GANTZ~another world line~ (Kurato)
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日常の崩壊

何故今GANTZなのか……
まぁ面白かったので書きたくなってしまいました。
実はこの作品はめちゃ毎回毎回遅い更新になるので気ままに待てる人だけ見てくれると幸いです。


世界ってのは面白い。

何故なら様々な人が生活し、多種多様な趣味等を抱えているからだ。

例えば俺、海藤翔平なんかは趣味とは別かもしれないがなるべく色んな人の役に立ちたいと思っている。

 

「あのぅ…すいません。日出大まではここで良いんでしょうか?」

「えーと、違いますね。ちょっと待ってください」

 

電光掲示板に載っている電車が来る時間を確認する。

 

「(時間あるな。だったら)」

 

「案内しますよ。こっちです」

「すいません。ありがとうございます」

 

お婆さんが道を聞いて来たので教えたついでにそのホームまでついて行った。

 

「ありがとうございます。助かりました」

「大丈夫ですよ。こっちの電車は後2分で来るのでここでもう少し待っててください」

 

一応時間を見ていたので大丈夫だとは思うが急いで自分の方のホームへと向かう。

 

「あ、来た。翔ちゃんどこ行ってたんだ?」

「勝、お婆さんが道を聞いてきたからついでに一緒について行ったんだ」

「なんだ。それなら言ってくれれば良かったのに」

「そんな2人で行く事でも無いだろ」

「それもそうだね」

 

こいつは小学校からの親友で加藤勝、190cmという身長とオールバック、厳つい顔のせいで初めて見るやつとかはヤンキーだと思うが実は超とバカが付くほどのお人好しで人の為に泣けるし優しいやつだ。

 

ドサッ

 

何かが落ちる音を聞き音の方へ目を向けると酔っ払いが線路に落ちていた。

あのままでは間違いなく轢かれて死んでしまうだろう。しかし他の人達は助けようとはしない。線路に落ちたのは自業自得だし駅員を呼べばいい話だからだ。俺も動く気は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに親友の超ド級お人好しがいなければ。

 

「ふっ…ふっ……よし、行くぞ」

 

勝が意を決した様に線路に降りる。

それを見て俺もため息をつきながら降りる。

 

「!?翔ちゃんまで一緒に来なくていいのに」

「早くしねぇと電車来ちまうだろ。別にそいつはどうでもいいけど、親友の死ぬ所なんか見たくねぇからな」

「ありがとう……」

「気にすんな。さっさと運ぶぞ」

 

俺が下半身、勝が上半身を持ちあげた時に電車のライトが側まで迫っていた。

 

「翔ちゃん!!」

「分かってる!急ぐぞ!」

 

何とか運んで傍に居た人に酔っ払いを預け俺らも上がろうとしたら一人一人上がっている時間は無かった。それを確認して走り出した。

 

「勝!先に上がってろ!俺はこの電車が止まる先頭車両まで走る!!」

 

それを聞いた勝は俺と一緒に走った。

 

「元々俺がやり出した事だ!翔ちゃんをほったらかしにする訳にはいかない!」

「バカやろう……ありがとな」

 

声を小さくして感謝も述べる。

 

「馬鹿野郎!これは通過列車だぞ!!」

「ッツ!今更止まれるかよ!!」

 

ホームに立っていた男が通過列車だという事を言うが最早間に合わないので悪態をつく。

 

ガキッ!

 

「イッ!」

「翔ちゃん!!」

 

足元を見ると路線の間に足が挟まってしまっていた。

そして止まった瞬間に

 

 

 

ドンッ!!!

 

電車が俺ら2人に直撃した。

浮いている身体を見ながら俺の意識は暗転した。

 

「「ハァッ!ハァッ!ハァッ!」」

 

その直後電車のホームからマンションの一室に立っていた。

 

「あ、今度は2人だ」

「一体なんだってんだよ」

 

各方位から色んなやつが口を開く。

俺と勝は未だ状況が掴めていないがなんとなく俺は日常に戻れない気がしていた。




最初なんで文字数少ないですがどうでしょうか?
一応こっちの更新は2ヶ月に1話更新するくらいの気持ちで行く予定です(もっと早く更新出来る時はどんどんします!)
次回からネギ星人編に入っていきます!
次回もよろしくお願いします!


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始まりの始まり

お久しぶりです。
更新遅くて本当に申し訳ございません。
早くしよう早くしようと思えばやけに文章がおかしい気がして何回も書いたり消したりを繰り返してようやく完成したので見てください。
今回から記号が着いてない文章は基本、三者視点です。
更に絵文字も含んでいます。


「ここは……?」

 

翔平は周りの景色や人に目を送りながら声を出す。女みたいな顔をした奴、あからさまなヤクザ2人、正座をしている老人、どんよりという擬音が着きそうな程暗い少年、そして2人に説明しようとしているメガネを掛けた男

 

「君達も死にかけたのかい?」

「死にかけたって?」

「そのままの意味さ。僕はスクーターで事故ったんだよ…気付いたらここにいてさ。皆そんな感じだよ」

「……あんたらも死にかけたのかよ…?」

 

女みたいな顔をした奴に話しかける。

 

「は?なんでてめぇみてぇな奴に話さなきゃいけねぇんだよ」

 

「(………まぁそりゃそうか。誰が好き好んで自分の死にかけた話とかするんだよな)」

 

ジジジジジ

 

「な、何だ!」

 

加藤が急な音に反応し驚く。

 

「あぁ、君達もこんな風にここに現れたんだよ」

 

その言葉と共に翔平にもたれ掛かるように裸の女性が空中から現れる。

 

「なっ!?」

「うおっ!?」

 

三者三様に声をあげるが支えている翔平はと言うと

 

「(……腕が疲れる…降ろしていいかな…?てか、早く起きてくれないかな?まぁ良いか。降ろそ)」

 

翔平が女性を降ろすと同じタイミングで女性も目を開ける。

 

「あれ……?ここ…は…?」

 

女性は目を開けたが直ぐに閉じてしまった。

 

「(夢かなんかだと思ってんのか?……ったく、目の前で裸で寝られてても困るし上着だけでも掛けてやるか…)」

 

「翔ちゃん、この人手首から血が出てる」

 

翔平が上着を脱いでる途中に加藤が血が出てる事に気付く。しかし血が着いているだけで傷らしいものは無かった。

 

「リスカか…やっぱり死んだからここに来たのか……?だとすると、傷らしいものが消えているのはここに運ばれた時に消えるのか…?

 

翔平は自論を声のボリュームを下げて口に出す。

 

「おい!何してんだ!」

 

ヤクザが上着を裸の女性に掛けた翔平に対して声を荒げる。

しかし翔平は他人事のように声を無視する。

 

「てめぇ何無視してんだ?」

 

ガッ!

