ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない (カツヲ武士)
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ダンジョンにこだわらないのは間違っているかもしれない

なんとなく思い浮かんだ
ダンマチの世界

練習用?
たぶん続かない。

広い心で流し読み
してみてください。


「ここか?ここは

迷宮都市オラリオ郊外だ。」

 

『は、はぁ』

 

「それで、オラリオってのはな

バベルとか呼ばれてる塔の下に

有る、ダンジョンと呼ばれる

洞窟?建造物?から排出される

魔石やらドロップアイテムやらを

加工して最新の技術を何やら

して栄えてる街だな」

 

『それはまぁ、知ってるけど』

 

説明をしている十代後半と思われる

少年を見ながら、

正座をしてその説明を聞きながら

少女は一つのことをずっと考えていた

 

すなわち

 

どうしてこうなった?

 

である。

 

いや、自分でも分かってはいるのだ。

待ちに待った抽選に当たり、

ようやく下界に降りてきて

テンションが天元突破してしまい、

ギルドの連中の説明を聞かずに気が

向くままに外に飛び出したのが

全ての原因だ。

 

右も左もわからず、現地の通貨も

持たず。気が付いたら訳のわからない

林の中に居た。

 

誰がどうみても迷子である。

ありがとうございました。

 

さすがにコレで餓死なんかしたら、

いくらなんでも惨めすぎる

 

天界で順番待ちしてる連中に

指を指されて笑われる事を想像し

諦めかけた心を奮い立たせ、

林の中をさ迷った挙げ句に野菜畑を

見つけたのだ。

その奇跡を喜び、トマトを手に取った

瞬間に捕まってこの有り様である。

 

「そうか、それ以上の説明の

しようがないからな。

とりあえず聞きたいことが

あったら聞いてくれ。

答えられることには答えよう」

 

少なくとも男は嘘を言っていない。

神としての力は使えないが、

嘘を見抜けるのはこう言うとき

スゴク・助かる。

 

『えっと、ここで何を?』

 

「農作業だな」

 

お言葉に甘えて聞いてみたら、

なんだか凄く想定外な返答が

返ってきたぞ?

 

『いや、ダンジョンは?』

 

ここって迷宮都市じゃないの?

 

「ダンジョンで農作業できんのか?」

 

『・・・知らないわね』

 

農作業から離れる気は無いの?

 

「出来るかわからんことをするのも楽しいが

そう言うのは余裕が有るヤツがやるもんだ」

 

『なるほどなー』

 

ソレはそうよね。明日をも知れない

浮浪者がギャンブルなんかしちゃダメよね

 

「理解したところで食事だ。

とりあえず今日の飯を作るから

お前も手伝え」

 

『えっ?私、神様なんだけど』

 

敬うとかないの?

 

「そうか。飯はいらんか」

 

『要るっ!』

 

なんだかんだで下界に降りてきてから

一食も食べてないし!

トマトも食べる前に捕まったしっ!

 

私、お腹がすきましたっ

 

「なら手伝え。それがお前らの

ルールなんだろ?」

 

『くっ!この卑怯モノめっ!』

 

ルールを盾に神を働かせる

なんてっ!なんて外道なのっ?!

 

「最高の誉め言葉だな

お礼にピーマンをやろう」

 

『生?!せめて焼いてよ!』

 

しかも斬ってすらいないって

私を馬か何かと勘違いしてない?!

 

「働かないヤツに贅沢を抜かす

資格など無い」

 

『わかった!手伝う!手伝うからっ!』

 

「いや、別に無理しなくても」

 

『お願いしますっ。

手伝わせてください!』

 

なんて屈辱っ

けど食べたいっ!

 

「ふむ、良かろう。

ならばこの皿を運ぶがよい」

 

『ハイっ!』

 

ふっふっふっ。覚えていなさい?

きっちり働いてご飯は頂きよっ!

 

「茶と酒はどっちがいい?」

 

『お茶で!』

 

ふっふっふっ。私にお茶を出すなんてね

私はお茶にはうるさいわよ?

 

「そうか、茶が欲しいか!

ならばくれてやろうっ!」

 

『い、いきなりテンション上がった?!』

 

何?何か企んでるの?!

 

「ふふふ、さぁこの

メニューから選ぶが良い」

 

『多っ!お茶の種類多っ?!』

 

こいつ、絶対私よりお茶に

うるさいぞ!

 

「植物との親和性が高いようでな。

中々良い出来だ」

 

『えっと、アナタはエルフだよね?』

 

見た感じだと微妙だけど

ハイエルフではないよね?

 

「正確にはハーフエルフだな。

ハイエルフだの普通のエルフだのより

寿命は短いらしいがそれで十分。

大体千年生きてもなぁ」

 

『珍しくない?普通は不老不死とか

目指すもんじゃないの?』

 

「お前達はソレで満足出来たか?」

 

『あぁ~確かに』

 

満足出来てたら下界になんて

来ないよね。

 

「それでも限りが有るから、その分必死で

生きるんだ。ソレが成長を産む」

 

『なるほど。随分達観してる

けど、何歳?』

 

見た目じゃわかんないけど

明らかに十代じゃないよね?

 

「おいおい、他人に歳を聞くのは

シツレイじゃないか?」

 

『いや、アンタ別に淑女とかじゃ

無いでしょ』

 

「男女差別はいかんな。

あまりの悲しさに手の震えが止まらん。

このままではお前のポテトサラダに

ジャガイモの芽を入れてしまう」

 

『殺す気かっ?!』

 

自然に毒殺する気かっ?!

 

「いや神様だし、アレルギーとか

毒がどうなるか・・・気になるやん?」

 

『死ぬから!アレルギーはともかく、

毒は死ぬからっ!』

 

「呼吸の問題か?内臓の反応は?

てめえらの血は何色だ?!」

 

『何でいきなり興奮してんの?!』

 

とりあえず包丁をしまってよっ!

 

「いや、よく考えたらな」

 

『な、何よ?』

 

「お前って野菜泥棒やん?」

 

『うっ?!』

 

「不法侵入やん?」

 

『うっ?!』

 

「分解しても良いカナ、カナ?」

 

『良いわけ無いでしょ?!』

 

「いや、落ち着け」

 

『落ち着けるかっ!』

 

何でいきなり分解されなきゃ

いけないのよっ!

 

「君の犠牲が明日の神様を

救うことに・・・」

 

『マッドなヤツの典型じゃない?!』

 

「アレも嫌、コレも嫌で渡って行ける

ほど、世の中は甘くないぞ?」

 

『アンタは辛すぎなのよっ!』

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

もうっ!何よコイツっ!

私をバラす気満々じゃない?!

 

ようやく抽選にあたって急いで

地上に降りてきて、物珍しさに

ウロついてたら迷子になって、

お腹が空いたからって野菜畑に

入ったのが間違いだった!

 

土地は綺麗だし、野菜も瑞々しい。

てっきり心が綺麗な子供が運営

してるって思ったのにっ!

 

「いや、丹精込めて作ってるからこそ

野菜泥棒が許せんのだろうが」

 

『ごもっともだけど、神様の心を

読まないでくれるかな?!』

 

どうなってるのよ?

普通逆でしょ?!

直接脳内に話し掛けてくるんじゃ

無いでしょうね?!

 

(ファミチキください)

 

『無いわよっ!』

 

 

―――――――――――――――――

 

 

まったく、野菜畑に侵入者と思って

来てみたら、まさか神とはな。

神には石兵八陣は効かんのか?

 

それとも偶然突破した?

 

勘で偶然突破出来るなら

神には効かんと言うことになるが

コイツ以外の神にはまだ会った事

ないんだよなぁ。

 

しかしコイツをどうするか。

このまま帰すのは当然無しだ。

 

秘境を見つけたなんて広まったら

余計な神が関わって来るのは間違いない。

 

誰にも喋らないなんて約束させる

くらいなら殺したほうが早いし

確実だ。

 

ならバラしたらどうなる?

 

・・・特に問題ないよな?

天界は席が一つ空いたって

喜ぶし、地上の神だって初日か

そのくらいで天界へ送還された

ヤツがいるってネタにして喜ぶだろ?

 

問題はギルドの連中くらいだが

アイツらってドコで神が死んだか

とか、全部わかるのかねぇ?

 

ソレを試す意味でもここは一つ

 

「・・・殺るか」

 

『待ったぁぁぁぁ!』

 

コイツ、間違いなく私を殺す気

だったわよね?!

いや、確かに不法侵入の野菜泥棒だけど、

サツバツし過ぎじゃないかしら?!

 

「いや、普通に殺されても文句が

言えない案件だな。

スラムや、ダイダロス通りに

居る子供たちを・・・あぁ

まだ来たばかりだから知らんか」

 

『だから心を読むなっ!』

 

突っ込むのはそこじゃないと

思うんだがなぁ。

これだから神って連中は嫌いなんだ。

 

「とりあえず下界では盗難と

不法侵入はサツガイされても

文句は言えない案件だぞ。

ソレは覚えておけ」

 

『・・・嘘は言ってないわね』

 

「常識だ。嘘をつくようなこと

でも無いだろ?」

 

常識か・・・確かに冒険者とかに

不法侵入を許してたら命がいくつ

有っても足りないし、食べ物だって

有限で決して無料じゃ無いもの。

殺されることだってあるよね。

 

「納得したか?」

 

まったく、コレだから神って

ヤツは・・・

 

『納得はしたけど。ソレが神体実験を

許す名目になると思うなっ!』

 

コイツは殺ると言ったら必ず殺るっ!

何とかして逃げ出さないとっ

 

「断る権限が有るとでも?

神の力を使ったら強制送還だろ?」

 

ぐぬぬっ!

確かに今の私は可愛いだけの女神

にすぎないわっ!

 

「うぬぼれんな」

 

だから心をっ!もういいっ諦めたっ!

 

「そうか、やっとか。

君の犠牲が明日の・・・」

 

『そっちじゃねーよっ!』

 

ちっ諦めが悪いヤツだな。

しかし神。神か。

たしかミアハは薬を使うし

フレイヤは男を漁るし

ヘファイストスは鍛冶が出来て

ソーマは酒造りが出来るよな

 

「なぁ神よ」

 

『な、何よ急に?!』

 

「いや。アンタって何か出来る

ことってあんのかなって」

 

『・・・神の力無しでってことよね?』

 

「そうだ」

 

・・・何を企んでる?いや、企みはわかる。

私を働かせる気よね。うん、下界に降りたら

働くのは当然らしいから

ソレは良いんだけど、

問題は何をさせる気かってことよね。

まぁ何が出来るか聞いてくる

くらいだから、体目当てでは無い。

 

まぁ、別の意味で体を狙われては

居るけど・・・

いやいやソレなら出来ることなんか

聞かないんだってば。

普通に考えたら労働力としての価値よね。

 

・・・アレっ?実際今の私って

何が出来るのかしら?

 

「なんだ、役立たずか?」

 

『ボソッと怖いこと言わないでよっ』

 

いま、まて、落ち着け私っ!

基本的に神の力が無くても

技能が失われる訳じゃない。

そう、技能よ、技能!・・・技能?

 

『「・・・」』

 

冷や汗を流す女神とソレを見つめる男。

一体どれくらいの時間が流れただろう。

静寂を破ったのはやはりと言うか、

男であった。

おもむろに包丁を掴み、せめて痛みが

無いようにと急所を一撃で」

 

『勘弁してくださいっ!』

 

声に出された部分が怖すぎるっ!

 

 

ちっ!土下座されてしまったか。

土下座をしている相手を殺るのは

シツレイだからな。

さすがの俺にも出来ん。

 

「仕方ねぇな。ちなみに名前は?」

 

とりあえず来たばかりみたいだからな、

知ってる名前ならそこから推察してやるさ

 

『あら?神に名前を聞くなら先に

名乗るのが礼儀じゃない?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれぇ?なんか、空気が・・・

 

「・・・そうか。ソレがお前の選択か

野菜泥棒。よくわかった。」

 

えっ?マジ切れしてるっ?

 

「これからは質問じゃねぇ尋問だ。

言いたくなったら言え。

少なくとも二時間は発言させんがな」

 

『すみませんっ調子に乗ってましたっ!』

 

「残念。手遅れだ」

 

『いや、ちょっと。マジ怖いっ!

そのポーションは何?えっ本気?

すんません、ほんっとごめんなさいっ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アッーーー―――――――!』

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

これはオラリオ近郊に住んでるだけで

別に英雄を目指してるわけじゃない男と、

刺激を求めて天界から降りてきたばかり

の女神が紡ぐ物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、こんな刺激はいらないからッ!

 

 




くっキャラがぶれるっ!


ワートリ?
連載再開しちゃったからなぁ。
どこまでネタを温存しよっかなぁ
とか考えてますよ?ってお話



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2話

あれ?続いた?

時系列的には原作2年くらい前です

オリ設定で
オリ展開はもはや常識

キャラと原作崩壊してますので
嫌いな人は読み飛ばし


彼は一言で言うなら怪しい男である。

怪しいから調べないといけないのである。

 

身長は180前後で体重は70前後。

ハーフエルフにしては珍しく、やや筋肉質。

少なくともレベルは四以上あるらしい。

そして優しい。

 

使う武器は剣か素手。

鍛治のスキルがあるらしく、手入れは

自分で行っている。

ただ、剣を抜いて戦うことはほとんどない。

抜いたらと思ったら相手が斬れてる

という不思議な光景は何度か目にしたが。

 

立ち振る舞いに隙は無く

礼儀や作法にはうるさいところがある

けど優しい。

 

武器以外の装備品もハンドメイドで

ポーションはミアハファミリアから

買っている。

 

基本的にデメテルファミリアと仲が良く

彼女らの畑に近付く不埒ものを片付けたり、

野菜や果物の品評などをしているとか。

羨ましい。

 

彼が作る野菜は確かに質が良いので、

ウチでも使用されている。なんでも

ミア母さんが彼の作る野菜やお茶を

仕入れるために頭を下げに行ったらしい。

 

一週間のうち、三日はダンジョンに潜り

鍛練と採掘をしているようだ。

到達階は不明だが少なくとも37階

までは到達している。

基本的にパーティーは組まず、

普段はソーマファミリアの小娘・・・

リリルカとやらをサポーターとして

連れて行ってる。

彼はサポーターにも差別しない人格者で、

装備品を作って上げたりレベルアップに

必要な知識や技術を教えてあげたりして

るので先生とか呼ばれてるようだ。

 

つまりは二人きりで色々してる。

・・・くそっ羨ましい」

 

 

「・・・リュー、心の声が漏れてるよ?」

 

「仕方ないにゃ、基本的にヤツはウチ

じゃご飯を食べないにゃ」

 

「そりゃそうだにゃ。自分達で野菜とか

作ってたら、自炊するにゃ」

 

「何を言ってるのかはわかりませんが

私はただ怪しい男が作った農作物を

お客様の口に入れるのはどうかと

考えてるわけでしてだからこそ彼の

ファミリアの拠点を探すべきだと

思ってるだけですよ決して普段

どんな生活をしてるのかとかどんな

顔して寝てるのかとかどんな本が好き

なのかとかファミリアの神様はどんな

神なのかとかお部屋は綺麗なのかとか

汚かったら掃除しにいかなきゃなとか

かのじょとかいたらどうしようとか

どうやったら自然に会えるのかとか

リリルカの邪魔なしで探索に付き合え

たらいいなとか探索じゃなくても買い物

に付き合ってもらえるだけでも良いのに

なんて思ってるわけではありません」

 

「そ、そうなんだ」

 

「なんか目がぐるぐるしてるにゃ」

 

「コイツがこんなんだからココに

来ないんじゃないかにゃ?」

 

「何を言ってるかはしりませんが

彼が中々顔を見せないのはお店の

雰囲気が彼が好む雰囲気と違うからです

彼はウチのような賑やかな酒場よりも

静かな酒場が似合います一人でゆっくり

自分のペースで食事とお酒を楽しむのです。

まぁ流石にそんなお店に入れないリリルカが

ウチに連れて来てご飯を食べて行くときも

ありますがそんなときは思わず彼の迷惑を

考えろとか良くやったもっとやれと

言いたくなりますね」

 

「そ、そうなんだ」

 

「・・・途中から似合うとか似合わない

とかの話になってるにゃ」

 

「コイツ、絶対に追跡してるにゃ」

 

『あんたらサボってないで働きなっ!』

 

「「「「はいっ!」」」」

 

「(シル、そろそろヤバイにゃ

ヤツを探して連れてくるにゃ)」

 

「(う、うんそうだね。

今度バベルの前でリリルカさんを

見かけたら頼んでみるよ)」

 

「(はぁ、またサービスにゃ)」

 

「何をしてるんですか?

