転生したらリムルが作成した分身体だった件 (飽き性boy)
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死亡する件

転スラのアニメ、随分と前に始まりましたね。
結構前から、ウェブ版や小説、漫画等を見ていて、早くアニメ化しないかな?と、アニメ化決定前からずっと待っていたので、嬉しかったです。

それでですね、アニメ観てたら、転スラを原作としたものを書きたくなりまして…

初投稿ですお見苦しい点もあると思いますが、よければ評価、感想などしていってくれるとありがたいです。


なんということもない普通の人生。

成績は中の上ぐらいで彷徨い、高校も親に迷惑かけないよう、ある程度学力のある公立の高校に入学。

その後も、相変わらず、パッとしない成績を貫き、早半年が過ぎた。

 

クラスカーストも微妙な位置。

運動神経も平均を下回らないぐらい。

顔面偏差値も、残念ながら中の中だ。

 

普通オブ普通。

いわゆる凡人である。

 

そんな男、上原 健は、現実逃避をしていた。

 

登下校中、数少ない友達、井上 裕太が、隣で顔を少し朱色に染め、俺に詰め寄り、怒涛の勢いで話しかけて来ていた。

 

男の友達が俺に詰め寄り、顔を赤くしている

字面から見ると完全にちょっとアレな現場だが、そういうわけではない。

 

実はこいつ、つい先日彼女が出来たらしい。

生まれて初めての彼女で、それもずっと好きだった人らしく、よっぽど嬉しかったのか、こうして俺に自慢して来ているのだ。

顔を赤くしているのは、俺の影響ではなく、彼女の惚気をしているから。詰め寄って来ているのは、その惚気に熱が入っているからだ。

 

先程から「世界一可愛い」だの「優しくて気遣いもできる、完璧な女性」だの「俺には釣り合わないよ」だの。

俺から見て、大して可愛くもない同じ学校の女子を、これでもか、というほど褒め叩いていた。

恋は盲目、好きになってしまった女性のことは、完璧に見えてしまうものなのだろうか。

そんなことをうわごとのように考えながら、今日も今日とて惚気を聞き流す。

 

人によっては聞き流す行動を性格悪いと思う人もいるだろう。

だがこれを聞けば、俺に同情する人が劇的に増えるはずだ。

 

12日前。

何が12日前だと思うだろうか。

簡潔に言えば、俺がこいつの口から出た話題で、惚気以外を聞いた時が12日前だということだ。

最初の4.5日は頑張ってしっかり聞いていたが、それから聞き流しても、彼は気にすることなく話し続けるということに気づき、それからは毎日聞かされる惚気のたびに、こうやって現実逃避している。

 

 

本当に嬉しかったんだろうな。

チラッと隣にいる友達を見ると、目を輝かせ、夢を語る子供のような顔で、彼女のことを話していた。

 

俺には彼女がいない。

だからリア充を見かけるたび、嫉妬と憎悪の眼差しを冗談交じりで送っていたものだが、不思議とこいつには、憎悪の感情が一切湧いてこない。

なんなら応援したいな、とも思う。

 

これが子を思う親の気持ち。

そんな事を考えていると、ふと、数少ない友達の裕太が、後ろから思いっきり俺に向かって、手を伸ばしている姿が目に付いた。

 

後ろにいるのは、考え事をしているうちに置いて行ってしまった、と言うことで納得できるが、なんで手を伸ばしてるんだ?と考えて、とりあえず彼を待つか、と足を止めた瞬間。

 

グサッ、擬音にするならこんな感じだろうか。

何かが肉を貫く音が耳に聞こえたあと、キンッと金属製のものが硬いものにぶつかった時のような音が響く。

 

何事か、そんなことを考える間も無く、俺は口から赤黒く濁った血液を吐き出していた。

 

思考が急速に鈍くなっていく。

その中で、状況を把握しようと努める。

身体の中に何かがある異物感と、失われていく体温を認識したところで、周りが騒がしいことに気づいた。

力の入らない頭は上げず、眼球を動かし周りを見回す。

 

皆一様に恐怖の表情を顔に浮かべている。

スマホをこちらに構えている者、誰かと電話している者。

動作は人それぞれだが、一つ確かに言えること。

それは、周りの人は明らかにこちらを見ている、それも恐怖の表情で。

 

(やめてくれよ、そんな俺が異形な何かみたいに)

 

《確認しました。異形の身体を作成します・・・失敗しました。代行措置として異形の身体に憑依します・・・成功しました》

 

頭の中に謎の声が響く。

何かに貫かれた辺りから聞こえていたような気がするが、きっと幻聴か何かだろう。こんなおかしい状態に頭が狂ってしまったんだ。

 

《確認しました。ユニークスキル『狂乱者(クルウモノ)』を獲得・・・成功しました》

 

はは、そろそろ本気でやばいらしい。

先程から、口と腹から血液を垂れ流しているせいで、血液が脳に回っていないのだろうか。

 

《確認しました。先程の憑依の条件に血液が不要な身体を追加・・・成功しました》

 

待って、本当にこのまま死んでしまうのだろうか。

周りが騒いでいるが、どうでもいい。

とにかく、今は俺の身体のことだ。

 

《確認しました。ユニークスキル『自愛者(ガヨクアルモノ)』を獲得・・・成功しました》

 

くそ、だんだん考えることさえ辛くなって来た。

こんなことなら、随分前に告ってきた、微妙な子のことを振るのではなく、付き合ってあんなこと、そんなことを満喫しとけばよかった。

 

《確認しました。ユニークスキル『色欲者(サカルモノ)』を獲得・・・成功しました》

 

「おいっ、健!救急車を呼んだぞ!もう少しでくるから、だから、死ぬなよ!」

 

俺の両肩に手を軽く添え、顔を歪ませ、悲壮な表情で裕太はそう言った。先程の満面の笑みとは、対象的で、長々と惚気を話され、脳内で嫉妬心が暴れ狂っていた俺はざまあみやがれ、とちょっと笑ってやった。

まあ、俺がこいつ以上に悲惨な状況であることは、笑えないけれど。

 

《確認しました。ユニークスキル『嫉妬者(ネタムモノ)』を獲得・・・成功しました》

 

あー、もう!さっきから狂乱だの、自愛だの、色欲だの、嫉妬だの。

軽く侮辱にもなるような言葉を聞かせやがって。

うるせー!こっちは怪我人なんだから少しはいたわれってんだ!

 

そんなことを考えながら、俺は眠りについた。

 

 

 

 

 

物語からみて、完全に異形。

そんな彼が、同じ転生者である、三上 悟とその仲間たち。

そしてその世界に住む数々の者達に、どのような影響を及ぼすのだろうか。




現段階で2285文字。
これでも疲れるのに、一万文字とか書いてる人って、どんな忍耐力と才能をお持ちなのだろうか。
自分には到底真似できないです。

さて、色欲と嫉妬は、原作でも出て来ましたよね。
ですので同じスキル持ちが、しかも大罪系でいるのはやばいんじゃない?って、自分も書いてる時に思いまして…

まあ、でも智慧之王と知識之王。
両方ともラファエルで、同じようなスキルを二人の人物が持っている、ということと、主人公は物語にとって異形なので、っていう屁理屈と言い訳を重ね、こうして書いております。
狂乱者と自愛者については、別の名前のリクエストがあってそれがいいな、と思ったら名前変えます。
理由はパッとする名前じゃないので。

以上です。
疑問や誤字脱字など、なんだこのクソ、と思う方がいましたら、感想欄か、誤字脱字の報告の所から、ご報告お願いします。


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目俺の身体を中性的な子が、舐め回すように見ていた件

2話目。
眠気を殴り飛ばし、疲れてきた腕に全力で鞭打って、書こうとしております。
大体、課題もやらずに小説を書いている時点で不真面目な生徒というのは火を見るより明らか。
授業中に爆睡する予定なので、多分大丈夫です。


「あれ、分身体とのリンクが外れたぞ?」

 

意識が朦朧としている中、そんな可愛らしい声が聞こえる。

ああ、なんとか死なずに済んだのか?

そんな疑問が浮かぶ前に、目を開けた先には、まるで生まれた時からそうだったかのように、綺麗に染められた水色の髪で、毛皮を身体に纏った中性的な子が俺の身体を凝視していた。

 

 

うん。なんだろうね、この高揚感。

なまじ容姿が優れているだけに、意味がわからないこの状況でも、この状況を楽しめてる。

 

「んー、大賢者でも分からないか?」

 

おっと、そんなことを楽しんでる状況でもなさそうだ。

大賢者とか、よくわからないことを言ってはいるが、こうやって向かい合ってる以上、赤の他人でも挨拶ぐらいはするだろう。

とりあえず、こんにちは、とでも言っておけば良いのかな。

 

「こんにちは」

「えっ、ああ、どうも…ってえぇ?!」

 

目の前で突然大声で叫ばれて、ちょっとびくっとしてしまった俺だが、平然を装う。

こんな可愛い子相手に、情けないところは見せたくないからなっ。

 

と、そんなことはいいとして、何故この子は驚いたのだろうか。

挨拶をしただけ、だよな?