 

ヤクザが翔平の肩を掴んだ瞬間

 

 

あーたらしいーあーさが来たー

きーぼーーのあーさが来た

 

ラジオ体操の音楽が鳴り出した。

 

「「「!?」」」

 

皆一様に音が鳴り出した黒い球を見つめる。

唯一少年だけが珍しい物を見る目から狩人が狩りをする目になったのだが、一瞬だったためそれを知る者は居なかった。

 

「こ、今度は何だ…?」

 

 

<てめぇ達の命は、

なくなりました。>

 

 

 

<新しい命を

どう使おうと

私の勝手です。>

 

 

 

<という理屈な訳だす。>

 

 

「何だこれ?」

 

ヤクザや女みたいな顔した奴が覗き込む。

そこには先程までの文章だけとは違って、緑色の小さい子供の様な顔写真を添付されていた。

 

<てめぇ達は今からこの方をヤっつけに行ってくだちい。>

ネギ星人

・特徴 つよい くさい

・好きなもの ねぎ 友情

・口ぐせ ねぎだけで十分ですよ!

 

ガシャン!

 

表示が消えると黒い球が開き、黒いおもちゃの様な銃などが出てきた。

 

「お、おい!この中人が入ってるぞ!」

「しょ、翔ちゃんあれって…?」

「さぁな…とりあえず俺も銃っぽいやつ取ってくるわ」」

「ちょ!?翔ちゃん!?」

 

翔平は黒い球全体を歩きながらも見回す。

 

「(とりあえず丸の形した小さい銃とそれの大きいバージョン一丁ずつ、Yの形した銃一丁ずつでいいか…ん?これ…俺と勝……それとあの女の人の分も持ってくか)」

 

翔平は歪な形をした銃とケースの様なものを持っていく。

 

「勝、これ渡しとく。後それの中確認してくれるか?」

「あ、ありがとう。ん?これなんだ?」

「あの球の裏側にあった。それぞれの名称書いてあるっぽいし持ってきた」

 

加藤が確認したそこには[かとうちゃ(笑)]と書かれており、中にはスーツらしきものが入っていた。

 

「か、かとうちゃって……それにこれ…」

「やっぱりスーツか。勝、多分だけど着とくべきだぜ。このケースあの人にも渡してくるわ」

 

名称を見て落ち込んでいる加藤を尻目に[巨乳]と書かれたケースを渡しに行く。

部屋の隅にちょこんと座っている女性に話し掛ける。

 

「あの、ちょっと良いかな?」

「は、はい?」

「これ、あそこにいる中坊っぽい奴も着てるから着といた方が良いかも。それに何時までも学ランだけじゃ寒いでしょ」

 

翔平が持ってきた1番の理由は先程から暗すぎて意識を向けないと居るのかすら分からない中学生っぽい少年が中に着ているのが見えたからなのだ。

 

「(あいつはあの球が開いてから1回も近づいてねぇ。だとするとあいつは元から着てたって事だ)」

 

「あ、ありがとうございます」

「気にしないで。俺がやった事だから」

「うおっ!な、なんだ!?」

 

今度はヤクザが騒ぎ出し見てみるとヤクザの1人が上から消えていっていた。

それを目の当たりにしてる奴らは皆騒ぎだすが翔平、加藤、女性、少年だけは騒がなかった。

実際には加藤と女性は驚いて声が出なかっただけだが

 

「うるせぇ……とりあえず着替えてきていいよ。俺、知り合いの所行くから」

「(゜д゜)」

「……聞いてる?」

「……!!!( ゚д゚)ハッ!!!!は、はい!聞いてます!」

「良かった。それじゃ行くから」

 

翔平は、それだけ言うと加藤の所に向かってしまった。

 

「勝、どうなってる?」

「いや、分からない。どうやら俺らが来たみたいに何処かに飛ばされてるみたいだけど……」

 

加藤が周りを見るともう翔平、加藤、女性しか部屋には居なかった。

 

ジジジジジ

 

「……俺か。まだスーツ着てねぇんだけどな」

「翔ちゃん、どうする気だ?」

「とりあえず、飛ばされた場所着いたら着替える」

「分かった。じゃあまた後」

「あぁ…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「住宅街……?」

「つーわけでさっきの奴殺せば賞金貰えるってゲームな訳」

「おい!それホントなんだろうな!」

「ホント、ホント。俺何回も賞金渡されてる人見てるから信じて良いよw」

「あの中坊……」

 

中学生が大人達に説明をしていてそれを真に受けた奴らが一目散に走り出す。

 

「……あれ?まだ居たんだ?てゆーか話聞いてなかった系?」

「そうだな…まずは簡単な質問。俺らはなんで生き返った?」

「………」

 

質問した瞬間、中学生が全力で睨む。

 

「タブーらしいな」

「アンタ面倒くさそうだなとは思ったけどこんなだとはな」

 

ジジジジジ

 

「勝かあの人か」

「まぁ良いやw。生き残れたら全部教えてやるよ」

「あん?」

 

振り返るとそこに中学生の姿は無かった。

 

「ッチ、どこ行った?それもスーツが関係してんのかよ」

「翔ちゃん、誰に言ってるんだ?」

「勝か。こっちの都合だ。まぁお前にも関係してるけどな」

「皆は?」

「ネギ星人って奴殺しに行った」

「!?そ、そんな…助けに行かないと!」

「辞めとけ。どんな奴かは知らないけど明らか多勢に無勢だ。今回ばかりはお前のお人好しも勘弁だ」

 

ジジジジジ

 

「あの女の人も来たな。とりあえず帰るぞ」

「…………分かった」

「あ、どうも」

「俺ら2人で送りますよ。言っても俺らもここが何処だか分かってないですけど…」

「ありがとうございます。その学ラン着てるんですけど大丈夫ですか?」

 

加藤のスーツを見るとどうやら全部の服を脱がないと着れないらしくおかげで体のラインが丸見えという事だ。

 

「全然大丈夫ですよ。勝、俺着替えてくるからその人よろしく」

「あぁ、分かった」

 

「(勝のあの表情……不安だけど流石に何も分かんねぇこんな状況であいつ1人は危険過ぎる)」

 

着替えながら翔平は暗い顔してる加藤の事を悩む。

 

「遅くなった。じゃあ行こうか」

 

3人で進もうとすると

 

ドンッ!

 

緑色の小さい子供が上から落ちてきた。

 

「なっ!?」

「キャッ!!」

「こいつ…」

 

三者三様に反応する。

やがて子供がこちらに気付くと直ぐに怯えた表情をして逃げようとする。

 

「待ってくれ!俺達は君を傷付けはしない!」

 

加藤は子供に対して話し掛ける。

 

「ったく………血だらけじゃねぇか。大丈夫か?」

「ね、ネギあげますから……」

 

そう言って子供はネギを翔平に渡そうとする。

明らかな命乞いだが翔平には関係ないので

 

「くれんのか?………ありがとな!」

 

満面の笑みで子供と話す。

 

 

ギョーン

 

 

ドォン!

