

「よかった……生きていてくれて…」

 

生きるのを諦めるな。自分の力不足が原因で負傷してしまった少女に言葉を掛け、目を開けてくれた時どれだけ安心しただろうか。

 

「…いつか心と身体全部空っぽにして歌ってみたかったんだよな」

 

「奏?」

 

それに自分の半身とも言えるほど仲の良い友達にこれからどれだけ悲しい思いをさせるのだろうか。

そんなことを胸に秘め奏は翼から不安な眼差しを受けながらも彼女は今自分の発した言葉とは真逆の事をしようとしている。

 

「今日はこんなに沢山の連中が聞いてくれるんだ。だからアタシも出し惜しみなしで行く…」

 

そして自らのアームドギアである槍を掲げ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………絶唱…」

 

自らの犠牲を顧みず禁断の歌を口ずさむ。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl-』

 

「そんなッ!?奏!歌ってはダメぇぇ!!」

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl-』

 

自分は死ぬ。喉の奥から血が込み上げてくるのを感じる。だがそれでも彼女は最後に笑っていた

 

★★★★★

 

「会場内のフォニックゲイン値急激に上昇!?奏さんのバイタルサインロスト!?確認できません!?」

 

「まさか奏くんは!?おい翼返事をしろッ!一体何があった!?」

 

『いやッ!奏!奏ぇぇ!』

 

「司令!大変です!会場の脇にいたノイズの残党が一斉に翼さんのもとへ!」

 

「なんだと!?」

 

ライブ会場の地下、そこにいる特異災害対策機動部の面々は今起きている状況の対応に追われている。

彼らは当初このツヴァイウィングのライブを利用し、完全聖遺物ネフシュタンの起動を目論んでいた。

しかし実験は失敗しネフシュタンより発せられたエネルギーが暴走、爆発を起こしたのだ。

しかも暴走したエネルギーの余波に感化されたのか運悪くノイズが大量発生し、対応にあたっていた装者のうち一人が死亡したこともあり危機的状況に陥っていた。

 

「翼!今すぐ撤退しろッ!そこにノイズの残党が向かっている!……ダメか!」

 

 

特異災害対策機動部二課の司令である風鳴弦十郎は翼に急ぎ通信を送り撤退するよう命じる。しかし先ほど目の前で親友を失った翼は悲しみのあまり回りが見えておらず彼の声も届いてはいなかった。

 

「こうなれば……!あおいくん!避難状況は!」

 

「ほぼ完了しています!しかしどうするつもりですか!?」

 

「俺が翼を回収してくる!」

 

「無茶です!?いくら司令と言えど翼さんを抱えなかがらノイズ群を回避するんですよ!?」

 

 

「だがこのままでは貴重なシンフォギア装者を二人も失うはめになる!なら俺の命など安いものだッ!」

 

弦十郎はインカムを付け司令室から出ると急ぎ翼の元へと駆け出し彼女がいる場所へ難なく到着する。

 

「これはッ……!?」

 

彼はその場で泣きじゃくり衰弱したせいかギアが解除されている翼と胸から血を流している瀕死の少女の姿を確認し状況を悟る。

 

(もしかして奏くんはこの娘を守るために絶唱をッ……!)

 

そして弦十郎はせめてもと翼を気絶させ、二人を抱え振り向くが。

 

「遅かったかっ…!?」

 

すでに彼らの周りには先ほど報告にあったノイズの残党が取り囲みジリジリと距離を詰めてゆく。

 

(どうする!一、二匹ならなんとかいなせるがこの量ではッ…!?)

 

彼は最悪自分の命と引き換えに彼女らをなんとか助けるため知恵を絞ろうとする。しかしそんな彼にある音が聞こえた。

 

「この音……ジェット音…?まさかミサイルか!?」

 

それはまるで戦闘機のようなジェット音で彼は今回明らかにノイズの量は異常だがそれに対して政府がたいして効果のない兵器での攻撃に転じたかと思い焦りだす。

だが彼の目の前に現れたのは体長三メートル近くの鉄の巨人であり。

 

「手こずっているようだな……手を貸そう…」

 

――ASSAULT ARMOR

 

そう発言すると巨人はノイズの群れへと突撃しヤツを中心に青白い光が輝きノイズを一瞬で全滅させる。  

 

『司令……聞こえ……か!そこ…当初確認され…いた未確認の聖…物反応が!』

 

「なに!?まさかコイツが!?おい待て!?」

 

そしてその光景を見ていた彼の通信機に途切れながらも部下からの通信が入り、コイツが災害発生時確認されていた微弱な聖遺物反応の正体だと知り驚くが、巨人は目的を達したのか再びジェット音を響かせ地平線の彼方へと消えて行くのであった。




『二件の録音音声を発見。再生します』

『始まったな…よし。俺は特異災害対策機動部二課、風鳴弦十郎だ。
時刻は深夜零時過ぎ、場所は町外れの廃工場。この音声は例のライブ事件のあと部下から取引をしたい拒否すれば機密内容をリークするという脅迫電話を受けた報告があり現在その取引現場にいる。第一に俺も警戒はしているが何が起こるかわからない。
だからもし誰かがこのメッセージを見つけたのなら政府の風鳴 八紘という男に渡してもらいたい。ではこれから工場に入るが録音を続けたままにする』

(道を進み扉を開ける音

『まずは初めましてだな。緒川……俺の部下から聞いているがアンタが取引を持ちかけてきた人物か?』

『あぁ、そういうことになるが約束は守ってくれたか?』

『もちろんだ!丸腰に加え誰一人として連れてきてはいない!』

『それはよかった。なら本題に入ろう』

『いいだろう。確か取引内容は此方の機密をバラさない代わりにアンタらの身柄を保護することだったな?』

『そうだ、俺と……もう一人ツレがいるんだが今現在俺達は訳アリでね。言わば密入国に近い形でこの国にいるんだ』

『それで、この国で何をする気だ?生憎とテロ行為を見逃すほど俺は甘くないぞ?』

『いいや、訳アリなのは俺だけさ』

(鈍い機械音

『それはッ!?あの時現れたのはお前だったのか!?』

『まぁそうだな。しかしすまないと思っているよ、貴重な装者が亡くなったことに対しては。俺がもっと早く行動していれば犠牲は少なかっただろうに』

『そんなことを言うな。アンタのせいじゃない彼女のことに関しては俺のミスだ。それより話を戻すが要求内容は身柄の保護のみでいいのか?』

『構わない。だが強いて言うならこの国での戸籍がほしい上できれば簡単な職が欲しい。あとはこの国にいるであろう櫻井了子女史にコンタクトをとりたいんだが可能か?』

『……わかった。上に問いかけてみよう『それから』ん?』

『脅して悪いがアンタのその胸ポケットに入っているボイスレコーダはこちらに譲ってもらう。俺に関する情報はなるべく残したくないんでね』

『バレていたか……まぁ構わんさ』

『音声はここで途切れています。続いて二件目を再生します』

『あー、あー、この音声はあの男。たしか弦十郎が持っていたボイスレコーダに話しかけている。そんで今日は前回の取引の結果を聞くためこの前の廃工場にいる。もちろん前回の会話内容はコピーして別の媒体に写しこの本体のデータは消去済みだ。おっと来たみたいだ』

『3日ぶりだな。前回の取引の答えだが案外上手く行きそうだ』

『それは上々だ。それで?』

『戸籍の方は簡単だこれでキャンプ生活からおさらばできるぞ?そして職と了子くんとの面会の方だが……上と話し合った結果俺が所属する特異災害対策機動部二課に来てもらうことにした』

『なるほど…確かにそれなら俺を監視できるうえ予防策もこうじられる。だが櫻井女史になんの関係が?』

『一応了子くんはうちの組織に所属していてな。アンタの要件を叶えるのに一石二鳥というわけさ』

『なるほどねぇ…』

『それと話を続けるがアンタはうちの組織にノイズの研究者として入ってもらう。ちょうど主任の席が空いていたから都合が良かったと言うのもあるがな』


『いいのかい?そんなポストに俺を当てはめて』

『大丈夫だある意味ノイズ研究は死と隣り合わせで人気がなく人員不足だからな。あと連れの彼女…確か名前は……『セナ。セナ・マグノリア・イブ』そうセナくんは新人オペレーターとして入ってもらうこととするが、以上の内容に何か質問はあるか?』

『いいや、申し分ない結果だよありがとう』

『気にするな、此方も切羽詰まっていたが命を助けてもらった身だ。というわけで今後ともよろしく頼む!主任』


『了解しましたよ風鳴司令官殿。あとこれは返しておくよ』

『録音音声は以上です』


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大人の役目

全く、誰が死んだというのです作者は…。
失礼しました傭兵の皆様。さて、ブリーフィングを開始したいところなのですが……何をしているのです早く自己紹介したらどうですか?

えっと…。本当にこれやらないとダメなのか?

当然です。

天羽奏だ…その…気づいたらここにいておぺれーたー?って言うのをやれって言われてるから今後ともよろしくたのむ!ってもう時間ないじゃないか!?