 

そこで、何故か目の前の子と目線が同じだということに気づく。

この子が大きいのか?てか、この時代に毛皮纏ってるってどゆこと?あれ、てかなんで意識失った後、立った状態で目が覚めたんだ?まず、ここどこだ?

 

一度おかしいことに気づいてから、どんどん疑問が溢れ出していく。

そして一番やばいことに気づいた。

 

…俺、服着てなくない?

 

「えぇ?!」

びくっと目の前の子が反応する。

目の前のやつが突然大声出したのだから当たり前だろう。

誰だってする。俺だってした。

 

が、そんなこと言ってる場合じゃないっ!

すぐさま手を我が聖剣に持っていく。

勿論お触りが目的ではなく、隠すことが目的だ。

 

やけに遅く感じる時間の中、やっと隠せた!と思ったのもつかの間。

スカッ、と。

そこに収まっていた聖剣は、いつのまにかどこにもなく、追加でいうなら、女性らしきものもない。

つまり、無性。

 

「えぇぇ?!?!」

 

あそこを抑えながら叫ぶ俺。

そんな俺を見ながら、ずっと何か考えてる様子の美少女。

 

謎のカオスがそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

あの後、俺の叫び声で駆けつけた、筋肉ムキムキで、肌が緑色なところを除けばナイスガイな人?が来て、それを目の前の子がとりあえず下がらせて、その子と二人っきりの状況に戻った。

 

存在しない聖剣を隠したままの俺と、毛皮を纏った美少女。

 

 

…気まずい。とても。

 

そんな空気を打ち破るかのように、この子は口を開いた。

 

「えっと、話せる、よな?」

「まあ、うん」

さっき叫んでたんだから、当たり前だろ、と思いながらも返す。

 

「俺の分身体、だよな?」

「え?分身体?クローンってことか?」

 

「「え?」」

 

分身体だよな?という質問に、思ったことをそのまま返す。

分身体って、中二病か何かだろうか。

まあ、この子ぐらいの身長なら、まだ中学生か、小学生だろうし、そういう超能力的なものに憧れるのもわかる。

かく言う俺も、中学1年生の頃、授業中にそういうことを想像して、一人ニヤニヤしてたものだ。

 

 

「クローンって、まさかお前、異世界人、いや、地球にいたやつか?」

 

数十秒時間を置いてから、また来た質問に俺は少し困惑する。

異世界人?地球に"いた"?

まるで今ここは地球じゃないかのような言い方だな。

中二病もここまで来ると、一種の才能なんじゃないだろうか。

 

そう思って、少し尊敬の眼差しでもう一度しっかり目の前の子を見ると、とても真面目で、俺以上に困惑している顔で俺を見ていた。

 

空気を読む能力が大して優れていない俺でもわかる。

これ、本気で言ってるやつだ。

ってことはここは地球じゃない?

いやいや。

目の前の子のアタマがパーリーピーポーしちゃってる、と考えた方が自然だろう。

 

でも、何故だろう。

地球じゃないと考えると、いろいろ説明がつく。

染めたようには思えないほど綺麗な水色の髪も、先程この場所に来た肌が緑色の人?も。

そして何より、あの怪我で生きているはずがない、と直感的にわかってしまうから。

 

 

異世界転生や異世界転移など。

最近の書籍ではそういうジャンルのものが流行りだし、俺も嗜む程度には見ていた。

だから、ここが地球ではない、という発想が生まれて来たのだろう。

 

落ち着いて考えたら、「いやそれはないだろ」と嘲笑いながら言っていたものだが、何かに背中からぶっ刺され、血を吐き、意識を失い、目が覚めたら目の前に美少女がいる。

そんなおかしな状況で、落ち着いているはずがなかった。

 

だから、まあ、つまり。

非常に遺憾ながら、この時の俺は異世界に転生、または転移などのことをした、というそれこそ中二病の妄想のような事を本気で考えてしまったのだ。

 

『解。目の前の生命体とリンクを繋げることに成功しました。元分身体で間違いないと推測します』

 

突然頭の中に響いた、ひどく淡々とした声。

どこかで聞いたことがある、確か、死ぬ寸前だったような…

 

「元分身体、つまり今は俺の分身体じゃないってことか?」

『解。あっているとも、間違っているとも言えます。何者かの魂が分身体に定着したことで、分身体でありながら、マスターの支配下ではなくなったようです』

 

その声と、目の前の子はそれが当たり前であるかのように会話を繰り広げていく。

なんだ、これ。

ここが異世界である、というバカみたいな仮説と同じぐらいバカみたいなことが、今行われていた。

 

「俺の元分身体さん。俺はリムル・テンペスト。まあ、いろいろ確認したいことはあるが、とりあえずお前は俺達と敵対する気はないよな?」

 

聞かれた質問と、会話していた内容を理解していく。

 

簡潔にすると、俺の今の身体は目の前の子の分身体で、そこに俺が憑依してきた。そこで、一応俺に敵対心があるか、確認してるって感じか。

 

この事から分かることは、少なくとも二つ。

 

一つ目は完全にここは地球ではない、ということ。

 

二つ目は目の前の子は、分身体を生み出すことができる能力を持っていて、尚且つ脳内に響くこの声も目の前の子の能力である可能性が高い、と同時に、それ以外にも能力がある可能性がある、ということ。

 

 

二つだけ、しかし、これからとる行動を決めるにはそれだけで十分だ。

俺は異世界に来たばかりで、地位も戸籍も、何もかもありはしない。

しかし、さっきの緑色の人?の反応を見る限り、この子はだいぶ身分が上の人のようだ。

そして、能力も持っている。

 

敵対するか、しないか。

そう聞いて来てはいるが、実質選択肢なんてあってないようなものである。

 

つまり

 

 

「ないです。逆らう気もないです。分身体に憑依したことに関しては謝ります。代わりに憑依できるものでもあるならすぐにでもします。

なんでもします。許してください」

 

そう、怒涛の媚び売りだ。

恥もクソもないです。

 

 




はい、情けない主人公です。
いやでも、どこかもわからなくて、目の前の人は自分より圧倒的に上で、その人の分身体を、何故か乗っ取ってしまったってなったら、多分ありえないほどプライド高くなければ全力の謝罪をするだろう、という予想です。
自分はあんまりこういうの好きじゃないので、今回限りの描写になるかもです。




それと、大賢者の声が主人公にも聞こえる理由ですが、分身体で使えるユニークスキルには制限があり、大賢者は、本体と分身体が、半径1kmの円の中にいない場合、意識のリンクが切れて、単純な命令をこなすだけになる、というのが書いてあって、意識のリンクってのは多分こういうことだろうなっていう推測です。






なぜリムルの分身体に憑依したかというと。
異形に憑依、で本来のリムル達がいる世界で、本来出現しなかったものに憑依する、つまり本来の世界にとって異常な者に憑依で。
リムルは転生者で、本来はおらず、その分身体は意識はないので、リムルに操られる人形のようなものの上、本来いないはずのリムルの分身体だから、本来いないっていう理屈。
謎理論+説明下手ですいません。

もしかしたら、リムルの分身体以外にも適したやつがいるかもしれないということを考えて、血液が不要な身体、というのを条件に追加しました。



結論謎理論。


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スキルを確認した件

さあ頑張ります。
理由はお気に入り登録を二人の方がしてくれていたから。
いやね。嬉しかったですよ。
多いとは言い難いですが、始めの方はそれこそ1人でも嬉しいものです。
本当にありがとうございます。



あの怒涛の謝罪から、数十分が過ぎた。

とりあえず、分身体を取ったことは許してくれて、なんならこのままくれるという。

まあ、返せって言われても返し方とか一切わからないから、返せないんだけど…

 

そしてなんと、この村で俺が独り立ちできるまで、衣食住を保証してくれるという。

それを証明するかのように、俺とリムルさん、二人分の服の作成を、先ほども来ていた緑色のムキムキ(ゴブリン・ロードのリグルドというらしい)に依頼していた。

まあ、その分働けよ?と言われたが、衣食住を保証してくれるなんていう、素晴らしい報酬がある以上、喜んで働きます。

 

 

そして目の前の子、つまりリムルさんは、転生者であるらしい。

転生してから、今までの経緯を語ってくれた。

 

洞窟で彷徨ったこと。

自分の能力のこと。

暴風竜ヴェルドラという、封印されている竜と約束したこと。

森を出て、ゴブリン達に出会ったこと。

そこでゴブリン達の依頼を受け、この村の主になったこと。

ランガとの出会い。

武装国家ドワルゴンに行き、そこであった出来事。

そして、井沢静江さんのこと。

 

まさに、ファンタジー。

俺が目を輝かせながら聞いているので、リムルさんも、得意げに話していた。

 

…子供っぽいな、と思った。

 

最後は悲しかったけれど、どれもまるで物語のようにワクワクさせてくれるようなものばかりだった。

 

「リムル殿、お二人方が衣服をお召しにならないのはどうかと、頼まれた衣服が出来るまでの間、代わりとなるものをご用意いたしました。」

 

そうして話を聞いていると、リグルドが部屋の外から呼びかけて来た。

先程、リムルさんが頼んでいた衣服が出来上がるまでの代わり。

それでも異世界でのはじめての衣服だ。

胸が弾むものがある。

 

