男女逆転してる変な世界ですがデュエルで戦っていきます (火壁)
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登場人物と世界設定
メインキャラと世界の設定を少し細かく説明していきます。
登場人物
遊崎 明日葉
この作品の主人公。元の世界では”魅せる”デュエルで有名になり、プロ入りした。その矢先に異世界に飛ばされたのだから中々に不遇な子。これからの苦労人。
性格:人には優しく接するが自分の許せないことは絶対に曲げず、それに触れた者には容赦しない。
容姿:髪は黒でアホ毛が1本はねてる。顔は中性の男寄り。身長172cm。目の色は茶色。中肉中背。
使用デッキ:ジャンクドッペル→青眼
基本服装:灰色シャツに黒のパーカー。Gパンでスニーカーといったありきたりなファッション。過去にファッションセンスが壊滅的だといわれ、それ以降ファッションで冒険しなくなった。
城之内 彩佳
ヒロイン1。城之内グループの令嬢。デュエルの腕は明日葉に出会うまでは残念というレベルを超えており、ポンコツが目立っていたが仕事や家事はしっかり出来る子。3人の中では
1番大きい(重要)。
性格:デュエルを除けば基本なんでも出来る、高スペック女子。明日葉君大好き。
容姿:髪はオレンジで後ろでまとめている(艦これの電の感じ)。目の色は赤。身長156cm。身体の線が細いが一部が大きい(重要)。
使用デッキ:真紅眼
基本服装:協会の制服なのだが、アカデミアの制服を改造した感じ。胸や腰といったポイントが強調されている。色は赤。警護官は色でクラス分けされており、赤は下っ端。黄色は中間、青がエリート。
御伽 悠香
ヒロイン2。親は海馬コーポレーションの重役(原作とは一切関係ない)。運が相手に同情されるくらいに悪く、今までダイスで成功したことはない。
性格:荒っぽい性格でギャンブル好き(勝てるとはいっていない)。趣味は料理。
容姿:髪は黒のショート。目の色は緑。身長160cm。大きくはないが太い(重要)。
使用デッキ:ギャンブル
基本服装:彩佳と同じく協会の制服。色は赤。
レイカ・アトラス
ヒロイン3。プロデュエリストを輩出する『アトラス家』の一人娘。甘やかされて育った故に傍若無人の性格だが、豆腐メンタル。
性格:傍若無人だが、明日葉君にキツく言われるだけで愚図るメンタル。
容姿:金髪セミロング。目の色は琥珀色。身長167cm。大きい。いやホント。
使用デッキ:レッドデーモンリゾネーター
基本服装:協会の制服、色は青色。
世界観
ある日世界の男性が虚弱化し徐々に人口が減っていき、今では男女比が1:25になった世界。男性の数の関係上、一夫多妻制度を組み込んだが女性が男に飢えだした為に男性のほとんどが女性を恐れるようになった。この世界では明日葉君は異例中の異例であり、狙っている協会職員は少なくなかった(むしろほぼ全員)が、明日葉君がいきなり彩佳を指名したことによって協会本部では壁にヒビが入り、地面は割れ、彩佳を今すぐ殺さんと画策する職員が後を絶たなかった。
男性保護協会
男性が減ったことを危惧した世界連合(国連みたいなもの)が大企業各社を巻き込んで設立した。ここでは城之内グループ、天上院財閥、警護会社『イェーガー』がトップ3にいる。警護官になるには各方面に精通し、警護において重要なファクターを兼ね備えた者が入ることが許される仕事である。警護官には3クラスに分かれており、下から赤、黄色、青となっている。
デュエル
基本パワー勝負。テクニックで勝つ人がほとんどおらず、悠香がその1人。これからこの世界でデュエリストとして戦っていく明日葉君をみて彼女たちは何を思うのか。
とりあえず開示情報はこのような感じです。第2回はタイミングをみてやっていきます。キャラの絵を書いてみようかとも思いますが、あまり期待せずに待っててください。
では明日葉君たちの物語、これからもどうぞよろしくお願いします。
デュエル1で彩佳の身長書いてるのを忘れてたので修正しました。申し訳ありません。これからも気づいていったら書き直していきます。
明日葉君描いてる内にウルフカット難しいと感じ消しました。すみません。
レイカの使用デッキ書いてなかったんで修正しました。
設定と作中で矛盾が出たので修正しました。
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序章~デュエリスト、その名は遊崎明日葉!~
プロローグ~デュエルスタンバイ~
それは世界で人気のカードゲーム。
子供もお年寄りも、誰もがデュエルを楽しみ、
デュエリストは、皆の憧れの的となった。
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「……んぅ」
部屋に男の寝息が響く。その声に反応する者はいない。
そして男は目を覚ます。
「……んん。……なんだここ……?」
身に覚えのない場所に男は辺りを見回して周囲を確認する。
特に気になるような物は見受けられない。
……いや、2つ程見つかった。
「なんでデッキとデュエルディスクがあるんだ?」
そこには彼愛用のデッキとデュエルディスクが置いてあった。
「……とにかくここから出るか」
まずは動くことを考える。
こうして彼、『遊崎 明日葉』の運命は大きく動き出す。
……それが彼にとって有益か否かは別に置いて
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「何なんだよここ?」
部屋を出てから数分、夜だからか人が少ない。それに何故か男を見かけない。帰宅した後というならまだわかるがそれでも1人も見かけないというのは流石におかしい。
更におかしな事と言えば
「……さっきから視線が痛いな」
先ほども述べたようにデュエリストは皆の憧れであり、その1人に名を連ねる明日葉もまたその例に漏れず人々から称賛を浴びたことは幾度かは経験がある。しかしこの視線はどこか違和感があり、背筋が凍るようないやらしい視線なのだ。
「はあ、なんだってこんな妙なことに……ん?」
明日葉は前方で起こっている出来事に目を向ける。そこには1人に寄ってたかって何やら良からぬ雰囲気を醸し出す女の集団がいた。
「痛い!やめてください!嫌っ!やめて!」
「オイオイ~変なこと言うなよお~こっちはちゃんとデュエルで勝ったんだぜえ?その報酬が欲しいって言ってるだけだっての」
「何が勝ったですか!禁止カードをデッキに入れて!そんなことで勝って楽しいですか!?」
「ああ楽しいよ!だからよお?頼むよぉ男こっちに入れてくれよぉ?別にいいじゃねえかよぉ?」
何やらきな臭いが明日葉には関係ない。このまま見て見ぬふりをしても誰にも咎めれはしない。
(あんなカツアゲみたいなの未だにあるんだ。知らなかったな。)
(……むしゃくしゃすんな)
しかしここで見捨てるほど彼は腐ってはいない。
そのまま集団に近づき
「……おい」
「あん?......んあ?」
「1人に寄ってたかってひky「お、男おおおおおおおおおおおおおお!!!!????」うお!?」
明日葉は驚きのけぞってしまう。それもそうだろう。デュエリストとして驚かれるならまだわかるが男というだけでしかも恐らくデュエリストということでよりも驚かれているのだから。
「な、なあいくら女でも「ええええええなんで男がこんなところにしかも夜に護衛も連れず!?っは!まさか誘ってる!?アピール!?てことは?襲ってOK!?今晩ゴールイン!?いやっほううううううううう!!!!」うるせえ!!!」
いきなりの変なテンションに疲れを見せる明日葉。助けようと思った結果がこれである。
「だ、男性!?なぜ護衛官も付けずに?と、とにかく危険です!あなたはここから逃げてください!っきゃ♪男性にあなたって……あなたって……///」
どうやら助けようと思っていた女性も似たようなものだったようで両手を頬にあててこちらの話をまるで聞いていない。もう帰っていいんじゃ?と考えていたとき
「な、なああんたい、今暇か?ひ、ひひ暇ならあ、ああああたしらと一緒にエクシーz「言わせねえよ!」
もう既に帰りたい明日葉は話を始める。
「いくら女同士だからってよぉ?卑怯な手を使って勝つってのはいけねえだろ?しかも禁止カードってよく持ってたな。やるなら正々堂々勝負しろよ。」
「ああ!?なんだよ?人にいきなり説教かあ?ふざけやがって!……ん?待てよ?」
何やら一人で考え込み始め、どこか納得すると
「おい!あんた、あたしとデュエルしろよ。あんたが勝ったら今回のこれは無しにしてやる。あたしが勝ったらあたしの言うことを何でも聞く!!どうよ!」
「……は?」
リーダーっぽい女がデュエルを申し込んできた。それに対し明日葉も何言ってんだこいつと言わんばかりに首を傾げている。それもそのはず。仮にもデュエリストで飯を食っている明日葉、挑んでくるのはプロがほとんどで素人はまず挑んでこない。そんな中勝負を挑まれるのは予想外ではあったが明日葉の心に火が付いた。
「そ、そんな!?男性にデュエルだなんて正気ですか!?そんなk「いいぞ」うええ!?」
「デュエルだろ?いいぞ。かかってこい。」
「え?い、いいのか?男だろ?男がデュエルなんて「何言ってんだ?デュエル人口は男のほうが多いだろ?」
リーダーっぽい女は口をあんぐりと開けながら呆気にとられている。助けようとしていた女も絶句といった表情で明日葉を見ている。因みに助けようとというのは助けるのがあほらしくなったからだ。明日葉の正義感を返せ。
(やっぱし変だ。ここいらでも少しは有名になったって聞いたんだけどな。後で問いただすか。)
「まあいい。さあ、デュエルだ!!」
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はじめまして。ファイアウォールです。
今回作品作りを始めたきっかけは何かを始めたいと思っていたのと、貞操逆転ものが好きなのに数が少ないので今まで渋っていましたが、今回から始めました。遊戯王なのは趣味です。はい。
さて、妙な世界に来てしまった主人公の明日葉君。一体誰に連れてこられたのでしょうか?この世界の仕組みとは?明日葉が待ち受ける運命は?
という感じで書いていきます。見切り発車なのですぐにネタが尽きたり、モブがアニメのモブレベルでデッキがクソザコナメクジのなるかもしれないです。それでも構わん!全速前進D☆A!!という方も今の書き方不満だよっていう方も、これから精進しますのでよろしくお願いいたします。
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デュエル1~別世界のデュエル~
明日葉君のデッキお披露目回なのでそんなに相手強くないです。
言っちゃえばアニメのストロング石島程度です。
え? 石島強いって? 序盤のトマトに負けてるし・・・ね?
まあ相手卑怯者なので禁止カード使いますが・・・
碌なもんじゃないね!
ではどうぞー
「「デュエル!!」」
遊崎 明日葉
LP8000
VS
不良A
LP8000
明日葉と不良のデュエルが始まる。先行は不良のようだ。
「あたしの先行だ! 先行は最初のターンドローは出来ない! そんままメインフェイズ!! 魔法カード『強欲な壺』発動!!」
「は? 壺?」
「またいきなり禁止カードを!? どれだけ卑怯なのですか!」
『強欲な壺』
デッキからカードを2枚ドローする強力なカードだが、禁止カードに指定されており、デュエルに使用できない。
「言ってろ! 勝負は勝てばいいんだよ!! そのまま『ジャイアント・オーク』を召喚!!」
ジャイアント・オーク ☆4
ATK2200/DEF0
(壺を使ってオークだけ? そんなばかな。なにか次の手が?)
「びびったか?更に装備魔法『団結の力』を発動!!」
団結の力
装備モンスターは自分フィールドの表側表示のモンスターの数×800ポイント攻撃力・守備力がアップする。
「これでジャイアント・オークは攻撃力3000!! カードを1枚伏せてターンエンド! どうだ!」
「どうしよう……このままだと彼が負けてしまうわ!」
「……」
(こんなもんか)
正直いって明日葉にはどうといったこともない。もっと強大なモンスターを相手にしたことなど何度もあり
(壺が来たときは何が来ると思ったが、これなら問題ないな)
「俺のターン! ドロー!」
「んああああああああああかっこいいいいいいいいいいいいいい!!!」
「フヒヒ……男のデュエルシーン……これでご飯10杯はいける!」
「やだ……興奮し過ぎて濡れて来ちゃった……♡」
(うっせえ……)
「へっへっへ!! この瞬間! あたしは速攻魔法『スケープ・ゴート』を発動!!」
スケープ・ゴート
羊トークンを4体守備表示で特殊召喚する。このカードを発動するターン、自分は特殊召喚できない。
「は!?」
「そんな!? ……ん?」
明日葉が間抜けな声をあげた。というのも彼はそのカードは
(ここは恐らく俺のいた世界じゃない。そんで、この世界のデュエルは俺の世界の小学生とどっこいどっこいってくらいだな。)
(……ヌルゲーかな?)
しかし慢心はしない。足元を掬われてしまっては笑いの種である。気を取り直して明日葉はデュエルを続ける。
「メインフェイズ! 手札から『調律』を発動! これによりデッキから『クイック・シンクロン』を手札に加え、デッキトップを墓地に送る! 手札の『ボルト・ヘッジホッグ』を墓地に送り、クイック・シンクロンを特殊召喚!! さらに『ジャンク・シンクロン』を通常召喚!! ジャンク・シンクロンの効果! 墓地のレベル2以下のモンスター、ボルト・ヘッジホッグを特殊召喚! さらに手札の『ドッペル・ウォリアー』の効果! 墓地から俺のフィールドに特殊召喚した場合こいつを特殊召喚!!……ふう、ここまではオーケー」
((((な、なげえ……))))
火力を上げて殴るスタイルの不良だけでなく女性も呆れていた。ジャンドだから仕方ない。
「まだ終わんねえよ。レベル2のドッペル・ウォリアーとレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング! 連なる星よ新たな力を呼び起こせ! シンクロ召喚!! いでよ!! 『ジャンク・ウォリアー!!!』」
ジャンク・ウォリアー ☆5
ATK2300/DEF1300
「お、おお……だ、だが攻撃力2300! それじゃああたしのジャイアント・オークは倒せないぜ!!」
確かに不良のジャイアント・オークは攻撃力2200に加えて団結の力とスケープゴートの効果で4000上昇し、6200。普通では勝てはしない。しかし彼はプロの中でも
「ジャンク・ウォリアーの効果にチェーンしてドッペル・ウォリアーの効果! ドッペルトークン2体を特殊召喚!! ジャンク・ウォリアーがシンクロ召喚に成功した場合、自分フィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計がジャンク・ウォリアーに加わる!! 【パワー・オブ・フェローズ】!!」
ジャンク・ウォリアー
ATK3900
「へん! それでもジャイアント・オークには及ばない!! 残念だったねえ。このままならあたしのかt「それはどうかな!!」なにぃ!?」
「デュエルはライフを0にすれば勝ちなんだ。別にオークを倒さにゃならん理由はない。バトルフェイズに俺は速攻魔法『スクラップ・フィスト』をジャンク・ウォリアーを対象に発動!! そしてジャンク・ウォリアーで羊トークンを攻撃!!」
「何やってんだ? 守備表示のトークンやってもあたしには何のダメージm「『スクラップ・フィスト』の対象になったジャンク・ウォリアーは貫通効果と相手に与えるダメージを倍にする効果を得る」なんだってぇ!?」
「凄い! これで3900の倍、7800のダメージでs「それもどうかなあ!」……え?」
「このままじゃまだ200足りない。それじゃダメなんだ。逆転されるかも……だからここで終わらせる!! ダメージ計算時、手札の『ラッシュ・ウォリアー』の効果! このカードを墓地に送り、ウォリアーと名の付くジャンク・ウォリアーの攻撃力を倍にする!!」
ジャンク・ウォリアー
ATK7800
「こ、攻撃力7800ぅ!!?」
「いけぇ! 【スクラップ・フィスト】!!!」
「うああああああああああああああ!!!」
不良A
LP0
1撃必殺。ダメージ15600のオーバーキル。
こ れ は ひ ど い
「ううぅ……くっそおぉ」
不良グループはうなだれている。それはもううなだれている。まるでこの世が終わるんじゃないかっていうほどである。
「……えーっと、勝った俺がいうのもアレだけどよ、まあ男なんて星の数いr「てめえ皮肉で言ってんならぶっ潰すぞおお!!!」すまんて」
1ターンキルをした明日葉さえ同情する始末。それに般若のごとく切れる不良。怖い。
「次はこうはいかねえ! 次は勝って……勝って……///」
顔が真っ赤になったと思ったら明日葉を思い切り睨みつけてそそくさと逃げていった。取り巻きもそれに続き逃げていく。
「……何だったんだマジで」
「あ、あの……」
「ん?……ああそうだ。あんたに聞きたいことがあるんだ。」
「ふえ!? な、なななななんでしゅか? えーっと、年齢は19で身長は156センチ、スリーサイズは上から「待て待てそうじゃない。」え? あ、ああ。そうでしゅか///」
自分が先走ってしまったことにまた赤面する。
「いいか? 俺が聞きたいのは「彩佳さまああああああああああ!!!」ああもううっせえなあ! 何なんだよお!?」
いざ喋ろうとしたらこれである。もうなんなんこの世界。
「彩佳さま!! ご無事でしたか? この鏡華、心配で心配d……て男おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!??????な、何故こんなところに男が!? っは! さては何者かに誘拐されてそこを彩佳さまに「違います」あ、ああそうですか。」
なんか騒がしい人だというのが明日葉の鏡華という人の印象である。しかして助けようとしていた彩佳という女性に「さま」呼びということはどこかいいとこのお嬢様なのではないかと予想した明日葉は色々聞いて見ようと試みる。しかし今までの展開からそのようなことができるわけもなく……。
「あのさ、ちょっと聞きたいことg「とにかく! こんなとこに男性がいるのはいけません! 一度男区に行きますよ!」いやまって何? ダンク?」
そのまま腕を引っ張られて車に押し込められる。はたから見たらこれこそ誘拐では? しかし行く当てもないのでそのまま車に乗る。こうして『遊崎 明日葉』の異世界のデュエル生活は本格的にスタートしていく。
はい。明日葉君の使用デッキはジャンドです。え? ありがち? 相手弱すぎる? 最初だし、そんなに相手が強すぎても明日葉君が薄くなっていっちゃうから......。最初はアニメの序盤くらいのデッキレベルでいいかなあと。まあこれから不良グループもデッキレベルは上昇するはず(出番があるとは言っていない)。
いいとこのお嬢様?とその部下っぽい人に誘拐まがいのことされた明日葉君。さて男区とはなにか? そこは安全なのか? この世界の仕組みとは?
更新ペースはネタができ次第なので大体1週間に1本目指します。今回はチュートリアルみたいなものだし……ね?
次回はデュエルはないです。ギャグは……どうだろ? それでも楽しんで頂けたら嬉しいです。では次回にお会いいたしましょう。
ではではー。
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第1章~異世界のデュエリスト達~
デュエル2~異世界の人々~
今回はデュエルないです。明日葉君が迷い込んだ世界の状況と明日葉君の今後の生活を話し合います。1人顔真っ赤にしてるのだーれだ|д゚)チラッ。
それはそうと明日葉君が何か言いたいようです。
「これからの生活嫌な予感しかしねえ……」
そりゃあね。まあ……頑張って満足しようよ。
では第3話いってみよー。
「もう帰りてえよぉ……」
車に乗り込み、走り出して30分。ビルが立ち並ぶ通りを抜けると、一際大きい建物がみえる。
「なあ。あの建物は何だ?」
「え? 冗談ですよね? 男性保護協会の本部ですよ。絶対1度は来てるはずですけど……」
「ふーん」
「おかしな方ですね。先ほどのデュエルといい、本部も知らないなんて。もしかすると私の苗字を聞いても驚かないかもしれませんね」
冗談交じりに彩佳が言うと、それを鏡華が否定する。
「彩佳さま。そのようなことはあり得ませんよ。いくら何でも城之内グループのご子女と聞いて驚かない男性h「いやごめん知らねえわ」……ふえ?」
あり得ないといった感じに鏡華が間抜けな声をあげた。彩佳も信じられないものを見るような目で明日葉を見る。
「え? 本当に知らないのですか? 城之内グループですよ!?」
「いやだから知らんて。まあそのことは目的地着いてからだな。ほらちゃんと前見ろ。目的地を前にして事故なんて嫌だぞ俺は。」
そう言って鏡華に運転を促し、何事もなく男性保護協会本部へ到着する。
男性保護協会
男性が減少し男女比が1:25になり世界中が混乱に陥った中、国連のような組織が発足した男性保護組織の名前。各国に存在し、その国の男性を一人残らずチェック、その中で問題が発生すれば問答無用で男性を優先し、脅威を排除するといった元の世界では過激集団と同類では?と疑問に思う情報を彩佳から聞いた明日葉。今後も自分はその集団に囲われるのかとため息をついていた時、受付から大きな声が聞こえる。
「おかしいですよ!! 我々が把握していない男性!? しかもデュエリスト!? しかも何……あのイケメン……こ、これはたっぷり聞き出さなければいけませんね!!そう、たっぷりと……ね?……うぇへへへ」
受付の女性が明日葉を獲物を狩るような眼で見つめている。そうしているとその女性の頭が後ろから鷲掴みにされ、カウンターに叩きつけられた。
「うるせえ! 今何時だと思ってんだい! 男性が起きちまったらどうすんだよ! ああ!?」
あんたも大概だよと思った明日葉だが言葉を飲み込む。あんなん見せられたらそりゃビビる。
そうしているとその女性が近づいてきた。
「すまなかったねえ。あいつには後でたっぷりしごいておくから勘弁してね。あたいは『本田 景子』だよ。……ほお。確かに結構なイケメンだねえ。あたいも旦那がいなかったらねらっていたかもねえ」
「そいつはどうも。遊崎明日葉です。どうやら俺はあなた方が知る男性とは違うようですね」
「ああ。自分からデュエルする男性なんて聞いたこともないし、女に対して物怖じしないのも珍しいもんだよ。」
そう笑いながらしゃべる景子だが、突然声を低くして真面目顔になる。
「じゃあ本題だ。あんたは一体ナニモンだ? あたいはここで13年は働いているがあんたは顔どころかデータすら拝んだことがない。どうもきな臭いんだよ。まさか海外で誘拐にでもあったのかい?それとも……」
「……」
明日葉は押し黙る。ありのままを話して果たして信じてもらえるだろうか。仮に信じてもらえたとしてその後は? 嫌な考えばかり浮かぶ。そしてすうっと息を吸って吐き出し、
(考えててもしゃーないな)
考えるよりまずは行動するべきと判断した。
「俺はどうやら別の世界から来たようです。ここに来た過程はわからない。そこでぶらついてたらそこのお嬢さんが絡まれてたから助けて、ここに連れられて、今こうしてあなたと喋ってる」
彩佳は助けられたことを思い出し顔を赤らめている。それを絶対に許ざんというような目がいくつも彩佳を睨む。嫉妬怖い。
「ほーう。だがね、それだけじゃ信じるには足りないねえ。まあどうすれば信じられるかもわかったもんじゃないけどさ。一応は信じといておくよ。しっかし成程。そうなると彩佳嬢に対して驚きもしないのは頷けるねえ。なんせ知らないんだから」
「あーそうだ。彩佳よお、城之内グループってなんだ? 知ってるのが当たり前って感じだったけど」
「ふえっ!?/// あ、ああそうですね。ではご説明します。まず世界的に男性の数が減っていったのは先程お話しした通りです。その中で問題に着手したグループが3つあります。そのうちの1つが『城之内グループ』です。その他の2つは『天上院財閥』、もう一つは『イェーガー』という元警備会社です。今は男性保護協会の大半を担っていますね。昔こそこの3つの仲は険悪そのものでしたが今はそこまで悪くないんです。それで私は城之内グループの娘なんですよ」
「へー。てことは本当にいいとこのお嬢様ってわけだ」
明日葉は関心したように彩佳を見つめる。すると彩佳は顔を真っ赤にしながら
「い、いいいえそんな!/// 私はまだ未熟で、まだ結婚も出来ておらずデュエルも全然弱くって、あ、でも明日葉さんが教えてくれるのなら私もつよk「なに抜け駆けしようとしてんだあああああ!!!」うわあ!?」
彩佳が暴走していると後ろからいきなり大声で突っ込んできた影と彩佳が激突する。
「いった~い。何するんですか!? どうしたっていうんですか一体?」
「どうしたもこうしたもあるかあ! 戻ってきたと思えば男連れて来るししかもイケメンだと!? ふざけんな! しかも何いきなり男にデュエル講義受けようとしてんだ! あたしも混ぜろ!!」
「おい」
止めに来たと思ったら便乗したかっただけである。明日葉の感動を返せ。
「どうしたんですか悠香さん。まさか嫉妬ですか? あの悠香さんが嫉妬? いつも『あたしはあんたよりもいい男警護して絶対ゴールインしてやるからな!!』と息巻いている悠香さんが嫉妬してるんですか~?」
「あああああああムカつくううううううううううううううう!! なんでこいつにこんなイケメンが引っ掛かったんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!???」
((((ホントだよっクソ!!!!))))
どうやら女性陣の意見は大体同じようである。しかし彩佳がこのような煽り方をするとは思わなかったので明日葉も少し引いている。憐れ、彩佳。
「あーっと、まずあんたの名前聞いてもいいか?」
「ひゅえっ!! お? おう、そうだな! あたしは『御伽 悠香』ってんだ。よろしくな!!」
そう言うとニッと笑ってみせた。彩佳もそうだが、悠香自身もスタイルがよく、元の世界ならモテにモテること間違いないスマイルであるがここは男女の関係がおかしいので実に惜しい。
そんな中で景子が話しだす。
「おいその辺にしときなお嬢。周りから恨みを買うだけだよ。悠香もだ。そんな騒ぐんじゃない。それはそうと明日葉君。君のこれからの生活なんだが、君には窮屈かもしれないがこっちのルールに従ってもらいたい。不満に思うかもしれないけどこっちも体裁があってね。後、定期的に健康診断もやることになる。大丈夫、生活についてはある程度の自由は利かせるからね。」
「あー、そうですか。ありがとうございます、そういえば生活のこと完っ全に忘れてたな」
「それでね、この世界では男性に必ず警護官が最低3人付く必要があるのさ。それであんたにはさっき教えた3つのグループから1人ずつ選んで欲しいんだよ。そうした方が3社の仲も保たれるからね」
「まあこんなことで仲が悪くなったらいい笑いものですしね」
「だろ? こんな事に巻き込んじまって悪いんだけどさ、是非とも頼むよ」
真偽はともかく、異世界から来たという青年でしかも女性に恐怖せずむしろデュエルで圧倒する腕前の明日葉。この世界でいえば漫画から出て来たヒロインのような存在。どこも欲しがらないわけがない。何処かに独占されてしまえばその瞬間他2社から戦争を吹っ掛けられることは間違いないだろう。この世界も色々な意味で大変だと感じた明日葉だが、その程度ならお安い御用といったところだった。
「いえいえ。こっちは生活を保障してもらう立場ですからね。そのくらいなら全然大丈夫ですよ」
「そうかい!! いやーありがたいねえ! じゃあリストを渡しておくからその中から選んでおくれ。そいつらにはこっちから連絡入れておくからね。」
「はい。ありがとうございます。えっと、実はもう1人決まっているんですがいいですかね」
「え? 随分と早いね。誰だい?」
明日葉の決まったという台詞に皆が固まる。彩佳は期待の表情を浮かべ、悠香はどこか怯える表情を明日葉に向けている。そんなことまるで知らないといった明日葉はその名前を告げる。
「1人目は彩佳に頼みたい。いいか?」
今回はここまで。世界の状況とそれを支える組織の名前を出しました。あと新キャラ2人追加ですね。え? 聞き覚えのある名前が多すぎる? まあ、仮にも遊戯王だし……ね? 編集中でUA1000突破したのが発覚してビックリしました! 皆さんありがとうございます!!
さて、告白にも似た大胆カミングアウトをかます明日葉君。狂喜する彩佳。むせび泣く悠香+周りの職員。そこで悠香は彩佳にある話しを持ち掛ける。果たしてその内容は?残り2つの椅子には誰が座るのか? 今、警護官決定戦が幕を開ける!!
次回は1週間ではありますがどこかで出すかはわかんないんです。次回はデュエルあるかも?それでは、俺たちの満足はこれからだ!!!
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デュエル3~明日葉君専属警護官決定戦~
それはさておき始まりました。今回は前回大胆カミングアウトをかました明日葉君の警護官着任を賭けて醜い争いが起こる。そんなお話です。
「……///」
現状のヒロイン枠は放心状態ですね。
申し訳ございませんが今回デュエルまでいけませんでした……。
デュエル導入はやりますんで。どうぞー。
遊星ってかっこよくね?
「1人目は彩佳に頼みたい。いいか?」
その発言は周りの思考を奪い去るには十分だったようだ。そんな中、景子が口を開く。
「な、なあ。もう一度聞くよ? 誰を選んだって?」
「彩佳だ。1人目は彩佳を選ぶ。問題ないよな?」
「ああ。確かに問題はない。だがいいのか? お嬢はデュエルがてんでダメなんだよ?」
景子は何故彩佳を選んだのかがわからないといった感じで、肝心の彩佳は突然の明日葉の発言に思考がついていかなくなっている。
「そいつに関しては俺が教えていけばいい。他もそういった感じで選んでも構わないが? いっそのこと俺の世界のデュエルを教え込んでみるのもいいかもしれないしな」
「ええ……。そんな無茶苦茶な……。まああんたがいいならそれでもいいけどさ。でもこっちでの警護官の強さはそのまま社会での安全性に直結するんだ。デュエルで決着をつけることが当たり前ではあるが、それでもデュエルの腕前だって重要なステータスに変わりはないんだ。それにあんたがデュエルを教えたとしてもこの世界は男性がデュエルをするのはもちろん、ものを教えるのだってしない。そんな中でイケメンにデュエルを教えられたなんて周りに知られた日にゃあ戦争という名の虐殺が始まっちまうんだよ」
「え? なにそれ怖っ」
そう。明日葉には想像できるわけもなかったのだ。なにせ彼はデュエリスト。ビッグネームではなかったが、彼の母校や友人の手伝い等でデュエルを教える機会があった。その時に子供たちから羨望の眼差しを向けられ、純粋に明日葉の講義を聞いてくれていた。しかしこの世界はそんな平和な世界とは違う。彼が仮にデュエルを教えることになるとして、そこに安全はあるのか? 間違いなく生徒たちとの超融合待ったなしである。そんな状況でもデュエルを教えられる程明日葉の肝は強くなかった。
「まあこっちでも対策は考えておくがそういったことが起こるってことも考えておいておくれよ。まあそれとお嬢の着任ははっきり言って関係ない。お嬢! あんたには本日から明日葉君専属警護官着任を命じる!! しっかり明日葉君の警護を果たすんだよ!!」
「……え?」
今まで何が起こったのかわからないといった表情の彩佳。今の台詞をもう1度聞こうとしたら、それを察した景子がもう1度説明する。
「聞いてなかったのかい? あんたは今日から明日葉君の警護官だ。明日葉君が危険な目に合わないようにしっかり仕事を果たしな!!」
「あ、あの……明日葉君。ひとつ聞いてもいいですか?」
「ん? なんだ?」
「何故私なんですか? 明日葉君の警護官としてはあまりにも力不足ですし、それに私を選ぶというのは……///」
「え? なんかあんの?」
「あーっと……明日葉君。お嬢は城之内グループの令嬢だっていうのはさっき聞いたよね?」
「え? はい」
「最近城之内グループの社長。つまりお嬢の親御さんなんだけどね、最近お嬢が結婚できないから許嫁を探そうとしてるんだよ。」
「ちょ!? 景子さん! 勝手に言わないでください~!!」
「お、おう。それで、それと警護官の指名になんの関係があるんですか?」
「簡単に言うと親御さんがあんたとお嬢を引っ付けさせかねないんだよ」
「……ファ?」
「……///」
まさかの発言に明日葉が間抜けな声をあげ、彩佳は耳まで赤くしている。
(男が少なすぎて貰い手がいなすぎるってのはわからなくもないが、警護対象にまで手を出そうってのかよ……)
「わ、私は別にそう言う訳じゃないんですよ! ただ全然結婚しようとしないからお母さんが痺れを切らしていまして、あと半年で結婚相手を連れてこなければ許嫁をお母さんが連れて来るって言われて……」
「ま、親御さんからすれば異世界から来たと言っても自分の娘を警護対象に選んでくれた男を手放したくないのさ。まあ、あたしにとっちゃそんなもんは関係ない。明日葉君が彩佳を警護に選んだ理由は気になるが、その決定を覆させる気もないしね。ということでお嬢。あんたの護衛官着任も取り消しはしないからね。後で手続きするから部長室に来るように。以上」
「ああ! 待ってください景子さん! まだ話しは終わってないですよ!」
彩佳は必死に弁明をする。自分で19歳と言っていたがこの世界の結婚平均年齢は一体いくつなのか? 気になるところだが明日葉は関係ないといった感じに話す。
「彩佳。俺が選んだ彩佳を理由だけど、こっちに来てから初めて会ったのが彩佳なんだ。俺としてはさ、少しでも自分のことを知っている奴が警護官やってくれると緊張も減るんだよ。だから頼む。俺を守ってくれないか?」
「……!///」
「「「「「「ブフォ!!!!!」」」」」」
「はいわかりました!! この身に変えても明日葉君を守って見せます!!///」
傍から見たらプロポーズにみえるようなくさい台詞を恥ずかし気もなくいう明日葉とそれにやられてしまい、先程の羞恥などどこへやら。周りなど見えていないといった感じで返答をする彩佳。明日葉は天然ジゴロだった……? そして周囲の彩佳に対する怨念はまるで全ての命を燃やし尽くさんという程燃え上がっている。そしてその中の1人が大声で怒鳴り散らした。
「おいおいおい待てやあ!! 彩佳! 何勝手に盛り上がってんだよ! あたしは認めねえぞ! あたしだって明日葉の警護やりてえんだ!! なあ明日葉!! あたしも指名してくれよ! 枠はまだ2つ残ってんだ! 彩佳に負けらんねえんだよ!!」
彩佳のライバルポジションに位置しているであろう御伽悠香である。やはり自分と同じ境遇にいた彩佳がいきなり勝ち組ルートに乗るのは納得いかないのである。
「えーっと、俺としては件の3社から選びたいな。下手に揉め事を起こすよりはそうやった方がここも変に仲違いすることもないだろう? 君が彩佳と違うグループの人ならいいけど、どうなの?」
「かぁーっ同じなんだよ!! だからよ? 彩佳じゃなくてあたしを選んでくれよ! あたしの方が彩佳より強いし、色んな要望叶えられるぜ!? それにさっき彩佳も言ってたろ? あいつの親はあんたを元の世界に戻す気はないんだぜ!? それならあたしを選んだ方が賢いとは思わないか?」
悠香の台詞に彩佳は身をこわばらせる。彩佳のプレイングスキルが低いのは最初に明日葉との出会いで不良に禁止カードを用いられたとはいえ、敗北している所をみられている。言い訳のしようもない。だが、それで諦めるわけにはいかない。
「だ、駄目です!! 城之内グループからは私と決まったんですから!! もう枠はないです!!」
「んだよ! 明日葉に選ばれたからって自慢か? おしわかった! ならデュエルでケリつけようじゃねえか!」
「冗談じゃありません! なんだって得のないデュエルを受けなくちゃいけないんですか!?」
「ほーん。じゃあいいんだな? 明日葉にお前の黒歴史が映った写真集大成「いいでしょう! そのデュエル受けましょう!!」おし! 決まりだな! 後で文句言うなよ!」
何処か脅しに近い方法だったが、どうやらデュエルで決着させることになったようだ。
「おーい、明日葉くーん。ちょっとお知らせg……どうなってんだいこれは」
「あ、景子さん。どうやら俺の警護官を悠香っていう人がやりたいけど彩佳と同じグループだからデュエルで決着つけるらしいですよ」
「あー……なるほどね。そのことなんだけどさ」
「どうしたんです?」
「城之内グループは明日葉君を歓迎したんだけど、他の2つは辞退したんだよ。どう転ぶわからなくて不安だって」
「……え?」
景子が言うには、明日葉のことを各グループの会長に報告した結果、城之内グループは娘を助けてくれた男故に断る理由もなく即決。他2つは異世界から来たというのは戯言にしか聞こえず、怪しさしかない為、今回は見送るということだそうだ。明日葉は仕方ないといった様子で納得しているが、彩佳は少し不満そうだ。
「お母さんが許してくれたのは良かったですが、悠香もこれでは着任ですね……」
「うっし! これで二人きりにしてイチャコラさせることはねえな!」
悠香は彩佳の不幸を喜ぶようにガッツポーズをする。喜ぶところそこ?
「おっそうだ。お嬢、会長から言伝を預かってるぞ」
「え?お母さんから?」
「メモに書いといた。読んどきな」
一体なんだろうとメモを受け取り、開いてみる。そこには、
『絶対に逃がすんじゃねえぞ』
と書いていた。
「……」
「彩佳、どうした?」
「一体何が書いt……うわあ」
気になった悠香が覗くとその文字の書き方から感じる執念を受けてドン引きである。
「ま、まあ頑張ってな」
渡した景子さえ苦笑いで応援する始末。彩佳、可哀想な子。
「ま、まあこれであたしの着任も確定。無事大団円で「何言ってるんですか悠香」ひょ?」
「まだ私の写真を処分してないです!!」
「えー、もういいじゃねえか。どうせ負けるんだからよー」
「よくないです!! それにこれじゃ不完全燃焼です!! 悠香もいいんですか? 明日葉君にいいとこ見せたくないんですか?」
「んなっ!?///べ、別に明日葉は関係ねえだろ! あたしの腕前がどうだろうがしたこっちゃねえだろうが!」
「へえー、ならなんで明日葉君の警護官になりたいんですか? それなら明日葉君でなくともいいじゃないですか?」
「て、てめえ……いいぜやってやるよ!! あたしが勝ったら本当にあの写真ばらまくからな!!」
「望むところです!! 私が勝ってあなたの黒歴史を暴露してやりますからね!!」
どうやら警護官の話関係なくデュエルはするようだ。しかし賭けが黒歴史という辺り何とも醜い争いである。
「おい警護対象さん。止めないのかい?」
「俺自身、あいつらのデュエルタクティクスは知っておきたい。それにこれはいい機会だ」
「? なにがだい?」
「このデュエルで警護官の腕前を測ることが出来る。さあ見せてくれよ。お前らのデュエルを!」
「「デュエル!!」」
「因みに言っとくがあいつらは警護官の中でもデュエルの腕前はドンケツだからな」
「え!?」
今回デュエル出来ませんでした申し訳ないです。
さっさとデュエルに移るかと思ったけどなんか導入前の世界観設定に筆が乗ってしまって……次回は初っ端デュエルになります。お楽しみください。
彩佳VS悠香の黒歴史を賭けたデュエル。しかしそれは明日葉からすればプレイミスの連発で……窮地に陥る彩佳に明日葉がかけた言葉とは……
見切り発車のわりによくここまで書けるなと自分で驚いています。デュエルは色々裁定とかありますからそれを確認しながらになります。頑張って書くのでお待ちください。では、デュエルスタンバイ!!
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デュエル4~彩佳VS悠香~
今回からターン終了時にプレイヤーの盤面をあげていきます。ここからカード増えるので。その時プレイヤーは名前の方を出します。
「この世界はどんなデュエルをするんだろうか? 不良のこともあるが、パワーバトルなのかな?」
それはこれからのデュエルを見て判断してね。
では、
デュエル開始の宣言をしろ!! 磯〇!!
「デュエル開始ィ!!!」
「「デュエル!!!」」
城之内 彩佳
LP8000
VS
御伽 悠香
LP8000
彩佳と悠香の黒歴史を賭けたデュエルが幕を開ける。先行は彩佳だった。
「私のターン! 先攻はドロー出来ないのでそのままメインフェイズ!! 私は『
ATK1800/DEF1600
「そしてカードを1枚セット! ターンエンドです!」
彩佳
LP8000
手札:3
モンスター:真紅眼の飛竜 魔法、罠:伏せ1
「彩佳は真紅眼デッキか」
「お? 1枚で分かるのかい?」
「まあ飛竜なんて真紅眼でも多くは見ませんが入れるなら真紅眼かなと」
明日葉に気づいてもらえたのが嬉しかったようで、頬を染めて顔をニヤつかせている。
「ニヤついてんじゃねえ! あたしのターンだ! ドロー!! そのままメインフェイズ! あたしは『スナイプストーカー』を召喚!!」
スナイプストーカー ☆4 闇
ATK1500/DEF600
「そのまま効果! 手札をコストにダイスを振って1と6以外なら対象のカードを破壊するぜ!!」
「悠香はギャンブルデッキか」
「あいつまだ使ってんのか……」
「まだ?」
「あいつは絶望的に運が悪くてね。1と6以外が出た例がないのさ」
「そ、そんなまさか」
「嘘だと思うなら見てみればいいさ。自分の運を知っていながらなんで使うんだか……」
「行くぜ! ダイスロール!!」
スナイプストーカーの銃に付いているルーレットが回る。ダイスじゃないんかい。
出目 3
「な!?」
「何だってえ!?」
「……普通に3出しましたけど?」
「……でた?…………うっほう!! やったあ! やったやったやったああ!!」
悠香の喜びようと周りの反応からどうやら景子の言っていたことはどうやら間違っていないようだ。スナイプストーカーも信じられないといった顔をしている。てかなんで
「いよーし! スナイプストーカーの効果!
スナイプストーカーの銃から3発の玉が射出され、真紅眼の飛竜に直撃する。そのまま真紅眼の飛竜は爆散した。
「うわ! くぅ……なんで悠香さんのダイスが当たったんですか~今までこんな事無かったのに~!」
彩佳は露骨に悔しがっている。しかしこれで戦況は傾いた。
「バトルだ! スナイプストーカーでダイレクトアタック!!」
「くうぅ!!」
彩佳
LP6500
「メインフェイズ2に移行!! カードを1枚伏せ、ターンエンド!!」
悠香
LP8000
手札:3
モンスター:スナイプストーカー 魔法、罠:伏せ1
「悠香、普通に効果成功してましたね」
「言うな!! あたしだって驚いてんだよ! 今の今まで成功した例はなかったんだよ。そこまで言うなら後で聞いてみるといいさね。本当のことだってわかるから」
「はあ、わかりました……」
「私のターン!!」
彩佳にターンが回る。
「私は手札から『紅玉の宝札』を発動します! これで手札のレベル7の『
どうやらあまりいいカードは引けなかったらしい。
「……私は『紅玉の宝札』の効果で『
彩佳
LP6500
手札:2
モンスター:裏守備1 魔法、罠:2
「へ?」
「ん? どうしたのだ?」
「いや、なんで飛竜の効果を使わなかったのだろうかって」
「……へ?」
彩佳が冷や汗を掻く。
「
「……」
「……?」
「そうでしたあああああああああ!!!!!!」
「まあそっちもあながち間違ってはいないとは思うけどね。俺はそうしたってだけ」
「うう、ターンエンドは宣言してしまいましたし、もう仕方ないです……」
「じゃあ行くぜ! あたしのターン! あたしはもう一回スナイプストーカーの効果を発動! 手札をコストにダイスロール! っち! 1かよ。ならそのまま攻撃!」
今度は失敗してしまったが、そのまま攻撃を宣言。彩佳の伏せモンスターが破壊される。
「っくぅ!」
「……」
そんな中で明日葉は一つの考えが浮かぶ。
(まさかとは思うが……いやそんな……)
「彩佳!」
「ひゃい!! なんでしゅか!?」
「お前、カードのテキストは読んでるよな?」
「と、当然です! いきなりなんだっていうんですか!?」
「じゃあ今破壊された
「レッドアイズの装備カードになって攻撃力が600上がります!!」
「もう1個は?」
「……?」
「やっぱちゃんとみてねえな……。フィールドから墓地に送られたらデッキからレッドアイズを1枚持ってこれるだろうが」
「……っあ!」
またやってしまったと彩佳はうなだれている。
「あああああああああああああまたやっちゃったよおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
キャラがブレる程ショックを受けている。今までもあったのだろう。
「はっはっは!! ドンマイだな! あたしはこれでターンエンド!」
悠香
LP8000
手札:3
モンスター:スナイプストーカー 魔法、罠:伏せ1
「うう~これ以上の失敗は許されません! 私n「彩佳!」っもう! なんですか!?」
さっきから失敗続きの彩佳に苛立ちがみえる。それでも明日葉は気にせず
「1つアドバイス!! デッキもカードも信じていない奴はどんな戦いも勝てはしない!!」
「いったい何のことをいって……!」
彩佳ははっとする。悠香のダイスが成功し、自分は焦ってしまった。それに自分の今の感情はなんだ。失敗続きでさらに明日葉にまで当たってしまった。失敗は自分の落ち度で、明日葉はただアドバイスをくれているだけだというのに。
(恥ずかしい! 明日葉君は善意で言ってくれているのに! 私はそれに当たって……!!)
「……明日葉君!! 申し訳ありません!! 折角の厚意を踏みにじるようなことを……! 本当にごめんなさい!!」
「いや、いいんだ。俺はあくまでも俺のやり方を言ってるだけなんだからな。こっから挽回してけ!!」
「……はい! 私はもう大丈夫です! このデッキを信じて戦います! 私の、ターン!!」
さっきまでとは違うドローモーション。覚悟が決まったといった感じだ。
「反撃開始です!! 私は『ワン・フォー・ワン』を発動! 手札の『カーボネドン』を墓地に送り、デッキからレベル1の『
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ☆10 闇
ATK2800/DEF2400
「レダメか……いいカードだ」
「攻撃力2800だとお!? 彩佳! お前そんなカード持ってたのか!」
「カードを信じて戦ったらカードが答えてくれたんです!! 更に墓地の『カーボネドン』の効果!自身をゲームから除外して手札、デッキからレベル7以下の通常モンスターを特殊召喚します! お願いします!『
ATK2400/DEF2000
「い、いきなり高レベルモンスターが2体だあ!? ふざけんな! ふざけんなちくしょう!」
「ダークネスメタルドラゴンの効果! 1ターンに1度、手札、墓地のドラゴン族モンスターを1体特殊召喚します! 蘇ってください!! もう1体のレッドアイズ・ブラックドラゴン!!」
「んなあ!? またかよお!」
「まだ終わりません! 私はレベル7の『
「!?」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!! ランク7! 『
「す、すげえ」
「やるなぁ! 彩佳!!」
「フレアメタルは自身のオーバーレイユニットをひとつ使うことで、墓地の「レッドアイズ」通常モンスターを特殊召喚できます! 戻ってきて! レッドアイズ!」
「バトルです! レッドアイズブラックドラゴンでスナイプストーカーに攻撃! 『ダークメガフレア』!!!」
レッドアイズ・ブラックドラゴンの口から黒の炎を吐き出し、スナイプストーカーを黒焦げにし、灰に返す。
悠香
LP7100
「くううっ! っだあいちくしょい!!」
「まだです! レッドアイズ・フレアメタルドラゴンでダイレクトアタック!」
悠香
LP4300
「ぐわああああ!!」
「最後です! ダークネスメタルドラゴン! ダイレクトアタックです!」
「そうはいかねえ! 罠『リビングデッドの呼び声』! これでスナイプストーカーを特殊召喚だ!」
「でもフレアメタルの効果で悠香さんが魔法、罠、モンスター効果を使う度に500のダメージです! 攻撃もやめません! ダークネスメタルドラゴンで、スナイプストーカーを攻撃!」
悠香
LP2500
「あああああああああ!!!」
「私はターンエンドです」
彩佳
LP6500
手札:0
モンスター:レッドアイズ・ブラックドラゴン2 レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
魔法、罠:伏せ2
「よし! やるな! 彩佳!!」
「はい! ありがとうございます!!」
「っく! これが彩佳の底力か! っかあーつええぜ! だがな! あたしはだって勝つ気は変わんねえよ! あたしのターン!」
「っうし! あたしは『サモン・ダイス』を発動! ライフを1000払ってダイスの目で効果を決定する!!」
悠香
LP1000
(頼む、来い。来い!!)
「ダイスロール!!!」
出目 6
「うおっしゃああ!!! これで手札のレベル5以上のモンスター、『ゴッド・オーガス』を特殊召喚!!」
ゴッド・オーガス ☆7 地
ATK2500/DEF2450
「まさか、あの悠香が望む出目を出すなんて!! 明日は台風でもくんのかい!?」
「いや、それは言い過ぎでは……」
「んなことはいいんだよ!ゴッド・オーガスの効果! ダイスを3回振って、その目の合計×100相手ターン終了時までアップするぜ!!」
LP500
「これで最低でも3は確定。2800になってレダメと相打ちにはなるな。だがゴッド・オーガスは……」
「行くぜ! ダイスロール!!」
出目 1 2 6
「っかあー!! 駄目か! だが、出目の合計は9! これで900アップだぜ!!」
ゴッド・オーガス
ATK3400
「攻撃力3400!?」
「やるな! 悠香!」
「おうよ!」
「ぐぬぬ……」
「おいおい、あの悠香がダイスロール成功してるぜ!」
「彩佳も何!? あのドラゴン! かっこいい!!」
デュエルが佳境に入ってデュエルが気になった職員が集まっている。今まで馬鹿にしていたのだろう職員が驚愕や称賛の声をあげている。
「バトルだ! ゴッド・オーガスでフレアメタルを攻撃!」
ゴッド・オーガスの剣がフレアメタルを縦に切り裂く。そうしてフレアメタルが爆発した。
彩佳
LP5900
「っくう!!」
「カードを1枚伏せてターンエンドだ!」
悠香
手札:1
モンスターゴッド・オーガス
魔法、罠:伏せ1
「さーてここからだな」
彩佳にはレッドアイズが2体と伏せカードが2枚。悠香はモンスターはゴッド・オーガスだけだが攻撃力は3400で伏せが1枚。更に手札も1枚あり、ターンが回ればそこで立場を逆転させることも十分可能だろう。彩佳はここが正念場となる。
「私の、ターン!!!」
彩佳がデッキからカードを引き抜き、少しの間静止する。辺りに静寂が流れる。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……悠香さん」
「ん? なんだよ?」
「今回のデュエル。やっぱりやって良かったです」
彩佳は満足するような笑顔で笑う。明日葉もその笑顔に少し惹かれてしまった。
「こうやって何度もデュエルしてるけど今までほとんど勝てなくって、でも明日葉君に出会って励まされて、自分のデッキを信じて戦うって決めた。それに答えてくれた悠香さんにも感謝しているんですよ」
「っへん! いきなり何言いだすかと思えば。まああたしもこんなにダイスロールに成功したのは初めてだ。これも明日葉のお陰かもしれねえな」
「うん、だから私はここで悠香さんに勝ちます! 明日葉君にかっこ悪いところは見せたくありませんから!!」
「あたしもだ!! ここから逆転して明日葉にいいとこ見せてやる!!」
「いやー!! モッテモテだねえ明日葉君!! イケメンだから当然だろうけどね!」
「え? いや、その……///」
ここまで直球で言われるとは思わず、柄にもなく赤面する明日葉。貴重なデレシーンである。
「なに恥ずかしがってんだよ! 可愛いなあこいつめえ」
「酔っ払いみたいな絡み止めてくださいよぉ。仕方ないじゃないですか……ここまで言われるなんて思わなかったんですから……///」
ムラァ……
どこかで変な効果音が聞こえたが気にしない。
「ここで終わりです! 罠発動!! 『レッドアイズ・スピリッツ』!! この効果で墓地のレッドアイズを復活させます!! 来て! レッドアイズ・フレアメタルドラゴン!! 更にダークネスメタルドラゴンの効果で墓地の黒鋼竜を復活させます!! 出番です! 黒鋼竜!!」
「くっ! また来やがったか!! だが、それでもあたしには及ばないぜ! 罠発動!『無差別崩壊』!!」
「無差別崩壊!? これまたギャンブルな……いや、これなら……」
「無差別崩壊はダイスを2回振って、その合計以下のレベル・ランクの表側表示のモンスターを全て破壊する!!」
「行くぜえ!! 運命の、ダイスロール……の前に罠発動!『リバース・ダイス』!!」
「ふえ!? そのままいくのではないんですか!?」
「保険はかけておくもんだぜ! リバース・ダイスは、サイコロをやり直すのさ! さあ! ダイスロール!!」
出目 3 4
「合計は7か……まあこれは振り直しだ!! 次に賭ける!!
運命の、 ダイスロール!!!」
最後になるかもしれないダイスが振られる。それを皆が固唾を飲んで見守る。全てがまるでスローモーションのように感じる。
そして、
ダイスが
運命を下す。
出目 6
6
合計 12
「……」
「……」
「……」
「……」
「……しゃ」
「いよおおおおおおおおおっっっっっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああ」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「すごい!!」
「あんな土壇場で出るなんて!」
「普通ありえないでしょ!?」
「悠香すごーい!!」
「無差別崩壊の効果でレベル・ランク12以下の表側表示のモンスターは全て破壊!! フィールドは焼け野原だああああ!!!!!」
無差別崩壊のカードから全てを破壊する光があふれ出る。その光は敵味方問わず、全てを飲み込む。光が消えた後には、
「いよーし!! これで彩佳は何も出来ない!! ここからあたしの大大大逆転のかいm「何勘違いしてるんですか?」んあ?」
「まだ私のターンは終了してないです!!」
だが、彩佳の目はまだ輝きを失っておらず、むしろそれは熱く、赤く燃え滾っていた。
「言いましたよ。ここで終わらせるって! この最後の手札が私の最後のピース!! 魔法カード『復活の福音』発動!!」
「っ!!」
「自分の墓地のレベル7又は8のドラゴン族モンスターを特殊召喚します!! これが最後です!
巨大な鐘の音と共に燃え上がるような瞳を宿し、黒が鱗となって覆う竜が姿を現す。その姿は今までで見る中でも類を見ないほどに美しく見える。それを見た観客、プレイヤー、全てがまるで
「バトルです! レッドアイズ・ブラックドラゴン!! 悠香さんへダイレクトアタック!! 『ダークメガフレア』!!!!」
「……んだよ。
綺麗なもんだな」
悠香
LP 0
デュエル終了です。
疲れた~!!! ギャンブルカードの際に面白いかなと思ってダイスを実際に使っていたのですが最後の最後にマジに12出すなんて聞いてないですよ!? テンション上がるに決まっているじゃないですか!! いやー考えるの大変でした!! 楽しんで頂けましたでしょうか? 満足していただけたなら嬉しいです!
次回から物語がやっと軌道に乗ります。最後の3人目も登場ですよ! 明日葉君はその人と会話をしようとするのですが……?
カーボネドンの効果間違えてなんやかんやでフレアメタル出しました。ここまで修正苦労するなんて……
ちょっと休憩……ここまでやるとは思わなかったんです……。
では、次回までお待ちくださーい。
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デュエル5~警護官集結!~
筆が乗った
ネタが徐々に枯渇しているこの頃、考える為に投稿ペース落とすのは仕方ないですよね? まだ貞操逆転テイストが薄いですがそれはこれからの展開で嫌でも出てくるんでそれで勘弁してください……。
「奇跡的なダイスロールだったな……。あんなの元の世界でだってみないな」
リアルでだって見ません。
それはそうと明日葉君の警護官を志望する人が2人の他にもいるそうですよ? 今回はそんな人のお話です。では、どうぞー。
彩佳のレッドアイズ・ブラックドラゴンの攻撃が悠香に直撃し、デュエルに決着がついた。悠香はそのまま大の字に寝転がっている。
「あーあ、負けちまったよ。いけると思ったんだけどなあ」
「悠香さん……」
「でも、いいデュエルだったぜ。彩佳、ここまで盛り上がったデュエルは初めてだ。ありがとよ」
そう言いながら悠香は立ち上がり、握手のために手を伸ばす。それに応えるように彩佳も手を伸ばし、悠香の手をとる。
パチパチパチパチ……
「「……?」」
気づけば周りに集まっていた観客が1人、また1人と拍手を送っている。
「凄いデュエルだったよ!!」
「いつの間にこんなに強くなったんだ!?」
「今度私とデュエルしよー!」
「皆さん……」
「いつの間にいたんだよ」
「彩佳が展開しだした頃から集まり始めたんだ」
「「明日葉(君)!」」
「凄いデュエルだったぜ。俺の世界でもあんな攻防そうそう見れないよ。全く凄いぜ!2人共!!」
「「///」」
明日葉から素直に褒められるとは思っていなかったのか、顔を赤くしてうつむいている。今回はそれに対して怨恨の情を向ける人はいないようだ。
「はいはい! 今日は残念ながらここまで! 続きは明日に持ち越しだ! 明日葉君。残りの警護官に関しても明日で頼むよ。ごめんね、こんな遅くにまで付き合わせちまって」
気が付けば夜も深く、時計をみれば11時を過ぎている。
「いいえ、大丈夫ですよ。……えーっと、俺今日どこで寝ればいいですかね?」
「部屋を用意しておいたからそこで寝ておくれ。さーて、お前らぁ! さっさと動けえ!」
「はーい。……? 悠香さん? どうしたんですか?」
「彩佳。今日は楽しかったぜ! 最初お前が明日葉を連れて来たときはぶっ潰してやろうかと思ってたけど、今日のデュエルはそんなこと吹き飛ばしちまうようなワクワクするものだった。だからよ、それでお前に礼が言いたかったんだ! ありがとな!」
「……! はい! 私も今日のデュエルは忘れないです! 何せ明日葉君に褒められたデュエルですから!」
そうしてまた2人は固く握手を交わす。
「ところでぇ~。このデュエルって負けた方の
彩佳の発言に周囲は静まり、悠香は一気に青ざめる。
「な、なあ彩佳? 折角いい雰囲気で終わりそうなんだからさ? ここはそういったのは流して熱い友情を互いに確認したってことd「明日葉くーん!! 実は悠香さん学生時代にハーピィレディのコスプレの自撮りしてネットにあげたことがあるんですよー!!」待てって言ってんだろうがあああああああああああああああああ!!!!!」
こうして夜は更けていく。因みに彩佳と悠香は最後にバカ騒ぎしたので景子にアイアンクローをかまされた。
御伽 悠香 明日葉専属警護官着任!!
____________________________________________________________________________________
「……」
明日葉は寝るのが遅かったのか、わからないことが起こりすぎて疲労したのか普段起きる時間が来ても布団から出ていない。そこに音を消して人が入ってくる。
「おはようございま~す。……まだ寝てるみたいですね。こ、これは仕方ありませんがふ、夫婦のようにお、起こして差し上げなくては!」
そう納得させて少しずつ明日葉に近づいていく。その度に「……ふぅ、ふぅ」と荒い息を吐いている。完全に獲物を狩る獣ですよこれは……。
「あ、明日葉く~ん。朝でしゅよ~。おきてくだひゃ~い。お、起きなかったら、き、ききききききききしゅしますからね~///]
恥ずかしいからか噛みに噛んでいる。そんな明日葉なのだが……実は起きている。
(誰か入ってきたと思ったらなんか始めてるし、キスするとか言い出してんぞ。いいのかお嬢様……)
そうこうしていると彩佳は意を決したように意気込んで、明日葉に顔を近づける。
(お、おい? マジにやんのか? え? マジ? マジなんですかお嬢様? 昨日会ったばかりの男にそんなことして大丈夫ですか? あ、こっちの価値観俺と違うんだった。だとしてもだわ! ええ~どうなるんだ!? どうなるんだよおい!?)
「おーい明日葉ー起きてる……か……?」
「ん~」
「なにやってんだこのタコおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「きゃあああああ!!??」
「てめえ昨日の今日でもう手出すとか豚箱待ったなしだぞ! 殺されてえのかおい!? 明日葉! 大丈夫か!?」
「あ、ああ。大丈夫だ……///」
応えた明日葉は顔を赤くして答えている。
「明日葉!! どうした? っは! さては彩佳はもう……彩佳てめえ! 絶対ぶっ殺す!」
「いや! 大丈夫だ。大丈夫だから!なんともないから!」
必死に悠香を宥める明日葉と自分がやったことを今になって恥ずかしくなった彩佳。この状況を治めるのに10分かかった。
「明日葉君。昨日君に警護官を決めてほしいと言ったんだが、実は『イェーガー』から1人派遣したいっていうのがあってね。天上院は相変わらずだんまりだがイェーガーは協議の結果「やっぱ男は問答無用で警護すべき」ってことになったようなんだよ」
朝食を摂り終えて残りの警護官を選ぼうとした明日葉に景子がそう話す。行動原理が男というのもどうなの? と明日葉は疑問に思ったが、これがこの世界なので考えるのを辞めた。イェーガーは元警備会社とは聞いているが今はどうなのか気になった明日葉は彩佳に聞いてみることにする。悠香は他の職員とデュエルのトレーニングに向かった。昨日のデュエルが話題にあがったのだろう、嬉しそうに走っていった。
「なあ彩佳。イェーガーって今はここの大半を占めてるって言ってたけど警護官って具体的に何やってるんだ?」
「基本的にはこの本部や支部に併設されている男性の居住スペースで生活する男性の健康状態を管理したり、外出する際の警護をしますね。そこで起きたトラブルを解決するのはイェーガーの請け負いです」
「後の2つは他に何やってんだ?」
「昔はトラブルシューティングもやってたんですけど、今は事務やイベントの企画、後はイェーガーの仕事の後処理ですね。結構重労働が多くてつかれるんですけど、強い人は大体イェーガーにいってしまって……今の男性保護協会はイェーガーが実権を握っているといっても過言ではありません」
「彩佳のところは他の事業に手出してないのか?」
「もちろんやっております。城之内グループは交易を、天上院財閥は教育強化を熱心にやっております。イェーガー程でなければ男性保護協会だけでは食べてはいけないですから」
「あー、もういいかい? イェーガーから派遣された奴を紹介するから」
「あ、はい。すいません。話に夢中になってしまって」
「す、すいません! ん? 夢中?……///」
「はいはい脳内ピンクは放っておいて、入っといで!! 『レイカ』!!」
景子がそう言うと、扉を開けて1人の女性が入ってくる。背が彩佳や悠香と比較して低めだが、顔つきは他2人と比べて冷徹の女といったところだ。レイカという女性が明日葉の近くに来て自己紹介を始める。
「イェーガーから配属されました。『レイカ・アトラス』です。明日葉様の警護官を務めますので、これからどうぞ良しなに」
正しく書類上の関係でしかないといった具合に愛想なく淡々とした紹介だが人の勝手なので気にせず明日葉も自己紹介を始める。
「レイカだね。俺は「遊崎明日葉様ですね。存じ上げております。この仕事を命じられた際に明日葉様の情報はひと通り拝見しておりますので紹介は不要です。」ああそうですか……」
苦笑いをしながら切り替える。するとその受け答えが不満だったのか彩佳が食ってかかる。
「ちょっと待ってください! あなた何ですかその態度は!? いくらイェーガーからの警護官だからといって男性にとる態度じゃありませんよ!」
「わたしの仕事は男性の警護であり、それ以上の対応をする必要はない。むしろあなたの態度こそ不適切ではないか? そんなことだから城之内グループも天上院財閥もここの居場所を追われていくのだ」
「……!」
レイカの発言は確かに的を射ていた。城之内グループと天上院財閥は「男性を安心させる」という信条を掲げているがそれ故にあまり大きく動きはせず、警護仕事をイェーガーに任せている。それ対してイェーガーは「何としても男性を優先する」を前提としているため、たとえ流血沙汰になろうが男性を警護する。それ故に協会では「イェーガー以外必要か?」という声があがっている。しかしイェーガーの仕事が実績となっているのは事実だが、男性が女性を恐れる要因ともなったのをレイカは知らない。
しかし彩佳は城之内グループの令嬢。たとえ事実だとしても自分の一族が築き上げた城之内グループを馬鹿にされて黙ってはいられなかった。
「全く協会もこんな足手まといに無駄な金を使うよりイェーガーの警護資金に回せばいいものを……さっさと消え「あなたねえ!!「おい」……明日葉君?」如何なさいましたか明日葉様?……!」
レイカと彩佳がみた明日葉は、静かに怒っていた。
「やっぱりあんたを選ぶのは無しだ」
「! そ、そんな!? 何故です? こんな小物よりわたしの方が断然強く警護には支障をきたすことはありませんよ!? 聞けばこの人はデュエルが弱すぎてただの不良にさえ負けたようじゃないですか! もう1人だって戦績が不振だと伺っています! 何ならわたし1人であなたの警護をした方が確実です!」
「俺の中で一つ絶対に譲れないことがあってな……お前はそれに触れちまったわけだ」
「そ、それはいったい?」
「わかんねえか……人の努力を知らない奴が外野でうだうだ言ってんのが大嫌いだってんだよ!」
「……」
明日葉が許せなかったのは過去のデータで相手を見下す態度と、仕方がないとはいえ昨日のデュエルを繰り広げたあの2人を小物と馬鹿にすることだった。昨日のデュエルは明日葉の元の世界の世界でも名デュエリストとして称えられるデュエルだった。その2人を明日葉は決して小物は思わないし、明日葉自身が認めたデュエリストが馬鹿にされるのは我慢できるものではなかった。女性に対して使う言葉使いではないかもしれないがそんなことを考える気はなかった。
「……」
レイカは喋らない。代わりに、
ツー
涙を流していた。
「……え?」
「……はい?」
「う……うう~」
「え? ちょ、ちょっとまって、なんで泣いてんの?」
「だ、だって……ここまで言われるって思わなくって……」
レイカは嗚咽を漏らしながら両目から大粒の涙を流し続けている。メンタル弱すぎひん?
「え~……」
小物と言われ、一族のグループも馬鹿にされて怒り心頭だった彩佳さえ困惑している。すると景子が申し訳なさそうに話す。
「あ~っとね、明日葉君、レイカはアトラス家の令嬢でね。その家には男も何人かいるんだよ。そこで1人娘として蝶よ花よと育てられたんだ。それで今は花婿探しってところだね。なんでも直球でしかも皮肉混じりにいうもんだから警護対象の男性からはすこぶる不評でね。明日葉君に選ばれなかったら警護官を辞めろって親御さんに言われてるんだよ。だがまさかここでもレイカ節をやらかすとはねえ……」
「うわあああああああああああああああああんんんんん!!!!」
とうとうレイカは本格的に泣き出してしまった。景子さん、とどめささんでもええやろ……。
「……えーっと、レイカさん?」
「ヒッグ……はい、なんでしょう」グスン
「俺はさ、選んだ2人はデュエリストとして認めたから警護官として選んだんだ。あんたがどれだけ強いかはわかんねえけどさ、そんな2人をただ小物と馬鹿にされるのは我慢ならないんだよ。キツく言っちまったのはすまないと思うけど、そこまで言うなら俺とデュエルして強さを証明してくれよ」
「……はい。それで満足するなら」
明日葉の言葉に、レイカは鼻声になりながらも承諾した。
「よし! なら早速デュエル場に行こう。今なら悠香もいるし丁度いいだろ」
「わかりました。デュエルで実力を示すことができればいいのでしたら全力でお相手いたします」
そういって明日葉たちはデュエル場に向かう。遅れて彩佳と景子も向かった。
今回はここまでです。クールキャラのはずだったのになんでこうなったんだろう……。次は明日の晩から深夜にかけて投稿頑張ります。
明日葉君VSレイカ! レイカが明日葉君の警護官になれるかの着任試験デュエル! 勝つために手を惜しまないレイカとそれに真っ向から戦う明日葉君。果たして勝負の行方は!?
キャラの容姿描写してないのは、まだ容姿が確定してないからです……。ここで見切り発車の弊害が……! 手頃なカスタムキャストでキャラメイクしてるんですが悠香のキャラに自分のエクゾディアがデュエルスタンバイしてしまい……。なぜだ……!? もう少しで出来上がるので待っててください。え? 絵で描けって? 絵心マイナスにはきついでぇ……。
では次回も、デュエルスタンバイ!
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デュエル6~レイカVS明日葉~
今回は明日葉君がレイカの力量を見極めます。レイカはこれで明日葉君に認められたら晴れて警護官着任となりますが……果たしてどうなる?
ガサゴソガサゴソ
なにやらよからぬ雰囲気ですねえ。
ではデュエル開始です!
アクセラレーション!!
レイカの力を見極めるためにデュエルを申し込んだ明日葉。現在男性保護協会地下のデュエル場にてデュエルの準備を進めている。
「……」
「……」
「あの……」
「ん? どうした?」
「明日葉君、本当に大丈夫ですか? 相手はアトラス家の令嬢ですよ? 今からでも私に交代しても……」
「大丈夫だ。アトラスがどういったのかはわかんねえが、これはレイカの力をみるデュエルだ。いわばあいつが越えるべき試練なんだよ。それは俺がやらないと恐らく意味はない」
「そ、そうかもしれませんけど、アトラス家は毎年開催される世界大会で必ず上位に食い込むいわばエリートです。その中でもレイカさんのお母さんは去年の大会で準優勝する腕前です。そんな親を持つ方ですから、油断は禁物ですよ」
「油断を持たないのは当然だが、成程。だからあれほどの自信を持ってるわけだ」
明日葉は待ってましたと言わんばかりに顔を歪ませる。その顔はさながら生贄を前にした悪魔のようだった。
「明日葉様、こちら準備完了しました」
「OK。じゃあやろっか♪」
「はい! 全力で向かい、勝利いたします!!」
「「デュエル!!」」
遊崎明日葉
LP8000
VS
レイカ・アトラス
LP8000
「お? 明日葉じゃねえの。彩佳、明日葉の相手誰だ?」
「悠香さん。明日葉君の相手はアトラス家の令嬢。レイカさんです」
「あのアトラスの娘さんが!? ほえー。一回やってみてえな!」
「後でいくらでもできるんじゃないんですか? どうせ明日葉君はレイカさんを警護官に選びそうですし」
「……え?」
明日葉とレイカのデュエルが始まる。先行は明日葉のようだ。
「俺の先行! 先ずは様子見から。モンスターをセット! カードを2枚伏せてターンエンド!!」
明日葉 LP8000
手札:2
モンスター:伏せ1
魔法、罠:伏せ2
明日葉はかかってこいと言わんばかりに守りを固めている。
「わたしのターン、ドロー! わたしは『バイス・ドラゴン』を特殊召喚します!」
バイス・ドラゴン ☆5 闇
ATK2000/DEF2400
「いきなり上級モンスターを召喚ですか!」
「なあ明日葉の警護官にアトラスの令嬢がなるってどういうことだよ? あたしきいてねえぞ!」
「ちょっと黙っててください!集中して見られないじゃないですか!」
「ええ~……」
彩佳に切れられ、(´・ω・`)となる悠香。可哀想に。
「バイス・ドラゴンはこの方法で特殊召喚したとき攻守が半分になります! 更に
ダーク・リゾネーター ☆3 闇
ATK1300/DEF300
「……くるか」
「いきます! レベル5のバイス・ドラゴンとレベル3のダーク・リゾネーターでチューニング!」
「え! レイカさんもシンクロ召喚を使うんですか!」
「え? レイカもってどういうこったよ? なああy「だから黙ってくださいって!!」
(´・ω・`)」
「王者よ 今ここに咆哮轟かし 天地鳴動の力を示しなさい!! シンクロ召喚!! 一族の魂『レッドデーモンズ・ドラゴン』!!!」
レッドデーモンズ・ドラゴン ☆8 闇
ATK3000/DEF2000
「……やっぱな」
「バトルです! レッドデーモンズ・ドラゴンで裏守備モンスターを攻撃!【アブソリュート・パワーフォース】!!」
伏せ→シールドウィング
「レッドデーモンズ・ドラゴンの効果です! 守備モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算後で相手の守備モンスターを全て破壊します! 【デモン・メテオ】!!」
「……」
「うおー! あのドラゴンかっこいいな!」
「カードを伏せてターンエンドです!」
レイカ LP8000
手札:3
モンスター:レッドデーモンズ・ドラゴン
魔法、罠:伏せ1
「俺のターン! 魔法カード『おろかな埋葬』を発動! これでデッキの『ボルト・ヘッジホッグ』を墓地に送る。手札から『デブリドラゴン』を召喚! デブリドラゴンの効果! 召喚に成功した場合、墓地の攻撃力500以下のモンスターを特殊召喚出来る! 来い、シールドウィング!! 手札の『ドッペル・ウォリアー』の効果!墓地からモンスターの特殊召喚に成功した場合手札から特殊召喚出来る!」
「モンスターを3体並べました!」
「でも攻撃力が低いな……」
「いや……これは!」
「ご明察といっておこうか。俺はレベル2のドッペル・ウォリアーとレベル2のシールドウィングに、レベル4のデブリドラゴンをチューニング!!」
「ええ!! 明日葉もシンクロ召喚を使うのか!?」
「はい! これに私は助けられたんですよ!」
「連なる祈りよ 星々を束ね 夜空に輝け!! シンクロ召喚!! 羽ばたけ『スターダスト・ドラゴン』!!!」
スターダスト・ドラゴン ☆8 風
ATK2500/DEF2000
「……綺麗」
レイカが漏らした言葉はそれだった。胸と肩のサファイアのような宝玉。レッドデーモンズ・ドラゴンと対をなす白の身体。全てを包むような翼。更にその雄々しさの中に慈愛にも似た包まれる感覚に陥る。
「俺は罠『シューティングスター』を発動! スターダストがいる時、フィールドのカードを1枚破壊する! レッドデーモンズ・ドラゴンを破壊!」
「……っは! させません! カウンター罠『神の宣告』!」
「……ほう」
「あんな強力なカードを入れているとは……」
「やっぱ金持ってる奴は違うな」
「…それ、私にも向けた皮肉ですか?」
「ち、違うって! 断じて違うからな‼️」
「ならいいですけど」
「神の宣告はライフを半分払って、魔法、罠、モンスターの召喚、反転召喚、特殊召喚を無効にします! シューティングスターは無効です‼️」
レイカ
LP 4000
「やるな。だがそれじゃあ足りないぜ! 罠『バスターモード』発動‼️」
「何!?」
「このカードは、スターダストを『スターダスト・ドラゴン/バスター』に進化させることができる! 来い! 『スターダスト・ドラゴン/バスター』!!!』」
スターダスト・ドラゴン/バスター ☆10 風
ATK3000/DEF2500
「…す、凄い」
レイカはそれしか言葉が出なかった。自分が有利に動いていると思ったら、いきなりレッドデーモンズと同じ攻撃力を誇るモンスターを呼び出され、しかもそれをやってのけたのは自分が警護するはずの男なのだから驚かない筈はない。しかしそれで止まっていては一族の恥になる。レイカは気を引き締めた。
「ですがそれでもレッドデーモンズと攻撃力は同じ! 牽制にしてm「それはどうかな?」なんですって?」
「バトル‼️ スターダスト・ドラゴン/バスター‼️ レッドデーモンズを攻撃! 【アサルト・ソニック・バーン】!!!」
「っく! レッドデーモンズ‼️ 【アブソリュートパワーフォース】!!!」
スターダストとレッドデーモンズの攻撃が拮抗する。次第にその攻撃は2体を飲み込み、2体のモンスターは消滅した…かに見えた
「嘘…なんで?」
レイカはあり得ないといった表情をしている。
「なんで、
「スターダスト・ドラゴン/バスターは、戦闘、効果で破壊され、墓地へ送られたとき、元のモンスターを墓地から復活させることができる!」
「まさか、最初からこれが狙いで!?」
レイカにとってこれは予想だにしないことだった。そして明日葉の攻撃が続く。
「スターダストでダイレクトアタック! 【シューティングソニック】‼️」
レイカ
LP1500
「くぅ!…こんな戦術、無茶苦茶です!」
「だからいいんだ! 奇想天外だからこそ価値がある! だからお前もみせてくれ! お前だけの、デュエルを‼️ 俺はこれでターンエンド‼️」
「……」
レイカは押し黙る。それは、敗北を予感した恐怖からではない。胸が高鳴り、興奮が抑えられないといった感じだ。
(この高鳴りは何? 男性とデュエルしているからというものではない。負けそうなのに、いつもなら怖いと思うはずなのに。……今がとても楽しい!)
