孤島鎮守府の奮闘 (画面の向こうに行きたい)
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孤島鎮守府にようこそ

はじめまして。画面の向こうに行きたい。です。提督未満の初投稿ですがよろしくお願いします。


ぼんやりとした意識の中で、男に何かを怒鳴られている。『売り上げ』や『ノルマ』といった単語が思い浮かぶ。男のことをよく知っているはずだが、なぜか顔が曖昧だ。男のことを思い出そうとするものの、吸い込まれるような感覚と共に目を覚ました。

 

オレは目を覚ますと、見慣れた自分の部屋ではなくて、見知らぬ部屋にいた。

ベッドと机、クローゼットが置いてあるだけの簡素な部屋だった。

 

「え?何?ここはどこ?」

 

オレはベッドの上で酷く狼狽していた。目覚めたら知らない場所にいたのだから当然であろう。

 

ガチャ

 

部屋の扉が開いて、ピンク髪でセーラー服の中学生くらいの女の子が入ってきた。

 

「あー、お目覚めですかご主人様。ちゃんと『知らない天井だ』って言いました?まだなら今から言いますか?あのセリフもよく考えたら余裕ありすぎですよねー。普通、目が覚めたら知らない部屋だったらもっと驚きません?」

 

意味不明な言葉をのたまう少女。とりあえずオレは彼女に聞いてみた。

 

「ここはどこ?キミは誰なんだい?」

 

「綾波型駆逐艦、漣。こう書いて『さざなみ』と読みます。ご主人様。」

 

少女は指を動かすが、どう書いて『さざなみ』になるのかオレには分からなかった。『くちくかん』って『駆逐艦』だよな?状況を理解出来ないまま彼女の説明は続く。

 

「ここは孤島鎮守府ですよ。東西およそ8km、南北およそ4kmの火山島です。本土東京と沖縄本島、グアム島からそれぞれ1200〜1300kmほど離れ、最寄りの有人島までおよそ300kmもある、その名の通り、絶海の孤島です。」

 

そこまで説明した漣は思い出したように、

 

「ところで、今さらですがご主人様、ご主人様のお名前は何ですか?」

 

「オレの名前は、名前・・・うっ!頭が!」

 

自分の名前が思い出せない。思い出そうとすると、頭が酷く痛むのであった。

その様子を見て、漣は慌てて、

 

「あわわわ!大丈夫ですかご主人様?ごめんなさい。無理に思い出そうとしなくても大丈夫ですよ。本土から新しい司令官がいらっしゃることは無電で連絡されていましたし、予定の時間になってもいらっしゃらないので心配していたのです。きっと乗ってた飛行機が事故にでもあったのでしょう。ご無事でなによりでした。」

 

申し訳なさそうに話す漣。どうやらオレは司令官と呼ばれる立場らしい。よくわからないがなんだか偉そうな感じだ。

 

「今、時雨ちゃんが本土に新しい司令官が到着した事を無電で連絡しています。連絡がついたらいよいよ、ご主人様は新しい司令官様ですねー。」

 

そこまで話すと漣は、

 

「それじゃあ、みんなにご主人様がお目覚めになったことを伝えてきますねー。」

 

そう言って部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




各話のタイトルはPCゲームのパロディにしようと思います。第1話は「piaキャロットへようこそ!」私は3しかしたことないです。マネージャーの攻略が難しかった記憶があります。
さて次回はいよいよ鎮守府にいる艦娘が勢ぞろい。しかしみんな個性的すぎる?そんな中で、主人公は正式に提督に就任することに。
次回
「チンジュフセブン」
そこんとこヨロシク!


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チンジュフセブン

2話にして、執筆中にデータを消した画面の向こうです。ホント、毎週投稿してる、作者さんを尊敬します。


漣が出て行ってしばらくすると、

 

ピンポンパンポン♪

 

「提督が鎮守府に着任しました。皆さん、至急、司令室に集合してください。」

 

漣とは違う声だ。だが、同じくらいの年頃の少女の声だった。そういえば、漣はここを『チンジュフ』と呼んでいた。よくわからないが、なんとなく大きな場所の気がする。彼女の言う『みんな』が何十人もいたらこの狭い部屋には全員入らないだろうなと思う。そんなことを考えていたら、

 

コンコン

 

部屋のドアをノックする音がして、7人の少女が入って来た。みんな同じくらいの年頃の少女だ。

 

「ドーン」

 

1人の少女が先頭で入って来た。

 

「駆逐艦島風です。スピードなら誰にも負けません。速きこと島風の如しです。」

 

『しまかぜ』と名乗った少女の格好はひと言で言えばコスプレだった。セーラー服なのだろうが、上着の丈が短くてお腹が丸見え。スカート丈もミニどころではなく、上からヒモパンらしきものが見える。綺麗な金髪とウサ耳みたいなリボンも相まって、とても目立つ少女だ。正直、目のやり場に困る。

 

「島風、落ち着きなよ。提督は逃げたりしないさ」

 

漣や『しまかぜ』と同じくらいの年頃だが、落ち着いた雰囲気がある三つ編みの少女。少し髪がハネて耳みたいだ。そして何より『大きい!』男って単純な生き物なのである。

 

「ボクは白露型駆逐艦『時雨』これからよろしくね。提督。」

 

優しく微笑む『しぐれ』おそらく『時雨』だろう。それにしても、漣や島風も名乗った『くちくかん』とはオレには『駆逐艦』としか思えない。駆逐艦が女の子?

そんなことを考えていたら、

 

「ぽ〜い」

 

みんなの中から1人の少女が飛び出して抱きついて来た。イヌ耳?いや、髪がハネて耳みたいに見えるだけか。

 

「こんにちは。白露型駆逐艦『夕立』よ。よろしくね。提督さん浜で気絶してたらしいけど大丈夫っぽい?」

 

そう言いながら、上目遣いで腕に抱きついている。腕に柔らかい感触が!『しぐれ』も大きいが、『ゆうだち』も中々。素晴らしい!

 

「ちょっと『夕立』!司令官が困ってるじゃない!」

 

セーラー服のちびっ子が『ゆうだち』を注意している。いえ、お構いなく。

 

「うーん。提督さんが困ってるなら仕方ないっぽい」

 

そう言って離れる『膨らみ』じゃなかった。『ゆうだち』

 

「雷よ!かみなりじゃないわ。そこのとこもよろしく頼むわね。」

 

精一杯、頑張って挨拶しようとする姿を見て、雷の頭がちょうどいい位置にあったので

思わず撫でてしまった。

 

「ん♪」

 

目を閉じてくすぐったそうにする『雷』かわいいなぁ。

 

「あー。もういいかなぁ?」

 

黒いセーラー服にメガネの少女が声をかけて来た。

 

「ンー。あ、望月でーす。ヨロシク。」

 

頭を掻きながら、気だるげに自己紹介する『もちづき』初対面ならそんなもんか。

残ったサイドテールの少女に声をかける。

 

「えーと。キミの名前は?」

 

「特型駆逐艦『曙』よ。ってこっち見んな!このクソ提督!」

 

アレ?この子に何かしたっけ?オレ?

 

 

 

 

 




『スズノネセブン』
作者が一番好きなゲームメーカー『クロシェット』のゲーム。莉里先輩が工口かわいい。クロシェットにしては、実妹が出てこない珍しいシリーズです。

さて、次回は、時雨に鎮守府周辺を案内される。一方で、記憶喪失の主人公がなぜ提督に任命されたのか?海軍の闇に巻き込まれる主人公。
次回、
「孤島鎮守府とその周辺」
そこんとこヨロシク!


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閑話 好意と艦娘とチョコレート 前編

前回、次話は『孤島鎮守府とその周辺』と言ったな。
アレはウソだ。

ゴメンなさい。今だに本編を書き上げられない無能な作者が悪いのです。

さて、バレンタイン企画です。楽しんでください。


それは鎮守府のみんなと少しだけ仲良くなった2月14日のこと。

 

まだ太陽が顔を出さない早朝4時。いかに軍人が早起きといえど、まだみんな眠りにつく頃。

 

ドスン!!

 

布団越しに腹部に衝撃を感じ目が覚めた。

なぜか布団の上で島風が馬乗りになっている。

 

「もう提督、起きるのが遅い〜!」

 

島風のお尻の感触が布団越しに感じる。ぶっちゃけ、朝の男の整理現象がピンチ!

 

「ワタシが一番速いんだから!」

 

そう言いながら板チョコを口に突っ込んで来た。いきなりのことに驚いていると、

 

「提督〜。島風のチョコあげるよー。誰のよりも早く食べてねー。ほら早く、早くー。」

 

寝ぼけまなこで咀嚼すると、満足したのか、

 

「それじゃあ提督、寝坊しないようにねー」

 

そう言ってまるで風のように去っていった。一体なんだったのだろう?そう思いながらオレは再び眠りにつくのであった。

 

 

マルロクサンマル

 

「司令官〜。起きて。もう朝よ!」

 

雷が優しく布団を揺すりながら声をかける。

 

「おはよう。司令官。って口にチョコ付いてるじゃない。ダメよ寝る前に歯を磨かないと」

 

アレ?寝る前にチョコなんか食ったっけ?あー、そういえば夜中に島風がやってきて口にチョコを突っ込んで来たんだっけ?

 

「今朝の朝食はアジの開きにほうれん草のお浸しよ。お味噌汁は司令官の大好きなネギと油揚げなんだから!」

 

あぁ。雷の朝食が一番当たりなんだよなぁ。

 

「後ね、司令官はいつも頑張っているからコレ!」

 

雷は綺麗に包装紙に包まれた四角い箱を差し出した。

 

「じゃーん!雷の手作りチョコを用意したわ!司令官、よーく味わって食べるのよ?はい!」

 

「ありがとうな。雷。嬉しいよ」

 

なぜか初めてチョコをもらうような感覚になる。『オカン』とか、『職場の義理チョコ』とか頭に浮かぶがきっと気のせいだ!

せっかくのチョコなので、後でゆっくりと頂こう!

 

「さぁ、今日も一日頑張るわよ!」

 

ヒトマルマルマル

 

コンコン

 

「ぽーい」

 

ノックの返事を返す前に夕立が入ってきた。

 

「一区切りついたならお茶にするっぽい!このドーナツを食べるっぽい!夕立、結構頑張って買って来たっぽい」

 

結構頑張って買って来たってなんだろう?まぁ、ちょうどいいから休憩にするか。

 

「私、抹茶クリーム!」

 

色々ある種類から、

 

「オレはフレンチクルーラー・・・」

 

「ダメっぽい!提督さんはチョコオールドファッションにするっぽい!」

 

いや、まぁいいけどさ

 

「夕立は、フレンチクルーラー・・・とポンデとストロベリーにするっぽい!」

 

いや、買って来たのは夕立だからべつにいいけどさ。

 

「ぽむしゃ。ぽむしゃ。提督さんと食べるドーナツはすっごく美味しいっぽい!」

 

「そうか。それは良かったな」

 

「ホワイトデーには期待してるっぽい!!ドーナツ屋さんを借り切って食べ放題っぽい?」

 

無茶言うな!っていうか、ドーナツのお返しがドーナツ食べ放題って。

 

さて、お昼まであと少し!残りも頑張ろう!

 

 

 




元ネタ解説は次話でします。

次話は今日中に投稿します。


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閑話 好意と艦娘とチョコレート 後編

遅くなりました。

次こそ『孤島鎮守府とその周辺』をお送りします。


ヤンデレ注意


ヒトフタマルマル

 

昼になったし、そろそろメシにするか。

 

食堂に行く。今日の昼食当番は望月だ。望月ってよく言えば簡単レシピ。悪く言えば手抜き料理なんだよなぁ。

 

今日の昼食は生姜焼き丼か!美味そうだ!

 

いただきます!

 

食事はみんな一緒にとる。全員分の食事を別々に作るのは手間がかかるからだ。

 

「司令官〜。」

 

食後に望月が声をかけて来た。

 

「今日のごはんはどう?美味しかった?」

 

「まぁ、バレンタインなんてガラじゃないし、面倒くさいけど、司令官にはお世話になってるし」

 

そう言いながら小さな包みを差し出す望月。

 

「調理場がいっぱいだったから、出来合いのものだけど、下手なものあげるよりいいかと思って」

 

箱に書いてあるロゴのデザインは有名ブランドのものだった。気軽にオヤツにするには結構な値段である。

 

「ありがとう望月。大事に食べるから!」

 

オレは望月の頭を撫でながら礼を言う。

 

「やめてよー。ガラじゃないのわかっているからー。髪がぐしゃぐしゃになるー」

 

そう言いながらも望月は嫌がってなさそうだ。むしろ嬉しそう。

 

ヒトサンマルマル

 

「やはり、望月のメシにハズレはないな。今日も美味かった」

 

満腹になった腹をさすりながら、雷と漣と一緒に司令室に帰るところだった。

 

「アレ?ぼのたん?」

 

司令室から曙が出て行ったようだ。曙はこちらに気づいてない。

 

そのまま急いで走り去ってしまった。

 

「どうしたんでしょうね?さっき一緒に食堂にいたからご主人様いないのわかっているハズなのに?」

 

ガチャ

 

司令室に入ると机の上に見覚えのない箱が置いてあった。キレイにラッピングされ、カードが付いていた。

 

「なんですかねー?コレ?」

 

漣がニヤニヤしながらオレを突いてくる。

カードを開けると差出人の名前はなく、ただ一言だけ、

 

『いつもありがとう』

 

箱の中はハート型のチョコレートだった。

 

 

 

 

ヒトゴーサンマル

 

コンコン

 

「ご主人様ー、お茶にしましょうよー」

 

漣がラムネと皿に山盛りのウエハースを持って司令室に顔を出した。

 

「お茶は良いが、なんだ?その大量のウエハースは?」

 

「いやぁ、ホラ、今日ってバレンタインじゃないですか?日頃の感謝と愛情をご主人様にお伝えしたいなぁと思いまして。後は今、ヒックリマンシールを集めてまして!」

 

「程のいい在庫処分じゃねーかよ!」

 

まったく。仕方ないな漣は。

山盛りのウエハースを食べ終えると、

 

「それじゃあ、失礼しますねー。お返し、期待してますねー。」

 

そう言って去っていった。

 

 

フタマルマルマル

 

「提督、そろそろ夕食にしないかい?」

 

時雨がお盆を抱えて来た。

 

「そうだな。ハラが減った。」

 

時雨が用意してくれたカレーを食べる。

 

「それからね、提督」

 

時雨はおもむろに小さな箱を出した。

 

「これ、僕からのチョコレート。一応手作りだから、あまり自信がないんだ。よかったら今食べて感想を聞かせて欲しいな」

 

今カレー食ってる最中なんだけど。よく見ると時雨の手に絆創膏が貼ってある。そこまで時雨が言うなら仕方ないか。

 

包みを開けると小さなチョコレートが6つ並んでいる。

それじゃあいただきま・・・

 

「ぽーい!!」

 

突如、夕立が乱入して来た。

 

「提督さん、お仕事終わった?なら、夕立と遊ぶっぽい!」

 

そう言いながら抱きついてくる夕立。言動は小動物みたいだが、当たっている柔らかい膨らみは彼女が女性であることを主張してくる!

 

「あー!チョコレートっぽい!いっただっきまーす!」

 

そう言って箱の中のチョコレートを勝手に食べた。

 

「あ!コラ!」

 

「ぽ・・・い・・・」

 

食べた直後、夕立は、崩れ落ちるように、寝た。

 

「チッ!」

 

アレ?時雨さん?

 

「まったく、この駄犬が!後で躾しないと!」

 

瞳からハイライトが消えた目でつぶやいている。

 

「夕立は遊び疲れて寝ちゃったみたいだから、部屋に連れて帰るね」

 

夕立を引きずりながら、部屋を出て行った。

 

あの。時雨さん?

 

部屋には冷めたカレーが残った。

 




恋と選挙とチョコレート

作者未プレイ

アニメ見てもあまりピンと来ませんでした。


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閑話 艦娘とオレとお返しと

次話は『孤島鎮守府とその周辺』と言ったな。アレは嘘だ!
(テイク2)

ごめんなさい。いつまで本編を書けない作者の文才のなさが悪いのです。

前回の後日談。ホワイトデー編です。

ふたたびヤンデレ注意


3月初頭

 

『やはり、チョコレートを貰った以上、お返しをしないといけないよなぁ』

 

先月、バレンタインデーに鎮守府のみんなからチョコレートを貰った。もうすぐホワイトデーなので、お返しの品を用意したいのだが、

 

『何あげたらいいか、さっぱりわからない』

 

とりあえず、みんなの欲しい物をリサーチすることにした。

 

 

島風の場合

 

「欲しい物?」

 

「ああ。福利厚生の一環で、アンケートをとっているんだ」

 

まさか、ホワイトデーのお返しとは言えないので、そういうことにした。

 

「欲しい物?外付けジェットエンジン!」

 

「???」

 

「知らないの?ブースターの力ですごいスピードが出るんだって!これでもっと速くなるよ!」

 

「それは無理かな?」

 

「そう。なら、新型高温高圧缶!」

 

急に現実的なアイテムになったな。

 

「残念だが、ウチの鎮守府にはそんなものはない」

 

みるみる落ち込む島風。

 

「えっと、何か速くなるアイテムを考えておくよ」

 

島風を励ます為にそう答えた。

 

 

望月の場合

 

「欲しい物?大学生並みの春休みかな?」

 

「おまえなぁ、7人しかいない鎮守府で2ヶ月も連続休みを取ったら他の子が大変だろうが!」

 

「わかってるよう。言ってみただけ」

 

相変わらずやればできる子なのにやろうとしないタイプだな

 

「なら、何が欲しいんだ?」

 

「座椅子かなぁ。アレならオコタにも使えるし」

 

座椅子か。候補に入れておこう。

 

 

夕立の場合

 

「フリスビーが欲しいっぽい!」

 

フリスビーか。安上がりだが、そのくらい自分で入手できそうだが。

 

「提督さんがぽーいって投げて、夕立がぽーいってとってくるの楽しそうでしょ?」

 

女の子というか、どっちかと言えばイヌ扱いなのだがいいのだろうか?

 

「まぁ、考えておくよ」

 

 

漣の場合

 

「一日中ヨウツベ見てても大丈夫な通信環境」

 

オレも欲しいが、そんな予算はどこにもない

 

「なら、極レア絶版やおい本!」

 

「極レアぜ?パン屋?おい本?」

 

この子は何を言っているのだろう。日本語でぉk。

 

「うーん。よし!そのあたりをご主人様に理解してもらうためにお盆に一緒に有明に行きましょう!」

 

「やだよ!お盆の内地なんてどこも混んでるじゃないか!」

 

「まあまあ。慣れると行列に並ぶことに使命感を感じるようになりますよ?鹿島さんがいっぱいいますよ?」

 

そんなことで使命感を感じたくない!

 

「とにかく却下!」

 

 

曙の場合

 

「欲しい物?み、水着・・・」

 

「水着?泳ぐにはまだ早いと思うが?」

 

「こんな僻地なんだから、早めに頼まないと夏前に頼んだら秋になっちゃう」

 

「べ、べつにクソ提督に見て欲しい訳じゃないんだからね!」

 

ぼのたんはかわいいなぁ。

 

 

雷の場合

 

「司令官との子供!」

 

雷に欲しい物を聞いたら返答がコレである。

 

「最初は女の子で次が男の子。小さくてもいいから、赤い屋根の庭付きのマイホームで、ペットに白い犬を飼うの!・・・」

 

雷の妄想を垂れ流している間にオレはさりげなくフェードアウトすることにした。

どう見ても小○生の女の子とケッコンカッコガチするとか、トジョーレーで捕まってしまう。

 

「そして、日曜日には家族でドライブに・・・って司令官?もう!司令官ってば照れ屋さんなんだから!」

 

 

時雨の場合

 

真面目でしっかりした子なのにオチ担当になりつつある時雨。正直一番怖い!

プレゼントはケッコンユビワカッコガチが欲しいとか言われたらどうしよう?

 

「欲しい物?欲しいモノかぁ」

 

時雨はうつむき、前髪で顔が隠れるくらいの角度で、

 

「提督・・・かなぁ。まったく、ボクという者がありながら、他の娘に色目を使ってばっかり!今すぐ拉致監禁してボクのことしか考えられないように調教してもいい?ねぇ提督?」

 

提督は時雨のヤバさに逃げ出した!

 

時雨は狂気を微塵も感じさせない笑顔で、

 

「なーんて。冗談だよ?ホワイトデーのお返しはクッキーでももらえたら嬉しいかなって提督?」

 

提督がいないことに気づいた時雨の眼からハイライトが消える。

 

「まったく。後できちんと冗談だったと伝えておかないと。提督にヘンな子だって思われちゃう。でも・・・」

 

「おイタが過ぎると、本当に・・・ねぇ提督?フフ、フフフフ・・・」

 

時雨以外誰もいない部屋に虚しく笑いが響くのだった。

 

 

ホワイトデー当日

 

オレはみんなにクッキーをプレゼントした。




『彼女と俺と恋人と』

プルトップラテのゲーム。メインヒロインルート以外メインヒロイン公認で二股をかけるゲーム。でも面白い。結構オススメ。


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孤島鎮守府とその周辺

かろうじて生きています。画面の向こうです。カメより遅いウサギ更新ですが、(なぜか早く見える!)細々と頑張りますので応援よろしくです!


「クソ提督!」

 

いきなりの暴言に室内の空気が凍りついた。

 

「と、とりあえず、今鎮守府にいる『艦娘』は私たち7人ですね。あ、起きてから何も食べてないですよねー?何か作りますね。それじゃあ、解散!」

 

漣が慌てて、他の少女たちを部屋から追い出した。

 

「ごめんなさい。ぼのたんも悪気があったわけじゃなくて。口は悪いけどいい子なんですよ」

 

べつにいいんだ。ボロクソに言われるの慣れているし。ハゲのオッサンより、かわいい美少女の方が遥かにイイ。

なんで、オレはハゲのオッサンにボロクソに言われ慣れているのだろうか?

 

コンコン

 

「司令官、大本営と連絡ついたから、来て欲しいって時雨が呼んでる」

 

ドアの向こうで望月がそう報告した。

 

『大本営』ってお偉いさんだよな?そんな人相手に話しをしなければならないなんて憂鬱だなぁ。しかし、断れる感じじゃなさそうだし、はやく済ませるか!

 

「わかった。すぐに向かう!」

 

そう答えてオレは覚悟を決めた。

 

 

30分後

 

ふぅ。緊張したぜ。とりあえず、この鎮守府で提督をすれば良いらしい。

自分の名前がわからないので聞いたら聞き覚えのない名前だった。多分別人だと思う。でもそれを指摘すると『ならおまえは何者だ?』ってなるし、この絶海の孤島で放り出されたら死ぬしかない。

 

コンコン

 

「ご主人様、うどんは食べられそうですか?」

 

漣が扉越しにたずねる。そういえば、腹減ったな。

 

「あぁ。食べるよ」

 

なんだかよくわからないが、元の世界に帰ることを精神が猛烈に拒否しているので、成り行きに任せるとしよう。なるようになるさ!

 

 

 

SIDE大本営

 

「よろしかったのですか?」

 

全ての鎮守府を統括する元帥に秘書艦である長門は訊ねた。

 

「仕方あるまい。貴重な軍事物資を横流しを行い、発覚後、懲罰人事的に絶海の孤島に島流しにしようとしたら、拒否して遁走。今なお行方不明だ。海軍始まって以来の不祥事を公にする気か?」

 

元帥は表情を変えないまま、

 

「後任を選ぼうにも、島流し同然の曰く付きの場所に着任したがる物好きはそうそうおらん。さりとて、シーレーン上の重要拠点故、無人という訳にもいかん」

 

「しかし、いくらなんでも記憶喪失の身元不明者を身代わりの提督に仕立て上げるなど!」

 

長門はつい声を荒げてしまう。元帥はチラリと長門を見ると、

 

「今回の不祥事の責任を取って私が彼の地に行かねばならないならキミも来るかね?」

 

長門は『ゲリラとは無関係な難民を機関銃で虐殺しろ』と命令されたような顔で、

 

「ご命令とあらば」

 

とかろうじて答えた。元帥は苦笑しながら、

 

「冗談だ。私はまだ日本に未練があるのでね。それに、後、1年か2年このイスを尻で磨き続けたら晴れて予備役だ。自宅で孫に囲まれて盆栽の世話をする老後を捨て去りたくはない。くだらない俗物なのだよ」

 

元帥は自虐しながら、

 

「軽蔑するかね?」

 

「いえ」

 

長門はそう答えざるを得ない。

 

「替え玉に気づいた時には私は予備役か墓の下さ。責任は後任にとってもらうさ」

 

権力はヒトを腐敗させる。かつての英雄さえも。




乙女理論とその周辺

navleから前年に発売された「月に寄り添う乙女の作法」のスピンオフ作品。つり乙はキャラクターの名前が銀行縛りなのだが、リーマンショックのドキュメンタリーを見ていて、本当に「メリルリンチ銀行」があることにびっくりした。妹が可愛い。ただ、PCゲームの主人公なのに性欲がないのは個人的にどうかと思う。

さて、これからは一話完結型のショートストーリーを考えています。
次回の主役は島風!速きことにこだわりすぎる彼女が秘書艦になったら提督はどうなる?

次回、

「ハイスピードゼカマシ」

そこんとこヨロシク





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コドモノアツカイ

皆さまGWを如何お過ごしでしょうか?
世間の10連休は11連勤の社畜。画面の向こうです。
子どもの日記念作品となってます。

ハイスピードゼカマシ?何の事かな?このティンベーは甲羅の丸みで相手の武器を捌く道具・・・

はい。いつもの思いつきです。いずれ投稿しますので今暫くお待ちください。





5月5日

 

今日は子どもの日なのだが、鎮守府のみんなは子どもなのか、大人なのかな?

 

そのあたり、みんなに聞いてみよう。

 

 

望月の場合

 

「いいじゃん、子ども扱い」

 

比較的大人びてる望月の意外な言葉だった。

 

「子どもなら仕事しなくていいし、遊べるし、後、長い休みがあるよねー。3月から5月は春休み、6月から8月は夏休み、9月から11月は秋休み、12月から2月は冬休み!」

 

「一年中全部じゃねーか!」

 

まったく、仕方ないヤツだ。

 

 

夕立の場合

 

「提督さんが遊んでくれるなら、子ども扱いでもいいっぽい!ねぇ、遊んで遊んで!」

 

イヌ耳みたいな髪をピコピコ揺らしながらじゃれついてくる。

ははは。夕立はかわいいなぁ。

 

「それとも」

 

夕立はさっきまでのひまわりのような笑顔から、妖艶な笑みになると

 

「夕立と大人の遊びをしてみる?」

 

普段見せない大人の魅力にドキッとする。

しかし、すぐにいつものような笑顔で

 

「って言えば、提督さんはイチコロだって漣ちゃんが言ってたっぽい」

 

漣は後でお説教だ!

 

 

漣の場合

 

「いやだなぁ、軽い冗談じゃないですかぁ」

 

漣は悪びれる様子もなく笑った。

 

「もしかして、本当にドキッとしたのですかぁ?やん、ご主人様のえっちー!」

 

するに決まってるだろう!

それはそれとして、

 

「子どもか大人かですか?子どもだとメロンで薄い本を買うのに支障が。ただ、遠征の時に運賃が子ども料金だとかなり安くすみますね。ただ、子ども扱いだと、宿泊施設に一人で泊まれないし。うーむ悩ましい」

 

漣は迷った結果、

 

「見た目は子ども、頭脳は大人!って事で」

 

 

島風の場合

 

「速さの前には大人とか子どもとか、そんなの関係ありません!」

 

実に島風らしい意見だ!

 

 

曙の場合

 

「はぁ?見たら分かるでしょう!子ども扱いすんなクソ提督!」

 

いきなり怒られてしまった。

 

「・・・子どもだったらクソ提督とデートしたり、ケッコンカッコカリとかできないじゃない」

 

「何か言ったか?」

 

「何でもないわよ!クソ提督!」

 

「・・・ばか」

 

 

雷の場合

 

「もう、子ども扱いしないで!暁じゃないけど、一人前のレディなんだから!」

 

雷はかわいいなぁ。

 

「だからね、司令官」

 

雷は両手を広げて

 

「私にもーっと頼っていいのよ?」

 

幼女なのに聖母のような笑みでオレを抱きしめた。

 

コレはアカン!ダメ提督になる!

 

 

時雨の場合

 

「いいんじゃないかな?子ども扱い」

 

鎮守府で一番子ども扱いから遠いイメージの時雨の意外な言葉だった。

まさか望月みたいに休みが欲しいわけじゃないと思うが。

 

「ねえパパ。一緒にお風呂入ろう!」

 

時雨はオレの腕に抱きつき、双丘を押し付けながら囁く。

 

「お風呂に入ったら一緒のお布団で寝ようね。ボク、子どもだからかまわないよね?ねぇパパ?」

 

よく見たら時雨の瞳からハイライトが消えている。

 

「お、思い出した!出さなきゃいけない書類がまだあったの忘れてた」

 

オレは急いで逃げ出した。

 

 

結論。子どもは大人になりたがり、大人は子どもに戻りたがる。

 

 




コドモノアソビ

ランプオブシュガーの作品。髪の毛の色素薄い血の繋がった妹しか愛せない業を背負った友人に教えてもらった。久しぶりに起動したら全クリしてなかった。ビックリ!


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ZUIUN アイランド

「予告通りの内容を投稿する。・・・簡単なようでなんとも難しい事よ・・・お前は近代化する令和の時代のなかでどこまで艦これ小説を書いて、投稿できる・・か・・・な」

「無論、死ぬまで」

ハイ!すみません。

最近の若い方「るろ剣」ネタわかるのかな?

さて、以前活動報告にあげたズイパラに行った記念です。

そんなことより本編書けよ!

ごめんなさい。次はきっと投稿できるハズ







5月某日

 

「繰り返すが、ヒトナナマルマルには駅の磯波ポスター前に集合すること。知らない人にはついていかないこと。お小遣いは節度を持って使うこと。他の人の迷惑になる事はしないこと。何かあれば、提督に連絡すること。わかった?」

 

「「「はーい」」」

 

今日はみんなでズイパラに遊びに来た。日頃から頑張っている皆への慰労を兼ねている。

皆にチケットを渡すと、各々目的のアトラクションに向かっていった。オレはフードコートで一休みしてから廻るとしよう。

 

 

一休みしたので、園内を歩いてみるか。

 

「司令官〜!」

 

声の方を向くと雷がピーターパンに乗ってこちらに手を振っている。クルクルと回る遊具に乗った手を振る幼女。実に絵になる。雷は楽しんでるみたいだし、邪魔したら悪いな。

オレは手を振り、他を見て回ることにした。

 

 

「おや?」

 

ベンチに座り本を読んでいる少女がいた。

 

「何やってんだ?望月?」

 

「ん〜?あぁ司令官か。いや、疲れちゃって」

 

気怠げに語る望月。コイツは放って置いたら一日中ココにいそうだ。

 

「よし、望月アレに乗るぞ!」

 

青空の下、雲を突き抜けるような高さを誇る鉄塔。ブルーフォール!

 

「ハイ?いやいや、あの高さから落ちたら死んじゃうから」

 

「大丈夫、安全に設計されているから」

 

「ほら、物事には絶対はない訳だし」

 

このままでは埒が明かない。オレは望月の腕を取り、ブルーフォールに並んだ。

 

「日本の技術力を信じろ!」

 

やがて、オレ達の番が来た。

 

「ねぇ、やっぱりやめない?ホラ、あっちのドランケン・バレルとか楽しそうじゃないかな?」

 

だがしかし、

 

「残念ながら時間切れだ」

 

無情にもオレ達に安全バーが取り付けられる。そのままゆっくりと上に上がってゆく

 

「ねえ、高くない?まだ上がるの?」

 

望月は不安そうに話す。マズイ。オレも内心ビビってる。

 

そしてその時が訪れる

 

「〜〜〜!!!」

 

人は本当に怖い時、声が出ないというが、本当だと思った。無事に地上に降りると、

 

「どうだった?望月?」

 

だが、安全バーが外されても望月は降りない。

 

「司令官、腰が抜けた」

 

情け無い声で答える望月。オレは仕方なく、望月をおんぶしてブルーフォールを出た。

 

「うぅ〜。司令官のバカ。時雨に、腰が抜けるほど司令官にめちゃくちゃにされた。って言いつけてやる」

 

「やめろ!バカ」

 

オレに死ねと!

 

「それがイヤなら、ソフトクリームを要求する。バニラとチョコ!」

 

「お腹壊すから、ミックス1つにしておきなさい」

 

望月をベンチに座らせて、急いでパシリ、ソフトを買って来た。少し休んで落ち着いたみたいだ。そこに、

 

「ぽーい!」

 

夕立が抱きついてきた。

 

「提督さん、望月ちゃんと一緒だったっぽい?夕立、お邪魔っぽい?」

 

望月は、これ以上一緒にいるのが気まずいのか、

 

「いや、いいよ。私疲れたから一休みしてるからさ」

 

「そう?なら、夕立とデッカイ迷路に行くっぽい!」

 

こうして、夕立とデッ海に行くことになった。

 

「ぽい?入っていきなり行き止まりっぽい?入り口を間違えたっぽい?」

 

よく見ると、木の壁に不自然な切れ目がある。押してみると、

 

ギィ

 

「夕立、ここから先に進めるぞ」

 

「ぽい!迷路ってそういう意味っぽい!」

 

夕立と迷路を進み、やがて、

 

「提督さん、ゴールっぽい!」

 

無事クリアできたのであった。

 

 

「提督さん、ありがとうっぽい!よかったらこのまま、ロッククライミングに一緒に行くっぽい?」

 

ただでさえ、夕立と階段を登って降りてして足腰にきてるのに、その上、さらにロッククライミングまでするのはさすがにしんどい。

 

「すまないが、他の娘の様子も見ておきたいからな。ここでお別れだ」

 

夕立はミミっぽい髪をぺたんとして、

 

「そう。なら、仕方ないっぽい」

 

罪悪感がひしひしと押し寄せるが、仕方ない。夕立に手を振って別れた。

 

 

 

しばらく歩くと、リヴァイアサンが見えて来た。絶叫系が好きそうな娘といえば・・・

 

「おーい!提督ー!」

 

搭乗口に並んでる人の中に、美しい金髪と特徴的なリボンの少女。島風だ。

 

「提督、よかったら一緒に乗りましょう!」

 

「いいけど。意外だな。島風なら真っ先に乗ったと思ったのに」

 

島風はきょとんとして

 

「乗りましたよ?これで3回目です!」

 

さすがです。

 

「だって一番速い乗り物ですからね!」

 

そうしているうちに、オレ達の番が来た。

 

ガタンガタンガタン

 

「キャー♪」

 

「〜〜〜!!!」

 

その後、存分に重力と慣性に振り回された。

 

「ハァ、ハァ」

 

満身創痍なオレと違ってご機嫌な島風。

 

「楽しかったですね提督。もう一度乗りましょう♪」

 

マジで勘弁してくれ!

 

「すまないが、他の娘の様子も見ておきたいからな。ここでお別れだ」

 

断り方がワンパターンだな。

 

しかし、島風は夕立と違ってあっさり、

 

「そうですか。なら、また一人で乗ります!」

 

そう言い残して、列の最後尾に並んだ。

 

 

絶叫マシンのはしごで疲れた。少しペンギンとか見て癒されるか

 

「やあ、提督。奇遇だね」

 

入り口近くでペンギンを見ていると、時雨がやってきた。

 

「提督一人なのかな?なら、一緒に見て回っても良いかな?」

 

一人で見るよりもいいか。

 

「あぁ。いいよ」

 

時雨は嬉しそうに、

 

「本当かい。嬉しいな!」

 

嬉々として腕を絡めてくる。

 

「さあ、行こうか提督♪」

 

腕に柔らかな膨らみが当たっている。

 

「こうしているとデート見たいだね」

 

時雨のことだから計算して言っているのだろうが、それでも男だからドキッとする。

 

「ホラ、提督、クリオネだよ!」

 

水槽で小さな生物が揺らめいている。時雨は水槽に近づくべく、オレを引っ張る。

 

「可愛いね。あ、提督見て見て」

 

クリオネはやがて顔を開いてエサを食べた。

それを見つめる時雨の横顔

 

ゾワリ

 

なぜか妙な悪寒がする。

 

「どうかした?提督?」

 

「イヤ、何でもない」

 

気のせいだよな?