そうして渡されたのは、リグルドも着ている服をそのまま小さくしたようなもの。

異世界っぽい、大した特殊能力などはなさそうだが、着心地は前世の服と同じぐらいで、満足のいくものだった。

 

ありがとうございます、と礼を言い、これからのことを考えていく。

リムルさんの言っていたことによると、他の世界からこっちに来たものは、その時に想っていたものがスキルとして発現するようだ。

 

確認しよう、としたところで方法がないことに気づく。

ステータスと唱えるなどの確認方法は、リムルさんからその話を聞いた瞬間に確認したが、全部ダメだった。

 

なのでリムルさんに相談すると、大賢者を通じて分かるかもしれない、とのこと。

 

「大賢者、聞かれるの嫌だろうし、俺には聞こえないように持ってるスキルを教えてやることは可能か?」

どうやらリムルさんは自分と同じ姿の俺のことを、兄弟のように思っているらしい。

そのおかげか、俺に最大限の配慮をしてくれた。

もしかしたら、兄弟、というものに憧れていたのかもしれない。

《解。出来ます。今すぐ表示しますか?》

 

出来るらしい。

話には聞いていたが、リムルさんが持っている捕食者も大賢者も、チートすぎないか。

若干嫉妬しつつ、俺の所持スキルを教えてくれ、と返す。

 

《解。固有スキルは『溶解,吸収,自己再生』の三つです。

ユニークスキルは『大賢者』『捕食者』『変質者』『狂乱者』

『自愛者』『色欲者』『嫉妬者』の七つです。但し、元分身体

故に持 っている『大賢者』『捕食者』『変質者』の三つは制限

がつくようです。

エクストラスキルは『水操作』『炎熱操作』『魔力感知』の三

つです。

獲得スキルは黒蛇『熱源感知,毒霧吐息』,ムカデ『麻痺吐息』

    蜘蛛『粘糸,鋼糸』,蝙蝠『超音波、吸血』,トカゲ『身体装甲』

    黒狼『超嗅覚,思念伝達,威圧,影移動,黒稲妻』

    炎巨人『分身体,炎化,範囲結界』です。

耐性は熱変動耐性ex,物理攻撃耐性,痛覚無効,熱攻撃無効,電流

耐性,麻痺耐性の六つです》

 

 

頭の中を駆け巡る情報を一文字も逃さぬように、集中して聞く。

大賢者に質問して確かめたところ、本来この分身体が所有していたスキルと俺が転生した際に獲得したスキルの総合になっているらしい。

 

つまり、強さ的にはリムルさんより俺の方が上…?

と勘違いしそうになるが、色々制限があるらしい。

 

『大賢者』

 半径が1km以内に同時に居る場合は、使用可能である。

 つまり、それより離れすぎると使用不可、ということだ。

 

『捕食者』

 胃袋が共通で、本体しか出す事が出来ない。

 捕食や保管は可能なのだが、取り出しは出来ない。

普通の分身体だと、捕食で得た能力はリムル本体にフィードバッ クされるらしいが、俺が入った影響なのか、フィードバックは出来なくなったらしい。

 

『変質者』

 融合可能なのは、一体のみ。分離は、普通に行える。

 

だそうだ。

つまり、その三つは所詮リムルさんの劣化版。

しかも、この分身体はスキルの試運転のようなもので、大した魔素と妖気が込められていないらしく、俺の魂が憑依されたことによって莫大に増えてはいるが、リムルさんには及ばないらしい。

まあつまり、これから増やしていくしかないということだ。

 

続いて、俺が獲得したスキルの効果を聞いてみるとリムルさんの『捕食者』と『大賢者』のように相性が抜群に良いわけではないが、チートと言っても差し支えないほどのスキルだった。

 

まず『狂乱者』。

これは理性を対価に身体能力と保有魔素量などの戦闘に関するものに補正をかけるというもの。

これは正直あまり嬉しいとは思えないが、それでも持っていて困るものじゃない、喜んでおこう。

 

次に『自愛者』。

これは自分のために他の生物を殺した場合、保有魔素や妖気が増えるというものだ。

話を聞く限り、この世界では魔物という生物がいるらしく、(リムルさんと俺の種族であるスライムもそれに該当する)中でも知性のないものは、襲いかかってくるし、人間同士の戦争も絶えず、命の取り合いは、そこら辺でもありふれているらしい。

弱肉強食。まさにその通りなのだと。

つまり、俺がこの世界で生きて行く中で、誰かの命を奪わないといけない時が来るわけで、その時に効果を発揮するだろう。

 

次に『色欲者』

これは生と死を司る能力らしい。

明らかにやばいが、生物の蘇生は死亡してから5秒以内、魂も身体も無事な状態、というめちゃくちゃな条件の中でしか成立しないらしく、蘇生を使う機会はなさそうだ。

しかし、エネルギー量というものが目に見えるようにすることができるらしく、それで相手の力量を測れるようだ。

 

次に『嫉妬者』

これを使うと戦っている相手からエネルギーを吸収することが出来るらしい。相手の弱体化と、自身の強化。両方とも行われるというわけだ。

 

うーん、なかなか強い。

異世界に来てすぐにこれなのだ。

まだ強くなれるだろう。

 

そう思い、まだ見ぬ未来に想いを馳せた。

 

 




なんか、もうあれです。
転スラ設定が凝ってる上にスキルとか多すぎるんでもう、頭の中がぐっちゃぐちゃですよ。
眠い+低脳+転スラ=駄作です。

また気になったこととかあったら書いていきます。
後書きに。


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名付けをしてもらった件

感想と評価、お気に入りありがとうございます。
感想の方でいただいたんですが、やはり同じスキルが同時に存在しているのはどうか、という話なので、なんとかします。

なんとかするために、色欲のスキルをルミナスがいつ頃からもっていたのか、または色欲之王をいつから持っていたのかを知りたいのですが、調べても出てこないです。
web版か、小説版を読み直せばわかるかもしれませんが、そうすると時間がかかりすぎてしまう、という問題が発生。
ですので知っていることがあれば教えていただければ幸いです。







ちなみに、書いている途中にご飯食べにいったら、全部消えていたので書くの2回目です。
アホというか、なんというか…

まあ、なのでちょっと適当に書いてしまうかもしれませんがお許しを


全部書き終わった後に、自動保存という場所で保存されていることに気づきました。
今なら自分への怒りで空も飛べるはずさ


 

「リムルさん、スキル確認できました。お待たせしてすいません」

 

スキルを確認し、その間ずっと待っていてくれていたリムルさんにそう声をかける。

流石にその間暇だったらしく、分身体を出し、それを女性っぽくしたり、男性っぽくしたら、身長を伸ばしたりなど、色々なカスタマイズをして暇を潰していたようだ。

 

「ん?ああ、気にすんな。そこまで待ってないし、分身体の確認できたしな」

 

そうやって言うリムルさんは、分身体の筋肉量を異常なほど増やし、ボディービルダーのようになった分身体を操って、こちらに手を振る。

 

結構長い間待たせてしまったはずなのだが…

それを笑って許せる心の広さも、ゴブリン達や嵐牙狼達に慕われている理由だろう。

 

「それと、敬語とか、さん付けとか、今後一切禁止な?」

分身体を消して、こちらに向き直ったリムルさんがそう言う。

今後お世話になる村の長。

そんな人にタメ口を気楽に言えるほど、前世で不真面目なやつでもなかったし、コミュ力が高いわけでもないんだが…

 

「ほら、遠慮すんなって。同郷の仲間だろ?」

そう屈託のない笑みを浮かべるリムルさん。

同郷の仲間というだけで、リムルさんにとって親しくしたい人。

その上自分の分身体に憑依した人だ。

よっぽどこの人は、俺に親近感を抱いてるらしい。

もしかしたら全ての人物にこのような態度なのかもしれないけれど。

 

まあ、ここまで言われて、否定する方が失礼だろう。

本人もいいと言っていることだし、それなら遠慮せずそうさせてもらおう。

 

「じゃあそうさせてもらうよ」

「ああ、そうしてくれ。こちらも遠慮なく呼び捨てで…」

そう言って止まるリムル。

ちょっとして、こう聞いてきた。

 

「お前って名前あるのか?」

 

あるに決まってんだろ。

声には出さないが、心の中でそう突っ込んだ。

大体、現代の日本で名前がない人なんていないはずだ。

戸籍というものがある以上、名前がないといけないだろうし。

 

それか、最初に名乗らなかったことへの嫌味だろうか。

リムルに限ってそんなことしないような人だと思うんだけど。

 

「あ、元の世界での名前じゃないぞ?そっちも出来れば聞きたいが、こっちの世界での名前の話だ」

ああ、なるほど。

もちろん俺にも名前がある、上原 健という名前が。

しかしここは異世界なんだ。

よくある小説だと、カタカナ表記で外国人っぽい名前が一般的、みたいなのがあるかもしれない。

リムルはテンペストという名字があるようだが、それはこの村の長なだけで、平民は名字を持ってはいけないってことも考えられる。

 