「……明日葉様」
「なんだ?」
「わたし今、とても楽しいです。負けそうなのに、体が熱くなってたまりません。今まで感じたことのないこの感情は、きっとわたしを成長させてくれるもののはずです。だから、この高鳴りにかけて、わたしはここからあなたに勝ちます! 勝って、あなたの警護官になってみせます!!」
「……そうか。そいつは最高だ! ならみせてくれ、お前の魂を! 【バーニングソウル】を!!」
「はい! わたしのターン! わたしは魔法『死者蘇生』を発動! 蘇りなさい! レッドデーモンズ・ドラゴン!! 更に『レッド・リゾネーター』を召喚!! レッドリゾネーターは召喚に成功した場合、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚出来ます! 『フォース・リゾネーター』を特殊召喚です!」
「……来るか」
「レベル8のレッドデーモンズ・ドラゴンと、レベル2にレッド・リゾネーターとレベル2フォースリゾネーターを
すると、レイカの背後に竜の影が現れる。これから召喚されるドラゴンだろうが今にも雄叫びをあげ、襲いかからんという勢いである。
「比類なき王者よ 紅蓮の悪魔と交わりて 天地創造の叫びを響かせ!! シンクロ召喚! 荒ぶる魂! 『スカーレット・ノヴァ・ドラゴン』!!」
スカーレット・ノヴァ・ドラゴン ☆12 闇
ATK3500/DEF3000
「スカーレット・ノヴァ・ドラゴンは、墓地のチューナーの数×500ポイントアップします! 墓地のチューナーは3体! これで攻撃力が1500アップします! これでスカーレット・ノヴァの攻撃力は5000! バトルです! スカーレット・ノヴァでスターダスト・ドラゴンを攻撃! 【バーニングソウル】!!」
「ぐ、ううぅ!!」
LP5500
「わたしはこれでターンエンドです!」
レイカ
LP1500
手札:1
モンスター:スカーレット・ノヴァ・ドラゴン
魔法、罠:0
「流石に強いな。だからこそ倒し甲斐があるというもの! 俺のターン! 魔法『ネクロイド・シンクロ』! 墓地のチューナー1体とそれ以外のモンスターを2体まで選び、ゲームから除外。その合計レベルと同じレベルのスターダストと名の付くシンクロモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚する! デブリドラゴンとシールドウィングをゲームから除外し、『スターダスト・チャージウォリアー』を特殊召喚!」
スターダスト・チャージ・ウォリアー ☆6 風
ATK2000/DEF1300
「この効果での特殊召喚ではモンスター効果は無効になるが、仕方ない。ターンエンド」
明日葉
LP5500
手札:0
モンスター:スターダスト・チャージ・ウォリアー
魔法、罠:0
「わたしのターン! バトルです! スカーレット・ノヴァでスターダスト・チャージ・ウォリアーを攻撃! バーニングソウル! これでターンエンドです!」
レイカ
LP1500
手札:2
モンスター:スカーレット・ノヴァ・ドラゴン
魔法、罠:0
「俺のターン! モンスターをセットしてターンエンドだ!」
このターンも明日葉様はろくに動けなかった。
「わたしのターン! このままバトルです! スカーレット・ノヴァ・ドラゴン! バーニングソウル!!」
伏せ→スターダスト・シャオロン
「スターダスト・シャオロンは1ターンに1度、戦闘で破壊されない!」
「くっ! ターンエンドです!」
このターンもレイカは手札が増えただけだった。
「そろそろやばいな……俺のターン! っうし! 魔法『調律』発動! デッキから『ジャンク・シンクロン』を手札に加え、デッキの上のカードを墓地に送る! ジャンク・シンクロンを召喚! 召喚に成功した場合、墓地のレベル2以下のモンスターを特殊召喚出来る! ドッペル・ウォリアーを特殊召喚! レベル2のドッペル・ウォリアーとレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング! 連なる星よ 新たな地平へ至り 全てを超えていけ! シンクロ召喚! 駆けろ! 『アクセル・シンクロン』! ドッペル・ウォリアーの効果! ドッペル・トークンを2体特殊召喚! アクセル・シンクロンの効果! デッキのシンクロンを墓地に送り、墓地に送ったモンスターのレベル分自身のレベルを変動する! デッキからレベル1の『ジェット・シンクロン』を墓地に送り、レベルを1上げる! 墓地のボルト・ヘッジホッグの効果! チューナーがフィールドにいる場合、墓地から復活する! レベル2のボルト・ヘッジホッグとレベル1のドッペル・トークンにレベル6になったアクセル・シンクロンをチューニング! 連なる力よ 古の氷龍を甦らせ 世界を氷に閉ざせ! シンクロ召喚! 滅ぼせ『氷結界の龍トリシューラ』!」
「そんな!? 手札1枚からここまで展開させるなんて……! でも攻撃力はスカーレット・ノヴァの方が上! それでは突破できませんよ!」
「……それはどうかな!」
「え?」
「トリシューラはシンクロ召喚に成功した場合、相手の手札、フィールド、墓地から1枚ずつ、合計3枚をゲームから除外出来る! スカーレット・ノヴァは効果で破壊されないが除外は関係ないよなあ!?」
「っく!」
「俺は墓地のレッド・リゾネーター、フィールドのスカーレット・ノヴァ・ドラゴン、手札は俺から見て右のカードを選択するぜ! さあ除外しな!」
「……」
(バトルフェーダーが……!これではもう……)
「バトルだ! トリシューラでダイレクトアタック!」
トリシューラの3つの首がレイカへ照準を向ける。3つの首一つ一つがエネルギーを溜め、レイカを打ち抜く……はずだった。
ビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ……
「な、なんだこれ?」
「これは……」
「ああ……」
「第一種警戒態勢警報ですね」
「?」
「つまり侵入者が現れたってことです!! デュエルの場合じゃありませんよ! 避難です!」
「え? とはいってもどこにいけばいいんだ?」
「それはあたしたちが案内する! なにせ明日葉の警護官だからな!」
「明日葉様、こっちが避難経路です! 彩佳と悠香は後方を。わたしは前方を見張ります!」
「わかりました!」
「お前警護官じゃねえだろ! って言ってる場合じゃねえな。よっしゃあ! いくぜ!」
こうして明日葉とその警護官は事が収まるまで避難経路を行き、避難場所へ向かうことにした。
男性保護協会ロビー
「ったく。なんだってこんなところに侵入者がくるってんだい! 守衛は何やってんだ!」
「そ、それがデュエルで敗北したようで……」
「そんな馬鹿な! 守衛はアトラス家の方に直々に鍛えて貰った強者だよ!? それがやられたってのかい!?」
「し、しかし侵入を許したということはそうとしか……」
「仕方ない。あたしらでやるよ! 非戦闘員は男性の避難誘導を、戦える奴は全員ディスクを用意しな! 数で押せば何とかなる! 男性には指1本触れさせるんじゃないよ「大丈夫だ。わざわざ迎えに来てもらう必要はない」!?」
「やあ諸君! 出迎えご苦労様! こんなに沢山ありがたいねえ!」
「あ、あんたらは一体何者なんだい! なんだってこの協会の本部にカチコミなんかしでかしたってんだ!」
「どうやらあたいの可愛い妹分が男に世話になったようでねえ。餅は餅屋っていうし、男のことは男性保護協会の皆さんに聞くのが一番いいと思ったのさ」
「そんなことのために! 守衛の奴らは無事なんだろうねえ!」
「ああ無事さ。今はゆっくり寝てもらってるよ。ところで、件の男はここにいるんじゃないのかい?」
「その前にあたしらはあんたらにたっぷりと礼をしなきゃって思ってるんだ。ここであんたらにはお縄を頂戴して貰うからかk「明日葉様!こっちが出口です!」……」
「いやこっちはロビーの方じゃないか?凄い見覚えがある……ん……だが……」
「アトラスさん! こっちは避難経路から大きく逸れています! すぐにルートを戻さないと侵入者と会敵しま……す……」
「おい置いてくなよ! ってなんで止まってん……だ……?」
「「「「「「「……」」」」」」」
「なにやってんだあああああああああああああああああレイカあああああああああああああ!!!!???」
無念! 会敵!
待て! 次回!
7日には間に合わなかったか……。ポンコツ属性がついたレイカがもうやらかしてますね……。妹分はあの子です。さてあの子のデッキはどうなったんでしょうね。
侵入者に見つかった明日葉君。最悪の事態をどうしても回避するためにデュエルで迎え撃つが……。
PVの存在を昨日知りました(情弱民)。したら10000突破してるんですもんね。皆さんありがとうございます。男性保護協会終わったら適当なところで記念のお話でも書きたいな。あと、感想いただけると犬みたいに喜んでネタが降ってくるので、感想ください。
次回! 戦わなければ生き残れない!!
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デュエル7~対決!不良リーダー”メディナ・ディバイン”!!~
リンクスでタッグデュエルイベントがスタートしスタロを1枚確保しました。皆さんはどうですか?もっと遊星のカードほちい……
さて、ポンコツを発動したレイカのせいで侵入者に出くわした明日葉君たち。どうやって窮地を切り抜ける?
「ポンコツって言わないでください!」
まあまあ。
ではどうぞー。
「何やってんだああああああああああレイカあああああああああああああああああ!!!???」
景子が飛び出てきたレイカを団長のごとく怒鳴り散らす。避難していたはずなのにロビーに飛び出すのは侵入者に明日葉を差し出すようなもののため仕方ないだろう。
「ふえっ!? なんでロビーに? あ、明日葉さま! これは何かの間違いで……ごめんなさい。捨てないで……」
「だ、大丈夫! これくらいなら問題ないさ! 大丈夫だって!」
レイカがぐずりだし、それを明日葉が宥める。一連の流れがまるでコントで、周りからは失笑を買った。
「あー!! 姉さん! あいつです!! あの男があたしを1キルしやがったイケメンですよ!!」
「へー、あれがねえ。確かにイケメンだがデュエルが強いとはとても思えないねえ。何ならここにいる奴らぶっ倒して、あいつを貰っちまうってのもありだな!」
がははと汚い笑い声をあげる姉貴と呼ばれる女性。それに対し警護官一同は全員が全員殺意を込めてその女性を睨み付ける。
「おいおい、そんなおっかない面しないでくれよ。それはあんたらがあたしに勝てばいいだけなんだよ。だけどそれだけじゃ面白くないね。……そうだ! そこの明日葉っていう子があたしとデュエルしなよ!! それであんたが勝てばそれでよし、あたしが勝てばあんたを持っていけるわけだ!」
その発言に職員全員が殺意を込めて不良たちに向かっていった。
「てめえその喧嘩買ったああああああああああああああああああああ死ねやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「明日葉君を奪おうだと? よろしい、ならば戦争だ。我ら1万と6千の軍勢をもって貴様らを亡き者としてくれようぞ!」
「野郎ぶっ殺しちゃらあああああああああああああああああ!」
その突然の攻勢に不良の大半は気圧され、青ざめながら逃げ出した。
「ひいいいいいい! なんだよ、なんなんだよあれ!」
「あいつら正気じゃねえ! 目がぶっ殺す目だ!」
「こんな所にいられるか! 私は帰るぞ!」
しかし怒りの力で強化された職員。瞬く間に不良を蹂躙していく。
「あの世で反省会でもすることだなあああああああ!!!」
「懺悔の用意は出来ているか!! あたしはここで、貴様らを殺す!!」
「ふんっ! ふっ! へっ! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
色々ツッコミたい台詞があるが、これで半分以上の不良が再起不能になった。
「……嘘だろオイ」
攻め込んできた張本人さえこの始末である。どうしてこうなった。
「明日葉君を奪いに来たなら当然です! むしろこの程度ですんで良かったですね!」
「……これってもしかして、彩佳たちも出来るのか?」
「はい! 最終手段ではありますが、これが一番手っ取り早いので!」
普通に見たら惚れてしまいそうな綺麗な笑顔で応える。それに明日葉は頭を抱えた。
「さてこれであんたのお仲間は粗方片付けた。後はあんただけだがどうするんだい?」
「くそ、なんでこうなったんだい! こんなになるなんて予想できるわけないじゃないか!!」
(それに関してはホントに同意)
こんなことになると予想できるわけないし、仮にできたのなら先ず攻め込まない。明日葉にはこの女性が不憫で仕方なかった。
「明日葉君。こんな奴に同情する必要はありません! 明日葉君を私から奪おうとするのなら城之内グループのあらゆる力をもって二度と日の目を見られないようにしますからご安心ください!」
「え、何それ怖い」
「実際にやるぜそいつ。なんせ明日葉は自分を家族以外で始めて認めてくれたしかも男だからな。敵って認識したら大統領だって海に沈めるぞ今のそいつなら」
「ふぁ!?」
衝撃の真実ぅを聞いて驚愕する明日葉をよそに、不良は諦める様子はない。
「こんなことで諦められるか! 絶対にそいつはもらっていくからな! このためのこれだ。今使わんでどうするってんだ!! フィールド魔法強制発動!『オレイカルコスの結界』!!」
「は!?」
「……何ですか……この
不良リーダーは自分のデュエルディスクにフィールド魔法カードをセットする。リーダーを中心に広がる円に奇妙な紋章が浮かび上がる。「オレイカルコス」の紋章である。
「……姉貴?」
妹分が困惑した面持ちでリーダーを見つめる。まるで彼女が何をやっているか解らないといった感じだ。
「お前は本当に頭が悪いねえ。こんなことならさっさと消しちまえば良かったよ。まあ、ここで全員消えることだし、まあいいか。あ、そこのイケメンは別だよ♪」
「あ、姉貴。何を言って……「お前はもういらないって言ってるんだよ察しが悪いねえ。もうここにはお前の居場所はないってことだよ! わかったらさっさと消えな!」そ、そんな……!」
妹分は何を言われたのかを理解してしまい、その場でヘタレてしまう。
「全く情けない。クズとはわかってはいたけどここまでとはねえ。まあここで殺しておけば後々うざい思いせずにあのイケメンをたっぷりと「おい」ん?」
「あ、明日葉君……?」
「おいお前、そいつは仲間なんじゃねえのかよ。お前を信じてついてきてくれたんじゃねえのかよ!!」
「あ? こいつはただの道具に過ぎないよ。あたしがいい思いをするためのね。それが終わったら用済み。もういらない子さ」
「……」
「明日葉君……」
「あの野郎! ふざけたこと抜かしやがって!」
「最低ですね」
「……おい」
「?」
「デュエルしろよ」
「!……ほう」
「な! ダメだ明日葉君! あいつの目的は君だ! 何をやったかはまだ分からんが、ここで君がデュエルを受けるべきじゃない!」
「そうです! 明日葉君は下がってください!」
「俺が許せないことが3つある。それは不味い飯と高慢ちきな奴、そして仲間を利用するだけの道具としか考えねえ奴だ!」
「はっ! これは面白いセリフだねえ! いいよ! 元々あんたとはデュエルする気だったし、話が早いってもんだ!」
「いくぞクソッタレ!」
「「デュエル!!!」」
遊崎 明日葉
LP8000
VS
メディナ・ディバイン
LP8000
「あたしの先行! あたしは『サイコ・ウォールド』を召喚!」
サイコ・ウォールド ☆4 闇
ATK1900/DEF1200
「更にフィールド魔法『脳開発研究所』を発動! これで新たにサイキック族を召喚出来る! 『ディストラクター』を召喚! 更に魔法『緊急テレポート』を発動! これでレベル3以下のサイキックを手札、デッキから特殊召喚出来る! レベル1『サイキック・リフレクター』を特殊召喚! こいつは召喚、特殊召喚に成功したらデッキから『バスターモード』を手札に加えるのさ!」
「行くよ! レベル4のサイコ・ウォールドとレベル4のディストラクターにレベル1のサイキック・リフレクターをチューニング! イカレた科学者よ 新たな力を使い 全てを壊せ! シンクロ召喚! レベル9『ハイパーサイコガンナー』!」
ハイパーサイコガンナー ☆9 地
ATK3000/DEF2500
「シンクロ召喚!? あいつも出来るってのかい!」
「なんだあ! ここの職員は出来ないってのかい? まあいいさね。カードを1枚伏せてターンエンド!」
メディナ
LP8000
手札:1
モンスター:ハイパーサイコガンナー
魔法、罠:1
「俺のターン! 俺は魔法『調律』を発動。これでデッキから『クイック・シンクロン』を手札に加える。更に魔法『増援』発動! デッキかられたレベル4以下の『ジャンク・シンクロン』を手札に加える。手札のラッシュ・ウォリアーを墓地に送り、クイック・シンクロンを特殊召喚!フィールド魔法『スターライト・ジャンクション』を発動。1ターンに1度、自分フィールドのチューナー1体をリリースし、デッキからレベルの異なる『シンクロン』を特殊召喚出来る。クイック・シンクロンをリリースし、レベル2の『シンクロン・キャリアー』を特殊召喚。シンクロン・キャリアーがいる限り、俺は通常召喚に加えて「シンクロン」モンスターを1体召喚出来る。ジャンク・シンクロンを召喚し効果発動。墓地のレベル2以下のラッシュ・ウォリアーを特殊召喚。レベル2のラッシュ・ウォリアーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」
「連なる星よ 新たな地平へ至り 全てを超えていけ! シンクロ召喚! 駆けろ! 『アクセル・シンクロン』!」
「シンクロン・キャリアーの効果、戦士又は機械族のシンクロ召喚に成功した場合、自分フィールドに『シンクロントークン』を特殊召喚出来る。更にアクセル・シンクロンの効果、デッキのシンクロンを墓地に送り、そのレベル分レベルが変動する。『ジェット・シンクロン』をデッキから墓地へ送り、アクセル・シンクロンのレベルを1つ上げる」
明日葉はこちらの世界に来てから1番の展開力を見せる。
「……ここまで展開出来るものなの?」
「さあ、だが攻撃力が低すぎる。ハイパーサイコガンナーは攻撃力3000。まだ届かないぞ」
「そいつはどうかねえ」
「え?」
「罠『バスターモード』を発動! ハイパーサイコガンナーをリリースしてデッキから『ハイパーサイコガンナー/バスター』を特殊召喚するよ!」
ハイパーサイコガンナー/バスター ☆11 地
ATK3500/DEF3000
「そ、そんな! あの人もバスターモードを使えるなんて!」
「問題ねえよ」
「え?」
「ここからだ。ここからが俺の見せ場なんだよ!」
「開け! 世界を繋ぐサーキット!!」
明日葉の掛け声と共に、8か所に矢印のついた穴が表れる。
「召喚条件は『チューナー含む効果モンスター2体』、アクセル・シンクロンとシンクロン・キャリアーをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!! リンク召喚!! 来い! リンク2『
2体のモンスターが矢印に入り、その後中心の穴からモンスターが表れる。
ATK1500
「ハリファイバーの効果、リンク召喚に成功した場合手札、デッキからレベル3以下のチューナー1体を特殊召喚出来る。ジャンク・シンクロンを特殊召喚! レベル2のシンクロントークンにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」
「連なる星よ ここに新たな力を示せ! シンクロ召喚! 『TG ハイパーライブラリアン』!! 」
「そして俺は墓地のラッシュ・ウォリアーの効果を発動。墓地のこのカードを除外して、墓地のシンクロンを手札に加える。ジャンク・シンクロンを手札に加えるぞ。そして俺はこのターン、ルール上の通常召喚をしてない。さっきのはキャリアーの効果だからな。ジャンク・シンクロンを召喚。効果でキャリアーを特殊召喚。レベル2のシンクロン・キャリアーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」
「連なる星よ 新たな力を呼び起こせ シンクロ召喚! いでよ『ジャンク・ウォリアー』!!」
「凄いですね……ここまで展開するなんて……」
「あ、ああ。だがこれでもハイパーサイコガンナー/バスターには届かない。こっからどうすんだよ……」
彩佳と悠香はこれからの展開に不安を抱きつつも期待し、レイカは明日葉の安否を気にしていた。
「明日葉様。負けないでください。こんなところで敗北なんて認めませんから…!」
「ハイパーライブラリアンはシンクロ召喚に成功する度にカードを1枚ドロー出来る。バトル! ジャンク・ウォリアーでハイパーサイコガンナー/バスターを攻撃!いけ【スクラップ・フィスト】!!!」
「何か企んでるね。だけどそうはさせないよ! 手札の『クリボール』の効果! 相手の攻撃したダメージステップに攻撃モンスターを守備表示にする!」
「……カードを1枚伏せてターンエンド」
明日葉
LP8000
手札:2
モンスター:EXゾーン、
魔法、罠:フィールド、スターライト・ジャンクション、伏せ1枚
「明日葉君……」
「明日葉……」
「明日葉様……」
3人は心配の面持ちで明日葉を見つめる。
「まあ頑張った方じゃないか。せめて楽にしてやるよ。あたしのターン! あたしは装備魔法『デーモンの斧』をハイパーサイコガンナー/バスターに装備!」
「この瞬間、ハリファイバーの効果発動!」
「は?」
「相手のメイン、バトルフェイズにこいつをゲームから除外し発動! EXデッキからシンクロチューナーをシンクロ召喚扱いで特殊召喚する! こい『フォーミュラ・シンクロン』!」
「は! 今更そんな雑魚出したところで無駄なんだよ!」
「それはこれから決めてもらおうかな。フォーミュラ・シンクロンの効果! シンクロ召喚に成功した場合、デッキからカードを1枚ドロー出来る。ハイパーライブラリアンはシンクロ召喚に成功したらデッキからカードをドロー出来る。よって合計2枚ドロー出来る! 更にフィールド魔法『スターライト・ジャンクション』は相手のターンにシンクロ召喚を成功した場合、相手のフィールドのカードを1枚デッキに戻すことが出来る! ハイパーサイコガンナー/バスターには帰って貰うぜ」
「何!?」
「さあ、形勢逆転だ。こっからどうする?」
「っクソ!」
「おお! あんな返し方があるなんて!」
「すげえカウンターだぜ! 明日葉!」
「良かった……」
「あたしは『死者蘇生』を発動! これでハイパーサイコガンナーを特殊召喚する! これであんたのモンスターをぶっ潰して「フォーミュラ・シンクロンの効果!」何だってんだよお!」
「相手ターンに自身を素材にしてシンクロ召喚出来る! 超えてやるよ。限界なんて!」
明日葉の気迫が強くなっていく。周りの職員と不良はそれに気おされていく。
「レベル5のジャンク・ウォリアーにレベル5のTGハイパーライブラリアンにレベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング!」
「連なる星よ 1つに交わり 世界を覆う希望となれ! デルタアクセル・シンクロ!! 希望の光『コズミック・ブレイザー・ドラゴン』!!!」
コズミック・ブレイザー・ドラゴン ☆12 風
ATK4000/DEF4000
「な、何だよこれ。聞いてないよこんなの!!」
「……」
「……」
「……」
彩佳たち3人は言葉を出せなかった。今までこれ程のモンスターを見たことが無かったからである。世界大会では素の攻撃力最高は4500ではあるが、ここまで激しい展開や驚くような召喚は見たことが無かったのだ。
「……ターンエンド」
メディナ
LP8000
手札:0
モンスター:ハイパーサイコガンナー
魔法、罠:0
「俺のターン! バトル! コズミック・ブレイザー・ドラゴンでハイパーサイコガンナーに攻撃!【ビッグバン・ブラスト】!!!」
メディナ
LP7000
「くう……!」
「ターンエンド」
明日葉
LP8000
手札:3
モンスター:コズミック・ブレイザー・ドラゴン
魔法、罠:0
「あたしのターン。……フフフ、まだあたしにはツキがあるようだね! 悪いけどそいつには退場してもらうよ!」
「! 攻撃力4000のモンスターを攻略する!? そんなカードを引いたって言うんですか!?」
「そうとも! やっぱりあたしが勝者だったんだ! 男なんかに負けるわけない! 魔法『ブラックホール』発動! これでコズミック・ブレイザー・ドラゴンは破壊だあ!! あはははははははは!! 男が女に盾突くからさ! さっさと従っておけb「それはどうかな!」何ィ!」
「コズミック・ブレイザー・ドラゴンは自身をゲームから除外して相手の召喚、反転召喚、特殊召喚。モンスター効果、魔法、罠の発動。を無効にする! コズミック・ブレイザー・ドラゴンを除外して効果を発動!」
「!?」
「因みにコズミック・ブレイザー・ドラゴンはターン終了とともに戻ってくる。この場合、EXモンスターゾーンじゃなくメインモンスターゾーンに行く。残念だったな」
「……あああああああああああああああクソクソクソ!! なんでこうなったんだい!? こんなはずじゃなかったのに! お前だ、お前のせいだ! お前が連れてこなけりゃこんなことにはならなかったのに!」
「……っつう! あ、姉貴! やめ、やめてくれ! やめてくれよお。前の姉貴に戻ってくれよお」
メディナは子供のように暴れ出し妹分を蹴り始める。妹分は泣きながらメディナに呼びかける。
「……クソッタレだな。本当に」
「ああ!? うるさい! 全部こいつとお前が悪いんだ! このデュエルに負けたら……あたしは……あたしは!」
「お前が選択したことだろうが! それを他人のせいにすんじゃねえ!! このターンで終わらせてやる。俺のターン! 『シンクロン・エクスプローラー』を召喚! こいつは召喚に成功した場合に墓地のシンクロンと名の付くチューナーを特殊召喚出来る。ジェット・シンクロンを特殊召喚! レベル2のシンクロン・エクスプローラーにレベル1のジェット・シンクロンをチューニング!」
「連なる星よ 今ここに 機械仕掛けの将を生み出せ! シンクロ召喚! 出陣! 『武力の軍曹』!!」
「武力の軍曹はシンクロ召喚に成功した場合、墓地のチューナーを1体特殊召喚出来る。更に素材にしたジェット・シンクロンの効果を発動。シンクロ素材として墓地に送られた場合、デッキからジャンクと名の付くモンスターを手札に加える。ジャンク・シンクロンを手札に加える。ジェット・シンクロンをリリースしてスターライト・ジャンクションの効果を発動。デッキから異なるレベルのシンクロン、シンクロン・キャリアー特殊召喚。キャリアーの効果でジャンク・シンクロンを召喚して効果を発動。墓地のジェット・シンクロンを特殊召喚する。」
「再び開け ! 世界を繋ぐサーキット!! 召喚条件は『機械族モンスター2体』。武力の軍曹とジェット・シンクロンをリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン!! 来い!『プラチナ・ガジェット』!!」
「プラチナガジェットの効果。手札からレベル4以下の機械族を1体特殊召喚出来る。『チューニングサポーター』を特殊召喚。チューニングサポーターはシンクロ召喚の素材になるとき、レベル2として扱える。レベル2のチューニングサポーターにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」
「連なる星よ 速度の限界を超えよ シンクロ召喚! 走れ!『ジャンク・スピーダー』!!」
プラチナ・ガジェット LINK2 地
ATK1600
ジャンク・スピーダー ☆5 風
ATK1800/DEF1000
「や、やめろ。やめてくれ!」
「お前はそいつに同じことを言われてやめたか? やめてないだろう。バトル! プラチナ・ガジェットの攻撃!」
メディナ
LP5400
「うあああああああああ!!」
「ジャンク・スピーダーで攻撃!」
LP3600
「あああああああああああああああああああああああああ!!」
「止めだ。コズミック・ブレイザー・ドラゴンの攻撃。【ビッグバン・ブラスト】!!!」
メディナ
LP0
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
デュエル導入と決着です。キリ悪かったんで全部終わらせました。明日葉君がぶち切れてフルボッコにするから中ボスポジがかませ犬になっちった……。最初の強制発動はこれから明かされていきますよ。
メディナとのデュエルを終えた明日葉君。これからの生活をどうするかを話し合います。それとこの世界の男性についてのルールも聞くが……。
今回投稿遅かったのは、お絵かきしてたからです。練習中なのでキャラ絵はまだ描けません。しばらくお待ちください!
感想くれると作者のモチベが上がる効果があります。ください。
では皆さんまた次回お会いしましょう。ではー。
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デュエル8~これからの暮らし~
前回でデュエルが終了しまして、これから明日葉君の生活をどうするかを話し合います。男性の実態も明かされます。ようやっとあべこべ成分が増えていきます。
「明日葉君と一緒……。一緒……///」
はいはい脳内ピンクはほっといて、
それではどうぞー
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
明日葉がメディナに勝利した後、彼女は叫び声をあげながらのたうち回っている。
「な、なんだいったい?」
「……こいつは、厄介だねえ」
「? 景子さん。何か知ってるんですか?」
「え? い、いや。急に暴れ出すもんだから危なっかしいって思っただけさね」
「そんな呑気してる場合ですか! これはどう考えたってヤバいヤツですって!」
レイカがツッコミしていると、メディナは糸が切れたように動きを止め、そのまま動かなくなった。
「……?」
「お、おい。動かなくなっちまったぞ?」
「……息はある。こいつはこっちで対応しておくよ。ごめんね明日葉君。あたしらが止められなくって」
「いえ、俺が勝手にやった事ですから。それより、あの子……」
明日葉が指差した先にはメディナの妹分がへたり込んでいた。
「ああ、あの子にも事情聴取をしておくよ。しかし困ったねえ」
「何がですか?」
「こいつは『闇のゲーム』と言ってたろ? そいつが何か分からないがこれをみたら嫌でも危険だって思わされるだろう? それもこっちで調べてみるよ」
「わかりました」
こうして協会本部での騒動は幕を降ろした。
「そういや、明日葉君はどうするんだい?」
「? 何がです?」
「いや、この世界では男性は生活するのに2つ選択肢があるんだよ。一つはこの協会に併設されてる男性用の居住スペースで暮らすことだ。ほとんどの男性がこれだよ。もう一つはこっちで管理してる居住区で暮らすんだ」
「ほえー。でもなんで協会で暮らす方が多いんですか?」
「外は男を狙う女が多いのさ。セキュリティを攻略は出来ないんだが、門の所で待ち伏せて外出の時に襲ってきたり、窓に張り付いて姿を見ようとして男性がトラウマを植え付けられたって事例もあるんだよ」
「ヒエッ」
「まあそういうことだよ」
「……とりあえず居住スペースを見てからどうするか決めます」
「分かったよ。お嬢、明日葉君の案内頼むよ」
「わかりました。では明日葉君、行きましょう!」
「ああ」
「ここからが居住スペースです」
「ほう」
そこは集合住宅のようなつくりをした建物だった。食堂を見るとちらほらと男性の姿も見える。
「ここの男性は基本、この食堂か広場で過ごすことが多いです」
「部屋は?」
「ありますが、寝る為の部屋ですからベッド以外ほとんどないですよ」
「……ふーん」
こうして明日葉の施設見学が終わった。
「んで、どっちにするかは決まったかい?」
「はい。居住区に行きます」
「! ほう。一応理由を聞いていいかい?」
本当に少なかったのだろう。景子は意外そうに明日葉に尋ねた。
「あそこは何というか、俺の世界の収容所みたいで居心地悪いんですよね。毎日が同じ時を過ごすって感じが苦手で」
「……そうかい。まあ世界が違えば感覚も違うのは当然か。わかったよ。それで警護官の場所なんだけどね「え? 一緒でいいですよ」ふぁ!?」
「「「ええ!!??」」」
「?」
「明日葉君!! それはだめだ! 女は獣なんだぞ! 君はまだこの世界の女を知らないからそんなことを言えるんだ!」
「でも警護官というからには一般人以上の鋼の意志を持ってるはずですよねえ。なら何も問題ないじゃないですか」
「た、確かにそうだが念には念を「なら問題なし! 住む家は同じで!!」ちょっ、はあ……上になんて報告すればいいのさこれ……」
「は、はわわわわわ……あ、明日葉君と一つ屋根の下、一つ屋根の下///」
「明日葉あ!! あんたいったい何考えてんだあ! い、一緒に暮らすって……暮らすって……///」
「明日葉様と同棲。これはつまり明日葉様のアピールということに///フヒヒ///」
明日葉の同棲宣言に警護官3人は赤面しながら固まり、他の職員たちは修羅の顔で叫んでいた。
「ぬあんだとうううううおおおおおおおおあああああああああああああああああ!!」
「何だってあいつらばっかりあんないい思いするのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお??????」
「ああああああああああんんんんんんまりだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「……このことからこの世界でそういった発言は本当に危険だから気をつけるように」
「うぃっす」
「じゃあさっきのは無しってことで「それは別で」ええ……」
「危険なら尚更近くで守ってほしいですからね。というわけでこれで決定でお願いしますね」
「はぁ。わかったよ。それで通しておくからね」
「ありがとうございます」
こうして明日葉は警護官3人と一緒に暮らすなった。
「とりあえず今日は遅いし、もう寝て明日居住区に移動しておくれ」
そう景子に言われ、就寝の為、部屋で明日葉はベッドに横になっていた。
「しっかし、何だってこんな世界に来ちまったんかねえ」
明日葉はこの世界に来る前に自分に起こったことを思い出そうと記憶を巡らせる。しかし、いくら思い出そうとしても直前のことが思い出せることはなかった。
「下手したらこの世界で一生暮らすことになんのか。はあ、これからどうすりゃいいんだよ」
明日葉がこれからのことにため息をついていると、扉をノックする音が聞こえた。
「はい? 誰ですか?」
「明日葉君、彩佳です。少し聞きたいことがあるのでこちらに伺ったのですが、もしかしてもう寝るところでしたか?」
「彩佳か。いや、俺もなんか寝付けなくってな。聞きたいことは言える程度ならいいぞ。今開けるな」
「え!? い、いえいえ! ここで十分ですから!」
「いいっていいって。寝るまでの暇つぶしに付き合ってくれよ。俺が許可したってなったら景子さんも強くは言えないだろ?」
「そ、それはそうですが……」
「なら決まり。ほら、入った入った」
明日葉にそう言われ、彩佳はズルズルと部屋に入っていった。
「飲み物もなくって悪かったな。本当に何もないからさ」
「い、いいえ。それよりも明日葉君。私が聞きたいのは」
「なんで一緒に暮らすか。かな」
「はい。男性と一つ屋根の下で暮らすのは嬉しいです。でもここは明日葉君の世界とは違います。男性は貴重な存在で、間違いがあればそれをやった人は重罪に処されます。それは明日葉君のことですから後は私たちの問題ですが、それでも分からないことがあります。明日葉君。なんで知り合って間もない私たちを許容するのですか?」
「……」
彩佳の言葉はこの世界での警護官の問題として有名だった。警護官制度制定直後は男性を狙う女性が後を絶たず、それにより男性が女性を恐れるようになり、双方の間に溝ができた。現在はそれを解消するために様々な方法を模索しているが、未だその溝は残ったままである。更に明日葉の「一緒に暮らす」ことはたとえ明日葉の世界でも見ず知らずの人それも女性で3人となると有り得ない事態である。
「明日葉君の世界でこういったことが普通なのかはわかりません。でもこちらは警護官として仕事を全うしなければならないんです。というのにこれでは、生殺しにも程があるじゃないですか。助けてくれてデュエルも強くて自分を許容してくれる。そんな男性はこの世界では1人見つかれば奇跡なんですよ。こんなの、期待しちゃうじゃないですか。これでその気がなかったなんてなったら私、恥ずかしくて自決しちゃいますよ」
彩佳自身も段々自分が何を言っているのか分からなくなっているのだろう。目が潤んで顔も赤くなっている。
「明日葉君、あなたが私たちを、私を許容するのは何でですか? ここで答えてください。どんな答えでもこれからの仕事に支障をきたすようなことにはしませんので。お願いします」
「……」
明日葉は頭を掻いて答える。
「理由としては俺のことを少しでも多く知ってる奴が警護官をやってくれた方がまだ安心できるからっていうのが今のところの理由かな」
「でもそれならここで少し過ごせば他の方々だって「あとさ」?」
「俺さ、さっきまで俺がここに来た経緯を思い出そうとしてたんだ。でもこっちに来る直前のことが全然出てこなくて、もしかしたら俺一生ここで暮らすんじゃないかって考えてたんだ。それ自体が怖くなったんじゃないけど、元の世界で俺はどうなっているのかちょっと不安になってさ、仮に元の世界に戻ったとしてその後は? 折角プロ入りを果たしたってのに長い間行方不明になってたらその資格も剥奪されてるんじゃないかって不安でさ。もしかしたらこっちで暮らす方が気楽なんじゃないかって考えるんだ」
「……」
彩佳は明日葉の立場をようやく理解した。元の世界ではプロとなり、デュエルを続けてきた明日葉は今この世界にいる。それは向こうの世界では行方不明として扱われている可能性だってある。元の世界に戻ったとしてそれが何年も後のことだったら死亡案件として扱われ、戸籍も抹消されているだろう。明日葉はそこまで考えている。
「まだどっちがいいか考えてるけど、答えが見つかるかもわかんないんだよ。だったらどっちに転んでもいいように手を打っておく。だからここで俺はプロをもう一度目指す。皆と一緒に暮らすのは、俺が寂しがり屋だからかな」
「寂しがり屋……ですか」
「ああ。こう見えて1人でいるの怖いと思うくらいには寂しがり屋なんだぜ? だからそれを紛らわすのに付き合ってもらいたいんだ」
「……そうですか。なら仕方ないですね。寂しがり屋の男性を放っておくわけにはいかないですから」
「よろしく頼むぜ。彩佳」
「……はい///」
(答えになってるかわかんないけど、嬉しいから許してあげます///)
「では私はこれで。答えていただいてありがとうございました」
「大丈夫だ。俺も話せて良かったよ」
「///もうっ、そんなことばっかり言うからあんなこと聞いちゃうんです!」
恥ずかしながら部屋を出ていこうとする彩佳。しかし恥ずかしい故に急いだのが仇となった。
「あ、ああ!!」
「え、ちょ!? うおあああ!!」
彩佳は自分の足にもう一方の足を絡めてしまい、そのまま明日葉に突撃してしまった。
「……」
「……///」
倒れた明日葉たちは、自分の唇が相手の唇を覆うように重なっていた。
いわゆるキスである。
「す、すまん!///」
「あ、明日葉君とキス……きしゅ……///」
明日葉は起こったことに赤面し、彩佳は沸騰しそうな程顔が赤くなっていて、明日葉の台詞が聞こえていない。
「き、今日のことは他言無用で頼むぜ///」
「……はい///」
彩佳はそのまま出ていき、部屋に明日葉が1人取り残された。
「///あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
明日葉はそのままうずくまって小一時間呻いていた。
「明日葉君とキス……あしゅはきゅんときしゅ……///」
彩佳は廊下で顔を覆いながら言語能力が徐々に下がっていった。
や っ た ぜ
最後に爆弾投下しないといけない気がした。これから明日葉君の無自覚イケメンムーヴで3人をメインに女性が攻略されていきます(予定)。
次回は遂に明日葉君のお家お披露目です。他には特にないです。ラッキースケベはあるかも。
PV25000、UA8000、お気に入り90突破ありがとうございます。なんか記念のお話作りたいなあ。というわけで考えておきます。
感想いただけると制作のモチベが上昇し、更新が速くなるかもしれません。とりあえず感想ください。
それでは次回もお楽しみください。
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デュエル9~遊崎家へ行こう~
「ちょっと待て! 前回のあいつはどうなったんだよ!」
それはちょっと後に……ね?
では始まります。どうぞー
人は夢をみる。
時にそれは未来に起きることを何らかの形で見せることもある。
「……」
明日葉は今、街の上に黒い雲を巻き、その中心から出てくる逆三角錐のピラミッドを見上げていた
「なんだ、あれは……」
明日葉がその光景に戦慄していると背後から地鳴りと共に3つの虚影が現れる。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……」
「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアア……」
「キュエエエエエエエエエエエエエエエエエ……」
「……! あれは!!」
その影が姿を現すと共に、明日葉の視界は白ける。
「……ッハ!!」
明日葉は弾かれたように飛び起きる。身体は大量の汗で濡れていた。
「……夢、か?」
夢というには余りにもリアルな恐ろしい夢。あの3つの影が恐ろしいのではない。雲の中にあった逆三角錐のピラミッドが明日葉にはとてつもない恐怖を与えていた。
「……今考えても仕方ないか」
明日葉は着替えて食堂に向かった。
「おはようございます」
「おお、明日葉君……だったね。おはよう」
明日葉は男性なので男性用の食堂に通される。当然警護官はいない。明日葉と会話している男性の名前は『本田 悠希』。景子の夫である。
「はい。悠希さんですよね。景子さんの旦那さんの」
「はは……まあそうですね」
「? どうかしたんですか?」
「いや、彼女は何というか、僕に対して遠慮がないというか……」
「ああ……」
悠希のため息交じりの台詞に明日葉は察する。
「まあ彼女のおかげでいい生活も送れているし、そこに感謝はしているけど、夜はちょっと控えてほしいかな」
「あ、あはは……」
悠希の発言に明日葉は乾いた笑いしか出なかった。
「明日葉君! おはようございます!」
「明日葉! おはよう!」
「明日葉様。おはようございます」
「おう。おはよ」
朝食を摂ったあとに明日葉は3人の警護官と合流する。
「さて、これから居住区に行くわけだけど」
「はい! 明日葉君の家は
「そこの特級地が空いてたからそこになったぜ!」
「そこで私たちも一緒に暮らすことになりますが……本当によろしいのですか?」
「だから大丈夫だって。お前たちが襲ってこないってのを信じてるんだから」
「そ、それはそうですが」
「なら後はお前たち次第さ。警戒Maxで臨むよりはちょっと軽いくらいがちょうどいいんだよ。まあお前たちが襲って来たら俺も振る舞いを考えねえといけねえからな。だからよ、裏切らねえでくれよ」
最後の台詞だけ明日葉は声音を変えて3人に向けて言った。
「……はい。絶対に裏切りません」
「明日葉が信じてくれるならあたしたちだってその信頼に応えねえとな。任しとけ!」
「わたしたちに対する明日葉様の信頼を裏切る訳がありません。お任せください」
明日葉の台詞に3人が決意を示す。
「では協会の前に車を止めています! 早速行きましょう!」
「おう!」
こうして明日葉はこれからの自分の拠点に向かう。3人の美人を連れて。これが彼にとっての新たな人生の第一章であり、彼女たちの生殺し地獄の始まりである。
童実野町 男性指定住区
「着きました! ここが明日葉君の家です!」
「おお! でかいなあ! 本当にこんな家住んでいいのか!?」
その家は明日葉の世界ではそれなりに良い暮らしが出来る人が住んでいるような広い庭付きの家だった。
「勿論です! むしろ明日葉君にはこれくらいでないと足りないくらいです!」
「お、おう」
明日葉は彩佳の勢いにたじろぐ。
「おい! 明日葉が困ってんぞ。その辺にしとけ」
「悠香の言う通りだわ。男性を困らせるなんて淑女のすることじゃないわよ」
「うう。そんなこと言ったって明日葉君とこれから暮らすって考えると嬉しくて仕方ないんです! そういうお二人は嬉しくないんですか?」
「嬉しいに決まってんだろ! 言わせんな恥ずかしい!」
「明日葉様のような方と同棲することを嫌がるような罰当たりではありません! これは後の代に語り継ぐべきものです!」
「な、なんか恥ずかしいな///」
2人の突然のカミングアウトに明日葉は赤面する。
「では中に入りましょう。荷物も入れないといけませんからね」
「そうだな。早く入れちまおう」
こうして家に入り、荷解きを終えて部屋割りを決める明日葉たち。しかし、
「明日葉君は端っこで私の隣です! 異論は認めません!」
「何言ってやがる! そこは真ん中確定だろ! それであたしはその隣な!」
「いいえ端っこです。それで隣はわたしが適任です。あなたたちはよそで勝手にデュエルでもしていなさい」
「「なんですって(だと)-!」」
明日葉の部屋と自分たちの部屋を巡って争っていた。4つ横に並んだ部屋でどうするかで揉めているようだ。
「おーい落ち着け。別にそれくらいどうだって「「「良くない(です)!!」」」おお、そうか」
明日葉は止めることを諦めた。
そして
「いよっしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「くそおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「くっ! 何故……こんな……!!」
彩佳たちは何故かス〇ブラで決着をつけ始め、彩佳が勝利した。彩佳がいつものテンションでなくなっている。デュエルしろよ。
「お、お疲れさん」
「ありがとうございます!! これで明日葉君と隣同士です! これからも末永くよろしくお願いしますね!!!」
「待て、それはおかしい」
そうやって夜は更けていく。
「はあ、3日連続なんやかんや起こりすぎだろ」
明日葉は自室でため息交じりに呟く。
「疲れた。もう今日は寝よう」
明日葉がベッドに横になると、扉をノックする音が聞こえる。
「誰だー」
「彩佳です。明日葉君に気になることが出来たので少しお話できないでしょうか?」
「彩佳か。いいぞ、今開ける」
「ありがとうございます。お邪魔しますね」
今度はどもらず部屋に入る彩佳。一歩前進である。
「それで、聞きたいことって?」
「はい。そういえば明日葉君の世界ってどういう世界なのか気になりまして」
「そういうことね。いいぜ、教えてやるよ。まずこの世界との違いでも挙げていくか」
「よろしくお願いします」
「まず、男女の数が同じくらいだ」
「なんと!? でもそれなら明日葉君の態度も頷けますね!」
「ここは女がガツガツ来すぎてちょっと焦ったぞ」
「そ、それは男性が少ないので、皆結婚の為に躍起になってますから……」
「まあこの世界がそういう世界ってのは最初に会った時だけで伝わったから。次にデュエルの腕だな。彩佳の腕前はいい線いってるが、あの不良少女を見るあたり一般人はそれ程強くもないって感じだったな。俺の世界の小学生くらいだったぞ」
「ええ! そんなに差があるんですか!?」
「なんというか、パワーカードで上から殴るだけって感じが拭えないんだよなあ。他に除去とか色々な回し方を考えるだけでデュエルって正反対の戦い方できるからそれを殆どしないってのが勿体ない気がしてさ」
「た、例えば?」
「昔、色々デッキ使ってたけど俺としては全召喚法を使うデッキってだけでルートが沢山あるし、逆にEXデッキ使わないけど、皆があっと驚くようなものだってあるぞ。カードがあれば作れるが……まあ今はこれしか無いんだよなあ」
そういって明日葉はベッドの上のデッキを手にとる。
「なら私に任せてください! 私の実家には私のカードたちが残っているはずですから!」
「そうなのか。じゃあ頼もうかな」
「はい! 家のカードを全部持ってきます!」
「お、おう。そうか」
「それで、他にどんな違いがあるんですか!」
「そうだな、この世界だと男が貴重だけど俺の世界だとむしろ軽視されてるんだよな」
「はあ!? 男性を軽視とか何考えてるんですかそちらの世界の女性は?」
「仕方ないんだ。価値観が違えばそういうことだってある」
「だからといって……明日葉君はそういったことにあったことってあるんですか?」
「いや、俺はない。ただそれが社会問題になる程ではあったりしたな」
「そうですか。明日葉君が被害に合ってないのは良かったです。こちらの世界にその女性が来た時は、協会とグループの力をもって排除いたしましょう」
「いやいや! まずこっちの世界に来ること自体イレギュラーだし、そんな都合よくなんてあるわけないだろ!」
「でも、そんな女性は許せません。男性を傷つけるなんて」
「まあ、こっちではそんなこともないだろ? それに、俺のことは彩佳たちが守ってくれるから大丈夫だろ?」
「それはそうですが……」
「ならいいじゃないか。そんな0に近い可能性を考えるより、これからを考えようぜ」
「……はい」
「よし! んで、他に聞きたいことは?」
「そうですね、では……」
「聞きたい事はこれで以上です。ありがとうございました」
「おう。こんなことでよけりゃいつでも聞いてこい」
「はい。ではお休みなさい」
「ああ、お休み」
すると扉の前で彩佳が立ち止まる。
「……明日葉君」
「? なんだ?」
「……昨晩のアレなんですけど///」
「アレは忘れろ!」
「忘れられるわけないじゃないですか! あれから思い出すだけで顔がニヤついちゃうんですよ!!」
「おい! それ誰にも見られてないだろうな! この世界は俺にとってまだ未知の部分があるんだ! それが原因でバッドエンドはごめんだぞ!」
「何がバッドエンドですか! そちらでは価値観が違うのでしょう? 私は割と可愛い方だと思いますけどね! どこが不満なんですか言ってください! 直すので!」
「言ったところで俺たちが結婚するわけでもねえだろうが! アレは事故だったんだって!」
「いーえ諦めません! 絶対諦めませんからね!」
そう言い残して彩佳は部屋を後にした。
「……思い出すだけで恥ずかしくなってきた///」
(てかあの言い方。勘違いじゃないなら……///)
「ああもうなんなんだよお……」
一方、彩佳は
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ何言ってんの私! よりによって明日葉君に告白まがいのことするなんて! これじゃ痴女だよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 死にたい……」
うなだれていた。
4日以内に上げられなかった……申し訳ないです。実を言うとそろそろ大学で試験があるんで勉強せなならんのですよ。次回もちょっと間空くかもですね。ネタ仕上げれば上げるんでお待ちください。
パワーで押し切るの反対ってバーンで躱しながら戦うって感じだと思うんです。
次回もお家回。元の世界での感覚が拭えない明日葉君に3人が悶々します。
お気に入り100、UA10000、PV30000突破ありがとうございます! こんなに見てくれると思ってなかったので内心焦ってます。活動報告を上げましたのでよかったらご覧ください。これからの展開をお待ちください。
感想くれると作者のモチベが上昇します。感想、ください。
では次回ー
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デュエル10~明日葉君対策会議~
それよりストーリーは少しの間デュエル描写無い予定です。ご了承ください。
今回は警護官の3人が何やら集まって話し合うようです。何をお話するんでしょうねえ。
「このままではどうにもなりません! 対策会議です!」
まあ、頑張ってくださいな。
ではご覧ください。
あと活動報告の所でアンケートとっています。コメント残していってくださいな。
明日葉が異世界に迷い込んで数日。明日葉は男性協会に管理された家で疲れた体を癒す為に休日を自室で満喫していた。
「……うし、これで世界戦闘力100万いったな。そういえばあいつらなにやってんだ?」
明日葉は彩佳たちに「少し私たちでお話をするので部屋にいてください。居間にいては何が起こるか分からないので!」と言われているのである。
「しかし何の話だ? 俺に聞かれたくないってことは仕事の話なのか?」
リビング
「これより”明日葉君対策会議”を始めます」
「いや待てなんだよこれ」
「これは日々私たちを惑わす明日葉君にどう対抗するかを話し合う会議です。ここ数日お2人も明日葉君に悩まされているのではないですか?」
「「……」」
思い当たる節があるのか2人は視線を逸らす。
「まずは皆さんが体験した事を話してみましょう」
「じゃあまず言い出しっぺから」
「そうですね。アレは……」
◇ ◆ ◇
「ほい、ダイレクトアタック」
「また負けましたー!」
「いい腕してるんだけどなあ。もう一歩足りないというか、デッキバランスかな」
「そうですね。全体的に重いのでしょうか?」
「というよりサポートが少ない気がするな。レッドアイズだけじゃなくてドラゴンのサポートも入れてみ。レッドアイズもドラゴンだからシナジーがあるぞ」
「なるほど……参考になります!」
「よし。今日はこの辺にしとくか」
「はい、ありがとうございます」
明日葉は彩佳たちとこうしてデュエルし、デッキのアドバイスを与えている。しかし明日葉はセキュリティの関係で外に出られないので、卓上デュエルである。
「でもこれくらいの腕なら、一般人とのデュエルではまず負けはないと思うぜ」
「そうですか、それならよかったです。昔と比べると強くなったのは実感できますから。これも明日葉君のおかげですね」
「そうか。それならよかった」ニカッ
ドキッ「そ、そういうのは反則です」///
「? 何がだ?」
「……もういいです」ムスッ
鈍感な明日葉には彩佳の言葉の意味は理解できなかった。ドンマイ彩佳。
「ところで、明日葉君は今日はどうするんですか?」
「そうだな、外にも出られないしデッキ調整かな」
「ほ、本当にデュエル好きですね」
「当たり前だ。小さい頃からやってるんだから。まあ、子供故の過ちもあったけどよ」
「それってどんなことですか?」
「いや、言う程のことじゃない。俺の黒歴史だし、言いたくないよ」
「そうですか。なら聞きません。嫌な思いさせるわけにもいかないですから」
「ごめんな。なんか思わせぶりなこと言っちまってよ」
「いいんですよ。その代わり、無理はしないで下さいね」
「ああ、ありがとう」
こうして2人はデッキ調整を続けた。
◇ ◆ ◇
「ということがありました」ドヤァ
「なあこいつぶっ潰していいか?」
「ええ、一回地獄を見てもらわなければいけませんね」
「ええっ! 待って! 待って下さい! なんでそうなるんですか?」
「お前、まさか自覚ないのか……!?」
「有り得ない! そんな美味しい思いしておいて?」
「それよりお2人のお話を聞かせてください!」
「チッ まあいい。次は俺でいいか?」
「はい! さあ早く!」
「露骨ですね。」
◇ ◆ ◇
夕飯時
「さーて、飯つくるかー」
この家では悠香が食事担当である。他の2人と比較すると悠香が圧倒的に美味い。因みにレイカがつくった日は明日葉君はトイレと一体化していた。
「今日は何作るかなー。昨日は唐揚げつくったし「暑いし蕎麦なんてどうだ?」おおそうかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ???」
「ななななんでここに?」
「だってここ俺の家だし「そうじゃない! なんで台所にいるんだよ!」ああ、そういうことね。俺元々1人暮らしだったから自炊してたんだよ。だから料理の腕を落としたくないからたまにはやるかって」
「そ、そそそそうか! うん! なら問題ないな! 何も問題ない……」
「だろ? さ、つくっちゃおうぜ」
そういうと明日葉は悠香の予備のエプロンを着ける。それは青を基調とした女性ものなので中性顔の明日葉にはどうも似合ってしまう。そして男性がいないこの世界では女性の男性に対する免疫がないので
「ああああああああああああ明日葉!? そそそそそれはあたしのエプロンで! たたたたたた確かにそれしかないけどあああああああああああエプロン明日葉可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい……あふん」ドサリ
「悠香? 悠香あああ! 彩佳! 悠香が倒れた! 意識がないぞ! 救急車呼んでくれええええええ!!」
明日葉が必死で叫ぶ中、悠香は綺麗な顔で気絶していた。
◇ ◆ ◇
「って感じだ」
「「……」」
「ん? どうした?」
「悠香さんは今から敵です」
「懺悔の用意は出来ているかしら?」
「なんでだよ!? 気絶してたんだからあんま見れてねえんだぞ? ならいいじゃねえか!」
「良くないです! そんな羨ましい状況なんで教えてくれないんですか? 私も見たかったです!」
「わたしなんて明日葉様に呼ばれてすらいなかったわ。なんで彩佳が……」
「ま、まあまあ。最後はレイカだぜ!」
「……っく、まあいいでしょう」
◇ ◆ ◇
「疲れた……もうお風呂に入って寝よう」
警護官は警護対象にその日の暇を言い渡された場合その日は自由となる。
「……今日も明日葉様とのデュエルで負けてしまった。どこがダメだったんだろう」
(このままだと警護官としての立場が……どうしよう)
そうして脱衣所の扉を開ける。そこには、
「……んお?」
裸の明日葉がいた。
「「……」」
「え、えっと……どうした?」
「……ゃ」
「?」
「にゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」ドサリ
「うおっ!」
レイカは鼻から血を垂れ流し、およそ女の子がしてはいけない顔で消沈していた。
「レイカ? レイカああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
◇ ◆ ◇
「……ということがありました」
「悠香さんこいつぶっ殺しましょう」
「ああ、あたしもそう言おうと思ってたところだ」
即答である。
「ま、待ちなさい! すぐに気絶したし問題ないでしょう!」
「そんなわけねえだろ!! 男の裸見るなんて重罪だ重罪! 今すぐしょっ引いて牢屋にぶち込んでやる!!」
「悠香さんその程度ではぬるいですよ。こいつは明日葉君の裸を見たんです。そんなものでは償いきれませんよ。焼き土下座から始めませんと。明日葉君が受けた辱しめはそんなものでは軽いですがまあ少しはマシになるでしょう」ハイライトオフ
「いやいや、あれは明日葉様も事故だったししょうがないと言ってくれたわ! なら問題ないでしょう? それとも、男性の意見も聞かないのですか?」
「う、それならしゃーねえか」
「本当に言ったんですよね? 嘘だった場合、あなたを城之内グループの総力を持って駆逐しますのでそのつもりで」
「わ、分かってるわよ」
とりあえず、レイカは危機を脱した。
「さて、どうすればいいでしょうか」
「どうするも何も、明日葉に自覚させるしかないんじゃねえか?」
「でもどうやって?」
「それは……どうやる?」
「わたしに聞かないで。これからそれを考えるのよ」
「う~ん。言って自覚させますか?」
「それで直るとは思えねえな。多分だけど無意識だぜ?」
「そうよ。言って直るなら苦労はないわ」
「そうですけど、ならお2人は何かないんですか?」
「「ない(わ)」」キッパリ
「言い切った!」
明日葉君対策会議
閉廷!!
「結局解決策なしですか……はあ」
シャワーを浴びて今日の会議の成果を振り返った。
「結果は散々。ただ惚気話を聞かされただけでした……」
自覚ないんかこいつ。
「このままでは過ちを犯しかねません。なんとかしなくては」
そう決意を固め浴場から上がる。
男性保護協会本部部長室
「そ、それはそうですが……それはあまりにも男性を意に介さない行為です!」
景子が電話越しに抗議している。口調から格上のようだ。
「……はい。そのように手配しておきます。では失礼します」ガチャリ
「……はあ、管理職は本当に疲れるねえ」
景子はこれからの仕事に大きくため息をつく。
「明日葉君、君の選択は随分面倒なことになってきたよ。これからどうするってんだい」
今この場にいない渦中の人物に悪態をつく。
????
「ふふふ、楽しみだわー。あの子の警護対象に会えるんですもの。何かお土産も欲しいところねー」
ビルの一室でオフィスチェアに腰掛けながらその人は妖しく微笑む。その人はパソコンに表示される写真を眺める。
「
しかしのその目は獣のように赤く輝いていた。
今回はそれぞれの惚気?回でした。男女逆転してるからこその描写ですよね。彩佳は自分のことになると鈍感発動します。今回も明日葉君とデッキ調整ができたのが嬉しかっただけのようです。最後の人は誰でしょうね(すっとぼけ
さーて次回の逆転デュエルは?
突如現れた謎の人物。困惑する明日葉君。硬直する彩佳。果たしてその人は一体誰!?
感想くれるとモチベが上昇します。活動報告のアンケートに答えてくれると喜びます。
では次回もお楽しみにね!
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デュエル11~突撃! 嵐の来訪者!!~
ということでファイアウォール改め、「火壁」です。
今回は明日葉君の家にお客さんです。
「な、なんで来てるんですか!?」
なにかあったようですねえ……
ではお楽しみください。
本日も遊崎家は平和に明日葉が3人を悶えさせる。
「いい加減に対策を考えねば明日葉君と過ちを犯しそうです」
「初っ端からなにぶち込んでんだお前」
「しかし由々しき事態であることは間違いないわ。だけどアイデアが思いつかないのも事実よ。どうするの」
「それを考えるんですよ。前回は成果無し。これ以上の無自覚の攻撃は私たちのライフを削っていきます。故に明日葉君からも意見をいただけないかと」
「と言ってもなあ。ならむしろ俺のどんな行動がそう……ムラっとくるんだ?」
「「「全部(です)」」」
「なら無理じゃねえか!! 意見もクソもねえよ!!」
そう茶番を続けていると、家のチャイムが鳴る。
「? 誰だ? 知り合いでも呼んだ?」
「そんなことするわけないじゃないですか。恐らく前に実家にカードを送ってもらうように頼んだのでそれでしょう。出てきますね」
そう言って彩佳は玄関に向かう。
「おう、頼んだ」
「はーい、今でまーす」ガチャ
「どーもー城之内運輸でーす♪」
「……」
「……」
「「……」」
「住所違うと思いますよでhガシッ「待ちなさーい何勝手に閉めようとしてるの?」いやだって何が悲しくてこんな親の姿がみたい子がいるんですか!」
「えー。だって元々来たかったのに鏡華がうるさかったからー変装しないといけなかったのよー」
「だからって程度があるでしょうがー!」
そう、この配達員こそが城之内彩佳の母。『城之内 克巳』である。
「ということで彩佳の母の克巳でーす。明日葉君、これからよろしくね♪」
「どうも克巳さん。娘さんにはとても良くして頂いています。」
「まー! それは嬉しいことを言ってくれるわねー! 彩佳! 絶対に逃がすんじゃないわよ! こんな男性、今のご時世そういないわ!」
「お母さんは黙っててください!」
「ほっほっほ、若いっていいわねー」
娘をからかう母という図。親子だと知っているから分かるが、この克巳、見た目が20代のそれである。
「しかし、いつ見ても克巳さんは若く見えるなぁ。秘訣でもあるんですか?」
「そんなものないわよー。ただ綺麗でいたいって思って努力を続けただけよー」
「それだけでこんなになるのかよ……本当に克巳さんはすげえや」
微笑みながら克巳は話を切り出した。
「明日葉君、プロになるつもりはない?」
「「「!?」」」
「プロ……」
「そう。あなたの活躍は鏡華から聞いているわ。それにその腕前ならWCSでも十分に戦えると思うの。それに、明日葉君のデュエルはきっと世の男性の希望になると思うの。どう、やってみる気はない?」
「……」
「お、お母さん! 無茶です! 明日葉君は男性ですよ! 協会が黙ってないです!」
「そうですよ! デュエル相手の女が襲ってきたらどうするんですか!」
「それはあなたたちが守ってあげたらいいじゃない。そこは協会にも取り合ってもらえば十分だわ」
「だ、だからって……明日葉君が他の女の好奇の目で見られるなんて……」
「まあ、決めるのは明日葉君自身よ。あなたたちの意見は明日葉君次第ね」
「そ、そんな……」
「……」
明日葉は黙って思慮している。
「それで明日葉君。どうする?」
「……俺は、プロに行きます」
「「!!」」
「やっぱり……」
2人は驚き、彩佳は予想通りといった感じだ。
「よかった! でもその前にやることがあるの。まずはデュエルユニオンに加入してもらうわ」
「デュエルユニオン?」
「簡単に言うと組合です。デュエリストはこのユニオンに加入する必要があるんです。私たちも勿入っていますよ」
「ほう……それは無暗やたらとデュエルさせないようにか?」
「はい。でも加入自体は簡単ですから実際にはディスクを用いたデュエルを規制する為につくられた組合です。所構わずデュエルされては一般人の迷惑になりますから。デュエル場もユニオンに加入している人は加入証を提示するとデュエル場でデュエル出来ます」
「中々良いシステムだな。ん? でも最初に会ったときのデュエルや協会でのデュエルは「それはやむを得ない状況だったのでノーカンです!」お、おう」
彩佳の圧に明日葉は気圧される。
「明日葉! 本当にいいのか? 下手したら相手がどんな要求をデュエルに求めてくるのかわかったもんじゃないんだぞ!」
「その通りです。もう少し考えてからでも遅くはないかと」
「そうだな。でも俺はデュエリストだ。戦う舞台があるなら俺は戦いたい」
「そうは言っても……明日葉様のような男性は世の女性の恰好の餌です。そこのところを理解していますか?」
「わかってる。でもデュエルはいつだって俺を支えてくれたんだ。そのデュエルに応える方法を俺は魅せるデュエルという形で応えてきた。それはこれからだって変わらない。だからこれはデッキに、デュエルに応える為の選択なんだ。それに俺はそこらのデュエリストに負けるほどには弱くない。だから皆、警護しっかり頼むぜ?」
「……最初からわたしたちの意見を聞く気は無かったわけですか」
「すまない」
「いいんですよ。それがわたしたちの仕事なんですから」
「ありがとうな。今度デッキ調整でも付き合ってやるよ」
「あの、デッキ調整よりは……その……で、デートとか……してみたいなーと///」
「おい、何ちゃっかりしてんだ」
「い、いいじゃない明日葉様の無茶に付き合ってるんだからこれくらい!」
「良いわけあるか! そんなことやらせたら案件ものだぞ!」
「あー、それは流石に考えさせてもらえないか? そこは不用意に決めちゃいけないと思うし」
「……仕方ありませんね。わかりました。ちゃんと考えておいてくださいね!」
「わ、分かった」
「……明日葉君。私もいいでしょうか?」
「……デートするとは言ってないが?」
「デッキ調整を手伝ってください。私の目標はあなたなんですから」
「そうか、わかった。後でコンセプトを聞かせてくれ」
「はい!」
(ちゃっかり約束取り付けてる……)
(わたしだってもっと明日葉様と話したいのに)
「……もういいかしらー?」
「あ、はい。大丈夫です。ユニオンに加入ですよね」
「そうよー。その後なんだけどプロを相手に条件を付けてデュエルをするわ。それに勝ったら見事プロ入りよ」
「なんか分かり易い内容ですね。要は勝てばいいわけか」
「簡単に言うとそうね。でも一筋縄ではいかないわ。相手はプロよ?」
「俺だって場数を踏んでます。そうは負けませんよ」
「そう? まあ期待しているから頑張ってね」
「はい」
「そう、じゃあこのお話はおしまい! 彩佳、配達員にカードを運ばせてあるから確認しておいてね」
「は、はい」
「では明日葉君。またね♪」
「は、はあ……」
こうして克巳は帰っていった。明日葉たちに心労を残して。
「本当によろしかったでしょうか。彼を巻き込んでしまって」
そこにはいるはずのない『美月 鏡華』がいた。
「致し方ないわ。私だって進んでこんな事したくないわよ」
克巳は先程の雰囲気は何処へやら。まるで別人のようになっていた。
「これから起きる事態を考えると明日葉君の力が不可欠よ。やむを得ないと割り切らないといけないわ」
「そ、それはそうですが……」
「仕方ないじゃない。何せ
そう……『ドーマの一族』が蘇ったなんて……」
「克巳さま……」
「だからこそ私たちが先手を打たねばいけないわ。明日葉君や彩佳たちが戦えるように……」
克巳はこれからの事を想定し、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「ドーマのクソどもが……今度は絶対に根絶させてやる!」
明日葉の取り巻く環境が急激に変化を遂げていく。その先の未来には一体何が起きるのか……
次回へ続く!!
とりあえず序章的なものが完了かな? 明日葉君はこれからこの世界のプロを目指して戦っていきます。そしてこの戦いの裏に隠されたものの正体は!
1週間間に合わなかった。まあ新しいのに手出したし、仕方ないね。
鏡華の苗字を決定しました。美月です。某ZEXALのヒロインにはず……
アンケートは不定期で募集します。とりあえず今回は締め切りで。でも18版しか思いつかねえ!俺に……俺に健全なストーリーを書く力をくれえ……!
では皆さんまた次回!
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第2章~明日葉に迫る世界と影~
デュエル12~プロ認定試験開始!~
アンケートのストーリー考えてますがネタが詰まる火壁です。そっちの方はもう少しお時間をください。
今回は明日葉君プロデュエリスト認定試験のお話です。
「じゃあ、やっていくか!」
意気込み十分ですね。
では、どうぞー。
克巳の帰宅後、遊崎家では家族会議が行われていた。
「何度も言うが明日葉正気か? 本当にプロ入りすんのかよ」
「そうです。ただでさえ男性は女性に狙われやすいのに明日葉様はその性格ですから……即お持ち帰り待ったなしですよ」
そう。明日葉はプロ入りする旨を克巳に伝えた事を2人に問い詰められていた。因みに彩佳は明日葉の意志を既に聞いていたので半ば諦めの表情だ。
「レイカの後ろの台詞はともかく、このまま何もしないってのはつまらなくってな。それにデュエルに応えるにはやっぱりデュエルをするしか思いつかねえんだよ」
「明日葉君はやっぱりそういうんですね……」
「ん? やっぱりって彩佳は知ってたみたいな口ぶりだな?」
「!」ギクッ
「「……」」
「……」ヒヤアセタラタラ…
「……彩佳?」
「……彩佳さん?」
「……てへ!」
「「説教!!」」
「待って! 誤解だから! 明日葉君は許可くれたから!」
「……まあ入れたのは確かだな」
「「!?」」
「ふっふっふ~どうです? これで私は白ですよ!」
「因みにそこで色々あったけど……聞く?」
「「「!!??」」」
彩佳は明日葉の発言に驚愕とともに顔を青ざめさせる。この状況、明日葉は楽しんでいる。人でなしだ!