 

不気味な音と共に壁が爆発する。

 

「ッチ!外した!」

「退けどけ!俺のもんだ!」

 

先程の中学生に感化されたヤクザ達が子供に向かって屋上から銃を撃つ。

それに気づいた子供が急いで走って逃げる

 

「待て待て待て!」

 

逃げたのを確認したヤクザ達は直ぐに追いかける。

それを少し離れて傍観していた翔平達は

 

「……とりあえず、行こうか」

「ごめん、翔ちゃん……その人の事頼んだ!」

 

そう言って加藤は直ぐに連中を追いかけ始める。

 

「おい!?バカ勝!ったく!!……僕1人で送ります」

「ありがとうございます…」

 

女性も先程のシーンが衝撃だったのか放心状態になっている。

しかしそれでも翔平に着いて歩き出す。

これによって女性は更に衝撃的な物を見なくて済むことになるのはまだ知る由もない。




こんだけ待たせてまだ大人のネギ星人すら出てきてないとか……
次回からは戦闘シーンに突入しますのでまた気長に待ってくれると嬉しいです。


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化け物との邂逅、怒り、結末

お久しぶりです。
今話も遅くなってしまいました。
誤字脱字には気をつけましたがあったら是非報告お願いします。
後、中盤が少し変かもしれないです。


駅に向かう途中に女性と会話を繰り広げたおかげで女性は大分先程迄とは違い明るくなっていた。

 

ポンポロポン

 

突然不明な音が聞こえ始める。

 

「え?この音は一体…?」

「分からない…もう少し進んでみよう」

 

翔平の言葉でまた進み始めると進みに応じて比例する様に大きくなっていった。

 

「……ちょっとここで待ってて。何か分かったらすぐ戻ってくるから」

「はい…」

 

女性を置いていき翔平は迷うこと無く進んでいく。

 

「(何があんのか知らないけど進めば分かんだろ)」

無心で歩いていた翔平に驚愕な映像が目に入る。

 

「う"っ!」

 

翔平は目を背け吐きそうになる気持ちを抑え込む。

 

「(こいつは……あの老人か?)」

 

翔平には確信が無かった。何故なら人の見分ける方法である顔が吹き飛んでいて、服装でしか判断出来なかったからだ。

 

「(もしかしてこの音って警告代わりなのか?だとしたら少しづつ大きくなるのも分かるが……っクソ!……寝たら夢に出そうだ )」

 

翔平は逃げる様にその場から離れていった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あっ!どうでした?」

「………推測だけど…警告代わりみたい。ある一定のエリア出たら……」

 

翔平は思い出し口を閉ざす。

 

「出たらどうなるんですか?」

「……頭が爆発して死ぬ」

「えっ……」

「とりあえずさっきの通りに戻って、勝と合流しよう」

 

女性は翔平の言った事が信じられないのか、固まっている。

翔平は仕方なく手を引き連れていこうとすると

 

ヴォォォォ!!!

 

聞いたことの無いほど野太い遠吠えが聞こえてきた。

 

「キャッ!!こ、今度は…なんですか」

「さっきの通りの方からだ。………また俺一人で、ガシッ!

「あ、あの私1人だと…こ、怖いので……一緒に行ってもいいですか?」

「………分かった。一応自分が危険だと思ったら直ぐに離れる事」

「は、はい……」

──────────────────────

さっき加藤が向かった方へと進んでいくと

 

「ッツ!!止まれ!」

 

翔平は急いでストップをかけ女性を抱く様にして目の前の惨劇から隠す。

 

「えっ!?な、なんですか!?」

 

女性は急に隠されるとは思っていなかったのかかなり動揺している。

しかし翔平は離すどころか逆に力を強めてしまう。何故なら子供のネギ星人を追っていた連中が

 

 

 

 

皆死んでいるのだから

 

「(な、何だよこれ!?ま、勝は!!)」

 

「ちょ、ちょっと痛いです……」

「あ!ご、ごめん!」

 

翔平は女性の声で意識を戻し掴む力を少し弱める。

しかし決して離すことなく無残な景色が目に入らないように配所する。

 

「ヴォォォォ!!!」

 

目の前に急に緑色の巨体が降ってくる。

 

「今度は何だよ!!」

「ガァッ!!」

 

巨体は2人を確認すると直ぐに伸びた爪で切りかかってくる。

ヤクザ等に付いてきた切り傷はこいつが原因だろう。

 

ビリッ!

 

ワイシャツが破ける音が聞こえる。

 

「あぁ、ウザってぇ!!」

 

抱く様にしている為思う様に回避出来ず翔平はイラつく。

 

「ごめん!絶対目ェ瞑ってて!」

「え!え!?」

 

翔平は有無を言わさずお姫様抱っこをして走り出す。

 

「(とにかくこの子どっかに隠さねぇと!あの銃どこにしまったっけ!?)」

 

後ろからは獲物をしっかり逃がさないように巨体が追いかけ続けている。

いくら冷静を装っていても連続で悲惨な物を見ていては思考は全く回っていなかった。

 

「ガアァ!!」

「グッ!?」

 

爪を振り下ろした風圧で転んでしまうが直ぐに起きてまた走り出す。

と、ここで翔平が気付く。

 

「(走るスピードおかしくね?)」

 

後ろの巨体とはそんなに距離は開けてないが明らかに一般人以上のスピードが出ていた。

それでいて女性をずっと抱っこしているのだ。普通だったら走り出した途端に捕まっているだろう。

 

「(スーツのおかげか?もしそうだとしたら……やってみる価値アリだな)」

 

翔平は急に振り返り、蹴りを巨体に入れる。

 

ミシミシ!!ドコォ!

 

「っしゃあ!」

 

巨体は翔平の蹴りによりすぐ側の土手に転がり落ちていった。

 

「え、えっと……ど、どうなりました?」

 

女性は恐る恐る目を開ける。

 

「ふぅ……何度もごめん、そこで待っててもらえる?もちろん何かあったら直ぐに戻ってくるから」

「わ、分かりました」

 

翔平は土手を滑って巨体の下へと向かう。

 

「よし……さっきまでは逃げるしか無かったけど今からは違ぇぞ」

 

謎の部屋に居た時に手に入れた長物の銃を構えながら翔平は巨体と闘う準備をする。

 

「ガァッ!!」

「!?フッ!」

 

瞬間的に目の前に現れた巨体に驚きながらも身を屈め回避する。

上に撃つように上下にある内の上のトリガーを引くが

 

「……これなんで何も出ねぇんだよ!!」

 

数秒待っても何も出ず逆に巨体に殴り飛ばされる。

 

「ガハッ!」

 

気絶しそうな威力で壁に激突し、一瞬息が止まる。

 

「(クソっ…死んでねぇだけ全然マシだよな……)」

 

スーツには身体能力の向上だけではなく、耐久性もかなりのものらしい。

 

ガシッ!