 

時雨とは一通り見て別れた。

 

 

 

何だろう?肉体的にしんどかったワケではないが、妙に疲れた。イルカに触れて癒されるかな?

 

ふれあいラグーンに入ると、

 

「おや、ご主人様?」

 

「クソ提督じゃない!」

 

漣と曙がアシカを見ていた。2人は一緒に行動していたのか。

 

「ご主人様もこういう所に来るのですね〜。意外です」

 

むしろ、漣の方がこういう所に来るのが意外だ。曙はよく似合っているけれど。

 

「あー!今、コイツにはイルカとか似合わねー!コイツには、タカアシガニかダイオウグソクムシがお似合いだ。とか思ったでしょう!」

 

「そこまでは思ってない!」

 

その一言が漣には、おこだったようだ

 

「そこまで!どこまで思ったんですか?ダイオウグソクムシじゃなくてグソクムシがお似合いだとか、タカアシガニじゃなくて上海ガニがお似合いだとかそういう事ですか!」

 

口では漣に勝てない。

 

「すまん。オレが悪かった」

 

謝罪すると、漣はプンプンしながらも、それ以上の追及をやめてくれた。

 

「ほら2人とも、ケンカしてないで、イルカさんが可愛いわよ」

 

今はイルカが潜っているので、しゃがんで水槽を覗き込む曙。

もう少し!もう少しでスカートの中がガラスに写りそう・・・

 

「ご〜主〜人〜様〜?」

 

漣が、すごい顔で睨んでいる。

 

「何よクソ提督?」

 

曙に気づかれる訳にはいかない。

 

「いや、イルカよりも曙の方が可愛いなと思ってな」

 

曙は顔を真っ赤にして、

 

「バカじゃないの!」

 

そっぽを向いてしまった。ひとまず一難去った。残るは・・・

 

「あんまり調子に乗っていると・・・沈めますよ?」

 

アカン。漣さんがおこを通り越して夜叉だ。

 

「ペンギンよりもキュートだよ漣。」

 

「そんな言葉じゃ誤魔化せません!」

 

「帰りに崎◯軒のシューマイ買ってあげるからさ」

 

途端に笑顔になって

 

「ご主人様がそこまで言うなら仕方ありません。言っておきますが、本来なら私はシューマイでなびく安いオンナだと思わないでくださいね」

 

ピンポンパンポン

 

「まもなくイルカショーが始まります。観覧ご希望の方はアクアスタジアムまでお越しください」

 

曙は目を輝かせ

 

「イルカショーですって!行くわよクソ提督!」

 

曙に手を引かれた。

 

「待ってよ!ぼのタン、ご主人様!」

 

 

アクアスタジアムに行くとほかのみんなも集まっていた。

 

「提督。おっそーい!」

 

 

だが、いざショーが始まるとみんなショーに夢中になった。興奮した夕立に抱きつかれたり、嫉妬した時雨や漣に抱きつかれたり、曙に叩かれたりしたが、些細なことだ。

 

 

帰りの電車の中、

 

「zzz〜」

 

みんな疲れたのか眠ってしまった。

普段大人びた雰囲気の娘もこうしてみるとあどけない感じだ。

 

 

またみんなで来ような

 

 

 




GAL ZOO アイランド

アリスソフトのゲーム。アリス作品なのに珍しく主人公は草食系。でもヤルことはヤル。今のところ、好きなキャラクターは「とっこーちゃん」同志がいません。おかしい。


今回はオチがありません。


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ハイスピードゼカマシ

皆様大変お待たせしました。

予告していた「ハイスピードゼカマシ」を投稿します。

お待たせしてしまったので、今回はシャワーシーンの描写があります。

お楽しみに!


まだ太陽も顔を出さないヒトヨンマルマル。オレも後少しの起床時間まで安らかな眠りを貪っていた。しかし、

 

パパラパッパパー♪

 

室内に響き渡る起床ラッパ!反射的に飛び起きる。そこにはラッパを持った島風が立っていた。

 

「提督、朝ですよー!」

 

「まだ夜明け前じゃないか」

 

「だから誰よりも早く起きれますよ。早起きすること島風の如しです」

 

寝ぼけた頭で何故こんなことになっているのかを考えていた。

 

昨夜

 

「島風、明日はキミ一人で秘書艦をしなければならないけど大丈夫かい?」

 

日頃から秘書艦をすることが多い時雨が心配している。

 

「まぁ、私たちが遠征に行っている間だけだし、そもそも島風の艤装が壊れちゃったから仕方ないでしょ?」

 

昼の遠征中、スピードを出し過ぎた島風は敵艦に体当たりするような形でぶつかってしまい、艤装が壊れてしまった。現在、妖精さん達によって急ピッチで進められている。

 

「大丈夫!島風がビューンと秘書艦を務めてみせるから!」

 

「本当に大丈夫かなぁ?」

 

 

そういえば、今日の秘書艦は島風だったな。ようやく働き出したアタマが思い出した。

 

「さあ、早く起きて、朝のランニングがありますよー。」

 

早朝からランニングかよ!

 

「誰よりも速くなるためには努力は欠かせません!」

 

運動着に着替え、寝癖のままランニングする羽目になった。

 

 

「ふぅ、いい汗かきましたね!シャワー浴びて朝食の準備をしてくるので、提督もシャワー浴びてきてください」

 

 

SIDE島風

 

皆さまお楽しみのシャワーシーン!

大人の事情で肝心なところが湯気で隠れてはいるものの、生まれたままの姿を晒す島風。

 

シャー

ワシャワシャ

シャー

 

終わり。

シャワーも島風の如く速かった

 

SIDE OUT

 

シャワーを浴びて、司令室に戻ると、島風がもう朝食の準備が出来ていた。

 

「もう、提督おっそーい!」

 

テーブルの上には、インスタントコーヒーとコーンスープ、トーストが用意してある。鎮守府での朝食は和食が多いので珍しい。

 

「美味そうだな」

 

「いただきます」

 

 

すぐに朝食を食べ終え、遠征に行ったみんなを見送った後、午前中の仕事に取り掛かる。島風も真面目に手伝ってくれる。

 

「できたー!」

 

書類仕事を始めてから1時間。かなりの速さだ!島風って実はものすごく優秀なのか?

 

「見せてくれ」

 

書類を確認すると、島風の速さの秘密がわかった。

 

「島風、ここ、計算が間違ってる。こっちは書くところがズレている。この書類はハンコ押してない。それからここの記入欄が空白だ」

 

島風は速さを優先するあまり、ミスを連発していた。

 

「島風。どれだけ速くても、ミスが多かったら二度手間になって余計に時間がかかる。本当の速さには正確さも必要なんだ」

 

「本当の速さには正確さも必要。分かりました!確実にもっと速くなります!」

 

その後、島風の処理した書類にはミスがほとんどなくなった。

 

 

「提督、お昼ごはんにしませんか?」

 

島風はお盆を持って声かけてきた。

しかし、お盆に乗っているのは緑のためきだった。

 

「ほら、早く食べないと伸びちゃいますよ」

 

ま、まぁたまにはこんな昼食でもいいか。

 

「ひょっとして赤いけつねの方が良かったですか?でも、ためきの方が早いですよ!」

 

そういう問題じゃない!

 

 

昼食の後、残っていた仕事を片付けると、後は自由だ。島風はちゃんと確認して、ミスを減らす努力をしてくれた。

 

 

その後、島風には処理できない書類を片付けて、オヤツを島風と食べようと鎮守府内を探している。

 

「島風はどこに行ったんだ?」

 

廊下を歩くと、オレの私室のドアが開いていた。

おかしいな?出る時に閉めたハズなのに。

ドアを開けると、ベッドの上で連装砲ちゃんに囲まれるように眠っている島風がいた。

 

スヤ〜

 

寝顔がとても可愛いらしく、普段の速さバカとは思えなかった。早朝から色々頑張ってくれたからな。

 

おやすみ島風。

 

 

 

「お腹すいてきましたね。おゆはんにしましょう!」

 

島風が勢いよく手を挙げた。

 

「ノーマルとシーフードと塩どれにします?」

 

いかん!このチョイスはカップメードルだ!立て続けにカップ麺は勘弁して欲しい!

 

「島風、夕食はラーメン以外がいいな」

 

「とん兵衛にします?」

 

また蕎麦?何かほかの物にしないと!

 

「か、カレーはどうだ?」

 

カレーならおそらく島風でも作れるハズだ。

 

「カレーですか・・・そうですね。カレーにしましょう!」

 

そう言い残して、島風は厨房に向かった。

 

 

コンコン

 

やけに早いな?カレー作りでわからないことでもあるのだろうか?

 

「できた〜!」

 

早!

まだ10分くらいしかたってないぞ?

・・・まさか

 

「いただきます」

 

一口食べてみる。ご飯はおそらく、カトウのご飯。ルーはレトルト、ポンカレー!

 

「早くて美味しいねー!提督?」

 

満面の笑み。島風には悪気は無いけど・・・

オレは思わずorzのポーズを取った。

 

「???」

 

作ってもらって贅沢なのはわかってる。けど、カップ麺にポンカレーはあんまりだ!

ただ、ポンカレーに罪はないので一応完食した。

 

 

「ただいま〜!」

 

時雨達、遠征組が帰って来た。

 

「時雨以下5名。無事帰還しました。損害は、曙・漣・夕立が小破。以上です。戦果はこちらに記載してあります」

 

時雨が代表して、報告する。

 

「ご苦労。損害を受けた娘はすぐに入渠して来なさい。補給が終わったら他の娘は解散」

 

「は!」

 

時雨は敬礼して退室しようとすると、

 

バタン!

雷がすごい表情でノックもしないで入って来た。アレ?何かしたっけ?

 

「島風!何よコレ!」

 

雷の手には、昼食のためきのカップと夕食のカトウのご飯の箱、ポンカレーの袋が入ってるゴミ袋があった。

 

「今日のお昼とおゆはんだよ?分別それであってるよね?」

 

島風の疑問は的外れだったらしく、雷はそのまま、

 

「そうじゃなくて、こんなものばっかり食べさせてたら、司令官がビョーキになっちゃうでしょう!」

 

「でも速いよ?」

 

「そういう問題じゃない!」

 

雷は怒りが天元突破したのか、

 

「もう!島風には任せておけない!明日は私が秘書艦になる!」

 




「ハイスピードジーニアス」

ウィンドミルオアシスのゲーム

作者未プレイ

昔、友人から、
「超高速の天才ってどんな内容だよ」
と聞かれたことがある。誰か知っている方教えてください。

後、シャワーシーンはちゃんとあったでしょう?

さて、次回は、梅雨真っ只中ということで、梅雨閑話をお送りします。

次回、

「あめのみそらに」

そこんとこヨロシク!


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あめのみそらに

天気が悪いと執筆が進みます!

さて、今日は我が鎮守府の一員、望月の中の人、日高さんの誕生日ですね。なぜ知っているか?作者も同じ誕生日だからですよ!

お祝いとか、感想とか心よりお待ちしております!

さて予告通りの内容ですが、タイトルを諸事情により変更しました。

ヤンデレ警報!



孤島鎮守府も梅雨に入り、今日も雨が降っている。幸いなことに今日は休日だから出撃はない。急ぎの書類もないので、皆、自由に過ごしている。

 

晴れていれば、運動場でボール遊びや、島内の散歩、海辺で釣りなど、さまざまな過ごし方ができるが、この雨では外出もままならない。皆どんなふうに過ごしているか少し見てみよう。

 

 

 

望月の部屋の前

 

コンコン

 

ドアをノックしたが返事がない。開けてみると、やはり、まだ寝ていた。まぁ、予想通りだな。

 

「zzz」

 

おやすみなさい。

 

 

 

望月の部屋から談話室に向かう途中の使ってない部屋から物音がする。

オレは恐る恐る部屋を覗くと雷が割烹着姿で掃除していた。

 

「あら、司令官?どうしたの?」

 

「雷こそ、休みなのになんで掃除してるんだ?」

 

すると雷は天使のような笑顔で、

 

「だって、少しでも司令官に気持ちよく生活して欲しいじゃない?」

 

ま、眩しい!何だ?この娘、聖女か?いや、聖母か!

 

「そ、そうか。ありがとう。雷も無理しないようにな」

 

「ううん。司令官の為だもの!雷、もーっと頑張っちゃうんだから!」

 

雷ちゃん、マジ天使!いや、聖母!

 

 

談話室に入ると、漣と曙が将棋を指していた。

 

「何よ、クソ提督!」

 

「油断したね、ぼのタン!飛車もらい!」

 

しかし、曙は冷静に、

 

「そうね。でも、王手♪」

 

「ちょっ、まっ!」

 

「待ったは無し!」

 

漣は盤面を睨んで考えるが、詰んでいる状況に変わりない。

 

「ぐぬぬ!」

 

曙は勝ち誇った顔で、

 

「勝負アリね」

 

漣は駒を片付けながら、

 

「ご主人様があのタイミングで来なければ私にもワンチャンあったのに!」

 

ヒドい言いがかりだ!

 

「クソ提督のせいにしない。あのタイミングでクソ提督が来ようが来るまいが、アンタは飛車を取ったでしょう?」

 

すると漣はまるで獲物を見つけたような顔で、

 

「やけにご主人様をかばいますねぇ、ぼのタン?」

 

なるほど。オレにイチャモンを付けたのは、最初からコレが目的か!

曙は漣の術中にハマり、真っ赤な顔で、

 

「ば、バカじゃないの!なんで私がクソ提督なんか、かばわないといけないの!」

 

ぼのタンはかわいいなぁ

 

「さて、ご主人様もいますし、軍人将棋でもやりますか」

 

「イヤよ。アレ意味わからないもの」

 

「よし、麻雀しようぜ」

 

「三人麻雀でしょう・・・」

 

曙は乗り気じゃないようだ。

 

「せっかくだし脱衣麻雀にしましょう!ぼのタン今日はご主人様に見せるためにかわいいの穿いているでしょう?」

 

「ばばばばばバカじゃないの!なんで私がクソ提督にパンツ見せないといけないの!」

 

そうか。ぼのタンはオレのためにかわいいパンツを穿いてくれてるのか。

 

「こっち見んな!クソ提督!」

 

「ヘブッ!」

 

曙に思いっきり蹴られて、床に倒れた。

だが、オレは見た!蹴られた瞬間、ぼのタンのスカートの中に水色と白のストライプを!

 

「わざわざ足を上げてご主人様にパンツアピールするなんて、ぼのタンのエッチ〜!」

 

「な!」

 

ただでさえ真っ赤な顔の曙がさらに真っ赤にして、オレを踏みまくった!

 

「バカじゃないの!バカじゃないの!こっち見んな!クソ提督!」

 

痛い!痛い!落ち着け!オレが変な性癖に目覚めたらどうする!

 

「そんなにご主人様にパンツ見てほしいの?」

 

「バカ〜!」

 

漣と二人とも談話室を追い出されてしまった。

 

 

「イテテ。まったく、漣が曙をイジるから、とんでもない目にあったぞ」

 

「でも、ぼのタンのパンツ見ましたよね?それでも足りないなら、私のパンツも見ます?」

 

そう言って、漣はスカートを少しだけ持ち上げた。もちろん、それだけじゃパンツは見えない。

漣は妖艶に微笑む。

 

「なーんちゃって。本気にしました?」

 

漣のいつものイタズラっぽい笑顔に戻った。漣には振り回されてばかりだ。

 

 

 

カンカンカン

 

工廠から音がする。妖精さんも今日はお休みのはずだが?

 

中に入ると、島風が連装砲ちゃんを拭いている。

 

「提督?何かご用ですか?」

 

「島風は何やってるんだ?」

 

「連装砲ちゃんのメンテナンスですよ!誰よりも速い私のスピードについてくるためにはメンテナンスが欠かせません!」

 

そう言いながら、連装砲ちゃんを布で磨いている。連装砲ちゃんも気持ち良さそうだ。

ジャマしたら悪いな

 

 

工廠を出て、廊下を歩いていると、ずぶ濡れの夕立がいた。

 

「おいおい、どうしたんだ夕立?」

 

「ぽい?お散歩してたら濡れちゃったっぽい!」

 

土砂降りの中散歩に行くなよ!

 

「風邪ひくからお風呂入っておいで」

 

夕立は犬が水を弾くみたいにプルプルして、

 

「提督さんも一緒に入ろ?夕立のこと洗ってほしいっぽい!」

 

いいなぁ。夕立の、他の娘に比べて豊かな肢体を思う存分に堪能・・・ってダメだろう流石に!

オレは心の中で血涙を流しながら、

 

「す、すまないが時雨を探していてな。風呂には一人で行ってくれ」

 

「ぽい・・・時雨ちゃんはお部屋にいるっぽい。でも、今は行かないほうがいいっぽい」

 

なんでだろう?

 

「警告はしたっぽい。夕立はお風呂に入ってくるっぽい」

 

夕立はいつものぽいぽいした顔ではなく、真剣な表情で伝えて、去っていった。

 

 

好奇心は猫を殺す。

わかっていても人は同じ過ちを繰り返す。

 

時雨の部屋のドアがちょうど開いている。中を覗くと、時雨は人形遊びをしてるみたいだ。時雨もかわいいところがあるじゃないか。

 

「や、ダメだよ提督。まだ執務中じゃないか」

「かわいい顔で誘惑してくる時雨が悪いんだ」

 

あの、オレの思う人形遊びと大分違うのですが・・・

 

「もう、仕方ないな提督は・・・クンクン!他のオンナの匂いがする。ねぇ提督?」

「イヤ、違うんだ。聞いてくれ時雨!」

 

うわー。オレってこんなイメージなんだ・・・

 

「グサッ」

 

白い服の人形に黒い服の人形が覆い被さった。

 

「ふふふ。これで他の娘に取られない。ボクだけのモノだ!ねぇ提督」

 

あまりの内容に、思わず後ずさる。

 

コツン

 

手がドアにぶつかってしまった。時雨がギギギと音が聞こえそうなくらいゆっくり振り返って、

 

「見〜た〜な〜!」

 

ハイライトも表情もない顔で、地獄の底から響くような声だった。

 

「ヒイッ」

 

時雨は工廠に置いてあるはずの自分の連装砲を持って銃口をこちらに向けている。

 

「こんな恥ずかしい姿を見られたら生きていけない。提督を殺してボクも死ぬ!」

 

壁際に追い詰められた!時雨はハイライトのない瞳のまま笑顔で

 

「大丈夫。ボクもすぐ逝くよ」

 

「落ち着け時雨。オレは何も見てない。話せばわかる!」

 

「いい(血の)雨だね」

 

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 

 

 

 

 

 

ハッ!

 

気づいたら自室のベッドの上で汗をかいている。

 

「ぽい?提督さん、うなされてたみたいだったけど大丈夫っぽい?」

 

夕立が顔を覗きこんでくる。ゆ、夢か。そうだよな〜。いくら時雨でもあそこまで病んではないか。

 

「ほら提督さん、昨夜の雨が止んでいいお天気っぽい」

 

あぁ。生きているって素晴らしい!夢だったけどね。

 

コンコン。ガチャ

 

「夕立、提督はまだ起きてこないのかな?」

 

時雨が入ってきたのでビックリしたが、あれはオレが見たただの夢で、時雨本人と関係ない(ハズ)だからな。

 

「もう、提督を甘やかさないでよ夕立、って汗だくじゃないか!着替えより先にシャワー浴びて来なよ」

 

いつまでも悪夢を引きずっていても仕方がない。

シャワー浴びてさっぱりしたら今日も一日ガンビアベイ!

 

「そうそう提督」

 

時雨はオレの着替えを準備しながら、

 

「どうした?時雨?」

 

「昨日のコト誰かに話したら許さないから。ねぇ提督?」

 

ヒエ〜〜〜!!!!

 

夢じゃなかった!




あまつみそらに

作者大好きクロシェットのゲーム!

幼馴染がデレると可愛い!超オススメなので是非プレイしてみてください!


日高さんの誕生日とか言って、望月の出番超少ないとか!

さて、次回は、島風の秘書艦のやり方におこの雷が秘書艦をすることに!「ダメ提督製造機」と呼ばれる雷の仕事振りはいかに!

次回、

「イカヅチハイスペック」

そこんとこヨロシク!



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恐怖と魔王と飲酒(アルコール)

今日から7月ですね。

暑いと外出する気が失せて執筆が捗ります!

さて予告通り宴会回の投稿です!

イカヅチハイスペック?

それはまた次回のお楽しみということで!



ごめんなさい


「宴会をしましょう」

 

唐突に漣が言い放った。

 

「まぁ、端的に言えば福利厚生の一環です。なにせここは、映画もねぇ!バーもねぇ!艦娘毎日ぐーるぐる!な島ですから」

 

「朝起きて、海に出て、半日ちょっとの散歩道!ってか」

 

「そんな娯楽のない島なので、たまにはみんなでワイワイしないとストレスが溜まってしまいます」

 

「オラこんな島イヤダァ!ってなっても困るな」

 

「ウチの鎮守府にオラなんて言う娘はいません!」

 

「ツッコむ所はそこかよ。まぁいい。毎日なら問題だが、定期的に宴会を開くことを許可する」

 

「ありがとうございます!なら今夜ヒトキュウマルマルに食堂で」

 

 

ヒトキュウマルマル

 

「「乾杯〜!!」」

 

テーブルの上にはみんなが作ってくれた料理が並ぶ。みんなワイワイ楽しそうだ。

 

・・・そう思っていた時期が私にもありました。

 

最初はみんなジュースだったのだが、気づいたらアルコールが卓上に持ち込まれ、そこからが大変だった。もはや、軌道修正は無理だと思い、少し離れたテーブルで一人ビールを飲むことにした。

 

「隣いいかな?」

 

そういいながら時雨がオレの隣に座った。

 

「一人で飲んでても寂しいだろう?時雨さんがお酌してあげるよ」

 

「お、おう」

 

しばらくは時雨のお酌でチビチビ飲んでいた。

そして、

 

「キーン」

 

島風が両手を広げて部屋の中を走り回っている。お前は霰じゃなくて島風だろう!

 

「速い!速いぞ島風!島風の速さは世界一ィィィ!!」

 

「島風は酔うと部屋の中を走り回るんだ。そして」

 

島風は、走り回っていたかと思うと急に倒れた!

 

「zzz」

 

「酔いがまわって最初に潰れるんだ」

 

おいおい、大丈夫なのか?

 

「大丈夫。いつものことだよ。そんなことよりほら、グラスが空いているよ。注いであげる」

 

島風が倒れたことはそんなこと扱いである。

 

 

 

「司〜令〜官〜!」

 

望月がグラスを抱えてオレの正面に座った。

 

「飲んでる〜?」

 

「お、おう」

 

望月はトロンとした目のまま、

 

「やい!司令官!」

 

「ナンデショウカ」

 

「司令官は私のことを蔑ろにしすぎ!」

 

「雷に甘えたり、漣や夕立とばっかりイチャイチャして!私だって艦娘なんだぞ」

 

「ア、ハイ」

 

時雨は冷静に、

 

「望月はからみ酒なんだ。望月の対処は簡単なんだ。望月!」

 

「何よ時雨!司令官からいっつも特別扱いされて!」

 

「まあまあ。それよりもボクと勝負しようか」

 

時雨は新しく瓶ビールを開けて1本を望月に渡す。

 

「いいよ。睦月型魂見せてやる!」

 

「なら、決まりだね」

 

コン

 

二人は瓶をぶつけて一気に煽る!

しかし、時雨は全然飲んでいない。飲んでいるのは望月だけだった。

 

「プハー!どうよ!」

 

時雨は全然悔しそうじゃない表情のまま、

 

「やられたね。リベンジだ」

 

さりげなく新しい瓶を開けて望月に押し付ける。

やはり同じように望月だけビールを飲んで潰れてしまった。

 

「絡まれてウザかったら潰して仕舞えばいいのさ」

 

オレは時雨が怖いです。

 

 

ガタッ!

 

曙が暗い表情のまま黙ってオレの隣、時雨の反対側に座った。

 

「ど、どうした?」

 

「う、」

 

「う?」

 

「うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」

 

曙はいきなり号泣した。何が起こっているのかさっぱりわからん!

 

「提督は私のこと嫌いなんだ!暴言を吐いたり、叩いたり蹴ったりする娘はイヤなんだ!」

 

時雨がやはり冷静に、

 

「曙は泣き上戸なんだ。しかも、自己否定の激しい一番面倒くさいヤツ」

 

時雨さんが毒舌。

 

「提督に嫌われるぅ〜」

 

「そんなことないから」

 

「ホント?提督は私のこと好き?」

 

至近距離から潤んだ目で覗き込みそんなことを聞いてくる曙。コレにときめかない男児がいようか!

 

「もちろん。オレは曙のことが・・・イタタタ!!」

 

よく見ると、時雨がオレの脇腹の肉を抓っている。

 

「何だよ!」

 

「べつに」

 

まったく。何だってんだ?

 

「えへへ。そっか。クソ提督は私のこと・・・。うふふ。」

 

なんだかわからないウチにご機嫌のまま去っていった。

 

 

 

「提督は相変わらず曙には甘いね。いや、漣にも夕立にも島風にも。兎角ボク以外にはみんなを甘やかして。たまにはボクだって可愛がっておくれよ!」

 

なんだろう?時雨が拗ねているのか?

 

「だいたい提督はいつもいつも・・・ブツブツ・・・」

 

時雨の目は前髪で隠れているが、またハイライトが消えているのだろうか?

さて、この状態の時雨をどうしたものか・・・

酔った頭で考えていると後ろから、

 

「司〜令〜官!」

 

背後から雷が話しかけてきた。いや、話しかけてきただけではない。

もしゃもしゃ!

 

オレの頭部を撫で回している!

 

「雷はアルコールが入ると、ほかの人の頭をまるで犬みたいに撫で回すんだ。害は無いから、飽きるまで放っておけば?」

 

「うふふ!司令官〜」

 

雷はひと通り撫で回して満足したのか去っていった。

 

 

「はぁ」

 

かなり疲れた。

 

「まだ、今日のラスボスが待っているよ」

 

時雨はオレにビールを注ぎながら、不吉な予言と同時に耳に言い様のない感触がした。

 

反射的に飛び退くと、夕立が肉食獣のような笑顔で舌舐めずりしていた。

 

「言い忘れてたけど、夕立は酔うとキス魔を通り越して舐め魔になるよ。顔とかをペロペロ舐めるんだ」

 

ワンコか!

 

「提督さん♪」

 

いつもと違う雰囲気に呑まれそうになる。

 

「ぽーい」

 

後頭部に抱きつかれ、再び耳を舐められる。

耳から聞こえるピチャピチャという音!背中に感じる柔らかな膨らみ!ハッキリ言ってエロい!!

 

「・・・提督さん美味しい♪」

 

吐息を感じる距離で耳に囁かれる。

ヤバい!!このままでは息子がビーストモードにトランスフォームしてしまう!

 

だが、その前に、救いの女神が現れた!

 

「ホラ、夕立。こっちも美味しいよ?」

 

時雨が酔い潰れた望月を生贄に差し出した。

 

「ぽい?試してみるっぽい!」

 

夕立の興味は望月に移ったみたいだ。

 

「ほら、提督、今のうちに」

 

時雨に手を引かれて、別のテーブルに移動する。

 

 

 

「はい、提督」

 

時雨にウィスキーらしい琥珀色の液体が入ったグラスを渡される。

 

せっかくなので、頂こうと思ったその時、

 

「ご主人様〜飲んでますか〜?」

 

漣が乱入してきた。いきなりオレからグラスをひったくると、

 

「1番、漣、イッキします!」

 

そう宣言して、ホントにイッキに飲んだ。

 

「プハー!もう1杯!」

 

バカ!お前麦茶じゃないんだぞ!

 

「大丈夫ですよ〜。ウワバミザミーと呼ばれたこの・・・わた・し、が・・・」

 

漣が酔い潰れたにしては不自然な倒れ方をする。

 

・・・まさかね?

 

「ちっ!」

 

気のせいだ。時雨の舌打ちなんて聞こえない。

 

「・・・まったくこのヴァカ娘が!酒ならなんでもイッキしやがって」

 

時雨は前髪で目が隠れている状態のまま、

 

「漣は酔い潰れたみたいだから部屋に捨てて・・・寝かせてくるね」

 

そのまま漣を引きずっていった。

デジャヴ?

 

 

翌日

 

オレは鎮守府内に飲酒禁止命令を出した!

 




キスと魔王と紅茶(ダージリン)

まーまれーどのゲーム

インストールしても起動出来ずに作者未プレイ

友人のモグラサンも出来なかったらしく、ディスクが悪かったのかなぁと思う?

どなたかご存知なら教えてください!

さて次回こそはイカヅチハイスペックの投稿を・・・


出来るといいなぁ


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77

「イカヅチハイスペック?束の間の幻だ!マトリク◯と同じようになアンダーソン君!」

ハイ。また例によって作者の気まぐれ閑話です。

先日、某中間管理職アニメを見ていたらマトリク◯が出てたので懐かしくて見直してしまいましたー。
今の若い人ってマトリク◯ネタ・・・以下略

七夕記念投稿です。




今日は七夕。笹を飾ってみんな短冊に願い事を書いたみたいだ。

 

みんなどんな願い事を書いたのか気になるな。

 

 

「最速最強になれますように!」

 

島風か。速さを通り越して雷巡みたいな名前の○リーガーみたいになっている。まぁ、強さを求めるのはいいことだ。頑張ってくれ。

ん?短冊の裏側に何か書いてある。

 

「お料理が上手になりますように」

 

秘書艦だった時のことを気にしているのか?雷や曙は料理が得意だから頑張ってくれ。個人的には、パンとコーヒーの朝食も好きだぞ。

 

 

「みんな元気でいられますように」

 

曙の字だ。「元気で」とは、健康だけでなく、轟沈しない。という意味もあるだろう。オレも肝に命じておかないとな。裏側には、

 

「もう少し素直になれますように」

 

大丈夫。ぼのタンの可愛さはちゃんとわかっているから!

 

 

「ずっとゴロゴロできますように」

 

望月め!やればできるからもう少しまじめにやればいいのに!裏側は?

 

「もう少し司令官が褒めてくれますように」

 

キミはやればできる子だから頑張れ!

 

 

 

「鎮守府内にFree Wi-Fiができますように」

 

うん。オレも欲しい!漣よ、もっとしっかり祈っておいてくれ!ちなみに裏側は?

 

「もう少しちゃんとご主人様とお話しできますように」

 

漣ってふざけているようで本当は真面目な娘なんだよな〜。そういう意味では曙といいコンビなのかもな。

 

 

「素敵なパーティーが出来ますように!」

 

夕立の希望はパーティーか。宴会とは違うのだろうか?今度聞いておこう。裏側には、

 

「提督さんが夕立のことをワンコじゃなくて女の娘としてみてくれますように」

 

すまん夕立。夕立の言動をワンコだと思わないと、精神衛生上よくないというか、もう一匹の狂犬(ワンコ)が怖いというか。

もう少しちゃんと女の娘として接するように努力するよ。

 

 

「司令官がもーっと私を頼ってくれますように!」

 

雷か。頼りになる娘だが、大の男が幼女に頼り過ぎなのはどうかと思うしな。一応、裏側も見てみるか。

 

「司令官が私がいないと何も出来ないくらいダメ提督になりますように」

 

・・・怖!

見なかったことにしよう。

 

 

「提督がボク以外の娘に色目を使わなくなりますように」

 

ねぇ、これ表側なの?風で裏返しになってない?これ、ひっくり返すの怖いのだけど。

恐る恐る短冊をひっくり返し・・・

 

「ご主人様〜お素麺できましたよ〜」

「さっさと来なさいクソ提督!伸びちゃうでしょう!」

 

「あぁ。今行くよ」

 

オレは短冊から手を離し、みんなのところへ向かった。

 

フヮ

 

その後、風が吹いて時雨の短冊が裏返しになった。そこ書かれていたのは・・・

 




77(セブンズ)

ワールプールの傑作

常葉姉妹が可愛い!腹黒の姉とツンデレシスコンの妹。最高!メイドロボのステラもいい!OPも名曲です。是非プレイするべき!
毎年この時期になるとプレイしたくなります。

次こそイカヅチハイスペックを投稿できるようにガンビアベイ!





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艦娘とオレと夏のリゾート

暑いですね。夏ですね。水着回ですね!

海の日に前倒しして投稿します。

イカヅチハイスペック?知らない子ですね?


嘘ですごめんなさい!赤城さん食べないで!!!!

(別に赤城さんは出てきません)



 

暑くなり、また、娯楽の少ない鎮守府では、この時期の遊びといえば、海である。

 

 

「では、一人で遠くまで行かないこと。準備体操をして、ケガには充分注意しなさい。」

 

「「はーい」」

 

みんなが砂浜に散っていった。

 

 

 

 

島風が一人でバタフライしながら実況してる。

今日の彼女は赤い競泳用水着を着ている。赤い水着が白い彼女の肌によく似合っている。なぜ赤い水着なのか聞いたら、本人曰く、

「赤が一番速そう」

だった。ブレない娘である。個人的に普段晒されているおへそが隠れているのが新鮮でいい。

 

「島風ガンバレ!島風ガンバレ!速い!速いぞ!今ゴール!き!ん!め!だ!るー!」

 

まぁ、放っておいて大丈夫だろう。

 

 

「ご主人様〜」

 

「クソ提督!」

 

漣と曙が呼んでいる。漣と曙は色違いの水着を着ている。漣は水色で曙はピンク。

 

「ビーチバレーするからアンタも付き合いなさいよ」

 

ぼのタンは水着も可愛いなぁ

 

「何よ?ジロジロ見て?」

 

「水着可愛いな。よく似合っている」

 

曙は顔を真っ赤にして、

 

「バカじゃないの!アンタに褒められても全然嬉しくなんかないんだから!こっち見んなクソ提督」

 

「ホント?曙嬉しい。もっと見て提督(はーと)」

 

「ちょっと漣!変なこと言わないで!」

 

「オヤ?違いましたかな?」

 

「全然違うわよ!私はクソ提督のことなんてべつに好きでも何でもないんだから!」

 

「キライキライ!私の気持ちに気付いてくれない提督なんて、だいっきらい」

 

「さ〜ざ〜な〜み〜!」

 

曙は怒って漣を追いかける。

 

 

漣は逃げながら、

 

「ところでご主人様?私の水着はどうですか?」

 

「似合っているよ。明るい漣にはぴったりだと思う」

 

「ハイ。次は言われる前に褒めてもらえるとポイントが高いですね」

 

「漣!」

 

「ヤバッ!」

 

漣は曙に追いかけられて逃げ出した。

 

女の娘って難しいな

 

 

荷物をまとめたビーチパラソルの近くで望月がビーチチェアを出して寝そべっている。

望月は黄色いワンピース水着を着ている。

 

「何だよ司令官。言っておくけど、この場所は譲らないからね」

 

このままじゃダメだ。みんながレクリエーションに参加してる中、一人部屋の中に引きこもり、コミュニケーションが取れない娘になってしまう。

決してオレが楽しそうだからではなく、あくまでも望月のタメである。

 

オレは望月をお姫様抱っこすると、ビーチチェアから波打ち際まで運んだ。そして、

 

ザッバーン

 

海中に望月を放り込む。

 

「プハー!」

 

「ゲホゲホ!何するのさ!ゲホゲホ」

 

「望月にも海を楽しんで欲しくてな」

 

「ゲホゲホ、ハァハァ。ゲホゲホ」

 

望月の様子がおかしい。大丈夫か?