はぁ、またですか…。


「あいむしんか~とぅ~とぅ~とぅ~とぅとぅ~」

 

「主任その歌なんですか?」

 

「さぁね~。なんとなくだよセナりん」

 

ライブ会場の惨劇から約一年近くが経った。主任とセナの二人はとある学園の地下に建造された特異災害対策機動部二課本部の廊下を歩いていた。

 

「そうだ。セナりんたしか俺ってどっかの中学校に講義をしに行くはずなんだけど何時だっけ?」

 

「明日ですよ主任、それがどうかしたんですか?まさかとは思いますけど一応主任はノイズの研究者としてここにいるんですからサボるとか言いませんよね?」

 

主任は仮とはいえノイズの研究者としてこの組織に入っているためかセナに時々行うの講義の予定を確認する。

セナは主任に当日の日にちを教えるがその顔はどこか呆れており、薄目で主任を睨んだ。

 

「アハハッ!あれ、もしかしてバレちゃった?」

 

「もしかしなくてもバレますよ!?それで何回他校の講義をキャンセルしたと思ってるんですか!?」

 

「だってそのキャンセルした学校ってライブの被害者の人たち居ないじゃん」

 

「だからって……真面目に仕事しましょうよ…」

 

「うふふ、朝からこ熱いわね二人とも」

 

セナは自分の予想が当たったのか肩を落とすがふと後から声をかけられ二人は振り向く。

 

「了子さん!聞いてくださいよ。また主任が講義をサボろうとしてるんです了子さんからも何か言ってあげてください!」

 

「ダメよ主任女の子を困らせちゃ?それに今回で最後なんでしょライブ被害者のケア作業」

 

そこには柔らかな笑みを浮かべた櫻井了子が立っており主任に対しセナのために彼女なりの活を入れる。

 

 

「まぁね~。それに司令官殿に『学問に励む子達に正しいことを教えてやってくれ』なんて言われたらやるしかないじゃない?というわけでセナりんまた明日。現地の中学校出会おうね~!」

 

 

「えっ、主任まだ午前中ですよ!?仕事」

 

そして主任は話し終えるとまだ午前中にも関わらず二人に手を振りセナの制止を無視し出口の方へと歩いていくのであった。

 

 

★★★★★

 

『人殺しー!』

 

『金泥棒!』

 

とある一軒の民家の外で数人の人々がプラカードを掲げ様々な罵倒を浴びせる。

その家の中では一人の少女が布団をかぶり必死に聞こえない振りをしていた。

 

彼女はあのライブ会場で重症を負うも奇跡的に助かり、再びいつもの日常に帰れると思い入院生活を過ごすが現実は違った。 

まず彼女が学校へと登校した際クラスメイトから浴びせられたのは暴言だった。

『なぜアンタが生き残ったの!?』生き残った彼女には決してそんなつもりはなかった。だが将来を有望されていた男子生徒が死んだこと、そしてその男子生徒を慕っていた女子生徒がそう叫んでしまったことで彼女は全校生徒からのターゲットになってしまう。

 

しかし彼女の不幸はそれだけではなかった。

彼女の生還を喜んでいた父の会社でもトラブルがあり父親はプロジェクトから外されそのせいで社内でも彼を持て余すことが多くなる。

そしてプライドを引き裂かれた父親は酒量が増えある日を境に姿を消した。

 

以降彼女は自分と家に残された祖母や母親と暮らしているのだが、世間では所謂魔女狩りの風習のように被害者が世間から避難され例え休日であろうともこの様に罵倒を受けているのだが。

 

 

『なんだよアンタ!邪魔するのか!?』

 

『そこどけよ!』

 

今日はいつもと違い人々の様子が変であった。彼女は気になったのか布団から這い出て玄関の隙間から外を覗く、するとそこには白衣に笑顔のホラーマスクという奇抜な格好をした男が立っておりその男は人々の注目を集めると話始めた。

 

『ねぇねぇ、お兄さんたち何してるの?なんかこの家に結構な恨みを持ってるみたいだけどサァ!もしかして此処って犯罪者の住む家?』

 

『知らないのか?犯罪者みたいなもんだよ!あのライブで生き残ってのうのうと暮らしてるんだからさ!』

 

『『そうだ!そうだ!』』

 

彼女はただ仮面の男は理由を知らず通りかかっただけなのだと思い玄関の扉を閉めようとする。だが。

 

『へぇ~あのライブねぇ!じゃあこの家の人は()()()()()()()()わけだ!』

 

男はまるで生き残ってくれて良かったかのように喋りそれを聞いた彼女は手を止め再度隙間から覗きこむ。

 

 

『なんだよ!アンタもしかしてここのやつの味方をするの『ところで君さぁノイズから逃げたことある?』は?』

 

男は一番怒鳴っている若者にぬっ、と近寄り言葉を遮ると逆に質問する。

 

『だからノイズから逃げたことがあるかって聞いてるんだよ。この辺でも何回か警報位は鳴っただろ?』

 

『なんだよ……そ、それくらいあるに決まってるだろ?』

 

若者は怖じ気づいたのか数歩下がるが仮面の男はそんなのはお構い無しと白衣の内側をまさぐりだしお目当てのモノを見つけ男は何を思ったのかゆっくりと若者に顔を向ける。

 

『いやぁ、俺も実は家族をノイズに殺されてさぁ~!要は君も生き残ったと同じだよねぇ?』

 

『だからなにが言いた……ッ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いやいや、ちょっとお手伝いをね!』

 

 

そして若者が反論する前に男は懐から黒い物体を取り出し彼に向けると乾いた音を一つ響かせた。

 

 

★★★★★

 

(うそ……!あの人…殺したの!?)

 

扉の隙間から覗き込んでいた少女は自分の目を疑った。

最初は仮装をした通りすがりの人が間違えて自分の家の前に来てしまったのかと思った。

しかし彼女の予想は男外れ男が脅されすぐに逃げていくかと思ったが彼はまるで映画の中のように懐から拳銃を取りだし人を撃ったのだった。

 

『ひ、人殺し!?』

 

『コイツ銃をもってるぞ!?』

 

当然そんな光景を見た外の人達はパニックになり逃げ出す。しかし中には腰を抜かす人や唖然とし逃げ遅れたものまでいる、だからこそその人達は自分が殺されないように言葉を捻り出していた。

 

 

『な、なんで俺達を撃つんだ!殺すならアッチだろ!?』

 

『アハハハッ!そうだっけ!?ま、いいんじゃないのどうでも、あっちが残ったほうが面白いよ!』

 

“狂気的”、“狂っている”仮面の男の言葉に誰もがそう思わざるを得なかった。

そして限界が来たのか一人の男が声をあげ思った事を口に出す。

 

『は、ハァ!?どうでもいい?面白い!?そんな理由で殺したのか!?なんなんだよお前い、イカれてるぞ!』

 

 

 

『イカれてる……俺が?クククッ。いいや、イカれてるのは全部だ!知っているだろ?ノイズはこの国では十三年前に災害として認定されてる。なのにアンタらは魔女狩りのようにグジグジと……ってアレ?』

 

男は額を手で覆い話し始めるがふと振り向くとそこには誰も居らず唖然とした。そして。

 

『はぁ~。人がせっかく大事な話しようとしてるのに居なくなるのはよくないなぁ~ホント……。緒川くんもういいよ~挑発役ご苦労様~』

 

仮面の男は拳銃を懐にしまい撃たれて死んだと思っていた若者に声をかけるとその男はむくりと起き上がり何事もなかったかのように仮面の彼と話始める。

 

『さて、この家の人にも迷惑かけちゃったし謝らないとね』

 

「ひっッ!?」

 

そして仮面の男はクルリと振り向き少女のいる玄関へと歩きはじめ彼女は小さく悲鳴をあげる。

 

(も、もしかして私殺されちゃうのかな…)

 

「あれっ、大丈夫この子?気を失ってない?もしかして俺やっちゃった?」

 

結果少女が最後に見たのは仮面を外し慌てはじめる男の姿だった。

 

★★★★★

 

「響~起きてる?今日学校どうする~?」

 

響と呼ばれる少女が次に目を覚ますと何故か自分の布団で寝ており彼女の母親から今日学校へと登校するか否かを問われる。

 

「えっ。あ、うん…行くよ。それよりお母さん昨日のことなんだけど…」

 

「昨日?響ったらずっと寝てたじゃない。どうしたの?悪い夢でも見た?」

 

「ふぇ…夢…?」

 

「響ったらまだ寝ぼけてるのね?ほら、遅刻するわよ」

 

「ホントだッ!?急がなきゃ!」

 

響は母親に昨日の出来事を尋ねるが母親からは自分は一日中寝ていたと言われる。そして響は今一ピンと来ないまま学校へと登校した。

 

『今日はお昼休みの後全校生徒は体育館へ集合してください』

 

「なにがあるんだろ?」

 

「先生から聞いたけどなんかノイズを研究している学者さんが来て色々教えてくれるらしいよ?」

 

(ノイズかぁ……いやだな…私呪われてるのかも…)

 

その日の休み時間。校内放送にて午後の授業はせず体育館にて学者の講義があると発表される。

響は他の子達が話している内容が聞こえ、ノイズという言葉に対してライブ会場の光景が甦る。

 

「よーし!お前ら廊下にならんで体育館に向かうぞ~!」

 

そしてあっという間に時間は過ぎ、響はクラスの生徒と共に教員指導のもと体育館へと向かった。

 

『えー、それでは。これより皆さんにはある学者さんかるお話を聞いてもらいたいと思います。えー、近年とあるライブ会場にて悲惨な事件があり。

わが校の生徒も少なからず被害に遭いました。よって、ノイズ研究所からお忙しい中来てくださった学者さんにその危険性、対処法などを教えていただくため午後の授業を使いこの様に全校集会を開いたわけです。それでは先生お願いします』

 

「あっ…」

 

響は全校生徒の前で長々と話す校長の言葉を聞き流し、校長が学校に来た学者を紹介し終わると周りに合わせるように拍手をする。

しかしその学者はまるで昨日見た仮面の男のような気がしており彼女がその学者の声や喋り方を聞くと予感は的中した。

 

 

『やぁ、どうも。先ほど校長先生から紹介された学者さんだ。こちらの事情で本名は言えないがそうだな~…ノイズの学者だからノイズさんと呼んでくれればいい!』

 

ノイズさんは冗談を交えながらもプロジェクターを使いノイズに関する様々な事を教えていく。

そして彼は一通り喋り終わると全校生徒に対し質問の時間を作った。

 

 

『さて、他に何か聞きたいことはあるかな?機密情報外でなら時間が許す限りお話しよう!』

 