 

「翔ちゃん!今のうちに逃げるんだ!」

 

加藤が巨体の首を絞めて気を引き付けている。

 

「ウガァァァァ!!」

「うっ、うっわァァ!!」

 

ドンッ!

 

加藤は翔平とはまた違う場所に吹き飛ばされる。

 

「勝!!」

 

翔平は先程までの痛みすら忘れて加藤の元へと向かう。

 

「おい!勝!しっかりしろ!!」

 

加藤は答えないが呼吸はしっかりしている。

 

「(気絶してるだけか…明らか俺より強くやられてたからな)」

 

「ズバヌ!ウバッ!」

 

巨体は加藤が目覚めてないのが分かると、翔平には到底意味の分からない言葉を叫び始めた。

 

「んだそれ………勝利宣言のつもりか…?」

「ナバヌ!!」

 

巨体は爪で翔平に切りかかる。

それを読んでいたかのように腕を掴みスーツで上がった能力をフルに使い爪を剥がす様に全て折っていく。

 

「ヌガッ!!」

 

巨体は痛みを味わった事が無いのか膝から崩れ落ちる様にしゃがんでしまう。

 

「まだだよ…」

 

ボコッ!!

 

腕を引き寄せ脇腹を全力で殴る。凹む様な擬音を出し、巨体は緑色の血を吐き出す。

誰の目から見ても翔平の勝ちは確信していた。

 

「ナバッ!ウガモ!!」

「それ命乞い?命乞いならもう少しわかる言葉喋れよ」

 

それでも翔平は攻撃の手を止めない。巨体は何とか掴まれている腕を離させ逃げようとするが今度は足を折る。

 

「逃がす訳無いじゃん」

「ネ…ネギ………あげますから…」

 

とうとう巨体は先程のネギ星人も言っていた命乞いの言葉を口にする。

 

「………いらねぇ。でも次俺ら襲って来たら今度こそ殺す」

 

翔平はそう言って巨体から離れようとするが

いきなり翔平の隣から謎の装置が現れ、巨体を捕まえる。

 

「オイオイオイwアンタそれで逃がす訳?どんな偽善だよww」

 

何も無かった空間から中学生が現れる。中学生の手には翔平が加藤に渡したY字型の銃を持っていた。

 

「中坊か…今度はなんだよ?悪ぃけどさっさと帰りてぇんだ」

「なら、いい事教えてやるよ」

「あ?」

 

中学生は翔平が壁に殴り飛ばされた際に置きっぱなしにした長物の銃を翔平に渡す。

 

「これ使ってそいつ殺せば帰れる」

「さっき使ったけど何もなんなかったぞ」

「上下のトリガー、一緒に引いたか?上下一つずつだけだと無意味だぜ」

 

そう言って中学生は何も無い壁に銃を構え撃つ。

 

ギョーン! ドンッ!!

 

「少しのタイムラグがあるけど今のこいつなら全く関係ねぇ。ほら、殺れよ」

「……どうしても殺さなきゃダメか?」

「あぁ、ダメだね。んだよ?さっきまで散々殺す雰囲気出してたのにいざとなったらこわギョーンギョーンギョーン

 

ドパッ!!ドンッ!

 

「別に?ただ汚れるなぁと思っただけだ」

 

中学生の言葉を無視し巨体に向かって撃った翔平の目には何も後悔は無かった。

ただ本当に自分の服や身体が汚れるのを躊躇って撃つのを躊躇していた。

 

ジジジジジ

 

中学生の頭からどんどん消えていく。

 

「じゃあな。先に行ってるぜ」

 

そう言って中学生は消えていった。

 

「ッチ……」

 

翔平は最早ただの肉塊となったそれから目を外し加藤の様子を見る。

 

「転送されてんな。よし、とりま一安心か」

「あ、あの……本当に死んでるんですか?それ……?」

 

蚊帳の外だった女性が翔平に聞く。聞き方からするに一部始終は見ていた様だ。

 

「うん…俺が殺した」

 

ジジジジジ

 

「あ、次俺だ。多分しばらくしたら飛ばされるんで少し待ってて下さい」

「…………」

 

女性は翔平に恐怖しているのか全く喋りかけてくる様子は無かった。

 

「(こんな簡単に生物殺す様な奴と一緒に居たら流石に喋らねぇわな)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「やっぱ服の汚れとかは落ちない訳ね……洗濯大変じゃねぇか」

「翔ちゃん!良かった!生きてたのか!」

「勝…ったく、俺からすりゃあ、おめぇのが良かっただよ」

「いや、翔ちゃんがやられてるの見たら[助けなきゃ!]って思って」

「余計なお世話だよw………でもまぁサンキュー」

 

翔平と加藤は久しぶりに話したからか、お互いに笑顔が浮かぶ。

 

ジリリリリリリリリリリ

 

「今回はそれなりに残ったな。ガンツ!採点を始めろ」

「おい、俺はてめぇに聞きてぇ事が」

「後だ。まずはこれを見な」

 

中学生は翔平に止められる前に翔平達に黒い玉に写った映像を見せる。

 

<それではちいてん

を始める>

 

 

 

 

0点

 

 

やる気無さすぎ

 

「こいついっつも生きてやがんのww」

 

中学生は犬の結果らしきものを見て笑い出す。

 

 

巨乳

 

0点

 

 

翔平くんに守られすぎ

ビビり過ぎ

 

「…………」

 

巨乳と書かれた女性は翔平の方をちらり見ると顔を背ける。

 

「(…何か言いたい事があんなら素直に言えば良いのに……)」

 

それに気付いている翔平は、頭を掻きながら画面に目を戻す。

 

 

かとうちゃ(笑)

 

0点

 

 

泣き過ぎ

やられんのはえー

 

「グッ………」

 

加藤はこの意見に反論が無いのか言葉を詰まらせ顔が赤くなる。

 

「……なんつーか、ドンマイ」

 

翔平は肩を叩きながら励ます。

 

 

西くん

 

0点

 

total 87点残り13点

 

 

あと少しだーガンバレー

 

「……大分点数持ってんな」

「てめぇらより何回もやってるからな」

 

中学生は周りを見渡しながら言い放つ。

 

「だろうと思ったよ」

 

 

翔平くん

 

3点

 

total 3点残り97点

 

「なんだ、やっぱり雑魚だったかw」

「雑魚って事はこれより何十点も上の奴とかいんだな?」

 

翔平は中学生の言葉に確信を持つ。

 

