転生者は超次元サッカーを楽しみたい (何処でも行方不明)
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第一話 国立(コクリツ)じゃない国立(クニタチ)

Stand Up Stand Up
立ちあがリーヨ
イナズマチャレンジャー

雷門中に入学してないけどな!


おはようございます。

どうも。

このお話の一人称視点の主であり主人公である

タトバ……じゃなかった。

的場英治だ。

少し自己紹介でもしよう。

的場英治は転生者だ。

まあ、ありがちだよな。

転生特典?ンなもんねーよ。

この作品の作者は転生特典否定派らしいんでな。

記憶があるだけ儲けものだ。

謎電波を受信したがまあいい。

俺は主人公になりたい。

けど、転生したのはイナズマイレブンの世界。

本来の主人公は円堂守。

主人公したければ物語の中心である雷門中に入るのが近道だ。

だがしかし!

そんなのは楽しくない。

俺は俺の仲間を探してそいつらと楽しく人生を過ごしたい。

というわけで、全然違う学校に入ることにした。

その名も

私立国立(くにたち)学園中等部!

私立なのに国立だって?

バッキャロー。これは《くにたち》って読むんだ。

いや、俺もどうかとは思うが。

そんなわけで超次元サッカーを楽しみたい俺は国立学園に入学したわけだ。

さあ、お決まりのセリフを言うか!

 

サッカーやろうぜ!

 

※※※

 

春の穏やかな陽気の中に、朝からサッカーボールを蹴っている少年がいた。

少年の名前は的場(マトバ)英治(エイジ)

この物語の主人公。

 

「よっ!ほっ!」

 

河川敷でコーンを並べ次々にドリブルで突破していく。

 

「いくぜぇぇ!」

 

英治は常設ゴールに向かってボールを蹴る。

ボールが入ったのを見届けると手に持っていたストップウォッチを止めた。

 

「2秒も縮まった!よし!やればやるほど強くなっているのがわかるぞ!」

 

「はいはい。エイジ、そろそろ学校だろ?」

 

英治にそう声をかけたのは英治の幼馴染の一人、古田(フルタ)(アツシ)

 

「アツシは朝練しないのか?」

 

「入学式前に汗くさくなりたくない」

 

「俺は気にしないぞ!」

 

「エイジが気にしなくてもメグが気にするよね?」

 

そんなことをいいながらサッカーボールとコーンを回収しカバンにしまう英治。

テキパキと後片付けをこなす。

 

「それにしても、アツシとメグが国立に入学するなんてな〜……雷門中に行くんじゃなかったのか?」

 

「いや……だって、エイジが雷門中をチェックしてたから僕とメグは雷門中を受けたようとしたのに……」

 

「ははーん?俺が国立にしたから、お前らも変えたのか?」

 

「まあね。幼稚園の時に約束したろ?

 

「3人でフットボールフロンティアに出て優勝する」

 

覚えてるじゃないか」

 

「忘れるかよ、そんな大事な約束」

 

二人はそう言いながら国立学園の校門に向かう。

 

「あ、二人ともやっときた……遅いよ!」

 

校門の前には二人を待っていた少女がいた。

少女の名前は絢瀬(アヤセ)(メグル)

英治、淳の幼馴染であり、先程からふたりが「メグ」と呼んでいる存在だ。

 

「遅れたのはエイジが河川敷で朝練してたからだ。サッカー部に入る前にな」

 

「悪い悪い。お詫びとして今度なにか奢るよ」

 

そういう二人に環はいつもの事のように溜息をついた。

 

「はいはい、私がエージに奢らしたことないでしょ?その代わりに今度私の必殺技の練習台になってね」

 

「へーへー。じゃ、教室に行きますか!」

 

「メグ、僕達のクラスはどこかわかる?」

 

「私たち3人ともC組だよ」

 

「C……定教室どこだ?」

 

「31番教室だよ」

 

「おし!じゃあいくか!」

 

英治は校門をくぐり足早に教室に向かう。

 

「全く……エイジは変わらないね……」

 

「それがエージのいい所だからね。アツシ、私達も行こう?」

 

「ああ」

 

そんな英治の後ろ姿を二人は追いかけた。




活動報告でキャラ募集中です。


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第二話 国立学園中等部サッカー部

募集したキャラ出してます。
が、一部改変してます。


「入学式ってやっぱり暇だったな」

 

「だからと言って寝るのはどうかと思う」

 

「新入生代表の話だけ聞いたぞ。なんせメグが担当してたからな」

 

「そういう話じゃないでしょ……」

 

英治たち3人は入学式とホームルームが終わり、校内を散策していた。

散策と言ってもサッカー部部室までの道のりを遠回りしてるだけだが。

 

「そういや、俺たち以外も入部希望者いるのかな?」

 

「んー……どうだろ?」

 

3人はそう言いながら廊下を真新しい靴でカツカツ音を立て歩く。

 

「いたとしたら僕らと同級生だよね」

 

「いや、2年で部活を変える先輩とかいるかもしれねぇぞ?」

 

「んー…そんな人いるのかな?」

 

「いると思う。一年続けて合わなくなって部活変える人とかね。……例えば僕の兄貴とか」

 

「だったな。綾斗さん普通に部活変えてたな」

 

そこでようやくサッカー部部室に3人がついた。

 

「……なんか緊張してきた」

 

「エージが緊張なんて……明日は槍が降るね」

 

「メグの中でエイジはどんな人なんだよ……」

 

そんな時だった。

ガラッと扉が開かれ……

 

「じゃあ門の前で勧誘してきます!」

 

「藤さんは行かなくていいの?」

 

「キャプテンが一番やる気満々だからね……」

 

そこから一人の上級生が現れた。

 

「はわわ……先輩が先に出てきた」

 

「んー……もしかして入部希望者かな!?」

 

「まあ……そうなんですが……」

 

「よし!ひーふーみー……3人か!」

 

上級生は3人を順に見ると……

 

「ようこそ、サッカー部へ!」

 

満面の笑みでそう言った。

 

※※※

 

「やー、今年は初日から3人!快調だねぇ」

 

部室に訪れてからポカンとしている3人をほおって口早に喋る上級生。

 

「キャプテン、自己紹介はしないの?」

 

キャプテンと呼ばれた上級生とは別の上級生がそう言った。

 

「うん。先に自己紹介は済ました方がいい」

 

先程口を開けた上級生の隣にいる女学生がそう言った。

 

「そうだね……つい、忘れてたよ。俺は神内(ジンナイ)秋峰(アキミネ)。中等部二年で一応サッカー部の部長をやらしてもらってる。ポジションは一応DFだ。次は……うん、白黒がやりなよ」

 

そういうキャプテンもとい神内は別の上級生にそう促した。

 

「了解。僕の名前は白黒(クロシロ)神棋(シンキ)、二年生。クロシロっていうけど漢字ではシロクロって書くんだ。ポジションはMF。よろしくね」

 

「じゃあ、次は私だな」

 

白黒の自己紹介が終わると女生徒が椅子から立ち上がった。

 

「私は副キャプテンの(フジ)優華(ユウカ)。ポジションはFWだ。よろしくな!あと、私も二年だ」

 

「あと、今は生徒会の仕事でいないけどあと二人いるんだ。これで現サッカー部側の自己紹介は終わりかな」

 

「……二年生だけなんですか?」

 

「そうだよ。去年は一年と三年しかいなくてね……そのおかげで今は五人だけなんだ。これじゃ練習試合もできない」

 

英治の質問にそう答えた神内。

白黒と藤もうんうんと相槌をうっている。

 