「あ、明日葉君? それはお互い忘れるって言ったはずじゃ……」
「おい彩佳。これはちとお話が必要とは思わねえかぁ?」ビキビキ
「彩佳さん……残念よ。これからの仕事仲間を突き出さねばいけないなんて」
「ま、待って! アレは事故なんです! だから待って! 明日葉君も何とか言ってください!」ナミダメ
「あっはっはっはっは!!」
こうして彩佳がお縄に……つくこともなく、ちゃんと話はついた。
少し時は流れてデュエルユニオン”DTW"前。デュエルユニオンの外装はシンプルだが立派なつくりで、デュエリストの為の施設としては十分過ぎるほどである。
「ここがデュエルユニオン……」
「どうです? 中々の大きさでしょう?」
「まずはここでデュエリスト登録をするぜ」
「わかった。早速行こう」
そういって明日葉たちは中に入っていく。すると、
「ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお男だあああああああああああああああああああああああああああイヤアアアアアアアアアアアッフウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!」
「……うわあ」
男に飢えた女性デュエリスト。明日葉が見えて狂喜に満ちている。
「まあ、デュエリストは男性と関わる機会が少ないですから仕方ないんですよ」
「そうだとしても、これは酷い」
明日葉は苦笑いを浮かべながら受付に向かった。
「あのーすいません。デュエリスト登録したいのですが」
「ひゅやい! で、ででではこちりゃにょとうろきゅシートに必要事項を記入してくだひゃい!///」
普段男性と会わない故か声が上ずっている受付から登録シートを受け取り、自分のプロフィールを記入する。しかし、
「明日葉君! 男性がプロフィールなんて記入しちゃだめです! 男性のプロフィールはこういった場合でもプロテクトされる法があります!!」
「え? そうなの?」
「ひゅえ!? ええっと……そ、それは……」
「どうなんだ?」
「うう……」
「」ジー
「ごめんなさい~! 出来心なんです~!」
「てめえ! そんな事許されるわけねえだろうが!!」
「本当に何を考えているのかしら。まああなたは今日から投獄生活なのでわたしはもう知る由もないのでしょうが」
「ふ、ふえ~」
「まあまあ、未然に防げたならいいじゃねえか」
「!」
「明日葉様! その様に甘い考えでは、いずれ足元を救われてしまいます!」
「そうだぜ! それに明日葉はこれからプロになるんだろ!? だったら不安要素は今のうちに取り除いとくべきだ!」
「そうだけどよ……」
「明日葉君」
「?」
「お気持ちはお察しします。でも明日葉君は男性で私たち警護官が守るべき対象です。でも警護対象がそのような態度では守り切れません。ここは、冷徹と言われてもはっきりさせなければダメなんです。どうか、考えてはくれませんか?」
「……」
明日葉は渋い顔をしている。このような事で人を悪者にしたくないのだろう。
「……わかった」
「ああ、ああああ……」
受付の女性はこの世の終わりを見るような目で明日葉を見る。
「でもあまり酷い事は無しで頼む。これじゃああまりにも可哀想でな……それに気づかなかった俺にも非があるから」
「……え?」
「でも悪い事をしていたのもわかってる。だからそれについては反省してもらうつもりだ」
「……わかりました。言ったら聞きませんものね」
「ありがとう」
「いいんですよ。でも感謝してるなら何かご褒美が欲しいですね~」
「ああ。なんか考えとくよ」
「ちょ! 明日葉! あたしもあたしも!」
「わたしもいいですよね?」
「わ、わたしm「「「ああ?」」」いえ、何でもないです!」
こうして受付の女性は上司に連れていかれた。
「よし。これで登録完了だな」
何だかんだで登録は終了したようだ。
「よかったですね! これで晴れて正規のデュエリストです!」
「ああ。後はプロ認定試験をクリアするだけだな」
「それについては説明と課題条件公開があるはずだぞ」
「それについてはもうじきだな」
そう話していると扉が開き、1人の女性が入ってきた。
「きょんにちは。私はプロデュエリストで今回の試験官の『神田 由希』でしゅ。よろしくお願いしましゅ」
キリッとした面構えだが明日葉を前にして噛み噛みだ。
「締まりませんね」
「締まらねえな」
「恥ずかしくないのかしら」
「うるさいですよそこの警護官!」
仕切り直して試験の内容を説明する。
「まず、プロ認定試験ではプロデュエリスト、今回は私とデュエルし、勝利することでプロとして認められます。その際、各々には課題として条件を付けさせてもらいます。といっても今回は1人だけですが……」
「プロって人気無いのか?」
「男性にモテない。試験の条件が厳しい。稼ぎもそれこそ有名にならないと良くないということで下降の一途を辿っています。悲しいけど現実なんです」
「そうか……なら俺が盛り返さないとな!」
(((明日葉(君/様)が活躍すると違うところが盛り上がってしまう……)))
失礼な事を考えている3人の変態。
「それで今回遊崎君に課す条件は『モンスターカードはメイン・エクストラ共に攻撃力500以下のみ』です」
「今回もキッツイな……」
「そんくらいなら余裕だな」
「「「「!!!???」」」」
「あ、明日葉くん。この課題が余裕なんですか?」
「まあデッキ構築に時間はかかるが、いけるぞ」
「本当ですか!? これだって上位の難易度ですよ?」
「まあ普通に攻撃は出来そうもないが、それ以外の手は沢山あるから」
「で、では後日改めてデュエルを行います。デッキを用意しておいてください」
「はい」ニコ
「!」ズキューン!
「で、では失礼します///」
「早速帰ってデッキつくるか。克巳さんが持ってきてくれたカードもあるし」
「……明日葉君はジゴロですね」
「ん? どうした?」
「何でもないです」
彩佳はどうやらご機嫌斜めのようだ。
「……彩佳」
「なんですか」
「試験終わったら、どっか行くか?」
「「「!?」」」
「今回は結構迷惑かけちまったからさ。その穴埋めもかねてさ」
「い、いいんですか!?」
「全然いいよ。こっちを理解するいい機会だし、案内頼む事にはなるけど……いいか?」
「大丈夫です! 全然大丈夫です!! ぜひお願いします!!」
「明日葉! あたしもいいか?」
「明日葉様! わたしもいいですよね?」
「ああ。何なら3人一緒に行くか?」
「1人ずつ行きましょう!」
「賛成だぜ!」
「それがいい判断です!」
「わ、わかった。でも今は試験だな。もうコンセプトは出来てるからそれのパーツがあることを祈るばかりだな」
「大抵のカードはありますから好きなデッキを組むことが出来ると思いますよ!」
「おお! なら期待出来るな!」
「ふっふっふ~任せてください!」
こうして明日葉はデッキ構築に一晩費やし、夜が明ける。
「本日は遊崎君のプロ認定試験です。デッキは出来ましたか?」
「はい……ふぁ~」
明日葉は寝不足の様子。彩佳のカードが想像より多かったため、目当てのカードを探すのに手間取っていた。
「寝不足ですか? なら仮眠室で寝てきても構いませんが」
「大丈夫です。デュエルに影響はありませんから」
根っからのデュエリストの明日葉。その後ろには試験官を「キサマを殺す」と言わんばかりの眼光を警護官が向けている。お前らそういうキャラじゃねえだろ。
「では、認定デュエルを開始します。用意は?」
「大丈夫です。では
「「デュエル!!」」
遊崎 明日葉
LP8000
VS
神田 由希
LP8000
「先行は受験者に与えられます。遊崎君、どうぞ」
「では、俺のターン! 手札から『ワン・フォー・ワン』を発動! 手札の『ガード・オブ・フレムベル』を墓地へ送り、デッキから『チューニングサポーター』を特殊召喚! 手札から『金華猫』を召喚して効果発動! 墓地のレベル1のガード・オブ・フレムベルを特殊召喚! レベル1のチューニングサポーターにレベル1のガード・オブ・フレムベルをチューニング!」
「連なる星が 新たな地平へ加速する 世界を導け シンクロ召喚! こい『フォーミュラ・シンクロン』!!」
「これが彼の力ということね……でもそれだけじゃ合格できないですよ?」
「わかってますよ。フォーミュラ・シンクロンとチューニングサポーターの効果! フォーミュラ・シンクロンはシンクロ召喚に成功した場合カードを1枚ドローし、チューニングサポーターはシンクロ素材となった場合カードを1枚ドローする!」
「! そういう手もあるんですね」
「カードを4枚伏せてターンエンド。エンドフェイズにスピリッツモンスターの金華猫は手札に戻る」
明日葉
LP8000
モンスター:フォーミュラ・シンクロン
魔法・罠:伏せ4枚
手札:1
「私のターン、ドロー。私は『ブラッド・ヴォルス』を召喚」
ブラッド・ヴォルス ☆4 闇
ATK1900/DEF1200
「バトル。ブラッド・ヴォルスでフォーミュラ・シンクロンを攻撃」
「罠『スウィッチ・ヒーロー』発動! お互いのフィールドのモンスターの数が同数の場合、モンスターのコントロールを全て入れ替える!」
「!」
明日葉が罠を発動した途端、ブラッド・ヴォルスとフォーミュラ・シンクロンの位置が逆転した。
「やった! これでアタッカーが出来ましたね!」
「……私はこれでターンエンド」
由希
LP8000
モンスター:フォーミュラ・シンクロン
魔法・罠:なし
手札:5枚
「俺のターン、金華猫を召喚し、墓地のガード・オブ・フレムベルを召喚! もっかいいくぜ! レベル1の金華猫にレベル1のガード・オブ・フレムベルをチューニング! シンクロ召喚! 再びこい! フォーミュラ・シンクロン! フォーミュラ・シンクロンの効果で1枚ドロー! バトル! ブラッド・ヴォルスでフォーミュラ・シンクロンを攻撃!」
「くぅ!」
「そしてブラッド・ヴォルスを対象に罠モンスター『メタモル・クレイ・フォートレス』を特殊召喚!」
メタモル・クレイ・フォートレス ☆4 地
ATK1000/DEF1000
「! どういうことですか遊崎君。モンスターは攻撃力500より上のモンスターは投入不可といったはずですが?」
「こいつは罠カード。モンスターカードじゃない」
「……! なるほど。ルールの裏を掻いたわけですね」
「どういうことだ?」
「つまりモンスターは攻撃力500以下でなければいけないけど罠だからその制限はないってことです」
「おお! よくわかんないけど強いってことだな! いっけえ明日葉!」
悠香……頭の弱い子……
「ブラッド・ヴォルスを装備カードとして装備し、その攻撃力分メタモル・クレイ・フォートレスの攻守も上がる! これでメタモル・クレイ・フォートレスの攻撃力は2900! メタモル・クレイ・フォートレスで攻撃!」
メタモル・クレイ・フォートレスの一撃が由希の身体を捉える。その攻撃に由希は軽く吹っ飛ぶ。
「うあああ!」
由希
LP5100
「メタモル・クレイ・フォートレスは攻撃した後守備表示になる! カードを1枚伏せてターンエンド!」
明日葉
LP8000
モンスター:メタモル・クレイ・フォートレス、フォーミュラ・シンクロン
魔法・罠:伏せ4枚
手札:1枚
「……私のターン、ドロー。」
(はっきり言って状況は最悪。手札も上級モンスターばっかり。ここは守備を固めて……)
「モンスターをセットして、ターンエンド。」
由希
LP3900
モンスター:セット1体
魔法・罠:なし
手札:5枚
「俺のターン! モンスターをセットしてメタモル・クレイ・フォートレスを攻撃表示に変更! バトル! メタモル・クレイ・フォートレスで裏守備モンスターを攻撃!」
セット→執念深き老魔術師
「執念深き老魔術師はリバースモンスター。その効果は裏側守備表示から表側表示になったときに効果を発揮するわ。このモンスターがリバースした時、相手モンスターを破壊する。メタモル・クレイ・フォートレスを破壊!」
「俺はこのままターンエンド!」
明日葉
LP8000
モンスター:フォーミュラ・シンクロン、セット1体
魔法・罠:4枚
手札:1枚
「私のターン」
(このままじゃマズい。メタモル・クレイ・フォートレスは破壊出来たけどジリ貧もいいとこ。いいカード、来て!)
「ドロー! ……よし! 私は魔法『古のルール』を発動! これでレベル5以上の通常モンスターを特殊召喚出来る! 『ラビードラゴン』を特殊召喚!」
カードの中から一冊の本が飛び出し、ページが開いていく。そこから兎の耳を持ったドラゴンが現れた。
ラビードラゴン ☆8 光
ATK2950/DEF2900
「バトル! ラビードラゴンでフォーミュラ・シンクロンを攻撃!」
ラビードラゴンの攻撃がフォーミュラ・シンクロンを爆散させる。
「私はこれでターンエンド」
由希は現状を打破したことにホッと胸をなでおろす。
由希
LP5100
モンスター:ラビードラゴン
魔法・罠:なし
手札:4枚
「俺のターン! 手札から魔法『トレード・イン』を発動! 手札のレベル8モンスターを墓地に送り、デッキから2枚ドロー! 更に魔法『闇の誘惑』を発動! デッキから2枚ドローし、闇属性をゲームから除外し、いないなら手札を全て墓地へ送る。……俺は手札を全て墓地へ送る。これでターンエンド」
明日葉
LP8000
モンスター:セット1体
魔法・罠:4枚
手札:なし
「! 闇属性が来なかったか……」
「運がなかったですね」
「……」
「残念だったわね。でも加減はしないわ! 私のターン。『サファイアドラゴン』を召喚」
サファイアドラゴン ☆4 風
ATK1900/1600
「バトル。サファイアドラゴンでセットモンスターを攻撃」
セット→マシュマロン
「! マシュマロンですって!」
「マシュマロンは戦闘破壊されず、裏側のこいつを相手が攻撃したプレイヤーは1000ダメージを受ける! お返しです!」
由希
LP4100
「くう! 私はこれでターンエンド!」
由希
LP4100
モンスター:ラビードラゴン、サファイアドラゴン
魔法・罠:なし
手札:4枚
「俺のターン!」
「なんとかここで逆転の一手が欲しいところだよな」
「でも構築自由とはいえ条件付きのデッキでは厳しいでしょう。ラビードラゴンは攻撃力2900。簡単に超えられるものではないわ」
「……明日葉君なら出来ますよ」
「? おい彩佳。気持ちはわかるが、現状はマシュマロンでどうにか持ちこたえてるところだ。ここからは厳しいぞ」
「でも、明日葉君ならなんとかしてくれる気がするんです」
「……そうね。私もそんな気がしてきた。協会でもやってくれたものね。それにわたしたちより格段に強いのだからプロにだって負ける要素もないわね」
「お前ら……ああそうかい! じゃあ信じてやるか!」
「素直じゃないわね」
「うっさい!」
「俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP8000
モンスター:マシュマロン
魔法・罠:4枚
手札:1枚
「……何もせずに終わったけど」
「……」
「……」
「何とか言えよ」
「信じてますから」
「当然よね」
「こっち見て言えよ」
「私のターン。サファイアドラゴンをリリースして『エメラルドドラゴン』をアドバンス召喚!」
エメラルドドラゴン ☆6 風
ATK2400/1400
「更に魔法『守備封じ』を発動! これでマシュマロンは攻撃表示になるわ」
「!」
「バトル! エメラルドドラゴンでマシュマロンを攻撃!」
エメラルドドラゴンのブレスがマシュマロンを焼く。戦闘で破壊されないマシュマロンはその場に留まり、焼きマシュマロのようになっている。
明日葉
LP5900
「ぐうぅ!」
「更にラビードラゴンでマシュマロンに攻撃!」
そこにラビードラゴンのブレスがマシュマロンを襲う。今度のブレスは冷気を帯びていたため、マシュマロンはカチコチに固まった。
明日葉
LP3550
「ああああ!」
「大丈夫ですか!」
「大丈夫です! さ、デュエルを続けましょう!」
「そ、そうですか……ターンエンドです」
由希
LP4100
モンスター:ラビードラゴン、エメラルドドラゴン
魔法・罠:なし
手札:3枚
「おいおい、これってマズいんじゃないか!?」
「だ、大丈夫です。ままままだ慌てるような時間ではははははは」
「な、なにを怖気ているのかしら。そんな事では警護官は務まらないわ」
「レイカ。コップの中入って無いぞ」
警護官3人は冷静さを欠いている。
「俺のターン!……俺はあなたにこのカードを渡す」
「!」
「そして俺は魔法『魔導契約の扉』を発動! これでレベル7・8の闇属性のモンスターを手札に加える!」
(うわああああああああああああああ何々このサプライズ! え? イケメンにプレゼント貰えるとかさっきも私のモンスター使ってくれてたしこれ絶対脈あるよね!? 今日これ行っちゃっていいよね? ゴールインしちゃっていいよね? 幸せ掴んじゃっていいよねえええええええええええええええ!!!)
由希は明日葉からカードを受け取り、テンションが急上昇している。動きが芋虫のそれ。
「更に罠モンスター『ソウル・オブ・スタチュー』を特殊召喚! 更にソウル・オブ・スタチューとマシュマロンをリリース!」
「! しかし攻撃力は500以下は変わらない! どうするっていうの!?」
ゆきは しょうきに もどった!
「破滅をもたらす暴竜よ 現世への封印を打ち破り わが敵に【
破滅竜 ガンドラ
ATK0/DEF0
「……中々に壮大な口上だけど、攻撃力0は変わらないわ! このままでは私の勝ちは変わらないわよ!」
「……それはどうかな?」
「何!」
「ガンドラXの効果! 全てのモンスターを破壊する!」
「そんな!?」
ガンドラの赤い宝玉から光がレーザーとなって放たれる。いくら
「そしてその中で一番攻撃力の大きいモンスターの攻撃力分のダメージを与え、その分がガンドラXの攻撃力になる!」
由希
LP1150
「ああああああああああああああああああああ!!」
「バトル!ガンドラXでダイレクトアタック! 【デストラクション・レイズ】!!!」
由希
LP0
「きゃああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「決着! 勝者 遊崎明日葉!!」
明日葉君の認定デュエルは見事明日葉君の勝利で終わりました。これで明日葉君はプロデュエリストです。ここから色々なデュエリストとデュエルしていきます。
ユニオンの”DTW”とは”デュエル・ターミナル・ワールド”要はデュエルの「端末世界」です。昨今はスマホやら何やらといった端末で様々なところにアクセスできるのでこのユニオンもここで皆が世界ト繋がるようにという思いを込めてつくられたという設定です。
女性デュエリストは警護官と違い男性の免疫がないためあんな事に……これも全て火壁ってヤツの仕業なんだ。
条件の元ネタはGXの万丈目兄弟のデュエルです。個人的に好きなんですよアレ。アレは500未満ですがね。
次回ネタは出来てません。1週間以内には出すのでお待ちください。
ではまた次回までー。
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デュエル13~プロ入り祝賀会!!~
プロ認定試験をクリアし、今回は祝杯です。
「今日は飲め飲め~!」
果たして羽目を外すのか? 外したとして何かあるのか?
(デュエルは)ないです。
ではどうぞー。
プロ認定試験をクリアした明日葉。その情報は男性保護協会にも行き届いた。
「いやーおめでたいねえ! まあ、お前さんならやり遂げると思っていたよ!」
景子から祝いの電話が来た。
「ありがとうございます。でもよく知ってますね? 今日クリアしたばかりなのに」
「ユニオンから連絡があってね。そこでなんだが協会で明日葉君のプロ入りを祝おうと思うんだがどうだい?」
「本当ですか!? いいんですか俺の為に?」
「いいんだよいいんだよ! 栄えある男性プロデュエリスト様だ。祝わない方が罰当たりってもんさ」
「そうですか、分かりました。ではこれから向かうって事でいいですかね?」
「構わないよ。んじゃ準備して待ってるからね」
そこで電話は切れた。
「というわけで協会に行こう」
「お! 酒飲めるのか!? いいねえ、今日は飲むぞー!」
この世界では18歳で飲酒が出来るようになる。
「何を言っているの。仕事中に飲ませるわけないでしょ」
「ぶー、いいじゃねえか今日くらい。明日葉だって良いって思うよな?」
「まあ羽目外さなければいいんじゃないかな」
「ほらー! 明日葉がこう言ってるんだから良いんだよ!」
「そう言って酔った勢いで明日葉様に変なちょっかいをかけようって魂胆じゃないでしょうね」
「そ、そんなわけないだろ! いきなり何を言ってるんだよ!」///
悠香は顔を真っ赤にして否定する。しかしその顔は少しニヤついて目も泳いでいるためにまんざらでもないようだ。
「まあとりあえず協会に行きましょう。お酒はそこで判断すればいいですし」
そうして明日葉一行は協会へ向かって行った。
男性保護協会本部
協会の食堂には豪華な食事が並んでおり、壁にも綺麗な装飾が施されている。
「おー明日葉君、来てくれたね! 職員一同待ってたよ! あんたらも警護ご苦労さん。試験の土産話は後で聞かせておくれよ」
「はい。今日は俺の為に祝賀会を開いてくれてありがとうございます」
「いいっていいって。皆がやりたいって言うからさ。丁度祝い事も無くて暇してたんだよ」
「そ、そうですか「それにね」?」
「今回はここの男性一同が発端だったんだよ」
「え!?」
明日葉と警護官3人は驚愕する。3人は言わずもがな、明日葉もこの世界の男性は物事にあまり積極的ではないという認識だった為、景子が言っていた男性たちの行動は予想だにしない事だった。するとそこに
「あ、いたいた。明日葉君ー!」
明日葉の下に景子の旦那の悠希が寄って来た。
「景子から聞いたよ。プロデュエリストになったって! 男なのに凄いね! 僕も聞いただけで熱くなっちゃったよ! これからも応援していくから頑張ってね!」
「あ、ありがとうございます」
悠希の予想だにしないテンションに明日葉は戸惑いながらも悠希の激励を素直に受け取った。
「さて明日葉君。今日は君が主役だよ! 準備は出来てるから乾杯の音頭よろしく!」
「はい! えー皆さん、今日は俺の為にこのような祝いの席を用意してくれてありがとうございます。これからプロデュエリストとして誠心誠意、真心込めてやっていきますので応援よろしくお願いします!……これくらいでいいかな。じゃあ皆、今日はやりすぎん程度に羽目外せ! カンパーイ!!」
カフッ
「ううおおおおおおおおおおおおおおいいいいお前ら大丈夫かああああああああああ!!????」
明日葉の音頭にやられて鼻血を噴出し昇天する職員が続出し、食堂は血の海と化す。生き残った職員の大半は我先にと明日葉に襲い掛かろうとしており、景子含めた意識が残っている職員が防衛線を張っていた。
「……やっべぇ」
「明日葉君! 今こいつらを処理しておきますから少しお待ちを!」
「お、おお。程々にな」
この後滅茶苦茶防衛デュエルした。
先程の騒動から数十分後
「なあ~明日葉く~ん。そろそろ教えとくれよ~本命は誰なのさ~皆顔は間違いなく良いと思うし身体だって良い肉付きしてると思うよ~www」
明日葉は完全に出来上がった景子に絡まれていた。
「あ、あの……」///
明日葉は赤面させながら言葉に詰まっている。根っからのデュエリストとはいえ明日葉も男なのだ。上玉揃いの警護官で誰が好みかと聞かれて焦ってしまうのも仕方ないだろう。
「け、景子。そろそろその辺にしてあげた方が……」
「何言ってんだい! 若い子の恋路だよ! 気にならないわけがないじゃないか! それでどうなんだい? やっぱり彩佳かい? それとも悠香? レイカは大穴だと踏んでるんだけどね~www」
最早酔っ払いのおばさん……この世界でのおっさんである。そんな時
「景子さん何やってるんですか!」
「! 彩佳!」
彩佳が明日葉を助けに
「明日葉君は私が好きなんです! 他の女に興味ないんですよ!」
……爆弾を落としていった。
「!?」
「ほう~? それまた何で?」
「おい、彩佳? 彩佳さん? 待ってアレは言わないって「私と明日葉君はキスした仲なんです!」ドヤァ 待てって言ってるだろうがああああああ!!!」
……この馬鹿ナパーム弾落としていきやがった。
「! ほう……これは中々。面白い事になってきたねえ」
「あ、彩佳! お前何だって……」///
「だってホントの事じゃないですか~。明日葉く~ん、私ぃ~もう一回キスしたいですぅ~。今度は私からしていいですか~?」
景子より出来上がっている彩佳。正直うざったい。
「いや、アレは事故だし……」
「ぶー、いいですもん。私から行きますから」
「ちょ!!///」
「うおーい! 彩佳ー! 何やってるだー!」
悠香が顔を真っ赤にさせながら彩佳に絡んでいる。因みに恥ずかしい事を聞いたからではなく酔っぱらっているから赤くなっている。
「お前、明日葉ときしゅなんて警護官のかじゃかみにも置けないぜー!」
「おっとー? 先を越された悠香さんどうしたんですかー? あ、もしかして私と明日葉君のイチャイチャ記録でもお聞きになりますかー?」
「む・か・つ・くー!!」
酔っ払い同士の言い争い……はっきり言って見るにたえない。
「そういえばレイカの姿を見ないけど……」
「」zzz
……潰れて寝ていた。
「明日葉君! 前のようにちゅーしてください! ちゅーって!」
「明日葉! 彩佳にきしゅしたんならあたしにもしてくれよ!」
2人は明日葉に詰め寄る。
「ちょ///ま///」
彩佳と悠香の顔が徐々に明日葉に近づき……
ポスッ
「」zzz
「」zzz
そのまま明日葉に身を預けるように寝てしまった。
「……」
「……うああああああああああああああああああああああああああああ」
……明日葉も男の子なんだよ。
祝賀会後協会ロビー
明日葉は景子と先の事件について尋ねていた。景子の酔いも醒めてまともに会話が出来る。
「そういえばあの不良たちはどうなったんです?」
「あいつらかい? あの後は全員しょっ引いたよ。どんな状態であれ、協会や男性の居住地を荒らしたんだからね。明日葉君とデュエルして負けたリーダーのディバインは今も意識不明だよ。それがどうしたんだい?」
「いや、今までデュエルで意識不明になるどころか怪我だってすることはなかったですし、それに敵でも容赦なく倒すのはデュエルだけで十分ですから意識が無いってなると心配で」
「くぅ~男に心配されるなんて女冥利に尽きるねえ~! でもそれはみだりに言うんじゃないよ。何しでかすかわかったもんじゃないからね」
「は、はい」
明日葉は景子の注意に苦笑を浮かべる。
「ところで、プロになった事で”WCS”の参加権を得たわけだけど……それには予選を勝ち抜かないといけないんだ」
「予選……ですか」
「そう。童実野町でもいくつか開いてるはずだよ。後で開催状況を調べて送っておくよ」
「ありがとうございます。あの、大会において何かルールはあったりしますか?」
「んーそうさね。まずデッキは1つだけ、1本先取のシンプルなデュエルさ。あとはトーナメント形式だから負けたら終わりって事くらいじゃないかねえ」
「ほう、じゃあデッキ調整しておかないと……」
「まあそれは自力で頑張っておくれ。んじゃ、あたしも寝るよ。体に気をつけてね」
「ありがとうございます。おやすみなさい」
景子はく! っと胸を抑えて自分の部屋に戻っていった。
「俺も寝るか」
こうして夜は更けていく。
???
「これで役者が集まった。これで奴らに対抗できる」
「ごめんなさい明日葉君。この世界を救う為とはいえ君を巻き込むような事をして」
「WCSが終わった後全てを話すから、だから明日葉君。どうか勝って」
1人の女性が明日葉に懺悔と祈りを込めている。その祈りは何の為か。この世界に何が起こるのか。それは今の明日葉には到底知りえる事の無い事である。
今回短めで申し訳ありません。プライベートの事情が重なったりネタが切れたりと時間
をかけられなくなって1週間更新がつらいです。まあ止めないんですが。
最後の意味深な台詞は一体誰なのか、WCSの裏で一体何が起こっているのか、これから少しずつ明かされていきます。もう少々お待ちを。
とりあえずネタを集めるので更新また1~2週間以内になりますが今後ともよろしくお願いします。
ではまた次回までー。
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デュエル14~WCS童実野町予選開幕!!~
しかもそこに編集中データが吹っ飛ぶ始末。俺なんかしたかなあ……
童実野町で開催されるWCSに明日葉君が参加します。ここから少しレベルが上がる……かな?
「それはお前次第だろ。頑張れ」
うん。頑張る。
ではお楽しみください。
先の祝賀会から数日、景子から予選の開催状況をまとめたメールが送られ、そこから参加可能な大会を選択するのだが……
「どこも男性警備が備わっていませんね……」
「まあ普通男性はデュエルしないからね」
今のデュエルは男性がデュエルを敬遠し、デュエリストは昔からデュエリストの家系か、警護官になるために必要な項目となっている。その為女性がデュエルし、男性は全くと言うほどデュエルをしない。
「普通の所でデュエルは出来ないのか? 前のユニオンだって出来たろ?」
「あれは国が運営している機関ですから。でも今回は沢山の企業が資金を出し合って開催されるんです。男性が来ないと分かりきっているなら無駄にお金を掛けたくないのが本音でしょうし仕方ないと言えば仕方ないんです」
「それなら仕方ないな。だけどこれじゃあWCSに出る以前の問題だな……」
そうして4人が頭を悩ませていると彩佳の携帯に着信がかかってきた。
「あれ?誰だろう……ってお母さん!? 何で?」
「とりあえず出たらどうよ」
「そ、そうですね。……もしもし、どうしたんですか?」
「彩佳? 恐らくだけど明日葉君の予選出場先が決まっていないんじゃなくて?」
「どうしてわかったんですか……そうですけど」
「そりゃ分かるわよ!明日葉君をプロに誘ったのは他でもない私よ?そんな事を想定しない訳が無いわ。童実野町の会場に連絡して男性警護システムを設置させたから、そこに行きなさい。場所と日時はメールで送っておくから。じゃあ私は仕事あるから、またねー♪」
「ちょ、お母さん!切れちゃった……」
「克巳さん、なんて?」
「ええと……童実野町の会場に男性警護システムを導入したからそこで参加しろと」
「克巳さん……どんだけだよ……」
「ま、まあ参加できるってのはいい事じゃないか!それでいつなんだ?」
「はい、メールには3日後とありますね」
「ファ!? 早すぎだろ……まあデッキ調整しとかないとな」
「手伝いますよ!」
「あたしも付き合うぜ!」
「……明日葉様、少しの間お暇をいただいてもよろしいでしょうか?」
「え?どうしたんだ?」
「実は、実家からWCSに参加しろと言われていまして」
「成程、それでいつから出るんだ?」
「予選は全て同じ日に行われますので、明後日には」
「そうか、なら次会うのは本選かな?」
「そうですわね。それまでに強くなって明日葉様と戦うに値するデュエリストになって参りますわ!」
「おう!楽しみにしてるぜ!」ニカッ
「うっ!明日葉様の笑顔……」バタリ
「レイカ?レイカああああああ!!」
「「……やれやれ」」
この後レイカに蘇生術を施した。
夜
「はあ……疲れた……」
デッキを調整しようにも先日施された制限改訂で調整の為のデッキパーツが規制され、調整しようにもあまりいいカードが見つからなかった。
「いっその事デッキを変えてみるか……?」
そんな明日葉の携帯にコール音が鳴る。
「誰だこんな時間に……もしもし?」
『……夜分遅くにすまない。君にどうしても言わなければならない事があってね』
その声は男の声だった。
「……聞きたい事が3つくらいあるが先にそっちの話を聞いてやる」
『ありがとう、こっちもあまり時間がなくてね。……君を巻き込んでしまってすまない。本来ならこちらの世界の問題なのに違う世界の君を巻き込んでしまって……』
「おい、何の話をしてるんだ?それに世界って、あんたは何か知ってるのか!?」
『今は時間が無くて全てを話している時間は無い。だが2つ信じてくれ。我々は君の味方であり、君は我々の希望だ』
「はあ?いやだから何を言って」
『君の机の2番目の引き出しを開けてみてくれ。そこに君の
「机の……引き出し……?」
『君を信じている。いづれ会う事になるが……その時は本当に全てを話そう。では』
そうして通話は切れてしまった。
「お、おい!まだ話は半分だぜ……全く」
明日葉は文句を言いながら言われた引き出しに目をやる。
「……本当の……力……」
意を決して引き出しを開ける。そこには
1つのデッキが入っていた。
「……久しぶりじゃねえか……」
デッキの1番上のカードは主との再会を喜ぶようにその眼を
3日後
「いよいよこの日が来ましたね!私、明日葉君の雄姿が見られると思うと興奮して来ます!」
「彩佳、一旦落ち着け」
興奮ぎみの彩佳を悠香が収める。
「とりあえず受付にいって参加申し込みをしないとな」
「では早速行きましょう。案内しますね」
「ん?彩佳、来た事あんのか?」
「一応ウチもスポンサーなので。それに他にもありますが……まあそこは気にしないでください」
「そういわれると気になる……」
「そ、それは明日葉君でもダメです!」
「そうか……まあ言えるようになったら頼むわ」
「……はい」
参加受付を済ませて控室に向かう。しかし男の明日葉は普通の控室では女性デュエリストに(性的に)喰われてしまうため特別控室に入る。
「……いざ始まるとなると緊張するな」
「そうですね。でもその緊張って不思議と心地良いですよね」
「ああ、これから沢山のプロデュエリストと戦うって考えると楽しみで仕方ないぜ!」
「しっかしさっきの女達の目見たか?あれは確実に獲物を狩る目だったぜ」
「それは……もう慣れた」
「「……」」
2人は視線を背けた。
『これよりワールドチャンピオンシップ童実野町予選の開会式を行います。出場選手はフィールドにお集りください』
「お、ついに来たな。行くか」
『尚、遊崎明日葉さんは特別ゲートよりお越しください』
「?なんで俺だけ?」
「そりゃあ男だからな。他の奴らと同じところからなんて何が起きるか予想出来るぜ」
「あっ……」
明日葉達は特別ゲートに向かった。
「因みに代表者の宣誓がありますよ」
「ファ!!」
予選会場フィールド内
「今年も来たね、WCS」
「せやな。まあ例年通り男は皆無やがな……」
「ホント、何で私には男が寄り付かないのかしら」
「まあイカサマするような女には誰も寄りたがらないわな」
そこに会話しながら愚痴を吐くデュエリストが2人。話した順に『羽蛾
「じゃあなんであなたはいるのよ」
「そんなもん、1人でいるのは可哀想やろ?そういうのみてるのお節介焼きたくなるんよ」
「余計なお世話だってのよ」
『只今より、ワールドチャンピオンシップ童実野町予選開会式を行います。代表者『遊崎明日葉』さん、前へ』
「明日葉……聞いたことない名前だな」
「大方どっかの企業の娘さんとちゃうか?代表者で宣誓なんて、随分余裕なこっちゃな」
羽蛾と竜崎を含めた全デュエリストがその恐らく新人のデュエリストを目撃する。そのデュエリストは
男だった。
「「「「はああああああああああああああ!!!!!???????」」」」
「アイエエエエエエエ!!オトコ!?オトコナンデ!?」
「やだ!しかもイケメン!あんなイケメン今後会えるかもわかんないわ!」
「え?あのイケメンとデュエルできるの?イヤアアアアアッッッフウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!」
他にも明日葉の登場に会場は地獄絵図と化す。中には明日葉を襲おうとステージに上ってきた参加者は警備員やサポートに来た警護官に取り押さえられ、そのまま連行された。
『……連行された参加者が多いですが大会は継続できる人数ですのでこのまま続行いたします。代表者『遊崎明日葉』さん、宣誓を』
「宣誓!我々デュエリストは、己のデッキを信じ、正々堂々と戦い抜くことをここに宣言します!」
ただの宣誓も男がするだけで会場は色めきたち、黄色い歓声があがる。
『ありがとうございました。これでしばらくはオカズにこm……ゲフンゲフン、ではこれより対戦相手の抽選発表を行うのですが、先程何名かが連行されましたので残った選手で再度抽選し直しますので3分の休憩時間といたします』
3分後
『それでは対戦表を発表させていただきます。
第一試合
羽蛾VS朝霧
第二試合
遊崎VS竜崎
第三試合
西川VS島
第四試合
柳VS加賀良
『まず第一試合を行います。選手はフィールドにお集まりください』
特別控室
「最初は羽蛾蝿子と朝霧三金か」
「羽蛾さんは昆虫族を多用してトリッキーな動きをするデッキで、朝霧は戦士族と装備カードで攻撃力を上げるデッキを使います。どちらもプロとしての腕前は中々のものです」
「だけど本選にいってもあまりいい結果は出せてないんだよな。そう考えると本選の奴らはどんだけ強いんだよ……」
そんな話をしていると控室の扉がノックされる。
「……誰だ」
「おう、明日葉はんの対戦相手の竜崎や。ちょいと明日葉はんと話しがしたくてのお」
「明日葉、どうする?」
「……まあいいか。警戒だけしておけばいいだろ」
「分かった。いいぞ、入れ」
「おおきにな。……うっほ、こりゃ近くで見るとまたえらいイケメンやな。こんなイケメンとデュエル出来るなんて最高やわ」
1人で喜ぶ龍崎に彩佳と悠香は気に入らないといった様子で睨みつける。
「そんな邪険にせんでや……といっても無理な話か」
「当然です!対戦相手が来るなんて怪しさプンプンですよ!」
「本来なら即刻たたき出して警備員に突き出すところだ。明日葉が許してるから特別に入れてやってるんだ」
「それはありがたいのお~。んで、話っちゅうのがな。羽蛾のことや」
「羽蛾?羽蛾って今デュエルしてる……」
「せやせや。あいつなんやがな、実は
「「「!!」」」
「おい、それってどういう事だよ!」
「どうもこうもそのまんまや。簡単に言うと対戦相手に金握らせて八百長狙ったり、相手のデッキに自分が有利になるカードを忍ばせたりな……なんでまだ本部にばれてへんのか分からんわ。まあそういうことであいつとやる事はないやろうが万が一やろう事ならそん時は気ぃつけてや」
「……わかった。ありがとな」
「べ、別にあんたの為に教えとる訳やないわ///ただ羽蛾のイカサマがいい加減目に余るからそろそろ懲らしめんとなって思っただけやで!!///」
明日葉から礼を言われて乙女らしい照れ方をする竜崎。そこに
『デュエル終了!勝者『羽蛾蝿子』!5分後に第二試合を行います。選手はフィールドにお集まりください』
「どうやら羽蛾の方も終わったらしいのお。明日葉はん!男だからって手加減はせえへんで!覚悟しときいや!」
「ああ!俺も全力でいかせてもらうぜ!」
竜崎は赤面しながら慌てて出ていった。
「よし、俺たちも行くか!」
「……そうですね」
「ん?どうした?」
「何でもないです」
彩佳は明日葉の竜崎への優しい対応に不満を覚えていた。
大会開始と明日葉君のデュエル導入の為少し短いですがここまでです。次は明日葉君のデュエル回です。竜崎の関西弁がおかしかったらお許しください。
更新が遅くなった事をここでお詫びします。ちょっと個人の用事が重なって時間無くなってました。次回は1週間以内にしますのでお許しください。
次回は普通にデュエルします。ただそれだけ。
感想とかくれたりするとモチベ上がります。
では次回のデュエルをお待ちくださーい。
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デュエル15~WCS波乱!? 明日葉VS竜崎!!~
明日葉君と竜崎のデュエルです。前回の意味深な通話は……。やっとこさデュエリストがレベルアップします。
「そうか。なら本気でいかないとな!」
今までだって勝ってたやん明日葉君……
では、デュエル開始ィ!!
『WCS第二試合!『遊崎明日葉』対『竜崎里奈』!!デュエリストとしては今すぐ竜崎をぶちのめしたい心境だが、明日葉きゅんの雄姿を見たいのも事実!ここは我慢して実況していくわよ!実況・解説は引き続き『鮫島果歩』がお送りするわ!』
私情をはさみながら2人のデュエリストの名前を宣言する。
『まず登場してくるのは、恐竜族デッキを使う(竜崎里奈』!!男と最初にデュエル出来るというクッソ羨ましい運をつかみ取った私達の敵だあ!おい竜崎、負けろお!』
「いきなり実況がブーイングなんぞすなやあ!!」
明日葉とデュエルする竜崎に対し、会場のヘイトが一気に集まった。この世界のことを考えれば、致し方無いが……不憫であることには変わりない。
『続いては、この方を一目見る為だけに今日職員がここに来たと言っても過言ではない!男性ながらもプロの門を叩き、今日ここに降臨する!祝え!!この方こそ全デュエリストの頂点に立ち、全てのデュエリストを支配する我らが『遊崎明日葉』様だあああああああああああ!!!!!!』
「なんか俺の存在が宗教じみてるうううううううううう!!??」
明日葉の紹介がどこぞの時の王者じみているがこれで2人のデュエリストがフィールドに立った。
『これで準備は整った!!さあ皆準備はいい?明日葉きゅんのデュエルをしかと目に焼き付けな!!
では
デュエル開始ぃ!!!』
「「デュエル!!」」
遊崎明日葉
LP8000
VS
竜崎 里奈
LP8000
「先行はウチやな、いくで!ウチのターン!あーしは『ダイナレスラー・カポエラプトル』を召喚!更にフィールド魔法『ワールド・ダイナ・レスリング』を発動!これでターンエンドや!」
里奈
LP8000
モンスター:ダイナレスラー・カポエラプトル
魔法、罠:ワールド・ダイナ・レスリング
手札:3枚
『まずは手堅い盤面!これで明日葉きゅんは1体でしかモンスターを攻撃出来ないぞー!』
「最初はモンスターでの攻撃を絞って来たか……俺のターン!ドロー!手札を1枚墓地へ送って『ドラゴン・目覚めの旋律』を発動!これで攻撃力3000以上で守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体まで手札に加える!」
「!いつものデッキじゃない?」
「どうしたってんだ?それにあんなカード彩佳持ってたか?」
「持ってはいますがそれに対応したカードはありません。だから使わないだろうと思っていましたが……いったい何をするんでしょうか?」
「更に墓地に送った『
「ブルーアイズ!?滅多にお目にかかれないレアカードじゃないですか!!どうして明日葉君が?確か明日葉君はいつものデッキ以外持ってないと言っていたのに……」
「でもあのブルーアイズが見られるってのは凄いぜ!いっけー明日葉!ブルーアイズを見せてくれ!!」
「手札の
ATK3000/DEF2500
「ブ、ブルーアイズをほぼ無条件で召喚やてえ!?とんだインチキ効果やないか!」
「オルタナティブの効果、こいつの攻撃権を放棄する代わりに相手モンスター1体を破壊する!カポエラプトルを破壊させてもらうぜ!」
「くうぅ!こりゃキッツいのお……だが攻撃出来んならこのターンのダメージは無い。このターンはもう終わりやな」
「……それはどうかな?」
「なんやて?」
「俺は手札から『竜の霊廟』を発動!デッキからドラゴン族モンスターを墓地へ送り、それが通常モンスターならもう1体送れる!もう1体の
「ブルーアイズを墓地へ送った……ということは」
「手札から『復活の福音』を発動!墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスターを特殊召喚するぜ。甦れ
里奈
LP5000
「いぎぎ……なかなかキッツいのもろたで……」
「カードを1枚伏せて、エンドフェイズに
「?白き霊龍にブルーアイズなんて名前有れへんがな」
「白き霊龍は『ブルーアイズ』として扱える!よって有効!」
「なんやて!?」
「白き霊龍は特殊召喚された時相手フィールドの魔法・罠をゲームから除外する!ワールド・ダイナ・レスリングを除外!」
「うお!?」
「ターンエンドだ」
明日葉
LP8000
モンスター:
魔法・罠:伏せ1枚
手札:3枚
『……っは!何と何と、初の男性デュエリスト明日葉きゅんは相手の妨害手段をことごとく破壊!しかも我々に笑みさえ浮かべてくれるファンサービス!素敵抱いて!!』
「「「あ?(威圧)」」」
『ヒィ!』
流石に欲望に忠実過ぎるナレーターに目で圧をかける警護官含めた観客達。皆さん目が怖いよ……
「ウチが完全にアウェーやな……まあそこでも勝っていくんやがな!ウチのターン!自分のフィールドにモンスターがいない場合に『ダイナレスラー・コエロフィシラット』を特殊召喚!更にこいつは自分のフィールドに『ダイナレスラー』がいるならリリース無しで召喚出来るんや。『ダイナレスラー・エスクリマメンチ』を通常召喚!」
『竜崎選手も負けじとモンスターを展開する!だがこれでは明日葉君のどのモンスターにも届かないぞー!』
「まあ待ちいや、ショーはここからやで!ウチはレベル6のダイナレスラー・エスクリマメンチにレベル2のダイナレスラー・コエロフィシラットをチューニング!
獰猛なる恐竜よ 我が敵をその牙と脚で屠り 覇道を駆け抜けろ シンクロ召喚! いでよ『ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット』!!」
ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット ☆8 地
ATK3000/DEF0
『ここで竜崎のエースモンスターの登場だあ!攻撃力3000!これで白き霊龍は破壊出来るぞ!』
「馬鹿にすんなや……ギガ・スピノサバットの効果!相手フィールドのモンスター1体を対象にして破壊するで!オルタナティブを破壊!」
「墓地の復活の福音をオルタナティブを対象として発動!これで戦闘・効果での破壊は免れる!」
「まだやで。フィールド魔法『ワールド・ダイナ・レスリング』を発動!バトルや!ギガ・スピノサバットで
『おおっと?これは相打ち狙いか?』
「そんな訳あるかい。ワールド・ダイナ・レスリングはダイナレスラーの攻撃力をダメージ計算時200アップさせんねん。これでオルタナティブを破壊や!」
明日葉
LP7800
「クッ……まだまだだ!」
ブーブー
『男性に対して攻撃!しかもダメージまで!これは重罪だあ!皆の者、そこの不届き者をフクロにしてしまえ!!』
「なんでや!ウチ別に悪ないやろ!!」
たとえデュエルでも男を傷つけた竜崎に会場のヘイトは竜崎に一点集中した。
「ええい、デュエルを続けるで!ウチはカードを1枚伏せてターンエンド!」
里奈
LP5000
モンスター:ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット
魔法・罠:伏せ1枚
手札:無し
「俺のターン!手札のブルーアイズを公開してオルタナティブを特殊召喚!オルタナティブの効果でギガ・スピノサバットを破壊!」
「ギガ・スピノサバットの効果!自分フィールドのカードを1枚破壊することで破壊を免れるで!ワールド・ダイナ・レスリングを破壊するで!」
「俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP7800
モンスター:
魔法・罠:伏せ1枚
手札:3枚
「ウチのターン!本当の闘いはこれからやで!墓地のワールド・ダイナ・レスリングの効果発動!自分フィールドのモンスターの数が相手より少ない場合こいつを除外してデッキから『ダイナレスラー』を特殊召喚出来るで!『ダイナレスラー・カパプテラ』を特殊召喚や!更にカパプテラの効果発動!相手の方がモンスターが多い場合、相手のモンスター1体を対象に破壊するで!ブルーアイズを破壊するで!」
「手札の『エフェクトヴェーラー』の効果!墓地に送って効果を無効にする!」
「だがギガ・スピノサバットの効果も忘れてへんよな?オルタナティブを破壊して攻撃表示にしてバトル!ギガ・スピノサバットで白き霊龍を攻撃!」
明日葉
LP7100
「っつう!」
「ウチはこれでターンエンド」
里奈
LP4700
モンスター:ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット、ダイナレスラー・カパプテラ
魔法・罠:伏せ1枚
手札:1枚
「俺のターン!
「ほう……だがそれじゃ足りんで?」
「墓地の太古の白石の効果発動!こいつを除外して墓地の『ブルーアイズ』を手札に加える。オルタナティブを加えるぜ。手札のブルーアイズを公開しておるオルタナティブを特殊召喚!オルタナティブの効果でギガ・スピノサバットを破壊!バトル!ブルーアイズでカパプテラを攻撃!」
「手札の『ダイナレスラー・マーシャルアンガ』の効果や!相手モンスターの攻撃力が自分モンスターより高い場合、手札から墓地に送って攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させるで!更に罠『戦線復帰』を発動してギガ・スピノサバットを復活や!」
「……俺はこれでターンエンド」
「エンドフェイズにマーシャルアンガの効果や!モンスターの数が相手より少ない場合、自身を特殊召喚するで!」
明日葉
LP7300
モンスター:
魔法・罠:伏せ1枚
手札:2枚
「ウチのターン!こりゃ形勢逆転やな。『ダイナレスラー・システゴ』を召喚!ギガ・スピノサバットの効果でオルタナティブを破壊!」
「オルタナティブ……」
「ここからはウチの独壇場やで!開け!ウチのサーキット!召喚条件は『ダイナレスラー』2体!『ダイナレスラー・システゴ』と『ダイナレスラー・マーシャルアンガ』をリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク2『ダイナレスラー・テラ・パルクリオ』!もういっちょいくで!ウチのサーキット!召喚条件は『ダイナレスラー』2体以上!『ダイナレスラー・カパプテラ』とリンク2の『ダイナレスラー・テラ・パルクリオ』をリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク3『ダイナレスラー・キング・Tレッスル』!!!」
ダイナレスラー・キング・Tレッスル LINK3 地
ATK3000
『ここで怒涛のリンク召喚だあ!明日葉君絶対絶命!ここからどう巻き返すのー!?」
「リンク素材になったカパプテラの効果でキング・Tレッスルの攻撃力は1000アップや!更にテラ・パルクリオがリンク素材になった場合、墓地の『ダイナレスラー』を効果を無効にして守備表示で特殊召喚出来るんや!システゴを蘇生するで!」
『な、なんと!?攻撃力4000!!』
「バトルや!キング・Tレッスルでブルーアイズを攻撃!」
「リンクリボーの効果!こいつをリリースしてキング・Tレッスルの攻撃力を0にする!」
「まだギガ・スピノサバットが残っとる!ギガ・スピノサバットでブルーアイズを攻撃!ギガ・スピノサバットの効果でウチはシステゴを身代わりにするで!」
「……盤面が崩されたか」
「これでターンエンドや!次のターンで決めるで!」
里奈
LP4700
モンスター:ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット、ダイナレスラー・キングTレッスル
魔法・罠:無し
手札:無し
『これで明日葉君のモンスターはゼロ!手札は共に上級モンスター!!これは終わってしまうのか!?』
「俺の……ターン!……悪いが次のターンは無い!!」
「なんやて!?」
「手札の『沼地の魔神王』の効果!墓地に送って『融合』をデッキから手札に加える!更に墓地の太古の白石の効果!自身を除外し、墓地の『ブルーアイズ』を手札に加える。オルタナティブを加えるぜ!そんでそのままオルタナティブの効果で特殊召喚!」
「……だけどそれじゃ相打ちがいいとこやで。キングTレッスルは攻撃対象を自分に向ける効果があるんや」
「まだこれじゃ終わんないさオルタナティブの効果でキング・Tレッスルを破壊!」
「だけどこれで攻撃権はなくなったで!次のターンは回ってくる。引き次第ではこっちの勝ちや!」
「それはどうかな?」
「?」
「手札から『融合』発動!手札の
青き眼らよ 今ここに交わり 新たな究極の姿を現すがいい!! 融合召喚!! 『
ATK4500/DEF3800
「うおおおおおおおおおアルティメット来たああああああああああああ!!!かっこいいいいいいいいいいいいいい!!!」
「アルティメット……こんなところで見られるなんて……!!」
幼少の頃からデュエルを見てきた2人にとって攻撃力4000超えでそれが激レアのブルーアイズで、それを召喚したのが自らが警護し、支えている男性なのは後の世に名を刻む程の功績であると思う程気分が上がっていた。
『な、ななな何とここで攻撃力4500の巨大モンスターだあああ!こんなカードを持っているなんて明日葉きゅんどんな富豪なの!?遊崎なんて聞いた事も無いんだけど?』
「バトル!ネオ・アルティメットでギガ・スピノサバットを攻撃!【ハイパーマキシマムバースト】!!」
アルティメット・ドラゴンの口から白いレーザーが放たれ、スピノサバットが一瞬で消滅する。
里奈
LP3200
「くう!だけどこれで攻撃はおしまい!凌いだで!」
「何勘違いしてるんだ?」
「ひょ?」
「まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ!」
「?もうアルティメットの攻撃は終わっとるやがな」
「アルティメットが攻撃した後自分フィールドのモンスターがアルティメットのみの場合、エクストラデッキの『ブルーアイズ』融合モンスターを墓地へ送ってもう一回攻撃出来る!」
「なんやて!?」
「これで終わりだあ!【ハイパーマキシマムバースト】!!第2打!!」
アルティメットの残りの首が竜崎を捉え、光輝く光線を放つ。
里奈
LP0
「きゃああああああああああああああ!!」
『遂に決着ー!!ワールドチャンピオンシップ予選第二試合勝者は、我らの「遊崎明日葉」きゅんだあああああ!!!』
「流石は世界大会、レベルは違うな」
「いやー負けたで!お前さん強いのお!正直侮ってたわ!でも楽しかったで!」
「ああ、あんたも強かったよ。流石プロだな!」
「せやろ?でもウチに勝つ程ってすごいな!今までプロにならなかったんはやっぱり女が怖かったからか?」
「いやそういうわけじゃ「明日葉君ー!やりましたねー!」!」
明日葉たちが話していると、彩佳が飛び込んできた。
「凄いですよ明日葉君!本選常連の竜崎さんをやっつけるなんて!」
歓喜恐らく自覚がないのか、彩佳は今明日葉に抱き着いている。するとやはり女性特有の膨らみが存在する。
「あ、彩佳?いきなり抱き着くのは……」
「え?……あ、あわわわ///」プシュー
『……ッケ!!』
今日彩佳は会場のデュエリスト・観客全てを敵に回した。
今回はここでおしまいです。はい、明日葉君のデッキが変わりました。『青眼』です。まあ自分が青眼が好きなのと、ここからだとどうしてもジャンドだと限界が来てしまう感じがするんですよね……制限改訂で大分ダメージ来てますし(ダンディとかバルブとか……)というわけで青眼にデッキが変わる事をお許しください。ジャンド強化が来たらまた使うかも……そうでなくてもジャンドはまた出てきますから。
次回は羽蛾とのデュエル回です。竜崎の言った通りなら羽蛾はイカサマをしてくるのか……?でも原作のようなイカサマって現実では余程の事でない限り無理くね……?
感想くれると次どうするかのモチベになります。
ではまた次回にー
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デュエル16~昆虫使いの罠~
「……」
「まずい!レダメが禁止になって彩佳が息してない!」
「まあわたしたちはあまり影響がありませんでしたね」
「今の環境を考えれば特に禁止するカードも無いが……レダメは先行1キルの要だったしなあ……効果が強すぎた。名称ターン1制限無いのがいけない」
「先行1キルにレダメを使った人許しません……」
因みに作者のデッキもほとんど影響はありませんでした。
明日葉と竜崎のデュエルが終了し、残りの2試合が行われている。
『決着ぅ!勝者「島明子」!これで準決勝の3人が出そろい、残りあと1組「柳加乃」と「加賀良紗月」のデュエルだ!』
「いやー今のデュエルも見ごたえあったな」
「はい、やっぱり島さんの『バブーン』コンボは見どころがありますからね」
「ああ、ダメージ覚悟で自爆特攻して更にバブーンを出すってのはあまりしないタクティクスだよな」
「ていうか島、よく出場出来たな」
「なんかあったのか?」
「過去に逮捕経験があったんですよ。男性と対面して理性が一瞬で死にまして、なんで今回出場出来たのか分からないくらいです」
「お、おう……なんつうか……嫌な事件だったね」
そんな話をしていると控室の扉がノックされる。
「誰だ」
「竜崎や。羽蛾についてちょいと話をしたくてのお」
「竜崎か。ならいいんじゃないか?」
「そうだな。よし、入れ」
「ありがとうな。んじゃ、羽蛾の事なんやがな、警護官の皆はどこまで知っちょる?」
「羽蛾さんですか?昆虫族デッキを使うのと、WCSでは本選常連で、眼鏡をかけてるぱっと見地味系女子ですかね」
「大分はっきり言うのお……まあ一般的にはそういうイメージじゃ。せやけど前に言った通り裏ではイカサマをしとる。前の非公式大会でもリストバンドにカードを仕込むなんというアホみたいなことしとった。明日葉はんにはそこんとこ注意してな」
「ああ、次は羽蛾戦だ。気をつけていかないとな」
竜崎から再度注意を促されていると、実況のアナウンスが流れる
『ここで決着ぅ!勝者「加賀良紗月」ぃ!なんとダメージ10000オーバーという超ダメージをたたき出したぁ!』
「10000?結構なオーバーキルだな」
「明日葉君でも驚く事があるんですね」
「1体でならの話だけどな」
「アルティメットでも難しいわな」
「連続攻撃と融合解除の合わせ技なら22500たたき出すが?」
「やっぱり明日葉はすげえや!」
その時次の試合のアナウンスが流れる
「っと、そろそろ行かないとな」
「気いつけてや」
「ああ、勝って来る」ニッ!
「あれを堪えるってキッツいわ……///」
『準決勝開幕!先程の4試合を勝ち上がり、上を見上げ立ち向かう猛者たち。これからその戦いが見られるぞお!第一試合!昆虫使いの陰キャ「羽蛾蝿子」だあ!』
「……いつも思うけれどその紹介ホント何とかならない?」
『そして皆、待たせたな!我らの明日葉きゅんが登場だあ!またブルーアイズを見せてくれえ!それとこの後お時間合えばお茶でm「「「ああ?」」」何でもないですサーセン!!』
またやってるよ
『き、気を取り直して
デュエル開始ィ!』
「「デュエル!!」」
遊崎明日葉
LP8000
VS
羽蛾 蝿子
LP8000
(ふふふ、明日葉君。君の戦術はお見通しだよ。魔法カードを主軸としてブルーアイズを展開する戦い方。まあそれを封じてしまえばいいわけで)
「先行は俺だな!俺のt「その前に明日葉君。君に提案があるんだけどどうだい?」?」
「何、簡単な賭けよ。勝った方が負けた方に言う事を聞かせることが出来るっていうものさ。簡単でしょ?」
「「「!!???」」」
明日葉含めた会場全員が驚愕した。明日葉はともかく、警護官や観客は羽蛾に対し野次を飛ばしていた
「ふざけるな!」
「明日葉きゅんを汚すな!」
「ホイホイチャーハン!」
「とは言っても皆、見たいとは思わないの?明日葉君のあられもない姿を、明日葉君の羞恥の表情を。私は見たいわ。だからこうして賭けを申し込んでいるのよ」
「お前ふざけんな!そんなこと許される訳あるか!今すぐしょっ引いてやる!」
「明日葉君、こんなデュエル認められません!そいつはこちらで処理しますので下がってください!」
「処理って怖いな……大丈夫だって。その賭けは残念ながら受けない。ここはそういう場所じゃないからな」
「ふーん、怖いんだ。私に負けるのがそんなにも怖いんだ。これって実質私の勝ちじゃない?ねえねえ違う?」
何言ってだこいつ
「ならなんで勝ちになるのか教えてもらおうかな」
「だってあなたは私の条件に恐れをなしたのよ。それは私に負けると感じているからじゃないの?」
「……ほう」
「明日葉君、変な気は起こさないでくださいよ?」
「分かってるさ。俺だってそこまでアホじゃない」
(イカサマをするってヤツだ、そんなヤツが何も仕込まずにこんなリスキーな事を言い出すわけが無い。何を考えてやがる……)
「ねえどうすんの~?エンターテインメントもデュエリストのサービスじゃないの~?」
「……一応聞いておくが俺が万が一負けた場合の罰ゲームは」
「明日葉君を私の慰み者n「アウトだ!絶対にアウトだ!」なんで!?なんでなの?」
「ダメに決まってるだろうが!ばっちりアウトだすっとこどっこい!」
「なんでむしろ通ると思うんですか!?明日葉君と会って常識どこかに強制脱出装置したんですか!?」
「だって明日葉君を自分のものにしたいって思うのは当然じゃない!むしろ何故そう思わないの?」
「「!!」」
羽蛾の言うことを2人含めた観客は驚愕した。完全に犯罪者のそれを何のためらいも無く言い放ち、しかもどこか清々しさまで放っている。
「いややり切った顔してもダメなものはダメだから」
「(´・ω・`)」
デュエルが再開した
(まあいいわ。どっちにせよ勝てば……)
というのも2日前
『それじゃあ今回もよろしく頼むよ』
『わかってますよ。そちらもお願いしますね』
羽蛾は実は金で八百長を受けている。本選で対戦する相手から金を受け取ってわざと負けるのが毎回行われているようだ。
『では今回はここまで……が普段の交渉なんだが』
『?終わりじゃないの?もう女とは腐る程話すから必要以上に話したくないんだけど』
『ほーん、そうかそうかそんなお前さんに耳よりな情報だったんだけどなあ』
『どうせろくでもないこt『予選に男が出場すると』詳しく聞こうか』
こうして羽蛾は明日葉のことを聞いた
『明日葉君……君を私のものにするわ!その為に手段なんて選んでられない!』
こうして羽蛾は明日葉を手に入れるために勝つ方法を模索し始めた
(これで明日葉君は私のもの……フヒヒ)
「俺のターン!魔法『ビンゴマシーンGO!GO!』発動!」
シーン
「?発動しないぞ?」
「????????」
そう。明日葉は確かにカードを使った。しかし、
「な、なんでだ!さっきまで反応してたのに!」カチャカチャ
「あっれ~魔法カード使わないんですか~?」
(ふふふ……発動出来るわけもないけどね。何せ私のはめてる指輪は相手のデュエルディスクの魔法、罠をジャミングする妨害電波を発しているのよ!)
『おーっとどうした明日葉きゅん?カードが反応しないようだが?』
「まさかディスクが壊れたんですか~?デュエリストとしてそれはどうなんですかね~?」
「こ、こいつ……!」
『ディスクの故障か?それなら予備を持って……え?そんなアホな……えー明日葉きゅんに大変申し訳ないのですが、現在予備のデュエルディスクが全てメンテナンスに出されてしまい無いそうです。申し訳ありませんがこのままデュエルを続行してください!』
「「!!」」
「お、おい!それなら後日に回すとかあるだろ!今すぐ決着を付けなきゃいけないわけでもないじゃないか!」
「そうですよ!それに魔法も罠もどうするんですか!?」
『……使えない……かな?』
「おっかしいだろうが!こんなの無効だ無効!母さんに直談判しt「え~でも大丈夫ですか~?」は?」
「ここで無効にしたら観客がブーイング起こすんじゃな~い?明日葉君を見に来てるんだから、ここで無効にしちゃったらデュエルモンスターズも本当に終わっちゃうんじゃないかな?」
「「「……!!?」」」
ここで3人が固まった。明日葉は自分を強くしてくれたデュエルモンスターズに消えてほしくない。彩佳と悠香は明日葉の意志を聞いていた為それを果たせなくなる辛さを明日葉に味あわせたくない。今の3人に出来ることはなくこの縛りで戦うしかない
「……わかった。これでやってやる」
「明日葉君……」
「明日葉……」
「これで勝てばいいんだろう?やってやるよ!俺は『
「明日葉君……実質モンスターのみでデッキの半分を使えなくなるなんて……」
「でも明日葉に限ってディスクの故障なんておかしい……なにかありそうだぜ!」
「でも今の状況ではどうにもなりませんよ。どうするというんですか?」
「うーん……」
2人はこの故障に違和感を持ちつつもデュエルが進行していく
「伝説の白石の効果でデッキから
明日葉
LP8000
モンスター:リンクリボー
魔法、罠:無し
手札:5枚
「私のターン!私はフィールド魔法『G・ボールパーク』を発動!そのまま『ゴキボール』を召喚!バトル!ゴキボールでリンクリボーを攻撃!」
「リンクリボーの効果!リリースしてゴキボールの攻撃力を0にする!」
「カードを1枚伏せてターンエンド」
羽蛾
LP8000
モンスター:ゴキボール
魔法、罠:G・ボールパーク、伏せ1枚
手札:3枚
「やっぱり向こうだけ魔法を使えるのはずるいな……」
「明日葉君……」
「俺のターン!っうし!手札の青眼の白龍を公開することで特殊召喚出来る!
「よし!オルタナティブだ!これでいける!」
「でも羽蛾さんのことです……何を仕掛けてくるか……」
「……特にないよ」
「ならいかせてもらうか。オルタナティブの効果でゴキボールを破壊!」
「ゴキボールが効果で破壊された場合にG・ボールパークの効果を発動!墓地の昆虫族を特殊召喚!これでゴキボールを特殊召喚!」
「それにチェーンして手札の『増殖するG』の効果!こいつを墓地に送ってこのターン、相手が特殊召喚する度にカードを1枚ドローする!特殊召喚したな、1枚ドローだ!」
「まあいいでしょう」
「そんで
青き眼よ 今その身を昇華させ 白の領域より顕現せよ! シンクロ召喚! 『
ATK2500/DEF3000
「バトルだ!スピリット・ドラゴンでゴキボールを粉砕!【焼却のスピリットストリーム】!!」
「G・ボールパークの効果でダメージは0!更にデッキからレベル4の昆虫族通常モンスターを墓地に送ってその同名モンスターを任意の数特殊召喚出来る!『カマキラー』を墓地に送って同名のカマキラーを2体デッキから特殊召喚!」
「精霊龍の効果で同時特殊召喚は出来ない!お前が出せるのは1体だけだ!更に増殖するGの効果で1枚ドローさせてもらう」
「……カマキラーを1体特殊召喚するわ」
「メインフェイズ2に移行。とっても何もないが、そのままエンドフェイズ。太古の白石の効果でデッキから『ブルーアイズ』を特殊召喚!来い!白き霊龍!霊龍の効果でG・ボールパークを除外。これでターンエンドだ」
明日葉
LP8000
モンスター:青眼の精霊龍、白き霊龍
魔法、罠:無し
手札:5枚
「魔法カード無しでもここまで展開できるのか……やっぱり明日葉はすげえな」
「でもモンスターを引き込んだということはデッキも魔法と罠が割合を多くなっているということです。これは序盤で片を付けないと明日葉君は厳しくなっていきますよ」
「私のターン。魔法『愚かな埋葬』を発動。これでデッキのカマキラーを墓地に送るわ。更に装備魔法『
「インセクトアーマー?そんなもの使っても霊龍にすら届かないだろうに」
「……これだから脳筋は頭を使わないから困るわ」
「ああ!!??」
「ここで魔法『超進化の繭』を発動!これで装備カードを装備しているカマキラーをリリースしてデッキの昆虫族モンスター『究極変異態・インセクト
究極変異態・インセクト
ATK2800/DEF2400
「……キッモ」
「待って待って無理無理キモイキモイやだ虫嫌い虫キモイやだああああああああキモイよおおおおおおおおおおおおお!!!」
「……」
「……」
警護官2人は不評のご様子。しかも彩佳に関してはキャラが崩壊する程に怯えている。
「えっと……2人ともそこまで嫌わなくても……」
「明日葉、彩佳は虫が大の苦手でな……昔なんかあったらしいんだけど思い出すとこんな感じになる」
「えぇ……」
インセクトクイーンの容姿ははっきり言って人面虫。初見ならば悲鳴を上げるのも仕方ないものではある。だが彩佳のレベルは常人の上を行く。だってガクブルしながら
「……いつもそう。いつだって昆虫族は虐げられてた。私が昆虫デッキを使ってると知るや否や皆気持ち悪がって……そんな虫たちが可哀想と思って何が悪いの?こんなヤツが警護する人になんて絶対負けない!負けるもんですか!」
羽蛾はそれが昆虫族の叫びのように声を荒げる
「……それはモンスターだから仕方ないことじゃないか?」
「じゃあブルーアイズはなんで気持ち悪がられないの?あんなの羽生えたトカゲじゃない!」
「お前ブルーアイズのこと悪く言ったな?俳句を読め、介錯してやる」
羽蛾が明日葉の逆鱗に触れた
「やれるものならやってみなさい!
このモンスターは墓地に同名の昆虫族が3体いる場合、その中から任意の数を選んだ上で特殊召喚出来る!おいで『超装甲兵器ロボ ロボットアイアンG』!!」
超装甲兵器ロボ ロボットアイアンG ☆8 地
ATK2400/DEF2800
「アイアンGの特殊召喚後にさっき選んだモンスターを装備するわ」
「その瞬間白き霊龍の効果!自身をリリースして手札の青眼の白龍を特殊召喚するぜ!」
「じゃあ手札から永続魔法『大樹海』を発動!」
「ならその瞬間、精霊龍の効果を発動するぜ!自身をリリースすることで自分のエクストラデッキの光属性、ドラゴン族シンクロモンスターを特殊召喚する!来い!『蒼眼の銀龍』!!」
蒼眼の銀龍 ☆9 光
ATK2500/DEF3000
「だけどそいつも退場してもらうわ。アイアンGの効果発動!装備カードを1枚墓地に送って、その攻撃力以上の相手モンスターを全て破壊する。残念ながらそのトカゲも退場ね」
「それはどうかな?」
「え?」
「銀龍が特殊召喚された次のターンのエンドフェイズまで俺のドラゴン族は相手のカード効果を受けないし、効果で破壊されないぜ!」
「そんな!」
「さて、どうする?」
「攻撃力も足りないし、ターンエンドしかないわ。エンドフェイズにインセクトクイーンの効果で『インセクトモンスタートークン』を特殊召喚するわ」
羽蛾
LP8000
モンスター:超装甲兵器ロボ ロボットアイアンG、究極変異態・インセクト
魔法、罠:伏せ1枚、カマキラー2枚
手札:1枚
「俺のターン!このスタンバイフェイズに銀龍の効果を発動!墓地の通常モンスターを蘇生できる!白き霊龍は墓地にいる時通常モンスターだ。白き霊龍を復活!白き霊龍の効果で伏せカードを除外する!」
「なら伏せていたこのカード『神の通告』を発動。ライフ1500をコストにモンスター効果を無効にするわ。これで霊龍の効果を無効よ」
羽蛾
LP6500
「なら銀龍を攻撃表示に変えてバトル!青眼の白龍でインセクトクイーンを攻撃!」
羽蛾
LP6300
「く!でも大樹海の効果でデッキから同じレベルの昆虫族を手札に加えるわ」
「銀龍でアイアンGを攻撃!」
羽蛾
LP6200
「くう!よくも女王さまを!」
「俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP8000
モンスター:蒼眼の銀龍、青眼の白龍
魔法、罠:無し
手札:5枚
「魔法カードが使えなくなった時はどうなるかと思ったけど流石明日葉だな。これもういけるだろ」
「悠香さん、まだ油断はできませんよ。ここからでも盤面をひっくり返すのは可能ですから、それは明日葉君も承知のはずです」
そう言いつつも彩佳も内心明日葉の勝利を確信している。しかし明日葉自身は内心焦っていた。
(やっべえこの手札じゃこれ以上展開できねえ。これ返されたら下手すれば負けるな)
魔法カードが使えないという現状、使わなければ確実にカードはたまっていく。次にターンで倒さなければ勝ち筋は途絶える可能性もある。
(問題はあいつの引き次第……どうなる?)
「私の……ターン!」
(……これで上手くいけば)
「G・ボールパークを発動。更にゴキポールを召喚してバトル。ボールパークの効果でダメージは0になるからゴキポールが破壊されるだけ。破壊されたゴキポールの効果、デッキからレベル4昆虫族を手札に加えるわ。それが通常モンスターならそのまま特殊召喚出来てその攻撃力以上の相手モンスターを1体破壊出来る!」
「!やっべ!」
「『G戦隊 シャインブラック』を特殊召喚し、シャインブラックの攻撃力以上の青眼の白龍を破壊するわ!」
シャインブラックが爆発をあげて登場し、ブルーアイズに向かって突進する。そしてそのまま飛び蹴りを繰り出しブルーアイズを爆散させた。
「ブルーアイズ……」
「手札のアイアンGの効果、墓地のカマキラー3体を選択してこのモンスターを特殊召喚。更に選択したカードを任意の数装備するわ。更に装備しているカマキラーを墓地に送ってカマキラーの攻撃力以上のモンスターを全て破壊するわ。これで銀龍も破壊よ」
「……こりゃキツイな」
「バトル。アイアンGでダイレクトアタック!」
明日葉
LP5600
「シャインブラックでダイレクトアタック!」
明日葉
LP3600
「インセクトモンスタートークンでダイレクトアタック!」
明日葉
LP3500
「これでターンエンド」
羽蛾
LP6200
モンスター:G戦隊シャインブラック
魔法、罠:無し
手札:1枚
「こりゃやっべえなあ……」
「そう。もう降参したら?後でちゃんと可愛がってあげるよ?」
「だから賭けなんぞしないって……」
「そんなこと言ったところで無駄よ。あなたは負けて私のものになるの。これは決定事項なの」
「……残念ながらそいつは叶わぬ願いで終わっちまうな!」
「何ですって?」
「俺の……ターン!」
「……明日葉君、何か策が……?」
「俺は伝説の白石を召喚!墓地のリンクリボーの効果を発動!自分フィールドのレベル1モンスターをリリースして墓地から復活だ!」
「でもそれじゃあ攻撃を1回凌ぐだけ。攻撃は通るわ!やっぱり私の勝ちは揺るがない!」
「……それはどうかな?」
「え?」
「伝説の白石の効果でデッキから青眼の白龍を手札に加える!更に墓地の太古の白石の効果を発動!こいつを除外して墓地のブルーアイズを手札に加える!俺は手札の青眼の白龍を公開して青眼の亜白龍を特殊召喚!」
「そんな!あの状況で攻撃力3000なんて……!」
「バトル!青眼の亜白龍でアイアンGを攻撃!【滅びのバーンストリーム】!!!」
羽蛾
LP5600
「きゃああああああああああああああ!!!」
「どうした?大樹海の効果は使わないのか?」
「……もうアイアンGはデッキにないのよ」
「……そうか。ターンエンドだ」
明日葉
LP3500
モンスター:青眼の亜白龍、リンクリボー
魔法、罠:無し
手札:6枚
「……私のターン……ドロー」
「シャインブラックとインセクトモンスタートークンを守備表示に変更。ターンエンド」
羽蛾
LP5600
モンスター:G戦隊シャインブラック、インセクトモンスタートークン
魔法、罠:無し
手札:1枚
「俺のターン!このままバトル!青眼の亜白龍でシャインブラックを攻撃!」
「大樹海の効果でレベル4の昆虫族を手札に加えるわ」
「リンクリボーでインセクトモンスタートークンを攻撃!」
「くう!」
「ターン終了時に手札が7枚の為1枚捨てる。ターンエンド」
明日葉
LP3500
モンスター:青眼の亜白龍、リンクリボー
魔法、罠:無し
手札:6枚
「私のターン、シャインブラックを召喚してバトル。リンクリボーを攻撃」
「リンクリボーの効果でリリースしてシャインブラックの攻撃力0にするぜ」
「……ターンエンド」
羽蛾
LP5600
モンスター:G戦隊シャインブラック
魔法、罠:無し
手札:1枚
「俺のターン!太古の白石を召喚!バトル!青眼の亜白龍でシャインブラックを攻撃!」
「ボールパークの効果でダメージは0、デッキからレベル4以下の昆虫族を墓地に送るわ。送ったゴキポールの効果でシャインブラックを手札に加えてそのまま特殊召喚。シャインブラックの攻撃力以上のモンスター、オルタナティブは破壊するわ」
「墓地の『復活の福音』の効果を発動!」
「何!墓地から魔法カードだと!?」
「でも……使えるのでしょうか?」
復活の福音は
効果を発動できた
「よっし!こいつを除外してオルタナティブの破壊を免れるぜ!」
(しまった!墓地の方まで電波を送ると電波量でばれる可能性があったからそこまで強くしなかったのが仇になった……!)