「あぁ、そうだよwまぁでもアンタには丁度良いチュートリアルだったろ?ww」

「ふざけんな…!普通に人死んでんだぞ?なんでそんな風に言えんだよ」

「は?w元々死んでんじゃんwそれをこいつがチャンスくれたんだよ?」

 

中学生はガンツと呼ばれる玉を叩きながら言う。

 

「こいつがここに呼んでくれなかったら、アンタもアンタの友達の偽善ヤローも、もう居ないんだぜ?。」

「もう俺らが普通に生活するにはこいつが出してくるミッションをクリアするしかないって訳。まぁ俺的には普通の生活とかどうでも良いけどさw」

 

中学生は銃を構え始めまた話を続ける。

 

「ガンツ、リスト出せ」

 

ガンツから色んな人の顔写真が貼り出される。

 

「今度は何だ?」

「これが今まで死んできた奴」

 

1番下の列に老人やヤクザの顔が貼ってあった。

 

「今までこんだけ死んでる。俺はそれなりの数の奴見てきたけど全員意味も分からず死んでくんだぜwwあの時の表情って言ったら無いよねww」

 

今まで聞いているだけだった加藤が中学生の首を掴み持ち上げる。

 

「なんで助けてあげなかったんだ!!お前が教えてやれば救える命があったんじゃないのか!?」

「は?」

 

キュュイイン

 

中学生がスーツの力を入れ加藤の腕を掴む。お互いスーツを着ているので二人共痛みを感じる様子は無いが急に中学生が加藤に蹴りを入れる。

 

「別に俺は他人なんかどーでも良いんだよ。むしろバカな連中使って、俺が点数稼げば俺にとっては得しかねぇんだから。」

「……ッチ………」

 

中学生が自分にしか聞こえないくらいの声で喋る。

そして銃を取り出す。

 

「おい、偽善ヤロー」

「……俺の事か?」

「てめぇ以外に居ねぇよwお前、次俺になんかしてきたらソッコー殺す」

 

中学生が加藤を完全な目の敵にし、スーツに付いてる装置らしきものを操作する。

 

「一応言っといてやるが、ガンツの事ここに居る奴ら以外に喋ったり見せたら死ぬからな」

 

そう言って消えていった。

そして翔平は

 

「(あいつ…説明するとか言っといて勝に敵対して勝手に消えていきやがったし………)」

 

「大丈夫か?勝」

「あ、あぁ。大丈夫だ」

「とりあえず、どうする?もうそろそろ帰らねぇか?」

「でも、何もここの場所調べてないぞ」

「バカか?………」

「!?忘れてた!あ、あの!俺達もう帰るんですけど、一緒の格好してるんで良かったら一緒に帰りませんか?」

 

翔平に耳打ちされた加藤が急いで帰ろうとしてついでに女性にも声を掛ける。

 

「い、良いですか?……じゃあお願いします」

 

女性は少し考えたが変なスーツの格好に学ランは恥ずかしいと気付いたらしく翔平達に同行する。

────────────────────

「じゃあな、勝。また明日」

「あぁ、明日」

 

女性、岸本恵と別れた二人は翔平の家の前で別れた。

翔平は家に入ると速攻でシャワーを浴びてベッドに横になる。

 

「(今日は色々有りすぎたな……あんな簡単に人間とか生物って死ぬんだな………っクソ!絶対夢でるだろこれ…寝たくねぇな……Zzz...)」




採点パートがそれなりに原作に寄せるつもりがどうしてこうなった。
西くんってこんなキャラだっけ?
めちゃくちゃ心配になります 


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どうしてここに………?

相変わらず遅い更新で申し訳ございません。
それでいて今回はちょっとした日常回なのでストーリー的には全く進んでいません。
それでも良ければ是非見てください。


「グッ!……来んな…来んな……来んなっ!!」

 

バサッ!!

 

チュンチュン

 

「はァ……はァ……はァ…だから夢出るって思ったんだよ」

 

翔平は汗まみれになったシャツを洗濯に出しながら朝食の準備をする。

適当に済ませた食事を食べ制服に着替えて登校しようとすると

 

「あ、学ラン岸本さんに渡したまんまだった。まぁ今度会う時があったら返してもらおう。」

 

「………まぁ話しかける事が出来るかが問題だけど…」

 

翔平は昨日の岸本が自分を見る目が畏怖に変わっているのを知っているので話しかけにくかった。

 

「結局、昨日だって殆ど話してたの勝だしなー………どうでもいいや」

 

昨日直ぐに寝てしまった為適当に投げ捨ててしまった制服を着て家を出る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

電車を待ちながら昨日の出来事の発端を思い出す。

 

「(俺……ここで死んだんだよな…なのに今またここに居る……)」

 

「翔ちゃん」

「勝か…」

「昨日は全く寝れなかったよ……寝ようとしたら思い出して無理だった」

「………俺も寝た後すぐ夢に出てきた」

「良かった。俺だけだと思ってたから」

 

「(むしろ俺からしたらお前が居てくれたおかげで夢くらいで済んでんだけどな)」

 

翔平は本音を心の中に隠して加藤と話す。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「(いつもと変わらねぇ登校風景…変わらねぇ授業……これだと昨日の夜だけが夢みてぇだな?)」

 

下校の時間となり今日1日を振り返る。

勿論部屋にはあのスーツがあるので夢でもなんでもないのだが。

 

「勝、帰ろーぜ」

「うん」

「……地下鉄の事喋ってるやつ居たけど俺らとは分かってねぇみてぇだな」

 

休み時間等に昨日の電車事故の話が上がっていたのを聞いた翔平は耳を済ませたが杞憂に済んだようだ。

 

「ホントか!?…あいつ俺らが喋ったりしたら死ぬって言ってたけど聞かれた返事とかもしちゃダメなのかな?」

「かもな…とりあえず無視決め込むのが1番だな」

「何が1番なんですか?」

「「!?」」

 

後ろから急に声を掛けられ翔平と加藤は固まる。

今の自分達はあの部屋を知られたら死んでしまうのだから

 

「………」

「あ、あの?翔平さん?勝さん?」

 

沈黙が起き、先程声を掛けた女子生徒がまた呼び掛ける。

 

「あ!あぁ!どうかした?柚花ちゃん?」

「い、いや先輩達2人がそこで止まって話してたのでどうしたのかなって?」

「な、何でもないんだ!柚花ちゃんの方こそこれから部活?」

「はい、先輩達ホントに大丈夫ですか?顔色悪そうですけど…」

「きょ、今日は朝から調子悪くてね。な!翔ちゃん!」

「…………」

 

翔平は加藤に話し掛けられても柚花ちゃんという少女を見つめたまま何も喋らない。

その光景を見た加藤は顔に手を当て、[やってしまった]という表情をしている。

 