 

「おい、大丈夫か望月?」

 

望月の背中をさすってあげようと近づくと、

 

バシャ!

 

望月に思い切り水をかけられた!

 

「ぺっぺっ!何すんだよ!」

 

「それはこっちのセリフ!」

 

バシャ

 

望月から再び水をかけられた!

こっちも負けじとかけ返す。

ガチである。恋人同士のキャッキャウフフな戯れではない。

 

10分後、

 

「ゼェゼェ」

 

「ハァハァ」

 

「今日はこのくらいにしておいてやる」

 

「それはこっちのセリフ」

 

ほかのところに行くか。

 

 

砂浜に目を向けると、雷と夕立が砂遊びをしている。

 

雷はオーソドックスな白いスクール水着。ご丁寧に胸元に「ちづかい」と書いてある。夕立はセーラー服をモチーフにした黒いビキニで、スカートがついている。

 

「ぽい?提督さんも一緒に作るっぽい?」

 

「あら、司令官もノート◯ダム聖堂を復元するの」

 

「なかなかの目標だな」

 

フランス大統領かよ

 

「ぽいぽい」

 

しかし、夕立って駆逐とは思えないほど発育がいいよなぁ。水着だから余計にそう思うわ。

 

夕立、もう少し!もう少し前に屈んだら見えそ・・・

 

「イタタ!」

 

背中に痛みを感じたので、振り向くと、雷が笑顔で一言だけ、

 

「ダメよ?」

 

「・・・ハイ」

 

当事者の夕立だけわかっていないようだが。

 

「ぽい?」

 

 

 

「提督」

 

声をかけられて振り向いたら、時雨だった。

時雨は黒いパレオだった。頭の花飾りが華やかだ。

 

「少し歩こうか?」

 

時雨に誘われて砂浜を歩く。

 

「ふふ。暑いね」

 

やがて、岩陰に入り、みんなから見えない位置になった。

 

時雨はこちらに振り返って、

 

「ねぇ提督、この水着どうかな?」

 

後ろ手に組んで、やや前かがみになり、胸元を強調するような姿勢だ。

 

「大人っぽい時雨によく似合っているよ」

 

「ホントかな?ふふ、嬉しいな」

 

アレ?時雨ってこんなに可愛いかったっけ?

 

「提督ってさ、よく夕立の胸を見てるよね?」

 

・・・バレテーラ

 

「おっぱい大きい娘っていったら、ボクはどうかな鎮守府のなかでも大きい方だと思うけど」

 

時雨が腕を組んで胸を強調してくる。

 

「ねぇ提督、ボクは提督のこと・・・」

 

時雨がオレとの距離を詰めてくる。

 

「ぽい!提督さん、時雨ちゃんなにしてるっぽい?」

 

あっぶねぇ。

 

「バーベキューの準備手伝って欲しいってみんな呼んでいるっぽい」

 

「ああ。今行く」

 

「チッ!」

 

時雨の顔がまた前髪で隠れてる。

 

「・・・今回こそ、・・・水着で・・・・事実を・・・」

 

時雨がぶつぶつ呟いている。

・・・オレは何も聞いてない。

 

 

「司〜令〜官!司令官が炭をおこしてくれないとバーベキューが始められないわ」

 

「そうそう。司令官がサボらないように私がちゃんと見張っておくから」

 

「アンタは島風と一緒に食材を串に刺すの手伝いなさいよ」

 

「もう!提督、おっそーい!」

 

「ご主人様、早く早く!」

 

 

今日も鎮守府は平和だなぁ。

太陽が眩しい。これから夏本番だ!

 

 

 

 




彼女とオレと恋するリゾート

プルトップラテのゲーム

「彼女とオレと恋人と」「恋する夏のラストリゾート」
のファンディスク。
この2作品をプレイしないと楽しめない。
キャラが多すぎてごちゃごちゃしてる。

次回こそ!次回こそ必ずやイカヅチハイスペックを!


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イカヅチハイスペック

「いいぞ小僧、よくぞ耐えた。この勝負、最後までこのバカ作者を信じたお前の勝ちだ!」

皆さま大変お待たせしました。

イカヅチハイスペックを投稿します。

作者は投稿が遅れると、るろ剣ネタでゴマかすクセがあようです。



「もう、島風には任せておけない!明日は私が秘書艦になる!」

 

雷の宣言でシーンとなった司令室。沈黙を破ったのは時雨だった。

 

「いいんじゃないかな。島風の艤装は直ったし、明日は雷が秘書艦で」

 

その言葉に満足したのか、雷はない胸を張って、

 

「任せて!司令官の秘書艦を完璧にこなしてみせるんだから!」

 

こうして、翌日の秘書艦は雷に決まった。

 

 

マルハチマルマル

 

ふと、何か暖かくて柔らかいモノの感触で目を覚ました。何だろう?抱き枕みたいなアイテムは無かったハズなのだが・・・

 

「あん♪」

 

少女の甘い声。反射的に飛び起きた!

布団の中に雷がいた。

 

「おはよう司令官」

 

「何やってるんだ?」

 

「添い寝よ?朝は気持ちよく起きられるようにしようと思って。起床ラッパで無理矢理起こすとかわいそうでしょう?」

 

幼稚園児より甘やかしていませんか?

雷はベッドから起き上がると、オレの着替えを持ってきて、

 

「ハイ、バンザーイ」

 

「???ナンデショウイカヅチサン?」

 

雷はさも当然のように、

 

「お着替え手伝うわね!」

 

イヤイヤ、イカヅチサン、小学生だって一人で着替えますよ?

なんとか雷を説得して、着替えている間に朝食の準備をしてもらうことにした。島風とは別の意味で思いやられる。

 

 

テーブルの上にはすでに朝食が並んでいた。

炊きたてのごはん、金目鯛の煮付け、根菜のきんぴら、出汁巻玉子、漬物、味噌汁の具は豆腐とわかめだ。

あれ?昨日は高級旅館に泊まったっけ?

雷はご飯をおてんこ盛りにしながら、

 

「いーっぱい食べてね!司令官!」

 

満面の笑みを浮かべる。

朝から中々の量の食事を食べながら、

 

「大丈夫司令官?嫌いなおかずがあったら遠慮なく言っていいのよ?」

 

これほどの朝食に文句などあろうはずがない!

 

「司令官ってお味噌汁の具って何が好き?」

 

「ネギとか油揚げかな?お麩も好きかも」

 

「待ってて!すぐに作り直すから!」

 

この味噌汁を作り直させるとか、○原雄山でもさせないぞ!

オレは慌てて雷の腕を掴んで、

 

「いい!いい!いいです!豆腐とわかめの味噌汁好きですから、作り直さなくていい!」

 

「そう?司令官がそこまで言うなら。明日はネギと油揚げのお味噌汁にするわね」

 

「ヨロシクオネガイシマス」

 

 

なんだか疲れた朝食の後、本来なら執務があるのだが、書類がいつもに比べて、半分もない。

 

「雷、残りの書類はどうした?」

 

「ごめんなさい。本当は雷が全〜部処理しておきたかったのだけど、これだけは雷じゃ処理できなくて。ごめんね司令官」

 

「いや、本当はコッチで書類を片付けないといけないのに、これだけ減らしてくれて助かるよ」

 

いつもに比べて書類が少なくて午前中にほとんど終わった。

 

 

「司令官。お昼にしましょう」

 

雷の手にはオムライスの乗ったお盆を持っていた。サラダもある。

ただ、ケチャップで「LOVE」って書くのやめてほしいかな?だが、そんなことは一口食べたら吹っ飛んでしまった。

 

薄焼き玉子ではなく、トロトロの半熟オムレツが乗っている。玉子は半熟でトロトロだが、流れて皿にこぼれたりせずにオムレツの形を保つギリギリの火加減だ。バターのコクと玉子の濃厚な味を活かすため、酸味の効いたチキンライスの中に玉ねぎと鶏肉の食感がアクセントになりいくらでも食べられる。

 

「えへへ。美味しい司令官?」

 

「ああ。このオムライスを褒めるのに、語彙が少ないことが悔やまれるくらいだ」

 

「バカね。私は司令官が一言、美味しい。って言ってくれたらいいのよ」

 

雷はそう言ってオレの鼻の頭を、チョンとついた。

何この子?

外見年齢があと10歳上なら、この場で結婚を申し込んだかもしれない。

 

「い〜っぱい食べてね。司令官」

 

 

午後

 

「お仕事は終わったから午後はゆっくりしてね司令官」

 

雷も自由に過ごすみたいだし、たまには本でも読むか。

 

どのくらいたっただろう。窓の外から物音がする。

庭で雷が楽しそうに洗濯物を干していた。世の中には家事を楽しめる者とそうでない者がいる。雷は前者でオレは後者だ。

 

「雷、少し外を散歩してくる。すぐに戻るよ」

 

「ちょっと待って司令官」

 

雷がエプロンで手を拭きながら、

 

「お外に出るならお小遣いがいるでしょう?お財布持ってくるからちょっとだけ待っててね」

 

「いやいや、この島に買い物できるお店はないから!」

 

てゆうか、外見幼女からお小遣いもらうとかヒモじゃないか!

 

ロリのヒモ

 

なんだこのゴキブリよりゴミな生き物は!生きている価値がない。

 

「そうだったわね。いつか司令官が内地に行くときは、いーっぱいお小遣いあげちやうから!」

 

勘弁してください

 

 

夜、

 

「司令官〜、お腹すいたでしょう?ごはんにしましょう?」

 

雷はテーブルにお盆を置きながら話しかける。もうそんな時間か。

お皿の上には、ハンバーグ、エビフライ、スパゲティナポリタン、ピラフ、ポテトサラダ。デザートにプリンまである。旗こそ立っていないものの、

 

「お子様ランチ」

 

「司令官の好きなものばかりよ。い〜っぱい食べてね!」

 

たしかに好物ばかりだけどさ。

もちろん美味しかったです。

 

 

食後、

 

「さぁ、司令官、少し横になるといいわ!膝枕してあげる!」

 

と言われて、寝転がされた。外見幼女に膝枕される大の大人の図

 

「司令官、今日も一日よく頑張ったわね。偉いわ」

 

雷はオレの頭を撫でながら話しかける。

 

「でもね司令官。大変ならもーっと私に頼ってもいいのよ?」

 

あぁ、理性がダメだと言っているが、本能が「このままダメになっちゃえよ〜」と囁く。とりあえずこのままあと5分だけ・・・

 

 

「何してるの?」

 

地獄の底から響くような声と共に頰に激痛が走る!安穏とした時間の終わりを告げた。

 

驚いて顔をあげると、能面みたいに表情のない時雨が立っていた。

 

「ヒトが頑張って遠征任務をこなしている間に自分はほかのオンナとイチャついているの?」

 

「あら、司令官だって頑張っていたわよ?ちゃんと書類も片付けてくれたし」

 

「片付けてなかったらこんなもんじゃ済まないよ!」

 

時雨は呆れた顔で、

 

「雷は提督を甘やかしすぎるね。明日はボクが秘書艦をしよう。いいよね提督?」

 

「お、おう」

 

そこでNOとは言えないよな。

 

「えー、私もーっと司令官のお世話がしたかったわ」

 

「ダメ。これ以上雷に任せると、提督がダメ提督になるから」

 

「???何か問題でも?雷がいないと何もできないくらいでいいと思うの!」

 

「却下!とにかく、明日はボク!ハイ、決定!」

 

こうして、明日の秘書艦は時雨になった。

 

 

 

 

 

 

 




ワガママハイスペック

まどそふとの名作

しかくん先輩が可愛い!でも、個人的には、ファンディスクOCの委員長がさいかわ!

さて次回は、鎮守府内で発生したパンツ連続窃盗事件!
その意外な犯人とは?

次回、

「失われたパンツを求めて」

そこんとこヨロシク!





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失われたパンツを求めて

今日は何の日?

パンツの日!

というわけでパンツ回です。





あー今日もいい天気だなぁ。

 

ガタン!

 

曙がノックもしないでいきなり入ってきた。

 

「この、クソ提督!さっさと返しなさいよ!」

 

「はぁ?」

 

「私の・・っ」

 

「え、何?」

 

「私のパンツ返しなさいよ!」

 

「知らない。ホントだ!」

 

そこで今日の秘書艦だった夕立が、

 

「提督さんは今日ずっとお仕事してたっぽい」

 

「ホントに?まぁ疑って悪かったわ」

 

「他の娘の洗濯物に混ざってないか聞いてみるっぽい」

 

「そうね。とりあえず、夕立、あなたのところに混ざってないか確認してもらえる?」

 

「わかったっぽい」

 

夕立の部屋で確認作業をしている。当然のように、曙によって部屋を追い出された。

 

「ぽい〜!!」

 

部屋の中から夕立の悲鳴が!

 

「どうした!?」

 

「夕立のパンツが1枚ないっぽい」

 

曙がオレの胸ぐら掴んで、

 

「クソ提督!アンタ、私のだけならまだしも、夕立のパンツまで盗むってどういうつもり!!」

 

「く、苦しい。誤解だオレはホントに何もしていない」

 

「曙ちゃん、とりあえず、提督さんのタンスも調べるっぽい?」

 

「そうね。もし、夕立のパンツが出てきたらタダじゃおかないんだから!」

 

「・・・曙ちゃんのパンツだったらいいっぽい?」

 

 

提督私室

 

「・・・アレ?オレのパンツも1枚ないぞ?」

 

「少なくとも、夕立のパンツはないっぽい」

 

「他の娘にも聞いてみましょう」

 

 

島風の部屋

 

「あれ?いつもの紐パンがない?流石私、なくなるのもはっやーい」

 

「言ってる場合か!」

 

「島風ちゃんでもなかったっぽい」

 

 

漣の部屋

 

「ご主人様〜私の縞パン知りません?もう、欲しいならちゃんと言ってください」

 

「言ったらくれるのか」

 

べつに漣のパンツが欲しい訳じゃないぞ。ただ参考までに聞いておくだけだ。あくまで!

 

「ご主人様には特別価格でお譲りしますよ?」

 

ブル◯ラか!

 

「ダメに決まってるでしょう!そんなこと!」

 

「なら、ぼのタンがご主人様にパンツあげたらいいんじゃない?」

 

「バカじゃないの!なんでクソ提督にパンツあげないといけないの!」

 

「ぽい!イチャイチャしてないでほかのところを探すっぽい!」

 

「そ、そうね。」

 

 

望月の部屋

 

「パンツ?さぁどうだろう?」

 

そう言いながら、タンスを探す望月。

 

「ちょっと!タンスの中がぐちゃぐちゃじゃない!ちゃんと整理しなさいよ!」

 

「もう、雷じゃないんだからいちいち言わないでよ!」

 

「これじゃどこに何があるのかわからないじゃない!」

 

「私が分かるからいいの!タンスの中なんて私しか触らないから。司令官がパンツ盗みに来ても簡単には見つからないよ」

 

「な、なるほど」

 

「曙ちゃん、望月ちゃんに言いくるめられているっぽい」

 

「そうよ。結局、パンツは全部あったの?」

 

「言われてみたら、一枚足りないような気がする」

 

 

「自分の衣服の枚数が把握できないと困るじゃない。これからはちゃんと整理しなさい」

 

「うーい」

 

 

雷の部屋

 

「パンツ?昨日洗濯した分って司令官が取り込んでくれたのでしょう?」

 

「そういえば私のパンツも戻って来てないわね?司令官ったら、パンツ欲しかったらちゃんと言ってね。一番上の引き出しに入っているから!」

 

なぜかオレは艦娘のパンツが大好きな男という扱いになっている。いや、好きだけど!

 

 

時雨の部屋

 

「パンツ?1枚ないけど、どうかした?」

 

時雨はさも当然のように言う。

 

「提督が持って行ったのでしょう?」

 

時雨のタンスを探していた夕立が、

 

「・・・ぽい。なぜか時雨ちゃんのタンスから男物のパンツが出て来たっぽい・・・」

 

夕立が手にしてるのは見覚えのあるパンツだった。

 

「なんで時雨のタンスにオレのパンツが?」

 

時雨は当たり前のように、

 

「提督がボクのパンツを持って帰ったと思ったからボクも提督のパンツを持って帰った」

 

げんこつ

 

曙が時雨にげんこつを落とした。

 

「痛いじゃないか」

 

「パンツ盗んだのはクソ提督じゃないからパンツ返しなさい!」

 

「ぶぅ」

 

時雨はしぶしぶパンツを返してくれた。

 

「しかし、いったい誰がパンツを盗んだんだ」

 

その時に窓の外で、

 

カァー

 

カラスが飛んでいる。足に白い何かをつけて。

 

「ぽい!カラスさんの足についているのってパンツっぽい!」

 

「追いかけろ!」

 

みんなで必死になってカラスを追いかける。

 

「このカラスはっや〜い!」

 

とうとう漣が主砲を持ち出した!

 

「返せ!そのパンツはあたしのだ!」

 

ドンドン!

 

「漣、対空にはコレだよ!」

 

時雨が機銃を連射する!

 

ダダダダダダダダダダダダ!

 

驚いたカラスが空中でバランスを崩し堕ちた。

 

「あそこよ!」

 

カラスが落ちた場所にはいくつかの布が落ちていた。

 

「あー!私の紐パン!」

 

「夕立のパンツっぽい」

 

「この、スケスケでパンツの意味ないのってダレの?」

 

「・・・ボク」

 

え?時雨ってこんなの履くの?

 

「ふふ、興味あるかい?」

 

「ふざけてないで、これからどうするのよ!またカラスに盗られたら今度は捕まえられるか、わからないわよ?」

 

漣がドヤ顔で、

 

「ふ、ふ、ふ、犯人がカラスと分かれば恐るるに足りません!我に秘策アリ!」

 

 

 

後日、

 

再びパンツを盗もうと物干し場に近づくカラス。しかし、慌てて引き返した!物干し場には目玉風船が浮かんでいたのだった!

 

「これでもうパンツが盗られることはないでしょう!」

 

めでたしめでたし。

 

 

 

 




失われた未来を求めて

トランプルの作品

ブランドが解散してからアニメ化し、市場で高騰した稀有なゲーム

先輩とのベッドの上でのマウンティングが楽しかった。


さて次回は、

いよいよ時雨が秘書艦に!

ごく普通の日常の中に潜む罠

次回、

「Sigure Days」

そこんとこヨロシク!

最近、作者自身が時雨をどうしたいのかわからない



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Sigure Days

皆さまお盆をどう過ごすかお決まりですか?

お盆中は13連勤の予定の社畜、画面です。


予告通りに時雨回です。みなさんは時雨の仕掛けた罠に、いくつ気づくでしょうか?

コミケ行きてぇ




マルロクマルマル

 

誰かに身体を揺すられている感覚だ。

 

「もう、起きなよ提督!新しい一日だよ?」

 

・・・時雨?

 

「もう怒った!」

 

布団を剥がされる!

 

「時雨か・・・」

 

「提督の可愛い時雨さんだよ。ほらはやく起きて!」

 

「ホラ、顔を洗って寝癖を直しておいでよ。ボク以外にだらしのない姿を見られたら嫌われるよ」

 

時雨に言われたとおりに顔を洗い、着替えて寝ぐせを直した。

 

「なぁ時雨、シャツが1枚無いのだが知らないか?」

 

「あぁ、破れてたから捨てたよ。ボク達の上官なんだから破れたシャツを着るとか恥ずかしいことしないでほしいな」

 

「あぁ。すまない」

 

「そんなことよりほら、朝ごはんできているよ」

 

テーブルの上には、ご飯、塩ジャケ、昨日の残りのきんぴら、味噌汁はネギだった。

 

「足りなかったら玉子を焼くけど」

 

「いや、充分だ。いただきます」

 

ズズッ

 

「美味いよ。時雨」

 

「それはうれしいね。提督はネギの味噌汁が好きって聞いたから作ったんだ。おかわりもあるよ」

 

「ありがとう」

 

 

食後には書類の整理をする。

時雨は雷ほどではないがしっかり手伝ってくれるし、島風のようなミスも少ない。

 

「まったく、毎日毎日なんでこんなに書類が多いのだろうか?」

 

「仕方ないよ。軍もまたお役所だからね。ほら、文句を言ってないでこれにもサインをお願い」

 

時雨の差し出した書類を片付ける。その中に明らかに軍の書類ではない用紙が紛れ込んでいた。

 

「婚姻届」

 

オレは婚姻届を時雨に気づかれないようにそっとシュレッダーにかけた。

 

そう。書類を確認している時雨が舌打ちなどするはずがない。OK?

 

 

 

「そろそろお昼にしようか提督」

 

もうそんな時間か。

 

「冷蔵庫のご飯が多いからチャーハンでもいいかな?」

 

「あぁ。いいよ」

 

座りっぱなしで身体が痛いし、休憩がてら時雨の調理を見学することにした。

 

「♪♪♪」

 

鼻歌を歌いながら慣れた手つきで調理を進める。素早く玉子を溶いて、ご飯に混ぜ合わせる。強火で空炒りしてる中華鍋にいきなりマヨネーズを入れる。その後、TKGを鍋に投入して、お玉で切るように混ぜつつ、刻みネギを足して、塩コショウ、中華ダシ。最後に醤油かけたら一気に混ぜてお皿の上へ!

 

いつのまにかできているバンバンジーと一緒にテーブルに運ばれる。

 

「いただきます」

 

レンゲで食べると、一粒一粒がパラパラしていて、しっかり味がついている。バンバンジーもゴマの風味とコクがさっぱりとした鶏肉とキュウリによく合う。

 

ん?髪が入っている。短いしオレのかな?除けておこう。

 

「今日はボクと提督しかいないからね。あり合わせになるけど」

 

「いや、美味いぞ」

 

「こうして二人きりでご飯を食べていると、新婚さんみたいだね」

 

「時雨はいい奥さんになれるな」

 

「ふふ、なら提督がもらってくれるかい?」

 

さぁ時雨の攻撃!提督の切るカードは?

 

1、「なら、結婚しようか」

 

ダメだ!なぜか本能が危険だと言っている!

 

2、「オレ、雷ちゃんと結婚するんだ」

 

さすがに外見幼女はダメだ!トジョーレーに引っかかってしまう!

 

3、「鎮守府のみんなオレの嫁!」

 

1も2も兼ね備えてその上、人として最低な選択だ!何か他にないのか!

 

 

タイムアップ!

 

「・・・すまん、今何て言った?」

 

難聴系主人公作戦!!!

 

時雨はうつむき、前髪で目が見えない状態で、

 

「ふうん。まぁ今はまだいいけどね」

 

何か恐ろしいこと呟いた気がした!

 

「ううん。なんでもない。雨はいつか止むさ」

 

 

食後、

 

「あとの書類は提督一人で片付けられるかな?ボクは少し鎮守府内の掃除をしたいんだ」

 

「鎮守府内の掃除か?」

 

「うん。雷も頑張ってくれているけどね。あの娘だけに任せる訳にいかないから」

 

「そうか。なら頼んだ」

 

「ありがとう。提督もサボらないで書類を片付けてよ?」

 

「わかってるよ」

 

サボってたとバレたら怒られるからな。真面目にやりますか。

 

 

 

さて、書類も片付けたし、時雨の手伝いをしようか。時雨はどこかな?

 

 

時雨は掃除してくれてるはずなのだが、パッと見た感じあまり変わらないな。普段あまり使わないところを掃除しているのか?

 

「提督」

 

時雨が倉庫になっている空き部屋から出て来た。

 

「ちょうどよかった。仕事が終わったなら手伝ってくれないかな?ボク一人だと手が届かなくて」

 

「あぁ。いいぞ」

 

別の倉庫から脚立を運んで組み立てる。

 

「ボクが上に上がるから、提督は下で荷物を受け取ってよ」

 

「わかった」

 

時雨が脚立を登っていく。アレ?何気なくOKしたけど、この角度だと、時雨のパンツが見えるんじゃ!

 

「時雨、パンツが見える!」

 

「え?きゃぁぁぁぁぁ!!」

 

スカートを引っ張ろうとして、バランスを崩し、脚立から時雨が落ちそうになる。咄嗟に時雨を受け止めようとしたが、いっしょに倒れた。

 

ドタンバタン!

 

いてて。時雨は大丈夫か?

 

「・・・提督」

 

時雨がオレに覆い被さるような体勢になっている。時雨の顔が近い!

 

「ねぇ提督、ボク・・・」

 

時雨は瞳を瞑り、顔を近づけていく。しかし、

 

ガタン!バタン!

 

「なにごとだ〜」

 

「すごいおとがしたぞー」

 

ガヤガヤ

 

妖精さんがドアを開けて入ってきた!

時雨は一瞬表情筋を動かしたように見えたが、

 

「ごめんね提督。すぐ降りるから、イタタ!」

 

右足首を押さえて痛がる時雨。オレは慌てて時雨を抱き抱えて医務室に走った。

 

・・・その時のオレは慌てていて気づかなかった。時雨がオレに双丘を押し当てながら暗く笑っていることに・・・

 

 

医務室で時雨の足首にシップを貼る。折れているわけではなさそうだから固定までしなくてもよさそうだ。時雨は落ち着かないのか、しきりに左足を動かしていたが、やがておとなしくなった。

 

「ありがとう提督。シップを貼ると落ち着いたし、後は一人で大丈夫。それよりも、汗かいたよね?お風呂入ってきたら?」

 

「そうか?なら、そうしようか」

 

 

 

ふ〜!やっぱ風呂はいいなぁ。一人風呂に浸かっていると、

 

カラカラカラ

 

音がして、風呂の戸が開いた。まだ他の娘はみんな遠征に行っているはずだ。残っているのは、

 

「提督。背中を流すよ」

 

その美しい肢体をたった1枚のバスタオルだけで隠した時雨だけだ。

 

「ししし時雨?お、お前、足は?」

 

「湿布が効いたのかしら?もう大丈夫だよ」

 

時雨は、ゆっくりとしかし確実に近づいてくる。

 

「二人きりだね。提督」

 

時雨の浮かべる笑みが、獲物を見つけた肉食獣に見える。ダメだ!このままではオトナの階段を登る代わりに人生の墓場にダイブインしてしまう!

考えろ!考えろオレ!

 

「・・・そ」

 

「そ?」

 

「そういえば今日はそろばん塾の日だったわ!もう行かないと!時雨も逆上せないように気をつけてな!」

 

オレはそう言って全力で風呂場から脱出した。とてもじゃないが時雨の顔は見られなかった。

 

 

 

 

時雨はダメだ。雷とは別の意味で胃に悪い。他に秘書艦を頼めそうな娘は・・・

 

「あー、司令官。こんなところにいた。遠征終わったよ。旗艦の漣が被弾したから私が代わりだって!めんどくさい」

 

「望月!キミに決めた!」

 

「はぁ?」

 

「明日の秘書艦だ!」

 

「ええぇぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




school Days

オーバーフローの作品

言わずと知れたヤンデレゲームの傑作!
アニメにもなってる。
清浦刹那が可愛いと思う!

10年経っても嫌いな主人公1位を取ったり、最終回直前にイロイロあったりと、伝説の多い作品。


さて、次回は、

みなさんは人の話を聞かないせいで大変な目にあった事ありませんか?

次回、

「グリザイアの睡眠」

そこんとこヨロシク!





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グリザイアの睡眠

皆さまお盆をいかがお過ごしでしょうか?

絶賛連勤中の死にかけ社畜、画面です!

予告通り、グリザイアパロディ回です。

・・・仕事ツラたん



あー。眠い。昨日は遅くまで漣と花札をしてたからな。

 

「・・・・の・・・・た・・・・」

 

雷が何か話してるが、女の話しなど8割くらい意味がない。仕事中でもないし、適当に返事しても大丈夫だろう。

 

「なるほど」

 

「これ、・・・・・ら・・・・・・・・・ね」

 

「すごいな」

 

「・・・・さい・・・・・・・・・・・・・・」

 

「悪いのは君じゃない」

 

このセリフをリピートしてるだけで会話が成り立つと某主人公も言っていたしな。

 

「・・・・・でも・・・・・・・・・わね」

 

「なるほど」

 

「・・・て・・・・・・・・・・る・・・ら」

 

「すごいな」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

「悪いのは君じゃない」

 

ああ。やっと話しが終わったか。

 

その直後、左足に激痛が走り、目が覚めた。

曙がジト目で見ている。

 

「アンタ、本気?Tシャツにアップリケ付けるなんて。

 

「・・・は?」

 

「クソ提督が自分で言ったじゃない」

 

 

〜回想〜

 

雷と、

 

「昨日洗濯物の中にあった司令官のTシャツが破れてたわよ」

 

「なるほど」

 

「これ、アップリケ付けたらまだ着られるわね」

 

「すごいな」

 

「ごめんなさい。司令官に雨漏りの修理なんてお願いしたから」

 

「悪いのは君じゃない」

 

「ホント?でも悪いから私、司令官のTシャツ縫ってあげるわね」

 

「なるほど」

 

「待ってて、可愛いお花のアップリケ付けてあげるから」

 

「すごいな」

 

「すぐできるから、期待しててね司令官」

 

「悪いのは君じゃない」

 

そう言って、雷はオレのTシャツにアップリケ付けに行った。

 

 

 

ガン!

 

オレは思わず壁に頭をぶつけた!

 

「ど、どうしよう曙」

 

「人の話をちゃんと聞かないからでしょう?自業自得よ」

 

「のぉぉぉ!睡眠の!重要性!」

 

しかし、そこで救いの女神?が現れた!

 

「話しは聴かせてもらったよ提督!」

 

「時雨?」

 

「とりあえず、時間稼ぎに、破れたシャツは隠しておいたから、その間に対策を考えよう」

 

流石だ時雨!しかし、曙は、

 

「さっきの雷の話を聞いてから洗濯室にシャツを取りに行く時間はなかったと思うけど?いつシャツを隠したの?」

 

「3時間ほど前かな?シャツはボクのタンスの中に入っているから、雷に見つかる心配はないよ」

 

げんこつ!

 

「・・・痛いじゃないか。曙」

 

「後でシャツはちゃんと返しなさいよ?」

 

「むぅ。余計なことを言ってしまった」

 

 

「なら、そのシャツをそのまま焼却処分してしまおう!」

 

「・・・ヤダ」

 

「時雨?」

 

「せっかくのお宝だよ!なんで手放さないといけないのさ!」

 

時雨が駄々をこねる。そんな時、漣が慌てて入って来た。

 

「大変ですぞ!もっちーの艤装が油漏れして、修理のための布を探しているのです。何かないですかね?ゴムの伸びたパンツとか、破れたTシャツとか!」

 

「あぁ、それは大変だね。大丈夫。ボクの色落ちしたシャツがあるからそれを使ってよ」

 

「それだったら、シグーの部屋には、ぽいちゃんが向かっているから」

 

時雨はダッシュで自分の部屋に向かう。ドアを開けると、まるで空き巣にあったように荒らされた室内。時雨はタンスに駆け寄り、何かを確信して工廠に向かう。

 

工廠では望月が自分の艤装を必死に修理している。そばには油塗れになったTシャツらしき布。

 

時雨は絶望した表情でその場に座り込んでいた。

 

オレは表情筋が緩みそうになるのを必死で抑えながら雷に、

 

「すまん。あの破れたTシャツは望月の艤装を直すのに使っている。せっかくだが、もう使い物にならないな」

 

「ううん。いいの。今度の定期便で新しいシャツを注文しておくわね」

 

 

「夕立のバカ〜」

 

「ぽい?」

 

 

 

「何がどうなってるの?」

 

島風一人状況がわかっていなかった。

 

 

 

人の話はちゃんと聞こう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




グリザイアの果実

フロントウイングの傑作!

天姉マジ可愛い!でも、ルートが超鬱。

内容も、共通ルート「大事なポーチ」のパロディです。


さて次回は、

たった7人の鎮守府についに新しい仲間が!

次回、

「はれたみなもに」

そこんとこヨロシク!


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はれたみなもに

皆さん、元気ですか!

お盆のデスマーチもなんとか生き抜いた社畜、画面です。

予告していた、新艦が登場します!


休日の寝坊。これほどの贅沢がほかにあるだろうか。何人たりとも邪魔されず至福の時間を貪る。

しかし、その贅沢はあっという間に破られた。

 

「提督、大変だよ!!」

 

島風が慌てた様子でノックもしないで入ってきた。

 

「島風、早朝訓練するのは勝手だが、オレはゆっくり寝かせてくれ」

 

「もう!それどころじゃないよ!海面に人が浮いているの!」

 

「なに!」

 

オレは急いで飛び起きた!

 

「雷はお湯とタオル、布団の用意!」

 

「望月は周辺海域の海難情報の確認!他にもいるかもしれない!」

 

「残りは溺者の救助!島風、先行して安全を確保!溺れた人は静かに沈むからな!絶対に目を離すな」

 

「了解です!」

 

島風は部屋を飛び出した!

 

オレも慌てて着替える。顔も洗わないまま通信室に向かう。中では、望月が海難情報を確認していた。

 

「ダメだね。周辺海域では、難破どころか、行方不明者もいないみたい。付近を航行中の船舶とも連絡がついているみたい」

 

「わかった。引き続きよろしく頼む」

 

「あいよー」

 

バタン!

 

通信室のドアが乱暴に開く。島風が息を切らして入ってくる。

 

「艦隊帰投しました。要救助者を確保。意識はありませんが呼吸、脈拍とも異常ナシ!現在、雷が世話しています」

 

「ご苦労。要救助者の意識が戻ったら教えてくれ」

 

「それが・・・」

 

良くも悪くもはっきり物を言う島風にしては珍しく口ごもっている。

 

「要救助者は艦娘みたいなんです!」

 

「何だと!」

 

 

 

工廠に出向くと、そこには、要救助者が掴まっていた大きな板の上に置かれている鉄の塊。

 

・・・明らかに艤装だった。

 

「島風、望月に追加で周辺海域での戦闘と、それに伴う轟沈や行方不明者がいないか確認してくれと伝えてくれ」

 

「了解です!」

 

 

妖精さんに艤装のメンテナンスを依頼して、司令室に戻った。途中、通信室に寄ったが、やはり近海で戦闘のあった報告はなかった。

 

 

「提督」

 

しばらくすると、時雨が司令室に入って来た。

 

「彼女、目を覚ましたよ」

 

「わかった。すぐに行く」

 

 

駆逐艦寮の使われていなかった部屋に寝かせていたらしい。

 

ドアをノックして開けると、黒髪のキレイな少女が布団に寝ている。オレに気づいたのか、慌てて上半身を起こして敬礼しながら、

 

「朝潮型駆逐艦、朝潮です!司令官、ご命令を!」

 

「お、おう」

 

時雨が見かねたのか、

 

「彼女は朝潮の艦娘らしいよ」

 

「はい。いつでも出撃可能です!」

 

いや、寝てなさいよ!

 

「それで、所属は?」

 

「所属?」

 

「どっかあるだろう。呉とか横須賀とか」

 

「わかりません!」

 

時雨がフォローで、

 

「彼女、記憶がないようなんだ。自分が朝潮であるコトしか憶えてないみたい」

 

マジっすか。

 

とりあえず、どうすっかなぁ。

 

コンコン

 

「あー。望月です」

 

望月はドアを開けて入室すると、

 

「本土から連絡が来ました。やはり、周辺海域で戦闘はナシ。付近の鎮守府からも行方不明になった艦娘はいないって」

 

「そうか。わかった」

 

「あと、朝潮は、ウチの所属艦でいいって」

 

「そうか。わかった!」

 

こうして、新しく、朝潮型駆逐艦、朝潮が仲間になった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「はるるみなもに」

相変わらず、作者大好きクロシェットのゲーム。幼馴染がエロい!

名作なので是非プレイしてみてください!


はれたみなもに朝潮が浮いていた!

