ご~るでん☆れとりば~ず! (カール・ロビンソン)
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1・G41はいいことを思いつきました(その1)

 ある日のことです。G41はいつものように指揮官室で副官業務をしてました。

 といっても、ご主人様のお仕事をG41はほとんど手伝えません。せいぜい、お茶を入れるとか、カリーナさんとのやり取りをするとか、ご主人様が手を離せない時に電話の応対をするとかぐらいです。

 

 なので、G41はソファーに座ってご主人様をじっと見ています。ご主人様が大好きなG41はご主人様を見ているだけでも幸せです。もちろん、本当は甘えたいですが、仕事の邪魔をしてはいけないので我慢しています。

 ご主人様もG41を見ています。視線が遠いのは、頭の中が大忙しだからです。でも、G41を見ていると頑張れるってご主人様は言ってます。二人は相思相愛です。えっへん!

 

 ふと、ご主人様の視線が近くなりました。次の瞬間、椅子に身体を投げ出して言いました。

 

「終わった…」

 

 長くため息を吐いて、頭のケーブルをIFNデッキから抜きました。ご主人様は頭をサイバー化していて、インターフェイスネットワーク(=IFN)上で仕事ができます。さすがご主人様。凄いです。

 

「ご主人様。仕事終わったの?」

 

「ああ。後は適当に情報処理セルを走らせておけばいいだろう」

 

 ご主人様の言葉にG41は嬉しくなって、立ち上がります。仕事が終わったので甘えてもいいのです。

 

「ご主人様! 頭撫でてー!」

 

「おう! おいでおいで!」

 

 そう言ってご主人様は自分の膝を叩きます。お膝の許可が出ました。G41は大喜びで飛んでいきました。そして、ご主人様のお膝に座って、ご主人様の胸にもたれかかります。

 

「あー、癒されるー…」

 

 ご主人様はしみじみとそう言って、G41を抱っこして頭を撫で撫でしてくれます。G41は幸せです。ご主人様も幸せです。二人は相思相愛です。えっへん!

 

 しばらくそうしていると、不意にG41は背中に電流が走るような感覚を覚えました。

 

「うわぁ!」

 

 びくぅ! として、G41は素っ頓狂な声を上げてしまいました。

 何でそんなことになったのかと言いますと、G41の頭のミミをご主人様がはむっ、としたからです。

 

「す、すまん、G41!」

 

 ご主人様が慌てて口を離して、謝ります。ご主人様はG41をお膝に乗せていると、ついミミをはむっとしてしまいたくなるそうです。

 

「…ご主人様? びっくりしたよ?」

 

「悪い悪い。G41があまりにも可愛すぎてつい、な?」

 

 ジト目で見上げるG41に、ご主人様は謝ってくれます。

 ご主人様が可愛い、と思ってくれるのは嬉しいです。でも、いくら相思相愛でもいきなりミミをはむっとしてはいけないと思います。

 お膝に乗ると、8割以上の確率でご主人様ははむっとしてきます。そろそろ、ご主人様にいきなりはむっとされたらびっくりすることを分かって貰わないといけません。でも、どうしたら分かって貰えるでしょう?

 

 いいことを思いつきました!

 

 G41はご主人様のお膝から降りて、椅子を90度回転させます。

 

「ご主人様。こっち向いててね?」

 

「あ? ああ…」

 

 ご主人様に約束して貰って、G41は行動を開始します。しゃがんで机の陰に隠れながら、ご主人様の後ろに回り込むのです。

 ちなみに、ご主人様からはミミが丸見えだったらしいですが、黙っていてくれました。ご主人様は優しいです。

 

 それで、ご主人様の後ろに回りこんだら、ばっ!って立ち上がって、ご主人様の耳をはむっとしました!

 

「おおう!」

 

 ご主人様はびっくりしました! 作戦成功です! えっへん!

 

「ほしゅひんはま、ほうふぁ~」

 

 耳をはむはむしながら、G41は勝利宣言をします。これでご主人様も耳をはむっとされる気持ちがわかったと思います。

 

「ああ~…なんか、超幸せだ…」

 

 でも、ご主人様はなんだかご満悦です。ご主人様が幸せなのはいいことです。でも、何か違うと思います。これではミミをはむっとされる気持ちが理解してもらえないかもしれません。G41は困りました。

 

「仲良いわね、二人とも」

 

 そう言いながら、FALさんが部屋に入ってきました。

 FALさんは凄い先輩で、なんでも知っています。G41はご主人様から離れて、FALさんの方に駆けていきました。

 

「? どうしたの、G41?」

 

「あのね、FALさん…」

 

 不思議そうなFALさんにG41は耳打ちしました。ご主人様にミミをはむっとされるのでどうしようか、と相談したのです。

 

「ああ! 任せて、G41!」

 

 FALさんはとっても素敵な笑顔でそう言って、G41に解決策を耳打ちしてくれます。素晴らしい案でした! 流石、FALさんです!

 

 G41はご主人様の前に駆けて行って、嘘泣きをしながら言いました。

 

「ご主人様。G41はもうお嫁にいけません。責任を取って誓約して下さい」

 

「こら、G41! FAL、余計なことを教えるな!」

 

「あら? 女の子に恥をかかせたのだから、責任は取るべきでしょう?」

 

「ご主人様~」

 

「う… あ、ああ。借金を返し終えたらな…」

 

「わーい! 借金返したら、ご主人様が誓約してくれる~♪」

 

「よかったわね、G41! 私が証人だからね?」

 

「わーい!」

 

「お前らな!」

 

 こうして、3人でじゃれあいながら時間が過ぎていきました。幸せな一日でした。

 G41はご主人様と誓約したいです。でも、FALさんを差し置いて誓約するのは少し気が引けます。FALさんもご主人様が大好きで、付き合いはG41よりもずっと長いからです。

 だから、せめてFALさんの後に誓約してもらえたら良いな、と思いました。後、一〇〇式ちゃんも一緒だと良いです。M14さんとかSOPMODちゃんとかも一緒だと良いです。みんな大好きだからです。

 というわけで、ご主人様は一杯の戦術人形と誓約しないといけないです。ご主人様、早く借金を返してください。待ってます。まる。

 



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2・G41はいいことを思いつきました(その2)

 G41は普段第一部隊、通称一〇〇式隊に所属しています。

 一〇〇式(モモ)ちゃんを隊長とする常設部隊で、AR小隊や第2小隊(通称M590隊)と入れ替わりに緊急対応部隊に割り当てられています。緊急対応部隊に当たっている時は、緊急時にすぐ動かないといけないので、巡回任務や後方任務にも参加しません。

 

 なので、非常事態が起きるまでは割と暇です。

 そんなわけで、G41はご主人様の所に行くことにしました。今日副官には一〇〇式(モモ)ちゃんが就いていますが、今は文書を取りに行っているところだと思うので、G41がいる方がいいと思います。

 

 指揮官室のドアの前に着きました。こんこん、とノックしますが、反応がありません。きっとお仕事が忙しいのでしょう。

 

「G41入ります!」

 

 G41はそう言って、ドアを開けます。すると、ご主人様は椅子にもたれかかって寝ていました。

 カリーナさんやヘリアンさんが見たら、さぼっているように思うかもしれません。でも、ご主人様は忙しいと2日も3日も寝ないでお仕事をしています。暇な時ぐらい寝ていても、文句は言えないと思います。

 

 ふと、G41は思いました。人間は寝ていると体温調節機能が低下するみたいです。このままだと、ご主人様が風邪をひいてしまうかもしれません。ご主人様が病気になると、G41は悲しいです。

 

 G41はお布団を探してみました。でも、指揮官室にはお布団の代わりにかけられそうなものがありません。G41はどうしたものか、としばらく考えました。

 

 いいことを思いつきました!

 

 G41はご主人様を起こさないように静かに近づいていきました。それで、ご主人様の方を向いてお膝に乗って、そのまま被さるようにしました。

 G41の身体は温かくて柔らかいのでお布団の代わりになります。そうすると、ご主人様は風邪をひきません。G41もご主人様の側でいられるので嬉しいです。とっても名案です!えっへん!

 

 というわけで、ご主人様にそっと覆いかぶさりました。ご主人様の匂いがします。嬉しいです。

 すると、ご主人様にぎゅっ、とされてしまいました。頭をなでなでしてくれます。

 

「どうした、G41? 甘えに来たのか?」

 

 ご主人様が目を開いて、笑ってくれます。ご主人様に撫でてもらえるのは嬉しいです。でも、G41はご主人様にゆっくり休んで欲しかったのです。自分の役目を果たせなかったので、G41はしょんぼりしました。

 

「ごめんなさい、ご主人様。起こしてしまいました…」

 

 G41はご主人様に謝ります。お布団になろうとして、寝ているのを邪魔しては本末転倒です。

 

「ああ、そういうことか」

 

 ご主人様はG41の意図に気づいてくれました。それで、ぎゅっとしたまま笑って言いました。

 

「G41。俺は別に寝てたわけじゃないよ」

 

 そう言って、ご主人様は頭のケーブルを見せました。どうやら寝ている風に仕事をしていたみたいです。目が疲れていたのかもしれません。

 

「でもまあ、G41が気遣ってくれるのは嬉しいな。ありがとう」

 

 ご主人様からお礼を言われて、G41は幸せな気持ちでいっぱいになりました。ご主人様はG41の気持ちをよくわかってくださいます。G41はそんなご主人様の戦術人形で幸せでした。

 

「戻りました、指揮官…」

 

 ドアを開けて一〇〇式(モモ)ちゃんが入ってきました。何だか、顔が凍り付いています。手から書類が落ちました。でも、顔が赤いです。風邪でしょうか? 普通の戦術人形は風邪をひかないですが、一〇〇式(モモ)ちゃんは風邪をひくかもしれません。一緒にご主人様にぎゅっとして貰おう、と思って口を開きかけた時、

 

「し、指揮官…! お、お邪魔しました…!!」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんは顔を真っ赤にして、どこかに行ってしまいました。大慌てです。どうしたんでしょうか?

 

「も、一〇〇式(モモ)ー!?」

 

 ご主人様が絶叫しました。本当にどうしたんでしょう? G41には分かりません。

 

『…FAL。緊急任務が発生した。直ちに遂行を頼む』

 

『はいはい、分かったわ。…お礼はガトーショコラね?』

 

『う… わ、わかった…』

 

 ご主人様は通信モジュールを開いて、FALさんに緊急任務を依頼しました。お仕事の最中に何か非常事態が発生したのかもしれません。単独で任務を貰えるなんて、さすが、FALさんです。

 FALさんはガトーショコラが貰えるみたいです。あれは物凄く高いので滅多に食べられません。任務の報酬で貰えるなんて羨ましいです。G41も一口だけ貰おうとおねだりしてみます。

 

 次の日、ご主人様はお金が無くなったみたいで御飯がお水だけになってしまったみたいです。何にお金を使ったのでしょう。

 よくわからないですが、この前一〇〇式(モモ)ちゃんに習ったオムライスを作って差し入れてあげようと思います。ご主人様、待っててね? まる。



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3 ・G41はいけないことを思いついてしまいました(その1)

 最近は鉄血の連中が大人しいので、ご主人様の仕事がすぐに終わることが多いです。

 なので、今日も仕事が終わってるといいな、と思いながらご主人様の所に行きます。

 もちろん、仕事が終わっていたらご主人様と遊びたいです。ご主人様のお伽話を聞くのがG41は大好きです。本当はご主人様がご主人様になる前の話も聞きたいのですが全然話してくれません。

 ご主人様はグリフィンに来る前は軍のえりーとだったらしいです。えりーとはかっこいいらしいので、是非その話を聞きたいです。でも、それを聞こうとすると凄く暗い顔になります。

 FALさんは知っているらしいですが、FALさんも全然話してくれません。

 きっと、余程嫌なことがあったんだ、と思います。えりーとはかっこいいらしいですが、大変でもあるらしいからです。なので、いつか話してくれたらいいな、と待ってます。

 

 ふと、廊下の向こうから歩いてくる人がいます。ご主人様です! G41は嬉しくなって飛んでいきました。

 

「ご主人様~!」

 

「お、G41!」

 

 ご主人様は突撃したG41を優しく受け止めてくれて、なでなでしてくれました。G41は幸せです。今日もご主人様が一緒にいると思うともっと幸せな気持ちになります。

 

「おい、ボス。鍵借りてくるぞ?」

 

 後ろにいたトンプソンさんが言います。G41はご主人様になでなでしてもらっている頭を少し傾げました。倉庫の鍵か何かでしょうか?

 

「うん、お願いね。ついでに一服して来ていいわよ?」

 

 同じく後ろにいたFALさんがトンプソンさんに言います。3人は一緒に何かするのでしょうか?

 

「ご主人様、どうしたの?」

 

「ああ。これから少し外に出かけてくるんだ」

 

 ご主人様の言葉を聞いてG41は少し悲しくなりました。折角、ご主人様といられると思ったからです。でも、G41はすぐに気分を切り替えました。G41は戦術人形です。だから、ご主人様のお役に立てます。

 

「ご主人様! G41を護衛として連れてって!」

 

 G41は笑顔で言います。G41は元々護衛用として開発された戦術人形で、故に他の戦術人形にないミミ型簡易動態センサーと、精密射撃用の狙眼が搭載されています。この基地でもM4さんやFALさんと並ぶエースです。きっと連れて行ってもらえる、と思いました。

 

「いや、護衛とドライバーはトンプソンとFALに頼んでいるんだ」

 

 あう。いきなり断られてしまいました。G41はしょんぼりです。

 

「悪いな、G41。少しビジネスの話もあるんでな」

 

「G41は一〇〇式(モモ)と一緒にお留守番をお願いね?」

 

 トンプソンさんとFALさんがそう言います。二人とも頼りになる先輩で、特にFALさんは戦闘以外の仕事でもご主人様に頼られる凄い戦術人形です。なので、戦力としては心配ないと思います。

 でも、G41はご主人様と一緒にいたいです。連れてってくれないなら出かけて欲しくないです。でも、どうしたら出かけるのを止めてくれるでしょう?

 

 いけないことを思いついてしまいました!

 

 G41は走って整備班の方に行きます。それで恐らくご主人様達が使うであろうトラックの鍵を先に借りてしまいます。なぜトラックなのかというと、鍵が必要な車両はトラックしかないからです。

 

 それでご主人様のところに戻ります。ご主人様は笑顔でG41を待っててくれました。G41が鍵を借りてきてくれた、と思っているのかもしれません。でも、今日のG41は悪い子です。

 

「大変です、ご主人様! 鍵がありません!」

 

 G41は後ろ手に鍵を隠して言いました。鍵がないとご主人様は出かけられません。どうしても出かけたいなら、鍵を持っているG41を連れていくしかないです。とっても名案です!

 もちろん、これは悪いことです。でも、ご主人様は目的のためなら親の仇でも使う、ってよく言ってます。G41がちょっと悪いことをしても怒らないと思います。

 

「おい、G41。お前な…」

 

「まあ落ち着け、トンプソン」

 

 呆れ顔で詰め寄るトンプソンさんをご主人様が止めます。G41を連れてってくれるのでしょうか。G41はワクワクしてご主人様の言葉を待ちます。

 

「鍵が無くなったのか。困ったな、FAL」

 

「そうね、指揮官」

 

 ところがG41の目の前でご主人様はFALさんと相談を始めました。あう。もしかして、G41が鍵を持ってるんじゃなくて、本当になくなったと思ってるんでしょうか? でも、今更G41が持ってます、とは言えません。今日のG41は悪い子です。

 

「でも、大切な用だから必ず行かないといけないわね、指揮官?」

 

「ああ、仕方ない。歩いて行くか」

 

「そうね。丸一日がかりになるから、今日は帰ってこられないわね」

 

 FALさんの言葉を聞いて、G41は内心で大慌てです。大変です。ご主人様の帰りが遅くなったら本末転倒です。どうしましょう。

 

「それに街まで歩いて行ったら危険よね。指揮官死んじゃうかもしれないわよね」

 

「そうだな。大気汚染もあるし、鉄血の連中に襲われるかもしれないしな」

 

 ご主人様の言葉を聞いて、G41は超大慌てです。ご主人様が死んでしまったら、G41は生きていけません。ましてやG41のせいで死んだりしたら泣くに泣けません。どうしましょう。とんでもないことになってしまいました!

 

「鍵があったら昼までには帰ってくるんだけどな」

 

「そうよね。お菓子もいっぱい貰ってね」

 

 ご主人様とFALさんがG41を見つめて言います。もうどうしようもありません。G41は観念して、鍵を差し出して言いました。

 

「ご主人様、ごめんなさい。鍵、ありました…」

 

「ああ。ありがとう、G41」

 

 ご主人様は鍵を受け取って、頭を撫でてくれます。ご主人様は怒らなかったです。でも、本当は連れてって欲しかったです。

 でも、ビジネスの話をする時、G41や一〇〇式(モモ)ちゃんがいると気兼ねしちゃうそうです。ご主人様の負担になってはいけません。G41は自分にそう言い聞かせて、諦めることにしました。

 

「そういえば、SOPMODがG41を探してたわよ? 面白い玩具を手に入れたんですって」

 

「そうだな。二人で仲良くお留守番頼むな?」

 

 FALさんとご主人様がそう言ってくれます。SOPMODちゃんは大の仲良しです。二人で遊んでたら、きっと楽しくてすぐ時間も経って、ご主人様が帰ってきてくれると思います。

 なので、G41はご主人様を駐車場までお見送り押した後、いい子でお留守番することにしました。ご主人様、待ってます。 まる。

 

 ちなみに、SOPMODちゃんに通信モジュールで連絡を取ってみると、野外訓練場で待ってる、とのことです。どんな玩具を手に入れたのでしょう。楽しみです。わくわく。



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4・G41はいけないことを思いついてしまいました(その2)

 


 突然ですが、G41はいけないことを思いついてしまいました!

 

 G41はご主人様に誓約して貰いたいです。

 でも、ご主人様は借金があるから、と誓約してくれません。

 

 ご主人様の借金はとっても多いですが、カリーナさんに聞いたら一年前の事件と、ここ最近起きた二つの事件の特別報奨で半額ぐらいを返せているそうです。後、幾らか事件が起きたら返済できると思います。

 なので、G41は作戦を立てて、ご主人様に誓約して貰おうと考えています。とにかく、ご主人様に誓約するって言って貰いたいのです。

 

 もちろん、ご主人様を引っかけるのは悪いことです。

 でも、ご主人様は戦場においては策にかかるやつが悪い、騙されるやつが悪い、と言ってました。そして、恋は戦争と言います。なので、ご主人様は引っかけても怒らない、と思います。

 

 というわけで、早速G41はご主人様の所に行きます。幸い、ご主人様は一人で座ってお茶を飲んでいました。仕事が一段落したみたいです。そして、一〇〇式(モモ)ちゃんはお使いに出ているみたいです。チャンスです。

 

 というわけで、早速作戦を開始します。

 

 まず、G41はご主人様のところに走って行きました。

 

「ご主人様~」

 

「おお、G41! おいでおいで!」

 

 G41を見るなり、ご主人様は手招きをして迎えてくれました。作戦の第一段階は成功です!

 

「ご主人様! まず、褒めて!」

 

 作戦は第二段階に入りました。まず、G41はご主人様に褒めの言葉をおねだりします。

 

「ああ。G41は今日も可愛いな」

 

 ご主人様はいつものように褒めてくれます。作戦の経過は順調です。

 

「頭撫でて!」

 

 次になでなでをおねだりします。耳を寝かせて頭を差し出してみます。

 

「ああ。よしよし」

 

 ご主人様はG41の頭を優しくなでてくれます。気持ちいいです。G41は幸せです。

 でも、作戦を忘れてはいけません。ここからが肝心なのです。

 

「ご主人様、超褒めて?」

 

 G41はおねだりをグレードアップさせます。これが作戦の内容です。

 おねだりをグレードアップさせて、最後に誓約して? っておねだりすることで、なし崩し的にうんって言って貰うことです。名付けて、雪だるま作戦です!

 

「ああ。G41は本当に可愛いな。お前は俺の天使だ。宝物だ」

 

 ご主人様はG41を超褒めてくれました。嬉しいです。

 ご主人様は順調に作戦に引っかかってくれています。ご主人様は数多くの敵を作戦で引っかけて倒してきました。その凄いご主人様が作戦にかかってくれています。一生懸命考えた甲斐がありました! えっへん!

 

「ご主人様、超撫でて?」

 

 G41は勢いに任せてそう言いました。

 

「おお! よ~しよしよしよし!!」

 

 ご主人様はG41の頭を抱えてわしゃわしゃしてくれました。超嬉しいです。

 G41は幸せいっぱいです。これ以上の要求はないので、いよいよG41は作戦の締めにかかります!

 

「ご主人様、誓約して?」

 

 G41はご主人様を見上げてそう言いました。ここまで来たら作戦はきっと上手く行く、と思いました。

 

「こら、G41!」

 

 でも、ご主人様はそう言ってG41の頭をぺちっとしました。

 とっても優しいぺちっだったので痛くはないです。でも、作戦は失敗でした。

 G41は少し残念でしたが、でもしょうがないと思いました。ご主人様は賢いので、G41の作戦を見抜いてしまったのです。もっと上手に作戦を練らないといけません。

 

「全く、借金を返し終えるまで無理だって言ってるだろ?」

 

「でも、G41はご主人様に誓約して貰いたいです」

 

 G41はご主人様に正直に言います。G41はご主人様とずっと一緒がいいです。だから、誓約して欲しいです。

 

「まあ、それはもう少し待つんだ。代わりによしよししてやるから」

 

 そう言って、ご主人様は椅子に座って膝をパンパンします。お膝の許可が出ました。G41は喜び勇んでご主人様のお膝の上に座ります。

 

 ふと、G41は思いつきました。今日もご主人様はミミをはむっとしてくるかもしれません。なので、最初に言っておくことにします。

 

「ご主人様? ミミをはむっとしないでね?」

 

「ああ。G41が嫌だというならやらないよ?」

 

 ご主人様がそう言ってくれたのでG41は安心してご主人様のお膝を満喫します。幸せです。

 

「G41、なでなでしていいか?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様の言葉にG41は喜んで頷きます。ご主人様になでなでしてもらうと幸せだからです。

 ご主人様はG41の頭をなでなでしてくれます。気持ちいいです。G41は幸せ100%です。

 

「G41、ゴロゴロしていいか?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様の言葉にG41は喜んで頷きます。ご主人様にゴロゴロしてもらうと幸せだからです。

 ご主人様はG41の喉を撫でてくれます。とても気持ちいいので、ゴロゴロと喉を鳴らしてしまいます。G41は幸せ120%です。

 

「G41、はむはむしていいか?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様の言葉にG41は喜んで頷きます。ご主人様にはむはむしてもらうと… あれ?

 次の瞬間、G41の背筋に電流が走るような感覚がしました。

 

「うわぁ!」

 

 G41は驚いて素っ頓狂な声を上げてしまいます。

 

「ご主人様? はむってしないでって言ったのに…」

 

「いや、はいって言うから嫌じゃなくなったのかと思ってな」

 

 膨れるG41に、ご主人様はしれっとそう言います。確かに、ご主人様は嫌ならやめる、と言ってました。そして、G41はあまりよく分からないうちにはいって言ってしまいました。

 なんと、G41はご主人様の作戦に引っかかってしまいました! 流石ご主人様です!

 

 というわけで、G41はご主人様に負けてしまいました。

 でも、ご主人様にたっぷり甘えられたのでとっても幸せでした。なので、作戦は部分的成功でした! まる。

 



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5・はたらくG41(その1)

 G41は今ご主人様の部屋の掃除をしています。

 ご主人様の部屋の掃除は当番制で戦術人形の有志がやってます。ご主人様の部屋を掃除し隊です。隊長はM590さんがやってくれてます。以前は一〇〇式(モモ)ちゃんが隊長だったのですが、いろいろ忙しくなってきたのでM590さんが代わりに就任したのです。

 

 ご主人様の部屋は結構汚いです。

 服は脱ぎ散らかしているし、飲んだお酒の瓶とかも机に放置しています。

 ご主人様は私生活ではかなりだらしないです。困ったご主人様です。今度会ったらめっ!しないといけません。

 

 G41は部隊結成初期から隊員だったので、今や勝手知ったるご主人様の部屋です。

 なので、どこに何を片付けたらいいかはご主人様より知っています。早速お片づけを始めます。

 

 まず机の上のお酒を片付けることにします。空の瓶とコップとお皿をお盆に乗せます。

 少しだけ瓶の口を舐めてみます。なんだかとっても安っぽい味がしました。ご主人様は給料日なのにこんな安っぽいお酒しか飲めません。可哀想です。

 お金を稼いだら、ご主人様にいいお酒をあげたいと思います。シャンペンというのがしゅわっとして甘くて美味しいので、それを買ってあげたいです。

 次にコップをちょっと舐めてみます。やっぱり安っぽい味がしました。でも、ご主人様と間接キッスです。嬉しいです。えへへ。

 

 続いて、服のお掃除です。

 いつも着ているスーツとYシャツを回収します。Yシャツはお洗濯で、スーツはアイロンして消臭剤をかけることにします。

 最初G41はアイロンが難しくて、スーツをダメにしたこともありました。でも、一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒にスプリングフィールドさんに習って、とっても上手になりました。

 なので、G41はいいお嫁さんになれます! えっへん!

 

 回収した服をくんくんしてみます。ご主人様の匂いがしました。嬉しいです。

 嬉しかったので、ついついぎゅっとしてすりすりしてしまいました。G41はご主人様の匂いが大好きです。

 名残惜しいですが、それを籠に入れて、持ってきた新しいシャツとスーツをクローゼットにかけておきます。しっかりアイロンしたので、脱ぎ散らかしてしわしわにしないで欲しいものです。脱いだらちゃんとハンガーにかけるぐらいはして欲しいです。やっぱり、めっ!しないといけません。

 

 後はお部屋に掃除機をかけて、拭き掃除をします。

 掃除機をかけていると、ベッドの下に何か当たるものがありました。とってみると、それはエロ本でした。

 新しい本だったのでG41は早速読んでみます。何だか一〇〇式(モモ)ちゃんみたいな服の女の子がいっぱいでした。

 もしかしてご主人様は一〇〇式(モモ)ちゃんみたいな服が好きなのでしょうか。なら、今度G41もああいう服用のスキンを作って貰いたいです。今度ペルシカさんに頼んでみます。

 

 エロ本をたっぷり読んで、ご主人様をのーさつするお勉強をした後、掃除機と拭き掃除を仕上げてしまいます。

 部屋は綺麗になりました! G41はお掃除が得意です! なので、G41はいいお嫁さんになれます! えっへん!

 ちなみに、エロ本は机の上に置いておきました。お気に入りのエロ本だと思うので、すぐに読めるように、と配慮したのです。G41は気が利きます!

 

 後はベッドメイキングだけです。今日はシーツ交換はしないで、消臭剤をかけるだけです。

 布団を持ち上げたところで、ご主人様の匂いがしました。G41はご主人様の匂いが大好きです。ご主人様の匂いに包まれたいと思ってしまいました。

 なので、G41はご主人様のベッドに寝っ転がってお布団を抱っこしました。ご主人様の匂いでいっぱいです。ぬくぬくです。G41は幸せです。

 

 何だかちょっと眠くなってきました。でも、寝ちゃいけません。まだお掃除が完全に済んでないからです。でも、もう少しだけコロコロしていたいです。

 コロコロしているうちにますます眠くなってきてしまいました。ご主人様の匂いは安心するからです。でも、寝ちゃいけません。寝ちゃいけません。寝ちゃ…ZZZzzz…

 

 …何だか、頭を撫でてくれている感触がします。ご主人様の手みたいです。なのでちょっとすりすりしてしまいました。

 

 あれ? G41は今どうしてるんでしょうか? あれ?あれ?

 あ! G41は思い出しました! お掃除の途中でした!

 G41は慌てて身を起こしました。すると、ご主人様が隣に座っていました。

 

「おはよう、G41」

 

 ご主人様が笑顔でそう言ってくれます。体内時計を確認してみると、もう夕方です。ご主人様は仕事を終えて部屋に戻ってきたのです。

 G41はしょんぼりです。コロコロの誘惑に負けて、お掃除を最後までできませんでした。G41はダメな子です。

 

「ごめんなさい、ご主人様。寝てしまいました…」

 

 G41はミミをペタンとしてご主人様に謝ります。これではいいお嫁さんになれません…

 

「いや、いいんだよ。いつもありがとうな、G41」

 

「…ふぇ? 頭、撫でてくれた…?」

 

 でも、ご主人様はG41をなでなでしてお礼を言ってくれました。怒られるかと思っていましたが、どうやら余計な心配だったみたいです。

 

「せっかくだし、もう少しG41を愛でてから飯にしよう」

 

 ご主人様が嬉しいことを言います。G41は幸せです。お掃除し隊に入ってて本当に良かったです。

 ちなみに、洗濯物や洗い物は一〇〇式(モモ)ちゃんが片付けてくれていたみたいです。一〇〇式(モモ)ちゃんフォローありがとう。今度お礼にほねっこを持っていくから待っててね? まる。



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6・はたらくG41(その2)

 今日はみんなで巡回任務の日です。メンバーは私とFALさん。それにSOPMODちゃんとステンちゃんとスコーピオンちゃんです。

 一〇〇式隊所属の私とAR小隊所属のSOPMODちゃんは普段巡回任務には出ないのですが、最近事件がなさ過ぎてつまんないので出させてもらうことにしました。FALさんは引率です。

 

 ダミードールを引き連れて、無事帰還です。みんな傷一つありません。戦闘はなかったからです。鉄血は最近本当に勢力を減退させています。巡回に出ても、雑魚さえ出てきません。SOPMODちゃんはつまらなさそうです。

 でも、G41は久しぶりのお外で楽しかったです。ステンちゃんやスコーピオンちゃんも最近は後方任務ばっかりだったのでお外は楽しかったようです。やっぱり散歩は大事だと思います。

 

「みんな、お帰りなさい」

 

 副官の一〇〇式(モモ)ちゃんが玄関までお迎えに来てくれました。

 

「あ、一〇〇式(モモ)ちゃんだー!」

 

 SOPMODちゃんが嬉しそうに言います。G41も嬉しいです。二人とも一〇〇式(モモ)ちゃんが大好きだからです。

 

「「一〇〇式(モモ)ちゃ~ん!!」」

 

 嬉しかったので二人で突撃しました。その後ろをダミードール×8が追従します。

 

「「一〇〇式(モモ)ちゃん~」」

 

 そして、二人×5で一〇〇式(モモ)ちゃんをもみくちゃにします。舐めたり、スリスリしたり、髪を弄ったり、無駄に上着を脱がしたりします。

 

「あ、あの… G41ちゃん? SOPMODちゃん?」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんが戸惑うように言いますが、G41達は止まりません。一〇〇式(モモ)ちゃんが大好きだからです。もちろん、一〇〇式(モモ)ちゃんを虐めているわけじゃありません。じゃれているだけです。

 

一〇〇式(モモ)ちゃん~」

 

 G41は遠慮なく一〇〇式(モモ)ちゃんのほっぺを舐めまくります。一〇〇式(モモ)ちゃんのほっぺはぷっくりしてて気持ちいいです。それに、桃ちゃんと名前が似ているせいなのか、なんだか甘い気がするからです。

 

「こら、そこまでにしなさい二人とも」

 

 FALさんがそう言うと、G41とSOPMODちゃんはすぐに一〇〇式(モモ)ちゃんから離れます。一〇〇式(モモ)ちゃんは怒らないですが、FALさんが怒るとげんこつされます。

 げんこつは痛いので嫌です。なので、FALさんに怒られないようにしないといけません。

 

「FALさん…」

 

一〇〇式(モモ)、嫌なら嫌って言いなさい。この二人、悪気はないけど遠慮も際限もないんだから」

 

 FALさんはSOPMODちゃんのダミーから上着を取り返して、一〇〇式(モモ)ちゃんに着せてあげながら言います。

 FALさんの言葉に、G41とSOPMODちゃんはしゅんとします。もしかして、一〇〇式(モモ)ちゃんに嫌われてしまったのでしょうか?

 

「いいえ、FALさん。嫌じゃないですよ。…二人とも大切な友達ですから」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉にG41達は笑顔になりました。嬉しかったのでもう一度じゃれに行きたかったですが、FALさんに睨まれたので止めておきます。

 

「みんな、おかえり」

 

 しばらくすると、ご主人様も来てくれました。G41とSOPMODちゃんは喜色満面です。

 あまりにも嬉しかったので、二人でご主人様に突撃しました。その後ろをダミードール×8が追従します。

 

「ご主人様~!」

 

「しきか~ん!」

 

「おっ、二人共ご苦労だったな!」

 

 突撃する二人×5をご主人様は両手を広げて迎えてくれます。さすがご主人様です!

 

「ご主人様~、全員の頭撫でて~」

 

「指揮官、だっこ~」

 

 G41&SOPMODちゃん×5はご主人様を遠慮なくもみくちゃにします。でも、ご主人様は、

 

「ははははは、こぉいつぅ~」

 

 とっても幸せそうでした。流石ご主人様です。

 

 ふと見ると、ステンちゃんが何だか羨ましそうにこっちを見ています。ステンちゃんもご主人様が大好きだからだと思います。G41とSOPMODちゃんに遠慮して来ないのだと思います。

 

「ステンちゃん! 一緒にあまあましよ!」

 

 なので、G41はステンちゃんを呼びました。ご主人様は凄い人なので全員でもみくちゃにしても大丈夫です。なので、ステンちゃんも一緒がいい、と思いました。G41にとってステンちゃんもお友達だからです。

 

「…うん、ステン-MKⅡ、行きます!」

 

「…じゃあ、私も行こうかな」

 

 ステンちゃんだけでなく、スコーピオンちゃんもご主人様にあまあまするみたいです。ご主人様は何だかとんでもないことになっていますが、幸せそうです。なので、遠慮しなくていいと思います。

 

「はい、みんなそこまで」

 

 でも、FALさんから待ったがかかって、みんな動きを止めました。G41とSOPMODちゃんも離れます。

 FALさんの口調は怒ってそうじゃないですが、言うことを聞かないとげんこつされてしまいます。FALさんを怒らせないようにしないといけません。

 

「もう、指揮官もいい加減にしてよ? いつまでも報告できないじゃない」

 

「すまんな、FAL。あまりに幸せだったからな」

 

 FALさんの言葉に、ご主人様は笑って服装を直します。FALさんもそれを手伝ってます。なんだか、お父さんとお母さんみたいです。G41達には両親はいないですが、何となくそう思いました。

 

「で、指揮官。仕事は終わったの?」

 

「大体な。後は情報処理セルが妙なものを見つけて来なければ、お仕事は終わりだ」

 

「なら、この娘達の相手をしてあげて? 雑務は私と一〇〇式(モモ)でやっておくから」

 

 FALさんの言葉に、みんな笑顔になりました! FALさんはやっぱりいい人です。G41はFALさんのことも大好きです!

 

「みんな、ダミードール置いて、一応診断と消毒だけは受けて、それから指揮官に甘えなさい?」

 

「「「「は~い!!!!」」」」

 

 FALさんの言葉に、みんな素直に従います。FALさんは厳しいことも言いますし、怖いこともありますが、でもみんなのことを思いやってくれます。みんなFALさんが大好きです!

 

「あ、そうだ。FAL」

 

「何? 何か忘れ物?」

 

 立ち去ろうとするFALさんにご主人様が近づいて行きます。

 

「ありがとうな、FAL。助かるよ」

 

 そう言って、FALさんをなでなでしました。何だか珍しい光景です。

 

「ちょっ!? し、指揮官!? もう…」

 

 FALさんは顔を真っ赤にして驚きましたが、嫌がったりせずにご主人様になでなでされてます。やっぱり、FALさんもご主人様が大好きです。

 

 みんなもご主人様が大好きで、ご主人様もみんなが大好きです。G41達は幸せです。ご主人様も幸せです。そんな幸せで平和な日々が続いて欲しいな、と思いました。まる。

 

 あ、でも、何か事件が起こらないとご主人様がいつまで経っても借金を返せません。ほどほどに事件も起きて欲しいです。



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7・ご奉仕G41(その1)

 突然ですが、G41はいいことを思いつきました!