つまりリムルが言っているのは、この世界で通用する名前があるのか、ということか。

勿論そんなもの、憑依したばかりの自分にはない。

名前がないのは少し恥ずかしいが、何も知らず、変な名前を自称するより素直に言って、ちゃんとした名前を考えた方が得策か。

 

「ああ、なるほど。こっちの名前はない」

「だと思ったよ。憑依したばかりでこちらでの名前がある可能性は少ないだろう、とは思っていたけど、念のために、な」

「あと、向こうでの名前は上原 健だ。遅れてごめんな」

 

一応、名乗るのが遅れてしまったことへの謝罪を含めて返す。

今考えれば、相手側は名乗ってくれていたのに俺は名乗らないのは、失礼だったかもしれない、と反省。

 

「ああ、気にしないでくれ。非現実的な自体が起こってる時に、しっかりと名乗り返せる人なんて少ないさ。それと、名前がないなら俺が付けてもいいか?俺が転生してからの話をした時にもいったが、魔物にとって、名付けは特別な意味があるらしくてな、それだけで、ゴブリンと牙狼族みたいに進化することもある。大賢者の話によると、分身体とはいえ、俺との関わりが強い、ただのスライムになっているみたいだし、名前をつけられると、もしかしたら新たな力を手に入れられるかもしれない。この世界で、力はあって困るものじゃないぞ」

 

名前がないかを聞いてきたのは、なかったら付けてあげようとしていたからだろう。

名前を付けるだけで強化される。

例えば、服を持って来てくれたリグルドなんて、元々はヨボヨボのおじいちゃんだったらしい。

元の世界でそんなことが出来れば、日本で社会問題になっている少子高齢化も、少しは改善するのではなかろうか。

もちろん、お爺ちゃん達は魔物じゃないし、違う世界なのでただの妄想でしかないんだけど。

しかも、魔素の最大量を減らす、という大変危険なものらしく、下手したら二度と戻らなくなることもあるらしい。

ハイリスクハイリターン、だな。

 

しかし、名付けか。

リムルの転生してからの話を聞く限り、ヴェルドラという邪竜以外は配下として魂の繋がりが出来るらしい。

 

つまり、名前を貰ったら、魂という奥深くの部分でリムルの配下になってしまうわけだ。

メリットはある、それもたくさん。

 

まず、リムルという恐らく力のあるものの味方になることが出来る。

力が全てだという魔物の世界では、それは大きい。

聞く限りでは恐ろしい早さで成長しているようで、このまま行けばリムルの配下というだけで、それなりの地位になるかもしれない。

 

次に、自分自身も力をつけれる、ということ。

先程、リグルドという例を出した通り、名前をもらうだけで強くなれるらしい。その分、最大魔素量を減らす、という危険なデメリットがあるが、悪い言い方をしてしまえば、そのデメリットはリムルにのしかかるものであって、俺には力を得るというメリットだけだ。

 

次に、働きさえすれば、この村にずっと住んでいられる、ということ。

現時点で、俺は同郷の人、というだけで、リムルがこの村に俺を住ませ、食べ物を用意し、家を用意し、仕事を用意する。

そんなことをする理由がないわけだ。

つまり、もしかしたらリムルの気まぐれで、この村を追い出されるかもしれない。

もちろん、そんな人だとは思わないが、万が一もある。

しかし配下になれば、恐らくそんなことをされる可能性が、少しは下がるだろう。

 

ざっと挙げただけでこのメリットの量。

しかし反対に、デメリットは、誰かの配下になる、ただそれだけ。

 

結局、元の世界でそのまま生きていても、どこかの会社に入り、そこの社員になる。

誰かの下につくのは、元から変わらない。

だから大したデメリットでもない。

 

これはほぼ一択、か。

 

「…よし!分かった!リムルに名付けは任せる!」

「ああ、任せとけ!」

 

そういって胸を張るリムル。

しかし、そのドヤ顔で俺はあることを思い出した。

 

リムルが転生してからの話を聞いた時。

結果的に全てうまくまとまり、ハッピーエンドになったその話の中で、唯一可哀想、と思ったことがあった。

 

ゴブチ、ゴブ美、ゴブタ、ゴブツ…

そう、数々のザ・適当ネーム。

もしかしたら、俺もそんな名前をつけられるんじゃないか?

例えば、元分身体だから、ブン太、みたいな…

 

あれ?もしかして俺は、この世界に来て最大のミスを犯したんじゃないか?

 

そう思いついてすぐ止めようとしたのだが

 

 

「ちょ、待っ「じゃあお前は、ヴェルム・テンペストだ!これからは俺の二人目の親友として、助け合っていこうな!」

 

 

名前がどうだ、とか一瞬で吹っ飛んでいくほどの衝撃的な発言に硬直していると。

 

『親友の親友は親友だ!我がおらぬ間、リムルを頼んだぞ!』

そう聞こえたような気がした次の瞬間、目の前のリムルはドロッと溶けて、スライム状態に戻り、動かなくなった。

 

 

…なんだこれ。

 

 

 




また前回と同じように説明を…
まず、リムルの分身体は一体しか作成できない、という設定との矛盾について。
書いた通り、リムルとの繋がりが強いだけのスライム、ということにしたので、分身体ではなくなった、つまりもう一体作成できる、という暴論です。
でもこうしないと原作的に問題が出てくるんですよね…
どんな問題かは、web版か、小説版へGO。

それとリムルが早速親友認定したことについて。
同郷、同じスライム、元分身体。
それらの条件がリムルに親近感を持たせ、話していたことで悪いやつじゃないと確認。
普通の魔物とは違い、転生者を配下という立場で名付けするのは、というリムルの配慮が入ったということじゃダメですかね?



ダメですか?w

まだストーリーをあまり組んでいない今の状況で、誰かの配下になるのを避けたかった、という感じです。
これからゆっくり組んでいきますので、もしかしたら改めて配下に加わる、なんてこともあるかもですし、リムルと離れる、と言うことも…
まあ未来なんてわからんです。



違和感やご意見あればまた感想でお願いします。
なにぶん、自分馬鹿なので、分からないことや気付かないことが多いので、聡明で美しい読者の方々頼みます(他人任せ)



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次やることを決めた件

だんだんサブタイトルが適当に…w
それと、自分が39度ぐらいの熱を出した状態で書いたので、なんかおかしいかもしれないです。
まあ、元々変なところ多いですし、変わりませんねw


リムルがスライム状態になり、気を失って(低位活動状態というらしい)、混乱していた俺は、とりあえずリグルドを呼んだ。

 

呼ばれて部屋に入ってきたリグルドは、気を失っているリムルを見て、俺がリムルに何かした、と思ったのだろう。一瞬にして怒気を膨らませ、そして冷静な部分でその状態が、以前、名付けをしてもらった時になっていたものと似ていることに気づいたようで、その怒気をおさめた。

怒りながらも、冷静な思考をする。

文字に起こすと簡単に思えるが、其の実難しいものだ。

高校生になっている俺だって、怒ってあとで後悔したことなんて、山ほどある。

それを、この目の前の、漫画やアニメなどで最弱と言われていたゴブリンが出来ている、という事実に驚いてしまった。

リムルの配下の魔物は、みんなこうなのだろうか?

だとしたらリムル配下に入れて、本当に良かったと言わざるを得ない…

 

と思っていたのだが、大賢者さんによると俺はリムルの配下にはなっていないようだ。

リムルが行なったのは、親友としての名付け。

ヴェルドラに対しての名付けと同じらしい。

名付けはしてもらったけど、配下ではない、というわけだ。

 

…それってリムルにメリットないんじゃね?

お人好しというか、なんというか。

まあ、これから配下になる、ならないは別として、受けた恩ぐらいはしっかり返そう。

転生することで手にいれることができたスキルは、きっとリムルの役に立てるだろうから。

 

と、そんな事を考えているうちに、低位活動状態となったリムルを祭壇のようなところに運んだリグルドが戻ってきたようだ。

 

何があったかを聞いてきたリグルドに、ここであったことを一から説明する。

憑依した辺りの話は、前リグルドが来た時にリムルが説明してくれていたので、名前をつけてもらって、リムルが動かなくなった、というのを簡潔に説明した。

 

リグルドはある程度状況を理解したのか、リムルが目覚めるまで自由にする許可を俺に出し、服を数着を渡して、ドワーフの技術者に教えてもらい作ったという家を俺に貸してくれた。

食べ物も、時間になったら家まで運んでくれるという。

 

リムルが目覚めるまで自由にする許可をくれたのは、リムルに俺の仕事を割り振ってもらわないと、リグルドだけでは判断出来ないから、だろうか?

