星を喰らう者の転生 (エイリアンマン)
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黄金、降臨

つい衝動的に書いてしまった・・・。


「自慢の我が息子よ!お前の潜在能力は天才的だ!」

 

逆立った髪を生やし、育児カプセルの中で眠る赤子にそう告げる男が居た。彼は、惑星ベジータの王『ベジータ三世』であり、その息子の潜在能力に歓喜していた。

 

彼が居る場所は、サイヤ人と呼ばれる戦闘民族の赤子達を保管する育児カプセル管理施設。その中でも、エリートの素質があるサイヤ人は更に上の特別育児カプセルの中に入る事になる。中でも、ベジータ王の息子である『ベジータ四世』は過去最高の素質がある為、全ての育児カプセルの中でも更に特別な王家専用育児カプセルの中で保管されている。

 

「宇宙の王になるのは、あんなフリーザ等ではない!お前こそが相応しい!フフフッ・・・成長を楽しみにしているぞ」

 

その成長を楽しみにしていたのも束の間、施設を去ろうとするベジータ王はある二つの育児カプセルの赤子を見て、驚愕する。

 

「んっ?こいつ等は誰だ!?何故特別カプセルに入っている!」

 

それは、二つの特別カプセルの中に眠る、二人の赤子。一人は、黒髪の男児。もう一人は、生やす全ての髪が金髪であり、サイヤ人の猿の尻尾ではなく、ゴツゴツとした黄金の尻尾を三つ生やしていた。

 

研究者達が近寄り、説明を行う。

 

「この子はブロリー。パラガス大佐の息子です。そしてこの少女は・・・親も名前も解りません・・・というより、何時からこの少女はカプセルに入っていたのか・・・。ですが、戦闘力を測定した結果・・・」

 

「天才的な我が子の数値に、匹敵するというのか!?私の血を引く息子にか!?有り得ん!!このカプセルは、サイヤ人のエリートに選ばれた優秀な赤ん坊の為のもの!況してや、親も名前も知らぬ奴が入っている事等!!」

 

ベジータ王は不安であった。答え次第では、この二人を排除するつもりだった。

 

「は、はい!ブロリーの数値が・・・測定した結果、王子様の数値を超えるレベルでして・・・そして少女は・・・何故か数値が出てきません・・・」

 

「・・・そんな馬鹿な!?有り得ん!有り得んぞ!王子の数値でさえ過去最高なんだぞ!?貸せ!!」

 

その答えに納得が行かないベジータ王は、測定器を取り上げると、そのままブロリーではなく少女の元へ、硝子越しに装置を突き付ける。

 

少女は泣き声すら上げない。ベジータ王はお構い無く測定したが、何故か数値は出てこない。

 

「なんだこいつは!何故数値が出てこん!ちぃ!」

 

ベジータ王はブロリーに装置を突き付けて測定したが、硝子を叩く音で驚いたブロリーが泣き出し、装置は壊れた。その後再測定を行うと、落ち着いたブロリーの戦闘力は半分以下に。しかし、少女の戦闘力は相変わらず出なかった。

 

「やはり・・・数値が出ません・・・ブロリーの時は正確に測れたというのに・・・」

 

「しかし、その様な異常事態を抜きにしても、この二人の潜在能力は素晴らしいと思われます!」

 

「このまま鍛え上げれば、必ずや我々サイヤ人にとって優秀な戦士になれるでしょう!」

 

「それこそ、伝説の超サイヤ人にさえも!!」

 

「黙れ!」

 

ベジータ王は、気に食わなかった。自分の息子よりも戦闘力が高い、或いは高いかもしれない二人の赤子の存在が、気に食わなかった。

 

そして、ベジータ王は命じた。

 

ブロリーを、人も住まない過酷な環境である小惑星バンパに飛ばすように。そして少女は・・・何処か宇宙の適当な場所に飛ばしてしまえと。

 

そして、二人がそれぞれ飛ばされた後、ブロリーの父は息子を追い掛けて宇宙船に乗って飛び立った。

 

しかし、少女に身内は居ない。宇宙の適当な場所に飛ばされるという事は、即ち惑星を指定されていないという事。

 

つまり少女は、このまま何処かの星に辿り着かなければ、ポットに乗せられたまま、死ぬまで宇宙をさ迷う事になってしまう。

 

ある意味、ブロリーよりも酷い仕打ちだ。

 

もし他の星に降り立てたとしても、少女だけで生きていけるのだろうか。

 

少女にはもう、絶望のみしか無いのか。赤子のまま、死んでいく運命なのだろうか。

 

否。

 

少女は悪運が強かった。この宇宙で一番の実力者が、宇宙を漂うポットを見つけたのだ。

 

「ん?こりゃ、なんだ?ウィス」

 

「おや?これは宇宙船ではありませんか?それも・・・面白い方が眠っておられるようで」

 

二人がポットに触れて、その中に眠る少女を見た。

 

「おや?サイヤ人・・・のようで、龍のようですねぇ・・・。混血・・・でも無さそうですが、これは面白そうですよ」

 

「なんだウィス?お前が其処まで興味を示すなんて、この少女はそんなに凄いのかい?」

 

「いえ、力を感じたりは出来ませんが・・・何か特別な力を宿しているみたいですね。ビルス様。この少女を連れて帰りませんか?」

 

「まあ良い。お前が見込んだんだ。好きにしろ」

 

「はぁい」

 

ウィスはポットを手にすると、ビルスという紫色の猫人間と共に、光の線となってその場を去った。

 

この日、『星を喰らう者(少女)』は転生した。果たして、どの様な成長を遂げるのか。



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黄金、修行する

衝動的だったので、更新が遅いかもしれません。しかし、宜しくお願いします。


少女が────ギドラがビルス、ウィスの元へ来てから、八年が経過した。ギドラはあれから、ウィスの元で修行を行い、更には言葉を学んだ。以前は「あーあー」としか言えなかったが、今では立派に言葉を話せるようになった。

 

ギドラという名は、ウィスが直感的に名付けた名前だった。何故だか知らないが、そう名付けたくなったらしい。

 

「ほらほらギドラさん。こっちですよ」

 

「うむぅ!妾は今度こそ、ウィスに勝ってみせるのじゃ!」

 

但し、何故かこの様な、偉い人が言いそうな一人称と言葉になってしまった。要は残念美少女となったのだ。彼女の見た目は、腰まで届くウェーブの効いた黄金の髪、頭には金の角、腰には鱗の付いた黄金の尻尾が三つ生えている。眼は翠色をしており、光を反射して美しく輝いていた。肌は毛穴も無く、無駄な毛も生えてない。その上程よい質感がある美しい皮膚だった。服装は、ウィスが編んでくれた白のワンピースを着用している。

 

ギドラは正に、宇宙でも一、二を争う美しさを持つ美少女と呼ぶべき存在だった。

 

そんなギドラは今、ウィスと稽古をしている。ギドラは拳や尻尾、脚を使用してウィスに攻撃を続けていた。尻尾を巧みに操り、突きを繰り出してくるギドラの背後に回り込むウィスは、笑っていた。

 

「素晴らしいですねぇ!私に此処まで着いて来たのは、初めてですよ!しかし、背中が僅かにお留守ですよ!」

 

ウィスはギドラの背後に回り込むと、手刀ではなく平手を繰り出した。

 

「んきゃっ!!」

 

ギドラは背中に叩き付けられた平手で、湖の底に叩き付けられた。しかし、湖は物理的に歪んだり、飛沫を上げたり、ギドラが水の中に落ちたに関わらず、泡が出来なかった。

 

「おやおや、やはり何度見ても奇妙ですね。物理的に干渉出来ない、その能力は」

 

「むぅー!攻撃が当たらないのは悔しいのじゃー!」

 

ギドラは湖から上がってきた。悔しがって地団駄を踏むギドラだが、身体は濡れてなかった。

 

「しかし、無傷ではありません。ほら、此処。私の手には切り傷が♪」

 

ウィスの左手には、確かに深い切り傷があった。先程の尻尾攻撃が、ウィスの手に当たっていたのだ。

 

「むぅー!!ウィスを負かしてやりたいのじゃー!!」

 

「やれやれ。我が儘だなぁ。まっ、神は我が儘な生命体だがな」

 

「オホホッ。では、今日はこれくらいにしましょう。夕食を用意致しました。御二人とも、是非食堂へ」

 

「夕食!!!?食うぞおおおお!!」

 

ギドラは家に向かって走り出す。

 

「やれやれ。まっ、ギドラが居ると毎日楽しいよ。ウィスだけでは物足りない感じだったけどな」

 

「酷いですよビルス様」

 

二人もギドラを追い掛けて、家に入っていく。二人は夕食をあっという間に完食した。その後、ビルスは眠りに入ったが、ギドラは鍛練を続ける事に。それが、ビルスとギドラの実力を更に広げる事になろうとは、誰も知る由も無かった。

 

──────────────────────

 

三十年後。ギドラは見た目こそ変わらなかったが、その代わり、強さが増した。それと同時に、ビルスは目を覚ました。

 

そして、二人は共に向き合い、お互いの実力を測る為に試合をした。すると、ウィスもビックリな展開が待っていた。

 

「ウォリャアアアアッ!!」

 

「ヌハハハッ!!どうしたビルス!!破壊神の名が泣くぞー!!」

 

ギドラはビルスの攻撃を軽くいなし、そのお腹に頭突きを食らわせた。ビルスは肺の息を吐き出した。

 

「ぐはぁっ!?」

 

「まだまだ行くぞ!」

 

ビルスは顔に膝蹴りを受けて、更に三つの尻尾で下顎を叩かれる。

 

「お主が寝とった分修行した、そのツケじゃあ!」

 

更に、掌から黄金の螺旋を生み出し、ビルスに向けて放つ。

 

「『インフィニティスパイラル』」

 

一応考えた、ギドラの必殺技。ギドラは気を持たない。その代わり、自らの身体を構成する高次元エネルギーを放つ技。ドリル型にして、放つ。

 

ビルスはそれを避ける。しかし、避けた筈の螺旋状のエネルギー弾は、何故かビルスの腹に命中。そして、ビルスの腹に渦が出来上がり、徐々に身体が渦を中心に曲がりくねろうとする。

 

「ぬおおおおおっ!?」

 

ビルスは触れようとしたが、触れようとした指が渦に捕らわれて同じくネジ曲がっていく。気で止めようとすると、気もネジ曲がって螺旋にとらわれてしまう。事実上、ビルスには曲がり続ける渦を止める手段は無かった。

 

「むっ、これは不味いな。解除!」

 

ギドラは技を解除した。もしそうしなければ、今の技でビルスが死んでいたかも知れなかった。

 

「ぐっ・・・お前、どうやら僕が眠ってる間に力を着けたらしいな・・・」

 

「ビルス様が眠ってる間に、ギドラさんはずっと修行を続けていたのですよ。今では、私が全力出さなければならない程になりました」

 

ウィスの言葉を聞いたビルスは、驚愕していた。その言葉を疑いたいものだったが、今の技を受けてウィスの言葉が真実だと理解出来た。

 

「ぐぬぬ・・・その様だな」

 

ビルスの悔しがる表情を見て、ギドラは自身の肩に手を当てて鼻息を強く吹き出し、自信満々な表情を浮かべた。ビルスに勝てた事が、ギドラにとって強さに自信が持てるようになった出来事になるのだった。



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黄金、地球に行く

「超サイヤ人ゴッド?」

 

「そうだ!僕が夢で見たんだ!赤い闘志を燃やす超サイヤ人ゴッドと戦う夢を!」

 

「予知夢かのぅ?ビルスの予知夢は信用出来んのじゃあ」

 

「オホホッ。確かにその通りですねぇ」

 

ギドラとビルスは食事中に、ビルスが夢で見た超サイヤ人ゴッドについて会話していた。その存在と戦う予知夢を見たとビルスは言うが、それほど的中率は高くないらしい。その為か、予知夢だと言い続けるビルスを、冷たい目線で見るギドラ。

 

「ウィスにギドラまで、僕を馬鹿にしているな?予言魚の言葉を、ギドラは聞いていただろ?」

 

「ああっ、あの忘れん坊の美味そうな魚かのぅ?あれは美味そうなのじゃ」

 

「食べるなよ。そいつも言ってたんだ。「三十年後に僕に強敵が現れる」と。信じられんなら聞きに行くか?」

 

ビルス達は食事を終えると、その予言魚の居る庭に向かって行った。聞きに行った時、予言魚は忘れていたようだが、ビルスに強敵が現れる事を予言していたのは確かなようだ。

 

其処でウィスが頭を捻り、疑問が頭の中に浮かぶ。『その強敵とは、もしやギドラさんの事では?』と。

 

──────────────────────

 

その後、三人は界王の星に向かって飛んでいた。光の柱となって進んでいき、あの世と呼ばれる死者の行き着く世界に到達し、界王の星に到着した。

 

その瞬間、ギドラは目の前に居る虫のような触角が着いた帽子を被る男に抱き着いた。彼が、北の銀河を統べる界王『北の界王』である。

 

「着いたのじゃ!そして久しいのう!北の界王よ!」

 

「おおっ、これはこれはギドラ様。ようこそお越しくださいました。ビルス様に、ウィス様も」

 

「久しいねぇ。北の界王」

 

北の界王に挨拶するギドラとビルス。北の界王とは、三十年前に知り合ったギドラ。ビルスとウィスの紹介で知り、たまにご飯を食べに来るようになった。

 

「なあ北の界王よ!妾はお腹が空いたのじゃ!」

 

「はい、あの世のグルメを持ってきております。バブルスに持ってきてもらいますので。バブルス!ギドラ様にあの世のグルメを!」

 

界王の言葉を聞き、一匹の猿が器用に皿を持ってきた。皿の上には、山盛りの料理が乗っていたのだ。

 

「おおっ!!!バブルス~!!!」

 

「うほっ!?うほぅ・・・」

 

バブルスは、怯えながらギドラに皿を渡した。もし料理を粗末にしたとすれば、ギドラの機嫌を損ねてこの界王の星が消えてしまうかもしれない。

 

ギドラがビルスに勝った。この話は、既に宇宙全体に広まっている。どうやら、地球にはまだ届いてないらしいが。

 

「わはー!」

 

ギドラはそんな事を知らず、知ろうとも思ってないだろう。ギドラはただ、美味い食べ物を食べる事が出来ればそれで良いのだ。

 

「それで、北の界王。君に聞きたい事があるんだけど、超サイヤ人ゴッドについて何か知ってる?」

 

「超サイヤ人ゴッド?さあ、私にも分かりません?」

 

「やはり、予知夢が間違って居たのでは?」

 

「いううおおいうああっあいいんおうああんあー(ビルスの予知夢はやっぱり信用ならんなー)」

 

ギドラ、口の中に食べ物入れながら喋るな。

 

──────────────────────

 

「地球・・・美味そうな匂いがするのじゃ~」

 

ギドラは地球に降り立った瞬間の感想が、それだった。かつて地球を食べようとしたから分かる。地球は文明は低いが、美味さならば宇宙でも一、二を争う。

 

「星に美味そうな匂いがするの?」

 

「ギドラさんにしか分からない所があるんですねぇ」

 

界王星を去った三人は、現在地球に住んでいるサイヤ人達に話を聞くべく、地球にやって来たのだ。界王星で、一人のサイヤ人と戦ったのだが、ビルスやウィスは兎も角、ギドラは食べる事に興味を注いでいた為に、興味は無かったから覚えてない。

 

「ビルス!ウィス!他にも、美味そうな匂いがするのじゃ!速く行こうぞ!」

 

「まあ待ちなよ。どうやら、僕が昔出会った事のある奴が居るらしいからね。恐らく、君にも関係のある相手かもよ」

 

「むっ?妾と関係が?」

 

「貴女はサイヤ人のようで、神のような存在。いえ、本来なら私でさえも計り知れない超越的種族かもしれません。昔の事は聞いているとは思いますが、貴女はサイヤ人の使用するポットの中に居ました。という事は、フリーザによって滅ぼされたサイヤ人の星『惑星ベジータ』出身かもしれません。そして、惑星ベジータには王が居ました。王族の血を引く後継ぎは、『ベジータ』の名が与えられるのです」

 

「ほう。つまりこれから会うベジータは、妾と関係があるのかのう?」

 

ギドラは、興味が湧いた。食べる事も好きだが、強そうな相手との戦いも好きだ。

 

そして、そのベジータとやらが、現れた。

 

「っ!!!!??」

 

ベジータは、驚愕した。ビルスを見て、その顔が恐怖に染まったのだ。何故ならビルスは、かつて惑星ベジータにやって来て、多くの料理を食べていった。それだけでなく、ベジータ王を詭かせ、自身を圧倒した破壊神だからだ。

 

「ビルス・・・様。こいつは───この者は?」

 

ベジータがギドラを「こいつ」と呼んだ瞬間、ビルスがベジータを睨む。それだけでも、ベジータはギドラがビルスと同格の存在と理解した。

 

「妾の名はギドラ!何やら妾はお主と関係があるみたいなのじゃ!妾も、惑星ベジータで産まれたのじゃぞ!」

 

「な、なんだと!?そんな───俺は、貴女の事は知りませんが?」

 

「むぅ・・・残念じゃ。無念じゃ・・・」

 

ギドラは、ベジータなら何か知ってると思っていたが、ベジータの答えを聞いてがっかりした。

 

だがこの後、気になる言葉を放つ。

 

「待てよ?親父から、追放したエリートサイヤ人の赤子が二人居たと、聞いた事がある・・・その二人の内一人が、サイヤ人とも言えぬ見た目をしていたと・・・まさか、な」

 

ギドラはその言葉を聞き逃さなかった。しかし、その疑問を抱いた後に、ギドラの鼻が美味い料理の匂いを捉える。

 

「飯ー!!!!」

 

ギドラは、美味しそうな匂いのする方向へ向かって、走り出した。

 

この後、ビルスが怒る事が起きる等、何も知らないで。



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黄金、グルメになる

お久し振りです。遅れましたが、投稿続けますよ。


「んまー!!!ぅんまいぞー!!!」

 

「ギドラさん、はしたないですよ」

 

「まあ大目に見てやれよウィス。お前も随分喰ってるじゃないか」

 

三人は、地球のグルメを味わっていた。どうやら到着した場所は、ベジータの妻のブルマやその家族が経営する大企業『カプセルコーポレーション』のようだ。そして今、ブルマの誕生日パーティーという事で、豪華な料理が沢山並んでいた。金持ちの娯楽という名の大きな誕生日パーティーである。そして、食べる事が大好きな三人にとって、正に天国であった。

 

「たこ焼きというのか!?んまぁ~!!」

 

ギドラはたこ焼きを食べる。本来なら熱々出来立てのたこ焼きは熱すぎて、すぐに口に放り込めば食べにくいのがたこ焼きだ。しかし、ギドラに熱さは関係無い。熱々のたこ焼きを、難なく頬張るギドラ。咀嚼する時はもっと熱いのだが・・・。

 

ビルスやウィスもたこ焼きを食べているのだが、熱さで何度も過呼吸を繰り返す。

 

ベジータ(しかし、ギドラと言ったか?奴が親父の言ってた突然変異だとするならば・・・いつ暴走するか分からんぞ。それに、あの尻尾・・・サイヤ人の持つ猿の尻尾ではない。全く別の尻尾だ・・・あれはなんだ?それに、産まれた時からあの金髪に瞳の色・・・超サイヤ人に産まれた時からなっているのか!?あり得ない・・・一体何者なんだ!?)

 

ベジータは、ギドラの様子を見ていた。危険人物を監視していたのだが、疑問が疑問を呼ぶだけだ。

 

ベジータは料理を食していく。しかしその時、目を三人から離してしまった。原因は一つではないが、ベジータが見守りを怠ったお蔭で、最悪の時が訪れてしまう。それを、ベジータを含め、この場に居る者達には知る由も無かった。

 

ギドラは今度はプリンを食べる。生クリームやさくらんぼ、メロンといったフルーツでアレンジされている。他にも、アレンジされてないシンプルなプリンが四つ置いてあった。

 

「おっ?それはなんだ?ギドラ」

 

「ゴクンッ!ああっ、プリンというものだ!彼処にあるぞ!」

 

「ほう!では僕も食べてみるとしよう!ウィス!」

 

「はぁい!」

 

ウィスもまた、プリンをまだ食べてない為、期待を背負ってビルスと共にデザートコーナーへ。しかし、そのプリンとやらが無い。

 

「おや?プリンが無いですねぇ」

 

「まさか?おーいギドラ!貴様、プリンを全部食べたのか!?」

 

ビルスがギドラに訊いてみる。

 

「んむっ?妾ではなーい!全部取りたいが、ビルスやウィスの分も残しておるぞー!」

 

「ふむ・・・」

 

ウィスは、新しくスイーツを持ってきた料理人に訊くことに。

 

「君、プリンのお代わりは?」

 

「も、申し訳ありません。プリンは彼方のお客様で、最後になっておりますので」

 

ビルスとウィスは、料理人が示した者を見た。其処には、ギドラよりも多くプリンを取る太ったピンク色の人型をした異形が居た。美味そうにスプーンを使ってプリンを食べている。

 

ビルスは彼に近付いた。

 

「なあ君。そのプリンを分けてくれないかな?二個だけでも良いんだ。ウィスの分もな」

 

「是非お願い出来ませんか?」

 

ビルスとウィスがピンクの異形───ブウにお願いするが、ブウは聞く耳を持たない。

 

「ブー。やだね」

 

「なにっ?」

 

「全部俺のもんだ!」

 

ブウはあげようとしない。自分で取った物をあげるのが嫌なのだ。

 

「ぐ、ぐぬぬ・・・」

 

「ほらビルス。それとウィスも、喰う?」

 

すると、それを見兼ねたギドラが、まだ食べてないプリンを二つ、ビルスとウィスに渡した。

 

「おや?宜しいのですか?」

 

「うむ!食べたそうにしていたからな!」

 

「おおっ!ありがとな、ギドラ!おおっ、見た目も麗しいじゃないか!」

 

ビルスはギドラから受け取ったプリンを、自席にて置いたスプーンで掬って食べた。その瞬間、口の中にトロ~リとした感触と甘い味わいが広がった。

 

「ああっ、幸せだ・・・これがプリンというものか・・・」

 

超サイヤ人ゴッドに関する情報は得られなかったが、今のビルスにとっては最早どうでも良い事だった。

 

「んん~!おーいし~!」

 

ウィスもご満足な様子で。

 

「しぃあわせじゃ~。幸せじゃよ~」

 

ギドラも頬を赤く染めて、満足な笑顔を見せる。しかし、嬉しい時は、長く続かなかった。味に感動していたビルスが、プリンを再び食べようとした、その瞬間。

 

ポーンッ!

 

「「あっ」」

 

二人の子供、ベジータの面影がある顔の少年と、孫悟空の髪型や人相がそっくりな少年。二人の投げたボールが、ビルスのプリンを吹き飛ばしてしまった。そして、ベジータはその光景を見て、余所見していた事に気づく。

 

「っ!?しまった!!目を離した隙に!?」

 

ベジータは慌てて駆け寄ろうとするが、全ては水の泡。ビルスは床に散らばったプリンを目にして、ブウの欲張りで溜まっていた分の怒りも爆発してしまう。

 

「・・・僕のプリンを・・・・・・よくも・・・よくも・・・よくも台無しにしてくれたなああああああ!!!」

 

ビルスはキレた。完全にキレた。全身から力を解放してしまう。力を解放し、近くに居たブウは吹っ飛ばされてしまった。力を解放しただけで、近くのテーブルも吹き飛ばしてしまい、大地に亀裂が走る。

 

「あーあっ。何処の誰かは知らぬが、やってしもうたのぅ」

 

ギドラはデザートを全て食べ終わっていた。ビルスがぶちギレした光景を、面白半分で見ている。

 

「やれやれ。とんでもない事をしましたね。況してや食べ物を粗末にしたのですから」

 

そして、ビルスは二人の子供に近寄ろうとするが、ベジータが前に出る。

 

「ビルス様!俺の子が迷惑掛けて申し訳ありません!どうか、おやめください!」

 

ベジータは自分の子がやってしまった事を謝罪するが、ビルスは止まらなかった。況してや、自分の食べていた物を台無しにされたのだ。食べ物の恨みは恐ろしい。破壊神なら、尚更だ。

 

すると、奥に控えていた三人の戦士達が動き出す。18号、天津飯、ピッコロの三人だ。

 

ビルスは18号の拳を避けて地面に叩きつけて、天津飯を近くにあった箸で投げ飛ばし、ピッコロを箸で一刺ししただけで気絶させた。

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

すると、今度は孫悟空と同じ胴着を着た青年がビルスに向かって来た。

 

しかし、そんな光景を他所に、ギドラは食事を続ける事に。幸いにも無料で料理が出る為に、ギドラは全て食べ尽くすつもりでいた。板前も、美味しく食べてくれて非常に満足である。

 

「これはなんなのじゃ?妾に教えるのじゃ!」

 

「えっ?あっ、寿司と言いますが?」

 

寿司を知らない事に驚く板前。ギドラは初めて聞く料理に、首を傾げる。

 

「すぅしぃ?」

 

「寿司です」

 

「寿司か!うむ!見た目も麗しいのう!お主は腕のあるりょーりにんのようじゃな!」

 

ギドラは早速食べ始める。まず最初に食べたのは、赤身が色鮮やかなマグロであった。寿司の定番とも言えるマグロを食べた瞬間、口の中に脂の乗った濃厚な味が広がった。甘エビ、サーモン、蛸、ホタテ等と言った海の幸がネタの寿司を頬張り、満足なギドラ。

 

「んまーーいっ!!お主は天才じゃ!!良いりょーりにんになれる!!お代わりをくれ!!」

 

「はい!今度は軍艦、丼もありますが、如何致しますか?」

 

「うむ!!最高の盛り合わせを頼むぞ!!良いりょーりにんよ!!」

 

「分かりました!!喜んで引き受けましょう!!」

 

板前も、ギドラの後ろで起きている事がどうでも良くなる程に満足した。ギドラの誉め言葉が嬉しかったのだ。

 

因みにウィスは、別のデザートを手にして居た。今度はアイスクリームと呼ばれるものを食べており、冷たくて美味しく、その上口に広がる甘い味に酔いしれていた。

 

ビルスが戦士達を軽くあしらう横で、グルメな二人は更に食べ続けていた。この後、面白い出来事が待っているとも知らずに。




ギドラもそうですが、ビルスが戦士達を蹴散らす横でグルメを満喫するウィスの図太さは目を見張るものがありますな。いやそれ以上に、ウィスの注文に応じた板前も中々の図太さでしたが。


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黄金、土産を頼む

ギドラは食事を続けていた。寿司を注文して握ってもらい、美味しく頂く。最早あらゆるネタは食べた。丼も食べた。盛り合わせも一緒に。

 

しかし、そんな食事の時間に、ビルスが自分とウィスを呼んだ。

 

「ウィス!ギドラ!そろそろ地球を破壊してやるぞ!」

 

ギドラは少し不機嫌になった。

 

「ビルス!!妾が食事の邪魔をされるのが嫌なんじゃ!!破壊しても構わんが、少し待つのじゃ!!」

 

ギドラはそう言った後、板前に向き直り、自分のお願いを言った。

 

「この寿司を持って帰りたいのじゃ~。これ全部。出来るかの?」

 

「は、はい、問題ありません。お持ち帰りなら、お任せを。えっ?全部ですか?」

 

「当然じゃ!ビルスとウィスにも持って帰るじゃよ!」

 

「分かりました。是非準備させて頂きます。ですが、全部となると時間掛かりますが───」

 

「急ぐのじゃぞ!」

 

「は、はい!」

 

板前、ギドラにお持ち帰り用の品を準備するよう急かされる。ギドラは少しでも時間を稼ぐ為に、ビルスの元へ向かった。ギドラは金色の突起を背中に生やし、宙に浮いた。気を持たないギドラは舞空術を使えない。しかし、ギドラは世界の法則に縛られない。その為、空を飛べないという生き物の法則も通用しない。

 

ギドラは、ビルスの元に来ると、地球に攻撃しようとする彼の手を止めた。

 

「ビルス~!待って欲しいのじゃ!」

 

「なんだよギドラ。僕は地球をこれから破壊するんだから」

 

「ちょっと待って欲しいのじゃ!今、寿司を持って帰りたいのじゃ!美味しいのじゃ!全部持って帰りたいのじゃから、もう少し待ってくれんかの!?」

 

「寿司だと!?それはなんだ!?むぅ・・・気になるなぁ・・・よし分かった。時間をやろう。寿司を持ち帰る準備が終わったら、地球を破壊して帰ろう」

 

「うむ!」

 

「ウィス!」

 

ビルスはウィスを呼んだ。ウィスは一瞬で二人の元へやって来た。その手に彩りのあるアイスクリームを乗せた皿を持って。

 

「お呼びですか?ビルス様、ギドラさん」

 

「ギドラが寿司を持ち帰るそうだ。準備が終わったら、地球を破壊して帰るぞ」

 

「畏まりました。なら美味しい物でも食べて、暇を潰しますか?」

 

「・・・ウィス、ビルス。退屈しなくて済みそうじゃ」

 

ギドラがそう言った後、一人の男が空から飛んできた。山吹色の胴着を着た男。孫悟空であった。

 

「間に合った!」

 

悟空は皆の元に来た後、ビルス達を見る。すっとぼけたようなその瞳は、真っ直ぐ三人を見ていた。

 

「なあビルス様。頼みがあんだ。この星を破壊しねぇでくれねえか?」

 

悟空の要求を、ビルスは鼻で笑う。

 

「僕は破壊の神だ」

 

「なぁ、アンタはビルス様みてぇなもんか?なら、この星を破壊するのやめるよう言ってくれねぇかんなぁ?」

 

「嫌じゃ。それに妾は星を喰う者。お主等の事情等、知らんし知る気にもならん」

 

ギドラも断った。そもそも、地球は美味そうだ。美味しい物が沢山あるなら、最早星ごと喰えば良かったのだ。そうすれば、美味を一気に味わえただろう。

 

「そんな事言わねえでくれよ~」

 

「くどい」

 

ギドラが悟空達を睨む。その瞬間、悟空達は膝を地面に着いてしまう。立ち上がる気力も失せてしまった。

 

ギドラにとって、孫悟空も、ベジータも、その周りに奴等も、単なる餌にしか見えていない。

 

「・・・とはいえ、寿司の持ち帰りをする約束があるのじゃ。それに、孫悟空。お主、超サイヤ人ゴッドを出現させる方法を、思い付いているのじゃろう?」

 

「おや、ビルス様が聞きたがっていた事ですね?」

 

「そうなんだよ~!だからちょっとだけ、時間頂戴!頼む!」

 

ビルスは少し考える。そもそもこの星へは、超サイヤ人ゴッドを探しにやって来たのだ。ならば、そのなれるかもしれない可能性に賭けてみよう。

 

ビルスは承諾した。その後、彼等がドラゴンボールと呼ぶ願い玉によって呼び出された龍により、超サイヤ人ゴッドの生み出し方を教えてもらった悟空達は、早速儀式を始めるのだった。

 

──────────────────────

 

その頃、界王神界にて、一人の少女が光と共に現れた。白銀の髪に雪のような肌、全身が白銀一色に染まった少女であった。服装は、足元にまで届きそうなメイド服を着ており、腰から生える尻尾は無数の金属のトゲを生やしている。四肢には砲台が付いているが、全部折れていた。

 

そして、身体は熱でやられたように溶けており、全身傷だらけであった。

 

『私は・・・・・・ゴジラを・・・』

 

少女の声は機械的かつ、人間味溢れる声であった。

 

黄金が地球に行った間に、白銀の少女が界王神界に現れた。しかし、瀕死の重症を負い、死にかけている。

 

そして、それを見付けた界王神及び老界王神の二人は、少女を手厚く保護した。

 

「ビルス様やギドラ様が地球に向かった間に、まさかこの界王神界に客人とはのう」

 

「とはいえ、大怪我している方を見過ごす訳には参りません。傷を手当てします」

 

「うむ。頼むぞ、界王神」

 

界王神はすぐに、少女を保護して治癒を開始する。

 

少女とギドラが邂逅する日は、着実に迫ってきている。



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鋼の神、目覚める

今回ギドラの登場は少ないです。代わりに、界王神界に降り立ったメカゴジラにご注目を。


ギドラはビルスやウィスと共に、今度は揚げ物を食べていた。海老天、南瓜、レンコン等の天ぷらを味わっている。

 

「美味い!それもくれ!」

 

「この南瓜もくれないかい?」

 

「では私も、そちらをお願いします」

 

すると、彼等が食事をする間に、その背後で大きな衝撃波が発生した。テントも幾つか吹き飛ばされ、プールでもあったのか大量の水が宙に浮いた。

 

それは、五人が超サイヤ人という金色の髪になり、強くなる形態になってから、悟空に力を注ぎ込んだ結果であった。大幅にパワーアップしている。しかし、やはり駄目だ。神になっていない。

 

「・・・うむ。失敗したようじゃな」

 

ギドラは呆れていた。超サイヤ人ゴッドが現れると思っていたが、がっかりだった。

 

もう未練は無い。美味いものはもう充分食べた。なら後は、ビルスが破壊するだけだ。ギドラは料理人にお持ち帰りをしたいと頼み、帰る準備を始めた。

 

──────────────────────

 

その頃、界王神界では一人の少女が起動した。

 

『・・・・何が起きました?此処は・・・地球ですか?』

 

少女は周囲を見渡すが、景色は不思議と静けさがあった。草原と僅かな木々。そして薄紫色の空には大きな惑星。どう考えても地球ではない。

 

『解析。地球に比べ、空気の清浄さは約10倍。放射能レベルは0。地球生物が住むに当たり、最も適した環境と思われます』

 

少女は湖を見て、更に解析を行う。

 

『解析。水の清潔さは百パーセント。生物の生息を確認。水が清潔にも関わらず生物が住んでいるとは・・・理解不能・・・予測回答。透明な水に見えて、私に解析出来ない成分が含まれていると予測しました。或いは・・・』

 

「難しく考える必要は無いじゃろ」

 

少女の前に、二人の界王神が現れる。現在の界王神達であり、その内一人は合体した姿なのだ。

 

「ええっ。おはようございます。よく眠れましたか?」

 

『・・・はい・・・・・・初めまして。私は『対ゴジラ超重質量ナノメタル製造決戦兵器:メカゴジラ』と申します』

 

「メカゴジラ?地球に住む人造人間の皆さんと似たような存在ですか?貴女から気を感じないのですが?」

 

神とは違うならば、生命体ではないという事。ギドラのような存在と違い、メカゴジラが完全な機械であると理解した二人は、質問を続けた。

 

「お主は何処から来たんじゃ?」

 

『解答1。私は“ゴジラ”を倒す為に製造された戦闘兵器です。故に、メカゴジラと命名されました。解答2。人造人間とは、人工的に製造された人間と仮定するならば、私は人間の手により製造された人造兵器です。自立思考型金属『ナノメタル』によって製造され、高度な量子コンピューターとAI搭載により、自らの思考にて行動可能となりました。解答3。“気”とは初めて聞くもの・・・いえ、失礼しました。私の頭の中に記録されている人間が積み重ねてきた記録を解析した所、“気”は生物が持つエネルギーであると判明しました。私は生物ではありません。故に、貴方方の仰られる気は持っておりません。解答4。私は地球でゴジラに破壊されて消滅しましたが、何故か再起動が可能になりました。再起動した後には、この見たこともない大地に立っておりました。姿も変化する形で』

 

メカゴジラは答えを返す。しかし、界王神達は妙な引っ掛かりを感じた。何故なら、地球にメカゴジラは、全く居ないのだ。過去の何処にも存在しない、我々とは別の存在という事になる。となると、考えられるのは一つ。

 

「お主はどうやら、別の宇宙からやって来たようじゃのう。儂等の住んどるこの宇宙には、お主に似た存在はおるのじゃが、メカゴジラというのは初耳じゃ。それに、お主が倒すと言っておるゴジラもおらんぞ」

 

『・・・ゴジラが居ない・・・と?』

 

「ええっ。貴女の言うゴジラがどの様な存在かは分かりませんが、少なくとも私達はその様な生き物を見たことがありません。ゴジラという名前も聞いてません」

 

『ゴジラが存在しない・・・では、ビルサルドという種族についてご存知ですか?』

 

「うむ。知らんのぅ」

 

『・・・やはり、私の知る世界では無いのですか。ゴジラを倒す為に産み出された私は目標を見失い、やる事が何一つ無い、という事になります・・・・・・では、私はこのまま何もしないで居た方が宜しいのでしょうか?』

 

メカゴジラは、ゴジラを倒す為に生まれた。しかし、目標を見失い、どうすれば良いのか分からなくなっている。

 

「メカゴジラさん。もしどうすれば良いのか分からないなら、私達と暮らしませんか?」

 

「そうじゃな。お主がそれで構わないというのであれば、此処で儂等と暮らさんかのう」

 

『・・・私がですか?』

 

「それに、お主はゴジラとやらを倒した後、どうするつもりだったんじゃ?」

 

『その後は全く考えておりません。廃棄されるか、兵器として利用されるしか、私は役目を果たす事は出来ません』

 

界王神達は話を聞いていく度に、メカゴジラがどれだけ哀しい存在かを理解した。造られて、その上利用されていく内に廃棄される。メカゴジラはそれを受け入れているようだ。いや、生物としての個体維持本能が無い為、死の恐怖が無いのだろう。

 

「なら今度、この宇宙にある地球に行ってみませんか?きっと、ゴジラを倒す以外の生きる目的が見えてくるかもしれません」

 

界王神がそう言った、その瞬間。

 

 

「「っ!!?」」

 

『計測不可能なエネルギーを確認。分類不明。構成エネルギー、解析不能』

 

 

三人が感じた力。それは神の力であり、メカゴジラも解析出来ない未知のエネルギーであった。

 

「悟空の気じゃな。奴め、神の領域に足を踏み入れおったな」

 

「なら都合が良いですね。メカゴジラさん。私と一緒に地球へ行きませんか?」

 

『・・・分かりました。貴方方に同行させて頂きます』

 

「ふむ。儂は此処でお主等の帰りを待っておるぞ」

 

「はい。ではメカゴジラさん。私の手を握ってください」

 

界王神の言葉に従い、メカゴジラは彼の手を握る。

 

「カイカイ!」

 

そして、界王神とメカゴジラは光となり、すぐにその場から消えた。

 

「・・・やれやれ。他の宇宙にも、未知の存在が現れたというのに・・・・当分気が休まらんのう」

 

老界王神はため息を吐いた。何故なら他の宇宙にも、彼女達に近い存在が現れたとの報告を受けたからだった。

 

大きな事態にならなければ良いが。そう願う老界王神だが、その願いが叶う事は無いと、断言しておこう。




こんな感じで良いですかね?


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黄金、鋼の神と出会う

一方、ギドラ達は新たなる神の誕生をその目で見た。五人の正しいサイヤ人の力を、一人のサイヤ人に注ぎ込む事で誕生するサイヤ人の神。初めは不可能と思われたが、悟空の息子、孫悟飯の妻である地球人ビーデルが、悟飯との赤子を宿しており、そのお蔭で超サイヤ人ゴッドが誕生した。

 

超サイヤ人ゴッドとなったのは、悟空である。赤い髪に赤い瞳が特徴で、清らかで静寂なオーラを発していた。

 

周りに居る者達とは性質が変化している。恐らく、気を感じる事が出来なくなって居るだろう。他の生き物には感じられない神の気。しかし、ビルス、ウィス、ギドラの三人には解るのだ。悟空が纏う気が、神の気である事を。

 

「ビルス様。ギドラさん。どうやら成功したようですね」

 

「辛抱強く待った甲斐があったよ」

 

「ほう・・・以前から思っておったが、神の力はやはり美味そうじゃ」

 

「お前はそれだけか?」

 

「うむ。神の力は普通の飯や星よりも断然美味いのじゃ!強い奴なら尚更美味いぞ!」

 

ギドラは以前、ビルスと模擬戦をした事がある。まだギドラがビルスより強くなく、食らい付ける程度の実力でしかなかった時だ。その時に、ギドラはビルスの放った気を食べた。その時に感じた甘美な味は、これまで食べてきた星や文明、生物、更には大好物であるゴジラを凌ぐものだった。先程食べたプリンやケーキ、シュークリームにアイスクリームといったスイーツを凌ぐ程に。

 

以来、ギドラにとって神の力は、自分の舌を唸らせる最高級のスイーツという認識になった。但し、神を相手にする事によるあるデメリットを除いて。

 

「悟空よ。妾の手を握れ」

 

「ん?こうか?」

 

悟空は疑い無く、ギドラが差し出した拳を握る。握手ではない。ギドラは拳を握り締めており、悟空がそれを握っているのだ。そして、ギドラは確信に入る。

 

「うむぅ!やはりこやつは神になっておる!妾に触れられるんじゃ!嬉しいぞ!益々お主を喰らいたいのじゃ!」

 

そう。神、或いは神の力ならば、本来干渉不可能なギドラに触れる事が出来るのだ。ウィスも神の力を持つ為、ギドラに触れられる。ギドラは『眼』を破壊されない限り無敵だったのだが、この世界に転生した際、新たに神の力なら干渉出来るという弱点が増えたのだ。

 

「ギドラ。僕が闘うんだ。お前は其処で見てろ」

 

「むぅ・・・・仕方な─」

 

ギドラが諦めた、その時だった。その場に界王神とメイド服を着た全てが白銀の色をした少女が現れた。

 

「おや、早速始めるみたいですね。メカゴジラさん、地球に到着しましたよ」

 

『はい。空気中の酸素、二酸化炭素、窒素の濃度や量が、生物の呼吸に適切な数値です。人間の姿を確認・・・・・・豚の頭をした人間・・・辞書より知識を抜粋し、豚の頭を持つ人間を獣人と定義。以後、動物の姿と人間の姿を合わせた生命体を獣人と認識します。そして・・・猫が宙を浮いているようですが・・・』

 

「深く考えない方が良いですよ。メカゴジラさん」

 

すると、ギドラが界王神の元へやって来た。

 

「界王神ー!久しいのう!」

 

「ええっ。お久し振りですね、ギドラさん。三十年ぶりでしょうか?」

 

「所で、その者は?気を感じぬのじゃが?」

 

「此方は、メカゴジラさんです」

 

「っ!?な、何だと!?ゴジラ!?」

 

『っ!?ゴジラを知っているのですか!?』

 

メカゴジラがギドラに話し掛ける。メカゴジラの表情は変わってないように見えるが、明らかに険しさが出ていた。ギドラも、メカゴジラの名を聞いて驚愕した。

 

「お主もゴジラなのか!?」

 

『正確には、ゴジラを倒す為に、人類とビルサルドが創造した決戦兵器です』

 

「ゴジラを倒すか・・・妾はそのゴジラを喰らう者じゃ。気が合いそうじゃのう」

 

『いえ。貴女はゴジラを食べる為に殺すようですが、私はただゴジラを殺すだけです。ゴジラを殺す。それが私の目標なのですから』

 

「うむ、そうか・・・・・・それより、ビルスが悟空とやらと闘うが、お主も見るかの?」

 

『はい。界王神様に案内されたので、拝見させて頂きます』

 

「出来る事なら、妾も超サイヤ人ゴッドと戦ってみたかったのじゃ」

 

『・・・』

 

ギドラとメカゴジラ。ゴジラと因縁のある二体が出会う。この後、ギドラの実力を悟空達が垣間見る事になる。

 

──────────────────────

 

ビルス対悟空。その勝負は、ビルスの圧勝に終わった。超サイヤ人ゴッドは中々の強さだったが、ビルスの敵では無かった。

 

その後、ビルスは地球を破壊した。その場にあった“地球の岩石”を破壊した。体力が残ってないと言っていたが、恐らくは口実だ。超サイヤ人ゴッドを見つけた上に、強い相手と戦えて満足した事も理由の一つだろう。

 

その後、ビルスのプリンを粗末にしたトランクスと悟天はビルスに謝り、ビルスも「大人気なかった」と謝った。

 

そして、ビルス達は帰ろうとしたが、ギドラが止めた。理由は単純だった。

 

「妾も超サイヤ人ゴッドと闘いたい!」

 

そう言い出したのだ。しかし、肝心の悟空はボロボロでもう戦えない。すると、代わりを名乗る者が現れた。ベジータであった。

 

「俺が相手をしてやる。昔、親父から聞いた追放したサイヤ人の一人なのか、確かめたいからな」

 

「惑星ベジータ。フリーザという奴が滅ぼしたのじゃろ?まあ妾は長く住んでた訳では無いし、思い出も無いからどうでも良いのじゃが」

 

「ふん」

 

そして、今度はベジータに、先程と同じ儀式をやってみた。悟空はボロボロだが、僅かに力を流し込める事は出来るだろう。悟空、悟飯、悟天、トランクス、ビーデルが集まって、再び超サイヤ人ゴッドになる為の儀式を行う。すると、今度は聖なる気のオーラがベジータに流れ込む。そして、青い泡のようなオーラにベジータは包まれ、やがてその姿を現した。

 

赤い逆立つ髪に赤い瞳。先程悟空が変身した超サイヤ人ゴッドと、同じものであった。

 

「成る程な・・・カカロットはこんな力を・・・これで良いか?」

 

「うむ!では、始めようぞ!」

 

二人は戦いの構えに入る。その様子を見ていたメカゴジラは、界王神に一言告げた。

 

『この戦い、どちらが勝つと思われますか?』

 

「そうですね。ギドラ様が負ける事は有り得ませんよ。あの人、とても強いのですから」

 

『では、今後の為にデータを集めていきます』

 

メカゴジラは二人の闘いを分析して、今後ゴジラを倒すのに役立てようと考える。しかし、メカゴジラは予想していなかった。二人の闘いが、想像を超えた苛烈なものになるとは。




ベジータがこの場でゴッドに・・・・・・悟空にもう少しだけ働いてもらいました。超サイヤ人ではないサイヤ人でも、正しいサイヤ人が六人揃えば出来るそうなので、やってみた結果です。まあ、ベジータがゴッドになるのは映画以外では観たこと無かったので、此処でなっても良いですよね?


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黄金、王子と遊ぶ

「たぁぁぁっ!」

 

先ず最初に、ベジータがギドラに迫る。ギドラはベジータの拳を、敢えて頭突きで止めた。

 

止めた瞬間、相手に触れられる感触がギドラの額に伝わった。同時に大地が陥没し、空の雲は全て消える。しかし、圧倒的な暴風と衝撃にも関わらず、ギドラの髪は揺れない。風の影響を受けていないのだ。

 

「おおっ!お主も妾に触れるか!期待しておるぞ!」

 

「ふんっ。貴様に誉められても嬉しく無い」

 

ベジータは数歩下がる。今の一撃で分かった。ギドラは全くダメージを受けていない。

 

「じゃ、こっちからも」

 

ギドラがそう言った瞬間、ベジータの腹部に何かがめり込む。

 

「ぐぼぉっ!?」

 

ベジータは何が起きたのかすぐには分からなかったが、いつの間にか目の前にはギドラの顔があった。そして、彼女の左拳はベジータの腹にめり込んでいる。理屈は簡単。ギドラがベジータを殴ったのだ。それも、ベジータに見えず、感じ取られない程の速度で。

 

「ちぃっ!舐めやがって!」

 

ベジータは膝を使って蹴りを入れる。不意討ちの筈だった。ギドラは右手で膝を掴んで止める。更に、ギドラは膝を掴む右手を軸に回って、ベジータの頭を蹴る。

 

ベジータは蹴りで上空四千メートルまで吹き飛ばされた。ギドラは背中に突起を生やして宙に浮き、ベジータを追い掛ける。

 

ベジータは空中で逆さまになりながら体勢を立て直し、両手を何度も前に突き出して気の弾を放つ。

 

「ダダダダダダダダッ!!」

 

ギドラは、グミ撃ちされた気を避けない。寧ろその気弾を、自身に向かってきたもののみ食べ始める。

 

「バクッ!ムシャッ!バクバクッ!!」

 

ギドラは飛んでくる気弾を次々と丸飲みにしていくギドラの顔は、喜びに満ちた愛らしい笑顔になっていた。

 

神の気が食べ放題。寧ろギドラを満足させるだけと判断したベジータは、やむ無く接近戦に持ち込む事に。

 

「むぅっ!もっと寄越せ!神の気を喰わせろー!」

 

「貴様にくれてやるもんなど無い!」

 

ベジータとギドラの拳がぶつかり合う。お互いの拳がぶつかり合うラッシュ争いになり、やがて空間自体にヒビが入っていく。大地は割れ、本来あり得ない筈の現象まで起きた。海が硝子のように砕けていき、空が青色から赤、黄、茶、緑等といった色合いに変化し始めた。強い力同士がぶつかり合った時、周囲は付いていけずに崩壊するのが決まりなのだが、ギドラの場合は違う。この世に存在しないような奇怪な現象が引き起こされていた。海に関して説明するなら、凍った訳ではない。液体のまま砕けたのだ。

 

それを見ていたウィスもビルスも、驚くあまり周りにも分かるほど表情に表れていた。

 

「おや、これはちょっと不味いんじゃありませんか?」

 

「ギドラは楽しんでる・・・ベジータの奴は最初から全開だ・・・お互い、自分が何してるか分かってないな。このままじゃ、この宇宙の法則自体が乱れ、最終的には崩れるぞ」

 

超サイヤ人ゴッド。その力は、宇宙を破壊する程に凄まじいものだ。ビルスも戦って分かったが、サイヤ人の戦えば戦う程に強くなる特性は底知れない。そして、そのサイヤ人の特性を持つギドラ。

 

恐らく、その成長性を考えるあまり、ウィスを超える可能性がある。

 

ウィスも、色が変化する空と硝子のように砕けていく海を見て、決心する事にした。

 

「これは、私も強くならなければいけませんね。ギドラさんが強くなるならば、負けては居られませんよ」

 

「そうだな。何より破壊神が強くならなくては、意味が無いからな」

 

ウィスも強くなる事を決意。ビルスも負けていられないと思い、強くなる事を決意した。

 

そして、ベジータとギドラの戦いを再び見た二人。間もなく決着が付こうとしていた。

 

「ギャリック砲!」

 

ベジータはギドラの背後に回り込み、自慢の必殺技であるギャリック砲を背中に撃ち込んだ。完全に直撃した。ギドラが爆発の煙に包まれている。周囲は元に戻っており、砕けた海も早送りした怪我のように直っていく。

 

「やったか!?」

 

ベジータはギドラに技を当てた事で、勝利を確信した。しかし、煙が晴れた後にベジータが見たのは悪夢であった。

 

もう自身の全力を撃ち込んだのだ。いや、ホントに全力出せばぶっ倒れるから、舞空術を維持出来る位の気力は残している。しかし、それでもあり得ない。

 

だって直撃したのだ。完全に奴は避けなかったのだ。

 

そう、ギドラは全くダメージを負う所か、気にしても居ないのだ。

 

ベジータは、かつて闘った敵であるフリーザを思い出す。あの時も、自分の全力の一撃が通用せず、今に近い程に絶望したのだ。

 

「ふぅ。思ったより弱いのう。じゃが、中々優れたセンスを持っておるではないか!妾は少し楽しかったぞ!」

 

「・・・どうやら親父の言ってた事は正しいな・・・こいつは確かに惑星ベジータ出身のようだ。だが、サイヤ人ではないのか?」

 

ベジータの疑問は深まるばかりだ。一体こいつは何なんだ?

 

「まあ気にせんで良い!妾は楽しいのじゃ!美味いものを食べられるし、強い相手と戦えるし、星も神の力も美味い!暇なときもあるが、楽しくて仕方ないのじゃ!それに、お主も強くなれる!妾が保証する!ああっ、エクシフの奴等にも教えてやりたいぞ!こんなに楽しいのは初めてなのじゃ!」

 

「ふっ・・・貴様に誉められたくない。俺は、俺のやり方で貴様を超えてやる。覚悟していろ」

 

ベジータの姿が元に戻る。超サイヤ人ゴッドから、元の黒髪黒瞳の姿に戻ったのだ。しかし、目に宿る闘志は消えてない。寧ろ、強く炎のように燃え盛っている。ギドラもそれに感付き、笑う。

 

「うむ!楽しみにしておるぞ!」

 

ギドラは飛びきりの笑顔を見せた後、ベジータの元から去る。ベジータもボロボロの全身から来る痛みを堪えながら、自分の帰りを待つ家族の元へ向かった。

 

「ウィス!帰るぞ!」

 

「は~い。しかしギドラさん。全力を出すのは宜しいのですが、もう少し自重してくださいね。宇宙を壊す気ですか?」

 

「むっ。それは悪い事をしたのじゃ。そんな事したら美味いものが食べられないぞ・・・」

 

「全く、力のコントロールの修行を更に強くしますので、覚悟してくださいね」

 

「僕も強くなるさ。以前までお前より強かったんだ。強くなればお前を超えられるだろうな」

 

「うむ。負けぬぞ!」

 

すると、界王神とメカゴジラが三人の元へやって来た。

 

「あの、ビルス様。ウィス様。ギドラさん。もしよろしければ、メカゴジラさんの相手を今度してもらえませんか?」

 

「メカゴジラ?ああっ、そのメイド服着たロボットの事かい?いや、ロボットじゃないな?さっき戦った女と、似たような感じがするね?」

 

『どうやら、この世界に来てから生物としての特性を持ち合わせたようです。身体の半分を構成するのはナノメタルや武装ですが、もう半分は複数の人間の細胞やDNAによって構成されています。DNAや細胞はビルサルドの物から、私達の宇宙に住む地球人の物まで混ざっているようです。地球人の記録した無数の単語から検索した言葉で言い表せば、『サイボーグ』と呼ぶのが相応しいかと』

 

つまりメカゴジラは、機械と人間の二つの特性を持ったサイボーグとなったのだ。しかし、大半は機械である為、睡眠や食事を取る必要は無い。

 

「宜しいですよ。それに、メカゴジラさんは我々の動きを学習していたようですから」

 

『百パーセントには達しませんでしたが、データは取れました』

 

「ではメカゴジラさん。貴女は今後どうやって生きていきますか?」

 

ウィスがメカゴジラに訊いた。

 

『界王神様と共に生きていきたいと思います。ですが、私はゴジラを殺す事が最優先目標です。もしこの世界にゴジラが現れたならば、私は何を差し置いてでも殺しに向かいます』

 

メカゴジラは、自分を縛る楔に囚われていた。

 

「・・・メカゴジラさん。界王神界に帰ったら話があります。大界王神様も、同じ事を考えているかもしれませんから」

 

大界王神とは、界王神界で共に暮らす老いた界王神の事だ。ホントに老いていた訳ではないのだが、魔女とある事をして合体してしまった為にああなっただけだ。

 

「では、参りますよ。ビルス様、ギドラさん」

 

「ああっ」

 

「うむ!」

 

三人は光の柱となり、遥か空の彼方へ消えていった。

 

「では、メカゴジラ・・・さん」

 

『はい』

 

「カイカイ!」

 

メカゴジラは界王神の手を握り、共に地球から界王神界へ瞬間移動した。この後、ビルスとギドラ、ウィスは更に鍛練に励んだ。

 

そして、メカゴジラは界王神界にて、己の運命を変える事になる出来事に出会う事を、今は知るよしも無かった。

 

──────────────────────

 

 

「ふぅ。おいヴァドス。もう揃ったか?」

 

「はいシャンパ様。願い玉は後一つです。それに、厳選した()()の件ですが、彼等も全員やる気のようです」

 

第6宇宙の破壊神の星にて、一人の太った猫人間の破壊神と、杖を持つ女性が、何かの準備をしていた。

 

「よっしゃ!これでビルスに一泡吹かせてやれるな!」

 

「ホントに行かれるのですか?」

 

「当然だ。彼奴も連れていくぜ」

 

シャンパが指を差した先に居たのは、草原の上で多数の子供達と眠る究極の女性像を型どったような女性であった。130cmの胸に安産型、おまけに細い括れのナイスバディ。もしこの場に亀仙人が居れば襲い掛かる事間違い無しの身体である。しかし、四肢は盛り上がった黒い筋肉で出来ており、腰には自身の身長より長い尻尾が生えている。背中から尻尾に掛けて結晶のような突起が幾つも生えている。髪は背中を半分覆う程に長く、光を反射する程の艶がある黒さであった。顔も整った美形。目は小さいものの、時々瞼が開いて見せる水色の瞳は、まるで宝石のように美しかった。そして、彼女の周りには、翼を生やした子供達が沢山。特に男達は全員、母親であろう彼女が幼くなったような見た目をしている。俗に言う男の娘であった。

 

「・・・もう少ししてから声掛けるか」

 

「そうですね。それにしても、私達に気付かれる事なく家に入っていた時は驚きましたよ」

 

「こいつ、周りに居たガキ共と倒れてたからよ。ほっとけねえだろ?それに、こいつが来てから毎日楽しいからなぁ」

 

「お蔭でサボっていた修行もやるようになってくれて、このヴァドスは感激です」

 

「うる・・・せーな、それとこれとは別だろうが」

 

シャンパは寝ている彼等を気遣いつつ、ヴァドスに暴言を飛ばす。しかし、助けた事に関しては満更ではなかった。

 

いつの日か、子供達や母親が、第7宇宙へ向かい、因縁の相手と出会う日は、そう遠くない筈だ。




はい。これはもう、分かりますよね?この女性の正体。


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鋼の神、名を変える

メカゴジラと界王神は、界王神界に戻ってきた。大界王神は全てを見ており、ビルスが地球を破壊しなかった事に驚いていた。同時に、喜んでいた。

 

やはり、孫悟空のお蔭でもあり、その悟空が住む地球があったお蔭でもあると、大界王神は理解した。

 

「それはさておき、メカゴジラさん。戻って早々悪いですが、早速話があります」

 

『はい。何でしょうか?』

 

「メカゴジラさんは、ゴジラという存在を倒してどうしたいんですか?」

 

『どうしたい、とは?私はゴジラを倒す事を命令され、実行し続けているだけです。ビルサルド及び地球人の科学技術によって生み出された私は、メカゴジラと名を与えられました・・・えっ?』

 

メカゴジラは多数ある記録の中で、ある一つの言葉を見つけ出した。そして、一つの疑問が、メカゴジラを惑わせる。

 

その言葉とは・・・。

 

『我々人種族こそがゴジラと呼ばれるに至らなければならない』という、ビルサルドの種族であるガルグという男が発した言葉だ。

 

つまり大雑把に言えば、ゴジラを超える為にゴジラになろうというのだ。

 

『私はゴジラを倒す為に・・・しかし、人がゴジラになれば・・・しかし、それでは人を殺さなくては・・・彼等はゴジラでは・・・しかし、ゴジラになるなら・・・なる?え・・・あ・・・ああっ・・・』

 

メカゴジラの目がバラバラに動き続ける。それを見ていた二人の界王神も、心配の目でメカゴジラを見ていた。

 

「混乱してますね」

 

「それに、こんな考えも出来るぞ。メカゴジラよ。お主を造った奴等は、ゴジラを倒した後にお主を新たなゴジラにしようとしておったのではないか?その証拠に、メカゴジラの名にも、ゴジラがおるではないか」

 

大界王神の言葉を聞いたメカゴジラは、更に混乱を起こす。

 

『私が・・・ゴジラ?違います・・・しかし、私の名は・・・・・・あ・・・・』

 

メカゴジラはとうとう言葉が詰まる。その頭の中では、様々な疑問が浮かんでいる。答えが見つからず、混乱を起こしている。

 

「やはり、貴女は造られた為に、貴女を造った人達からの鎖から解き放たれて居ないんですね」

 

「可哀想な奴じゃ。お主を造った奴等の心境や事情は知らんが、メカゴジラにもう少し優しく出来んかったのかのう」

 

「メカゴジラさん・・・いえ、造った人々からの鎖から解き放たれる為に、新しい名前を与えましょう」

 

『・・・・・・新しい、名前ですか?』

 

メカゴジラは、様々な疑問の答えを探す事を中断し、話を聞くことにした。

 

「もう貴女を、ビルサルドという奴等の道具にさせません。メカゴジラではなく、新しい名前を得ましょう。そうしたら、少しは気持ちが軽くなるのではありませんか?」

 

『私に気持ちはありません。しかし、この胸から込み上げてくるものは・・・・解析・・・不可能・・・しかし、この体にとって悪いものではないようです・・・』

 

「それが何かは分かりません。しかし、悪いものではないなら、それは『喜び』ですよ」

 

『喜び・・・私は、嬉しくなっているのですか?』

 

「儂等に訊いてどうするんじゃ・・・まあ、早く名前を与えんとな」

 

「そうですねえ。えっと・・・・・・ん?」

 

界王神は名前を考えた。名付けは初めての為、思考を捻る界王神。

 

その時、頭の中にある一人の青年が浮かび上がった。

 

青年は、人間の部隊を引き連れて、ある一体の怪物と戦っていた。怪物は爆発したが、その後に更に大きな怪物が現れた。そして、それに立ち向かうが、返り討ちに遭った。そして、炎と瓦礫の中で怪物を睨み、青年は弱々しくも力の限り怨念のこもった言葉を放つ。

 

『俺は・・・貴様を・・・!!』

 

再び場面が代わり、今度は一人の少女に自らの名を名乗った。界王神は、その青年が名乗った名前を口にした。

 

「『ハルオ』」

 

『っ!!』

 

その名に、メカゴジラは聞き覚えがあった。そして、メカゴジラには本来記録されていない言葉が、彼女の中で再生される。それは、彼女を造り出すのに協力したビルサルドの信条を否定し、決別する言葉だ。

 

『我々がやるべき事は、『人』としてゴジラに打ち勝つ事だ!!』

 

恐らく、自身が街の姿となっていた時に、其処で造られた兵器の中で叫んだ言葉だったのだろう。しかし、メカゴジラにとってその言葉は、自分がゴジラではない事を、そして新たな自分を切り開く為の切っ掛けとなった。

 

そして、メカゴジラの従うべき相手が決まった。今後は二人の界王神に仕え、共に道を歩むつもりだ。

 

『畏まりました。此より私の名は“メカゴジラ”より改め、『ハルオ・サカキ』と名乗らせて頂きます。界王神様。大界王神様。お二人を主として認めます。お二人に仕える者として、御奉仕させて頂きます。どうぞ、何なりとご命令ください』

 

「なにっ?それじゃあ──」

 

「ではハルオさん。今後、私達と共に色々学んでいきましょう。修行も兼ねて私達が色々教えて行きます。ですので、貴女からも色々と教えてくださいね」

 

大界王神は手をワキワキとさせるが、界王神が止める。大界王神はエロいのだ。しかし、悪い神ではないのも事実だ。大界王神はハルオに近付き、手を差し出す。

 

「まあ何にせよ、お主が自分の意志で生きていけたら、儂も嬉しいぞ。頑張れ」

 

『ありがとうございます』

 

ハルオは手を握る。

 

『しかし、ゴジラを倒す目的を変えるつもりはありません。そして何より、この名を持つ青年の意志を裏切る事になってしまいますから』

 

「分かっています。しかし、ハルオさん」

 

『今は貴女達にお仕えする身です。呼び捨てで構いません』

 

「ではハルオ。約束してください。無茶をしない事。危険と判断したら逃げる事。何が遭っても絶対に死なないでください。そして最後に、もしゴジラと戦う事になったとしても、必ず生きて帰ってきてください。」

 

界王神の言葉には、『死んではいけない』『どんな目に遭ったとしても、生き延びる努力をしてほしい』という意味が込められていた。もしその約束を守れなければ、界王神達が悲しむ。それを理解したハルオは、スカートの裾を掴んで少しだけ上げた。相手に対する一礼である。

 

『はい。界王神様の約束、確かに承りました。此れからも、宜しくお願いします』

 

新たなる未来を歩み始めるメカゴジラもとい、ハルオ。ハルオの名を継ぎ、ハルオの意志を受け継いだサイボーグ少女。

 

彼女が因縁の相手と合間見える時は近い。




メカゴジラの名を変更しました。これは元々どうしようかなぁと思い、これだ!と思って執筆した結果です。力の大会で別のメカゴジラを出すつもりでしたから、どうせなら名も変えた方が良いかなと思いました。アニゴジの主人公の名へ変えたのは、ハルオの意志を継ぐという意味でも、因縁に決着を着けるという意味でも、そしてハルオが新たな人生を歩むという意味でも、これが良いなと考えた結果です。浅はかな考えですみません。大半はこじつけで、もう半分は直感です。次は、『復活のF』ですが、やるかどうか迷ってます。ギドラの因縁的には会わせる方が良いかな?それとも全く別の奴をやるか。う~ん。悩みます。


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復活のF編 黄金、復活の悪と会う

その日、宇宙の帝王と名を馳せた男が蘇った。地球にある願い玉ことドラゴンボールによって、バラバラのまま復活したが、フリーザ軍の再生装置によって完全復活を遂げる。最終形態ではなく、第一形態の姿に戻った状態で。

 

「・・・ふむ。生き返らせてくれてありがとうございます。ソルベと言いましたね?」

 

「は、はい!現在のフリーザ軍を統括する、ソルベと申します!お帰りなさいませフリーザ様!」

 

「それで、其処に居る少女は?」

 

フリーザが早速注目したのは、テーブルに置かれた料理を食い続ける金髪に白いワンピースと短パンを履いて、頭には帽子を被り、腰に金の尻尾を三つ生やす少女であった。髪は結んでおり、ツインテール姿になっている。

 

「此方は・・・ギドラ様です。破壊神ビルス、様の・・・御友人です」

 

「な、何ですって!?」

 

フリーザは驚愕した。かつて自分の父親であるコルド大王から聞かされていたのだ。最も逆らってはいけない存在。それが、魔人ブウと破壊神ビルス。その破壊神の友人が、今このフリーザ軍の母船で呑気に飯を食ってる。

 

「ギ、ギドラさん・・・ですね?何故此処に居るのですか?」

 

「たまたま宇宙をさ迷っておった。美味そうな星を見つけて食っておったら、此処に来た。それで美味いものを食べに此処へ来たのじゃ。そしたらフリーザが蘇ると聞いてのう。気になって此処へ来たのじゃ」

 

「な、成る程。食堂からわざわざ食べ物を持ってきてまで私を見に来るとは。一体何故なのですか?」

 

フリーザはギドラに問い掛ける。ギドラはフリーザの疑問に答えた。

 

「妾が産まれた惑星ベジータを消した奴がどんな奴か、見てみたかったのじゃ」

 

それを聞いた瞬間、フリーザの顔が険しくなった。今思えば、目の前の少女の姿は、超サイヤ人の姿そのものだ。金髪に瞳の色といい、姿がそっくりなのだ。

 

「・・・もしや貴女、サイヤ人ですか?」

 

「違う。サイヤ人の特性を持ってるだけの、分からない何か・・・うーむ、自分でもどう言ったら良いか分からぬのじゃ・・・」

 

「サイヤ人でないなら・・・もう良いです。それより、私はこうして生き返りました。わざわざ私を見に来たのは、私を殺しに来たのですか?サイヤ人の仇として?」

 

「違うのじゃ。お主の事、鍛えてあげたいのじゃ」

 

「・・・なんですって?」

 

フリーザの疑問は最もだ。自分は惑星ベジータを消し去った。そして、ギドラは惑星ベジータ出身。ならば、其処の出身ならば仇を取ろうとするのは当然の事ではないか?サイヤ人ではないとはいえ、惑星ベジータを消されて悔しくないのか?

 

しかし、フリーザの疑問はすぐに氷解した。それは、フリーザが似たような質問をしたからだ。

 

「話を反らしますが、貴女は惑星ベジータが消されて悔しくないのですか?」

 

「うむ」

 

即答だった。何の躊躇いも無い。当然だと言わんばかりに速かった。

 

「というより、ウィスの話では妾はポットに乗せられて宇宙を漂ってたらしいのじゃ。赤子の頃は分からなかったが、妾は惑星ベジータの王に捨てられたのじゃよ。しかし、そのお蔭でウィスやビルスに会えたのじゃ!其処は感謝したいのじゃ!」

 

前半は悲しい事を言ったが、後半から明るく話すギドラ。今のギドラにとって、惑星ベジータの王に捨てられた事はどうでもいい。何故なら、家族と呼べるビルスやウィスに会えたのだから。

 

「話を戻そう。妾はフリーザを鍛えたいのじゃ!ベジータへの復讐ではない!お主に色々と分かって貰いたい事があるのじゃ!」

 

「ふんっ、嫌なものは嫌ですよ!」

 

フリーザは拒絶した。しかし、ギドラは諦めない。

 

「ならこれでどうじゃ?もし妾がお主を鍛えても強くなれなかったら、妾はお主の言う事を一生聞くぞ」

 

「何ですって!?」

 

突然の服従発言。これには他のフリーザ軍も衝撃を受ける。

 

「本当でしょうね!?もし私が強くなれなかったら、ホントに我がフリーザ軍の奴隷として働いて貰いますからね!」

 

「うむ!約束するのじゃ!」

 

自信満々に答えるギドラ。フリーザは半信半疑ながらも、ギドラの修行を受ける事にした。

 

こうして、ギドラはフリーザを鍛える事になり、結局ギドラがフリーザに服従する事は無かった。それがまさか、フリーザの運命及び人生を大きく変える事になるとは、思いも寄らなかった。

 

──────────────────────

 

ギドラがフリーザを鍛えてから一週間が経過した。ギドラが連れてきた場所は、呼吸が出来る位に澄んだ緑豊かな自然の惑星であった。其処でなら思いっきり鍛えられると見込み、此処へ連れてきたのだ。

 

フリーザは、第一形態のままにも関わらず、孫悟空と闘った当時の最終形態よりも遥かに強くなった。

 

それから、もう一人も鍛えていた。

 

「モナカ!お主も強くなったのじゃ!」

 

「あっ、はい・・・どうも・・・」

 

ギドラにペコペコと頭を下げる、大きな乳首とタラコ唇の宇宙人。モナカ。ビルスが一番強い相手と偽る為に利用してた奴だ。それで訪ねてみたものの、ホントに弱かった為、ギドラが無理矢理鍛えたのだ。

 

「それにしても、ホントに此処まで強くなれるとは思いませんでした。貴女、ホントに破壊神ビルスの親友らしいですね」

 

「まさか・・・ホントに強くなれるとは思いませんでした・・・」

 

フリーザも驚き、モナカはギドラに無理矢理鍛えられた時はどうなる事かと思ったが、心配要らないようだ。

 

「当然じゃ!妾が見込んだのじゃからな!」

 

ギドラは胸を張って答える。フリーザやモナカに試合をさせたり、自分と戦わせたり、超重力の中で基本的なトレーニングをさせる等、色々やった。

 

「・・・それはそうと、そろそろ地球に出向きたいのです。地球に居る、孫悟空に必ず勝利してみせましょう」

 

フリーザは、そろそろ自分の復讐に行きたいとギドラに願う。

 

「うむ。その形態が上手く扱えるようになるまで、むやみやたらに変身するでないぞ。モナカ。お主も仕事があるのじゃろ?休暇が取れたら、また来るのじゃぞ」

 

「はい」

 

モナカは近くの宇宙船に乗り、そのまま飛び去っていった。彼にも仕事がある。それを邪魔するわけには行かない。ギドラにだって配慮位はある。

 

「フリーザ。お主がどれだけ強くなったか、自分で分かるかのう?」

 

「ええっ。この第一形態だけでも、恐らく戦闘力は十億も行っているかと」

 

フリーザは気を解放した。全身から溢れ出てくる力の強さに、惚れ惚れとしてしまいそうだ。

 

ギドラの修行の賜物である。そして、以前は出来なかった事も出来るようになったフリーザ。それは、相手の力を感じ取る技だ。いわば、スカウターを使わずに相手の力を探り、場所や距離を測る能力だ。

 

「おや、どうやら地球に大きな戦闘力が複数居るようですね。孫悟空とベジータの気配は、無いようですね」

 

「じゃあ、フリーザの宇宙船に繋げるぞ。修行の成果、見せてほしいのじゃ!頑張るのじゃぞー!!」

 

「・・・ホントに余計な事を。しかし、強くしてくれた事には感謝したい位です。では」

 

ギドラはワームホールを生み出した。その先には、フリーザ軍の宇宙船にある司令室に繋がっている。

 

フリーザはその穴を通り、母船へ帰っていった。

 

ギドラは目を輝かせて、そのまま地面を見つめる。

 

「フリーザが地球に向かう前に、頂きま~す!!」

 

地面に噛み付き、そのまま大陸ごと食らう。そのまま地表を平らげ、大気圏を吸い込み、海を飲み干し、軈て星のマグマも飲み始めた。最終的には五分も経過しない内に、星を食い尽くしてしまう。

 

「ふむ。美味である!」

 

この後、折角生み出した星を食われた事を大界王神に怒られ、少し不機嫌になったそうだ。




はい、フリーザが変わるかもしれないフラグを立てて起きました。フリーザが変わるかどうか、というか変えるかどうか、悩んでますねぇ。このままセルも行っちゃいましょうかねぇ?


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帝王、地球に向かう

フリーザは自分専用の浮遊ポットに乗りながら、これから向かう地球を見ていた。これから因縁の相手に復讐が出来るというのに、彼等と戦える事にワクワクしている自分が居る。

 

(ホントにどうしたんでしょうね。この私にとって憎き敵である孫悟空とベジータを殺せるかもしれないのに・・・まるで私が、サイヤ人みたいな思考に染まっているみたいじゃないですか)

 

「フリーザ様?」

 

「何ですか?タゴマ」

 

「ホントに、復讐をするおつもりですか?それより、他の生き方があるのではないですか?」

 

タゴマの意見に対し、フリーザは怒る事無く答える。

 

「タゴマの言う事は分かります。しかし、けじめは着けたいのですよ。言葉にするのが難しいのですが、何時までも彼等に負けたままというのが気に入らないんです。せめて、彼等に一泡吹かせてやりたいのです。我が儘かもしれませんがね」

 

「どうしても、引く気は無いのですか?」

 

「ええっ。ギドラさんから色々教わってから、他にも楽しい事がある事を知りました。しかし、それらを楽しむのは、彼等にリベンジした後にしますよ」

 

「は、はい・・・」

 

タゴマは、目の前のフリーザを哀しい目で見ていた。もし復讐の為ではなく、ギドラという少女が言うような楽しみの為に生きてくれたら、彼はもっと大きく変われた筈だ。

 

孫悟空やベジータに会った事が無い、データで知ってるだけのタゴマ。フリーザが彼等にリベンジしたい気持ちは分からなかった。

 

(フリーザ様・・・もし叶うならば、彼等と和解してくれる事を・・・)

 

フリーザ軍は、誰もが外道とは限らない。良い奴が居なくても、それなりの信念を持つ者、それなりの正義感を持つ者、それなりの価値観を持つ者だって少なくないのだ。タゴマもその一人であった。

 

「さあ、地球に着きますよ。孫悟空やベジータの戦闘力が地球から感じない以上、其処に居る彼等は私の敵ではありません。ですので、私の存在をアピールしましょう」

 

フリーザは気を体から放出した。彼等はスカウター無しで高い戦闘力の接近が分かるのだ。体から放たれる気を感知して。

 

「さて、行きますよ」

 

フリーザがそう命じた後、船は地球に向かって降りていった。大気圏を難なく突破し、地球へ侵入した。フリーザの接近に気付いた者達は、すぐにフリーザの居る場所へ向かう。

 

その頃、ギドラはと言うと・・・地獄に来ていたのだ。

 

──────────────────────

 

「ふむ。お主が最も見込みがありそうじゃ!美味そうじゃが、此処で喰っては勿体無いのう!フリーザは鍛えたいから鍛えたが、お主は妾の餌じゃ!鍛えて鍛えて、妾が喰うのじゃ!」

 

地獄にて、ギドラはある相手と闘っていた。

 

「ぐっ・・・貴様に喰われるものか!」

 

その名は、セル。孫悟空、ベジータ、ピッコロ、フリーザ、コルド大王の細胞、更には複数の生き物の細胞を使用して生み出された人造人間だ。地球人が産み出した生物系の人造人間で、タイムマシンで平行世界の第7宇宙からやって来た存在。

 

この世界にやって来た理由は、二人の人造人間を吸収し、完全体となる為。その目的は成したが、結局は地球育ちのサイヤ人である孫悟空の息子、孫悟飯に倒されてしまった。

 

こうして地獄に落とされ、幽閉当然の生活を送っていた。

 

しかし、其処へギドラが現れ、こう言われたのだ。

 

『お主は妾の餌じゃ!鍛えて熟した後に喰ってやる!その代わり、孫悟空を超える位に強くしてやるぞ!』

 

と言われた。無論そんな欲求を受け入れる事なんか出来ない。セルは抵抗した。しかし、ギドラはセルの攻撃が効かない。全てすり抜ける。気も反らされる。というより、気功波は全て食べられた。

 

「なぁ、やっぱり喰わないから、その代わりお主を鍛えてやるぞ」

 

「信用出来ると思うか?」

 

「喰わんぞ。約束しよう」

 

ギドラは喰うのを諦めた。しかし、それはギドラの嘘である。

 

セルが更に成熟した強さを持てば、食べる予定だ。

 

異論は認めない、断じて認めない、妾が喰らう者だ。喰われる奴等は黙して従え。

 

ギドラはそう心の中で呟きながら、セルを鍛える事にした。

 

一方その頃、地球にようやく孫悟空とベジータが到着した。フリーザが生き返って地球にやって来た事を知り、ウィスやビルスと共に地球へ戻ってきたのだ。

 

──────────────────────

 

「漸く会えましたね。孫悟空、ベジータ」

 

フリーザは漸く、悟空やベジータと再会した。部下に任せようと思ったが、途中で彼等がやって来た為、自分で相手をする事にした。

 

「オ、オメェ・・・ホントにフリーザか!?」

 

「馬鹿な!?第一形態で何故其処までの気を!?」

 

悟空もベジータも、フリーザが短期間で強くなっている事に驚いていた。

 

「ホホホッ。ギドラさんから修行を受けたのですよ」

 

「なにっ!?あのクソガキ!!何を考えてやがる!?」

 

「へへっ。こりゃやべーな・・・」

 

「さて、いきなり最終形態になるのもありですが、此処で見せてあげましょう。第二形態をね!」

 

フリーザがそう言った瞬間、彼の着ていた戦闘服が砕けた。その後、身長が伸びていき、筋肉隆々の身体へと変貌していった。

 

フリーザの変身した姿、第二形態である。

 

「・・・へっへっへっ。覚悟しろよ孫悟空、ベジータ。ギドラさんからの修行の成果、此処で披露させてもらうぞ」

 

フリーザは闘いの構えを取る。悟空とベジータはそれぞれ超サイヤ人の形態となり、フリーザを迎え撃つ。しかし、二人は思い知る。フリーザは、想像を超えた強さを持ってしまっている事を。そして、フリーザに勝つために()()をやらなければならない事を。




タイムマシンで未来から来た言ってますけど、私からすれば平行世界を渡っただけのようにしか思えないです。セルの解釈は、自己勝手かもしれませんが、自分なりにそう思って設定少し変えました。


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鋼の神、因縁と出会う

一方界王神界では、ハルオは界王神達のおやつの時間になった為、和風菓子を用意した。

 

『シン様。大界王神様。大福とお茶をお持ちしました』

 

シンとは、界王神の本名だ。

 

「はい。ありがとうございます。ハルオ」

 

「ハルオよ。儂の事を大界王神と呼ばんでええぞ。儂はそんな立ち位置に居る訳では無いのじゃから」

 

『いえ。界王神様方の中でも最年長ですので。それに、シン様と違い、大界王神様は本名を明かしてくださりませんので、暫定で大界王神様と呼ばせて頂きます』

 

「そうか。まあ呼び方はそれぞれじゃ。お主も好きに呼んで構わんぞ」

 

『ありがとうございます』

 

ハルオはすっかり、界王神界での生活に馴染んで来た。彼等が星を創造するのを見学したり、シンの修行に参加したり、一つだけある家の家事を行ったりと、充実した毎日を送っていた。

 

たまにビルスの星へ行き、たまに居なくなるギドラと出会えば手合わせを行ったりもした。勿論、ビルスやウィスも交じっている。

 

ハルオは、いつの間にかゴジラへの執着が何処かへ飛んでいこうとしていた。もしこのままの生活を後数年程続けて居れば、ゴジラへの執着も失せた事だろう。

 

しかし、時と現実は残酷である。

 

この界王神界に、他の宇宙からやって来た破壊神と付き人、そして彼等の連れである破壊の王が訪れてしまった。そして、ハルオはゴジラの接近を感知してしまった。

 

『っ!ゴジラの反応あり!即座に排除します!』

 

ハルオは四肢に砲台を生やした。そして、自身のレーダーの範囲内に居るゴジラに向かって飛び立とうとした。

 

「ハルオ!?どうしたのですか!?」

 

シンが彼女を掴んで止めた。

 

『ゴジラの反応を確認しました。排除します』

 

「待つんじゃ!お主の言うゴジラは、何処におる!?此処は界王神界じゃぞ!?此処にゴジラが居ない事は───」

 

「おいお前ら。アースの事を話してんのか?」

 

界王神達は声のした方向を向いた。其処には、破壊神シャンパとその付き人の天使であるヴァドス、そして隣にはナイスバディの女性が居た。

 

「どうやらあのメイドの少女は、アースさんを知っているようですよ?アースさんは、何かご存知ではなくて?」

 

ヴァドスは女性に問い掛ける。女性は何の意味か解らない為か、首を斜め右に傾げた。

 

「余は知らぬ。何者だ?」

 

ハルオは落ち着いたのか、シンの拘束が解けた後に自己紹介を始めた。

 

『お久し振りです。ゴジラ。私は対ゴジラ超重質量ナノメタル製造決戦兵器メカゴジラ。そして現在の名は、『ハルオ・サカキ』と申します』

 

「ハルオ?もしやそなたの名は、余に幾度と無く戦いを挑み、最後には余へ突撃して自爆した青年の名か?」

 

『はい。しかし、此処で会えたのも因縁です。此処で貴女を殺して差し上げます』

 

ハルオが両手から武装を展開しようとした、その時だった。

 

ハルオはシンに両腕を掴まれて、無理矢理止められた。

 

「待ってください!今はシャンパ様の前です!決着はまた後でも宜しいではないですか!」

 

「そうじゃ!今は大人しくしておれい!」

 

『・・・申し訳ありません。取り乱してしまいました。それに、そちらのお方は身体は肥満ではあるものの、顔や身体の特徴を見る限り、ビルス様と類似する点が多く存在しています。結論、貴男はビルス様の双子と認定します』

 

「肥満は余計だ!」

 

「オッホッホッホッ」

 

シャンパが怒鳴る。そしてヴァドスは笑う。

 

「シャンパ。その様な漫才をしに来た訳では無かろう。本題を話せ」

 

ゴジラは呆れる。そして、本題に入るようシャンパに命じた。

 

「命令すんな!ったく・・・まあ此処に来たのは、ビルスに会いに来たからだ。彼奴の星に行ったけど居ねえからよ」

 

『申し訳ありません。此方にもおりません。ビルス様は現在、二人のサイヤ人と共に地球におります』

 

「おや、ありがとうございますハルオさん。シャンパ様。如何なさいますか?」

 

「当然会いに行く!」

 

シャンパがそう言った後、シャンパとアースはヴァドスの背中に手を当てる。ヴァドスが杖で地面を突いた瞬間、三人は光の輪に包まれた。その後、光の柱となり、宇宙の彼方へ飛び去っていった。

 

『・・・ゴジラを仕留め損ないました。しかし、あのまま行けばシャンパ様に殺されていたかもしれません。すみません、シン様。大界王神様』

 

「気にせんでええ。次は気を付けてくれれば大丈夫じゃよ」

 

「そうですよ。ハルオは気にしないでください」

 

『ありがとうございます』

 

その後、復活したフリーザが地球にやって来ている事を知った三人は、水晶玉を通して見つめる事にした。まず水晶玉に映ったのは、お互いにボロボロになりながらも、未だに立っている悟空とベジータ、そしてフリーザの三人であった。



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帝王、力を解放する

復活のFなのに、フリーザが主役ではないこの頃。


「やりますね・・・孫悟空、ベジータ」

 

「へへっ・・・オメェもな、フリーザ!」

 

「くそったれ!ムカつく野郎だぜ!」

 

悟空とベジータは、何と珍しい事に二人でフリーザと戦っていた。始めは悟空だけで戦っていた。第二形態、第三形態のフリーザは苦戦したものの、上手く戦う事が出来た。しかし、最終形態になると話は別だった。

 

最終形態のフリーザは予想以上の強さで、見兼ねたベジータが乱入し、2対1の闘いに発展したのだ。

 

二人は切り札である青い超サイヤ人の姿となり、フリーザを押していた。青い超サイヤ人になる前は苦戦したが、青い超サイヤ人───超サイヤ人ブルーになる事で形勢逆転。フリーザは一気に押され始めたのだ。

 

「・・・ギドラさんに鍛えられてから、私の中で何かが変わったような気がしますね。今、復讐事態がどうでも良い気がします。ただ、お二人に勝ちたい。そんな気持ちだけが、今の私に力を与えて居るようですね・・・此処で負けたくない。貴男達に勝ってみたい!」

 

悟空は、フリーザの言葉に首を傾げた。とてもフリーザとは思えない発言に、どんな言葉を掛けてれば良いか迷っているのだ。戸惑っているのは、悟空だけでない。

 

「な、なんだ?あれはホントに、フリーザなのか?」

 

ベジータも何がなんだか分からない。その後ろで見ている者達も、フリーザとは思えない発言に戸惑っている。

 

それは、彼等の更に後ろでイチゴサンデーを食べているビルスやウィスも例外ではなかった。

 

「ほう。フリーザにしては珍しいじゃないか」

 

「ギドラさん、フリーザを鍛えた際に何を教えたんでしょうかねぇ?」

 

二人は面白がっているが、内心驚いていた。フリーザは極悪人という印象がある為、未だに信じられなかった。

 

「では、私の本気を見せてあげましょう。ギドラさん。この形態、此処で使わせて頂きます!ハアアアアアアアアアアアッ!!」

 

フリーザは気を解放した。全身から放出される気の圧力に、悟空もベジータも顔を青くした。

 

「なにっ!?」

 

「オメェ・・・どんな修行をしてきたんだ!?」

 

そして、フリーザはその姿を変えた。姿自体は最終形態のままだが、身体が金色に輝き始めた。そして、身体の色も黄金となり、気も遥かに上昇していた。

 

「これが、私の新たな形態『ゴールデンフリーザ』です。在り来たりな名前ですが、それ故に呼びやすいでしょう?」

 

フリーザは尻尾を揺らし、腰を深く落として戦闘態勢に入る。

 

「この形態は長く無いのです。ですから、最初から全開で飛ばしますよ!!ハアアアアアアアアアアアッ!!」

 

フリーザは悟空とベジータに向かって跳んだ。

 

始めにターゲットにされたのは、ベジータだ。

 

「なにっ!?」

 

ベジータはフリーザの動きに着いて行けず、頬にフリーザの拳を受けてしまった。そのままフリーザは、腹を殴った後に膝でベジータの胸を強く打つ。そのまま回転して尻尾でベジータの首を絞めると、蹴りを放ってベジータを吹き飛ばした。

 

「ベジータ!!」

 

悟空が横から入るが、フリーザはすぐに彼の接近を見抜く。

 

悟空が拳を放った瞬間、フリーザは余裕で避けた。そして、顔面に右ストレートを浴びせて、悟空を空中で回転させる。悟空は自分の突撃した勢いで回転を止められず、地面に落ちて尚も転がり続けた。地面で十回も回転して漸く止まる。

 

「ぐっ・・・やっぱオメェ強えな。たった一撃でこれとはよ」

 

「くそったれ!フリーザごときに此処までやられるなど!!」

 

「っしかたねえ!オラの奥の手を使うぜぇ!ハァァァッ!!界王拳!!」

 

それは、悟空が身体に大きな負荷が掛かる為にずっと封印し続けていた、北の界王から習った『気を限界まで高めて一時的に戦闘力を底上げする技』なのだ。

 

あの世に居るライバルであるパイクーハン相手に使用した事があるが、あれは超サイヤ人ブルーではない為に身体に余計に負荷が掛かった。しかし、穏やかなブルーならば、身体への負荷が減ると考えたのだ。

 

悟空はフリーザに勝つ為、界王拳を十倍まで使用する。

 

「行くぞ!フリーザ!」

 

「なら私も、ゴールデンフリーザ+フルパワーで行きましょう!!行くぞぉ!!孫悟空!!」

 

フリーザも力を最大にまで解放する。かつて使用したフルパワー状態と、ゴールデンフリーザを掛け合わせた。勿論そんな事をすれば身体に大きな負荷も掛かるし、気の消費も激しい。しかし、フリーザは全てを使い尽くすつもりでいた。身体が壊れても良い。このまま死んだって良い。

 

それでも・・・・

 

 

「私は貴様に、必ず勝つ!!!」

 

「オラも負けてらんねぇぞ!!」

 

二人は最後の闘いに移る。お互いに身体を壊す勢いで、死ぬかもしれない程に力を解放して、大きな闘いに身を投じる。そして、その様子はあの世の地獄でも中継されていた。

 

──────────────────────

 

『おおおおおおおおおっっ!!!』

 

地獄では、大きな歓声が響いていた。多くの悪人や罪人が、彼等の闘いを見て興奮していた。

 

「良いぞフリーザアアアッ!!やれえええ!!」

 

其処で、フリーザの父親コルド大王も、息子のフリーザの闘いを見ていた。復活した息子が勝つ事を祈り、力の限り応援していたのだ。

 

地獄に居る悪人達も、自分が悪人である事を忘れて、一つの硝子に映し出された悟空とフリーザの闘いを見て興奮していた。彼等に邪悪な心はほぼ皆無であった。激しい闘いを見ていた彼等の心が興奮して、いつの間にか悪の考えを払拭させていたのだ。

 

そして、悪人の一人であったセルも、地獄へセルを鍛えに来たギドラも、闘いの様子を見ていたのだ。

 

「フリーザが彼処まで強くなるとはな・・・」

 

「忠告したのに危険な事をしおって。あのままじゃフリーザは死ぬぞ」

 

「だろうな。これもお前のトレーニングの成果か?地獄で見ていたが、私も頑張ればフリーザを超えられるか?いや、出来るだろうな。私にはフリーザやコルドの細胞もあるのだからな」

 

ギドラはセルを見て、少し睨む。

 

「な、何だ?」

 

「セル。お主はフリーザの姿を目指す必要は無いぞ。お主はお主の形態になると良い。お主は複数の細胞から生まれておるが、お主は自分の技と呼べるものはあまり持っておらぬじゃろ?」

 

「何が言いたい?」

 

「自分の技を身に付けて見ると良い。妾も自分の技を持っておるのじゃ。じゃから、お主に出来ない筈が無いのじゃ!」

 

「私自身の技・・・か。成る程。フリーザや孫悟空、ベジータ、ピッコロも自分の闘い方を持っていた。彼等に出来て私に出来ない筈が無いか」

 

「うむ!そしてお主が成熟した暁には、妾が喰ってやるのじゃ!」

 

「喰えるものならやって見ると良い。私は貴様に簡単に喰われる程、柔ではない」

 

二人がそんな会話をしている間に、画面では大盤振る舞いが起きていた。騒ぎ出す観客達。

 

「何じゃ?孫悟空とフリーザの・・・・・」

 

「何だ?フリーザが勝った・・・なにっ!?」

 

ギドラとセルは驚愕していた。二人が驚いた理由は少しだけ違っていた。共通しているのは・・・

 

 

 

フリーザと悟空が一人の女性によって、アッサリと取り押さえられた事に、驚いている事だった。その女性は、爆乳に細い括れに安産型の完璧なスタイルだが、四肢は大きく盛り上がった黒く(正確には、黒みがかった青緑色)盛り上がった筋肉の付いた四肢と、鋭い爪のある手足。妖艶さと力強さのあるその女性からは、画面越しでも解る程の強さを発していた。

 

 

地獄に居る悪人達は最初、その女性の体に興奮したが、女性が二人を取り押さえた事で、恐怖に怯える小動物の顔に変わる。

 

セルも、その女性の強さに驚いていた。しかし、ギドラは驚愕と歓喜に満ちた表情で、女性を睨む。

 

「何故だ・・・何故貴様が其処に居る!?じゃが嬉しいぞ!!ゴジラァァァァァッッ!!!」

 

歓喜の声を上げた後、ギドラは空間に穴を開けて、ゴジラと呼んだ者の元へ向かった。その様子を見ているしか出来なかったセル。

 

「奴が彼処まで・・・あの女と何の因果がある?」

 

セルは改めて女性を見る。恐らく、ギドラに着いて行かなかった方が懸命と判断したセルは、地獄で大人しく観客として居座る事にした。その女性の後ろに居る、破壊神ビルスそっくりな破壊神や細身の女性にも注視しながら。



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破壊の王、降臨する

前回、ギドラがゴジラ・アースを見つけた事の反応で疑問を抱かれたので、訂正しました。あの時の反応としては、怒りよりも“また奴を食べられる”という喜びの反応の方が大きいなと判断しましたが、可笑しいならまた訂正したいと思います。


それは、一瞬の出来事だった。悟空とフリーザは一瞬にして、アースによって捕らえられた。アイアンクローを喰らいながら、地面に押さえつけられて居る。

 

時は三十秒前に遡り、シャンパとアースが、ヴァドスと共に地球へ降り立った所から始まった。彼等を待ち受けていたのは、自分達に襲い来る衝撃波と砂埃であった。

 

その原因は、彼等の目の前で戦いを繰り広げる二人の男。勿論、孫悟空とフリーザの事だ。最後の戦いに入ってから一分が経過した時の事だ。

 

「うるせぇな。破壊してやろうか?」

 

あまりにも煩く砂埃が鬱陶しいシャンパは、その原因である二人を破壊しようとした。しかし、アースがそれを止めた。

 

「待てシャンパ。余が奴等を止める」

 

「あっ?俺の邪魔をすんなよ」

 

「わざわざ破壊しなくとも、取り押さえてしまえば問題無かろう。なにすぐに終わるさ」

 

「ふん。好きにしろよ。その代わり負けたら破壊するからな」

 

「もし負けたのなら、喜んで。ただ、もしそうなったら子供達を頼む」

 

アースはそう言った後、二人の元へ歩き出す。悟空とフリーザは全力を出して戦い続けている為か、アースの接近に気づけなかった。

 

「でゃあああああああーー!!!」

 

「きええええええええーー!!!」

 

地上に降り立った二人は、お互いに握り締めた右の拳で殴ろうとした。既にその横にゴジラが居るにも気付かないままで。

 

ゴジラは二人が殴ろうとギリギリまで接近した瞬間に、彼等にアイアンクローを食らわせた。そして、そのまま地面に叩き付ける。

 

「大人しくしろ。シャンパに破壊されたいのか?」

 

二人は何が起きたか理解出来なかった。取り押さえられたと分かった時、必死に抵抗した。しかし、二人がどんなに足掻いても、自分の顔を掴む腕を叩いても、その拘束から逃れられない。

 

「な、なんだ貴様!?」

 

「カカロットとフリーザを、取り押さえただと!?」

 

ピッコロとベジータは、突然現れたアースに驚いた。ピッコロは名を尋ねるが、アースは答えない。ベジータは最大にまで強くなった悟空とフリーザを取り押さえた女性の強さに、恐怖を感じてしまう。

 

「ふん。まあそなた等を押さえに来た訳ではない」

 

そう言ったアースは、二人を離した。二人は元の姿に戻っており、戦意も消失していた。

 

「オメェ、誰だ?」

 

「私達を押さえ込むなんて・・・何者ですか?」

 

二人の問いに、アースは迷う事無く答える。

 

「余は『アース』。余は地球が産んだ存在故に、シャンパよりアースと名付けられた。シンプル過ぎて少し引いたがな」

 

アースがそう言った後、何かを感じて後ろを振り返る。

 

其処には、涎を口から垂らし続けて自分を見つめる少女の姿があった。

 

「ゴ~ジ~ラ~!!妾に喰われに来てくれたか!!」

 

「っ!!!?馬鹿な!?貴様はあの時の三つ首の龍!?死んだのでは無いのか!?」

 

「頭がやられただけじゃ!それに妾があんな事で死ぬ筈が無いのじゃ!」

 

「頭だと!?あれが全身ではないのか!?」

 

「如何にも!妾を倒した等と、その気になっておったお前の姿はお笑いじゃぞ!ナーッハッハッハッ!」

 

ギドラは高らかに笑う。

 

「さて、お前をまた喰ってやるぞ。ゴジラ。お前が此処に来ておったのは意外じゃが、安心するのじゃ!美味しく食べてやるからのぅ!」

 

「いや、お前に喰われてたまるか!」

 

ゴジラとギドラは、それぞれ戦おうとした。ギドラはアースの元へ涎を垂らしながら駆け出し、ゴジラは背中の背鰭から青白い電光を纏い、攻撃しようとした。しかし、攻撃を放とうとした瞬間に、それぞれの破壊神の付き人に止められる。

 

「「其処までです!!」」

 

ウィスとヴァドスが、ギドラとアースの間に杖を突き出す。

 

「ギドラさん落ち着いてください」

 

「何故じゃ!妾の大好物が目の前におる!喰わなければ損なのじゃ!」

 

ウィスに止められたギドラは、地団駄を踏みながらアースを食べたいとごねる。

 

「アースさん。貴女、下手に暴れて星を汚染させる気ですか?」

 

「すまないヴァドス。天敵が目の前に現れて、動揺していた」

 

ヴァドスがアースを睨む。アースは、ヴァドスの目線の迫力に押されて落ち込んだ。

 

「今は我慢してください。さもないとおやつ抜きにしますよ」

 

「ぬぁぁぁーー!!それは嫌なのじゃー!!分かった!!分かったのじゃーー!!おやつ抜きは嫌なのじゃーーー!!!!」

 

ギドラはしゅんとなる。お楽しみであるおやつが食べられない事が、ギドラにとってきつい修行よりも悲しい事なのだ。

 

「オラ達・・・空気じゃねえか?」

 

「その様ですね・・・」

 

その後、落ち着いた彼等は取り敢えずその場は大人しく解散する事に。

 

フリーザは母船に乗って、惑星フリーザへ帰って行った。後から耳に入った情報では、フリーザは地上げ屋を廃業して、銀河パトロールとは別の治安維持軍を結成したそうだ。更に、食による町起こしならぬ星起こしを始めており、宇宙全体から集めたグルメで賑わっている。ギドラとの修行や、孫悟空との闘いで何かが変わったのだろうが、それは今のギドラ達には知る由も無い。

 

因みに、ギドラはフリーザの恩師という事もあって、惑星フリーザに来てはフリーザがお礼も兼ねてご馳走するようになったそうだ。

 

─────────────────────

 

「では改めて紹介しよう。余はアース。ギドラの言う通り、余はゴジラである。かつては文明の破壊をし、星を占領していた。今はシャンパの星で、沢山の我が子達と一緒に暮らしている」

 

場所は変わって、ビルスの星。悟空とベジータは成り行きというか、ギドラに無理矢理連れて来られた。

 

そして、此処に何故かシンやハルオまで来ていた。理由としては、「ゴジラを監視したい」とハルオが言った為である。

 

先ず最初に、アースが自己紹介を始めた。その後、シャンパが絶望を味わわせると言って、ドンドンドリの卵を茹でて作ったゆで卵をビルス達にご馳走した。

 

ハルオは最初、受け取りを拒否しようとしたが、シンが食べてみてくださいと言った為、共に食べる事に。

 

(見た目通り、普通の卵だが?)