さて、次回は、

そろそろ秋が深まって(るといいなぁ)何かをするには絶好の季節!
鎮守府のみんなはどう秋を過ごすのか!

次回、

「秋色空模様」

そこんとこヨロシク!





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秋色空模様

なんとか秋分の日に間に合った画面です。

秋の夜長に可愛い艦娘をどうぞ。


9月も終わろうかという頃。日に日に涼しくなり、秋の訪れを感じている今日この頃。

せっかくの休みをみんなどう過ごしているかな?

 

 

運動場から元気な声が聞こえる。

 

体操服を着た島風と夕立が運動場を走っている。

 

「あ、提督だ」

 

「ぽい?提督さーん!」

 

はは、二人とも元気だな。

 

「スポーツの秋っぽい?」

 

「提督も一緒に走ろう?」

 

「折角だが、鎮守府内の見廻りをしないといけないからな」

 

「ぽい。なら島風ちゃん。また競争するっぽい!」

 

「うん!負けないよ!」

 

二人は仲良く走って行った。可愛いなぁ。

 

 

 

 

談話室のソファーの上で寝転がって読書してる望月がいた。

 

「望月、お行儀が悪いから、図書室の読書用机で読みなさい」

 

「ん?あー、司令官か。いいの。この体勢がラクだから」

 

まったく仕方ないヤツだ。

しかし、すごい量の本だな。マンガかと思ったら文学本じゃねーか。

 

「司令官も読む?」

 

「いや、まだ巡回が残っているからな」

 

そんな本読んだりしたら寝てしまうわ。

そのタイミングで雷が現れた!

 

 

「あ、司令官。望月も、ごはんできたわよ」

 

「わかった」

 

「あー、行くよ」

 

 

食堂に行くと、すでにみんな集まっていた。

食卓の上には、

新米の栗ごはん。椎茸と筍の煮物。秋刀魚の塩焼き。デザートにスイートポテト。

 

秋の味覚尽くしだ。

 

「みんな、いーっぱい食べてね!」

 

「「「いただきます!」」」

 

あぁ、雷のご飯は美味しいなぁ。

 

「司令官、美味しい?」

 

「あぁ。雷のごはんは最高だよ」

 

「ホント?食欲の秋だから、いっぱい食べてね。おかわりあるから!」

 

 

結局、食べ過ぎるくらいに食べてしまった。

 

 

 

食後、腹ごなしに散歩していたら、どこかに出かける漣と曙がいた。

 

「やぁ、どこに行くんだい?」

 

「あら、クソ提督」

 

「ご主人様。今から、ぼのタンと一緒に鉢伏山にある温泉に行ってくるのです!」

 

鉢伏山は島の中にある火山だ。

 

 

「行楽の秋だから」

 

「ご主人様も一緒に来ます?」

 

曙は顔を真っ赤にして、

 

「ななな、なんでクソ提督と混浴しないといけないのよ!」

 

「山の中の温泉は、天然温泉が岩のくぼみに溜まっているのを、近くの小屋で着替えて入る形なので、男湯女湯の概念がないのです!」

 

「あー、それは一緒に入れないな」

 

漣は意地の悪い笑みを浮かべて、

 

「えー、ご主人様は興味ないですか?私とぼのタンの、ハ・ダ・カ!」

 

ものすごくあります!

 

「何言ってるの!私はイヤよ!」

 

「でも、ぼのタンは興味ない?ご主人の胸筋とか」

 

「クソ提督の胸板・・・」

 

ゴクリ

 

「あー、今、生唾ごっくんしたでしょう!ぼのタンのムッツリ〜!」

 

「な!」

 

曙は顔を真っ赤にしてプルプル震えている。

 

「漣!」

 

「わー、ムッツリが怒ったー!」

 

小学生か。

 

そのまま曙は漣を追いかけて行ってしまった。

それはいい。問題は、

 

「朝潮、何してるんだ?」

 

さっきから後ろにいて、何かを書き留めている朝潮に話しかけた。

 

「はい!折角の芸術の秋なので何か絵が描こうと思ったので、時雨さんから、司令官を描くといいと言われました。あと、その様子を報告するように言われています!」

 

オレは頭を抱えた。

 

「あー、これだけ綺麗なんだから、風景画とか描くといいんじゃないか?後、時雨に報告しなくていい」

 

朝潮は元気いっぱいに、

 

「はい!わかりました!」

 

返事をして、走って行った。

 

さて、

 

「し〜ぐ〜れ〜!!」

 

何故か司令室のソファーでお茶を飲んでいる時雨を問い詰める。

 

「おや、提督。いい風だね。暑さが和らいで、秋の訪れを感じさせてくれるよ」

 

「季節の挨拶は聞いてない!」

 

「おや、ご機嫌ナナメだね?何かあったのかしら?」

 

「朝潮にストーキングするように言っただろう」

 

「チッ!あのバカ真面目!あっさりバラしやがって!(何の事かな?ボクわからないや)」

 

「本音と建て前を間違ってるぞ」

 

「おや、ボクとしたことが」

 

「はぁ。とにかく、もうこんなコトしないでくれよな」

 

「ふふ、気になる男の子のことは、どんな些細なことでも気になってしまう。ボクの悪いクセ」

 

そんな警部殿は嫌だ!

 

コンコン。

 

「司令官。あら、時雨もいたのね。落ち葉掃除したから、おいもを焼きましょう!」

 

雷が入って来た。焼き芋か。いいな。

 

中庭に、うず高く積まれた落ち葉を中心に、みんな集まっていた。

 

「あれ?漣と曙は温泉に行くんじゃなかったのか?」

 

「雷が焼き芋するって言うから、また今度ね!」

 

「焼き芋が嫌いな乙女はいませんって!」

 

みんな楽しそうだ。

 

「焼き芋は速くないけど、美味しいから好きです!」

 

「焼き芋!焼き芋!まだっぽい?」

 

「あの、夕立さん。そんなに近づくと危ないですよ」

 

「さあ、みんな焼けたわよ!」

 

あちこちで美味しそうに焼き芋を食べるみんな。

 

長閑な秋の夕暮れだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「恋色空模様」

すたじお緑茶のゲーム。

ファンディスクの妹の親友が可愛い!

ストーリーとキャラクターの名前が秀逸です。




スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋、ストーキングの秋。

さて、次回は、

ハッピーハロウィン!

ハロウィンの夜に現れるコスプレ艦娘!

次回、

「ウチの艦娘は人でなし?」

そこんとこヨロシク!


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ウチの艦娘はヒトでなし?

皆さま、トリックオアトリート

ハロウィン回です!

朝潮のハロウィンコスプレマジカワユス




10月末日

 

明日から11月か。だんだんと寒くなってきたなぁ。

 

バタン!!

 

島風がノックもしないで入って来たが、いつもの露出の格好と異なり、全身タイツにホネが書かれており、ショッ◯ーの戦闘員みたいだ。

 

「提督、お菓子ください!」

 

「は?」

 

「端折り過ぎました。イタズラされたくなかったらお菓子ください!」

 

あぁ。ハロウィンか。そういえば今日だっけ?

キャンディか何かあったかなぁ?机の引き出しを探すと、何故か人数分のお菓子入りの袋が用意されていた。

 

「ほら」

 

お菓子をあげると、島風は嬉しそうに、

 

「ありがとう提督!大好き!」

 

やっすいな。オレへの愛。

 

「なんでその格好なんだ?」

 

「よくないですか?究極に空気抵抗を減らして、スピードを追求したボディですよ?」

 

はぁ。島風に聞いたのが間違いだった。

 

「わーい!」

 

島風は嬉しそうに両手でお菓子を抱えて走って行った!

 

 

コンコン

 

頭に大きなカボチャを被った望月が入って来た!

 

「おー!司令官!イタズラするの面倒だからお菓子をよこせ」

 

「いや、あげるけどさ、もう少し言い方ないのか?」

 

「いーじゃん。お互い面倒っしょ?」

 

望月は相変わらずだ。

 

 

「ほら」

 

望月にお菓子をあげる。

 

「うん。サンキュー。司令官!」

 

望月と入れ替わりに、雷が入って来た。

 

「カミナリ様よ!今だけはイカヅチじゃないわ。そこのところもよろしく頼むわね!」

 

2本角のカチューシャに、トラ柄のビキニ。このカッコって、

 

「ダーリン。お菓子をくれないとイタズラしちゃうだっちゃ!」

 

◯ムちゃんじゃねーか!

 

まぁいい。それよりも、

 

「ありがとうな雷。ハロウィン用にお菓子を事前に用意してくれて。オレ、こういった行事に疎くって」

 

「???よくわからないけど、私じゃないわ」

 

なら一体誰が用意したんだ?

 

「くちゅん!」

 

雷が可愛らしいくしゃみをした。

 

「ほら、もう寒いから、ビキニは着替えてカチューシャだけにしなさい」

 

「うん。司令官が言うならそうする」

 

雷はお菓子を持って着替えに行った。

 

お菓子を用意したのが雷じゃなかったら誰なんだ?

 

 

「ぽーい!」

 

頭にイヌミミのカチューシャをつけた夕立が現れた。

 

「お菓子をくれないと、お菓子の代わりに提督さんを食べちゃうっぽい!」

 

がるる!がるる!とオオカミのマネをする夕立。そう、食べちゃう。というのは頭からバリバリいくイメージで決してエロい意味ではない。

 

「はい。お菓子!」

 

「わーい。ありがとうっぽい!」

 

お菓子を掲げてクルクル回る夕立は本当に可愛いな。

 

「でも」

 

クルクル回りながらオレに近づくと、耳元で、

 

「提督さんのこと、パクリと食べちゃいたかったっぽい?」

 

妖しく呟いて去っていった。心臓に悪い!

 

 

コンコン

 

ノックの後に吸血鬼姿の曙が入って来た。

 

「クソ提督。トリックオアトリート!」

 

もちろん、お菓子をあげてもいいのだが、少し曙にイジワルをしたくなった。

 

「イタズラって何されちゃうんだろう?曙のえっち!」

 

「な!」

 

咄嗟のことで上手く反論出来ないのか、顔を真っ赤にして、口がパクパクしてる。

 

「も、もういいわよ!」

 

曙は怒鳴って出て行ってしまった。

 

「あーあ。ぼのタンを泣〜かせた!」

 

いつのまにか、頭に大きなBORU・・・ボルトのカチューシャをつけて、顔にふた昔前のコントみたいなマジックでヌイメが描かれた漣が立っている。

 

「漣か」

 

「はい。フランケンシュタインの怪物、漣ちゃんです!ちなみにらフランケンシュタインは人造人間を作った博士の名前で、この人造人間は単に怪物と呼ばれています」

 

「そんな豆知識はどうでもいい」

 

「わかってますよ。ぼのタンには、ワタシから言っておきますねー。でもぉ、タダではできませんねぇ」

 

「ほら、二人分のお菓子だ」

 

しかし、漣はお菓子を受け取りながらも、

 

「チッチッチ、コイツはイタズラされない対価で、ぼのタンへの口利きは別料金ですぜ」

 

クソ!足元見やがって!

 

「何が望みだ?」

 

「・・・頭撫でてください」

 

「はい?」

 

「もう。いつもポイちゃんにしてるみたいに頭を撫でて可愛がりやがってください!」

 

「お、おう」

 

リクエスト通り、漣の頭を撫でる。

 

うわぁ。髪サラサラ。やぁらけー

 

「えへへ〜」

 

漣はゴキゲンなまま、

 

「タイタニック並みの大船に乗ったつもりで任せてください!」

 

と出て行った。沈むじゃねーか!

 

 

その後、朝潮が入って来た!

 

「し、司令官!トリック、オア、トリート!」

 

つばの広い帽子を被り、マントを羽織った朝潮が噛みながらも一生懸命セリフを言う。

 

「ははは。朝潮は可愛いなぁ」

 

思わず帽子の上から撫でてしまう。

 

「あ、あの!これは新しい暗号なのでしょうか?」

 

「ははは。そうだぞう!意味は、朝潮は可愛い。だ」

 

朝潮は顔を真っ赤にして、

 

「はわわ。そんな、私が可愛いなんて」

 

朝潮は魔女っ子帽子を引っ張って顔を隠そうとするが、頭を撫でられているためそれもできない。

 

あぁ。朝潮は可愛いなぁ。お菓子あげたい。

・・・あぁ、そうだ。お菓子あげないと!

 

「ほら、朝潮。お菓子だ」

 

「へ?もう、ナデナデはおしまいなのですか?」

 

「え?」

 

「な、なんでもありません!ありがとうございます。司令官!」

 

朝潮は、お菓子を抱えながら魔女っ子帽子を引っ張って部屋を出て行った。

 

 

コンコン、ガチャ!

 

めちゃくちゃ露出の多い、漆黒の衣装を身に纏った時雨が登場した。

 

「ふふふ。提督にイタズラしに来たよ!」

 

よく見ると、時雨のキレイな黒髪と衣装同様にハイライトが仕事してない。漆黒の闇だった。

 

「ほ、ほら。時雨にもお菓子をあげるさ」

 

オレは慌てて引き出しを開けるが、その中にお菓子が残ってなかった!

 

「残ってないよ。最初から7つしか用意してないからさ」

 

!!!

 

「お菓子を用意したのは時雨だったのか?」

 

「ふふふ。そう。今夜のハロウィンコスプレを企画したのも、それを見越してお菓子を7つ用意したのも。そして、お菓子が無くなる8番目に現れたのも、全部ボクの計画さ」

 

時雨はコスチュームだけではない妖艶さでゆっくり近づいてくる。

 

「提督はボクにイタズラされたい?それとも、ボクにイタズラしたいのかな?」

 

衣装のモチーフである淫魔(サキュバス)のように、オトコを惑わす時雨。

 

落ち着け!ここはR18じゃない。コメディなんだ。しかし、時雨は、双丘を押し付けながら耳元で囁く。

 

「いいよ。ボクのこと、いっぱい可愛がって?」

 

ガチャ!

 

「クソ提督。雷がカボチャケーキ作ったからクソ提督を呼んでこいって・・・な!何やってるの時雨!!」

 

「チッ!」

 

入室した曙は慌てて時雨を引き離す。

 

「ほら、さっさと食堂に行くわよ」

 

オレの手を引っ張って食堂に向かう曙。吸血鬼の格好をした曙が天使に見える。

 

「大体、時雨に抱きつかれてデレデレしてるアンタも悪いのよ!」

 

だって男の子だもん。

 

 

 

食堂で食べた、雷のカボチャケーキは大変美味しゅうございました。

そう、テーブルの片隅でブツブツ言いながらケーキをつつく時雨なんていませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「俺の彼女(ツレ)はヒトでなし?」

みなとそふとのゲーム。

ヒロインが魔女とかライカンスロープみたいなヒト以外のゲーム。

メインヒロインの幼馴染の愛がウチの時雨より重い!


ハロウィンぽいぬかわいい!


さて、次回は、

面倒くさがりの望月が、秘書艦になったら?

次回、

「望月に寄り添う提督(オトコ)の作法」

そこんとこヨロシク!


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望月に寄り添う提督(オトコ)の作法

全国1億2千万のもっちーファンの皆様お待たせしました!
待望のもっちー回です!





そんなわけで、望月を秘書艦に任命した。

 

「ねー、やっぱやめない?私、秘書艦ってガラじゃないよ?」

 

べつに望月でなくても構わないが、ここで変更したら、時雨以外誰でもよかったコトになる。それは避けたい。

 

「だいたい、時雨の何が不満なのさ?仕事はちゃんとするし、料理は上手だし、私と違っておっぱい大きいじゃん?」

 

「それがマズいんだ!」

 

時雨は自分の武器をわかって使ってくるからな。

 

「え?司令官ってチョモランマより、モンゴルの大平原が好きなタイプ?私としては嬉しいけど、男としてどうなん?」

 

そういうコトじゃない!

 

「とにかく、明日は望月が秘書艦だ。はい!決定!」

 

「ぶー!」

 

その日は早く寝た。決して時雨が怖かったワケではない。そう、決して。

 

 

・・・

 

「・・・・ぃ」

 

誰かが呼んでいる。

 

「・・・さい」

 

曙か?

 

「さっさと起きろ!クソ提督!」

 

布団を剥がされて目が覚めた。曙がベッドの前で仁王立ちしてる。

 

「アレ?」

 

今日は望月が秘書艦だったはずなのだが。

 

「望月はまだ寝てるからさっさと起こして来なさい!」

 

何でオレが?

 

 

コンコン

 

「おーい望月?起きているか?」

 

返事ナシ

 

「入るぞ」

 

望月はやはり布団の上で寝ている。暑いのか布団を蹴飛ばし、着てる浴衣もはだけてる。

 

「くか〜」

 

うら若き乙女が人様に見せられない様子で寝ている。

 

「おい!望月起きろ!」

 

「んあ?司令官?」

 

寝ぼけまなこをこすりながら、メガネをかける。

 

「何?どうしたの?夜這い?」

 

「そんなわけあるか!」

 

さっきから、はだけた浴衣から胸元やパンツが見えそうで目のやり場に困る。

 

「ねぇ、さっきから何で明後日の方向を見てるワケさ?」

 

あーもう!

 

「おまえ、自分の格好をよく見てみろよ」

 

「ん?な!」

 

望月は真っ赤な顔をして、後ろを向いた。

 

「ほ、ほらもう起きたから。着替えるから出てって!!」

 

部屋を追い出された。

アイツもあんな表情(カオ)するんだなぁ。

いかんいかん。思考が、幼馴染に急に異性を感じた中学生みたいになっている。

 

「ねぇ提督?」

 

時雨に声をかけられる。

 

「今日の出撃なんだけど」

 

もうそんな時間か。望月とバタバタしてたからな

 

「今はまだ大丈夫だけど、出撃予定海域に低気圧が発生する可能性があるんだ。念のため、出撃延期にしたいのだけれど」

 

「わかった。今日の出撃はナシだ。午前中は訓練して、午後は自由でいい」

 

「了解!」

 

 

 

その後、着替えた望月が朝食を用意してくれたのだが、

 

「司令官、メロンパンとクリームパンどっちがいい?」

 

コップにオレンジジュースを注ぎながら望月が聞いてきた。

 

「菓子パンかよ」

 

「みんな朝から頑張りすぎ。朝食なんてこれくらいで充分だよ」

 

まぁ、朝からガッツリ食べられない人って多いよなぁ。オレもこの朝食で気にならないし。

 

 

 

朝食後、望月と書類仕事をするのだが、望月は

 

「あー、仕事だるー。出撃がナシになったのなら、私もそっちにしとけば良かったなー」

 

「いや、みんな真面目に訓練しているから」

 

ぶーぶー文句を言う望月に、仕事を半分渡す。

 

「ほら、これしといて」

 

「えー、面倒くさい」

 

やはり文句を言うが渋々仕事を始めた。

 

 

 

その後、

 

「終わった〜!!」

 

 

島風ほどではないが、かなり短い時間で終わらせた。島風みたいにいい加減な仕事をしてないか?

 

 

アレ?ちゃんとできてる?

 

「ふふん!私が本気出したらこんなもんよ!」

 

なら、最初から本気出してくれ。

 

「はあ。まぁいいか。それよりも望月、仕事が終わったなら、追加でコレも頼む」

 

「イヤ!」

 

「おいおい」

 

「仕事が早く終わったら、早く帰れるのではなく、さらに仕事を追加してくるの日本の組織の悪い所だね」

 

「まぁ、そりゃあなぁ」

 

「というワケでガンバ!」

 

 

 

お昼

 

「おらーおまえら、ごはんできたぞー!食え」

 

本日の昼食は、望月特製月見うどん。

 

「「「いただきます」」」

 

「ぽいー!望月ちゃん、天カスがカリカリしてないっぽい!」

 

「それはツユを吸わせて食べるんだよ。歯ごたえはないけど美味しいよ」

 

「ぽい!」

 

「足りなかったら冷蔵庫のご飯を勝手にチンして食べてー」

 

朝が菓子パンだったから、昼は少しガッツリ食べたいな。オレの分だけ2玉入っているけど、もう少し欲しい。

 

ご飯をよそってレンチンしたら、席に戻ると、望月が無言で漬物の入った小皿を突き出す。

 

「ん」

 

「ありがとう望月」

 

 

月見うどん美味しい。

 

 

 

午後

 

オレは一人で残りの仕事を片付けている。望月はソファーの上で寝転がってゴロゴロしていた。

 

「なぁ、望月手伝っ・・・」

 

「ヤダ」

 

オレのお願いをあっさり却下し、拒否の姿勢を示すべく、足を向けて本を読む望月。

 

「望月、パンツ見えるぞ」

 

「えー、司令官って私のパンツによくじょーするの?」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべながら挑発する望月。

クソ、今朝のことを根に持っているな。

 

「ホラ、さっさと終わらせないと日が暮れるよ」

 

 

 

・・・

 

「終わった〜!」

 

「お疲れさん」

 

相変わらず足をブラブラさせながら適当に返事する望月。

仮にも上官に対してその態度は良くないなぁ。オシオキの必要がある。そう、決して仕事を手伝ってくれなかった逆恨みではない。

 

こちょこちょこちょこちょ!

 

望月の足の裏を全力でくすぐる。

 

「にゃはは!何?あはは!何なの?ぬははは」

 

「こちょこちょ!」

 

「わはは!司令官、やめて!あははは!」

 

「望月、オシオキだ!」

 

「あははは、もう、ムリー」

 

その場に崩れ落ちる望月。顔が赤く染まり、ゼェゼェと荒い息をして、脱力する望月。

 

エッロ!

 

いかんいかん。

 

「コレに懲りたら上官への態度には気をつけること!」

 

それっぽい注意をして、オレは部屋から逃げ出した。ヤバい!正直やり過ぎた!

 

「・・・おのれー、覚えていろよ司令官」

 

 

 

 

その夜、

 

「「「いただきます」」」

 

今日の夕食は鍋だった。

あの後、なんやかんや理由をつけて望月から逃げたからな。

 

「えー、シメはおうどんがいいっぽい!」

 

「お昼に食べたじゃん。私の独断と偏見によってシメは雑炊!」

 

「ぽい〜」

 

普通だ。望月は意外と気にしてないのかもしれない。そうとわかったら鍋食おう!

 

 

 

 

食後、

 

 

「なぁ望月、明日も秘書艦をしてくれないか?」

 

望月は頼んだ仕事はキッチリしてるし、家事も上手だ。貞操の危機を感じなくていいし、何より気を使わなくてもいい。

 

「えー、面倒くさい。それに」

 

望月は意味有り気にこちらを見ると、

 

「秘書艦なんかしたら司令官にセクハラされるし」

 

ピキッ!

 

場の雰囲気が凍りついた

 

「どどど、どういうことよ!望月にセクハラしたって!!!」

 

「さっすが提督、セクハラするのもはっやい!アレ?私そんなことされたっけ?」

 

「ぽい?セクハラって食べられるっぽい?」

 

「あらー、やっちゃいましたねぇご主人様」

 

「もう、司令官ったら、そう言うことは私に言ってくれたらいいのに!」

 

「あああ、あの、そういったことはこの朝潮でよかったら」

 

「ねぇ?望月にセクハラしたって詳しく聞かせてくれるかなぁ?」

 

場がカオスになった!

 

「だから、私パス!」

 

望月は◯原みたいにいい残し、食堂を去った。

 

 

どうすんだよこのシチュエーション!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「月に寄り添う乙女の作法」

ネーブルの作品。

オープニングとキャラクターのネーミングセンスが抜群の作品(これ、いつも言っている気がする)
乙女=主人公=男性なんだよね。


さて、次回は、


時はゲンロク
亡き主君の仇を打とうとする誠のサムライがいた!

次回、

「Chusingura8+いっぱい」

そこんとこヨロシク!






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Chusin gura8+いっぱい

みなさん、12月といえば、そう、忠臣蔵ですよね!

クリスマス?そんな西洋の祭りは知らない子ですね。


作中の「電柱」は朝潮の間違いであり、作者の故意なので、ご注意ください。


昔むかしあるところに浅野曙頭(あさのあけぼののかみ)というお殿様がいました。

 

ある日、

曙頭は、お殿様より偉い将軍、徳川望月(とくがわもちづき)から、

 

「今度偉い人が来るから接待して。やり方はそこの吉良漣介(きらさざなみのすけ)に聞いてね」

 

と無茶振りされました。しかし、将軍の命令を断わることは出来ません!

 

「ははっ」

 

こうして曙頭は漣介に接待の仕方を教わることになりました。

 

「曙頭殿?世の中では何かを教わるには授業料が必要なのだよ?」

 

「贈り物は鎮守府名物のカツオブシです」

 

漣介は思いました。

 

「あたしゃネコか!」

 

その結果、漣介による曙頭への嫌がらせが始まったのでした。

 

「前に教えたでしょう?何で覚えてないの?」

 

「そんなの聞いてない・・・」

 

「口答え禁止!」

 

 

「まだまだ掃除が行き届いていませんね。やり直し」

 

「そんな」

 

「さっさとしないと日が暮れてしまいますよ?私は帰るのでちゃんとしておいてくださいね」

 

「・・・はい」

 

 

そんなことが続いたある日、曙頭はとうとうキレてしまいました。

 

 

「とぉ↑ー↓ー!漣介、覚悟!」

 

「まて、話せばわかる」

 

しかし、

 

「曙頭殿、電柱はマズいですよ!!」

 

「殿中でしょう!離して!」

 

曙頭は、朝潮モブ兵衛にあっさり捕まってしまいました。

モブと書かれたタスキをした朝潮に羽交い締めにされた曙が退出する。

 

 

「もう、何やっているのさ!せっかくの接待計画が台無しじゃん!切腹!」

 

こうして、浅野曙頭はあえなく切腹となりました。

 

 

 

「大変っぽい!曙頭様が切腹しちゃったっぽい!」

 

「なんだって!ホントか堀部夕立兵衛(ほりべゆうだちべえ)」

 

「ぽい!大石時雨助(おおいししぐれのすけ)」

 

「なら父上、さっさと敵討ちしないと!てゆうか、堀部夕立兵衛って言いにくい」

 

「ぽい!ヒドいっぽい!大石島風(おおいししまかぜ)」

 

「とにかく、吉良ナントカってヤツをブッ○さないといけないっぽい!!」

 

「まあまあ、落ち着いて。ボクに考えがあるから」

 

しかし、時雨助は遊んでばかり。敵討ちをする様子が全然ありません。

 

そうこうしてるうちに最初は敵討ちに賛成した人達も次々に再就職していきます。

 

気づいたらおよそ2年が経っていました。

漣介はみんな敵討ちを諦めたと思いました。

 

ある雪の日、時雨助は

 

「今夜だ」

 

「ぽい!」

 

「はいよ」

 

「ガヤガヤ」

 

こうして、吉良邸に討ち入りをすることにしました。

 

 

みんな黒い火消し装束を着て、雪の積もった道を歩いていきます。

 

 

やがて吉良邸に到着すると、表門と裏門に分かれます。裏門担当の島風が、

 

「火事だー!」

 

大声で叫ぶとみんな屋敷へ突入していきました。

 

屋敷の中で戦闘が始まりました。

 

 

沢山の妖精さんが「てき」「みかた」と背中に書いてありチャンバラをしている。

 

やがて、時雨助達は漣介の寝室にたどり着きますが、

 

「ぽい!部屋の中に漣介はいないっぽい!」

 

「落ち着いて。布団はまだ暖かい。まだ近くにいるはずだ!」

 

「ぽい!」

 

「おう!」

 

そして、

 

「ムム!吉良漣介だな?」

 

「ぽい!」

 

「ヒェ〜!お助けー!」

 

「問答無用!」

 

「ギャース」

 

こうして、漣介は討ち取られてしまいました。

時雨助達は無事、敵討ちに成功したのです!

 

 

しかし、

 

「えー。また、あそこのヤツらトラブル起こしたの?ウザいから切腹!」

 

時雨助達は全員切腹となりました。

 

 

 

パチパチ

 

「正直、忘年会の余興にしては凝ってたな!観客がオレ一人なのが申し訳ないくらいだ」

 

「ふふふ。なら頑張った甲斐があったね」

 

「はい!司令官のため、頑張りました!」

 

「いっぱい練習したっぽい!」

 

「大変だったんだぞー」

 

「あなた、配役決めの時、一番楽な役って言ってたじゃない」

 

「やっぱりさ、いちいち裏門に回るより、表門からビューンと素早く討ち入りしたほうが良かったんじゃない?」

 

「もう、ダメよ台本勝手に変えたら!そうそう司令官、来年はもーっと楽しい余興にするわね」

 

「あのね、べつにいいんだけどね、吉良役が満場一致で私ってどうなの?」

 

 

忘年会の夜は更けていく・・・

 




Chusingura 46+1

イニシャルレソリューションのゲーム

美少女化もとうとう、忠臣蔵にまで来たゲーム。

ファンディスクでは、比較で新撰組をこき下ろすので、新撰組ファンはやらないほうがいいかも。


さて、次回は、

鎮守府の新メンバー。朝潮はちゃんと鎮守府に馴染んでいるのか?

次回、

「朝潮ちゃんの鎮守府事情」

そこんとこヨロシク!


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朝潮ちゃんの鎮守府事情

皆さまあけましておめでとうございます。今年も画面をよろしくお願いします。


・・・もう2月やん!

すみません。職場環境が激変しまして、あまり執筆時間が取れず、遅くなりました。マジすみません。

尚、先月、「孤島鎮守府の奮闘」は一周年を迎えました。
これからも拙くはありますが、一生懸命頑張りますので、応援よろしくお願いします。

今回は朝潮ちゃん視点のお話です。


おはようございます。朝潮型駆逐艦一番艦、朝潮です。

私は過日、海の上を漂っていたところ、拾われて、孤島鎮守府に配属になりました。

 

鎮守府のみなさんとは挨拶をしたのですが、特に司令官とはお忙しいのか、まだひととなりがわかりません。怖い人ではなさそうですが・・・

 

あれ?

 

グラウンドを走っているのは島風さんですね。そうだ!島風さんに司令官のひととなりを聞いてみましょう!

 

 

「し、島風さん」

 

私が来るまでずっと走っていたのに、ペースが落ちていません。ついていくので精一杯です。

 

「あの、司令官ってどんな人なんですか?」

 

島風さんは走りながら、

 

「提督?いい人だよ?私が速いの認めてくれるし。もうすこし、速かったらもっといいと思うけどさ」

 

な、なるほど。

 

「ハァ、ハァ、ハァ」

 

 

とうとうついていけなくなりました。

島風さんはまだ走っています。毎日こんなに訓練されているなんて!この朝潮も見習わないと!

 

 

それはそれとして、汗をかいてしまいました。朝食の前に汗を流しておきましょう。

 

大浴場には先客がいました。望月さんですね。彼女にも司令官のひととなりを聞いてみます。

 

「あの、望月さん、司令官ってどんな人なんでしょうか?」

 

「ん?あぁ朝潮か。おはおは。何、司令官?」

 

望月さんは少し考えた後に、

 

「まぁいいヤツなんじゃない?みんなのことをちゃんと気にしているし、権力をタテに威張り散らしたりしないしね」

 

「な、なるほど」

 

「あーでも」

 

「司令官はセクハラしてくるから気をつけてね」

 

えー!

 

どどど、どうしましょう。セクハラはいけません。でも、上官の命令は絶対ですし。

 

「望月の言ってることはあまりアテにしないほうがいいよ」

 

 

 

入り口から声がしました。時雨さんです。

 

あのおっぱいはほんとうに同じ駆逐艦なのでしょうか?

 

「提督の望月への接し方はコミュニケーションの一環だから気にしなくていいよ」

 

「そうなのですか?」

 

何食べたらあんなにおっきくなるのでしょう?

 

「提督は望月には気安く話しかけるからね」

 

それよりも時雨さんにも聞いてみましょう!

 

「あのあの、時雨さんは司令官をどう思っていますか?」

 

「頑張っていると思うよ。辺鄙な島に送られて大きな鎮守府とは勝手が違うのに。夜遅くまで仕事している時もあるみたいだしね。でも」

 

そこまで言った時雨さんの表情に影が落ちた。

 

「ボクがいるのに提督ったらほかの娘ばかり可愛がって。気の多い浮気者だから・・・ぶつぶつ」

 

えー!これはいわゆる、ひるどら。ってヤツなんじゃ!はわわ!この朝潮にはまだ早すぎるんじゃ。でも興味あります。

しかし、望月さんが

 

「あー、時雨のコレはビョーキみたいなモノだから気にしなくていいよ。時雨は司令官のコト好きすぎるからね」

 

よかったです。時雨さんと司令官は恋人さんではなかったのですね。それはそれとして、私はこの鎮守府でやっていけるのでしょうか?

 

 

着替えて食堂に向かいます。今日の朝食当番は雷さんです。

炊きたてのごはんに豆腐とわかめの味噌汁。ほうれん草のお浸しにアジの塩焼き、お漬物。

私が朝食当番の時、同じくらいのメニューを用意できるでしょうか?

雷さんにも聞いてみましょう。

 

「雷さん、司令官についてなんですが・・・」

 

「司令官は頑張りすぎ。もーっと私に頼ってくれてもいいのに!」

 

なるほど。司令官が頑張りすぎて倒れたりしないように気をつけましょう!

 

「朝起きなくてもいいし、ごはんだって雷がアーンって食べさせてあげるし。むしろ、お仕事しなくても雷が養ってあげるのに!」

 

いえ、それは人としてダメダメなのでは?

 

 

 

少し食べ過ぎてしまいました。この調子では太ってしまいそうです。おっぱいが大きくなればいいのですが。

 

花札をする漣さんと曙さんがいます。お話を聞いてみましょう。

 

「赤タンで私の勝ちね」

 

「むきぃ!猪鹿蝶が!」

 

「アンタはいつも大物手ばかり狙い過ぎなのよ」

 

「あ、あの!」

 

「あら、朝潮じゃない。どうしたの?」

 

「あの、司令官についてお伺いしたいのですが」

 

「ご主人様?」

 

漣さんは曙さんの方をチラッと見た気がします。

 

「秘書艦になったら夜のお勤めは大変よ?」

 

よ、夜のお勤めですか!あわわ!えっちなのはいけないと思います。でもちょっと興味あります。

 

「この前も夜遅くまで大変でさー。私が、疲れた寝たい。って言っても、激しく寝かせてくれなくてさー」

 

あわわ。

 

「ち、ちょっとアンタ、クソ提督と一体何してるのよ!」

 

曙さんが真っ赤な顔をして漣さんに詰め寄ります

 

「何って、格ゲーだけど?」

 

かく、げー?

 

「あれー?ぼのたんは何を想像したのかなー?このムッツリー」

 

曙さんは呆れた表情で呟きます。

 

「あんまり朝潮をからかったらダメよ」

 

そうですよね。そんなコトあるわけありませんよね。ちょっと残念かもしれません。

 

「ご主人様のコトなら私よりぼのタンの方が詳しいよ?」

 

そうなのですか?

 

「ぼのタンはご主人様のコトだーい好きだからねぇ」

 

「はぁ?べ、別にアイツのコトなんて好きでも何でもないわよ!」

 

「そうなの?」

 

「そうよ!そりゃ、ちょっとかっこいいし、優しいところもあるけど、朝はちゃんと起きられないし、脱いだシャツは裏返しのままだし、部屋も散らかしっぱなしだし。大体アイツは、デリカシーのないトーヘンボクなのよ!!」

 

「ね?」

 

漣さんがウインクします。

なるほど。曙さんは司令官のことが大好きなのですね。この朝潮にもわかります。

 

・・・本当に私、この鎮守府でやっていけるのでしょうか?