「はい!」

 

そして幾つかの質問のあと同じクラスであろう一人の女子が元気良く手を挙げる。

 

『はい、元気がいいそこのお嬢さん!お名前は?』

 

小日向未来(こひなたみく)です!」

 

『ん~、いい名前だ。それで小日向ちゃんはどんなことを聞きたいのかな?』

 

「その……こんなこと言うのは間違っているとは思います!でもあのライブで生き残ってしまった人は本当に悪いんでしょうか!」

 

響は彼女の言葉に肩をビクリと揺らし周りからの視線を気にしないよう顔を伏せる。

 

『いい質問だ。それじゃあ少し難しいけど皆はノイズが特異災害に認定されていることは知っているかな?』

 

男は用意していたのかスクリーンの画面を変えると生徒

が頷いたのを確認し話を続ける。

 

『というわけで小日向ちゃん悪いが続きだ。もし君が地震などの自然災害に遭い家がつぶれたとしよう。その場合国からの支援金やらが出るわけだが……それは悪だと思うかい?』

 

「いいえ!思いません!」

 

『だろう?何せ災害だからね……いつ起こるかもわからない上通り魔に会う位の確率。自然消滅するまで此方はなにもすることが出来ず一瞬でも触れたら即アウト……生き残っただけでも奇跡だ』

 

「……っ!」

 

だが話の内容は響の考えと違った。むしろ昨日聞いた内容とほぼ同じだったのだ。

 

『だけどお金欲しさや何故自分だけという喪失感が相まってあのライブの被害者は悪だなんで世の中は決めつけてる。これっておかしいと思わない?本当ならなぜ生き残ったではなく生き残ってくれて良かったなのにさぁ?』

 

そして男の言葉に生徒全員が黙り混むがそのなかで一人だけ否と告げる生徒が現れた。

 

「納得できません!だって彼は頑張っていました!コイツなんかよりも頑張っていました!なのになんでコイツが生き残って彼はダメだったんですか!」

 

彼女は響を指差しながら涙ながらに彼に抗議する。

響は当初の虐めを思い出してしまい塞ぎ込むように膝に顔をつけ早くこの時間が終わってくれないかと思ったが。

 

『キミ誰?』

 

「関係ありません!だって『黙れよ…』ッ!?」

 

『あー、先生方?もうスクリーンいらないから片付けちゃって今すぐ』  

 

男は女子生徒の言葉をドスの利いた声で遮る。

男は時計を確認すると今までのおちゃらけた態度とは一変しまるで脅迫でもするかのように喋り始めた。

 

『じゃあもう時間もないから良く聞け()()()()()今の話を聞くとお前らは一部を除き全校生徒全員でその被害者を虐めてることになる。メディアの影響だかなんだか知らないがお前らのやっていることは間違えてるいいか?お前らゴmぃ!?』

 

 

男はさらに追い討ちをかけようと言葉の使い方を荒くしていくだが突如後ろからパイプ椅子を持った女性が思い切り男の後頭部をひっぱたき気絶させると引きずっていきその日の授業は終了した。

 

 




この主任って男スゴい奴だな!?もしかして弦十郎の旦那を救ってくれたのもコイツじゃないのか!

貴女はこう言うときだけ口が達者になりますね。その才能をブリーフィング時にも出してもらいたいものです。

悪かったよオペ子さん。次は頑張るからさ

……期待はしないでおきましょう…とりあえずオペ子は止めてくださいバカにされている気がするので。

それでは傭兵の皆様また次の機会に


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平和な日常


よう、久しぶりだな皆!天羽奏だ。
確か前回は主任が色々手を回してくれていたみたいだけど今回はあのライブの日から二年後になる。
え?ブリーフィングが適当?だったらアタシにもその紅茶とお菓子分けてくれよ!
っと、話がそれたけど今回は作者が言うには日常編らしくて短いらしいがそこんとこ臨機応変にな!
それじゃあブリーフィング終わり!


「もうちょっと……!」

 

ライブ会場の惨劇から二年の時が経った。

彼女、立花響はとある理由そして憧れであるかのトップアーティスト風鳴翼が入学しているという私立リディアン音楽院に進学していた。

 

「ほらッ…、大丈夫だからこっちにおいで…!」

 

お昼時本来なら学生達が仲良く食堂や中庭で昼食をとる時間帯。響は偶然木の上から降りられなくなった猫を見つけ助けている最中であったのだが。

 

「わわッ!?」

 

突然猫が駆け寄りキャッチしたはいいがバランスを崩し地面へと落下する。

しかし彼女が想像したよりも地面に落下した際の衝撃は少なく恐る恐る目を開く。

 

「身体がダメージを受けてま~す……」

 

すると何処からか声が聞こえ自分の下を見てみれば一人の男が下敷きになっているのであった。

 

「すいません!だ、大丈夫ですか!?」

 

「まぁ、そんなワケないよねぇ……」

 

「わわッ!?本当にすいません!」

 

響はこの白衣を着た男の上から飛び退き慌てて謝るが男はプルプルと震えながら立ち上がり応える。

 

 

「まぁ、確かにお前は女性の尻に敷かれるタイプだとは言われたよ?けど物理的に敷かれるとは思わないよねぇ~?」

 

「あの~…本当は大丈夫なんじゃないですか…?」

 

 

「アハハハハッ!バレた?」

 

「やっぱり大丈夫なんじゃないですか!?」 

 

「まぁね~それよりもキミの方こそ大丈夫?」

 

「何がですか?」

 

しかし響は喋り始めた男が案外元気そうに見えその事を質問すると仮病だとわかり思わず大声を出してしまう。

だが今度は男が彼女の心配をし始めたなぜなら。

 

「時間」

 

お昼休みが終わり午後の授業が始まるチャイムが鳴り響いたからである。

 

★★★★★

 

 

「ああッ!?急がなきゃ!えっとこの子はどうすれば!?」

 

「とりあえず預かっといてあげるよその子。あとコレ本鈴だからね?」

 

「わぁぁぁッ!?お願いします!」

 

「ハイハ~イ。んじゃいくか…」

 

「ミャー!」

 

チャイムが鳴り終わり響はあたふたとし始め、いっそのこと猫を連れて授業に出てしまおうかと考える。

しかし男は彼女に現実を叩きつけると猫を引き取りその場を後にし彼女もまた大急ぎで授業へと向かった。

 

「よかったよねぇ、お前も。魚が偶然余ってたみたいでさぁ?」

 

「ミゃ~!」

 

 

現在、男は響と別れ食堂の裏手へと行き少しモフモフしている猫に魚の切り身をあげていた。

 

「ハハハッ可愛らしいねお前は。でも飼いたいって言ったらセナりんに怒られそうだからまだわからないんだけどね?」

 

「ミャウ?」

 

「さっきの彼女かい?違う違う。でもまぁ…面白そうな娘だよ確かに…色んな意味でね…」

 

猫は彼の言葉が解っているかのように頭をコテリと傾げるが男は目を細めながら先ほどの彼女のことを思い出しそうつげる。

 

(そう、確かに面白そうな娘だ…俺と同じ聖遺物の融合体でありその聖遺物は……)

 

「ハァ……天羽奏の置き土産ってとこかな…。にしてもガングニールとはねぇ~…翼ちゃんとケンカしなきゃいいけど」

 

「ミャウ?」

 

「ま、若者のゴタゴタにオトナが首を突っ込む方が野暮ってものか」

 

そして猫が切り身を食べ終えると男は猫を頭に乗せ校舎の方へと歩き始めるのだった。

 

★★★★★ 

 

「あら、主任じゃない珍しいこともあるものね?」

 

「確かに昼間から此処に居るのは珍しいな。というか頭の上の猫はどうしたんだ?」

 

男こと主任は現在、二課の本部へと足を運んでおり偶然廊下で話していた了子と弦十郎に出くわした。

 

「あぁ~リンクスのことですか。いやぁ偶然道端でこの子と出会ってしまったものですから飼っていいかこれからセナりんに聞こうと思った訳ですよ司令官殿」

 

「名前まで決めているのか!?」

 

 

「いいじゃない弦十郎くんこれはセナちゃんと主任の問題なんだし。それにしてもモフモフして可愛らしいわね~これならセナちゃんも許してくれるんじゃない?」

 

「アハハッ!まぁセナりんは少しチョロい所もあるし大丈夫だと「誰がチョロいんですか主任?」あれ?」

 

二人は主任が頭に乗せている猫について不思議に思いそれぞれ質問し主任はそれに答えてゆく。

だが主任が一言余計に口を滑らせると聞き覚えのある声が主任の後ろから聞こえ彼は恐る恐る振り向くとそこには表情は笑顔だが明らかに怒っているセナが居るのであった。。

 

「アハハハハッ!セナりん居たんだ~ちょうどよかったよ!……ところでさぁ…どっから聞いてた?」

 

「そうですね、主任がその子の名前を喋り始めた辺りからでしょうか?」

 

「あ、そうなんだ。じゃあ話が早いね、この子飼っていいかな?セナりんも猫好きでしょ?」

 

「いいんじゃないですか?どうせダメなときはチョロい私に内緒で飼うつもりなんでしょうし!」

 

主任はセナに対し先ほどの事など何もなかったかのように話す。しかしセナはそっぽを向きどこかムスッっとしながらも答える。

 

「それはよかった!ありがとねセナりん。あとついでなんだけど……ってあれ?司令官殿達居ないじゃん……」

 

「了子さん達ならとっくに仕事にもどりましたよ主任」

 

「真面目だねぇ~…ま、いいや。セナりん今暇?」

 

「暇そうにみえますか主任私もそろそろオペレーターの仕事に戻「ガングニールが体に埋まってるっぽい女の子見つけたから適当に司令官殿に伝えといて」え…は?えぇ!?どういうことですか主任!ちょっと待ってくださいよ!?」