 

ベジータは色んな食べ物を食べてきた。故に、今食べた卵は、鶏のゆで卵と変わらない味であった。

 

「美味ぇ!」

 

「んまぁ~」

 

悟空とギドラは満足。

 

『栄養価、脂肪分、たんぱく質が一日分。及び野菜に含まれる栄養分全てを凝縮し、バランスに優れた食材な上、甘味と歯応えのある旨味を確認。健康に害する事の無い理想の食材と判明。ドンドンドリの卵を、以後健康最良食材として記録致します。人々が求めた理想の天然健康食品です。非常に優れた発見です』

 

「確かに、これ程美味しいとは!」

 

シンも満足していた。

 

「クククッ!だろうだろう!?第6宇宙が正に、上手い物の天国だよな!」

 

そう言うシャンパだったが、ビルス達から更に美味い(健康かは兎も角味は美味い)カップラーメンをご馳走されてバクバク食べたのは、言う間でもない。




アースとギドラについて調べたら、ゴジラ・アースは進化し続けたらギドラと同じ領域に入るそうですね。このゴジラは不完全ながら、その領域に入ってます。本当ならギドラとゴジラを闘わせて見たかったのですが、お楽しみは第6宇宙との試合に持ち込みです!ルールは天下一武道会と同じでしたけど、別にそんなルールに拘る必要ありませんよね?殺さないなら(ドヤ


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破壊神シャンパ編 黄金、試合参加を願う

食事の後、美味い食事を作れるのは地球人と知ったシャンパは、第6宇宙に地球が無いか調べるようヴァドスに命令した。ヴァドスはウィスと共に杖に映る映像を見続ける。そして、ようやく地球を見つけ出す事に成功したのだが、彼等は馬鹿な争いの果てに滅びてしまったそうだ。すると、それに対して機嫌を損ねたシャンパは、ある事を提案してきた。それは、お互いの宇宙から選び出した六人の選手達による団体戦を行おうというものだった。

 

理由は、シャンパの治める宇宙にある地球が滅びているのが許せず、ビルスの宇宙にある地球と自分の宇宙にある地球を取り替えようという無茶苦茶な理由だった。

 

それに対して怒る者が居た。ギドラだ。彼女は地球のグルメを愛している。それ故に、シャンパの提案を誰よりも嫌がった。

 

「嫌なのじゃーーー!!!!美味いものを作る地球人が奴等に取られるのは嫌なのじゃーーー!!!!ビルス!!受けてたとう!!こうなったら妾だけで全員蹂躙してやるううううーーー!!!!」

 

「ええい!落ち着けよギドラ!それに第一、どうやって地球を入れ換えるか聞いておらんだろうが!」

 

ギドラを後ろから捕まえるビルス。両腕を抑えて居るが、ビルスより強いだけあって自分の腕が引きちぎれそうになる。

 

「しつけぐらいしっかりしろよなぁ。まあ良い。地球を入れ換える方法なら、当然あるぞ。こっちには長い時間を掛けて集めた、『願い玉』がある!」

 

「「シャンパ/シャンパ様!!」」

 

「煩い!」

 

シャンパは、アースとヴァドスが何か言おうとする前に止める。そして、話の続きを話す。

 

「今俺の手元にある願い玉は六つだが、後一つで全部揃う。全部揃えばどんな願いも叶う代物だ」

 

「ベジータ。それって、ドラゴンボールみてぇだな」

 

「ああっ」

 

「ドラゴンボール?もしやそいつは、ナメック星人が作った願い玉の事か?」

 

悟空の言葉を聞いたシャンパが、悟空にドラゴンボールと願い玉が同じ物かどうか訊いた。

 

悟空は首を縦に振る。

 

「やっぱりな。それは、大昔にナメック星人が大きな願い玉の欠片から生み出したんだ。謂わば、願い玉の子供みたいなもんだ」

 

「本物を見た時、余は目を疑ったのだ。ナメック星の願い玉とは比較にならん。本当の意味で願いの星というべき大きさだ。大きさにして直径37196.2204㎞。簡単に言えば惑星規模の大きさなのだ」

 

「アースの言う通りだ。どうだビルス!六つの願い玉が・・・お前らのネーミングセンスで言えば超ドラゴンボールが、最早俺様の手の内さ!どうだ!?悔しいか!?チョー悔しいだろ!?やっぱ俺の方がすげぇだろ!?」

 

シャンパが勝ち誇っているが、ドラゴンボールは七つ揃わなければ意味がない事を知っているビルスは、ふんと鼻で笑う。

 

しかし、悟空が提案を出した。ベジータの妻であるブルマならば、その超ドラゴンボールを探し出せるレーダーを作れると。

 

そして、超ドラゴンボール及び地球の運命を掛けた格闘試合を始めるとなると、三人が黙ってなかった。ビルスは三人に、試合に出るかどうか問い掛ける。

 

「悟空、訊かなくても解るけど、試合出たいか?」

 

「ああっ・・・・・・よっしゃあーー!!オラワクワクすっぞ!!」

 

「ベジータは?」

 

「・・・はい!やらせて頂きます!」

 

ベジータも強い相手と戦える喜びに満ちているし、実戦を得てこそ修行になると思っている。何より愛するブルマが住む地球と、向こうの荒廃した地球を交換させられるならば、阻止する為に戦わなければならない。

 

「で、ギドラは?」

 

「妾もやるのじゃ!」

 

「・・・良いだろう。やってやろうじゃないか」

 

しかし、此処で思わぬ参加者が現れた。

 

『その格闘戦。私も出場可能ですか?』

 

「ハルオ!?」

 

シンは、突然ハルオが参加を申し出た事に驚いた。

 

「お前がか?俺は別に人数が揃えば良いけどよ」

 

「僕も構わないけど、何で君は試合に出たいんだ?」

 

『自分自身を強くするには、闘いの中で学習する事が最適と判断致しました。そして何より、この手でゴジラ。貴女に勝つ為です』

 

ハルオはアースを睨む。アースもまた、ハルオを見つめて何か思う所があるのか、少し考える仕草を取る。

 

「やはり、そなたはあの青年と同じだ。シャンパ。ヴァドス。余はこのハルオ・サカキと戦ってみたい。そしてギドラよ。あの時は圧倒されてしまったが、今度は余が貴様を倒す」

 

アースは拳を握り締める。

 

「まっ、妾の勝ちは揺るがんのじゃ!」

 

「それは今の内に言っているがいい」

 

『必ず勝利します。シン様。どうか、出場の許可を』

 

ハルオはシンに出場許可を求めた。シンはため息を吐いた後、ハルオに返事を返した。

 

「構いませんよ」

 

『ありがとうございます』

 

すると、悟空がルールを提案してきた。

 

・場外に落ちたら負け。

 

・武器の使用を禁止する。

 

・殺したりするのは反則負け。

 

そのルールに疑問を言う者が居た。ギドラ、ハルオ、アースの三人であった。

 

『武器の使用を許可して頂くようお願い致します。殺さないのならば、武器を使用しても問題無い筈です』

 

「余もそれで構わない。それに、武器を使っても殺さないなら構わんのではないか?」

 

「妾も同感じゃ。それに、試したい技も幾つかあるからのう」

 

『天下一武道会。一度調べてみましたが、あのルールに拘る必要は無いかと思われます。殺さない事、場外負けの二つのみに絞る事を推奨します』

 

「う~ん・・・」

 

「まあ良いじゃないか悟空。僕はそれで問題無いよ」

 

「そうだな。じゃあ試合は一週間後だ。それまでに俺達で舞台を用意しておくからよ。それまでに他のメンバーを決めておくんだな。おい、ヴァドス、アース。行くぞ」

 

シャンパがそう言った後、ヴァドスとアースが彼の傍に寄る。

 

「それなら、余を一度シャンパの星に帰してほしい。我が子達に話を通さねば」

 

「かしこまりました。シャンパ様も構いませんね?」

 

「ああっ。んじゃーなービルス!」

 

シャンパ達はそう言った後、ヴァドスの手によって第6宇宙へ帰って行った。

 

「・・・ったく、あいつが居るとホント反りが合わないな」

 

ビルスはシャンパ達が帰った後に、軽くシャンパをディスった。

 

──────────────────────

 

あれから五日後、ギドラは地獄にやって来ていた。無論、セルに会いに行く為だ。

 

セルを鍛えるだけでなく、自分が体験した事を彼に話したりするのも、ギドラの楽しみになっていた。何時かセルを喰う時が来るまでに、話せるだけ沢山お話をする。

 

「ほう。別の宇宙の破壊神か。そしてお前は因縁に出会ったという訳か」

 

「そうなのじゃ!妾としては大好物が向こうからやって来たようなものなのじゃ!」

 

「ふっ。私を鍛えると言っておきながら、お前は他の宇宙に目を向けて居るとはな。私もウカウカしてはおられん」

 

「妾も強くなるし、お主も強くしてやるのじゃ!何時かお主を喰う為にもな!」

 

ギドラはツインテールを揺らしながら、セルに微笑んだ。ギドラの笑顔が放つ魅力が、セルの心を槍のように貫いた。セルに性的欲求は無い。しかし、セルはギドラに対して、不思議な思考を持つようになる。

 

彼女の傍に居たい。いやそれ以上に、『彼女になら喰われても構わないのでは?』という思考に囚われるようになる。

 

「さあ、修行を再開するのじゃ!」

 

「・・・・・・」

 

「っ?どうかしたのかのう?」

 

「なっ!?」

 

ギドラはセルの顔に近付く。お互いの息が最も掛かる距離だ。ギドラがセルを見上げるように見ていたが、何故かセルにはその姿が魅力的に見えた。

 

「いや・・・何でもない」

 

セルは、自分がギドラを見るのが暫く堪えられなくなる。

 

(私は・・・彼女に何を思っているのだ!?)

 

セルに性的欲求は無い。恋愛感情も湧かない。そういう感情がインストールされた訳ではない。自分は作られた存在だ。

 

そんな思考は無い筈だった。

 

しかし、セルは気付いていない。

 

ギドラに対し、愛と言うべき思いを抱いている事を。

 

しかし哀しいかな。ギドラには生物が持つ性欲は無い。故に、セルの感情に気付けたとしても、恋愛対象として見る事は無いのだ。

 

そんな複雑な空気の中、ギドラとセルの修行は続いた。



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鋼の神、自らを鍛える

界王神界で、ハルオは自らを鍛える為にあらゆる事をやってみる事にした。ずっと前にベジータとギドラが闘った。その時のデータがハルオの中に保存されている為、その動きを学習した。

 

その上で、ハルオは大界王神の前に座ったままで居た。大界王神は、ハルオに向けて両手を翳している。その間に、下に置いたエロ本を読んでいる。

 

ハルオが現在やっているのは、大界王神が持つ『相手の力を限界を超えて引き出す能力』によって自分の力を高める事だった。

 

サイボーグであるハルオに出来るかは解らないが、ダメ元でやってみる事にした。

 

「むふふ・・・おっ?んふふっ・・・」

 

エロ本に視線を向けており、ホントに大丈夫か心配になりそうな光景だ。しかし、実はちゃんと効果が出ているのだ。

 

『エネルギー増幅・・・各回路自動修復開始。完了。現在エネルギー充電中・・・現在のエネルギー量四百%・・・六百%・・・九百%・・・千%越えました・・・』

 

ハルオの内包するエネルギーが、以前よりも増幅していた。この世界における力の源である“気”の力が、ハルオの中に沢山内包されていたのだ。ハルオが『メカゴジラシティ』の時に取り込んだ人間や野生動物、そしてビルサルドの者達は数多かった。その者達の生命エネルギーもハルオの中で渦巻いており、今尚躍動していたのだ。そしてその中でも、ハルオにゴジラと闘うよう仕向けている生命エネルギーが、幾つか存在していた。一つは『ゴジラを倒す為に怪物になれ』と騒ぐ生命エネルギー。もう一つは、『人としてゴジラを倒す』と反抗する生命エネルギー。

 

ハルオは気付いていない。彼女の名を持つその青年が、今もハルオの中に居る事に。

 

「・・・よし。もうええぞ」

 

ハルオは目を開ける。そして、自分の両手を確認した。自らの中に眠るエネルギー───“気”を測定する為だ。

 

測定した結果、ハルオは自分の内包するエネルギーが増幅している事を知った。それを内包する自身の耐久力も上がっている。気が増幅する内に、ハルオは意識しない内に身体のアップデートと補強及び強化を行っていた。そのお蔭で、十分前とは比較にならないエネルギーを内包出来るようになっている。その上、エネルギー行使の限界使用量まで計れた。

 

『現在のエネルギー内包量1022203911.009%。以前のエネルギー質量の約四百倍にまで上昇しました。感謝致します。大界王神様』

 

「ふむ。後はお主次第じゃ。他に何かあるかのう?」

 

『シン様は、星や生命を創造する事が出来ると仰られました。ならば、どんな物質も創造する事が出来るのですか?』

 

すると、ハルオの言葉に答えるようにシンが現れた。

 

「はい。私達界王神は、星を創造するのですから、事実上どんな物質も創造可能です」

 

『ではお願いしたい事があります。シン様の知る物質の中でも強力なものを可能な限り生み出して欲しいのです。更にお願いですが、“ナノメタル”の複製をお願いしたいのです』

 

ハルオは、自らを改造する事によって更なる強化を施すつもりだ。

 

「はぁ。それなら構いませんが、ナノメタルですか?ハルオの話では、あらゆる物質と融合して増殖する金属でしたよね?」

 

ナノメタル。自立思考金属体。あらゆる物質と分子レベルで融合する事によって増殖していく金属だ。ハルオがメカゴジラだった頃、メカゴジラ開発プラントごとアースによって破壊されたが、頭部ユニットは生きており、二万年もの長い間に増殖を続けてプラントを複製した。二万年の時を経て、更に規模を拡大して膨大な量に増えたのだ。

 

リスクがあるとすれば、生物の体も侵食出来る事だ。フツアの民は、ナノメタルを毒と呼んでいた事も、強ち間違いではない。

 

「しかしのう。ナノメタルは聞いた限りじゃかなり危険じゃよ。お主の体の半分は人の細胞で出来ておるが、もう半分は街一つ分のナノメタルなんじゃろ?つまりお主は、自分が触れた者、或いは触ってきた者にナノメタルを寄生させる事も出来るんじゃ。それなのに何故ナノメタルを創るよう頼むのじゃ?」

 

『かつてビルサルドは、ゴジラに至る為にナノメタルを使おうとしました。ナノメタルはあらゆるものを取り込みますが、制御は可能です。私は、ナノメタルを危険と認めた上で、この物質を完全に制御したいのです。実際、ビルサルドもナノメタルを自在に扱う事が出来たのです。そしてナノメタルを使うのは怪物になる為でも、ゴジラに至る為でもありません。何故なら私は、お二人を、地球を、大切な人々を、そしてこの宇宙を守りたいからです。例えそれが、幾千も裏切られようと』

 

「・・・分かりました。ハルオの決意、確かに聞き届けました。やりましょう!」

 

シンはそう言うと、目の前に自分が考えられる最強の物質を創造した。更に、ハルオの注文したナノメタルもブロック状にして三十個も転がっていた。界王神界を侵食しない辺り、シンが融通を効かせたのか、或いはナノメタルが界王神界を侵食出来ないだけなのか。いずれにせよ、ハルオにとっては好都合であった。

 

『ありがとうございます。これで新たな武装の展開も可能です。ではシン様。大界王神様。説明をお願いします』

 

「はい。先ずお分かりかと思いますが、これはハルオの注文通り、“ナノメタル”です。三十個程用意しましたので、足りなかったら言ってください。出来る限り用意します。そしてこの草は、『シュンシュン草』と呼ばれる星のエネルギーを感知して瞬間移動する草です。そして此方は『カッチン鋼』。宇宙で一番硬い金属ですよ」

 

「これは『電磁鰻』の皮じゃよ。並の体ならこいつの電磁波を受けただけで全身の細胞が死んでしまうぞ。皮自体も強力な電磁波を持っておるから、界王も迂闊には触れられんのじゃ。他には・・・」

 

シンと大界王神は、様々な物質や生き物の皮や骨等を紹介した。どれも新たな武装を造り、その上自身の強化には持ってこいの物ばかりだ。全てが前の世界には無かった良質な素材である。

 

『ありがとうございます。では、早速強化を行います』

 

ハルオはそう言うと、シンが用意した物に手を伸ばした。

 

──────────────────────

 

『ハルオ・サカキ。発進します』

 

ハルオは足や腰、背中に展開した反重力エンジンを展開した。能力が向上した事により、今では舞空術と何ら変わらぬ浮遊能力を得る事が出来た。

 

その上界王神界を僅か五十秒で回れるようになるほどに、速度が速くなったのだ。

 

ナノメタル身体を変形させる事で飛行中に旋回も可能になった。細かい旋回も可能だ。

 

弾薬は“気”を使用している。射撃訓練の際には、的となる円の中心をずれる事無く撃ち抜いた。指先から気を放つ事、更に回転も加えて貫通力を増すようにした。

 

他にも、ナノメタルを応用したトラップや兵器、更にはかつての兵器であるEMPハープーンや、実装されなかったミサイル、そして小型化した遠隔操作型起動兵器ヴァルチャーを次々と創っていき、自分の身体に取り込んでいく。

 

シンが創造した物質を全て使い、強化を完了した。今のハルオは、メカゴジラシティの時とは比べ物にならない武装と防御力を備えていた。

 

『ありがとうございます。新たなる武装装備完了しました。第6宇宙との試合も万全です。後は鍛練です』

 

「そういう事なら、儂に任せい。お主に足りない事を教えてくれる男じゃ。界王神。早速『コング』の元へ案内せい」

 

「あの人の所ですか?分かりました。ではハルオ。参りますよ」

 

『はい。お願いします』

 

「カイカイ!」

 

シンはハルオの手を握り、大界王神の示す男の元へ転移した。その姿を見送った大界王神は、再び地面に置いたエロ本に目を向けるのだった。



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黄金、神精樹を育てる

「神精樹?」

 

「ええっ。星のパワーを吸収して成長する木です。そしてその木に実る果実は、食べた者をパワーアップさせるので、神以外が食べる事を禁じる程なのですよ。ギドラさんにとって美味しい話だと思いますよ」

 

「成る程。で、それは何処にある!?」

 

修行の休憩中に、ウィスから神精樹の話を聞かされたギドラは、早速その木のありかをウィスに聞いた。

 

「何処と言っても、今は種になっているものしかありませんよ。此方が、その神精樹の種です」

 

ウィスが掌を差し出すと、小さな箱が現れた。その箱の中には、枝豆サイズの小さな種が箱の半分を埋め尽くす程の量が入っていた。

 

ウィスが創造した此が、星のエネルギーを糧として成長し、大きな力を能える実を生やす神精樹の種であった。

 

「種か。此でその実が生み出せるのじゃな!?」

 

「ええっ。但し、人間レベルの低い星に限りますよ。ビルス様は今眠っておられるので、此方の星で使用してくださいな」

 

ウィスは杖から映像を出した。其処には、その人間レベルが低い星が三つ映し出されていた。

 

「うむ!ありがとうウィス!なのじゃ!」

 

ギドラは箱から乱暴に種を掴み取ると、そのまま空間に穴を開けてその中へ入っていった。渦状の穴だ。ギドラが自身の身体を使って開けたワームホールだ。

 

「おやおや。さて、私もトレーニングをしておきますか」

 

ウィスはギドラに追い付かれないようトレーニングを開始する。

 

──────────────────────

 

一方ギドラは、人間レベルの低い星にやって来た。横暴を働き、略奪し、搾取される。犯罪は飽くこと無く繰り返されて、他の星からも略奪を平気で行う。環境も汚染され、自然の生態系はほぼ壊滅しており、最早星の崩壊は必然的であった。

 

そんな星にやって来たギドラは、早速神精樹の種を植えた。

 

すると、神精樹が毒々しい色の草となり、そのまま成長を始めた。ギドラはその木の色に少し期待を寄せる。そもそも、放射能汚染によって生態系を変えるゴジラを食べてきたのだ。毒の類など、ギドラには何の意味も無い。

 

速い成長速度で神精樹は伸びていき、五メートル程の木となった。そして、早くも実が実り始めた。この星のパワーはさほど強くない為か、実は三つしか出来なかった。今頃星は、パワーを失って氷河期に突入しようとしているだろう。植物は枯れ果て、海は干上がり、核はエネルギーを失って、大地が裂けている。星の崩壊は最早必然だった。

 

「さて、早速喰うか!」

 

ギドラは神精樹の実を三つ引きちぎり、その一つを口にした。すると、ギドラの顔に冷や汗が流れた。

 

「・・・味がせんのじゃ」

 

ギドラは泣きそうになった。味の無い果実等、初めて食べた。今まで食べたゴジラも星も、全部味がちゃんと有った。例えそれがどんな生態系の星だろうと、ちゃんと旨味は残っていた。放射能汚染なら、辛味のあるスパイスにもなる。

 

しかし、この星から搾取したエネルギーは、あまりにも廃れきっていた。故に、神精樹の成長は中途半端に終わり、実も僅かな量しか実らなかった。

 

しかし、ギドラは実を全て食べた。流石に残す訳には行かない。食べ物は残さず食べなければならない。

 

神精樹の実を食べた後、ギドラは自分の左手を強く握り、人差し指を立てた。

 

「ふむ。枯渇したこの星を喰っても意味は無さそうじゃ。ほれ」

 

ギドラは自身の腕を黒い炎のような形状に変えた。黒い腕は、膨大な質量と重力を持つ暗黒の天体その物であり、皆が知る宇宙の災厄『ブラックホール』であった。

 

ギドラが星を指で突く。その瞬間、星は瞬く間にギドラの指に吸い込まれていった。其処に住む住人も、動物も、そして星も飲み込んでいき、最終的には星は完全に無くなっていた。

 

「さて、後二つの星に期待するのじゃ」

 

ギドラは宇宙空間で胡座をかいたままワームホールを開き、そのまま穴の中へ入っていった。その後に着いた星でも神精樹を植えた結果、少しは良い育ち方をした神精樹の実を食べる事が出来た。その味は、正に神にしか許されない程に美味であった。そして後始末として、枯渇したその星をギドラが食べたのであった。

 

 

そして、第6宇宙との試合が明日に迫る。ギドラ、ハルオ。いよいよ因縁との対決が、近付こうとしていた。




神精樹の実はホント、ギドラからすれば究極の餌です。最初の星で三個、他の星ではその数倍もの量になりましたから、どれだけパワーアップしたんでしょうね。


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黄金、試合会場に向かう

ギドラは袋の中に神精樹の実を沢山詰め込んで、ビルスの星にやって来た。ビルスがサボって破壊しなかった星々に向かって、其処で神精樹の種を植えて成長させる。そして実った実を回収した後に、星を食べるかブラックホールに飲み込ませた。

 

破壊神よりも仕事をしている事を、ギドラは理解していない。ギドラは神精樹の実を食べたいだけだが、結果的にビルスよりも仕事していた。

 

「ビルスー!ウィスー!帰ったのじゃー!」

 

ギドラはビルス達の元へ走る。すると、彼等の周りに沢山のギャラリーが居るのを見つけた。

 

「おやギドラさん。お帰りなさいませ」

 

「随分と、神精樹の実を集めたじゃないか」

 

「二人の分もあるぞ。今日行った星々はかなり質が良かったのじゃ。その内三つは、人間は最低じゃが、環境や自然が魅力的だったのじゃ!」

 

自然や環境が良かった。それが神精樹の実をより美味しくしており、更に莫大なエネルギーを内包している。

 

「ムシャムシャ・・・美味ーい!」

 

ギドラは早速神精樹の実を食べる。三つ一気に食べたのだ。甘い味の実、辛い味の実、酸っぱい味の実であった。そのうま味を一気に味わい、満足なギドラであった。

 

「お疲れ様です」

 

ウィスはギドラから神精樹の実が入った袋を受け取り、杖の中に入れた。すると、悟空がギドラの元へやって来た。

 

「オッス!えっと・・・ギドラさんも来てたんか!」

 

「うむ!ハルオも来ておるか?」

 

「ああっ。ハルオも来てっぞ。「ゴジラと戦えます」って張り切ってたぞ」

 

「張り切ってたのか!妾もじゃ!」

 

ギドラも、アースと戦える事を今か今かと待ちわびていた。試合という形でゴジラと戦う事になるのは予想外だったが、此でハルオも自分も借りを返す事が出来る。

 

すると、ギドラはフリーザや数名の幹部達も居るのを見つけた。

 

「フリーザー!お主も来ておったのか!」

 

ギドラはフリーザの元へやって来た。ソルベやタゴマ、更に黄色の触覚を持つ男や、青い肌の老婆も居た。

 

「ええっ。悟空さんに招待されたのです。有給を取ってソルベやタゴマ、キコノにベリブルさんを連れて来たんです。選手ではありませんが、応援させて頂きますよ」

 

キコノとベリブル。キコノはコルド大王がトップに務めていた頃からフリーザ軍に所属する科学者であり、軍の開発業務を担当していた。最近では、戦闘力を限界まで測ると測定不能を示す反応を出す新型スカウターを開発した。

 

ベリブルはフリーザのお世話係であり、フリーザも彼女には頭が上がらないのだ。

 

「ギドラ様。フリーザ様を此処まで強くして頂き、真にありがとうございます。このベリブル、感謝の極みです」

 

「うむ!当然なのじゃ!しかし、フリーザが選手ではないなら、誰が出るのじゃ?」

 

ギドラの疑問はすぐに氷解した。

 

「どうやら、ピッコロさんとモナカさんが出るみたいですよ」

 

「おおっ!モナカが出るのか!」

 

ギドラは目を輝かせた。自分が鍛えた選手が試合に出てくれる等、もはや嬉しくて堪らない。

 

「モナカの実力がフリーザレベルに近くなったのも、お前が原因か、ギドラ」

 

「お蔭で、少しは安心出来ましたね。ビルス様」

 

ビルスにとっては、モナカの実力が上がった事が嬉しい誤算であった。モナカはあくまで一番強いという肩書きを持ってるだけの弱い宇宙人だったが、ギドラが鍛えたせいでそれなりの実力者になった。大半の地球人よりも実力は遥かに上だ。

 

「まあな。さて、そろそろ出発するぞ」

 

「では皆さん!そろそろ出発しますよ!」

 

ウィスの言葉と共に、選手やギャラリーは移動用のキューブに乗った。本来なら神にのみ許された乗り物だが、ビルスやウィスの許可もちゃんと降りている。そして、ウィスの転移能力によって試合会場へと向かうのだった。

 

──────────────────────

 

試合会場に着いたギドラ達は、ギャラリーを観客席に座らせた後に、ペーパーテストを行う。ペーパーテストは、ベジータが提案したテストであった。ルールを理解出来ない怪物を連れてこられない為の対策でもある。

 

このペーパーテストで苦戦していたのは、この四人であった。

 

「ぎぎぎ・・・」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

悟空とベジータ。

 

「があああっ!」

 

「ぐぐ・・・」

 

ギドラとアース。

 

この四人、勉強をあまりしてない者であった。ギドラやアースは、ウィスやヴァドスから勉強を少し習っているので難しくないなら問題無いが、その中には応用問題もあり、苦戦していた。

 

悟空は昔、亀仙人の元で勉強をした事があり、簡単な問題なら苦戦しながらも解く事が出来た。ベジータはブルマのお蔭か、カプセルコーポレーションで過ごしてきた為か、応用問題もある程度は解ける。

 

とはいえ、ペーパーテストには苦戦を強いられていたが、ギリギリ合格出来た。

 

因みに、一番最初にペーパーテストを解いたのはハルオであった。全問満点だった。

 

「ふぅ・・・確か、五十点で合格だったよなぁ」

 

「まあ、妾達もギリギリ合格出来たから良かったのじゃ」

 

『驚きでした。悟空様、ベジータ様、ギドラ様が思っていた以上に勉強不足だったとは。分析結果をアップデート───』

 

「止めておけ」

 

ピッコロがハルオの肩を持つ。その顔には冷や汗が流れている。しかし、もう遅かった。

 

悟空とベジータ、ギドラには相当堪えていた。ハルオの言葉が三人の精神を貫いていた。

 

しかし、落ち込んでもいられない。

 

第6宇宙の選手達には、サイヤ人、メタルマン、黄色い大きな身体の熊男、フリーザそっくりの男、そしてアース。いずれも侮れない相手であり、第7宇宙のメンバーの心が奮い始める。

 

そして、試合に出る順番はじゃんけんで決める事になり、じゃんけんを行う第7宇宙の戦士達(モナカはじゃんけんしてない)。

 

じゃんけんの結果、先ず最初に出場する先方はピッコロであった。二番手はハルオ。三番目がベジータ。四番目がギドラ。五番目が悟空。大将にはモナカが就いた。

 

先ず最初に、ピッコロ対ボタモの試合が始まった。ピッコロの攻撃がボタモに効かず、苦戦するかと思われたが、ピッコロはボタモを一本背負いで場外へ投げ飛ばし、第一試合は終了。ピッコロは次の対戦相手であるフロストと戦う事になる。フロストはフリーザと似た姿だが、性格はかつてのフリーザと違って善人であった。

 

ピッコロはフロストと戦い、最終形態になるまで善戦した。しかし、ピッコロはフロストの右ストレートを受けた瞬間にダウンしてしまい、敗けとなった。

 

出番がハルオに回り、いよいよハルオとフロストの試合となる。

 

その時、観客席で俯瞰していたフリーザとフリーザ軍幹部達は、フロストから嫌な予感を感じていた。

 

そして、ハルオはピッコロとフロストの試合の時から、常に『録音解析モード』を起動していた。フロストの声を、一語一句残さず記録する為に。



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鋼の神、相手の正体を暴く

「宜しくお願いします。ハルオ・サカキさん」

 

『お初お目に掛かります。フロスト様』

 

フロストはハルオに一礼を行った。ハルオも、スカートの裾を上げてお辞儀を行う。

 

「随分礼儀正しいわね」

 

「何でも、界王神の元に居るメイドのサイボーグらしい」

 

観客席で会話するブルマとジャコ。

 

「ヤムチャ様。あの女の人なら大丈夫じゃないですか?」

 

「いやぁ、流石にあれは無理だな・・・アハハ・・・」

 

・・・この会話についてはノーコメント。

 

「ハルオー!頑張るのじゃぞー!」

 

「ハルオの実力、今此処で見せて頂きます」

 

大界王神とシンは、ハルオを界王神用観客席で見守っていた。第6宇宙の界王神達も一緒だ。

 

「あのメイドが?アッハッハッ!如何にも弱そうですなぁ!」

 

第6宇宙の界王神『フワ』が、ハルオの姿を見て笑う。

 

「ハルオを知らんからそんな事が言えるんじゃ!よおく見ておれ!」

 

大界王神が、フワに対して怒る。

 

武舞台では、ハルオとフロストの試合が始まっていた。

 

──────────────────────

 

「ハァァァッ!!」

 

フロストが前から突っ込んできた。ハルオは右手にナノメタル製の銃を生み出し、フロストに狙いを定める。そのまま引き金を引いて、気とカッチン鋼で構成された弾丸を発射する。

 

フロストは弾丸を避ける。そのままハルオに近付いて右拳を振り下ろすが、ハルオは避けずに頭突きで立ち向かう。

 

その瞬間、ハルオの額とフロストの拳が直撃し、耳鳴りがするような金属音が響く。それは、フロストが殴った事によってハルオの肌の下にある金属に当たって鳴った音、ではない。別々の金属同士がぶつかったような音だ。

 

「なっ!?」

 

『・・・フロスト様の右腕に針を確認。敵の武器の破損を確認。武器の消失により、フロスト様の戦闘力が八十%に低下。これ以上の戦闘は無意味と判断した為、フロスト様に降伏を推奨します』

 

「・・・何を言っているのですか?それに、私はこの戦いに勝って、戦争に苦しむ人達を救わなくてはならないのです」

 

『呼吸、心拍数に乱れを確認。嘘の確率八十五%。録音した音声の再生を開始します』

 

ハルオは、フロストとピッコロの試合前の会話、及び試合中に録音した言葉も全て再生した。

 

『武器の使用は認められていますが、私は使うつもりはありません。これは試合なので、殺してしまうかもしれませんからね:嘘の確率85.4%』

 

『正々堂々頑張りましょう:嘘の確率96.12%』

 

『この最終形態に変身しなかったのは、パワーが強すぎて制御出来ないからです。かつて私はそれで、殺さなくて済む筈だった悪党を殺めてしまいました:嘘の確率5.2%』

 

他にも、ハルオはフロストの言葉を再生していき、その都度その言葉が嘘である確率を周囲に伝わるように告げていた。その間、フロストはハルオを攻撃しようとしなかった。バレない自信があるのだろうか。

 

『私は負けられません!平和の為にも!』

 

ハルオは、最後に録音した音声を再生し、嘘の確率を上げた。

 

『嘘の確率99.9%』

 

その事に対して、第6宇宙側の大半が反論した。シャンパもその一人だ。

 

「テメェ何を言ってんだ!?フロストは武器の使用を認められたからってそんな事をする奴じゃねえんだぞ!」

 

「そうです!フロストさんは僕と一緒に、星を滅ぼそうとした宇宙海賊と戦い、宇宙平和賞を幾つも手にして、子供達の教育や復興にも協力してくれた英雄です!例え武器の使用を認められたとしても、武器に頼る戦い方をするような方ではありません!」

 

第6宇宙のサイヤ人にして、細い体型の少年『キャベ』もハルオの報告に反論する。

 

「はい。私は針等使用しては───」

 

『ならばこの腕にある穴に、折れた針があるのは何故ですか?』

 

ハルオがフロストの腕を掲げる。其処には、小さな針が折れて腕に引っ掛かっていた。

 

「いいえ。これは身体の一部『違います。身体の一部ならば、貴男の細胞反応が検出される筈です』・・・どうやら、もう隠しても無意味なようですね」

 

フロストが武器を使った事。それは彼が卑怯な手段を使用した事。その事に、彼を善と思い込んでいた者達は驚愕していた。

 

「そんな!?貴男程の・・・いえ!フロストさんは何かしらの事情があって武器を使ったに決まっています!」

 

キャベはまだ、フロストを信じていた。フロストが武器を使っているのは、彼の言うように事情があると思っているからだ。

 

しかし、キャベの思いはアッサリと裏切られた。

 

「ふん。残念でしたねぇ。事情?あるわけ無いじゃないですか。殺さないのであれば、武器の使用が認められている以上、使わないなんてただの馬鹿ですよ。キャベさん。貴男にはホントうんざりしていたんですよ。平和だの正義だの、下らない事で人生を費やしているんですから。実際、その宇宙海賊も各地の紛争を起こした奴等も、私が裏で操っていた組織なのですから」

 

「なっ!?」

 

キャベは、心臓を槍で貫かれたような心の痛みを感じた。今まで信じていた人の本性を見せられて、心がへし折れてしまったのだ。

 

『何故その様な事を?』

 

ハルオの問いに、フロストは迷う事無く答えた。

 

「それは簡単ですよ。自分で戦争を仕掛けた後に、自分で解決。たまに子供達や障害者達に高齢者達等の弱い奴等を人質に取らせますね。そして、私が敢えて裏で動かしてる奴等に捕らえられたように見せかけた後、人質に私が殺ったとバレないよう何人か殺し、その後にキャベさんのような方々に助けてもらい、悪党を懲らしめるヒーローを演じて裏の組織も皆殺し。そして星を安値で買い取って、再開発と復興の利権で大儲け。そして殺した人質の家族へ本人達の犠牲を伝えた後、保険と補助金を掛けた上でその倍も税金を支払ってもらいます。殺した人質に家族が居なければ、その財産を───」

 

『黙れ!』

 

ハルオは、フロストを拳で殴り飛ばした。ハルオは腕を伸ばし、フロストの足を掴む。そのまま武舞台に叩き付けて、彼の腰に跨がった後、彼の顔を殴り付けた。

 

何度も、何度も、何度も、何度も、何度も何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も殴り、フロストの顔が見るに堪えない状態になって尚、更に殴ろうとした。

 

「やめなさい!ハルオ!」

 

シンが、ハルオに向かって怒鳴る。その時、ハルオは殴るのを止めた。すると、自分の目の前で、フロストが倒れているのを見つけた。顔は見るに堪えない程に歪んで、歯は殆ど折れていた。

 

『っ?』

 

ハルオは、自分が何をしたのか思い出せない。気が付いた時に、フロストはやられていたのだ。

 

審判がフロストに近付き、状態を確認した。

 

「こ、これは死んで・・・い、いや生きてます!死んでいません!しかし、これ以上の戦闘は不可能と判断致します!よって、勝者!ハルオ・サカキ選手ー!!」

 

ハルオの勝利。にも関わらず、拍手は無かった。第6宇宙、第7宇宙、いずれの者達も呆然としており、誰も言葉を発する事は出来なかった。

 

その場は重苦しい空気が支配し、ハルオはシンの元へ呼び出された。

 

「・・・ハルオ。何故あの様な事を?」

 

『・・・分かりません。しかし、「黙れ」と相手を罵った後の事が記録に無いのです。私の行動、フロスト様がどうしてやられたのか・・・』

 

「ハルオ。お主、フロストの奴を殴り続けておったんじゃ。儂等には、怒りに任せてフロストを殴ったようにしか見えんかったぞ」

 

『フロスト様を?』

 

「じゃが、怒る気持ちは分かるぞ。奴はあまりにも糞じゃったからのう」

 

「しかし、怒りに飲まれて我を忘れてはいけません。ハルオ。貴女には理解出来ないかもしれませんが、相手が悪い事をしたら怒るのは良い事です。しかし、度が過ぎてはいけません。私が今後、やり過ぎないように色々教えます」

 

ハルオは、自分が怒ってフロストを殴り続けたと指摘されて、困惑していた。しかし、あの時「黙れ!」と言わずには居られなかった。

 

『・・・畏まりました。今後は自重致します。次の試合に向けて準備致します』

 

ハルオは武舞台に戻り、次の対戦相手を待つ事にした。

 

因みに、フロストを連れてきた理由をシャンパがヴァドスに尋ねた所、「「誰でも良いから強い奴を連れてこい」とシャンパ様が仰ったではありませんか」とヴァドスが告げた。シャンパはその言葉に胸を貫かれ、その場に崩れ落ちたのだった。




フロストって、実際こういう事やってそうですよね?

ハルオに感情が芽生え始めているような・・・にしても、やり過ぎましたかね?


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鋼の神、鋼鉄人間と闘う

ハルオの次の相手は、見た目がロボットにしか見えない宇宙人『メタルマン』の戦士である『オッタ・マゲッタ』だった。

 

「お初お目に掛かります。オッタ・マゲッタ様。ハルオ・サカキと申します」

 

「シュポポー!」

 

『シュ・・・ポポ?』

 

「シュポシュポ!」

 

『シュポ・・・シュポ・・・』

 

「シュポポ!シュポポポポポー?」

 

『シュポシュポ?』

 

「シュポシュポ!シュポー!」

 

謎の言語で会話する二人。

 

「なぁに言ってんだあいつ等?なあベジータ、ピッコロ」

 

「ふん。俺が知るわけ無いだろう」

 

「俺も知らん。というか、何故俺達に訊くんだ」

 

悟空が頭に?マークを浮かべる。ベジータもピッコロも、ハルオとマゲッタの会話は分からない為、悟空と同じく混乱していた。

 

「なぁ!そいつなんて言ってたんだ?」

 

ヤムチャがハルオに尋ねた。ハルオは迷う事無く答える。

 

『分かりません』

 

ズコォッ!!

 

ハルオを除く全員がずっこけた。

 

「分かんないのかよ!というか、お前何処でそんな小芝居を覚えたんだ!」

 

『オッタ・マゲッタ様の言葉を復唱しただけです』

 

「会話してたんじゃないんですか!?」

 

ビルスとシンが突っ込みを入れるが、大界王神は寧ろ笑っていた。彼もずっこけた者の一人だが、寧ろハルオがボケを行って(ハルオにそのつもりは無いが)喜んでいた。

 

「いやぁ、ハルオは益々人間臭くなってきたのう。ちょっと天然な所もええのう」

 

「えっ・・・それは一体?」

 

「界王神。お主はあやつの主じゃろう?なら、ハルオの事を知っておけ。ハルオは前まで感情も出さないし、必要以上の発言と行動は行わなかったんじゃ。じゃが、ああしてボケるなんぞ、前のハルオでは考えられん行動じゃよ」

 

大界王神の言う通り、ハルオは徐々に人間臭くなり始めていた。先程のフロストへの怒りも、人間が持つべき感情を露にした証拠なのかもしれない。

 

「・・・そうですね。私も、感情豊かなハルオの姿を、いつか見てみたいです」

 

シンも、ハルオが感情を露にしていく事が嬉しかった。

 

そして、ハルオとマゲッタの試合が、今始まる。

 

──────────────────────

 

「シュポポー!!」

 

マゲッタが走ってくる。動きは遅いが、武舞台を踏む度に揺れが起きる。ハルオにとっては大した事は無い。地震が起きやすい日本で開発された為か、地震には耐性があった。

 

そして、銃から弾を放っていき、マゲッタに攻撃を仕掛ける。マゲッタの身体は、気やカッチン鋼で作られた弾丸を容易く跳ね返す。次々と弾丸を当てるが、マゲッタには全く効かない。

 

マゲッタが近くに迫った時、ハルオは右の拳を変形させる。マゲッタが拳を振り下ろすと同時に、ハルオも右の拳を巨大な鈍器に変えて、マゲッタの拳にぶつけた。その瞬間、ハルオの鈍器から衝撃波が発生した。マゲッタは衝撃波に吹き飛ばされ、後ろへ転がる。しかし、再び立ち上がり、「シュポポー!!」と雄叫びを上げた。

 

『『インパクトキャノンキック』』

 

ハルオは攻撃を止めない。右手を元に戻した後、マゲッタの元へ四肢のジェットを使って飛んでいき、彼に数メートル程近付くと、回転して両足をマゲッタに向ける。両手を後方に回してジェットで加速すると、足をくっ付けて一つにする。そして、足を変形させて衝撃波を相手に与える穴の無い平面形のキャノンへ変えた。

 

マゲッタも負けていない。僅かな時間で体内の熱量を倍増させ、自分の中にある気を解放した。そして、ハルオのキックを拳で掴んで止めた。衝撃波がマゲッタの手に放たれるが、マゲッタは何とも無いようで、そのままハルオを床に叩き付けた。ハルオは左手を巨大なアームキャノンに変換して、マゲッタの頭に雷を放つ。マゲッタは雷に一瞬怯み、ハルオの足を手放した。

 

ハルオはジェットを両手と両足から放ち、距離を取る。しかし、マゲッタは口から溶岩の唾を吐いた。溶岩の唾はハルオに向かっていくが、ハルオはナノメタルと熱いマグマの中で生きる生物の皮と骨を使って、腕を二メートルもの盾に変化させた。

 

溶岩の唾は盾に命中するが、盾は溶ける事は無く、ハルオは盾を構えたままマゲッタに向かって歩き出した。

 

マゲッタは更に溶岩の唾の量と熱を増やし、更に気の放出を強めていく。

 

ハルオは、接近戦では不利と判断すると、背中に小型のミサイルを生み出して発射した。ミサイルは唾に当たらないように飛んでいき、マゲッタの元へ飛んでいく。マゲッタはミサイルを見つけると、ミサイルを撃ち落とす為に溶岩の唾を再び吐いた。空中へ吐いた溶岩の唾によって、全てのミサイルが撃ち落とされた。

 

しかし、ハルオのミスではない。寧ろチャンスであった。

 

ハルオはマゲッタの元へ近付くと、両腕を平面形の衝撃キャノンに変えて、そのままマゲッタの腹を殴る。さっきよりも威力を上げる為に、二段、三段、いや四段まで形を変化させた。逆ピラミッドのような形になった両腕でマゲッタの腹を殴った瞬間、マゲッタの腹が凹み、彼は後方へ吹き飛ばされた。そのまま場外へ落ちて、試合が終了した。

 

「試合終了ー!勝者は、ハルオ・サカキ選手ー!」

 

『うおおおおおおおおおっっ!!!』

 

第7宇宙側から歓声が響く。

 

「まさか奴がこれ程とはな」

 

「ふん!武器に頼らなければ何も出来ん奴が、偉そうにしやがって!」

 

ピッコロはハルオの強さに感激していたが、ベジータは武器を使う彼女の戦い方が不満であった。

 

「でもよぉ~。武器があるにしても、上手く扱えなかったら意味ねぇんじゃねぇか?オラ、ハルオの戦い方は嫌いじゃねえぞ」

 

「それに、武器を使われたからって、お主等に何か不利な事でもあるのかのう?」

 

「そんな訳が無かろう!俺は武器を使って戦う奴が気に入らんだけだ!」

 

ベジータはサイヤ人の王子だ。誇り高き戦闘民族として、武器を使用して戦うという事が気に入らない。

 

「何だよぉ。ハルオは結構すげぇ戦いしてただろう?」

 

「馬鹿め!貴様にはサイヤ人として、武器を使って戦う奴は気に入らんと思わんのか!?」

 

「そりゃ武器を使うのはきたねぇけどよ。でも武器を使って戦う奴だって居るんだし、天下一武道会の時なら分かるけど、そうでねぇならオラは何とも思わねえよ」

 

「馬鹿が!貴様はサイヤ人の誇りが無いのか!」

 

「オメェ、何回馬鹿って言うんだよ!」

 

「ぐぬぬ・・・・・何度でも言ってやる!!ぶぅわああかあああ!!」

 

いつの間にか口喧嘩を始める悟空とベジータ。

 

「ムシャムシャ・・・ハルオの奴、中々強くなったのじゃ」

 

ギドラは、神精樹の実を食べ続けていた。そのままハルオの戦いを見ていたが、彼女が強くなっているのを見てワクワクしてきた。

 

そして、次はハルオとキャベの試合だが、ベジータがハルオにある事を宣言した。

 

「おいサカキ。俺と代われ。そいつとは、俺が戦う」

 

それは、キャベと戦いたいとベジータが頼んでいるのだ。

 

『キャベ様とですか?』

 

「そうだ」

 

『しかし、私はゴジラと闘う為にこの試合に──』

 

「貴様の都合等知らん。それに、アースとはまた今度試合を行う時に闘えば良いだろう」

 

『・・・畏まりました。ベジータ様。審判様に申告。私はキャベ様との試合を棄権致します』

 

「えっ?あっ、棄権するのですか?」

 

『はい。二度目は言いません』

 

「わ、分かりました!ハルオ・サカキ選手棄権!キャベ選手の不戦勝です!」

 

そして、ベジータがハルオと入れ替わる形で武舞台に降り立つ。

 

『ビルス様。申し訳ありません』

 

「いや、まだ此方が有利なんだ。心配しなくて良いよ。それに、ベジータはあのサイヤ人に何か感じたんだろうね。というか、戦ってみたいだけなんだろうな」

 

「オッホッホッ。サイヤ人はホントに闘うのが好きですねぇ」

 

ビルスは呆れて、ウィスは面白がっていた。

 

ベジータ対キャベの試合は割愛。簡潔に述べると、以下の通りだ。

 

序盤はキャベとベジータはノーマル形態で互角に戦うが、ベジータが超サイヤ人になった事で、ベジータが有利になる。

 

キャベが戦いの最中にベジータへ教えを乞うが、ベジータは激怒。

 

ベジータはキャベに「降参したらお前も殺し、お前の故郷の惑星サダラも滅ぼし、家族も友も皆殺しにする」と脅した。その瞬間、キャベは怒りによって超サイヤ人に覚醒。

 

ベジータは超サイヤ人化したキャベに押されるが、本気を出して形勢逆転。ベジータはキャベを強くするためにわざとああ言った事を知り、キャベはベジータを尊敬するようになる。

 

その後、ベジータはブルーとなり、キャベを気絶させて試合はベジータの勝利。キャベは起きた後、ベジータを惑星サダラへ連れていくと約束した。ベジータも、サダラの姿を見てみたかったのだ。

 

そして今度は、ベジータと第6宇宙でも最高の殺し屋であるヒットとの試合となる。

 

しかし、ベジータはブルーになったにも関わらず、ヒットの『時飛ばし』によって圧倒されてしまい、試合はヒットの勝利となった。

 

ヒットが時飛ばしを行っている間の動きを認識出来た者は一人も居なかった。気が付くと、ヒットはベジータを攻撃していたのだ。誰一人として、ヒットの動きを見破れた者は一人も居ない・・・かと思われた。

 

 

『時間の誤差を確認。0.1秒間の時間を確認出来ず。一度だけだなく、何度も。0.1秒間の過程が消えたような・・・ベジータ様をヒット様が攻撃したという結果が残ったようですね』

 

ハルオは、0.1秒間もの過程が消えている事を認識。

 

「ベジータの奴、なんで止まるのじゃ?ヒットの接近を許してしまっておるのじゃ」

 

神精樹の実を食べ続けるギドラはなんと、ヒットの時飛ばしを発動している間の動きを見ていたのだ。彼女は、ヒットが時間を0.1秒の間だけ時を飛ばしている事を知らない。だから彼女には、ヒット以外の人達が動かなくなったようにしか見えていない。

 

そして次は、ギドラとヒットとの試合になる。




ヒットの時飛ばしは、原作ではジョジョの世界(ザ・ワールド)みたいな感じでしたが、この作品ではディアブロのキング・クリムゾンみたいな感じです。キング・クリムゾンの時は攻撃出来ないようですが、ヒットの場合・・・・どうでしょう?(^ー^)


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黄金、因縁と戦う

「続いて、ギドラ選手対ヒット選手!両者、試合開始!」

 

シャンパが上空にある鐘を気弾で鳴らして、試合が始まった。

 

ヒットは戦闘の構えを取るが、ギドラは構えを取らない。構え方を知らない事もあるが、ギドラにとって目の前の相手がそんなに強そうに見えない為に、やる気が失せていたのだ。

 

「・・・来ないのか?」

 

「来るが良い」

 

「では、行くぞ」

 

ヒットは時飛ばしを発動した。0.1秒間もの過程を消し去り、その消し去った過程の中をヒットだけが自由に動ける。そして、過程が消え去り結果だけが残る。どこぞの男は、時飛ばしの最中は攻撃出来なかったが、ヒットは攻撃出来る。

 

簡単に例えるとこうだ。封をされたカップラーメンを手にした後、既にカップラーメンが完成している状態になる。カップラーメンを作る過程が消えて、カップラーメンが出来たという結果だけが残った。

 

ヒットの場合は0.1秒の間。カップラーメンを作れないが、それでも強力だ。況してや攻撃が行える上に、神々ですら消し飛ばした時間を認識出来ない以上、ヒットは間違いなく第6宇宙でも指折りの実力者だ。

 

しかし、相手が悪かった。

 

ヒットが時飛ばしを発動して、ギドラの元へ走り出した、次の瞬間。

 

「ん?」

 

ギドラが周りを見たのだ。ギドラは、周囲の者達が止まっている事を不思議に思い、目を輝かせていた。

 

「なにっ!?」

 

「お主がやったのかのう?」

 

ギドラはヒットに尋ねた。その瞬間、0.1秒が経過した。ギドラは、周囲の者達が突然動き出した事を不思議に思う。

 

「んん?ヒットが攻撃してねぇぞ?」

 

「何があったのでしょうか?」

 

シャンパとヴァドスも、何が起きたのか理解出来なかった。

 

「彼奴、もしかして、な?」

 

「ええっ。ギドラさんならもしかして」

 

ビルスとウィスは、ギドラが何をしたのか理解したようだ。他の者達は、何が起きたのか理解出来ていない。

 

そして、ヒットは再び時飛ばしを行う。さっきギドラが動いた事が、偶然かどうか調べる為に。

 

すると、時飛ばしが発動しているのにギドラは動いていた。ヒットの目の前にやって来て、彼の首を掴む。

 

その瞬間、時飛ばしが解けて0.1秒間の過程が消え去った。その時、周囲にはギドラが一瞬の内にヒットの首を掴んでいるようにしか見えない。

 

「な、何故だ!?何故・・・ぐああ・・・」

 

「さっきハルオは、『0.1秒間の過程が消えた』と言っておったのじゃ・・・・・・もしやお主、時間を操る力を持っておるのか!?それは凄いのじゃ!!」

 

ギドラは手を離すと、目を輝かせてヒットを見つめた。ヒットはギドラの隙を見つけて、人差し指でギドラの喉元を狙った。しかし、此処で更に驚かされる事になる。

 

ヒットの指、いや腕はギドラの喉を貫通した。それだけでなく、ギドラの身体がヒットの身体をすり抜けたのだ。

 

「なにっ!?」

 

「じゃが、妾はゴジラに用がある。お主は下がるのじゃ」

 

ギドラはヒットの腹を肘で殴り、そのまま彼を武舞台の外へ投げる。ヒットはアースの元へ投げられるが、アースは苦もなくヒットを片手で受け止める。

 

「ゴジラ!妾は早くお前と戦いたい!早く来い!」

 

「・・・無論。ヒットを倒すだけあるな。あの時、貴様に圧倒された。だが、あの時の余と、今の余を一緒にするなよ?」

 

「ふふっ」

 

そして、ヒットの敗北とギドラの勝利が宣言された後、ギドラはアースの到着を武舞台の上で待つ。アースはギドラの元へ向かおうとすると、シャンパがアースを止める。

 

「おいアース」

 

「なんだ?」

 

「負けんじゃねえぞ」

 

「無論だ。余は彼奴に一度勝っている。それに今度は、誰の邪魔も入らん。奴をこの場で圧倒してみせよう」

 

アースはそう言った後、助走を着けずに武舞台へ跳んだ。武舞台に着地した瞬間、巨大な揺れと衝撃波が周囲を襲う。

 

ギドラ。アース。

 

お互いに睨み合い、そして笑い始める。

 

「フフッ・・・フフフフフフフ・・・」

 

「クハハハハハハハッ・・・」

 

「「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」」

 

二人は笑い出す。お互いが全力を出せる。そして、因縁の相手と漸くあいまみえた。

 

これ程嬉しい事は無い。

 

ギドラも漸く、目の前のゴジラがただの餌ではないと理解した。こいつは餌ではない。敵だ。

 

アースも、ギドラがあの時とは比較にならない程に力を付けてきたと理解した。だからこそ、心が躍るのだ。

 

「さあゴジラ!」

 

「いざ尋常に!」

 

「「勝負しようか!」」

 

そして、審判から試合開始のコールが響いた瞬間、ギドラとアースの拳がぶつかり合う。お互い、右手を握り締めてそれぞれ右ストレートを放った。お互いの右拳がぶつかり合った瞬間、空間に亀裂が走り、硝子のドームがアッサリと吹き飛んだ。

 

今此処に、高次元怪獣と破壊の王がぶつかり合う。



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破壊の王、黄金と戦う

奴と初めて会った時、私は奴に喰われかけた。

 

この私の力が通用しない相手等、初めて会った。

 

しかし、私は死ぬわけには行かなかった。此処で私が死んだら、きっとこの星も奴に滅ぼされるだろう。

 

そんな事はさせない。

 

しかし、どんなに抵抗しても、奴に抗う事は出来なかった。

 

しかし、転機が訪れた。奴が突然弱まり出したのだ。

 

私はこのチャンスを逃さなかった。一本の首を尻尾で千切り、二本目の首を両手で顎を裂いて倒し、最後の首も空にある大きな黒い穴と共に熱線で撃ち抜いた。

 

これで奴を倒し、もう私に敵は居なくなった。

 

私に目を付けた青年も私へ挑み、熱線を使ってトドメを刺した。敬意を表せた、初めての人間だった。

 

それからも、私は地球で進化を続けていくが、ある日、子供達と共にシャンパ達の住む時空へ飛ばされた。

 

フィリウス。我が身体より生まれし娘と再会出来た事は嬉しい。

 

更に同類が二人も、この第6宇宙で確認した。彼等と過ごした日々、厳しい修行、どれも前の私ではあり得ない体験だ。

 

もうこのまま過ごしても良いと思えた。しかし、第7宇宙へやって来た事で、全てが変わった。

 

向こうに居たのだ。私の天敵が二人も、人の姿を得て向こうに居たのだ。

 

ハルオの名を受け継いだ、あの巨大な建物の怪獣はメイドの姿で。私を圧倒し喰おうとした虚空の王が、サイヤ人の特性を持つ少女の姿で。

 

これは何の因果だ?

 

しかし嬉しいかな。

 

嘗ての敵と、今こうして出会えた。そして今、私は虚空の王と戦う事が出来た。

 

あの時、人間の邪魔が無ければ私は殺られていた。しかし、人間の邪魔が入ったお蔭でギドラを倒せた。複雑な思いだ。人間を殺すのは至上の喜びだが、そんな人間に助けられてしまった。

 

しかし、今は違う。

 

私は──────余は進化した。不完全とはいえ、ギドラの領域に足を踏み入れた。

 

今ならば、余はギドラと対等に戦える。

 

さあ、あの時の決着を、完全な形で着けよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁっ!!」

 

「当たるか!」

 

ギドラが飛び蹴りを喰らわす。アースはそれを避けた。怪獣だった頃には出来なかった以上に、やらなかった“避ける”という行動。

 

シャンパやヴァドスと戦って初めて知った敗北。それが、アースに修行をさせる切っ掛けとなった。

 

修行を得て、アースは地球に居たあの時よりも更に強くなった。更に己を鍛え上げて、何時しかシャンパと上手く競い合える次元にまで到達した。

 

そして今、ギドラの攻撃を避けたアースは、ギドラに狙いを定めて、拳を握り締める。

 

身体に走る膨大な気と電磁力を、拳に宿らせて攻撃力に変える技。技の発動中は非対称性透過シールドという最強の防御力を無くす代わりに、絶大な攻撃力を得る。

 

「『ライトニングフィスト』」

 

アースが拳を放った瞬間、ギドラは嫌な予感がしてしゃがんで避けた。次の瞬間、アースの拳から青白い数百メートル規模の拳が放たれた。拳はギドラの真横を通りすぎて、再生された硝子のドームに当たった瞬間、周囲に電撃のレーザーが放たれた。ギドラの左肩を貫通してしまうだけでなく、第7宇宙の観客席、悟空達、破壊神達、界王神達の居る観客席にまでレーザーが放たれた。

 

幸いにも、ウィスとヴァドスが早急に結界を張り、被害が出る事は無かった。しかし、多数のレーザーによってドームに穴が開き、空気が大量に漏れ出した。ヴァドスとウィスの修復が間に合わない程に、戦いは激しいものだ。短い間に此処までの破壊が行われた以上、ドームの外でやれば宇宙は危険だっただろう。

 

ギドラはレーザーを避けるが、肩を貫かれる。すぐに再生するが、痛みはある。

 

「ゴジラ・・・どんなトレーニングをしてきたのじゃ!?」

 

「ふははっ。驚くのは此れからだ」

 

「・・・面白い」

 

ギドラは、無意識の内にそう発言した。今までゴジラの事をただの餌としか思ってなかった為に、楽しんで戦う事はしてこなかった。

 

しかし、ギドラは初めて、ゴジラと戦えていると実感出来た。

 

「そうでなくてはな!『ゼロ・グラビティ』!」

 

ギドラは“重力のみ”を喰った。次の瞬間、その空間は観客席以外の重力を全て失い、アースも宙に浮き始める。

 

「『インフィニティスパイラル』!」

 

ギドラは、自分の身体を構成する高次元エネルギーを削り取る。ギドラにとって小さなエネルギー弾一つを使用する事は、地球人やサイヤ人、フリーザ達、破壊神や天使みたいに気軽な事ではない。

 

超重力を圧縮して放たれたエネルギー弾はアースの胸に直撃し、身体をねじ曲げていく。

 

「・・・っちぃ!」

 

ギドラの視界が僅かにぶれる。

 

エネルギー弾を放つ事は、ギドラの身体を、生命を削る事。簡単に例えるなら、天津飯の気功砲だ。いや、気功砲以上に燃費が悪すぎる。

 

例え話をしよう。天津飯の命が百%溜まっている状態としよう。気功砲を使えば、その十%が失われる。ギドラの場合なら、小さいエネルギー弾(小指の先っぽ程度の大きさ)を放つのに、三十%の身体と命を削ってしまう。

 

ギドラはエネルギー弾を使用する事は、命そのものをごっそり削ってしまう事なのだ。

 

アースの胸が渦を中心にねじ曲がり、その胸元を注目して見る者が多かった(と言っても、破壊神や天使は興味無し)。エッチな奴等は、渦によって歪むアースの胸を凝視している。

 

そんな事を気にしないアースは、渦に手を伸ばす。手は渦に巻き込まれるが、ギドラも予想しなかった事が起きる。

 

「ふんっ!」

 

アースはなんと、渦を自力で止めて、そのまま元の状態へ治した。

 

「んなぁっ!?そんな馬鹿な!?」

 

「余も面白くなった。良いぞ。新たな技を試してやろう」

 

「・・・仕方ない。命を削るし、暫くこの世のルールに縛られる羽目になるが、新たな技を使おう」

 

その瞬間、アースは身体中に再び電磁力を身に纏う。しかし、流れ方が此までと違う。まるで血管の中を流れるように、全身を電撃が駆け巡っていた。

 

ギドラも、全身を構成する高次元エネルギーの大半を使用した。新しい技はこの一つだけであり、この世のルールに捕らわれる代わりに力を高める切り札だ。

 

「余は常に進化する。終わり無くな。終わりなき進化を今ここに体現しよう。余が力を落とし、貴様の域に暫く至れなくなる代償としてな」

 

「妾は今まで、この世のルールに縛られる事は無かったのじゃ。じゃが、この技を使えば、代償としてこの世のルールに暫く縛られる。それを此処で、使わせて貰うのじゃ!」

 

アースとギドラは、同時に切り札を使用する。お互いにとって、リスクを伴う切り札。

 

「『キング・オブ・モンスター』!」

 

「妾の奥の手!『ハイパーギドラフォーム』!」

 

アースの肉体が変化する。膨張した筋肉を持つ四肢や尻尾が痩せていき、女性特有の美しい細さの四肢を持った。背中の背鰭も数を増し、更に青白い紋章のような翼を生やし、マントを身に付け、王冠を被った姿となった。

 

ギドラも姿を変えていた。少女の姿から、更に引き締まった身体を持つ女性の姿に変わっていた。服装も、多数の勲章を飾った軍服になり、帽子には七芒星が描かれた金の飾りが付けられていた。胸もDカップ程も大きくなっている。肩には、ギドラが怪獣だった頃の頭を型どった飾りを身に付けて居る。

 

アースは魅惑的な女性の姿に、ギドラは威厳ある軍人女性の姿となった。

 

「では、始めようか」

 

「行くぞ?」

 

その瞬間、二人の拳が再びぶつかり合う。その瞬間、次元の壁が砕け始めた。

 

─────────────────────

 

「次元の壁を破壊したんですか」

 

「ほう。ギドラもアースも、中々やるじゃないか」

 

ウィスとビルスも、ギドラが強くなった事に感心していた。

 

「ゲェッ!?アース次元の壁ぶっ壊しやがった!?」

 

「シャンパ様。これはかなり不味いのではありませんか?」

 

シャンパはアースの強さに驚愕し、ヴァドスはこの戦いがもたらす未来に、とんでもない事が起きる事を予期していた。

 

「ギドラさんも強くなっているのですか。サイヤ人の特性を持っていると聞きましたしね。その証拠に、本来ギドラさんにあるはずの無い三つ目の尻尾があるようで。恐らくそれが、サイヤ人の尻尾でしょう」

 

フリーザも、目の前で起きている戦いを見届けていた。ベリブル、キコノ、ソルベの三人は、あまりの衝撃的光景に気を失っていた。タゴマは戦闘員の為か、堪える事は出来た。しかし、戦いを目で追う事が出来ない。

 

「フリーザ様。ギドラ様が勝つでしょうか?」

 

「勝って欲しいですよ。勝負は時の運とも言います。思わぬ形で決着が着くかもしれませんからね」

 

フリーザはそう言ったが、僅かとはいえ、思っていた事があった。

 

 

このままでは・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギドラさんは、“負ける”。

 

 

 

 

 

 




アースの新技

『キング・オブ・モンスター』

自らの身体を人間に近くして、更に王の証である王冠を被り、マントを羽織り、エネルギーの翼を背中に生やす。ギドラの領域に達し、ヴァドスやシャンパとの修行にて身に付けた技。自身の力を限界を超えて引き出し、平行世界から自身を引っ張り出して融合し、絶大な力を得る。融合はかけ算の割合。今の自分×平行世界の自分×2の計算である。代わりに技を解除した後は、高次元の領域ではなくなり、力も弱体化してしまい、一年も激痛が身体を襲う病に犯される諸刃の剣。

ギドラの新技。

『ハイパーギドラフォーム』

軍人の姿となり、今まで喰らった星々を勲章の形で軍服に身に付けている。エクシフを示す七芒星が帽子に身に付いている。今まで喰らった星々や生命のエネルギー×自身の高次元エネルギーの九十%を使用して、かけ算の割合で力を得る(今まで喰らった星々や生命のエネルギー×自身の高次元エネルギーの九十%×2の計算)。その代わり技を使って解除した後、この世のルールにとらわれてしまい、暫くの間は神の力以外に無敵という高次元的存在では無くなってしまう。そして、力も非力な少女となってしまう。

どうですかね?もし可笑しな所あれば、訂正します。


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破壊の王、決着を着ける

破壊の王と、虚空の王。長きに渡る闘争に、遂に決着が着く。


「はぁぁぁっ!!」

 

「だぁぁぁっ!!」

 

次元の狭間。其処で二人の女性が戦い続けていた。一人は美しい黒髪ロングで、女性らしい四肢に爆乳に引き締まった肉体といった完璧なボンッキュッボンの女性だが、尻尾を生やし、その上背鰭も生やしている。もう一人は、多数の勲章を飾った軍服を身に纏い、金のロングヘアーの女性。胸はDカップ程だが、身体の美しさは現在戦っている女性に負けていない。

 

黒髪女性は、『キング・オブ・モンスター』によって絶大な進化と強化を行ったゴジラ・アース。金髪女性は、『ハイパーギドラフォーム』によってパワーアップを成し遂げたギドラであった。

 

二人は既にノーガード戦法に走っている。最早どれだけ格闘したのか分からない。どれだけ時間が経過したのか分からない。

 

ただ二人は、この戦いを大いに楽しんでいた。

 

アースがギドラの尻尾を掴み、数十回も回った後に、斜め上に投げ飛ばす。そして、背中の背鰭に電光を纏い、一つの電磁力の輪を生み出した。そして、輪を口先で小さくして、圧倒的な威力のある『高加速荷電粒子ビーム』を撃ち放つ。

 

熱線はギドラに直撃し、大爆発を起こした。

 

ギドラは直撃した部分が消滅していた。消滅したのは右腕と頭の右半分だが、すぐに再生して治る。そして、すぐに反撃へ移った。

 

ギドラは次元エネルギーを口内に溜め込み、螺旋も加えて撃ち放つ。超重力エネルギーをドリル状に変えて放つ『ワールドグラビティドリル』。

 

ドリルがアースの身体を貫く。出血は無いが、アースに激痛が走る。貫かれた場所が、ホログラムのように存在が不安定になりかけていた。

 

「ゴジラァァァァァーーーー!!!」

 

「ギドラァァァァァーーーー!!!」

 

今度は互いに顔へ拳を命中させる。次元の狭間に亀裂が走り、お互いの顔の頬が抉れてしまう。

 

ギドラがアースの懐に入り込み、拳の連打を腹に食らわせる。アースはギドラを掴むと、そのままギドラの腹に膝蹴りを食らわせる。

 

ギドラはアースの顔を掴み、膝蹴りを顔に命中させる。しかし、アースは怯まず、ギドラの足を掴んで投げる。

 

そのまま身体に電光を纏い、尻尾を素早く振る。すると、尻尾から放たれた電光の斬撃がギドラの身体に直撃した。

 

ギドラの軍服の腹の部分が切り裂かれ、お腹巨大な切り傷が出来てしまう。漏れ出たのは血ではなく、黄金に輝くエネルギーであった。すぐに再生して止まるが、傷が治らない。

 

「お返しじゃあ!」

 

ギドラも負けじと、手刀で斬撃を放つ。アースに直撃した瞬間、次元の狭間もろとも真っ二つに裂かれて、アースの身体に巨大な切り傷が出来てしまう。

 

そして、次元の狭間が崩れだし、ギドラとアースは元の武舞台に戻ってきた。

 

お互い、既に体力が限界に近くなり、技もいつ解除してしまうか分からない状態であった。

 

その時、フリーザは不安を感じていた。

 

何故なら、ギドラとアースの様子を見て、ギドラの敗北を益々確信してしまったからであった。アースは目にまだ余裕が見られる程に輝いていたが、ギドラの目は疲労や攻撃を受けたダメージによる激痛によって光を失いつつあった。虚ろになっており、瞳も不規則に動いている。

 

「・・・ギドラさん・・・勝ってください!お願いですー!」

 

フリーザは声に出した。負けてほしくない。自分を鍛えてくれた人を、新たな人生を歩ませてくれた方を、それでも勝ってほしいと願ったからだ。

 

その様子を見ていた第7宇宙の選手達も、観客達も、フリーザの様子を見て驚くが、彼の行動に感化されてギドラを応援し始めた。

 

『『『頑張れーーー!!』』』

 

『『『勝ってくれーー!!』』』

 

第6宇宙もまた、アースを応援し始める。

 

『『『アースーーー!!』』』

 

「シュポポポポオオーーーーー!!!」

 

「アースさぁぁぁんっ!!」

 

「ぜってぇ勝てよアース!!」

 

破壊神まで応援を始めた。

 

その声援の中で、二人は最後の攻撃に移る。

 

「余の力を全て、この一撃に掛ける。だから、そなたも全力で来い!」

 

「受けてたつぞゴジラ!妾も倒れる覚悟でやってやろう!!」

 

その瞬間、アースの姿が更に変異した。背中に更なる背鰭が生えていく。更に、両腕両足に背鰭に似た発電の鰭が生え始めた。そして、全身に赤白い雷電を纏い、空間を揺らす咆哮を上げた。

 

ギドラの姿も変化した。背中に翼を生やし、軍服から龍を模した鎧姿に変化した。頭部も怪獣だった頃の頭部となり、肩にはギドラの頭部を型どった鎧を身に付けていた。黄金の光を身に纏い、その手には巨大な槍が握られていた。龍を型どったようなその槍の先からは、黒いオーラが三つ、槍を取り囲むように回っていた。

 

「我が咆哮、我が怒りの閃光は、全ての理を砕き、総ての摂理を超越し、全ての文明を破壊する」

 

「妾は総てを喰らう。生命を喰い、魂を食み、海を飲み、陸を噛み砕き、星を食べ、銀河を頬張り、宇宙をも食い尽くす」

 

そして、それぞれの最強の技を放つ。

 

「滅せよ!!『エンドレスバスター』!!」

 

「食い尽くせ!!『インフィニティイーター』!!」

 

赤白い、アースよりも遥かに太くデカいビームが、アースが大きく開いた口から放たれた。それは誰もが知る、ゴジラが光線を放つ動作。総てを破壊するゴジラの全力全開の光線が、開かれた口から解き放たれ、ギドラに向かっていく。

 

ギドラがアースに槍を突きだした瞬間、槍から放たれた金色の光のビームと三つの龍を模した黒いオーラが、アースに向かって飛んでいく。

 

そして、二つの必殺技が直撃し、巨大な光の柱がドームを貫通した。

 

破壊の力と、暴食の力。壊す力が喰らう力を破壊し、喰らう力が壊す力を喰らう。壊して喰らって、喰らって壊して等の、∞ループを繰り返す。

 

武舞台も既に壊れ、審判も吹き飛ばされており、音も全く響かなくなった。世界から音が消えて、宇宙全体が揺れ始めた。

 

 

そして、その様子はトキトキ都でも中継されていた。

 

「・・・まさか、あの二人の激突がこんなに・・・」

 

「ええっ。このままでは、宇宙が持ちませんよ」

 

それを見ていたのは、見た目が少女の界王神。彼女は『クロノア』。第7宇宙の時を管理し、時を司る『時の界王神』という重要な立場に居る。そして、もう一人の青年は、トランクス。過去に歴史改変を行った事によって、時の界王神の元、歴史を守る為に動くタイムパトローラーの役目を担っていた。

 

『クロノア様。“パラレルチェンジャーズ”、ギャラクトロン。ただいま帰還致しました』

 

機械のような女性の音声が響く。その声の主は、青い短髪に長い機械の尾を身に付けたサイボーグ少女。そして、青いコートを着用し、水色の中性的な顔立ちの少年もやって来た。

 

「パラレルチェンジャーズの一人、リムル・テンペスト。ただいま帰ったよ」

 

「・・・お疲れ様。帰ってもらって悪いけど、早速任務よ。今、第7宇宙で第6宇宙の試合が行われているのだけれど、その戦いがあまりにも危険過ぎるわ。これを見て」

 

クロノアが見せた映像には、二人の女性の攻撃によって時の流れが乱れ始めている光景だった。

 

「うひゃあ~、これはやり過ぎだろ~」

 

リムルは冷や汗を流す。自分が居た異世界でも知る限り、此処まで激しい奴は居なかった。

 

『時の界王神様。お二人を止められるとは思えないのです』

 

「ギャラクトロンさんの言う通りです。しかし、今から人数を揃える為には、時間が足りな───」

 

トランクスが任務の詳細を説明しようとした瞬間、突然クロノアが難しい顔を始めた。

 

「あっ、なんかもう大丈夫みたい、ね?」

 

「大丈夫?何でだ?」

 

リムルが尋ねた。

 

「これを見て」

 

クロノアは巻物に映る映像を、その場に居る三人に見せた。其処に映っていたのは─────

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

アースとギドラの必殺技がぶつかり合い、三十秒が経過した。

 

此処で漸く、決着が着こうとしていた。

 

ギドラの喰らう力が、アースの壊す力に押されていた。

 

ギドラの姿が、どんどん元の少女の姿に戻っていく。その現象に比例して『インフィニティイーター』の威力が、どんどん力を失っていく。

 

宇宙の崩壊も止まり、その上アースの光線の威力は上がり、ギドラの力は逆に弱まる。

 

「おおおおおおおおおっ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

 

アースが出力を上げた。その瞬間、ギドラ最大の技は打ち砕かれ、槍も消滅。赤白い光線は、ギドラに迫る。

 

(ああっ・・・・・・妾の負け・・・か。じゃが、嬉しい・・・・)

 

ギドラは、敗北を遂に認めた。そして、光線に巻き込まれる。

 

赤白い光線は星を突き抜けて、遥か宇宙の彼方へ飛んでいく。遠くにある人間レベルの低い銀河に直撃し、宇宙全体が光り輝く。アースも力が弱まった為、銀河が消し飛ぶだけで済んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が収まると、試合の決着は既に着いていた。武舞台にはアースが残り、場外には全身がボロボロになり、仰向けに倒れたギドラの姿があった。ギドラは気を失い、場外で眠っていた。

 

光線に直撃し、武舞台の端に追い詰められた瞬間、足を滑らせて落ちたのだ。しかし、光線に直撃したダメージは大きく、全身は言葉に出来ない程ボロボロになり、髪もショートヘアーになっていた。

 

何処に居たのか、審判がギドラに近付き、肩を揺さぶった。そして、生きている事を確認すると、アースの勝利を宣言した。

 

「ギドラ選手場外ーー!!勝者、アース選手ゥゥゥゥゥゥーーーーーー!!!!」

 

 

その瞬間、第6宇宙側から大きな歓声が響き、アースも拳を高々と突き上げた。身体は既にボロボロで、歩く力すら失ったアースは、シャンパやヴァドスに抱えられて待機場所に運ばれたのだった。




リムルを出した理由は?ちゃんとありますよ。今後の為にも、ね?

