異世界から来るソルジャー (ライダーGX)
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登場人物:2020年 7/18 一部変更

お気に入り登録者数が600人を超えました。

いや~…例のあれも含めてですが、本当にありがとうございます。


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ジャベリンたちを事を更新しました。

見てください。



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ソルジャーの身長を変更しました。


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身体能力の部分を少し加えました。


ソルジャー

 

CV:宮野真守

 

身長:181cm

 

大王神によって転生した主人公、世界に潜む悪の脅威を叩くためにやって来て日々戦い続けてる。

 

神によって与えらてたマルチツールタブレットとケミストビルダーツールタブレットとマシンツールタブレットで今の現代兵器や近未来兵器を使って戦う、だが未来兵器についてはまだまだ分からない事が多い為、そんなに使っていない。

 

剣と銃の腕は冒険での経験と訓練によって磨かれていて、金等級の腕前を持っている。

弾薬の生成はケミストビルダーツールタブレットで取り出し、リロードツールを使ってリローディングをしている。

 

鎧は軽量の物を使用していたが、オーガ戦で壊れてしまい。新たに武器やで新しい防具を購入して、それを装備している。

 

肉体に関しては強化型注射器で身体能力を上げている。それでも超人に近い魔物や上位デーモンには歯が立たない場合もある。

その時は知識と経験で補っている。

その後、ドレビンの投与した骨と筋肉の腱の薬によって身体能力は低下したが、筋トレによって身体能力は徐々に戻りつつある。

 

手先が器用で、何時も柵や小屋、自宅の修理を行うことが出来て、居候先である牛飼娘や叔父は感謝している。

出来れば彼は叔父の自宅をもう少し大きくしたいと考えているとの事。

 

 

 

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女神官

 

この作品のヒロインの1人。

 

初めての冒険の際にパーティーが全滅仕掛けた時に、ソルジャーに助けられ、以降彼と共に冒険を行っている。

 

原作とは違い、ゴブリンだけじゃなく、いろんな冒険もしているので、知識も戦法も身についている。

鎖帷子で体力の上昇をしているが、もっと体力を増やしたいと思っている。

 

 

 

牛飼娘

 

この作品のヒロインの1人

 

かつての故郷をゴブリンに滅ぼされてしまった時に、その場を離れていた事から難を逃れた。

その5年間は引きこもりの生活をしていたが、ソルジャーが来た事により引きこもりから解消される。

 

そしてヒロインの中で胸が一番大きい

 

 

 

女武闘家

 

この作品のヒロインの1人

 

ゴブリン討伐の際にしんがりを務め、ゴブリンに敗北し凌辱されかけた時にソルジャーに助けられる。

武術の腕前はかなりの物で、ソルジャーに教えを受けながら、更に腕が増している。

 

原作とは違って死んでおらず、女神官と共に冒険している。

 

 

 

女魔術師

 

この作品のヒロインの1人

 

ゴブリン討伐に時に腹部を猛毒の刃に刺され、死にかけた時にソルジャーに助けられる。

 

原作と違って死んでおらず、女神官や女武闘家と共に冒険している。

 

 

 

妖精弓手

 

この作品のヒロインの1人

 

銀等級の冒険者で、森人の中で上位と言う存在のハイエルフ。

弓を使った攻撃が得意で、野伏であると同時に斥候の役割も果たしている。

 

ソルジャーと出会い、ゴブリン討伐ばかりと思われていて、それにはソルジャーは少々困っている。

 

ソルジャーの事を『オルクボルグ』と読んでいるが、とある関係でソルジャーと言う事もある。

 

 

 

鉱人道士

 

銀等級の冒険者。

 

ドワーフの1人で、ゴブリン退治の際にソルジャーに依頼してきた人物。

 

討伐の達成後、辺境の街に残り、以降ソルジャー達と共に冒険をしている。

妖精弓手とは犬ざるの様な関係。

 

ソルジャーの事を『かみきり丸』と読んでいる。

 

 

 

蜥蜴僧侶

 

銀等級の冒険者

 

最も珍しいリザードマンで、妖精弓手や鉱人道士と共にゴブリン退治にソルジャーに依頼してきた人物。

 

僧侶でありながら戦闘力が強く、ソルジャーの次に強いと言われる存在。

何時も口論する妖精弓手と鉱人道士のストッパーの存在。

 

ソルジャーの事を『小鬼殺し殿』と読んでいる。

 

 

 

 

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ジャベリン

 

CV:小野大輔

 

身長:182cm

 

ソルジャーと同じ転生者である銀等級の冒険者。

 

水の街に所属する者で、槍を操る凄腕の持ち主。身体能力もかなりあって、壁走りも余裕でこなせる程である。彼も同様ドレビンに骨と筋肉の腱の薬を投与されている。

 

救世神からマルチツールタブレットやマシンツールタブレット、そしてカスタムツールタブレットを持たされて、この世界に潜む敵を打ち倒す。

 

武道の嗜みがあり、武闘家よりかなり強い

 

リボルバー系の銃を好み、AKシリーズのライフルを使う。

 

そしてなに気に女僧侶と女野伏の事が気になる。

 

 

 

 

 

ブレイド

 

CV:関智一

 

身長:191cm

 

ソルジャーと同じ転生者で銀等級の冒険者。

 

ジャベリンと同じ水の街に所属する者、知っての通り筋骨隆々で豪腕な体つきをして、大剣を好む馬鹿。

メカに関しては少々不便な所があって、それにちょっとだけ手間取る感じがあるが、それでも扱う事は多い。多少スケベな感じはある。

 

パワフルな力で敵や魔物を圧倒し、盗賊たちに対してプロレス技を繰り出す事がある。彼も同様ドレビンに骨と筋肉の腱の薬を投与されている。

 

 

デザートイーグルの銃を使い、フルオートショットガンを豪快に撃ちたがる性格。

 

大剣女と高貴女とは仲がいい。

 

 

 

 

女僧侶

 

水の街に所属する冒険者。

優しい女の子で、孤児院出身でいつも子供たちに顔を出している。

 

ジャベリンたちと仲間になって、少しばかりドジを踏む少女、回復系の奇跡を使える他、かく乱する奇跡も持っている。回数は4回。

 

 

 

大剣女

 

水の街に所属する冒険者。

 

文字通り大剣を操り、一気に魔物を切り裂く事が出来る。

露出度が高い水着鎧を着込んでいるのは、ブレイドの気を引かせるためだという。

 

 

 

女野伏

 

水の街に所属する冒険者。

 

優しい感じの少女で、お菓子作りが得意と言う。

彼女の弓の腕前は妖精弓手の次と言われる程である。

 

探索が特技としていて、地中に埋まっている宝箱を見つけることが出来る。

 

 

 

高貴女

 

水の街に所属する冒険者。

 

気高い貴族の出身で、平民の冒険者に憧れて入った事で親に少しばかり呆れさせながらも、冒険者を続けようとしている。

そのため防具も高い防具を使用している。

 

レイピアを武器に連続攻撃を使う事が多い。

 

 




まだまだジャベリンとブレイドの事は書かれていませんが、今後更新していきますので、どうかよろしくお願いします。

そして活動報告の方でジャベリンとブレイドの事を書いてありますので、どうか見てください。


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プロローグ

リハビリの為、新しい小説を書きました。

どうか見ていってください。


とある高原の近くに洞穴があり、そこには薄暗い洞窟があった、しかしその薄暗い洞窟の中で…。

 

「いやあああああああああああああああああ!!!もうやめてえええええええええ!!!!」

 

「GA!GA!GA!GA!GA!GA!」

 

何やら泣き叫ぶ女性の響きが洞窟の中を響き渡らせ、その女性はまだ10代後半くらいの女性。

その女性を裸に後ろから強姦する人影、いや…もはや人影とは言い難い。

 

人と言うよりそのものは…『ゴブリン』であった。

 

「GAGAGAGAGA!!!GORUGOA!!!」

 

ゴブリンは近くの村から女性を拐い、その洞窟に連れて来ては強姦して、その者を『孕み袋』として繁殖をして、ゴブリンの数を増やさせていた。

しかもその女性は一人だけじゃなかった。

 

ゴブリン達は村から一人の女性だけじゃなく、他にも多くの女性達を連れ去らってきては繁殖させるかの様に強姦してした。

 

「いや!!!もうやだ!!!!」

 

「う!家に!! 家に返してえええええ!!!」

 

泣き叫ぶ女性達にゴブリン達は高笑うかの様に喜びならが、女性達を強姦し続けていた。

 

入り口ではその様子を一人のゴブリンが悔しそうに見ながら見張りをし続けていて、ため息をした時であった。

 

 

 

ドスッ!!

 

 

 

「GU!!!!」

 

ゴブリンの頭部に一本のナイフが刺さり、そのゴブリンはそのまま倒れてしまい死んでいく。

 

入り口のゴブリンの様子に気付いたゴブリンが思わず武器を構えて、他のゴブリン達に警戒するかの様に叫び。

それにゴブリン達はお楽しみをやめて、邪魔されたかのようにイラつきながら女性達をその場で捨てて、近くの武器を取る。

 

警戒するゴブリン達はその様子を見ていると…。

 

 

 

 

カラン…カラン…、カラカラカラ…

 

 

 

ゴブリン達の近くに何やら投げ込まれて、それにゴブリン達は投げ込まれた物を見る。

 

するとその投げ込まれたのは大きな筒の様な缶のような物であり、その缶にはこう書かれてあった。

 

 

 

 

『お気の毒』と…。

 

 

 

 

 

バアアアアアアアアアアアアアンン!!!!

 

 

 

 

するとその缶から強烈な光と音が放たれ、それによりゴブリン達は光と音によって身体が麻痺してしまった。

 

そしてその隙にとある者が出てきて、腰にあるブロードソードを抜き、ゴブリン達の首元を狙って切り裂いて行く、その中で一体のゴブリンが僅かながらその者に対し斧を振ろうしたが、その者はそれを左腕の小盾を使って防御する。

ゴブリンの攻撃にその者は小盾を強引に押し、ゴブリンをその場で転ばせて、その隙に足でゴブリンの頭を叩き壊す。

 

そして背後から麻痺が残っているゴブリンが襲ってきた、棍棒で頭を狙おうとした時に、その者は後ろ回し蹴りでゴブリンを蹴り倒す。

 

蹴られたゴブリンはそのまま死に絶えて行く、そしてその者は辺りを見渡して、ゴブリンが居ないことを確認する。

改めてその者の装備を見ると、その者は右手にブロードソードを握り、背中にはブロードソードよりも長いロングソードがあり、後ろの腰には二本の大型ナイフが携行されており、そして両太股には何やら『ゴツイ物』があった。

身体には軽装備のプレートメイルにガントレット、マルチポーチにブーツを着込んだ戦闘スタイル。

 

「…全部で約10体か。思ったより少ないな」

 

そう言ってその者はブロードソードを鞘にしまい、近くにいる女性の下に近づく。

 

「大丈夫か?」

 

「……あ、…貴方…は?」

 

意識が朦朧とする中で女性はその者に問いかけて見ると、その者はその女性に優しい言葉をかける。

 

 

 

「俺は…ソルジャー」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

その後、ソルジャーと呼ばれる者はゴブリンによって囚われていた女性達を救い、馬車で彼女たちがいた村へと足を運んでいた。

 

村へと到着した際に村人たちが大勢駆け寄ってきて、女性達の下に駆け寄り、家族だったもの達も喜びながら涙を流して抱きしめてた。

そんな様子をソルジャーは微笑みながら見ていて、その村の村長がソルジャーの下に駆け寄る。

 

「娘達を救い出してくれてありがとう!」

 

「いえ、ゴブリン退治の依頼ですし、それに無事で救い出せて良かったです。ただ、彼女たちの心のケアが必要ですか…」

 

「大丈夫だ、ここには古い教会があるが。そこには神官が居る、そこで彼女たちの心を何とかしてくれると思うが…」

 

「分かりました、では俺はこれで。何かあったらまた呼んでください」

 

そう言ってソルジャーは馬車に乗り込み、その村をあとにして行く。

 

ソルジャーが戻る際に空を見上げながら、ある事を考えていた。

 

「(…何とか依頼をこなせたな、それにしても…あれから約10年か…“この世界”に来てから)」

 

ソルジャーはとんでもないことを言い出す。

 

そう…彼は転生者、別の世界からやって来たものだ。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

彼が別世界からやって来たのは理由がある、それは彼が病気で死にこの世を去ったからだ。

 

しかしある奇跡が起きた。

 

 

『…若者よ、…目を覚ますのだ若者よ』

 

「ッ、ここは?」

 

彼は目を覚ますと、見知らぬ場所にいた、そこは空白の世界で何もなかった場所だった。

 

「何だここは…?」

 

『ここは我が作り出した空想の世界だ』

 

っと後ろから声がして、彼は後ろを振り向くと、そこには見知らぬ者が杖を持って立っていた。

 

『若者よ、よく聞くのだ、今ある世界で強烈な異変が起こっている』

 

「はっ?異変? ちょっと待ってくれ。いきなりなんだよ、俺にも分かるように説明してくれ」

 

『若者よ、今説明しても…恐らくは理解し難いだろう、何しろそこは不安定な上身勝手な世界だ』

 

「はぁ!?どういう意味だよ!? て言うか理解し難いって何でだ!?」

 

彼はその理由を問うと杖を持ったものは語る。

 

『その世界はその世界の神々が魔法で自分勝手な世界にし、面白くしてしまった世界なのだ。そのせいでその世界は魔神王を復活させようとしているものがいる、幸いその世界には勇者がいる、しかし勇者が知らない外側では迫る脅威がある。

若者よ、その世界で転生し、勇者の知らない外側の脅威を打ち払うのだ!』

 

「おいおい勝手に決めるなよ! そりゃあすごい話しかも知れないけど!第一あんたが一体何者か知らない以上!」

 

『我が名は大王神!全ての世界を束ねる神である!』

 

っと思わず彼は口を大きく開けてしまう、大王神であり世界を束ねると言わされてたら驚かないのも無理はない。

 

「嘘…、マジ?」

 

『マジだ、…さて若者よ、我の願いを聞いてくれるか?』

 

大王神の言葉を聞き、彼は少しばかり考える。

 

「う~ん…別に考えても良いけど、ひとつだけ条件を頼みたいんだ。え~と~…俺がいた世界の知識と武装の物も使えるようしてもいいか? 未来の武器も」

 

彼の頼みごとに大王神は…。

 

『よかろう、望み通りにしてやろう。だが気をつけろ、その世界でその武器が渡れば…混乱が巻き起こるだろう』

 

「大丈夫だ!そうならない様にする方法をするだけだ!」

 

『よし、ならばゆくがいい、これから行く世界に!』

 

すると彼の視界が徐々に薄くなっていき、大王神の姿も遠くなって行き、彼の意識は失っていった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして転生して10年、今じゃソルジャーとして君臨している彼はこの世界の異変に付いて考える。

 

「(う~ん…異変って言ってもここ最近ワームやジャイアントスラッグ、ガーゴイルの他以外何もないな。本当に異変が起きているのか? まあいいか、取り敢えず出来る所までやってみよう)」

 

そう思いつつソルジャーは轡を操作し馬車を動かして、ソルジャーが今拠点としている『辺境の街』へと向かうのであった。

 

 



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パーティー結成編
第1話 出会い 前編


とある場所に小さな街があり、そこに『ギルド』が活動拠点としている『辺境の街』があった、そこには多くの冒険者たちが留まり、その街から冒険に出向いている。

ソルジャーもその街の冒険者であり、その中でも3番目の『銀等級』である。

 

冒険者の中でも階級が10段階あり、上から白金、金、銀、銅、紅玉、翠玉(すいぎょく)青玉(せいぎょく)、鋼鉄、黒曜(こくよう)白磁(はくじ)の10段階評価が存在する。

最上位の白金と金は国家レベルの問題に関わる為に貴重な階級で、それに関わりのない在野の冒険者達の最高位は銀等級である。

 

そしてソルジャーが辺境の街に到着し、馬車の馬を馬車から切り離して、馬車を店に返し、馬はそのまま連れて歩く。

何故馬だけは連れて歩いているかと言うと、この馬はソルジャーが自分の金で買った物であり、移動には欠かせない物だという。

 

そんな中でソルジャーは冒険者の拠点のギルドに到着し、一旦馬は馬小屋に預ける。

 

「そこで待っててくれ」

 

ソルジャーの言葉に馬は頷き、ソルジャーはギルド支部に入る。

彼が入った途端その中にいた冒険者達は思わずソルジャーの方を見る。

 

「おいあいつがきたぞ…」

 

「自称“なんでも屋”、あいつはいろんな依頼を受け取るけど、雑魚のゴブリン退治も受け取ってるぜ? 有り得ねぇだろ」

 

「すごい奴だけど、ゴブリンの退治は白磁のする事だろう? 何故わざわざ受ける必要があるんだ?」

 

「でもでも!私が聞いた話じゃあデーモンやガーゴイルを一刀両断したって言う噂も聞きますよ!凄いじゃないですか!」

 

っといろんな言葉がソルジャーの耳に入ってくる、しかしソルジャーはそんな事は全く気にせず、そのまま受付の下に行く。

 

「依頼、終わったぞ」

 

「はい!ご苦労様でした!」

 

元気よく挨拶をして来る女性、彼曰く『受付嬢』はソルジャーの方を見ながら言う。

 

「今回の依頼、大変でしたね?」

 

「いやいや、いつもの事だよ。ゴブリンの活動…最近になってちょっと多くなった感じだな?」

 

「まあ?そうなんですか? それは大変ですね…」

 

「ああ、でもまあ、いつも通りに依頼をこなしていけばいいことだ。それに続けていけば人助けにもなるしな」

 

ソルジャーが言う言葉に受付嬢微笑みながら見ていてた、そしてソルジャーは受付嬢を見る。

 

「だがこれでしばらくの間、ゴブリン退治の依頼はないんだろう? 俺が結構切りまくったから」

 

「え?ま、まあ…」

 

ソルジャーの言葉に少々困り果てる表情をする受付嬢、その受付嬢の表情を見て、ソルジャーは目線を少し向ける。

 

「…何かあったか?」

 

「は、はい…。それが…」

 

受付嬢はソルジャーに少々困り果てながらある事を話す。

 

実は白磁の4人組パーティーがゴブリン退治に出向いてしまったため、その事に困り果てていた為、どうするかと悩んでいた。

ソルジャーはそれをそれを聞いて思わず目を向ける。

 

「新米4人組がゴブリン退治?! 止めなかったの?」

 

「勿論止めましたが、一人が《ゴブリンなら追い払った事があるから大丈夫!》と言って聞かずに…」

 

「チッ! ガキめ…ゴブリンをなめてやがる…。ゴブリンは油断してしまったら男は殺されるか、女は凌辱されるのが落ちだ」

 

拳を思わず握り締めるソルジャー、ゴブリンは知っての通り雑魚モンスターとされているが、それはあくまで仮説の話、実際は残虐で冷酷な性格をしていて、女は捕らえられて孕み袋にされるのが落ちとされる。

それを知って他の冒険者達はそれに全く目を向けず、新米向けの依頼だと言う事で全く受けようとしない。それが今いる現状であるが、ソルジャーはそれを気に入らずに他の依頼を受けるついでにゴブリンの依頼も受けている。

 

そう言ってソルジャーは受付嬢の方を見ながら言う。

 

「すぐにそいつ等の下に行く。場所は分かる?」

 

「はい、ここからそう遠くない場所です」

 

っとそう言って地図を取り出してソルジャーに見せて、それにソルジャーはその地図の場所を確認して頷く。

 

「分かった、行ってくる。報酬は後で受け取るから、後その依頼の報酬はそいつ等のでいいから」

 

「は!はい!」

 

そう言ってソルジャーはその場から離れようとする、っと入り口に一人の女が立っていた。

 

「あら、行く…の?」

 

「ああ、放ってお行けないからな」

 

その女性『魔女』はソルジャーの行動を見て問いかけ、ソルジャーはそれに答える。

 

「そう、気をつけて…ね」

 

「ありがとう」

 

そう言ってソルジャーはギルドから出て、馬小屋に言って自分の馬を連れ出して、馬に乗り、轡を持って走り出す。

 

「(そうだ、念の為に“アレ”を出しておこう)」

 

っとソルジャーは走りながらある物をポーチから取り出して、そして“何か”を選択して取り出した。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

受付嬢が記した地図の場所の洞窟に着いたソルジャーは馬から下りて、装備の確認をする。

 

ブロードソードにロングソード、大型ナイフ二本に、ソルジャーが取り出した“ある物”を持つ、準備が出来た途端。

 

 

 

 

ぐああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

 

 

 

 

洞窟内から男の悲鳴が聞こえ、それにソルジャーは振り向く。

 

「っ!まずい!」

 

すぐさま走り始めたソルジャーはすぐに洞窟内へと向かい、悲鳴が起きた場所へと向かった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

「(わ、私は…私達は…一体何をしに…!?)」

 

一人の少女、『女神官』は今自分の今いる状況に恐怖で立ちすくんでいた。

とある冒険に何の準備もしないままゴブリンの討伐をして来て、そのリーダーである『青年剣士』がゴブリンの群れに刺殺されてしまって、その光景に仲間の『女武闘家』とゴブリンにナイフで刺されてしまった『女魔術師』が恐怖で騒然としていた。

 

するとゴブリンが女神官達の方を見て、ゆっくりと歩み寄ってくる。

それに女武闘家は女神官と女魔術師の方を見る。

 

「二人共、ここは私が囮になるから逃げて!」

 

「な!何言ってんよあんた…! そんな事出来るわけ…ぐっ!」

 

女魔術師が否定していた途端、その場で倒れ込み、女神官が慌て駆け寄る。

 

「大丈夫ですか!?」

 

女神官は女魔術師の顔を見ると、顔色が悪くなっており、息が少しずつ乱れ始めていた。

そんな様子を見た女武闘家は叫ぶ。

 

「貴女!彼女を連れて逃げて!」

 

そう言って女武闘家は走り出して、ゴブリンの群れに向かって蹴り技を繰り出す。

 

回し蹴りや上段蹴り、かかと落としをゴブリン達に食らわしていく。

その間に女神官は女魔術師を何とか回復させようとする呪文を唱えようとするが頭の中がパニック状態になっていて出来なかった。

 

女武闘家は更なる蹴りを食らわそうとしたその時。

 

 

ガシッ!!

 

 

彼女の足を掴む大柄のゴブリン『ホブゴブリン』がすぐそばにいて、それに女武闘家は突然の行動に何も出来ず、ホブゴブリンにそのまま投げ飛ばされる。

壁に投げ飛ばされた女武闘家は壁に激突して倒れ込み、その時にゴブリン達は女武闘家の下に歩み寄り、彼女の服を破り捨てていく。

 

「い!!いやああああ!!!」

 

ゴブリン達の行動に女武闘家は逃げようとしたが、ゴブリンに取り押さえられてしまう。

女武闘家の悲鳴を聞いた女神官はどうするか迷っていまい、女武闘家は恐怖のあまり思わず声が出る。

 

「た!!助けてえええええ!!!」

 

 

 

バァァァン!!!!

 

 

 

っと鋭い爆音が洞窟内に響き渡り、それに女神官達は思わず驚き、そして女武闘家を抑えていたゴブリンは頭から血を流して力を失いながら倒れる。

 

それによりゴブリン達は驚きながら辺りを見渡すと、女神官達の後ろに誰かがいた。

そして女神官も背後に誰かが居ることに気が付き、後ろを振り向いてみると、そこには“ゴツイ物”を構えていたソルジャーがいた。

 

「(間に合ったか…いや、一人はもうダメか…)」

 

状況を確認しながら呟くソルジャー、因みに彼が使ったものはこの世には全く存在しない『ベネリM4ショットガン』であった。

ソルジャーが先ほど取り出したのはこれであり、大王神がこの世に転生させる際に彼に授けた『マルチツールタブレット』でこの世界に現代兵器や未来兵器を取り出せる様にしているのだ。

 

因みに彼の両太股にあるゴツイ物、右太股には貫通性が高いハンドガン『FN Five-seveN』、左太股には軽量で連射性が高い『グロック18C』である。

 

そんなソルジャーの存在に一体のホブゴブリンがソルジャーに掴みかかろうとした時に、ソルジャーがそのホブゴブリンに向かってベネリM4を3発撃つ。

 

ホブゴブリンの胴体に直撃して、そのまま吹き飛ばされて壁に激突し、地面へと倒れて死に絶え、それにゴブリン達は…。

 

「GAAAAAAAAAAAA!!!!!!」

 

悲鳴と共にその場から逃げていき、女武闘家から離れていって逃げようとする。

っがそれをソルジャーは見逃さない。

 

すぐさまベネリM4を地面に置き、FiveseveNとグロック18Cを抜いて、2丁拳銃にしてゴブリン達に撃つ。

 

銃弾の嵐にゴブリン達はその場からこの世を去り、後は死体のみ残った。

 

安全を確認したソルジャーはFiveseveNとグロック18Cをしまい、ベネリM4を取って、マルチツールタブレットに戻す。

 

「ふぅ…、ひとまずは何とかなったか」

 

その状況に女神官はソルジャーの方を見て問う。

 

「あ、あの…貴方は?」

 

女神官の問いにソルジャーは答える。

 

「俺はソルジャー、銀等級の冒険者だ」

 



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第2話 出会い 後編

「(ぎ…銀等級!?)」

 

「(ほ!本当の…!?)」

 

絶体絶命の危機から救われた女神官と女武闘家はソルジャーから放たれた言葉に驚き、彼の首元を見ると銀の認識票プレートが見えた。

 

そしてソルジャーは女神官と女武闘家に問いかける。

 

「大丈夫か?奴らにやられたところはないか?」

 

「え?は、はい! 大丈夫です」

 

それに女神官は返事をして、ソルジャーはそれにうなづく。

 

「よし…。あっ、君。これを着ておけ、裸よりはマシだぞ」

 

ソルジャーはバックパックから一枚の服を取り出して、それに女武闘家に渡す。

 

「あ!ありがとうございます!」

 

女武闘家はソルジャーから渡された服を受け取り、それを着込んでいる間、ソルジャーは女神官の方を向くと、何やら不安そうな表情をしていた。

 

「ん?どうかしたか?」

 

「…実は」

 

女神官は倒れている女魔術師の方を見る。

息が荒く、顔色が徐々に悪くなっていく様子に女神官の不安が高くなる。

 

「ど、どうしたらいいでしょう。このまま治癒(ヒール)をかけた方が…」

 

「待て」

 

っとソルジャーが女神官の奇跡の呪文を止めて、ソルジャーが女魔術師の腹部の血を調べる。

その様子に女武闘家が問いかける。

 

「…ど、どうしましたか?」

 

「…毒だ」

 

ソルジャーが放った言葉に驚く女神官と女武闘家、するとソルジャーは近くに落ちてあるゴブリンの武器を拾い、刃を二人に見せる。

 

「奴らの武器には猛毒が仕込まれてある、毒草や自分達の尿を使って仕込ませる。雑なものだけど猛毒だ」

 

「「!?」」

 

その事に二人は背筋をゾッとさせて、今刺されてない事に幸運だと思うべきか奇跡だと思ってしまった。

しかしそんな様子に女魔術師の顔色をが徐々に悪くなっていく。

 

それを見た女神官は。

 

「っ!こ!この人の表情が!?」

 

「うむ、話している間に症状が悪化してきたか、だがここにいたのが俺で良かった」

 

そう言ってソルジャーはバックパックにある物を取り出す。

 

「こいつは《メガポイズンポーション》、どんな猛毒でも中和してくれる解毒剤だ。これを彼女に飲ませるんだ」

 

「は!はい!」

 

ソルジャーはメガポイズンポーションを女神官に渡し、彼女は女魔術師に解毒剤を飲ませる。

すると効果がすぐに現れたのか、彼女の息が収まっていき、顔色も良くなっていく。

 

「よ!良かった!」

 

「これでもう大丈夫だ。後はポーションで回復させておけばいい、それよりもお前達」

 

ソルジャーの言葉に女神官と女武闘家はソルジャーのほうを向く。

 

「お前達はどこから襲われた?」

 

「え? と…突然後ろから襲われて…」

 

女神官の言葉にソルジャーはすぐに察して、落ちている松明を拾い、明かりをつけて二人の方を向く。

 

「付いてこい」

 

ソルジャーの言葉に女神官は付いていき、女武闘家は女魔術師を背負ってついて行く。

するととある場所に付いて、松明である場所を照らす。

 

彼が照らした場所には一方通行の横に穴があった。

 

「見ろ、横穴だ」

 

「っ!そ!そんな! さっきここを通った時には何も…!?」

 

「も!もしかして…!」

 

っと女武闘家は嫌な予感を察すると同時に、ソルジャーはその様子を頷きながら言う。

 

「そう、これは駆け出しがよく起こす失敗だ。洞窟内では松明が唯一の明かり、それ以外の周りは何もかも暗闇。そしてこのトーテムだ」

 

ソルジャーは横穴のすぐそばにある骸骨のトーテムに指を刺し、そのまま語り続ける。

 

「このトーテムが冒険者の注意をそらし、横穴の存在を見逃してしまう。あとゴブリンどもは馬鹿だけど間抜けじゃないんだ、油断するとあっという間に囲まれしまい、先ほどのように女は凌辱されかけ、男の方は…見ての通りだ」

 

「「っ!うえええぇぇぇ!!!」」

 

その言葉に女神官と女武闘家は先ほどの光景を思い出してしまい、思わず口から液体が出てしまう。

ソルジャーは二人の見ながらもトーテムの方を見て言う。

 

「あとこのトーテムだが、これは『ゴブリンシャーマン』がいる証だ」

 

「シャーマン…?」

 

「ゴブリンの呪文使い。その魔術師の子よりは腕は上手だ」

 

ソルジャーは女魔術師の方を見ながら説明し、それに女神官と女武闘家は少しばかり間を空けながら納得する。

 

「そいつがここのゴブリン達を率いている。野放しにはしておけないな…、俺は今からゴブリン達を退治して来る。君たちはどうする? ここに残るか」

 

その言葉に女神官と女武闘家は互いに顔を合わせ、それにしばらく間を空けた後にソルジャーの方を見る。

 

「行きます!」

 

「私も行きます!」

 

女神官と女武闘家の言葉に納得するソルジャー、その直後に。

 

「…私も行くわ」

 

「っ!気がついた!?」

 

女魔術師が目を覚まし、女武闘家が女魔術師を下ろして問う。

 

「大丈夫?」

 

「ええ…、それよりも私も行く。この目で見ておく必要があるから」

 

女魔術師の様子と覚悟を見たソルジャーはそれに頷ける。

 

「…分かった。それと君は神官だったな?治癒(ヒール)の他に何が使える?」

 

「えっと…治癒(ヒール)の他に聖光(ホーリーライト)を授かっています」

 

「使える回数は?」

 

「三回…です」

 

「よし、分かった。あと付いて行くならまずこれを吹きかけてくれ」

 

するとソルジャーはバックパックからあるスプレーを取り出した。

三人はそのスプレーを見て頭を傾げる。

 

「これは…?」

 

「これは身体の臭いを消す超消臭スプレーだ、ゴブリン達は鼻が効いていてな、女や子供、そして小水などにもとても敏感なんだ」

 

っとその言葉に女神官達は思わず顔を赤くしてしまい、それにソルジャーはその様子に気付く。

 

「おっとすまない、失礼な発言だったな。だが心配するな、この消臭スプレーはゴブリンだけじゃなく、嗅覚にとても鋭いオオカミにも有効な物だ、使って損はないぞ。使い方は上のボタンを押すんだ、そうすれば出て来る」

 

そう言ってソルジャーは少しばかり準備をし始め、女神官達は自分たちの体に消臭スプレーを吹きかける。

そしてソルジャーはFiveseveNとグロック18Cをマルチツールタブレットに一旦戻し、次にマルチツールタブレットから新たなハンドガン『デザートイーグル 50AE』を取り出した。

 

何故この後に及んでデザートイーグルを出したかと言うと、上位種であるゴブリンシャーマンは無駄にしぶとく。FiveseveNとグロック18Cの銃弾ではなかなか死なない事がある。

この大型ハンドガンは50口径の弾を使用するため、威力がでかい上に仕留めやすいのだった。

 

デザートイーグルをホルスターにしまい、準備が整えたソルジャーは立ち上がって三人の方を向く。

 

「準備は出来たか?」

 

ソルジャーの言葉に三人は頷いて、ソルジャーは洞窟の奥へと進み、女神官と女武闘家、女魔術師はその後をついていった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

洞窟内の奥へ進むソルジャー達はゴブリンの死体や仲間だった青年剣士の死体を進む中、彼女たちは一度青年剣士の死体を見て、重苦しい表情をした後にソルジャーの後を追いかける。

 

その時ソルジャーが皆を止めて、ある方向を指差す。

 

「この先が広場のようだ、俺が中に入るから皆はここで待っててくれ、あと君は俺の合図で聖光を放ってくれ」

 

「はい」

 

そう言ってソルジャーは奥へと進み、そしてソルジャーの合図が出て、女神官は奇跡の呪文を唱える。

 

「《いと慈悲深き自母神よ、闇に迷えるわたしどもに、聖なる光をお恵みください》…聖光(ホーリーライト)!」

 

女神官が奇跡を唱えると同時に光が放たれ、洞窟内に強烈な光が眩く。

ソルジャーはその洞窟内を見渡す、その中にはゴブリンが約6匹に人質になっていた女性が3人、その奥にはゴブリンシャーマンがいた。

 

「見つけたぜ…」

 

ゴブリンシャーマンが呪文を唱えようとした時に、ソルジャーはデザートイーグルを抜いてゴブリンシャーマンに向けて5発撃ち、ゴブリンシャーマンはそれにより撃ち抜かれて倒れる。

そして残っているゴブリン達はソルジャーに向かっていき、ソルジャーはデザートイーグルをしまって背中のロングソードを抜く、ソルジャーはゴブリン達に向かってロングソードを切りつけていく。

 

切り、突き、弾き。それらの剣技をゴブリン達に味あわせて行き、ソルジャーは迫ってくる一体のゴブリンに向かって切る。

 

すると。

 

 

 

バキン!!!

 

 

 

ゴブリンを切った途端ロングソードが折れてしまい、それをソルジャーは見る。

 

「あちゃ~、折れちゃったか。まあ3年間も使ってたら折れるか」

 

そう言っている間にゴブリンが、ソルジャーの武器が壊れたのを見て襲いかかってくる。

 

「危ない!!!」

 

女神官が叫んだのを聴いて、ソルジャーは後ろから来るゴブリンを裏拳で葬る。

その際にガントレットが壊れて、それにソルジャーはまたしても舌打ちをし、次に回し蹴りをゴブリンに放った後、腰のナイフを手にして投げつけ、ゴブリンの頭部を突き刺した。

 

ゴブリンはそれにより死に絶え、ゴブリンが全滅して安全を確認した後、ソルジャーは女神官達を呼ぶ。

 

「終わったぞ、来い」

 

それにより女神官達がやって来て、辺りを見渡して、囚われていた女性達の下に行く。

 

「大丈夫ですか? もう…大丈夫ですよ」

 

女神官が女性を起こしてそっと抱きしめながら慰め、その間にソルジャーはゴブリンシャーマンの下に行くと…。

 

「死んだフリは辞めるんだな」

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」

 

突如起き上がってきたゴブリンシャーマンがソルジャーに襲いかかると、ソルジャーはデザートイーグルをゴブリンシャーマンの頭部に向けて撃ち、それによりゴブリンシャーマンの頭部は粉々に粉砕される。

ゴブリンシャーマンがまだ生きていた事に女神官達は驚いて、ソルジャーは一度弾倉を交換しながら呟く。

 

「全く…上位種はこれだからしぶとい」

 

そう言ってゴブリンシャーマンが座っていた骨の椅子の奥の方へと進み、その奥に板が置かれてあった。

その板を剥がしていくと、中にはまだ子供のゴブリン達がいた。

 

ゴブリンの子供達を見て女神官達は驚く。

 

「子供…!?」

 

「ああ、子供は特に隠しておくからな。下手すれば50匹近くは増えていただろう、放っておく訳にも行かないな」

 

ソルジャーは女神官達のほうを向く。

 

「お前達、女性達を連れて外に出ていろ」

 

「え? ま…まさか。子供も殺すんですか?」

 

女神官の言葉にソルジャーは少し間を空けながらうなづく。

 

「…ああ、子供と言っても恨みを一生忘れない、油断して武器を隠し持ったりもする。そして渡りとなった者は知恵を付けて学習して行く、放置しておけないんだ、さあ…行け」

 

「で、でも…」

 

女神官が話を続けようとすると、女魔術師が肩に手を置く。

 

「止めておきなさい」

 

「えっ、でも…」

 

「この世界は残虐よ、それを認めていかないと、それに…身を持って知ったでしょう?」

 

女魔術師の言葉に女神官は言葉をなくし、その間に女性達を連れて外に出て行く。

その様子を見て、ソルジャーはある液体を取り出す。

 

「悪いな、お前達を生かしておくとまた次の女性の被害が出てしまうからな」

 

ソルジャーはその液体を子供のゴブリン達にぶっかけて、それに子供のゴブリン達は何かをかけられて驚く。

そして小さいポーチから『WPグレネード/焼夷手榴弾』を取り出して、ピンを抜く。

 

「次に生まれ変わる時は女のゴブリンとなって、他のゴブリン達と仲良くヤってな」

 

っとWPグレネードを子供のゴブリン達に投げて、WPグレネードが爆発して燃え広がり、子供のゴブリン達の身体に付いた液体にも引火して行く。

子供のゴブリン達に付いた液体は石油とガソリンの混合液体であり、よく燃えるものである。一度付いたらなかなか消えず、死ぬまで燃え続ける。

 

「「「GAAAAYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!」」」

 

子供ゴブリン達の悲鳴が外に出ていた女神官達の下まで届いて、それに女神官は思わず泣き崩れながら懺悔をするのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

その後、助けられた女性達はその後連絡しておいた街の者達に神殿へと運ばれていき、その後女神官達もその後治療の為街の病院へと運ばれていった。

翌日ソルジャーは再び報告の為にギルドへと戻り、受付嬢に話をする。

 

「お疲れでしたね、ソルジャーさん」

 

「ああ…、彼女たちにとってはかなりの厳しさだった。一人は助けられなかったが」

 

その事に受付嬢は少しばかり重たい表情をするが、この世の厳しさに納得するかのように振る舞うしかなかった。

因みに昨日の戦闘で壊れてしまったロングソードとガントレットはもう使い物にならないとして、背中には何も背負っておらず、ガントレットもしておらず、普通のグローブをはめている。

 

「あ!居ました!」

 

っとソルジャーの耳に聞き覚えのある声がして、ソルジャーは振り向くと、昨日助けた女神官達がやって来て、ソルジャーの下に近寄ると頭を下げる。

 

「昨日はどうも、実は昨日のアドバイスを聞いたとおり、服の下には楔帷子を着込みました」

 

「こっちもです、体力上昇に役立つと言って着ました」

 

「こっちは呪文に影響が出るから、レザーの服を着るけど」

 

実は昨日、ソルジャーは女神官達に装備のアドバイスをして、身を守るための装備を選んでやった、その時に楔帷子の方が体力の上昇に役立つと言って女神官達にアドバイスをしたのだ。

女魔術師の方は仕方ないとして、その様子を見たソルジャーは少しばかり微笑む。

 

「…昨日の影響がお前達をちょっとばかり成長させたようだな」

 

「い、いえ…、それよりも今日もまた?」

 

「いや、今日はゴブリンじゃない。別件でビックベアーの討伐だ」

 

っと依頼書を女神官に見せ、それに納得するかの様子見せる女神官達、見つめてくる女神官達の様子をソルジャーは。

 

「…一緒に来るか? 冒険者の極意。たっぷりと教えてやるぞ」

 

「「「はい!!」」」

 

そう言ってソルジャーに付いていく女神官達。

彼女たちもまた冒険者として新たな一歩を踏み出していくのであった。

 



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第3話 銀の働き 前編

辺境の街のすぐ近くに大きな牧場があった。

その牧場には牛や豚が沢山住んでいて、そこから牛の牛乳やチーズ、更にはお肉を提供している。

 

その牧場に住んでいる一人の女性がベッドで寝ていて、明け方になった時に目を覚ます。

 

「…ぅ、う~ん!」

 

この牧場に住んでいる女性『牛飼娘』はベッドから下りて、下着を着け始める。

すると外の方では何やら作業をしている物音がして、その音に牛飼娘が気付いて、窓を開ける。

 

そこにはソルジャーが柵を手探りで傷んでいる物を直している姿があった。

彼らは幼馴染であり、仲の良い人物。

 

「おっはよ~! 今日も良い天気だね?」

 

「ん? おうおはよう。今日もまた良い姿だな」

 

っとソルジャーは突如お下品な事を言い出し、それに牛飼娘は苦笑いしながら身体を隠す。

 

「もう~、朝から大胆。それじゃあ朝ごはんの用意するね?」

 

「ああ、こっちももう終わるから」

 

そう言ってソルジャーは立ち上がって次の柵の方に向かい、それに牛飼娘は微笑みながら見るのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして朝食で、ソルジャーと牛飼娘、牧場主で牛飼娘のおじさんである『伯父』と三人で朝食を取り始める。

 

「いただきまーす」

 

「「いただきます」」

 

三人は牛飼娘が作ったスープを食べ、伯父は牛飼娘が作ったスープに美味しい感想を言う。

 

「うむ、今日も君が作ったスープは美味い!」

 

「ふふふ、ありがとう伯父さん」

 

そんな良い雰囲気の中で、ソルジャーはある袋を出してきた。

 

「伯父さん、今月の家賃だ」

 

「…冒険者は随分と儲かるんだな」

 

「朝からそんな嫌そうな顔をしないでくれよ、それによく言うだろう?《働かざるもの食うべからず》ってな?」

 

「(う~ん、ちょっと違う気がする…)」

 

そんな様子を牛飼娘は思いつつ、伯父は「悪かった…」と謝り、ソルジャーの家賃を受け取り、確認する。

 

「ん? 今月はかなり多いんだな?」

 

「ええ、最近入ってきた新人冒険者達を鍛えていたんで、その時に冒険を一緒に」

 

「へぇ~? その子達ってこの前君が助けたって言う?」

 

「ああ」

 

ソルジャーは牛飼娘にそう言いながら、ソルジャーはこの一ヶ月の事を思い出す。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

とある日に、ソルジャー達はゴブリン達とは別の依頼、ジャイアントボアの討伐をしに来た。

森林の奥にジャイアントボアが居ることが分かり、ソルジャーはその時にマルチツールタブレットから、ベネリM4を取り出し、その時に女神官達がその様子を見て問いかけてきた。

 

「ソルジャーさん、以前から気になったのですが、それは一体何ですか?」

 

「ん?これか、これは俺のとっておきの秘密道具、詳しい事は言えないが、俺の必要なものを取り出す為に使うものだ」

 

「必要なものって、その鉄の矢の様な物ですか?」

 

女武闘家はベネリM4の事を言い、それにソルジャーはうなづく。

 

「そうだ、まあこれの他にまだあるんだけどな。よし、これより先はジャイアントボアの縄張りだ、注意してかかれよ」

 

「「「はい!」」」

 

そしてソルジャー達は奥に進んでいくと、突如ジャイアントボアが横から襲ってきて、それにソルジャー達は一度離れる。

すると女魔術師が呪文を唱える。

 

「《サジタ()インフラマラエ(点火)ラディウス(射出)》!」

 

女魔術師が《火矢》を放ち、ジャイアントボアに狙ったが、ジャイアントボアはそれを走りながらかわしていき、それに女魔術師は歯を噛み締める。

 

「くっ!」

 

「焦るな! チャンスはいくらでもある!落ち着いていけ!」

 

っとソルジャーがそれに言いながらベネリM4を構え、ジャイアントボアに狙って撃つ。

 

バンバン!!

 

2発の散弾がジャイアントボアの足に辺り、それにジャイアントボアは体制を崩してしまう。

 

「もう一発!」

 

その隙に女魔術師が再び《火矢》を放ち、ジャイアントボアに当たり、ジャイアントボアの体の一部が燃える。

そしてソルジャーが女神官に向かって叫ぶ。

 

「今だ!聖光を使って視界を!!」

 

「はい!《いと慈悲深き自母神よ、闇に迷えるわたしどもに、聖なる光をお恵みください》…聖光!」

 

女神官の聖光が放たれ、それにジャイアントボアの目が眩む。

 

その時に女武闘家が木の上から飛び降り、そのままかかと落としでジャイアントボアの頭に叩きつける。

落下速度の重さも重なって、ジャイアントボアの頭蓋骨にひびが入る。

 

そして最後にソルジャーがブロードソードを抜いて、ジャイアントボアの頭を突き刺して、ジャイアントボアは死に絶える。

それに女神官達は喜ぶ。

 

「や!やった!」

 

「よくやった皆、魔術師の子は一発目がちょっとだったが、二発目は上手くいったな」

 

「と、当然よ!」

 

っと照れながら女魔術師は顔をそらし、それに女神官と女武闘家は笑いながら見ていた。

 

「君等もよく頑張ったな」

 

「はい!」

 

「何時までも負けられませんから!」

 

そう言いながらソルジャーを見る女武闘家と、褒められたことに嬉しがる女神官の様子に、ソルジャーはうっすらと笑みを浮かばせながら見て言う。

 

「よし! 討伐の依頼完了! ギルドに戻って報告するか」

 

「「「はい!」」」

 

ソルジャー達はジャイアントボアを討伐した後、冒険者ギルドに戻っていくのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

「(う~ん…今思うと結構頑張ったなあいつ等、この一ヶ月…地味な依頼もいやとも言わずに)」

 

そう考える中で伯父はある事を言い出す。

 

「な、なあ…今日もまた行くのかね?」

 

「え? あ、はい。ギルドに行きます、まだ新人たちの独り立ちは無理がありますから」

 

「そうか…」

 

何やら不満そうな表情をする叔父にソルジャーはただ見つめることしか出来ず、そんな様子を牛飼娘が話す。

 

「ね、ねえ? 今からギルドに行くんだよね?」

 

「ああ、行くよ」

 

「じゃあさ、一緒に行こう? 今から荷物を運ばなきゃ行けないから」

 

それにソルジャーはうなづく。

 

「オッケー、それじゃあ俺の馬で荷物を運ばせるか」

 

そう言ってソルジャーは食事を済ませて、自分の馬の所まで行く。

牧場の手押し車に馬を連結させて、牧場のチーズは牛乳、お肉を持っていく。

 

ソルジャーと牛飼娘は並びなら街へと向かう。その際に牛飼娘がある事を問う。

 

「ねえ、ゴブリンは減った?」

 

「いや、なかなか減らない。まあ無理もない…どこかでまた冒険者が無茶しているだろうな」

 

「ふふふ、そう言って放っておけないんでしょう?」

 

「まあな」

 

そう言いながらソルジャーと牛飼娘は辺境の街へと行く。

 

街へと着いたソルジャーと牛飼娘、牛飼娘は荷物のサインを貰っている間にソルジャーが荷物を降ろしている。

そしてサインを貰った牛飼娘はソルジャーの下に行く。

 

「終わったよ」

 

「ああ、こっちも終わった。俺は今からギルドに行くが…、ちょっと見に行くか?」

 

っとその事に牛飼娘は少しばかり驚いて、そしてうなづいて付いていく。

 

そしてギルドの方では受付嬢の下で『槍使い』が受付嬢を口説いていた。

 

「それでよ、トロルをこの槍でバッサリと倒してやったんだ。すげえだろう?」

 

「ええ、それはすごいですね?」

 

全く相手じゃない様な様子に槍使いは更に口説こうとすると。

 

「おいおい、また実らんナンパをしているのか色男」

 

「っ!?その声は!?」

 

槍使いは後ろの方を見ると、ソルジャーが彼の後ろに突っ立っていた。

 

「げっ!ソルジャー!」

 

「ソルジャーさん!こんにちは!」

 

「やあ、依頼の方は?」

 

「すいません、まだ依頼の時間じゃないので」

 

そう申し訳なさそうにする受付嬢にソルジャーは頭を横に振る。

 

「いやいいさ、ちょっと時間が早かったかな?」

 

「おいソルジャー!俺を無視するとは良い度胸じゃねえか! それに実らんナンパってなんだ!」

 

槍使いの言葉にソルジャーは振り返る。

 

「あ? 実際そうだろうがよ、いつも受付嬢にナンパしてよ。何回も何回も口説いてるじゃねえか、それのどこが違うんだよ、あ?」

 

「はっ!お前には分かるまい!この俺様の最強伝説を語り、彼女のハートを掴む事を!」

 

「だからそれが実らんナンパじゃねえ!」

 

「ちげえよ!」

 

「違わない!」

 

っとソルジャーと槍使いの非常につまらない口論に周りに居た冒険者たちは笑い、受付嬢と牛飼娘は苦笑いしながら見ていた。

槍使いのパートナーである魔女は微笑みながら見ていて、煙管を吸うのであった。

 

しばらくして、ソルジャーは壁にある椅子に座り、受付の時間を待っていると、女神官達がやって来る。

 

「こんにちは」

 

「おう来たか。今日は別の依頼をするから…」

 

「あの…ソルジャーさん、少しお話があるんですが」

 

「ん?どうした?」

 

女神官の言葉にソルジャーは耳を傾ける。

そんな様子を牛飼娘が見て。

 

「(へぇ~、あの子達が彼と一ヶ月冒険に出ているって。しかも全員女の子)」

 

牛飼娘が見ている中で、ソルジャーは女神官からある事を聞く。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

それは女神官達がギルドに向かっていると、あるベンチで女性だけのパーティーをしている組達がある事を言った。

 

「今日はゴブリン退治をするわよ、そして攫われた女性も救い出すわ」

 

「へへへ、ゴブリンなんて楽勝だよ」

 

「でも油断は行けません、私たちは鋼鉄等級で油断すれば命取りです」

 

「そうよ、私たちはもっと頑張らないと行けない。さあ!行くわよ、依頼は昨日受け取ってあるから」

 

そう言って女性パーティー達はその場を去っていき、女神官達は思わず顔を見合わせて、そのままギルドへと向かった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

「とう言う事なんです」

 

女神官の言葉にソルジャーは少しばかり考え、女神官達の方を見る。

 

「気になるか?」

 

「…はい」

 

それに女神官達は暗い表情をしながら頷き、それにソルジャーはうなづきながら立ち上がる。

 

「よし分かった。それじゃあ今から受ける依頼のついでにそのパーティー達の様子を見に行くか」

 

「ええっ?! いいんですか?」

 

「良いんだよ。それに気になるんだろう?」

 

それに女神官達はうなづいて、それをソルジャーは彼女たちを見ながらあることを考えていた。

 

「(それにそろそろいい頃だな、こいつらが再びゴブリン退治をするのを…)」

 

っとその事を考えながら受付嬢が依頼書を他の冒険者達に配信するのであった。

 



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第4話 銀の働き 後編

とある村の近くの遺跡にゴブリンの巣があり、そこには囚われている女性の人質が居た。

人質の安否は不明だが、その女性を救うべく立ち上がった者達がいた、その者達は皆女性であり、貴族の女性がリーダーを勤める『自由騎士』を始め、『兄人僧侶』、『圃人野伏』、『森人魔術師』の四名がゴブリンの巣に来ていた。

 

「ゴブリン達に気付かれずに連れ去られた人質を助ける、いいわね?」

 

「勿論、速攻で終わらせちゃおう!」

 

「その油断が命取りですよ。それじゃあ行きましょう」

 

そして自由騎士達一同はゴブリンの巣へと入り、仕掛けられた罠を掻い潜って抜けていく。

 

ゴブリン達は昼間は寝ていて、その隙に自由騎士達は潜入していく。

 

いくつもの罠がありそれを圃人野伏が何とか解除しつつ抜けて、それに自由騎士達も付いていく。

多くの罠をくぐり抜けた自由騎士達は囚われている女性を発見し、それに圃人野伏が駆け寄って兄人僧侶も駆け寄る。

 

「大丈夫!?怪我は!」

 

圃人野伏が駆け寄ってみるも、彼女の口から血を出していて気付いた。

完全に舌を噛んで、死んでいると…。

 

「(もう…)」

 

っと圃人野伏が女性を上げた途端、女性に繋げられてあった罠が発動し、上にあった積荷が一気に落ちてきて大きな物音が鳴り響いた。

それにゴブリン達が目を覚まし、自由騎士達の存在に気づき、襲いかかっていく。

 

「く!一旦退却する!殿は私が勤める!!行け!!」

 

自由騎士がそれを言うも、ゴブリンの大群に包囲されてしまい、脱出できない状態だった。

 

「完全に囲まれた!」

 

「どうすればいいの!?」

 

「くっ!」

 

考えている時にゴブリンの投擲が自由騎士の頭部に直撃してしまい。

自由騎士はその場で気を失ってしまう。

 

「リーダー!!」

 

兄人僧侶が駆け寄って確かめる間にゴブリンたちが一気に攻めてきて、只人僧侶達を捕まえていく。

そして彼女たちの衣服を一気に破り捨てて行き、それには只人僧侶達に恐怖が芽生える。

 

「いやあああ!!やめて!!!!」

 

「やめろ!!!離せえええええ!!」

 

「だ!誰か!!誰か助けてえええ!!!」

 

 

 

バンバンバン!!!

 

 

 

 

っとその時、3発の銃声が鳴り響き、それに只人僧侶達は思わず驚き、彼女たちを捕まえていたゴブリン達は倒れていく。

それにゴブリン達は後ろを振り向くと、そこには『HK45』を構えたソルジャーとその後ろには女神官達がいた。

 

ソルジャーはHK45をホルスターにしまい、ブロードソードを抜いて女神官たちに言う。

 

「神官と魔術師は後方援護しつつ守りに入れ! 武闘家は俺に続いて彼女たちを救出するぞ!」

 

「「「はい!!」」」

 

ソルジャーはブロードソードを切り込み、ゴブリンの胴体を分離していき、女武闘家は蹴り技でゴブリンの頭蓋骨や腕や足を粉砕していき、只人僧侶達の下に着く。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「あ、貴方方は!?」

 

「話は後だ、付いてこい!」

 

ソルジャーは迫り来るゴブリンを切り裂きながら道を作り、女武闘家も同じように拳をゴブリンに与えながら只人僧侶達を連れて行く。

一方で気絶してしまった自由騎士と既になくなった人質をソルジャーが抱き上げて、女神官達の下に行く。

 

その際に女魔術師が火矢でソルジャー達を援護しつつ魔法を放ち、そしてソルジャー達が女神官達の下に着いて、外に出るとソルジャーが女神官の方を見て叫ぶ。

 

「今だ!!例の奇跡を使え!!!」

 

「はい!《いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らをどうか大地の御力でお守りください》聖壁(プロテクション)!!」

 

すると光の壁が遺跡の周りに現れ、それにゴブリン達は閉じ込められてしまう。

 

「これって…」

 

「貴女が前に貰った新しい奇跡?」

 

「はい、地母神から新たに授けてもらった奇跡です、ですが本来は防御にするはずなのですが…」

 

「いや、これでいい」

 

ソルジャーはそう言いつつ、WPグレネードを取り出す。

 

「これぐらいしないと恐らく奴らは懲りないだろう。先に引き上げろ!」

 

それに女神官達はうなづきながらその場を立ち去り、ソルジャーはWPグレネードのピンを抜いて遺跡に放り投げる。

すると爆発して遺跡の木に燃え広がり、その場にいるゴブリン達に火が移り、ゴブリン達は火炙りとされた。

 

ソルジャーはそれを見届けたあと、女神官達の元へ行き、合流するのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

遺跡が燃えているその様子を、女神官達はソルジャーの帰りを待ち、自由騎士の介護をしている只人僧侶達はその様子を見つつ彼女達の方を見る。

そしてソルジャーが帰ってきて、女神官達は駆け寄る。

 

「ソルジャーさん!お待ちしてました!」

 

「お疲れ様、これでゴブリンは全滅ね」

 

「いや、まだ終わりじゃないな」

 

っとそれに女武闘家は驚きを隠せない。

 

「ええっ!?どうしてですか?!」

 

「見たところあの遺跡は抜け穴が存在する可能性がある、それを放置しておくわけには行かないな」

 

そう言ってソルジャーはある筒を取り出す。

女神官達はそれを見ていて、何をするのかと見ている。

 

ソルジャーは取り出したのは『マイルボンバー』と言う未来兵器であり、小豆の様な小さなボールが無数にあって収納されている。

その筒から引き出して、そこから無数のボールがロケット噴射で飛んでいき、温度検知で逃げていったゴブリン達を後を追っていった。ソルジャーは引き出した筒を戻すと先端から細い棒が出て来て、それを取る。

 

その棒は起爆スイッチであり、赤いランプが緑に変わると起爆可能となっている。

 

そして火炙りから逃げおせたゴブリンが抜け穴から出てくると、マイルボンバーが張り付き、それにゴブリンは見る。

 

起爆スイッチが緑に変わったのを見て、ソルジャーは起爆スイッチを押す。

 

するとマイルボンバーは爆破して残ったゴブリン達は一気に爆殺されていった。

 

爆発した場所を見た女神官達は、それを見て唖然とする。

 

「あんなのがあるんですね…」

 

「と言うか、彼が持っている物自体が不思議って感じ」

 

女魔術師はソルジャーが持っているマルチツールタブレットの道具の事を言い、それには女武闘家もうなづくのだった。

その様子を只人僧侶が唖然としてみていると、自由騎士が目を覚ます。

 

「っ…」

 

「あ!目が覚めた!?大丈夫!?」

 

圃人野伏が自由騎士の状態を聞き、それに頭を抱えて起き上がる自由騎士はうなづく。

 

「ああ、少しばかり頭が痛いな」

 

「目が覚めたか」

 

っとソルジャーが自由騎士の下に来ると、自由騎士はソルジャーの方を見る。

 

「貴方は…」

 

「俺はソルジャー」

 

するとその名を聞いた自由騎士達は目を大きく開く。

 

「っ!! ソルジャー!銀等級の!?」

 

「うそ!!」

 

「まさかここで会えるなんて!」

 

「噂の男性とこんな所で!」

 

自由騎士達の反応を見た女神官達はソルジャーの評価を改めて見直す。

 

「ソルジャーさん、噂以上の人なんですね?」

 

「鋼鉄等級の人たちもあんな感じだしね?」

 

「やっぱり銀等級って事か…」

 

そんな様子を見ている女神官達、一方で自由騎士たちはソルジャーがここにいる訳を問う。

 

「しかし銀等級である貴方がどうしてここに?」

 

「ああ、オオカミの討伐を終えて、お前達が居るゴブリン退治の手伝いにな」

 

「え?どうしてそんな?」

 

森人魔術師はその話を聞いて頭を傾げると、ソルジャーは女神官達の方を見る。

 

「彼女達だよ、彼女達がゴブリン退治に行くと耳にしたものだから俺に話してきたんだ。そんで俺はそれを了解してパーティー一同ここに来たって訳だ」

 

「そうだったのですか、君たち…ありがとう」

 

自由騎士はその言葉を聞いて女神官達に礼を言い、それには女神官達もおもわず驚く。

 

「ええっ!そ!そんな!」

 

「私たちはソルジャーさんに話しただけで!礼を言われるなんて事!」

 

「いや、君たちが話してくれたから私たちはこうして助かっている。礼を言う」

 

自由騎士だけじゃなく只人僧侶達も同じように礼を言い、それには女神官達は照れてしまう。

そんな様子をソルジャーはただ見届ける様に見ており、自由騎士は立ち上がってソルジャーの方を向く。

 

「ソルジャーさん、これから私たちは一旦村に行き、死んでしまった女性の報告に行きますが、皆さんはどうしますか?」

 

その事を受けて、ソルジャーもうなづく。

 

「そうだな、俺たちも一度同行しよう、その後に俺達はギルドに戻る。女性に関しては俺からも説明するから」

 

「分かりました、では行こう皆」

 

そう言って自由騎士たちは立ち上がって亡くなった女性を抱えて村へと行き、ソルジャー達もその後に付いて行くのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

辺境の街、その街にある三人組がやって来て、フードをかぶった一人の女性が街を見渡しながら呟く。

 

「ここが辺境の街、ここに彼が居るのね」

 

女性はフードを外すと、耳が長く森人と同様の女性が目を開けながら言う。

 

「“オルクボルグ”が…」

 

その女性…森人よりも珍しいハイエルフの『妖精弓手』がそう言いながら残りの仲間と共にこの街のギルドへと行くのであった。

 



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オーガ編
第5話 訪問者


お待たせしました。

最新話です。


自由騎士達を救出し、亡くなった女性を村に連れ帰ったソルジャー達。

亡くなった女性の家族が泣きながら女性を抱きしめ、その様子をソルジャー達と自由騎士達はただ見つめるのであった。

 

そして村長がソルジャー達の下に来て言う。

 

「ありがとう…、形だけでも帰ってきたことがなによりだ…本当にありがとう」

 

「いえ、私達がもう少し早ければ、彼女を救い出せたはずです。申し訳ありません」

 

自由騎士が頭を下げ、その様子を女神官達はじっと見つめていると、ソルジャーが三人に言う。

 

「いいかお前たち、今回の事を忘れない様にしろよ。この世界は厳しい世界、そして残酷な現実だ、助けられた女性は心に傷を残し、修道院に入ったものもいるし、中には命を絶った者もいる。特に襲われたお前達なら分かるな?」

 

ソルジャーの言葉を聞いた女神官達はその事に思わず言葉をなくす。

実際にゴブリンと渡り合った結果、全滅しかけた事になり、ソルジャーが助けに来てくれなかったら、彼女達も同じ運命をたどったかも知れない。

 

そしてソルジャー達と自由騎士達は村を出た後に自由騎士がソルジャーに問う。

 

「ソルジャーさん、今回はありがとうございます」

 

「だから言っただろう、今回は彼女達が言ってくれたから来たんだ。それを忘れないでくれ。でも必要があれば言ってくれ」

 

「はい! では皆。行こう」

 

そう言って自由騎士達は馬車を使ってギルドへと向かい、その様子をソルジャー達は見届けた。

 

「行ったか…。それじゃあ俺達はのんびりと帰るか」

 

「はい、なんだから二つも依頼をしたら疲れました…」

 

「そうね。私達は結構頑張ったらかね」

 

「依頼をこなした後に彼女達の救出、これは厳しかったわ」

 

三人の言葉を聞いて、ソルジャーはその様子を見守りながらギルドへと戻っていくのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてその頃ギルドでは、受付嬢の所である三人組が居て、その様子を他の冒険者たちが見ていた。

そのうちの一人が女性で、妖精弓手である事が話題になっていた。

 

「すっげ美人」

 

「ちょっと」

 

っと相棒の女子冒険者『見習聖女』が男子冒険者『新米戦士』に注意し、それに気づいて謝る。

 

そんな中で受付嬢の所で少しばかり修羅場な状態になりつつあった。

 

「“オルクボルグ”よ」

 

「え、えーと…オーク…さん?」

 

バン!

 

「違うわ!オルクよ! オルクボルグ。このギルドに居るって聞いたんだけど」

 

そんな様子を妖精弓手は問い、それに困り果てる様な感じになる受付嬢。

 

「え、えーと…少し確認しますね「全く耳長のと来たらそんな感じで行くとわの。ここは只人の国じゃ。」

 

っとその時妖精弓手の後ろに居た少しばかり小さめで身体が大きめの種族、ドワーフの『鉱人道士』が出てきて、妖精弓手に言う。

 

「もっと別の呼び名を使えよ」

 

「じゃあ何て言うのさ?」

 

「“かみきり丸”に決まっとるじゃろい」

 

そう鉱人道士が言うも、それに困る表情をする受付嬢。

 

「えっと…その様な人は…」

 

「何!居らんのか?」

 

「ぷっはっはっはっは! なによ!ドワーフも同じような物じゃない!やっぱりだめね」

 

それに鉱人道士は妖精弓手のある部分を見て言う。

 

「たくぅエルフと来たら金床に素晴らしい心の狭さだわのう」

 

「な!それを言ったらドワーフの女子だって樽じゃない!!」

 

「何を言っとる! あれを豊満と言うんじゃ!」

 

二人の言い合いの様子に受付嬢は困り果てる表情をする。

 

「あ、あの…」

 

っとその時妖精弓手や鉱人道士の下にもう一人の連れが寄る。

 

「すまんが二人共。喧嘩なら拙僧の見えぬ所でやってくれ」

 

その喧嘩を止めるリザードマン『蜥蜴僧侶』が割って入り、受付嬢の下に行く。

 

「拙僧の連れが騒ぎを出してすまぬな」

 

「いえ!慣れてます(それにしても意外、貴重なハイエルフに種族的に仲の悪いドワーフ、最も珍しいリザードマン。しかも三人とも銀等級)」

 

彼女の手元に有る書類に正式に認められている銀等級の書類に納得する受付嬢。

そして蜥蜴僧侶は妖精弓手や鉱人道士が言った言葉の代理を勤める。

 

「『オルクボルグ』『かみきり丸』、どれもその者たちの字名でな、拙僧もあまり人族の言葉に詳しくはないのだが…。『小鬼殺し』と言う意味だ」

 

「ああ~、ゴブリン」

 

っとその時ギルドの扉が開き、そこから自由騎士達が戻ってきた。

 

「いや~帰ったよ!」

 

「ふぅ~、あの人達のおかげで何とかできましたね」

 

「そうね。皆、ご苦労様」

 

「ええ、あら?」

 

すると森人魔術師が妖精弓手の姿を見つけて、それに妖精弓手が気付く。

 

「あら?あんた、ここにどうしているのよ?」

 

「それはこちらのセリフです、どうしてハイエルフの貴女がここに?」

 

「こっちは仕事でいるのよ。それにまだ8位のあんたはこの件に知ることもないわ」

 

「もう!またそうやって!」

 

森人魔術師は妖精弓手の言葉にイラっと来たのかすぐさま反論し、妖精弓手はそれに知らんぷりする。

その様子を鉱人道士が問う。

 

「なんじゃ耳長の、その美人エルフとは知り合いか?」

 

「ドワーフに関係ないでしょう! 引っ込んでなさいよ!」

 

「またそうやって上から目線で言います! 私と彼女は古くからの知り合いです」

 

「ほう、なるほど、古き友と言うことですか」

 

蜥蜴僧侶はその言葉に納得し、自由騎士達はそれに顔を合わせながら受付嬢の下に行き報告をする。

 

「無事終えた」

 

「はい、ご苦労様です。それで彼は間に合いましたか?」

 

「ああ、あの人のおかげで助かった」

 

そんな時にまたギルドの扉が開きそこからソルジャー達が入ってきて、それに自由騎士達が振り向く。

 

「ソルジャーさん」

 

「あらソルジャーさん、お疲れ様です。無事戻ってきて良かったです」

 

「おう、終わったよ」

 

ソルジャーはそう言って報告する。

そして受付嬢は妖精弓手達にソルジャーの方を差しながら言う。

 

「皆さん、こちらの方が小鬼殺しをされている方、ソルジャーさんです」

 

「なっ!」

 

「ふむ?」

 

「ほう」

 

っと妖精弓手は驚きを隠せず、鉱人道士は意外そうな表情をし、蜥蜴僧侶は納得しそうにうなづく。

そんな様子をソルジャーは一度妖精弓手達の方を振り向いて、また受付嬢の方を見る。

 

「何?どういう事?」

 

「実はですね…」

 

「ゴホン!ねえ、あんたが噂に聞くオルクボルグ? そう強そうには見えないけど」

 

受付嬢が説明する中で妖精弓手がソルジャーに問いかけ、それにソルジャーは答える。

 

「そのオルクボルグってのは知らないが、人を見かけで見ないことだ。じゃないと足元をすくわれるぞ」

 

「っ!あんた…!」

 

「ふっはっはっは!耳長の、一本取られたの」

 

「うっさい!!」

 

鉱人道士にからかわれた事に怒りをぶつける妖精弓手。

その際に蜥蜴僧侶がソルジャーに問いかける。

 

「失礼小鬼殺し殿、拙僧等は小鬼殺しに用があって参った。時間を貰えるかな?」

 

「俺に?良いけど…(小鬼殺し…それってゴブリンか? まさか俺がゴブリンを倒しまくったことで付いた字名?)」

 

「それでしたら上に応接室がありますので、そこをお使いください」

 

受付嬢が部屋を提供して、それにソルジャーはうなづいて妖精弓手達の方を向き、それに妖精弓手達もそれにうなづいて向かう。

ソルジャーの様子を見た女神官達は。

 

「あの私達は?」

 

「ああ、君たちは休んでいろ。今日は二件も頑張ったんだ、お疲れさん。休める時は休めるんだぞ」

 

そう言ってソルジャー達は上の応接室へと向かい、女神官達はそのまま残された。

女神官達はどうしようかとした時に自由騎士達が寄ってくる。

 

「我々は今回の反省に付いて寄るところがある。また」

 

自由騎士達はそのままギルドからでて、女神官達は上に向かったソルジャー達の方を見つめる事にした。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして応接室に入ったソルジャー達、妖精弓手はソルジャーの身体を一通り見る。

 

「う~んやっぱりいつ見てもそんなに凄腕とは言えない感じね、本当に銀等級なの?」

 

「(一言多い奴だな…)」

 

ソルジャーは一言一言多い妖精弓手に少々イラつきを感じ、それに鉱人道士が割って入る。

 

「ほれ耳長の、先ほど言われたじゃろう。見かけで見ないことじゃと。わしから見たらその者はあらゆる戦闘に対応出来るようにしておるみたいじゃわ、それに修羅場も潜っとる。ちっとは年長者を見習わんか」

 

「私の年齢は2000歳、そういうあなたは?」

 

「…100と7」

 

「あらあら!随分と老けていること!見た目だけ年長者だわ!」

 

なんだかんだ言って二人だけ盛り上がってる様子にソルジャーはだんだんと呆れてしまい、思わずため息をする。

蜥蜴僧侶は少しばかり呆れながら仲裁に入る。

 

「年齢の話は寄せ、拙僧等はその話をしに来たのではないのだ」

 

「…それで、俺になんの用なの? それもそこら辺では全く見ない冒険者だけど」

 

遠いところまでわざわざ足を運んできた妖精弓手達に要件を問い出すソルジャーに、妖精弓手はすぐさま答える。

 

「都の方でデーモンが増えている事は知っていると思うけど」

 

「ああ、噂程度なら。それで?」

 

「その原因は魔神王の復活なの、奴は軍勢を率いて世界を滅ぼそうとしている。それで私たちに協力してもらいたいのよ」

 

「…少し聞いていいか?」

 

「何よ?」

 

妖精弓手は聞いてくるソルジャーに答える様向き、ソルジャーは腕を組みながら問いかける。

 

「その魔神王の復活、それなら国家レベルの問題だ。それなら俺じゃなく他の所に頼むべきじゃないのか。腕の立つ者ならいくらでもいるだろうに」

 

「な!あなたね!!世界の命運がかかっているのよ! ふざけて言ってるの!?」

 

「…あ?」

 

ギロッ!!!