「と、とりあえず!俺らもう行くから!!そっちは頑張ってね!!」

 

逃げる様に翔平を連れて学校から出ていく。

 

「翔……、……ちゃん!翔ちゃん!!」

「っうお!ま、勝か……」

 

学校からそれなりに離れた所で呼びかけられ漸く翔平は意識を戻す。

 

「まったく……彼女見たら固まる癖そろそろ治した方が良いよ」

「うっ……うっせ…俺だって治したいとは思ってるけどよ…」

「これじゃあ、バレててもおかしくないから」

「……そうだよなぁ…」

「とりあえず帰ろうか。俺、今日バイト入ってるし」

「今日だっけか。じゃあ行くか」

 

「(とりあえずさっきの事は考えんの止めとこ)」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「じゃあ、また明日」

「おう、明日な」

 

「(勝は弟と2人きりで生活している。半年前まで位は母親の姉らしい人の家に泊まらせてもらってたらしいが如何せんそいつが酷かったらしく、早く家を借りたいと思っていた所を俺に相談してきて俺も勝のバイトを手伝いあいつが家を借りられる程の金額が貯まったのを確認して俺はバイトを辞めた。)」

 

「(どう考えても親替わりとは言え、居ない生活がどれだけ辛いかは分かっているが、あいつの真剣な面を見たらそうも言えなかった。それでもあいつはそれで良いらしい)」

 

部屋へと向かいながら加藤の事を考えていた翔平は部屋へと着くと目を開いた

 

「あ?」

「Zzz… Zzz...」

 

そこには体育座りをしながら翔平の部屋の前で寝ている岸本だった。

暫く固まっていた翔平だが、このままでは良くないとおもい起こす。

 

「あ、あの?岸本さん?」

「う…ぅん……? キャッ!!」

 

翔平の姿を確認すると直ぐに逃げようとする。

 

「ちょっ!ま、待って!!」

 

「(流石に自分の部屋の前で叫ばられたらたまったもんじゃねぇよ!)」

 

「あ…か、海藤さん…」

 

岸本は翔平に気付くと少し安堵したような表情を見せる。

 

「…………」

「えっと……どうかしたの?それと良く分かったねw俺ん家」

「…………」

 

直ぐに黙ってしまったのでなんとか会話を作ろうとするが全く会話にならなかった。

 

「(っクソ……何しに来たんだよ?せめて用件くらい言ってくれなきゃ分かんねぇし)」

 

「あ、あの……これ…ありがとうございました……」

 

岸本は小さい声で感謝を述べながら学ランを翔平に渡す。

 

「あっ……これね。こちらこそ持ってきてくれて有難う」

「な、中に…生徒手帳入っていたので……それで住所は分かりました」

「うん」

「そ、それじゃ!」

 

お礼を言うと逃げる様に帰って行った。

 

「別に次回呼ばれた時にでも良かったのに」

 

そう呟くと部屋に入る。

 

ピンポーン

 

「はァ……今度は何だよ?」

「な、何度もすみません……」

 

イラつきながらドアを開け、先程帰ったはずの岸本が立っていて驚く。

 

「!?ど、どうしたの?」

「こ、このマンションってペットOKですか?」

「どうだったかなぁ?連れ込んでいる人も居たような気もするけど居なかった気もするし」

「ほ、本当ですか……」

 

それを聞くと表情が暗くなる。

 

「………………家入る?」

 

「(話した以上、事情くらい聞いてやるか)」

 

「……良いですか?」

「うん。色々と長くなりそうだし

「え?」

「こっちの話。気にしないで、それなりの広さしか無いけどそこはとりあえず我慢して」

 

岸本を家に上げ、リビングで落ち着かせる。

 

「それで、どうしたの?ただ学ラン返しに来ただけじゃ無いでしょ?」

 

お茶を出し、自分も座って話を聞き出す。

 

「………」

 

俯いたまま黙り込む。

 

「はァ……そっちが何か言ってくれないと、こっちもどうしていいか分かんないんだけど」

「そう…ですよね……2人居るんです…」

「2人?」

「昨日…家に帰ったら、直ぐに電話掛かってきて……取ってみたらお母さんから【私】が目を覚ましたって言ってて……。」

 

「最初何を言ってるのか分からなかったんですけど……妹が帰って来て、それで怖くなって…家を出てきたんです。」

 

「全然意味が分からなくて、それで着てた海藤さんの学ランの中の手帳を見つけて」

「なるほどね」

 

話を聞いて状況を理解する。

 

「なんでかは分かんないけど死んだと認定されたらあの部屋に持ってこられるって訳らしい。」

 

「で、岸本さんはリスカしたからあの部屋に連れてこられた。でも本当の岸本さんは生きていた」

「だから……今の【私】と、昨日死のうとした【私】がいるって事ですか…?」

「そうなるね」

 

身体を震わせながら翔平の話を聞く。

 

「どうすれば……良いと思いますか…?」

「それを決めるのは岸本さん自身だ。俺じゃない」

「私自身……」

「もし、決めるのが辛いってなら言って。少しの選択肢なら教えられるから。少し外に出てくるから」

 

立ち上がり外に出る。

 

「(ふぅ……まさか完全に死んだ奴だけじゃなくてあそこに死んだと認識されたら連れてかれるなんてな……それって植物人間とかも認識されんのかな?)」

 

自論を考えながらメールを送る。

先程外に出てくると言った以上、周りをブラつく事にする翔平。

 

「(でも植物人間をあそこに送った所で、あそこは完全に星人を殺す為に送ってきてる訳だから意味ねぇだろうしな。)」

 

「(そういえば岸本さんは血は腕に付いてたけど傷跡は無かった。死亡の原因となる傷は無くなるのか?だとすると植物人間でも普通に星人とも戦えるが……)」

─────────────────────────

考えながら30分程歩いていた翔平は先程メールを送った人物から返信が届き、急いで帰路に着き家に帰って来た。

 

「あ、おかえりなさい。大分遠くまで行ってたんですね」

 

家を出る前より明るくなっているようで岸本の声は心なしか弾んでいるように思える。

 

「うん。ちょっと用事でね」

「それで…さっきのどうするかなんですけど……」

「俺もそれを言おうと思ってたんだ」

「え?」

 

岸本の疑問の声には答えず翔平は電話を掛け始める。

スピーカーにして岸本にも聞こえるようにする。

 

「悪ぃな。まだバイト中だったか?」

『いや、今日は早めに終わらせたんだ。昨日の事もあったからね』

「そりゃ良かった」

 

翔平の電話を掛けた相手は加藤だった。

 

『それで?翔ちゃんからのお願いって?』

「昨日一緒にタクシーで帰った岸本さんって居るだろ?」

『あぁ。彼女か?彼女がどうかした?』

「お前の家に泊めてあげて欲しいんだ」

「『え!?』」

 