「それじゃ、次は君たちの番だ。じゃあ……茶髪の君から」

 

「茶髪……そうか、俺か」

 

「エージ、地毛が茶髪だからほんとに意識してないよね」

 

「うっせ。一年の的場英治です。ポジションはMF。一応FWもいけます。よろしくお願いします!」

 

「うん、的場くんよろしく。じゃあ次は桜髪の君」

 

「はい。私は絢瀬環です。ポジションとかはまだ決まってませんが、小学生時代はDFをやらしてもらってました。よろしくお願いします」

 

「絢瀬さんだね。よろしく。じゃあ最後、黒髪の君」

 

「古田淳です。小学時代はGKをやらしてもらってました。できればGKを続けたいです。よろしくお願いします」

 

「おお!GK!俺たちの二年でGKいなかったからありがたいね」

 

「そうだね……先輩たちが頭抱えてた要因がひとつ消えて助かった……と言うべきなのかな?」

 

「だねぇ……あ、よろしくね古田くん!」

 

「はい!」

 

自己紹介が各自終わり神内は立ち上がる。

 

「じゃあ、運動場に出ようか。なに、生徒会長が部員だから優先的に運動場の使用権が回ってくるんだ」

 

※※※

 

「いやー……体操服を持ってきておいて正解だったね」

 

「そうだな。まさか、初日でボールを蹴ることになるなんて……」

 

淳と英治はそう言いながら準備運動をしている。

 

「さあ、じゃあちょっと始めようか」

 

ユニフォームに着替え、サッカーボールを英治の方に投げる神内。

 

「ゴールに向かってドリブル、そしてシュートしてみてくれ。必殺技があるなら使ってくれてもいいよ。その代わり邪魔に入る僕らも結構本気でやるから!」

 

「わかりました……じゃあ、胸をお借りするつもりで行きます。行くぞメグ!」

 

「うん!」

 

合図を出しドリブルを始める英治。それと同時に環が動き出す。

 

「へぇー……なかなか早いね」

 

「藤さん余裕だね」

 

「年長者の威厳を一応示さないとな。悪いけどキャプテンの出番はないよ!いくよ、神棋!」

 

「はいはい」

 

英治に向かって進む藤と白黒。

そんな二人に対して英治は……

ニヤリと笑った。

 

「《スカイウォーク》!!」

 

英治は自分の必殺技を叫び、空中を飛び跳ね藤と白黒を突破した。

 

「覚えてるのか……」

 

「将来有望だね」

 

そう言いすぐに後ろを追う白黒。藤はその場に留まっている。

 

「メグ!」

 

「うん!」

 

環にパスを出し、英治はさらに加速する。

 

「やるね、的場くん!」

 

「ありがとうございます!」

 

「でも、これ以上はやらせないよ。《パラライズウェイブ》!」

 

神内は地面を踏み鳴らす。すると、地面を伝い振動が環を襲った。

環はその振動により体が動かなくなる。

 

「絢瀬さんも動きはいいよ」

 

「そうですか……!」

 

環は体を動かそうとするが足が地面から離れない。

神内はそんな環からゆうゆうとボールを奪った。

 

「よし、じゃあ反撃といこうか」

 

神内はそういい、白黒にロングパスを出す。

 

「了解。じゃあ、さっきから張り付いてるけど突破さしてもらうよ的場くん」

 

白黒はジャンプ空中でボールをトラップ。そのまま地面を蹴り駆け出した。

 

「うぉぉぉ!させませんよ!」

 

英治は白黒に追いつくが……

 

「《プレストターン》」

 

いとも容易く白黒は必殺技で英治を突破する。

 

「藤さん!」

 

「任せて!いくよ、古田くん!」

 

「はい!」

 

藤はボールを一度止めゴールを見据えた。

 

「じゃあ、やろうか。《フリーズショット》!」

 

氷の弾丸と化したボールがゴールを襲う。

 

「はぁぁぁ!《バーニングブロウ》!!」

 

古田はボールに対して拳に炎を纏わせ正拳突きのように振り抜く。

炎はゴォォと音を立て距離を伸ばす。

炎はボールに辺り押し止める。

そして……

ついにボールを弾き飛ばした。

 

「簡単には取らせませんよ!」

 

「結構飛ぶね……」

 

弾き飛ばされたボールは白黒の方に飛んでいく。

 

「さて。じゃあ次は僕が……」

 

「させません!」

 

いつの間にかゴール前に戻ってきた環が白黒の前に立ちふさがる。

 

「《乱れ桜吹雪》!」

 

環はクルクルと周り、辺りをどこからか発生した桜の花びらを使った花吹雪で覆う。

 

「みんな覚えているっていうのかい……」

 

プレストターンを使う暇もなく花吹雪で飛ばされた白黒はボールを環に取られてしまう。

 

「そこまで!」

 

そこで校内から男性の声が響いた。

二人の生徒が歩いてこちらに近寄ってくる。

 

「神内……なんでもう運動場使ってるんだよ……」

 

「悪い悪い。書き置きすらなかったか」

 

「全く……私たちの身にもなってもらいたいね。部室にいったら誰もいないんだから」

 

「たっく……」

 

二人は神内に文句を言っている。

 

「……あの二人は誰ですか?」

 

「ん?ああ、腕章をつけてるのが日向(ヒナタ)朱里(アカリ)さん。中等部の生徒会長をやってるんだ。もう片方はマネージャーの高宮(タカミヤ)健介(ケンスケ)くん」

 

環の質問に白黒はそう答えた。

 

「そうだ、見てくれよ!初日から3人も来てくれたんだ!」

 

「へぇ……じゃあ、あと4人か……でも、入学式の後片付けを私たちがしている間に随分お楽しみだったみたいだな、キャプテン?」

 

「あはは……」

 

とにかく、これでサッカー部、部員が全員揃ったことになる。

未だ日向と高宮から文句を言われ両手を上げている神内。

その風景を見て笑っている藤と白黒。

雰囲気はどうも仲良しグループに思えてしまうが……

 

「これで地域予選準優勝だもんな……」

 

恐らく、一人一人の力はもっと高い。




まだ、キャラ募集してますよ。
残り一枠ですけど……


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第三話 同級生

プロトコルオメガに乱入させるかどうか悩んでました。
募集したキャラ出してます。
……色々と改変してますが。


「いやー。初日からいい汗流したな!」

 

昼下がりの頃。3人はサッカー部の面々と別れ帰路についていた。

 

「だね。先輩たちもかなり強いし……エイジ気がついた?」

 

「ああ、高宮先輩って、あの高宮健介だよな!?」

 

「二人とも気がついてたんだ。私も思ったよ。高宮選手って去年の日本代表だよね?」

 

「そういえば、高宮選手って国立学園の生徒だったな」

 

「覚えとけよ!てっきり、高宮選手がいるとふんで受験したものだと思ったよ!」

 

「あはは。悪い悪い。でも、高宮先輩はマネージャーだろ?どんなことしてるんだろうな?」

 

「聞くところによると、特訓メニューとか決めてるみたい。顧問の先生よりサッカーについて詳しいから……」

 

「なるほどな」

 

3人は行きと同じように帰りもワイワイとしている。

と言ってもすぐに寮についてしまうのだが。

 

「女子寮こっちだから」

 

「じゃあなメグ」

 

「また明日……っても晩飯の時に会うかもな」

 

「そうかもね。とりあえず、おやすみ」

 

環は女子寮へ、英治と淳は男子寮に向かう。

3人は親に頼み込んで中高一貫で自宅とは遠い国立学園に進学しているので寮暮しをしている。

と言っても今日がその初日で、本来ならば昼からは各自荷解きをするはずなのだが……

 