 

 

「ぽーい。ぽーい。ぽーい!」

 

夕立さんがお散歩してます。

 

「あの、夕立さん」

 

「ぽい?朝潮ちゃんもお散歩するっぽい?」

 

「いえ、あの、司令官についてお聞きたいのですが」

 

「提督さん?いい人っぽい。夕立と遊んでくれるし、お菓子もくれるっぽい」

 

夕立さんは歩きながら話します。この朝潮もついてゆきます。

 

「みんな提督さんが大好きっぽい。朝潮ちゃんもきっと好きになると思うっぽい」

 

それは朝潮も思いました。みなさん司令官のコトが大好きなんですね。

 

「それよりも、夕立、朝潮ちゃんが来てくれて、とっても嬉しいっぽい!末っ子みたいなモノだから、妹が出来たみたいな」

 

え?夕立さん末っ子なのですか?が時雨さんと同じくらいおっぱいが大きいのに?

 

「長女が時雨ちゃん、次女が曙ちゃん、三女が漣ちゃん、四女が望月ちゃん、五女が島風ちゃん、六女が雷ちゃん、七女が夕立っぽい!」

 

「あの、それはこの鎮守府に着任した順番なのですか?」

 

「うーん?まぁ、一緒に生活してたらわかるっぽい」

 

しかし、夕立さんはどこに向かっているのでしょうか?

 

「着いたっぽい」

 

ここは食堂ですね。夕立さんごはんまだだったのでしょうか?

 

「ほらほら、今日は朝潮ちゃんが主役っぽい!」

 

え?何なのでしょうか?

 

パパパパパン!!

 

「「「朝潮、孤島鎮守府へようこそ!」」」

 

みなさん集まってクラッカーを鳴らしています。

夕立さんに引っ張られてテーブルの端、お誕生日席に座らされます。

 

「はい。朝潮、いっぱい食べてね」

 

はわわ。滅多に食べられないケーキまであります!

 

「い、いただきます!」

 

口いっぱいに広がるクリームの甘さ!はう〜!幸せですぅ!

 

私この鎮守府が大好きですー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「倉野くんちのふたご事情」

キューブの作品。

例の友人が、「髪の色素薄い双子の妹」という説明を読んで興味深々だったのに、実際は「双子の姉」の誤植だったことにおにおこだったゲーム。

内容は面白いんですよ?



さて次回は、

人生の夏休み、大学生活!
もしも、キャンパスライフに鎮守府のみんながいたら、

次回、

「CAMPUS」

ソコんとこヨロシク!



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春の桜とウソの日

「かかったな!トラップカードオープン!このトラップは4月1日になると自動的に発動する!!」

「な、なんだと!!!」


すみません。予告したネタが書けませんでした。
エイプリル・フール回をお楽しみください。


なお、
拙作「孤島鎮守府の奮闘」がUA10,000を超えました。
コレもみなさんの応援のおかげです!

これからも拙い文章ではありますが精一杯投稿します!


4月の初日、うららかな春の日。仕事など忘れて桜の木陰で昼寝などしたくなる穏やかな日。しかし、その静寂は破られたのだった!

 

「提督〜!」

 

島風が乱入して来た。またか。

 

「提督は今日から島風のイスです!」

 

はぁ?何言ってんだコイツは?オレにそんな趣味はない!

だが、そんなオレを無視して島風は、執務机の椅子に座るオレのヒザの上に座った。

 

なんなんだ?一体?

 

島風は最初こそ楽しそうにオレに体をこすりつけたりして来たが、3分とたたないウチに貧乏ゆすりをはじめ、その1分後、奇声を発して離れた。

 

「やっぱり、ジッとしているなんてムリ!」

 

そう言い残して、執務室を飛び出した。去り際に一言、

 

「うっそぴょ〜ん!」

 

と言い残して。

 

 

「今日はエイプリル・フールだからじゃないですか?」

 

近くにいた朝潮に聞いたら、こんな答えが返ってきた。そういえばそんな時期か。

 

「朝潮は何かウソをついたのか?」

 

「え、あ、はい・・・」

 

朝潮のことだからきっと可愛いウソなんだろう。

 

「・・・ごめんなさい。今のがウソです。まだウソをついてません」

 

あぁもう!朝潮は可愛いなぁ!

 

「あれ?でも、これでウソをついたことになる?でもウソはついてないし、あれれ?はわわ?」

 

思わず朝潮の頭を撫でる。

 

「あの、何でウソをついたのに撫でられているのでしょうか?」

 

朝潮を一通り撫でたので、他に行くことにした。

 

 

娯楽室で望月がゲームしていた。

 

「望月」

 

声をかけて、振り返った望月は明らかに普通ではなかった。何かを隠してるみたいだ。

 

「あー、司令官に謝らないといけないことがあってさぁ」

 

ふむ、正直でよろしい。

 

「司令官の持ってたボケモン、勝手にプレイしたら間違えてセーブデータ消しちゃった」

 

ぬぁにぃ!!!

 

「き、貴様!あのパーティー育てるのにどんだけかかったと思ってる」

 

「あー、ホント、ゴメン」

 

オレはその場に崩れ落ちてしまった。

望月はそんなオレに近づくと、

 

「なーんちゃって。うっそぴょ〜ん」

 

は?

 

望月が最高に人をバカにしたような表情でいる。

クソ!完全に騙された!

 

怒る前に望月に逃げられた!覚えていろよー!

もちろんデータは消えていなかった。

 

 

 

「クソ提督」

 

曙が深刻な表情で訪ねてくる。

なんだろうイヤな予感がする。

 

「私、他の鎮守府に移動することになったから」

 

「え?」

 

曙が転勤・・・

 

「そ、そうか」

 

上層部の命令だから仕方がないが、ツンツンしながらもオレのことを支えてくれた曙が去るのは寂しい。顔から血の気がひいていくのがわかった。

 

しかし、曙は柔らかい笑みを浮かべ、

 

「ウソよ。大体、アンタみたいな半人前提督を放って他の鎮守府に行ける訳ないじゃない」

 

「そうか。よかった」

 

曙が残ってくれてよかった。

 

「仕方がないから、これからも面倒見てあげるわ。感謝しなさい」

 

オレを騙せて嬉しかったのか、スキップしながら部屋を出ていった。

 

 

「司令官」

 

今度は雷が執務室に入って来た。

 

「司令官、クビになっちゃった」

 

「は?」

 

雷の掲げた紙には、勝訴よろしく「クビ」と大きく書いてあった。

 

えー!これからどうやって生活しようか?失業保険出るのかな?

 

「でもね、大丈夫。雷が養ってあげるから!」

 

満面の笑みで両手を広げる雷。いや、ヒモはダメだろう。

 

「う、ウソだよな?」

 

「残念ながらウソよ司令官。けれどももし、本当にお仕事がイヤになったらいつでも言ってね。私が養ってあげるから!」

 

やめろ。やめてくれー!

 

 

はぁ、はぁ。危うくヒモニートになる所だった。

 

 

だんだんわかって来たぞ。エイプリルフールにみんなでオレを騙そうとしてる訳だなぁ。

 

「ご主人様〜」

 

今度は漣か。

 

「鎮守府の裏山にクマが出たんですー!」

 

球磨がドロップしてくれたならいいが、熊か。

 

「よし、見に行くか」

 

鎮守府のすぐ裏手の茂みで茶色い物体がゴソゴソしている。

恐る恐る茶色い物体に近づくと、

 

「わ、わぁ!」

 

熊の着ぐるみを来た朝潮だった。

 

「ドッキリ大成功!!」

 

と書かれたプラカードを漣が掲げた。

 

「あれ?あまり驚いていませんね?」

 

「まあ、今日は色々な娘に騙されたからな」

 

「ちぇ。あ、アサシン。ありがとう」

 

「いえ、お役に立てたらよかったです。でも、アサシンはちょっと」

 

「えー?可愛くない?」

 

はぁ。疲れた。帰ろう。

 

 

廊下を歩く夕立がいた。

 

「あら、提督さん」

 

夕立はいつものセーラー服ではなく、大人っぽいスーツを着ていた。シャツのボタンが開いていて胸元が見えそ・・・

 

「どど、どうしたんだ夕立?その格好は?」

 

夕立は大人っぽい笑みで、

 

「私もそろそろ大人にならないと。もう、『っぽい』なんて子供みたいな口グセは使わないわ。提督さんももう子供みたいに撫でたりしないでね」

 

オレは足元がガラガラと崩れていくような感覚になる。

 

「ゆ、夕立?」

 

ムズムズ!

 

「うわーん!ムリっぽい!」

 

夕立は全力で抱きついて来た。薄いシャツ越しに夕立の柔らかい膨らみを感じる。

 

「夕立にオトナのオンナはムリっぽい!ねぇ提督さん、夕立のこといつもみたいに可愛がって?」

 

上目遣いでおねだりする夕立。オレの身体で潰れる双丘。女の子特有の甘い香り。オレの理性が崩壊しそう。

 

落ち着け。とりあえず、頭を撫でるんだ!

 

「えへへー。提督さ〜ん」

 

気持ちよさそうに目を細める夕立。いかん。いけない気持ちになりそうだ。

 

「そろそろ行かないとな」

 

「ぽい!」

 

オレは泣く泣く夕立から離れた。このままではケダモノさんになりそうだからな。

 

「提督?」

 

後ろに時雨が立っていた。気のせいだろうか?笑顔なのに、目が笑っていない。

 

「夕立、冗談が終わったら着替えておいで」

 

「そうするっぽい」

 

夕立は去っていった。時雨と二人っきりになった

 

「提督」

 

ヤベッ!怒られるのか?

 

「できちゃった」

 

「は?」

 

愛おし気にお腹を撫でる時雨。

いや、まて。コウノトリがキャベツ畑なコトはしてない。してないよな?

 

「ウソだよな?」

 

「ウソだよ」

 

時雨はあっさりと認めた。なんだ。

 

「でもね」

 

時雨はハイライトが仕事してない表情で、

 

「ボクは本当でもいいと思うんだ。ねぇ提督?」

 

ヤバい!ヤバい!オレはまだ人生の墓場にダイブインしたくない!

 

コンコン

 

「あの、司令官。みなさんがお花見しようと、中庭に集まっていますよ?」

 

そこに天使、朝潮がやってきた!

 

「あぁ。もちろんすぐに行く!」

 

オレは朝潮と共に部屋を出た。

 

 

「ふふふ、雨はいつか止むさ」

 

 

 

ぽかぽかした陽気。穏やかな風に桜の花びらが舞って幻想的な光景だ。

 

「提督、遅い〜」

 

「遅いわよ!クソ提督!」

 

「提督さん。こっちっぽい!」

 

立派な桜の下に敷かれたシート。その上に広げられた美味しそうなお弁当や飲み物。

 

「さぁさぁご主人様」

 

「いーっぱい食べてね司令官」

 

「ホラ」

 

遅れて来た朝潮や時雨と共に座る。

 

「はわわ。ありがとうございますです」

 

「ふふ、雨も良いけど、お花見はやっぱり晴れていないとね」

 

「「「いただきますー!」」」

 

楽しそうなみんな。こんな穏やかで楽しい日々が続きますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「すきま桜と嘘の都会」

プロペラの作品。

せっかくの設定をもうすこし上手に活かせなかったのかなと思う作品。


次こそ予告していた内容をお届けします。
・・・多分


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Campus

みなさんお久しぶりです。
GWを如何お過ごしでしょうか?

例の新型コロ助のせいでリアルが色々大変な画面です。

予告していたキャンパス回です。

小説の中だけは浮世のコトを忘れていきたいと思います。



オレは平凡な文系大学生。今日もいつも同じ一日が始まる。

 

ピピピピピピ!

 

無機質な機械音で目が覚めた。

 

今日は1限からあるな。仕方ない起きるか。朝食は・・・講義が終わってからだな。

 

 

 

なんとか間に合ったな。しかし、受講しているはずの望月がいない。サボりか?

 

連絡を取ろうとスマホを出した瞬間に、望月からショートメールが届いた。LIMEじゃなくてショートメール?

 

「代返よろ」

 

仕方ないヤツだなぁもう。

 

後少しで講義も終わる頃に、望月は後ろの非常扉からこっそりと入ってきた。

 

「おまえなぁ」

 

「まーまー、終わったらサンドイッチとコーヒーをご馳走するからさ」

 

 

講義後、

 

望月の持ってきたサンドイッチと少し冷めたコーヒーが今日の朝食になった。望月がいなかったら購買のパンかおにぎりだった事を考えると雲泥の差だ。

 

「美味いな。ひょっとして望月が作ったのか?」

 

「んなわけないじゃん。お気に入りの喫茶店のだよ」

 

お、このタマゴサンド美味いな

 

「好きだよねタマゴサンド」

 

しかし、至福のひとときは終わりを迎える。

 

「あれー?もっちーとご主人様ジャン」

 

漣と曙だ。

 

「ねぇ、ご主人様。前の内容のノート見せて」

 

漣は前回、風邪(という建前で)で休みだったのだ。

 

「お礼にお昼おごってあげますから〜」

 

「学食の素うどんじゃねーか!もう騙されないぞ」

 

以前も同じセリフでおごってもらったのだが、学食の素うどん(270円税込)だった。

 

「美人2人とランチできるのに、なんて贅沢なんでしょう」

 

「ちょっと私を勝手に巻き込まないで!」

 

曙が抗議する。

 

「嫌なの?」

 

「そうは言ってないけど・・・」

 

「まぁまぁまぁ」

 

なんだかんだでノートを写させることになった。

 

 

講義中、

 

退屈な講義は眠くなる。漣を見たら内職に励んでいるようだ。曙の方を見たら目が合った。

 

「よそ見しないの!」

 

小声で注意される。仕方ない。真面目にやりますか。

 

 

昼休み

 

 

「アンタも部室に行くでしょう?」

 

オレ達は同じサークルに所属してる。特に用事がなかったら、みんな部室を溜まり場にしている。

 

 

部室に行くとみんなもう集まっているようだ。

 

「もう、みんな遅っそ〜い!」

 

大きなリボンの後輩、島風が騒ぐ。

望月は机につっぷして寝てる。

 

「あ、あのお疲れ様です。先輩達」

 

清楚で真面目な後輩、朝潮が挨拶する。

 

「お疲れ様。雷さんは?」

 

「雷は今日バイト。飲み会には直接来るって」

 

机の上で書類を広げながら時雨さんが答えた。書類は履歴書みたいだ。

 

「就活ですか?大変ですね」

 

「まったくだよ。誰かさんのところに永久就職したら、こんな苦労しなくて済むのに。ねぇ?」

 

「・・・ねぇ?」

 

あの、そこで意味あり気な流し目をよこさないでください。

 

「ダメですよ時雨さん。彼は10年前から、ぼのタンが予約しているんですから!」

 

「な!」

 

漣が言うと曙が顔を真っ赤にして、

 

「何言ってるのよ漣。バカじゃないの!」

 

「そうだぞ漣。そんな子供のころの話を本気にしたら曙だって困るだろ」

 

「「「ハァ〜」」」

 

何故か部室にオレ以外のため息で満たされる。何故に?

 

「あはははは」

 

朝潮でさえ苦笑いをしている。解せぬ。

 

そんな部室の空気を払拭するように、

 

「ぽーい」

 

イヌミミみたいな髪型の後輩、夕立が入ってきた。

 

「先輩さんお疲れ様っぽい?」

 

夕立は見た目通り、わんこみたいな娘だ。

 

「先輩さん、ごはん食べに行こうっぽい!」

 

この変な空気を払拭するチャンスだ!

 

「あぁ。そうだな。行こう行こう」

 

 

結局、昼休みが終わったら行くことになった。

 

 

学食にて、

 

結局、オレと夕立と漣、曙と講義のない朝潮がついて来た。

漣はラーメン。曙はサンドイッチ。朝潮はミートソースのパスタ。夕立は日替わりランチ。

オレは漣に買ってもらったうどんだけでは物足りないからカツ丼(自腹)を頼んだ。もうこれ、カツ丼に小鉢のうどんがついているようにしか見えないな。

 

みんなでワイワイご飯を食べていると、

 

「はい、先輩さん。あーん」

 

夕立に言われて反射的に口を開けると、口の中に広がるうどんとまったく合わない独特の酸味。プチトマトだ。

 

「な!」

 

「おやおや、ポイちゃん大胆ですね〜」

 

朝潮に至っては空中でフォークが止まっている。

 

「なにやってんの!夕立!」

 

「ぽい?」

 

「負けてられないよぼのたん!そのハムサンドをあーんするしかない!」

 

「すす、するわけないじゃない!バカじゃないの!」

 

「あー、メンマ食べます?ご主人様?」

 

食わねーよ!

 

 

 

 

その夜

 

「「「カンパーイ!!」」」

 

駅前の某居酒屋チェーン店。飲み放題4千円コース。

 

バイトに行ってた雷さんも合流して、部員みんなでいつもの飲み会だ。

 

雷さんは世話焼きで頼りになる人だが、外見はお酒を飲んでも大丈夫か不安になるくらい、おさな・・・小さ・・・若く見える人なのだ。

 

「さぁ、せっかくの飲み放題なんだからいーっぱい飲んでね」

 

オレのグラスにドンドンとビールを注ぐ雷さん。

彼女はそういったお世話を焼くのが大好きなのだ

 

「1番、島風脱ぎます!!」

 

「ば、バカ何やっているのよ!」

 

「わー!やれやれ!」

 

「はわわ。ダメですよ島風さん」

 

 

こうして、宴は過ぎてゆく・・・

 

 

やがて、宴が終わり、みんな解散となった。

 

終電前に帰る者、友人宅に泊まる者。家族に迎えに来てもらう者。

そして、オレと時雨さんが残った。

 

「ほら、時雨さん。電車まだありますし、帰りますよ」

 

しかし時雨さんはオレの左腕に抱きついて、

 

「ボク、酔っちゃった」

 

上目遣いで覗き込む時雨さん。アルコールのせいか桜色の頬。腕に感じる柔らかい感触。

思わず生唾を飲み込む。

 

「どこか休めるトコに行きたいかも」

 

そう言いながら、さらに膨らみを押しつけてくる

 

オレは我慢の限界に達して・・・右手を挙げた。

 

キキーッ!!

 

すぐにタクシーが止まる。

 

「え?」

 

時雨さんを突き飛ばすようにタクシーに押し込めて、

 

「○○町の⬜︎⬜︎マンションまで」

 

タクシーの運転手に五千円札を渡す。

時雨さんは驚愕の表情で、

 

「オンナがここまで言っているんだ。普通、オトコならホテルに連れ込むだろう?ボクに恥をかかせるのかい?」

 

「あー、運転手さん。おねがいします」

 

時雨さんを乗せてタクシーが発車する。時雨さんは窓から顔を出して、

 

「バカ!ヘタレ!!意気地なし!!!キミのピー!はピー!して、ピー!ピー!」

 

美少女が口にしていいセリフじゃない。

 

時雨さんの罵倒が遠くなる。

 

はぁ。

 

まだ電車あるし、帰ろう。

 

 

「という夢を見たんだ」

 

オレはみんなに昨夜見た夢の話しをした。

 

「ウソ!私の出番少なすぎ!」

 

「てゆーか、朝から講義とかダルいし」

 

「もう。司令官の先輩なんてお世話し甲斐があるわね」

 

「ご主人様って大学でもハーレム作りたいのですねー」

 

「夕立は提督さんの後輩でもいいっぽい?」

 

「大体、なんでアンタと結婚の約束しないといけないのよ!」

 

「まぁまぁ、ユメのお話ですしね」

 

「どうして、ボクがそんな痴女みたいな役なのかな??」

 

「「「え゛?」」」

 

 

つまり、今日も鎮守府は平和だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「Canvas」

F &Cの名作

2は言わずと知れた名作。アニメにもなったよ。
3のメインヒロインの誕生日は望月の中の人と一緒
4は・・・

さて次回は、

いよいよGW本番!
だけど、絶海の孤島の鎮守府ではそんなの関係ねぇ!
お仕事の山についに提督が、キレてしまう!

次回、

「俺たちにGWはない」

そこんトコよろしく!




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俺たちにGWはない

皆さまGWを如何お過ごしでしょうか?

新型コロ助が絶賛猛威を奮いまくって大変です。小説でも読んで、家にいましょう。

時雨の自粛ボイスがかわいい


世間ではGW真っ只中。しかし、絶海の孤島である我が鎮守府では、そのようなモノは関係がなかった。むしろ、さまざまな書類の片付けに追われていた。

 

「うがぁぁぁ!!!」

 

提督が叫んだ!!

 

「世間はGWなのにこんなに仕事が立て込むとかありえないだろう!」

 

提督は頭を抱えながら、

 

「もう仕事はイヤだ!オレは少し休憩する」

 

そう言い残し、提督は娯楽室に行ってしまった。

 

 

寝転がり、テレビを見る提督。その様子を見て望月も、

 

「せっかくだから、一緒にゴロゴロする」

 

寝転んで同じ体勢になってしまった。しかも、

 

「司令官、その枕じゃ硬いでしょう?膝枕してあげる」

 

雷まで提督を甘やかす始末。

 

 

 

その様子をドア越しに見つめる艦娘達。

 

「まぁ、気持ちはわかるよ?お仕事大変みたいだし」

 

「でもねー。流石にサボったらマズイっぽい?」

 

「まったく、この程度で音をあげるなんて、クソ提督なんだから」

 

「ご主人様も大変だよねー」

 

「あのあの、どうしますか?」

 

「もう、私がパパッと行って説得してくる!」

 

島風がダッシュで提督に向かう

 

「提督。パパッと仕事終わらせて、一緒に遊ぼうよー!」

 

「うん。後でな」

 

テテテ!

 

「ダメだってー!」

 

「諦めるの早過ぎでしょう!!」

 

エッヘン!!!

 

「そこは威張る所じゃない」

 

「仕方がありません。この漣にお任せを」

 

「ダメでした。テヘペロ」

 

「ハァー」

 

「まぁ、そうなるっぽい」

 

「次は、この朝潮が説得して参ります」

 

 

「し、司令官。あの、お仕事をしないのはよくないことだと思います」

 

「あー、大丈夫。後でするからな。それよりも朝潮」

 

提督は腕を伸ばして、

 

「朝潮も一緒にゴロゴロするか?」

 

「は、はい!朝潮、司令官と一緒にゴロゴロします!!」

 

こうして、朝潮は提督の腕枕でゴロゴロするのだった。

 

 

「ったく。あのバカ!!」

 

「もう、アサシンはご主人様に忠実すぎ」

 

ウズウズ

 

「夕立?」

 

「もう我慢できないっぽい!」

 

「え?」

 

夕立は部屋に飛び込むと、

 

「提督さ〜ん。夕立もゴロゴロするっぽい〜」

 

そう言いながら、夕立は提督にくっついて寝転がってしまった。

 

「あのバカ」

 

「あーあ。とうとうポイちゃんまで」

 

「夕立ってゴロゴロするのも、はっやーい」

 

「ハァー。ボクがなんとかしてくるよ。提督をやる気にするのも妻の務めだから」

 

「「「え゛?」」」

 

時雨はそんなツッコミをスルーして、提督の所へ向かう。

 

「ねぇ、提督」

 

「ん?」

 

「ちゃんとお仕事してくれたら、ボクが何でも言うこと聞いてあげるよ?」

 

駆逐艦にしては豊満な胸を強調するように腕を組む時雨。色っぽい流し目に提督は、

 

「パスで」

 

ガーン!

 

時雨は落ち込んで部屋を出て行く。

 

「あー、シグーが何でも言うこと聞くって、その後の人生、束縛されることになりそうだよねー」

 

「流石、提督。決断も早ーい」

 

「おかしいでしょう?普通、オンナが何でも言うこと聞くって言ったら、鼻の下伸ばして、嬉々として働くのじゃないかな?ひょっとして、ボクってオンナとして魅力がない?ううん。そんなことないよね?ブツブツブツブツ」

 

「あれ?ぼのたんは?」

 

 

提督が見ているテレビがちょうど、CMに入ったタイミングで、

 

「ちょっとトイレ行ってくる」

 

 

提督がトイレを済ませると、曙がいた。説教されたら敵わないので、スルーしようとすると、

 

「アンタ、いつまでも仕事しないと、提督をクビになっちゃうわよ」

 

話しかけられたら無視するワケにはいかない。

 

「私はイヤよ。アンタ以外をクソ提督って呼ぶのは」

 

「曙?」

 

「でもね、アンタがどうしてもお仕事がイヤなら仕方がないわね」

 

そう言った曙の目元が光って見えたのは気のせいだろうか?

 

 

 

提督は娯楽室に戻ると、

 

「みんな、休憩は終わりだ。書類を片付けるから手伝ってくれ」

 

「はい!この朝潮、全力でお手伝いします!!」

 

「ポイ。夕立もお手伝いするっぽい」

 

「もう。司令官ったら、もう少しお休みしててもいいのにー。でも、雷、頑張っちゃうから」

 

「あー、私はもう少しこのままで・・・」

 

「ホラ、行くよ望月」

 

「わかった。わかったから引っ張らないでー」

 

 

こうして、俺たちはGWも仕事をするハメになった。しかし、みんなと一緒にこなす書類仕事は少しだけ楽しかった気がする。

 

 

 

 




「俺たちに翼はない」

ネーブルの名作。

たまひよが好きです。
でも鳴ちゃんはもーっと好きです。

発売延期しまくったり
サブヒロインをメインに昇格させるアンケートで1位じゃなくて2位のヒロインが昇格して、ファンディスクで、ヒロイン自ら自虐したゲーム。

さて、次回は

作者の都合により、未定です。
そこんとこヨロシク!


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査察姉妹(前編)

ジメジメする季節、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

また、今年も望月の中の人記念日ですね。

つまりは作者の・・・以下略


「軍部のお偉いさんが来るぅ?」

 

時雨からの報告を執務机で聞いた。

 

「正確には軍本部から査察官が来るそうだよ」

 

「査察官?」

 

「ウチみたいな遠方の鎮守府で、ちゃんとやってるか調査に来るんだよ」

 

軍の査察官ってコワモテのオヤジか、融通の効かないマジメメガネのエリートか。そんなイメージだな。

 

「何を想像してるかわからないけど、査察官はボク達と同じ艦娘だよ」

 

艦娘かぁ。やっぱり美人なんだろうか?

 

ギュゥ〜!!

 

「ひてて!」

 

時雨に頬を抓られる。

 

「提督の浮気者!」

 

なんでや。

 

 

 

何やかんやで査察の日が来た。

 

 

黒煙を上げる定期船。オレ達は波止場に出てきて、鎮守府の全員でお迎えする。2人の美人が船から降りて来た。

 

「オレの名は天龍。フフフ怖いか?」

 

刀。眼帯。おっぱい。

 

「はじめまして。龍田だよ」

 

槍。フライングパンケーキ。おっぱい。

 

「「「フン!!!」」」

 

漣と曙に頬を引っ張られ、望月と雷に足を踏まれ、朝潮と島風に脇腹を抓られ、時雨と夕立に背中を叩かれる。

身体中痛くないところがない。

 

「天龍型、一番艦天龍他1名。孤島鎮守府に到着しました!」

 

「ご苦労。私がこの鎮守府の提督だ」

 

精一杯、威厳のある言動をする。すでにみんなからお仕置きされた様子を見られていたら手遅れかもしれないが。

 

「では早速、私が書類関係の確認を。天龍ちゃんが艦娘のヒアリングを担当します」

 

「あぁ。よろしく頼む。時雨、手伝ってくれ」

 

「うん。了解だよ提督」

 

こうして、孤島鎮守府の査察が始まった。

 

 

艦娘達は天龍からヒアリングを受けるコトになったのだが・・・

 

「あれ?おっかしいな?書類ドコしまったっけ?」

 

「もう。天龍ちゃんまだ〜」

 

島風が急かす。

 

「うるさい。あと、天龍さんだ」

 

漣が悪ノリして、

 

「天龍ちゃん、早く〜」

 

挙句に望月が、

 

「天龍はよ」

 

「やかましい。お前達失格!」

 

「えー、天龍ちゃん横暴」

 

「公私混同だー」

 

見かねた朝潮が、

 

「あ、あの。天龍さん困ってますし」

 

「朝潮、お前合格」

 

「え?え?」

 

なんてコントがあった。

 

 

「何やってるんだアイツらは」

 

「天龍ちゃんは揶揄うと面白・・・いえ、何でも」

 

おい。大丈夫か?

 

龍田は時雨と書類を確認が終わり、

 

「さてと。書類上は問題ないわね」

 

龍田は席を立って、

 

「お腹空いちゃった。食堂まで案内してくれないかしら」

 

「ああ。わかった」

 

 

「へー。2人で各地の鎮守府を廻っているのか」

 

「ええ。色んな鎮守府を天龍ちゃんと2人で廻るの」

 

食堂で食事をしながら龍田と談笑する。すると、

 

「あー。疲れた」

 

天龍が龍田の隣に座った。

 

「ったく、チビ共がナマイキで大変だぜ」

 

天龍はテーブルに突っ伏すような体勢になる。

 

「お!」

 

駆逐にはない巨大な胸部装甲がテーブルに載ってる!!!!

 

「あー、お茶でも入れようか?」

 

「いや、サイダーがいい」

 

オレはなるべく二つのおもちを見ないようにサイダーを取りに行った。

 

 

そんな提督達を見ていた駆逐艦達。

 

「もう、デレデレする提督、ダッサ〜イ!」

 

「あの、さすがにアレはないです」

 

「もう。司令官ったら、テーブルに乗ったおっぱいが見たいならいつでも見せてあげるのに!」

 

「いやいや、雷。見栄張りすぎ。どう考えても雷のおっぱいはテーブルに乗らないでしょ」

 

「まったく、ボクがいるのにまた他のオンナに色目を使って!」

 

「気持ちはわかるけど、相変わらず時雨ちゃんが壊れたっぽい」

 

「大体、龍田さんみたいな美人がクソ提督なんて相手にするわけないんだから。・・・手近な所で妥協しておけばいいのに」

 

「さりげなくアピールするぼのタン萌え」

 

 

こんなやりとりがあったとかなかったとか。

 

 

そんな数々の波乱を巻き起こして、天龍型姉妹は去っていった。

 

 

後半へ続く

 

 

 

 

 

 




借金姉妹

2のみプレイ済み
借金を切っ掛けに姉妹とイチャイチャするゲーム
声優さんは姉が好き
キャラクターは妹が好き

次話は鎮守府メンバーが出て来ません


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査察姉妹(後編)

この回は後編です。
前半をまだお読みでない方はそちらからお読みください。

この話には鎮守府メンバーが出てきません。


ボー!

 

孤島鎮守府からの帰りの船上。査察の任務を終えた天龍と龍田が船べりで話している。

 

「今回はチビ共がナマイキで大変だったぜ」

 

「天龍ちゃん、駆逐の子達に人気があるから」

 

「しっかし、あそこの提督も大変だな。毎日駆逐のお守りなんて」

 

「あら、あの子たちは下手したら天龍ちゃんよりオトナかもよ?恋を知ってるもの」

 

「アイツらが?あの提督に?」

 

「天龍ちゃん気づかなかったの?私達を見る目。ものすごくヤキモチ焼いてたわよ?」

 

「うーむ。やっぱり時雨か?オレから見てもあの提督好きそうだったし、1番大人びてるし」

 

「アレはガッ付きすぎ。普通の殿方はあそこまで押されたら逆に引いちゃう。あの子が提督さんとお付き合いするには引くコトを覚えないと難しいわね」

 

「なら、妹の夕立か?」

 

「あの子はだいぶ迷走してるわね。自分は一番になれない。でも好きな人のそばにいたい。例え、わんこみたいな扱いでも。でもやっぱりオンナノコとして見て欲しい。」

 

「わんこなら朝潮は?いかにも忠犬って感じだったけど」

 

「今の彼女は、憧れと恋の区別がまだついていないんじゃないかしら。知人がいない中で優しくしてくれるかっこよくて頼れる上司。先輩はタダで貰えるホレ薬と言うけど、好きになっても仕方がないわよね」

 

「なら、島風は?」

 

「あの子は夕立ちゃん以上に迷走してるわね。艦(フネ)として、速さを追い求める速さバカとしての自分と、オンナノコとしての自分とがいる。今はまだ速さバカの自分が強いけど、いずれオンナノコとしての自分が勝る日が来るわ」

 

「ふぅん。雷は?」

 

「彼女はまだ提督さんのお世話をすることに生き甲斐を感じているみたいね。彼女というより、世話焼きお姉さんのつもりみたいね。ただ彼女は世話好きすぎてオトコをダメにするタイプね」

 

「確かに。ダメって言えば望月は?」

 

「提督さんの親友みたいなポジションになることで結果的に提督さんの近くにいることが出来たわね。ただ、そのポジション故に、なかなかオンナノコとして見てもらいにくい。二律背反ね」

 

「なるほどな。なら曙はどうだ?」

 

「提督さんが大好きなのに素直にソレを伝えられない。そう思っているのは曙ちゃん本人だけで、周りのみんなは気づいている。ただ、提督さん本人は気づいていないみたいね。態度でバレバレなのに、気づいていないのが本人と提督さんだけなんて皮肉な話ね」

 

「その親友の漣は?」

 

「あの子も難義な道を選んでしまったわよね。親友の恋は応援したい。でも、自分も提督さんが好き。もしも曙ちゃんと提督さんが結ばれたら笑顔で祝福するけど、きっと部屋に帰って泣いてしまうでしょう。そして、もしも自分が提督さんに選ばれてしまっても素直に喜べない。」

 

「まるで昼ドラみたいだな。そういう龍田はどうなんだ?」

 

龍田は意味有り気な笑みを浮かべると、

 

「さぁ?どうでしょう?」

 

「おい!」

 

「ふふふ。少し冷えるから船室に入りましょう」

 

「こら、龍田」

 

穏やかな洋上。

2人を乗せた定期船は進む。

本土までまだ少しかかるみたいだ。

 

 




ゲームの元ネタは前編。

この話の元ネタはグリザイアの楽園。

正直、天龍型姉妹そのものよりも、第三者から鎮守府メンバーと提督との関係を考察してもらう回が書きたかったです。

さて、次回は、

艦これ7周年おめでとうございます

孤島鎮守府に第七駆逐隊の残りのメンバー、朧と潮が遊びに来ました。

次回、

「明日の七駆と会うために」

ソコんとこヨロシク


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明日の七駆と会うために

今日は何の日?

七駆の日!

というわけで七駆回です。


潮提督さんゴメンなさい。


いつもの定期船を鎮守府の艦娘達は来るのを楽しみにしているが、今日は特別にワクワクしていた。なぜなら、

 

「潮!朧!」

 

漣と曙の姉妹艦、七駆の2人がやってきたからだ。

 

「漣ちゃん!曙ちゃん!」

 

七駆の4人が手を繋いで再開を喜んでる。微笑ましい光景だ。

 

「あ、あの。綾波型駆逐艦、潮です。ヒトヒトマルマル。孤島鎮守府に到着しました!」

 

「あー。今日は任務じゃなくてプライベートだから、そこまで堅くならなくてもいい」

 

「あ、はい。それではよろしくお願いします!」

 

勢いよく頭を下げる潮。

 

たゆん

 

つられて動く胸部装甲。

 

潮の胸元から見えそうな谷間。

 

で、デカい。何?同じ駆逐艦なの?ポケット戦艦じゃなくて?

 

バッチーン!!

 

背中に走る激痛!

 

見たら曙に背中を叩かれていた。

 

「ちょっと!潮をヘンな目で見ないで」

 

ヤバ!バレた!