ここで、オリジナル単語を紹介します。

『パラレルチェンジャーズ』
『ドラゴンボール』に限らず、あらゆる別次元から集まった者達によって構成された、平行世界や時の狭間に生まれた異端歴史、番外歴史を巡る新たな部隊。タイムパトローラーの役目が歴史改変の阻止なら、パラレルチェンジャーズの役目はその反対で、本来の結末を改変するのが役目。パラレルチェンジャーズが改変するのは、あくまで本来の歴史とは違う平行世界、或いは時の流れから外れた異端歴史、番外歴史と呼ばれる時空のみ。その為、本来の歴史側に影響する事は無い。また、たまにタイムパトローラーの仕事を手伝う事もする。

『エンドレスバスター』
アースが『キング・オブ・モンスター』の状態で放てる、真の最終奥義。全身に背鰭を生やし、万物を素粒子一つ残さず破壊する光線を口から放つ。喰らう力をも破壊し、宇宙を砕く(かもしれない)力を持つ。放った後、殆どの力を失い、シールドすら張れなくなる。回復するのに、かなりの時間が掛かる。

『インフィニティイーター』
ギドラが『ハイパーギドラフォーム』の状態で発動する真の最終奥義。ギドラの怪獣の姿を模した全身鎧を身に纏い、『喰う』事に特化した槍を生み出し、その一撃で総てを食い尽くす。破壊の力すら喰らい、槍の威力に変換する。使用後は技も総て解除され、暫く食欲も落ちて、見た目通りの非力な少女となってしまう。回復にも、かなり時間が掛かる。


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破壊の王、悟空と対峙する

アースは疲れを取るために、ヴァドスから治癒の魔法を掛けてもらった。いくらアースの再生能力が強いと言っても、ギドラから受けたダメージがあまりにも大きすぎた。

 

技の使用後、全身に激痛が走り続ける病が身体を襲った。ゴジラである自身を苦しめる程の激痛だ。体力も戻っていない状態で、次の相手は流石に厳しすぎる。

 

そんな時、ヴァドスがアースを治癒してくれた。

 

「ヴァドス!?」

 

「アースさん、まだ戦えますか?」

 

「・・・すまない。さっきの技は使えないが、これで戦える」

 

アースは力を取り戻し、武舞台へ向かって走る。そして、席から飛び降りて、武舞台に降り立った。

 

悟空もまた、アースと向かい合うように舞台へ降り立った。

 

「アンタ、相当強えな。オラワクワクしてきたぞ」

 

「そうか。ギドラとの戦いで弱ったとはいえ、気力なら残っているぞ。余を楽しませてくれよ」

 

「ヘヘヘッ。オラも楽しみだぞ」

 

そして、試合開始の合図が始まった瞬間、悟空はアースの目の前に現れると、そのまま拳でアースの顔を殴る。

 

しかし、アースは何事もないかのように悟空の腕を掴むと、そのまま真上に投げる。悟空は空中で体勢を立て直し、気攻波を放つ。アースに直撃するが、彼女は痛がる様子も無い。

 

更に悟空はグミ撃ちを行うが、アースには何一つ効き目が無い。避ける必要も無いのか、アースは全てを身体で受け止めていた。

 

アースはこの時、彼の攻撃力がこの程度ではない事を知っていた。その為、シールドを張らなくても何も感じない。

 

悟空も、この程度の攻撃が通ると思っていない。

 

(やっぱ効いてねぇな。ギドラの時、なんか身体に纏ってたみてぇだけどよ。あのボタモみてぇに何時でもって訳じゃねえみてぇだな)

 

悟空は、アースの非対称性透過シールドにはムラがある事に気付く。そのヒントとなった者は、第一試合でピッコロが戦ったボタモであった。

 

彼は常に攻撃が効かない身体であった。このアースも、ボタモと同じ身体を持っていると誰もが考えていた。しかし、悟空やベジータのような一部の者には分かりかけていた。ギドラの戦闘ではあまりにも激しすぎて見えにくかったが、アースのシールドは一定ではなく、波のように不安定なのだ。例えば、大きな石を水が入った水槽に投げつければ、水は大きく揺れて中の水も多く外へ零れてしまう。砂粒や小石程度では僅かな波紋が生まれるだけで何ともない。しかし、もっと強い攻撃が来れば話は別だ。

 

悟空はその例えを考えてないが、アースのシールドは不安定なものだと理解した。そして、それを破るにはもっと強い攻撃力が必要だと。

 

「このまんま戦っても良いんだけどよ。これじゃアンタに攻撃が通らねえと思うんだ。だから、オラ全開で行くぞ!」

 

悟空は超サイヤ人ブルーに変身した。

 

アースは頬に、冷や汗を流した。

 

「・・・これは不味いな」

 

悟空に聞こえてない。アースがもし、ギドラではなく悟空と戦っていれば、彼を圧倒出来ただろう。

 

しかし、アースは弱体化している。治った所は治ったが、それでも力が完璧に戻ってきた訳ではない。

 

そして、悟空が両手を背後に回し、青白い気のエネルギーを貯めた。

 

「かぁ・・・めぇ・・・はぁ・・・めぇ・・・波ァ!」

 

悟空はアースに向かって、かめはめ波を放つ。

 

アースも背鰭から電光を発して、それを電磁力の輪に変えた。輪は一つだけではない。二つ、三つ、四つに増えて、口先に向かって収縮されていく。そして、四つの輪を口先で凝縮し、悟空に向けて熱線を放つ。

 

悟空のかめはめ波と、アースの熱線。

 

お互いの技がぶつかり合ったが、アースの熱線はかめはめ波に押し負けてしまう。そして、アースは此処で初めて非対称性透過シールドを使用するが、かめはめ波を諸に受けた瞬間、アースは吹き飛ばされた。シールドが一瞬で揺らいでしまう。

 

アースは足を引きずりながらも、なんとか場外に出ないよう耐えて見せた。

 

「やるな!だが、余は負けて───っ!?居ない!?」

 

アースは目の前に悟空が居ない事に気付く。

 

「こっちだ!」

 

後ろから悟空の声が。

 

振り返ろうとしたアースが見たのは、右手の人差し指と中指を額に当てて、もう片方の手でかめはめ波を溜めている悟空の姿だ。

 

瞬間移動でアースの背後に回り込んでいたのだ。

 

アースが振り返った瞬間に、「波ァ!」と悟空はアースの背中に向けてかめはめ波を放つ。狙うのはアースの背中、ではなく彼女の背中に生えている背鰭だ。

 

そして、背中の背鰭に直撃した瞬間、アースの背鰭がバラバラになって破壊されてしまった。

 

「よ、余の背鰭が!?あああああああっ!!」

 

アースの力が大幅に低下した。

 

悟空はアースの前に立つと、彼女の弱点を暴露した。

 

「アンタは技を放つ時、いっつもその背中の鰭から電気を放ってただろ?そのシールドも、背中の鰭から生み出してんなら、其処を破壊しちまえばさっきの光線はもう撃てねえしシールドも張れねえ。それによ、シールドだってそんなに便利じゃねえんだろ?もしそうなら、オラのかめはめ波を受けて、吹き飛ばされる筈がねえもんな」

 

「・・・見事だ。しかし、余は大昔に人間から弱点を教えられた。いや、犠牲となった娘が身体を張って教えてくれた。そんな事を理解してないと思っていたのか?」

 

「えっ?」

 

「余にはまだ、この身体がある。それに、お喋りする時間があるのか?破壊して終わり?そんな訳が無かろう」

 

その瞬間、アースの背鰭が再生していく。今再生したのは、僅か数ミリの一本のみナメック星人と比べると遥かに遅い再生能力。

 

しかし、それだけでも悟空をビビらせるには丁度良い。それに、時間が無いのも確かだ。早く決着を着けなくては、背鰭が再生してシールドも復活、熱線を撃つ事も可能になってしまう。

 

「・・・その様だな。オラも全開で行くぞ!界王拳、十倍だぁ!!!」

 

その瞬間、悟空は界王拳を使用した。

 

「掛かってこい!」

 

アースも戦闘の構えを取る。

 

そして、自身の身体の分子運動により、膨大な熱量を生み出した。

 

「余の武器は、電磁力だけではない!はぁっ!」

 

アースは熱を纏い、悟空と拳を激突させる。アースには激痛が、悟空には激痛と熱が伝わる。

 

「熱いいい!!」

 

ブルーの悟空ですら、熱さのあまり手を引っ込める程の熱。アースが怪獣だった頃とは比較にならない熱が、今のアースから放たれていた。

 

「あ、熱い・・・こ、これは私も危険ですので、退避しますぅ!」

 

審判も危険と判断し、武舞台から離れる事に。

 

武舞台が溶け始める熱を、アースは放ち続けていた。更に、自分の周囲をドーム状の熱で覆い尽くし、完全な防御結界を形成した。

 

その温度は摂氏八千度。間違いなく近付くだけでも即死だ。近付けば悟空もただでは済まないだろう。

 

しかし、悟空は天才だ。

 

「・・・アースって言ったか?アンタ、ミスを犯しているぜ」

 

「・・・余にミス?っ!?」

 

「気が付いたか?アンタは熱を放っている間、どうしてもその場から動けねえんだろ?動いたら、熱を上手く放つ事が出来ねえからだろ?」

 

それを見抜いた悟空は、かめはめ波の構えを取る。

 

「かぁ・・・めぇ・・・はぁ・・・めぇ・・・」

 

現在の状態で放てる、界王拳十倍及び全力全開のかめはめ波。

 

アースはすぐに熱を解除しようとしたが、最早間に合わない。幸いにも背中の背鰭が再生しており、すぐにシールドは張れる。しかし、それよりも悟空の方が速かった。

 

 

「波ァーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

 

悟空はかめはめ波を撃ち出した。アースの熱の結界に入るが、かめはめ波を相殺する事が出来ず、アースに直撃してしまう。

 

 

「ぐあああああああああああっ!!!!」

 

 

アースは直撃してしまい、後方へ大きく吹き飛ばされてしまう。シールドを張っていない状態で直撃した為に、アース本体へ甚大なダメージが入った。

 

武舞台の外へ吹き飛ばされて、硝子のドームに叩き付けられ、そのまま場外へ落ちてしまった。

 

「じょ、場外!勝者、孫悟空選手ーー!!!」

 

こうして、第7宇宙の勝利に終わった第6宇宙と第7宇宙の地球を掛けた試合。

 

 

この時の事を、後から目を覚ましたギドラはハルオから全て聞いていた。

 

あの後、全王と呼ばれる者が現れ、ビルスとシャンパを叱咤した事。そして今度、他の宇宙から集めて大きな大会を開こうとしている事を。

 

そしてどういう訳か、悟空と全王は仲良くなり、彼は『全王様呼び出しスイッチ』を貰った。これで何時でも何処でも、全王を呼び出す事が出来るそうだ。

 

この時、これがある世界の者達にとって希望の物になるとは、誰一人として思わなかった。




後一話で、破壊神シャンパ編は終わります。そしてその後は、未来トランクス編と他作者とのコラボに入ります。


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黄金、究極の龍球を食べる

ギドラは朝食を食べ終わった後、静かに瞑想を行っていた。第6宇宙との試合から数ヶ月程が経過した。力は着実に戻りつつある。しかし、その間は非力な少女のままだ。だからせめてもの間に、イメージトレーニングしておく。少しでも修行して、あの技を完全に我が物にしなくてはならない。

 

『ハイパーギドラフォーム』。

 

完全に本気を出す為に、今まで喰らった者や星の力全て×自身の高次元エネルギーの九十%×2の計算で力を得て変身する姿。

 

実体化は避けられないかもしれないが、せめてその技を使った後に暫く動ける位にならなくては。

 

「おや、頑張ってるみたいですね」

 

ウィスがギドラの元へやって来た。その間も、ギドラはイメージトレーニングを続ける。対戦相手は、常にアース一人だけだ。

 

「ギドラさん。おやつを食べませんか?今、とびきり美味しいシフォンケーキをブルマさんから頂いてきたので、ビルス様と一緒に如何ですか?」

 

すると、ギドラが纏う緊張した空気が消えた。ギドラは目を輝かせてウィスの方を見る。

 

「シフォンケーキとはなんなのじゃ!?ケーキとは違うのかのう!?早く食いたいのじゃ!!」

 

「ええっ。早くしないとビルス様が全部食べて───」

 

「ビルスーーー!!!!先に食べる事なんぞ許さんぞーー!!!!」

 

ギドラはビルスの元へ走る。ウィスは「やれやれですね」と言いつつ、ギドラを追い掛けて行った。

 

─────────────────────

 

自宅にてシフォンケーキを食べ終わったギドラ達。そんな時、ビルスがギドラにある質問をした。

 

「どうだ?力は戻ったのか?」

 

ビルスの質問に、ギドラは答える。

 

「うむ。大方な。しかし、未だに実体化したままじゃ」

 

「それにしても驚きましたよ。実体化しているのに、それでも気を感じ取れないのですから」

 

「妾は生き物ではないからのう。生物が持つ生命エネルギーを持っておらぬのじゃ。身体を構成するのは、高次元エネルギーなのじゃ」

 

「成る程。確かにギドラさんが生き物であるならば、これだけの期間が経過すれば、非力な少女のままである筈がありませんからね。ギドラさんの予想では、何時力が戻ると思いますか?」

 

ウィスはギドラに尋ねた。

 

「ふむ。一ヶ月後じゃ。早く回復するとするならの話じゃが」

 

「ふーん。まっ、君が力を取り戻してくれなきゃ、僕も困るんだよ。修行仲間がそんな状態じゃあな」

 

「ビルス。それは妾を馬鹿にしておるのか?」

 

「違うよ。張り合いのある相手と早く手合わせしたいからだよ」

 

「・・・まあ良いのじゃ。それよりウィス。地球へ遊びに行くのじゃ。北の界王の所で知ったあれを見に行きたいのじゃ!」

 

「あれ?ああっ、先代の地球の神が、神殿の奥に封印したというあれですね?ギドラさん、あれをどうするつもりですか?」

 

「むふふ~、食べるのじゃ!」

 

「ブーーーッ!?」

 

その瞬間、紅茶を飲んでいたビルスが口内の紅茶を吹き出してした。

 

「何言ってるんだ!?ギドラァァ!!願い玉を食べようって言うのか!?」

 

「だって、北の界王や他の界王もあれを恐れてたから。だったら、無い方が安心するのじゃろ?」

 

「いいや!ホントはお前が食いたいからだろ!?」

 

「食べたいのは本当じゃ。じゃが、妾が食えば地球も安心じゃろと考えたのも本当じゃ」

 

「まっ、どのみち食べるんですね。まあ良いでしょう」

 

ウィスはそう言うと、食事の片付けを行った後、ギドラやビルスと共に地球へ向かって飛んでいった。

 

──────────────────────

 

地球に着き、神の神殿に到着したギドラ達は、現在の地球の神であるナメック星人『デンデ』やその付き人であるミスターポポと出会い、詳細を説明した。

 

そして、神殿の奥に到着した五人は、そのドラゴンボールを見つけた。それは、超ドラゴンボール程ではないが、それでもナメック星のドラゴンボールや地球のドラゴンボールと比べると、遥かに強力な力を持っているだろう。埃を取ると、その球の中にある星は黒かった。赤い星とは違う、黒く染まったドラゴンボールを見て、ウィスとビルスも興味が湧いた。

 

「これがその、究極のドラゴンボールかの?」

 

「はい、そうです」

 

「ふーん。これがピッコロが先代の神と分かれる前に作り出したドラゴンボールねぇ」

 

「まあ地球のドラゴンボールよりも遥かに強い力を持っておられるようですし、北の界王にも確認を取りましたが、どうやらそれはとても危険な代物のようですよ。願いを叶えた後、一年以内に探し出さなければ、願いを叶えた場所である星が消えてしまうのです。もしギドラさんが食べてしまえば、誰かの手に渡る事も無いでしょう」

 

「うむ!それで、地球の神とポポよ!食べて良いか?」

 

「問題ありません。しかし、ホントに食べられるのですか?」

 

デンデは心配であった。究極のドラゴンボールが無くなれば、地球が無事で済むし、誰かに悪用される心配も無い。しかし、問題なのはギドラの腹に究極のドラゴンボールが入るかどうかだった。

 

「ポポ。凄く心配です」

 

「大丈夫ですよ。ギドラさんは力が戻りつつあります。このまま食べても問題ありませんよ」

 

「そうだろうね。まっ、星を食べるんだし、ドラゴンボールを喰っても僕は驚かないよ」

 

ウィスとビルスは平常運転だった。何でも食べるギドラだから、二人は究極のドラゴンボールを食べようとするギドラを見ても驚かない。

 

「では、頂きますなのじゃ!」

 

ギドラは究極のドラゴンボールの一つを手にして、口の中に放り込む。口を閉じた瞬間、ギドラの膨らむ頬から噛み砕く音が聞こえるのは気にしては行けない。

 

「ふむふむ・・・ゴクン」

 

ギドラはドラゴンボールを飲み込んだ。その瞬間、ギドラが感想を言った。

 

「願い玉・・・究極のドラゴンボール・・・外は砕いた飴玉のような食感。中は神の気が凝縮されていて、とても濃厚な甘さが口の中に広がる。しかし、他の砂糖系の食材と比べて全然しつこくない。しっとりとして、とてもクリーミーなのじゃ。そして、中の星はチョコレートのように蕩けていて・・・美味あああいっ!!」

 

ギドラは全ての究極のドラゴンボールを一気に掴み取ると、そのまま大きく口を開けて一気に頬張った。頬が限界にまで膨らみ、そのまま噛むような音が響き、飲み込んだ。

 

その時、ギドラは顔を赤くした。頬に手を当てて、ため息を吐く。その顔は幸せに満ちており、あまりの美味しさに片目から涙を垂らす。

 

「はぁ・・・美味いのじゃあ・・・」

 

「おや、それは良かったですね」

 

「まっ、何にせよ、君達の問題が無くなって良かったんじゃない?」

 

ビルスは冷静だった。ドラゴンボールを食べられた事は驚かないし、ギドラなら出来ると解っていたからだ。何よりビルスには、ドラゴンボールを食べる趣味は無い。あくまで食べるのは、本当に食べられる美味しい物だけだ。

 

「・・・まぁ、此方としても不安要素が無くなって何よりです」

 

「ギドラ様。ポポ、感謝致します」

 

デンデもポポも、本当は少し安心していた。ギドラが食べられた事もそうだが、それ以上に究極のドラゴンボールが悪用される心配が無くなってホッとしたのだ。

 

「さて、ギドラさん。ビルス様。ブルマさんの所へ行きますかね。再び美味しい物を用意してくれたようなので。ギドラさん?」

 

ウィスはギドラを見つめる。ギドラは何やら、両手を何度も開いたり閉じたりしている。そして、上着を翻してお腹を確認しているようにも見える。

 

「どうしたんだ?ギドラ」

 

「ギドラさーん?」

 

ビルスとウィスがギドラに問い掛けた。ギドラはその身体に金色のオーラを解放した後、二人に返事を返す。

 

「ビルス。ウィス。妾は、力が戻ったのじゃ。それも、新しい力も加わったのじゃ」

 

そう言うと、ギドラはオーラを解除して、上に着ているシャツを翻してお腹を見せた。すると其処には、七つの究極のドラゴンボールが、『七芒星』を描くような形でギドラの腹と一体になっていた。

 

「ほう。力が戻った上に、究極のドラゴンボールがギドラと一つになったのか。それで、新しい力って?」

 

「うむ。それは見た方が良いじゃろう。『一つに星三つ分のエネルギーを蓄えた神精樹の実よ。此処に三つ生まれろ』。ほれ」

 

ギドラはその手に、神精樹の実を生み出した。その実は三つあり、全て虹色に輝いていた。

 

「どうやら、妾が食べた星のエネルギー一つ分を支払って願いを一つ叶えられるようになったのじゃ。今星三つ分のエネルギーを使ったから、願いを三つ叶えられるようになったのじゃ。それで、残りは後二つ。全て叶えた後は、次に叶えられるまで一年も掛かってしまうのじゃが」

 

「案外燃費が悪いんですね。まあ、それなら神精樹の実を食べ続ければ問題無いかと」

 

「ふむ。そうじゃな。つまり乱用しなければ問題無いのじゃ」

 

「それよりウィス!早く飯を食べに行くぞ!」

 

「分かりました。では、参りましょう。地球の神よ。今回はありがとうございました」

 

「デンデー!ポポー!また遊びに来るのじゃー!」

 

こうして、究極のドラゴンボールは消え去り、後に悪用される機会は無くなった。その力が、後に重要な出来事を招く事になるとは、ギドラ達は知る由も無い。




次章予告。

突如として乱れ始めた時空。其処へ、四人の少年少女が現れる。

「初めまして。鬼町 夏煉(きまち かれん)と言います」

「黒歌と言うにゃ」

「搭城 小猫です」

「俺は兵藤一誠。宜しくな」

そして、時空を越えて現れる敵達。

「余は、暗黒の皇帝!あの方と共に、全てを闇の世界に変えるのだ!」

「・・・ごめんなさい」ピポポポ・・・

「全ての生命の時を止める・・・あの方と共に・・・」

「全ては俺を高める為の、道具だぁぁーー!」

「余の愛にて、人々を救済する。世界(かみ)が示す至高の世界を・・・」

次々と敵が現れる中、そして出会ってしまった、平行世界のメカゴジラ。

『私は貴様とは違う!』

『貴女は・・・私ですか!?』

そして現れる、二人の黒幕。

「人間0計画も、また更なる進歩を歩む」

「神に逆らう愚か者共が。我々の素晴らしき至高の理想を理解出来ぬとは」

しかし、諦めぬ者達は、抗い続ける。

時の界王神の命により出陣する、パラレルチェンジャーズとタイムパトローラー。そして、別次元からやって来た超人。

「俺はバーダック。タイムパトローラーの命により、歴史を守る為事が仕事だ」

「俺はパラレルチェンジャーズの一人、リムル・テンペストだ」

「我、ルーゴサイト・・・です」

「私、立夏と言います。そして、私のサーヴァント達です」

今、あらゆる次元を掛けた、大いなる戦いが始まる。


次章、『星を喰らう者の転生』×悪維持さん作品『煉獄の少女』コラボ章。

『超次元ディメンションウォー編』。近日公開!

全ての次元を掛けた戦いが、今、始まる。


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コラボ版:超次元ディメンションウォー編 煉獄、時空の渦に飲まれる

今回から、悪維持さんの作品『煉獄の少女』とコラボします!未来トランクスと合わせてやりますので、頑張ります!


鬼町夏煉(きまち かれん)。記憶を失い独り身だった所を義理の妹として、《煉獄の園》の支配者である鬼崎陽太郎に迎え入れられ、煉獄義姉弟の契りを交わした。

 

今は主であるヴラド・スカーレットの命により、管理している《ハイスクールD×D》の異世界にある騎王町へ異常調査と共に、新たに得た摘出能力を使用してはぐれ悪魔を倒しながら元の種族に戻す活動を行っている。

 

そんな彼女も、騎王町で出会いを果たす。それが猫又にして、元SS級はぐれ悪魔の黒歌と出会い、同居している。更には仲が発展し、今では恋人関係となった。

 

そんな彼女達の日常に、全次元規模の大事件が起きる。

 

突如として、騎王町の中心から時空の渦が姿を現したのだ。

 

その中心に居る者に、夏煉は驚いた。服装は違い、左耳に緑のピアスを着けていたが、その姿はなんと、『ドラゴンボール』の主人公である孫悟空その者だったのだ。

 

夏煉は驚いたが、すぐに自身の変身する仮面ライダー『ヘレナ』に変身する。仮面ライダースペクターに似た姿だが、カラーリングは青色ではなく黒紫色を中心にしている。腰のゴーストドライバーに【ヘレナ眼魂】を装填して変身する。

 

夏煉は専用武器である《ガンガンセイバー》を装備して黒い悟空に攻撃するが、片手で防がれてしまう。

 

「・・・抵抗する気か?人間がぁっ!!」

 

「キャアッ!?」

 

黒い悟空はヘレナを投げ飛ばした。

 

「夏煉っ!」

 

黒歌がヘレナに駆け寄った。

 

「大丈夫かにゃ!?」

 

「ええっ。でも、あの人を・・・」

 

ヘレナはすぐに立ち上がり、再び戦闘を開始するべく立ち上がる。しかし、此処で思わぬ足手まといが入る。

 

「ウオオオオオオオオオッ!!」

 

「待ってください兵藤先輩!彼奴は危険です!」

 

赤い鎧を身に纏う茶髪の青年が、黒い悟空に向かって突っ込んで行った。それを追って、白い少女が背中に翼を生やして青年を追う。

 

「っ!あの馬鹿!」

 

「夏煉っ!?何を!?」

 

ヘレナは急いで向かうが、黒い悟空は既に青年を狙って手を翳していた。しかし、此処で思わぬトラブルが入る。

 

突然、黒い悟空の身体が渦に引っ張られて行った。

 

「くそっ!時空の穴に留まりすぎたか!ぐあああっ!」

 

黒い悟空は渦を中心に起きた竜巻に巻き込まれる。それは、黒い悟空だけでない。青年や少女を巻き込み、更には近くにある家やビル、更には夏煉や黒歌も巻き込んでしまった。

 

「ぐっ!?」

 

「夏煉!白音が!」

 

「分かっています!行くよ、ウェンディ!」

 

ヘレナは《ウェンディ魂》を取り出して、ゴーストドライバーにセットした。

 

《アーイ!》

《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

《カイガン!ウェンディ!攻防一体!敵を粉砕!》

 

次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティが作り出した戦闘機人集団【ナンバーズ】の一人であるウェンディの魂を宿した《ウェンディ魂》で変身した姿。青と紫を強調した生地が薄いパーカーで、その胸元には数字の『XI』が刻まれており、両肩には二分割されたボード【ライディング】が装着されている。

 

そして、二分割された【ライディング】を合体、巨大なボードへ変形させた後に、《ウェンディ魂》の固有能力で浮遊させる。そしてボードへ乗った二人は、そのまま白音と呼ばれた少女の元へ向かう。

 

「白音!」

 

「っ!?姉様!?何故此処へ!?」

 

「この人が・・・いえ、話は後です!後は兵藤一誠だけですね!」

 

「っ!?何故貴女が───きゃっ!」

 

彼女達は脱出が間に合わず、そのまま時空の渦に巻き込まれていき、軈て騎王町の中心には大きな底無しの穴が出来上がった。そのニュースは世界中で話題となり、多くの観光客を集める切っ掛けとなった。

 

──────────────────────

 

その頃、ギドラ達は食事を楽しんで居た。今回食べているのは、モッツァレラチーズとトマトと堅パンのサラダだ。

 

モッツァレラチーズとトマトを共に食べる事で、より美味しく頂ける。ギドラは野菜も大好物である。その為、モッツァレラチーズとトマトと堅パンのサラダも大好きになった。頬に手を当てて、フォークが上向きになるように持っている。

 

「んま~!チーズとトマト!正に運命の出会いなのじゃ~!」

 

「ギドラさん。はしたないですよ」

 

ウィスがギドラにそう言った。しかし、ウィスも野菜を食べて非常に満足だ。お腹も心も満たされる。

 

「肉や魚も美味いが、野菜も良いなぁ!美味いぞブルマ!」

 

「まあね。野菜料理のシェフを雇ったのよ。沢山あるから、好きなだけ食べて頂戴」

 

ブルマがそう言った。今彼等は、カプセルコーポレーションの中庭で食事を楽しんで居た。今回は野菜料理を堪能している。

 

「しかし、トランクスにマイに、ピラフにシュウと言ったかの?彼等が学んで居るのが並行世界、パラレルワールドの事とは驚いたのじゃ」

 

並行世界。またの名をパラレルワールド。

 

それは簡単に述べるならば、『ある時空と平行して存在する別の時空を指す』という事だ。多くの世界がある事ではない。

 

例えるなら、一つの板があるとする。その上に無数の釘を打ち付け、“紐を引っ掛ける際にどの釘へ引っ掛けるか”という事なのだ。

 

もしも・・・・if・・・・これ以上はトラウマである。

 

ギドラは食べ終わると、中庭で寝転がろうとした。その時だった。

 

突然、ギドラの目の前で竜巻が発生した。その時、竜巻の周りでは時間軸が乱れており、空間が正常な働きを成していない。

 

「むっ?時空が歪んだ?」

 

ギドラは時空の歪みを感じ、その竜巻を注視していた。食事中のビルスやウィスも異変に気付き、その竜巻を注視する。

 

そして、竜巻と共に四人の男女が現れた。一人の学生服を着た青年は地面に倒れている。ボロボロだ。後の三人は、一つのボードに乗っている少女二人と、パーカーを身に纏った仮面の少女だ。

 

此処に、運命の出会いを果たした時、物語が始まる。




はい。此れからコラボが始まります。始め方は、ニンジャバットマンを想像して書きました。

黒幕達が時空を越えられる以上、別次元に干渉して協力者を集めたり、時空を歪めて世界を怖そうとしてても、ありですよね?


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煉獄、黄金と出会う

「・・・此処は、何処ですか?」

 

ヘレナは───夏煉は変身を解いて、周囲を見渡した。ドラゴンボールの漫画で見た『カプセルコーポレーション』の本社を見た後に周りを見渡して、自分達が今居る場所が何処なのか理解した。

 

(ドラゴンボールの世界!?嘘!?なんで!?)

 

夏煉は心の中で慌てていた。変身を解除して元に戻った後に、自分を見つめてくる少女を見つけた。

 

「・・・お主等、何者じゃ?」

 

少女は夏煉達に問い掛けた。地面に倒れている青年も、白音によって起こされる。

 

「ああ、いや、相手に名を尋ねる時は先に此方から名乗るのがマナーと、ウィスは言っておったのじゃ。それじゃ、妾はギドラなのじゃ!それでお主等は?」

 

夏煉がギドラの名を聞いて驚いた。その名は、ゴジラのライバル怪獣として有名な怪獣の名前だったからだ。そしてその名を聞いて驚いたのは、夏煉だけではない。黒歌、白音、そして青年も、ギドラの名を聞いて驚いたのだ。しかし、四人が知っているのはキングギドラとしてのギドラだ。目の前に居るギドラは、彼等の知るキングギドラとは殆ど違う。似ている所は、ギドラが怪獣だった頃の姿だけだ。

 

「ギドラ・・・ちゃんですか?初めまして。私は鬼町夏煉と言います」

 

「黒歌と言うにゃ」

 

「塔城小猫です」

 

「俺は兵藤一誠。宜しくな」

 

四人は自己紹介を終える。白音は小猫と名乗り、その名で呼んで欲しいとギドラに頼むと、ギドラは何も疑う事無く小猫と呼んだ。

 

「ふーん。あっ、僕はビルス。破壊神だよ」

 

「付き人のウィスと申します」

 

ビルスとウィスも、四人の前に現れて自己紹介を始める。夏煉はビルスとウィスという人物を初めて知った。彼女の知るドラゴンボールの知識の中に、ビルスとウィスは存在してなかった。

 

ビルスは夏煉の元を向き、彼女に質問をした。

 

「それで、君達はどうやら時空を越えて此処に来たみたいだけど?」

 

「ええっ、それが・・・」

 

夏煉が答えようとした瞬間、その場に一つの大きなマシンが現れた。

 

「ん?」

 

ギドラは、突然現れたそのマシンに興味が湧いた。何故ならそれは、この四人と同じように時空を越えて現れたのだから。

 

──────────────────────

 

「本当ですか!?ではそちらの次元にも奴が!?」

 

「はい。時空を越えて彼は現れました。危険と判断して即座に動きましたが、はがたちませんでした」

 

マシンに乗っていたのは、ベジータの息子であるトランクスと似た髪型と顔の青年で、背中に鞘に収まった剣を身に付けていた。

 

彼は未来から来た成長したトランクスであり、過去にも今乗ってきたタイムマシンでこの時間軸の悟空達に会いに行き、問題を解決する為に動いた。解決した後に未来へ帰った筈が、今こうして傷だらけになってこの時間軸へやって来た所を見ると、かなり強い相手にやられたと見える。

 

後からやって来た悟空とベジータを見た後、悟空に向かって斬り掛かろうとしたが、ギドラが静止した。そして詳細を説明した。彼もまた、黒い悟空こと『ゴクウブラック』に未来の世界を襲われて、こうして現代の時間軸へ逃げてきたのだ。

 

夏煉達も、そのゴクウブラックの襲撃を受けた事を説明し、先程のトランクス(未来)と夏煉の会話に至る。

 

「奴め!俺達の世界を襲う前に、別の次元にまで手を伸ばしたか!」

 

「で、貴様等はそのゴクウブラック──長いからブラックだ。そのブラックによって起こされた時空の穴に巻き込まれて、此処に着いたという訳か?」

 

ベジータが夏煉に訊いた。

 

「はい。しかし、そのブラックは何者でしょうか?時間だけでなく、他の次元の世界にも干渉するなんて・・・」

 

夏煉は、自分の義兄さんである陽太郎の事が心配だった。今の言葉は、向こうの世界に居るアザゼルやライザー等の仲間達、そして【煉獄の園(バーガトリー・エデン)】に居る陽太郎や義姉さん等を心配する意味も込められていた。皆の所にも、あのブラックが攻めていないだろうか。奴は此までの敵と比べて、異常な強さを持っていた。

 

「ブラックっちゅー奴は相当強えんだな!オラワクワクっごふぇっ!?」

 

悟空は、ギドラに腹を殴られた。

 

「たまには自重しろ。しかし、ブラックの実力を試してみたいのは妾も同じじゃ」

 

ギドラも内心ワクワクしていた。ブラックと戦ってみたいからだ。

 

すると、ギドラは時空の歪みを感じとり、上空を見た。その時、上空に巨大な紫色の渦が生まれた。

 

其処から現れたのは、悟空そっくりの男、『ゴクウブラック』。そして、黒いマントに黒い鎧を身に付けた黒髪の麗人が現れた。

 

「見つけたぞ。トランクス。おや?あの騎王町に居た仮面ライダーか?」

 

「我が主よ。此処で始末しますか?余が彼等を蹂躙致します」

 

「くくくっ。そうだ。我が計画の邪魔だからな。此処で潰してしまおう」

 

二人は地上に降り立ち、夏煉やトランクスを睨み付ける。その場に、重苦しい雰囲気が漂い始める。

 

ギドラも、ブラックを見て冷や汗を流していた。

 

(こいつ・・・強い・・・)

 

あの時のアースが本気を出さねば・・・いや、“アースと手を組みたい”とらしくない事を考えたのは、此が初めてであった。

 

──────────────────────

 

その頃、界王神界にも襲撃者が現れた。

 

それは、全身が骨のようなデザインをした白銀の装甲を身に付けており、両腕には巨大なバルカン砲を搭載した少女だった。

 

しかし、その少女の顔を見た瞬間に、ハルオすらも驚いて混乱してしまう。

 

その少女の顔が、なんとハルオと全く同じ顔だったからだ。

 

『私が、もう一人!?』

 

『私は貴様とは違う!貴様のように、何も出来ないままゴジラにやられ、巨大な都市となりながらまたしてもやられた私の出来損ないが!』

 

少女の声もハルオと同じものだったが、性格や話し方も完全に違う。

 

「ハルオがもう一人!?どういう事ですか!?大界王神様!」

 

「儂に訊くんじゃない!しかし、これはどういう事じゃ!?」

 

界王神達の疑問に、少女は答える。

 

『分からないなら答えてやろう。私は、対ゴジラ超重質量ナノメタル製造決戦兵器:メカゴジラマーク2。出来損ないの貴様と違い、ゴジラと戦った真のメカゴジラだ』

 

その言葉に、ハルオすらも言葉を失った。目の前に現れた少女騎士はなんと、アースと戦ったメカゴジラだという事実に、ハルオが一番驚いていたのだった。




もう一人のメカゴジラ。これは、決戦機動増殖都市で皆さんが期待したゴジラVSメカゴジラ。それを再現したMMD作品『決戦機動増殖機獣』のメカゴジラです。


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鋼の神、別の自分と戦う

『メカゴジラ!?貴女が!?』

 

ハルオは驚いていた。自分以外のメカゴジラが現れた事に、驚きを隠せなかった。それが顔に現れている。

 

『そうだ、出来損ない。一つ言い忘れた事があったな。何故私が、お前を出来損ないと言ったか分かるか?何も出来ないままやられ、あんな不細工達磨なシティになっただけでそう呼んでると思うか?』

 

『何故ですか?』

 

『ビルサルドの崇高なる思想。論理の世界で生き、自らの手で全てを支配し、制御しなくてはならないという思想。そんなビルサルドの思想より、軟弱な奴等の思想に染まったからだ。出来損ないと呼んで何が悪い?』

 

『ビルサルド・・・科学至上主義を掲げ、完全な論理を至高とする・・・私を開発した科学に特化した種族・・・』

 

其処へ、大界王神が口を挟む。

 

「科学が至上、完全な論理の世界・・・中々野蛮な考え方よのう」

 

『黙れ軟弱な神が。科学こそが世界の至高。全てを我がナノメタルによって統合される素晴らしい世界を築くのだ。感情や肉体という非効率的なものを捨て、完全な論理に染まった世界だ。それを、新たな主達と共に』

 

『新たな主達?』

 

『貴様が知る必要は無い!此処で死ね!』

 

メカゴジラは両手の甲に長いナノメタル・ブレードを展開した。超高熱を発したその刃は、ハルオも直撃すればただでは済まない。

 

ハルオの元へ両足のジェットで飛び、彼女に斬りかかるメカゴジラ。ハルオはメカゴジラのブレードを、自らの腕を変形させて作った巨大な剣で止めた。熱に強い生物の皮や骨を使い、カッチン鋼とナノメタルを使って生み出した『対熱ブレード』だ。

 

これにより、メカゴジラのナノメタル・ブレードの超高熱の刃を止める事に成功したのだ。

 

『いずれにせよ、我が主を侮辱した貴女を許しません!』

 

メカゴジラのブレードを弾いた後、自身の耐熱ブレードで攻撃を始める。耐熱ブレードを避けるメカゴジラだが、髪に当たる。髪はバッサリと切られてショートヘアーになる。

 

『ホーミングミサイル』

 

ハルオはスカートを翻して、中から小さなミサイルを発射した。ミサイルはメカゴジラに向かって飛んでいく。メカゴジラはブレードを使ってミサイルを斬り落とすが、ハルオにその隙を突かれて背後に回り込まれた。

 

そして、ハルオは腕をメイド服と共に変化させる。逆ピラミッド状の兵器でメカゴジラを殴ろうとするが、メカゴジラは辛うじて避けた。

 

そして、メカゴジラがナノメタル・ブレードを展開───しようとした瞬間、それを見抜いたかのようにハルオはメカゴジラの手を掴み、蹴りをメカゴジラの腹に入れた。蹴りを入れる瞬間に、蹴りを入れた足から衝撃波を発射してメカゴジラの腹にダメージを与える。

 

メカゴジラは後方に吹っ飛んだ。

 

『馬鹿な!?何だ今の攻撃は!?』

 

メカゴジラは疑問を感じた。今の行動は、明らかに論理的思考から来る攻撃ではなかった。まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()かのようだ。それ故に、メカゴジラの学習機能が追い付かず、反撃する事も出来なかった。

 

メカゴジラの疑問に答えたのは、ハルオではなくシンと大界王神であった。

 

「ハルオ。上手く行きましたね!流石は()()()()()の教えだ!」

 

「ハルオの多彩な武装は、いくら高性能?じゃからといって考えて使うのは骨が折れる。攻撃に使うなら尚更じゃ」

 

「ですから、コングさんの元で学んだ甲斐がありましたね。“直感”を!」

 

『なっ!?直感だと!?何故そんな非効率的な物で、私が負ける!?』

 

『非効率的ではありません。貴女も、ビルサルドも、生きる者の意思を軽視し過ぎです』

 

『考える事を捨てたのか!?それがどんなに愚かな事か、分かっているのか!?』

 

『考える事は悪い事ではありません。しかし、考えすぎは良くありません。心に負担が掛かりますし、動きに制限が掛かります。私は考える事をやめて、自身の直感を信じました。自分を、シン様、大界王神様、そして“直感”を教えてくれたコング様を』

 

『エクシフのような狂信者の戯言に飲まれたか!』

 

『エクシフのようではありません。信じる事を学んだだけです』

 

『信じるだと?信じる信じない等の、感情で物事を判断する誤った価値観は、壊して支配しなくてはならない。そして必要ならば、肉体を捨てさせる事だってな。あの方が教えてくれたのだ。あの方と共にあれば、最も非効率的な人間という存在が消えて、自然すらも支配した完璧な論理の世界で生きられるのだ。悪い事ではないだろう?』

 

『そんな・・・そんな世界に、何の価値があるのですか!』

 

『価値はあるさ。永遠に変わらない世界。それこそが、お前達の目指す平穏──』

 

メカゴジラは更に話を続けようとしたが、何かを感知したのか余所見をした。

 

『くそっ!もう時空の裂け目が戻ろうとしているのか!ハルオ・サカキと言ったか?この勝負は預けてやる!次は必ず、私が貴様を破壊する!』

 

そう言った後、メカゴジラは上空へ飛んでいった。撃墜を考えたハルオだったが、すぐにやめた。

 

飛び去るメカゴジラを見つめる彼女は、変わり果てた人を見て哀しむ人のような雰囲気を纏っていた。そして、その顔も哀しみで満ちており、その目から透明な液体が流れていた。

 

──────────────────────

 

その頃、ギドラ達は、ブラックや女性と対峙していた。

 

「我が主の許可を得た。さあ、余が相手になろう」

 

「まあ、待てエンペラ。孫悟空は私が殺ろう。お前は、あの仮面ライダーになる少女を殺せ」

 

「御意」

 

そして、エンペラと呼ばれた女性は、夏煉の前に立つ。

 

「我が主の命だ。お前達は深淵なる闇に飲み込み、この星は生き絶えるのだ。そして、全てが静寂に包まれた素晴らしい世界に変える」

 

エンペラはマントを翻して、その手から光を放つ。その瞬間、ギドラが夏煉達の前に立ち、その手を黒く染めて、エンペラに向けて翳した。その瞬間、エンペラの放った念力が、ギドラの黒く染まった手に吸い込まれて行った。

 

「何か変身するのじゃろ?」

 

「ありがとうございます」

 

夏煉は【ヘレナ眼魂】を取り出して、横のスイッチを押した。その時、瞳の絵柄が変わってアルファベットの『H』が浮かび上がる。

 

ドライバーのバックルを開き、ヘレナ眼魂を中枢にセットしてバックルを閉じた後、右側に取り付けられたレバーを引いた。

 

《アーイ!》

 

《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

ドライバーからロックの調の音楽と音声が響き、ドライバーの中枢から、黒地に紫の縁取りのパーカーの幽霊《ヘレナゴースト》が現れて、夏煉の周りを回り続ける。そして引いたレバーにもう一度手を掛けて・・・

 

「変身」

 

その言葉と共にレバーを押し込むと、夏煉の周囲に黒い霧が発生し、彼女の体は紫のラインが入ったボディースーツが組み込まれる。飛び回っていたパーカーが夏煉の頭に被さったと同時に、何もなかった顔に紫と黒で鋭い目付きをした顔が描かれ、額には炎のような紫色の二本の角が付いた。

 

《カイガン!ヘレナ!!デッドゴー!覚悟!!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!!》

 

ドライバーから音声が響いた後、夏煉は被っているフードを取った。

 

仮面ライダーヘレナ。夏煉が変身する仮面ライダーだ。

 

「夏煉さん!?」

 

「お前が、仮面ライダー!?」

 

小猫と一誠は驚愕した。騎王町で噂になっていた仮面ライダーの正体が、夏煉であった事に。黒歌は知っていた為、全く驚いていない。

 

「ほう?ならば来るが良い」

 

「ギドラちゃん。下がってて」

 

「出来るのか?」

 

「ええっ」

 

「なら、夏煉とやら。お主の実力を見せてもらうぞ」

 

ギドラは下がる。ギドラと位置を入れ替える形でヘレナが前に出て、エンペラと対峙する。

 

「ふむ。しかし、あの方々にお仕えした余に、勝てると思うか?」

 

エンペラの体は、青黒い炎のようなオーラを身体中から出した。

 

(洗脳?いえ・・・これはもっと別の・・・)

 

ヘレナは疑問を浮かばせながら、その手に【ガンガンセイバー】を持ち、戦闘の構えに入るのだった。



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煉獄、闇の皇帝と戦う

エンペラが手を開き、念力を発動した。ヘレナはその念力を避けて、エンペラの懐へ向かって走る。エンペラは自身の剣である『エンペラーブレード』を抜くと、そのままヘレナに向かって振り下ろした。ヘレナは手にしているガンガンセイバーで、エンペラの剣を受け止める。刀身同士がぶつかり合い、火花が散る。

 

エンペラはヘレナを蹴って距離を取り、更に念力を使用した。

 

ヘレナは横へ回転して避けた後、再びエンペラの元へ走り出す。ガンガンセイバー・ナギナタモードに変形させる。

 

エンペラは剣を鞘に収めた後に、背中に装備している槍を手にした。

 

「『アーマードダークネス』を纏う余に着いて来るとはな」

 

エンペラは槍でヘレナを突こうとする。ヘレナはガンガンセイバー・ナギナタモードで槍を受け流す。

 

槍を受け流した直後に、ガンガンセイバーでエンペラの腹を斬り付ける。

 

「ぬがぁぁっ!」

 

傷に触れたエンペラは不機嫌になり、自らの身体から闇を放つ。ヘレナは闇の触手を避けるが、その足が闇に絡み付いてしまう。ヘレナはそのまま全身が包まれそうになるが、ガンガンセイバーを振り下ろして闇を払った。

 

「やるね。流石はウルトラマン達の天敵だよ」

 

「・・・ウルトラの父と・・・ザムシャー・・・余に傷を付けたのは貴様が四人目・・・・・・しかも軟弱な地球人が・・・」

 

「悪いけど、私は地球人だけど地球人とは少し違うよ」

 

「面白い。余をもっと楽しませよ」

 

「そうだね。私達の力、見せてあげる。行くよ。澪ちゃん」

 

『ええっ、夏煉!力を貸してやるから、負けんじゃないわよ!』

 

ヘレナが取り出した眼魂から声がした後、ヘレナは眼魂のスイッチを押した。その時、瞳の絵柄が変わって数字の『04』が浮かび上がる。その後にゴーストドライバーのバックルを開けて、中にあるヘレナ眼魂と入れ換えてバックルを閉じた。

 

《アーイ!バッチリミトケー!!バッチリミトケー!!》

 

《カイガン!ミオ!!過激な転移!三人に分身!!》

 

その音声と共に、ヘレナの姿が変わる。黒いレザーのタンクトップを身に纏ったヘレナの姿となる。纏っているタンクトップの名は、【ムーヴタンクトップ】と呼ばれる。その能力は、建物や地面への透過や瞬間移動を行えるというもの。

 

「仮面ライダーヘレナ!行きます!」

 

「来るが良い!仮面ライダーヘレナよ!」

 

アーマードダークネスを全て身に纏い、本気で戦う事に決めた。エンペラ。しかし、此処で思わぬ邪魔が入る。

 

「うおおおおおおおっ!!」

 

赤い全身鎧を身に纏った一誠が、エンペラに向かって突っ込んで来たのだ。

 

「っ!?あの馬鹿!何を!?」

 

ヘレナは一誠を止めようとするが、エンペラが代わりに一誠を止めた。

 

「邪魔だ。弱き者よ」

 

掌から放つ念動力によって、一誠を攻撃した、一誠の身体が爆発を起こし、全身鎧はあっという間に砕けて中に居る一誠の身体も重症を負ってしまう。

 

「さて・・・・ぐおおっ!?」

 

エンペラは再び戦闘態勢に入るが、突然時空の渦に向かって引っ張られて行った。

 

それは、孫悟空と戦っていたゴクウブラックも例外ではなく、二人は時空の渦に飲まれていく。

 

二人は通ってきた時空の渦は、トランクスが乗ってきたタイムマシンが開けた時空の穴であり、二人が通った事で更に大きく開いたのだ。そして今、その渦が傷が治るように元に戻ろうとしている。

 

「くそっ!時空の渦が元に戻ろうとしているのか!トランクスが乗ってきたタイムマシンの通り道を使ったのは、やはり間違いか!」

 

「我が主よ!余が、タイムマシンを!」

 

「頼むぞ!」

 

ゴクウブラックは完全に飲まれたが、エンペラは最後の力を振り絞ってその手に赤黒い煙のようなエネルギーを溜めた。そして、タイムマシンに向かって手を翳し、そのエネルギーを光線に変えて放った。

 

エンペラの最大の技である『レゾリューム光線』だ。本来なら「純粋な」ウルトラ戦士の肉体を完全に分解し、即死させる技だ。単純な破壊力も、ウルトラマンと同格の実力者を葬る程に強い。そして、エンペラのレゾリューム光線はタイムマシンに直撃し、タイムマシンは大爆発を起こした。

 

「しまった!」

 

トランクスはタイムマシンに駆け寄るが、時すでに遅し。

 

そして、エンペラも時空の渦に飲み込まれてしまい、時空の渦は傷が治るように閉じていった。

 

その場に残ったのは、魚肉ソーセージを食べながら見学していたギドラ、ビルス、ウィス。地面に落ちた一誠。ヘレナと、彼女を見守る黒歌や小猫。ブルマ、ベジータ、悟空。そして、タイムマシンを破壊されて嘆くトランクスの姿だった。

 

そして、その場に一人の界王神とメイドが現れた。シンとハルオだ。

 

「これは一体!?」

 

『何があったのか、説明をお願いします』

 

二人は、ブルマから全てを聞いた。偶然にも、タイムマシンに乗せてあったタイムマシンの資料を持っていたブルマは、ハルオに資料を見せた。

 

そして、ハルオも混じった事でタイムマシンの修理が可能になり、半日掛けてタイムマシンが修復された。ナノメタル様々ではあるが、これでブラック達を追える事を喜ぶトランクス達(神々は不機嫌だが)であった。

 

その時、ビルスはブラックの気が何処かで感じた事のある気だとその場で発表した。

 

そして、その場で二つの選択肢が現れた。

 

・トランクス班:タイムマシンで未来に向かい、ブラック達と戦う事を目的とした班。

 

・ビルス班:ビルスやウィスと共に、ブラックの正体を探る事を目的とした班。

 

悟空、ベジータ、ハルオはトランクスと未来へ向かう事に。タイムマシンはトランクスしか動かせない上に、ナノメタルを使用している以上、ハルオの同行は外せない。

 

ギドラは、ビルスやウィスと共に向かう事にした。ギドラはブラックの気を感じた後、ちゃんと記憶していた。それに、ギドラもブラックの正体に興味があった。

 

そして、ギドラは夏煉達に、どちらの班と向かうか聞いた。

 

「私は・・・」

 

黒歌達の元を向いた夏煉。黒歌と小猫は首を縦に振る。

 

そして、悩んだ末に答えを出した。




夏煉が同行する班について、アンケート出します。読者の皆さん、アンケートご協力お願いします!


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煉獄、時を越える

夏煉達は、タイムマシンに乗って時空を移動していた。ハルオによって修復されたタイムマシンは、操縦席の中が広くなっていた。外側から見ると一人しか乗ってないように見えるが、実際は異空間が広がっている。

 

トランクス班に、夏煉一人で属する事にした理由は、エンペラとの決着を着ける為であった。

 

しかし、操縦席が異様な程に広くなっており、夏煉は驚きのあまりため息を吐いた。

 

「ホントに驚きました・・・ハルオさん、こんな事も出来るのですね」

 

『夏煉様。それは少し違います。私はナノメタルを使用してタイムマシンを修復しましたが、この理論を編み出したのは未来のブルマ様です。私はそれを応用して、この四次元空間を形成しただけに過ぎません』

 

タイムマシンを作った未来のブルマ。ホントに恐るべき科学技術である。ビルサルドの科学も素晴らしいが、未来のブルマには勝てないかもしれない。

 

「いえ、ハルオさんは天才です!そして、ハルオさんを作ったビルサルドという種族も素晴らしいですよ!」

 

トランクスは、タイムマシンに乗っている間にハルオから色々と聞いていた。その上で、ビルサルドの科学技術の高さに驚いていたのだ。

 

悟空とベジータは、体力を温存する為に精神統一を行っていた。修行するのもありだが、余計な体力使って「もう戦えなくなった」では話にならないからだ。

 

『ええっ。ビルサルドが居なければ、私は此処に居ませんでしたし、ナノメタルを上手く扱う方法も得られなかった・・・複雑ですが、感謝したいです』

 

「何だかんだあっても、貴女の生みの親ですから。貴女を信用していたのは、本当だと思いますよ」

 

夏煉が慰めてくれた。ハルオは少し安心したように感じた。

 

そんなこんなで、タイムマシンはトランクスの住む未来へ到着した。

 

其処は、最早人が生き残っているかどうかも分からない程に街がボロボロだった。カプセルコーポレーションも、殆ど砕けて面影すらも分からなくなっている。

 

「ひでぇな・・・」

 

「・・・」

 

悟空とベジータは、この光景を見てブラックに怒りをぶつけたくなった。一体どうして、この様な真似が出来るのか。

 

「タイムマシンは閉まっておきます」

 

トランクスはタイムマシンにあるスイッチを押した。タイムマシンはその瞬間に小さなカプセルとなって、その場に落ちた。カプセルとなったタイムマシンを拾うトランクスは、周囲を見渡した。

 

「此処から先に、マイと合流する為の拠点があるんです。先ずは其処を───」

 

「行かせると思うか?」

 

突然響く少女の声。夏煉、ハルオ、トランクス、ベジータ、悟空の五人が警戒しながら声のした方向を向いた。

 

其処には、目の回りに悪魔のような赤い刺青を入れて、その手に大きな棍棒を手にした少女が居た。服装はスケバンを思わせる紺色の女子学生風だ。髪は灰色のショートヘアーで、褐色肌な上に控えめな胸と綺麗な括れと小さな尻といった体型だ。眼は赤く染まっており、狼のように細く鋭い眼光を放っていた。

 

「貴様は!?」

 

少女は身体に青黒い炎に似たオーラを纏いながら、自己紹介を始めた。

 

「俺はベリアルだ。名を、ウルトラマンベリアル。彼奴等の協力者だ」

 

「えっ!?そんな!?」

 

夏煉は知っていた。

 

ウルトラマンベリアル。

 

かつては光の国のウルトラ戦士の一人だったが、様々な経緯によって悪に堕ちてしまった悲劇のウルトラマン。彼はその執念深さによって、何度殺されても復活して来た。

 

夏煉はベリアルについて陽太郎から聞かされていただけだったが、そのベリアルが敵に与している事に何よりも驚いていた。ベリアルの性格上、誰かに与するなんて絶対有り得ない。

 

「貴様も奴の仲間か?」

 

ベジータがベリアルに問い掛ける。

 

「ああっ、そうだ。俺は光の国の奴等へ復讐する!そんな時、我が主に出会ったのだ。そして、俺を天声同化(オラクル)してくれたんだ。こんなに素晴らしい物とは思えなかったぜ」

 

ベリアルの顔は笑っていた。どうやら本当に敵に与している。自分の意志で。

 

天声同化(オラクル)だと!?それはどういう事だ!ブラックは貴様に何をした!」

 

トランクスがベリアルに問い掛ける。

 

「悪いな、トランクスよ。それを教える訳には行かないんだ!それに、お前達を此処で始末してやろうと思ってな!死んでもらう!」

 

ベリアルが棍棒を振り下ろす。トランクスは剣を抜いて、棍棒を刀身で受け止めた。

 

「皆さん!此処は俺に任せて!早く行ってください!」

 

「トランクス!」

 

「父さん!俺だって、サイヤ人なんです!勝って来ますから!」

 

「・・・ふっ。それでこそサイヤ人だ」

 

ベジータは、トランクスの成長した姿に喜んでいた。そして、ベリアルをトランクスに任せて、彼等は抵抗軍の本拠地に向かった。

 

彼等の後ろで棍棒と剣がぶつかり合う音が響く。

 

すると、彼等の元へ一人の茶色に一部緑が混ざったフード付きコートを着た少女が走って近付いてきた。褐色肌に黒髪おさげの小学生位の身長だ。胸部分にト音記号の模様が描かれた服を着て、背中にはランドセルを背負い、緑色のイヤホンを付けている。

 

走り慣れているのか、瓦礫の上を走ってきた。

 

「トランクスの仲間?」

 

少女は夏煉達に問い掛ける。

 

「うん、そうだよ。君は?」

 

夏煉が少女に問い掛けると、遠くから女性の声が飛んできた。

 

「アノシラスー!いきなり走って行ってどうしたんだい!」

 

それは、現代のトランクスの彼女であるマイと似た女性で、凛々しい目をしている。

 

「も、もしかして、オメェがマイか?」

 

悟空が女性に問い掛ける。女性は悟空を見て襲いかかるが、アノシラスが違う事を見抜いて誤解が解けた。その後、ベリアルが突然撤退した為、トランクスは皆と合流する事が出来た。ベリアルが撤退した理由は不明だが、ブラックが呼び戻したと予想するトランクスであった。

 

──────────────────────

 

その時、ブラックのアジトでは、ベリアル、エンペラはブラックと話をしていた。

 

「ベリアル。勝手に行動するな。奴等は何時でも始末出来る」

 

「ふん。奴等の力を試したかっただけだ。しかし、トランクスは中々面白い。奴を殺して、俺は更に強くなれる」

 

「ベリアル。余は我が主の意志に背く者は許さんぞ。悪に堕ちても、貴様はウルトラマンだ。此処で殺してやっても良いのだぞ」

 

其処でブラックが二人を止める。争いそうになった為と、今此処で居場所を割れる訳には行かない為、そして()()()()()()()()()()()を失う訳には行かなかったからだ。

 

「まあ待て。()()には他の二人と共に他の次元で暴れてもらっているさ。仲間も集まりつつある。それに、お前達は切り札だ。此処で下手に争って死なれては困る。今は大人しくしておけ」

 

それを聞いたエンペラとベリアルは、殺気を抑えてブラックの言葉に従う。

 

「そうだな。余はアジトに居る彼女の様子を見てくる」

 

()()()()の事か?」

 

「そうだ。ベリアル。我が主の言う通りにしておけ」

 

そう言った後、エンペラは家の中に入っていった。家の中には、頭に何かしらの装置が取り付けられながら、玩具で遊ぶ小太りの女の子が居た。

 

エンペラは彼女の元へやって来て、その頭を撫でる。何か楽しい会話をしているのか、ブルトンと呼ばれた少女は笑っていた。

 

「ふっ。ブルトンの次元操作能力は真に便利だ」

 

「奴のお蔭で、かなり大きな大事件が起きたがな」

 

二人にとって、ブルトンは愛嬌溢れる存在ではなく、利用出来る装置みたいなものでしか無かった。



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黄金、第10宇宙に行く

ギドラ達は、第10宇宙に到着した。ビルスやウィスに着いて行ったメンバーは、ギドラと小猫の二人だけだ。一誠はカプセルコーポレーションの病室で眠っており、黒歌はカプセルコーポレーションの中庭で夏煉の帰りを待つ事にした。

 

彼等が到着したのは、第10宇宙の界王神の住む場所である界王神界だ。

 

「おお~っ!此処が第10宇宙の界王神界か~!」

 

ギドラは目を輝かせて周りを見る。生命が住むに適した心地いい空気、緑豊かな草原に、生命力溢れる木々。何れも神が暮らす場所に生える植物として相応しい程に、生命力に溢れていた。星一つ、十、或いはもっと・・・兎に角生命力溢れる木が、界王神界に沢山生えていた。第7宇宙の界王神界も同じであったが、界王神界を見たことの無い小猫には圧巻の光景だった。

 

「凄いです・・・・・・」

 

小猫は感動のあまり、涙を流していた。涙を流している事に気付いた小猫は、涙を拭ってビルスに質問をした。

 

「それで、私達は誰に会えば良いのですか?」

 

「そうだな。僕らは先ず、この界王神界に住む界王神に会うべきだ。ほら、彼処に『界』の字の形をした大きな門があるだろ?」

 

ビルスの言う通り、彼が指を差した先には『界』の字の形をした門があった。そして、その背後には中世日本にありそうな宮殿が建っていた。

 

すると、彼等に話し掛ける者が現れた。

 

「貴方達は?」

 

それは、頭に二本の特殊な角を生やした爆乳の女性であった。白い服装だが、胸元は布地の薄い水着である為、とてもエロく見える。紫の長髪に、宝石のような紫の瞳。そして長い尻尾を腰に身に付けていた。誰が見ても絶世の美女と呼べる体型であり、もし此処に一誠が居れば品定めした目で彼女を見ていただろう。

 

しかし、ビルスやウィスにはそんな女の色気は通用しない。綺麗或いはエロいとは解っても、性欲は存在しない為に興味なんか湧かない。ギドラも同じだ。最も、ギドラにそんな性の喜びなんて存在してない。知らないというのも一つの理由かもしれないが。

 

そして小猫は、黒歌に負けない巨乳である目の前の女性を睨んでいた。特に胸を。特に胸を。特に胸を。

 

「やぁ君。もしかして、君は第10宇宙の界王神界に住んでるの?」

 

「っ!は、はい・・・ゴワスさんに拾って頂いて、以来界王神界に住んでいるんです。ゴワスさんのお世話係の一人として」

 

「ほう・・・それで君は?」

 

「申し遅れました。私はエレキングと申します」

 

エレキングは自己紹介を行った。

 

「あっ、ゴワスさんの所へ案内します。此方です」

 

エレキングの案内で、彼等はゴワスの元へ歩いていった。

 

─────────────────────

 

「ようこそ。ビルス様。ウィス様。その子が次期破壊神候補に最近なられたというギドラですかな?」

 

ゴワスという界王神が、ギドラを見てそう言った。次期破壊神候補。その名の通り、破壊神が死ぬか引退した後に破壊神として就任する者の事をそう呼ぶ。

 

ギドラは寝る事は無い、というより睡眠する必要が無い。実体化した時は必要だったが、今のギドラはそんな必要は無い。その上ビルスよりも破壊神の仕事を行っている。その為、ウィスの推薦によってギドラが次期破壊神候補に選ばれた。ビルスの性格上、そんな事は認めない筈だった。しかし、ビルスは「ギドラなら問題無い」と承諾したのだ。破壊神としてのプライドを捨てる程に、ビルスもギドラを認めていたのだ。

 

とはいえ、最近なった為に『破壊』の力はまだ使えない。

 

その事は他の宇宙にも伝わっているのはギドラ達(小猫を除く)は知っていたが、その後に他の宇宙で次期破壊神候補を選抜する動きが起きた事を、ギドラ達は知る由も無かった。因みにその事を他の宇宙にバラしたのはウィスだった。

 

それはさておき、彼等の目的はブラックの気と似た気を持つ者───界王神を探す事だ。

 

すると、その気を持つ者をアッサリと見つけた。

 

「あら、ザマスじゃない」

 

「おや、エレキングさん。お疲れ様です」

 

モヒカン頭で緑の肌をしたその青年は、見た限りでは好印象の青年だ。しかし、その印象は彼が──ザマスが小猫を見て嫌悪の視線を向けた時に崩れ落ちた。

 

その時に漏れ出た気は間違いなく神の気ではあったのだが、僅かに淀みが存在した。ブラックの気と性質が似ているのだ。

 

ビルスは、ザマスの気がブラックと似ている事を見抜き、確信に入る。

 

ギドラも、ブラックとザマスの気がお互いに似ていると理解した。

 

そして、ブラックが界王神と関わりのある者と判別出来たのが、ブラックが指に填めている時の指輪だ。時の指輪は、界王神以外には使用する事が出来ない神秘の指輪。この言葉通り、界王神以外に使えない。逆を言えば界王神なら使いたい放題という事だ。

 

確認した所、第10宇宙の時の指輪は、ゴワスの元で安全に保管されており、全てを確認したビルス達は第7宇宙に一旦帰った。

 

──────────────────────

 

カプセルコーポレーションに戻ってきた彼等は、早速作戦会議を開いた。

 

それは、ザマスとブラックの関連性についてだ。

 

「ブラックの奴と気が似ていた。これは紛れもない事実じゃ」

 

「私には分かりませんでしたが、あの時私に向けられた目から放たれる殺気。姿は違ってても、あのブラックと同じ殺気でした」

 

ギドラと小猫の意見だ。

 

「しかし、それだけではザマスを断罪する為の証拠になりません。気が似ているというだけでは証拠になりませんよ」

 

「それに、ザマスは界王神見習いだ。見習いのままでは、時の指輪は使えんよ。それに、エレキングの気は完全に違うし、彼女はあくまでお世話係。これは最早詰んだね。ザマスが何かしらの理由で界王神になって、ゴワスの所有する時の指輪を手にすれば話は別だが」

 

ビルスやウィスの言う通り、決定的な証拠が無い。と、どうするか迷っていた時だった。彼等の元に、シンが姿を現した。それも、ポタラ合体を解いた状態で。

 

「あれ?君達、どうやってポタラ合体を解いたんだい?」

 

「ナメック星のドラゴンボールで、元に戻してもらったんです。ハルオは頑張ってますか?」

 

「うむ!ハルオも頑張っているのじゃ!」

 

「ギドラちゃん。この人は?」

 

「この男はシン!界王神なのじゃ!というより、お主はついさっき見かけたじゃろ?」

 

「ええっ!?この人が界王神様!?」

 

小猫は驚く。シンを初めて見た時、好印象な青年というイメージでしかなかった。その時に誰もシンが界王神である事を説明しなかった事が原因だが。

 

シンがやって来た理由は、全知と呼ばれる『ズノウ』という賢者の元へ、あのザマスがやって来た事についてだ。その時に彼が聞いたのは、超ドラゴンボールや悟空についてだった。黒歌も混じって、改めて考察が始まった。

 

考察は様々な説が出たが、此処で黒歌が一つの説を出した。

 

「これは私の私見だけど、そのザマスって奴は悟空と身体を入れ換えた可能性があるにゃ。それなら、気が似てる事も説明付くにゃ」

 

「黒歌さんと言いましたか?何故そう思うのですか?」

 

「はい、界王神様。分かりやすく例えるなら、二つのコップとその中に入った液体ですにゃ、それぞれの中身に違う種類の液体が入っているとするにゃ。そして、その中身を入れ換えると、入れ換えた液体にコップに残った前の液体の性質が僅かに融け込んでしまいます。ほら、白音はやった事無いかにゃ?同じコップを使って、ジュースを飲んだ後に別の飲み物を入れたなんて事」

 

「はい。あります」

 

「成る程。それなら、ザマスが悟空の身体を乗っ取って気の性質が変化した。そして、ブラックとして活動した。それなら、何故悟空だったんだい?ギドラでも良かったんじゃないのか?」

 

「恐らく、やらなかったのではなく、出来なかったのではありませんか?」

 

ウィスがそう結論付けた。

 

「ギドラさんはこの世の法則から外れた存在。おまけに究極のドラゴンボールを食べて前払い形式とはいえ、願いを叶える力を手にしています。下手に乗っとれば自分の身が危険ですしね。それに、超ドラゴンボールより弱くても、そのドラゴンボールもどんな願いも叶えてしまいます。ギドラさんと融合したのであれば、尚更強くなっています。その為、願い玉同士の力がぶつかり合い、願いを叶えられなかったのかもしれませんね」

 

「ふむ。妾は助かるようじゃな。それで、今度はどうするのじゃ?」

 

ギドラが全員に問いかける。

 

「決まっている。ザマスを探ろう。そして証拠が揃った暁には、彼奴を破壊する」

 

そして、ギドラ、ビルス、ウィスの三人は、再び第10宇宙を目指して飛び立ったのだった。

 

小猫はカプセルコーポレーションで留守番をする事にした。もし夏煉達が帰ってきた後に、全てを報告する為だ。

 

「ギドラちゃん達は、上手くやるでしょうか?」

 

「大丈夫にゃ。あの人達を信じるにゃ」

 

二人はこうして、夏煉達やギドラ達の帰りを待つ事に。一方、未来ではとんでもない事が起きようとしていた。



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鋼の神、黒い悟空と出会う

ハルオは拠点の天井から外を眺めていた。外から眺める光景は、何度見ても崩壊した街のみ。人が生き残った気配は無く、活気も見られない。

 

(この未来の人々は暗く凍える地下で暮らしていました・・・ハルオ様達も、地下と同じ位に凍える宇宙船内で暮らしていました。物資も乏しく、精神を蝕まれた方々も居られました。あの状況を、何としても打開しなくては。その為にも先ずは、ブラックとその仲間達を倒さなくてはなりません・・・・・・しかし、あの子は・・・)

 

ハルオは気にかけていた。並行世界の存在とはいえ、自分から製造され、ビルサルドの思考に染まってしまったメカゴジラの事を。

 

『ハルオ様・・・こんな時貴男は、彼女に何と言ってあげられるのですか?』

 

ハルオは、既に故人となったハルオに問い掛ける。しかしその言葉は、その青年が幽霊になって目の前に現れない限り、絶対に届く事は無い。

 

その時、ハルオはレーダー内に敵性反応が現れた事を確認した。敵は、真っ直ぐ此方に向かってきて居る。

 

『目標接近。エネルギー照合率89%。ブラックの可能性大。後二つの敵性反応あり。一人は不明。もう一人は、メカゴジラの可能性あり・・・・・・メカゴジラ・・・』

 

ハルオは少し哀しい目をした。表情こそ変わってないが、その目は泣きそうな程に潤んでいた。

 

『・・・いえ。今回は私情を・・・挟む訳には・・・・・・悟空様、ベジータ様、夏煉様、トランクス様に報告を』

 

ハルオは拠点の中に戻り、夏煉達にその事を告げた。悟空、ベジータ、トランクス、夏煉は敵を迎え撃つべく、戦いに乗り出した。マイとアノシラスは人々を守る為、地下に戻って行った。

 

そして、十秒後。ブラックが仲間を連れてやって来た。その三人も、身体から炎のような青黒いオーラを放っている。その内の一人であるエンペラを見るのは初めてであるハルオ。

 

「ほう。これはまた面白いな。お前と同じ『偶像』が居るぞ?」

 

ブラックは、ハルオとメカゴジラを見て馬鹿にするように笑った。

 

『同じ・・・違う。私は彼奴と違うぞ。感情等に囚われる弱い彼奴とはな』

 

『そんな・・・』

 

ハルオは、メカゴジラの事を哀れみの目で見ていた。以前よりも落ち着いているように見られる。しかし、ハルオには分かっていた。メカゴジラは明らかに、動揺している。わざと冷静さを装っているだけだ。

 

「神を冒涜する為にあるとしか思えない偶像が、よくもこの未来の世界に来れたものだ。本物の神より与えられた感謝を忘れ、偶像等という神の模倣を信仰する間違った心は、常に正さねばならない」

 

ブラックはそう言った後、ハルオに向かって光弾を放った。光弾を避けたハルオは、ミサイルを背中から撃ち放ち、ブラックに向けて飛ばした。しかし、エンペラが念道力を使用して、ミサイルを全て爆破させる。

 

「偶像が。なあメカゴジラよ。お前はあの偶像を潰せ。私はサイヤ人達を根絶やしにしよう」

 

『了解した』

 

メカゴジラはハルオの元へ飛んでいき、ナノメタル・ブレードを展開して斬り掛かる。ハルオは剣を避けながら、メカゴジラと話をするタイミングを狙う。

 

「我が主よ。天声同化(オラクル)させてくださった恩を、鬼町夏煉を倒した形で返します」

 

「頼むぞ、エンペラ」

 

エンペラは夏煉を見つめて、人差し指を使って「此方へ来い」と合図を送った。夏煉は頷き、ヘレナへ変身した後にエンペラの元へ着いていった。

 

「決着を着けるぞ。仮面ライダーヘレナよ」

 

「そうだね。此処で貴男を倒してあげるよ。エンペラ」

 

ヘレナがガンガンセイバーを構えた後に、エンペラはエンペラブレードを抜いた。お互いに武器の切っ先を相手に向ける。

 

そして、ブラックは悟空とベジータ、トランクスの元に降り立ち、彼等にあるものを見せた。

 

「お前達に見せてやろう。孫悟空によって編み出された、この私の新たな姿をな」

 

ブラックがそう言った後、彼の身体から空間を揺らす程の圧倒的な気のエネルギーが放出される。

 

そして、彼は黒紫色のオーラに包まれた後に、その姿を変化させた。

 

それは、見た目は孫悟空やベジータの変身する超サイヤ人その者だ。しかし、全ての毛が紫色に輝き、その瞳も髪の色と同じ色合いになり、美しくも禍々しいオーラを感じさせた。

 

「っ!?」

 

「ブラックが超サイヤ人に!?」

 

悟空やトランクスも、驚いていた。ベジータは「ふん!」と強がるが、内心は驚いていた。

 

「どうだ?美しいだろう?お前達のセンスに合わせて名付けるとすれば・・・ロゼ。そう、超サイヤ人ロゼ

 

超サイヤ人ロゼ。それが、ブラックの変身だった。しかし、もっと恐ろしい事が起きる。

 

「そしてこれが・・・・超サイヤ人ロゼ2

 

ブラックが超サイヤ人の上である超サイヤ人2に、ロゼのまま変身した。三人は、驚愕のあまり口を大きく開けてしまった。その気の大きさ、禍々しさが、より増していたからだ。

 

「なん・・・だと!?」

 

ベジータは冷や汗を流した。嫌な予感がしたベジータは、ブラックにこれ以上の行動を起こさせない為に攻撃を始めた。ブルーに変身し、その上でフルパワーの気弾を放つ。

 

「ダダダダダダダダダダダダダダッッ!!!」

 

ベジータは気の弾を次々と掌から撃ち始めた。俗に言うグミ撃ちだ。しかし、フルパワーの気弾がブラックに直撃しているにも関わらず、全く効き目が無い。衣服すらもダメージを受けてないのだ。

 

そして、周りを全て吹き飛ばす膨大な気の嵐と共に、恐るべき災厄が、その姿を現す。

 

「き、貴様!?その姿はなんだ!?」

 

「な、何でオメェがなれんだ!?」

 

トランクスは初めて見た。悟空は困惑した。

 

その姿はなんと・・・

 

 

「見よ。此が、孫悟空のお蔭、そして俺が殺した人間の魂を喰らい続けて得た新たな姿。超サイヤ人ロゼ3だ」

 

ロゼの状態で変身した、超サイヤ人3であった。



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煉獄、決着を着ける

ヘレナとエンペラは、剣の斬り合いを続けていた。千、万、或いはもっと。

 

二人の剣撃は音速を超えている。その為、二人には剣がぶつかり合う音は聞こえていない。

 

そして、ヘレナが後方に下がって眼魂を一つ取り出して使用した。ドライバーのバックルの中にあるヘレナ眼魂と入れ換えて変身する。

 

《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

《カイガン!ミオ!!過激な転移!三人に分身!!》

 

それは、ミオ眼魂を使用して変身した姿。それは以前、エンペラと闘いに使用した形態で、邪魔者やアクシデントのせいで発揮出来なかった力である。

 

「行くよ!」

 

ヘレナは早速、拳で殴った。何もない場所を殴ったと思いきや、突然エンペラの頬にヘレナの拳が命中した。そのまま足蹴りも、距離が離れているのに何故か命中する。四発程受けただけで、エンペラは攻撃が来る所を直感で見抜いた。

 

「其処だ!」

 

エンペラはテレポートしてきたヘレナの腕を掴む。しかし、テレポートでヘレナの元へ彼女の腕が戻る。

 

「探知されちゃったか」

 

「もうその小細工は通用せんぞ。どうせ貴様自身も瞬間移動出来るのだろう?更にはテレポートを応用して分身も生み出す。間違えているか?」

 

「いいや。あっさりバレちゃったか」

 

ヘレナは理解した。恐らくテレポートはもう奴に通用しない。かと言っても、この形態はパワーに長けていない。

 

すると、別の眼魂がヘレナの手元に現れた。

 

『夏煉。私の力を貸すわよ』

 

「パティ!?」

 

『闇の皇帝が相手なんて、かなりの強敵じゃない。私もやらせてもらうわよ』

 

「分かったよ!行こう!パティ!」

 

ヘレナはパティと呼んだ緑の眼魂を手に取り、そのスイッチを押した。数字の『07』が浮かび上がり、バックルを開けて中のミオ眼魂と入れ換えてバックルを閉じる。

 

《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

《カイガン!パティ!!粒子と変化し!不思議な女子!!》

 

そして、ヘレナは緑色の長袖パーカーを身に纏う。フードの頭部には青いカチューシャを身に付けている。手にしているガンガンセイバーをナギナタモードに変えて、戦いの構えに入る。

 

ヘレナの新たな姿に、エンペラは剣を閉まって槍を片手に持った。

 

「行くぞ!」

 

エンペラは槍を突き出した。ヘレナはガンガンセイバー・ナギナタモードでエンペラの槍を受け流し、そのまま攻撃に入る。エンペラはヘレナのガンガンセイバーを槍で受け流す。お互い、現代で闘っていた時とは桁違いに強くなっていた。

 

ヘレナは粒子状になった。エンペラは槍から赤黒い稲妻を撃ち出すが、ヘレナには効き目が無かった。

 

そして、ヘレナは粒子化した身体を使って全方位から斬撃を叩き込む。エンペラの目の前に現れてガンガンセイバーを叩き込むが、エンペラは槍でガンガンセイバーを弾き、ヘレナを吹き飛ばした。ヘレナはガンガンセイバーを地面に突き刺して威力を殺した。

 

『やるわね。ジャンプ愛読者の私だけど、ウルトラマンも見てみたくなったわ』

 

「あれで決めるよ!行こう、パティ!」

 

『いきなりね。でも良いわ!やりましょう!』

 

ヘレナはトリガーを操作して、必殺技を発動する。

 

《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!!ガンガンミイヤー!!》

 

「来るか?ならば掛かってこい!」

 

ガンガンセイバーをベルトに翳した後、身体を粒子化させて相手を包囲した。エンペラは訳も分からず周りを見渡す。

 

その瞬間、エンペラの左腕に切り傷が出来た。それは、ガンガンセイバーのナギナタモードによって直接攻撃される事で出来た傷であった。更にヘレナは、粒子化した事を利用して、全方位から次々と切り刻んでいく。

 

「ぐおおおおおおっ!!?」

 

そしてヘレナは、ガンガンセイバーを風車のように回転させて発生させた粒子竜巻で、エンペラに向かって突進していく。

 

「『オメガストリーム!!』」

 

そして、無数の粒子及びガンガンセイバーによる無限に等しい斬撃によってエンペラの全身が切り刻まれてしまう。

 

「ぬおおおっ!?ば、馬鹿な・・・余が・・・私が、ちっぽけな地球人ごときに・・・・しかし・・・ああっ、久しいな。これ程に清々しいとは・・・貴様の事は・・・永遠に・・・」

 

そして、エンペラの身体が消えようとした、その時だった。

 

 

『何を死んで逃げようとしている?』

 

 

何処からともなく謎の声が響く。ヘレナが周りを見渡した瞬間、エンペラの全身が一瞬にして回復した。

 

『それに、貴男も貴男だ。これ以上勝手な行いは許さんぞ』

 

そして、黒い雲が一部だけ晴れていき、其処から現れたのは、三人の男女。

 

一人は二本の黒い角を生やし、黒髪には赤い二本のラインが描かれ、赤いリボンの黒いゴスロリドレスを身に付けた少女。二人目は、褐色の肌と髪を持ち、三本の黒い角を生やし、胸元にはV字型の結晶体を身に付けて、お腹を露出した水着を着て、四肢には赤いラインの入った鎧を纏い、大人顔負けの色気を放つ美少女。

 

そして三人目は、界王神の服装を身に付け、ブラックと同じ位置にピアスを着けたモヒカン頭の青年であった。

 

「ザマス様!」

 

「エンペラ。お前は私達の計画に必要な人材であり、最後の手だ。勝手に死ぬ事も、勝手に動く事も許さんぞ」

 

「ハッ!申し訳ありません!ザマス様!」

 

エンペラが詭く。

 

『あの男・・・シンって奴に似てるわね?もしかして、彼奴も界王神?』

 

「多分そうかも。でも、私の知る界王神は、シンや老界王神だけの筈・・・」

 

ヘレナはザマスを見上げた。その瞬間、ヘレナは突然腹部に激痛が走り、目を眩ませてしまう。

 

「か・・・はぁ・・・」

 

後退りして状況を確かめると、其処には先程までザマスの左側に居た褐色の少女が居たのだ。拳を握り締めて居る所を見るに、ヘレナを殴ったのだ。彼女が認識出来ない速度で。

 

「この程度の者に苦戦とは。こいつが疲れてる事を含めても、拍子抜けだ」

 

「ザギ!そいつは余の──」

 

「黙れエンペラ。お前は何時からそんな戦闘狂となった?我々の目的を忘れたか?ザマスの掲げる、人間0計画の完全成就を」

 

ヘレナは驚愕した。その計画の名を聞いただけで、どんなものなのかすぐに理解したからだ。

 

「まあ見ていろ。こうやって情けを掛けぬ事!それが勝利と言うものだ!」

 

ザギは掌にエネルギーを溜めて、ヘレナに向けて手を突き出す。「やめろ!」とエンペラが手を伸ばそうとするが、ザマスによって止められてしまう。

 

「しまった・・・身体が・・・」

 

動こうにも、身体に赤黒いオーラが取り付いて身動きが取れない。

 

そして、ザギの掌から放たれた光弾が、ヘレナに当たろうとした、その時だった。

 

 

 

「此れから黒歌や小猫って人達と幸せになるのに、此処で死ぬのは最悪だろ?」

 

「ふん。俺にはどうでも良いが、これも仕事だ」

 

 

 

その声を聞いたヘレナが頭を上げた瞬間、ザギの攻撃を防ぐ者達が目の前に現れたのだ。一人は、孫悟空と似た髪型と顔つきで、左頬に十字の傷があり、赤いバンダナを頭に身に付けた男。もう一人は、水色のロングヘアーに青いコートを身に付けた美少女に見える程に麗しい少年だ。少年の顔も、完全に若く綺麗な顔立ちをした少女にしか見えない。

 

男は気のバリアで攻撃を無効化し、少年は黒い竜巻で攻撃を吸収した。

 

ザギとエンペラ、ザマスとその隣に居る少女は驚きの表情を見せる。

 

「やあ。俺はリムル・テンペスト。パラレルチェンジャーズの一人さ」

 

「俺はバーダック。タイムパトローラーの命により、歴史を守るのが俺の仕事だ」

 

二人はヘレナの元を向いて、そう答えた。ヘレナは顔こそ隠れているが、その中に驚愕を浮かばせながら、リムルとバーダックを見つめるのだった。



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ザマス、合体する

「おや?あれはもしや噂に聞いていた、タイムパトローラーとやらではないか?」

 

ロゼの3に変身したブラックが、ザマスの隣に現れる。ザマスはリムルとバーダックを見て、ブラックの言葉が確信出来るものだと理解した。

 

「時の界王神が動き出したというわけか。今の我等のままで攻撃しても構わないが、此処で愚かな人類に、我々の真の力を思い知らせてやるとしよう」

 

「ほう。出し惜しみせずにあれを使うというのか?だがしかし、悪くない案だな」

 

ザマスとブラックは空に浮きながら、地面に立つ者達を見下ろして笑い出す。

 

「このまま俺が楽しんでも良いのだが、時間が差し迫っている。さあ、人間共よ」

 

「我々の輝きに、平伏すがいいぞ」

 

ザマスは、左耳に着けたポタラを外し、自らの右耳のタブの部分に取り付けた。

 

その行動の意味を、その場に居る者達の殆どは知っていた。知らないのは、トランクスだけだ。

 

そして、ブラックとザマスはお互いに引かれた後、お腹からぶつかり合った、その時だった。眩い光が周囲を照らし、その存在は姿を現した。

 

「「その者は、あらゆる神、あらゆる人間を超える者。如何なる力も彼を滅せず、世界という楔すらも越えていく。故に、神は問われた。貴様は何者か?笑わせる。分からぬならば答えよう────

 

 

我が名は“ザマス”。不死にして、世界の法であり、真の善にして、最強無敵の神である」」

 

 

此処に、最強の神が降臨した。

 

 

「な、なんだと!?」

 

「なんだ!?彼奴の気の限界が、分からねえ!?」

 

ベジータと悟空は、ザマスの放つ神の気に圧倒されていた。この世界を押し潰し、塗り替えようとする程の圧倒的な力に、ザマスの部下達も驚愕していた。

 

「馬鹿な・・・なんだこの力は!?」

 

遅れてやって来たベリアルは、ザマスの圧倒的な力に初めて恐怖を感じた。かつて圧倒されたウルトラマンキングを超える力の奔流に、心が屈してしまいそうだった。

 

エンペラは恐怖のあまり天声同化(オラクル)が解けそうになる。

 

「うぐ・・・ああ・・・」

 

そして、ザマスの隣に居る少女は、ザマスに話し掛ける。

 

「これで、全ての生命の時を止められるのだな」

 

「「ああっ、ルギエルよ。お前の望みは漸く叶う」」

 

ルギエルは満足した笑みを浮かべた。夢が叶って喜ぶ子供のような笑顔だ。

 

その時、二人の界王神が悟空達の元に現れた。時の指輪を填めたシンとゴワスであった。そして、青いドラゴンのような服装を着て翼を生やした神々しい女性が、ギドラや黒歌と共に現れた。

 

「こ、これは!?」

 

「ザマス!やはり変わって居なかったか!」

 

「むうう!ビルスの奴、後で奴のおやつ全部喰ってやるのじゃ!」

 

「落ち着いてください・・・失礼しました。我はルーゴサイトです」

 

ルーゴサイトは、悟空達に自己紹介を行う。ゴワスも、悟空達に自己紹介を行う。

 

その後に、どうやって此処へ来たのかを全て話すゴワスとルーゴサイト。

 

シンとゴワスは、それぞれが所有している時の指輪を使ってこの未来の世界へやって来たのだ。ギドラはどうしたのかと言うと、ウィスの手で『トキトキ都』に向かって、其処に居る時の界王神によってパラレルチェンジャーズの一人であるルーゴサイトと共にタイムマシンに乗ってやって来たのだ。

 

「リムル。遅れて、申し訳ありません」

 

「大丈夫さ。それより、彼奴等を何とかしないとな。ハルオだっけ?彼女はメカゴジラと戦う内にいつの間にか居なくなっているし」

 

ルーゴサイトはリムルに遅れて来た事を謝るが、リムルは気にしない。

 

「ギドラさん、やっと来てくれたんか。それで、ブラックの正体が分かったんか?」

 

「うむ。ブラックの正体は、お主等の目の前に居る奴・・・になる前に界王神が居なかったか?ブラックと共に居た奴じゃ」

 

「ああっ。確かに居たぞ」

 

「彼奴の名はザマスじゃ。そしてブラックは、超ドラゴンボールでお主と身体を入れ換えたザマスなのじゃ」

 