「俺たちの荷物って少ないからな……早めに行ってもやることないし」

 

「その通りなんだけどね」

 

「アツシとも同室じゃないし……まあ、ルームメイトと仲良くするとするか」

 

「そうした方が懸命だね。じゃあまた後で」

 

「おう!」

 

そう言って英治と淳はそれぞれの部屋に入っていく。

英治が扉を開けると……

 

「……やっときたか」

 

中学生にしては身長が高めな黒髪の少年がいた。

 

「えっと……はじめまして。だよな?」

 

「ああ。俺は黒羽(クロバ)(タツキ)、a組だ。お前は?」

 

「(いきなりタメ口か…まあ、腹の探り合いとか嫌いだしいいけど)的場英治。俺はc組だ。あとサッカー部だな」

 

「サッカー部……もう部活に入ったのか?」

 

「ああ。やるからには早めの方がいいだろ?」

 

「……早計過ぎやしないか?」

 

黒羽は少し呆れながら部屋の半分を指さした。

 

「お前の机はあっち。二段ベッドなんだが俺の都合で上は既に占拠させてもらった。すまんな」

 

「や、俺が遅れたのが悪いし、それに部活の練習とかで疲れててたら二段目にいくの面倒だから別にいいぜ」

 

「そうか」

 

黒羽はそう言うと自分の椅子にもたれかかった。

 

「さて、荷解きしますか……」

 

英治は三つのダンボールに向かって作業を始めた。

 

数十分後……

 

「サッカーって楽しいのか?」

 

黙々と作業をしている英治に黒羽が問いかけた。

 

「お、興味あるのか?」

 

「それなりにな」

 

英治が黒羽の方を向くと黒羽は椅子の上で胡座をかいて文庫本を読んでいた。

 

「楽しいぞ。俺はMFだから上手くパスが通った時とかボールを上手く守って相手選手を突破する時とかワクワクしたりドキドキしたりする」

 

「そうか……なら、考えてみるか……」

 

黒羽はそれだけいうと扉に向かっていった。

 

「どこに行くんだ?」

 

「……晩御飯だ。そろそろいい時間だぞ的場は食わないのか?」

 

「えっ」

 

英治がバッと部屋にある壁掛け時計の方を見ると……

 

「うげっ、もう6時半か……俺も飯食いに行くとするよ……」

 

荷解きを一時中断して黒羽の後について行った。

 

※※※

 

英治と黒羽は男子寮と女子寮の間にある食堂にやってきた。

食堂は学生寮のエントランスとしても扱われており、そのためなかなかに広い。

 

「あ、エージ」

 

英治は聞きなれた声がしたのでそのほうを振り向いてみた。そこには環と淳がいた。同じテーブルには恐らく二人のクラスメイトであろう茶髪をサイドテールにしてる女子と黒髪ロン毛の男子がいた。

 

「ん?なんだメグか」

 

「なんだとは酷い言い草だね」

 

「これからメグたちも晩飯か?」

 

「うん。食券買いに行く前にアツシとあったから少し与太話してた」

 

「あ、そうだ。この二人……竹中くんと雨崎さんもサッカー部に入るんだって」

 

「ほぇ~…意外と多いもんだな。二人ともはじめまして……だよな。俺は的場英治。そこのアツシとメグとは幼馴染だ。よろしくな」

 

英治が簡単に自己紹介すると雨崎と言われた女子が立ち上がった。

 

「私は雨崎(アメザキ)瑠璃(ルリ)ですわ。以後お見知り置きを。的場くん」

 

「……なんか違和感あるな……英治でいいぜ」

 

「ではそのように。よろしくお願い致しますわ、英治くん」

 

「おう」

 

雨崎が座ると次は黒髪ロン毛の竹中と言われた男子生徒が椅子の背もたれの方に体を動かし英治たちの方に向いた。

 

「俺は竹中(タケナカ)(ジョウ)だ。ま、ほどほどによろしくなエージ」

 

「そんなこと言わずに仲良くやろうぜ?まあ、よろしくな」

 

「それで……君がエイジのルームメイトかい?」

 

「ああ、俺は黒羽樹。よろしく」

 

そこで環がパンと手を叩き提案した。

 

「せっかくだしこの6人で晩御飯食べない?雨崎さんたちもいいかな?」

 

「私は構いませんわ。学友と交友を深めるのは良いことですもの」

 

「俺は構わない。食卓とかは大勢で囲んだ方が楽しいしな」

 

賛同する雨崎と黒羽。あとは竹中だが……

 

「この状況で断る方が無理だろ……いいぜ。とりあえず、今日はな」

 

「それなら食券買いに行こうか。エイジ、席取りよろしく」

 

「……アツシ、さてはそのために俺を待っていやがったな?」

 

「何のことやら?」

 

「白々しいぞコンチクショー」

 

※※※

 

「俺以外全員C組なのか……」

 

「偶然の一致……とかいうのではなくて、どうやら周りの話を聞く限りは同じクラスの生徒同士がルームメイトになる傾向があるようですわ」

 

「つまり俺と黒羽がレアケースってことか?」

 

「ですわね」

 

「だったら俺もC組で良かったよ……」

 

晩御飯をそれぞれ食べながら6人は話し合っていた。

 

「そう言えば私たち3人は必殺技使えるけど、二人はどうなの?」

 

環は思い出したように竹中と雨崎に問いかけた。

 

「私は使えますわ。ドリブルとシュートを一種類ずつ身につけております」

 

「おー、エージと一緒だね。竹中くんは?」

 

「俺はまだブロック技を一つだけだ。そもそも必殺技って何個も簡単に身につくものじゃねぇだろ」

 

「そうなんだけどね。エイジは何故かすぐに一つ目は習得してたけど」

 

「《スカイウォーク》はまだ簡単な部類だと思うぞ?それに俺は《スカイウォーク》は教えてもらっただけだからな」

 

「そんな事言ってたっけ?」

 

「言ってなかったか?」

 

「私は聞いてないよ!」

 

ガヤガヤと英治たち3人の入学初日は過ぎていった。




現在採用したキャラクター一覧

黒羽樹
雨崎瑠璃(今後投稿予定の話で何回か《香》を入力し忘れたので改名しました。申し訳ありません……)
藤優華
日向朱里
高宮健介
白黒神棋
竹中丈

選手あと4枠です。
募集はまだしてますよ。
……できれば今後オリキャラを投稿する人は一年生、もしくは二年生であってほしいです。


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第四話 もう一人のキーパー

当分は募集キャラでません。
今回の保良で英治一年時代のは追加一旦止めます(しないとは言ってない)


「さて、みんなが入部してだいたい2週間ぐらいかな?そろそろ特訓の成果を確認するために部員同士で手合わせしてみようと思うんだ」

 

「……キャプテンいきなりだね」

 

時は四月中旬。新入生である英治たちはようやく寮生活に慣れ始め、クラスの中でもグループが作られ始めるタイミングだ。

そんな日の放課後。

練習前に放課後の二年の教室でキャプテンである神内がそう言った。

あきれたように反応したのは白黒だ。

 

「でも手合わせってどうするんだ?私たちで練習試合をしようにも人数が足りてないし、そもそもフィールドプレーヤーですらまだ一人足りてないぞ?」

 

「ふふ、安心しなよ藤。あてがあるのさ」

 

「「あて?」」

 

「まあ付いてきなよ。一年組も全員呼んどいてね」

 

 

 

「というわけで河川敷に集まらされたわけだが……」

 

「キャプテンは何を考えてるんだろうな……あてってそもそもなんなんだ?」

 