 

「ひっ!」

 

恐ろしい目線でソルジャーは妖精弓手を見て、それに妖精弓手は思わず引いてしまう。

 

「全く耳長のはすぐ自分勝手に進めよる。わしらは根本を解決しに来たわけでもなかろう?」

 

「すまない小鬼殺し殿、しかし誤解しないで頂きたい、拙僧等はゴブリン退治の依頼をしに来た」

 

「ゴブリン退治の依頼?」

 

蜥蜴僧侶の依頼に頭をかしげるソルジャー、その様子にうなづく蜥蜴僧侶は語り続ける。

 

「さよう、先の連れが申し上げた通り、今悪魔の軍勢が進行しようとしている。それで拙僧等の族長、人族の諸王、エルフとドワーフの長が集まり会議を開くのだがな」

 

「わしらはその者達の使いパシリとして雇われた冒険者なんじゃ」

 

「いずれ大きな戦が起きるわ、それも大規模な戦が」

 

その様子にソルジャーは少しばかり考え、それを鉱人道士が続きを語るかのように喋る。

 

「問題は近頃、エルフの土地であの性悪な小鬼共の動きが活発化なっておるっという事だ」

 

「…そいつらに“チャンピオン”か“ロード”でも生まれたかな?」

 

「?? チャンピオン?ロード?」

 

妖精弓手はソルジャーの言っていることに頭を傾げ、それにソルジャーは言う。

 

「ああ、あいつ等にとっての王と英雄、まあ他の魔物も同様、トロルやオークもロードが存在するけどな。つまりそいつ等が近々動き出す可能性があると言う事か」

 

「さよう、拙僧等が調べた所、付近に大きな巣穴が一つ見つかったのだが…」

 

「軍はゴブリン相手に動かない。毎度のことだけどな」

 

ソルジャーは都の軍の考え方に付いてつぶやき、妖精弓手は呆れながら言う。

 

「ヒュームの王は私達を同胞とは認めないもの、勝手に兵士を動かせばなんくせをつけられてしまうわ」

 

「故に冒険者を送り込む、なれど拙僧等だけではヒュームの顔も立たん」

 

「そこでオルクボルグ、貴方に白羽の矢が立ったわけ」

 

「なるほどな…王都が考えそうなことだ」

 

ソルジャーは妖精弓手達の説明を聞いて納得し、そしてソルジャーはあることを聞く。

 

「それで、地図とかあるの?」

 

「ここに」

 

蜥蜴僧侶が地図を渡し、ソルジャーはその地図に目を通す。

 

「遺跡か…随分とでかいんだな?」

 

「そうじゃ、巣にしては大胆すぎる大きさじゃ」

 

「それでオルクボルグ、私達の依頼…受けてくれるわよね?」

 

「…断る理由は無しだ」

 

そう言ってソルジャーは立ち上がって言う。

 

「出発は明日、その間に俺は装備を整える。そっちも準備を」

 

ソルジャーはそう言って応接室から出て行き、その様をただ見つめる事しかなかった妖精弓手。

 

「引き受けてくれた…これでよかったけど」

 

「なあに、一人で行くことはないじゃろう」

 

「さよう、先の装備を見る限り、準備も必要であろう」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

女神官達は1階で待っているとソルジャーが応接室から出てきて、それに女神官達がソルジャーの方に駆け寄る。

 

「ソルジャーさん」

 

「何だったんですか?」

 

「依頼だよ、ゴブリンのな。しかも今回は巣が大きい場所だ、明日はそこに向かいゴブリン討伐をする。一緒に来るか?」

 

ソルジャーの誘いに女神官達は互いに顔を見合って、そしてうなづきながらソルジャーの方を見る。

 

「「「行きます!」」」

 

「よし、では明日出発だ。今回は例の三人も同行するから7人となる。準備を怠るなよ、俺は一度武器屋に行く」

 

「えっ?どうしてですか?」

 

女武闘家がそれに問いかけ、それにソルジャーは言う。

 

「ああ、どうも長ものが足りなくてな、ブロードソード一本とナイフ二本じゃあ耐え切れない。その為だよ」

 

そう言ってソルジャーはギルドを出て武器屋に向かうのであった。

 

 



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第6話 準備

今回は短めです


一度ギルドを出て、近くの武器屋に顔を出しに行くソルジャー。

ソルジャーは武器屋の主である『鍛冶職人』に問いかける。

 

「ようおっちゃん、元気してるか?」

 

「ん? お前かソルジャー。珍しいじゃねぇか、お前が此処に来るなんてな。普段は滅多に来ねえのによ」

 

「ああ、武器は手入れをしているから来ないからな。それとおっちゃん、新しい武器が欲しんだ。長ものの、ある?」

 

それに鍛冶職人は目を細めて、ソルジャーの装備を見る。

見る限りソルジャーの背中のロングソードと拳のガントレットがない事に気付く。

 

「なんだ、ぶっ壊れたのか?」

 

「そうなんだ、3年も使ってたらぽっきり折れちゃってな」

 

「フッ、よく長くもったな。あんなオンボロ剣を、まあいい。長ものだな?ちょっと待ってろ」

 

そう言って鍛冶職人は奥に入り、ある物を探し出す。

ガタゴトと物音を立てながら待っていると、奥から鍛冶職人が出てきて、ある剣をソルジャーに見せる。

 

その剣はロングソードより長く、全長130cmくらいはあった。

 

「こいつだ、『バスタードソード』、両手剣としてはよく、片手で振り回せる程の軽さと滅多に折れない強度を持っている。それにお前は少々身体がデカイから丁度いいだろう」

 

鍛冶職人がソルジャーの身体を見て言い、サイズの事を考えて言った。

ソルジャーの身長は180cm以上はあり、でかかった。

 

「ありがとう、ならこれをこれを買うよ」

 

そう言って代金を払い、バスタードソードを取って背中に背負い、バスタードソードを抜いて見る。

持った感覚でソードの感じを確かめ、そして今の自分に完璧に合っている事に実感する。

 

「おう、これは良いな。ロングソードより良い」

 

「喜んでくれて何よりだ。それにしてもお前の今の鎧、随分とくたびれてるな。それも新しくした方がいいと思うぜ」

 

鍛冶職人はソルジャーが着ているプレートアーマーを見て言い、それにソルジャーは頭を横に振る。

 

「いや、こいつは壊れた時に変えるって決めてあるんだ。そん時にまた来るよ」

 

「フッ、そうかい。それじゃあまた来な」

 

「おう。そん時にまた」

 

ソルジャーはそう言って武器屋から出ていき、その様子を片隅で見ていた『丁稚』が出てきて鍛冶職人に問う。

 

「親方、あのソルジャーって人…」

 

「あっ?あいつがどうかしたか」

 

「なんで魔剣を買っていかないんでしょうかね?あんだけ強ければ必要でしょうに」

 

丁稚は強い奴には魔剣が合うと考えているようだが、それを鍛冶職人が鼻で笑う。

 

「はっ、そんなもん、あいつには全く必要ねぇよ。それにあいつ…どうも“隠し玉”があるようだしな」

 

っとその事に丁稚は表情を歪ませ、鍛冶職人は何やらソルジャーの懐に気づいていることがある様子であった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして夜、牧場に戻ったソルジャーは出発の準備の為、荷物に食料と薬を詰めて、装備の確認もする。

準備をしている時に牛飼娘がやって来て、荷物の様子を見る。

 

「すごい荷物だね。遠いところに行くの?」

 

「ああ、どうもエルフの森の近くの遺跡に行くんだ。そこにゴブリンが居るみたいでな」

 

「そっか…、無事に帰ってきてね?」

 

「…ああ。じゃないとお前は“また引きこもってしまう”からな、必ず帰るよ」

 

ソルジャーは牛飼娘の事を心配しながら言う。

話は少し変わるが、ソルジャーと牛飼娘の故郷の村はゴブリンの襲撃により全滅して、その時牛飼娘はこの牧場に手伝いに出ていて無事だった。

 

ソルジャーは大王神から渡されていたマルチツールタブレットを使ってなんとか撃退はしたものの、村は全滅し、その場を去ってて修行に出た。

5年後、この辺境の街に来て、牧場で牛飼娘と再会した。

 

その際に5年間ずっと引きこもっていた彼女はソルジャーがいるおかげで引きこもりから克服している、なのでソルジャーがいるから大丈夫なのだ。

 

「絶対だよ? 約束守ったら…いいことしてあげよっか?」

 

「おっ?それってお前の柔らかい部分に向かってハグしていいって事?」

 

「ふふふ。それは秘密♪」

 

そう言って牛飼娘はその場から去っていき、それにソルジャーは肩を落とすのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

翌日、辺境の街で女神官達の下に行くソルジャー。

 

女神官達はソルジャーがきたのを見て振り向く。

 

「あ!ソルジャーさん!」

 

「皆待ったか、準備はいいか?」

 

「「「はい!」」」

 

その様子を見てソルジャーはうなづいて、妖精弓手達の方を見る。

 

「よし、行こうか」

 

「ええ、そうしましょう」

 

そしてソルジャー達は辺境の街を出発してエルフの森の遺跡へと向かう。

 

ソルジャー達が遺跡に向かっている最中で女魔術師がソルジャーの背中のバスタードソードを見る。

 

「ねえ、それが武器屋で新しく手に入れた物?」

 

「ああそうだ。俺の新しい長物、ロングソードよりいいぞ」

 

「良かったですね。ソルジャーさん」

 

「でもそれより、いつも使っているうるさいのがあるじゃないですか。どうして剣が必要なんです?」

 

「(うっ、そ…それは)」

 

女武闘家の言葉に思わず変な汗が出て来るソルジャー。

その言葉に妖精弓手達が振り向く。

 

「えっ?何の話よそれ」

 

「かみきり丸、うるさいのとはなんじゃ」

 

「小鬼殺し殿は剣は違いものを使っているということですかな?」

 

三人の問いにソルジャーはただうなづく。

 

「ああそうだ、これが俺が遠い敵に使う為の物だ」

 

ソルジャーは妖精弓手達にHK45を見せて、それに妖精弓手は頭をかしげる。

 

「何それ?なんだか弱そうな武器ね。そんなもんより弓使ったほうがいいわよ」

 

「(たくっ…こいつは一言本当に多いな)よしそんなに言うなら見せてやろう。コイツの威力を」

 

そう言ってソルジャーは近くの岩場までやって来て、女神官達と妖精弓手達はそれを見る。

ソルジャーはHK45を取り出して、小さい岩場に向けて10発撃つ。

 

HK45から放たれた45ACP弾がそのまま直進していき、10発岩場に命中して粉々になっていく。

それを見た妖精弓手は思わず目を大きく開かせる。

 

「はぁ!? 何あれ!」

 

「なんという威力じゃ!」

 

「そんなものが存在しているとは、人族も侮れませんな…!」

 

妖精弓手達が驚く中でソルジャーはHK45のマガジンを交換し、マルチツールタブレットで次の物を取り出す。

 

「まだまだこんなもんじゃない、次はこれだ」

 

ソルジャーが取り出したのはショットガンと同じライフル系のもので、連射性能が高いライフル『HK416』を構える。

5.56×45mmNATO弾を使用するアサルトライフル。ショットガンより威力は落ちるがハンドガンよりも貫通性が高く、遠距離が最適なライフルである。

 

 

バババババババババババババババババババ!!!

 

 

HK416から放たれる銃弾が別の岩場に直撃し、あっという間に粉々になっていく。

またしてもその様子を見た妖精弓手達は思わず口を開けてしまい、女神官達はアサルトライフルの威力を見て騒然とする。

 

「またすごいですね」

 

「うん」

 

「彼が使ってるのって魔法なのか錬金なのか分からないわ」

 

女神官達が言っている中で、ソルジャーはマガジンを交換しながら妖精弓手達の方を見る。

 

「どうだ、これがこれらの威力だ」

 

「…あんた!何て危ないもんを使ってるのよ!!」

 

っと怒鳴り声でソルジャーに叫び、それにソルジャーは少々困り果ててしまう。

 

「はっ?なんでだよ」

 

「あんなもん普通の冒険じゃまず使わないわよ!絶対に!!」

 

「(お前…意外と頑固な性格をしているんだな。でもその性格絶対直した方がいいと思うがな)」

 

そんな風に思うソルジャーはHK416をマルチツールタブレットにしまい、銃の威力を見せた後ソルジャー達は再び冒険の旅に向かうのであった。

 

 



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第7話 遺跡で 前編

ソルジャー達が辺境の街を出発してから二日目、エルフの森付近の遺跡まであと一歩の地点でソルジャーは日が暮れているのを見て、足を止めて皆に言う。

 

「今日はここで休もう」

 

「賛成ね」

 

妖精弓手もそれに賛同し、女神官達はすぐに夕食の支度を始める。

ソルジャーも少しばかり手伝おうとしたが。

 

「いえ、ソルジャーさんは休んでいて下さい。私達がやりますので」

 

「それに貴方がやると、なんだか食事が爆発しそうだから」

 

「なんでだよ!?」

 

女魔術師の言葉に思わず愚痴るソルジャー、その様子を妖精弓手は大笑いし、それには鉱人道士と蜥蜴僧侶はなんとも言えなかった。

女神官と女武闘家はそれに苦笑いをしながらも調理をし、スープの準備をする。

 

そんなやり取りが過ぎて行き、夕食の際に妖精弓手がある事を問い出してくる。

 

「そう言えば、皆はどうして冒険者になったの?」

 

「そりゃあ世界中の旨いもん食うに決まっとるじゃろうが」

 

「焼けましたぞ皆の衆」

 

「スープも出来ました」

 

女武闘家がスープをソルジャー達に配り、それをソルジャー達は受け取る。

 

「私は外の世界に憧れて───」

 

「こりゃ旨い!なんじゃこれは!」

 

「って聞きなさいよ!!」

 

妖精弓手が話している最中に焼いたお肉を一足先に鉱人道士を取り、食べて思わず声を上げて、その事に怒鳴った。

それにソルジャーはやれやれとした表情をする。

 

「沼地の獣の肉だ」

 

「ええ~~?沼地~~?」

 

蜥蜴僧侶が提供する肉に思わず引いてしまう妖精弓手、そんな事を気にしない鉱人道士は再び肉を食べる。

 

「沼地か、それにしては苦味も臭みもないの、ピリリと辛口で肉の汁もたまらんわい」

 

「こちらにはない香辛料を使っている故、珍しかろう」

 

「野菜しか食えん兎もどきには分からんじゃろうな」

 

鉱人道士の言葉に妖精弓手は思わずムッとした表情をする、その際にソルジャーは獣の肉を取って食べる。

 

「うん、美味い、懐かしい味だ。山脈の街で食べて以来だ」

 

「小鬼殺し殿。この肉を食べたことがあるのですかな?」

 

蜥蜴僧侶はソルジャーが食べたことある様子を見て問い、それにソルジャーはうなづきながら言う。

 

「ああ、一年前ロックハウンドの討伐に出て行った時に山脈の街で食べたんだ。なかなか美味かったな~」

 

「はっはっは!見ろ耳長の!これがかみきり丸の風景じゃぞ! 小鬼ばかり狩っとらんじゃろうが」

 

「う!うっさいわね!」

 

妖精弓手はその事に怒鳴り、そんな様子を女魔術師は呆れながら乾燥豆のスープを食べる。

女武闘家は妖精弓手に乾燥豆のスープを差し出す。

 

「どうぞ、乾燥豆のスープです」

 

「いただくわ!」

 

乾燥豆のスープを受け取る妖精弓手はそれを食べて、美味しそうな表情をする。

その際に蜥蜴僧侶は自分のことを語る。

 

「拙僧は異端を殺し、位階を高めて竜となる為」

 

「へえ? 竜になる為か。結構すごい目標だな?尊敬するよ」

 

「ありがたきお言葉であります」

 

ソルジャーの言葉にお辞儀する蜥蜴僧侶。

 

「私は武術で多くの人々を救う為に冒険者になりました。でも…最初の冒険で全滅仕掛けましたけどね」

 

「私も同じ、賢者の学院を卒業して冒険者になったのは良いけど、ゴブリンに負けて死にそうになったのを彼が助けてくれた」

 

女武闘家と女魔術師はソルジャーの方を見ながらいい、それには女神官も同じようにうなづく。

その様子を妖精弓手は見て問う。

 

「あんた…、意外な一面持ってるのね」

 

「…お前は一体どんな風に俺を見てるんだ」

 

呆れ顔で妖精弓手を見るソルジャーは肉を食べきり、妖精弓手は知らん顔する。

鉱人道士は話の続きをしようとする。

 

「ほれ、さっきの続きじゃ。娘よ話せ」

 

「あ、はい。私は宗教的にと言いますか…」

 

「冒険に憧れて冒険者になったか?」

 

「あ、はい!」

 

言葉が詰まる女神官にソルジャーが助言しながら問い、その言葉に女神官はうなづく。

 

「最後は俺か。俺は…ある目的の為に冒険者になった」

 

「ある目的?それはなによ」

 

妖精弓手はソルジャーの言葉に問いかけ、それにソルジャーは頭を横に振りながら言う。

 

「それはまだ言えない、俺にも少々秘密があるんでね」

 

「何よそれ~、別にいいじゃないの」

 

「野伏殿、あまり相手側の事情に絡んでいくのはどうかと」

 

「かみきり丸はかみきり丸の目的がある。聞かん方がええじゃろう」

 

鉱人道士と蜥蜴僧侶が止めに入り、妖精弓手は頬を膨らませて機嫌が損ねる。

 

「おいおいそんな機嫌損ねるなよ。お詫びにこれをやるよ」

 

そう言ってソルジャーは荷物から袋を取り出して、そこからチーズを取り出す。

チーズが出てきたのを見て、蜥蜴僧侶は見る。

 

「これはなんですかな?」

 

「チーズだ、牛と羊の乳を発酵させて固めたもの。しかも今年のチーズは出来が良いぞ~、食べて見ろよ」

 

「いいの!じゃあ貸して!切ってあげる」

 

っとあっという間に機嫌が直った妖精弓手、そんな中で鉱人道士は蜥蜴僧侶にチーズを知らない事に驚く。

 

「鱗の、お主チーズを知らんのか?」

 

「拙僧等にとって、獣とは狩るもの。育むものではございません」

 

「な、なるほど…そういうことでしたか」

 

女武闘家はその事に納得し、女魔術師は少々ため息をはく。

そしてチーズを切り、皆に行き渡るように配り、それを少々炙って食べる。

 

「おお~!これはなかなか上物じゃわい!」

 

「おお!!甘露!!甘露!!」

 

「う~ん!美味しい~!」

 

妖精弓手はチーズをとても喜んでおり、女神官達も美味しそうに食べていた。

 

「これ、牧場で作ったものですか?」

 

「ああ、そうだ。旨いだろう?」

 

「はい!」

 

そう言って女神官はチーズを食べて、ソルジャーもチーズの一つを取って食べる。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そんな楽しい時間の中、蜥蜴僧侶はある事を言い出す。

 

「そう言えば拙僧は一つ気になってはいたのだが。小鬼共はどこから来るのだろう、拙僧は地の底に大国があると父祖より教わった」

 

蜥蜴僧侶の言葉に皆が考えていると、女神官がそれに答える。

 

「そうですね…『誰かが何か失敗すると一匹湧いてくる』って言いますね」

 

「なんと!そこに耳長娘を放っておけばうじゃうじゃ増えてくると言う事か!」

 

「まあ!失礼しちゃう!!」

 

鉱人道士の言葉に思わず怒る妖精弓手。

そんな中でソルジャーが。

 

「俺は何者かの手によってだ」

 

っとその言葉に皆はソルジャーの方を見て、ソルジャーはそのまま語り続ける。

 

「ゴブリン達は通常男のみしか生まれてこない、それは大きな謎の一つだ。本来だったらゴブリンは男だけじゃなく女のゴブリンも存在して、そこで密かに暮らしているはずの魔物なんだ」

 

「なんと、そんな小鬼も存在するのか」

 

「でも、なんで女性のゴブリンは存在しないの?」

 

妖精弓手はその事をソルジャーに問うも、ソルジャーもこればかりは知らない。

 

「すまない、流石に俺もそこまでは、ただ一つ言えることがある。飢えてるゴブリンは俺達の常識は全く通用しない上に女を欲しがっているっということだ」

 

そうソルジャーの言葉に女神官、女武闘家、女魔術師の三人はそう心に刻みながら忘れない様にするのであった。

 

 

 

そして翌日、エルフの森の付近にある遺跡へと到着し、その様子をソルジャー達は見ていた。

入り口には二体のゴブリンが居て、見張りに立っていた。

 

「ゴブリンが二体…、見張りの様子って所か…」

 

「ここは私の出番ね」

 

そう言いながら妖精弓手は弓を構えて、矢を放つ。

しかし放たれた矢はあさっての方向に飛んでいき、それに鉱人道士は愚痴る。

 

「おいおいどこに撃っとるんじゃ、全く逸れておるぞ」

 

その事に妖精弓手は口元をにやかせる、矢は方向を変えて、二体のゴブリンの頭部に直撃し、ゴブリンは絶命する。

見事に命中したのを見て、女神官は声を上げる。

 

「すごいです!」

 

「見事だが今のはなんですかな? 魔法の類かね?」

 

「ふふふ、あれはね──」

 

「あれは風向きだ」

 

っとその事にソルジャーが妖精弓手が言おうとした所に割り込むように話だし、それに妖精弓手はムッとした表情をする。

 

「風の流れで撃った方向を変えると言う技量で、熟練した者だけがやれる技だ。まあ丁度左の風が出ていたからな」

 

「あたしの言おうとする台詞を…」

 

「なるほどの~、かみきり丸、お主詳しいの」

 

「ええ、戦士である故に野伏の知恵もあるのですな」

 

鉱人道士と蜥蜴僧侶は詳しいソルジャーの知恵に感心し、ソルジャーは立ち上がりながら言う。

 

「まあ、あらゆる戦闘に対応出来るようにしておかないとな、この世は厳しいんだ」

 

そう言って入り口へと向かう。

 

そして入り口近くで止まり、ソルジャーがある物を取り出す。

 

「お前達、これを吹きかけてくれ」

 

っとソルジャーは取り出した超消臭スプレーを女神官達に渡し、それに女神官達は受け取って自分達の身体に吹きかける。

その様子を妖精弓手は問う。

 

「何しているのよ?」

 

「ゴブリン達は臭いに敏感なんだ。だからこうやって臭いを消すんだ、後でお前も吹きかけて貰え」

 

「ええ?!嫌よ! 何だか匂いそうだもん!」

 

「心配するな、無香臭だから臭わない」

 

そうソルジャーの言葉に妖精弓手はやや半信半疑な状態で女神官に消臭スプレーを吹きかけてもらい、ソルジャー達は遺跡の入り口へと入っていくのであった。

 

 



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第8話 遺跡で 中編

実は僕、ゴブリンスレイヤーの内容を知っているのはアニメとマンガだけなんですよね。

だからアニメ版かマンガ版のルートでどちらに進めようかな?


遺跡内部に入ったソルジャー達は周囲を警戒しながら進み、ソルジャーは進みながら小型の発信機を壁に取り付けて、入口へとルートを確保していた。

そんな中で蜥蜴僧侶は遺跡内部の壁を見る。

 

「拙僧が思うに、この遺跡は神殿だろうか」

 

「この辺は神代の頃に戦争があったそうですから、砦かなにか…その時に人の手によるものだと思いますが…」

 

女神官が壁に触れながら説明し、それに蜥蜴僧侶は呟く。

 

「兵士は去り、代わりに小鬼が褄まう…か、残酷なものですな」

 

「それが人族だ」

 

蜥蜴僧侶が言った言葉にソルジャーが言う。

 

「人は領土を手に入れようと争い、そして勝ち取り、奪われる。その繰り返しの果でこの様な結果となったんだろう」

 

「やれやれ、ヒュームの考えている事は分からんわ。それよりも耳長、いつまで嗅いどるんじゃ」

 

鉱人道士は遺跡に入ってからずっと臭いを嗅いでいる妖精弓手の様子を見て問い、それに顔をあげながら言う。

 

「だって本当に臭いが消えているか分かんないんだもん! もしかしたら消えてなかったりして…!」

 

「あのね。少しは彼を信用したら? あれは確実な物よ、あれで結構助かった場面が多かったのだから」

 

女魔術師の言葉に女武闘家も頷き、それに呆れ顔になる妖精弓手。

 

「はぁ?!本気で信じてるの!?」

 

「当然よ」

 

「あ、あの…ソルジャーさんが使っているあれは本当ですよ。実際に嗅覚の強い魔物を何度か遭遇したことがありますから」

 

「そうだったな。ビックべアーもオオカミよりかなり優れていたな」

 

っとその言葉を聞いた妖精弓手はも言葉が出なかった。

 

そして更に奥に進み、螺旋状の地形に鉱人道士は汗を拭きながら呟く。

 

「しかし地下は慣れとるんじゃが、なんぞ気味悪いのう」

 

「螺旋状になっているみたいね」

 

「塔の様な作りなんでしょうか」

 

「…ゴブリン退治じゃなかったら、この遺跡を調査したかったんだがな」

 

ソルジャーは周りの遺跡の風景を見ながらそう呟き、妖精弓手が更に足を踏み出した途端。

 

「っ!待って!」

 

「ん?どうした…あっ、鳴子か」

 

その事に気付いたソルジャーが問い、それに妖精弓手は言う。

 

「多分…、真新しいから気付いたけど」

 

「小鬼共め、こしゃくな真似をしよる」

 

床に僅かなくぼみに気付いた妖精弓手、鉱人道士が愚痴りながらもゴブリンの奇妙な仕掛けにソルジャーは少しばかり考える。

 

「う~ん…」

 

「どうしましたか?」

 

女神官がソルジャーの様子を見て問い、ソルジャーは女神官の方を見ながら言う。

 

「ここまで来る間、トーテムが見当たらなかったんだ」

 

「「「?」」」

 

妖精弓手達はソルジャーの言った言葉に頭をかしげ、それに女武闘家が補助する形で言う。

 

「つまり、知識力のあるゴブリンシャーマンの事です」

 

「加えて、ここにはシャーマンがいないって事」

 

女魔術師が更に付け加えで言う。

 

「あら、スペルキャスターがいないなら楽じゃない」

 

妖精弓手が思わず喜びの声を上げるが、それをソルジャーは頭を横に振る。

 

「いや、それが返って不気味なんだよ。通常のゴブリンはこの罠を仕掛ける事はできない、精々紐を使った罠程度だ」

 

「つまり指揮する者がおると言う事か」

 

鉱人道士の言葉にソルジャーはうなづきなら言う。

 

「ああ、そう見るべきだな」

 

「なるほど、小鬼殺し殿は以前にも大規模な巣穴を潰したと伺ったが、その時はどの様に?」

 

蜥蜴僧侶の問いにソルジャーは思い出しながら説明する。

 

「う~ん…大抵は奇襲がメインなんだが、水がある所ではそれを使ってアイツ等を溺れさせるって言う手もあった。でも今回はそれは出来ないな」

 

「き、奇襲が主にって…あんた、なんて無茶なことをやってるのよ」

 

妖精弓手は呆れながらもソルジャーの方を見て、ソルジャーは考えながら呟く。

 

「どうも嫌な予感がするな…、少しばかり装備の変更だな」

 

っとそう言ってマルチツールタブレットを取り出し、今持っているHK45の他にデザートイーグルを出し、そしてアサルトライフルで7.62mm×51NATO弾を使う『FN SCAR-H MK17』を取り出す。

その様子に妖精弓手はソルジャーが持っているマルチツールタブレットを見て問う。

 

「ねえ、それ前にも見たけど、一体どういう仕組み? それを使うとそれらが出てくるけど」

 

「ああ、俺の秘密道具の一つだ。万能なほどの」

 

「え? ソルジャーさん。一つって…他にもあるんですか?」

 

女神官の言葉にソルジャーは女神官の方を見ながらうなづく。

 

「ああ、実はもう二つあるんだ。その二つは牧場に置いてある」

 

「まだ他にもあったのね…」

 

女魔術師はその事に呟き、ソルジャーは妖精弓手の方を見ながら言う。

 

「それよりも足跡だ、大体な部分は分かるか?」

 

「洞窟ならともかく、石の床だと分からないわ」

 

「どれどれ…」

 

すると鉱人道士が前に出てきて、床の状態を見たあと左の方を見る。

 

「奴らの寝座は左側じゃな」

 

「それはどう言う事ですか…?」

 

女神官がその理由を問うと鉱人道士は床に指さしながら言う。

 

「床の減り具合じゃな、奴は左から来て、右の入り口に向かっておる」

 

「確かなの?」

 

「なんじゃ耳長の、わしを信用せい」

 

妖精弓手はいまいち信用ならない風に言い、鉱人道士は自信あるように言い、ソルジャー達はその左の方に向かう。

っとその時。

 

 

 

ドクン!

 

 

 

「っ!」

 

ソルジャーは右の方で何かを感じ取り、その右の方に向かう。

それに女神官達はソルジャーの方を見る。

 

「ちょ!どこに行くのよオルクボルグ!」

 

「ソルジャーさん?」

 

「…こっちの方で何かを感じた。またしても嫌な予感がする」

 

っとそう言ってその方向へ進み、女神官達はソルジャーの後を追いかける。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ソルジャー達は右の奥に進むと、その奥に扉があった。

しかもその周辺には奇妙な臭いが充満し、それには女神官達は思わず鼻を押さえる。

 

「な、何このひどい臭い。一体中には何があるのよ」

 

「「「(こ、この臭い)」」」

 

妖精弓手が言っている中で女神官達は何か思い当たり、ソルジャーは覚悟した表情をしてその扉を蹴り破る。

そして蹴り破られた扉から強烈な臭いが漂わせてくる。

 

「な!何ここ!?」

 

「…ゴブリンの汚物溜めだ。特にハイエルフ…気を引き締めろよ」

 

「え、どういう…っ!!」

 

っと妖精弓手が言葉が途中で止まる、それは彼女の目先に、壁に貼り付けで捕らえられているエルフがいたのだ。

 

「……こ、ころ…」

 

それには女神官が驚きを隠せなかった。

 

「これはいかん!」

 

「まだ生きがあるぞ!はよ助けるぞ!」

 

「待て!」

 

ソルジャーが鉱人道士と蜥蜴僧侶を止めて、持っている松明をエルフのすぐ近くまで放り投げる。

するとすぐ近くに潜んでいたゴブリンが出てきて、ソルジャーはブロードソードを抜いて、ゴブリンを切り倒す。

 

ブロードソードをしまい、すぐにソルジャーは皆の方を向く。

 

「リザードマン、彼女を助ける。手伝ってくれ」

 

「心得た!」

 

ソルジャーと蜥蜴僧侶はすぐさま捕らえられているエルフを助け出す。

その際にエルフはソルジャーの服を掴んで、ソルジャーの顔を見ながら言う。

 

「殺して…ゴブリンを、殺して…!!」

 

「…無論だ、そのために来たんだ…」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

一旦扉の外に出たソルジャー達、蜥蜴僧侶が爪3個を床に巻いた後に呪文を唱える。

 

「『イワナの祖たる角のして爪よ、四足、二足、地に立ち駆けよ』」

 

蜥蜴僧侶の奇跡で爪が具現化して、骸骨の竜が誕生する。

 

「父祖より授かった奇跡、《竜牙兵》である」

 

「手紙です、事情をしたためました」

 

女神官が手紙を手渡してきて、それに蜥蜴僧侶は頷き、それを竜牙兵に渡し、そして衰弱しているエルフを抱いて連れ出していく。

 

「頼んだぞ。我が竜牙兵ならば無事に森人の森まで送り届けられるだろう」

 

そんな中で妖精弓手は先ほどの光景が衝撃的だった為、精神的に参っていた。

 

「何なのよ…もぅ、訳わかんない…!」

 

その様子を女武闘家は慰めていて、鉱人道士と女魔術師は見つめるしかなかった。

ソルジャーは少々疲れきった表情をしながら扉から出て来て、鉱人道士はソルジャーの顔を見て問う。

 

「えらく疲れた表情じゃのう」

 

「…何度見ても慣れないものがあってな、いや…慣れたらまずいなこれ」

 

ソルジャーはそう言って妖精弓手の方を見て、少しばかり申し訳なさそうな顔をする。

 

「…すまない、嫌なもん見せて」

 

「うぅ、謝らないで。あんたが悪いわけじゃない…」

 

妖精弓手は涙を拭き取りながら立ち上がる、その際に女魔術師はソルジャーが持っているものに目が行く。

 

「ねえ、それは何?」

 

「さっきのエルフが持っていたものだ、どうも地図の様だけど、残りは分からないが…」

 

「オルクボルグ」

 

ソルジャーが確認している際に妖精弓手が問いかけてくる。

 

「それは私が持つわ…」

 

「大丈夫なのか?」

 

「平気よ。私はレンジャーよ、エルフがあんな事されて黙っていられない。それに白磁の子も居るんだし、へこたれてなんていられない!」

 

その様子を見たソルジャーはしばらく見つめて、うなづく。

 

「分かった。じゃあ頼む」

 

「任せて…、絶対に許さないわよ…ゴブリン!」

 

妖精弓手は先へと進み、その様子見た女神官達は一度ソルジャーの方を見て。ソルジャーはそれに頷き、女神官達は妖精弓手の後を追いかける。

彼女の様子を少しばかり見て、隣にいる鉱人道士に聞く。

 

「彼女、大丈夫だと思うか?」

 

「なあに、耳長のは強いわい。だがそん時はかみきり丸、お主が支えるがよい」

 

「…俺が?」

 

その言葉に思わずソルジャーは目を開かせ、それには蜥蜴僧侶もうなづく。

 

「さよう、小鬼殺し殿。そなたは気遣いが出来る。野伏殿を支えてくれ」

 

二人の言葉にソルジャーは少々参った感じになり、しばらく考えたあとに二人の顔を見ながらうなづくのだった。

 

 

そしてソルジャー達は奥に進むと、広い場所に出てきて、上の階層に居る事に気付く。

 

「ここは…上の階層にあっているみたいだな」

 

「ねえ!」

 

妖精弓手の声にソルジャーはそばにやって来る。

彼女が下に指を指すと、その下を見る。下にはゴブリン達が50体近くいて、偶然にもゴブリン達はまだ寝ていた。

 

「すごい数…!」

 

「大丈夫だ、問題ないよ」

 

「どうしてよ!」

 

「策がある。今から俺がすることをよく見ていてくれよ」

 

そう言ってソルジャーは少しばかりその場を離れていき、その様子を女神官達はただ見つめるしかなかった。

 

 



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第9話 遺跡で 後編

ゴブリン達がぐっすりと眠っている間にソルジャーが気づかれないように近寄り、目に見える先まで来た所でマルチツールタブレットから新たな武器を取り出す。

それは手榴弾の一種であり、毒のガスを発生させる『ポイズンスモークグレネード』である、このポイズンスモークグレネードはほんの僅かな煙を吸っても全神経が麻痺し、更に呼吸困難に陥り、やがて死に至る。

 

ガスの効果は5分ほどでしかないが、50体近くのゴブリン達を蹴散らすには十分な時間である。

 

ソルジャーはポイズンスモークグレネードのピンを抜いて投げ込み、ガスが発生して広がっていき、ゴブリン達は知らず知らずに大量に吸い込んでしまう。

 

するとゴブリン達は突如暴れ始め、もがき苦しみ、そして口から泡を吹き出してそのまま死んでいく。

 

その様子見つめていたソルジャーは少しばかりため息を吐き、5分がたったのを見て、女神官達に来るよう合図を送る。

 

ソルジャーの合図を見た女神官達は下へと降りて行き、ソルジャーの元に向かう。

女神官達がソルジャーの元に着くと、ゴブリン達の身体は全く動かず、既に死んでいる様子が目に映る。

 

妖精弓手はゴブリン達が呆気なく死んでいる様子にソルジャーに問う。

 

「ねえ、一体何をしたのよ」

 

「この毒ガスを撒き散らしたんだ、結構効く毒だ」

 

ソルジャーは妖精弓手にポイズンスモークグレネードを見せて言い、それには妖精弓手は言葉を無くすのだった。

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォン!!!!

 

 

 

 

もの凄い地響きがした事にソルジャーは達は思わず警戒をする。

 

「な!何!?」

 

「いかん!何か来るぞ!下がるんじゃ!」

 

それにはソルジャー達も後退して下がっていく。

すると地響きが徐々に近くなって行くのが分かる。

 

「ふ!ゴブリン共がやけに静かだったと思えば、やはり雑兵には役立たずだったか」

 

そして姿を現すとそこにはホブゴブリンよりも大きい大きなゴブリン…否、ゴブリンとは全く別の魔物が居た。

 

「貴様等…ここを我らの砦を知っての狼藉と見た!」

 

「なんと…!!」

 

「なんて事…こいつが親玉ってわけ…」

 

蜥蜴僧侶と妖精弓手がその魔物の存在を見て驚き、ソルジャーも少しばかり冷や汗をかきながら言う。

 

「みたいだな…、まさかこんな所にいるとは…。オーガ(・・・)!!」

 

ソルジャーが口にした魔物、人食い鬼『オーガ』を見て言い、それにはオーガは目を細める。

 

「グハハハハ!!狼藉共めが…この砦に足を踏み入れた事を後悔させてくれる」

 

オーガは手に持っている巨大な棍棒を肩に乗せ、オーガの存在を見てソルジャーはようやく確信する。

 

「これで納得したぜ、通路の鳴子も捕らえられてなおも凌辱されずに無事だったエルフも皆お前の仕業って事か。そしてゴブリン達は捨て駒の役目か」

 

「ほう?なかなか鋭い人間だ。だが我を見たものは生きて返さん!!」

 

そう言って棍棒を振り下ろし、それには皆はそれを避けていく。

それにはオーガが次の手を打つ。

 

「逃すと思ったか!《カリブン!クルス!クレスクント!》」

 

するとオーガは術を使い、巨大な火の玉《火球》を作り出す。

それには鉱人道士が驚きを隠せない。

 

「ファイアボール!!だがこいつはちょいとデカすぎるぞい!」

 

「散って!」

 

「ダメだ!奴のファイアボールが大きすぎる!逃げられん!!」

 

妖精弓手がそう言った所をソルジャーがすぐに否定し、考える暇がないと思った所で女神官が。

 

「皆さん!私の後ろに!」

 

ソルジャー達はすぐに女神官の後ろへと下がり、女神官は呪文を唱える。

 

「《いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らをどうか大地の御力でお守りください》」

 

そして呪文が唱える同時にオーガのファイアボールが放たれる。

 

「《ヤクタ》」

 

「聖壁!!」

 

女神官のプロテクションがオーガのファイアボールを防ぐ、しかしオーガのファイアボールが強すぎてプロテクションにヒビが入る。

 

「っ!」

 

「脆弱な人間の奇跡が、我が術を止められると思うか!そのまま潰れて焼かれるがいい!」

 

徐々にヒビが広がっていき、それを抑える女神官。

 

「(防ぎきれない…、もっと厚い壁ないと…みんなが…。もっと深く、強く、祈りを…!深く!)《いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らをどうか大地の御力でお守りください》聖壁!!」

 

すると女神官のプロテクションが何重にも展開され、オーガのファイアボールを防ぎ、そしてファイアボールが打ち消され、ソルジャー達は危機を脱した。

女神官は奇跡に体力を使いすぎたのか、倒れそうになった所をソルジャーが受け止める。

 

「よく頑張ったな…」

 

「はぁ…はぁ…はぁ、はい…ありがとうございます…」

 

それにソルジャーは頷き、すぐに女武闘家達に言う。

 

「武闘家!魔術師!神官を連れて下がれ! 後は俺達銀等級に任せろ!」

 

「「は!はい!!」」

 

女武闘家と女魔術師はすぐさま女神官を連れて離れていく。

一方でファイアボールを完全に防がれてしまったオーガは身体中の血管を浮き上がらせて怒りが込み上がる。

 

「小癪な小娘め…!あのエルフの様に楽に生かせると思うなよ! そしてお前たち女たちは新たなゴブリンを増やす為の孕み袋になって貰うぞ!」

 

「生憎だがそれは出来ないぞオーガ」

 

っとソルジャーが背中のバスタードソードを手にして抜き、左手にはSCAR-Hを構えながら言う。

 

「貴様はこの俺が討伐する! そしたら槍使いや重戦士等が喜びそうな土産話になるからな!」

 

「って言っている場合それ!?」

 

妖精弓手がソルジャーの言った言葉に思わずツッコミ、それに怒りが込み上がるオーガ。

 

「貴様…!!我を討伐するだと…!!抜かせ!!!!」

 

怒り任せに棍棒を振り下ろすオーガ、それにソルジャーは避けてSCAR-Hをオーガに向けて打ち込む。

20発の7.62mm弾がオーガの身体に直撃するも、血が飛び散りるだけで全く怯まなかった。

 

「貴様!!」

 

「(7.62mm弾が通用しない、分かってはいたが硬いなあいつ!)」

 

その隙に鉱人道士が呪文を唱える。

 

「《仕事だ仕事だ土精ども、砂粒一粒転がり廻せば石となる》石弾!!」

 

鉱人道士のストーンブラストがオーガに直撃し、それに怯んだかと思いきや、すぐさま反転して鉱人道士に棍棒を振り下ろす。

 

「うぉおおお!!!」

 

すぐさま鉱人道士は逃げて、その隙に妖精弓手が矢を放つ。

妖精弓手が放った矢が、オーガの目に直撃して、それにオーガが怯んでしまう。

 

「ぐあああ!!!己!!」

 

苦しながらも矢を抜き取るオーガ、すると抜かれた目から泡が吹き出し、そしてすぐさま再生する。

 

「嘘!?」

 

妖精弓手はそれを見て驚く。

それを見たソルジャーは思わず目を細める。

 

「再生した…強力な再生能力持っているのか? だとすると通常の攻撃は効かないな。なら」

 

っとソルジャーは隠れながらマルチツールタブレットを取り出し、SCAR-Hを仕舞って、新たな物を取り出す。

取り出したのは『C5爆弾』と言って、C4に変わる未来兵器である。C4よりも非常に強力で、雷管の芯を入れなくても爆破が可能でどこでも張り付く事が出来る爆弾である。

 

それを取って、隙を見て動き出すソルジャー。

 

そして見てもいられない女魔術師はすぐに呪文を唱える。

 

「火矢!!」

 

女魔術師の火矢がオーガの背中に直撃し、オーガの内部に火が通って大ダメージを与えた。

蜥蜴僧侶は刃をオーガに切りつけていくが、分厚い皮膚には全く通らなかった。

 

「(刃が通らぬ…!)」

 

「引け!リザードマン!」

 

するとソルジャーがバスタードソードを構えながら走り、そして切り込んでいきながらオーガの身体にC5を貼り付ける。

そしてまた切り込んでいきながら貼り付けて行く、っとその時。

 

「そこだ!!!!!」

 

オーガの棍棒がソルジャーの行き先に向けて振りかぶり、ソルジャーが来た所に棍棒が真上に来て直撃する。

その際にバスタードソードが飛ばされて、HK45も妖精弓手の近くに落ちる。

 

「ソルジャーさーん!!!!」

 

その光景を見た女神官が叫び、確かな感触にオーガはにやける。

 

っがその時、棍棒が勝手に動き出し、それにはオーガは驚く。

 

「何!?」

 

そして棍棒からソルジャーが棍棒を押し上げながら出て来る。

彼の鎧が粉々になっており、頭から僅かに血が流れている事にイラつきが出て来る。

 

「やれやれ…、お気に入りの鎧が粉々になっちまったぜ。この落とし前…たっぷりと付けてやるぜ!!!」

 

っとソルジャーは一気に棍棒を押して、そして回し蹴りで棍棒を吹き飛ばす。

ソルジャーの底知れぬパワーにオーガは勿論の事、女神官や女武闘家達、そして妖精弓手達も驚きを隠せない。

 

棍棒を吹き飛ばされ、体制を崩すオーガはソルジャーの能力に驚きながら見る。

 

「貴様…!本当に人間か!?」

 

「ああ…人間だよ、もっとも…ちょっとばかし“強化”した人間だ!!」

 

そう、ソルジャーはマルチツールタブレットの中にある強化型注射器を使って身体能力を上げているのだ、大抵の骨も筋力も格段に上昇しており、簡単に倒れはしない。

普段は力を抑えているため、滅多なことにしか使わない。

 

「お返しにこいつを食らわしてやる!」

 

っとソルジャーはあるリモコンを取り出す、それはC5の起爆スイッチであり、そのボタンを押すと、オーガの身体に付いたC5が一斉に爆発し、それにはソルジャーのみならず女神官達もそれには隠れる。

 

そして煙が晴れると、オーガの身体が真っ二つになっており、それにオーガは苦しながら驚きを隠せない。

 

「な!ど!どうなっているのだ!?」

 

「爆薬だよ。ゴージャスのな」

 

ソルジャーはゆっくりと近寄りながらデザートイーグルを抜き、オーガの胴体に乗っかりながらデザートイーグルを構える。

 

「いくら治る再生でも、血を大量に流せばお前は死に至るだろう。その際にこいつをたっぷりと喰らいながら死んでけ」

 

そう言ってバンバンバンバンとデザートイーグルを撃ちまくっていく。

その様子を妖精弓手は口をポカーンと空いたままになり、女神官達は何とも言えない雰囲気になる。

 

オーガはその間に耐え難い苦痛を味わいながら徐々に意識が薄れていく。

 

「ぐぁあああああ!い!いくら我が倒されても。更なる魔神王の幹部やその部下達が貴様等を倒しに行くぞ!!」

 

「そん時はたっぷりと返り討ちにしてやる、地獄でお前は苦しみ悔しながら消えな」

 

ソルジャーは弾倉を新たに変えて、全弾をオーガに食らわせ、オーガは苦しみながら息を引き取り、死んでいくのであった。

 

死んだのを確認したソルジャーはデザートイーグルを下ろし、ホルスターにしまいながら言う。

 

「これは捕らえられ苦しんでいたエルフの分だ。満足していけよ」

 

そう言ってソルジャーは自分のバスタードソードを拾い、皆のもとに行き、ソルジャーは皆の状況を問う。

 

「皆、大丈夫か?」

 

「大丈夫かって…あんたの方が大丈夫なの!?」

 

「小鬼殺し殿、そなたはオーガの攻撃をまともに受けていた。それでもなお無事は不思議でたまりませんな」

 

二人の問いに女神官達も頷き、それにはソルジャーは頬をかきながら言う。

 

「あ~…まあ確かにな。一応皆結構消耗しているかも知れない、今日はこれで引き上げよう」

 

「まあそうじゃのう、皆も疲れとる。一旦引き上げじゃわい」

 

そう言ってソルジャー達は地上へと向かうのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてソルジャー達が遺跡から出てくると、外にはエルフ達が馬車を持って来ていた。

 

「皆さんお疲れ様です! ご無事でなによりでした!」

 

「取り敢えずは討伐しましたが、残っているゴブリンはいるはずです。そこを気をつけてください」

 

「分かりました、後のことはお任せを!」

 

そう言ってソルジャー達は馬車に乗り、街へと目指すのであった。

馬車の中でソルジャーは女神官に頭を包帯で巻いてもらい、横になっている妖精弓手が思い出して起き上がる。

 

「そうだわ、オルクボルグ、これ」

 

っと彼女が出したのはHK45だった、それを見たソルジャーは礼を言う。

 

「ああ、すまない。お前の所に飛んでたか、ありがとう」

 

そう言ってホルスターにしまい、ソルジャーは少しばかり目を閉じる。

妖精弓手はソルジャーの方を見て思う。

 

「(これがオルクボルグの戦い…、とてもじゃないけど無茶すぎるわ…。このまま無茶しなきゃいいんだけれど)」

 

っとそう思いながらも妖精弓手も目を閉じて身体を休める。

 

そんな風に思っていることをソルジャーは知るもしなかった。

 

 




ようやくオーガ編が終わりました。

次は水の街編かロード編かどっちにしよう。

あと感想待ってます


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ロード編
第10話 休日での日々で 前編


今回短めです。

そして最後辺りで楽しいことがwwwww


エルフの森付近での遺跡で、オーガとの戦闘を終えて辺境の街に帰ってきたソルジャー達、エルフの者達は礼を言ったあとに帰っていき、その後にソルジャーが皆に言う。

 

「ええ?三日間休み…ですか?」

 

女神官はソルジャーが言った言葉に頭をかしげ、その事にソルジャーはうなづく。

 

「ああそうだ。今回の依頼で俺は鎧を失ってしまったからな、新しく仕入れる必要がある。修理も考えたがこの際新しくしようと思ってな。そして防具の加工もする必要がある」

 

「加工?」

 

女魔術師がその事に問い、ソルジャーはそれに答える。

 

「そうだ、お前達が今まで見てきた鎧、軽量に見えて結構頑丈な物を入れていたんだ。だが今回の依頼で粉々になってしまったからな、一からのやり直しって所だ」

 

「そうですか、あの鎧…結構頑丈だったんですね? オーガの攻撃で壊れたってことは…」

 

「あれを買って4年、相当ガタが来ていたって事だろうな。それじゃあ俺は少し防具を買いに行くから、これで解散。じゃあな」

 

そう言ってソルジャーは女神官達と別れていく、その様子を妖精弓手は見つめていて、それを鉱人道士が問う。

 

「なんじゃ耳長、なにかみきり丸を見ているんじゃ?」

 

「別に…、何でもないわよ」

 

そう言って妖精弓手はその場から離れていって、受付嬢の元に行くのであった。

鉱人道士は蜥蜴僧侶の方を向いて、手を上げながら「やれやれ」と言い、蜥蜴僧侶は何とも言えない表情をするのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

武器屋へとやってきたソルジャーはすぐに鍛冶職人に声をかける。

 

「ようおっちゃん、いるか?」

 

「あ? ソルジャーか。帰ってきたのか。ん?お前…鎧はどうしたんだ?」

 

鍛冶職人はソルジャーが鎧を着てないことにすぐに気づき、それにソルジャーは頭をかきながら言う。

 

「い、いや~…実は粉々に壊れてしまって」

 

「はぁ?! お前剣を買ってすぐにまた来るってどういう事だ!」

 

「し!仕方ねぇえだろう! 鎧はオーガに壊されてしまったんだからよ!」

 

っとその言葉に鍛冶職人は思わず目を大きく広げる。

 

「何?!オーガだと! お前…なんて奴と戦ってんだ」

 

「仕方ないだろう!? 遺跡にゴブリンだけかと思いきや、まさかオーガまでいるとは思わなかったんだよ」

 

「たくぅ…、最近の冒険はおかしな事ばかりだな。まあいい、それで鎧を修理したいのか?」

 

鍛冶職人はその事を問うと、それにはソルジャーは頭を横に振る。

 

「いや、この際に鎧を新しくしようかなって思ってな、前よりも良い鎧ってある?」

 

「前よりも? ちょっと待ってろ」

 

そう言って奥で鎧を調べてみる、鍛冶職人が何かを見つけてそれを持ってくる。

ソルジャーの前に鎧を持ってくると、その鎧は軽量の鎧とはまた違い、重量感のある鎧で槍使いや重戦士が使っている鎧の中間に位置する鎧であった。

 

「こいつだ、こいつは槍馬鹿のあいつと大剣の野郎が使っている鎧の中間辺りの鎧だ、見た目は重そうだが、軽くてかなりの丈夫だ物だ、これならいいか?」

 

鍛冶職人が渡した鎧を着込むソルジャー、ソルジャーは一度その鎧を着込むと動きを確認し、自分の身体に合うかどうかを確かめていた。

微妙な隙間の感じにどうもしっくり来ない感じのソルジャーだったが、そのことは後で加工すれば問題はない。

 

「これにしようかな、ちょっとの隙間はこっちで加工すれば何とかなると思うから、これいくら?」

 

「金貨8枚だ。本来だった高いんだが今回はちょいとまけてやるよ」

 

「助かる。じゃあな」

 

そう言ってソルジャーは鎧を外して、金を払いってそのまま出て行く。

ソルジャーが出て行くのを見た鍛冶職人はため息をつき、頭を掻きながら呟く。

 

「全く…、本来なら金貨8枚じゃ足りないんだが。まあいいか」

 

そう言って鍛冶職人は工房で温めていた鉄を打ち、自分の仕事をするのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてソルジャーは牧場へと帰ってきて、家に入ると牛飼娘がソルジャーが帰ってきたのを見て振り向く。

 

「お帰り…」

 

「ああ、ただいま。何とか帰ってきたよ」

 

「うん」

 

牛飼娘はソルジャーの様子を見て一安心し、ソルジャーは牛飼娘の変わらない様子を見てうなづく。

そんな中で伯父が居ない事に気付くソルジャー。

 

「あれ?伯父さんは?」

 

「伯父さんは今日と明日、隣町で牧場に必要な物を買い出しに行っててね。帰ってくるのは明日の夕方くらい」

 

「そうか。じゃあ俺とお前だけだな」

 

「うん」

 

っと嬉しそうに言う牛飼娘であった。

 

その日の夜、夕食を食べた後ソルジャーは自分の部屋と行き、部屋に置いてある“二つのタブレット”の一つを取る。

そのタブレットは『ケミストビルダーツールタブレット』と言い、物を隠し部屋の建築をする事が出来る他に、薬品や鎧の強化と強化弾の開発もする事が出来る。

 

ケミストビルダーツールタブレットに付いているペン使って床に光学迷彩隠してある隠し扉を消して、扉を出現させるとその扉を開かせて、階段となっている為降りていく。

 

降りていくと先にまた扉があって、その扉を開けるとそこにはトレーニング機材やサンドバックや射撃場がある訓練場や研究する機材があちらこちらとある『特別部屋』に着く。

ここでソルジャーは日々身体を鍛えており、剣や銃の腕前を上達させているのだ。

 

そしてソルジャーは鎧を研究の台の上に置き、近くにあるスプレーガンを取って鎧に吹きかける。

 

今吹きかけているのは、鎧の金属をより超高密化させて、強度を上げているのだ。そうすることで鎧は粉砕せず、頑丈な状態を維持出来るのだ。

次に着込む際に微妙な隙間を無くす為に、鎧の内側に衝撃吸収のクッションシートを付ける。

 

そうする事で微妙な隙間がなくし、更に強烈な衝撃も無くす事が出来る。流石に僅かな痛みまでは消すことは出来ない。

 

鎧の加工が済ませ、一息付いたソルジャーは剣の状態を見る。

 

バスタードソードの状態は悪くないが、肝心のブロードソードが少しばかりダメージをもらっていて、それに少々悩むソルジャー。

 

「う~ん…ブロードソードの修復は熱を加えて鍛えれば元通りになるけど、切れ味はどうなるんだろう? 今度おっちゃんに聞いてみるか」

 

そう言ってソルジャーは剣をしまい、特別部屋を出る。

 

自分の部屋に戻ってきて、隠し扉をペンで隠す。

するとドアからノックが聞こえてきて、それにソルジャーは振り向く。

 

「どうぞ」

 

「入るね?」

 

すると牛飼娘が部屋に入ってくる、今の牛飼娘の姿は身体にシーツを巻いていて、何も着てない状態だった。

その姿にソルジャーは流石にちょっと興奮する。

 

「ど、どうしたんだそんな格好で…?」

 

「ふふふ、言ったでしょう。無事に帰ってきたらイイ事をしてあげるって、その約束。一緒に寝よう?」

 

「(ま!マジか~~~~!!!)」

 

ソルジャーは内心大喜びしながらすぐに頷き、その日の夜牛飼娘と寝たのであった。

 

 




ソルジャーはちょっとばかしスケベですwww
いい年頃ですからねwww

まあ牛飼娘だけじゃなく、ソルジャーは女神官達も徐々に女性として見ていくつもりです。


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第11話 休日での日々で 中編

ソルジャーが牛飼娘と楽しい夜を過ごしたその翌日、ソルジャーは今日の予定である物を買いに辺境の街に向かおうとする。

それは鎧の他に武器と牧場の道具の手入れを頼む為である。

 

ソルジャーが鎧を着て、武装を身につけて荷物を持って馬に乗ろうとした時に牛飼娘がやって来る。

 

「ねえ、街に行くの?」

 

「ああ、少しの間だけ街に行って、武器や牧場の道具の手入れを頼んでくる。夕暮れまでにはもどるよ」

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

牛飼娘が見送り、ソルジャーは馬で街に向かうのであった。

 

そして街に到着して、道具の手入れの為に道具屋に行って、手入れを頼んだ後、武器屋に足を運ぶためギルドに向かう。

ギルドに入って、ソルジャーが武器屋に向かおうとした際にソルジャーの姿を見かけた槍使いが声をかける。

 

「ようソルジャー、今日どうしたんだ? ほかの連中から休みって聞いたぞ」

 

「武器の手入れの為に来たんだ。この剣が結構痛み始めてな」

 

ブロードソードを見せながら言い、それに納得する槍使い。

 

「ふ~ん、おっ、そういやお前聞いたぞ。オーガとやり合ったんだって?」

 

「ああ、まさか遺跡にオーガが居たとは思わなかった」

 

「お前らなんて奴と戦ったんだよ、羨ましいぜ」

 

「お前がそれを言ったら、良い所ばっかり取るじゃねえか」

 

「同感だな」

 

っと別の男性の声がして、それにソルジャーと槍使いが振り向くと、背中に大剣を背負い、重装備の鎧を身にまとった男『重戦士』がこちらにやって来る。

 

「ようソルジャー」

 

「よっ、久しぶり」

 

ソルジャーと重戦士は拳をぶつけ合いながら言葉を交わし、重戦士は槍使いに向かって言う。

 

「色男、お前はいつも良いとこ取りしているだろう。少しは大目に見たらどうだ」

 

「なんだよ、俺が魔物を狩りまくったら悪いのかよ」

 

「悪いな」

 

「確かに悪い」

 

「二人で言うんじゃねえよ!!」

 

ソルジャーと重戦士の言葉にイラッときた槍使い、その様子を見ていた魔女が微笑みながら見ていて、そのやり取りをジッと見つめいている『女騎士』は何やら不満そうな目で見ていた。

そして重戦士はソルジャーの鎧と背中のバスタードソードを見て問う。

 

「ソルジャー、お前武器と防具を変えたのか?」

 

「ん?おおっ!? お前何時変えたんだよ?!」

 

「昨日、鎧の方はな。バスタードソードは冒険に出る前に買ったものだけどな」

 

「なるほど、前々から気になってはいたが、ようやく変えたか」

 

重戦士は今までの地味な装備だったソルジャーに気になっていた様子で、ようやく変えたことに一安心した様子だった。

 

「まあ、オーガの話はまた今度たっぷりと聞かせてやるよ。俺は武器の手入れに行ってくるわ」

 

そう言ってソルジャーは武器屋へと行き、その様子を槍使いと重戦士は見る。

 

「たっぷりと…ねぇ」

 

「まあ、あいつは話すと言ったら話すだろうさ」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして武器屋へとやって来たソルジャーは鍛冶職人にブロードソードの事を話し、それに鍛冶職人は納得してブロードソードを見る。

 

「なるほどな、こいつを打ち直して欲しいと」

 

「ああ、出来るか?」

 

ソルジャーがその事を話すと鍛冶職人が呆れた目で見てくる。

 

「誰に言っているんだ? 俺に出来ないものはないぞ。まあこいつの手入れに2日掛かるって感じだな、打ち直しに刃の研ぎ直しに…」

 

「頼む、そいつはお気に入りの物なんだ」

 

「だろうな、こんな上物は滅多にないからな。お前が買った時にはボロボロだったが、芯が他とは違ってかなり丈夫なものだったからな」

 

ブロードソードはソルジャーの手に渡ってから多少手入れされ、綺麗な状態になっている。

 

「それじゃあ頼んだ」

 

「任せとけ」

 

ソルジャーが外に出ようとした時、新米トリオ達がソルジャーの姿を見かける。

 

「あっ!ソルジャーさん」

 

「どうしたんですか?ここに来て?」

 

「お前らこそどうした?」

 

「武闘家の武器を見に来たのよ」

 

女魔術師がその事に説明をし、それにソルジャーが女武闘家の方を見る。

 

「武器を見に来たのか?」

 

「はい、実は私…オーガ戦では全く役に立ってなくて…。おまけに武器もないまま終わってしまったので…」

 

「そうか…確かにお前は格闘での戦闘が主だったな。…よし、ならこれだな」

 

っとソルジャーは近くの武器を見て取って、女武闘家の前に見せる。

 

「こいつだ、『ナックルガントレット』と『アーマーブーツ』だ。お前の相性とピッタリなやつだ、これを買うといい」

 

「これを…ですか?」

 

「確かにあんたならこれ、ピッタリかもね」

 

女魔術師がそううなづきながら言い、女武闘家もそれを見ながらうなづいてそれを受け取って向かう。

そしてソルジャーは女神官の方を向いて言う。

 

「それじゃあ俺は寄る所に行って戻る、何かあったら呼んでくれ」

 

「あ、はい!」

 

そう言ってソルジャーは武器屋を出て行き、道具屋に行って道具を受け取り、馬に乗って牧場へと戻っていく。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

牧場へと戻ってきたソルジャーは馬を小屋にいれて家に入ると、丁度伯父が帰っていた所であった。

 

「ああ、君か」

 

「伯父さん、お帰り」

 

「ただいま、君こそおかえり、どこへ行っていたんだ?」

 

「道具の手入れをしに街に行っていたんです。ある程度は戻に戻りました」

 

ソルジャーは道具を伯父に見せ、それに伯父は道具の状態を見てうなづく。

 

「そうか…すまないな」

 

「いえ、構いませんよ」

 

そう伯父に言い、伯父は申し訳なさそうな表情をしながらうなづく。

そして牛飼娘が台所から顔を出してきて、二人が話している様子を見て話す。

 

「ふふふ…、は~い、ご飯が出来たよ~」

 

そう言ってソルジャー達は夕食を食べるのだった。

 

 

そして夜、ソルジャーは外に出て、夜空の月を見上げていた。

 

そんなソルジャーの元に伯父が寄ってくる。

 

「少しいいかね?」

 

「はい?何でしょう?」

 

ソルジャーは伯父の方を向き、伯父は少々言いづらそうな表情をしていて、そして言う。

 

「君は…いつまで冒険者を続けるつもりなのかね?」

 

「……」

 

「君はゴブリンに、古里を滅ぼされたにも関わらず復讐心を抱かず、前を向いて行っている。それについては私は誇らしいんだ、出来ればあの子と一緒に居て、結ばれて欲しいんだ…、それについてどう考えているんだい?」

 

その事を伯父に言われたソルジャーは少しばかり考えながらも言う。

 

「それは…勿論考えていますよ。あいつと一緒にいると楽しいですし、ですが俺にはまだやらなきゃいけない事があるんですよ。それは大事なことで…絶対に必要な事なんです。それまでは冒険者はまだ辞めるつもりはありません」

 

「…そうか、分かった。ではその時が終えたら考えてくれるんだね?」

 

「はい。勿論です」

 

伯父はそれにうなづいて家へと戻っていき、ソルジャーはまた夜空の月を見上げるのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして天から見ている大王神は今の世界を見て、何かしらと不満な目線で見て、考えていた。

 

「(…まだ現れぬか、一体いつ…っ!)」

 

すると何かを感じ取り、大王神は今の世界を見る。すると怪しげな黒い光が地上へと落下していき、それを見た大王神は考える。

 

「(もしや…あれが…)」

 

っとその予感は余りにも的中であり、嫌な予感でもあったのだ。

 

 



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第12話 休日での日々で 後編

深い眠りの中で、ソルジャーの頭の中に誰かが話しかけて来た。

その声はとても奥深い男性の声だった。

 

『……者よ、…若者よ、起きるのだ…若者よ』

 

「……ぅ、ぅう~ん」

 

その言葉に目が覚めるソルジャーは目を開けると、目の前に白い空間が広がっていて、その光景を見る。

しかもその光景はかつてソルジャーが異世界に転生する際に居た場所でもあったのだ。

 

「ここは…確か」

 

『目が覚めたか…若者よ』

 

聞き覚えのある声が後ろからして、ソルジャーは後ろを振り向くと、そこには杖を持った大王神が居た。

 

「大王神…!」

 

『久しぶりだ…若者よ。よく聞くのだ…若者よ…、昨夜…邪悪なる脅威がその世界に降り立った…、その脅威は以前我が話したもの…。遂にその時が来たのだ』

 

「っ! ついに来たのか…」

 

『若者…いや、ソルジャーよ…その脅威はいつ現れてもおかしくはない。その時の為に備えておくがいい』

 

「ああ!分かった!」

 

ソルジャーはその事に頷き、それに大王神は見てうなづいた。

 

『頼むぞ、そうだ…その時の為にこれを渡しておこう」

 

すると大王神の目の前にある物が現れ、ソルジャーの前に送られる。

それは剣の刃がない柄と鍔しかなかった剣のものであった。

 

それにソルジャーは取ると、鍔の先から青く光り輝く光の剣が現れる。

 

ソルジャーは思わず目が釘付けとなる。

 

「これは…」

 

『それは《ビームセイバー》、外側の脅威を打ち破る為の聖なる剣、聖剣の似たものだと言うものだ』

 

「聖剣に似たもの…」

 

『それを上手く使い、邪悪なる脅威を打ち払うのだ!』

 

そう言って大王神は消えて行き、ソルジャーが思わず手を伸ばすも、意識が薄れていき、目を閉じるのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ソルジャーが目を覚ますと、自分の寝室のベッドで寝ていた。

身体を起こして周りを見渡す。

 

「夢か…? ん?」

 

ソルジャーが右手に何か握っている物に気が付く、それをみると右手に大王神から与えられたビームセイバーが握られていた。

 

「これは…、夢じゃなかった」

 

ソルジャーはビームセイバーを見つめて、そして窓を開けると、夜明け前の日差しが出始めていた。

その夜明けの空を見つめるソルジャー。

 

「ついに…来るか」

 

この日はギルドには顔を出さずに、牧場で馬の蹄鉄の様子を見て、手入れをするのであった。

 

 

 

そして三日目の日、牧場の見回りをして、皆と一緒に朝食を終えた後に牛乳とお肉、そしてチーズを荷車に載せて辺境の街へと運ぶ。

 

街に向かう際に牛飼娘がある物を見つける。

 

「あっ!ちょっと待って!」

 

っと牛飼娘が道から外れて、近くの林に向かう。

それにソルジャーは馬を止めてその様子を見つめると、牛飼娘が少し汚れた子犬を見つけた。

 

「ねえ、この犬牧場に連れて帰ってもいいかな?」

 

「ワン!」

 

「う~ん…そればかりは伯父さんに聞いてみないと分からないな。俺だけで決める事は出来ない」

 

「そっか…、うん、分かった。帰ったら伯父さんに聞いてみるね」

 

そう言って牛飼娘は子犬を撫でながら言い、子犬は尾っぽを大きく振りながら牛飼娘の顔をペロペロと舐める。

ソルジャーはやれやれとした表情をし、ソルジャーと牛飼娘は子犬を荷車に載せた後に街に向かうのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ギルドに到着したソルジャーと牛飼娘、その間に牛飼娘が手続きをしている間にソルジャーが荷物を降ろして、ギルドに運んでいる。

するとそこへ妖精弓手達と自由騎士達がやって来る。

 

「オルクボルグ」

 