ミア母さんが呼んでます。

さっさと行きますよ」

 

「「お前が言うにゃっ!」」

 

「アハハ・・・」

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

はぁ、またあのエロフが発情ですか

正直言えばリリには関係無いですし、

先生にも迷惑をお掛けしますから

いい加減にして欲しいんですけどね。

 

とはいっても無視し続けると

それはそれで面倒なんですよねぇ。

街中で見つかったら殺気をぶつけ

られますし、さらにはダンジョンまで

ついて来ますからね。

 

ついてこられたら、なまじエロフのレベルが

高いから二人の世界みたいになっちゃい

ますし、私の鍛練の邪魔ですから適度な

ガス抜きはしないといけないんですけど、

その結果が望んでもいない酒場で無駄に

多いご飯でしょ?リリになんの得が

有るんですかって話ですよ。

 

いや、あそこのご飯は不味くはないですよ?

むしろ美味しいと思いますよ?

けど、基本的に先生はゆっくり味わいながら

食べる方ですし、拠点での神様とのお食事を

楽しんでるみたいですから、あんまり

外食にはお誘いしたく無いんですよね。

いや、まぁ、先生とご飯食べるのは

嬉しいんですけど。

どーせなら先生と同じファミリアに

入って拠点でゆっくりしたいですね。

 

・・・まだ拠点に招待してもらったこと

有りませんけど。

 

そうそう別のファミリアの人間を

拠点には招待出来ないのはわかるん

ですけどね。

 

でも、危ないところを助けて貰って、

カヌゥとかをどこかに

連れていって貰って、

レベルを上げて貰って、

専用の装備も作って貰って。

 

恩が溜まりすぎですよねぇ。

・・・リリも貰ってくれないかなぁ。

 

団長とかソーマ様がなんかうるさいけど

さっさと改宗したいんですよねぇ。

 

副団長とかファミリアの運営とかに

興味無いですし。

そもそも先生はお酒飲まないし。

無理に飲ませようとして矯正された

らしいじゃないですか。

 

ソーマ様に至っては先生が作った

お野菜が欲しいだけですよね?

リリが居なくなったら伝手がなく

なっちゃうから厚遇してくれてる

だけですよね?

 

あー改宗したーい。

親がソーマファミリアなだけで

リリが選んだわけじゃないんですけどー

だけど先生にご迷惑をかけるわけにも

いかないしなぁ。

 

ご迷惑と言えば・・・そろそろ装備品の

お金とかも払った方が良いですよね?

サポーターだったはずが、いつの間にか

レベル3の冒険者だし。

せめてメンテナンス代くらいは

支払わないとリリの中の何かが

無くなっちゃいます。

 

いやはやリリも変わりましたね。

冒険者なんかの世話になる気は

ありませんでしたが、堂々と

『農家で教育者だ』なんて言われて、

才能を見つけたら育てたくなるとか

言われたら断れませんよね。

 

えへへ

 

まぁリリはレベル3になっても

あの人のサポーターですから

副団長なんてなりませんよ。

 

「とりあえず改宗の話は良いので

リリの邪魔はしないで下さいよ。

そしたら何もしませんから」

 

『「あ、はい」』

 

「それでは今日は探索の日なので

行ってきます。

階層にもよりますが、たぶん戻りは

三日後ですので何か必要なモノが

有ったらメモを貰えますか?」

 

『あ、あぁ。ならばコレを頼む』

 

「わかりました。あと、先生に頼まれてた

調味酒って出来てますか?」

 

『うむ、酒としては熟成が足りんが

素材の味を引き立てるならこの方が

良かろう。だから後で・・・』

 

「はい、コレを使った料理がどんな

感じになるかちゃんと教えますよ」

 

『いや、私にも食べさせろよ?!』

 

「先生は飲食店に配慮してあんまり

他人にご飯を作りませんからね。

レシピ貰えたら良いんですが、調理

道具も独特ですから難しいんですよ」

 

『くそっ味見が出来んとそれに併せる

酒のイメージが湧かないじゃないか!』

 

「お酒が関わるとこんなに熱い神様

だったんですねぇ。

とりあえず行ってきます。

ザニスさんも悪巧みはほどほどに

してくださいね」

 

「あぁ、私も懲りた。お前が戻ったら

ダンジョンに潜るから早めに戻れよ」

 

「先生に言って下さいよー」

 

 

 

 

 

 

 

 

ソーマファミリアも変わりましたね

 

流石先生です

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

弁当持った。ポーション持った。

採取予定のリスト有る。

 

「とりあえず戻りは三日後の予定だ。

水やり、雑草の処理等の指示は頼む」

 

コイツがやる分には構わんが、

アイツらにはまだ指示を出さなきゃ

ならんからな。

 

『はーい。お土産はなんか予定有る?』

 

「ソーマに調味料に使える酒を開発

させたから、そろそろ出来ると思うぞ」

 

アイツもな。究極の酒がどうとか

言ってたが所詮は神。

酒で終わる食卓ってなんだよ?

 

食前に求められる酒と

食事に合わせた酒と

食後に飲む酒は違うだろうが。

 

調味料に使う酒が素材の味を殺して

どうするってんだ。農家なめんな。

あと茶を作れ茶を。

 

『ほほう、ヤツもようやく料理に合うお酒の

必要性を理解したのね?』

 

「理解させたんだ。あのアホ、視野が

狭すぎるんだよ」

 

『あ~まぁ趣味に没頭するのは

アンタも似たようなモンでしょ?』

 

何を言ってるんだコイツは?

俺は地に足をつけてるがヤツは

何時までも天界気分じゃねーか。

何が下界の作物でソーマを再現だ

下界でしか作れない、下界にしか

無い酒を作れや。まぁ、俺は飲まないけど。

だから茶を作れ茶を。

 

「少なくとも俺の趣味は他人に

迷惑はかけてないぞ」

 

リリルカみたいな有能な人材を

潰すような真似もしてないしな

 

『まぁ、お茶と農業だからね。

強いて言えば闇派閥だけど』

 

「悪党に人権はない」

 

『ごもっとも。更には神権も無かったわね』

 

「お陰でイロイロ知ることが出来たし、

貴重な素材が手に入ったじゃないか」

 

いやいや、魔物のドロップアイテムより

神のほうが美味しいな。

素材も装備品も神威が染み込んだ逸品で。

さらに神殺しは立派な偉業。

悪神なら何の問題も無い。

まさか基礎鍛錬と闇派閥の奴らを狩るだけで

レベルアップできるとは。

 

『まぁね。私もアイツらを許す気は

ないし。何でギルドが生かしてるかは

知らないけど私たちには関係ないわ。

とりあえず見つけたら処理をお願いね』

 

「はいよ。あとはアイツらには適当な

魔石があれば良いか」

 

『そうね。それと、とりあえず今は

あの子たちも楽しんで農作業してるから、

魔石が無くてもアンタが無事に帰って

来るのが、きっと一番のお土産になるわよ』

 

単身赴任のお父さんか。

まぁ、気楽で良いが。

あぁ一応念押ししとくか

 

「何度も言うが不審者や闇派閥とかを

見つけても手を出すなよ?

迷っただけの連中も無視するように。

ここを探るようなヤツを助ける必要は無い。

 

それに闇派閥の連中は衰弱しても一流の

冒険者だ。

必ず全員の首をはねて、死んだのを

確認してから回収するように」

 

『・・・えぇ、中途半端に情けを

かけたらどうなるかは、あのとき

知ったからね。

必ず殺すし、逃がしもしないわ』

 

「ソレで良い。んじゃ留守は任せた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えぇ、留守はこの

ベレト・イリーに任せなさい!』

 




どこぞのGなボッチさんとの違いは
キチンとコミュを築いてることと
お人好しでは無いということですね。

私の作品の主人公は正義の味方ではなく
やりたいことをしてるだけの外道ですってお話

過去に疾風さんと何かあった模様。


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3話

あれれ?続いてるぞ?

時系列がががが

オリ設定なんだよ
オリ展開なんだってば

嫌いな人は読んじゃ駄目だぞ


アイズ・ヴァレンシュタインにとって

彼は目標である

 

レベルも4となり。周りからは剣姫と呼ばれ

オラリオ最高の剣士などと言われることもあるが

自分は彼と比べたら剣を使いこなしているとは

言えないと思っている。

 

彼は己の事を不壊属性に甘え自分の武器も

満足に整備できない未熟者であると断言し、

ロキを激怒させたこともあるが

・・・事実だからしょうがない。

 

礼儀や作法に五月蠅く、基本的に

自由気ままに動く神様が嫌い。

 

だからロキが付きまとってる自分とも

話をしてくれないんじゃないかなって

最近は思ってる。

 

だってティオナは普通に話してたし・・・

レベルは不明だが、二つ名は無双農家。

 

本人は冒険者ではなく農家であると

主張してるし、実際ダンジョンでも弟子?

の鍛錬と採取を主に行っているらしい。

 

その弟子が使ってる武器は剣ではなく棒だが、

だったら私に剣を教えて欲しいって頼んだけど

他所のファミリアだし、理由がないって

断られた。

ロキにとっては面白くなかったみたいだけど、

棒術を使うことと、弟子が小人であることが

相まって団長のフィンは彼を好ましく

思っているようだ。

 

代わりにリヴェリアは彼を苦手としている。

嫌いとかではないと言ってた。

むしろハーフエルフなのに自分に対して必要

以上に畏まらないことを評価してるんだけど

その所為で距離感がつかめないらしい。

 

言ってることもやってることも正論で、

彼と言葉を交わすのは勉強になる

ことも多いと思ってる。

だけど容赦とか遠慮がないのでやっぱり

距離感が掴めないらしい。

 

ガレスは会ったことも無いから

わからないとか。

まぁあの人は大体拠点だし

ダンジョンに潜るときも深層には

潜らないからしょうがないけど、

あの人の技術を知ったら弟子入り

するんじゃないかな?

 

けど私たちはロキファミリアは

彼に嫌われてるらしい。

未だに私たちが名前を教えて貰えない

のがその証拠だ。

 

さらにこの間ギルドから接触禁止令が出た。

 

むぅ・・・それもこれも全部

 

「ベートさんが噛み付いたせいだ」

 

「うぇ?!」

 

「ん?あぁ、またアイツのこと?」

 

「確かにベートが噛み付かなきゃ

接触禁止令なんか出なかったよねぇ」

 

ホントにそう。

それまでは無視されてても観察は

出来てたのに・・・

 

「いや、だってお前!いまだに名前を

名乗らねぇっておかしいだろ?!

俺達ロキファミリアでレベル4だぞ?!」

 

「ソレについては言われたでしょ?」

 

「そうだよ~。私たちがレベルが上がろうが

どこに所属しようが、どう接するかは

農家さんが決めることであって、私たちが

強制するのは違うでしょ~」

 

そう。その通りだった。

それで初対面の時リヴェリアともども

説教されたのはロキファミリアでは有名だ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

もともとはその人が持っていた剣に

興味を惹かれた。

遠目に見てもとても綺麗な鞘に

入れられていて柄の部分もとても綺麗。

剣から目を離すと、その剣にぴったりと

当てはまってるような立ち振る舞いをした

ヒトがいた。

 

明らかに自分より完成された剣士だと

わかった。

 

だからリヴェリアに頼んで相手のことを

調べてもらって、なんとか剣術を教えて

欲しいと頼むためにバベルの前で

待ち伏せして、ようやく挨拶できたんだけど。

 

 

「初めましてアイズ・ヴァレンシュタインです」

 

「そうか、それで私に何か用かね?」

 

名前を聞こうと先に名乗ったのに

彼は名乗り返すことなくそう答えた。

 

「あの、お名前を・・・」

 

「あぁ、断る。で、用件は?」

 

「「・・・」」

 

まさかの拒否である。

初めての経験に頭の中が真っ白になって

剣術を教えて欲しいと言うお願い

すら忘れてしまった。

 

「・・・おい、こんな小さな子が先に

名乗ったのだ。名乗り返さないのは

礼に反するのではないか?」

 

流石に見かねたリヴェリアが

彼に名乗るように言ったんだけど・・・

 

 

「礼儀とは何かを勘違いをされてるようだ。

名を聞くために先に名乗るのは確かに礼儀だ。

だがソレに対して名乗りを返すのは礼儀

ではなく、受けた相手側の配慮でしかない。

今あなたが言ったように、少女が私に

名乗ったのが私の名を聞くためだとしたら

少女は私に配慮を強要するために

名乗ったということだ。

この行為はむしろ無礼な行為ではないのかね?」

 

「それは・・・」

 

リヴェリアが言い澱んでる?!

 

「さらにはここ最近私を探っていただろう?

初対面で、いや、それ以前から無礼な行為を

働いた者に対して、礼を返す必要があるのか?」

 

「いや、しかし、まだ小さい子が・・・」

 

「すでにダンジョンに潜っている

冒険者が、己の行動を歳のせいに

する時点で間違ってる。

貴女にとっては保護すべき子供でも

世間ではすでに上級冒険者だ。

幼いことが免罪符にはならんよ」

 

「「・・・」」

 

「それともアレかね?私は子供や大手の

ファミリアが相手なら、どんな無礼を受けても

無条件に笑顔で答えなければならないのか?

私の記憶が確かなら、貴女はそういう扱いを

嫌ってオラリオに来たと聞いているが?」

 

「・・・その通りだ」

 

リヴェリアが言い負けた?!

 

「本来教えと言うものは無条件で

与えられるものではない。

私は貴女方の無礼に対し、教訓と

いう形で教えを授けたわけだが・・・

 

 

 

 

私に何か用かね?」

 

 

「・・・いえ、なんでもありません。

お時間を取らせてすみませんでした」

 

こんなことを言われたら剣術を

教えて欲しいなんて言えないのは

私でも分かった。

 

「アイズすまん。私は増長していたようだ」

 

帰り際にリヴェリアから謝られた。

 

良く分からなかったけど、話を聞いてみたら

リヴェリアはレベル六でロキファミリアの

副団長で王族のハイエルフ。

どうしても相手がへりくだってしまうので

ソレを当たり前に思ってしまってたとか。

 

まぁ毎回毎回訂正することも出来ないし

流しているうちに馴れてしまった

と言う事だろう。

 

挨拶もそうだし、素行調査と言えば聞こえは

良いが、相手にとって見たら面白いハズ無い。

自分はそんな当たり前のことすら忘れていた。

 

そう謝られた。

 

話を聞いたフィンが、彼に謝罪に行ったが

 

「ロキファミリアだから今回は許したが、

あまり周囲を嗅ぎまわるようなら消すぞ。

ここは素行の悪い冒険者が多すぎる」

 

と言われたとか。

そのとき感じた感覚から、彼は

少なくともレベル5はあるそうで

フィンとリヴェリア、ガレス以外なら

確実に殺せるだけの力があるらしい。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれから二年。

あの人の弟子のレベルが三になったと聞いた。

・・・二年でレベル一のサポーターが

レベル三になるなんて。

 

あの時教えを受けれていたら・・・

ホントは今からでも行きたいのに。

それもこれも

 

「ベートさんのせいだ」

 

「うぇあ?!」

 

「ま、諦めなさい」

 

「事実だしね!」

 

むぅ・・・剣術教えてくれないかな・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

リリルカのレベルアップは

それほど難しいモノではなかったな。

 

装備にモノを言わせたとはいえ、

(そもそもその装備を持つことが

出来るのは彼女のスキルの恩恵。

つまりは彼女の力だ。)

レベル1のサポーターが

16階層でミノ狩りをしてたら

そりゃ偉業らしい。

 

ちなみにダンまちに関しては

全く覚えていない。

そりゃそうだろう?何年経ったと思ってる。

ただ各種神話は普通に覚えてるので

名前を知れば大体の人格と言うか神格も

わかるが、あまり神話に引きずられると

失敗もするから注意が必要だ。

 

とりあえずこの世界はレベルとステイタス。

スキルと魔法・アビリティがある世界だ。

ステイタスを一定以上に高め、

偉業を達成することがレベルアップの

条件らしい。

 

最初はダンジョンに潜ろうと思ったが、

オラリオでなくともレベルが高いモノが

いると言う情報を手に入れたので、

まずは基礎鍛錬でどこまでステイタスが

上がるか試してみたら普通にカンスト。

いや、まぁ弱い者いじめするよりは

良いんだが・・・

 

最初のレベルアップは闇派閥に所属する

レベル三の阿呆を狩ったとき。

どうやらレベルが2つ違う相手を

打倒することは偉業だったらしい。

 

まぁ疲労させて罠に嵌めて、毒や

麻痺、酸素不足も発生していたにも

関わらず、最後の力を振り絞って

来たのは正直驚いた。

 

そんな感じでレベルが上がった時に

わかったのは。やはりレベルの差は

大きいのだと言うことだ。

 

例えるなら

 

レベル0 その辺の子猫

レベル1 野生化した野良猫

レベル2 大き目の山猫

レベル3 ウンピョウ

レベル4 クロヒョウ

レベル5 ライオン

レベル6 ホワイトタイガー

レベル7 サーベルタイガー

 

こんな感じだと思う。

異論は認める。

 

ちなみにレベル2以上は全部

野生な。

 

レベル8以上はわからん。

もはや白と黒の猫とか

赤い半纏を着た太めの猫だろう。

 

それを踏まえたなら、野良猫がウンピョウを

殺したらそりゃ偉業だろう。

普通に考えたらどんなに頑張っても勝てん。

弱ってても止めすらさせんだろう。

 

まぁそんなわけで、同じようにレベル2の時に

レべル4の闇派閥を狩ってレベル3に。

さすがにレベル5の団員は幹部クラスらしく

罠には嵌ってくれなかったが、代わりに

何かから逃げてた神が引っかかってレベル4。

 

あとは外から来たと言って普通に

レベル4でギルドに登録して。

そのままサポーターを鍛えて

ソーマに説教かましてたら何故か

レベルアップである。

・・・どれが偉業に相当したか知らんが。

 

茶か?デメテルを唸らせた茶か?