 

しかしセナの不機嫌は主任の爆弾発言で盛大に吹き飛ぶのであった。

 

★★★★★

 

 

「んでここの化学式は講すると完成するって裏技があるわけで本来的は、、、こうするからあんまり使っちゃダメなんだけど……おーい!そこのお嬢ちゃ~んまだ午前中だよー寝るには早すぎるんじゃない?」

 

翌日。主任はリディアンのとある教室で彼は教鞭を振るっていた。

彼は弦十郎からノイズが現れない限りその役職は暇であり尚且つ二課本部がリディアン女学院の下に設置されていることから、男である主任がなにかと問題にならないようにと科学の教師をやらせたのだった。

 

「えーっと小日向ちゃん?起こさないであげなよ?ちょっと実験するからさ」

 

そして現在彼が黒板へと化学式を書き出している中、隅の方ですやすやと寝息を立てている響を起こさないよう主任は隣の席である未来に言う。

 

「それじゃちょっと懐かしい実験でもしますか。えーっ硫化鉄に…塩酸…っと、まぁこんなもんか。じゃあみんな彼女から少し離れて鼻を摘まもうか!」

 

そして主任は響へと近づき彼女の周りに居る生徒を少し離れさせると手に持っている試験管の中身を混ぜたすると。

 

「ん…んん!?臭い!?」

 

「オハヨウ立花ちゃん。少しキツめのモーニングコールは如何だったかな?」

 

余りの臭いに響は飛び起き教室は笑いに包まれるのであった。

 

 

 





あのリンクスって猫可愛かったなぁ~…モフモフしていて抱き締めたくなるよ。それよりもオペレーターさん紅茶おかわりくれる?
全く…あなたはいつまでそうしているつもりですか……
今回は自分がやるからと意気込んでおいて。 
堅いこと言うなってオペレーターさん。それよりもさ、次回はその……オペレーターを代わってくれないか?
……なるほど。そういうことですか…構いませんよ私は。
本当に!
但し。決して目を背けないことです。
………。
それでは傭兵の皆様また次回。


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ビギナーズラック

お久しぶりです傭兵の皆様。

前回は…特に振り替える内容ではないでしょう。
ですが今回は…そうですね色々と後始末をしてもらわねばなりません。
それでは作戦は随時報告するのでそのおつもりで。


「ほーれリンクスいつものだ。おっと、こっちは俺のだから食べちゃダメだよ」  

「ミャーオ!」

 

とある昼時主任とリンクスは何時ものように揃ってベンチに座り、主任はセナが作った弁当をリンクスは主任が食堂から貰ってきた魚を食べる。

 

 

「ケフッ…」

 

「ハハハッ!お腹いっぱいかリンクス?」

 

リンクスは魚を綺麗に食べ終え満足したのか軽くげっぷをする。対して主任も弁当を食べ終えベンチでのんびり過ごそうとしたのだが。

 

「少しよろしいですか主任?」

 

「おや、そっちから声をかけるなんて珍しいね翼ちゃん。あとここじゃ先生だよ」

 

ふと声をかけられ主任は視線をあげる。するとそこには少し気難しそうな表情をした翼がいるのであった。

 

「立花という子に会ってきました。その…」

 

「ガングニールかい?」

 

「はい…。彼女の体の中に奏のガングニールがあるというのは今でも信じられません……ですが主任が聖遺物に関して嘘を言うとも思えなくて」

 

翼は先日セナ経由で聞いたガングニールを体に宿した少女がいるという言葉に戸惑いを隠せず更には今日食堂で

偶然響と会ってしまったと主任に伝える。

 

「なるほどねぇ~会っちゃったんだ立花ちゃんと…でもさぁ。()()()言ったよねキミ次第だって」

 

彼はは翼の言葉に対し同僚ではなく教師として向き合いながらに言う。

 

「まぁ、遅かれ早かれ立花ちゃんとは出合ってたとおもうんだけどさ翼ちゃんはどうしたいのかな?」

 

「どうしたいとは?」

 

だが主任の含みのある言葉に彼女は少し戸惑いながらも話を聞くが今の彼女には良い選択ではなかった。

 

「いやね?もちろん何事もなければいいけどさ、こんな世の中だしこのままだとあのガングニールはいつか覚醒する。まぁ今は寝ている状態だけどさキッカケさえあれば……」

 

――彼女はガングニールを纏い君と同じようにノイズと戦うことになる。

 

「ッ!!」

 

これまで悲しみを埋めるように一人で戦ってきた翼は想像してしまったのだ。

いつも背中を預けていた彼女(天羽奏)ではなく別の誰か(立花響)がガングニールを纏いそこに立っている姿を。

 

「おっと、思い詰めないでくれよ?幸い時間はまだあるんだとりあえず授業に遅れないように今回はここまでってことでね申し訳ないけどさ」

 

「はい…」

 

だからこそなのか主任はリンクスを頭に乗せながらそう言い校舎の方へと歩き始め残った翼もまた授業に出るため教室へともどった。

しかしそれが運命のイタズラなのか、または決められていた事なのかは誰にもわからないがその日の夜響のガングニールは覚醒した。

 

★★★★★

 

翌日、響は弦十郎に呼び出され地下にある二課の本部へと来ていた。

 

「すまないな、貴重な放課後に呼び出してしまって」

 

「いえ、それよりも今日は……」

 

「はいはーい!ここからは私が引き継ぐわね!先ずはメディカルチェックの結果だけどほぼ異常は見られませんでした!」

 

「ほぼですかよかった~……!ってそうだった!私ずっと気になっていたんですけど昨日の力の事を教えてください!」

 

響は弦十郎に代わり了子が話してゆくメディカルチェックの結果やシンフォギアの詳細、更には自分の胸に埋まっているモノがなんなのかを聞く。

 

「私の中に聖遺物が……」

 

「ええ、まさに奏ちゃんの置き土産ってところね。でも主任はどうやって見つけたのかしら?」

 

(やはり彼女の中にあるガングニールは奏の…ッ!?)

 

そしてその会話を聞いていた翼は何を思ったのか拳を握り込む。

 

「司令!付近にノイズ反応です!」

 

「ノイズッ!?」

 

司令室内部に警報が鳴り響きオペレーターからノイズが出現したとの報告が入りそこにいる全員が身構える。

 

「出現地点は…ッ!近いな西のエリアか!」

 

「迎え撃ちます!」

 

「おい待て翼ッ!全くッ!?あおいくんは一課に連絡この案件は二課で受け持つと伝えてくれ!藤尭くんはそのままノイズの行動予想!それとセナくんこの場に居ないが主任は何処に行った!」

 

 

そして出現場所を聞くなり翼は部屋を飛び出し突然の事にそれを見送ることしかできなかった弦十郎は急ぎオペレーター達に指示を飛ばす。

だがこのような状況に慣れない響は自分も戦った方がいいのかと慌て出すのだが。

 

『セナりん、聞こえる~?』

 

「し、主任!?今どちらに!?」

 

ここに居る全員がどこか聞き覚えのある声にオペレーターであるセナは対応する。

 

『新手のノイズが東のエリアに出てきちゃってさぁ。いつものヒトガタのノイズ。例のルーキー、その娘向かわせていますぐ!』

 

「何をいってるんですか!彼女は一度、しかも短時間しか戦ったことがないんですよ!?」

 

「悪いが主任。俺からもそれは許可できん!」

 

そしてノイズとの戦いに素人同然の響を戦わせようとする主任の指示にセナと弦十郎は反対するが。

 

 

『あ、そうなんだ。で、それがなにか問題?』

 

彼はどうでも良いのか興味がなさそうに返事をする。

 

『確かに西のエリアにはさっき翼ちゃんが走っていくのは見えたけどさ。そこのルーキーが翼ちゃんの援護に回ったとしてそれまで反対側のエリアは誰が守るんだい?』

 

「だが主任!それでも彼女を一人で行かせるのは無茶だ危険過ぎ「あの!」どうした響くん?」

 

「私の力で誰かを助けられるんですよね!それにシンフォギアでないとノイズと戦えないんですよね!」

 

「それは…そうだがッ!?」

 

「だったらいきますッ!!」

 

 

しかしそれでも危険だと弦十郎は言おうとするが響に声をかけられる。

響は弦十郎の目を真っ直ぐに見つめそう言うと司令室を飛び出していったのだった。

 

★★★★★

 

「ハイハイ、とりあえず危なそうなら何とかしますよ」

 

「司令ですか?主任」

 

「まぁ、そんなところだね。櫻井女史が死なせるなだとさ」

 

ここは東のエリアに近い建物の上。主任は了子と話していたのか通話を終え携帯を胸ポケットへとしまう。

するとちょうど通話を終えた時、西のエリアにいるノイズを倒してきたのか隣には翼が立っていた。

 

「それにしても彼女頑張るよねホント。つい昨日まで普通の日常を送っていたのにさ」

 

 

「えぇ、ですがノイズとの戦いは遊びではありません。それに私は彼女の助けなど借りなく「それは悲壮感から来る言葉かな?」今なんと…?」

 

翼は主任の言葉に対し少し不機嫌なのか言い返す。

 

「確かにあの子の中にあるのは天羽奏のガングニールかもしれない…でも前にも言ったが天羽奏はもういな「お言葉ですが!」どしたの?」

 

そして翼の言葉を遮り双眼鏡で響の戦いを観戦しながらも主任は告げるが今度は逆に翼が主任の言葉を遮る。

 

「別に私は彼女が。立花がガングニールを纏っていることを不快などとは思っておりません!あと仮に立花が私と同じ戦場に立つのであれば防人として…その前に一人の先輩として導く所存ですッ!!」

 

「翼ちゃん…」

 

主任は自分でも気づかないうちに観戦をやめ翼の方を見ており、彼女が昨日とは違いまるで昔の自分とは違うと言わんばかりの表情に彼は思わず声を漏らす。

 