「ターン終了時に1枚墓地に送る。これでターンエンド」
明日葉
LP3500
モンスター:青眼の亜白龍、太古の白石
魔法、罠:無し
手札:6枚
「私のターンシャインブラックで太古の白石を攻撃」
「リンクリボーの効果を発動!太古の白石をリリースして特殊召喚!」
「ならリンクリボーを攻撃「リンクリボーの効果でシャインブラックの攻撃力を0に!」
……ターンエンド」
「エンドフェイズに太古の白石の効果を発動!デッキから白き霊龍を特殊召喚し効果でボールパークを除外!」
羽蛾
LP5600
モンスター:シャインブラック
魔法、罠:無し
手札:2枚
「俺のターン!バトル!白き霊龍でシャインブラックを攻撃!」
羽蛾
LP5100
「ッ!」
「オルタナティブでダイレクトアタック!」
羽蛾
LP2100
「きゃあ!」
「これでターンエンド!そんで上限を超えたから手札を1枚捨てる」
明日葉
LP3500
モンスター:青眼の亜白龍、白き霊龍
魔法、罠:無し
手札:6枚
「私のターン……ドロー」
(何よ……何なのよ!いつもならこれで楽に勝てるのに!なんであいつはこの状況から逆転できるの!?)
「手札に逆転のカードは無い……もう無理ね。ターンエンド」
「俺のターン。バトル!オルタナティブでダイレクトアタック!」
羽蛾
LP0
「……」
『決着ぅ!ディスクの故障をものともせず、勝利を飾ったのは我らが「遊崎明日葉」だああああああああ!!!』
明日葉、決勝進出!
長くなり過ぎたんでここまでです。はい、更新遅れましたすんません。体調崩したり墓参り行ったりバイトしたり小説読んだり動画見たり……昆虫族デッキって難しい……ていうかデュエルナレーション最近入れてねえ……タグ消そうかな……。
デュエルディスク買いたい……お金ない……。
準決勝が終わり次は決勝、の前にちょっと何か入れるかな?まだなんも考えてないです。
次の更新はそろそろモンスターのお話をしようと考えています。のんびりお待ちください。
インセクトクイーンの効果を忘れてたので手直ししました。申し訳ありません。
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デュエル17~決勝戦 明日葉VS加賀良!!~
いやホントすいませんでした、ほぼ1月更新せずスランプでしたもんで編集すらしない始末。
前回の羽蛾戦大きく書き直そうかなと考えています。あんな書き方した作者をお許しください……
これからは5000字程度いったらそこで区切ります。
今回は決勝戦です。めっちゃつおい加賀良紗月とは……?
ではお楽しみください。
準決勝終了後、羽蛾はイカサマが発覚し、資格剥奪処分。デュエル業界から追放された。
「やっぱり仕掛けがあったか……羽蛾の奴、今度あったらただじゃおかねえ!」
「でもデュエリストの資格も剥奪されましたし、もう会う機会もないでしょうね。それより次が決勝戦ですよ。明日葉君、相手もここまで勝ち上がってきた強者です。気を付けてください!」
「大丈夫だ。コンディションもバッチリ、ディスクの調子もチェック済みだ。後は決勝で全力で臨むだけだ」
準決勝第二試合は島が加賀良に敗北した。先程のように10000オーバーキルではなかったがその強さは圧倒的なものであった。
「でも彼女の引きは凄いな……引くカードのほとんどが相手を妨害するカードだった」
「10000超えのダメージは対戦相手のモンスターを奪った戦術だったのかもしれませんね。先程のデュエルからロックデッキと考えていいでしょうから、対策としては展開し過ぎず相手の手を封じるといったところでしょうか」
彩佳が今まででは考えられないような意見を出している。それも明日葉とデュエルを続けてきた結果なのだろう。
『これより決勝戦を行います。選手の2人はゲートまでお越しください』
相手の対策を考えている内にアナウンスが流れる。どうやら時間のようだ。
(このデッキだとあまりロックデッキを攻略出来そうもないんだよなあ……あのカードが来るのを祈るしかないか)
「よし!準備も出来たし行くか!」
「「はい/おう!!」」
こうして明日葉は決勝戦へと向かって行った。
『ようやく来た……これが最後だ……明日葉君のデュエルを見られるのがこれが最後だなんてーーーー!!!だが私達はここで歴史の発見者となるのだ!!初の『男性デュエリスト』遊崎明日葉がこの決勝戦で優勝すればWCS本戦に出場出来るのだ!!皆もこんな前置きよりも明日葉君を見たいだろうからここら辺にしておこう!これよりWCS予選決勝!!遊崎明日葉対加賀良紗月だああああああああ!!!』
『まずはこの人!デッキの中には妨害カードばっかり!陰湿デュエリスト『加賀良紗月』!!』
「説明に悪意しか感じない。……」
『そして続いてはこの御方!!初出場にして決勝進出者!ブルーアイズを操り窮地をひっくり返すデュエリスト!!『遊崎明日葉』ァ!!』
「最初と比べたらマシな紹介……かな?」
『さあ役者は揃った!素晴らしいデュエルを見せてくれ!
デュエル開始ぃ!!!』
「「デュエル!!」
遊崎明日葉
LP8000
VS
加賀良紗月
LP8000
「はあ……遊崎明日葉……今の実況、不公平とは思わない?男性というだけであそこまで贔屓される。さぞいい気分だろうね」
「?いきなり何を……」
「男性がデュエリストになること自体前代未聞だけどそれも計算ずくなんだろ?いいよね人気者は……本当に反吐が出る」
「だから何を言ってるんだ?そんな打算的な考えするわけないだろうに」
「ふざけるな。あんたを潰してあたしがいるってことを世の中に知らしめてやる!」
そう言って加賀良は明日葉に対して対戦相手に向けるものとは違う敵意をむき出しにする。
「そういえば悠香さんってあの加賀良さんのこと知ってました?」
「いや、そういや初耳だな。何やってたんだあいつ?」
「加賀良は今までは全くの無名やったで」
「「!?」」
彩佳と悠香が話していると竜崎が会話に入って来た。
「竜崎!なんでここに?」
「明日葉はんが話し相手は多い方がええやろってまあ加賀良の情報もなんぼかあるしええやろ?」
「そ、そういう事なら」
「おい彩佳!いいのか本当に?警護官でも何でもないんだぜこいつ?」
「でも明日葉君がいいって言ったのなら大丈夫ですよ。男性からの許可なんですから問題ありませんって」
「だからってい、いいのか?……いいのか」
彩佳の台詞に困惑しつつも納得する悠香。それを気にせず竜崎は話を進める。
「加賀良は元は地方でデュエリストをやっとってな勝率も半々といったところや。でもある日共に競っていた友人が消息不明になったんや」
「なんだと!?」
「それだけやない、奴さんと友好関係にあった奴らも何人か行方が分からんくなっとる。そうなったら待っとるのは孤独や。あいつの事を気味悪がって誰も近づかんくなった。そっからあいつは人を信じんくなったんや」
「……そんなことが」
「で、でもそれと明日葉は関係ねえじゃねえか!なんであいつは明日葉を目の敵みたいにやってんだよ!?」
「言ったやろ、あいつを皆気味悪がったって。そん中には男性もおったんや。昔から知っとった男がな……それが原因やろ」
「……でもそれは明日葉君を敵視する要素にはなりえないと思うんですけど?」
「それ以上はウチにも分からん。直接聞くしかないやろ」
竜崎はそれだけ言って試合観戦に戻った。とはいってもその場からは動いていないが。
「加賀良紗月……きな臭いですね」
「ああ、でもあいつの情報なんてどうやってかき集めるんだ?現状竜崎の情報しかないし、そんなコネもないだろ」
悠香が歯がゆい思いをしている中、彩佳は携帯で何処かにメールを送った。
「何処に送ったんだ?」
「お母さんの所です」
「克巳さん?なんでまた?これだって放送されてるし明日葉の報告なんていらないだろ」
「違いますよ。加賀良紗月を調べてもらうんです」
「は?いやいやいくら克巳さんでも無理だろう?いち個人の情報をただの企業が調べられる訳g「情報来ました!」早いな。ていうかそれって普通に犯罪じゃねえのか?」
「知らなかったんですか?うちは情報も取り扱っているんですよ?」
「……え?」
衝撃の真実
城之内グループ、実は国の情報管理を任される程セキュリティシステムが強固なのだ。因みに社長の克巳曰く「警護官や運送業以外でも出来る仕事はやってくべき」とのこと。今回彩佳はそこから情報を拝借したのだ。犯罪じゃないかって?バレなきゃヘーキヘーキ。
「これで加賀良紗月の経歴を調べられます……!こ、これは……」
「なんだ?何が書いてたんだ?」
「悠香さん。か、加賀良紗月は……」
「あいつは?」
「
「あたしのターン。モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンド」
加賀良紗月
LP8000
モンスター:セット1体
魔法、罠:1枚
手札:3枚
『おーっと加賀良紗月、モンスターと伏せカードを伏せただけ!手札が悪かったかー?』
「ほら。こういううざい実況も、野次を飛ばす観客も、相手を乏しめる対戦相手もあたしからしたら殺意の対象でしかない。どうせあんたもそうなんだろ?関係あるだけであたしは腫れ物扱い。そりゃこんな世界辟易するに決まってるよねぇ?」
「さっきから話の要点が理解できないんだが、つまりは『陽キャ死すべし』って言いたいのか?」
「そんな小さい事じゃないよ。これからもっと大きい事をするの。取り敢えずあんたは邪魔だし、消えて」
「そりゃ凄いな。でもこっちも目的があるわけだからそう簡単にはいかねえよ。俺のターン!手札のカード1枚を墓地へ送って『ドラゴン 目覚めの旋律』を発動!デッキから攻撃力3000以上2500以下のドラゴン族を手札に加える。そんでこいつは手札の
「来たね、オルタナティブ。あんたのフェイバリットカード。でもそれがあんたを殺すのさ!罠『スウィッチヒーロー』!」
「な!?」
「お互いのモンスターの数が同じ場合、全てのコントロールが逆転する!オルタナティブはいただいたよ!」
「っち!このモンスターはなんだ?」
千眼の邪教神 ☆1 闇
ATK0/DEF0
(嘘だろ?)
「今嘘だろって思ったよね?あんたみたいに強いカードがあるわけじゃない。だからこうして奪うのさ」
「……だけど手が無いわけじゃない。千眼の邪教神を反転召喚。開け、光輝く戦いのサーキット!召喚条件はレベル1モンスター1体。千眼の邪教神をリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク1『リンクリボー』!」
「防衛手段を作って来たね。でもそれだって一時凌ぎ。1体モンスターを出すだけでオルタナティブの攻撃が通る。結局は無駄な労力なのさ」
「判断が早計過ぎるぜ。手札から魔法『トレード・イン』を発動。手札のレベル8を墓地へ送って2枚ドローだ。更に手札から魔法『竜の霊廟』を発動。デッキからドラゴン族を墓地へ送って、それが通常モンスターならもう1体デッキから墓地へ送れる。青眼の白龍を送って次に太古の白石を墓地へ送る。手札から魔法『復活の福音』を発動。墓地のレベル7もしくは8のドラゴン族を特殊召喚する。青眼の白龍を復活させるぜ」
「相打ち狙い?オルタナティブも可哀想にね。相手に取られたらすぐに破壊されるなんて」
「相手にいいように使われるくらいなら自ら破壊するまでだ。魔法『滅びの
「え!?」
「青眼の白龍がいる場合相手のモンスターを全て破壊する!許せ……オルタナティブ。ブルーアイズ!【
「っクソ!そうやってあんたはあたしの手に入れたものを奪っていくんだね。男だからって何でも許されるなんて考え、傲慢にも程があるんじゃない?」
「手に入れたも何も元々俺のだろ」
「うるさい!そう言ってあたしの大切なものをみんな奪っていった!もう何も奪わせない、今度はこっちが奪う番だ!」
そう言った加賀良の顔は狂ったような笑みを湛えていた。
「……お前に何があったかは俺には分からない。でも笑いながら奪うのはその奪った奴と同じになっちまうんじゃないか?」
「笑いながら?ふざけないで。あたしをそんなクソ共みたいな連中と一緒にしないでよ!」
「お前今の自分の顔見てみろよ。完全に犯罪者のそれだぞ?」
「あんたもやっぱりあたしを虐げるんだね。やっぱり
「あの人?何を言ってるか分かんねえけど言えることは自分の環境を変えようとしない奴に救いの手は差し伸べられないって事だけだ」
「変える必要なんてないわ。あの人があたしを愛してくれる。あの人が救ってくれたから変わる必要なんてないのよ」
「その人がどんな人かは知らない。でも今のお前を見ると余りにもおっかないぞ」
「もういい、あんたは倒す。それであの人の存在を知らしめるんだ!」
最早最初の目的すら見失っている加賀良の目はハイライトが消え、何かに憑りつかれた様に訴えた。
「ああそうかい、なら続きだ!バトル!リンクリボーでダイレクトアタック!」
加賀良
LP7700
「エンドフェイズに2体の太古の白石の効果。デッキの「ブルーアイズ」を特殊召喚出来る。来い!青眼の白龍、白き霊龍!これでターンエンドだ」
明日葉
LP8000
モンスター:青眼の白龍×2、白き霊龍、リンクリボー
魔法、罠:無し
手札:3枚
「加賀良の奴、明日葉に対して逆恨みもいいとこじゃねえか」
「それより何故大会運営は加賀良紗月の事をまず国へ連絡しなかったんでしょう。行方不明者なのにそれ以降の情報は何も無いなんて……」
「すぐに見つかったとかじゃねえのか?だからそこまで大きく騒がれなかったとか」
「いえ、ニュースにはなっていたようです。行方不明者の関係者がいなくなったということで当時話題になったんですがすぐにニュースにもならなくなったんです。その時にも発見されたという情報はなかったようで」
「ん~つまりどういうことだってばよ?」
「何かが背後にいる……その可能性があるということです」
「?いやいやいやいやそれは考え過ぎだろう。たかだかいちデュエリストにそこまでやる意味なんて「もしその価値があるのだとしたら?」……え?」
彩佳の発言に悠香は戸惑う。彩佳は何か知っている、そう思わせるほどに彩佳の顔からは強い意志を感じさせた。
「彩佳、一体何を知ってるの?」
「あたしのターン。本当に長い1ターンだったよ。でもそれも崩してしまえば関係無いんだよね!あんたの青眼の白龍2体をリリースして『溶岩魔人ラヴァ・ゴーレム』を特殊召喚!」
溶岩魔人ラヴァ・ゴーレム ☆8 炎
ATK3000/DEF2500
「うお!マジかよ!」
「それだけじゃないわ。白き霊龍もリリースして『
海亀壊獣ガメシエル ☆8 水
ATK2200/DEF3000
「俺のモンスター達が!」
『あぁーっと!明日葉君のモンスター達が加賀良紗月のモンスター達に変わってしまったぁー!これで戦力が大幅にダウン!!加賀良紗月にこんな手が隠されていたとはー!』
「これで準備は整った……このカードであんたを……殺す!!」
「!!」
通常、デュエリストは「殺す」という台詞ではなく「倒す」という台詞を用いる。それは情操教育の為だけではなく、倒すという言葉の方が適切な為である。その為「殺す」を用いるデュエリストは「教育がなっていない」「倫理観が欠けている」とバッシングされる事が多い。しかし明日葉はその台詞が何処か現実味を帯びているように感じられて仕方がなかった。
「これであたしの存在は認められる……あたしはあの人の役に立てる……」
「……よせ……それはダメだ……やるんじゃあない!」
「あの人の理想を叶えるの……あの人の為に……
「ダメだ!
「フィールド魔法『オレイカルコスの結界』発動!!!」
「止めろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「「オレイカルコスの結界!?」」
カードが輝き、緑色のラインが流れる。そしてオレイカルコスの紋章が刻まれた。
それは敗北者の死を意味する
「さあ、全部壊してあげる!」
書き方を変えて5000字程度で区切ることにしたのでここでおしまいです。
話を聞かない系デュエリスト加賀良紗月さん。ダーツなる人物と関わりがあり、「オレイカルコスの結界」の使用者って時点でお察しですがそういうことですよね。
オレイカルコスの結界が発動され明日葉君が窮地に立たされます。果たして彼に打開策はあるのか?
編集中にUA30000、PV100000を突破しました。予選も終わりそうなので初心者講座回を書こうかなと考えてます。他にもあればやるかもね。
では次回お会いいたしましょうさいならー。
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デュエル18~オレイカルコスを攻略せよ!~
「ダメだAIBO!そんなカード使っちゃいけない!」
「オレイカルコスの結界!」
「止めろおおおおおおおおお!!」
AIBOではないけどこんな感じ。
て訳で後編ですよ。明日葉君がちょっとピンチです。何せ負けたらどうなるかは以前に確認済みですからね。
オレイカルコスの結界の効果を忘れていたのでライフ計算をやり直しました。お許しください。
では後編、デュエル開始ぃ!
「さあ、全部壊してあげる!」
フィールド魔法「オレイカルコスの結界」が発動し、加賀良紗月の額にはオレイカルコスの紋章が浮かんでいた。
「なあ、そのカードは一体何なんだ。以前戦った奴もそれを使って負けたら全く動かなくなった。ダーツって誰だ。答えろ!加賀良!」
「あんたの質問に答えてあげる筋合いはないわ!あたしはカードを1枚伏せてターンエンド!」
加賀良
LP7700
モンスター:無し
魔法、罠:1枚、オレイカルコスの結界
手札:無し
『……何これ?』
実況だけでは無く観客も今の事態を理解できた者はいなかった。見たことのないカード、そのイラストに描かれた紋章が使用者の額に浮かんでいるのだから困惑するのも当然だろう。
そして彩佳と悠香も事の重大さを認識し、息を呑んだ。
「おいおい……あれって」
「メディナ・ディバイン。彼女が明日葉君を逃がさないようにするために使ったカード……でしたよね」
「いやいやおかしいって!あんなの公式で製造された記録はなかったぞ!あの時だっててっきり明日葉を逃がさない為のはったりだと思ってたし……彩佳、さっきの克巳さんから送られてきたデータに何か書いてたんじゃ……」
「お母さんから送られたデータには加賀良紗月のデータだけでした。行方不明になっていた時期に何者かに遭遇したと考えるのが自然でしょうか……」
「そ、そうだとしてもよ……頭ではわかっても……気持ちが追いつかないっていうか……わかんないよ……また明日葉は死ぬかも知れないの?もうやだよぉ……明日葉に死んで欲しくないのに……うぅ」
「……悠香さん」
彩佳が考察している時、悠香は明日葉の危険に恐怖し、自分の無力さに涙を流していた。
「こんなんじゃ警護官でいる意味ないじゃんかぁ……男を守る仕事なのに……せっかく明日葉を守れるようになったのに……これじゃあなんで警護官やってるかわからないよお……」
「悠香さん、こんな事態になることなんて誰も予想出来ませんでしたよ。私だって自分の無力さが憎いです。でも今出来るのは明日葉君が勝利するのを祈るだけじゃないですか……」
「彩佳……でも……」
「大丈夫、明日葉君なら勝てますよ。それにデュエルはまだ始まったばかりじゃないですか。まだ勝機はありますよ」
「そうかな……そうだよな。明日葉なら勝てるよな!頑張れぇ!明日葉ぁ!!」
彩佳に励まされ、調子を取り戻した悠香。しかし彩佳は悠香を励ましていたが自分はとても前向きになれるとは思えなかった。
(メディナ戦のデュエル……敗北した後未だ目覚めないメディナ……そして……)
彩佳は先程送られてきた克巳からのデータをもう一度開いた。
『彼女は行方不明になる前から裏で男性取引を行っていたという噂があったわ。証拠は確かにないけど「火のない所に煙はたたない」わよね?それに以前協会に侵入してきた不良リーダーのあのカード……なーんかありそうなのよねぇ。そこも含めて明日葉君を守ってあげなさい』
(明日葉君……絶対に負けないでください。もし負けてしまったら……正気でいられないかもしれません)
「俺のターン!」
「このスタンバイフェイズに溶岩魔人ラヴァ・ゴーレムの効果を発動!あんたは1000ポイントのダメージが入るわ」
明日葉
LP7000
「ぐうう!!」
「このデュエルではダメージが実際に痛みとなって襲い掛かる。勿論ただ殺すだけなんてつまらない真似はしない……じわりじわりといたぶってあげる」
「くう……だがなにも出来ない訳じゃない!レベル8のラヴァ・ゴーレムとガメシエルでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!
魔界の海に浮かびし巨城よ 今鉄壁の砦となり 我が身を守る盾となれ エクシーズ召喚!
『魔海城 アイガイオン』!!」
魔海城 アイガイオン ★8 水
ATK?/DEF3000
「アイガイオン……でも攻撃力は不明だし、上げる条件が満たされてないのね」
「更に魔法『死者蘇生』を発動。蘇らせるのは『青眼の亜白龍』だ!」
「またオルタナティブ……その子も可哀想だ。いくら破壊されても、素材にされても何度でも復活させられる。何度もその身を酷使され、そんな主なんて嫌で仕方ないだろうに……だから解放してあげる!罠『激流葬』!」
「!!」
加賀良の激流葬によって明日葉の召喚したオルタナティブは出てきて早々に破壊されてしまった。
「……カードを1枚伏せてターンエンド」
明日葉
LP7000
モンスター:無し
魔法、罠:1枚
手札:2枚
「手が無くなった?ならこれからはこっちの独壇場とさせて貰うわ!あたしのターン!『フォッシル・ダイナパキケファロ』を召喚。これでお互いにモンスターを特殊召喚出来なくなったわ。更にオレイカルコスの結界の効果で攻撃力が500アップ。そのままバトルフェイズ。フォッシル・ダイナパキケファロでダイレクトアタック!」
明日葉
LP5200
「がああっ!」
「あたしはこれでターンエンド。苦痛に喘ぎ悶えなさい」
加賀良
LP7700
モンスター:フォッシル・ダイナパキケファロ
魔法、罠:オレイカルコスの結界
手札:無し
「これは……まずいですよ」
「おいおい!特殊召喚が出来ないってとんでもねえじゃねえか!明日葉のデッキは高火力のドラゴンを特殊召喚するデッキ。これじゃあ何も出来ずにやられちゃう!」
「素が出てますよ」
「!」
「大丈夫、明日葉君がこの程度で何も出来なくなるデュエリストじゃありません。それは悠香さんだってわかっているでしょう?」
「……」
「信じましょう。明日葉君を……」
「……うん」
「俺のターン!モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンド」
明日葉
LP5200
モンスター:1体
魔法、罠:2枚
手札:1枚
「最早手詰まり……か。じゃあじっくり料理してあげよう!あたしのターン!『飛行エレファント』を召喚してそのままバトルフェイズ。フォッシル・ダイナパキケファロでセットモンスターを攻撃!」
太古の白石 ☆1 光
ATK600/DEF500
「飛行エレファント飛行エレファントも攻撃力が上がってるわ。ダイレクトアタック!」
明日葉
LP2850
「ぐああああああああ!!!」
「あたしはこれでターンエンド」
加賀良
LP7700
モンスター:フォッシル・ダイナパキケファロ、飛行エレファント
魔法、罠:オレイカルコスの結界
手札:無し
「お、俺のターン。モンスターをセット、ターンエンドだ」
明日葉
LP2850
モンスター:1体
魔法、罠:2枚
手札:1枚
「最後はカードにまで見放されたわね。まあ、あんたにはお似合いの最後かな。あたしのターン、ッチ。魔法『デーモンの斧』をフォッシル・ダイナパキケファロに装備してバトルフェイズ。飛行エレファントでセットモンスターに攻撃」
増殖するG ☆2 地
ATK500/DEF200
「更にフォッシル・ダイナパキケファロでダイレクトアタック」
明日葉
LP50
「うあああああああ!!」
明日葉はこれまでの蓄積故かそのまま地面に倒れ伏してしまう。その光景に観客からも悲鳴が上がる。
「これでターンエンド。さあ、次が最後のターンよさっさと引きなさい。人生最期のカードをね」
「明日葉君……」
「……もういい」
「え?」
「もういいでしょう!!!」
悠香はそう叫び、明日葉の下へ走っていった。
「!悠香さん!?」
「悠香……!」
「もういいじゃない!このデュエル、あんたの勝ちよ。そのカードの事は知ってる!負けたら死ぬって事も、あんたの事も!それは孤独が辛かったのは分かるわ。あたしもそうだったもの、でも彩佳に出会えた。明日葉にも出会えた。悔しいけどレイカだって今じゃ会えて良かったって思ってる。今まで苦しかったこの世界が楽しく感じられたの!だからお願い……あたしから『今』を奪わないで……あなたの要求は何でも聞く……いう通りにする……だから明日葉を……あたしの
悠香は顔をぐしゃぐしゃにしながら加賀良に懇願した。そしてその行動を見た彩佳は先程までの自分の言動に後悔した。
(私……また何も出来なかったんだ……信じろなんて言って……結局また見逃したんだ……
「命乞い?面白いけど~、ダ~メ!そいつは見せしめ。ダーツ様の為の生贄になるの。それにそいつと離れたくないならあんたも生贄になっちゃえばいいじゃない。そうすればずっと一緒だよ♪」
「!お前……お前えええええええええ「悠香」!」
「まだ、デュエルは終わってない。まだ勝機は見えてる」
「「明日葉(君)!!」」
起き上がる明日葉に今度は彩佳も駆け寄る。
「明日葉君、大丈夫ですか!?ああ、こんなにボロボロに……申し訳ありません!明日葉君は大丈夫だと思って私……」
「大丈夫だ彩佳。この程度で負ける俺じゃない。それに、デュエルってのはここからが本番なんだぜ?」
「明日葉……あたし……」
「ごめんな、心配かけて……でもこのデュエル、負けるわけにいかなくなったからさ」
「え?」
「『大切な人』なんて言ってくれたお前を泣かすような奴、許すわけにゃいかねえだろ!」
「ふぇ!?あ、明日葉……」///
「こ、こんな時でもキザな台詞は忘れないんですね」///
「そういうつもりはねえんだけどな……ほら、早く席に戻っとけ。デュエル中だ」
「「……はい/おう!!」」
調子を取り戻した2人は駆け足でフィールドを離れていった。明日葉は再び立ち上がる。
「立ち上がったか……でもライフ差は歴然。逆転は不可能だよ」
「それはどうかな?デュエルとは一瞬一瞬のビッグバン。ドローするカードが世界をひっくり返すかもしれないぜ?」
「そんなの不可能よ。あたしの勝利は揺るがない。早くターンを終わらせて負けなさい」
「いや、俺は負けない。ここから、勝つ!俺のターン!来たぜぇ‼手札から魔法『サンダー・ボルト』を発動!」
「サンダー・ボルト!?」
「これでお前のフィールドのモンスターは全て破壊。これで特殊召喚が解禁された!」
「で、でも飛行エレファントは1回だけ効果で破壊されないわ!それにあんたの手札は1枚!それじゃああたしのライフは削り切れないわ!」
「それを可能にするのがエンターテインメントさ!墓地の太古の白石をゲームから除外して効果を発動。墓地の「ブルーアイズ」を手札に加える。『青眼の白龍』を手札に加えるぜ。更に手札の『青眼の白龍』を公開することで特殊召喚。来い『青眼の亜白龍』!!」
「オルタナティブ……あなたをそこまで突き動かすものは何なの?そのデュエリストはあなたを無理やり戦わせてるのに……」
「俺とオルタナティブはそんなことで仲違いするほど薄っぺらい関係じゃなんだよ!オルタナティブの効果!攻撃を放棄して飛行エレファントを破壊する!更にリバースカードオープン!『融合』!」
「!あの伏せカードはブラフだったのね……」
「手札とフィールドの『青眼の白龍』2体、オルタナティブはフィールド・墓地にいたら青眼の白龍となるため条件は揃ってる!
青き眼らよ 狂気の渦で混じり合い 絶望を蹴散らす希望となれ 融合召喚!
『
青眼の双爆裂龍 ☆10 光
ATK3000/DEF2500
「ツイン……バースト……」
「明日葉君の……新しいエース……」
「だ、だけどそれじゃああたしのライフは0にならない!次のターンでそいつを破壊すれば「お前に次のターンは無い!」え?」
「バトル!ツインバーストの攻撃【双撃のツインストリーム】!!」
加賀良
LP4700
「きゃああああああああああああああ!!……ほ、ほら!まだ負けてない負けるものか!次のターンで……!」
「言ったろ?次のターンは無いと!」
そう言った明日葉の前には伏せていたカードが開かれていた。
『融合解除』のカードがその効果を発動させていたのだ。
「融合解除は融合召喚したモンスターをエクストラデッキに戻し、その素材モンスターを墓地から復活させるカード。しかもこの効果で復活したこいつらは攻撃出来る。これでもまだ次のターンが来ると?」
「あ、ああ、あああああ……」
「さて、ここでひとつアンケート
男からのキツーいお仕置きはお好き?」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「青眼の白龍で攻撃!【滅びの爆裂疾風弾】!」
加賀良
LP1700
「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「オルタナティブ、止めだ」
「や、やめ……」
「【滅びのバーンストリーム】!!」
加賀良に破滅の光が繰り出された。それはオルタナティブの明日葉との戦いを否定された事へ対する怒りが込められているようで立体映像なのか疑ってしまう程の迫力だったとその会場へ来ていた観客は語る。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
……ダーツ……様」
加賀良
LP0
『……っは!防戦一方の苦境を跳ね除け遂に、遂に決着ぅ!勝者は世界初の男性デュエリスト『遊崎明日葉』だああああああああ!!!』
「明日葉ぁ!!」
「明日葉君!!」
「……言ったろ?勝つって!」
そう言って明日葉は2人にVサインを送った。
遊崎明日葉 WCS本戦出場権獲得!!!
ここまで早く書けるなんて思わなかった……これくらいのペースで書けたらいいのになあ……。
明日葉君が見事に本戦出場です。シリアス疲れたので日常書きたい……そんな気分です。
本戦の構想も練っておくので気長にお待ちください。
ではまた次回お会いしましょう。ではー
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デュエル19~迫る影 ドーマの一族~
もうちょいシリアス続きます。シリアス苦手な方ももうちょっと耐えてください。
『勝者は世界初の男性デュエリスト『遊崎明日葉』だああああああああ!!!』
WCS決勝が終了し、明日葉が本戦出場が決定した。しかし『オレイカルコスの結界』の中で敗北した加賀良紗月が倒れたまま起き上がらなった為に救急班が出動。そのごたごたで表彰式が行われなかった。そのことを残念がっていた3人だが今はそれどころではないと思いを新たに次の本戦に向けてデッキ調整に取り掛かる。そんな時彩佳にメールが届いた。差出人は克巳だった。
『話すことがあるから明日葉君と悠香ちゃんを連れて協会に来なさい』
たったこれだけ。しかし今の彩佳にはそれの重要性がひしひしと伝わってきた。
「だから明日葉君と協会に行ってきます」
「いや説明しろよ」
現実はかくかくしかじかで説明できないぞ。
男性保護協会本部
「お、やっと来たねお嬢。なんか久しぶりに見た気がするけど仕事してるかい?」
「部長、おはようございます。仕事はしてますから大丈夫ですよ。というか報告書まとめてるんですから仕事してるの分かってるじゃないですか……それはそうと今日母がこちらに来ているはずなんですけど……」
「ああ、克巳さんなら会議室に通したよ。明日葉君に話したいことがあるらしいね。まあそこは人払いしとくから安心しておくれよ」
「ありがとうございます。明日葉君、こっちです」
「おっとそうだ。明日葉君、WCS本戦出場おめでとう。活躍はテレビで見てたよ」
「ありがとうございます。これからも頑張って行くんで応援よろしく頼みますね」
「ああ、男性の皆も熱中しちまって自分もデュエルしたいなんて言い出す始末さ。いつか教えてもらうことになるかもねえ」
「ははは……まあ教えられるように頑張りますよ」
「ありがとうね。さあ、克巳さんを待たせないで。さっさと行った行った」
「ここが会議室です。ここにお母さんがいるとありましたが……」
明日葉たちは通された会議室についた。しかしその扉は会議室には似つかわしくないいかついつくりであった。
「……これ実はラスボスの部屋に続いてるとかないよね?」
「いやないだろ……ないよな?」
実は彩佳や悠香は協会の会議室に来たことがなかったので知らなかったのだが会議室の扉は何処も同じ仕様で何でも男性の情報を取り扱う為に防音と威嚇のためにいかついつくりになっているのだという。
「と、取り敢えず入りましょうか……」
「そ、そうだな」
中に何がいるか分からなくなってしまった明日葉たちだが意を決して扉を開けた。
「……来たわね」
克巳はただそれだけ口にして、明日葉たちに部屋に入るように顎で催促する。のんびりとした雰囲気をまとった克巳しか知らなかった明日葉としては重々しい雰囲気の克巳を前にして緊張が走ってしまう。
「さて……何から話したものか」
「お母さん、その話ってもしかして」
「ええ、先の明日葉君のデュエル。そこで使われたカード『オレイカルコスの結界』の事よ」
「「「!!!」」」
「な、なんでそのカードのことを……!」
自分を苦しめたカードを自分の警護官の親が知っている。それは明日葉が警戒心を持たせるには十分であった。
「まあ疑われるのも仕方ないよね。事が事だし、彩佳にも話さないといけない時が来たって事なのでしょうね」
そう言って克巳はプロジェクターを用意した。そこに昔の文献が映し出される。
「それは?」
「代々伝わる古文書ってところかしら。過去に起こった戦いでの記録が記されているの」
「あ、彩佳は知ってたのか?」
「いえ、私も初耳です……」
「まあ言ってなかったしね。さて、ここからが本題。この中には先人たちのやってきた事が記されている。今までどんな敵と戦って来たかもね。そしてこれは一番古いもので紀元前まであるの。それである戦いが目にとまったのよ」
「そ、それに……」
「そう。オレイカルコスの紋章が記されていたの。文献によるとその時確かにデュエルモンスターズの神々によって倒されたからオレイカルコスの伝承は途絶えたはずなんだけどね」
「ならなんでオレイカルコスの結界が……」
「誰かが復活させた……でしょうね」
「そんな……そんなことして一体何がしたいんですか?」
「それを私に聞かれても分からないわ。本人に直接聴くしかないでしょうね」
克巳はそう言いながら参ったように両手を上げてため息をついた。
「だけどそれを考えてる暇は無いわ。でも奴らの
「目的?……それは一体何なんですか?」
彩佳が恐る恐る克巳に聞く。それは先に見た『闇のデュエル』の真意、そして歴史の闇に葬られた『ドーマの一族』と先祖が重ねた戦いを知る事になる。
「聞かれなくても言うつもりよ。ドーマの一族の目的それは
神の降臨」
「神の……」
「降臨……?」
聞いた皆が皆それぞれの反応を示した。
悠香は神という存在に顔を呆けさせ
彩佳はこれから起こる戦いに戦慄し
明日葉はドーマの一族に怒りを向けていた
「……明日葉君、どうしたの?」
「……いえ、許せねえなって」
「?」
「加賀良は、友人がいなくなって腫れ物扱いされていたところをダーツって奴に救われたって言ってたんです。でもそれがダーツの目的の為に利用されていただけだって言うなら、俺はダーツを許さない。人の『辛い』って心をそんな風に利用する奴は絶対に許さない!」
「明日葉君……」
「明日葉……」
「なるほどね……明日葉君、男性にこう言うのは非常識だけどお願い。ダーツを、ドーマの一族を倒してほしいの」
「「!!」」
「お母さん!それは明日葉君にまた闇のデュエルをやれって言ってるんですか!?」
「そうです!明日葉にこれ以上闇のデュエルをさせる訳にはいきませんよ!」
「でもWCSが続くなら必ずドーマの一族とぶつかることになるわ。それとも明日葉君にデュエルを止めろと?」
「!……そ、それは」
「……」
「こうなってしまった以上どうしようもないの。本当は私だってこんな事言いたくないけどこれしか手がないもの事実なの。それに今回のWCSの優勝者に送られる景品も考えるとますます四の五の言っていられなくなるわ」
「そういえば景品あるのか……その景品って何ですか?」
「あれは眉唾物だと思ってたのだけどね……デュエリストなら一度は聞いたことがある伝説
『神のカード』よ」
「神のカード!!?」
「神のカードって……一時期話題になってましたけど」
「たしかあの時は結局偽物ってオチだったはず……ですよね?」
「あれはただの目立ちたがりが流したデマ。最近エジプトの葬祭殿で神の描かれた石版が発見されたの。それを基にしてカードが作られたんだけど3枚を残して全てが消えてしまったの。それである仮設が立てられたわ、昔流れてた噂で今でも都市伝説として語られている話『デュエルモンスターズには魂が宿る』。それが現実味を帯びてきているの」
「デュエルモンスターズに、魂が……?」
「そう。科学者たちも一笑に伏していた話だけどこれで世界中の科学者が震撼したわ。何せ何もないところがいきなり発光するなんて誰も予想だにしない事態だもの。その場にいた科学者全員が泡喰ってたわ。今は神のカードの解析を急いでる所ね」
「でもそれならなんで神のカードを景品に?」
「一度科学者の一人が神のカードを持ち逃げしようとしていたのよ。それでデュエリストの中から神のカードに選ばれた人に託そうって科学者全員の総意でWCSの景品になったの」
「でも、ドーマの一族みたいな連中に渡ってしまう可能性もあるんじゃ……」
「それはある種の賭けね。それにデュエルモンスターズに魂が宿っているのならきっとドーマの一族のような連中に渡らないと信じてるわ」
「科学が進化した文明人が言う台詞じゃないですよね」
「でも信じるしかないわ。今までの科学が通用せずドーマの一族が迫っている以上、オカルトだろうと頼るしかないわ。因みにこの話はレイカにもしてあるから改めて話す必要はないわよ」
最後にと克巳が明日葉に向かって付け加える。
「明日葉君、君に重い責任を押し付けてしまう形で本当に申し訳ないわ。でもこの世界を守る為、先祖の戦いの歴史に一つの終止符を打つために力を貸してちょうだい」
そう言って克巳は明日葉に頭を下げた。
「……俺がデュエルをする理由は、デュエルに救われてデュエルにその恩を返したいからです。そんなデュエルを自分の目的の為に人を悲しませる道具として使うような奴を許す訳にはいきません!ドーマの一族も、ダーツも、俺が倒してみせます!」
「そう……ありがとうね。私達も全力でサポートするから、困ったら言ってね?」
「はい、ありがとうございます」
城之内グループ社長オフィス
「どうでした?久しぶりの明日葉様は」
「ええ、やっぱり格好いいわね。早く彩佳とくっついてくれないかしら」
協会からオフィスに帰ってきた克巳は鏡華と今回明日葉たちに話していた会話を伝えていた。
「そうでしたか。しかし男性を戦いに巻き込むのはやはり納得出来ません。せめてもっとこちらからもメンバーを送ってもよろしいかと」
「そうしたら向こうに嗅ぎつけられちゃうわ。人数は最小限にとどめて情報を揃える。私達に出来るのはそれだけよ」
鏡華の意見に克巳が自嘲気味に答える。自分たちの出来ることが余りにも少ないことに無力感を覚えていたのだ。
「どちらにせよ明日葉君への負担が重くなってしまうのは仕方ないわ。私達に出来るのはその負担を少しでも減らすことだけ。それはあなたもわかるでしょう」
「……目的のためなら男性への負担は仕方ないとおっしゃるのですか?」
「そうね、そう思われても仕方ないわ。何せ『前科』があるのだからね」
「でも信じてるのよ。彼はきっと思いもしない奇跡を起こしてくれるって」
「……因みに全てが終わった後、どうするおつもりで?」
「明日葉君に全て話すつもりよ。私達の『罪』も含めてね……だからそれまで死なないし、明日葉君も死なせないわ」
「ならそもそもデュエルをさせるはずありませんよね?それはあなたのエゴでは?」
「そうよ。そもそも人間はエゴの塊よ。許してもらうつもりも必要もないわ」
「ここまでくると清々しいですね。まあ全ては彼ら次第、負けてしまえば全て無くなるのですから同じことですよね」
「……あなた最近よく毒吐くわよね?」
「気のせいですよ」
(明日葉君……彩佳……どうかこれから起こる戦いに負けないで。自分の大切な人を、どうか信じて……)
克巳は自らの過ちが我が子とその大切な人に降りかからないことを切に祈った。
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デュエル20~焼き肉祝勝会 お酒の暴走を添えて~
あべこべ要素ねえじゃん
ということで急ごしらえのあべこべ要素ですが次回かその次に入れます。今回は入れられる自信がない。
克巳からドーマの一族、ダーツ、そして神のカードの話を聞かされた明日葉達。だが今から出来ることなどたかが知れており、それならWCS本戦に向けてデッキ調整をすべきだが明日葉が
「そういえばプロ入りの時何処か出かけようって言ったっけ……」
この言葉が引き金となり2人の間に電撃が走った。
(そういえばそんなこと言ってた!ドーマの一族とかオレイカルコスとかですっかり忘れてたけど外しちゃいけないビッグイベントじゃないですか!)
(どうする!?こっちからグイグイ行くとがっつき過ぎって思われそうだし、ああでも彩佳に先越されたくねえ~!!)
そうして2人が悶々としていると玄関の扉がガチャリと開く。
「明日葉様!不肖レイカ・アトラス、WCS予選を優勝し只今あなたの下に戻ってまいりました!」
「「!!??」」
そう、戦争の始まりである。
「~~~~~~♪♪」
鼻歌を歌いながらデート当日の準備を進めるレイカ。あの後3人で誰が最初に一緒に出掛けるかで戦争が勃発。麻雀でレイカがW役満を決めて決着がついた。ホントデュエルしろよ。
「嬉しそうだな」
「当然です!WCSは優勝し、その後にご褒美と言わんばかりの明日葉様とのデート!これを喜ばない女性は人間ではありませんわ!!」
「そ、それは言い過ぎだろ……しかも明日じゃないし……」
因みに敗北者2人は部屋の隅で下唇を噛みながら体育座りで不貞腐れている。
「なあ、2人も機嫌直してくれよ。一緒に出掛ける事には変わりないんだからいいだろ?」
「はあ……はあ……敗北者……?」
「乗るな彩佳」
「レイカ……お前はいいよなあ……どうせあたしなんか……」
「地獄さまよってるぞ戻ってこーい」
彩佳は死刑囚のような顔をして悠香は
「分かったよ。じゃあ今日は庭で肉でも焼こう。食ったら気も紛r「「本当ですか(か)!!」」本当だ。ほら、食材買いに行くぞ」
何とか2人の機嫌を直すことに成功した明日葉は近くのスーパーで食材とBBQ用のコンロと木炭を購入。庭に並べて準備を終わらせる。
「いい感じに焼けてきたか?」
「そうですね。食べごろだと思います」
「明日葉様と焼き肉……焼き肉……」
「タン……カルビ……ホルモン……」
「涎出てるぞー。よし、じゃあ俺とレイカのWCS本戦出場に
「「「「乾杯!!」」」」
「さすが明日葉様、わたし達の門出を祝う為にこのようn「明日葉君お肉だけでなく野菜も食べてくださいね!」何で邪魔するのよ?」
「ありがとうな、じゃんじゃん焼くから食ってってくれ。飲み物もあるから遠慮せず言ってくれよ」
「モグモグ」
「明日葉様、うどん等焼いてはいかがでしょうか」
「それいいな。そうだ、米炊いてたし持って来るよ」
「モグモグ」
「明日葉君、この辺り食べごろですよ」
「お、ありがとうな。って彩佳飲み物無くなってるじゃないか。注いでやるよ」
「モグモグ」
「そ、そんな///ありがとうございます。これだけで1週間は生きていけます///」
「大袈裟だろ……今日は遠慮しないで食って飲んでくれよ。今日は彩佳達の為に焼いてるんだから」
「モグモグ」
「私達の……こ、これはチャンスですか?チャンスと捉えていいんですか!?」
「落ち着け!期待されても何すりゃあいいかわかんねえから!」
「分からない?な、なら私が手取り足取り……「あなたという人は何をやっているのかしら?」冗談ですよほんの冗談!」
「全く、このような場所でも気を引き締めないと。いつ明日葉様が狙われるか分かったものじゃないんだから常に周囲を警戒しt「レイカ、この肉焼けたぞ。お前の皿に入れとくな」あ、ありがとうごさいます!明日葉様のお肉……エヘヘ」
「常に気を引き締めないといけないんじゃなかったんでしたっけ~?」
「ッハ!コホン……そ、そうよ。いつだって冷静に、たとえ男性から施しを受けたとしても冷静にならないと「ん?レイカ米も無いじゃないか。今よそってやるよ」明日葉様あああ!せっかくいい感じにまとめようとしているのですから嬉しいことしないでください!顔がにやけてしまいます!」
「ゴメンゴメン。ついついからかいたくなっちゃってな」
「からかいたく……!つ、つまりそれはわたしを……///」
「おーい戻ってきてくださーい!」
「モグモグ」
「あと悠香さんはなんで会話に入ってこないんですか!1人で黙々と食べ進んで、というか全部明日葉君が焼いたお肉じゃないですか!あなたも少しは焼いてください!」
「食事中に喋るのは行儀悪いだろ?」
「!?」
悠香からもっともなことを言われて軽くショックを受けた彩佳。しかもまだ2つ目の回答を貰っていない。
「いいっていいって。彩佳も、俺が焼いとくからじゃんじゃん食え食え。俺のことは気にすんな」
「……そこまで言うなら」
そこからは皆でひたすら肉を焼いて胃がパンパンになるまで食べていった。
「もうダメ、お腹いっぱいです」
「あぁ、なんも入んねえわ」
「お粗末様。さて、俺は……」
コンロを片付け、居間で食べた余韻に浸っている2人をしり目に明日葉は冷蔵庫を開け、中から1本の瓶を取り出す。そのラベルには『米酒』を書かれていた。
「あ、明日葉様!それは……」
「ああ、俺が元の世界にいたころよく飲んでた酒に似たのがあったから買ってみたんだ。最近飲んでなかったから楽しみなんだよなぁ」
明日葉が取り出したのは元の世界でいう『日本酒』である。意気揚々と酒を飲む準備を進める明日葉に3人は生唾を飲み込む。
(あ、明日葉君が……)
(明日葉が……)
(明日葉様が……)
(((酔っぱらった姿……見てみたい!)))
煩悩丸出し。この3人警護官です。
「どうだ?ある程度買ってあるし皆も飲まないか?」
「「「是非!!」」」
3人の食い入るような返事に明日葉は嬉しそうに台所でコップを用意する。沸騰した手鍋にどこから出したのか徳利に米酒を注ぎ、密封して手鍋に入れ、そこから2分程で徳利を取り出し温度を確認する。『ぬる燗』の完成である。
「さあ出来たぞ。つまみは適当に買っといたからそれで我慢してくれ」
「くうぅ……明日葉君が入れてくれたお酒……おつまみ……カロリー……うっ!頭が!」
「今更気にすることじゃねえだろ。それにしてもぬる燗か……たしか香りが強く出る温度だったっけ?」
「これが一番好きなんだ。温かい程度で香りがいいのはこの温度だからな。次の機会にはいろんな飲み方で楽しみたいな」
(いろんな……飲み方……それってわかm)
(彩佳そろそろいい加減にしとけ。お前キャラ見失ってるぞ)
(脳内に……直接!!)
最近の彩佳のむっつり加減に呆れが生じ始めている悠香。でも君も片鱗見せる時あるよ?
「さて、まずは一口……あぁ、思った通りいい匂いだ。この米の匂いが良いんだよ。成人してから親父とずっと飲んでたっけ……」
「明日葉君……」
明日葉は酒を煽りながら元の世界に思いを馳せていた。元の世界にいる自分の父親。母が自分を生んで姿を消してから男手一つで育て、自分が憧れるデュエリストの父親が今頃どうしているか今の明日葉には知ることが出来ない。
(親父……大丈夫かなぁ……)
「……明日葉君!」
「!……どうした?」
「明日葉君は絶対、元の世界に返します。寂しいけど、明日葉君のためならそんなのへっちゃらです!」
「……彩佳」
彩佳の台詞は奇跡といえる明日葉の異世界転移をもう一度起こすというもの。そんなこと一度あれば科学界を震撼させる程の大事だというのにそれをもう一度起こすとなればその確率はほぼ0だ。明日葉もそれは薄々感づいているが
「ああ、ありがとうな」
こんなにも自分を大切に思っていてくれる人がいることを嬉しく思わずにはいられなかった。
「任せてください!」
「なんか置いてきぼり感……」
彩佳が満面の笑みを溢し、夜は更けていく。
「で終われば良かったんだけどなあ……」
「ん~~~あしゅはくぅ~ん♡」
酔っ払い彩佳再臨である。因みに他2人はすぐに酔いつぶれた。
「わたしぃ~頑張ってましゅよね~?だから~ご褒美がほしいなぁ~って?」
「頑張ったって何をどう頑張ったんだよ……」
「頑張ってましゅよ!いつもあしゅはくんにきしゅしたいの我慢してるんでしゅかりゃ!」
「そ、そうは言ってもそういった関係でもないしな……」
若干幼児化している彩佳をなんとか宥めようとする明日葉。それでもやはり暴走は止まらず
「明日葉君は私に魅力を感じないんでしゅか~?確かにアピールしようとしても失敗しますけど……それでも明日葉くんに見てもらいたいから……迷惑ですか?」
彩佳の上目遣いに明日葉もドキッとする。酒のためか頬も赤くなっていてより扇情的になっている。
「あ、彩佳。分かった分かったから///顔近いって///」
「え?……ほっほ~ん、明日葉くんはこういうのが好きなんですね~?どうです?触ってみますか~?まあどこをとは言いませんが触ってみますか~?」ホレホレ
何かに気づいた彩佳がこれ好機と言わんばかりに明日葉を挑発していく。さすがの明日葉も女性の誘惑は色々と毒であり、尚且つ酒が入っている故か思考が
「お、お前……///っ!」
「……ふえ?///」
明日葉に声を掛けられた瞬間っ!彩佳の思考は一瞬!一瞬停止した!!
普通、人は羞恥心に駆られると顔を背け、相手に隙を作る!しかし、明日葉はあろうことか、
逆に彩佳を押し倒した!!
「あ、あしゅはきゅん!?ど、どどどどうして……///」
「彩佳……いい加減にしろよ。これ以上挑発するなら……
マジに襲っちまうぞ?」
「……え?///」
「……///」
「///」
「あy「キュー///」あ、おい!寝るな起きろ!おい!」
この空気に耐えられなかったのか彩佳は顔をタコのように赤くして倒れてしまった。
翌日
「うう……頭が痛いです……。昨日お肉を食べ終えてから……何があったんでしたっけ?」
「あたしはすぐ潰れた自覚あるけど、明日葉くらいじゃね?明日葉、昨晩何かあったか?」
「……何もなかった///」
「?」
「で・え・と♡で・え・と♡」
その日明日葉はまともに彩佳の顔を見れなかったとさ。
シリアスばっか書いてた気がしたからこういうの分からなくなった……日常系も入れたい。だって本来こっちメインで書きたかったもん。
少しの間デュエルは無いかも。しばらくは今まで無くしていたあべこべ要素を入れていきたい。
では次回も頑張って書きあげます。ではー
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デュエル21~明日葉ピンチ?差し出せ、その遺伝子~
今回は……あべこべあるかな?ネタはちょいちょい入れられるようになったけどそっちが不安です。初期の頃の発想戻ってこい……(叶わぬ願い)
遊崎家 居間
「……これどうしましょう」
「そう聞かれてもな……」
「どのみちやらねばいけないけれど……問題は」
精液検査キット「( 0w0)ナズェミテルンディス!」
「「「どうやって明日葉(君/様)に伝えるか」」」
3人の警護官の前には男性に精子提供をしてもらうための「精液検査キット」が置かれていた。
何故これがあるのか、そしてこの3人が揃って頭を抱える理由は数時間前に遡る。
(^U^)ようこそおいで下さいました!ここから回想です!
男性保護協会本部
「すまないが明日葉君の精液を採取してほしいんだ」
「部長いきなり何を仰るんですか!?」
いきなり上司である本田景子に呼び出された時は何事かと構えた彩佳たちだが、その内容は『明日葉の精液を採取してこい』という身体的には危険でないことが救いだが、別の意味で危険信号が鳴り止まない内容だった。
「あの、部長?明日葉君はこの世界の住人ではないですし、提供はしなくてもいいのでは?」
「研究者の言い分では別世界の遺伝子を解析すればこの世界の男性も性に活発になるかもしれないだとさ。全く、そのために実験に付き合わされる明日葉君のことなんて考えやしない。男性には感情が無いもんだと勘違いしてる。胸糞悪くなるねえ」
実際景子の言葉は大半の研究者に言える言葉である。過去に減少した男性の遺伝子を用いてクローン複製を作ろうとする試みが行われていたが、そのために行われていた男性に対する非道な扱いに様々な所から非難の声が上がった。それからは鳴りを潜めていたが今回明日葉の登場でまた声を荒立てているようだ。
「『これに応じなかったら直接自宅に出向くからな!』と言っててな……そんなことしても意味ないのに。まあ面倒事にならない内にあんたらから頼んでくれよ」
「そりゃあそうだけど、明日葉がそれで納得してくれるかがなぁ……」
この世界の男性は女性に対する恐怖故か、精液採取にも非協力的である。まあ、女性の自業自得といえばそれまでだが。
「でもやってくれなかったら明日葉君の方が不利益を被る。理不尽だが、納得してもらうしかないんだよ」
「というか、なんで明日葉様の秘密を勝手に話しているんですか?こういうのは他言無用な案件として箝口令を敷くでしょう?」
「あたしが言ったんじゃないよ。人の口に戸は立てられないってことさ。それに一応にも国お抱えの研究機関の要請だから国も甘くてね。まあ明日葉君なら説明してくれたら理解してくれるさ」
「部長に明日葉君の何が分かるんですか!!」
「どうしたいだいお嬢!?」
「あ、すいません。明日葉君の事を考えるとつい……」
いきなりの彩佳の発言に戸惑う景子だが、すぐに調子を取り戻し改めて3人に指令を渡す。
「さてお嬢、悠香、レイカ。君たちには明日葉君の精液採取をして貰う。その際決して怪我をさせないように。以上、解散!」
「「「はい!!」」」
そして今に至る
( 0M0)(考えが)アマイナッ!
「あんな事を言っても明日葉君は男性です。直接言われたら絶対傷つきますよ。なんとかオブラートに伝えないと」
「そりゃあそうだよな。でも今回みたいなケースで警護官と男性の仲が著しく悪くなるパターンもあるって聞いたことあるぞ」
「「…………」」
悠香の台詞に3人の間に静寂が走る。
「いやいやいやいや」
「明日葉様に限ってそんな……」
『彩佳……こんな趣味だったんだ……ちょっと……引くな』
『止めてくれ!こんな趣味持ってる人を警護官に選んだなんて俺が間違ってたんだ!二度とその顔見せないでくれ!!』
「「……………………」」
「嫌ああああああああああああああああああああああああああああ!!!嫌だ嫌だ明日葉君と離れたくないそんなの嫌ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「あ、彩佳おおおおおおおおちつ、落ち着きなさい。ああああ明日葉様に限ってそそそのような馬鹿なことがある訳ないじゃないかもしれないじゃないそんなことあるわけナイジャナイ……」
彩佳は発狂し、レイカは冷静を保とうとしているが、コップを持つその手は複数あるかと幻視するほどに震えていた。
「落ち着けぇ!兎に角、明日葉にさりげなくこれを伝える方法を考えるんだよ!そうしないとあのクソ研究者ども来るぞ!」
「ッハ!それはダメです!そんなの絶対許しません!明日葉君は私が守ります!」
「そうよ、あの研究者たちに明日葉様を汚されるなら嫌われた方が……良くないけどやるしかないわ!」
2人は明日葉に降りかからんとする火の粉を払うために奮起した。しかし問題は依然として解決していない。
「でもどうやって伝えるか……それとなく気付いてもらうようにしたいですよね」
「それが問題だと言っているんじゃない。DNA検査とごまかせるかしら……」
「『DNA検査の為に精液をください』って言うのか?明日葉なら血でいいじゃんて言うと思うぜ」
「第一今はなんで精液採取してるのだったかしら?」
「特に理由は無かったはずです。強いて言えば研究者が『お楽しみ』をするため。ですね」
彩佳からもたらされた情報に2人は苦虫を噛み潰したような顔をする。自分の警護対象をそのような目で見られていい顔をする女はいないだろう。
「兎に角今は明日葉にどう伝えるかだ。そうだな……『研究の為に精液をくれ』は?」
「そんな
「そもそもその言い方別の意味に聞こえるから絶対やらないでくださいね。でもそう考えるとあちらの世界は男性にとっても女性にとっても良い世界だったんですかね。こういうことを考える必要も無いんですから。明日葉君はどういったら納得しt「俺がどうかしたか?」ひゅい!あ、明日葉君!?」
3人が同じ方向を向くと、そこには件の中心人物の『遊崎明日葉』がいた。まあこの家が明日葉の家なのだからいて当然なのだが。
「なんか大きい音がしたから来たけど……んで、どうしたんだ?」
因みに検査キットは咄嗟にレイカが隠したので明日葉には見えていない。
(ど、どうします?ここはやっぱり正直に言って納得してもらった方が得策じゃないかと……)
(馬鹿言うな!誰がそれを言うんだよ!あたしは無理だかんな、下手こいてドン引きされたら死ぬ自信がある!)
(わたしも無理よ!彩佳、一番大丈夫な可能性があるのはあなたよ!あなたが嫌われてもわたしはセーフだから!)
(なんで私が言う前提なんですか!ここはせめてじゃんけんでしょ!?)
(言い出しっぺなんだからつべこべ言わずやれや!どうすんだよ、明日葉があたしたち何も言わないからポカンとして突っ立ったままだぞ!ド〇クエの村人状態だよ!早よ!早よ!)
(ああもう分かりましたよ!やればいいんでしょうやれば!)
「あ、あの……明日葉君?」
「ん?どうしたんだよ改まって?」
「ええと……その……」
「なんか言いにくいことか?」
「え?そ、そう!そうなんです!ちょっとお仕事の話で緊張してしまって……」
「そうか、ひとまず落ち着いてな。ほら深呼吸」
「ヒッヒッフー」
「それラマーズ法だ。お前妊婦じゃねえだろ」
「す、すいません。……それで明日葉君、お話の内容なんですが……」
(こうなったらもうヤケです!やっちゃえ私!)
「……つまり俺の精子でこの世界の男の遺伝子との差を調べると?」
「そ、そういうことです……」
「ほーん……
分かった。いいぞ」
「そうですよね……そうそう許す……え?」
「要は遺伝子提供だろ?いいぞ」
「い、いいんですか?言っておいてアレですけど男性の意見の方が優先されるケースの方が多いですから今回も断ることができるかもしれないんですよ?」
「いや実はそれに条件を付けたいんだ。それは……」
「そ、それは……?」
「「……」」ゴクリ
「実は……処理するためのモノがなくてな……///」
「「「……え?」」」
明日葉の発言に3人は思わず固まる。この世界において男性から処理なんて言葉は聞かない。しかもそれを自分に言われることなど宝くじで1等を当てる程無い。
ただ明日葉も元の世界の男の子であるということなのだ。
「あ、あの……明日葉君、もももしかしてそれって///」
「いやいやいやいやそうじゃなくって!お前らに相手してもらう必要は無いんだ!ただそのためのものを貸してくれたらいいってだけで……」
「そ、そそそそのことってことはつまり……アレ……だよな///あ、あああたし、明日葉なら……い、いいよ……?///」
「だからいいって!協会にそのための媒体とかあるだろ?男の数も相当数いるんだから処理のための道具とかさあ!」
「ありませんよ?」
「……え?」
「男性の精液提供の補助はわたしたちが担当します。つまり、あ……明日葉様の一物をわたしたちが扱くのです///」
「……マジ?」
「はい///」
「……」
明日葉の意識はここで途切れた。衝撃的すぎる発言と現実離れした状況に脳がついてこなかったのだ。そして目が覚めても3人の反応は変わらなかったので、
そのうち明日葉は、考えるのをやめた
尚、精液提供は後日自分でなんとかした。
えっちくなると思ったか?残念普通だよ!(泣)
本当は書こうと思ってたけど書き進んでいる内にえっちくなくなったんでこっちに書きました。まあ次があるよ(適当)
こっちの次回はレイカとのデートだと思います。頑張るから待ってね。
ではではー
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デュエル22~デートイベント 明日葉の気持ちを聞け~
デート1弾です。
遊崎家
この日は明日葉にとって人生で初めての日となった。
(今日が……レイカとデートか……)
プロ認定試験の後彩佳たちに言った台詞から彼女たちが「デートなら二人きりがいい」と順番を決めだした。それで一番に決まったのがレイカということなのだ。
「服装は……いつものでいいか。デッキと、ディスクと、スマホ、財布があれば十分かな。そう言えばこっちでのデートってどんな感じになるんだ?まあ元の世界でもデートなんてしたことないけど……」
そう言いながら1階に降りていく。リビングには彩佳と悠香がおり、今日のことに若干不機嫌だがこれでも納得している。
「おはようございます」
「おはよ」
「おはよう。今日はよろしくな」
「」ムスー
「許してくれよ。そもそも2人きりで行きたいって言ったのはそっちだろ?それにどっちにしろ2人とも一緒に出掛けるんだし今日はさ、な?」
「そうですけど……」
明日葉の台詞に彩佳は口を尖らせながらも今日のことを自分に当てはめて次はこうなるからと自分に言い聞かせる。
「そう言えばレイカはどうしたんだ?」
「レイカは準備するって自分ち戻ったぞ。1時間前に出たし、あと30分はかかるんじゃないか?」
「そっか、メイクとか色々あるもんな」
「え?メイクは男がするもんじゃないのか?」
「え?」
「だって悠希さんも外出するときしてたし、てっきり明日葉もしてるもんだと……」
「い、いや。ノーメイクだけど……」
「それでこの完成度か……本当に明日葉の担当になれたのは運が良かったんだなぁ……」
「明日葉君と最初に出会った私に感謝してくださいね!」ドヤァ
「あーはいはいどうもねー」
「棒読み過ぎじゃないですか!?せめてもう少しくらい感情込めてくださいよ!」
そんなやり取りをすること30分。遊崎家のインターホンが鳴った。
「お?レイカかな。じゃあ2人共、警護頼んだぜ」
「はい/おう!!」
2人にそう言いながら玄関の扉を開ける。するとそこには
「お待たせいたしました明日葉様!さあ参りましょう!!」
リムジンとその護衛であろう黒塗りの高級車が5台停車していた。
「……」
「あの?明日葉様?」
「……ッハ!ここは、現実世界!」
「何があったのですか!?」
「仕方ないんじゃないですか?明日葉君元の世界ではそこまで裕福ではなかったそうですしリムジンを見たこと無いのはこっちでも普通です」
レイカの反応に半ば呆れながら答える彩佳と普段使わないリムジンに若干心躍らせる悠香。しかしこれは明日葉を迎えるものの為、悠香は乗れない。残念。
「レイカ、何故……リムジン?」
「? 明日葉様のような男性を乗せるならこれくらいは当然ではありません?」
さもこれが当然のといった物言いだが当然ではないし、これがこの世界の女性の大半を占めるのだから質が悪い。
「と、とにかく行くか」
「そうですね。では明日葉様、参りましょう♪」
「ぐぬぬ……」
「そういえばどこか行きたいとかあるのか?」
「明日葉様の服装、いつもそのような黒がメインですよね。今日はおしゃれを目指してはいかがでしょうか」
「お、おしゃれ……か……」
「どういたしました?まさかわたしの提案が不快でしたか!?」
レイカの提案にあまり乗り気でない明日葉。不思議に思ったレイカは自分に落ち度があると考え、悲観的になるが明日葉はそれを否定する。
「違う違う!ただ、友人と出かける時とか服選ぶんだけどさ、友人からは全くと言っていい程不評だったんだよね……」
「そうだったんですね……では本日はわたしの家が懇意にしている洋服屋でコーディネートいたしましょう!わたしのこれもその人のコーディネートなんです!」
そんなレイカの服装はカットソーにロングスカート。上着にパーカーと明日葉の世界でも女性がするような服装で明日葉も馴染みのある服装だった。
「そっか、それなら安心……かな?」
しかし、明日葉はここで一抹の不安を抱える。それは『そこに行ったとして男という理由で襲われないか?』ということだ。
ここで注意する点として明日葉は決してうぬぼれているわけではない。ただこの世界に滞在して3か月、協会の女性を始め、ユニオンやその他職場に従事する女性はとにかく男性に執着する傾向が強い。いやもう強いレベルで片付くか疑問だが、とにかくその女性たちに今回のデートを叩きつぶされないことを祈るばかりだった。
リムジンで移動すること20分.レイカの言う洋服屋に到着した。しかしそこで明日葉はもう一つの懸念が浮かんだ。
「そういえばこの店って、男服あるのか?」
そう、この世界は男性は基本外出しない。その為男性服なぞ入荷しても意味は無いのではと考えたのだ。しかしそんな明日葉の懸念は問題ではないといった具合にレイカが答える。
「大丈夫ですよ。男性服を買い求める女性もいますし、夫婦で買い物に来て店員に嫉妬の目で見られたい方もいるんです。わたしの家の男たちとも何度か足を運んでいるんですよ」
「てことは何度か男のコーディネートもしてるってことか。なら大丈夫だな」
そう会話している間に地下駐車場に入っていく。因みにこの洋服屋はちゃんと立体駐車場も存在し、地下は男性用である。
「明日葉様、これより入店しますけど男性は認証が必要なんです。まあ顔を一度見せるだけなんですけどそれをいつまでもやらせようとするのですぐ切り上げてください」
「お、おう……わかった」
苦笑しながらもレイカの後についていく明日葉。更に後ろからは警護の為の彩佳と悠香、レイカが連れて来た警護官20余人がついてきている。
(うっわモノホンの明日葉きゅんだ!ヤバいカッコよすぎない?今日仕事で良かったああああああああ!!!)
(ああああああああ明日葉さま!明日葉さまが目の前に!ダメ!立ってるのがやっとなんですけど!)
(明日ちゃん!明日ちゃん!またデュエルみたいよぉ~ここフィールドあったけどやらないかなぁ~!!やって欲しいなぁ~!!)
「明日葉君~~、レイカさんと一緒がそんなにいいんですか~~?私とじゃ満足出来ないんですか~~~~?」
「諦めろ彩佳。今回あたしたちは負けたんだ。次に賭けよう、な?」
「……ふふっ」ニヤニヤ
涙目になる彩佳とそれを慰める悠香へ愉悦の笑みを漏らすレイカ。WCSへの出場の為とはいえ2人より明日葉と一緒にいた時間が短いのが明日葉との距離が離れていると考え、今回距離を縮める為にどうするか考えた結果が今回の明日葉コーディネートである。
それはそれとして先程レイカの言った通り、ここでは男性認証のためにモニター越しとはいえ男性の顔を直視する。そうするとこの世界でどうなるか
『ひゅうううううううううう!!久々の男だイエエエエエエエエエエエエエエ!!!』
『え?マジマジ!?ホントだひゃっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうううううううう!!!え?しかもこの方あの明日葉様じゃないですかやったああああああああああああああああああああああああ!!!』
『明日葉様!?明日葉様が来たって!?マジか!サインと写真と種貰わないと!!ひゃっほおおおおおおおおおおおうううううう夢が広がりングだぜえええええええええええええええええええええ!!!』
瞬間、明日葉の背後から感じたことのない感覚が流れた!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「明日葉君に手を出したら殺す……」
「生きてることを後悔させてやる」
「モニター前のお前!今からつぶしに行くから覚悟しとけ!!」
「ひき肉にしてやるよぉ!」
「……」
怒らせちゃったなーこれなー
いつもの2人は殺意を抑えられず、他の警護官は隠す気すらも見られない。だがそれでも警備員は明日葉しか目に映っておらず。後に起こる悲劇なぞ微塵も考えていなかった。
『あ、あああ明日葉くん!今日はどういった用事ですか!?よかったら私が案内しますよ!1階から5階まで洋服ならなんでも取り揃えておりますので、ごゆっくりご覧ください!ん?明日葉きゅんがいるってことはここにいれば明日葉きゅんをずっと監視出来るってこと……てことは明日葉きゅん眺め放題だぜひゃっほおおおおおおおおおおおうううううう!!!』
『マ?だったらしばらくオカズに困らないじゃんイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイイ!!!』
『ああ!明日葉様の着替え!生着替え!映像永久保存版じゃない!あああああ明日葉様ああああああああああああああああああああああああその御身体をお見せくださいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!』
警備員がトリップしているとレイカがおもむろに携帯を操作し、何処かに電話を掛けている。
「レイカ、どこに掛けてるんだ?」
「警察です」
「!?」
「当然です。このようなゴミ共に慈悲の心など不要でしょう?それに明日葉様も公然にオカズ宣言されてよろしいのですか?」
「嫌だけどさ……」
明日葉がそう言っている間にレイカが警察に連絡を入れ、警察が到着するまで5分。流石に速過ぎである。
「なんで警察動いたんだ……」
「男性保護は国を超えての義務ですから、何よりも優先されるんですよ。因みに男性犯罪は重罪なので彼女たちはクビは免れないでしょう」
「慈悲がなさ過ぎる……」
明日葉が警備員の女性たちの処遇に同情するもよく考えたら自分に対して劣情を持っていた故なのだから自業自得なのか?そうだそうに違いないと結論付けそれ以上は考えないようにした。
3階 紳士服売場
「明日葉様、ここが紳士服売場なのですが今こちらに先程申し上げたコーディネーターが向かっております。少々お待ちくださいね」
「分かった。そういえばその人ってどんな人なんだ?性格とか」
「……一言でいうとド変態です」
「あっ(察し)」
そう話していると店の奥から一人の女性が出てきた。
「あらレイカちゃん!遅れちゃってごめんなさいね~会議で時間食っちゃって」
「セラさん!遅いですよ!明日葉様、今遅れてきたこの方がわたしのコーディネーターのセラ・ローラさんです」
「セラです。あなたがレイカちゃんのこいb「いきなり何を言っているんですか!?」何言ってるの?警護官に任命されていの一番に『わたしに恋人が出来ましたわ!』って「わああああああ!!わあああああああ!!」
レイカは顔を真っ赤にしてセラの話を遮る。しかし、耳聡く聞いていた
「レイカさんどういうことですか!何勝手に明日葉君を恋人認定してるんですか!?アレですか自分WCS本選出るから同じ出場者で警護対象の明日葉君とお似合いカップルとか言いたいんですか!私だって言いたいよチクショー!!」
「おめえ……一線超えちまったな……いくらあたしでも擁護出来ないわ」
「落ち着きなさい!何を慌てているのかしら?このような虚言で動揺していては警護官なんで務まらないわよ!」
「「誰のせいだと思っているんですか(だ)ああああ!!」」
何食わぬ顔で責任を逃れようとするレイカに盛大に声を荒げる2人。まあ他所で外堀埋められてるなんて知ったら仕方ないとは思うが……
そんな3人を余所にセラは明日葉に言い寄っている。
「それよりも明日葉君……だっけ?実際に見ると本当に格好いいわ~。WCS見たわよ。あ、この後時間あるかしら?ちょっとあなたにモデルの話があるんだけd「セラさん?何しくさっているのかしら?」はっはっは冗談よだからその拳をおろしてほしいかなーって」
そんな漫才(?)を繰り広げた後、ようやく本題に入った。今回は明日葉の要望である黒をメインにコーディネートを進めていくことになり、セラ持って来たものを取り敢えず着ることにした。
「こういうのって新鮮だな……おしゃれが縁遠い生活だったってのもあるけど女性とデートってのも無かったし」
「デッ……! そ、そうだったんですのね。てっきり元の世界でも人気者だと」
「そうでもなかったよ。女性はデュエルそんなにやる人いなかったし、プロとなると競ってなんぼみたいなところあったからさ」
「……明日葉様」
「時々思うところがあってさ。このまま元の世界に戻って皆が俺を受け入れてくれるか不安になってさ、元の世界に戻るのが……ちょっと怖い」
「……なら戻らなくてもいいではないですか」
「え?」
「こちらで生きていけばいいではないですか。わたしもいますし癪ですが彩佳や悠香もいます。協会の男性たちも明日葉様をお慕いしていますし、生活の心配もありません。お父上様には残念ですが、明日葉様の事を考えるとこちらで暮らした方が良いと思うんです」
「……レイカ」
「確かにドーマの一族などという謎の集団がいますがわたしが倒して見せます。明日葉様の手を煩わせる事は絶対にさせません。ですから……わたしの傍にいてくれませんか?」
「……!」
「明日葉様にとってこれが大きな選択というのはわかります。しかし、この世界には少なくともあなたが残る事を望んでいる者がいる事を忘れないで下さい。答えは、またいづれお願いします」
「レイカ……ありがとうな」
「いいえ、これも警護官のお仕事ですから」
明日葉が着換え終わってからのフロアは簡単に言えば地獄絵図であった。何があったか簡潔に説明すると、
明日葉が普段しない恰好にギャップを覚え沈んだ某警護官3人。更に慣れない事をしたことに多少羞恥心があったのか頬を赤らめる明日葉に残りのライフを全損した他の警護官十数人が浄化、天に召された。これだけ聞けばまだ傷は浅いのだが、上階下階から聞きつけたのか客が押し寄せ残った警護官との死闘を演じた。正に死屍累々の戦場と化したこのフロアだが、男性用の非常脱出ルートがあったためそこから外に出て車で帰宅した。
「途中まではよかったのになんでこうなるんだ……」
「男性を求める本能が明日葉様のフェロモンの相乗効果で理性を破壊したからだと思います。明日葉様のフェロモンは近くにいるだけで中毒作用がありますから」
その台詞を聞いて明日葉は頭を抱えた。こう言うという事は他に彩佳や悠香もそうだと言っているのだ。こんな事実知りたくなかった。
「もうそれはいいか。そうだ、レイカさ、俺の事様付けで呼んでるじゃん」
「ええ、どうかしましたか?」
「これからは様呼び無しにしないか?なんか他人行儀みたいでよそよそしいからさ」
「し、しかしこれはあくまで任務で「傍にいてくれるんだろ?」ふぇ!?」
「だったら他人行儀もやめよう。呼び捨てで無くてもいいから、もっとフレンドリーに行こうぜ」
「明日葉様……いえ、わかりました。
明日葉さん」
「!?」
「どうしました?」
「いや、なんていうか……グッと来た」
「え……ええ!あ、あのそれって……」
「はいはい、今日のデートはお終いでーす。早く離れてくださーい」
二重の拍手と共に彩佳と悠香が無表情で現れる。実は今回のデートにおいて3人で決めたルールがあった。『一線を超えない事』、『時間は午後8時まで』、『他2人は手だし不可』の3つである。そして午後8時を過ぎたため、デートが終わったのだ。
「さて、これでレイカさんのデートが終わったので
堂々と明日葉君に抱き着けるやったー!」
「あ、彩佳ずりいぞ!あたしだって!」
「い、いや待てその勢いは潰r…グッフォア!!」
「……はぁ」
いい雰囲気で終わりそうだったのに時間でそれがぶち壊しになった。この世界の女性なら普通戦争案件だがレイカは自分を律する。
(明日葉さんも、こういう女性の方が好みよね)
「明日葉さん、デートが終わってもわたしがスキンシップをしてはいけない理由はありませんよね?」
「……もうお好きにどうぞ」
今日も遊崎家は平和です。
レイカデート終わりです。2月空いてこれかよと思う方もいると思いますが許して(懇願)。
次回は悠香書きます。というかデートは番外の方がいい可能性もある。
次回はなるべく早くあげます。頑張るから、俺頑張るから!