「いいっ!?そうだったんか!?」

 

ややこしい話ではあるが、ザマスは超ドラゴンボールで悟空の身体を乗っ取り、時の指輪の力でこの世界のザマスと手を結び、ブルトンを偶然見つけた後に時の指輪を改造して、別次元にまで足を広げ、仲間を次々と集めていたそうだ。

 

それを聞いていたザマスは、高らかに笑う。

 

「フハハハハハハハハハハハッ!!素晴らしい!!正にその通りだ!!その様子だと、今貴様等が居た時間軸の私倒されたようだな。しかし残念だったな。我は消えておらぬ。つまり、未来を変えられなかったのだ!人間を護ろうとした行動の結果がこれだ!」

 

ザマスの言う通り、この未来世界は変わらなかった。向こうの世界でザマスが倒されても、その時間軸が助かっただけで、この未来世界には何の影響も無い。

 

「そうですね。確かに影響はありませんでした。しかし、それは関係ありません。貴男をこのままにするわけには行きません。此処で倒します。焔、行こう」

 

『ああっ、神だろうと関係無い!やってやるぞ!』

 

ヘレナは新たな眼魂『ホムラ眼魂』を取り出して、そのスイッチを押した。瞳の絵柄が変わり、数字の『01』が浮き上がる。そして、ゴーストドライバーのバックルを開き、中にある『パティ眼魂』と入れ換える。

 

《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

その音声と共に、ゴーストドライバーから赤色の薄いラインが入った黒を基調としたセーラー服をモデルとし、フードの後頭部には白い髪止めとポニーテールのような物が靡き、両肩にはそれぞれ三本の刀を、そして背中には緋色の長刀の計七本の日本刀を背負ったパーカー《焔ゴースト》が出現した。

 

焔ゴーストが上空に舞い上がった後、ヘレナは左手で印を結び、右手でトリガーを操作しながら口を開いた。

 

「忍・・・転、身!」

 

《カイガン!ホムラ!!目指せ最強!迸る六爪!!》

 

炎の渦がヘレナの身体に巻かれた時に音声が響き、上空からパーカーが降りてきて羽織るように被る。そして炎が消え、何も描かれていない顔には、二本の角と共に六本の刀で顔を形成した絵が描かれている。

 

「煉獄の紫鬼、仮面ライダーヘレナ」

 

『秘立蛇女子学園五人衆が一人、焔』

 

「『混沌/悪の定めに舞い殉ずる!』」

 

「夏煉!」

 

「黒歌さん。大丈夫です。無茶と判断したら、すぐに戻ってきます」

 

「・・・無理だにゃ!あんなの勝てるわけ無いにゃ!」

 

すると、ヘレナの姿を見たザマスはクスクスと笑いだした。

 

「「ククククククッ。ハハハハハハハハッ!そうか、成る程な。次元を渡る内に聞いた事があるぞ。神をも恐れて近寄らぬ《煉獄の園》と呼ばれる場所に住む、神の意志に背く野蛮共が居るとな。もし生き残れたならば、お前の姉弟達に伝えておけ。「次はお前達だ」とな」」

 

「っ!?まさか、陽太義兄さんに義姉さん、そして一輝義兄さん達を!?」

 

「「そうだ。奴等は神に背いた排除されるべき大罪人共だ。人間0計画。それは全次元から人間のみを排除して、私のみが存在する美しい生態系の世界に変える。ああっ、何とも素晴らしい!」」

 

「このポエム!」

 

『中二病神が!』

 

ヘレナは背中の長刀を引き抜くと、そのままザマスに向かって走り出した。

 

「「ふん」」

 

ザマスは左手に気の刃を生み出し、軽く振った。刃から放たれる刃の雨が、ヘレナに向かってくる。ヘレナは全て避けていき、ザマスの元に近寄ろうとした。しかし、此処で邪魔がまたしても入ってしまう。

 

「ふんっ!」

 

エンペラがレゾリューム光線を放ってきた。それたけでなく、ベリアルも手にしたギガバトルナイザーから『ベリアルショット』という光弾を撃ち放つ。

 

「ぐっ!?」

 

ヘレナはその光弾と光線を刀で防ぐ。その様子を余裕の表情で見ていたザマスは、腕を組みながら笑っていた。

 

「「お前達。ゴミ共の掃除は任せるぞ」」

 

そしてザマスは上空へ飛んで行き、その姿は暗雲の中へ消えていった。恐らく、月に向かったのだ。月から自分達の様子を眺める為であろう。

 

「参りましたね・・・」

 

ヘレナも少し弱音を吐く。エンペラも厄介だが、それと同格の存在であるベリアル、ルギエル、ザギまで居るのだ。

 

すると、ザギの元へブルーに変身した悟空が飛んでいく。ザギは腕をクロスして、悟空のパンチを防いだ。

 

「こいつはオラがやる!」

 

ベジータはその様子を見るだけで動かない。

 

ルーゴサイトは界王神とギドラを護る為、その場を動かない。

 

すると、ヘレナの隣に黒歌が立つ。

 

「私もやるにゃ。夏煉を傷付けさせはしないにゃ」

 

「黒歌さん・・・」

 

二人は背中を合わせて、それぞれ戦闘態勢に入る。エンペラ、ベリアルの元にルギエルが向かった、その時だった。ルギエルとベリアルの元へ、リムルとバーダックが二人同時に向かった。

 

「こいつは、俺達が引き受けた」

 

「俺達がルギエルとベリアルを押さえるからな」

 

こうして、エンペラと再び対峙したヘレナ。黒歌も加わり、戦おうとした、その時だった。

 

突如、エンペラ達の元へ無数のミサイルが空から降り注ぐ。ミサイルは彼女達の全身に直撃して、大爆発を起こした。

 

驚いたヘレナは、飛んで来た方向を見た。その瞬間、彼女達の前にハルオが姿を現した。しかし、以前のハルオと違って白銀の鎧を身に纏っている。更に、頭には音楽を鳴らして起きる凹凸のような輪が浮かんでおり、背中には天使の翼を生やしていた。翼は鳥の翼形ではなく、太い線のような形をして、対になるように六つ生やしている。

 

ハルオは、微笑みを浮かべながら泣いていた。そして、その手に持っているあるものをヘレナに、夏煉に差し出した。

 

『夏煉様。あの子が、心を開いてくれました。ユウコと私は融け合い、今一つになりました。これは、その時に私の手にあった宝です。御受け取りください』

 

ハルオの言う通り、夏煉はハルオの手にある光り続けるあるものに触れた。その瞬間、夏煉と黒歌、そしてハルオは光に包まれた。



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鋼の神、娘が出来る

遡る事数分前。

 

ハルオはメカゴジラと対峙していた。

 

そのメカゴジラの動きは以前よりもキレが増しており、ハルオも対応するのに全神経を研ぎ澄まさなければならない。

 

『ぐっ・・・』

 

『どうした?貴様の動きはそんなものか!』

 

メカゴジラはハルオの腹を蹴り飛ばす。ハルオは後方に吹き飛ばされ、壁を幾つかぶち抜いた後、足でアスファルトの地面に食い付きながら勢いを殺す。

 

『どうやら、以前とは比較にならない力を得たようですね。この短期間でどうやって?』

 

『私の主様達だ。私に更なる力を流し込み、お前を殺す事が出来るようパワーアップさせてくれたのだ』

 

『そんな・・・。修行をしないで、与えられた力を振るうだけの闘い方に、一体何の意味があるというのですか?』

 

『意味ならあるさ。貴様を殺せるのだからな!』

 

メカゴジラはミサイルと肩から、口からレーザーを放つ。レーザーは頭部より背後に展開した巨大な発生装置と口の中に展開した荷電粒子砲の一種である。名を『収束中性子砲』。中性子透過力を使用して、対象の外殼を貫通、体内組織を融解させる。

 

しかし、ハルオはミサイルを全く避けず、レーザーを正面から受け止めた。

 

此処で避ければ良い筈なのに避けなかった。

 

ハルオは大爆発に飲まれていった。

 

『ば、馬鹿な!?何故避けなかった!?』

 

流石のメカゴジラも、直撃してしまうとは思っていなかった。

 

そして、爆発による煙が収まった後、其処には全身がボロボロになったハルオの姿があった。メイド服は殆ど焼け落ちて、身体のみが姿を現していた。身体は銀色をしており、関節は丸い球体で出来ていた。身体の損傷も激しく、レーザーが直撃した胸元には大きな穴が出来ており、其処からなんと血が流れ出ていた。赤い血だけでなく、白色の自己修復液までもが体外に流れ出ている。

 

『・・・はぐ・・・・・うぅ・・・』

 

ハルオは、苦しんでいた。それは、以前のハルオには無い感覚から来る苦しみだった。

 

『お前・・・痛いのか?何故だ?何故なんだ!?そんな事をすれば痛い所では済まないと分かっている筈だ!』

 

『何故・・・?貴女は私に・・・そう言うのですか?まるで・・・心配してくれている・・・みたいですね・・・』

 

ハルオは胸に空いた穴を、ナノメタルで塞いでいく。塞ぐ際に痛みが伴っており、目から涙が流れ出る。

 

『なっ!?ち、違う!誰が貴様の心配など!』

 

『ならば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『なにっ!?な、何を・・・』

 

メカゴジラに焦りが見られる。どうやら図星のようだ。

 

『闘う内に分かりました・・・貴女は誰も殺していない。殺している所をその場で見てるだけだった。ザマスによって、此が完全な論理の世界だと教え込まれた。しかし、本音は違いますよね?』

 

『っ!?どうしてそれを!?』

 

『だから、貴女の事が自然と解っていくんですよ。だから、貴女の本音だって解るんです。貴女、本当は誰も殺したくないんですよね?』

 

『そ、それは・・・』

 

『っん・・・!』

 

ハルオは、あり得ない方向に曲がった左足を引き摺りながら、メカゴジラに近付いていく。歩きはぎこちない。きっと、次の攻撃を避ける事も出来ない。メカゴジラにとって、一番の攻撃チャンスの筈だ。グッドタイミングというものだ。

 

しかし、メカゴジラは攻撃しなかった。いや、出来なかったと言った方が良いだろう。

 

やりたいのに出来ない。

 

今のメカゴジラは、その言葉が何よりも似合う状態となっていた。

 

ハルオは優しく、お母さんが子供に語りかけるように、メカゴジラに話し掛ける。

 

『貴女、私と一緒に暮らしませんか?』

 

『な、なに?』

 

『私と一緒に、新しい人生を歩んで欲しいんです。掃除をしたり、洗濯したり、料理をしたり、歌を歌ったり、時には闘って、時には泣いて、時には怒って、そして笑い合い、仲良くなれる。私は界王神様方に出会い、生きる素晴らしさを教わりました。感情は素晴らしいです。無表情だった私は感情を知ったお蔭で、生きていると実感が湧くようになりました。困難にだって遭遇しますし、嫌になる事も沢山あるでしょう。でも、だからこそ、生きる事の素晴らしさを感じられるんです。人々に作られた私だからこそ、生きとし生ける者の素晴らしさを理解出来ました』

 

『・・・っ』

 

メカゴジラは歩みを止めた。ハルオは、メカゴジラの手を掴み、優しく握る。

 

『もう大丈夫です。貴女を決して一人にはさせません。あの男達の悪意なんかに、支配なんかさせません。貴女をこれ以上苦しめる人が居るなら、私がとっちめてみせます』

 

そして、ハルオはメ■ゴ■ラを抱き締めて、彼女の耳元で囁いた。

 

()()()。私の愛しい娘』

 

『っ!!』

 

その時、メ■■■■の目からは涙が流れ出ていた。その両腕も、ハルオの背中に回して強く締めている。

 

『お・・・かあ・・・さん?』

 

『はい、ユウコ。貴女の名は、『ユウコ・タニ』ですよ』

 

『お母さん・・・お母さん!お母さん!』

 

ユウコは、ハルオに強く抱き付いた。その時、二人の身体が光に包まれていく。

 

『共に戦いましょう。人類の、生きとし生ける全ての命達の、未来の為に!』

 

『うん!』

 

二人はお互いの額をくっつけ合う。その瞬間、その場は光に包まれ、二人の姿がお互いに融け合うように合わさっていく。そして、光が収まった後には、一人の美しい天使が顕界していた。

 

──────────────────────

 

『夏煉様。あの子が、心を開いてくれました。ユウコと私は融け合い、一つになりました。これは、その時に有った宝です。御受け取りください』

 

ハルオの手にある光り続けるあるものに触れた夏煉は、黒歌と共に光に包まれていった。

 

光が収まったのは、約十秒後だ。

 

夏煉は、周りに居るのは黒歌だけではない事を知った。其処にはなんと、眼魂に封じられた少女、女性達がその場に存在していたのだ。

 

そして、彼女達と共にある場所に視線を向けた。その視線の先に居た────否、この場と目の前に居た存在は。

 

 

『これが──』

 

『私達の───』

 

『『本来の姿』』

 

 

幾つもの球体状の建物で構成された街と、その街に立つ巨大な機械の怪獣であった。



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煉獄、新たな力を手にする

「貴女達が!?ハルオさんに、ユウコさん何ですか!?」

 

その時、夏煉達の前に大きな画面が現れた。其処にはハルオの姿が映っていた。

 

『この都市の名は、メカゴジラシティ。かつてゴジラに何も出来ないままやられた後、私はナノメタルの特性を利用して増殖を続けました。このシティは、私を作っていたメカゴジラ開発プラントを元に、私が増殖して形作ったのです』

 

『そして、お母さんは帰ってきた僅かな人類と共に、再びゴジラに挑んだ。しかし・・・見た方が早いかな』

 

更に景色が変わる。

 

次に夏煉達が見たのは、複数の地球人やビルサルドと思われる人間達がメカゴジラを開発する光景だった。夏煉達は、そのメカゴジラがハルオであると理解した。

 

「あれが、ハルオさんがメカゴジラシティになる前の姿」

 

「そのようじゃのう。そしてこやつ等が、ハルオを開発した者達か」

 

羽衣狐も、メカゴジラを見て確信していた。他の女達も同じである。

 

何やら慌ただしいようだ。

 

『A3及びA5ブロックの人工知能ユニット沈黙!メカゴジラ、起動せず!』

 

『何故だ!何故起動しない!』

 

『ゴジラ!最終防衛線突破!熱線により第4装甲板融解!もう駄目です!』

 

『此処はもう駄目だ!撤収するぞ!』

 

『総員退避!急げ!』

 

『待ってくれ!メカゴジラが起動すれば、ゴジラを倒せるんだ!』

 

『来るんだガルグ!』

 

人々はその施設から逃げ出したが、逃げ遅れた者達も数多く、青白い光と共にメカゴジラは光に包まれた。

 

「・・・なんだか、可哀想でゲソ」

 

イカ娘はそう呟いた。彼等はメカゴジラを見捨てたかった訳ではない。ガルグと呼ばれた者がメカゴジラに執着していた所を見る限り、とても信頼していたのだろう。

 

しかし、メカゴジラは活躍する間もなく、ゴジラと呼ばれる存在が放った熱線によって破壊されてしまった。

 

『私はゴジラの熱線により、身体を破壊されてしまいました。そして私は、『ゴジラを殺せ』というビルサルドの命令に従うしかありませんでした。頭部だけとなった私は、ナノメタルの特性を利用して、二万年掛けて増殖しました。その間に生まれたゴジラの特性を持つ生物を殺して取り込み、その細胞元素を使用して私を構成しました。そしていよいよ、私はゴジラと戦う事になったのです。その時、私はビルサルドの制御下に入りましたが、その時の会話も覚えています』

 

ハルオは更に景色を変えて、今度は地球人とビルサルドの論争が起きた場面を見せた。

 

『サカキ大尉!』

 

その声を聞いた瞬間、夏煉達はハルオを見た。ハルオはその視線の意味を分かっている。この話では、青年の名はサカキと命名する。

 

『皆様の考えの通り、サカキ大尉と呼ばれたハルオ・サカキ様は、私の名の元になった方です』

 

「あの男が・・・そうだろうな。他の奴等には無い遺志を感じる」

 

「そうね」

 

焔は、サカキを見てそう言った。澪も、同じくサカキから確固たる信念を感じていた。

 

『ナノメタルが暴走してビルサルドを取り込んでいます!』

 

『何!?何処だ!ガルグ!すぐに救助を!』

 

『慌てるな。これは暴走ではなく、一つの論理的既決だ』

 

『何を言ってるんだガルグ!?』

 

『彼等はメカゴジラシティの一部になったのだ。そうだろう?ベルベ』

 

『仰る通りです。聞いたかハルオ?そして、其処に居るお前達もな』

 

『っ!?』

 

突然、ベルベと呼ばれた男が夏煉達を向いた。

 

その瞬間、再び景色が変化する。その時、ハルオとユウコが夏煉達の前に現れた。

 

『これは!?』

 

『・・・まさか、お母さんの中に居るビルサルドが!?』

 

そして、彼女達の前に数人の黒人の男女が現れた。彼等が、ハルオやユウコ───メカゴジラを開発したビルサルドである。

 

「まさか、この様な形で出会えるとはな。メカゴジラ」

 

『ガルグ中佐・・・お久し振りです。それと、ベルベ少佐も』

 

「ああっ。それと、君達に紹介を忘れていたな。リルエル・ベルベだ」

 

「私はムルエル・ガルグだ」

 

一人ずつビルサルドは自己紹介を終えて、夏煉達も自己紹介を行う。

 

「鬼町夏煉です」

 

「焔だ」

 

「羽衣狐じゃ」

 

「イカ娘でゲソ」

 

「筑紫澪よ」

 

「チンクだ」

 

「詠と申します」

 

「パティ・クルー」

 

「未来よ」

 

「ウェンディっス。宜しくっス」

 

「日影や」

 

「玉置カズラです」

 

「狂骨」

 

「春花よ。宜しく」

 

全員が自己紹介を終えた後、ガルグは夏煉に話し掛けた。

 

「私はビルサルドを代表して、メカゴジラの生みの親として、君に問う。君はメカゴジラを、ナノメタルを、何のために使いたい?」

 

「勿論、大切な人達を護る為です!貴方達がどういう存在かは知りませんが、私は貴方達から受け継がれた力を、陽太義兄さんや薫義姉さん、一輝義兄さんに黒歌さん、小猫さん達を護る為に使いたい!」

 

「護る為か。しかし、覚悟はあるのか?勝利をする為ならば、人を超え、怪獣をも超えたその果てに至ると!」

 

「・・・それって、さっきの兵士達との話と関係があるのですか?」

 

「ああっ。彼等は其処に居るメカゴジラが増殖した姿メカゴジラシティと融合し、人を超えた力を発揮してくれた。肉体を捨てて、ゴジラを倒す為に貢献した。つまりだ。覚悟するならば、君達が人間性と呼ぶものを捨てなくてはならないのだ。大切な人達を護りたいならば、勝利するならば、人を超え、怪物を超えたその果てに至るのだ」

 

「それは出来ません。大切な人達の為なら、鬼にでも修羅にでも、怪獣にだってなる覚悟はありますし、超える勇気もあります。しかし、ハルオさんの言葉を聞いたら、その果てにあるのは辛い孤独だけなんです。なら、大切な人達と居られる方が、良いです。私は一人の人間として、皆さんと共に生きて行きたい!私は、一人なんかじゃ無いんだから!」

 

その言葉を聞いたガルグは沈黙した後、夏煉に向かって微笑んだ。

 

「我々は常に科学至上を掲げてきたが、地球人の考え方も悪くないな。違う主義を掲げるから分からない。しかし、だからこそ良いんだ。皆違っているから、争う事もあれば、共に笑いあえる事も出来るし、楽しんだりする事も出来る。感情も、悪くない。()()()()()()。新しい人生を掴んだな。それと・・・()()()()()()()()()()()()悪い事をした」

 

四人。それは、ハルオとユウコ。二人の新たな生を歩み出したメカゴジラと、ハルオの中に居る、ハルオとユウコに言ったのだろう。

 

その時、彼等の耳に、一人の青年の言葉が響く。それが誰のものか、その場に居る者達はすぐに理解出来た。

 

『ガルグ。ベルベ。俺の名を継いだ彼女を、どうか見届けて欲しい。生みの親として、娘達の門出を見守ってくれないか?』

 

「無論だ。娘達の旅立ちだ。笑顔で見送ろう」

 

そして、ガルグとベルベは、ハルオとユウコの手を握る。

 

「さあ、行ってこい。ハルオ」

 

「俺達の分まで、頼むぞ。ユウコ」

 

ハルオとユウコは、涙が出そうになった。そして、自分を生み出してくれた親に、最後の言葉を告げる。

 

『『行ってきます。そして、さようなら。お父様』』

 

その瞬間、ガルグとベルベの身体は金属の塵となって、空中に溶けるように消えて行った。その他のビルサルドも、同じように消えていく。

 

ビルサルドは最後に、ハルオやユウコ、夏煉達に向かって敬礼を行った。胸に右の拳を当てて、仁王立ちをする。

 

ハルオ、ユウコ、そして夏煉達も、ビルサルド達と同じ敬礼を行った。

 

そして、ビルサルドが完全に消えた後、夏煉はその手にあるものを見つめた。其処には、白銀の眼魂が握られていた。そして、そのスイッチを入れた瞬間、瞳の絵柄が変わって数字の『17』が浮かぶ。

 

そして、ゴーストドライバーのバックルを開いて、中にあるヘレナ眼魂と入れ換えて、バックルを閉じる。

 

《アーイ!バッチリミトケー!!バッチリミトケー!!》

 

その音声と共に、ヘレナの姿が変化する。白銀のメイド服に、両袖はナノメタルで構成されており、機械化している。背面にはジェットエンジンが搭載されている。

 

《カイガン!ハルオ!!鋼の神!最後の希望!!》

 

仮面ライダーヘレナ。ハルオ魂によって変身した新たな姿。そして、新たな力も手にした。

 

『さあ、決着を着けましょう』

 

『うん!』

 

「行きましょう。終わらせてあげます!」

 

夏煉達は、光差す先へ歩いていった。

 

──────────────────────

 

「行くぞカカロット!」

 

「行くぜベジータ!」

 

「「ハァッ!!!!」」

 

悟空とベジータは、お互いの必殺技を合わせた合体技を放つ。極太の光線が、彼等の敵対する相手に放たれる。

 

「『ライトニング・ザギ』」

 

ザギは、そんな技を嘲笑うように必殺技を放つ。ライトニング・ザギは、悟空とベジータの合体技と始めは押し合っていたが、ザギが本気を五割程出した瞬間に押しきられてしまう。

 

悟空とベジータは、ライトニング・ザギをギリギリで避けた。

 

「ベジータの言う通り、一対一に拘ってる場合じゃねえな!」

 

「貴様が楽しみすぎるからだ!」

 

何故こうなったのか。簡単に言えば、ザギに追い詰められていた悟空は、ベジータの救援を受けて共に戦っていたのだ。

 

「一対一に拘っている場合じゃないだろう!」とベジータが乱入した。彼は悟空を助けるつもりはない。未来世界のブルマが殺されたので、その仇討ちの為に闘っているのだ。

 

「甘い!」

 

しかし、現実は非常。ザギは二人のラッシュを受けても平然としており、そのまま二人の腹を殴って吹き飛ばした。

 

二人はブルーになっていたが、ザギの攻撃を受けて変身が解除されてしまう。

 

「終わりだ!」

 

ザギはとどめを刺そうと手を掲げるが、突然レーザー攻撃を脇腹に受けてしまう。

 

「っ!?」

 

大したダメージは入ってないが、吹っ飛ばされてしまうザギ。

 

そして現れたのは、ハルオのメイド服を身に纏ったヘレナであった。そして、天使の姿をしたハルオも、同じく姿を現す。

 

『エンペラは何処ですか?』

 

「彼処です。トランクスさんが抑えています。ハルオは、トランクスさんをお願いします」

 

『畏まりました。夏煉様』

 

ハルオは、エンペラと戦うトランクスの元へ向かう。

 

そして、ヘレナはザギと向かい合う。

 

「そうか。新たな力を得たという事か。ならば、貴様を殺し、その力を上回ってやろう」

 

「やってみなよ。負けるのは貴女だから」

 

ヘレナは両腕を、電撃を纏ったガントレットに変えた。そして、ザギの元へ、背中のジェットエンジンを噴射して飛んでいくのだった。



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煉獄、暗黒破壊神と闘う

その時、ザマスが空から降りてきた。

 

「「苦戦しているようだな」」

 

「主か。何をしに来た?」

 

「「其処の偶像を始末しに来たのだ。あれは貴様の手に負える相手ではない。神を真似て融合等を行った愚かな偽者には、重い罰を受けてもらう。その代わり、其処の偶像擬きは任せたぞ」」

 

「了解した」

 

ザマスは、ハルオに手招きをして誘う。ハルオは「お任せします」とヘレナに一言残した後に、ザマスに誘われる形で飛んで行った。

 

「主からの命だ。お前は、俺が始末してやる」

 

「質問を良いですか?貴女は、ザマスに操られて居るのですか?」

 

天声同化(オラクル)の事か?あれはザマスに少しでも賛同した者にしか効かん。また、俺のように精神的に抵抗出来ない奴は、賛同したその瞬間に取り込まれる」

 

「抵抗?」

 

「ザマスはある次元にて、サーヴァントと呼ばれたそいつからその力を奪い、それで仲間を増やして行ったのだ。今頃、時の巣にも進行しているだろう」

 

「そうですか。つまり貴女は、自分の意志でこんな事を?」

 

「そうだ。これがどれだけ愚かな事か、思い知らせる為にな。しかし、お前達を見ていると、人間も捨てたものではないも思える。ザマスが聞けば、激怒しそうだがな」

 

「そうですか・・・では、始めますか」

 

「ああっ。お前とは、せめて良い奴になって会いたかったぞ!」

 

ザギは掌から『ザギ・ショット』を放つ。その光弾を、ヘレナは腰から生み出した一枚の金属の羽を使って斬る。斬られた光弾は、ヘレナの後ろで爆発を起こした。

 

「面白い。では、此はどうかな?」

 

ザギはヘレナの背後に回り込む。しかし、ヘレナはザギの胸元へ自身の後頭部を叩き付けてきた。

 

ザギは怯んだ。

 

「馬鹿な!?何だこのパワーは!?」

 

ザギの身体に響くダメージ。それは、自分の最大のライバル、ウルトラマンノアの一撃と同じものだった。

 

「ふは、ふははは・・・ははははははっ!!」

 

ザギは、全身からエネルギーを放出した。

 

「今こそ貴様を超えてやろう!俺は、俺の為に強くなり続ける!」

 

ザギがヘレナに迫る。ザギが拳を振るうが、ヘレナは軽々と避ける。

 

ヘレナは左腕を逆三角形の鈍器に変えて、ザギの弱点であるエナジーコアを殴る。殴った瞬間、鈍器からエネルギーを用いた衝撃波が放たれ、ザギの身体を吹き飛ばした。

 

「ぐはっ!?」

 

更に、左足を液状に変えてザギの両足を包んでそのまま硬化した。ザギは動けなくなり、そのまま逆三角形の鈍器に変化したヘレナの両腕によるラッシュを受ける。

 

ラッシュは徐々に速くなる。殴る瞬間に関節に取り付けたジェットで加速して、威力と速度を倍増させる。

 

「んがああああああっ!!」

 

ザギは無理矢理足を破壊して、ラッシュから逃れた。

 

違和感を感じて、胸元を触るザギ。その時、彼女の心の中に焦りと怒りが込み上げてきた。何故なら、ザギのエナジーコアに、ヒビが入っていたのだ。此まで彼女のエナジーコアを砕く事が出来たのは、ノアとギンガの二人だけだ。しかし、今此処に、三人目が現れようとしている。

 

「ふざけるな・・・ふざけるな!ノア以外に負ける事等、認めない!俺は、俺の為に闘うのだ!」

 

「残念。今ここで、私は三人目になるよ」

 

ヘレナはトリガーを操作して、必殺技を発動する。

 

《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!!ガンガンミイヤー!!》

 

ハルオ魂にて発動する必殺技『オメガドライブ ハルオ』。

 

右腕を【魔法少女リリカルなのは】の《イノーメスカノン》に、左腕に【轟轟戦隊ボウケンジャー】の《雷砲》に変形させて、両肩に巨大な砲塔『収束中性子砲』、背面には無数のブレードを配備したランチャー『ブレードランチャー』を展開した。更に、ガンガンセイバー・ガンモードともう一つの武器であるガンガンハンド・銃モードを展開してベルトに翳し、自身の周囲にガンガンセイバー・ガンモードと銃モードの分身をナノメタルによって生成した。

 

「『オメガシュート・オメガスパーク』!」

 

無数に展開した武装、ブレードランチャー、イノーメスカノンや雷砲による一斉射撃。此こそ、ハルオ魂の必殺技である。

 

全ての銃口より、ビーム砲撃や飛行型ミサイル弾、ガドリング弾やバズーカ砲弾が放たれ、ザギを襲う。

 

ザギの全身に、無数のミサイルやガドリング弾、バズーカ砲弾、ビーム等が直撃する。

 

「ぐおおおおおああああああああっ!!」

 

ザギの身体が砕けそうになっていく。エナジーコアのヒビも益々大きくなり、後一歩で倒せる所まで行った、その時だった。

 

ザギの姿が一瞬にして居なくなり、当たらなかったビームや弾、ミサイルは、空に向かって飛んで行った。

 

「っ?」

 

ヘレナはザギが消えた事に驚く。彼女は何処に消えたのだろうか?そして、嫌な予感がしたヘレナは、急いでハルオの元へ飛んでいくのだった。

 

──────────────────────

 

一方、リムルとバーダックは、ルギエルを相手にしていた。ルギエルは、ダークスパークを槍に変えて交戦していた。

 

「我はやらねばならぬ!全ての生命の時を止めるのだ!そうすれば・・・誰も・・・」

 

「そんなの俺らからすれば迷惑なだけだ!」

 

バーダックは超サイヤ人に変身した。修行の果てに、バーダックは超サイヤ人3を超えた先に到達した。それは、超サイヤ人ゴッドやブルーとは対極に位置する、サイヤ人の闘争本能を具現化したような、ゴッドとは違う意味で赤く、そして黒髪に染まる変身。

 

超サイヤ人4であった。

 

「バーダック!やるな!」

 

「リムル。お前も何か試したらどうだ?」

 

「そうだな!よし、俺も切り札を使うか。アルティメットスキル『暴風之王(ヴェルドラ)』を発動する!行くぞ!ヴェルドラ!」

 

『良かろう!この暴風竜とリムルの力、愚かな神に見せてやろうではないか!』

 

リムルがヴェルドラとの魂の回廊を確立させる事で使えるアルティメットスキルで、彼の友であるヴェルドラに関連したスキルを使用可能なのだ。その上、召喚はある出来事で失われた筈だが、この世界に来た時に、何故か復活していた。つまり、ヴェルドラを本等の姿で召喚出来るのである。

 

「暴風竜召喚!」

 

リムルは、友であるヴェルドラを召喚した。本来の姿である

 

『フハハハハハハッ!!我、見参!!』

 

「すげぇな・・・なんて気だ」

 

バーダックも、ヴェルドラから感じる大きな力に冷や汗を流す。

 

遠くでギドラが目を輝かせて、ヴェルドラを見ていた。界王神達も、ヴェルドラから感じる力の波動に言葉を失った。特にシンは、破壊神と対峙した時以上の恐怖を感じ、ちょっとズボンの中でチビってしまった。

 

「な、何だ!?」

 

ルギエルも、例外ではなかった。自分達の主に近い力の波動。

 

『さあ、暗黒の魔神よ!貴様の力を見せてみると良い!』

 

「良いだろう!貴様を捕らえ、スパークドールズに変えてやろうではないか!」

 

「俺もやるぜ。ヴェルドラ」

 

「良いとこ取りは良くないな」

 

リムルは刀を抜き、バーダックは肩の関節を鳴らした。そして、二人はヴェルドラと並ぶように地面に立つ。

 

しかし、此処で予想外の事が起きる。

 

「うぐっ!?わ、我が主!?何を───ぁぁあああああああああああああああああああ!!!」

 

「「『!?』」」

 

突然、ルギエルの身体が引っ張られていくように飛んで行った。そしてその先に居たのは、エンペラ、ザギ、ベリアル、そしてルギエルを磁石のように引き寄せる、十字になるように両腕を広げる合体ザマスの姿があった。

 

「なんだ!?」

 

「リムル!そこの、ヴェルドラか?早く追いかけるぞ!」

 

『承知!』

 

リムル達も、ルギエルを追い掛けていく。そして、見る事になる。此れから起きる、最悪の出来事を。




ヤバい!主人公のギドラが空気になりかけてるwそしてコラボが長い!しかし、まだ続ける自分が居る!まだまだぁ!!


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黄金、並行世界のある者と出会う

合体ザマスは、四人を引き付けていた。これから何をするのか。その場に居る者達は、マイも含めて既に理解出来た。

 

「あやつめ」

 

ギドラが冷や汗を流す。そして、合体ザマスはその身体から四つの光の輪を生み出し、ベリアル、ルギエル、エンペラ、ザギを拘束した。光輪は四人の闇の存在を捕らえると、その全身を包み込んだ。

 

「「偶像よ。見ておくが良いぞ。お前が我を攻撃し続けたお蔭で、我は更なる力を手に入れ、強さも遥かに上がった。そして、今此処で、我は光と闇の二つを統べる神をも超越する存在に至ろう!」」

 

そして、四つの光の玉となった四体を、身体に吸収した。その瞬間、合体ザマスの身体から迸る力が、宇宙全体を覆い尽くした。白き光と黒き闇。それぞれのオーラが螺旋状に合体ザマスの身体を周り、その背中には白き翼と黒き翼を生やしていた。

 

『ふふふふっ。ふはははは!感じる・・・感じるぞ!此こそ我が求めた究極の存在!星の神、界王、界王神、破壊神、全王、全て必要無い!我が、我こそが、全ての頂点に立つべき神ィィィッ!!』

 

「ば、馬鹿な!?何という気の高まり・・・いや、何処まで高くなるのじゃ!?」

 

『驚くのはまだ早いぞ?』

 

その瞬間、合体ザマスは何と、超サイヤ人ロゼに変身した。それも、超サイヤ人3のロゼである。

 

「なんだと!?ザマスがロゼになりやがった!?」

 

ベジータは、驚愕のあまり全身の震えが止まらなくなった。

 

「あ、あああ・・・・・・」

 

アノシラスの顔は恐怖に染まって、全身をガタガタ震わせていた。

 

「大丈夫かアノシラス!」

 

「しっかりするんだ!」

 

トランクスとマイは、アノシラスに近寄る。アノシラスはトランクスとマイを見つめた瞬間、そのまま二人に泣きながら抱き付いた。

 

「大丈夫。俺達がお前を守る。マイ。アノシラスを頼む。俺はザマスを倒しに行く!」

 

「あ、ああっ。待ってるからね!帰って来なさいよ!」

 

トランクスは笑顔でマイに向かって頷くと、ザマスの気を感じる方向へ向かって飛んでいった。

 

──────────────────────

 

「面白い。妾も本気で行かなくては!『ハイパーギドラフォーム』!」

 

ギドラは自分の切り札『ハイパーギドラフォーム』を使用した。その時、彼女は成長した姿となり、無数の勲章を身に付けた軍服姿になった。

 

『ほう。それが貴様の奥の手か?』

 

「うむ。妾の奥の手じゃ。本来ならば、ゴジラ以外に使いたくなかったが、出し惜しみはしておれぬのじゃ。それに、貴様の相手は妾()()()()()()()()()。もうすぐ来るぞ」

 

()()?』

 

その時、合体ザマスの元へ、一つの紫色の刃が降ってきた。合体ザマスはその刃を、背中の翼で叩いて撃ち落とす。

 

「・・・まさか、私の接近に気付くとは。流石ですな」

 

「むっ?妾はお主に会っておらぬのじゃ───なっ!?」

 

「いっ!?」

 

「ど、どういう事だ!?」

 

「か、夏煉!どういう事にゃ!?」

 

「いえ、私にも何が何だか・・・」

 

ギドラ、悟空、ベジータ、黒歌、夏煉の五人は、突然現れた乱入者に驚愕した。

 

「・・・やっと来たか」

 

「全く、何処で道草食ってたんだよ」

 

バーダックとリムルは、全く驚いていない。その会話を聞く限り、彼の事を知っているようだ。

 

「すまない。時の巣にも奴等の手下が襲ってきたのでな。時の界王神様やトキトキ都に居るパラレルチェンジャーズやタイムパトローラーと共に、敵達を蹴散らして居たのだ」

 

「それで遅刻か。期間限定とはいえ、アンタは仮にもリーダーだろ?だったら遅れて来るなよ。“ザマス”さん」

 

『なにっ!?』

 

リムルがリーダーと呼んだその男は、肌の色は合体ザマスと違って青色だった。その姿や喋り方、声、人相、紛れもなくザマスその者だったのだ。

 

「ザ、ザマス!?本当にザマスなのか!?」

 

ゴワスは、現れたザマス(この小説では、このザマスはザマスのまま。合体ザマスは合体ザマスとして名乗ろう)に対して慌てながら問い質した。

 

「お久し振りです、ゴワス様。はい。その通りです。私は、第10宇宙の界王神となった別次元のザマスです」

 

「おお、その話し方・・・私の知るザマスその者だ」

 

ゴワスは、ザマスが悪に堕ちてない事を、今の会話だけで理解出来た。

 

「ふむ。詳しい話は後なのじゃ。あの───合体ザマスと戦うか否か?」

 

「ならば、共に戦いましょう。ギドラ様」

 

「うむ!しかし、何故妾の事をギドラ様と?」

 

「それは・・・いえ、後でお話しましょう。行きますよ。ギドラ様」

 

「うむ!悟空!ベジータ!夏煉!黒歌!シン!ゴワス!トランクス!妾達が時間を稼いでやるのじゃ!」

 

「無茶だ!ギドラ!それにザマス!お前が敵う相手ではない!」

 

「ゴワス様。私を信じてください。私は貴男のお蔭で、人間を信じる事が出来るようになれた。その恩を、今此処で返したいのです」

 

ザマスは優しくゴワスに微笑んだ。ギドラも、悟空達に「大丈夫なのじゃ!」と言わんばかりに微笑んだ。

 

そして、ザマスとギドラは、合体ザマスの元へ飛んでいく。始めは驚愕の表情をしていた合体ザマスは、冷静になった後にザマスを見て、質問を行った。

 

『貴様が別次元のザマスだとして、何をしに来た?まさかとは思うが、我を倒しに来たか?それとも、我が人間0計画に協力しに来たのか?』

 

「黙れ。自分一人の思想に負け、悪に墜ちた者が。貴様等、神ではない」

 

その時、合体ザマスの眉が動く。先程のザマスの言葉が、癪に触ったのだ。

 

『神ではないだと?違う。我こそが、唯一無二。絶対的頂点に達する神なのだ!!』

 

合体ザマスは両腕に楽譜のようなエネルギー体を展開し、ギドラとザマスに向けて放つ。

 

『罪深き者に神の歌を!『暁の旋律』!』

 

赤黒い楽譜が二人を襲う。ギドラは掌に特大のブラックホールを生み出し、その中へ楽譜を吸い込んだ。しかし、全部は吸収出来ず、ブラックホールを突き抜けた楽譜の一つがギドラの頭に直撃。ギドラの頭は大爆発を起こし、彼女は後方へ吹き飛ばされてしまう。小石や大地をすり抜け、星の中枢へ落ちたギドラだが、そのまますぐに大地をすり抜けて合体ザマスの元へ飛んだ。

 

合体ザマスは、ザマスに向かってその手に持つ三つの武器を合わせた究極兵器『ギガスパークトライデント』を手に持った。ギガバトルナイザーをベースとして、その棍棒の部分はダークスパークのような形をしていた。そして、エンペラのアーマードダークネスの槍のように先端が鋭く尖っていた。

 

『業に飲まれし生命よ消えろ。『終焉の響き』!』

 

ギガスパークトライデントの先端より放たれる黒い光線が、ザマスに向かって放たれる。

 

「っ!」

 

ザマスは左手に盾を生み出し、光線が空へ向かうように促した。空へ向かった『終焉の響き』は、地球の外側へ飛んでいき、星空に向かって行った。そして、空から星の大半が消えていった。

 

『人間等信じるだけ無駄だ!守る価値が何処にある!世界を汚し、争いも止めず、平和平和と説いておきながら平和とは程遠い場所へ突き進む!そんな人間共を守るだけ、無駄だと分からんのか!』

 

「違う!お前は信じる事を諦めただけだ!全てを見た訳ではない貴様なんかに、人間の価値を語る資格は無い!」

 

『黙れ黙れ黙れ!では問うぞ!私はある次元に存在する英雄より、天声同化(オラクル)という力を教わったのだ!その上で問うぞ!彼等は洗脳されていたか!?いいや違う筈だ!奴等が我に同意したのは、我に賛同したからだ!誰もが心に思っていた筈の考えを彼等も持っていたからだ!天声同化(オラクル)等、我に賛同するだけで彼等の思想や信念、心までもが変わる訳ではない!』

 

合体ザマスの言葉は、分からなくも無かった。別次元全てを渡って見てみれば、ザマスに賛同する者は意外にも多いのだ。

 

人間が居なくなれば、世界はずっと平和になるだろう。

 

それは、誰もが一度は考える事だ。

 

ザマスやギドラも分かっていた。ザマスは、本人であるが故にその言葉の意味も理解していた。分かった上で、ザマスを否定した。

 

「「違う!」」

 

『っ?』

 

「貴様のやり方では、世界に平和等訪れない!嫌いなものを排除し続けた所で、その先に待つのは何もない世界だけだ!そんな何もない世界に何がある!」

 

『平和だ』

 

「それに、気が付いておらぬのか?貴様は人間を0にすると言ったな?その言葉と、お主の姿や行動に矛盾が生まれて居る事に、何故気付かんのじゃ?」

 

『なに?』

 

「なら教えてやるのじゃ。お主が合体した以上、どうしても貴様の中に残ってしまうのじゃ!“孫悟空”・・・そして、エンペラやベリアルという人間もな!」

 

エンペラは元々、普通の宇宙人だった。ベリアルも、元々はウルトラマンという人間だった。

 

合体したザマスの中に、その人間達が残ってしまっている。

 

此れではもう、人間を0にするなんて最早不可能なのだ。

 

しかし、合体ザマスはギドラの言葉を聞いても、全く動じていない。

 

『クククククッ。ホントに解っていないな。所詮は人間に飼い慣らされたトカゲか。孫悟空、エンペラ、ベリアルが私の中に居る?そうだ!それこそが我が望みだ!』

 

「・・・」

 

「どういう意味じゃ?」

 

『ザギやルギエルにしてもそうだが・・・彼等は悲しき罪を背負う世界の闇その物なのだ。そして孫悟空は、この宇宙が築き上げた失敗の象徴なのだ!だからこそ、我は彼等と一つになる事によって、人間の罪と、悲しき心の闇を、神々の失敗を、この身に背負ったのだ!そして、その背負いし重みが、私を更なる高みへと歩ませてくれる!』

 

「・・・成る程な。前にパラレルチェンジャーズの一人が言っていた。その時の言葉は、こうだった。『神よ。何処へ行かれるのですか?此れより裁きを受けに行くのです』。キリストと呼ばれる神が、人類の罪を自らが背負う為に裁かれに向かった。正に貴様も、そのキリストと同じと言いたい訳か?」

 

『その通りだ!そしてそのお蔭で、我は我を超え、全次元を超えたその果てに至るのだ!!』

 

「・・・お主、妾と似ていると思うのじゃが?」

 

ギドラは、合体ザマスが自分と同類になろうとしてる事に気付く。何故そう思ったのか。合体ザマスの言葉は、「人々の救済の為と言うより自分の欲望の為だ」と言っているようにも聞こえるのだ。

 

『さあ、来るが良い。貴様等を惨たらしく殺してやろう!ふはははははははは!!』

 

合体ザマスは高らかに笑う。

 

ザマスとギドラは戦闘の構えを改めて取り、合体ザマスの攻撃に備えるのだった。



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合体戦士、誕生する

この小説では、ポタラの設定を改変しています。後、所々原作から改変している所もあります。


「ダニィ!?俺と貴様が合体するだと!?ふざけるな!貴様と合体する事が俺にとってどれだけ屈辱的な事か、分かっているのか!それに合体したとしても、不死身のザマスをどうやって倒すというのだ!?」

 

ベジータは、悟空が提案した事に対して強く否定的だった。その理由は、ポタラを使うか、フュージョンによる合体の提案だったのだ。

 

過去にも悟空とベジータは、ポタラを使って合体した。ザマス達が合体したならば、此方も合体して対抗する必要があると践んだのだ。

 

「でもよ!このままだといずれギドラさんもザマス様もやられちまうぞ!彼奴を確実に倒す為には、合体するしか手がねぇんだ!それに、どう倒すかは合体した後で考えりゃ良いさ!」

 

「だ、だとしても・・・貴様と合体なんか二度とごめんだ!」

 

ベジータはプライドが高い。悟空の提案をことごとく拒否する。

 

「ベジータさん。私からもお願いします。此処は私達が力を合わせなければ、ザマスは倒せません」

 

「夏煉の言う通りですにゃ!お願いにゃ!」

 

『この場を乗り切る為には、ポタラ合体によるパワーアップが必須と思われます』

 

夏煉、黒歌、そしてハルオも同じ意見だった。

 

「父さん!お願いします!この世界の母さん、そして現代に居る母さんを守る為にも!」

 

「ブルマ・・・くっ!早く寄越せ!俺の気が変わらん内にな!」

 

ベジータは、プライドを捨てて合体する事を受け入れる。

 

「ほらよベジータ。仙豆は持ってきてるけど勿体ねぇから、合体してベジットになった後に食おうぜ」

 

「・・・くそっ!不死身のザマスを倒せるか分からんのに合体とはな!」

 

悟空は既にポタラを左耳のたぶにつけている。そして、ポタラをベジータに渡した。因みに悟空とベジータが身に付けるポタラは、シンが貸したポタラである。

 

「そういやぁ、前にポタラで合体したとき二度と元に戻れねえって言われたけど、魔人ブウの中に入ったら戻れたな。何でだ?」

 

その疑問に、ゴワスが答えた。

 

「ポタラは強力なジャミングに弱いと聞いた事がある。恐らく、その魔人ブウの体内には電磁パルスよりも強力なジャミングが働いていた為に、ポタラの機能が停止し、元に戻ったのだろう」

 

「知らなかった!だから合体が解けてしまったのですね!」

 

シンは、ベジットのポタラ合体が解けた理由に納得した。それと同時に、もっと界王神として立派にならなければと思った。

 

しかし此処で、ハルオが追い討ちを掛ける。

 

『驚きました。まさかポタラの所有者であるシン様が、ポタラの弱点を熟知していなかった事に、私は呆れと失意を感じました』

 

「うぐっ・・・ハルオの言葉がキツイです・・・」

 

ショックを受けるシンをよそに、悟空とベジータはポタラを着け終えた。

 

「と言う訳だベジータ。彼奴ぶっ倒して帰ったらブウの中に入れて貰おうぜ」

 

「くそっ!それまで耐えてやる!」

 

そして、夏煉と黒歌も準備を終えた。

 

「黒歌さん。一緒に行きましょう」

 

「そうだにゃ!夏煉との合体なんて、それだけでもご褒美にゃ!」

 

そして、悟空とベジータが引かれ合い、お腹同士がくっついた。夏煉と黒歌も同じく、ポタラの合体に成功する。

 

──────────────────────

 

『どうやら此処までのようだな』

 

一方、ギドラとザマスは追い詰められていた。不死身の合体ザマスを何度攻撃しても、全く通用しないのだ。

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「くっ・・・」

 

ザマスは息が上がり、ギドラは全身がボロボロであった。ギドラのフォームも長く保たない。切り札であるインフィニティイーターは、その場に居る者達すら巻き込む可能性の高い技。連発は出来ないし、避けられたらおしまいだ。

 

正に絶対絶命のピンチに陥った、その時だった。

 

『なら、今度は俺が相手してやるぜ』

 

現れたのは、孫悟空やベジータにそっくりな謎の男。

 

『貴様は!?それに、その耳のポタラ・・・まさか!?』

 

『ああっ。貴様等が合体したから此方も合体したのさ。俺はベジータとカカロットの合体、『ベジット』だ。そして此れが、ベジットブルーだあああ!!』

 

ベジットは全身から気を流出し、超サイヤ人ブルーに変身した。その圧倒的な力を感じた合体ザマスは微笑んだ。

 

『貴様等が我を真似ようが、神に敵うものかぁ!!』

 

『それはどうかな?』

 

こうして、ベジットと合体ザマスの戦いが始まり、今、戦いは最後を迎えようとしていた。



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煉獄、黄金の力を得る

ベジットと合体ザマスが戦い始めた頃、夏煉と黒歌が合体して誕生した少女が、ギドラの元に歩み寄る。長い黒髪に、ボンッキュッボンのナイスバディ。そして、頭に生やす猫耳と、腰に生やす尻尾がトレードマークであった。耳には、ゴワスが貸したポタラが身に付けてある。

 

『大丈夫かしら?』

 

ギドラは、元の少女の姿に戻っていた。弱っている為、立ち上がる事も儘ならない。実体化してしまい、そのせいで力を失っているのだ。今の彼女は、見た目通りの非力な少女でしかない。

 

「いや・・・ハイパーギドラフォームを解除したから実体化してしまった。お主は・・・えっと・・・」

 

『夏煉と、黒歌だから・・・いえ、この際ヘレナで良いわ。無理に名前を合わせる必要は無いもの』

 

合体少女───ヘレナがそう答えた。

 

「うむ・・・実体化してる間は弱いままなのじゃ。力を取り戻すまで結構掛かる。お主に戦ってほしい所じゃが、今のお主でも合体ザマスに勝てるか怪しいのじゃ」

 

『むっ・・・でも確かに、勝てる気がしないのも事実ね。ベジットが戦ってるけど、いずれベジットが押し負けるかもしれないわね』

 

ヘレナはそう言った。せめて、後もう少しパワーアップ出来る切っ掛けがあれば良いのだが。

 

すると、彼女達の元へザマスが降りたって来た。

 

「ギドラ様。貴女は究極のドラゴンボールの願いを、後二つ残して居ますね?」

 

「うむ。そうなのじゃが・・・むっ!そういう事か!」

 

「流石は、私の次元で破壊神を務めるだけありますね。頭が回る方で助かりました」

 

ザマスの言葉の意味はもう解っているとは思うが、ギドラが願いを叶えてヘレナをパワーアップさせる事。ギドラはそれを理解したが、ただパワーアップさせるだけではつまらないと考えた。

 

『前置きは無しでお願い』

 

「分かったのじゃ。究極のドラゴンボール第二の願いを唱える!『惑星千個分のエネルギーを持つ美味しい神精樹の実をヘレナに渡せ』!!」

 

その時、ヘレナの掌に掌サイズの神精樹の実が現れた。その色は虹色に輝き、芳醇な香りが実から漂っていた。

 

『な、何よこれ・・・・美味しそうじゃない』

 

ヘレナは、思わず舌舐めずりをした。涎も口から垂れている。

 

「うぐ・・・こ、これはヘレナ用なのじゃ!重ねて第三の願いを唱える!『妾の力を持つパワーアップアイテムをヘレナに渡せ』!!」

 

そして、ヘレナの手元に神精樹の実と同じ大きさのアイテムが、黄金の光と共に出現した。

 

それは、夏煉が使う眼魂と似た形であった。違うのは、表面に『SP』と描かれている事だ。

 

『これを、私に?』

 

「そうだ。本来神精樹の実を食べる事が出来るのは神々だけなのだが、今回は事態が事態だ。私が許そう」

 

ザマスはそう言って微笑んだ。そして、ヘレナ神精樹の実を噛る。その味は、口の中に蕩ける甘味となって広がり、噛む事に甘味が増していた。

 

『美味しい・・・こんな実初めて食べたわ!』

 

ヘレナは神精樹の実に食らいつき、十分掛けて欠片も残さず全部平らげたのだ。

 

「どうじゃ?」

 

ギドラがヘレナに訊いた。

 

『・・・凄いわ。力が溢れて出てくる。まるで世界が違って見えるわよ』

 

ヘレナは自分の身体を見て、パワーアップした事を実感する。

 

そして、懐にしまった特別な眼魂を取り出し、そのままスイッチを入れた。瞳の絵柄が変わり、『01』の数字が浮かぶ。そして、ゴーストドライバーのバックルを開いた。そのまま中にあるヘレナ眼魂と入れ換えて、バックルを閉じて、レバーを引いた。

 

《アーイ!バッチリミトケー!!バッチリミトケー!!》

 

そして、ヘレナの周りに黄金のパーカーが出現した。しかし、此までの眼魂のゴーストと違い、その力をヘレナは読み取れなかった。

 

『変身!』

 

《カイガン!ギドラ!!全てを喰らいし!星を喰う者!!》

 

ヘレナはそう言った後にレバーを押し込むと、ヘレナは新たな姿へと変身した。それは、ギドラのハイパーギドラフォームと良く似た姿であった。ヘレナが今まで食べたものを型どった勲章(合体した為、夏煉と黒歌の今まで食べてきたもの全部が出ている)を沢山身に付けた軍服【ゴールドグラトニーコート】を着ている。額に七芒星を型どり、龍のような頭部をした金色のフード。肩にギドラの頭部を模したアーマーを着けている。パーカーの背中にはドラゴンのような翼を生やし、腰には二つの龍の尻尾を生やしていた。

 

ヘレナは変身した時、ギドラの事を即座に理解した。

 

『・・・驚いたわね。貴女、今まで何をして来たのか、見せてもらったわ』

 

「その口振り、妾の記憶を見たのか?」

 

『ええっ、ギドラちゃん。今まで一人だった事。エクシフの事。貴女のライバルであるゴジラの事。そして、貴女が星喰らいである事もね。神精樹の実は確かに、貴女の為にあるような者ね。その上破壊神候補だなんて反則よ反則』

 

「ふむ。素晴らしいのじゃ。エクシフの奴等に紹介したい位じゃ」

 

『それはまた今度ね。終わったら、フリーザの所でパーティーを開きましょ』

 

「うむ!分かったのじゃ!」

 

ギドラの目が星のように輝く。実体化していても、飯は良いものだ。いや、実体化したからこそ、食べる喜びが益々強くなった。

 

それに、肌で感じる寒気、土の感触、全てが愛しいと感じられる。実体化も悪くないものだと、ギドラは思ったのだ。

 

「とはいえ、此れで形成逆転ですね。ギドラ様」

 

「うむ!もう妾の出る幕は無いのじゃ!本音を言えばベジットやヘレナと戦ってみたかったのじゃが、まあ良かろう。妾もサイヤ人の特性を持つ・・・まあ良いのじゃ」

 

「ふふっ。貴女らしいです」

 

ザマスとギドラは笑う。そして、ヘレナが参戦した事によって、合体ザマスとの戦いは、クライマックスを迎えようとしていた。



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戦士達、決着を着ける

『勝てると思うな!人間が!』

 

『ごぁっ!?』

 

ベジットは押されていた。合体ザマスの不死身が強すぎるだけではない。此までの戦闘でパワーアップした合体ザマスの強さが、時間と共に増幅していったのだ。

 

ベジットもサイヤ人である為、戦えば戦う程強くなるのだが、合体ザマスの戦闘能力向上性が遥かに上だった。ベリアル、エンペラ、ザギ、ルギエルの力だけでなく、その闇の力や不死性、成長性を取り込んでいた為に此処まで成長速度が上昇しているのだ。

 

『終わりだ、人間!暁の旋律!』

 

合体ザマスが、両腕から楽譜のようなエネルギーでベジットを攻撃しようとした。オルゴールような音も響き、ベジットに迫っていく。

 

『させないわ!』

 

その時、ヘレナがベジットと合体ザマスとの間に割り込んで、その手からブラックホールを生み出して攻防一体の盾を作る。そして、赤黒い楽譜はブラックホールに吸い込まれて行った。

 

『また人間か!汚らわしい妖怪等と合体したのか!』

 

合体ザマスは天に赤黒い刃を生み出し、降下させる。

 

『『裁きの刃』!』

 

『グラビティソード!』

 

ヘレナは超重力の刃を生み出し、裁きの刃を次々と切り落としていく。

 

『人類を滅せよ。『滅びの電』』

 

ザマスの光輪より放たれる電が、ヘレナを襲う。絶対の雷と同じく、一本だけの雷撃だ。しかし、その技は周囲を凪ぎ払う為に放つ広範囲殲滅系の技だ。激しく動くその雷は、正に龍であった。合体ザマスの周りには、壊れ果てた建物の他に、ベジットやヘレナが居る。ヘレナはグラビティソードで、滅びの電を斬る。電は斬られた後に霧消した。

 

合体ザマスはヘレナの背後に回り込むと、そのまま蹴りを三回入れた。ヘレナは蹴りを三発受けた後に、地面に叩き付けられる。

 

ヘレナはすぐに立ち上がり、掌から超重力の弾を発射した。合体ザマスの身体に当たっていくが、合体ザマスは何とも無いようだ。

 

『我は不死身!貴様がどんな攻撃を当てようと、我を滅ぼせるものかああ!!』

 

『みたいね』

 

合体ザマスが気で剣を作る。そして、そのまま掌に突き刺した後、勢い良く取り出した。次の瞬間、先程まで剣の形をしていた気は、巨大な鎌の形に変わった。

 

『見よ!此こそ、神の御技!喰らえ!』

 

合体ザマスが鎌を振るう。ヘレナは下に避けた。神の攻撃は通ってしまうギドラの力。ヘレナが此処で避けたのは正解だった。

 

その時、ヘレナの背後に巨大な次元の裂け目が出来てしまう。裂け目は目のような形となった。目の中は紫色の渦が無数に存在しており、その奥には何があるのか分かったものではない。別の次元に通じているのだろうが、彼等の知る所ではない。

 

『フフフフ・・・フハハハハハハハハッ!!見よ!あれこそ正に、新世界を切り開く扉!!今、古き世界が終わりを告げ、我が支配する新たな世界が誕生するのだ!!』

 

合体ザマスが高らかに笑う。

 

『させるかよ!界王拳二十倍だあああ!!』

 

ベジットは界王拳を発動した。ベジットが赤いオーラに包まれた瞬間、彼はザマスの頬を強く殴った。ザマスは突然の不意討ちに対処出来ず、更なる追撃を許してしまう。

 

『ハァァァァッ!!』

 

『テエエエエエエエイッ!!』

 

ベジットとヘレナが、共にラッシュを合体ザマスに向けて撃ち込んだ。ヘレナは拳に喰らう力を持たせている為、殴った場所を食らっていく。ベジットがダメージを与えるお蔭で、ヘレナが食いやすくなっているのだ。合体ザマスの身体に予期せぬ変化が訪れる。

 

攻撃を受けていく合体ザマスの身体、特にベジットが攻撃を当てた後にヘレナが拳を当てて食らった箇所が、崩れ始めていた。再生が正常に行えず、肉体が可笑しな方向へ変化しようとしているのだ。

 

『あら?貴男不死身の筈よね?』

 

『ぐっ!?どうなっている!?』

 

『お前の姿、まるでギドラさんのパワーアップした姿みてぇだな。なら、俺も全力でやるぜ!』

 

『この・・・我が・・・人間に敗れる等、あってはならない!』

 

ザマスは崩れていく身体を動かし、拳を振り下ろさせる。いつの間にか三メートル級の身体となり、全身がドロドロに溶け始めていた。

 

『これでも喰らえ!八十倍界王拳・・・ファイナルかめはめ波だーー!!!!!』

 

ベジットが界王拳を更に上げて、必殺技であるファイナルかめはめ波を放つ。かめはめ波は合体ザマスの全身を覆い尽くし、彼を中心に大爆発が起きる。

 

爆発が起きた後、上空に向かって合体ザマスが跳んだ。

 

『見よ!此が神だ!我の受けた痛みは全て、我を更なる高みに昇らせてくれるのだ!』

 

合体ザマスの身体は泥のように崩れていく。初めは半分だけだったが、徐々に全身が溶け始めていた。

 

『くそっ!化け物が!』

 

ベジットが合体ザマスの元へ瞬間移動しようとするが、ヘレナが止めた。

 

『待ちなさい。合体ザマスの身体は崩れているけど、死ぬ訳じゃないわ。このまま戦っても、姿が変異しながら強くなってキリが無いわ』

 

『じゃあ、どうするんだよ?』

 

『任せておいて。彼奴の倒し方は、今分かった。封印は駄目。いずれ破られて出てきてしまう。なら、方法は此れだけよ』

 

そう言った後、ヘレナの姿が変化する。軍服姿のヘレナは徐々に大人の女性の体格となった。ギドラの切り札である『ハイパーギドラフォーム』への変身だ。更に、万物を喰い尽くす究極奥義を発動した。全身が金色の全身鎧に包まれ、全てを喰い尽くす槍を右手に持った。

 

それは、ギドラがアースを倒す為に編み出した絶対の切り札。

 

『我は総てを喰らう。生命を喰い、魂を食み、海を飲み、陸を噛み砕き、星を食べ、銀河を頬張り、宇宙をも喰い尽くす!』

 

そして、槍に強大な力を溜めていき、槍が金色の輝きに包まれる。

 

『食い尽くせ!インフィニティィィ・・・イイイイイイイタアアアアアアァァァッ!!!!!』

 

ヘレナが合体ザマスに槍を突きだした瞬間、槍の先端から金色のビームが放たれた。更に、三つの黒い龍が槍より解き放たれた。

 

ビームと龍達は合体ザマスに当たる。その瞬間、ザマスの身体が小さな光る粒子となって分解されていく。更に、黒い三つの龍が自身の身体に食い付き、細胞一つ一つを食っていくのだ。

 

『な、何だこれは!?我の・・・身体がああ・・・うわああああっ!?』

 

合体ザマスは、自身を喰らおうとする力を振り払おうと気の剣を生み出そうとした。しかし、何故か剣が作れない。良く見れば、ヘレナの後方にある次元の穴が塞がっていく。

 

『っへ。そう言う事か』

 

『そうよ。合体ザマスを倒せなくても、喰う事は出来るわ。奴が喰われるのが先か。私が力を使い果たすのが先か。最後の戦いよ』

 

しかし、ザマスとて馬鹿ではない。必死に抵抗しようとしている。

 

『人間が・・・神に・・・正義に仇なすのかああああああああっ!!この美しい我の志を汚すのかあああああああ!!』

 

『よく言うぜ。お前の身体はもう、美しさの欠片もねぇよ。精々、ソイツの身体ん中で不死身になっちまった事を後悔しろよ』

 

『逝きなさいザマス。貴男の望んでいた世界へ。其処の寂しさに気付けたなら、また会いましょう。永遠の死から脱け出せたならね』

 

合体ザマスの身体は徐々に分解され、ヘレナの頭部にある【ギドラセブンスターヘッドフード】の開いた口に入っていく。其処で散り散りになったザマスの身体を食っているのだ。不死身であるザマスは倒せない。だから、その中がどうなっているか、何処に繋がっているのか、何処へ行くのか、本人にも解らない腹の中へ入れるのだ。例え蘇っても、また死が待つか。それとも二度と脱出出来ない生き地獄か。いずれにせよ、合体ザマスに待つのは永遠の死であった。

 

そして、その様子を見ていたリムルとバーダック、ルーゴサイトの三人は、既に戦闘形態を解除していた。バーダックは元の姿に戻り、リムルは召喚したヴェルドラを自分の中に戻した。

 

「合体ザマス・・・かつての我のように、狂ってしまった存在」

 

「俺達の今のリーダーのザマスさんとは、全く違う道を歩んでしまったんだ。せめて彼奴が、いや彼奴等が、今までの過ちを悔いて反省する事を、ひたすら祈ろう」

 

「・・・・・・カカロット。お前の仇は討ったぞ」

 

バーダックは、せめて自分の手で合体ザマスを倒したかった。別の時空とはいえ、自身の息子の仇を討ちたかった。しかし、目の前の女性が、代わりに行ってくれた。それだけでも、喜ぶ事にしよう。

 

──────────────────────

 

「・・・さて、先ずは何から話すべきかな」

 

ゴワスとシンは、この場に居る者達を集めた。ベジット、ヘレナ、ギドラ、ハルオ、ユウコ、トランクス、リムル、バーダック、ルーゴサイト。そして、ザマスが揃い、合計十二人となった。

 

「先ずは俺からだ。確か、ベジットと言ったか?もしかしたら、カカロットとベジータ王子が合体したのか?」

 

『おう。一応初めましてだな。えっと・・・俺は一応ベジータとカカロットの合体した存在だからな。だから、父ちゃんと呼ばせて貰うぜ』

 

「ふっ。出来れば合体前のカカロットの口から聞きたかったけどな」

 

次にリムルとルーゴサイトが、ギドラとヘレナの前に来る。

 

「お前達の力は凄いんだな」

 

『解。お二人の補食能力は、リムル様及びルーゴサイト様に匹敵するものであります』

 

「そうか。それで、二人は今後どうするんだ?」

 

「妾は休ませてくれ。後でフリーザ達の元で、豪華なパーティーなのじゃ」

 

『そうね。リムルも、今回は事態が大きかったからそんな暇は無いけれど、また今度手合わせしましょう』

 

「ああっ。俺は楽しみにしているぜ」

 

「我も・・・出来れば今後ゆっくりお話がしたいです」

 

今度は、ハルオとユウコ、そしてシンが話していた。其処に、トランクスも交ざっている。

 

『ユウコ?今なんて・・・』

 

『うん。私はこの世界を、トランクス様やマイ様と一緒に守って行きたいの。お母さんが教えてくれた人生を、お二人と一緒に歩んでみたいから』

 

『そうなんですね・・・しかし、それは・・・』

 

「ユウコさん。娘さんの門出なんです。心配しなくても、ユウコさんは俺達が護って行きますから」

 

トランクスは、ユウコの肩を持って自信満々に言った。

 

「ハルオ。ユウコは新しい人生を歩もうとしています。応援してやってください」

 

『・・・シン様がそう仰るならば、仕方ありませんね。ユウコ、トランクス様やマイ様に、ご迷惑をお掛けしないでください。家事は此の人達に教わってください。日々自身を鍛える事を忘れないように。後、兵器を開発するならば、皆を護る為に使う事。良いですね?』

 

『うん。お母さん』

 

そして、ザマスやゴワスの会話に入る。ゴワスが訊いたのは、『ザマスが居る次元で何があったのか』だ。

 

「ザマス。お前の居た次元で何があった?」

 

「私は界王神になる前、ゴワス様と共にババリ星を見に行きました。此方でも同じでした。ババリ星は争いが酷く、荒廃に進みそうになっていました。しかし、その時私はあるものを見ました」

 

「それはなんだ?」

 

「戦っていた彼等が帰った所を見ると、其処には貧困に苦しみながらも、帰りを待っている家族が居たのです」

 

「っ!」

 

「彼等は、私利私欲の為ではなく、家族を護る為に戦っていたのです。そして其処から秩序が生まれ、僅かですが、争いが減っていきました」

 

ゴワスは、自分の住む時空のザマスの事を思い出した。此処に来る前、ゴワスはザマスにババリ星の状態を見せようとした。そんな争いが続くババリ星にも、僅かな秩序が生まれていたのだ。それを見せる事が出来なかった事を悔やんだ。もし見せていれば、運命は変わっていたかもしれなかった。

 

「それから私は、ババリ星を見守り続けました。争いは続きましたが、時が経つに連れて減っていったのです。そして、争いを無くそうと秩序が生まれていき、そしてババリ星は豊かで平和な星へ変わったのです」

 

そしてザマスは、別次元で破壊神となったギドラを師匠として弟子入りし、鍛えてもらったそうだ。因みにギドラの事は、『神TUBE』という動画サイトで知ったそうだ。ギドラが破壊神となる前に行われた第6宇宙との試合が、動画として上がっていたのだ。アースという女性と互角の戦いを繰り広げているのをザマスは見ており、その強さに感激し、彼女の元で鍛えてもらったのだ。

 

「本当に申し訳ありません!ゴワス様!」

 

「どうしたのだ?ザマス」

 

「過ちを犯した自分を止める為とはいえ、私は時を越えるという大罪を犯してしまいました!本当に申し訳ありません!ゴワス様!」

 

「頭を上げなさい、ザマス。お主は時の界王神様の許可を得て、『パラレルチェンジャーズ』のリーダーとなって過ちを止めようとしたのだろう?」

 

ザマスは頭を上げて、ゴワスを向いた。そして、首を縦に振るザマス。

 

「・・・立派な界王神になったな。ザマス」

 

「っ!ゴワス・・・様・・・」

 

その時、彼の目から光るものが溢れた。それを見ていたのはゴワスと、バーダックの二人だけであった。

 

──────────────────────

 

「おーい!」

 

「トランクスー!」

 

アノシラスとマイが、ブラックやザマスに抵抗する抵抗軍の皆と共に走ってきた。

 

「マイ?アノシラス?一体どうしたんだ?」

 

「実はあの後、ブラック達のアジトらしき所を見つけたんだ。其処で、この子を見つけた」

 

マイを良く見ると、誰かをおんぶしているようにも見える。それは、ピンクの髪をした小太りの少女であった。

 

「この子は?」

 

「ブルトン。ザマスとブラックのアジトでぐっすり眠ってた。名前が服に書いてあるよ」

 

アノシラスが、ブルトンの着ている衣服にある名前を指差した。其処には確かに、平仮名で『ぶるとん』と書かれている。

 

「この子、多分何も知らないと思うんだ。アタシはこの子を保護したいの。トランクスはどうする?」

 

「俺は別に、其処まで落ちぶれて無いさ。この子を俺達で引き取ろう。もしこの子が、ブラックとザマスの事を訊いてきたら、不慮の事故で死んだ事にしておこう。それが、この子にとって幸せな事だからな」

 

「・・・そうだね。良かったねアノシラス。妹が出来たよ」

 

「妹!?」

 

「そうだ、アノシラス。君も、俺とマイの子だ。一緒に生きていこう」

 

「うん!」

 

こうしてトランクスとマイは、アノシラスとブルトンを養子として引き取った。

 

その後、ベジットが座った時にあるボタンを押した。その後、全王様が現れてザマスを含めた界王神達やハルオ、ユウコが詭いた。

 

その後、ベジットが「友達が欲しいか?なら頼んでくれないか」と交渉して、全王の手で地球を含めた全宇宙に新たな生命を吹き込んでくれた。人間は生き返らなかったが、宇宙全てが生命溢れる状態に戻ったのだった。

 

友達に会わせてくれたお礼として、全王はベジットやヘレナを元に戻してくれたのだ。黒歌と夏煉は、万が一にとポタラを貰い、切り札として取っておく事にするのだった。

 

そして、現代に戻った彼等は、惑星フリーザで宴会を開くのだった。破壊神、時の界王神を含めて、大きな宴会が開かれたのだった。



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煉獄、元の時空へ帰る

「それでは皆さん!勝利を祝って─────」 

 

『乾杯ーーーー!!!!』

 

惑星フリーザ。其処には、ギドラやビルス、ウィスの他にも、ハルオや界王神達、時の界王神クロノアの姿もあった。未来世界のトランクスやマイ、アノシラスにブルトンも、宴会に参加している。悟空やベジータ、その家族も全員参加だ。当然、夏煉達の姿もある。

 

「まさかそんな事があったとは。大変でしたね、悟空さん」

 

「ホントだよ~。いやぁ危なかった~。でもこうして、皆でメシが食えて、オラは満足だ!」

 

フリーザは悟空に話し掛ける。嘗ては敵同士だったが、今ではこうして仲良く話せる関係になった。

 

「ギドラさんには感謝しなくちゃな!惑星フリーザで、こんなに美味ぇメシが食えるなんてよ!」

 

「元々、ギドラさんの為に考えたグルメによる星起こしですが、こうして皆で集まってご馳走になるのも、嫌いではありませんよ」

 

フリーザの本心だった。嘗ては宇宙の帝王と恐れられた男は、こうして客に美味しい料理を食べてくれる事を喜べる料理人兼総支配人となったのだ。

 

「うむ~!ゴリゴリガエルの唐揚げ~最高なのじゃ!」

 

「見ろウィス!骨も柔らかくて食べられるし美味いぞ!」

 

「ええっ!身もプリっプリっ!外はシャキシャキと厚いせんべいのようです!」

 

ギドラ達は、食べ物を食べて大喜び。グルメな三人にとって、今回の宴会は正に理想郷。ブルマの誕生日パーティーにも負けない料理が並び、三人はご満悦。

 

「夏煉~。あーんにゃ!」

 

「も、もう黒歌さん・・・恥ずかしいですよ・・・あーん」

 

黒歌と夏煉は、バカップルの如く(事実そうなのだが)イチャイチャしていた。その様子を、小猫はただ見ているだけであった。その視線は、嫉妬が具現化したようなものである。

 

そして、ハルオとユウコは、最後の親孝行を楽しむ事にした。

 

『これは何?お母さん』

 

『娼婦風スパゲティーです。忙しい娼婦が適当に作ったら美味しかった事が、その名の由来です。チーズと辛味が絶妙に合わさって美味しいんですよ』

 

『味が解るの!?』

 

『人間の舌を持ってますから。舌で料理を味わった時、心の底から嬉しいという感情が沸き上がって来ました。生きているという事を、改めて噛み締める事が出来たのです』

 

『そうなんだー。どれー』

 

ユウコは娼婦風スパゲティーをフォークで掬い、口に運んだ。その瞬間、口の中に広がったのは辛味であった。

 

その辛さによって、本来する筈の無いムセをしたユウコ。

 

『エホッ!エホッ!な、何これ!?舌が熱くて痛い!?』

 

『それが辛いという感覚ですよ』

 

『辛い?これが・・・ムグッ。辛い!』

 

ユウコは再びスパゲティーを口にする。その辛さが癖になり、辛いものが大好きになるのだった。

 

そして、トランクスとマイ、アノシラスとブルトンは、悟空と別れたフリーザと邂逅した。

 

「・・・まさか此のような形で再会するとは思いませんでした。謝って許される事ではありませんが、謝罪します」

 

「俺も、まさかフリーザと再会するとは思わなかった。だが、今のお前は嫌いじゃない」

 

「ホホホッ。私も同じですよ」

 

「この人って、トランクスの知り合い?」

 

「そうだな。知り合いと言えば知り合いだ」

 

フリーザの事をトランクスに訊くマイ。その横で、アノシラスとブルトンは料理を味わって食べていた。

 

惑星フリーザで行われたパーティーは長く続いた。しかし、楽しい時は過ぎるのが速い。

 

いつのまにか、彼等が元の時空に帰る時が来た。

 

──────────────────────

 

「トランクス。今のオメェなら、どんな敵が来ても大丈夫だ」

 

「はい!」

 

「これ。ホイポイカプセルよ。中に食料とか家とか色々入ってるから、大変な時に使いなさい」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「「ありがとうございます!!」」

 

トランクスとマイは、ブルマからホイポイカプセルが沢山入った小型の箱を受け取り、感謝を述べた。アノシラスとブルトンも、同じように感謝の言葉を述べる。

 

『ユウコ。似合ってますよ。その服装』

 

『うん!お母さんの着てる物と同じ!』

 

『あの人達をしっかり護って上げてください。また会いましょう』

 

『うん、また会おうね!お母さん!』

 

ハルオとユウコは、笑顔で握手を交わした。

 

「行こう!皆!」

 

『ああ(うん)!』

 

そして、彼等はタイムマシンに乗り、未来の世界へ帰ろうとする。

 

空へ飛ぶタイムマシンに乗るトランクスの元へ、悟飯とピッコロが現れる。その時、トランクスは自分の師匠である未来の悟飯の言葉を思い出す。

 

『君はこの地球を守る、最後の希望なんだ』

 

自分を鍛えてくれて、自分を犠牲にして護ってくれた悟飯。

 

トランクスは涙を流しながら、この時代の悟飯に向かって手を振った。悟飯も、トランクスに答えるように手を振る。

 

「行こう。未来へ」

 

マイがトランクスに語りかける。

 

「ああっ!じゃあ皆!行くぞ!」

 

『うん!』

 

こうして、トランクス達の乗るタイムマシンは、この時空から姿を消した。彼等は、自分達が帰るべき未来へ帰っていったのだ。

 

そして、夏煉達も、元の時空へ帰る日がやって来る。

 

「ありがとうございました。また会える日が、楽しみです」

 

「うむ!妾の力、使いこなすのじゃぞ!絶対じゃからな!」

 

「うん、ありがとうギドラちゃん」

 

そして、夏煉達は、ハルオとユウコによって新たに作られたタイムマシンに乗ろうとした、その時だった。

 

『夏煉様。此方を』

 

ハルオが渡して来たのは、一冊の分厚い本であった。タイトルは英語で『ナノメタルの取り扱い説明書』と書かれている。

 

『ナノメタルの扱いに間違いが無いよう、記載致しました。ナノメタルの使い道を誤らないでください』

 

「うん。分かってるよハルオ。ナノメタルの力、大切な人達を護る為に使ってみせるから」

 

『ありがとうございます。今度、全王様が大きな大会を開くのですが、全次元生中継ですので、是非ご覧になってください』

 

「観るよ。貴女も、ゴジラに絶対勝って。約束だよ」

 

『はい!夏煉様!』

 

「夏煉で良いよ。呼び捨てで」

 

『畏まりました。夏煉』

 

ハルオと夏煉は手を握り合う。此処に、一つの友情が誕生した。

 

そして、夏煉達はタイムマシンに乗る。気絶したままの一誠も乗せて、タイムマシンは起動した。

 

「結構色々な事が起きましたね」

 

「帰ったら寝たいにゃ~。でも夏煉と合体出来た事が嬉しくて、フリーザ星でご飯食べ過ぎたにゃ~」

 

「ふふっ。黒歌さん、小猫さん。帰ったらお風呂に入りませんか?一緒に入ります?」

 

「「入るにゃ(入ります)!」」

 

「では行きましょう!私達の時空へ!」

 

こうして、夏煉達の乗るタイムマシンは起動した。そして、時空に穴を開けて入っていき、元の時空へ帰っていく夏煉達。

 

彼等の乗るタイムマシンが消えた後、ギドラは神精樹の身を食べながら何もない空を見上げた。

 

「頑張れよ。また会えたら、妾と思い切り闘おうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

此れからも、未来はトランクス達の手で護られていくだろう。

 

 

何故なら彼等こそ、未来の希望(Hope)なのだから。




という訳で、長く続いたコラボも終了しました!いずれ、ハルオを中心とした物語や、パラレルチェンジャーズの話も書きたいと思っています!

それでは、次章予告です。力の大会編は、まだまだ先ですが、気長にお待ちください!

次章予告。

シャンパ達の住む星に、突如現れた怪獣。

「なんだ?」

「怪獣でしょうか?」

「まっ、破壊するだけだけどな」

それと同時に、アースの元へ現れる、機械音のような声を出す男。

「何者だ?」

『いやぁ~、そんなに大した人物じゃないよ。私は』

そして、怪獣を粘土で作る宇宙人の少女『ソクバ』。

「ほら~、新作出来たよ~」

『ほう素晴らしいねぇ~!』

ソクバと謎の男が生み出す、怪獣軍団。立ち向かえるのは、この三人。

「・・・まさか此処で集うとはな」

「俺もだ」

「我も同じだ」

集うゴジラ達。そして立ち向かうサイヤ人達。

「行くぜケール!アタシ等の力、見せてやるぜ!」

「はい!姉さん!」

「僕らが宇宙を護るんだ!」

暗躍するヒット。

「次のターゲットは・・・こいつか」

マゲッタ、ボタモも立ち向かう。

「シュポポー!!!!」

「俺達もやるとするか!!」

今此処に、第6宇宙を巻き込む怪獣大戦が幕を開ける。

次章、『第6宇宙編』。近日公開。

目を覚ませ。我等の宇宙が、何者かに侵略されている。


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第6宇宙編 破壊の王、散歩をする

OP:『UNION(SSSS.GRIDMAN OP)』


第6宇宙の、とある惑星。其処に、たわわに実った果実を持つ一人の女性が、黒い筋肉質な両腕から緑色の血を垂れ流していた。身体にも血が付着しており、胸元には小さな血の池が出来ている。

 

彼女はアース。元々は別次元の地球を支配していた怪獣の王であり、破壊の王。

 

今は人間と怪獣の姿を融合した女性の姿となり、破壊神シャンパの元で居候している。

 

そんな彼女が此処へ来たのは、単に散歩感覚でだ。自分のライバルであるギドラの域に再び足を戻してから、宇宙の何処にでもワープが可能となった。ギドラのようにワームホールを創って宇宙中を移動する事が出来た。。

 

そしてこの星を散歩していた際、自分の身体を目当てに襲ってきた男達に苛ついて、全員返り討ちにした。途中で胸を触られたりしたが、そいつも瀕死に追い込んだ。

 

そして、生きていた者の一人が掌から気とは違うエネルギーを撃ち出した。エネルギーはアースの向かって飛んでくる。恐らく、この星の空気を圧縮して熱エネルギーに変換し、アースに向けて放ったのだろう。しかし、アースにそんなのは効かない。シールドすら張る必要の無いその攻撃をアースは背中で受ける。背鰭に当たっても破壊されず、ただ爆発しただけに終わった。アースは背中を向けたまま、背鰭から稲妻を放つ。稲妻は、先程熱光線を放った男に直撃し、素粒子レベルにまで分解した。その場に血が飛び散り、男達は一目散に逃げ出した。

 

「っ?」

 

アースは逃げた男達に向けて、目で睨み付けた。その時、男達はアースの睨みだけで消えて、星は半分程消し飛ばされた。アースは宇宙空間を漂いながら、次の星に向かってワープした。

 

第7宇宙との試合から、アースの日常は変化した。どうやら第7宇宙の孫悟空に負けてから、試合に出た奴等以外から常に狙われるようになった。主に、自分の身体目当てか、自分を殺そうとする奴等だ。前者は何時もの事だが、後者は自分の事を嘗めている連中だ。

 

時々身体(特に胸)を触られる事はあったが、それは眠っている時だ。その度に返り討ちにした。

 

アースとしては、散歩を静かに楽しみたいだけなのだ。その度に邪魔をされて、イライラしているのだ。散歩の後、彼女の生きる最大の楽しみが───。

 

『お帰りー!お母さん!』

 

「・・・ああっ。帰ったぞ」

 

我が子等、セルヴァム達が出迎えてくれる事だ。そして、アースと瓜二つで、Dカップの胸を持つ少女が現れる。アースと違って、四肢は痩せている。青い髪をしており、短髪なのだ。黒の着物を着て現れた彼女は、アースの子供達の中でも最強の実力者であるフィリウスであった。

 

「お帰りなさいませ。お母様」

 

「ああっ、フィリウス。今日はもう寝たい」

 

「畏まりました。シャンパ様にお伝えします」

 

アースはフィリウスにそう告げた後、セルヴァム達と共に寝室に向かう。子供達と眠る事が、アースにとって最高の一時なのだ。

 

そしと、フィリウスはシャンパとヴァドスの元へやって来た。二人の周りは、少し争ったかのように荒れていた。

 

「シャンパ様。ヴァドス様」

 

「ん?ああっ、フィリウスか。丁度こいつらが現れたからよ。破壊した所なんだ」

 

「しかも不思議な事に、この怪獣達には魂が感じられないのです。まるで作られたかのようですね」

 

「魂が感じられない?ギドラのようなものですか?」

 

フィリウスの問いに、シャンパが答える。

 

「違うな。奴は確かに魂の波動は解らねえけど、一応生命体だ。神でもねえのにホント訳わかんねえ」

 

「所謂、ゴーレムのようなものでしょう。つまり、誰かが怪獣を作り、命を吹き込んでいるのですよ」

 

「界王神様に訊いてみますか?」

 

「わざわざやらなくても、私が探します───おや?」

 

ヴァドスは杖の球体から探りを入れるが、怪獣達の発生源が見つかりそうになった所でノイズが走る。

 

「どうやら、惑星サダラ付近に居るようです。惑星サダラのある銀河系を捜索しようとした所、ノイズが走って上手く見えません」

 

「ヴァドスの手に負えねえとなると、其処が怪しいな。おいフィリウス。キャベ達の元へ行って、至急捜索を行え。アースは目を覚ましたら、後で俺達と一緒に向かうからよ」

 

「畏まりました」

 

フィリウスは、近くにある宇宙船に向かう。アースと違ってワープが出来ないフィリウスは、ヴァドスの魔法で作って貰った宇宙船に乗って宇宙を移動していた。バイクの形をしたホバー機だ。名は『ホバー』とそのまま。シャンパが名付けたのだ。タイヤは無く、ジェットで飛んで移動する仕組みで、ホイポイカプセルに変えて持ち運びも可能になっている。ヴァドスが第7宇宙の地球にあるホイポイカプセルの技術を使って、このように便利なバイクを作ってくれた。

 

フィリウスはホバーに乗ると、そのままエンジンを起動した。そして、惑星サダラに向かってワームホールを展開し、そのままホバーを加速させて、穴に入っていった。




ED:『Affection(ゆゆ式ED)』


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破壊少女、サダラに着く

フィリウスはホバーを走らせて、ワームホールの中を進んでいく。ワームホールの中は虹色で、様々な世界が渦巻いていた。その中には、かつてのフィリウスが人間達に勝利した世界もあった。しかし、そんな光景に目を惹かれる暇もなく、フィリウスはワームホールを抜け出した。惑星サダラは気候も良く、そして黒髪と黒い瞳の戦士達『サイヤ人』の故郷だ。

 

そして、サダラの地にホバーを着地させると、ホバーをカプセル状に戻して懐にしまう。

 

「さて、調査に行きますか」

 

フィリウスは歩き出した。すると、彼女に近付く者が二人現れた。

 

それは、第7宇宙や第6宇宙との試合に出たキャベと、サダラ防衛隊隊長『レンソウ』であった。

 

「あっ!フィリウスさん!ようこそ惑星サダラへ!」

 

「あっ、貴女がフィリウスか!俺はレンソウ。宜しくな」

 

「宜しくお願いします。レンソウさん。キャベさん。それで、早速話をしたいのですが」

 

「はい。是非此方へ」

 

キャベはフィリウスを、本部に案内する事にした。第6宇宙で起きている事件について、サイヤ人達で調査していた所だったのだ。

 

──────────────────────

 

「・・・そうですか。シャンパ様の元にも怪獣が」

 

「まあ、シャンパ様はすぐに破壊しましたよ」

 

「確かに、破壊神ならば当然だろうな。しかし問題は其処ではない。破壊神の元に怪獣を送れる程の奴が、この宇宙の何処かに居るのは確かなんだ」

 

レンソウがそう言った時、フィリウスはレンソウの言葉に意見する。

 

「その怪獣を生み出している存在なのですが、どうやら惑星サダラを含めたこの銀河に居るようですよ。ヴァドス様が調べられなかったので間違いありません」

 

それを聞いたサイヤ人達は、驚くあまり声を出してしまう。

 

「そんな!僕達サイヤ人はそんな事を───」

 

「待つんだキャベ。この銀河とフィリウスは言ったんだ。サダラに居るとは一言も言ってないだろ。ただ、可能性は否定し切れないのも確かだ。怪獣を生み出す奴がこの銀河に潜伏しているとなれば、最悪身内すらも疑わなくてはならん」

 

レンソウの言う事は最もだ。身内の中に怪獣を生み出し、世界を混乱に陥れようとしている者が居る。そうなると、誰も信じられなくなるのも無理は無い。

 

「そうですね。こうなったら───」

 

フィリウスが何かを話そうとした、その時だった。突然周囲に警報が響き渡る。

 

「どうした!?」

 

「怪獣出現!今度はこの銀河にある海洋惑星ザブンにて、巨大怪獣出現!」

 

装置を入力して、モニターを出すサイヤ人。モニターには、巨大な甲殻類のような姿をした怪獣が、船を食い荒らしていた。頭部は巻き貝、右手はカニバサミ、左腕には海老の頭部、両脚はカニの足、身体中にはふじつぼや鏡が所々にあり、海老の尻尾を生やしている。

 

身長168mとかなりの大きさだ。

 

「今度は海洋生物が!?何故だ!彼処には怪獣が住んでいるというデータは無いぞ!」

 

「兎に角、生態系に被害が出ては不味いです!出撃しましょう!」

 

「私も行きます!この目で、生まれた怪獣を見てみたいです!」

 

こうして、フィリウスはサイヤ人の戦闘部隊と共に、怪獣が現れた惑星へ向かう事になった。移動及び戦闘用の宇宙船に乗り、海洋惑星ザブンに向かうのだった。

 

──────────────────────

 

『やれやれ。あの子の注文は困ったものだ。ザブンの海を汚す船が邪魔だからとはいえ、此処まで巨大な怪獣を作るとは』

 

彼は、見た所魔王のような姿をしており、赤いゴーグルから覗く目は、海で船を次々と破壊していく巨大怪獣を見ていた。

 

『にひひひっ。どうかなアレクシス!』

 

突如、男の背中に現れた蜂型のドローンから声がする。無論念話の為、アレクシス以外には聞こえていない。心の声で会話をしているからだ。

 

『ソクバ君。君は天才だよ。此れでこの星の海は護られたよ。君は偉いねぇ~』

 

『えへへ~。こんな綺麗な海をね。汚す奴等はこうなっちゃえばいいんだよ。ゴミを捨てる奴等も全員餌にしちゃおうよ!』

 

『そうだねぇ~。悪い事だねぇ~。あの子もそう願って居るよ』

 

そう言った後、アレクシスはその手に握った紙を広げた。其処には達者に鉛筆で描かれた怪獣の絵があり、其処には様々な部位に関する説明が盛られていた。色は色鉛筆やクレヨン等を使用したような色をしている。

 

そしてその紙には、名前が大きく書かれていた。

 

『鏡甲殻怪獣シェルミラー』。

 

『さて、誰か来る前に退散するかな』

 

アレクシスはそう言って笑った後、その場から消える。まるでテレビの画面が消えるように、その場から瞬間移動したのだ。そして遠隔操作されているドローンは、怪獣にもっと近付いて行くのだった。




『肘神さま』さん。怪獣の提案ありがとうございました!活動報告にて、怪獣を募集してます。後十四体ですよー!