 

 いつもご主人様に撫でてもらったり、褒めてもらってばかりでは不公平です。なので、G41もご主人様に気持ち良くなって貰おうと思います。

 というわけで、G41はこの前から一〇〇式ちゃんにある技を習ってました。そして、もう免許皆伝の腕になりました! えっへん!

 

 後、Five-sevenさんから貰ったご奉仕用の服も着ています。紺色のワンピースとその上に白いエプロンドレスとヘッドドレスを着けてます。白い手袋と黒いストッキングも身に着けました。なんでも、これはメイド服って言って、昔からご奉仕するときに着る服だそうです。これを着ていくとご主人様が大喜びするって言ってたのでこれで完璧です!

 

 というわけで、今日はその技のお披露目です。G41は早速指揮官室に行きました。

 

「G41入ります!」

 

 ノックして、そう言ってお部屋に入りました。ご主人様はIFN通信で誰かとお話し中です。

 

「うちの一〇〇式はいささか忙しくてですね。それに彼女も人前に出るのは少々苦手な性格でして…」

 

『そこをなんとか』

 

 あう。交渉事の最中でした。ご主人様は交渉中にG41達を近づけることを嫌います。返事があるまで待てばよかったです。ご奉仕するつもりがいけないことをしてしまいました。

 

「ふむ。そういえば、一〇〇式は最近お腹を減らしていることが多くてですね…えぇ!?」

 

 ご主人様がG41を見た瞬間素っ頓狂な声を上げました。とっても目が大きいです。あう。もしかして怒られるのでしょうか? G41はしょんぼりです。

 

『どうしました? 天野指揮官』

 

「急用が入りました。この話はまた今度。では」

 

 ご主人様はそう言って強引に通信を打ち切って、すぐに立ち上がります。そして、G41の前に大股で歩いてきました。

 

「じ、G41!((*´Д`)ハアハア) お前はなんていけない子なんだ!((*´Д`)ハアハア) これはおしおきをするしかない…(じゅる)おっと、涎が…」

 

 ご主人様が何だか怖い目で、息を乱してそう言いました。もしかして、もの凄く大事な交渉だったのでしょうか。ご主人様のお邪魔をして、G41はしょんぼりです。

 

「ごめんなさい、ご主人様。失望させました…」

 

 G41はミミをペタンとして、上目遣いでご主人様に言います。悲しいので、つい目がウルウルしてしまいました。

 

「ぐおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

 

 そう言った次の瞬間、いきなりご主人様が床に倒れて横にごろごろし始めました。一体どうしたのでしょう? G41はびっくりです。一体何が起こったのでしょうか?

 

「…い、いかん、いかん。俺、正気に戻れ… G41をそんな目で見るんじゃない…」

 

 ご主人様はうつ伏せで寝ころんだままそう言って、立ち上がりました。

 

「ご主人様?」

 

「すまん、G41。取り乱してしまった。お前は悪い子じゃないからな。可愛い可愛い、俺の大天使だ」

 

 なんだかよくわかりませんが、いきなり超褒められました。怒られるんじゃなかったのでしょうか? よく分からないですが。褒められたのでG41は嬉しいです。

 

「で? G41、どうしたんだ?」

 

「はい! ご主人様にご奉仕しに来ました!」

 

「ご奉仕…だと…?」

 

 ご主人様は凄く驚いてそう言います。とってもサプライズだったみたいです。というわけで、G41はソファーの端に座って、膝をパンパンしました。ご主人様のお膝の合図の真似です。

 

「うおおおお… マジか…」

 

 ご主人様は何だか感極まった様子でそう言って、いそいそとソファーに寝っ転がって、G41のお膝を枕にしました。G41は高級モデルなので、臭くないですしお膝も柔らかいのでいい枕になります。

 

「ご主人様、どうですか?」

 

「ああ。幸せすぎる…」

 

 ご主人様は本当に幸せそうにそう言いました。ご奉仕大成功です! でも、G41のご奉仕はまだ始まったばかりです。

 

「ご主人様、横向いて?」

 

「こうか?」

 

 ご主人様が頭を右に向けました。ご主人様の耳が前にあります。いよいよ、日ごろの訓練の成果を発揮する時です。

 G41はポケットからピンセットを取り出しました。先にはゴムがついていて突いても痛くないようになっています。

 G41は精密作業が得意なので、耳かきや綿棒よりピンセットを使うほうが扱いやすいのです。

 

「ご主人様、耳掃除しますね?」

 

 そう言って、G41は耳の穴にピンセットを入れました。そして、ちょっと大きい耳垢を摘まみます。パリっていって、耳垢が取れました。

 

「おおう!」

 

 ご主人様が声を上げます。気持ちいいみたいです。ご奉仕はとっても順調です! えっへん!

 

「ご主人様、ここかゆいですか?」

 

 G41は取れた耳垢のあった場所をピンセットで優しくカリカリします。そこがほんのちょっとだけ赤くなっていたからです。

 

「ああ… めっちゃ気持ちいい…」

 

 ご主人様はため息交じりにそう言います。ご主人様が気持ち良さそうなので、G41は嬉しいです。ご奉仕はとっても順調です! えっへん!

 

 G41は丁寧に耳垢をとっていきます。ご主人様はあまり耳掃除をしないらしく、結構耳垢がたくさんありました。それを一枚一枚、ゆっくり剥がしてとっていきます。ぱりっと剥げるたびに、ご主人様は気持ちよさそうな顔をします。なんだかG41は嬉しいです。もちろん、赤い部分があったらカリカリするのも忘れません。

 

 いよいよ仕上げです。まずはふーふーをします。

 G41は口をご主人様の耳に寄せ、息をフーフーしました。

 

「うおぅ!?」

 

 ご主人様はびっくりしたみたいです。なんだか、今日のご主人様は何だか可愛いです。そんなご主人様を見られて、G41は嬉しいです。ご奉仕はとっても素晴らしいことだ、と思いました。

 

 いよいよ、最後の仕上げです。G41は耳の壁を少しピンセットの先端でなぞって、へこんでいる部分を探します。それはすぐに見つかりました。ここが耳のツボらしいです。

 そこを優しくピンセットの先端でつんつんしたり、カリカリしたりします。ここを刺激されるととっても気持ちいいらしいです。

 

「やべえ… 幸せすぎる…」

 

 そう言って、ご主人様は大きな欠伸をしました。このツボを刺激すると眠くなるみたいです。そうでなくても、ご主人様は一生懸命私たちのために働いてお疲れです。ゆっくり休んで欲しいです。

 

「ご主人様、お眠してもいいですよ?」

 

「ああ。すまん、G41」

 

 そう言うなり、ご主人様は反対を向いて別の耳をG41に向けました。寝てる間にこっちもお願い、ということだと思います。

 

「はい、ご主人様。おやすみなさい」

 

 そう言って、G41は再び耳の掃除を始めました。大きな耳垢がたくさんあります。掃除のし甲斐があります。

 そうして、耳垢をパリパリしていると、ご主人様の寝息が聞こえてきました。ご主人様の寝顔が何だか可愛くて、G41は嬉しかったです。ご奉仕は大成功でした!

 ご主人様が寝ていても、G41は手を抜かずご奉仕します。ゆっくりお休みください、ご主人様。まる。

 



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8・ご奉仕G41(その2)

 今日はG41が急遽副官です! なんと、一〇〇式(モモ)ちゃんが副官の予定だったのを押しのけての副官業務です! 

 G41は今日もメイド服です。ご主人様はどうもメイド服が大好物みたいです。一〇〇式(モモ)ちゃんに勝ったのは初めてです。これからもうずっとメイド服でもいいかもしれません。

 でも、それはちょっとずるい気がするので、一〇〇式(モモ)ちゃんにもメイド服をお勧めするつもりです。そうしたらずるくないです。ご主人様の取り合いは、正々堂々するべきです。大事なお友達の一〇〇式(モモ)ちゃんだから猶更です。

 でも、後で聞いたら急遽16Labにデータ提出に行く必要があったからだったらしいです。良かったです。でも、一〇〇式(モモ)ちゃんにもメイド服はお勧めします。きっと可愛いからです。思わずペロペロしちゃうかもしれません。

 

 それはさておき、お仕事が終わったご主人様は首を捻ります。ゴキゴキ音がしました。

 

「うー、何だか奥歯が痛いな…」

 

 ご主人様が顎を押さえて言います。虫歯でしょうか?

 

「ご主人様、虫歯?」

 

「わからん。G41、少し見てくれるか?」

 

 そう言ってご主人様はG41に向けて口を開けます。G41はポケットからペンライトを取り出して、照らしながら中を確認します。

 ご主人様は歯磨きを丁寧にするので臭くないです。虫歯が酷ければ臭いはずなので、虫歯ではないと思います。奥歯も黒かったりはしないです。

 

「ご主人様、虫歯じゃないみたいです」

 

「そっか。やはり、肩の凝りすぎか」

 

 ご主人様は顔をしかめて肩を回します。ご主人様の仕事は脳を直接使うという生物としては歪な仕事です。そして、脳の疲労は肩と首に溜まるといいます。歯が痛いのもそれが原因かもしれません。

 

「ご主人様、かたもみしましょうか?」

 

 G41はそう申し出ました。実はG41はかたもみとかたたたきには自信があります! だって、カリーナさんをじっけんだ…もとい、カリーナさんに実践してやり方を熟知してるのです! えっへん!

 

「ああ。よろしく頼む」

 

 ご主人様はそう言って、背中を向けました。ご主人様の信頼を感じます! ご主人様、G41は頑張ります!

 

 まず、ご主人様の肩回りを4本の指先でツンツンするようにして具合を確かめます。肩から肩引きにかけてつついて回ります。

 

「おおう! …いい感じだ、G41」

 

 ご主人様がため息交じりに言います。気持ちいいみたいです。

 ご主人様が気持ちいいのはいいことです。でも、あんまりいい感じじゃないのでG41は黙ってます。

 

 ご主人様の肩はカリーナさんと違ってあからさまに固くないです。でも、何というか表面ではなく奥のほうが固い気がします。あまりよろしい状態じゃない気がします。

 

 とりあえず、コリを散らす必要があります。

 G41はご主人様の肩から背中にかけてをさするようにします。丁度、肩から肩引きにかけてT字になるようにさすります。何度も何度も繰り返します。肩を摩擦で温めて、血の通りを良くして、滞った悪い血を心臓に送るのです。

 

「おおっ!? 何だか本格的だな」

 

 ご主人様がびっくりして言います。それはそうです。G41はご主人様に喜んでもらうためなら手を抜くつもりはないのです! G41はご主人様のためならいつでも一生懸命です!

 

 肩が温まってきたところで、首の後ろに手をやります。そして、首の後ろの強張った筋肉の側面を親指で押します。

 

「おおう!」

 

 ご主人様が気持ちよさそうに言いました。G41はそこをほぐすように指を動かしながら、眉を顰めます。思ったより良くない状況な気がします。首の側面の筋肉の奥。そこに変な筋ができているのです。肩こりの酷いカリーナさんにもこんなのなかったです。恐らく、これが歯痛の原因です。

 G41はとりあえず首と頭の付け根になる部分に親指を据えます。そして、頭蓋骨の隙間を押すようにします。そこは風池とか天柱とかいう経絡があるみたいです。実際手ごたえでへこんでいるのがわかります。

 

「おおおおおおお!?」

 

「ご主人様、どうですか?」

 

「気持ちいい。だけど何だろう、妙にピリピリ来る」

 

 それはとっても悪いんだと思います。ご主人様が可哀想です。G41達のために一生懸命働いてくれるご主人様の疲れが、そういうところに現れているのです。だから、G41は頑張って、お疲れを癒してあげたいです。

 

 後は、首の側面を押さえながら首筋に沿って心臓に向かってなぞるように指を動かします。筋に溜まった疲労物質を心臓に送るのです。

 それを懸命に何度も何度も繰り返します。ご主人様の疲労が少しでも消えるように、一生懸命繰り返します。

 

「おおおお… マジ天国だ…」

 

 ご主人様が感動したように言います。何だか可愛いです。だから、ご主人様がもっと癒されるようにG41は頑張ります。

 首の筋をほぐすとともに、肩の筋肉をほぐすのも忘れません。肩の筋肉に掌を当てて、回すようにします。そうして、コリをほぐして疲労物質を散らすのです。そうやって、首の疲労物質を心臓に通るようにするのです。

 

 ご主人様の首と肩が暖かくなってきました。血の通りがよくなってきたのだと思います。G41は嬉しいです。きっとご主人様の歯痛は収まると思います。

 G41はご主人様のお仕事を手伝えません。でも、こうしてご主人様の疲労を癒すことはできます。そう考えると、ご奉仕は本当に尊いものだと思います。ご主人様にご奉仕できて、G41は幸せです!

 

 気が付くと、ご主人様が寝息を立てています。ご主人様の寝顔は可愛いです。G41のご奉仕は大成功です! えっへん!

 後はもみ返しが来ないように、優しく肩をトントン叩くのみに留めます。とんとんとことん肩たたきです。

 

 数時間後、目を覚ましたご主人様は気分が凄く良くなった、と喜んでくれて、G41の頭をなでなでしてくれました! ご奉仕はいいことです! カリーナさん、じっけんだ… もとい、肩を揉ませてくれてありがとう! 一回ごきってやっちゃったのは許してください。まる。

 



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9・G41と仲間達(その1)

 海です!

 青い海が目の前にあります!

 

 凄いです! G41は感動しました!

 青い海なんて、VRシアターでしか見たことないです!

 G41は感動で胸がいっぱいです!

 

 でも、もちろんこの海は本物じゃありません。

 本物の海は崩壊液で汚染されて、すっかり死の海になっています。人間どころか戦術人形でさえ近づいたら危険です。悲しいです。

 

 ここはNEWハワイアンというリゾート施設です。最近、海洋研究所がスピンオフで始めた高級リゾート施設です。

 海を浄化しようと、必死で研究している海洋研究所ですが、こういうことをしないと予算が下りないらしいです。悲しいです。

 

 当然、ここは高級市民の人用の施設なので、本来はG41たちが来られる場所じゃないです。でも、海洋研究所からプロモーション動画や写真を撮りたい、と言われて招かれたのでした。

 

 何故なら、G41はグリフィンドール総選挙5位の人気者だからです! えっへん!

 

 ちなみに、堂々1位の一〇〇式(モモ)ちゃんと6位のFALさんも一緒です。FALさんがグラビア写真の係で、G41と一〇〇式(モモ)ちゃんが動画の係です。

 でも、脚本とかそういうのはないみたいです。ただ、遊んでいて欲しい。それだけみたいです。スタッフの人たちはいい人です!

 

 というわけで、G41と一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒に砂浜にいます!

 ちなみに、水着はワンピースのスクール水着というものらしいです。ちゃんと胸にG41と一〇〇式って名前も書いてます。G41が白で、一〇〇式(モモ)ちゃんが紺色です。

 ご主人様に似合うかどうか見せたら、いきなり鼻血を吹いて倒れてしまいました。FALさん曰く、病気らしいです。物凄く心配でしたが、M16さんやトンプソンさんに任せれば治るらしいので、お任せしました。ご主人様、早く元気になってね?

 

「行こう、一〇〇式(モモ)ちゃん!」

 

「う、うん!」

 

 G41と一〇〇式(モモ)ちゃんは潮風を頬に受け、裸足で駆けていきます! 生臭い潮風はやっぱりVRシアターでしか体験したことがありません! こんなのまで再現できるなんて、海洋研究所の人達は凄いです!

 

「えーい!」

 

 どっぱーん! G41は波間に頭から飛び込みます。冷たくて気持ちいいです。G41は水が大好きです!

 

一〇〇式(モモ)ちゃん、水がしょっぱいよ! 海だ!」

 

「うん! 海だね、G41ちゃん!」

 

 G41は立ち上がって、唇を舐めながら言います。同じように海に突っ込んだ一〇〇式(モモ)ちゃんも同じようにして言います! 凄いです! 海です!! G41のテンションが上がってきました!

 

「えーい!!」

 

 G41は両手で水を掬って、一〇〇式(モモ)ちゃんの顔にかけます! こういうことをVRシアターで体験したことはありますが、リアルでは初めてです。すっごく楽しいです!

 

「わっぷ! やったな~、G41ちゃん!」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんも反撃してG41の顔に水をかけてきます。わっぷい。冷たいです。おのれ~、一〇〇式(モモ)ちゃん、かくなる上は…

 

「だいれくとあたーっく!」

 

 G41は一〇〇式(モモ)ちゃんに飛び掛かり、

 

「きゃ~」

 

 どっぱーん! 二人は一緒に海の中に倒れこみました。超楽しいです。

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒に海の中のG41。目の端をきらきら輝くものが通り過ぎました。お魚さんです!

 

一〇〇式(モモ)ちゃん! お魚さんだ!」

 

「うん! 魚もいるんだね!」

 

 立ち上がったG41と一〇〇式(モモ)ちゃんは感動しました! 海洋研究所の人達の仕事は凄いです!

 

 G41と一〇〇式(モモ)ちゃんはいそいそとお魚さんを追いかけていきました。深いところに入っていきますが、気にしません。高級モデルの戦術人形であるG41と一〇〇式(モモ)ちゃんは泳げるのです! 防水だって完璧です! えっへん!

 

 途中で足がつかなくなったので、二人で泳いでいきました。でも、お魚さんは早いです。全然追いつけません。しょんぼりです。

 

 ふと、目の前から大きなお魚さんが近づいてきます。なんでしょうか? 鮫さんだったら嫌だなぁ、と思いました。銃がないので襲われたら危ないです。

 

 でも、それは似ていましたが違いました。イルカさんでした! 生でイルカさんを見るなんて夢にも思わなかったです! G41も一〇〇式(モモ)ちゃんも感動で胸がいっぱいです。

 

 イルカさんはG41の前にやってきて止まりました。目が合います。

 イルカさんが胸を口で突いてきました。ちょっとくすぐったいです。

 お返しに、G41もイルカさんの口先を突きました。なんだかくすぐったそうです。

 なんだか、心が通い合った気がしました! 二人は相思相愛です! えっへん!

 

 G41と一〇〇式(モモ)ちゃん、それにイルカさんは一緒に泳ぐことにしました。泳ぎはイルカさんのほうがずっと上手ですが、なんだか手加減してG41達に合わせてくれたみたいです。

 イルカさんと共に、360度自由な海の中を泳ぐ。青い水と沢山のお魚さん達、それに揺らぐ光。そして、水の中を舞うG41達とイルカさん。まるで、夢みたいなひと時です。

 

 しばらくして、アクアラングを着た人たちが、やってきました。海洋研究所の人達らしいです。通信モジュールを通じて聞いたところ、このイルカさんは施設から逃げたみたいで連れ戻しに来たそうです。

 

 イルカさんは戻るのは嫌そうで、G41達の後ろに隠れます。でも、逃げてはいけない、とG41は思いました。海洋研究所の人達だって、悪意があってイルカさんを閉じ込めたりはしてないと思います。

 だから、G41はイルカさんの頭に触れて思いました。帰ってあげてって。

 

 すると、思いが通じたのかイルカさんは自分から職員の皆さんのところに行きました。凄いです! やっぱり、G41とイルカさんは相思相愛です! えっへん!

 

 職員の人達から感謝の言葉をもらって、イルカさんと別れたG41達は一度砂浜に戻りました。すると、撮影を終えたFALさんが待っていてくれました。

 FALさんは砂のお城を作って遊ぼうって言いました! 嬉しいです! 砂遊びは大好きだからです!

 こうして、G41達はとっても楽しい海の一日を過ごしました!

 

 後日の話ですが、G41と一〇〇式(モモ)ちゃんの遊んでいるところは、ドローンで撮影されていたみたいです。

 それで、G41とイルカさんが触れ合う場面はまるで映画みたいだ、と大好評だったみたいです!

 というわけで、感謝の印としてタダ券をいくつか貰いました! わーい!

 また、イルカさんとも遊ばせてくれるみたいです! イルカさん、また会おうね! まる。



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10・G41と仲間達(その2)

 ある日の事です。G41が娯楽室にやってくると、M590さんが黄昏ていました。

 なんだか、暗い表情でため息を吐いています。悩みがあるのかもしれません。

 M590さんはご主人様の部屋を掃除し隊の隊長さんです。隊員として、M590さんの悩みを解決しようと思います!

 

「M590さん!」

 

「あ、G41ちゃん」

 

 G41が近づくと、M590さんもこっちを見ました。笑顔ですが、なんだかちょっと悲しそうです。M590さんが悲しいとG41も悲しいです。何とか力になってあげたいです!

 

「M590さん? 何かあったの?」

 

 G41の言葉に、M590さんは少しだけ迷うように視線を彷徨わせましたが、しばらくするとため息を一つ吐いて悩みを打ち明けてくれました。

 

「実は指揮官のことなのですが…」

 

 悩みはどうもご主人様のことらしいです。それならG41には自信があります! 何せ、G41は46時中ご主人様のことばかり考えてます。ご主人様に関する理解度はFALさんの次ぐらいだと自負しています!

 

「私、指揮官から敬遠されているのではないかと思って…」

 

 M590さんの言葉にG41は首を傾げました。そんなことはないと思います。ご主人様はM590さんのことを頼りにしていますし、お掃除に関しても感謝しています。その後に続いたあんよが云々は聞き流しましたが、それでもM590さんを避けているとは思えません。

 

「うーん、考えすぎだと思うよ?」

 

「でも… M500にはかなりフランクに話をするのに、私の前では固いのですよね…」

 

 G41の言葉に、M590さんはまたため息を吐いて言います。M500さんはこの前入ってきたばかりのSG型戦術人形で、M590さんの妹分みたいなものです。

 言われてみれば、確かに入ってきたばかりなのにご主人様と頻繁に話しているところを見かけます。なんでしょう。ほんのちょっぴり腹が立ちました。何としても、M500さんからM590さんにご主人様の視線を取り戻さなければいけません! ご主人様を取り戻せ作戦開始です!

 

 G41は冷静に分析してみます。ご主人様やFALさんからは問題が起きたときは、まず対象や事象を比較することから始める、と言います。

 まず、M590さんとM500さんを比較すると、M590さんの方が古参です。戦場での活躍も大きいです。でも、M500さんの方が話しかけられる理由はなんでしょう?

 ぴこん! G41は分かりました! 謎は全て解けました!

 

「分かりました、M590さん!」

 

「…ええと、もしかして指揮官のM500に対する態度のことですか?」

 

「はい! それはミミがあるかないかです!」

 

 M590さんの問いに、G41は力強く答えます。もうこれしかありません。G41の名推理です! えっへん!

 まず、ご主人様はG41が大好きです。隊の最古参で、自身の右腕と言うFALさんと比べても同じぐらい好きだと思います。そして、G41にはミミがあります。だから、ご主人様はミミのある戦術人形が好きなのです!

 

 というわけで、推理が成立しました! 後は、それを検証しないといけません。

 というわけで、G41はご主人様のところに行くことにしました。

 

「M590さん、ちょっと待っててね?」

 

「え、ええ…」

 

 というわけで、G41はご主人様の部屋にダッシュです。部屋の前に行って、申告したのち入ります。部屋の中には一〇〇式(モモ)ちゃんとFALさんがいました。ご主人様の机に座って、勝手にご主人様のお茶を飲んでいるFALさんとそれに文句を言うご主人様。その間でおろおろしている一〇〇式(モモ)ちゃん。いつもの平和なご主人様の部屋の日常です。

 

「やあ、G41。どうしたんだ?」

 

 G41を見つけたご主人様が声をかけてきます。G41はとりあえずご主人様の前に駆けて行きます。そして、猫さんみたいなポーズをして言いました。

 

「ご主人様、G41だにゃ~♪」

 

 それはIDWちゃんの台詞を真似たものでした。ミミのある戦術人形の代名詞であるIDWちゃんの物まねをすることで、ご主人様がミミを好きかどうかを測るのです。

 

「ぐはぁ!」

 

 そう言って、ご主人様は一瞬天を仰ぎ、そして机に突っ伏しました。どうしたんでしょう?

 

「ちょっと、指揮官?」

 

「ああ… 余りに可愛くて意識が飛んでしまった…」

 

 FALさんの呆れ半分の言葉に、ご主人様は真顔でそう答えました。そして、G41をなでなでしてくれました。気持ちいいです。

 というわけで、ご主人様がミミが好きということは確定事項になりつつあります。でも、まだ確実ではありません。というわけで、もう一度検証をしてみます。

 

一〇〇式(モモ)ちゃん、ちょっと手伝って?」

 

「え? うん、私はいいけど…」

 

「ああ。ちょうど暇だし、席を外していいぞ、一〇〇式(モモ)

 

 ご主人様からの許可が出たので、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんを抱えて娯楽室までダッシュします。

 そして、部屋の隅のおもちゃ箱からこの前のハロウィンで使った猫さんの耳の付いたカチューシャと尻尾の付いたベルトを取り出しました。

 

一〇〇式(モモ)ちゃん、これ着けて?」

 

「え? う、うん」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんが頷いた次の瞬間、G41はカチューシャとベルトをセットしました。一〇〇式(モモ)ちゃん、黒い猫さんみたいで可愛いです。

 

「それでね、あのね…」(ごにょごにょ)

 

「う、うん。分かったよ」

 

 G41の伝えた作戦内容に一〇〇式(モモ)ちゃんが頷きます。そして、二人はダッシュでご主人様の部屋に行きました。部屋に入るのは一〇〇式(モモ)ちゃんだけです。G41はドアの陰で、ご主人様の反応を見守ります。

 

「あ、あの…指揮官…」

 

「どうしたんだ、も…」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの姿を見た途端、ご主人様が言葉を失いました。FALさんも目を見開いて、何も言わずに様子を見守っています。

 

「え、ええと…ひゃ、一〇〇式機関短銃だにゃ~…なんて、えへへ…」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんが猫さんみたいなポーズでそう言います。最後ちょっと照れました。可愛いです。

 でも。ご主人様とFALさんは無反応です。どうしたんでしょう? 可愛い一〇〇式(モモ)ちゃんにミミが付いたら物凄くご主人様は喜ぶと思ったのですが。

 

「う…」

 

 ご主人様が呻くようにそう言って、次の瞬間

 

「うぼあー」

 

 そう言って、机に突っ伏しました。何が起こったのでしょう?

 

「…一〇〇式(モモ)。そういうことはやめなさい。余りに可愛すぎで指揮官が死ぬでしょ?」

 

 私もちょっときゅんとしたわ、とFALさんが言います。何と、一〇〇式(モモ)ちゃん+ミミはご主人様を倒してしまいました。やっぱり、ミミは偉大です! えっへん!

 というわけで、ご主人様はミミが大好きだということが確定しました。というわけで、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんを持って、娯楽室に帰りました。

 

「M590さん! やっぱり、ご主人様はミミが大好きです!」

 

「え、ええ。そうなの…」

 

「というわけで、はい!」

 

 何だか戸惑っているM590さんに、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんから外したミミと尻尾を手渡します。

 

「これを着けて、あの台詞を言えば、ご主人様を倒せます!」

 

「た、倒すの?」

 

 M590さんが戸惑いがちに言いますが、G41はご主人様を倒すにはこれしかない、と思っています。そういえば、M590さんの悩みってなんでしたっけ? ちょっと忘れましたが、でもこれで大丈夫だと思います!

 

「M590さん…何事も挑戦です!」

 

 多分事情がちっとも分かってない一〇〇式(モモ)ちゃんも応援してくれます。それを聞いて、M590さんも少しその気になったみたいです。ミミと尻尾を着けて、猫さんみたいなポーズをして言いました。その瞬間、娯楽室のドアが開きました。

 

「…M590だにゃ~、なんて…」

 

「…M590!?」

 

 部屋に入ってきたFALさんが驚いて言います。なんでしょう、部屋の空気が凍り付いた気がします。

 

「…M590、休暇の申請出しておくわね…」

 

「ち、ちがうんです、FAL!」

 

 部屋から出ようとするFALさんをM590さんが必死で止めます。それで今までの経緯をFALさんに説明します。

 

「…なるほどね」

 

 M590さんの言葉にFALさんは軽くため息を吐いて言いました。

 

「単にスタンスの問題よ。M500はテキトーだけど、M590は真面目でしょ? それに合わせて対応しているだけよ」

 

 FALさん曰く、ご主人様は数多くの戦術人形を相手にしないといけないのでそれぞれに対応が少し違うらしいです。考えてみれば、G41と一〇〇式(モモ)ちゃん、それにFALさんでもそれぞれ態度が違います。固く見えたのは真面目なM590さんに対する態度だったからです。

 

「そういうことですか…」

 

 M590さんは軽くため息を吐いて言います。安心したのか、それとも少し残念に思っているのかは定かではないですが、FALさんの言葉を信じたみたいです。ご主人様のいうことを一番知っているFALさんがそういうのです。絶対間違いありません!

 

「でも、そうだとすると、指揮官の態度はこれからも固いままなのでしょうか?」

 

 M590さんは少し残念そうに言います。M590さんはご主人様にもっと親しく接して欲しいみたいです。

 

「任せて、M590!」

 

 FALさんはとってもいい笑顔でそう言います。

 

「貴女のセンスを直してあげるわ!」

 

 そう言って、M590さんを引っ張って連行します。

 

「え、ええ!? FALのセンスって…!?」

 

「つべこべ言わないの。行くわよ!」

 

 微妙に抵抗するM590さんと有無を言わさず連れていくFALさん。きっとFALさんに任せておけば大丈夫です! 一〇〇式(モモ)ちゃんは何だか不安そうでしたが、きっと大丈夫です!

 

 明くる日、G41はFALさんのアドバイスの成果を見ました。ミニなチャイナドレスを着たM590さんです! しかも、頭にミミも付いています。さすがFALさん! 完璧です!

 案の定M590さんは副官に急遽任命されました。流石です! これもミミがあるおかげです! G41の検証は間違っていなかったです。

 でも、ご主人様の視線が何だか低いです。足元ばかり見ている気がします。何だかよくわかりません。

 でも、M590さんがご主人様と仲良さそうなので問題なしです! M590さん、良かったね! まる。

 



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11・いたずらG41(その1)

 ある日、ワンちゃんの動画を見ていた時のことでした。

 頭のいいワンちゃんは悪戯をしたときに、ご主人様のお膝に頭を乗せて愛嬌を振りまきます。それで許してもらおうとするのです。

 G41は感銘を受けました。ワンちゃんも賢いものです! G41もご主人様にそうやって悪戯を許して貰おうと思います!

 

 というわけで、さっそく実践です!

 

 その日、G41は副官でした。朝起きて、ご主人様のお茶を準備して、ご主人様の部屋に行きます。ご主人様はいつものようにいて、G41を笑顔で迎えてくれました。

 

「G41が可愛いから、今日も頑張れるよ」

 

 ご主人様は早速褒めてくれました。嬉しいです。G41も笑顔でご主人様にお茶を出しました。ご主人様はカップを手に取って啜ります。

 

「ああ。今日もG41のお茶は美味しいな」

 

 そう言って、ご主人様はお茶を褒めてくれます。嬉しいです。G41はタンポポ茶を淹れるのがとっても得意です! えっへん!

 

 一通り副官の仕事が終わりました。G41はおもむろにご主人様の側に近寄ります。

 お茶を啜りながら、ご主人様が不思議そうにG41を見ています。G41はそんなご主人様の前に座ります。そして、そのお膝に顔を乗せて、上目遣いで言います。

 

「ご主人様、許してね?」

 

「ごふっ!」

 

 突然ご主人様が息を詰まらせます。そして、何度も咳き込みます。どうしたんでしょう? お茶が気管に入ったのでしょうか?

 

「ご主人様、大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だが、お茶を飲んでいる時にそういう可愛いのは勘弁してくれ。咽てしまう」

 

 そう言って、ご主人様はG41の頭をなでなでしてくれます。でも、ちょっと怒られちゃいました。作戦は失敗でしょうか?

 

「それにな、G41。一つ聞きたいんだが」

 

「何ですか、ご主人様?」

 

「ええと、俺は何を許したらいいんだ?」

 

 ご主人様の言葉に、G41ははっとしました。なんと、G41は許してもらうことばかり考えていて、肝心の悪戯をするのを忘れてました!

 

 というわけで、今から悪戯をします。

 

 まず、ご主人様の椅子を90°回転させます。

 

「ご主人様、こっち向いててね?」

 

「あ、ああ…」

 

  ご主人様に約束して貰って、G41は行動を開始します。しゃがんで机の陰に隠れながら、ご主人様の後ろに回り込むのです。

 ちなみに、ご主人様からはやっぱりミミが丸見えだったらしいですが、黙っていてくれました。ご主人様は優しいです。

 

 それで、ご主人様の後ろに回りこんだら、ばっ!って立ち上がって、ご主人様の目を両手で塞ぎました!

 

「だ~れだ?」

 

「…う~ん、G41かな~」

 

「正解です、ご主人様!」

 

 ご主人様はすぐに答えてくれました。さすがご主人様です!

 というわけで、悪戯達成です!

 G41はまたご主人様の前に回り込みました。そして、ご主人様の前に座って、お膝に顔を乗せて、上目遣いで言いました。

 

「ご主人様、許してね?」

 

「…G41は本当に可愛いな」

 

 G41の言葉に、ご主人様は微笑んでなでなでしてくれました。ということは、きっと許して貰えたということです。作戦は大成功でした!

 

 そして、次の日です。今日もG41は副官です。

 味をしめたG41は今度こそ最初に悪戯をしてから許して貰おうと思いました。

 というわけで、G41はご主人様が来る前に指揮官室の机の下に隠れています。そして、ご主人様がやってきたらわっ!て飛び出してびっくりして貰うのです!

 ちなみに、机の上にお茶は置いてあります。保温性の高いカップで蓋も被せているのでしばらくは冷めません。G41は副官業務も抜かりありません!

 

 そろそろご主人様が来る時間です。G41はワクワクしてご主人様を待ちます。

 でも、5分してもご主人様が来ません。どうしたんでしょう。お寝坊したのでしょうか?

 10分待ちました。ご主人様は来ません。やはり、お寝坊したのでしょうか? もしかして、急にお出かけの用が入ったのでしょうか?

 15分待ちました。ご主人様が来ません。寂しくなったので、G41は机の下から出てご主人様を探しに行くことにしました。

 そして、ドアから出てすぐのことです。目の前が真っ暗になりました。誰かがG41の目を塞いでいるのです。

 

「だ~れだ?」

 

 後ろから声がしました。この声と手の感触と匂い。それらをG41がわからないわけがないです。

 

「ご主人様!」

 

「正解」

 

 そう言って、ご主人様は手を放しました。ご主人様の姿が見えたので、G41は嬉しいです。なでなでもしてくれたのでさらに嬉しいです。ご主人様がいるだけでG41は幸せです。

 

「全く、傍から見たらバカップルね、貴方達」

 

 後ろからFALさんの声がしました。バカップルというのはよく分からないですが、G41は今日もご主人様が大好きです。ご主人様もG41が大好きです。二人は相思相愛です。えっへん!