それともへファイストスが俺の剣を調べた

がってたから、鍛冶で鍛冶神を驚かせた

ってのが偉業になったのか?

 

なんやかんやでレベル5になった俺は

そのまま一人で37階の骨を相手に

修行してたらいつのまにかレベル6。

 

たぶんこのまま49階に居ると言われる

バロールを殺ったらまたレベルが

あがるのではなかろうか。

 

まぁ49階まで行くのめんどいし

まだステイタスをカンストさせて

ないから行かんが。

 

そういえば先日良い事があった。

ロキファミリアに対して

接触禁止令が出たらしい。

 

いやはや、アイツらの相手も正直めんど

かったからな。

 

まったく。何で俺が中途半端に養殖された

ガキを無償で鍛えなきゃならんのだ。

それもリリルカと違って周りにしっかり

人が居るってのに。

 

その周りの連中がエルフだったり

ドワーフだからまともな剣術が身につかん

のだろうが、俺の知ったことか。

 

あんな剣の使い方しかできん奴に

教えることなんざねぇよ。

俺的にはティオナの方がよっぽど

鍛えがいがある。

 

まぁとりあえずはリリルカを

レベル4にするために鍛えなきゃ

ならんが。

 

さて、どこかに手ごろな

神が居てくれないかなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば今も上から俺を見てるヤツとかな




レベルって多分こんな感じですかね?
コレなら頑張れば1つ上には勝てるけど
2つ上には勝てないって感じですよね

まぁレベル5以上はアレですが
その辺は武器やスキル・魔法で
なんとかするみたいな感じで。

あと、アイズの周りにマトモな剣士って
居ませんよね?剣術は才能頼り?ってお話

ちなみのちなみに
ウンピョウはネコ科の動物である。
孔雀〇とかしてた人じゃ無いし
サモハンキンポ〇の関係者ではありません。


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4話

まだダンジョンに入ってない
こだわってないからね!

オリ設定
オリ展開

嫌いなヒトは読み飛ばしだ!



『フ、フフフ』

 

今の彼は明らかに私を意識していたわね。

いえ、正確にはどうやって私を殺すか

考えていた、か。

 

「フレイヤ様?」

 

彼を勧誘することは出来ないのは

すでにわかってる。

アレは私に興味を持っていない。

故に敬意も無ければ敵意も無い。

揺れ幅が無いから魅了もされない。

まさかあんな形で下界の子が私の

魅了を防ぐなんてね。

 

かといってオッタルを差し向ける

わけにはいかない。

レベルが5のときならまだしも今は6。

さらに相性が悪すぎる。

 

弟子はソーマファミリアで特に敵対

しているわけでも無いし。

ソーマが作るお酒には私もロキも

お世話になってるから手を出す気も無い。

最近は食前用とか色々趣向をこらして

来てるから楽しみでもあるし・・・

 

『ねぇオッタル。私たちは彼と

どう向き合うべきかしら?』

 

ロキファミリアは敵対したようだが

私たちは特に敵対したわけではない。

彼も私を意識したが、アレは狩人が

獲物を見つけて「さてどうするか」

と考えてるだけ。

 

私が彼の張る罠にかからない限りは

友好的な関係も築けるだろう。

 

「・・・とりあえずヤツの作る野菜や

茶。料理はフレイヤ様が口にするのに

不足はありません。

よって冒険者ではなく、契約農家扱いで

あれば問題なく友好的な関係を

保てるものと思われます」

 

あぁ、そうか。彼は農家ですものね。

オッタルを害獣扱いして狩れるわけだわ。

 

「あの・・・」

 

あぁ、正確には罠を察知して退いたのよね。

 

おそらく彼は獣人に対する特攻を生じさせる

スキルを持っている。

更に罠まで・・・ならアレンもダメか。

 

ヘグニとヘディンを一瞬で

無力化するだけの技量もあるから、

毎回のレベルアップで無駄なく

鍛えているわね。

けどアレだけの技量があるなら

契約農家としてじゃなく・・・

 

『武術の師匠としては雇えないかしら?』

 

「難しいかと」

 

『あら、即答するのね。

良いアイディアだと思ったんだけど

何かあるのかしら?』

 

「アレは自分を農家であり、

教育者と定義付けております」

 

確かにそうよね。

彼がアレだけの力を持つのは

我を通すために必要だから。

己の好奇心を満たすために

必要だから鍛えてるのであって

その意味では歪みの無い存在。

目的の為に手段を選ばない修羅。

 

『けど教育者と言うなら武術だって・・・』

 

「その通りですが、我々はどのような教えを

受けてもフレイヤ様のお言葉を優先します。」

 

『・・・確かに。教育者として

それほど許せないこともないわね』

 

教育者というのはつまるところ

アレはダメだ、コレをやれ。と

効率的に教える存在。

ならば教えを守る気が無い者に

教えを授けることはないわね。

 

『それじゃあ武具を作ってもらうことは出来ないかしら?』

 

彼の自作した武器はへファイストスですら

瞠目するほどらしいし、一つくらいは

欲しいのだけど。

 

「今の段階では無理でしょう。

我々に武具を作る理由がありませんし、

彼とへファイストスファミリアとの間に

無用の諍いを招きます」

 

頼みごとをするなら、もっと仲良く

なってからと言う事ね。

もっともな話しだわ。

まさか下界の人間に人付き合いの

在り方を教えられるとは。

けどまぁ、ソレも下界の楽しみ方よね。

 

『なるほど、貴方の意見を採用しましょう』

 

「はっ。ありがとうございます」

 

『接触はいつがいいかしら?

彼がダンジョンから帰還するのを

待って使者を出すべき?』

 

「いえ、基本的にダンジョンに潜る前や

帰還後に接触するのは辞めた方が

良いでしょう」

 

ふむ、確かにこれからダンジョンに潜ると

いうときに余計なことを伝えられたら

不快になるし、帰還した時はさっさと

休みたいわよね。

それを考えなかったからロキファミリアは

彼に嫌われたのだし。

 

「さらにヤツは自分を探られることを

嫌いますので、拠点を探して訪ねるのも

止めた方がよろしいかと」

 

普通はそうよね。たとえ相手が私でも

彼は探られて「光栄です」なんて

喜ぶような薄っぺらい連中とは違う。

「無礼だろう」と探った連中を斬るわ。

 

『そうなるとデメテルファミリアと

行ってる農作物の品評の時かしら?』

 

ミアはそれで彼と契約を結んだのよね。

 

「そうですね。ミア殿に仲介してもらい

茶葉の契約を申し入れるのがよろしいかと」

 

なるほど。生野菜も良いけど、それは

ミアが契約してるものね。

それほど生産量は多くないようだし。

冒険者連中はよほどの余裕が無い限り

お茶なんて飲まないから、茶葉なら

契約しやすい。

実際売られてる茶葉は美味しいから、

欲しいと言えば欲しいのよね。

露骨なご機嫌取りでもないなら

機嫌を損ねることは無いでしょう。

 

『ではその方向で。契約は

ヘディンに行かせましょうか』

 

「それでよろしいかと」

 

『フフッ』

 

「フレイヤ様?」

 

『いえ、人付き合いに悩むのも面白いモノだと思ってね』

 

「手に入れたい」のではなく

「仲良くしたい」と思う存在は初めてよ。

王では無いのに王を知り、神すら獲物と

見る狩人の心。

英雄ではないけど英雄に匹敵する存在。

他の神々はただの変わり者としか

見ていないようだけど・・・不思議な存在ね。

 

とりあえず私に貴方の邪魔をするつもりは

無いわ。精々仲良くしましょう?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

視線が変化したか。

コレはアレだな。ちょっかいを

出すのではなく友好的な関係を

作ることにしたか?

 

「あの先生?」

 

「あぁ、とりあえずお前が

狙われることは無いようだ」

 

「そ、そうですか!」

 

うんうん。そりゃ安心するよな。

前々からフレイヤファミリアの事は

教えてたし、一人の時に襲われたら

どうしようも無いってわかってた

だろうからな。

 

「あ、でも先生は大丈夫なんですか?」

 

「残念ながら大丈夫そうだ」

 

「ざ、残念ですか」

 

「ホントは今度こそオッタルを罠に

嵌めてやりたかったんだが・・・」

 

前回は野生の勘で避けられたからな。

まだアレには無明察相翫が効かんのが

わかっただけでも収穫ではあったんだが、

あの時ヤツを仕留めてたら多分レベル

上がってたよなぁ。

 

レベルに頓着する気は無いが、

弱いままじゃ何もできん。

我を通すためには力が必要で、

ココではそれがレベルだ。

 

家猫が放つ技と虎が放つ技では

同じ技でも威力が違うと言うのは

誰だってわかるだろう。

 

技術は必要だが、爪楊枝じゃクジラは殺せんのだよ。

 

「喫緊の案件は片付いた。

今回はお前のステータスの向上が

主な目的になる。ついでに採取だ」

 

「つ、ついでですか・・・」

 

「そう、ついでだ」

 

ついででも暮らしていくには十分な

額になるからな。

上級冒険者を目指すヤツが居なく

ならんわけだよ。

後は魔石の回収と闇派閥を発見して、

神が居たら殺させることだな。

 

ステータスが足りなくても、偉業を

クリアしておけばいつでもレベルアップ

できるし。

 

「えっとレベルが上がったばかりの

リリの成長が目的なら、階層は下層ですか?」

 

「そうなる。24階で良いだろう」

 

宝石だの薬の原料があるしな。

あそこでモンスターと戦いながら

基礎的なことを教えれば成長も早い

だろうさ。

終わったら18階で休めるし。

 

「了解です!

あ、そういえばミアさんが

新作が出来たので来てほしいって

言ってましたよ!」

 

ほほう。生産者としては興味が

そそられるが・・・

 

「その前にソーマに頼んでいた調味酒はどうなった?」

 

まずはそっちだよな。

 

「壊れたら困るし温くなってもあんまり

良い事ないみたいでしたから、

冷蔵機能付きの金庫に預けています!」

 

あぁ、調味酒とはいえ常温保存は

できんか。味醂は遠いな・・・

 

「ですので戻って、ミアさんのお店の

帰りとかが良いと思うのですが・・・」

 

ふむ、土産を待ってるアイツ等の為に

ミアの店の料理を持っていくのも

悪くはない。

それと、たまにはリューに会わんと

嫌味を言われるからな。

 

「ま、よかろう。ソレで行くか。予約とか必要か?」

 

「いえ!二人分くらいなら席を用意するそうです」

 

そうか。まぁ呼ばれた立場だしな。

あとは何かあったか?

 

へファイストスが何か言ってたような気が

するが、わざわざ武器を見せびらかす

狩人が居るはずなかろうに。

 

リリルカの武器だってしっかりアレが

籠った武器だぞ?成長はしないから

そろそろ溶かしてレベル3か4に相応しい

強度にする必要があるが・・・

 

「リリルカ、今回の探索が終わったら

装備品のメンテするぞ」

 

「あ、そうですね!よろしくお願いします!

それでお代なんですが・・・」

 

お、そろそろコイツも自覚が出てきたか。

俺的には作った装備の質や性能の調査

もできるんで十分利益は出てるんだが

何も知らんコイツはそーゆーわけにも

いかんよな。

 

「メンテナンス代は貰おう。

だが武具の代金はまだお前には払いきれん

だろうから。あくまでレンタル契約だ。

レンタル料は性能試験で代替してるから

支払う必要は無いぞ」

 

「え?そうなんですか?」

 

そうなんだよ

 

「実際俺が作った装備品は俺とお前しか

装備してないだろ?俺には女性にとっての

使い心地はわからんしな」

 

あとはアイツらだが、そもそも形状が

違うからなぁ。

うむ。弟子がアレにならんとも限らんし。

どんな形で来てもその辺のことは

配慮しとかんとな。

忘れた☆とか言ったらすっ飛ばされそうだ。

 

「なるほど。けどヘファイストス様も言って

ましたけど、誰かに売ったりしないんですか?

椿さんが欲しがっていますけど」

 

「当たり前だ。俺は鍛冶師じゃない。農家だぞ」

 

鍛冶は趣味。趣味で金を稼いだら

農家じゃなくなってしまうし、

見ず知らずのヤツの為に装備品を

作る気も無い。

 

まったく。椿のアホは鍛冶師としての

誇りは無いのか。

 

最高の武器がどうとか言ってるが

使い手が想像できてないから

出来る武器だって軽いんだぞ。

 

「は、はぁ。」

 

うむ、理解できんだろうが

ソレでいい。

俺は俺が好きなことを

やる為に居るんだからな!

面倒ごとなんか知るかっ!

 

「他所のことなんかどうでもいいだろ。

せっかくロキファミリアのちょっかいが

無くなってゆっくりできるんだ。

自分メインで潜るなら準備も違うモノになる。

下層に行くための準備して来い」

 

「はいっ!」

 

さて、そうなるとサポーターを雇う

必要があるか?足手纏いを連れて下層に行く

経験も積ませたいし。

・・・レベル2は欲しいんだが誰か居たかな?

 

『やぁ、奇遇だね!24階に行くなら是非ウチ

のアスフィを連れてって欲しいんだけど?』

 

「断る」

 

さて、誰か探さんとな。

そういえばディオニュソスのところの

フィルヴィスが死妖精とか言われてたな。

死ぬほどのトラブルか・・・

うん、丁度いい試練になりそうだ。

 

『ちょっと冷たすぎないかな?!』

 

「アスフィ、連れていけ」

 

「はいっ! ご迷惑をおかけしましたっ!」

 

『いや、アスフィ? なんで普通に彼の

言うこと聞いてるの?

僕の眷族だよね?! 団長だよね?!』

 

「そういうのいいですから!

殺されたくなかったらさっさと逃げますよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな大声で物騒なこと言われても困るんだが




猪は農家の敵ですからね。

疾風さんが嫌みを言うのは
何故なのか。フシギダナーってお話



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5話

前話の続き


オリ設定
オリ展開

原作は崩壊している
嫌いなヒトは読み飛ばし


拙作は単品でも楽しめますが、
同じ作者の作品である
とある策士の外史旅(仮)を
読んだ後だと、登場人物に対する
理解が深まる可能性があります

・・・ステマじゃないですよ?




まったくこの馬鹿神はっ!

この人はシャレにならないって

自分で言ったんじゃない?!

 

初めて会ったときからその装備品を見て

わかってたけど。

この人は鍛冶だけじゃなく神秘の発展アビリティも持ってる!

鍛冶と神秘の発展アビリティを使って作られた

装備品の前じゃ私の装備に付いてる特性

なんて意味が無い。

今だって禍々しい呪いじみたナニかが

合図を待つかのように蠢いてるし!

 

たとえ周りに人がいたって、この人は

私たちを暗殺出来るのよ!

 

「いやヘルメス様、いいから帰りましょう?

ご機嫌も悪いみたいですし」

 

さらに神が嫌いなのは有名な話。

自由奔放なヘルメス様なんて即アウトよ!

 

戦えば無駄な犠牲が出るから

ロキですらギルドの接触禁止令を

守るくらいなのに!

 

『いやぁ、彼が24階に行くなら君も

行くべきだと思ってさ』

 

それなら団員連れて行くわよ!