「かみきり丸、もう休みは終わったんか?」

 

「ああそうだけど、今日は牧場の荷物を届けた後、ちょっとギルドのクエストの様子を見て、依頼が無かったら帰ろうかなって」

 

「そうですか」

 

自由騎士はその事に納得する、だが実際は違う。近い内にやって来る脅威の為に備えをする必要がある、その為の準備だった。

その間にソルジャーが荷物を降ろしていると蜥蜴僧侶が何やら言葉を詰まらせながら問う。

 

「こ、小鬼殺し殿。実は…その…」

 

「何?言いたいことがあるならはっきりと言ったらどうだ。リザードマン」

 

「し、失礼、拙僧は…あれが貰いたくて」

 

「あれ?」

 

その事にソルジャーは頭をかしげる。

どうも言葉が言い足りない事に妖精弓手と鉱人道士が言う。

 

「鱗のはチーズが欲しいんじゃよ、かみきり丸」

 

「あれ以来ずっとチーズ、チーズってばっかり言ってね」

 

「っ~~~~…」

 

恥ずかしそうに照れる蜥蜴僧侶に圃人野伏はありえない目線で見ていた。

それに納得したソルジャーは荷車からチーズを取り出す。

 

「ほれ、サービスであげるよ」

 

「おお~!かたじけない!」

 

大喜びする蜥蜴僧侶はチーズをまるかじりして食べ、その様子に鉱人道士は呆れながら見て、只人僧侶は微笑みながら見る。

そんな中で森人魔術師はソルジャーの元に近寄る。

 

「ソルジャーさん、ハイエルフから話は聞きました。私の同郷のエルフを助けていただいてありがとうございます。そして故郷も救って頂いて下さって…」

 

そう言って森人魔術師は頭を下げる。それにソルジャーは言う。

 

「ああ、その事か。気にするな、俺達は依頼をこなしただけだ」

 

それに森人魔術師は再び頭を下げて、ソルジャーは手を横に振りながら少々困り果てる。

そして妖精弓手が。

 

「お、オルクボルグ…」

 

「ん?」

 

ソルジャーは妖精弓手が何やら言いたそうな表情をしていて、それにはソルジャーは妖精弓手の方を見る。

 

「どうした?」

 

「じ、実はね…私達、遺跡の調査をやっているの」

 

「へ~?遺跡の調査か。それで?」

 

「それでね…、どうも前衛の戦士が必要だから…、その…」

 

どうも遺跡の調査って事じゃなく。冒険のお誘いだと言う事に気付くソルジャーは笑みを浮かばせながら言う。

 

「OK、お前の言いたい事が分かった。今度の冒険、一緒に行ってもいいぞ」

 

「っ!本当! 絶対だからね!」

 

っと嬉しそうにその場から離れていく妖精弓手。

そんな妖精弓手の感じを鉱人道士と圃人野伏は呆れながら言う。

 

「全く耳長娘も難儀な奴じゃなぁ。素直に誘えばよかろうに」

 

「ホ~ント、私達でも素直に言うと思うよ」

 

「だ!黙りなさい!!!」

 

っと小石を投げる妖精弓手、それに鉱人道士と圃人野伏は思わず避ける。

 

「いい加減にしなさい!ドワーフにレーア! 二人共射抜くわよ!!」

 

「甘露~~~!」

 

蜥蜴僧侶はチーズの美味さに感激する。

そんな感じにソルジャーは荷物を全て下ろした後、ギルドのクエストボードに向かう。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

クエストボードを見に来たソルジャーは現在に依頼を見てみる。

 

今のところ何もない状態で、ゴブリンの依頼も一枚もない。

他の冒険者達が受け持っている状態にソルジャーは頭をかく。

 

「う~ん、この三日もないとは意外過ぎるなおい…、まあ他の冒険者達が受けているのは確かだけど」

 

「ソルジャーさん!」

 

っと聞き覚えのある声がして、その方向をみると女神官達がやって来て、ソルジャーの前にやって来て首の認識票を見せる。

彼女達の認識票が白磁から黒曜に変わっているのが分かる。

 

「へぇ~、10位から9位に昇格したか」

 

「はい!実は昨日無事に昇級しました!」

 

「やはりオーガ戦が大きく影響あったみたいです」

 

「これも全て貴方のおかげね」

 

そう言って女神官達はソルジャーに頭を下げて礼を言い、それには少々困り果てるソルジャー。

 

「参ったな…、そんな風にされるとちょっと困る」

 

「困る必要ないですよソルジャーさん」

 

「そうです。私達は貴方に助けられた日からここまで来れたのです」

 

「少しは胸を張ったらどう?」

 

その言葉を聞いたソルジャーは少しばかり戸惑っていた。

まさか三人トリオからそんな言葉が出てくるとは思わなかった、でもそれだけ嬉しい感じもする。

 

 

 

 

そしてソルジャーが牛飼娘の所に戻ろうとすると、近くの広場で重戦士が新米戦士と自分のパーティーメンバーである少年斥候に稽古を付けていた。

重戦士が大剣で二人を吹き飛ばして、大剣を肩にのせる。

 

「そらどうした! そんなんじゃゴブリンだって殺せねえぞ!!」

 

「くっそ!まだまだー!!」

 

新米戦士と少年斥候は立ち上がって重戦士に立ち向かっていく。

その様子を見ているソルジャーは重戦士の稽古の様子に少々呆れる。

 

「やれやれ、あいつの稽古は熱いな」

 

「それだけ熱心にしているという事ですよ」

 

っと後ろから声が聞こえて、振り向くと受付嬢がやって来る。

 

「こんにちはソルジャーさん、荷下ろしご苦労様です」

 

「やあ」

 

受付嬢がソルジャーの隣に来ると、重戦士達の稽古を見てある事を言う。

 

「実は最近ああいう稽古を専門をやる訓練所を建てようと言う動きがあるんですよ、新人は何も知らない事が多いので、引退した冒険者を雇って戦い方や冒険の知識を教える風にするみたいです」

 

「なるほど~…(確かにそうだな…、神官達も何も知らないまま冒険者になったと言うし、俺が教えてやったから何とかなっているけど)」

 

ソルジャーはその事を聞いて重戦士達の稽古を見て思い、受付嬢はソルジャーに言う。

 

「ソルジャーさんもどうですか? 貴方は今いるパーティーのあの子達の様に教える側になっては?」

 

「う~ん…、ちょっと考えとく」

 

っとそう言ってソルジャーは牛飼娘の所に戻って、牧場に戻るのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてその日の夜、ソルジャーは特別部屋でトレーニングを行っていた。

 

トレーニング機材で自分の世界ににあったベンチプレスやデットリフト、バーベルスクワットを行い、筋トレをして、銃の射撃訓練をする。

ハンドガンやアサルトライフル、そしてショットガンの訓練を終えた後、特別部屋を出て夜空の月を見る。

 

そこに牛飼娘がやって来る。

 

「となりいい?」

 

「ん? ああ、いいぞ」

 

牛飼娘が隣に来て、一緒に夜空の月を見上げる。

その時牛飼娘が言ってくる。

 

「ねえ、昨日伯父さんと何を話してたの?」

 

「え?あ、ああ…、ちょっとな」

 

昨夜の事を聞かれたソルジャーは言いづらそうにしながら誤魔化し、それに牛飼娘は少し諦めたかの様な感じで言う。

 

「別にいいよ。…ねえ」

 

「どうした?」

 

「……ううん、何でもない」

 

そう言って牛飼娘は再び夜空の月を見て、それにソルジャーは少々頭をかしげ、共に夜空の月を見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

そして……その付近の森で怪しげな影が動いていた。

 




活動報告に少しばかり報告があります。

ちょっとここでは書けないので。


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第13話 備えの為に

早朝、牧場で一足先に起きたソルジャーが牧場の周りを見回りをしている。

その際に、昨日牛飼娘が拾って連れてきた子犬も一緒に付いて来ている。

 

「ワンワン!」

 

「良かったなお前、昨日伯父さんに飼ってもらうの許してもらえて、まあお前の餌代は俺が稼がなきゃいけないけど」

 

昨夜、牛飼娘が伯父に子犬も事を相談した所、飼ってもらえる事を許してもらえた為、この牧場で住むことになった、当然この子犬は後に番犬として活躍する事になるであろう。

当然ながら餌代はソルジャーが冒険で稼がなきゃいけないことになってしまった。

 

その事を思い出すとソルジャーは思わずため息をついてしまう。

 

「ッ!ワンワン!!ワンワン!!」

 

すると子犬が突如吠え出して、どこかに向かって走り出す。

それにソルジャーはその子犬を見る。

 

「ん?どうした?」

 

すぐさま子犬の後を追いかけるソルジャー、子犬が向かった先は近くにある林であり、そこに止まって再び吠え始める。

 

「ワンワン!!ワンワン!!」

 

「どうしたんだ……っ!」

 

ソルジャーは草を除けた瞬間、言葉が失ってしまった。

なぜならと言うと、柵の先には無数の足跡…ゴブリンの足跡が大量に残されていたのだ。

 

そして林の先に何やら人の形をした足がうっすらと見えていて、それにソルジャーは目を細め、ホルスターにある『M9ピストル』を取る。

バスタードソードは家に置いたままで、ブロードソードはまだ取りに行っていない為ここにはない。

 

その為、身近にある銃で、護身用としてM9ピストルを選んでいる。

 

構えながら前進し、その人影の元に近寄る。

するとその場所にいたのは人ではなく、ゴブリンの死体であった。

 

「これは…」

 

ソルジャーがゴブリンの死体を調べると、胴体の半分が酷くえぐられていて、内蔵もバラバラになっている。

 

その様子を見てソルジャーは辺りを見渡す、するとすぐ近くに何かあり、それにソルジャーは調べに行く。

何かがある所には落し物らしき物を拾い、それを見るソルジャー。

 

「これは…宝玉? いや、今はこんな事をしている場合じゃない。急いであいつに知らせないと」

 

ソルジャーがその宝玉を見てつぶやき、その謎を抱えたまま子犬を連れて急ぎ牧場へと戻った。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

一方牧場の方では、牛飼娘が機嫌良く朝食を作っていて、ソルジャーの帰りを待っていた。

 

そしてソルジャーが帰ってきて、牛飼娘が彼が戻ってきたのに気づいて振り向く。

 

「あっ、お帰り、今ご飯作って──」

 

「緊急事態だ。今すぐ街に避難しろ」

 

っと突如避難を言ってくるソルジャーに牛飼娘は突然混乱する。

 

「え?何…? 一体どうしたの?」

 

「この付近にゴブリンの痕跡が確認した」

 

ゾッ!!

 

すると牛飼娘がその言葉を聞いた途端、身体が震えだし、その事を聞く。

 

「ご、ゴブリン…?本当に?」

 

「ああ、今確認して来た所だ、しかも大勢のな。もしかしたら街にいる冒険者か、女たちを狙っているに違いない。その為にここを砦にして、攻め込む気だろう、これを指揮しているのは『ゴブリンロード』だろう」

 

「そ、そんな…。で、でも君なら何とか出来るでしょう?」

 

牛飼娘はソルジャーが全て対処してくれるだろうと思っている。

っがしかし…。

 

「全ては無理だ。俺は魔物の数なら30か40くらいなら対処出来る、だがゴブリンの数は無数だ、何十体居るかわからない、それを考えるとお前がここにいるのは危険だ」

 

いくら身体を強化しているソルジャーでも、一人だけで何十体もいるゴブリンを対象するのは無理がある。

それを聞いた牛飼娘は…。

 

「…そっか、…分かった。私もここに残る」

 

「え? ちょ、待て。言っている意味分かってるのか?」

 

「うん、勿論分かってるよ」

 

「なら───」

 

「だからだよ」

 

っとその事に思わず言葉が止まるソルジャー、牛飼娘は身体を震えながらソルジャーの法を見て言う。

 

「もしここを失ったら…君が帰ってくる所が無くなっちゃう…。私だけ逃げても…きっとダメになっちゃう…」

 

目に涙を溢れさせて、それにはソルジャーは少しばかり考え、そして外に出ようとする。

その際に牛飼娘に言う。

 

「…泣かないでくれよ。お前の居場所は…俺が守る。それに俺の居場所は…お前の近くだ」

 

牛飼娘はその言葉に目を開き、そう言ってソルジャーは外に出ていき、牛飼娘は涙を拭き取る。

 

 

そして外に出て、伯父が少々考えているところにソルジャーが来る。

 

「…すいません、伯父さん」

 

「…いいんだよ、後…あの子を悲しませない様にゴブリン退治の事を考えてくれるかい?」

 

「はい、勿論です。すいませんが俺はギルドに向かいます」

 

ソルジャーは一度自分の馬の所に行き、そして“ある宝箱”を馬車に載せてギルドへと向かうのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてソルジャーはギルドに着いて、宝箱を持ってギルドに入る。

ギルドには槍使いたちが居て、そこで酒を飲んでいた。

 

そこにソルジャーが近付いて来て、槍使いが気付く。

 

「ん?ソルジャー?どうしたんだよ?」

 

「すまない皆、聞いて欲しいんだ」

 

っとその言葉にそこにいる冒険者たちは振り向く。

そして女神官達や妖精弓手達、そして自由騎士達もそれに振り向いてソルジャーの方を見る。

 

「実は俺の居る牧場で大変なことが起きたんだ」

 

ソルジャーは皆に解りやすく説明する、牧場付近にゴブリンの痕跡があり、それを指揮してるのはゴブリンロード、そしてその目的は此処である事を言い、それには皆は驚きを隠せない。

説明し終えたソルジャーは皆に説得をする。

 

「皆、どうか牧場とこの街を護るために力を貸してもらいたんだ。これは俺の依頼だ、当然その報酬はある」

 

ソルジャーは近くにある宝箱の箱を開ける。

 

中に入っているのは純度の宝玉よりも高い『プラチナクリスタル』が大量にあり、それに他の冒険者は思わず立ち上がる。

 

「う!嘘だろう!?」

 

「すっげぇプラチナクリスタルだ!! そこら辺では滅多に見つからないものだ!」

 

「流石ソルジャー! 並の冒険者じゃなねぇな!」

 

その事に他の冒険者はソルジャーの報酬を見て喜びの声をあげる、っがしかし中には…。

 

「ケッ!いくらその報酬を出したとしても、今更ゴブリン退治をしろだなんてゴメンだね!」

 

「そうだ!俺達はもっとすげぇえ冒険をする為に来たんだ!」

 

「大体ゴブリン達は新米の白磁がすることだろう、俺達のする事じゃねぇえ」

 

ゴブリン退治を反対する者も多く、それには近くにいた女神官達が思わず声を上げようとした。

っがその時。

 

「誰が白磁の専門だと言った?」

 

ソルジャーがその言葉に対して思わずその者達に向かって言い、それにはその冒険者達は思わず身体がビクつく。

 

「ゴブリン退治が白磁の専門だと誰が言ったんだ? ゴブリン退治はどの階級でもやるものだ。大体白磁のランクはジャイアントラットやジャイアントローチしか討伐しか出来ない、いやそれしかないんだよ。

それを白磁だけとか言うなよ、それに白磁の新米達は何も知らないまま冒険者になっているんだ。俺は何も知らないままそいつ等が死んで行くのは真っ平御免だからゴブリン退治を引き受けるんだよ。二度と白磁の専門とか言うな…!」

 

ソルジャーの鋭い目線にその冒険者達は腰が抜けてしまって倒れ込んでしまう。

 

槍使いは頭をカリカリしながら、ソルジャーの肩を叩く。

 

「おいおい、そんな言い方すんなよ、まあお前の言っている事はわからなくもねえよ。まっ、お前には散々俺の頼みも聞いてくれた時もあったからな」

 

そして槍使いはソルジャーの鎧に拳をぶつけながら言う。

 

「仕方ねぇえ、受けてやるよ。あと追加報酬として何か奢れ」

 

「槍使い…」

 

「ゴブリン退治を引き受けてやるんだ。そのくらいのことはしろよ」

 

「…すまない、ありがとう」

 

「やめろって! なんか照れ癖だろうが!」

 

素直に頭を下げるソルジャーに対応に恥ずかしがる槍使い。そんな槍使いについていく者も。

 

「私も、行くわ、よ」

 

魔女も槍使いに向かって言い、それに槍使いは頭をかく。

 

「私もやるわよ!」

 

すると二回から降りてくる妖精弓手がやって来て、ソルジャーに向けて指をさす。

 

「私もそのゴブリン退治、引き受けてあげる。その報酬として私の冒険に付き合うことよ!」

 

「あれ?この前のあれはどうした?」

 

既に冒険の約束をしているはずなのに、また冒険をする為に報酬を頼むのはちょっと頭をかしげるソルジャー。

それに妖精弓手は慌てていう。

 

「っ!こ!細かいことはいいの!! いい?これは私の報酬!分かった!?」

 

「(ははは…やれやれ)」

 

その事に頭を抱えるソルジャー、そして同じように鉱人道士と蜥蜴僧侶も降りてきて言う。

 

「ワシは美味い酒でも願おうかのうかみきり丸」

 

「拙僧は小鬼殺し殿の牧場が作っているチーズを貰いたい、それが拙僧の頼みである」

 

「なるほど」

 

「私たちもやります!」

 

すると自由騎士達が名乗り出してきて、自由騎士がソルジャーに言う。

 

「助けられた借りを返すには絶好に機会です! 絶対にお役に立ちます!」

 

それには只人僧侶達も同じように頷き、それにソルジャーは胸が熱くなる。

 

「皆さーん!ギルドからも依頼があります!ゴブリン一匹付き、金貨一枚の懸賞金を出します!」

 

すると受付嬢が依頼表を持って来て、その依頼報酬に皆は思わず飛び込む。

 

「何!!金貨一枚だって!」

 

「すげぇえ!プラチナクリスタルだけじゃなく金貨一枚も入るのか!」

 

「おっしゃ!!こんだけ報酬があるならやるぜ!!」

 

プラチナクリスタルと金貨一枚が同時に手に入る事でやる気が出て来る冒険者達。

そしてソルジャーに言われて腰を抜かした冒険者達はそれにやけくそになりながらも立ち上がる。

 

「ああ~くそ!わかったよ!やりゃあいいんだろうやりゃあ!!」

 

「ゴブリン退治!やってやる~!」

 

嫌々ながらもゴブリン退治を引き受けてくれた様子にソルジャーは心の底から感謝しきれない。

その様子を見ていた女神官達はソルジャーの側にやって来る。

 

「良かったですねソルジャーさん」

 

「ゴブリン退治、引き受けて下さって」

 

「それで、貴方はゴブリンをどうやって退治するつもり?」

 

三人からの質問にソルジャーは言う。

 

「考えはある。だが少しばかりこっちも準備がある」

 

っとそう言ってソルジャーは少しばかり武器屋に行き、それに女神官達は見届けるのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ソルジャーは武器屋でブロードソードを受け取った後、防衛の為に牧場に戻り、そして特別部屋である弾を作る。

 

フルメタルジャケット弾に更なるコーティングを施し、更に弾頭に超合金並の金属を足して、貫通力を増す。

 

「よしこれなら万が一に備えて大丈夫だろう。後は…」

 

ソルジャーはマルチツールタブレットに保管しているビームセイバーを取り出す。

一度試し斬りを行わければ行けない、どれほどの力を見てみなければいけない。

 

ビームセイバーを構え、青い刃を展開させ、床から出てくる丸太に向かって切りつけていく。

 

 

ズバッ!!!!!

 

 

ビームセイバーに斬られた丸太は綺麗に斬られて落ちる、しかも焼けた所もなく、不思議なくらいだった。

 

「なるほど…、大王神から貰ったこれは相当なものだな。よし、このくらいにして防衛の準備をしなきゃな」

 

そう言ってソルジャーは特別部屋を出て、既に槍使い達が来ていて防衛の準備をしてくれていた。

ソルジャーもそれに加わって、すぐさま防衛の準備をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてゴブリンの大軍隊が徐々に押し寄せてくる。

 

その際にゴブリンロードの他に“別の存在”が居ることも、後に明らかとなる。

 



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第14話 脅威 前編

牧場付近にゴブリンロードが率いるゴブリン達が迫って来て、ソルジャーに皆に防衛にしてくれる様、説得する形の依頼を頼み。

それに皆は引き受けて、現在最終確認の途中である。

 

ソルジャーは必要な物を置き、残りは物陰に隠す。

 

辺りを見渡すと、皆が迅速に行動してくれて、本当に助かっていた。

ソルジャーが少し一安心していると、そこに重戦士が来る。

 

「おいソルジャー、こっちに来てくれ」

 

「ん。どうした?」

 

呼ばれたソルジャーは重戦士の元に行き、重戦士は「こっち来い」と合図を送りながら歩き出し、それにソルジャーはついていく。

重戦士の元に付いていった先には槍使いとソルジャーと重戦士、そして槍使いと並ぶ筋骨隆々の女冒険者『女戦士』が居て、そこには新人冒険者たちがその場に並んでいた。

 

その様子にソルジャーは重戦士に問う。

 

「何なんだこれは?」

 

「まだこいつらはゴブリンのことをよく知らなん連中だ。生意気なガキ達にゴブリンがどんなものか教えてやってくれ」

 

「あたしらはあんたほど詳しくないからね。頼んだよ」

 

「頼むぜ」

 

三人に頼まれたソルジャーは少しばかりため息を付き、そして新人冒険者たちの前に来る。

そしてソルジャーは新人達にある事を話す。

 

「昔…、ゴブリンなんて最弱な生き物だと…そう教えられてきた者達がいた、ゴブリンは馬鹿だ腑抜けだと…そう言って挑んだものたちは…帰ってこなかった。皆……ゴブリンによって殺された。

ゴブリンは馬鹿だが意外と腑抜けじゃないんだ。残虐で殺意むき出しの魔物だ、油断すれば速攻取り囲まれ殺される…男はな、女たちは捕まり、そしてゴブリン達によって凌辱され、ゴブリン達の孕み袋とされる。それが結果だ」

 

っとその話を聞いた新人冒険者達は一気に表情を青ざめていき、近くで聞いている槍使い達は何とも言えない表情をしながら見ていて、近くで作業していた女神官達がそれを耳にして立ち止まって聞く。

 

「それで何人もの新人冒険者達は辞めていき、死んでいった…、ゴブリン退治は新人向けとは大違いだ、実際は青玉等級か鋼鉄等級位の難易度だ、お前達はもっと経験を積み…高見を目指せ。

お前達はまだ若い、もっと上を伸ばせる! この討伐を終えたらもっと過酷な試練が待っている! ここでダメだと思ったら仲間を頼れ!仲間こそがお前達新人達の今の強さだ! 仲間を信じられない奴は冒険者をやめろ!信じられな者は死を意味する!

決して仲間を見捨てるな!見捨てた者は人間だけじゃない!ゴブリン以下のクズだ! お前達!分かったか!!」

 

「「「「はい!!!」」」」

 

「お前達!!分かったのか!!!」

 

「「「「「はい!!!!!」」」」」

 

新人冒険者達はソルジャーの気迫にのまれながらも力強く返事を返し、皆の士気が一気に高まった。

 

「よし!!ゴブリン達に一体誰に戦いを挑んできたのか思い知らせてやれ! 奴らはすぐに来るぞ!準備しろ!」

 

『『『『『『はい!!!!』』』』』』

 

掛け声に新人冒険者達はすぐに準備を始めて出して、武器の確認や仲間達の連携を確かめる。

その様子を見てソルジャーは槍使い達の方をみると、槍使い達はただ唖然とした表情をしており、それにソルジャーは問う。

 

「…なんだ?」

 

「お前…国王軍かよ?」

 

「いや、まるで軍事教官だぞ?」

 

「あたし、思わず笑いを堪えてたよ」

 

槍使い達の言葉にソルジャーは頭をかきながら少々困った感じになった。

 

そしてその様子を女神官達は見ていて、思った。

 

「仲間を信じろ…」

 

「なんか…感激した感じ」

 

「あの人、普段はあんな事言わないのに。思い切った事を言ってきたわね」

 

ソルジャーの普段見せない姿に女神官達は心に強い影響を感じ、そして今回のゴブリン退治に意気込みを強めていく。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして夜中、林の奥で無数のゴブリン達が集まっていて、そして大岩の上にホブより小さいが一回り大きい『ゴブリンロード』が立って、ゴブリン達を率いて集めさせる。

 

《皆の者!この先の街に冒険者達が居る、我らの故郷(すあな)を襲い!殺し!全てを奪った!今度は我らが奴らの住処へ攻め込み、思い知らせるのだ!

 

皆殺しだ!!

 

生きたまま串刺しにし!方々を畏れさせろ!女は死ぬまで孕ませ、そして子にその死肉を喰わせてやるのだ!奴らの街を滅ぼし、我らゴブリンの王国を築くのだ!!

それにはまず東にある牧場を手に入れる…行くぞ!!我らは軍隊だ! 奴らなど恐るに足らぬ!!》

 

『『『『GROOOOO!!!』』』』

 

ゴブリン達がゴブリンロードの言葉にゴブリン達は一斉に動き出す。

そんな中でゴブリンロードの隣に居る目玉だけで足のみが“ある魔物”は何も問わずにゴブリンロードについていく。

 

 

 

そして牧場では冒険者達が警戒する中で、小屋で牛飼娘が心配する様子に新人の冒険少女が声をかける。

 

「大丈夫ですよ」

 

「…うん」

 

そして一人の冒険者が…。

 

「っ!おい!」

 

その言葉に冒険者達は振り向くと、林の奥からゴブリン達が出てくる。

しかもゴブリン達は女性を板に縛りながら盾にする『肉の盾』を使ってきた。

 

《肉の盾、これを掲げる冒険者達は途端に矢や魔法を撃てなくなる、間抜けな奴等よ…》

 

ゴブリンロードはそうにやけながら言い、隣に居るある魔物は…。

 

『…ダメだ、読まれてる』

 

《っ!?》

 

その言葉にゴブリンロードは思わず振り向く。

 

その言葉通りに、ゴブリン達は突如眠り出していき、肉の盾を離してしまう。

鉱人道士とその道士が眠りの奇跡を使って眠らせる。

 

「眠れ眠れい、小鬼共」

 

ゴブリン達が眠ったのを見て、岩陰と草むらに隠れていた冒険者達が立ち上がる。

 

「今だ!!ゴブリンには構うな盾だけ回収しろ!!」

 

冒険者達が一斉に駆け出して、盾を持ってその場から逃げる。

それを逃がさないとゴブリンシャーマンが呪文を唱えようとした時、シャーマンの首に矢が刺さる。

 

矢が飛んできた方向、木の上で妖精弓手と圃人野伏が弓を構えていた。

 

「全く…、あれが盾ね。悪趣味ったらないわ」

 

「同感、さあ!呪文遣いを減らすわよ!」

 

二人が弓でゴブリンシャーマン達を打ち払い、その隙に盾を運んでいる冒険者達が全員戻る。

 

「盾はこれで全てだ!」

 

「よっしゃ!!稼ぎ時だ!!かっ飛べ!!!」

 

槍使いが掛け声と同時に重戦士、女騎士、女武闘家、蜥蜴僧侶、自由騎士達が飛び出していき、後方で待機している魔女と女魔術師、只人僧侶、森人魔術師が奇跡と魔法で援護していた。

 

大勢の冒険者達がゴブリン達を狩り出して、一気に形成が崩れたゴブリン達は慌ててしまう。

 

「ソルジャーさんは何時もこんな事をしているんですか。苦労するわね…」

 

「いえいえ、ソルジャーさんは若い人たちの為にやっているんですよ」

 

自由騎士がそう呟くと、近くにいた女武闘家がゴブリンを蹴り飛ばしながら言う。

 

「全く、こう多いと嫌になっていまうぜ」

 

槍使いがそれに呟きながら槍を華麗に振り回しながら言い、その時蜥蜴僧侶が出てきて、ゴブリン達を踏み潰す。

 

「いくら強い小鬼殺し殿も今回はお手上げでしょうな、当然でしょうや」

 

その際にゴブリンが槍使いに向けて矢を放つ、っが、矢は槍使いに当たる直前逸れて、それにゴブリンは驚き、槍使いに首を飛ばされる。

魔女が《矢避》で矢の軌道をそらしたのだ。

 

そして一人の冒険者が叫ぶ。

 

「き!きた!!『ゴブリンライダー』だ!!」

 

皆が林の方を見ると、林から狼に乗ったゴブリン『ゴブリンライダー』が押し寄せてきて、それに重戦士は振り向く。

 

「(なるほど…あいつの言うとおりだったな)後退だ!所定の位置まで下がるぞ!」

 

重戦士の言葉に冒険者達は下がり、所定の位置に付く。

 

「整列しろ!相手は馬じゃなくオオカミだ! 的が小さい分低い!十分に引きつけろ!」

 

槍使いが指示しながら合図を待ち、ゴブリンライダーが一斉に飛びかかってきた所に。

 

「構えろ!!!」

 

槍使いの言葉と同時に皆が木の長い槍を構え、飛びかかってきたゴブリンライダー達はそれに串刺し状態になる。

取りこぼした残りのゴブリンは冒険者達がその場で止めを刺しいく。

 

その際に状況を監視しているゴブリンがゴブリンロードに講義していると、ゴブリンロードが監視のゴブリンの頭部を斧で切り飛ばす。

 

《雑魚共が、所詮雑魚では役に立たんか。後の物はお前たちに譲るとしよう》

 

っとゴブリンロードの後ろにホブコブリン達ともう一体ホブよりも異常に筋肉が発達したゴブリン『ゴブリンチャンピオン』が共に向かっていく。

そしてゴブリンロードはその際に後ろに振り返ってその場から走り出し、それに魔物は目を細める。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ゴブリンロードが逃げ出した。その者が考えていた策とは全く違っていたのだ。

 

《どういう事だ…、どうしてこうなったのだ…》

 

まともに考えていたはずが、全く違って、更に冒険者達にこっ酷く倒されていった。

こんなはずではなかった、ゴブリンロードは更に走り出す。

 

《まだだ、まだ望みはある。故郷に戻れば女どもがまだいる。そうすれば再びゴブリン共を増やすことが出来る! そうすれば!》

 

ゴブリンロードがそう考えた瞬間。

 

 

バン!

 

 

ゴブリンロードの足元に銃弾があたり、それにゴブリンロードは足を止める。

すると林の奥から馬に乗って現れるソルジャーがM9ピストルを構えてやって来て、馬から降りる。

 

ゴブリンロードは斧を取り出して、ソルジャーもM9ピストルを仕舞って、バスタードソードを抜いて構える。

 

「生憎だがな、お前の巣穴は潰した。もうお前の帰るところはない、ここで討伐されろ…!」

 

 



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第15話 脅威 後編

ソルジャーがゴブリンロードと対決する事5分前、槍使いたちがある程度のゴブリン達を退治して、かなりの数が減ってきた。

 

そんな中で新米戦士が熟練冒険者達の戦いを見て騒然としていた。

 

「す、すげぇ…」

 

新米戦士が見とれている中で一体のゴブリンが近くに転がり落ちてきて、それに新米戦士は思わず見る。

 

「うわっ! え? し、死んでる…?」

 

死んでいるのを確認していると、ゴブリンが突如起きて来て、新米戦士の胴体に剣を突き刺した。

っが辛うじて革の鎧が防いでくれて、刃が通らなかった。

 

「はあぁぁぁ!!!」

 

そこに女武闘家がかかと落としでゴブリンの頭部を粉砕する。

完全に死んだのを確認した女武闘家は新米戦士の元に行き、無事を確認する。

 

「大丈夫?」

 

「あ、ああ。でも君すげぇえ、俺達と同じ新人なのに」

 

「あら?もう私は黒曜よ、この前昇格したから」

 

新米戦士はその言葉を聞いて思わず彼女の認識票を確認する、彼女の認識票は確かに黒曜の認識票になっていた為、もう新人ではない。

それに新米戦士は言葉を思わず無くし、女武闘家は次のゴブリンの討伐に向かった。

 

女武闘家の入れ違いに見習聖女が来る。

 

「大丈夫!?」

 

「あ、ああ…防具を買ってて良かったよ…。ただ…」

 

「ただ?」

 

「あの格闘家の女の子、この前俺達と同じ白磁だったのに、俺達より上に行ってる」

 

っとその言葉に見習聖女は新米戦士と同じ様に女武闘家と女魔術師の方を見て、既に先の方に行っている事に思わず心が揺れてしまう。

 

そしてゴブリンを大剣で叩き切る重戦士はそろそろ飽き飽きしながら呟く。

 

「全く、ボロい稼ぎだぜ」

 

「ああ、だがソルジャーの戦術。恐ろしく正確だ、これは認めなければならないな…」

 

近くにいる女騎士がその言葉をつぶやき、それに重戦士が振り向く。

 

「なんだ?あいつの事、信じてなかったのか?」

 

「そうではないが…ただ」

 

「なんだ?」

 

少々言葉を詰まらせる女騎士に重戦士が問うと、女騎士が。

 

「あいつはお前と意気投合している所が妙に気に入らないんだ~!!」

 

妙に情けないその言葉に、重戦士は思わずため息をつくのであった。

そしてゴブリン二匹が圧倒的な気迫に思わず逃げ出す。

 

「逃げたぞ!追え!」

 

二人の冒険者が追いかけ、すぐに止めを刺す。

 

「全くこんな所にまで逃げるとはな、おいそっちは」

 

もうひとりの冒険者の方を振り向く、っがもう一人のは何者かの手によって頭部をえぐられてしまい、それに冒険者は目を大きく見開く。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

槍使いたちがゴブリン達を相当な数を減らした時に、林から何かが飛んできて、鉱人道士がそれに気づく。

 

「っ!気をつけろ!何か来るぞ!」

 

その言葉に皆は避けて、それは地面に当たってバウンドして、近くの石壁に当たって止まる。

 

「何…っ!!」

 

飛んできたは、身体があちこち破壊されていて、もう見る影もなかった。

見習聖女がそれを見た途端、口から液をはいてしまう。

 

「チッ」

 

重戦士は飛んできた方向を見ると、そこからゴブリンではなく一回りの大きいゴブリンチャンピオンとホブゴブリン達がやって来る。

 

「ホブか!?」

 

「いや、それだけじゃない。あれは…ゴブリンチャンピオンだ」

 

重戦士の言葉に他の冒険者はそれに目が向く。

そして重戦士は口元を上げながら言う。

 

「いい加減雑魚相手も嫌になっていた所だ。『大物喰らい』が俺の本職だからな!」

 

大剣を構えながらゴブリンチャンピオン達に向かっていう重戦士。

 

「全く、私は今討ち取ったコブリンの首を数えるので忙しいんだが」

 

「良いから付き合え」

 

女騎士も重戦士の行動に呆れつつも、彼の行動についていく。

当然蜥蜴僧侶もその様子を見て行動する。

 

「ならば拙僧はホブの首を端から飛ばしてみせよう、竜の力を借りて」

 

「おし…おい! ここからは先はベテランの戦場だ。腕に自信のない奴はすっこんでな!!」

 

重戦士を中心に熟練の冒険者達が集まり、迎え撃つ準備をしていた。

 

その様子に槍使いが水を飲んで休んでいて、女武闘家も休憩する為に来た。

 

「お水頂戴」

 

「はい、お疲れ」

 

女魔術師が女武闘家に水を渡し、それを受け取って飲む。

槍使いはソルジャーが居ない事に気づき、魔女に問う。

 

「おい、ソルジャーの奴、どこに行ったんだ?」

 

「あら、彼なら、分かる、でしょ?」

 

「そうよ」

 

そこに妖精弓手がやって来て、槍使いに向かっていう。

 

「ゴブリンを狩りに行ったのよ」

 

妖精弓手が行った時に。

 

 

 

 

バン!!

 

 

 

 

林の方から銃声が聞こえて、その銃声に女武闘家が振り向く。

 

「あ、この音」

 

「彼ね、あっちも始めたみたい」

 

「あの音、何時もバンバンやかましいアレだな」

 

「ええそうよ、そっちの方は頼んだわよ~!」

 

妖精弓手が大声で叫びながらソルジャーの活躍を頼むであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてソルジャーはバスタードソードをゴブリンロードに向けて切りつけ、ゴブリンロードはそれを斧で防御する。

 

ゴブリンロードは斧で強引に押し返して、一気にソルジャーを切り倒そうとする。

っがそれをソルジャーは簡単には許さない。

 

バスタードソードを下から振り上げるかの様に斧に向かって叩きつけ、それに斧は粉々に砕ける。

 

《!!?》

 

ゴブリンロードは武器をあっという間に壊された事に驚く中、ソルジャーは左拳の握り締めて、ゴブリンロードに殴りつけて吹き飛ばしていく。

 

当然ゴブリンロードはそれをまともに受けて、殴り飛ばされて木に激突して、木も同時になぎ倒されてゴブリンロードは地面に倒れこむ。

そしてこの時、ゴブリンロードはこう思ったのだ。

 

《なんだ…この力は!? 人間の力ではない!! 一体どういう事だ》

 

ゴブリンロードは立ち上がろうとするも、余りにの大ダメージに動けなかった。

身体中の骨にヒビが入り、更に内蔵にもダメージを貰っていて動けなかったのだ。

 

そう思っている間に、止めを刺そうとソルジャーが近づくのを感じ、拳を握り締める。

 

《このまま終わるのか!! いや!このまま終わるわけには…!!!》

 

ゴブリンロードがそう思った時。

 

 

 

『面白そうだね~』

 

 

 

「っ!!!?」

 

突然の声にソルジャーは周りを見渡す、すると木の上に何かが居ることに気が付き、ソルジャーはその方を見ると、目玉だけで足だけが生えている魔物がこちらを見ていた。

 

《お、お前は…!》

 

『何だか情けないね~、でも~、もう君、必要ないから“身体”頂戴』

 

《っ!?》

 

その言葉にゴブリンロードは驚きを隠せない。するとその魔物からどことなく現れた触手がゴブリンロードの体に巻き付き、それに抵抗しようとするが、身体中の骨にヒビが入っている為動けない。

そんな様子をソルジャーは騒然としていた。

 

「(な、なんだこれは…!? 一体!)」

 

っとそんな風に思っていると。

 

【それが外からの脅威だ! 気を抜くな!】

 

すると頭の中から大王神の声が聞こえてきて、ソルジャーはそれを聞いた途端、納得する表情をする。

 

「(そうか…こいつが、そして俺が為すべき使命…!!)」

 

そう思っている間にその魔物はゴブリンロードを自分の目に近づけ、そして目が大きく開き、口のようになって、ゴブリンロードを飲み込んでいった。

すると姿形が変化し始め、目玉から頭部らしき物が飛び出してきて、そしてその胴体から足が無数に出てきて、触手も出てきて身体が徐々に大きくなっていく。

 

その光景にソルジャーは思わずバスタードソードを構える。

 

っとそこに。

 

「ソルジャーさん!! 助け出した人々は皆、安全な場所に移しました!」

 

ソルジャーと共に別行動していた女神官がソルジャーの元にやって来る。

っと女神官は目の前にいる魔物の姿を見て唖然とする。

 

「っ!な、なんですかこれは…!?」

 

「今は後だ! 一時退却するぞ!!」

 

そう言ってソルジャーは女神官を連れて、馬に乗ってその場から離れていく。

撤退していく様子をその魔物…否、『魔獣』はすぐさま追いかけていった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

一方その頃、重戦士達はゴブリンチャンピオン達を蹴散らし、全てのゴブリンを殲滅させて、槍使いはようやく一息する。

 

「ふぅ~、やっと終わった『ドゴーー!!!!』っ!?」

 

林の方か強烈な爆音が聞こえ、それに皆は林の方を見る。

 

すると林の方からソルジャーと女神官が乗った馬が出てきて、そしてその後方には…。

 

《ギャアアアアアアアアアオオオオオオオオオオオ!!!!》

 

強烈な雄叫びを上げながら林から出てくる魔獣がソルジャー達を追っていて、槍使い達は見たことないその魔獣に驚きの表情をする。

 

「何だあれは!?」

 

「あんなのどっから湧いてき出てきた!?」

 

「そんな事より!オルクボルグとあの子が!」

 

妖精弓手が魔獣によって追いかけれているソルジャー達に指を指し、その言葉に槍使いは武器を構える。

 

「おっしゃ!加勢に行くぞ!!」

 

「何!!冗談だろう!?」

 

「あんな化け物の所に行くのか!?」

 

「流石に無理ありすぎるだろう!!」

 

他の冒険者たちはあまりの怖気づいてしまい、それに槍使いは苛立ちする。

 

「おい!お前らゴブリンや他の魔物は平気に狩っているのに、凶暴な魔獣には腰抜かすのかよ!!」

 

「ほっとけ、もうかなりのゴブリンを狩ったんだ、もう儲けは稼いだ。後は俺達だ」

 

今動けるのは槍使い、重戦士、蜥蜴僧侶、女騎士、自由騎士、そして女武闘家の六人で、後方支援者は妖精弓手、鉱人道士、魔女、女魔術師、只人僧侶、圃人野伏、森人魔術師の七人である。

すぐさまソルジャーと女神官の元に向かう槍使い達。

 

そしてソルジャーは馬を走らせながら後ろを振り向く。

 

魔獣はもの凄い勢いでソルジャーと女神官を追いかけ、徐々に距離が迫ってきている。

それを見たソルジャーは馬に言う。

 

「おい、この子を連れて全力で走れ!!」

 

「え!?ソルジャーさん!?」

 

女神官はその言葉の意味が分からず、馬はその事に納得して吠え、ソルジャーは一人だけ降りて、魔獣と向かい合う。

 

「待って下さい!!ソルジャーさん!」

 

叫ぶ女神官の声が徐々に遠くなっていき、ソルジャーは持ってきている“あれ”を取り出す。

 

その時触手がソルジャーの元に向かい、ソルジャーの身体全体を縛り上げる。

駆けつけた槍使い達がそれを目にしてしまう。

 

『『『ソルジャー/さん!!!』』』

 

「かみきり丸!!」

 

「小鬼殺し殿!!」

 

「オルクボルグ!!」

 

「ソルジャーさああああああん!!」

 

皆の叫び声が響く中で、魔獣は唾液を垂らしながら締め上げる。

 

『ふふふ…、そのまま死んでしまえ』

 

っとその時。

触手の隙間から光が現れ、それに魔獣は驚きながら見る。

そして触手が徐々に熱しられて行き、そして魔獣はその熱した触手の熱さに耐え切れずにいた。

 

『ぎゃあああああああああああああああああ!!!』

 

そして触手が爆散し、そこからソルジャーが展開したビームセイバーを天に向けて上げていた。

 

その青く輝く光の剣、ビームセイバーの輝きに槍使い達は勿論の事、他の冒険者たちは唖然とした表情をしてみていた。

女神官が乗っている馬もその場で止まり、女神官が降りて、その光景を見ていた。

 

「…なんて輝き」

 

それには思わず言葉をこぼす女神官。

 

触手を潰された魔獣はソルジャーが持つビームセイバーを見て驚く。

 

『そ!その剣は!!』

 

そしてソルジャーはビームセイバーを構えながら魔獣に向かっていき、魔獣は叫びながら残っている触手をソルジャーに向かわせる。

だがそれをソルジャーはビームセイバーで切り落としていき、飛んで魔獣の目に向かって突き刺そうとする。

 

「はあああああああああああああ!!!」

 

『く!来るな!やめろおおおおお!』

 

触手をソルジャーに向かって突き刺そうとするが、当たらずに逸れてしまい、ソルジャーは魔獣の目にビームセイバーを突き刺した。

 

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』

 

強烈な雄叫びを上げながら暴れだすも、ビームセイバーの強烈な聖なる光が魔獣を浄化しつつあった。

魔獣はその場で倒れこみ、ソルジャーは飛ばされながらも、上手く着地しながら構える。

 

魔獣は弱りながらもソルジャーに目線だけを向けながら問う。

 

『その剣は…神々の…、なぜ…お前…ガ?』

 

「生憎教えられないんだが、一つだけ教えてやる。俺はお前らの様な脅威を退治する為にやってきたもんだ」

 

『な、なん…だ、ソ…れハ………』

 

そう言い残して魔獣は死んでいき、そして燃えはじめてその場から浄化されていくのであった。

ビームセイバーをしまい、一息を付くソルジャー。

 

そして女神官が駆けつけ、槍使い達もその場に駆け寄ってきて、ソルジャーは皆の方を向く。

同時に朝日が昇ってきて、ソルジャーたちに朝日を浴びせるのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして夜、ギルドの大食堂で妖精弓手が乾杯の合図をしていた。

 

「私達の勝利と!牧場と街と冒険者!そして最後に妙な事をしたオルクボルグの勝利に乾杯!!」

 

『『『『『かんぱーい!!』』』』』

 

冒険者たちが一斉に乾杯し、勝利の祝いをするのであった。

 

その間に女騎士がチャンピオンが金貨一枚だけと聞いて抗議するが、狩ったと言っても契約である為駄目だった。

 

そんな中でソルジャーは隣でソルジャーにもたれながら休んでいる女神官の手に自分の金貨を渡す。

牛飼娘はそんな様子を見て微笑み、ソルジャーに言う。

 

「ありがとう。牧場を護ってくれて」

 

「いいさ、それにお前の居場所でもあるからな」

 

「君もだよ? わかってる?」

 

「勿論だよ」

 

っとそう言っていると女神官が起きてきて、ソルジャーにもたれている事に気づく。

 

「あ!ごめんなさい! 重かったですか!?」

 

「なに、それくらい何ともない」

 

「そう…ですか」

 

その事に少しばかり安心した女神官は手元に金貨がある事に気づき、それに問う。

 

「ソルジャーさん、これって…?」

 

「ああ、今回お前は巣穴の女性たちを上手く逃がしたからな。その褒美だよ」

 

「で、でもソルジャーさん」

 

「いいんだ。貰ってくれ」

 

その事に女神官はしばらく考え込み、そしてうなづいて手元にしまう。

牛飼娘は女神官の近く寄って言う。

 

「君も頑張ってね。ありがとう」

 

「い、いえ!そんな…。私は」

 

「いいのよ、後…」

 

牛飼娘は耳元で女神官にある事を言うと、それに女神官は思わず顔を真っ赤にする。

 

「ええっ!!で!でも…!」

 

「いいの、私もすでにそっち側だから。勿論あの子達も一緒にね?」

 

っと牛飼娘は女武闘家と女魔術師の方を見ていい、それに気付いた女武闘家と女魔術師はそれに振り向く。

 

「それじゃあ私は彼女たちにも言ってくるね。ちゃんと伝えてね?」

 

そう牛飼娘は言い残して二人の元に行き、その場に行って少しばかり呼んで話す。

その様子に女神官は少しばかり考え、そして決意した様子でソルジャーに問う。

 

「ソルジャーさん」

 

「ん?」

 

「あの…今度、その…」

 

そして女神官は耳元でソルジャーにある事を言い出して、それにソルジャーはうなづく。

 

「分かった。今度牧場に来いよ。凄いもん見せてやる」

 

「牧場に? …分かりました」

 

女神官はそううなづき、ソルジャーは了解したのを見て立ち上がって槍使い達の元に向かう。

 

そして入れ替わりとして女武闘家と女魔術師が来る。

 

「ねえ、さっき…あの人に言われたんだけどね…」

 

「はい、お二人も…覚悟。出来てますね?」

 

「ええ、あんまり言えなかったけど、助けられた時からずっとだから」

 

その事に三人はソルジャーの方を見て、ソルジャーは槍使い達と乾杯をしながら色々と話し、その中で妖精弓手達も加わりながら溶け込んでいく。

当然ビームセイバーの事を聞かれたりしたが、それは秘密と上手く言わせながら納得させるのであった。

 

 

 




なんだか雑な戦闘シーンと中途半端な展開になってすいません。

ただこれを終わらせて、そろそろ三人娘達を大人の階段に勧めたいんです。

この後の続きは違うお話でしましょう


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第16話 冒険と新人達の試練 前編

ゴブリンロードの襲撃を防ぎ、外側の脅威を排除したソルジャー達、その数日後、ソルジャー達は妖精弓手の報酬である冒険へと出向いていた。

 

とある森で、妖精弓手が大きな木の枝を飛び移りながら進み、後ろにいるソルジャー達の方に向かって叫ぶ。

 

「こっから進めそうよ~!登ってきて!」

 

「分かった」

 

そう言ってソルジャーはフックが付いたワイヤーを取り出し、それを木の根元に向けて投げる。

フックが木の根元に引っかかり、それにソルジャーは最初に登って、次の人の為に上で待つ。

 

最初に女武闘家がワイヤーを登っていく、やはり武闘派なのか楽々と登っていく様子にソルジャーは「当然か」と思う。

 

次に女魔術師がちょっとばかし苦労する場面も見られたが、難なく登ってくられた。

 

最後に女神官が苦しそうながらもワイヤーを登って行き、後ちょっとの所まで来た所で手を滑らせてしまう。

 

「あ!」

 

しかし咄嗟にソルジャーが女神官の腕を掴んで、落下を防ぎ、なんとか助かった。

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい…ありがとうございます。でもやっぱりちょっと鍛えたほうがいいんでしょうか?」

 

女神官は自分の体力の無さと筋力不足の事を呟く、それにはソルジャーは頭を傾げながら言う。

 

「うーん…無理に筋力は付けなくてもいいぞ? お前の場合は筋力をつけると逆に動きづらくなる可能性もあるからな」

 

「そうかしら?この子は逆に付けたほうが良いんじゃない? ドワーフの様な無骨な風になれとは言わないけど」

 

っとその言葉に鉱人道士はイラっと来て、妖精弓手と再び口喧嘩を始める。

その事に女武闘家がなんとかお責め様として、女魔術師は呆れてしまう。

 

「ほ~?これはなんと…」

 

「ん?」

 

蜥蜴僧侶の言葉にソルジャー達は振り向くと、そこには古く滅びた遺跡が立ち並び、その光景にソルジャーも思わず口笛を吹く。

 

「♪~、すげぇえ。こんな感じの遺跡は今まで見たことないな」

 

「でしょう!これがロマンよ!感動よ!冒険よ~!!」

 

妖精弓手は興奮しながらあちこち回っていく。しかしソルジャーは気になっていたことがある。

 

「だがなんでこの遺跡を選んだんだ? もっと凄い遺跡もあるだろうに?」

 

「それはだなかみきり丸、耳長はお主の為にゴブリンがおる遺跡を探したんじゃと」

 

「はっ?」

 

その言葉にソルジャーは思わず振り向き、妖精弓手に問いかける。

 

「おい、なんで俺が何時も何時もゴブリンばかり狩ってると思うんだ?」

 

「だ、だってそうでしょう! あんた何時もゴブリンゴブリンばっか言うじゃない!」

 

「アホか!俺はゴブリン以外の依頼はちゃんとしてるわ!おちょくってるのか!」

 

「イタタタタた!!おちょくってなんかいないわよ~!離しなさ~い!」

 

っとソルジャーは妖精弓手の両頬を引っ張って怒鳴り、それに妖精弓手は涙目になりながら暴れまわる、その光景に女神官はなんとか収めようとする。

 

そんな時に一体のゴブリンが草むらから出てきて飛びかかってきた。

 

「GRRRRRB!!!」

 

女武闘家達が咄嗟に構えようとした時に、ソルジャーが妖精弓手の両頬を離し、ブロードソードを抜いて、ゴブリンに向けて一閃する。

一瞬で斬られたゴブリンはその場で倒れこむ。

 

ゴブリンが出たことにソルジャーは目を細める。

 

「ん~…すでに俺達が来たことには気付いていたか…。消臭スプレーをかけていないからか、仕方ない…やるか」

 

っとソルジャーはブロードソードを左手に持ち、バスタードソードを右手に持ちながら進む。

妖精弓手も弓を構えてソルジャーの後に続き、女神官達もその後に続くのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして辺境の街、その地下水道では白磁の新人、新米戦士が見習聖女と共にジャイアントラットを討伐していた。

 

「はぁあ!!」

 

新米戦士が剣をジャイアントラットに向けて突き刺し、それにジャイアントラットは死んでいく。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…、や、やったか?」

 

「その様ね、さあ、証拠を持って帰りましょう」

 

「ああ、よっと…あれ?」

 

新米戦士は突き刺した剣が抜けない事に気づき、必死に剣を抜こうとしていた。

それに見習聖女が気づく。

 

「ちょっと、何してるのよ?」

 

「いや、ちょっと…剣が抜けなくなった」

 

「はぁ!?」

 

それに驚く見習聖女、必死に剣を抜こうとする新米戦士に何かが迫ってきて、それに気づく新米戦士。

 

「ん?何かが…」

 

新米戦士はそれに振り向くと、そこにはジャイアントラットとは別の魔物、ジャイアントローチがやってきた。

 

「「ギャアアアアアアアアアア!!!」」

 

ジャイアントローチの出現により新米戦士と見習聖女は思わずその場から逃げて行き、ジャイアントローチから去っていった。

その後、ジャイアントローチはジャイアントラットの死骸を食べて、その仲間達もやって来てその死骸を食べるのだった。

 

そのジャイアントラットの体には剣が残っていたのは言うまでもなかった。

 

 

 

そして辺境の街のギルドでは、報告に来た新米戦士と見習聖女が受付嬢に今回の事を話し、それには受付嬢は鼻を抑えたまま言う。

 

「今回の依頼はちゃんと証拠がないと達成しないので、それは達成出来ません、ですので報酬は…すいません」

 

「「はい…」」

 

「それと…、後で体を洗った方が良いですよ?」

 

「「はい…」」

 

二人は落ち込みながらその場を後にして、なんとかしようと考える。

 

「どうする…?」

 

「どうするもこうも…、武器がなくちゃ冒険出来ないし…」

 

「ああ~やめてよ?借金なんかするの…」

 

見習聖女は借金の事になると頭を抱える、だがそれを新米戦士はすぐに否定する。

 

「ちげぇよ!誰かに武器を借りられないかなって…て言うかなんで借金なんかするって思うんだよ?」

 

「お金無いでしょう?私達、それにこの前ソルジャーさんが出してくれた依頼の報酬は全部使ったじゃない」

 

「まあなあ…、それで良い防具が変えたんだけど…」

 

「それで、誰に借りるのよ…?」

 

「それな…」

 

新米戦士が考えてると、扉からソルジャー達が遺跡から帰ってきた。

 

「ああ~もう、結局遺跡の調査が出来なかったわ!本当に!」

 

「いや、元々お前が選んだ依頼だろう…」

 

「ゴブリンを選んだ耳長じゃからな」

 

「うっさい!!」

 

妖精弓手はぶつぶつ文句言いながらも受付嬢の元に行き、依頼の報告をする。

 

その際にソルジャーは「やれやれ」と呟き、鉱人道士は呆れながらも持っている酒を飲む。

 

そしてソルジャーは何やら考えている新米戦士と見習聖女の方に気付き、その様子を見て歩み寄る。

 

「ようお前ら、何してるんだ」

 

「あ、ソルジャーさん」

 

「どうも、実は…」

 

ソルジャーは新米戦士と見習聖女が困っていることを聞いていた。

勿論そこに女神官達もやって来る。

 

新米戦士の剣が依頼の討伐の際に地下水道に置いてきたまま戻ってきてしまった事を聞いて、ソルジャーは頼んだエールを飲みながら言う。

 

「ふ~ん…お前、多分ラットの骨に突き刺したな」

 

「え?骨に??」

 

「ああ、骨に刺してしまった剣はなかなか抜けないんだ。大抵の新人はそれで剣を無くしている、それで借金をする冒険者も居る」

 

「そ、そんなにですか?」

 

見習聖女はその事を聞いて唖然とし、新米戦士は何とも言えない表情をしていた。

そんな中でソルジャーはある事を問う。

 

「それよりもお前ら…、金なら俺が出した報酬が有るはずだろう? なぜ使わないんだ?」

 

「あ、いや、その…良い防具に使って」

 

っとソルジャーは新米戦士の言葉を聞いて、新米戦士の格好を見る、確かに良い鎧を身につけてはいたが、白磁の新人がそれを着るのにはちょっと早すぎる感じがした。

思わずため息を吐きながらガックシとなる。

 

「お前な…、まさか全部使ったのか?」

 

「はい…使いました」

 

「贅沢しすぎだろう!」

 

その事に思わず新米戦士は引いてしまう。無理もない、報酬を一気に使ってしまう冒険者はどこにもいない。

 

「全く…仕方ない、今回だけは俺のブロードソードを貸してやる」

 

「え!本当ですか!」

 

「ただし、今後報酬を無駄使いしないと約束出来たらな」

 

「あ、はい…。約束します」

 

「よし」

 

そう言ってソルジャーは自分の持つブロードソードを渡し、それを受け取る新米戦士。

 

「ありがとうございます!必ず返しますので! よーし!今度こそ行くぞ!」

 

「ああ!待ってよう!」

 

そう言って新米戦士と見習聖女はギルドを出ていき、またしてもソルジャーはため息を吐く。

女神官達はそれには苦笑いで見ていて、そこに槍使いと魔女が来る。

 

「なんだ?あいつ剣を無くしたのかよ?」

 

「ああ、今俺のブロードソードを貸してやった所だ」

 

「ああ~、そう言う事か。たくぅ新人ってのは大変だぜ」

 

「全くだ。だが…育てる価値はある」

 

ソルジャーは女神官達の方を見ながらそう言い、それに女神官達は少々照れ笑いする。

 

その様子を妖精弓手は少々見つめている事にソルジャーは気づきはしなかった。

 

 

 



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第17話 冒険と新人達の試練 後編

ジャイアントラットで剣を無くしてしまい、ソルジャーからブロードソードを借りた新米戦士達は剣を取り戻す為に地下水道にもう一度向かった。

 

だが、一度来た所に行ってもラットどころか、ローチの姿も見当たらなかった。

仕方なく一度ギルドに戻って、誰かに相談してみた。

 

誰かと言うと勿論ソルジャーとその場にいた槍使いに魔女であった。

 

「剣が見当たらない? そりゃいつまでもそこにある訳ないだろう」

 

「やっぱりそうですよね…、でもどこから探せばいいか…」

 

困っている新米戦士に魔女は救いの手を差し伸べる。

 

「なら。良い物。あげる。わ」

 

魔女は胸の谷間からある物を取り出す、その様子を新米戦士は「うおっ!!」と興奮し、見習聖女は「ちょっと!!」と注意する。

 

彼女が取り出したのは一本のろうそくだった。

そのろうそくを新米戦士はジッと見つめる。

 

「なんですかこれ?」

 

「これはね…。探し物に。近づくと。暖かくなるのよ。ね」

 

「ほぅ、サーチキャンドルか…」

 

「なんでもこいつの自信作らしいぜ」

 

槍使いはそう言いながら魔女の方に指を指し、それに納得するソルジャー。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「いいの。よ。ちょっとした。手助け。ね。あと。体。洗って。ね?」

 

っとその事に二人は思わず体を見て臭う、先ほどの臭いが徐々に強烈になっていき、それに思わず鼻を押さえる二人。

 

「まあ、今回はおしまいにして、明日出直しだなお前ら。今日のところはそのブロードソードも貸しておいてやるから」

 

「は、はあ。ありがとうございます」

 

その言葉に甘える形に、明日再び出直す新米戦士と見習聖女だった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして翌日、新米戦士と見習聖女は準備を整えて、剣の回収の出向いた。

 

「よし!今度こそ俺の剣を取り戻すぞ!」

 

「その為にも頑張らないとね! それと無傷で返さないとダメよ?」

 

「分かってるよ! もし壊したりしたら何されるか分かったもんじゃないよ」

 

もしブロードソードを壊したりしたらソルジャーの恐ろしいお仕置きを考えるとゾッとする。

 

「うう~! さ、さ!行こうぜ!」

 

「ええ、そうね(本当に壊してしまったどうなっちゃうんだろう…)」

 

心の中でそう思いながら二人は地下水道へと向かった。

 

そしてその頃、ソルジャー達はギルドに居て、女武闘家と女魔術師は新米戦士達の事を考えていた。

 

「はぁ、今頃何してるのかな~?」

 

「今下水道にいるんでしょうね、自分の剣を取りに行ったって言ってるから」

 

「へぇ~?そうなんだ」

 

っとそこには二人だけじゃなく、重戦士達の少年斥候と圃人族である『少女巫術師』がいた。

 

「あいつ剣を無くしたのかよ? だっせ~」

 

「あら、あなただってこの間ジャイアントスラッグに短剣溶かされちゃったじゃないの」

 

「うっ…」

 

少女巫術師の言葉に思わず少年斥候は言葉を無くす。

その様子を女魔術師が呆れる。

 

「情けないわね、男ならもっと根気よく持ちなさいよ」

 

「そ、そんな事言うなよ。結構へこむんだから」

 

「もう、甘えないの」

 

っと少女巫術師がそう言い、それに少年斥候がまたしてもへこむ。

そして女武闘家はある方を見ていた。

 

「それにしても…凄いね…あの二人は」

 

その言葉に女魔術師達はその言葉を聞いて、女武闘家の目線の先を見る。

 

「はっ!!!」

 

「おりゃあああ!!!」

 

そこにはソルジャーと重戦士がバスタードソードとグレートソードをぶつけ合いながらの剣の稽古をしていた。

彼らの近くには妖精弓手と女騎士が居て、その様子を見ていた。

 

「凄いな~ソルジャーさんは、うちの大将と互角の実力者だもんな~」

 

「そうですよね~。なんせ銀等級ですから」

 

そう言う少年斥候と少女巫術師はソルジャーの実力と階級の事を話し始め、その事に女武闘家と女魔術師は心の中で喜びを感じる。

 

そしてソルジャーが重戦士のグレートソードを受け止め、更にそれを流しながら重戦士の体制を崩す。

体制を崩された重戦士はすぐに構えようとした時、バスタードソードの剣先が重戦士の首元に止まり、ソルジャーが重戦士に言い放つ。

 

「チェックメイト」

 

「チッ、まいったよ」

 

両手を上げながら降参する重戦士、それにソルジャーはバスタードソードを下ろす。

その様子を妖精弓手は思わずガッツポーズをし、女騎士は不満な表情をする。

 

「全く、相変わらず良い腕をしてやがる」

 

「日々の鍛錬は欠かさずにしているからな…ん?」

 

ソルジャーはそう言いながらバスタードソードをしまおうとした時にバスタードソードの刃を見る。

 

バスタードソードの刃に少しヒビが入っていて、それにソルジャーは思わず頭を抱え込む。

 

「おいおいマジかよ…、こいつまだ購入して一ヶ月も立っていないぞ? もしかしてゴブリンロードとの一戦で結構なダメージがあったのか?こりゃあまた鍛え直して貰わないとな『ピポポポ!!』ん?」

 

するとソルジャーのマルチツールタブレットに何やら音が鳴り、それにソルジャーは見る。

その様子を重戦士は問う。

 

「どうした?」

 

「いや、ちょっとな」

 

そう言ってソルジャーはマルチツールタブレットを見て確認する。

 

《物資項目に鍛冶アイテムが追加されました、鍛冶系統に武器の合成が追加されました》

 

っとその項目には沢山の鍛冶方法や武器の合成方法が載っていて、それにはソルジャーは思わずめを大きく開く。

 

「(おいおい…マジか? これって今まで無かったぞ?! でもこれよく見ると壊れた武器の合成も可能って書いてある! これなら壊れたロングソードやガントレットの合成も出来るかも知れない!今度試してみよう!)」

 

そう思いながら合成するのが楽しみにするソルジャー、その様子を訳が分からない重戦士、妖精弓手と女騎士はソルジャーの様子を見て頭を傾げる。

 

「一体何があった? ソルジャーの様子がおかしいぞ」

 

「オルクボルグの考えなんて分からないわよ。(でも何があったのかしら、後でちょっと聞いてみようっと)」

 

妖精弓手はそう思いながらソルジャーの方を見るのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして新米戦士と見習聖女は地下水道の道を進み、マジックアイテム、サーチキャンドルを使って自分の剣を探していた。

 

「どうだ?」

 

「う~ん…確かに暖かいけど…、そんなには『ボッ!!!』アッツ!!!」

 

いきなりサーチキャンドルの火が強くなって、熱くなった器が見習聖女に猛烈な熱さを伝わらせる。

 

「どうした!?」

 

「急に熱くなった!徐々に熱くなっていく…!」

 

「て事は…」

 

 

ガサガサガサガサ!

 

 

新米戦士と見習聖女の後ろで何やら物音がして、それに二人は振り向くと、通常よりも大きいジャイアントローチが二人の目の前に迫っていた。

 

「「う!うわあああああああああああああああああああああ!!!!」」

 

思わず二人は走り出して逃げ出し、ジャイアントローチは二人の後を追いかけていた。

その間にもサーチキャンドルはより熱い火を出し続けていた。

 

「熱い!!さっきよりもすっごく熱い!!」

 

「熱いってまさか俺の剣は…“あの中”かよ!!!」

 

新米戦士は剣がジャイアントローチの体内にある事に驚く。

追われながらどうするかを見習聖女が問いかけてくる。

 

「ねえどうするの!!」

 

「どうするって!こう追いかけられてちゃ…!ああもうこうなったら腹くくるしかない!借りるぞ!!」

 

っと新米戦士は見習聖女の腰についているランタンを取る。

しかしその時にスカート部が破れてしまう。

 

「きゃああ!!何すんのよ!!!」

 

見習聖女は破れたスカートを抑えつつ、新米戦士はランタンを投げつける。

 

「喰らえ!!!」

 

投げつけたランタンを避けるかの様に、ジャイアントローチは飛ぶ、その光景に見習聖女は思わず失禁してしまう。

 

「今だ!やれ!!」

 

新米戦士が叫んだのを聞いて、見習聖女はすぐさま奇跡を唱える。

 

「ホーリースマイト!!」

 

見習聖女の聖撃(ホーリースマイト)がジャイアントローチに直撃して、それに倒れこんだ時に新米戦士がブロードソードを抜いて向かっていく。

 

「うおおおおおおおおおお!!」

 

ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!ズバン!

 

「この!この!この!この!この!!この!!!」

 

新米戦士は何度も何度もジャイアントローチに突き刺して、ジャイアントローチはそれにより死んでいった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…、だ、大丈夫か?」

 

「ええ…、終わったの?」

 

「ああ、あっ」

 

すると新米戦士は見習聖女の姿を見て目線をそらし、それに見習聖女は気づく。

 

「な、なによ…」

 

「別に、と、とりあえず…取り出すか、腹…だよな?」

 

新米戦士はナイフを取り出し、ジャイアントローチの腹に向けてナイフを入れる。

 

グチャ!メギャ!ギュルギャチャ!

 

「うえ~…」

 

「この音いや~…」

 

二人はジャイアントローチの嫌な音を聴きながらも、新人戦士は腹を開かせて体内の剣を取り出すのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてギルドに戻ってきた新米戦士と見習聖女、二人はソルジャーの元に行き、ソルジャーにブロードソードを返す。

 

「はい、どうぞ、汚れはちゃんと落としておきました」

 

「おう、臭いは少し残っているが、それはこっちで落としておく。それよりも剣、取り戻したようだな」

 

ソルジャーは新人戦士の剣を見て言い、それに新米戦士はうなづきながら言う。

 

「はい…ただ、今回の件でもまだまだ未熟だって言う事がよく伝わりました」

 

「そんなもんだ。新米ってのは失敗が多いから手間がかかる、俺も失敗はあった。だがそれを経験して積み重ねて強くなっていくんだ。これからもずっと」

 

その言葉を聞いた二人は顔を上げて、顔を見合ったあとにうなづく。

 

「「はい!」

 

「よし、今日はお前ら頑張ったから晩飯は俺が奢ってやる!なんでも好きなもん頼め!」

 

「良いんですか!おっしゃ!今日はとことん食べるぜ!」

 

「もう!調子に載らない!」

 

新米戦士は奢ってもらう事に大いに喜び、見習聖女は注意しながらも自分の好きなものを頼み、夕飯を楽しむ。

そしてソルジャーは二人にある事を提案する。

 

「そうだ、お前ら、もし良かったら俺等のパーティーに入って来ないか?」

 

「え?ソルジャーさんのパーティーに?」

 

「ああ、まだまだ未熟なお前らを鍛えさせてやるのに丁度良いかも知らない。今のアイツ等はまだまだな感じはあるが十分な感じにはなってる。手も空いてきたからお前らも鍛えてやる」

 

「お、俺が…ソルジャーさんのパーティーに?」

 

その事に新米戦士は考えるも、見習聖女はそれを頭を横に振る。

 

「いえ、私達は別の道で進んでいきます。それに鍛えるって言うなら彼をよろしくお願いします、すぐに調子にのるから」

 

「そうか…。分かった、お前らの道を思う存分突き進め」

 

それに二人は頷き、注文して来た料理が来て、新米戦士と見習聖女は沢山食べて、次の冒険の為の栄養と体力を蓄えるのであった。

 

 



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第18話 合成とまたしての依頼

マルチツールタブレットに鍛冶アイテムが追加された事で、更にやる事が増えたソルジャー。

 

すぐさま特別部屋で合成する項目を選択し、それを押すと粒子が1箇所に集まってきて、そこに鍛冶と合成に必要とする特殊な金床と『マルチハンマー』が出てくる。

 

それを見たソルジャーはマルチツールタブレットでその説明書を見る。

 

「どれどれ…、え~《合成に必要とするマルチハンマーは金床と共に好みの武器を合わせる事で合成が可能とする。マルチハンマーで三回叩くと効果が現る。破損した武器についても好きな物を選ぶと良しとする》なるほどな…」

 

ソルジャーは考える素振りをしながらもすぐさま自分の現在の武器、ブロードソードとバスタードソード、壊れたロングソードを持ってくる。

万が一の為に取っておいた武器だ。

 

そして特殊な金床を置いて、三つの武器を金床の上に置き、マルチハンマーを持って、三つの武器に叩く。

 

 

カン!!カン!!カン!!