 

 というわけで、今日は逆にご主人様に悪戯をし返されました。

 でも、ご主人様がG41を置いてお出かけしたとかじゃなかったのでよかったです! ご主人様と一緒に居られてG41は今日も幸せでした! まる。

 



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12・いたずらG41(その2)

 G41は思いつきました。次はFALさんに悪戯したいと思います。

 最近FALさんとは作戦以外で付き合いが薄くて、G41はしょんぼりです。また、FALさんと仲良くしたいので悪戯をして、こらって言って欲しいです。

 

 でも、あんまり変なことをするとげんこつされるので悪戯は考えないといけません。げんこつは痛いので嫌です。

 なので、だーれだするぐらいなら怒らないと思います。

 …そう考えると何だか悲しくなりました。最近だーれだとかさえFALさんとしてません。FALさんの仕事が忙しいからです。FALさんが命を賭けるようなことが最近2件も起きています。二つとも世界の運命をかけるような大きな事件だったので仕方ないですが。

 なので、G41はFALさんともっと仲良くしたいです。FALさんにも幸せを感じて欲しいです。

 

 というわけで、作戦を開始します。FALさんに隠れてだーれだをするのです。

 

 FALさんを発見しました。廊下の真ん中です!

 

「貴女は何を考えているの!? 一〇〇式(モモ)ちゃんにあんな露出の大きい格好をさせて! 客でも取らせるつもり!?」

 

「ふざけるんじゃないわ、Five-Seven! 誰がそんなことを考えるものですか!」

 

 あう。FALさんはFive-Sevenさんと盛大に喧嘩中です。FALさんとFive-Sevenさんが喧嘩することは珍しくはないですが、今回のは結構大きいです。二人とも親しい先輩なので、仲良くして貰いたいです。

 二人ともG41の悪戯で場を笑納してもらいたいです。というわけで、G41は作戦を開始します。FALさんだ~れだ作戦です!

 内容は簡単です。FALさんの背後に近づいてだーれだすることです。

 でも、FALさんは歴戦の戦術人形です。背後に忍び寄るのは生半可な難易度ではないです。更に、索敵能力に優れたFive-Sevenさんまでいます。これは只事ではありません、

 でも、G41には必勝の策があります! えっへん!

 

 G41の手には段ボール箱というアイテムがあります。これは伝説の潜入工作員が用いたという最強のスニーキングアイテムです。Am RFBちゃんからそう聞きました。でも、装着時の無敵時間とかそういうのは意味がわからないので聞き流しておきました。

 

 これを用いて、G41は頑張ります。

 まず被ってみました。何だか狭くて居心地がいいです。今のG41は段ボール箱です。怪しくないです。うん。何だかいける気がしてきました。作戦開始です!

 G41は段ボール箱を被ったまま匍匐前進第二法で進みます。ずりずりずり…

 

「大体、あんたは先輩をなんだと…ん!?」

 

「うるさいわね! 先輩なら先輩らしく…ん!?」

 

 あう。何だか、FALさんとFive-Sevenさんの視線がこちらに向いている気がします。

 今のG41は段ボール箱です。怪しくないです。FALさん、怪しまないでください。そう願いながら、しばらくその場で動かずにいました。

 

「…まあいいわ。大体、あんただって随分挑発的な格好じゃない。ベガスか何かにでも憧れたの!?」

 

「なんですって!? あんたの娼婦同然の格好に比べれば随分マシでしょうが!?」

 

 …どうやら気づかれずに済みました。でも、喧嘩はますますエスカレートしてるように思います。悪戯をして笑納させないといけません、G41は使命を胸に進みます。ずりずりずり…

 

「誰が娼婦よ!? だいたいあんたは… うん!?」

 

「その格好でセンスがあるとかほざいているのは… うん!?」

 

 あう。また視線がこちらに向いた気がします。

 今のG41は段ボール箱です。怪しくないです。FALさん、怪しまないでください。そう願いながら、しばらくその場で動かずにいました。

 

「…ええと? もしかして、G41? 何しているの?」

 

 ぎくっ! FALさんの言葉にG41はびっくりです。完全に怪しまれています。しかも、どうしてG41のことがわかったのでしょう。流石、FALさんは洞察力があります!

 

 こうなったら奥の手を使うしかないです。伝説の工作員ニンジャが用いたとされるあの手です!

 

「にゃ~」

 

 G41は猫さんの物まねをしました! これで今までのことは猫さんの仕業と思って貰えるかもしれません!

 

「…なんだー、猫かー」

 

「…うん、猫の仕業だったのねー」

 

 やりました! Five-SevenさんとFALさんが猫さんの仕業と思ってくれました! 流石、ニンジャの秘術です!

 

 何だか、FALさんとFive-Sevenさんの喧嘩が収まりました。仲直りしたのでしょうか。よかったです。

 というわけで、G41はいそいそとFALさんらしき人に近づいていきます。

 そして、その前に行った時に段ボール箱を脱ぎ捨てて、ばっと立ち上がりました!

 

 その瞬間、いきなりハグされました。顔に柔らかいものが当たります。匂いから考えてFive-Sevenさんです。

 更に次の瞬間、目の前が真っ暗になりました。目を誰かに塞がれたのです。

 

「だーれだ?」

 

 声が聞こえます。声と手の感触と匂いから考えて間違いないです。G41は答えを言います。

 

「FALさん!」

 

「正解よ、G41!」

 

 そう言うと、視界が開けました。目の前にはFive-Sevenの、振り向けばFALさんの笑顔がありました。

 

「もう。なんでこんなに可愛いの、G41ちゃんは!?」

 

 Five-SevenさんはG41に頬ずりをして言います。くすぐったいです。Five-Sevenさんはよく一緒に戦ってきた人形で、G41によくしてくれました。大事な先輩です。

 

「はいはい。G41に邪なことを考えないでよね?」

 

 そう言って、よしよししてくれるFALさんは一番尊敬する先輩で、一〇〇式隊の同僚でもあります。G41はFALさんが大好きです!

 

 なんと、G41は大好きな先輩たちのサンドウィッチになってしまいました! でも、嬉しいです。二人ともG41をあまあましてくれます。えへへ。

 

「折角だし、三人でカフェでもいきましょうか?」

 

「そうね。G41ちゃんとならお茶も進むわ」

 

「はい! FALさん、Five-Sevenさん!」

 

 G41は二人に誘われてカフェにお茶をしに行くことになりました。わーい。G41は二人が大好きなので、いっぱいお話がしたいです。

 

 というわけで、G41のスニークミッションは失敗に終わりました。

 でも、FALさんとFive-Sevenさんにいっぱい構ってもらえて、G41は幸せでした! 二人も仲直りできました! なので、作戦は部分的成功でした! まる。



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13・G41にもブルーな日はあります(その1)

 ある日のことです。G41は突然、副官業務をキャンセルということになってしまいました。理由はM99ちゃんが予定より早く訓練を終えて帰ってきたから、ということです。

 M99ちゃんはこの間入ってきたばかりの戦術人形で、ご主人様ともそこまで親しい仲ではないです。というわけで、ご主人様はM99ちゃんと仲良くなるために、かねてより副官に据えようとしていました。

 

 そして、今回その機会が来たというわけですが。

 …やっぱりG41は面白くありません。今日もご主人様と一緒にいられると思ってわくわくしてたのに…本当に残念です。

 

 というわけで、G41はご主人様の部屋の前でドアののぞき窓から中の様子を見ています。M99ちゃんとどういう風に過ごしているのかが気になるのです。

 

 今M99ちゃんがお茶を出したところのようです。M99ちゃんがお茶を淹れたのを見たことはありません。でも、G41はお茶には自信があります! 一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒に一杯練習したからです。だから、お茶で負けてはいないと思います!

 

「うん? 何だか、独特の香りの茶だな」

 

「はいっ! メグスリノキっていう木から作られたお茶です! 目や肝臓にいいんですよ!」

 

「そうか… うん、旨いな。ありがとう、M99」

 

 む~、ご主人様が美味しそうにお茶を飲んでいます。そんな変わったお茶を出すなんて反則です。

 

「はいっ! 指揮官の身体が良くなるといいです!」

 

「ああ。M99はいい娘だな」

 

 む~、M99ちゃんの頭をご主人様がなでなでしています。M99ちゃんも気持ちよさそうです。本当だったら、今日もG41がなでなでして貰う立場だったのに… む~。

 

「指揮官、今日もいろいろ教えてください。でも、前みたいに変なもの教えたら承知しませんよ! 恥ずかしすぎますから…」

 

「ああ。あの時のM99は可愛かったなぁ」

 

「もー、指揮官!」

 

 む~、何だか楽しそうにお話ししています。G41や一〇〇式(モモ)ちゃんの時はお茶を飲んだらすぐに仕事に取り掛かるのに。しかも、変なものって何なんでしょう。実はご主人様とM99ちゃんはG41が思っているよりも親しいのでしょうか。む~。

 

 とっても面白くないです。でも、M99ちゃんに当たってはいけません。そんなことはしてはいけないことです。

 G41は一〇〇式(モモ)ちゃんやFALさんといった優しい先輩ばっかりだったので幸せでした。これがG41をやっかんだりする先輩ばっかりだったらG41も悲しかったでしょう。自分が嫌なことを人にしてはいけないと思います。だから、M99ちゃんに当たってはいけません。

 

「まあ、M99はいつでも最高に可愛いけどな」

 

「もー… でも、認めてくれてありがとうございます、指揮官…」

 

 む~、いつまでも喋ってないで仕事をしてください、ご主人様!

 何だか、M99ちゃんに当たるのは筋違いな気がしてきました。悪いのは節操のないご主人様です! ぷー。

 

 もうG41は怒りました。ご主人様のばか。もうしりません。

 今日は一〇〇式(モモ)ちゃんやFALさんと一緒に遊ぶことにします。それでご主人様が楽しそうだから混ぜてって言って来てもつーんします。つーん。

 というわけで、バイバイご主人様。つーん。

 てててててててて…

 

 …てててててててて。戻ってきてしまいました。やっぱり、気になります。む~。

 

「M99、おいでおいで」

 

「はい。何ですか、指揮官?」

 

 ご主人様は手招きでM99ちゃんを呼びます。そして、無警戒にやって来たM99ちゃんを抱え上げてお膝に乗せました。

 む~。G41は悲しい気持ちでいっぱいです。ご主人様のお膝はG41の特等席なのに… む~。

 

「指揮官っ!なななな何をするのですか!?警察呼びますよ!」

 

 ぴこん! チャンス到来… もとい、M99ちゃんのピンチです! G41はすぐにドアを蹴り開けて部屋に乱入しました!

 

「ご主人様ー!!」

 

「え!?」

 

「ん? G41、どうしたんだ?」

 

 目を白黒させるM99ちゃんとご主人様に、G41は素早く近寄ります。そして、M99ちゃんを抱え上げて横にどかせてから言いました!

 

「ご主人様、めっ!」

 

 G41はご主人様を叱ります。M99ちゃんは警察を呼ぶぐらい嫌がってました。もうこれはセクハラです! セクハラはいけません。一〇〇式(モモ)ちゃんもM14さんもセクハラはいけませんって言ってます!

 

「ご主人様! セクハラするとFALさんに言いますよ!!」

 

「う… わ、悪かったよ、M99にG41…」

 

「あの…そ、そこまで大げさなことじゃないですから…」

 

 G41の言葉にご主人様が謝ってくれました。M99ちゃんもご主人様を許してあげるみたいです。これにて一件落着です。

 G41はM99ちゃんのピンチを助けてあげました! G41はいい先輩です! えっへん!

 

 というわけで、G41はご主人様のお膝に座りました。

 M99ちゃんをお膝に乗せるということは、ご主人様も癒しが欲しい、ということだと思います。でも、M99ちゃんはご主人様のお膝が警察を呼びたくなるぐらい嫌だそうです。なので、代わりにG41がご主人様のお膝に座ることにしたのです。

 後輩の嫌がる仕事をG41は積極的に引き受けてあげます! G41はとってもいい先輩です! えっへん!

 

 でも、何か落ち着きません。M99ちゃんの匂いがご主人様からするからです。む~。

 というわけで、G41はご主人様の方に向いて座りなおします。そして、身体全体でご主人様に全力ですりすりします。

 

「ええ!? ちょっ…!」

 

「お、おい!? G41!?」

 

 M99ちゃんとご主人様がびっくりしていますが、G41は構いません。すりすりすりすりすりすり…

 

「し、指揮官! お、お邪魔しました!」

 

「お、おい、M99!?」

 

 何だか、M99ちゃんが部屋から駆け出していきました。でも、G41は気にしません。すりすりすりすりすり…

 うん! ご主人様についた匂いがG41のものになりました。G41は改めてご主人様のお膝に座りなおします。うん。しっくりきます! やっぱり、ご主人様のお膝はG41の特等席です!

 

『…FAL。緊急任務が発生した。直ちに遂行を頼む』

 

『はいはい、分かったわ。…お礼はブッシュドノエルね?』

 

『う… わ、わかった…』

 

 ご主人様は通信モジュールを開いて、FALさんに緊急任務を依頼しました。何か非常事態が発生したのかもしれません。単独で任務を貰えるなんて、さすが、FALさんです。

 FALさんはブッシュドノエルが貰えるみたいです。あれは物凄く高いので滅多に食べられません。任務の報酬で貰えるなんて羨ましいです。G41も一口だけ貰おうとおねだりしてみます。

 

 次の日、ご主人様はまたお金が無くなったみたいで御飯がお水だけになってしまったみたいです。何にお金を使ったのでしょう。

 よくわからないですが、この前一〇〇式(モモ)ちゃんに習ったカレーライスを作って差し入れてあげようと思います。ご主人様、待っててね? まる。



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14・バレンタイン大作戦!

 G41はうきうきです。もうすぐバレンタインデーだからです。 

 バレンタインデーというのは好きな人にプレゼントをあげる日らしいです。なので、みんなどんなプレゼントを準備しようか、とうきうきしています。

 もちろん、この基地の戦術人形の好きな人というのは概ねご主人様です。もちろん、G41もご主人様が大好きです。

 なので、去年はほねっこをプレゼントしましたが、すごく微妙な顔をされてしまいました。なんでも、人間はほねっこを食べられないんだそうです。しょんぼりです。

 なので、今年こそは人間の食べられるプレゼントを贈ってご主人様に喜んでもらいたいです。

 FALさんの話だとこの国では主にチョコレートをあげるらしいです。

 G41はこの日のために貯金して来ました。チョコレートなら十分買えます。後はカリーナさんに陳情するだけです。わくわく。

 

 ところが、陳情しに行く一日前になって、FALさんがみんなを娯楽室に集めて言いました。

 

「みんな、チョコレートをあげるのは禁止ね」

 

 その一言に、みんなショックを受けました。G41もショックです。せっかく今年こそご主人様にチョコレートをあげようと思ったのに…

 

「ぶーぶー! FALさん、横暴だー!」

 

「ちょっとFAL! どういうつもり!?」

 

 SOPMODちゃんとAR-15さんがFALさんに抗議します。他のみんなも不満顔です。一体FALさんはどうしてチョコレートを禁止したのでしょう?

 

「あのねぇ… みんなが買えるチョコって言ったら戦術人形用の擬似チョコレートだと思うけど、あれって人工甘味料の塊みたいなものだから、人間の身体には悪いのよ?」

 

 FALさんの言葉に、みんなしん、となります。確かにFALさんの言うとおり、G41達の食べているのは擬似チョコレートです。確かに、あれはあんまり人間の身体に良さそうなものじゃないです。指揮官への好意を表そうとして、指揮官が身体を壊したら本末転倒です。

 

「あの、FALさん。天然物のチョコレートならいいんですか?」

 

「そうね。できたら、ダークチョコレートがいいわね。指揮官、甘いもの好きじゃないし」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの質問にFALさんが答えます。確かにご主人様は甘いものが苦手です。それにダークチョコレートは身体にいいということを聞いたことがある気がします。

 でも、天然物のチョコレートはとんでもない贅沢品で、上級市民の人でないとなかなか食べられるようなものじゃないです。G41達戦術人形では買うのはかなり難しいです。

 

「じゃあ、チョコレート以外に指揮官には何を送ったらいいんですか!?」

 

 ステンちゃんが不満顔で聞きます。ステンちゃんもご主人様が好きなのでチョコレートをあげようとしていたに違いありません。なので、別の何かを送りたいのでしょう。G41もそれを聞きたいです。

 

「うーん、クッキーとかキャンディーとかでいいんじゃない?」

 

 FALさんはなんだかテキトーな様子でそう答えました。食べ物のことになるとFALさんはあまり頼りにならなくなります。凄いFALさんにも苦手なことはあるみたいです。

 

 というわけで、集会は解散になりました。

 

 G41は部屋に帰って貯金箱をひっくり返しました。じゃらじゃらじゃら、とコインが出てきました。結構いっぱいです。がんばって貯めた甲斐がありました。でも、天然物のチョコレートにはとても手が届きません。桁が違います。

 

 困りました。チョコレートも駄目でほねっこも駄目となると難しいです。クッキーを作ったらいいかもしれませんが、みんなでクッキーばかり上げるのもご主人様としては困ると思います。何か別のものにしたいです。

 

 いいことを思いつきました!

 

 G41は貯金箱を抱えてカリーナさんのところに行きました。物品を陳情するのです。

 

「カリーナさん、はい!」

 

 G41はカリーナさんの机のところに行って、どちゃっと貯金箱を置きました。お金が好きなカリーナさんの目が¥マークに変わりましたが一瞬で元に戻りました。カリーナさんはいい人なので、戦術人形の持ってきたお金を横領したりはしません。

 

「ええと? 物品の陳情?」

 

「はい! ささみジャーキーをお願いします!」

 

 カリーナさんの質問にG41は元気に答えます。ささみジャーキーのことを思うと幸せいっぱいです。

 G41はささみジャーキーをご主人様にあげることを思いつきました。ささみジャーキーはほねっこより好きなおやつです。G41の憧れです。ささみジャーキーなら、ご主人様も喜んでくれると思いました。

 もちろん、ささみジャーキーは天然物の肉を使うのでほねっこよりずっと高いですが、天然物のチョコレートよりはずっと安いです。貯金箱の中身で十分足ります。

 もちろん、G41はささみジャーキーを食べたいです。でも、ご主人様の喜ぶ顔を見るのが何よりも優先です。惜しむことはありません! …でも、一つ貰えたら嬉しいな、と思います。

 

「うん、わかったわ。ささみジャーキーなら一週間もあれば届くと思うし」

 

 あう。カリーナさんの言葉にG41は困りました。バレンタインデーは明後日です。とても間に合いません。

 でも、G41は一応カリーナさんにお願いしました。もしかすると何かの弾みで早く届くかもしれませんし。それにご主人様はあまりそういうことを気にしないと思うので、遅れてあげても喜んでくれると思います。

 

 でも、やっぱりG41はすっきりしないです。明後日、みんながプレゼントをあげている中、G41だけ手ぶらだとしょんぼりです。

 どうにかできないものか、FALさんに相談しに行くことにしました。FALさんなら物品を早く移送する方法を知ってるかもしれないからです。

 というわけで、G41は宿舎にFALさんを探しに戻りました。

 

「あ、G41ちゃん!」

 

 途中で一〇〇式(モモ)ちゃんに会いました。なにやら手に荷物を抱えています。一〇〇式(モモ)ちゃんはG41を探していたらしく、すぐに駆け寄ってきました。

 

「G41ちゃん、指揮官へのプレゼントは決まった?」

 

「うん、一〇〇式(モモ)ちゃん。あのね…」

 

 G41は一〇〇式(モモ)ちゃんに今までのことを正直に伝えました。すると、一〇〇式(モモ)ちゃんは力強く頷いて、言いました。

 

「よかった、役に立てて」

 

 そして、手にしていたものをG41に差し出しました。それは、ビニールに包まれたチョコレートの塊みたいでした。

 

一〇〇式(モモ)ちゃん、これ…!」

 

「天然物のダークチョコレート。これで指揮官へのプレゼントが作れるね!」

 

 驚くG41に一〇〇式(モモ)ちゃんは笑顔で言いました。きっと、G41がプレゼントで困っているだろうなって思って準備してくれたみたいです。

 

「でも、一〇〇式(モモ)ちゃんはこれ使わなくていいの?」

 

「いいの。G41ちゃんが喜んでくれる方が嬉しいから」

 

 G41ちゃんは大切な友達だから。そう言って、チョコレートをG41に渡してくれました。

 

 信じられません。どうやって手に入れたかは知りませんが、こんなのを準備しているのはきっと一〇〇式(モモ)ちゃんだけです。これでご主人様へのプレゼントを作ったら、ご主人様はきっととっても喜んで、一〇〇式(モモ)ちゃんのことを凄く好きになると思います。

 でも、一〇〇式(モモ)ちゃんはG41のためにこれをくれました。

 何だか、G41は感動しました。一〇〇式(モモ)ちゃんが友達で凄く良かったって思いました。G41は一〇〇式(モモ)ちゃんが大好きです。一〇〇式(モモ)ちゃんもG41が大好きです。二人は相思相愛です。えっへん!

 

「じゃあ、行こう。チョコレート作るの、手伝うよ」

 

「うん! ありがとう、一〇〇式(モモ)ちゃん!」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの申し出にG41は嬉しくなって、抱きついてぺろぺろしてしまいました。一〇〇式(モモ)ちゃんも擽ったそうですが嬉しそうです。二人は相思相愛です。えっへん!

 

 そして、いよいよ迎えたバレンタインデー。G41はご主人様にチョコレートを渡しました。アーモンド入りのハート型の小さいチョコを一杯です。

 ご主人様はきっとブランデーとかと一緒にこのチョコレートを食べるらしいので、小さくて沢山の方がいいと一〇〇式(モモ)ちゃんに教わったからです。

 ご主人様は凄く喜んでくれて、G41を超なでなでしてくれました。俺、G41と誓約するとまで言ってくれました。物凄く嬉しいです。一〇〇式(モモ)ちゃん本当にありがとう。

 

 ちなみに、一〇〇式(モモ)ちゃんはご主人様に毛糸のマフラーをあげたみたいです。赤いマフラーなので、何だか一〇〇式(モモ)ちゃんとお揃いに見えます。ご主人様は喜んでいました。

 というわけで、G41と一〇〇式(モモ)ちゃんのバレンタイン大作戦は大成功でした! まる。



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15・G41にもブルーな日はあります(その2)

「いってらっしゃい、ご主人様!」

 

「ああ。いい子でお留守番しててくれよ、G41?」

 

 今日は朝からヘリに乗り込むご主人様をお見送りしています。なでなでしてくれた感触を嬉しく思って、ご主人様の後姿を見送ってます。

 

 今日からしばらくの間、ご主人様は政府の中央で交渉に入ります。グリフィンにとっても凄く重要な任務らしいです。でも、ご主人様ならやってのけられる、とヘリアンさんは信じています。

 

「基地のことはお願いね」

 

「何かお土産買って来るわね、G41ちゃん」

 

 FALさんとFive-sevenさんもご主人様に同行します。重要な任務になるので護衛以外でも頼りになる二人が選ばれたのです。

 

 三人がヘリに乗り込んで、ドアが閉まります。ヘリが飛び立って、窓の向こうで手を振るご主人様達の姿が小さくなっていきました。

 ご主人様は今日から2日ほど帰ってきません。寂しいです。でも、G41はいい子でお留守番もできます!

 それにご主人様やFALさんこそいませんが、一〇〇式(モモ)ちゃんやSOPMODちゃんがいます。大親友の二人がいれば寂しいことなんてありません!

 

「G41ちゃん、あそぼー!」

 

 廊下を歩いているとSOPMODちゃんがG41を見つけて駆けてきました。肩には一〇〇式(モモ)ちゃんを担いでいます。

 

「うん!」

 

 G41も笑顔で二人のところに駆けていきました。3人で遊んでいれば、時間もすぐに経って、ご主人様が帰ってきてくれるはずです。寂しくなんてないです。

 というわけで、その日はSOPMODちゃんと一緒に一〇〇式(モモ)ちゃんの髪を弄ったり、服を着せ替えたり、ぺろぺろしたりして遊びました。

 

 次の日です。ご主人様はまだ帰ってきません。

 カリーナさんのところに入った連絡では、交渉は順調で予定通り明日には帰る、とのことです。さすが、ご主人様です! 明日にはご主人様に会える、と思うと嬉しいです。うきうきです。

 でも、その日一〇〇式(モモ)ちゃんとSOPMODちゃん達AR小隊のみんなが16Labに呼び出されてしまいました。

 一〇〇式(モモ)ちゃんやSOPMODちゃんがいなくなると寂しいです。でも、仕方ないです。大切な用なのですから。

 

「行ってくるね、G41ちゃん」

 

「お土産いっぱいもらってくるから!」

 

 M16さんの運転するバンに乗った二人をお見送りします。ドアが閉まって、エンジンがかかります。手を振る二人の姿が小さくなっていきました。

 二人がいなくなって寂しいです。でも、G41はいい子でお留守番します。明日にはご主人様も帰ってきてくれます。それにステンちゃんやスコーピオンちゃん、M590さんやM14さん達もいます。G41には友達がいっぱいです。だから、寂しくないです!

 

「G41ちゃーん!」

 

 早速ステンちゃんが駆けてきました。手に何か持ってます。新しいおもちゃでしょうか?

 

「みんなで野球盤のリーグ戦やるんだけど、G41ちゃんもやろー!」

 

「うん!」

 

 こうして、ステンちゃんとG41は娯楽室に行きました。すると、スコーピオンちゃんとM590隊のみんなが待ってました。そして、みんなで野球盤をやって楽しみました。

 

 次の日です。いよいよご主人様が帰ってきます! G41はうきうきです!

 というわけで、G41は張り切って指揮官室の掃除をしています。ご主人様が帰ってきた時に褒めて貰うためです。いつもの3倍気合が入ってます! ご主人様が帰ってきてなでなでしてくれることを思うと幸せになります。

 

 ところが、昼頃になって急遽カリーナさんのところに連絡が入りました。ご主人様が帰ってくるのが遅れる、とのことです。

 しかも、M590隊と臨時編成でステンちゃんやスコーピオンちゃんを含めた隊にも出撃の命令が入りました。何でも、グリフィンの別の基地から急遽応援の要請が入って、ご主人様が直接出向くことになったみたいです。

 G41も出撃したかったですが、ご主人様からは基地の防衛をお願いされました。M590隊とステンちゃん達以外の人形はまだ訓練途上であるため、最精鋭のG41が残らないと不安なのだそうです。

 

「すぐに片付けて帰ってくるから!」

 

「今度は勝つからねー」

 

 ヘリで飛び立つステンちゃんとスコーピオンちゃん達を見送りました。手を振る二人の姿が小さくなっていきます。

 G41はがっかりです。せっかくご主人様が帰ってきてくれるかと思ったのに。しかも、ステンちゃん達までいなくなってしまいました。寂しいです。

 でも、G41は負けません! この基地を守る戦力の要として、いい子でお留守番します! ご主人様達も頑張っているのです。G41も自分の価値を必ず発揮します!

 というわけで、G41は指揮官室の掃除を再開します。ご主人様が帰ってくるまでにぴかぴかにして見せます。ご主人様、FALさん、ステンちゃん、スコーピオンちゃん、M590さん頑張ってね!

 

 次の日です。ご主人様はまだ帰ってきません。

 カリーナさんの話では詳細はまだ分からないそうですが、かなり厄介な事案になるかもしれない、とのことです。ということはご主人様が帰ってくるのは相当遅くなるかもしれないということです。

 

 G41はがっかりです。早くご主人様に褒めて欲しいです。頭を撫でて欲しいです。遊んで欲しいです。

 今基地に残っているのはカリーナさんとM99ちゃん達訓練中の人形だけです。しかも、みんな忙しくて、G41と遊んでいる余裕はなさそうです。

 でも、G41は負けません! この基地を守るっていうご主人様からの命令を必ず達成します! G41はいい子です!

 というわけで、今日はご主人様の部屋をぴかぴかにすることにしました。相変わらずご主人様の部屋は汚いです。帰ってきたらめっ!しないといけません。後、また新しいエロ本があったので、よく読んだ後机の上に置いておきました。

 

 次の日です。ご主人様はまだ帰ってきません。

 しかも、カリーナさんへの連絡も途絶えてしまいました。カリーナさん側からの呼び出しにも応じません。

 G41は大慌てです。ご主人様の身に何かあったのでしょうか!?

 

 G41はすぐに部隊を臨時編成して、ご主人様の救援に向かうことを提案しました。

 でも、カリーナさんは許可しませんでした。G41やM99ちゃん達がいなくなるとこの基地の戦力が完全になくなります。そして、得体の知れない事件が起きている以上この基地も安全とはいえません。なので、G41達はここにいて基地を守らなければいけないのです。

 

 カリーナさんの言うことはもっともです。だから、G41もそれに従って待機します。

 でも、G41は気が気ではありません。ご主人様が危ないなら、ご主人様をお守りしたいです。ご主人様が怪我をするぐらいならG41が怪我をする方が余程いいです。

 

 G41はぴかぴかになったご主人様の部屋に来ました。干していたお布団を持ってきたのです。

 誰もいない部屋です。寂しいです。この基地に来て、こんなに長い間ご主人様と離れ離れになったのは初めてです。

 でも、でも、G41は負けません! ご主人様が戻るまで基地を守って見せます!

 というわけで、ベッドにお布団を敷きました。ふと、ご主人様の匂いがしました。なので、ついベッドに飛び込んでしまいました。

 お布団からはお日様の匂いとご主人様の匂いがします。ぬくぬくです。ご主人様、G41は寂しくないです。お仕事頑張って、無事帰ってきてください! 寂しくなんてないです!

 …やっぱり寂しいです。ご主人様、早く帰ってきてください。くすん。

 

 次の日です。ご主人様はまだ帰ってきません。

 連絡もありません。通信も途絶えたままです。カリーナさんがヘリアンさんに問いただしても、グリフィン全体がご主人様の動向を把握できないでいるみたいです。

 

 そして、G41はまたご主人様の部屋のベッドでころころしています。

 寂しいです。心配です。G41は切ない気持ちでいっぱいです。

 寂しさを癒すために、お布団に顔を埋めます。ご主人様の匂いがします。ぬくぬくです。

 …でも、G41の匂いが混ざったせいかご主人様の匂いが薄くなった気がします。

 怖いことを考えてしまいました。もし、このままご主人様が帰ってこなくて、布団がG41の匂いだけになってしまったら… ぽろっと涙が零れました。

 そんなことありません! G41は首をいっぱい振って嫌な思いを振り払います。そして、いけないことを考えた頭をぽかぽかします。ご主人様が帰ってこないなんてありません! 明日にはきっと笑顔で帰ってきます! そう信じます!

 G41はご主人様を信じて待ちます。ご主人様早く帰ってきてください。お願いします。くすん。

 

 次の日です。ご主人様はまだ帰ってきません。

 連絡も途絶したままです。カリーナさんもグリフィンに捜索隊の出動を要請しましたが、動かせる部隊が少ない上に、同地区は極めて危険であることが推測されるので余程の精鋭でない限り出動の許可が下りないそうです。

 G41は心配で心配でたまりません。それならG41が出撃したいのですが、やっぱり許可が下りません。

 

 G41はゲートのところでひたすら待ちます。でもご主人様が帰ってくる気配はありません。でも、ひたすら待ち続けます。そうしないと寂しさで心が潰れてしまうかもしれません。

 日が傾きました。でも、ご主人様が帰ってくる気配はありません。G41は切ない気持ちでいっぱいです。

 すぐにでもご主人様を捜索に行きたいです。でも、だめです。この基地を守らないといけません。それがご主人様の命令なのです。

 だから、G41は我慢します。我慢します。我慢します。我慢します…

 

『G41、聞こえるか?』

 

 ぴこん! 通信モジュールに通信が入りました! この声は間違いありません! ご主人様です!

 

『ご主人様!』

 

『すまん、遅くなったな。後、数時間で帰るから、飯作って待っててくれ』

 

 ご主人様の声が聞こえました。嬉しいです。嬉しいです。嬉しすぎてつい涙が零れました。くすん。

 

『指揮官様、ご無事なんですね!?』

 

『おう、カリーナ。基地が一つアラスカぐらいまでぶっ飛んだが、俺もみんなも無事だ!』

 

 カリーナさんの言葉にご主人様が答えます。ご主人様も他のみんなも無事です。安心しました。安心しすぎてその場にぺたんと座ってしまいました。本当に、本当によかったです!

 

『全く、二度とやらないわよ、あんな作戦!』

 

『ええ… 本当に指揮官みたいな無茶苦茶な人は初めてですよ…』

 

 FALさんとM590さんの声が聞こえました。よかったです。もうすぐみんなにも会えます。嬉しいです。

 

『さて、G41。寂しかったろ? 帰ったら、たっぷり甘えさせてやるからな!』

 

 ご主人様がとっても嬉しいことを言います。もう、G41はご主人様に甘えたい気持ちでいっぱいです。姿を見たら飛んで行ってしまうかもしれません。

 

『…ううん、ご主人様。今日はお疲れだと思うので、ゆっくり休んでください』

 

 でも、G41は首を横に振りました。大変な事件を解決したばかりなので、ご主人様はきっと物凄く疲れていると思います。なので、G41は我慢します。ここまで待ったのだから我慢できます!

 

『そうか。…G41は本当にいい子だな』

 

 ご主人様から褒めてもらえました。嬉しいです。嬉しすぎて小躍りしてしまいました。

 というわけで、G41は早速ご飯の準備に取り掛かりました。美味しいご飯を作って、きっと物凄くお腹を空かせているご主人様に満足してもらわなくてはいけません。G41はすぐにキッチンに走りました。

 ようやくご主人様が帰ってきます。今度こそご主人様が帰ってきます。G41は嬉しいです。本当に本当に嬉しいです! ご主人様、早く帰ってきてください。くすん。まる。



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16・甘えんぼG41(その1)

 G41はうきうきです。待ちに待った副官業務です。

 今日の副官業務はいつもとは一味違います。だって、昨日までずっとご主人様に会えなかったのです。昨日もご主人様はご飯を食べたらすぐ寝てしまったので、今日こそ甘えまくりたいです。

 昨日大仕事をこなしたばかりなので、さすがに今日は仕事はないと思います。ご主人様は暇に違いありません。なので、物凄く構ってもらえると思います。うきうきです。

 

 いつもより1時間以上早く起きて、お茶を淹れて指揮官室に向かいます。お茶が冷めてもお代わりを魔法瓶に入れて持っていきます。今日のG41は気合いっぱいです!

 

 誰もいないはずの指揮官室に入ると、ご主人様とFALさんがいました。G41はちょっとびっくりです。ノックなしに入ってしまうことになってしまいました。でも、二人は怒ったりしませんでした。

 

「おはよう、G41…」

 

 FALさんがG41に挨拶します。何だか、ちょっとばつが悪そうです。嫌な予感がしました。

 

「おはよう、FALさん。どうしたの?」

 

「うん…ヘリアンさんから緊急の仕事が入ってね…昨日までの事件絡みでね…」

 

 G41の問いに、FALさんは何だか申し訳なさそうに説明します。

 話によると、グリフィンの各基地が正体不明の敵に襲われているそうです。グリフィンは全基地及び支部に非常事態宣言を発令したそうです。

 でも敵の正体がわからないのでは打つ手がありません。そこでご主人様が敵の正体を探るために調査をしているようです。

 G41はご主人様を見ます。いつもとは全然表情が違います。G41がいることにも気づいていません。何もしていないように見えますが、IFNと繋がった頭の中は大忙しのはずです。しかも、かなり切迫した状況であると思います。

 

「ごめんね、G41。いっぱい甘えたかったでしょうにね…」

 

 FALさんが申し訳なさそうに言って、G41の頭をなでなでしてくれます。

 G41はがっかりです。せっかくご主人様にあまあましてもらえると思ったのに、これでは甘えるどころではありません。

 でも、FALさんが悪いわけではありません。悪いのはグリフィンを襲っている謎の敵です。ぷんぷんです。出撃して戦うことになったら思う存分ぼこぼこにしようと思います。

 それにご主人様がこういう時は決して邪魔をしてはいけません。下手をするとご主人様が危険だからです。だから、G41は甘えたい気持ちを我慢します。G41は待てもできるいい子です!