「それに立花の中にあるガングニールが本当に奏のモノならそれはあの時、奏が最後まで守り通したという証だと私は思っています…」

 

彼は彼女が言った言葉の中にいつまでも奏に心配はかけられないという思いが隠されていることがわかり口の端をつり上げ。

 

 

「くくッ…アハハハハハッ!」

 

とても面白いものを見たというくらいに笑う。

 

「し、主任!何が可笑しいんですか!」

 

「ごめんごめん。ただ君も変わったなと思ってさ?だって昔は結構無茶してたし昨日だって色んなことあったからまだ気持ちの整理がついてないかと思ってたからね」

 

 

主任はその場から立ち上がり双眼鏡をしまうと翼にそう言い軽い準備運動を始める。

 

「それじゃ響ちゃんそろそろ辛そうだしを助けにいきますか!」

 

そして翼と共に二人は建物の地面を蹴り響の戦っているエリアまで飛んでいくのであった。 

 

 

★★★★★

 

「このぉおおッ!」

 

 

シンフォギアによって身体能力が強化された響の拳が一匹、また一匹とノイズを屠って行く。

 

「あと…三体ッ!!あ……っ!?」

 

 

だがまだ戦闘に不馴れなのか響は後ろから近づいていたノイズに気づかずもうダメだと思ってしまうが。

 

「ハハハッ!見てたよ、ルーキー!なかなか、やるじゃない?ちょ~っと、時間かかったけどね。まあ、ちょうどいい腕かなノイズ(ゴミ虫)の相手にはさ」

 

 

「えぇぇ!せ、先生!?翼さん!?」

 

今朝も何度か顔を会わせている科学の担任が()()でノイズを蹴り飛ばし後から着いてきた翼が辺りにいるノイズを殲滅していくのであった。

 




傭兵の皆様。撃ち洩らしたノイズの処理感謝致します。流石は歴戦の傭兵と言ったところでしょうか。
それと今回も会話ログがあるようなのでそれらを開示し今回のミッションを終了します。それではまた次回。

『会話ログを再生します』

『もしもし?あー、アンタか今どこから連絡してるんだ?

『………』

『ほう、自分の研究室ねぇ~…彼にバレたらアンタの計画もお釈迦になるのにか?』


『―――!』

『わかってるよ。ん、彼女かい?あぁ、面白そうな子だよ確かに。ま、今日死んじゃうかもしれないけどさ!アハハッ!』

『■■■■■!?』

『ハイハイ、とりあえず危なそうなら何とかしますよフィー『司令ですか?主任』まぁ、そんなと』

『ログはここで途切れています』

『会話ログを終了します』


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NEHUSHTAN


すぅ…すぅ…。
おや、疲れて寝てしまいましたか…。
ごめんよ翼ぁ…。
……全く世話が焼ける子ですねあなたは。
すみません傭兵の皆様…このような状態なので今回のブリーフィングはありません。
ですがここまで読んでいただいている傭兵の皆様に作者から報酬もといおまけの話があるそうなので最後までお楽しみください。
さて…なにか羽織るものを探しますか。


「ハハハッ!見てたよルーキ!なかなかやるじゃない?ちょ~っと時間かかったけどね!」

 

「翼さんに!せ、先生!?」

 

ノイズを生身で蹴り飛ばし自分が苦戦していたノイズを尽く殲滅した主任と翼の登場に響は驚く。

 

『主任!!響くんは無事かッ!?状況はどうなっている!』

 

「ヒヨっ子が苦戦してただけですよ風鳴司令官殿」

 

『そ、そうか…それはよかったが…』

 

「翼ちゃんなら大丈夫だと思いますがねぇ~?ま、見守りましょうや。いざとなれば俺が止めますしね」

 

主任は響の身を案じてか通信機から大声で語りかける弦十郎に通信を返し司令室にいる彼は安堵するが弦十郎にはもうひとつ心配事があるのか会話の雲行きを怪しくさせ主任は二人の方を見た。

 

「あの…翼さん…ッ!私」

 

「いいか立花。ノイズとの戦いは遊びではない貴女も戦場に立つと言うのならそれ相応の覚悟を持ちなさい!」

 

「あれっ、これちょっとヤバい感じ…?というか響ちゃん余計なこと言わなければいいけど」

 

翼は表情を険しくし響に対し厳しく当たり響もまた何を言っていいかわからない状態であり主任は少しハラハラしはじめる。

 

「…ッ」

 

「でもよく持ちこたえてくれた。ありがとう」

 

「翼さん!はいッ!ありがとうございました!」

 

しかし主任の悪い予想は杞憂に終わったなぜなら翼は険しい表情から一変スッと片手を出し響に握手を求め微笑みかけたからだった。

 

 

★★★★★

「全くッ!ここ一月のノイズの出現量多くないかなぁッ…!ビッキ~背中がら空きだよ~」

 

『うわわッ!?先生ありがとうございます!』

 

『立花!眼前の敵に集中しろッ!』

 

あれから1ヶ月が経った。周辺では相変わらずノイズは出現し尚且つまるで翼と響二人を分断するかのように出現し主任はその中間でサポートにあたっていた。

 

「それにしてもノイズには普通の武器は効果がないって聞いてましたけどそうでもないんですね!」

 

「立花、主任の銃は特別だ。たしか名前は…」

 

「狙撃砲。YAKUMO mdl.2。櫻井理論を基にウチの変態ども(技術課)が作った試作品だよ。ま、これ試作2号なんだけどね」

 

 

「へ、変態ですか!?」

 

「比喩というか誉め言葉のようなものだよ彼等にとっては。ね、翼ちゃん?」

 

「確かにあそこの人達は変態というか…面妖というか…」

 

 

二人はノイズを倒し終え二課の本部でくつろいでおり、ふと響が疑問に思ったことを口にする。

そこに合流した主任が説明を加え、翼も彼の言葉にコクコクと頷くが主任が最後に言った変態というワードに反応したのか響は顔を赤くした。

 

「そ、そうなんですか。ところでどんな原理なんですか?了子さんに聞いた話だと攻撃が当たらないって事だと思ったんですけど?」

 

 

響は少し恥ずかしかったのか話題をそらそうと主任の持っていた狙撃銃について追究する。

 

「んー難しい話になるけどさ例えば翼ちゃんの技の中にある千ノ落涙もしくは形成し攻撃によって砕かれてしまったアームドギア。響ちゃんの胸の中にあるガングニール同様あれらも希に消滅せず残ることがあるんだけど…あの連中はそれを回収して再利用出来るようにって考えたんだ」

 

「それが…」

 

「こいつって訳。ま、共振というか共鳴というか…条件が揃わないと威力が高いだけの狙撃銃なんだけどね?」

 

「条件…ですか?」

 

「そ、条件」

 

主任は首をかしげた響にメモ帳とペンで絵を描きながら説明した。

一つ。一定の距離にシンフォギア装者が居なくてはならない。

二つ。素となったシンフォギア装者の歌でしか効力を発揮しない。

三つ。弾には限りがあるから注意とのこと。

 

「三つ目は判りきったことだけど一つ目二つ目が重要でねこの銃と弾には翼ちゃんのアームドギアの欠片が含まれていてそれを翼ちゃんの歌と共鳴、撃ち出してノイズの位相差障壁を突破するって仕組みさ」

 

「へ、へぇ~…やっぱり先生ってノイズに詳しいんですね!」

 

そして主任の説明が終わるといつの間にかレポートのため授業のようにノートをとっていた響ではあるが。

 

(先生の言ってること難しくて全然解らない…)

 

ほとんどの内容を理解できていなかった。

 

★★★★★

 

「よかったね響?先生も誉めてたよ?でもいつの間にノイズこんなに詳しくなったの?」

 

「あは…あははは…」

 

夕暮れ時二課の本部からリディアンへと戻ってきた響は親友である小日向未来と共に課題であるレポートを提出し終え夕日に染まった廊下を歩いていた。

 

 

「いや~…実はノイズに詳しい知り合いの人がいてその人に手伝ってもら「科学の先生のこと?」何で知ってるの未来!?」

 

「だって響ったら最近あの先生とよく話してるんだもん…」

 

未来はむすっとしながらも響がレポート提出に間に合った事に対し核心をついてゆく。

 

「それに先生ってリディアンに来る前はノイズの学者さんだったって話だし響のやったことはだズルだよ?」

 

「ぐふっ!?ご、ごめん未来ー!そんなつもりじゃなかったんだよ~!ただ今日の約束を守りたk」

 

だがそんなとき響の携帯から着信音が鳴り響は表情を曇らせる。

 

(またノイズ…未来との約束があるのに……ッ!)

 

「響?」

 

「未来ごめん!また急な予定が入っちゃって!なるべく早く帰って来るから!」

 

「あ、響!」

 

そして響は未来に再度謝るとその場を後にし残された未来はただ走り去る響の背中を見つめることしかできなかった。

 

★★★★★

 

「響…やっぱり最近ちょっと変だよ……」

 

響と別れた後、未来は一人俯きながら学院の廊下を歩いていた。

 

(もしかして危ないことをしてるんじゃ……うわッ!?)