もしそうだとしたら、俺は大賢者を通じて意思疎通出来るので、すぐにでも仕事を割り振ってもらうことが出来るのだが…

 

うん、黙っておこう。

恩を返す、と言ったが、別に焦る必要なんてない。

休める時に休むのが、出来る人間というやつだ。

 

なんて脳内で言い訳しつつ、家まで運んでくれると言った食べ物を遠慮しておく。

 

スライムの身体に食事は必要ないらしく、味覚もないため、味もしないらしい。

人の姿に擬態しているので、味を感じることが出来るかもしれないが、食事が必要ないことには変わりない。

働いてもいない俺が、家や服と言った必要のあるものではなく、必要もない食事をもらうのは、図々しいにも程がある、と思ったからだ。

 

それなら働けよって話なのだが、リムルが目覚めるまでの数日でやりたいことがある。

 

常識の確認、スキルを実際に使う、身体のスペックの確認、そして名付けにより何が変わったのか、と言う確認だ。

 

この世界に来たばかりの俺には、情報が圧倒的に足りない。

そう、リムルが名付けのことを魔素を消費するものだと知らなかったように、俺たち異世界から来た者は、常識すら知らないのだ。

 

それに、この身体のことさえも、俺は知らない。

どのくらい動けるのか、どの程度の無理なら耐えられるのか。

元の世界の身体だったら、十数年の間使っていたから、自然と自分の運動神経や耐性などを理解していたけれど、この身体はわからない。

 

例えば、この程度の打撃なら耐えられるだろう、と前世の感覚で攻撃を受けたら、そのままさようなら、なんてこともあるかもしれない。

 

勿論、異世界の魔物の身体で、しかも名付けをしてもらったので、前世の身体より脆いなんてことなんてないと思うが、それを抜きにしても、この身体のことを知っておく必要がある。

 

 

と、いうのは建前で、せっかくこのファンタジーの世界に来たんだから、早くファンタジー要素を楽しんでみたい、というのが本音だったりする。

 

変わりばえのない日常にうんざりしてたところだ。

少しぐらい羽目を外したって、誰も文句は言わないはずさ。

 

変わってしまった顔で笑みをこぼし、リグルドから貸してもらっている家を出る。

 

まずは森に入ってみよう。

さあ、冒険だ。

 




リグルドがリムルが目覚めるまで自由にすることを許してくれたのは、リムルに直接確認したい、というのと、憑依してすぐで、確認の時間や、気持ちを落ち着かせる時間が必要だろう、と考えたから、です。

変なところあったら報告お願いします。


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初めて戦闘をしてみる件

高熱+ダラけでちょっと開いてなかったんですけど、いつのまにか、お気に入りが260ぐらいになってました。
びっくりしてます。
それと、評価してくれた人も15人になり、感想の数は7です。

…びっくりしてます。
最初の方に比べればなかなかの進歩。
本当にありがとうございます。

それと感想の方で、やはり色欲は生死を操る能力なので、レジストされなければ即死させれるらしいです。
そんな気がしてたんですが、よくわからず、能力のところに書きませんでした。

ですが、実際あるのに無いことにするわけにはいかないので、独自設定で今回のところに書く予定です。
不愉快に思われましたら、ほんと申し訳ございません。


それでもよろしい方は是非楽しんでいってください!




さあ、冒険だ。

 

そう、ちょっとカッコつけて家を出たものの、まずはこの身体のスペックや、進化したことでの変化の確認から。

 

まだリムルと2km離れていないので、使える大賢者によれば、この辺りの森なら異常事態がない限り、確認していない状態でも対処できる、と言っているが、遅かれ早かれ、確認するのには変わりないのだから、早めに確認しといて損することはないはずだ。

 

それに。

 

「大賢者、変質者でリムルが以前捕食した魔物と融合出来る、そうだな?」

《解。はい、そうです》

 

 

今大賢者に確認した、融合出来る、という事実。

これはスキルを確認した時、元分身体だから制限がかかる、と大賢者が言っていた。

そして大賢者が言っていた制限の中に、変質者は他の魔物と融合できるのは一体までになる、というのがあった。

 

言い換えれば一体までなら融合出来る、ということだ。

 

 

 

「変質者で黒狼と融合」

そう唱えた瞬間、俺の魔素が黒い霧となり、身体を包む。

 

晴れた先にある俺の身体は、髪を黒く染め、まるでアニメや漫画に出てくる獣人のように、狼の耳と尻尾を生やし、あほ毛のようなくせ毛が二本、可愛く頭に乗っかっていた。

 

これが融合か、と頭の耳や貰ったズボンを突き破り生えている尻尾を触りながら、初めて自分が使うスキルに感動する。

本当はしばらくこの感動に浸っていたいが、そんなことをするために擬態したんじゃない。

 

本来の目的である、あることを確認するために、思いっきり鼻から空気を吸った。

 

 

土、木、草、藁、金属、水など。

家の中の祭壇で祀られるように置かれているリムルの匂いまで。

周りにある全ての位置を匂いで把握してくれる。

 

そう、黒狼が所有しているスキル、超嗅覚の効果だ。

ホブゴブリンの体臭がして、少し嫌な思いになるが、そんなこと気にならないぐらいのメリットがある。

 

これさえあれば、例え森の中でも自分の残り香を追って帰れるので迷うことはなく、しかも魔物などの居場所を知る、所謂索敵にもなる。

これがあるだけで森の冒険を少しは安全且つ効率的にすることができるだろう。

魔物と融合出来ると言うことを知らなければ、出来なかったことだ。

 

 

何が言いたいかというと、事前に確認しておくことで安全性と効率を手に入れれることもある、ということだ。

 

 

てことで森に探索に行く前に身体のスペックや進化したことでの変化を確認する、と決めたのだが…

 

なんだろう、こう、周りにいるホブゴブリンや嵐牙狼の俺を見る目に怯えが見えるというか…

 

《解。進化したことにより上昇したエネルギーが溢れ出しています。そのエネルギーに恐れているのでしょう。対処方法としては捕食者で体外に出るエネルギーを全て保管する方法が挙げられます》

 

 

なるほど、漫画とかでいうオーラみたいなやつ、かな?

それが溢れ出して居るようだ。

対処法はそれを捕食者で食らうことで、胃袋にしまうこと。

しかし、俺は元分身体だからスキルが制限され、しまったエネルギーを取り出すことが出来ないはず。

それをリムルが使うことで恩返しになるならそれでいいが。

 

《進化により、『大賢者』の制限が2km離れた場合に世界の声を借りた質疑応答が出来なくなる、に変化し、『捕食者』の制限が胃袋の大きさが10分の1になる、に変化しました。『変質者』の制限は完全に消失しました。これにより、捕食し胃袋に収納したエネルギーを使う事が可能です》

 

 

お、おう。

大賢者が教えてくれた内容は、十分驚愕に値するものだった。

それだけの情報で、進化がどれだけ有益かわかる。

 

おそらくだが、制限されていた理由は、元の分身体の性能では、ユニークスキル以上の性能を持つスキルを完全に反映することができなかったからだろう。

その根拠に、ユニーク未満のスキルは普通に分身体に反映出来ていた。

今回、進化する事でこの身体の性能が上がり、ユニークスキル以上のスキルも反映出来る範囲が広くなった、と言うことだろうか。

勝手な憶測でしかないが、あながち間違っていない気もする。

 

大賢者に、大賢者、捕食者、変質者のように効果の変わったスキルがあれば教えて、と尋ねると、色欲者も変わった、らしい。

 

それは、相手がレジスト出来ない限り、即死させられる、という能力。

 

…凶悪すぎないか?

というか、何故他のスキルは変わらなかったのに、色欲者だけ変わったのだろうか。

大賢者によると、スキルを作る"何か"が一部かけていて、それを進化する際に得られる力で埋めたらしい。

 

 

スキルを作る何か、とは何だろうか、と考えてみる。

俺が考えた仮説は、魂の力的なものではないか、ということ。

 

リムルが転生する際に手に入れたユニークスキルの数は2つ。

俺が手に入れた数は4つ、つまり2倍だ。

 

おかしくないか?

この世界の話を聞く限り、ユニークスキルっていうのはそう易々と手に入るものではないらしい。

それを2つも多く?

 

運がいいだけかもしれないが、もし運じゃないとしたら、おそらく個人によって持っている量が違うものを使ってスキルを手に入れているのではないか。

 

そこで思いつくのが転生に大きく関係しているだろう魂という概念。

その魂が持っている力に応じて、スキルの量が違う。

 

そして俺が持っている魂の力がユニークスキル4個分より、少し少なかったのだろう。

だから、色欲者を構成するものが少しかけていた。

 

と、まあ、何か、という曖昧なものが気になったので、ない頭を振り絞って考えてみたものの、結局根拠も何もない仮説しか生まれなかった。

 

とりあえず、今は置いておこう。

そのうちわかる日が来るかもしれない。

 

 

そこであることを思い出す。

そんな考え事している間も、周りのホブゴブリンや嵐牙狼を怯えさせているんだった。

 

急いで使いやすくなった捕食者で身体の外に出ている妖気や魔素というエネルギーを捕食し、胃袋に保管しておく。

こうすることで融合を解けば、ただの人間に見えるはずだ。

 

周りのみんなもホッとしたのか、こちらに怯えた目ではなく、好奇の目を向けてくる。

 

自分達の主人であるリムルと同じ顔をしていれば、仕方ないだろう。

これから一緒に住む仲間だ、一人一人挨拶したいが、それは後からでも遅くない。

 

それにあのリムルのことだ、みんなを集めて紹介ぐらいしてくれるだろう。

 

だから今はするべきことをしよう。

 

 

進化して、スキルがどれだけ変わったか、はもう確認した。

次は魔素量と妖気の大きさを確認しよう。

 