 

「はは。胸の大きさに関係なく、曙が可愛いに決まっているじゃないか」

 

「ばば、馬鹿じゃないの!!!」

 

とりあえず褒めて誤魔化す。

 

「ご主人様。ぼのたんとイチャイチャしてないで2人を鎮守府に案内してあげてください」

 

 

 

とはいえ、この島にはカラオケもボーリングもゲームセンターもない。

 

というわけで海で泳ぐことになった。

 

 

目前の海のようなエメラルドグリーンのトップにお揃いのスカート。

 

紺碧の海ような紺色に水玉のトップにお揃いのスカート

 

 

可愛いらしい水着の2人と漣、曙と一緒にビーチバレーをすることになった。

 

「そーれ」

 

「朧」

 

「漣ちゃん」

 

「ぼのたん」

 

「クソ提督」

 

「潮」

 

「えっと、朧ちゃん」

 

「提督さん」

 

「潮」

 

「さ、漣ちゃん」

 

「ご主人様」

 

「潮」

 

「え?え?曙ちゃん」

 

「漣」

 

「オボロン」

 

「潮ちゃん」

 

「提督さん」

 

「潮」

 

たゆん

 

「曙ちゃん」

 

「ふん!」

 

バチーン!!!

 

曙の全力スパイクがオレの顔面に直撃した。

 

「いたた。何するんだ曙」

 

「フンだ。潮にばっかりパスを回してムネばかり見てたでしょう!」

 

「な、何のことかな?」

 

「ばーか」

 

 

バレーを抜けて、パラソルの下で休む。

 

「ふぅ」

 

 

朧が横に腰を下ろした。

 

「朧?」

 

「えへへ。少し疲れたので休憩です」

 

ビーチバレーは夕立や島風が入って続いているみたいだ。

 

「曙ちゃんや漣ちゃんって可愛いですよね」

 

朧が遠い目をしながら呟いた。

 

「私って、漣ちゃんみたいに社交的じゃないし、曙ちゃんみたいに可愛くないし、潮ちゃんみたいにおっぱいおっきくないから」

 

「でも、朧だって真面目で一生懸命だし、可愛いよ」

 

そう言って朧の頭を撫でる。

 

「そうですか?」

 

嬉しそうな表情の朧。

 

「みんな〜。カニが茹で上がったよ」

 

水着のままの雷と時雨がみんなを呼ぶ。大きな鍋に真っ赤なカニが茹で上がり、美味そうだ。

 

「カニ〜?」

 

カニと聞いた途端に、これまでの可愛いらしい表情が夜叉みたいになる。

 

「オボロンはカニを飼っているくらいカニが好きなんです」

 

マジか

 

「ええ、折角だからタラバガニ茹でたの。キライだった?」

 

すると、

 

「タラバはヤドカリの仲間だからセーフ!」

 

みんなで水着のままカニを食べた。

 

 

その後も、みんなで温泉に行ったみたいだ。もちろんオレはお留守番だった。

 

望月曰く、

 

「同じ駆逐とは思えなかった」

 

らしい。ナニかわからないが。

 

 

 

そして、朧と潮が帰る日がやってきた。

 

「潮、朧。元気でね。手紙書きなさいよ」

 

「うん。曙ちゃんも漣ちゃんも元気でね」

 

 

名残惜しく挨拶する2人。

 

「曙ちゃん」

 

潮がこっそり曙に囁く

 

「提督さんのコト、頑張ってね」

 

「はぁ?何であんなヤツのこと!」

 

その後、漣に

 

「漣ちゃんも応援してるから」

 

「べべ、べつに私はご主人様のコトなんて・・・」

 

 

一方、朧は、

 

「あの、もう一回、頭を撫でて下さい」

 

「ああ」

 

ナデナデ

 

「えへへ」

 

 

 

「2人共、もうすぐ船がでるよ」

 

「「はーい」」

 

 

2人を乗せた定期船が出港した。

 

俺達は船が見えなくなるまで手を振り続けた。

 




明日の七海と逢うために

パープルソフトウェアの作品。

作者未プレイ

明日の君と逢うためにのファンディスク。

ちなみに「七海」は名前ではなく苗字

さて、次回は、

明石から間違って送られてきた時計。
その時計には時を遡る能力があった。
時計を使って提督は鎮守府のメンバーにイタズラをする。

次回、

「アカシノクロック」

そこんとこヨロシク


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アカシノクロック

暑すぎて死にそうな画面です。

4連休は仕事の画面です。

拙作もとうとう30話。

これからもガンビアベイ


その日、定期便で妙な物が届いた。

おかしい。オレが本部に発注したのは爆雷のはずなのだが。

とりあえず、本部に連絡するか。

 

「いや〜、ないと思ったらそんなところにあったんですね」

 

電話の向こうの明石が暢気な声で話す。

 

「開発に夢中になって、徹夜明けで発送したから間違えてしまいました。爆雷は改めて送っておきます。その時計はそちらで処分してください」

 

「はぁ」

 

「使い方は説明書を同封してあるはずです。分からなかったらそのまま解体してください」

 

「そうですか」

 

「あ、いっけなーい。報告書を書かないと。という訳で失礼します」

 

ガチャ!

 

うーむ。まあ、先方がくれるというなら使ってみるか。

 

 

どうやら懐中時計のようだ。なんか海軍の将校って感じでカッコイイんじゃないか?

説明書があると明石は言ってたけど、ネジの巻き方とかかな?

オレが説明書を探していると、

 

コンコン

 

「失礼します。司令官、お茶が入りましたぁぁぁぁ!!!」

 

床と絨毯の僅かな段差に躓く朝潮。

宙を舞う湯呑み。飛び散るお茶。

オレは慌てて立ち上がるものの、間に合う訳もなく、むしろ立ち上がった拍子に懐中時計を落としてしまった。

 

「あ!」

 

時計は床に落ち、衝撃でバラバラに破損した。

はずだった。

 

「は?」

 

気づいたら、立ち上がったはずがイスに座っており、時計も壊れていなかった。

 

「ほう。お主がこの時計の持ち主か」

 

何故かオレの真横にヒゲを生やした艦娘?がいる。

 

「吾輩は利根仙人。時間がないので手短に話すぞい。この時計を壊したら5分ほど時間が巻き戻る。その時の記憶があるのは吾輩と時計の持ち主であるお主だけじゃ」

 

言っていることは分かるが理解できない。時間が巻き戻る時計?

 

「時間がないってどういう意味だ?」

 

「もうすぐあの娘が来るじゃろう?また床をお茶塗れにするつもりか?」

 

そうだった!

 

オレは急いでドアに向かうと、

 

コンコン

 

「失礼します。司令官、お茶が入りましたぁぁぁぁ!!!」

 

転びそうになる朝潮を抱きとめる。お茶も無事だ

 

「あの。ありがとうございます。司令官」

 

顔が真っ赤な朝潮が礼を言う。

 

「あのあの。し、失礼しました〜」

 

朝潮は顔を両手で覆いながら出て行った。

 

「マジか。本当に本物かよ」

 

「マジじゃ。お主が身をもって体験したじゃろ」

 

「なら、今まで怖くて出来なかったイタズラをあの娘達に出来るぞ!」

 

「何とくだらぬ使い方じゃ。他にないのか」

 

「何もないこの島で他に何が出来る!」

 

「まあよい。どのように使うかはお主次第じゃ」

 

こうしてオレは鎮守府のみんなにくだらないイタズラをすることにした。

 

 

 

「提督〜お話って何ですか?」

 

島風が部屋に入って来た。

 

「オレ、今度、龍田と結婚するんだ」

 

今回のイタズラは「結婚詐欺ドッキリ」だ!

 

「ふ、ふーん。そうなんだ」

 

島風は目をめちゃくちゃ泳がせながらうなづく。

 

「そうだ。提督にいいものあげる」

 

島風は返事も聞かないで飛び出して行った。

 

「はい。提督」

 

すぐに戻った島風は何かの用紙をくれた。

 

「離婚届じゃねーか!!」

 

「さすが提督。離婚するのも早ーい!」

 

なんで役所もないこの島に離婚届があるんだよ!

 

「時雨の部屋に沢山ストックしてあるよ。悪いムシよけだって」

 

オレは思わず時計を壊した。

 

 

「何故、時雨は離婚届を持っておるのじゃ?」

 

利根仙人が不思議な表情でたずねる

 

「オレが聞きたいよ」

 

気を取り直して次!

 

 

「一体何の用さ。司令官」

 

望月が面倒くさそうな表情で入室する。

 

「オレ、今度、龍田と結婚するんだ」

 

さて、どうでるか

 

「ふーん。そっか」

 

望月は興味なさ気にうなづく。

 

「ねぇ、司令官」

 

「結婚してもウンピース読みに行ってもいい?」

 

「あ、あぁ」

 

「なら、いい」

 

なんだこの小っ恥ずかしい気持ちは!

 

「そうだ!ねぇ司令官。家事手伝いの妹を1人養わない?」

 

「は?」

 

「日がな一日ゲームして、本読んで。まぁ週に1回くらいは家事をしてもいい。お小遣いもそんなにいらないし」

 

オレは頭を抱えながら時計を落とした。

 

 

「なんというか、お主の所の艦娘は変わった娘が多いのう」

 

せっかくの甘酸っぱい気持ちが台無しだ。頭痛がしてきた。

 

「そろそろまともなリアクションが欲しい」

 

次!

 

 

「失礼します。朝潮、参りました!」

 

真面目っ娘、朝潮なら変なリアクションをしないだろう。

 

「オレ、今度、龍田と結婚するんだ」

 

「え?」

 

ポロポロ

 

「あれ?司令官の、グス。おめでたい、お話なのに。ふぇぇ。涙が、止まらないです。ぐすん」

 

すすり泣く朝潮。

 

オレは耐え切れず、時計を床に叩きつけた。

 

 

「コレがお主の言う、まともなリアクションか?クズじゃのう」

 

「やかましい」

 

オレだって罪悪感で胸が痛いわ!!

 

次だ次。

 

 

「司令官、雷に何か用かしら?私を頼ってくれて嬉しいわ」

 

「オレ、今度、龍田と結婚するんだ」

 

雷は多少、目を泳がせた後、

 

「おめでとう。司令官」

 

お、意外とあっさりした対応

 

「ところで、龍田さんってお料理上手?」

 

龍田のことはそんなに知らないし

 

「人並みなんじゃないか?」

 

「お掃除は?お洗濯は?」

 

「人並みだと思うぞ」

 

「なら、雷が司令官のおうちの家事を手伝ってあげる」

 

満面の笑顔でとんでもないことをのたまう雷。

 

「ついでに司令官のことも雷が養ってあげる」

 

オレはいたたまれないので時計を落とした。

 

 

「幼女に世話される大の大人」

 

「やかましい!」

 

次!

 

 

「ご主人様〜。ご用事って何ですかー?こいこいの相手ですかー?」

 

漣がいつもみたいな軽いノリで入って来た。

 

「オレ、今度、龍田と結婚するんだ」

 

その瞬間、漣がキレた!

 

「はぁ⁉︎ぼのたんはどうするんですか!!」

 

「何故、曙が出てくる?」

 

「それ、本気で言ってます?」

 

「お、おう」

 

「大体、ご主人様は鈍感過ぎます。あれだけ好き好きオーラ全開なのがなんでわかんないのですか?」

 

漣の説教は続く

 

「そこでタイミングを見て私も混ぜてもらう『らぶらぶさんぴー計画』はどうなるんですか」

 

知るか!

 

耐えきれず時計を落とした。

 

「モテてモテて困るのぅ」

 

何も言うな

 

 

「まったく、忙しいのに呼び出さないでよクソ提督」

 

何故か機嫌が良さそうな曙。

 

「オレ、今度、龍田と結婚するんだ」

 

「え」

 

曙はそのまま後ろをむいて、

 

「へ、へぇ。そう。好きにすればいいじゃない」

 

「あ、あたし、用事があるから!!」

 

曙はそのまま部屋を出ていってしまった。

 

追いかけると、廊下の角にいた。

 

「うぇぇぇぇぇん。提督、他の娘と結婚したら、やだぁ」

 

号泣する曙。思わず時計を取り落としてしまった

 

 

「こうなるとわかっておったじゃろう」

 

「いや、曙に嫌われてるかなって」

 

「お主、脳ミソが腐っておるのか」

 

罪悪感を感じるし、次!!

 

 

「ぽい。提督さん。ご用事なーに?」

 

夕立がぴょんぴょん跳びながらやってきた。

 

「オレ、今度、龍田と結婚するんだ」

 

「え?」

 

夕立は少し、沈んだ表情を見せた後、

 

「ねぇ提督さん。幸せな家庭にはワンちゃんが必要だと思うっぽい?」

 

「まぁ、言いたいコトはわかる」

 

小さいけど赤い屋根の庭付き。ペットに白くて大きな犬か。

 

夕立はハァハァ言いながら、

 

「ここに、おトイレの躾もできて、ヨソのイヌにも吠えない、ちょっとご主人様が大好きなワンちゃんがいるっぽい」

 

イヌミミっぽい髪をパタパタさせながら机にかじりつく夕立。

オレは頭を抱えながら時計を落とした。

 

 

「ニートの妹を養って、幼女に世話を焼かれながらペットと称して少女を飼う」

 

「やめろ!」

 

最低のクズ野郎じゃないか!!!

 

 

「何の用事かな?提督?」

 

いよいよラスボス、時雨だ。

一応、腹にシャンプを入れてある。念のためだ。

 

「オレ、今度、龍田と結婚するんだ」

 

その瞬間、時雨のハイライトさんがお仕事をやめて、漆黒の闇と化した。

 

「ねぇ提督」

 

地獄の底から響くような声で、

 

「独身生活で最後の火遊びって興味ない?」

 

制服からネクタイを外しながら呟く。

 

「大丈夫。責任とれって言わないからさ」

 

時雨がスカートを外そうとしたところで時計を叩き落した。

 

 

「あれはお主に絶対に責任を取らせる気だな。なんなら、そのことを結婚相手に伝えて修羅場を作るまであるぞい」

 

うーむ。やはり、恐ろしい。

腹からシャンプを取り出しながら思った。

 

コンコン

 

「何の用事かな?提督?」

 

時雨が入って来た。

 

「あー、昨日の資料ってドコにしまったっけ?」

 

「左の棚の上から2段目だよ。ところで」

 

あっさりと答える時雨。

 

「左手の指輪は何かな。ねぇ提督?」

 

ヤバ!シャンプを外すので、指輪外すの忘れてた

 

「ただのファッションだよ」

 

時雨はハイライトをお休みさせながら、

 

「それ、ぼくも欲しいなぁ。ねぇ提督?」

 

ぎゃ〜!!!

 

 

 

 

後日、時計は厳重に梱包して明石に送り返した

 

 

 




クロノクロック

パープルソフトウェアの作品

ウチのぼのたんよりデレなツンデレデレデレな後輩が可愛い


さて、次回は、

提督への願い事をかけて戦う乙女達。
与えられる武器は水鉄砲?

次回、「G.I.B〜ガールズ、イン、バトル」

そこんとこ、ヨロシク


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テーブルトークス

皆さま4連休最終日いかがお過ごしでしょうか?

そろそろ1週間連勤している画面です。

作者の都合により、「G.I.B〜ガールズ、イン、バトル」はお送りできませんが、何も投稿しないよりはと思い、投稿します。

今回は思いつきのしりとり回です。

次回こそ、「G.I.B〜ガールズ、イン、バトル」をお送りします。多分




「あの、司令官。しりとりをしませんか?」

 

「ん?あぁ」

 

そばにいた朝潮が声をかけるが、森でどうぶつ達と虫取りに忙しいオレは生返事を返す。今日中に後、5千ベルほど貯めて欲しい家具を購入したいのだ。朝潮の相手はそれからだな

 

「では、朝潮から参ります。しりとりのり」

 

「リンカーン」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「も、もう。司令官ってば、しりとりは『ん』がついたら負けなんですよ」

 

「あぁ」

 

「次はちゃんとお願いしますね。しりとりのり」

 

「呂布奉先」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「もう!!司令官!『ん』はダメなんですってば!!いいですか、しりとりのり」

 

「リトアニア大使館」

 

「もう!もう!司令官ってば、この朝潮をからかってますね。さすがにこの朝潮でも気づいてしまいました。次に『ん』が付いたらいくらこの朝潮でも怒ります。怒りますからね!いいですか」

 

いい加減からかい過ぎたか。仕方がない。真面目にするか

 

「しりとりのり」

 

「リトマス試験紙」

 

「司令官!」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「えっと、では3勝1敗ということで」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「うぇーん。司令官のバカ〜」

 

朝潮は泣きながら部屋を飛び出してしまった。

 

でも、最後のヤツはオレ悪くないよな?

 

 

「見たよ提督。ダメじゃないか。朝潮を泣かせたりしたら」

 

部屋にはいつのまにか時雨が来ていた。

 

「ねぇ提督。ボクも提督としりとりがしたいな」

 

また適当に『ん』で終わらせるか

 

「負けた方が罰ゲームで勝者が敗者に好きな命令できることでいいかな」

 

さて、真面目にやるか。時雨に負けたら何を命令されるかわからないからな!!

 

「じゃあ、ボクから行くよ。しりとりのり」

 

「リンス」

 

「好きだよ」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「ヨークシャーテリア」

 

「愛してる」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「ルビコン川」

 

「私とケッコンして」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「寺」

 

「ラブラブなケッコン生活」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「釣鐘」

 

「ねぇ提督。ボクとケッコンして欲しい」

 

「家」

 

「エッチなのもアリだと思います」

 

「水素」

 

「そろそろ返事を聞かせて欲しいわ」

 

「悪いがそれはできない」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「時雨、『い』だ」

 

「いや、そんなこと言わないでお願い」

 

「イェスかノーかで言えばノゥ」

 

「うわーん。提督のバカ〜!!!」

 

時雨も泣きながら走り去っていった。

すまんが、まだ人生の墓場にダイブインするつもりはないんだ。

 

えーと、時雨の「うわーん」で『ん』がついたからオレの勝ちでいいんだよな?

 

えーとつまり、今日も鎮守府は平和であったと。ムリヤリまとめてみました。

 




「のーぶる☆わーくす」

ゆずソフトの作品。
メイドさんがかわいい。
キャラクターの名前が刀になってるのが特徴である。


ちなみに、しりとりで愛の告白をするのは「のーぶる☆わーくす」ではなくてラノベ「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよね」のパロディです。
語尾や一人称が所々おかしいのはしりとりの都合だと思ってください。

次回こそ「G.I.B〜ガールズ、イン、バトル」をお送りします。

次回予告が自分のクビを締めるのでいい加減辞めた方がいいのかな?


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G.I.B〜ガールズ、イン、バトル

絶好の行楽日和を皆さまいかがお過ごしでしょうか?


本当はお盆くらいに投稿しようと思っていたのですが、作者の遅筆故に秋になってしまいました。
遅くなった分、かつてないほどのボリュームでお送りします


「さぁ、始まりました!第32回(本当は初めてだけど)艦娘夏のバトル大会!司会実況は私、提督が、解説は」

 

「エラーネコ、とよんでください」

 

「エラーネコさんでお送りします。まずはルールの説明をします。選手は初期装備のお風呂の水鉄砲やフィールド内のアイテムを駆使してほかの選手に水をかけてください。フィールド内各所にいる審判妖精さんが命中と判定されたらその場で失格となります。自分以外の全員が失格になれば優勝です」

 

「それでは選手の紹介をしましょう!まずはこの方、速きこと島風の如し!島風選手!」

 

「島風、水鉄砲戦に入ります!」

 

「今回はどのような作戦で?」

 

「圧倒的な速さで他の選手を翻弄します!」

 

「ありがとうございます!」

 

「島風さんのスピードは折り紙つきです。回避に重点を置き、隙を見て反撃する作戦ですね」

 

「続きまして、やればできる子、望月選手!」

 

「ハイハイ、望月出ますよー」

 

「今回はどのような作戦で?」

 

「あー、ほかの選手が潰しあって残った選手を倒す作戦かな?」

 

「ありがとうございます」

 

「体力や、水を温存し、疲れたほかの選手と戦う。トーナメントではなくバトルロイヤルルールを使った上手な作戦ですね」

 

「続きまして、聖母、雷選手です」

 

「逃げるなら今のうちだよ?」

 

「今回はどのような作戦で?」

 

「司令官への愛よ!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「一見、作戦になっていないようですが、どのような戦いも最後はメンタルです。強いメンタルを維持し続けることが勝利への道かもしれません」

 

「な、なるほど。続きまして、孤島のメイド!漣選手です!」

 

「キタコレ!」

 

「今回はどのような作戦で?」

 

「バトル□ワイヤルを全巻読破しました!これで勝つる!」

 

「ありがとうございます」

 

「参考作品を読んで勉強する。いつもふざけているようでまじめな漣さんらしい作戦ですね」

 

「続きまして、皆さまお待ちかね!ツンデレ天使!曙選手です!」

 

「何よそのキャッチコピー!冗談じゃないわ」

 

「今回はどのような作戦で?」

 

「精一杯頑張ります」

 

「ありがとうございます」

 

「臨機応変に柔軟な判断を。現場では常に求められますね」

 

「素っ気ないコメントを膨らませていただき、流石ですね。続きまして、最凶の忠犬!時雨選手です!」

 

「ここは譲れない!」

 

「今回はどのような作戦で?」

 

「持ち前の幸運を生かして、強力なアイテムを手に入れられたらゲームを有利に展開できると思うよ?」

 

「ありがとうございます」

 

「運頼みのようですが、強力なアイテムを入手すると、ほかの選手はそのアイテムを使えません。一石二鳥の作戦ですね」

 

「そして、鎮守府の良心、朝潮選手」

 

「いつでも受けて立つ覚悟です」

 

「可愛いらしい意気込みですね。今回の作戦は?」

 

「特にありません。一生懸命頑張るだけです」

 

「ありがとうございます」

 

「艦娘といえど、可愛い後輩にいざとなったら銃口を向けにくいものです」

 

 

「それでは最後に、今回の優勝候補、孤島の狂犬、夕立選手です!」

 

「さぁ、素敵なパーティーしましょう?」

 

「今回はどのような作戦で?」

 

「ぽい!先手を取って、攻撃あるのみっぽい!」

 

「ありがとうございます」

 

「攻撃は最大の防御。猛攻で相手に攻める隙を与えない。夕立さんらしい作戦ですね」

 

「それでは選手のみなさんは、事前にくじで決めたスタートポイントに移動してもらいます。」

 

「えー、今回の大会の優勝者には、商品として間宮羊羹10本と、え?副賞として、提督にお願いを聞いてもらえる券?おい、ちょっと待て聞いてないぞ運営?」

 

「あ、選手のみなさんがスタート位置についたみたいですね。それではスタート」

 

ゴーン!

 

「オィィィィ!」

 

「序盤はどうしてもアイテムと対戦相手を探す時間になりがちなので、その間、各選手に聞いた副賞のお願いを発表したいと思います」

 

「ねぇ、その副賞って提督権限でナシにできない?」

 

「ダメです。今さらナシしたら暴動が起きます」

 

 

「おや、曙選手、提督私室前からスタートし、近くにある宝箱から、ポンプ式水鉄砲を手に入れましたね」

 

「最大射程30cmから50cmになりました。300mlのタンクもありますからかなりの戦力アップですね」

 

 

「早速ですが、島風選手と時雨選手がバトルになったようです!」

 

「島風選手はマグナムみたいな水鉄砲を入手!射程は倍の50cmです。銃自体の大きさも、やや大きめなので、タンクの水も多めに入っていると思われます。加えて、島風選手のスピードも加味して、時雨選手の方がやや不利か?」

 

「おーっと、時雨選手、戦場から撤退を選択した!」

 

「コレは悪手ですね。スピードで勝る島風さんが相手ですから、すぐに追いつかれると思われます。時雨さんにはなにか考えがあるのでしょうか?」

 

「おや、時雨選手、全速力で廊下の角を曲がったかと思ったが、すぐに柱の影に隠れた!」

 

「追いかける島風選手。そのまま全速力で走り、豪快に転倒!どうやらワックスが塗りたてのようです。そのまま食堂へダイブイン!ここで審判妖精さんがレッドカード!」

 

「今回の大会には何箇所か、侵入禁止エリアがあります。各私室や工廠、司令室などで、食堂も禁止エリアに含まれます」

 

「禁止エリアに入れば即座に失格になるルールを逆手に取った作戦でした」

 

「島風選手、今のお気持ちを一言」

 

「すべては私の速さが足りないからです。もっと速くなるように努力します!」

 

「ちなみに、島風選手の希望は、「提督同伴で鈴鹿でレースが見たい」でした」

 

あぶねー。オレのお財布が大破するところだったわ!

 

 

「さて、漣選手が、宝箱を発見したようですね」

 

「彼女はまだ初期装備なので、是が非でも強力なアイテムが欲しいところです」

 

「さて、箱の中身は?」

 

箱の中には、アイテムじゃなく、1匹の妖精さんが水鉄砲を持って待ち構えていた。

しまったと思ったがもう遅い。漣は顔面に水を浴びさせられた!

 

「あべし!」

 

「ここで審判妖精さんが命中の判定!漣選手、失格です!」

 

ずぶ濡れになった漣に対して、

 

「漣選手、今回の敗因は?」

 

「宝箱にはトラップ感知。RPGの鉄則を疎かにしてしまいましたね」

 

「今のお気持ちを一言!」

 

「さみぃ。寒いよ!団長!」

 

「漣選手ありがとうございました」

 

 

やめなさい。縁起でもない。

 

 

「なお、漣選手の希望は、「提督とコミケ参戦」でした」

 

島風以上に財布が大破するヤツだ!

 

 

 

「おーっと、食堂前からスタートした望月選手、倉庫を探索してると思いきや、緩衝材をマクラに昼寝を始めた!」

 

「果報は寝て待て。ですね。しかし、世の中そう甘くありません。妨害妖精さん!」

 

倉庫の入口で妖精さんサイズの水鉄砲を構えて敬礼している!

 

妨害妖精さんは、入口から堂々と入って、望月の前で水鉄砲を構える。そして、

 

「ぶぶは!」

 

望月の顔面に、盛大に水が命中した。当然、審判妖精さんが命中の判定をする!

 

「えー、望月選手。今回の敗因は?」

 

「あー、展開のアヤですかね?」

 

いや、お前のヤル気のなさが原因だろう。

 

「今のお気持ちを一言」

 

「水でも被って反省します」

 

「望月選手ありがとうございました」

 

「えー、望月選手の希望は、1ケ月の有給休暇でした。これは提督にとってかなり助かったのでは?」

 

「正直、望月が1ケ月いないとかなり困ります」

 

「それでは、他の選手の様子を見てみましょう」

 

 

 

「おや、時雨選手と朝潮選手が会敵したみたいですね」

 

「し、時雨さん」

 

両手で水鉄砲を構えた朝潮。初期装備のままである。

 

しかし、時雨は構えないまま、

 

「朝潮、提督が呼んでたよ」

 

「え?そうなのですか?」

 

朝潮は戦闘中であることを忘れて、時雨に背を向けて走り出した。が、

 

パン!

 

「「撃った〜!!!」」

 

朝潮の背中に容赦なく発砲した時雨

 

審判妖精さんも当たりの判定を下す。

 

そのまま退場する朝潮。

 

「今回の敗因はなんでしょう?」

 

「全ては自分の未熟さが招いたことです」

 

いや、朝潮は悪くないぞ。強いて言えば、人を信じすぎたことかな。

 

「ちなみに、朝潮選手の希望は、司令官に抱っこされながら頭をナデナデして欲しい。でした」

 

クソ!その程度なら叶えても問題なかったのに!

 

「朝潮選手。ありがとうございました」

 

 

 

「さて、こちらでは曙選手と雷選手が会敵したみたいです」

 

 

それは艦娘として多くの実戦をこなしたからこその咄嗟の反応だった。

 

パン!

 

破裂音と共に、曙がさっきまでいたところに水たまりができていた。

 

「あら、よく躱したわね。曙」

 

「雷!」

 

「ごめんなさいね、曙。貴女を倒して私は司令官を手に入れるの」

 

そう言いながら何かを投擲する雷

 

「雷選手の武器は水風船です!夜店で買った水風船を落として破裂させてしまった思い出がみなさんあるのではないかと思います」

 

水風船は直撃を避けても、地面で破裂したら水を周囲に撒き散らす。かなり大きく避けないといけない曙の体力を削っていく

 

「くっ!!」

 

バランスを崩してしまった曙。地面に転がってしまい、回避は難しそうだ。

 

「これで終わりよ」

 

大きく振りかぶる雷!

しかし、一瞬早く曙が小石を投げて水風船に当てた。

 

パン!!!

 

雷の手の中で破裂する水風船。当然、雷の手は水浸しになってしまった。

 

審判妖精さんが当たり判定を下した。

 

 

「雷選手。ズバリ、今回の敗因は?」

 

「雷が頼りなかったから。こんなことでは司令官に頼ってもらえないわね」

 

「なお、雷選手の希望は、『司令官が私のヒモになること』でした。高等遊民になり損ねましたね」

 

「お黙り!」

 

流石にヒモはダメだろう。

 

 

 

「ぽーい」

 

曙の目の前を水の線が走る!

 

咄嗟に避ける曙。

 

「曙選手と夕立選手が会敵!夕立選手は今大会最強のアイテム『庭の散水ホース』を装備しています」

 

「ホースの長さ20m。放水距離がMAX2m。弾数は蛇口に繋がっている限り無限というまさにチート兵器」

 

「夕立選手の攻撃的な性格と相まって、まさに水砲台。これを倒すのはかなり難しいでしょう」

 

 

 

実際、曙は窮地に立たされていた。

自分の水鉄砲では届かない飛距離。無限に出る水。蛇口から広範囲に動くことができる。

しかも、それを持っているのは鎮守府一の狂犬、夕立なのだ。

物陰に隠れたものの、状況の打開策が思いつかない。

 

「曙」

 

声がする方に反射的に水鉄砲を向けると、別の物陰に隠れた時雨がいた。

 

「ねぇ曙。夕立を倒すのに協力しない?」

 

「はぁ?同盟中にアンタが裏切ってこない保証がドコにあるのよ?」

 

「仮に同盟と見せかけて曙を倒してもボク1人では夕立を倒すのは難しい。それは曙も同じでしょう?」

 

「悔しいけど、そうね」

 

「だからボク達は夕立を倒すまでお互いを裏切れない。裏切った瞬間、夕立の勝ちが確定してしまうから」

 

「なら」

 

「同盟成立だね」

 

 

 

「時雨選手と曙選手が協力して夕立選手と戦うようです」

 

「こうした同盟、裏切りもバトルロイヤルの醍醐味の一つですね」

 

 

 

「上等っぽい!2人まとめてかかってくるっぽい!!」

 

ババババババ!!!

 

曙は必死に夕立からの攻撃を回避し続ける!

 

「曙はオトリになって夕立を引きつけて。ボクがその隙に蛇口を閉めるから」

 

 

「ポ〜イ!ちょこまかと逃げないで大人しく諦めるっぽい!」

 

曙も時々反撃するが、自分の水鉄砲と夕立の散水ホースでは射程が全然違う。

 

「あ!」

 

ずっと走り回って疲労の溜まった状態だったからか、とうとう足がもつれて転んでしまった

 

「ククク。バイバイ、曙ちゃん」

 

夕立が狂犬のような表情でホースの先端をこちらに向ける。この距離ならまず外さないだろう

 

カチッ!

 

「ポイ?」

 

カチッ!カチッ!

 

ホースの先端から水が出てこない!ホースの反対側、蛇口を時雨が押さえていた。

 

パン!

 

「ポイ⁉︎」

 

夕立が驚いた隙に素早く水鉄砲で撃つ曙!

審判妖精さんも当たりの判定を下した。

 

「ポイ〜」

 

心なしかイヌミミっぽい髪も垂れているように見える

 

「今回の優勝候補、夕立選手を2人のタッグで見事破りました。夕立選手、ズバリ、今回の敗因は?」

 

「曙ちゃんに気を取られて、時雨ちゃんに気付かなかったっぽい」

 

「夕立選手、ありがとうございました。ちなみに夕立選手の希望は『首輪を買って着けて欲しい』でした」

 

「・・・ゆ、夕立もチョーカーとかに興味を持つ年頃になったんだなぁ。アハハ」

 

「『首輪を付けて飼って欲しい』じゃなくてよかったですね」

 

「織田マリ!!」

 

 

 

「さぁ、いよいよ決勝戦ですね!時雨選手と曙選手、果たしてどちらが勝つのでしょうか?」

 

「2人とも歴戦の戦士。どちらが勝ってもおかしくないでしょう」

 

「ではここで時雨選手の希望を公開します」

 

イヤな予感しかしない

 

「ケッコンカッコガチ」

 

「曙!何が何でも勝て!!!」

 

「おやおや、実況の提督さんが露骨な贔屓を始めてしまいましたね」

 

当たり前だ!

 

「しかし、いつのまにか夕立選手が使っていたホースを時雨選手が手にしてますね」

 

ウソだろ

 

 

 

「フフフ。ボクは夕立と違って蛇口から離れたりしないよ?これでボクの勝ちだね。曙?」

 

「ック」

 

「ゴメンね曙。でも、ボクも譲れないんだ」

 

だが、ここで曙は近くを走っていたホースを引っ張った!

 

ノズルを奪われないように引っ張り返す時雨。

 

その結果、ホースの蛇口側が外れて、

 

「くぁばせ!」

 

全開に開かれていた蛇口から吹き出した水が時雨に直撃!

 

ずぶ濡れになった時雨。妖精さんの判定を見るまでもなく、曙の勝利だ!

 

 

 

「よくやった曙」

 

表彰式で曙の頭を撫でる

 

「何よ!べ、別にアンタのタメに勝った訳じゃないんだからね!」

 

相変わらずツンツンしてるが、頭を撫でる手を振り払ったりしない。

 

 

「えー、では、副賞の間宮羊羹を贈呈します」

 

エラー猫さんがマイクに向かって話す

 

「続きまして、曙選手の希望ですが」

 

エラー猫さんが少しタメた後、

 

「私を秘書艦にすること」

 

曙の顔が真っ赤になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「G.I.B〜ガールズ、イン、ブラック」

ワールプールの作品
地球には実は宇宙人が来ていて、宇宙人を目撃した人の記憶を消すサングラスに黒スーツの映画のパロディゲーム

ドジなクラスメイトがかわいい。


他にも、ハーメルン様で拙作「オレの周りの女の子達がフルネームを教えてくれない」を投稿しています。
現代日本で正体を隠した艦娘と何も知らない主人公とのラブコメです。
何か思いついたら次回予告を書きます


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ハロー!雪風(前編)

祝!雪風改ニ!

実装されたので急遽書き上げました。


あなたは改ニ?それとも丹陽?


それは突然のことだった。珍しく本部から分厚い資料が送られてきた。艦娘の詳細なデータだ。わざわざ直属の提督の所見書まで添付してある。

 

「どうしたんだい提督?」

 

秘書艦をしていた時雨がたずねた。

 

「鎮守府に新しい艦娘が来るらしいぞ」

 

「その割に浮かない顔だね?」

 

「所見書の端々にこの娘が問題児だと書かれている。一応は本人の希望による異動という建前だけど、程よく追い出したんだ」

 

「そんな・・・」

 

 

新しい艦娘が着任することはみんなに伝えた。

 

「何よ!それじゃあウチの鎮守府が左遷先みたいじゃない!」

 

曙が怒るのも当然だ。

 

「まあまあ。ところで、問題児ってどんな娘だろう?」

 

「はい!きっと、サングラスかけて、釘バット担いで、ヤンキー座りしてるような娘じゃない?」

 

「いやいや。島風、そんな典型的な不良がいるわけないじゃない」

 

「きっと望月を重症化したような娘じゃない?引きこもって部屋から出ないとか」

 

「或いはヘンな宗教にハマっているのかも知れませんぞ?食堂で隣に座ると『貴方はこの世界の真実に気づいていますか?』みたいな」

 

それはやだなぁ。

 

 

やがて、新しい艦娘が着任する日がきた。

 

「陽炎型駆逐艦8番艦雪風です。どうぞよろしくおねがいします」

 

あどけなさの残る少女。しかし、明るさはなく瞳もどこか虚ろだ。

 

「あぁ。もっちー系かぁ」

 

「私を問題児みたいに言わないで。私はちゃんとするべきことはしてる」

 

「サングラスにバット担いでいる感じじゃないっぽい」

 

「望月よりも引きこもりなんて、とってもお世話し甲斐があるわ!」

 

「や〜め〜て!」

 

さっきから何故か望月にダメージが入っている

 

「あの、引きこもりなのは気合いと根性が足りないからです!この朝潮、雪風さんのお姉ちゃんとして雪風さんに特訓します!」

 

「朝潮、アンタいつから熱血キャラになったのよ」

 

こうして朝潮が雪風の面倒を見ることになった

 

 

 

朝潮と雪風は2人でひと通り鎮守府を回った。

 

「ここが雪風さんのお部屋です。我が鎮守府では艦娘一人一人に個室が与えられています。なのでお部屋の整理整頓は自分できちんとしなければいけません」

 

「・・・はい」

 

「さて、今日はバタバタしてまだご飯を食べていませんでしたね。今から食堂に案内します」

 

「・・・はい」

 

 

雪風が食堂の扉を開けた途端に、

 

パン!パン!パン!