 

「おっと?」

 

しかし考え事をしながら歩いていたせいなのか前に突然現れた人影に気づかず未来はぶつかり尻餅をついてしまう。

 

「えーっと…確か小日向…未来ちゃんだっけ大丈夫?」

 

「えっ、あっ…すいません先生!」

 

未来はぶつかった相手に急いで謝ろうと顔をあげる、するとそこにいたのは先ほど響との話題の中にいた先生であり彼女を起こそうと手を差しのべていた。

 

 

「なるほどねぇ~…響ちゃんが…ココアでいいかい?」

 

「はい…今日は大事な約束をしていたんですが…あっ、ありがとうございます」

 

場所は変わって理科準備室。先生こと主任は未来に飲み物を渡すと椅子に座り、二人は軽い雑談を始めていた。

 

「しし座流星群ね~なんか申し訳ないことしちゃったかな…」

 

「先生は悪くないですよ響の人助けは癖みたいなものですから」

 

「いやぁ…でも響ちゃんにバイト紹介しちゃったの俺だし?」

 

「響がバイトしてるんですか!?」

 

「あれ?言ってなかったの響ちゃんは」

 

未来は主任の発言に驚きを隠せず彼に詰め寄り詳しく話してくれと言う。

それに対し主任は嘘は言ってないのだがそれがノイズと戦う危険なことだとは言えず、かといってノイズ出現のせいで約束を破棄させた響を庇わない訳にもいかず主任は咄嗟に嘘を並べ始めた。

 

「い、いやぁ~…実はこの前レポートを手伝ってあげてるときなんだけどさ。響ちゃんいつも小日向ちゃんにお世話になってるからその恩返しをしたいって相談を受けたんだよ!」

 

「でも最近授業中でもそのバイトに行ってますよ?」

 

「うん、それは知らないね!何せ俺は紹介しただけだから。ま、今度注意しとくけどね~。あとは……っと!?」

 

「また、ノイズ警報…ッ!!」

 

主任は未来の質問になんとか答えきる。

彼は他に質問はないかと彼女に確認するが丁度その時ノイズが出現したという避難警報が鳴り響き、話し合いは半ば強制的にお開きとなり二人はそれぞれ移動するのであった。

 

 

★★★★★

 

「立花ッ!取り巻きのノイズを頼む!私は自分の不始末を…ネフシュタンを相手するッ!」

 

「でもッ!?」

 

「一人で相手するだと?アタシもナメられたもんだな!」

 

一方その夜各地に出没したノイズを倒していき合流した響と翼は二年前のライブ騒動の最中盗まれた完全聖遺物ネフシュタンの鎧。そして更には同じ完全聖遺物であるソロモンの杖を携えた少女と戦っていた。

 

「いざ参る!」

 

「ハッ!ちょせえ!」

 

翼は少女との距離を詰め一気に勝負を仕掛けようとするが少女は鎧の両肩から生える鞭を自在に使いそれを阻止する。そして今度は少女が彼女へと攻撃を開始し翼を圧倒していた。

 

「翼さんッ!?」

 

「下がっていろ立花ッ…!やつの強さは本物だ故にこいつは私がッ!」

 

響は苦戦している翼の援護に向かおうとするが彼女はそれを手で制し阻む。

 

「感動的なお仲間愛だねぇ…ケド。のぼせ上がるな人気者!ハナっから狙いはそこの融合症例であって…」

 

だが少女は依然として余裕を見せ高く飛び上がると。

 

「アンタじゃねぇッ!!」

 

鞭の先へとエネルギーボールを作り出し翼へ放つのだった。




おまけぷち話・しんふぉぎあ~あいむしんかー

(主任の意外な趣味)

さて、なんで落ち込んでたのかな?

えっとそれは…

まぁ、無理に話さなくてもいいさそれよりも…。

はい?

なにを飲みたい?紅茶ならダージリン、アッサム、セイロン、スリランカ!珈琲ならアメリカン、カフェオレ、カプチーノ!あぁ、もちろん豆も色々あるからね!

こ、ココアでお願いします…。


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絶唱

大変お久しぶりです傭兵の皆様。
さて、前回までの振り返りですが…

オペ子さんこのロープをほどいてくれ!アタシは翼のところへ行かなきゃならないんだ!

何を言っているのです?貴女は今彼女に干渉できる程の力も…ましてや肉体すら無いではありませんか。
なのにどうやって風鳴翼に会うとでも?

そこは…その…

全く…最近の貴女は突発的な行動が多すぎます…しばらくそこで大人しくしていてください


Ps,どうやら作者が途中までノンストップで書き上げていた文が消え今回の話を急ピッチで仕上げたと嘆いていましたが私の知るところではありませんね。


「翼さん…」

 

「響ちゃんのせいじゃないよ…あれは翼ちゃんが覚悟を決めてやったことなんだから」

 

「でもッ……!?」

 

場所は集中治療室前。響と主任そしてセナの三人は呼吸器を付けられ眠る翼をガラス越しに見ており表情を暗くしていた。

 

「主任…翼さんは…」

 

「櫻井女史の話だとネフシュタンとの戦闘に加え広範囲への絶唱の使用…。目が覚めたとしても暫くは装者としては戦えないそうだよ」

 

「先生ッ!翼さんは助かるんですよね!?」

 

「このまま回復すれば身体的には問題ないよ。けどだからと言って意識が戻って来るかと聞かれればそれは彼女次第になっちゃうかな…」

 

「そんな…翼さん…」

 

 

主任は二人に対し翼の容態を説明するがその話を聞き響は事の重大さに再び眠っている彼女を見つめる。

そもそもなぜ翼がこんな重症を負い響が落ち込んでいるのかそれは数時間前に遡る。

 

「くらいやがれ!」

 

――― NIRVANA GEDON

 

 

「しまったッ!?」

 

ネフシュタンの少女は鞭の先へとエネルギーボールを作り出しそれを翼に叩き付けようとする。

 

「ッ!?誰だ!」

 

だがそのエネルギーボールは鞭を振り上げた瞬間に何者かの狙撃により打ち消され少女はと翼達はその方向を見る。

 

「いやぁ~間に合ったみたいだねぇ~!」

 

「テメェは!?」

 

「主任ッ!」

 

そこには対ノイズ用のスナイパーキャノンを肩に担ぎ呑気に歩いてくる主任の姿があった。

 

「まさか噂に聞いてたネフシュタンの鎧がこんなところで見れるとはね……翼ちゃん勝てそう?」

 

主任はポンポンと担いでいるモノで肩を叩きながらもネフシュタンの少女を見ながら翼に問いかける。

 

「主任ッ!ヤツの狙いは立花です!彼女を連れて逃げてください!」

 

「でもそれじゃ翼さんが!」

 

翼は主任に対し響が居たのでは戦いづらいのか主任に彼女を任せ撤退させようとする。

 

「ハハハハハッ!大丈夫だよ二人とも!おじさんが援護に来たからには実質三対一。形勢逆転だよ!」

 

「ですがッ!?」

 

「さてとっ!いっちょいきますか!」

 

だが主任は翼の言葉を軽視しネフシュタンの少女にスナイパーキャノンを向け引き金を引くのだが。

 

「あれっ?んー?」

 

「主任?」

 

「あ、弾切れみたいだね~!」

 

主任のやらかした事にそこにいる全員が唖然とせざるを得なかった。

 

★★★★★

 

「ビビらせやがってッ!何が三対一だノイズとも戦えねぇおっさんが!」

 

主任の盛大な失態から数秒後、思考の海から帰ってきたネフシュタンの少女は男のハッタリに乗せられ一瞬でも警戒した自分にましてや戦力にもならない男に腹をたて鎧から生えている鞭を地面へと叩き付ける。

 

 

「アハハハハハッ!確かに戦えないよ?生身じゃね!でもいいのかな?その戦えないおっさんに集中してても」

 

だが主任はそれが狙いだったのかニヒルな笑みを浮かべながら少女に話しかける。

 

「どういう意味だ!……って動けねぇだとッ!?」

 

彼女は主任の含みのある言い方が気に入らなかったのか彼の方へと一歩前へと踏み出そうとすが。

 

―――影縫い

 

少女はまるで金縛りにあったかのように動けなくなっており状況を把握しようと精一杯見渡すと自分の影に一本の短剣が突き刺さっていた。

 

「そいじゃ翼ちゃんあとよろしく!おじさんが戻ってくるまであんまりはっちゃけないようにね?」

 

「先生ッ!?何をしてるんですか放してください!翼さんがまだ!」

 

主任は翼の影縫いが成功したのを見届けると翼に一言残し響を担ぎながらその場から撤退して行く。

だが響はそんな主任の行動が理解できず彼の腕を振りほどき再び翼の元へと戻ろうとするが。

 

「暴れたって無駄だしキミが彼処に居ても足手まといなだけだよ響ちゃん?」

 

「でも翼さんは今もボロボロになりながら戦っています!なのに私だけ逃げるなんて!「仮に戻ったとしても足手まといのキミに何ができる?」…ッ!」

 

響がいくら暴れようとも主任の拘束を解くことはできずさらには彼女が直面している現実を叩きつけられ黙ってしまう。

 

「それにキミを安全な所まで運んだらあとちょっとでそこに司令官殿が駆けつけてくれるハズだからここでおとなしく…ッ!?」

 

「先生この歌はッ!」

 

だがそんな中まるで聖歌にも似た歌が二人の背後から響き渡り主任は走ることを止めその場に彼女を下ろす。

 

「全く…はっちゃけないようにって言ったハズなんだけどな…。いいかい?響ちゃん、司令官殿が迎えに来るまでここで大人しくしててくれ絶対にだ!」

 

「どういうことですか!待ってください先生ッ!?」

 

 

そして響の肩に手を置き、まるで子供に言い聞かせるように指示を出すとその場に彼女を残し翼の元へと戻って行くのだった。

 

★★★★★

 

「オマケ風情が随分と味な真似してくれるじゃねぇか!」

 

「オマケだと?」

 

「そうさ、ハナっからアタシの目的はあの融合症例を連れ去ることであってアンタと戦うことじゃない」

 

主任と響が撤退してから少し後、標的を取り逃がし更には未だ体の自由が利かないネフシュタンの少女はその元凶である翼を睨み皮肉を並べていた。

 

「ならば貴様の目的は半ば潰えたということか」

 

「悔しいが確かにそうだな。でもどうするんだ?動きを封じだからと言ってボロボロのアンタに勝機があるとでも?」

 

翼は少女の目的が響を連れ去ることだと解り、またそれを阻止できたことに安堵する。

だが少女の言う通り動きを封じただけで尚も劣勢である事には変わりない状況である彼女は表情を崩しながらに言う。

 

「お前の言う通りだ…でも私はまだ負けてはいない」

 

「その状態で負けてないだと?よく言うぜ強がりもいい加減に……いや、まて…お前まさか歌うつもりか絶唱をッ!?」

 

少女は翼が次に何をするつもりなのか分かりその場から逃げようともがく。が少女の月明かりに照らされ写し出された影にまるで彼女自身を貫いているかのように突き刺さる短剣がそれを許さず。

 

「気付いたようね……でももう遅い……」

 

少女にゆっくりと歩み寄った翼は剣を天高く掲げ唱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 絶唱

 

二年前自分の親友が命を燃やして紡いだ歌を。

 

 

 

 

 

 

 





このっ…!