 

 

三回叩いた時に三つの武器が光り出して、三つの武器が重なり合い、一つの武器となる。

 

刃の長さと幅はバスタードソードのちょっと短めの120cm、幅はブロードソードと同じくらいの幅、鍔は翼を広げた感じの鍔で、柄は握りやすいほどの物になっていた。

 

その剣を見てソルジャーは見とれているとマルチツールタブレットから通知が入る。

ソルジャーはそれを見ると完成した武器の名前が出ていた。

 

 

《合成に成功しました、武器名『ソウルブレード』です》

 

 

「ソウルブレード…、これがこの武器の名前か…ん? ん!?おお~!!この武器!よく見ると耐久性が凄まじいじゃないか!?これならどんな扱いをやっても壊れないぞ!」

 

ソルジャーはソウルブレードの耐久性が異常な程高い物だと知って、それに興奮してきたのだった。

 

「よし!次はグローブだ! 今使っているグローブに壊れたガントレットを合わせよう!」

 

そう言ってソルジャーはグローブとガントレット金床に置き、マルチハンマーを使って三回叩く。

 

 

カン!!カン!!カン!!

 

 

先ほどと同じ様にグローブとガントレットが光り出して、二つのグローブが重なって、一つとなる。

 

ガントレットとは違い、拳を保護する為の装甲が施されて、更にフィットしやすい使用になっている。

 

それをソルジャーは見て、再び通知されたマルチツールタブレットを見る。

 

 

《合成に成功しました、武器名『アームフィンガーグローブ』です》

 

 

「アームフィンガーグローブか。これはこれで面白い名前だな、だがこれで再び戦える程の武装が出来た」

 

ソルジャーは二つの武器を見ながら呟き、そして腰のビームセイバーを取りながら言う。

 

「こいつに頼るのは少々危ないからな、これが聖剣と同じものだと知ったらよからぬ奴らが奪いに来る。出来るだけ使わないようにしないと」

 

そう言いながらソルジャーはビームセイバーを腰にしまい、そしてソウルブレードを持って、新しい鞘に仕舞って背中に背負い、アームフィンガーグローブをはめて感触を確かめ、違和感が無い事を確かめるのだった。

 

そしてソルジャーは特別部屋を出ると、部屋には牛飼娘がそこにいて、ベッドに座っていた。

ソルジャーは牛飼娘が居ることに問う。

 

「どうしたんだ?」

 

「ねえ。さっき何してたの?」

 

「ああ、さっき面白い鍛冶方法があって、それを試していたんだ。これが上手くいったんだ」

 

「へえ~そうなんだ …ねえ」

 

何やら急に重苦しい表情をする牛飼娘にソルジャーは一瞬戸惑う。

 

「え? ど、どうした?」

 

「ずっと気になってた…、この前の部屋といい、凄い物といい。一体どういう風なものなの?どうしてそれを持ってるの?」

 

「…そうか、ずっと気になってたか(もう隠し事はできないな、こんだけ気づくんだったら。なら…話すか、出来る範囲だけ)」

 

そう思い、ソルジャーは話せる範囲のみ話した、自分が使ってきた物は皆神からの送られてきた物と、そして自分が為すべき事をしなければならない事を。それを知った牛飼娘は納得した。

 

「そっか…、君は神様から凄いお願いをされているんだ…それは知らなかった。でも…大丈夫?」

 

「大丈夫だ。俺はそう簡単にやられはしないって知っているだろう?」

 

「…うん、そうだね。でも心配させる様な真似はしないでね?」

 

「ああ、分かった」

 

牛飼娘を心配させない様に言い聞かせるソルジャー、その中で心配しつつソルジャーを信じる牛飼娘だった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

次の日、ギルドではソルジャーが新しい武器、ソウルブレードを手にしている事に周囲に広まって賑わっていた。

 

「おいおいソルジャー、一体どこで手に入れたんだよその武器、なかなか良いもんじゃねえか」

 

「俺にくれよそれ」

 

「ダメだ。これは俺のメインの剣なんだ」

 

そう言って断ってその場を離れていき、女神官達の元にいく。

女神官達もソルジャーが今持っている武器の事で話し合っていた。

 

「かみきり丸、皆お主の持っている剣に夢中だぞ」

 

「ちょっとくらい教えてくれないんですか?」

 

女武闘家がその事を問いかけてくるが、それをソルジャーは頭を横に振る。

 

「すまないがそれを教える事は出来ないんだ、もし教えたら大変なことが起きるからな」

 

「大変な事ですか?なんですそれ?」

 

女神官がそれを問うと、ソルジャーが言う。

 

「例えば…世の中の事がひっくり返ってしまうような大変なことだ…!」

 

「な、なによそれ!」

 

訳が分からない事に妖精弓手は怒鳴り、それをスルーするソルジャー。

っとそこに受付嬢が何やら真剣な表情をしてやってくる。

 

「ソルジャーさん、ちょっといいですか?」

 

「あれどうしたんだ?そんな真剣な表情をして?」

 

「実はソルジャーさんに依頼が来ているんです。これを」

 

受付嬢からある依頼の書類をソルジャーに渡し、それをソルジャーは受け取る。

女神官達はソルジャーが受け取った書類を見る。

 

「どんな依頼ですか?」

 

「今それを確かめる所だよ」

 

そう言ってソルジャーは依頼の封筒を開けて、それを確かめる。

しばらく目を通していると、思わず頭をテーブルに叩きつけるかの様に愕然とする。

 

「ガクッ…」

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

「この依頼…目を通してみろ」

 

っとソルジャーは女神官達に依頼の内容を見せる、女神官達はソルジャーが渡した依頼を見ると、そこに書かれていたのはゴブリン退治の依頼であった。

それを見た途端、妖精弓手は大笑いしてしまう。

 

「ぷははははははははははは!! なにこれ!オルクボルグ!やっぱあんたはゴブリンを引き寄せる何かを持ってるわ!」

 

「ぐぅ~…言い返せん」

 

「じゃが耳長、お主も人の事は言えんが」

 

「うっさい!それとこれは違うの!」

 

鉱人道士が言う言葉に真っ先に否定する妖精弓手、その間に蜥蜴僧侶が依頼の印に描かれている物に気づく。

 

「この印は一体…」

 

「ん?そう言えばこの印…どこかで…、あっ!思い出した…これは『水の街』に居る場所の刻印じゃないか」

 

「水の街!食べ物が美味しく、綺麗な所って聞いてるわ!」

 

「へぇ~そうなんだ」

 

妖精弓手が言った言葉に女魔術師は納得する。

 

「でもどうしてその街からなんですか?」

 

「それは分からなん。ただこの依頼主が何か知っているかも知れないが」

 

ソルジャーは依頼の最後に記されている天秤の印を見て言い、それに女神官が見て、何やら思いつめた表情をする。

 

「(この印…どこかで見たような…)」

 

そう思いつめる女神官、ソルジャーはそれに気づかないまま書類をしまい、皆に言う。

 

「さて…依頼が来たとなれば断らない訳にも行かないな。どうする?皆…また付いて来てくれるか?」

 

「あ、はい!勿論です」

 

「仕方ないわね。行くわ」

 

女神官と妖精弓手がそう言い、そして女武闘家達もそれに頷き、ソルジャーは準備をする為、一度牧場に戻るのであった。

 

そして水の街で、何が起こっているか知らずに…。

 

 

 



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剣の乙女&謎の人物編
第19話 水の街 前編


お気に入り数が450を超えました。

こんな超えたのは今あるゲート以上ですねwww


ソルジャーの元に依頼が来たことで、依頼元である街『水の街』へと向かっているソルジャー達。

 

馬車の中で妖精弓手が馬車酔になってしまった。

 

「う~…、気持ち悪~い…」

 

「おいおい…、ハイエルフは馬車が苦手なのか?」

 

「だって馬車って揺れるから苦手なんだもん、あんたは何時も馬に乗っているから平気だけど、慣れない者には地獄なのよ」

 

そう言って起きようとしたその時に、妖精弓手は更に気分が悪くなり、思わず口を押させてしまう倒れこむ。

妖精弓手の様子に女神官が心配して見ていて、他の皆は苦笑いするしかなかった。

 

そしてソルジャーは馬車の外を見ながら呟く。

 

「それにしても水の街か…、そこには行っていないからどんな所か楽しみだな」

 

「そうですな。拙僧も水の街に着くのが楽しみである」

 

「まあ、ゴブリン退治で無ければ良かったんじゃがな」

 

「依頼先がそこでならば、仕方ないんじゃないんですか?」

 

女武闘家が三人が言った言葉にそう言い、それにソルジャーは思わず考える素振りをする。

 

「(まあ確かに、依頼先がそこである以上は仕方ないが…ちょっと気になることもあるがな。なぜあんな街にゴブリンが居るのか…)」

 

そう考えつつ、ソルジャー達を乗せる馬車はそのまま水の街へと向かうのだった。

 

 

そして水の街に着いたソルジャー達は馬車から降りて、妖精弓手は体を伸ばしながら呟く。

 

「ふわ~、お尻いった~い。硬い床は慣れないわ」

 

「やはり耳長娘には馬車の移動は困難を極めるか」

 

「うるさいわね…!」

 

鉱人道士の言葉にイラつきが貯まる妖精弓手だが、そんな様子をソルジャーは気を使ったのか、飲み物が入ったビンを渡す。

それに妖精弓手はソルジャーの方を見る。

 

「なにこれ?」

 

「飲み物だよ。少し飲めば多少痛みは和らぐと思うぜ」

 

「え? あ、ありがとう…」

 

妖精弓手はそう礼を言って受け取り、ソルジャーは依頼主が居る街の奥に進む。

 

彼の後ろ姿を見る妖精弓手に対し、そんな様子を見た鉱人道士は。

 

「なんじゃ耳長、お主かみきり丸に惚れたか?」

 

「な!そんな訳無いでしょう!!馬ッ鹿ないの!?」

 

顔を真っ赤にしながら否定する妖精弓手は小走りで先に進み、鉱人道士は笑いながら見ていた。

女神官達はそれにため息を履き、蜥蜴僧侶は呆れながら言う。

 

「術師殿、少々悪戯すぎるぞ」

 

「分かっとるわい、じゃがこれくらいのからかいでダメになってしまう様ではあかんわい。全くあやつの方がまだまだガキじゃの」

 

そう言って鉱人道士は先に進み、蜥蜴僧侶は呆れながらもその後を追いかけていく。

そんな中で女神官達は少し考えながらもその後を追いかけていく。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

街中を進む中、活気のある街の風景を見て、蜥蜴僧侶が言う。

 

「なかなか活気のある街ですな」

 

「法の神殿のお膝元ですし、沢山の支流が集う水の街ですからね」

 

「そこは変わらないわね。こっちと」

 

女魔術師が辺境の街の風景をこちらと見比べながらいい、その様子を女武闘家もうなづく。

 

「そうね。私達の街とも変わらない」

 

「いや、ちょっと違うところがある」

 

「え?どんな所がですか?」

 

ソルジャーが言った言葉に女神官が問い、ソルジャーはある方を見る。

彼が見たのは、水路の近くに畑が沢山あり、そこには新鮮な野菜や果物が大量にあった。

 

「ここの野菜と果物が辺境の街と違って大量に取れる、それに空気も水も美味しいから皆健康的な人たちばかりだ」

 

「確かに、小鬼殺し殿の言っている事も一理ある」

 

その言葉通り、水の街の人たちは辺境の街の人達と違って健康的な人達ばかり、それを比べると違うと思うのも頷ける。

 

「それよりも、依頼主は何処にいるんでしょうか?」

 

「神殿にいると思うが…」

 

「なら私に任せて! 実は私ここに来たことあるの。こっちよ」

 

そう言って妖精弓手は先頭に立って案内する、それにソルジャー達はその後をついていく。

 

そしてソルジャー達はこの街の神殿へと着いて、その神殿を見上げていた。

 

「うわ~。大きいわね」

 

「ここに依頼主が居るね?」

 

女武闘家が神殿を見上げて、女魔術師が問う、それにソルジャーがうなづく。

 

「ああ、ここの神殿を見てようやく確信した」

 

「確信したって何がですか?」

 

ソルジャーが言った言葉に女神官が頭を傾げながら問い、ソルジャーは依頼主の手紙を出して言う。

 

「これを送ってきたのは至高神の大司教だ」

 

「えっ」

 

っとその言葉を聞いた女神官は思わず言葉が止まり、そして…。

 

「ええ!ええっ! あ!あの!司教様って!」

 

「やはり君は知っていたか。まあ至高神と同じ地母神の関係者なら当然か」

 

そう言ってソルジャー達は先に進み、戸惑いを隠せない女神官。

女武闘家と女魔術師は女神官に問う。

 

「ねえ誰?」

 

「知ってるの?」

 

「ええ…、“剣の乙女様”です」

 

「「っ!!!」」

 

その事を知った女武闘家と女魔術師は思わず目を大きく見開くのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

神殿へと入ったソルジャー達は奥でその依頼主が居る大広場へと向かう。

 

すると至高神の像がある広場に着くと、そこには白いローブを来た女性が一人立っていた。

ソルジャー達の足音に気付き、その場を振り返る。

 

「あら?まあ…どなた?」

 

その人物こそ、今回の依頼者である『剣の乙女』、白いローブの下には扇情的かつ非常に肉感的な身体をしている為、他の男の者達は必ず目を向けてしまうだろう。

しかしソルジャーはそれを目を向けずに、剣の乙女に問う。

 

「失礼、辺境の街から来た銀等級ソルジャーだ。貴女が依頼主の大司教、剣の乙女か?」

 

「ええ、そうです…。そうですか…貴方が」

 

剣の乙女はソルジャーの方を見ながらうなづく。

しかし今の彼女の顔を見たソルジャーは目を細める、なぜなら剣の乙女の目の当たりは黒い布で隠していて、何やら訳ありの雰囲気を見せていた。

 

そんな中で女神官は剣の乙女を見ながら興奮が隠しきれなかった。

 

「(つ、剣の乙女様…! 10年前蘇った魔神王の一つを打つ滅ぼした金等級…、第二位の冒険者。伝説に導かれし勇者ではなく人の内より現れ出た史上の存在…!)」

 

「あれが剣の乙女様…初めて見た」

 

「あ!あの! お会いできて光栄です…!」

 

女魔術師が目を大きく開きながら見て、女武闘家が頭を下げながら言う。

 

「フフフ…可愛らしい女神官様と可憐な武闘家様に麗しい魔術師様…、それに…」

 

「うむ、我らは一党の同胞であります。及ばずながら力をお貸し致しましょう」

 

その言葉に微笑みながら剣の乙女は言う。

 

「ようこそ、法の神殿へ…歓迎いたしますわ。同じ冒険者として…」

 

「いえ…、では早速ですが、ゴブリンの事を聞かせて貰えるか?」

 

「そ、ソルジャーさん。そんないきなり…」

 

「構いませんよ、ええ、勿論お教えしますわ」

 

女神官の言葉に構わないと言う剣の乙女、そして剣の乙女からこの街に起きた事を聞く。

 

一か月前の事、神殿の使いである娘がある晩帰ってこなかったと言う。そしてその翌日、その娘が路地裏で遺体となって発見されて、その様子では“生きたまま”切り刻まれたらしい。

 

その話を聞いたソルジャー達は少しばかり考える。

 

「生きたまま…か」

 

「それは…その、ひどいですね」

 

その事に剣の乙女は黙り込むが、それをソルジャーは一つ問う。

 

「一つだけ聞きたい、その他に変わったことはないか?」

 

「変わったことはありませんが…。ただ…一つだけ、街の冒険者に依頼を出して夜間巡回した所、一組の冒険者達が女性を襲う小柄な人影を見つけ、切りつけたその犯人の姿は…紛れもなくゴブリンだったのです」

 

「ゴブリンか~。紛れてきたのかな?」

 

妖精弓手がソルジャーに問いかけ、それにソルジャーはうなづく。

 

「ああ、恐らくそうだろうな…、だがまた確信とは行かないが」

 

「小鬼も一匹二匹とは限らんじゃろうしな」

 

「さよう、小鬼ならば地下に潜むものでありましょう。この街は古い都邑の上故、地下は遺跡も同然かと」

 

蜥蜴僧侶の言葉に剣の乙女は重い口を開く

 

「私共も地下だろうと結論に至り、この街の冒険者に依頼を出したのですが…、生憎引き受けてくれる二人の冒険者は別の依頼で長期留守にしているのです」

 

「え?引き受けてくれる冒険者がいるんですか?」

 

女神官は意外な冒険者が居る事に驚きながらも問い、それに剣の乙女はうなづく。

 

「はい。そんな時辺境の勇士、ソルジャーの歌を耳にしたんです」

 

っとその言葉を聞いたソルジャーは思わず唖然とする。

 

「へ?俺って歌になってるの?」

 

「あら知らなかったの?実は私達はその歌を聞いて貴方が居る辺境の街まで来たのよ」

 

「さよう、小鬼を殺す武勇伝があればこそ世に語られ遺るといいますぞ」

 

「ふ~ん…」

 

何やら興味がなさそうなソルジャー、それに対して女魔術師が。

 

「この人物の顔を見たら幻滅する所もけどね…」

 

「おいこら…」

 

「ぷはははははは!言えてるわねそれ!」

 

「お前もか!?」

 

二人の失礼発言に怒鳴るソルジャー、女神官は困り果てる表情をしながらなんとか抑えようとする。

そして蜥蜴僧侶が言う。

 

「しかし地下水道となると簡単ではありませぬな」

 

「ああ、何時ものようにゴブリンを殲滅するにもガスを使えば上の街に被害が及ぶし、爆発物を使えば崩落、火も水の影響で使えない…、完全に肉弾戦だ」

 

そう言ってソルジャーは剣の乙女の方を見て、剣の乙女は手を胸に当てながら言う。

 

「お願いします、私共の街を救ってはいただけないでしょうか?」

 

「…約束する」

 

ソルジャーはそう言って、剣の乙女の方を見続けながら言う。

 

「必ずやゴブリンを殲滅する。依頼を受けた以上…この街に被害を広げさせるわけにはいかない。侵入方法は?」

 

「ここに地図が」

 

剣の乙女は地図をソルジャー達に渡し、その地図を見る。

 

「神殿の裏庭の井戸から地下水道に降りるのが一番だと思いますわ」

 

「ありがとう、行こう皆!」

 

そう言ってソルジャーは外に行き、ソルジャーの後を追う。

女神官と女武闘家、女魔術師の三人は剣の乙女に向かって言う。

 

「では大司教様、私達も行って参ります」

 

「もし…」

 

「何か?」

 

女神官は剣の乙女に止められて振り向き、剣の乙女は思ったことを問う。

 

「依頼人として不躾とは思いますが…、…貴女方は恐ろしくはないのですか?」

 

その言葉に三人娘達は少しばかり思い出す。ゴブリンに自分達がやられかけ、そして凌辱されかけた事に。

 

「確かに怖いですよ…今でも」

 

「でも、ずっと怖がっていては前には進めません」

 

「それに…、きっと大丈夫だと思います」

 

そう言って女神官達は頭を下げて、ソルジャー達の後を追いかける。

 

剣の乙女はその光景を見続け、そして手を胸に当てながら祈る。

 

 

「どうか…あの者たちに、依頼の成功と無事を…」

 

 

 




感想と誤字報告、どうかよろしくお願いします


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第20話 水の街 後編

水の街の地下水道の戦闘、後の臭いがキツそう…。


剣の乙女からゴブリン達が潜む地下水道に続く井戸で降り立ったソルジャー達、そこでゴブリンの捜索して二日目、ソルジャー達はその場に潜んでいたゴブリン達と戦闘を行っていた。

 

「ふん!!」

 

「GOUBRE!!」

 

ソルジャーのソウルブレードで切り裂かれたゴブリンはそのまま倒されて、そして次のゴブリン3体がソルジャーに向かっていく。

向かっていくるゴブリン達にソルジャーは、左手に持つ『H&K MP7 サイレンサー付き』をゴブリン達に向けて放つ。

 

MP7から放たれる4.6×30mm弾がゴブリン達に直撃して倒れる。

 

それと同時に蜥蜴僧侶も刃を使ってゴブリンを切り倒し、次のコブリンを切り倒していく。

 

「はっ!」

 

女武闘家も格闘でゴブリンの頭蓋骨と手足の骨を粉砕し、倒していき、更に次のコブリンに向かっていく。

 

妖精弓手も弓を使って迫ってくるゴブリンを倒し、最後のゴブリンを頭部にあてて倒す。

 

「はい、おしまい」

 

その場にいたゴブリン全員を倒したのを確認したソルジャー達、隠れていた女神官達が出てきて、鉱人道士は潜んでいたゴブリン達を見ながら呟く。

 

「まさかこれほどの小鬼が街の下に潜んでいたとはのう」

 

「まあ予想はしていたが、これは余りにも多すぎる。恐らく序の口程度だろうな」

 

「ええ!?これが序の口!」

 

ソルジャーの言葉に驚く女魔術師、それにソルジャーがうなづく。

そんな会話に妖精弓手が自分が放った矢を回収して、血を拭き取ってしまう。

 

鉱人道士はそんな妖精弓手のやり方を見て問う。

 

「なんじゃ耳長、小鬼の真似でもしようるのか?」

 

「違うわよ、長期戦になると思うから…節約したいのよ。ゴブリンの矢って…雑で使いづらいのよ」

 

「まあ作りは下手な奴らだから、それは仕方ないがな。なら俺も」

 

そう言ってソルジャーはマルチツールタブレットを取り出して、MP7をもう一丁取り出す、それを右の太ももに装備して、弾薬も複数持つ。

 

そもそもなぜMP7を選んだかと言うと、軽量で扱いやさを選んだのがまず一つ、二つ目はマガジンの交換をしやすくする為である。

口径の小さいP90ならば貫通性はあるが、マガジンを変えるのが手間がかかる。

 

上部にマガジンがある上にマガジンキャッチがしづらい為、扱いやすいMP7を選んだのだ。

 

そして弾の方も関係はある、4.6×30mm弾は5.7×28mm弾よりも扱いやすいと考えて、こちらを選んだ。

貫通性は5.7×28mm弾の方が上だが、こちらは体内で弾が崩れる為、小型のストッピングパワーに優れていると考えてもいい。

 

弾の方はなんとかなるが、数も限りがあるため、次々と使用する事は出来ない。

増やすには特別部屋でリロードツールを使って、弾を増やさなきゃ行けない。

 

薬莢と鉛、火薬の方はケミストビルダーツールタブレットで無限に増やせるため、そこは問題ない。

 

ちょっとの雑談は終わりにして、ソルジャーはソウルブレードをしまい、もう一丁のMP7にサイレンサーを取り付けて、出来るだけ音を無くすようにする。

加えて、サイドレールにフラッシュライトを取り付け、万が一灯りが消えた際の変わりを勤めてもらう。

 

そして2丁構えて、先に進もうとする。

進む中で鉱人道士が呟く。

 

「しかし捜索して二日、そして五度目の襲撃。小鬼共がどれだけうじゃうじゃいるか分かったもんじゃないわい」

 

「それに加えてこの迷宮、いささか気が緩めませんな」

 

蜥蜴僧侶が地下水道の中を呟きながら見渡す、それをソルジャーが言う。

 

「大丈夫だ。ここは石壁。横穴を惚れないから奇襲は心配ないよ。それに水のお陰で臭いも消してくれてるしな」

 

っとその事に女神官の体が震える。

 

「い、嫌なことを思い出させないで下さい」

 

「そ!そうですよ…! あれ以来まだトラウマがあって…」

 

女神官の後に女武闘家がその事を言うと、ソルジャーは申し訳なさそうは表情をしながら言う。

 

「すまんすまん『ポタン…』ん?」

 

ソルジャーの頭に一滴の水が落ちてきて、それに感じたソルジャーは上を見ると、天井から水がポタポタと流れ出してきて、そして雨になる。

 

「雨…?」

 

女神官がそれに呟き、妖精弓手は呟く。

 

「なんで地下で雨が降るの?」

 

「上で降っとる雨が排水口や運河だのこっちに回ってくるんじゃろう」

 

「それよりもすぐに雨が少ない場所に移動しよう、俺ら男はともかく、女を風邪引かせたら大変だ」

 

「流石は小鬼殺し殿、仰る通りだ」

 

皆はすぐに雨の弱い通路へと進み、松明を消してランタンに変える。

 

ランタンを持ってきた事に妖精弓手は一安心する。

 

「ランタン持ってきて正解だったわね~。こんな強い雨じゃあ松明は役立たずだもん」

 

「そうですね。ソルジャーさんは何時も松明を持ってますけど…」

 

女神官がその事を問い、それにソルジャーは言う。

 

「松明は時に武器にもなるからな、たまに使わない時はあるけど。ランタンはすぐ割るからな、ガラスが弱い」

 

「それは仕方ないんじゃないんですか?」

 

「そうよ、そこは贅沢しちゃダメよ」

 

その言葉に女武闘家と妖精弓手が言い、それにソルジャーは頭をかきながら黙り込む。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてソルジャー達はすぐに雨具を着込んで、なんとか雨をしのいでいた。

そんな中で、ソルジャーが一枚の大きな布を取り出し、それを広げて蜥蜴僧侶に言う。

 

「リザードマン、広げて上に持ち上げてくれ」

 

「承知した、しかしこれは何に使うのであろうか?」

 

それを問いかけられ、女神官達もそれにうなづきながら見て、ソルジャーは答える。

 

「これは雨を凌ぐ布で防水性が途轍もなく高いんだ。これを長い棒で両側の壁に当てて、それを少し斜めにさせておくんだ。そうすると水がその方向に流れていき、こちらには全く雨が流れてこないんだ」

 

そう言いながら準備ができて、その下に座るソルジャー達。

その布は言った通り全く雨が入って来ず、そのまま坂によって流れていき、水流の方に水が流れていく。

 

「へぇ~。凄いじゃない」

 

「こんなものもあるんですね?」

 

「結構加工が大変だったが…、少し腹が減ったな。何かない?」

 

ソルジャーがそれを問うと、女神官がそれにうなづいて言う。

 

「簡単なものならありますよ、パンと葡萄酒です。本当はちゃんとお料理したかったんですけど、流石にこの場所ではちょっと…」

 

「そりゃあね~」

 

妖精弓手がうなづく通り、こんな地下水道でまともな料理を食べたら、なにやら胃がもたれそうな感じがするのは言うまでもない。

そう言いつつ皆が少し小腹を満たし、その際に女魔術師が言う。

 

「これが終えたら何か美味しいものでも食べましょう」

 

「いいわねそれ、あとこれはオルクボルグの奢りね?」

 

「どうして俺なんだ…っ!」

 

っとソルジャーが何かを感じて立ち上がりMP72丁持ち、それに妖精弓手も同じように立ち上がって弓を構える。

 

「ソルジャーさん?」

 

「どうしたんですか二人共?」

 

女神官達が問うも、ソルジャーは真剣な表情をしたまま言う。

 

「皆…用心しろ」

 

っとその言葉に皆は思わず立ち上がって武器を取る、そして橋の中央に立ち、下流の方を見ると、そこからゴブリンの船がやって来る。

 

「あれは…!」

 

「ゴブリンの船!?」

 

驚いている中、ゴブリン達は弓を構えて、ソルジャー達に向けて矢を放つ。

 

「GEUGEEE!!!」

 

矢が放たれた事に女神官がすぐに奇跡を放つ。

 

「《いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らをどうか大地の御力でお守りください》聖壁!!」

 

女神官の聖壁がゴブリンの矢をふせいてくれている、だが女神官は少しばかり苦しそうな表情をしていた。

 

「そんなに長くは…」

 

「いや結構、それで十分だ」

 

「それで、どうするの?」

 

妖精弓手がソルジャーに問いかけるも、ソルジャーは笑みを浮かばせながら言う。

 

「決まっている。ゴミ掃除と行くぞ!」

 

そう言ってソルジャーはMP7を構えてセミオートにし、ゴブリンに向けて放つ。

ゴブリン達は銃弾の雨に撃たれながら倒れていく。

 

「負けられいないわね!」

 

妖精弓手も矢を放ち、ゴブリンの頭部を狙っていく。

その際にソルジャーが女武闘家と蜥蜴僧侶に話す。

 

「武闘家!リザードマン! プロテクションが解けたらあの船に乗り込んで一気に叩くぞ!」

 

「はい!」

 

「心得た!小鬼殺し殿!」

 

その言葉にうなづく二人、そして一丁のMP7の弾が切れた時にソルジャーは女魔術師に一丁のMP7を渡す。

 

「預かっててくれ。なくすなよ?」

 

「わ、分かったわよ」

 

そう頷く女魔術師、そして女神官が。

 

「き、奇跡が解けます…!」

 

その言葉と同時に聖壁が解けて砕け散る、その時にソルジャーが催涙グレネードをゴブリンの船に投げ込み、ゴブリン達はそれを見ると、催涙グレネードが爆発して、ゴブリン達の目が潰れてしまう。

 

「GUEEAAAAAA!!!」

 

「うわ~…」

 

「行くぞ!」

 

その言葉と同時にソルジャー、女武闘家、蜥蜴僧侶の三人が飛び込み、ゴブリンの船に乗ってゴブリン達を蹴散らしていく。

 

ソルジャーがソウルブレードで切り込み、ゴブリンが背後から迫ってくるのを感じて、左腕の小盾を展開させ、ゴブリンの攻撃を防御する。

 

「装備が整えられているな…だがあまい!」

 

ガラ空きの腹部にソウルブレードを突き刺し、そして投げつけるかのように放り投げ、ゴブリン達の元に送る。

それによりゴブリン達は体制を崩す。

 

女武闘家は迫り来るゴブリンに素早い連続打撃を与え、ゴブリン達を退けていく、しかしゴブリン達は女武闘家の元に徐々に集まっていき、その様子を蜥蜴僧侶が見る。

 

「武闘家殿!ゴブリンが集まってきますぞ!」

 

「分かってます!はっ!!」

 

女武闘家は回し蹴りで迫り来るゴブリンを払い、蜥蜴僧侶がその後ろに回り込んで女武闘家を援護する。

 

そしてソルジャーが一つのグレネードを取り出して、二人に向かっていう。

 

「二人共!今すぐ船から降りてくれ!こいつを吹っ飛ばす!」

 

「えっ!?どうやって!?」

 

「どうするのかは分からぬが、取り敢えず心得た!」

 

分からない二人はそう言って船から降りて、ソルジャーはグレネードのピンを抜く。

 

「さて…あばよお前ら」

 

そう言って船の上に落とし、ソルジャーは飛んで橋の上に戻る。

 

するとグレネードが爆発する、爆発は小さいものの船の上に大きな穴が出来る、そこから水が入り込んで、ゴブリン達はそのまま水の中へと消えていく。

 

それを見たソルジャーは一旦一息をつけると、妖精弓手が慌ててやって来る。

 

「ちょっと何してるのよ!もし崩落が起きたら!」

 

「大丈夫だ、あれは爆発が小さいものだ。ボロ船の穴くらいならどうってことない」

 

「それとこれは違うの!」

 

「ああもう!駄目駄目うるせぇな!!」

 

「なによ!」

 

っとソルジャーと妖精弓手の口喧嘩が始まってしまい、それをなんとか止めようと女神官が慌てる。

 

「あ、あの…!」

 

 

ゾッ…!!!

 

 

「っ!!」

 

するとソルジャーはソウルブレードを握り、水の方を見る。

妖精弓手はソルジャーの突如の行動を見て問う。

 

「な、何よ急に…」

 

「何かが来る…!」

 

っとその言葉に皆は思わず水の方を見ると、突如水面が浮かんできて、そしてそこからゴブリンをくわえたまま出てくる『沼竜(アリゲイタ)』が出てくる。

その沼竜を見たソルジャー達は驚く。

 

「なっ!アリゲイタ!!?」

 

「うそ!?」

 

「に!逃げましょう!!」

 

その言葉に頷くかの様にソルジャー達は走り出す。

 

「くっそ!こんな所アリゲイタがいるなんて!」

 

「絶対地下水道に居るはずがないのに!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。『グイ!』ひゃ!」

 

突如女神官をソルジャーが抱え上げて、スピードを上げて走る。

 

「呼吸を整えておけ!」

 

「わ!私は大丈夫ですよ!」

 

「まだ奇跡二回あるだろう!? その時使ってもらうんだ!」

 

ソルジャーの言葉に頷く女神官、すると妖精弓手が何を捉える。

 

「っ!前方にゴブリンの船!それも複数!」

 

「よっしゃ丁度いい!グッドタイミングだ!」

 

「何がグッドタイミングよ!?」

 

「ああ、丁度“あれ”を使いたいからな!」

 

そうソルジャーは後ろの、あれを見ながら言う。

 

 

 

そしてゴブリンの船が三隻ほどやって来て、水面に光が出ているの見て、ゴブリン達がそこに向かっていく。

 

っとその時水面からアリゲイタが出てきて、アリゲイタはゴブリン達を食い始める。

 

別の場所でソルジャー達がその光景を見ていた。

それを女神官が奇跡を使っていた。

 

「《いと慈悲深き自母神よ、闇に迷えるわたしどもに、聖なる光をお恵みください》…」

 

「まさかアリゲイタの尻尾にホーリーライトを照らすとは、それにしても呆気なく騙されたわね?」

 

妖精弓手はすぐに騙されるゴブリン達の行動に呟き、それにソルジャーは言う。

 

「あいつ等は冒険者は光を付けて移動するってのがわかってるからな、まあ誰が言ったのか分からないが、それは別に良しとするか」

 

「ソルジャーさん、これ」

 

っと女魔術師が預かっていたMP7をソルジャーに返し、それをソルジャーは受け取る。

 

「ありがとう。それにしてもやはり変だな…」

 

「何がですか?」

 

ソルジャーの言葉に女武闘家が問い、それにソルジャーは言う。

 

「ここのゴブリン達は船を使っていて、おまけに装備も整えている。通常のゴブリンではまず有り得ないし、考えられない。略奪民族のゴブリンがこれほどの規模…間違いないな」

 

「一体何が言いたいのですかな?小鬼殺し殿」

 

蜥蜴僧侶がそれを問い、それにソルジャーは重たい口を開かせて言う。

 

 

 

「この地下に蔓延るゴブリン達は自然に増えたんじゃない…。これは…“何者かが”人為的に発動させたんだ。それも“誰か”を狙って…」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして別の場所でゴブリン達はある人物に、仲間がやられた事を報告していた。

その人物はゴブリンではなく、“人”であった。

 

「GOGAGAA、GOOOGAOGA!」

 

「へぇ~? ゴブリンがそんなにやられたんだ。しかも冒険者に?」

 

それに何度もうなづくゴブリン達、その人物は笑みを浮かばせながら立ち上がる。

 

「それは面白うだね…。なら僕もちょっと見に行こうかな…、その冒険者達の所に」

 

ガシャ!

 

っとその人物は右手に持つ物をスライドさせる、まるで初弾を装填するかのような感じに…。

 

 




はい…最後辺りにオリキャラが出現、最後の人物は誰なんだろう…。


感想と誤字報告よろしくお願いします


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第21話 謎の暗躍 前編

辺境の街と水の街とはまた違う土地、浜辺の街。そこでは豊富な魚が取れると言われていて、繁盛な店が立ち並んでいる。

その浜辺の街での近くにある洞窟、そこにはゴブリンの出没が出ていると噂されていて、ゴブリンの噂に街の人たちが夜出歩こうとしない。

 

そこである冒険者2名がその浜辺の街にやって来て、洞窟のゴブリンを退治している。

 

2人組の冒険者は鎧を着込んでいる他、1人は大剣を背負い大柄な体で豪腕な腕の筋肉がむき出しの冒険者で、もう1人は頭に鉢巻を巻いて腰に剣を持って背中には収納可能な槍を持っている。

そして注目する部分が、彼らの両肩にある“ゴツイ物”があると言う事だ。

 

その洞窟で、2人の冒険者がゴブリンと遭遇し、大柄の冒険者が背中の大剣を手に取ろうとしたら、鉢巻の冒険者が止める。

 

「おい、こんな狭い場所でそれを使うのは妥当じゃないぞ」

 

「チッ、豪快に斬ろうしたかったんだが、仕方ない」

 

っとその冒険者は大剣を手に取るのをやめて、バックパックから二つのジャマダハルを取り出す。

同じようにもう1人の冒険者もバックパックからハチェット二つを取り出して、接近戦に構える。

 

「GARGIEAA!!」

 

「フッ!!」

 

大柄の冒険者がジャマダハルをゴブリンに突き刺し、更に豪快に二体突き刺していき、ゴブリンの胴体を切り分けて倒していく。

 

鉢巻の冒険者はハチェットを使ってゴブリンの頭を刺し、そして背後から来るゴブリンの首にめがけて振る、そのハチェットがゴブリンの首を切り裂き倒す。

 

そして迫ってくるゴブリンたちを蹴散らしていき、洞窟の奥に居る囚われての女性たちを救い出す。

救出した女性たちを浜辺の街に送り届け、その街のギルドに報告した後、2人は街を後にする。

 

「さて。ようやく長期の冒険を終えた所で水の街に戻るとするか」

 

「ああ、浜辺の街はいいんだが…海の塩の香りは俺にはきつい」

 

大柄の冒険者はそう言って鼻をつまみながら言い、鉢巻の冒険者は呆れた様子で“ある物”を取り出して、更にこの世…否、もっとも“この世界にはない乗り物”を取り出して、自分達の拠点である水の街に戻るのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして水の街では一度地上に戻ったソルジャー達、そんな中で女神官、女武闘家、女魔術師はサウナ風呂で地下水道で付いてしまった臭いを落としていた。

 

「ふぅ…気持いい」

 

「本当、こんな場所があったなんて」

 

「でもこの前ソルジャーさんのあの場所の方が…」

 

っとその事に女魔術師が言うと、三人は思わず顔を真っ赤にしてしまい、顔を横に振る。

 

「あ!あれは置いといて! それにしても皆さんも一緒にここにこればよかったのに…」

 

「多分無理だと思うよ? ドワーフさんとリザードマンさんは論外なのはともかく、あのハイエルフさんはどうもこっち側が苦手みたいで、火の精霊がどうとかで」

 

「それにソルジャーさんは少し手紙を書くと言ってギルドの方に行ったからね」

 

三人はそう言いながらサウナ風呂を満喫していると、扉から誰かが入ってくる。

 

「あら、皆さんお揃いで」

 

「「「っ!!!」」」

 

女神官達が驚いて振り向くと、そこには同じように入浴しに来た剣の乙女がいた。

 

「お邪魔してごめんなさいね、勤めで遅くなってしまって…」

 

「「「…」」」

 

剣の乙女の姿に見とれてしまっている女神官達は、ただ唖然としたまま見ていた。

 

「お隣、いいかしら?」

 

「あ!はい! 勿論です…!」

 

女神官は問いかけられる剣の乙女に慌てながら頷き、剣の乙女は彼女の側に来て、近くのかけ湯を体にかける。

すると女神官は剣の乙女の体にある物を見て問う。

 

「あ、あの…。それ……は?」

 

体には何かしら傷つけられた傷跡が体のあちこちに浮かび上がってきて、女武闘家と女魔術師がそれを見て思わず言葉を無くす。

それに剣の乙女が見ながら言う。

 

「ああ、これ。少し…失敗してしまったの。後ろからガツン…って。もう十年以上の前の事だけど」

 

「あ、えと…、その、…大丈夫なんですか?」

 

体のことを心配する女神官に、剣の乙女はそれに微笑んで言う。

 

「…貴女は優しい人なのね。だいたいの人がわたくしが教えると「ごめんなさい」って言うのに」

 

「…っ!そんな事は」

 

「あの…気にしないでください。彼女何時も心配してしまう方なんで…」

 

っとその事を女武闘家が言うと、それに女神官が思わず頬をふっくらして女武闘家を見る。

 

「大丈夫です。そちらも気になさらずとも良いのですよ」

 

そう言って剣の乙女は白樺の枝で身体を清め、そして三人に話す。

 

「あなた方は何時も一緒なのですね」

 

「は、はい。冒険者になった時にずっと一緒で」

 

「そうですか…。それと御方、ソルジャーと仰いましたか、頼もしい御仁ですね」

 

「え、は、はい。本当に」

 

少々慌てながらもその事に頷く女神官。

 

「探索も順調な様子で、わたくしも嬉しく思っておりますわ、ただ…」

 

っとその言葉に女神官達は思わず息を呑む。

 

「彼には何やら“不思議な力”を感じます。それもいくつも…、余りにも強大過ぎて、きっと何時か消えてしまうでしょうね」

 

剣の乙女の言葉に女神官達は言葉を無くしてしまう。

 

「のぼせない内にお上がりなさい」

 

そう言って剣の乙女はその場から立ち去っていき、女神官達はその様子をジッと見つめていた。

 

「知ってる…」

 

「ええ、あの人…知ってるわ」

 

「はい…、ゴブリンの事を…」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

一方ソルジャーは水の街のギルドで牧場に居る牛飼娘に手紙を書いており、ある程度書いた所で受付人に手紙を渡す。

 

「ではよろしく頼む」

 

「かしこまりました」

 

そう言って受け取り、ソルジャーは窓口からその場をあとにする。

そして飲み物を注文しようとした時に。

 

「オルクボルグ!」

 

「ん?ようお前か。どうした」

 

妖精弓手が手を振りながらソルジャーの元にやって来て、ソルジャーの隣に妖精弓手が立つ。

 

「さっき手紙を書いていた所見たけど、誰に送っていたの?」

 

「俺の幼馴染だよ。この間の件で少しばかり心配させてしまったからな」

 

ソルジャーの話を聞き、妖精弓手はこの間の件と言えば恐らくゴブリンロードの件の事だろう思い、それに納得する。

 

「へえ、ちゃんと気を使ってるのね」

 

「当たり前だよ、勿論お前にもな」

 

「なっ!何言ってんのよ!バカ!」

 

思わず顔を真っ赤にしてしまい怒鳴る妖精弓手、それに笑いながら見るソルジャー。っとその時に周りの方を見る。

何やら気に食わない雰囲気をしており、こそこそと話し声が聞こえる。

 

「なんだよあれ、あんな奴のどこがいいんだ?」

 

上森人(ハイエルフ)の考えってよく分かんねぇぜ。男ならキチンと外見で見てもらわないとな」

 

「よし!後で俺が声を掛けていくぞ!」

 

「おい抜け駆けはなしにしろよ!」

 

っと何やら奇妙な空気になっている感じがし、それにソルジャーは妖精弓手に問う。

 

「おい、別の場所に移動するぞ」

 

「え?どうして」

 

「どうもここのギルドは奇妙な雰囲気を見せている。お前も少しは感じているだろう?」

 

「…そっちも? やっぱりヤな感じな所ね」

 

そう言って妖精弓手はソルジャーの腕を組んで、その場を出ようとする。

 

「さ!どこか美味しい料理を食べに行こう! 勿論あんたのおごりよ!」

 

「結局俺かよ!」

 

愚痴りならもソルジャーと妖精弓手はギルドから出ていき、それに舌打ちする者達がいたのは言うまでもない。

 

っがその時ある人物がその様子を見ていた。

 

「へぇ~、あれがか。なんとも言えない感じだけど…ふ~ん、どうもあれだね~…弱点が無いこともない」

 

何やら今の様子を探っている感じを当然ソルジャーは知るもしなかった。

 

 

 

 

そして美味しい料理店に入ったソルジャーと妖精弓手は、ソルジャーのおごりで美味しい料理を食べていた。

 

「たくぅ、なんで俺が奢らなきゃならないんだ」

 

「いいじゃない、あんたの依頼で、あんたの為の事なんだから」

 

「訳がわからん…!」

 

怒りをプルプル震わせながら我慢するソルジャー、そんな様子に妖精弓手は言う。

 

「あんたも意外と、他の皆の事、気を使ってるのね」

 

「ん?まあな、それが出来なきゃパーティーなんて出来ないだろう」

 

「…そうね、そりゃそうよね。ようし!後で何か買おう!」

 

「ん?何を買うんだ?」

 

それにソルジャーは問うと、堂々とした表情で妖精弓手は言う。

 

「色々よ!色々! さあ!早く食べて行こう!」

 

「(はぁ…やれやれ、こいつの頭の中は分からんな、全く)分かったよ、それじゃあ食べたあと行くか」

 

「よし!」

 

そう言ってソルジャーと妖精弓手は美味しい食事を食べた後に買い物をし、明日のゴブリン討伐に向けて準備をするのだった。

 

 

 




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第22話 謎の暗躍 中編

徐々にオリジナルを入れていきます。

そして名セリフもありますwww


地下水道でアリゲイタと遭遇したソルジャー達、一旦街に戻って体制を立て直して、また翌日地下水道にやってきた。

その際に入り口で入ろうとした際に、女神官がソルジャーの腰にある物を見つける。

 

それはカナリヤだった、カナリヤを連れているソルジャーに女神官が問う。

 

「ソルジャーさん、どうしてカナリヤを連れているんですか?」

 

「ん?ああ、カナリヤは僅かな毒の気配を察知してくれる感覚を持っている、水道では臭いが分かりづらいからな」

 

「そうなんですか~…」

 

女神官はそれに納得するかの様に頷き、ソルジャーは前を向いて少しばかりホッとする。

 

「(本当はガス探知機を使いたかったんだが、ここでガス探知機を使うとまたややこしくなるだろうな~…)」

 

「でもオルクボルグ、カナリヤなんて役に立つの?昨日一緒に買い物して気になったけど」

 

「大丈夫、カナリヤは役に立つって」

 

そう言うソルジャーの言葉にやや心配気味な妖精弓手、そんな妖精弓手を鉱人道士が近寄り。

 

「なんじゃなんじゃ耳長娘、今日は何時ぞやかみきり丸と仲良しじゃのう」

 

「なっ!!そんなんじゃないんだから!!バカ!!!」

 

っと真っ赤な顔ですぐさま先にいく妖精弓手、それには鉱人道士は高笑いし、それには蜥蜴僧侶はため息を吐きながら呆れる。

そんな様子を女神官達はソルジャーの方を見て、それにソルジャーは彼女達を見て、少しばかり片目だけ合図を送る。

 

女神官達は少しばかり苦笑いするしかなく、そしてそんな様子に女神官達は妖精弓手の後を追いかける。

 

そしてソルジャー達もその後を追いかけていくのであった。

 

っがそんな様子をある人物が見ていて、そして不気味な微笑みをするのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

ソルジャー達が地下水道に入って、その奥に進む中、数匹のゴブリンが出くわす。

だが攻撃せずに見逃している。

 

「向こうに行ったわ。私がやる?」

 

「いやほっとけ、倒したら仲間を呼ばれて面倒だ。この上流を登っていくぞ」

 

そう言ってソルジャーは地下水道の上流を登って行き、女神官達もその後を追っていく。

ソルジャー達が地下の上流を登っていくと、一隻の小舟を見つける。

 

「これは…?」

 

「どうやら小鬼達の船でしょうな」

 

蜥蜴僧侶がゴブリンの船を見て言い、ソルジャーはその先の扉の方を見る。

 

「どうもこの先にゴブリン達の大量発生の元凶があるはずだ、注意して進もう」

 

それに皆が頷き、ソルジャー達はその扉の奥に進む。

 

進む先には先ほどの地下水道の石壁とは違い、雰囲気が変わった壁が広がっていた。

 

その壁は何やら遺跡か何かが記されているかの様な絵が描かれていて、女神官はそれを見続ける。

 

「ここは…遺跡かなにかでしょうか?」

 

「おそらくな。だがこう離れていると恐らく水の街から遠ざかっているだろう」

 

「そうよね。ねえ、地図はなんて記されているの?」

 

妖精弓手は地図を持っている蜥蜴僧侶に問い、蜥蜴僧侶は地図を確認するも、頭を横に振る。

 

「地図には記されてませんな、どうもここは別の場所になってる故、この先地図は役に立ちませんな」

 

「そうか…、ならここから先は運任せで行くしかない」

 

この先地図は役立たずと言わんばかりに先に進むソルジャー、それには同感と言わんばかりに女神官達もその後を追いかける。

そして大きな扉の前に来て、ソルジャーが妖精弓手に言う。

 

「どうだ?罠はあるか?」

 

「ないわ、罠どころか鍵すら付いてない。ただの扉って感じ」

 

「よーし、ならぶち破ってもいいな」

 

「って!爆破はなしよ!!なし!!!」

 

慌てて爆弾を取り出そうとするソルジャーを止める妖精弓手、それには「チッ」と舌打ちをするソルジャー。

爆破はやめてしまい、そのまま扉を蹴り破る。

 

 

 

 

バン!!!!!!

 

 

 

 

その中に入り、警戒するソルジャー達、そして奥には誰かが捕らえられていた。

 

「は!ソルジャーさん!」

 

「……」

 

女神官の言葉に反応がないソルジャー、そんな彼を様子を見て頭を傾げる女神官だが、すぐにその者の所に向かう。

その間にソルジャーは考える。

 

「(どうもおかしい…、入る前には人の気配は全くしなかった、それどころかここには人が入った形跡はない。まさか…)」

 

そしてヒールの奇跡を唱える。

 

「《いと慈悲深き自母神よ、どうかこの者の傷に──」

 

っと女神官の言葉が止まった、その者のはすでに死に絶えた骸骨だった。

どうも髪で顔を隠されていて、すでに死んでいる事に気づくのが遅かった。

 

「きゃああ!!」

 

「っ!くそ! すぐに扉を確保しろ!!!」

 

すぐにソルジャーは蜥蜴僧侶に言い、すぐに扉を確保する蜥蜴僧侶、だが時は既に遅し。

 

 

ガダン!!!

 

 

扉は既にゴブリンが閉じてしまい、閂をかけられしまう。

 

「閂をかけられたか!」

 

「退け鱗の! わしも一緒にやってみよう!」

 

蜥蜴僧侶が鉱人道士の言葉に従い、鉱人道士が奇跡を使おうとした時。

 

 

「「「「「「「「「「「GAAAAGAAGAGAGAGAYRAGAEEEAAA」」」」」」」」」」」」

 

 

扉の外から大量のゴブリン達が押しおせてきて、扉の外で待ち構えていた。

外にいるゴブリン達に女武闘家が構える。

 

「ゴブリン…!!」

 

「そういう事か。どう転んでも自ら仕掛ければこちらがやられる、ならば誘い出して閉じ込め倒す。そう考えたか…」

 

「嘘でしょう…私達冒険者が同族を助けることを分かってて…、なんて悪知恵が働くのよ!」

 

妖精弓手がその事を言うと、ソルジャーが頭を横に振る。

 

「いや…これはどう考えてもアイツ等が考えた知恵じゃない」

 

「ど、どういう事?」

 

女魔術師が問いかけ、考える素振りをしながらソルジャーは答える。

 

「ここのゴブリン達はどう考えても教育されている程の知恵じゃない。それに冒険者がいる時点で攻め込むタイミングを計ることなんてアイツ等にはない。どう考えても誰かが教えているんだ」

 

「誰かが…ですか?」

 

女神官の言葉に頷くソルジャー。

しかし一体誰かなのかはまだわからない。

 

「しかしかみきり丸よ、このままじゃ何時小鬼達が来るかわからんぞ」

 

「あやつ等が一気に攻め込まれたら、我らも太刀打ち出来まい」

 

「心配するな、手はある」

 

そう言ってソルジャーがマルチツールタブレットを取り出し、ある物を取り出そうとする。

っとその時カナリヤが突如叫び出し、それに皆は気づく。

 

「毒気!!」

 

すると壁から毒ガスが流れ込んできて、慌てて妖精弓手が壁を調べる。

 

「ダメ!他に出口が見当たらない!」

 

「落ち着け! 皆これを使ってくれ!」

 

するとソルジャーがある銃を皆に渡し、それを受け取る。

 

「一体何ですかこれは?」

 

「こいつは『ゲルショット』、粘着力のある液体を発射する物だ。本来はこれを使いたくなかったがこの状況だ。これを壁に向かって撃つんだ!」

 

そう言ってソルジャーはゲルショットを毒ガスが吹き出ている壁に撃ち込む。するとゲルショットの液体が壁に当たって固まって、そのまま毒ガスを止める。

それを見た女神官達はソルジャーと同じ様に壁に撃ち込んでいく、徐々にガスの発生源がなくなっていくと少しばかり一息突く皆、妖精弓手はゲルショットを見る。

 

「これ…なんか違和感があるわ。弓を使っている私がどうも負けた感じになって…」

 

「え?あ~…すまん」

 

妖精弓手の言葉になぜか謝るソルジャー。

 

すると扉からゴブリン達が。

 

 

「「「「「「「「「「GAAAAGAAGA!!!!!!!!」」」」」」」」」」」

 

 

ゴブリン達の叫びが多くなってきて、徐々に扉の近くに集まっていく。

それを見たソルジャーはすぐに蜥蜴僧侶に叫ぶ。

 

「リザードマン!すぐに手伝ってくれ!」

 

「承知!」

 

そう言ってソルジャーと蜥蜴僧侶は一緒に棺桶を扉の前まで押して、扉を封鎖する。

 

「よし、これでなんとか時間稼ぎにはなる。皆武器を持て、この扉はそう長くは持たないぞ」

 

ソルジャーの言葉にすぐさま準備を始める皆。

 

「「「「「「「GRTEEGGGAEGYR!!!!」」」」」」

 

すると扉から大勢のゴブリン達が扉を叩き始め、それにソルジャーは先ほど取り出した『H&K 416 M320グレネードランチャー装備』を構える。

 

「来るぞ!!」

 

皆が構えて、そして扉が半分壊されて、壊された隙間からゴブリン達が入ってくる。

 

入ってきたゴブリンをソルジャーと妖精弓手がM416と弓を使って攻撃し、ゴブリン達の頭を狙っていく。

脳を壊されれば当然死に絶える、何発もゴブリン達の頭部に向けて撃ち込む。

 

取り逃がしたゴブリン達は、女武闘家や蜥蜴僧侶、そして鉱人道士と女魔術師の格闘と武器、奇跡を使って倒していく。

 

徐々に入ってくるゴブリン達だったが、突如巨大な棍棒が扉を叩き割り、それに妖精弓手は皆に叫ぶ。

 

「気をつけて!何か来るわ!」

 

それにソルジャーは扉の方を見る、扉が破られて、その巨大な影が入ってくる。

 

「ボブ…いや、ゴブリンチャンピオンか」

 

ソルジャーが呟いたゴブリン、ホブよりも巨大で筋肉が発達したゴブリン、『ゴブリンチャンピオン』がやってきたのだ。

チャンピオンの登場に皆が構えていた時に、ソルジャーがマルチツールタブレットで“ある物”を取り出していて構えていた。

 

「皆、耳塞げ」

 

「え?なんで───」

 

妖精弓手がソルジャーに問いかけて振り向いた途端、ソルジャーがM416よりデカイ銃『バレットM82A1』を構えていたのだ。

 

「早く塞げ!!じゃないと永遠に耳が聞こえなくなるぞ!!」

 

「「「「「「っ!!」」」」」」

 

女神官達はすぐさま耳を塞ぎ、それを確認したソルジャーがチャンピオンに向け、笑を浮かばせながら言う。

 

Jackpot(大当たり)!」

 

 

バアアアアアアアン!!!!!

 

 

ソルジャーがそう言った瞬間、バレットM82の銃口が火が吹き、銃弾の中で最大級の口径『12.7x99mm NATO弾』がチャンピオンの頭に直撃して、チャンピオン頭部は粉々に粉砕していく。

チャンピオンはそのまま倒れてしまい、ゴブリン達は倒れてしまったチャンピオンを見て、そしてソルジャーの方を見る。

 

ソルジャーは笑を浮かばせて言う。

 

「まだやるか?」

 

っとそう言った途端。

 

「「「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」」」

 

大きな悲鳴を上げながらゴブリン達は逃げて行き、ソルジャーはバレットM82をしまう。

 

「ふぅ~。終わり」

 

「「「「もう!!! ソルジャーさん!!/オルクボルグ!!」」」」

 

っと少々涙目で怒鳴りながらソルジャーに攻め寄る女性陣達、ソルジャーはちょっと慌てる感じになる。

 

「えっ?何??」

 

「何じゃないわよ!! 何撃っちゃってのよ!!こっち本当に鼓膜が破けちゃうじゃないのよ!」

 

「撃つんならもっと静かな物を撃ってください!」

 

「そうですよ!塞いでてもまだキーンとなってる感じですよ!」

 

「今度からそれ撃つのなし!!絶対に!!」

 

女神官達に怒鳴られるソルジャーは慌てながらも困り果ててしまう。

鉱人道士と蜥蜴僧侶はこればかりは仕方ないと感じた。

 

「やれやれ、かみきり丸もこれは仕方ないのう」

 

「ですが、あれのお陰で小鬼達の襲撃を防いだと言うのは確かですがな」

 

っとそう言っていると。

 

 

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

 

 

っとゴブリン達の悲鳴が聞こえて、それにソルジャー達は振り向く。

するとゴブリン達がまたしても入ってきたのが、すぐさま首を斬られたて死んでいく。

 

そして一匹のゴブリンが手と頭を振りながら後ろに下がっていた、まるで命乞いをするかの様に。

すると誰かの腕がゴブリンの首を掴み、このまま持ち上げる。

 

「ダメじゃないか。そのまま逃げちゃ」

 

ゴブリンを掴んた1人の只人が言うと、右手に持っている『ククリ刀』をゴブリンの首を目掛けて切り、ゴブリンは首を切り落とされてそのまま死んでいく。

 

「もっと攻めていかないと、じゃないと命ないよ?」

 

その光景を見てソルジャー達は警戒し、ソルジャーがソウルブレードを掴んだまま話しかける。

 

「お前は…?」

 

「あ?ここにいた。どうも~初めまして♪冒険者の皆さん。僕はジャレットと言います。そして…あなた方の敵です」

 

 

 

 




とうとう出会ったソルジャー達と謎の人物ジャレット、どう対決するか見ものですね。

感想と誤字報告があれば気楽にどうぞ。


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第23話 謎の暗躍 後編

「な、何ですと…?」

 

「どういう事じゃ? わしらの敵とは…」

 

「て言うかあんた何!? さっきから何言ってるのよ!」

 

ソルジャー達の前に現れたジャレットと言う人物、そして自分の事を敵と言い放ち、それに困惑する妖精弓手達。

女神官達はどうするべきか分からず、ソルジャーの方を向いて聞く。

 

「ソルジャーさん…」

 

「分かっている、だがあの男からは何かしら不気味な雰囲気を感じる。さっきの様子もそうだ、まるでゴブリンを従えていたかの様にしてたり、余裕な感じも見える。ここは慎重に行くべきだな…」

 

警戒を更に強め、ソウルブレードを抜いて構えて、皆の前に出る。

ソルジャーが出てきたのを見て、ジャレットは見る。

 

「あらら?どうかしましたか~? いや、無理もありませんよね~、いきなり出てきて敵と言ったら警戒するのも、でもまあ本当ですよ?僕はあなた方の敵ですから」

 

っとその時、ジャレットが右手に持っていたククリ刀を左手に瞬時に変えて、右手に既に持っている“銃”を構えて撃つ。

それにソルジャー達はすぐに退避して、ソルジャーはソウルブレードで弾き返し、そのまま後退して、女神官が隠れている棺桶の影に隠れる。

 

そしてソルジャーはジャレットが持っている右手の銃を見る、彼が撃っている銃は45口径の『コルトガバメント M1911A1』だった。

ガバメントを使っている事にソルジャーは驚きを隠せない。

 

「(な!どういう事だ!? どうして奴があの銃を使っているだ!? この世界になるべく広めない様にしていた筈!?どうして!?)」

 

「ね!ねえ! あれってソルジャーさんが使っている物と一緒じゃない!?」

 

「うん!でもどうして!?」

 

「ちょっとオルクボルグ!どういう事これ!?」

 

皆がソルジャーに問いかけてきて、それにはソルジャーも頭を抱えながら言う。

 

「俺が知るかこんなの!!ええい!クソ!!」

 

そう言ってソルジャーは飛び出していき、ホルスターに締まってあるHK45を取り出して、ジャレットに向かって撃つ。

当然ジャレットもそれを紙一重でかわして、走りながらソルジャーが撃っている銃を見て興奮する。

 

「うわ~♪僕と同じ銃を使ってる♪、嬉しいな~、でも~僕以外に使ってるのはどうも気に入らないな…」

 

っと右手に持っているM1911A1が光の粒子となって消えて、また別の銃へと変化する、変わった銃は9mm口径で現代特殊部隊がよく愛用している『H&K MP5A5』だった。

 

ジャレットの銃が変化したのを見たソルジャーが驚きを隠せず、その場で変わったことに問う。

 

「どういう事だ!どうして他の銃に変えられるんだ!?」

 

「生憎教える事は出来ないんだよね~。でも教えられると言ったら~…僕の“特殊能力”だよ」

 

っとそう言ってジャレットは目に見えない速さでソルジャーの距離を詰め、それにソルジャーは目を大きく見開き、ジャレットは左手のククリ刀をソルジャーに向けて切り込む。

それにソルジャーはソウルブレードで防御し、そのままそらしながら流して、回し蹴りをジャレットに放つ。

 

だがジャレットはそれを飛びながらかわし、上からMP5を撃ち込んでいく。

 

ソルジャーはそれをすぐさま転がりながらかわしていき、一旦距離をあける。

 

「ソルジャーさん!!」

 

女神官達が立ち上がって加勢しようとした時に、ジャレットはククリ刀を離して、指なりを鳴らす。

 

 

 

パキン!

 

 

 

突如女神官達が泡の中に閉じ込められてしまい、身動きが取れなくなってしまった。

 

「な!何よこれ!?」

 

「身動きが取れない!!」

 

「ソルジャーさん!!」

 

女神官達が泡の中に閉じ込められたのを見るソルジャーは、それにまたしても驚く。

 

「何だあれは!?」

 

「『バブルプリズン』、泡の牢獄って意味だよ。折角の楽しみを邪魔されたくないからね~…最も、もうすぐ君は死ぬけどね」

 

ジャレットはMP5を手放して、光の粒子となってまた別の形へと形成されて行き、そして一本の剣をなって握る。

その剣は刃がなく、ただの柄があるだけだった、しかしそこから赤色の光の刃が現れて、ソルジャーに構える。

 

するとソルジャーの腰にあるビームセイバーが僅かながら反応して、それにソルジャーは振り向く。

 

「(っ!何だ!? ビームセイバーが反応してる…!?まさか…!)」

 

っとソルジャーはソウルブレードを仕舞って、腰のビームセイバーを取って構えて展開し、青い光の剣をジャレットに向ける。

 

ジャレットはビームセイバーを見て、目を細めて見る。

 

「その剣…あは♪、そっか~それか~♪、あの『ガバス』がやられたのってそれだったんだ」

 

「っ!?やられたってまさか!」

 

ジャレットの言葉にソルジャーはまたしても驚き、ジャレットは頷く。

 

「うん、そうだよ。ふ~ん…しかもそれ…『神々の剣』だよね? と言う事は君だね?…僕達を邪魔しに来た『転生者』は」

 

「っ!!!!」

 

ジャレットの驚愕の言葉にソルジャーは言葉を失い、女神官達はその言葉を聞いて思わず唖然とする。

 

「て…転生者?」

 

「ちょ、ちょっと…何言ってのよあいつ?」

 

「それに神々のって…」

 

女神官達が言っている間にソルジャーの額から大量の汗が流れ出てきて、ソルジャーはジャレットを睨みながら問う。

 

「ど、どうして貴様がそれを知っているんだ…。お前は一体…!」

 

「どうしてって? だって君からこの世界の人間であるオーラが感じないもん。それに~君。そんな物使ってバレないと思ってた?」

 

っと言いながらジャレットは突然高速で動き、先程よりも早い攻撃を仕掛けてきた。

ソルジャーはそれに対応しようにもジャレットの動きが早く、鎧に多数の傷を与え、腕や足、所々に切り傷を受けしまう。

 

「(くっ!なんて速さだ!! こいつの動きに目が追いつかない!!)」

 

反撃としてビームセイバーをジャレットに振るうも、ジャレットの高速移動に空振りで終わってしまう。

 

更にHK45を撃つも、ジャレットはHK45を切り裂いてしまい、ソルジャーは舌打ちをしてHK45を手放す。

そしてジャレットは背後に回り込み、ソルジャーが振り向いた瞬間、ジャレットの蹴りがソルジャーの頭部を捉え、蹴り飛ばしてしまう。

 

「ぐあぁ!!!」

 

蹴り飛ばされたソルジャーはそのまま壁に激突してしまい、それを見た女神官は叫ぶ。

 

「ソルジャーさん!!」

 

ソルジャーが倒れる瞬間にジャレットが左肩に目掛けて刃を突き刺し、左肩を突き刺されてしまったソルジャーは激痛に耐える。

 

「ぐぅっ!!!!」

 

「はっ、ガバスを倒した相手がこんなに弱い相手だなんて。なんかがっかりだな~」

 

自ら強いと言わんばかりに相手を見下すジャレット、痛みに耐えながらそんなジャレットを睨みながらソルジャーは問う。

 

「答えろ…、お前は…外側の脅威なのか!?」

 

「脅威? ああ~、“僕達”『ダークネスサイド』の事? まあ君からすればそうだろうね」

 

「(っ!ダークネスサイド!? それに“僕達だと!?)他にまだいるのか!?」

 

「勿論、でもその先は君が知る必要はないからね」

 

っと刃を抜いた瞬間に蹴りを入れ、ソルジャーは棺桶に飛ばされて、激突して棺桶ごと粉砕してしまう。

その場でソルジャーは倒れてしまうが、僅かながら意識は保ち、立ち上がろうとしたが、身体が思うように動かなかった。

 

「っ…!!か、身体が思うように動かん…!」

 

「さっき突き刺したの『ブラッドサーベル』は相手を斬るだけじゃなく、相手に猛毒を与える事が出来るんだ。しかもこの世界には全く存在しない毒を、今の君は毒に侵されてるんだよ。あともうじき死ぬけど」

 

「ぐっ…さっきから死ぬ死ぬうるせえんだよ。俺はまだ…終わらねえよ…!」

 

っと言ってソルジャーは歯を食いしばりながらちょっとずつ立ち上がろうとしていて、それにジャレットは笑いながら感心する。

 

「あははは♪、君すごいね~?そんな状態で立ち上がろうとするなんて、でももういいよ?無理しなくて」

 

そう言いながらジャレットはM1911A1を左手に出現させて、ソルジャーに狙いを定める。

 

っとその時、天井が突如爆発し、それに皆は上を見る。

 

天井から2人の男性が降りてきて、ソルジャーの前に立つ。

降りてきた2人の内、1人は頭に鉢巻を巻いていて、もう1人は大柄で大剣を持っていた。

 

鉢巻の男性は両肩のホルスターから『S&W M19カスタム 4インチ』を2丁を構え、大柄の男性はデザートイーグルを構えていた。

 

「撃て!!」

 

鉢巻の男性が合図を出して、2人同時に発射する。

 

ソルジャーは2人が銃を使っているのを見て思わず目を見開く。

 

ジャレットは高速で動きながらその銃弾をかわして、つまらなそうにしていて、2人も仕留めようとした。

だが鉢巻の男性があるグレネードを取り出して、ジャレットに向けて投げる、するとそのグレネードが爆発した瞬間に強烈な重力場が発生し、ジャレットはそれに動けなくなってしまう。

 

「ぐっ!これ!『グラビティグレネード!』」

 

「(グラビティグレネード!? 未来兵器の一つじゃないか!)」

 

ソルジャーが見たのはマルチツールタブレットに入っている未来兵器の一つ『グラビティグレネード』、強力な重力場を発生させ、相手を動けなくする手榴弾の一種である。

 

「速い奴にはこれで止める」

 

「これで終わりだな」

 

動きを止められたジャレットは2人が再び銃を構えたのを見て、そのまま舌打ちをソルジャーに向かって言う。

 

「分が悪いね、また会おうか。異世界人さん」

 

っとそう言い残しながらゲートを展開させて、ジャレットはそれにのまれていきながら消えていく。

退却したのか、ジャレットが展開したバブルプリズンも解除されて女神官達は開放される。

 

逃げたのを確認した2人は銃を下ろして、ショルダーホルスターにしまう。

 

「逃げたか…、全く戻る最中に下に戦闘の反応があったから来てみれば」

 

「とんでもない事になっていたな? それもこんな所で「ソルジャーさん!!!」お?」

 

2人は後ろを振り向くと、ソルジャーが倒れてしまって、女神官達が駆け寄っていたのだ。

蜥蜴僧侶がすぐさま治療(リフレッシュ)を掛けていたが、全く効果が無かった。

 

「ダメですな、奇跡が効きません!」

 

「かみきり丸!しっかりせい!」

 

「オルクボルグ!死なないでよ!」

 

「「「ソルジャーさん!!!」」」

 

皆がソルジャーの心配する中、2人の男性がソルジャーの元に駆け寄る。

 

「おい大丈夫か?」

 

「ちょっとアンタ達!何よ!?」

 

妖精弓手が怒鳴りながら問うが、それを鉢巻の男性が言う。

 

「すまないが後にしてくれ、今は重傷者の治療が優先だ」

 

そう言って鉢巻の男性はあるタブレットを取り出し、二つの筒がある注射器を取り出して、ソルジャーの腕に刺して一つの筒に血液を取って送る。

すると片方の筒に血液から黄色の液体が現れて移し替え、そこから緑色の液体へと変わる。

 

「よし、これでいいぞ、後はこの血清を注入するだけだ」

 

「お…お前たちは…?」

 

意識が朦朧とする中でソルジャーは2人の男性に問いかける。

 

「今は後にしてくれ、後でたっぷりと聞いてやる」

 

「今は休みな」

 

そう言いながら鉢巻の男性は血清を注入し、更にもう一方の筒から回復薬が入った液体を注射し、ソルジャーは意識が薄れていく。

 

「しばらく意識がないと思うが、気がついた内には傷も治ってるぞ」

 

っとそう言う声が聞こえて、ソルジャーは意識を失うのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

『ソルジャーよ…聞こえるか? ソルジャーよ』

 

「っ!!」

 

聞き覚えのある声にソルジャーは目を覚ますと、そこは大王神がいた白い空間だった。

 

「そうか…ここは大王神がいた。てことは」

 

『その通りだ、ソルジャーよ』

 

後ろを振り向くと、そこには大王神が居て、少々気難しい感じの様子だった。

だがソルジャーは今は気にもしなかった。

 

「おい大王神、あのジャレットと言う奴は外側の脅威なのか? 俺が思っていた以上に強い奴だったぞ?」

 

『その事に付いて謝罪しよう、どうも外側の脅威は思っていた以上の能力を所持していたようだ』

 

「ようだではすまされないぞおい…、所で彼らは?俺と同じ銃を所持していたし、使っているタブレットも同じものだった。あれは?」

 

ソルジャーは気になっていた事を問うと、それを大王神は頭を横にして言う。

 

『すまないがその事に付いては私もよく分からんのだ、どうも別世界の神々が送り出したのであろう。その所はそちらで聞いてみてくれ』

 

「そうか…分かった。だが皆にばれてしまったよ。転生者である事を」

 

『いずれにせよ、時が来たらばれてしまうものだ。この際だ、話してやるのも良いだろう。わしの事も話しても良い』

 

「分かった、さ~て、どこから話したらいいかね~…」

 

そう言いながら考えるソルジャーの様子を見て、大王神が問う。

 

『ソルジャーよ、少しばかり聞いても良いか?』

 

「ん?どうしたんだ?」

 

『お主、おなご達を幸せにしているようじゃな?関心じゃぞい』

 

っとその事を問いかけられたソルジャーは思わず心臓をもの凄く高鳴らして、少し慌ててしまう。

 

「そ!それをどうして聞くんだ!?」

 

『ほっほっほっほ♪ 何も知らんと思ったら間違いじゃぞ? あのおなご達はいいぞ~。お主もすみに置けぬな』

 

「ぐぅ…」

 

まさか大王神に女神官達や牛飼娘との関係を知られていたとは思いもよらなかった。

しかし相手は神、知られても不思議はなかった。

 

『その調子で他のおなご達もお主の手駒にするとよい、もしくはハーレムとか♪』

 

「だあ~~~~!!!偉大なる神のあんたが何を言うか!!!!」

 

その事に大慌てのソルジャー、大王神は笑いながら言う。

 

『ホッホッホッホッ♪ すまんすまん、ソルジャーよ…お主ならあの者達を幸せにする事が出来る。その幸せを大切にするんじゃぞ』

 

「お、おう…。勿論」

 

『うむ!ではこの場から静かに見守っておるぞ!ソルジャーよ!」

 

っとそう言ってソルジャーの意識が徐々に薄れていき、その空間から姿を消すのだった。

 

 




大王神にはすでに牛飼娘達との関係はバレバレwww

神だからずる賢いwww

でも分かりながらそれを応援する所が彼の良い所。

次回はあの2人との会話です。


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第24話 正体の説明

とうとうソルジャーの正体を女神官達に話します。

ではどうぞ!