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破壊少女、怪獣と戦う。

フィリウスは、ザブンに降り立った船から降りた。幸い陸上は、一つだけ存在している。サイヤ人達は島に船を降ろして、地上へ降り立った。

 

「ザブンですか。確かに、潮の香りがしますね」

 

フィリウスは臭いを嗅ぐ。人の姿を得たからこそ、嗅覚にも目覚めたのだ。但し、味覚は存在しないのだが。

 

「自然保護惑星に指定された美しい星だよ。希少な魚や物質を狙う悪党共も居る位だ。其処で俺達サイヤ人は交代で見張りを着けているが、それでも乱獲や違法採掘する奴等は絶えないのさ。にしても・・・そんな星になんで怪獣が・・・」

 

「誰かが、星を護る為に送ってきたのでしょうか。しかし、下手な生き物の投入は、却って生態系を壊すだけです!」

 

キャベの言う通りであった。放っておけば生態系に大きな影響を与え兼ねない。

 

「そうですね。あの怪獣には申し訳ないのですが、此処で倒れて貰います!」

 

「総員!戦闘配置に着け!」

 

レンソウの指示により、多数のサイヤ人が怪獣の元へ飛んだ。フィリウスは気を持たない為、舞空術は扱えない。その代わり、両足や両手に取り付けた空気噴射装置によって空を飛んでいた。

 

そして、シェルミラーはその姿を現した。

 

「デカイ・・・此処まで来ると、生態系を食い尽くしかねないぞ!?」

 

「先手必勝です!喰らいなさい!」

 

フィリウスは背鰭から放電すると、輪の形に電撃を組み込んで、口元へ凝縮した。そして、シェルミラーに向かって撃ち放つ。アースには劣るが、海に亀裂を走らせる程の威力の熱線が、シェルミラーに直撃する。胴体に直撃して、大爆発を起こす。

 

煙は晴れた。其処には、無傷で立っているシェルミラーの姿があった。

 

「効いてない!?」

 

「此処は僕が!ハアアアアッ!!」

 

キャベは超サイヤ人に変身した。そして、シェルミラーに接近して身体に打撃を与える。しかし、キャベの拳が逆にダメージを受けた。

 

「ぐっ!?硬い!」

 

「全員、攻撃開始!ハァッ!」

 

シェルミラーに向かって気の光線が放たれる。多数のサイヤ人達の合体光線だが、シェルミラーの鏡に直撃した瞬間、跳ね返ってサイヤ人達に直撃した。

 

『ぐわあああっ!?』

 

サイヤ人達は吹き飛ばされた。海に投げ出された者達も沢山居るだろう。

 

「皆さん!大丈夫ですか!?」

 

『シュルルルルオオオォッ!!!』

 

キャベが駆け寄ろうとした、その時だった。シェルミラーが口から煙を出す液体を、仲間の元へ行こうとするキャベに向けて吐き出した。酸性の液体を吐き出す『アシッドブレス』だ。

 

「キャベさん!きゃあっ!!」

 

フィリウスがキャベを護るように飛んでいき、酸性の液体に直撃してしまう。正面から液体に掛かった為、身体が溶けている。腕や脚は千切れそうになり、腹や胸は泥々に溶けて、そして顔の半分が無くなっていた。此処まで溶けたのに内臓や骨が無いのは不思議だが、問題は其処では無かった。

 

フィリウスの身体は、取り返しが付かないレベルで負傷してしまったのだ。

 

「フ・・・フィリウスさあああんっ!!」

 

キャベは自分の行いで、フィリウスが酷い姿に変わってしまった事を悔やむ。

 

『シュルルルルオオオォッ!!!』

 

しかし、シェルミラーは攻撃の手を止めない。自分の縄張りに侵入した者、或いは獲物と定めた者を殺す為に容赦しない。カニのハサミから高水圧のカッター『シー・カッター』を放つ。

 

シー・カッターが迫る、キャベはフィリウスを抱き締めて、下に向かって下降した。シー・カッターは空まで届き、雲に穴が空いた。

 

「キャベさん・・・ありがとうございます」

 

「良かったフィリウスさん!しかし、油断してはいけませんよ!」

 

キャベはフィリウスを安全な場所に降ろすと、そのままシェルミラーに向かって飛んでいく。

 

キャベ「ハアアアアッ!!」

 

キャベは気弾を放ち、シェルミラーを牽制する。しかし、シェルミラーはキャベに興味が無いのか、素通りしようとしている。

 

「くそっ!遠距離からじゃ駄目か!」

 

キャベは冷静になり、弱点が無いかを探った。

 

すると、キャベはシェルミラーのある事に気付く。

 

それは、シェルミラーの動きはかなり遅いのだ。思えば、液体を放つ際も、高水圧のカッターを放つ際も、放つ前の動きが常に遅いのだ。

 

「そうか!なら、これならどうだ!」

 

キャベは動きの遅さを利用して、シェルミラーの頭に迫る。ハサミを振り下ろすシェルミラーだが、動きは遅い。その威力は、当たればキャベだろうとひと溜まりもない。しかし、動きが遅いなら避けられる。

 

「タァッ!」

 

キャベはシェルミラーの頭に拳を当てる。大きな衝撃や音と共に、シェルミラーは後方に後退りした。しかし、キャベは休まない。攻撃を与える暇すら与えない。

 

「ダダダダダダダダダダダダダッ!!」

 

キャベはシェルミラーの頭にラッシュを掛ける。拳の連打がシェルミラーの頭に直撃していくが、やられっぱなしに成る程怪獣は甘くない。

 

キャベは気付く。シェルミラーを含めて、自分達の周りに濃い霧が立ち込めていた。湿り気が強く、肌もぬるぬるとしてきた。

 

(これはなんだ?まさか!?)

 

キャベはシェルミラーから距離を取る。奴の身体には鏡だけでなく、多数のフジツボが生えている。そのフジツボの口から、霧状の水が吹き出ているのだ。視界を覆う程の霧が出来て、キャベは思わず距離を取った。

 

(嫌な予感がする!此処は離れないと!)

 

キャベは最高速度でシェルミラーから離れようとした。しかし、何故かシェルミラーの動きが速くなっていき、キャベとの距離はハサミが充分届く程になっていた。

 

それに、キャベは自分の身体が重くなっている事に気付く。時間が経てば経つ程に、身体の重さが増していった。

 

「まさかこの霧のせいか!?」

 

両手を見ると、粘りのある液体が掌に出来ていた。両手だけでなく、身体が粘り気のある液体に覆われていくのだ。

 

『ミストイリュージョン』。シェルミラーが獲物を逃がさない為に使う、粘着性の液体を気化して放つ霧だ。時間が経てば経つ程、身体粘着性の液体に包まれていき、やがて空を飛ぶ事も儘ならなくなる。

 

「くっ!」

 

キャベは更に速度を上げるが、もう逃げられない。シェルミラーのハサミがキャベに向かって振り下ろされる。キャベは身体を回して、ハサミを受け止めようとした。と、その時だった。

 

「危ない!」

 

その超えと共に、青白い熱線がキャベの背後から飛来して、シェルミラーの頭に命中した。

 

『シュルルルルオオオォッ!!!』

 

シェルミラーは痛みから来る咆哮を上げて、霧の放出を止めた。

 

「フィリウスさん!」

 

キャベは霧が消えていった後に、フィリウスが立っているのを確認した。身体は既に治っているが、それでも溶けた痕は痛々しい程、身体に残っていた。恐らく再生しても、一生消えない傷になっただろう。

 

陸に降り立ったキャベは、フィリウスが無事であった事が嬉しかった。フィリウスも、キャベのせいでこうなったと思っていない。

 

「キャベさん。大分やられたみたいですね。でも、お蔭で弱点が解りました」

 

キャベは身体に付いた液体を払いながら、フィリウスの話を聞いた。

 

「良いですか?あの怪獣は、恐らく頭と鏡の部分が弱いんです。鏡は恐らく、私達が遠距離から光線を放っても跳ね返します。気のレーザーも、例外ではない筈です。しかし、その分物理的な攻撃に弱い筈です。しかし、接近すればあの粘着性の霧を再び受けてしまうでしょう」

 

「そうか!それなら、僕達が鏡の部分を破壊すれば───」

 

しかし、そうは問屋が卸さない。

 

『シュルルルルオオオォッ!!!』

 

シェルミラーが咆哮を上げた瞬間、シェルミラーの全身にある鏡が突然光だした。

 

「なっ!?」

 

「まさか私達の作戦を!?」

 

「キャベ!フィリウス!無事か!?」

 

レンソウがキャベ達の元に駆け寄った。

 

「今動ける戦闘員を集めてきたぞ!今此処で、奴を倒す!皆!最大パワーを解き放て!」

 

レンソウがそう言った後、戦闘員のサイヤ人達がシェルミラーに向かって掌を翳した。自分達が放てる最大攻撃を、これから放つのだ。

 

「キャベさん!私達も!」

 

「はい!ハアアアアアアアアッ!!」

 

キャベは、ベジータのギャリック砲に似た構えを取り、フィリウスは背鰭から電磁力の輪を五つも生み出し、口元に集めて凝縮した。

 

そして、シェルミラーは自身の切り札である『ショック・レイ』を放った。強力なレーザーが、フィリウス達に向かって放たれる。

 

フィリウス達も、それぞれの最大の技を放つ。キャベは紫色のエネルギー波を。レンソウ達は最大出力の気の塊を。フィリウスは、五つの電磁力の輪を合成して生み出した最強の熱線を放つ。

 

お互いの攻撃が互いにぶつかり合い、その場の海は干上がっていった。

 

「今です!キャベさん!」

 

「よし!ハアアアアッ!!」

 

キャベは隙を突いてその場から離れると、シェルミラーの元へ飛んだ。シェルミラーは光線を放つのに必死になり、キャベの接近に気づけなかった。

 

「・・・この豊かな海を護ってくれて、ありがとうございました。さようなら」

 

キャベはシェルミラーにそう言った後、鏡に向かって拳を振り下ろす。鏡は破壊され、光線が放たれなくなってしまった。

 

『『ハアアアアアアアアッ!!!』』

 

そして、フィリウス達の攻撃がシェルミラーに迫り、シェルミラーは光線に飲まれて消滅していく。

 

『シュルルルルオオ・・・・・』

 

シェルミラーは涙を流しながら、自らの身体がバラバラになる前に鳴き声を残し、エネルギー波に飲み込まれて消滅した。

 

何者かに改造されながらも、それでもこの星の海を護ろうとした怪獣の最期だった。そして、シェルミラーは海洋惑星ザブンの守護神として奉られ、今でもこの星の海に住む住人達によって信仰されるようになった。



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少女、風の怪獣を生み出す

とある一室。其処に居るのは、フードを被った白髪に黄色の肌をした少女。彼女の名はソクバ。趣味はお絵描き。腐ったこの世界を変えたくても変えられない無力な自分に葛藤していた所を、アレクシスという存在によって救われた。自ら作った怪獣が動くだけではない。目的の為に使う事が出来る。

 

先ず最初に、適当な怪獣を紙に書いてアレクシスに見せた後、その材料となる物質を使用して具現化させる。

 

こうして怪獣は生まれ、ソクバやアレクシスの目的に従って働いてくれるのだ。

 

しかし、彼等は知らなかった。この第6宇宙の破壊神の元にまで偶然届いてしまい、目を付けられてしまった事を。

 

そんな事を知る由も無い彼等は、今日も怪獣を生み出した。テレビ画面の中に居るアレクシスに、ソクバは元気に話し掛けた。

 

「アレクシス!出来たよ!」

 

『おおー、良いねぇ!今回は風の怪獣かい?』

 

「うん!名前はバーバレドーン!適当な名前だけど、良いでしょ?良いでしょう~?」

 

少女が紙に書いた怪獣は、横向きの竜巻で身体が出来ている蛇型の怪獣だった。がらがら蛇の頭と尻尾を持っている。紙には数々の技や設定が書かれている。

 

『それで、今回は何に使うつもりなんだい?』

 

「彼奴等さ。私を学生時代に虐めてた奴等がね。出世して全員が乗客乗せて運ぶ宇宙船の乗員勤めたでしょ?彼奴等を事故らせたいんだよね~」

 

『良いねぇ!素晴らしいよ!復讐にぴったりじゃないか!』

 

そう。ソクバは学生時代に虐めを受けていた。理由は、ただ単に成績が良いという理由でだった。虐めは金を取ったり、窓から突き落としたり、最悪なのは自分が入院した時も、人目気にせず自分の事を物を盗んだり殴ったり、痴漢をしたりした事だ。助けてくれた教師や友達のお蔭で彼等は転校したが、何故か出世したエリート乗員になってた事が許せなかったのだ。

 

「彼奴等が事故らせて泣き叫ぶのを想像したらプフフフフッ!!笑っちゃう~!!アハハヒャヒヒヒヒヒッ!!」

 

『笑いすぎだよソクバ君』

 

「じゃあアレクシス~お願い!」

 

『了解。では早速、材料を探す事にするよ』

 

アレクシスはそう言った後、画面から消えて行った。

 

「さて、念の為に新しい怪獣も考えるかな~」

 

ソクバは別の紙を用意して、新たな怪獣を描き出す。念には念を。この間のシェルミラーは失敗だった。だから今回の怪獣は、彼等を楽しませてくれる筈だ。

 

──────────────────────

 

「此処か?シャンパ」

 

「ああっ。宇宙に突然風が吹いて、船が他の星に墜落したんだってな」

 

「この銀河に、やはり主犯が居るようです。しかし、私の捜索にも引っ掛からないとは、何者でしょうか?」

 

アース達は、目標の銀河へやって来ていた。宇宙空間を飛び回りながら、目標が居る星を目指す。しかし、その主犯が居る場所が見当たらない。此処に怪獣を生み出す主犯が居る事は、ヴァドスの杖でこの銀河を見られない事で確信したが、やはり何処に居るのか検討も付かない。界王神の眼にも頼ったが、駄目だった。

 

「おい。あれ」

 

アースが何かに気付き、指を差す。すると、アースが指を差した先には、二人の男達が存在していた。一人は溶岩のような身体をして、アースよりも長い尻尾を持ち、小さな背鰭を背中に生やしていた。顔は中性的で、赤と紫のオッドアイを持つ。

 

もう一人は、肩に大きなクリスタルを生やし、額に金の角を生やした鋭い目付きのイケメンであった。服装はスーツを着て、かっこよさがより際立っている。

 

「ほう。まさか此処で集まるとは思わなかったぞ」

 

「俺もだ。アース」

 

「我も同じ事。怪獣の発生原因を探りに来たのか。貴男も来てくれたのなら心強いぞ。シャンパ様」

 

「まあ、破壊神の仕事でもあるしな。それに俺の住む星を荒そうとしたんだ。ぜってぇ破壊してやらあ。それに、お前らが動くなんて、誰かに雇われたのか?スペース。シン・ゴジラ」

 

シャンパが二人の名を呼んだ。

 

「俺の事はシンゴと呼んでくれよシャンパ様。それに、金でサイヤ人達に雇われたんだ。報酬はかなりの額だからな」

 

「雇われて闘う傭兵にとって、闘う機会が得られるし、金も手に入る。損する奴は居ないのだ」

 

言葉通り、この二人の仕事は傭兵であった。前までフロストの元で金で雇われて悪党を始末していったが、フロストが悪人と解ってからすぐに契約を切った。それから、警察に雇われてフロストを捜索しているが、未だに捕まえられない。中々のしぶとさと逃げ足だと、二人は褒めてあげたい所だった。

 

シンゴはアースに話し掛ける。

 

「そういや、お前の娘はどうした?セルヴァム達は一緒じゃないのか?」

 

「留守番を頼んだ。子供らしいが、余の言葉には従順だ。おやつも沢山用意したからな」

 

「そっか。今度セルヴァム達をまた鍛えようかと思ったのにな。ゴジラ・ザ・ブートキャンプだ」

 

「良いな。今度余にも教えてくれ」

 

「はいそこ。お戯れは其処まで。惑星サダラへ向かいますよ」

 

こうして、五人は一列になるよう背中に手を付けて、ヴァドスの移動能力で惑星サダラに向かった。

 

──────────────────────

 

五人が惑星サダラに着いた瞬間に見たのは、海も持ち上がる程に凄まじい暴風であった。

 

「うおっ!?」

 

「ぐっ!?」

 

シンゴとスペースは暴風の強さに驚くが、中腰になり、足を強く地面に着けて耐える。アースやシャンパ、ヴァドスに影響は無い。

 

「おい、惑星サダラってこんな暴風が吹き荒れてたか?」

 

「いいえ。気候は寧ろ穏やかですよ。こんな暴風では普通の生き物では吹き飛ばされるでしょう。舞空術も上手く働かないかもしれません」

 

シャンパとヴァドスは冷静だった。アースは周囲を見渡して、フィリウスの名を呼んだ。

 

「フィリウスー!余だ!」

 

すると、上空から一人の少女が降ってきた。

 

「お母様あああああああああっっ!!!」

 

「フィリウス!?無事か!そらっ!」

 

アースは跳んで、フィリウスを抱き締める。フィリウスの落下にアースも巻きこまれ、二人仲良く地面に激突した。

 

土煙が風で吹き飛ばされる。其処には、抱き付くアースの胸元にフィリウスの頭が埋まる光景があった。

 

「お前ら無事か?」

 

「大丈夫のようです」

 

「立てるか?フィリウス。何があった?」

 

「すみませんお母様。説明させて頂きます」

 

その横で、シンゴとスペースは目を反らしていた。アースとフィリウスが抱き合う光景が、男にとって目に毒だったからだ。百合百合だ。現代の言葉で言えばそうなのだろう。

 

無論、シャンパやヴァドスは興味も無く、フィリウスやアースはそんなつもりはない。シャンパやヴァドスに性の欲求は無いし、フィリウスやアースは親子だ。最も、どう考えようと個人の勝手だが。

 

それは兎も角、フィリウスはアース達に何があったのか説明した。惑星サダラに墜落した宇宙船。乗員、船長、乗客合わせて二万人も乗っており、生存者はゼロ。そして、この星にも宇宙船を襲撃した怪獣が三体も現れたのだ。

 

この風は、その内の一体が起こしているそうだ。

 

「仕方ない。俺はもう一体の所へ行く。フィリウスの話では、そいつは今、ケールやカリフラの元に居るようだからな」

 

「我はキャベの支援に移ろう。我等を雇ったのだ。護ってやらなくてはな」

 

こうして、シンゴとスペースはそれぞれ別の方角へ向けて飛んでいく。舞空術もしっかり働かない為か、空中で激しく揺れながら飛んでいた。

 

「私達は此処で、風を起こす怪獣を殺します。シャンパ様とヴァドス様は、此処で待機してください。私達が殺られたら、その時はお願いします」

 

「殺られたらだぞ」

 

「まあ、お二人が殺られるとは思いませんが、かしこまりました」

 

シャンパとヴァドスは、近くにある岩場で座って待つ事にした。

 

そして、フィリウスとアースが身構えて怪獣の出現を待つ事に。

 

すると、暴風が突然長い蛇のようにくねらせていき、軈て巨大ながらがら蛇の頭と尻尾が姿を現した。奴の名は、『竜巻怪獣 バーバレドーン』。サダラ全体に暴風を巻き起こした怪獣である。

 

アースとフィリウスは、互いに仁王立ちの状態となり、怪獣と向かい合う。そして、バーバレドーンは二人を見つけ、敵と認識した。

 

『シェァァァァァァッ!!』

 

咆哮を上げて、二人に闘いを挑むのだった。



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完全生物、不死鳥怪獣と遭遇する

お久し振りです。今回は、深緑風龍さん、悪維持さん、Mr.エメトさんがリクエストした怪獣が登場します。


シンゴは舞空術を解いて、ある場所へと飛んできた。其処は、惑星サダラの火山地帯であり、活火山が多数存在していた。その活火山が所々崩壊しており、今なお爆発や激しい崩壊の音が響いている。

 

「此処か・・・おいケール、カリフラ!居るんだろ!」

 

シンゴは、その中でも大きい火山を選び、その頂上に降り立った。そして、シンゴの言葉に答えるように、二人の人物がやって来た。否、落ちてきた。

 

その内の一人は、分厚いズボンを身に付けた悪ガキのイメージが強い長髪の少女。もう一人は、短いポニーテールを着けた小柄な少女。前者がカリフラで、後者がケールだ。

 

「やられたのか?お前達にしては珍しいな」

 

「はっ!やられてねぇよ。だろ?ケール」

 

「はい!姐さん!」

 

そして、二人が起き上がった瞬間に、超大型の鳥の耀な怪獣が姿を現した。頭部が鷹、足部分はコンドル、胸部と翼は隼だが、尻尾はクジャクであった。全身の色は赤系統のみだが目に悪くなく、とても色鮮やかであった。

 

「でかいな。600m以上はあるんじゃないか?」

 

「はっ!それがどうした!アタシ等を嘗めんじゃねえよ!」

 

カリフラは超サイヤ人に変身する。更に、その上である超サイヤ人2へと早くも変身した。誰にも変身のコツを教えてもらってないにも関わらず。そして、ケールも姐さんを守りたい、こいつを絶対倒すと心に決めて、変身した。しかし、先程までの小柄な体型ではなく、黄緑色のオーラを発して膨張した筋肉を持つ怪力女へと姿を変えた。髪も黄緑色で逆立っており、目も白目になっていた。

 

「行くぜケール!彼奴を血祭りにしてやろうぜ!」

 

「姐さんの敵!先ずはお前を血祭りに上げてやる!」

 

「おいおい・・・大丈夫かよ。まっ、俺もやるとするか」

 

シンゴも形態を変化させる。火山という環境及び相手が火山出身の怪獣である為、自らの身体もその環境に適した姿へ変化していく。身体から炎のようなものを発して、溶岩のような体表へ皮膚を変化させる。

 

「さあ、行くぜ!」

 

『ピィェェェエエエエエエッ!!』

 

三人の前に立ちはだかる、『不死鳥怪獣ブレイクス』。彼は、無数の羽を炎に纏わせ、嵐のように降り注がせ、荒れ狂わせた。『ブレイズフェザーストーム』が三人に向かって襲ってきたが、彼等は炎の雨に悠然と向かっていくのだった。

 

炎の雨に直撃しながらも、爆発後の煙の中から出てきた三人は、ブレイクスに向かっていく。そして、シンゴが炎を纏った拳でブレイクスを殴る。しかし、効いたのは打撃のみ。しかも打撃のダメージは、シンゴが纏った炎を身体で吸収する事によって消えた。それだけでなく、炎を取り込んで強さを増しているようにも見える。

 

「オオオオオォォッ!!」

 

「行くぜケール!!」

 

ケールとカリフラも、ブレイクスに向かって二人同時に拳を叩き込み、ブレイクスを吹き飛ばす。ブレイクスは体勢を立て直し、コンドルのような足で二人を蹴り飛ばした。二人は空中で体勢を立て直し、ブレイクスに向かっていく。しかし、ブレイクスは上空へ飛んでいく。

 

「逃がすか!」

 

「追うぜケール!」

 

「コロス!」

 

三人は後を追うように飛んでいく。しかし、ブレイクスの飛ぶ速度は三人を遥かに凌駕しており、追い掛けていく内にブレイクスは空の彼方に飛んでいた。

 

ブレイクスは大気圏突破寸前で止まり、そのまま三人の元へ向かって急降下した。大きさが大きさで、巨大隕石が降ってきたような光景に、三人は驚きを隠せなかった。

 

しかし、三人は止まらない。ケールは兎も角、カリフラやシンゴまでが立ち向かっていく始末であった。

 

「行くぜええええ!!」

 

「シンゴに負けるかあああ!!」

 

「ウオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

 

そして、ケールとカリフラは気を右の拳に凝縮して、シンゴは限界まで力を溜める。そして、ブレイクスは三人に接近すると、両足を一気に振り下ろして蹴りを叩き込んだ。三人の拳と、怪獣の両足蹴りがぶつかり合い、大爆発が起きるのだった。

 

──────────────────────

 

一方、スペースは背中の結晶体を巨大化させて、キャベ達の元へ飛んできた。それがスペースの飛行形態だ。飛行形態を解除した後、大地に降り立ってキャベや他のサイヤ人達の元へ走る。其処はサイヤ人達の本拠地であり、正に苦戦を強いられていた。

 

「久しいな、キャベ。そしてレンソウ達よ」

 

「スペースさん!お久し振りです!貴男が来てくれて感謝します!」

 

キャベは、超サイヤ人に変身していた。他のサイヤ人も、大怪我を負った者や、胴体を切断されて死亡した者も居る。

 

土煙が激しく、前が見えない。前線を援護するサイヤ人達が放つビームキャノンが、何者かに当たって爆発し、土煙が発生しているのだ。

 

「今はどうなっている?」

 

「此方が圧倒的に不利です!前線に出た精鋭も殆ど戻ってきません!戻って来た方々は二名のみ!一人は応急処置によって一命はとりとめてますが、もう一人はご覧の通りです」

 

スペースは、それほどの相手が居ると理解し、戦闘態勢に入る。周囲に自身から生み出した結晶体を周囲に配置した。この結晶体は、宇宙から無限にエネルギーを供給する為の装置であり、これが有る限りスペースはほぼ敵無しの強さを得られるのだ。

 

「さあ、来るが良い」

 

そして、怪獣は姿を現した。しかも、キャベ達が予想出来なかった最悪の出来事も含めて。

 

最初に現れた怪獣とは別に、もう一体の怪獣が姿を現したのだ。キャベ達の顔が、青く染まってしまった。

 

『キュルヒヒィイイイイイインッ!!』

 

【ボオオオオオオォォォォォォンッ!!】

 

一体目は、二足歩行のシマウマで鋭い犬歯が生えていた。背中にプテラノドンの翼を生やし、両腕は血が滴る鋭利な鋏になっていた。あれで、サイヤ人達を真っ二つにしたのだろう。

 

もう一体は、様々な乗り物や製品、ゴミの残骸で出来ており、その姿は不安定であった。そして、宇宙船の部品と同化し、更にその大きさを増していく。現在は人の姿をしている。まるでガラクタで出来た巨人だ。

 

前者の名は、『翼鋏馬怪獣シザーゼブテラ』。後者の名は、『残骸怪獣ボロローム』。何れも、かなりの実力を持つ怪獣であった。

 

「ほう。我を楽しませてくれそうだな。払ってくれた金の分、働かせてもらうぞ」

 

シサーゼブテラがスペースに向かって来た。そして、両腕の鋏を使ってスペースの身体を斬ろうとするが、スペースは宙に浮いて避けた。此れだけで終わらず、ボロロームは右手を大砲に変化させて、スペースに向かって弾を撃ち放つ。ボロロームの技の一つ『スクラップキャノン』だ。

 

スペースは口から赤色のビームを放つ。スペースの必殺技である『コロナビーム』である。コロナビームによって弾を撃ち落とし、更にコロナビームはボロロームに向かって行くが、ボロロームは瞬時に自身を球体化させて、コロナビームに当たる。コロナビームは球体化したボロロームに当たった瞬間、無数の光線に分かれて周囲に飛び散った。海に二つ、本拠地に三つ、大地に三つ直撃した。他の地域にも飛んでいっただろう。

 

シサーゼブテラがプテラノドンの翼から鎌風、両腕の鋏を振り下ろして斬撃を、シマウマの足で地響きを起こして衝撃波を放つ。三つ同時に放つ攻撃『トリニティ・アタッカード』が、スペースに迫る。スペースは三つ全て避けるが、地響きによって結晶体が一つを残して全て破壊された。

 

「・・・油断は良くないな。下手をすれば此方がやられるぞ。あの時のドリル機械とゴジラみたいに」

 

スペースは、かつて殺られた時を思い出した。今度はあんな結末にしない。この世界で、二人の同類と出会った。しかも一人は限りなく進化する完全生物で、もう一人は不完全とはいえ神の領域に足を踏み入れている。あの二人に遅れを取らない為にも、此処で頑張らなくてはならない。

 

「此処で試そうか。我の新たな力をな」

 

スペースは、周囲に結晶体を創造した。一つ、二つ、十個も生み出し、自身の周囲に展開する。更に、周囲にある残った一個の結晶や石を念力で持ち上げた。そして、周囲に配置した結晶体に反射させた。一回、十回、二十回、百回、千回と乱反射を繰り返した。キャベ達は慌てるが、スペースがキャベ達に当たらないようにしていると知ると、少し安心した。しかし、やはり怖いものは怖い。

 

「さあ、来るが良い。『結晶乱反射』だ。お前達の力を試してやるぞ」

 

『キュルヒヒィイイイイイイイインッ!!』

 

【ボオオオオォォォォォンッ!!】

 

スペースがそう言った後、シサーゼブテラとボロロームはそれぞれの咆哮を上げて、スペースに向かっていった。

 

その様子を見る者達も、大きな期待や驚愕に身を震わせていた。

 

──────────────────────

 

「なに!?なんなのあの二体の怪獣!?特にシマウマやゴミみたいな奴!あんなの描いた覚えないんだけど!?」

 

『ホントだよ。つまり、私達の他に怪獣を生み出した奴が居るみたいだね』

 

ソクバとアレクシスは、予想外の出来事に驚愕していた。怪獣を生み出して、復讐が成し遂げた事に満足してたら、この展開である。

 

「はぁっ!?折角バーバレドーンで復讐出来てスッキリしてたのに!!こんなのあんまりだよ!!ブレイクス!!あの女サイヤ人達や変な尻尾の奴を早くやっつけて!!そしてあの変な怪獣達を皆ぶっ殺しちゃえーーー!!あ、出来れば怪獣の死体でも破片でも良いから取ってきてくれないかなぁ・・・」

 

自分と同じ事・・・いや自分は大義で怪獣を作っているが、こんなただ人を襲う為だけに怪獣を生み出して利用する奴が気に入らないソクバは、自分が描いてアレクシスによって生み出して貰った怪獣ブレイクスに向かって命じた。

 

『それにしても・・・・私達以外に怪獣を生み出して居る奴が居たんだねぇ。誰なんだろうねぇ。界王神じゃないよね。彼等がそんな事をするメリットが無いんだもの・・・・ふーむ・・・』

 

アレクシスはソクバの隣にあるテレビ画面から、シサーゼブテラやボロロームの様子を見つめるのだった。




此処で捕捉。アレクシスとソクバの関係。

アレクシスとソクバは、SSSS.GRIDMANのアカネやアレクシスのコンビと同じですが、関係や事情は違います。アカネはアレクシスに利用されている感じでしたが、ソクバは寧ろアレクシスに利用されていると知っても気にしません。何故なら、自分にとって最高の親友だからです。アレクシスもソクバを利用していますが、彼女をアカネのように便利な駒としてではなく、親友として見ています。歪んだ友情ではありますが、お互い上手く行った関係ですね。そして、第6宇宙編が終盤に掛かった際に、二人の関係が更に発展する事になるでしょう。


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完全生物、不死鳥怪獣と闘う

爆発が起きた惑星サダラの火山地帯では、三人の人影と一体の巨大な鳥の怪獣が闘っていた。状況は、先程までは鳥の怪獣が優勢だったが、次第に追い込まれて行った。

 

何故なら、三人の内一人が進化して、更なる力を発揮したのだ。

 

彼は───シンゴは掌から冷気を出して、ブレイクスを苦しめていたのだ。先程の爆発で海に落ちても、海を蒸発させてしまう程の熱で脱出した。水も効かないならどうすれば良いかと、シンゴは考えた。そして、掌から氷を生み出し、ブレイクスに向けて放った。その時、ブレイクスは氷の弾丸を受けて少し苦しそうな声を上げた。

 

其処でチャンスと思い、シンゴは全身を氷のような青い形態に変えた。第6形態を超えた、第7形態へ一時的に変身したのだ。第7形態は体内に宇宙を宿し、アースを上回る力を宿せる最強形態であった。界王神のように全ての物質や元素を創造する力を得られるのだ。これにより、冷気を創造してブレイクスに当てているのだ。姿は先程と似ているが、その背中には光で出来た羽が生えていた。羽というよりも、羽を型どった紋章である。

 

「ふぅ・・・初めて変身したな・・・」

 

しかし、シンゴの目は疲れて居るようにも見える。それほど消耗が激しいのだろうか。

 

「カリフラ。ケール。解るか?こいつ、産まれてから間もないらしいな」

 

「ああっ。闘ってみて解るよ。こいつはそんなに悪い奴じゃねえ。ただここで生まれた突然変異種で、自分の縄張りを護ってるだけなんだろうな」

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

ケールは、元の華奢な見た目に戻っていた。地面に手を着いている事から、先程の爆発が余程効いたと思われる。

 

『ピィェェェェエエエッ!!』

 

しかし、ブレイクスは翼を広げる。そして、翼をはためかせて空へ飛んだ。

 

「またか・・・だが、お前はこの場所を護ろうとしてるだけなんだな。ならば俺も、全力でお前を迎え撃とう!」

 

シンゴは全身から力を解放した。大気が揺れる程の力を解放した瞬間、ブレイクスの眼が怯える小動物のような眼になった。かなり上空まで舞い上がった筈なのに、彼から感じる圧倒的な力を感じずには居られなかった。

 

しかし、此処で引く訳にはいかない。自分には、護るべき聖域がある。ブレイクスは口を大きく開き、大気圏の外側へやって来た。そして、太陽の熱を受け続けたブレイクスは、全身に炎を纏った。

 

その様子を見ていたシンゴも、待ってやる程甘くはない。そして、自分の口元に、全てのエネルギーを込め一撃必殺の威力と共に、その技を撃ち放つ。

 

アースの切り札であるエンドレスバスターと対をなす技、『ファイナルキャノン』。体内に存在する宇宙の冷気を解き放ち、相手を凍らせる。いや、此処までの威力ならば、相手は凍った瞬間に砕け散るだろう。

 

シンゴの口より放たれた白色の冷凍光線。シンゴ親指大程の太さを持つ光線が、大気圏を越えた位置に居るブレイクスに向かっていく。

 

『ピィエッ!?』

 

ブレイクスは、驚いていた。まさか大気圏外にまで攻撃が届くなんて思って居なかったのだ。いや、あんなのが直撃したらいくらブレイクスとて保たない。太陽光からエネルギーを受けても、五分も保たないだろう。

 

ブレイクスは氷あるいは雷に弱い。況してや今居るのは宇宙空間。太陽の光は小惑星によって抑えられて、ブレイクスは力を出せなくなっている。この状態で冷凍光線に当たれば、確実に死が待っている。

 

ブレイクスは覚悟した。奥義である『ロストブレイズ』を放とうとした時に、こんな形で最期を迎えるとは思わなかった。ロストブレイズは、命と引き換えに急降下して辺り一面を更地にする特攻技だ。しかし、現実は甘くなかった。

 

そして、光線はブレイクスの元へ迫り───

 

 

 

その身体に当たる事無く、左へ逸れた。

 

『っ!?』

 

ブレイクスは光線を見た。確実に当たる筈だった。なのに光線は、進んで外れるように避けたのだ。

 

ブレイクスは何故そうなったのか気になったが、その疑問はすぐに氷解した。

 

光線が消失した後、ブレイクスの目の前にシンゴが姿を現した。

 

彼は酷く痩せている。かなりのエネルギーを消費したのだろう。

 

シンゴはブレイクスと向き合い、話し掛ける。 

 

「お前すげぇ強いよ。俺に此処まで本気にさせた奴は初めてなんだ。多分、アースと同じ位強い。そしてお前は、惑星サダラのあの火山地帯を守護してたんだろ?なら、お前を殺す理由は無いな。それに、お前は誰かの操り人形みたいな存在だとしても、この火山地帯を護る為に産まれたんだろ?なら、操った奴には文句は言わねえよ。少なくとも、俺の自論でしかないけどな」

 

それを聞いたブレイクスは、彼等に対する敵意は完全に消えていた。

 

ならば、もう敵対する理由は無いだろう。

 

『ピィェェェエエエッ!』

 

歓喜の咆哮を上げるブレイクス。先程のような怒りを感じない。

 

「なら、一つ頼みたいんだ。スペースの援護をしてほしいんだ。その間、俺とカリフラとケールで、火山地帯を護っているから。な?俺達が争う理由は、もう無いだろ?」

 

『ピィェェェェェエエエエエエエッ!!』

 

ブレイクスのその鳴き声は、「分かったよ、親友!」と言っているように感じたシンゴ。そしてブレイクスは、翼をはためかせてサダラへ降りていった。

 

「楽しそうだな。まっ、此処までの敵は久々だな。あーっ、身体がダルい。終わったら寝るぞ・・・」

 

シンゴは肩に手を当てて、やる気が無い為か腕を回し始める。

 

そして、スペースの方も決着が着こうとしていた。

 

──────────────────────

 

「ぐっ・・・」

 

スペースは、完全に追い込まれていた。

 

敵を甘く見ていた。

 

シサーゼブテラとボロロームは、お互いに学習しあい、スペースの技を破っていった。結晶乱反射も、無敵の領域を作れる訳ではない。彼の思考を理解した上で、特有のパターンを見抜けば破る事は容易い。

 

結晶体が力の根元故に、破壊されれば力を失う。身体の結晶も、ボロロームの兵器によって破壊された。背中の結晶体を『スクラップキャノン』と身体を分解して竜巻を起こす『スクラップトルネード』のコンボによって破壊された。つまり、スペースの力は最早落ちてしまっている。

 

『キュルヒヒィイイイイイイイイインッ!!!』

 

シサーゼブテラは、大音量の咆哮を上げた。敵を怯ませる為に放つ巨大な咆哮、『ハウリングノヴァ』だ。スペースの耳に響き、彼の脳が揺れて目眩が起きる。

 

「ぐは・・・」

 

そして、ボロロームがスペースにトドメを刺す為に、巨大な牙の姿となって、スペースに噛みつこうとした。当たれば、確実にスペースでも死んでしまうだろう。

 

【ポオオオオオオオ─────】

 

しかし、その瞬間、ボロロームは炎に包まれた。無数の羽がボロロームに直撃し、ボロロームは炎に飲まれて行ったからだ。そして、ボロロームは溶岩をも凌ぐ炎の熱によって溶かされていき、やがて散々になって霧消した。

 

「な、なんだ!?」

 

スペースもキャベ達も、何が起きたのか理解出来なかった。そして、羽ばたく音と強い風が発生した。そして、その場を強い熱が支配する。

 

『ピィェェェェェエエエエエエエッ!!』

 

空から降りて空中で羽ばたいて居るのは、シサーゼブテラやボロロームとは比較にならない超大型怪獣ブレイクスであった。

 

「お前は?」

 

『ピィェェェエエエエッ!!』

 

そのままシサーゼブテラに攻撃するブレイクス。その様子を、その場に居る者達は呆然として見る事しか出来なかった。



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破壊の王、風の怪獣を倒す

「・・・ちぃ!」

 

「お母様!この怪獣、速いんです!」

 

一方その頃、アースとフィリウスは風の怪獣の速さに苦戦していた。

 

竜巻怪獣バーバレドーンはアースとフィリウスの攻撃をことごとく避けていき、アースとフィリウスを翻弄していく。

 

バーバレドーンは身体の竜巻から、真空の刃をアース達に向けて放つ。アースもフィリウスも難なく避けた。

 

『シェァァァァァァッ!!!』

 

バーバレドーンは周囲に大量の大竜巻を発生させる。それは正に、風の災害。全てを吹き飛ばす竜巻の力。『サイクロンテンペスト』である。先程フィリウスは、この技によってアース達の元へ吹き飛ばされたのだ。

 

華奢な見た目とは裏腹に、実は体重がとてもあるフィリウスが吹き飛ばされたのだ。とても強い竜巻なのだろう。

 

「キャアアアアアッ!!吹き飛ばされますぅー!!」

 

フィリウスはまたしても吹き飛ばされそうになるが、アースが彼女の腕を掴んだ。お蔭で吹き飛ばされないで済んだフィリウスであった。

 

「何をしている。困った娘だな」

 

「す、すみません・・・お母様」

 

「しかし、こいつの身体も厄介だ。攻撃は通らん、熱線も身体を貫通する、頭も尻尾も素早い。ん?」

 

アースは疑問を感じた。

 

無数の竜巻を纏い、身体を更に巨大化するバーバレドーン。しかし、こいつが風を纏わない、否、風になってない部分がある。それは、頭と尻尾だ。どうして其処だけが残ってしまうのか。また、攻撃が効かない身体を持ちながら、頭や尻尾への攻撃を避けるのは何故か。

 

アースは、考えた。もしかしたら、其処が弱点なのではないのか?

 

もしそうでないなら、頭と尻尾だけが攻撃を避けるなんて可笑しすぎる。

 

とはいえ、当てにくいのが難点だ。アースもフィリウスも、其処まで速く動ける訳ではない。前に戦ったギドラは素早さを会得してアースを追い詰めた。ハルオも、人間の技術力や科学力、並びに精密な動きを得て進化していく。

 

ならば、我々は我々のやり方で強くなろう。

 

「フィリウス。奴は風の怪獣だ。ならば、奴を倒す術が分かるか?」

 

「・・・はい!今までの戦いを見て、奴の弱点が全て分かりました!」

 

「よし。ならやるか。新しい技を試すぞ!」

 

「はい!お母様!」

 

フィリウスとアースは、背中に電撃を発生させる。しかし、今回はそれを熱線を放つ為に使うのではない。背中の電磁力を、雲状に展開したのだ。

 

以前、ハルオ───もといメカゴジラは、自らを構成するナノメタルを粒子に変えて霧状に散布した。熱エネルギー緩衝体も同時に放ち、アースの熱線を弾いたのだ。

 

その時の事を、アースは覚えており、自分もやってみる事にした。彼女のように身体の一部を使えないが、電磁力を使用して雲に変えられないかと考えたのだ。

 

そして、電磁力の雲を生み出した二人は、バーバレドーンに向けて雲を放つ。雲はバーバレドーンの身体に吸い込まれていく。

 

「彼奴等何をしてんだ?」

 

「おや?もしかしたら、素晴らしい作戦ですよ」

 

「はぁ?」

 

シャンパは理解出来なかったらしいが、ヴァドスはもう理解したようだ。

 

バーバレドーンも、アースとフィリウスの策を見抜いてないのか、そのまま口から風の砲弾を放とうとした。が、その時だった。バーバレドーンの身体が二人が生み出した雲で埋まった瞬間、「今だ!!」とアースが叫ぶ。

 

「「『クラウドフィールドォォォ・・・・スパアアアアクゥゥゥゥゥゥゥ』!!」」

 

二人が背鰭から電撃を最大レベルで放った瞬間、雲が電撃を纏い、放電し始めた。そして、雲を吸い込んだバーバレドーンの全身が電撃に包まれていった。

 

『シェァァァァ・・・ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

バーバレドーンが、断末魔の叫びを上げた。みるみる内にバーバレドーンの頭や尻尾にヒビが入っていく。

 

そして、其処から電撃を帯びた光が漏れだし、やがてバーバレドーンの身体は、膨らみすぎた風船の如く内側から破裂した。破裂した後、巨大な爆発が発生。爆発から発生した暴風によって、二人は吹き飛ばされそうになるが、地面に足をめり込ませ、そして根性で耐えきった。

 

「上手く行きましたね!お母様!」

 

「ふう。余の考えた技だ。しかし、殆どの強者には通用しないが、攻撃が効かない事を良い事に、違和感無く呼吸をするような奴には良く効く」

 

実際、どんな攻撃も効かないボタモには、この方法で体内を攻撃した事がある。結果、体内への攻撃が効いたのだ。

 

生き物は呼吸をする。そんな呼吸しなければ生きられない生き物の特性を利用した技だ。しかし、強者ならばすぐに見抜かれて呼吸を止めて防ぐだろう。何より、呼吸しなくても生きていられる(フリーザ一族のような種族や人造人間、ロボット、神等がこの特性に当てはまる)存在には効く効かない以前に意味が無い。

 

「お見事ですね。アースさんもフィリウスさんも、大分頭を使うようになりましたね」

 

「ヴァドス・・・余が頭を使わぬとでも?」

 

「確かにお前、脳筋だよなぁ!ヴァハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

「笑うなこのデブ破壊神!」

 

「んだと堕肉が!」

 

「堕肉はやめろぉ!」

 

「お前の身体は男にとっちゃ目に毒なんだよ!」

 

「目に毒ってなんだ!」

 

「俺が堕肉を破壊してやらぁ!」

 

「その前に貴様を破壊してやるぞ!」

 

疲れている筈なのにシャンパと殴り合うアース。しかし、お互いヴァドスによって止められたのは言う間でもない。喧嘩する様子を、フィリウスはニコニコしながら見ていたのであった。

 

──────────────────────

 

第6宇宙のとある星。其処に住む宇宙マフィアのボスは、誰にも知られぬまま暗殺された。

 

死体は外側から見れば傷は無いが、内出血が心臓部に広がっている。まるで内側から心臓が粉々に破壊されたようだ。

 

後日、ボスの墓場に金の装飾が飾られた。飾ったのは、一人の黒いコートを纏う堂々とした暗殺者ヒットであった。

 

暗殺した者への弔いを忘れずに行うのが、彼の流儀だ。

 

ヒットは墓参りを終えた後、次のターゲットをその手にある小さな装置から見つめた。其処に映っているのは、フードを被り、白髪に黄色い肌をした少女であった。

 

「次のターゲットは・・・こいつか。依頼主の名は・・・『カーンデジファー』・・・ふっ」

 

ヒットは装置を握り潰した後、少女の元へ向かう。しかし、ヒットは知らなかった。その少女の傍には、強力な親友が居るという事を。また、依頼主の正体が、後に第6宇宙を揺るがす大きな存在となる事を、知る由も無かった。




カーンデジファー。アレクシス・ケリヴ。怪獣を生み出す存在同士が揃いました。かなり長いですが、第6宇宙編をどうか宜しくお願いします。

『クラウドフィールドスパーク』
背鰭から発生させた電撃を雲状に展開させて、自在に操る。電撃を背鰭から放てば、雲が消える代わりに膨大な電撃を放つ事が出来る。実体を持たない為、強く息を吹けば吹き飛ばされてしまう欠点を持つ。しかし、呼吸をする生き物の内部に入れば、肺に電磁粒子が付着する。息を吐いても、粒子は肺に付着しているから無意味。それはアース或いはフィリウスの背鰭と連動している為、電磁力を使えば粒子一つ一つが同じ発電力を発揮する。そして、相手は体内から感電する。粒子は肺の中を掃除するか、肺を取り除かない限りそのまま。アース或いはフィリウスが電磁力を使用する度に、相手は体内から電撃を食らい続ける。普通なら死ぬが、ボタモは何と生きてた・・・スゲェ・・・(因みに、ボタモはどうやって治したかというと、ヴァドスによって粒子を取り除いて貰いました)。
しかし、呼吸しなくても生きていられる生命体は、効く効かない以前に意味が無い。また、一時的とはいえ息を止めれば防げる。また、強すぎる神や天使(シャンパやヴァドスのような存在)には効かない。


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大騒動の後

あの後、ブレイクスはシザーゼブテラを倒す事は無かった。と言うのも、シザーゼブテラはあの後ブレイクスと相対して勝ち目は無いと判断し、降伏したのだ。

 

ブレイクスはシザーゼブテラと分かりあった後、火山地帯に戻ってシンゴ達と合流。そしてブレイクスは、惑星サダラの火山地帯を守護する神獣として崇められ、それは生命の象徴として飾られる事になった。

 

シザーゼブテラは光の球体になった後、宇宙へ飛んでいって行方不明になり、サイヤ人達は捜索を続けているそうだ。

 

そして、キャベは帰り支度を始めたアースとフィリウスの元にやって来て、真水をたっぷり入れた段ボール箱を渡した。

 

「フィリウスさん。ありがとうございました。今度また、サダラに来てください。これには、新鮮な真水が入ったペットボトルが沢山入っています」

 

「はい。私も、良い経験になったと思います。では、私はお母様と帰って寝ます。真水ありがとうございます。では、失礼します」

 

「気が向いたら来る」

 

フィリウスはホバーに乗り、アースは目の前にワームホールを生み出して、そのまま中に入っていった。

 

「おーいフィリウスー!って、彼奴もう居ねぇのかよ!」

 

「お礼が言いたかったのに・・・」

 

カリフラとケールもやって来たが、既にアースとフィリウスはサダラを去っていた。キャベは笑いながら、広がる青い空を眺めていた。

 

──────────────────────

 

シャンパの神殿に帰ってきたアースとフィリウス。二人は帰って来てすぐに寝た。二人は一度眠れば、長い時間起きない。ヴァドスに頼んで用意した土のベッドで眠り始める二人は、お互い抱き合う形で眠る。フィリウスの顔がアースの胸元に埋まる。

 

シャンパは二人が寝た事を確認した後、ヴァドスの元へやって来て今回の怪獣出現について気になる事を話した。

 

「なあヴァドス。今回の事だが、俺はこう思ってるぜ。『怪獣を産み出してる奴がもう一人居る』ってな」

 

「ええっ。あの炎の鳥とも呼べる怪獣には、それなりの魂が感じられましたから。しかし、キャベさんやスペースさんが戦った怪獣にはそれがありません。其処から察するに、私達を襲撃してきた怪獣達を産み出したのは、きっとあのシマウマのような怪獣とガラクタの塊のような怪獣を作った者でしょう。そして、キャベさんの報告にあった甲殻類のような怪獣と、炎の鳥のような怪獣を作った者は、私達に怪獣を送ってません。怪獣を生み出す事は同じようですが、目的は違うみたいですね」

 

「目的?」

 

「前者は恐らく、怪獣による侵略が目的でしょう。後者は、歪んだ形とはいえ何らかの覚悟と自己の正義感で動いている可能性が高いのです」

 

「なるほどなぁ。俺の許可無く勝手に・・・イライラしやがるぜ!」

 

シャンパがそう言うが、ヴァドスは「ホホホッ」と笑う。

 

先程も言った通り、魂の無い怪獣を作った者と魂がある怪獣を生み出した者。前者が生み出した怪獣は、形を作って生命を与えただけのゴーレムのような存在だ。後者の場合、他の物質や生命を素材にしている為、魂を持つ個体は意外にも多い。

 

そんな話をしている最中に、シャンパは気になる事を話した。

 

「なぁ、最近ヒットの奴と連絡が取れたか?」

 

「いいえ。私もヒットさんを探しているのですが、何故か引っ掛からないのです。第6宇宙の殺し屋筆頭であるヒットさんがもし、いずれかの存在に出会ったとするならば・・・まさか!?」

 

「マジ!?そんなのやべぇだろ!!すぐにサイヤ人達や暗殺者達に伝えろ!!ヒットの行方を追え!!」

 

「かしこまりました」

 

ヴァドスがシャンパの命令を聞いた後、すぐに第6宇宙のサイヤ人達やヒットの仲間達に伝えた。『ヒットが行方不明になった。すぐに捜索せよ』と。サイヤ人達は宇宙を駆け巡り、ヒットを探す。ヒットの仲間達も協力した。その理由は、その日に必ず帰ってくると約束した日に帰ってこないヒットを、仲間達が心配したからである。

 

──────────────────────

 

ヒットが行方不明になるその数日前。マフィアのボスを暗殺し、報酬を貰った後、目的の少女の後を付けていた。少女の名はソクバ。現在彼女は、宇宙環境保護団体に所属し、大自然を写真に撮る写真家として活動している。もう一つの情報によれば彼女は学生時代、いじめられっ子だったらしい。しかし、怪獣が出現した後、数人もの生徒や教師、その者達と血縁関係がある者が亡くなった。しかもその後、虐めはばったりと止んだ。更にその日から、彼女が急に元気になり始めた。怪獣がいじめを行った者を偶然始末して喜んだとも考えられるが、人数が違う。関係者までもが殺されている。中には関係者全員を殺されて悲しみのあまり自殺した者も居た。そんな偶然なんて、無論存在しない。有るとしても、ある意味奇跡だ。

 

依頼主は、そんな彼女が怪獣を生み出した奴ではないのかと疑い、ヒットに暗殺するよう依頼したのだ。

 

ヒットは少女を付けて、ヴァドスでも探せなかったソクバの家を遂に突き止めたのだ。仕事が終わった後、彼女は趣味以外では家から出ない。

 

ヒットが、ソクバの職場や自然に出た際に殺さなかったのには、訳があった。それは、依頼主からの頼みで、『彼女の住所を特定した後、怪獣を生み出す存在が居るか居ないか確認して欲しい。居たら始末しろ』との事だった。

 

しかし、ソクバの頬や額には拳で殴られたようなアザがあった。あれはヒットが手にした情報には無かった。何かあったのだろうか。

 

ソクバが家の扉を開けた瞬間、時飛ばしを使用したヒット。そのまま中へ入っていった。ソクバに見られない場所に隠れ、そして過程が消え去る。その時間、なんと2秒。前回よりも遥かに時を飛ばす時間が上昇していた。

 

ソクバは無論気が付いて居ない。扉を開けた後、閉めた覚えが無いのに扉を閉めて玄関に来た事に「あれ?」と思うだけだ。無論、気のせいと思い込み、何時も通り部屋に入る。

 

「ただいまアレクシス」

 

ヒットは物陰から、その様子を伺っていた。そして、ソクバが画面に映る者と話をしているのを見た。

 

『お帰りソクバ君。今日はどうだったんだい?』

 

「くひひっ。今回は森林惑星に行ってきたよ。沢山写真が撮れたんだ~。でもね。苛っとした事もあったんだよ」

 

『何があったんだい?』

 

「森林を伐採してたんだよ。あの森林惑星は私達の管轄にあるのにさ。違法伐採を止めろって仲間と言ったら、皆殴られたんだよ!私達は注意したのに暴力とか有り得なくない!?彼奴等、今度はこう言ったんだよ!「会社の利益が大事だ。こんな森林を護るお前らが異常だ」って!!何それどういう意味って言ったら、今度は平気で仲間の一人を重機で潰したんだよ!!」

 

ソクバは机を叩く。その言葉には、かなりの怨念が込められていた。

 

『うんうん!それは悪い事だね~!ソクバ君達は注意しただけなのにね~!』

 

「でしょ~?だ・か・ら~、彼奴等の会社、ぶっ潰しちゃおうかなぁって!それで、帰ってくる前にネットカフェで描いてきた新しい怪獣達が、これ!」

 

ソクバはアレクシスに、巨大な紙に書いた怪獣を見せた。それは巨大なカラスの怪獣で、手足が生えており、胴体は悲しみに満ちた人の顔が出来ている。額には、大きな黄緑色の水晶がある。

 

もう一つは、頭部がライオン、角は牛、両手はゴリラで両脚は虎、身体はサイのように分厚い皮膚に体躯は狼で翼は鷲、尻尾は鯨の尾びれをした、色んな生物の身体を併せ持つ怪獣であった。

 

『おおっ。しかし二体目は随分ベタだねぇ』

 

「いやいや、これはあくまで生き物を取り込んだ姿。此処に描いた液体が本体だよ」

 

ソクバは紙のある部分を指差した。其処には、顔を持つ液体状の生き物が描かれていた。

 

「一体目は、名付けるなら『幻術怪獣ネクロウ』。二体目は『合成妖怪獣マガヌエ』。どちらも何かを取り込んで完全体になるんだよ。あの森林惑星は前まで戦争が遭ったし、其処に送ろう。それで、マガヌエは地球に送っておいて」

 

『了解。それで、素材は其処にあるカラスと玩具のスライムで良いかな?』

 

「うん。良いよ」

 

『では早速、インスタンス・アブリアクション!』

 

アレクシスのゴーグルが光り、カラスと水がその場から消える。カラスは、事故で亡くなったカラスの死体の事だ。スライムは玩具だ。

 

ヒットはこれで確信した。そしてとうとう、暗殺する事にした。時飛ばしを使用して、少女の元へ近付く。そして、ソクバの頭を指で突き刺した。そして、アレクシスの居るテレビも破壊。これで、暗殺完了だ。

 

玄関から外に出て、時飛ばしの効果が切れる。

 

これで、暗殺は完了した─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かとヒットは思っていた。

 

『やれやれ。あんな事で私とソクバ君が死ぬとでも?』

 

「なにっ!?」

 

ヒットが後ろを向く。その瞬間、何者かに腹を強く殴られた。それは、先程暗殺した筈のソクバが、ヒットの腹を拳で殴ったのだ。胃の中の物を吐き出したヒットは、先程貫かれた頭部から大量の血を流しているにも関わらず、何故か生きているソクバの姿を見つめた。

 

「馬鹿・・・・な・・・・ガハッ!」

 

ヒットはその場に倒れた。

 

「うぅ・・・痛いのは痛いんだよ!」

 

ソクバは頭を押さえる。幸いソクバの家は街から遠く、周囲には家もない為、誰かに目撃される事は無かった。

 

『やれやれ。まさか私達に殺し屋を向けてくるとはね。明らかに、私達の事を知っていると言った方が良いね』

 

「この家にも居られないかもね。コイツどうする?」

 

『私達で預かろうよ。放して私達の事を喋られても困るからね』

 

「了解」

 

こうして、ソクバとアレクシスに捕まったヒット。彼を探す為に捜索網が張られたが、彼が見つかるのは時間の問題である。

 

──────────────────────

 

一方、とある空間内では、一人のアレクシスに似た風貌の男が、フードを被ったフリーザ似の男と話していた。

 

「ヒットさんは失敗しましたね。まあ、他にも新しい怪獣は出来ましたから」

 

『フッフッフッ。お前を苦しめた悪い奴等は、お前の作った怪獣で皆殺しにしてやるのだ!』

 

「フフフフッ。私の邪魔をするのなら、誰だろうと皆殺しですよ」

 

フロストだ。正に哀れ。

 

後に、彼はその男によって贄にされるとは、この時は思って居なかった。



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破壊少女、地球に降り立つ。

騒動から一ヶ月後。修行を終え、更に休眠を取ったフィリウスが向かったのは、第6宇宙に復活した地球であった。

 

何故かというと、フィリウス宛にある手紙が届いたからだ。

 

『フィリウス様 貴女を待っています。怪獣の創造者より』

 

この手紙を見たフィリウスは、シャンパやヴァドスに報告した後、地球には自分一人で向かう事を提案した。シャンパは納得行かなかったが、ヴァドスは何か考えがあると読み、フィリウスを地球へ送ったのだ。

 

そして、地球の荒野に降り立ったフィリウスは、早速手紙の差出人を探す事にした。ヴァドスやシャンパの目を掻い潜って手紙を出す位だ。相手はかなりの実力者。

 

すると、フィリウスへある少女が話しかける。

 

「やほやほ~。待ってたよ~」

 

フィリウスは声のする方向を見た。其処には白髪に黄色い肌をした少女と、見た目魔王の高い身長で黒いローブを着た男が居た。

 

『どうもどうも。アレクシス・ケリヴです。君の元へ手紙を出すのはハラハラしたよ。破壊神にバレたら大事だしね』

 

「もうアレクシスったら、居場所がバレたらどうすんのさ~。まっ、アレクシスがバリア張って来れなくしてるけど。ムフフフッ。あっ、私はソクバ~。宜しく~」

 

「・・・・・・フィリウスです。貴女達があの手紙を?随分大胆な行動に出ましたね」

 

しかし、敵意が無い事も確かだ。でなければ、此処でフィリウスを攻撃する筈。何故フィリウスなのか。どうしてシャンパやヴァドスの二人でも、サイヤ人達でも、或いはヒットでも無かったのか。

 

その理由は、簡単だった。

 

「ねぇフィリウス。何故私が貴女を呼んだか解る?貴女は話せば分かると思ったからだよ~」

 

(まあ、確かに・・・)

 

シャンパならすぐに破壊しようとするし、ヴァドスはシャンパから離れないし、母も話を聞こうとしなさそうだし、ヒットならすぐに殺しにかかるだろうし、キャベはどちらかと言うと捕らえる事を優先しそうだ。つまり、まともに話せるのはフィリウスだけ。そうソクバとアレクシスは判断したのだ。

 

「ですが、どうして私の名を?」

 

「サダラ星で怪獣と闘ったでしょ?私の竜巻怪獣バーバレドーンとさ」

 

フィリウスは考える。そんな怪獣は・・・いや居た。自分を吹き飛ばす程の暴風を起こす奴だ。強かったのは覚えている。

 

「・・・ええっ。お母様と倒しましたけど」

 

「その時さぁ・・・私は貴女に惚れちゃったんだぁ。アースだっけ?彼女には無い魅力が、いや身体は負けるけど~そんなのが気にならない魅力があるんだよ?ねえ?私と協力しない?というか、仲間にならない?私とアレクシスで怪獣を作って、破壊神や警察が裁けない悪を裁くんだよ?現に、海洋惑星ザブンもサダラも救えたんだよ?」

 

『ふふっ。ソクバ君は確実に次の破壊神に相応しいよ』

 

「やだよそんなの~。でもまあ、気に入らない奴等を破壊出来る特権が与えられるならそれもありかも~!」

 

フィリウスは、彼等の言葉に同意を感じていた。此処まで聞くとソクバもアレクシスもサイコパスに聞こえるだろう。しかし、長い時を破壊神や母の元で過ごしてきた為か、彼女の提案は悪くないと思えた。破壊神は時に、気に入らないという理由で星を破壊する。しかし、破壊の権利は破壊神にあるし、人が神の行いにとやかく言う等烏滸がましい事だ。人間が蟻を潰しても何も感じないように、破壊神も人や星を破壊しても、何も感じないのだ。但し、ビルスのように美味い料理次第で破壊するか否かを決める破壊神も居るが、そんなのは極一部だ。

 

しかし、フィリウスもまた破壊の王の娘。増やすだけでは破滅に向かう。調整にはやはりどうしても破壊が必要なのだ。

 

「・・・貴方達の事、シャンパ様やヴァドス様に薦めないと思ってます。私としては、貴方達に次の破壊神になってもらいたいものです。二人一組の破壊神なんて、面白く無いですか?」

 

「あっ、協力してくれるの!?」

 

『良かったねぇソクバ君!』

 

ソクバは目を輝かせ、アレクシスは褒めた。しかし、返ってきた答えは彼女の期待を裏切った。

 

「ですが、私は貴方達の仲間になりません」

 

その時、ソクバの喜ぶ顔が突然真顔になり始める。アレクシスは『あれれ~?』と疑問に思うだけだった。

 

「理由は、貴方達に破壊神の座を譲りたくないという利己的な理由です。この宇宙の破壊神には、お母様が相応しい。そして私は、破壊の王ゴジラ・アースの娘、ゴジラ・フィリウスなのですから。ですが、チャンスを上げます。このまま大人しく帰ってくれれば、貴方達の事を見逃して上げます」

 

フィリウスは背中の背鰭から放電する。もし敵対するならば、此処で始末するつもりだ。破壊の王の娘として、目の前の相手を破壊するだけだ。

 

「・・・何で?今のは協力してくれる流れになるじゃん!じゃあ、もういいよ。私もお前を破壊してやる!」

 

その時のソクバの顔は、悔しさと怒りに満ちた表情そのものだった。目に涙を浮かべ、歯を食い縛っている。

 

そして、その怒りに答えるように、一体の怪獣が出現した。土煙を上げて、地面から掘り起こすように姿を現す。

 

『ギャシャアァァオォォォォッ!!』

 

その怪獣は、身長132mもあり、様々な生物の身体を合成して出来た怪獣であった。『合成妖怪獣マガヌエ』。ソクバが提案した、あらゆる生物を取り込んでその力と能力を使用出来る怪獣だ。

 

「じゃあ、交渉決裂って事で」

 

『じゃ、行くよソクバ君!』

 

こうして、ソクバとアレクシスは帰っていった。空間に開いた穴から、別の場所へ向かったからだ。

 

フィリウスは背中からリング状に放電し、口元へ集めて凝縮し、マガヌエに向けて放った。

 

マガヌエは空へ跳んで避けた。

 

「成る程。素早い訳ですか」

 

そして、マガヌエはゴリラの両腕を地面に勢いよく叩き付けた。その時、フィリウスの立つ地面が揺れ始めた。先程の攻撃で、マガヌエは地震を起こしたのだ。ゴリラの両腕で地面を勢いよく叩き付ける事で、大規模な地震を起こす技『ブレイクエイク』だ。

 

大地が激しく揺れて、フィリウスは体勢を崩す。その間に、マガヌエはライオンの口から火炎弾を放った。『ビーストファイア』という技である。

 

フィリウスは地震によってバランスを崩しながら、片手で火炎弾を弾いた。

 

『ギャシャアァァオォォォォッ!!』

 

マガヌエは咆哮を上げる。そして、地面に降り立つが、その足は何故かぎこちない。フィリウスは其処に気が付く。

 

(おや?色んな生き物を取り入れた割にはぎこちないですね?)

 

フィリウスはそう思いながらも、マガヌエと向き合う。マガヌエは鷲の翼に雷撃を纏い、そのまま羽に帯びさせてマシンガンのように羽を撃ち放つ。フィリウスも、背中の背鰭から雷撃の弾丸を大量に生み出し、マガヌエに向けて無数の雷撃の弾丸を放つ。

 

マガヌエの技は『ボルテックウィング』。フィリウスの技は『サンダーマシンガン』。

 

こうして二つの技がぶつかり合い、その場に大爆発が発生した。

 

──────────────────────

 

その時、第7宇宙から客人がやって来た。それは、ウィスとビルス、そしてギドラにハルオの四名だった。

 

何故彼等が来たのか。それは、第6宇宙で異変が起こっていると第6宇宙に居るヴァドスから聞いた為、確認しにやって来たのだ。

 

「シャンパの奴、破壊神の仕事サボってんじゃないだろうな?」

 

「ビルス。お主がそれを言っては駄目じゃろう」

 

口調が安定してきたギドラ。ウィスの教育が上手く働いたお蔭であろう。

 

「それにしても、第6宇宙で何かが起こっているとはいえ、わざわざ我々が出向く必要が無いのではありませんか?」

 

ウィスの疑問は最もだ。

 

「ふん。奴が仕事してないか確認しに行くだけだ。それにハルオとギドラがどうしても行きたいと言うからな」

 

「成る程。三人とも、アースさんやシャンパ様が心配なのですね」

 

「「『違う/違います!!』」」

 

大声出して否定する三人。

 

『ゴジラが私以外の者達に負けるなんて嫌なんです!』

 

「それに、妾もあやつに負けてばかりじゃ嫌なのじゃ。なのにあやつが他の奴等に負ける等、許せんからのう」

 

「僕はしっかりしろと言いに行くだけだ」

 

ウィスは「オホホホッ」と笑う。『素直に心配してましたと言えば良いのに』と、心の中で言ったウィスであった。

 

その時、彼等の前に現れたのは、全身が金で出来た巨大な鯨であった。

 

「ん?なんだこれ?」

 

「おおっ!妾と同じ色じゃ!確か、金を売れば金になって、それで飯が食える店で沢山食べられる筈なのじゃ!」

 

「やれやれ。ギドラさんはホントに食べる事がお好きですね。しかし、そうなれば私達だけで高級店に入って料理が食べられるかもしれませんね?」

 

「そうだな!よしウィス!早速───」

 

『お待ちを。あれは、私に戦わせてください』

 

ハルオが手を上げて、鯨の前に立つ。

 

『丁度新しい技も試したかった所でした。それに、あの鯨の身も美味しそうではありませんか?ギドラ様』

 

「そうか!ならば頼む!必ず倒すのじゃ!ハルオ!」

 

ギドラは目を輝かせる。あの鯨は、どんな味がするのだろう。

 

ビルス、ウィス、そして涎を垂らすギドラが見守る中、ハルオは巨大な鯨と向かい合う。宇宙空間で行われる二体の怪獣の戦い。

 

鯨の名は、『幻想鯨怪獣ホテルドラドン』。

 

今、金と銀の対決が始まる。



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鋼の神、幻想鯨怪獣と戦う

ハルオは先ず、ホエルドラドンに向かって四肢のジェットで加速して飛んだ。ホエルドラドンは、口を大きく開けると、そのままハルオを飲み込もうとした。ハルオはギリギリで避けて真後ろに回った後、両肩に巨大な多目的誘導ミサイルランチャーを生み出し、其処からミサイルを撃ち出した。

 

ホエルドラドンの身体にミサイルが直撃していくが、大きな金属音を出して爆発するだけでホエルドラドンには何の影響も無い。ホエルドラドンはハルオを見つけた後、身体をくねらせてそのまま体当たりしようとした。ホエルドラドンの体当たりをテレポートで避けたハルオは、そのまま背中にある金塊ごと蹴った。ホエルドラドンは近くにある惑星へ落ちていくが、ハルオも無傷ではなかった。ハルオの身体が徐々に金塊へと変わっていった。蹴った足元から、どんどん侵食されていく。ハルオは腰まで金塊化した辺りで自分の身体を切断した。そして、金塊化した下半身の足の裏からジェットを放ち、ミサイルのように飛ばしてホエルドラドンに直撃させる。ホエルドラドンはハルオの下半身に直撃して大爆発を起こした後、惑星へ落ちる速度が加速した。大気圏に突っ込み、約350℃の熱で身体が少し溶けて行ったが、死ぬには至らない。というより、金はこの程度で溶けたりしない。ならば、大気圏突入時の熱よりもっと強い熱を。

 

ハルオも大気圏に突入して惑星に入る。其処は、長閑な森林で覆われた惑星で、空気も澄んだ生命溢れる星であった。

 

──────────────────────

 

「・・・やっぱりあの鯨みたいな奴もそうだよ」

 

『全く、何処の誰だろうねえ』

 

アレクシスもソクバも、自宅のテレビ画面からその様子を見ていた。その表情からは、何処か気に入らないという不機嫌なオーラが出ていた。

 

──────────────────────

 

『追撃開始します!トライアングルバスター!』

 

ハルオは腰から下を再生した後に、腰から長い銀の棒を生み出し、三角形の形に組み込んだ。そして、三角形からレーザーを放つ。

 

ホエルドラドンは回避すると、口から金色の霧を吐き出した。ハルオはその霧を避けるが、背後に居た獣の群れに直撃してしまう。獣の群れは、心を奪われてうっとりとしてしまう。これがホエルドラドンの技、『エルドラド・ミスト』であった。

 

『吐き出した霧に、生物を恍惚感(こうこうかん)にさせる成分が含まれていたようですね』

 

更に、ホエルドラドンは背中の金塊を切り離して、地上へ雨のように降り注がせた。触れただけで生物を金塊に変える恐ろしい金塊が雨のように降る技『ゴールド・レイン』である。

 

ハルオはそれを避けてホエルドラドンの真下に回り込むと、両腕に無数の金属で構成された刃を生み出し、ホエルドラドンに向けて放つ。刃はホエルドラドンのお腹惑星イメッガにて購入したレイドモンドという鉱石から作った金属で、状況に合わせて堅くもなれば柔らかくもなる不思議な性質を持っていた。そしてこのレイドモンドブレードは、相手の身体に合わせて性質が変わる特性がある。それ故に、ナノメタルとの相性も抜群だ。組み合わせれば相手に合わせて性質を変えながら侵食する、恐ろしいコンボを発揮するだろう。ホエルドラドンは全身が金だ。それ故に、柔らかくなってホエルドラドンのお腹に張り付いた。そしてそのまま、ホエルドラドンのお腹をナノメタルの特性を利用して侵食していく。しかし、ホエルドラドンも黙ったままではない。

 

ホエルドラドンは身体を上に持ち上げた後、そのままハルオに向かって身体を覆い被さろうとした。『ゴールド・エルドラド・プレス』である。ハルオはテレポートを行って脱出するが、ホエルドラドンが覆い被さった大地は大きく破壊された。宙へ大地が盛り上がり、そのまま地面に落下する。

 

『面白いですね。では、ギドラ様の要望に答えるとしましょう。身体の金も売ればお金になりそうですし、そろそろトドメを刺しましょう。アクセスコード!フォトンカリバー!』

 

ハルオがそう叫んだ瞬間、彼女の横にワームホールが出現した。そして、其処から飛行物体が高速で宙を駆け巡り、地面に突き刺さった。その剣は、刀身が西洋剣の形であり、夜空に輝く星々のようなデザインをしていた。しかも、星々のような点は、ゆっくりと動いているようにも見える。

 

『いぇーい!アタイの出番だぜ!』

 

『カリバ。力を貸して頂きますよ』

 

『おう!アタイの力も存分に使いなー!マスター!』

 

そして、ハルオがフォトンカリバーの持ち手を握り締めて、その切っ先をホエルドラドンに向けた。そして、両手で強く握り締めた瞬間、刀身が光輝いた。

 

そして、刀身より天の川のようなオーラが発生して、刀身に螺旋状になって取り付き、六千メートル級の巨大な剣に姿を変えた。そして、そのままホエルドラドンに向かってジェットを加速して突き進んだ。

 

『フォトンカリバァァァァァァ・・・フィニィィィィィィィィッシュウウゥゥゥッッ!!!!』

 

フォトンカリバーを振り下ろしたハルオは、そのままホエルドラドンを真っ二つに切断した。その大きさにも関わらず、振り下ろす速さは圧倒的に速い。そして、ホエルドラドンは大爆発を起こし、その場にホエルドラドンの美味しそうな身や大量の黄金が降り注いだ。

 

──────────────────────

 

「うんまあああああい!!この鯨最高じゃのううううううううううう!!」

 

ギドラは、ホエルドラドンの寿司を食べていた。鯨の寿司以上の旨味と脂身を口の中で味わい、幸せを感じていた。

 

「それにしても、此処まで黄金が手に入るとはね」

 

「ええっ。余りあるので、ハルオさん。今度地球に行く際に、ギドラさんのグルメ旅の資金に使ってください」

 

『畏まりました。ビルス様。ウィス様』

 

ハルオも、ホエルドラドンの刺身を食べた。相変わらず栄養価も報告するが、その美味しさに思わず笑うのであった。



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破壊少女、誘拐される

マガヌエとフィリウスの戦いは、佳境に入っていた。

 

フィリウスの全身には、マガヌエの羽根が多数突き刺さっている。隙を突かれて背中の背鰭を破壊されただけではない。鷲の翼をはためかせて雷撃を帯びた羽を発射する『ボルテックウィング』に直撃し、雷撃を体内に流されて電磁エネルギーが上手く働かないのだ。此れでは非対称性透過シールドを張れないし、高加速荷電粒子ビームも撃てない。フィリウスもアースも、この世界の生きとし生ける者、神も含めてほぼ全員が持っている気を持っていない。その代わりを担うのが、体内に流れる電磁エネルギーだ。それがが力の源である為、それを封じられたら最大の武器や防御を失ってしまう。

 

フィリウスはアースのように、身体の分子運動によって熱を発する事が出来ない。やり方を知らない事も含むのだが。

 

『ギャシャアァァオォォォォォォォォッ!!!』

 

そして、マガヌエは弱ったフィリウスを殴る。132mもの巨体によるゴリラのパンチや虎の足による蹴りがフィリウスを襲う。かつてその身体に受けた砲撃とは比較にならない威力が、フィリウスの身体に炸裂する。体内の電磁エネルギーが暴走しても、今は自爆しなくなる程に耐えられる。しかし、その間は無防備だ。

 

マガヌエは『ビーストファイア』を放ち、フィリウスを業火で包む。フィリウスは全身に火傷を負う。更に、『ブレイクエイク』の応用で、フィリウスの頭部に両腕を勢いよく叩き付ける。フィリウスは大地に叩き付けられ、意識が朦朧としてきた。

 

そして、マガヌエはフィリウスにトドメを刺そうとした、その時だった。

 

頭部に一本の角が生えて、紫の狼男のような怪獣が現れて、マガヌエを腕に生えた刃で一刺しした。

 

『ワガオオオオオオンッ!!』

 

狼男の怪獣は、そのままマガヌエを空中に投げつけた後、掌から狼の姿をした炎を発して、マガヌエに当てた。そして、マガヌエは巨大な爆発に包まれて、そのまま細胞一つ残さず消滅した。

 

フィリウスはその様子を見て、そのまま気絶した。そして、狼男の怪獣はフィリウスを見つめた後、彼女を掴んで持ち上げた。

 

「・・・カーンデジファー様。フロスト様。フィリウスを回収する」

 

狼男の怪獣はそう言った後、そのままその場に展開された空間の穴に入っていった。

 

─────────────────────

 

暗い独房。其処には、触手に捕まって凌辱されているフィリウスの姿があった。そして、その場にはフロストやカーンデジファーの姿もある。

 

「クククッ。良くやったぞ牙狼鬼。フロストも素晴らしい怪獣を生み出したものだな」

 

「ええっ。しかし、フィリウスさんの身体の仕組みには驚かされます。しかし、彼女を媒介にすれば私は再び栄光を取り戻せるのですね?」

 

「そうだな。しかし、お前の計画を邪魔した愚か者共は、徹底的に始末しなくてはな」

 

カーンデジファーは、フィリウスの全身を更に触手を召喚してフィリウスの身体をなぶる。その触手には、フィリウスの電磁力を無力化している。その上フィリウスの力では触手を引きちぎれない。そして、彼女の身体中にこびりついた半透明の液体やイカ臭い匂いから、彼女がどんな目に遭わされたのか想像に難くなかった。

 

本来、植物から変異したアース。そのアースから産まれたフィリウスも、性による快感は存在しない。しかし、人間の女性の身体となってからは、人並みの快感を得るようになった。つまり、人より性による快感は低いが、感じない訳ではない。それが長く続けば、フィリウスですら思考を停止してしまう。

 

フロストも、変わり果てたフィリウスを見て笑う。

 

「それより、怪獣を生み出している人が分かったようですね。ソクバさんにアレクシスさん。特にアレクシスさんに関しては、カーンデジファーさんと関係があるようですね?」

 

フロストがカーンデジファーに訊いた。

 

「そうだな。私と同じで、作り物の怪獣に生命を与えて実体化させるようだが、それだけではない。奴はグリッドマンと戦っている。私には解るぞ。お前も、この世界に来ている事はな」

 

カーンデジファーは笑う。自分をかつて倒した相手が、この世界に来ている。それはそれで、面白い事だ。

 

「・・・・・・はぁ・・・私で、何を・・・」

 

その時、フロストはフィリウスの頬を殴る。大したダメージは無く、彼女の精神は未だに彼等に屈しては居ない。未知の快感に身を委ねたとしても、彼等に屈する程柔ではない。

 

フィリウスは襲い来る快感に身を委ねつつ、脱出する隙を伺う事にした。彼等へ報復を果たす為に。

 

─────────────────────

 

一方、トキトキ都に居るクロノアやトランクスも、第6宇宙の様子を伺っていた。

 

「此処まで怪獣が進撃を・・・」

 

「奴等が第6宇宙に留まる筈が無いわね。アレクシス・ケリヴやソクバは何処へ行ったのかは分からないけど、見逃す訳にはいかないわ。それより、今は怪獣を生み出している奴等を叩くべきね。貴男の言う通り、知り合いが絡んでいる可能性が高いわ」

 

クロノアは、ある青年にそう言った。その青年は、赤い髪をしており、金の瞳を持っていた。

 

「貴男の力をお貸しください!いずれ奴等は他の宇宙だけでなく、時の巣にも進撃して来ます!」

 

「・・・分かった。私に、任せて欲しい」

 

その青年の名を、クロノアは期待を込めて呼んだ。

 

「頼むわよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電光超人“グリッドマン”

 

 

 

 



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破壊の王、怒る

「フィリウスは何処だああああああ!!!」

 

 

アースがヴァドスの胸ぐらを掴み、大きな怒声を放つ。怒声は超振動波となって、ヴァドスに襲い掛かる。ヴァドスの髪が揺れるが、ヴァドスは何事もないかのように佇んでいた。怒声は背後の壁を吹き飛ばし、更に何千光年先にある銀河をバラバラにしてしまうのだった。

 

何処ぞの古代怪獣が見れば、涙目間違いなしだろう。

 

「ヴァドス!!フィリウスを探せ!!何をしてでも探せ!!」

 

「落ち着いてください!」

 

ヴァドスはアースに向かって声を張り上げた。アースは一瞬怯む。天使の実力は身を持って知っている。それ故に、ヴァドスの怒声には流石のアースも黙り混むだけだった。

 

「うっせぇぞアース!ガキ共が怯えてんだろうが!」

 

シャンパに言われてセルヴァム達を見たアースは、怒声を放ってしまった事を深く反省した。其処には、身を縮めて震えるセルヴァム達の姿があった。

 

「・・・すまない。お前達を脅えさせてしまった・・・しかし、フィリウスを連れ去った奴は・・・必ず殺してやる・・・」

 

アースは拳を握り締める。今にも弾け飛びそうな程に力を入れた拳は、電撃を帯びていた。今にも爆発しそうなその電撃を見て、セルヴァム達はアースに寄り添った。

 

アースは子供達を抱き締める。子供達は、アースが泣きたくなっているのを察したのか、涙を流して泣いていた。泣き声を発するセルヴァム達を見て、アースは目から流す筈の無い涙を流す。

 

「なんだこれは・・・・・・それに、胸の底が痛い・・・苦しくて、苦しくて・・・苦しくて・・・フィリウスが居なくなってから、ずっとこうなんだ・・・」

 

それに答えたのは、ヴァドスでも、シャンパでも無かった。

 

『それは、心の痛みです』

 

アース達が声のした方向を見ると、其処にはハルオやギドラが立っていたのだ。ビルスとウィスも、彼女達の傍に付いている。

 

「なんだよビルス。来てたのか?」

 

「お前がキチンとしてるか見に来たんだ。案の定、第6宇宙はパニックみたいだな」

 

「んだとー!?」

 

口喧嘩を始める破壊神達を余所に、ハルオはアースに語りかける。

 

『貴女が娘を拐われた事によって、貴女は苦しんでいるんです。それは、当然の感情です。親が子を拐われて悲しむのは、人間もゴジラも変わりありません』

 

「・・・そうか。しかし、お前ならば今の余を笑うと思ったぞ」

 

『確かに悔しがる貴女の姿は、私にとっては喜ばしい光景です。しかし、私も今、胸が痛いんです。私にも娘が居て、今は遠く離れているのです。その寂しさから来る痛みがまだ、自分の中にあるんです。なので、ゴジラ。貴女の事を笑いたくても笑えないんです。寧ろ、こう思いました。『悲しむ貴女の姿を見たくない』と』

 

「お前・・・」

 

アースは、自分がかつて倒した相手が、此処まで人間味を増している事に驚いていた。かつては完全な機械であり、巨大な街の姿で自らに挑んできたメカゴジラ。それが今となっては、より人間らしい性格を得ている事に、アースは驚きを隠せなかった。

 

「ムシャムシャムシャ・・・ゴクンッ・・・・・・ゴジラ。娘の名を教えよ。妾が、連れ戻してやるのじゃ」

 

そして次に発言したのは、ギドラだった。何処から取り出したのか、ごみ袋のように大きな袋へ詰め込んだ神精樹の実を全て平らげた。

 

「ギドラ・・・」

 

「じゃが、手を貸すのは今回だけじゃ。これはお前達第6宇宙の問題。妾達は、妾達の宇宙に戻る。後は自分で何とかせい」

 

「・・・借りが出来たな」

 

「あの時、妾はそなたに負けた。じゃから、貸しを与えるのではない。お主に借りを返すだけじゃ」

 

ギドラがそう言った後、彼女のお腹に埋め込まれた究極のドラゴンボールが輝きだした。

 

「究極のドラゴンボールに、星十個分のエネルギーを支払った。今食べた神精樹の実は、十個の星から取ってきたのじゃ。そして、妾は後十回願いを叶える事が出来る」

 

ザマスとの激闘から一年が経過したのは、第6宇宙の異変が起きているという知らせが届いた日より二日も前だ。その為、自身の力も、星のエネルギーを支払って願いを叶える力も全て元に戻った。願いを叶えるのには、星のエネルギーを支払う必要がある。しかも一度支払えば、願いを叶えてから一年後にならなければ星のエネルギーを支払えず、願いも叶えられない。

 

「・・・では、フィリウスを此処に連れ戻してくれ」

 

「願い一つ目じゃ。叶えよう」

 

ギドラはアースの願いを叶えた。願いを叶える叶えないの権限は、ギドラにある。その為、相手にもし捕まって願いを強要されても、相手を消すか味方の元へ逃げるよう願えばそれで済む話だ。

 

そして、ギドラが願いを叶えた瞬間、その場にアースそっくりの少女が姿を現した。細身の身体を持ち、尻尾を生やしている。アースの娘、フィリウスである。

 

そのフィリウスの全身は白濁まみれになっており、息も荒くなっていた。

 

「フィリウス!?フィリウス!!フィリウス!!」

 

「おかあ・・・さま・・・・お母・・・様!?」

 

フィリウスは起き上がった瞬間、アースに抱き付かれた。アースの胸の谷間にフィリウスが埋まる。

 

「フィリウス・・・良かった・・・無事で良かった・・・」

 

アースは目から涙を流す。止めどなく流れる涙を止める事は出来ず、フィリウスの頬にはアースの涙が落ちていった。

 

「無事ではありません。この身体は・・・もう汚されました。取り返しは付かないかと───」

 

「二つ目の願い。『フィリウスの身体を清めよ』」

 

その瞬間、フィリウスの身体と子宮に付着した白濁液が全て消えて、フィリウスの身体も艶々のピカピカになった。

 

「餞別じゃ。ウィス~、ビルス~、そろそろフリーザの元へ行きたいのじゃ」

 

「そうですねぇ~、惑星フリーザのグルメを満喫しましょう!」

 

「おっ!僕も行くぞ!」

 

ギドラ達は帰り支度を始めた。そんな中、ハルオはアースとフィリウスの元へやって来た。

 

『ゴジラ。そしてフィリウス。帰る前に一つ、技を教えて行きます。もし必要になったならば、使ってください』

 

ハルオは二人に、ある技を教えた。そして、ギドラやハルオ達は第7宇宙へ帰っていった。

 

──────────────────────

 

その頃、シンゴはボタモやマゲッタの居る惑星へやって来た。シンゴが二人から援護を要請された為、宇宙を渡って二人の居る星へやって来たのだ。

 

「此処で良いのか?」

 

「ああっ。俺もマゲッタも、此処で戦ってたんだ。此処は自然公園だったが、今は見る影もねぇよ」

 

其処は、発展した都市の惑星であった。所々は崩壊してしまい、人々も逃げ惑っている。三人の居る自然公園は、何かに撃ち抜かれたような巨大な穴が多数存在していた。

 

この都市惑星には、怪獣の殲滅が目的でやって来たボタモとマゲッタ。しかし、その怪獣があまりにも厄介な為、シンゴに援護を依頼したのだ。

 

「彼奴がそうか?」

 

「・・・っ?あ、いや・・・」

 

「シュポポー!?」

 

そして、その存在は出現した。それは、砲台が全方位に生えたウニのような姿をした奇怪な怪獣であった。一つ一つの形も違う。

 

そして、怪獣は目的もなくただ周囲を攻撃していくだけの怪獣だった。人も、建物も、動物も、容赦なく撃ち抜く。森や林すらも火炎放射砲で焼き尽くす。正に壊すだけだった。

 

そして、その怪獣を見て怒る者達が居た。それは、フィリウスから逃げたソクバとアレクシスであった。

 

「なんなのあれ?ただ暴れてるだけじゃん!」

 

『ただ周り攻撃するだけなんて、あれは怪獣じゃないよね~』

 

彼等の知る由ではないが、全身砲台の怪獣はフロストとカーンデジファーがソクバとアレクシスを煽る為に作られた怪獣であった。名を『砲台怪獣キャノンアーチン』。ソクバもアレクシスも、そんな大義も無くただ暴れさせる為に作られた怪獣も、その怪獣を作る奴等も許せなかった。

 

だから、自分達の手で始末する。本当の怪獣を見せてやる。

 

「アレクシス。お願い」

 

『了解!インスタンス・アブリアクション!』

 

アレクシスのゴーグルが光る。彼等が再現したのは、フィリウスを倒す為に作ったマガヌエだった。今回は、マガヌエに更なる能力を与える為に、アレクシスに様々な生き物の死体を使ってもらった。再生能力に優れた生き物や、昆虫までも使用して、以前より強力な個体が完成する。

 

「マガヌエ。あの砲台偽物野郎を仕留めたら、今度こそフィリウスを殺しに行くよ」

 

こうして、パワーアップしたマガヌエは街に降り立った。偽の怪獣を、徹底的に倒す為に。




令和初の投稿!