英治と黒羽は学校指定のジャージ姿で河川敷に来ていた。黒羽はサッカーに興味があったようで雨崎や竹中と一緒に入部届けを提出していた。

 

「英治くんたち早いですわ……」

 

「校内放送があってからすぐに飛んでいって黒羽を拾ってたのか……いや、それにしても早すぎる……だろ……」

 

「エージは……そもそもスタミナが異常だからね……それの横にいるくせに息を切らしていない黒羽くんはなんなの?って話だけど……」

 

英治たちが振り返ると英治と黒羽を除いた一年組四人が肩で息をしていた。

 

「四人ともスタミナ無さすぎだろ」

 

「だな」

 

「二人が多すぎるからだと僕は思うけど……」

 

英治と黒羽があっけらかんとしている中、一人の女生徒と高宮が人数分の水筒を持ってきていた。

 

「さすがは元日本代表ですね。私とは体力も筋力も違いすぎます……」

 

「これでも一年前と比べて落ちてるんだけどな」

 

女生徒の方は一週間前にマネージャーとして入部した保良(ホラ)京香(キョウカ)だ。

黒い髪を長く伸ばしているがくせっ毛であちこちはねさせているのが特徴だ。

 

「よっと……あれ?先輩たち来てないんですか?」

 

「そうみたいですわね……英治くんたちとあわせて全力疾走で来ましたけど遅すぎませんか?」

 

「たしかにそうだな。……高宮先輩、何か知ってますか?」

 

二年組が高宮以外来ていないのを訝しげにも思った英治は高宮にそう聞いた。

 

「多分、日向に急ぎで校外活動許可を取っているんだと思うぞ……まあ、時期に来るだろ。アップ始めとけよ?」

 

「「「はい!」」」

 

高宮の声で二人ずつペアを組み英治たちはアップを始めた。

 

※※※

 

一方、その頃

 

「というわけで、今日の部活は河川敷でやりたいんだ。河川敷の使用許可は取ってるんだけど……」

 

「生徒会は一切そのことについて聞いてないな……ま、そんな予感はしていたから校外活動許可はすでに申請して受諾してある」

 

「さすが朱里!俺のことよく分かってるな!」

 

「……小学校時代から秋峰の思いつきに振り回されていたら誰でも予見出来ると思うが……来年からは控えてくれよ」

 

「できうる限り努力はするよ。さて、河川敷まで走るか!」

 

「そう言えば白黒たちは?一緒じゃないのか?」

 

「白黒は瀬ノ内さんの迎えに行かした。藤は顧問の屋島先生に連絡に行かしてる」

 

「人使いの荒いキャプテンだな……少し待ってくれ私も着替えていく」

 

※※※

 

「さて!全員揃ったな!」

 

「キャプテン、神棋まだ来てない」

 

「全員揃ったな!」

 

「おいコラ話聞けよ」

 

「全員揃ったな!」

 

「………」

 

「やめて、やめて!胸ぐらをつかむな!暴力反対!」

 

「次やったら二週間早朝バズーカの刑にする。いいな?」

 

「イエス、マム!」

 

英治たちが河川敷についてから二十分後、やっと白黒を除いた二年組が河川敷に到着した。

 

「キャプテン、今日は何するんですか?」

 

藤に胸ぐらをつかまれ脅されたことなんて気にもせず英治は神内に問いかけた。

 

「今日はここにいるメンバーでサッカーバトルをしてもらう!」

 

「サッカーバトル?」

 

聞きなれない単語に黒羽が首を傾げた。

そんな黒羽に淳が説明を始める。

 

「サッカーバトルっていうのは5対5で行なう簡易的な試合みたいなものだよ。試合と違って勝利条件は様々だけどね。例えば、ボールを奪えだとか一点先制だとかね。制限時間は基本的に五分ぐらい。たまに道端でサッカーバトルをしてる人たちもいるから光景ぐらいは見たことあるんじゃないかな?」

 

「へぇー……でも、サッカーバトルやるにしてもうちのキーパーって古田だけなんじゃ……」

 

そんな黒羽の声を聞いたのか神内が口を開いた。

 

「今日は新しく入部してもらう奴の紹介も兼ねてるんだ。俺が一年ちかく声をかけ続けてようやく先日入部を快諾してくれたんだ。白黒がいないのはその人を呼びに行ったのが原因だ」

 

「たしか……瀬ノ内(セノウチ)鹿嶋(カシマ)さんだっけ?二年前は日本代表候補とまで言われていた天才キーパー。そう言えば同じ学年だったな」

 

「そう!その人!国立に入学してたから声かけたんだけど「サッカーはもうやめたんです」の一点張りで説得するのに苦労したぜ!」

 

「よく説得に応じてくれたな……」

 

噂をすればなんとやら。土手の方から白黒と瀬ノ内と思わしき女生徒がようやく姿を現した。

白黒は国立サッカー部のユニフォーム、瀬ノ内は学校指定のジャージを着ている。

 

「キャプテン……人使い荒いよ……なんで瀬ノ内さんがいるところ知らないのさ……」

 

「まあ、白黒だったらすぐに見つけると思ってな」

 

「はじめは初対面だからものすごく警戒されたんだけど!?」

 

「まあ、神棋だし行けると思ったんじゃないか?」

 

「藤さん!?」

 

「まあ、白黒だし」

 

「日向さんまで!?」

 

「……まあ、そのなんだ……神棋はそういう立場だからな」

 

「なんで僕がこんな役目を……」

 

白黒がうなだれている中、神内は今一度英治たちに向き直った。

 

「白黒が連れてきてくれたこの人が瀬ノ内鹿嶋さんだ」

 

神内がそう言うと瀬ノ内はペコリとお辞儀をしてこういった。

 

「ご紹介に預かりました瀬ノ内鹿嶋です。ポジションはキーパーですが一応DFもできます。キャプテンの説得に応じて今日からサッカー部に入部しました。よろしくお願いします」

 

白いロングヘアーをふわりとさせながら顔を上げた。

 

「じゃあ早速サッカーバトルを始めようか。チーム分けは高宮が決めてくれるだろうから俺たちは準備運動しとくか」

 

「キャプテン……それでいいのか?」

 

「だって俺なんて名ばかりの部長で諸々のことなら俺よりも上手い奴らばっかりだし」

 

※※※

 

こうして新たにキーパー瀬ノ内を部員に迎えた国立サッカー部は二グループに別れサッカーバトルを始めた。

 

Aチーム

FW 黒羽

MF 白黒(キャプテン)

DF 竹中 絢瀬

GK 瀬ノ内

 

Bチーム

FW 藤(キャプテン)

MF 雨崎 的場

DF 日向

GK 古田

 

なお、神内は全体の動きを見るために不参加。

 

「やるからには勝つよ。Aチーム、頑張っていこう!」

 

「「「「おお!」」」」

 

円陣を組んでやる気を漲らせるAチーム。

 

「Bチーム、あっちは天才キーパーとか神棋とかいるけど全力出していくよ!ファイ!!」

 

「「「「オー!!」」」」

 

「……なんだこの空気、フットサルの練習試合?」



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第五話 先輩の本気

アンケート取ります。
内容は……まあ、アンケートのところ見たらわかります。


「じゃあサッカーバトル始めるぞ。まあ、特殊ルールでやるけどな。試合時間は15分で一点先取で勝ちとする。負けた方のチームは次回の運動場練習で準備と後片付けをしてもらうことにする」

 

A、B両チームが互いのコートに並ぶ。

 

「じゃあコイントスで攻守決めるぞ」

 

「私は表」

 

「じゃあ僕は裏だね」

 