眩しい日差しに、ソルジャーはゆっくりと目を開ける。

彼が最初に目にしたのは、白い天井、そしてその横でゆっくりと揺れるカーテン。

 

現在ソルジャーは白いベッドの上で寝ていて、少しだけ体を起こす、左側を見てみると、ベッドの横には鎧とソウルブレード、そして銃が置かれていた。

 

「…今何時だ?」

 

日差しを見ながら呟くソルジャー、今の体を見てみると、彼は今ノースリーブのシャツにズボンを着ていて、少しばかり考えてると、右側に誰かがいる気配がした。

 

それにソルジャーはその方を見ると、女神官、女武闘家、女魔術師がベッドにもたれて、そして壁には妖精弓手が寝ていた。

扉の近くには鉱人道士や蜥蜴僧侶も椅子に座りながら眠っていて、それにソルジャーは見つめながら少しばかりベッドから降りて、日差しの方を見る。

 

そして左肩を見て、刺された跡がくっきりと残っており、それにソルジャーは目線を細める。

 

「よう、起きたようだな」

 

っと扉の方から誰かが来て、それにソルジャーは振り向くと、そこにはソルジャーを助けた鉢巻の男と大柄の男が扉を開けて立っていた。

 

「あんた等は…、確か地下で」

 

「ああ、お前の命を救った男だ。ついでに名も教えてやると、俺は『ジャベリン』、水の街のギルドに所属する銀等級の冒険者だ」

 

「そして同じく銀等級で名は『ブレイド』、分かりやすい程に大剣を振るのを好む男だ」

 

2人の名、鉢巻のジャベリンと大柄のブレイドの名を聞いたソルジャー、そしてその会話で女神官達が目を覚ます。

 

「…ぅ~、ん?ああ!!ソルジャーさん!!大丈夫ですか!?」

 

「起き上がって平気何ですか!?」

 

「ああ、もう平気だ」

 

その事を聞いた女神官達はホッと胸をなで下ろした、妖精弓手はソルジャーに近づき、少し腹に拳を入れる。

 

ドン!

 

「もう!心配させないでよね!」

 

「すまない皆…、心配かけたな」

 

「ですが今回ばかりは無理もあるまい、小鬼殺し殿を苦戦させる程の相手だったと言う事でしょうからな」

 

「かみきり丸を圧倒する程の奴じゃったからな、わしからは何も言えんわ」

 

皆もその事には同じらしく、ソルジャーは少しばかり考え、ジャベリンとブレイドの方を向きながら問う。

 

「なあ、お前らに聞きたいんだが、どうして銃を使っていたんだ。俺と同じ物を使ってる者はいないはず…。ジャレットと言う男以外は」

 

「ああ、俺達はこのタブレットから取り出したんだ」

 

ジャベリンは取り出したのは、ソルジャーと同じものを使っているマルチツールタブレットだった。

それにソルジャー達は思わず目をが向く。

 

「ソルジャーさんと同じもの…」

 

「同じものを使っている人が他にもいたなんて」

 

っとソルジャーはそれを見て、ジャベリンとブレイドの方を見て少しばかり考える。

 

「(これ…絶対大王神は絡んでないな。渡したなら俺に絶対言うしな)」

 

「なるほどな、お前も同じものを使っているか、って事はお前も神からの転生したって事か?」

 

「転生って…まさかお前らも?」

 

ソルジャーがその事を問うと、ジャベリンとブレイドは頷く。

するとその言葉を聞いた女神官達が思い出して、ソルジャーの方を向いて問う。

 

「そうだ!ソルジャーさん! 貴方は一体!?」

 

「転生ってどういう事ですか!?」

 

「教えてよオルクボルグ! あんたは何!?」

 

皆から問いかけられるソルジャー、それにソルジャーは一度目を閉じて考え、そして目を開けながら言う。

 

「分かった。俺の正体を明かすよ」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

皆に自分の正体を話すソルジャー、丸いテーブルに座りながら自分の事を話して女神官達は黙って聞いていた。この世界に来た理由、外側の脅威、そして自分が大王神からの頼みで転生して来た事を話して、女神官達はそれに言葉をなくす。

 

「なんと…、そんな事が」

 

「いかにも信じられん話じゃがのう」

 

「でもオルクボルグが嘘言ってるとは思えないし、それが本当ならとんでもないことよ」

 

妖精弓手達はその話を聞いて半信半疑になってはいたが、女神官達は違っていた。

 

「ソルジャーさん。そんな凄い使命を背負っていたんですね…」

 

「信じられない話じゃないって事は分かってた、でもだから信じられる」

 

「ええ、この人とは数ヶ月程度の付き合いだけど、嘘を吐く人じゃない」

 

その事を言う女神官達、ソルジャーはここまで自分の事を信じてくれる女神官達の度胸と器に思わず驚きを隠せない。

そして女神官達はうなづいて、ソルジャーの方を向く。

 

「ソルジャーさん、私もその使命を手伝わせてもいいですか?」

 

「なんだって?」

 

「ソルジャーさんだけそんな使命を背負わせるのは出来ない」

 

「カッコつけるのは、夢の中だけにして欲しいわ」

 

そんな言葉を聞いたソルジャーは思わず言葉を失う。

やはり彼女達はどこか違う上に肝が座っている、そう思ったソルジャー。

 

妖精弓手達は女神官達の様子を見て、少々ため息を付きながら、ソルジャーの方を見る。

 

「まあ、こんな凄いことをしているオルクボルグが1人でやっていたら、なんかこっちもほっとけないわね」

 

「乗りかかった船じゃ、かみきり丸。わしらも加わるぞ」

 

「これも神の導きと考え、拙僧もお手伝いさせてもらうぞ」

 

妖精弓手達もその事を言い出し、それにはソルジャーは言葉を失う。まさかここまで手を貸してくれる者達が居てくれるとは。

 

その様子を見ていたジャベリンとブレイドはやや呆れながら見ていた。

 

「おいおい、まさかこんな展開になるとはな…」

 

「スゲェもん見たなおい」

 

「おっとそれはそうと、お前らはどうやってこの世界に?」

 

ソルジャーがジャベリンとブレイドの事を思い出し、それに2人は気付いて言う。

 

「ん?ああ、俺達は『救世神』によってこの世界に転生したんだ。そして救世神はこの世界にある闇が潜んでるって聞いて俺たちに話し、その後送られたんだ。ツールと一緒にな」

 

「ある程度の説明も聞いてる、こいつが俺たちの銃器やら弾やら爆弾やら、それと“乗り物”もな」

 

「っ!?乗り物だって!?」

 

っと思わずソルジャーは立ち上がって声を上げる、それには女神官達は驚きながら見て、それにジャベリンとブレイドは頷く。

 

「あ、ああ…、移動は全てこの『マシンツールタブレット』を使って移動しているんだが…」

 

「何かまずい事でも?」

 

ジャベリンはマシンツールタブレットを取り出しながら見せ、ブレイドは驚いているソルジャーに問う。

 

「まずいって言うか、あれは余りにも銃以上に掛け離れすぎている物だ。出来るだけ使わないようにして、こっちは馬を使ってるんだが…」

 

そう言うソルジャーの説明にジャベリンとブレイドは目を丸くしてしまう。

 

「え?かけ離れ過ぎてるのか…?銃以上に?」

 

「んじゃあ俺達…」

 

少しだけ間を開けて…。

 

「「ダメな事してんじゃねか~~~!!」」

 

思わずショックを受けてしまう二人、その様子には女神官達は唖然としてしまい、ソルジャーはため息を付くしかなかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてしばらくしてソルジャーの説明をした後、今後の事を話すこととなった。

 

「ソルジャーさん、依頼の方はどうしますか?」

 

「ああ、あれはまだ終えてなかったな。あいつの介入で途中放棄になってる状態だ」

 

女神官に言われてソルジャーはすぐさま考えようとしていた所に、ジャベリンが言う。

 

「おう、その事なら心配ない、あそこはある程度は調べておいたぜ」

 

「何? どういう事だよ」

 

その事に訳がわからないソルジャーは問うと、それにジャベリンが言う。

 

「お前が倒れて街に連れ帰った後、俺とブレイドとの二人であの場所を捜索したんだ。そしたら壊れた棺桶の所に通路が見つかってな、そこを捜索したらすごいも何もまだまだ通路があったんだよ」

 

「しかもその奥にはちょっとばかし厄介な魔物もいてな、捜索していた俺達はそんなに装備は整えていなかったんで、一旦戻ってきたんだ」

 

「厄介な魔物?一体どんな魔物なんだ?」

 

どんな魔物か知りたいソルジャーは二人の問うも、二人はそれに頭を横に振る。

 

「それは俺たちもさっぱりだ、あればかりは分からん」

 

「だがその魔物がいる場所は特別な場所で、何かを守っているのは間違いないかもしれない」

 

「何かか…、もしかしたらそこには今回のゴブリン騒動の事件に繋がる物があるかもしれない。そこに行ってみよう」

 

「ちょっと待ってくださいソルジャーさん。あなたは怪我が」

 

女神官がソルジャーの怪我に付いて問うも、それをソルジャーは頭を横に振りながら言う。

 

「大丈夫だ。もう怪我は治ってるし動いても平気だ。その場所に行くぞ!」

 

「全く…オルクボルグらしいっていうか、らしいわね」

 

「なら行くとするかのう」

 

「ちょっと待ってくれ」

 

っとジャベリンがソルジャー達を止めて、それにソルジャー達は振り向く。

 

「どうした?」

 

「今回の依頼、俺たちも参加してもいいか?」

 

「人手は多いほうがいいだろう。それに攻撃班は多い方がより戦いやすいぞ?」

 

その事にソルジャーは少しばかり考え、そして結論する。

 

「分かった、付いて来てくれ。また奴が現れたらサポートしてくれる者がいたら助かる」

 

「よし分かった。なら行こうか」

 

「おっしゃ!!たっぷりと暴れてやるぜ!」

 

そう言ってジャベリンとブレイドは先に向かい、女神官はソルジャーに問う。

 

「良いんですか?」

 

「ああ、今回はあいつ等の力が必要になるだろう」

 

っとソルジャーは装備を整えて、女神官達とジャベリンにブレイド、約9人のパーティーが再びゴブリン退治に向かうのであった。

 

 

 



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第25話 地下墓地戦 前編

地下水道に入ったソルジャー達、今回水の街の冒険者、ジャベリンとブレイドを同行させて今回の討伐に向かっている。

その際に女神官がソルジャーの右もものホルスターに銃がない事に気づく。

 

「ソルジャーさん、銃がありませんよ?」

 

「ん?あっ。そう言えばジャレットのやつに壊されたんだった」

 

「ああ~壊れたHK45の事か? あれなら俺が回収して直しておいてやったぞ」

 

っとジャベリンがその事を言い出して、それにソルジャーは振り向く。

 

「なんだって?」

 

「直してやったんだよ。しかもちょっとばかし“カスタム”してやったぞ、二丁とも」

 

そう言ってジャベリンはソルジャーにHK45二つを渡し、それをソルジャーが受け取り見る。

するとソルジャーは受け渡されたHK45を見て血相を変える。

 

「っ!!これは!!」

 

「どうだ?気に入ったろう」

 

ジャベリンは笑みを浮かばせて言い、ソルジャーはカスタム化されているHK45を見ながら呟く。

 

「フィーディングランプが鏡の様に磨かれている、次に銀色のスライド…強化スライドだ!更にバレルの熱を逃がす為の放熱ダクトが掘られている。グリップのステッピングが増えている上に存在しない筈マグウェルが装着されてる。

 

それとバレルには射撃時に反動を制御する為のコンペインセイターがレイル式として付けられている…ライトとレーザーポインターが一式として、更にこのコンペインセイターは銃口にサイレンサーが取り付け可能とされている、通常では出来ない代物だ。

 

しかもハンマーも存在しないリングハンマーだ!コッキングの操作性を上げ、ハンマーダウンの速度を確保している…凄い! サムセイフティもアンビィタイプに追加されている。完全なHK45カスタムだ…!」

 

「ちょっとオルクボルグ!ブツブツ喋って怖いんだけど!」

 

妖精弓手がソルジャーのブツブツ声に引きながら怒鳴り、それにソルジャーは気付いて謝る。

 

「ん?ああ、すまない…。それよりもこれを一体どうやって?!」

 

ソルジャーはカスタムされたHK45をジャベリンに問いかけ、ジャベリンはその問に答える。

 

「そいつはこいつでカスタムしたんだ。俺達のもう一つのアイテム」

 

するとバックパックからもう一つのタブレットを取り出し、それを見せながら説明する。

 

「こいつは『カスタムツールタブレット』、あらゆる銃を改造する事が出来るタブレットだ、俺達の銃もこれでカスタムしたんだ」

 

「おうよ!」

 

ジャベリンとブレイドは自分の銃、M19とデザートイーグルを見せる。

 

ジャベリンのM19はグリップがシューターグリップへと変えられていて、更に跳ね上がりを抑える形状となっている。

ブレイドのデザートイーグルはグリップがフィンガーグリップに変えられて、アウターバレルが少し長くなっている。

 

そのカスタムを見たソルジャーは少しばかり考える形をとる。

 

「それがお前たちのカスタム銃か。俺はそれ持ってないな、持ってるのはマルチツールタブレットとケミストビルダーツールタブレットとマシンツールタブレットの三つだ」

 

「なに!?ケミストビルダーツールタブレット!? 俺達はそれは持っていないぞ!」

 

「そうなのか? 俺達とは与えられた物が違うのか…」

 

そう言いつつソルジャー達は先へと進み、その様子を女神官達は唖然としてしまう。

 

「凄いですね…」

 

「これが転生者同士の会話…ですか」

 

「もはや付いて行くのがやっとだわ」

 

「ですがこれはこれで小鬼殺し殿の素性も明らかになってきましたな」

 

「かみきり丸は意外と武器の事になると興奮すると言うのが分かった」

 

「…全く、普通にしてればいいのに」

 

妖精弓手はその事を呟きながらソルジャー達の後を追いかけ、女神官達もその後を追いかける。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

ソルジャー達は奥へ進み、そして地下墓地の棺桶に隠されていた隠し通路を進み、ソルジャーは進みながらジャベリンに問題点を聞く。

 

「なあ、そろそろ教えてくれ。問題とはなんだ?」

 

「まあ“あれ”を見ればわかるさ」

 

ジャベリンが指差す方にソルジャー達は見ると、ある部屋に何やら触手を無数に出している大目玉が一体浮いていて、明らかにそこには“何かを守っている”と言わんばかりにいた。

それを見たソルジャー達は隠れて、その様子を見る。

 

「何あれ?」

 

「どう見ても怪しい雰囲気ですね」

 

女神官と妖精弓手が言っている中で、ソルジャーがジャベリンに言う。

 

「…少しばかり待ってくれ皆、ちょっと試したい事がある」

 

「試したいことですか?」

 

女武闘家がそれに問うと、ソルジャーは近くの石を広い、そして部屋の片隅に投げる、すると大目玉が反応して、その片隅にビームを放つ。

すると片隅がビームに直撃して、溶解されるかの様に溶ける。

 

それを見た転生者組以外は驚く。

 

「ええ?!」

 

「溶けましたよ!?」

 

「やはり…、“分解”の術か」

 

ソルジャーの言葉を聞いた女神官は問う。

 

「ディスインテグレートをですか…!」

 

「ああ、あれは確かに厄介だな。神官、お前のホーリーライトで奴の目をかく乱しろ」

 

「は、はい!」

 

女神官は聖光を唱えようとした時に、大目玉は女神官の方を向き、何かを放ち、それに女神官は唱えるのやめた。

それにソルジャーは問う。

 

「どうした?」

 

「き!奇跡が使えません! 突然何かの光が!」

 

女神官の言葉にソルジャーは目を細め、それにジャベリンは確信する。

 

「なるほどな、と言う事はあの目玉は“解呪”との術を持っているのは確実だな」

 

「えっ!?デ、ディスペルですか!? それじゃあ奇跡は使えませんよ!」

 

「厄介ですな、これでは迂闊に戦うことも近寄る事もままならない」

 

女神官と蜥蜴僧侶が言う中で、ソルジャーが言う。

 

「それなら問題はない。俺に考えがある」

 

「ほう?それはなんだよ」

 

「これだ」

 

ブレイドが問いかけてくる所にソルジャーはある物を取り出す。それは四枚のプロペラが付いた機械で、それを女神官が頭を傾げながら見る。

 

「なんですかこれは?」

 

「これは『ドローン』、小型偵察機で周囲を探るのに打って付けの道具だ。もう皆に隠す必要ないから堂々と出すぞ」

 

「そうか。それを使ってあいつに注意を引きつけるんだな?それなら俺に打って付けだ」

 

そうジャベリンは言って、それを受け取り、コントローラーを持つ。

そしてジャベリンんはソルジャー達に向かって言う。

 

「ソルジャー、ブレイド、お前らは俺がドローンで奴の注意を引いている間に攻撃しろ、そこのじーさんは俺が引き連れてる間、ソルジャー達が攻撃する前にあいつを眠らせてくれるか?」

 

「任せるがいい」

 

鉱人道士はそれに従い、ソルジャーは皆に言う。

 

「よし!それじゃあ行くぞ!」

 

ソルジャーはHK45二丁構え、ブレイドもデザートイーグル二丁を構えて行き、ジャベリンはドローンを使ってあの大目玉を引きつける。

それにより大目玉はドローンによって引き寄せられて、分解の術を使ってドローンを溶かそうとした。

 

だがドローンはジャベリンの操作で高速で動き回り、大目玉の分解は全く当たらずにいた。

 

その隙に鉱人道士が眠りの奇跡を唱える。

 

「《呑めや歌えや酒の精 歌って踊って眠りつけ》」

 

眠りの奇跡により大目玉は眠りに入り、その隙にソルジャーとブレイドがHK45カスタムとデザートイーグルを構える。

 

「行くぞ!」

 

「おっしゃ!!」

 

その言葉と同時にHK45カスタムとデザートイーグルの銃口から火花が飛び散り、放たれた弾丸は大目玉の大目と無数の目に直撃して、大目玉はそれに苦しむ。

そして最後にソルジャーがある粘着爆弾を取り出して、相手に投げつけて、起爆スイッチを取り出す。

 

「じゃあな」

 

っとスイッチを押し、その爆弾は爆発して、大目玉はその爆発により大ダメージを負い、そのまま落ちて倒れて死んでいく。

その様子を見た女神官達はその場から出てきて、妖精弓手がソルジャーに突っかかる。

 

「ちょっと!!あんたなんで爆発物を使うのさ!出来たら今度はそれなし!」

 

「それは出来ない。そんな考えじゃあこの先生きていく事は出来ない」

 

「なんでよ~もう!!」

 

「お前は少しばかり否定が多いぞ!」

 

ちょっとした口喧嘩の様子に女神官達は少しばかり安心した雰囲気になる。

そんな様子にジャベリンはちょっとばかりため息をつき、ソルジャーに問う。

 

「おいソルジャー。そろそろ問題の方を片付けようか?」

 

「ん?ああ、そうだな…例のこいつだな? 大目玉が守っていたのは」

 

ソルジャー達が見ているのは大目玉が守っていた巨大な鏡、その鏡を見た女神官が近寄る。

 

「これは…一体何でしょう?」

 

「ちょっと、あまり近づかない方がいいわよ」

 

女魔術師が注意するのだが、それでもやめない女神官。

 

「でも調べてみないと分かりません」

 

そう女神官が触れた瞬間、鏡が光り出して、それに驚く女神官。

すぐさまソルジャーが前に出て、ソウルブレードを握り締め、その横に蜥蜴僧侶とジャベリンとブレイドとも同じように背中の槍と大剣を握る。

 

すると鏡にはある映像が映し出された、それはゴブリン達が何やら生活していると川にある船を作っている光景が映し出されていたのだ。

ソルジャー達はそれを見て考える。

 

「これは一体…」

 

「あの。これってもしかして、古代に失われた『転移』の鏡では?」

 

女武闘家が呟き、女神官が言う言葉に鉱人道士が頷く。

 

「有り得るのう。これがゴブリン達の大量発生の一つかも知れんな」

 

「その鏡をあの怪物に守らせ…」

 

「この地下道に住むゴブリン達に武器を与えた…。オルクボルグ!」

 

「ああ、その様だな」

 

ソルジャーは一度周りを見渡し、置かれてある武器やある本を見て、皆の方を向く。

 

「そしてここのゴブリン達をあのジャレットが糸を引いていた…。自分が楽しむ為に」

 

「ああ、そしてそれだけじゃないかも知れないな」

 

「あ?どういう事だ?」

 

ジャベリンの言葉にブレイドが問いかけた時、通路の奥から何やら遠い足音が聞こえてきた。

 

それにソルジャー達は振り向き、それを見てソルジャーは呟く。

 

「さっきの爆発でこの地下に残っていたゴブリン達がやってくるな」

 

「ああ、それもこの鏡を取り返しにな」

 

っとその言葉に三人娘達は驚き、女神官がソルジャーに声を掛けようする。

 

「ソルジャーさん」

 

「心配するな、俺達がなんとかする。ジャベリン!マルチツールタブレットでセントリー銃を設置してくれ!俺はある物を取り出して設置する。他の皆は防衛戦の準備だ!」

 

「分かった!」

 

そう言ってソルジャーはマルチツールタブレットを取り出して、ある装置を取り出し、ジャベリンもマルチツールタブレットでセントリー銃を出して設置し、皆はソルジャーの言う通り防衛戦の準備に入るのであった。

皆が準備をしている間にゴブリン達は着々と迫ってきているのであった。

 

 

 




ソルジャーがカスタム化されたHK45の説明…完全にMGSネタを採用してますwww

どうしても入れたかったのです。


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第26話 地下墓地戦 後編

地下墓地で大目玉と戦って倒したソルジャー達、そこにゴブリン達の大事な古代の転移の鏡の魔道具が置かれていた。

だがそれをゴブリン達が取り戻そうと大群で押しおせて来る為、ソルジャー達は防衛戦の準備に入っていた。

 

ソルジャーはマルチツールタブレットである物を取り出し、壁や天井にある物を撃ち込み、小さな装置を取り出して、起動スイッチを押して機動テストする。

例の物は順調に作動し、確認したソルジャーは感知センサーをONにして、ある対象物のみ作動するようにした。

 

ジャベリンはセントリー銃を3台設置し、自動迎撃モードにして、ゴブリンたちの侵入を防ぐ。

その装置を女武闘家が見て、セントリー銃の代物に唖然とする。

 

「凄いですねこれ…、でもこれがあれば大丈夫なんじゃあ?」

 

「いや、これは一時凌ぎに過ぎない。これは一定時間起動し続けるとオーバーヒートして動かなくなるんだ、そしてこれが再起動する時間は約30分後、どう考えてもこいつの過信はダメだ」

 

「そ、そんな…。それじゃあ最後は私達の…」

 

「そうだ、俺達がやるんだ。最も、お前は俺達が打ちこぼした奴を倒してくれるだけでいい。俺達の様に大量に倒さなくても」

 

その言葉を聞いた女武闘家は少しばかり息をのみ、それに頷く。

 

そしてブレイドは背中の大剣を抜いて、砥石で刃を研ぎ、切れ味を良くしていた。

 

妖精弓手は自分の矢を取ろうとした時に、一度ソルジャーの方を見る。また無理をしないか心配していたのだ。

っと彼女の視線に気付いたソルジャーが妖精弓手の方を見る。

 

「ん?どうした」

 

「っ!べ!別に何もないわよ…! それよりもまたやられたりしないでよね!」

 

「勿論そのつもりだ。それよりもハイエルフは矢の数は大丈夫か?」

 

ソルジャーは妖精弓手の矢の数が足りるかどうか聞いて、それに妖精弓手は言う。

 

「分からない、どのくらいのゴブリンが来るかどうか分からないし、足らなくなったらあいつらの使うわ」

 

「そうか。でもあいつらのを使う必要はないぜ」

 

っとソルジャーはマルチツールタブレットを使って、大量の矢を取り出して、それを妖精弓手に渡す。

 

「ほら、これなら十分足りるだろう?」

 

「すっご!あんたのそれ本当に便利ね? 今までどんな仕組みになってたか気になってたけど、まさか神々からのと聞いたら驚くわ」

 

「すまなかったな、簡単に話す訳には行かなかったんだ。でもこれからはもう気にする事はない」

 

「そうね、隠していた分はきっちりやって貰わないと。そうじゃないと気が済まないわ」

 

そう言って妖精弓手は大量の矢を自分の所に持っていき、最後にソルジャーに向かっていう。

 

「オルクボルグ、今度はやられないでよね?」

 

「当然。今度は奴を叩き潰す、徹底的にな」

 

ソルジャーはそう言い、次に蜥蜴僧侶と鉱人道士も話す。

 

「奇跡の回数はいくつ残っている?」

 

「わしはたっぷりとじゃ、好きなだけ使ってくれ」

 

「ああ、そうさせて貰うさ。リザードマンは?」

 

「拙僧はあと5回は使います、竜牙兵なら3体で限界。最も、この際残しておくつもりはありませんが」

 

蜥蜴僧侶の言葉にソルジャーは頷いて言う。

 

「ああ頼む、リザードマンは一体の竜牙兵と一緒にこの鏡を取り外してくれ。残りは女神官と女魔術師、そして妖精弓手の防御に当たってくれ」

 

「承知した」

 

「本当に便利ね。こっちはスペルキャスターが4人もいるから」

 

「だがあまり過信はしない事だぞ」

 

っと妖精弓手が言った所にジャベリンがやって来て言う。

 

「皆の奇跡が無くなれば普通の戦士と同じで、体力がぐっと減ってしまう。その時の事を考えるとなると…」

 

「ああ~もうわかった! ちゃんとカバーする事は考えてます!」

 

妖精弓手は頭を抱えながら言い出して、それに頷くジャベリン、それにソルジャー達はなんとも言えない雰囲気になる。

そんな中でブレイドはソルジャーにある事を問いかける。

 

「なあソルジャー、その神官ちゃんと魔法使いちゃんには武器を持たせてるのか? 戦闘になればそっちにカバーする事は無理だぜ?」

 

「…そうだな」

 

そんな事を問いかけられたソルジャーは少しばかり考え、女神官と女魔術師はソルジャーの方を見て、そしてソルジャーは自分が持っている大型ナイフ2本渡す。

 

「取り敢えず俺のナイフを渡しておく。これはあくまでも護身用としてだ、過信はするなよ?」

 

「「はい」」

 

「ソルジャー!こっちの準備は出来たぞ!」

 

ジャベリンはセントリー銃の設定が完了して、ソルジャーの元にやって来て言い、それにソルジャーは頷く。

 

「よし、リザードマン。お前はすぐに竜牙兵を出して防御に当たってくれ、そしてもう一体は一緒にこの鏡を取り外すんだ」

 

ソルジャーは古代の転移の鏡を見ながら言い、それに蜥蜴僧侶は少しばかり戸惑いながら見る。

 

「こ、これを取り外す…であるか?」

 

「出来るか?」

 

「…少々時間が掛かるが、努力しよう」

 

っとそう言って蜥蜴僧侶は竜牙兵を召喚させ、二体を女神官達の護衛に回し、もう一体は転移の鏡を取る為の作業を行ってもらう。

 

そしてゴブリン達が押しおせてきたのを感知したセントリー銃が火花を散らす。

 

「「「「「GOEOOOOEEEEE!!!!!」」」」」」

 

「どうやら来たようだぜ! なあジャベリン、セントリー銃はどのくらい保つ?」

 

「この様子だと後15分と言った所か、まあ後はセントリーが切れた時の為に構えるか」

 

「よし、やるか」

 

そう言ってソルジャーはソウルブレードを構え、ジャベリンは背中の槍『カタールランサー』を伸ばして構え、ブレイドは背中の大剣『ゴルドバスターソード』を構える。

 

順調にセントリー銃がゴブリン達の数を減らし、大群だったゴブリン達が一気に少数になっていく。

っとその時三発の銃弾がセントリー銃に直撃して、セントリー銃は破壊され停止する。

 

突如セントリー銃が撃たれたのソルジャー達は驚いて振り向く。

 

「そんなもの出してこないで欲しいな」

 

すると前から聞き覚えのある声がして、ソルジャー達は前を見ると、ゴブリン達を引き連れたジャレットが現れた。

 

「ジャレット!」

 

ソルジャー達はジャレットがきたのを見て構え、ゴブリン達が襲いかかろうとした時にジャレットが手を挙げて止め、それにゴブリン達は止まる。

 

「君…復活したんだね? 肩はもう大丈夫なの?」

 

「ああ、お陰様でな。お前だけはこの手で始末する…徹底的な」

 

「へぇ~?それはそれは…。死に損ないの人物が合わない台詞を言うね……いいよ、こっちも徹底的に殺してあげるよ」

 

っとジャレットがゴブリン達に合図を送り、襲いかからせる。

先ほどのセントリーが倒したお陰で数はかなり減らしたが、まだ40匹以上度残っている、これくらいなら今のソルジャー達が簡単に迎撃する。

 

ソルジャーがソウルブレードでゴブリン2体を切り裂き、背後から迫るゴブリンを回し蹴りで倒す。

 

ジャベリンがカタールランサーで華麗にゴブリンの首を切り裂いて、更に突き刺して投げ飛ばす。

 

ブレイドのゴルドバスターソードは豪快にゴブリン達の胴体を斬りさって、そしてその豪快な剣術にゴブリン達は怯えていた。

 

その際にジャレットが一体のゴブリンの頭部を赤い刃で切り倒す、それにゴブリン達はジャレットの方を見る。

 

「何怖がってるの? さっさと殺せ!」

 

ジャレットがゴブリン達に命令するも、ゴブリン達は怯えながらも雄叫びを上げながら向かっていき、それにソルジャーが構えるとジャベリンが横に来ていう。

 

「ソルジャー、残りのゴブリン達は俺達に任せな、お前はあいつを倒せ」

 

「何?お前らだけで大丈夫か?」

 

「自惚れるなよ、お前だけが特別じゃないんだ」

 

その言葉にブレイドも頷き、それにソルジャーは見て頷く。

 

「わかった、それじゃあ頼むぞ」

 

ソルジャーはそう言ってジャレットと向き合い、それにジャレットは見る。

 

「僕とやろうって言うの? はっ…、笑わせてくれるね…いいよ。今すぐ殺してあげるよ」

 

っとそう言ってジャレットか赤い刃『ブラッドサーベル』を構え、ソルジャーはソウルブレードをしまい、ビームセイバーを構える。

そして二人がゆっくりと構えて、近くにある椅子にヒビが入った同時に二人は突っ込み、ビームセイバーとブラッドサーベルをぶつけ合う。

 

二人が戦いを始めた頃に妖精弓手が弓でゴブリン達を狙い撃ち、鉱人道士はストーンブラストの奇跡を使って戦い、女武闘家はジャベリン達が撃ち漏らしたゴブリン達の掃除をしている。

女魔術師はファイヤーボルトの魔法でゴブリンを掃討し、女神官は残りのコブリンの数を見ながら報告していた。

 

蜥蜴僧侶はなんとか転移の鏡を取り外そうとしていた、取り外しに苦労していた。

 

「いやはや、なんとも頑丈に取り付けられていますな。ですが時間を掛けている余裕はありませんな…ふん!!!」

 

蜥蜴僧侶は自身の筋力を最大限まで高め、そして牙を突き刺して一気に引き抜こうとする。

 

そしてソルジャーはジャレットと激しい激戦を繰り広げていた。

 

ソルジャーのビームセイバーがジャレットの胴体を切りつけようとする、ジャレットはそれをブラッドサーベルで受け流し、更にジャレットが切りかかろうとしてブラッドサーベルを振り下ろす。

それをソルジャーがビームセイバーで素早く受け止め、前蹴りで一度距離を開けて、両者は一度構え直す。

 

「ふん、死にかけの奴がよく保つね。でももう遊びはおしまい」

 

っとそう言ってジャレットは高速で動き回り、ソルジャーに切りかかろうとする。

だがその時、天井に仕掛けてある装置が作動して、何かの電磁波が放たれる、それによりジャレットの動きが鈍る。

 

「っ!!なんだ!?」

 

「隙ありだ!!」

 

チャンスとばかりソルジャーはジャレットに一気に迫り、腹にビームセイバーを切りつける。

それによりジャレットは腹を斬られて、腹を抑えながら下がる。

 

「ぐっ!お前…一体何を!」

 

「天井に『エナジーキャンセラー』を取り付けてみたんだ。そしたらビンゴ、お前の加速はどうも機械の一部のようだな!」

 

「くっ!!分かった所でそれを壊せばいいだけの事だ!」

 

っとジャレットばM1911A1を取り出して、光っている装置を撃ち壊す。

 

だが壊してもジャレットの動きは鈍いままだった。

 

「どういう事だ!?」

 

「あれは壊した後でも効果は1時間は持続する。これでお前の素早い動きは封じられた!」

 

「ぐぅ!!!くそ!!!」

 

ジャレットは先ほどの冷静さが失われたのか、我武者羅にブラッドサーベルを振り下ろす。

そんな今のジャレットの剣筋をかわすソルジャーはHK45カスタムを抜いて、ジャレットの肩に45ACP弾を撃ち込む。ジャレットは肩に45ACP弾を撃ち込まれ、それに思わず肩を抑える。

 

「く!!貴様ああああああああああああ!!!」

 

するとジャレットはバズーカらしき物を取り出して来て、ソルジャーに向けて撃ちまくってきた。

流石にバズーカはまずいと思ったソルジャーはすぐさまその場を離れ、辺り一面爆風だらけになっていく。

 

ゴブリンを全て倒し、その様子を見ていたジャベリン達は流石に呆れる風になる。

 

「おいおい、あいつ怒り任せに撃ってるぞジャベリン?」

 

「マズイな…。あのままだとここは崩壊する…、ソルジャー!」

 

「分かった!」

 

っとソルジャーはビームセイバーを構え、そして一気に向かっていき、ジャレットの胴体に突き刺した。

 

「ぐあああぁぁぁぁ……!!」

 

それにジャレットは苦しみながらその場で倒れてしまい、ソルジャーはビームセイバーを下ろす。

 

 

ピキピキ!!!

 

 

すると天井がヒビが入り、徐々に広がっていく。

それにソルジャー達は思わず天井を見る。

 

「っ!!まずい!!爆破の衝撃で天井にも亀裂が!!」

 

「リザードマン!!まだか!?」

 

「あと少し!!うおおおおおおおおお!!!!」

 

蜥蜴僧侶は一気に転移の鏡を壁から引き離し、そのまま竜牙兵と共に持ち上げる。

 

「引き離しましたぞ!!」

 

「よし皆!!あの下に潜るんだ!!」

 

「ええ!?なんでよ!?」

 

「いいから入れ!!」

 

妖精弓手の問いを後回しにし、ソルジャー達はすぐにその下に入る。

するとジャレットが傷口を抑えながら立ち上がってくる。

 

「き、貴様等………!!」

 

「お前。まだ生きているのか…」

 

「絶対に…絶対にお前だけは…!!」

 

ジャレットが言った所で天井が崩れ落ち、ジャレットもろとも瓦礫の下敷きになり、ソルジャー達は転移の鏡によって瓦礫は吸い取られていき守られた。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

なんとか瓦礫の下敷きにならずに済んだソルジャー達、転移の鏡の下から出てきたソルジャー達は夜空の月を見上げていた。

 

「ふぅ…、なんとかなったか」

 

「て言うか最後は結局こうなる訳! 出来れば崩落もなしにしたいわ!」

 

何かという妖精弓手にソルジャー達はもはや何も言う言葉がない。しかしそれをブレイドが言う。

 

「仕方ねぇよ、あのジャレットが壁を破壊しまくったんだ。それは大目に見ろよ」

 

「くぅ~…!」

 

その事に言葉を積もらせる妖精弓手、そして蜥蜴僧侶は転移の鏡を置いて腰を叩く。

 

「いやはや、今回は疲れましたな」

 

「鱗のは一番かも知れん、じゃがかみきり丸もお手柄じゃったな?」

 

「まあな。あいつは…」

 

ソルジャーがジャレットがいた場所に行ってみると、ジャレットの姿はなく、姿形も一つも無かったのだ。

それにソルジャーは少しばかり考え、ジャベリンが近寄る。

 

「あいつが居ないのか?」

 

「ああ…もしかしたらあの一瞬で消えたのか…。やはりちょっとやそっとじゃ終わらないな」

 

「なら今度会ったら確実に倒すんだな、チャンスはいくらでもある」

 

ジャベリンの言葉にソルジャーは頷き、皆の方を向いていう。

 

「それじゃあ、今回の依頼は無事終了。剣の乙女の元に行き、報告するか」

 

それに女神官達は頷き、無事ゴブリン達の掃討を終了するのだった。

そんな中でソルジャーはある疑問が一つだけ残っていることを女神官達は気付きはしなかった。

 

 

 




次回で水の街編は終わりです。


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第27話 さらば水の街

地下墓地での戦闘を終え、ソルジャー達は夜になって水の街に戻った。

そしてソルジャーは報告のために剣の乙女の元に向かい、中庭にいる剣の乙女の所に行く。

 

剣の乙女はソルジャーが来たのを感じて振り向く。

 

「お待ちしておりましたわ、戦士様」

 

「どうも、地下水道に蔓延んでいたゴブリン達は全て排除した」

 

「それは良かったです。これでこの街も安心に───」

 

「ただ一つだけ、気になる事が」

 

ソルジャーは気になっていた事を剣の乙女に問い、それに剣の乙女は聞く。

 

「はい、私に出来ることならなんなりと…」

 

「貴女は…ゴブリンの存在を知っていましたね?全て…」

 

っとソルジャーはまるで『あんたはグルだな?』っと疑いを言わんばかりに言う。

だがそれを剣の乙女は静かに頷く。

 

「…はい、その通りです」

 

「やっぱり…」

 

ソルジャーの予想は当たり、その事に言葉をこぼす。

 

「どうして気づかれたのですか?」

 

「全てを知った訳じゃないけど。あの地下のゴブリン、どう考えても誰かを狙っての行動、そして…この件には“邪教団”も絡んでいるっと言う事だな?」

 

「…流石っと言うべきかしら、それならもう少しはぐらかすべきだったかしら」

 

「そんな事をしても無意味だ、時期に気付かれるさ。ジャベリン達が戻ってきたからには…」

 

「そうですか…」

 

もはや隠す事はないと言わんばかりに言う剣の乙女、そんな彼女にソルジャーはある事を問う。

 

「それともう一つ、地下にいたあのアリゲイター。あれは見張り役か?」

 

「…どうしてそう思うのです?」

 

「ジャベリン達もそうだが、この街の冒険者は地下のネズミ退治はしないし、ゴブリン達の事に全く動こうとしない。それを考えるとどう考えてもあれは見張り役としか考えられないからだよ。それとだが…あれは貴女の“使徒”か?」

 

ソルジャーはアリゲイターが剣の乙女の使徒と問いただし、それにより剣の乙女は重い言葉を開かせる。

 

「本当に流石ですわね。そうですわ…あれは私を…ゴブリン達から守って下さる様に召喚したのです、ですがゴブリンはそれを学習して船を使い、襲われないようにしたのでしょう。そしてこれが…私への復讐だとしても」

 

「復讐…、と言う事はやはり貴女は…」

 

「……はい、私は…ゴブリンによって凌辱され、そしてこの目を焼かれました。幸い失明は逃れましたが…私の心はゴブリンによって深い傷を負わせました」

 

「そういう事か…、それじゃあ邪教団は地下にあった鏡を使い、貴女への報復と考えて…」

 

転移の鏡でゴブリン達を呼び出し、剣の乙女を狙おうと考えた邪教団だと考えるソルジャー、同時に彼の心の中ではジャレットもそれに含まれていたと推測する。

そして剣の乙女は杖を握り締める。

 

「もし…ゴブリン達に出くわしたら…、私…泣いてしまいますもの。私は…誰にも言えず、剣の乙女と英雄がどうかゴブリンから助けてくださいなどと…言えるはずがありません。誰も…そう思わないですから」

 

「……」

 

「それを聞いて、貴方は…どうするおつもり?」

 

剣の乙女はソルジャーに自分をどうするかと聞き、それにソルジャーは少しばかり間を空けて、口を開かせる。

 

「どうもしないよ」

 

「っ!? どうもしない…って!」

 

「俺は…貴女を咎める事は出来ない。貴女もまた…ゴブリンの被害者だ、被害を受けた者の痛みはよく知っている。だからどうもしない」

 

だからどうもしないと言う言葉を聞いた剣の乙女はそれに顔を下げ、重い言葉をこぼす。

 

「…皆にわかって欲しかった…。怖くて辛くて…痛くて恐ろしくて、そんな事がこの世にあって、そういう事をする者がこの世界にはいる、分かって貰いたかっただけです…私は」

 

剣の乙女の心を理解して欲しい…そう思った彼女はそう言う言葉を放つも、それを聞き入れてくれる人は誰い一人いなかった。

それを感じたソルジャーは少しばかり黙り込む、英雄と呼ばれる彼女はより重たい心を背負っているのだと。

 

「地下にあったあの転移の鏡は差し上げます、貴方になら…きっと分かって貰える筈…」

 

「いや、あれは捨てたよ」

 

っとソルジャーの言葉に剣の乙女は思わず驚く。

 

「ええ?! 古代の秘宝ですよ?!」

 

「あれは余りにも強大すぎる。俺達だけでは扱いきれない、使えばきっと今回の繰り返しになる…。あれはコンクリートで固めて、アリゲイターのいる場所に沈めたよ、あいつにとっては良い寝床になるよ」

 

「…本当に…面白いお方。貴方は時々…“外れている”と言われてませんか?」

 

「いや、俺は俺だよ。それは違いない」

 

その言葉を聞いた剣の乙女は少しばかり笑い、そしてある事を問う。

 

「…少しだけ聞いていいかしら?」

 

「何か?」

 

「貴方は…小鬼を退治して、何か変わりました?」

 

「どういう事だ?」

 

剣の乙女の言っている意味が分からないソルジャーは少しばかり問い、剣の乙女は夜空の月を見る。

 

「勇者様が魔神を滅ぼせば…世界はきっと救われるのでしょう。でも小鬼に襲われた15歳の少女が今も救いを求めていたとしても…そんな事を気にかけてくれる人は何処にもいないでしょう…小鬼を退治しても…何も。何も変わらないじゃありませんか」

 

「…それはちょっと違う」

 

「え?」

 

ソルジャーの言葉に剣の乙女は言葉が止まり、ソルジャーは言う。

 

「俺はゴブリンばかり相手している訳じゃない。ビックベアやデーモンにガーゴイル。あらゆる魔物を退治しているんだ。だから俺はそこまでゴブリンを相手してるんじゃない。それと貴女はひどい目にあったと言ったな?」

 

「はい…」

 

「俺は故郷をゴブリンによって襲われてしまった、俺は最後まで見ていた、そして最後まで抗い、全滅させたが…結局何も守れなかった」

 

「でしたら!!「だから…俺は貴女の気持ちを理解する事は出来ない。俺は…貴女じゃない」…私を助けて下さらないのですか?」

 

剣の乙女は今にも泣きそうな表情をしていて、ソルジャーは少しばかり考え、そしてその場を後にしようとした際にこう言う。

 

「でもゴブリンが出たならまた呼んでくれ。すぐに駆けつけて…ゴブリンを倒してやる」

 

「っ!!!」

 

ソルジャーの言葉に思わず剣の乙女は杖を離して、その場に膝まつく。

 

「ゆ、夢の中でも…ですか?」

 

「ああ、夢の中でもだ、ゴブリンは…放っておけないからな」

 

そう言ってソルジャーはその場を離れていく、剣の乙女はペンダントを握り締め、そして涙を流しながら言う。

 

「わ、わたくしは…、貴方を…お慕い申し上げております」

 

そう泣き崩れる剣の乙女だった。

 

そして廊下では、ソルジャーの帰りを待っている女神官とジャベリンとブレイドの三人がいて、ソルジャーが来たのを見て振り向く。

 

「報告は終わった」

 

「報告…ご苦労様でした」

 

女神官はそう言って頭を下げる、そんな中でジャベリンがソルジャーにある事を問う。

 

「おいソルジャー、大司教にはどう言う風に言ったんだ?」

 

「何も…ただ報告しただけ」

 

そういうソルジャーにジャベリンはただ何も言うことはなかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして次の日、ソルジャー達は依頼達成の報酬を受け取り、辺境の街に戻るため馬車に乗る。

するとジャベリンとブレイドが見送りにやってきた。

 

「ようお前ら」

 

「あ、こんにちは」

 

「なんじゃ、お主等見送りに来たんか」

 

「ああ、それとソルジャーに礼を言わなきゃな、今回の依頼を引き受けてありがとうよ、本当なら俺達がやらなきゃ行けないことなの」

 

ジャベリンは今回のゴブリン退治の事を言い、ソルジャーはそれに頭を横に振る。

 

「いいや、今回はわざわざあっちが依頼を横してきたんだ。それを断る訳には行かなかったんだ。それに今回は気になる事がわかったからな」

 

「ああ~、あのジャレットか。そういやアイツは何処に行ったんだろうな?」

 

「恐らくは自分のアジトだろう、でもしばらくは動きはないだろう。あの怪我だ、そう簡単に動けないさ」

 

ブレイドの言葉にジャベリンは言い、それにソルジャーも頷く。

 

「そうだな、しばらくはあいつも手は出してこないだろう。それとお前たちも今回は世話になった、お陰で死にそうになったが助かった」

 

「良いって。同じ転生者同士、助け合いだ」

 

「ありがとう、今度辺境の街に遊びに来いよ。もうこの時期だと収穫祭が近いからな」

 

その言葉に二人は頷く。

 

「おうよ! その時は遠慮なく行かせてもらうぜ!」

 

「それにソルジャーのケミストビルダーツールタブレットもコピーさせて貰いたいしな」

 

「おお、そん時はお前のカスタムツールタブレットもコピーさせてくれ」

 

それにジャベリンは頷き、そして馬車が出発する時間がきた。

 

「ソルジャーさん」

 

「おう、それじゃあな二人共、元気でな」

 

「ああ、そっちも元気でな」

 

ソルジャー達は握手を交わし、ソルジャー達は馬車に乗って辺境の街へと向かい、ジャベリンとブレイドは手を振りながら見送った。

 

馬車の中でソルジャーの方を見る妖精弓手、それにソルジャーは気づく。

 

「ん?どうした」

 

「いや…あんたもあんな風になるのね?」

 

「あれがか?別になんにも変わらないが」

 

っとその事に思わずずっこけそうになる妖精弓手。

 

「ってあんたね…。まあいいわ、それよりもオルクボルグ、ちょっとあたしの頼み、聞いてくれる?」

 

「またか…? んで今度は何」

 

「またかはなによ…。今度冒険に一緒に出て欲しいのよ、出来れば二人だけで」

 

妖精弓手は小声でその事を言い、彼女の言葉にソルジャーは頭を傾げ、それに問う。

 

「なんでまた?」

 

「いいの!お願いよ…ダメ?」

 

「はぁ…、分かったよ。今度の冒険一緒に出てやる」

 

その事に妖精弓手は心の中でガッツポーズをし、それにため息を付くも、ソルジャーは辺境の街の街まで一眠りをするのであった。

 

 




これで水の街編は終わりです。

そしてしばらくの間、R系を進めます。
見た方はそちらを期待して下さい!


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収穫祭編
第28話 分かっていく行動


今回から収穫祭編です。

そしてジャベリンとブレイドの新しいパーティーメンバーが出てきますのでどうぞ


水の街でのゴブリン討伐、もとい…ジャレットとの死闘を終えてから約一ヶ月、ソルジャー一行は新たな依頼を受けていて、とある鉱山に来ていた。

それはゴブリンが鉱山に立てこもり、付近の村から少女等を連れ去っていた事が判明し、ソルジャー達に討伐依頼を出していた。

 

当然その依頼にソルジャーは受けて、女神官達も文句言わずに……否、1人だけ抗議する者はいた。

 

「もう!!なんでこうあんたはゴブリン始末ばかり受けるのかな!?」

 

抗議する人物はもちろんの事、妖精弓手である。

彼女はいつもの事、ゴブリン討伐を受けるソルジャーに対し講義し、それにソルジャーは呆れながら言う。

 

「あのな、俺は皆の安全の為にゴブリン討伐を引き受けているんだ。それなのにお前はいつもいつも文句ばかり言うんだ?」

 

「冒険者ならもっと高度な依頼を受けなさいよ! それにあんたはこの世界に潜むダークネスサイドを叩く為にいるんでしょう!? だったらそっちを優先させなさい!」

 

「全くこの娘と来たらの~…」

 

鉱人道士は妖精弓手の態度を見て呆れていた。

 

「野伏殿は小鬼殺し殿の使命を忘れていると思われますが、それはまずないでしょうな。小鬼殺し殿はゴブリン討伐にダークネスサイドが絡んでいると思われているからこそこの依頼を優先したと思われる。ここは確かめてみるのもありかと」

 

蜥蜴僧侶がそう答え、それに納得の行かない妖精弓手はまたしても文句を言おうとしたが、女神官に止められる。

 

「やめて下さい。私達はソルジャーさんが皆の為だけじゃなく、この世界の為に動いてもらっている事を解ってもらいましょう」

 

「そうね、彼の為にも頑張らないとね」

 

「それにソルジャーさんの使命、乗り気だったじゃないですか?」

 

女武闘家の言葉に妖精弓手は思わず身体が反応し、それに冷や汗が出てくる。

その様子にソルジャーはため息が出る。

 

「はあ…、それじゃあ行くぞ。洞窟に入る前に例の消臭スプレーかけるの忘れるなよ?」

 

「はい、分かりました」

 

女神官を含む女性陣は超消臭スプレーをかけて、洞窟の中に入り、囚われた少女達を救いに向かった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

洞窟の中に入ったソルジャー達は松明を持ちながら周囲に警戒しながら洞窟の中を進み、ソルジャーはHK45カスタムを構えながら前進し、その背後を女神官がついていく。

一番後ろは蜥蜴僧侶が守り、妖精弓手等が周りを警戒しながら進んでいた。

 

しかし奥に進んでいく中で、ソルジャーはある事に気が付く。

 

「…妙だな?」

 

「何が妙なんですか?」

 

女神官がその事に問い、ソルジャーは皆の方を向く。

 

「この鉱山の洞窟にゴブリンがいた形跡がない」

 

「なんじゃと?」

 

「ゴブリンがいた形跡がないと…どういうことですかな?」

 

蜥蜴僧侶がそれを問うと、ソルジャーが少しばかり考える。

 

「どうも移動した痕跡があるし、俺たちの行動を勘付いたのか…それとも…」

 

ソルジャーがゴブリンらしくない行動に更に疑問を持つようになる。

 

 

コトン…!

 

 

っと奥から何やら音がして、それにソルジャー達は音がした方を見る。

 

「な、…何?」

 

「…調べて見る、武闘家、リザードマン。一緒に来てくれ」

 

「はい!」

 

「承知」

 

ソルジャーは女武闘家と蜥蜴僧侶を連れて奥に行こうとすると、奥から誰かが出てきて、大剣を振り下ろしてきた。

それに皆は驚くと、ソルジャーはすぐさまソウルブレードで防ぐ。

 

 

カキン!!!

 

 

「あら!あたしの剣を防ぐなんて。いい腕してるじゃない!」

 

「(っ!女!? それにしては重い剣筋だな…!)」

 

ソルジャーは少しばかり力を入れながら弾き返し、それに大剣を持つ女性は後方に下がる。

 

突如の攻撃にソルジャー達は武器を構え警戒する、がソルジャーはその女性でまだ赤髪のツインテール少女だった彼女の姿を見て思わず少しばかり目が向いてしまう。

何故なら彼女の姿は露出全開で大事な部分しか隠していない『水着鎧(ビキニアーマー)』だったのだ。

 

それに女武闘家は少しイラっとして、ソルジャーの足を踏む。

 

ドスッ!

 

「ぐっ!何故踏む!?」

 

「なんとなくです」

 

女武闘家のムスっとした態度にソルジャーは納得行かない表情をする。

 

「小鬼殺し殿、武闘家殿。争っている場合ではありませぬぞ」

 

「わ、分かってるよ」

 

っとその言葉に女性は思わずソルジャーを見る。

 

「え?小鬼殺しって…」

 

「おい!!何やってるんだ!!」

 

すると奥から複数の男女がやって来て、大剣を持つ女性の元に行く。

男性2人に女性3人、その内の男性2人がソルジャーの方を見ると思わず驚く。

 

「「あっ!ソルジャー!?」」

 

「ん?あっ…お前ら」

 

っとソルジャーが2人の男性を見て思わず唖然とする。

 

何故ならそこにいるのは、水の街で討伐に際に行動を共にしたジャベリンとブレイドだったのだ。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

ソルジャー達は一度鉱山の洞窟から出て、外で互いに顔合わせをした。

 

大剣の少女の他に杖を持ったピンクと白の服装をした金髪セミロングの少女、弓を持ち長いロングヘアーをした少女、金髪で縦ロールの髪型をしているドレスアーマーを着込んだ高貴な少女がソルジャー達を見ていて。

ソルジャーはジャベリンとブレイドの方を見て問う。

 

「おいおい…どうしてお前らがここにいるんだ?」

 

「それはこっちの台詞だ。なんでお前らがこんな所にいるんだよ」

 

「俺はこの鉱山に潜んで、少女達を捕らえているゴブリン達の討伐に来たんだ。お前らは?」

 

「俺たちも同じだ、いや~まさかソルジャー達も同じ依頼だったとは思わなかったな?」

 

ブレイドが自分たちと同じ依頼が被っている事に驚いていて、それにはソルジャーも同じだった。

 

「俺もだよ。まさかダブルブッキングだったとはな」

 

「ああ…。それにしてもお前達、久しぶりだな?」

 

「はい、一ヶ月ぶりです」

 

女神官達は一ヶ月ぶりに会うジャベリンとブレイドに挨拶をする。

 

「一ヶ月ぶりじゃのうお主ら」

 

「お元気でなによりである」

 

鉱人道士と蜥蜴僧侶が2人に挨拶をし、女武闘家と女魔術師は頭を下げながら見る。

そして妖精弓手は手を挙げながら合図をし、相変わらずの様子にジャベリンは苦笑いしてしまう。

 

そしてソルジャーは気になっていた事をジャベリンたちに問う。

 

「なあお前ら。そっちの子達は?」

 

「ん?ああ~。あいつ等は2週間前にパーティーとして加わった子達だよ」

 

「あの~初めまして、私、ジャベリンさんとブレイドさんのパーティーに入った僧侶です!よろしくお願いします!」

 

っとセミロングの少女が自分の名をいい、『女僧侶』と名乗った。

 

「さっきはごめんね? あたしは見ての通りブレイドと同じ大剣を使う者、名前は適当に読んでもいいわ」

 

ツインテールの少女、もとい『大剣女』は適当に言い、それにジャベリンはため息を吐く。

 

「こんにちは、あなたたちの事は聞いています。私は見ての通り野伏担当の者です」

 

ロングヘアーの少女は頭を下げて挨拶し、この際『女野伏』と言った。

 

「お初お目にかかりますわ、わたくしは貴族出身の者です。そして剣士の腕も一流ですのでお見知りおきを」

 

っと完全なお嬢様な感じの縦ロールの少女、『高貴女』と名乗るとする。

その様子に女神官達は苦笑いし、妖精弓手は呆れながら言う。

 

「何あれ、お嬢様のつもり? バッカみたい」

 

「なんですかあなた? このわたくしを馬鹿にするつもりですか?」

 

っと喧嘩腰の妖精弓手に高貴女は思わず張り合い、それに女神官と女僧侶は慌てて引き離す。

 

「やめて下さい!」

 

「喧嘩はよくありません!」

 

「「ふん!!」」

 

そう言って2人は顔を逸らし、それにため息を吐くソルジャー達。

っとソルジャーはジャベリン達にある事を問う。

 

「そうだ。ジャベリン、ブレイド。お前らは鉱山の奥に入ったんだろう? 囚われていた村人の少女達は居たか? そしてゴブリンの姿もいないんだが…」

 

「ああ、俺もそれに気になっていたんだ。俺たちも奥に入っていったんだが、ゴブリンどころか村娘達が1人いないんだ。これはどう見てもおかしい…」

 

「ゴブリンが俺達に勘付いて移動したって言うんだったら有り得ないぜ、ここのゴブリンはそこまでの知識はないんだろう?シャーマンの証のトーテムもねえしよ」

 

「あっ、そう言えば…」

 

「私達も来た時にはトーテムがありませんでした…」

 

ソルジャー達の会話に気付いた女神官と女僧侶、洞窟の入り口近くにシャーマンのトーテムが無かった事に気付いた。シャーマンがいないゴブリンにそこまでの知識が回るはずがない。

それを考えるとソルジャー達はますます気になる。

 

「…とにかくこのまま終わる訳には行かない。ジャベリン、ブレイド。俺達はこの付近を探す、当然手伝うよな?」

 

「ああ、勿論だ」

 

「こっちも賛成だ。お前らは?」

 

「こっちも賛成です!」

 

女僧侶がそう言うと大剣女達も頷き、女神官達はソルジャーの方を見る。

 

「では行動開始ですね?」

 

「ああ、それじゃあ行くぞ」

 

そう言ってソルジャー達はジャベリンとブレイドのパーティーと共に見失ったゴブリンと人質の行方を探す。

 

この鉱山にはまだいくつかの洞窟があり、そこに場所を移し替えてる可能性が高い、それを確かめる為、ソルジャー達はいくつかの洞窟を確かめる。

その際に探索しながら女神官達は女僧侶達と会話していた。

 

「へぇ~、貴女方の階級は青玉なんですか」

 

「はい、7位でもまだまだなんですよ、私なんかドジばかりで…」

 

「あら、あんたはこの2週間ジャベリンのフォローしながら進んでいるじゃない。あたしはブレイドの後方を任されながら倒してるんだから」

 

女神官は女僧侶と会話し、その後に大剣女が会話に参加して言う。

 

「なるほど、貴女は矢を3発同時に放つ事も出来るんですか」

 

「ええ、そうですよ。結構大変でした、かなり練習しましたし、魔物や動く的を標的として」

 

「凄いわね…」

 

「そうでしょう。彼女は凄いんですわ」

 

っと女武闘家と女魔術師は女野伏の評価を関心し、高貴女は自分の友の評価を聞いて胸を張る。

そんな様子を妖精弓手は気に入らない様子だったのを鉱人道士が問う。

 

「なんじゃ耳長娘、まだ気に入らんのか?」

 

「…いいの? 私達仮にオルクボルグのあの使命を手伝っているのよ? それを知られたりしたら…」

 

「大丈夫だろう、ジャベリン殿達がそれを上手く隠しているはず…」

 

っと蜥蜴僧侶がその事を妖精弓手に言い、それに妖精弓手は少々気に入らない様子で見るのだった。

そしてソルジャーがある洞窟の入り口を見て、地面の様子を見て気付く。

 

入り口には複数の足跡があり、足の形がどうもゴブリンらしき者があった事から、ソルジャーは目を細める。

 

「…この入り口だな」

 

「ああ、この足跡…間違いなくゴブリン達だ。それに人質の足跡もある」

 

「おっしゃ!一気に行こうぜ」

 

ブレイドが中に突っ込もうとした時に、大剣女が首根っこを引っ張る。

 

「待ちなさいよ!あんたそう言ってすぐ大剣振り回して行くじゃない!」

 

「そうですわ、出来れば私たちの事を考えてジャマダハルを使って下さいな。この高級ドレスアーマーに傷を付けたくないのです」

 

「はいはい…そうしますよ」

 

っとブレイドは背中のゴルドバスターソードを抜くのやめ、ジャマダハルを取り出して構える。

その様子にソルジャーはジャベリンに小声で話す。

 

「おい…、あの子達まるでお姉さん的存在だな?」

 

「そうなんだよ…、お陰でこっちは気を使うばかりだ」

 

そう言ってジャベリンはハチャットを取り出して構え、ソルジャーは狭い戦闘を想定して大型ナイフを取り出す。

 

ソルジャー達は洞窟の中に入り、その近くにはトーテムを発見した。

 

「シャーマンが居るな…、となると遠距離の事を考えてこいつを出しておくか…」

 

再びソルジャーはマルチツールタブレットである物を取り出す、それはアサルトライフルであるHK416を取り出した。

それを見たジャベリンは。

 

「なるほど、それじゃあ俺も」

 

ソルジャーと同じことをするかの様にマルチツールタブレットを取り出して、ソルジャーとは違うアサルトライフル『AK12』を取り出した。

従来のAKと同じ7.62×39mm弾を使う為ストッピングパワーは強い、ジャベリンが持つAK12を見たソルジャーは思わず見とれる。

 

「ほう?AK12か…、いいセンスだ」

 

「おうそうだろう?」

 

っとそう言っていると、奥から何やら出てくる影、ゴブリンの姿が見え、それに女神官と女僧侶がソルジャーとジャベリンに言う。

 

「ソルジャーさん」

 

「奥からゴブリンが来ます」

 

「分かった、ブレイド、先行してくれ」

 

「分かったソルジャー。それじゃあ行くぜ!」

 

そう言ってブレイドが先に進み、出てきたゴブリン達を片付け行く。

 

「GORA!!!」

 

「GOR!!!」

 

そのあとに女武闘家が構えて、レイピアを持つ高貴女が続く。

 

「一緒に行きます」

 

「全く、貴方はすぐに突っ走りますから、後の事を考えて下さいな」

 

女武闘家と高貴女はブレイドの溢れ物を片付けながら進み、ソルジャー達は警戒しながらブレイドたちの後を追いかける。

そしてゴブリン達をあらかた片付け、奥に広い場所を見つけ、それをソルジャー達に目線で知らせ、それにソルジャー達が頷いて、ソルジャーとジャベリンが前に出る。

 

すると女神官がその様子に気付いて、奇跡を使う。

 

「《いと慈悲深き自母神よ、闇に迷えるわたしどもに、聖なる光をお恵みください》…聖光」

 

女神官の聖光が広場に光が放たれ、それに視界が見えて、辺りを見渡せた。

目にくらんだゴブリンが4体に倒れている人質が5人いて、奥にゴブリンシャーマンが2体がいた。

 

「シャーマンが2体…」

 

「なるほど。大分戦法が違ってるな」

 

そう言っていると、2体のゴブリンシャーマンが呪文を唱えようとした。

だがそれをソルジャーとジャベリンがHK416とAK12を構えて撃つ、互いの5.56×45mmNATO弾と7.62×39mm弾がゴブリンシャーマンの胴体を貫き、そのまま壁に激突させて大量の風穴を空けて、2体のゴブリンシャーマンは倒れる。

 

ゴブリンシャーマンが倒された事にゴブリン達は動揺を隠せないが、すぐにソルジャー達に向かっていく。

 

ソルジャーは大型ナイフを取り、ジャベリンはハチャットを構えた。

ブレイドもその場を行こうとするが、その横に2本の矢が飛んで行き、2体のゴブリンの頭に突き刺さる。

 

それを見たブレイドが後ろを見ると、妖精弓手と女野伏が共に弓を構えて、狙い撃ったのだ。

 

「あらやるじゃない」

 

「そちらこそ」

 

「(お前ら…俺の頭に当たったらどうするんだよ)」

 

そう考えるブレイド、そんな中でソルジャーとジャベリンは2体になったゴブリンをあっという間に倒してしまい、武器をしまって人質の方を見る。

そして女神官達の方を見て、それに女神官達は頷いてすぐに向かう。

 

そんな中で鉱人道士と蜥蜴僧侶は全く出番が無かった事に唖然とする。

 

「わしら…出番がなかったのう」

 

「ええ…、これは少しさみしいですな」

 

「あ、あの…私も同じですよ?」

 

っと女僧侶がそう2人に言い、それに鉱人道士と蜥蜴僧侶は少しばかりため息をする。

そしてソルジャーとジャベリン、ブレイドの3人はシャーマンがいた骨の椅子の奥に進むと、そこには案の定、ゴブリンの子供がいて、それにソルジャーは2人を見ると、ジャベリンとブレイドは頷いてある物を取り出す。

 

それはWPグレネードだった、それをジャベリンとブレイドはピンを抜き、その隙にソルジャーが混合液体を子供のゴブリンに投げ、それと同時ジャベリンとブレイドがそれを投げて、子供ゴブリン達を焼き払う。

 

「「「GAAAAYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!」」」

 

っと子供ゴブリン達の悲鳴を聞いた女神官達は思わず振り向く、そして女神官と女僧侶は祈りながら膝まつき、二度と生まれてこないよう祈った。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして囚われていた女性たちを付近の村に送った後、ソルジャー達はジャベリンとブレイド達の方を見る。

 

「さて…、一応終わったがお前達はどうするんだ?」

 