これにはさっきまで黙っていた岸本も驚きの声をあげる。

 

「ちょっ!ちょっと海藤さん!?な、何言ってるんですか!!」

『その声…岸本さんは翔ちゃんの部屋に居るのかい?』

「あぁ。ちょっと訳ありでな」

 

岸本の声には返事をせず加藤のみに返事をする。

 

『どんな訳だ?』

「いちいち説明すると長くなるぜ」

『大丈夫だ』

 

さっき岸本に言われた事、自論全て加藤に説明する。

 

「って訳だ」

『なるほど……』

「岸本さん家事とかも出来るって言ってるし、丁度良いんじゃないか?」

「あ、あの!!私、そんな事言ってないんですけど!?」

「……出来ないの?」

「す、少しなら……」

「じゃあOK。てゆう訳だ」

『そうだな…歩にも聞いてみないとだけど………』

 

岸本はその発言でほっとしたような落ち込んでいるような表情を見せる。

 

「歩君の面倒も見てもらったら?」

『歩の?』

「おう、歩君どうせ今も1人で待ってんだろ?だったら岸本さんに勝がバイト行ってる間に面倒見てもらうとかも丁度良いんじゃねぇか?」

『そうか……それは良いかもしれない。あ、岸本さん自身は?俺の家で大丈夫?』

「は、はい!大丈夫です!」

『じゃあ今から迎え行った方が良いね』

「悪ぃな。面倒掛けちまって」

『大丈夫さ。じゃあ切るよ』

 

ツーツーツー

 

通話が切れると翔平は携帯を置き、岸本に話し掛ける。

 

「良かったね」

「な、何がですか?」

 

声が上擦っている。

 

「勝の事好きでしょ?」

「へ!?そ、そんな事無いですよ!!」

 

すぐさま否定したが、顔を赤らめているのと声の震え方からして確定に近い。

 

「まぁ良いんじゃん?あいつ鈍感だしこんくらいの接近する機会とか無かったら多分意識しないだろうし」

「ほ、ホントですか?」

 

先程の否定は何処に行ったのか。直ぐに食い付いた岸本に笑いそうになってしまう翔平。

 

「だからさ、チャンスだと思ってアピールしてきなよ。弟にも好かれたらそれはもう勝ち確みたいなもんだし」

「は、はい」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

じきに加藤に来て翔平は加藤に岸本を託した。

 

「どうすっかな?元々今日はコイツらの性能とか確かめようと思ったんだけど……?」

 

翔平の目の前にはスーツと円形の銃と長物の銃の3種類が広がっていた。

あの部屋から出る前に持ってきたものだ。これにY字型の銃もあるのだがそれは持ってきてなかった。

 

「よし、今日はスーツの能力だけ確認しよう」

 

そう言ってスーツを着て色々試行錯誤しながらスーツに対しての知識を深めていった。



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ゆうぞう君?誰だよそれ

お待たせしました
ようやく田中星人開始出来ました。
それでは第5話どうぞ!


岸本が加藤の家に泊まる事になって約1ヶ月が経った。

加藤と岸本はなんとか加藤のバイトの量を増やしたおかげで問題ないらしい。

翔平は毎夜スーツや銃について調べある程度の知識を手に入れた。

そしてそんな翔平はというと

 

「風呂入ろ…」

 

風呂に入ろうと洗面所に向かうと

 

ゾクゾク!

 

強烈な寒気に襲われた。

 

「っ!何だ今の?……!!」

 

直後身体が固まり金縛り状態になってしまう。

 

ジジジジジ

 

「(成程な…今の寒気が呼ばれる合図って事か?新しい情報は都合が良いが……)」

 

すぐさま冷静を取り戻し考えを深めるが、1つの不安材料を残しながら転送されていく翔平。

 

「翔ちゃん!来たか!」

「よう、勝」

 

加藤に話し掛けられ返事を返す。

 

「お久しぶりです。海藤さん」

「岸本さん、久しぶりだね」

 

「(とりあえず、勝と岸本さんは確認した。後は中坊が何処に居るかだが……見つけた)」

 

不安要素を無くすべく見つけた中学生に話し掛ける。

 

「おい」

「あ?アンタかよ。何だよ」

「あのスーツは毎回新しく更新されてこの部屋に置かれてんのか?」

「いや、外に持ってったらそれは着てこなきゃダメだね」

「そうか……」

「おいおいwまさか忘れたのか?マジかよ!ww1人死亡きーまりw」

 

中学生は翔平がスーツを忘れたのを理解すると嘲笑いだした。

 

「皆!聞いてくれ!」

「勝…?」

「ここに居る皆が生き残れる様に色々情報を教えたいと思ってる!」

「なっ!おい辞めろ!」

 

加藤の目的に気付いた中学生が辞めようとするが、加藤は気にせず続ける。

 

「もうすぐあの球から音楽が流れ出す!そしたら球が開き出すからその中にある銃を各々持ってくれ!!」

 

周りの連中は加藤の発言を笑っていたが

 

あーたらしいーあーさがきた

きーぼーのあさがきた

 

音楽が流れ出す事により口を失う。

 

 

<てめぇ達の命は、

無くなりました>

 

 

 

<新しい命を

どう使おうと、

私の勝手です>

 

 

 

<という理屈な訳だす>

 

 

「ホントに少量の情報しか無いけどそれでもちゃんと分かってくれれば皆生き残る事が出来るはずだ!!」

 

加藤の力説と目の前で広がる状況により否応なしにどんな状況下か、気付いたらしい。

 

「(おばさんと子供、イケメンは素直に聞いてくれそうだが…向こうにいるヤンキー共はどうかな?まぁ聞かなかったら死ぬだけだしどうでもいいか)」

 

初心者を加藤に託し、翔平は改めて周りを探る。

 

「(今あるのは全員分くらいの銃と新規の奴らのスーツくらいか…)」

 

「おい。この他の奴らのスーツを着たらその効果はどうなんだ?」

「動く訳ねぇだろ。今回でアンタも脱落だな」

 

薄ら笑いを浮かべながら翔平から離れていった。

 

「(ッチ……考えろ…どうすれば今の状況から少しでもマトモになる?)」

 

「…ん!……ちゃ……翔ちゃん!!」

「!?……勝か」

「大丈夫か?顔色が悪いぞ」

 

「(隠してるつもりなんだけどな)」

 

「今日スーツ忘れた」

「なっ!?」

 

翔平のカミングアウトに驚きを隠せない加藤。

 

「ど、どうするだ!?」

「落ち着け。皆こっち見てんぞ」

 

「(やっぱこいつの慌てよう見てると良くも悪くも落ち着くな)」

 

「とりあえずは生きる事に専念するさ。言ってもまだ二回目だけどな」

「………分かった。何かあったら俺が守るよ」

「サンキュー。そうだ、銃はトリガー2個あるけど両方押してくれ」

「分かった」

 

ギョーン!