キィンとコインが高宮の親指で弾かれる。

コインは放物線を描きながらクルクルと地面に落ちていく。

 

「……表だ。Bからだな。それじゃあ、礼!」

 

『『『よろしくお願いします!』』』

 

GKーー瀬ーー

DFー竹ー環ー

MFーー白ーー

FWーー黒ーー

ーーーーーー

FWーー藤ーー

MF雨ーーー英

DFーー日ーー

GKーー淳ーー

 

「それじゃあ行くぞ。キックオフ」

 

高宮のホイッスルと共に英治が藤にボールを渡す。

サッカーバトルが始まった。

サッカーバトルで使用されるコートは普通のコートより遥かに狭い。

なので……

 

「行くよ樹くん!」

 

「ほんとに狭いな!」

 

すぐに敵選手とぶつかることになる。

 

「よっと!」

 

藤は黒羽を軽やかにステップで突破する。

 

「ディフェンス甘いよ!」

 

「わかってますよ!」

 

藤は黒羽を尻目にどんどん加速していく。

 

「簡単には通さない!」

 

「やっぱりサッカーバトルだからすぐに当たるよね……行くよ神棋!……なんてね」

 

藤はバックパスですぐ後ろに控えていた雨崎にボールを渡す。

 

「それぐらい読んでるよ。《デーモンカット》!」

 

「それもわかってるよ。瑠璃ちゃん!英治くん!」

 

白黒は足からエネルギー波を飛ばし、そのエネルギー波で地面に円弧を描く。

藤はそれを読んでいたのかいつの間にか天高く飛翔していた英治にパスを出すように雨崎に指示した。

 

「英治くん!頼みますわよ!」

 

「わーってるよ!」

 

英治にパスが渡った直後、円弧から黒いエネルギーが壁のように出現するが英治はそれよりも上にいた。

 

「高い……」

 

「馬鹿と煙はなんとやら……」

 

「このまま決めてやる!行きますよ、瀬ノ内先輩!」

 

英治は地面に着地するとすぐさま必殺技の予備動作を始める。

ボールを高く蹴り上げ英治自身は左回転で上昇し足先にエネルギーを溜めていく。そして、周りの風景は夜の帷に満ちていく。

 

「《ムーン……」

 

そのままさらにボールを上へと蹴りあげる。英治はスカイウォークの容量で宙を蹴り自身も高く飛翔する。

 

「レイド》!!」

 

英治は溜まりに溜まったエネルギーをボレーシュートをボールに浴びせる事で解き放つ。英治の後には三日月が輝いていた。

ボールは月のエネルギーを受け煌めきながらゴールに向かって急降下していく。

 

「位置エネルギーと的場くんそもそものキック力が加算されてとてつもない威力……高高度からのシュートだから前を防御する技じゃダメか……なら!」

 

瀬ノ内は左手にエネルギーを貯め、アッパーをするように振り抜く。すると、エネルギーで形成された巨大な爪を伸ばした腕が現れた。

 

「《ジャバウォック》!!」

 

瀬ノ内が手を開くとそれに連動して巨大な腕もその手を開く。

そして瀬ノ内はシュートのタイミングに合わせその手を振り下ろした。

英治が放ったムーンレイドは巨大な手に押さえつけられその回転を徐々に弱めていく。

そして、完全に止まってしまう。

 

「俺のムーンレイドが軽々と止められた……すげぇ」

 

「すごいね的場くん。一年前の私だったら多分止められなかったよ」

 

「それはどうも!」

 

瀬ノ内は竹中にパスを出す。

 

「エージには負けてられねぇなぁ!」

 

「ちょ!竹中くん先走っちゃダメだよ!」

 

「白黒先輩はそこで俺の強さ見といてくださいよ!」

 

竹中は前に立ちふさがる英治をタックルで飛ばし突き進んでいく。

 

「勝手に進んで……絢瀬さんはゴール前を守っていて!僕は竹中くんの援護に入るから黒羽くんは直進!」

 

「「はい!」」

 

「英治くんは中腹で待機!瑠璃ちゃんはあの技がいつでも撃てるように準備!朱里の負担が大きくなるけど大丈夫?」

 

「任せろ」

 

「頼んだよ!」

 

白黒と藤の司令が飛び交う中、竹中はゴールとの距離を着実に詰めていく。

 

「ダメだぞ。司令塔を無視しちゃ」

 

もちろん、そんな竹中を無視する日向ではない。

 

「《フレイムサイクロン》!」

 

右足に炎を纏わせそのまま竹中に向かって振り抜く。すると、炎の竜巻が竹中を襲う。竹中は炎の竜巻によってボールと共に飛ばされる。竹中はドサッと地面にうつ伏せに着地、ボールは日向の足元に収まっている。

 

「フレイムサイクロン使うとか……日向さん本気かな?なら僕もそうしようかな」

 

「ああ、そうするといい。私も藤も本気で行かせてもらうぞ」

 

日向はそれだけいうとロングパスを出す。

そのロングパスはAチームの間を縫うように通り藤の足元にスッポリと収まった。

 

「通しません!《乱れ桜吹雪》!」

 

「甘いよ!環ちゃん!《疾風ダッシュ》!」

 

環は乱れ桜吹雪で藤を止めようとするが藤はそれを疾風ダッシュで難なく突破してしまう。

 

「(近くには神棋がいる……突破する自信はあるけど疾風ダッシュが燃費がいいからって連発してるとすぐに気力が尽きる……それに単純なシュートパワーじゃ悔しいけど私一人よりも……)瑠璃ちゃん!」

 

「はい!行きますわよ、英治くん!」

 

「おうよ!やってやろうぜ雨崎!」

 

藤のパスは雨崎に通る。本来ならオフサイドを取られてしまうパス。だがサッカーバトルでは審判はおらず、そして神内はその事を黙認していた。

雨崎の横には既に英治が立っている。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「やぁぁぁぁ!」

 

二人は右足でボールを同時に蹴りあげる。

再び辺りが夜の帷に包まれボールがある位置を湖面として湖が現れる。

湖には月が移り込む。

上の月には英治、下の月には雨崎。

英治はムーンレイドを撃つ時のような左回転。

雨崎はオーバーヘッドの右回転。

二人は鏡合わせになるように湖面に向かっていく。

 

「「《水面の月》!!」」

 

月のエネルギーと水を纏ったボールが二人に同時に蹴りを入れられゴールを狙う。

 

「合わせ技……それに正面。ムーンレイドよりも威力がある……それに重そう……なら」

 

瀬ノ内はどこからともなくトランプカードを取り出す。

表を見るとそのカードのソートは全てハートだった。

カードを無造作に放り投げる瀬ノ内。

カードは地面についた途端に巨大化、手足が生えその手には穂先がハートの槍が握られていた。

 

「《ハートのトランプ兵》」

 

トランプ兵はその槍をボールに向かって突き刺す。

一体だけならまだしも、総計10体もの兵隊は次々に槍を突き刺していく。

全てが突き刺さってもボールの勢いは止まらないが徐々に勢いが弱まっていく。

 

「……えい」

 

瀬ノ内がボールにデコピンをするとポーンとボールは飛んでいってしまう。

 

「水面の月まで止められてしまうなんて……」

 

「まあ、さっきの水面の月はタイミングが少し英治くんの方が早かったから仕方ないよ。やっぱりまだ完成してないか……や、それにしても鹿嶋ちゃんの鉄壁ぶりが……さすがは天才ってところ?」

 

藤はそう言いながらも瀬ノ内が弾いたボールを追っている。その横には白黒がボールを追うように付いている。

 