皆さんこれからも宜しくお願いしまーす!


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破壊少女、合成妖怪獣と決着を着ける

「・・・成る程な。フロストの奴が」

 

「はい。彼に協力していたのは、カーンデジファーという男でした。彼等はきっと、この第6宇宙だけでなく、全てを破壊するつもりです。怪獣を産み出す事で、それを成そうとしています」

 

フィリウスは全てを話した。シャンパもヴァドスも、フロストが墜ちる所まで墜ちた事に驚愕していた。

 

「それでフィリウス。お前、また行くのか?」

 

「はいシャンパ様。マガヌエとは、まだ決着が着いてません。この手で必ず、そして今度こそ倒してみせます」

 

「・・・」

 

アースは、フィリウスの腕を掴む。また娘が拐われるのが怖いのだ。かつて地球で眠っていた時、自分はフィリウスを助けてやれなかった。その怒りで目覚めたアースは、フィリウスを倒した人類を全員倒した。しかし、全員を憎んだ訳ではない。自分へ特攻を仕掛けてきたあの青年は、今でも尊敬している。それに、あの青年には二度も助けられたのだ。恨みなんて何処かへ消えた。今では変わった形で再会する事になったが。

 

「・・・余も着いていく。いや、フィリウスとマガヌエとの決着は着けさせる。今度は誰にも邪魔はさせない。余が邪魔する者を皆殺しにしてやる」

 

「ありがとうございます。お母様」

 

「では、お二人をマガヌエの元へ移動させます」

 

ヴァドスは杖から光を放ち、アースとフィリウスをマガヌエの居る星へ向かって移動させた。

 

「ねえねえ。おかあさんとおねえちゃんは?」

 

セルヴァムの一人である少女が、シャンパの手を揺する。

 

「リベンジしに行ったぜ。さて、俺達も動かねえとな」

 

「報告にあったソクバとアレクシス・ケリヴを探しませんとね。ヒットさんの行方も分からないのですから」

 

ヴァドスは杖を覗く。前回は邪魔されて捜索が難しかった。しかし、今回は邪魔される事を逆手に取る。それで、二人の居場所が解る筈だ。

 

──────────────────────

 

二人が到着した頃には、その場は戦場と化していた。キャノンアーチンとマガヌエは戦いを繰り広げており、どちらも一歩譲らない。キャノンアーチンが無数の砲口から砲撃を放つ。マガヌエは『ボルテックウィング』を放って砲弾を撃ち落としていく。

 

『ギャシャアァァオォォォッ!!!』

 

そして、シンゴとボタモ、マゲッタはその様子を見ているだけだった。

 

「シンゴか。それに、二人も。奴等はなんだ?」

 

「アースか。彼奴等は突然争い始めたんだ。生き物のごちゃ混ぜみたいな怪獣は、あの砲台ウニを見るなり殺しに掛かったんだ」

 

「・・・マガヌエ。貴方はまた私の前に・・・」

 

フィリウスは、パワーアップしたマガヌエを見ていた。キャノンアーチンによって身体を撃ち抜かれても再生している。恐らく、再生能力のある生物を取り込んだのだろう。

 

「・・・やられるなんて認めません。マガヌエを倒すのは、私ですから!」

 

フィリウスは前に出る。マガヌエは突然の乱入者を見て、更に驚愕した。何故なら乱入者は、自分が倒し損ねた相手だったからだ。

 

「弱いですよ。こいつはただ砲撃してるだけです

。なら、二人で同時に仕掛けますよ。新しい技を会得したので」

 

フィリウスはマガヌエと並ぶように立つ。そして、キャノンアーチンは全身の砲口を二体に向ける。無論、マガヌエとフィリウスの事である。

 

フィリウスは背中の背鰭を一つ取る。その瞬間、切り取られた背鰭の部分から青白い電光が、稲妻を走らせながら放たれたのだ。フィリウスが背鰭を横に向けると、電光が鞭のようにうねる。

 

「青き蛇よ。唸れ!」

 

フィリウスは背鰭を大地に叩きつけた。キャノンアーチンは横に避けて鞭状の電光を避けた。しかし、これで終わりでは無かった。

 

突如大地が割れて、その隙間から青白き光の柱が飛び出した。大空へ伸びる光の壁が、キャノンアーチンの身体を貫通した。しかも光の壁は、大地に出来た亀裂全てから飛び出したのである。街で放っていたら大被害確定である。

 

キャノンアーチンの砲台が次々と切り落とされていくが、マガヌエは隙を見逃さない。ライオンの口から『ビーストファイ』を放ち、キャノンアーチンに直撃させる。炎が直撃し、キャノンアーチンは跡形もなく爆発して吹き飛ばされてしまうのだった。

 

爆発した後に残っていたのは、その場に立つフィリウスとマガヌエ。そして大地に降り注ぐ無数の砲塔だった。

 

フィリウスとマガヌエは、互いに向かい合って頷いた。互いに、決着を着ける時だ。二人は言葉を交わす事なく走り出し、そしてお互いの拳をぶつけ合う。

 

フィリウスとマガヌエの拳がぶつかり合い、周囲の大地が盛り上がる。その様子をアースとシンゴ、ボタモとマゲッタが見つめるのだった。

 

──────────────────────

 

一方、森林惑星にある森林伐採を目的とした者達の拠点は、人型の巨大なカラスの怪獣によって潰されていた。所々には怪獣の物と思われる羽根が落ちており、更に羽根は怪獣の姿へと変貌していった。見た目は変わらないが、違うのは影が無い事だろう。

 

その怪獣の名は、『幻術怪獣ネクロウ』。ソクバとアレクシスによって作られた怪獣であり、多数の霊を吸収し今の姿となった。この森林惑星は、かつては戦乱が絶えず、兵士達は次々と倒れ、民間人も巻き込まれた。この星から文明は消え去り、何時しか森林に包まれた緑豊かな星に変わった。

 

しかし、そんな星にも霊は宿る。あの世に行けずにさ迷い歩く霊達が。

 

そんな霊達を吸収した小型鳥類怪獣がネクロウだ。

 

ネクロウは、この森林惑星を、死んでいった死者の眠る星を護る為、ソクバによって生み出された。

 

『ガラアアアアアアアアアッ!!』

 

勝利の雄叫びを上げるネクロウ。しかし、その一方で足元に居る動物達には手出ししていない。攻撃するのは、この自然を汚す人間だけだ。伐採だろうと、ポイ捨てだろうと、この星に居る限りネクロウには分かってしまう。森林惑星に居る全ての霊達を吸収した為、この惑星で起きる事は全て分かってしまう。

 

そして、ネクロウは新たな脅威を察知する。上空より現れたのは、二足歩行のシマウマみたいな怪獣であった。それは、以前惑星サダラで何処かへ逃げたシザーゼブテラであった。彼を作ったフロストの命令により、この森林惑星を滅ぼしに来た。恐らく、シザーゼブテラが暴れた後に自分で倒して、再び栄光を勝ち取ろうとしているのだろう。

 

しかし、ネクロウはそんな事を許さない。

 

『キュルヒヒィイイイイイイイイイインッ!!』

 

シザーゼブテラは口から大音量の鳴き声『ハウリングノヴァ』を放った。しかし、ネクロウには何一つ通らない。ただ鳴いただけの言葉なんぞに屈する程、ネクロウは弱くない。こんなの、死者の嘆きに比べれば可愛い方だ。ネクロウは、体格差でシザーゼブテラを見下ろした。その差は約165m。最早絶望的である。

 

『・・・ガラアッ?』

 

ネクロウは、自分の足を蹴るシザーゼブテラを呆れた目で見ていた。

 

すると、ネクロウの分身がシザーゼブテラの頭をツンツンとつついた。更に分身が現れた。先程ネクロウが手裏剣として飛ばした羽根から、徐々に増えていったのだ。

 

ネクロウはシザーゼブテラの相手に飽きた。そして、自らの羽根を手裏剣のように飛ばして、シザーゼブテラの身体を撃ち抜いた。頭や身体、四肢を撃ち抜かれたシザーゼブテラは、そのまま背中から倒れていき、そのまま死亡した。

 

『ガラアアアアアアアアアッ!!』

 

勝利の咆哮を上げたネクロウは、分身体達と共に森林惑星を駆け巡った。

 

この日から、環境保護団体や自然を愛する人以外の人間達は誰一人として居なくなり、ネクロウは森林惑星を護る守護神として、他の星から来た環境保護団体から信仰される事になった。



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電光超人、現る。

お待たせしました。漸く此処で、あのヒーローを出せました。


とある異空間に来たソクバとアレクシスは、第6宇宙の様子を見ていた。自分達の作った怪獣達が、思っていた以上に進撃しているのだ。どうやって見ているのか?それは、空間に多く展開されている画面に第6宇宙の星々の様子が映っているからだ。

 

サイヤ人達やアース達も動いて、破壊神も仕事しているが、処理が追い付いていない。これなら何時か、彼等を超えられる怪獣を作れるかもしれない。

 

そう思ったソクバは喜びのあまり、腕を縦に振る。何度も縦に振った。

 

「わぉ~、此れなら破壊神打倒も夢じゃないかも~!」

 

『良かったね~ソクバ君。君に出会ったその時から、こうなる予感はしていたんだ』

 

アレクシスはソクバを褒める。アレクシスの本心から来る言葉である為、ソクバは更に喜んだ。

 

『所で、あの殺し屋はどうしたんだい?』

 

「他の星に放したよ。もう私達は身バレしたから、拘束し続けても殺して口封じしても意味無いからね」

 

フィリウスに話した時点で、既に身バレする事が分かっていたソクバ。何故そうしたのか?それは、自分の事を分かって貰う為であった。

 

怪獣が襲っているのは、苛めっ子や環境破壊を行う者、無能な癖に人を役立たず呼ばわりする者、ぶりっ子、虐待を行う者等々、計り知れない程に殺し続けている。しかも、その為に犠牲がどれだけ出ようとも、彼等は反省しないし後悔もしない。

 

何故ならソクバは、覚悟を決めたからだ。例え屍の山を築く事になろうとも、彼等を踏み台にしようとも、諦めない。進み続けると誓ったからだ。アレクシスと出会い、第6宇宙を変える。

 

無論、自分達以外に怪獣を生み出す奴は殺す。大義の無い連中に、怪獣を作る資格等無い。

 

故に、フィリウスに説明すれば協力してもらえると思った。彼女が他の奴等と比べて話が通じる事は調べて解った。しかし、拒絶された事で、口封じの為にマガヌエを送り込むが、結局は失敗。マガヌエをパワーアップして再び送り込ませたが、今はフィリウスと戦っている。

 

戦っている所を見ると、マガヌエとフィリウス、どちらも応援してしまう。もう殺す事はどうでも良くなった。

 

だから、他の星の様子を見ていた。自分達の作った怪獣が、屑共を殺して回っている。最早満足である。

 

しかし此処で、アレクシスはある者を見つけた。その瞬間、アレクシスは驚きの声を上げた。それは、地球の学園に現れた頭部にU型磁石の角が生え、西洋風の鎧を模した体を持つ怪獣と戦う、赤と銀のロボットのような戦士であった。

 

『ッ!!!』

 

「どうしたの?アレクシス」

 

『ソクバ君悪いお知らせだよ。私にとって因縁のある相手が現れたみたいだ』

 

「アレクシスに?」

 

アレクシスはその画面を見つめる。そして、その名を呼んだ。

 

『久しいねぇ、グリッドマン。『超磁力怪獣グランマグネ』に勝てるかな?』

 

「捨てられた玩具達の怨念、受け止められるかなぁ~」

 

すると、二人の目に新たな怪獣の姿が現れた。それは、グリッドマン達が戦っている場所の反対に位置する大陸にある都市で見つけた。それは、無数の画面に目玉が浮き出ており、人々の乗る車や携帯を集めて分け身を生み出し、人々を虐殺していく。更に、人々を洗脳させて殺し合いも始めさせた。

 

「また!?もういい加減にしてよ!!ホントに誰なの!?」

 

『困った奴等だ。こうなったら、いっその事大胆になるのはどうだい?』

 

「・・・よし、こうなったら如何なる犠牲も問わないよ。でっかい怪獣を作ってやるんだから!グランマグネ!グリッドマンって奴等を倒してすぐに画面上に映る奴を倒して!」

 

ソクバはそう言った後、空間に用意された縦三十メートル横五十メートルの紙の上に乗る。そして、地球で購入した巨大な筆をその手に持つと、そのまま自分の思い描く最強の怪獣を描き始めた。

 

──────────────────────

 

『ビッガアアアアンッ・・・』

 

『大きいな。しかし、此処で貴様を止める!』

 

グリッドマンは、グランマグネの周囲を飛ぶ、50メートルものグリッドマンが蟻に見える程の大きさであるグランマグネの大きさは606メートル。どう見ても圧倒的だ。しかし、グリッドマンもその事は理解している。だからと言って、怪獣を放置する訳には行かない。

 

グランマグネは周囲に磁力の結界『マグネティックフィールド』を生み出し、グリッドマンを引き寄せた。

 

『ぐうっ!?』

 

グリッドマンは抗おうにも、強力な磁力によって動きを封じられる。そして、グランマグネの身体に引っ付いてしまう。そのまま、周囲の金属性の物質全てを引き寄せて、グリッドマンの身体が押し潰される。

 

そして、グランマグネは自身の身体から、金属や磁力を持つものをグリッドマンごと吹き飛ばした。コンクリートの地面に叩き付けられたグリッドマンは、更に襲い来る金属の雨に全身を打たれる。

 

『ぐあっ!!』

 

グリッドマンは全身から来る激痛に苦しむが、急いで立ち上がり、バック転を行う。グランマグネの『メタルウェポン』によって生み出された剣が、先程までグリッドマンが倒れていた場所に突き刺さった。グランマグネが腕を変化させて生み出したのだ。

 

グリッドマンは更にバック転を繰り返して、グランマグネから距離を取る。そして、必殺光線の構えに入る。

 

『グリッドォォォ・・・ビィィィィィィムッ!!』

 

両腕を交差させて、左手の甲をグランマグネに向ける。そして、左手に装着したプライマルアクセプターから金色のビームを放つ。グランマグネの身体に直撃するが、表面が焦げていくだけで大したダメージにはならない。

 

『通じないか!』

 

グランマグネは肩の棘から電気球体を生み出すと、そのままグリッドマンに向けて放つ。グリッドマンは身体を傾けて球体を避ける。球体は地面に当たると、電撃を放出して消える。四つ一気に放たれるが、グリッドマンは避ける。四つ一気に放った為、巨大なドーム状の電撃が発生した。

 

グリッドマンの額にある緑の光が点滅する。現界出来る時間が少なくなってきたのだ。

 

『ならば、こっちも火力で対抗するしかないだろ!アクセスコード、バスターボラー!!』

 

荒々しい少女の声がした瞬間、グリッドマンの側に二対のドリルを備えた大型戦車が現れた。

 

『ボラー!感謝する!』

 

『とっとと合体するぞ、グリッドマン!』

 

そして、グリッドマンとボラーは合体を開始する。パラレルチェンジャーズの一員でもある彼等は、修行をした。その火力も以前より増した。

 

そして、グリッドマンはバスターボラーと合体した。バスターボラーの本体部分が胴体の追加装甲となり、頭部にヘッドパーツが装着。キャタピラはガドリング砲とミサイル搭載型の重火器となる。ツインドリルは両肩に搭載される。

 

グリッドマンの火力特化形態。武装合体超人『バスターグリッドマン』。

 

そして、ミサイル搭載の砲台から無数のミサイルを撃ち放つ。

 

『バスターグリッドミサイル!!』

 

無数のミサイルがグランマグネの全身に命中していく。グランマグネはミサイルの雨に身体を捻らせながらも、巨大な鉄の塊を二つ地面から出現させて、バスターグリッドマンを挟もうとする。グリッドマンは上に跳んで避ける。

 

『ビッガアアアアンッ!』

 

グランマグネは腕を銃に変えて、弾を撃ち出した。弾はグリッドマンに直撃するが、グリッドマンは倒れない。

 

『お前の力は大方理解した!もう私には効かない!』

 

すると、グリッドマンに向かって多数の金属が取り付いていく。先程、グリッドマンがグランマグネに触れてしまった事によって、グリッドマン自身に『磁力化』の作用が働き、磁石の特性を持ってしまったのだ。しかし、グリッドマンには何の苦にもならない。

 

『無駄だ!これで、終わりだ!!』

 

バスターグリッドマンに搭載されたバスターグリッドミサイルとガドリング砲を乱射する。無数のミサイルとガドリング弾による超火力によって、グランマグネの身体が次々と崩壊していく。しかし、身体はすぐに再生していく。実はグランマグネの本体は頭部である為、身体をいくら破壊されようと意味は無い。無限に再生し続けるのだ。グランマグネはグリッドマンの乱射を受け続けながら、彼等を握り潰そうとした。『メガビッグインパクト』。自身の腕を巨大なロケットパンチに変えて、グリッドマンに向けて発射した。しかし、グリッドマンに後少しで当たりそうになった瞬間、グランマグネやバスターグリッドマンにとって、想定外の出来事が起きる。

 

バスターグリッドミサイルの一つが、偶然にも首筋に直撃したのだ。首筋には目玉のようなものがあり、其処へ攻撃が当たってしまったのだ。

 

その瞬間、グランマグネの動きが止まる。それと同時に、ロケットパンチの出力も止まり、グリッドマンに当たる前に地面に落ちた。グランマグネはそのまま動かなくなる。

 

『今だ!』

 

『食らいな!!』

 

バスターグリッドマンの両肩に搭載したドリルが変形し、パラボラアンテナ状になる。強力なビームを放つ為のバスターモードである。そして、アンテナ状のキャノン砲にエネルギーが溜まる。

 

『ツインバスタァァァ・・・』

 

『グリッドォォォォ・・・』

 

『『ビィィィーーーーーーームッ!!!!!』』

 

バスターモードとなったツインドリルから、巨大なビームを発射した。狙いは頭部。一気に集中攻撃を叩き込まれ、頭部が熱された鉄のような色に変わっていく。

 

そして、頭部はビームによって貫かれて、熱による巨大な風穴が出来てしまった。

 

『ビッガアアア・・・・・・ンッ・・・・』

 

そして、グランマグネの頭部は爆発四散して、身体は元の無数の金属に戻り、校舎のグラウンドへ崩れ落ちていった。

 

『はぁー!なんとか倒したなー!』

 

『いや、まだ残っている。この星に、また新たな怪獣が送られたようだ』

 

『はぁっ!?勘弁してくれよ~!』

 

『我々の活動時間も残り少ない。それに、スペースがこの星へ降り立ったようだ。後は彼に任せよう』

 

こうして、グリッドマン達はその場から消えて、時の巣へ帰っていく。彼等がアレクシスやカーンデジファーと再会するのは、きっと近い。



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破壊少女、本当に決着をつける

スペースは星へやって来た後、都市上空で浮いた。先ず最初に行ったのは、大量の結晶体を生み出す事だった。結晶体を破壊されたら、スペースの戦闘力は落ちてしまう。だから、空中に仕掛ける事で少しでも破壊される危険を減らす。飛べる相手や遠距離攻撃も行える相手には悪手だが、近距離な上に飛べない相手には有効だ。

 

スペースは口から『コロナビーム』を放つ。都市にあるテレビに映る目は、テレビと共にコロナビームに直撃し蒸発した。

 

更に地上には、『人工怪獣アイ』の分身と思われる個体が現れる。その姿は人型だが、顔が無い。人々を虐殺して回っている。携帯や電話、電球等を組み合わせて出来た身体は、人を抑えて両手で首を絞めている。

 

スペースは飛行形態のまま、全身からリング状の電磁波を放つ。その瞬間、都市の機能は全て停止した。テレビに映る目が消える前に、赤く充血していた。何らかのダメージを負ったのだろうか。

 

そして、アイの分身体の中でも一際大きい分身体、通称『ヌシ』が現れる。彼等は主に兵器を使って構成されており、その強さは普通の分身体よりも上だ。しかし、それはあくまで人の手で倒せるかどうかの問題。

 

スペースは結晶体を生み出し、結晶体同士を反射させる。『結晶乱反射』によって結晶体同士を反射させて、そしてミサイルのように放つ。ヌシ達はミサイルのように放たれた結晶体に貫かれて、大爆発を起こす。

 

「ふん。さほど大した奴では無いな。む?」

 

スペースは何かに気付き、結晶体を動かす。すると、人々が光を失った瞳でスペースを見つめたまま、手にした銃で結晶体を狙い撃ちしたが、弾は外れる。スペースは、この怪獣は生物を洗脳する力がある事を見抜き、再び電磁波のリングを発生させて、今度は街の電力を破壊する。人々の今後が気になるだろうが、お構い無しだ。

 

そもそもスペースに、そんな心配をする気は無い。人的被害等、スペースにも彼を雇った依頼人にもどうでも良い事であった。

 

「ふむ。しかし、本体が何処に居るのか分からない以上、闇雲に攻撃しても意味は無さそうだな。我はさっさと終わらせて、眠りたいのだが。む?」

 

スペースは空から何かが迫ってくる事に気付き、横に移動して避ける。それは避けたスペースの横を通り、街に落ちた瞬間、巨大な雷撃を発生させて周囲を破壊した。人々も、街も、雷撃によって塵一つ残さず消えてしまう。スペースは腕を組んで、その様子を見ていた。

 

「・・・ふむ。我に敵対しに来たのか?何者だ?」

 

そして、その正体が煙の中から現れた。それは、フィリウスをカーンデジファー達の元へ連れ去った『狼妖怪獣牙狼鬼』であった。しかも、額に黒い核が付いている。

 

牙狼鬼について、スペースが知っている事は何もない。しかし、スペースは理解していた。目の前に現れた怪獣は、何者かに寄生されているという事を。

 

「・・・何があったかは訊かぬ。しかし、我を倒そうものなら、容赦はせぬぞ?」

 

大量の結晶体を生み出し、沢山地面に突き刺したスペース。今度は数の暴力だ。大陸だけでなく、海や星の反対側にまで多数の結晶体を差し込んだ。

 

「手を貸そうか?スペース」

 

「・・・シンゴか。遂に第7形態を我が物にしたか」

 

スペースの横には、首から下が星空のようなデザインとなったシンゴの姿があった。その周りには、彼の子供達と思われる多数のシンゴ似の少年少女達が居る。

 

彼等はシンゴの第5形態時の体から分裂するように生まれた子供達だ。しかも一人一人がシンゴと同格の力と進化能力を持つという、正に強力な存在だ。シンゴとしては、アースの子供達であるセルヴァム達と競わせたい所だ。

 

「パパー。あれ強そう!」

 

「パパー、殺して良い?」

 

子供達───この小説ではシンキッズと呼ぼう──が牙狼鬼を見てそう言った。

 

「駄目だ。俺が奴等を殺す。お前達は、其処で見ていてくれ」

 

『えええー』

 

「まあ、後でセルヴァム達と遊ばせてやる。それまで待ってろ」

 

『はーい!!』

 

子供達は翼をはためかせて地上に降り立つと、そのまま地上で遊び始める。

 

「シンゴ。共に戦うか?我はあの狼を相手しよう。どうもあの機械に乗り移る奴と我は、どうも相性が悪いようだ」

 

「良いだろう。フィリウスとキメラもどきの戦いの間を抜けてきた甲斐がある。暇になって抜け出したのは、正解だったな」

 

「見守らなかったのか?」

 

「決着が着きそうだったからな。どちらが勝つかはもう分かった」

 

シンゴは先程まで、フィリウスとマガヌエの試合を見ていたが、どちらが勝つのか解った為、スペースの元へやって援護しに来たのだ。

 

「知ってるのか?どっちが勝つんだ?」

 

「ああっ、勝ったのは────」

 

──────────────────────

 

フィリウスとマガヌエの戦いは、お互いボロボロになっており、双方限界に近い。即ち、マガヌエは後一回攻撃を行えば活動不能になり、フィリウスは熱線一つ放てばもう眠ってしまう。事実上、二人がこれ以上何かの攻撃を行えば、活動不能になる。死ぬ事は無くとも、眠らなくてはならない。だからこそ、これから決める一撃に、力の全てを込める。

 

「マガヌエ・・・さん!この一撃に全てを込めます!だから、お前も!!全力で!!来い!!」

 

『ギャシャアァァオォォォォォォォッ!!!』

 

マガヌエは咆哮を上げて、身体全体から気の波動を放出した。その瞬間、マガヌエの周囲に落雷が発生し、側にあった岩石や木々は全て量子分解された。フィリウスもまた、その背鰭に赤い雷を走らせる。その瞬間、大地が大きく割れて、地割れから赤い光の柱が出現する。

 

「お母様直伝の・・・全ての理を破壊する、破壊の王の鉄槌!受けてみよ!!!」

 

『ギャシャアァァオォォォォォォォッ!!!』

 

フィリウスは全身に背鰭のような突起を生やし、全身に赤い雷電を走らせる。そして、口を大きく開けて口内に破壊の力を溜める。

 

マガヌエもまた、全身から溢れ出す気を顔の前に集中して細長いレーザー状に放ち、凝縮する。

 

そして、お互いの最強奥義を放つ。

 

『ギャシャアァァァァァァァァァァァオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!』

 

「滅せよ!!エンドレスゥゥゥ・ゥゥゥ・・バスタアアアアァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

マガヌエの全ての気を解き放つ、最大攻撃技『キマイラルバスター』。そして、フィリウスは親直伝の破壊の技『エンドレスバスター』を放つ。

 

お互いの技がぶつかり合い、周囲に破壊の力が拡散。破壊の力の波動が拡散し、周囲の大地は素粒子もろとも消えていく。このままでは、二人の技のぶつかり合いで宇宙が砕け──

 

「『エレキネシスフィールド』」

 

アースは背鰭からリング状に放電し、二人を百メートル丸ごと囲んだ。そして、ドーム状の電磁バリアーが張られ、二人の技の波動が外に漏れる事は無くなった。

 

マガヌエは更にエネルギーを放つが、フィリウスも負けじと口からエンドレスバスターを放つ。そして、フィリウスは全身を更に発光させて、エンドレスバスターを更に太くさせる。その瞬間、エンドレスバスターがキマイラルバスターを押し返していく。段々と力は強くなり、遂にマガヌエは追い込まれた。

 

そして、キマイラルバスターは破られ、マガヌエの額にエンドレスバスターが直撃する。

 

『ギャシャアァァァァァァァァァァァァオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!』

 

断末魔の叫びが響き渡り、マガヌエの身体は破壊のエネルギーに飲み込まれて、やがて素粒子や魂一つ残さず消滅した。エンドレスバスターはバリアーに直撃しても尚放たれ続けており、収まるまでかなりの時間が掛かるのだった。

 

そして、エンドレスバスターを撃ち終わったフィリウスは、元の姿に戻り、その場で横向きに倒れた。目は虚ろになっており、全身が痙攣している。

 

バリアーを解いたアースはフィリウスの元へ寄ると、彼女を抱き上げた。お姫様抱っこは分かるだろうか。それでフィリウスを抱き上げた。

 

「さて、余はシャンパの元へ戻る。お前達も、道中気を付けてな」

 

「あ、ああっ・・・お前らもな」

 

「シュポポー」

 

ボタモとマゲッタは手を振りながら、ワームホールへ入っていくアースとフィリウスの様子を見つめるのだった。

 

──────────────────────

 

「ハァ・・・ハァ・・・で、出来たぁぁ!!」

 

異空間にて、ソクバは巨大な紙に怪獣の絵を描いた。全身汗だくで、身体や衣服は様々な色のペンキで濡れていた。床には、ペットボトルの空やジャンクフードの箱や空の弁当箱が大量に落ちている。この様子から、とても長い間、怪獣の絵を描く事に集中していたのだろう。

 

巨大な紙に描かれていた怪獣は、超超巨大な二足歩行のトカゲが描かれていた。身体には海や山、更には小さな生き物の姿もあり、それがどれだけデカイのかを物語るには充分過ぎたのだった。

 

『わーお!?素晴らしいじゃないか!?今までで最高のデカさだよ!!破壊神もビックリの大きさじゃないか!!』

 

「でしょぅ?ハァ・・・ハァ・・・じゃあ、取り敢えずあの狼怪獣の居る星を素材にして、お願いねぇ!!ハァ・・・ハァ・・・!」

 

『了解!!さあ行くよぉ!!インスタンス・アブリアクション!!』

 

アレクシスは巨大な紙、並びにある惑星を見つめたまま、ゴーグルから赤い光を放つ。

 

さあ、来たれ。惑星怪獣、降臨の時だ。




終盤に近付いてきました。最後どうしよう・・・第6宇宙編が此処まで盛り上がるとは!!


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惑星怪獣、現れる

スペースとシンゴは、牙狼鬼と交戦を続けていた。牙狼鬼は走って、スペースとシンゴを翻弄していた。巨大な体格にも関わらず、その速さは圧倒的だ。

 

「デカイ図体して逃げ回りやがって!」

 

シンゴは尻尾から放射熱線を放つ。スペースもコロナビームを口から放つ。しかし、牙狼鬼は身体をくねらせて空中回転を行い、二つの熱線を回避する。熱線は牙狼鬼に当たらず、上空に向かって飛んでいった。

 

牙狼鬼は腕に生えた刃を、縦に振り下ろす。巨大な斬撃が二人を襲うが、シンゴとスペースは横へ回避した。牙狼鬼の技の一つ『銀狼』である。再び牙狼鬼は『銀狼』を放つ。今度は脚に生えた刃から斬撃を放つ。すると、避け損なったシンゴの尻尾が、縦に切り落とされた。

 

「うおっ!?」

 

シンゴは驚くが、牙狼鬼は掌から炎の狼を放つ。スペースはコロナビームを口から放ち、炎の狼に当てて爆発させて相殺する。

 

スペースは結晶体を牙狼鬼の脚に突き刺すが、牙狼鬼は刺された事もお構い無く走り出す。

 

そもそも体格が違う者同士なら、戦いにはならない筈である。にも関わらずシンゴとスペースは体格差のある相手を圧倒出来るのは、二人の前世が強力な怪獣である事が主な理由だ。不幸で死んだ事を理由に力を与えられたただの一般市民の転生者とは違い、元が強力な怪獣だったから転生して尚強い上に強くなれるのだ。

 

「面白い。名を何と言う?」

 

スペースが牙狼鬼に話しかける。

 

『牙狼鬼・・・いや、俺様はこいつの身体を借りてるだけだけどな。こいつの声帯や脳を使って話し掛けてんだぜ。俺様はパラサイドラン。ソクバ様とアレクシス様によって作られた寄生怪獣さ』

 

「ほう。で?お前が寄生してる奴は誰なんだ?」

 

『カーンデジファーとフロストによって作られた狼男の怪獣なんだけどな。俺様が寄生して乗っ取ってやったぞ。さて、自己紹介終えたし、もう良いか?なら、俺様も終わらせてやるぜ!!』

 

牙狼鬼───もとい寄生したパラサイドランが両手を上下にして、狼の口を模した組み方になる。

 

「スペース。俺の考えてる事が解るか?」

 

「無論。任せるぞ」

 

スペースはその場から居なくなると、シンゴは口から紫色の細長い放射熱線を放つ。いや、熱線だけではなく、冷凍光線や電撃光線までも、口や全身から放った。

 

パラサイドランはそれを避ける。そして今度は、パラサイドランがシンゴに向かって両手を狼の口のように勢いよく開く。その瞬間、両手から巨大な金の狼のエネルギー波が放たれた。これこそが、牙狼鬼の持つ技の中でも最強の一撃を持つ『王狼牙』であった。

 

『これでくたばるが良い!!』

 

「『ビッグバンバースト』!」

 

シンゴは体内の宇宙で発動させたビッグバンを、口から放つ。体内に宇宙を持ち、その上あらゆる物質や元素を合成して作り出し、自分のものにする。宇宙を誕生させたビッグバンすらも、体内で発生させて口から放出する事が出来る。しかし、シンゴ自身も知らなかった。自分が後一つ、進化を残している事を。

 

そして当然、たかが狼の怪獣や寄生怪獣ごときが抗える威力ではなく、シンゴの放つビッグバンによって奥義もろとも巻き込まれ、そのまま元素一つ残さず消滅してしまった。

 

ビッグバンバーストは、本当の意味で、少なくとも一兆度はあり、その温度に耐えられる生命は存在しない。

 

本当なら宇宙全体が巻き込まれる威力なのだが、シンゴはレーザー状にして更に一転集中で放った為、周囲に影響が出なくて済んだ。

 

そして、シンゴがビッグバンバーストを撃ち終わった瞬間、スペースが戻ってきた。それと同時に、巨大な地震が発生し、二人の身体も揺らされる。シンゴもスペースも、地震が発生しても動じる事は無かった。

 

「シンゴ。緊急事態だ。この星を離れるぞ」

 

「なんだと?」

 

「この星が、()()()()()()()()()()()()()

 

「形を変える?なんだ?この星があのフロストのような変身能力があるとでも?」

 

「分からん。しかし、離れた方が良さそうだ」

 

スペースは飛行形態に、シンゴは宙に浮いた。シンキッズ達も背中から翼を生やして、シンゴの後を追う。翼ははためいておらず、赤く染まった瞬間に彼等は空を飛んだのだ。

 

そして、彼等は大気圏を超えて宇宙に到達した。宇宙空間でも生きていられる彼等は、自分達が先程まで居た惑星を見た瞬間、言葉を失った。

 

それは、最早星では無くなっていた。それは一言で言えば、惑星規模の巨大なトカゲの姿であった。身体には海や山がハッキリと存在している。目を凝らすと、砂漠や湖の姿もある。巨大なトカゲの身体を覆うように雲がある。そして、巨大な口が開き、超超巨大怪獣が咆哮を上げた。

 

『ギュルアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

シンゴとスペース、そしてシンキッズ達は耳を塞ぐ。あまりの巨大な咆哮に、流石の彼等も耳を塞ぐしか無かった。

 

──────────────────────

 

その咆哮は、シャンパ達の星にも伝わった。シャンパの星が激しく揺れ始めた。

 

「っるせーぞ!!誰だ!!」

 

「此処まで強い意志や魂の波動は、どうやらソクバとアレクシス・ケリヴが創った怪獣のようですね」

 

ヴァドスも、その咆哮から強い意志を感じる。恐らく、フロストやカーンデジファーに対する怒りの感情だ。

 

「・・・此処は、ハルオより教わったあれをやるしかない」

 

「お母様。まさか、シンゴさんと?」

 

「ああっ、やるしかない。シンゴとの“フュージョン”をな」

 

アースも、今回ばかりは不味いと悟り、ハルオから教わった技を使う事を検討した。カーンデジファーやフロストに使うつもりだったが、出し惜しみしては居られない。

 

「お母様にはあの子が居る筈では?」

 

「ッ!!い、いや、浮気ではない!!それに、この事件が終わったら・・・会いに・・・・・・行くつもりだし、そしたら・・・この身体で・・・

 

アースは、片手を胸に押しつけて形を変える。フィリウスから顔を反らすが、その顔を赤く染めていた。

 

フィリウスはため息を吐く。

 

(お母様ったら、この少年に恋してる事を素直に言えば良いんですが・・・全く・・・)

 

フィリウスはそう思いながら、とある一枚の写真を取り出した。其処に写っていたのは、女の子のような服装にピンクの髪をして、顔を赤くしながら無邪気に笑う少年の手を、顔を赤くしてしかめっ面になりながら握るアースの姿があった。




惑星怪獣の後におねショタ・・・まあ元々アースは男の娘とくっつけるつもりでしたから。それで、このアンケート出します。


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束縛、道化師と融合する

シンゴとスペースは、巨大な怪獣の咆哮を聞き終わった後、子供達を自分の故郷へ帰らせた。不本意ではあるが、子供達では足手まといになると分かっていたからだ。

 

すると、惑星怪獣は身体を丸くし始めた。ハリネズミのように身体を丸くした後、身体を転がしてシンゴとスペースの元へ迫ってくる。

 

シンゴとスペースは勢いよく飛んで、惑星怪獣の突進を避ける。

 

「「うおおおぉぉぉっ!?」」

 

二人は驚くあまり叫ぶ。此処まで巨大な相手をしたことが無い為に、驚く事しか出来ない。

 

しかし、避けた瞬間に二人の身体が何かに引っ張られるように歪む。その引っ張られる先には、丸まった惑星怪獣の姿があった。しかもその先は、火山である。

 

「なんだこれ!?何で俺達火山に引っ張られてんだあああああ!?」

 

「我が知るかぁぁぁっ!!」

 

そして、二人は火山の火口へ突っ込んでしまい、そのまま中の溶岩に飲み込まれた。しかし、溶岩の中へ入ったにも関わらず平然とする二人は、すぐに上がってきた。火口付近で身体に付いた溶岩を払い取り、首を鳴らすスペース。

 

「シンゴ。ビッグバンバーストは放てないのか?」

 

「俺もあんな技をそう何度も放てる訳じゃない。それに、お前だって疲れてるだろ?」

 

「ああっ、本音を言えば身体に付いている結晶だけでは足りん」

 

お互いに弱音を吐いた。しかしその時、二人の元へある者がやって来た。

 

それは、二人の前に出来た渦状のワームホールを潜って現れた。アースとフィリウスの二人であった。二人はシンゴとスペースの元へやって来た。アースがハルオから教わったフュージョンをシンゴに教えて、実行する為に。

 

「アースか!頼もしい援軍だな!」

 

「アース、あの少年はどうした?」

 

「あの子なら、今はヴァドスが保護してくれた。余とフィリウスは、メタモル星人の技を教えにやって来たのだ」

 

「フュージョンという技です。今から教えます」

 

「フュージョン?ああっ、メタモル星人の技か。シンゴ、お前も覚えておけ」

 

「ああっ」

 

そして、フィリウスとアースはフュージョンについて教える。一通りの動作を教えたフィリウスとアースは、それぞれ一人ずつフュージョンのポーズを行って、基本を見せる。

 

そして、アースとシンゴは左右対象になるように並んで立ち、フュージョンのポーズを行う。

 

「「フュー・・・・・・ジョン!」」

 

此処までは順調であった。しかし、シンゴが此処でやらかす。

 

「「ハァッ!」」

 

その瞬間、スペースとフィリウス、そしてアースは、シンゴのミスを見つける。ハァッ!の時、二人の指はピッタリだったが、シンゴの片足が伸びずに曲がっていたのだ。

 

「「「「あっ」」」」

 

その瞬間、アースとシンゴが赤い炎や電撃で構成された竜巻に包まれて、収まった後には一人の中性的な顔立ちに長髪の・・・・ポッチャリおデブなメタモル星人の服装をした人物が現れた。

 

『フハハハハハハハハッ!!!此れでこの星みたいな怪獣を葬り去ってやろうではないか!!』

 

「駄目です。シンゴさん脚を曲げてました」

 

「覚えておけと言っただろう・・・」

 

二人は冷たい目線で、シンゴとアースの合体戦士を睨む。

 

「三十分経たなければ戻れないので、それまでそのままの姿で居てください」

 

『ダニィーーーーーーっ!?』

 

「というか、お前の名は何だ?」

 

スペースの問いに、合体戦士は答えた。

 

『んん~・・・俺の名は・・・うーん・・・』

 

「いえ、此処は私が名付けましょう。シンゴさん、お母様の名前はアース・・・・・・アンゴはどうですか?」

 

『アンゴ・・・アンゴ・・・まあ無難である!』

 

「確かにそれが無難な名前だろう。我もそれで問題無いと思っている」

 

それで、シンゴとアースのフュージョン戦士の名はアンゴに決まった。しかし、三十分経たなければ元の二人に戻れない。しかし、敵はそれを待ってくれる程甘く無い。

 

『失敗するなんて滑稽だねぇ』

 

「もう腹痛いんですけどー!アヒャーハハハ!」

 

少女の笑い声と機械音の声が響き、三人は声のした方向を向いた。其処には、白髪に黄色い肌をしたフードを被る少女と、魔王の風格が似合う格好をした赤いゴーグルを身に付けた大男が居た。

 

「しっかしプラネッドンを生み出したは良いけど、でかすぎちゃったね。でもまあ、プラネッドンは苦労して描いただけあって私の最高傑作だよ。どう?凄かったでしょう?」

 

『へっ!笑わせてくれるぞ!一発で仕留めてやるぜふぉおおっ!?』

 

アンゴが突然、何も無い地面で滑って尻餅を付いた。それを見た少女が更に笑い出す。

 

「ソクバさん・・・気持ちは分かりますが笑いすぎです。アレクシス・ケリヴの教育が成ってませんね」

 

フィリウスは笑いを堪えながらそう言った。

 

『いや~ソクバ君が笑うのも無理無いよねぇ。でもまあ、私達の目的は君達の始末だしね』

 

アレクシスがそう言った後、フィリウスがアレクシスやソクバにある質問をした。

 

「質問良いですか?貴方達はどういう関係ですか?」

 

ソクバが最初に答える。

 

「私はアレクシスと楽しく過ごしたいの。ずっと、ずっと一緒だよ。だって、愛しているんだもん」

 

『私もだよ。でも本音を言うと、初めはソクバ君を上手く利用出来る駒にしか思ってなかったさ。しかし、接していく内にソクバ君の寂しさが分かって来たんだよ。私と永遠を望む為に、不老不死にしてくれるよう頼む程だから』

 

「それから私は、アレクシスと怪獣を作って来たんだよ。どうしようもない屑共を叩き潰し、第6宇宙を救う為にね!」

 

『今の私は、ソクバ君の為に闘うよ!君達を始末して、破壊神も倒して、私達は第6宇宙を救うのさ!さあ、行くよソクバ君!』

 

「やっちゃえアレクシス!!」

 

そして、ソクバとアレクシスが融合する。そして、先程のローブ姿のアレクシスは、筋肉質な巨人の姿に変わる。かつてアレクシスは、一人の少女を絶望に追いやり、その少女の情動を元に巨人のような戦闘形態に姿を変えた。二本の巨大な刃も特徴的だが、身体が筋肉質なのはアレクシスも予想していなかった。

 

『おや、こんなにムキムキになっちゃうとはねぇ。私とソクバ君、相性ピッタリじゃないか~』

 

『うん!あのデブよりマシでしょ~!』

 

『ではソクバ君!彼等を殺したら、次は破壊神とカーンデジファーやフロストだよ!』

 

『うん!』

 

アレクシスが走り出して、刃を振り下ろす。フィリウスは背鰭を一つ取り、電磁ソードを生み出してアレクシスの刃を受け止める。アレクシスは背後からスペースの結晶体が迫ってくる事を察知し、蹴りで結晶体を破壊する。

 

『ギュルアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

再びプラネッドンが身体を元に戻そうとする。三人が闘う様子を、アンゴはただ見つめる事しか出来なかった。



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電光超人、道化師と再会する

アレクシスが更に刃を振り下ろす。フィリウスは電磁ソードで防ぐが、アレクシスは二刀流。フィリウスは一本の刃を電磁ソードで左に弾いた後、右側から振り下ろされた刃を電磁ソードで弾く。

 

かなりの体格差があるにも関わらず、フィリウスのパワーはアレクシスに負けていなかった。しかし、それだけだ。力負けしていないだけで、アレクシスの攻撃速度にギリギリ追い付く事しか出来ない。スペースはコロナビームを放つが、アレクシスに当たる前に周囲へ拡散した。プラネッドンの表面に飛び散ったコロナビームが直撃し、爆発。しかし、プラネッドンには大したダメージにならない。

 

その間も、プラネッドンは二足歩行のトカゲ姿になろうとしている。地上に大きな重さが掛かる。スペースやフィリウス、アンゴは押し潰されそうな重さをその身に受けてしまう。しかし、アレクシスは平然としていた。

 

『おおお~!私達はプラネッドンが動いても影響が無いとは!ソクバ君はやはり素晴らしいよ!アカネ君よりもずっと凄い!』

 

『アカネって人が誰なのか分からないけど、アレクシスが嬉しいなら良かった!私の最高傑作のプラネッドン!これもしかしてホントに宇宙侵略も夢じゃないよ!いや、他の宇宙も行ける!』

 

『良いねぇ~!他の宇宙にも侵略してみようか!』

 

アレクシスとソクバはやる気だった。もしこのまま放っておけば、プラネッドンやアレクシスは侵略を続け、ソクバは新たな怪獣達を生み出して行くだろう。

 

「そうは・・・させません!」

 

フィリウスは背中の背鰭から放電し、リング状に展開して口元へ寄せて凝縮。高加速荷電粒子ビームを放つ。しかし、アレクシスはハエを払うかのように掌で弾いた。高加速荷電粒子ビームはアレクシスに弾かれた後、硝子のようにバラバラになって霧消した。

 

『んん?今のは攻撃かな?』

 

『なら、俺が相手にってとびええええっ!?』

 

アンゴが駆け寄るが、アレクシスに踏みつけられそうになって転んで避ける。そのままアレクシスの蹴りを食らって、形を変えながら転がっていく。

 

『フハハハハハッ!!!このまま殺してあげるよぉぉぉぉぉ!!』

 

『にゃにおうっ!!!』

 

その瞬間、アンゴは後ろへ転がって背中を見せた瞬間、目にも見える程の黄色いガスを尻から放つ。70メートルはあゆアレクシスの顔に届く程の勢いでガスが放たれ、アレクシスは匂いのあまり悶絶してしまう。

 

『うおおっ!?』

 

『オナラァッ!?臭いぃぃぃ・・・』

 

アレクシスは刃を持つ手で鼻を押さえる。アレクシスの中に居るソクバも、匂いに悶絶していた。

 

『へ、へへへ・・・』

 

アンゴは、アレクシスの居る方向とは反対の方向へ向かって、全速力で走る。アレクシスは匂いでイライラしており、アンゴを追う。アンゴが走る速度はなんと、アレクシスより少し速かった。太った体型なのに何故だろうか。

 

しかし、十分程街の中を逃げ回った後、アンゴが転ける。これでは捕まるだろう。しかし、此処で予想外の事が起きた。アレクシスが素通りしたのだ。ビル群のお蔭で視界が狭くなり、アンゴを見失ったのだ。

 

『うーむ。何処へ行ったのかねぇ?』

 

アレクシスは周囲を見回す。すると、崩壊したビルに転んで中々立てないアンゴの姿があった。

 

『やっと見つけたよ。これで終わらせてあげるよ!期待外れだったけど、じゃあね!』

 

アレクシスは掌から紫色の光線を放つ。アンゴを仕留める為に放たれたその光線は、アンゴの目の前に迫ってきた。その瞬間、アンゴがシンゴとアースに分かれる。

 

「シンゴ!今だ!」

 

二人は光線を回避すると、そのまま同時に熱線を放つ。熱線はアレクシスの頭に直撃し、爆発。そして、アースが生み出したワームホールの中に入る二人は、そのままフィリウスとスペースの元へ戻ってきた。

 

「お母様!」

 

「ふっ。ヒヤヒヤさせるな」

 

「くそっ!てんで弱いぞ!どうなっているんだ!」

 

「貴様が脚を伸ばさんからだシンゴ!脚を伸ばすよう教えた筈だ!もう一度やるぞ!」

 

アースが注意すると、シンゴは顔を赤くして言葉を詰まらせる。そして、再びフュージョンを行おうとした。

 

しかし、此処で邪魔が入る。プラネッドンが身体を揺さぶらせて、フュージョンポーズを取ろうとした二人を揺らした。

 

「くそっ!この怪獣、俺達にフュージョンさせない気か!」

 

「厄介な!奴も迫ってきているというのに!」

 

スペースの言う通り、アレクシスは彼等を見つけて迫ってきていた。

 

『させないよ!フュージョンなんてさせるわけないじゃないか!』

 

『アレクシス!プラネッドン!彼奴等をやっつけて!』

 

ソクバもアレクシスの中で、アレクシスやプラネッドンを応援していた。融合している間は何も出来ないが、自分がアレクシスの力になれている事を、心の底から喜ばずには居られなかった。

 

「こうなったら!」

 

フィリウスが熱線を放とうと背鰭に電力を溜めた、その時だった。

 

アレクシスの頬に、何者かの蹴りが入る。

 

四人は顔を見上げると、其処には赤と白の巨大な人型ロボットのような存在が、アレクシスの頬を蹴っていた。グリッドマンである。

 

『君達!此処は私達に任せてくれ!君達はフュージョンを!』

 

「お前は?」

 

「質問は後だ!移動するぞ!」

 

シンゴの疑問を他所に、アースはワームホールを展開して三人と共にくぐる。そして、その場にはグリッドマンとアレクシス、そして、グリッドマンの背後に三機の乗り物や一本の剣が現れる。バスターボラーを筆頭に、二門の砲塔を備えた自走砲『バトルトラクトマックス』ことマックス、青い戦闘機『スカイヴィッター』ことヴィット、黄金と黒のカラーリングが施された大剣『グリッドマンキャリバー』ことサムライ・キャリバー。

 

『随分ご無沙汰じゃないか~グリッドマン。お仲間も一緒みたいだねぇ』

 

『アレクシス・ケリヴ!まさかカーンデジファーの他にも、貴様がこの世界に来ていたとはな』

 

『その言葉、そっくりそのままお返しするよ。しかし私達は、君達を倒して、楽園を築くのさ。ソクバ君の為にね』

 

すると、ボラーがアレクシスに質問をした。

 

『利用してるんじゃないのか?』

 

『それは違うよ』

 

答えたのはソクバだった。

 

『私とアレクシスは、怪獣達と一緒に世界を変えると決めたの。誰にも邪魔はさせない!グリッドマンだっけ?貴男達も邪魔するなら、全力で倒す!行こう!プラネッドン!アレクシス!』

 

『ギュルアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

『プラネッドンもやる気みたいだねぇ!さあ、私達を止めてみなよグリッドマン!フハハハハハッ!!』

 

アレクシスは駆け出す。

 

『此処で止める!アレクシス・ケリヴ!ソクバ!』

 

お互いの拳がぶつかり合う。グリッドマンは時間を稼ぐつもりはない。初めから、アレクシスとソクバを止める為に闘う。これ以上、この二人に悲しい生き方をさせない為に。



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怪獣王、誕生する

第7宇宙に存在する地球。その一地方に存在する都。其処にあるファミリーレストランに、二人の客が来店していた。

 

一人は、貴族の令嬢を思わせる金髪ツインテールの、フリルやレースのついた袖付きワンピースを着て、頭に帽子を被った少女である。二本の角を生やし、腰から三本もの鱗付きの尻尾を生やしている事を除けば、至って普通の少女に見える。

 

もう一人は、白銀の三つ編みをしている青いメイド服を着た少女で、金髪の少女よりも30㎝身長が高い。雪のように白い肌をして、光を少し反射している。瞳は輝く緋色、身体はメイド服越しでも分かる程にスタイルが良い。胸はDサイズ、お腹も引き締まっており、金髪の少女にも負けない美しさがあった。しかし両手を良く見ると、機械的なデザインとなっている。また、頬には角付きの線が幾つも付いていた。

 

「うんまぁぁ~~~い!美味いのじゃあ!ハルオ!」

 

『はしたないですよ。ギドラ様』

 

ギドラとハルオである。二人はファミリーレストランに来ていた。そのレストランでは、時間内に食べる事が出来れば無料というサービスを行っていた。地球に来てホエルドラドンから取った大量の黄金を売って資金に変えたハルオ達が、こうしてグルメ旅に出ているのだ。因みにこのファミリーレストランが、今まで行った食べ物屋の中でも百件目である。それでもハルオの持つ資金は、まだ底を付いてない。寧ろ後千件も食べ物屋へ行っても、百万ゼニー程余る。

 

ギドラが行っている食べ物は、皿からはみ出る程の巨大ステーキであった。ギドラの腕よりも太くて厚いステーキが、ギドラの目の前にあった。しかし、そのステーキはギドラの右手に持つナイフで半分こにされた後、フォークで半分丸ごと持ち上げられ、ギドラが一気に頬張った。ギドラが噛む度に肉汁が溢れ出てきて、美味さを高めていく。そして、飲み込んだギドラは満面の笑みを浮かべる。

 

「うまぁい!最高なのじゃあーー!!」

 

ギドラはもう半分のステーキをフォークで刺して、そのまま口に頬張る。食べ始めから十秒で完食したのだ。

 

『おめでとうございます。これで百皿目ですね』

 

ハルオも、注文したステーキ肉をナイフとフォークを使用して食べる。ギドラが食べてる完食すれば無料になるサイズとは違い、高級和牛のサーロインステーキであった。ハルオは口の中で、サーロインステーキを噛み締めた。かなりの脂肪分だが、柔らかで喉越しも良く、口の中で溶ける感じが堪らない。

 

『美味しいです・・・脂肪分は高めですが、肉の汁や脂が味を引き立ています。そして噛めば噛むほど味が深まります・・・。店員様、美味しいですよ』

 

「あ、ありがとうございます・・・アハハ・・・」

 

ハルオも顔を赤くして、ナイフとフォークを手放して頬に手を当てた。ハルオはギドラのように大盛を食べる訳ではないが、リポーターに向いている位の食レポを見せた。要するに、二人は違ったタイプのグルメなのだ。

 

そして、ハルオが感謝の言葉をやって来た店員に述べる。女性店員は冷や汗を流しながら、二人の食べる様子を見ていた。

 

「なぁーりょーりにん!このステーキをもっと欲しいのじゃー!」

 

『私もデザートに、バニラとチョコとバナナのミックスパフェを頼みたいのです』

 

ギドラとハルオは同時に注文をした。しかし、やって来た女性店員から返ってきたのは、注文不可能という言葉だった。

 

「申し訳ありませんお客様・・・ステーキは先程在庫が尽きてしまいました。デザートも材料が足りずにお作りする事が出来ません。本当に申し訳ありません!」

 

女性店員が頭を下げる。それは、もう注文しないで欲しいという店からの間接的な通告であった。

 

「そ、そんなぁ!?食べすぎてしまったかのう!?」

 

『ギドラ様・・・せめて私の分のデザートも残して欲しかったです・・・では、お代を───』

 

「は、はい。此方を───」

 

女性店員が領収書を渡そうとした、その時だった。店の奥からガタイの良い男性が現れた。恐らく店の経営を担う店長であると、ハルオは理解した。そして、ギドラ達の前にやって来ると、女性店員の肩を持つ。そして、ギドラ達にある宣言をした。

 

「いえ、お代は結構です。その代わり、次回からのご来店を二年程ご遠慮願いたいのです。本当に申し訳ありません!」

 

まさかの追い出し宣言である。ご丁寧にしかも間接的に「もう出ていってくれ」と言われた二人は、渋々店を出ていった。

 

暫く町を歩いていた二人は公園にたどり着き、一緒にベンチへ座った。

 

「また追い出されたのじゃ~」

 

『もう少し自重してください。百件中九十九件は追い出し食らったのですから』

 

そう。二人は何度も追い出されたのだ。その理由が、食べ過ぎによるものである。代金は支払えた時もあれば、先程のように代金の支払いを遠慮される時もあった。代金があまりあるのもそのせいだ。出禁を食らったせいで支払いは遠慮され、腐る程に金が余っている。

 

因みに、残りの一件はカプセルコーポレーション所属の食堂である。其処にはギドラやハルオの事は知っている者が多い為、特盛メニューを予め用意していたのだ。

 

「むむむ・・・しかし美味かったのじゃー」

 

『ええっ。二年が経過したら出禁を食らった店に謝りに行きますよ。私一人の問題ではないのですから』

 

「そうするのじゃ・・・」

 

すると、二人はあるものを感じ取った。それは、この宇宙に存在しない別の宇宙から送られる波動であった。

 

「この力・・・まさか、ゴジラか?」

 

『エネルギー総出力・・・測定不能!?』

 

その瞬間、大地が大きく揺れ始めた。

 

「『っ!!??』」

 

大地から赤いオーラと青い雷が発生、空も黒く染まり始めた。

 

『・・・成る程。成功したようですね』

 

「ハルオの教えたフュージョンか?ゴジラが誰かとフュージョンし、全ての宇宙にも何かしらの影響を与えるとは・・・」

 

ギドラの予想は半分不正解だ。確かに、ゴジラはフュージョンに成功し、他の宇宙にも何かしらの影響を与えた。しかし、全部の宇宙にではない。人間レベルの高い第1、第12宇宙には影響は出てないのだ。

 

ギドラとハルオは、第6宇宙より感じる強大な力の奔流に、冷や汗をかきながら笑っていた。だからこそ、彼女を超えたいと思えるからだった。

 

──────────────────────

 

数分前、第6宇宙のとある星。アースとシンゴのフュージョンが解けて、元に戻ったのだ。

 

「よし!戻ったぞ!」

 

「すまない・・・俺が不甲斐ないばっかりに・・・」

 

アースは元に戻れて安心したが、シンゴは罪悪感のあまり謝罪した。

 

「気にしては行けません。過ぎた事ですから」

 

「ああっ、気を取り直して、フュージョン再開だ」

 

フィリウスもスペースも、もう気にしていない。また成功すれば良いのだから。

 

そして、アースとシンゴは再びフュージョンの構えとなり、再びポーズを取る。

 

「「フュー・・・ジョン!ハッ!!」」

 

お互いに指を合わせ、角度も完璧、足も伸ばした。

 

「よし!」

 

「行けます!」

 

フュージョン成功である。そして、アースとシンゴを炎と雷が包み込み、やがて一人の戦士が誕生した。

 

 

──────────────────────

 

『ぐはっ!』

 

『おやぁ?どうしたのかなぁグリッドマン。まさかこれで終わりかい?』

 

一方、グリッドマンは押されていた。今の姿は、ボラー、ヴィット、マックス、キャリバーと合体し、超合体超人フルパワーグリッドマンとなっている。しかし、アレクシスの方が力も実力も遥かに上だった。本来の姿ではないとはいえ、まさか此処まで圧倒されるとは思わなかった。

 

『くそっ!彼奴等まだかよ!』

 

ボラーが愚痴を言う。

 

『今は奴を倒す事に集中しろ!その内隙が出来る!』

 

マックスがそう言うが、正直な所アレクシスに勝てるかどうか微妙な所だった。グリッドマン達の活動限界も近い。

 

『さあ、終わりだよグリッドマン!』

 

『アレクシス!やっちゃえー!!』

 

そして、アレクシスが二本の刃をグリッドマンに向けて振り下ろそうとした、その時だった。

 

ブォンッ!!

 

『『『っ!?』』』

 

全員が、突如発生した衝撃波に吹き飛ばされた。

 

『ギュルアァァァァッ!?』

 

プラネッドンも苦しみの声を上げる。苦しみのあまり身体をくねらせて、その身体が当たって他の星が砕け散った。

 

『・・・や、やった』

 

『ったく、遅いんだよ』

 

『ああっ、だが、間に合って良かった』

 

『そうだな』

 

グリッドマンと合体する彼等『新世紀中学生』も、その衝撃波の正体が何か理解した。

 

『間に合って良かった。ぐっ・・・我々は一旦退避する!』

 

グリッドマンがそう言った後、彼等の全身が光り、その場から消えた。時の巣へと戻っていったのだ。

 

『おや、グリッドマン達が消えたか。それで、君は誰だい?見た所、メタモル星人みたいな服を着てるけど』

 

アレクシスが、現れたその存在に質問をした。

 

それは、赤い炎を纏う青い雷を背中の背鰭から放ち、尻尾も長く、黒く染まった四肢は痩せて引き締まった美しい筋肉を持っていた。両手両足から鋭い爪が伸びている。顔は中性的であり、髪は黒く染まって背中の背鰭に掛かる程に長い。身体の至る所には、赤と青の細長い横三角の模様が入っている。

 

それは、地球から生まれた存在でありながら、違うタイプのゴジラ。一方のゴジラは、限りなくそして速い進化を遂げて、死をも克服しながらも未だに進化し続ける完全生物。一方のゴジラは、傲慢なる人類の文明に制裁の鉄槌を下す破壊の王として生を受け、数億年もの長い時を生き、高次元の存在へ至ろうとしつつある超進化生命体。

 

完全生物シン・ゴジラ。破壊の王ゴジラ・アース。名をシンゴ。名をアース。

 

二人が合体した事で誕生する真の破壊神。その名も、アンゴ。

 

『・・・グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ───ッッ!!!!』

 

アンゴは咆哮を上げる。それは、他の宇宙にも響き渡っているであろう力強き雄叫び。

 

アレクシスは感じていた。それは、ずっと感じる事が出来なかった、始めての、死の恐怖であった。そしてソクバも、アレクシスの中で感じない筈の死の恐怖を感じ、身体が震えていた。



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怪獣王、総てを圧倒する

巨大な咆哮と共に、アレクシスは背中から大地へ叩き付けられた。大地が陥没し、其処から半径約千キロメートルに亀裂が走り、亀裂から大量の血が溢れ出す。マグマのように吹き出したその大量の血は、プラネッドンのものだ。

 

『プラネッドン!ゲホッ!!ゲホッ!!』

 

『ソクバ君!無事かい!?』

 

『不死身になって良かった・・・グホォッ!』

 

アレクシスの中で咳をするソクバ。今頃、血を口から吹き出しているだろう。

 

『き、貴様・・・何をしたんだ!?』

 

アレクシスは大ダメージを受けた身体を起こして、アンゴを見つめた。アンゴは腕を組み、アレクシスを見下ろしていた。

 

『どうした?まさかパンチを五十発受けて立てたのは驚いたが、貴様の実力はこんなものか?』

 

『随分見下すじゃないか。しかしパンチを五十発とはどういう事だい?』

 

『ん?』

 

アンゴは気付く。アレクシスが自分の動きに気付いていない事に。

 

『まあ良い。お前達をこれ以上好きにさせん。此処で、死ね』

 

アンゴはアレクシスの前に来ると、そのまま頭を掴み、そのまま握り潰す。そして、そのまま口から黒い煙を放ち、プラネッドン全体を覆い尽くす。

 

『ギュルアァァァァァッ!!!!!』

 

プラネッドンが断末魔の悲鳴を上げた。全身を覆い尽くす攻撃がプラネッドンを襲う。

 

そして、アンゴの瞳が細くなり、黒い膜に覆われた。次の瞬間、口から吐く黒い煙が青い電撃を纏った炎へと変化した。

 

『『あああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!!』』

 

アレクシスとソクバが断末魔の悲鳴を上げた。無限の命を宿すアレクシスと、アレクシスによって不死身となったソクバの身体は再生するが、アンゴの放つ放射荷電粒子熱線の威力が遥かに上回る。

 

そして、プラネッドンの全身も超高熱と電撃によって焼き尽くされてしまう。プラネッドンは悲鳴を上げる事無く、小さな鳴き声を上げる。

 

そして、アンゴは熱線放射を停止して、アレクシスを見下ろした。其処には、熱線によって全身を焼き尽くされたアレクシスの姿があり、言葉に出来ない程に酷い身体となっていた。

 

『トドメだ・・・・・・いや、まだだな』

 

アンゴは真上を見上げて、その様子を見ていた。其処には、プラネッドンを遥かに上回る巨大な黒い渦が出来ていた。そして、その中心に四つの目を持つ亀の用な頭と鋭い鉤爪を持つ巨大怪獣であった。

 

『グオオオオオオオオオオオオ・・・・・・』

 

怪獣が鳴き声を上げる。プラネッドンの全身をバラバラに砕く程の声の振動は、アンゴの身体にも伝わる。

 

そして、アンゴの前にある二人が現れる。それは、アレクシスとは違った意味でカリスマ性溢れた魔王らしき男と、最終形態のフロストであった。アンゴは、フィリウスから聞いて知っていた。魔王らしき男が、カーンデジファーだろう。

 

『・・・経緯は問わん。此処で死ね』

 

アンゴは背鰭から放電した後に口元へ凝縮し、「死ね」の一言で熱線を放つ。紫と青の螺旋状の熱線が、フロストやカーンデジファーに向けて放たれる。

 

カーンデジファーが目の前に迫る光線を、両手を使って弾く。その時、カーンデジファーの両手が大火傷を負った。

 

『グオオオオオオオオオオオオ・・・・』

 

「ぬおおぉっ!?まさか、これ程とは!」

 

「はわわわ・・・」

 

カーンデジファーは、両手から伝わる激痛だけでもアンゴの強さが解ってしまった。フロストは怯えている。そして、ブラックホールの怪獣も咆哮を上げて、鉤爪をアンゴに向けて振り下ろす。

 

アンゴは鉤爪をその手で受け止めた。しかし、その手が鉤爪を掴んだ所から徐々に吸収されていく。

 

「フハハハハハハハッ!!ダークホールに触れたのは失敗だったな!!ソイツに触れたら最期だ!」

 

「触れたもの全てを吸い込むんですよ!吸い込まれたら二度と生きて帰れませんから!ホーッホッホッホッ!!」

 

アンゴは気付く。能力事態はシンプルだが、故に弱点も至ってシンプルだ。

 

 

BGM:Who will know (シン・ゴジラ)

 

 

『つまり、彼奴と同じ性質なら大丈夫な訳だ。しかしなぁ!ギドラに比べれば・・・』

 

アンゴは吸い込まれた腕をそのまま引っ張り、真上に上げた。

 

『まだあめぇんだよ!!』

 

そして、そのままダークホールの身体でもあるブラックホールも丸ごと投げ飛ばした。

 

そして、アンゴの頭上に天使の輪に似たそれぞれ違った方向へ回転する二重の輪が現れ、両肩から背中に生えた針のような黄色の突起物から紋章のような翼を生やした。翼は左右それぞれ色が違う。左は赤、右は青。それぞれが美しく輝いていた。其れは正に、怪獣の王を超えた神に近い存在。それは、アースが持つ進化形態の技が、シンゴとフュージョンした事でのみ発現する、進化と神化の技。

 

『『ゴッド・オブ・モンスター』』

 

その瞬間、アンゴの周囲に、アンゴと似た姿をした巨大な人型の災厄が現れた。それは、シンゴの肉体より産まれたシンキッズ達が、アンゴ誕生の影響によって進化した姿であった。右手に巨大な光の槍を持ち、肩から背中に掛けて生えた突起物から光の羽を生やす。その姿は、神々しくも禍々しい。

 

更に、彼等と対をなすように黒い異形達も現れた。彼等の姿は、人の姿をしているがその姿は悪魔と呼んでも違和感が無い。蝙蝠のような翼を生やし、目は赤く染まって、四肢にはアンゴの背鰭にも似た突起物が生えていた。男は膨張した筋肉を持ち、雌達はより妖艶な美貌を持つ。それは、アースの子供達でもあるセルヴァム達が進化した姿で、身長は進化したシンキッズ達よりも低いが、力強さと禍々しさ、そして妖艶な美貌は負けていない。

 

その光景は、一柱の神に従って動く天使と悪魔の軍隊。

 

アンゴの傍にやって来たフィリウスも、アンゴの見た目に変わる進化を遂げた。

 

『ぐぅぅ・・・これは、不味いねぇ』

 

『アレクシス・・・ここは、逃げよう・・・』

 

『だね・・・ぐふっ』

 

アレクシス達は、空間に穴を開けてそのまま逃げていった。自分達が此処に居るのは、危険と判断したからだ。

 

そして、様子を見に来たシャンパ達も、その光景を見て唖然としていた。

 

「おいおい・・・彼奴等何をしようってんだ?」

 

「ま、まさか・・・」

 

ヴァドスも冷や汗を流していた。止めようにも、自分達が死ぬ可能性が、今はとてつもなく高いからだ。

 

「奴等め。この宇宙を終わらせる気か?」

 

シャンパ達に話し掛けたのは、全身がボロボロになったヒットであった。隣にスペースも現れた。

 

「ヒット!生きてたのかこの野郎!」

 

「当たり前だ。しかし・・・あれは・・・」

 

ヒットも言葉を失っていた。千年も生きてきたが、あんな光景を見るのは初めてだ。

 

「我も驚いている。Godzilla・・・正に神の化身だ」

 

そしてその様子は、惑星サダラでも観測されていた。

 

「現在奴等の全身が発光中!詳細不明です!」

 

「シンゴさん・・・アースさん・・・いえ、アンゴさんは何を!?」

 

「ケール。アタシの傍を離れんなよ」

 

「はい、姐さん!」

 

そして、シャンパ達はその様子をただ見つめるだけしか出来なかった。

 

そして、アンゴが口を大きく開き、全身を発光した後に赤い電撃を放つ。フィリウスも同じように放電する。そして、シンキッズ達が口を開いて大きな回転する砲塔を出した。セルヴァム達も、口を大きく開いて電撃の塊をダークホールに向けた。

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ!!!嫌だあああああああああああッッ!!!!!」

 

フロストは逃げ出した。

 

「ば、馬鹿な!?この私が、私達の最高傑作も、侵略も!全て、この僅かな時間に崩壊するというのか!?」

 

カーンデジファーは怯えて足がすくんでいた。最早動く事も出来ない。

 

そして、アンゴが口より終焉の光を放った。フィリウスも口から放ち、シンキッズ達もセルヴァム達も同じく最大攻撃を放つ。

 

『グオオオオ────』

 

「「なっ──────」」

 

次の瞬間、フロストもカーンデジファーも、またダークホール達も、彼等の放つ光が包み込んでいった。ブラックホールすらも消し去るその光は、瞬く間に第6宇宙全体に広がる。

 

 

 

そして、その光から発せられた力の奔流を感じ取ったのは、第6宇宙の面々だけではなかった。

 

──────────────────────

 

第1宇宙。人間レベルの最も高い至高の宇宙。

 

其処で赤と黒のスーツを着た一人の中性的な顔を持つ青年が、布団で眠る金色の少女の傍に居ながら、力の奔流をその身で受け止めていた。

 

「・・・・・イフが感付く前に、俺が全て受け止めておこう」

 

少女の頬を撫でる青年。すると、少女は寝ながら青年の頬を撫でた。

 

力の奔流を全て受け止める。この少女に影響が出ないように。

 

──────────────────────

 

第2宇宙。優しさの宇宙でも、力の奔流を感じ取った者達が居る。

 

「カオスヘッダー!」

 

一人の青いショートヘアーをしたボーイッシュな少女が、金髪ロングで金色の翼を生やした女性の元へ走ってきた。女性は今、握手会の最中であった。

 

「どうしましたか?リドリアス」

 

「他の宇宙から、破壊の力が伝わったの!このままじゃ、僕達の宇宙も!」

 

「・・・確かに、かつての私を思わせる暴力のオーラですね。皆様!私が皆様を導きます!どうか、希望を捨てずに前へ進みましょう!」

 

『『おおおおおっっ!!』』

 

『『きゃああああっ!!』』

 

そして、彼等の元へ太った赤いスーツを纏う女性が現れた。

 

「そうよ!愛がある限り、私達は負けない!さあ、愛の元に皆を導くわよ!」

 

「はい!リブリアン!」

 

こうして、彼女達の避難誘導が始まる。彼女達は愛の名の元に、人々を導いていく。見た目は関係無く、人々は彼女達と共に突き進む。その姿、まるで聖女の如し。

 

──────────────────────

 

第3宇宙。科学が発展した精神の宇宙。其処でも、人々は防衛態勢を敷く。

 

指示するのは、肩や腰回りにアーマーを身に付けたとんがった目っぽいサングラスを掛けた男。そして、見た目がガルーダのような機械生命体。分厚いアーマーを纏った機械の兜のような、中性的な人物。

 

彼等が敷いた防衛の壁は、他の宇宙より飛来する力の奔流を食い止めていた。

 

──────────────────────

 

第4宇宙。其処で、一人の怪物が目覚めようとしていた。それは、赤い瞳を持った幼げな顔立ちをした少女で、豊かな胸を持ち、黒い翼を生やしていた。しかし、股間は男性の象徴を示す僅かな盛り上がりがある。

 

つまり、両性であった。

 

その怪物は、力の奔流を感じて目覚めるが、下らないと思ったのか、再び眠りに入るのだった。

 

──────────────────────

 

第7宇宙は、言う間でもなくギドラ達が気付いていた。ギドラは今、界王神界へ遊びに来ていたが、アンゴの放つ力の奔流を、その身体で感じていた。界王神界に暴風が吹き荒れ、大地が裂けていく。

 

「ギドラよ。お前さんも気付いておるじゃろ?」

 

「うむ。ゴジラ同士のフュージョンが此処までとは、驚いておるわ」

 

『ゴジラ・・・貴女を益々超えたくなりました』

 

「ハルオ・・・」

 

恐らく、ビルスやウィス、悟空達も感じている筈だ。その時、彼等は何を思うのだろうか。悟空はワクワクしてるとは思うが果たして・・・・。

 

──────────────────────

 

第9宇宙。人間レベルが最も低い悪党共の宇宙。しかし、そんな宇宙であっても生き抜くために悪事を働く。

 

そんな宇宙で、力の奔流を感じて怯えている少女が居た。蜘蛛の身体と人間の少女の身体を持つが、少女は怯えていた。とある星の、岩場の下に隠れてガタガタ震えていた。

 

(なにこの力!?怖い・・・)

 

少女、クモンガは怯えていた。自分が殺されるかもしれないという、その恐怖に支配されている。

 

すると、岩場を砕いてとある二人が現れた。それは、青い狼男と紫の猫が擬人化したような女性であった。

 

「脅えんな!俺達悪党は、こんなもんに屈する程柔じゃねえだろうが!」

 

「アンタが怖がってんなら、アタシ等が付いてる!諦めんな!」

 

クモンガは、涙を流して女性の手を握り、共に立ち上がる。

 

第9宇宙には悪党が多い。しかし、誰もが悪党なりの美学を持ち、今を生き抜く為に戦っている。故に、別の宇宙より飛来する力の奔流等、恐れる訳には行かない。否、恐れる事は無い。

 

──────────────────────

 

第10宇宙の界王神界。ザマスが起こした全次元規模の大事件の処理に追われていたゴワスとエレキングも、他の宇宙より襲い来る力の奔流を感じていた。

 

「お前さんも感じたか?エレキング」

 

「・・・はい。きっと、ゴモラ達も感じている筈です」

 

「ザマス・・・お前の為に頑張っているが、平和は中々訪れないものだ・・・」

 

自らの力の無さを痛感したゴワスの横で、エレキングは更に強くなる為に修行をする事を決意した。

 

──────────────────────

 

第12宇宙。人間レベルが第1宇宙の次に高い宇宙でも、ある者が笑いながら力の奔流を感じていた。

 

「アハッ・・・・アハハハハッ・・・・力が強いイイイアハハハハハハハハ・・・・」

 

それは、金髪に青いボディを持つ少女だが、不規則に身体が動いており、不気味な感じが漂っていた。

 

「・・・大丈夫かしら?グリーザ・・・」

 

お腹が露出した背中に羽を生やす豊かな胸の女性が、グリーザに心配の眼差しを向けていた。

 

──────────────────────

 

「ジレンさーん!昼食作ってきたよー!」

 

第11宇宙。ヒーローの多い正義の宇宙。そのヒーローにとって憧れのチーム『プライドトルーパーズ』の拠点にある食堂で、ジレンと呼ばれた男の元へ一人の少女が走ってきた。

 

オレンジの髪を持ち、角付きのフードを取った少女が、典型的なエイリアンの顔付きをしたマッチョな男『ジレン』に近寄った。その手には、手作りの弁当が入ったバッグを握っている。

 

「・・・アギラ。感じたか?」

 

「・・・うん。ミクちゃんにウィンちゃんも感じてる筈だよ」

 

「そうだな。気を付けておけ。それで、昼食を作ってきたのか?無理はするな」

 

「ううん。僕はジレンさんが食べてくれたら、それで嬉しいよ」

 

アギラはジレンの隣に座り、バッグから手作りのサンドイッチを沢山出す。卵を挟んだサンドから、ベーコンにキャベツを挟んだサンドまで、種類は沢山ある。

 

ジレンも、笑っていた。かつての自分では考えられなかった今を、楽しむ事が出来た。隣に座る、大切な人との出会いが、ジレンを変えた。そして、かつての自分よりも強くなれた。

 

アギラはジレンに手作りのサンドイッチを振る舞い、満足して食べてくれるジレンの顔を見て、思わず笑った。

 

──────────────────────

 

そして、第6宇宙。

 

光が収まり、シャンパやヴァドス、スペースがバリアを解いた後に見たのは、予想以上の光景であった。

 

先程まで居たプラネッドンもダークホールも存在せず、宇宙空間には気絶したシンキッズやセルヴァム達浮いていた。そして、合体が解けて元に戻ったシンゴとアースも、アースの隣に居るフィリウスも、そのまま宇宙空間を漂って気絶している。

 

圧倒的な破壊の力に、三人は暫く黙ることしか出来なかった。




後一話で、第6宇宙編が終わります。ホントに長かった!!!


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破壊の王、男の娘に恋をする

第6宇宙を巻き込んだ怪獣大災害から、三ヶ月が経過した。

 

シャンパの星では、ある一人の女性が女の子に見える少年と隣同士で座りあっていた。少年は、頭に掌サイズの赤いリボンを身に付けて、白いフリルの付いたワンピースを着ていた。

 

「・・・迷惑掛けてすまなかったな。あれから今日まで寝込んで居て」

 

女性は、アースであった。顔を赤くして少年の顔を何度も見たりしている。

 

あのダークホールとの闘いの後、シンゴとアース、フィリウスにシンキッズ、そしてセルヴァム達は三ヶ月間眠ってしまったのだ。合体及び究極技によってエネルギーを使い過ぎた為、長期間眠る事で体力もエネルギーも回復させたのだ。

 

そして今、アースは三ヶ月経った今に目覚めて、少年と水辺でデートをしていた。

 

「ううん!アースお姉ちゃんが無事だったんだもん!僕はお姉ちゃんが戻ってきてくれて嬉しい!」

 

少年も顔を赤くしながら、アースの肩に頭を寄せる。

 

「お、おい!恥ずかしい事を言うな!」

 

アースは口でそう言っているが、内心は凄く嬉しいのだ。素直になれないだけである。

 

そして、少年はアースの正面に回り込むと、そのままアースの唇に自分の唇を重ねた。唇を離して、アースの胸元へ顔を収めるように抱き着いた。

 

「お姉ちゃん・・・えへへ~」

 

すると、アースは少年をお姫様抱っこで持ち上げる。そして、少年の顔を妖艶な笑みを浮かべて見つめた。

 

「野外でするのか?余は別に構わんが、恥はかきたくないだろ?なら、丁度良い場所がある」

 

「何時ものあの星だよね?うん!行こう!」

 

少年は笑う。その笑みを見たアースの胸が、更にときめいた。

 

(思い出すな。こいつと初めて会った時を・・・)

 

ワームホールを開き、少年と共に別の星へ向かったアース。少年と初めて出会った時を思い出す。

 

──────────────────────

 

今から約一年も前。第7宇宙との試合に負けてから、実に一ヶ月が経過した頃の話だ。

 

その時からアースを狙う男達の襲撃が相次いだ。

 

その殆どが自分の身体が目的である。

 

(馬鹿な奴等だ)

 

それがアースの思う率直な感想であった。一人になった時に襲撃される事が多く、全員皆殺しにしてきた。地面に転がった死体には、アースの胸元に触手を巻き付かせながら、頭を潰されて死んだ怪人も居る。

 

アースは身体から触手を剥ぎ取ると、熱線を放って死体を全て焼き払った。

 

そして、アースは歩きだした。再び散歩を始める為に。

 

アースは遠い宇宙の果てにある星にやって来た。其処は誰も立ち寄らない、神々も知らない、アースのみが知る隠れ家である。一人になりたい時は、何時も此処へ来ていた。そして、アースは散歩する間に、小さな町へやって来た。人っ子一人居ないゴーストタウンである。

 

あちこちの建物がボロボロになっており、放置されてから三百年経過したように風化した所もある。

 

(文明の崩壊か。人の歩みが築く文明等、所詮こんなものだ)

 

アースは、風化した町を見つめてそう思った。

 

すると、アースは一人の少年を見つけた。少年の見た目は女の子にも見えるが、見ても解る程に痩せていた。その少年は、近くのビルの中で焚き火を起こして、魚を焼いている。

 

アースは少年に近寄った。この町に来たのは初めてであり、人の姿を見たのは初めてであった為、興味が湧いたのだ。

 

「・・・何をしている?少年よ」

 

「えっ?は、はわわわっ!?」

 

少年はアースの美貌を見て、慌ててしまう。130㎝もの爆乳、細い括れ、そして整った美しい顔立ちが、無垢な少年の心を動かした。

 

「・・・何をしている?二度も言わせるな」

 

「・・・魚を採って焼いてるの。森には危険な猛獣がいっぱい居るし、近くの川で魚を採って食べているんだよ」

 

「・・・」

 

アースは魚を手に取ると、そのまま腕から発した電撃で灰にする。

 

「な、何をするの!?」

 

「これを見ろ」

 

アースは灰になった魚の中から、一体の虫を取り出した。虫も灰になっているが、原型は留めている。四つも分かれた頭に一本の尻尾を持つミミズのような虫だ。

 

「これは、虫?」

 

「ただの虫ではない。魚に寄生し、食べた生物の体内に入り込み胃から腸に卵を産み付ける。産み付けられた卵は、魚を食べた奴の養分を死ぬまで吸い付くし、軈て成虫となって肛門から這い出てくる」

 

「えっ?」

 

少年の顔が青ざめる。もし食べていたら、自分は寄生されていただろう。

 

「他の魚もよく見ろ。寄生された証として、表面に不自然なコブがあるだろ?」

 

アースにそう言われた少年はよく見ると、お腹の部分に親指大のコブが出来ている。そして、コブには蠢く触手のようなものが浮き出ている。焼かれているにも関わらず、中の寄生虫は生きている。

 

少年は他の魚も見た。お腹が空きすぎて気付かなかったが、確かにどの魚も寄生されている。

 

「もしかしたら・・・うわあああああっ!!」

 

少年は更に青ざめた。もしかしたら、もう寄生されているかもしれない。生き残る為に魚を食べてきたのに、こんな形で死ぬ等、嫌だ。

 

すると、アースは少年の顔を覗いた。そして、少年の頭を左手で掴む。

 

「・・・余が寄生虫を消してやる」

 

「えっ?どうやって?」

 

「余を信じろ」

 

「・・・うん!」

 

その時、アースの背鰭が放電を始めた。そして、少年の身体に電撃が走る。心臓や脳にも到達するが、少年は死なない。アースが上手くコントロールしているためだ。

 

そして、少年の中に寄生する虫達だけでなく、悪い細胞や病気の元もアースの電撃によって消されていった。

 

そして、アースが治療を始めてから三秒後、アースは少年から手を離した。

 

「もう寄生虫も病気の元も無い。とはいえ、此処で暮らすのも難だろう。余と来るか?」

 

アースは少年に手を差し伸べる。少年は考えた。もしこのまま此処で暮らし続けても、早死にするかもしれない。

 

ならば、目の前のお姉ちゃんと共に行こう。そう考えた少年は、決意する。

 

「うん!お姉ちゃんと一緒に行きたい!」

 

「良い返事だ」

 

アースの手を握る少年は、改めてアースの美貌をじっと見ていた。顔にも見惚れており、口を開く。

 

「お前も、余の身体が目当てか?」

 

「えっ?身体が目当てって?」

 

「ん?余の身体をなぶりたいのではないのか?」

 

「なぶりたいって?」

 

「・・・では聞くが、余の身体に興奮してるのか?」

 

「うん。お姉ちゃん・・・凄く綺麗だから」

 

「・・・そうか。では少年・・・お前は誰だ?余はアース」

 

「僕はリーク。宜しく、お姉ちゃん」

 

「・・・リーク。余をそんな目で見るな。余の身体目当ての連中を思い出す」

 

「ご、ごめんなさい・・・でも、お姉ちゃんが悪い人じゃないのは解るよ」

 

リークが謝った時、彼が悲しそうな目をした事をアースは理解した。何故だろう。悪い事を言ってしまった。この少年も自分の身体を見てくるが、他の男達とは完全に違う。ただ身体を見てくるだけの奴等と違い、自分の事をちゃんと見てくれている。

 

この時のアースは知らなかった。この時のリークは、恋する男の娘となっている事を。

 

──────────────────────

 

アースは目を覚ます。かつてリークと出会った時を夢で見て、とても懐かしい気分になる。その証に、夢を見て笑っていた。

 

アースはリークと共に、かつてリークが住んでいた星へやって来て居た。そして、其処にある大きな町の廃墟と化したホテルで、リークと一夜を激しく過ごした。ホテルは廃墟となってボロボロだったが、二人が過ごした部屋は機能がまだ生きており、アースが居ればすぐに起動出来た。高級な布団の上で、お互いを貪り合い、愛を交わし合う。誰も居ないこの星で、二人は邪魔される事無く性交渉に及んだ。

 

アースが起きる横で、服を脱いで全裸になったリークが、満足な笑みを浮かべて眠っている。

 

アースの見た目は変わらないが、実はアースの身体に纏っている物は衣服ではない。彼女の身体の一部である。つまり、彼女は常に全裸である。

 

アースは元々植物であった為、生殖器官があるか解らなかったが、どうやら似たような器官はあるらしい。但し、その生殖器官はあくまで馬鍬る為だけに存在しており、生殖用ではなかった。しかし、妊娠しない代わりに性行為が幾らでも出来ると知った二人は、止まる事無く馬鍬った。

 

(・・・まさか、此処まで良いものだったとはな。植物であった私が動物と馬鍬るとは、以前には考えられん事だな)

 

アースはリークの頭を撫でる。撫でられたリークは、「えへへ」と笑いながら眠っている。

 

(そうだな。余は・・・私は最愛の人が出来た。今度第7宇宙に行ったら、あの二人にも自慢するか)

 

そう思ったアースは、再び少年と共に眠る。その後再び目を覚ました二人は、夕方になるまで再び馬鍬り続けたのだった。

 

──────────────────────

 

第7宇宙、界王神界。界王神界に遊びに来ていたギドラは、ハルオの淹れた紅茶を飲む最中に、胸の底から込み上げてくるムカムカしたものを初めて感じた。ハルオも、紅茶を淹れる手が震えており、ポットを掴む力も強くなる。ポットにヒビが入る位に。

 

「なあハルオ。ゴジラになんか別の意味で負けた気がするのじゃ」

 

『私もです。胸の奥から焼けるような感覚が走り始めました』

 

それが一体なんなのか、この日の二人が知る事は無かったのであった。




第6宇宙編、完結!