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デュエル23~悠香とデート いつか返す恩~
でも血反吐を吐いてでも完結させてやるからな……(鉄の意志)
今回は悠香のデート回ですがあまりデートしてない……まあこんな事がしたかったと気楽に見てください。
「……ドーマ」
深夜、明日葉は眠れずにいた。その原因はWCSで加賀良岬を裏で操っていたドーマの一族である。
「入院から一切目覚めず、しかし健康状態を維持、か。」
彼女はドーマの一族に利用されていたのは分かった。しかし、あそこまで傾倒していた事からドーマのカリスマがどれ程の物か分かる。それは同時に至る所にドーマの息のかかった者が存在していると容易に想像できた。
「これからどうするか……下手をしたら協会にもいるかもしれないし、警戒するに越したことはないのは確かだけど……」
これから起こるかもしれない危機に、明日葉は胸騒ぎを覚えていた。
翌朝
「明日葉おっはよー!!」
「おお……おはよう」
明日葉は寝ぼけまなこで悠香に応える。今朝から悠香のテンションが高いのは察しの通り、今日は悠香とのデートである。
「明日葉大丈夫か? すごく眠そうだけど」
「実は、昔から朝が苦手でさ。寝起きも悪いんだ」
それだけではなかったが、今日の事を思うと昨日考えた事なんて言えなかった。
「知らなかった……まあまあ長い付き合いだと思ってたけどまだ知らない事も多いな」
「まあそんなもんだろ。さて、飯食って準備するか」
「そうだな! それじゃあ作ってくるぜ!」
ハイテンションのまま悠香は下へ降りていった。明日葉はというとまだ寝間着のままの為、ゆっくりと着替えてから降りていった。
「おはよう……ねむ……」
「明日葉君、大丈夫ですか? 隈が出来てますよ?」
「ああ、寝る前に加賀良戦の時の事を考えててな。考察してる内に夜更かししてたみたいだな」
「加賀良岬……ドーマの一族……」
「しかし何故ドーマの事を?」
「いや、加賀良の信仰具合を見てもあそこまで傾倒するのは異常かなって。もしそれがデュエルの世界だけじゃない、例えば政界にも向いていたら恐ろしい事になるって思ってさ」
「それは……確かに……」
「で、でも私の家は大丈夫です! あの古文書が家にあったって事はドーマの一族は私のご先祖様も戦っていたんですよ!」
「今回もそういくとは限らないわ。何なら負ける可能性だって」
「なんでそういう事言うんですか!」
「あなたの技術を見なさい。明日葉さんに鍛えられても私に勝てていないようじゃドーマにだって勝てないわ。あいつらは歴史に書かれる言わば怪物よ。それをあなたの力で打倒するのは一生かかったって不可能よ」
「うぐ……じゃあレイカさんも無理と」
「何を言っているのかしら? 明日葉さんと私が一緒に戦えばドーマの一族など恐れるに足りないわよ。あなただという話と気付かなかったかしら?」
「ムキー!」
「まあまあ、今そんな話してもしょうがないじゃないかよ……ほらお待ちどうさん」
彩佳とレイカが一触即発する前に悠香が上機嫌に料理を運んできた。まるで二人の事などお構いなしといった様子だ。
「あなた、今日明日葉さんとデートだからって驕りが過ぎるんじゃないのかしら?あなたも例外じゃないのよ?」
「そりゃわかるさ。でもレイカの時だってその話題出なかったろ? あたしだってそんな事考えてデート行きたくねえし」
「しかしそれを忘れてはいけないということよ。外出中に襲われたりするかもしれないし、明日葉さんの場合はドーマだけではないのよ」
「それは……そうだな」
先日のレイカのデートを思い出す。明日葉のおしゃれ姿をご拝謁して自分が轟沈し、店内の客が暴徒と化した事件を思い出し、それぞれ苦笑いを浮かべる。
「ま、まあそれを克服するのも仕事だろ! 明日葉の担当になって日も経ってるし、そろそろ慣れないとさ!」
「それが出来るの?」
「……どうだろ?」
「あきらめんなよぉ!」
朝食もほどほどに悠香と明日葉は出発の準備を済ませ、悠香の運転で出ることになった。なお、彩佳とレイカは別の車で警護活動である。
「今回はデートって言うよりあたしの行きたい所についてきてもらうって感じだけど良かったのか? 明日葉が行きたい所でも良かったんだぜ?」
「そういった情報入れてないから行きたい所もないし平気だ。それに悠香の行きたい所ってのも気になるしな」
「そ、そっか。じゃあ次はそういうのリサーチしてから行こうぜ……」
「ああ、そうだな」
車内でも悠香は何事も無いように振舞う。実はこの空間には既に明日葉が振り撒いているフェロモンで普通の女性がその場にいるだけで女性の本能を刺激し、理性に永続ダメージを無限ループさせているのだ!
「あと10分くらいで着くけど、コンビニでも寄るか?」
「大丈夫だ。腹も減ってないし、トイレもあっちで借りればいいしな」
「(いやあたしがマズいんだよおおおおおおおお!!)そっか、じゃあこのまま行くぜ」
早く着かねば自分が危ない(主に明日葉関連で)。悠香はアクセルを踏み、徐々に加速させる。
「悠香?ちょっと速くないか? 少しスピード落としても」
「いやちょっと待ち合わせがあってさ。早めに着きたいんだよねー(棒)」
「いやだからってこれ100キロ出てるああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
結果悠香は120キロ出して目的地へたどり着き、事なきを得た。
明日葉は「悠香は運転させるとキャラが別ベクトルで荒くなる」という認識が生まれ、悠香の運転が軽くトラウマになった。
「死ぬかと思った……」
「な、なんだよ。明日葉も怖いって思うんだな」
「当たり前だ俺を何だと思ってんだ……」
「……恐れ知らずのデュエル脳?」
「おい、デュエルしろよ(怒)」
そんなやり取りをしていると着いた施設から一人の女性がこちらに駆け寄ってきた。
「悠香~~~遅くなってごめんなさああああああああああああああああああああああああああああああああ!!????」
尚、明日葉を目の当たりにしてすぐにキャラが固定されてしまった。
「本っっっっ当にすいませんでした!!」
女性の働いている施設『マーサの家』という孤児院の応接室で明日葉と悠香に深々と謝罪している。今まで男性を見てこなかったのか明日葉に対してこれでもかと頭を下げている。
「あの、そんな頭下げないでください。気にして無いですから」
「そうですよマーサ。明日葉もあれには慣れてるんで」
「でも男性ですよ! 緊張するなって方が無理ですって! ああなんで教えてくれなかったんですか! 教えてくれたらもっと掃除もしたしおしゃれだって……」
慌てふためきオロオロとする仕草に明日葉は思った。
(……イイ)
この世界に来てからテンションが思春期真っ盛りの男子中学生のような女性、その女性に恐れおののく男性、本音を言えと流石に今までの感性でものを見たい。有り体に言えば『女性らしい女性』を見たかったのだ。そこで
(そうか……女性ってこういった人の事を言うんだな)
「明日葉、今失礼な事考えてなかったか?」
「いや別に?」
「本当か?」ジト……
「イヤーナニイッテルカホントワカンナイ」
「……」ジー
棒読みで逃れようとする明日葉と明日葉にジト目を向ける悠香。それを
「と、とりあえず! お久しぶりです悠香さん。最後に会ったのは警護官就任が決まった年だから2年ぶりくらいですか」
「そうですね。仕事も大変ですけど仕事仲間も良い人だから楽しくやれてますよ」
「そう! ……それで、そこにいる御方が」
「はい、遊崎明日葉で、あたしの警護対象です」
「これはこれは、うぅ……」
「! ど、どうしたんですか?」
「マーサ……泣くほどうれs「また行き遅れた~!」???」
「……え?」
明日葉は自分の聞いた台詞が理解出来ず悠香に至ってはマーサが何を言ったか理解したくないといった感じだ。それでも話が進まないから思い切ってマーサに尋ねる。
「あの……今なんと「分かってますよ! 今のご時世で結婚なんて夢のまた夢だって! でも願うのはタダじゃないですか! 私だって結婚したいです! 子供産みたいです! 男性と色々したいんです~~~~!!!」……」
マーサの変わりように思わず絶句する。一方悠香は
「色々……明日葉と色々……///」
マーサの発言でショートしていた。
「すいませんでした……///」
マーサは先程より深くあたまを下げ謝ってくる。明日葉も苦笑いながら許し、孤児院内を案内される。
「随分子供が多いんですね」
「ここは国営ですから。世界的にも未成年孤児は全世界の2%を占めるのでこの孤児院で済んでいるこの国はマシな方なんです」
「そんなに多いんですか!?」
「中には男が欲しかったって理由で子供を捨てる親もいてさ、それで虐待されたり捨てられた子をここで引き取るんだ」
悠香の台詞に明日葉は苦虫を噛み潰したように顔を歪ませる。明日葉は父親一人で育てられ、その背中に憧れた事から親の素晴らしさを知っているがこの孤児院の子はそれを知らない。それが余りにも辛く感じられた。
「明日葉、ここの子を憐れに思うならお門違いだぜ」
「でもさ……」
「あたしも親が忙しかったからって理由でここに預けられた事があったけどさ、ここの連中逞しいっていうか、こんな現状屁でもない奴らなんだ。あたしも最初明日葉と同じような事言ったけどその時帰ってきた言葉が「これから幸せになればいいんだよ」ってさ。だから大丈夫さ。この家の子はどんな奴にも負けないよ」
「悠香も……」
「あたしは親もいて、ここで得たものも大きいかったからさ、ここに少しでも恩返し出来たらいいなって思ってるんだ」
「……そっか。悠香にとってここは俺にとってのデュエルモンスターズなんだな」
「……そういうことになるのか。うん、そうだな」
「……ッ!」
喋り方に似合わず悠香の表情は女性らしいそれ(明日葉視点)だった。この世界にきてから女性の目が怖いためかただでさえ女性関係がなかった為に益々女性らしさに耐性が無くなっていた。
「? どうしたんだ?」
「な、何でもない///」
しかし悠香がそれを知る術はない。
仕事があるとマーサと別れある扉の前についた二人。
「っと、ここが普段子供たちのいる食堂だぜ。丁度昼飯の時間かな」
「そんな時間に邪魔して良かったのか?」
「いつもこんな時間に来てたから、マーサからも許可貰ってるし食べていこーぜ」
「そっか、ならお言葉に甘えて……」
明日葉がそう言って悠香が扉を開ける。
しかし明日葉は勿論、悠香も失念していた。
ここの子供たちの
「どーもこんにt「男だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」ファ!?」
そう、普通の女性でも男性に会う機会などそうありはしない。そんな世界で孤児なぞ確率が更に低い。そんな中で男性に会えようものなら当然の如く理性などという自称枷はじゃ〇りこの如く粉砕される。
「おにーちゃんテレビで見たことある! あすはって言うんでしょ! なんでここにいるの! わかったあたしに会いに来てくれたんだねそうでしょ!」
「あすはさんかっこいい! あそうだ握手! 握手してくださいこの手一生洗わないですから! お願いします一生のお願い!」
「あああああああああああああすはさんいい匂い! あすはさんいい匂いだよ! なんでこんないい匂いするの! もうわたしあすはさんの匂い無しじゃ生きられないよ!」
子供たちに囲まれて身動き一つとれない明日葉。まあそれを黙っている悠香及び警護官ではない。
「御用改めである!! 男性保護法違反の為ここにいる子達は今男性保護協会警護官城之内彩佳の名において拘束させてもらいます! さあ明日葉君から離れるのです!」
「彩佳にレイカいつの間に!?」
「後ろからついているのだから当然でしょ。それよりなんで男性用の個室使わなかったのよ?」
「そんなのここには無いぞ?」
「……え?」
「だってここに男が来ることなんて本来まず無いしな」
「そんなところに明日葉さんを連れてきて何を考えているのかしら!? 正気を疑うわ……」
「だってよ、明日葉が今更子供に遅れをとると思うか?」
「その結果が今の現状なのだけど!?」
「どうでもいいけど助けてくれないか?」
明日葉は三人のおかげで無事引きはがされた。そのまま昼食を取り、家路に着いた。
遊崎宅
「ゴメン……明日葉に嫌な思いさせて……」
「気にすんなって。ああいうの久しぶりだったしそう考えると悪くなかったよ」
「……本当に普通の男と違うんだな」
「どういうことだ?」
「明日葉と会う前に協会で男たちが話してるのを聞いてさ、テレビでも見てたんだろうさ。「女に金を使うなら少しでもこっちに回すべきだ」ってさ。確かに男が少ないご時世だけど男が今の生活を出来るのは女が頑張ってるからってのを分かってない。しかも孤児院の子達は何も悪い事はしていないんだ。むしろ被害者だって、それを知ってから同じことが言えるのか……そう言いたかったけど相手は男。言えるはずもなかった」
「……そんなことが」
「だから明日葉には知っていて欲しかった。ここには
「……そうだな。忘れちゃいけないよな」
「明日葉……」
「この世界で男は特権階級並みの力があって、でも首輪は外せなくて。女は日々苦しい思いをして、でも可能性がある。今の在り方が何をもたらすのか、俺自身知っていかないとな」
「明日葉……ありがとう」
「気にするなって。さて、まだ時間余ってるけどどうする?」
「じゃあデュエルしようぜ! 今日こそ一勝とってやる!」
「ああ! じゃあ行くぜ!」
「「デュエル!!」」
「ふう……さて、寝るか」
あの後20戦デュエルをして終了した。明日葉の全勝だったが幾度か危ない場面もあった事から悠香の成長を感じ、それと共に嬉しく思った。
「悠香も彩佳もレイカも段々と強くなってる。俺も負けていられないな」
その決意を胸に眠りにつくーー
ーーそんな時に扉からノックの音が響く。
「誰だ?」
「彩佳です。ちょっとお話いいですか?」
夜も遅く不思議に思ったがそこまで断る必要も無いと考え、部屋に通した。
「いいぜ。入れよ」
「すいません。こんな遅くに」
「それはいいんだけどよ、話ってなんだ?」
彩佳はふうと一息つくと言葉を紡ぎ始めた。
「明日葉君は、
今も元の世界に帰りたいと思いますか?」
今回の話は作者が大学の講義で受けてた孤児院の話をやるのいいんじゃねえかなと思い書きました。ドーマ? 今回出るなんて言ってないですすいません。
この世界での総人口は40億を設定しています。つまり2%で800万人ですね。でもデュエリストなんだかんだ言っていい人多いから寄付金も多い気もする。
最後のアレ? まあ次回までには考えとくよ。
でもネタが思いつかないのは変わらないので番外編でデートまでの間にこんなことがありましたみたいな話を書こうと思います。こっちはやりたい事浮かんでる(浮かんでるだけ)。
ではまた会いましょう(もう収集つくかすら心配)。ではー
インクは続くのか……?やりたい事見えなくなってきた……
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デュエル24~彩佳の不安 明日葉の意志~
今回含めてあと3話でデュエルまでいくかなって感じです。そろそろ飽きますわな。
まあゆるい目で見てください。今回のお話をどうぞ。
「いきなり……どうしたんだ?」
「すいません。でも真面目に聞いているんです……」
夜も更けた頃、明日葉の部屋を訪ねた彩佳から出た言葉はここ最近誰も話題にしなかった、いや出来なかったもの『明日葉の世界』である。実の所協会も上層部も明日葉の言葉を信頼していない。何処かの居住区から逃げ出したか記憶喪失なのではと疑っている。更には彩佳の証言も口裏を合わせたものではないかと考えており、二人を監視対象としている。
「この世界を見て、ダーツっていう驚異がいて、女性も……明日葉君の常識と違うものだと思います。私だったら自分の世界でもないし、いたくないと言うと思います。じゃあそんな立場にいる明日葉君は、本当はこんな世界嫌なんじゃないかって……」
「彩佳……俺は……」
明日葉はこの世界に来てからの出来事を思い出す。確かにお世辞にも最高と言える世界ではない。男の数は極端に少なく自分もその標的となっている。ここでの生活も不自由はないがどこか縛られた感覚が否めない。元の世界にも友人がおり唯一の家族である父もいる。皆自分が消えたことを心配しているだろうし、プロとなって間もなく行方不明になったのだから明日葉自身たまったものではない。
「俺は……」
しかしこの世界で自分を慕ってくれている者たちを無下に出来ないのが明日葉という人間である。自分のために彩佳たちを蔑ろにできる性格でもなかったのだ。それが自分を苦しめる結果となろうと出来た繋がりを捨てきることは出来なかった。
「俺は帰りたい」
「……そうですよね。安心してください、こちらでも方法を探しているとこr「でもさ」?」
「彩佳たちを何とも思っていないんじゃないんだ。彩佳たちともいたいし、生きていきたい。どちらか選ばないといけないってのは分かってるんだけど、まだ答えが出ていないんだ……」
「明日葉君……」
「だからその答えはもう少し待って欲しい。ドーマも倒すし、いずれ答えも出す。それまで待ってくれないか?」
「……」
明日葉の言葉は今の状況では大いに優しい言葉であった。普通なら捕食者のように襲い掛かる女性や非科学的な現象を起こす組織を恐れて「こんなところにいられるか! 俺は元の世界に帰るぞ!」と言われても誰も文句をいうものはいない。そんな中明日葉は「答えを濁した」のである。
(本当なら私たちのことだって気にする必要もないのに……どこまで優しいんですかこの人は……)
「分かりました。私は待っていますから……明日葉君の納得いく答えをいつか聞かせてくださいね?」
「ああ、ありがとうな」
「いえいえ、それで話は変わるんですけど」
「デートの話か?」
「はい、えっと……」
「……何やってんだお前ら?」
「あなたという人は……」
彩佳が明日葉に頼んだプランは
「ムフフ~♪」
「は、あはは……」
『家で恋人のように振舞う』であった。
悠香やレイカに見せつけるように膝枕を堪能する彩佳と苦笑いしながらもまんざらでもなく赤面する明日葉。それでも止めないのは今の状況を明日葉も楽しんでいるからである。
「明日葉くん、ギュ~~~ってしてください♪」
「はいよ。これでいいか?」ギュー
「「んな!?」」
「ん~これです! これ最高ですねぇ!」
「喜んでくれたなら何よりだ。次はどうする?」
「そうですねぇ、テーブルのチョコを口移しなんt「何やってんだお前ええええ!!」あ、悠香さんレイカさんおはようございます」
「おはようじゃねえ何やってんだって聞いてんだよ!」
「見て分からないんですか? 膝枕してもらってギューってしてるんです」
「そこじゃねえ!」
「明日葉さん、一体何があったのですか?」
「いやさ、デートの代わりに俺の思う恋人の過ごし方をしようって言われて」
「「!?」」
「それを聞いたってのか!」
「明日葉さん、あんなことを頼んだわたしがいうのもアレですがそれでいいのですか?」
「いいんだよ。俺もこういうの憧れてたし、これで満足するなら喜んでやるさ」
明日葉自身元の世界で恋人がいなかった所為か、恋人に憧れた時期もあったがプロになる為にその道を捨てたのだ。偶然にも彩佳が出したプランは明日葉にとってかつて求めたものでもあったのだ。
「明日葉君がいいと言っているなら問題ないですね。では続きを「やらせると思っているのかしらあなたは!」いいじゃないですか明日葉君がいいって言ってるんですから!」
「そういう問題ではないわ。このままではこの空間が怠惰に染まってしまうわ!」
「明日葉君にファッションショーさせた人がどの口で言うんですか!」
「ギクゥ!」
「兎に角今日一日は明日葉君と私で過ごします! 二人はいままで通り口出し禁止! いいですね!」
「……お、おう」
「く……何かしたら報告するから覚えておきなさいよ」
「はーい。
という訳で明日葉君思いっきりイチャつきましょーー!!」
「わっぷ……(彩佳の……やっぱ柔らかい……って何考えてんだ俺!)ちょ、ちょっと落ち着こうぜ。まずは朝飯食ってそれからな」
ちょっと青臭さが残る明日葉君。それもまた彼女らを惹き付ける要因なのかもしれない。
「はい明日葉君、あ~ん♪」
「ああ……うん、彩佳の料理は本当に美味いな」
「えへへ……明日葉君に言ってもらえると嬉しいです」
「……こいつらあたしたちがいるの忘れてないか?」
「明日葉さんにあーんなんて……わたしはなんでこれをチョイスしなかったの……!」
「お前も大概だな」
「明日葉君、食べた後は何をしましょう?」
「そうだな……外に出てデートっていうのがセオリーだけど」
「こっちでは明日葉君が外に出てしまうと世の女性が牙を向きますからオススメ出来ないですね……やはり家で何かした方が良いんじゃないでしょうか」
そんな訳で
「あー! それはダメです! やめてください!」
「彩佳……戦いにおいて手加減は侮辱に等しいんだよ」
「あああああああああまた怯んだあああああああああ!!!」
二人でポ〇モンで対戦することになり彩佳のポケ〇ンは明日葉の飛行パという名の『まひるみキッス』と『耐久アーマーガア』に潰されていた。
「いやデュエルじゃないんかい」
「偶にはデュエル以外のこともいいかなあと思ってポケ〇ンにしたんですけど……やるんじゃなかった……」
「まあ対策されたらどうしようもないけどな。タイプも統一してるから弱点突かれても辛い」
「そういえば他に育てる奴いるのか?」
「そうだな……DLCまで待つかな」
「復活ポ〇モン楽しみですね!」
「フライゴン……」
公式は早くフライゴン専用技を実装してくれ。
「そこ右だ! そっち行き止まり!」
「え? うわ本当だああああああああ! また死にました……」
次は某青い鬼が追い掛けるゲームであるが、彩佳が逃走ルートをことごとく間違え最初の頃を思い出す。
「……ははっ」
「明日葉君?」
「いや、彩佳って感情豊かだよなあってさ」
「クールな子の方が好みですか?」
「うーん、捨てがたいけど表情豊かな方が好きかな。一緒にいて楽しいしな」
「! そんなだから好きになっちゃうんですよ……」
「絶対明日葉そんな深い意味言ってないな」
「わたしも……あんなこと言われたい……!」
「はあ~、至福でした」
「喜んでくれたなら何よりだ。俺も楽しかった」
一日をゲームに費やし、ソファでくつろいでいる。その際腕を組んで明日葉に身を委ねることも忘れない。
「でもなんで恋人みたいなことをしたいなんて思ったんだ? こういうのって本当に好きな人とやるべきじゃ……」
「うぇ!? え、えと……明日葉君はまだどっちにするか決めていないんですよね?」
「え? まあどっちかって言うと帰る方法すら見つけられてないけどな」
「確かにこちらで帰る方法を探しています……でも
今だけは、こうしていても許して欲しいって思って……です///」
「彩佳……」
「その時、然るべき時に後悔が募らないように、嫌でしたか?」
「……そんな訳ないだろ。ありがとうな」
そう言って明日葉は彩佳の腰に腕を回し抱き寄せる。
「うぇ!? あ、明日葉君!」
「はぁ~、これだから決めきれないんだよな。居心地が良いんだよここは」
「……それなら嬉しいです。今は私が、明日葉君の居場所ですからね」
「なら、目一杯堪能しておこうかな」
「と、とは言ってもそんなにくっつかれると私も恥ずかしいというか」
「お構いなく」
「いや私の問題というか」
「お構いなく」
「あ、明日葉君……」
「お構いなく」
「あう……///」
こうして三人のデートが終わった。
WCS本戦、ドーマの一族と戦いは残っているがその中に安らぎがあっても良いだろう。明日葉はそう思いながら彩佳の抱き心地を堪能していた。
脳が18版に支配されている……!
今回彩佳がかなり我儘言ってますが好きな人がいなくなるかどうかだしこれくらいやっても文句いわれないでしょと。
次回はなんとか今月中に……書き上げたい……!
では次にお会いしましょう! がんばりゅ
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デュエル25~WCS本戦開幕! 世界のデュエリスト!~
今回は本戦での登場キャラ何人かの紹介になる感じです。この世界のデュエリストの説明も若干やります。またここからオリキャラを投入します。
では25話、どうぞ
午前8時
「これは……入れたとしてこっちが重くなるな……」
「これと……これでここが……」
この日の明日葉とレイカはいつにも増して緊張感を放っていた。
そう、WCS本戦前日なのである。二人は試合に向けて最後のデッキ調整を行っていた。
「……よし、出来た」
「わたしも終わりました。では、少し早いですが行きましょうか」
その言葉に明日葉は頷き、デッキケースにしまい込む。そこに彩佳と悠香も部屋から降りてきた。
「準備できたみたいですね。では行きましょう!」
「明日葉もレイカも応援してるからな!」
「ああ、勝つぜ!」
「当然よ。明日葉さんにだって勝ってみせるわ」
「すごいやる気だな。だが悪いな、優勝するのは俺なんだ」
「なら証明してみせます。わたしが成長したこと」
二人の目が変わる。それは普段の雰囲気ではない。戦いを求めた
「まあ、それは大会で見せてもらおう。さあ行くぞ!」
「「「はい/おう!!」」」
明日葉たちが来たここは《童実野空港》。来た理由がWCSの開催地である。
「でも《アルカトラズ島》か……俺の世界じゃ元々は刑務所だったかな?」
「刑務所ですか……こちらでは無人島だったのを開発して主にデュエリストたちのイベントに使われているんですよ」
「へー、でもよくそんな金が下りたな」
「ほとんどのお金は《海馬コーポレーション》が出したのであそこにある施設の大半は海馬コーポレーションが管理しているんですよ」
この世界の企業の経済力に関心しつつ、明日葉たちは搭乗の手続きを始める。
「ようこそ、では金属類を外しtてあああああああ男おおおおおおおおお!!?」
「うるさいわね。早く手続きさせなさい」
「いいえ! 男性を飛行機に乗せるなど何を考えているのですか! 大体その方は……その方……は……」
「あ、どーも」
「明日葉さまあああああああああああああああああああああああ!!」
WCSは予選もハイライトだが各国で放送される。明日葉のデュエルもそれに漏れず全試合が放送された。
「一々リアクションが激しいわね。早k「明日葉さまなぜこのような場所にハッさては日頃ストレスに苛まれている私を思ってそのご尊顔をお見せに!? あああああありがとうございますこれこそ生きる糧n」さっさとしてくれないかしら?」
「ヒッ……あ、あの……因みに搭乗の理由を聞かせていただいても……? 一応男性をということなので規則として……」
「ああ、WCS本戦に出場するためにアルカトラズ島まで」
「成程! WCSも本選ですもんね! え? てことはまた明日葉さまのデュエル見れるの? うわあ楽しみが過ぎる。応援してます! 凄いデュエル見せてくださいね!」
「ははっ、まあ良いデュエルを出来るように頑張りますよ」
「はあああああ明日葉さまの笑顔眩しい……もう死んでもいいかも」
「……早くしてくれないかしら」
「あ……すいません……」
冷静を取り戻した職員は淡々と明日葉たちの手続きを終わらせる。明日葉との別れをこれでもかと惜しんでいたがそこは警護官である彩佳たち、無言の圧力で諦めさせた。
アルカトラズ島
「俺初めて飛行機乗った……」
「そうだったんですか! 楽しかったですか?」
「ああ! 空から見る景色はデュエルをしていても見られないからな。良い経験だったぜ!」
少年のように目を輝かせながらニンマリと笑う明日葉の横顔を眺めながら彩佳の表情はだらしないものとなっていた。
「彩佳、人前なんだしその顔何とかした方がいいぜ」
「な!? 明日葉君の嬉しそうな表情を見れて何とも思わ……!」
その時彩佳は見た。
悠香が自分の太股をこれでもかとつねっているのを。
「どうした二人共? 何かあったか?」
「い、いえ! 何でもありません!」
「だ、大丈夫だぜ! ほら、受付とかあるだろ? 早く行こうぜ!」
「……何を急いでいるの? 今日は前日のパーティーがあるだけよ?」
「そ、そうだったのか。知らなかった……」
「昨日言ったじゃない……」
悠香の記憶力の問題なのか、何かに慌てているためか、頭を抱えるレイカであった。
ホテル エンディミオン
デュエリストに貸し出されたそのホテルは素人目に見ても一般のホテルとは一線を画す事が伺える程の豪華っぷりであり、明日葉は口をあんぐりと開けながらただ目の前のホテルを見つめていた。
「なんだこのホテル……本当にここなのか?」
「はい、まあ男性である明日葉君ならこれでも普通ですけど他のデュエリストも何名かここらしいんですよね」
「アレだろ? 金持ちのお嬢が泊まってるんだろ。嫌だねえ自分の懐自慢するヤツは」
こう言っているが悠香の親はデュエルモンスターズを含むアミューズメントで世界的シェアを誇る《海馬コーポレーション》の重役と普通の家庭より断然裕福であり、ぶっちゃけるとレイカの家よりも金持ちである。しかし彼女自身子供の頃は孤児院で子供達と遊んでいた経験が金の有無で人を見なくなり、金を至上とする人を忌避するようになった。
「彩佳に悠香、あなた達の部屋も明日葉さんの部屋の近くにあるわ。鍵は受付で受け取って」
「仕事が早い……でもどうしましょう」
「何が?」
「こちらでも部屋とっちゃいました。そういえばやってないと思って」
そう言って部屋の鍵を見せる。四人分あるあたりから彼女の優しさをうかがえる。
「はあ? じゃあわたしがとった分はどうするのよ」
「勿体ないですけど仕方ないです。キャンセルしt「じゃあその部屋は私の部下に充てよう。その分の料金も払おうじゃないか」!!!????」
後ろからの突然の介入に驚いたというには余りにオーバーリアクションな距離のとり方をする彩佳。明日葉は何があったのか分からないといった表情で後ろにいた人物に目を向ける。
「やあ、久しぶりだね私の姫様。元気そうで何よりだよ」
「私は会いたくなかったですよ……海馬先輩」
「先輩?」
そこにいたのは明日葉と同じか少し高い女性。茶色の髪は伸ばして流しており、前髪から覗く目はデュエリスト特有の力強さを感じさせる。シルバーを取り入れた派手な服の下からは女性特有の膨らみが程よく主張しており、明日葉の世界でも100人いれば90人以上がその容姿に振り替える事だろう。
「海馬なんて他人行儀酷いなあ。昔のように幸姉って呼んでくれてもいいのに」
「誰が! 大体何でここにいるんですか! 仕事は!」
「今日から一週間はWCSに参加するから休み。仕事は優秀な部下に任せてきたさ」
そう言って今度は悠香の方に目を向ける。悠香はギョッとして明日葉の後ろに隠れた。
「どうしたんだい悠香。君の母親にはとても世話になっているんだ。いつか君の実力も見てみたいと思っていたんだけど」
「そ、そうですか。あたしはまあ仕事が忙しいので……また今度という事には」
「そんな事言わずに、今日はパーティーもあるし丁度いい。私の部屋でじっくり見せてもらいたいな」
「!? いやー今日は警護に仕事できたから外す訳にも行かないんですよ! なっ明日葉!」
「うぇ! え、ええそうですね。出来る事ならご遠慮願いたい……かな?」
明日葉は面識は無いが二人の反応からヤバい人種だと本能が理解して上ずってしまった。幸の方は身に覚えのない明日葉に首をかしげる。
「? そういえば君は? 男性がここにいるのは随分珍しいね?」
「あ、俺遊崎明日葉って言います。一応WCS童実野町予選で優勝したから本選出場権は得てますよ」
「明日葉……成程君が! 私の他に
「へぇ……有名なんですね」
「そりゃ男性デュエリストなんて普通に考えて正気の沙汰じゃないからね。でもそうか、君と戦うかもしれないんだな」
「ええ、その時は全力で相手させてもらいます」
「ほう、じゃあその時は胸を貸してあげるよ」
そう言いながら幸は自分の衣服の襟を前に引き、胸をチラリと覗かせる。
「そ、その時はよろしくお願いしますね!」
幸の胸元から目を逸らすように明日葉は顔をそむける。その反応面白いと幸はずいっと明日葉に近づいていくが彩佳と悠香に阻まれた。
「海馬先輩! 明日葉君はそう言う事に耐性無いんですから止めてください!」
「社長! いくらあなたでも法律破ったら捕まるんですよ! 節度くらい守ってください!」
「ん? 社長?」
「明日葉君は知らないのか? 私は《海馬コーポレーション》代表取締役社長『
「すいません。俺社会に疎くって……そうか海馬コーポレーション……マジ?」
「それで済むのかい? デュエルモンスターズの立役者なんて言われてる私をデュエリストが知らないのは衝撃だよ……」
新しい人物に静かに驚く明日葉と明日葉に対し世間知らずなのではと思いニヤつき顔で何やら思案を巡らせる幸を会わせてしまった事に警護官3人は同じ事を思った。
(((ヤバい人に会わせてしまった!!)))
と。
「……まあ全ては明日だ。君とのデュエルを楽しみにしておこう。私以外に負けるんじゃないぞ」
「当然です。あなたこそ俺以外に負けないでくださいよ。ここには俺と強くなったデュエリストがもう一人いるんですから」
「!!」
「もう一人? ってそこにいるのはアトラスの娘さんじゃないか! お母さんは元気かい?」
「は、はい……(明日葉さんこっちに矛先向けさせないでくださいよ! ああもう面倒くさいことになった!)」
先程からレイカが一言も発していなかったのには理由がある。プロデュエリストを輩出するアトラス家は海馬一族と浅からぬ因縁がある。時にデュエリストランキング上位を争い、タッグイベントで共闘し、倒し負かすを繰り返していた。その折に当然レイカも幸と顔を合わせている。しかし、その時幸は彩佳や悠香の時のようにレイカにも迫っておりレイカにとって若干の苦い思い出がある。
「いやぁ近いうちに挨拶に行こうと思っていたんだけどね、まさかここで会うとは思わなんだ。てことは君が出場者なんだね?」
「え、ええ……まあ……はい……」
「成程なー! じゃああの時の約束を果たせるかな?」
「約束?」
「ちょっ! 待っ!!」
「んーとな
私に勝ったらレイカをお嫁さんにするっていうものだよ」
「「「「!!!!!」」」」
「……そ、そうだったのか」
「……もういっそ殺して」
「ああ……」
「子供の頃なら……仕方ないかぁ……」
「? てことは彩佳や悠香も?」
「「!!」」
「よく気づいたね! 彩佳も悠香も昔は子ガモみたいに私にひょこひょこついてきt「もういいですか! チェックインもありますので後これ言ってた鍵ですそれでは!!」……全く困った子だ」
幸に口を挟ませる隙を与えずにレイカの鍵を渡して明日葉を引っ張って逃げるようにホテルに入っていった。
因みにこの世界では働き手や家事の分担、その他の理由を含めて政府が同性婚を合法化させている。
「なあ、あんな扱いでいいのか? 先輩なんだろ?」
「あの人はいい人では……あるんですけど……」
「昔の事話されるのは……やっぱなぁ……」
二人とも幸に良い思い出がない訳ではないが、同時に過去にやらかした事を思い出させてしまうようだ。
「それより今はパーティーですよ! 折角の催しなんですから楽しみましょう!」
「でも大丈夫なのか? 予選の時みたいに襲って来たりは……」
「その心配はありません。会場には各国から派遣された警護官も多数配備されておりますし、何よりここにいるデュエリスト達は自分がデュエリストであることに誇りを持っている者達です。男性がいたところで自分の事を律するのは簡単ですよ」
「それにプロにもなりゃ結婚してるデュエリストも多いしなー。既婚者って部長見ても理性的に動けるし心配しなくていいんじゃないか?」
「そうなのか? なら安心……だよな?」
一抹の不安を抱きながらも大丈夫だと言ってくれた皆を疑いたく無い明日葉。三人についていき会場に入っていく。
様々なフィールド魔法をモチーフにしたホテルの中心にある会場もまた豪華絢爛が当てはまるほどの煌びやかな空間であった。天井には巨大シャンデリアが吊るされ落ちないかヒヤヒヤし、会場の目立つところに
「誰が建てたかすぐ分かるな」
「まあ、海馬先輩ですよ……」
「喜んでもらえたかな? 自慢の像なんだけど」
「なんでいるんですか……?」
「そりゃ大会出場者だしこの島のホテルは私の会社が建てたんだぞ?」
「そっちじゃないかと……」
「こっちに気付くの早くないですか?」
「そりゃ君が入った瞬間から皆の形相が変わったからね。君に気づかれないようにすぐに戻ったけど」
「知りたくなかった……」
頭を抱える明日葉をよそに彩佳と悠香は海外のプロデュエリストに目を輝かせている。
「あ! あの人西エリア上位常連の『セレン・ストーカー』さんじゃないですか? あ、こっちみたあーカッコイイ!」
「おい! あっちにいるの『オデット・リュミエール』じゃないか? あの人の『ライトロード』いつ見てもカッコイイんだよな!」
この世界においてデュエリストは東西南北とセントラルの五つのエリアで括られる。明日葉とレイカ、幸は東エリアである。
「……楽しそうで何より」
「全く……少しは慎みを持てないのかしら?」
「レイカは落ち着いてるな」
「まあ大抵の方々には何度もお会いしていますし、私は今回が初出場なので向こうが覚えているかは微妙ですけど」
「初出場で本選入りかすごいな! 俺の所は九割俺の所為で失格になったから俺の立ち位置がよく分からなかった」
「でも羽蛾と竜崎を倒したのなら相当に上の部類ですよ。世界でも私達のようなコンボを連続するデッキは少数ですから」
「てことはここの参加者も?」
「ええ、基本は単発火力の底上げや上級モンスターもアドバンス召喚、後は待ちのスタイルといったものですね。一度どうしてコンボを繋げないのか聞いたのですが『めんどい』と一言返されました……」
「それでいいのかデュエリスト……」
「最近のデュエルモンスターズは人気が徐々に落ちていましたから、それに応じてデュエリストもレベルが下がったというか、私も優勝は容易でした」
「なんか嫌な事実を聞いたな」
「これからは明日葉さんもいますからデュエルモンスターズは発展していきますよ。この世界の女性は男性には甘いですから」
「そっか……そうなったらいいな」
明日葉はそう言って笑うがその笑みには苦悩が紛れている事にレイカは気づいていた。元の世界に帰る方法が無い限り明日葉はこの世界にとどまり続けるし、自分も明日葉の傍にいる事が出来る。
(明日葉さんが帰る時は……その時考えましょう)
今は目を背けても良い。この時を自分の大切な人と分かち合ってなら、最後がどんな結果でも後悔しないとレイカは心に決めたのだ。
「レイカ、ここにいる選手がどんな人か教えてもらっていいか?」
「……はい、まず主要人物から行きましょう」
こうしてパーティーは続いていった。
が、ここが明日葉にとって
「これはこれはかの男性デュエリストの遊崎明日葉氏! ここで会えた事私の人生でも並大抵の幸福ではありません! どうかこの出会いを祝して私の部屋で語らいませんか? 是非! 是非! はよ!!」
「ああああ明日葉くん! 明日葉くん明日葉くん明日葉くん! ダメよ私冷静にクールに決めなさいそして「きゃっ素敵抱いて!」と言わせるの! コホン、明日葉くん。私の隣、空いてますよ?」
「まずうちさぁ……屋上、あんだけど……焼いてかない?」
「「「「……」」」」
一人は淡い希望が打ち砕かれた事に絶望し、二人は憧れた人の変わりように絶句し、一人は中には夫がいるデュエリストが混じっている事に辟易している。
何故こうなったかというと明日葉がレイカから選手の情報を聞いているとそれを見ていた他の女性が『明日葉君と話しているだと!? 許羨!!』といった感じで続々と言い寄って来たのだ。
「もうダメだ……おしまいだぁ……」
「少年よ……これが絶望だ……」
「言ってる場合かぁ!!」
「もしもし警備員? やりなさい」
明日葉に言い寄って来たデュエリストは全員自室待機という運びになった。
小説は動画見ながら小説読みながら書くことが多いです(隙あらば自分語り)。
次回にはデュエル入れられます。誰にするかは知らないけど。
エリアはゼアルのIVが極東エリアチャンピオンってとこから。じゃあ何個かエリア分けがあるのいいかなって感じです。
では次回も頑張って書きます。また読んでくださいな。
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デュエル26~開戦! WCS!!~
「大 勝 利」
「1枚しか使ってないけどスピーダー掛かったか……てかマキュラ……」
「軒並み展開札規制掛かったなー。それで手札誘発系はうらら解除か……」
「というより彩佳、レダメ戻ってきたはいいけど真紅眼融合掛かったのはいいの?」
「……」ドサリ
「あ、倒れた」
「やっぱ痛かったんだなぁ……」
という茶番でした。コロナ大流行ですが変わらずデュエルしていきましょう。
昨晩のパーティーもつつがなく終わり、夜が明けた。
「……遂に来たか」
上ってきた朝日を眺めながら明日葉は独り言ちた。
先日は幸の乱入やパーティーもあり忘れかけていたがこの大会にはドーマの一族が間違いなく紛れており、自分達が勝たなければ神のカードは奪われ、この世界が破滅してしまうかもしれない。
「思えばいつの間にか俺には世界の命運がかかってたんだよな……俺に……」
改めて考え、みるみるうちに青ざめていく。自分が掛けられたものはいち人間に託すにはあまりにも重い責任だった。今になって気づいたという点がアレだが。
「やばい今になって怖くなってきた……なんかそう言えば一人で考える事も凄い久しぶりな気がする。いつも彩佳も悠香もレイカもいたし、協会行っても悠希さんといるから一人で思考するタイミングがマジでデュエルでしかない……やばいめっちゃ逃げたい……」
今になって何を言っているんだという者もいるかもしれないが考えてみて欲しい。考える時間は確かに多少なりともあったかもしれないが、明日葉は無意識にこの問題を避けていたのだ。そうでなければこの状況で三回デートなどと正気の沙汰ではない。今恐怖を感じているが本能は既に逃げていたのだ。
「いや、ここで逃げてどうなる……俺を信じてくれた皆を裏切るな。大丈夫……いつも通りデュエルすればいい……よし!」
恐怖を抱きながらも明日葉は戦いから逃げられない。そういう性分なのだ。それを明日葉自身止められるものではなく、彼の原動力となっているのも事実である。
気合を入れて明日葉は部屋を出る。しかし
「ぁ痛ぁい!!」
勢いよく開けてしまった扉は彩佳に気持ちいい程綺麗に当たる。悠香とレイカは見当たらないところから一人で様子を見に来たのだろう。
「彩佳!? っゴメン! 大丈夫か……?」
「だ、大丈夫です……いつもより早く起きたので明日葉君の様子を見に来たんですけど……大丈夫みたいですね」
「あ、ああ……」
「……明日葉君、怖かったりします?」
「!!」
「やっぱり……お母さんも酷い事明日葉君に任せますよね。どう考えたって怖いに決まってます」
「いや、俺は……」
「隠さなくていいですよ。直接戦わない私だって怖いんですもん。世界の命運とか真実味が無いし、そんなものに直接関わる明日葉君が怖くないなんて普通有り得ないですよ。
……本当は私が代わりに戦いたいですけど、私じゃ明日葉君の代わりなんて務まらないですしね。応援しか出来ないのが悔しいです。だから明日葉君」
「ちょっ彩佳? ……!」
「
『世界中のデュエルモンスターズを愛する方々おはようございます! 私『ソニア・スマイリー』がいますは、絶海に浮かぶ孤島『アルカトラズ島』! その中心で観客がひしめく『アルカトラズスタジアム』にて今年のデュエルモンスターズ、そのチャンピオンを決める戦いが始まります!』
イベント特有の耳を割らんとするマイク越しのリポーターの声が会場を更に熱くする。
『昨今デュエルモンスターズは男性不人気で徐々に傾いていましたが、ここ最近男性からの支持が盛り返して男性にデュエルを教える教室が増えたようです! 羨ましいぞ畜生め!! さて前振りはここまでにしてそろそろデュエリストに登場してもらいましょう! まずは東エリアから五名! 口火を切るのはやはりこの女! 「海馬コーポレーション」社長にして通算五回優勝! 前回は不参加だったがその名は生きた伝説! 『
名前が呼ばれると同時に派手な演出と共に幸が登場する。それと同時に黄色い歓声があがる。これも彼女が打ち立てた伝説と彼女自身のカリスマがなせるものだろう。
『まだいきます! 続いてこちら! 効果ダメージを使わせたら右に出る者無し! バーンデッキのスペシャリスト『
「ウオオオオオオオオオオオオォォォ!!」
威勢の良い叫び声と共に筋骨隆々な女性が出てくる。それに幸程でなくとも観客が応える。
『まだまだ! 続いて彼女だ! アンデットモンスターを使う不死のデュエリスト『
「くひひ……明日葉様とデュエル……」
『四人目ぇ! 恐らくこの大会一番羨ましいデュエリスト。男性デュエリストの警護官にして『アトラス家』の令嬢! 『レイカ・アトラス』!! てめえマジでふざけんな爆ぜろ!』
「実況者が私情挟まないでくれますか!」
ソニアの私情丸出しの紹介で観客のレイカへのヘイトが最高潮になる。まあ幸福税として考えたレイカも余裕を持って笑みさえ浮かべている。
『こいつめっちゃ余裕やでぇ……痛い目に合わねえかな』
本音がマイクで駄々洩れである。
『まあ置いといて、東エリア最後のデュエリスト! 恐らくなんて言葉じゃ足りない、絶対にこの大会のメインキャスト! 世界初の男性デュエリストにして初出場で本選入り! その快進撃を誰も止める事が出来ない! 見よ世界! これがこの世界の希望『遊崎明日葉』だあああああああああああああ!!!』
「なんか壮大に語りすぎぃ!」
明日葉のツッコミにも観客は今までで一番の歓声が上がる。幸でさえ無かったスタンディングオベーションが起こり、明日葉コールまで鳴り出した。
『さあ皆さん! 興奮は分かりますがまだまだ紹介は済んでおりません! 続いて西エリアから』
こうして他エリアのデュエリストが紹介されていく。その中に明日葉にとって気になる存在がいた。
『さあ、セントラルエリア最後の一人は前回優勝者にして『アトラス家』当主! 『イライザ・アトラス』だあああああああああああああ!!!』
「アトラス……? それってまさか」
「……姉さん」
「姉さん!?」
レイカのカミングアウトに明日葉が驚く。レイカは東エリア、そしてイライザはセントラルエリア代表。何故姉が違うエリアで出場しているのか。明日葉が気になった点はそこであった。
「単にわたしが独り立ちしたんです。アトラス家は元々セントラルエリアに実家がありまして、こちらに来た理由は」
「私から逃げたから。だろう? レイカ」
「「!」」
声の聞こえた方を向くとそこには
「姉さん……」
「逃げた……それはどういう」
「そのままの意味よ。その子は我が家の体制に耐えられず逃げた臆病者なの」
「!」
「姉さんには分からないわよね。あそこがどれだけ狂っているかなんて」
「臆病者の戯言なんて聞く価値は無いわ。明日葉と言ったわね、あなたもこんな口だけの子よりも私を選ぶのはどうかしら?」
「……あんたそれ本気で言ってるのか?」
「? それはどういう事かしら?」
「レイカは弱くないし、何より
自分の妹を臆病者呼ばわりして恥ずかしくないのかよ!」
明日葉は声を荒げる。自分と共に強くなったレイカを貶される事に腹を立てたのだ。
「……何がこの子の肩を持つ理由になるのか知らないけれど、そんな弱者にかまけていても強くなんてなれないわ。まあ、レイカに飽きたら私に連絡しなさい。私の予定が空いていれば相手してあげるわ。
それとレイカ」
「?」
「この人に醜態を晒したくなければ、早いところ棄権しなさい」
「! あんたはこの期に及んで……!」
明日葉が言い寄るのをレイカが手で制する。レイカのメンタルを知っている明日葉は心配するが、それは杞憂に終わる。
「姉さん、それがわたしを心配するものではないって知ってるわ。だからこそわたしは姉さんに挑戦する! 当然、負ける気も無いわ!」
「! ……そう」
レイカは毅然とした態度でイライザに面する。そこにイライザの記憶にある面影はなく、レイカの成長と自身への決意を感じ取った。
「なら精々みっともない姿を晒さないことね。せめて一回戦くらいは勝ち上がりなさい」
「言われなくても!」
イライザの別れ際の言葉にレイカも強気に答える。この大会が世界を救う戦いだけでなく姉妹の因縁に決着をつける事になりそうである。
「レイカ……大丈夫なのか?」
「ふふ……明日葉さん、いつまでも豆腐メンタルなわたしだと思わないでください」
「!」
「でも姉さんの台詞が結構キてるので後で慰めてくれると嬉しいです……」
「……なんか安心したよ」
この後控室で溶けるほど慰めた。
『さあこれより記念すべき第一回戦を行います! 尚、今回の出場者は二十五名と奇数の為、シード枠がございますがこの枠は優勝回数が最も多い海馬幸選手が入ります!』
「あの人か……まあ何回も優勝してるなら仕方ないよな」
『そして一回戦のカードは
遊崎明日葉とオデット・リュミエールだあああ!!!』
モニターに明日葉とオデットの写真が表示される。対戦カードは一試合毎に表示される形式のようだ。
『それでは両者はフィールドへ、デュエルの準備をしてください!』
フィールドに立った二人は互いのデッキをシャッフルする。
「昨日は私の友人共にすまなかった。今日は良いデュエルをしよう」
「昨日は警護官から大丈夫だって太鼓判押されてたのに酷いものでした……」
「ほ、本当にすまなかった。何ならこの後非礼を詫びる為に食事でもどうだろうか? 私の懇意にしているシェフがこの島にいるからVIPルームに案内出来るが」
「まあそれは家の警護官と要相談として、デッキシャッフルはもういいでしょう。ではやりますか」
「! そ、そうだな! それじゃあ」
「「デュエル!!!」」
遊崎明日葉
LP8000
VS
オデット・リュミエール
LP8000
「私の先攻か、私は魔法『ソーラー・エクスチェンジ』を発動。手札の『ライトロード』モンスターを捨てて、2枚ドロー。その後デッキの上から2枚墓地へ送る。『ライトロード・サモナー ルミナス』を召喚! ルミナスの効果で手札1枚を墓地に送って墓地の『ライトロード』を特殊召喚する。『ライトロード・パラディン ジェイン』を特殊召喚! カードを1枚伏せてエンドフェイズ。ルミナスの効果でデッキの上から3枚墓地へ送って、ジェインの効果でもデッキの上から2枚墓地へ送る。送られた中にあった『ライトロード・ビースト ウォルフ』の効果だ。自身を特殊召喚するよ。これでターンエンドだ」
オデット
LP8000
モンスター:ライトロード・サモナー ルミナス、ライトロード・パラディン ジェイン、ライトロード・ビースト ウォルフ
魔法、罠:1枚
手札:2枚
「3体並べたか……それじゃあ俺には勝てませんよ! 俺のターン! 手札1枚を捨てて魔法『ドラゴン・目覚めの旋律』を発動! これで」
「それはどうかな? 罠『マジック・ジャマー』を発動! 手札1枚を捨てて相手の魔法カードの発動を無効にする!」
「マジか! でもコストで捨てられた『
アサルトワイバーン ☆4 光
ATK1800/1000
「更に手札の青眼の白龍を相手に公開して『
青眼の亜白龍 ☆8 光
ATK3000/DEF2500
「手札から魔法『トレード・イン』を発動。手札のレベル8の青眼の白龍を墓地に送って2枚ドローする。バトル! アサルトワイバーンでルミナスを攻撃!」
アサルトワイバーンの目がルミナスを捉える。ルミナスも光弾を放って迎撃しようとするがアサルトワイバーンにそれは当たらず、アサルトワイバーンの牙に切り裂かれた。
オデット
LP8000→7200
「くっ……まだブルーアイズの攻撃が残ってる。このターンで大ダメージが」
「それはどうかな? アサルトワイバーンは相手のモンスターを破壊した場合、自身をリリースして手札・墓地のドラゴン族を特殊召喚出来る!」
「! 君の墓地にはトレード・インで送った……」
「青眼の白龍を復活! 甦れブルーアイズ‼」
青眼の白龍 ☆8 光
ATK3000/DEF2500
オデット「一気に攻撃力3000が2体……」
「まだバトルフェイズは続いているぜ! 青眼の白龍でウォルフを攻撃! 【滅びの
LP7200→6300
オデット「くうぅ……!」
「青眼の亜白龍でジェインを攻撃! 【滅びのバーンストリーム】!!」
LP6300→5100
2体のブルーアイズの猛攻でオデットのフィールドは全滅。状況は絶望的となった。
「私のモンスターが……全滅?」
「カードを1枚伏せてターンエンド。さあ見せてくださいよ! あなたの本気を!」
明日葉
LP8000
モンスター:青眼の亜白龍、青眼の白龍
魔法、罠:伏せ1枚
手札:2枚
「……まさかここまで強いとはね。私のフィールドが何も無くなった」
「本来ならワンキルまで持って行けたかも知れなかったんですけどね。マジック・ジャマーが痛かったですわ」
「これでまだいけたっていうの!? ……明らかにレベルが違うのか」
「そうじゃないですよ。デュエルが好きなら、デッキはそれに答えてくれる。俺はいつもそうしてるんです。デュエルって楽しいものじゃないですか。そんな顔じゃデッキも怯えちゃいますよ」
「……君はデッキを生きているように扱うんだね」
「そりゃカードはデュエリストの魂ですから。カードたちの力を100%引き出せるようにするのがデュエリストの役目じゃないですかね?」
「そんな台詞、プロになってから聞いて来なかった……君は不思議だな」
「そういう性分ですから。さあ、あなたのターンですよ。見せてください、あなたのデュエリストとしての魂を!」
「……後悔しないことだね! 私のターン! 魔法『ソーラー・エクスチェンジ』発動! 『ライトロード』モンスターを手札から捨てて2枚ドロー。その後デッキの上から2枚墓地へ送る。『ライトロード・アサシン ライデン』を召喚して効果を発動! デッキの上から2枚墓地へ送って攻撃力を200アップする。
……これで条件は整った。見せてあげよう、私の本気を!」
「……よし、かかって来い!!」
「墓地に『ライトロード』が4種類以上存在する場合、このモンスターは特殊召喚出来る
『
裁きの龍 ☆8 光
ATK3000/DEF2600
「来たか……ライトロードのエース」
「これを知っているのか、なら効果も知っているはずだよね! ライフ1000をコストに裁きの龍の効果を発動! 自身以外のフィールドのカード全てを破壊する!」
LP5100→4100
明日葉のフィールドが全焼する。状況は完全に逆転し、明日葉が窮地に立たされた。
「……やべっ」
「バトル! 裁きの龍でダイレクトアタック! 【
明日葉
LP8000→5000
「うああああああ!!」
「さあ、私は本気を見せたよ。次は君の番だ!」
途中ですがここで切ります。次回はもうちょい明日葉のデュエル書いて次に行くくらいでしょうかね。頑張りますのでこれからも読んでいってください。
ではー
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デュエル27~決闘者の正義~
では前回のデュエルの続きからどうぞ。
「『
明日葉
LP8000→5000
「うあああああ!!」
「エンドフェイズに裁きの龍の効果でデッキから四枚を墓地へ送ってターンエンド。さあ、私は本気を見せたよ。次は君の番だ!」
明日葉の『
オデット
LP4100
モンスター:裁きの龍
魔法、罠:無し
手札:無し
『あのまま勝負を決めると思われていた明日葉君にオデットの全体破壊が突き刺さる! 更に3000の大ダメージを受けて一気に形成が逆転されたぞおおお!!』
「確かに良い攻撃ですね……裁きの龍、それを召喚する為のタクティクス。今までのデュエリストでも上位のレベルかも」
「そ、そうか? いや、明日葉君に褒められるとは思わn「だから聞きたいんです」……え?」
「あなたは……どうしてデュエルを始めたんですか?」
「……デュエルを始めた
オデットは明日葉の言葉に困惑する。いきなり始まった質問の意味を理解出来ずにいるオデットを余所に明日葉は言葉を続ける。
「俺自身昔からデュエル楽しいって性分な訳じゃなかったんです。勝ちを急いだり、負けが込んだ時は苛立ったりもあって。それを慰めて、励ましてくれたのは俺の父親でした」
「明日葉君の……父親……」
「父さんは凄い人だった。デュエルでも、家でも、これぞ『父親』っていうような人だった。強くて、優しくて、俺の憧れだった。父さんみたいになりたいってずっと思ってたんです。そうなりたくてもがいて、なりふり構わず突っ走って、そんな時父さんが言ってくれたんです『俺みたいになるくらいなら超えるような男になれ』って。そこから俺のデュエルする理由は『父さんを超えるデュエリストになる』なんです。相手も、観客も、勿論自分を湧かす。だから俺はデュエルをするし、研鑽も積むんです」
この世界の女性にとって明日葉の言葉の意味を真に理解できるものはたとえWCSという大舞台にも数えるほどしかいないだろう。現に会場の観客は普段からのイメージや話による想像上の男性を思い浮かべるが明日葉の言う男性像を持つ者はいなかった。
「すいません、なんか語っちゃって……俺が言いたかったのはどんな気持ちでデュエルしてるのかなって話です。昔の俺もだけど、デュエルって結構自分勝手になっちゃうケース多いですから。プロってどんな思いでデュエルしてるのか気になって」
「私の、デュエルする理由……そんなの決まっている
私のデュエルが世の男性の希望になるためだ」
「男の……希望?」
「世の男性はいつも笑顔を浮かべない。浮かべられないといった方が正しいが、その理由の大半が私達女性という事を理解している。理性を抑えようとも私達が無意識に向ける視線だけで怖がらせてしまう。だから私は、デュエルで男性の希望になりたい。それが私の抱いてきた『正義』で、ずっとそう考えていたけど……いつの間にかそんな事も忘れていたのかもしれない」
オデットの独白は明日葉にある意味で衝撃を与えるものだった。この世界で見てきた女性はデュエルで自分の貞操を狙ってきたり、ディスクに細工しその上で勝った際の条件を提示し、挙句の果てには世界を滅ぼさんとするカードで魂を抜かれかけるといったそれは恐ろしい印象がこびりついている。
その為かこの世界の女性に対しマイナスイメージの先入観を抱くのは致し方無いがその考えは改める必要があると明日葉は喜色の表情を浮かべた。
「ありがとうございます。それを聞くことが出来て良かった」
「それは良かった。良ければこの後デュエルについて互いの意見を交わす意味で食事でも「それはまた後にお答えします」そ、そうか……」
「それはそれとして、語っちゃったしいきますか。俺のターン! 俺は『
『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を特殊召喚!」
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ☆10 ドラゴン族
ATK2800/2400
「れ、レッドアイズ! あれって……まさか!」
明日葉のフィールドに現れたドラゴンに悠香が驚き彩佳に目を向ける。彩佳は自身のモンスターに声援を送る。
「ダークネスメタル……明日葉君に力を貸して!」
ダークネスメタルは咆哮をあげ敵を睨みつける。それに応えるように裁きの龍も唸り声を上げた。
「裁きの龍が……呼応しているのか?」
「ドラゴン同士通ずるものがあるんですかね……まあとりあえずダークネスメタルの効果! 手札、墓地ドラゴン族モンスターを特殊召喚出来るから墓地の『
「また来たかオルタナティブ……!」
「オルタナティブの効果! 攻撃権を放棄して相手モンスターを破壊する。裁きの龍を破壊だ!」
オルタナティブが放った裂弾は裁きの龍を容易く消し飛ばす。オデットのフィールドは再びがら空きとなった。
「バトル! ダークネスメタルで攻撃【ダークネスフルフレイム】!!」
オデット
LP4100→1300
ダークネスメタルの黒炎がオデットを襲い、焼いていく。
「きゃああああああああああああ!」
「……きゃあ?」
「……ッハ! な、中々やるな! でもデュエルは最後まで何が起こるか分からないぞ!」
「は、はあ……俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP5000
モンスター:青眼の亜白龍、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
魔法、罠:無し
手札:1枚
「私のターン……ドロー! ……カードを一枚場に伏せて、ターンエンド」
オデット
LP1300
モンスター:無し
魔法、罠:1枚
手札:無し
『ここでオデット、一枚伏せただけ! 流石にもう打つ手無しだああああああ!!』
解説はオデットの敗北を叫ぶが明日葉はそのカードを警戒した。
「これは……あれがキーカードにならねえか?」
明日葉は過去に敗北した経験で、あの伏せカードは自分の盤面をひっくり返す可能性を孕んでいると踏んでいた。
「嫌だなぁ……攻撃したくねえ……でも」
攻撃しない限り勝利はない。それがたとえ罠だと分かっていても
「それを超えてこそデュエリストだ! バトル! オルタナティブで攻撃!」
「分かっていて攻撃するとはやるな!
罠『聖なるバリアーミラーフォース-』発動!」
「ぐああやっぱりかああああああああああ!!」
哀れ、明日葉のモンスターは全てオデットの前に展開された全てを反射するバリアの輝きで消し飛ばされた。
「畜生……昔のトラウマが……俺はターンエンド」
明日葉
LP5000
モンスター:無し
魔法、罠:無し
手札:1枚
「それは……すまない。でもデュエルはデュエル。私のターン! 私は『ライトロード・メイデン ミネルバ』を召喚。召喚時の効果で墓地の『ライトロード』の種類と同じレベルの光属性ドラゴン族を手札へ加える。墓地の『ライトロード』は六種類。デッキから『ライトロード・ドラゴン グラゴニアス』を手札に加えるよ。バトル! ミネルバでダイレクトアタック!!」
明日葉
LP5000→4200
「くうぅ……」
「エンドフェイズにデッキから二枚墓地へ送って私はターンエンド。次でグラゴニアスが召喚出来る。さあどうする?」
オデット
LP1300
モンスター:ライトロード・メイデン ミネルバ
魔法、罠:無し
手札:1枚
「俺の、ターン!! ……
リンクリボー LINK1
ATK/300
「そのままエンドフェイズ。太古の白石の効果でデッキから『ブルーアイズ』モンスター、青眼の白龍を特殊召喚して、ターンエンド」
明日葉
LP4200
モンスター:リンクリボー、青眼の白龍
魔法、罠:無し
手札:1枚
「ブルーアイズが途切れない……私のターン! ミネルバをリリースして『ライトロード・ドラゴン グラゴニアス』をアドバンス召喚!」
ライトロード・ドラゴン グラゴニアス
ATK2200/DEF1600
「グラゴニアス……効果で自身の攻撃力を上げるカード……」
「そう! グラゴニアスは墓地の『ライトロード』の種類一つにつき300攻撃力を上げる。墓地の『ライトロード』はミネルバが加わって七種類だから」
グラゴニアス
ATK2200→4300
「攻撃力4300……」
いきなり青眼の白龍を超えた攻撃力を持ったモンスターの出現に会場は歓喜の声を上げる。しかし明日葉は冷静に、しかし笑顔を絶やさなかった。
「この状況でも笑っていられるなんてね。でも実際はピンチだから作り笑いかな?」
「さぁね。でも一つ言えるのはまだこれじゃあ決着はつかないって事かな?」
「そうかい。バトル!グラゴニアスでリンクリボーに攻撃!」
「リンクリボーの効果! 自身をリリースして相手の攻撃モンスターの攻撃力をエンドフェイズまで0にする!!」
グラゴニアスのブレスがリンクリボーを捉えるが、リンクリボーはサーキットに逃げ込み、尻尾のリンクマーカーがグラゴニアスに刺さる。そのマーカーは徐々にグラゴニアスの力を奪っていった。
「なんだと! 低い攻撃力のリンクリボーがフィールドにいるのはこのためだったのか……」
「流石に何も手のないまま低い攻撃力のモンスターを棒立ちさせませんて。で、どうします? ブルーアイズに攻撃しますか?」
「冗談。カードを一枚伏せてターンエンド。エンドフェイズにグラゴニアスの効果でデッキから三枚墓地に送るよ」
オデット
LP1300
モンスター:ライトロード・ドラゴン グラゴニアス
魔法、罠:1枚
手札:無し
「俺のターン! カードを一枚伏せて墓地の太古の白石の効果、自身を除外して墓地の『ブルーアイズ』モンスターを手札に加える。青眼の白龍を手札に加えてターンエンド」
明日葉
LP4200
モンスター:青眼の白龍
魔法、罠:伏せ1枚
手札:2枚
「良いカードは来なかったか。ならこっちは動かさせてもらうよ! 私のターン! このままバトル! グラゴニアスでブルーアイズを攻撃!」
「俺はここで伏せていたこのカードを発動する! 罠『スキルドレイン』! その効果は俺のライフを1000払うことで発揮する! フィールドのモンスター効果は全て無効になる!!」
「なんだって! てことは私のグラゴニアスは」
「そう! 攻撃力が元に戻って2200でブルーアイズとバトルする! 迎え撃て、ブルーアイズ!!」
グラゴニアスは力を無くしてもブルーアイズに突撃した。それをブルーアイズの疾風弾が直撃する。グラゴニアスはフィールドに沈み、光となって消滅した。
オデット
LP1300→500
「くううう!! もう少しだったのに! 私はカードを一枚伏せてターンエンド!」
オデット
LP500
モンスター:無し
魔法、罠:2枚
手札:無し
「俺のターン! バトル! ブルーアイズでダイレクトアタック!!」
「この瞬間、罠『閃光のイリュージョン』を発動! 戻れ、グラゴニアス!」
ブルーアイズの攻撃が発射される直前に、魔法陣から白と金の竜が姿を現す。ブルーアイズの攻撃は中断され再び対峙した。
「ならグラゴニアスごと破壊する! スキルドレインでグラゴニアスの攻撃力は変わらない! これで」
「更に伏せていた罠『ライトロード・バリア』を発動! 自分の『ライトロード』が攻撃対象に選択された時、デッキから二枚を墓地へ送って攻撃を無効にする!」
「くっ……俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP3200
モンスター:青眼の白龍
魔法、罠:スキルドレイン
手札:2枚
「あ、危なかった……私のターン! よし、裁きの龍を特殊召喚!」
「またか! こんな時に……!」
「裁きの龍でブルーアイズに攻撃! 【正義の裁き】!!」
裁きの龍のブレスとブルーアイズの疾風弾が衝突する。その衝撃波は二体を巻き込み対消滅した。
「ブルーアイズ……」
「まだグラゴニアスがいるよ! ダイレクトアタック!!」
明日葉
LP3200→1000
「がっ……かはぁ……!」
「エンドフェイズに閃光のイリュージョンの効果でデッキから二枚墓地へ送る。これでターンエンド」
オデット
LP500
モンスター:ライトロード・ドラゴン グラゴニアス
魔法、罠:閃光のイリュージョン、ライトロード・バリア
手札:無し
「俺の……ターン! 魔法『死者蘇生』を発動! 甦れ『
「ここでまた来たか! でもライトロード・バリアで」
「残念ながら発動出来ない。デッキの枚数の関係でね」
「なんだと? こ、これは!」
オデットは自分のデッキを確認する。デッキには確かにカードは存在した
一枚だけ。
「あなたのデッキは残り一枚! ライトロード・バリアのコスト二枚は捨てられないですよ!」
「そ、そんな……」
「バトル! オルタナティブで攻撃! 【滅びのバーンストリーム】!!」
「く……ここまでか……」
オデット
LP500→0
『決着ううううううううう!! WCS第一回戦初戦、勝利を飾ったのは
男性初のデュエリスト「遊崎明日葉」様だあああああああああああああああああああああああ!!!』
「やっぱりなんかこれは馴染めない……」
「ははは! いやー負けてしまった! あのまま粘ればいけると思ったんだけどね」
「いや実際ドローでなんとかする感じになっちゃったんでこっちとしてはデッキを改造しないとなって思いました。やっぱり低レベルを回すデッキには弱いんですよねこのデッキ」
「相性が悪いのに勝ててしまうのか……敵わないな。君には」
「でもオデットさんも強かったですよ。またデュエルしましょう」
「ひょえ! あ、ああそうだな! じゃあ早速今から「今は大会中ですよ」そ、そうだな……」
明日葉の勝利に彩佳たちも安堵の声を漏らす。その中でレイカは自分に言い聞かせた。
「次はわたしよ。明日葉さんと戦うまで、負けるわけにはいかない!」
明日葉とレイカは簡単に言うと「決勝で会おうぜ!」的なポジションにいます。
次回はいつ出来るやろか……大学の課題多くてやる暇ないん……。
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デュエル28~荒ぶる魂を宿して~
冥闇のデュエリスト買ったけどスーレアスライムは出ないしサイコショッカーのカードがあと3枚でデッキ完成するレベルになっちった。因みに3箱購入。
今回のスリーブは良い。かっこいいのしかない。神ですわホント。ラーのパーツが揃えば完璧だった。
第一回戦から第二、第三、と続き第七試合。明日葉たちの目に一人のデュエリストがとまった。
『決着ううううううううう! 第七試合の勝者、「イライザ・アトラス」!!やはりアトラス家のデュエリストは格が違ったああああああああああ!』
「イライザ・アトラス……実力は本物だな」
「はい、そこはやはりわたしの姉ですから。
「今、って言わない辺り自分に自信があるみたいだな」
「当然です。過去のわたしとは天と地程の差ですから。見ていてください。過去を超えるわたしを」
「ああ、楽しみにしてるぜ!」
レイカの決意を受け止めた明日葉は右手で拳をつくり、レイカに向ける。明日葉の趣旨を受け取ったレイカも拳をつくり互いに打ち合わせた。
「……何となく予想してましたが」
「見事に蚊帳の外だな」
尚、これは彩佳と悠香の目の前で行われているので傍から見てはいちゃついているようにしか見えない。これで怨嗟の視線を向けなくなったのは成長というべきか。
『さあWCS本戦第八試合! 対戦カードは「レイカ・アトラス」と「
「アトラスへの挑戦……か」
「? どうしたのよ。早くデッキカットを「レイカ・アトラス!! 貴様を倒し、アトラスをデュエリストの頂点から引きずり降ろしてやる!!」……はあ?」
いきなりなにを言い出すのか、そう言いたげなレイカだが暗那は意志は固いと言わんばかりに続ける。
「忘れたとは言わせないぞ! デュエルアカデミア時代、貴様とのデュエルで敗北したばかりに光明の恥さらしだと言われ続け……それをここで払拭し、貴様の首を我が光明家の前で晒してくれる!!」
「……?」
暗那は言い切ったぞと満足気だが、レイカ自身は身に覚えがないといった感じに小首を傾げる。明日葉も気になり彩佳に聞いてみた。
「彩佳、レイカと彼女の間に何かあったのか?」
「聞いた話なんですけど……レイカさんがアカデミア時代、学園であった大会でストレート勝ちで優勝したそうなんですよ」
「ストレート!? すごいなそれ!」
「多分だけどあいつ、それに巻き込まれた口だな。あの時は酷かった」
「悠香は直接見たことがあるのか?」
「ああ、何せレイカは後輩だからな」
「「え?」」
「なんでそんな顔するんだよお!!」
明日葉と彩佳は揃ってあり得ないといった顔を向ける。性格が大人びているレイカが年上ならまだしも
「そういえば、悠香に逆らったところ見たことなかったよな?」
「先輩故……なんですかねぇ。だとしても悠香さんが……」
「お前らしまいには泣くぞ!!」
コントを繰り広げている間にも暗那はレイカへ宣戦布告を終了させていた。
「兎に角! このデュエルは貴様のデュエリストとしての最後のデュエルだと思っておけ!」
「……過去に何があったかなんて興味無いわ」
「何だと……!」
「口で語る前に
デュエルでわたしを倒してみなさい!」
「……上等だよ」
「「デュエル!!」」
レイカ・アトラス
LP8000
VS
光明暗那
LP8000
「先行は私だ! 私は魔法『予想GUY』を発動! これでデッキから『メルギド四面獣』を特殊召喚!」
「メルギド四面獣、エクシーズでも狙うの?」
「いや、エクシーズやらシンクロやら小手先の技術なんて不要さ! 『黒き森のウィッチ』を召喚してメルギド四面獣を含めた二体をリリースして『仮面魔獣デス・ガーディウス』を特殊召喚!」
仮面魔獣デス・ガーディウス ☆8 闇
ATK3300/DEF2500
「攻撃力3300……」
「どうだ! 先攻一ターン目からこの攻撃力! そう簡単に突破させないぞ! 更に黒き森のウィッチの効果で守備力1500以下のモンスター『輪廻天狗』を手札に加えるぞ。カードを一枚伏せてターンエンドだ」
光明暗那
LP8000
モンスター:仮面魔獣デス・ガーディウス
魔法、罠:無し
手札:3枚
「デス・ガーディウス。攻撃力ならブルーアイズも上回るモンスター。だけどそれでわたしは止まらない! わたしのターン! 『レッド・リゾネーター』を召喚! レッド・リゾネーターの効果で手札から『終末の騎士』を特殊召喚。終末の騎士の効果を発動。デッキから闇属性モンスター『亡龍の旋律-デストルドー』を墓地へ送る。レベル4の終末の騎士にレベル2のレッド・リゾネーターをチューニング!