「俺達は一度水の街に戻って報告をするつもりだ、その後辺境の街に行く。もうすぐなんだろう?収穫祭が」

 

「そん時に行ってもいいんだが、あまりにも時間がかかるからな。この際報告すんだ後に向かうわ」

 

その事にソルジャーは頷き、そして女神官の方を向くと、少しばかり無理している様子が見られる。

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい…大丈夫です。やっぱりまだ慣れませんね」

 

「無理して慣れなくていい、今日は聖光を照らしたことによくやったよ」

 

女神官はそれに頷き、そしてソルジャーはジャベリンたちの方を見る。

 

「それじゃあまたな、こっちは出迎える準備をしておく」

 

「ああ、それじゃあ辺境の街でな」

 

っとソルジャー達とジャベリンとブレイド達は別れて、ソルジャー達は辺境の街に戻っていき、ジャベリンとブレイド達は水の街に戻っていくのであった。

 

そんな中で今回のゴブリン達の奇妙な行動に疑問をソルジャーとジャベリン、ブレイドの3人は考えていた事はまた別の話になるのであった。

 

 

 



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第29話 準備 前編

少しオリジナルを入れました。

どうか見て下さい。


鉱山でのゴブリン討伐を終え、辺境の街に戻ってきたソルジャー達。すぐにソルジャーは報告を受付嬢に報告する。

 

「討伐終えたぞ」

 

「ご苦労様です。お疲れ様でした」

 

受付嬢は満面な表情で出迎え、報告するソルジャーの話を聞く。

 

鉱山での仕事が水の街のギルドとかぶっていた事も話すと、それには驚いた表情をする。

 

「まあ、そうだったのですか?」

 

「ああそうなんだ。まあ向こうの冒険者とは知り合いになってたから何とかなったが、それよりもかぶっていた事は知っていたのか?」

 

「いいえ、私も初めて知りました。ですがもしかしたら万が一としてその依頼者の一緒の者がお願いしたのかと思われますね」

 

その事を聞くと、ソルジャーは少しばかり考える表情をする。

するとソルジャー達の元に槍使いと魔女がやって来る。

 

「ようお前ら、相変わらずな依頼をしているな~」

 

「何よ、私等はオルクボルグの依頼に付き合ってるだけよ」

 

「でも、意外と、好んで、る、でしょ?」

 

魔女の言葉に女神官は苦笑いしながら頷く。

 

「えへへへ…はい、そうなんですけどね」

 

「やっぱり、ね」

 

「けっ、ソルジャーはずっとそんなんだな。たまには俺の依頼を手伝え」

 

「すまんな、まあ他の依頼もするが…ちょっと気になる事があるからな」

 

槍使いの言葉にソルジャーはそう言い、それに槍使いは首を傾げながら問う。

 

「ああ?なんだよそれ」

 

「少しな、どうも不思議な事が起きてる。それを調べたいんだ。悪い」

 

「あっそうかよ、まあいい。また今度頼むぜ?」

 

「じゃあ、ね」

 

そう言って槍使いと魔女がその場を去ろうとする、だがそれを女魔術師が止める。

 

「待ってください!」

 

「ん?どうした」

 

槍使いと魔女は止まり、女魔術師は魔女の前に来る。

 

「お願いがあります、私に魔術を教えてください!」

 

「あら、わたし、に?」

 

「はい!」

 

女魔術師の願いに魔女は少しばかり考える、女神官達はそれを聞いて考えると、ソルジャーが女魔術師の考えに気が付く。

 

「そうか、お前はファイアーボルト以外の魔法を覚えたいんだな?」

 

「はい、他にもあるんですが、もっと魔法を覚えたいのです。ですからお願いします!」

 

頭を下げて魔女にお願いする女魔術師、その様子に魔女は微笑んで、女魔術師の肩に手を載せる。

 

「いい、わ、私が、教えて、あげ、る」

 

「あ!ありがとうございます!」

 

女魔術師は魔女に頭を下げながらお礼を言い、それに魔女は微笑む。

 

「すまないな、じゃあ頼めるか?」

 

「ええ、任せ、て」

 

「はぁ、こいつがこうするとしばらくは暇になっちまうな、まあいいや、俺は俺でやりたい依頼でも探すか」

 

っとそう言って槍使いはその場を去っていき、魔女は女魔術師を連れて何処かに行った。

そしてソルジャー達は報酬を貰ったあと一旦解散することにした。

 

「では小鬼殺し殿、拙僧等はここで…」

 

「ワシは酒のあてでも探すとするわい」

 

「じゃあね、また何かあったら呼んで」

 

「それじゃあソルジャーさん」

 

「お疲れ様でした」

 

女神官達がそう言い、ソルジャーは頷きながら言う。

 

「ああわかった、じゃあな」

 

ソルジャーはそう言った後馬に乗り、そのまま牧場へと戻って行った。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして牧場へと着いたソルジャー、馬を小屋に戻し、家に入ると牛飼娘がソルジャーの方を向く。

 

「あっ、お帰り」

 

「ただいま、無事戻ったよ」

 

「うん、もうすぐご飯出来るから、叔父さん呼んで来てくれる?」

 

「ああわかった」

 

ソルジャーは叔父を探す為に外に出る、牛小屋辺りを調べてみると、叔父の後ろ姿が見え、ソルジャーが声を掛けようとする。

っとその時だった。

 

「ゴホッゴホッ…!」

 

「(っ!?叔父さん…!)」

 

突然咳をし出した叔父にソルジャーは目を細め、そのまま叔父の下に行く。

叔父もソルジャーの存在に気付き、後ろを振り返って向く。

 

「や、やあ…帰ったかね」

 

「はい…、あの…叔父さん。今のは…」

 

「え?あ、いや~ははは…どうも風邪を引いたみたいでね。大丈夫、一晩寝れば治るさ。ご飯かね?なら家に入ろうか」

 

そう言って叔父は家の中に入っていき、それにソルジャーは叔父の後ろ姿を見る。

先ほど叔父がいた場所を見て見ると、地面に少しばかり血があり、それをソルジャーは白い布でちょっとだけ濡らせて、バックパックの中にしまい込むのだった。

 

 

 

そして夕食を終え、ソルジャーは特別部屋で先ほど染みこませた血をゲージの中に入れ、そして検査の機械に入れる。

 

ソルジャーはキーボードを操作してコンピューターで解析し、叔父の今の様子を調べてみると、叔父の身体の検査結果が出る。

今の叔父の状態は風邪だけ以外に異常なしと言う結果が出て、それにソルジャーは一息する。

 

「ふぅ…、異常なしか。よかった~…ヒヤヒヤさせてくれるよ…もう」

 

そう言ってソルジャーは立ち上がり、鎧を置いてスプレーガンを取り、新たな金属コーティングを施すのだった。

 

だがこの時ソルジャーは気付かなかった、この叔父の検査結果に裏があった事を…。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

時間は少しばかり遡り、場所を変わって水の街。

 

依頼を終えて戻ってきたジャベリンとブレイドたちは水の街のギルドに報告した後、女僧侶達に言う。

 

「さて、俺達はこれからソルジャー達のいる辺境の街に行くけど、どうするんだお前ら」

 

「私は行きます。収穫祭、見たいですから」

 

「あたしも行くわ、面白そうだから」

 

「私もです」

 

「生憎、わたくしは無理ですわ。両親がどうしても結婚の話の事ばかり言い出すので、それを何とかしなくてはならないのです」

 

高貴女がそう言い、それにジャベリンとブレイド達が残念がる。

 

「そうか…それは仕方ないな」

 

「お前は貴族の人間だからな、仕方ない。そっちを優先にしてくれ」

 

「はい、ですから皆さん。わたくしの事は気にせずに楽しんで下さいな、なんとしても両親を説得させてみますわ」

 

そう言って高貴女はその場を去って、自分の自宅へと帰っていく。

そしてジャベリンとブレイドは女僧侶達の方を向く。

 

「よし、それじゃあ俺達はソルジャー達がいる辺境の街に向かうか」

 

「でもいいんですか?まだ収穫祭には一週間あるんじゃあ…」

 

「早い方がいいだろう、それじゃあ乗り物を出していくか」

 

っとブレイドがマシンツールタブレットを出して、乗り物を出す。

 

ブレイドが出したのは『高機動多用途装輪車両 ハンヴィー』、あらゆる悪路を走ることが出来るこの車なら、荒れた道でも進むことが出来る。

 

ハンヴィーを見る女僧侶達は改めてジャベリンとブレイドのタブレットを見る。

 

「凄いですねそれは」

 

「ほんと、神からの贈り物と聞いたときは頭のネジが取れてると思ったけど…」

 

「これを見る限り、嘘ではなさそうですね」

 

「すまんな、それじゃあいくか」

 

ジャベリンは運転席に座り、ブレイドはその助手席に座る、後の女僧侶達は後方の席に座って辺りを見る。

っと発進したん時に思わず驚いた事は言うまでもなかった。

 

 

 




キャラの件ですが、活動報告に書いてありますので。
見てください。


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第30話 準備 中編

どうも祭りの話しじゃないっぽかったので、29話を含めてタイトル変更しました。

申し訳ございません。


辺境の街での収穫祭まであと一週間ちょっと、その間に祭りの準備が着々と進められる中で、冒険ギルドではいつも通りの依頼が毎日のように送られてきている。

 

それには他の者達は依頼を果たすために引き受けてはボロボロとなり、肝心の収穫祭の準備が間に合わずに疲れ果てた状態でいる者もいる。

折角の祭りを潰さない為に銀等級中心の上位冒険者達が何とか頑張り、ほかに皆に楽しんで行く様していた。

 

当然ソルジャーもそれには関わっていて、皆の為に依頼をこなそうとしていた。

 

「さてと…どれがあるかな~?」

 

ソルジャーが依頼を探していると槍使いと魔女、更に重戦士と女騎士がやって来る。

 

「ようソルジャー、お前も依頼探しか?」

 

「ああそうだ。お前らも?」

 

「ああ、他の連中は祭りの日はばたりと倒れるやつが多いからな。少しはやっておかねぇとな」

 

っとそう言ってソルジャーと混じって槍使い達も同じように依頼を探し始める。

探していると妖精弓手がソルジャーを見つける。

 

「あっ、オルクボルグ」

 

「ん?お前か、どうした?」

 

「どうしたってあんたね…。まさか依頼を受けるつもり? 呆れた~…こんな状況に限って依頼を受ける只人は初めてよ」

 

「おいおい、祭り当日は多くの人で賑わっているって時にばたりと倒れる奴が数多くいるんだ、それをなくす為にも俺達が依頼を減らしているんだ。文句あるか?」

 

「ぐぅ~~~!」

 

っといつもの馬鹿な感じの様子に槍使いと重戦士、女騎士は呆れ返っていて、そんな様子に魔女は微笑んでみていた。

そんな感じで妖精弓手もその中に加わって依頼を探していて、ソルジャーが一つの依頼を見つけて取る。

 

ソルジャーが取った依頼を妖精弓手と槍使い達が見る。

 

依頼内容には『黒魔道士が率いているゴブリン達を討伐』という内容だった。

 

「はっ?!黒魔道士!? しかもゴブリンって!」

 

「黒魔道士がゴブリンを率いているか…、おかしいな」

 

「ゴブリンが他の魔物に仕えている自体が妙だな…いつもは独特に動く連中だ」

 

「でも 少 し 調べて 見るの も 悪く ない わ ね」

 

「…まさかゴブリン討伐をするのか? 勘弁してくれ…」

 

女騎士がそれを呟く中で、ソルジャー達が依頼書を持っていき、受付嬢の所に行く。

すると受付嬢がソルジャーの方を見て満面の笑顔を見せる。

 

「あっ!ソルジャーさん! 依頼ですか?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「こんちは~!今日はこいつらと共に冒険しますんで!よろしくお願いしま~す!」

 

っと槍使いが元気よく挨拶をしていくのだが、受付嬢はそれを無視してソルジャーの方ばかり見て。それに槍使いは固まってしまう。

その様子を妖精弓手が大爆笑し、それに槍使いはキレてガミガミと妖精弓手との口喧嘩を始めるのだった。

 

「今日はこの依頼を受けるのですね? しかも今日はこのメンバーと…他の方々は?」

 

「ああ。神官の方は今日はお休みと取らせて欲しいって今朝連絡が来て、武闘家の方は溜まった洗濯類を洗濯する為と言ってて、魔術師の方は…どうだった?」

 

「ええ、彼女 は なかなか 良い 感じ よ。今 課題 を 渡して いる わ」

 

「だそうだ。あれ?なあハイエルフ。ドワーフとリザードマンはどうした?」

 

「え?アイツ等は別件で今日はいないわよ、だから今日は私一人」

 

妖精弓手の言葉を聞いたソルジャーは頷いて受付嬢に向く、それに頷いて受付嬢は手続きをする。

 

すると入り口の扉が開いて、それに他の冒険者達が見る。

 

そこから二人の男と三人の少女が入ってきて、あたりを見渡す。

 

「へぇ~ここが辺境の街のギルドか」

 

「さてと、あいつはどこにいるかな」

 

っとその言葉を聞いたソルジャーが振り向くと、扉の近くにジャベリンとブレイド、そして女僧侶に大剣女、女野伏がいたのだった。

 

「おう、お前らか。もう来たのか」

 

「あら?予定より早いじゃない」

 

「よう。早い方が良いっと思ってな、一足先に来たぞ」

 

ジャベリンとブレイド達がソルジャーと妖精弓手の元にやって来て話し、その様子を槍使い達が見て問う。

 

「おいソルジャー。そいつ等なんだんだ?」

 

「ああ、水の街の冒険者だ。一ヶ月前に知り合ってな」

 

ソルジャーがジャベリンとブレイド達を紹介し、ジャベリンとブレイド達も槍使い達を見て自己紹介する。

 

「お前らが辺境の街の冒険者か? 俺はジャベリン、その名の通り槍を扱い、多才に操る戦士だ。もちろん腰の剣も使うし、他の武器も使う」

 

「俺はブレイド、大剣を使い戦士だ。そしてこの鍛え抜かれた肉体を見せびらかすのは放っておいてくれ」

 

「あの…、最後の方はおかしいのでは…? あっ、私は僧侶です」

 

「あたしは見ての通り大剣を使う女よ、名前は好きに呼んで」

 

「野伏担当の者です。よろしくお願いします」

 

あらかた自己紹介が終わり、その様子を槍使い達はジッと見つめた後、槍使いが呟く。

 

「なんか気に入らねぇな」

 

「俺達とかぶってるな」

 

重戦士もそれに頷くかの様に言い、それにジャベリンとブレイドは互いの顔を見る。

 

「被ってる?俺達がか?」

 

「そういやこいつら、装備がどうも似ている部分があるようでないようで…」

 

「「どう見ても被ってるぞ!!」」

 

二人の大声で言ってくる事にジャベリンとブレイドは目を点にして唖然とし、女僧侶と女野伏は苦笑いして見ていて、大剣女は呆れながら言う。

 

「何こいつら、どこからどう見ても違うじゃない。ほら、こいつらの両肩にぶら下げている物を見なさいよ。これが証拠よ」

 

その言葉に槍使いと重戦士はジャベリンとブレイドの肩にぶら下げている物を見る、ショルダーホルスターにM19カスタムとデザートイーグルがあるに気付く。

 

「おい、そいつは…」

 

「ソルジャーがいつも撃ってるバンバンやかましいあれかよ?」

 

「そうだ。俺達の愛銃だ」

 

ブレイドは自分の銃を見せびらかし、それに呆れる大剣女。

そしてジャベリンはソルジャーが今持っている依頼書を見る。

 

「ん?なんだそれ?依頼書か?」

 

「ああ、収穫祭の前にひと仕事をしておこうと思ってな」

 

「なるほどな~。なあ、その依頼、俺たちも手伝っていいか?」

 

っとその言葉に槍使い達が驚くが、それを女騎士が余計な事を言う。

 

「冗談ではない、これは私達の依頼だ。はっきり言って邪魔だ」

 

女騎士の言葉に大剣女が怒りを覚えるが、それをジャベリンとブレイドが止めて言う。

 

「まあ待て、そう言うなって。俺達もソルジャーとの関係をもっと深めたいんだ」

 

「それに俺達水の街の冒険者の知識も役立つ。連れてって損はないぜ」

 

その事を聞いて、少しばかり考える槍使いと重戦士。

 

「なあ、あいつの実力…ちょっと知りたくねえか?」

 

「ああ、これは良いかも知れないな」

 

っとそう言って2人はジャベリンとブレイドの方を見る。

 

「良いぜ、俺達との冒険に参加してもよ」

 

「報酬はそっちで相談してくれ」

 

「すまない」

 

「恩に着るぜ」

 

槍使いと重戦士の会話を聞いた女騎士が思わず抗議する。

 

「ま!待て!!お前達それでいいのか!?」

 

「いいもなにも、俺がそれで良いんだって言ってんだ」

 

「行きたくなかったら来なくていいぞ」

 

重戦士の言葉に女騎士は思わずイラっと来て、別方向に向きながら言う。

 

「そうか、なら勝手にしろ!」

 

っと怒りを撒き散らしながらどこかに行ってしまい、それにソルジャーは重戦士に言う。

 

「おいおい…あんな言い方はないんじゃないのか?」

 

「そうなんだが、これはアイツの為でもある。少しは他人の厳しい所を改めて貰う為なんだがな…」

 

そう言う重戦士の言葉にジャベリンは少しばかりわかった、彼は口は厳しくとも、根は優しい奴なんだと。

 

「それでソルジャー、依頼内容はどんなんだ?」

 

「これだ」

 

ソルジャーはジャベリンとブレイド達に内容を見せ、それにジャベリンとブレイド達は納得する。

 

「へえ、黒魔道士がゴブリン達をか」

 

「なんか気が臭いな、確かめた方がいい」

 

「決まりだ。君らはどうする?」

 

ソルジャーは女僧侶達に問うと、女僧侶達は言う。

 

「私達も参加したのですが…」

 

「この街の売り場をちょっと見てみたくって…」

 

「だからパス。その依頼はそっちに任せるわ」

 

その事を聞いて、何とも冷たい感じにブレイドはプルプルと震えだす、それを抑える為にソルジャーとジャベリンが抑える。

 

「落ち着けブレイド…」

 

「怒りを露にしたのはわかるが、我慢だ…」

 

「くっそ~~…!」

 

ブレイドは拳を握り締めながら悔しがり、その様子に槍使い達は何とも言えなかった。

っとその時魔女がある事を言い出す。

 

「ねえ、私 は この子達 を 街に 案内 させ るわ」

 

「あ? まあ…それもいいが…」

 

槍使いは魔女の言葉にただ頷き、魔女はそのまま女僧侶達を連れ出していく。

 

「じゃあ ね」

 

そう言い残してギルドを出て、ソルジャー達は残ったメンバーを見るのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

ソルジャー達は依頼をもらい、ギルドを出て出発の準備をする。

 

 

そして出発準備が整い、街を出たときに妖精弓手がソルジャーにある事を問う。

 

「ねえ、黒魔道士がいるのは南にある山の向こうでしょう。どうやっていくよの?」

 

その事にソルジャー達は振り向くと槍使いや重戦士の頷く。

 

「そうだぜ、あの山の向こうまで歩くのは骨が折れるぜ」

 

「どうするんだ?」

 

移動手段の事を言われ、ソルジャー達は頷く。

 

「よし、あれを使うか」

 

「そうだな」

 

「さっさとやろうぜ」

 

っとソルジャーはマシンツールタブレットを取り出して、ある乗り物を取り出す。

 

それは『高機動車』であり、10名の人数を乗せる事が出来る車両である。

 

それを見た槍使いと重戦士が思わず目を開かせる。

 

「な、なんだよこれ…!?」

 

「お前ら…一体何をしたんだ?!」

 

槍使い達が驚いている中で妖精弓手は少々驚いたものの、既に慣れてしまったのか、あまり気にせず問う。

 

「ねえ。これなに?」

 

「まあ移動手段の物。鉄の馬って言った所かな?」

 

「鉄の馬? これが…?」

 

「ああ…そうだ」

 

ソルジャーはそう妖精弓手に言い、ソルジャーはジャベリンとブレイドと共に高機動車を見ながら思った。

 

「(いや~日本車はいいな~…、なんせ前の生まれは日本だからな)」

 

「「(懐かしいな~…)」」

 

っとそう思う三人。実はこの三人…前世は日本人なのだった。

なのでこの車両を見ると懐かしく思うのだ。

 

「さてと…向かうとするか」

 

「ああ、さあさあ乗った乗った」

 

っとソルジャーが運転席に座り、ジャベリンが助手席に座り、ブレイドが後ろのドアから入って、妖精弓手達はそれに唖然としながらもその後に続き、皆が乗ったの見たソルジャーが車両を発進させる。

 

南の山の向こうにいる、ゴブリン達を率いている黒魔道士を討伐に向かった。

 

 

 



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第31話 準備 後編

お待たせしました、更新です。

そして最後辺りにオリキャラが出ます。


 マシンツールタブレットから出した高機動車で辺境の街を出たソルジャー達、今回のメンバーは妖精弓手、槍使い、重戦士、そして水の街に所属するジャベリンとブレイドの5名であった。

ソルジャー達が乗る高機動車はそのまま南方向の山を越え、あっという間に山を越えたことに槍使いと重戦士は言葉も出なかった。

 

「おいおい…、マジかよ? もう山を越えちまったぞ」

 

「この鉄の馬…どういう原理で動いているんだ? 馬もなしで動くなんて知らねぇぞ」

 

「まあそうだろうな。だがそこの所は出来ればふせて貰いたいんだ、これが知れ渡るのだけは抑えたい」

 

 っとブレイドの言葉に槍使いと重戦士は思わずがっくしする。

普通に考えて出さなければいいんだっと言いたいかったのだ。

 

2人はそれを考えるとますます考え込んでしまうので、考えるのやめる槍使いと重戦士。

その様子を妖精弓手が見て、運転しているソルジャーに話しかける。

 

「ねえ、あの二人どうしたの?」

 

「さあな、まあ~この感じだとこの乗り物の事を思っているんだろうが、そこはそっとしとこう」

 

「そうだな。そうだソルジャー、この依頼が終わったらお前が住んでいる所で俺達のメンバー全員少し休ませていいか?」

 

「ん?俺の居候している所にか?」

 

 ソルジャーはジャベリンが言い出した言葉に首を傾げる。

自分の住んでいる場所にわざわざ休みたい事に考え込むが、すぐにその事が分かった。

 

「ああ~、あれか」

 

「そうだ。あれを渡したいから終わったら頼む」

 

「いいぞ、帰ったら叔父さんに許可貰うよ」

 

 その事に何のことかさっぱり分からない妖精弓手と槍使いに重戦士。その事を知っているブレイドは何も言わず、シートに少しだけ仮眠を取ることにした。

そしてソルジャー達が乗る高機動車はそのまま目的地まで向かったのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 時と場所が変わって辺境の街、そこでは牛飼娘が街で必要な買い物をする為に来ていた所、女神官と出会った。

 

「ねえ、彼頑張ってる?」

 

「え?彼って…ああ~ソルジャーさんですか。はい、あの方にはお世話になってばかりで、それに~…」

 

女神官が少しばかり考えていると、そこに魔女と女僧侶達がやってきた。

 

「あら、こん にち は」

 

「どうも、また会いましたね」

 

「あっ、この前の。どうも」

 

 女神官は女僧侶達に挨拶をし、それに牛飼娘はただ唖然としてしまう。

その様子に気付いた女野伏が挨拶をする。

 

「こんにちは、私達は水の街の冒険者です。今日はジャベリンさんとブレイドさんのお付できたんです」

 

「え?あっ、そう言えばこの前彼が言ってた…。水の街で知り合った冒険者がいるって、じゃあ貴女達なんだ?」

 

「ええそうよ。もっともジャベリンとブレイドの方なんだけどね、私達はジャベリンとブレイドのパーティーに入ったのは2週間前なんだけど」

 

「そうなんだ~、でも彼って凄いね、いろんな人と仲良くなっちゃうなんて」

 

「そうですね」

 

 賑やかな雰囲気になっている感じで魔女は微笑んみながら見ていた、するとそこに女武闘家と女魔術師がやって来て、牛飼娘達の姿を見かけて声をかける。

 

「あっ、おーい、何してるの?」

 

「あら? もう 課題は 済んだ の?」

 

「い、いえ…まだなんですが…。でも後一歩の所で分かるところがあるんです! それを考える為の休憩なんです。だめ…ですか?」

 

「ふふふ、いいえ だめ じゃ ない わ。でも、課題 は 早めに ね?」

 

そう微笑みながら許してくれる魔女に少しばかり一安心する女魔術師。

その様子に女武闘家は少し呆れながら見ていて、女神官は苦笑いするのだった。

 

女僧侶達はその様子を微笑みながら見ていて。そこである提案があった。

 

「あの、もし良かったら一緒にお茶しませんか? お互いの事を最知る為に色々お話も含めて…」

 

「そうね。私達も色々まわったからお茶にしたかった所だし、そうしよっか」

 

そう言って牛飼娘達は皆と一緒にどこかの店へと向かうのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 そしてまた場所が変わってソルジャー達は今、目的地である黒魔道士のいる所にいた。

その人物がいるのは洞穴でもなく荒れ果てた集落でもない、古びた遺跡だった。

 

ソルジャー達は高機動車から降りて、その様子を確かめていた。

 

「ふ~ん…いかにもゴブリンが居そうな感じだな」

 

「だな。更に黒魔道士が操っている感じもする。間違いなく居るな」

 

「おいおい…お前らどう言う感覚してるんだよ。訳分かんねぇぜ」

 

槍使いはソルジャーとジャベリンの気配感覚に呆れながら呟き、それには妖精弓手も同感だった。

 

「そうね、私もそう思うわ。所でオルクボルグ。どう攻めるの?」

 

「もう決まっている。正直で簡単な正面からだ」

 

ソルジャーはソウルブレードを抜いて構えて、それに続いてジャベリンとブレイドはカタールランサーとゴルドバスターソードを抜く。

ソルジャーを先頭に進む中でその様子に槍使いと重戦士は呆れてしまう。

 

「おいおい…本当に正面突破だな」

 

「まあいい、その方が手っ取り早い。まあアイツ等の武器を確かめるチャンスだからな」

 

 そう言って重戦士はグレートソードを構え、槍使いはため息をつきながらもランスを構えるのだった。

妖精弓手もそれに続き、弓を構えてソルジャーの後を追いかける。

 

そして奥に進むとゴブリン達がわんさか出てきて、それにソルジャー達は武器を構えて向かう。

 

「GOR!!」

 

「GOEGOR!!!」

 

「遅い!!」

 

ゴブリンの首をソウルブレードで切り裂き、2体同時に倒て、ソウルブレードに付いた振り落とす。

 

当然ジャベリンもカタールランサーを華麗に振り回し、更にゴブリンに突き刺して、背後にいるゴブリンに投げつける。

 

ブレイドも豪快にゴルドバスターソードを振り、ゴブリン達を蹴散らしていく。

 

槍使いも負けずにランスを振り回し、ゴブリンの頭と胴体を切り裂く。

 

重戦士も同様で、グレートソードを力任せで切り裂き、ゴブリンの身体を真っ二つにしていった。

 

「GORGA!!!」

 

「GOROGO!!!」

 

ゴブリン達はその様子に怯えてしまい、奥に逃げていく。ソルジャー達はそれをお構いなくゴブリン達を倒しながら進んでいく。

その様子に妖精弓手は呆れて見てしまう。

 

「はぁ…なんかこっちの出番がないわ、でも離れるといつゴブリンに襲われるか分からないから行かなきゃ」

 

 妖精弓手はそう言ってソルジャー達を追いかけていき、その間にソルジャー達は迫り来るゴブリン達を片っ端から蹴散らしていく。

そしてソルジャー達はゴブリン達を蹴散らした後、大きな扉に着いて、一通り見見る。ソルジャーは皆の方を見てから頷き、それにジャベリン達は頷いて、ソルジャーはその扉を蹴り破る。

 

すると広い部屋に入り、その奥に玉座があり、そこに黒魔道士が座っていた。

 

「よくぞ参った…冒険者達よ」

 

 ソルジャー達はそれに警戒しながら入り、ソルジャーとジャベリン、ブレイドの三人は左手にHK45カスタム、M19カスタム、デザートイーグルを取って構える。

それに全く動じず黒魔道士は平然としながら立ち上がる。

 

「この聖なる神殿に足を踏み入れたからには、生きて返すことh──」

 

 

 

バババババババン!!!

 

 

 

ソルジャーとジャベリン、ブレイドの3丁のハンドガンの銃口が火を噴き、それに黒魔道士はそれをまともに受けてしまって倒れる。

それには妖精弓手はもちろんの事、槍使いと重戦士は呆れてしまう。

 

「ちょっと、あんた達ね…」

 

「折角の最後の言葉なんだぜ?」

 

「最後まで言わせたらどうだ」

 

「そうしたい所だが…」

 

「あいつはいま呪文を唱えようとしていた所だったんだ」

 

ソルジャーとブレイドは弾倉を交換し、ジャベリンはシリンダーアウトさせ、薬莢を排出してスピードローダーを使ってリロードして、シリンダーを戻す。

その間に銃撃に倒された黒魔道士は起き上がってきて、ソルジャー達を睨みながら言う。

 

「無駄だ。私は決して殺されたない」

 

「へえ?殺されないって言うんだったら」

 

「死なない事はないな。ならば…」

 

ソルジャー達は銃をしまい、剣と槍、大剣に弓を構えながら黒魔道士を睨む。

 

「殺す!徹底的にな…」

 

「殺すだと…ならば殺してみろ!」

 

黒魔道士は呪文を使い、空間に無数の魔法陣を作らせる。そしてそこから魔法弾が放たれて、それにソルジャー達はかわすように散らばる。

 

ソルジャーは飛んでくる魔法弾をソウルブレードで切り落として、バックパックからスタングレネードを取り出す。

ピンを抜き、それを黒魔道士の方に投げて、足元に転がり、爆発して強烈な閃光と音によって行動が麻痺する。

 

当然それには槍使いと重戦士は耳を抑えながら動けなくなり、妖精弓手も当然耳を抑えながら涙目になり転がり込んでジタバタする。

 

ジャベリンとブレイドはそれには耐性があって、それに全く動じずに突き進んでいく。

 

「おりやああああああ!」

 

「うぉおおおおおおおおお!!!」

 

2人はそのまま突き進んでいき、黒魔道士は呪文を唱えようとしたが、その間にジャベリンのカタールランサーによって突き刺されてしまう。

そして同時にブレイドのゴルドバスターソードが黒魔道士の胴体を切り裂き、二つに分かれた事に黒魔道士は動揺していた所、ソルジャーのビームセイバーが首を突き刺す。

 

それにより黒魔道士はそのまま浄化されていき、黒魔道士はそのまま消えていった。

ソルジャー達はそれを見届けた後、武器を仕舞って一息する。

 

「ふぅ…、依頼達成だな」

 

「ああ、それにしてもお前も大胆だな。こんな近くでフラッシュバンを使うなんてよ」

 

「全くだ。まあ俺はこんなの平気だけどな」

 

ジャベリンとブレイドは平気な様子でソルジャーに言い、それにはソルジャーは少々関心した様子で見る。

 

「へぇ~…意外と平気なんだな。これは感心感心…」

 

「ちょっと、オルクボルグ…」

 

っとその言葉にソルジャーは思わず後ろを振り向くと、怒りが頂点と達した妖精弓手達がソルジャーを睨みながら見ていた。

それを見たソルジャーは思わず引く。

 

「あっ、やっべ…。逃げろ!」

 

「もう!!オルクボルグのバカバカバカ~!!」

 

「あ!おい!! 待ちやがれ!!」

 

「堂々とやって逃げるとは卑怯だぞ!!おい!!」

 

妖精弓手達はさっさと逃げ回るソルジャーを追いかけ、ソルジャーは絶対に捕まらないように走った。

その様子にジャベリンとブレイドは大笑いして、その様子を見守るのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 そして辺境の街の付近で、街が見渡せる道に5人の冒険者が立っていた。

その冒険者は皆10代で、15か16程度の年頃の少年少女だった、1人の少年と4人の少女に大きな犬一匹が辺境の街を見て呟く。

 

「ニニン!あれが辺境の街でござるな!」

 

「いいわね~、いかにも田舎って感じがするわ」

 

「ですが腕の立つものがとても居そうな感じですわね」

 

「はぅ~…、が、頑張ろうっと……」

 

「それじゃあ皆さん、行きましょう」

 

 5人の少年少女冒険者達は辺境の街へと向かい、大きな犬もその後を追いかけるのであった。

 

 

 




最後の辺りでオリキャラ登場でまた雰囲気が変わりますね。

この5人は勿論ソルジャー達の仲間になる予定ですよ。


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第32話 新たな予兆

 とある場所、そこは辺り一面何もない平原であり、その場所に大きな城…否、ビルの様な建物が建てられていた。

その建物は近未来的な作りになっていて、この世界には全く合ってない構造になっていた。

 

一方その建物内ではと言うと…。

 

「いや~~~~~!もう!もうやめて~~!」

 

「「「GA!GA!GA!GA!GA!GA!」」」

 

 多くの只人が複数のゴブリン達に強姦されていて、そこで孕み袋とされていた。

中には只人だけじゃなく、少数の森人と獣人がそこに居て、泣きながらゴブリン達に強姦されている。

 

「や…、やめて……!」

 

「お願い…、やめて…」

 

「GAGAGAGAGA!」

 

 ゴブリン達は高笑いしながら楽しんでいて、只人や森人、獣人を強姦し続けていた。

もう彼女達の瞳が完全に光が失いかけていた時。

 

 

 

バァァァァン!!!

 

 

 

一発の銃声がゴブリンの頭を打ち抜き、それにより強姦していたゴブリン達は思わず手を止めて、撃った方向に振り向くと、そこにはガバメントを構えてたジャレットが居たのだ。

ジャレットが現れた事にゴブリン達は先ほどとは一変して、恐怖の顔になる。

 

「何やってるんだ…。折角“俺が”見つけた相手なのによ…」

 

「GO!GOGOGO!!GAGEGAGOGA!!」

 

 近くにいた一匹のゴブリンが必死に言い訳をして、ジャレットの気を静めようとした、だがジャレットはお構いなくそのゴブリンの頭にガバメントを突きつけて、引き金を引いて撃ち殺した。

仲間が撃ち殺されたのを見たゴブリン達は更に恐怖が増して怯え、ジャレットはゴブリン達に向かって怒鳴る。

 

「さっさとこのビルの建設をしてこい!!! もたもたするな!!!」

 

『『『『『GOAAAAAAA~~~~!!!』』』』』

 

 ジャレットの言葉により、ゴブリン達は急いでその場を離れていき、その場にいた只人達や森人達、獣人達はジャレットの方を見る。

女達の視線に気付くジャレットはその場で振り向き、鋭い目線で言う。

 

「勘違いするな…、お前達は俺や他の男3人の相手をして貰わなければならない。後で治癒魔導師を送ってやる、しっかりとその身体…楽しませろよ」

 

っとそう言い残してジャレットは出ていき、彼女達は不安な表情をしてしまうのであったが、何かは何かを求めていたのもあった。

 

 

 ジャレットがその場を離れて廊下を歩きながらある事を考えていた。

 

「随分と変わったな。ジャレット…」

 

「ん?」

 

呼び止められたジャレットは後ろを振り返ると、そこには20代後半くらいの男が居て、細身の身体をしているが、服の下からは鍛え抜かれてた胸板が見えた。

 

「お前か…『カイザー』」

 

「ふん。今までは自分の事を僕としか言わなかった奴が、ここ一ヶ月で俺と変わり、更には目線が鋭くなった。甘かったお前がここまで変えたのはあの一ヶ月前が影響しているな」

 

「フッ、貴様には関係のない事だ」

 

「そう言って貴様は先ほどの女たちを用意していた様じゃないか。そう言う所は気遣いは出来るようで、まだ甘さを残しているようだな」

 

「……」

 

 ジャレットはその事に少しばかり言葉をなくす。自分がいかに気まぐれで甘ったれの奴だったか、想像は出来ただろう。

だが今は違った、水の街での戦闘以来、ジャレットは何もかも全て変わってしまった、今まで甘い感じが薄くなり、より厳しい感じになってきて、ゴブリン達をよりこき使うようになってきたのだ。

 

「まあいい、お前の変わりようがどうであれ、その調子で頑張ってくれ。後で女少しは貰うがな」

 

カイザーはそう言ってその場を離れていき、ジャレットは再び歩き出す。っと思いきや。

 

「やっほ~~~~!元気してる~~~~?」

 

 ジャレットの真上から女性が落ちてきて、それにジャレットはかわす。

女性はその場で難なく着地し、ジャレットに抱きつく。

 

その女性は胸と下着以外は露出全開で何も着ていなかった。ジャレットはそれになんにも気にしないまま目線を向ける。

 

「お前か『フローラ』」

 

「お前かはないじゃ~ん♪ ねえ!一緒に寝てくれな~い?私誰かと寝ないと寂しくて死んじゃいそうなの~」

 

 フローラと呼ばれた女性、彼女は10後半か20代前半くらいの年頃で、ジャレットをすごく気に入っていた。

だがジャレットはそれを全く気にせずにいた。

 

「全く…悪いが今日は遠慮する。誰かと寝ろ」

 

「ええ~そんな~。今日はジャレットちゃんと一緒に寝たいのに~♪」

 

「知らん、失せろ」

 

「やだやだ~、一緒に寝ようよ~♪ あっ、そう言えば傷の方は大丈夫なの?」

 

 フローラにその事を問いかけられ、ジャレットは一目見て言う。

 

「ああ、もう平気だ」

 

「そっか。じゃあ一緒に寝ようよ~♪」

 

ダダこねるフローラ、それにジャレットは無視してその場を去り、フローラはそれを追いかけていったのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 そして時と場所は変わって辺境の街、黒魔道士を討伐したソルジャー達は受付嬢に報告して、槍使いと重戦士はその場で解散する。

 

「じゃあな。またこっちの依頼の手伝い、頼んだぜ?」

 

「こっちも頼むかもしれんからな、じゃあな」

 

そう言ってその場を去る二人、ソルジャーは一度妖精弓手の方を見ながら問う。

 

「お前はどうするんだ?このあと」

 

「私は宿に戻るわ、もう疲れたから」

 

 そう言って妖精弓手は宿に戻っていった。ソルジャーはジャベリンとブレイドの方を見て、この後の事を話し合おうとした時に女神官達と出会った。

 

「ソルジャーさん」

 

「ん?おお~お前らか、それにお前もいたのか」

 

「えへへ、ちょっと買い物ついでに皆とお話していたの。今から帰り?一緒に帰ろう」

 

牛飼娘はソルジャーと共に帰りを誘っていて、その様子をブレイドがわざとらしくソルジャーの方を見て言う。

 

「ようよう~中々可愛い子じゃないか。羨ましいぜ」

 

「おいおい…、ワザとらしいぞお前」

 

「そうだぞ、そういうのはやめろブレイド」

 

ジャベリンがブレイドに注意し、それに頷く様に大剣女もブレイドに注意する。

 

「そうよ。あんたは少し黙っておく事、いい?」

 

「お前は俺のお袋かよ…!?」

 

 ブレイドは大剣女の説教に思わずイラっと来て、それには女武闘家達や女僧侶達は苦笑いしていた。

魔女は微笑みながら見ていて、ソルジャーはジャベリンとブレイド達に言う。

 

「それじゃあ牧場に戻るとしようか、ジャベリンたちもそうだが、君たちも来るか?」

 

「え?良いんですか? でも…そこの主の人は許して貰えるのでしょうか…?」

 

女僧侶は少しばかり心配するが、それを牛飼娘が言う。

 

「大丈夫。私が叔父さんにちゃんと言っておくから」

 

「俺も言って、許可もらっておく。心配するな」

 

「すいません、助かります」

 

女野伏はお礼を言い、女僧侶も同じように頭を下げて礼を言う。

そしてソルジャー達は今回牛飼娘が連れてきていたソルジャーの馬で馬車を引きながら牧場へと向かうのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 牧場に戻ってきたソルジャー達、まずソルジャーと牛飼娘が叔父にジャベリンとブレイド達を泊めてもらえるよう頼み、それに叔父は少しばかり悩んでしまったが、2人の頼みに仕方なく頷く。

 

「分かった。だが男女の部屋は勿論の事別だ、男の部屋は君の所で頼むよ」

 

「ありがとう叔父さん。よし、お二人さん。付いてこい」

 

 それに従うかのようにジャベリンとブレイドはソルジャーについていき、それに牛飼娘と女僧侶達は呆れながらも見るのであった。

そしてソルジャーは自分の部屋の隣にある空き部屋を提供し、それに頷く2人。

 

「いいな、快適だ」

 

「ベッドがあれば文句はねえ」

 

「すまない二人共、それじゃあ二人共、例のあれを頼むとするか。来な」

 

 ソルジャーは二人にそう言って付いてこさせ、ジャベリンとブレイドはその様子を見ていると、ソルジャーがケミストビルダーツールタブレットのペンを使って隠し通路を出す。

それにソルジャーは降りて行き、ジャベリンとブレイドもそれに付いて行く。階段を降りて通路の先にある扉に入ると、ソルジャーが使っている特別部屋に付く。

 

その様子をジャベリンとブレイドは見て納得する。

 

「なるほど、ソルジャーはいつもここで訓練や研究をしているんだな?」

 

「おっ、筋トレ器具もあるぞ。ケミストビルダーツールタブレットって便利だな? それじゃあさ、早速始めようぜ」

 

「よし、それじゃあカスタムツールタブレットを出してくれ、こっちはケミストビルダーツールタブレットを出す」

 

 そう言ってソルジャーとジャベリンはタブレットを出して、必要な物が揃ったらマルチツールタブレットの新規タブレットを選択して、新しいタブレットを取り出す。

そして必要なタブレットからコピーを全選択して、それを空いているタブレットにコピーする。

 

するとそれに反応するかの様にタブレットが起動し、ソルジャーにはカスタムツールタブレットが手に入り、ジャベリンとブレイドにはケミストビルダーツールタブレット二つが手に入ったのだった。

 

「よっしゃ、これで好きな物をカスタム出来るぞ。お前らもいい感じだろ?」

 

「ああ、これで必要な薬や研究施設や隠れ家が出来そうだ、ありがとよ」

 

 ジャベリンとブレイドはソルジャーに礼を言い、それにソルジャーは頷く。

するとそこに牛飼娘が女僧侶達を連れてきたのだった。

 

「どお? 凄いでしょ」

 

「うわ~凄いですね?」

 

「ソルジャーってこんなすごい部屋持ってるんだ」

 

「改めて神様の力はすごいです」

 

女僧侶達が来た事に振り向くソルジャー達、ソルジャーは牛飼娘に苦笑いしながら言う。

 

「あらら、連れてきちゃったんだ」

 

「うん、見せておくのも良いかなって。それよりもそろそろご飯にしよう。叔父さんも待っている事だし」

 

「おおそうか、それじゃあ行くか。後でそのツールの事を詳しく教えるよ」

 

そう言ってソルジャー達はその場を離れていき、家に戻って皆で楽しく食事をするのであった。

 

 

 そして夜遅く、ソルジャーは1人で家の外に出て、夜空の月を見る。

今後の事を考えるとどうしても夜空を見上げなら思い、その後の事を少しばかり悩むこともある。

 

そう考えていると…。

 

「何してるの?」

 

 ソルジャーが振り向くとそこに牛飼娘が出てきて、ソルジャーの隣に並ぶ。

 

「少しな、考え事をしていたんだ…。それよりもどうした?眠れないのか?」

 

「うん…これだけ賑やかだとちょっとね」

 

牛飼娘はこれだけ賑やかなのは久しぶりだった為、どうも落ち着かない感じが出てきて、それにソルジャーは少々笑ってしまう。

 

「ぷははは♪」

 

「あ~笑った! もうひどいよ!」

 

「すまんすまん。でもいいもんだな、これだけ賑やかなのは久しぶりだ」

 

「…うん」

 

そう言う感じに牛飼娘は頷く、ソルジャーと牛飼娘の様子を起きてきたジャベリンとブレイドが見て、その様子を見ていた。

 

「こういう感じがいつまでも続いたら良いのにな~…」

 

「アイツ等は水の街の冒険者、収穫祭が終わったら帰るから、また来るのはここに用があった時か、気が向いた時だな」

 

「……そうだね。甘えちゃいけないね。さあ、そろそろ寝よっか?」

 

「そうだな」

 

そう言ってソルジャーは立ち上がり、牛飼娘と顔合わせ、その様子をジャベリンとブレイドは微笑みながら見守って、その場を後にするのであった。

ソルジャーと牛飼娘も自分の部屋に戻り、明日の日を迎えるのであった。

 

 




ジャレットが一気にキャラが変わって驚きましたか?

そしてフローラとカイザー、この2人のキャラもまた重要で、フローラはかなりの…軽い女と言うでしょうwww


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第33話 季節外れの昇級審査

今回遅めの昇級の話です。

季節が完全にずれてますwww


 水の街の冒険者、ジャベリンとブレイド達を一晩泊めた後の翌日、ソルジャーはジャベリンとブレイドと共に一度辺境の街に向かう事にした。

それは冒険ギルドでの武器屋で2人の武器を見るためであった、水の街での武器屋は彼らに合う武器が少ししかなかったのだ。

因みに女僧侶達は牛飼娘と一緒に牧場のお手伝いをしたいと言い出して、牧場に残っていた。

 

彼らの武器を探す為に連れてきたソルジャー達は冒険ギルドに入る。

 

「さてと…ん?」

 

 受付の所では何やら変わった5人組がいた、まだ若いが1人は男だが残り4人は女性陣で、更に大きな犬一匹が居たのだ。

 

「ええ~!冒険はまだ出来ないんですか?!」

 

「え、ええ…まだ開始時刻でもないので…。それにいくら何でもこの依頼を頼むのはちょっと…」

 

受付嬢は困った表情をしながらその若者の質問に答えていた。

それにソルジャー達は気になりながら近くにいた槍使いと話す。

 

「よう、あの子等は?」

 

「別の街の冒険者らしいぜ、認識票を見た限りじゃ男の方は鋼鉄で、3人の女が黒曜、そんで1人がまだ白磁らしいぜ? やれやれ…一体何しにここに来たんだ?」

 

「へぇ~別の街の冒険者…」

 

 ソルジャーはその事を聞いて彼らの方を向く。

少年の方はローブを着ていて、腰には多くのポーチがあった、内4人の女性陣の方は、1人は軽鎧を着込んでいて小盾を持っていた少女。もう1人は忍びの服装で腰に小太刀を装備していた少女。

もう1人は着物を着込み、腰に刀を持っていた少女。そして最後の1人は半ズボンで犬耳の帽子を被り、何やら自信なさそうで気弱な感じの少女だった。

 

 そして大きな犬の方を見ると、狼に近い犬で、灰色の毛皮で、金色の目をしていた。

その犬は犬耳帽子の少女の近くに座っていて、それにソルジャーは目を細める。

 

「あの犬……、まさか『バトルドッグ』か?」

 

「何だって? あの貴重で戦闘も可能な狼犬か?」

 

「はっ!?」

 

ソルジャーが言った言葉に槍使いは驚き、ジャベリンはそれに驚いたものの冷静に見ていた。

一方ブレイドの方はソルジャーが言ったバトルドッグに首を傾げる。

 

「おい、バトルドッグって何だよ?」

 

「って知らねえのかよ!」

 

 その事に槍使いが思わずツッコミを入れ、ジャベリンが冷静に説明する。

 

「バトルドッグは狼犬の一種で、その中でとても貴重な存在なんだ。しかも身体が大きく、体長は2m近くもあるらしいぞ」

 

「それにバトルドッグは誰にも懐かない習性なんだが…、それを連れているあの子、まさか…」

 

ソルジャーはその事を考えていると…。

 

「凄いですね! 彼女が連れいるドッグを見て分かるなんて」

 

 ソルジャー達は振り向くと、先ほど受付嬢の所にいた少年少女達がソルジャー達の元にやって来る。

少年はソルジャー達の方に寄って来る。

 

「失礼しました、いきなり話しかけてしまって、でもこのバトルドッグを見ても全く動じない人は凄いんですよ!普通ならバトルドッグを見た者は怯えちゃんですから」

 

「ににん!その通りでござる! いや~それにしても困ったでござるな。冒険の依頼ががまだ始まっていないとは」

 

「ほんとにね、折角この街に来たのに意味がないわ」

 

少年に続き、忍びの少女と鎧の少女がそう言い、それに後を言うかの様に着物の少女が言う。

 

「まあまあ、そう言わないのですよ。それと失礼ながら殿様方はこの街の冒険者なのですか?」

 

「まあな、俺とこいつはそうだが、そいつ等は違う」

 

 ソルジャーが隣にいる槍使いに言って、ジャベリンとブレイドには手を横に振りながら否定する。

ジャベリンがその少女の問いに答える。

 

「俺とブレイドはこの街の者じゃない。水の街からやって来た者だ」

 

「まあ!水の街ですか! あそこには至高神の大司教様が居られる場ではないですか! そちらの殿様方はそこから参られたのですね?」

 

「お、おう…そうだ(な…なんかすげぇ子だなおい)」

 

ブレイドは着物の少女の様子を見て少し引き気味となる。するとバトルドッグがソルジャーの元に近寄り、それにソルジャーは見る。

 

「ん?どうした?」

 

「クンクンクン…バゥ!!!」

 

バトルドッグは匂いを嗅いだあとに尾っぽを振って、二本足で立ち上がってソルジャーの顔をなめはじめる。

 

「ちょちょちょ!おいおいおい…! なんだ?!」

 

「う、うわ~…“ワンちゃん”が私以外の人と触れ合ってる…。は…初めて見た…」

 

 犬耳帽子の少女はバトルドッグが自分以外の人と触れ合っている事に驚き、ソルジャーを見る。

ソルジャーの様子をジャベリン以外の槍使いは大笑いしていた。

 

「ぶはははははは!おいソルジャー!懐かれてんじゃねえか!」

 

「懐かれるってわけじゃないが。お前に笑われるとイラっとするな…!」

 

「はぅ~!ごめんなさい!ほら!ワンちゃん!おいで!」

 

っと少女の言葉にバトルドッグはその少女の方を向いて戻っていく。

 

「んで、お前らは一体何なんだ? この街の冒険者ではない事は確かだが」

 

ジャベリンがその事を問い、それにローブの少年は気付いて言う。

 

「はい、僕たちは東方の街から来た冒険者です。失礼しました。僕は錬金術師をしている者です」

 

「私はアマゾネスと呼ばれてるわ。よろしくね」

 

「ににん!拙者はくノ一でござる!」

 

「わたくしは侍であります。お名前はお好きな様に」

 

錬金術師達は自分たちの名前を言った後に残っている犬耳帽子の少女は恥ずかしがりながらも自分の名前を言う。

 

「え…え、えっと……わ、私は……獣使い…ビーストテイマーをしているものです」

 

「獣使い…やはりそうか。どおりでバトルドッグを連れて回れる筈だ」

 

納得しながらソルジャーは舐められた顔を吹いていると、受付嬢がやって来る。

 

「ソルジャーさん。少しいいですか?」

 

「ん?どうかした?」

 

「実は昇級審査の立合い人をして貰いたいのですよ」

 

「昇級審査?この時期に?」

 

 ソルジャーは受付嬢から渡された紙を見ると、そこには鋼鉄等級の者達ばかりであった。

それにソルジャーは受付嬢の方を見る。

 

「しかしなんで俺が?」

 

「この中で一番適任が良いと思いまいまして。そこの方に頼むのはちょっと無理で、もう一人は少しばかり難があるかと…」

 

「む!無理!?」

 

槍使いは受付嬢の言葉にショックを受け、その場に倒れこむ。なにせ受付嬢に惚れ込んでいる彼が無理だと言われたらショックを受けるのも当然。

その様子をジャベリンとブレイドは見るが、放っておいてソルジャーの方を見る。

 

錬金術師達はその様子を見て居て、ソルジャーはジャベリンとブレイドの方を向く。

 

「すまないが急用だ。武器屋はそこの奥にある、じっくり見て行ってくれ」

 

「ああ、そうするさ」

 

ジャベリンはそう頷き、ソルジャーは受付嬢の後をついていくのであった。

そして錬金術師たちはジャベリンたちにある事を問う。

 

「あの…あの人はもしかして。噂に聞く…」

 

「あ?ああ…そうだ。あいつがゴブリンや他の魔物達を狩る銀等級の冒険者、ソルジャーだ」

 

「あの人が…」

 

獣使いはソルジャーの後ろ姿を見続けて、女侍達もその後ろを見続けるのであった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

ソルジャーが受付嬢と共に面接室に向かう中で、気になっている事を問う。

 

「しかし祭りが近い時期に昇級審査があるとは、よほど時間がなかったんだな?」

 

「はい、すいませんソルジャーさん。お手間を取らせて」

 

「いいさ別に、俺は何時だって手を貸すよ?」

 

「ありがとうございます。ではこちらに」

 

 そう言って面接室へと入っていく。数分後、監視官が来て準備が整ったことで昇級審査が始まった。

まず最初に圃人の斥候が入ってくる。

 

圃人斥候が来たのを確認した受付嬢。

 

「それでは昇級審査を始めさせていただきます」

 

「ドーンとやっちゃって!青玉!翠玉を追い越して紅玉!いやいやましてや銅くらいまで行っちゃって!」

 

「(…こいつの自信、もしや)」

 

っと何やら彼の様子に気付いたソルジャーは少しばかり警戒し、受付嬢は少々笑いながら見て、圃人斥候の服装や靴を見る。

 

「その革鎧やブーツ、新品ですよね?」

 

「あっ?分かる、結構上等な品でさ、艶消しとかしてもらってオイラにピッタリなんだよね」

 

自信満々で言い放つ圃人斥候に受付嬢は何やら気になる事を言い放つ。

 

「他の皆さん、貴方と同じ依頼を受けてらっしゃるのに、どうして貴方だけ最近羽振りが良いんですか?」

 

「あ、えっとそれは…その~、実は最近大家の実家から仕送りをしてもらって──」

 

「嘘です」

 

その言葉を聞いた圃人斥候は思わず目線を横に向け、監視官の方を見る。

 

「え?」

 

「至高神の皆にかけて、今の言葉は間違いなく嘘」

 

っと彼女が持っているロザリアを見た圃人斥候は思わず気まずい雰囲気になる。

 

「(『センス・ライ』!看破の奇跡か!畜生!覗き魔どもめ!)」

 

圃人斥候が悔やんでいる中でその事に関係なく受付嬢が問い続ける。

 

「その装備…先日の遺跡探索から新調した物ですね。ああ~やっちゃいましたか、偵察って言って、一人だけ先行して宝箱を見つけて、ネコババして売っちゃった?」

 

「いや、そのオイラ…ご、ごめんなさい!!」

 

「全く困るんですよね~。あなたみたいな人が居るからレーアや斥候の方々が偏見な目で見られるんですよ。まあ、初犯ですから白磁への降格とこの街での冒険者業禁止ですかね」

 

「え?ええ!?」

 

受付嬢の言い放った言葉に思わず驚く圃人斥候は思わず顔を上げる。

 

「ちょ!ちょっと待てよ!おかしいだろう!?“たかが”宝箱一つちょろまかしただけで、オイラ追い出されなきゃいけないのか!?」

 

「はぁ?たかがって…馬鹿じゃないですか。信用や信頼を裏切る様な人は冒険者に必要はありません」

 

その事に思わず怒りを震えたからせるが、それを監視官が言う。

 

「下手な事を考えても無駄だよ」

 

「っ!な、なあ…頼むよソルジャー。同じ冒険者の好でさ~…」

 

「悪いがお前が行った事を無視する訳には行かない、それに…信用や信頼を裏切ったお前が悪い」

 

っとその事に思わず武器に手を伸ばそうとする圃人斥候、だが圃人斥候は武器に手を触れず、抜かなかった。

何故ならソルジャーの技量を知っているからだ、上級魔物であるデーモンやガーゴイルを討伐する彼に逆らったら命がない。

 

「っ~~~~!!! クソ!!!覚えてろ!!!」

 

そう言い残して圃人斥候はその場から出ていき、受付嬢は何ともない表情で言う。

 

「お断りします♪」

 

「……」

 

ソルジャーは出て行った圃人斥候の後を見て、それに受付嬢はソルジャーの方を見る。

 

「ソルジャーさん?どうしましたか? まだ他にもいるんですよ」

 

「…ああ、分かった。はじめるか」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 数分後、昇級審査が無事終わり、圃人以外の者達は皆無事昇級出来て、それに一安心をする受付嬢。

 

「ふぅ…無事に終わりましたね。ソルジャーさん」

 

「ああ、すまないが俺はこれで失礼するぞ。ちょっと寄る所がある」

 

「あ!ちょっと待ってください!」

 

受付嬢に止められたソルジャーは受付嬢の方を向く。

 

「どうした?」

 

「あ、いや、その…えっと。しゅ、収穫祭の当日…お時間空いてますか?}

 

受付嬢から言い放たれた言葉にソルジャーは少しばかり考え、そして言う。

 

「ああ、大丈夫だよ」

 

「良かった!ではその日に共に収穫祭を回りましょう」

 

それにソルジャーは頷き、部屋から出て行った、受付嬢は手を振っている様子を監視官が見ていて、それに気付く受付嬢。

 

「え?なんですか…?」

 

「もう、分かり易いんだから。あの人の事…好きなんでしょう?」

 

「っ!!!??? どどどどど!どうしてそれを!!?」

 

受付嬢は見破られた事に驚く中で監視官は呆れながら言う。

 

「あのね、いつもいつも見ているから分かるわよ、ずっと残ってしまうゴブリン退治、彼が片付けてくれるから助かってる事と、気を使ってくれる所が決めてなんでしょ?」

 

「う~~~~~…まさかバレてしまうなんて」

 

「まあまあ、この事は内緒にしてあげるから。それと貴女もいつものナンパ男には内緒にするのよ?」

 

「え?ああ…彼ですか。彼には興味もないので大丈夫ですよ」

 

っとその事に監視官は呆れながらも納得して、槍使いの事をちょっと寂しく思うのだった。

 

 

 

 

 そして圃人斥候はイラつきながら街を歩き、人気のない水路の入り口近くに来て、壁にもたれる。

 

「クッソ~~~!必ず…必ず復讐してやる!」

 

「それは逆恨みか? 随分と安っぽい恨みだな」

 

っとその言葉を聞いて、圃人斥候は入り口を見る。

するとそこにはソルジャーが立っていて、それに圃人斥候は驚きを隠せない。

 

「そ!ソルジャー!?」

 

「復讐はやめておくんだな。この俺がいる限り彼女に指一本触れはしない」

 

「ぐっ!!うるせええええ!!!!」

 

圃人斥候は腰にある武器を抜き、ソルジャーに斬りかかった。

しかしそれをソルジャーは簡単にかわして、圃人斥候の首をヘッドロックする。

 

首を掴まれた圃人斥候は暴れ出すも、ソルジャーの豪腕な腕にビクともしなかった。

 

「ぐぅぅぅうううう!!!!!」

 

「さて…やめる気になったか?」

 

「だ!誰がやめるか!!先に貴様から殺してやる!!!」

 

「そうか。仕方ない…」

 

 

 

ゴキッ!!!!