 

「「雪風、孤島鎮守府へようこそ!」」

 

朝潮は雪風をテーブルのお誕生日席に連れて行く。

 

「ほら雪風、ケーキだよ」

 

しかし、雪風は

 

ポロポロ

 

雪風は涙を流し、嗚咽する

 

「ゆきかじぇ、こんなことしてもらえる娘じゃないんですぅ」

 

雪風が泣きながら話した内容をまとめると、

 

雪風の所属していた鎮守府で大規模な作戦があった。しかし、作戦は失敗。轟沈者こそ出さなかったものの、戦艦・空母の多くが大破。消費した資材の割りに得るもののない結果に終わった。

そんな中、1人だけ無傷だったのが雪風だ。

鎮守府提督も周りの艦娘も何も言わなかったが、多くの視線が向けられた。雪風が自分の身を優先して主力艦の護衛を怠ったのではないかと。

その悪意に耐えられず、雪風は転属願いを出した。戦艦も空母もいない鎮守府へ

 

「そんな・・・」

 

曙はショックで言葉が出ないみたいだ。

 

「ぐすん。だから、ゆきかじぇ・・・」

 

「雪風」

 

オレは雪風の頭を撫でながら、

 

「ここには守るべき空母も戦艦もいない。仲間は守らないといけないがそれは雪風が1人で守るんじゃなくてみんながお互いがお互いを守るんだ」

 

「・・・はい」

 

「ここには雪風のことを悪く言う娘はいない」

 

「・・・はい」

 

「さぁ、折角用意したご馳走が冷めてしまうぞ。食べよう食べよう」

 

「はい!」

 

雪風は口の周りをクリームだらけにしながら、

 

「しれぇ!おいひいですぅ」

 

 

「ふふ。雨はいつか止むさ」

 

「流石、提督!雪風を笑顔にするのも速〜い」

 

「雪風ちゃん、笑えるようになってよかったっぽい」

 

「雪風が、望月よりお世話出来ないのは残念だけど、よかったわ」

 

「まぁ、クソ提督にしてはやるじゃない」

 

「結果オーライですなご主人様?」

 

「これで私に流れ弾が飛んで来なくて良かったよ」

 

「この朝潮、雪風さんのお姉ちゃんとして、これからもビシビシ鍛えていきます」

 

 

「さて、このままだと、雪風1人に全部食べられるぞ」

 

わぁー!

 

その夜遅くまでみんなと盛り上がった。

孤島鎮守府に新しい仲間が加わった!

 




ハローレディー

暁ワークスのゲーム

セカンドOPが名曲

ちなみにタイトルのハローは挨拶ではなく陽光


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ハロー!雪風(後編)

この話は後半です。前半をまだ見てないかたはそちらからどうぞ

前回の続きで雪風視点です。


雪風がケーキを食べ終えたタイミングで、朝潮さんがみんなの紹介を始めました。

 

「コホン。では改めて鎮守府のみなさんを紹介しますね」

 

「まず、この朝潮は朝潮型駆逐艦です!この朝潮のことは朝潮お姉ちゃんと呼んでください!」

 

そして、一番近くにいる長い金髪の艦娘から、

 

「ステを速さに全振りしてる島風さんです」

 

「やだ、朝潮。褒めないでよぉ」

 

「それ褒めてるの?」

 

それから、ずっとしれぇとイチャイチャしてた艦娘を指して、

 

「こちら曙さん。ツンツンしてますけど、本当は司令官のことがとっても大好きなんですよ」

 

「べべべべ別にクソ提督のコトなんて大っ嫌いだし!」

 

「ね?」

 

本当に曙さんはしれぇが大好きなんですねぇ

 

「その横が漣さん。司令官大好きな曙さんをからかってるようで本当は自分も大好きなのを隠してるちょっと面倒くさい方です」

 

「ちょっ!アサシン。言い方キツ過ぎじゃない?」

 

ひるどら?

 

「反対側が雷さん。隙あらば司令官をダメにしようとしてる、鎮守府のお母さんです」

 

「もう、朝潮ったら〜そんなに褒めないでよぉ〜」

 

確かに。今日のご馳走も雷さんが作ったと聞いてます。美味しいご飯を作ってくれる方ですね

 

「この方が望月さん。面倒くさがりなのに司令官に構ってもらえるちょっとズルい方です」

 

「いや、別に好きで司令官にイジられてる訳じゃないし。てゆーか朝潮、さっきから毒舌じゃない?」

 

なるほど!構ってちゃんというヤツですね!

 

「あちらのイヌミミっぽい髪型が夕立さん。おっぱい大きいのに、ぽいぽい言って司令官に抱きついているズルい方です」

 

「ポイ!朝潮ちゃん酷いっぽい」

 

なるほど。確かに駆逐艦とは思えないおっぱいです。雷さんや望月さんと同じモノを食べているハズなのに?

 

「その隣が時雨さん。時雨さんは裏表のない素敵な方です」

 

「「「いやいや、時雨(ちゃん)だけおかしくない?(ぽい)」」」

 

みなさんが朝潮お姉ちゃんを取り囲むと、

 

「朝潮?その手のメモは何かな?」

 

望月さんが朝潮お姉ちゃんの手にメモを見つけました

 

「はわわわ!べ、別に時雨さんからキャラメルをもらったりしてませんよ?」

 

「あ〜さ〜し〜お?」

 

時雨さんがゴゴゴ!という音を立てながら、笑顔で朝潮お姉ちゃんにつぶやきます。

 

「はぅ」

 

「はぁ。朝潮は相変わらずウソがつけないんだから」

 

呆れたような表情で曙さんがボヤきます

 

「そして!この方が我らが鎮守府で1番エラい司令官です!」

 

しれぇは、はにかみながらも、

 

「おいおい朝潮。なんて紹介の仕方をするんだ」

 

しかし、朝潮お姉ちゃんは気にせず、

 

「司令官は優しくて格好いいし、お仕事もできて、鎮守府のみなさん大好きなんですよ〜」

 

「オイ!やめろ!雪風へのハードルが棒高跳びみたいに暴騰するだろうが」

 

 

 

 

みなさんとても個性豊かで楽しそうな鎮守府です!

これからよろしくお願いしますね!

 




ゲームは前半で紹介したので省略

次は年末かな?


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悩める2人とシレイのこたえ

さて、今年も残りわずかとなってまいりました。
今年の年末年始は帰省されない方も多いみたいですね。
画面はもちろん仕事です!


今回は某芸人さんのネタが元になっています


「「どーも。さざもっちーでーす。」」

 

「ねぇ漣。この前ね、司令官の好きな艦娘を聞いたら、色々特徴は覚えているのだけど、肝心の名前を忘れちゃったの」

 

「えー!好きな艦娘の名前を忘れるなんてどうなってるの司令官!」

 

「私も色々聞いたのだけど分からなくて」

 

「まぁ、いいわ。なら、司令官の好きな艦娘を一緒に考えてあげる。何か言ってなかった?」

 

「どうもその娘、出撃して今まで一回も被弾したことないらしいの」

 

「それ雪風じゃない?そんなこと出来るの鎮守府広しといえども、雪風かラッキー○ンくらいよ。ウチの時雨にだって無理だわ。雪風に決まりよ」

「それがわかんないの」

 

「何がわからないの?」

 

「私も最初は雪風かなって思ったのだけど、司令官が言うには、その娘、巡洋艦らしいの」

 

「巡洋艦?なら、雪風じゃないわね。あの娘、ザ、駆逐艦って体型だもの!他には何か言ってなかった?」

 

「どうもその娘、下を穿いてないらしいのよ」

 

「それは雪風よ!あたしゃ、いつあの娘のパンツが見えないかヒヤヒヤしてたのよ。時津風はまだ、黒タイツ穿いているから大丈夫そうだけども、雪風はアウトね。あんなにパンツ見えそうなのは、雪風かワカ○ちゃんくらいよ。○カメちゃんは艦娘じゃないから雪風に決まりよ」

 

「それがわかんないの」

 

「何でわからないの?そんな特徴、雪風以外にはありえないでしょ?」

 

「私も最初は雪風かなって思ったのだけど、司令官が言うには、彼女、グラマラスボディらしいのよ」

 

「グラマラスボディ?なら雪風じゃないわね。あの娘、グラマラスと対極のロリッロリだもの。正直、択捉・松輪・佐渡・雪風って並んでいても違和感ないもの。雪風じゃないわ。っていうか、下を穿いてないグラマラスボディの巡洋艦って痴女じゃない。そんな娘いたかしら?何か他の特徴はないの?」

 

「その娘、舌っ足らずで『司令』が上手く言えなくて『しれぇ』になるらしいのよ」

 

「そんなの雪風やないかーい!いくら司令官をヘンな呼び方する娘が多い鎮守府でも、そんな呼び方するの雪風だけでしょう?雪風以外にはありえないわよ?」

 

「そうそう。司令官を『ご主人様』とか呼んじゃう艦娘もいるし」

 

「それは今はいいの!とにかく、雪風に決まりよ!」

 

「それがその娘、46cm砲を装備してるらしいのよ?」

 

「なんなのその艦娘?本当に実在する?」

 

「私も分からなくて、島風に相談したのよ」

 

「そしたらなんて?」

 

「司令官が好きなのは翔鶴さんじゃないかって」

 

「そんなワケあるかーい!」

 

「「どうもありがとうございました〜」」

 

 

パチパチパチパチ

 

 

「えー望月さんと漣さんによる漫才でした。ありがとうございました」

 

司会の朝潮が緊張しながら進行する。

今日は鎮守府の忘年会だ。艦娘のみんながそれぞれ出し物をしている。望月と漣は2人で漫才をしていた。

 

「いや〜、漫才なんて決めたネタを言い合うだけだと思ったら、意外と大変だったわ」

 

「いやいや、もっちーはネタ出ししてないじゃんか!あのネタ全部あたしが考えたんだからね」

 

「ネタは全部漣が考えてくれるっていう条件で相方を受けたワケだし」

 

「むー」

 

「まあまあ」

 

少し険悪な雰囲気になりかけたので仲裁する

 

「ところでご主人様?」

 

「司令官の好みの艦娘って誰?」

 

漣と望月がにじり寄ってくる。

 

「あー。ワガママボディで46cm砲が装備できる巡洋艦かな?」

 

「あー!ご主人様が逃げた!」

 

「コレは追いかけて追求するべき」

 

 

「あの〜雷さんの手品が披露出来ないのでお静かにお願いします〜」

 

司会の朝潮が泣きそうだ

 

 

忘年会の夜が更けてゆく

 

 

 

 

 




「迷える2人とセカイのすべて」

LASSのゲーム

某モグラ氏オススメのゲーム


次は年明けになるので、それでは皆様、良いお年を!


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正月サクラメント

皆さま、あけましておめでとうございます。
年末年始ももちろん仕事の社畜、画面です。
今年も「孤島鎮守府の奮闘」をよろしくお願いします。




「「明けましておめでとうございます」」

 

色とりどりの振袖着てみんなが挨拶する。

 

「明けましておめでとう。今年もよろしく頼む」

 

オレもみんなに挨拶する。

 

みんなにお年玉をあげたら解散となった。

 

 

 

コタツには島風と望月がいる。島風はテレビを見ていて、望月は反対側で本を読んでいる。

意外な組み合わせだ。島風なんてコタツでおとなしくしてるタイプじゃないと思うが。

 

「何見てるんだ?」

 

「彦根駅伝」

 

あー、正月に琵琶湖を一周するやつか。島風の速さへの興味は駅伝でもいいのね。

 

「どこか応援してる大学でもあるのか?」

 

「ううん。でもみんな速いから!」

 

島風らしいや。

 

 

望月は相変わらずよくわからない本を読んでいた。

 

「あけましておめでとう望月」

 

「ん?あー、司令官。あけおめあけおめ」

 

相変わらずだなぁコイツは!

 

まぁいい。正月からうるさく言っても仕方がない。

 

「風邪引くなよ?」

 

ほかの娘の様子でも見てくるか。

 

「司令官」

 

「ん?」

 

「今年もよろしく」

 

望月は本から目を離さないまま言った。

 

 

娯楽室で何故かベ○ブレードをしてる漣と曙がいた。

 

「3、2、1。ゴーシュート!」

 

「・・・何やってるんだ?」

 

「あ、クソ提督。漣が急にやろうと言い出したから押し入れから引っ張り出してきたのよ」

 

「なんで急に?」

 

「ほら、お正月といえばコマじゃないですか。でも紐だと上手く回せないから。それでベイ○レードを」

 

なんつーか。どこからつっこんだらいいのか。まあ、2人が楽しそうならいいのか。

 

「振袖を汚すなよ」

 

 

部屋で雪風が机に何かを広げている

 

「雪風、何してるんだ?」

 

「あ、しれぇ。宝くじの当選番号を確認してるんです」

 

「ふーん。10万円くらい当たったか?」

 

「えっと、10億円当たりました」

 

「じじじじ10億円!!!」

 

10億円あったら麻布か白金で豪邸を買って、スポーツカー乗り回して、美人をはべらして・・・

 

「あー。ちなみに雪風くん?その10億円は何に使うのかなぁ?」

 

「世界の恵まれない子ども達に寄付します」

 

満面の笑みで言う雪風。ま、眩しい!!オレが汚れた俗物に見える

 

「そ、そうか。世界の子どもが救われるといいな」

 

「はい!」

 

うーむ。これが幸運の秘訣なのかもしれない

 

 

窓から晴れ着のままスコップを担いでいる夕立を見つけた。何しようとしてんだアイツ?

 

「夕立?何やってんだ?」

 

「ポイ!これから、かまくらを作るっぽい!やっぱりお正月といえばかまくらっぽい」

 

だが、残念ながらこの島は暖かく正月でも雪はまず降らない。

 

「夕立、残念だが外に雪はないぞ?」

 

「ぽい・・・」

 

夕立はみるみる落ち込み、トレードマークのミミっぽい髪も萎れてしまった。

 

「そんな顔するな夕立。もし今度大雪が降ったら一緒にかまくらを作ろう」

 

「ポイ!提督さん、ありがとうっぽい!」

 

夕立はパタパタとスコップを片付けに行った。

 

 

 

ほかの部屋に行くと、書き初めをしてる朝潮がいた。

 

「あ、司令官」

 

熱心なのはいいのだが、袖に墨がつきそうだ。

 

「朝潮!」

 

慌てて朝潮の手を掴んで持ち上げる。

 

「袖に墨がつきそうだったぞ。書き初めは着替えてからの方がいい」

 

「は、はい」

 

朝潮は頬を赤らめて、ぼーっとしている。

 

「朝潮?」

 

「あの、司令官。その・・・手」

 

朝潮の手を掴んだままだった

 

「あぁ。悪い」

 

「いぇ」

 

慌てて手を離す。

 

「あのあの。書き初めはまた今度するので片付けて来ます」

 

朝潮は逃げるように出て行った

 

 

「やあ提督。よかったらおみくじはどうかな?」

 

時雨が巫女服を着ておみくじを差し出してくる。

おみくじを引くと

 

「1番だね。はいどうぞ」

 

何故か手書きのおみくじに『大吉』と書かれており、

 

今年はあなたの人生に大きな転機が訪れます

 

金運「共働きで家計を安定させるべし」

 

旅行「ハネムーンは夏が吉」

 

待人「あなたの身近に運命の人がいる」

 

恋愛「黒髪おさげの艦娘がオススメ」

 

 

「・・・」

 

オレは無言でおみくじで紙飛行機を作り、窓から飛ばしてダッシュで逃げ出した。

新年早々勘弁してよ!

 

 

食堂で雷が振袖に襷掛けしてエプロン姿で料理していた。

 

「あ、司令官。おせちはもう出来てるから。お雑煮はもう少し待っててね」

 

テーブルには圧倒的な存在感の五重の重箱のおせちが鎮座していた。

 

「・・・これ、一人で作ったのか?」

 

「ううん。黒豆は時雨が煮てくれたし、伊達巻は曙が焼いてくれたし、海老は漣が茹でてくれたし、蒲鉾は朝潮が切ってくれたし、田作りは雪風が解凍してくれたし、数の子は望月が塩抜きしてくれたのよ」

 

夕立と島風は?

 

「あー。何か手伝おうか?」

 

「いいのよ司令官。雷がぜーんぶ作ってあげるから座って待っててね。おせちつまんでも構わないわ。あ、今ビール出すから」

 

「いや、自分で飲むからいいよ」

 

彼女一人に料理させて、その上ビールまで出してもらったら申し訳ない

 

一人ビールを出して家事をする雷を眺める。

 

家事をする女の子ってやっぱりいいなぁ

 

そうこうしてると、みんなが食堂に集まってきた。

そこからは宴会が始まった!

 

「しれえ!もしかして10億円いりましたぁ?」

 

「いや、大丈夫だ。問題ない」

 

「クソ提督!漣に何とか言ってよ!あたしはもう疲れたよ」

 

「えー!いいじゃんぼのたん」

 

「あの、司令官。その手・・・いえ、何でもないです」

 

「もうみんな食べるのおっそーい!」

 

「ポイ!」

 

「さぁみんな!まだまだいっぱいあるから、もーっとたくさん食べてね」

 

 

みんな、今年もよろしくな

 




「初恋サクラメント」

パープルソフトウェアの作品

夏野こおりが大人しく、真面目なキャラ!

2021年もよろしくおねがいします


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さくらがわシュトラッセ


今月は祝日が土曜日で損した気分になる画面です。

春といえばお花見!

今年は行かない方も多いみたいですね。


 

暖かい日差しが気持ちを穏やかにする季節。

 

桜の花が美しく咲く、日本人が1番好きな季節ではないだろうか。

 

ただし、スギ花粉。テメーはダメだ!!

健全な意味で、ティッシュの消費が激増してしまうからな!

 

 

絶海の孤島たる我が鎮守府でも春には桜が咲く。

カラオケも映画館もない鎮守府では、花見こそ春の数少ない楽しみなのである。

 

小高い丘の上、この島で一番大きな桜の木の下で花見をすることになった。みんなで手分けして準備している。

 

「Z zz・・・」

 

望月は桜の木の根本で昼寝している。読んでいた分厚い本を枕にして。早速サボりか!

 

「わーい。ちょうちょ!」

 

島風はモンシロチョウらしい虫を追いかけている。転ばないように気をつけろよ。

 

「まったく、2人ともサボってないで手伝いなさいよね」

 

「まあまあ。別に急いで設置しないといけないワケじゃないからさあー」

 

曙と漣が2人がかりでシートを広げていく。相変わらずいいコンビだ。

 

「飲み物持って来たっぽい〜」

 

「走ると危ないですよ〜!夕立さん〜」

 

夕立と雪風が飲み物を用意してくれたみたいだ。2人で大きなクーラーボックスを運んできてくれている。色々なジュースを冷やしてある。

 

「司令官、お弁当出来たわよ〜」

 

「ふふ、今回は自信作だからね」

 

「この朝潮もお手伝いしました」

 

雷と時雨と朝潮の3人がかりでお弁当を作ってくれた。雷と時雨はこの鎮守府での料理上手だ。朝潮もちゃんとお手伝いしたみたいだな。

 

広げたシートの上にお弁当と飲み物を用意する。

 

「望月ー!起きてー!」

 

「んぁ?朝?」

 

島風が望月を起こしてくれたみたいだ。寝ぼけたまま、シートに座る望月。

 

 

この島で1番大きな桜の下で始まるお花見。

 

「早く!早く食べよーよ」

 

みんなを急かす島風

 

「はい、司令官あーん」

 

唐揚げをオレに食べさせようとする雷

 

「ちょっと!ちゃんと野菜も食べなさいよね!」

 

サラダを取ってオレに渡す曙

 

「ねぇ、私のお箸どこ?」

 

箸を探す望月

 

「はい、望月さん」

 

望月に割り箸を渡す朝潮

 

「しれぇ、オレンジジュース取ってください」

 

オレンジジュースを欲しがる雪風

 

「ポイ!雪風ちゃん」

 

オレンジジュースを注いで、雪風に渡す夕立

 

「ねぇ提督。ボク酔っちゃったみたい」

 

オレにしなだれて、胸を押しつけてくる時雨

 

「シグー、アンタまだ何も飲んで無いよね!」

 

時雨を引っ張ってオレから引き離す漣

 

 

ワイワイガヤガヤ

 

 

みんな食べて飲んで楽しそうだ。

戦いの日々の中で穏やかなひととき。願わくばこんな日々が続きますように・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さくらシュトラッセ

ぱれっとの作品

作者未プレイ

某声優さんが名字を読み間違えられたり、挙句にあだ名がシュトラッセさんになったりしたゲーム

次回GWには長編をお送りする予定です!


・多分


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大提督 1

はい、どうも!画面です!(YouTuber風に)

今回は、GW特別企画として、4日間連続投稿します!

まずは第一弾!


その日、オレは海軍本部から届いた書類に頭を抱えていた。

 

「提督会議」

 

呉の海軍本部に提督が集まって、行われる報告会だ。去年は着任したばかりで忙しいと参加を断ったが、流石に今年は参加しなければならないだろう。

護衛兼世話係として艦娘1人を随伴して構わないそうだ。

 

 

「という訳でオレは呉に行くことになった。後の事はよろしく頼む」

 

みんなを集めて、事情を説明する。

 

「それで、結局誰を連れて行くの?」

 

全員の視線が痛い。

 

 

さて、誰を連れて行くか。

まず、島風と夕立は世話とか向いてないな。

朝潮と雪風はこの鎮守府に来てまだ日が浅い。

望月は、オレの前だけならとにかく、他でダラダラする姿を他のお偉いさんに見つかると面倒だ。

雷はここぞとばかりにオレの世話を焼くだろうが、あまりに世話を焼きすぎて幼女に甘やかされる提督の図はマズイ。

となると、

 

「あー、曙。頼めるか?」

 

曙は一瞬だけ嬉しそうな表情をしたような気がしたが、

 

「はぁ?なんでアタシがアンタの世話しに本土まで行かないといけないの?」

 

「まぁアンタがどうしてもって言うな・・・」

 

「なら漣。頼めるか」

 

その瞬間、部屋の空気が変わった。

 

「あー、あのー。えーと」

 

「何よ!そんなに漣がいいなら漣に付いてもらえばいいでしょう!!!」

 

曙は部屋を出て行ってしまった

 

「「「はぁ〜」」」

 

みんなが呆れたような目で見てる気がする

 

「さすが提督。諦めるのも早ーい!」

 

「あの。話を聞かない曙さんも悪いですが、今のは司令官が悪いと思います」

 

???

 

「なら、ボクが提督について行くよ」

 

「いや、時雨はオレがいない間、鎮守府の留守を頼む。オレの代理は時雨、キミしかいないんだ」

 

時雨に頼んだらどうなるか!

 

「いや、でも・・・」

 

「頼む」

 

「むー!」

 

「時雨さんは空気が読めません」

 

「時雨はあえて空気読んでないの」

 

「曙ちゃんも時雨ちゃんも相変わらずっぽい。それで、漣ちゃんはどうするっぽい?」

 

「ええと、とりあえず、ぼのたんに聞いてくる」

 

 

曙の部屋

 

 

曙はベッドの上にうずくまり、ぬいぐるみを抱きしめながら落ち込んでいた。

 

「ぼのたん」

 

漣が部屋に入ってくる。

 

「ご主人様には、あぁ言ったけど、本当は行きたいんでしょう?ぼのたん」

 

「私は別に・・・」

 

「あんまりツンツンしてるとご主人様に嫌われちゃうよ?」

 

「え・・・」

 

「ほら、私の代わりにご主人様について行きなよ。ご主人様には私が上手く言っておくから」

 

「いいの漣」

 

「ぼのたん!」

 

「別にもう二度と本土に行くことがない訳じゃないでしょう!私はちゃんと次、自分の口からクソ提督に連れて行ってもらうから」

 

「ぼのたん・・・」

 

 

 

数日後、漣と一緒に連絡船に乗ることになった。

 

「提督、早く帰って来てねー」

 

「ねぇ、本当にお金足りる?お小遣いあげましょうか?」

 

「雷さん、司令官が困ってますよ」

 

「しれぇ、お土産楽しみにしています」

 

「まぁ、ヘマして怒られないようにね」

 

「ねぇ提督。やっぱりボクが・・・」

 

「時雨ちゃん、諦めるっぽい」

 

「クソ提督、ハンカチ持った?お財布とスマホは?酔い止めの薬はちゃんと飲んだの?あぁもう襟が曲がっているじゃない」

 

「ぼのたん、それじゃあ恋人じゃなくてお母さんだよ」

 

「だ、誰がお母さんよ!」

 

出発前も騒がしいのはウチの鎮守府らしい。

 

「それじゃ、行ってきます」

 

漣と2人、連絡船に揺られて本土へと向かった。

 

 

 

 

 

 




新メンバーの雪風や改二になった曙を放置して、GW中、漣とイチャイチャします。

次回は2日の0時です!


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大提督 2

GWいかがお過ごしでしょう?
社畜の画面です。

第二弾です!


長時間、船で揺られていたが、漣と一緒だから退屈はしなかった。

船は1度横須賀に行き、そこで1泊。その後、呉行きに乗り換えてようやく到着した。

 

「ここが呉ですか」

 

「オレはまだ波に揺られている気がするよ」

 

さて、ここからどうしたらいいのか。

 

「よぅ。アンタが孤島鎮守府の提督さんかい?」

 

声に振り向くと、そこにはオレより少し年上で、同じ軍服を着た男が秘書艦らしい艦娘と一緒にいた。

 

「俺は北島鎮守府の提督だ。こっちは秘書艦の萩風。お前、提督会議は初めてだろう?案内してやるよ」

 

「はい。よろしくお願いします。中将殿!」

 

「あー、年齢も近いし、堅苦しいの嫌いだから、北島でいい。俺もお前のこと、孤島って呼ぶからな」

 

階級社会の軍でそれはいいのだろうか?

 

「えーっと、せめて『先輩』ぐらいでお願いします」

 

「まぁ、『中将殿』よりいいか。」

 

「司令、そろそろ会議が始まりますよ」

 

「あぁ。ありがとう萩風」

 

向こうで金髪巨乳の美女が提督達を呼んでいるみたいだ。

しかし、いい眺めだ。夕立や時雨でも望むべくもない光景。歩く度に二つの山がゆっさゆっさと揺れて・・・イタタタ!!!

 

漣に耳を引っ張られる!

 

「ごしゅ・・・提督!何見てるんですか!」

 

「いや、違うんだ!」

 

よく見たら、先輩も萩風に怒られているし、向こうの提督なんて不知火にシバかれていた。

仕方がない。オトコの本能だ。

 

 

漣と分かれて先輩と会議室に入る。

 

「まぁ、俺達みたいな下っ端は黙って座ってたら会議なんて終わるさ」

 

実際、オレは一言も発することなく会議は終了した。

 

 

 

会議終了後、解散かと思ったが先輩から、

 

「この後、懇親会がある。一次会は経費で出るから行っておけ」

 

「はぁ」

 

 

懇親会との名目だが堅苦しい感じではなく、お偉いさんの短い話の後は各々がグループで席に分かれて好きに呑んでいる。オレは先輩と2人で小さなテーブルに座った。

 

 

オレは先輩から酒を飲みながら、少人数での艦隊運用のコツや艦娘(女の子)との接し方のポイントを教えてくれた。

 

 

「さて、宴もたけなわではありますが、この場は一回ここで締めたいと思います。二次会は料亭『小早川』を予約しており・・・」

 

そろそろお開きか。二次会って出た方がいいのか?

 

「よし、俺達は抜け出して別の店にいくぞ」

 

「え?いいんですか?」

 

「お偉いさんと芸者遊びしたって楽しくはないだろう?それよりも若いネーチャンがいる店に行こうぜ」

 

男たるもの、若くてキレイなチャンネーがいる店へのお誘いは万難を排して赴かねばならない!

 

 

 

先輩が連れて行ってくれた店は、繁華街の片隅にド派手なネオンと景観の店、キャバクラだった!

 

 

「えー!本当に鎮守府の提督さんなんですか!」

 

「おうよ!この若さで鎮守府提督だ。末は司令長官か海軍大臣だぜ」

 

「やーん!海軍大臣ですって!」

 

「私、お妾さんにしてもらおうかしら!」

 

「あら〜、私もー!」

 

キレイで美しいドレスを着た美人に囲まれて、抱きつかれたり、ボディタッチされたり。誰かが付けている甘い香りの香水も相まって夢みたいだ。

そりゃ世の男どもがキャバクラにハマる訳だ。いくら仕事でリップサービスとわかっていても自分をチヤホヤしてくれる美人なんてココしかないものな。

 

夢のようなひと時の後、オレ達は延長せず、店を出た。先輩が奢ってくれた。

 

「あの、本当によかったんですか?結構高そうなお店でしたけど」

 

「いいんだよ。ここは海軍士官御用達でな。士官だと割引になるんだ」

 

「そうなんですか」

 

「それよりも、これからもっとオトナの店に行かないか?」

 

さっきの店よりもオトナの店か。

先輩に返事を返す前にふと、漣の寂しそうな表情が浮かんだ。

 

「いや、自分、酔いすぎたんで、帰ります」

 

「そうか。俺も萩風に怒られないうちに帰るとするか」

 

 

オレは先輩と二人でタクシーに乗り、宿舎まで帰る。

先輩と別れ部屋の前まで戻って来た。

 

 

思ったより遅くなったな。漣のヤツ怒ってないかな?

 

ガチャ!

 

「あー、漣、遅くなった」

 

「ご主人様!!」

 

漣に抱きつかれた。

泣いてるのか・・・?

 

しかし漣は、

 

「・・・ぃです」

 

「へ?」

 

「クサイですご主人様!!」

 

漣はオレから離れると、グイグイと風呂場の方へ押しやる!

 

「さっさとお風呂に入りやがって下さい!」

 

バタン!

 

備え付けのユニットバスに押し込められて、ドアを閉められた!

 

 

風呂から出ると漣はもう寝ていた。

 

何だったんだ?

 

 

 

 

 

 

 




「大帝国」

アリスソフトの名作ゲーム

時は宇宙世紀なのに第二次世界大戦風の世相
帝ちゃんマジ天使。

初のナンバリング回がナンバリングタイトルじゃない!

第三弾は3日の0時にお送りします。


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大提督 3

そろそろ挨拶のネタが尽きそうな画面です。

今回は漣視点でお送りします。


ご主人様と出張が決まった時、ぼのたんには悪いが、二人でデートが出来ると喜んだ。

 

実際、ご主人様とこれほど長い時間二人きりだったことはなかったのだから。

 

本土へ向かう船中、唯のおしゃべりがこれほど楽しかったのは初めてだった。

 

 

船を乗り継ぎ、ようやく呉にたどり着いた。

 

「ここが呉ですか」

 

「オレはまだ波に揺られている気がするよ」

 

まあ、あれだけずっと船の中にいたらね。

 

「よぅ。アンタが孤島鎮守府の提督さんかい?」

 

声に振り向くと、そこにはご主人様よりも少し年上で、同じ軍服を着た男の人が秘書艦らしい艦娘と一緒にいた。

 

「俺は北島鎮守府の提督だ。こっちは秘書艦の萩風。お前、提督会議は初めてだろう?案内してやるよ」

 

サイドテールの可愛らしい女の子だ。小柄だし駆逐艦かな?

 

「はい。よろしくお願いします。中将殿!」

 

「あー、年齢も近いし、堅苦しいの嫌いだから、北島でいい。俺もお前のこと、孤島って呼ぶからな」

 

随分、フレンドリーな方ですねー。

 

「えーっと、せめて『先輩』ぐらいでお願いします」

 

「まぁ、『中将殿』よりいいか。」

 

「司令、そろそろ会議が始まりますよ」

 

「あぁ。ありがとう萩風」

 

向こうで金髪巨乳の美女が提督達を呼んでいるみたいだ。

ご主人様はぽよんぽよん揺れてる巨乳に釘付けだった!

 

イラ!

 

思わずご主人様の耳を引っ張った!

 

「ごしゅ・・・提督!何見てるんですか!」

 

「いや、違うんだ!」

 

何が違うんですか!そんなにおっきなおっぱいがいいんですか!!

 

ちなみに、先輩提督さんも萩風さんに怒られていた。

 

まったく、オトコってヤツは!!!

 

 

 

ご主人様と別れて、萩風さんと一緒に艦娘用の控え室に入った。

 

会議の間、萩風さんとお茶をしながら、すっかり仲良くなり、『ハギー』『漣ちゃん』と呼ぶ仲になった。

 

「でもいいの?ハギーの方が先輩でしょ?」

 

「うん!私、あだ名で呼ばれたことないから」

 

「ハギーがいいなら。ところで、ハギーは麻雀出来る?」

 

「はい?」

 

ですよね。

 

 

一体、どのくらいの時間がたっただろう。会場が騒がしくなってきた。部屋を出て行く艦娘が増え出したみたいだ。

楽しいお茶の時間も終わりかな?ご主人様をお迎えに行かないと!

 

「司令達はこの後、懇親会があるので遅くなると思いますよ?」

 

「あれ?でも向こうの駆逐艦は提督さんと一緒に行ったよ?」

 

「あぁ、流刑鎮守府の不知火さんですね。この後一緒に食事でもと思ってたのですが」

 

「ふーん」

 

少しだけ、いいなぁと思った。

 

 

 

「ちょっと聞いている?漣ちゃん!」

 

「あー、うん聞いてる聞いてる」

 

ハギーと一緒に居酒屋に入って1時間。すっかり出来上がったハギーに絡まれてれていた。

 

「大体、司令にはもう少し健康に気をつけてほしいです!この前だって夜中までお仕事して、その上、小腹が空いたからってカップラーメンを食べたんですよ!さらに、眠いからってお昼まで寝てて、朝ごはんも食べないで!!!」

 

「はぁ」

 

私はカシスオレンジをチビチビ飲みながらハギーの話を聞く。ちなみにこの話は3回目だ。

 

ハギーって意外と酒癖が悪い。

 

「司令には健康のために夜9時には寝て朝4時に起きる生活をして欲しいんです!」

 

「うんうん」

 

いや、そんな提督いないだろ!というツッコミは聞かないんだろうな。

 

「でもね、司令ってば、私の特製無水カレーを美味しい美味しいっていつもおかわりしてくれるの」

 

「そう」

 

「だからつい、司令のカレーにはお肉を一切れだけ多く入れてあげます」

 

「そっかー」

 

こんなことなら、さっさと酔って逆にご主人様との仲を惚気たらよかった。

 

 

 

懇親会終了の時間を見計らい、店を出た。なんだかんだでハギーが奢ってくれた。まぁ、愚痴と惚気代だと思う。

酔ったハギーの介抱してたら遅くなってしまった。ご主人様は先に戻っているかと思ったが、まだ戻っていなかった。

 

宿舎でハギーと別れて、自分の部屋に戻ると、急に寂しさが込み上げて来た。

 

今まで、1人きりになることなんてなかった。

部屋で1人でも近くに仲間が、提督がいた。

 

このまま彼が帰ってこなかったら・・・

 

 

そんな予感が頭をよぎった時だった。

 

ガチャ!