「試合時間は残り半分ってところかな。どうも私たちのチームの方が有利みたいだよ?」

 

「それはどうだろうね」

 

藤の白黒ではスピードは藤の方が部がある。

しかしテクニックでは白黒に軍杯が上がる。

結果、この状況下では……

 

「よっと」

 

白黒は藤がトラップしたボールを着地した隙をついて奪った。

 

「さっきのは日向さんにパスを出すべきじゃないかな」

 

「攻撃は最大の防御っていうじゃん?」

 

「あそう。じゃあね」

 

白黒は藤を置いてゴールに駆け出す。

日向は白黒を阻もうとするが……

 

「さすがにそこからじゃ間に合わないよ。《ダークトルネード》!!」

 

白黒は手早く黒い炎のシュートを放った。

それを見た淳は両手に炎を滾らせる。

 

「《レッドスタンプ》!!」

 

そして飛び上がりボールを両手で地面に押さえつける。炎はジェット噴射のようになりボールを地面にめり込ませた。

 

「やっぱり古田くんもキーパーとしての素質は高い……」

 

「日向先輩!」

 

「(考えてる暇ないか)……て、あれ?」

 

淳は日向にボールを投げたがそのボールを黒羽がカットしていた。

そしてそのまま……

 

「《ドラゴンストライク》!!」

 

ボールを踏み込んでスピンさせ、後ろ蹴りで黒竜の必殺技を放った。

 

「えっ、嘘だろ!《バーニングブロウ》!」

 

あまりに一瞬の出来事で反応に遅れた淳は咄嗟にバーニングブロウを繰り出すが威力を殺し切れず……

 

「ぐぉ!」

 

そのまま得点を許してしまった。

 

「そこまで!今回のサッカーバトルはAチームの勝ちとする!」

 

その時、高宮のホイッスルと共にサッカーバトル終了が言い渡される。

 

「私たちの負け……ですわね……」



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第六話 原作開始ー!

強引に恋愛要素を出そうとしたんや……
ホントに申し訳ない。


……ただ、強引に飛ばしたので結構めちゃくちゃです。
駄文です。
死にたい


サッカーバトルを行ってから一週間が経った。時は五月。

GWを前にして浮き足立っている生徒がほとんどだ。

なお、英治たちはというと……

 

「「《水面の月》!!」」

 

「《レッドスタンプ》!!」

 

サッカーの特訓をしていた。

 

「うぁぁぁぁ!!!」

 

ボールは淳を弾き飛ばしゴールネットに突き刺さる。

 

「よし!どんどんタイミングがあってきてるな!」

 

「ええ、これならGW明けに完成してないなんて事態にはなりませんわ!」

 

英治と雨崎はハイタッチをし、淳は悔しそうに地面を握り拳で叩く。

 

「あーくそ!なんで僕の技はこんなにも弱いんだよ!」

 

「この間、レッドスタンプで黒羽のドラゴンストライク止めてなかった?」

 

「まあ……それくらいならね。でも、水面の月も藤先輩のアブソルートビーストも止められなかったし……」

 

「あー……藤先輩のあれは止められるやつ少ないだろ。瀬ノ内先輩もアブソルートビーストはハートのトランプ兵使ってもギリギリだったし」

 

「でも、古田くんもすごく腕の立つキーパーだと私は思いますわよ?」

 

「ありがとう。それでもねぇ……」

 

あーだこーだをうねる淳。そんな淳をどうにか励まそうとする英治と雨崎。まあ、英治は空回りしてるが。

 

「あー!三人ともいた!」

 

そんな中、環が大きな声を上げながらやってきた。

 

「おう!どうした?何かあったか?」

 

「どうもこうも……そろそろ晩御飯の時間なのに瑠璃ちゃんは帰ってこないし、エントランスであった黒羽くんと竹中くんに聞いてもエージとアツシは帰ってきてないって言うし!」

 

「え?もうそんな時間ですの?」

 

「そうだよ!」

 

「あー……全然時間見てなかったね。じゃあ後片付けして帰ろうか」

 

「だな」「ですわね」

 

「私も手伝うから早く行くよ!」

 

※※※

 

「さて、明日からGWだ。みんなはどうするんだ?」

 

夜の食堂、英治が級友たちにそう問いかけた。

 

「俺は部活だな。ドラゴンストライク以外にも必殺技を身につけておきたい」

 

「俺もだ。前のサッカーバトルはいい所がなかったからな。強力なのをひとつ編み出してやる!」

 

黒羽と竹中はそう答え。

 

「私はウォーターベールやバブルトルネードの強化と英治くんの都合が付けば水面の月の完成に努めようと思っていますわ」

 

「私は新しい技をいい加減に完成させないと。乱れ桜吹雪も強いけど発生に時間がかかってるからスピード自慢には通用しないんだよね……」

 

「僕はレッドスタンプの練度上げと基礎訓練かな。エイジは?」

 

「俺は……まあ、雨崎と似たような感じだな。スカイウォークとムーンレイドの強化、水面の月の完成。まずはそれからだろ」

 

他の四人もそう答えた。

 

「みんな実家に帰るとかじゃないんだね」

 

「帰ってる暇あるかよ。目指せ日本一。千里の道も一歩から。でも、一歩じゃ満足せずに走る抜けるがな!」

 

※※※

 

とのようなことを経て一年後。

部員のポジションの都合上、練習試合しか試合はできなかった、長期休暇のほとんどをサッカーの練習に費やした国立学園サッカー部はそれぞれが学年を上げていた。

大きく変わったことがひとつ。

 

「英治、今日はいかがなされますか?」

 

「そうだな……黒羽やメグはキャプテンと新入部員の勧誘でアツシと竹中は藤先輩たちとグラウンドで見せる用の練習中……マネージャー組はいつものように日向先輩と一緒に生徒会の仕事をしてるか……瑠璃は何したいんだ?」

 

「私はなんでも、英治がいればそれで構いません」

 

「つまりなんでもいいか……俺が合わせようとしたのにこれじゃ決まらないな……たしかキャプテンたちは校門前だから俺たちはサッカー部部室前で声掛けするか」

 

「ですわね」

 

「どう思いますか、メグさん」

 

「あれはどう考えてもできてる男女の距離ですね藤さん」

 

「なんでこうなった?」

 

「入部当初から二人は練習とか技の都合でだいたい一緒にいたからね……不思議ではないと思うけど」

 

「何気にエージも瑠璃ちゃんのこと呼び捨てにしてるし……」

 

次期部長、副部長に選ばれた二人ができているという噂がサッカー部で流れていた。




「今回から次回予告やるらしいぞ」

「またくっちゃべってるだけのやつになりかねないと思うけど」

「うるへー」

次回 《雷門中サッカー部》

「ダブルクロス、黒金の腕で敵を撃て!」

「色々と違う」


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第七話 《雷門中サッカー部》

今回でキャラ募集終了です。


「みなさーん!衝撃的なニュースですよ!」

 

朝、学校に登校してきた英治たちは英治たちが来たと認識すると駆け寄ってきた保良と遭遇した。

なお、二年に上がってサッカー部二年組は全員同じクラスになった。

 

「京香ちゃんどうしたの?」

 

「どうしたもこうしたもの……英治くんが雷門中を気にかけていたので情報を集めてたんですが……」

 

環の問いかけに自身の携帯の画面を見せた。そこには一通のメールが開かれていた。

 