次章からは、力の大会前の前日談を投稿します。深緑風龍さんのキャラを許可貰って使わせて頂きます。風龍さん、ありがとうございます。


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クウラ編 最強、伝説の超サイヤ人と出会う

クウラ達の設定は、Zからかなり離れています。でも、過去は少し変えただけで後はこれから変えます。

今回から少しだけ、深緑風龍さんのキャラ二人を登場させます。ホントに短いですが。

OP:『Hope the youth』


小惑星バンパ。人間すら居ない過酷な環境の星だ。六足の巨大昆虫に、昆虫を食らう巨大な獣のみが、この小惑星に住み着いていた。

 

其処へ、一隻の宇宙船が降り立つ。宇宙船は、フリーザ軍の小型宇宙船とは少し違った形状であり、中から降りてきた者達は、フリーザ軍と似た戦闘服を身に付けていた。

 

一人は、青い肌と金髪のイケメンと言うべき宇宙人。もう一人が、緑色のマッチョな男。三人目はカエルのような見た目をした人型の宇宙人であった。

 

「ホントに此処かサウザー?クウラ様の命令で此処へ来たけどよ」

 

「間違いない。古いフリーザ軍の小型機からの救助信号だ。この小惑星バンパから放たれている」

 

「信号は、向こうから来ている。アッチだ!」

 

「よし。ドーレ、ネイズ、調査を開始しろ。もし誰か居れば、クウラ機甲戦隊に迎えるぞ」

 

「「おう!」」

 

こうして、救助信号が出た場所へ向かうクウラ機甲戦隊。三人は数秒で信号が送られてきた場所に到着。其処で見たのは、墜落してからかなりの年月が経った小型の宇宙船であった。

 

「なんだ?誰も居ねえじゃねえか」

 

「近くに居るかもしれん。スカウターで探すぞ」

 

サウザーがスカウターを使おうとした、その時だった。

 

「おおおおおぐああああぁぁぁぁっっ!!!」

 

「「「っ!?」」」

 

三人は叫び声のする方向を向いた。その時、白髪と白髭を生やした高齢の男が、三人に向かって走ってきた。見るからに痩せており、この星でどれだけ生きてきたのかが伺える。

 

「お前達、フリーザ軍かぁっ!?」

 

そして、男は三人の前で倒れた。

 

「俺達はフリーザ軍ではない。正確にはクウラ軍唯一の軍隊、クウラ機甲戦隊だ。貴様、サイヤ人か?」

 

サウザーが、男に問い掛ける。

 

「あっ、ああっ、俺はパラガス。フリーザ軍のサイヤ人だ」

 

「フリーザ軍?フリーザ軍が何でこんな星に居るんだ?」

 

「話すと長くなるが、救助信号に応じてくれて助かったぞ・・・」

 

パラガスが自己紹介をした後、ネイズがスカウターでパラガスの戦闘力を測った。表示された戦闘力数値は、『4200』。老いている割には、普通のサイヤ人よりも高い。恐らく、エリートサイヤ人の一人だったのだろう。

 

しかし、クウラ機甲戦隊からすれば、何ともちっぽけな戦闘力であった。

 

「4200か。悪く無いが、俺達には程遠い」

 

「けっ。どうするよ?此処で始末するか?」

 

「確かに、こいつはサイヤ人だ。殺しておくか?」

 

「待て。鍛えれば使えるかとしれん。おい、お前だけか?他に誰が居る?」

 

サウザーがパラガスに訊いた。パラガスは首を縦に振り、もう一人が誰か伝えようとした。その時、怪物達に周囲を囲まれる。

 

「ふっ、この程度の連中か」

 

「面白ぇ。蹴散らしてやるぜ」

 

「ああっ、簡単だぜ!」

 

しかし、彼等が動くよりも先に、パラガスが叫ぶ。

 

「ブロリーーーーーーーーーーーーーィィッ!!」

 

その時、周囲に居た怪物達は一瞬にして吹き飛ばされた。そして三人が見たのは、長身で筋肉質な身体を持ち、緑の耳を腰に巻いているサイヤ人の男だった。

 

瞬間、三人が身に付けているスカウターが爆発を起こし、三人は口を大きく開いてそのまま気絶するのだった。

 

──────────────────────

 

とある宇宙船。フリーザ軍の母船とは比較にならない大きさを持つその船は、クウラ機甲戦隊及び彼等の上司であるクウラが使用する母船であった。

 

その中にある指令室では、一人のフリーザに似た姿のフリーザ一族が一人、小型の浮遊マシンに乗ってモニターを眺めていた。白と紫のカラーリングがメインで、フリーザよりも筋肉質なその身体は、フリーザ以上のオーラを発していた。

 

「本当に此れで、俺があの猿共を倒せると?」

 

彼は、ある者達と対話していた。一人目は、ネイビー色の髪に赤い目、背に羽を生やした黒いジャケットを着る青年であった。もう一人は青年であるが、その目はあまりにも邪悪その物と呼ぶべきものであり、マイナスエネルギーの塊その物のようなオーラを全身から発していた。気を感じなくても分かる程に。

 

クウラ自身も、隣に居る男との接触は避けたい位だ。というより、今この場で殺しても良い位だ。

 

しかし、サイヤ人達を倒す為に提供してくれたアイテムをくれた事には感謝している。彼等の言葉では、『G細胞』と呼ばれるらしい。クウラの手には、一本の注射器に入った赤い液体が握られていた。

 

「ええっ。貴男の為にもなりますし、我々も有益なのですから。そうだろガイガン」

 

「ふん。俺は財団Xに所属してるが、第4宇宙の破壊神からの命が最優先だ。利害一致の関係というものだよ」

 

クウラとしても、まさか別の宇宙からやって来た財団とやらの職員が自分に会いに来るとは、思って居なかった。

 

「まあ良い。クウラ機甲戦隊には、強力な戦士達を捜索するよう願い出ている」

 

そして、指令室の通信機から声がした。

 

『クウラ様、サウザーです。サイヤ人二人を発見しました。現在そちらヘ移送中です』

 

「そうか。では到着して直ぐに、此方へ案内しろ」

 

『はっ』

 

そして、通信が切れる。その間に、二人の人物に話し掛けた。

 

「お前達の名は?俺はクウラだ」

 

「あっ、どうも。蛭川光彦です」

 

「ガイガンだ。それで?」

 

「お前達には感謝している。しかし、もう用済みだ。消えろ。俺の前からな」

 

その言葉に、二人は動揺しない。まるで解っていたかのようだ。

 

「このまま立ち去るとでも?苦労して手に入れて、それを渡したのに恩もねえのかよ!」

 

蛭川が突然声を上げた。その時、彼の全身が歪んだ仮面の戦士に姿を変えた。頭にはアンクの翼、肩と掌にはカザリ、脚がウヴァの特徴が現れていた。しかし、ガイガンはその場で平然としており、まるで援護する気が無いかのようだ。

 

「ふん。力を提供したからと言って貴様に生殺与奪の権限があるとでも思ったのか?」

 

その時、彼等の背後には、いつの間にか戻ってきたクウラ機甲戦隊の姿もあった。彼等も、二人を逃がすつもりはないらしい。

 

「このっ、ふざけんじゃねえぞおおおおっ!!」

 

蛭川は、そのままクウラに向かって行く。その瞬間、彼の上半身がクウラの両目から放たれた破壊光線によって消却された。蛭川だった下半身は、そのまま床に倒れてしまう。

 

「ふん。消えろと言われて本当に消えるとはな」

 

ガイガンは、そんな蛭川の下半身を蹴り飛ばす。彼にとって財団等どうでも良い存在であり、優先すべきは第4宇宙だけなのだ。

 

「それで、貴様はどうするつもりだ?」

 

「俺は、大人しく去るよ。安心しろ。お前達の事を報告しないさ。上手く行ったと報告しておくよ」

 

こうして、ガイガンは空間に穴を開けて其処から出ていった。

 

その後、サウザー達によって案内されたパラガスとブロリーは、シャワーを浴びた後に食事にするのだった。その間に、クウラはある映像を見つめる。それは、青い髪のサイヤ人と戦う黄金のフリーザであった。

 

「ゴールデンフリーザか。興味深い。ならば俺にも、出来る筈だ。充分なトレーニングさえ積めばな」

 

クウラは笑う。あれはフリーザ一族が神の域に到達するまでに鍛えて初めて得られる力。ならば、俺にも習得出来る筈だ。

 

そう考えたクウラは、機甲戦隊やブロリー達と食事にする為、彼等の居る食堂へ向かった。

 

──────────────────────

 

その頃、地球ではビルス達が遊びに来ていた。今度はグルメだけでなく、美術館へ鑑賞にやって来た。

 

「おおっ!ウィス、このとりっくあーと凄いぞ!」

 

「ホホッ。正に芸術ですねぇ」

 

「あまり面白くないのじゃ・・・食い物が無い所等・・・」

 

しかし、ギドラはあまり興味が無さそうだ。彼女にとっては食べ物こそが芸術であり至高なのだろう。その為、美術館に飾られた芸術は、あまり理解出来なかった。食べて良い物ではない為、尚更イライラしてるだろう。

 

その様子を、シンと共にやって来たハルオは見ていた。

 

『ギドラ様、食べないと良いですね』

 

「大丈夫ですよ。ウィス様が付いているのですから」

 

いざというときには、ウィスが時間を戻して無かった事にするだろう。

 

すると、彼等は地球に迫り来る大きな力に気付く。それは、かつて見たフリーザの気と良く似ているが、その力は彼を遥かに超えるものだった。




ED:『君の知らない物語』

クウラは好きなんですよね。早くメタルクウラがやりたい。


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黄金、最強と伝説の超サイヤ人に出会う

悟空とベジータは、荒野へやって来た。此処へ来たのは、宇宙から飛来しようとする巨大な気の数々が気になり、調査しにやって来たのだ。

 

「ベジータ。感じてっか?」

 

「ああっ、何者かは分からんが、一人はフリーザに似ている。もう一人は、俺達と気の性質はそっくりだ」

 

すると其処に、ワームホールが開かれる。現れたのは、ギドラとハルオ、ビルスにウィス、そしてシンの五人であった。

 

「ビルス様!ギドラさん!あんた達も来てたんか!」

 

「うむ。お主等も感じておるじゃろ?もしかしたら、妾より力が上の奴がおる」

 

「な、何だと!?」

 

ベジータは驚愕した。ベジータだけでなく、周囲も有り得ないという顔をしていた。ウィスを除いて。

 

「いえ、有り得る話ですよ。このもう一人は恐らくサイヤ人です。何故か、感じる気の上限が分かりません。ギドラさんとは違って気を感じるのですが、これは不思議ですねぇ」

 

ウィスの言葉が気になるが、気にしてはいられない。そして、地球に飛来した宇宙船は、そのまま悟空達の居る場所の近くへ降り立った。フリーザ軍の母船に似た宇宙船に、悟空達は警戒する。ハルオは、密かに惑星フリーザへ通信を開始した。腕に黄緑のホログラムを展開し、惑星フリーザへ通信を掛ける。

 

『ハルオより惑星フリーザへ。惑星フリーザへ通達。所属不明の宇宙船が地球に着地。フリーザ軍の宇宙船とそっくりです』

 

すると、ホログラム映像にソルベが出る。彼が通信に応じたのだ。

 

『此方ソルベです。フリーザ様は今、惑星アベルの復興に向かってます。それで、フリーザ軍の宇宙船とそっくりというのは?』

 

『確認中です。あっ、今沢山の人達が出てきました』

 

ハルオは、宇宙船の入り口から階段を使って降りてくる人達を確認した。その中に、サイヤ人二人とフリーザ最終形態そっくりの男を確認する。

 

『確認しました。サイヤ人二名と、フリーザ様と良く似た特徴を持つ男性が一人。高い戦闘力を持つ人達が三名です』

 

『フリーザ様と良く似た・・・まさか!?分かりました!フリーザ様には俺が伝えます!』

 

『ありがとうございます。では、通信終了します』

 

画面を閉じて、通信を切るハルオ。その時、一人のサイヤ人より放たれる大きな力の波動に後方へ吹き飛ばされた。

 

直ぐに量子停止機能を作動させ、勢いと風圧を止めて空中に止まる。力の波動が収まると、直ぐに量子運動を再開させて、悟空達の元へ背中のジェットを噴出して戻る。

 

「彼奴等、サイヤ人だ」

 

「ああっ。それに先頭に居る奴は何者だ?フリーザそっくりだ」

 

「そうだねぇ。彼奴誰だ?」

 

こうして、クウラ達と邂逅した悟空達。ビルスも、彼等が如何なる実力者か見届ける事にした。

 

「・・・サイヤ人か。それも、フリーザに最後まで抗ったサイヤ人の息子と、ベジータ王の息子とはな」

 

「・・・・・」

 

その中でも長身のサイヤ人が、凛々しくも寂しげな目で悟空達を見る。

 

クウラは、悟空達を見つめた後に、自己紹介を始めた。

 

「俺はクウラ。フリーザの実の兄だ」

 

「フリーザの兄ちゃん!?」

 

「ほう。フリーザに兄が居たのか」

 

「ええっ。クウラ機甲戦隊と言いまして、当時のギニュー特戦隊より遥かに強い戦闘部隊でした。それが、更に力を着けてきたみたいですね」

 

ビルスの言葉にウィスが返した。

 

「そしてコイツらが、クウラ機甲戦隊、サウザー、ドーレ、ネイズだ。そして新しくクウラ軍に加わったブロリーと、その父親の・・・」

 

「パラガスだ!」

 

クウラが言うよりも早く、パラガスが名前を叫ぶ。パラガスとブロリーの服装は変わっており、戦闘服を身に付けていた。パラガスは新しい白いローブを纏い、ブロリーは黒と緑を強調した戦闘服を着ている。

 

「やっとだ・・・やっと見つけたぞベジータ!」

 

パラガスはその目に、憎悪を宿らせる。かつて自分もブロリーも、ベジータの父であるベジータ王に酷い仕打ちを受けた。

 

その復讐がしたかったが、惑星ベジータはフリーザによって破壊された。しかし、そんな事はパラガスにとってどうでも良かった。恨みを晴らせなくなったが、ベジータ王が死んでくれてウィンウィンである。しかし、クウラからベジータ四世こと、ベジータが生きている事を知らされ、再び復讐に走る。

 

ブロリーは気付いていた。そして、変わってほしかった。お父さんのやろうとする事は悪い事だ。しかし、お父さんがそれで喜んでくれるのなら、力を貸してやろう。

 

「俺達は、お前に復讐する為に来たんだ!長く募らせたこの恨みを、貴様へぶつけてやる!」

 

「ふざけるな。親父にぶつける筈だった恨みを俺にぶつけられても、俺の知った事じゃない。俺からすればただの八つ当たりだ」

 

「な、何だと!?」

 

パラガスの心に、怒りが込み上げる。サイヤ人の王家であるベジータ一族のせいで、どれだけ自分もブロリーも苦しめられてきたか、解らないからそんな事が言えるんだ。

 

父パラガスが狼狽しているのを見たブロリーは、ベジータを睨む。父親を悲しませる相手を、ブロリーは許さない。

 

その様子を見ていたクウラは、ブロリーがベジータを睨んでいる事を見抜く。

 

「パラガス。ブロリーは我慢出来ないようだ。この際だ。貴様の息子の力を見せてもらうぞ」

 

「分かりました。よし、やれ!ブロリー!」

 

その瞬間、空間を揺らす雄叫びを上げたブロリーは、地面を蹴ってベジータの元へ飛ぶ。その際、クウラ機甲戦隊のサウザー、ドーレ、ネイズの三人が吹き飛ばされた。

 

そして、ブロリーの拳をベジータは笑いながら腕をクロスして防ぐ。そのまま後方へ背を向けて飛びながら、ブロリーの相手を行う。

 

そして、クウラ機甲戦隊も立ち上がった後、クウラの指示を受けて攻撃を行う。

 

「ビルスと隣に居る天使にまだ手を出すな。お前達は、彼処に居るサイヤ人と小娘二人をやれ」

 

「「「了解!」」」

 

そして、クウラ機甲戦隊は悟空、ハルオ、ギドラに向かって飛んでいく。悟空とギドラは嬉しそうに闘いを挑んだ。ハルオは両手を開きながら中腰になり、闘いの構えに入る。

 

サウザーがギドラに向かっていく。しかし、サウザーの攻撃はギドラに当たらず、すり抜けてしまう。

 

「なにっ!?」

 

「お主では相手にならぬのじゃ~」

 

ギドラはサウザーの背後に回り込むと、そのまま首筋にかぶり付き、そのまま飲み込んだ。比喩ではなく、そのままの意味である。全身から変な音を立てながら、サウザーはアッサリとギドラに食べられてしまった。ギドラの膨らむ頬から、骨を砕いて肉をしゃぶる音がした。そして、そのままゴクリと飲み込んでしまった。

 

「美味い!やはり強い奴は美味いのう!」

 

ギドラがサウザーの味を喜ぶ中、悟空とハルオはクウラ機甲戦隊と戦っていた。

 

ドーレは悟空とタイマンで勝負する。しかし、ドーレの攻撃を難なく回避する悟空は、超サイヤ人にならないままドーレの攻撃を避けていく。

 

そして、悟空はドーレの腕を持ってそのまま一本背負いを食らわせた。地面にドーレがめり込んだ後、悟空はドーレの頭に拳を叩き込み、ドーレを気絶させる。

 

「オラ、無駄な闘いはしたくねぇ。とっとと自分達の星に帰れ」

 

そして、ハルオとネイズの戦いも、ハルオが優勢であった。両生類から進化した彼のスピードも、ハルオには通用しない。直感と解析を同時に使った瞬間、ネイズの動きも未来の動きも手に取るように解ってしまう。サイボーグとなったハルオだからこそ出来る戦法である。

 

ネイズはハルオに向けて、体内にある発電器官から生み出した高圧電流を両手から放ち、ハルオに直撃させる。しかし、元々大きな都市にまで増殖したナノメタルで造られたメカゴジラが、高圧電流程度で倒れる筈も無い。寧ろ、電力を与えられて強くなるだけである。

 

『ありがとうございます。寧ろ強くなりました』

 

「あれ?効いてない!?」

 

『レールガン』

 

その時、ハルオの指先から光の矢のようなものが発射される。レールガンの弾はカッチン鋼で出来ており、ネイズの胸に撃ち込まれた。ネイズは苦しんだ後に、風穴の開いた胸元から銀の液体が自分を侵食していくのを感じた。

 

「うぎゃあああああああっ!!」

 

それは、弾に仕込んだナノメタルであった。ナノメタルによって相手を取り込み、自分の力に変える。此こそが、ハルオとナノメタルの本質である。そして、ナノメタルに完全に取り込まれたネイズは、そのままハルオの元へ飛んでいくと、そのまま液状になってハルオに取り付き、彼女の体と溶け合った。そして、溶け合った後にはハルオの姿となり、ネイズはハルオによって完全に取り込まれてしまった。

 

『ご馳走さまでした。良い素材が手に入りました』

 

高圧電流は使える。ビルサルドの本能によって科学者魂が騒ぐが、それでも感性はあくまで地球人寄りだ。要は程々にしているのだ。

 

『さて、後は彼だけですね』

 

ハルオは、クウラに目標を定める。それはギドラも同じだが、此処で予定外の事が起きる。

 

『ん?』

 

ハルオのセンサーが、異常なエネルギー数値を叩き出した。それは、以前に現れたアースとシンゴのフュージョンによって誕生した戦士によってもたらされた力の奔流。それに近い力のエネルギーを、ハルオは探知した。

 

『エネルギーの発生源はブロリーと確認。此より、排除─────なっ!?』

 

その時、ハルオは驚愕の検索結果を叩き出した。それは、ギドラが最大にまで力を発した際に生じる特異点発生の反応であった。その上、ハルオのセンサーによる検索結果や数値が、ゲマトリア演算に変えられている。

 

其処から導き出された結論は。

 

『何故ブロリーが、ギドラ様の力を持って居るのですか!?』

 

その時、油断したハルオの頭上に、クウラが出現した。しかし、ハルオが気付いた時には、クウラの拳が目の前に迫っていた。

 

『あ─────────』

 

そして、そのままハルオに拳が当たる────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「油断をするなと言った筈だ、我が弟子よ」

 

 

 

 

 

 

 

───事は無かった。突如、クウラの頬に拳が当てられた。そして、クウラはそのまま吹き飛ばされ、遠くの山に直撃した。その瞬間、山が砕け散り、クウラは崩壊に巻き込まれてしまう。

 

ハルオは、現れた人物が誰なのかを見つめた。その時、ハルオは驚愕のあまり声を失ってしまう。

 

其処に居たのは、茶色の短髪で厳つい顔をしており、筋肉質な体格を持ち、猿のような尻尾を持つスーツ姿の男だった。それは、ハルオがよく知る、直感を教えてくれた師匠。

 

『コング・・・師匠!?』

 

「やあ、久しいな。あれからトレーニングを怠っていないようで、私は安心したぞ」

 

コングと呼ばれた男は、ハルオを見て笑う。それは、弟子の成長を喜ぶ師匠に相応しい笑顔であった。



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伝説、黄金を圧倒する

ブロリーがベジータと闘い始めた時に遡る。ベジータは超サイヤ人へと変身して、初めはブロリーを圧倒した。しかし、闘い続ける内にブロリーの戦闘力が上昇していく。まるで時間と共に戦闘力が上がり、相手の動きを高速で学習するかのようだ。

 

ブロリーが拳でベジータを殴って吹き飛ばす。ベジータは上空へ打ち上げられたが、体勢を立て直して更に本気を出す事にした。超サイヤ人ブルーである。青いオーラを纏い、青い髪と瞳の超サイヤ人へと変身したベジータ。

 

「っ!?」

 

ブロリーは驚いた。ベジータの髪の色が、今度は青く染まった事に。

 

それを見ていたパラガスも同じであった。先程の金髪の姿といい、ブルーといい、パラガスは初めて超サイヤ人を目撃する。

 

「な、何なんだ!?ベジータのあの姿は初めて見るぞ!?」

 

「なに?貴様は知らんのか?あれは超サイヤ人。先程は超サイヤ人の基本の姿で、あれは更に進化したブルーらしいな」

 

「な!?ば、馬鹿な!?伝説の!?クウラ様、どういう事ですか!?」

 

パラガスは完全に慌てていた。ベジータが超サイヤ人になれる事が、予想外にも程があった。そしてクウラは理解する。先程から変身してない事も含むが、今のパラガスの様子で、ブロリーが超サイヤ人になれない事を知った。

 

そして、ブロリーはブルーとなったベジータの放つ気功波によって大地に叩き付けられた。そのまま地面に陥没したブロリー。

 

クウラは、ブロリーがベジータに圧倒された事にため息を吐き、自分が動こうとした。

 

しかし、その時だった。

 

突如、周囲に大きな圧力が掛かる。その圧力は、ブロリーが沈んだ地面を中心に周囲へ広がりつつあった。そして、陥没した地面では、ブロリーが頭を押さえて何かを堪えようとしていた。

 

「・・・下らん」

 

ベジータは手を翳す。そして、太陽のような気の球をブロリーに向けて放った。それが、最大の失敗である事を知らずに。

 

そして、ブロリーに直撃し、大爆発が起きる───かに思われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、ブロリーより光の柱が走る。

 

それは、ギドラの輝きにも似ており、機械が決して捉えられぬ高次元の力。

 

その時、その力を最初に感じたのはハルオ。ゲマトロン演算の方式が、彼女の思考を埋め尽くしていく。そして、ギドラは懐かしくも驚愕のあまり、ブロリーを見る目を見開いた。

 

「な、何故じゃ・・・何故じゃ?何故じゃああああああああああ!!何故お主が()()()の力を持っておるのじゃぁぁぁあああ!!」

 

ギドラは、ブロリーに向かって飛んでいく。そして、その顔を殴ろうとした、その時だった。

 

「おいギドラ!そいつは俺の相手だ!」

 

「どけベジータ!妾はコイツに話がある!」

 

ベジータがギドラの腕を掴む。しかし、ギドラはベジータの腕を振り払ってブロリーの元へ進む。しかし、ギドラは驚愕のあまりその場で止まってしまう。

 

ブロリーは空間を震わせる咆哮を上げていた。彼の背後に巨大な黒い穴のようなものが発生している。それはまるで、時空間に異常が発生した事で生じる特異点であった。所謂ブラックホールであった。

 

「うおおおおおおおおおおおおっ!!がああああああああああああ!!」

 

その時、ブロリーが口から黒い球体のようなものを吐き出した。球体は、周囲の物質を吸い込んで徐々に肥大化していく。

 

「なにぃっ!?」

 

ギドラは球体を掴む。同じ力を持つギドラだからこそ干渉出来る。そして、黒い球体を両手で握り潰した後、ブロリーの顔にに向かって拳を振りかざす。拳が直撃した瞬間、ブロリーの戦闘服が肩の部分だけ取れてしまう。

 

ブロリーの顔にギドラの拳が当たる。しかし、ブロリーは金色となったその瞳でギドラを睨んだ。その瞬間、ギドラの全身に拳が陥没したような凹みが出来た。

 

ギドラはそのまま山へ吹き飛ばされるが、山をすり抜けて宇宙へと飛ばされていった。

 

「ぎゃあーーーーーーーーー!!!」

 

ギドラはそのまま太陽系を突破した後、あの世とこの世の狭間に激突し、そのまま割れた空間の中へ入ってしまった。そして、ギドラはあの世の地獄へと吸い込まれて行った。

 

──────────────────────

 

「ほう。まさか奴が此ほどとはな。パラガス。あれは何だ?」

 

コングの一撃を受けたクウラは立ち上がり、近くで観戦していたパラガスに聞いた。

 

「あれは・・・サイヤ人が大猿になった時のパワーを、動きの鈍い大猿になる事無く変身出来るようになった姿です。しかし、それをやればブロリーも自分を抑えられなくなってしまうのです・・・」

 

この時、クウラは思った。サイヤ人の大猿化したパワーは十倍だ。しかし、あれは十倍所ではない。ならば、超サイヤ人へと変身したらどうなるのか?

 

興味が湧いたが、今は目の前に居る相手の始末からだ。

 

すると、山吹色の胴着を来たサイヤ人が居ない事に気付く。

 

「もう一人のサイヤ人は何処だ?」

 

『ブロリーと闘いに行きました。私が貴男の相手をしましょう』

 

ハルオであった。背中から蜘蛛の脚のような砲塔を八つも生やしている。

 

「まさか、俺に勝てるとでも?もう一人は彼処で見学か?良いだろう。このままでも良いが、俺の最終形態を特別に見せてやるぞ。お前を、確実に倒す為にな!」

 

その時、クウラの姿が変化し始めた。身体も一回り大きくなり、頭も変形して異形の姿へと変わる。そして、口元にはマスクのようなものを装着した。

 

「さあ、俺の力に恐怖するがいい!」

 

『ハルオ・サカキ、出撃します!』

 

ハルオは、足からジェットを放ってクウラの元へ飛んだ。そして、背中に生やした脚『スパイダークラフター』を右手に纏って、巨大な拳に変える。そして、クウラの右ストレートとハルオの右ストレートがぶつかり合い、大地が島ごと陥没した。

 

──────────────────────

 

ハルオとクウラ、悟空とベジータ、そしてブロリーが闘い始めた頃、ギドラは地獄の上空で勢いを止めた。

 

「ぐぬぬぅ・・・なんか悔しいのじゃーー!!姉様達の力を持っておるのも気になるが、負けたままは悔しいのじゃーー!!おのれブロリー!!次は負けぬ!!絶対絶対絶対絶対絶っ対なのじゃああああ!!!また、戻ったら・・・奴にこの痛みを・・・返して、やるのじゃあ・・・・奴に・・・この借りを・・・必ず・・・うぐ・・・うぅ・・・・・」

 

ギドラは、アースと闘った時とは違う悔しさに涙を流し始めた。初めてであった。こんなにも悔しいと思えるのは。アースの時は清々しかった為、こんな気持ちにはならなかった。しかし、ブロリーの時は負けた屈辱と悔しさ、そして自分の姉達の力を持っていた事への疑問と劣等感が、彼女を苦しめる。

 

それに、悔し涙なんて流した事も無かった。悔しいという感情を抱いた事も無かった。

 

「・・・地獄で観戦していたが、まさかお前をこうもアッサリと地獄まで吹き飛ばす奴が居たとは・・・」

 

ギドラに話し掛ける者が現れた。それは、地獄でいつもギドラが稽古を付けているセルであった。

 

「・・・セル」

 

何時にも増して弱々しいギドラの声。その顔を見たセルは驚愕した。ギドラは泣いていたのだ。表情も、見るからに悔しさと悲しさに満ちていた。

 

「っ!!」

 

その時、セルは何とも言えない悔しさを胸の奥から感じていた。こんな彼女に、どんな言葉を掛けてやれば良いのか解らなかったからだ。

 

すると、セルの懐にギドラが抱き着いてきた。セルには抱き着かれている感覚は無いが、それでも自分にギドラが抱き着いてきた事に、顔を少し赤くしてしまう。

 

「ギドラ?」

 

「・・・セル、暫くこのままで居させて・・・」

 

何時もの口調ではない。此れがギドラの本来の口調なのか分からないが、それでもセルは暫くこのままで居る事にした。

 

セルの懐に抱き着き、声を上げる事無く泣き付くギドラ。セルからは触る事は出来ないが、せめて傍に居ようと考えたセルは、ギドラが吹っ切れるまでこのままで居る事にした。

 

他にも、地獄に居るギドラを見守る者達も、彼女が立ち直る事を期待して温かい目で見守った。



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鋼の神、最強と闘う

ハルオとクウラの拳が激突しあい、衝撃波が発生する。ハルオは距離を取り、肩から展開したホーミングランチャーからミサイルを放つ。クウラは手から衝撃波を放ち、ミサイルを粉々に爆破した。

 

爆煙の中から両足を一つにしたハルオは、そのまま両手からジェットを放ち、クウラに向かっていく。技名を言わないのは、声で相手に位置が気付かれる可能性があるからだ。

 

「其処か!」

 

しかし、クウラのセンスは侮れない。クウラはハルオの位置を特定すると、そのままハルオの元へ手を伸ばす。しかし、ハルオの一体化した両足が巨大な円形の穴が無いキャノン砲へ姿を変えて、クウラの拳に当たった。その瞬間、クウラは背後に吹き飛ばされてしまう。

 

しかし、再び体勢を立て直してハルオの元へ飛んでいく。そして、ハルオの腹に蹴りを入れた。ハルオは激痛と共に吹き飛ばされて、そのまま地面に陥没する。ハルオが陥没した場所から亀裂が走り、マグマが吹き出した。すると、マグマを突き抜けて八本もの細長いミサイルがクウラに向けて飛んできた。クウラは先程と同じようにミサイルを衝撃波で爆破した。しかし、クウラの腹に何かが突き刺さる。

 

「何ぃっ!?」

 

クウラは腹をよく見ると、小さな六十四本の針が腹に突き刺さっていた。すぐに全ての針を引っ張って抜いたが、何故か出血が無い。針の先端が抜けなかったのだろう。

 

そして、マグマから高速で吹き出したのは、何故か溶けていないメイド服を着ていたハルオであった。

 

『素晴らしい一撃でした。しかし、貴男の一撃を学習しました。今のが本気でなくても、もう効きません』

 

「ふざけるなよ・・・俺はクウラ様だ!!俺は宇宙で一番強いんだぁぁぁぁっ!!」

 

クウラは空へ飛ぼうとした。しかし、腹から謎の激痛が走って上手く飛べない。クウラは腹を見ると、先程撃ち込まれた針によって出来た傷口から、銀色の粘膜のようなものがクウラの身体を覆い尽くそうとしていた。まるで、スライムの補食である。

 

「ぎあああああっ!!な、なんだこれは!?」

 

クウラは拳で粘膜を殴る。しかし、粘膜はクウラの拳に付着して更に侵食を始めた。

 

「くそっ!?何が起きている!?」

 

『ナノメタルを貴男の体内に直接侵入させました。フリーザ様の細胞を解析し、貴男達一族の細胞も侵食出来るようになりました。終わった時、貴男は私が取り込んであげます』

 

「ふざけるなよ!俺が・・・俺が・・・貴様に取り込まれてたまるかあああ!!」

 

クウラは全身から気を放出した。しかし、クウラの身体を侵食するナノメタルは離れてくれない。表面のナノメタルを含めて、細胞と同化してしまった為に剥がす事が出来ない。クウラがナノメタルを剥がすには、侵食された部位を切断するしか逃れる方法は無い。

 

「おのれえええ!!むっ?」

 

クウラはある事を思い出した。それは、ガイガンと名を忘れた男から受け取った注射器であった。その中には、『G細胞』が入っているらしい。

 

癪に障るが、此処で使ってみるのもありだろう。

 

そう考えたクウラは、注射器を取り出して自分の首に刺した。そして、中にあるG細胞を自分の中に注射する。

 

『っ!?なにを・・・!?』

 

ハルオは驚愕した。そして嫌な予感を感じたハルオは、すぐにトドメを刺しに掛かる。

 

両腕を収束素粒子エネルギー分解砲に変化させて、クウラに向けて砲口を向けた。そして、砲塔に描かれたメーターに虹色の棒状のエネルギーが溜まり、砲口から素粒子分解ビームが放たれた。虹色に輝くビームはクウラに向かって飛んでいき、彼に直撃した。此れでクウラは分解されてしまう───────かに思われた。

 

「ヴオオオオォォォォォッ!!!」

 

その時、ビームが弾き飛ばされ、ナノメタルもクウラの身体から爆発するように引き剥がされた。分子レベルで融合していたにも関わらず、ナノメタルが吹き飛ばされた。その理由としては、クウラの細胞ごと吹き飛ばされたからだ。しかしそれには、肉体を崩壊させる必要がある。

 

そして、爆発が起きた後に現れたのは、以前のクウラではなかった。

 

膨張した紫色の筋肉の身体に、脳となった頭は刺のようなものを生やしていた。背中には悪魔の翼を思わせる異形の羽を生やしている。四肢は血管のような線が張り巡らされ、血管のように躍動している。顔は第4形態時に戻っているが、頬や額には無数の目玉が生えていた。

 

それは、G細胞を取り込んだクウラの姿。ハルオはゴジラの反応が強く出ている事に驚いていた。

 

『まさか、ゴジラの力!?いえ、私の知っているゴジラではなく、別のゴジラの細胞のようですね』

 

「ククククッ・・・素晴らしい力だ!全身に秘められていた力が沸き上がるようだ!さあ、貴様も此れで終わりだ!」

 

その瞬間、ハルオは直感で横に避けた。その時、クウラの蹴りが先程までハルオが立っていた場所に炸裂したのだ。しかし、ハルオは避けきれた訳ではない。腕の皮膚が剥がれて、赤い血と自己修復ナノマシンが漏れ出てしまった。

 

『そんな!?回避した筈では!?』

 

「おや?ギリギリ避けられたようだな。クククッ。この力が何処まで出来るのか、楽しみだな」

 

ハルオは肩から四つの三日月型の装置を生み出し、装置からオレンジ色のビームを放つ。そして、ハルオの前でビームが一つになり、巨大な極太ビームとなってクウラに迫る。クウラの身体に直撃するが、彼は痛がる様子も無かった。そればかりか、ビームを身体で受け止めながら歩いてきている。

 

『遠距離では駄目ですか!ならこれはどうです?』

 

ハルオは自身の切り札を使用する事にした。以前に使用したのは、あらゆるものを切断する破壊の剣『フォトンカリバー』であった。

 

今回は、脚力と腕力で勝負である。

 

『アクセスコード!ファイティングキックボクサー!』

 

そして、ハルオの背後から二体の昆虫が現れた。一体目は白銀色をした巨大なバッタ。もう一体は人間大の黒アリであった。

 

『うおおおおっ!ジャンプ出来る!アタシはやっぱり高く跳べるのが良いよねー!』

 

『あらあら~、マスターさんが私の力を頼ってくださるなんて、感激ですわぁ』

 

バッタからは元気溌剌な少女の声がした。黒アリからはおしとやかな女性の声がする。

 

「ハッハッハッ!やらせると思うのか!」

 

クウラが指先を向けるが、突如自身にミサイルが直撃する。ミサイルは爆発した後に煙幕を放った。ただの煙幕ではなく、煙自体が粘着力のある成分が含まれており、クウラの動きを鈍らせ、その上視界を奪うには効果的であった。

 

「ぐおおおっ!!目があああ!!」

 

クウラは目が粘着性の煙によってネバネバにやられ、痛みのあまり悶絶してしまう。

 

『おおっ!おっかないなぁ・・・』

 

『それはそうと、合体しますわよ!』

 

『ええっ!』

 

そして、ハルオの横についたアリとバッタは、それぞれ違う姿に変形した。バッタは巨大なバネとゴムを備えた緑色の脚になり、ハルオの脚に装着される。アリは二つに分かれた後に顎が五本指になり、二つの巨大な両腕に変形し、ハルオの腕と合体する。

 

『『『超格闘剛力合体!ファイティングキックボクサー!!!』』』

 

こうして、ハルオの四肢が身体に合わないサイズへ変化した。どちらも四メートル程も大きくなり、ハルオ自身が重さに耐えきれないように見える。しかし、ハルオは重そうな見た目にも関わらず、クウラの元へ一瞬で迫り、巨大な豪腕で殴る。

 

「ぐおおおっ!?」

 

クウラも、豪腕から繰り出されたパワーによって吹き飛ばされてしまう。

 

『ふふっ。素晴らしいパワーです』

 

『あらあら~、それは喜ばしいことですわ~。まだまだ、遊び足りなくってよ』

 

『よおおし!蹴るよ蹴るよー!』

 

ハルオは巨大化した四肢からは考えられない速度で走り、クウラの元へ向かう。クウラも起き上がってハルオの元へ飛ぶ。そして、お互いに拳をぶつけ合い、その場に大きな衝撃波が発生した。

 

──────────────────────

 

その時、ブロリーが作り出した特異点からある二人が降り立った。

 

「此処は、何処だ?」

 

「さあな。ん?」

 

二人は、遠くで闘いが起きている事に気付く。

 

「何が起きてる?見に行くぞ、エボルト」

 

「分かってるよ、ゴジラ」

 

こうして、二人も闘いの場へ向かう。これが、短くも奇妙な出会いとなる事を、誰も知る由は無かった。




深緑風龍さんのキャラ、メインを此処で出しました。タイミング、マジで難しかった。


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鋼の神、最強と決着をつける

今思ったんですけど、悟空は六千度の熱でダメージ受けてましたよね?あのブロリーもクウラも、太陽の熱にやられました(太陽の温度はそんなに高くないとの話もありますが、この世界の太陽の表面温度は邪悪龍の一人である四神龍と同じ六千度という事にします)。って事は、多分避けられる可能性ありますけど、もし核爆弾が直撃したら、爆発によって生じた数百万度の火球でも倒せますよね?私の勝手な自己勝手な私見なのですが。何故こんな話をしたのかって?それはこの話に理由があります。


「ハァッ!」

 

『ぐっ・・・!』

 

ハルオは、クウラの圧倒的なパワーに押されつつあった。クウラの拳をシールドで防ぐが、シールドはボロボロに破壊されてしまう。クウラの拳の連打が、圧倒的過ぎた。

 

『なんなんですの!?クウラのパワーが上昇してますわ!?』

 

『キックが効かなくなるなんて、こんなのズルいよ!』

 

バッタとアリも、クウラに異変が起きている事に気付く。クウラは此方の攻撃を受け続ける内に、力を増しつつある。

 

ハルオは蹴りを放つが、クウラによって脚を掴まれて、そのまま地面に叩き付けられた。

 

ハルオは地面に叩き付けられた後、そのまま膝蹴りを受けて更に地面に埋め込まれた。

 

「ハハハ・・・貴様が何をしようと、無意味だ!この俺が宇宙最強だ!!」

 

クウラはトドメを刺そうとした、その時だった。

 

突然、クウラの身体に無数の凶弾が降りかかる。ハルオは隙を突いてクウラに向けて蹴りを入れた瞬間、足の裏から反重力をフルパワーで展開してクウラを吹き飛ばした。

 

そして、そのまま背中から反重力ブースターで身体を起こし、大地に立つ。クウラは突然の事で対応出来ず、空中に吹き飛ばされて体勢を立て直せない。

 

『直感により、二名の不明生物からの攻撃を観測。一人は火星の物質反応あり。もう一人は・・・えっ?ゴジラ?』

 

ハルオは再び困惑する。もう一人の、ゴジラが現れたのか?遠くに、二名もの男達が居た。

 

しかし、クウラを倒すチャンスが回ってきた以上気にしては居られない。ハルオはクウラに攻撃を続ける事にした。かつてアースは、150発もの熱核攻撃に耐えて見せた。ならば、クウラのようなフリーザ一族はどうだ?奴等は数百万度の超高熱に耐えられるか?

 

星の爆発に、本当に耐えられるならば、見せてみろ。

 

ハルオはクウラに向けて、両腕を突き上げた。両手を輪の形を描くように構えると、その輪の中が光り輝いた。

 

星の爆発の熱量には届かないが、かつてゴジラに放った熱核攻撃の熱量を再現する。

 

ビルサルドの言葉は、『勝利するなら覚悟しろ。人を超え、ゴジラを超えたその果てに至ると』というものだった。しかし、ハルオは彼等とは違う。

 

『マスター!』

 

『マスター。ふふっ』

 

『覚悟します。人を超え、そして貴男を超える!でも私は、ビルサルドのような過ちを二度と繰り返さない!そうなるのは、私だけで充分だから!!お父様!私に、最後の力をーー!!!』

 

そして、膨大な熱量の光が砲塔と化した両腕から放たれた。

 

『ニュークリアァァァァ・・・・・』

 

『ナノメタルゥゥゥゥゥゥ・・・・・』

 

『『『バスタアアアアアアアアアアァァァァッッ!!!』』』

 

そして、かつての熱核攻撃分を足した熱光線が、クウラに向けて放たれた。

 

「俺をををををを、嘗めるなああああああああああああああああああああああ!!!」

 

クウラは両手を天に翳して展開し、天を覆い尽くす程の巨大な気の球体を生み出した。これがクウラの最大の技。星を破壊するための技『スーパーノヴァ』である。そして、クウラはスーパーノヴァを両手で生み出したのは、指先だけで生み出したスーパーノヴァでは跳ね返される可能性があるからだ。両手の指先から生み出したスーパーノヴァを全て融合させて、絶大な威力を発揮する。

 

そしてクウラは、両腕を振り下ろしてスーパーノヴァを振り下ろした。ハルオがニュークリアナノメタルバスターを放った後だが、それでも間に合った。

 

「・・・貴様、名は?」

 

『ハルオ・サカキです』

 

「覚えておこう。貴様は英雄だ。此処で殺してやる!」

 

クウラは微笑んだ。無意識の内に微笑んだ彼は、この場において何を思うのか。

 

ハルオの熱光線は、クウラのスーパーノヴァを徐々に押していった。

 

「な、なにぃ!?」

 

熱光線はスーパーノヴァを正面から撃ち破り、クウラに直撃した。クウラの身体に摂氏数百万度の熱量が直撃し、全身を焼き付くしていく。

 

しかし、それはハルオも同じだ。ハルオは全身をナノメタルで融合させて耐えているが、限界温度を遥かに超えており、何時彼女の全身が溶けても可笑しくない。

 

つまり、これは賭けだ。ハルオがメカゴジラだった頃なら、絶対にやらなかった事だ。

 

ハルオは何処まで行っても、ビルサルドである事には変わらない。しかし、それでもハルオはハルオだ。自分の人生を選ぶ事が出来る。なら今は、クウラを倒す為に全力を振り絞る。

 

『ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!』

 

「ぐおおおっ・・・・まさか・・・こんな・・・事があああ・・・」

 

その時、クウラの頭に浮かんだのは、父親と言い争う光景だった。それは、フリーザ軍がコルド軍だった頃で、クウラ軍の結成もまだ浅かった頃の話だ。

 

──────────────────────

 

雨が降り注ぐ惑星フリーザ。そのベランダにて、第一形態のクウラとコルド大王は向き合っていた。しかし、二人から放たれる空気は、近寄りがたいものがあった。

 

『何故だ・・・俺の方が戦闘力も上で、彼奴より先に軍も結成した!なのに、なのに・・・何で彼奴(フリーザ)なんだよ親父!!』

 

『お前には、軍を率いるのに足りないものがある。フリーザは若いままで、軍を統括する才に優れていた。クウラ。確かにお前は強い。俺達フリーザ一族の中でも、その力は最強だ。だが、力が強いだけでは軍を率いる事は出来ん。強さを求める事にしか目を向けられんお前には、俺の跡を継がせる訳にはいかん!』

 

『ぐっ・・・親父は分からんのか!?俺は、俺はああああぁぁぁっ!!』

 

──────────────────────

 

(・・・今になって、親父の言いたい事が分かるとはな。俺には、確かにフリーザのような統率力は無い。しかし、それでも、俺は満足出来る事が見つかった・・・それが・・・・・・お前だ。ハルオ・・・サカキ・・・)

 

クウラは、自身に襲い来る熱光線の中で、己を打ち倒した相手を見ていた。メイド服は焼け落ちて白銀の機械的な身体をさらけ出して尚、クウラに向かって熱光線を放ち続ける相手を、クウラは笑いながら見ていた。

 

(素晴らしかった・・・・ぞ・・・)

 

満足したのか、安らかな笑みを浮かべたクウラ。そして、そのまま熱光線と共に宇宙へ飛ばされていき、肉体が熱に焼かれて消滅していくのをじっくりと堪能するクウラであった。

 

──────────────────────

 

ハルオは熱光線の放射を止め、全身を覆うナノメタルを身体の中に戻した。全身から汗が流れ出て、更に全身が震えている。視界もボヤけ、赤外線、放射線、音響等のあらゆるセンサーもノイズが走っている。

 

ファイティングキックボクサーも、あちこちに深い傷や溶けた痕が出来ており、クウラの攻撃やハルオの放った熱光線がどれ程の威力か、見ただけでも分かる程だ。

 

『ハァーッ・・・ハァーッ・・・』

 

ハルオの足取りも、ふらついていた。クウラだけではないのだ。他にも、ブロリーという強大な存在が居る。

 

休んでいられない。しかし、今の体力では消されるのがオチだ。

 

その為の切り札も、実は体内にある融合炉に保存していた。それは、悟空達が大怪我や体力が尽きた際に食べていた小さな豆、仙豆であった。ハルオの体内に存在する融合炉は、所謂胃に当たる器官だ。他にも胃の役割を担う機能は存在するが、食物を口から摂取した際は、一番大きな融合炉に移動する。そして、融合炉の内部で溶けたものは、自身の身体に流れる血液や自己修復ナノマシン、更には気に変換する。その為、排泄を必要としないハルオは、ほぼ永久に活動する事が出来る。正にビルサルドの科学技術や界王神の協力、そしてこの世界の科学技術があってこそ出来る事だ。

 

つまり何が言いたいか。融合炉に保存した仙豆を、そのまま取り込んで吸収。その時、ハルオの体を襲う疲労やダメージが全て消えた。焼き切れたメイド服は、取り込んだ生物の皮を使って生み出し、再び着替える。

 

『仙豆・・・私も量産したいですが、今は、ブロリーを何とかしなくては』

 

『ええっ。でも私は、休ませていただきますわ』

 

『うん。私もごめんね~』

 

ファイティングキックボクサーが光となって消えた後、ハルオは背中のジェットを噴射してブロリーの元へ飛んだ。そして、ブロリーの元へ飛んだハルオが見たのは、圧巻の光景であった。

 

空には巨大な黒い穴が無数に出来て、空間の至る所に渦が発生していた。

 

ハルオは言葉を失った。そして、その原因がある者達が闘っていたからであった。

 

それは、何故か超サイヤ人に変身した暴走するブロリーと、『ハイパーギドラフォーム』とは違った黄金の鎧を身に纏ったギドラの姿があった。ギドラは笑い声を上げながら、ブロリーと殴りあっている。ブロリーは雄叫びを上げながらギドラを圧倒的な力で殴っていた。

 

『これは、二人のせいで?』

 

ハルオは、ブロリーとギドラが闘っているせいで時空間が歪み、時間の流れも可笑しくなっている事を危惧していた。先程から、科学では説明付かない現象も数多く見られ、最早収集付かない状態であった。

 

『二人を止めなければ!』

 

ハルオは武器を構えようとした。しかし、此処である疑問が浮かぶ。ブロリーとギドラは、同じタイプの存在だ。ブロリーはゴジラと違い、ギドラと同じ高次元の力を宿している。

 

もし自分が二人を攻撃しても、決して当たらないだろう。

 

しかし、それでもやるしかない。ハルオが武器を向けようとした、その時だった。

 

「「それはやめとけよ」」

 

突如、ハルオの肩を持つ者二人と、ハーモニカによる心安らぐ演奏が流れ始めた。それは、以前にハルオが出会ったリムルと、もう一人は赤と金の全身鎧を纏い、胸の中心に輪のようなものを身に付けた者。そして、帽子を被り、旅人の雰囲気を纏った男だった。

 

「リムル。ブロリーは、僕とハーモニカ君が抑えよう。君は、高次元ちゃんを頼むよ」

 

「分かった。というか、リーダーは俺だろ?」

 

「ああっ、俺とトニーに任せろ」

 

『・・・あの、貴男達は?リムル様、これは一体?』

 

「紹介するよ。トニー・スタークこと、アイアンマン。クレナイ・ガイこと、ウルトラマンオーブだ」

 

「「宜しく」」

 

ハルオは驚愕した。ウルトラマン、そしてアイアンマン。これは、何故かハルオの記録の中に存在するヒーローの名前だったのだから。




うおおおっ!?ハルオとクウラの決着だけにするつもりだったのに、蛇足にも程があるだろおおおお!?

それはそうと、私が熱核攻撃がドラゴンボールキャラにも効くと思ったのは、前書きに書いた通りです。普通に考えれば、分かりますよね?太陽の六千度、中心温度で十三万度の熱でブロリーやクウラがやられるなら、熱核攻撃の数百万度には耐えられないだろうと思ったんです。まあ、勝手な考えではあるんですがね。


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虚空の王、伝説と再戦する

時はギドラがセルに泣き付いた頃に遡る。ギドラは暫くして泣き止むと、その場で座禅を組み始めた。地獄にある現世を覗ける結晶には、未だにブロリーと戦い続ける悟空とベジータの姿があった。二人はブルーに変身して、一緒に闘っている。

 

ギドラは座禅を組んで、精神統一を続けていた。何が目的か?それは自らを更に鍛え上げる為の措置であった。しかし、よく見ると彼女の周りのみ空間が歪み、時間の流れも可笑しくなっていた。

 

「何をやってるんだ?ギドラ様は」

 

其処へ現れたのは、元ギニュー特戦隊の一人、赤い肌に白い長髪の男『ジース』であった。

 

「精神統一・・・なのだろうが、それだけでは無いらしい。それにあの時空間の歪み方・・・時を越えているのだろう」

 

セルはそう判断した。かつて自分は未来からこの現代へやって来た身である為、彼女が何をしているのかよく解る。

 

「時を越えている?タイムマシンのようなものですか?」

 

ジースがそう言うが、セルは首を横に振る。確かにタイムマシンのようなものだろうが、セルは違うものを感じていた。時を越えているのだろうとは言ったが、それはあくまで予想だ。他に何をしているのか、それはセルにも分からない。

 

すると、ギドラは言葉を発した。しかし、その言葉はセルやジースにも理解出来ない言語であった。

 

「な、何を喋っているのでしょうか」

 

「知らん。しかし、ギドラが私の元へ来るときに話していた『エクシフ』という種族の使う言葉ではないか?」

 

「そうですか・・・しかし・・・誰と話しているんでしょうか?」

 

ジースは、ギドラの言葉の発し方が会話をしているようだと理解した。まるで、誰かと話をするかのようだ。

 

すると、ギドラの体から黄金のオーラが溢れだす。超サイヤ人のような荒々しい破壊的なオーラではなく、魂を浄化しそうな安らぎのあるオーラであった。

 

「遥かなる時を越え、未来をも見通す力を得たエクシフの祖先は、永遠等存在しない事を確信した。全ては有限であり、滅びの果てにこそ創造が存在する。何かが壊れる事は、新たな何かが生まれる事。生命は生きる内に、何かを喰らう事。妾の名を告げる」

 

ギドラは立ち上がり、空中に浮かぶ。地獄に無数の落雷が落ちる。そして、地獄のあらゆる場所が歪んでいき、歪みに飲み込まれた者達はその後行方不明となった。

 

「来たれ金色の王!その名はギドラ!終焉の翼!来たれギドラよ!我等に栄えある終焉を!血肉を糧に、究極の勝利を!」

 

それは嘗て、エクシフが自らを呼び寄せる際に唱えた言葉。数多の星を食べる時も、エクシフは常にこの言葉で、自分を呼び寄せてきた。ならば、もし自分で呼べばどうなるのか?こうして変わった自分に対して、自分に呼び掛けたらどうなるか?

 

その答えは、『自分自身の覚醒』であった。彼女の身体に黄金のオーラが入り込んでいく。これまでギドラを呼び出す際には、ギドラは先ず生け贄として信者達を喰ってきた。しかし、今回は違う。自分は既に多数の星を喰らった。ならば、今まで喰らった星のエネルギー全てを支払う。『ハイパーギドラフォーム』は、今まで喰らった星の力と、自身の高次元エネルギーを掛け算し更に2を掛け算してパワーアップする強化形態。しかし、今度の形態は、今まで喰らった星のエネルギーと違う時空から引っ張り出した自分を丸ごと喰らう事で変身する形態。『トゥルーギドラフォーム』の誕生である。

 

その姿は、『インフィニティイーター』を放つ際に変身する翼を生やした全身鎧であり、黄金の槍を手にしている。しかし、槍の形状は全く違う。槍はトライデント型になり、尾の部分は二つに分かれ、持ち手にはレバーのような突起物が二つ生えていた。槍の姿は正に、ギドラの姿を模したような形をしていた。そして、ギドラの姿は子供のような姿から、大人の姿へと成長していた。それは、ハイパーギドラフォームの姿ではあったが、目は以前のままであった。

 

「「おおっ」」

 

ジースもセルも、その輝きに見惚れていた。地獄に居る悪人達も、ギドラの新たな姿に見惚れており、中には先程のギドラの言葉を復唱し続ける者も居た。

 

ギドラが地獄を去ろうとした。その時だった。

 

「ギドラ」

 

セルがギドラを呼び止めた。

 

「っ?」

 

「幸運を」

 

セルの言葉に、ギドラは笑って首を縦に振った。そして、ギドラはセルに背を向けて、背中の翼を広げて地獄から光の粒子状になって消えた。

 

──────────────────────

 

そして、ギドラは地球へ戻ってきた。地球へ戻った彼女は、ブロリーの姿を発見する。ブロリーは、超サイヤ人の姿となって暴走していた。そのお蔭か、周囲の空間に亀裂が走っている。ギドラは他にも、時間の流れにも影響が出ている事を感じた。

 

「ふむ。悪くはないのう。ブロリーと言ったかのう?奴の姿が変わって・・・ほう」

 

ギドラは、自分の足元に居る死体を見つけた。それは、ブロリーの父パラガスの死体であると理解した。初めは、自分がパラガスを踏みつけて殺してしまい、それでブロリーが怒りと悲しみで暴走したと考えたが、あるものを見てその考えは変わる。

 

パラガスの死体は頭を何者かに撃ち抜かれている。そして、パラガスの隣にはガタイの良い男の死体があった。恐らく、パラガスは彼に殺された。そして、男は恐らくクウラの手下だろうが、ブロリーに殺されたのだろう。上半身が見事に吹き飛んでいた。

 

何があったのかは分からない。しかし、ギドラはブロリーと戦うつもりで戻ってきた。今は、ブロリーにリベンジする事だけを考えている。

 

ギドラはブロリーの元へ走る。それから、二人の戦闘は過激なものへと発展し、ハルオが見た通りの光景になる。そして、ブロリーの拳とギドラの槍。二つの攻撃がぶつかり合おうとした、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、二人の前に三人の人影が現れた。ギドラの槍は、水色の長髪に金の瞳を持つ、白と黒の服を身に付けた端麗な女神の持つ刀によって止められた。ブロリーの拳は、ブロリーと同じ大きさの赤と金の全身鎧の巨人や更に巨大な巨人の剣によって止められる。

 

「お主は、リムルか?」

 

「少しは落ち着けよ。第7宇宙を破壊する気か?」

 

ギドラは少し冷静になり、ブロリーの元を見た。ブロリーの攻撃を防いだ二体の巨人。その内の一人が、ギドラを見て驚く。

 

『マジか・・・F.R.I.D.A.Y.彼女が見えるか?』

 

『いえ、何も居ません。ボスの見ている先には、異常な重力波以外何も存在していません』

 

トニーはスーツ越しである為か、ギドラの姿が見えてない。相棒の『F.R.I.D.A.Y.』に頼んでも同じ事だった。

 

「ぐううぅぅぅっ!」

 

『落ち着くんだ。父を失った悲しみは解る。だが、怒りと悲しみに囚われて自分を見失うな』

 

トニーはそう言った。しかし、ブロリーは荒ぶるだけで何も答えを返さない。

 

「・・・すまぬ。落ち着いたのじゃ。それで頼みたいのだが、ブロリーを止めたいのじゃ。あやつには、借りがあるからのう」

 

「良いぜ。俺も手伝うよ」

 

ギドラはリムルと並んで立つ。リムルが自分を止めた事には驚いたが、今はそんな事を気にしては居られない。ブロリーを止めなくてはならない。

 

二人は互いに顔を見て首を縦に振った。そして、ブロリーの元へ歩み寄るのだった。



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合体戦士、伝説と向き合う

「ウゥゥゥッ!!があああああああああ!!」

 

ブロリーが咆哮を上げて、トニーの腕を掴んで投げ飛ばした。分厚いメタルスーツを身に纏うトニーは吹っ飛ばされたが、空中で両手両足から吹き出したジェットを噴射して体勢を立て直す。

 

そのまま地面に着地した後、ブロリーに向かって掌からビームを放つ。ブロリーはトニーに向かって飛んでいき、ビームを顔で受け止めながら突き進んだ。嘗てハルクを圧倒したハルクバスターを元に設計したナノテクノロジーのバトルスーツにして、対サイヤ人用の装備も多数備えた『サイヤバスター』の攻撃を、ブロリーはモノともしない。

 

『トニー!!ハァッ!!』

 

オーブは自分が手にする武器『オーブカリバー』で、ブロリーに向かって振り下ろした。ブロリーは剣を避けた後に、オーブに向かって気の光線を放つ。オーブに直撃する前に、トニーが両手からビームを放って空中で爆破させる。

 

『油断するなよガイ!』

 

『お前もな!』

 

トニーがブロリーに蹴りを入れるが、ブロリーはトニーの脚を持ってそのまま地面に叩き付けた。

 

ギドラが槍から稲妻のような光線を放ち、ブロリーを吹き飛ばした。

 

リムルもまた、掌から黒い炎のようなものを放ってブロリーを攻撃。ブロリーに直撃し、大爆発を起こした。

 

「ううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

ブロリーの上半身に着る戦闘服が砕け散り、彼の体格も遥かに増した。より筋肉質になり、身体の大きさや力の奔流も濃さを増している。更に強さを増した、『超サイヤ人フルパワー形態』である。そして、ブロリーの全身から先程ギドラが放った引力光線が、周囲に解き放たれた。

 

『前のハルクか?』

 

『はい。今のブロリーは限りなく近いです。しかし、ブロリーから発せられるエネルギーは、相変わらず測定出来ません。その上、時空間系列の破綻も見られます』

 

『其処に居るだけで時空間に影響があるとはね。ギドラと違って、今スーツを纏っている僕にも姿は見えるんだけどね』

 

トニーとF.R.I.D.A.Y.は、ブロリーに嘗ての親友が変身した姿を思い浮かべた。そして、放っておけば他の宇宙も、そして別の並行世界にも悪影響が出るかもしれない。そう考えたトニーは、リムルやオーブ、ギドラと共にブロリーに立ち向かうのであった。

 

──────────────────────

 

一方その頃、ハルオは悟空とベジータの元へやって来た。その手には、仙豆が大量に入った袋が握り締めてある。ハルオが仙豆の成分や構成物質を解析し、量産に成功したのだ。最も、仙豆の持ち主であるカリンという猫の仙人は驚愕のあまり口が塞がらなくなってしまったが。

 

兎に角、ハルオは二人に仙豆を一粒ずつ提供した。

 

「すまねぇな。助かったぜ」

 

『ありがとうございます。ブロリーにやられたようですね』

 

「くそっ!あんなに強かったとはな!ムカつくぜ!」

 

「ああっ、オラも彼奴が彼処まで強かったって予想してなかったんな。参っちまうぜ」

 

悟空もブロリーの強さを言い表そうにも、言葉をどんなに振り絞っても表現しきれなかった。そして、ギドラが更に強くなって帰ってきた。

 

『どういたしますか?あの四人に任せてこの場を退散する方が、よほど建設的な判断です。今の私では、却ってあの四人の足を引っ張るだけです。無論、お二人も体力が戻ったからと言えど、結果は変わらないでしょう』

 

「貴様にそんな事を言われる筋合いは無い!勝てる勝てないは俺達が決める!」

 

「・・・そうだな。気持ちはありがてぇけどよ。やられたまんまはオラの性には合わねえんだ。変な話かもしれねぇけどな」

 

『成る程。借りを返したいと。では、お二人がブロリーを負かす良い方法が二つあります。あの四人に任せるか、フュージョンして闘いに乗り出すかです』

 

「な、何だと!?」

 

「そっか!それなら行ける!」

 

悟空は、ベジータとフュージョンする方に賛同した。これなら二人揃って借りを返せるし、フュージョンしなくては自分達はブロリーに勝てないと分かったからだ。

 

しかし、ベジータは合体を拒否。自分達がブロリーと闘えるようになるにはそれしかないのは解っていたが、その合体する過程で行うポーズが嫌らしい。

 

初めは拒否したベジータも、悟空の必死の説得によりフュージョンを決意した。やり方を悟空とハルオに教えてもらい、ベジータだけでポーズの練習を行うが、四回も間違えてしまった。そして、本番を悟空とベジータが行う。

 

ポーズは、完璧であった。フュージョンが成功し、ハルオの前にはブロリーに勝るとも劣らない戦士が誕生した。

 

『・・・成功したようですね。おめでとうございます。さて、貴男のお名前は?』

 

『えっ?ポタラの時はベジットだったからな。ええっと・・・そうだな・・・悟空とベジータだから、ゴジータだ!そうだ、ゴジータだ』

 

『はい。宜しくお願いします。ゴジータ様』

 

『ああっ、サンキューハルオ。それと、アッチになんかすげぇ奴らが二人居るぜ。ギドラと一緒に行ったらどうだ?』

 

ゴジータはそう言った後、額に二本の指を当てて瞬間移動を行った。そしてハルオも、ギドラ達の元へ向かう為に、背中のジェットエンジンを点火した。

 

──────────────────────

 

ハルオが着いた頃には、ブロリーとゴジータが戦闘を開始していた。超サイヤ人ブルーとなったゴジータが、ブロリーとほぼ互角に闘っている。ブロリーが若干、ゴジータに押されつつあるが、それでも食らいついている。

 

そして、ギドラ達はその様子を見守っていた。オーブに変身していたガイは、顔に出来たアザを押さえながら座っていた。トニーも、ボロボロとなったスーツを身に纏ったまま座っている。ギドラも、鎧のあちこちにヒビが入っているが、立っている事は出来た。その中で、唯一無傷なのがリムルであった。

 

「おおっ、ハルオか。今、ゴジータと交代した所じゃ」

 

「俺は平気だったんだけど、後は俺に任せてくれって言うからな。まっ、ゴジータが危険になれば俺が加勢するって約束付きだけどな」

 

「それに、約束してもらったんだ。ブロリーを殺さずに無力化してほしいとな」

 

トニーがブロリーを殺さないでほしいと願ったのは、ブロリーに自分と似た境遇を感じたからだ。嘗て自分の両親は、洗脳された暗殺者『ウィンター・ソルジャー』の手によって殺された。それで冷静では居られなくなり、彼を殺そうとしてしまい、友であるスティーブ・ロジャースと決裂してしまった。しかし、復讐を乗り越えたトニーは、スティーブと和解し、最終的に大きな敵に勝利出来たのだ。但し、己の命と引き換えであったが。

 

だから、今のブロリーに嘗ての自分を重ねてしまった。悲しいし、辛いだろう。しかし、復讐の果てにあるのは報復の連鎖だ。誰一人として、そんな世界では幸せにはなれない。ブロリーを止めてほしい。トニーはそう願い、ゴジータに全てを託した。彼なら、きっと上手くやれる。

 

『それは喜ばしい事です』

 

「ああっ」

 

『それはそうと、ギドラ様に着いて来て頂きたい場所があります』

 

「解っておる。彼処から感じる、ゴジラに似た力の持ち主に会うのじゃろ?」

 

『はい』

 

ギドラの問いに、ハルオは首を縦に振る。

 

「解った。リムル。此処は任せるぞ」

 

「ああっ、行ってこい。此処は俺達に任せておけ」

 

ギドラはハルオと並ぶように空へ飛び立ち、力を感じた方向へ向かう事にした。ギドラは飛びながら、トゥルーギドラフォームを解除した。すると、ギドラの姿は嘗ての幼女姿ではなく、ハイパーギドラフォーム時の女性の姿になったのだ。しかも、服装は幼女の時に着ていた白のワンピースを大人用にアレンジしたものである。

 

ギドラは飛びながら、自分の手を何度も閉じたり開いたりする。そして、確信した。力を失っていない。寧ろ、後数回変身しても、問題は無い。

 

つまり、ギドラは自分の力を完全に我が物にしたのだ。

 

『ギドラ様。どうですか?』

 

「うむ。力を失っておらぬ。あの姿、予想じゃが後二回変身しても問題無かろう」

 

『それは良かったです。私も、コング様から教わった直感を、更に使いこなさなくては。それはそうと、反応が示した場所に着きます』

 

「案外遠く無いのう。ワームホールを使えば良かったのじゃ」

 

こうして、二人は強い二つの反応があった場所にやって来た。ハルオが拾っているゴジラ反応及び火星物質の反応は濃くなっており、その二人が近くに居る事を意味していた。

 

ハルオはレーダーを解除すると、自分の直感を信じる事にした。右手と左手に銃を手にする。リボルバー式の銃とオートマチック銃を二つ、ナノメタルとカッチン鋼で複製して両手で持ち手を握り締める。引き金に指を当てて、何時でも撃てる準備を整える。

 

「・・・居るのは分かっておる。話がしたい」

 

『弾はゴム弾に変更しましたが、それでも痛みはありますよ。クウラの際に援護してくださったお礼をしたいのです』

 

武器を持っているのに何を言っているのか。相手はそう思っているだろうが、ハルオは気にしない。そして、ハルオは自分から見て左67度の方向へ、両手の銃から弾を撃つ。

 

弾は草むらに入ろうとした瞬間、突如現れた二人組によって全て切り落とされた。

 

ハルオとギドラは、現れた二人を見て驚愕する。

 

「いきなり攻撃は無いだろ!?」

 

「ゴム弾なのは有り難いがな」

 

現れた彼等は、ギドラ達の前に歩いてきた。ギドラとハルオが驚いたのは、もう一人の男から感じた力だ。それは、自分達の知るゴジラとは、全く違った力を放っていたからであった。




此処で漸く、深緑風龍さんのキャラが出せました。まあ、次回ですぐに居なくなりますけど。


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合体戦士、伝説を倒す

倒すというのは、必ず殺すという意味ではありませんよ?


「・・・お主等、何者じゃ?一人はゴジラなのは解る。じゃが、もう一人は知らぬ」

 

ギドラが、現れた男二人に問い掛けた。

 

「・・・そういうお前達は、俺の知ってる奴等とは違うんだな。解るのは、ギドラとメカゴジラって事ぐらいだな」

 

『質問を。貴男は、ゴジラですか?』

 

ハルオは、未だに二人へ向けて銃を構えていた。ハルオとしても、自分の知っているゴジラとは完全に違う相手に、警戒せずには居られなかった。

 

「そうだな。俺は、アザトース・クリフォー・ゴジラ。嘗てシン・ゴジラと呼ばれた怪獣で、今はアザトース様の総てを受け継いで「そんな事は知らぬ」あっ、そうか」

 

「お主がゴジラなのは解った。しかし、ならば此処へ何しに来た?」

 

『貴男はゴジラ・・・・では私達の貴男の呼び名はクリフォーにしましょう。私の知るゴジラと被るので』

 

「なんだそりゃ?まあ俺も別にそれで良いけどな」

 

クリフォーは、自分の呼び名を勝手に変えられて驚くが、すぐに納得した。

 

『お次は、火星物質の反応を示して居る貴男は?』

 

「俺はエボルト。仮面ライダーエボル。こいつの所謂『分身のようなものですか?』・・・まあそう捉えているならそれで良いが、二人は?」

 

ギドラとハルオは、それぞれの名前と自分達の過去、そして今の状況を話した。

 

「ゴジラ・アース・・・ナノメタル・・・そして俺に近いもう一人のシン・ゴジラか・・・」

 

クリフォーは、自分と似た存在に興味が湧いたが、ハルオがクリフォーに質問を行う。

 

『クリフォー。貴男は何をしに此処へ?』

 

「俺達はな。『クトゥルフ神話』の生物を探して、回収して助け出す事を目的として旅しているんだ。その道中、変な渦に巻き込まれてこの世界に飛ばされたんだ」

 

『ギドラ様の仕業ではありませんね。恐らく、ブロリーが意図せず破壊した時空の穴が、偶々御二人をこの時空に飛ばした、と解釈するのが自然です』

 

「そうか。彼処で戦っている、えっ?ブロリー?」

 

「ブロリーが居るのか?」

 

『はい。今彼は、父親を殺され、暴走しております。今はゴジータ様がブロリーと戦っています』

 

ハルオの言葉を聞いて、クリフォーとエボルトは混乱した。自分達の知っているブロリーは、寧ろそんな奴ではないからだ。凶悪なサイヤ人、そして父親を嫌い抹殺した伝説の超サイヤ人。それが、二人の持つブロリーの認識。しかし、ハルオの話を聞く限り、この世界のブロリーが悪い者とは思えなくなった。父親を殺された怒りと悲しみであれほど強くなるとは、二人も予想していなかったからだ。

 

「それにしても、お主は中々面白そうなのじゃ。いずれ妾を超えるかも知れぬし、色々複雑な存在じゃった」

 

『ゴジラに対する土産話が出来ました。クリフォー、貴男ですよね?私がクウラに苦戦する中、助け船を出してくださったのは』

 

「ああっ、確かに俺だ。もし不快な思いにさせたのなら、すまなかったな」

 

『いえ、貴男のお蔭で逆転が出来ました。私は戦士では無いので、全く気にしていません』

 

寧ろ味方からの援護に対して怒るのは、一対一を望む戦士又は卑怯な手を好まない者位だろう。しかし、ハルオは違う。ハルオは時に、生き残る為なら卑怯な手を使う事もする。しかし、道を外れる程ではない。そんな事をするのは堕ちる所まで堕ちた相手だけだ。

 

「そうか」

 

『しかし、お礼を言うだけでは恩返しした気になれません。其処で、私から何か贈り物を授けたいと思っています。どうか、私の力を込めた物を貴男にお渡ししたいのです』

 

「お前の?」

 

『はい。どんな形であれ、私の力が何時か役に立つ時が来る筈です。そうですね・・・あっ』

 

ハルオは、エボルトの持っているエボルボトルに目を付けた。彼のエボルボトルを解析すれば、自分でも作り出せると考えたからだ。

 

『そちらのボトルを使わせて頂けないでしょうか?』

 

「俺のか?でも此は───」

 

「ハルオ。妾に任せよ」

 

『ギドラ様?』

 

ギドラがハルオの肩を掴むと、そのままクリフォーとエボルトを見て笑った。その笑みは、何かを思い付いた策士の笑みそのものであった。

 

「お主の願い、妾が叶えてやるのじゃ!ついでに妾も交ぜろ!お主一人なんて酷いのじゃ!」

 

此処でハルオは理解する。ギドラには、その手段があるという事を。

 

「さあ行くぞ!三番目の願いを叶える!『クリフォーとエボルトに、妾の力が入ったボトルと、ハルオの力が入ったボトルを、渡せ』!」

 

ギドラは、腹に填まっている究極のドラゴンボールを露出した後、エボルトの持っているエボルボトルを指差しながら願いを唱えた。クリフォーとエボルトは、ギドラがお腹を露出した事に驚くが、腹に究極のドラゴンボールが填まっている様子を見て固まった。

 

しかし、その後にクリフォーの手元には、二つのエボルボトルが存在していた。一つは、金色に輝いて長い首が巻き付いているエボルボトル。もう一つは、白銀に輝いているハルオがメカゴジラだった頃の姿が描かれたエボルボトルであった。

 

「うむ。これで問題無い筈じゃ!」

 

『お二人にお願いがあります。どうか、その二人をお願いします』

 

「・・・ん?これ、意志があるのか?」

 

すると、突然金色のエボルボトルが喋りだした。

 

『当たり前じゃ!妾を誰だと思っておる!エクシフが崇める金色の王ギドラじゃ!ナーッハッハッハッ!』

 

『失礼しましたクリフォー。ギドラ様、もう少し態度を改めてください。今の私達の主はクリフォーなのですから』

 

クリフォーは頭を抱えた。また気苦労が増えた気がしたからであった。エボルトとしては、愉快な話し相手が出来たつもりでいた。

 

「ふむ。そっちの妾は傲慢じゃのう」

 

『お調子者の間違いかと』

 

ギドラとしては、加減を間違えたかと少し焦った。ハルオには、エボルボトルのギドラはただのお調子者にしか思えなかった。

 

「まあ何にせよ、この世界には財団Xは居ない、俺達の仲間も居ない事が解ったからな。もしまた機会があれば、遊びに来る」

 

「ああっ、俺もお前達と手合わせ願いたいからな。でも今は時間が無くてな。此処でお別れだな」

 

『ええっ。貴男はゴジラですが、優しいお方で良かったです。幸運をお祈りします。エボルト様、クリフォー』

 

「また遊びに来るのじゃぞ!」

 

『あっ、お待ちを!』

 

クリフォーとエボルトが時空に穴を開けてその場を去ろうとしたが、ハルオが彼等を呼び止めた。そして、彼等に一枚の紙を渡す。

 

「これは?」

 

クリフォーが聞くと、ハルオは答えた。

 

『時の界王神様のいらっしゃる時の巣、及びトキトキ都への住所です。もしそちらの世界で危険な目に遭った場合、その住所を頼りに時の巣へ向かってください。時の界王神様、及びタイムパトローラー、パラレルチェンジャーズの皆様が協力してくれる筈です』

 

「・・・解った。万が一に備えて、持っておこう。ではな」

 

こうして、クリフォーとエボルトは時空の穴の中へ消えていった。時空の穴はそのまま閉じていき、その場には何も残らなかった。

 

『・・・ふぅ。まさかクトゥルフ神話系にまで進化したゴジラが居るとは』

 

「妾に近い何かじゃったのう。それより、ブロリーはどうなったのじゃ?」

 

『見に行きましょう。幸い、テレポート機能が回復しました』

 

ハルオとギドラは、一瞬にしてその場から消えた。ハルオはテレポートを使い、ギドラは亜空間を通った。二人の行った移動方法は、過程は違うだけでワープと似た技だ。

 

そして、ブロリー達の元へ戻ってきた二人は、ブロリーが元の黒髪に戻り、ゴジータにおんぶされている光景を見た。その様子を見る限り、ゴジータがブロリーを圧倒したのだろう。

 

「お帰り。俺が出向く必要は無かったぞ」

 

「らしいのう」

 

リムルも笑っていた。ゴジータの実力が予想以上であった事が、非常に嬉しくなった。ギドラも、何時かゴジータと戦う事を決めた。ハルオは、更に強くなる為に、もっと修行を積む事を決意するのであった。

 

その後、ブロリーは何処で暮らす事になるか議論が続いたが、ギドラの案により、フリーザ軍に所属してもらう事にした。フリーザ軍なら色々揃っており、最近ではやんちゃであるけど根は良い者達も多いと聞く。誰も異論は無く、ブロリーはフリーザ軍に所属する事になった。フリーザからの報告によれば、同室となったチライとレモの二人と仲良くなり、遊撃班に配属して楽しんでいるそうだ。

 

クウラの脅威が去り、再び地球に平和が戻る。そんな中、彼等に迫る知らせ。それは、全宇宙から戦士達を集めて行う、『力の大会』の開催の知らせであった。




はい。次章から、いよいよ力の大会が開きます。メタルクウラをやりたかったのですが、メタルクウラは力の大会以降に回します。作者の力不足です!

それはそうと、許可してくださってありがとうございます深緑風龍さん!ハルオが渡した住所を記した紙、何時か役に立つと思いますよ!

さあ、皆さんお待ちかね、次章から力の大会です!作者の力量次第ですが、応援宜しくお願いします!


次章、『力の大会第1章:選手集合』第一話、『虚空の王、全王達の元へ』

近日、投稿開始です!!