 

 

 

ソルジャーはそのまま一気に締め上げて、圃人斥候の首をへし折った。

圃人斥候は目の瞳が薄くなり、そのまま倒れる。その様子をソルジャーはある物を取り出しながら言う。

 

「全く…。これだから姑息な奴は困るんだよ、さてと…」

 

ソルジャーがポーチから取り出したのは未来兵器の一つである『完全消化液』である。青色の液体をしている液は死んだ人物や魔物を完全に溶かし、何一つ証拠を残さない様にすることが出来る特殊な液体。

 

それをソルジャーは死んだ圃人斥候にかけて、圃人斥候の身体はみるみる蒸発していって、そして完全に消えて後かもなくなった。

 

「悪いな…だがもう追放された上、殺されてもおかしくないからな」

 

そう言ってソルジャーはその場を去って、ギルドへと戻っていったのであった。

 

 




はい、圃人斥候さいならですwww

ここで潰しておかないと、受付嬢とのあの夜を邪魔されたくありませんから。


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第34話 収穫祭までの休日 前編

昇級審査を終えて、ソルジャーは復讐を企んでいた圃人斥候を始末し、その場を後にして皆の所に戻った。

ソルジャーが戻ってきた時にジャベリンたちが錬金術師たちと何やら会話をしていた。

 

「なるほど。お前らはあらゆる状況に対応出来るようにしているんだな?」

 

「はい、僕の場合は錬金術で武器を作ったり、小道具を作ったりとかで対応してます」

 

「私はこのグラディウスね! これのお陰で私は助かってるわ。十分で振り回しやすいし。後このバックラーもそうね」

 

錬金術師とアマゾネスは自分の特徴を言いながらジャベリンとブレイドに言い、それにジャベリンとブレイドは納得する。

 

「ににん!拙者はこの小太刀でござる! 後クナイに手裏剣、鎖鎌とまきびし、煙玉も持っているでござる!」

 

「わたくしはこの刀です。東方の地にて鍛え上げた職人の技が、この刀に受け継がれています」

 

くノ一と女侍は刀と小太刀を見せて説明し、それにはやってきたソルジャーが思わず感心する。

 

「ほう…刀か。良いじゃないか」

 

「あら?わかるのですか?」

 

「ああ、俺も剣を使っているが、刀は主に馴染みがあってな。懐かしさを感じるんだ」

 

「俺もさ、槍を使う前はちょっとだけな」

 

「おう、俺もだぜ」

 

ジャベリンとブレイドはソルジャーの言葉に賛同するかの様に頷き、女侍は思わず喜びの表情をする。

 

「嬉しいです。まさかこの地で東方の刀を知っている方々がいるとは、今度詳しく教えてくださいませんか?」

 

「ああいいぞ、俺達もその刀をどんな風に鍛錬されて作られたか知りたいしな」

 

そう言ってソルジャーは錬金術師達と話し、その約束をした後にジャベリン達にあの事を聞く。

 

「ジャベリン、ブレイド。そう言えば武器屋は行ったのか?こいつらと話していたみたいだけど」

 

「ああ、もう見に行ったぞ。それはもうかなり多かったぜ。どれもこれも興味深かった」

 

「まあ水の街の武器屋も色々あったからな。結構楽しめた」

 

「そうか、それじゃあ一旦牧場に戻るとするか。留守にしているお前らの娘達の為に土産を買って帰ろう」

 

その事にジャベリンとブレイドは頷き、ギルドから出て、土産を持って牧場へと帰っていくのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてその夜、ソルジャーは帰ってきた後牛飼娘達に土産を渡した後、食事をして、ソルジャーは特別部屋である事をしていた。それはカスタムツールタブレットのチェックだった。

カスタムツールタブレットを貰ったとはいえ、まだどんな機能があるか分からないため、それをチェックして確かめていた。

 

「なるほど…このカスタムツールタブレットは銃だけじゃなく、車は道具、他の物にも流用する事ができるのか。よし、ならば…」

 

ソルジャーはカスタムツールタブレットを使ってある物をカスタムしようと考えた、それは今使っている鎧のカスタムだった。

 

今着ている鎧を外し、台の上に置いてカスタムツールタブレットを起動して、その鎧の形状をカメラで映す、すると画面にカスタムの項目が出てきて、それにソルジャーは見る。

 

出ている項目は防弾繊維のアーマーで、スーパーマグナムにも耐えれる程のものだった、しかもそれは薄いチタン超合金とセラミック複合材と炭化ケイ素を重ね合わせて作ったものだった。

それを何層にも重ねて合わせていて、50口径の弾丸も簡単に防ぐ事が出来る程だった。それをスプレーガンで吹き付けたら密着して、鎧ど同化して目立たなくする。

 

次に鎧に装着するカスタムポーチで、マガジンや手榴弾をしまう事が出来る物だった、これならば腰に入れておく必要はなく、素早く取り出す事が出来る。

 

「すごいな…、よし、これを取り出すか」

 

ソルジャーはそれを選択し、カスタムツールタブレットからそれらが出てくる。

 

それを鎧に取り付ける、すると鎧が今以上に性能が良くなって、扱いやすくなった。

 

「よし…これでもう銃弾の心配はない、そして次は…」

 

ソルジャーは次の物をとりだそうとした、それは今使っているハンドガンだけじゃなく、ライフルやショットガンをカスタムしようとしていた。

 

まず最初にマルチツールタブレットから普段使うHK416を取り出し、カスタムツールタブレットを使って撮る。

するとHK416の項目が出てくる。出てきたのはM-LOKタイプハンドガードの9インチ、カスタムグリップにホロサイトのイオテック、更にアウターバレルの10.4インチだった。

 

サイトはマルチツールタブレットの固定式スコープしかなく、ズーム系のスコープとダットサイト系のサイトは載っていなかった。

 

それをソルジャーは取り付けを始め、レイル式のハンドガードを外して、M-LOKのハンドガードを取り付け。ホロサイトを搭載する。

最後に14.5インチのバレルを10.4インチのバレルに変えて、HK416のカスタムは終了する。

 

「おお~416がかなり使いやすくなったぞ。この調子で次だ」

 

ソルジャーは続いてHK416からベネリM4を取り出した。

 

それをカスタムツールタブレットで撮影して、ベネリM4の項目が出てくる。

 

出てきたのは内蔵カスタムで、ボルトキャリアとチャージングハンドルだった。

意外と少ないカスタムにソルジャーは思わず考える。

 

「少ない項目もあるんだな~、まあいい、カスタムが出来るなら文句なしだ」

 

そう言ってソルジャーはベネリM4を分解して、ボルトキャリアとチャージングハンドルをカスタムのボルトキャリアとチャージングハンドルに交換して、カスタムが完了する。

 

「よし! これでOKだな。どれどれ…」

 

試しにベネリM4を持ち、チャージングハンドルを引いて確かめる。すると操作性が一段と上昇し、更にガダツキが全くなく、イラつき差を感じさせない。

 

「おお~いいぞ! どれも良い感じだ!」

 

満足したソルジャーは記念に壁付けのハンガーラックに2丁の銃をかけて、使うために置く。

ソルジャーは次の物をカスタムしようとした時に牛飼娘とジャベリンとブレイド達が来る。

 

「何してるの?」

 

「おう、これらの改造をしていたんだ」

 

「ん?ああ~あれか」

 

ジャベリンがソルジャーの鎧と銃を見て納得し、女僧侶達は周りの機材を見ていて、ブレイドは勝手に筋トレをしていた。

 

「どうだソルジャー、カスタムツールタブレットの使い心地は?」

 

「完璧だよ。これなら普段出来なかった銃や防具、更に車の改造も出来る。これから乗る車の改造をする予定だ」

 

「何!?車にもできるのか?!俺はそれ知らねえぞ!?」

 

「お前が知らなかっただけろう」

 

その事に驚くブレイドに呆れていうジャベリン、それに呆れて苦笑いしていまう女僧侶達、そしてこっそりと笑う牛飼娘。

 

そしてジャベリンはある事を思い出した。

 

「そうだソルジャー、お前が出て行った時に槍使いが受付嬢に祭りを誘ったんだが、断られたんだ、何でもお前との約束があるって」

 

「っ!」

 

「ん?ああ、収穫祭ご一緒になってもいいですかって聞かれてな」

 

「へぇ~お前、結構やるな…」

 

ブレイドはからかう様に言ってくる、だがそれを大剣女が足を踏みつけ、それに思わずブレイドは痛がる。

そんな様子を見ていたソルジャー達だったが、牛飼娘が。

 

「ね、ねえ…私も~…その約束、してもいいかな?」

 

っと牛飼娘がその事を言い出してきて、それにソルジャーは振り向く。

 

「え、ああ…勿論」

 

「良かった! 絶対だよ?楽しみだな~」

 

牛飼娘は嬉しそうにしながら特別部屋を出ていき、それをソルジャーは見届ける。

ジャベリンはソルジャーの肩に手を置いて、少しばかり呆れながらも言う。

 

「お前も隅に置けないなソルジャー」

 

「え?あ、あははははは…」

 

ソルジャーはそう笑いながら頭をかき、今自分が行っている作業をするのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

一通りの作業を終え、皆が就寝している頃、ソルジャーは少しばかり起きていて外の様子を眺めていた。

収穫祭の日に共に回る事となった牛飼娘と受付嬢、そうなると共に行動する時間帯を考えねばならない、そう考えているとドアからノックがする。

 

 

コンコン

 

 

「ん?どうぞ」

 

許可が下りると、扉から牛飼娘がやって来て、入ってきてソルジャーの方を見る。

 

「どうしたんだ?」

 

「いや~ちょっと眠れなくて、その…いいかな?“あれ”」

 

っと牛飼娘は少しばかり頬を赤くして、床の指をさしながら言い、それにソルジャーは納得した様子で特別部屋の扉を開けて、牛飼娘と共に特別部屋に入るのであった。

 

 




カスタムツールタブレットの本領発揮、これで好きなだけカスタムが出来るww。


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第35話 収穫祭までの休日 中編

今回はゴブリンとの戦闘は全く関係なく、叔父の命を救う話しです。

ですのでご理解してお読みください。


昨夜、ソルジャーは牛飼娘と楽しい時間を過ごした後、皆に見つからない様に戻り、ソルジャーはその後に寝室へ行って就寝した。

 

そして翌日、ソルジャーは朝早く起きて、辺りを見回りに行き、そのついでに子犬と一緒に散歩していた。

 

「ワンワン!」

 

「よしよし、ほら…取ってこい!」

 

ソルジャーは棒を投げて、子犬を遊ばせる。

子犬は喜びながら棒を追いかけていき、投げ落ちた棒を拾い、ソルジャーの元にやって来る。

 

「よし、いい子だ。さてと…」

 

見回りを済んだソルジャーは一度辺りを見渡す。

いつも変わらない牧場、そんな平和な様子をソルジャーは少しばかり見続け、そして子犬を連れて戻る。

 

そして家に戻ると、牛飼娘達やジャベリンとブレイドが起きていて、ソルジャーが戻ってきたことに振り向く。

 

「よう、おはよう」

 

「おはよう。いまご飯作ってるからね」

 

「ああ、叔父さんは?」

 

「それがどこにもいないんだよ。探したんだけどよ」

 

その事にソルジャーは考え込み、それに頷いていう。

 

「分かった、俺が探してくる。皆は少し待っていてくれ」

 

そう言い残し、ソルジャーは叔父を探しに行く。

家の周りを探し、この間居た場所を探すも、そこには叔父の姿がなく、それに少し考え込むソルジャー、そして牛小屋の方に行くと、叔父がいた。

 

ソルジャーは叔父の所に向かおうとした際に。

 

「ゴホッゴホッ!ゴホッゴホッ…!!」

 

「っ!叔父さん!!」

 

またしても叔父が咳き込んだのを見て、ソルジャーはすぐに駆けつけ。叔父の様子を見る。

それに叔父は思わずソルジャーを押しのけてしまう。

 

ソルジャーは叔父の様子を唖然としながら見て、叔父はその場で固まってしまう。

 

「…す、すまない…」

 

「叔父さん…、風邪じゃなかったのか?」

 

「…………すまない、本当は風邪じゃないんだ」

 

っとその事を聞いたソルジャーは目を少しばかり開き、叔父の言葉を聞き続ける。

 

「実はここ最近…妙に咳き込む事が多くなり、少し前に医者に見てもらったんだ。それが…」

 

「まさかのガン…、嘘だろう…この前に地面に落ちていた血を調べたら異常なしと!」

 

ソルジャーはこの前調べた血液には異変はなしとの結果を見ていたが、それが今となっては別な事に驚く。

叔父はソルジャーが調べたことに少しばかり驚いた。

 

「調べたのか? 凄いな…君は。やはりあの“地下室”のお陰ということかな?」

 

「知っていたの…?」

 

「ああ、実は昨日冒険者の少女達が喋っていたの少し聞いてね。凄いよ君は…でも隠し事はちょっと許せないね」

 

「すまない…、それよりも叔父さん…あんたこの事をあいつには黙っておくのか? あいつが許さないぞ?」

 

牛飼娘の心配に叔父は少しばかり黙り込み、少し考えてソルジャーに言う。

 

「…この事とはあの子に黙ってもらえるか? あの子を悲しませたくはない」

 

「叔父さん…」

 

「そんな事…出来る訳ないでしょ」

 

っと別の方向から声がして、その方向を見ると、そこには牛飼娘とジャベリン達が居て、先ほどの話を聞いていたのだった。

牛飼娘は叔父の方をに駆け寄り、腕を掴みながら言う。

 

「ねえ…嘘だって言ってよ…、嘘だって!」

 

「…すまない」

 

「そんな…ねえ!叔父さんを治して!!何とかして!!!」

 

牛飼娘はソルジャーに希望をたくそうとして、ソルジャーはそれに応えるために頷く。

 

「ああ…任せろ」

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

ソルジャーはすぐさま特別部屋でガンの治療法を探して、研究台で調べていた。

 

それにジャベリンもブレイドも協力していて、ガンの治療法を調べている。

 

「ソルジャー、ガンの事は俺もよく知ってるよ。だがガンの段階はステージ4になると取り返しのつかない事になるぞ?」

 

「分かってる。そうなる前に何とかしないと」

 

そう言いつつソルジャーはガンの治療法を探すも、なかなか治療方法が見つからず、焦ってしまう。

 

「クソッ!こんな時にこれだけの施設があるのに、見つからないなんて…!」

 

「落ち着けよ、こういう時に落ち着かなきゃいけねえ。まだ見つからなかった訳じゃないだろう?」

 

ジャベリンの言葉にソルジャーはそれに頷き、そしてある事を思い出す。

 

「そうだ…錬金術師のあいつだ!」

 

「あ? あのガキンチョか? なぜだ」

 

「錬金術師はあらゆる物を錬金する事が出来る。俺達が作ったガンの治療薬を錬金してもらえば…!」

 

「そうか…、錬金ならその常識も変えることが出来る…! ナイスアイディアだ!」

 

そう言ってソルジャー達は街へと向かうために準備する。

特別部屋を出たソルジャー達、そこに牛飼娘が来る。

 

「ねえ、どう?」

 

「ああ、今解決策が見つかった所だ。それを試して、上手くいけば何とかできるかもしれない」

 

「良かった…。もし叔父さんがいなくなったりしたら…」

 

「心配するな、俺が必ずガンを治す。ただ覚えて欲しい…ガンは再発する可能性もある、俺が行う方法はまず有り得ないが、仮にもし起きたりしたら…そこは覚悟して欲しいんだ」

 

ソルジャーの真剣な表情に牛飼娘は黙ったまま頷いて、ソルジャーは牛飼娘の様子を見る。

 

「すまない…ガンはそれほど手ごわいんだ。だが必ず治す…」

 

「…うん、分かった。ごめんね…無理を言って…」

 

「構わないさ、じゃあ行ってくる」

 

そう言ってソルジャー達はマシンツールタブレットでハンビィーを出して、乗車して辺境の街まで行く。

ソルジャー達が向かう様子を叔父は少しばかり見て、そして椅子に座るのだった。

 

叔父の様子を女僧侶が見ていう。

 

「少しは安静にした方がいいですよ。病気が悪化する恐れがありますから」

 

「すまない。君達にも迷惑かけたね…」

 

「いえ、気にしないでください」

 

女僧侶はそう言ってお茶を入れる準備をし、それに叔父は少しばかり目をつぶるのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてソルジャー達が辺境の街に到着し、ソルジャー達がハンビィーに降りてくる所に女神官がソルジャーの姿を見る。

 

「ソルジャーさん、どうしたんですか?」

 

「おお神官か。ちょっと急ぎのようでな」

 

「急ぎ…ですか?」

 

それに頷いて、ソルジャー達はギルドに向かい、女神官もその後を追いかける。

 

ギルドに入ったソルジャー達、そして錬金術師の組を見つけて、錬金術師に声をかける。

 

「おい!」

 

「え?ソルジャーさん? どうしたんですか?」

 

「実はだな…」

 

ソルジャーは錬金術師に叔父のガンの事を話して、それには錬金術師達と共に着いてきた女神官も思わず驚きを隠せない。

 

「そうなんですか?!」

 

「ああ…、それでお前の錬金術でこの薬を調合して貰いたいんだ。出来るか?」

 

「はい…問題はないですが、また急ですね?」

 

「すまない…出来るか?」

 

ソルジャーは無茶な依頼を錬金術師に頼み、それに錬金術師は頷いて言う。

 

「大丈夫です。5分かかりますが…お時間貰っていいですか?」

 

「ああもちろんだ、頼む」

 

それに錬金術師はソルジャーが出した薬を持って、その場を離れていき、女神官はソルジャーが困っている様子に見つめていた。

 

「意外です…ソルジャーさんがここまで焦っているのは」

 

「俺だって焦るよ。叔父さんはガンだと知ったときはな…、なんとしても救うさ」

 

「ソルジャーさん…」

 

その言葉に黙り込む女神官、そして5分後、錬金術師が戻ってきて、青い液体が入った小ビンを持ってくる。

 

「はい、出来ました。効果はすぐには現れませんが、これを飲ませればガンは完全に消えますよ」

 

「すまない、助かる。礼は──」

 

「大丈夫ですよ。お礼は。まあお礼と言っちゃなんですが、今度僕たちを冒険に連れてって貰えませんか?」

 

「問題ない、助かったよ」

 

そう言ってソルジャー達はギルドを出て、外に止めてあるハンビィーに乗り込もうとする。

っとそこに女神官もやって来て、ソルジャーに言う。

 

「ソルジャーさん、私も着いて行ってもいいですか?」

 

「え?ああ…いいぞ?」

 

ソルジャーの許可を得て、女神官もソルジャー達に同行する、ハンビィーに乗り込み、そのまま牧場へと向かった。

その様子をこっそりと着いてきた獣使いが居て、バトルドッグが獣使いの側に寄る。

 

「クゥ~ン…」

 

「大丈夫…、私はなんともないよ」

 

そう言って獣使いはソルジャー達の去る様子を見届ける。

 

 

 

そしてソルジャー達が牧場に戻ってきて、叔父にガンの治療薬を渡す。

 

「叔父さんこれが治療薬だ、これを飲めばガンは完全に消える」

 

「本当か? 信用していいのかい?」

 

「勿論だ、これは錬金術を得意とする者からの信頼性もある」

 

その言葉に叔父は少しばかり悩んでしまうが、それを牛飼娘が言ってくる。

 

「叔父さん。彼を信用してよ、お願いだから」

 

「…分かった、それじゃあ」

 

叔父はその治療薬の小ビンを開けて、それを飲む、治療薬を飲み干した後違和感がないか確かめる。

 

「う~ん…特に変わった様子は無いんだが…」

 

「効果はすぐには現れないって言ってたが、もう大丈夫…ガンは完全に消えるよ」

 

「そうなのか…? でもそれを聞いて安心感が出てくるよ…ありがとう…」

 

それを聞いてソルジャーはホッと胸をなでおろし、牛飼娘も一安心する。

女神官がソルジャーに近寄り、笑顔でソルジャーに言う。

 

「良かったですね。ソルジャーさん」

 

「ああ、着いて来てくれてすまないな」

 

「いえ、少し心配だったんで来たんですが、問題ないですね」

 

女神官の言葉にソルジャーは安心した感じになり、ジャベリン達はそれを優しく見届けたのだ。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして日が沈んでいく中、ソルジャーはその夕日を見ていて、女神官と牛飼娘がそれを見てやって来た。

 

「叔父さん…あれから体調が良くなったって言ってたよ。あの薬が効いてきたみたい」

 

「そうか…良かった」

 

ソルジャーはそれを聞いて本当に安心し、牛飼娘がその事に礼を言う。

 

「ねえ…ありがとう、叔父さんを助けてくれて」

 

「ああ、お前との約束だからな。また何かあったら言ってくれ」

 

「うん…それじゃあこの子を街まで送ってあげて」

 

牛飼娘は女神官をソルジャーに任せ、それにソルジャーは頷いて、ハンビィーで送らせる。

 

その際に女神官がソルジャーにこう言った。

 

「ソルジャーさん、もし何かあったら…私を頼ってください」

 

「ああ、そうさせて貰うさ」

 

っとそう言ってソルジャーは辺境の街まで女神官を送っていったのであった。

 

 



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第36話 収穫祭までの休日 後編

大変お待たせしました。

更新です。


ソルジャーが叔父の病気を治し、一段落しての翌日、ソルジャーはジャベリンとブレイドの銀等級3人と、女神官と女僧侶と大剣女の3人に、昨日世話になった錬金術師とアマゾネスにくノ一、女侍に獣使いの11名でゴブリン退治に来ていた。

鉱山にはゴブリンによって連れ去られた少女達が囚われていた。その者たちを助けに来たソルジャー達。

 

そして鉱山で一体のゴブリンが見張りに立っていた。そこにくノ一がクナイを投げて、ゴブリンの頭部に刺さる。

それによりゴブリンは死んで倒れこむ。

 

すぐさま異変に気付いたゴブリン達が出てきて警戒するが、その様子をアマゾネスと女侍が前に出てきて、ソードと刀を抜いて、ゴブリンの首を切り裂く。

そして錬金術師が錬金術で錬成し、ゴブリン達の地面に無数のトゲを出現させて、ゴブリン達を串刺しにする。

 

その様子をソルジャーは錬金術師達を見つめて思った。

 

「(ふん…、流石は忍者だけのことはあるな。投擲もかなりもの物だし、斥候としては申し分ない。それに他の皆もやるな…)」

 

「へぇ~、なかなかやるな。アマゾネスの方は見た目とは違ってパワーもある」

 

「俺達の出番はねえか」

 

っとそう言うブレイドに大剣女が蹴りをいれてる、その蹴りにブレイドは思わず足を抑える。

 

「何言ってるのよ。今回私達はそのアシストをするのよ。サボってどうするのよ」

 

「分かってるよ、たくぅ…」

 

「よし、次に備えるために今度は神官と僧侶の奇跡でかく乱しろ、その後は大剣の君がそこのアマゾネスと侍との3人で攻撃するんだ」

 

ソルジャーの言葉に3人は頷く。

 

「はい、分かりました」

 

「了解です」

 

「はいは~い、それじゃあ行くわよ?」

 

っと大剣女が前に出て、アマゾネスと女侍と並んで武器を構える。

 

すると鉱山の洞窟の入り口からゴブリン達が大量に出てきて、それに待ってたかのように女神官と女僧侶は奇跡を唱える。

 

「《いと慈悲深き自母神よ、闇に迷えるわたしどもに、聖なる光をお恵みください》…聖光」

 

「《大地の光よ、大地の命よ、どうか我に大地の祈りのお恵みを》…聖地(ホーリーアース)!」

 

女神官のホーリーライトと女僧侶の得意の奇跡、大地の奇跡で地面から光を現し、その光で相手をかく乱させる奇跡、《聖地》。

その奇跡にゴブリン達は正面からの光の大地からの光で完全に目がくらむ。

 

その隙に大剣女、女侍、アマゾネスが武器を持って突っ込んでいき、ゴブリン達の胴体や首を切り落としていく。

 

ソルジャー達はそれを見届けた後、銃を持って前に、入り口を見て皆に言う。

 

「よし、それじゃあ行くぞ」

 

それに皆は頷き、皆は洞窟の奥にいる少女達を助けに向かうのであった。

 

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして辺境の街、ギルドの食堂で妖精弓手が酒を飲みながら呟く。

 

「全くも~、オルクボルグったら一緒に冒険でもしようと誘ったのに、例のあの子達を連れて冒険に出ちゃうんだから」

 

「ハッハッハッハ!まあたまにはええわい、わしらよりも他の者達とのたむるのもな」

 

鉱人道士は高笑いしながらソルジャーの事を愚痴る妖精弓手の会話を聞いて、蜥蜴僧侶は食べながら共にいる女武闘家と女魔術師と女野伏に問う。

 

「しかし、そなたらは行かなくてよろしかったのか? いつも巫女殿とジャベリン殿等に共にいるそたな等が」

 

「ええ、たまには私達2人ってのも悪くなくて」

 

「それに、今回はこっちが頼んだの、今回は少しの間2人で冒険したいって」

 

「ほう?そんなんでいいんか?」

 

鉱人道士はその事を問うと、2人はうなづく。

そして女野伏はその問に答える。

 

「私は今回お留守にすると決めていたので、それに皆さんとの冒険も悪くありません」

 

「そう言ってもらえると、こちらは嬉しいですな」

 

女野伏の問いに蜥蜴僧侶はうなづく。

そして妖精弓手は共に食事を取っている槍使いと魔女に話す。

 

「今回はありがとね、魔族との戦闘には助かったわ」

 

「別にいいぜ、暇だったからな」

 

「今日は 特に ね」

 

魔女がそう答えて、再び飲み物のワインを飲む。

 

そこに受付嬢がやって来る。

 

「皆さん、お疲れ様でした。最近魔族の活動が活発化してきて…」

 

「それに付いては少々気になる所ではありますな…、まあそれは」

 

「うむ。かみりき丸がその気になればの話じゃがな」

 

「あ?なんであいつが気になればいいんだよ?」

 

槍使いがその事を問うと、妖精弓手がそれに答える。

 

「あいつはあいつなりの気分があるの、そういう事」

 

それに槍使いが頭を傾げ、魔女はその事に感心的な表現をする。

そしてソルジャー達が戻ってきた。

 

「戻ったよ」

 

「あ、お帰りなさい。お疲れ様でした」

 

「お疲れ。どうだった?」

 

妖精弓手がソルジャー達に今回の冒険の事を問い、それにソルジャーが答える。

 

「ああ、なかなかだったな、特に彼らの連携は良い感じだ。息もぴったり」

 

「はい、僕たちはここに来るまでの間、ずっと助け合ってきましたから」

 

「なるほどな」

 

ジャベリンは錬金術師の言葉を聞いて納得し、その様子を女神官はこちらを見ている女武闘家と女魔術師の方を見て頷き、それに2人は納得する。

 

女野伏は女僧侶と大剣女の方を見て問う。

 

「ねえ、そっちはどうだった」

 

「はい、ゴブリンの方は何とか倒して、囚われていた人質を助けました」

 

「それが妙なのよね、普通ゴブリンは捕まえた相手を嫌なことをするはずなのに、何もされていないのよ」

 

「まあ、そうなんですか?」

 

女僧侶と大剣女の言葉に受付嬢は意外そうな表情をする。

同じように魔女もそれに気になる表情をする。

 

「まあ、どちらにしろ。囚われていた少女達を救うことが出来た、それだけで十分だ。後で詳しい報告したいんだが」

 

「もう受付時間は終了していますので、後日と言うことで」

 

「分かった、お前達。ご苦労だったな、報酬の方はお前達で分けてくれ」

 

「ええ?良いんですか?」

 

女神官達は勿論の事、錬金術師達も報酬を自分たちの分け与える事に驚き、それにソルジャーは頷く。

 

「ああ、俺やジャベリン達は金に余裕があるから何ともない、だから好きに使ってくれ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

錬金術師達は頭を下げてお礼を言い、ソルジャーはそれに頷く。

そしてソルジャーがその場を離れようとした時に受付嬢がソルジャーに問う。

 

「ソルジャーさん、例の約束…忘れないでくださいね」

 

「え?ああ、あれか。勿論だ」

 

「っふ!!??!!?!」

 

槍使いは飲んでいるエールを思わず吹き出してしまい、そして立ち上がってソルジャーに問い詰めようとする。

 

っが魔女が槍使いの首根っこを掴み、見た目とは裏腹に力技で座らる。

 

「諦め なさい」

 

「なんでだよ!!!」

 

「貴方じゃ 無理 よ」

 

っと魔女の言葉に槍使いは思いっきり頭をテーブルに打ち付け、崩れ落ちるのであった。

その様子を誰が見ても声を掛けることは出来なかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてソルジャーは武器屋に行き、何やら気にしている女騎士がいた。

 

「う~ん……」

 

「どうした?」

 

「っ!? そ、ソルジャー…脅かすな!」

 

「別に驚かせたつもりはないんだが…どうした?」

 

何やら悩んでいる女騎士にソルジャーは問いかけ、それに少々恥ずかしそうに言う。

 

「実はだな…」

 

どうも彼女は今度の収穫祭で重戦士と共に回ろうかと思っていて、その為に彼に目を向ける為、水着鎧を着ようかと考えていた。

それにはソルジャーは思わず目を細める。

 

「……おい、それは良い考えじゃないぞ」

 

「なっ!それは一体!?」

 

「余りにも人目に付くからなあれ、良いもんじゃない。それなら普段の格好にすればいい、お前は鎧だろう?なら普段の格好で過ごせば問題ない」

 

女騎士にそうアドバイスをするソルジャー、女騎士はそれには思わず小笑いをして、微笑みながら言う。

 

「全く、お前はつくづく分からない奴だ。気が利く男なのか…それとも意地悪な男なのか」

 

っとそう言いながらその場を去っていき、それにはソルジャーは少しばかり納得の行かない表情をする。

 

「どういう意味だよ」

 

「そう言う意味だってんだよ」

 

鍛冶職人が今の様子を見ていて、ソルジャーにありのまま語る。それにはソルジャーは少々納得がいかない様子だったが、すぐに自分の欲しい物を探す。

 

すると壁にかけてあるクローを見つけて、それを手に取る。

それに鍛冶職人が見て言う。

 

「ほう?なかなか良いのに目を通すじゃねえか。そいつは収納可能なクローでな、グローブに装備すればいざって時の接近戦の武器になるぜ」

 

「いいな、これを貰うよ、あとスコップも」

 

それに鍛冶職人は承知して、クローとスコップを渡す。

 

「それで、そのスコップは何に使うんだ?」

 

「とある事に使うんだ。原始的のな」

 

「はっ?」

 

鍛冶職人はその事に少しばかり頭をかしげる他なかった。

 

そしてソルジャーは武器屋を後にし、ジャベリン達と一緒に牧場へと戻っていくのであった。

 

 

 



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第37話 収穫祭 前編

ようやく収穫祭に入ります。ちょっとばかし長くしてしまいました。

後別にどうでもいいんですが、お気に入り登録が減ったり増えたりと、少し気になってしまいました。

まあ、自分がもっと面白く頑張れる作品にすれば問題ないと思うのですが。


収穫祭まで残り1日、ソルジャーは残りの2日間を牧場の手伝いをしていて、ジャベリンやブレイドは周辺の見回り、女僧侶達は牛飼娘のお手伝いをしていた。

 

ソルジャーは部屋でこの2日間の間にある物を作り、武器屋で買ったスコップを使ってある物をすくって計量器で測っていた。

 

そこに叔父がやって来て、部屋の中に入ってくる。

 

「やあ、何をしているんだ?」

 

「叔父さんか、今ある物を作ってるんだ。何を作ってるかは秘密だけど」

 

そう言ってソルジャーは計量器で測った物を取り、それを四角い筒にいれて、蓋をする。

その筒は何十個もあって、それを叔父は呆れながらもソルジャーにある事を問う。

 

「なあ、君はあの子と収穫祭…一緒に回るんだろう?」

 

「え?ああ~あいつね。ええ、午前中だけですが、それが?」

 

「…あの子はあの状況から立ち直り、ようやく明るく振る舞う様になった…。とても明るくね…この意味が分かるね?」

 

「…ええまあ、あとこう言いたいのか? 出来れば共に回るのは遠慮して欲しいと」

 

「いや、そこまでは言わないよ。ただ…どんどんあの子が遠くなっていく気がしてね」

 

叔父はその事を言う事にソルジャーは少し作業の手が止まり、叔父の方を向く、そして少しばかり考える。

 

「まあ、君だからいいんだがね…。止めはしないよ。ただ…あまり先までの所までは遠慮してほしいな」

 

そう言って叔父はその場から出ていき、ソルジャーはそれに少しばかり思った。

 

「(……叔父さん。すまねぇ……手遅れ)」

 

っと心の中で謝るソルジャーであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして収穫祭当日の早朝近く、その時間にソルジャーはジャベリン、ブレイドと共に森の方である物を仕掛けていた。

 

それは先日、ある物を入れた四角い筒であって、それを地中に埋めていた。

ソルジャーはシャベルを使って埋めて、ジャベリン達に問う。

 

「おーい、そっちの方はどうだ~?」

 

「もうすぐだ」

 

「おいソルジャー、一体これはなんだよ? こんな筒埋めてなんかあんのか?」

 

「ああ、こいつはちょっとした仕掛け。な~にこれは踏まなければ問題ないさ」

 

ソルジャーはそう言って目印のセンサーを設置する。

ジャベリンもそれと同じように目印のセンサーを設置して、起動させる。

 

 

ピピッ!!

 

 

「よし、起動した」

 

「それじゃあ戻ろう、今日は楽しいsy──」

 

 

 

「お前達!そこで何をしている!!」

 

 

 

っとその時、後ろから女性の叫び声が響いて、ソルジャー達は後ろを振り返る

するとそこにはポニーテールの髪型をした胸元を現わにしている鎧姿の女性が立っていて、それにソルジャーは口を開く。

 

「落ち着け、俺達は怪しいものじゃない」

 

 

シャキン!!

 

 

「信用できるものか、お前達は見る限り怪しい!」

 

ポニーテールの女は片手剣をソルジャーの首元に突き出していた、そして見る限り腕前の立つ女性であった。

ソルジャーが見る所、剣の腕前は金等級程のものであると感じ、かなり出来る強者だった。

 

「(…チッ、めんどい奴が来たもんだな。仕方ない…)」

 

ソルジャー達は自分たちの首元にある銀等級の認識票を取り出し、それを女に見せる。

 

「銀等級…しかも3人共同じ…失礼した」

 

そう言って女は片手剣をしまい謝罪して、それにソルジャーは少しばかりため息をする。

 

「はぁ…別にいい、俺はこの近くの街、辺境の街のギルドに所属する者だ」

 

「俺はジャベリン、そしてこいつはブレイド。水の街に所属する冒険者だ」

 

「何?なぜお前達がこの街に…」

 

「ああ、実はな…」

 

そうソルジャーが説明をすると、女の後ろから足音が聞こえてくる。

 

 

ガサガサ…。

 

 

「ん?」

 

ソルジャー達は女の後ろの人物に気配に気付く。

草むらから2人の少女が現れる。

 

「いや~ごめんね? 私は止めたんだけど」

 

「むしろ、怪しさは満載…」

 

っと冷たい言葉のローブの少女がその事を言う、もうひとりフード付きのマントを着ている少女はジャンプしながら近づいていく。

その際にソルジャーが仕掛けた罠を踏んで、それにソルジャーは思わず目を細める。

 

そしてソルジャーの目の前に止まり、一通りを見て呟く。

 

「う~ん…、本当に銀等級なのかな?」

 

「可笑しいか?」

 

「え?あ、いや、ご。ごめんね?別に悪気があったわk『ピカー!!!』え?」

 

ソルジャーの腰のビームセイバーとフード付きのマントの少女の腰に剣が光だして、それに皆は見る。

 

青く光るビームセイバー、緑に輝く剣はまるで共鳴するかの様に強く光を放っている。

それを見る2人の少女と女は思わず呟く。

 

「せ、“聖剣”が…!」

 

「…まさか彼も?」

 

「(っ!?聖剣!)」

 

その言葉にソルジャーは勿論の事、ジャベリンとブレイドもその言葉に驚きを隠せない、そして二つの剣は光が収まり、少女は聖剣を抜いて確かめる。

 

「一体何が…、それに君のそれは一体…?」

 

「俺も驚いた……、まさか君は【勇者】だったとはな…」

 

「っ!?勇者…!」

 

ジャベリンは勿論、ブレイドもソルジャーの言葉を聞いて目を見開いた。

 

勇者。この名を聞けば誰もが驚くであろう、この世界で最も勇敢な人物で、魔神王に唯一対抗する事が出来る存在…それが勇者、しかしソルジャー達は勇者の姿を見て少々疑問視だった、何しろ相手は少女だったからだ。

 

「驚いたな~…まさか僕以外の聖剣を持っている人が居るなんて」

 

「正確にはこいつは聖剣じゃない、聖剣に似た力を持つ剣だ」

 

「似た力…?」

 

「でも、明らかに同じ力…」

 

冷たい言葉にソルジャーを見るローブの少女、それにはソルジャーは少しばかり言葉が詰まってしまう。

そして聖剣の持つ勇者を見るソルジャー、なぜかどこか懐かしい感じがしていた。

 

「……」

 

「ん?どうかした?」

 

「いや、別に…(なんだ…何処かで会った覚えが…っまいっか)」

 

「それをよりも君達はどうしてこの街に? 収穫祭を見に来たのか?」

 

ジャベリンが勇者達にここに来た事を問いかけ、それに勇者は頷く。

 

「うん、そうだよ。あと別のお仕事も」

 

「お仕事?」

 

「それ以上は…秘密」

 

「こちらも事情がある、後は話せん」

 

っと女はそう言って話しを終わらせ、それにソルジャー達は顔を見合う。

 

「そっか…、分かった。これ以上は問わん」

 

「ごめんね。それじゃあ」

 

そう言って勇者一行はその場を去っていき、ソルジャーは彼女達を見送った後、ある場所を見る。

ソルジャーの様子にジャベリンが見る。

 

「どうした…?」

 

「…これを見ろ」

 

その言葉にジャベリンとブレイドはソルジャーが見る場所を見てみる、するとその場所に足跡がくっきりと残されていた。

くっきりと残っている足跡にジャベリンが問う。

 

「おい、これがどうしたんだ?」

 

「ここ…さっき俺が罠を仕掛けた場所だ」

 

「はっ!?んじゃなんで起動しないんだよ!?」

 

ブレイドは驚きながらその事を問い、それにソルジャーは少しばかり考える。

 

「もしかしたら…“神の加護”…かもしれない」

 

「神の加護…? そんな…いや、もしかしたらそうかもしれない」

 

「あの子は勇者だ、大王神ではなく、彼女の神…女神がそれを支えているに違いない」

 

っとそう考えるソルジャーであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして朝、牧場から見える街の方では開催の打ち上げの花火が上がり、それにソルジャーは見ていた。

ジャベリン達がマシンツールタブレットでハンビィーを出して、ソルジャーの方を向いて言う。

 

「ソルジャー、俺達は先に行っている」

 

「ああ、先に行っててくれ」

 

そう言ってジャベリン達はハンビィーで街へと向かった。

 

そしてソルジャーは家に居る牛飼娘を待っていた。

 

一方牛飼娘の方は部屋で下着姿のままソルジャーと共に回るための服を選んでいた。

 

「う~ん、どうしよう…彼と一緒に回る服がない、これだめ…これでもだめ…」

 

なかなか良い服が決まらない牛飼娘、すると叔父が部屋へと入ってくる。

 

「失礼するよ」

 

「キャア!!」

 

「すまない」

 

慌ててシーツを被って身体を隠す牛飼娘。

 

「ど、どうしたの叔父さん…?」

 

「…これを渡しに来た」

 

っと叔父は牛飼娘にあるドレスを渡した、それは少しばかり高級なドレスで、牛飼娘が着るには勿体無い物だった。

 

「これは君の母親が着ていた服だ、これを着て…彼と一緒に楽しんで行きなさい」

 

「叔父さん…」

 

そう言って部屋を出て行く叔父、牛飼娘は渡されたドレスを見て、そしてそれを着込み、外で待っているソルジャーの元に行く。

 

外で待っているソルジャーはやって来た牛飼娘を見る、普段とは全く違う牛飼娘の姿に思わず見とれる。

 

「お、お~…」

 

「どうかな? 良い感じかな?」

 

「え?ああ、すごく良い感じだぞ。見違えたよ」

 

「ありがとう、それじゃあ行こっか」

 

牛飼娘はそう言ってソルジャーに手を出し、それに気付いたソルジャーは頷いて、牛飼娘の手を握り、馬のところまで歩き、そして馬で街まで行くのであった。

 

それを見届ける叔父、叔父は椅子に座り、テーブルにあるコーヒーを飲んで、少しばかり考え、そしてちょっとばかり目を閉じるのであった。

 

 




ようやく勇者達の登場!

長かったwww

後ソルジャーの世界って一夫多妻制だったかな?

勿論そこは活動報告で書きますのでどうか。


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第38話 収穫祭 後編

お待たせしました。

後編を更新します。


 ソルジャーが牛飼娘と共に辺境の街へと向かい、収穫祭にやって来た。

街へと到着して、馬を馬小屋へと届けたあとに、ソルジャーは牛飼娘と一緒に収穫祭を見て回る。

 

数多く収穫された野菜や果物、更に祭りに楽しめる屋台が沢山あって、どれも皆が楽しめそうな物があった。

 

「凄いね~。みんな楽しそうにしてる」

 

「収穫祭は年に一度の祭りだからな…、楽しいのは当然だ」

 

そう言っていると女武闘家と女魔術師が、共に回っているソルジャーと牛飼娘の姿を見つける。

 

「ソルジャーさん!」

 

「何してるの?もしかしてデートですか?」

 

「ん?ようお前ら」

 

「あらこんにちは、今日は二人だけ?」

 

牛飼娘が女神官が居ないことを問いかけ、それに女武闘家と女魔術師がいう。

 

「はい、今日は収穫祭で大事な用があるんです」

 

「ですので、私達二人だけです」

 

「大事な用…、ああ~…なるほど」

 

 ソルジャーは女神官の用とやらに気付き、それに納得する。

一方で牛飼娘はその事に何のことかさっぱりだった。その様子をソルジャーが見て、後で説明すると言っておく。

 

「分かった、それじゃあ俺達は行く」

 

「ええ、そちらもお楽しみに」

 

そう言って女武闘家と女魔術師はその場を去っていき、残ったソルジャーと牛飼娘は再び見て回る。

 

 そしてとある屋台に新米戦士と見習聖女、重戦士のパーティの3人組がいた。

新米戦士と少年斥候が丸い玉をある的に当てようとしていたが、なかなか当たらずにいた。

 

すると少女巫術師がソルジャーと牛飼娘の存在に気付く。

 

「あっ、ソルジャーさん」

 

「どうも、こんにちは」

 

「楽しんでるなお前ら」

 

ソルジャーが今の様子を見て言い、それに少女巫術師が言う。

 

「楽しんでいると言うか、かなり粘ってるんですよ。もうこれで13回目なんですよ、本当に男の子は…」

 

「ふふふ…いいじゃない。その方が可愛いよ」

 

っと牛飼娘がそう言い、ソルジャーは新米戦士と少年斥候の投擲を見る。

 

どうも2人の投擲がぎこちない感じで、必死に的に当てようとしているのがだ、一向に当たらなかった。

それを見飽きたソルジャーが二人に近づき。

 

「貸してみろ、手本を見せてやる」

 

「え?」

 

「おいオヤジ、やらせてもらうぞ?」

 

「お、おう…」

 

 それに屋台の男性は頷き、玉を受け取る。

新米戦士と少年斥候が後ろに下がり、ソルジャーが玉を持って的に向かって投げる。

 

彼が投げた玉は的のど真ん中に命中し、更に何発も当てて行き、全部当てた。

 

「「「おおーー!!」」」

 

 

パチパチパチパチ!

 

 

ソルジャーが全て的を当てたのを見た人たちは思わず拍手をし、見ていた牛飼娘は微笑んだ。

一方で屋台の男性は困り果てた様子で言う。

 

「だ、旦那~。もうちょっと手加減してくだせい」

 

「手加減したら手本にならないっしょ」

 

そう言ってソルジャーはその場を後にして、牛飼娘達の元に戻った。

 

「こんな感じだ」

 

「スゲェ…ソルジャーさん! 是非その投擲教えてください」

 

「簡単だ、単に練習するだけだ」

 

そう言ってソルジャーは牛飼娘と共に再び屋台を見て回るのだった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 色々と見て回ってきたソルジャーと牛飼娘、そして別の人物との約束の時間が来た。

 

「ねえ、そろそろあの人との時間…だよね?」

 

「ん?ああ~…もうそろそろ正午か」

 

ソルジャーは時間的に正午の時間となっているの感じ、牛飼娘はソルジャーの方を見て言う。

 

「それじゃあ私は先に帰るね? 馬の方は…」

 

「馬は乗って帰ってくれ。こっちは別ので帰るから」

 

「うん、それじゃあ…楽しかったよ」

 

牛飼娘はそう言ってソルジャーと別れ、ソルジャーの馬に乗って牧場へと帰っていった。

 

ソルジャーはそれを見届けた後、約束の場所へと行き、受付嬢の居る所に向かう。

 

 

 

 そして受付嬢のいる場所、受付嬢は普段とは全く違う格好でソルジャーを待っていて、ソルジャーがやって来た事に気付く。

 

「楽しめましたか?」

 

「ああ、待たせた?」

 

「いいえ、そんなに待っていませんよ。それじゃあ行きましょうか」

 

ソルジャーと受付嬢はそう言って共に周り、祭りの中を見ていく。

 

その中で受付嬢はソルジャーが常に持っている太ももの銃が“違う”事に気付く。

 

「あら?ソルジャーさん、いつものとは違うものですけど?」

 

「ん?ああ…、俺が使っている物は今手入れ中でな、置いてきているんだ」

 

そうソルジャーの武器であるHK45カスタムは現在メンテナンス中で、特別部屋に置いている。

現在彼が持っているのはベレッタM9をカスタムツールタブレットでカスタムバージョンをした物を持っている。

 

グリップをフィンガーグリップにし、ハンマーを強化ハンマーに交換、バレルをカスタムバレルにして、サプレッサーを装着可能にしている。

そしてスプリングガイドにレーザーサイトを搭載し、最後に強化型スライドに交換して、高い精度を実現させている。

 

受付嬢はそれを見て、少しばかり納得し、後は聞かないことにした。

 

そして橋に上に来て、川を見つめる。

 

「この川は海へと繋がっているんですよ」

 

「ああ、それはわかるよ、確かにここは海へと繋がってる、でもそこは行った事はないな」

 

「あらそうだったんですか? でもソルジャーさんは以前、水の街に行かれましたよね」

 

「ああ、でもあそこは湖と言う感じの場所だったし、それに此処とはしっかりとしていた。野菜は旨いし、水も綺麗だ」

 

「そうですか…あら?」

 

 受付嬢が川にある人物達がボートに乗っている光景を目にする。

そこには重戦士と普段の格好とは違う普通の服を来た女騎士が乗っていた、当然ボートの係員もいる。

 

少々恥ずかしながら気まずそうにしている重戦士、女騎士は2人の存在に気付き、顔を赤くして慌てて内緒にして貰うよう頼む。

 

それには受付嬢が微笑みながら頷き、ソルジャーはあえて見ない事にした。

もしも仮にこの事をあかるみにしたら、絶対に重戦士は勿論、女騎士からは飛んでもない仕打ちが待ち構えているからだ。

 

それだけは避けなければならない。そう感じたソルジャーは受付嬢と共に次の場所へと向かう。

 

 

 

 

 次にソルジャーと受付嬢が来たのは小さいステージで手品ショーが行われていた。

ステージに立っている男性が帽子から鳩を出す手品を披露して、観客の皆を喜ばしていた。

 

「凄いですね」

 

「あ、ああ…(実際…あんまり大した手品じゃないって言いたいんだが、これ言ったら絶対にダメだな)」

 

っとそう思いながらソルジャーはまた受付嬢とどこかに向かった、すると受付嬢がある事を言い出した。

 

「ソルジャーさん、少し私の頼みを聞いてもらえますか?」

 

「ん?」

 

その事にソルジャーは頭をかしげる。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 受付嬢に連れられたのは、冒険ギルドであった。

なぜ冒険ギルドに連れられたのかは分からないが、彼女がここを選んだ理由が後に分かるはず、ソルジャーは受付嬢と共にギルドへと入る。

 

中にはだれもいない、否…当然である、今は収穫祭の真っ盛りであるからだ。

 

「いいのか?誰もいないギルドに無断で入っても」

 

「勿論ダメです。ですが、どうしてもソルジャーさんに見てもらいたいものがあって」

 

 

受付嬢はランタンを持ってソルジャーをお誘いし、それにソルジャーは付いて行く。

階段を上り、最上階に着くと、その目の前に扉があった。

 

そこを開けると、屋上に到着した。

 

「どうですかソルジャーさん」

 

「ほ~…これはまた」

 

ソルジャーは受付嬢の言葉で思わず感心する、彼の目には辺境の街が全体見えているからだ。

 

その光景にソルジャーは見とれ、受付嬢は隣に並ぶ。

 

「ここ…私のお気に入りの場所なんです」

 

「お気に入りの場所…?」

 

「はい、ここは収穫祭の目玉となるには持って来いの場所なんです、あっ!そろそろ始まりますよ!」

 

 受付嬢が見る先にソルジャーも見る。

すると地上から灯篭があげられ、無数の灯篭が空へと舞い上がる。

 

その光景をソルジャーは思わず言葉を漏らす。

 

「灯篭…そう言えば作ってなかったな」

 

「え?」

 

「いや。実はちょっと下準備とかでいろいろとバタバタしていたから、灯篭を作っていなかったんだ。参ったな…今年は」

 

「それは残念ですね、あっ、ソルジャーさん。あれを見てください」

 

っと受付嬢はソルジャーにある場所を指差し、それにソルジャーは見る。

 

すると広場に地母神の宗教達がとある儀式をしていて、皆がそれを見ていた。

そこには儀式用の衣装を身に纏った女神官がゆっくりと歩み寄ってくる。そして中央の台に載り、収穫祭の儀式を始めた。

 

女神官が華麗に舞い、ゆらりと動く衣装が人々の目を奪わせる。

 

その様子を受付嬢はゆっくりと目を閉じる。

 

「彼女も本当に成長しましたね」

 

「分かるか?」

 

「はい、この半年間…ずっと見てきました。ソルジャーさんと冒険して、更にたくましくなりましたね。それと…女性らしさも上がったような…」

 

っと受付嬢はソルジャーの方を見る。

 

「ソルジャーさん、ここだけの話なんですが…」

 

「…もうわかってるだろう」

 

「やっぱり!もう! ソルジャーさん!貴方って人は!」

 

少し怒った表情をしながらソルジャーに近寄り、頭を叩くかと思いきや、ソルジャーの手を握り締め、何やら少し頬を赤くしていた。

 

「そ、そういうのは…大人の女性に相手してもらうのが一番なのです。分かりましたか?」

 

「ああ…分かったよ。じゃあこっちに来いよ」

 

そうソルジャーは受付嬢の手を引っ張って、受付嬢はそれに素直に従うのであった。

 

 




やっと受付嬢とのあれに入れる!

って事で、あとの続きは別作品でお楽しみを。


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第39話 ダークエルフ襲来 前編

長い間お待たせしました。

ありふれ職業で書いてて時間と取ってしまいましたが、何とか更新です。

ではどうぞ。


受付嬢とある事をしたソルジャーは装備を一応整い、ソルジャーが立ち上がって、受付嬢はソルジャーの方を向く。

 

「ソルジャーさん、……この事は」

 

「勿論誰にも言わない、だろう? その事はちゃんと黙っておくよ、もし知れたら大変だ」

 

っとソルジャーはそう言うと受付嬢は苦笑いをしながら見ていて、ソルジャーと共に1階へと降りていく、そしてロビーに着いた時にソルジャーの持っている端末から音がなる。

 

 

ピピピッ!ピピピッ!

 

 

それにソルジャーは確認し、それに目を細める。

 

「ん?」

 

「どうしましたか?」

 

「街の周辺に仕掛けてある警報装置のセンサーに反応があった。どうやら誰かがこの祭りを邪魔しに来たようだな」

 

そう言ってソルジャーは持っているM9ピストルカスタムの弾倉を確認し、そして受付嬢の方に向く。

 

「俺は行ってくる、それじゃあ」

 

「はい、いってらっしゃいませ」

 

受付嬢は微笑みながらソルジャーを見送り、ソルジャーはロビーの扉から外に出ていく。

 

ソルジャーが迫ってくる敵の元に向かう中で、1人やって来る。

 

「ソルジャーさん!」

 

「あ?おいおい…、神官…お前、そんな格好でやってきたのか?」

 

ソルジャーは女神官の服装を見て呟く、何せ女神官の服装は先ほどの儀式の服装で、露出が多めの服だったのだ。

それに女神官は頬を少しばかり赤くしながら言う。

 

「そ、それは…時間がなかったもので。そ!それよりもソルジャーさん、もしかして」

 

「ああ、どうやら邪魔がやって来たようだ。夜のお邪魔虫の“ゴブリン”がな」

 

あの時の端末の警報はゴブリンがこの辺境の街にやって来た事を示していた、どうやらゴブリン達は街の収穫祭に釣られて来たのだ、人気の多いこの時期には格好の餌だと。

 

「とにかくゴブリン達がこんな時期にやってくるのはまず有り得ないからな、確認して討伐しに行く」

 

「はい!」

 

そしてソルジャーは女神官を連れて行き、門の近くまでやって来た。

っとそこに多くの人影が見えて、それにソルジャーと女神官は足を止めた。

 

「あ、お前ら」

 

「皆さん」

 

「よう、ソルジャーに神官ちゃんよ」

 

「遅かったじゃない」

 

そこにいたのはジャベリンとブレイド、妖精弓手に鉱人道士に蜥蜴僧侶、そして女武闘家に女魔術師、女僧侶と大剣女、女野伏の団体がいたのだった。

 

「ジャベリンたちはともかく、お前らも居たのか?」

 

「ええ、さっきジャベリン達から聞いてね、どうもゴブリンがやって来るって言うから、あんたも来るって分かったわ」

 

「この先は私達も付き合いますよ、もう必然とした感じで」

 

っと皆の言葉にソルジャーは少しばかり感謝の気持ちになる。

 

「済まないな、それじゃあ頼むぞ」

 

『『『はい!』』』

 

妖精弓手達のベテラン以外の少女達は返事をし、ソルジャー達が外に向かおうとした時に。

 

「何しているんですか?皆さん」

 

っと錬金術師達がソルジャー達を見かけて声をかけ、それに足を止めたソルジャー達が振り向く。

 

「お前たち…」

 

「どうしたのですか?何かお困りでありますか?」

 

侍がそれを問いかけてきて、それにソルジャーたちは一度顔を見合わせて、そして言う。

 

「仕方ない、実はな…」

 

ソルジャーは錬金術師たちに話した、今この街にゴブリン達が迫ってきていて、ゴブリン退治をしに行くと、それに錬金術師達は驚く表情をする。

 

「ええ!?ゴブリン達が!?」

 

「ににん!!それは見過ごせないでござるな!」

 

「ええ、こうなったら参戦させてもらうね!」

 

「う、うん…。私も頑張る…!」

 

錬金術師達の意気込みを見るソルジャー達は思わず顔を見合う、依頼でもないのに自ら参戦することに戸惑いがなく、それに問う。

 

「おい、いいのか?これは俺達の正式な依頼じゃない」

 

「分かってますよ、でも僕たち、貴方達の様子を見ていると放って置けないって言うか…」

 

「ににん! 少々下っ端も頼ってほしいでござる♪」

 

「そう言う事、それじゃあ行きましょうか」

 

アマゾネスは剣と盾を持って先に行き、それに続くかの様にくノ一が先頭に立って斥候する。

その様子をソルジャー達は思わず棒立ちとなる。

 

「…いいのか?これ」

 

「仕方ない、行くぞ皆」

 

ソルジャー達はジャベリン達だけじゃなく、錬金術師達をも連れて、ゴブリン退治へと向かっていくのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

その一方ゴブリン達は森をゆっくりと歩きながら辺境の街まで近寄りつつ、慎重進んでいた、だが…。

 

 

ガシュン!!

 

 

見えない草むら部分に仕掛けてあった罠に引っかかり、ゴブリンの足元にロープが掛かり、そのままゴブリンを釣り上げていく。

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

それを見たゴブリン達は慌ててその場を離れようとした、その時に足元にあった落とし穴にはまり、ゴブリン数匹は落ちてしまって、下にあったトゲに串刺しになる。

 

他のゴブリン達が混乱する中で一体のゴブリンが他のゴブリンに話す。

 

「GOA!!GEGAYEA!GFRAGAWA!」

 

そのゴブリンはこういった『おい!慌てるな!落ち着いていけ!!』とそう言いにそれに頷く様に従い、ゴブリン達はより慎重に進んでいく。

 

っがその時に、足元に見えない“まきびし”が仕掛けられてあって、それにゴブリン達は踏んでしまう。

 

「「「「「「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」」」」」」

 

まきびしを踏んで暴れだすゴブリン達は落とし穴にそのまま落ちてしまった。

 

それには落ち着いていたゴブリンも驚いてしまって混乱してしまう。

ゴブリンが武器を構えて、辺りを警戒していると。

 

 

 

バァァァン!!!

 

 

 

一発の銃弾がゴブリンの頭部に直撃し、小さい風穴を開けて倒れこむ。

辺り一帯のゴブリンが居なくなると、森からソルジャーがM9ピストルカスタムを構えながら歩み寄り、そしてホルスターにしまい込む。

 

そして上からくノ一が降りてくる。

 

「ににん!うまくいったでござる!」

 

「ほほ~、お主やるもんじゃのう」

 

っと女神官達とジャベリン達、そして錬金術師達がやって来て、辺りを見渡す。

 

「ここのゴブリンは取り敢えず倒しましたね。後は周りのゴブリンをどうするかですね」

 

「だがこのやり口、どうも何かあるな。ゴブリン達がこう団体行動をするのはありえないな、どう思うソルジャー」

 

「確かにな。今の行動を見ていて、ゴブリン達にはどうも指揮を取っている者が居ると考えるべきだな。それもロードやオーガの存在とはまた別の…」

 

「もしかして、以前ソルジャーさんやジャベリンさん達が言っていたあのダークネスサイドのことですか?」

 

女僧侶がその事を言い出して、それに女神官や女武闘家達がそれに思わず顔を見合わせる。

だがそれをソルジャーが頭を横に振って否定する。

 

「いや、この様子を見る限りどうも違うな。ゴブリン達の行動はダークネスサイドの戦慄されたものじゃない」

 

「ああ、俺もソルジャーと同意見だ」

 

「じゃあ誰なのよ?」

 

妖精弓手がそれを問いかけ、それにソルジャーは黙り込む。

 

「分からない…。とにかく街の周囲に居るゴブリン達を一掃する、今はその事に集中しよう」

 

それに女神官達は頷き、ゴブリン掃討に向かうのであった。

一方でソルジャーは少々考えながらも、今回のゴブリン達の背後の黒幕を考えながらゴブリン掃討に向かうのだった。

 

 

 

 

そしてゴブリン達の背後に居て、街より少しばかり離れている平原で1人亜人が立っていた。

その亜人は耳がエルフと同じように長く、肌は褐色系の者、即ちエルフではなく『ダークエルフ』がその様子を伺っていたのだ。

 

「……」

 

『考え事か?』

 

すると背後から誰かが語りかけてきた、そうカイザーがその場に現れたのだ。

 

「どうだ?考え直してくれたか? 我らダークネスサイドと手を組む事を」

 

「断る。我らは我らの役目があり、お前らの助けなどいらん」

 

そうきっぱりと断るダークエルフ、それにカイザーは笑みを浮かばせながら言う。

 

「まあいいさ、どのみちあの街に居る者達はお前たちでは無理だ。冒険者はお前が思っている以上に手強いぞ」

 

っとそう言って魔法陣を出して、その場から消えて行き、ダークエルフはそれに動じることもなくただ辺境の街を見つめるのであった。

 

 



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第40話 ダークエルフ襲来 中編

更新が遅れてしまって大変申し訳ありませんでした。

更新です。


辺境の街に忍び寄るゴブリン達を撃退していくソルジャー達、ソルジャーと女神官と女武闘家、女魔術師は南側に、妖精弓手と鉱人道士、蜥蜴僧侶は東側、ジャベリン達は西側で、錬金術師達は北側に向かい、ゴブリン達を倒しに向かっていった。

 

ソルジャーはM9カスタムを構えながらゴブリンに向けて撃ち、ゴブリンの頭部に風穴を開けて、背後からくるゴブリンをソウルブレードを斬る。

 

女神官は上手く杖を使ってゴブリンの足をはらい、その杖の先をゴブリンの頭に刺し、コブリンを殺す。

戦い方が徐々に身についてきたのか、上手く杖を使って戦っている。

 

女武闘家は足技を使い、迫り来るゴブリン達に蹴りを叩きつけ、更にその勢いで周りにいるゴブリンを蹴り殺す。

 

女魔術師は魔術を極力避け、杖に追加してある刃物を使い、それを使ってゴブリン達の足と手を斬り、それを倒していく。

 

そしてある程度収まったところで、ソルジャー達は周囲を確認し、女神官達は少し一息する。

 

「ふぅ…、何とか倒しましたね」

 

「ええ、どうにかね」

 

女神官と女魔術師はそう言い近くの岩に座って一休みする。

ソルジャーは2人の先ほどの戦いぶりを見て、少しばかり感心する。

 

「2人とも、さっきの戦いなかなかのものだったぞ。良い感じだ」

 

「そ、そうですか?」

 

「呪文を使うと、回数が減るから、極力避けるように覚えたのよ。まあ魔術師の私が近接戦を覚えるなんて思いもよらなかったけど」

 

そう言って少々恥ずかしそうに顔を逸らす2人、それには女武闘家は苦笑いながら見る。

 

「あははは、まあ、ソルジャーさんたちの為に役に立ちたいって2人は言っていたましたし、そのために私が一肌脱いだんですよ」

 

「へぇ、お前も手伝ったのか。それは納得だ。そうだ、他の皆はどうだろうな、取り敢えずジャベリンたちに連絡をしてみるか」

 

そう言ってソルジャーは通信機を取り出して、ジャベリンに連絡を入れる。

 

「おいジャベリン。そっちはどうだ?」

 

『ソルジャーか、こっちはそんなに多くなかったからあっという間に終わったから、こっちはハイエルフたちと合流している。それとこっちでドローンを飛ばして分かった事が…』

 

「何だ?」

 

ジャベリンの気づきにソルジャーは問い、それにジャベリンは答える。

 

『どうもそっちの南の更に先にゴブリン達が少しばかり集まっている様子が見えて、そこに誰かが立っているのが見えた。それも1人な』

 

「…1人、そいつ、ダークネスサイドか?」

 

『いや、どう見ても違う、兵器も使っていないし、恐らく魔法…しかもこいつは見た感じ“ダークエルフ”だ』

 

ジャベリンの言葉にソルジャーと共に聞いていた女神官達は驚きを隠せず、ソルジャーは少しばかり考え、そしてジャベリンに言う。

 

「分かったジャベリン、お前らはハイエルフ達と一緒にゴブリン達を警戒しながらこっちに来てくれ。俺達は先に行ってくる」

 

『よし分かった、気をつけろよ?』

 

そう言って通信を切り、ソルジャーは通信機を仕舞って女神官達の方を見る。

 

「お前たち、持久戦だが…まだ大丈夫か?」

 

「はい、問題ないです」

 

「むしろ身体が温まった頃です」

 

「大丈夫よ」

 

その言葉に頷くソルジャーは南の方に向かい、女神官達もその後を追いかけていくのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

そして牧場の方では、牛飼娘がソルジャーが水の街で購入したカナリヤを見て、まるで話しかけるかのように語る。

 

「ねえ、君はどうして買われたのかな? ……わかんないよね、でも君が買われたって事はきっと彼のお役に立てたって事だよね。きっと…」

 

そう語る牛飼娘は椅子から立ち上がって窓の方を見る。

外の様子は雨が降っていて、いつの間にか降っていた事に気付く牛飼娘。

 

「あっ、雨だ…。全然気付かなかった…、彼…どうしてるのかな?雨…大丈夫かな?」

 

っとそう思っていると、窓からソルジャーの姿が現れて、それに驚く牛飼娘。

 

「ええっ!? 何してるの!?風邪引くよ!」

 

「おっ?まだ起きてたのか。すまん、少し野暮用でちょっとだけ出てくる」

 

そう言ってソルジャーは左手にはM4A1をベースにカスタムした『M4A1カスタム』を持って何処かに向かった。ちなみにM4A1カスタムのカスタマイズはバレルとハンドガード、トリガーにグリップ、トリガーガードとストックをカスタムしており、ダットサイトを載せている。

その後ろを女神官達が付いて来ていて、牛飼娘の方を見て挨拶する。

 

「こ、こんばんわ」

 

「夜遅くすいません。ちょっと通ります」

 

女神官達はそう挨拶して、ソルジャーの後を追いかけていく。牛飼娘はその様子をただ唖然としたままその様子見て、少しばかり考える。

 

「(……また、ゴブリンが出たのかな。なら…無事に帰ってきてね)」

 

っと心の中でそう思いながらソルジャー達の無事を祈る牛飼娘だった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そしてゴブリン達を率いているダークエルフは腕を組みながら冷たい雨の中ただ遠い辺境の街を見つめていて、何やら考える様子を見ていた。

 

すると一体のゴブリンがやって来る。

 

「GAUGAAAU!!GAAGTUA!!」

 

「……なに?」

 

ダークエルフはゴブリンの言葉を聞いて、ダークエルフは思わず前方を見る、そこには何やら人らしき気配を感じ、それにダークエルフは目を細めながらゴブリン達に言う。

 

「お前たち! ここで冒険者たちを排除しろ! お前たちの命に変えてもここを突破させるな!」

 

「GAAA!!!」

 

その掛け声にゴブリン達はその場から飛び出していき、冒険者を倒しに向かった。

ダークエルフは再び辺境の街の街を見て、考える素振りをするのであった。

 

 

 

 

そしてソルジャー達は近くの小屋がある場所まで来て、少しばかり警戒していると、ジャベリン達が丁度やって来る。

 

「待たせたな」

 

「いや、丁度良いタイミングだ」

 

そう言ってソルジャーがジャベリン達とマルチツールタブレットを使って、ある物を取り出している、それを見ていた獣使いがその様子を見て問う。

 

「あの…何してるんですか?」

 

「ん? ちょっとこいつらとある物を取り出しているのさ」

 

ソルジャー達がマルチツールタブレットから取り出したのは弾薬類とM4A1カスタムに取り付ける為の『M203グレネードランチャー』だった。

 

ジャベリンはM870ショットガンをベースにストックとピストルグリップを付けた『M870カスタム』を取り出し、ブレイドは連射性の高い『ミニガン』を取り出したのだ。

 

その様子を見ていた獣使いは思わず目をキラキラと光らせていた、まるですごいものを見たと言わんばかりに。一方で妖精弓手は呆れた様子でソルジャー達の装備を見て問う。

 

「ちょっと、あんたたちまさかそれを使うつもり?」

 

「ああ、俺達はやっぱりこれがないと行けない気がしねな」

 

「良いだろう?ゴツイもんがねえと俺は締まらねえんだよ」

 

っとブレイドは大剣をタブレットにしまいながらミニガンを持ち、ソルジャーはM203をM4A1カスタムに取り付け、ジャベリンはM870カスタムにショットシェルを込めていく。

それにため息を吐く妖精弓手に女魔術師は近寄っていう。

 

「彼らの行動はもう分かるでしょ、ずっと行動を共にしていたら」

 

「そうだけど~~!」

 

「「あははは…」」

 

女神官と女僧侶は苦笑いし、そして準備を終えたソルジャーたちは女神官達の方を見ていう。

 

「お前たち、俺達はこの場所を襲っている元凶を叩きに行く、その際にゴブリン数体を取りこぼす事があるから、その後始末を頼めるか?」

 

「やれやれ…結局後始末ね。いいわ、そっちはアンタ達に任せるわ。絶対に倒しなさいよ」

 

「勿論だよ。行くぜ!」

 

「「おう!」」

 

3人は武器を持って向かっていき、女神官達はその様子をただ見届けるだけであった。

 

「ソルジャーさん…」

 

「仕方ないわね。後の事はソルジャーさんたちに任せるしかないわ」

 

「そうですな。拙僧等はここで打ち漏らしの小鬼達を排除するとしましょう」

 

っとそう言って女神官達は念入りに準備をし、ソルジャー達が打ち漏らすゴブリン達に対処する為に陣取るのであった。

 

 




ふう…、取り敢えず書けました。

早くこの収穫祭を終わらせて、R指定に移ります。

もう少し待っていてください。


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第41話 ダークエルフ襲来 後編

女神官達に後方を任せたソルジャーとジャベリンにブレイドの3人は、ゴブリン達を率いているダークエルフの元に向かう。

 

その際にダークエルフの指示で動いているゴブリン達がこちらにやってくるのが見えた。

ソルジャー達はそれに対処する為、武器を構える。

 

「よし、やるぞジャベリン、ブレイド」

 

「ああ」

 

「おうよ!オラオラ!!!思う存分暴れるぜ!!!」

 

 

キュウイイイン!!

 

ババババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!

 

 

ブレイドの持っているミニガンが高回転しながら銃弾の火を放ち、その銃弾の嵐に複数のゴブリン達が蜂の巣状態になる。

 

『『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』』

 

「GO!GOGAAOGA!!!」

 

一体のゴブリンが「ち!散らばれ!!!」っと言ったのか、すぐに散らばるゴブリン達、それをソルジャーとジャベリンが逃がさない。

 

「悪いがこっから先は立ち入り禁止だ」

 

「悪く思うなよ」

 

 

バババババババババ!!!

 

 

ドバンッ!!!

 

 

ソルジャーとジャベリンの持つM4A1カスタムとM870カスタムが火を噴き、残りのゴブリンに向かって行く。

5.56mmの弾と12ゲージショットシェルの弾がゴブリン達の身体に直撃していく。

 

そしてソルジャーはM4A1カスタムに取り付けているM203を発射し、ゴブリン達に近くの地面へと当てて爆発させ、ゴブリン達をふきとばした。

 

それに残っているゴブリン達はすぐさま散らばって行く。

ゴブリン達が散らばっていくソルジャー達はそれを阻止するかの様に攻撃を繰り返していくが、数名のゴブリン達はその隙をついて辺境の街へと向かう。

 

 

ソルジャー達の攻撃をかわしていったゴブリン達はなんとか辺境の街へと近付きつつあるが、その際に一本の矢がゴブリンの喉を突き刺し、ゴブリンは倒れていく。

 

それにゴブリン達は思わず周りを見ると、既に女神官達がその周りを取り囲んでいて、女武闘家と大剣女、そして侍が武器を構えて向かい、蹴り倒してや切り倒していった。

彼女達に倒されてたゴブリン達を女神官と女僧侶は共に祈りを捧げ、木の上に上っていた妖精弓手が降りて来た。

 

「ふぅ…、取りこぼし排除っと」

 

「やれやれ、あっちはあっちで派手にやってるわね」

 

大剣女がソルジャー達が戦っている方を見ながら言う。向こうから銃声や爆音やらと音が聞こえており、それに女神官達は頷きながら言う。

 

「え、ええ…本当に凄いと言うか…」

 

「相変わらずと言いますかね…」

 

「ですが、小鬼殺し殿等はこの調子で行くと、一気に終わらせてしまうでしょうな」

 

「あの~…1ついいですか?」

 

っと錬金術師が問いかけてきて、その事に女神官達は振り向く。

 

「先程からずっと気になっていました。ソルジャーさん達が言っていた『ダークネスサイド』ってなんですか? それに先程からソルジャーさん達のあれって…」

 

錬金術師達はずっと気になっていた、言葉に出すのをためらっていたが、あの様子を見せられたからには聞いておく必要があると、女神官達は思った。

 

「あの……これから言う言葉を皆さんは信じてもらえますか?」

 

「え?信じてもらえるって…」

 

「ににん?どういうことでござるか?」

 

アマゾネスとくノ一はその事に頭を傾げ、侍と獣使いは互の顔を見合い、錬金術師は思わず生唾を飲み込むのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

一方ソルジャー達はゴブリン達を倒した後、そのまま前へと進み続け、ソルジャーは弾切れとなったM4A1カスタムをマルチツールタブレットに戻し、ジャベリンはM870カスタムに弾を装填し、ブレイドはミニガンの弾が残っているか確認する。

そして進んでいくと、平原の奥に誰かが立っていた。

 

その場に立っていたのは、この事件の元凶であるダークエルフだった。

 

ソルジャー達が構えて、ソルジャーはホルスターに収めてあるM9カスタムを抜いて左手に持ち、背中にあるソウルブレードを抜く。

 

ダークエルフは今の様子を見て頭に血管を浮かばせ怒りが込み上がる。

 

「(あのゴブリン共を倒したのか…。己……邪魔をしおって!!)」

 

怒り任せにダークエルフは武器を抜き、ソルジャー達を迎え撃とうとする。

ソルジャー達はそれを見て、ソルジャーはブレイドに言う。

 

「ブレイド、後方援護頼む」

 

「おうし!任せとけ!!」

 

「ジャベリン!俺と一緒に倒すぞ!!」

 

「ああ任せろ!」

 

ソルジャーとジャベリンは前に出て、ブレイドはミニガンのバレルを回転させて構える。

 

ダークエルフは武器を構えて突き進んでいく。

 

それをソルジャーとジャベリンが迎え撃ち、ダークエルフが武器を振り下ろす、ソルジャーとジャベリンはそれをかわし、ジャベリンがM870カスタムを撃ち。それをダークエルフが思わず目を開かせながら大きくかわす。

かわした所をソルジャーがソウルブレードを横降りに斬りつけ、それにダークエルフの左腕にかすめ、それにダークエルフの表情が歪む。

 

「ぐっ!!」

 

ダークエルフが怯んだ所を、ブレイドのミニガンが狙いを定める。

 

キュウイイイン!!

 

ババババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!

 

ミニガンのバレルが再び火を噴き、ダークエルフはそれに飛んでかわす。

 

「己…、ならば!」

 

するとダークエルフは何やら呪文を唱え始め、それにソルジャー達は警戒する。

 

そしてダークエルフの背後に何やら手が生えてきて、しかも四つの腕が現れたのだ。それも雰囲気がガラリと変わり、先ほどの熱くなっていたようすが冷静な感じになっていた。

ダークエルフの変貌にソルジャー達は警戒する。

 

「なんだあれ…」

 

「気持ちわりぃもんだなおい」

 

「なんでもいい、とにかく倒すぞ」

 

そう言ってソルジャー達は武器を構え、ソルジャーとジャベリンはM9カスタムとM870カスタムを撃つ。だがそれをダークエルフは目にも止まらぬ動きでかわし、それにソルジャーとジャベリンが思わずまゆを動かす。

ブレイドは追撃するようにすぐにミニガンを構えて撃つ、だがそのミニガンをいとも容易くかわしていき、ダークエルフの先ほどとは違う様子にソルジャーとジャベリンは考える。

 

「(なんて動きだ…。まさかあの四本の腕を出してくるとはな…)」

 

「(銃弾のスピードにも対応してくるとは、どうしたらいいか…)」

 

っと考えていると、ソルジャーとジャベリンのすぐ近くにダークエルフが現れ、それにブレイドが叫ぶ。

 

「おいお前ら!!」

 

「「っ!!」」

 

「余所見など笑止!!!」

 

ダークエルフは四本腕の一本をソルジャーとジャベリンにふり下ろそうとする。

だがその時、一本の矢がその腕に目掛けて放ち、それを難なく受け止める。

 

それにソルジャー達は振り向くと、そこには女神官達がいて、妖精弓手が驚きを隠せない。

 

「ええ?!弓よけの加護!? んな訳ないわよね!?」

 

「あいつら…」

 

「まあ、ゴブリン倒したらジッとしとかない訳ないよな」

 

っとそう言いながらソルジャーとジャベリン、ブレイドは武器を構え、ソルジャーはM9カスタムをホルスターに収めて、ジャベリンが撃つ。

 

それにダークエルフはかわしていき、ブレイドがミニガンが攻撃を仕掛けようとする。

 

カチカチ!