と思ったが、基準が分からないため、どちらも上がっている、としか言いようがない。

 

まあ、上がっていることが分かっただけいいか。

 

 

次は運動能力だ。

ささ、と周りに迷惑にならないぐらいの速さでリムルの村から出て、森の奥へ進む。

森に入る前に確認したかったのに、周りの迷惑になりそうだから森に入らないと確認できないという、無限ループに陥ってしまったので、仕方なく森に入ることにしたわけだ。

 

場所は、ヴェルドラが封印されていたという洞窟の近くでいいか。

あそこなら、元々ヴェルドラがいたこともあり、誰もいないはずだ。

 

行ったことがないので、洞窟への行き方が分からないが、大賢者に方角を答えてくれた。

 

リムルが以前、洞窟からゴブリンの村まで来ているので、大賢者の知識の中にあったのだろう。

 

 

よし、と気合いを入れて森に一歩踏み出す。

日本では感じることが少なかった自然を間近に感じた。

空気が美味い、とはこういうことを言うのだろうか。

 

生い茂る木々を見ながら、出来るだけ真っ直ぐ走る。

進化した影響もあるのだろう、風を切るように進む俺の身体は、走っているとは思えないほどの速度を伴って進んで行った。

 

しばらく経った頃、超嗅覚がある匂いを捉える。

 

まだ嗅いだことのない匂い。

しかし生物だということは、動いている点からわかる。

幸いなことに一匹だが、その身体の大きさがただの動物ではないことを悟らせる。

 

まだそいつとの距離はあるが、進行方向だ。

どっちみち行かないといけない。

それにそいつは、何かでこちらを感知したようで、素早い速度で近づいてくる。

 

初戦闘になるかもしれない。

というか、かなりの確率でなるだろう。

覚悟を決めとこう。

 

目を閉じて深呼吸。

スライムになったので深呼吸など意味ないかもしれないが、気持ちの問題だ。

 

 

閉じた目を、ゆっくりと開けた。

100m程奥にいたのは木と同じぐらいの高さもある、赤いアリだった。

その目は明らかにこちらに敵意を向けている。

 

 

初戦闘を迎える前にもっと確認したいことがある。

出来るかはわからないが、全力で逃げてみるのもいいかもしれない。

 

 

しかし、と少し笑っている頬に触れる。

戦闘、日本で生活している限り、なかなか触れることのない体験に、俺はどうしようもなく楽しんでいた。

 

それにアリから溢れ出す妖気は、正直俺と比べるとかなり少ない。

つまり俺にとって、力量差があるわけだ。

初戦闘としてはいい状況だろう。

 

 

戦うしかない。

そう考え、俺は色欲者の能力で相手のエネルギーを見た。

 

 




独自設定ぶち込んでやりました。
反省はしてます。後悔もしてます。
色欲、ちゃんと確認しとくんでしたね。
それと能力の制限を緩めたのはそのままだと進行しにくいかったからですね。
大賢者の能力全て使えないのだとすると、思考加速的なやつまでダメになってしまうので、ちょっときついかな、と思いまして。



不愉快に思われた方はほんとすいません。
ちゃんとした設定に則った上で、解決できる方法があればご教示くださいませ。




えっと、ウェブ版を部分的に読み直した時に、洞窟まで徒歩で1日ほどかかる、と書いてあったので、走っているという風に書き直しました。
ごめんなさい。


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考えを改める件

独自設定などについて、とりあえず自分の考えのもと進めてみます。
見るに耐えなかったらご報告ください。


色欲者で敵のエネルギーを見る。

 

妖気量の差からも感じていたように、実力は相当離れているらしい。

それに大賢者に内包されているスキル、思考加速が働いているのか、随分と鈍い動きでこっちに向かって来ていた。

 

普通はこれほど実力差が離れていると襲って来なさそうなものだが、妖気や魔素などの、体外に放出されるものを全て捕食者で隠しているのだから、俺の実力を正確に測ることが出来なかったのだろう。

 

確かに、日頃から妖気や魔素を垂れ流しているのはどうかと思うが、完全に抑えていると、こうして俺を弱いと判断したやつが襲ってくる可能性もあるのか。

それに、リムルから聞いた話によると、ある程度の力の持った者が垂れ流しにしているだけで、攻撃にもなるようだ。

勿論、実力差がかなりないと威圧ぐらいにしかならないらしいが、それでも十分使いようがある。

 

臨機応変に。

垂れ流す時と垂れ流さない時を使い分けよう。

 

 

そんなことを考えている間に、赤いアリとの距離はかなり近づいていた。

そろそろなんらかのアクションを起こさないと、アリに付いている鋭い歯に真っ二つにされるだろう。

 

ただ、スキルの確認すらしていない俺は、自分にどんなことが出来るか、なんて理解していない。

スキル名だけである程度効果が分かるものもあったが、本当にその通りの効果なのか、という疑問もある。

 

が、とりあえず、この状況で使えそうなスキルを使ってみるしかないだろう。

 

アリとの距離は、もう10mもない。

思考加速のおかげでゆっくりと迫ってくるそいつは、近くでみるとなかなか威圧感がある。

 

「融合、そして範囲結界!」

逃げそうになる身体を抑え、即席で考えた攻撃を防ぐ方法を行う。

 

 

進化をしたことにより、変質者の制限が完全に取れた。

ということは、一体だけしか融合できないという制限は、既にない。

 

何体まで融合できるか、というのは確認出来ていないが、わざわざ一体だけしか融合出来ないという制限がある以上、本来の変質者は少なくとも二体融合できる、と考えるのが自然だろう。

 

そこでさらに融合したのは、炎巨人。

つまり、イフリートという精霊だ。

リムルから聞いた話によると、相当手強かったらしい。

熱変動への耐性を取得していたおかげで勝てた、と言っていた。

 

そんな精霊と、元々融合していた黒狼の力を得た俺。

名付けるなら赤狼だろうか。

髪も瞳も真っ赤に染まった俺は、炎巨人が持っていたスキル、範囲結界を発動させた。

 

それにより閉じ込められたアリの歯は、俺の目の前で甲高い音を立てて止まった。

 

 

…こっええええええ!

目の前でギイギイと動く歯、具体的な恐怖を感じて、思考が冷静になったのか、数々の疑問が浮かんだ。

 

結界の強度は?

発動にかかる時間は?

まず、ちゃんと発動できるのか?

突然始まってしまった戦闘で、仕方なかったといえばそれで終わりだが、それでも別のやり方があったんじゃないか?

ただ、スキルを使ってみたい、という欲求に従っただけなんじゃないか?

 

なんの確認もせずに使ったスキル、範囲結界。

たまたま、目の前のアリの攻撃を完全に防げる強度で。

たまたま、ノータイムで発動出来て。

たまたま、しっかりと攻撃が届く前に発動出来た。

 

つまり、偶然。

もし発動出来なかったら、身体の強度がわからないためはっきり言えないが、死んでいた可能性もある。

 

まあ、スライムの説明を聞く限り、切られても再生するみたいだが…

 

 

それでも少なからずダメージを受けていた可能性がある。

ちょっと異世界に来て、テンションが上がっていたのかもしれない。

それに、初戦闘だぁ!と喜ぶのも、この世界をどこかゲームのように感じているからだろう。

 

今はまだ、言っちゃ悪いが雑魚敵相手だ。

少し調子に乗っている程度じゃ負けることもないだろう。

 

しかしこれからは違う。

 

リムル・テンペスト。

話を聞く限りじゃ、ここ数十日で急速な成長を続けている。

彼が率いる組織も同様に、急速な拡大を見せてる。

 

そのリムルの親友と、認めてもらったんだ。

そして恩を返すまで、俺はリムルの元を離れるつもりはない。

 

これからも、彼は急速な成長を続けていくだろう。

出る杭は打たれる、というべきか。

成長すれば、立ちはだかる者が必ず出てくる。

 

その杭、つまり俺らを打ってくるハンマーは、目の前にいる雑魚敵なんかじゃない。

きっと、もっと強大な、それも今の俺やリムルでは、到底太刀打ち出来ないような、そんな猛者達かもしれない。

 

そんな時に、今の心理状況のまま、自分の身を、そしてリムルとその仲間達を守れるだろうか。

 

きっと無理だろう、偶然手に入れた力で酔っているような俺のままでは。

 

 

少し、考え方を改めないといけないかもな。

 

その為にも、まず、目の前のアリにはスキルを把握する、実験台にでもなってもらおうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




更新遅れてすいません…
普通に眠かったのと、課題を終わらせてました。

また何か問題点や矛盾点があれば教えてくださると幸いです。

ちなみに、範囲結界ですが、融合していなくても使えます。
ただ、それがまだわかっていない主人公は、融合した上で使っています。


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スキルを検証した件

今回は結構早く投稿できたんじゃないでしょうか!