 

「おはようございます、ご主人様!」

 

 そう言って、G41はお茶を出します。でも、ご主人様は上の空です。G41がいることにも気づいていないと思います。寂しいです。お茶も飲んでくれません。とっても寂しいです。

 でも、G41は我慢します。ご主人様の仕事の邪魔をしてはいけません。それに、ご主人様は超有能なので、すぐに仕事を片付けてくれます。そしたら、G41といっぱい遊んでくれるはずです。少しぐらい待っても大丈夫です。FALさんだっていてくれます。G41は寂しくないです。

 

 一時間経ちました。カップのお茶がすっかり冷めて湯気も立たなくなっています。しょんぼりです。

 ご主人様は変わらずIFNの中です。時折苦しそうな表情をしたり、額に汗が浮いていたりするのは相当難しい仕事をしているようです。FALさんはご主人様の頭から延びるケーブルを握っています。ご主人様に異変があったらすぐに引き抜くためです。

 G41はご主人様の仕事を手伝えません。悲しいです。

 なので、せめてお祈りすることにします。ご主人様、無事にお仕事を終えてください。神様、ご主人様を守ってください。一生懸命お祈りします。

 

 更に二時間経ちました。ご主人様は相変わらずです。G41にも気づいてくれません。

 G41は寂しいです。悲しいです。今すぐご主人さまに飛びついてあまあましたいです。でも、できません。物凄くお腹が減っている状況で目の前にご飯を置かれた状況で待てをさせられているような状況です。

 FALさんが心配そうにG41を見ます。FALさんに心配をかけて申し訳ないです。

 でも、G41は昨日までいっぱい我慢しました。今日もいっぱい我慢しています。でも、もう我慢しきれません。なので、少しだけ、邪魔にならない範囲で甘えても怒られないと思います。

 

 G41はご主人様に近づいていきました。FALさんも止めません。G41が寂しいことを知っていて、こんな時に決してご主人様の邪魔をすることはない、と信じてくれているからです。FALさんはいつもG41を理解してくれます。

 

 G41はご主人様の横に座って、ひじ掛けの上のご主人様の手の上にそっと顎を乗せました。ご主人様の体温を感じます。嬉しいです。G41の寂しさが少しだけ癒されました。

 

 すると、頭を撫でられている感触がしました。ご主人様が反対側の手で撫でてくれているのです。G41の方を見て笑ってくれました。ようやくG41に気付いてくれました! G41は嬉しいです!

 でも、すぐに前を向いて仕事に戻りました。また反応がなくなりました。悲しいです。寂しいです。

 

 でも、ご主人様の邪魔をしてはいけません。ご主人様の負担になってはいけません。G41は我慢します。我慢します。我慢します…ポロリ。我慢しすぎて涙が出ました。

 

 すると、ご主人様はケーブルを引き抜いてすぐにG41の頭を抱きかかえてくれました。

 

「よしよし…ごめんな、G41。いっぱい我慢したもんな…」

 

 ご主人様はG41を抱きしめていっぱいなでなでしてくれます。

 結局ご主人様の仕事の邪魔をしてしまいました。G41はダメな子です。

 でも、嬉しいです。ご主人様がなでなでしてくれて嬉しいです。ご主人様が抱きしめてくれて嬉しいです。ご主人様の匂いがいっぱいで嬉しいです。ようやく満たされた気がしました。くすん。

 

「まあ、仕方ないわよね。G41、いっぱい我慢したもんね」

 

 そう言って、FALさんも頭をなでなでしてくれます。ご主人様の仕事を邪魔しても、怒らなかったです。FALさんはいつもG41を理解してくれます。

 

「でも、どうするの指揮官?」

 

 FALさんの言葉に、G41は悲しくなりました。G41の寂しさが癒えても仕事は残っています。そして、G41は仕事の邪魔をしてしまいました。このままではまた長い時間ご主人様が構ってくれなくなるかもしれません。そんなの嫌です。G41はご主人様に抱き着きました。G41はダメな子です。でも、ご主人様に構って欲しいです。

 

「いいさ。正直、埒が空かん。戦術を切り替えよう」

 

 ご主人様はG41を抱きしめて、なでなでしながら言います。そして、G41の顔を両手で持って視線を合わせて言いました。

 

「G41、今すぐにお出かけの支度をしてくるんだ。今日は市街地で一緒にデートしよう」

 

 ご主人様の言葉にG41は目を丸くしました。そして、すぐに嬉しい気持ちで一杯になりました。

 デートです! ご主人様と憧れのデートです! わーいわーい! 物凄く嬉しいです! G41の目の前が一気に薔薇色になりました!

 

『カリーナ、今から休暇を3日ほどとる。手続きを頼む。後、リストを送るからその案件全部を俺が帰る前に通しておいてくれ』

 

『え゛!? 休暇って、非常事態宣言中ですよ!? しかも、こんなの…通りっこないですよ!?』

 

『意見は求めてない。よろしく頼む』

 

 ご主人様は通信モジュールでカリーナさんと会話して、一方的に話を打ち切りました。言われてみれば。確かに非常事態宣言中にデートをするとか普通あり得ません。

 でも、きっと大丈夫だと思います。ご主人様は凄い人なので、これも何かの手だと思います。G41はご主人様を信じます!

 

「FAL。よろしく頼んだぞ?」

 

「ええ。…私、自分のやるべきことを間違えたりはしないわよ」

 

 ご主人様の言葉に、FALさんは不敵に笑って言います。FALさんはご主人様が何も言わなくても命令を分かっています。凄いです。流石、FALさんです!

 

「よし、出かけるぞ! G41、ちゃんとスカートも履いてくるんだぞ?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 そう言って、G41は駆けていきます。自分の部屋へ、お出かけの支度をしに行くのです。

 デートです! ご主人様とデートです! 憧れのデートです! 嬉しいです! G41はとてつもなく幸せです!

 きっと神様がいっぱい我慢したG41にご褒美をくれたのだと思います。神様、ありがとう! 今度、神棚にほねっこをお供えするので待っててね? まる!

 



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17・甘えんぼG41(その2)

 芝生です! 緑色の天然物の芝生です!

 足の裏が柔らかくて気持ちいいです! 訓練場の硬い人工芝とは大違いです!

 ここは市街地エリアの運動公園です。目の前には芝生を敷き詰められた広いグラウンドがあります。しかも今日は人がほとんどいないです。G41とご主人様の貸切です!

 空は雲一つない晴天です。市街地エリアは防護フィルターが張られているので紫外線を気にする必要もありません。運動公園には大規模な空気清浄機も備え付けられているので空気も美味しいです。

 G41は思わず芝生にごろごろしたくなります。でも、そんなことをしてはいけません。なぜならば、今日のG41はレディだからです! えっへん!

 ちゃんとFive-sevenさんにお化粧もして貰いましたし、スカートも履いてます。G41はレディの嗜みも完璧です!

 

「いくぞ、G41!」

 

 隣に立っているご主人様が言います。手に持っているのはフリスビーです。

 

「はい、ご主人様!」

 

 G41はわくわくしながらフリスビーを今か今かと待ち望んでいます。G41はフリスビー遊びが超大好きです!

 

「それー!」

 

 ご主人様がフリスビーを投げました。G41はそれを追いかけていきます。すかさず、狙眼と動態センサーを起動させます。G41の左目が赤く染まり、ミミがぴん、と立ちます。

 距離算出、風計算。フリスビーの動きを完全に捉えました。右カーブします。

 すると、フリスビーは推測通り右に曲がりました。ご主人様は上手く投げてG41を惑わせようとします。でも、G41には通じません。G41はフリスビーをキャッチするのが大得意です! えっへん!

 

「えーい!」

 

 G41は一生懸命ジャンプして両手でフリスビーを捕まえます。ぱしっ! 見事にキャッチできました! G41はフリスビーをキャッチするのが大得意です! えっへん!

 

「ご主人様ー! どうだぁ!」

 

 G41は捕まえたフリスビーを片手にぴょんぴょん跳ねてご主人様にアピールします。えっへん!

 

「おお! G41は流石だな!」

 

 ご主人様が感心してくれました。嬉しいです。

 というわけで、G41はご主人様の所に駆けていきます。

 

「ただいまー! 早く褒めて褒めて♪」

 

 そして、ご主人様に頭を差し出して褒めの言葉となでなでをおねだりします。

 

「ああ。G41、よくやったぞ」

 

 ご主人様はそう言って、G41の頭を撫でてくれます。気持ちいいです。G41は幸せな気持ちでいっぱいになりました。

 

「ご主人様、はい」

 

 ひとしきりなでなでして貰って満足したG41は、ご主人様にフリスビーを差し出します。もう一回投げて欲しいです。G41はフリスビー遊びが大好きです。

 

「よし! 行くぞ、G41!」

 

 ご主人様はフリスビーを受け取って、もう一度構えます。ご主人様は今日はG41と徹底的に遊んでくれるみたいです。しばらくの間ご主人様を独り占めです。うきうきです。G41は幸せいっぱいです!

 

 その後、G41はご主人様といっぱいフリスビーで遊びました。ご主人様は色々と投げ方を変えてきましたが、その全てをG41はキャッチしました。そのたびにご主人様はG41を褒めてくれて、なでなでしてくれました。G41はフリスビーをキャッチするのが大得意です! えっへん!

 

「さて、G41、少し喉が渇いたから、お茶にしないか?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様の言葉に、G41は頷きました。本当はもう少しフリスビーしたいですが、ご主人様は人間なので喉が渇きます。それにフリスビー遊びは基地でもできますが、ご主人様と二人きりでお茶は滅多にできません。なので、優先順位はお茶の方が上です。

 

 ご主人様が手を差し出してくれます。手を繋いで歩こうということだと思います。嬉しいです。でも、G41はもっと甘えたい気分です。

 

「えーい!」

 

 G41はご主人様の腕に抱きつきました。生身の方のご主人様の腕です。ご主人様の匂いと体温を感じます。G41は幸せです。

 

「おいおい。G41は甘えんぼだな」

 

 そう言って、ご主人様は笑ってG41の喉をさすさすしてくれます。嬉しいです。気持ちいいので喉をごろごろ鳴らしてしまいました。

 

 ご主人様の腕に抱きついたまま、G41はご主人様と歩いていきます。あまりいない周りの人が見てます。今のご主人様とG41はみんなにはどう見えるのでしょうか。カップルに見えるのでしょうか。そうだとすると嬉しいです。えへへ。

 

 というわけで、G41達は併設されているカフェに来ました。そして、オープン席に腰を下ろします。G41の座る椅子をご主人様が引いてくれました。今のG41はレディです。えへへ。

 

 ウェイトレスの人がやってきて、ご主人様に注文を聞きます。ご主人様はホットコーヒー、G41には苺サンデーを頼んでくれました。こういう時、レディは殿方に注文を一任するそうです。Five-sevenさんがそう言ってました。

 

 ご主人様がにこにこしてG41を見ています。G41もご主人様を笑顔で見つめます。二人は相思相愛です。えっへん!

 

 

「G41が楽しそうで何よりだ」

 

 ご主人様が嬉しいことを言います。幸せでないはずがないです。憧れのご主人様とのデートなのですから。G41は幸せすぎて夢かと思うほどです。

 

『だが、G41。分かっているとは思うが、これは策の一環だ』

 

 突然、ご主人様が通信モジュールを開いて秘匿回線で言いました。

 

『だから、そういう動きが混じることはある。それは勘弁してくれな』

 

 ご主人様の言葉に、G41はほんの少しだけ残念に思いました。でも、考えてみれば当然だと思います。ご主人様はいい加減そうに見えますが、仕事には真面目な人です。そんなご主人様が非常事態宣言中に単に遊んでいるはずがありません。

 ご主人様の仕事はこの世の中を少しでもよくするためのとても大切なものです。G41はご主人様とその仕事を大切に思います。そして、そのお手伝いができる戦術人形の自分を誇らしく思います。

 

『はい、ご主人様。G41は何かした方がいいですか?』

 

『周囲に敵意がある奴がいないかどうかの警戒は頼む。いざというときの護衛もな』

 

 ご主人様の言葉にG41は頷きます。G41は護衛はお手の物です! お任せください、ご主人様! ご主人様のことはG41は命を懸けてもお守りします!

 

 やがて、注文していたコーヒーと苺サンデーがやってきました。

 G41の目はまん丸です。綺麗にデコレーションされた苺サンデーが目の前にあります。こんなのVRシアターでしか見たことないです!

 ご主人様に促されて、G41はスプーンで掬って食べます。美味しいです! 甘くて冷たくて、ほんのちょっぴり酸っぱくて物凄く美味しいです! 多分、全部天然素材です! 美味しすぎます!

 

「どうだ、美味しいだろ?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 G41はご主人様の言葉に頷いてもう一口です。天然素材のスイーツはこんなにも美味しいです! G41は感動で胸がいっぱいです! 美味しいのでゆっくり味わって食べようと思います。

 

 三口食べたところでG41は思いつきました。そういえば、こういう時にやりたいことがG41にはありました!

 

「ご主人様!」

 

「ん?」

 

 G41の声にご主人様はコーヒーを飲む手を止めてこっちを見ます。G41はスプーンでクリームを掬ってご主人様の方へ持っていって言いました。

 

「ご主人様、あ~ん♪」

 

「なん…だと…!?」

 

 ご主人様が物凄く驚いています。どうしたんでしょう? よく分からないですが、でもG41はご主人様にあ~んして貰いたいです。なので、もう一度言います。

 

「ご主人様、あ~ん♪」

 

「…ああ。あ~ん…」

 

 ご主人様があ~んしてくれたので、G41はクリームをご主人様の口元に持っていきます。ご主人様は食べてくれました。なんだか嬉しいです。間接キッスです。えへへ。

 

「G41…」

 

 クリームを食べ終えたご主人様が感極まった声で言いました。

 

「俺、生きててよかった…」

 

 なんだかよく分かりませんが、ご主人様の目から一筋の涙がこぼれました。でも悲しそうではなくて、幸せそうです。ご主人様が幸せそうなので、G41も幸せです。二人は相思相愛です。えっへん!

 

 というわけで、G41はご主人様と楽しいデートの一時を過ごしています。

 でも、今日はまだ終わりじゃありません! それにまだご主人様の休暇は2日以上残っています。その間、ずっと一緒です! G41は幸せな気持ちでいっぱいです! ご主人様、G41はご主人様の戦術人形で本当に幸せです! 残りの休暇期間、いっぱいいっぱい遊んでください! まる!

 



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18・甘えんぼG41(その3)

 凄いです! 木と布と紙で出来たお部屋です! こんなお部屋見たことありません。

 しかも、床は畳です! 柔らかくて草の匂いがするので、多分天然物の畳です! 基地の娯楽室のプラスチック製の畳とは大違いです!

 ここは今日泊まるお宿です。料亭旅館風の宿で、今G41達はご飯を食べるために離れの建物にいます。凄いです! ご飯を食べるところが別の建物なんて、流石高級宿泊施設です!

 G41は思わず畳の上でコロコロしたくなりました。でも、そんなことはしません。今日のG41は大和撫子だからです!

 今G41は浴衣を着ています。白くて花の模様の可愛い浴衣です。女将さんが着付けてくれました。

 ご主人様に似合うかどうか聞いたら、物凄い勢いで床でゴロゴロし始めました。よく分からないですが、ご主人様はお行儀が悪いです。G41だって我慢しているのに。困ったご主人様です。

 

 そんなG41とご主人様の目の前には凄いご飯が並んでいます。透けて見えるような薄い刺身や、綺麗な丸いものが盛られた小鉢なんかが並んでいます。凄いです! こんなご馳走、見たこともありません!

 

「いやぁ、てっぽうなんて久し振りだな」

 

 そう言って、ご主人様は刺身をお箸で取って紅葉おろしを乗せて、ポン酢をつけて食べようとします。

 てっぽうって何でしょうか? G41は首を傾げました。G41の記憶が正しければ、鉄砲はこの国の古い言葉で銃の事を指すはずです。でも、銃が食べられるはずがありません。ご主人様に尋ねてみます。

 

「ご主人様? てっぽうって何ですか?」

 

「ああ。河豚のことさ。当たったら死ぬからてっぽうっていうんだ」

 

 ご主人様の言葉を聞いたG41は真っ蒼になりました。河豚には怖い毒があると聞いたことがあります。そんなものを食べたらご主人様が死ぬかもしれません。ご主人様が死んだらG41は生きていけません。

 

「だめです、ご主人様!」

 

 G41はご主人様のお箸の先の刺身をぱくっとしました! 危ないところでした。これでご主人様は死にません!G41は戦術人形なので平気です。何とかご主人様を守ることができました!

 ちなみに、とてもおいしいです。何だか、一瞬味がないように思いましたが、もぐもぐしているとじわじわと口の中に体験したこともない味わいが広がっていきました。幸せです。でも、油断してはいけません。ご主人様が危ないからです。

 

「ありがとう、G41」

 

 ご主人様はそう言って頭を撫でてくれます。気持ちいいです。G41はご主人様が無事で嬉しいです。

 

「でも、大丈夫だ。この河豚は食っても死なないからな」

 

 ご主人様はそう言いました。そういえば、一〇〇式(モモ)ちゃんが海洋研究所の河豚には毒がないって言っていたような気がします。それならご主人様も美味しい河豚を食べられます。嬉しいです。

 

「じゃあ、ご主人様! あ~ん♪」

 

 そう言って、G41は刺身に紅葉おろしを乗せて、ポン酢をつけてご主人様の口元に運びました。G41はお箸も上手に使えます!

 

「ああ。あ~ん…」

 

 そう言ってご主人様は食べてくれました。間接キッスです。嬉しいです。えへへ。

 ふと見ると、ご主人様のお猪口が空でした。なので、お銚子を取ってお酒を注いであげます。G41は気の利いた大和撫子です! えっへん!

 

「G41…俺、もうこの瞬間死んでもいい…」

 

 ご主人様が感慨深そうに言います。幸せそうです。ご主人様が幸せでG41は嬉しいです。でも、死んだらだめです。G41とご主人様はずっと一緒です。

 

 その後、お鍋がやってきたり、生きた魚を捌いてお寿司にしてくれたりとか色々美味しい事が沢山あって、ご主人様もG41も大満足でした! 特にお吸い物に浮いていた肝が美味しかったです! FALさんや一〇〇式(モモ)ちゃんにもおいしいご飯を持って帰ってあげようと思いましたが、ご主人様の曰く、お土産は別に用意するそうなので遠慮しないで食べました。とっても美味しかったです!

 

 お部屋に帰る途中、廊下を歩いているとガラス張りの部屋が見えました。中には何やら大きなテーブルみたいなものがあります。でも、その真ん中にネットが張られていたりもしました。あれは何でしょう。G41は興味津々です。

 

「高級旅館に似合わないチープなものがあるじゃないか」

 

 ご主人様がニヤリとして言います。きっとあれは楽しいものです! なんとなくそう思いました!

 

「せっかくだし、卓球やっていくか、G41?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様の言葉にG41は頷きます。G41は楽しいことをするのが大好きです。ご主人様も一緒だともっと大好きです。

 ご主人様は部屋の隅にあった籠からラケットを取り出して、G41に渡してくれました。ボールはご主人様が持ってます。

 

「そういえば、G41は卓球を知っているのか?」

 

 ご主人様が尋ねてきます。G41は卓球とか知りません。でも、この前ステンちゃんが持って来た玩具がそれっぽいのでそうだと思います。

 

「はい、ご主人様!」

 

 なので、G41は元気良く頷いてラケットを構えました。小さいので両手では持てませんが、ボールが軽いので片手で十分です!

 

「じゃあ、行くぞ。それー!」

 

 ご主人様がラケットでボールを打ち出してきました。バウンドしている遅い球です。ご主人様はG41が初心者だと思って手加減してくれています。でも、G41の動態センサーは伊達ではありません。ミミをぴん!と立てて、ボールの動きを捉えます。

 

「えーい!」

 

 完全に捉えました! G41は力いっぱいボールをかっ飛ばします!

 ぱっこーん! やりました! これでホームランは確実です! えっへん!

 

「おっとっと」

 

 と思ったら、ご主人様があっさりとキャッチしてしまいました。G41はしょんぼりです。アウトになってしまいました。

 

「G41、それは野球だ。卓球じゃない」

 

 ご主人様の言葉に、G41ははっとなりました! そういえば、ステンちゃんはあれを野球盤って言ってました。卓球盤じゃありません。なんと、G41は勘違いをしていました!

 

 というわけで、G41はご主人様から卓球を教わりました。しばらくすると、ラリーを30回とかできるようになったので、ご主人様に一杯褒めて貰いました。G41は卓球が好きになりました。今度、一〇〇式(モモ)ちゃん達とも一緒にやってみたいです。

 

「さて、そろそろ部屋に戻るか」

 

「はい、ご主人様!」

 

 というわけで、ひとしきり遊んでご主人様とG41は部屋に戻りました。お部屋にはもう布団が敷かれていました。ご主人様とお隣です。嬉しいです。ご主人様の御伽噺を聞かせて貰えると超嬉しいです。

 

「G41、先に風呂入るか?」

 

 ご主人様が尋ねてきます。G41は普段お風呂に入りません。大体の場合は、シャワーで洗浄するだけです。なので、ご主人様にゆっくり入って来て欲しいです。

 

「いいえ、ご主人様。ゆっくり入って来てください」

 

「ああ。じゃあ、お言葉に甘えさせて貰う」

 

 そう言って、ご主人様はお風呂に行きました。この部屋のお風呂はなんと露天風呂みたいになってます。凄いです。流石、高級宿泊施設です。お水も人工ですが温泉らしいです。凄いです。

 

 というわけで、G41は一人になりました。お布団の上でゴロゴロしたり、お部屋の中を見て回ったりします。

 …飽きました。やっぱり、ご主人様がいないと楽しくないです。

 G41は露天風呂をそっと覗いてみます。ご主人様はお風呂でお酒を飲みながら極楽気分です。あんなにゆったりしているご主人様は珍しいです。そっとしておいてあげるべきです。

 でも、ご主人様がいないとG41はつまんないです。どうしましょう。

 

 いいことを思いつきました!

 

「ご主人様ー!」

 

「うん? どうしたんだ、Gよんい…って、ぶっ!」

 

 ご主人様はG41を見るなりお酒を吹き出しました。どうしたんでしょう?

 ちなみに、G41はご主人様の背中を流すべくお風呂に乱入してます。もちろん、浴衣は脱いでます。お風呂には服を着て入ったらいけません。FALさんからもそう言われています。

 

「じ、G41、おまっ…!」

 

「ご主人様! 背中を流しに来ました!」

 

 狼狽えているご主人様を見て、G41は笑顔で言います。背中を流すとみんな喜んでくれます。FALさんも喜んでくれます。なので、ご主人様の背中を流して、喜んで貰いたいです。

 

「G41! せめて、タオル…! タオル巻け!」

 

「ふぇ!? でも、お風呂にタオルを漬けちゃいけませんってFALさんが…」

 

「命令だ! タオル巻け!」

 

 ご主人様の命令は絶対です。なので、G41はタオルを身体に巻きました。ご主人様は顔を真っ赤にして、顔を背けています。呼吸も荒い気がします。上せたのでしょうか?

 

「…で、G41? どうしたんだ?」

 

「はい! ご主人様、背中を流します!」

 

「そ、そうか…」

 

 じゃあ、お願いするか。と、ご主人様は洗い場に座って背中を向けました。お任せください、ご主人様! G41は一生懸命ご主人様の背中を流します!

 

 ご主人様の背後に座ると、なんだかドキドキしました。ご主人様の背中は広いです。逞しいです。しばらく運動してないから鈍ったっていつも言ってますが、すごく鍛えられてると思います。ドキドキです!

 

「えーい!」

 

 というわけで、ご主人様の背中に抱き着きました。ご主人様の体温と匂いを感じます。ぬくぬくです。G41は幸せです。

 

「ぐはあ!」

 

 突然ご主人様が盛大に呻きました。ご主人様の目の前の鏡が真っ赤です。血の匂いがします。どうしたんでしょうか?

 

「G41… のぼせたみたいだから、上がるよ…」

 

 そう言ってご主人様は立ち上がって、左手で鼻を押さえながら前屈みになってお風呂場から出ていきました。変なご主人様です。とりあえず、鏡をお湯で流して身体を洗うことにしました。後、お風呂にも漬かりました。温泉はぬくぬくでした! 気持ちよかったです!

 

 お風呂から上がると、ご主人様はお布団の上で転がっていました。もうお眠なのかもしれません。体内時計を確認してみると、もう2200を超えています。G41はお眠の時間です。ご主人様も眠いのかもしれません。

 

「ご主人様、もうお眠する?」

 

「…ああ。明かりを消してくれ」

 

 ご主人様がそう言ったので、G41は明かりを消しました。部屋が真っ暗です。でも完全な闇ではないです。G41は狙眼を起動して歩いていきます。G41の狙眼は抵光量空間にも対応しています! えっへん!

 

 G41は自分の布団に潜り込みました。ふわふわでいい匂いがします。ぬくぬくです。G41は幸せな気持ちでいっぱいです。でも、もっと幸せな気持ちになりたいです。

 というわけで、もそもそもそ…

 

「って、おい。G41?」

 

「ご主人様ー!」

 

 というわけで、G41はご主人様のお布団に潜り込みました。ご主人様の匂いに包まれています。ぬくぬくです。G41は物凄く幸せです。こんな幸せなこと滅多にないです。幸せ150%です!

 

「全く、甘えん坊だな、G41は」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様に抱きしめて貰いながら、G41は頷きました。それはそうです。G41はご主人様が大好きです! ご主人様に甘えている時がG41の至福の時なのです!

 

「ご主人様! ご主人様の御伽噺が聞きたい!」

 

「分かったよ、G41… 昔々、ある所におじいさんとおばあさんがいました…」

 

 ご主人様はG41のおねだりを聞いてくれました。嬉しいです。ご主人様に抱き着いたまま、御伽噺を聞きます。幸せすぎます。きっと夢でもこんなに幸せなことはありえません。幸せ200%です!

 G41はご主人様がいてくれて幸せです。ご主人様の戦術人形で幸せです。いつまでも、ご主人様と一緒の日々を送っていきたいです。ご主人様の声が途切れがちになってきました。眠いのだと思います。G41も寝ます。また明日、ご主人様! まる!



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19・愛されG41(その1)

 次の日の朝。G41とご主人様は美味しい朝御飯を食べた後に、チェックアウトしました。見送る女将さんには、また来てね、と言われました。もちろんです! G41はこのお宿が気に入りました。ご主人様にお願いして連れて来てもらおうと思います。

 

 今、G41とご主人様は車で16Labに向かっています。一〇〇式(モモ)ちゃん達を迎えにいくのだそうです。

 わーい! G41は嬉しいです。一〇〇式(モモ)ちゃんやSOPMODちゃんにもうすぐ会えます。G41は二人が大好きなので嬉しいです。

 

 というわけで、G41はご主人様の車で16Labに向かうべく走っています。ハイウェイを突っ走って2時間程度らしいです。

 ご主人様の車は一見普通の軽自動車みたいですが、後ろの席がテーブル席になったり、キッチンがあったり、屋根の上に寝るスペースができたりするので面白いです。何だか秘密基地みたいです。

 それで今G41とご主人様は後部座席で絶賛ゲームで遊んでいます。

 

「ご主人様、やばいよ!」

 

「G41! ハンマーを投げろ!」

 

「えーい!」

 

「よし、そこで教えたコンボだ!」

 

「はい、ご主人様! えーい!」

 

「よし、止めだ!」

 

 どかーん! 敵は倒れました。ご主人様とG41の勝利です!

 

「ご主人様ー!」

 

「G41ー!」

 

「「いぇーい!」」

 

 そう言って二人はハイタッチを交わします。二人の合体攻撃で敵を倒しました! ゲームもご主人様とプレイすると楽しさ10倍増しです!

 ちなみに、車の運転は自動操縦システムがやってます。何かあっても、ご主人様は無線で車を動かせるのでハンドルを握る必要がないらしいです。ご主人様はすごいです!

 

「どれ。そろそろ着く頃か」

 

 そう言って、ご主人様は座席に戻りました。G41も助手席に戻ります。流石に、到着したときに運転席に誰もいないのでは困るらしいです。

 というわけで、G41達は16Labの前の目的地に到着しました。

 そこはサービスエリアを改造した軍の基地らしいです。お仕事の話だと思います。

 ゲートを潜る時、守衛の娘が知り合いの戦術人形に似てたので、G41はその娘かと思いました。でも、違いました。あの娘はもっと小さいです。ちょっとがっかりしましたが、あの娘もこの基地にいるかもしれません。もし会えたら嬉しいです。

 

「じゃあ、G41。行ってくるな」

 

 駐車場に車を止めてご主人様はそう言いました。

 

「少し時間がかかるから、車の中でゲームをしているなり、外の立ち入り可能エリアを見て回るなり、好きにしててくれ」

 

「はい、ご主人様!」

 

 G41はご主人様の言葉に元気に頷きます。G41はお留守番のできるいい子です!

 というわけで、ご主人様をお見送りしたG41はゲームをすることにします。

 

 ぴこぴこぴこ…

 ぴこぴこぴこぴこ…

 ぴこぴこぴこぴこぴこ…

 

 …ゲームオーバーになってしまいました。やっぱりご主人様がいないと難しいですし面白くないです。

 

 というわけで、G41はお散歩にでかけます。何か面白いものがあるかもしれないですし、あの娘に会えると嬉しいからです。

 でも、周りには特に何もないですし、あの娘がいる気配もないです。すぐに飽きてしまいました。

 困りました。仕方ないので車に戻って、座席の下にあるエロ本を読んでご主人様をのーさつするお勉強をするしかありません。というわけで、帰ろうとした時…

 

「やあ、グリフィンのG41ちゃんだね?」

 

 突然、声をかけられました。

 声をかけてきた人はご主人様より一回りぐらい年上っぽい男の人でした。

 

「はい、G41です」

 

 G41は素直に答えます。すると、男の人は笑って言いました。

 

「これからバーベキューをするんだが、よかったらご一緒していただけないかな、と思ってね」

 

 ばーべきゅー! もしかして、お肉がいっぱいのバーベキューでしょうか!? そうだとするとG41は嬉しいです! 丁度暇でもあります。

 でも、FALさんからは知らない人について行ってはだめ、と言われています。本来ならお誘いは断るべきです。でも、せっかく誘ってくれているし、このおじさんからは悪意は感じられません。

 

「はい。ご主人様に許可を貰ってからでいいですか?」

 

「ああ、もちろん。なんなら、俺の方から連絡するし」

 

 おじさんがそう言ってくれたので、G41は通信モジュールを開いてご主人様に連絡します。ここは軍の基地ですが、グリフィン用のチャンネルもあるので通信モジュールが使えるのです。

 

『ご主人様、今時間大丈夫ですか?』

 

『ああ。どうかしたのか?』

 

『はい。実はバーベキューに誘われてしまいました』

 

『…ええと、G41。目を借りるぞ?』

 

『はい、ご主人様』

 

 というわけで、G41はご主人様と視覚を共有しました。これでご主人様にもおじさんの顔が見えたはずです。

 

『…いないと思ったらそういうことか…』

 

 すると、ご主人様はあきれ果てた口調でそう言いました。どういうことでしょう。もしかして、ご主人様はこのおじさんと知り合いなのでしょうか?

 

『…許可する、G41。たらふく食ってきてやれ』

 

『はい、ご主人様!』

 

 やりました! ご主人様からの許可が下りました。これでバーベキューしても大丈夫です! うきうきです!

 

「おじさん! ご主人様からの許可が出ました!」

 

「ああ! じゃあ、行こうか!」

 

 というわけで、G41はおじさんの差し出した手を握って歩いて行きました。バーベキューです! バーベキューです! うきうきです!

 

 道すがらおじさんとお話ししたところ、おじさんは若宮将補っていうらしく、ご主人様の昔の上司だった人らしいです。バーベキューが趣味みたいでご主人様にも何度も御馳走したことがあるらしいです。

 

「あいつは優秀だが、物凄く困った奴でなぁ」

 

 おじさんは軍にいた頃のご主人様の話を懐かしそうに話してくれました。ご主人様は優秀な情報員兼戦術人形の指揮官だったらしいです。時々、口が汚いとか人形たらしとかの文句も入りますが、全体的には褒めている内容なので、G41は嬉しかったです。G41は自分が褒められるのも嬉しいですが、ご主人様が褒められるともっと嬉しいからです。それに交じってる文句も、納得の内容でした。

 

 話している間にバーベキューエリアに着きました。展望台みたいになっている奇麗な場所で、青い海と空と緑の山を一望できます。

 でも、G41はほんの少ししゅんとします。あの海は奇麗に見えても死の海です。それが凄く悲しいです。

 

「大丈夫だよ、G41ちゃん。この辺りの海は浄化された海なんだ」

 

 おじさんの言葉を聞いて、G41は驚きました。あの海は奇麗な海なんでしょうか!?

 おじさんの言うには、この辺りの内海は海洋研究所の研究の成果が実って、浄化に成功した海なんだそうです。しかも、その成功のカギになったのはご主人様が提供した新型ナノマシンのデータのおかげだそうです。

 G41は感動しました! G41が関わった件で世界が良くなっているのが分かったからです! G41や一〇〇式(モモ)ちゃんやFALさんが頑張った甲斐がありました!

 

 バーベキュー台の方を見ると男の人がいっぱい待っていました。みんなこの基地の軍人さんらしいです。ご主人様より若そうな人たちばかりでした。

 

「おお! 本物のG41ちゃんだ!」

 

「マジか! 可愛い…」

 

 みんなG41を見るなり、口々に褒めてくれました。G41は人気者です! えっへん!

 

「さて、始めようか諸君!」

 

 そう言って、おじさんがクーラーボックスを開いて、中から物凄く大きな肉の塊を取り出しました。すごい大きさです! あんな大きな肉、G41は見たこともありません。しかも、どう見ても天然物の肉です。凄すぎます!

 

 おじさんが大きな包丁で肉を切り分けます。肉からは血が流れませんでした。どうもベーコンらしいです。周りの男の人に聞いたのですが、おじさんはベーコンを作ったり、漬物を作ったりするのが趣味らしいです。とってもおいしそうでいい趣味だと思います!

 

 おじさんは分厚く切ったベーコンを鉄板の上に置きました。じゅう、っといい音がしました。次第に物凄くおいしそうな匂いがしてきます。G41はもう待ちきれません! うきうきです!

 

 やがて、ベーコンが綺麗に焼きあがりました! 憧れのステーキです!

 おじさんはそれをお皿にとって、G41に渡してくれました。レディファーストだそうです。周りのみんなも勧めてくれます。嬉しいです。みんないい人ばかりです。

 

 G41は切り分けられているベーコンを食べました。もう物凄く美味しいです! 肉汁がジューシーで脂が凄く甘いです! G41は幸せな気持ちでいっぱいになりました!

 

「どうだい?」

 

「はい! 物凄く美味しいです!」

 

 おじさんの問いに、G41がそう言うとみんな喜んでくれました。みんないい人たちばかりです!

 

 というわけで、本格的なバーベキューパーティが始まりました。いくつかある台の上で、ベーコンやコンビーフ、それに野菜の漬物が焼かれていきます。美味しそうな匂いで満たされています。

 みんな、G41のことを褒めてくれたり、お肉を取ってくれたり、なでなでしてくれたりしてくれます。美味しいものとみんなからの愛情が一杯で、G41は幸せです!

 

「G41ちゃん、こっちも食べてくれないかな?」

 

 おじさんはそう言って、お皿に料理を取ってくれました。なんでしょう? 見たところ、野菜と卵みたいです。なんでしょう。G41はそれを食べてみました。

 物凄く美味しいです! 漬物のすっぱさと卵のまろやかさとバター醤油の風味が何とも言えません!