まだ諦めていなかったのですか貴女は…

諦めないさ!翼の為ならこんなものッ!

なッ!?待ちなさい!今の貴女がここから出ていってはッ!


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再会


このままではマズいですね……何か手を打たねば…

――その必要はない

っ!

――久しいなどうした疲れた顔をして?

……はぁ…なるほど彼女があのような行動に出ると思い講じた策でしたが……やはりアナタの仕業でしたか…

――なんのことかな?それよりも茶の一杯でもだしてくれないのか?得意だろ■■■■は

……アナタに名前を呼ばれると全てを見透かしていそうで本当に不愉快ですね…


『翼さんッ!目を開けてください翼さんッ!』

 

(誰だ……)

 

見覚えのある誰かが赤く染まった風景の中自分を抱え名前を呼んでいる気がする。

 

『チッ!バイタルが低下してやがる!翼ちゃんしっかりしろ!』

 

白衣を着た誰かが自分を運び懸命に名前を呼び掛けてくれている気がする。

 

(私は……)

 

『櫻井女史はどうしたッ!!到着するまで俺が持たせるから早く呼び戻せ!』

 

(…………)

 

彼女は朦朧とする意識の中、何度も自分の名前が呼ばれた気がしたのかゆっくりと目を開ける。

 

(ここは…どこだ…確か私は……)

 

しかしそこに声の主は居らず視線の先にはどこまでも真っ白な世界が広がっていた。

翼は目の前の空間をある程度見渡すと先程まで自分が何をしていたのかを思い出そうとする。

 

(ダメだ思い出せない…)

 

しかし彼女がどんなに頑張ろうとも思い出すことができず悩んでいたのだが。

 

「翼ッ!」

 

「え?」

 

ふと声をかけられ振り向いた際いきなり抱きついてきた人物を見たとき翼の悩みは彼方へと飛んでいた。

 

★★★★★

 

「これは…ッ!?翼ちゃん!」

 

翼が絶唱を唱っている事に気付き響を安全な場所へと避難させた主任は大急ぎで翼が戦っている場所へと駆け戻る。

するとそこにはギアを破損させ至る所から血を流し倒れている翼を発見し主任は慌てて駆け寄る。

 

「マズイな脈が弱い…ッ!?おい、聞こえるかノイズ研究課の主任だ!」

 

彼は翼の手首に指を押し当て脈を計ると彼女まだ生きているのだと確信する。

しかし翼の鼓動は刻一刻と弱くなっているのがわかり慌てて二課本部へと通信を飛ばした。

 

『主任!聞こえますか!先程、響さんを助けに風鳴司令が出動したすぐ後に強大なフォニックゲイン反応が!』

 

「わかってる!だけど今はそれどころじゃないんだセナ!」

 

『ッ!?どういうことですか主任!』

 

「翼ちゃんが絶唱を唱った!脈も弱ってるし意識もない!至急医療チームの手配と櫻井女史を呼んでくれ!」

 

『絶唱をッ!?わかりました早急に手配します!』

 

主任は無線に出た相手がセナだとわかり先程起きたことを説明される。

しかしそれどころではない主任はセナに事情を説明し通信を切った。

 

「……お前も早く親玉の所へ帰ったらどうだネフシュタンのガキ」

 

「ッ!?」

 

無線を切ってから数分、主任は必要最低限の措置を翼に施しながらも背後に迫っていた少女に声をかける。

そして絶唱をくらい満身創痍だった彼女は気づかれた事に驚いたのか主任ごと翼を狙おうと振り上げていた手を止めた。

 

「そこをどけオッサン…死にたくなかったらな!」

 

「アハハハッ!死ぬ?満身創痍のキミでなく無傷の俺が?」

 

 

主任は翼の処置を終えたのか少女の方へと振り向く、そこには鎧の所々にヒビが入りなんとか形を残している鞭を振り上げている少女がおりその様子を見た彼は余裕を見せる。

 

「もう一度言うぞッ!そこをどきやがれ!でないと…ッ!?」

 

だがその態度が気にくわなかったのか少女は脅しのために鞭を振り下ろそうとするが。

 

「でないとどうなるんだクソガキ。お前の目的は貴重な融合症例である立花響を連れ去ることだろ…」

 

彼の腕から伸びる青黒い手のようなものに首元を掴まれる。

 

「ガッ…!?グッ…何なん……だよ…テメェ…」

 

「只の人間をやめたオッサンであり……―――だよ」

 

「ッ!?だったらなんでこんなこと…!」

 

少女は残り少ない体力をつま先に集め必死にバランスを取りつつも彼の放った言葉に驚愕する。

しかし主任はそんなことはどうでもよいのか少女の耳元へと口を近づけ呟く。

 

「自分で考えろ。それに早く戻らないと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネフシュタンに食い殺されるぞ」

 

 

★★★★★

 

「翼ッ!!」

 

「え……?かな…で…?」

 

不意に声をかけられ抱き締められた翼はその人物を見たとき声を失った。

 

「良かった……生きていてくれて…本当に良かったッ…!」

 

それは二年前あのライブ会場で命を落とした親友天羽奏だったからだ。

 

「うそ…なんで……だってあの時奏は……奏は……っ!」

 

「ごめん翼…辛い思いをさせて…本当にごめん…」

 

奏は抱きついたまま何度も謝り彼女を強く抱き締める。そして翼もまた緊張の糸が切れたのか親友の肩に顔を埋め泣き始めるのだった。

 

「落ち着いたか翼?」

 

「うん…ありがとう奏」

 

翼が泣き止んでから少し経ち奏と翼は何もない白い空間に座り込み他愛のない会話を弾ませる。

 

「全く…無茶ばっかりして、本当に昔っから翼はあぶなっかしいよな~」

 

「奏だって最初の頃は同じだったじゃないか」

 

「はははっ!確かに!」

 

その内容はありきたりなもので二人で力を会わせてノイズと戦ってきたことや互いの欠点、時には大切なことを言い合うようなことだったが奏や特に翼はこの時間が永遠に続けばいいと思うくらい楽しい時間だった。

 

「さてと、そろそろだな」

 

「奏?」

 

奏は何かを感じ取ったのか翼に向き直り彼女の手を握るが翼は奏の行動の意味がわからなかったのか不思議に思う。

 

「ごめんな翼そろそろ時間みたいだ」

 

「時間?それはどういう…ッ!?」

 

翼は自分と奏の足が少しずつ透けていることに気付き彼女の顔を見る。

 

「今回はいきなり飛び出してきちゃったからさ…あんまり時間がなかったんだよね」

 

「また…奏とは会えなくなるのか…私は…」

 

「ごめん…でもまた会えるよ翼」

 

奏は申し訳なさそうに翼に微笑み彼女をやさしく抱き締める。

 

「奏…」

 

「大丈夫、翼がおばあちゃんになってこっちにくるその日まで待ってるから…だからさ」

 

そして奏は翼と向き合うとにっこりと笑いながらに言う。

 

「『もう少し気楽に生きなよ翼(ちゃん)』」

 

しかし翼にはあの日の男と奏が重なって見え、最後にはそう聞こえたのであった。





それで?今回の騒動もアナタの視たと言う未来の一つなのですか?

――さぁね?ただあの時の私はキミが言ったことを実行に移してみただけで他意はなかったと思うよ?恐らくね

私が?

――そうさ、『人間の人生や童話などの物語には必ずレールというものが引かれています。ですがそのレールから外れるのはなかなか難しい。ならばどうすればいいか…答えは一つイレギュラーを作り出す事です』と…だから私も真似したんだよ色々と…この結末が気に入らなかったからね。

そうでしたか。それで、人間一人分の存在を消してまで得た結果に満足されましたか?

――存在を消す?はて、誰のことやら…

天羽奏をこの空間から出した時点で対抗策の無い彼女の消滅は決まっています。解りきっていることでしょう

――ふむ、確かにね…でも彼女に誰かがリソースを割けば別だ

アナタが?あり得ませんね

――それはあと三十秒ほどで帰ってくる彼女をみてから言うといい。それでは私はお暇するよ?

ただいまー!オペ子さーん!どこだー?