ちょっとトラブルもありましたが、書けました。
何か問題点があればご報告ください。
出来る限り対応します。


さて、と。

 

現状で問題なく発動出来ているスキルを挙げる。

捕食者、大賢者、変質者に色欲者のエネルギーを見る力、範囲結界、超嗅覚ぐらいだろうか。

 

次に、相手がいないと使用できないスキルを挙げていこう。

嫉妬者、自愛者、嫉妬者の即死攻撃、威圧、麻痺吐息、毒霧吐息、超音波、吸血、ぐらいだろうか。

 

まずは。

「嫉妬者、発動!」

 

必要かどうかはわからないが、そんな掛け声とともにスキルを発動させる。

嫉妬者は、相手からエネルギーを時間経過で奪っていくスキルだ。

早いうちに発動しておいて、損はないだろう。

 

すると、色欲者のスキルで見えていたエネルギーが、目に見えるスピードで俺に移っていっている。

相手が弱い上に、エネルギーの総量が少ないからだろう。

リムルやヴェルドラなどの強者に対して使った場合、こんなゴリゴリ削らないはずだ。

 

しかし、思っていたよりスキルが高性能だったため、時間をかけると敵のエネルギーが全てなくなってしまいそうだ。

 

そう考えた俺は、赤狼に融合しているのも含め、上昇している運動能力を活かし、アリを覆うように展開した範囲結界の上へ、思いっきり飛んだ。

 

上がった体は、範囲結界の上部のさらに上へ。

そして、重力の影響を受け、落下する。

 

真下には俺が展開した範囲結界。

当たりそうになった瞬間、その部分の結界を解除し、上からアリに迫る。

 

次発動するスキルは…

 

「威圧!」

また、掛け声と共に発動させる。

そうすると、俺に向かって我こそが強者、と訴えかけるように、躊躇いもなく襲いかかってきたアリは、明らかに萎縮してしまっていた。

 

エネルギーを奪われている上に、実力差がある個体からの威圧。

仕方ないと言えば仕方ないが、ここまでビビられると少し可哀想になってくる。

 

が、それとこれとは話が別。

まだ空中に浮いている身体を少し仰け反らせ、息を思いっきり吸う。

その状態で炎巨人の融合を解き、新たな魔物と融合。

 

そして。

(麻痺吐息!)

 

口が使えないので、代わりに心の中で叫んで、スキルを発動。

 

そう、新しく融合した魔物は、エビルムカデと呼ばれる、大きいムカデの魔物だ。

そいつが持っているスキル、麻痺吐息を融合することにより発動させた。

 

口から吐き出された薄黄色の煙は、瞬く間に広がり、範囲結界の中を埋め尽くした。

 

麻痺耐性を持っている俺には効かないだろうから大丈夫だと思う。

 

が、そんなことより重要なことが起きた。

それは…

 

口の両端から生えている赤黒い虫のような牙。

そして鎧のように体を覆う、これまた赤黒い甲殻。

 

そう、よくよく考えれば、黒狼と融合したら、耳と尻尾が生えたんだ。

虫系の魔物と融合したら、虫の特徴が現れるわけで…

 

 

すぐさまエビルムカデとの融合を解いた。

そしてこの融合は、必要にならない限り使うことはないだろう。

 

 

トスッ、と軽やかな音を立てて地面に着地しながら、そんなことを考える。

周りは先程放った麻痺吐息の影響で薄黄色の霧に包まれていて、アリの姿を確認できない。

 

思いっきりスキルを発動させた影響もあるだろうが、周りを見えなくなる、という意味でもあまり使いたくないな、これは。

それに麻痺吐息特有の匂いのせいで、黒狼の超嗅覚も役に立たない。

 

周りの確認がしにくいという意味でも、解決策が見つからない限り封印かなぁ。

 

と、そうしているうちに晴れた麻痺吐息の向こう側には、麻痺にかかったのだろう、ピクピクと痙攣しているアリの姿があった。

どこか目も虚ろになっている。

 

 

うーん、この状態の相手に実験する気は起きないな。

最後にこのスキルを使って、終了にしよう。

 

「色欲者!」

このタイミングで使う色欲者のスキル。

それは勿論即死攻撃だ。

 

発動させた瞬間、何の音も立てずに、目に写っていたエネルギーが消えた。

つまり、死んだということだ。

 

それと同時に、自愛者のスキルが自動で発動したのを感じた。

その証拠に、魔素や妖気が増えたのも感じる。

 

 

…この世界に来て、初めて命を奪った。

元の世界では、勿論奪ったことがある。

間接的に奪った命も含めれば、数えるのも億劫なほど奪っていることだろう。

 

しかし、それでもこれほどの大きな生物を、意図的に殺したのは初めてだ。

 

別に偽善者ぶるつもりはない。

襲って来たのは向こうだし、自業自得といえばそれまで。

ただ、初めての経験で少しだけ衝撃を受けた。

 

 

今日は、一度ヴェルドラが封印されていた洞窟まで行ったら引き上げよう。

十分検証はできたし、これ以上無理して何か取り返しのつかないことが起こってしまっては馬鹿らしい。

 

倒れたアリに近づき、手を添える。

命を奪ったものの責任だ。

思いっきり有効活用させてもらおう。

 

人への擬態と黒狼との融合を解除して、スライム状態に戻り、アリを捕食。

 

そういえばスライム状態になったのは初めてだな、なんて思いつつ、大きなアリを胃袋に収めた。

解析は大賢者に任せる。

 

 

完全に捕食を終えた俺は、もう一度人へ擬態し、範囲結界を解く。

そうすれば残るのは、俺だけだ。

 

 

よし、ラストスパート。

あとは洞窟まで行って、それで今日は終了だ!

 

気合いを入れ直し、洞窟に向かってまた走り出す。

 

もう今日は戦うのはごめんだ。

完全に捕食していたエネルギーを体外に放出したままにし、進んでいく。

そうすると、それが功を成したのか、誰も襲ってくることがなかった。

 

 

そして、もうすぐ洞窟、そんな時。

 

「グ、っ誰だ!追っ手か?」

 

そんな声をはじめとし、次々と焦ったような声が聞こえた。

 

 

おっと、厄介ごとの匂いがするぜ。

 

そんな風にカッコつけてみたって厄介ごとはどこかへ行ってくれない。

はぁ、とため息を吐いて現状の確認に移った。

 

 




ちょっと最後らへん無理矢理感出ましたかね?

疲れてたんで思いっきり道中吹っ飛ばしちゃいましたw

吹っ飛ばしてんじゃねぇよっ!っていう意見があれば、詰めれるだけ詰めてみます。



それと、今見ていた作品が面白かったので、初めて評価をつけてみよう、と思ったのですがつけ方が分からないですw
誰か教えてくださいませ


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鬼と戦いになった件

連投ー!

原作版だと、主人公とオーガ達は戦ってないはずです。
確か怪我したオーガを治療して、信頼を得た後に村に連れて行った、という流れだったと思います。
なので主人公にぶつけてそのまま村まで連れて行ったら結果的には同じかなぁという感じ。




 

声がした方に視界を向けてみると、そこにはあの有名な、鬼のような者達がいた。

 

その数7。

鬼達の声から察せられることはというと、若様と姫様と呼ばれている人達が一番偉いらしい。

そして邪悪な魔人がいるとのこと。

 

装備はボロボロとはいえ、身長は2mを超え、体から溢れ出ている妖気は俺には及ばないものの、先程のアリとはレベルが違う。

そんなやつらが邪悪な魔人と呼び、警戒するやつだ。

よほどの大物なのだろう。

 

ここは鬼達をできる事なら誘導して、一緒に逃げた方がいいか。

 

なんて考えていると、どうも鬼達の視線はこちらを向いている。

俺の後ろにいるのかな、と思い振り返って見ても、その視界に広がるのは樹海のみ。

 

もう一度前を見る。

そこには各々が自分の武器を持ち、こちらを睨んでいる。

 

よくよく考えれば、妖気などのエネルギーを完全に垂れ流している俺は、鬼達にとって、だいぶ脅威として感じられるだろう。

 

そして俺は戦いたくないという理由で垂れ流したまんま。

 

あーつまり、邪悪な魔人っていうのは、おそらく俺のことだろうなぁ。

 

そんなことを遠い目をして思いながら、どうするかを思案する。

とりあえず弁明、か。

 

「えっと、意思疎通は可能だろ?なら俺の話を聞いてほしい」

「黙れ邪悪な魔人め!騙されるものか!我らの里にオークを差し向けた魔人の仲間だろう!」

 

完全に頭に血がのぼっている、若様と呼ばれていた鬼は、吠えるように俺へ言葉を吐いた。

 

おそらく、彼らの里は滅ぼされてしまったのだろう。

魔人が差し向けたオーク達によって。

そして、自分達より多い妖気の保有者が、それを隠すことなくかなりのスピードで走ってきた。

そりゃ、勘違いもするわ。

 

完全に運がなかった。

そして、弁明出来るような状態でもない。

戦闘は避けられないだろう。

 

 

逃げるか?