 おじさんにきいたら、これは漬物のステーキだそうです。凄いです! G41は作り方を聞いておきました。これなら野菜が嫌いなご主人様でも美味しく食べられるに違いありません。今度、もやしの漬物を使って作ってあげたいと思います!

 

 ふと、G41は思いました。G41は昨日から美味しい思いを沢山しています。でも、カリーナさんやFALさんは今もきっと仕事をしているはずです。他のみんなも警戒態勢のはずです。G41ばかりが美味しい思いをしてはいけないと思います。

 

「どうしたんだい、G41ちゃん?」

 

「あのね、おじさん」

 

 気を遣って尋ねてきたおじさんにG41は言います。他の基地のみんなのためにお土産が欲しいって。

 もちろん、これは厚かましいお願いです。でも、G41は言いました。せめて、FALさんだけにでもあげてほしいです。そのためなら、G41はこれから食べなくてもいいです。我慢します。

 

「ああ。そのことなら」

 

 そういうと、おじさんは大きなクーラーボックスを指さして言いました。あの中には一番大きなベーコンの塊が入っているそうです。あれを丸ごと持って帰ってくれ、って言いました。

 

「みんなも異存はないな!?」

 

「「「「「おおー!!!」」」」」

 

 おじさんの言葉に、みんな賛同してくれました。そして、G41のことを健気だ、と褒めてくれました。

 G41は感動しました! こんなおいしいものを沢山G41のために譲ってくれるのです! G41はおじさんたちが大好きです! おじさん達もG41が大好きです! みんな相思相愛です! えっへん!

 

「その代わりといっては何だが、一つお願いを聞いてくれないかい?」

 

 おじさんがそう申し出ます。何でしょうか? こんなにいいようにしてくれるおじさん達のお願いなら聞いてあげたいです。

 

「何か歌を歌ってくれないかな?」

 

 もちろん、恥ずかしかったり、難しかったりするなら断ってくれてもいい、とおじさんは言いました。

 どうしましょう。G41は困りました。G41は歌なんて全然知りません。でも、オジサン達のお願いなら聞いてあげたいです。周りのみんなも期待を込めた視線を向けてきます。

 G41は少しの間悩んで、思いつきました! そうでした! G41は歌を知っています! 劇をやるために覚えたあの歌です!

 

「はい! G41は桃太郎さんを歌います!」

 

 G41がそう言うと、みんながおおー!って歓声を上げて、拍手してくれました。照れてしまいます。えへへ。

 というわけで、G41は息を吸い込んで歌い始めました。

 

「も~もたろさん♪ももたろさん♪ おっこしにつっけた~きっびだんご~♪ ひっとつ~わったしにくっださいな~♪」

 

 G41は歌詞を思い出しながら一生懸命歌います。周りのみんなは手拍子をしてくれたり、可愛いって褒めてくれたり、身悶えしたり、地面でごろごろしたりしてくれました。なんだかみんなご主人様みたいです。この国の軍人さん達はそういうものなのでしょうか。何だか可愛いです。

 

 歌を歌い終わると、みんなの拍手と歓声に包まれました! なんだかアイドルみたいです! えへへ。

 

 その後もG41はおじさん達と楽しい時間を過ごしました。みんないい人達でした!

 お別れする時に、みんないつでも会いに来てくれって言ってくれました。G41もまた会いたいです!

 その時は、もっと一杯歌を覚えて、一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒に披露したいです! みんな、待っててね? まる!



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20・みんなご主人様が大好きです!(その1)

 おじさん達とお別れしたG41はご主人様と一緒に16Labにやってきました。

 ゲートをくぐって、駐車場に車を停めて、病院の玄関みたいなところにやってきました。いつもの16Labの入り口です。

 その玄関の先に立っていた人を見つけて、G41は駆けて行きました。一〇〇式(モモ)ちゃんです! 恐らく、ご主人様から連絡を受けて待っていてくれたのです!

 

一〇〇式(モモ)ちゃ~ん!」

 

「G41ちゃん!」

 

 突撃してきたG41を受け止めてくれました。久し振りの一〇〇式(モモ)ちゃんです。思わずほっぺをぺろぺろしてしまいます。一〇〇式(モモ)ちゃんも擽ったそうですが嬉しそうです。二人は相思相愛です。えっへん!

 

一〇〇式(モモ)、調整は終わったのか?」

 

「はい、指揮官。一〇〇式は今日指揮官達と帰られます」

 

「そうか。ペルシカさんのところで用事が終わったらすぐに出る。荷物を纏めておいてくれ」

 

「はい、了解です」

 

 ご主人様と一〇〇式(モモ)ちゃんが言葉を交わします。今日から一〇〇式(モモ)ちゃんが一緒です。嬉しいです。

 というわけで、ご主人様はペルシカさんの部屋に行きました。G41は一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒に居室に向かいます。一〇〇式(モモ)ちゃんはAR小隊のみんなと一緒の部屋で過ごしていたみたいです。

 部屋は6畳一間ぐらいで机と二段ベッドが二つ。それにテーブルと椅子と壁に掛けられたハンモックが1つありました。部屋にはM4さんとSOPMODちゃんがいるそうです。M16さんとAR-15さん、それにROさんは今は検査中だそうです。

 

「あ! G41ちゃん!」

 

「SOPMODちゃん!」

 

 部屋に入るなり、SOPMODちゃんが駆けてきました。G41はそれを受け止めて、すりすりしたりしてひとしきりじゃれあいます。G41とSOPMODちゃんも相思相愛です。えっへん!

 

一〇〇式(モモ)、先に帰るの?」

 

 椅子に座っているM4さんがなんだか残念そうに言いました。

 

「はい、M4さん。お世話になりました」

 

「ううん、こちらこそ。貴女とゆっくりと話せてよかったわ」

 

 M4さんと一〇〇式(モモ)ちゃんが穏やかな笑顔で言葉を交わします。もしかして、M4さんも一〇〇式(モモ)ちゃんと相思相愛なんでしょうか? さすがは一〇〇式(モモ)ちゃん、モテモテです!

 

「指揮官の用が終わるまで時間あるんでしょ? じゃあ、それまでお話ししよ?」

 

「うん!」

 

 SOPMODちゃんの申し出にG41は頷きます。G41はみんなでお話しするのが大好きです。

 

「えへへ。じゃあねぇ、恋バナしよ? 恋バナ」

 

「恋バナって、SOPⅡ…」

 

 嬉しそうに言うSOPMODちゃんに、M4さんが呆れたような口調で言います。恋バナは女の子が集まるとする定番のトークだそうです。Five-sevenさんがそう言っていました。

 でも、G41は恋バナというのが一体何なのかは知りません。どういう話なのでしょう。

 

「ねー、SOPMODちゃん。恋バナって何?」

 

「えーとねー、好きな人の話とか」

 

 G41の問いにSOPMODちゃんがすぐに答えてくれました。さすが、SOPMODちゃん! 物知りです!

 好きな人の話ならG41は自信があります! G41は勢い良く手を挙げて言いました!

 

「はい! G41はご主人様のことが大好きです!!」

 

 G41はご主人様が大好きです! ご主人様のことなら一日中でも話せます。G41は四十六時中ご主人様のことを考えているのです!

 

「えー、普通過ぎて面白くないよ、G41ちゃん」

 

 あう。SOPMODちゃんから不評を貰ってしまいました。

 

「もう、SOPⅡ。無理言わないの」

 

 M4さんがSOPMODちゃんを窘めるように言います。

 

「私達が親しく接している男の人は指揮官しかいないでしょ?」

 

「えー? じゃあ、M4も指揮官が好きなの?」

 

「…え? …えっと、それはその…」

 

 SOPMODちゃんの質問に、M4さんは顔を真っ赤にして、ごにょごにょと黙り込んでしまいます。隣を見ると、一〇〇式(モモ)ちゃんの顔も赤いです。どうしたんでしょう?

 

「よう。G41、来ていたのか」

 

 扉の所からM16さんの声がしました。どうやら検査が終わったみたいです。

 

「はい! M16さんは検査終わったの?」

 

「まあな。…しかし、一〇〇式(モモ)が帰るとなると、また飯が味気なくなるな…」

 

 G41の問いに頷いたM16さんは残念そうに言います。M16さんとトンプソンさんは一〇〇式(モモ)ちゃんの料理が大好きです。特にやきとりが大好きです。厳密にはやきとりではないのですが、一〇〇式(モモ)ちゃんは焼き方とタレでうまくやきとり風に仕上げています。

 

「大丈夫です、M16さん! おいしいお土産をいっぱい貰ってます」

 

「よっしゃ! でかしたぞ、G41! 私たちが帰るまでちゃんと残しとけよ?」

 

 G41が言うと、M16さんが褒めてくれました。もちろん、AR小隊のみんなが帰ってくるまで残しておきます。みんなで食べる方がおいしいからです。

 

「で、何の話をしてたんだ?」

 

「恋バナだけど… あのね、M4は指揮官が好きなんだって」

 

 M16さんの問いにSOPMODちゃんがそう答えました。何でしょう。周りの空気が凍りついたような気がしました。

 

「なん…だと…?」

 

 M16さんが物凄いショックを受けてます。どうしたんでしょうか? もしかして、M16さんもご主人様が好きだからなんでしょうか。

 M16さんの気持ちをG41は凄くわかります。G41も大好きな一〇〇式(モモ)ちゃんにやきもちを妬いて辛い思いをしたことがあります。M16さんも大好きなM4さんがご主人様を好きなので、少しやきもちを妬いてしまったのかもしれません。

 

「ちょっと! SOPⅡ…!?」

 

「えー? じゃあ、指揮官のこと好きじゃないんだ?」

 

「…そうは言わないけど…」

 

 SOPMODちゃんの言葉に、M4さんは真っ赤になって俯きます。やっぱりM4さんもご主人様のことが好きなのです!

 それはそうだ、と思います。1年前の事件でご主人様はM4さんを助けるために凄く頑張りました。M4さんもご主人様に深く感謝しています。ご主人様を好きになっても不思議ではありません。ご主人様はモテモテです!

 

「…悪いが、一〇〇式(モモ)。グラスを取ってくれ」

 

「は、はい!」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんにグラスを渡して貰ったM16さんは棚からお酒を取り出して飲み始めました。

 G41にはM16さんの気持ちがよくわかります。やきもちの感情をどうしたらいいかわからないのだと思います。G41も同じような経験をしたので、よく分かります。

 でも、大丈夫です! G41達は戦術人形です! そして、指揮官と戦術人形の誓約は複数でもできるのです。なので、みんなでご主人様に誓約してもらえばいいのです! でも、一番はFALさんに譲ってあげてください。

 

「私だって、指揮官のこと好きだもん! 指揮官と一緒に寝たこともあるし!」

 

 なんだか対抗意識を燃やしたSOPMODちゃんが言いました。なんでしょう。また部屋の空気が凍りついた気がします。

 

「…な、な、なん…だと…!?」

 

 M16さんが凄い驚いています。どうしたんでしょうか?

 

「ちょ、ちょっと、SOPⅡ、それはどういう…」

 

「言葉の通りの意味だよ。指揮官と一緒のベッドで一夜を過ごしたの」

 

 驚いて尋ねるM4さんにSOPMODちゃんが言いました。どうしてそんなに驚くのでしょう。別にご主人様と一緒に寝るのなんてよくあることだと思うのですが…

 G41はそのことを知っています。だって、G41も一緒に寝たからです。

 G41はお掃除し隊の副長なので、ご主人様の部屋の鍵を持っています。なので、よくお布団に忍び込んで添い寝して貰っています。そのことをSOPMODちゃんに話したら、SOPMODちゃんも一緒に寝たいと言ったので、一緒にお布団に忍び込みに行ったのです。

 ご主人様のベッドは大きくないので少し窮屈でしたが、その分ご主人様にいっぱい抱っこして貰えたので幸せでした! 多分、SOPMODちゃんはその時のことを言っているのだと思います。

 

「指揮官ねー、凄く優しくシテくれてね。凄く気持ちよかったんだよー」

 

「な…に…!?」

 

 SOPMODちゃんの言葉に、やっぱりM16さんが物凄く驚いています。

 確かに、ご主人様はG41達を優しく抱っこしてくれて、なでなでしてくれて、さらに御伽噺まで聞かせてくれました。G41達はとっても幸せでした。

 

「それにね、指揮官って実は凄く大きくって固いんだよー」

 

「嘘…だろ……!?」

 

 嘘じゃないです、M16さん。ご主人様は割りと着痩せするタイプなのでみんな知らないですが、実は胸筋とか腕とか逞しくて大きくてカチカチです。もうG41はどきどきです!

 

「SOPMODちゃんが…大人の階段を駆け上がってる…」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんが愕然とした様子で言いました。なんと、ご主人様と寝たら大人の階段を駆け上がったことになるそうです。なら、もうG41はとっても大人です! えっへん!

 

「おい、M4。入るぞ? 一〇〇式(モモ)、ここにいるんだろ?」

 

 ノックの音がして、ご主人様の声がしました。なんでしょう。G41とSOPMODちゃんを除く三人の顔に物凄い緊張が走っています。次の瞬間、ドアが開いてご主人様が入ってきました。

 

「…おい、指揮官。SOPⅡと寝たって言うのは本当か?」

 

 M16さんがご主人様に詰め寄って尋ねます。

 

「ほんとだもん。ねー、指揮官?」

 

 SOPMODちゃんがご主人様の腕に抱きついて言います。はい、本当のことです。ご主人様も忘れてないと思います。

 

「あ? あー、そういえば、一回そんなこともあったな…」

 

 ご主人様の言葉になんだか部屋の空気がさらに凍りついた気がします。どうしたんでしょう。G41はよくわかりません。

 

「し、指揮官…」

 

「指揮官…ふ、不潔です…」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんとM4さんが物凄いショックを受けた顔で言いました。

 

「指揮官…妹達に手を出すな、と言ったはずだったな…?」

 

「え!? い、いや、ちょっと待て。お前ら何か誤解を…」

 

「問答無用! M16ブリーカー!! 死ねぇ!!!」

 

 なんと、M16さんがご主人様に物凄い勢いで抱きつきました! 凄いです! 熱烈なハグです!!

 M16さんの気持ちはG41にもよく分かります。G41もご主人様がM99ちゃんをお膝に乗せたりしたら、その匂いを取るために抱きついたりします。やっぱり、M16さんもご主人様が大好きです! ご主人様はモテモテです!

 

「ぎえええええええ!!」

 

 ご主人様が絶叫しています。ちょっと、M16さんは力が強すぎるのかもしれません。でも、ご主人様は凄い人なのできっと大丈夫です!

 

「やめて、お姉ちゃん! 指揮官がしんじゃうよ!」

 

「M16姉さん、やりすぎです!」

 

「うおおおお! はなせー!」

 

「し、指揮官、大丈夫ですか!?」

 

 SOPMODちゃんとM4さんがM16さんを引き剥がして、一〇〇式(モモ)ちゃんがご主人様を担いで部屋の外に連れて行きました。なんだか大騒ぎです。

 でも、これぐらいの騒ぎは基地では普通です。場所が16Labに変わっても、みんな元気でご主人様が大好きです!

 

 一時間後、酔いつぶれたM16さんが寝て、一〇〇式(モモ)ちゃんが帰ってきました。なんでも、ご主人様の具合が悪くなったので今日は16Labにお泊りだそうです。旅の疲れが出たのでしょうか? ご主人様、早く元気になってね? まる。

 

 ちなみに、後でご主人様と寝た時のことをみんなに話しました。すると、一〇〇式(モモ)ちゃんとM4さんは物凄くほっとしたみたいです。なんだかよく分かりませんが、二人が安心してよかったです!



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21・G41vsご主人様(その1)

 翌朝、16Labを出たG41達は昼頃には基地に到着しました。帰り道、ご主人様はぐったりしていたので、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんとゲームをして遊びました。

 

 基地についたG41達をカリーナさんが出迎えてくれました。

 

「お、お帰りなさい、指揮官様…」

 

 その様子を見て、G41と一〇〇式(モモ)ちゃんは仰天しました。

 髪はぼさぼさで、目は充血していて、顔色がすごく悪いです。目の下には濃いクマができています。超ボロボロです。一体、カリーナさんに何があったのでしょうか?

 

「ただいま、カリーナ。随分と苦労したようだな」

 

 ご主人様は平然とそう言って、カリーナさんに近づきます。手には何やら細長い紙の包みを持っていました。

 

「あの… 指揮官様から頼まれた8件…うち4件はどうにか通せたのですが、その他の4件はどうしても無理でした…」

 

 カリーナさんは泣き出しそうな顔でご主人様にタブレットを手渡します。泣きそうなのはご主人様に怒られると思っているのでしょう。

 ご主人様は仕事には厳しい人で、任務を達成できないと怒ります。一〇〇式(モモ)ちゃんも隊長になってからは何度も叱責を受けました。可愛い一〇〇式(モモ)ちゃんでさえその有様なので、カリーナさんはすごく怒られると思っているのです。

 

「…うん、よくやってくれた。ご苦労様」

 

 ご主人様はそう言って、カリーナさんの肩をぽんってしました。予想と大きく違う言葉に、カリーナさんが目を見開いて呆然としています。

 

「ありがとう。これだけやってくれれば、後はこっちでなんとかできる」

 

「指揮官様…!」

 

 カリーナさんが涙を浮かべて喜びました。物凄く珍しいご主人様の仕事に対する満点に近い誉め言葉です。カリーナさんの苦労が報われてよかったです!

 

「後は俺に任せて、休暇を2日ぐらいとってくれ。手続きは俺が通しておく。後、これは土産だ」

 

 そう言ってご主人様が包装を解いてお土産を渡しました。それはコアントローっていう高いお酒でした。

 

「そいつを一杯やって、ゆっくり休むんだ。後は俺に任せろ」

 

「はい…! 指揮官様、ありがとうございます…」

 

「礼を言うのは俺の方だ。お前の仕事のおかげでグリフィンは救われる。ありがとう」

 

 ご主人様の言葉を聞いたカリーナさんは感激で泣きながら敬礼して去っていきました。カリーナさんが嬉しそうでよかったです。でも、見送るご主人様がボソッと

 

「よし。これで刺されずには済むな…」

 

 と言ったのはどういうことだったのでしょう? 変なご主人様です。

 

一〇〇式(モモ)は早急に待機室に行って、総員に警戒態勢を解くように伝えてくるんだ。後、土産でサワー会でも開いてくれ」

 

「え!? で、でも、指揮官…今、グリフィンは非常事態宣言中じゃ…」

 

「大丈夫だ。全責任は俺が取る。気にせずにみんな楽しむように言ってくれ。もちろん、一〇〇式(モモ)もな」

 

「は、はい!」

 

 そう言って一〇〇式(モモ)ちゃんは駆けていきました。市街地から出る際に、ご主人様はみんなのお土産にお菓子や飲み物をたくさん買ってくれました。あれだけあれば、盛大なサワー会が開けます。みんな楽しんで欲しいです!

 

「G41は副官を頼む。サワー会には出られないが、俺と一緒に頑張ってくれ」

 

「はい! ご主人様!」

 

 ご主人様の命令に、G41は元気よく応じます。サワー会には出られないですが、今日もまたご主人様を独り占めできます。G41はとっても嬉しいです。

 

 というわけで、G41は台所でお茶を淹れてご主人様に持っていくことにします。

 お茶を淹れて指揮官室の前に行くと、FALさんが部屋から出ていくところでした。そして、G41の進行方向と逆側に鼻歌を歌いながらスキップして行きました。どうしたんでしょう。すっごくご機嫌そうです。

 

「G41、入ります!」

 

 G41が指揮官室に入ると、ご主人様は椅子に座って、書類を見てニヤニヤしてました。何かいいことがあったのでしょうか?

 

「ご主人様、どうしたの?」

 

「いや、FALは本当にいい仕事をしてくれる。完璧の一つ上を行っているな」

 

 お陰で仕事がなくなった。ご主人様はそう言って、書類を机の上に置きました。ご主人様がここまで褒めるのは珍しいです。流石FALさんです! しかも、仕事がなくなったということは、今日もまたいっぱい遊んで貰えるかもしれません! G41は嬉しいです!

 

「というわけで、G41。おいでおいで!」

 

 ご主人様が膝をパンパンと叩きます。お膝の許可が出ました。G41は喜び勇んでご主人様のお膝に座ります。

 G41はご主人様のお膝を満喫します。G41は幸せです。お出かけも楽しいですが、こうして基地でご主人様と一緒に過ごすのも楽しいものです。

 でも、G41ばかり幸せではいけません。この数日、G41は幸せでいっぱいでした。なので、ご主人様にも幸せになって欲しいです。

 

「何をしたいですか、ご主人様?」

 

 というわけで、G41はご主人様に尋ねました。ご主人様の幸せのためなら、G41はなんでもします。お散歩でも、フリスビー遊びでも、ゲームでも何でもご主人様にお付き合いします。

 

「そうだな。G41のミミをはむはむしたいな」

 

 あう。ご主人様が不穏なことを言います。

 困りました。ご主人様はG41のミミをはむっとするつもり満々です。大ピンチです。

 というわけで、G41は両手でミミを押さえました。これでご主人様はG41のミミをはむっとできません!

 

「んー、そういうことをすると、ますますはむはむしたくなるな」

 

 ご主人様が意地悪なことを言います。でも、こうしてミミを押さえている限り、ご主人様ははむっとすることができません。ご主人様、敗れたりです! えっへん!

 

「そうだ。G41、いいものをあげよう」

 

 そう言って、ご主人様がポケットに手を入れます。何をくれるのでしょう。G41は興味津々です。

 

「はい」

 

 そう言って、ご主人様が取り出したのは赤い飴でした。これはコーラの飴です!

 わーい! G41は嬉しいです。コーラの飴は甘くてしゅわっとするのでとっても美味しいです。G41はコーラの飴が大好きです!

 

「感謝します、ご主人様! 頭撫でて?」

 

 G41は感謝の言葉を言いつつなでなでをおねだりしました。もちろん、ご主人様は優しくなでなでしてくれます。気持ちいいです。G41は幸せです。

 

 というわけで、G41はご主人様から飴を受け取りました。そして、その包装を両手で剥こうとして

 

 はむ。

 

「うわぁ!」

 

 素っ頓狂な声をあげてしまいました。ご主人様がG41のミミをはむっとしたのです!

 なんと、G41はご主人様の巧みな罠にかかってしまいました! さすがご主人様です!

 

 でも、これ以上はやらせません。G41は再びミミを両手で押さえました。これでご主人様はもうはむっとできません。次は飴にもほねっこにもささみジャーキーにも釣られません。ご主人様、敗れたりです。

 ちなみに、飴はご主人様が包装を剥いて食べさせてくれました。甘くて美味しいです。ご主人様は優しいです。

 

「さてさて」

 

 飴を食べ終えたところで、ご主人様が机の引き出しから何かを取り出しました。

 それはなんと猫じゃらしでした!

 

「ほら~、G41!」

 

 ご主人様は机の上で猫じゃらしをしゃかしゃかします。

 むー。G41は猫じゃらしから目を離せません。しゃかしゃか動く猫じゃらしを見ていると胸の中がうずうずします。捕まえたくなります。

 でも、我慢しないといけません。これは罠です。G41が猫じゃらしに手を出すと、ご主人様はミミをはむっとしてきます。

 

 なので、G41は我慢します。

 しゃかしゃかしゃか…

 我慢します。我慢します…

 しゃかしゃかしゃかしゃか…

 我慢します。我慢します。我慢します…

 しゃかしゃかしゃかしゃかしゃか…

 我慢します。我慢します。我慢します。我慢しま…たしっ!

 

 あ! G41は思わず手を出してしましました! しかも、外してしまいました!

 でも、ご主人様ははむっとしてきません。まだ猫じゃらしは目の前で動いています。なので、もう少したしっとしても大丈夫です。

 

 しゃかしゃかしゃか…

 たしっ!たしっ!

 しゃかしゃかしゃかしゃか…

 たしっ!たしっ!たしっ!

 

 むー、捕まりません。ご主人様は巧みに猫じゃらしを操ります。

 業を煮やしたG41は両手で挑むことにします!

 

 しゃかしゃかしゃか…

 ぱしっ!

 

 やりました! G41は見事猫じゃらしを捕まえました!

 勝利の充実感に、G41は満足して…

 

 はむ。

 

「うわぁ!」

 

 素っ頓狂な声をあげてしまいました。ご主人様がG41のミミをはむっとしたのです!

 なんと、G41はまたご主人様の罠に引っかかってしまいました!

 

 困りました。G41は連戦連敗です。

 このままではG41はまたはむっとされてしまいます。でも、ご主人様を防ぐ手段をG41は思いつきません。どうしましょう…

 

「ちょっと。仕事してるんじゃなかったの?」

 

 声がしたので部屋の入り口を見ると、FALさんが立っていました。FALさんはちょっとあきれ顔で苦笑しています。

 

「どうした、FAL? 申し継ぎ忘れか?」

 

「雑誌を忘れたから取りに来ただけ。…このネックレスに合う服を考えないといけないものね」

 

 そういうFALさんの首元には宝石のネックレスが着けられていました。きれいです! FALさんはお姫様みたいです! もしかするとご主人様から貰ったのでしょうか?

 

 G41はご主人様のお膝から降りてFALさんのところに駆けていきました。FALさんならご主人様に負けない策を思いつくかもしれないからです。

 

「? どうしたの、G41?」

 

「あのね、FALさん…」

 

 G41はFALさんに耳を貸してもらって話します。ご主人様に勝てる策はないでしょうか?

 

「ええ! 任せて、G41!」

 

 すぐに策を思いついたFALさんはそう言ってG41に策を耳打ちしてくれます。これは名案です!さすがFALさんです!

 

 というわけで作戦開始です。G41はご主人様のお膝に、ご主人様の方を向いて座りました。

 

「…そう来たか」

 

 G41の顔を見て、ご主人様は苦笑します。

 G41がご主人様の方を向いていたら、ご主人様ははむっとできません。しかも、G41はご主人様を間近で見られるので嬉しいです。まさに一石二鳥の名案です!

 

 というわけで、G41はご主人様をいっぱい見ます。ご主人様の顔が近いです。嬉しいです。

 でも、そのうちペロペロしたくなりました。というわけで、G41はご主人様の顔をぺろぺろします。ご主人様はくすぐったそうにして、G41の頭を抱いてくれました。嬉しいです。

 

「参ったよ、G41。降参だ」

 

 G41の頭を抱きかかえて、頭をなでなでしながらご主人様はそう言ってくれました。

 やりました! G41の勝利です! G41はご主人様に勝ちました! えっへん!

 

「ふふふ。邪悪な指揮官にはG41の純な視線は辛かったかしら?」

 

「それはお前も変わらないだろ?」

 

「あら? さっきまで褒めててくれたのに、急にそれ?」

 

「そういうところまで含めてお前は俺の連れ合いだってことだ」

 

 頭の上でFALさんと言葉を交わしながら、ご主人様はG41をなでなでしてくれます。嬉しいです。勝利の達成感と合わさって、G41は超嬉しいです。

 でも、今回の勝利はほとんどFALさんのお陰です。なので、次こそはG41の力でご主人様に勝ちたいと思います。ご主人様、覚悟してね? まる。



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22・G41vsご主人様(その2)

 G41は分かりました!

 敗因を分析するだに、G41は守勢に回ると弱いということが分かりました。

 積極的に攻勢に出ないとご主人様に勝つことはできません。

 

 というわけで、G41はご主人様のベッドの中で待ち構えています。

 何故かと言うと、ご主人様がやってきたら、わっ!って言って驚いて貰うためです。ご主人様もベッドの中にG41が潜んでいるとは思わないと思うので、きっとびっくりしてくれます!

 

 というわけで、G41はわくわくしながらご主人様を待ちます。もうすぐご主人様は部屋に帰ってくると思います。わくわくです。

 それにしても、ご主人様のお布団の中は居心地がいいです。ぬくぬくです。ご主人様の匂いでいっぱいです。G41は幸せです。

 ふと、眠くなってきてしまいました。ご主人様の匂いは安心するからです。

 

 でも、寝ちゃいけません。ご主人様に勝たなくてはならないのです。

 G41は頑張って起きていようとします。でも、瞼が重くなってきます。寝ちゃいけません。寝ちゃいけません。寝ちゃいけません。寝ちゃ…ZZZzzz…

 

 …なんだか、頭を撫でてくれている感触がします。ご主人様の匂いを感じた気がしました。なので、G41は撫でてくれている手にスリスリしました。

 

 あれ?あれ? G41は何をしているのでしょうか? 今どうなっているのでしょうか?

 あ! G41は慌てて身を起こします。ご主人様を待ち受けるつもりがすっかり寝てしまいました!

 

「おはよう、G41」

 

 ベッドに座ったご主人様がG41をなでなでしながらおはようの挨拶をします。

 G41はしょんぼりです。これではご主人様に勝つどころではありません。不戦敗です…

 

「せっかくだし、一緒に飯を食うか」

 

 しょんぼりするG41をなでなでしながらご主人様が言います。ご主人様とご飯を食べるのは楽しいです。なので、G41は幸せな気持ちになりました。

 

「ご主人様、ご飯作りましょうか?」

 

「まじか!? 悪いな、G41」

 

 G41の申し出にご主人様はとても喜んでくれました。この前貰ったたまねぎとかをピクルスにしているので、漬物のステーキとかが作れます。卵もたくさんあるので言うことなしです!

 というわけで、G41が作った漬物のステーキとコンビーフのソテーとオニオンスープと黒パンのご飯をご主人様と食べました。ご主人様はとても美味しいと喜んでくれて、俺もう絶対にG41と誓約する、って言ってくれました! というわけで、今日の戦いは引き分けでした!

 

 次の日です。G41は廊下の曲がり角で待ち受けています。指揮官室に行くために通る廊下です。ここをご主人様が通りかかったら、わって飛び出してびっくりして貰うのです。ご主人様もこんなところにG41が潜んでいるとは思わないと思うので、きっとびっくりしてくれます!

 

 ふと、G41の脇を走っていくものがありました。結構速いです。

 G41はついそれを追いかけてしまいました。G41は走っていくものを追いかけるのが大好きです。

 すぐに追いついて捕まえました。それは電動で動く車の玩具でした。結構かっこいいです。でも、誰のものでしょうか?

 不意に、G41の視界が真っ暗になりました。誰かが後ろからG41の目を押さえているのです。

 

「だ~れだ?」

 

 声がしました。この声と匂いと手の感触をG41が間違えるはずがありません。

 

「ご主人様!」

 

「正解」

 

 視界が晴れました。振り向くとご主人様がいてくれました。G41は嬉しいです。でも、ご主人様にばれてしまったので驚いて貰うことができません。G41は今日も不戦敗です。

 

「G41、その車が気に入ったならあげようか?」

 

「本当ですか、ご主人様!?」

 

「ああ」

 

 ご主人様はG41をなでなでしながら言ってくれました。わーい。G41はご主人様からのプレゼントが大好きです。しかも、面白そうな玩具なので超嬉しいです。

 

「じゃあ、動かし方を教えるから娯楽室に行こうか」

 

「はい! 感謝します、ご主人様!!」

 

 というわけで、G41はご主人様といっぱい遊んで貰えました。しかも、また一つ宝物が増えました。物凄く嬉しいです。というわけで、今日の戦いは引き分けでした!

 

 次の日です。こうなったら、指揮官室の机のところに隠れることにします。ご主人様が椅子に座ろうとしたら、わって飛び出してびっくりして貰うのです。ご主人様も机のところにG41が潜んでいるとは思わないと思うので、きっとびっくりしてくれます!

 

 というわけで、G41はご主人様の先回りをして指揮官室に行きました。すると、副官の一〇〇式(モモ)ちゃんがいました。

 

一〇〇式(モモ)ちゃん、机の下に隠れてるから黙っててね?」

 

「う、うん…」

 

 G41のお願いを、一〇〇式(モモ)ちゃんは何も言わずに聞いてくれました。流石一〇〇式(モモ)ちゃんです。G41はそんな一〇〇式(モモ)ちゃんが大好きです。

 というわけで、G41は机の陰に隠れました。きっと今日こそ勝って見せます。わくわく。

 

「あの…G41ちゃん、み…」

 

「おはよう、一〇〇式(モモ)。G41がどうかした…ん?」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんが何か言おうとしたときにご主人様が来てしまいました。しかも何か怪しんでいます。ぎくっ。もしかしてバレてしまったのでしょうか? なんででしょうか?

 

『G41ちゃん! ミミが出てるよ!』

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんが秘匿回線でG41に耳打ちしました。やばいです! G41はさっとミミを隠しました。ミミが出ていたとは盲点でした。やばいです。ご主人様にバレてしまいます。

 

「し、指揮官。ほ、本日はとっても良いお日柄で…」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんが頑張ってご主人様の気を逸らそうとしてくれます。流石一〇〇式(モモ)ちゃんです。G41はそんな一〇〇式(モモ)ちゃんが大好きです。

 

「いや、外大雨だったぞ? 崩壊液濃度は凄く薄いようだから被害はないだろうが」

 

「…あう」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんが空回ってしまいました。かわいいです。でも、これではご主人様は気を逸らしてくれないかもしれません。万事休すです!

 

「全く、一〇〇式(モモ)は可愛いな」

 

 そう言って、ご主人様は無警戒に机の方にやってきます。やりました! 一〇〇式(モモ)ちゃんの可愛さでご主人様は気を逸らされてしまいました! 流石一〇〇式(モモ)ちゃんです!

 

 ご主人様はどんどん近づいてきています。今がチャンスです! G41は机の陰からばっと飛び出して言いました!

 

「ご主人様、わっ!」

 

「うわあ! びっくりした~」

 

 やりました! ご主人様が驚いてくれました! G41の大勝利です! G41は初めてご主人様に勝ちました! 今日はG41の記念日です!

 

一〇〇式(モモ)ちゃ~ん!」

 

 G41はあまりの嬉しさに協力してくれた一〇〇式(モモ)ちゃんに駆け寄って抱き着きました。一〇〇式(モモ)ちゃんあっての勝利でした。これぞ、一〇〇式隊の絆ぱわーです!

 

一〇〇式(モモ)ちゃん、やったよ!」

 

「うん! やったね、G41ちゃん!」

 

 G41と一〇〇式(モモ)ちゃんは勝利の喜びを分かち合いました。一〇〇式(モモ)ちゃんはちっとも事情が分かってないにも拘らず我が事のように喜んでくれました。流石一〇〇式(モモ)ちゃんです。G41はそんな一〇〇式(モモ)ちゃんが大好きです。

 

「全く、お前達はどうしてそんなに可愛いんだ」

 

 ご主人様がG41と一〇〇式(モモ)ちゃんを抱き締めて、超なでなでしてくれました。G41は嬉しいです。一〇〇式(モモ)ちゃんも嬉しそうです。三人は相思相愛です。えっへん!

 

 というわけで、この日はG41の大切な記念日になりました。今日もまた栄光の一〇〇式隊に勝利の1ページが加えられたのでした。とっても誇らしいです。G41は今日までも、これからも、その一員として一〇〇式(モモ)ちゃんやFALさんと一緒に頑張っていきたいと思います! まる!



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23・エイプリルフール大作戦!

 4月1日です! 全てのウソが許される万愚節です!

 この日、G41達戦術人形には大切な緊急任務が発生します。それがエイプリルフール大作戦です!

 

 ご主人様は戦術人形の嘘を物凄く嫌います。下手に嘘をつくと解体処分も辞さない勢いです。

 何故なら、報告の虚偽を許すと作戦が成り立たないからです。なので、G41もステンちゃん達も絶対にご主人様に嘘はつきません。FALさんでさえご主人様に嘘を言うことはないです。

 

 でも、この日は嘘が許されます。なので、今日は嘘をついて盛大にご主人様を困らせるべき日なのです。

 でも、みんなで嘘をついたりするとご主人様も辟易とする上に、効果が薄まります。なので、代表で誰かが嘘をついて、視覚と聴覚を共有して、慌てるご主人様を楽しむのです。

 

 そして、今年の嘘つき役はG41です! くじ引きでそう決まりました! えっへん!