まさか本当に……っと、もういませんか…相変わらずデタラメな方ですねアナタは



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サクリストD起動・序

ぷち話・しんふぉぎあ~あいむしんか

二課研究者達(変態達)の会話①

研究員A「ではこれより彼女が作り呆気なく破壊された例の兵器の評論会を開催する!まず問題点だが」

――一時間後~

研究員B「そもそも射程を確保するために大型にしてしまったのが悪いのでは」

研究員F「だがそうしなければ効率のよいエネルギー循環が…」

――4時間後~

研究員B「だとしてもッ!兵器にロマンは付き物ですッ!」

研究員D「ロマンで世界は救えんよ!」

後半へ続く。


 

「以上が特異災害対策機動部二課の今年度による防衛機構の変更点になります次に――」

 

とある一室、その部屋の中では主任、櫻井了子そしてスーツ姿の男性こと防衛大臣の広木威椎がおり、二課の現状報告などのやり取りを行っていた。

 

「しかし最近ノイズの出現が多いにもかかわらずサクリストDの護送とは……危険ではありませんか?」

 

「確かに。いくら政府が決定した事とはいえ今回の作戦には多大なリスクがある。だが私は今以外には考えられないと思っている」

 

「……理由をお聞きしても?」

 

「ふむ、君たちの報告によれば二年前の実験の際消失したネフシュタンの鎧及び新たなる完全聖遺物ソロモンの杖を所持した者が出現し装者一人が重体になったと言うじゃないか」

 

「確かに…ですがその件に関しては俺の責任だと報告書に書いたはずですが?」

 

「いいや、そうではないのだよ主任。私は別に君たちを責めているわけではない。ただいくら二課の本部が異端技術を応用した防衛機構を組み込んでいるとはいえ決して完全ではないと言いたいのだ」

 

了子は広木に対し今回行われる護送計画に不安の声をあげる。

だが広木はそんな彼女の意見を肯定するとそれでも尚この作戦を実行しなければならない理由を説明しその日の会議は終了したのだった。

 

★★★★★

 

 

「はぁ~……自分で言い出しておいてアレなんですけど…1日中トレーニングはキツすぎます…」

 

所変わってとある昼下がり。響はシミュレーションルームにてあの日翼が絶唱を歌って以来、自分の力不足を痛感したのか弦十郎に弟子入りし日夜トレーニングの日々を送っていた。

 

「というかセナさんは何でそんな平気そうなんですか?」

 

「えっと~…」

 

「恐らくだけどセナちゃんの場合慣れだと思うわよ~?」

 

響は今日のトレーニングを開始する際、一緒に参加してきたセナが肩で息をする響に対しあまり呼吸を乱していないことに驚きつつもその事について問いかける。

しかしその答えはセナ本人ではなく報告会議から帰ってきたであろう了子によって明かされるのだった。

 

「あっ、了子さん!お帰りなさい!」

 

「ただいま~!相変わらず頑張ってるわね~響ちゃん!」

 

「戻ったか了子くん。会議の方はどうだった?」

 

「ええ、それはもうバッチリよ!ご覧の通りちゃーんと機密書類だって貰ってきたし」

 

「うむ、ご苦労だった。ところで主任が見当たらないが彼はどこに?」

 

「あぁ、彼なら……「た、大変ですッ!!」あら?」 

 

了子は弦十郎や響に労いの言葉を受け取ると共に彼に会議の報告をする。

しかし了子と共に会議に同行していたはずの主任が居ない事にふと疑問を抱いた弦十郎は彼女に彼の居場所を聞こうとすると二課のオペレーターである藤尭朔也が大慌てでトレーニングルームへと駆け込んでくる。

 

「ッ!?どうしたッ!もしやノイズか!?」

 

「いいえッ!ですがッ!」

 

弦十郎は突然のことに驚きつつも藤尭に状況の説明を促す。

 

「広木防衛大臣の乗る車が何者かによって襲撃され大臣及びSPが重症!同じくその車に乗っていた主任が行方不明とのことです!」

 

「えっ……」

 

「行方不明だとッ!?」

 

藤尭は息を整えると先ほど政府より入ったであろう緊急通信の内容を報告する。

だがその内容は響にとって唖然とせざるを得ないものであった。

 

★★★★★

 

「では、一人足りないが緊急ブリーフィングを開始する!了子くん皆に説明を頼む」

 

「はいはーい!それじゃあ資料にある通り順番に説明していくわね~!」

 

大臣が襲撃を受けたという報告から少し後、弦十郎は緊急ブリーフィングを開始する為指令室へと場所を変え明朝行われる作戦の内容を確認してゆく。

 

「以上が今回の作戦内容よ何か質問がある人は居る?」

 

「ハイッ!」

 

了子は資料の内容を一通り読み終えると質問の時間を設ける。すると待ってましたと言わんばかりに響の手が真っ先に上がった。

 

「どうしたの響ちゃん?」

 

「どうして皆さん先生の心配をしないんですか?」

 

響はこの場に居ない主任のことを心配し了子に問いかける。

 

「主任のこと?そうね~確かに心配だけど彼だし?」

 

「えぇ!?」

 

しかし了子は主任のことを一切心配しておらず更には彼女の言葉を聞いた周りの職員も共感する事があるのか皆ウンウンと首を振りその様子を見た響は驚くことしかできなかった。

 

「心配するな響くん。主任の事だ時が来れば帰ってくるさそれに…」

 

「?」

 

「欠席はしているがちゃんと代理は呼んであるみたいだしな!」

 

「ミャーオ!」

 

弦十郎は唖然としている響に対し本来主任がいるポジションにポツリと座っている猫ことリンクスを指しながら冗談混じりに言う。

 

「主任のことを心配してくれてありがとうございます響さん。でもそういう訳なので明日の為に気を楽にしてください」

 

「セナさん。……ッ!わかりました!私先生が無事だって信じます!」

 

そしてリンクスを抱き上げながらセナも響に言葉をかけると彼女は納得したのだった。

 

★★★★★

 

「全くさぁ~…君達何てことしてくれちゃったのさホント…」

 

ここは町より少し離れた場所にある大きめの廃墟。そこには場所に似合わない白衣に赤いシミをベッタリとつけた男が呆れた表情をしながら立っており、その回りには軍人のような服装をした男が数名顔を恐怖に歪ませながら死んでいた。

 

「大方上の連中ががしびれを切らしてアンタらを送って、終いには全部彼女のせいにしようとしたんだろうけど…」

 

男は彼等の返り血が付着した白衣を翻しぐるりと後ろへ振り向くとまだ微かに息のあるであろう隊員に話しかける。

 

「よりにもよって防衛大臣とは…狙う相手を間違えたよね?」

 

「………」

 

「彼女も大幅な計画変更をしなければならないって怒ってたよ」

  

「………」

 

「アレ、死んじゃったかな……ま、仕方な…ッ!?」 

 

 

男は瀕死の隊員へ愚痴るように事の経緯を話していくが隊員からの反応はなく死んだと思い込み油断してしまう。  

 

「くたばれクソ野郎がッ!」

 

だがそれは隊員の演技であり彼は隠し持っていた拳銃を不意をついて血濡れの男へと向け弾が切れるまで撃ち続ける。

 

「ハァ……ハァ……。クソッタレが!」

 

そして悪態をつきながらも隊員は男が死亡したのを確認すると気が抜けたのか壁に背を預け、こんなことになった切っ掛けである大臣襲撃時の事を思い出した。

 

 

―――数時間前―

 

『こちらハウンド目標の後方へと車を着けたオーバー』

 

「こちらハンター了解した。次の信号で仕掛けるぞ。アウト」

 

その日、その隊員は痺れを切らせた政府からの依頼でとある任務についていた。

それはいくつかダミーの犯行声明を用意し今後の自分達に不都合な行動を取ってくるであろう広木防衛大臣の殺害。

そしてフィーネと呼ばれる女の始末及び彼女が所有している研究データの横取りといった内容であった。

 

「しかし…解せないな…」

 

「どうしたんだ?」

 

「わからないんだよ政府の考えがさ、たかが要人を一人消して女から研究データを奪う。それだけなのになぜ予備の部隊が要るんだ?これじゃあ政府の連中まるで俺たちが失敗するみたいじゃないか?」

 

隊員は自分達が政府から信用されておらず、その事が気に入らないのか愚痴をこぼす。

 

「ま、仕方ねぇよ。上の考える事なんて俺たちには一生解らねぇからな。っとそろそろだぞ」

 

だが仲間はいつもの事だと隊員に返事を返すと襲撃の準備を開始する。

 

そして――

 

「それじゃあお前らさっさと終わらせて一杯飲もう」

 

そう意気込み大臣の車を襲撃したまではよかったのだがその結果は散々なものであった。

 

 

 

―――現在―

 

隊員は男を殺した後まだ使えそうな武器や道具、さらには本部と連絡を取るための無線機を探そうと仲間の死体を探る。

 

「クソがッ…!あの男ナメた真似しやがって……!」

 

しかし男は予め連絡手段を封じるつもりだったのか無線機は破壊され、また他の装備はそのほとんどが()()()()()()()()()物しかなく隊員は眉間にシワを寄せる。

 

「これもダメか…となると後はあの野郎の携帯だけだか。ま、死んでるからもう必要ねぇだろ」

 

だがふと先ほど殺した男が何かしらの通信端末を持っていないかと思いそちらへと歩き出そうとするが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、そんなわけ無いよねぇ~」

 

「ッ!?」

 

あれだけの銃弾を食らい死んだと思っていた男から声が発せられさらには立ち上がっていたことに隊員は自分の目を疑った。

 

「アハハハハッ!死んだと思ってた?」

 

「な、何故…ッ!?」

 

「残念だけど俺を殺すのには少々威力不足だったんだよ」

 

「バ、バケモノがッ!?」

 

そして隊員は男が何事もなかったかのように平然と話している姿に混乱を押さえきれずその場から逃げ出そうとする。

 

 

 

「そうさ、俺はバケモノだよ」

 

 

だがその場には人が駆け抜ける音ではなく唸るように鳴る機械音、そして何か生々しいものを潰した音が1つ響いた。

 




ぷち話・しんふぉぎあ~あいむしんか

二課研究者達(変態達)の会話②

研究員H「ならいっそのこと足でもつけるか?」

研究員P「何を言っている!未だ歩行兵器のへの字も出来てないんだぞ現代は!」

研究員C「ならどうする?歩行がだめならもう手は…いや待てよ…どうせエネルギーは無限だしある程度射程が確保できるなら…浮かせられれば!」

全員「「「それだッ!」」」
  

・作 月1には間に合った…


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