「えと……『昨日、雷門中サッカー部と帝国学園サッカー部が試合を行った。結果は3対2で帝国学園が得点数は多かったが帝国学園が試合を放棄したために試合は雷門中の勝利として幕を閉じた。雷門中は帝国学園のツインブーストを止めるゴッドハンドという技の使い手KP《円堂守》がキャプテンを務め、帝国学園GK《源田幸次郎》を破ったファイヤートルネードの使い手FW《豪炎寺修也》とフローラルカノンの使い手DF《菜花(ナノハナ)宮主(ミヤジ)》が所属している。豪炎寺と菜花によって雷門は得点をしている。特に菜花はストライカーとしてもDFとしてもかなりであり円堂がシュートを撃ち込まれたのは……』……え?帝国学園って去年のフットボールフロンティア優勝校だよね?」

 

「ああ……あの帝国学園が二点も得点を許すなんて……」

 

「マジか……英治が気にかけていただけあるな……だが、雷門中って去年の俺らと同じくフットボールフロンティア出てなかったよな?」

 

「えっ?ほんと、京香ちゃん?」

 

「はい。どうやら雷門中サッカー部は去年から活動を再開したようでチームメンバーのほとんどがサッカー初心者のようです。去年はメンバーがいなくてフットボールフロンティアに出れなかったみたいですね」

 

「……ん?それなに英治は雷門中を気にかけていたけど……どうして?」

 

「いや、なに。ちょっと野暮用で雷門中に行った時に円堂と遭遇してな。一人でサッカーの練習してたから一度KP対戦したんだ。俺も小学生の時だったからムーンレイドはまだまだ威力が無かったとはいえ一瞬だけボールを止めたんだ。その時はゴッドハンド……だっけか?そんな技は使ってなかった」

 

仲間たちの疑問の声に一人だけ納得した様に頷く英治。その目はワクワクに満ちていた。

だが……

 

(菜花……原作にいなかったよな?どこかで聞いたことがあるような……ないような?)

 

英治の前世の記憶には存在しない選手の名前を聞いて少し混乱していた。

 

※※※

 

放課後

いつものように部室に行くために七人は本校舎の廊下を歩いていた。部室に行くには昇降口を通る必要があるのだが……

 

「あっ!先輩方、こんにちは!」

 

「こんにちは……」

 

昇降口は他学年も使用するので新しくできた後輩とかち合うことが多い。

 

「や、紫姫(シキ)ちゃん。今から部活なんだけど親御さんの許可は取れた?黒乃(クロノ)ちゃん」

 

「元々サッカーやってたのですんなりと許可は取れましたよ。入部届けは今日中に出せそうです」

 

「なら、良かった。そういえば、結斗(ユイト)くんたちは?」

 

「先に行ったみたいです。早駆(ハヤガケ)くんと尾張(オワリ)くん、やる気満々でしたから」

 

「へー……なら私たちも急がないとね」

 

環は新入部員の石動(イスルギ) 黒乃(クロノ)村雨(ムラサメ) 紫姫(シキ)と談笑しながら部室に向かう。

他六人はというと。

 

「ツインブーストってなんだ?」

 

「帝国学園が使う連携技。結構簡単そうに見えるから練習したらできるかもな」

 

「そういえば、アレをエイジのムーンレイドで代用したらどうなるんだろ」

 

「(ツインブーストFと同じ発想か)やって見るか?うまい具合にできたらそこそこの威力になりそうだな」

 

「いえ、藤先輩と黒羽くんだけで私たちのチームの火力は整っています。それに私と英治の水面の月もありますし、身につけるべきはオフェンス技かディフェンス技かと」

 

「それもそうか……」

 

「スカイウォークの強化版もそろそろ完成させないとな」

 

そんな会話をしていた。

 

※※※

 

「来週練習試合するよ!」

 

部室に入った一同を迎えたのは神内の言葉だ。

英治が何で!?という目線を他の上級生に向けるが全員が

(もう無理、諦めろ)

と目で訴えられたので反論はおこらなかった。むしろ……

 

「やっと練習試合ですか。この部入って初めてですよ」

 

という意見が二年組の意見だった。

 

「去年しなかったんですか?」

 

「去年は人数とポジションの問題でできなかったんだ。ほら、僕と瀬ノ内先輩のポジションが両方ともGKでしょ?」

 

「あぁ……なるほど……」

 

淳の回答に納得した石動。

 

「そういえば聞いてなかったけど対戦相手は?」

 

「雷門中だ。尾刈斗が狙ってたけど、サッカーバトルでねじ伏せて練習試合取り付けたよ」

 

「は?」

 

「落ち着け白黒、あのサッカーバカのいうことは本当だ。ちなみに相手を有無と言わせないために11対1で十人抜きした後にシュート決めてたぞ。珍しく本気だったな」

 

「キャプテンの本気か……見てみたかったな」

 

「頭痛い……」

 

「諦めろ神棋、頭を悩め胃を剃り切らすのは俺たちの役目だ」

 

※※※

 

「スタメンは当日になってから発表するよ」

という神内の言葉で全員が特訓を始める。

国立サッカー部は人数が少ない。少なくとも一人は一年生がスタメンに混じることになる。

一年組は躍起になって必殺技を覚えようとしてるし、二年組もスタメンから外される可能性も充分にある。

特に淳はキーパーとしての技量が瀬ノ内より劣っているため特にいきこんでいる。

 

「エイジ!もっとだ!」

 

「いいけどよ……《ムーンレイド》!!」

 

月の光を受けたシュートを淳は炎で迎え撃つ。

 

「《レッドスタンプ》!!」

 

しかし、炎はその威力を急激に弱め淳は吹き飛ばされる。

 

「ガァァッ!」

 

「もう無茶だ!今日はもう終わりにしようぜ!」

 

「まだだ……もっと強くならないと僕は…!」

 

「そこまでだ。それ以上の無茶な特訓は体を壊すぞ」

 

そんな淳に高宮がストップをかける。

 

「けど僕は……」

 

「はぁ……的場、お前はドリブル練習だ。古田、お前は強制的に休憩をさせる。文句は認めないからな」

 

「……わかりました」

 

そんな風景を傍から見ていたのは……

 

「淳くん、大丈夫かな?」

 

「古田くんは私より才能があります……私はあそこまで必死になれません」

 

藤と淳がコンプレックスである瀬ノ内だ。

 

「努力するのが一番の才能ってこと?」

 

「ええ。少なくとも私はそう考えます」




「なぜすぐに戦わせるのか」

「いい加減に作者が試合風景書きたいのかもよ」

「…あ、そう」

次回
第八話 《VS雷門》

「サブタイ適当だな」

「すぐに試合ってことを露見してるあたり、やっぱり作者は阿呆?」


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第八話 《VS雷門》

気がついたら平成が令和に変わろうとしてるだと!?