 

 ちなみに、去年は一〇〇式(モモ)ちゃんが嘘つき役をやって、数秒でばれてしまいました。一〇〇式(モモ)ちゃんは嘘が苦手なので仕方ないです。なので、今年のG41はみんなの期待を背負って頑張ります!

 

「ご主人様~!」

 

「おお、G41! どうしたんだ?」

 

 G41が近づいていくと、ご主人様は笑顔で迎えてくれます。そして、頭を撫でてくれます。気持ちいいです。G41は幸せです。でも、幸せに囚われてはいけません。G41には重要な使命があるのです。みんなも楽しみにして待っています。というわけで、G41はFALさんから教えられた嘘を言います。

 

「あのね、ご主人様。G41ね、好きな人ができたの!」

 

「そうか~、好きな人ができたのか~」

 

 G41の嘘を聞いたご主人様は穏やかな口調でそう言いました。G41と視覚を共有しているFALさん、及び他のみんなも首を傾げます。なんだか、ご主人様の反応が薄いです。FALさんが言うには物凄く驚くはずだったのですが…

 

「好きな人ができた………………………だとぉ!?!?!?!?」

 

 そう思っていたら、いきなりご主人様が絶叫しました。物凄くびっくりです。ご主人様が物凄く驚いたので作戦は大成功です。

 

「じ、G41!? そ、それはどういうことなんだ!? く、詳しいことを聞かせて貰うぞ!?」

 

「は、はい、ご主人様」

 

 ご主人様に両肩を掴まれて、鬼気迫る表情で言われたのでG41は戸惑いながら頷きました。怖いです。ご主人様を驚かせるのには成功しましたが、何だか変な方向に話が進んでます。

 G41の窮状を察したFALさんが腰を上げました。流石、FALさんです。アフターケアもばっちりです! FALさんが来てくれれば何の問題もありません!

 

「まずはだ、G41… そいつは誰なんだ?」

 

 でも、FALさんが来る前にご主人様から質問をぶつけられてしまいました。あう。ご主人様の雰囲気がいつもと違ってちょっと怖いです。怒られてしまうのでしょうか? でも、最悪正直に言えばご主人様は許してくれると思います。なので、今はFALさんの言うプラン通りに答えます。

 

「ごめんなさい、ご主人様。それは言えません」

 

「そ、そうか…」

 

 G41の言葉にご主人様はあっさり引き下がりました。流石、FALさんの読み通りです! ご主人様はG41達戦術人形の自主性を重んじるので、任務以外のことには強く追及はしないのです。

 

「もう一つ聞くぞ? …そいつと俺、どっちが好きなんだ?」

 

 ご主人様の言葉にG41は困ってしまいました。

 この質問が来ること自体はFALさんの読み通りでした。でも、答えはG41の好きに言っていいとのことでした。FALさんはG41がご主人様より好きです、って言えないことを理解してくれているからです。

 

「はい! ご主人様と同じぐらい好きです!」

 

 なので、G41はつける限りの精一杯の嘘をつきました。G41はご主人様より好きな人はいないのでそれより好きな人がいる、という嘘は絶対につけないですが、FALさんや一〇〇式(モモ)ちゃんはご主人様に近いぐらい好きなので、そう言ったのです。

 

「そ、そうなのか…」

 

 でも、ご主人様は物凄くショックを受けたみたいです。視覚を共有しているみんながどう思っているかは知りませんが、G41はあんまり笑えないです。ご主人様の顔色が目に見えて悪いからです。

 でも、でもでもG41の心は喜んでいます。嬉しいです。ご主人様がやきもちを妬いてくれているみたいで嬉しいです。G41は悪い子です。でも嬉しいです。

 

「指揮官。どうしたのよ、G41をそんな目で見て」

 

 そうこうしているうちにFALさんがやってきました。G41はほっとしました。料理以外のことなら、FALさんに任せておけば何とかしてくれます。

 

「おお、FALか。いいところに来た。…G41は下がってくれ」

 

 ご主人様にそう言われたので、G41は部屋から出ました。でも、G41はFALさんとも視覚と聴覚を共有しているのでやり取りがわかります。ちょっと気になるので、部屋のドアの前で待つことにしました。

 

『FAL。大至急、G41と接触した基地の男のリストを上げろ。一時間以内にやれ』

 

 あう。いきなりご主人様が無茶苦茶なことを言います。FALさんもまずい、思っているみたいです。舌打ちが聞こえました。

 

『…無茶苦茶言わないでよ、指揮官。それに、G41に接した人とか整備班の人間しかいないし…』

 

『…そうだな。…よし、リストアップした。すぐにそいつらを呼び出せ。非番だろうが何だろうが関係ない。指揮官命令だ』

 

 ご主人様、早いです。しかも言っていることが無茶苦茶です。あう。なんだか、話が物凄く無茶苦茶な方向に突き進んでいます。

 

『落ち着いてよ、指揮官』

 

『これが落ち着いていられるか!? 俺のG41に色目を使いやがって! 生きて帰れると思うな!!』

 

『ちょっと、指揮官!? それ何よ!?』

 

『西の野郎が開発した、歩兵携行用対要塞光子砲だ。G41を嫁に欲しかったら、これぐらい受けて見せろ!』

 

『基地を吹っ飛ばすつもりなの!?』

 

 あうう。もう収集がつきません。こんなご主人様は初めてです。FALさんでさえ手に負えない状況です。もうどうしようもありません。

 

「ごめんなさい、ご主人様!」

 

「「G41!?」」

 

 部屋に飛び込んだG41は驚く二人の前で事情を説明しました。全部、エイプリルフール大作戦でしたと告白しました。

 

「そ、そうだったのか…」

 

 そう言って、ご主人様は落ち着いてくれて、手にしたアサルトキャノンを床においてくれました。よかったです。大惨事は免れました。

 

「もう、指揮官。今日の日付を考えてよ」

 

「うるせえ。本気でびっくりしただろうが」

 

 ほっとしたFALさんとご主人様が文句を言い合います。よかったです。いつものご主人様が戻ってきてくれました。よかったです。G41はご主人様に抱き着きました。嬉しかったからです。

 

「でも、ご主人様! G41はご主人様がやきもちを妬いてくれて、嬉しかったです!」

 

 G41は自分の心を正直に言いました。ご主人様がG41のことでやきもちを妬いて慌ててくれているのを見て、G41は嬉しかったです。G41は悪い子です。でも、本当に嬉しかったです。

 

「全く…そんな可愛いこと言われたら、許すしかないだろ?」

 

 そう言って、ご主人様はG41を抱きしめて頭をなでなでしてくれました。気持ちいいです。G41は嬉しいです。G41はご主人様が大好きです。ご主人様もG41が大好きです。二人は超相思相愛です。えっへん!

 

「G41? G41は誰が一番好きなんだ?」

 

「はい! もちろん、ご主人様です!」

 

 ご主人様の問いに、G41は今度こそ正直に答えました。G41にとって、ご主人様ほど好きな人がいるはずがありません。そう言うと、ご主人様がなでなでしてくれます。嬉しいです。

 

「G41、もう一回」

 

「はい! G41は、ご主人様が一番大好きです!」

 

「もう一回」

 

「はい! G41は、この世界で一番ご主人様が大好きです!」

 

「全くもう、ばかっぷるね~」

 

 ご主人様とG41のやり取りを聞いていたFALさんが苦笑して言いました。それはそうです。G41はご主人様が一番大好きなのです!!

 

 というわけで、エイプリルフール大作戦は終わりました。ご主人様は物凄く驚いてくれましたし、G41はご主人様の愛情を再確認できました。そして、ご主人様の慌てるところが見えたので他のみんなも多分大満足です。なので、エイプリルフール大作戦は大成功した! まる!



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24・G41と新しいお友達(その1)

 


 グリフィン本社から正式に非常事態宣言が解除された旨が示達されました。警戒レベルも通常まで下げられて、ようやく平穏な日々が戻りました。

 最も、この基地はご主人様が早い段階で警戒態勢を解いていたので、お気楽そのものでした。

 

 話によると、敵からの襲撃が一昨日あたりから完全になくなったそうなのです。

 きっとご主人様が何かしたのでしょうが、G41には何をしたのか皆目見当もつきません。さすがはご主人様です!

 

 というわけで、訓練を終えたG41はコーラとぽてちとクッションを持って、宿舎の部屋の奥にある倉庫に向かいます。

 そこの荷物を置いてある棚の隙間に、G41の秘密基地があります。狭い場所に茣蓙が敷いているだけですが、G41はそこがお気に入りです。G41は狭い場所が大好きです。

 

 ちなみに、そこに入ってころころしたりするのが好きなのはG41だけです。一〇〇式(モモ)ちゃんを初めとする他の娘達は、狭い場所はあまり好きではないみたいです。特にFALさんはかなり嫌いらしいので絶対に入ってくれません。しょんぼりです。

 

 というわけで、G41は今日も一人でまるまるしようと思います。このクッションはご主人様がくれたもので、とても柔らかくて気持ちいいものです。狭い場所で、このクッションでまるまるするのがG41は大好きです。

 

 ふと、人の気配を感じました。G41が秘密基地を覗き込んでみると、誰かが先に寝ていました。

 

「暗くて狭くて…いい感じかも…」

 

 それが誰かすぐに分かりました。TMPちゃんです!

 TMPちゃんは最近この基地に来たばかりの戦術人形で、一〇〇式隊の新入隊員でもあります。最近、G41はTMPちゃんの訓練を見てあげていることが多いので、仲良しです。

 

「TMPちゃん!」

 

「きゃっ! じ、G41さん…!?」

 

 驚くTMPちゃんのところにG41も入っていきます。幸い秘密基地は二人でも十分入れるスペースがあるので問題なしです。

 

「あの…もしかして、ここ…」

 

「うん! G41の秘密基地!」

 

「うわわわわわ! ご、ごめんなさい!!」

 

「ううん、いいの!」

 

 謝るTMPちゃんにG41は笑顔で言いました。どうもTMPちゃんは知らずにここに入り込んでしまったみたいです。でも、G41は構いません。秘密基地の良さの分かるお友達ができて、G41は嬉しいです。それにTMPちゃんは後輩なので優しくしてあげないといけません、G41はいい先輩です。えっへん!

 

「じゃあね、一緒にコーラとぽてちでまるまるしよう!」

 

「は、はい! あ、ありがとうございます!」

 

 というわけで、G41とTMPちゃんはコーラを飲んだり、ぽてちを摘んだりしながら秘密基地で丸くなって過ごしました。交わす言葉はないですが、なんだか満ち足りた気持ちになります。狭いところでまるまるするのは気持ちいいものです。TMPちゃんも気持ちよさそうです。二人は相思相愛です! えっへん!

 

 ふと、TMPちゃんがG41の敷いているクッションを見ていました。気持ちよさそう、と思っているのかもしれません。

 

「TMPちゃん。よかったら、クッション使ってみる?」

 

 というわけで、G41はクッションを差し出してみました。秘密基地の良さとともにこのクッションの良さも共有できたらいいな、と思うからです。

 

「え!? い、いいんですか!?」

 

「うん。寝てみて?」

 

「は、はい!」

 

 G41からクッションを受け取ったTMPちゃんはそっと顔の下に敷いて丸くなりました。ふわっと顔がクッションに沈みました。

 

「あっ! 物凄く柔らかくて、いい感じです!」

 

「でしょ~?」

 

 TMPちゃんが感激して言うので、G41は嬉しくなりました。TMPちゃんもクッションの良さを分かってくれました。今度ご主人様に頼んで、TMPちゃん用のものも貰おうと思います。

 

 しばらくすると、TMPちゃんの寝息が聞こえてきました。クッションが気持ちよかったので、すぐに寝付いてしまったのです。

 きっと疲れているんだと思います。一〇〇式隊は最精鋭部隊であるので、新入りのTMPちゃんはみんなについて行くために連日訓練を続けています。その疲れが出たのだと思うので、ゆっくり休んで欲しいです。

 

 でも、G41は困りました。このままではG41がクッションを使えません。かといって、起こしたりクッションを取り返したりすると可哀想です。どうしましょう。

 

 いいことを思いつきました!

 

 G41はTMPちゃんのお尻を枕にすることにしました。早速頭を置いてみます。なんだか柔らかくていい感じです。G41は満足です。

 ふと、目の前で何かが動いています。それはTMPちゃんの尻尾でした。黒くてふわふわしてて、可愛いです。

 目の前で尻尾が揺れています。G41はなんとなくそれを視線で追ってみます。そして、目の前にそれが来たとき…

 

 はむっ。

 

 あ。思わずはむっとしてしまいました!

 

「きゃっ!」

 

 TMPちゃんが飛び起きてしまいました。きっと、TMPちゃんは尻尾をはむっとされるとびっくりするのでしょう。G41のミミみたいです。

 

「あ、あの…尻尾の処理は自分でやりますから…」

 

「ごめんね、TMPちゃん…」

 

 起きたTMPちゃんにG41は謝ります。なんだか、ご主人様みたいなことをしてしまいました。G41は反省です。

 

「なんだか騒がしいと思ったら、二人で入ってたのね?」

 

 入り口から声が聞こえました。見ると、FALさんが覗き込んでいました。

 

「FALさん!」

 

「うわわわっ! ご、ごめんなさい!」

 

「別に謝ることじゃないわよ。それより、一〇〇式(モモ)が中華風パイを焼いてくれたんだけど、一緒に食べない?」

 

 FALさんの言葉にG41は嬉しくなりました。一〇〇式(モモ)ちゃんのおやつは大好きです。G41はうきうきです。TMPちゃんも嬉しそうです。

 というわけで、G41とTMPちゃんはすぐに秘密基地から出ました。部屋からは良い匂いがしています。G41はTMPちゃんの手を引いて、すぐにでも駆けて行こうとしました。

 

「こらこら。おやつの前に服装を直しなさい。狭いところで丸くなってたから、乱れてるでしょ?」

 

 FALさんから待ての合図があったので待つことにしました。G41達は待てもできるいい子です。

 

「おいで、直してあげるから。まずはTMPからね」

 

「は、はい!」

 

 TMPちゃんの服装を直すFALさんを、G41は嬉しい気持ちで見ていました。メンバーは変わっても、一〇〇式隊の絆は変わりません。みんな仲良しです!

 というわけで、G41達はみんなでお茶とおやつを楽しみました! おいしくて楽しくて、今日もとっても幸せでした! まる。



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25・G41と新しいお友達(その2)

 ある日の事です。基地から少し離れた場所を、珍しく一〇〇式隊で巡回しているときのことでした。

 凄い銃声がするので駆け付けると、よく分からない黒ずくめの集団に出くわしました。FALさんが即刻攻撃を開始したので、G41達もそれに続いて攻撃を仕掛けました。

 FALさんの曰く、こいつらが今グリフィンを騒がせている敵らしいです。

 むー。G41はそれを聞いてやる気が出ました。容赦も遠慮もなく撃ち倒していきます。こいつらのせいでG41は物凄く切ない思いをしました。その悲しみを倍返しします!

 

 敵の数は物凄く多かったですが、最精鋭である一〇〇式隊の敵ではありませんでした。特にFALさんのグレネードは物凄い勢いで敵を薙ぎ倒しました。完全に今日のMVPです。流石FALさんです!

 

「さて、そこに隠れてるの。出てきてくれない?」

 

 敵を全部倒した後で、FALさんが瓦礫に向かって銃を向けて言います。G41もそこに何かが潜んでいるのを感知しています。敵ならば倒さなければいけません。銃を向けます。

 

「わ、分かったから、撃たないでよ!?」

 

 そう言って出てきたのは意外な人形でした。あれはデストロイヤーっていう鉄血のBOSS級の娘です。

 なんだかボロボロな様子で、戦闘力はなさそうです。でも、油断をしてはいけません。G41は銃を構えて、動態センサーを最大レベルで稼働しています。おかしな動きをすれば一撃で頭を撃ち抜けます。

 

「…どうして貴女がこんなところにいるの?」

 

 そう言ってFALさんが銃を下ろします。一〇〇式(モモ)ちゃんやFive-sevenさんやTMPちゃんもそれに倣います。でも、G41は銃を下ろしません。警戒する人形は一人は必要だからです。

 

「奴らに襲われたのよ!! 部隊は全滅するし、弾は切れるし… 仕方なく逃げたのよ!!」

 

 デストロイヤーちゃんは半泣きでそう言います。後でFALさんに聞いたのですが、例の敵は1000人単位で襲ってくるという非常に恐ろしい連中らしいです。今回G41達が戦ったのは、デストロイヤーちゃん達が頑張って減らした残り、ということでしょう。

 

「それはご愁傷様ね」

 

 Five-sevenさんがため息交じりにそう言います。FALさんとFive-sevenさんに敵意がないので、デストロイヤーちゃんをここで撃つ必要はなさそうです。G41は銃を下ろしました。

 

「あ、あの…どうするんですか?」

 

「とりあえず連行しよう。…ついてきて」

 

 TMPちゃんの問いに、一〇〇式(モモ)ちゃんが答えて、デストロイヤーちゃんに銃剣を突きつけます。

 

「わ、分かったわよ!」

 

 デストロイヤーちゃんは両手を上げて従います。というわけで、G41達はデストロイヤーちゃんを連行して基地に帰り、ご主人様のところに行きました。

 

「…また妙なもんが釣れたな」

 

 ご主人様は呆れたように言いました。どうするのか、みんなで固唾を呑んで注視していましたが、とりあえずいきなり解体処分とかはなさそうです。

 

「とりあえず、どうするの、これ?」

 

「しばらく自習室に放り込んでおけ。見張りは一〇〇式(モモ)とG41に任せる」

 

 FALさんの問いに、ご主人様はそう答えました。確かに鉄血のBOSS級を見張るのですから、最精鋭の一〇〇式(モモ)ちゃんやG41が見張るのがいいと思います。

 というわけで、G41達はデストロイヤーちゃんを自習室に連れて行きました。デストロイヤーちゃんは怖がって黙っています。でも、少なくともG41は今のところデストロイヤーちゃんを撃つつもりはありません。ご主人様に危害を加える可能性は低いですし、過去のことは全て戦場の事と割り切っているからです。一〇〇式(モモ)ちゃんもどうもそういうスタンスのようです。

 

「とりあえず座って。手当してあげるから」

 

「え!? い、いらないわよ!?」

 

「駄目。人工血液が流れすぎたら、運動機能停止しちゃうから」

 

 戸惑うデストロイヤーちゃんにそう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんは手当を開始します。損壊個所に応急修理用の傷パッドを貼っていくのです。全身傷だらけなので、結構いっぱい貼らないといけません。G41もそれをお手伝いました。

 

「はい。これでよし」

 

「…べ、別に、感謝とかしないんだからね!?」

 

 応急処置が終わると、デストロイヤーちゃんはそう言って、顔を赤くしました。怒っているのかもしれませんが、仕方ありません。一〇〇式(モモ)ちゃんの処置は適切だと思います。

 

「応急処置も終わったし、ちょっと遊ぼう?」

 

 そう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんはポケットから布でできた小さな玉を取り出しました。あれはお手玉です。

 

「な、なによ、それ!?」

 

「お手玉。こうして使うんだよ」

 

 そう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんは玉二つでお手玉します。一〇〇式(モモ)ちゃんの手の上で玉が躍り、一定の間隔で見事なアーチを描きます。流石、一〇〇式(モモ)ちゃんは上手です。G41は一〇〇式(モモ)ちゃんのお手玉を見るのが大好きです。

 

「…へぇ…」

 

 デストロイヤーちゃんもその様子をまじまじと見つめます。なんだか珍しそうな目です。きっと、お手玉とか見たのは初めてなのでしょう。

 

「はい、デストロイヤーちゃんの番」

 

 そう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんはお手玉をデストロイヤーちゃんに投げて渡しました。

 

「え、ええ!?」

 

 それを受け取ったデストロイヤーちゃんは戸惑いながらも、それでも見様見真似でお手玉しようとします。ぎごちない動きですが、数回お手玉はアーチを描きました。

 

「すごーい、デストロイヤーちゃん!」

 

 G41は感心しました。初めてでお手玉を数回できるのは大したものだと思いました。G41も初めての時は全然できなかったのです。

 

「す、凄いの…?」

 

「うん。上手だよ、デストロイヤーちゃん」

 

 戸惑うデストロイヤーちゃんを一〇〇式(モモ)ちゃんが褒めてあげます。すると、デストロイヤーちゃんの表情に喜色が宿りました。笑ってくれました。

 

「ま、まあ、私は鉄血のハイエンドモデルだもの! 貴女達とは出来が違うわ!」

 

「うん! 凄いんだねー」

 

 ふんぞり返るデストロイヤーちゃんにG41は素直に感心します。鉄血のBOSS級はグリフィンの戦術人形に比べて性能はかなり上です。お手玉とかが上手でも不思議じゃありません。

 

「じゃあ、次はもっと綺麗にできるよね?」

 

「ええ! 任せておきなさい!」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉に、デストロイヤーちゃんは意気揚々とお手玉を握りました。そして、お手玉を宙に躍らせます。

 時々、力が入って失敗することはあるものの、かなり早い段階でデストロイヤーちゃんはお手玉のコツを掴んだみたいです。しばらくすると見事にお手玉でアーチを描けるようになりました。

 

「すごーい!」

 

 G41が素直に感心すると、

 

「すごいでしょ!」

 

 デストロイヤーちゃんは素直に喜んでくれます。デストロイヤーちゃんは褒めてもらうのが好きみたいです。なんだか、G41みたいです。そこら辺はグリフィンの戦術人形も鉄血の機械人形もあんまり変わらないのかもしれません。

 

「じゃあ、次は3つで行ってみようか」

 

「ええ! やってやるわ!」

 

「がんばれー、デストロイヤーちゃん!」

 

 G41の応援を受けて、デストロイヤーちゃんが意気揚々と一〇〇式(モモ)ちゃんから受け取った3つのお手玉を構えた時でした。

 

『交渉は成立した。とっとと出て失せろ、デストロイヤー』

 

 通信モジュールを通じてご主人様の声が聞こえました。G41達は思わず顔を見合わせました。この短時間で鉄血と話をつけたのでしょうか。どうやったのでしょう? ご主人様のことなので、嘘をついているとは思えないのですが…

 

「え!? で、でも…」

 

『なんだ? 俺のために尽くしてくれるんなら基地に留めてもいいが?』

 

「そ、そんなわけないでしょ!?」

 

『なら、とっとと失せろ』

 

 ご主人様の言葉に、デストロイヤーちゃんは助けを求めるような視線で、G41達を見ます。でも、こればかりはどうしようもありません。一〇〇式(モモ)ちゃんは首を横に振りました。ご主人様の命令である以上、G41達に異論は許されないのです。

 

「…ゲートまで、送るよ」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉にデストロイヤーちゃんは答えませんでした。でも、逆らったりせずに従って歩いてくれました。G41達の立場を理解してくれているのだと思います。

 

 ゲートの前で、G41と一〇〇式(モモ)ちゃん、そしてデストロイヤーちゃんはしばし黙って見つめあいました。

 なんだか、デストロイヤーちゃんは名残惜しそうです。G41達も名残惜しいとは思います。短い間でしたが心が通じ合ったからです。そして、デストロイヤーちゃんはそういう経験をしたことが少ないのかもしれません。だから、残念に思うのかもしれません。

 

「デストロイヤーちゃん。これあげるね」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんは微笑みながらデストロイヤーちゃんに近づいていきました。そして、お手玉を4つ手渡しました。

 

「これ…!?」

 

「4つでできるようになったら、勝負しよう。誰が一番長くできるか」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉に、デストロイヤーちゃんは感極まった顔をして、そして、お手玉をひったくるように受け取って、背中を向けます。そして、歩いていきます。自分の住むべき場所へ。一〇〇式(モモ)ちゃんとG41は黙って、その姿を見つめていました。後姿が小さくなっていきます。

 

「あ、あんた達!」

 

 しばらくして、デストロイヤーちゃんが振り向いて言いました。

 

「せ、戦場であったら、い、一応生かしてはおいてあげるんだから!」

 

「うん! でも、出来たら銃の撃ちあいはしない方がいいね!」

 

 デストロイヤーちゃんの言葉に、一〇〇式(モモ)ちゃんがそう答えます。デストロイヤーちゃんはしばらく一〇〇式(モモ)ちゃんとG41を見つめて、やがて背を向けて走って行きました。G41達はその姿が見えなくなるまで見送りました。

 

「…いつか、戦いが終わって、仲良くできたらいいね」

 

「うん!」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉に、G41は同意しました。せっかく心が通じ合ったのです。戦ったりせずに友達でいる方がいいです。

 みんなが仲良く手を取り合える。そんな未来が来るかどうか、G41はわかりません。でも、そんな日が来ることを信じて、G41は生きていこうと思います。

 デストロイヤーちゃん、お手玉負けないからね! まる。



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26・G41と仲間達(その3)

 G41はTMPちゃんと廊下を歩いています。訓練を終えてお腹が空いたので、キッチンで何か作って食べようと思うのです。冷凍うどんと玉ねぎとニンニクぐらいはあったと思うので、ペペロンチーノ風焼うどんにして食べようと思います。

 

「あの…本当にあんな感じでよかったんですか?」

 

 TMPちゃんがさっきの訓練を思い出して言います。

 今日G41達がやったのは突入制圧プログラムによる模擬戦です。G41がバックアップで、TMPちゃんがフロントです。

 

 G41の定めた今日の重点項目は勢いよく突撃、です。

 

 TMPちゃんは身のこなしだけなら一〇〇式(モモ)ちゃんと比べても上回っていると言えますが、気が弱いので突っ込むべきところで二の足を踏む時があります。そして、敵の抵抗を許して怪我をするのです。

 なので、今日は勇気をもって突撃してもらうことにしました。もちろんG41が動態センサーで敵の動きを見極め、突撃の指示は出します。そして、援護射撃も見事にこなしました。G41は精密射撃は得意です。えっへん!

 

「うん! いつもより、怪我少なかったでしょ?」

 

「そういえば…いい感じだった気がします!」

 

 G41の言葉にTMPちゃんは笑ってくれました。G41も笑顔になりました。TMPちゃんの信頼を感じたからです。よかったです。少しだけFALさんに近づけたのかもしれません。G41はFALさんみたいに素敵で立派な先輩になりたいのです。

 

 ふと、目の前から誰かが歩いてきています。ご主人様です! 嬉しくなったので、G41はご主人様のところに駆けていきました。

 

「ご主人様ー!」

 

「おっ、G41とTMP。訓練は終わったのか?」

 

 ご主人様は突撃してきたG41をやんわりと受け止めて言います。今日もご主人様がいます。G41はそれだけで幸せな気持ちでいっぱいになりました。

 

「うん! 早く褒めて褒めて?」

 

「ああ。G41は偉いな。可愛いな」

 

 頭を差し出すと、ご主人様は優しく撫でてくれます。気持ちいいです。G41は幸せです。

 

「休憩したら、一応応急待機に移ってくれ。ないとは思うが、何かあったらよろしく頼むな」

 

「はい! G41にお任せください、ご主人様!」

 

 ご主人様の言葉に、G41は喜んで応じます。今日の応急対処隊はFALさんを除く一〇〇式隊です。FALさんがいないところはG36ちゃんが臨時に加わって埋めています。

 FALさんは今秘密任務を受けて動いているみたいです。流石FALさんです。G41もいつかFALさんみたいにかっこよく秘密任務をこなしてみせたいです。FALさんはG41の憧れです!

 

 ご主人様とお別れした後、TMPちゃんの方を見ると、なんだか呆けた様子で立ち尽くしていました。G41が近づいても反応がありません。視線が遠いです。どうしたのでしょうか?

 

「指揮官に撫でてもらえたら…」

 

 そして、夢見心地でそう言います。

 G41は首を傾げました。ご主人様に撫でてもらうのはそんなに難しいことではないと思うのですが。

 ご主人様は可愛い戦術人形が大好きです。なので、TMPちゃんが撫でてっておねだりすればすぐにでも撫でてもらえるはずです。おねだりすればいいと思うのですが…

 

「ご主人様に撫でて欲しいの?」

 

「きゃっ! G41さん!? き、聞こえてましたか…?」

 

「うん」

 

 G41が頷くと、TMPちゃんは恥ずかしそうにしました。

 ぴこん! G41は分かりました! 謎は全て解けました!

 TMPちゃんは奥手なのでおねだりが恥ずかしいのです! これはG41が一肌脱ぐしかありません!

 

「TMPちゃん、ちょっと待っててね?」

 

「は、はい…」

 

 TMPちゃんにそう言って、G41はご主人様をダッシュで追いかけました。すぐにご主人様に追いつきました。

 

「ご主人様ー!」

 

「おっ、G41。どうしたんだ?」

 

 ご主人様は振り向いて、突撃したG41を優しく受け止めて頭を撫でてくれます。気持ちいいです。G41は幸せです。でも、幸せに囚われてはいけません。G41はご主人様にお願いがあるのです。

 

「ご主人様。明日の副官はTMPちゃんにしてあげてください!」

 

 G41はご主人様にお願いします。TMPちゃんが副官になれば、ご主人様は可愛いTMPちゃんを撫でたくなっておねだりなしでも撫でてあげることだと思います。これは名案です!

 ちなみに、明日の副官はG41の予定でした。もちろん、G41は副官をしたいです。ご主人様を独り占めしたいです。でも、可愛い後輩のTMPちゃんのためです。G41は涙を呑んで譲ることにします。G41はいい先輩です! えっへん!

 

「ああ、分かった。…TMPは副官初めてだから、よく仕事を教えておいてくれな?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様はG41のお願いを聞いてくれました。よかったです。

 というわけで、G41はTMPちゃんのところに戻りました。TMPちゃんに副官業務を教えなくてはならないからです。ご主人様の期待に応えるべく頑張ります!

 

「TMPちゃん! 明日副官だよ!」

 

「ええええ!? うわわわわ! 早く隠れないと…」

 

「こら、TMPちゃん」

 

 逃げようとするTMPちゃんを抱えて、キッチンに連行します。

 TMPちゃんは副官が初めてなので逃げたくなる気持ちは分かります。でも、逃げてはいけません。撫でてもらえません。虎穴に入らざれば虎子を得ず、とFALさんも言いました。ここで逃げてはいけません。

 

「というわけで、タンポポ茶の入れ方を覚えてね?」

 

 というわけで、G41は愛用のフライパンとざる。そして、裏のプランターから植えているタンポポを幾つか採ってきました。副官業務で一番重要なのは美味しいお茶を淹れることです。他は一日の流れを覚えておけばすぐにできますが、お茶の淹れ方だけは訓練しておかないと無理です。

 というわけで、まずはG41が実践してやり方を見せます。して見せて、やらせてみて、褒めてやらねば人は動かず、とFALさんから習いました。その通りに実践します。

 

 幸い、TMPちゃんはこういうことが得意なみたいで、すぐにお茶の淹れ方を覚えました。

 

「すごーい、TMPちゃん!」

 

 G41は素直に感心しました。これならご主人様も満足します。

 

「あっ、なんか、いい感じかも」

 

 TMPちゃんも自分の淹れたお茶を見て、自信を持ったみたいです。やりました。これで第一関門を突破です! G41ちゃんとTMPちゃんの大勝利です!

 

 というわけで、後はお茶を出す訓練です。G41とTMPちゃんは指揮官室に行きました。この時間、ご主人様は副官の一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒にお出かけ中です。なので、実際の部屋を使って予行演習をするのです。

 

 指揮官室に来ました。案の定、ご主人様はいません。

 というわけで、G41はご主人様の椅子に座りました。G41はご主人様役です! えっへん!

 

「し、指揮官! TMP、は、入ります!」

 

「ああ、TMP。入ってくれ」

 

 こんこんとノックするTMPちゃんに、G41はご主人様の口調を真似して言います。G41はよく副官をしているので、ご主人様の物まねが上手いのです!

 

 TMPちゃんがおどおどしながら、部屋に入ってきます。何だか可愛いです。最初のうちは一〇〇式(モモ)ちゃんもそんな感じだったらしいです。一〇〇式(モモ)ちゃんに似ていると、ご主人様は好感を持ってくれるはずです。撫でられ率アップです!

 

「し、指揮官、お、おはうございます!」

 

「おはよう、TMP。お茶はそこに置いてくれ」

 

 挨拶するTMPちゃんにG41はご主人様の真似をしたまま言います。我ながら上手です。何だか楽しくなってきました。

 

「は、はい。失礼します…」

 

「ああ。TMPは今日も可愛いなぁ」

 

「可愛いって! そ、そんな…」

 

 G41がご主人様の真似をして褒めると、TMPちゃんは慌てて顔を真っ赤にしました。

 その瞬間、カップを持つ手が滑ってしまいました。ガチャン! カップは机の上に転がりお茶をぶちまけてしまいました!

 

 やばいです! G41とTMPちゃんの顔が真っ青になりました。机の上が滅茶苦茶です。大事そうな書類がびちゃびちゃになりました!

 

「じ、G41さん!」

 

「慌てちゃダメだよ、TMPちゃん!」

 

 半泣きのTMPちゃんに、G41は言います。こういう時こそ慌ててはいけません。こんなこともあろうかと、G41はちゃんとダスターを持ってきています。綺麗に拭いたら、元通りになります。

 というわけで、G41は頑張って机を拭きます。机の上は何とか綺麗になりました。あとは書類です。G41はもう一枚のダスターで書類を拭きます。拭けばきっと書類も綺麗に…びりっ。

 あ! 書類が破けてしまいました! G41は内心で大慌てです。TMPちゃんは今にも泣きそうです。どうしましょう。とんでもないことになってしまいました!!

 

「あれ? どうしたんだ、G41にTMP?」

 

 そのタイミングでご主人様が戻ってきてしまいました! 超大ピンチです!

 

「し、指揮官…!」

 

 TMPちゃんがご主人様を見て泣きそうになります。こうなっては仕方ありません。G41はご主人様の前に出て謝ります。

 

「ごめんなさい、ご主人様!!」

 

「あ、ああ…」

 

 戸惑うご主人様にG41は謝ったうえで事情を説明しました。そして、全部G41が悪いのでTMPちゃんを怒らないでくださいってお願いしました。

 G41が予行演習を指揮官室でしようとか言わなければこんなことにはなりませんでした。なので、全部G41が悪いのです。

 

「あ、あの… こぼしたのは私ですから…」

 

 TMPちゃんも頭を下げて、G41を庇おうとします。TMPちゃんはいい子です。でも、怒られるのはG41だけにして欲しいです。叩かれても我慢します。

 

「ああ。そんなことなら気にするな、二人とも。このぐらいの書類はどうとでもなる」

 

 ちょっと待ってろよ。そう言って、ご主人様は部屋から出ました。しばらくして戻ってきたご主人様は一枚の書類を持っていました。それは濡れてダメになった書類と全く同じものでした。G41のセンサーで見ても全く同じものにしか見えません。

 ご主人様は昔軍の情報員していたので、書類を偽造したりする訓練を受けているようです。この程度の書類を偽造するのは朝飯前だそうです。流石、ご主人様です!

 

「まあ、これぐらいの失敗は誰にでもある。これに懲りたりせず、頑張ってくれ」

 

 ご主人様はそう言って二人の頭をなでなでしてくれました。気持ちいいです。G41は幸せです。念願かなったTMPちゃんもとても気持ちよさそうです。TMPちゃんも幸せです。

 ご主人様は怒るどころか励ましてくれて、なでなでしてくれました。この失敗がG41とTMPちゃんが一生懸命やろうとした結果だとわかってくれて、なおかつ十分に反省していることを理解してくれているからです。ご主人様は優しくて、G41達のことを理解してくれます。G41達はご主人様の戦術人形で本当に良かったです!