 

だがミニガンの弾が尽きてしまったことにブレイドは思わずミニガンの方を見て、絶句する。

 

「やべっ!!」

 

「「((あのバカ…!))」」

 

「貰った!!!」

 

ダークエルフが攻撃を仕掛けようとしたその時、背後から一本のレイピアがダークエルフの胴体に突き刺さり、それにダークエルフは思わず見る。

 

「っ!!?」

 

「全く、何をしていると思いきや、とんだお祭りですわね」

 

っとそこには水の街からやって来た高貴女がレイピアを投げて、ダークエルフの胴体に突き刺したのだ。

高貴女が現れたことにジャベリン達は思わず振り向く。

 

「あいつ…」

 

「てか、来るのがおせぇよ」

 

「いいじゃないか。お陰であいつの動きは鈍った!」

 

そう言ってソルジャーは走り出して、それにダークエルフはソルジャーの存在に振り向く。

 

「グッ!己!」

 

ダークエルフが動きを見せようとした瞬間、女神官が奇跡を唱える。

 

「《いと慈悲深き自母神よ、闇に迷えるわたしどもに、聖なる光をお恵みください》…聖光!」

 

女神官の聖光がダークエルフの目を狂わせ、それにソルジャーは一気に突き進み、ビームセイバーを抜いて、ダークエルフの胴体を切り裂いた。

 

「ぐぅうぅぅぅ!!!」

 

切り裂かれたダークエルフはその場に倒れて傷口を抑えながらもがく。

 

「ぐぅ…ま、まだだ…、まだ我は死ぬ訳には…」

 

「生憎だったな。お前はここで死ぬ」

 

ソルジャーがビームセイバーを持ってやって来て、ダークエルフは睨みながらソルジャーを見る。

 

「き!貴様……!!!」

 

「この街に手を出した事と、近くの牧場に手を出そうとしたのが間違いだったな」

 

そう言ってソルジャーはダークエルフに向かってビームセイバーを振り下ろすのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ダークエルフが倒されたのを別の場所で見ていたカイザーが鼻で笑いながら言う。

 

「フッ、自信ありげに言った割には呆気ないな。まあいい、結果的にはあいつは負けたってことだ。それよりも…」

 

カイザーはソルジャーの方を見ながら目を細め、少しばかり納得する様子を見せる。

 

「なるほどな。あのジャレットが変わるのも頷ける」

 

っとそう言ってカイザーはその場から姿を消していった。

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝、ソルジャー達は辺境の街を後にするジャベリン達を見送りに来ていた。

 

「いや~楽しかったぜ収穫祭。ありがとうなソルジャー」

 

「いいさ、まあ後の討伐が少し疲れたがな」

 

「少しってもんか?」

 

「良いですわね皆様、わたくしは少しもちっとも楽しんでおりませんわ」

 

っと頬を膨らませる高貴女がブツブツ文句を言っており、それにブレイドが呆れた様子で言う。

 

「あのな…オメェは来るのが遅れたからだろう? 大体今まで何やってたんだよ」

 

「なかなか実家からどうしても抜け出せなかったので、今後の事であーたらこーたらで…」

 

「そうか。まあ仕方ねぇよな」

 

ブレイドはそう納得しながら頭をかき、それに高貴女は少しイラっとしながら睨みつけ、それに大剣女も呆れながらブレイドをジド目で見ていた。

そしてソルジャーはジャベリン達に向かって言う。

 

「…また辺境の街に来いよ、俺らはいつでも歓迎する」

 

「ああ、その時はまた来るぜ」

 

そう言ってジャベリン達はマシンツールタブレットを使って、ハンヴィーを出して、自分たちの拠点である水の街へと戻っていくのであった。

ジャベリン達を見送ったソルジャー達はそれに一息する。

 

「ふぅ…無事に行ったな」

 

「ええ、そうですね…あっ。そうでした、ソルジャーさん、あの…伝えておきたい事が」

 

「ん?」

 

女神官の問いにソルジャーは振り向くと、何やら少し間を空けながら話す。

 

「……実は、ソルジャーさん達の秘密をあの子達に話しました」

 

「…え?錬金術師達にか?」

 

「はい」

 

っと大胆発言にまたしても驚くソルジャーだったが、少しばかり考えると昨日の戦いで結構タブレットを見せて、出していたのだから、気になっても不思議ではない。

 

「……まあ無理ないか、あんだけ見せたら」

 

「はい。あれだけソルジャーさん達が目の前で銃を取り出したのですから。気になってもおかしくはないと」

 

そう思う女神官に妖精弓手達も頷き、それにソルジャーは頷きながら言う。

 

「まあ仕方ない。あいつらには今後じっくり伝えておいて、なんとかしてみせるか。今は帰ろう、皆ご苦労さん、今日は俺の奢りでなんか食いに行くか?」

 

「え!?本当に!? ヤッター!」

 

っと嬉しそうに言う妖精弓手にソルジャー達は呆れながら辺境の街に戻っていくのであった。

 

 

 




はい、無事に収穫祭編終了です。

後はじっくり彼女たちwww

ゴホンッ!失礼…ここではこれを言うのは控えますねwww


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カイザー討伐編
第42話 謎の商人


こちらの作品も少し進めます。

あとゴブリン語は疲れるので普通の言葉にしています、すいません。

そして凄いキャラを出しました。


収穫祭が無事に終わり、ジャベリン達は水の街へと帰り、辺境の街を襲おうとしたダークエルフは倒して、元の生活が戻った。

 

ソルジャー達は再び冒険へと出かけ、とある山の中に潜むゴブリン達の討伐を行っていた。

 

当然その中には錬金術師達も居て、共に行動を行っていた。

 

くノ一が斥候として密かにゴブリン達がいるアジトを探り、そしてある場所を見つける。

そこはゴブリン達にしてはかなり密度が大きい場所で、ゴブリン達が宴を上げながら楽しんでいた。

更にそこで捉えられた少女達がゴブリン達によって陵辱されている所であった。

 

それにくノ一は見るのが苦しくなり、その場を離れてソルジャー達の元に戻る。

 

そしてソルジャー達の所にくノ一が戻った。

 

「ににん、只今戻ったでござる」

 

「ご苦労、どうだ?」

 

「この先の広い場所にゴブリンの隠れ家があったでござる、しかも捉えられた村の娘たちがゴブリンに…」

 

「ひっ…」

 

獣使いはその事を聞いて少しばかり引いて、それにソルジャーは考え込む。

 

「(んー…森の奥でアジト構え、更に洞窟ではない所でか…最近のゴブリンはちょっとばかり行動おかしくなっているな。でもそんな事はどうでもいいか…)」

 

そう考えてるソルジャーは顔を上げて、女神官達の方を向く。

 

「今からゴブリン達のアジトを襲撃する、そこで囚われた娘達を救出する」

 

「OK、そう来ると思った」

 

妖精弓手はそう言い、鉱人道士はソルジャーの言い分に少しばかり呆れながら言う。

 

「全く、かみりき丸も徐々に荒っぽくなってくるわい」

 

「まあ、これが小鬼殺し殿のやり方、もう慣れましたな」

 

っと蜥蜴僧侶が慣れた感じに言い、それに女神官達はただ笑うしかなかった。

その様子に錬金術師とアマゾネスは顔を見合うしかなかった。

 

そして侍がソルジャーに問う。

 

「ソルジャーさん、私たちはどうしたらいいんですか?」

 

「お前たちは俺と武闘家、リザードマン、そしてアマゾネスと君とでの5人で行う。神官とハイエルフにドワーフ、魔術師と錬金術師は後方援護してくれ、獣使いとくノ一はその隙に囚われた娘達を救出してくれ」

 

「ににん!承知したでござる!」

 

「は!はい!」

 

緊張した様子で声を上げる獣使い、そんな様子に女神官は彼女の方に手を置きながら言う。

 

「大丈夫ですよ、落ち着いてやればできます」

 

「う、うん…」

 

獣使いはそう頷くもまだ緊張している様子が目に見え、彼女のバトルドックが寄り添ってくる。

 

「ワンちゃん…ありがとう」

 

「バゥ!!」

 

その事に少し安心し、ソルジャーは皆に言う。

 

「よし、行くぞ!」

 

それに女神官達は頷き、ゴブリン達の所に向かうのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ゴブリン達は捉えた娘達をじっくり痛ぶり、楽しみながら遊んでいた。

 

『だはははは!!どうだ!もっとしてやるぞ!!』

 

っと楽しみながら腰を振っているゴブリン達、娘達は意識が朦朧としているか、もう意識がない状態だった。

 

更にゴブリン達が楽しもうとしたその時だった。

 

 

ババババン!!!

 

 

突如銃声が鳴り響き、数体のゴブリン達が頭を撃たれて倒れる。

それによりゴブリン達は慌てて振り向き、娘達をいたぶっているゴブリン達も振り向く。

 

そこにソルジャー達が武器を構えながら立っていて、HK45カスタムをしまい、皆に言う。

 

「行くぞ皆!!」

 

ソウルブレードを抜いて突撃するソルジャー、それに続く女武闘家達、女神官達は後方で投擲と奇跡を使い、妖精弓手は弓を使いながら援護を行い。獣使いとくノ一はその隙に囚われた娘達を助け出してその場から逃げる。

 

当然ゴブリン達は応戦しようと武器を持って立ち向かう、だが相手は銀等級とその手馴れの者達、ゴブリン達は瞬く間に倒されていき、最後のゴブリンは腰を抜かして、漏らしながら命乞いをする。

 

『ま!待ってくれ!俺はまだ生きたいんだ!! 頼む!!』

 

ゴブリンの言葉に耳を貸さないソルジャー、ソルジャーはソウルブレードをそのまま振り下ろし、ゴブリンを絶滅させるのであった。

 

 

 

そして近くの村までやって来て、助け出した娘達を渡す。

 

そこに連れ去られた娘達の家族がやって来て、泣きながら娘達を抱きしめ、村長が泣きながらソルジャー達に向けて頭を何度も下げた。

村長の娘も連れ去られていたらしく、無事助け出されてよかった。

 

錬金術師達はその様子をただ見つめていて、そしてソルジャー達の方を見る。

 

無事娘達を村に送り届けた後、辺境の街に戻るため帰る。

妖精弓手は腕を大きく広げながら身体を伸ばす、

 

「ん~~~~!!だぁ~~! あ~あ、今日も地味な冒険だったわ」

 

「いつもそう言ってるじゃない」

 

妖精弓手の言葉に女魔術師が呟き、女神官と女武闘家は苦笑いしながら見ている。

 

「それにしても、最近のゴブリンの行動は俺の考えを超えているな」

 

「小鬼達の辺りにはダークネスサイドの魔の手が及んでいると、言う事ですかな?」

 

「有り得る話じゃのう」

 

鉱人道士は髭ををなぞりながら呟き、それを聞いていた錬金術師が問う。

 

「ソルジャーさん、貴方はいつもこの様な事をしてるんですか?」

 

「ん?まあな」

 

っとそう言うと、バトルドックが何かを感じ取って振り向き、それに獣使いが振り向く。

 

「ワンちゃん?」

 

「バゥ!」

 

「ワンちゃん!?」

 

するとバトルドックがどこかへと走り出していき、それに慌てて追いかける獣使い。

ソルジャー達はそれに振り向き、獣使いの様子を見る。

 

「おいどうした!」

 

「ワンちゃんが急に!」

 

そう言って獣使いは走り去り、それにソルジャー達は獣使いを追いかけるのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

ソルジャー達は森と村を少しばかり抜けた場所にある広い場所に獣使いとバトルドックが行き、その後を追いかけていく。

そして追いついた場所に着くと、ソルジャーの目に思わぬ物が映る。

 

それは車両でゴツく、更に大きめの装甲に左右4つのビックタイヤが装着されている『ストライカー装甲車』が置かれていたのだ。

 

ソルジャーがそれに目を奪われていると、女神官がソルジャーの腕を掴んで問う。

 

「ソルジャーさん」

 

「え?」

 

女神官が指を指す方向を見ると、獣使いは疲れて座り込み、バトルドックがある生き物を眺めて座っていた。

その生き物は小さなサルで、なんと缶ジュースのコーラを飲んでいたのだ。

 

「ゴクッ…ゴクッ…、ゲボッ! ウキ…」

 

そして横にある布が広げられていて、その上にライフルが置かれていたのだ。

ライフルはソルジャーが持っているMk17 SCAR-Hの5.56mm小口径バージョンの『Mk16 SCAR-L』だったのだ。

 

それにソルジャーは歩み寄り、そして皆はソルジャーの方を見る。

 

ソルジャーは置かれているMk16 SCAR-Lを見つめる。

 

「…どうしてこんな所にライフルが」

 

 

 

 

「良いブツだろう?」

 

 

 

 

「っ!!?」

 

っとその言葉にソルジャーが驚きながら立ち上がってHK45カスタムを抜いて構え、皆が構える。

獣使いは突然の事に驚き、バトルドックもソルジャーの方を見る。

 

小さなサルはその声の主の所に行き、その主がやって来る。

 

「まあ待て、銃口を向けるな」

 

ソルジャーはその主の姿を見て、思わず目を細める。

 

その姿は下がBDUのズボンでブーツ、上はそれとは似合わない黒いスーツを着た短髪で金髪黒人の男が白いハンカチを持って揺らしながら歩み寄る。

 

「俺は敵じゃない。そしてまだ…、味方でもない。見ろよ…ホッ!」

 

するとハンカチから手榴弾が出てきて、それをソルジャーに見せる。

それにソルジャーは問う。

 

「お前…何者だ?」

 

「武器、防具、兵器の卸売り販売業者だ。…おっと心配には及ばない。ただ“武器掃除”…いや、“武器洗浄”を行ったクリーンな販売人だ」

 

「武器…洗浄?」

 

聞いた事もない言葉に頭を傾げる女神官達。だがソルジャーはその言葉にやや聞き覚えがある、それを必死に思い出していた。

そしてその男は再びハンカチを手榴弾に被せ、何かを唱えるかのように念じて、そしてハンカチを下ろすと、そこからりんごが出てきた。

 

そのりんごを食べようとした時に、後ろにいるサルにあげ、サルはそれに受け取る。

金髪の男はソルジャー達に向けて言う。

 

「この世界でまだ発見されていない武器や防具を綺麗にして使える様にし、そしてこっちの武器を使えるようにしている。あーつまり、“武器洗浄屋”ってとこだ、そして俺は『ドレビン893番』、ドレビンとでも呼んでくれ」

 

「っ!?ドレビン!?」

 

「おっと、その様子じゃ知っているみたいだな? だが俺はあんたが知っているドレビンとは違う。名前や番号はそいつからかっぱらったもんだ。間違えないでくれよ」

 

そう言ってハンカチを胸ポケットにしまうドレビン、そしてライフルの元に近づき、手に取っていう。

 

「あんた…普通の冒険者じゃないだろう? 力になるよ。…ほれ、挨拶がわりのプレゼント」

 

っとMk16 SCAR-Lをソルジャーに渡し、それにソルジャーは警戒しながらもそれを受け取り、そしてHK45カスタムをしまいながら見る。

ドレビンはそのMk16 SCAR-Lを説明する。

 

「FN SCAR-L FN社が次世代ライフルに開発した物で、M4やAKなどの性能を大きく上回っている物だが、そいつは特注品で作り上げた高級品だ、通常の代物と違って制度と耐久性が桁違い。勿論フリーフローティングだ」

 

「…ハイダーはサプレッサーを取り付け可能なフラッシュハイダーか」

 

「ああ、そしてハンドガードの方はバレルを少しばかり隠す程のあるM-Lokタイプだ。レイルも取り付ける事が出来るからカスタマイズパーツも取り付ける事が出来る、更にストックは小型化にあってM4タイプと同じものでもある」

 

「ほう…、どうりで妙なガタつきがないわけだ」

 

その事に関心するソルジャー、女神官達はただ見つめるだけで、妖精弓手は女神官に言う。

 

「ねえ、この状況いつまでやるのよ?」

 

「さ、さあ…」

 

そしてドレビンは更にソルジャーに言う。

 

「引き金を引いてみな、トリガーも軽いぜ?」

 

その言葉通りに、ソルジャーはマガジンを確認し、更にコッキングをしてトリガーを引く。

 

カチャッ!

 

だが引き金を引いた所、全く動かなく、それに問う。

 

「おい、引けないぞ?」

 

「あれ?おかしいな」

 

「何がおかしいんだ」

 

っと何かを考え込むドレビン、すると何かに気がついた事を言う。

 

「ん?ああ~…、お前さん“マルチツールタブレット”を使ってるだろう?」

 

「何?!」

 

その事に驚くソルジャー、当然女神官達も驚きを隠せない。

 

「こっちのシステムとぶつかる事があるんだ」

 

「お前一体何者だ!? 何故タブレットの存在を!」

 

「まあ落ち着けって、俺はお前さんと“同じ”だ」

 

「何…?」

 

その事にソルジャーは頭を傾げ、そしてドレビンはコーラを取り出しながら飲み、そしてゲップする。

 

「ゲプ…、俺はあらゆる武器をカスタムやアップグレード、そして常識を超えることができる物を持っている、『革命神』のお陰でな」

 

「革命神? 大王神や救世神とは違う奴か?」

 

「まあそんな所だ。しかしその名前が出て来るってことはあんた…、もしかして革命神が言っていた転生者か?」

 

「……そうだ」

 

その事に否定もせずに言うソルジャー、ドレビンは納得した表情をする。

 

「ほう~。否定もしないか…そりゃあ結構、それなら話しがまとまり易い、それに何の目的であるかは予想が付く。そうだ…こっちも手伝わせてもらわないか?あんたの役に立つよ」

 

ドレビンの話を聞いて黙っているソルジャー、すると女神官が腕を引っ張る。

 

「ちょっとソルジャーさん!いいですか!」

 

「お、おう」

 

少し離れて、皆と話し合うソルジャー。すると女武闘家が言ってくる。

 

「あの人、信用出来るんですか?」

 

「…」

 

「そうよ。ジャベリンさんやブレイドさんとは違って、あっちは何か隠し事があるよな感じがするわ」

 

「どうなのよオルクボルグ?」

 

その言葉にソルジャーは少し黙っていて、そして口を開かせる。

 

「…だが神が送り込んだ人物なら確かめる必要がある、それはこっちに任せてくれ、な?」

 

「ですが…」

 

「まあイイじゃろう」

 

「ですな」

 

っと鉱人道士と蜥蜴僧侶が言ってきて、それに妖精弓手が言う。

 

「ええ?!あんたらね!?」

 

「かみきり丸に任せてやれ、ああ言う事ならかみきり丸が適任じゃ」

 

「そうですな、ここは小鬼殺し殿に任せましょう」

 

「もう!」

 

妖精弓手も渋々納得し、そして待っていたドレビンが言う。

 

「相談は終わりか? よーし…なら手軽いビジネスの話をしよう。ここは異世界の国だ。

商品となる宝が山ほど転がってる、アンタは今後色んな宝を見つけてくる筈だ…。あんたが集めたまった余分の宝を俺が買い取る、そしてそのポイント分だけサービスとして提供する」

 

「ん?どんなサービスだ?」

 

「あんたの持っているタブレットのアップグレードや薬品、そしてマシンのバージョンアップ、そして俺が前の世界で集めた武器の販売だ。んじゃあこっちに来てくれ」

 

ドレビンはストライカー装甲車の元に行き、それにソルジャーはついていく、勿論女神官達も付いて行く。

ストライカーの中へと入っていくと、ドレビンはある装置を置き、注射器も出していた。

 

何をするか分からないソルジャーはその中に入り、座ってドレビンは説明する。

 

「まずお前さんが持っているマルチツールタブレットをアップデートをする必要がある、そこに外部からのシステムクリアランスを通さなきゃならん、そしてお前さん身体に増強薬物入れてるだろう?」

 

「っ、何でわかる?」

 

「このサングラスさ、分析システムが内蔵してある。この先その薬物では通ることは出来ないぞ、ある場所では身体が重くなる場合があるんだ。これを打たせてくれ」

 

ソルジャーにある注射器を見せる。

 

「こいつは骨と筋肉の腱を強化するものだ、骨を完全に丈夫にし、腱を絶対に切らせない様にするものだ。これを打てば問題はない、後入っている薬物はこれを打つと消えるから安心しな」

 

そう言ってソルジャーに打とうとする。

っとその時に女神官が心配そうに見つめていて、それに気づいたソルジャーが言う。

 

「大丈夫だ。俺は平気だよ」

 

女神官は心配に見つめていて、そして納得するかのように少し離れて、そしてドレビンはソルジャーに注射器を打つ。

 

そして打ち終わった注射器を戻し、ソルジャーの肩に手を置く。

 

「よし!これで終わりだ。あとはマルチツールタブレットをその装置の上に置いてくれ」

 

ドレビンの指示どうりにマルチツールタブレットを置く。するとマルチツールタブレットが自動的に更新され、アップデートされる。

 

「OKだ。これでその銃も使えるようになるぞ、ほら来いよ」

 

そう言ってドレビンは外に出て、ソルジャーも同じように外に出る。

そしてMk16 SCAR-Lを構えて撃つ。

 

バン!!

 

するとその通りに撃つことが出来て、ソルジャーはMk16を見て、ドレビンは笑みを浮かばせる。

 

「ほらな、撃てるようになっただろう?」

 

「ああ、確かに撃てるようにあった。嘘じゃないらしいな」

 

「当然だ。まあこれでやり取りが出来る。連絡はそのタブレットに追加してる俺のショップに連絡してくれ」

 

っとマルチツールタブレットには確かにドレビンのショップの追加部分があり、それにソルジャーは見る。

するとドレビンは何か思い出した様な事を言い出す。

 

「ああそれと、お前さんは知っているか? この世界お前さんだけじゃない転生者がいることに」

 

「知っている、ジャベリンやブレイドをな」

 

「いいや違う。他にもいるんだよ、とびっきりな『美少女』の転生者達がな」

 

『『『っ!!?』』』

 

その言葉に驚きを隠せないソルジャー達、そしてドレビンとサルはストライカーに乗って言う。

 

「まあ近いうちにまた会おう、その時はたっぷりと説明するさ。『EYE HAVE YOU!』」

 

そう言ってドレビンはストライカーに乗ってどこかへと行き、それにソルジャーは唖然とする。

 

「(どういう事だ…? ジャベリン達以外にもいるってことか? 分からねぇ…何なんだあいつ?)」

 

ドレビンの登場と謎の言葉を残して去っていった事に、新たな謎が深まるソルジャー、その答えは近いうち明らかとなるだろう。

ソルジャーは一旦、辺境の街へと戻るのであった。

 

 



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第43話 新たなる転生者 前編

前編と後編に分かれます。

ここで転生者が2人が出ます。


ゴブリンの討伐を終え、辺境の街に戻る際に謎の武器洗浄屋、ドレビンと出会い、この世界にまた別の転生者達が来ているとの情報を得て、一旦辺境の街に戻り、討伐の報告を受付嬢に話す。

 

「ご苦労様でした、大変でしたね」

 

「ああ、まあな。それじゃあ俺は一足先に帰る」

 

「はい、ご苦労様ですソルジャーさん」

 

女神官はぺこりと頭を下げて、ソルジャーは一足先に帰る。

その様子を受付嬢は問う。

 

「今日は早く帰るんですね? どうかしましたか?」

 

「ちょっとね、色々あったのよ」

 

っと妖精弓手がそう言い、それには受付嬢は頭を傾げるのであった。

 

そして牧場へと戻ったソルジャーはまず牛飼娘の所に行き、彼女を安心させる。

 

「あ!お帰り! お疲れ様!」

 

「ああ、俺ちょっと自室へ調べ物をするから、あと今晩シチューね?」

 

「うん!分かった!」

 

牛飼娘はそう頷き、ソルジャーは特別部屋へと向かう。

 

すぐに特別部屋に付いたソルジャーはすぐさまジャベリンとブレイドにこの事を報告する為、モニターに映して連絡する。

 

ジャベリン達と連絡を取れたソルジャーはすぐさま今日の事を話す、ドレビンと会った事を、革命神の事、他にも転生者が居ることを話し、それにジャベリン達は驚くかと思いきや…。

 

『ああ、その事な、実は俺達も会ったんだ。そいつと』

 

「なんだって!? 何時だ!?」

 

『丁度昨日だ。俺とブレイドの2人で冒険に出向いた時に会ってな、武器洗浄屋って聞いた時は驚いたもんだ…。お前も驚いただろう?』

 

「ああ、あれは確かあの名作に出てくる奴の物だ。あれを知らない者はいない…俺達以外は」

 

そうソルジャーの言葉に頷くジャベリン、それは誰もが知っているあのゲーム…言わない方がいいかな?

 

「今日ドレビンにマルチツールタブレットのアップデートをしてもらったんだ、そして骨と筋肉の腱が切れない薬を注射してな」

 

『ああ、俺達もそれを打たされた。本当にその薬が本物か試してみた』

 

「試すって…、どうやってだ?」

 

『わかり易い様にブレイドを実験台にしてだ』

 

「(お前……それはちょっと可哀想だぞそれは…。まあ相手はブレイドだからいいか)」

 

っとソルジャーがそう思っていると。

 

『コラーーー!!!俺はまだ死んでないぞ!!! つーかジャベリン!!お前堂々と俺を実験台にするな!!! 谷から投げ飛ばれされて痛かったぞ!!?』

 

モニター画面にブレイドが出てきて、頭に包帯を巻いている。

 

『おっ、生きてたか。うん、どうやら本当らしいな。骨は折れてないし腱も切れてない』

 

『そういう問題じゃねえ! お前どういう神経してるんだ!』

 

『こういう神経だ』

 

『なんだよそれ!!? 俺泣いちゃうぞ!!?』

 

「いやお前、それ以上のタフガイな奴だろう?」

 

っとソルジャーが思わずツッコミを入れ、それに驚くブレイド。

 

『ええっ!?俺ってタフガイって思われてるのか?!』

 

『その筋肉ダルマの身体を見ればそう思うさ』

 

『マジ!?』

 

「ああ、でも高い所から落ちた割には怪我はそんなにひどくないな?」

 

ソルジャーは頭だけ包帯を巻いているブレイドを見て言い、それに今気づくブレイド。

 

『そういや、怪我がこれだけってのがちょっとおかしいな?』

 

『言われてみればそうだな…、あの薬は本当に2つだけなのか…?』

 

「分からない…、今度あいつにこの事を聞いてみる」

 

『済まないなソルジャー。こっちも他に何か分かったら連絡するよ』

 

『じゃあな』

 

そう言って通信を切り、立ち上がって一度装備を外して、壁にある鏡で上半身の身体を見る。

 

身体強化の薬を打っていたから筋量は少しばかり落ちて、血管が少し見えなくなってしまった。

ソルジャーは少しばかり残念そうに思った。

 

「う~ん…まさかここまで落ちているとは、増強の薬に頼りすぎって所か。よし、まだ飯の時間はあるから鍛えておこう」

 

思ったらすぐに行動、ソルジャーは筋トレ器具の方に行き、ペンチプレスをして、デッドリフト、バーベルスクワット、更にダンベルカールやキックバック、サイドレイズやレッグエクステンション、レッグカールとクランチをして鍛える。

 

するとそこへ牛飼娘がやって来る。

 

「おーい!ご飯だよー!」

 

「ああ、すぐに行く」

 

そう言ってトレーニングを終え、上着を着て、上へと行き、晩ご飯のシチューを食べるのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして翌朝、ソルジャーはいつもの日課の牧場の点検と見回りをする為起きて、上着を着ようとする。

っと鏡に映った自分の姿を見て唖然とする。

 

「ん? …はあ??」

 

ソルジャーの上半身は勿論、下半身も元に戻った状態…否、比べて少しだけ大きくなり、更に筋肉の筋がより見えている感じになり、ソルジャーはそれに困惑していた。

 

「どうなっているんだ? 昨日に比べて元に戻ってる…いや、鍛えられてる? 前はこんなに筋が見えていなかったし…どういう事だ?」

 

考えるソルジャーにマルチツールタブレットから通信が来て、それにソルジャーが取ると、ドレビンが画面に現る。

 

『ようソルジャー、いい朝だな』

 

「ドレビン、丁度良かった。お前に聞きたいことがある」

 

『なんだ?聞きたいことって』

 

「お前例の薬、骨や腱以外に何か入れたか? ブレイドが傷だけになるはずが頭だけの軽症だし、俺の身体が以前より鋭くなってるんだが」

 

『ああ~、そういや言い忘れてたな。実は骨の強化の中に超回復の薬を追加で入れてあるんだ』

 

っとドレビンが思い出した事を言い、それにソルジャーが頭をかしげながら言う。

 

「超回復だって?」

 

『ああ、怪我や鍛錬で損傷した傷を一瞬で直し、更に丈夫にして行く物だ。その影響は筋肉の腱にも影響を与えている、おそらくお前はトレーニングでの影響でその身体に効果を表したんだろう。良かったじゃないか』

 

「説明不足だぞ。ドレビン」

 

『そう怒んなよ、あとお前さんにおいしい商品がある。見るか?』

 

ドレビンは画面にとある鎧を見せる。

 

その鎧はソルジャーが着ている鎧とは全く違うものだった、見た目が重たそうな形の丈夫そうな鎧であった。

 

「なんだこれ?」

 

『この鎧の鉄にチタンにタングステンを合わせ持ったの鎧だ、効果はかなりの物だ、通常の剣も貫けないし、矢も弾く。おまけに軽いぜ。これをお前さんに買って貰いたいんだ。どうだ?』

 

その事にソルジャーは考え込む。

今持っている鎧を手放すのは惜しい、だがチタンとタングステンの効果は本当に強いのか怪しいものだと考え、その事に頭を横に振る。

 

「やめておく」

 

『ほう? 何故だ』

 

「今持っている鎧で十分だ。それに余分に持っていても場所を取る」

 

『ははは、そうか。ならまた今度にしておこう、朝早く悪かったな、じゃあな』

 

そう言ってドレビンは通信を切り、それに頭をかきながら服と装備を身に付ける。

 

 

 

そしていつもの見回りをする為、ソルジャーは外に出て柵の点検や、子犬の散歩に連れ歩かせている。

 

「ワンワン!」

 

「よーし、ちょっと待ってろよ。今からちょっと傷んでいる柵の一部を直すからな」

 

すぐに傷んでいる場所を見つけ、紐を取り出して直す。

っとその時子犬が何かに反応して、どこかへと走り出していく。

 

それにソルジャーが気づいて振り向く。

 

「ん!?おいどこに行く!」

 

慌てて追いかけるソルジャー、子犬は猛烈な勢いで走って行き、ソルジャーはそれについていく。

 

すると道の真ん中に誰かが倒れている、しかも2人だった。

 

「ワンワン!!ワンワン!!」

 

「ん?なんだ…?」

 

ソルジャーは子犬が見つけた2人を見る。

 

その倒れている2人は女性で、1人はセミロングにウェーブがかかって、もう1人はサイドポニーテールをしている。

しかもよく見ればこの2人はまだ少女、腰には“銃のホルスター”付いていた。

 

それにソルジャーはドレビンの言葉を思い出す。

 

 

 

 

─────他にもいるんだよ、とびっきりな『美少女』の転生者達がな。

 

 

 

 

「まさか…、おい!起きろ!」

 

ソルジャーの声かけに、2人は重い顔を上げる。

そして言葉に出した答えは…。

 

「「お、お腹…すいた~…」」

 

グゥゥゥゥゥゥ…。

 

っとお腹の空腹状態を知らせる音を響かせ、そしてまた頭を地面へと付ける。

 

その様子にソルジャーはただ呆れさせてしまうのであった。

 

 



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第44話 新たなる転生者 後編

「…それで、君はこの子達をここに連れて来たっと言う訳かい?」

 

「すみませんおじさん。どうしても放って置けなかったんで」

 

っと叔父に謝るソルジャー、道端のど真ん中で倒れていた2人の少女を家まで連れて帰り、叔父がそれを見て問いかけてきたのだ。

 

「全く…、しかしよく食べるな。この子達は」

 

叔父が見る先には、牛飼娘が2人の少女に食事を出して貰い、2人はお腹すいていた反動で食べる勢いが凄まじかった。

 

「ハムハム!!」

 

「ムシャムシャ!」

 

「フフフ♪ まだまだあるから、いっぱい食べてね?」

 

「「はーい!」」

 

そう言って2人は再び食事を食べる。

ソルジャーはその様子をただ苦笑いしながら見ていて、叔父はため息を吐きながらソルジャーの方を見る。

 

「…とにかく、君の方で食事代の確保、頼むよ」

 

「分かりました。そのところはちゃんとします、後は…」

 

ソルジャーは食事を食べ終える2人の様子を見て、そして全てを食べ終える。

 

「「ごちそうさまでした!」」

 

「うん、元気になって良かった」

 

牛飼娘は頷きながら言い、ソルジャーは2人にあることを問う。

 

「それで、君たちはどうしてあそこで倒れてたんだ?」

 

「え?それは…」

 

「丁度食料がなくなって…。それでなんとか我慢して来たんですが…」

 

「我慢出来ずばたりと倒れたって事か」

 

っとその事に2人は恥ずかしながら頷く。

なんとも無茶をする2人だなと思うソルジャー、彼女たちの恥ずかしい場面は置いといて、ソルジャーはまた別の事を問う。

 

「それにしても、君たちはどこから来たんだ?一体何処に向かおうとしていたんだ?」

 

「はい、私たちは『海岸の街』から来ました。それと申し遅れました、私の名は『クレア』と言います」

 

「私は『マイン』です。2人で冒険者をしている者で、共に紅玉等級です」

 

セミロングでウェーブがかかった子がクレアで、サイドポニーテールの子がマイン、2人は冒険者であるタグを見せ、それにソルジャーは確認すると、確かに紅玉等級の冒険者である事を確認する。

 

「へえ~、んで?その海岸の街から来た君達がここに何しに?」

 

「あ、そうでした。実は私達。辺境の街にいる銀等級ソルジャーが居ると聞いてやって来たんです」

 

「そこで依頼をしに来たのですが。何か知っていますか?」

 

クレアとマインの言葉を聞いて、ソルジャーは思わず目を点にする。

 

その様子に牛飼娘はクスクスと笑って、その事を言う。

 

「ねえ、君達が探している人はもう居るよ」

 

「え?何処にですか?」

 

「フフフ、目の前に♪」

 

牛飼娘が指刺す方にクレアとマインが見る、彼女たちが見る。

指差す方を見る所に、ソルジャーの方に示していて、クレアとマインはそれに思わず唖然としながら問う。

 

「え? ……貴方がソルジャー?」

 

「…ああ、俺が銀等級のソルジャーだ」

 

ソルジャーは自分の銀等級のタグを見せて、それにクレアとマインは驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

クレアとマインが食事を終えたその後、ソルジャーは軽い食事を取って、彼女たちを辺境の街へと案内しに馬を使って配達と一緒に牛飼娘と共に向かった。

 

「まさか貴方がソルジャーさんだったなんて、不思議よね?」

 

「ええ、本当に偶然ってあるのね」

 

マインがソルジャーを見ながらそうクレアに言い、クレアは出会えた事に呟きながら考えていた。

ソルジャーはその様子をただ思いながら馬を動かし、牛飼娘はクレアとマインの会話を聞いてソルジャーに話しかける。

 

「有名人だね、君」

 

「…ああ、そうだな(別に有名になりたかった訳じゃないんだが…まあいいか。…しかしながら)」

 

っとソルジャーは2人の姿を改めて見る。

クレアとマインの服装は動きやすい服装で、マインはショートパンツのロングブーツ、マインはミニスカートで同じロングブーツである。

 

それ以上にクレアとマインの特徴、それは…。

 

 

ボッ!!

 

 

キュン!!

 

 

ボン!!

 

 

見ての通り、クレアとマインのスタイルはかなり凄かった。牛飼娘と対等なくらいに。

 

「(全く近頃の若い子ってあんなに発達がいいのか? まあ隣のこいつもいいけどな…)」

 

っとそう思いつつソルジャー達が乗る馬車は辺境の街に到着するのであった。

 

ソルジャーはクレアとマインをギルドに連れて行き、中に入って、そこで女神官達が振り向く。

 

「あ!ソルジャーさん」

 

「おはようオルクボルグ。あれ?どしたのその子達?」

 

妖精弓手はソルジャーの後ろにクレアとマインを見て言い、それにソルジャーは答える。

 

「彼女たちは俺の依頼人だ、それも冒険者。海岸の街から来たみたいでな」

 

「ほう?海岸の街ですか。それは随分と遠いところから」

 

「しかしかみきり丸。あの娘たちの腰を見てみい」

 

鉱人道士の言葉にソルジャーは頷く。

 

「ああ、分かってる。その事を含めて今から話し合うんだ。なあ、応接室を使わせてくれないか?」

 

「はい、いいですよ」

 

受付嬢はそう言って許可し、ソルジャー達はクレアとマインを連れて、応接室へと向かった。

 

 

 

そして応接室へと入って、ソルジャー達はクレアとマインと向かい合う。

 

ソルジャーはある事を問う。

 

「さて…、依頼を聞く前に君達に問いたいことがある」

 

「え?なんですか?」

 

「何かしら…」

 

クレアとマインはソルジャーの言葉に少し頭を傾げ、そしてずっと気になっていた事を問う。

 

「君らのその腰のホルスター、『ベレッタM84FS』と『ワルサーPPK』だよな?」

 

「「っ!やっぱりバレてる!?」」

 

その言葉にクレアとマインは驚き、それに女神官達は思わず息を呑む。

 

「その言葉…」

 

「あなた達もまさか…」

 

女神官達の言葉にクレアとマインは頷く。

 

「ええ、私達は転生者です。それも革命神にこの世界に送ってもらった」

 

「やはりな…、それじゃあ俺の事は最初から…」

 

「…ごめんなさい! 名前は聞きましたが!流石にその後は…」

 

「聞いてないんです」

 

っとクレアとマインは申し訳なさそうな表情をしながら謝り、それに思わずズッコケそうになる。

 

「っておいおい、そこは聞いてないのか? まあいいか…、それで話戻すがそんな君たちがなんの依頼しに来た?」

 

「ええ、実はあなたにオークの討伐を依頼したいのです」

 

「オークだって?」

 

その言葉にソルジャーだけじゃなく、女神官達もその言葉を聞いて唖然とする。

何しろ依頼討伐はオークなのだ、あの獰猛で凶悪な豚の魔物である『オーク』、ソルジャーはその事を問う。

 

「なんでオークの討伐を?俺じゃなく他のやつに頼めばいいんじゃないか?」

 

「そうなんですが、どうも妙な奴がゴブリン達を率いているんです。それも人間が」

 

マインの言葉にソルジャー達は驚きを隠せず、クレアは一枚の写真をソルジャーに見せる。ソルジャーが見る中で女神官達がそれを見て頭を傾げる。

初めて見る写真にどう言ったらいいか分からないからだ、ソルジャーは写真を見る中である実物を見て目を細める。

 

その人物はカイザーが映し出されていた。

ソルジャーはこの人物は知らないが、なぜかダークネスサイドである事を感じさせるオーラが見えるのだ。

 

「こいつは…ダークネスサイドか」

 

「え?分かるんですか?ソルジャーさん」

 

「ああ、あのジャレットと同じオーラが見えるんだ。しかしダークネスサイドがゴブリンを連れてオークと共に何してるんだ?」

 

「分かりません。ただオークと組んでいる以上、無闇に向かう訳には行かず、考えていると革命神からソルジャーに会って手伝って貰えって言って」

 

「そういう事か…。分かった、その依頼を引き受けよう…報酬の方は───」

 

そうソルジャーが報酬の事を問うと、それをクレアが止める。

 

「報酬はもう考えてます。心配しないでください」

 

「そ、そうか…。じゃあ出発は明日だ、場所は分かるな?」

 

「はい、場所はこの地図に載ってます」

 

マインが渡された地図を見て、ソルジャーは頷く。

 

「よし、それじゃあ準備をする。皆もいいな?」

 

「はい!」

 

「良いわよ」

 

「決まりですね」

 

「全く」

 

「小鬼共があの豚と何しでかすか、楽しみだわい」

 

「これも高みの竜の為、いつでも」

 

皆の問いにソルジャーは頷き、クレアとマインは思わずハイタッチをして、喜ぶのであった。

 

そして翌日、オークとゴブリン達、そしてダークネスサイドのカイザーを倒しに行くため、地図の場所へと向かうのであった。

 

 




アンケートありがとうございます。

結構リボルバー系が多かったですが、リボルバーはトーラスレイジングブルの44マグナムにしますね?


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第45話 旅の道中に…

この作品を一年近く放置して申し訳ありませんでした。

更新です。


クレアとマインの依頼によって共に旅に出ることになったソルジャー達、しかし旅の中では当然魔物に襲われることもある為、道中はぐれゴブリンの少数がソルジャーに襲いかかってきた。

 

それをソルジャー達は迎え撃つ。

 

「ゴブリン二匹がそっち行ったぞ!」

 

ソルジャーがソウルブレードで斬りつけながら、女神官達に言い、女神官は後方に下がりながら石の投擲で攻撃し、一匹のゴブリンを怯ませ、女武闘家がゴブリンの頭部にかかと落としを食らわせる絶命させる。

 

妖精弓手が弓でもう一匹のゴブリンの足を狙い、矢を放ち、ゴブリンはそれに体制を崩し、蜥蜴僧侶が止めにゴブリンの首を斬り殺す。

 

そして残り三匹となったゴブリンは怯えてその場から逃げようとする。

だがそれをソルジャーを始め、クレアとマインが銃と取り出して、ベレッタM84FSとワルサーPPKを取り出し、ソルジャーがホルスターから新たな銃を取り出して向けて、

 

ゴブリン三匹に向けて撃つ。

 

 

ドバン!!!

 

 

頭を撃たれたゴブリン三匹はその場に倒れこみ、ソルジャー達は銃をホルスターに収める。

 

鉱人道士と女魔術師はその様子を見て、倒されたゴブリン達に歩み寄る。

 

「やれやれ、行き先でゴブリンと会うとはのぅ」

 

「向かう先にもゴブリンがいるのに、また疲れそうね」

 

「まあそう言うんじゃないって」

 

ソルジャーは女魔術師に言い、女神官達が戻ってくると、女神官がソルジャーの持っている銃を見て問う。

 

「ソルジャーさん、新しいのにしたのですか?」

 

「ん?ああ、これか? そうだ、HK45から新しいのにした」

 

ソルジャーは左右のホルスターから取り出した銃を見せると、クレアとマインが思わず目を光らせる。

 

「あー!それって『STI2011』のカスタムモデルじゃあ!!」

 

「それに左のは『トーラス・レイジングブル』では!!」

 

「ああそうだ、このトーラスは44マグナムに使用したものにしてある、そしてこのSTIはすべてのパーツをカスタムしたものだ、9㎜口径で装弾数は23発も入るから」

 

三人の会話に全く付いていけない女神官達、妖精弓手は頭を抱えながら言う。

 

「ああ~もう!!どうにかならないの!それ!?」

 

「無理よ、諦めなさい」

 

っと妖精弓手に言う女魔術師、それに愕然とする妖精弓手。

 

そんな中でクレアとマインがソルジャーの銃を見ていると、ソルジャーが二人の銃を見ながら言う。

 

「お前たちもその銃じゃあ今後の戦いにも結構きついぞ。新しく変えた方がいい」

 

「え?でも私たちの腕前じゃ45口径は…」

 

「なにもパワー系の銃を選ばなくてもいい、それに9㎜口径の銃でも慣れれば何の問題もない。お前たちなら『グロック19』や『ワルサーP99』でも大丈夫だ」

 

クレアとマインはその言葉を聞いて、頷きマルチツールタブレットを取り出して、今持っているベレッタM84FSとワルサーPPKをしまい、グロック19とワルサーP99を出して、ホルスターに収める。

 

その様子には妖精弓手はもう何も言う事はなかった。

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そして別の場所、ダークネスサイドのカイザーは遺跡の近くに陣地を置き、オーク達とゴブリン達に命令を放っていた。

 

「お前たち、この遺跡を調べろ、そして太古の技術が眠っているなら報告しろ」

 

カイザーの命令に従い、オーク達とゴブリン達は遺跡の中を調べに向かった。

 

「ふぅ…「これはこれはカイザー殿。なにやらお疲れのご様子で」…その声は」

 

カイザーは後ろを向くと、地面に魔法陣が現れ、そこから初老の男性が姿を見せる。

 

「お前か…『スタン』」

 

カイザーの元に現れた初老の男、スタンは右手に杖を持ちながらカイザーに頭を下げる。

 

「お久しゅうございます。あなた様がこのような場所におられると我が娘、フローラからお聞きしました」

 

「フローラか…、あいつは今ジャレットと共に別の場所へと向かっている筈じゃ?」

 

以前聞いた話では、カイザーが現場に向かう際に部下からジャレットとフローラは珍しくある場所へと向かっていると聞いた。

それはどこへ向かったかカイザーも知らない。

 

「ふふふ…それはさておき、カイザー殿。あなた様はここで何をされておるので?」

 

「俺は他の奴らとは違って、この世界の文明、遺物、太古の技術を調べ、それを俺達の技術を使ってより強力な兵器を開発する」

 

「フホホ…なんとなんと…、カイザー殿は相変わらず恐ろしい事を考えますな~。まあそう言う事にしておきましょう」

 

「フン、それで貴様は何しに来た?」

 

カイザーはスタンにここに来た理由を問い、それにスタンは答える。

 

「ホホホ、いえいえ、別に大した用はございません。ただカイザー様がここで何をしているか気になったのです」

 

「貴様、それでもダークネスサイドの影の副将軍か?」

 

「そんな事を言わないでくださいな。わたくしとて見回るのも一つの仕事なんですから。では…」

 

そう言ってスタンは杖を使って魔法陣を表せ、転送魔法でどこかへと消えていった。

 

「フン、相変わらず考えが分からん初老だ」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

そしてまた別の場所、ソルジャー達は日が暮れてきたのを見て、一時野宿することにした。

 

「さて、テントを張るか」

 

「ならこっちは食事の準備をします」

 

「それなら私たちも手伝うわ、私たちこれでも料理が得意なんだよ?」

 

「そう、港の町で結構料理してたから、美味しい料理たくさん作れるわ」

 

っとクレアとマインがそう言いながら服の袖を捲り、それに釣られるように妖精弓手が前に来る。

 

「よ~し!なら私も一緒にやるわ」

 

「あ…あなたはいいかも」

 

「う、うん…。なんか…ね」

 

妖精弓手が手伝いと言い出した途端、クレアとマインが気まずそうな表情をしながら言う。

 

「はぁ!!?なんで!!? それならオルクボルクが定番でしょ!!?」

 

「なんで俺何でよ!?」

 

その事にソルジャーは思わず反論の言葉が出て、それに鉱人道士と蜥蜴僧侶はため息を吐くのであった。

 

なんやかんやで女神官達とクレアとマインが作った料理が出来て、ソルジャー達はそれを食べると驚く程に美味しかった。

 

「うん!美味い! 君たちの料理もいい感じじゃないか!」

 

「そうでしょう! この味は結構港の街の人達にも好評なんですよ!」

 

そんな感じでソルジャー達が楽しく食事をしていると…。

 

 

 

………プルルルルルルルルルルルル!

 

 

 

っとある方向から謎のエンジン音が聞こえ、それに女神官達は振り向く。

 

「あれ?この音は?」

 

「何…?」

 

その音にソルジャーとクレアとマインが聞き覚えのある音であったため、思わず振り向く。

 

「あれって…」

 

「ああ、間違いない。『ヘリ』のローター音だ」

 

「でもどうして?」

 

「ヘリ…?」

 

聞いたことない言葉に頭を傾げる女神官達、するとある方向の空から一機のヘリ『UH-1 イロコイ』が飛んでくる。

しかもそのイロコイは武装しており、左右にガトリング砲とミサイルランチャーを装備しており、完全武装のイロコイであった。

 

女神官達は突然のヘリの登場に驚きを隠せず。ソルジャーとクレアとマインは立ち上がって見上げる。

 

そしてそのイロコイはゆっくりと降りてきて、地面に着地すると、イロコイから二人の男性が下りてきた。

 

「おーいソルジャー。まだ俺達の食事の分は残ってるか?」

 

「残ってたら貰えるか~?」

 

イロコイから降りてきたのはジャベリンとブレイドであった、それにソルジャーは思わず、二人の方を見る。

 

「ジャベリン、ブレイド。どうしてお前らが?」

 

「冒険の誘いに辺境の街に寄ってみたら、ソルジャー達は既に冒険に出かけたって聞いてな、俺達もその冒険に付き合おうっと思ってきたんだ」

 

「それに向かう先にダークネスサイドがいるって言うじゃねぇか。なら俺達が参加しなきゃ意味ねえだろう」

 

っとジャベリンとブレイドはそう言いと、ソルジャーは思わず笑みを浮かばせながら言う。

 

「へっ!そうだな…お前らの力も必要になるな。よし!頼んだぜ!」

 

そう言って、ソルジャーは拳を出して、それにジャベリンとブレイドも拳をぶつけ合う。

その様子にクレアとマインがやって来て、ジャベリンとブレイドを見る。

 

「あの…初めまして、クレアです」

 

「マインです。私たちは…」

 

「ああ~大丈夫だ、君たちの事はある程度は知っている」

 

「おう、同じ転生者同士、仲良くしようぜ!」

 

「「はい!!」」

 

っとそう言ってソルジャー達に合流したジャベリンとブレイド、その後ジャベリンとブレイドは残っている料理を食べて、明日に備えるのであった。

 

 




STI2011のカスタムはあのJ○3のカスタム版です


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第46話 遺跡での戦い 前編

皆様。大変申し訳ございませんでした。

またしても一年間ほったらかしにしてしまい、申し訳ございません。

異世界から来るソルジャーの最新話を投稿します。

そして少し文のやり方を変えました。
どうか見て行って下さい。


 俺達は昨夜ジャベリンとブレイドを迎え、カイザー討伐に向けて遺跡へと向かっていた。

当然俺達は朝食を食べて出発し、遺跡の道中を目指す。

 

その際に女神官ジャベリンとブレイドの武器を見て気付いた。

 

「あの、お二人の銃がまた違いますね?」

 

「ん?ああこれか。これはリボルバーからちょっとオートマチックに変えて見たんだよ。手になじむ様にな」

 

「おうよ」

 

 ジャベリンとブレイドが俺達に銃を見せる。

2人の銃、最初にジャベリンの銃はベレッタ92Fを対テロ様にして3点バースト機構を装備した『M93R』だ。

 

しかもカスタマイズされていて、グリップはフィンガー式になっていて、先のバレルが延長され大型のマズルブレーキが装備している。

 

そしてブレイドの銃は2連式ショットガンだ、木製が一部使われる部分がラバー製に変えられている。

グリップも滑らない様ステッピングが施されている。

 

なる程な…俺のSTIやトーラスレイジングもカスタムしているから、似たような感じだ。

 

「良い感じの銃じゃないか。これなら問題なくやれそうじゃないか?」

 

「ああ、だがブレイドの方はリロードに注意が必要だ。2発しか撃てないから、注意する必要がある」

 

「心配ねえって、俺はバンバン撃ちまくる奴だと思うか?」

 

「「思う」」

 

「「「思いますね/思うわよ」」」

 

「アンタの事だからね」

 

「そうじゃのう」

 

「左様でございますな」

 

「おい!!!」

 

全員の言う言葉にブレイドは涙目で猛抗議した、いや、抗議した所で意味がない。

ブレイドの行動は脳筋そのものだからな。

 

クレアとマインは苦笑いしながら見ている。

 

まあそんな事を言っている間に、俺達は目的へと向かうのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 目的地へと到着した俺達は丘の上に登って辺りを双眼鏡で偵察した。

 

辺りはゴブリンとオークが大勢いて、遺跡の周りを巡回するかの様に見張っている。

かなり警戒いているな…。

 

「かなり多いな、これは確実にダークネスサイドが居るって事に間違いはない」

 

「ああ、しかもあれはただの遺跡じゃない。あの遺跡は古代文明のアイテムが残されていると聞かされた遺跡だ」

 

ジャベリンの言葉に俺達は思わず耳を向く。

 

そいつは初耳だな…。

 

「そうなのか?」

 

「ああ、もしダークネスサイドが古代文明のアイテムを探しているとしたら、何としても阻止する必要がある」

 

 古代文明のアイテム…、それがダークネスサイドの手に渡ったら大変な事になる。一刻も早く阻止しないと。

その言葉を聞いた俺達は早速行動を開始する。

 

まずはクレアとマインだ。

 

「君達はこの丘から狙撃で援護射撃を頼む。ここなら見晴らしもいいし、狙撃にはうってつけだ」

 

「分かりました」

 

「早速準備します」

 

 そう言ってクレアとマインはマルチツールタブレットを取り出し、武器画面で狙撃銃を選択し、取り出す。

彼女達が取り出したのは、7.62㎜弾を使用する事が出来る狙撃銃【Mk13 スナイパーライフル】だ。

 

クレアとマインはそれを2丁取り出し、7.62㎜弾を大量に出して、Mk13に弾を装填していく。

 

俺達もマルチツールタブレットを取り出して、今回はSMGを選択した。

 

勿論使うのはMP7、こっちの方が使いやすい。

だがジャベリンとブレイドはP90とUMP45を取り出す。

 

どうやら2人はこっちの方が彼らは使いやすいのだ。まあ良いけどね。

 

弾をマガジンに詰めて、大量のマガジンをどうするかと言うと。

 

「これを私達が持つのですね?」

 

「ああそうだ、すまないな今回は各自俺達のサポートに回ってもらう」

 

「仕方ないですね、オーク相手じゃちょっと分が悪いですし」

 

「まあいいわ、ファイヤーボールじゃオークは効かないし、精々ゴブリンだけだしね」

 

 今回女神官達は裏方に回ってもらう。

本当ならゴブリンを相手にして貰いたい所なんだが、ゴブリンとオークが共に行動を共にしているから、倒すのが厄介なんだ。

 

だから今回は申し訳ないが、彼女達には俺達1人だけパートナーとしての裏方に回る事となる。

 

まあその方が大量のマガジンを持ってもらうのにちょうどいい。

 

俺に着いてくるのは女神官、ジャベリンには女武闘家、ブレイドには女魔術師が付いて回る。

 

そして準備が出来た所で、俺は皆に向いて言う。

 

「それじゃあ始めよう、ゴブリンとオークを討伐し、ダークネスサイドを討つ」

 

それに皆は頷いて、クレアとマインはMk13を構えて、援護射撃するため狙撃体制に入り、俺達は遺跡へと向かうのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして同時刻、遺跡内部ではガイザーがゴブリンとオーク達を引き連れ、内部を捜索していた。

 

「フッ、これだけ探してもまだ見つからないのか?」

 

カイザーの言葉にゴブリンが必死に言い訳を探す為、抗議するもカイザーは腕を振るってゴブリンを殴り飛ばす。

それに唾を吐く。

 

「ペッ! 使えない奴らだ。まだ下の階層を見ていないだろう? もっとくまなく探させ!」

 

カイザーがそうゴブリン達に命令した時、上から地響きがして、それにカイザーが見上げる。

 

「ん?何だ…」

 

「ゴフッ!!ゴフゴフッ!!」

 

オークの一体が慌てながらカイザーに報告をし始める。

どうやら地上で冒険者たちがやって来て、上のゴブリンやオーク達を潰しに来たようだ。

 

それを聞いたカイザーは笑みを浮かばせる。

 

「ほう…それは面白い、退屈しのぎのついでにイラつきをぶっ飛ばす良いチャンスだ」

 

カイザーは腰にある鞭と、回転式拳銃を持って地上へと向かった。

 

「何処の誰か知らないが、この俺の怒りをぶつけさせて貰うぞ」

 

 

 



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第47話 遺跡での戦い 中編

 遺跡に到着し、武装を整え、奇襲を仕掛けた俺達はゴブリンやオークに向かい、SMGや弓の矢を放ち、バラバラになって対処する。

 

妖精弓手は高台に登って、ゴブリンやオークに攻撃されない様に動きながら隠れ、弓を使って矢を放ち、ゴブリンの倒す同時にオークを足止めをする。

同時に鉱人道士と蜥蜴僧侶が2人がかりでオークを倒していき、倒したオークを見届ける妖精弓手は俺達を見る。

 

俺は女神官を連れてMP7を使い、ゴブリンやオークの身体に風穴を開けて行く。

 

だがオークだけはひるまず俺達の元に向かって行く。

 

それは分かっていた、身体の大きいオークなら4.6㎜弾の弾も平気だと。

 

オークはどデカい棍棒を振り上げると同時に、俺はトーラスレイジングブルの44マグナム弾でオークの額に撃ちこみ、それにオークは頭に風穴を開けられ、倒れる

 

ジャベリンもP90で風穴を開けた後、カタールランサーを使って、オークの胴体を真っ二つにしていく。

同時にM93Rで仕留め損ねたゴブリンの頭を撃ちぬいて行く。

 

ブレイドの方はUMP45でゴブリンやオークを撃ち、その際にオークの頭に2連式ショットガンを使って撃つ。

 

その際にオークの頭はピンク色の霧となる。

 

「おっしゃああ!!どうだこのショットガンの威力をよう!!」

 

「ボケっとしてると、やられるわよ」

 

 っと女魔術師が雄叫びを挙げているブレイドに言う。

その通り、すでに次のゴブリンやオークが間地かに迫っていた。

 

だがそれをあの2人が許さない。

 

ゴブリンやオークの頭を誰かが狙撃し、ゴブリンとオークが倒れる。

 

丘の上のクレアとマインがMk13で狙撃し、俺達の援護射撃をしてくれている。

 

俺は知らなかったが、この時クレアがこう言った。

 

「ブレイドさん。なんだか気が抜けてる所があるね」

 

「それ、本人の前で言わない方が良いよ?」

 

「分かってるわよ」

 

クレアはそう言って女神官達を狙っているゴブリンとオークの頭に狙いを定め、狙撃を繰り返す。

 

そんな中で俺は弾が切れたマガジンを交換し、女神官の方を向いて手を伸ばす。

 

「マガジンを!」

 

「はい!!」

 

女神官はすぐ新しいマガジンを渡して、MP7のマガジンを装填し構えて撃つ。

 

それと同じようにジャベリンとブレイドもマガジンを交換して、次々とゴブリンとオークを倒していく。

 

妖精弓手はそれを見て、少しため息をする。

 

「はぁ~…、なんだかいつもの展開と一緒ね。これじゃあ今回の依頼は楽ね」

 

っとそう呟きながら妖精弓手は矢を放って、ゴブリンの頭部を貫くのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 数分後、ゴブリンとオークは俺達の手で全滅し、辺り一帯掃討した。

丘の上に居るクレアとマインにはそこに居て貰い、俺達は一度集まり、この後の事を話す。

 

「遺跡の中に入って、ダークネスサイドを見つけよう」

 

「奴はこの遺跡の中だ、必ず古代文明のアイテムを手にしてるに違いない」

 

「おうし!それじゃあ行こうぜ!「その必要はない」はっ?」

 

 ブレイドが言った直後に後ろを振り向くと、刃が付いた鞭が飛んできて、ブレイドはそれをゴルドバスターソードで防御する。

一旦後ろに下がったブレイド、俺達は飛んできた鞭の方向を見ると、そこには入り口から1人の男が出て来て、同時に残っていたゴブリンとオークも出てくる。

 

俺はその男を見て確信する、こいつがダークネスサイドだと。

 

「お前がジャレッドの仲間のダークネスサイドか!」

 

「いかにも、俺の名はカイザー。貴様か…ジャレッドを狂暴化させた元凶は」

 

「何?あいつが狂暴化?」

 

ダークネスサイド…カイザーの言葉を聞いた俺は首を傾げた。

あの分からなかったジャレットが狂暴化したなんて…想像もつかない。この俺が原因だとしたら返って好都合だ。

 

「ほう…それは面白いな。あのジャレットが怒りまくっている状態なら、返って倒しやすいって奴だ」

 

「調子に乗るな。あの男はもうお前が知っているジャレットじゃない、あいつは日々進化してる…」

 

「何だって?どう言う事だ!」

 

「それはこれから死ぬお前たちには関係のない事。ではいくぞ!!」

 

カイザーはそう言って鞭を俺達の向け、攻撃を仕掛けて来た。

 

「避けろ!!」

 

俺の掛け声に皆が一斉に飛んで避ける、カイザーが放った鞭が地面に直撃すると爆発し、大きな穴が出来て、陥没状態になった。

その様子を妖精弓手は驚きを隠せない。

 

「何よあれ!? 普通鞭ってあんな風にならないでしょう!?」

 

それは俺もその通りだと思う、本来鞭はそんなに威力は高くないし、爆発能力もない…となるとあれは。

 

「その鞭…お前の作った武器の能力か!」

 

「その通りだ。これは我らダークネスサイドが作った未来武器の一つだ、対象者や地面や物体に直撃すると爆発する仕掛けになっている。

一度きりではなく何度でも使えるものだ…、さあこいつの獲物から逃れる事が出来るか!!?」

 

カイザーはそう言い残すと同時に鞭を振って来て、俺達に攻撃を再開する。

 

鞭の攻撃をかわしながら俺達はMP7やP90、UMP45を使って攻撃するが、カイザーはそれを鞭を回して防御するかのように弾き落としていく。

当然丘の上にいるクレアとマインもMk13で狙撃するが、それを弾き落としていく。

 

その防御に俺達はやや唖然とする。

 

「おいおい…あんな防御の仕方があるのか?」

 

「あいつめ…これはちょっと厄介だぞ」

 

「銃がダメなら、武器でやるしかねえな!!」

 

ブレイドがそう言ってUMP45を女魔術師に渡して、ゴルドバスターソードを抜く。

 

その様子に俺もジャベリンもMP7とP90を女神官と女武闘家に渡し、ソウルブレードとカタールランサーを抜いて、3人同時に構える。

 

カイザーはそれを見て、笑みを浮かばせる。

 

「フフフ…来い!この『ギャレウスウィップ』で切り刻んでくれる!! お前たちもやれ!ドワーフやリザードマンを倒し、女やハイエルフは好きにしろ!」

 

その言葉にゴブリンとオークは雄叫びをあげながら突進し、それに俺達はすぐさま女神官達に叫ぶ。

 

「来るぞ! その武器でゴブリンを倒せ!」

 

「使い方は知ってるだろう!!」

 

「頼んだぜ!!おらああああああ!!!」

 

ブレイドはゴルドバスターソードを豪快に振り切って切り込み、ゴブリンとオークを倒す。

 

ジャベリンもカタールランサーを華麗に振り回して、オークを切り込んでいく。

 

俺もソウルブレードをゴブリンやオークに向けて斬りつけ、ゴブリンは軽々と斬られていき、オークが手足を斬られた後、首を斬る。

 

女神官達は俺達の銃を使ってゴブリンとオークを撃ち、最初は少し戸惑ってばらつきがあったが、俺達の動きを見ていた為か、すぐに慣れてくる。

妖精弓手も女神官達のアシストに回っていき、ゴブリンの頭を狙う。

 

鉱人道士と蜥蜴僧侶はゴブリンを鉱人道士が、オークは蜥蜴僧侶が担当して、ゴブリン達を蹴散らしていく。

 

ゴブリン達を少し倒した後、俺達はカイザーと向き合い、奴に向かって走り出して行く。

 

ダークネスサイドを倒す為に。

 

 



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第48話 遺跡での戦い 後編

女神官達はソルジャー達から渡された武器を使って、迫りくるゴブリンを撃ち、それに倒れて行くゴブリン。

妖精弓手も同じように矢を放ち、ゴブリン達を1人1人倒していく。

 

鉱人道士も蜥蜴僧侶もゴブリンだけじゃなくオークも倒してくれてる為、他の物たちの援護には向かえない。

だが数は減らず、徐々に迫ってくる。

 

リロードはソルジャー達のを見て覚えた女神官と女魔術師はすぐさま装填をし、ゴブリンを撃ち殺していく。

一方女武闘家の方はリロードが難しいP90である為、弾切れが起きた際に格闘で蹴り倒していき、リロードを済ませる。

 

「よし!」

 

「でも一行に減らないですね」

 

「でもこっちの方が良いかもしれない。下手に魔法使って回数を減らすよりは良いわ」

 

女魔術師はそう言ってUMP45の弾をリロードし、ゴブリンに向けて撃ち続ける。

女神官もゴブリンに向けてMP7を撃ち続けた後、ソルジャー達の方を見る。

 

「ソルジャーさん…頑張ってください」

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

そして俺達の戦いはと言うと、一方的にカイザーの方が上回っていた。

 

カイザーのギャレウスウィップは彼らが思っていた想像以上の切れ味と鞭の正確さで、俺達は苦戦を強いられた。

それ所かカイザーに近づく事すら出来なかった。

 

俺のSTIやジャベリンのM93Rで攻撃しても、カイザーはギャレウスウィップを風を舞うように回しながら防御し、更にお返しに腰のホルスターから『SIG P226』を取り出して俺達に向かって撃つ。

その銃撃をすぐに回避して物陰に隠れる。

 

「クソッ、あの鞭のせいで近づく事も出来ない」

 

「おまけに銃で遠距離攻撃をするから何もできない」

 

「こっちが撃ってもあの鞭で落とされるし、どうすんだよ!」

 

それに俺は考える。

あの鞭はこの世界の古代文明のアイテムじゃない、絶対に未来兵器の一つだ。

 

そうでなきゃあの鞭に銃弾を弾き落とすのは不可能。

 

だとしたら未来兵器の一種だと考えるのが妥当だ。

 

「あいつはジャレットより厄介化も知れないな。ならこっちも未来兵器を使うとするか」

 

俺はそう言ってマルチツールタブレットをだして、ある物を取り出した。

 

それはボールの様なもので、俺がボタンを押すと同時に浮き上がり、カイザーの元に飛んでいく。

カイザーが気づいて、そいつを撃ち落とそうとしたが、ボールからレーザーが放たれた。

 

「っ!」

 

カイザーはそれをすぐによけるも、無数のレーザーがカイザーに向けて撃ち続ける、避けきれないと踏んだカイザーはギャレウスウィップで防御する。

だがギャレウスウィップがレーザーによって切られてしまい、それに驚くカイザー。

 

「クッ!」

 

すぐに物陰に隠れ、ウィップの柄を外し、別のウィップを取り付けていた。

 

「チッ!あれは…」

 

「その通り。それは未来兵器の一つ『フロートガンナー』だ。対象物を完全に消し去るまで攻撃をやめる事はないレーザー兵器だ。これでお前の武器を消し去ってやる!」

 

「フン!それがどうしたって言うんだ!!」

 

そう言ってカイザーはP226をフロートガンナーに向けて撃つ、だがフロートガンナーはそれを諸共せず、逆に撃ち返して来て、それにカイザーはすぐに物陰に隠れる。

 

「クッ!超合金装甲か…!」

 

カイザーがフロートガンナーの装甲を見てそう呟いたのが聞こえた。

そう…フロートガンナーの装甲は通常の装甲よりも固く、それに超軽量の装甲版を使用している特殊超合金。

 

それはライフル弾でも貫通出来ない金属だ。

 

予想外のレーザーにあいつも対象しきれない筈だ。それを狙って行く。

 

「クソッ!」

 

カイザーはすぐにその場を離れ、俺達に銃で攻撃を仕掛ける。

 

俺達もそれを回避しながら俺達も銃で応戦する。

銃で足止めを喰らったカイザーは足を止め、俺達はソウルブレードやカタールランサーとゴルドバスターソードを抜いて、斬りかかる。

 

当然カイザーは俺達が来るのを見て、ギャレウスウィップで振りかぶる。

 

それを横にかわし、ブレイドがゴルドバスターソードを豪快に振りかぶる。

 

カイザーはブレイドのゴルドバスターソードを回避し、更にゴルドバスターソードの上に飛び乗って、更に飛んで別の場所に着地する。

だがそこにジャベリンがカタールランサーの鋭い連続の突きを放つ。

 

勿論カイザーはそれを左右かわすかのように避け、ギャレウスウィップをジャベリンに向けて振る。

 

迫るギャレウスウィップをジャベリンは飛んで回避し、カイザーの背後を俺が取り。

ソウルブレードで斬りかかる。

 

だがカイザーがそれをギャレウスウィップで振り、その先端の刃が俺のソウルブレードを切り裂いてしまったのだ。

 

「チッ!」

 

それに俺は舌打ちをし、ソウルブレードを捨て、ビームセイバーを取り出す。

青く輝く刃が伸び、そのビームセイバーを俺はカイザーに切りかかり、それにカイザーは飛んで回避する。

 

カイザーは大きな大樹の枝の上に乗り、辺りを見渡す。

 

もう辺りのゴブリンとオークが倒されており、女神官達が俺達の元に集まってくる。

更に丘で狙撃しているクレアとマインが手にSMGを持ってやって来た。

 

その様子を見たカイザーは。

 

「フッ、潮時か…今日は此処までの様だな」

 

そう言ってカイザーはテレポートの様な光で、その場を去って行った。

 

俺達はそれを見たと、武器をしまう。

 

「…逃げたか」

 

「結局、あいつは仕留められなかったか」

 

「ダークネスサイド、簡単には終わらないな」

 

っと俺達がそう言っている中、女神官が俺のソウルブレードが切り裂かれている事に気付く。

 

「ソルジャーさん!剣が!!」

 

「あぁ、どうやらあいつの武器にやられた様だ。ここまでよく頑張ってくれたよ。本当に」

 

そう俺は折れたソウルブレードを手にし、戻ってくるクレアとマインを見るのだった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

数日後、辺境の街に戻って来た俺達は受付嬢に今回の報告をした。

 

今回オークを討伐する事だった為、依頼内容の事は問題なかった。その為報酬はクレアとマインに渡す事になる。

とは言う物の、報酬は一体どんなものかは俺はまだ知らない。

 

「所で、依頼の報酬はどうするんだ?」

 

「その事ですが、報酬は良いです」

 

「え? 要らないんですか?」

 

女神官がその事を問い、クレアが頷きながら俺の方を見る。

 

「今回は私達のお願いを聞いてくれた事は感謝してます」

 

「それに今回は依頼とは別の事も確認出来ましたし」

 

「確認?それは何だ」

 

ジャベリンがその事をクレアとマインに問う、当然俺達もその事は聞きたい。

クレア達がオークの討伐依頼だけじゃないとしたら、一体何が目的なのかを知って置きたいからな。

 

「それは…この街への拠点移動です!」

 

『『『『ええっ!?』』』』

 

その言葉を聞いた俺達は思わず声が出てしまう、クレアとマインはまさかの移動場所がこの辺境の街だったのだ。

俺達はそれをクレアとマインに聞く。

 

「どうしてこの街に? 海岸の街はどうするんだ?」

 

「実はあの街にはあまり冒険者の人気が無くて…」

 

「それにあそこでは女性の冒険者にセクハラする人が沢山居るんですよ、それが嫌で私達はこの街に移転する事をさっき決めたんです」

 

「そ、そうなのか?」

 

「意外と苦労してるんですね」

 

ジャベリンと女武闘家がその事を聞いて呟く。

それについては俺も同感だ、まさか海岸の街はそんなに治安が悪いとは思わなかった。

 

普通ならセクハラはこの世界では日常茶飯事だ、そんな事で嫌がっていたら生きていく事は出来ない。

 

まあ彼女達は転生者だから、それは無理ってもんか。

 

クレアとマインがこの街で拠点移動するなら、俺達は文句を言う事はない。

これからが楽しみだな。

 

そう思いながら俺はジャベリンとブレイドを連れて牧場に戻って行くのであった。

 

 




次回は久々の大人の階段ですwww


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