王に仕えし翼竜よ 今大地を響かせる咆哮と共に現れよ! シンクロ召喚! 『レッド・ワイバーン』!!」
レッド・ワイバーン ☆6 炎
ATK2400/DEF2000
「シンクロ召喚……でもその攻撃力じゃデス・ガーディウスは倒せない! 所詮シンクロやエクシーズみたいな召喚法は小細工でしかないんだ!!」
「あら、それは効果を見てからでも遅くはないんじゃないかしら? レッド・ワイバーンの効果発動。自身よりも攻撃力の高いモンスターが存在する場合、フィールドの一番攻撃力の高いモンスターを破壊する。デス・ガーディウスを破壊!」
レッド・ワイバーンの火球がデス・ガーディウスに放たれる。それを避けることが出来ずデス・ガーディウスは破壊された。
しかし、暗那の顔はしめたといったようにニヤついていた。
「かかったね」
「どういうこと?」
「デス・ガーディウスは破壊されるとデッキから『遺言の仮面』をレッド・ワイバーンを対象に装備カードとして装備する。そして遺言の仮面はデス・ガーディウスの効果があってこそ真価を発揮するのだ!」
「! レッド・ワイバーン!?」
燃え盛る炎の中からデス・ガーディウスは自身の身体の一部を仮面に変え、レッド・ワイバーンに投げつけた。レッド・ワイバーンは呻き声をあげながら身体から黒い瘴気を放っている。
「デス・ガーディウスによって遺言の仮面を装備されたモンスターは、コントロールが私に移る!」
「そんな!」
力なく倒れたレッド・ワイバーンは急に飛び上がり暗那のフィールドに飛んでいった。心なしか遺言の仮面がレイカを馬鹿にするように嗤っているように見える。
「さあどうする? これでモンスターはいなくなった。ターンエンドを宣言しな!」
「何を言っているのかしら?」
「ん?」
「まだ私はこのターン何も出来ないとは言っていないわ」
「な、何を言っていr……そうかそうか、カードを伏せていなかったな。それくらいは「わたしは魔法『ワン・フォー・ワン』を発動!」何!? まだ手があると言うのか!」
「手札のモンスター一枚を墓地へ送って手札・デッキからレベル1のモンスター『チューニングサポーター』を特殊召喚!」
「チューニングサポーター? レベル1、攻撃力100の雑魚モンスターに何が出来るって言うんだ! 往生際の悪い……」
「知らないの? シンクロは小さな力が集まって大きな力を発揮するのよ。伝説のデュエリストもカードを信じて最後の一ターンだって諦めなかったとあるわ」
「ならこれが貴様のラストターンというのだな。サレンダーでもするのか?」
「わたしは墓地のデストルドーの効果を発動! 自分フィールドのチューニングサポーターを対象にわたしのライフを半分にして特殊召喚出来る」
レイカ
LP8000→4000
「貴様馬鹿か? 勝ち目がないと早々にライフを削って「ライフなんて貴女には100あれば十分よ!」な、何ィ!!」
「デストルドーのレベルは対象にしたモンスターのレベル分下がってレベル7から6になる。チューニングサポーターはシンクロ素材にする際そのレベルを2としても扱えるわ。レベル2となったチューニングサポーターにレベル6となった亡龍の旋律-デストルドーをチューニング!!
王者よ 今ここに咆哮轟かせ 天地鳴動の力を示せ!! シンクロ召喚! 我が魂『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン ☆8 闇
ATK3000/DEF2500
「あの状況から、レッド・デーモンズ・ドラゴンだと!?」
「自身の効果で特殊召喚されたデストルドーはフィールドから離れるとデッキの一番下に行くわ。バトル! レッド・デーモンズ・ドラゴンでレッド・ワイバーンに攻撃! 【アブソリュート・パワー・フォース】!!」
暗那
LP8000→7400
「くうう! モンスターを奪ってもここまで動けるのか!」
「その程度では明日葉さんに傷一つ付けられないわよ。わたしはカードを二枚伏せてターンエンド」
レイカ・アトラス
LP4000
モンスター:レッド・デーモンズ・ドラゴン
魔法、罠:伏せ2枚
手札:無し
「レッド・デーモンズが出てくるなんて……でもまたデス・ガーディウスを出せば……私のターン! 『デーモン・ソルジャー』を召喚」
デーモン・ソルジャー ☆4 闇
ATK1900/DEF1500
「バトル! デーモン・ソルジャーでレッド・デーモンズ・ドラゴンを攻撃!」
「そのまま来るってことは何かあると……!」
「その通り! 手札から速攻魔法『収縮』を発動! これでレッド・デーモンズの攻撃力は半分の1500だ!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン
ATK3000→1500
レイカ
LP4000→3600
「レッド・デーモンズ……」
「ライフを半分も払ったのは痛手だったな! 私はカードを一枚伏せてターンエンド!」
光明暗那
LP7400
モンスター:デーモン・ソルジャー
魔法、罠:伏せ1枚
手札:1枚
「わたしのターン。……これくらいでよかったかしらね」
「何?」
レイカは静かに、しかし何かを確信したように暗那に話しかける。
「もう見せるものは見せたでしょう? だから終わっても良いわよね?」
「終わった? ふざけるな! 貴様を倒すまで終わりはせんぞ!」
「終わるわよ。私の勝ちでね」
「貴様の勝ちだと? まだ私のライフは7400もある。このターンで終わるというのか!」
「上手くいけばだけどね。まあ見せていきましょう。罠『リビングデッドの呼び声』を発動。これで墓地のレッド・デーモンズ・ドラゴンを復活させるわ」
地面からレッド・デーモンズがマグマを拭き上げながら蘇る。デーモン・ソルジャーに向けられたその眼は復讐を誓った幽鬼そのものであった。
「更に墓地の『風来王ワイルド・ワインド』の効果を発動。墓地のこのカードを除外してデッキから攻撃力1500以下の悪魔族チューナーを手札に加える。『チェーン・リゾネーター』を手札に加えそのまま召喚。チェーン・リゾネーターは自分フィールドにシンクロモンスターが存在する場合に召喚に成功すればデッキから『リゾネーター』を特殊召喚出来る。『ダーク・リゾネーター』を攻撃表示で特殊召喚」
「なんだ? これだけで私を倒すというのか? あまり私を舐めるな!」
「倒すわよ。このターンでね。バトル! レッド・デーモンズ・ドラゴンでデーモン・ソルジャーを攻撃!」
「ここで罠『
「そう、それさえもわたしの計算の内よ。カウンター罠『クリムゾン・ヘルフレア』!! これで魔法の筒の効果ダメージは入らない!」
「何ィ! でも攻撃は無効になるのならそのままバトルは「何を勘違いしているの?」え?」
「クリムゾン・ヘルフレアにはまだ効果があるわ。自分が受けるその効果ダメージは代わりに相手が倍になって受けるのよ」
「な!?」
暗那
LP7400→1400
「それにまだわたしのバトルフェイズは終わっていないわ。手札から速攻魔法『バーニングソウル』! このカードと同名以外の墓地のカードを一枚手札に加えるわ。そして自分フィールドのモンスターを使ってシンクロ召喚を行う!」
「し、シンクロ召喚! レベル9か11のモンスターがいるのか!」
「そんなものじゃ終わらないわ。これがわたしの
バーニングソウル!!
レベル8、シンクロモンスターレッド・デーモンズ・ドラゴンに、レベル3、チューナーモンスターダーク・リゾネーターと、レベル1、チューナーモンスターチェーン・リゾネーターをダブルチューニング!!
比類無き王者よ 紅蓮の悪魔と交わりて 天地創造の叫びを轟かせ!! シンクロ召喚! 荒ぶる魂『スカーレット・ノヴァ・ドラゴン』!!」
スカーレット・ノヴァ・ドラゴン ☆12 闇
ATK3500/DEF3000
「ダブルチューニング……これがアトラス家の本気ということか」
「家系なんて関係無いわ。わたしはひたすら前に進んだだけ。そしてこれからも、明日葉さんと共に歩む。デュエリストの頂点へ!スカーレット・ノヴァ・ドラゴンの攻撃力は墓地のチューナーモンスター一体につき500ポイントアップする! 墓地のチューナーは三体! よって攻撃力1500アップ!」
スカーレット・ノヴァ・ドラゴン
ATK3500→5000
「攻撃力5000!?」
「バトル! スカーレット・ノヴァ・ドラゴンの攻撃! 【バーニングソウル】!!」
スカーレット・ノヴァは自身の身体を燃やし、デーモン・ソルジャーに突撃する。デーモン・ソルジャーも対抗せんと剣を構えるが、そんなものは無いと言わんばかりに剣ごと貫いた。
暗那
LP1400→0
「ぐぅ……うわあああああああああああああああ!!」
『決着ううううううううう! 勝者「レイカ・アトラス」!! 前試合のイライザ・アトラスと共にアトラス家の意地を見せつけたああああああ!!』
「ま、負けた……また負けたのか……」
「そう、わたしの勝ちよ」
「っふ……笑え。笑えよ……あんなに息巻いて無様に負けた私を」
「何を言うの。貴女にはわたしがそんなキャラに見えていたのね」
「え?」
「デュエルの敗者はどんな屈辱も甘んじて受けなければいけない。でも勝者は戦った相手を
「そ、そんなつもりは」
「なら貴女はわたしの手を取りなさい。そして次は負けないとくらい言って、次に戦う為のデッキを考えることね」
「レイカ・アトラス……当然だ! 私は絶対に貴様を倒すのだからな!!」
そう言って差し出したレイカの手を暗那は勢いよく掴み、お互い固く握り合った。それを皮切りに会場は二人のデュエルを称え、称賛の声に包まれた。
「レイカ、やったな!」
「やりましたね! 第二回戦進出ですよ!」
「でも次はあいつの姉だ。姉妹対決になるが……大丈夫かな」
悠香は一抹の不安を抱いているが明日葉は不安を抱いていなかった。
「大丈夫だ。レイカはそんなやわじゃないって」
「明日葉……そうだな! んじゃレイカ迎えに行くか!」
元気よく駆けていく悠香を尻目に彩佳は明日葉に向き直る。
「明日葉君、次の対戦相手ですけど」
「ああ『カリーナ』。ファミリーネーム無し、第一試合を見るからにアンデッドデッキ。それも完成度が高い。それこそ俺の世界のレベルで」
この世界に高レベルのデッキを構築できる者がいないと明日葉自身思っていたわけではない。ただ確率が低すぎるために何かあるのではないかと勘繰っていた。自分自身驕りがあったのだと反省する程にはこの世界に染まってきたのかもしれない。
「確かに明日葉君以外に見たことない戦い方でした。展開、妨害、どれも並大抵のものではなかったですし、それに……」
「? 何か気になることが出来たか?」
「いえ、何というか……凄く機械的なデュエルだったというか、最初から分かっていたというか」
「……詰め込みか?」
「確証がないのでそうとも言えないですけど、それとも違うような……何でしょうか」
「まあ、デュエルしてみればわかるかもな。取り敢えず今は備えるだけだ」
明日葉は気にしないよう努めながら彩佳と共に悠香を追いかける。
彩佳は自身が抱く違和感を終始拭えずにいた。
『さあWCS本戦も本日最後のデュエル! 対戦カードは『骨塚伊織』と『ポラリス・ケフェイド』! 最後に相応しい華やかなデュエルを見せてくれえ!!』
この日最後となったデュエルは東エリアの骨塚伊織と北エリアのポラリス・ケフェイド。二人共大会での戦績はそれなりという評価で観客も一回挽回するシーンがあれば十分だと最早終わりの雰囲気を醸していた。
「明日葉様明日葉様明日葉様……決勝で戦うことが出来て幸せ……」
「……」
伊織は自分が勝つと確信を持つせいか決勝で明日葉と戦う妄想に耽っており、逆にポラリスは無言を貫いている。
『さあ早速行ってみようか!』
「デュエル」「……」
骨塚伊織
LP8000
VS
ポラリス・ケフェイド
LP8000
「わ、私のターン。魔法『融合』を発動。これで『ドラゴン・ゾンビ』と『メデューサの亡霊』素材に融合召喚。『金色の魔像』を特殊召喚」
金色の魔像 ☆6 闇
ATK2200/DEF1800
「更にカードを一枚伏せて、ターンエンド」
骨塚伊織
LP8000
モンスター:金色の魔像
魔法、罠:伏せ1枚
手札:1枚
「……私のターン。魔法『ワン・フォー・ワン』を発動。手札のモンスターを墓地へ送って手札・デッキから『天帝従騎イデア』を特殊召喚。イデアの効果でデッキから自身と同名以外のモンスター『冥帝従騎エイドス』を特殊召喚。永続魔法『帝王の開岩』を発動。更に速攻魔法『帝王の烈旋』を発動。このターンアドバンス召喚をする際あなたのモンスターを素材に出来る」
「……え?」
「金色の魔像をリリースして『氷帝メビウス』をアドバンス召喚」
氷帝メビウス ☆6 水
ATK2400/DEF1000
「氷帝メビウスの効果と帝王の開岩の効果を発動。開岩の効果から処理。デッキからメビウスと同名以外の攻撃力2800、守備力1000のモンスターを手札に加える。そしてメビウスの効果でフィールドの魔法、罠カードを二枚まで破壊出来る。あなたの伏せカードを破壊」
「う……あ……!」
フィールドに表れていた岩が砕け中から一枚のカードがポラリスの手札に加わった。更にメビウスの氷波が伊織の伏せカードを破壊する。
しかし明日葉は今のメビウスの氷波に違和感を感じた。
「……今、寒くならなかったか?」
「そうですか?」
「風邪か? 気分が悪いなら控室に戻って体温測った方がいいんじゃないか?」
「いや、そういうのじゃない。現に今は寒さは感じないから」
何があったのか、明日葉はポラリスというデュエリストに不信感を抱き始めていた。
「そしてイデアとエイドスをリリース。『天帝アイテール』をアドバンス召喚」
天帝アイテール ☆8 光
ATK2800/DEF1000
「アイテールの効果。アドバンス召喚に成功した場合、手札・デッキから『帝王』魔法、罠カードを二枚墓地へ送ってデッキから攻撃力2400以上、守備力1000以下のモンスターを特殊召喚出来る。『汎神の帝王』、『帝王の開岩』を墓地へ送って『冥帝エレボス』を特殊召喚」
冥帝エレボス ☆8 闇
ATK2800/DEF1000
アイテールの集まった魔力が異次元の扉を開く。天界と相反する冥界から支配者が現れた。
「エレボス、アイテール、メビウス……これでワンターンキルが成立する!」
「嘘だろ! 一ターンでここまで出来るのかよ!?」
「これほどまでデッキを研究して完成させられるなんて……並の努力では出来ないわね」
そう、普通ならここでポラリスに対する評価はデッキを愛するデュエリストと観衆は認めた
「……」
「明日葉君、どうしたんですか?」
「いや、やっぱりなんか妙というか……」
明日葉を除いて。
「バトル。メビウスで攻撃」
伊織
LP8000→5600
「ああ……っくううう!!」
メビウスの攻撃が伊織に突き刺さる。衝撃再現装置である程度の風圧と衝撃が来るが、それだとしても先程と比較してオーバーな伊織のリアクションは明日葉の違和感を更に募らせる。
「次にアイテールで攻撃」
伊織
LP5600→2800
「え? あぁああああああああああ!!」
「! おい、デュエルを中止しろ!」
「明日葉君!? ど、どうしたんですかいきなり!」
「これ以上デュエルをしちゃいけない! 早く中止するんだ!」
「最後、エレボスで攻撃
これで終わり」
エレボスの攻撃が始まった。両手に闇のエネルギーを集め、照準を定める。伊織は何が何だかわからないといったように虚空を見つめるがエレボスをその眼に映し
「……いや」
その奥で不敵に笑うポラリスの表情が彼女を絶望へ突き落した。
「いやああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおお!!」
伊織の
伊織
LP2800→0
デュエルは決着がついた。
「あ……ああ……」
「くそっ!」
「あ、明日葉君!?」
「ちょっと、どこ行くんだよ!!」
「今フィールドには行けませんよ!」
三人の制止を聞くことなく明日葉はデュエルフィールドに向かう。その間もアナウンスが決着を告げたが
『ん? ……骨塚選手ー? なんで倒れてるんだろ。てか動いてない? ちょ、ちょっとジャッジ! 彼女の容体今すぐ確認して!』
倒れたままの伊織を不審に思い、ジャッジが駆けつける。しかしジャッジが見たものは
「そ、そんな……い、息をしていない!」
そのように動揺しているジャッジの前に明日葉が飛び出してくる。
「ちょっとすいません!」
「あ、明日葉さん!? いけませんこのような所に! 今は危険です! 早くお戻りに」
ジャッジの声を無視し、明日葉は伊織の
「……これは」
そう、
「あの時感じた寒さは、全て実体化されたものだったっていうのかよ」
「明日葉君! 骨塚さんは」
「ポラリス・ケフェイド!!」
彩佳の声を遮るように明日葉はポラリスへ叫ぶ。
「お前は、お前たちは必ず倒す! ドーマの仲間は
俺がまとめてぶっ倒してやる!!!」
明日葉は人目も憚らず全力で叫んだ。
ポラリスは何も喋らずフィールドから退場していった。
WCS本戦一日目第一回戦、終了
長くなったね。今回は珍しく筆が乗った。
目の紋章とかはオリジナル設定です。後から語られるので今は明かしません。
これから分岐するような、無いような……展開二つ浮かんでるんですけどどっちが面白いかなあってなってます。
なんで骨塚がというのも次回語る感じです。待ってほしいの。次回まで。
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デュエル29~影依の人形使い~
ソリティアだったり大量展開のデッキを考えていると青眼をもっと展開できるようにならないかなと思案している作者です。
明日葉君デュエル回、展開早いけどこれくらいやんないとWCS編だけでだらだらするのも……
WCS会場は観客が騒々しくしている中、控室の明日葉たちは遅れてきた
「突然倒れた骨塚……明日葉君、あれがオレイカルコスが原因だって言っていたけど」
「骨塚の目にオレイカルコスの紋章が浮かんでいたんです。加賀良とのデュエルでも実際の衝撃が走った。メビウスの効果が発動した時に寒気がしたのは気のせいじゃなかった。あの時止められていたら……!」
「でもオレイカルコスの結界は発動していなかった。それなのになんで?」
「メディナの時みたいなケースだろうね。あれはデュエルで使われたわけではなかったけど効果は生きていた。そういった行動が見られていたら良かったんだろうけど今回は見られなかったから仮にジャッジに詰めたとしても」
「恐らくデュエルは続行されていたろうね。男とはいえ、これは全世界で中継されている。今更中止になることもないだろうし、したらしたで大バッシングを受けるかも」
「だったらどうしろと! このままドーマの連中に好き勝手なことさせるって言うんですか!」
「明日葉君……多分ドーマの事を言ったとして観客の方たちは演出としてしか見ないと思います。このように話しているけど普通の人たちからすれば何万年も前の話なんておとぎ話としか認識されません。ポラリスさんの事だってさっき警備員が控室に詰めかける所を見ましたけど」
―――「負けた事がショックだったんでしょう。それにしてもあの男性デュエリストに抱き寄せられるなんて羨ましい事もあるものだね」―――
「と言って話題をすり替えて骨塚さんへのヘイトの方が溜まっている状態です」
「こんな状況だってのにそういうの優先するのか……」
この世界の女性に対し改めて頭を悩ませる明日葉。そこに景子が話に入る。
「兎に角今出来る手は明日葉君に勝ち続けてもらうしかない。ポラリス以外のドーマの勢力がどこかにいるかもしれない。こちらも人員を割いて連中の仲間を探して捕らえる。だから君はデュエルに集中してくれないか」
「……はい」
明日葉はこの大会の中で起こりうるであろう闇のデュエルが引き起こす惨劇を危惧した。そして
「……ん?」
「悠香? 何かあったか?」
「いや……何も……」
闇から招く手もまた、徐々に近づいていた。
『先日はアクシデントがありましたが骨塚選手は現在は島の病院で入院しています。ご安心ください。
それでは今日のWCS第二回戦! 最初はやっぱりこのお方! 西エリアのオデット選手を下し、今大会大注目株! 我らが「遊崎明日葉」様ああああああああ!』
「……」
予選で見せたツッコミが無い事に違和感を感じる観客もいたがそれを意に介さない様子でたたずむ明日葉。かれを余所に次のデュエリストが現れる。
『次に来たのがセントラルエリアで頭角を現した影のデュエリスト……「
「……」
影野と呼ばれたデュエリストも無言で明日葉に近づき互いのデッキをシャッフルする。
「……貴方は何を信じるの?」
「……どういう事だ」
「貴方には信じるものが無い。それだと何かを無くした時耐えられなくなる。神がいると信じられたらそういった事にも耐えられるようになる」
「お前……ドーマか」
「貴方のやっている事は賢い行いじゃない。私達の神の世界で一緒に……」
顔を赤らめながら桐花はドーマへ明日葉を誘おうとする。しかし明日葉は
「ふざけるな」
冷たい視線を桐花に向け、言い放った。
「?」
「昨日のデュエルで分かった。お前達を野放しにすればどれだけの人が犠牲になるか。それを正義というのなら俺は悪でいい。お前達の神は復活させない」
「……どうして他の人を気にするの?」
「俺達は誰かがいないと生きていけない。大切なものを無くした時、支えてくれるのも人間だ。神に縋るだけなんて奴隷も同じだ」
「……この世界に心を許した人なんていないのに」
「! お前……どこまで「シャッフルはもういいでしょう。早く位置について」あ、はい……」
デッキを相手に返し、互いに位置につく。
『ではこれより第二試合第一回戦
デュエル開始ィ!!』
「「デュエル!!」」
明日葉
LP8000
VS
桐花
LP8000
「私のターン、私はまず『マスマティシャン』を召喚」
マスマティシャン ☆3 魔法使い族
ATK1500/DEF500
「マスマティシャンの効果、デッキからレベル4以下のモンスターを1体墓地へ送る。『シャドール・リザード』を墓地へ」
「手札から『増殖するG」の効果を発動。このカードを墓地へ送ってこのターン、お前が特殊召喚する度にデッキから1枚ドローするぜ」
「! シャドール・リザードの効果で新たに『シャドール』モンスターを墓地へ送る。『シャドール・ビースト』を墓地へ送ってビーストの効果、デッキから1枚ドロー。魔法『
影を紡ぎし糸よ 物言わぬ傀儡を操り 世界を覆う闇をもたらせ 融合召喚 『エルシャドール・ミドラーシュ』」
エルシャドール・ミドラーシュ ☆5 魔法使い族
ATK2200/DEF800
「増Gの効果でドローだ」
「ウェンディの効果でデッキから『シャドール』モンスター、『シャドール・ビースト』を裏守備で特殊召喚。
「効果でドロー」
「カードを1枚伏せてターンエンド」
桐花
LP8000
モンスター:エルシャドール・ミドラーシュ、マスマティシャン、セットモンスター1体
魔法、罠:1枚
手札:無し
静かに始まったデュエル。観客は雰囲気を読み固唾を飲んで見守る。
「俺のターン、手札から魔法『トレード・イン』を発動。『白き霊龍』を墓地へ送って2枚ドロー。魔法『復活の福音』これで白き霊龍を蘇生だ。そして効果でそのセットカードを除外する」
「なら罠『
「バトルだ。白き霊龍でミドラーシュを攻撃【消滅のスピリット・バースト】!!」
白き霊龍が放ったブレスがミドラーシュを直撃し消滅させる。しかしミドラーシュがいた場所には黒に近い紫が溜まっている。
桐花
LP8000→7700
「ミドラーシュが破壊された事で墓地の影依融合を手札に戻す。これで次のターンも融合ができる」
「白き霊龍の効果、相手フィールドにモンスターがいれば自身をリリースして手札から『
白き霊龍の身体が光輝き、青き眼を持つ龍へと昇華する。青き眼は咆哮をあげ、敵を威嚇する。
「まだバトルフェイズだ。青眼の白龍でマスマティシャンを攻撃!【滅びの
青眼の白龍の口から敵を滅ぼすブレスが放たれる。これに対抗出来るはずもなくマスマティシャンは飲み込まれ爆散した。
桐花
LP7700→6200
「マスマティシャンの効果、戦闘で破壊された事でデッキから1枚ドローする」
「カードを1枚伏せてターンエンドだ」
明日葉
LP8000
モンスター:青眼の白龍
魔法、罠:伏せ1枚
手札:4枚
「明日葉も大きく動かなかったな」
「ミドラーシュには特殊召喚を1回だけに制限する効果があったのだし、仕方ないとは思いますが……」
「だとしても明日葉さんの普段の動きでは無いわね。慎重になっているのかしら」
3人は普段と違う明日葉の動きに違和感を覚えるが、盤面の関係故と納得する。しかし、明日葉の雰囲気が間違いなくおかしい事をデュエリスト特有の空気から読み取っていた。
「私のターン、魔法『影依融合』。これd「させねえ」……え?」
「手札の『灰流うらら』の効果を発動。手札からこいつを墓地へ送って影依融合を無効にする。そいつは俺のフィールドにEXデッキから特殊召喚されたモンスターがいればデッキからも素材を持ってこれたよなぁ。無効にできるぜ」
「そ、そんな……モンスターを1体伏せる。カードを1枚伏せてターンエンド」
桐花
LP6200
モンスター:セットモンスター1体
魔法、罠:伏せ1枚
手札:無し
「俺のターン。手札の青眼の白龍を公開する事で
伏せ→超電磁タートル
「亀か、枯らさせてもらおう。オルタナティブで攻撃」
「超電磁タートルは……使わない」
桐花
LP6200→3200
「……メインフェイズ2だ。『
召喚条件はドラゴン族モンスター2体 俺は青眼の白龍と太古の白石をリンクマーカーにセット サーキットコンバイン 『天球の聖刻印』」
天球の聖刻印 LINK2 光
ATK0
「エンドフェイズに太古の白石の効果だ。デッキから『ブルーアイズ』モンスターを特殊召喚出来る。『ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン』を特殊召喚してターンエンドだ」
明日葉
LP8000
モンスター:青眼の亜白龍、天球の聖刻印、ブルーアイズ・ソリッドドラゴン
魔法、罠:無し
手札:2枚
「私のターン……貴方、本当はそんな顔出来るのね」
「お前達を倒さない限りこの世界はいつまでも滅亡に晒される。それを無くす事が出来るなら、鬼にだってなってやるさ」
「ふふふ……でも残念。一手遅かったわ」
「……止めろ」
「このカードはあの方からいただいた絶対の力。貴方を倒し、神復活の贄にする力」
「なんで……こうなるんだよ……」
狂信と言える彼女の台詞に、まるで果たせなかったと言わんばかりに明日葉は顔を歪ませる。そしてそれは発動される。
「フィールド魔法
オレイカルコスの結界」
歴史に葬られた忌むべき紋章。一度世界を破壊したその力は再び世界の目に映る。
「セットしていた影光の聖選士を発動。これで墓地のウェンディを裏守備で蘇生。更にモンスターを1体伏せる。これでターンエンド」
桐花
LP3200
モンスター:セットモンスター2体
魔法、罠:無し
手札:無し
「俺のターン、手札1枚を墓地へ送って魔法『ドラゴン 目覚めの旋律』を発動。デッキから攻撃力3000以上守備力2500以下のドラゴン族を2体まで手札に加える。墓地の太古の白石を除外して墓地の青眼の白龍を手札に戻す。更に『沼地の魔神王』の効果を発動。手札からこいつを墓地へ送ってデッキから『融合』を手札に加え、そして発動。フィールドのオルタナティブと手札の青眼の白龍2体で融合。
青き激情が世界へ溢れる 彼方からの光よ 絶対なる破壊と共に出でよ 融合召喚! 『
神秘の渦から三つ首の竜が現れる。過剰なまでのエネルギーがアメジストのように輝き、しかしその光が恐ろしさすら演出している。
青眼の究極亜竜 ☆12 光
ATK4500/DEF3800
「究極亜竜の効果、相手のカード1枚を対象に破壊する。そしてオルタナティブを素材としていればその対象を3枚にまで増やす事が出来る。セットモンスター2体とオレイカルコスの結界を選択、破壊だ」
究極亜竜から放たれた光球が伏せられたモンスターに向かっていく。人形達は跡形もなく消え去った。しかし、その魂ともいえるオーラが留まる。
「上手い! これでオレイカルコスの結界は破壊出来る!」
「でも魂を奪われるというのも無くなるのかしら……もし無くならないとしたら」
「……ふふふ」
「?……まさか」
桐花の笑みに明日葉は何かを察する。そしてその勘は当たってしまう。
「オレイカルコスの結界は1ターンに一度だけ破壊を免れる。惜しかったわね」
「そんな……!」
明日葉の策もオレイカルコスの結界には通じない。彼女の笑みに彩佳は顔を青ざめさせる。しかし彼女の恐怖など知ったことではないと言ったように桐花は効果を発動させる。
「ウェンディとリザードの効果を発動。リザードの効果でデッキから『シャドール・ファルコン』を墓地へ送ってウェンディの効果でデッキからビーストを裏守備で特殊召喚する。更にファルコンの効果で墓地からヘッジホッグを特殊召喚」
「究極亜竜はこの効果を使った後は攻撃出来ない。だがソリッドがいる。バトルだ! ソリッド・ドラゴンで攻撃!!」
「超電磁タートルの効果でバトルは終了。ダメージは無い」
「……ターンエンドだ」
明日葉
LP8000
モンスター:青眼の究極亜竜、天球の聖刻印、ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン
魔法、罠:無し
手札:1枚
「私のターン、ビーストを反転召喚し、リバース効果でデッキから2枚ドローして1枚捨てる。!……今捨てたファルコンの効果で自身を裏守備で特殊召喚。これでモンスターは3体。……素材は揃った」
「……何だと?」
「ヘッジホッグを反転召喚して効果を発動。これでデッキから『
「な!?」
「さあ、『シャドール・ファルコン』と『シャドール・ビースト』、『シャドール・ヘッジホッグ』を
巨神よ 邪なる力持て 光明なる世界に制裁を
『邪神ドレッド・ルート』!!」
「じゃ……邪神?」
「何……これ……?」
顕現するは『闇』そのもの。その巨体から溢れるオーラは全てを飲み込まんとする。
「これこそ神の賜りもの。さあ、神に全てを捧げなさい」
だらだらするのもと言ったな。あれは嘘だ(前後編)というわけで続きは次回です。
最近刃牙をアニメで観てるんですが勇次郎ネタとしてもキャラとしてもいいですよね。作者もあんなキャラの濃いの作りたい。
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デュエル30 ~苦痛を伴う遊戯~
武神を組み直して展開もう少しやれないかと模索中です。んな事やってるなら書けって話ですけど。
そんな事考えてたら新規来たィイヤッホオゥ!!!
あっそうだ(池沼)。今回はかなり暗めです(いつも通り)。
「ドレッド……ルート?」
突如現れた巨大な『闇』。その額にはオレイカルコスの紋章が浮かんでいる。
「『邪神ドレッド・ルート』がいる限りドレッド・ルート以外のモンスターの攻撃力守備力は半分になる。これは対象を取らないわ」
青眼の究極亜竜
ATK4500→2250
「アルティメット……!」
「バトル、ドレッド・ルートで青眼の究極亜竜を攻撃。【フィアーズノックダウン】!!」
ドレッド・ルートの拳が究極亜竜にめり込む。鱗が砕け、肉が弾けるという
「おい……これ本当に立体映像かよ……」
「究極亜竜の……鱗が……」
ドレッド・ルートによって沈んだ究極亜竜は弱々しい声をあげながら明日葉へ視線を向ける。まるで役に立てなかった事を詫びるように。
「今のは……何だ……?」
「闇のデュエルは実際の衝撃が走る。そこに邪神程の強大な力が乗れば、それはモンスターにも波及する」
「! つまり今の衝撃は……アルティメットが俺に謝るように声をあげたのは……!」
「……デュエルモンスターズの世界があるとするのなら、彼らは今異世界に召喚されて戦わされている状態。貴方のブルーアイズは貴方を信頼しているけど他のデュエリストはどうなのかしら」
「!」
桐花の台詞が明日葉の胸に深く刺さる。今置かれている状況が自分が望んだとはいえ、この異世界にいつの間にか迷い込み、神の復活を阻止せんと戦っている。それが戦力的な理由からも明日葉が適任であり、他がこの役割を全う出来ない事も理解しているが、何故この世界に来てしまったのか回答を得られずにいた。
「『冥王結界波』でこのターン貴方がダメージを受ける事は無い。カードを1枚伏せてターンエンド」
桐花
LP3200
モンスター:邪神ドレッド・ルート
魔法、罠:伏せ1枚
手札:無し
「俺の、ターン……」
「どうしたのかしら? 邪神の力に恐れたの? 貴方ともあろうデュエリストが」
「! そんな訳あるか! (とはいえ動くにはカードが無い……あの邪神の攻撃力も『オレイカルコスの結界』の効果で事実上4500だ。倒すにしても実質9000を揃えないといけない……待てよ?)墓地の『
明日葉のフィールドに再び青き眼を持つ龍が現れる。仲間の仇を撃たんとばかりにあげる咆哮は、いつも以上に殺気が籠っている。
「オルタナティブの効果だ。攻撃権を放棄してドレッド・ルートを破壊する!」
「! そうか! いくら攻撃力の壁が高くても効果で破壊出来るのなら……」
「問題なく突破出来るという事……流石明日葉君です!」
オルタナティブのブレスはドレッド・ルートを正確に貫く。ドレッド・ルートは断末魔をあげて絶命した。
「……意外とあっさり?」
「破壊耐性が無かった……?」
「バトルだ。ソリッド・ドラゴンでダイレクトアタッ「罠『
虹色に輝く光線が、影を生み出す根源を消し飛ばす。しかし桐花のライフを削るには今一つ足りなかった。
「……ターンエンドだ」
「残念だったわね。ブルーアイズ程の火力ならもう削り切れたはずなのに。ふふふ」
「……くそ」
明日葉
LP8000
モンスター:天球の聖刻印、青眼の亜白龍、ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン
魔法、罠:無し
手札:1枚
「私のターン、魔法『貪欲な壺』。墓地のモンスター『シャドール・ビースト』『シャドール・リザード』『
「何! ラヴァ・ゴーレム!?」
溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ☆8 炎
ATK3000/DEF2500
明日葉のフィールドが溶岩に呑みこまれる。2体のモンスターはその溶岩の中に溶け、そのエネルギーが溶岩をもって形作られる。その首から吊られている檻に明日葉は閉じ込められた。
「くっ……あ、熱い……」
「このターン通常召喚は出来ないけど特殊召喚は出来る。魔法『死者蘇生』、墓地のモンスター『エルシャドール・ネフィリム』を蘇生する」
「ネフィリムは……マズい!」
「バトル。ネフィリムでブルーアイズ・ソリッド・ドラゴンを攻撃。【
ソリッド・ドラゴンの身体に影から生み出された糸が入り込む。引きちぎろうと身体をよじるが、更に入り込み身動き一つとれなくなっていく。身体のコントロールを奪った糸は脳に達し、生命活動を停止させられたソリッド・ドラゴンは地に沈んだ。
「ソリッド・ドラゴン!!」
明日葉
LP8000→7200
「糸とはなんて恐ろしいのかしら。ターンエンド」
桐花
LP3200
モンスター:エルシャドール・ネフィリム
魔法、罠:1枚
手札:無し
「俺のターン!」
「ラヴァ・ゴーレムの効果。コントローラーは1000ダメージ」
明日葉
LP7200→6200
「あっつ!! ……さっきのも含めて、闇のデュエルは質が悪すぎる」
「敗者の苦しむ様も我らが神は望んでいる。神とは我儘なもの。そこも愛おしいでしょ?」
「趣味悪いとしか思えないな。癇癪起こすのも神の特権ってか?」
空元気のように軽口を叩く明日葉だが、状況は悪化の一途を辿る。
「(ネフィリムもラヴァ・ゴーレムも大方俺のライフを削り耐久戦を続けながら再びドレッド・ルートを出す為の布石。まともにやっても破壊すら出来ないなら……)俺は魔法『貪欲な壺』を発動。墓地の青眼の白龍3体とオルタナティブ、究極亜竜をデッキに戻して2枚ドロー。魔法『トレード・イン』を発動。手札のレベル8『混源龍レヴィオニア』を墓地へ送って2枚ドロー。手札の青眼の白龍を公開する事で青眼の亜白龍を特殊召喚する」
「それは通さないわ。罠『奈落の落とし穴』を発動。これでオルタナティブを破壊してゲームから除外する」
明日葉が望みを託さんとしたオルタナティブはどこまで落ちるか分からない奈落へ突き落された。桐花は明日葉の一手を次々と破壊する。
「くっ……『輝光竜セイファート』を召喚。効果で手札の青眼の白龍を墓地へ送ってデッキから同じレベルのドラゴン族モンスター『
明日葉
LP6200
モンスター:溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム、輝光龍セイファート
魔法、罠:無し
手札:1枚
「徹底的ね……」
「明日葉の手を悉く潰してる。更にネフィリムの効果破壊もあるし何より」
「オレイカルコスの結界は自身のモンスターに攻撃力500上昇の効果付き。このままドレッド・ルートをまた出されたら……!」
「その前にラヴァ・ゴーレムのスリップダメージだ。7ターン待つだけでも負ける」
「どうしたら……」
明日香メタともいえる桐花の妨害札。ラヴァ・ゴーレムのスリップダメージとドレッド・ルートという敗北の可能性がじわじわと明日葉の身体を這いまわる。しかし、今から始まるのは桐花のターン。逃れる手は無い。
「私のターン、そのままバトル。ネフィリムでセイファートを攻撃」
明日葉
LP6200→4700
「ぐぅおおおおお!!」
「カードを1枚伏せてターンエンド。これで後5ターン待つだけでも私の勝利は確定する。サレンダーも認めてあげる。その魂、神に捧げなさい」
桐花
LP3200
モンスター:エルシャドール・ネフィリム
魔法、罠:伏せ1枚
手札:無し
「俺の……ターン!」
「このスタンバイフェイズにラヴァ・ゴーレムの効果で1000ダメージを受けてもらうわ。更に罠『マインドクラッシュ』発動。宣言するのは貴方がさっき手札に加えた混沌帝龍 -終焉の使者-」
ラヴァ・ゴーレムの身体が溶け出し、明日葉の身体から半透明の球体が出現する。それはラインをつくり、床に落としたパズルのように弾けた。手札の混沌帝龍は墓地へ送られる。
明日葉
LP4700→3700
「これでリセットも出来なくなった。逆転の目は皆無、これからどうしようというの?」
「……そうだな。これで決まった」
「そうでしょう? なら早くサレンダーを「お前の負けでな」……どういう事?」
「こういう事だ。手札から魔法『死者蘇生』発動。青眼の亜白龍を復活させる。そしてオルタナティブの効果を発動。これで攻撃権を放棄してネフィリムを破壊だ」
「むぅ……でもラヴァ・ゴーレムで攻撃してもまだライフは「このターンで終わる!」……さっきから話遮らないで?」
「レベル8の青眼の亜白龍と溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムをオーバーレイ!! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!
闇に輝く銀河よ 光輝く化身となりて 我が敵に破滅を エクシーズ召喚!! 『
銀河眼の光波竜 ★8 光
ATK3000/DEF2500
「ギャラクシーアイズ!? で、でも攻撃力は3000。たとえ攻撃されてもやっぱり200残る「何勘違いしてるんだ?」何?」
「まだ俺のメインフェイズは終了して無いぜ。銀河眼の光波竜でオーバーレイ! 1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!!」
「エクシーズモンスターで更にエクシーズ召喚!?」
「闇に輝く銀河よ 我が僕に宿り 振るえ! 制裁の光刃を!! エクシーズチェンジ!! 『
銀河眼の光波刃竜 ★9 光
ATK3200/DEF2800
黒き光の中から現れたのは虹の光を放つ翼を持ち、巨大な刃を腕部に装備された竜が低い唸り声をあげて桐花を睨みつける。銀河を映した眼は静かに怒りを湛え、その刃を振るわんと見せつけるように構えている。
「攻撃力……3200!?」
「そう、お前のライフと同じだ。そして墓地にももう防衛札も無い。後は分かるな?」
「そんな……嘘……」
「バトルだ! 光波刃竜でダイレクトアタック! 【光滅のサイファースラッシュウェーブ】!!」
光波刃竜が腕部の刃に虹色のエネルギーを宿し、切り裂くように放つ。フィールドを割るように走る光波の刃が迸る。立体映像の体感ダメージを凌駕する衝撃波は桐花の身体をいともたやすく吹き飛ばした。
桐花
LP3200→0
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!……あぁ……ダーツ様……」
オレイカルコスの結界は桐花を中心に縮小し、光が天に昇っていく。桐花の眼からは光が消え、仰向けに倒れた。
「……」
明日葉は何も言わずフィールドから降りる。その姿はデュエル中とは似ても似つかないようなやつれた姿だった。
「明日葉君、君が何をしたのか分かっているのかい?」
「……」
「黙ってたら解決すると?」
あのデュエルから数十分、明日葉は克巳に責めよられていた。彩佳達も仲裁に入るが、聞く耳を持たない。
「お、お母さん。明日葉君だって命がけだったんですよ。それに加賀良さんの事もあるしドーマを許せないのは仕方ないと思います」
「それは私だってそうよ。問題なのはそこじゃなくてオレイカルコスの結界が敗者の魂を奪う事を周知の事実としてしまった事。たとえそのままの意味で知られずとも、あのカードを使うと負けたら気を失うだけでは済まない。下手をすれば死ぬ事だってあり得ると世間は考えてる」
「で、でもそれはディスクの異常とか他のカードが違法製造されたとかって線を考えた方が妥当じゃ……」
「あんな実際に衝撃が走っていたら何が怪しいかなんてすぐに分かるものよ。オレイカルコスの結界を発動させる前に決着を付けられたら良かったけどそうは行かなかった。それどころか必要以上に威力を上げたらそれ相応の衝撃、あれ以上の攻撃を食らえば本当に立てなくなったかもしれないわ」
事実ネット上では放送されたデュエルの考察、今回の大会を中止にすべきというコメントが多く上がっている。男性デュエリストのデュエルを見られるのは十分魅力だが、それよりもオレイカルコスの結界の危険性を鑑みれば使用禁止にするか出来ないのなら大会を中止にすべきとの声が多い。また骨塚伊織の容体も桐花と酷似している事から同様の原因があると見られ、オレイカルコスの結界と考えていても、確たる証拠が無いというのが観衆の意見であった。
「それに問題というよりも、明日葉君。どうしてあんなとどめの刺し方をしたの」
「え? とどめ……?」
彩佳は意味が分からないといった風に克巳を見る。克巳はそれを察するように説明を始める。
「あのデュエルは実際のダメージが帰ってくる。光波刃竜程のモンスターのダイレクトアタックなんか受けた日にはその後の生活にだって支障をきたす可能性だってある」
「で、でもそれなら加賀良さんやメディナさんだって……」
「確かに。でも今回はオレイカルコスだけじゃない。邪神もいたでしょう?」
「!!」
その時周囲の頭にフラッシュバックが走る。青眼の究極亜竜が邪神ドレッド・ルートに破壊された時の衝撃を、ラヴァ・ゴーレムの溶岩の熱気を。
「そう。邪神の存在は記述された文献そのものが無かった。だからダメージに応じた衝撃がどれ程のものになるのかを私達は知らない。それこそ明日葉君以外は」
「明日葉君は実際にダメージを受けて衝撃も知っている。だから大ダメージの攻撃がどれだけ身体に響くかを知っている……と?」
「そう。でも明日葉君は攻撃を続けた。どうして? 魂を奪われるだけじゃなく、邪神の存在がどんな影響を及ぼすか分からないって言うのに」
「……ったのか」
「? どうしたn「俺が負ければ良かったのかよ!!」!」
「勝手な事ばかり言って! 外野はどうこう言えるけど俺は勝つか死ぬかなんだぞ? それにこのデッキには高火力モンスター以外は0とかあっても600! 6ターン攻撃し続けろってか! 向こうが何か打ってきたら? そいつが破壊されたら? 負けるのは俺だぞ!」
明日葉が見せたことの無い表情、本当に怒っている顔を彩佳達でも見たことが無い。
(無理も無いよな……死ぬかもしれないデュエルで相手にまで気を配る余裕なんか出来ないわな)
「明日葉君でも君は「だったらあんたに出来るのかよ! 相手の魂を奪わせず勝つ方法がよ!」っ……!」
「俺は正直言って怖いよ……メディナの時も加賀良の時もそうだった。でも彩佳が……皆がいるから、やってきたけど……何なんだよ邪神って!」
明日葉は自分の身体を抱きしめ、震わせる。今まで溜まっていたストレス、恐怖が噴出したのである。
「この世界に来て、女に狙われて、オレイカルコスとか闇のデュエルとか、挙句の果てに邪神だ!? 俺にどれだけ背負わせるんだよ!
部外者の俺に!!!」
「「「!!!」」」
「!……お、おれ……」
「……明日葉君」
自分の言った事に我に返った明日葉を彩佳が包む。そして頭を撫で、諭すように、謝るように語る。
「ごめんなさい。色々なものを背負わせてしまって。ごめんなさい。あなたに無理を押し付け続けて。あなたの近くに居続けたのに、あなたを何も知らなかった。本当に……ごめんなさい……」
「……違う、違うんだ。俺がやるって言った事で……なのに……」
「違わないです。そもそもはこの世界の問題。それなのに明日葉君は自分に鞭打って戦って……こちらが何を言う権利があるって言うんですか。責める事なんて出来ません」
「彩佳……俺……おれぇ……!」
「明日葉君
戦ってくれてありがとうございます」
「……ぁぁあああああああああああああああああああ!!!」
明日葉は彩佳の胸に顔を埋め、大声をあげて泣きだした。彩佳は明日葉の頭を優しく撫で、明日葉を離さないようにしっかりと抱きしめた。
「明日葉さん……」
「レイカ、行くぞ」
「ゆ、悠香さん?」
「克巳さんも、ほら早く」
「ど、どうしたの? 突然「こういうのは何も言わず二人きりにするのが華ってものですよ。あたしたちがいてもやる事も無いでしょう」……」
克巳は明日葉と彩佳を一度見つめると悠香の後を追いかけるように控室を出ていった。
「明日葉さん……」
レイカは今も明日葉の頭を撫で続ける彩佳を見つめ、悠香に振り返り後を追った。
「本当に良かったんですか? 二人きりにして」
「ああ、悔しいけど明日葉が最も心を開いているのは彩佳だ。それを邪魔するほどあたしも無粋じゃないよ」
克巳と別れた二人はレイカのデュエルの為にスタジアムに赴いていた。その折、レイカが悠香に対し、何故あのまま控室を離れたのかを聞き、悠香は明日葉の心境を察した事を答えた。
「それに丁度良いタイミングだったしな。レイカのデュエルに遅れたらアレだし、あのまま残って時間に遅れたら事だしな。協会からの応援もあるし、向こうは大丈夫だろ」
「それは……そうですけど……」
「はぁ……そんなに考え込むくらいなら後でお前も行って来れば良いさ。デュエルの勝利を手土産にさ」
「悠香さん……偶には良い事言いますね」
「偶にはってどういう事だおい」
レイカが冗談で先程までの空気を壊し、和んだ雰囲気が生まれた。これも悠香の気配りであり、デュエルの前にコンディションに関わる空気はプレイミスを生じさせる。それを避ける為にレイカへのフォローを忘れなかった。
「……あ」
「どうしたんですか?」
「ごめ、今日マーサがこっち来るって言ってたんだった。ちょっとそっち行ってくる」
「マーサ? ああ、悠香さんが幼少の頃にお世話になった……」
「警護対象の明日葉が出場するって言ったら応援に行くってさ。もうスタジアムにはいるはずだから先に控室に行っててくれ。座席の場所は把握してるからそっちで観戦するから」
「分かりました。全くしょうがないですね」
「サンキュ、明日葉達来たらそう伝えてくれな。んじゃ行ってくる」
「はい、マーサさんにもよろしく伝えてください」
レイカは先程より幾分か顔つきになり控室に向かった。それとは反対方向へ向かった悠香は明日葉の控室へ向かい、その入り口に立っている警護官一人を外へ呼び出した。
「悠香? どうしたのよここまで呼び出して。明日葉様の警護に忙しいんだけど」
「……前に克巳さんから古文書についての情報を聞いた」
「古文書? いったい何を言ってるの?」
「その後、協会に同じ状況の奴がいないかあたしらで探った。経歴、家族構成、全部ね」
「ちょっと、それってプライバシーの侵害「それでヒットしたよ。一人ね」……どういう事?」
「ここまで言ってしらばっくれるとは中々に肝が据わってるな。あんたの事だよ
「……」
今回はここまで。中途? 俺もそう思う。
Q:ドレッド・ルートさん弱くない?
A:今回はまだ先の話の布石……まだ邪神は本領を発揮していないぜ!(後付け設定)
Q:明日葉君どした?
A:そもそも異世界転移なんてストレスマッハ不可避の状況にきたら作者はゲロ吐いて潰れる可能性、ありますあります。そんな中空元気でも戦う事を選んだ明日葉君は凄いメンタル強い方だと思うんですよ。
Q:なんで紋章眼にあるん?
A:後に明かされます。
Q:奪わせず勝つ方法、(発動させなければ)ありますあります。
A:我らが神の力でそのような状況になれば必ず手札に舞い込むのだ……
次回は年越しか番外を書くかも。ではまたー。
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デュエル31~本気出しても構わない~
昨年神箱は二つ買って二つオベリスクですた…どぼじて…
あと早くPP届かないかなという昨年でした。あと人生初CSM買いました。
「あんたの事だよ
「……」
悠香が睨みつける先で五十嶋は涼し気に、しかし悠香から視線は逸らさずにいた。
「何かの間違いじゃないの? 経歴を確認したんならもう影野と加賀良……だっけ? 彼女らと関係が無いと分かるはずなんだけど」
「確かに一見すればあんたの経歴はちょっと引きこもりした一般人だ。でもその空白の直前、ある事件があった。行方不明も出た事件だ。今も続いてるその事件、新しいので言えば数か月前にも一人その捜査線に上がった。知ってるか?」
「……いいえ。知らないわね」
「そうかそうか。それでよぉ、
なんでお前、加賀良が影野とグルだって知ってるんだ?」
「……え?」
雰囲気の変わった悠香の言葉に呆気にとられる。
「だってよ、そもそもあたしがどうやってお前の経歴を調べられたと思ったんだ? 後、彼女らって言うけど今回の件は影野桐花しか一般には割れてない。それなのに加賀良とその他に何人かいるって分かってる口ぶりをどうして出来たんだ?」
「そりゃああんな事一人で出来るものでも無いし、仲間の中に敵がいたらヤバイでしょ? 調べるのも仕方ないのかなって」
「じゃあ調べられたのはどうやって?」
「それは……協会の事務所に人事資料が「協会に人事資料は無い。あるのは彩佳のお袋さんの会社のデータベースだ」え? そうなの?」
「更に言うなら童実野町とその付近の街は細かい情報まで分かる。お前が童実野町出身で良かったよ。関わってた人相まで割り出せた」
悠香はスマホを開き、画像ファイルを開いた。定点カメラから映されたのだろう画質の荒かった画像が解析され、鮮明に映し出されていたのはフードを被った人物と対する五十嶋の姿であった。
「深夜に撮られたこれはお前が行方不明になる直前、二年半前だ。加賀良も同じフードの奴と接触してるのを確認してる。そしてお前が再び確認及び協会に入ったのが四か月前。空白の期間が準備期間でこの四か月がこちらを探る期間だったら、辻褄が合うと思わないか?」
「……よく調べたね」
「やっと本性表したな」
「確かに僕はあの時ダーツ様と契りを交わし、パンドラの名をいただいた。僕は選ばれた存在。ダーツ様は選んだ人々を救済して新世界を創る。その生贄が」
「デュエリストの魂、て訳だ」
「正確には力ある魂。時の権力者や賢人、その一つとしてデュエリストがあるだけ。でもデュエリストの数が多い故に狙いやすいものあるかな」
「この大会も生贄を獲得する為、か……。ふざけた神様もいたもんだ」
悠香がため息交じりに漏らした言葉に応えるようにパンドラがディスクを構える。
「それで? ここに呼んだという事はこういう事なんだろう?」
「話が分かっていいな。それじゃ」
「「
御伽悠香
LP8000
VS
パンドラ
LP8000
「僕の先攻だよ。『キラートマト』を召喚。カードを2枚伏せてターンエンド」
「随分静かな滑り出しだな。舐めてんのか」
「そちらか僕らのデータを集めていたように僕らも情報を集めていたのさ。御伽悠香、二十四歳の牡牛座、ギャンブルデッキを使うが悉く失敗。遊崎明日葉の警護官に就いてからはその運も向上しているがギャンブルデッキ特有の展開力の低さがネックなのは変わらない。奇術師のショーは準備からさ。さあ、君のターンだよ」
パンドラ
LP8000
モンスター:キラートマト
魔法、罠:2枚
手札:2枚
「んじゃ、あたしのターンだ。なあ、今あたしのデッキがギャンブルだって言ったよな」
「そうだね。情報を集めるのは得意なんだ。その為の対策もとうぜ「あれ騙す為のダミーデッキだぞ」……は?」
「そう簡単に敵に本来の情報渡す訳無いだろ。まあ個人的な理由で本来のデッキを使ってなかったのが本音だけどな。まあその為にレッドまで落ちたけど彩佳と知り合えたって考えりゃ悪い事ばっかじゃ無いな」
あっけらかんとするレイカにパンドラは唖然とする。男性警護という全身全霊を以て当たるべき仕事に手を抜いていたという事である。しかしパンドラ自身悠香の情報は入手しており、レイカは協会に入ってから男性警護任務に着任していない。悠香はその事に関しても考えていたのである。
「普段は景子さんに頼んで事務やって警護は当たれないふりしてたんだけどな、明日葉が悪い。あたしの決意も砕いちまうんだからさ」
「そんな事……有り得ない!」
「有り得ないかどうかはこれから見てみなよ。永続魔法『炎舞-「天璣」』を発動! 発動処理で獣戦士族の『武神-ヤマト』を手札に加える。更に永続魔法『炎舞-「天枢」』。これで獣戦士族の召喚権が増えるぜ。ヤマトを召喚!」
「この瞬間罠『アヌビスの呪い』を発動。これでヤマトは守備表示になる。更に罠『断頭台の惨劇』! これで表側攻撃表示から守備表示となったモンスター、ヤマトを破壊する!」
呪いに囚われた神が断頭台に縛られる。脱出せんともがくが、抵抗虚しく彼はギロチンに掛けられた。
「たとえ倒れても、仲間がいる限り倒れる事は無い! 明日葉ならそう言うかな。手札の『武神-ミカヅチ』の効果を発動! 自分フィールドの獣戦士族の『武神』が戦闘・効果で破壊された場合、手札から特殊召喚出来る。それにまだ通常召喚の権利が残ってるぜ」
「発動タイミングを間違えたか……」
「そりゃ召喚権が残ってるのに先んじて破壊するのはいただけないよな。『武神-アラスダ』を召喚。レベル4の『武神-ミカヅチ』と『武神-アラスダ』でオーバーレイ!!」
「! エクシーズモンスター!? そんなデータ無かったのに!」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!
天を切り裂く鳴雷 二振りの刃は
宇宙を思わせる空間から現れたのは左右非対称の鎧を纏った神。世界に安寧を齎す神は、暗雲を断ち切る刃となる。
武神帝-スサノヲ ★4 光
ATK2400/DEF1600
「スサノヲの効果を発動だ。オーバーレイユニットを一つ使い、デッキから『武神』モンスターを1枚手札に加えるか墓地へ送る。『武神器-ムラクモ』を墓地へ送って効果を発動だ。自分フィールドに『武神』獣戦士族モンスターがいれば、自身をゲームから除外して相手フィールドのモンスターを1体破壊する。キラートマトを破壊だ」
「くっ……キラートマトの効果は戦闘での破壊だけ。リクルートは出来ないか」
「バトル、スサノヲでダイレクトアタックだ。炎舞の効果は共通で獣戦士族の攻撃力を100上げるぜ!【
パンドラ
LP8000→5400
「くううっ! この……調子に乗るな!」
「カードを1枚伏せてターンエンドだ。さて、情報を集めるのは何だったかな?」
悠香
LP8000
モンスター:武神帝-スサノヲ
魔法、罠:伏せ1枚
手札:1枚
飄々とした様子の悠香にパンドラは苛立ちを露わにする。しかし直ぐに立て直し、デュエルを続ける。
「ならこのターンで成果を見せてあげるよ! 僕のターン! 手札から魔法『帝王の烈旋』を発動! これでスサノヲをこのターン、アドバンス召喚の素材に出来る!」
「マジか! 罠『
「これを躱したか……でも、手札1枚を墓地へ送って『ザ・トリッキー』を特殊召喚する」
「これは、伝説のデュエリストが使っていたっていうカード……!」
「それにトリッキーの攻撃力は2000。……ヤマトを攻撃!」
「それは……受ける!」
悠香
LP8000→7800
「ダメージフィードバックが通常のままだ。つまりオレイカルコスの結界が無ければダメージが実体化する事も無ければ魂が奪われる事も無い……?」
「理解が早くて助かるよ。最も、次のターンにはオレイカルコスの結界を引き込めるだろうね。ターンエンド」
パンドラの台詞はハッタリではない。奇術師といったように彼女はデッキにトリックを仕込んでいる。デッキの上を望んだものにする為、特定のカードを一回り小さくなるようにカットする『ストリッパー』を始め、彼女もカードに関するトリックを仕込んでいた。
(『積み込み』なんて初歩的なトリックでもある程度離れてデュエルするのなら効果は覿面。次のターンにはオレイカルコスの結界を引ける……)
パンドラ
LP4400
モンスター:ザ・トリッキー
魔法、罠:無し
手札:無し
「あたしのターン。なあ、お前次のターンにはオレイカルコスの結界を引けるって思ってるだろ」
「僕たちの神を信じているからね。このターンをしのげばいいんだから。それにトリッキーの効果で送られたカードは『超電磁タートル』。このターンの攻撃は通らないよ」
「情報どうもよ。なら『D.D.クロウ』の効果を発動だ。相手の墓地のモンスターをゲームから除外する」
「! ちょ、ちょっとま「超電磁タートルを除外だあ!」君はキャストとしての自覚は無いのかい!」
「何がキャストだ! 生憎だがお前らの神さんの見世物になる気は無い! 魔法『武神降臨』! 自身の墓地と除外されている『武神』をそれぞれ1体ずつ特殊召喚する! ヤマトとムラクモを特殊召喚! レベル4の『武神-ヤマト』と『武神器-ムラクモ』でオーバーレイ! 再び来い、スサノヲ!!」
「また性懲りも無く……でもスサノヲでトリッキーを破壊してもダメージは400! 次のターンには「次のターンなんか無いぜ!」何!?」
「それにどうせ詰め込みとかなんかのイカサマでオレイカルコスの結界トップに持ってきてるんだろ?最初に持って来るべきだったな。スサノヲのオーバーレイユニットを一つ使ってデッキから『武神-ヒルメ』を手札に加える。ヒルメは自身の墓地の『武神』モンスターを墓地へ送る事で手札から特殊召喚出来るぜ。更にムラクモの効果だ。自身を除外してザ・トリッキーを破壊する!」
「っ! そんな……ここまで手も足も出ないの……」
「バトル! ヒルメからダイレクトアタックだ!」
パンドラ
LP4400→2400
「くううう! こんな……こんな事が!」
「あるんだよなぁ。悪いなエース出させてやれなくて。スサノヲのダイレクトアタック!【武神繚乱-天ノ剣戟】!!」
LP2400
「ぐあああああああああああああああああああ!!!」
スサノヲの放った斬撃が彼女のライフを削り切る。結局このデュエル、悠香はオレイカルコスの結界を発動させる事無く終わらせる事が出来た。
「明日葉があんなになってるなんて気づけなかった。それはあたしたちの失態、汚点とも言っていい。知らない間に男に色んな事を背負わせてたんだからな。だからもう逃げるのは無しだ。あたしも向き合う。絶対に逃げない!」
決意を秘めた瞳は明日葉がいる控室へ向き、自分の中の何かに決別の意を示す。
「さて、克巳さんに突き出して情報を聞き出すか。勝ったんだからそれくらいあって当然だよな?」
悠香は睨みながらパンドラの胸ぐらを掴む。敗北し、気力が抜けたがパンドラの魂は抜けていない。
「オレイカルコスの条件も理解出来た。これを明日葉達にも教えないとな」
悠香は上機嫌にパンドラを引きずって克巳の下へ向かっていった。
Q:克巳さん権限やばない?
A:協会の3トップの一つだし、遊戯王だけじゃなく色々なアニメでの企業って権限アホみたいに強いのが多いんでそんな感じです。
なんか伏線とか考えても解決とかそれを引き合いに出すってなるとホント難しい。徐々に慣れていきますんでよろしくお願いします。
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デュエル32~二つの荒ぶる魂~
イライザの登場です。デュエルシーンやったんですけどむっずい。
後話は変わるんですけど最近TS魔法少女物書き始めました。……続くよう頑張ります。
長い時間泣きじゃくった明日葉は彩佳の胸を借り、息を整えていた。
「ごめん……どうかしてた」
「気にしないでください。これくらい我儘を言っても文句を言う人なんてどこにもいませんよ」
ドーマが持つ『オレイカルコスの結界』、そして影野桐花が持っていた『邪神』、それらが持つダメージを実際のものとする力。明日葉の精神は自身が認識できなくともボロボロだったのだ。それを吐き出し、彩佳によってその精神は修復、前のそれ以上に新たに強くなりつつあった。
「それに私達も明日葉君に甘え続けていました。私達こそ戦わないといけないのに。改めてごめんなさい」
「そんな、俺こそ自分でやるって言ったんだ。それなのに…このザマだ」
「誰だって恐怖に怖気づく事もありますよ。むしろ、明日葉君も人並に怖いって感情があるんだなってちょっと安心しました」
「お、おいおいそれじゃあ俺が人じゃないみたいじゃないかよ」
冗談を言い合いながらも二人の間には柔らかい雰囲気が流れた。自分の弱さを許してくれる相手、明日葉は無意識の内にその相手を求めていた。彩佳は見事その相手に認識されたのだ。
「あの、彩佳…俺」
「はい?どうしたんですか?」
「俺、また頑張るからさ、俺のこと……信じてくれるか?」
「…ふふ、明日葉君今更何を言うんですか? とっくに明日葉君を信じ切っているのにこれ以上求めるなんて」
「そ、そうか?す、すまん」
「私は明日葉君を信じていますし、これからも信じていきます。明日葉君が私達を裏切っても私は明日葉君についていきます。明日葉君が誰かに奪われたなら取り返します。明日葉君の為なら、命だってかけられるんですよ」
「…俺としては無暗に命かけてほしくないんだけどな」
「それは私だってそうなんですよ? 本当なら私が出るべきだったのに、私だと優勝出来そうもないから…仕方ないとしても、何も出来ないのはもどかしいんですよ?」
彩佳はむくれながら明日葉を見つめる。デュエルの腕は明日葉が確実に上で、無駄な敗北はドーマにとって神への生贄となる。それ故に明日葉とレイカに全てを背負わせる形となったが彩佳自身がその場に立てなかった事がレイカへのコンプレックスとなっていたのだ。
「レイカさんはアトラス家で培ったタクティクスがありますけど私は…デュエルしても強くなれなかった。明日葉君とデュエルして強くなれたけど、それじゃあ遅かった。それが悔しいんです。これなら」
「それは違うぜ」
「? どういうことですか?」
「強くなるのに遅いも早いも無い。それに、俺を思ってくれているならそれだけで俺は戦う意味を持てるってものさ。こんなこと言うのむしがいいって思うけど、彩佳達が後ろにいてくれるから俺は戦う事が出来るんだ」
「明日葉君…」
明日葉の言葉に嘘は無い。彼自身ドーマと戦うのは本意であり、彩佳達を守りたいという意思と桐花の台詞を考えるとドーマと戦う事は元の世界に帰る方法に繋がるのではないかと考えている。
「ドーマと戦う事を俺はもう恐れない。邪神でも何でも、彩佳達を苦しめるなら、俺は戦う」
「私だって戦います。明日葉君だけに負担はかけません。明日葉君の道に壁が阻むのなら、敵が襲い来るのなら、私はそれを打ち壊します。だから、
私をずっと、傍においてくれませんか?」
「彩佳……
それ、丸っきりプロポーズじゃ……」
「え?……!!!!」
そう、流れで言ったがこの台詞はこの世界だけでなくともドストレートなプロポーズ台詞である。雰囲気って怖い。
「い、いやあのっそういう意味で言ったわけではいやそういう関係になれたらとは思いますけどって私何言ってるんでしょうああああああああああああ!」
恥ずかしさに早口でまくし立てる彩佳。そんな姿を見て明日葉は
「…ふふ」
「ふぇ?」
「あーははははは!!」
赤面する彩佳をよそに、腹を抱えて笑っている。
「な、なんでそんなに笑うんですか!意識していなかったとはいえ、プロポーズの台詞なんて人生一度言うかどうかなのにぃ!」
「いやゴメンゴメン。なんかおかしくってさ。そうだよ、俺にはこういった雰囲気が合ってるんだ。湿っぽくなっちゃいけないよな。改めてゴメン。迷惑かけた」
「そんな事ありませんよ。でも辛いって感じたら次はすぐ言ってくださいね。今度は思いつめる事なく」
「うん、その時は助けてもらうよ」
二人の視線が交差する。思いを吐き出し、真の意味で分かり合う事が出来た。沈黙が二人を包み、視線が徐々に熱くなる。二人の顔は近づきやがて
「おーいそろそろレイカがデュエルする時間……だ……ぞ…」
「「……」」
「……」
なんといいうことか、パンドラをしょっ引き良い時間だと戻ってきた悠香がタイミング良くドアを開けて二人のシーンを目撃してしまったのだ。
「えっと…悠香?」
「あの……これはですね……」
「……が」
「「ん?」」
「クソがあああああああああああ!!!!」
恐らく明日葉の警護官になって一番の大声をあげて、悠香は走り去っていった。嫉妬と怨嗟が混じったその声は廊下に響き渡った。
「悠香、本当ゴメン。だから機嫌直してくれって」
「ツーン」
「悠香さん、私達は別にき、キスしてたわけじゃないんですよ?」
「その言い方含みがあるように聞こえるからやめてくれ彩佳」
「ツーン」
先程のシーンでの誤解は未だ解けず、悠香はすっかりへそを曲げてしまった。売店で買ったジュースを空になるまですすり、音をたてて不機嫌さを表している。
「こりゃ当分ご機嫌は斜めか?」
「明日葉君がご機嫌とるしかなさそうですね…私じゃ火に油を注ぐだけですから」
「……どうするかなぁ」
この後悠香にどう謝罪するかを悩んでいる間にもレイカのデュエルが始まる。アトラス家の長女である『イライザ・アトラス』。アトラス家の現当主であり、レイカが狂っている体制の中で何が起こったのか明日葉が知る所ではない。
「逃げずに来たのは褒めてあげるわ。でも貴女の警護対象には恥をかかせる事になるわね」
「……明日葉さんがそんな事を気に掛けるとでも?」
「何?」
「あの人は弱い事を悪とはしない。弱いなら戦略を見直し、デッキを練り上げ、次は勝つ。上を目指し続ける者こそがデュエリストであり、その答えが自分のデッキでありデュエルだと」
「そんな世迷言が本当にできると?夢物語も甚だしいな」
「どうとでも言って構わない。この答えを信じて私は戦う!」
「明日葉君レイカさんにそんな事言ってたんですか?」
「いや、言ってない。多分自分でそう解釈したんだと思う」
『さあ、このアトラスの姉妹喧嘩!姉の威厳を見せるのか、姉より優れた妹がいる事を証明するのか参りましょう!!』
「「デュエル!!」」
LP8000
VS
イライザ・アトラス
LP8000
「私の先攻ね。『風来王 ワイルド・ワインド』を召喚。更に手札のモンスター一枚を墓地へ送って魔法『ワン・フォー・ワン』を発動。デッキからレベル1のモンスター『変容王 ヘル・ゲル』を特殊召喚。
ヘル・ゲルの効果とワン・フォー・ワンの効果で墓地へ送った『絶対王 バック・ジャック』の効果を発動。デッキの上から三枚を確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。ヘル・ゲルの効果でワイルド・ワインドとレベルを同じにし、ワイルド・ワインドのレベル4×200のライフを回復する」
イライザ・アトラス
LP8000→8800
「狙いは…やはりシンクロ!」
「魔法『スター・チェンジャー』を発動。ヘル・ゲルのレベルを一つ下げる。レベル4『風来王 ワイルド・ワインド』にレベル3となったチューナーモンスター『変容王 ヘル・ゲル』をチューニング
死の星より来たる王よ 愚者を裁く大鎌を振るい 世界を導く
天刑王 ブラック・ハイランダー ☆7 闇
ATK2800/DEF2300
フィールドに現れたのは、自らの身体と同じ大きさを持った大鎌を抱え、黒をメインとした鎧に身を包んだ王。かの王の前には弱者の力は分かたれる。
「ブラック…ハイランダー……」
「昔はこいつに何も出来ずにやられていたわね。私はこれでターンエンド」
イライザ・アトラス
LP8800
モンスター:天刑王 ブラック・ハイランダー
魔法、罠:無し
手札:1枚
「これはまずいな」
「ブラック・ハイランダーはシンクロを封じるモンスター。レイカのデッキじゃ攻略はほぼ無理だな」
「このままじゃ何も出来ずに負けちゃいます……何か手は…」
「まあレイカ自身それは重々承知だろうさ。何せ因縁ある姉のカードなんだから」
「わたしの、ターン!相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、『バイス・ドラゴン』は攻守を半分にして特殊召喚出来る!バイス・ドラゴンをリリースして『ストロング・ウィンド・ドラゴン』をアドバンス召喚!!」
「ストロング・ウィンド・ドラゴン…バイス・ドラゴンの攻撃力の半分、1000ポイント上げてブラック・ハイランダーを破壊。妥当な線ね」
「小手調べなら十分でしょう。ストロング・ウィンド・ドラゴンでブラック・ハイランダーを攻撃!【ストロング・ハリケーン】!!」
イライザ・アトラス
LP8800→8200
「……まあ、この程度やってもらわないとな」
「カードを二枚伏せてターンエンド。これからわたしのデュエルを見せてあげる!」
レイカ・アトラス
LP8000
モンスター:ストロング・ウィンド・ドラゴン
魔法、罠:伏せ2枚
手札:1枚
「私のターン、『幻影王 ハイド・ライド』を召喚。そして自分フィールドにチューナーモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚出来る。『奇術王 ムーン・スター』を特殊召喚」
「イライザも切り返しが速い。次のシンクロへの布石をもう立てた」
「でもこれならシンクロ出来てもレベルは6。5ならカタストルを出されて面倒な事になってたけどこれなら」
「でもレイカさんのお姉さんなら何か仕掛けてくるのは明白。何が来るのか…」
「私はレベル3の『奇術王 ムーン・スター』にレベル3チューナーモンスター『幻影王 ハイド・ライド』をチューニング
蒼き瞳が見果てるは天を焼き尽くすシリウスの星 這いつくばりし獣の牙を折り その骸の山で咆哮をあげよ! シンクロ召喚!! 『天狼王 ブルー・セイリオス』!!!」
天狼王 ブルー・セイリオス ☆6 闇
ATK2400/DEF1500
「ブルー・セイリオス…また厄介なカードを…」
「バトル、ブルー・セイリオスでストロング・ウィンド・ドラゴンを攻撃」
イライザ・アトラス
LP8200→7200
「攻撃力の低いブルー・セイリオスで攻撃?いったい何を考えているんでしょう?」
「ブルー・セイリオスの効果は、破壊され墓地へ送られた時に、相手モンスター一体の攻撃力を2400下げる」
「2400! それじゃあストロング・ウィンド・ドラゴンの攻撃力は…!」
ストロング・ウィンド・ドラゴン
ATK3400→1000
「ストロング・ウィンド・ドラゴン!」
「その伏せカードはブラフ?そんな事では程度が知れるわね。ターンエンド」
イライザ・アトラス
LP7200
モンスター:無し
魔法、罠:無し
手札:無し
「あいつ、場も手札も無い状況でよくあんな台詞言えるな」
「彼女はブラック・ハイランダーにバック・ジャックの効果を使わなかった」
「バック・ジャック?確か効果は…さっき使いましたよね?」
「もう一つの効果だ。相手ターンに自信を除外、デッキの一番上を確認してそれが通常罠なら、セットしてそのターン発動できる」
「つまり…ブルー・セイリオスの自爆まで想定済み?」
「そうなる。これが攻撃に対応するカードなら」
「攻撃した瞬間反射される…」
「レイカがどう対処するか…だな」
「わたしのターン、『レッド・リゾネーター』を召喚。効果で手札のレベル4以下のモンスター『終末の騎士』を特殊召喚。終末の騎士の効果でデッキから『亡龍の旋律-デストルドー』を墓地へ送る。レベル6の『ストロング・ウィンド・ドラゴン』にレベル2『レッド・リゾネーター』をチューニング!