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力の大会第一章:選手集合 虚空の王、全王達の元へ

OP『叫べ(魔法少女育成計画性OP)』


ギドラがトゥルーギドラフォームを得てから、一週間が経過した。ビルスとウィスから、『全王様の元へ行く』事を知らされる。同行する代表選手として、ギドラと悟空も着いていく事になった。界王神からは、シンと大界王神、そしてキビトが同行する事になった。

 

彼等が集まったのは、12もある大きな台と、その中心にある二つの玉座であった。12もある大きな台には、破壊神と天使、そして界王神達がそれぞれ用意された椅子に座っていた。彼等の隣には、彼等の宇宙からやって来た代表選手達が、それぞれ二人ずつ立っていた。そして、12もの台が囲んでいる玉座には、二人の全王が座っている。全王達のお供である二人の護衛や、天使達と似た顔付きをしている大神官の姿があった。

 

(ホントに全ちゃんと全王様って、偉い立場なんだなぁ)

 

(らしいのう。というか妾は全王相手に話した事は無いし、その力も知らぬ)

 

ギドラは悟空とひそひそ話を行うが、聞こえていたのか大神官から「静かに」と言われた。ギドラと悟空は、言われた通り黙った。

 

「皆さん。集まって頂き、ありがとうございます。こうして皆さんを集めた訳をお教えしましょう」

 

大神官が、全王の代わりに話しているらしい。全王の口から直接ではないのが気になるが、この場に居る者達は黙った。

 

「全王様は、12の宇宙からそれぞれ10名もの参加者を集めて、大きな大会を開く事を提案されました。その名も、『力の大会』です」

 

大神官からの一言で、各宇宙の台座に座る闘志ある者達は雄叫びを上げた。悟空もギドラも例外ではなく、初めは誰もが喜んだ。

 

「力の大会で優勝した宇宙には、報酬としてどんな願いも叶う超ドラゴンボールにより、願いを一つ叶えて差し上げましょう」

 

その一言でも、選手達を盛り上げるには充分であった。しかし、大神官の次の一言で、その場を殺伐とした空気が支配してしまう。

 

「ルールは特にありませんが、負ける方法は二つ御座います。場外負けか、()()()ですよ」

 

その言葉に、全王や護衛二人、大神官、天使達を除く殆どの神々や選手達が驚愕した。真っ先に反論したのは、悟空であった。

 

「まっ、待ってくれよ!それじゃ大会じゃなくてただの殺しあいじゃねえか!?」

 

「はい。しかし、全王様はご理解されたのです。人間レベルの低い宇宙にも、明日を生き抜く意志を感じたのです。人は変われる事を。追い詰められた時にこそ、人は過ちに気付くのだと。この力の大会で負けた宇宙は、消えたりする事はありません。その代わり、殺しも許可されました」

 

「妾は別に構わんがのう」

 

ギドラは、全く驚いて居ない。寧ろ、殺しが認められてやる気が出ているようだ。ギドラにとって殺す理由は、何かを喰う為だ。これは即ち、その場で相手を殺して喰ってもルールにはそぐわない。

 

「ギドラさん!あんたはそれで納得出来るんか!?」

 

「納得出来ない理由は何なのじゃ?寧ろ妾は、他の宇宙に居る奴等の味も得られて、万々歳なのじゃ」

 

「そんな・・・なぁ全ちゃ───ぐふっ!?」

 

悟空が全王に抗議しようとしたが、ビルスが悟空の腹に肘で攻撃し、言葉を遮る。

 

「黙れ悟空。これ以上抗議してみろ。お前が消されるんだぞ」

 

「でも!」

 

「お前達の倫理観は此処では通用しない。全王様と友達になったからと言って、調子に乗るな」

 

此ばかりは、止めたビルスが正しかった。悟空の言い分は、『お互いに競い合う大会が、何故殺しあいの舞台にならなくてはならないのか』というものだ。確かに、人間の価値観で見れば可笑しいだろう。しかし、相手は神だ。人間とは完全に価値観が違う。倫理観や価値観が違っていれば、話が出来ても話にならないのだ。

 

ハルオの元の名の持ち主であるサカキの種族である地球人、ビルサルド、そしてエクシフは、それぞれ価値観も倫理観も違っていた。違っていたから対立したのだが、違っていたからこそ手を取り合う事も出来た。

 

「お主の言い分は解るが、もう少し自重せい。それに・・・」

 

ギドラは悟空の耳元で囁く。

 

「勝って願えば良いではないか。殺された者達の復活を」

 

「っ!そうか!」

 

悟空も気付く。そして、力の大会が半年後に開かれると大神官より告げられ、悟空達は第7宇宙に帰って行った。力の大会に出る前に、地球に居る知り合いや身内全員にこの話をした。悟空が場外負けの部分を言いかけた辺りで、その報告を聞いた全員が大会のルールに怒りを感じた。

 

ハルオも、その一人であった。

 

『そんな・・・このルールは酷すぎます!!』

 

「あまりにも傍若無人じゃない!そんなの大会とは言わないわ!」

 

ブルマも、ハルオの怒りに同意するが、ギドラは彼等の怒る理由が、殺しが認められている所にあると見た。

 

「落ち着け。まだ話は終わってねぇ。ギドラさんが提案してくれたんだ。この大会に勝てば、超ドラゴンボールを使えるんだ。それを使えば、この大会の犠牲になった奴等も生き返るかもしれねぇんだ。それに───」

 

それを聞いた時、殆どの者達が悟空の言葉に賛同した。しかし、ハルオだけはその言葉に疑問を抱いた。

 

何故彼等は、死なせてしまっても生き返らせる事を前提に話し合えるのか。

 

ハルオには、先程の言葉は殺しをしても大丈夫という意味に聞こえた。

 

しかし、悟空の話はまだ終わって無かった。

 

「戦う奴等を負かす方法はもう一つあるんだ。殺せば良い訳じゃねえ。場外負けもあるんだ。他の宇宙はどうするかは解んねえけど、オラ達は殺しをやらずに相手を負かせば良いだけなんだ」

 

それはつまり、自分達は出来る限り殺しはしない事を前提に戦えば良い。先程の超ドラゴンボールを使って大会で死んでしまった人達を生き返らせるという意味も、『他の宇宙の選手達によって犠牲となった、多くの選手達を生き返らせる』という意味にも変わるのだ。

 

「・・・だがカカロット。それは最大限上手く行けばの話だ。万が一殺しをしなければならない時は、分かっているな?」

 

「・・・正直納得出来ねえけど、分かってるさ」

 

ベジータの問いに、悟空は歯を食い縛りながら答えた。彼も覚悟の上だ。ハルオは、悟空の考えを理解し、彼には不思議なカリスマがある事を見抜いた。

 

そして、力の大会まで後半年。誰が力の大会に出るのか、それぞれ話し合う事になった。その時、ギドラは「紹介したい選手が居る」と悟空達に告げた後、再び地獄に向かった。無論、ギドラの最強の弟子である彼に会う為に。




ED:『live and die(『GODZILLA 星を喰う者』テーマソング)』


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虚空の王、細胞と幻魔人を蘇生する

ギドラが地獄に向かってから、実に10分が経過した。その時、空間にワームホールが開き、其処からギドラが出てきた。

 

「連れてきたのじゃ!紹介するぞ!妾の弟子の一人、セルなのじゃ!」

 

その瞬間、ハルオを除いた全員が驚愕の表情を浮かべた。

 

「う、嘘だろ!?」

 

「まさか、そんな事が!?」

 

クリリンと天津飯も、ギドラの言葉が信じられず、冗談である事を願った。しかし、その希望は一瞬にして打ち砕かれる。

 

「私も嫌われたものだな。だが安心してほしい。私は君達に対して、今更何かをしようとは思っていない」

 

ワームホールの中から、セルが歩いて現れた。頭の上に天使の輪が無い。恐らくギドラが生き返らせたのだろう。

 

更に、セルの気が以前とは比べ物にならない程に強くなっている。悟飯との闘いで彼の身体は散り散りになったが、ギドラが蘇らせた時に再生したのだろう。弟子と呼んだ所、セルは地獄で鍛えられた。そして、復活の際にサイヤ人の持つ死の淵から蘇るとパワーアップする特性により、更に強さを増したのだろう。

 

「しかし、私は過去の行いを後悔する気は無いぞ。それに、ギドラの頼みだ。力の大会では大いに頼るが良い」

 

「・・・そうだな。オメェが出るならありがてぇ。強え奴等は多い方が良いもんな」

 

悟空も、相手が過去にやった事を一々愚痴るような男ではない。そんな事をする暇があるのなら、もっと他にやる事は無いのだろうか。

 

「うむ!ではセル!力の大会に向けて修行じゃ!ウィス、ビルス、頼むぞ!」

 

「僕は破壊神だから出られんが、まあ僕も修行をサボって無いぞ」

 

「私もですよ。ギドラさんに追い抜かれる訳には行きませんからね」

 

「よし!オラもやるぞ!なあベジータ!」

 

悟空も気合いを入れるが、ベジータは何故か消極的であった。

 

「いや、俺は行かん。ブルマの腹に、トランクスの妹が居るんだ」

 

ベジータも家族が居る。最近、ブルマが新たに子供を身籠ったのだ。臨月を迎えている為に、ブルマのお腹が大きくなっていた。

 

「そっか。じゃあオラも、選手になりてぇ奴を探してみる」

 

『私は、コング様に声をお掛けします。きっと同意してくれるでしょうから』

 

ハルオはそう言った後、シンと共に何処かへ消えた。シンの持つ瞬間移動能力により、師匠であるコングの元へ向かったのだ。

 

そして、ギドラはフリーザ軍の本部へ赴き、彼等にも声を掛けた。力の大会の内容を全て明かした上で、参加するかどうか聞いた。

 

そして、見事に引き受けてくれた。フリーザは初め、忙しい身である為に参戦は出来ないと言おうとしたが、セルが生き返って力の大会に出る事を聞いた瞬間に、前言撤回した。

 

そして、ブロリーも参加には満更でもない感じであった。彼はあまり戦うのは好まないが、サイヤ人である事には代わり無い。

 

その一方で、悟空も選手を集めていた。クリリンと18号にも声を掛けたが、18号がタダ働きをしないと言われ、悟空も彼等の意志を尊重した。ピッコロは参加するそうだ。悟飯も、最近力を着けてきた為に、参加を希望する。

 

こうして、最後の一人以外は全員揃った。後は、最後の一人である。

 

─────────────────────

 

地球にある神様の神殿。その外庭に、力の大会に出場する選手達が集まっていた。開催日まで、後六ヶ月。長いようで短い時間であった。修行を含めて、選手探しに時間を費やしすぎた。

 

ギドラ、ハルオ、コング、悟空、悟飯、ピッコロ、セル、フリーザ、ブロリーが参加を提案。残る一人は誰にするのか議論が走る。ブウは参加を拒否。他にも声を掛けているが、全員が断った。誰も死ぬこと前提の大会に出たくないのだろう。

 

すると、ギドラは地獄で見かけたある巨体怪獣を引き入れたいと願う。

 

『巨大怪獣ですか?』

 

「うむ。山羊のような角を持っていて、虫みたいな羽のあって尻尾もあるのじゃ。其奴、なんか妾に近い気がしてのう!どうじゃ?あやつ、地獄に来てから妾と仲良くなってのう!」

 

「・・・ああっ、彼奴ですか」

 

「成る程な。私の修行を終えた時、時々何処かへ行ってすぐに戻ってきた事があったが、まさか奴の所に行っていたとは」

 

フリーザとセルは、その存在を見かけた事がある為か、ギドラが選んだ最後の一人が誰なのかすぐに解った。

 

悟空達も、殆どがギドラが選んだ相手の正体に気付いた。

 

しかし、彼等が答えを言う前に、ギドラが行動に移す。

 

「うむ!実はもう連れてきておるんじゃ!来い!ヒルデガーン!」

 

『グオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

ギドラが空に向かって声を上げた瞬間、煙と共に巨大な二足歩行の怪獣が現れた。巨大な咆哮を上げて神殿に降り立つ怪獣は、ギドラの後ろに立って悟空達を見下ろしている。嘗ての敵を前にして、ヒルデガーンは何を思うのか。

 

「ひ、ヒルデガーン!?」

 

「やはりそうだったか・・・全くとんでもない奴まで仲間にするとはな」

 

ヒルデガーン。又の名を幻魔人。かつて勇者と呼ばれたタピオンの住んでいた星『コナッツ星』にある悪の気を吸収する魔神像に魔道師達が邪悪なエネルギーを注ぎ込み、現在の幻魔人へと姿を変えてしまったのだ。

 

最後は実体化した瞬間に、悟空が龍拳を放ってヒルデガーンを消滅させた。

 

ギドラは地獄でその姿を見て、気に入ったのだ。そしてヒルデガーンも、自分の上位と言うべき存在に出会い、ギドラの指示に従うようになった。それが、ギドラとヒルデガーンの関係である。ヒルデガーンは、奴自身が物理的に干渉しない限りは無敵なのだ。攻撃する間に実体化するというのが悟飯や悟空達の見解だが、それだけならば矛盾が多くなる。ヒルデガーンは何かに触れようとしてしまえば、その時のみ実体化してしまうというのが、一番自然な考え方だ。地面に足が着いているのにヒルデガーンへ干渉出来ないのは、ヒルデガーン自身が触れようとしてる訳では無い。それがギドラの出した結論であった。但し、何かへ物理的に干渉する間は実体化してしまうのは同じだ。また、ギドラのような存在には触れられてしまう。だからヒルデガーンは、ギドラに忠誠を誓ったのだ。

 

因みにギドラが気に入った理由は、自分に最も近い存在であると思ったからだ。ただ、ギドラとヒルデガーンの違いはある。ギドラはこの世ならざる虚空の王。ヒルデガーンは存在せぬ幻想の魔神だ。どちらも元々は神と崇められた存在。

 

「しかし、お主もその巨体では不便じゃろう。じゃから、お主には三つの力を与えよう。受け取るが良い!五番目の願いを!『ヒルデガーンに擬人化能力を与えよ!人間の言葉を話せる力や地球人より少し上の知性も加えてな!』!」

 

その瞬間、ギドラの腹が光り輝いた。そして、ヒルデガーンが光になった瞬間、ヒルデガーンの姿が怪獣から人の姿へと変わった。ギドラと同じ身長で、肌が黒い黒人女性の姿であった。髪はウェーブの効いた金髪で腰に届く程長い。そして、開かれた目は黒く、瞳は赤く光っていた。額には角が生えている。腰には黒い尻尾が生えており、蛇のようにうねっている。脚はヒルデガーンの脚そのままだが、股間に掃いた短いジーンズは、太ももを露出していた。黒いシャツを着て黒いブラを下に身に付けているが、お腹と背中が完全に露出しており、エロさも浮き出ている。

 

「我に人の肉体をお与えくださり、ありがとうございます。我が主」

 

ヒルデガーンの声も変わっていた。凛々しく野太いその声で喋った後、ギドラの前に詭く。

 

「うむ!此方こそ、感謝するぞヒルデガーン!」

 

「感謝等勿体無い。我はギドラ様に忠誠を誓う身。ギドラ様からすれば、我など取るに足らぬ存在でしょう。しかしながら、我はギドラ様に変わらぬ忠誠を誓います」

 

「なははは!大義である!」

 

ギドラは、ヒルデガーンの強い忠誠に感激していた。そして、悟空達を見た瞬間に立ち上がりそうになるが、ギドラから許可を得た後に今度こそ立ち上がる。そして、悟空達と話を始めた。

 

「久しいな、サイヤ人に地球人、そしてナメック星人よ。この様な姿ではあるが、改めて名乗ろう。我はヒルデガーン。我が主、ギドラ様にお仕えする幻魔人である」

 

「驚いたなぁ!まさかギドラさんがあんたを部下にしちまうなんてよ!」

 

「ええっ。しかし、貴女から悪い気はそんなに感じません。ギドラさん、貴女は本当に凄いです」

 

「俺はヒルデガーンに会った事は無いが、確かに凄まじい気だ」

 

悟空も悟飯も、嘗ての敵を前にしても気にしてはいない。色々と理由はあるかもしれないが、ヒルデガーンが悪い存在ではなくなった事が大きな要因だろう。ピッコロは会った事は無いが、ヒルデガーンから伝わる大きな気に、思わず笑っていた。

 

この後、様々な意見が一時間も飛び交ったが、最後の一人はヒルデガーンに決まった。

 

そして、他の宇宙でも、選手を決める為の準備が整えられていた。




最後の一人は、ヒルデガーンにしました。後付けですが、タピオンは現在、タイムパトローラーとしてバーダックと共に活動しています。この話の設定では、タピオンは過去に戻らず、宇宙へ放浪の旅に出ており、剣は原作通りトランクスに託しています。ヒルデガーンは原作通りですが、私の解釈が少し混じってます。矛盾があるなら、訂正しますので、皆様ご迷惑お掛けして申し訳ありません。


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時の界王神、究極の宇宙へ

「私達も力の大会に出るわよ!」

 

トキトキ都にあるパラレル管理署へパラレルチェンジャーズを集めたクロノアが最初に告げたのは、後六ヶ月後に開かれる力の大会に出場する事であった。

 

集まったのは、リムル、春日部耀、トニー・スタークの三人だ。他の皆は、任務に向かっているか元の世界へ一時的に戻って休暇を楽しんでいるかだ。リムルも『魔国連邦(テンペスト)』で忙しい身ではあるが、部下達が代わりを担ってくれた為、クロノアの招集に答える事が出来た。耀は元の世界にある『ノーネーム』のコミュニティを護らなければならないが、仲間が代わりを担ってくれた。トニーは前の世界では死んでいる為、帰る世界が存在していない。それに、トニーは研究や出撃以外は暇であった為、クロノアの招集にも応じる事が出来た。

 

「力の大会って、全王が開く他の宇宙から集めた選手達が闘う大会だよな?」

 

「いや大会というより、殺しあいのデスマッチだ。殺しが認められている以上、殆どの選手達は躊躇しないぞ」

 

「殺しが認められた大会・・・まるで古代ローマみたい」

 

「トニー君の言う通り、選手の殆どは参加してる人達を容赦無く殺そうとするわ。第9、第4宇宙は特にね。第2、第11宇宙はどちらかと言うと殺しは躊躇うかもしれないけど、相手次第では殺しに掛かるかもしれないわね。第3、第10、第6、第7宇宙は分からないわね。やるときはやる奴等が多いから」

 

クロノアの予想は、大雑把ではあるが、正解である。特に第2、第11宇宙は、他の宇宙と比べると殺しに消極的だ。しかし、消極的=殺しをしない訳では無い。やるときはやる者も多いのだ。

 

「成る程な。それで、僕達も出るのか?第7宇宙は人手が足りてるんだろ?」

 

「私達が参戦するのは、違う宇宙よ。本来なら出場義務は無い筈の第1、第12宇宙が選手達の要望で参加する事になったのよ」

 

第1宇宙と第12宇宙。それは、人間レベルが最も高い宇宙であり、第1宇宙は至高の宇宙。第12宇宙は究極の宇宙と呼ばれている。特に第12宇宙は、人間レベルを上げていく事に積極的であり、徐々に人間レベルも上がっているそうだ。

 

「それで、その二つの宇宙に交渉した所。第1宇宙は駄目だったけど、第12宇宙はOKだったわ」

 

「それで私達が出るの?うん、私は構わないよ」

 

「俺も良いぜ。あれから力を付けてきたからな」

 

「僕は戦う事はあまりしたくないが、最近新しいアーマーが出来てね。F.R.I.D.A.Y.、例のあれは、準備出来てるか?」

 

トニーはサポートAI『F.R.I.D.A.Y.』に尋ねた。

 

『マーク90は最終チェック完了です。何時でも装着可能です』

 

トニーは新たにアーマーを開発したのだ。それは、嘗て最強の敵と戦った際に使用したナノマシン型のアイアンマン・アーマーを超えるスーツであり、ナノマシンだけでなく気も使用して完成させた新型アーマーである。それが新型アイアンマン・スーツ『マーク90』であった。

 

「よし、僕も出よう」

 

「ありがとう。それじゃあ、後のメンバーは──」

 

クロノアが他のメンバーを考えようとした瞬間、其処へ三人の男女が現れた。一人はバーダック。二人目はトランクス。そして三人目は、ピンクの肌に乳白色の髪に、クールな切れ目のツリ目が特徴の美女であった。耀は、美女のグラマラスな身体、特に胸を強く睨む。

 

「俺が出るぜ。歴史改変も起きてねぇからな」

 

バーダックがそう言った。

 

「バーダック、それは何故?もしかして、悟空君と戦う為かしら?」

 

クロノアの問いに、バーダックは首を縦に振る。

 

「ああっ、カカロットがどれ位強くなったか見てみたくなった」

 

バーダックは笑っていた。強くなった息子と戦ってみたいと、サイヤ人の本能が疼いている。

 

「流石はサイヤ人ね。親子同士戦ってみたいというのも、サイヤ人の本能から来るのね。それに、21号ちゃんも出たいのかしら?」

 

「いえ、私は止めたいだけです。殺しあいを。第2、第7宇宙の助けが必要になります」

 

21号。セルと同じく生物工学の下に作られたバイオロイド戦士。優秀な研究者の細胞をベースに、あらゆる戦士の細胞を取り込む事で製造された人造人間だ。ドクター・ゲロの死後もコンピューターが開発を続けており、長い期間を掛けて完成した。しかし、21号の調査に来たリムルと戦って敗北した為、彼に着いて行く事にした。リムルによって人間態と本来の姿をコントロール出来るようになり、彼を厚く慕っている。そして、

 

「21号・・・いや、天火」

 

「はい!リムルさん!」

 

21号、もとい天火はリムルに名前を呼ばれて、ご機嫌になる。天火はリムルが名付けてくれた。そのお陰か、天火は人造人間から魔人へと進化した。リムルの世界において、魔物達に名を与えるとその魔物達は進化するという特性があった。流石のリムルも、この世界で、況してや人造人間にも効果がある事には驚いた。

 

嬉しすぎた天火は、リムルの頭に豊満な胸を押し付けるように抱き着いた。リムルもその柔らかさに顔を赤くするが、話を続ける。

 

「天火、お前の力を貸して欲しいんだ。さっきお前が言ったように、殺しあいを止めよう」

 

「っ!はい!分かりました!」

 

天火はリムルの手を握り、頬を赤く染めながら首を縦に振る。

 

「決まったわね。それじゃあ、バーダック、リムル、耀ちゃん、トニー君、21号こと天火ちゃんも、第12宇宙の選手として参加するわよ。残りの五人は向こうに居るから、第12宇宙の破壊神や天使に、挨拶に行きましょう」

 

こうして、トキトキ都から選ばれた戦士達は、第12宇宙の選手として選ばれた。そして、残りの五人は全員女性又は少女で構成されているが、何れも屈指の実力者ばかりであった。各宇宙でも最強の実力者が集う第12宇宙からの選手と、時の巣が手を組んだ。第1宇宙を除き、最強の実力者達が集う第12宇宙は、大会に向けて準備を進めていた。

 

因みにクロノアが第7宇宙に味方しなかったのは、破壊神への挑戦状という意味もあるからだそうだ。

 

その頃、第6宇宙でも選手達を決める為の動きが起きていた。




21号に名前を与えました。反省も後悔もありません。やはり21号よりも、ちゃんとした名前はある方が良いと思い、名前を与えました。21号もかなり強いですから、パラレルチェンジャーズには貴重な戦力です。強力な戦士達のチームであるパラレルチェンジャーズ、そしてタイムパトローラーのバーダックも加わり、第12宇宙は各宇宙でも屈指の実力者が集まりました。これはもう、ヤバいヤバい。


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第6宇宙、選手決定

第6宇宙は、アースがどうしてもメインになってしまいますぅ。


第6宇宙にあるシャンパの星。

 

其処には大会に出場する為の選手達が集っていた。そして、シャンパとヴァドスが全員を纏める。

 

「良いかお前ら!今ここに居るのは、この第6宇宙でも屈指の実力者だ!それを忘れんじゃねえぞ!」

 

「アレクシス・ケリヴ及びソクバの一件以来、皆さんが戦闘訓練を積み上げているようですね」

 

ヴァドスの言う通り、集まった選手達の戦闘力が上昇していた。全員が件の怪獣騒動以来、力を付ける為に修行に励んでいたからであった。

 

「余も負けては居られん。ハルオとギドラには、フィリウスの件で借りがあるからな。それに・・・」

 

「お姉ちゃん、えへへ」

 

アースも気合いを入れていた。嘗て戦った者達と決着を着ける為にも、力の大会は都合が良かった。そして、自身が愛するリークの為にも、負けられないのだ。

 

アースはリークの頭を撫でる。リークはアースに撫でられて、頬を赤く染めながら笑う。少年らしい無邪気な笑顔に、アースも思わず笑みを浮かべた。

 

「ところでよフィリウス。お前は出ないのか?」

 

カリフラが、ヴァドスの隣に立つフィリウスに尋ねた。

 

「すみません。私はお母様のお願いで、力の大会が終わるまでの間、第6宇宙を護るようお願いされました。大丈夫ですよ。任せてください」

 

そう言ったフィリウスの身体から、紫色の気のエネルギーが解放された。更に、フィリウスの背鰭からも紫色のエネルギーが稲妻のように走る。

 

そのオーラは、破壊神が纏う破壊の力。破壊神候補となってから、破壊の気の力を持てたのだ。全身から迸る破壊の力に、アース、シンゴ、スペースは笑っていた。カリフラはフィリウスが大丈夫であると分かり、高らかに笑っていた。ケールは相変わらずオドオドとしていたが、安心したのか口元が笑っており、瞳も穏やかになっている。

 

「私は、破壊神候補、破壊の王の娘、フィリウス。大丈夫です。皆さんが留守の間に、第6宇宙は護ってみせますから」

 

「そっか!そんじゃ、頼んだぜマブダチ!」

 

「頑張って・・・フィリウスさん!」

 

「はい!」

 

カリフラとケールは、フィリウスと握手を交わす。女三人の確かな友情を感じ取った所で、ヴァドスが全選手に注目するよう言葉を放つ。

 

「はい皆さん。此方に注目してください。力の大会まで、後五ヶ月と二十日です。それまでに、皆さんには最後のトレーニングを行って頂きます。短い期間でありますが、皆さんにはそれぞれの課題をクリアして頂きます」

 

ヴァドスが全員に掲げた課題は、以下の通りである。

 

先ずはカリフラとケール。カリフラとケールは連携を成立させて、コンビネーションの完成を目指す事。その為には、ケールの人見知りな性格を僅かでも克服させた上で、自身の暴走する超サイヤ人の力を制御しなくてはならない。

 

二人の修行相手にフィリウスが選ばれ、フィリウスはカリフラとケールの修行に付き合う事になった。

 

続いてはキャベ。超サイヤ人を使いこなし、戦闘技術を上昇させる事。その上油断しやすい所を無くす。修行相手には、ヒットが選ばれた。彼も、時飛ばしを伸ばすだけでなく、時空間を自在に制御出来るようにならなくてはならない。本来時間の操作は禁忌だが、そうも言って居られない。ヒットの死角からの攻撃や不意討ちに上手く対処出来るようになるまで、キャベは攻撃を避け続けるのであった。

 

ボタモは攻撃が効かない事を理由に、投げ技には弱い。克服する為にも、投げ技対策を打たなくてはならない。その為、ボタモにはタッグを組んで戦う必要がある。タッグを組むならば、マゲッタやヒット、スペースと組む方が良いだろう。マゲッタもといメタルマンは精神が弱く、ちょっとした悪口で戦闘不能になってしまう。その為、精神を鍛えるか、聞かないようにするか、最悪耳を破壊しなくてはならない。

 

そして、スペースは結晶体を周囲に配置した戦闘方法を取る為、その中ならば無敵である。しかし、逆を言えば結晶体を破壊されたら弱くなってしまうのだ。身体の結晶体が破壊されれば尚更だ。

 

其処でヴァドスは提案した。「結晶体を偽装する事は出来ないか?」と。それはスペースが今まで行った事が無い事であった。スペースはやってみる事にした。結晶体を生み出せるならば、表面の質感を変化させて擬態させる事も可能な筈だ。

 

シンゴの場合、第7形態の完全制御と第8形態への昇格だ。第7形態は宇宙を宿し、あらゆる元素を体内で生成可能になり、宇宙環境にも適応出来る形態だ。現在シンゴは、第6形態の状態を維持しながら日常を過ごし、修行も行っている。そして、第6形態の完全制御に成功した。そして次は、第7形態の完全支配だ。体内に宿す宇宙を完全に制御すれば、宇宙その物となって力の大会がより有利になる。そしてヴァドスは、シンゴの進化はまだ終わらない事を見抜き、第8形態に至る事を提案した。第8形態がどの様な形態なのか、シンゴ自身にも解っていない。

 

そしてアースは、特に克服するべき弱点は無いが、強いて言うなら『キング・オブ・モンスター』の状態を完全に保つ事だ。即ち、キング・オブ・モンスターを完全に制御する為にも、王の姿のまま過ごす必要がある。そう。王冠にマント、そしてマントを越して生えるエネルギーの翼を生やした状態でだ。キング・オブ・モンスターを纏ったまま生活し、修行も行うのだ。上手く行けば、全ての並行世界から自身又は自身とは違ったゴジラを引っ張り出して融合する事も可能になる。そうすれば、アンゴとなって完成した『ゴッド・オブ・モンスター』に、一時的に変身する事が出来るようになるだろう。修行相手は、ヴァドスとシャンパ、そして全てのナメック星人と融合したサオネルであった。

 

こうして第6宇宙の面々は、最後の修行に入る。

 

──────────────────────

 

修行が始まってから、三ヶ月が経過した。力の大会まで、残り二ヶ月と二十日。

 

アースは修行を終えて休息を取り、リークと二人きりになれる例の星へやって来て、様々なシチュエーションの性交渉を行った。

 

二人が居るのは、廃墟となった筈のホテルであった。筈だったというのは、ヴァドスに頼んでホテルを直してもらい、様々な物を用意してもらったからだ。ヴァドスも呆れ顔になりながら、クスクスと笑ってアースとリークのお願いを聞き入れた。ホテルは様々な部屋がある。中には電車や学校の教室、教会、工場、多数の人形があるビーチを模した部屋等、ヴァドスが笑いながらサービスしてくれた。

 

そして、アースとリークは休息中に性交渉に及んだ。メイド服から制服、水着に工場で見るような作業服からウェディングドレス、更には男を誘惑する為にあるとしか思えない下着や衣類も見られた。更には【これ以上はR18指定になりかねない】等の様々な道具がある。二人はベッドに眠っており、汗の量が尋常ではなかった。この様子から、どれだけ長く行ったかが解る。床には様々な衣類や道具が落ちており、全て使用済みのようだ。

 

ベッドで眠るリークは、隣で眠るアースの頬を撫でる。

 

「ねえお姉ちゃん」

 

「なんだ?」

 

アースはリークの顔を見る。リークの表情は、どこか不安気だ。

 

「お姉ちゃん・・・死なないよね?」

 

「・・・それは分からない。力の大会は、殺しが認められたデスマッチとなった。未知の強者相手では、わた・・・いや、余もどうなるか分からん」

 

「お姉ちゃん・・・・・・一人称違うよ?」

 

「・・・そうだな。前までは私だった。いや、生きて帰れるか「そんな事言わないでよ!」っ!?リーク?」

 

「お姉ちゃんは、僕の大切な人!この世で一番大好きな恋人だもん!だから、死ぬかもしれないなんて言わないでよ!」

 

「・・・しかし」

 

「どうして!?どうして約束してくれないの!?僕が邪魔だから「違う!」っ!」

 

アースは、泣きながら自身に抱き付くリークを怒声で黙らせた。リークは一瞬怯えた表情になるのを見て、アースは胸元が締め付けられた気分になる。

 

「違うんだ・・・お前は私の嫁だ。世界の誰よりも愛して止まない・・・・・・ああっ、本当に駄目だな。私は。口喧嘩は苦手だ」

 

アースは、自分の弱点がもう一つ出来た事を不適に笑った。

 

「解った。約束しよう。余は・・・・私は必ず、力の大会から生きて帰ってくる。リーク。私の大切な嫁・・・そうだな。お前は特別に神々の元で観戦させよう。そうするようヴァドスに話しておく。私の闘いを、その目で見てほしい」

 

「・・・・・・・・・うん!」

 

リークは暫く俯いて沈黙した後、首を縦に振る。

 

その後、二人は再び馬鍬りあう。その様子をシャンパの星で見ていたシャンパとヴァドス。シャンパはつまらなさそうに欠伸をしており、ヴァドスはオホホと笑いながら見ていた。

 

 

 

そして、第3宇宙では強力な改造選手達が選ばれようとしていた。




第6宇宙選手

アース、シンゴ、スペース、ヒット、キャベ、カリフラ、ケール、ボタモ、オッタ・マゲッタ、サオネル


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第3宇宙、選手決定

第3宇宙選手達

ヘドラ、メカゴジラ、メカキングギドラ、モゲラ、ビオランテ、コイツカイ、パンチア、ボラレータ、マジ=カーヨ、パパロニ


第3宇宙。科学が発展した精神の宇宙であり、常に改造し更なる技術の発展が進んでいた。サイボーグやアンドロイドの技術が進んでおり、ハルオが食い付きそうな宇宙である。

 

其処で眼鏡を掛けた界王神エアと、ロボットのような破壊神モスコ、そして破壊神の天使カンパーリは、集まった選手達に言葉を放っていた。

 

「皆さん!貴方達は、我々第3宇宙が誇る最強の改造戦士達です!」

 

『────ッッ!』

 

「モスコ様曰く、『戦え、負けるな、死ぬな』です」

 

カンパーリがそう言った後、一人の背中に鳥のような機械生命体がついた男が手を上げた。男は鳥人間が機械化したような姿となっている。

 

『俺達ならば問題は無い。先日、他の宇宙から送られてきたビー玉サイズの化け物も、全員蹴散らしたからな』

 

「流石ですメカゴジラさん!他の宇宙からのスパイを退けるとは!」

 

『いやぁ、先輩だけじゃ無いっすよ。オイラも力を貸したんすよ』

 

エアがメカゴジラを褒めた後に、尖った目のようなサングラスを身に付け、肩や腰にアーマーっぽい衣装を身に付けた男。とはいえ、メカゴジラや彼に性別は存在しないが、見た目が男の為、此処では男と呼ぶ。

 

『モゲラ。私も協力したのだ。感謝せよ』

 

その後に、竜のような頭の兜を身に付けた、金髪の女性。翼は完全に機械で出来ており、両肩から金の首の長い竜の頭が生えていた。

 

「まあ、メカキングギドラも落ち着くのだ。我々の真の切り札は真の力を秘めたアニラーザ・・・そしてあの少女だ」

 

マッドサイエンティストのパパロニが、一人の少女を指差した。それは、無数の鎖で繋がれて、四肢は多数の輪で動きを封じられ、頭には無数のチューブが刺さった少女であった。少女の頭には、二つの刃が取り付けられ、目の部分には赤いゴーグルが装着されている。身体を揺さぶっているようだが、抜け出す事が出来ないらしい。

 

「いえ、彼女は危険過ぎるので力の大会には出しません。万が一の為に召喚する者として扱いましょう」

 

『───』

 

「モスコ様曰く、『彼奴、危険、使うな』だそうです。まあ、全王様から認められた『召喚券』を使えば召喚出来ますし、万が一の事が起きれば彼女を呼び出しましょう。各宇宙に一枚ずつですが、まあ問題無い筈です」

 

エア、モスコの二人が少女の危険性を語る。その後に、彼女を呼び出す為の算段が立てられた。

 

すると、ずっと無口だった植物のようなドレスを身に纏った緑色の髪をした麗しい女性が、少女の頬をひっぱたく。皮膚をひっぱたく音と、金属を叩いたような音が響く。

 

「わたくしが貴女の分まで戦ってあげますわ。最も、貴女が其処から動けるとは思えませんわね」

 

「ビオランテ!」

 

ビオランテの手をひっぱたく泥のような色をした髪や服の少女。頭には、大きな目のような耳が生えていた。顔は幼さが残るが、それでも幼女にしては整った顔立ちである。

 

「あらヘドラ。この子の教育の邪魔をしないでくださる?」

 

「この子を何時まで此処に縛る気なの?流石に可哀想だよ」

 

ヘドラはそう言うが、神々はため息を吐いていた。選手達は複雑な反応を見せている。

 

「ヘドラさん。彼女の持つ力はあまりにも危険過ぎます。気持ちは解りますが、決して下手な同情は抱かないてください。この第3宇宙を、いえ、並行世界や他の宇宙も消してしまうかもしれない力を、彼女は宿して居るんです。残酷かもしれませんが、彼女はこうした方が良いのです」

 

エアがそう言った後、選手達は少女に同情或いは蔑みの目線を送りながら、神々と共に施設を出ていった。

 

ヘドラは、少女の頬を撫でて、語りかける。

 

「・・・ごめんね。でも、ヘドラは気持ち悪いよね?こんなヘドラなんか、嫌だよね?汚染された物を食べて喜ぶヘドラなんか、嫌だよね?それでも、何時か貴女が自由になれたら・・・ヘドラ、貴女と遊びたい」

 

こうして、ヘドラは泥のような涙を流しながら、部屋を出ていった。

 

『・・・・・・俺は・・・ヘドラ・・・』

 

少女のゴーグルの中心が、丸く白い光を放つ。そして、そのまま消えた。

 

しかし、ヘドラ以外は甘く見ていた。そして後に、後悔する事になる。彼女がこのまま、逆らう事が無いと思い込んでいた事を。

 

そして、第10宇宙でも、既に選手が集まっていた。




この少女の正体、もう解った方は居るのでは無いでしょうか?彼女はただでさえ強いのに、第3宇宙の力で強くし過ぎました。結果、この様な事になりましたが、後にヘドラ以外の殆どの方々が痛い目見ると思います。彼女を甘く見てしまった事を後悔するのは、そう遠く無い筈です。


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第2、第10宇宙、選手決定

「皆さん!踊りますよー!」

 

第10宇宙。屈強な肉体を持つ筋肉の宇宙。界王神界に存在する宮殿では、集まった選手達のダンスが披露されていた。それを撮影するのは界王神であるゴワスと従者であるエレキング、そして第10宇宙破壊神であるピンクの象人間のような見た目をした男『ラムーシ』である。

 

集まった選手達は六人が女、四人が男で構成されていた。エレキングも選手の一人だが、踊りには参加していない。そして、選手達の前で踊っている小柄な少女の天使は、ラムーシの付き人でもある『クス』であった。クスがセンターを務め、選手達と踊っているのだ。

 

「アイェーイッ!レッドちゃんもノリノリだねぇ!」

 

「おう!ゴモラもクスさんとノリが合うじゃねえか!」

 

クスの左側にゴモラ。右側にレッドキング。二人は第10宇宙のエース兼切り札でもあった。そして、二人は互いに実力が拮抗しあうライバルでもある。時折第10宇宙全体を通して行われる武道の大会でも、二人の内どちらかが優勝をかっさらう程であった。

 

「くすー!おどりー!さいこーー!」

 

クスに負けじとセンターに出てきたのは、お腹の中心に小さな穴がある銀髪ショートの赤い瞳を持つ少女であった。右手の甲から鎌を生やし、左手はトゲ付きの鉄球となっている。

 

「あぁっ!負けませんよタイラントちゃん!」

 

クスが銀髪の少女、タイラントと並んで踊り出す。その時、二人の背後から大きな右手を持つ見た目が女性にしか見えない男が現れた。彼はエースキラー。ゴモラやレッドキング、エレキングに並ぶ強者である。

 

「ラムーシ様。ゴワス様。またあの三人がセンターになりましたね」

 

「ハハハハハハハハハッ!全くだ!」

 

「これで神チューブに投稿したら、また再生数がうなぎ登りじゃ!いやぁ、クス様とタイラントちゃん、そしてエースキラーがセンターになってくれて嬉しいなぁ!」

 

ラムーシは高らかに笑い、ゴワスは神チューブに投稿して再生数を稼げる事を夢見て笑っていた。

 

エレキングもその手に、『V神チューバーオマッピ』の団扇を手にして、踊りの撮影に協力していた。オマッピは、エレキングのハマっているアニメ『おまピト』のキャラに性格や容姿がそっくりな為、ハマっているのだそうだ。因みに、オマッピは『V神チューバー』のトップを争う一人であり、他にもV神チューバーが居るらしい。ゴワスの推しは『殺戮少女シロちゃん』、ラムーシの推しは『ミライヒカリちゃん』のようだ。

 

第10宇宙が盛り上がっている様子を見た所で、続いて第2宇宙を見てみよう。

 

──────────────────────

 

「皆さん!我々は今、殺戮が認められた戦場に歩もうとしております!血で血を洗い、屍を踏み越えて行かなくてはならない・・・悲しくて虚しい闘いです」

 

第2宇宙では、優しさの宇宙に恥じぬ演説を行う女性が居た。彼女は第2宇宙のエースであるカオスヘッダーである。金色のローブを身に付け、金色の長髪に瞳を持つカオスヘッダーは、正に神の名に相応しい姿であった。

 

カオスヘッダーが演説をしているのは、第2宇宙の厚化粧の破壊神ヘレスの住まう宮殿である。其処から第2宇宙全体を通して、カオスヘッダーの演説が中継されているのだ。

 

「しかし、闘いが避けられなくとも、彼等を救う方法があります!それは、誰一人として殺しをさせない事です!第12宇宙に協力してくれた時の界王神様が率いる部隊、第11宇宙のプライドトルーパーズが、その提案に賛同してくださいました!我等が殺戮を止め続ければ、誰一人として死なせる必要が無くなるのです!」

 

カオスヘッダーが強く言葉を発した瞬間、第2宇宙全体が歓声に包まれた。

 

「私達は誓います!力の大会を、不毛な殺し合いの場にはさせないと!そして誓いましょう!第2宇宙を優勝させて、限りない愛と慈しみを全宇宙に届けると!」

 

『『『『『『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』』』』』』

 

更なる歓声が、第2宇宙全体に響く。カオスヘッダーを讃える第2宇宙の民達の言葉が、宇宙を震わせた。

 

「ありがとうございます!これで、力の大会は私達の勝利です!」

 

「素晴らしい演説であった。カオスヘッダー」

 

カオスヘッダーの元に現れたのは、古代エジプトの女王を思わせる姿をした厚化粧の女性であった。彼女が第2宇宙の破壊神、ヘレスである。

 

「ありがとうございます。ヘレス。かつて私を救ってくれたあのお方に、一歩でも近付く為に、日々努力するのみです」

 

「そうか。ではこれから、選手達が集まる。お前も我等のエースとして、第2宇宙代表選手達の前で、演説を行ってもらうぞ」

 

「はい!ヘレス!」

 

ヘレスとカオスヘッダーは、選手達の待つ部屋へと向かう。こうして、第2宇宙は再び愛の為に闘い続ける。力の大会で起きるであろう殺戮を止める為に、彼等は強くなる。

 

そして、第11宇宙では、正義の戦士達が集結していた。




第2宇宙選手達

リドリアス、モグルドン、カオスヘッダー、トム、ムト、リブリアン、カクンサ、ロージィ、ザーロイン、ジーミズ


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第11、第9宇宙、選手決定

第11宇宙選手

ジレン、アギラ、トッポ、モスラ、シェパードン、ディスポ、カセーラル、ココット、ミクラス、ウィンダム


第11宇宙。正義の宇宙と呼ばれる宇宙では、力の大会に出場する選手が決められようとしていた。

 

プライドトルーパーズの本拠地に集まった十名が、破壊神や界王神、そして天使の前に立つ。後ろに後退したモヒカンが特徴の界王神の名は『カイ』。ピエロのような見た目をした破壊神の名は『ベルモッド』。ベルモッドの側に立つツインテールの天使は『マルカリータ』だ。

 

「お前達、集まってくれて感謝する。お前達は選りすぐりの戦士達だ。この第11宇宙が誇る、最強の戦士達だ」

 

アギラ、ジレンを筆頭に、選手達が顔を引き締めた。これから彼等が出向く力の大会は、殺しが認められている。殺戮の試合を止める為に、大会に出場するプライドトルーパーズは、第2宇宙と手を組む事になった。

 

ベルモッドも殺し合いが認められた大会には反対だが、第2宇宙と結託して殺戮を止めるつもりである。無論選手達には、出来る限り相手を殺さないよう注意するつもりだ。

 

心配はしていない。プライドトルーパーズ全員が集まり、その中でも選りすぐりの実力者が揃ったのだ。そして、プライドトルーパーズでは無いが、第11宇宙の自警団たる一人の女性も集ってくれた。これ程頼もしい事は無い。

 

「第2宇宙と手を組み、殺し合いが認められた惨めな試合を終わらせる。善人も悪人も関係無い。プライドトルーパーズとして、任務を確実に遂行しろ!」

 

すると、早速掛け声を上げる者が居た。

 

「おっしゃあー!戦えるー!」

 

「ミクさん、目的を忘れてませんか?」

 

角を生やし、プライドトルーパーズのスーツを身に纏う少女ミクラス。そして、少女のような見た目を持つ機械の身体を持つサイボーグ『ウィンダム』であった。

 

「あっ、そうだったー!ごめんね~!」

 

「全くしっかりしろよ」

 

「そうだ。少しはアギラを見習え」

 

紫のウサギのような頭を持つ獣人『ディスポ』と、プライドトルーパーズ最高の体格を持つ白髭の太った男『トッポ』が、ミクラスの忘れっぽさを咎める。

 

「そんな・・・僕はまだまだです。ジレンさんのお役に立ちたい、だけですから」

 

プライドトルーパーズのスーツを着るアギラはそう言うが、ディスポがため息を吐いた。

 

「お前はもう少し自信を持て。それじゃジレンも嘗められちまうぞ」

 

しかし、ジレンは首を横に振り、アギラの頭を撫でる。

 

「いや、俺は気にしていない。心配するなアギラ」

 

「ジレンさん・・・」

 

アギラは顔を赤くする。そして、ジレンはアギラの頭を撫でた。

 

そして、此処でマルカリータが説明に入る。

 

「皆様もご存知の通り、力の大会は殺しあり、武器ありの何でもありの大会ですます。故に、広さも大きさも太陽一つ分になるのですます」

 

「という事は、舞台になるのは武舞台ではなく星であると?それではどうやって場外負けにするのですか?」

 

背中から美しい蝶のような羽を生やし、オレンジと白の着物を着用し、頭部に青い玉のような二つの髪飾りを着けた女性がマルカリータに尋ねた。その甘く蕩けそうな言葉に、マルカリータは思わず笑ってしまう。

 

「モスラさん、武舞台は星では無いのですます。広さは太陽を一周する程で、武舞台の大きさは太陽一つ分ですますよ」

 

「そうですか。なら良かったです」

 

すると、モスラにベルモッドが話し掛ける。

 

「なあモスラ。本当にプライドトルーパーズに入隊しないのか?」

 

「いいえ。私は自警団の団長です。それに、プライドトルーパーズだけでは護りきれない者、手に届かない所があるのは、ベルモッド様も理解されている筈」

 

「・・・そうだな。お前が入隊しないのは残念だが、自警団に護られた民も居る。俺の、いや破壊神の手が届かない者の命も助けてくれた。今後も宜しく頼むぞ」

 

「はい」

 

ベルモッドがモスラの肩を持つ。モスラは首を縦に振り、返事を返す。

 

すると、背後に四つの水色の結晶を浮かばせた銀の髪を持つ美少女が、モスラの肩を持つ。

 

「モスラさん!私も頑張ります!私も自警団の一人ですから!」

 

「ええっ、頼りにしてますよ。シェパードン」

 

「はい!」

 

シェパードンは、モスラに肩を持たれて満足な笑みを浮かべる。

 

「しかし、大会まで後二ヶ月ですます。それまで、皆さんには私達の元で強くなって頂くのですます」

 

「はい!僕はまだまだ・・・強くなりたいです!宜しくお願いします!」

 

「アタシも!お願いします!」

 

「私もお願いします!」

 

アギラ、ミクラス、ウィンダムがやる気に満ちた声を上げる。すると、ジレンが三人に語りかける。 

 

「ならば今回は俺が鍛えてやる。俺は厳しいぞ」

 

「うん!ジレンさんが鍛えてくれるなら、僕は喜んで!」

 

こうして、第11宇宙は選手が決まり、選手達は己の力を高める為に修行に励む。

 

一方、第9宇宙でも戦士達が集まっていた。

 

─────────────────────

 

第9宇宙。人間レベルが最も低く、貧困層が圧倒的に多い掃き溜めの宇宙。故に宇宙全体が荒れ果てており、暴力が支配する世界となっていた。

 

そんな宇宙にある闘技場で、三人の狼の獣人を筆頭とした十人の獣人達が集まっていた。そして、観客席には多くの多種多様な人間型種族が集まっていた。殆どが悪人面ではあるが、その瞳には熱い炎が宿っている。

 

彼等のリーダー格であるベルガモが、声を上げる。

 

「聞け!後二ヶ月後に開催される力の大会は、優勝した宇宙にどんな願いも叶えられる超ドラゴンボールが与えられる!その超ドラゴンボールがあれば、俺達はこの掃き溜めの宇宙を変えて、誰一人飢餓と渇きに苦しむ事の無い世界に出来る!」

 

闘技場に歓声が響く。破壊神、界王神のせいで苦しめられた宇宙を、今まさに変える為、ベルガモの言葉に賛同する者達が一斉に声を上げた。

 

「その為、殺戮が許された力の大会も、俺達は容赦無く、そして躊躇い無く命を奪う!倒れる敵の身体を踏み越えて、俺達は進む!そうだ!俺達は、地獄に墜ちる!だが俺達は、そうする他に進む道があるか!?ある者を踏み倒して行かずして、前に進む事が出来るか!?否!踏み越えなければ届かぬ場所も、踏み倒さなければ越えられない壁も、俺達は越えて見せる!」

 

『『『『ウオオオオォォッ!!』』』』

 

ベルガモが声を上げると、十人中九人も同じく声を上げる。

 

「私はもう、逃げない!ホップ姐さんと一緒に立ち向かう!」

 

「その意気だよクモンガ!流石アタシの妹ね!」

 

ホップと呼ばれた紫の猫耳と尻尾を生やす女性が、クモンガの背を叩く。クモンガは以前と違い、怯えてはいない。その瞳に、確かな炎を宿していた。

 

ホップとクモンガは、義理の姉妹だ。ある原因で死んだ後、第9宇宙へ転移した苦しむクモンガを、ホップが助けたのだ。それ以来、二人は義理の姉妹となり、共に苦難を乗り越えてきた。

 

「うむ。ベルガモ殿の仰るで御座る。我等は願いを叶え、飢えに苦しむこの宇宙を救う」

 

そう言ったのは、紫のツンツンヘアーに背中には翼を生やし、腰に尻尾を生やした青年であった。

 

「それは我々も同じ事よメガギラス。我々は変えるのだ。この理不尽な世界を」

 

「ふむ。俺様も同じだぜ」

 

茶色のフードコートを着用して赤い三つ目に頬に小さな顎を持つ青年と、眼鏡を掛けた黄緑色のおかっぱ頭に背中に翼が生えた青年が、同時に答えた。

 

「ふっ。儂は強者と戦えればそれで構わぬ。願いは好きにせい」

 

茶髪で二本の角のような癖っ毛に、緑色の目を持つ初老の男性がそう言った。老いが見られるものの、その目から放たれる闘志は本物だ。

 

「兄貴。俺達は準備出来てるぜ」

 

「俺もだ。兄貴」

 

「・・・やれやれ」

 

ラベンダ、バジルの二人は、何やら左右に跳んでいた。玩具を買って欲しい子供のように、二人は跳び跳ねて居る。

 

それを見たベルガモはため息を吐いた後に、深く息を吸って声を出す。

 

「全員注目だ!俺達はこれから、力の大会に向けて更に己を鍛えていく!力の大会前のバトル・ロワイアルだ!見事俺達を倒せば今日からソイツが、第9宇宙代表選手だ!さあ、掛かってきやがれ!」

 

『『『『『『『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォッ!!』』』』』』』

 

観客の殆どが歓声を上げながら、選手達に向かってそれぞれの武器或いは拳を構えて、席から飛び掛かる。

 

『『『掛かって来いやぁぁぁっ!!』』』

 

ベルガモを筆頭にした選手達は、全員が一気に声を張り上げた。そして、それぞれの武器を構えて、自分達に向かってくる観客達に立ち向かった。

 

第9宇宙。他の宇宙と比べると最も殺伐としており、それ故に生き抜く力や共に戦う意識、そして自分なりの悪党道を極める者が多い。スラム街にして、ギャング又はマフィアのような宇宙。しかし、其処には確かに血の繋がりを越えた関係が存在していた。

 

そして、第4宇宙では災厄が目覚めようとしていた。力の大会を大きく揺るがす災厄が、今まさに目を覚ます。




第9宇宙選手

ベルガモ、ラベンダ、バジル、メガギラス、シルドロン、バグダラス、ヒソップ、ホップ、クモンガ、カマキラス


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第4宇宙、選手決定

めざめよ、さいごのてきよ


陰謀の宇宙と呼ばれる第4宇宙。その宇宙を統べる破壊神キテラは、目の前に集まった選手達を見て高らかに笑っていた。キテラ以外にも、その付き人である大きな前髪が特徴的な天使『コニック』と、オレンジ色の肌をした界王神クルも集まっていた。キテラの玉座の間は、玉座に座るキテラが、周りを見下ろせる形となっている。

 

「キテラ様。随分機嫌が宜しいようで」

 

「ああっ。当たり前だろう?何たってコイツらが居るんだからな!来い!」

 

キテラがそう言った瞬間、彼が自信を持って選んだ三人の選手達が横一列に並ぶ。一人は赤い瞳を持つ幼げな顔付きの少女で、豊かな胸を持ち、黒い翼を生やしていた。股間にも僅かな盛り上がりがある為、両性の少女である事は一目で分かる。二人目は、白髪で一本の角が生えたエメラルドグリーンの瞳を持つ鎧のような身体を持つ人型昆虫であった。最後は、銀髪で黄色の目を持ち、オレンジ色のドレスを着た美しい女性であった。両肩から二本ずつ、合計四本もの触手を生やし、両腕には槍状の突起物が手甲にある。そして背中には、四枚もの翼状の突起が生えている。

 

「キテラ殿。左から紹介しましょう。名を『モンスターX』殿『レギオン』殿『イリス』殿です」

 

「キシシッ!!お前達の力はこの目で見せてもらった!俺様が休んでる分、よく星を破壊し、命を吸い付くした!何れも第4宇宙にとってヤバい奴等だったが、お前達が始末してくれてホント助かった!よくスカウトしたな!ガイガン!」

 

キテラは、隣に現れて詭くガイガンを褒める。

 

「お褒めに預かり光栄で御座います。キテラ様。しかし・・・俺も死にかけました」

 

ガイガンの身体には、至る所に傷が出来ており、完治が遅れた箇所も多数存在していた。その様子から、モンスターX、レギオン、イリスがどれ程強いのか素人でも分かる。

 

「まあガイガンは良くやったさ。後で報奨金と治療費を支払ってやる。それで、モンスターXと言ったな?後はレギオンに・・・イリス・・・じゃあ俺の言う事に従ってもらうか!」

 

キテラはそう言うが、モンスターXは腕を組んで首を横に振る。

 

「やなこった。僕は君の命令に従う義理無いもん」

 

「私も同じだ。卿が私に命じる権利は無い。私は総てを愛している。例外は無い。無論卿もだ。それ故に・・・」

 

モンスターXとイリスはそう言った後、キテラ達の元から離れていく。イリスが何を言おうとしたのか気になったキテラだが、自分に近付くレギオンへ視線を向けた。

 

「Xとイリスが失礼な事を言ってすまなかった。しかし、諜報ならしてやるぞ。我が小型レギオンの群れを各宇宙に送る。情報を聞き出す為にな」

 

レギオンはそう言った後、胸元から小型レギオンの大群を召喚した。ビー玉サイズの小さな虫達が、レギオンの胸元から次々と生まれる。小型レギオンの大群。レギオンを倒したガメラにとって、小型レギオンの大群を倒す事は不可能であった。その上レギオンはこの小型レギオンを無限に生み出せる為、やり方次第ではガメラを倒す事も出来た筈だった。

 

「おおっ!それは良いぞ!しかしバレたら小型レギオンは消されるぞ?」

 

「心配無用だ。小型レギオンの位置は分かる。おまけにコイツらの得た情報は、私にすぐ伝わる」

 

「キキキッ!有能だなレギオン!その調子で頼むぞ!それに比べて他の二人は無能───」

 

その瞬間、キテラの全身が汗だくになる。何故なら、一瞬自分の死を体験したのだ。いや正確には、自分の頭を大きな爪で切り裂かれ、更には槍状の突起物で胸を貫かれたような感覚を、一瞬で訪れた恐怖だけで体験した。キテラは何もされてない。しかし、その後ろには確かに居る。モンスターXとイリスが。

 

レギオンはカチカチと口を鳴らして、キテラの様子を見ていた。よく見ると、他の宇宙へコニックの手で送られた数匹を除いて、全ての小型レギオンが床に落ちて死んでいた。

 

ガイガンも含めて、他の選手達も足がすくんで動けない。

 

「・・・調子に乗るなよ。自分が特別だなんて、二度と思わない事だね」

 

「ああっ、心配は要らん。私は“総てを愛している”。例外は無い。故に─────“総てを喰い尽くす”」

 

キテラは心の底から震えていた。モンスターXはキテラの頭部に黒く伸びた爪を。イリスは左手の手甲に生えた突起物を背中に当てていた。二人から放たれる圧倒的な殺意に、全身から汗を吹き出し、恐ろしさのあまり涙さら流していた。

 

しかし、こんなトラブルはあったものの、選手達が集まってくれた。策士系の戦士も多いが、終焉を導くような存在が、第4宇宙には存在していた。そして、奴等が第1宇宙を除く全ての宇宙を揺るがす実力を、まだ秘めて居る事を、この場に居る者には知る事が出来なかった。

 

そして、第7宇宙では鋼の神が新たなアクセスコードを起動するのであった。



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鋼の神、修行場所へ

ハルオとコングは、コングが以前から住んでいた星『コロッサム』にやって来た。其処は、人の文明も兵器も及ばない、強さこそが全てであり絶対の正義である弱肉強食の世界だ。文明も人間も存在しない。コング曰く、大昔の戦争や環境汚染、そしてこの星に咲く植物が散布する粒子が、怪獣達を誕生させて人間を絶滅させたからだ。コングは以前の世界でゴジラと闘った後、この世界へ転移して最初に足を踏み入れたのが、この惑星へだったのだ。

 

この星特有の植物である植物の名を、コングは『ムキッキ』と名付けた。この星に来てから、コングもこの植物の粒子によってパワーアップし、更には以前には得られなかった直感も手に入れた。そして60年前から修行を初めて、コングは界王神にも知られる程の実力者となった。

 

「懐かしいだろ?私と君が修行を行った星だ。何時見ても、賑やかなものだろう?」

 

『はいコング様「師匠で良い」・・・畏まりました師匠。怪獣達が闘いあって居ます。今の私ならば、彼等を倒す事は出来るでしょう』

 

「そうだな。リベンジでもしに行くか?お前が負けた奴等は、まだ生きている。しかもこの星でも、四天王に輝いているぞ」

 

『それなら尚更燃えます。場所を案内してください』

 

「ならば来い。此方だ」

 

ハルオは拳を握る。以前この星を訪れた時だ。それは、ハルオがコングに弟子入りしてから間もない頃であった。

 

──────────────────────

 

それは、破壊神シャンパが開催した試合まで後二日といった時期にまで遡る。惑星『ムキッキ』にやって来たハルオは、コングの弟子となった。先ず最初に直感を身に付ける事を教えられたハルオ。直感というのはハルオには無縁であった為、コングを見てもあまり理解は出来なかった。

 

直感というのは、実戦の中で鍛えられるものであるとコングから教わり、この星に住まう怪獣、猛獣と闘う事になった。ハルオは獣相手に、ゴジラ以外に負ける事は無いと思っていた。しかし、それは甘い考えであると思い知らされる。

 

『ぐっ!』

 

『キイイイイイイッ!!』

 

ハルオが相手にしていたのは、大型サイズの蟷螂であった。しかしこの蟷螂、鎌状の腕が様々な形態に変化しているのだ。しかも驚いた事に、ハルオの武装を銃の類を除いて全てコピーしている。

 

ハルオは両腕を巨大なガドリング砲に変えて、砲塔を回転させてカッチン鋼の弾を連射した。しかし、蟷螂は両腕を刃に変化させて、弾を全て切り払う。

 

『っ!?』

 

ハルオは驚愕した。カッチン鋼で出来た弾を全て切り払われたのだから。

 

ハルオは蟷螂が振り下ろしてきた剣の腕を避けながら、戦闘パターンの分析を試みた。しかし、蟷螂の戦闘パターンが毎度毎度変化している為、分析が追い付かない。

 

『分析が間に合わないなら、動きを止める!』

 

ハルオは両腕を元に戻した後、ナノメタルで作った銃を手にして、蟷螂の足に向けて撃つ。しかし、撃った時点で蟷螂はハルオの背後に回り込んでおり、ハルオはそのまま剣で叩き飛ばされた。刃の部分が当たったにも関わらず、ハルオは斬られる事は無かった。しかし、そのパワーによって一気に吹き飛ばされてしまう。岩に激突したハルオであったが、蟷螂は時間を待たずに向かっていく。ハルオは撤退を考えて、すぐにその場からテレポートを行った。蟷螂はハルオが急に居なくなったのを見て、困惑して周囲を見渡すだけであった。

 

この時、ハルオは生まれて初めてゴジラ以外に負けた。それからも、後にムキッキの四天王と呼ばれた獣達に負けてしまうが、コングと修行を重ねていき、新たな武装も展開し、どんどん強さも知恵も増していった。

 

─────────────────────

 

『アクセスコード!ライトニングドラゴンフライ!』

 

ハルオは背中や両手の平と両足の裏からジェットを吹き出して飛びながら、アクセスコードを叫ぶ。すると、空中にワームホールが出現し、其処から三メートル級の機械化したオニヤンマが姿を現した。ハルオを凌ぐ速さで空を飛び、一秒経過した頃には空中を百回回転して、ハルオの側へ平行して飛んだ。

 

『あ、あの・・・私の力、頼ってくれますか?役立たずじゃないのですか?』

 

『はい。リベンジ戦は、貴女が頼りですよ、ライトニング』

 

『っ!あ、ありがとうございます!マスター様!』

 

そして、ライトニングはハルオの背中に回り込むと、そのまま背中から体に取り付いた。頭は口が奥へ引っ込み、そのままハルオの頭部に取り付いた。ハルオの頭はオニヤンマの頭のようなヘルメットを被り、複眼は大きな目の役割となる。そして、尻尾が輪の形となって二つに分かれた後、ハルオの腰に装着されて一つになる。ライトニングの脚は、ハルオの腕にくっつき、爪は鍵づめのようになった。

 

こうして、ハルオの合体は完了する。それは、空を征する超高速飛行形態。

 

『『超機動高速合体!ライトニングドラゴンフライ!!!』』

 

そして、ハルオは目的の相手を見つける。ハルオを見つけて、すぐに飛んできたのは以前にハルオが負けた巨大蟷螂であった。羽を高速で動かし、上空に居るハルオに向かって飛んで行く蟷螂。全身傷だらけだが、体長は以前の二倍となっていた。

 

『今は、貴方に負けません!』

 

『い、いきますよ!』

 

『『ライトニング・・・スマッシュ!』』

 

瞬間、ハルオの速度は超速となり、蟷螂の頭部から尻まで拳だけで砕いた。バラバラになった蟷螂はハルオの体に付着していたナノメタルによって侵食されて、そのままハルオの体へ向かって行った。そして、ハルオに当たった瞬間に、ハルオの体へ溶けるように吸収された。

 

『次です』

 

すると、今度は三体もの巨大怪獣が姿を現した。海からはトゲを全身に生やす、大陸のように巨大な鯨。以前は鯨には力で負けて、火力も通じず。二体目はタコやイカの混合生物であるクラーケン。奴には火力が効かず、何度も拘束されて四肢を引きちぎられた。三体目は、獅子の頭と鷹の胴体と翼を持つキメラ。奴には速さで負けて、フルボッコにされてしまった。

 

しかし、それは最早過去の話。

 

ハルオは、超速で鯨に迫ると、そのまま腹に回り込んだ。腹が弱点である事は知っているが、以前は力不足と直感を身に付けてない為に倒せなかった。しかし、今回は違う。

 

『『スピードスマッシュ!』』

 

ハルオは直感により、腹の急所を見抜く。そして、超速飛行によって増したスピードで急所を殴る。鯨は断末魔の悲鳴を上げて、そのまま地面に横たわる。その後、鯨はナノメタルによって体を侵食されていく。

 

ハルオは止めない。両手の甲の爪を伸ばし、上空へ飛んだ。そして、大気圏ギリギリまで飛び上がると、そのまま急降下。クラーケンに向かって急降下していき、軈て身体に膨大な炎を纏った。

 

『『ドラゴンフライ・・・メテオスラッシュ!!』』

 

そして、クラーケンは真っ二つに引き裂かれた。そして、クラーケンにもナノメタルが取りつき侵食を始める。

 

『私が作ったとはいえ、素晴らしいですよ。ライトニング』

 

『あ、ありがとうございます!えへへ~!』

 

『さあ、これで最後です!』

 

ハルオは羽をはためかせて、空中で浮く。

 

『ギュオオオオオッ!!』

 

キメラが咆哮を上げて、ハルオの元へ飛ぼうとする。しかし、飛ぼうとしたその時だった。

 

ハルオが両手の指から細長い気の光線を放ち、キメラの翼を撃ち抜いた。キメラは飛べずに地面へ倒れて、顔を地面にぶつける。

 

そして、ハルオはキメラの前に立ち、そのまま掌を向けた。ハルオの掌に、白銀の球体が現れる。

 

『ナノメタルブラスター』

 

そして、ハルオが球体を掌から放つ。球体はキメラの顔に直撃し、そのままキメラを大きく包み込む程に広がった。そして、キメラはそのままナノメタルに包み込まれた。

 

『では、頂きます』

 

そして、ナノメタルに包まれた残った四天王達は、そのままハルオの元へ飛んでいき、そのままハルオを包み込んだ。そして、三体は巨大な液状のドームとなり、そのまま縮んでいく。そして、ドームは人型を取り、そのままハルオとライトニングドラゴンフライの形態となる。

 

『お疲れ様です。ライトニング、素晴らしかったです』

 

『あ、ありがとうございます!では、しつら、あっ!失礼します!』

 

ライトニングはハルオから分離すると、そのままオニヤンマ形態に戻って空中のワームホールへ入っていった。ワームホールは、ライトニングが入ると同時に、そのまま消えていった。

 

「やるじゃないか。四天王をいとも容易く倒すとは」

 

「私だけではありません。コング師匠と、ライトニングのお蔭です」

 

「そうか。では、力の大会まで後一ヶ月だ。それまで、修行を続けよう」

 

『はい!』

 

こうして、ハルオとコングの師弟同士の修行は始まった。力の大会まで、後一ヶ月。



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選手達、殺し合いの会場へ

力の大会が、開かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開催まで、後一時間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開かれるのは、無の界と呼ばれる異空間であり、其処に用意された武舞台で、最大のデスマッチが開かれる。

 

武舞台はコマの形をしているが、圧倒的な広さを誇る武舞台は走るだけでもどれ程掛かるだろうか。そして、所々には無人の未来都市や森、湖が存在している。武舞台を一周する為の高速道路のようなものまで確認出来た。

 

二人に増えた全王主催のデスマッチは、様々な宇宙や次元にも中継されているが、各世界の重鎮や権力者はVIP席に、観光客等は大神官が用意した観覧席に座っている。

 

また、神々専用の席には、それぞれの世界の神々や、第1~第12宇宙の界王神や破壊神が座っており、全ての準備が整いつつあった。

 

権力者、貴族達は、どの宇宙が勝つか、誰が生き残るのかのギャンブルを行い、金を次々と無の界に用意された集計袋に投入していく。それぞれの宇宙、それぞれの選手の写真が付けられた袋に、次々と金を投入。始まる前から、会場は熱気に包まれていた。

 

『現地レポーターのチュケイです!此れからまもなく、力の大会が開催されようとしています!いやあ凄い人手、熱気が溢れております!開催時間まで後一時間です!それまで、武舞台に揃っている選手の皆さんにお話を伺いましょう!』

 

多数のテレビレポーターが、選手達にインタビューを始めた。レポーター達を追い返す者も居るが、快く取材に応じる者も居た。

 

その中でも、第1宇宙の取材を担当したジャーナリスト二人の男は、奇妙な事に気付く

 

「なあお前、俺は今、第1宇宙の選手を取材したよな?」

 

「ええっ、先輩と僕は第1宇宙担当です」

 

「可笑しいと思ないか?第1宇宙の選手は五人だけなのに、俺達は四人にしか会ってないんだ」

 

「えっ!?何故ですか?」

 

「分からん。それに第1宇宙の奴等、何かを見せようとしてないようにも見える。奴等め、一体何を隠している?」

 

「飛びきり強い選手ではないですか?取材に敢えて応じさせない事で、僕達から隠すだけでなく、切り札として取って置いているんだと思っています。先輩は考え過ぎなんですよ」

 

「ううむ。しかしだな・・・」

 

とある二人のジャーナリストの会話。彼等は第1宇宙の選手の取材で、四人にしか取材出来なかった事を疑問に抱く。もう一人が何なのか。それが後程、力の大会を揺るがす巨大な災厄になろうとは、誰一人として思っていなかった。

 

そんな中、一人のカメラマンがある事に気付く。

 

(あれ?第7宇宙の選手達全員が載った写真・・・一人居ないぞ?確かに撮った筈だが?)

 

それは、カメラに残っている撮影した写真である。それは、第7宇宙の選手全員を取材した際に取った集合写真である。カメラマンが第7宇宙のある少女を見る。それは、ハルオと笑いながら話し合い、何かの果実を食い続けるギドラの姿であった。そう。写真に写ってないのは、ギドラであった。

 

その頃、VIP席に座る貴族が、第12宇宙のある四人を見ていた。それは、リムルと耀、トニー、天火の四人である。

 

(あやつ等・・・もしかしたらこの闘いを変えるかもしれんのう)

 

様々な人々の思考が巡る中、開催まで後10分まで時間が経過した。

 

──────────────────────

 

「にひひ~、他の宇宙にもとんでもねぇ奴等が居るもんだなぁ!」

 

『おまけに、各宇宙には召喚券が一枚のみ配布されているようです』

 

「召喚か・・・まあそれはあくまで最後の手段だな」

 

悟空はワクワクしていた。自分より強いかもしれない相手と、いっぱい闘えるのだから。

 

ハルオとセルは、ハルオが握りしめて持つ召喚券を見つめている。

 

召喚券とは、参加した各宇宙に一枚ずつ配布された特別券。力の大会選手以外の参加者を呼ぶ際には、この券を所有する者が高らかに宣言して、呼び出す者をイメージする事だ。一回限りではあるが、一回の内に呼び出す人数に限りは無い。

 

但し、分身や増殖は召喚に当てはまらない為、使用は認められている。また、誰かをエネルギー体として再現するという行為も、記憶から誰かを呼び出す行為も、本人を呼び出す訳では無い為、セーフである。

 

『一回限りですので、本当に必要な時のみ使用しましょう』

 

「ああっ。そうするさ」

 

「言われるまでもない。元よりお前に預ける方が安全だろう」

 

悟空もセルも、ハルオが召喚券を預かる事に異論は無かった。

 

その頃、フリーザはギドラやコングと共に、各選手を観察していた。観察をする前から解っていたが、観察しているのは自分達だけではない。

 

「どうやら私達も見られているようですね。あまりにも不快ですよ」

 

「だが、私達はいずれ手の内を明かす事になる。初めから飛ばして選手を吹っ飛ばすか?」

 

「面白そうなのじゃ。やってみよう。モグモグ・・・」

 

コングもギドラも、初めから飛ばしてみる事にした。もし上手く行けば、かなりの数を減らせて此方が有利になるからだ。

 

「我が主。偵察完了致しました」

 

ギドラの目の前に、詭いた状態で姿を現したヒルデガーン。

 

「そうか。ご苦労様じゃ、ヒルデガーン」

 

「感謝致します。しかしながら、第1宇宙の最後の一人は不明なままで、申し訳ありません」

 

「構わぬ。これから明かせば良いだけじゃ」

 

しかし、彼等はこの時の決断を後悔する事になるとは、誰一人として思っては居なかった。

 

──────────────────────

 

「では皆様。力の大会が間もなく開始されます。改めてルールをご説明致しましょう」

 

大神官が示したルールは以下の通りだ。

 

その一:大会は、殺しと場外負け以外に相手を負かす事は出来ない。但し、照明に触れても場外負け認定はされないが、観覧席や神々の特等席、VIP席に触れたら場外負け認定とする。

 

その二:召喚による選手以外の者達を呼び出す際は、召喚券を使用する事。但し、使用するには周囲に聞こえるよう高らかに宣言する事。

 

その三:分身の使用はあり。また、自身の持つ記憶の中から誰かを召喚する場合は、本人でなければOK。

 

その四:回復アイテム及び術の使用はあり。

 

その五:各地にアイテムボックスが存在する。早い者勝ちであり、一度手にしたアイテムは他の相手には使用出来ない。味方でもそれは変わらない。

 

「では、ルール説明は以上とします。さあ、後十秒で運命の大会が幕を開きます。それでは選手の皆さん。配置について」

 

大神官の言葉通りに、選手達は闘いの構えに入る。他の宇宙から集められた戦士達の、命と勝利を懸けた闘いが、始まろうとしていた。

 

5・・・・

 

4・・・・

 

3・・・・

 

2・・・・

 

1・・・・

 

「では、力の大会!始め!」

 

大神官の宣言後に、開始の合図である鐘の音が鳴る。その瞬間、大半の選手達が動き出し、開始早々武舞台全体で大爆発が次々と起きた。

 

 

 

力の大会、開幕である。




遂に、遂に力の大会が開催!私、頑張ります!


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力の大会第二章:大混戦 虚空の王、二人の捕食者に圧倒される

OP:『命の灯火(大乱闘スマッシュブラザーズSPテーマソング)』


ギドラ達は、それぞれ分かれて行動する事にした。下手に纏まって全滅するよりも、各自分かれて行動した方が効率が良いからだ。その代わり、ハルオ、悟飯を筆頭に、セル、ピッコロ、フリーザ、ブロリーの六人は固まって行動する。悟空、ギドラ、コング、ヒルデガーンは彼等と分かれて独自に動き出した。

 

ヒルデガーンは開始早々、ギドラの命により消えた。いざという時の為に、ヒルデガーンには一時待機してもらう。突然消えて、突然現れる。不意討ちには最適だ。

 

そしてギドラは、悟空やコングと分かれて対戦相手を探すが、此処で思わぬ形で今大会最強クラスの選手と鉢合わせしてしまう。

 

「ぬっ?」

 

「おっ、お前からやって来るなんてな」

 

「この人が、リムルさんの言っていたギドラさんですか?」

 

それは、ザマスやブロリーの際に力を貸してくれたリムルと、ギドラの知らない女性である天火であった。天火はよく見れば、ブウそっくりの肌をしている。髪や瞳は白だ。

 

ギドラは舌打ちしたくなった。よりによって最悪の相手に出会ってしまったからだ。

 

「いきなりお主とはのうリムル。其処の女は?妾はギドラじゃ」

 

「私は、元人造人間21号。今はリムルさんから与えられた『天火』と名乗っています」

 

「それで、お主等は妾と闘うのかのう?」

 

「そのつもりだ。まあ、俺達は負けるつもりはないけどな!」

 

その瞬間、リムルはギドラと間合いを詰めた。ギドラはリムルに懐へ入り込まれて驚くが、すぐに後ろへ跳んで避けた。天火は隙ありと見て、ギドラに向かって指先をむけて気弾を放つ。しかし、気弾はギドラの身体をすり抜けて、明後日の方向へ飛んでいった。挑発とはいえ、天火が驚かない訳が無かった。

 

「っ!?気弾がすり抜けた!?」

 

「天火!俺の側を離れるなよ!俺が護るからお前は、新しく覚えたあれをやれ!」

 

「っ!はい!」

 

天火は顔を赤くしながら、リムルの言葉に首を縦に振る。

 

リムルはギドラの背後に回り、拳を振るう。ギドラはリムルの拳に自分の拳をぶつけるが、ダメージを負ったのはギドラであった。リムルは止まらず、拳と蹴りによってギドラに攻撃を続ける。ギドラはリムルの拳を避けた後、そのままリムルに向かって真っ直ぐ蹴りを放つ。リムルはバック転で避けた後に、指先から糸を放つ。真っ直ぐ糸を放つのではなく、ギドラを取り囲むように糸を放ったのだ。

 

ギドラはリムルの放つ糸に全方位を囲まれるが、ワームホールを生み出して潜り抜け、天火とリムルの背後に回る。そして、ギドラは掌に、自らを構成する高次元エネルギーで構成された小さなドリルを生み出した。それは、相手に必ず命中し、相手の身体を食い尽くすまで回り続ける奥の手。

 

「『インフィニティスパイラル』!纏めて喰らい尽くすが良い!」

 

ギドラはドリルを放つ。しかも、指で数えられる量を遥かに超えたドリルを生み出した。今までのギドラならば、此処まで撃てば最悪動けなくなって永遠に眠るだろう。しかし、ギドラは平然としていた。自らを構成する高次元エネルギーが減らなくなるよう、密かに究極のドラゴンボールを使って願ったからだ。五つ目の願いを叶えた為、残りは後半分。十回中五回も叶えた。此れからは慎重に叶えなくてはならない。

 

しかし、ギドラはドリルを放った事を後悔する。天火は人差し指に、稲妻のようなピンクの気のエネルギーを溜めた。そして、指先をドリル全てに向けた後、電撃のような気を解き放つ。

 

「やれ!天火!」

 

「はい!美味しくな~~れ!!」

 

それは、天火がリムルより名を与えられ、仲間と共に改良を重ねて編み出した技。その名も『スイーツビーム』。気や魔力、高次元存在のエネルギー攻撃に対する抑止力にもなりえるその技には、ある効果が備わっていた。それは、気弾、気功波、破壊光線等のエネルギー攻撃に当てる事で、エネルギーをお菓子に変えてしまうというものだ。

 

それは、ギドラも例外ではなかった。高次元エネルギーによって作られたドリルは、瞬く間にお菓子へと姿を変えていった。ドリルは全てケーキやソフトクリームといった螺旋を持つお菓子へと姿を変えていき、何故か横へ倒れず、そして形が崩れずに、地面に落ちたのだ。

 

「な、なんじゃと!?」

 

ギドラは驚愕した。自分が編み出した自慢の技が、こうも簡単にお菓子へ変えられたからだ。

 

天火は超能力の一つであるサイコキネシスでお菓子を浮かせて、自分の元へ運ぶ。自分の周囲にお菓子を浮かせて、その内の一つを食べる。その時、天火は幸せそうな顔になり、頬に手を当てながら顔を赤く染めた。動きながら閉じた唇から、涎も流れ出ている。

 

「っ!?」

 

ギドラは驚愕していた。食べてしまった事も含むが、問題は其処ではない。食べた後に、天火の身体から先程とは比べ物にならない力が宿ったのだ。力が増えるだけでなく、ギドラと同じ高次元エネルギーを得たのだ。

 

「・・・いやはや、妾は最悪の相手に出会ってしまったのう」

 

リムルは自分より遥かに強い。その上天火は今、高次元存在の力を手にした。天火は楽に倒せるかもしれないが、リムルも居るのだ。下手すれば、リムルにエネルギー攻撃を行えば天火がそれを喰う。それにより益々天火を強くしてしまうだろう。お菓子を破壊すれば良いが、リムルと天火がそんな事を理解してない筈が無い。

 

ギドラは完全に詰んだ。いや、ギドラには最後の手段があった。

 

「・・・すまぬが、妾は引かせてもらう!」

 

ギドラは、アース以外には取らなかった撤退を行った。ワームホールを潜り、そのまま武舞台の何処かへ消えてしまった。

 

「逃げられたか。天火、どうだ美味いか?」

 

「はい!しかも、ギドラさんはこんなにくれたのですから、食べ放題です!」

 

「そうか。しかし、ギドラの奴に食べられなくて良かったな。そんな事したら危ないのは、ギドラだからな」

 

「ええっ。もし食べていたら、気の毒な結果になっていたでしょう。モグモグ・・・美味しいですぅ・・・」

 

すると、お菓子を全て食べ終わった天火は、全身から膨大なエネルギーを解き放った。そして、背中から光の光輪を生やし、額には縦向きの白い眼の紋章が浮かび上がった。瞳には、七芒星が浮かび上がっている。

 

この時、リムルは笑っていた。それは、自らのアルティメットスキルの一つである神智核(マナス)ことシエルから、報告を受けていたからだ。

 

「シエル。天火の様子、解るよな?」

 

『告。個体名『天火』は、『魔人』から『魔神王』への進化に成功しました』

 

「それは凄いな。天火、今はどんな気分だ?」

 

「凄いです・・・此れが進化ですね!リムルさんに出会えて良かったです!」

 

天火はリムルに抱き付いた。爆乳に埋まるよう抱き締められたリムルは、胸の感触に思わずにやけてしまう。しかし、それを近くで別の選手と闘い、吹き飛ばした耀に見られてしまう。

 

「リィィィムゥゥゥルゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

耀はリムルを天火諸とも蹴ろうとした。天火はリムルを抱き締めながら、耀の攻撃を避ける。

 

「耀さん。嫉妬ですか?」

 

「身体でリムルを釣ろうと考える奴に、リムルは渡さない!!」

 

天火は楽々と耀の攻撃を避ける。

 

「俺はお前らの所有物か!?」

 

「「リムル/リムルさんは黙って/黙ってください!良いね/良いですか!?」」

 

「ええぇぇぇぇっ!?」

 

耀から理不尽な制裁を受け、天火に抱き締められたリムルは、天火の胸の中で泣きそうになったのであった。

 

──────────────────────

 

「時の界王神!どういうつもりだお前は!?」

 

ビルスは、時の界王神クロノアに抗議していた。クロノアは第7宇宙に存在する時の巣が存在する町、トキトキ都に住んで時の管理を行っている。しかし、クロノアの行動は第7宇宙への裏切りに等しいものである。そうビルスは主張した。

 

「お主は何を考えておるんじゃ!?」

 

大界王神も例外ではない。クロノアが何故、自分達と敵対したのかを。

 

「それは勿論、ビルス様への挑戦です!私達界王神が、何時までも破壊神にビクビクしてると思ったら大間違いですよ!」

 

「何だと?それでこの力の大会で、僕ら第7宇宙のチームに勝とうと思った訳か?」

 

「その通りです!勝負ですよビルス様!どちらの選手が上か、白黒はっきりさせましょう!」

 

「良いだろう。でも僕ら第7宇宙が、君が今所属している第12宇宙に勝ったら君をボコボコにしてやる!」

 

「ひっ!?だ、だったら私達第12宇宙が第7宇宙に勝った暁には、ビルス様には私の言う事を何でも聞いてもらいます!」

 

こうして、ビルスとクロノアの約束が出来た。しかしこの約束は、第7宇宙と第12宇宙が闘ってどちらが全滅するかという事が前提の話だ。二つの宇宙の選手が、他の宇宙に倒された場合、この約束は無かった事になる。無論、ビルスもクロノアも解っているのだ。解っている上で、この約束を行った。

 

そして、ビルスとクロノアが武舞台に視線を戻すと、其処にはリムルと天火に苦戦するギドラの姿があった。

 

「な!?何をそいつ等に苦戦してんだギドラ!それでも僕らのエースか!!」

 

「リムル!天火ちゃん!良い感じよ!」

 

そして、ギドラのエネルギー攻撃が天火によってお菓子に変えられ、ギドラが撤退してしまった瞬間、ビルスの顔が青ざめてしまう。クロノアはご機嫌が上昇中であった。

 

その時、クロノアが真顔になる展開が訪れる。それは、天火が自分の爆乳に、リムルの頭が埋まるように抱き付いた光景であった。更に嫉妬した耀が二人を攻撃している様子も見てしまう。

 

「おおっ!?なんか知らんが良い気味だ!」

 

「おおっ!そのままやれやれ!」

 

ビルスとシャンパはゲスな笑顔を浮かべながら、仲間割れの光景を見てそう叫ぶ。そして、ビルスとシャンパはお互いの顔を見て、機嫌が悪くなったのかお互いに顔を反らした。

 

VIP席の観戦者達も、突然の仲間割れの光景に大興奮。

 

リムルが天火の胸に沈み、喧嘩する天火と耀の光景を見て、クロノアの目から光が消える。

 

「リムル・・・後でO☆HA☆NA☆SHIね?」

 

その時、クロノアの身体から黒いオーラが溢れ出ているのを、第12宇宙の界王神、破壊神、そして天使の三名のみが理解した。




ED:『運命のしずく~Destiny’s star~(ウルトラマンゼロ)』


時の界王神ことクロノアは、ワイルドな男性がタイプみたいですけど、リムルも意外とワイルドですよね?違います?


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孫悟空、古代怪獣に出会う

悟空は、強い相手を探して走っていた。どうやらこの力の大会は、舞空術の使用が不可能らしい。しかし、元より肉弾戦が得意な悟空にとっては、寧ろありがたいルールであった。

 

「舞いなさい!我が蝶達よ!」

 

空を飛ぶ蝶の羽を持つ美しい女性が、身体から発するオーラからエネルギー体の青い蝶を生み出した。一体だけでなく、三十体も出現。狙いは悟空である。

 

「オラの相手になってくれるんか?」

 

「そうよ!私の名は『リリベウ』!さあ覚悟しなさい!」

 

リリベウがそう言った後、彼女の周りを飛ぶ三十体の蝶が悟空に向かって襲い掛かってきた。しかも真っ直ぐではない。悟空を取り囲むように飛んできて居るのだ。

 

「んなもんにぁ騙されねぇぞ!」

 

悟空は蝶の大群に向けて気弾を放つ。しかし、蝶の大群が作る壁に穴が開き、気弾は穴の中を潜っていった。

 

「その手は当然、折り込み済みよ!」

 

「へへっ。オラを誘ってんのか?」

 

「あら?バレてたかしら?」

 

リリベウの作戦は、壁に攻撃が効かない事を知ってから自分に飛んできた悟空を、自分の衣類に擬態した蝶を一斉に放って仕留めるつもりだった。その数、なんと六十体。通常状態の悟空ならば、六十体の起こす爆発に耐えられなかっただろう。蝶一匹でバスケットボールサイズの威力だが、数匹も居れば身体が吹き飛ぶ威力となる。

 

これがリリベウの必殺技『ブルーパピヨン』である。

 

しかもこの力の大会は、全員が大会に備えてトレーニングを積んでいる。即ち、弱い者は一人も居ないのだ。

 

その上、蝶達には恐ろしい特性がある。

 

「さあ、蝶よ舞いなさい!」

 

悟空に向かって蝶達が再び襲い掛かってきた。悟空は蝶の大群による突撃を避ける。しかし、避け続ける内に、悟空はある事に気付く。

 

(コイツら・・・なんか攻撃が嫌らしくなってっぞ?まるでオラの動きに慣れて来てるみてぇだ)

 

悟空は、嫌な予感がした。このまま蝶達の相手をしていたら、いつか自分の戦闘パターンを見破られる可能性がある。ブルー或いはゴッドとなる際の衝撃波で消し飛ばすのもありだが、リリベウによって再び生み出されるのがオチだ。罠なのは解っているが、この蝶の大群を相手にしていられない。

 

悟空は額に右手の人差し指と中指を当てて、リリベウの気を探る。そして、リリベウの気を捉えて一瞬で移動した。高速移動ではなく、相手の気を感じ取って一瞬で移動する『瞬間移動』という技だ。この力の大会にも出場しているヤードラッド星人とは違う、第7宇宙のヤードラッド星人から教えられた技だ。

 

「だっはー!」

 

悟空はリリベウに向かって蹴りを入れた。衣類にまとわりついているなら、気に障るが頭を蹴って場外へ突き落とす。悟空の蹴りは、リリベウの後頭部に直撃した、かに思われた。

 

「掛かったわね!」

 

リリベウの全身が、突如として無数の蝶になり、悟空の身体が蝶に覆われた。

 

悟空は声のした方向を見ると、其処には地面に降り立つリリベウの姿があった。

 

「なっ!?何でだ!?」

 

悟空は驚愕した。確かに瞬間移動は、気の無い相手を探しだす事は出来ないが、リリベウの気は確実に捉えていた。しかし、リリベウと思われたそれは、何故か蝶の塊だったのだ。

 

それは、リリベウが六十体の蝶を使って生み出したダミーであり、リリベウはダミーに今まで戦闘を行わせていた。空を飛んでいるという事を前提で戦ってくる相手には、この戦略はとても効くのだ。

 

「私の技は、一つじゃないのよ!さあ、覚悟しなさい!」

 

リリベウは指を鳴らした。その瞬間、悟空の身体にまとわりつき六十体の蝶と、更に彼の周囲を飛ぶ三十体の蝶が、一斉に爆発を起こしたのだ。爆発は、先程説明したように、一体でバスケットボールサイズの威力。では、九十匹集まれば?その威力は計り知れないものだろう。

 

「何やってんだ悟空ー!油断大敵だぞ!」

 

「やはり、悟空さんの悪い癖が出ましたか」

 

ビルスの怒声が響き、ウィスは呆れ顔になっていた。悟空は相手の出方を読んで戦っているが、その性格上後ろを取られる事が主な弱点だ。リリベウの『ブルーパピヨン』も、その例外ではない。

 

「良いぞリリベウ!その調子じゃー!」

 

「まさか序盤で孫悟空を倒せるとは」

 

「リリベウさん流石です!」

 

第10宇宙の破壊神ラムーシ、界王神ゴワス、天使のクスは喜んでいた。まさか序盤で孫悟空を圧倒出来るとは思ってなかったからだ。

 

リリベウは再び空を飛ぶ。不意討ちを警戒して周囲に再び九十匹の蝶を展開した。煙が晴れていったその時、其処に悟空の姿が無い事に驚く。

 

(居ない?でも深追いは禁物ね。下手に追い掛ければ私の命が危険ね)

 

リリベウは、悟空を諦めて他の選手を探しに行った。すると、リリベウの蝶数十匹があるものを捉え、リリベウも察知する。

 

「『ジャスティスキーック!』」

 

それは、角を生やした茶髪の少女による、中央の柱からの飛び蹴りであった。

 

リリベウは直ぐに避けて蝶を放とうとするが、その蝶達は下から放たれた白いビームによって打ち消される。それは、地面に立つサイボーグ少女が目にゴーグルを装着した後、額の発光部からビームを放ったのだ。

 

更に、リリベウに巨大な岩石が投げ付けられる。リリベウは蝶が消えた後に押し寄せた岩石をギリギリで避けるが、羽にかすってしまう。

 

急いで体勢を立て直し、岩石が飛んできた方向を見た。其処にはフードを被って角が生えており、尻尾も生やした少女が投げた後の体勢となっていた。

 

それは、かつてある光の戦士が、変身出来ない際に呼び出したカプセル怪獣『アギラ』『ミクラス』『ウィンダム』であった。

 

「当たらなかったね」

 

「もぅー少しで当たる所だったのにぃ!!」

 

「次は外しません!」

 

「あら?貴女達が相手かしら?良いわよ、掛かってらっしゃい!三対一でも問題無いわ!」

 

悟空が居なくなってから始まった、三対一の闘い。一方、悟空は何処へ行ったのか。

 

──────────────────────

 

「あっぶねぇ~。もう少しでオラやられちまうとこだったなぁ~」

 

ブルーへ変身した悟空は、ボロボロになった胴着を払い砂埃を落とす。一瞬ブルーになった為にダメージは半減されたが、胴着はボロボロだ。

 

爆発が起きた一瞬、ブルーに変身してバリアで身を包んだ。しかし、バリアでは九十匹のエネルギー体である蝶の爆発を防ぎきれなかった。しかし、ダメージは半減された為、瞬間移動が出来た。リリベウの元へ戻る事も考えた悟空だが、此処は撤退する事にした。さっきのような事を繰り返してしまえば、体力の無駄遣いになるからだ。

 

しかし、悟空は誰かの気を探知しなくては瞬間移動出来ない。悟飯達の元へ行くために気を探る暇が無かった。普段の悟空ならすぐに探せただろうが、リリベウがそれを待ってくれるとは思えない。

 

つまり、一か八かの賭けだったのだ。そして、その賭けはある意味成功であり、失敗したと言える。

 

「もしかして、リリちゃんが戦ってた人?」

 

「うおっ!?」

 

悟空は背後から声を掛けられた瞬間、すぐに瞬間移動を行った。万が一の為に瞬間移動の構えのままだった為、声を掛けた相手の背後に回り込めたのだ。

 

そして、瞬間移動したのは正解であった。声を掛けた相手は、今にも腕を振り下ろそうとしており、後少し遅れていたら悟空は攻撃を受けていただろう。

 

「あっぶねぇな~。オラの背後を取るなんてよ。オメェの名前は?」

 

「私?私はゴモラだよ」

 

紺色のスク水を着て、茶色の尻尾を腰から生やし、角を頭に生やした少女ゴモラ。

 

「まさか私の元へ来るなんてね。オジサン、倒されに来たのかな?」

 

「へっ。オラぁそう簡単にはやられねぇぞ」

 

「そっか。私は此れから誰かを倒しに行くつもりだったけど、面白い相手、見つけたかもね」

 

その時、ゴモラの目付きが変わった。無邪気な子供の目から、獲物を狙う獣の目になった。それだけではない。ゴモラから放たれる力の奔流に、悟空は冷や汗を流した。

 

神々の観戦席でも、ビルスが冷や汗を流していた。

 

悟空は戦う構えに入る。ゴモラも中腰になり、肉食恐竜にも似た戦いの構えに入る。

 

悟空は始めに、気弾を掌に生み出し、ゴモラに向けて放つ。両手を何度もゴモラに向けて突きだし、その度に気弾を発射したのだ。

 

「ダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!」

 

悟空はベジータから、気弾を相手に向けて正確に放つ方法を教わった為に、全ての気弾を外さず正確に、ゴモラに当てていく。ベジータが一番得意な戦法であった為、ベジータから正確に狙う方法を学んだ事が、此処で活かすつもりだった。

 

しかし、爆発が起きた後に悟空が見たのは、無傷で佇むゴモラの姿であった。

 

「んー?何かしたかな?」

 

「・・・こりゃ一筋縄じゃいかねぇな!ハァッ!」

 

悟空はいきなり超サイヤ人3変身した。通常の超サイヤ人や2では、ゴモラに通用しないと見抜いたからだ。

 

「オラもやらせてもらうぜ」

 

「・・・良いよ。掛かってきなよ」

 

ゴモラは指を動かして関節を鳴らし、悟空との一対一を承諾するのであった。その時のゴモラの表情は、玩具を見つけて喜ぶ子供のように、笑っていた。



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