 

ふとあの銃の音が鳴り出した。

 

「(!?さっきのヤンキー集団が中坊に撃ったのか!)」

 

翔平は中学生が爆発すると思った。しかし何時まで経っても中学生は爆発しなかった。

 

ギョーン!

 

服の袖に隠していた銃を中学生が自分に撃ってきたヤンキーに撃つと

 

パァン!!

 

ヤンキーの頭は木っ端微塵に吹っ飛んだ。

 

「良いか!俺の邪魔してきたらソッコー殺す。その足りないミジンコみてぇな頭にねじ込んどけ!。」

「………特にお前」

 

そう言って中学生は加藤に銃を向けた。

 

「お前が無事なのはスーツのおかげか?」

「………ガンツ!俺を一番に転送しろ!」

 

加藤の問いに答えずガンツに話しかけ、転送されていった。

 

「(今のは使える)」

 

今の中学生の行動を見た翔平はすぐさま行動に移した。

 

「ガンツ。俺を一番最後にしてくれ」

 

「(良し。これで更に調べられる時間が出来たはずだ)」

 

もちろん、たまたま中学生が一番になっただけかも知れないが翔平は中学生の知識を信用しこの行動をとった。

 

「うお!普通の道に戻れたぞ!」

「頼む!全身がその場所に着いたらそこから動かないでくれ!」

「お願い!止まってて!」

 

加藤の必死の呼びかけが続く。岸本もそれに続くように少しずつ声を掛ける。

翔平は手伝わず、この他の人達が転送される最中にも探索を続けている。

 

ガチャ

 

「(この部屋…開かなかったはずなのに……なんで今…?)」

 

一部屋だけ開いた。

そこには謎のデカいホイール上のものと謎の筒のような物が無数に感じる程に置いてあった。

 

「ハハっ!宝の山かよ…」

 

翔平はこれらの物に何の違和感も感じていなかった。

あの銃と同様に何かしらあるのは分かるからだ。

 

ジジジジジ

 

「(ヤベッ!一つだけでも!)」

 

筒状の物を取って翔平も転送されて行った。

周りを見渡すと少し離れた橋の所に岸本を始めとする連中が見えた。

 

「こいつが何なのか調べてぇけど…先ずは勝と合流か」

 

ズシンズシン

 

「おいおい…合流くらいさせてくれよ」

 

見るからにロボットだという見た目の異星人が近付いてきた。

 

「(一体だけか……こいつの性能を調べるには丁度いい相手か…?」

 

カーカーカー

 

「(あ?……これってカラスだよな。めちゃくちゃちっちぇけど……)」

 

「ゆうぞうくん?」

 

下からかなり異質なカラスが泣き出した。

カラスに夢中になってしまってる間に田中星人が目の前にいた。

「!?ち、違いますけど…」

 

「(どうだ……?なんかヤベぇ!!)」

 

翔平の目の前にいる田中星人は憤怒の顔を浮かべて今すぐにでも攻撃してきそうな雰囲気だった。

咄嗟にしゃがんだ為に何が起きているのかは分からないがしゃがんだまま横に避ける。

 

「殺るしかねぇよな…上でロックオン!両方で発射!!」

*******

[2週間前]

「こいつ、どうやってパッて撃つんだ?」

 

スーツに関しては比較的簡単に理解した翔平だったが銃に関してはまだ不明な点を多く抱えていた。

 

「未だに両方で発射って事しか分かってねぇもんなぁ。ちょっと実験してみるか」

 

ペットボトルを持ち外に出てペットボトルを置く。

 

「とりあえず色々触ってみっか…この画面レントゲンみてぇだな。」

「じゃあこのままで撃つと………まぁ当たるか…じゃあ次は投げて当たるかだな……怖ぇからスーツ着て別の所でやるか」

────────────────────

ギョーン!

 

「まぁ当たんねぇよな……これじゃ使えねぇし。上トリガーを押してもっかい同じ条件だと……画面の色が変わった…」

 

ギョーン!パァン!!

 

「当たったァ!!上はロックオンか。なら上押した後、離さずに下押すと……いける!じゃあ次はこのツマミを………

 

こうして翔平は銃の扱い方をマスターしていくのだった。

*******

ギョーン!パァン!!

 

「良し!死んだか?」

「ギャァァァ!!!」

 

当たったのは腕だった。

 

「クッソ!もういっ、!?」

 

ブォォ!!

 

衝撃波が飛んできたのを見て何とか回避する。

 

「(スーツ無しで喰らうのは死んでくれって言ってるもんだしな。ガチで避けさせてもらうぜ)」

 

「ガァァ!」

「っぶね!てかコイツどうやって使うんだよ!!」

 

未だに何も起きない筒に苛立ちを覚えつつ田中星人に向き合う。

 

「(ックソ!スーツ無しじゃ1人では勝てねぇ。早く勝達来てくれ!)」

 

「頼む!こっちに援護来れ!!」

「待ってろ!今行くぞ!!」

「ガァァ!!!」

 

身体を捻らせ何とかまた衝撃波を回避する。

 

シャキン!

 

「!?刀か!」

 

筒の中から黒刀がいきなり飛び出した。

 

「翔ちゃん!今だ!」

 

ワイヤーの様なものが田中星人に巻き付かれる。

 

「!OK!」

 

ザシュッ!!

 

「はァ…はァ…」

 

堪らず座り込んでしまう翔平。

 

「良かった…翔ちゃんは無事で……」

「あぁ、結構ギリギリだったけどな……ん?“は”ってどういう事だ?」

「西が…西が死んでしまった…」

「そうか…あの中坊が……」

 

「(ックソ…あいつは大事な情報を一杯持ってたんじゃないのか?俺らにまだ何か隠してる事があったんじゃないのか?)」

 

後悔が翔平の頭を支配する。

 

「何か言ってたか?」

「俺の予測だけど100点取ると解放されるらしい」

「なるほど…他は?」

「いや、これだけしか分からなかった。とりあえずこの先どうする?」

「初心者は?」

「岸本さんに引き止めてもらってる」

「……分かった。スーツに変な装置付いてるだろ」

「あ、あぁ。これか」

「そいつ使うと中坊みたいに姿消せる」

 

翔平は橋に向かいながら加藤にスーツの機能を伝え始める。

 

「これか」

「あぁ。使うかどうかは勝次第だけどな。さて、これからは初心者も岸本さんも全員使って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星人狩りだ」




文章下手すぎて申し訳ないです。
西くん死亡シーン映そうかなと思ったんですけど、どうせなら田中星人と戦わせてみました。
次回から本格的に田中星人と戦っていきます。


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