もしくは一人で行く方が良いじゃない!

 

「ふむ、確かアスフィはレベル【3】だったか?」

 

うっホラ来た・・・どうするのよ?

ココでウソつくの?ホントのこと言うの?

どっちでも駄目じゃない!

 

『ははは、そんな分かり切ったことを

聞くなんてどうしたんだい?』

 

うまい・・・のかしら。

否定も肯定もしてないけど

 

「ヘルメス。一つ教えてやる」

 

うわぁ。コレ絶対わかってるわよね

 

『ん?なにかな?』

 

コイツも面の皮が厚すぎる!

うぅぅ。お腹痛くなってきたよぉ

 

「貴様が待ってる機会はまだ先だ」

 

『?!』

 

ん?今なんて言ったの?機会?

ヘルメス様の顔もなんだか・・・

 

『・・・そうか、なら今回は遠慮しよう』

 

「あぁ、そうしろ」

 

???何?何の話?!

 

『・・・行くぞアスフィ』

 

え?行くの?あ、アイサツしなきゃ!

この人は礼儀にうるさいって話だし!

 

「し、失礼します!」

 

「うん、まぁ頑張れ」

 

「はいっ!」

 

うぅぅ、何が何だか分からないけど

絶対ヘルメス様がなんか余計なことを

しようとしたのよね。

ソレを許してもらえて、さらに気遣われた。

 

もう訳が分からないわよ。

 

『アスフィ』

 

「はい?」

 

もう帰ってお酒飲んで寝たいんですけど

 

『彼を追跡することは出来るか?』

 

「無理に決まってるでしょ?!」

 

この馬鹿神っ!そんなことしたら即殺されるわよ!!

 

『・・・そうか』

 

「諦めましょうよ。神様だって下界では

出来ることと出来ないことがあるんですって!

貴方たちはソレを楽しみに来たんでしょう?」

 

『うーん。それはそうなんだけどね』

 

まったく、ただでさえ手に負えない

レベル6の冒険者相手に何をさせる気

だったのか。ホント勘弁して欲しいわ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・農家君、君は何を知っている?』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

いや、いくらなんでもダンまちって

世界の主人公くらいは知ってるぞ。

白っ子だろ?男だけど。

 

何をしたかとか何をするかは知らんが。

 

更に言えばこの世界に居るかどうかも知らんが。

 

ヘルメスが何を望んでるかは知らんが

物語が動くのは主人公か

ソレに相当する誰かが登場してからだ。

ならそれまでは準備期間。

 

狩人の狩りはどこまで準備に時間を

掛けたかで成果が変わるんだ。

主人公が来てから動き出すお前らと

その前から動いている俺。

その時になって思い知るが良いさ。

 

「先生!戻りました!」

 

「おう、戻ったか・・・ってナァーザ?」

 

「ど、どうも・・・」

 

「ミアハの店にポーションを買いに

行ったんだろうが、何故ナァーザが?」

 

「ハイッ!リリがメインで働くなら

サポーターが必要だと思いまして!」

 

それはその通りだが・・・

 

「確かナァーザはダンジョンに潜ると

発作を起こすのでは?」

 

「あ、はい、そうなんですけど」

 

聞いた話だと、少し前にダンジョンで油断して

全身火傷した挙げ句に右手を食われたとか

何とかで義手を買ってもらったけど

そのときのトラウマがもとで

ダンジョンに潜れなくなったんだよな。

 

更にはその義手の代金でファミリアが解散して。

さらに主神のアホが周囲に無料で薬を

バラまくから、いつまでたっても家計が

火の車って・・・そういう事か。

 

「ナァーザ。サポーターは出来るのか?」

 

「は、はい!リリルカさんからは、

先生が護衛をしてくれるから

サポーターは絶対大丈夫って言われて!」

 

ふむ。俺とて腐ってもレベル6。下層程度なら

どんな敵でも罠でも大丈夫だし、あくまで

戦うのはリリルカ。

今までの付き合いからサポーターとしての

取り分を誤魔化す可能性も無いし、自分で

仕入れをすればそのぶん儲けも増える。

ついでにリハビリにもなるわけだ。

 

「あの、勝手に連れてきちゃいましたけど

もし先生が駄目だと言うなら・・・」

 

完全に自分を重ねてやがる。

こいつも一歩間違えればモンスターに

食われるような生活してたからな。

 

「いや、構わん。レベルも2だしな。

ついでに少し稼いで行け」

 

「「は、はいっ!ありがとうございます!」」

 

「なんでリリルカも礼を言ってんだ」

 

ま、足手纏いを連れて行くって

条件は満たしてるから良いんだがな

 

「んじゃ、行くぞ」

 

「「はいっ!」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

よかった。リリルカさんからの誘いを

受けてどうするか悩んだけど、流石に

いつまでもこんな調子じゃ駄目だって

わかってたし、何よりお金が無かったし。

 

更に言えば24階ならレベル6の先生に

とっては油断さえしなければ余裕だろうし、

「先生は絶対油断なんてしないから大丈夫。

最悪は18階まででも良い」って言って

貰えたから受けることが出来た。

 

本当にリリルカさんには感謝しかないわ!

 

「ナァーザさん。絶対に先生から離れちゃ駄目ですからね!」

 

「う、うん!」

 

完全に足手纏いだけど、先生が言うには

足手纏いを抱えて下層に行くのも

リリルカさんの修行になるんだとか。

 

・・・それって先生にくっついてたら駄目なんじゃないかしら?

 

「あぁ、気にするな。最初から全部は

出来んからな。段階が必要だろ?」

 

「は、はい!そうですよね!」

 

く、口に出してた?!

 

「今回はサポーターが居ると言う状況で下層に

行くと言うことがどういう事かを学ぶのと、

アイツのステイタス向上が目的だ。

リリルカはレベルも3で装備も整ってるから

一人なら中層程度では苦戦することは無い。

とりあえずは余裕を持ってサポーターを

意識することから始めようって話だ。

そんなわけだから遠慮せずに荷物になると良い」

 

「はいっ!」

 

相変わらず厳しいのか優しいのかわからない人だ。

 

「あぁ、一応護符を渡しておこう」

 

「護符、ですか?」

 

「うむ。中層の犬対策でもあるがな。

奴らの火炎を防ぐのと、何かあって俺から離れ

たときにお前の居場所がわかるようになる。

さらに俺の魔力があるから中層程度の

モンスターなら近寄らんだろう。

当然時間制限は有るが、中層なら

その前に見つけてやるから安心しろ」

 

「そ、そんな高価なモノを?!」

 

ヘルバウンドの炎を防げるなら

これだけで中層で死ぬ冒険者は

激減するんじゃない?

 

「多少特殊な材料が必要でな。

量産出来んし、俺とリリルカ以外の

意見も欲しかったところだ。

後で使用してみた感じを教えてくれると助かる」

 

な、なるほど、私は新装備の

テスターでも有るのね。

 

「んじゃ、まずは中層に行くとしよう。

魔石はナァーザが拾うように。

奇襲は受けないようにしてやるから

落ち着いて拾え。

余裕ができたら攻撃もしてみろ。

リリルカは必ず二手受けてから反撃するように」

 

「「はいっ!」」

 

足手纒いな私にもこうして役割を

くれるんだから、やっぱり良いヒト

だよね。頑張って稼がなきゃ!

 

 

―――――――――――――――

 

 

ふむ。コレは一体何なのか。

 

ようやく眠れると思って目を閉じたら

薄暗い洞窟?の中。

墓は師と同じで良いと言いましたから

こんなに広い筈もない。

体験した地獄とは違いますし

何より体の調子がおかしいですね?

至上は・・・うん。ある。

ならばなんとかなります。

 

それにどうやら私に用がある人も

居るようですしね。

わからないことはとりあえず

聞いてみましょう。

裏取りはソレからです。

 

「・・・そこのアナタ。何か私に御用でも?」

 

「ほう?気付いていたか」

 

「まぁ」

 

今さら大物ぶっても、隠れてたのはバレバレでしたけど。

 

「私の名はレヴィスだ。君も産まれた

ばかりで状況が良くわかって居ないだろう。

現状を説明してやるからとりあえず

黙って聞くように」

 

「わかりました。お願いします」

 

「・・・」

 

ん?何か動きを止めましたが

シツレイな事を言いましたかね?

流石に向こうが情報をくれると言うなら

尋問も拷問もしませんよ?

裏を取るにしても本人に嘘をついてると

言う自覚が無い場合もありますし。

何はともあれ聞いてみないことには

判断がつきません。

 

とりあえずさっさと情報をくれませんかね。

というよりもさっきから無言ですが・・・

 

「何かありましたか?」

 

「・・・いや、ことのほか理知的で驚いた

だけだ。普通は訳がわからんと騒ぐんでな」

 

「なるほど。確かにそう言った連中は

居ますが私はそんな無意味なことはしません。

とりあえずの指針となる情報が無ければ何も

出来ませんからね」

 

「・・・話が早くて助かるよ」

 

さっさと話せと言うのに。

 

「まずここはオラリオの地下にあるダンジョンで・・・」

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

なるほどなるほど。

私たちが居た所とはまるで違いますね。

 

しかも彼女は私の無知が産まれた

ばかりだからと思っている?

まぁ訂正する必要はありませんか。

 

とりあえずこの洞窟はダンジョン?で

外では神と呼ばれる超越者達が人の世に

降りて来て暇潰しをしている、と。

 

・・・卑弥呼殿みたいなのが沢山

居るのでしょうか。

だとしたら相当に鍛練を積まないと

筋肉に流されますね。

 

さらに言えば気の代わりに魔力?がある。

ただ、気も無いわけでは

無さそうですけど。コレに関しては

鍛えながらやるしかありませんね。

あとは最大の違いは食べ物ですか。

普通の食事も出来ますが…

 

「では、私たちが強くなるには魔石?に

含まれる魔力を食らう事だと?」

 

「そうなるな。技術的にはヒトと同じように

鍛える事で成長できるが、レベルアップには

どうしても魔石が必要になる」

 

ふむ。では魔石と言うのは仙桃のようなモノ

ですかね。特殊な気が宿ってて食べれば

心身が強化される、と。

 

あとは、レベルアップとやらが

良くわかりません。存在の次元を高める?

 

「まぁ一度にすべてを理解する必要は無い。

必要なら徐々に思い出すだろうさ」

 

「それもそうですね」

 

そのレベルアップとやらの差でしょうか。

今の私では目の前の赤髪には勝てないようですし。

 

今のところは大人しく言うことを聞きましょう。

 

それに、強くなりたいなら喰らえ。

 

わかりやすい理ですから嘘でも無さそうです。

あとは・・・仕事内容の確認ですか。

 

「それで、レヴィス殿は私に何をさせようとしてるんです?」

 

わからないならとりあえず聞いてみる。

あっさりと教えてくれればよし。

今は逆らう気がないですから、たとえ

嘘をつかれても知らないフリを

してその嘘に乗ってあげましょう。

 

教えないなら好きにやらせて貰いますよ。

 

まぁ、わざわざ状況説明までして

何も無いなんてことは有り得ない

でしょうけどね。

 

「本当に話が早い。あの阿呆も君くらい

理知的なら良かったんだが」

 

「阿呆?」

 

どうやら同類が居る様子。

しかしあまり仲は良さそうじゃない、か。

 

「いや、今はまだ気にしなくて良い」

 

「そうですか」

 

それならそれでは良いです。

とりあえずの仕事はなんとなく

わかりましたよ。

 

「今は君に望む事は無い。とりあえずは

好きにやってみてくれ。

その上で強くなってくれれば、その時に

仕事を依頼することもあるだろう」

 

やはりそうですか。

足手纏いに重要な情報を渡さないのは当然。

最低限の危機管理は出来ているようですね。

 

「わかりました。では好きにやらせて

もらいますが、やってはいけない事は

ありますか?」

 

この確認は大事。

 

常識が違うと言うことは、何が誰の逆鱗に

なるかわからないと言うことですからね。

とりあえずは彼女の逆鱗を確認しましょう。

 

「…そうだな。地上の人間との接触は

控えて欲しい。君にはまだわからないかも

しれないが、私たちは目立つんでね」

 

なるほど。どうやら嘘では無さそうですね。

つまり彼女は地上の連中とは敵対関係に

あり、私も種族的に敵対関係にある。

 

そして彼女は何かを企んでるが、今は準備期間なので目立つのは困る。

 

準備を手伝わせるには最低限の強さが必要、と。

 

「わかりました。目立たないように

動きつつ強くなりましょう。

お手数ですがダンジョンについての

知識をもう少し教えてもらうことは

出来ますか?」

 

「あぁ、構わんよ」

 

「・・・妙に友好的ですね?」

 

「こんなところに居るとまともに会話

出来るヤツも居なくてね。

たまには話し相手が欲しくなる」

 

「・・・苦労してるんですね」

 

「・・・まぁな」

 

愚痴とか言える相手も居なかったんですね。

そう言えば同僚っぽい人は阿呆らしいし。

 

さらに言えば、私は産まれたばかりで

何時でも殺せると言う余裕まである。

私は逆らう気も無いから良いのですが、

しかしこんなところで生活して

さらに苦労を抱え込むとは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これも一つの地獄なんですかねぇ」




謎のオリキャラが
レヴィスの元に?!

超敵強化の予感

・・・オリ設定だから。



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6話

長くない?

そしてキャラがまるで分身してるかのようにぶれる・・・

オリ設定ですー
オリ展開なんですー


一目でわかるほどの重い一撃がリリルカの

掲げた棒に襲いかかるのを見て、そして

その後に響いた音を聞いて惨状を予想

出来てしまったナァーザは目を背けた。

 

その音は1回では終わらず、

何度も何度も同じ場所を殴り付けていて、

そこにいたモノを跡形もなく

擂り潰そうとしているかのようで、

思わずうずくまって耳を塞いでしまう。

 

自分が動ければ助けることも出来た

かもしれない。

そんな後悔が一瞬頭に浮かんだが

次の瞬間。自分の隣にいる男を思い出す。

 

何で助けなかったのか?!

動けなかった自分を棚にあげて

醜いことこの上ないとわかっていたが

声を上げずには居られなかった。

 

自分を気遣ってくれたリリルカが

ゴライアスの一撃を受けて死んでしまったのに、

何故この人は一歩も動こうとしなかったのか?!

 

「先生っ!アナタは!」

 

「か弱き大人の代弁者ではないな」

 

「・・・はぁ?何を言ってるの?

リリルカさんが死んだのよ?!」

 

ゴライアスの一撃に潰されてっ!

 

「いや、勝手に殺すな。あの程度で

死ぬような装備と鍛え方はしてないぞ」

 

「え?」

 

いや、有り得ないでしょ?

レベルがもっと高いならまだしも

3になったばかりのリリルカさんが

耐えれる筈がないっ!

 

「その証拠に、ゴライアスは同じ場所に

何度も拳を叩きつけてるだろうが。

死んでたら俺たちを狙ってくるだろ?」

 

・・・言われてみればそうかも

しれないけど、

 

「分かりやすく解説するなら、最初の

一撃でゴライアスの指を潰した。

今行われているあの攻撃に対しては

全力で小指を弾いてる状態だ」

 

「指を潰した?いったいどうやって?!」

 

「自分でやってみればわかるが、

上から下に全体重をかけて自分の体より

固いものを殴り付けたらどうなると思う?」

 

上から下に・・・うわっ。

想像できた!

 

「わかったな?俺がリリルカに造った

武器はヤツより固い。

床を支えにして立てるだけで

ゴライアスの指は粉砕される。

さらにどの部分でも構わんが

指が粉砕されたら握力なんざ無くなる。

今のゴライアスの攻撃は重いだけの攻撃だ。

そしてリリルカはスキルの関係上重さには

強いんだよ。

それに予備動作も丸見えだから恐怖心を

押さえ込めれば対処できる。

何より奴は早さが足りん。

あの体勢からは薙ぎ払うくらいしかないが…」

 

全身を使って薙ぎ払いをしようとした

ゴライアスの動きが止まった?

 

「連撃を止めたら目の前のリリルカが

動くに決まってるだろう?

溜めが必要な薙ぎ払いなんざ出来る筈がない」

 

「あっ!」

 

良くみればリリルカさんが足の指を潰してる!

 

「巨大な敵を倒すときは末端部分を狙う。

まず潰すのは手の指であり、足の指だ」

 

怒りを覚えたゴライアスが叫ぶものの、

リリルカさんは構わずフルスイングで

指を潰していく!