王者よ 今ここに咆哮を轟かし 天地鳴動の力を示せ! シンクロ召喚!! 一族の魂『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン ☆8 闇
ATK3000/DEF2500
「来たぞレッド・デーモンズ!! 二体のダイレクトアタックが決まれば!」
「大ダメージは間違いありませんが…」
「それを許すはずもないよな」
「レッド・デーモンズ・ドラゴン……
良く私の前にそのモンスターを出せたな!!」
「!」
「墓地のバック・ジャックをゲームから除外して効果発動! 相手ターンにデッキトップを確認し、それが通常罠ならセットし、このターンに発動できる! デッキトップは通常罠『王魂調和』!!」
「!この状況は見越していたと…」
レイカは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。自分の手段が最初のターンから全て読まれていた事を察したのだ。
「どうする? シンクロ召喚を許す? そうする事に何の意味がある?」
「…バトル!終末の騎士で攻撃!」
「性懲りもない!罠『王魂調和』を発動!ダイレクトアタックを無効にする!そして、墓地のモンスターを使ってシンクロ召喚を行う!墓地のレベル3『奇術王 ムーン・スター』にレベル3『幻影王 ハイド・ライド』をチューニング!! 再びいでよ『天狼王 ブルー・セイリオス』!!」
「!どうして…」
「どうした? 攻撃しないのか? ダメージを稼ぐなら攻撃あるのみだぞ」
「…レッド・デーモンズ・ドラゴンで攻撃!【アブソリュート・パワー・フォース】!!」
イライザ・アトラス
LP7200→6600
レッド・デーモンズ・ドラゴン
ATK3000→600
「やはりそのカードはお前には相応しくない」
イライザの様子がレッド・デーモンズ・ドラゴンを見てから変化している。レイカに対し仇を見るように、レッド・デーモンズ・ドラゴンに恨みを抱くように
「姉さん…」
「何故だ
何故翔哉はそのカードをお前に渡した!!」
イライザから告げられる告白。レッド・デーモンズ・ドラゴンは
「レイカのカードじゃ…ない?」
「翔哉って…誰だ?」
「姉さん、義兄さんは貴女に「黙れ!そのカードは翔哉の物だ!お前が持っていい物じゃない!」……ターンエンド」
レイカ・アトラス
LP8000
モンスター:レッド・デーモンズ・ドラゴン、終末の騎士
魔法、罠:伏せ2枚
手札:無し
「私のターン!魔法『死者蘇生』を発動!墓地のブラック・ハイランダーを蘇生!更に墓地のワイルド・ワインドを除外し効果発動!墓地の攻撃力1500以下のチューナーを手札に戻す!ヘル・ゲルを戻しそのまま召喚!レベル7『天刑王 ブラック・ハイランダー』にレベル1チューナーモンスター『変容王 ヘル・ゲル』をチューニング!
闇を引き裂き 天地を焼くは絶対なる孤高の王者 全てをひれ伏させ 荒ぶる咆哮をあげよ! シンクロ召喚!! 『琰魔竜 レッド・デーモン』!!」
琰魔竜 レッド・デーモン
ATK3000/DEF2500
「もう一体の…レッド・デーモン?」
「姉さんの……エース!」
「レイカ
そのカードは返してもらう!!」
漫画版ジャックよくあのデッキ回せるなってなってます。何があったかは次回に回します。書くから。絶対書くから!
近々全話改稿しようと考えています。読み直したら何か違いがあるかも……
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デュエル32.5~義兄の魂と姉の慟哭~
レイカの過去編です。イライザと仲が悪い理由だったり家の深堀りをしていきます。
レイカ・アトラスはこの世界のデュエリストの名門『アトラス家』の次女である。幼少期は実家のあるセントラルエリアで義兄の『翔哉・アトラス』と長女の『イライザ・アトラス』とも関係は良好だった。
「ブラック・ハイランダーでダイレクトアタック!」
「うわーん!また負けちゃったよー!お姉ちゃんそのカード強すぎー!」
「その為の準備もやってるんだからいいのー!レイカも攻撃力だけで戦わないで効果も使わないと!」
「だってー!」
どこにでもある姉妹の日常。そして彼女には義理の兄がいる。
「イライザ、そんなに言ったらレイカが可哀想だろ?まあ、レイカもイライザの言う通り効果や魔法、罠も使いこなせるようにならないとね」
「翔哉お兄ちゃん!」
「翔哉、もう勉強はいいの?」
「うん、今日の分は終わりだって先生が。だから様子を見に来たんだけど、いつも通りだね」
「お兄ちゃん!お姉ちゃんがまたシンクロ封じてくるの!これって絶対わたしの当てつけだよ!」
「当てつけじゃなくて戦略よ!私が悪いみたいに言わない!」
多少怒りながらも三人揃って笑い合う。家族として、兄妹として微笑ましい光景である。レイカ自身、この日常がいつまでも続くと信じていた。
その日が来るまでは。
時間はレイカが小学生の時に進む。
「お姉ちゃんどこ行ったんだろ?新しいデッキつくったのに」
夜、新しいデッキをつくりあげたレイカは、イライザとデュエルしようと探すが、家中探しても見つからない。残るは翔哉の部屋のみであった。
「お兄ちゃんの部屋、でもここってお母さんから入っちゃダメって言ってたよね」
翔哉だけでなく、世界中の男性が暮らす家庭は男性用の部屋を大きくつくり、女性の侵入は一部の人間以外、家族でも入る事が出来ない。
「…ドア少し開けてなら、いいよね?」
意を決してドアを開ける。明かりはついておらず、カーテンが開いていた。
「夜なのにどうして……?」
そもそも男性の部屋はカーテンを開けない。朝に体内時計を正す為以外は覗き防止の為に閉めておくのだ。
「……イザ、やめ……」
「…やぁ……しょ……きぃ」
「お兄ちゃん!」
レイカは勢いよくドアを開ける。そこには
裸になっている翔哉と彼に覆いかぶさっているイライザがいた。
「お……おねえ……ちゃん?お兄ちゃんと……何…してるの……?」
「レイカ……!」
「レイカ…何故この部屋に入っているの?」
「だって……お姉ちゃんを探して…お兄ちゃんのやめてって聞こえて……」
たじろぐレイカだが、彼女の鼻腔は正確にこの部屋の異臭を捉える。今まで嗅いだ事が無い、むせかえるような精臭はレイカに事態の混乱を及ぼし、吐き気を促した。
「ぅぷ……ううぅ……」
「レイカ!」
「翔哉、レイカなんて放っておいて。今は私を愛して……」
「イライザ!妹を心配しないのか!」
「妹より貴方が大事よ。ほら、まだ出来るでしょ?」
「ああ…イライザ……どうして…」
レイカを放置し、イライザは翔哉に覆いかぶさり事に興じている。レイカはトイレに駆け込み胸にこみ上げたものを吐き出していた。
「ぅおえええええ!! うええええええ! けほっけほっ……」
身体の力が抜け、便座を前にへたり込む。レイカは無力感に襲われ、涙が浮かんだ。
「お兄ちゃん……お姉ちゃん……どうして……ううぅ」
レイカはひとしきり泣いた後、自分の部屋に戻り泥のように眠った。
「いか……レイカ……レイカ」
「んぅ……おにい……ちゃん?っお兄ちゃん!」
「レイカ、昨日は大丈夫だった?」
目が覚めたレイカの前には昨日イライザに襲われていた翔哉だった。
「お兄ちゃん!」
「レイカ、昨日はごめんね。どうやら夕食に薬を入れられていたらしい」
「そんな!」
この世界でこのような事例は多くある。子供が欲しい、相手と愛し合いたいという欲望から食事に薬を盛るという行動に走る。しかし、今回は一つの例外が存在した。
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもまだ中学生だよ!あれってあ…赤ちゃんをつくる為のものなんでしょ?お母さんだってそういうのは大人になってからって言ってたよ?」
「そう、母さんも言っていた。でもイライザは僕の為にやったんだ」
「どういうこと?」
翔哉は自らの出自をレイカに明かした。翔哉の両親はアトラスの分家だが、アトラス本家と違いデュエルで生計を立てられはしなかった。その中で翔哉が生まれた事を喜んだが、翔哉を育てる為に必要な資金を持ち合わせていなかった。
そこでアトラス本家に話を持ちかけた。翔哉を養子に出し、彼を守ったのだ。アトラス本家は男性を獲得出来た為、喜んで養子を受け入れた。しかし、上流階級で養子とは受け入れられ難いもの。アトラスの親戚間では男性としての扱いより、世継ぎを産む事を催促されていた。しかし当然翔哉は子供、精通もまだな幼子にとって何も分からないまま大人から自分に攻撃されているようにしか聞こえていなかった。そしてそれを間近で知っていたイライザは翔哉を助けたいと願った。そこで考えたのが
「イライザが僕の子供を身籠れば、親戚連中は黙るって思ったんだ」
「そんな…そんな事の為にお兄ちゃんが……」
「でもその中に僕は変なものを見た。それに昨日のイライザも、レイカをあれ程可愛がっていたのに急に態度を変えるなんて」
昨日の昼もレイカはイライザにデュエルに誘ったが、冷たくあしらわれていた。都合がつかなかったからとレイカは考えていたが翔哉はそうでは無いと考えていたようだ。
「そして昨晩、イライザにその事を問い詰めたら、レイカの事を私の前で話すなって怒鳴られたよ。その後は、レイカの知る通りだ」
「お姉ちゃん……」
「レイカ、よく聞いて。イライザだけじゃない、この家が、アトラスの関係者がおかしくなり始めている。レイカにこのカードを託す。僕の友人が東エリアにいるからそこを頼って、いつかこの家の闇を暴いてほしい」
レイカは話を呑みこめなかった。いきなり飛躍したそれは、小学生が理解するには難しすぎるものだった。
「お、お兄ちゃん?いきなり何を言ってるの?」
「僕自身、どこか気がおかしくなったんじゃないかと困惑してる。でも感じたんだ。イライザの後ろに
「何か?蠢いていた……!」
レイカはその話の中で一つの忠告を思い出した。それは母が告げた地下の扉。イライザも立ち入りを許されなかった地下にはお化けが潜んでいると言われていた。しかし、それは自分達の目の届かないところに行かせないようにする為の方便だと幼心に思っていた。
「あの話が……本当にあったって事?」
「……レイカ?」
「……お姉ちゃん!!」
レイカは突然走り出した。翔哉は後に続こうとするが、昨日の運動の疲労がまだ残っていた為か満足に動けなかった。そんな翔哉を余所にレイカはわき目もふらず地下へ向かった。
地下の扉は人一人通る事が出来る程の幅が開いていた。
「扉が開いてる……お姉ちゃん」
意を決して地下室へ入ろうとするレイカ。そこに
「レイカ!何をしているの!」
母であり、当主の『カナデ・アトラス』に呼び止められた。
「お母さん、この扉……」
「ここには入っちゃダメだって言ったでしょう!さあ、お姉ちゃんのところで遊んできなさい」
「その、お姉ちゃんがここに入ってたかもしれないの!」
「……なんですって?」
レイカは昨日起きた事、翔哉の感じたもの、翔哉が自分を東エリアへ逃がそうとしている事。カナデに全て告げた。
「何という事……!イライザ!」
カナデは地下室に入り、その場の惨状に絶句する。
幾代から残されていたのだろうか、壁や床には夥しい血糊やその異臭がこの場で起きた凄惨さを物語っている。地面に転がる白骨は原型を留めておらず、半分が塵と化していた。しかしこの中でひとつ新しい遺体が発見される。最も、あまりにも無残な殺され方をしており、誰のものか断定は出来ないが。
「ここは……母様が言っていた惨劇はこれ程までに……」
「お、お母……さん……」
「レイカここで見た事は絶対に……イライザ!」
レイカに釘をさそうと振り向いた先にはレイカの後ろで無気力に立つイライザがいた。
「イライザ!あなたどうしてここに……学校に行ったはずじゃ……」
「学校?そんなところ行ったとしても翔哉の為にならない。
イライザは自分のデッキケースから一枚のカードを取り出す。そのカードは今までイライザのデッキに入っていなかったカード。
「魔王竜……ベエルゼ……?」
「そのカードは……まさかこの部屋から!」
「こんなカードがあったなんて……お母さんはずっと隠してたんだよね。こんなに素晴らしい力を!」
イライザの体から黒い瘴気が噴き出す。科学の発展した現代では一笑に付すオカルトが目の前で起き、レイカは幼心に恐怖した。
「ひっ……お、お姉ちゃん……?」
「レイカ、あなたは……いや、お前は本当に私の邪魔しかしない!本当なら翔哉は私といたいのに、お前が私達の回りをチョロチョロ動くから翔哉はお前の相手ばかりする!」
「そ、それはお姉ちゃんとデュエルしたかったら」
「それが邪魔だって事にどうして気づかない!私だって翔哉との時間が欲しかった。昨日だって翔哉は私じゃなくてお前の名前を呼んでいたんだぞ!お前には分からないだろうが、あの時どれだけはらわたが煮えくり返ったか!!」
取り付く島もないといった様子でイライザは激昂する。カナデはレイカを庇うようにイライザとレイカの間に立ち、レイカに向けて言葉を発する。
「レイカ、今のイライザはあなたに危害を加える事をためらわないわ。逃げなさい!東エリアに私の知人がいるわ!」
「嫌!お姉ちゃんがおかしくなったならわたしだって「あなたじゃ役に立たないの!いいから行きなさい!」……!」
母が初めて自分に発した「役立たず」という言葉はレイカの心に重くのしかかった。しかしカナデの本心の言葉ではない。自分の娘が実の妹に手を上げる事を防ぎ、逃げる時間を稼ぐ為に自らの心を鬼にしなければならなかったのだ。
「お姉ちゃん……!お兄ちゃん!!」
「レイカ……逃げろ!」
レイカが玄関まで近づいたとき視界に入ったのは、両腕を後ろで固定され、縄で拘束された翔哉であった。
「叔母さん!お兄ちゃんをどうする気なの!?」
翔哉を拘束しているのは翔哉の産みの親『セイラ・アグネサ』であった。レイカ自身も何度か顔を合わせ、良くしてもらったのは記憶に新しい。
「どうするかって?元々私の子だよ?どうするかなんて私の自由じゃないのさ」
「違う!子供は自分の道具じゃないってお母さんはいつも言ってたよ!叔母さんだってお兄ちゃんに不自由させない為にこの家の子にしないといけなかったって言ってたじゃない!それなのにどうしてこんな事するの!?」
セイラはため息をつきながら辟易した表情でレイカを睨みつけた。その目は冷たく、レイカを震え上がらせるには十分な殺意が込められていた。
「何不自由無く生きていられるお子様ってお気楽でいいねえ。虫唾が走る」
「?」
「私はシングルマザー故に翔哉と暮らせなかった。それなのにどうして何不自由無く生活してるお嬢様が私の息子と楽しく暮らせるんだい。全く図々しいねえ。だから翔哉を返してもらう事にしたのさ」
「お兄ちゃんを……でもお母さんがそんなの許さないよ!」
「カナデさんかい?許可なんていらないさ。何せ私達は親子なんだからねえ」
「何が親子だ。こんな事をするのが親子な訳があるか!」
「……うるさいんだよ!」
セイラが拳を振り上げ、翔哉の後頭部を殴りつけ、翔哉の意識が刈り取られる。この世界で男性は虚弱に、女性は強靭に発達し、トレーニングをしていない女性でも男性の意識を素手で奪う事が出来る。
「お兄ちゃん!」
「さあ、後は邪魔なあんたらを始末すればいいだけさね。はやいところ「はやいところ何かしら?」おやおやイライザちゃん。いやね、ちょっと翔哉が家に帰りたいって言うもんでね」
「翔哉はそんな事言わない」
「そんな事はないさ。息子なら母親の下に帰りたいと思うのは「貴様が母親な訳があるか!」っぐうぁあああ!!」
突如現れたイライザが放つ瘴気がセイラを吹き飛ばした。そしてレイカに一瞥もせず翔哉を抱え自室に戻っていった。
「お姉ちゃん……」
「レイカ!無事だったのね……イライザは?」
「お姉ちゃんは、お兄ちゃんを連れて自分の部屋に帰っちゃった」
「そう……レイカ、あなたはこのまま東エリアに行きなさい。そこの男性保護協会に勤めている『御影昌』という人を訪ねなさい。話しはつけておくわ」
「……わたし、もうこの家にいられないの?」
「そんなわけないじゃない。イライザもいつか自分の過ちを気づいてくれるわ。それまでの辛抱よ」
レイカを説得するカナデにも悲痛な表情が表れる。それを理解したレイカも涙をこらえ、決意した目でカナデに答えた
「うん、お姉ちゃんがわたしを許してくれるまで待つ。いつになるか分からないけど、わたしが我儘だったからこうなっちゃったんだもん。お兄ちゃんと幸せになるまでわたしもいつまでも待つよ」
「レイカ……ごめんなさい……こんな事、本当なら私がすぐに解決すべき事なのに……」
「大丈夫だよお母さん。わたしも強くなって来るから」
レイカはその日にアトラス家を出立。東エリアの童実野町にある男性保護協会に到着。御影昌に事情を説明し、彼女の下で勉学とデュエルを修め、警護会社『イェーガー』に入社する事となった。
後にレイカ宛に翔哉から手紙が届く。内容は親戚連中がこぞって自分を狙いはじめ、カナデが対処に奔走している事、その中で自分の無力さを嘆き、それでもイライザを裏切りレイカの下へ行く事が出来ない自分の甘さ、イライザをレイカに止めてほしいという旨を綴ったものであった。そしてその手紙に同封されていたカードこそ
「レッド・デーモンズ・ドラゴン……あなたはきっと義兄さんの下に届けるから。それまでは力を貸して」
レイカ・アトラス、十八歳で男性保護協会の内定が決まり、この二年後に遊崎明日葉と出会う事となるが、当時の彼女にそれを知る術は無い。
そして今、レイカとレッド・デーモンズ・ドラゴンは一つの試練に立ち向かっている。姉を超え、姉に憑りつく何者かを打倒する。
レイカはもう、何も恐れてはいなかった。
デュエル書く余裕が無かった(遊戯王小説書きの屑)。次は書くんで許してください。
作者の最近の悩み:伏線を張りすぎてどう回収しようか思いつかない。
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デュエル33~誇り高き魂~
アトラスのデュエル決着です。
「琰魔竜……レッド・デーモン……」
レッド・デーモンズ・ドラゴンと似て非なるドラゴンは、イライザを表すように怒りを滲ませレイカのレッド・デーモンズ・ドラゴンに向かって咆哮をあげる。
「翔哉のレッド・デーモンズ・ドラゴンをさもお前のカードのように扱って……お前にアトラスを名乗る資格も、そのカードを使う資格もない!!」
「だとしても……わたしは今の貴女を認めるわけにはいかない。義兄さんの想いを、母さんの願いを、全て貴女にぶつける!」
「お前が翔哉を語るなあ!レッド・デーモンの効果発動!【
琰魔の炎がフィールドを包む。レイカのモンスターはなす術なく呑みこまれた。
「レッド・デーモンズ……!」
「相手のモンスター全てを破壊する。バトル!レッド・デーモンで攻撃!【
「リバースカードオープン!『ロスト・スター・ディセント』!わたしの墓地のシンクロモンスター『レッド・デーモンズ・ドラゴン』を守備力を0にしてレベルを1下げて特殊召喚する!お願い、レッド・デーモンズ・ドラゴン!」
「性懲りもない!レッド・デーモン!」
琰魔竜が放つブレスは墓地から蘇ったレッド・デーモンズを焼き尽くす。共に戦うレイカを守る為、レッド・デーモンズはその業火に呑まれていった。
「ありがとうレッド・デーモンズ」
「翔哉のカードを壁に……だがお前のフィールドはがら空き。こちらが優勢だ!ターンエンド」
イライザ・アトラス
LP6600
モンスター:琰魔竜 レッド・デーモン
魔法、罠:無し
手札:無し
「わたしのターン!『マッド・デーモン』を召喚。これでターンエンド」
レイカ・アトラス
LP8000
モンスター:マッド・デーモン
魔法、罠:1枚
手札:無し
「打つ手が無くなったな。私のターン、『灰塵王 アッシュ・ガッシュ』を召喚。バトル、アッシュ・ガッシュでマッド・デーモンを攻撃!」
「マッド・デーモンは攻撃の対象になった時、自身を守備表示にする効果は強制効果。攻撃力が低い相手でもそれは発動する……」
「守備に回るからだ。パワーデッキならば攻撃に回せ」
「……」
「そしてレッド・デーモンの攻撃が残っている。【
「永続罠『強化蘇生』を発動!マッド・デーモンを攻守を100上げて蘇生!」
「なら再びマッド・デーモンに攻撃!……しぶとい。ターンエンド!」
イライザ
LP6600
モンスター:琰魔竜 レッド・デーモン、灰塵王 アッシュ・ガッシュ
魔法、罠:無し
手札:無し
イライザの攻撃は悉く躱され、それは同時に彼女を確実に苛立たせた。子供の頃からパワーデッキを使いながらその実、守備を固める事に意識が向き、その隙を突き盤面を崩す形で勝利していた。しかし、今もそのスタイルでありながらも未だ崩す事が出来ない事に苛立っていた。
「伊達に長い間家を出ていなかった訳だな。認識は改めなければいけないか」
「男性を…明日葉さんを守る為には、強くなる以外に無かった。義兄さんの願いを伝える事も……姉さん、またやり直しましょう?義兄さんだって姉さんが昔みたいに戻ってくれると「くどい。お前を倒してカードを取り返す。翔哉の事を一番理解しているのはこの私だ!」姉さん……やっぱりデュエルでなければ義兄さんの想いを伝えられないという事なの?」
意固地ともいえるイライザへレイカに届けられた翔哉からの手紙。そこに綴られたイライザへの願いを届けるにはデュエルしか無かった。
「……わたしのターン!『チューニング・サポーター』を召喚。チューニング・サポーターを対象に墓地の『亡龍の旋律ーデストルドー』の効果を発動。ライフ半分を払い、墓地から特殊召喚!その後、対象にしたモンスターのレベル分自身のレベルが下がる」
レイカ
LP8000→4000
亡龍の旋律-デストルドー
☆7→☆6
「ライフを半分か。お前は昔からライフ計算を考えていなかった。だから何度も負けていたのを忘れたのか!」
「デュエルにおいてライフは0じゃない限り戦う事が出来る。貴女を倒すのにこの程度のリスク寧ろ軽いくらいだわ。チューニング・サポーターはシンクロ素材にする時レベルを2として扱う。レベル2となった『チューニング・サポーター』にレベル6となった『亡龍の旋律-デストルドー』をチューニング!
天地を揺るがすは王の咆哮 覇者たる者の前に 愚者はただ骸を重ねるのみ シンクロ召喚! 『レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト』!!!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ☆8 闇
ATK3000/DEF2500
そのモンスターはレイカが母であるカナデから送られた新たな力。WCS予選で優勝した彼女を認め、自らの意思と後の活躍を信じて明日葉の下へ戻る前にレイカへ託したカードだった。
「レイカも新しいレッド・デーモンズを呼び出した!」
「スカーライト……今までのレッド・デーモンズとも違う気迫だ」
「でもまだイライザさんのレッド・デーモンと並んだだけ。次のターンで破壊されたら……」
彩佳は次のターンを案じたが、その点を考えない程レイカも甘くなかった。
「チューニング・サポーターの効果でデッキから一枚ドロー。そしてスカーライトの効果を発動!このカード以外のこのカードの攻撃力以下の特殊召喚された効果モンスターを全て破壊する!」
「なんだと!?」
「【アブソリュート・パワー・フレイム】!!」
母とのデュエルは何度も繰り返したが終ぞスカーライトの効果を発動される事は無かった。その為に効果を把握出来ていなかった事がここで裏目に出たのだ。
「あの日以来あの女とデュエルする事は無かったが……あの女レイカに渡していたのか。何故翔哉もあの女もお前の肩を持つ?私の方が強いのに、強いはずなのに!」
「姉さんがあの日何を見たのかは知らない。でもそれが姉さんを狂わせたのなら、わたしはその狂気から姉さんを助け出す!」
忘れもしない、あの日イライザが持っていた『魔王竜 ベエルゼ』。あのカードが何かしらの力を与えたのだと当時のレイカでも理解していた。
「スカーライトの効果はまだあるわ!破壊したモンスター一体につき500ダメージを相手に与える。レッド・デーモンを破壊した事で500のダメージ!」
イライザ
LP6600→6100
「くっ……貴様ぁ……」
「バトル!スカーライトでアッシュ・ガッシュに攻撃!【灼熱のクリムゾン・ヘル・バーニング】!!」
イライザ
LP6100→4100
スカーライトのブレスがイライザの王を焼き尽くす。苦悶の声をあげながら王は消滅した。
「レイカァ……お前は本当に私を苛立たせるなあ!」
「姉さん……わたしはカードを一枚伏せてターンエンド」
レイカ
LP4000
モンスター:レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト
魔法、罠:1枚
手札:無し
「負けられない……翔哉の為にも……負けるわけにはいかない……」
「姉さん、義兄さんの事はわたしだって心配なの。義兄さんの立場も知ってる。だから「お前に何が分かる!翔哉を守れるのは私だけだ!私だけが翔哉と共に生きることが出来るんだ!!」……」
WCS本選開催時、レイカがイライザに向けて言った『アトラスの狂気』とはイライザの今の台詞にある。この世界ではその人口比から一夫多妻制が敷かれているが、
アトラス家は過去に他の妻を地下に幽閉し、殺害していた事が判明したのだ。
それはレイカの曾祖母まで続いており、祖母がこの事態を重く考え告発。カナデには地下室への入室を禁じ、忌まわしき歴史と共に風化させようとしていたというのが真実だったのだ。しかしレイカ自身それを聞いたのはスカーライトを受け取ったその日。イライザが知る由も無かったのだ。
そしてイライザが翔哉に執着する理由もアトラス家にある。現在アトラス本家はイライザが実権を握っているが、分家は分家でイライザを排除し、その後釜を狙っている。長い間アトラス家を離れていたレイカはこの事実を知らず、イライザは一族の血塗られた過去を知らない。両者のどちらかでも事実を知っていれば生まれる事の無い軋轢だったかもしれない。しかしこうして二人は争い、今イライザは闇に落ちる。
「私の……ターン!! 魔法『貪欲な壺』を発動!墓地の『変容王 ヘル・ゲル』『天刑王 ブラック・ハイランダー』『灰塵王 アッシュ・ガッシュ』『天狼王 ブルー・セイリオス』『琰魔竜 レッド・デーモン』をデッキに戻してシャッフルする。そして2枚ドロー!墓地のブルー・セイリオスを除外し『輝白竜 ワイバースター』を特殊召喚!更に『ユニゾンビ』を召喚し効果を発動。デッキからアンデット族モンスター『ゾンビキャリア』を墓地へ送り、ユニゾンビのレベルを1上げる」
「レベルが8!また来るの……!」
「いや、レッド・デーモンでは役不足。まさか本気を出す事になろうとはな」
「姉さん……?まさか!」
「レベル4の『輝白竜 ワイバースター』にレベル4となった『ユニゾンビ』をチューニング!
闇の底より這い寄るは醜き蠅の王 憎しみ溢れる世界に終焉を! シンクロ召喚! 『魔王龍 ベエルゼ』!!」
魔王龍 ベエルゼ ☆8闇
ATK3000/DEF3000
「これは……あの時のカード!?」
「お前を葬るには十分だが、ワイバースターの効果で『暗黒竜 コラプサーペント』を手札に加え、墓地の光属性のワイバースターを除外しコラプサーペントを特殊召喚。バトル!ベエルゼでスカーライトを攻撃!【
「同じ攻撃力のベエルゼで……破壊耐性!」
「その通り。さあ消えろ!」
「レッド・デーモンズは消えさせない!永続罠『スカーレット・コクーン』!スカーライトに装備カードとして装備する!」
「破壊耐性の無いカードに何が出来る!」
ベエルゼの攻撃は止まることなくスカーライトを貪る。灼熱の炎は効かず、スカーライトは闇に葬られた。
「確かに破壊耐性は無い。でもこのカードを装備したモンスターが墓地へ送られたエンドフェイズ、レッド・デーモンズ・ドラゴンを墓地から蘇らせる!」
「消えさせないとはそういうことか。だがコラプサーペントの攻撃は止まらない!ダイレクトアタック!」
レイカ
LP4000→2200
「くううう!! 次のターン……押し切れるの……?」
「これでターンエンドだ」
「エンドフェイズに甦れ!レッド・デーモンズ・ドラゴン!!」
イライザ
LP4100
モンスター:魔王龍 ベエルゼ
魔法、罠:無し
手札:無し
「何故だ……
何故お前はそこまでして戦う!何故折れない!何故そこまでレッド・デーモンズに縋る!お前には遊崎明日葉がいるのに!私には翔哉しかいないのに!」
「姉さん……?」
イライザから出た彼女のものとは思えない幼稚なものだった。好きな子をとられる事を嫌がる子供のような慟哭はレイカを困惑させるには十分だった
「私はお前が憎い。翔哉との時間を奪い、私は闇の力を手に入れて翔哉を手に入れたのにお前は新たな地で新たな男と共にいる。私は翔哉と共にいるのに、何度も肌を重ねているのに、私の心は未だ飢えたまま。翔哉を抱いても、共に夜を過ごしても、彼の心を繋ぎ留められない!だというのにお前は幸福を手にしている。何処に、何処に違いがあったというんだ!!」
あらゆる手を尽くしても男を手に入れられない苦しみ、それを余所に妹は幸せを享受している。自分はこんなにも苦しんでいるのに、妹の存在が自分を小さくさせる。それが許せなく、惨めに思えた。
「姉さんが義兄さんを想う気持ちは本物だと分かるわ。でも、義兄さんの想いだってある。それを聞かないでいた事が義兄さんを突き放す結果になったと思うの」
「じゃあ何?私の今までが翔哉を引き離したというの?今まで私が翔哉の為にしてきたことは間違いだったっていうの?」
「全てでは無いけど……やり方を間違えたとは思う。誰だって力でねじ伏せられるのを良しとはしないから……」
イライザの独白にレイカは申し訳なさげに吐き出す。ずっと姉に言いたかった言葉。精神が弱くなっている今なら届くと信じが故に言い出せた言葉。
「でも義兄さんも姉さんが昔みたいに戻る事を願っているの!まだやり直せるよ……このままじゃ義兄さんが……辛すぎる……」
「…………もう
もう戻れないんだよ」
「なら、無理やりにでも戻してみせる!わたしのターン!『チェーン・リゾネーター』を召喚。その効果でデッキから『リゾネーター』を特殊召喚出来る。『ダーク・リゾネーター』を特殊召喚!」
鎖を付けた悪魔の調律師は共鳴器を鳴らし、共鳴板を背中に背負った調律師が現れる。これでレイカの準備は整った。
「レベル8『レッド・デーモンズ・ドラゴン』にレベル1『チェーン・リゾネーター』とレベル3『ダーク・リゾネーター』をダブルチューニング!!
比類なき王者よ 紅蓮の悪魔と交わりて 天地創造の叫びを響かせ! シンクロ召喚!! 荒ぶる魂『スカーレット・ノヴァ・ドラゴン』!!!」
スカーレット・ノヴァ・ドラゴン ☆12 闇
ATK3500/DEF3000
「スカーレット・ノヴァ・ドラゴンの攻撃力は墓地のチューナーモンスター一体につき500ポイントアップする。墓地のチューナーモンスターは三体、1500アップ!」
スカーレット・ノヴァ・ドラゴン
ATK3500→5000
「攻撃力5000……」
「バトル!スカーレット・ノヴァ・ドラゴンの攻撃!【バーニングソウル】!!」
イライザ
LP4100→2100
「よし!これでベエルゼは破壊……!」
スカーレット・ノヴァ・ドラゴンの攻撃の後からベエルゼは破壊されず、巨大化していた。
「魔王龍 ベエルゼは破壊されず、戦闘、効果でダメージを受けた時に攻撃力がその数値分上がる」
「そんな!今与えたダメージは2000、つまり」
魔王龍 ベエルゼ
ATK3000→5000
「スカーレット・ノヴァ・ドラゴンと攻撃力が並んだ!」
「くっ……ターンエンド」
レイカ
LP2200
モンスター:スカーレット・ノヴァ・ドラゴン
魔法、罠:無し
手札:無し
「私のターン、風来王 ワイルド・ワインドを召喚しバトル。ベエルゼで攻撃!」
「スカーレット・ノヴァ・ドラゴンの効果発動!自身をゲームから除外し、相手モンスターの攻撃を無効にする!」
「そうだそうするしか無いよなあ!ワイルド・ワインドのダイレクトアタック!」
レイカ
LP2200→500
「姉さん……どうして……」
「……スカーレット・ノヴァ・ドラゴンは攻撃無効化の効果を使ったエンドフェイズにフィールドに戻る。そうでしょう?」
「ええ、なのになんでワイルド・ワインドを……」
「もう分からない。翔哉の為に戦ってきた、でもそれが翔哉を苦しめていた。そんな私が今更レイカをどうこう言う資格なんて無かった……もう、終わりにして」
イライザは無気力に言い放った。自分の戦いが無意味と言われ、想い人を苦しめていたのが自分だと言われ、イライザの心はボロボロだった。
「……よ」
「?」
「姉さんがそんな事言わないでよ!!」
しかし、それはレイカにとって侮辱以外の何物でも無かった。
「わたしは今まで姉さんを超える事を目標にしてた。それに方法はどうあれ義兄さんを想っての事に変わり無いじゃない!そんな姉さんを責める人がいるならわたしがそいつをねじ伏せる!義兄さんに手を出そうとする女がいるならわたしが二度とそんな事を出来ないように叩き潰す!姉さんが届かない場所はわたしが守る。そう言いたかった。昔から……」
レイカの独白は妹の姉に追いつきたいという思い、兄を助けたいという想い、そして再び兄妹で歩きたいという願いがこもっていた。長年一番届けたい相手に届かなかったその声をようやく届いた。
「この台詞は、本気の姉さんを倒した後に言うつもりだったけど、それももう叶わない。わたしの「レイカ」なによ」
「あなたを弱いと言った事、訂正するわ。実際碌にダメージを与えられなかったしね。これも遊崎明日葉の下にいたおかげかな」
「今更何を……」
「ようやく今になって本音を聞くことが出来たと思ってね。なんか今までの怒りが馬鹿みたいになったのよ」
「姉さん……」
「これまでのデュエルだって私の本気。最後は投げやりになったけどね。レイカ、あなたは確かに私を超えたのよ」
「……」
達観したようなイライザに対しレイカは俯き表情が見えない。見かねたイライザは最後に励ます。
「レイカ!」
「っはい!」
あの時の笑顔を浮かべ、前に進ませるように
「強くなったわね」
たった一言、そう告げた。
「……わたしのターン!スカーレット・ノヴァ・ドラゴン!風来王 ワイルド・ワインドを攻撃!【バーニングソウル】!!!」
長年の姉妹の溝、それはいとも簡単に埋まり
イライザ
LP2200→0
両者共に、晴れやかにデュエルの幕は下りた。
レイカデュエル終了
盤外戦術は基本だけど意図しないものはNG
次回は明日葉君のデュエルです。では次回
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デュエル34~運命に抗う帝~
スタート→大雑把な過程→完結
という感じのクッソ雑な感じで始まった癖に中身をしっかりさせなきゃと下手に良作感を出そうとして悉く自爆しています。見切り発車のなれの果てです。これからSSを書こうとしている人はこんな風に書いちゃダメだぞ!!(くそでかボイス)
『決着ううぅぅぅぅ!! 姉妹の戦いを制したのは妹のレイカ・アトラス!! 長きに渡る因縁にピリオドを打ったああああ!』
大歓声と共に実況者がデュエルの決着を宣言した。フィールドに立つ二人はどこか満足気に微笑んでいた。
「姉さん……ようやく伝える事が出来た……」
「レイカ、ごめんね。今まであなたに寂しい思いをさせて」
「いいの、それに姉さんだって苦しい思いをしていたでしょ?お互い様よ」
「ふふ、いつの間にか大人になったのね」
「もう……? 姉さん、ベエルゼは?」
「え……っ!」
デュエルディスクにセットされていた『魔王龍 ベエルゼ』のカードはいつの間にか消滅していた。イライザはエクストラデッキを確認するが、どこにも無い。
「あのカードは……いったい……」
「分からない。もしかするとまたあの地下室に……」
「……いつかあのカードとも決着とつけなければいけないわね」
「その時は私も一緒よ。今度こそは逃げないから」
「ええ、その時は頼むわ」
二人は互いの手を握り、握手を交わす。それは固く、二人の思いを相手に伝えるものであった。
「でもああいった場合は上級モンスターを倒さないと観客としては盛り上がりに欠けるわよ。そこは気をつけるようにね」
「昔からファンサービスだけは変わらないわね姉さん……」
明日葉の控室についたレイカは三人から称賛の声を浴びた。それはとても心地よく、得意気な顔になる。そしてその後に起きたカードの消失を話した。
「ベエルゼ……何かあるとは思ったけどますます妙なカードだな」
「あのカードとはいずれもう一度相対する事となる気がします。その時はわたしが」
その時のレイカは迷いない真っ直ぐな目を明日葉に向ける。最初は姉に対し、緊張が走っていたがそれも無くなったようだ。
「そうだな。よし、次は」
「ポラリス……ですね……」
ポラリス・ケフェイド、一回戦で骨塚伊織を下し、彼女をオレイカルコスの生贄に落としたデュエリスト。
「でも……」
「どうした?」
「彼女がどうにも悪い人に見えないんですよね」
「どうして?」
「何とも言えないんですけど……勘?」
「勘って……」
彩佳の曖昧さに苦笑いとなる明日葉。しかし緊張が解れたと考えれば悪くないと再びフィールドに向けて歩き出した。
ポラリスのデュエルは骨塚伊織の時と同様に圧倒的な展開を見せていた。『ワン・フォー・ワン』によって呼び出した『天帝従騎イデア』から『冥帝従騎エイドス』を呼び出し、『天帝アイテール』をアドバンス召喚した後に『冥帝エレボス』をデッキから特殊召喚した。
「更に『氷帝家臣エッシャー』は相手フィールドに魔法、罠カードが2枚以上あれば特殊召喚出来る。イデアとエッシャーをリリース。『凍氷帝メビウス』をアドバンス召喚」
凍氷帝メビウス ☆8 水
ATK2800/DEF1000
「そんな……たった一ターンでここまで展開出来るの?」
「出来るわ。あなたが努力を怠っていただけ。メビウスの効果であなたのフィールドの魔法、罠カードを3枚まで破壊出来る。あなたのカードは2枚だから全て破壊するわ」
「そうはいかない!カウンター「この効果に相手は選択されたカードを発動出来ない。たとえカウンター罠でも無意味」そんな!」
「バトルフェイズ、アイテール、エレボス、メビウスでダイレクトアタック」
赤木茂子
LP8000→0
「うわああああああああああああああああああ!!!」
「あいつ……どうしてあんな……」
「分かりませんけど……もしかしたら何か理由があるのかも……」
三体の帝王による圧倒的な殲滅。瞬く間にライフが0になる。
「……」
「……」
「……」
「……何も起きないですね」
モニターには勝者を称える【WIN】の文字が浮かぶ。歓声が上がり、ポラリスコールが割れんばかりに響く。何事も無いトーナメントの勝者の在り方だった。
「お、おい、あいつはドーマの仲間じゃ無かったのか? なんで赤木はピンピンしてんだよ?」
「おかしい……彼女は相応しくなかったって事?」
「もしかして……」
「彩佳、何か分かったのか?」
「もしかして……
ずっと勘違いしてたんじゃないかと」
「「「……は?」」」
彩佳の意見に三人は呆けた表情を見せる。自分達の予想を根底から否定するものであった。先程の彩佳の勘がもしも本当なのならば
「……確かめないといけない」
「じゃあ……」
「ポラリスに直接問いただす。どうにか都合をつけられないか?」
「選手に会う事は禁止されてませんから大丈夫ですよ。案内しますね」
先を行く彩佳についていくように明日葉達はスタジアムを後にする。彼女が本当に敵なのかを確かめる為に。
「ここです。ポラリスさんの控室は」
スタジアムの裏にある選手控室。扉の横には【ポラリス・ケフェイド様】と書かれ、彼女が部屋の中にいる事が伺える。
「よし、行こう」
明日葉は意を決して扉を開けた。控室の中には当然ポラリス・ケフェイドがいる。ポラリスも明日葉に気づき、顔を向ける。
「……遊崎……明日葉?」
「ポラリス・ケフェイド、デュエル直後ですまないが君と話がしたい」
「……話?」
「単刀直入に聞く。君はドーマの一味なのか?」
「……ドーマ」
それを聞いた瞬間、ポラリスの雰囲気が大きく変わった。僅かに怒気を孕んだそれは、明日葉の身体をこわばらせた。
「奴等と仲間なんて冗談じゃない。私は、奴等を倒す為にここにいるの」
口調は変わらないが、ドーマへの怒りは隠そうともしていない。握り拳をつくり、感情を抑えている事が伺える。
「ドーマとは……関係が無い?」
「……と言うよりはドーマの仲間じゃない。貴方は勘違いしていたようだったけど」
「……すまん」
明日葉はバツが悪そうに頭を下げる。ポラリスはそれを手で制した。
「謝らないで。あの状況では貴方も話を聞いてくれそうに無いと思っていたし、むしろ貴方の方から来てくれた事が嬉しい」
「……そう言えば、ドーマを倒すって言っていたけど、何があったんだ?」
「あ、明日葉君!」
「……いいの、話すね」
ポラリス・ケフェイドは自身の身の上を話した。
彼女の家はデュエルモンスターズの大会運営に携わり、世界を転々としていた。ポラリス自身、母に付いて世界を巡る事に未知との出会いを見出し、充実した生活ともいえる日々を送っていた。
「でも母は言っていたわ。人生とは大半が不幸や試練が占める。幸福や充実はテレビでいう所のCMみたいなものだって」
そして母親の台詞はポラリスに重くのしかかる事になった。
それも最悪な形となって
世界を転々とした日々が日常となり、十四歳となったポラリスは中央エリアで大会の会場に来ていた。次の日はWCS程ではないが、大規模な大会で注目度も高い。母親は設営やスケジュールの最終調整でせわしなく動いていた。ポラリスは選手控室となる部屋でデュエルや一般基礎の勉強をしながら母の仕事が終わるのを待っていた。
そんな時、部屋に一人入ってきた。フードを被り、その顔はよく見えず、しかし、世情から女性である事だけは判断出来る。
「あなた誰なの? ここは関係者以外立ち入り禁止のはずだけど」
定型文のように告げる。しかし、選手控室はポラリス以外は彼女の母以外来る事はまず無い。会場設営に選手控室は関係無く、そもそも控室で休んでいる暇など運営委員会には無かった。その為目の前にいる人物は運営関係者ではない。そう警戒していると目の前の人物は口を開いた。
「君は運命を信じるか?」
「え?」
「これから起こる事は神を名乗るものによって動かされた運命。いずれ命あるもの全てを喰らう闇」
「いったい……何を言ってるの?」
要領を得ない台詞。しかし不思議とその話を中断させる気にはなれなかった。その話の先に自分が立ち向かう何かがあると本能が訴えていたのだ。
「運命を受け入れるのもまた人の意思。しかし、君が望むならば運命はまた変わる。改めて聞こう。
君は、運命を信じるか?」
言葉を無くし、思考すら出来ない浮遊感。それを数秒体感していると控室にアラートが響く。
「!! 何? 何があったの!?」
「始まってしまったか……」
「? あなたいったい何を知って……」
「どうやら君の答えを聞く時間は無くなったようだ。最後にひとつだけ伝えておく。
運命を変える事が出来るのは。理から外れた者だけだ」
彼女はそう言うと、控室から出ていった。それと入れ違いになるように母と共に運営に参加している女性が息を切らしながら入ってきた。
「ポラリスちゃん! 大変、大変なの!」
「葵さん? さっきのアラートはいったい……」
「クレアさんが……あなたのお母さんが!」
その後の出来事から彼女はこう述べた。
---もしもこれが運命というなら、私は神だって殺してみせる。そして運命なんてものを全力で打ち壊すの。
会場には警察が駆けつけ、現場検証が行われた。
「いったい何があったらこうなるんですかね……」
「さあ、少なくとも……」
「ええ……
人間に出来る事じゃないですよ。絶対」
会場となるはずだった現場は惨憺たるものであった。壁一面に血しぶきが飛び散り、遺体の外傷は大きな刃物で何度も薙いだかのように裂傷が走っている。飛び出たであろう肉はおろか臓物に至るまで、元の形状が認識できないまでに潰されていた。
「ドスを使ってもこうはならないでしょ。バ〇オのハン〇ーでも来たんですか?」
「それを調べるのも仕事よ。でも、新人には無茶よね」
そう言って会場の出入り口を見やる。外には異臭に耐えられず、胃の内容物を吐き出している新人警官達がいた。
「でも一番可哀想なのは……」
「シッ! そんなの誰でも分かってるわよ。あの子の母親も殺されたんですもの。辛くないわけ無いわ」
別の方向へ目をやる警官達、そこにいたのは膝を抱えながら虚ろな目を浮かべるポラリスと彼女に連れそう女性、葵だった。葵はポラリスを必死になって励ましているが、ポラリスは何の反応も示さない。
「……」
「ポラリスちゃん……」
ポラリスは虚空を見つめながら口を開く。
「葵さん……」
「どうしたの?」
「葵さんは、運命って信じる?」
「運命? いきなり何を……」
「実は、葵さんが来る前に控室に人が来たの。その人が運命を信じるかって……」
「人……? まさかそいつが!」
「いや、その人がいた間にアラートが鳴ったから、多分違う。それにその人は私の答えを求めてたように見えたからそんな事する必要が無いと思う」
「それじゃあ……その人の目的は」
「分からないけど、きっと警告のようなもの。私の運命が……残酷なものだって……!」
ポラリスは言葉を詰まらせ、涙を流し出した。フードの人物からの問いの示し合わせるように母親が殺されてしまった。これが運命だというのなら彼女の運命はなんて残酷なのだろうかとこれからの未来に絶望してしまうのも無理は無い。
「ポラリスちゃん……」
「………………じない」
「? どうしたの?」
「運命なんて、信じない!」
血が出んばかりに拳を握り、見えない仇を睨みつける。そして自分に誓うように、母親に誓うように叫んだ。
「私の運命が破滅だというなら、そんな運命なんて全部壊してやる! もし運命が神がつくったものだというならその神だって殺してやる! お母さんを殺して私を嘲笑うなら今度は私がそいつを殺して笑ってやる!! お前の言う通りになんて誰がなってやるか!!」
そして彼女はデッキを手に取った。それは母親が使っていたデッキであり、社会人として自立する時に譲ってもらう約束をしていたデッキ。そのエースは
「その為ならどんな手を使っても奴等を倒す! その為に力を貸してもらうわ」
「こうして私はあの時の裏にドーマを名乗る組織が絡んでいる事を知って、奴等の目的である神のカードがこの大会で景品として出ると聞いたから参加した。これで全部。分かってもらえた?」
「ドーマが……君の母親の仇……か……」
ポラリスの話を聞き終えた明日葉達は沈んだ雰囲気に包まれた。彼女の正体を突き止めるために来たと思えば、自分達と同等か、それ以上に重いものを抱いている。しかし、ドーマが敵だというなら
「俺達の目的は一緒って事だな」
「そうなる。でも次の貴方の相手もドーマの従者。どんなデッキを使うかは分からないけど、ここまで来たのだから強敵なのは間違いない」
「分かってる。あとあたし達以外でこっち側って分かっているのは残りは海馬さんか……」
「あの人も味方に付けているのね。そう……」
「というよりも向こうにつく理由が無いからそう判断出来るというだけですけどね。でも心強いのは間違いないですよ。ずっとWCSでチャンピオンとして君臨し続けていましたしね」
「最強の名は伊達じゃない……か……でも先ずは次のデュエルだ」
「あなた達が味方で良かった。……まあ最初のアレは傷ついたけど」
「す、すまなかった……」
明日葉は居たたまれない気持ちになりながらも味方が出来た事に顔を綻ばせた。そしてアナウンスが鳴る。
『まもなく次のデュエルが始まります。各デュエリストはフィールドにお越しください』
「よし、行くか」
「ここから応援してる。頑張って」
「ああ、ありがとうな」
明日葉達は控室を出て、フィールドに向かう。その背中を眺め、ポラリスはポツリと言葉を零した。
「運命を変えられるのは、この世の理から外れた者だけ」
それは自らの道を定めたあの日、あのローブ姿の人物が告げた言葉。嫌に頭から離れなかったその言葉の意味を、ポラリスはようやく理解した。
「きっと貴方がそうなのね。遊崎明日葉、
伏線はきっと未来の自分が何とかしてくれるはずさ(投げやr
就活中なのでどれだけ投稿できるか分かりませんが、ネタが上がったらやるとだけ。そう言えばそろそろ新しいキャラ紹介を作らねばと……
では、デュエルスタンバイ!!(今までやらなかったのにネタがなくなるとやりだすデュエリストの屑)
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デュエル35~ドラゴン同士の争い~
就活でわちゃわちゃしてたらPV30万超えたしUAも9万いってるしお気に入りも400超えてるしどうなってんのって感情とありがとうございますって感情が渦巻いてる。本当にありがとうございます。
Twitter垢作ったはいいけど動かしてないし何なら裏垢女子にフォローされてるからなんか明かすに明かせない感じになってる。
『さあ始まります! WCS本選準々決勝第一試合、対戦カードはこの二人!!
我らが愛する男性デュエリスト、東エリア代表『遊崎明日葉』! 対するは北エリア代表『クラウヴィア・ドラッゲン』だあああ!!』
準々決勝まで進んだWCS。それも準々決勝とまでくれば相手も一筋縄でいくものではない。気を引き締めて行かなければと口元を引き締めた。
「でゅ……でゅふふ……あ、あしゅはきゅん。よ、よろしくね……」
「お前もドーマの一味と聞いた。お前はどうして奴等についたんだ?」
「あ、あしゅはきゅんので、デッキ……か、カットするね……ふひひ……」
明日葉の言葉などどこの空。デッキカットの為に明日葉に差し出された手は汗でまみれており、デッキを返された明日葉は顔をしかめてしまう。
「……シャワーは浴びてきたのか?」
「しゃ、シャワー!? あ、あしゅはきゅんがそういうならやぶさかじゃないけど、まだ心の準備が……でゅふふ」
明日葉の言葉から様々な妄想を膨らませるドラッゲンだが、明日葉は今まで見た事の無い人種に困惑とドン引きが同時に押し寄せていた。
「べたつく……」
クラウヴィアに聞こえない程度の小声で呟きながら自分の立ち位置につく。クラウヴィアも未だ膨らませている妄想を垂れ流しながら自身の位置についた。
『さあ準部は整った! 今度はどんなデュエルを見せてくれるのか、それでは
「俺の先攻だ。俺は魔法『ドラゴン・目覚めの旋律』を発動。手札1枚を墓地へ送って、デッキから攻撃力3000以上で守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体まで手札に加える。今加えた『
理想的ともいえる流れで明日葉は自身のエースを呼び出す。しかし、その様な状況でもドラッゲンは変わらず顔を歪めながら明日葉をじっと見つめている。
「なんか不気味だよな」
「ドラッゲン……確か本来は西エリアの事業家ですね。どうして北エリアに……」
「まあ、自分の住んでいるエリアで負けてしまったから他のエリアで……というのは良くある話だけど、あの女がそんなに熱心とは思えないわね」
「それに……ドーマの暗躍はここだけじゃない。ここで勝ち残れなかったら他の場所でデュエリスト狩りをしてる。負けたら用済みとはならない」
「デュエリスト狩り!? おいおいマズいじゃねえか! こっちでそんなの把握してねえぞ! どうする今からでも部長に連絡入れるか?」
「それは大丈夫……東エリアは他と比較しても平和だったし、他のエリアでは既に対策本部が各国で立てられてる。東エリアでもいくつか抵抗組織が立ち上がってるから、今の状況なら凌ぐことぐらい出来るはず」
「はずって……本当に大丈夫かよ……」
「そこは信じるしかないですよ。それよりも今は明日葉君のデュエル……?」
彩佳は目線をデュエルフィールドに戻すと、どこかしらに違和感を覚える。しかし何が違うのかははっきりとせず、その違和感を飲み込んだ。
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
明日葉
LP8000
モンスター:青眼の亜白龍
魔法、罠:伏せ1枚
手札:3枚
「わ、私のターン……ドロー……ま、魔法『隣の芝刈り』を発動。お互いのデッキ枚数が同じになるようにデッキの上からカードを墓地に送るね」
「芝刈り……でも俺が削ったのは初手と旋律での合計7枚。たかだか1枚で……まさか!?」
「す、すぐに理解するなんて流石あしゅはきゅんだねっ。そう、このデッキは60枚だから芝刈りで送るのはに、21枚になるよ……ふひひ」
クラウヴィアのデッキがいきなり大きく削られる。そしてその意味を明日葉はよく理解していた。
「これで墓地リソース使い放題ってか……」
「わ、私は魔法『
F・G・D ☆12 闇
ATK5000/DEF5000
「ファイブ……ゴッド……!!」
「ふひっま、まだだよ。墓地の光属性の『クリスタル・ドラゴン』と闇属性の『ヘル・ドラゴン』をゲームから除外して『カオス・ソルジャー-開闢の使者-』を特殊召喚するね」
「カオス・ソルジャーまで……」
「そ、そのドラゴンはじゃ、邪魔だね。わ、私とあしゅはきゅんのけ、けけけけけけけけけけ……」
「? いきなりどうしたんだ……?」
「け、結婚には……ね。えへへ……」
「「「「は?」」」」
まず明日葉は身に覚えのない自身の結婚話に、彩佳達3人はそもそも彼女が何をのたまったのか理解出来ずにいた。
「……誰の?」
「あ、あしゅはきゅんの……」
「……誰と?」
「わ、私と……ふひひ……」
因みにクラウヴィア・ドラッゲンの容姿については深く言及しない。強いて言うなれば、この世界でも美人しかいない訳では無いのである。
「わ、私があしゅはきゅんにか、勝っちゃったらダ、ダーツ様が……結婚を許してくださるんだぁ……」
「……ごめんなさい無理です」
「あ、あしゅはきゅんの意見はどうでもいいんだよ! 私が勝っちゃえば関係無いんだから……ぐひゅひゅ」
特徴的すぎる笑い声をあげて、手札の1枚を掲げる。明日葉はそのカードに焦燥感を覚えた。
「これは……マズいか……」
「『ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-』を召喚するね。更に手札から『ドラゴンを呼ぶ笛』を発動するよ。手札のドラゴン族を2体まで特殊召喚するから『ダーク・ホルス・ドラゴン』を特殊召喚するよ」
間の抜けたような声だが、やっている事は高火力モンスターの展開と効果対象耐性付与のモンスターを出した事な為、全く笑い事ではない。
「一気にモンスターを4体。しかもF・G・Dに開闢、ダーク・ホルスか……」
「更にカオス・ソルジャーの効果で青眼の亜白龍をゲームから除外するよ」
展開した後も抜け目なく、オルタナティブを墓地へ残さないように異次元に飛ばす。明日葉のフィールドは文字通りがら空きとなった。
「オルタナティブ……」
「こ、これでか、勝ちだね……ふひひ……ば、バトルフェイズに入るよ。F・G・Dでダイレクトアタック」
「墓地の『超電磁タートル』の効果発動! このカードをゲームから除外してバトルフェイズを終了させる!」
「! いつの間に墓地へ送っていたの!?」
「目覚めの旋律のハンドコストだ。入れといて良かった……」
首の皮一枚繋がった状態だが、次のターン、何も出来なければ何の抵抗も出来ず敗北する。しかし、明日葉が考えていた事は別にあった。
ーーー影野桐花といい、デッキが回る。
デュエリストは勝利の為に大なり小なりデッキの構築において、勝利の形を模索する。最終盤面、コンボ、相手の妨害の回避と考える事は多い。この世界では単純な攻撃力とそれを如何に上回る、又は罠を張ってカウンターを食らわせるのがセオリーとなっている。明日葉自身この世界で墓地リソースの使用はケースとしては珍しく、隣の芝刈りというデッキを大きく削るカードや『強欲で貪欲な壺』のようなデッキを削り、カードを除外するカードは然程注目を集めるものでも無かった。
エクストラデッキも同様である。それらをメインに据えるデッキでなければまずエクストラデッキを構築する手間をかけるデュエリストは多くない。『強欲で金満な壺』といったカードも同様である。
「だというのに二人共この世界では時間をかけて召喚する上級モンスターを最短で呼び出すコンボがあったり、この世界では見向きもされないカードを起用する。この世界では悲しい事に片手で数えるくらいしかいなかったが彼女達は特有のオーラがあった。でもお前にはそれを感じない。ワンキル狙うなんてもっての外だ。お前ら、一体何を隠してる!」
「……」
明日葉含めたある程度デュエルを続けた者は対戦相手の放つ“気”やオーラを感じ取る。それの強弱によってどれ程のデュエリストかを見極める事が出来る。明日葉にとって彼女は元の世界でプロに入るまでに戦い続けたレベルのオーラである。戦術は悪くないが弱点を見極めて立ち回ればどうという事は無い相手といった程度だ。
「……んで」
「? 何を「なんで終わらないのおおおおおおお!! そこはワンターンキルでカッコ良く終わる場面でしょおおおお!?」!!」
突然のヒステリックに明日葉だけでなく会場の観客も困惑する。その姿はまるで玩具を取り上げられた子供のようであった。
「ここまでやったんだよ! ご褒美に勝たせてくれてもいいでしょ!! なんで躱すのおおおおおお!!」
「……デュエル中だぞ」
「うるさいうるさい! 男の癖にデュエルなんかしてちょっとチヤホヤされたからって調子に乗って! 言っておくけどそういうのは今こそ珍しいから皆注目してるけど少ししたら誰も見向きもしないから! 男なら黙って孕み棒になってればいいのに!!」
この世界の男性にとって最上級の罵倒を放ち、会場からもヘイトが集中する。中には棄権しろを野次を飛ばす人も現れる。その中で明日葉は
「……」
クラウヴィアに向けて憐みの目を向けていた。
「お前も辛い思いをしてきたんだな」
「何? それだったら勝たせてよ。憐れんでるなら結婚してよ!」
「それは出来ない。俺は勝たなくっちゃいけない理由がある。その一つが正にお前みたいなヤツさ」
「は?」
「俺もさ、人から嫌われて、いじめられて、何もかも嫌になった時があった。そんな時に救ってくれたのがデュエルだった。まあ細かい部分は端折るけどそれが切っ掛けでプロを目指したし、俺やお前みたいなヤツにデュエルで希望になれたらいいなって思うんだ」
「……そんなの無理でしょ。デュエルは勝負、勝って負けてがある以上そこに希望なんて無いに決まってる」
「そうかな? 少なくとも、俺のデュエルでワクワクしてくれた人がいる。世界が俺を嫌ってもその数人の為にならどれだけ傷ついても戦える」
クラウヴィアの否定に明日葉は正面切って答える。その真っ直ぐな目に怖気づいてしまうクラウヴィアは目尻に涙を浮かべる。
「何さ何さ何さ! 自分はヒーローで私が悪役みたいでいつもそう! そうやって敵を作って戦争ごっこでもやればいい! 何がデュエルだ何が希望だ! そんなの認めない! そもそもこのフィールドをどうやって攻略するのさ! それが出来なきゃどうあがいてもお前の台詞は安い三流漫画の主人公の台詞だ!」
「じゃあ三流漫画の主人公らしく、ハッピーエンドの為に戦うさ。早くターンを回せ!」
「っ……ターンエンド」
クラウヴィア・ドラッゲン
LP8000
モンスター:F・G・D、カオス・ソルジャー-開闢の使者-、ロード・オブ・ドラゴンードラゴンの支配者ー、ダーク・ホルス・ドラゴン
魔法、罠:無し
手札:無し
「俺のターン! 一つお前がこの世界の人物だって分かった事が一つある。盤面が完成したからって油断しない事だ。『海亀壊獣ガメシエル』の効果。ダーク・ホルス・ドラゴンをリリースして相手フィールドに特殊召喚する!」
「! こんな簡単に……」
「更に魔法『トレード・イン』を発動。手札のレベル8モンスターを墓地へ送って2枚ドロー。魔法『竜の霊廟』を発動。デッキからドラゴン族モンスターを墓地へ送ってそれが通常モンスターならもう1体墓地へ送る青眼の白龍を2体墓地へ。魔法『
「ここで龍の鏡!?」
「出来れば使いたくないんだけどな。ブルーアイズ達はこのデッキの要だし、でもそうも言ってられないし何より
あんな事言った手前日寄ってられないっての!!
墓地の青眼の白龍3体を除外し融合!
『
龍を象った鏡から現れたのは明日葉が持ちうる最強のドラゴン。芸術とすらいえるその体がフィールドを支配する。F・G・Dも負けじと咆哮をあげた。
「バトル! 究極竜でロード・オブ・ドラゴンに攻撃!」
三つの首から高密度のエネルギーが放たれる。自身の攻撃力は下級の中でも下に位置する魔法使い程度では超火力の前には余りにも無力だった。
クラウヴィア・ドラッゲン
LP8000→4700
「キィイイイイ!」
「究極竜の効果! エクストラデッキの『青眼』融合モンスターを墓地へ送って再び攻撃出来る! 開闢の使者に攻撃!」
LP4700→3200
「待って、待って! いいの? 私が負けたら魂が奪われるんだよ? あなたの心に消えない傷が「安心しろ」え?」
「必ず助ける。俺は宣言した事は曲げない。信じてくれ」
「……」
明日葉の言葉に嘘は無い。それを察したクラウヴィアは静かに、しかししっかりと明日葉を見据える。覚悟を決めたのだ。
「究極竜の効果で三度の攻撃! 対象はF・G・D!」
「! F・G・Dの方が攻撃力が上なのにどうして!」
「せめて最高の攻撃で終わらせてやる! 手札の『オネスト』の効果! このカードを手札から捨てて戦闘を行う光属性モンスター、究極竜の攻撃力にF・G・Dの攻撃力5000を加える!」
青眼の究極竜
ATK4500→9500
「攻撃力……9500……」
「闇を払え! 【ハイパー・アルティメット・バースト】!!!」
LP3200→0
デュエルの結果はパーフェクトゲーム。会場は沸き出し、敗北したにもかかわらずクラウヴィアの心は晴れていた。しかし彼女はオレイカルコスの力で魂を奪われる。ゆっくりと瞼を閉じてその時を待った。
しかしいつまで経っても魂が身体から抜ける感覚は無い。瞼を開いても意識はまだ身体に残っている。
「あれ……どうして……」
「良かった、まだいたぞ」
明日葉と違う声が聞こえた為に振り返ると、制服を来た女性が複数名スタジアムに入って来た。
「訳は後で貴女には聞かねばならない事が多くあるので」
「えっと……貴女は?」
「それも然るべき場所で。こちらです」
「なんで魂が奪われてないんだ?」
「それが……私にも分からなくて……」
明日葉達を含めた七人は情報のすり合わせに入っていた。明日葉達からしてみればオレイカルコスの結界を持っている者はその力を用いて魂を神への生贄として捧げる事を目的としている。そしてクラウヴィアはそのデュエルに敗北し、魂を奪われるはずだった。
「でも今もこうして会話もしてる。どうしてだ?」
「多分あの場でオレイカルコスの結界を使わなかったからだろうな」
明日葉の疑問に口を開いたのは悠香だった。何気なく確信があるといった口調に悠香を除いた全員が振り向いた。
「それはどういう意味? 魂を奪うのには条件でもあるの?」
「さっき渡した内通者いますよね。そいつとのデュエルでオレイカルコスの結界を積み込みしてたんですけど発動する前に倒してたんですよ。伝える前にどっか行っちゃったんで伝えそびれてたんですよね」
あっけらかんと答える悠香に頭を抱える克巳。そもそも自分が話を聞かなかったのが問題だがそれを自覚している為に悠香に強く言えないのだ。
「じゃあドーマの一味がオレイカルコスの結界を発動する前に」
「倒せば問題ない、と。でも用意ではありませんね」
今回は偶然オレイカルコスの結界を引かれず、メディナや骨塚のように予め発動されていなかったから成しえたと言える。しかし、次は流石に対策を講じられるのは間違いない。今までそのようにされなかったのがおかしいとすらいえる。
「デュエルが弱い人はディスクに内蔵されるの。それで相手を見つけたら発動して強制デュエルといった感じに」
「オレイカルコスの結界は一人一枚しか持ってないのか? 三枚もいらないかもしれないけど複数枚あれば盆回しとかで相手に押し付ける戦術もあるだろうに」
「明日葉君……さらっと言ってるけどえげつないです」
「一人一枚。例外は無かったはず。私はデッキに入れてた」
ようやくこれで情報が出揃った。オレイカルコスの結界の力を最小限に抑える方法、それは
「ワンキルか……後攻なら今のデッキでも大丈夫だけど先攻で発動されたらマズいな」
「デッキ入れ替えは禁止されている訳ではありませんが、先攻でデュエルを終わらせるデッキなんて使った事もありませんし……」
「それで敗北するくらいなら今のデッキを使う方が良い。本末転倒になるくらいなら」
ここは割り切るしか無い。ダーツを倒せば全ての魂を救う事が出来ると信じて。
「明日は準々決勝だな。お腹空いたしご飯食べに行こうぜ」
「ああ、でも海馬さんのデュエルは準決勝まで無いとか凄いな。元居た所じゃありえないぞ」
「伊達に五回優勝していませんからね。半分シード権のようなものですよ」
「それより初戦はわたしとポラリスのデュエル。絶対負けられない」
「ああ、勝てよ」
敵では無いと判明しても彼女らはデュエリスト。わざわざ敗北する理由も手加減する気も無い。ドーマを倒す為に負けられないポラリス。明日葉の為に負けられないレイカ。
両者の闘志は熱く燃えていた。
気づいたら明日葉君ワンキルしてる。何ならノーダメ達成してる。
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番外編
番外編~時代の変化 令和開幕!!~
折角だし平成から令和に変わるので書いてみようと思います。大分短いのでそこをご理解の上ご覧ください。
因みにこれは本編のWCSが全て終わった後の話です。
4月30日 夜
明日葉は自宅でカレンダーを眺めながら自分の元居た世界を思い出していた。
(よく考えたら向こうじゃ元号が変わるんだっけか。結局何になったんだろう?それ発表される前にこっち来たからなあ……)
「はあ……」
「明日葉君、どうしたんですか?浮かない顔をしていますが」
明日葉が元の世界の事を考えている所に明日葉の警護官である『城之内彩佳』が話賭けてくる。
「ん?あ、いや。俺の元の世界じゃさ、天皇様っていう他所でいう王様みたいな御方がいるんだけど」
「テンノウ?それはこの世界の『天妃』様のようなものって考えていいんですかね?」
「テンヒ?」
「この国のリーダーと考えてください。行政や海外での
「へー。天妃っていうくらいだから女性じゃないとなれない感じ?」
「というよりも男性が生まれる事が珍しいので天家の間で考えるだけ無駄と……」
「Oh……」
天家の発想に明日葉は頭を抱える。男性が少ない上に出生率が低いことを鑑みれば確かに仕方ないことかもしれないが明らかに男性差別のそれである。
「話が逸れましたね。天家は代々女性がなっていましたから男性が即位する話自体無かったんですよ」
「そういうことか。それは解決しようもないな……」
「それはそうとそのテンノウ様ですよ。どういう方なんですか?」
「ああ、まあ王様って言うよりは今は国の象徴っていう表現の方が合ってるんだけどな。その方が退位なされるのが今日で明日そのご子息である皇太子様が即位なされるんだ」
「そんなことが……明日葉君はそれが気になったと?」
「まあそうなるな。なんだかんだ言って時代が変わる瞬間だし、立ち会いたいたかったってのが本心かな」
「そうだったんですか……明日葉君、今もやっぱり帰りたいと思いますか?」
「……WCSも終わって皆が俺をプロとして受け入れてくれた。彩佳や悠香、レイカも俺を信じて仕事をしてくれる。協会の景子さんも彩佳のお母さんも俺をバックアップしてくれる。環境で言えば向こうより断然良い環境だよ」
「という事h「でもな」?」
「やっぱり故郷のことは忘れられない。環境とか関係無しにあそこが気に入ってるってのがこっちに来てから分かったんだ」
「……そうですか」
明日葉の言葉に彩佳は少し胸を痛める。
(そうだよね……明日葉君だって本当は帰りたいはずなのに私、何を考えてるんだろ……)
彩佳はこのまま明日葉がこの世界に居続けるものだと考えていた。それが正解だと信じていた。しかし明日葉の言葉に自分の考えが過ちであると認識したのだ。
そしてそんな彩佳の表情を分からない程
「まあ、もう少しはこっちにいても良いかなって、今は思ってる」
「……え?」
「その……なんだかんだ言ってこっちも居心地に慣れたって言うか……付き合い方を覚えたって言うか……だったらもう少しいてもいいかなぁって……」
「明日葉君……」
「まあ未だ帰り方すら分かってないから帰る云々は意味ないんだけどな」
「そうでしたね……ふふ」
「どうした?」
「なんでもないです」
とは言っていたが彼女の気持ちは穏やかだった。
(そうだよね……まだ明日葉君とは一緒にいられる。この時間を大事にすればいいんだよね)
「さて明日葉君、もう時間も遅いですし寝ましょう。明日は協会に行くんですから寝坊するとレイカさんがうるさいです」
「そうだな。おやすみ、彩佳」
「お、おやすみなしゃい!」///
(か、噛んだーーー!!何やってんの私ぃーー!!!)