 

「あー、漣、遅くなった」

 

「ご主人様!!」

 

思わず彼に抱きついてしまう。

 

しかし、彼から知らない女物の香水の香りがした!

 

「・・・ぃです」

 

「へ?」

 

「クサイですご主人様!!」

 

この男は!

私をほったらかして、ヨルのお店でイチャコラしてたのか!!!

 

そう思ったら、この匂いが我慢出来なくなった!

彼をお風呂場に押しやると、

 

「さっさとお風呂に入りやがって下さい!」

 

バタン!

 

扉を閉める。ハンガーに掛けた海軍の制服にこれでもかと消臭剤を振りかけた!

 

「ハァ、ハァ」

 

ふと、冷静になった瞬間、自分は何をやっているのだろうか。

 

空の消臭剤を捨てて、自分のベッドに潜り込む。

 

 

「・・・バカ」

 

後悔と共に意識が落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 




作中に出てきた流刑鎮守府提督と不知火は、画面の小説の先輩、あとん様さんからお借りしました。

あとん様さんの「流刑鎮守府異常なし」もよろしくお願いします。



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大提督 4

どうも。社畜真っ只中の画面です。

さて、長かった広島編もいよいよ完結します。

社畜、画面の仕事はまだまだ続きます。





昨日は漣の様子がおかしかったが、朝起きるといつもの漣だった。

 

「ほらほら、早く行きましょうご主人様」

 

昨日は酔ってたのか?

 

漣と宿舎を出て、広島市内まで移動する。

 

「どこ行きましょうご主人様?」

 

「厳島神社は遠いし、広島城にでもいくか?」

 

しかし、漣は不満そうに、

 

「折角だから、本通でショッピングしましょうよ」

 

「ショッピングって別に広島じゃなくてもいいんじゃないか?」

 

「なら、どこでお買い物するんですか!」

 

そうだよなぁ。

 

「まったく、ご主人様はオンナゴコロってものがわからないんですから!」

 

無茶言うな!

 

「さぁ、デートに行きますよ!」

 

 

そこからは漣の言う通り普通のデートだった。

漣の私服を見たり、

 

「この服可愛くないですか?ご主人様?」

 

「あー、少し派手すぎるんじゃないか?」

 

「もう、このくらいフツウですよ?」

 

オレの服を見に行ったり、

 

「ご主人様はもっとオシャレした方がいいですよ」

 

「一体、誰に見せるんだよ」

 

「えー、ご主人様好みの可愛い娘がいるじゃないですかー」

 

スイーツの食べ歩きとかもした。

 

「はい、ご主人様、あーん」

 

「食べさせてくれるかと思ったら、お前が食べたいのかよ!」

 

「ほらほらご主人様」

 

「ったく、仕方ねーな。ほら」

 

「あーん。ん、美味し。ご主人様、大好き」

 

「はいはい」

 

 

そんな感じで、ショッピングを楽しみ、広島名物お好み焼きを食べたところで、

 

「ところでご主人様。この後、服を買って欲しいのですけど」

 

「はぁ?何でオレが?」

 

「いいんですか?アテクシにそんなコト言って。鎮守府のみんなに夜のお店に行ったこと、バラしてもいいんですよ?」

 

即、降伏した

 

「何が欲しいんだ?」

 

「ほら、今回、ぼのたんが私と代わってくれたから、お土産に可愛い服買って帰ろうかなって」

 

「なら漣が自分で買えばいいだろ」

 

すると漣は、

 

「バーカバーカ、ウルトラバーカ!。あのですねご主人様、オンナノコは何を買ったかも重要ですが、誰が買ったかも大切なんです!」

 

「いいですか、『ご主人様』が『ぼのたん』の為に買った『服』というのが大切なんです!分かりましたか?」

 

「はい」

 

よくわからないが漣の勢いに押されてしまった。

 

「さぁ行きましょうご主人様」

 

 

「ところで、漣は曙の服のサイズわかるのか?オレは知らないぞ?」

 

「モチのロンですよ。ぼのたんのことはスリーサイズからふともものホクロの位置まで熟知してますよ」

 

マジで?アイツふとももにホクロあるの?エロくないか?

 

「まぁ、ウソなんですがね」

 

「ウソかよ!」

 

「ぼのたんの服のサイズはわかりますから大丈夫ですよ」

 

 

曙の服はあれこれ悩んでたが、決まったようだ。

会計を済ませると、漣にキレイにラッピングされた小箱をわたす。

 

「??コレ何ですかご主人様?」

 

「漣にはずっと付き合ってもらったからな」

 

小箱の中身は綺麗なリボンだった。

 

「いつものヘアゴムも可愛いが、たまにはオシャレしろよ」

 

「・・・」

 

「漣?」

 

「バーカ、バーカ。ウルトラバーカ!そう言う事は、ぼのたんに言うべきですよ!ホント、ご主人様はジゴロなんですから。ほら、そろそろ帰らないと船に間に合わないですよ」

 

しかし、帰りの道中、口とは裏腹に終始ご機嫌だった。

 

 

そうして、船に揺られて鎮守府まで帰って来た。

 

「ただいま」

 

みんな待ち侘びたのか、

 

「「「おかえりなさい」」」

 

みんなが玄関先まで出迎えに来てくれた。

 

「もう、提督ったら帰ってくるの遅っそーい!」

 

「司令官、出張お疲れ様でした」

 

「提督さん、お疲れっぽい?」

 

「しれぇ、お土産は?」

 

「おかえり。提督」

 

「司令官も大変だねー」

 

「クソ提督、帰ってくるのが遅いのよ!」

 

「もう、司令官たら心配したのよ?お腹は痛くない?2人で寂しくなかった?お小遣いは足りたかしら?」

 

 

ワイワイ言いながら、お土産を渡す。

 

「ねぇ、提督。ボク、提督がいない間頑張ったよ?」

 

時雨が制服を摘みながら上目遣いで話す。

 

「だからね、提督。ボクご褒美が欲しいな」

 

「あぁ、もちろんだ」

 

「今夜、ボクと一緒に・・・」

 

オレは時雨の話を遮るように、

 

「だから、時雨のためにちゃんと『紅葉菓』を買ってきたぞ!」

 

「いや、お菓子よりもボクを抱い・・・」

 

「ちゃんと頑張った時雨だけ特別だからな!!」

 

「いや、あの・・・」

 

「紅葉菓、美味いよな!!!!」

 

「むぅ」

 

何とか誤魔化した。時雨のおねだりを聞いたら大変なことになってしまうからな。

 

 

服を着替え、お土産のもみじ型饅頭を食べながらみんなに広島での話をしている。曙には後で服を渡さないとな。

 

「クソ提督、何よコレ!!!」

 

曙が、テーブルの上に叩きつけたのは、先輩提督と一緒に行ったキャバクラでもらった女の子の名刺だった。

 

「提督、サイテー」

 

「司令官、えっちなお店はいけないと思います」

 

「提督さん、夕立達に内緒でこんなお店に行ってたっぽい?」

 

「まぁ、司令官もオトコだし?でも、私たちに見つからないようにして欲しいかな?」

 

「しれぇ、ドコに行ったんですか?」

 

「もう、司令官ったら、えっちなお店ごっこがしたかったら私がしてあげたのに」

 

「ねぇ、提督?ボク達が提督がいない間、みんな頑張ってたのに、まさか女の人がいるお店に行ったりしないよね?ねぇ提督?」

 

「あーあ。バレちゃった」

 

 

みんなから詰め寄られた結果、盛大な罰ゲームをう事になったのはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もみ○饅頭や桐葉○は多分商標登録されてると思います。
作者も広島に行くと、よく買います。
マジで美味しいので皆さん是非、試してみてください。

次回は雪風メイン回を予定しています。


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雪風ちゃんの鎮守府事情

さぁ今年も望月の中の人記念日がやってまいりました。

なのでもちろん内容は・・・雪風回です!

望月も出てきます。


お祝いとか感想とか待ってます!


その日、オレは雪風と司令室で新聞を読んでいた。

 

「雪風はどれがいいと思う?」

 

「雪風は8番艦なので8がいいと思います!」

 

「次は?」

 

「今の気分は赤です」

 

「もう一つ」

 

「えーと、3!」

 

「8-1-3か。サイエンススズキ、クラスワンコー、ゴウカイテンホウかぁ。よし、早速連絡をしないと」

 

しかし、

 

「何してるの?」

 

ドアを開けて睨む曙。

 

「いや、これは違うんだ曙!」

 

曙がオレの新聞を取り上げる。競馬新聞を。

 

ゲンコツ!!!

 

「雪風を使って競馬しようなんて。クソ提督、最低」

 

曙に怒られて床に正座させられている。

 

「まったく、今度やったら雷に言いつけるから」

 

雷?怒ると怖いイメージはないけど?

 

しかし、オレはその恐ろしさを身をもって体験することになった。雷が財布を握りしめてやってきたのだ!

 

「もう。司令官ったら、お金が必要なら私がいるじゃない!とりあえず、お財布の中の3万円でいい?後で貯金をぜーんぶ下ろしてくるから!」

 

「すみませんでした!!」

 

幼女の貯金を全て貢がせる。とてつもない罪悪感が襲ってくる。

 

「まったく。バカなんだから」

 

「しれぇ、お馬さんはもういいんですかぁ?」

 

「あぁ。大丈夫だ」

 

 

その後、雪風と食堂に行くと、漣と時雨が話をしていた。

 

「やぁ、提督。待ってたよ。またボクとしりとりをして欲しいな」

 

時雨とのしりとりにはいい思い出がないのですけど・・・

しかし、時雨は勝手に始めてしまう。

 

「さぁ提督、『り』からだよ」

 

「理科」 「艦娘」

 

「寿司」 「白露型」

 

「タニシ」 「時雨」

 

「連呼」 「恋人」

 

「豆腐」 「布団の上」

 

「エリア」 「愛し合う2人」

 

「リットリオ」 「おめでた」

 

「蓼(たで)」「出来ちゃった結婚!」

 

「あ、『ん』がついたからボクの負けだね」

 

「シグー、子どもの教育に悪いからユッキーの前でやらないで」

 

「雪風は子どもだからわからないよ。それよりもボクのラブコールの方が大切さ。ねぇ提督?」

 

「ご主人様!ここは私が食い止めるのでユッキーと逃げて〜」

 

漣が時雨を羽交い締めにしてる間に雪風と逃げ出した。

 

「時雨さんは、しれぇへの愛情表現が過激すぎます」

 

 

その後、廊下を2人で歩いていると、

 

「雪風〜」

 

島風と夕立が運動服で手を振っている。

 

「雪風、私たちとかけっこする約束だったでしょう?」

 

「もう準備は出来てるっぽい」

 

「しれぇ、雪風約束があるので」

 

「そうか」

 

楽しそうに話す3人と別れた。 

 

 

 

その後、昼食を食べて、雑務を済ませると、娯楽室に足を運んだ。

将棋盤を挟んで、雪風と朝潮が向かい合っている。望月が朝潮のそばで寝転がっていた。

しかし、様子が少しおかしかった。

 

「6九桂」

 

「7三歩成」

 

「同桂」

 

「6四歩」

 

「同金」

 

望月は本を読みながら、将棋の盤面を見て朝潮に指示していたのだ。

やがて本を読み終わったのか、

 

「投了」

 

と言って部屋を出ようとした。

 

「おい望月、途中で放り出すなよ」

 

「いえ、しれぇ」

 

雪風は駒を動かすと最終的に朝潮の王将が詰みになる。

 

「望月さん、もう一局」

 

「一局だけの約束だよね」

 

「そんなこと言わないでもう一局だけ!」

 

「朝潮と対局すればいいでしょう」

 

「朝潮お姉ちゃんは駒組みを知らないんですよ」

 

「矢倉ぐらい知ってるでしょう」

 

「櫓?お祭りでもするんですか?」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「望月さん!」

 

 

そろそろ2人の仲裁しようか。

 

「雪風、望月が困っているだろ」

 

「・・・はい」

 

「望月も明日、もう一度相手してやってくれ」

 

「まぁ、仕方がないなぁ」

 

「とりあえず今日は朝潮に駒組みを教えてあげてくれ」

 

「はい!頑張ります!」

 

 

とりあえず、2人は落ち着いたみたいだ。

 

なんだかんだで雪風も鎮守府に馴染んでいるみたいでよかった。

 

 

 

○月×日 くもり

 

今日はお休みだったので、しれぇとお馬さん選んだり、時雨さんのしりとりを聞いたり、島風さんや夕立さんとかけっこしたり、望月さんと将棋を指したりしました。

みんな、雪風と仲良く遊んでくれてとっても楽しかったです。

明日もきっと楽しい1日になると思います。

 

 

「ふぅ」

 

今日の日記はこれでいいです。

さて、明日も早いので寝ましょう。

 

Zzz・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「間宮くん家の五つ子事情」

キューブの作品。

「朝潮ちゃん家の鎮守府事情」と同じ「倉野くん家のふたご事情」だと思った?残念!

作者は同じ作品を元ネタにはしないのです!(前後編・ナンバリングタイトルは除く)

双子が三連続で産まれる確率と五つ子が産まれる確率ってどっちが高いのでしょうか?


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ツンな彼女 デレな彼女 

Happy New Year!!

ってもう6月やないかーい!

コレしか読まない方、お久しぶりです。

画面は生きてますよー!

望月記念日は曙のお話です!


「早く起きなさいクソ提督!」

 

曙が布団を剥がす。あー、今日は曙が秘書艦か。

 

「さっさと起きて食堂に来なさい!朝ごはんできてるから」

 

軍服をオレに押し付けると、部屋を出て行った。

 

 

食堂にはみんな揃っていた。

朝食はトーストとハムエッグ、サラダとコーヒーだった。

 

「何よ!朝はご飯とお味噌汁じゃないと力が出ないとかいうの?」

 

「いや、べつに気にしない」

 

すると、配膳していた漣が、

 

「もう、ニブいなぼのたん。ご主人様は、『オレのために毎朝味噌汁を作ってくれ』って言ってるんだよ」

 

「はぁ?なんで私がアンタの為に毎日お味噌汁作らないといけないのよ!」

 

曙の大声にみんなが集まって来た。

 

「もう、司令官ったら!言ってくれたらお味噌汁以外にも毎日三食ぜーんぶ作ってあげるのに」

 

「まったく。提督のお味噌汁ならボクが毎日作るに決まっているじゃないか。ねぇ提督?」

 

ワイワイガヤガヤ

 

「はぁ」

 

漣はため息をついた。

 

「・・・バカ」

 

 

 

「まったく、この程度の書類に何時間かかっているのよ!」

 

「すまない」

 

「私はご飯作ってくるからさっさと終わらせなさい」

 

 

お昼ごはんはマグロ丼だった。

 

「時雨がサクを解凍したから全部使わないともったいないでしょう」

 

お、なんかいつもより豪華だな。

 

「あー!提督さんのマグロ丼、夕立達のよりも豪華っぽい!」

 

夕立に言われて気付いたが、オレのマグロ丼だけマグロの量が多かった。

 

「クソ提督の方が沢山食べるからよ!」

 

「・・・ご飯でよくない?」

 

みんなにからかわれて、顔を真っ赤にしながら、

 

「うるさいわね。余ったマグロを乗せてやっただけ。残飯処理よ!」

 

まぁ、女所帯なら残飯処理はオレの役目だわな。

 

「いただきます」

 

マグロ丼を食べ進めていくと、中に温泉卵が入っていた。贅沢だな。

 

「あれれ〜おかしいぞ〜?ご主人様のマグロ丼だけ温泉卵が入ってる〜」

 

漣が某小学生探偵みたいな言い方で隣に座る。

 

「何が望みだ?」

 

「黄身を絡めたマグロを下さい」

 

「ったく仕方ないな」

 

漣の丼に入れてやろうと箸でマグロを摘むと、漣が先に口の中に入れてしまう。

 

「あーん。ご主人様の味がしますねー」

 

その光景を見られてしまったらしい。

 

「しれぇ、雪風にも『あーん』してください」

 

「あ、私もマグロもらうね提督」

 

その時、曙がどんな表情をしていたかオレからは見えなかった

 

 

午後、ようやく書類仕事が終わった。

出掛けていた遠征の報告を雪風から聞いている

 

「以上です。しれぇ」

 

「わかった。よく頑張ったな雪風」

 

「はい!雪風にお任せください」

 

雪風は他の鎮守府での経験者で歴戦の戦士だとわかってはいるのだが、孤島鎮守府に最後に来たことと、幼い見た目からつい子ども扱いしてしまう

 

「いつまでしてるの。ほら、お茶入れてあげるから休憩するわよ」

 

曙がお菓子の乗ったお皿を抱えて入って来た

 

「あ、なら雪風はこれで失礼します」

 

「雪風も一緒にどうだ?」

 

「あの、えーと」

 

雪風は何故か曙の方を見る

 

「別に出て行かなくてもいいでしょう。雪風のお茶も入れてあげるわよ」

 

「えっと、あの、ハイ。ありがとう・・・ござい・・ます」

 

ん?雪風の様子がおかしい?

 

「どうしたんだ?雪風?」

 

雪風は無言でチベットスナギツネみたいな目で見ている。ますます分からん

 

「さっさと机の上を片付けて!クソ提督!」

 

お茶を持ってきた曙。雪風と机を片付ける。

お茶請けはクッキーだった

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

き、気まずい。曙は黙ってお茶を飲んでるし、雪風は何故かチラチラと曙を見ている

 

「このクッキーは曙の手作りなのか?」

 

「そうよ!何?美味しくなかった?」

 

「いや、桃の風味が美味いな。だから桃の形なのか?」

 

「そうよ!ドライピーチが入っているのよ!」

 

なんでだろ?雪風のチベスナ度が増してる気がする。気持ち早めにお茶を飲み干した雪風が、

 

「望月さんと将棋の約束があるので失礼します。ご馳走様でした」

 

なんだか気まずいお茶だった

 

 

カップを片付けを曙に任せると、鎮守府内を歩くことにした

 

「提督〜」

 

島風が抱きついてくる

 

「かけっこで1番になりました!褒めてください」

 

せっかくなので頭を撫でてあげる

 

「よしよし」

 

「えへへ〜」

 

「あー!島風ちゃんズルいっぽい!」

 

「いいなぁ島風さん」

 

夕立と朝潮も来た

 

「ねぇ提督さん!夕立も撫でて欲しいっぽい!」

 

「あの、もしよろしければこの朝潮もお願いします」

 

ナデナデ

 

「「「えへへ」」」

 

ああ。癒される〜

だが、そこに・・・

 

「ズルいじゃないか提督。ボクも可愛がってよ」

 

癒されない娘が来た!

 

「仕方ない。ほら、撫でてあげるから」

 

「ボクはオトナのオンナだからね。オトナの可愛いがり方がいいなぁ」

 

時雨はバストを強調するように腕を組む

 

「さぁ、手を洗っておいで。もうすぐ夕飯だからな」

 

「「「はーい」」」

 

「ふふ。そうやってボクを焦らすんだね」

 

あーあー聞こえない!

 

ん?今、廊下の角に誰かいたような?気のせいか?

 

 

夕食時

 

「「「いただきまーす」」」

 

今日の夕飯は肉じゃがと卵焼き、油揚げの味噌汁だった

 

「ほらほら!肉じゃがを上手に作れる女の子って男子は大好きですね?ぼのたんを嫁にしたくなりました?」

 

「なっ!」

 

思わず肉じゃがを噴き出しそうになる

 

「べ、別にクソ提督のために肉じゃがにしたわけじゃないんだからね!」

 

「曙さん。それはベタ過ぎてもはや化石みたいなツンデレです」

 

「なら、提督のお嫁さんはボクに決まりだね?」

 

「司令官のご飯なら何だって美味しく作ってあげるんだから」

 

「あの、司令官はやっぱりお料理が出来る女の子の方が好きなんですか?」

 

 

漣のせいで騒がしい夕食だった

 

 

風呂場にて

 

あー。やっぱり風呂はいいなぁ。今日は疲れることが多かったから余計に沁みる。

 

カラカラ

 

「え?」

 

脱衣所を見るとバスタオルを巻いた曙が入って来た。

 

「おい。オレが入っているぞ?」

 

「ひ、秘書艦だから背中流しにきたのよ!」

 

「いや、秘書艦にそんな仕事はないぞ」

 

「何よ!時雨や望月とは一緒に入るのに、私とはイヤなの?」

 

「いや、望月とは入ってないし、時雨はアイツが勝手に入って来たんだ」

 

「ううう、うるさい!とにかく、私がアンタの背中を流すか、アンタが私と洗いっこするの!」

 

曙はテンパったのか、支離滅裂なことを言い出した。

 

「落ち着け曙」

 

「うるさい!うるさい!うるさ・・きゃあああ」

 

曙が足を滑らし、オレを巻き込んで転んだ。

 

「痛たた」

 

「ごめんなさい」

 

よく見たら曙がオレを押し倒した様な体勢だった

 

「ねぇ、クソ提督」

 

曙は眼を閉じてゆっくりと顔を近づけてくる。もう少しで触れそうになるまさにその時!

 

カラカラ

 

「あ」

 

バスタオルを巻いた望月だった。

 

「あーゴメン。お邪魔だったかな?でもこういうコトはお風呂じゃなくって司令官のお部屋でしなよ?」

 

「ちちち、違うの!」

 

「誤解だ望月!」

 

「1時間後くらいに戻るから、それまでに終わらせてね?みんなには黙っておくからさ」

 

望月は話しを聞かずに出ていった。後には顔を真っ赤にした曙

 

 

「死ね!クソ提督!」

 

「グフッ」

 

曙の体重が乗ったボディブローをくらい、オレは意識を手放すのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「ツンな彼女 デレな彼女」

PeasSoftのゲーム

凪先輩が可愛い。でも、美里を嫁にしたい!


曙を秘書艦にする話は32話の賞品です!

これからはもう少し更新できるよう頑張ります!


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デブマイナス

シルバーウィーク?も仕事に励む。と見せかけて、親戚の結婚式に行く画面です!

そろそろ10月なのにまだまだ暑いですねー。

食欲の秋。運動の秋。ダイエットの秋ですね!



秋の夜長。オレは風呂上がりにパンツ一丁で涼んでいた。

 

「流石に朝晩冷えてきたけど風呂上がりは暑いな」

 

コンコン

 

「ご主人様〜ゲームしましょ。キャッ」

 

「ちょっと!何て格好してるのよ!クソ提督!」

 

「お前たちが返事する前にドアを開けたからだろう」

 

男女反対なら軍法会議モノだ。

 

漣がものすごく言いにくそうに、

 

「ご主人様。大変言いづらいのですが」

 

と前置きして、

 

「最近、少しおデブりやがったのではございませんのこと?」

 

漣のメチャクチャな日本語がオレの心に突き刺さる。心当たりがあるのだ。

 

少し前まで仕事が忙しく、夜遅くまで仕事をしていた。当然、運動をするヒマなどなく、また夜食と称して雷の作ってくれたお菓子を夜毎摘んでいたのだ。

 

「仕事がひと段落したから今後は少し運動するよよ」

 

そう絞り出すので精一杯だった。

 

 

翌朝、

 

朝食を食べようと食堂に行くと、曙と漣が昨日のオレの話で盛り上がっていた。

 

「あのお腹のままじゃ、中年デブまっしぐらよクソ提督」

 

「まぁ、太ってても死ぬわけじゃないし」

 

「いえ、肥満は万病の元といいますし、健康のためにもダイエットなされた方がいいと、この朝潮は思います」

 

「だよねー。太っていると早く走れないし」

 

「島風さんはなんでも速さ基準なんですね」

 

「あら、少しくらいぽっちゃりしてても雷は司令官のこと大好きよ?」

 

「ポイ!夕立も提督さん大好きっぽい!」

 

「まぁ、旦那様の体調管理も妻の役目だよね」

 

「あ、おはようございます。ご主人様」

 

時雨の寝言を全員でスルーすることにしたみたいだ。

 

「ねー、提督。ダイエットするなら一緒にランニングしようよ」

 

「そうだな。久しぶりに運動するか」

 

 

30分後、

 

「ゼェ。ゼェ」

 

「もう、提督ってバテるの早すぎ!」

 

「あの、大丈夫ですか?司令官?」

 

体操服を着た島風と朝潮はオレと同じ距離を走ったとは思えないくらいに余裕そうだ。

 

「仕方ないから提督は休んでおきなよ」

 

「では続きをしましょう島風さん」

 

2人はオレを置いてランニングの続きに向かった。

 

 

なんとか歩けるくらいまで回復したオレは鎮守府をトボトボと歩いていた。

 

「提督さーん」

 

夕立が楽しそうにオレに近づいてくる。

 

「提督さん。一緒にお散歩に行こう?」

 

そうだな。運動不足にはいきなりランニングなんてハードな運動じゃなくてウォーキングから始めた方がいい。

 

「そうだな。一緒に行こうか」

 

「ポイ!なら一緒にステキなパーティしましょう」

 

 

夕立と共に散歩してすぐに、

 

「提督さん、今日は短いコースがいい?長いコースがいい?」

 

最初だし短い方がいいだろう。

 

「短いコースで」

 

「ポイ」

 

しばらく夕立と歩くと現れたのは、崖だった。

 

「この壁を登るっぽい」

 

夕立!これは散歩やない!SAS○KEや! 

 

「い、いやー、登ろうと思えば登れるけど、今将校用の制服だから汚すとマズイし、他の道にしようか?」

 

「ポイ?なら遠回りして山を登るっぽい」

 

そのまま登山をする羽目になった。

 

 

 

汗と土まみれになったのでシャワーを浴びて、食堂に行くと丁度昼食の時間だった。

 

「お、今日はカツ丼か。美味そうだな」

 

空腹を誘う美味そうな匂い。しかし曙が、

 

「はぁ?そんなカロリー高いのクソ提督に食べさせる訳ないでしょう?アンタはコレよ」

 

オレの目の前に出されたのはサラダとところてんだった。

 

「クソ提督のダイエットのためにわざわざ作ってあげたのよ。感謝しなさい!」

 

マズくはないのだが、カツ丼の匂いを嗅ぎながら食べるところてんは虚しさの味がした。

 

 

はぁ。ところてんとサラダだけなんて食った気がしないな。とりあえず部屋に帰って休むか。

 

自室のドアを開けると、オレのベッドに裸にシーツを巻きつけただけの時雨が寝そべっていた。

 

「何してるんだ時雨?」

 

「ベッドで夜戦ダイエットだよ。ボクと一緒にキモチヨクなろ?ねぇ提督?」

 

オレは無言でドアを閉めてカギをかける。その上、近くにいた朝潮に頼んで使っていないタンスをドアの前に置いた。

 

ドアを激しく叩く音がするような気がするが気のせいだ。

 

 

 

「う、うぅ」

 

オレは司令室で1人絶望していた。

ダイエットなんて軽く考えていた。少し間食を我慢してちょっと運動したら痩せると簡単に考えていた。世の数多の女性が失敗する筈だ。こんなに過酷でツラいなんて。

 

「司令官」

 

いつのまにか来ていた雷に頭を抱きしめられていた。

 

「辛かったわね。いいのよ司令官。ツラいなら無理しなくても。少しくらいぽっちゃりしてても雷は司令官のこと大好きなんだから」

 

雷の優しい言葉が傷ついた心に染み込んでいく。

 

「クリームたっぷりのショートケーキを焼いたの。甘ーいミルクティーと一緒にいただきましょう?」

 

雷はケーキをフォークに刺して、

 

「はい司令官、あーん」

 

甘美な誘惑。この一口を食べれば二度とサラダやところてんには戻れないだろう。それでも抗うには難しい魅力的な誘惑だ。

もう、いいよね。

 

しかし、

 

「しれぇ、漣さんが呼んでますよー」

 

雪風が入ってきた。

 

そうだ。オレは何をしてたんだ。こんなことで挫けていたらダイエットなんて成功しない。

 

「わかった。すぐに行く。それとこのケーキ食べていいぞ雪風」

 

「わーい。ありがとうございます。しれぇ」

 

ケーキにかぶりつく雪風。オレは未練を断ち切るように談話室へ向かった。

 

 

「ふふふ。よく来ましたね。ご主人様」

 

 

漣がmiiを構えて待っていた。

 

「さぁ!テニスで勝負です」

 

漣とのシングルスが始まった。

 

「ぬおぉ!ツイストサーブ!燕返し!」

 

もちろん、叫んでるだけである。

 

 

 

1時間ほど遊んでいただろうか。オレも漣も汗だくになっていた。

 

「ぜぇ。ぜぇ。提督、鎮守府の柱になれ」

 

「お前、それが言いたかっただけだろう」

 

「しれぇ、ご飯の前にお風呂に入ってください」

 

雪風が迎えにきた。もうそんな時間か。

オレは風呂に向かった。

 

 

漣も汗だくだったし、メシの前にシャワーを浴びたいだろう。体を洗ったオレはさっさと出ることにした。

 

「ダメですしれぇ。肩まで浸かって100まで数えてください」

 

脱衣所で雪風が待ち構えていた。小学生か!

 

仕方なく、雪風に聞こえるように大声で100数えて風呂から出た。暑い!冷たいビール・・・はダイエット中だから自粛して、せめてコーヒー牛乳くらいはアリだよな。

 

「し、れ、え!はい、どーぞ!」

 

雪風が手渡してくれたのはキンキンに冷えた黄金色の麦の・・・お茶だった。

 

「ング。ング。プハー!キンキンに冷えてやがるぅ!」

 

物足りなさを感じなくもないが、しかし、風呂上がりに冷えた一杯が美味いのも事実だ。

 

「しれぇ、ご飯できてますよー」

 

 

食堂に行くと、みんなもうそろっていた。

 

「おらー、ご飯とお味噌汁は自分で注げー」

 

台所にいたのは望月だった。

 

「ほら、司令官もさっさと席に着いて」

 

望月に言われるまま席に着いた。

 

出てきたのは、イカの刺身・鶏肉と大根の煮物・ワカメと大根のサラダ・キノコや大根など具沢山の味噌汁と小盛りのご飯だった。

 

「なぁ望月、こんなに食べて大丈夫か?」

 

「面倒だけどもカロリーは計算してるよー。ダイエット中でもタンパク質はちゃんと摂らないと。ところてんとサラダだけのダイエットなんて絶対失敗するから」

 

「望月!」

 

まともな食事に感極まったオレは思わず望月に抱きついてしまった。

 

「ちょっ!司令官、痛い。つーか、マジで痛いってば」

 

その日の夕食はまともな人間のご飯の味がした。

 

 

「司令官。この朝潮、夜間の巡回任務を開始します。」

 

「あ、うん。いってらっしゃい」

 

「何をおっしゃってますか?司令官もご一緒ですよ?望月さんからそう伺っております」

 

望月め、腹ごなしのつもりか?

 

 

朝潮との夜の散歩は何も問題なかった。ガケをよじ登る事も、木登りすることもなく無事に自室まで帰ってこられた。

 

「では司令官、おやすみなさい」

 

「あぁ。おやすみ、朝潮」

 

部屋のドアを開けると、ベッドには時雨が待機していた。

 

「さぁ、今日最後の運動だよ?ねぇ提督?」

 

オレが何か言う前に時雨は朝潮によってベッドから引きずり下ろされ、連行されて行った。

 

「何するんだ朝潮。提督に可愛がってほしいなら、混ぜてあげるからさ。ねぇ?」

 

「時雨さんが司令官の部屋にいたら、連れて帰れと望月さんに言われています」

 

 

騒がしかった1日が終わった。

 

 

間食をやめて、朝晩に鎮守府内を散歩し、カロリー控えめご飯を食べていたら、無事にお腹周りが凹んだのだった。

 

 

「さぁ司令官。ダイエットの成功祈念にコッテリラーメンを食べましょう?チャーハンもあるわ。雷、頑張って作ったのよ?」

 

これからも小悪魔の誘惑との戦いは続く!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




デブプラス

わるきゅーれの作品。作者未プレイ。

その筋では有名なゲームらしい。

続編は本家?に怒られたのかタイトルが変わったとのこと。


相変わらずパクリのパクリで原型を留めていない。

これからもよろしくお願いします。


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見上げてごらん夜空の星を

今年もやって参りました。
一応毎年更新している孤島鎮守府のお時間です。

劇場版コ○ンみたいに年1のお楽しみみたいな?

なら劇場版のボリュームを寄越せと言わないでくださいね。

今回は天体観測です。



『続いて天気予報です。今夜から明日にかけて全国的に晴れる見込みです。今夜は星空が綺麗に見られる所が多いでしょう」

 

ガチャ

 

天気予報のラジオを切った。

今日はみんなで天体観測をするのに絶好のチャンスだった。

 

「提督ー。まだー?」

 

島風があちこち走りながらはしゃいでいる。

 

「しれぇ、望遠鏡の準備できました」

 

「星がよく見えるよ提督」

 

時雨と雪風が望遠鏡の準備をしてくれた。

 

「もっちー。重い」

 

「邪魔だからさっさと退きなさい」

 

漣と曙がシートを広げているが、望月がさっそく寝転がっているようだ。

 

「寝心地のチェックだよ」

 

「楽しみっぽい」

 

夕立も待ちきれないようだ。

 

奥では雷と朝潮が夜食の準備をしていた。

 

 

「アレがこと座のベガ。アレが白鳥座のデネブ。向こうが鷲座のアルタイルでこの3つを結ぶと夏の大三角です」

 

雪風が星座の説明をしている。

 

「織姫と彦星。ボクと提督の星だね」

 

時雨のいつもの冗談をみんな聞かなかったフリをしていたのだが、

 

「つまり時雨は年に1度しか司令官に会えなくてもいいんだ?」

 

「なっ!」

 

望月に茶々を入れられて、時雨は怒りと羞恥心で顔を真っ赤にしながら、

 

「望月!」

 

「わー」

 

望月を追い回した。

そんな2人を放っておいて、夕立が、

 

「ねぇねぇ提督さん。あの、お星様がぐるーって円を描く写真って撮れるっぽい?」

 

と聞いてきた。その質問に雪風が代わりに答えてくれた。

 

「この鎮守府にはカメラがありませんので撮れません。本当は望遠鏡も安いモノではないんですけどぉ、海軍では、天文学って必ず覚えないといけませんからねぇ。ですよね?し、れ、え?」

 

「ああ。うん」

 

みんなで天体観測をしていると、奥から声がした。

 

 

「みんなー。豚汁出来たわよー」

 

「おにぎりもあります」

 

雷と朝潮の声にみんなが集まる。

 

「みんなで素敵な豚汁パーティしましょう」

 

「お腹すいたー」

 

「こんな時間にあんまり食べると太るわよ」

 

「ぼのたんはいらないの?」

 

「食べるに決まっているでしょ!」

 

「おにぎりの具はなんですかぁ?」

 

「塩むすびですよ」

 

ワイワイ

 

「あ、流れ星」

 

雪風のその一言にみんなが豚汁から目を離して星空を見上げた。

 

「どこですか雪風さん?」

 

「もう消えちゃいましたよ」

 

「流石、流れ星!消えちゃうのも早ーい」

 

「まぁ、また見られるからさ」

 

「ボクも見たよ」

 

「くっ。この幸運艦どもめ」

 

「夕立も見たかったっぽい」

 

「司令官がダメ人間になりますように。司令官がダメ人間になりますように。司令官がダメ人間になりますように」

 

「ちょっと怖いわよ雷」

 

そんな星の綺麗な夜だった。

 

雷のお願いは聞かなかったことにしよう。

 




「見上げてごらん夜空の星を」

プルトップのゲーム。

ヒロインの1人が「ころな」ちゃん。

疫病前のゲームですし、ヒロインが天体関係の名前なので、太陽のコロナからきているのですが・・・

ファンディスクで攻略できる後輩がかわいい。

ひなみんサイコー。


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