 

「踏み込みや腰の回転を全身に

伝えるためには足の指が必要不可欠。

手を出せば手の指が潰され

手を引けば足の指が潰される

この時点でゴライアスに出来るのは

体全体で押し潰すか咆哮か

はたまた噛みつきだ。

噛みつきなら顔面の急所丸出しだから

とりあえず横っ面を殴る。

目とか鼻はその後だ」

 

「ぜ、全体重をかけてきたら?」

 

「避ければ良い。」

 

あぁ、そうよね。ただの倒れこみだから

避ければ良いだけになるんだ。

 

「後に残るのは隙だらけの巨体。

どこでも破壊し放題だ。おすすめは膝だが

その判断はリリルカ次第だな」

 

・・・まさか、相性と装備があるとは言え

レベル3になったばかりのリリルカさんが

ゴライアスを単独撃破?!

 

「ん、あぁ。咆哮か。そうか…そろそろだな」

 

え?そろそろ何?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

戦えてますっ!!

間違いなく!このリリが!階層主とっ!!

先生が言ってたように最初に押しつぶそうと

してきた指を潰したのが良かった!

 

さらに重いだけの攻撃なら、簡単では

ないけど受け流せます!さすが先生!!

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

足の指を潰せば回転が止まる!

回転が止まればっ!連打も止まる!!

 

「喰らえ!」

 

手も使えない、足も使えない、

後は噛み付きと咆哮!!

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

 

来たっ!咆哮っ!コレは受けないでわざと飛ぶって・・・

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

こ、これがゴライアスの咆哮!

レベル4でも直撃したら動きを

止めるって言われてたから、喰らったら

踏ん張らずに飛べとは言われてたけど・・・

 

けどまだ行けます!!

もう少しで・・・あ、アレ?

体が動かない?何で?!!

 

「ま、初めてならこんなもんだ

よくやったリリルカ」

 

え?先生?!

ダメ!あいつはリリの獲物!!

折角ここまで追い詰めたのに!!

なのに何で?

 

「カハッッッ!」

 

え?血?声も出な・・・・・

 

「リリルカさんっ!!!!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「いい加減機嫌を直せ。

ナァーザが困ってるだろう」

 

「別にー。リリは怒ってませんしー」

 

「あはは・・・」

 

先生がゴライアスを討伐したあと

リリルカさんにハイポーションを

使って、疲れてるだろうからって

テントじゃなく迷宮の楽園で

宿を取ったんだけど・・・

 

リリルカさんの機嫌が悪すぎる。

そりゃ頑張れば階層主を倒せたかも

しれないのにって思ってるのかも

しれないけど、咆哮で吹き飛んだ

時に体に蓄積されてたダメージが

噴出して、さらに張り詰めてたのが

切れたみたいで立てなかったのよね。

 

「たとえるなら全身の骨に罅が入った

ところに、咆哮の衝撃をくらって罅が

全部折れた感じだな」

 

それ、たとえじゃなくじゃなくて、事実そのままですよね?

 

「そうは言いましても・・・」

 

「あの場面で咆哮以外なら勝てたかも

しれんが今のお前じゃあの咆哮を無傷で

捌くことはできん。

途中で蓄積されたダメージも大きすぎたな」

 

「むぅ・・・」

 

「まぁスキルがあるとは言えレベル3に

なったばかりですもの。ゴライアスの

攻撃を正面から受けたらそうなっちゃいますよ」

 

アレ以上は後遺症が出るからって先生が

仕留めたけど、その通りだと思う。

 

「そういうことだな。とりあえず今回の戦闘で

お前のステータスは随分上がったはずだ。

次回はもう少し楽に戦えるだろうさ」

 

それはそうよ。なんてったってゴライアス

の攻撃を受けて捌いてたんですものね。

力も器用も耐久も相当上がったはずよ。

 

「次回と言われましても・・・

ゴライアスと単独で戦える

機会なんてそうそうないですよー」

 

「それもそうなんですけどね」

 

実際ゴライアスはファミリアの眷属の

レベルアップの為に大手ファミリアの

中級冒険者によって討伐のローテーション

を組まれてるみたいなのよね。

 

今回は先生が交渉して譲ってもらったけど

本来はルール違反だから、あんまり推奨

されることではないんだよね。

 

「アイツ等がゴライアスの討伐権を

主張しているのは、命知らずが

無闇に挑んだら危険だからって名目だ。

俺がいる時点でそんな名目は通用せん」

 

「それはそうですけど、その結果

ロキファミリアと仲が悪くなるじゃ

ないですかー」

 

ロキファミリアか・・・

遠征に良く出るからどうしても階層主と

当たるみたいで、ボールズさんも順番

飛ばしだってぼやいてたけど、

偶然なの?ゴライアスが出るタイミングで

遠征の予定を組んでるんじゃ?

 

「ロキファミリアの都合なんざ知らん。

それにいい加減後ろじゃなく前を見ろ。

さっさと体力を回復させて、24階で

宝石樹を守る木竜と戦った方が実入りも

良いし成長できるぞ?」

 

この人はこの人でたぶん分かってて

邪魔してるんだよね?

 

「むぅぅぅぅ・・・」

 

「ま、まぁリリルカさん。

折角の宿屋なんですから

ゆっくり休みましょう?」

 

とりあえずリリルカさんの機嫌が

良くならないと私も休めないし!

 

「・・・しかたないですね。

今回はナァーザさんに免じて

許してあげます!あだっ!!」

 

「何様だ」

 

今スゴイ音したけど大丈夫なの?

 

「ぽ、ポーション要ります?」

 

800ヴァリスで良いですよ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

賑やかなのはいいことだ。

だが、流石にまだゴライアスには勝てんか。

あの様子だと木竜と殺るよりは

デットリーホーネットと連戦させて

体力と器用と敏捷を鍛えるべきか?

アレはそこそこ硬いから力も鍛えれるし

耐久は・・・後でぶちのめせば上がるか。

 

そうなると

ブラッディーハイヴを探すか?

無限湧き・・・経験値稼ぎには最高なんだが

ナァーザが大量の虫に怯える可能性もある。

 

今回は24階で戦って25階を見せる

くらいに考えてたが、予定を変更すべきか?

 

うーむ。ステータスの向上なら

俺が鍛えれば良いがトラウマの解消はな。

 

恐怖心が無いのは冒険者として

致命的だからソレは無くす訳にはいかんし。

 

まぁ普通に生きる分なら上層で

十分なんだが借金とアホが居るから

金策が必要なんだよなぁ。

 

金策。いや商売な・・・そう言えば

あんまりやったことないぞ。

茶と野菜以外だとその辺の宝石とか魔石

売ってるくらいだし。

あれ?これじゃ原始人と変わらんか?

かと言って完全受注の鍛冶屋も違うよな。

完全に趣味が仕事になっちまう。

 

む?

 

「…レヴィス、今回は弟子同伴だから

あまり深く潜る気はないぞ?」

 

「そうみたいだね・・・」

 

まったく、なんでコイツは毎回毎回

こっそり来るのか。

普通にしてたらバレないのにコソコソ

してるから怪しいんだぞ。しかしなんだ。

珍しいじゃないか。

 

「なんかいい事でもあったか?」

 

「・・なんでそう思うんだい?」

 

そりゃお前、一目瞭然だろうよ。

 

「いつもより疲れてないからな」

 

「・・・あぁ、やっぱりいつも

ひと目でわかるくらい

疲れてるような顔してたかね?」

 

「まぁな。普段何をしてるか知らんが、

少しは休んだほうがいいんじゃないかって

くらいは疲れてる顔してたぞ」

 

寝ろ。そして茶を飲め。

 

「そうかい。いや、少し前に新顔が

生まれてね。そいつが話せるヤツ

だったんで軽く愚痴ってきたのさ」

 

なんて迷惑な奴だ。生まれてすぐに

愚痴られたお仲間に同情するよ。

 

「つーかそんなこと俺に話して良いのか?」

 

お前らの機密情報だろ?

 

「情報と引き換えに魔石って約束だからね。

今回の情報さ」

 

「魔石なぁ。来たばっかりだし、価値がありそう

なのはゴライアスの魔石しかないぞ?」

 

無意味とは言わんだろうが

今さらって感じだよな。

 

「新入りにやるには十分さ」

 

ふむ。なんだかんだで面倒見が良いヤツだ。

こういうのがツンデレなんだろうな。

 

「・・・なんかスゴク不名誉な勘違いしてないかい?」

 

勘違いじゃないから気のせいだな。

 

「なんの事かわからんが、ちゃんと

使えるならそれでいい。持っていけ」

 

「・・・アンタこそ良いのかい?

私のしてることはオラリオに

とって決して良いことじゃないよ?」

 

何を今更。

 

「俺が正義の味方に見えるか?」

 

見えるなら眼科行けってな。

 

「……いや、そうだったね。アンタは

やりたい事をやりたいようにする外道。

邪魔するものは壊すべき壁。

たまに潰している闇派閥も、あくまでアンタと

敵対したから殺してるだけ、だったね」

 

実際は探し者がその中にいるかも

しれないからなんだが・・まぁいいか()

 

「とりあえず今月はこれ以上の出荷予定は

ないんだろう?こっちも今回はさっさと

帰るが、次回あたりならもう少し

良質な魔石をやれると思う。

いや、新入りなら木竜でも十分か?」

 

どの程度かなんだよな。

レベル3程度なら十分だろうが、

コイツみたいに5くらいになると

双頭竜クラスじゃないとレベルアップ

しないだろうし。

 

「それでも貰えるなら助かるさ。

まさか階層主や宝石樹の周りにいる

木竜みたいな目立つヤツらを私たちが

殺す訳にもいかないからね」

 

あぁ。宝石目当てに狙ってるのが多いから

下手に見られたら困るもんな。

 

それにコイツら基本ソロだから

ゴライアスくらいがせいぜいだろ?

カドモスとかは無理だろうし

・・・どうやったらこいつを

レベル6相当にできるのか

 

「なんかロクでもないこと考えてないかい?」

 

失敬な

 

「いや、どうやったらお前をレベル6

相当にできるかを考えてたんだがな」

 

「・・・オラリオにとったらロクでも

ないことだね」

 

「俺にとっては興味の対象だ。」

 

「「・・・」」

 

「まぁ、私も強くなれるなら

それに越したことはないけどね。

一人でできる修行で技術も磨いてるし

アンタには感謝してるよ」

 

ふむ、やはり怪人とはいえ人。

修練で強くなれる、と。

こいつらには神の恩恵が無いからレベルと

いう形ではわかりづらいが、逆に言えば

偉業なんて神の気分に左右されない分、

純粋に強さがわかるんだよな。

新人の力の上昇具合がわかれば

さらに成長については研究できるな。

 

「感謝は情報でいいさ。新人さんがそれ

喰ってレベルアップしたなら教えてくれ」

 

同じので成長するのかしないのか。

ゴライアス以上のじゃないと

成長しないのか。飛び級するのか

しないのか。うん面白い。

 

「あいよ。それじゃ、次は私の分も頼むよ」

 

「了解了解。他にも面白い情報を仕入れたら教えてくれ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ボリボリボリボリボリボリ

ボリボリボリボリボリボリ

 

味がしない。誰だ仙桃とか言ったの。

食べ物に頓着しない私でもさすがに

飽きますよ。

 

「やってるねエイン」

 

「おや、レヴィス殿。こんにちは」

 

「今は夜だけど……まぁわからないか。

とりあえず土産持ってきたよ」

 

さすがに朝も夜もわかりませんね。

外気を取り入れるには朝日があったほうが

良いのですがまだ外に出れるほどの力は

無いですし。

 

それに今、土産と言いましたよね?

 

「土産ですか?」

 

なんでしょうか?

流石に貴女みたいな服は遠慮

したいんですが・・・

 

「・・・なんか失礼なこと考えてるだろ?

まぁいいけどさ。

土産は17階の階層主の魔石さ」

 

ほほう。階層主とな?

 

「よろしいので?」

 

貴重なものでしょうに。

それとも私の手が必要になりそうな

案件が近付いてる?

 

「ま、アンタにも強くなってもらった

ほうが私も助かるってことさ。

・・・少なくとも阿呆よりはよっぽど

頼りになりそうだ」

 

力があっても阿呆じゃ使えませんからね。

互いに利となるなら良いでしょう。

 

「では遠慮なく頂きます」

 

スゴク・・・大きいですね・・・

 

ん・・・・・・・・・ほう

 

「どうだい?ソレがレベルアップだ」

 

なるほどなるほど。コレは確かに

存在の強化としか言えませんね。

 

「この魔石はすぐに手に入るんですか?」

 

味がしない石を延々食うくらいなら

コレ一つのほうが断然良いです。

18階の果実は甘すぎますし。

 

「いや、貴重品さ。次に手に入るのは

いつになるやら・・・」

 

目立つから自分では取りにいけないと

言ってましたしね。

 

「そんな貴重品をありがとうございました」

 

挨拶は大事。師も言ってました。

 

「いや、さっきも言ったが私にも

得がある話だ。これでエインも

もう少し下の階層に行って魔石を

収集できるだろう。」

 

「それは、確かにそうですね」

 

先ほどとは明らかに身体能力が違い

ますから、少し慣らす必要がありますが。

 

「前にも教えたが階層が浅いと人が多い。

その分だけ見つかるリスクが生まれる。

反対に深いところに行けばそれだけ

見つかりにくくなるからね」

 

「人が減る代わりに強者が増えるとか?

私としても無駄に雑魚を殺して魔石を

食べるよりはいいですけど」

 

もうちょっと普通に食べれる食材無いですかね?

 

「ちなみにこの下には魚介類が居るよ」

 

「行きましょう」

 

さっさと行きましょう。

 

「・・・気持ちはわかる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待ってろ魚介類。師のもとで鍛え抜かれた料理の腕を見せてやろう。




魔石は不味いと思うの

さすがにずっと石を
食べてたら飽きますよねってお話

食料庫にはナニがあるんでしょうね?


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7話

あれれ?
なんか筆が進むぞ?

オリ設定
オリ展開

原作は既に死んでいる

嫌いなヒトは読み飛ばし


まずい・・・非常にまずい・・・

こんな状況でナァーザが帰ってきたら

確実に私の評価は下がるし、何より

激怒されることは間違いない。

 

いや私の評価などどうでも良い、

神友が困ってたら力を貸すのが当たり前だ!

 

・・・それだって自分の生活に余裕が

できてからだよなぁ。

明日からの食事におかずはつくだろうか

 

いやいやそれよりどうする?

ごまかす?どうやって?

三日と言っていたが、そろそろ戻って

くるころじゃないか?

さすがに金庫からお金を出すのは

まずかった。

いや、金庫に20万もあるくらいだから

へそくりとかあるよな?

 

・・・無かったらどうする?

借金か?友に金を貸して自分は借金?

いや、それは何か違うだろう。

 

たしかリリルカとのサポーター契約は

三割だったな。

24階まで行くなら100万ヴァリスは

超えるはずだ。

帰りに余ったポーションを売れるし。

ソレを考えたら30万ヴァリスを越える

収入になるよな。

もともと降って沸いた話だから

使い道とかはないはずだし、全額貯金

できる・・・はず。

 

 

しかし、そもそもナァーザはダンジョンに

入っても大丈夫なのか?

 

トラウマで発作が起きるのは

リリルカだって知ってるだろうに。

 

だがリリルカはナァーザの理解者でもある。

一歩間違えば自分も使い潰されて

死んでいたからって理由で、同情ではなく

共感してくれている友人だ。

 

いつまでもこの状態では良くないと判断

して連れ出してくれた可能性もあるし、

ナァーザもきっかけを求めていたかもしれん。

 

・・・それ以前に、ちゃんとダンジョンに

行ったんだよな?無双農家の家で

いかがわしいことはしてないだろうな?

 

いやっ、そこを疑ったら神としてダメだろ!

実際リリルカはレベルアップしてるし

ちゃんとダンジョンに潜ってるはずだ。

 

・・・だが満足に動けないナァーザを

サポーターにして何をさせる気だ?

レベル6のヤツがその気になったら

ナァーザも逆らえんし、もしも体と

引き換えに大金を払うと言われたら

断れるのか?

 

いやいやいや!いくら我が子が心配でも

善意で誘ってくれた相手を疑ってどうする!

 

それともそこまで追い詰められていた?

・・・家計簿を見るのが怖い。

だがコレは私の責任でもある。ならば・・・

 

「ただいま戻りました!」

 

『うひゃぃ!』

 

『「・・・」』

 

「ミ・ア・ハ・さ・ま?」

 

『う、うむ』

 

ヤバイ。まさかこんなに早いとは。

何も考えてないし、なんの準備も

出来てないぞ。

 

「とりあえず留守中に何があったか

お願いします。特にお金関係は

最初に嘘偽りなく報告してください」

 

あ、なんかもうバレてないか?