「あ、あやk「おやすみなさい!」お、おう……」
明日葉の言葉を遮り彩佳は自分の部屋に戻っていった。
明日葉はリビングで一人呆けている。
「……まあ理由はそれだけじゃないけどな」
明日葉は誰もいないリビングで一人呟いた。
因みに翌日明日葉と彩佳は仲良く寝坊した。
元号が変わったのでそれを使ってこの世界の追加設定を書きました天妃ですが明治の天皇のポジションです。
ラブコメ要素を入れたくても難しいのでちょっとずつ伏線入れていきたい所存です。これからバイトが再スタートするのでやっぱり更新は元に戻らないですが完結までは持っていくのでよろしくお願いします。
では次話で会いましょう。
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番外編~教えて!遊崎先生!~
何回かに分けます。今回はカードの種類(しかも大雑把)です。
ある日、明日葉たちは協会へ呼び出された。
「それで景子さん、頼みとは?」
「ああ、それが明日葉君のデュエルを見て自分もやりたいって言う男性が増えだしてね。どうせならってことで明日葉君にデュエル講座を開いて欲しいんだよ」
そう頼んでいたのは男性保護協会部長『本田景子』。今回の件の発案者である。
「俺が、デュエルを教えるんですか……」
「頼む!男性の意見は叶えてあげたいし、うちの職員にやらせようものなら何が起こるか目に見えてるんだよ!」
「ああ、なんとなく察しがつきました……」
明日葉にも警護官が教えるものがデュエルでなくなるところが容易に想像出来た。自制心仕事しろ。
「じ、じゃあ」
「やりましょう。たまには男の人との会話もしたかったですし」
「ありがとう。本当にありがとう!この礼はいつかさせてもらうよ!」
「は、はい。では資料を準備したいんでパソコン借りますね」
「ああ、頼んだよ」
明日葉が準備が終わり、協会居住スペースに住んでいる男性が講堂に集まった。
「皆さん、今日はこのデュエル講座に集まっていただきありがとうございます。今回講師を務めます遊崎明日葉です」
集まった男性は元気よく挨拶を返し、後ろの警護官は興奮にティッシュが手放せなかった。
(本当にアレどうにかなんねえかなあ……)
「はい、皆さんのしってる通りデュエルモンスターズはモンスター、魔法、罠を使って先に相手を倒した方が勝ちというゲームです。まず簡単に必要な所から行きましょう。まずはデッキの説明から行きましょうか。『デッキ』とは自分で選んだ40~60枚のカード束の事です。必要というかこれが無いとまずゲームすら始まりません。
次にそのデッキに使うカードの説明です。先程言ったモンスター、魔法、罠。これがデュエルモンスターズを構成するカードの種類です。この中に細かい種類がありますが今すぐ全ての種類を覚える必要はありません。今はこの3種類だけを覚えておいてください。」
「明日葉君、質問いいかい?」
明日葉がカードの説明をしていると、『本田悠希』が手を上げて質問をしようとしている。
「どうしました?」
「明日葉君が普段使っている枠が白色だったり青色だったりするカードは何なんだい?」
「それはもう少しデュエルに慣れてからと思ったんですが……今の方がいいですか?」
「僕は是非知りたい。明日葉君のようにかっこよく出したいからね!」
目を輝かせながら食い気味に答える。それに同調して他の生徒も知りたいと手を上げる。
「分かりました。ここは初心者は混ざってしまうところなので注意してください。デュエルする際デッキは必須となる『メインデッキ』とそれとは別に条件を満たすことで特殊召喚出来るモンスターを入れる『エクストラデッキ』が存在します。メインデッキは先程説明した3種類のカードを、エクストラデッキは枠が紫色の融合、白色のシンクロ、黒色のエクシーズ、青色のリンクモンスターを入れるデッキです。このエクストラデッキはメインデッキと違い、0枚でも構いません。入れる場合は15枚の上限があるのも注意するポイントです」
「た、確かに種類が多いね……」
「メインデッキの方が種類が多いので覚悟しておいてくださいね。まあ今日説明したものは資料としてまとまっているので復習はそれで出来ますから。それでも分からなかったら聞いてくださいね」
「「「はーい」」」
「さて、カードの説明はしたし、後は実践を見てもらった方が早いかな……この時間はこれで終了にします。少し休憩したのち次の講座は実践を見てもらった方が早いのでフィールドに集まってください」
「「「はーい」」」
「明日葉君お疲れ様でした。でも次は実践ということですけど相手は誰がやるんですか?」
「え、彩佳にやって欲しいんだけど」
「……え?」
今回はここまでです。短くてすまない……非力な私を許してくれ……
次回はデュエルです。久々に彩佳がデュエルします。果たして書けるのか……?
では次のお話でお会いしましょー
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番外編~教えて!遊崎先生!その2~
今回は試しにキャラの台詞の前にそのキャラの名前を書いてみます。どっちがいいかはアンケート募ってるんでそれにお答えください。場合によっては全話のセリフに修正加えます。
休憩時間を終えて男性生徒が協会のフィールドに集まった。そこに明日葉が入ってくる。
「はい、ではさっき教えた3種類のカードを使ってデュエルを実演していきます。最初の説明ですから細かい説明が必要なカードは使わないので安心してください」
「明日葉君、君の相手はどうするんだい?まさか僕たちの中から選ぶとか?」
「流石に抜き打ちみたいなことはしませんよ。今回は俺の警護官の彩佳に相手してもらいます。彩佳にも同じデッキを使ってもらうのでどっちを見ても説明は変わりません。あとこのデュエルは説明だけで済ませる予定なのでライフポイントは本来のライフ8000の半分、4000で行います」
そう言いながら明日葉と彩佳はデュエルの準備を始める。それに生徒の男性や休憩中の職員も集まりだした。
「そういえば明日葉君とディスクを使ったデュエルするの初めてな気がします。最初から明日葉君のデュエルを見てきたけどずっと卓上デュエルでしたし、ワクワクします!」
「そうか、そういえばそうだな。でも今回のデュエルは初心者講座だってのを忘れないでくれよ?」
「わかってますよ。明日葉君の顔に泥を塗らないように頑張ります!」
「それで空回りするなよ?まあいつも通り、いいデュエルにしようぜ」
アハハ、ウフフとこの2人だから普通に思えるが職員は血涙を流し彩佳に怨嗟の呪詛を垂れ流す事態。きっと夜道に入ろうものなら闇討ち待ったなしである。
「彩佳、用意はいいか?」
「いつでもいいですよ。では
「「デュエル!!」」
遊崎明日葉
LP4000
VS
城之内彩佳
LP4000
「デュエルは大きく分けて
『ドローフェイズ
↓
スタンバイフェイズ
↓
メインフェイズ1
↓
バトルフェイズ
↓
メインフェイズ2
↓
エンドフェイズ』
の6つのフェイズに分かれて進みます。
デュエルディスクを使う場合、先攻後攻は自動で決めてくれます。今回は俺が先攻なので俺のターンからスタートですね。
ドローフェイズはデッキからカードを1枚引くフェイズです。でも先攻は最初のターンドロー出来ないのでこのフェイズはスキップされます。
次に進むのがスタンバイフェイズ、カードの効果でスタンバイフェイズに発動出来る効果を発動・処理するフェイズです。ここも今はやることはないのでスタンバイフェイズは終了です。
次がメインフェイズ、これがデュエルの基本フェイズです。モンスターの召喚や魔法、罠の発動やセットといったデュエルで不可欠なことをするフェイズです。実際に召喚してみましょう。俺は手札から『Xーヘッド・キャノン』を召喚!」
Xーヘッド・キャノン ☆4 光
ATK1800/DEF1500
「モンスターは表側縦向きで出す攻撃表示、裏側横向きで置く裏守備表示で通常召喚出来ます。これは1ターンに1度しか出来ません。
次がバトルフェイズ。その名の通り相手に攻撃するフェイズですが、先攻は最初のターンバトルフェイズに入れないので何もなければこのままターン終了を宣言します。これで1つのターンが終わったので相手のターンに移ります。これを繰り返して勝利条件を満たした方が勝利します。彩佳、始めていいぞ」
明日葉
LP4000
モンスター:X-ヘッド・キャノン
魔法・罠:無し
手札:4枚
「はい、私のターン!私は『Y-ドラゴン・ヘッド』を召喚!」
Y-ドラゴン・ヘッド ☆4 光
ATK1500/DEF1600
「更に手札から魔法『Hーヒートハート』を発動!攻撃力が500ポイントアップします!」
「このように魔法カードはモンスターの攻撃力に干渉したり、破壊したりする効果を持っていたりします。デッキに合ったカードを選びましょう」
「バトルです!Y-ドラゴン・ヘッドでX-ヘッド・キャノンに攻撃!」
明日葉
LP3800
彩佳「これでターンエンドです」
彩佳
LP4000
モンスター:Y-ドラゴン・ヘッド
魔法、罠:無し
手札:4枚
「モンスターのバトルは攻撃表示同士ならその攻撃力を比べて大きい方の勝ちです。攻撃力の小さいモンスターが破壊されプレイヤーにその差分ダメージが入ります。今回は2000と1800だったので200ポイント俺にダメージ入りました」
「成程、攻撃力が高いモンスターでダメージを与え続けて相手のライフを0にすると勝ちなんだね?」
「そういうことです。大抵のデュエリストはそれで勝つデッキを用いります。では、俺のターンですね。俺のターン!モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
明日葉
LP3800
モンスター:伏せ1体
魔法、罠:1枚
手札:3枚
「私のターン!『エルフの剣士』を召喚です」
エルフの剣士 ☆4 地
ATK1400/DEF1200
「バトルです!Y-ドラゴン・ヘッドでセットモンスターを攻撃!」
闇・道化師のサギー ☆3 闇
ATK600/DEF1500
「攻撃表示モンスターと守備表示のバトルはお互いの数値が同じ場合どちらも破壊されません。Y-ドラゴン・ヘッドの攻撃力とサギーの守備力は同じ1500だからお互い破壊されないということです。因みにこのままエルフの剣士で攻撃してもサギーの守備力を下回るのでその差のダメージを彩佳が受けてどちらも破壊されません」
「私はカードを1枚伏せてターンエンドです」
彩佳
LP4000
モンスター:Y-ドラゴン・ヘッド、エルフの剣士
魔法、罠:伏せ1枚
手札:3枚
「俺のターン!ではここで上級モンスターの説明です。まずモンスターのレベルで召喚するのに条件が変化します。レベル4以下なら無条件で、5・6なら1体のリリース、7以上なら2体のリリースが必要になります。リリースとは自分フィールドのモンスターを墓地に送ることです。では実際にやってみましょう。闇・道化師のサギーをリリースして『ジャックスナイト』を召喚!」
ジャックスナイト ☆5 地
ATK1900/DEF1200
「バトルフェイズ!ジャックスナイトでエルフの剣士を攻撃!」
彩佳
LP3500
「俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP3800
モンスター:ジャックスナイト
魔法、罠:伏せ1枚
手札:3枚
「私のターン!手札の『Z-メタル・キャタピラー』の効果を発動します。Y-ドラゴン・ヘッドに装備し、攻撃力が600アップです!」
「これはモンスターの種類のひとつ『ユニオン』。モンスターに自身を装備して装備モンスターに効果を与えます。その際そのモンスターは魔法、罠ゾーンに置かれます。」
「バトルです!Y-ドラゴン・ヘッドでジャックスナイトを攻撃!」
「このままならジャックスナイトは破壊され、俺に200のダメージが入る。でもそれを解決してくれるのが
「「おお!!」」
「そんな!?と言いたいですがそうはいきません!カウンター罠『盗賊の七つ道具』を発動!」
「何!?」
「罠カードが発動した時、ライフを1000払って効果を無効にして破壊します!これで攻撃は続行!ジャックスナイトは破壊です!」
彩佳
LP2500
明日葉
LP3600
「今のは効果の発動をトリガーに発動する罠『カウンター罠』。迎撃手段があってもこれを使われたらそれが破壊されてしまうんです」
「カードを2枚伏せてターンエンドです」
彩佳
LP2500
モンスター:Y-ドラゴン・ヘッド
魔法、罠:Z-メタル・キャタピラー、伏せ2枚
手札:1枚
「俺のターン!『切り込み隊長』を召喚。召喚時効果でレベル4以下のモンスター『ブラッド・ヴォルス』を特殊召喚。更に魔法『受け継がれる力』を発動。切り込み隊長をリリースしてブラッド・ヴォルスにその分の攻撃力が加算され3100だ!バトル!ブラッド・ヴォルスでY-ドラゴン・ヘッドを攻撃!」
「罠『鎖付きブーメラン』を発動です!ブラッド・ヴォルスを守備表示に変更してY-ドラゴン・ヘッドの攻撃力500アップの装備カードとして装備します!」
「まじか……カードを1枚伏せてターンエンドだ」
明日葉
LP3600
モンスター:ブラッド・ヴォルス
魔法、罠:1枚
手札:0枚
「私のターン!『Z-メタル・キャタピラー』の効果で自身を特殊召喚します。Y-ドラゴン・ヘッドとZ-メタル・キャタピラーをリリースして『ラビー・ドラゴン』をアドバンス召喚!」
ラビー・ドラゴン 光 ☆8
ATK2950/DEF2900
「更に罠『竜の逆鱗』を発動!これでラビー・ドラゴンの攻撃力が守備力を上回ればその分のダメージを与えられます!バトル!ラビー・ドラゴンでブラッド・ヴォルスを攻撃!」
「そう簡単にさせるか!罠『次元幽閉』を発動!これでラビー・ドラゴンは除外だ!」
「そんな!?……しかたありません。ターンエンドです」
彩佳
LP2500
モンスター:無し
魔法、罠:竜の逆鱗
手札:1枚
「俺のターン!バトル!ブラッド・ヴォルスでダイレクトアタック!」
彩佳
LP600
「くぅ!流石に厳しくなってきましたね……」
「次で仕留めるぜ。『サイバー・ヴァリー』を召喚してターンエンド」
明日葉
LP3600
モンスター:ブラッド・ヴォルス、サイバー・ヴァリー
魔法、罠:無し
手札:0枚
「私のターン!モンスターをセットして、カードを1枚伏せてターンエンドです」
彩佳
LP600
モンスター:伏せ1体
魔法、罠:伏せ1枚、竜の逆鱗
手札:0枚
「俺のターン!『グレムリン』を召喚。サイバーヴァリーとグレムリンを除外してサイバーヴァリーの効果発動。カードを2枚ドローする。バトル!ブラッド・ヴォルスでダイレクトアタック!」
「そう簡単に破壊させてあげません!罠『
「嘘ォ!?」
「これで攻撃は無効。更にブラッド・ヴォルスの攻撃力分のダメージを明日葉君に与えます!」
明日葉
LP1700
「痛え……まあこのように罠には相手にダメージを与えるカードも存在するので攻撃も簡単には通らなかったりしますので気を付けてください。俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP1700
モンスター:ブラッド・ヴォルス
魔法、罠:無し
手札:2枚
「私のターン!手札から魔法『死者蘇生』を発動!明日葉君の墓地のジャックスナイトを蘇生です。更に私はセットされてる『メタモルポット』を反転召喚です!」
メタモルポット 地 ☆2
ATK700/DEF600
「メタモルポットはリバースモンスター、それは反転召喚した時に効果を発揮します。お互いは手札を全て墓地に送り、デッキから5枚カードをドローします!」
「ここでメタモルポットか……博打じゃないか?これで俺も手札が増えた訳だが」
「それだけの価値がありますからね。私はもとより手札は無いのでそのまま5枚ドローです!更にメタモルポットをリリースして『ジャッジマン』をアドバンス召喚です!」
ジャッジマン 地 ☆5
ATK2200/DEF1500
「攻撃力1900と2200!これが全部通れば明日葉の負けだ!」
「バトル!ジャッジマンでブラッド・ヴォルスに攻撃!」
明日葉
LP1400
「終わりです!ジャックスナイトで明日葉君にダイレクトアタック!」
「それはどうかな?手札の『クリボー』の効果発動!こいつを手札から墓地に送って戦闘ダメージを0にする!」
「ぐぬぬ……カードを3枚伏せてターンエンドです」
彩佳
LP600
モンスター:ジャッジマン、ジャックスナイト
魔法、罠:2枚、竜の逆鱗
手札:1枚
「俺のターン!」
(私のセットカードは『奈落の落とし穴』と『インターセプト』、更に手札には『バトルフェーダー』……守りは盤石。余程の事がない限り明日葉君にだって破れない布陣です!)
「俺は手札から魔法『サイクロン』を発動!俺から見て左のカードを破壊!」
「インターセプトなら……大丈夫……!」
「更に『古のルール』を発動!レベル5以上の通常モンスターを特殊召喚出来る!来い『スパイラルドラゴン』!」
スパイラルドラゴン 海竜族 ☆8
ATK2900/DEF2900
「それはダメです!罠『奈落の落とし穴』!スパイラルドラゴンを破壊、そのまま除外します!」
「それは想定内だ。魔法『アンティ勝負』を発動!互いは手札からモンスターを1体選択しレベルを確認する。レベルの低いモンスターのプレイヤーは1000ダメージを受け、そのモンスターを墓地に送る。モンスター以外ならそれはレベル0になる」
「!私の手札は……レベル1のバトルフェーダーだけ……」
「俺はレベル4の『翻弄するエルフの剣士』。俺の勝ちだな」
彩佳
LP0
「負けました~」
「良いデュエルだったよ。順番間違えたらどうだったか分からなかった」
「……それって皮肉ですか?」
「ち、違う違う。まあそれとして、取り敢えずデュエルの流れはこんな感じです。召喚や発動が分からなくなったらディスクに入れてある『詰めデュエル』で勉強しながら確認出来るので自分でも覚えられると思います」
「ありがとう明日葉君、いい勉強になったよ。全部覚えたらデュエルしてくれないかい?」
「はい、いつでもどうぞ。では今日はこれで終わりです。お疲れ様でした」
「「「「お疲れ様でした」」」」
こうして明日葉デュエル講座は成功という形で幕を閉じた。
「ありがとうね明日葉君、これで何とかなりそうだよ」
「いえいえ、喜んでくれたなら良かったですよ。また何かあったら言ってください」
「あ、明日葉君!そういうのはみだりに言うもんじゃないよ!」
「あ、そうでしたね。まだ感覚がこっちについて来れてない……」
「まあいいさ……あいつらにそのノリでいってないだろうね?」
「ダ、ダイジョブデス……デハオレハコレデ」
流し目でしどろもどろしながら明日葉はその場を後にした。
「お帰りなさい、どうでした?」
「どうしたも何もただお礼言われただけだよ。でも教えるのはやっぱり慣れないなあ……疲れちまった」
「今日はお腹に優しいの作りますね」
「頼んだ。て言っても作るの悠香だろ?」
「……今日は私が作りますから」ムスッ
「ご、ゴメンゴメン。そっかそっか、楽しみにしてるぜ」
「本当ですか!?さあ帰りましょう!すぐ帰りましょう!気合入れちゃいますよー!!」
機嫌が治り、プリプリして先行する彩佳に苦笑を浮かべながらもこの世界に住み慣れたと実感する明日葉。
元の世界に帰る方法は未だ掴めていないが
(もう少しこの世界を楽しむのも……悪くないかな)
今いる人々ともっと過ごしたいと感じていた。
明日葉君のデュエル講座終了です。
この作品で遊戯王を始めたという人がいたので書いてみました。これでちょっとでもルールが理解出来たなら書いて良かったと思えます。
最近バイトと大学が多忙で更新が遅い事をお許しください。最近絵も描いてるから時間めっちゃ足りないの。次回頑張るからそれで許して。
では次回更新をお待ちください。ではー
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番外編~明日葉のお仕置き1ターンキル~
今回は禁止カードを使います。じゃんじゃん使います。「こんなのデュエルじゃない!」という方は残念ながら今回の話は見なかったことにして欲しいです。
このくらい日常回でも書きたい……
「どういう……ことだ……」
明日葉が今いるのは男性保護協会の入り口。なぜ中でないのかというと
「宣言する! 我々は男の新たな自由の為に徹底抗戦をする所存だ! 男の自由外出を! どこでもデュエルする権利を要求する!」
協会の一部の男性がどうやったのかバリケードを設置し、所謂ストライキの真似事をしているのだ。
「ああ……また上から文句言われる……」
こういう事が度々あるのか白い目を向けながらため息を吐く協会本部長、中間管理職の辛い所である。
「しっかしなんでいきなりあんな事をやろうと思ったんですかね」
「こっちは彼らがストレスを溜めないよう配慮していたんだけどねぇ。明日葉君がデュエルを教えてからデュエルスペースも解放してたし、これはあたしらにはどうすることも出来ないからさ、明日葉君頼む! 君にしか頼めないんだ!」
そう言って景子が明日葉に頭を下げる。それを明日葉は慌てて止める。
「顔を上げてください! 俺としても原因の一端を担いでるようなものなんで、出来る事はやりますよ!」
「ありがたい……まずは説得を試みてくれないかい? いきなり攻め込むのは無しで頼むよ」
「分かりました。でもここはあまり期待しないでください……」
最後自信なさげに言いながらバリケードに近づいていく。
「ええと……どうしてこんな事やってるんだー?」
「我々は明日葉君のデュエルに魅せられた者達だ! 我々も明日葉君のようにデュエルをしたい! しかしここではそんなデュエルが出来ない! だから行動したのだ!」
「こんな事やっても立場を悪くするだけだと思うけど?」
「今の外でデュエルする君には分からないだろうね! 兎に角この要求を飲まない限りはこちらもこのバリケードを解くつもりは無い!」
そう言って男達はバリケードの向こう側に引っ込んでしまった。
明日葉はと言うと
「……はぁ」イライラ
キレそうだった。
実際明日葉はこの世界の住人ではない。最初のデュエルに始まり、負けたら貞操の危機を迎える。ハードモードデュエルライフを送る明日葉にとって今の甘い考えが途轍もなく腹立たしかった。
「景子さん」
「! な、なんだい?」
「ここのカード、借りていいですか?」
「い、いいけど……何をするんだい?」
「いえ、
ちょっとお仕置きしようかなと」
( 0H0) オレハサイキョーダァ!!
「おーい!」
「なんだ! 要求を飲む気になったのかい? でもなんで明日葉君にやらせるのかな?」
「デュエルしろー!」
「? いきなりどうしたんだい?」
「そっちが一度でも勝ったら要求を飲む! 負けたらおとなしく投降してくれー!」
「……いいだろう!」
男性はそういってバリケードを少し開けた。そこから出てきたのは先程の男性含めた6人。どれもデュエルディスクを装着している。
「デュエルする前に、君にハンデを付けさせてもらうよ」
「ほう、言ってみ」
「君のライフを半分で戦ってもらう」
「いいぞ」
「明日葉君! 君でもライフ半分は厳しいんじゃ……」
「ならこっちもルールを付けたい」
「いいだろう」
「まだ何も言ってないけどいいのか?」
「君のライフ半分なら負けるわけないからね。我々のデッキは君の思うより完璧なんだよ!」
「そうか……じゃあやるか。全員でくるか?」
A「まずは僕だ!」
そういって10歳程の少年が前に出る。
「オッケー。じゃあ」
「「デュエル!」」
明日葉
LP4000
VS
少年A
LP8000
「僕の先攻だ! 僕は『アレキサンドライドラゴン』を召喚! これでターンエンドだ!」
アレキサンドライドラゴン ☆4 光
ATK2000/DEF100
モンスター:アレキサンドライドラゴン
魔法・罠:無し
手札:4枚
「俺のターン。少年、恨むならリーダーを恨んでくれな」
「え?」
明日葉「俺は魔法『強欲な壺』を発動!」
「「「!!?」」
「デッキからカードを2枚引く!」
「ま、待て待て! なんで禁止カードを使ってるんだ!」
「言ったろ? 条件を付けるって」
「……もしかしてその条件が」
「ノーリミットデュエル。禁止制限何でもありのこのデュエルで俺に勝ってみろよ」
「そ、そんなのインチキだ! 今すぐデュエルをやめろ!」
「さっき負けるわけないって言ったよな? ルールをこっちで決めさせたのもそっちの怠慢だ。止めるのには効果が無いな。まあ勝てばいいんだよ」
「っく……随分とキャラが違うんだね。普段と真逆だ」
「そうさせたのはそちらだ。デュエルを続けるぜ。魔法『天使の施し』を発動。デッキから3枚引いて手札2枚を墓地へ送る。送った『処刑人マキュラ』の効果で手札から罠を発動出来る。罠『無謀な欲張り』を3枚発動。これで1枚につき2枚ドローして合計6枚ドロー。魔法『成金ゴブリン』を発動。君のライフを1000回復させて1枚ドロー。同じく発動。また君は1000回復だ。マキュラの効果はまだ生きてる。罠『強欲な瓶』を発動して1枚ドロー。罠『活路への希望』を発動。相手よりライフが2000以上低い場合に発動可能でライフ1000をコストにその差2000に付き1枚ドローできる。君は10000、俺3000.3枚ドローだ。
さて、『封印されしエクゾディア』『封印されし者の右腕』『封印されし者の左腕』『封印されし者の右足』『封印されし者の左足』が揃った。俺はデュエルに勝利する」
「「「はあ!?」」」
「待ってよ! なんで勝つのさ!」
「封印されしエクゾディアは各パーツが手札に揃うと勝利する特殊勝利のカードだ。こうした勝利もノーリミットデュエルの醍醐味だな。さて、一日一回勝負。なんで負けたのか明日までに考えて来るんだな!!
YOU LOSE!!!」
明日葉
WIN
「おい、どうするんだよ……あんなのに勝てるわけないぞ」
「これを理由にアレコレされたらどうしよう……うえ……」
「うるさい! それを考えるんだ……」
「安心しろ。それぞれにデッキを作って来た。改めて一人一回ずつデュエルして俺を一回でも倒したら要求を飲む。ハンデはライフ4000。ノーリミットデュエルだ。どうだ?」
「……分かった」
「おい! 大丈夫なのかい? そんなルール受けて……」
「大丈夫だ。あと五回もチャンスはある。それで勝てばいいんだ」
「ほら、次は誰だ?」
「ぼ、僕だ!」
次は高校生程の青年が前に出た。
「じゃあいくぞ」
「「デュエル!」」
第二試合が始まると同時に、明日葉の警護官の彩佳がバリケードから追い出された男性の避難誘導から戻ってきた。
「部長、今戻りました! 状況はどうなってますか?」
「……明日葉がデュエルしてる」
「……え?」
「それも禁止カードをバンバン使って……」
「ええ!? ……なんでそんなことになってるんですか?」
「あたしが頼んだんだけど、こりゃ酷い」
「でも禁止カードを使ったデュエル、明日葉君はどんなデュエルをするんでしょう……」
「それは実際に見てごらん。消し炭なんて生温いから」
「さっきまでどんなデュエルしてたんですか!?」
「俺が先攻だな。フィールド魔法『チキンレース』を発動。ライフ1000をコストに1枚ドロー。永続魔法『亡龍の
「3分の1……でもそんな確率当たる訳」
「よく覚えとけ。デッキはモンスターを使わなくても勝つことが出来るってな。宣言は『魔法』……ほら、当たりだ」
「そんな! そんな確率……」
「このデッキの正体を教えよう。こいつはデッキ全てを魔法カードで構成したフルマジックデッキだ。当たった事で俺と君のライフは逆転、8000ご馳走様。更に墓地に送られた魔法『風魔手裏剣』の効果で君に700ダメージ。これで終わりだ」
「う、嘘だーーー!!」
明日葉
WIN
「確かにひどいですね……」
「相手が動く前に終わってる。本気というよりただ倒すためって感じだ」
「デュエルする際に明日葉君何か言ってました?」
「向こうが一回でも勝ったら要求を飲むって事を約束してたよ」
「だからじゃないですか? 自分で言った手前、負けたらいけないって思ってるんですよ。禁止カードだってルールとして決めたんですよね?」
「ああ、向こうは聞かなかったからなんの準備も出来てなかったけどね」
「明日葉君は、デュエル脳だからなのか言葉で狩るみたいなところありますからね」
「絶対相手したくない……そう言えば他二人は?」
「他部署と連携して支部の居住区に男性を連れて行ってます。私は明日葉君の警護に」
「すまないね、今日はこっちに泊って行っていいから」
「分かりました。明日葉君にも後で伝えておきますね」
「……随分仲良くなったね」
「普段から一緒ですから!」フンス!
彩佳の若干のドヤ顔に景子は微妙な表情になるがまだデュエルは続く。
「さあ次は誰だ?」
「お、俺だ! 俺が勝てばいいんだからな!」
「「デュエル!」」
「俺のターン! モンスターをセットしてターンエンド」
モンスター:セット1体
魔法・罠:無し
手札:4枚
「俺のターン。ここからは長いぞ。
魔法『調律』を発動。デッキから『シンクロン』チューナーを手札に加える。『ジャンク・シンクロン』を手札に加える。その後デッキの一番上のカードを墓地へ送る。手札の『チューニング・サポーター』を墓地に送って『クイック・シンクロン』を特殊召喚。手札からフィールド魔法『スターライト・ジャンクション』を発動。効果でクイック・シンクロンをリリースしてレベルの異なる『シンクロン』を特殊召喚出来る。『シンクロン・キャリアー』を特殊召喚。シンクロン・キャリアーの効果で通常召喚に加えて『シンクロン』モンスターを召喚出来る。ジャンク・シンクロンを召喚。効果で墓地のチューニング・サポーターを特殊召喚。墓地からの蘇生が成功したことで手札の『ドッペル・ウォリアー』を特殊召喚。ドッペル・ウォリアーにジャンク・シンクロンをチューニング。『アクセル・シンクロン』をシンクロ召喚。素材になったドッペル・ウォリアーの効果で『ドッペルトークン』を二体特殊召喚。アクセル・シンクロンの効果、デッキの『シンクロン』である『ジェット・シンクロン』を墓地に送ってその分のレベル1つ下げる。アクセル・シンクロンとドッペルトークンをリンクマーカーにセット。『
ハリファイバーの効果でデッキからレベル3以下のチューナーであるジェット・シンクロンを特殊召喚。チューニング・サポーターにジェット・シンクロンでチューニング。『フォーミュラ・シンクロン』をシンクロ召喚。フォーミュラ・シンクロンの効果にチェーンして素材になったチューニング・サポーターとジェット・シンクロンとフィールドのシンクロンキャリアーの効果。シンクロン・キャリアーがいる状態で『シンクロン』モンスターが戦士、機械族のシンクロ召喚の素材になった場合、『シンクロントークン』を特殊召喚。ジェット・シンクロンは素材で墓地に送られた場合、デッキの『ジャンク』モンスターを手札に加える。その後チューニング・サポーターとフォーミュラ・シンクロンの効果でデッキから1枚ずつドロー。魔法『増援』で『ラッシュ・ウォリアー』を手札に加える。ドッペルトークンとシンクロン・キャリアーにフォーミュラ・シンクロンをチューニング、『
(長い……)
「まだ俺には通常召喚権が残ってる。ジャンク・シンクロンを召喚して効果でドッペル・ウォリアーを特殊召喚。このままドッペル・ウォリアーにジャンク・シンクロンをチューニング。来い『ジャンク・ウォリアー』。
ジャンク・ウォリアーの効果にチェーンしてハイパー・ライブラリアンの効果と素材になったドッペル・ウォリアーの効果。ドッペルトークンを二体特殊召喚。ハイパー・ライブラリアンの効果でドローしてジャンク・ウォリアーの効果処理だ。俺のフィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計をジャンク・ウォリアーに加える。フィールドのレベル2以下のモンスターはドッペルトークン二体とシンクロントークン。合計1800アップだ。【パワー・オブ・フェローズ】!」
ジャンク・ウォリアー
ATK2300→ATK4100
「攻撃力……4100!?」
「あれ絶対このままですまないですよ明日葉君」
「嘘だろ!? あれだけでも手に負えないのに……」
景子は信じられないといった様子だが、明日葉と日がな一日デュエルしている彩佳は遠い目をしながらも確信していた。明日葉が絶対にこのターンで決着をつける目をしていると。
「バトルフェイズに移行。速攻魔法『スクラップ・フィスト』を発動。これでジャンク・ウォリアーは倍の貫通効果を持った。ジャンク・ウォリアーで裏守備モンスターを攻撃! 【スクラップ・フィスト】!!」
「俺のモンスターは『ビッグシールド・ガードナー』! 倍の貫通ダメージでも3000なら「それはどうかな?」!」
「手札のラッシュ・ウォリアーの効果、『ウォリアー』シンクロモンスターが攻撃するダメージステップにこいつを墓地に送ってそのモンスターの攻撃力を倍にする」
ATK4100→8200
「こ、攻撃力8200!?」
「受け取れ……
俺のファンサービスを!!」
明日葉
WIN
「これで三勝。さあどうする?」
「くっ……」
明日葉の容赦ないデュエルに男性たちは二の足を踏む。自分たちでかかってもここまで相手にならないと思っていなかったのだ。しかし方やただの素人、方や新進気鋭のプロデュエリストではハンデがあろうとどちらが勝つかなど誰が見ても明らかだった。
「もうやめよう。このまま戦っても結果は「うるさい! そんな事言ってる暇があるなら手を考えろ!」
しかし甘やかされて育ったこの男にそんな考えはなかった。自分が強い。負けたのは前の3人が弱かったからだ。
「もういい! 残りは俺一人でやる!」
「そんな! 今やめた方が向こうだってまだ「知るか! それもこれもお前たちが負けたのが悪いんだろうが!」
そんな時に明日葉が提案してきた。
「そんなに揉めるんならマッチ戦にするか?」
「マッチ?」
「簡単に言うと3戦で2勝した方が勝ちのルール。更に俺のライフを半分の2000にしよう」
「……何を企んでるんだ?」
「いや流石にワンサイドゲーム過ぎたなと。だからまたハンデ」
「……後悔するなよ!」
「「デュエル!」」
明日葉
LP2000
VS
リーダー(首)
LP8000
「先攻もやるよ」
「どこまでも舐めやがって……吠え面かかせてやる! 俺のターン! 俺は『ブラッド・ヴォルス』を召喚! 更に装備魔法『デーモンの斧』を装備! これで2900だ! カードを1枚伏せてターンエンド!」
モンスター:ブラッド・ヴォルス
魔法・罠:デーモンの斧、伏せ1枚
手札:2枚
(俺の手札には『ライトニングボルテックス』がある。どんなモンスターを出そうともこれで一気に蹴散らしてやる!)
「俺のターン。さあ、
地獄を楽しみな!!」
「だと思いました」
「何が始まるんだい?」
「大惨事対戦ですかね」
「俺は魔法『強欲な壺』を発動。2枚ドローして魔法『呼び覚まされし壊獣の眠り』を発動。フィールドのモンスターを全て破壊だ」
「はあ!?」
「その後俺のデッキから互いのフィールドに『壊獣』モンスターを特殊召喚。俺のフィールドには『海亀壊獣ガメシエル』を、君のフィールドには『怒炎壊獣ドゴラン』を特殊召喚。手札から魔法『ドラゴン目覚めの旋律』を発動。手札1枚を捨ててデッキから攻撃力3000以上、守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2枚手札に加える。手札の『
「「ファ!!」」
ヴィクトリー・ドラゴン
このモンスターも当然禁止カードだが何故禁止かは後ほど
「魔法『天使の施し』、これで3枚ドローして2枚捨てる。今捨てた『
ヴィクトリードラゴンをアドバンス召喚!!」
ヴィクトリー・ドラゴン ドラゴン族 闇
ATK2400/DEF3000
「ここまでやって攻撃力2400? なんか肩透かしだな」
明日葉「言ってろ。魔法強欲な壺を発動。これで2枚ドローして魔法『復活の福音』を発動。青眼の白龍を復活。バトルだ! 青眼の白龍でダイレクトアタック!」
LP8000→5000
「ぐああっ!」
「更にオルタナティブでダイレクトアタック」
LP5000→2000
「くそ……でもあと二回のうちに勝てば「次のデュエルなどない!」!?」
「ヴィクトリー・ドラゴンが直接攻撃で相手ライフを0にした時俺はマッチに勝利する」
「……そりゃライフが0になれば勝利……あれ? マッチ?」
「そうだ、これはマッチ戦。マッチに勝利するというのは残りのデュエルを踏み倒して俺が勝つということだ」
「そ、そんな効果無茶苦茶だ!」
「しかしそれがヴィクトリー・ドラゴンだ。さあ、反省しなさい!」
LP2000→LP0
首「ああああああああああああ!!!」
明日葉
マッチキル
ミンチより酷いや。
( 0M0)オレノカラダハボドボドダ!
「いやー助かった! これで今回の騒動は解決! 男性の皆さんも後日またこっちに運ぶ事になるけど大事にならなかったから本当に助かった! ありがとう!!」
件の男性たちはカウンセリングを受け、協会側との協議で一月に一度デュエル大会を催す事で手打ちとなった。
「でもすごかったですよねあのデュエル。禁止カードの使い方がえげつないというか」
「え、何? 喧嘩売ってる?」
「違いますよ。でもなんであんなデュエルを?」
「ただのお仕置き」
「えぇ……」
「でも面白かったな~。ああいうのやってみたかったんだ」
「明日葉君ってやっぱりSっ気がありますよね」
「そうか?」
(まさかの自覚無し!?)
自身の性格を認識出来ていなかった明日葉に多少困惑する彩佳だがすぐ仕切り直す。
「そう言えば部長が今日はこちらに泊っていいと言っていましたよ。どうしますか?」
「お言葉に甘えとくか。部屋はどこか分かるか?」
彩佳から自分の部屋を聞き、部屋に入ってベッドに突っ伏する。
「流石に疲れた……でもすげえスッキリしたな……ボスデュエルなんか……やってみても……いいかなぁ」
まどろみながら今日の事を呟き、そのまま意識を落としていった。
翌日、同じデュエルをしてくれと協会の職員(全員)に詰め寄られたのは言うまでもない。
ソリティアってなんだよ(哲学)。
本当はワンターンスリーキルゥ…も入れたかったど流石に長いんで諦めました。
某動画サイトで禁止モリモリデュエルをみたら書きたくなった。後悔はしていない。
多分まだ番外編から抜け出せないので蛇足が続きます。これからも見てくれると嬉しいです。
ではまた次にお会いいたしましょう。ではー
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番外編~備えろ!ルール改変!!~
レギュレーションと新ルールが発表されましたね。そんなわけで今回の新ルールがどんな感じになるかを明日葉君達にやってもらおうと思います。
ソリティアが今回比でないので相当に鬱陶しいと思います。ご注意ください。
今回は明日葉君の使用デッキは「ジャンド」です。この時点でどれ程長いかはお察しください。
「新ルール?」
「そうなんです。新しく施行されるルールが発表されたので今のうちにディスクをアップデートしておいた方がいいかなと」
この世界でのルール改変におけるディスクのアップデートはユニオンで行われる。久々に聞いたって? 出る機会が無いから仕方ない。
「あれ? でも協会でもやってなかったか?」
「協会がやっているのはあくまでもユニオンへの発注です。明日葉君も頼めばやってくれるでしょうけどあそこなら調整済みのディスクもあるでしょうから、デッキの調整をしておけばすぐにでもデュエル出来ると思います」
「まあこれからのルールを覚えるというのはいい事よね。では明日葉さん、着いたら早速わたしと」
「はあ? あたしに決まってんだろ! お前はWCS用に調整でもしてろ!」
「あなたの頭が弱いとは知っていたけどこれ程とはね。共にWCS本選に出場するのだから一緒にデュエルして意見交換するのがいいに決まっているでしょう」
「屁理屈だろそんなの! なあ明日葉、あたしとデュエルしたいよな? な?」
「え? まあ出来る事なら皆とデュエルしたいけど」
「そんな曖昧な言葉はいりません! どちらとデュエルしたいですか?」
「明日葉!」
「え、え~っと……」
二人に言い寄られ言葉を詰まらせる。そこで逃げ道に選んだのは
「彩佳と……まずデュエルしたい……かなぁ」
「……え?」
「「……え?」」
「えっと、よ、よろしくおねがいしま……す?」
「ああ、いいデュエルをしよう」
「なんか毎回彩佳においしいとこ持ってかれてる気がする」
「奇遇ね。わたしもよ」
ユニオン“DTW”
「すいませーん、ディスクのアップデート出来るって聞いたんですけど」
「ひゅやっ! あ、明日葉様! 明日葉様が降臨なされた! どどどどうしよう……取り敢えずこれ私の連絡さk「さっさとしてくれないかしら?」はい!」
手続きを終え、ディスクを預ける。アップデートが終わるまでの時間でフィールドを借りてデュエルを行うことにした……しかし
「明日葉様のデュエルだとおおおおお!! 私がやる! いつもやってるんだから代われえええええええええええ!!!」
「ああああああああ明日葉様! 一緒にデュエルをおおおおおおお! おいそこをどけえええええええええええええ!!」
「(警護官だからって)頭にきますよー!」
「やっぱりこうなりますか……」
「予想してたんなら対策を立てないと駄目だってよく分かるな」
「あの、私はまたの機会でも」
「いや、やろうぜ。ここまで準備したんだし折角だからさ」
「そうですか、分かりました。では」
「「デュエル!」」
明日葉
LP8000
VS
彩佳
LP8000
「私のターンです! 私は魔法『紅玉の宝札』を発動! 手札のレベル7の『レッドアイズ』、『
宇宙を飛来するは紅き可能性と交わりし流星! 全てを滅ぼす獄炎と化せ! 融合召喚!!
『流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン』!!」
流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン ☆8 ドラゴン族
ATK3500/DEF2000
「メテオ・ブラックの効果! 手札・デッキから『レッドアイズ』を墓地に送ってその攻撃力の半分のダメージを与えます! 先攻は攻撃出来ずとも効果ダメージは通ります! 手札の『真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモン』を墓地に送って2500の半分、1250のダメージです!」
明日葉
LP8000→LP6750
「先攻からダメージ、やるな彩佳!」
「これからもっと見せてあげます! カードを2枚伏せてターンエンド!」
彩佳
LP8000
モンスター:流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン
魔法・罠:伏せ2枚
手札:1枚
「俺のターン! 彩佳、このルールを聞いてから俺はずっとうずうずしてたんだ。なんでだと思う?」
「ずっと? なんででしょう……」
「それはな……俺が作り上げたデッキが十全に発揮されるからさ! 手札から魔法『調律』発動! デッキから『シンクロン』チューナー『ジャンク・シンクロン』を手札に加えてデッキトップを墓地に送る。手札からモンスターを墓地に送って『クイック・シンクロン』を特殊召喚。続いてジャンク・シンクロンを召喚。これで墓地の『チューニング・サポーター』を特殊召喚する。更に手札の『ドッペル・ウォリアー』の効果で自信を特殊召喚。ドッペル・ウォリアーにジャンク・シンクロンをチューニング!
連なる星よ ここに新たな力を示せ! シンクロ召喚!
『TG ハイパー・ライブラリアン』!!」
TG ハイパー・ライブラリアン ☆5 魔法使い族
ATK2400/DEF1800
「素材になったドッペル・ウォリアーの効果で『ドッペルトークン』2体を特殊召喚。手札から魔法『ワン・フォー・ワン』、手札のモンスター『ボルト・ヘッジホッグ』を墓地に送ってデッキからレベル1のジェット・シンクロンを特殊召喚。レベル1チューニング・サポーターにレベル1ジェット・シンクロンをチューニング!
連なる星が 新たな地平へ加速する 世界を導け! シンクロ召喚!!
来い『フォーミュラ・シンクロン』!!」
フォーミュラ・シンクロン ☆2 機械族
ATK200/DEF1500
「『フォーミュラ・シンクロン』とライブラリアンとチューニング・サポーターの効果で合計3枚ドロー。フィールド魔法『スターライト・ジャンクション』。更に手札のモンスターを墓地に送りクイック・シンクロンを特殊召喚。リリースしてジャンクションの効果だ。レベル2の『サテライト・シンクロン』を特殊召喚だ。サテライト・シンクロンの効果、フィールド・墓地に『ウォリアー』『シンクロン』『スターダスト』シンクロモンスターがいればレベルを4に出来る。レベル1のドッペルトークンにレベル4になった『サテライト・シンクロン』をチューニング!
連なる星よ 新たな地平へ至り 全てを超えていけ! シンクロ召喚!!
駆けろ! 『アクセル・シンクロン』!!
アクセル・シンクロンの効果、デッキから『シンクロン』を墓地に送ってそのレベル分自身のレベルを変更する!レベル1のジェット・シンクロンを墓地に送ってそのレベル分アクセル・シンクロンのレベルを下げる!レベル1のドッペルトークンにレベル4になったアクセル・シンクロンをチューニング!
連なる星が 新たな風となり駆ける シンクロ召喚!!
彼方まで駆け抜けろ『ジャンク・スピーダー』!!
ジャンク・スピーダーはシンクロ召喚に成功した場合、デッキからレベルの異なる『シンクロン』を可能な限り特殊召喚出来る。レベル1ジェット・シンクロンとレベル2サテライト・シンクロン、レベル3ジャンク・シンクロンを特殊召喚だ。更にレベル5ジャンク・スピーダーにレベル1ジェット・シンクロンをチューニング!
連なる星を魂に込め 彼方を巡る聖翼となれ! シンクロ召喚!!
飛び立て!『スターダスト・チャージ・ウォリアー』!!」
スターダスト・チャージ・ウォリアー ☆6 戦士族
ATK2000/DEF1300
「なあレイカ、明日葉余りにも長くねえか?」
「ええ、それにライブラリアンとチャージ・ウォリアーの効果で手札は6枚。まだ動くわよ」
「それだけじゃない! 墓地リソースも潤沢だからな! 墓地のボルト・ヘッジホッグはフィールドにチューナーがいれば特殊召喚出来る! レベル2ボルト・ヘッジホッグにレベル3ジャンク・シンクロンをチューニング!
連なる星よ 新たな力を呼び起こせ! シンクロ召喚!
いでよ『ジャンク・ウォリアー』!!
自身の効果で特殊召喚されたボルト・ヘッジホッグはフィールドから離れたら除外される。ライブラリアンの効果で1枚ドロー。ジャンク・ウォリアーの効果でフォーミュラ・シンクロンの分の攻撃力上昇だ。レベル6スターダスト・チャージ・ウォリアーにレベル2サテライト・シンクロンをチューニング!
連なる祈りよ 星々を束ね 夜空に輝け! シンクロ召喚!
羽ばたけ! 『スターダスト・ドラゴン』!!」
スターダスト・ドラゴン ☆8 ドラゴン族
ATK2500/DEF2000
「ライブラリアンの効果で1枚ドロー。レベル8スターダスト・ドラゴンにレベル2フォーミュラ・シンクロンをチューニング!
最果てを夢見る者達よ 宇宙に瞬く星の下に 全てを連ねる意志となれ! シンクロ召喚!
砕け!『サテライト・ウォリアー』!!」
サテライト・ウォリアー ☆10 戦士族
ATK2500/DEF2000
「大物ですね、でもスターダスト・ドラゴンと同じ2500、どんな効果が……」
「サテライト・ウォリアーのシンクロ召喚に成功した場合、墓地のシンクロモンスターの数だけ相手フィールドのカードを対象に破壊する。墓地のシンクロモンスターは5体。彩佳のカードは全て破壊出来る! 」
「リバースカードオープン! 速攻魔法『銀龍の轟咆』! 来て
真紅眼の黒竜 ☆7 ドラゴン族
ATK2400/DEF2000
「だが破壊するカードに変わりはない! 【サテライト・レーザー】!!」
サテライト・ウォリアーのパネル部位に光が収束し、彩佳のフィールドを焼き払う。真紅眼の黒竜は対象に選ばれていないため破壊されなかったが盤面は絶望的であるのは明白だった。
彩佳
伏せ→王者の看破
「っ! でも流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンは破壊されたら墓地の通常モンスターを復活出来ます! もう一体の真紅眼の黒竜を守備表示で特殊召喚! これでダメージも多くない。これなら次のターンで盤面を返す事も「それはどうかな?」!」
「サテライト・ウォリアーは自身の効果で破壊したカードの数×1000攻撃力を上げる。破壊した数は3枚、3000アップだ!」
ATK2500→5500
「攻撃力5500!?」
「それだけじゃない! 手札はさっきのシンクロ召喚で更に増えて合計10枚! この潤沢な手札には俺の切り札を出す手段があるのさ。魔法『貪欲な壺』を発動、墓地のフォーミュラ・シンクロン、ジャンク・スピーダー、アクセル・シンクロン、スターダスト・チャージ・ウォリアー、ジャンク・シンクロンの5体をデッキに戻してシャッフル、その後2枚ドローする。
手札1枚を墓地へ送って墓地のジェット・シンクロンを特殊召喚する。更に手札の『ブースト・ウォリアー』は自分フィールドにチューナーがいれば守備表示で特殊召喚出来る。レベル1ブースト・ウォリアーにレベル1ジェット・シンクロンをチューニング!再び来いフォーミュラ・シンクロン! ライブラリアンとの効果で2枚ドローして魔法『死者蘇生』を発動。ジャンク・シンクロンを蘇生してもう一体のボルト・ヘッジホッグの効果だ。自身を特殊召喚してボルト・ヘッジホッグにジャンク・シンクロンをチューニング! 再び駆け抜けろジャンク・スピーダー!! これで役者は出揃った! レベル5シンクロモンスタージャンク・スピーダーとレベル5シンクロモンスタージャンク・ウォリアーにレベル2シンクロチューナーフォーミュラ・シンクロンをチューニング!
幾重に重なる星の願いが 新たな絆と共に未来を紡ぐ 光輝く道を征け! リミットオーバーアクセルシンクロォォ!!
新たな希望『シューティング・クェーサー・ドラゴン』!!!」
シューティング・クェーサー・ドラゴン ☆12 ドラゴン族
ATK4000/DEF4000
「シューティング……クェーサー……ドラゴン?」
「これは無理だな」
「まあ明日葉さんのエースを出したんだもの。それで満足しておかせなさい」
「二人して酷い!! もっと何かないんですか? 応援とか!」
「「ない」」
「それでも仲間ですか!」
「だって……なあ?」
「なんだかんだ言って彩佳はいつも美味しいところを持っていくから偶にはこういう目にあうべきよ」
「なん……ですって……!」
どうやら自覚が無かった模様。一旦世の女性にしばかれるべきである。
「ライブラリアンの効果で1枚ドローして、バトルだ!TG ハイパー・ライブラリアンで守備表示の真紅眼の黒竜を攻撃!」
ハイパー・ライブラリアンが出した気〇波が真紅眼の黒竜に直撃し、爆散させる。ダメージは無いがフィールドを見てすでにお察しである。
「サテライト・ウォリアー! もう一体の真紅眼の黒竜を攻撃だ!」
彩佳
LP8000→4900
「っくうう! 墓地に使えるカードは……ないです……」
「シューティング・クェーサー・ドラゴンは素材にしたチューナー以外のシンクロモンスターの数だけ攻撃出来る! 素材にしたのは二体! 【天地創造撃ーザ・クリエイション・バースト】!!!」
彩佳
LP4900→0
「きゃあああああああああああああああああああ!!」
「余りにも残酷すぎます……」
「こりゃ新ルールの裁定待ちか?」
「明日葉さんのシンクロ戦術はやっぱり強いですね。でも新しい環境でリンク召喚はどう活用しようかしら……」
「『ハリファイバー』や『ヴェルテ・アナコンダ』みたいな明らかな他召喚サポートは残るだろうな。でもこのデッキならリンク積まない方が強いと思うんだよなぁ」
四人で今後のデッキの展開予想(一人ただ落ち込んでいるだけ)をしているがやはりというべきか明日葉の周りに職員の女性が寄ってくる。
「明日葉君あたしとデュエル「「「ほざけ」」」はいすいませんでした仕事に戻ります!!」
最近警護官の周囲の女性に対する当たりが強くなっている。良いことである(ご満悦)。
「何もそこまでやらなくてもいいのに」
「甘いぜ明日葉。あいつらは甘さを見せたが最後、骨の髄まで絞りとって後には毛一本残らないんだ」
「流石に嘘だろ。比喩表現でも限度があるぞ」
「しかしユニオンが男性と触れ合う機会は協会の職員と比べて圧倒的に少ないのは事実です。それ故に裏で協会から男性を見合いに連れてこさせているという噂もあるくらいです」
「え、怖っ」
「それくらい男性に飢えているって事です。だから迂闊にここの職員についていくなんて事はしないでくださいよ」
「分かった。頭の片隅にはいれておくよ」
「明日葉さーん。ディスクのアップデートが終わりましたよー」
「お、ようやく来たか。取ってくるk「ダメです。さっき言った事もう忘れたんですか」す、すまん」
「職員の方が持ってきてくれますから待っていましょう。向こうもそのつもりでしょうから」
この世界はやはり自分のいた世界と違う。このような場所でもそれを再認識し、軽くため息を吐く明日葉であった。
(この世界は、男には生きづらい……)
生きろ! 明日葉!!
明日葉のターンだけで文字数半分使うからデュエルシーンは書きやすい。
本編どうかくかなぁ……こうなると遅いんですよ。気長に待っててください(懇願)。
では今年の火壁も精進していきますので改めて何卒よろしくお願いいたします。ではー
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番外編~ラッシュデュエル スタート!!~
アニメの方も子供向けだけど中身はああ遊戯王だなぁと思わせる展開で続きが気になっています。
ここでのラッシュデュエルは多分一発ネタです。ではどうぞ。
「明日葉君! 君に新しいデュエルのプロモーションデュエルを依頼したい!!」
「あなたいきなり何言ってるんですか?」
協会内で偶に行われる明日葉のデュエル講習に幸が乱入したと思えば明日葉にとっても理解しがたい事を言ってきた。因みにデュエル講習は協会からの依頼という形で行われており、無論給料も発生している。
「いやね、実を言うとこの間デュエルディスクのアップデートをしたと思うんだけどその際に新しいルールをインストールしたんだよね」
「新マスタールールの事ですよね? あれは本当に気持ちいいルールですよね。エクストラデッキを考えればマジで盤面がエクストラデッキのモンスターで埋まるところとか」
「それも気になるがそこじゃない。マスタールールとは違う新しいデュエル
その名もラッシュデュエルだよ!!」
「ラッシュ……デュエル?」
幸の口にした新しいデュエルに明日葉はおろかその場にいた男性や警護官も首を傾げていた。
「何かも分からないといった感じだね。でも明日葉君、君のデュエルディスクはもうラッシュデュエルに対応しているんだ。ルールページにもラッシュデュエル用のルールがあるはずだよ」
「……本当だ。でもなんで前もって発表がなかったんです? いきなりルールが変わるなんてそれこそ今までのデュエリストにもトラブルが起きるんじゃないんですか?」
「ルール自体はどのディスクでも確認出来るよ。よく調べないと分からないようにしてるけどね、こういうのはサプライズだから面白いのさ。そこに男性とやり方を覚えられるなんて事になれば皆こぞって見るだろうからね」
「本当この世界って男が出れば他の事どうでもいいのな」
明日葉の小声の悪態はテンションが上がっている幸にもラッシュデュエルで話し合っている男性達にも聞こえることはなかった。
協会内デュエルフィールド
「さて、ラッシュデュエル用に協会にもフィールドの調整をしてもらってこれで準備万端。後は明日葉君にやりながら覚えて貰おう」
「いつものルールとごっちゃにならないようにだけは気を付けとこうかなとは思いますね」
「ははは! まあその時はディスクがアシストしてくれるから。じゃあ早速、最初の手札は4枚だよ」
「ええ、では
「「デュエル!!」」
遊崎明日葉
LP8000
VS
海馬幸
LP8000
ラッシュデュエルが始まるというタイミングで協会での業務を終えた明日葉の警護官三人が到着する。
「海馬先輩が何か始めたと聞いてきたけど……」
「なんで明日葉までやってるんだよ……」
「どう考えても幸さんがやらせたんでしょうね。明日葉さんはやる気満々ですけど」
半ば呆れ気味に幸を見る三人。そんな視線を前にしても幸は気にせずデュエルを始める。
「……あれ?」
「デュエルディスク……小さくね?」
「良い所に目を付けたね。ラッシュデュエルは手軽に楽しめるようにモンスターゾーン、魔法、罠ゾーンはそれぞれ三つでエクストラモンスターゾーンも無いんだ」
「てことはラッシュデュエルは競技目的ではなく子供に向けた所謂ホビーデュエルってことですか?」
「そう! 最近ルール追加しすぎて子供じゃあもう分からなくなって来ちゃったからね。ここいらで子供向けのデュエルを開発するのもアリだと踏んだんだ」
「……まあ子供には今のルールは難しいのは仕方ないですよね」
「そう言う事。さて、先行はルール解説も兼ねて私がもらうよ。先行プレイヤーは最初のターンでもドローが出来る。そしてラッシュデュエルにはスタンバイフェイズはそもそも存在しない。メインフェイズから早々だけどラッシュデュエルの醍醐味を見せてあげる。『
輝岩竜 ☆4 地
ATK1500/DEF0
「新しいモンスター……でも通常召喚なら普通のデュエルと変わらないんじゃ」
「なに、まだこれからだよ。『ドラゴン・バット』を召喚!」
「ドラゴン・バットは……通常モンスター!? 『
「これこそがラッシュデュエルの醍醐味! モンスターは何体でも召喚出来る連続召喚!! 更にドラゴン・バットをリリースして『
火口の番竜 ☆6 炎
ATK2100/400
「ラッシュデュエルでも先行最初のターンにバトルフェイズは許されていない。カードを2枚伏せてターンエンドだよ」
幸
LP8000
モンスター;輝岩竜、火口の番竜
魔法、罠:2枚
手札:無し
「最初のターンに手札を使い切るプレイング……そうしたって事は何かあるのか? ……まあドローしてから考えるか。俺のターン! 連続召喚出来るなら、『ダーク・ソーサラー』『スペル・アーチャー』『魔獣ウォルフラム』を召喚!」
「明日葉さんもモンスターを一気に召喚した!」
「更に魔法『マジカル・ストリーム』を……って【条件】?」
「テキストの表記を変えたのさ。上の【条件】がそのカード効果を発動させるために必要な条件や消費コストが書かれていて、下がそのまま【効果】だよ」
「これの場合は『魔法使い族モンスターがフィールドにいる事』ってことですね。なら発動出来る! 相手の魔法、罠ゾーンのカードを1枚破壊! 右のカードだ!」
伏せ→ドラゴン・エンカウント
「後はこれを出しておくか……ウォルフラムをリリースして『魔剣士アンサラー』をアドバンス召喚!」
魔剣士アンサラー ☆6 炎
ATK2000/DEF500
「このままバトル! アンサラーで輝岩竜を攻撃!」
幸
LP8000→7500
「くっ! いいね。モンスターの攻撃は普通のデュエルと変わらないよ。それと、メインフェイズ2は無いからそのままエンドフェイズに移るからね」
「はい、俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP8000
モンスター:ダーク・ソーサラー、スペル・アーチャー、魔剣士アンサラー
魔法、罠:無し
手札:無し
「さて、君のフィールドは私の火口の番竜に勝てるモンスターはいない。だけど君にモンスターを残したままターンを渡すのはとても危険だ」
「好評価どうも。でもラッシュデュエル、手札消費が早いですね。それに伴うスピーディーなデュエルは凄いですけど失速してしまうと面白みが欠けるんじゃないですか?」
「そう、君の質問は非常にいい所を突いている。そしてこれもラッシュデュエルの重要な要素! ターンが回ってきたプレイヤーは手札が5枚になるようにドローする!!」
「手札は無くなっていたから……い、一気に5枚!?」
「更に手札のドラゴン族モンスター3体を墓地へ送って伏せていた魔法『ドラゴニック・プレッシャー』を発動! 相手のモンスターを全て破壊する!」
カードが光るとフィールドが突然割れ、明日葉のモンスターが飲み込まれていく。
「いきなりモンスター全破壊!? インチキ効果もいい加減にしろってんだ!」
「でもそのコストとしてドラゴン族を3体も手札から墓地へ送らないといけないのははっきり言って重いわね」
「大量ドローを前提としていないとまずデッキに入りそうにないカード、それを容赦なく入れられるのもラッシュデュエルの強みということですか」
警護官三人が各々の解釈や予想を交えラッシュデュエルのシステムを読み込んでいく。昔ならただ見ているだけだったがこのようにして観察するのは明日葉が与えた影響だろう。
「そう言う事だよ三人とも! 更にドラゴニック・プレッシャーには破壊した後自分の墓地のレベル4以下のドラゴン族モンスターを特殊召喚出来る! 『フェニックス・ドラゴン』を特殊召喚! フェニックス・ドラゴンの効果を発動! 手札1枚を墓地へ送って墓地のレベル5以上のドラゴン族モンスターを手札に加える! 因みにモンスター効果はフィールドに存在する限り1ターンに一度まで発動可能だよ」
「成程、ループなんかは同じモンスターの効果を使い回すケースもある。そういうルールがあればループ対策にもなるのか」
「さらっと恐ろしい事を言ってるけど今は問題じゃないね。さあ、ここからが本番だよ! 『竜の祈り子』を召喚。フェニックス・ドラゴンと竜の祈り子をリリース。『
幸のフィールドに明日葉も馴染みのあるモンスターが現れる。青い眼を持つその龍はラッシュデュエルの場でも圧倒的存在感でフィールドを支配する。
「ぶ、ブルーアイズ!!」
「そう! デュエルモンスターズのモンスターも当然入ってる! 更にブルーアイズは『LEGEND』カードといってデッキに1枚しか入れることが出来ない程に強力なカードとして参戦した!」
「デッキに1枚!? アルティメットはどうなるんですか!?」
「出ない! 今のところ!!」
幸からの非情な宣告に明日葉は膝から崩れ落ちる。元々ブルーアイズを使っていたという事もあるが自分のフェイバリットカードを1枚しか入れる事が出来ないと聞いて絶望した。
「うそだ……
ウソダドンドコドーン!!」
「「「「……なんて?」」」」
感極まるあまり活舌が死んでいるが悲しみを乗り越え明日葉は立ち上がる。
「許せねえ……絶対に許さねえ!
ドン・サウザンドォ!!!」
「いや誰!?」
「開発者私だけど?」
「……ふう、スッキリした」
「え? アレで?」
どうやら過度な
「すいません、取り乱して。デュエルを続けましょう」
「え? あ、ああうん。バトル!」
「……実は明日葉君に普段からストレスを与え続けていたんじゃないかって不安になりました」
「もうちょい、スキンシップ控えような」
「一人の時間も増やしてあげるべきよね」
「青眼の白龍でダイレクトアタック! 【滅びの
ブルーアイズの攻撃が明日葉に直撃する。その威力に大きく宙を舞い後方に吹き飛んだ。
明日葉
LP8000→5000
「くうっ! まだ火口の番竜の攻撃が……」
「そう! 火口の番竜でもダイレクトアタックだ!」
明日葉
LP5000→2900
「うあああああああああああ!!」
二体のドラゴンからの攻撃をもろに受けた明日葉はライフを大きく削り、地面を転がった。
「私はこれでターンエンド。これこそラッシュデュエルの醍醐味、今までのデュエルでは味わうことが出来なかったスピード感を楽しめる! どうだい明日葉君、楽しんでくれているかい!」
「……まだ大ダメージ食らったくらいしかないんですが」
「それは引き次第だから仕方ない。それとも君はそんな理由でデュエルにケチをつけるのかい?」
「冗談。これからが俺の本領だ!!」
「いいね、じゃあ君のターンだ。ここからの逆転を見せてくれ!」
幸
LP7500
モンスター:火口の番竜、青眼の白龍
魔法、罠:無し
手札:無し
「俺のターン! 手札はゼロ、よって5枚……ドロー! よし! 『ルミナス・シャーマン』『ミスティック・ディーラー』を召喚! 手札1枚を墓地へ送ってミスティック・ディーラーの効果を発動! カードを1枚ドローする! ミスティック・ディーラーとルミナス・シャーマンをリリースして『セブンスロード・マジシャン』をアドバンス召喚!!」
セブンスロード・マジシャン ☆7 闇
ATK2100/DEF1500
「出たねそのデッキのエースモンスター。さあ、どう攻略する?」
「当然、正面突破!! セブンスロード・マジシャンの効果発動! デッキの一番上のカードを墓地へ送って、このカードの攻撃力を墓地のモンスターの属性一つにつき300ポイントアップする!」
「明日葉君の墓地には五属性のモンスターがいる……ということは」
「【エレメンタル・ロード】!!」
セブンスロード・マジシャン
ATK2100→3600
「うおおお! いきなりブルーアイズを抜いたぁ!」
「カードを2枚伏せてバトル! セブンスロード・マジシャンで青眼の白龍を攻撃! 【セブンス・マジック】!!!」
幸
LP7500→6900
「っ! ブルーアイズを破壊するなんて……火口の番竜を破壊した方がダメージは稼げたろうに」
「次のターンで攻撃されるのも厳しいんでね。俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP2900
モンスター:セブンスロード・マジシャン
魔法、罠:伏せ2枚
手札:無し
「私のターン、5枚ドロー! 私は『ツインエッジ・ドラゴン』『手乗りドラコ』を召喚。この2体をリリースして『連撃竜ドラギアス』をアドバンス召喚!」
連撃竜ドラギアス ☆7 光
ATK2500/1500
「更にフィールドにドラゴン族がいればこの魔法『火竜の熱戦』を発動出来る。左の伏せカードを破壊するよ!」
伏せ→ダーク・リベレイション
「マジか……結構強いと思ってたんだけどな」
「危ないところだったよ。あのまま攻撃していたら私の全モンスターが破壊されてた」
「こりゃ厳しいなぁ……」
「それで手加減する程甘くないよ。バトル! ドラギアスでセブンスロード・マジシャンを攻撃!」
「リベレイションが破壊されたのは痛かったけどそれだけと考えるのは早計ですよ! リバースカードオープン!罠『火の粉のカーテン』! このカードは墓地に魔法使い族がいれば相手モンスターの攻撃宣言時に発動出来る! ドラギアスの攻撃力は500ダウンだ!」
連撃竜ドラギアス
ATK2500→2000
「しまった!」
「迎え撃て! セブンスロード・マジシャン!」
幸
LP6900→6800
「うわあああ! しまった、迂闊だった!」
「どうします? 火口の番竜で相打ちに出来そうですが」
「いや、次のターン大ダメージを受けそうだからよしておくよ。ターンエンドだ」
幸
LP6800
モンスター:火口の番竜
魔法、罠:無し
手札:1枚
「俺のターン! 5枚ドロー! 魔獣ウォルフラムとはぐれ使い魔を召喚。はぐれ使い魔をリリースして『風使いトルネ』をアドバンス召喚! 手札1枚を墓地へ送ってトルネの効果を発動。火口の番竜を守備表示にする。ウォルフラムをリリースして『ハイドロ・マジシャン』をアドバンス召喚。デッキの一番上を墓地へ送ってセブンスロード・マジシャンの効果を発動。攻撃力は1800アップしてバトル! トルネで火口の番竜を攻撃!」
トルネが唱えた風魔法が番竜を吹き飛ばし幸の後ろで爆発した。ダメージは無いが
「まだだ! ハイドロ・マジシャンのダイレクトアタック!」
幸
LP6800→5100
「ううぅ! これからブルーアイズ以上のダメージを受けるんだよねえ。もう少し衝撃レベル下げようかな……」
「そうしてくださいブルーアイズでもかなりきつかったんで。セブンスロード・マジシャンの攻撃! 【セブンス・マジック】!!」
幸
LP5100→1200
「きゃあああああ!!」
「俺はこれでターンエンド」
明日葉
LP2900
モンスター:セブンスロード・マジシャン、ハイドロ・マジシャン、風強いトルネ
魔法、罠:無し
手札:無し
「私のターン、4枚ドロー! 手札のドラゴン族3体を墓地へ送ってドラゴニック・プレッシャーを発動! モンスターを全て破壊だ!」
「うっそ!? この土壇場で引くか!」
「引く枚数が多いから目当てのカードを引く確率も上がるのは当然さ! そしてフェニックス・ドラゴンを復活。そのまま効果で手札1枚を墓地へ送って墓地の火口の番竜を手札に加えるよ。フェニックス・ドラゴンをリリースして火口の番竜をアドバンス召喚! 火口の番竜でダイレクトアタック!!」
明日葉
LP2900→800
「うわあああああああああああああ!!」
「これでターンエンド。さていいカードは引けるかな?」
幸
LP1200
モンスター:火口の番竜
魔法、罠:無し
手札:無し
「俺のターン! カード5枚ドロー! ……これならいける! はぐれ使い魔を召喚。はぐれ使い魔をリリースして『セブンスロード・ウィッチ』をアドバンス召喚!」
セブンスロード・ウィッチ ☆6 闇
ATK1600/DEF1000
「セブンスロード・ウィッチは手札1枚を墓地へ送ってレベル7の闇属性魔法使い族を特殊召喚出来る。『ブラック・マジシャン』を特殊召喚!」
「こ、ここでブラック・マジシャンだって!」
「バトルだ! ブラック・マジシャンで火口の番竜を攻撃! 【
幸
LP1200→800
「くうぅ!」
「最後だ! セブンスロード・ウィッチでダイレクトアタック!!」
「……本当に強いな、君は」
幸
LP800→0
「いやー大分接戦でしたね! まあ明日葉君はそんなデュエルだって強いのは当然です!」
「なんで彩佳がそんな自慢げなんだい? さては何かあったり……?」
「なななななな何でもないですよええ! 差引抜きに明日葉君は強いってことです!」
「なんでそんなキョドってるんだよ。なんか心配するだろ。え? ないよな? なあ明日葉なんで視線そらしてんだよこっち見ろって」
変なところで勘の鋭い幸に自爆をかまし悠香が明日葉に詰め寄る。明日葉も何も言えず頬を赤らめながら顔を逸らすのが精一杯の反抗だったが周囲にいた警護官にはご褒美でしかなかった。
「兎に角これでルールは把握出来たろう。これからはこのラッシュデュエルも大々的に取り扱っていくからよろしくね」
「はい、てかさっきのデュエルをプロモーションビデオ用のデュエルとして使うんですよね?」
「そうだよ」
「いやなんか緊張しちゃって……俺もビデオデビューか……」
「? WCSはDVDやBDになって発売されてるはずだよ?」
「は?」
聞き覚えのない無いように明日葉は目を丸くする。そして彩佳たちを見るが彼女たちはあたふたと言葉を選んでいる。
「す、すいません。伝えようとは思っていたんですが……」
「まあそれならいいけど……そうか、でも自分が出てるの買うのもなー」
「あの……明日葉さん」
「ん? どうした?」
「実は
わたしDVD、BD両方買ってあります」
「え? ま、まあ一大イベントだしそうか」
「私も買いました」
「あたしも」
「え? あれ? 知らなかったの俺だけ!?」
「何なら観賞用保存用布教用予備用その他で各十本買いました……」
「買いすぎだろ! 財布どうなってんだ!」
「いや、そんなに買うものが普段なかったので……お金が貯まる一方で……それに明日葉君が出てくる作品ということで通販サイトでは即効でプレミア価格ついてましたよ」
「知りたくなかったそんな事……」
「と、兎に角プロモーションビデオは後日発表するから。DVDは君の家に送っておくよ」
「はい……たのんます」
デュエルで熱くなれたが後の出来事の方がどっと疲れたと感じる明日葉なのであった。
「この世界は本当に……男が出てりゃ何でもいいのか?」
「明日葉君、帰ったらWCSのDVD見ますか?」
「……見る」
ドン千はあす明日葉の世界ではデュエリストの鉄板ジョーク。
結構やっつけ感がありますがどうでしたかね? ラッシュデュエルは発表当初賛否両論でしたが作者はなるべくしてなった結果と思いました。子供がやるにはラッシュデュエルはいいコンテンツになると思います。
ブラマジは次回の改造パック発売に会わせてスリーブ発売されるから次出るなと考えたため出しました。
では今回はこれまで。また本編か番外編でお会いしましょうではー。
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