 

 翌日、TMPちゃんは副官業務本番に挑みました。ご主人様が優しいことが分かったTMPちゃんは、そこまで緊張せずに任務をこなしました。そして、得意な機械いじりの話題で盛り上がって、カリーナさんのペットロボットを(無断で)改造して絆を深めました。TMPちゃんとご主人様が仲良くなって本当に良かったです! まる。



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27・G41と仲間達(その4)

 ある日、廊下を歩いていると思わぬ人形たちに会いました。

 UMP45さんと9ちゃん。それに、G11ちゃんと416さん。所謂、404小隊の面々です。

 404小隊はグリフィン直属の部隊の中でも特殊性の強い部隊で、他の隊と絡む事はほとんどありません。それなのに、うちにどうしているんでしょう?

 

「あ! G41、久し振り~!」

 

 G41を見つけた9ちゃんが駆け寄って来ます。そして、遠慮なくG41を抱きしめました。G41も抵抗なく抱きしめられてます。9ちゃんが今もG41のことを好きでいてくれてうれしい気持ちになりました。

 

「9ちゃん、お久し振り」

 

「うん! 相変わらずミミが可愛いね!」

 

 そう言って、9ちゃんはG41のミミを両手で持って左右に引っ張ります。強い力でないので痛くはないですが、ちょっとくすぐったいです。

 

「お久し振り、G41」

 

 続いて45さんもG41に声をかけてきます。

 

「お久し振りです、45さん」

 

 9ちゃんにミミを引っ張られながら、G41は45さんに挨拶します。45さんも尊敬する先輩の一人なので、今日会えて嬉しいです。

 

「…こっちの部隊は水が合ってるみたいね」

 

 そう言って、45さんはG41の頭を撫でてくれます。気持ちいいです。45さんが安心してくれているので、G41も嬉しいです。もしかすると、別れてからもずっと心配してくれていたのかもしれません。

 

 実はG41は昔、ほんのわずかな期間だけ404小隊に参加していました。その時の隊長さんが45さんです。

 G41は404小隊の他のメンバーとも性能的に相性が良く、特にG11ちゃんが苦手な夜戦では416さんと共に多くの敵を倒しました。

 でも、G41はすぐに404小隊から抜けることになりました。45さんがここにはいないほうがいい、と隊から除くことをグリフィンに申請し、代わりに今の隊に編入できるように動いてくれたのです。G41は今の隊でご主人様に出会えて物凄く幸せです。なので、45さんにはとっても感謝しています。

 

「45、9。旧交を温めるのもいいけど、今は天野指揮官に話を聞きに行くのが先でしょう

?」

 

 416さんが45さんと9ちゃんに言います。416さんは404小隊一番の常識人で、仕事熱心な人なので早く用を片付けたいのだと思います。

 

「あたしもう無理… ねえ、G41。お布団は?」

 

 ものすごく眠そうな様子でG11ちゃんが言います。G11ちゃんは物凄く強いのですが、同時に物凄く寝るのが好きなので、用がない時はいつも寝ています。まるで、どこかの闘牛士みたいだ、とご主人様は言ってました。

 

「私のベッド貸してあげるよ?」

 

 G11ちゃんにG41はそう言いました。404小隊が泊まるなら流石にG41達にも通達があるはずですが、それがないので部屋は用意されてないと思います。なので、G41のベッドを使って貰うのがいいです。それに、G41のベッドの布団はご主人様がプレゼントしてくれた物凄く寝心地のいいものなのです。えっへん!

 

「全く…まあいいわ。G41、お願いね?」

 

 416さんが呆れ顔で言います。416さんは何のかんのでG11ちゃんのことを気にしています。仲良しです。

 

「じゃあ、私もそっち行くよ! 天野指揮官とのお話とか私がいても役に立たないし」

 

 9ちゃんはG41に頬ずりをしながら言います。久し振りに9ちゃんと遊べます。G41は嬉しいです。

 

「予定より随分と早いわね」

 

 不意に傍らから声がしました。FALさんです! FALさんがいてくれたので、G41は嬉しい気持ちになりました。

 

「あ、FALさんお久し振り~! …なんか、太った?」

 

「…一発殴っていい、9?」

 

「え!? いや、そういうんじゃなくて! なんか、昔より大きく見えたから…」

 

 FALさんの静かな怒りを受けて、9ちゃんは慌てて言います。G41はあまりにも命知らずな発言にはらはらしましたが、FALさんは本気で怒っているわけではなさそうなのでほっとしました。

 

「…貴女は前に進んでいるのね、FAL」

 

 416さんがため息交じりに言いました。どこか羨ましそうですが、その言葉には憎悪や怒りは感じられません。

 

「まあね。…で、45」

 

 そう言って、FALさんは45さんの方に視線を向けます。G41達も45さんを見ました。

 

「なんで、私を親の仇を見るような目で見ているのかしら?」

 

 G41はぞっとしました。45さんのFALさんを見る目が凄まじく恐ろしかったからです。憎悪と殺気、そして静かな怒りに満ちた目でした。

 

「…別に」

 

 G41達の視線を受けて、45さんはそう言って、FALさんから視線を逸らしました。いつもの45さんに戻ったと思います。

 

「まあいいわ。とりあえず、指揮官のところに行きましょう?」

 

「…ええ、そうね」

 

 FALさんに促されて、45さんと416さんがその後ろについて行きます。それを見送って、G41達も宿舎の方へ行きました。

 

「45さんとFALさん、仲悪いのかな?」

 

 G41は9ちゃんに尋ねました。45さんとずっと一緒な9ちゃんならきっとその辺りの事情を知っていると思ったのです。

 

「うーん… どうなのかなー? 大体、私も45姉もFALさんと会ったのなんて、ずっと昔に何回かだけだよ?」

 

 しかも、軽く挨拶しただけぐらいだし。9ちゃんは首を傾げながらそう言いました。9ちゃんがそう言うのなら、そうなんだと思います。なら、45さんはどうしてFALさんをあそこまで嫌っているのでしょう。よくわかりません。

 

「FALさん、昔ろくでもないことばかりしてたし、それで恨みを買ったんじゃない?」

 

 G11ちゃんがなんでもなさそうに言います。

 そういえば、FALさんはその昔味方を利用して戦果を挙げるようなことを繰り返していたと言います。グリフィンでも悪名高い味方殺しだっていつか言ってた気がします。

 もしかすると、その辺りのことで因縁があるのかもしれません。でも、今のFALさんはとても優しい先輩です。味方を使い潰すどころか、危機に陥っている味方を率先して救出に向かいます。昔何かあったとしても許してあげて欲しいです。

 

「うーん。何とかFALさんと45さんが仲直りできないかな?」

 

 G41は提案しました。二人とも大好きな先輩なので仲良くして欲しいです。FALさん45さん仲直り作戦開始です。

 

「そうだね。うん、何とかしよう!」

 

 9ちゃんは笑顔でそう言います。とっても乗り気です。45さんと最も近しい9ちゃんが味方なのでとっても心強いです。G41は大船に乗った気持ちです!

 

「えー…ほっとけばいいじゃん」

 

 対してG11ちゃんは物凄くめんどくさそうです。でも、このミッションは恐らくSSSランクの難易度です。多少嫌でも手伝って貰わないといけません。

 

「うん! 作戦、思いついたよ!」

 

 早速9ちゃんが作戦を思いついたみたいです。流石、9ちゃんです。グリフィンの戦術人形の中でも屈指の戦術家である45さんの妹だけはあります。

 

「G41と私が喧嘩してる振りをするの。そしたら、お互い隊を率いている者同士共同して喧嘩を止めようとすると思う!」

 

「そっかー!」

 

 9ちゃんの作戦に、G41は感心しました。とっても良くできた作戦です! 流石、9ちゃんです!

 

「えー… それ、その先がないと上手く行かないと思うんだけど…」

 

「大丈夫! 為せば成る!」

 

 疑問を呈するG11ちゃんに9ちゃんは自信満々に言います。G41もそう思います。大切なのは勇気を出して突撃することです。

 

「というわけで、G11ちゃんはFALさんと45さんを呼んできて!」

 

「うん…」

 

 G41のお願いをG11ちゃんは少し嫌そうに聞いてくれました。G11ちゃんが指揮官室の方に歩いて行きます。ちなみに通信モジュールを開いて、G11ちゃんの聴覚を共有しておきます。FALさんたちがやってきたら喧嘩を始めるためです。

 

 G11ちゃんが指揮官室のドアを叩く音がしました。そして、ドアを開けて言いました。

 

『えーとね。G41と9がなんか喧嘩っぽいことをしてるよー』

 

 G11ちゃんがすっごいやる気なさそうにそう言いました。あう。早くも作戦に暗雲が漂ってきました。これでは来てくれないかもしれません。TMPちゃん辺りを呼んで協力して貰った方が良かったかもしれません。万事休すです。

 

『というわけで、FALさんと45。止めてきてよ』

 

『…ってことだけど、指揮官?』

 

『ああ。カリーナの資料を待つ時間もあるし、行ってきてくれ』

 

 やりました! ご主人様が促してくれたお陰で、二人は部屋を出てこっちに向かってます。G41は9ちゃんと顔を見合わせてサムズアップします!

 というわけで、喧嘩開始です。9ちゃん、かくごー!

 

「9ちゃんのばかー!」

 

「G41のばかー!」

 

 とりあえず、まず口喧嘩です。二人で大声を出したので、傍らを歩いていたMP5ちゃんがビックリして足を止めました。掴みはばっちりです。ここから実力行使に移ります。

 

「えーい!」

 

 というわけで、G41は両手を振り回しながら9ちゃんに突撃しました。9ちゃんは手を突き出して、G41の頭を押さえます。9ちゃんの方がずっと背が高いので手が届きません。流石、9ちゃん。的確な回避です!

 

「おりゃー!」

 

 すかさず、9ちゃんが後ろの回り込んでG41の頬を軽く抓って引っ張ります。あまり力が入ってないので痛くはないです。でも、一方的にやられっぱなしです。おのれー、9ちゃん。

 

「えーい!」

 

 G41は手から抜け出して振り向き、脇をこちょこちょしました。ちなみに、9ちゃんのおっぱい結構大きいです。羨ましいです。

 

「あっはっはっは! やったなー!」

 

 9ちゃんはくすぐったそうにしながら、G41のミミをはむっとしました。

 

「うわあ!」

 

 G41はビックリして手を放してしまいました。9ちゃんはG41の弱点を巧みに衝いてきます。おのれー。かくなる上は…

 

「…仲いいわね、貴女達」

 

「…本当にただじゃれ合っているだけね」

 

 気が付くと、FALさんと45さんが呆れた様子で見てました。二人とも共感しています。仲直りしてくれるのでしょうか!? G41と9ちゃんは手を止めて、期待を込めて二人を見ます。

 

「9、この茶番は何?」

 

 あう。完全に見抜かれています。流石、45さんです。G41と9ちゃんはしょんぼりです。

 

「え、えっとね、45姉…」

 

 バツが悪そうに9ちゃんが説明します。45さんとFALさんが仲が悪そうなので、仲直りして欲しくてやったと白状しました。

 

「そういうことね…」

 

 FALさんがため息を吐いて、そして軽く笑って言いました。

 

「誤解よ、二人とも。私は45のこと好きよ?」

 

 そう言って、FALさんは45さんに視線を向けます。その視線は暖かくて、柔らかくて、何だか懐かしいものを見るかのように思えました。

 

「…ええ、そうね。分かった」

 

 そんなFALさんの視線を受けて、45さんは降参するように両手を上げて言いました。

 

「FAL。私はね、鬱陶しい貴女が疎ましくて、腹立たしくて…………そして…大好きなのね…」

 

 45さんもまたFALさんを見ます。その視線は、ある種の諦観を受け入れたような視線でした。何だか憑き物が落ちたように穏やかな目でした。

 

 G41は9ちゃんと笑顔を交わしました。作戦は見抜かれてしまいましたが、FALさんと45さんは仲直りしたみたいです。なので、作戦は部分的成功でした!

 

「じゃあ、私達は打ち合わせに戻るから」

 

「うん! 仲良くね!」

 

「…はいはい」

 

 9ちゃんに軽くそう言って45さんはFALさんと一緒に歩いて行きました。G41と9ちゃんは笑顔でそれを見送りました。二人が仲直りできた本当に良かったです。G41と9ちゃんの思いが一つでした。二人は相思相愛です。えっへん!

 

 というわけで、G41と9ちゃんは安心して遊ぶことにしました。G11ちゃんが寝ている横で、ゲームで超盛り上がって楽しかったです! まる。

 



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28・G41のグルメ(その1)

 結局、話をもう少し詰める必要があるとかで、404小隊のみんなは泊まって行くことになりました。お部屋はご主人様の部屋にハンモックを取り付けて何とかしました。

 ちなみに、ご主人様は昨日は車の中でお休みでした。みんなのために部屋を譲ってあげるなんて、ご主人様はとってもいい人です。

 

 G41はキッチンにやってきました。乾燥コーンがあったと思うので、ポップコーンを作ってみんなで食べようと思ったのです。

 

 そこで先客がいることに気づきました。G36ちゃんです。

 G36ちゃんは最近入ってきたばかりの戦術人形で、G41の後輩です。しかも、物凄く背が低くて、M99ちゃんよりも幼く見えます。

 本来のG36ちゃんは大人の女性の義体のはずなのですが、この基地に配属したのは何故か外見が大きく異なるようです。どういうこのなのでしょう。もしかして、ご主人様の趣味なのでしょうか。

 

「G36ちゃん、お料理中?」

 

「あ、お嬢様」

 

 G41の言葉に、G36ちゃんは振り向いて返事をします。ちなみに、G36ちゃんはG41のことをお嬢様と呼んでます。よく分からないですが、それがしっくりくるそうです。

 

 見ると、G36ちゃんはジャガイモの皮を剥いていました。ジャガイモはこの前G41がいっぱい貰ってきたので、たくさんあります。

 

「ジャガイモ料理でも作ろうかと…メイドとして、料理の腕を上げておかねばなりませんし」

 

「そうなの?」

 

「はい。…それに我が国ではジャガイモでフルコースが作れないと嫁に行けない、と言われていますし」

 

 G36ちゃんの言葉にG41ははっとしました。G36ちゃんとG41は共にI.O.P.社の欧州工場産です。同じ国の出身なので、G41もジャガイモでフルコースを作れないとお嫁に行けないかもしれません。

 一応、G41もそれなりに料理はできるようになりましたが、そのほぼ全てを一〇〇式(モモ)ちゃんから習ったので、ジャガイモ料理はほとんど知りません。

 どうしましょう。G41は困りました。

 

「G36ちゃん。G41にもジャガイモ料理教えて?」

 

「え? お嬢様にですか?」

 

 G41の言葉に、G36ちゃんは困ってしまいました。

 

「申し訳ありません、お嬢様。私も試行錯誤の段階で…最近製造されたばかりで知識が蓄積されていないのです…」

 

 G36ちゃんが謝って言うので、G41も困りました。確かに最近造られたばかりであれば仕方ありません。

 でも、ならばなおさらジャガイモ料理について学ばないといけません。G41とG36ちゃんの花嫁修業作戦開始です!

 

 まず、料理について尋ねるなら一〇〇式(モモ)ちゃんです。一〇〇式(モモ)ちゃんはこの国の料理のみならず、いろいろな国の料理に詳しいです。得意な料理がイカ墨スパゲッティであることを考えると当然と言えます。

 でも、一〇〇式(モモ)ちゃんは今朝早くからUMP45さんに取られてしまいました。現在、外の演習場で共同訓練の真っ最中です。一〇〇式(モモ)ちゃんは当隊や市民の人々のみならず、他の部隊の戦術人形からも引っ張りだこなのかもしれません。流石一〇〇式(モモ)ちゃん。グリフィンドール総選挙一位は伊達ではありません。

 ちなみに、45さんは一〇〇式(モモ)ちゃんには一切悪意を持っている様子はなく、純粋に興味がある風でした。他の416さんや9ちゃんがびっくりするほど友好的な態度だったらしいです。

 45さんと一〇〇式(モモ)ちゃんが仲良くすることはとてもいいことです。でも、それを邪魔してはいけないので料理について聞けません。しょんぼりです。

 

 まず、フルコースには料理のレパートリーが必要です。そして、G41はジャガイモ料理となると、粉吹き芋とフライドポテトぐらいしか知りません。一応、肉じゃがという料理についても一〇〇式(モモ)ちゃんから習いましたが、あれはそう簡単に作れる料理ではないです。牛肉は物凄い高級食材だからです。

 

「私…アイントプフとカトッフェル・ズッペぐらいしか知りません…」

 

 G36ちゃんが申し訳なさそうに言います。でも、G41はそれでも凄いと思います。そんな料理のことなんて、G41は名前さえ聞いたことがないのですから。

 

 困ったG41達はFALさんに頼ることにしました。

 FALさんは料理のことではあんまり頼りにならないですが、それでも知識があるので料理の名前と大まかにどういうものかは知ってるかもしれません。それさえ分かれば、自分達で考えて作れるかもしれないからです。

 

 というわけで、G41はG36ちゃんを担いで指揮官室に行きました。幸い、打ち合わせは終わったらしく、落ち着いた様子のご主人様とFALさん。それに、416さんがいました。

 

「ん? どうしたの、G41にG36」

 

 部屋に入ってきたG41達にFALさんが言います。ご主人様と416さんは机の上の書類で相談中です。というわけで、G41は当初の予定通り、FALさんに尋ねます。

 

「FALさん。ジャガイモ料理知らない?」

 

「うえぇ!? ……え、ええと…フライドポテトとか?」

 

 あう。やっぱり、FALさんは料理に関しては頼りにならないです。どうしましょう。G36ちゃんも不安そうです。

 ふと見ると、ご主人様と416さんが相談するのを止めて、なんだか可哀想なものを見る目でFALさんを見てます。

 

「…なによ?」

 

「…いいえ。ただ、天野指揮官の食生活が心配なだけ」

 

「…指揮官の食生活が貧しいのは借金のせいよ?」

 

「…まあ、一〇〇式(モモ)とG41が頑張ってくれるからこいつが料理できなくても問題ないけどな」

 

「失礼ね! できるわよ!」

 

「そういう嘘松はいらんというに」

 

 三人が言い合いをしていますが、G41とG36ちゃんは大弱りです。困りました。

 下手に知らない者同士で料理に挑戦するととんでもないことになります。G41も料理ができないときに、SOPMODちゃんと無理やり料理しようとしてとんでもないことになった経験があります。そうでなくても、貴重な食材を無駄にしてはいけません。

 これは一〇〇式(モモ)ちゃんが帰ってくるまで待たなくてはいけないのでしょうか。

 

「…天野指揮官。 二人とキッチンを借りるわね?」

 

「ああ。存分にやってくれ」

 

 416さんの申し出にご主人様が許可を出しました。そういえば、416さんも同じ国の出身です。ジャガイモのフルコースができるのでしょうか?

 

「二人はどんなジャガイモ料理ができるの?」

 

 指揮官室を後にして、キッチンに向かう道すがら416さんが聞いてきました。

 

「ええと、アイントプフとカトッフェル・ズッペができます」

 

「えっとね、粉吹き芋と肉じゃが」

 

「なるほど。G36はスープ。G41はメインデッシュをお願いね。他は私が作るから見てなさい」

 

 G36ちゃんとG41の言葉を聞いた416さんが言います。G41達はびっくりです。416さんは料理が得意なのでしょうか?

 

「でも、416さん。肉じゃがは作れないです…」

 

 G41はしょんぼりして言います。ニンジンやジャガイモや玉ねぎはありますが、牛肉や糸こんにゃくがないです。両方ともとんでもない高級食材で、G41達には手が出ません。

 

「レシピにこだわる必要はないわ。…ポトフとか知らない?」

 

 ぴこん! G41は416さんの言葉にはっとしました! そういえば、一〇〇式(モモ)ちゃんもやきとりとかオムライスとかをかなりアレンジして作ってました。G41もそれに挑戦する時が来たのかもしれません。それに、ポトフなら知ってます。いけるかもしれません。G41は閃きました!

 

「…相変わらず利口なのね、G41は」

 

 そんなG41を見て、416さんは頭を撫でてくれました。気持ちいいです。G41は嬉しいです。

 昔から416さんは無口で、でも見るべきところは見て、しっかり褒めてくれました。G41は416さんが大好きです。

 

 半時間後、ジャガイモのフルコースが完成しました。試食はご主人様にやってもらうことにしました。

 

「おお! 凄いな!!」

 

 ご主人様が机に並んだ料理を見て感動して言います。本来、フルコースは順次出すのが通例ですが、今回は試しということで一斉に並べてみたのです。

 

 G36ちゃんの作ったカトッフェル・ズッペ。それに、416さんが作ったポテトパンケーキとジャガイモの浅漬けサラダとポテトアイス。それに、G41が作った洋風肉じゃがです。

 ご主人様はそれらを美味しそうに食べていきます。ご主人様が幸せそうで、G41は嬉しいです。G36ちゃんと416さんも嬉しそうです。

 

「全部旨いが、特に肉じゃがが旨いな。G41、よくやった」

 

 ご主人様の褒めの言葉に、G41は嬉しい気持ちでいっぱいになりました! これで、G41はお嫁さんに行けそうです! えっへん!

 

「ええ… G41も前に進んでいるのね…」

 

 416さんがほんの一瞬微笑んで言いました。とっても綺麗な、まるで流星のような笑顔でした。416さんの笑顔、それはいつもそんなだったとG41は思い出しました。凄く素敵だと思いました。

 

「いいえ、416さんのお陰です。ありがとうございました!」

 

 G41は416さんにぺこりと頭を下げてお礼を言います。416さんがくれた助言がなくては洋風肉じゃがは作れなかったからです。

 ポトフと肉じゃがを融合させて作った洋風肉じゃがは牛肉の代わりにベーコンを用いてます。そして、ベースには鶏のコンソメを用い、隠し味に白ワインを加えました。ぶっつけ本番でしたが、G41は精密計算は得意なので調味料のバランスを間違うことはありませんでした。

 

「しかし、416がこんなに料理が上手いとは思わなかったな」

 

 ご主人様がポテトアイスを食べながら、416さんに言います。416さんの作った三品は、凄く美味しかったです。G41もG36ちゃんも感動したぐらいです。

 

「言ったはずです、天野指揮官。私は完璧だと。…戦闘や謀略が上手いだけでは戦術人形とは言えないわ」

 

「はいはい。負けを認めるわよ」

 

 416さんの言葉に、ご主人様のお皿から勝手に料理を横取りしていたFALさんが言いました。FALさんもまた他人の優れたところを素直に認められる戦術人形です。料理ができなくても、FALさんは立派だ、とG41は思います。

 

「ただいま、天野指揮官。…って、美味しそうな匂いがするわね」

 

「ただいま、指揮官。…これは一体…」

 

 訓練から帰ってきた45さんと一〇〇式(モモ)ちゃんが驚いて言いました。

 

「おお、おかえり。丁度いい、一〇〇式(モモ)。416と料理対決やってみてくれ」

 

「え!?」

 

 ご主人様の無茶振りに一〇〇式(モモ)ちゃんが驚きます。でも、G41も一〇〇式(モモ)ちゃんのジャガイモ料理を見てみたいです。それに一〇〇式隊と404小隊の対決という構図も面白いです。

 

「…上等。一〇〇式、貴女を超えてみせる」

 

「…面白そうね。一〇〇式、次は料理で勝負ね」

 

 416さんと45さんが楽しそうに笑って言います。二人とも乗り気です。でも、負けません。一〇〇式隊の結束を見せてあげます!

 

一〇〇式(モモ)ちゃん! 頑張ろう! G41も手伝うから!」

 

「お嬢様、一〇〇式(モモ)さん、頑張って!」

 

「う、うん! 一〇〇式、料理対決、行きます!」

 

 G41とG36ちゃんの言葉を受け、一〇〇式(モモ)ちゃんもやる気を出しました。こうなったら、一〇〇式(モモ)ちゃんは強いです。416さん、45さん。勝負は貰いました!

 

「よし! FAL、全員呼べ。今日はジャガイモ祭りだ! 必要な食材は全部放出しろ!」

 

「了解! ジャガイモファイト! レディー…ゴー!」

 

 ご主人様とFALさんの言葉を受け、G41と一〇〇式(モモ)ちゃん、416さんと45さんが料理にかかりました。FALさんとFive-sevenさんと9ちゃんが勝手に実況を始めたり、M16さんとトンプソンさんが乱入したりして、その日は物凄く盛り上がりました。とっても楽しかったです! いつまでも、こんな風にみんなで楽しい日々が続いてほしい、と思いました! まる。

 

 ちなみに、料理対決は途中で416さんがM16さんに飲まされたお酒でへべれけになったので、G41達の不戦勝になりました。416さん、お酒には気を付けてね。



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29・愛されG41(その2)

 今日は最近珍しい護衛任務でした。どこかの会社の研究員さんが例の敵に関して話したいことがあるらしいので、グリフィン極東支部に護送するという任務です。

 一〇〇式(モモ)ちゃんとトンプソンさん、それにFive‐sevenさんが車に同乗しての護衛。FALさんと64式さん、M4さんとAR-15さん、M16さんとSOPMODちゃんが沿道の監視及び敵の排除、M590隊とG41の率いる臨時編成隊が遊撃隊として配置されました。

 ちょっとヤバい場面もありましたが、一〇〇式(モモ)ちゃんが大活躍して研究者さんは無事グリフィン支部まで送り届けられました。さすが一〇〇式(モモ)ちゃんです!

 

 でも、帰ってきた一〇〇式(モモ)ちゃん達は物凄く暗い表情でした。一体何があったのでしょう。Five‐sevenさんは苦い顔で聞かないでって言いました。一〇〇式(モモ)ちゃんに聞いたら、なんでもないよって抱きしめてくれました。

 

「よしっ! 嫌なことは、サワー会で忘れましょ!」

 

 Five‐sevenさんがそう提案しました。やっぱり何か嫌なことがあったのです。そういう時は騒いで忘れるのがいいって、ご主人様も言ってます。G41は賛成です。FALさんやTMPちゃんも頷きました。

 

「そうね。今日は奮発するわよ!」

 

 そう言って、FALさんが部屋からクーラーボックスを持ってきました。中には缶ジュースが沢山入ってました! さすがFALさん、準備がいいです!

 

「じゃあ、G41がお菓子作ります。TMPちゃん、手伝って?」

 

「は、はい!」

 

 というわけで、G41はTMPちゃんと一緒に台所に行って、416さんに習ったポテトボンボンっていうお菓子を沢山作ってきました。あれはさくっとして、プシュッとするのでとても美味しいです。

 

 大量のポテトボンボンを持って来て、一〇〇式隊でサワー会が始まりました。コーラを飲んだり、ポテトボンボンを食べたりしながら、楽しいことをお話しします。新作のVRシアターとか、ファッションとか、ご主人様への文句とかの話をして盛り上がりました。最初暗かった一〇〇式(モモ)ちゃんの表情も明るくなってきました。よかったです。

 

「よし! じゃあ、私もとっておきを出すわよ!」

 

 そう言って、Five‐sevenさんが冷蔵庫から大きな瓶を取り出してきました。あれは何でしょう?

 

「へえ…なかなかいいセンスじゃない」

 

 FALさんがそれを見て、感心して言いました。何だか嬉しそうです。

 

「ふふん。スパークリング梅酒なんて、なかなか手に入らないんだから、感謝してよね」

 

 Five‐sevenさんが得意げに言います。どうもあれはお酒みたいです。G41はシャンペンみたいなしゅわっとしてて甘いお酒は大好きです。あのお酒はどうなのでしょうか。

 

「はい、G41ちゃん」

 

 Five‐sevenさんは紙コップにお酒を注いでG41に渡してくれます。

 G41はくんくんと匂いを嗅ぎました。甘い匂いがします。

 飲んでみました。美味しいです! しゅわっとしてて、甘くて美味しいです! しかも、シャンペンより自然な甘さです! G41はこのお酒が好きになりました。

 

「どう、一〇〇式(モモ)ちゃん?」

 

「はい…とても美味しいです」

 

 Five‐sevenさんの問いに、一〇〇式(モモ)ちゃんも笑顔で答えます。一〇〇式(モモ)ちゃんもこのお酒が好きになったみたいです。

 

 後は、TMPちゃんです。Five‐sevenさんはTMPちゃんの紙コップにも注いであげました。

 

「TMPちゃんはどうかな?」

 

「は、はい! いただきます!」

 

 そう言って、TMPちゃんはコップに並々注がれたお酒を一気に飲みました。

 

「あーあー、もう。高いお酒なんだから、味わって飲みなさい?」

 

「まあいいわよ、いっぱいあるし」

 

 窘めるFALさんと苦笑するFive‐sevenさんがTMPちゃんの反応を伺います。ところが反応がありません。

 

「あれ?」

 

 Five‐sevenさんが首を傾げながらお酒をもう一杯注ぎます。すると、TMPちゃんはまた凄い勢いで飲んでしまいました!

 

「あ…これ、もしかして…」

 

 FALさんが何かを察したみたいです。Five‐sevenさんも顔色を変えて下がろうとしました。でも、TMPちゃんは物凄い速さでFive‐sevenさんからお酒の瓶をひったくってしまいました。

 

「うぇへへへへへ~」

 

 TMPちゃんがとろけた表情で妙な笑い声を出します。やばいです。へべれけです。何だか416さんみたいです。まさか、TMPちゃんもお酒に関するバグがあるのでしょうか。

 やばいです。G41はこの前の416さんの大惨事を思い出しました。あの時はご主人様が命懸けで止めましたが、もしかして今度もそうなってしまうのでしょうか。

 

「TMPちゃん、暴れちゃだめだよ」

 

 G41はそう言ってTMPちゃんに近づきました。サワー会でご主人様の負担になってはいけません。後輩のTMPちゃんはG41が止めて見せます。

 

「うぇへへへへ~、G41さぁ~ん~」

 

 すると、いきなりTMPちゃんがG41に抱き着いてきました。そして、超すりすりしてきます。

 G41はちょっと安心しました。TMPちゃんが暴れないのでよかったです。でも、G41はちょっと困りました。もう物凄い勢いでホールドされてます。そして、凄い勢いですりすりされてます。別に嫌なわけではないですが、くすぐったいしG41は身動きが取れません。

 

「あうぅ~、TMPちゃん~」

 

「G41さん~」

 

 困るG41をTMPちゃんは今度はぺろぺろし始めます。ほっぺとか首筋とかを遠慮なくぺろぺろしまくりです。超くすぐったいです。

 

「G41さんおいし~」

 

 TMPちゃんは物凄く幸せそうにそう言って、G41をなめまくります。そして、時々お酒の瓶に口をつけてそのまま飲みます。そして、またぺろぺろします。あう。何だか、G41がおつまみになったみたいです。

 

 G41は困ってしまいました。TMPちゃんはG41が好きすぎてぺろぺろしてるのだと思います。G41も一〇〇式(モモ)ちゃんをぺろぺろするのでよく分かります。TMPちゃんに好かれること自体は嬉しいですが、このままではG41は身動きできないですし、物凄い擽ったいです。でも、TMPちゃんを振りほどいたりすると、TMPちゃんは物凄くショックだと思います。そんな可哀想なことはできません。

 

 G41はFALさんとFive‐sevenさんに視線で助けを求めます。

 

「う~ん、何というか和む光景ね」

 

「いいなぁ。G41ちゃん美味しそう」

 

 でも、二人はにこにこしながらまったりとお酒を飲みながらそう言います。G41とTMPちゃんが仲良しなのが微笑ましいのかもしれません。あう。困りました。

 

「TMPちゃん…そろそろ離れよう」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんがそう言ってG41を救助してくれようとしますが、

 

「ふかーーーーーーー!!!!」

 

 TMPちゃんが物凄い勢いで威嚇して寄せ付けません。G41は自分のものと言わんばかりの様子です。

 

「あうぅ。だめぇ、TMPちゃん~…」

 

「うぇへへへ~、らめじゃないれしょお~」

 

 そう言って、TMPちゃんはG41のミミをはむはむし始めました。

 

「うわぁ!」

 

 G41はびっくりして素っ頓狂な声をあげてしまいます。でも、TMPちゃんはやめてくれる気配がありません。あうぅ。変な感じになってしまいます。だめぇ、TMPちゃん…

 

「待てい、TMP!」

 

 娯楽室に唐突に声が響き渡りました。ご主人様が助けに来てくれたのです! さすがご主人様です!

 

「TMP。G41のミミをはむはむするのは俺の特権だ。いくらお前でもまかりならんぞ」

 

 あう。ご主人様の救助の動機が物凄い不純です。G41はそんな特権認めた覚えはないのですが…

 

「シャーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 TMPちゃんがG41を抱えたまま盛大に威嚇します。もう他の人はG41を奪おうとする敵にしか見えてないのかもしれません。今にも飛び掛かって攻撃しそうです。

 

「だめぇ、TMPちゃん!」

 

 G41はそう言ってTMPちゃんを抱き締めました。ご主人様とTMPちゃんが喧嘩するなんて嫌です。TMPちゃん、元に戻って。そう心の中でお願いしました。

 

「…? あれ?」

 

 その瞬間、TMPちゃんが気の抜けた声を上げます。同時に身体から力が抜けました。もしかして、元に戻ってくれたのでしょうか!?

 

「TMPちゃん、元に戻ったの?」

 

「え!? え!? G41さん!? うわわわわ!! ゆ、夢なら醒めないでー!!」

 

 TMPちゃんはG41に抱き締められたまま大慌てです。顔は物凄く赤いですが、お酒の影響が残っている様子はありません。いつものTMPちゃんでした。よかったです。

 

「TMP。とりあえず、一〇〇式(モモ)にごめんなさい」

 

 FALさんが言いました。どんな理由があっても、隊長である一〇〇式(モモ)ちゃんに威嚇なんかしてはいけません。一〇〇式(モモ)ちゃんに謝るのは妥当なことだと思います。

 

「ご、ごめんなさい、一〇〇式さん…」

 

「大丈夫。気にしてないよ」

 

 頭を下げるTMPちゃんを一〇〇式(モモ)ちゃんは快く許してあげました。これで一件落着です。

 と思ったら、TMPちゃんは続けてG41の方を見ます。何だか今にも泣きだしそうです。どうしたのでしょう。G41は少し驚きました。

 

「あ、あの…ごめんなさい…G41さん…変なことして…」

 

 TMPちゃんはそう言って、G41に謝ります。G41は理解しました。TMPちゃんはG41に嫌われてしまったのかと心配しているのです。でも、それは余計な心配です。

 

「大丈夫だよ。G41はTMPちゃんのこと大好きだからね」

 

 そう言って、G41はTMPちゃんを抱き締めてあげます。G41はTMPちゃんにとても好かれているのを感じてとても嬉しいです。

 

「G41さん!」

 

 TMPちゃんもまた喜色に満ちた声で言い、G41に抱き着いてきます。TMPちゃんもG41に好かれていることが分かったので嬉しいのだと思います。二人は相思相愛です。えっへん!

 

「ふふふ。いいわね、G41ちゃんとTMPちゃん」

 

「ああ。二人が仲良しなことを記念して、飲みなおすか!」

 

「賛成!」

 

「じゃあ、お摘み追加で作ってきますね」

 

 みんなもG41とTMPちゃんの仲を喜んでくれました。嬉しいです。

 というわけで、サワー会はお酒で一悶着ありましたが、無事解決したことでG41とTMPちゃん、そして一〇〇式隊の絆はますます強くなりました! そして、その後もサワー会をとっても楽しむことができたので、よかったです。

 でも、酔っぱらったご主人様が超はむはむしてくるのには閉口しました。ご主人様、G41は特権とか認めてませんからね。勘違いしないでね? まる。



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30・ご奉仕G41(その3)

 ご主人様の身体は頑丈ですが、それでも人間なので風邪をひくことがあります。特に最近お仕事が忙しいので生活が不規則になっています。こういう時は危ないと思います。

 仕事をしているご主人様が何度かごほごほと咳き込みます。顔色も良くない気がします。もしかして、風邪をひいてしまったのでしょうか?