 

『あ、いや、その、な?』

 

「なんでしょう?」

 

笑顔が怖い!!

 

『じ、実は友神に金を貸してな?』

 

そ、そうだ。困ってる友神にお金を

貸すのになんの問題がある!

私は私に恥ずべき行動をとってない!

 

「ほう・・・おいくらほど?」

 

『20万ヴァリスほど・・・』

 

『「・・・」』

 

「そうですか。そのお金はどこから?

それと返済の予定は?」

 

あ、アレ?怒られない??

 

『か、金は金庫からだな。

へ、返済なんだが、ソヤツはまだ下界に来た

ばかりで定職にも就いていないんだ。

用意ができたら返せば良いと・・・』

 

「・・・」

 

良いわけないよな。うん。

金が無いからトラウマも我慢して

ダンジョンに行ったというのに、

留守中に売上から20万ヴァリスも抜かれたら

・・・切れるよな

 

「そうですか。では借用書は?」

 

あ、アレ?怒られない??

なんか怒られるより怖いぞ?

 

『あ、あぁすまん貰い忘れた』

 

くるか?!

 

「そうですか、では借用書は明日貰いに

行くことはできますか?」

 

あ、アレ?怒られない??

いや、本気で怖いんだが・・・

 

「できますか?」

 

『ハイッ!貰ってきます!』

 

そ、そうだよな。いくら友神でも、いや

友だからこそ金に関してはしっかりしないと!

 

「ではソレで。これからリリルカさんと

打ち上げがあるんで、先に休んで

もらっても大丈夫ですよ。

お土産はもらってくるんで明日の

朝ごはんは期待してください」

 

『あ、はい』

 

アレ?ほんとに怒ってない?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「信じられないですよ!!帰ってきたら

金庫からお金抜いてるんですよ?!

それも20万ヴァリスも!!」

 

あぁ、あのアホはまたやりやがった

んですね。それはそれとして

 

「よく20万ヴァリスもありましたね?」

 

そもそもお金が無いから無理を押して

ダンジョンについてきてくれたのに、

それだけあればしばらくは持ちますよね?

無理をする必要がなかったのでは?

 

私、気になります!

 

「・・・ディアンケヒト様への支払い分です」

 

・・・リリには見れません。

右手をブラブラさせて笑ってる

ナァーザさんの顔が見れませんよ!

 

「な、なるほど、今回はきっと

アレですよ!リリたちと一緒だから

稼いできてくれるって信じて・・・」

 

「関係ないでしょーーーーーー!!」

 

「ごもっともです」

 

いやほんとあの神様何してるんです?

ナァーザさんに恨みでもあるんですかね?

もしナァーザさんのせいでファミリアが

解散したとか思ってるなら、

ソーマファミリアで引き取りますよ?

お金もこっちで払うし。

 

「いや、すみません。実際リリルカさん

が誘ってくれなければ、体を売るか

首吊ってました・・・」

 

重いっ!もしリリが誘わなかったら

この人そんなことになってたんですね?!

 

「い、いえ、助かって何よりです」

 

いや、ほんと。

 

「……とりあえずココに来る前に

アミッドさんに会って半年分の

支払いしてきましたから、

暫くは大丈夫なんですけどね」

 

お、おぉ。払えるうちに払うのは

いいですけど、今回の探索の取り分

ほぼ使ってますよね?

 

「お店の運営は大丈夫なんですか?」

 

大丈夫だから払ったんでしょうけど、

晩ご飯がじゃが丸くんだけとかだったら

食材買って持っていきますよ?

 

「えぇ、先生からお茶と薬草を併せて

回復効果のあるものを作ってみて

くれないかって頼まれたんです。

依頼料と研究費用と成功報酬は別だから、

ちゃんと研究してくれれば失敗しても

構わないとまで言ってもらえて・・・」

 

なるほどなー。確かに先生はお茶が

好きですし、回復効果のあるものなら

ダンジョンでも・・・使います?

 

「それ、先生以外使いますか?」

 

ダンジョンでわざわざお湯沸かして

お茶飲みますかね?

ロキファミリアの副団長さんなら

飲むかもしれませんが。

 

「うーん、微妙ですけど、こういう誰も

想定していないところに注意を払うのも

商売の基本ですし、なにより調合は自分の

経験にもなりますから。

それに、少なくとも先生は買って

くれますからね」

 

確かにそうですね。

その上で研究費用もしっかり払うんだったら

ナァーザさんにも損はないですよ。

 

ウチの先生は普段は厳しいし当たりが

キツイから敵も多いんですけど、

なんだかんだで優しいから味方も

多いんですよね。

 

「そういえば、リリルカさんはもう

ステイタス更新しました?」

 

「えぇ、戻ってすぐに。

そうしないとソーマ様をお待たせ

することになりますからね」

 

最近子供の成長を楽しめるようになった

とか言って、ダンジョンから戻ってきた

眷属は優先的に更新してくれるんですよね。

先生の説教が相当効いたみたいです。

 

「へぇ。レベル3でも最初は結構

上がるんですよね?」

 

「えぇ。そうみたいですね。

後半になると上がりづらくなるのも

皆さん一緒ですけど」

 

まぁリリの場合は先生がスパルタだから

強制的に上昇するんですけどねー。

 

「あんな戦いしてたら相当あがりますよね?」

 

「うーん。ソーマ様が言うには

驚きの上昇率と言ってますけど、

リリは他の人のステイタスの上昇率を

知りませんからなんとも言えませんね」

 

大体のファミリアはそうですよね。同じ

眷属内でもわざわざ自分のステイタスを

広めるようなことはしません。

 

「それはそうですね。私は久しぶりに

更新しようとしたらアレでしたから、

殴るのを我慢するのが精一杯でしたよ」

 

うん。それはそうでしょう。

今回のお仕事が無かったら人生

詰んでましたからね。

 

お店に行ったらナァーザさんが

首吊ってたとか嫌過ぎる・・・

 

「ちなみに今まで最大の成長はどれくらいでした?」

 

ふむぅ。今までの最大、ですか。

……別に今のステイタスではないですから

教えても良いですかね?

 

「えっと、最高値をマークしたのは先生に

お会いして鍛えてもらった時でしたね。

確か半年くらい鍛えて、トータル2100オーバーでした」

 

そのままレベルアップでしたねー。

先生が言うには今まで生きてきた分の

経験もあるって話でしたが。

いやはや。懐かしい話です。

 

「に、2100?!」

 

「こ、声が大きいですよ!そうですよ

これが2100ヴァリスのお料理ですよー!」

 

「え?あ、あぁ凄いわ!これがひと皿で

2100ヴァリスなんて?!」

 

(いくら賑やかな酒場でも、言って良い

ことと悪いことぐらいわかるでしょう?!)

 

(ご、ごめんなさい!)

 

『あぁん?!ウチの料金になにか不満でもあるってのかい?!』

 

「「ありません!!」」

 

もうナァーザさんの馬鹿っ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

馬鹿なのはお前だリリルカ。

 

「まったく、騒がしいですね。

もう少し落ち着いて食べられ

ないのでしょうか?」

 

いや、ここは味と量と賑やかさが

売りの酒場じゃなかったか?

 

「それ以前に、当たり前に俺の隣で

飯食ってるけど、良いのか?

店は忙しそうだが」

 

「えぇ、今回は貴方の作った野菜を

利用した料理です。

野菜の味に関して私より詳しい者は

いませんからね」

 

「…アイツいつから野菜博士になったにゃ?」

 

「しかも忙しいとかガン無視にゃ」

 

「しっかり質問に答えてないあたりがすごいよね」

 

連中しっかり聞き耳立ててるし。

これはこれで面白いから良いんだが。

 

「で、ミア。今回の趣向は?」

 

『おうさ。新鮮な野菜はそのままが

一番だが、やっぱり酒場にあった味付け

ってのもあるだろ?』

 

「そりゃそーだ。ついでに言えばこの街で

生野菜を好んで食うのは特定の神かエルフ

くらいだし。どちらにせよこの店の客層

には合わんよな」

 

だからこそ最初はこの店に野菜を

卸す気は無かったんだし。

 

『だね。けどさすがにあの野菜を付け合せ

扱いじゃ出せやしない。

さらにソースにしても素材の味が強すぎる』

 

そのとおり。ソース用の野菜とは

違ってメインを張る野菜だから。

たとえ野菜くずでも味が濃い。

アレを使ったソースを使うなら

次は肉や魚の品種改良が必要だ。

 

『ならばと逆に考えてみたのさ。

肉を減らせば良いじゃないかってね』

 

肉の反対が野菜なのはどうかと思うが。

 

『そして、野菜の味を最大限

活かすために肉を付け合せにした

新作料理がコレさっ!』

 

「ほほう」

 

一見すると野菜炒め。しかし油断はできん。

なにせこいつら【炒める】を知らんからな。

焼くと炒めるを一緒にするのはどうかと

思うが、中華鍋が無いからしかたない。

 

・・・しかしなんで中国系の神はいないんだ?

駆逐されたか?まぁいい。肝心なのは味だ

 

「ほう、さすがはミア母さん。

野菜の味を殺すことなく熱が通ってます。

野菜だけでも美味しいですが肉と一緒に

食べることで味にアクセントがつきますね」

 

「「なんか語りだしたにゃ」」

 

「……なるほど」

 

偶然だろうな結果的に炒めることになってるな。

 

だが意図して炒めたのと偶然そうなった

のではやはり違う。特に調味料との絡みが。

 

自分で考えてここまでできたのは

なかなかだが、金を取るプロの料理と

しては・・・足りんな。

 

『・・・どうだい?』

 

「改良の余地アリだ。

端的に言えば腕が足りん」

 

『くっ!!』

 

「…ミア母さんにあんなこと言って

生きてるのはあいつだけにゃ」

 

「だけどそのあとちゃんと完成品をつくる

から文句も言えないにゃ」

 

「そんな?!」

 

「・・・なんでリューが驚いてるの?」

 

「絶賛した手前恥ずかしいんじゃない?」

 

「「「あぁ」」」

 

『そうかい、やはりアンタは知ってるんだね?この先を・・・』

 

「無論だ。貴様に野菜の可能性を見せてやろう」

 

八宝菜はまだ早い。

貴様には野菜炒めで十分だ!

 

「ふっ、さすが私が認めた人ですね」

 

「「「なんでリューが偉そうなの?!」」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「美味いもんだねぇ!」

 

「魚や蟹の調理は散々やりましたからね」

 

死んだら塵になりますが、生きてれば

捌けるのは牛でわかってましたし。

 

「うんうん、これなら普通に強化も

出来て腹も膨れるじゃないか」

 

そうなんですよね。コレを食べたあとで

魔石食べれば栄養取れるし腹も膨れるしで

良い事ずくめですよ。

 

「ただ、やはり調味料が欲しいですね」

 

贅沢は言わない。塩と胡椒と鶏油と辣油と

胡麻油と調味酒が欲しい。魚醤や醤は

熟成させる必要があるから自分で作りますが。

 

もしかしたら魔石に味をつけられるかも……

 

「調味料か・・・ふむ、地上に行く奴らに

当たってみよう。とりあえずは塩と胡椒か」

 

「あとは鍋ですね。さすがに中古の鎧を加工

したので出汁は取りたくありませんよ」

 

絶対変なの混じりますよね。

 

「・・・私もそれは嫌だな。

わかった。鍋は優先して手に入れよう」

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうせなら美味しいご飯食べさせたいですしね。




ミアハ死すべし慈悲はない。

原作に中華系の神様居ましたっけ?

関羽とか出てきたら扱いに困りますってお話



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8話

徐々に明らかになる先生のステイタス!

オリ設定なんだよ!
オリ展開なんだよ?!

原作は不幸な目に遭遇したようだ

嫌いな人は読み飛ばし!


『おっ帰りぃ~』

 

「あいよ~。コレ土産の料理と調味酒。

魔石は工房に運んでるからあとで

みんなに分けてやってくれ」

 

『りょ~か~い。とりあえずお風呂

入りなよ~』

 

今日もちゃんと予定通りに帰ってきた。

いつも「大丈夫、コイツは強いから心配ない」

って思っててもダンジョンに絶対は無いから

やっぱり心配なんだよね。

 

「留守中何かあったか?」

 

『いや、特には何も無いね』

 

疲れてる癖にこっちの心配なんかして。

 

『試食はどうだった?』

 

「まずまずだが、正直わざわざ騒がしい

店に行って金払って食うレベルじゃないな」

 

『ま、試食ってそんなもんだよねー』

 

「まぁな。とりあえず付き合いと割り切るさ」

 

だけど、付き合いで食べたくもないモノを

食べて来るんだから相当なお人好しだよ。

まぁ自分が作った野菜を美味しく

食べてもらうための普及活動らしいけど、

私たちだけで消費するのでも

十分だと思うんだけどなー。

 

「ソレじゃあアイツらが作った野菜が

余るだろうが」

 

『あぁ、そう言うことね。

働かざる者食うべからず。

きちんと仕事を与えてソレに見合った

形で報酬を支払う。

そうして出来た野菜を美味しく食べて

もらえれば少しずつでも歩み寄れる』

 

一方的に施すんじゃなく

対等に向き合ってるから

あの子らも笑顔で居れるし、

いずれその存在が明らかになった時

「ダンジョンでさ迷ってました」と

「野菜を作ってました」だと印象が

まるで違うからね。

 

「社会復帰とは違うが。

まぁ俺の生徒だからな

んじゃ風呂行ってくるよ」

 

『ごゆっくり~』

 

あぁ、本当にお人好し。

本来は抱えなくて良いのまで

抱え込んで。

 

本人は楽しんでるから良いんだけどさ。

探してる人はまだ見つからない

みたいだけど、本人が言うには

「居るか居ないかわからないし、

会えるときになったら向こうから来る。

闇派閥に捕まったりするようなヤツでも

ないし、その辺で大人しく孤児をしてる

ようなヤツでもない」だもんね。

そのわりには闇派閥を潰してるけど。

 

まぁとりあえずそのヒトが見つかるまで

団員は増やさないけど、見つかっても

他のファミリアに所属してたら

どうするのかしら?

 

それに団員の勧誘って言っても

何をすれば良いのかな?今さら外に

出る気もないし、下手にあの子らの

情報を探られても困るから

神会にも参加してない。

アイツの主神ってだけで有名神だから

絶対面倒事になるわよね。

 

別に眷族にしなきゃ仲良く出来ない

訳でもないし、退屈はしてないから

私はこのままで良いんだけど、

今の状態だとアイツ一人が

苦労してる気がするんだよね~

 

んーアイツがアノ子たちに教えたから

発展アビリティの【調合】がなくてもポーションは

作れるってわかったし、

無駄な付き合いは減らしても

良いかも知れないわよね。

 

ミアハとか。

 

付き合い無くしたら自滅するでしょ?

自滅したところに入れないかしら。

 

お店を買って、野菜とポーションの

販売してみたり。

売り子は雇う必要があるけど、

野菜だけじゃなくポーションも

作れるってわかったらアノ子たちを

受け入れてくれる人達も増えるだろうし。

 

眷族はリリルカ?の友達らしいけど

調合を使えるレベル2の冒険者なら

どこだって入れるわよね。

ミアハから離れたくないなら

そこでミアハを養えば良いのよ。

 

うん、主神が眷族追い詰めてファミリア

潰そうとしてるなら、そのまま放置

して潰してもらいましょう。

 

そーゆープレイって可能性もあるけど

そんな変態に近付けさせたくないし!

 

けど、アイツは『ソレはソレで面白い』

とか言いそうなんだよね。

 

生き馬の目を抜くのが商売だから、

ソッチも有りって言いそうではあるけど

判断はつかないわね。

提案して却下されたら話が

終わっちゃうから、もう少し

話を詰めてから提案してみよ。

 

縁ってどうやったら切れるのかしら?

 

 

うーん・・・悩みどころだわ。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

『・・・ナァーザ、この三日間で

何があった?』

 

「はい?」

 

『真面目な話だ、答えてくれ』

 

なんか真面目な顔してるけど

 

「何があったかと言われたら、

誰かが金庫からディアンケヒト様に支払う

為に私が稼いだお金を抜いて、

見ず知らずのご友神に返済計画も

立てさせずに無償で貸し出して、

更に借用書も作ってなかったって感じの

絶望を味わったくらいですかね?」

 

『ぐはっ?!』

 

何かスキルでも産まれたのかしら?

 

浮気撲滅大天罰とか

一夫多妻去勢撃とか

 

『い、いや、ソレ以外で何かなかったか?』

 

ソレ以外?