雷門中との試合当日。

サッカー部の面々は部室に集合していた。

全員が黙り、国立サッカー部部室にしては珍しく出る音は部長の神内がホワイトボードにキュキュとマジックを走らせる音だけが響いている。

 

「それじゃあスタメンの発表を始める。今回の練習相手である雷門中とあわせて選手は合計で13名とする」

 

神内は手に持つボードを見つつ発表する。

 

「FW!9番〘藤 優華〙、12番〘黒羽 樹〙」

 

「よし、任せろ!」

 

「うし!」

 

「MF!10番〘神内 秋峰〙、6番〘白黒 神棋〙、7番〘的場 英治〙、9番〘雨崎 瑠璃〙、8番〘石動 黒乃〙」

 

「キャプテン今日はMFで出るんだ」

 

「そんな日もあるってだけだ。基本はDF開始でリベロさせてもらうからな」

 

「おし!スタメンゲット!」

 

「当然ですわ!」

 

自尊心の塊ですか?先輩方には及ばないと思いますが、努力させてもらいます」

 

「DF!5番〘日向 朱里〙、4番〘綾瀬 環〙、13番〘竹中 丈〙、3番〘村雨 紫姫〙、2番〘早駆 結斗〙」

 

「私がディフェンスリーダーか。よろしく頼む」

 

「はい、日向先輩」

 

「初めての試合……全力で挑ませて……もらいます」

 

「え!俺?」

 

「キャプテン!なんで俺がフィールドプレイヤーじゃないんだよ!言わせて貰うが体力はこの中の誰よりもあるつもりだぞ!」

 

自身の背番号が発表され神内に食ってかかる竹中。

神内は呆れたように言う。

 

「竹中は人の話聞かないからね。ちなみにフィールドプレイヤーから外す提案をしたのは日向だ。まあ、俺も賛成したが。文句をいうようなら尾張と変わるか?」

 

「……チッ!」

 

「最後言うぞ。GK!」

 

「頼む……!」

 

「1番〘古田 淳〙、以上11名だ」

 

「よっし!!」

 

「ちなみに今回三年の瀬ノ内が出ない理由だが……高宮、頼んだ」

 

そこで今まで黙ってた高宮が声を出す。

 

「今回の選出されたメンバーは経験を積ますという意味でも一年、二年を多く投与している。次からは正真正銘実力でフィールドプレイヤーを勝ち取れ、いいな!」

 

『『はい!』』

 

「……やっぱ俺より高宮がキャプテンした方がいい気が……全員グラウンドに出ろ!俺たちのサッカーをするぞ!」

 

『『おう!』』

 

※※※

 

数時間が過ぎ雷門中のメンバーがやってきた。今回は雷門中側の要求として国立学園のグラウンドで練習試合をするのとになってる。

 

「おお!お前、的場か!久しぶりだな!」

 

「2年ぶりだな、円堂!」

 

英治と雷門中キャプテンの円堂は出会って早々握手をする。

 

「円堂、そいつは?」

 

そんな二人の様子を見て一人の雷門中サッカー部部員が声をかけた。黄色の瞳に茶髪をポニーテイルにしている。

 

「菜花は初対面だったな」

 

「いや、俺は円堂以外の雷門中サッカー部とは初対面だが?」

 

「そうだっけか?気にすんな!こいつは的場英治。一回キーパー練習に付き合ってもらってな!ほら、前から言ってた月のシュートを撃つやつ!」

 

「ああ……そいつね。僕は菜花宮司。雷門中のディフェンスリーダーってことになってる。今日はよろしく」

 

「ああ、よろしく!」

 

そして試合開始時間となった。

 

GKーー円ーー

DFー壁ー風ー

DF菜ーーー栗

MFー半ー少ー

MF宍ーーー松

FWー豪ー染ー

ーーーーーー

FWーー藤ーー

MF雨ー英ー白

MFー神ー石ー

DF村ーーー環

DFー日ー早ー

GKーー淳ーー

 

一応補足しておくが、雷門の松とはマックスのことだ。

先攻は国立学園でゲームが始まる。

藤は英治にパスを出すとゴールに向かい突き進んでいく。

 

「藤先輩!?」

 

「あれが本来の藤のプレースタイルだからね。さて、僕達もボチボチ行こうか」

 

「的場、雨崎は突っ込め!後ろに俺と白黒がつく!DF陣は朱里に任せるぞ!」

 

『『了解!』』

 

「そう簡単に通すかよ!」

 

前進しつつ指示をだす神内に対し、雷門のMFは進行を停めようとブロックに挑む。

だが……

 

「悪いが止まるわけには行かないんでな!〘エアリアルドライブ〙!」

 

英治はボールと共に直上に急上昇。空中で踏ん張りを付け斜め下に急降下し半田をかわした。

 

「な!」

 

「英治くん、挨拶替わりに一発いっときな!」

 

「はい!」

 

英治はそのまま調子でゴールに向かうが……

 

「〘フレグランス〙!」

 

突如、花びらで構成された槍が英治を襲った。

 

「嘘だろ!」

 

槍は英治に直撃。

 

「がっ、鼻が!」

 

「花の槍が放出させるのは花の香り。まあ、色々な花が混じってるからとんでもない悪臭だろうね。風丸!」

 

英治が匂いで悶絶している間に菜花が悠々とボールを奪う。菜花は風丸にパスを出し、風丸は持ち前の瞬足で駆け上がっていく。

 

「あのDF早いな……少し止めてくる」

 

「ああ、任せたよ」

 

風丸の目の前に同じ速度で神内が並ぶ。

 

「やあ、なかなかに早いね」

 

(こいつ……俺と並ぶほど早いのか!?)

 

「でも、まあ、止めさせてもらおう〘パラライズウェイブ〙!」

 

地面をかける衝撃により風丸の足が止まる。ボールを即座に奪い、白黒にパスを繋げる。

 

「行くよ、必殺タクティクス!」

 

『『〘スカイハイ〙!』』

 

白黒は天高くボールを上げると雨崎がそのボールに並ぶように飛翔。そのままボールをさらに蹴り上げる。

いつの間にかそのボールよりも高い場所にいた英治が太陽を背にして敵陣に切り込んでいた藤に向かって踵と落としでパスを繋いだ。

なお、雨崎と英治の打ち上げにはそれぞれ環と早駆が土台となっている。

 

「必殺タクティクスだと!」

 

「すげぇ……これが国立学園のサッカー!」

 

驚く菜花と思わず笑顔をこぼす円堂。

そんな円堂を尻目にパスを受け取った藤は驚いている壁山を難なく突破しゴール前につく。

 

「こんな序盤から必殺タクティクスとか……まあ、いいけど。行くよ、雷門のキャプテン!」

 

「来い!」

 

「〘アブソルートビースト〙!!」

 

気温が一気に冷え込む。走る藤に冷気で形成された狼が追走する。藤が蹴り込むと同時に冷気の狼がボールと一体化。氷の狼と化したボールはフィールドを凍らしながらゴールに向かって突き進んでいく。

 

「〘ゴッドハンド〙!!」

 

円堂はゴッドハンドでアブソルートビーストを止めにかかるがゴッドハンドは狼と接している面から徐々に凍っていく。だが、間一髪のところで氷の狼が砕け散りボールは円堂の手に収まる。

 

「すげぇ。たった一人で帝国の〘デスゾーン〙に匹敵する程の衝撃……」

 

「少し気持ちが入りすぎたかな」

 

アブソルートビーストの止まられ方としては二通り。一つは圧倒的パワーでねじ伏せられる。もう一つは敵キーパーの手を凍らせる前にエネルギーが切れることだ。

今回は後者……ではなく、単に藤が力を入れすぎ本来の威力を発揮する前に氷の狼が砕け散っただけだ。久しぶりの試合なので少々気持ちが昂っているのだろう。

 

「よし、俺たちもやるぞ!菜花!」

 

「敵は必殺タクティクス持ち、遠慮なく行くぞ!」

 

『『おお!』』

 

前半開始10分。既にフィールドの空気はヒートアップしている。

 

「……全然ボール来ないですね」

 

「まあ、ウチの前衛は結構逞しいからな」

 

国立学園のDF陣以外は




「なぜ、他作品ネタがタグでついたと思う?」

「新しく加入した石動が技とか色々某地球外生命体をモデルにしてるからだろ?」

次回
第九話《火の龍と風の龍》

「染岡の声優は龍馬の声してて、染岡の弟子は龍馬で、龍馬は龍馬の力でパワーアップして、染岡の化身は龍馬と同じで……」

「……何言ってんだこいつ」


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