そんな問いかけを自分にし、即首を振る。

ここで逃げたら、邪悪な魔人だということを否定出来ないまま、その認識が固まってしまう。

 

別に俺自身がどう思われようと好きにすればいいが、問題なのが俺の姿がリムルにそっくりだということ。

進化をしたことで何か変わったかもしれないが、何もいじっていない分身体に憑依したことで、見た目がほぼ同じだと言っても過言ではない。

つまり、この鬼達に、リムルが邪悪な魔人だと勘違いされる可能性もある。

その場合、リムルに迷惑がかかってしまうし、その上俺の妖気を目にしても刃を向けて来る奴らだ。

ある程度実力があることは確かだろう。

そんな連中にリムルが狙われる、となると、リムルなら返り討ちにできるが、その配下のホブゴブリン達は成すすべもなく蹂躙される可能性が高い。

 

 

なんとか話を聞いてもらうしかなさそうだ。

ある程度痛い目にあってもらってでも。

 

正直、今日はもう疲れたんだけどなぁ。

それに、相手は7人。

無事に勝てるかどうか…

 

 

「逃げるなら今のうちだぞ?勿論ただでは逃さんがな!」

そう言って笑う若様とやらは、手に持っている刀を上段に振り上げ、俺に向かって走ってきた。

 

相手は戦う気満々、そして回避する方法は、今のところない。

仕方ない、か。

 

 

俺の元へとたどり着いた若様と呼ばれる鬼は、振り上げていた刀をそれなりの速度で俺に振り下ろす。

それをバックステップで躱した俺は、嫉妬者のスキルを素早く発動させながら、敵が使っている武器を確認する。

 

目の前の鬼は刀。そして奥にいるお年寄りの鬼さんと青色の髪の毛の鬼も刀だろう。

一番大柄な鬼は木製のハンマー。

お胸の大きな紫色の髪の毛の鬼はモーニングスターというロマン武器。

最後に緑色の髪の毛の鬼と桃色の髪の毛の鬼はなんも持っていない、が桃色は手に青色の炎が灯っている。

あれは…?

 

手に灯っている青色の炎に一瞬戸惑いを見せた瞬間、桃色な鬼はその炎をこちらに向けるように手を伸ばした。

その行動に疑問を覚える間も無く、その炎がかなりの速度で俺目掛けて飛んできた。

 

「魔法かっ!」

飛んできた炎を思いっきり身体を逸らし、回避。

バク転の要領で態勢を立て直す。

そこに息つく暇もなく、隠密のように気配を消して近寄っていた青色の鬼が横から俺を刺すように刀を放った。

 

それをさらにバックステップを行うことで躱し、完全に身体の側面を晒した青色の鬼の横腹に向かって、思いっきり殴ってやった。

態勢が整っていなくて力がこもっていなかったが、それでも身体能力の差か、若様と呼ばれる鬼のところまで青色の鬼は吹き飛んでいく。

 

 

やっべぇ。

さっきのアリとは全然違う。

バク転で躱すというのも咄嗟に思いついた方法、しかも上昇していた身体能力のお陰で出来たものだ。

 

桃色の遠距離。

若様の近距離に、隙をつくような青色の攻撃。

 

3人だけでもなかなか厄介だ。

それなのにあと4人もいる。

今はなんの動きも見せていないが、タイミングさえあれば容赦のかけらもなく攻めてくるだろう。

 

 

こんな状態なら逃げても許されるかなぁ。

なんて虚ろな目で考えながら、逃げてリムル達に迷惑かけることなんて出来るはずもなく、大人しく解決策を考える。

 

意思疎通が出来て、おそらく何かの勘違いで今争っている。

それなのに殺すのは、良心的にNG。

大人しくさせてから、なんとか話を聞いてもらうしかないだろう。

 

一番簡単に思いつく方法。

それは先程もやった範囲結界で鬼達を囲い、麻痺吐息を吹きかける方法。

虫系と融合しなければならないが、贅沢を言っている場合でもない。

 

若干憂鬱になりつつ、デビルムカデとの融合を開始。

俺の突然の変化に驚いている鬼達を、その隙に発動させた範囲結界でぐるっと囲んだ。

ただ、麻痺吐息を吹き付けやすいように、上空には展開していない。

 

そこからは先程の戦闘と同じ。

思いっきりジャンプし、落下中に麻痺吐息をこれまた思いっきり吹きかける。

 

アリの時よりも気合いを入れて吐いた麻痺吐息。

これで一件落着、そう思ったその時、麻痺吐息によって発生した煙が、何かに吹き飛ばされるように上空に飛ばされていく。

 

煙が晴れた先には、吹き飛ばされる前に当たったのだろう。

図体のでかい鬼、青色の鬼、紫色の鬼は、地面に伏している。

しかし、それ以外の鬼は無事だったようだ。

 

原因は、緑色の鬼だろう。

両手を上空に向けているそいつの手から風が発生し、麻痺吐息を吹き飛ばしていた。

おそらく魔法だろう。

桃色の鬼が火属性だとしたら、緑色は風属性か。

 

虫と融合してまで行使した麻痺吐息。

3体の無力化には成功したものの、まだ4体も残っている。

しかも麻痺吐息という唯一無力化出来る能力は緑色の鬼に対策され、確認できているスキルで攻撃技は、色欲者の即死攻撃ぐらいだ。

 

これは本格的にやばいかもな。

スキルの確認をまだ出来ていない、ということが、大きく響いている。

 

ぶっつけ本番でスキルを使うしかないか、と思っていたら、あることに気づいた。

色欲者で見えている鬼達のエネルギーが、もうほとんどないのだ。

鬼達の顔を伺えば、だいぶ消耗しているのがわかる。

 

オークに里を襲われ、命からがら逃げてきて、その上俺との戦闘。

しかも俺は時間経過すればするほど、相手からエネルギーを奪うことが出来る能力持ち。

鬼達はもう限界なのかもしれない。

それでも目から戦意が消えていないのは、誇り故か。

 

 

…ちょっと、見直した。

最初襲い掛かられた時は、正直勝手に勘違いして襲いかかるとか、キチガイかよ、と冗談半分に思っていたものだが、そうやって疑わなければならないほど追い詰められていたのだろう。

それに、ただそんな状況でも、誰一人として逃げなかった。

そして、今もこうして立ち向かおうとしている。

 

なんていうか、こう、カッコいい、というのかね。

アニメでいう、強力な悪役を前にした主人公を見ている感覚。

まあ、その感覚で言ったら、俺は悪役になってしまうのだが…

 

と、そんなことを考えているうちに、残った4人の鬼達は既にエネルギーのほとんどを奪い取られ、膝をついていた。

 

そんな鬼達へ、悠々と歩みを進め、若様を見下ろす形で前に立つ。

すると、膝をついていたお年寄りの鬼がフラフラではあるが、腰に差していた刀を抜き、俺に斬りかかってきた。

もちろん、剣速なんてあってないようなもの。

前世の俺でも躱せたであろうその刀を、あえて若様を見つめたまま、刀の腹を思いっきり叩き、へし折る。

 

「俺の勝ち、だよな?」

自身の勝利を宣言した俺を、まさに鬼のような形相で睨みつけ、立とうとし、途中で力尽きたのか、そのまま俺にもたれかかるような形で倒れてきた。

それをうまく抱きとめ、ゆっくりと地面に寝かせてやる。

 

「安心しろ。悪いようにはしないさ」

そう言った俺は鬼達に笑いかける。

もちろん信じてはくれないだろうが、言っておいた方が安心して眠れるだろう。

 

その言葉を告げると同時に、全ての鬼が気を失った。

まるでさっきまでの戦いが嘘だったかのように、周り一面静寂が包んでいる。

聞こえるのは風が木を揺らし、擦れる葉っぱの音ぐらいだ。

 

戦いの連続で、精神的に疲れたのもあるのか、しばらくこの静けさに浸っていたい気持ちになるが、すぐ帰らないとそろそろリグルドが心配するかもしれない。

目的の洞窟周辺までは行けたんだ、村に帰ろう。

 

 

しかし…とあたり周辺に散らばっている鬼達に目を向ける。

考えていることはただ一つ、どう村まで運ぼうか、だ。

完全に気を失ってしまったこいつらの回復を待っていたら、それこそいつ帰れるかわからない。

しかし、運ぶ方法がないのだ。

いや、正確には一つある、がとても手荒な方法である。

 

気を失って、どう運ばれたか、なんて分からないのだ。

もうその方法で構わないだろう。

 

突然襲われた恨みを晴らす意味合いがないといえば嘘になるが…

 

 

そう考えた俺は、またスライム状態に戻り、鬼達に近づいていく。

そして。

 

「捕食!」

ほい、ほい、と流れ作業のように全ての鬼を胃袋に仕舞う。

食べたわけではなく、ただ仕舞っているだけだ。

こうして胃袋に入れておけば、俺一人で帰るのと、なんら変わりはない。

 

 

「やっと帰宅だー!」

手を思いっきり上に伸ばし、伸びをしながら、いい笑顔で叫ぶ。

流石に肉体的には疲れないスライムボディとはいえ、精神的な疲れはある。

課題を全てやり終えたような、晴れ晴れとした気分で俺は帰路についた。

 

 




オリキャラっていうんでしょうか?
あの緑色の髪の毛の子です。
容姿は次の話にでも。

それと主人公がオーガを鬼と言っているのは、種族の知識がないからです。
リムルと2km以上離れてしまった主人公は、大賢者と話すことができません。
そのため、オーガだということがわかりませんでした。

眠いので寝ます。
またなんか変なところあればご指摘ください


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