 

「リリルカさんの奢りだったから

値段を気にせず食べたお料理やお酒が

すっごくおいしかったくらいですね」

 

『ぐふっ?!』

 

なんか「苦労をかけてスマン」とか言ってる

けど、そう思うならポーションを無料で

ばら蒔くの止めてくれませんかね?

お金無いことを自覚してくれるだけで

随分違うんですけど。

 

『そ、ソレ以外は?』

 

いや、何が言いたいかわからないんだけど

 

「さっき確認したんですが

作りおきしてたポーションの在庫と

売り上げが合わなくて、帳簿がおかしく

なってましたね。昨日のリリルカさんの

奢りがなかったら間違いなく血を吐いて

倒れてますよ」

 

『ぐほっ!』

 

いや、まさか三日留守にしただけで

ここまでやらかすとは。

留守にしなかったら死んでたけど、

留守にしたら血を吐くってどうしたら

良いんだろう?

もしかして回復効果のあるお茶って

私の為に注文してくれたのかしら?

 

「それで、素行を改める気がないよう

ですが、何を言いたいんですか」

 

ごめんだの、スマンでお金は貯まらない。

元々の原因が私の義手だから強くは

言えないけど、このままじゃ私も

ミアハ様も死んじゃうからね。

少しは押さえてもらわないと。

 

『う、うむ。お前のステイタスがな』

 

ん?本当にスキル覚えた?

 

『全体的に上がっては居たが、

器用だけが200も上がっているんだ。

何か異常があったんじゃないかと

思ってな』

 

あぁ、たぶんアレだよね。

けどそんなにステイタスが上がるって

ことは確実に先生のスキルだよね。

うーん。言って良いのかなぁ?

 

『な、なんだ?何か言えないような

ことでもしてきたのか?!』

 

人を犯罪者見たいに言わないで

欲しいんですけど。

仲間内でも窃盗は犯罪ですよ?

 

「・・・まぁ、ダンジョンで少し。

それに久し振りの更新だし、

ずっとポーションを調合してたら

器用は上がりますよね」

 

嘘ではないし、ミアハ様は無自覚に

情報もばら蒔くからなぁ。

恩を仇で返すわけにも行かないから

詳細はしゃべる気ないよ?

 

『だ、ダンジョンで何かあっただと?!』

 

 

―――――――――――――――――――――

 

確かに最近更新してなかったし

ずっと調合をしていたら器用だけが

上がることはあるだろう。

 

しかしソレだけじゃないとナァーザも

言っている。

私に嘘はつかないと言う信頼の表れ

なのだろうが、ダンジョンで何をすれば

器用だけが上がると言うんだ?!

 

おのれ無双農家っ!

心優しいリリルカを利用して

ナァーザを連れ出してダンジョンで

ナニをした?!

 

『だ、ダンジョンで何があったんだ?』

 

答えによってはヤツとの付き合いを

考えねばならんっ!

 

「リリルカさんと先生に守ってもらって、

25階層を見てきたくらいですよ。

大瀑布を見たのははじめてでしたが

凄いモノでした」

 

嘘は言ってないが、聞きたいことは

ソレじゃないっ!

 

いや、まて。今ナァーザは

何と言った?

 

はじめて、凄い、モノを、見た?

そう言ったか?

 

・・・ふっ、無双農家よ。

今日このときから貴様は私の敵となった。

貴様にはポーションを売らんぞっ!

 

『ナァーザ』

 

「はい?」

 

安心しろナァーザ。喩え相手がレベル6でも

お前は私が守るっ!

 

『今後無双農家にはポーションを売るなよ』

 

「・・・私に死ねと?」

 

――――――――――――――――――――――

 

 

ちょっと何を言ってるのかわからないですね。

 

ギリギリ歯ぎしりしたと思ったら

なんか決心した顔で

先生にポーション売るなって。

 

家計簿が炎上するんですけど。

 

『安心しろ!どんな報復が来ても

私が守る!』

 

いや、取引停止したら他に行くだけですよね。

そもそも貴方の事を嫌ってますから

コッチがそんな態度とったら、

頼まれなくてもウチで買わなくなりますよね。

 

それにたぶんあの人調合持ってますよ?

お茶のブレンドしてますからね。

 

守るどころか普通に貴方がもたらす

貧困に殺されるんですが。

 

それともアレかな?私が居ない間に何か

あって、ダンジョンに潜らなくても暮らして

行けるだけのお金の宛が出来たとか?

何も考えずに金庫から全額抜いたんじゃなく、

暮らしていけるだけの確信があった?

 

・・・そりゃそうだよね。

ディアンケヒト様への支払いや生活費

だって有るんだから宛もなくお金を

貸したりはしないよね。

あまりに衝撃的だったから詳しくは

聞けなかったけど、落ち着いて聞くべき

だったかな?

リリルカさんの中ではミアハ様の評価は

最低を下回ってるし、何かしらのフォローは

必要よね。

 

まぁそれと先生にポーションを売らないのとは

違うと思うけど・・・もしかしたら

ロキファミリアから圧力が?

 

自分達が買うから先生に売るなとか

言われたなら・・・

確かに商売上は正しいし経営は良くなる。

 

先生に言えば苦笑いして許してくれそう

だけど、間違いなくリリルカさんとは

仲が悪くなるわよね。

 

だけど商売だからって一番大変な時に

助けてくれたヒトを裏切るのは違わないかな?

そんなヤツをロキファミリアが信用する

筈がないし、ディアンケヒト様だって

ご自分の顧客を取られたって怒るわよね。

 

商売に大事なのは信用とは言うけど、

決して綺麗事じゃなくきちんと理由があって

大事なんだってミアハ様はわかってるかな?

 

この神様は医学以外に興味が無いから、

単純にロキファミリアと取引したら儲かる!

って思ってる可能性が高いんだよね。

 

言葉巧みに騙されてる感じがプンプン

するけど・・・いえ、決め付けはダメよね。

何か深い考えがあるのかもしれないし。

 

 

「つまり先生に頼らずともお金を稼ぐ宛が有ると?」

 

まずはコレが一番大事

 

『今は無いが何とかする!』

 

「・・・私に死ねと?」

 

そーゆーのは何とかしてから

言って下さい。

お疲れさまでした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ボリボリボリボリボリ

ボリボリボリボリボリ

 

魚も蟹も魔石の味は

変わらないか・・・

 

「一度にそんなに食うから

飽きるんじゃないか?

他のも喰って、たまに魔石くらいが

ちょうどいいと思うんだけど」

 

それはそうかもしれませんが

 

「しかし強さは必要でしょう?」

 

まずソレがないことには話が

進みませんからね。

 

「それはそうだが、何か急ぐ理由でも?」

 

急ぐ理由も何も

 

「いや、弱かったら死ぬじゃないですか」

 

普通に死にますよ?

とりあえずレベルを5相当に上げないと

貴女の気が向いた時に殺されますし。

 

「ま、それもそうか。おとなしく

してくれてるだけマシだね」

 

あぁ、噂の阿呆さんは何か悪巧み

してるんでしたか・・・

阿呆の悪巧みなんて確実に失敗するから

関わらないのが一番ですよね。

 

「そういえば、今の私は何レベルに

相当するんですか?」

 

これも重要。まだレベルアップの感覚は

一回しかないからレベル2なのか、それとも

最初から牛を殺せたから前回がレベル2で

今がレベル3なのか・・・

 

「レベル3相当だろうね。

ゴライアスの魔石でレベルアップしたと

考えれば最初はレベル2だったみたいだ」

 

なるほど・・・エインと言いましたか

この体はレベル2だったと。

阿呆さんは少なくともレベル4はある

だろうから、やっぱり強化は必要ですね。

 

「とりあえずアンタがレベルアップした

ことを伝えるだけで良質な魔石が

手に入ることが確定したからさ。

できたら交換用にドロップアイテムを

集めてくれると助かる」

 

情報を渡して魔石をねぇ・・・

あまり面白いものではありませんが、

今の私には支払えるモノがありません

から、それも仕方ありませんか。

 

「わかりました」

 

それに初仕事といえば初仕事

しっかり働かせてもらいましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、ドロップアイテムとは何です?」




スキルの鍛冶なくても武具は作れますからね

調合はただの化学反応だし
多分成功率とか品質に違いが出る
程度なんじゃないかなーと思います


オリキャラ、実は憑依だったんだー?!

な、なんだってー!

魚の骨とかカニの甲羅が価値あるなんて
思わないじゃないですかってお話


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9話

主人公くんは男です
むしろ漢です

オリ設定
オリ展開

原作とは何かね?

嫌いな人は読み飛ばし




「旦那ぁ!勝負だぁ!!ブギャッ!!」

 

二メートルを越える巨体が盛大にひっくり

返る音が拠点に響き渡った。

 

今となってはイシュタルファミリアの

名物になりつつあるカエルの醜態は、

普段から彼女に見下されて

暴力を振るわれている戦闘娼婦からは

いい気味だと笑われ、戦闘技術を

学びたがる戦闘娼婦からはその動きを

参考にするために観察されている。

 

つまりはみんな見てるのである。

 

慣れない客はなんだ?!と慌てるが

慣れてる客や娼婦たちはソレを肴に

酒を飲み、一段落したら部屋に戻って

いつもの営みに戻るのが彼がココに来た

時のサイクルになっている。

 

その結果、彼は娼館を訪れた日時が衆目に

晒されると言うある意味拷問にも等しい

行為を受けている。

 

それに対して怒るどころか当然のように

受け入れ、堂々と来店する彼を、

一部の神や男たちは尊敬の念を込めて

無双先生と呼んでいるとか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

・・・あのヒキガエル、また先生に

ちょっかい出してやがる。

レベル4の先生にだって勝てなかったん

だからいい加減諦めろってんだ。

 

「ふむ、前に比べて虚実はそこそこ成長

したが、その分踏み込みに歪みがあるな。

それでは最初からフェイントだとバレて

しまう。

 

それにその笑い方の矯正が必要だ。

相手に圧力をかける場合は良いが、

自分より技術が上の相手に呼吸が

読まれるのは致命的だと言ってるだろう

 

アイズだったか?お前が言う小娘にも

そのせいで粘られたんだぞ?

 

それと折角片手でメイスを持てるだけの

腕力があるんだから、左手にも何か

武器を持ってみたらどうだ?

お前の体格なら・・・そうだな盾でも

いいかもしれん。

右のメイスを囮にして

左のシールドバッシュで仕留める形も

不自然じゃなさそうだ。

盾なら普段は背中に背負えるしな」

 

「な、なるほど・・・参考にするよ」

 

・・・なんだかんだでアレを普通に

相手してる先生が凄いよ。

 

あんな扱い受けたの初めてだから

ヒキガエルも普通に教えを受けてるし。

 

アレ、イシュタル様に行動を制限

されて無かったら先生に惚れてるん

じゃないかい?

 

「待たせたなアイシャ」

 

「いや、こっちがちょっかい

出したんだ。謝るのはアタシらさ」

 

ほんと、客に喧嘩売るって娼館の商売として

どうなんだろうね?

 

『いや、ほんとに悪いね。いつもどおり

値引きはするし、帰りに土産を包むから

叔母様に持って行っておくれよ』

 

相手の主神もイシュタル様の神界での知り合いで、

魅了が効かなくてもそれが当たり前みたいな

感じで接してるのがなんとも・・・

 

「土産は有難く頂くが、値引きまでして

もらうのは気が引けるな。商売はいいのか?」

 

『ウチの団長を鍛えてもらってるし、

アンタが居るだけでフレイヤとかロキに

対する抑止力にもなるからねぇ

その保障料みたいなもんさ』

 

そうなんだよねぇ。ロキはともかく

ウチの主神様がフレイヤを嫌ってるから、

どうしても奇襲を警戒しなきゃいけない

んだよねぇ。

 

「抑止力も何も、多分お前からちょっかい

を出さなけりゃ何もされんぞ?

住み分けも出来てるみたいだし」

 

それはそうなんだけど

 

『その住み分けが気に入らないのさ』

 

美と愛欲の女神様だからね。

国境も種族もないモノが住み分け

されてるのが許せないとかなんとか。

 

まぁ、嫉妬だよね

 

「お前にはお前の美しさがあるんだから、

特に気にすることはないだろうに」

 

『そ、それはそうなんだろうけどさ!』

 

・・・なんだかんだで魅了されてない男に

褒められるの慣れてないんだよねぇ。

 

「ではアイシャを借りるぞ?」

 

『あ、あぁ!次は私を指名しておくれよ?』

 

さりげなくアピールしてるし

 

「お前を買うには懐がな、もう少し

余裕ができたら頼むとするさ」

 

『べ、別にアンタなら格安でもいいんだけど?』

 

むしろタダにしそうな勢いだねぇ。

……気持ちはわかるけど。

 

「気持ちは嬉しいが美を謳う神が自分を

安売りするもんじゃない」

 

『そ、そうかい!それもそうだね!!』

 

断られて残念なのと、嬉しいのが

半々か・・・これで本心なんだから

主神様にしたら堪らないよねぇ。

 

「じゃ、行くかアイシャ」

 

「はいよ」

 

さぁて、これから朝まで逝くとするかね。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

むぅ・・・やっぱりダメだ。

私には剣の先生が必要だと思う。

 

「リヴェリア?」

 

「ダメだ。接触禁止令はこちらの

都合で解除できるものではなく、

あちらが許して初めて解除される。

現状で我々が彼に許される理由がない」

 

「そもそもよぉ!あんな奴に何を習う

って言うんだよ?!」

 

「ん?あの人なんだかんだで

色々教えてくれるよ?」

 

・・・私には何も教えてくれないけど。

 

「あぁ、英雄譚とかのついでに呼吸とか

武器の持ち方とか体捌きとか、色々

教えてくれたわね」

 

「ティオネもかよ?!」

 

そういえばレベル3から4になる時に器用の

上がりが大きかったとか言ってた気がする。

 

「なんか「せっかくの身体能力が勿体無いから

基礎的なことは教えてやる」って言われてさ」

 

「そうそう、私は最初いらないって

言ったんだけど、帰ってきたティオナに

簡単にあしらわれてね。

悔しかったから次からは私もついてって

素手の戦い方や小刀を使った戦い方を

教えてもらったのよ」

 

・・・私には教えてって言っても

教えてくれなかったのに。

 

「なるほど。お前たちの技術的な成長は

ソレか。だが他所のファミリアに教えを

受けたならちゃんと報告はしろよ?」

 

「団長に話したわよ?」

「フィンに話したよ?」

 

「・・・そうか、フィンにはあとで話を聞いておく」

 

むぅ・・・ずるい

 

「その呼吸?とかは私にもできるの?」

 

とりあえず強くなるならなんだって覚えないと。

 

「うーん。無理かな」

 

「・・・」

 

そうか、無理なのか。

 

「おい!独占する気か?!」

 

「独占って・・・もともと教えなきゃ

いけない理由はないんだけど」

 

「まぁ確かに今のはべートの言い方が悪い。

強くなる方法は人それぞれだし、同じ眷属

でも秘匿するべきことはある」

 

・・・そうだよね。

元々ティオナとティオネが教えて

もらったのを、ただで教えてもらおうって

言うのがダメだよね。

 

じゃが丸くん何個あったら

教えてくれるかな。

 

「あぁ、いやそうじゃなくて

何て言えばいいのかな?」

 

「ん~そうね。秘密とかじゃなくて

単純に私たちには教えられないのよ」

 

「「「教えられない?」」」

 

どういうこと?

 

「そう、難しくてねー!」

 

「難しいって・・・呼吸なんだろ?

吸って吐くだけだろ?」

 

「「はぁ。これだからベートは」」

 

なんか二人揃ってるのって珍しいよね。

あ、そうじゃなくて

 

「・・・どういうこと?」

 

「農家さんが言うには、ヒトそれぞれで

筋肉とか骨格が違うから、身長も体重も

内臓の位置も全部違うんだって!」

 

・・・それはそうだよね。

 

「それで、その人その人に合った最適な

呼吸のタイミングってのがあってね。

私たちは自分のタイミングは教えて

もらえたけど、他の人のタイミングを

見れるほど精通してるわけでもないから

教えられないの」

 

「なるほど。言われてみれば確かにそうだ。

それに戦いの際、呼吸は大事な要素。

基礎的なことだからこそ深く考える

のが彼の流儀か・・・」

 

リヴェリアは納得してるけど、

問題はその大事なことを教えて

もらえない今の私であって・・・

それもこれも全部

 

「ベートさんのせいだ」

 

「ぶべらっ!!」

 

「ほんと、困るんだよねー」

 

「誰彼構わず噛み付くからよ。少しは反省しなさい」

 

 

・・・ティオネが言うと説得力あるね

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『・・・なぁフィン』

 

「ん?ロキかどうしたんだい?」

 

コイツ、わかっとるくせに。

 

『どうしたやあらへんやろ。

あの農家、どないすんねや?』

 

野郎!ウチのアイズたんだけじゃなく

ティオナとティオネにまで

触手伸ばしておったんかい!