 

「ご主人様、大丈夫?」

 

「ああ。あまりよろしくはないかもな」

 

 ご主人様は喉を押さえて言います。喉が痛いのかもしれません。声の調子も変です。

 

「ご主人様、失礼しますね」

 

 G41はそう言って、ご主人様のお膝にご主人様の方を向いて乗りました。そして、おでこをこっつんこします。これでご主人様の熱を測るのです。ご主人様の顔が近いので嬉しいです。ご主人様の顔の赤みが増した気がしますがどうしたんでしょう?

 しばらくそうして、計測が終わりました。38度ちょっとぐらいだと思います。結構高いです。

 

「風邪だと思います、ご主人様」

 

 G41はおでこを離してそう言いました。ご主人様はほっとしたような、少し残念そうな顔をしています。本当にどうしたんでしょう?

 

「まあ、大したことはないさ。すぐ治る」

 

 そう言って、ご主人様は仕事にとりかかろうとします。でも、その直後げほげほと咳をしました。

 これはいけません。仕事熱心なご主人様は大好きですが、そんなご主人様が風邪を引いているとG41は悲しいです。早く元気になって欲しいです。

 

『FALさん、ご主人様が風邪を引いてしまいました』

 

 というわけで、通信モジュールを開いて、FALさんに相談しました。ご主人様にゆっくり休んでもらうには、FALさんから一言言って貰う方がいいです。

 

『そうなの? …指揮官、仕事でどうしても代わりが利かないことは?』

 

『ないだろう。仕込みは全て終わった。後は細かいコントロールぐらいだな』

 

『なら、さっさと寝て、本番までにマシな体調にしなさいよ。次で今回の事件は終わりなんでしょ?』

 

『…そうだな。なら、FAL。たった今から臨時指揮官に任命する。しばらく任せたぞ』

 

『了解。…G41、指揮官の看病よろしくね?』

 

『はい、FALさん!』

 

 FALさんはご主人様からのやり取りの後、G41に看病を任せてくれました。お任せください、FALさん! ご主人様のお世話は、G41が頑張ってします!

 

 というわけで、ご主人様の部屋にやってきました。ご主人様のためにベッドを整えて、寝間着に着替えてもらいます。そして、ゆっくり寝てもらいます。

 

「ご主人様、アロマとか気になりませんか?」

 

「ああ。大丈夫だ」

 

 そして、ご主人様に尋ねた上で、加湿器を点けます。水にはラベンダー油を少し混ぜています。風邪の予防及び治療には空気の加湿が大事です。そして、ラベンダーの油には殺菌効果と精神をリラックスさせる効果があるといいます。

 しばらくすると、加湿器からほのかに甘い香りのする蒸気が出てきました。これでご主人様の喉の痛みが少しでも和らぐといい、と思います。

 

「G41は細やかな気遣いができるいい娘だな…」

 

 そう言って、ご主人様は布団の中から手を伸ばしてG41の頭を撫でてくれます。嬉しいです。G41はご主人様の役に立てると嬉しいので、普段からこういうことを一生懸命勉強しているのです。えっへん!

 

 後はお水を用意します。風邪の時は水分を摂ることが重要だからです。台所に行った、G41はレモンを薄く輪切りにします。それを水筒に入れて、そこに水を入れるのです。仕上げに塩を少し入れて、G41特製レモン水の完成です。

 

 それをコップと共にご主人様のところに持っていきます。そして、コップに注いで渡してあげました。

 

「ああ、美味い。ありがとうな、G41」

 

 喉が渇いていたのでしょう。ご主人様は美味しそうに飲んでくれました。嬉しいです。少し塩が入っているので、ミネラルバランスが崩れることもないです。G41は気が利きます!

 

「それで、G41。アレを頼む」

 

「はい、ご主人様」

 

 ご主人様の命を受け、G41はお風呂場に向かいます。そして、42度に調整してお湯を入れます。

 ご主人様は風邪を引くと、熱めのお風呂に入って治します。お風呂で身体の芯を温めて汗をかくことで、病気を治すのです。

 そして、G41はあるものを用意します。ネットに入った、乾燥したレモンやみかんの皮です。G41はこういう時のために、普段からレモンやミカンの皮を取っておいて乾燥させておくのです。これで身体の芯から温まるお湯になります。

 お湯を張って、皮を漬けておきます。しばらくすると、柑橘系の匂いのする蒸気がお風呂場を満たしました。お湯の温度も40度まで下がってます。頃合いや良しです。

 

「ご主人様。お風呂の準備ができました」

 

「ああ。ありがとう、G41」

 

 ご主人様はそう言って、G41の用意したどてらを着て、頭を撫でてくれました。嬉しいです。嬉しいので、ご主人様に寄り添ってお風呂場まで行きました。G41は温かいのでご主人様の体温を保つ役に立てると思います。

 

 ご主人様がゆっくりお風呂に入っている間に、G41はご飯を用意します。風邪が治るようにお粥を食べてもらうのです。

 

 まず、柿葉茶のパック2つと水を大きなお鍋に入れます。そして、濃いめのお茶を煮出します。

 柿葉茶はビタミンが多く、熱処理しても壊れません。しかも、癖がなくて香ばしいので茶粥にうってつけです。

 お茶ができたら、パックを取り出してお米を入れます。そして、鍋底に焦げ付かないようにじっくりかき混ぜて、炊き上がるのを待ちます。灰汁が出たら、とることも忘れません。

 そして、ある程度煮えてきたら、火を中火と弱火の間ぐらいにして、卵を3つボウルに入れて菜箸でよく溶きます。そして、それを鍋に加えて、蓋をして、5分ほど蒸らしました。最後に出汁醤油で味を整えて、ネギを散らして完成です! 付け合わせには、ザウアークラウトを用意しました。

 

 お粥と漬物をお盆にのせて持っていくと、ご主人様はお風呂を出てベッドにいました。お風呂で温まったからか、顔色が少し良くなった気がします。嬉しいです。G41は元気なご主人様が大好きです。もっと元気になるようにG41は頑張ります。

 

「ご主人様、お粥をお持ちしました」

 

「ああ。すまん、G41」

 

 ご主人様の傍に小さなテーブルを置いて、その上にお粥と漬物を置きます。お腹が空いていたご主人様は嬉しそうにそれを匙で掬って食べました。

 

「…めっちゃ旨い」

 

 ご主人様がしみじみと言います。よく蒸らしたふわふわ卵と、出汁醤油と柿葉茶の風味が何とも言えないのだと思います。G41は嬉しいです。ご主人様のために一生懸命作った甲斐がありました。

 

「G41は本当に俺の天使だなぁ…」

 

 ご主人様がザウアークラウトをパリパリしながらしみじみと言います。超褒めて貰えたので、G41はとっても嬉しいです。天使とはどういうことなのかはわかりませんが、ご主人様にとってG41が役に立てればとても嬉しいです。

 

 ご主人様はお粥を3杯もおかわりして食べてくれました。これだけ食欲があればすぐに良くなると思います。口を漱いだご主人様はお休みモードです。

 というわけで、G41はもっとご主人様が安らいで眠れるようにしたいと思います。

 

「ご主人様、子守唄を歌いましょうか?」

 

「なん…だと…!?」

 

 G41の申し出にご主人様が驚愕して言います。G41は首を傾げました。そこまで驚くほどのことではないと思うのですが。

 

「ああ。ぜひとも頼む、G41」

 

「はい、ご主人様」

 

 ご主人様の許可が下りたので、G41は歌います。ご主人様、早く元気になってください。そんな思いを込めて一生懸命歌います。

 

「ゆ~りかご~の~う~たを~♪ カ~ナ~リア~がう~たうよ~♪ ね~んね~こ~♪ ね~んね~こ~♪ ね~んね~こ~よ~♪」

 

 G41は静かな声で、でも一生懸命歌います。こんな時のために、G41はお歌を一生懸命覚えて練習しました。ご主人様はG41達のために、世界を少しでも良くするために一生懸命働いてくれています。そんなご主人様のためなら、できる限りのことを何でもしたいのです。

 

「嗚呼… 天使の歌が聞こえる…」

 

 ご主人様がとっても嬉しそうにそう言いました。お歌の練習をして本当に良かったです。ご主人様に喜んで貰えて本当に嬉しいです。ご主人様、ゆっくりお休みください。そんな思いを込めて、一生懸命歌い続けます。

 

「ゆ~りかご~の~ゆ~めに~♪ きい~ろ~いつ~きがか~かるよ~♪ ね~んね~こ~♪ ね~んね~こ~♪ ね~んね~こ~よ~♪」

 

 しばらくすると、ご主人様の寝息が聞こえてきました。安らかに眠っています。ご主人様の寝顔は何だか可愛いです。ご主人様がG41の歌声で安らいでくれて嬉しいです。えへへ。

 ご主人様が寝ても、しばらくの間G41は子守唄を歌いながら見守ります。ご主人様、ゆっくりお休みください。

 

 翌朝、目を覚ましたご主人様の熱はかなり下がってました。ご主人様はG41は本当に俺の大天使だ、と喜んでくれて、抱きしめて超なでなでしてくれました。G41はとっても嬉しいです。ご主人様のために一生懸命頑張った甲斐がありました!

 

 でも、風邪はまだ完全には治ってません。G41は今日も看病します。まずはレモン水の補充からです。

 ご主人様、早く元気になって、いっぱい遊んでください! まる。

 

 

 



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31・G41のグルメ(その2)

 ささみジャーキーです! ついにささみジャーキーがやってきました!! 例の事件のせいでやってくるのが遅れましたが、ついにやってきたのです!

 G41は段ボールを切って、箱いっぱいのささみジャーキーの袋の一つを取り出して目を輝かせました。それはまごうことなきささみジャーキーです! G41の憧れです!

 

「わーいわーい!」

 

 G41は嬉しすぎてぴょんぴょん跳ねて、小躍りしてしまいました。そして、ささみジャーキーの袋を頭上高くに持ち上げて、くるくるとその場で回ります。美味しいささみジャーキーが箱いっぱいあるのです。嬉しくないはずがないです!

 

「わーいわーい!」

 

 G41はささみジャーキーを胸に抱きしめて、畳の上でゴロゴロしました。嬉しいのでいっぱいゴロゴロします。それぐらい、G41はささみジャーキーが大好きです!

 

 ひとしきり喜んだところで、G41は袋の口を開けて匂いを嗅ぎます。うっとりです。美味しそうな肉の匂いがいっぱいします。嬉しいです。G41は幸せです。というわけで、早速一本取りだして食べることにしました。

 

「あの…G41さん、訓練の成果を報告に…」

 

 そのタイミングでTMPちゃんが部屋に入ってきました。別にG41に今日の訓練成果を報告する必要はない、と思うのですが。でも、G41はすぐに気づきました。きっと、いいスコアをとったので、褒めてもらいたいのだと思います。

 

「すごーい!」

 

 G41はTMPちゃんのスコアシートを見て言いました。今まで最高値です。素直に凄いと思いました。G41の言葉に、TMPちゃんも嬉しそうです。

 

「というわけで、TMPちゃん、はい!」

 

 そんなわけで、ご褒美にTMPちゃんにささみジャーキーを一つ渡しました。

 

「え!? い、いいんですか!?」

 

「うん!」

 

 目を輝かせて言うTMPちゃんに、G41は快く頷きます。どうやらTMPちゃんもささみジャーキーが好きなようです。喜んで貰えてよかったです。

 

「というわけで、TMPちゃんも喜ぼう!」

 

「は、はい!」

 

 というわけで、G41とTMPちゃんは喜びを身体いっぱいで表現し合います。

 

「わーいわーい!」

 

 G41は再びぴょんぴょん跳ねながら万歳をします! ささみジャーキー万歳です!

 

「やったぁ…!」

 

 TMPちゃんは床にコロンとおしりから座って、ささみジャーキーを愛しそうに撫でます。あれはTMPちゃんが戦闘に勝利したときによくするポーズです。

 

「あれ? G41ちゃんとTMPちゃん?」

 

「…何してるの、二人共?」

 

 入口の方から声が聞こえました。一〇〇式(モモ)ちゃんとFALさんです。

 なんと、G41達は喜びの舞を見られてしまいました。えへへ。

 

「あわわ…! す、すみません!」

 

「別に謝る必要はないわよ」

 

 謝るTMPちゃんに、FALさんは苦笑して言います。そうです。そこにささみジャーキーがあるのです。とっても喜んでも何も悪いことはありません!

 というわけで、G41は二人のところに近づいていきました。一〇〇式(モモ)ちゃんとFALさんとも喜びを分かち合いたいです。

 

「FALさん! ささみジャーキーです!」

 

「うん、そうね」

 

「嬉しいです!」

 

「うん、よかったわね」

 

「というわけで、はい!」

 

 というわけで、G41は二人にもささみジャーキーを一本ずつ渡しました。

 

「あ、ありがとう、G41ちゃん」

 

「うん。これなら食べられそうね。ありがとう、G41」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんからお礼を貰って、FALさんからはなでなでして貰えました。嬉しいです。やっぱりみんなささみジャーキーが大好きです。 

 

 その後VRシアターを見るという一〇〇式(モモ)ちゃんとFALさんと別れて、G41とTMPちゃんはささみジャーキーとコーラとクッションを持って秘密基地に行きます。ささみジャーキーを食べながらまるまるするのです。

 狭い秘密基地に二人はクッションを敷いてうつ伏せに寝ます。そして、ジャーキーをもぐもぐします。少し硬いですが、噛んでいると肉の味が口の中に広がります。塩をあまり利かせていないので純粋な肉の味だけを楽しめます。TMPちゃんも美味しそうです。G41達は幸せです。

 

 G41とTMPちゃんはもぐもぐしたり、ごくごくしたり、まるまるしながらゆったりと過ごします。G41達は幸せです。

 ふと見ると、袋のささみジャーキーが一つしかなくなりました。まだ箱いっぱいあるので問題はないですが、今日はこれぐらいにしようと思います。ささみジャーキーの幸せを短い時間で浪費するのは勿体ないです。

 

 ふと見ると、TMPちゃんがささみジャーキーを見ていました。でも、G41の視線を感じると、すぐに目を逸らしてしまいました。恐らく、TMPちゃんはジャーキーを食べたいのだと思います。でも、これがG41の分だから、と遠慮しているのです。

 

「TMPちゃん、最後の食べていいよ?」

 

「え!? で、でも、これ、G41さんのですし」

 

「ううん、いいの。TMPちゃん、今日頑張ったから、ご褒美」

 

 というわけで、G41はTMPちゃんにささみジャーキーを差し出しました。G41もささみジャーキーを食べたいですが、頑張ったTMPちゃんにご褒美を上げる方が先決です。G41はとってもいい先輩です! えっへん!

 

「あ、ありがとうございます、G41さん!」

 

 TMPちゃんがとっても喜んで受け取ります。そして、早速ささみジャーキーをもぐもぐしはじめました。

 G41はそれをにこにこと見守ります。TMPちゃんが幸せそうで、G41は嬉しいです。

 

 もぐもぐ…

 にこにこ…

 もぐもぐもぐ…

 にこにこにこ…

 もぐもぐもぐもぐ…

 にこにこにこにこ………じゅる。

 

 はっ! 思わず涎が垂れてしまいました。TMPちゃんがあまりにも美味しそうに食べるからです。

 どうしましょう。G41は食べたくなりました。もう一袋開けてもいいのですが、それだとエンドレスジャーキーになってしまうかもしれません。でも、ほんのちょっとだけでもいいから食べたいです。

 

 というわけで、G41はTMPちゃんの咥えているジャーキーの反対側をはむっとしました。

 

「うわわわわわわ! G41さん!」

 

 TMPちゃんは大慌てです。ごめんね、TMPちゃん。

 でも、TMPちゃんならきっとG41の気持ちを分かってくれるはずです。G41は気にせずもぐもぐします。TMPちゃんも顔を赤くしながらもぐもぐを再開しました。

 

 しばらくして、G41は気が付きました。TMPちゃんの顔が近いです。ジャーキーがもう少ししかないのです。

 G41とTMPちゃんの唇が近いです。G41ははっとしました。このままではG41はTMPちゃんとちゅーしてしまうかもしれません!

 でも、あんまり気にしないでG41はもぐもぐします。TMPちゃんも顔がなぜか赤いですがもぐもぐをやめません。ちゅーは好きな人同士がするものらしいです。そして、G41とTMPちゃんは相思相愛です。何の問題もありません。

 

 というわけで、もぐもぐもぐもぐ…

 TMPちゃんの顔がどんどん近づいてきます。唇の距離もどんどん近くなっていきます。それが3cm、2cm、そして、1cmに近づいたところでG41は口を放しました。視線を感じたからです。

 視線の先を見ると、入り口からご主人様が覗いていました。なんと、G41とTMPちゃんがちゅーしそうになるところをご主人様に見られてしまいました。えへへ。

 

「うわわわわわ! し、指揮官!!」

 

 TMPちゃんは大慌てです。もう顔がトマトみたいに赤いです。TMPちゃんはやっぱり照れ屋さんです。

 

「すまん。邪魔するつもりはなかったんだが…」

 

 なんだかご主人様が申し訳なさそうでかつ残念そうに言います。どうしたんでしょう。

 

「ご主人様、どうしたの?」

 

「いや、次の作戦の前にG41に伝えたいことがあってな。せっかくだから、TMPも聞いてくれ」

 

「は、はい!」

 

 ご主人様の言葉に、G41とTMPちゃんは秘密基地を出て、ご主人様に付き従って指揮官室に行きました。

 

「…うーん。勿体なかったなぁ…」

 

 ご主人様が道中しきりにそう呟いていました。どういうことなんでしょうか。G41には分かりません。

 もしかすると、ご主人様もささみジャーキーが食べたかったのでしょうか。そうかもしれません。ご主人様は酒飲みなので、ジャーキーとかが大好きだって言ってたことがあります。

 

「ご主人様、はい!」

 

 というわけで、G41は持っていた袋をご主人様に差し出しました。元々これはご主人様に上げるために陳情したのです。それに、ご主人様にもささみジャーキーの喜びを味わってほしいのです。

 

「ありがとうな、G41」

 

 ご主人様は嬉しそうに笑って、G41の頭をなでなでしてくれました。G41は嬉しいです。

 

 というわけで、今日はささみジャーキーでいっぱい楽しめました。

 せっかくなので、ジャーキーを使った料理とかを一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒に考えて、みんなにももっとささみジャーキーの素晴らしさを分かってほしい、と思いました。ささみジャーキー万歳です! まる。

 

 後、ご主人様からはG41に臨時的に新しい部隊を率いて欲しいってお願いされました。新しい娘も来るらしいです。副官にはウェルロッドさんがついてくれるみたいなので、心配はないです。ご主人様の期待に応えられるように頑張ります!



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32・G41と新しいお友達(その3)

 ご主人様に隊長に任命された次の日、G41は基地のゲートのところで待ってました。今日、仮設G41隊の最後の隊員が赴任してくるらしいからです。

 なお、一〇〇式隊には64式さんが入るみたいです。ご主人様が言うには、今回の事件の敵は64式さんの仇であるので、その手で決着をつけさせたい、とのことです。

 そういうことであれば仕方ないです。G41は一〇〇式隊を離れるのは嫌ですが、事情が事情なので我慢します。それに離れるのも一時的な処置です。なので、G41は頑張って、隊長をできるように頑張ります。

 

 やがて、ゲートの向こうから影が見えました。迎えに行ったFALさんの乗るバイクです。大きくて速くてカッコいいです。G41も乗ってみたいですが、足が届かないので乗れません。しょんぼりです。

 

「あら、G41。待ってたのね」

 

 バイクから降りて、ヘルメットを脱いだFALさんがそう言って頭を撫でてくれます。気持ちいいです。

 

「その娘が私の同僚? かわいいわね」

 

 タンデムシートから降りた娘がヘルメットを脱いで、帽子を被り直してそう言いました。金色の髪の毛をおさげにしている娘です。確か、名前はSR-3MPちゃんです。

 

「そうよ。うちのエース、G41よ。仲良くね?」

 

「へぇ…予想とは違うけど…まぁいいか」

 

 SR-3MPちゃんはFALさんとG41を見比べて言います。FALさんは名高い戦術人形なのでこの基地のエースと思ったのかもしれません。でも、最近のスコアーはG41が僅かに上なので、FALさんはG41をエースとして紹介したのです。もちろん、FALさんの凄さは単純なスコアーで測れるものではないですが。

 

「アタシはSR-3MP。ヴィーフリって呼んで?」

 

「G41です。よろしくね?」

 

 そう言って、G41とヴィーフリちゃんは握手を交わしました。初印象は好感触です。仲良くできそうな気がします。よかったです。

 

「じゃあ、ウェルロッドやSVDを呼んでくるから、そこで待ってて?」

 

「はい、FALさん!」

 

 というわけで、G41とヴィーフリちゃんはFALさんを待つことにします。とはいえ、ただ待っているだけでは面白くないですし、時間が無駄になります。この時間を利用して、G41はヴィーフリちゃんと仲良しになりたいと思います。

 

「というわけで、あそぼ、ヴィーフリちゃん!」

 

「いいけど…なにするの?」

 

「はい、これ」

 

 というわけで、G41は手に持っていたフリスビーを渡します。フリスビー遊びで親睦を深めるのです。

 

「そういうことね。いいわよ!」

 

 そう言って、ヴィーフリちゃんはフリスビーを構えました。G41もいつでも走り出せる態勢になります。

 

「それ~!」

 

 そう言って、ヴィーフリちゃんがフリスビーを投げました。G41はそれを追いかけていきます。特に工夫のない単純な投げ方です。G41は簡単にそれをキャッチしました。

 

「ヴィーフリちゃん、どうだー!」

 

「へぇ、やるじゃない!」

 

 G41の言葉に、ヴィーフリちゃんは手を叩いて喜んでくれます。ヴィーフリちゃんはノリがいいです。これはとっても仲良くなれそうです。

 

 G41はヴィーフリちゃんのところに戻ってフリスビーを渡しました。もう一度投げて欲しいです。

 

「よし! じゃあ、次行くよ~!」

 

 そう言ってヴィーフリちゃんは再度フリスビーを構えます。G41も走り出せるように準備しました。

 

「おりゃー!」

 

 そう言って、ヴィーフリちゃんが力いっぱい投げました。G41もそれを追っていきます。

 G41の片目が赤くなります。狙眼を起動させたのです。あれは右に曲がります。でも、その後少し左に曲がって急速に落下します。ヴィーフリちゃんは頑張ってG41を惑わすように投げたのですが、G41には通じません。

 

 フリスビーは見事にG41の予想通りの軌道を描きました。もちろん、G41は易々とそれをキャッチしました。

 

「ヴィーフリちゃん、どうだー!」

 

「すごいすごーい!」

 

 G41の言葉に、ヴィーフリちゃんは手を叩いて喜んでくれました。もう二人は相思相愛です。えっへん!

 

「もうすっかり仲良しのようだな?」

 

 すると、やって来たドラグちゃんことSVDちゃんがヴィーフリちゃんにそう言いました。

 

「久し振りね、SVD。あの娘とは上手くやって行けそうよ」

 

「それはよかった」

 

「はい。今後ともお嬢様と仲良くしてください」

 

 ヴィーフリちゃんの言葉に、ウェルロッドさんとG36ちゃんがそう答えました。これでG41隊が揃いました。G41はみんなのところにててててて、と走っていきます。

 

「で、SVD? この隊の長は貴女? それとも、そっちのウェルロッド?」

 

 ヴィーフリちゃんがドラグちゃんとウェルロッドさんとを見比べて言いました。

 

「いいや? うちの隊長はそちらの可愛い娘だ」

 

 ドラグちゃんが笑ってG41を指して言いました。

 

「え? ええええええ!?」

 

 ヴィーフリちゃんが素っ頓狂な声を上げて驚きます。それはそうかもしれません。正直、戦術人形としての実績なら、ウェルロッドさんやドラグちゃんの方が隊長に相応しいからです。G41が隊長というのは信じられないかもしれません。

 

「驚くことはないですよ。彼女もまた指揮官と数多くの戦場を潜り抜けた、歴戦の戦術人形です」

 

「はい。お嬢様なら、きっと立派に隊長業務をこなせると、信じています」

 

 驚くヴィーフリちゃんにウェルロッドさんとG36ちゃんが言います。二人に信頼されているのが嬉しいです。特にウェルロッドさんは英国チームの隊長を務めていたこともあり、本来ならこの隊の隊長でもおかしくないです。そんなウェルロッドさんにそう言って貰えて嬉しいです。

 

「見た目や性格の無邪気さで侮るなよ? うちの隊長は思いの外有能だぞ?」

 

 お陰で手間がかからない。とドラグちゃんは言いました。それはそうです。

 G41は一〇〇式隊の結成当初からのメンバーです。そして、一〇〇式(モモ)ちゃんの大親友です。一〇〇式(モモ)ちゃんが慣れない隊長業務で苦労しているところを間近で見てきました。そんな一〇〇式(モモ)ちゃんからG41は沢山の事を学びました。そのことが今も活きているのです。

 

「侮ったりしないよ…ちょっと意外だっただけ」

 

 そう言って、ヴィーフリちゃんはG41に手を差し出しました。G41はその手を握って、改めて握手を交わしました。

 

「改めてよろしく、隊長さん。ちゃんと面倒を見てね、いつか報われるから!」

 

「うん、一緒に頑張ろうね、ヴィーフリちゃん!」

 

 そう言って、ヴィーフリちゃんとG41は互いの意思を確認しあいました! 二人は相思相愛です! えっへん!

 

 こうして、仮設G41隊が結成されました。その日はみんなでサワー会をやって楽しく過ごしました。短い間ですが、一〇〇式隊に負けないぐらい良い隊にしていこうとG41は思います。みんな、頑張ろうね! まる。



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33・いたずらG41(その3)

 ある日のことです。G41はヴィーフリちゃんと台所にいました。お茶の淹れ方を教えているのです。

 ご主人様はヴィーフリちゃんが気に入ったようで、早速明日の副官に指名しました。なので、G41が副官業務について教えているのです。G41はいい隊長さんです。えっへん!

 

「こんな感じかな?」

 

 ヴィーフリちゃんがカップにお茶を注いで言います。とってもいい色です。G41は早速いただいてみます。ふーふーしながら飲んでみると、程よい苦みと甘さが感じられました。とっても上手だと思います。

 

「うん! ヴィーフリちゃん、すごく上手!」

 

 G41は感心して言いました。少し教えただけでこれだけできるようになったのだから、凄いと思います。ヴィーフリちゃんは凄く物覚えがいいです。

 

「ありがと。でも、G41の教え方が上手だったからだよ」

 

 そう言って、ヴィーフリちゃんが頭を撫でてくれます。気持ちいいです。G41とヴィーフリちゃんは仲良しです。

 

「すみませーん、お茶を一杯貰えますか?」

 

「それは隊長に頼むことじゃないだろう、ウェル」

 

「あの、私が淹れますから…」

 

 入口からみんなの声が聞こえました。どうやら訓練が終わったみたいです。

 幸い、お茶はまだいっぱいあります。みんなに席に座って貰って、G41がお茶を淹れて出しました。

 

「ああ…G41さんのお茶は美味しいですね…」

 

 ウェルロッドさんがG41のお茶を褒めてくれました。それはそうです。G41はご主人様に美味しいお茶を飲んでもらうために、いっぱい練習したのです。

 

「お嬢様、申し訳ありません。本来なら私が…」

 

「ううん、いいの」

 

 謝るG36ちゃんにG41は首を振って言いました。みんな訓練の後なので、お茶を淹れて労うのも隊長の務めだと思うからです。

 

「ふふふ。うちの隊長殿はとてもいい娘で助かるよ」

 

 ドラグちゃんがそう言って、お茶にイチゴジャムを入れて混ぜ混ぜします。あれはドラグちゃんが好きなロシアンティーの飲み方です。ちなみに、ドラグちゃんは甘党なので結構いっぱい入れます。

 

「うん。仕事も丁寧に教えてくれるし。この隊に入って良かったよ」

 

 ヴィーフリちゃんもG41を褒めてくれます。嬉しいです。

 というわけで、仮設G41隊のお茶会が始まりました。みんな和気あいあいとお茶や会話を楽しみます。とってもいい雰囲気です。G41隊はみんな仲良しです。

 

「全く、G41はこのままいい娘でいて欲しいな」

 

「ええ。そういうところは指揮官に似ないで欲しいですね」

 

 ドラグちゃんとウェルロッドさんがG41を見て言います。G41は首を傾げました。G41をいい娘と褒めてくれているということは、ご主人様は悪い人と言ってるようなものだと思うのですが…

 

「ウェルロッドさん。ご主人様はそんなに悪い人なの?」

 

「…えーと」

 

 G41の言葉にウェルロッドさんとドラグちゃんはバツが悪そうに顔を合わせます。そんな二人をG41とG36ちゃん、それにヴィーフリちゃんが興味津々で見ます。

 

「ああ…うちの指揮官は相当な悪党だな…」

 

「…ええ。鉄血の連中が可愛く見えるレベルですよね…」

 

 ちょっと目を逸らしながら、ドラグちゃんとウェルロッドさんが言います。

 そういえば、ご主人様とFALさんは、任務のためにちょっと悪いことをすることもあるって言ってました。今回の事件もそうやって解決に導いているのかもしれません。

 

 でも、G41はたとえご主人様がとっても悪いことをしてても嫌いになることはありません。なぜなら、ご主人様はG41達のために悪いことをしているのですから。ウェルロッドさんやドラグちゃんもそれが分かっているので、ご主人様を悪いと思いながらも好きなのだと思います。

 

 ふと、G41は思いました。ご主人様を含めたみんなはG41をいい娘と褒めてくれます。でも、ご主人様のために働くのなら、少しは悪いこともできたほうがいいのかもしれません。そうしたら、FALさんみたいに特別任務を受けることもできるかもしれません。FALさんはG41の憧れです。FALさんみたいに活躍したいです。

 

 というわけで、お茶会が終わった後、G41はトンプソンさんのところに行きました。

 トンプソンさんは昔結構やんちゃをしたもんだ、って言ってました。悪いこともいっぱいしたらしいので、トンプソンさんならG41にもできる悪いことを教えてくれるかもしれません。

 

「あん? 手軽にできる悪いこと? …そうだな。スリとかカツアゲとかか?」

 

 ま、お前にできるとは思えないけど。トンプソンさんは笑ってそう言いました。

 

 むー。そんなことはありません。G41は悪戯の達人です。悪戯でご主人様に勝ったこともあります。なので、G41はスリやカツアゲもできます。今日のG41は悪い子です。

 

 というわけで、G41はご主人様のところに行きました。ご主人様にスリとカツアゲをするのです。

 

「G41、入ります!」

 

 指揮官室に入るとご主人様は一人でいました。副官の一〇〇式(モモ)ちゃんは仕事がないので訓練に行っているみたいです。

 

「やあ、G41。どうしたんだ?」

 

 ご主人様がG41に笑顔でそう言います。ご主人様がいるので、G41は嬉しい気持ちでいっぱいになりました。でも、今日のG41は悪い子です。早速ご主人様にスリをします。

 

「ご主人様、こっち向いててね?」

 

「うん? ああ…」

 

 ご主人様に正面を向いていてもらって、行動開始です。G41はご主人様の右側に回り込んで、近づいていきます。

 そして、ご主人様の左のほっぺに、自身のほっぺを近づけて、すりってしました!

 

「おおう!」

 

 やりました! ご主人様が驚いてくれました。スリ成功です!

 

 味をしめたG41は反対側に回り込みます。そして、ご主人様に近づいて、右のほっぺにもすりってしました!

 

「おおう!」

 

 やりました! ご主人様が驚いてくれました。またもやスリ成功です!

 

 というわけで、G41は見事スリを達成しました。G41はとっても悪い子です。えっへん!

 でも、このままではご主人様に怒られるかもしれません。なので、あの手を使ってG41はご主人様に許してもらうことにします。G41は抜け目がありません。

 

 G41はご主人様の前に座ります。そして、お膝に顔を乗せて上目遣いで言いました。

 

「ご主人様、許してね?」

 

「…G41は本当に可愛いな」

 

 ご主人様は笑ってG41の頭をなでなでしてくれました。ということは、許して貰えたということです。

 やりました! スリは大成功でした!

 

 というわけで、次はカツアゲをしようと思います。G41は立ち上がって言いました。

 

「ご主人様、ちょっと待っててね?」

 

「ああ」

 

 ご主人様にそう言ってG41は部屋を出ました。向かう先は台所です。

 

 まず、スパムの缶詰を開けて、中身を取り出します。それを横半分に切ってマヨネーズを塗って、スライスチーズを挟みます。

 次に小麦粉と溶き卵とパン粉で衣をつけます。そして、それをフライヤーでじっくりと揚げます。

 衣がきつね色になったら、フライヤーから上げて、キッチンペーパーで油を切って、ざく切りにします。それをお皿に盛りつけて、付け合わせのザウアークラウトとケチャップを添えたら、G41特製スパムカツの完成です!

 

 G41はお箸とカツとノンアルコールビールをお盆に乗せてご主人様のところに行きました。お昼時なのでご飯にちょうどいいです。

 

「ご主人様、どうぞー!」

 

「G41、マジか!?」

 

 G41がカツを出すと、ご主人様は目を輝かせて言いました。そして、カツを一口食べました。

 

「無茶苦茶うめぇ…」

 

 ご主人様はとっても嬉しそうにそう言いました。やりました! カツアゲも見事達成です!

 というわけで、G41はカツを食べ終えたご主人様の前に座って、お膝に頭を乗せて上目遣いで言いました。

 

「ご主人様、許してね?」

 

「嗚呼…G41は物凄く可愛いな」

 

 ご主人様は笑ってG41のことをなでなでしてくれました。ということは許して貰えたということです。やりました! カツアゲも大成功でした。えっへん!

 

「だが、G41… 俺は何を許したらいいんだ?」

 

 ご主人様はG41を抱え上げて、お膝に乗せて尋ねました。

 

「あのね、ご主人様」

 

 というわけで、G41は説明します。G41はFALさんみたいに、もっとご主人様のお役に立てるように悪いこともできるようになろうと頑張ってます。そのために、まずスリとカツアゲをしたのです。

 

「…G41、それは違う。俺もFALもG41にはいい子でいて欲しいんだ」

 

「ふぇ?」

 

 ご主人様は戸惑うG41の頭をなでなでしながら言います。

 ご主人様もFALさんも任務のために悪いことをすることがあります。それらに関して、特に罪悪感はないらしいですが、それでも何らかのわだかまりが心に残ることもあるそうです。

 

「そんな時、いい子のG41や一〇〇式(モモ)が俺達のことを好きでいてくれるとな、心が救われるんだ。俺もFALもG41に生かされてるんだよ…」

 

 ご主人様はG41を抱きしめてそう言いました。

 なんと、G41はいい子であることでご主人様やFALさんの役に立てていたみたいです。無理に悪い子にならなくてもいいのです。よかったです。G41は嬉しい気持ちでいっぱいになりました!

 

「でも、たまには悪戯をしたり、わがままを言ってもいいからな?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様の言葉にG41は元気よく言いました。ご主人様が頭をなでなでしてくれます。気持ちいいです。G41は幸せいっぱいです。

 というわけで、今日もG41はご主人様にいっぱい甘えることができました。G41はこれからもご主人様の望むとおり、いい子であり続けます! まる。



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