 

「いや、どうするもなにも・・・

元々無礼を働いたのはコッチで、悪いのも

コッチだよ?恩を仇で返してる状態だね」

 

『いや、それはそうなんやけど!』

 

ほんとにそうなんやけど!

 

……だってアイズたんが弟子入りしたい

とか言ったら普通調べるやろ?

それが無礼言われたらその通りやし

素行が悪い冒険者が多いのも事実やけど!

 

「この状況で何かしたら罰金が酷い

ことになる。予定されてる遠征も

出来ないし、何より・・・」

 

・・・名が落ちるわな。

名声を得ることがフィンの目的の一つだし。

 

さらに言えば相手はレベル5以上。

噂では6になっとるかもしれん。

そんなヤツに何かするなら三人を使わな

あかんけど、フィンもリヴェリアも

アレを特に敵とは思っとらんし

ガレスも関わりがないからなぁ。

 

「リリルカさんに嫌われるじゃないか」

 

『ソッチかい!!!』

 

この野郎!確かに嫁探しもコイツの目的ではあるけど!!

 

「さすがに今回は理由もなく敵対行動を

とったべートに非がある」

 

『理由もなくって、無礼やないの?!』

 

未だに名乗らんとか、普通に無礼やろ?!

 

「最初に言われた通りさ。僕たちの行動が

名乗るに値しないから名乗らない。

当たり前の話だね」

 

『ぐっ』

 

行動がって言われるとなあ、ウチも品行方正言う訳やないし。

 

「そもそもロキ、彼に謝ってないよね」

 

『なんで謝らなあかんの?!』

 

ウチ神様やで?

ロキファミリアの主神やで?

 

「ま、ロキがそういうならいいさ。

それがファミリアとしての決定だ。

ティオネとティオナについては・・・

こっちからの接触は禁止だけど

あっちからはそうでもないから、

個人的な付き合いで鍛えてもらえたら

鍛えてもらう程度でいいと思う」

 

『それもや』

 

「それ?」

 

『なんで二人が鍛えてもらってたことを

アイズたんやベートに教えんかった?』

 

ウチもリヴェリアも知らんかったけど?

 

「いや、教えたら迷惑かけに行くだろ?」

 

『・・・』

 

・・・アイズたんが押しかけたら

ベートとレフィーヤとウチが押しかけて、

最後にリヴェリアが謝罪に行くまで見えたわ。

 

うん間違いなく迷惑やな。

 

「そういう事だよ。僕としても彼から

教えは受けたいけど、それで迷惑をかけて

リリルカさんに嫌われたくないし」

 

ティオネも迷惑かけるやろなぁ。

 

「それに彼女が強くなる時間を

奪うわけにはいかないじゃないか」

 

あぁ、勇者の伴侶が弱かったらあかんもんな。

コイツも難儀な性格しとるわ。

 

「ロキだって他人事じゃないだろ?」

 

『あぁ?ウチはアイツの世話になった覚えなんてないで?』

 

眷属が迷惑かけたのはあるかもしれんけど。

 

「ソーマファミリアの新作は、ほとんど

彼が関わってるけど?」

 

『せやった!!』

 

食前酒とか色々開発しとるんやった!

あかん!これ以上ヤツの印象悪くしたら、

ソーマファミリアからの酒の供給が

止められてしまうってことに?!

 

クソっ不味い、不味すぎる!!

 

 

 

『・・・謝罪、しに行こか?』

 

「接触禁止中だよ」

 

『ベェェトォォォォォォ!!』

 

あの野郎っ!何してくれてんの?!

 

「・・・ベートだけのせいじゃないと思うんだけどなー」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ウカツッ!まさか蟹の甲羅や蜂の外殻が

お金になるなんて思ってもいませんでした。

・・・普通に捨ててましたよ。

 

そうなると今後はダンジョンでモンスターを

倒して、身と魔石を食べて、残った殻を売る。

 

一見無駄がない生活に見えますが

まんま蛮族みたいですね。

 

地上の連中もそんな感じらしいですけど

・・・卑弥呼殿がそのへんの野生

動物狩って食べてるのと一緒ですか。

 

 

むぅ。私も文化的とは言えませんが

いくらなんでもアレじゃないですかね。

 

魔石を加工したり、いつでも風呂に入れる

ようになっていたりと技術的には発展してる

ようですが、文化的には殷とか周の時代以下

なような気がします。

 

衣食足りて礼節を知る。

 

少なくとも私より長く生きてて

今の私より強いレヴィス殿が

あんな貧相な格好をしている

くらいだから、やはり生活は

厳しいのでしょうね・・・

 

もしくは孫家のような痴女の

可能性もありますが、その場合は

付き合いを変える必要があります。

 

……とりあえずはレベルアップですね。

レベルが2つ違えば抵抗はできないと

言われるようですから、あと一つ上げれば

阿呆程度には抵抗が出来るでしょう。

 

その後は双頭竜でしたか?

アレを殺して喰らえば5にはなれそうです。

今のままだと攻撃を当てても斬れませんからね。

 

斬れるようになれば水揚げして捌くだけです。

 

・・・水揚げと言えば人魚の生き血は怪我や

疲れも癒す道具だとか?

今の段階でも水は斬れますから、追い込んで

みますかね。戦闘力は無いみたいだから

無明察相翫が通じるかどうかも試して

みたいですし。

 

何より回復手段は切り札として

持っておいたほうが良いですよね。

 

とりあえずはこんなところでしょうか。

 

その後は・・・今はまだ良いですね。

 

魔石もレヴィス殿に分ける必要は無い。

あくまで彼女は彼女の都合で動いている

みたいですし。

頼まれたら協力する姿勢で良いでしょう。

 

ただ、修練や身のこなしに我々と

同じような匂いがするんですよね。

 

師の教えにしては粗がありますから、

もしかしたら師の弟子に教わったか

似たような流派があるのか、

それとも近くに居ないからどうしても

我流が交じるのか。

 

そのへんの情報ももらうためにも

さっさとレベル6相当にならなくては。

 

 

 

しかし食事のついでに魔石を食えば

飽きないとは・・・随分と温い。

 

強くなる理由があって、その方法がはっきり

しているならば後は好き嫌いじゃないでしょうに。

 

地上の人間なら毒でも、我々にとって毒性がないとわかっているなら尚更です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わざわざ教えを授けようとは思いませんが、

一体何がしたいやら・・・」

 




なぜかアイズが嫌い?な主人公くん
理由が明かされる時が来るのか?

普通に娼館行きますよ?
だって漢だもの。

なぞのオリキャラはさっさと
レベルをあげたいようですってお話


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10話

主人公くんのステータス公開。

スキルの【加工】はオリ設定です
だって鍛冶と加工は違うでしょ?

原作を殺すのは最後だと言ったな?
アレは嘘だ。

スキル名は気にしないようにね。

シカタナイネ!の精神でお願いします





「よくよく考えたら不思議に

思うかもしれませんよねー」

 

「ですよね?まぁご自分で加工や調合

をしてるんですから貴重な品を拠点に

持ち帰るのはわかるんですが、

魔石もほとんど持ち帰りますよね?」

 

ナァーザさんが探索に参加するように

なって1年経ちましたが、

どうやら相当焦ったりピンチに陥らない

限りは発作は起こらないようで、最近は

普通に援護もしてくれるようになりました。

 

リリ的にも楽になりましたし

ナァーザさんの家計的にも

随分助かってるんだとか。

 

最近は最初の時みたいに24階までは行かずに、

22階でブラッティハイヴを見つけて

無限湧きするデットリーホーネットを

捌く訓練になってます。

 

大量の数をこなすことで継戦能力と

判断力を養い、周りを見て連携をする

訓練にもなるんだとか。

 

こういったステイタスに反映されない

能力がダンジョンでは絶対に必要に

なりますから、きちんと鍛えないと

いけませんよね!

 

 

 

ナァーザさんには先生が付いて、

敵に囲まれないように一方向

だけの敵に専念できるようにって

配慮をした上で、トラップの設置と

解除の訓練をしてます。

 

なんでも外でやるよりダンジョンの

緊張感の中で行うとステイタスの

上昇値が高いんだとか。

 

最初は先生が張ったトラップの解除に

失敗して上から蜂の硬殻が降って

来てましたが、最近は大丈夫みたいです。

 

・・・ドロップアイテムの使い方

おかしくありませんかねぇ?

 

ステイタス的にも魔力以外はSで

カンストですから、あとは偉業があれば

レベルアップできるって話でしたね。

 

リリもステータス上はレベルアップ

出来ますが先生はカンストするまで

レベルアップを許さないんですよねぇ。

 

そういえば先生は、もしかしたらS以上も

あるかもしれないって言ってました。

 

S以上があるならカンストじゃない気も

しますけど、ソレになるにはたぶん

特殊な条件としての壁を越える必要が

あるんだとか。

 

ナァーザさんもトラウマの克服が

できたら、その壁を越えたことに

なるかもしれないらしいです。

 

よくわかりませんが、そんなもんだって

先生が言ってましたから

そんなもんなんでしょう。

 

レベルアップのタイミングは

ナァーザさんは他のファミリアだから

いつでも良いみたいですけど、

リリは弟子ですからカンストまでお預け。

 

・・・宝石樹のそばにいる木竜を

二人で倒したら、リリは微妙ですが

ナァーザさんは間違いなく行けますよね。

今回の試練はソレかな?

 

「あのリリルカさん?」

 

あぁ、疑問の話でしたか。

不思議に思うのはわかります。

ですがね

 

「ナァーザさん」

 

「は、はい?」

 

「命が惜しかったら探らないことです」

 

コレ大事ですよ。先生は

好奇心が猫を殺すと言ってましたが

正しくその通りです。

下手になんだろう?って思って

頭を突っ込んだら潰されますからね

 

「さ、探るって?!」

 

「そんなつもりじゃなくても

結果的にそうなったら一緒です。

貴女は生きたまま殺されたいんですか?

そのときはリリは無関係だって

証言してくださいよ?」

 

いやほんと。いくら友人でも

やって良いこととダメなことは

きちんと区別しないといけません

 

「先生は魔石を加工できる技術がある。

それでいいじゃないですか」

 

「あ、はい」

 

この仮説だって周りに知られたら

どうなるか・・・

 

「あとですね、私どうもレベルアップ

できるみたいでして」

 

「へぇ!おめでとうございます!」

 

いや、ほんと助かります。

コレで木竜と戦う時も楽になります!

 

「けど何がナァーザさんにとっての

偉業になったんでしょうね?」

 

ここ一ヶ月はずーっとデットリーホ-ネット

と先生の鍛錬でしたし、何かしましたっけ?

 

「うーんわからないですけど、

とりあえずアビリティに蟲殺しとか

出たんで、ソレを取ろうかなって」

 

「うんうん。レアなの出ましたね」

 

状態異常は先生の装備と本人の薬で

なんとかなりますし、たぶん狩人よりも

蟲に特化した感じのスキルですよね。

 

「それがあれば蟻や蜂相手に

安心安全にお金を稼げますから、

今後の為にも取るべきですよ!」

 

「そうですよね!冒険よりもまずは

足元を固めなきゃダメですよね?!」

 

そうそう、油断慢心ダメ絶対。

けどまぁ今日はおめでたい日です

慢心してあげちゃいましょう!

 

「今日もリリが奢っちゃいますよぉ!」

 

「ゴチになりまーす!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「・・・なぜ彼を連れてこないっ!」

 

「うわぁ」

 

「なんかカリカリしてるにゃ」

 

「物理的に爪をカリカリしてるにゃ」

 

「飲食店なんだからやめて欲しいんだけど」

 

『アンタら!喋ってないでさっさと働きなっ!!』

 

「「「「はいっ!!」」」」

 

『クソっ、一年たってもまだあの味に

追いつけない。

・・・何が足りないってんだい?!』

 

「((・・・シル、あの男に連絡にゃ))」

 

「(うん、お土産を13個用意するよ!!)」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「いやはや、まさかステイタスにSSが

あったとは」

 

『そうよねー999が最高だと思ってたら

まさかの1000越え。たぶん1099に

なったらまた壁があるのかしら?』

 

「その可能性は高いだろうな。

もしくは次の壁は1111とか

かもしれん」

 

Hooah!とか言ってな

 

しかし惜しいことをした。

これなら毎回少なくとも100の

ステータスアップを見逃していた

ことになる。

とはいえ壁を越えるための条件が

わからんとな。

 

SSになったのは器用さだから

今回はおそらくナァーザがレベルアップ

可能になったことだろう。

本人も意識してないところでトラウマを

克服したか?

木竜を殺して宝石樹を得ることが必要かと

思ったが、そもそもレベル2だし十分偉業

になってたのか?

 

『これならもっと弟子取ったほうが

良いんじゃない?』

 

「ふむ、しかし誰でも良いというわけでも

ないだろうからな」

 

中途半端に大手と絡むと

面倒事が増えるし。

 

『イシュタルのところから適当なのは

借りれないかな?』

 

「イシュタルか・・・」

 

まぁ俺がモノを教えてるのは知ってるし、

俺自身の育成能力の向上のためと言えば

不自然でもないか。

ついでにレベルも上げてやれば

貸しにもならんだろう。

 

数はサポーター役と弟子役で二人だな。

アイツ等から選ぶならリリルカや

ナァーザは連れていけん。

 

とりあえずレベルアップしたナァーザの

慣らしとリリルカのレベルアップを

してからだ。

宝石樹が居なかったらゴライアスとでも

戦わせてやろう。

今の二人なら勝てるだろうしな。

楽に勝たれても困るから多少は苦戦

するようにしないと。

さてさて、何を封じるか。

 

 

――――――――――――――

 

 

「・・・ようやく来ましたか」

 

「お、レベルアップかい?」

 

「えぇ。一年かけてようやくですよ」

 

いやはや、どれだけ食べたことやら。

やはりアノときの階層主の魔石は

相当な貴重品だったのでしょうね。

 

「いや、一年でレベルが3から4に

なるなんて相当なモンだよ?」

 

貴女方みたいな温い生活をしていれば

そうでしょうよ。

 

「そうですか。まぁコレで双頭竜にも挑ますね」

 

一度見ましたが、アレを殺して魔石を

食らえば、たぶん2回くらいで

レベルアップできると思うんですよね。

 

「いやいや、レベルアップしたばかりじゃ

無理だ。もう少しステイタス上げないと」

 

・・・また新しい言葉が出てきましたね。

 

「ステイタス?上げる?」

 

「・・・おいおい、マジか。

アンタもしかして頭を潰されたのかい?」

 

あぁ、我々は死んだ肉体をダンジョンの

中に居る精霊が再利用してるんでしたね。

死に方によっては知識が無くても

おかしくはないのか

 

「いえ、さすがにどうやって死んだかは

覚えてないですよ」

 

実際知らないし

 

「あぁ、まぁそうだね。

ステイタスって言うのは・・・」

 

 

 

 

なんとまぁ。今の我々には確認する

ことは出来ないらしいですが、

自分の力を数値で見ることが出来るとは。

 

ソレで一定の数値、この場合は熟練の

度合いですかね?

とりあえずソレが無ければレベルアップは

出来ない。

私はモンスターとの戦闘と魔石を喰らって

ステイタスを上げてたんですね。

 

何で罠を仕掛けないのか不思議に

思ってましたが、そう言う事ですか。

 

そう言う情報はきちんと下さいと

言いたいんですが、常識と言われては

難しいですね。

知ってるのが当然だと思いますから。

 

さて、そうなると私は魔法?は使って

ませんから魔力は0ですね。

後は力と耐久と器用と敏捷ですか。

・・・耐久は低いですね。

当たれば死ぬんですから当然だと

思ってましたが、コレからは少しは

受けるようにしましょう。

 

力はどうでしょう?

この身体はそこそこ力がありましたし

気による強化も出来ましたから、

そこそこいけるのではないでしょうか。

 

器用と敏捷は十分ですよね。

と言うか体力とか技術は無いんですか?

・・・あぁ、比較が出来ませんか。

 

そうなると苦戦する程度の敵と戦わねば

なりませんね。

更に下に行ってモンスターを狩りつつ

魔石を喰らいステイタスを高めるか。

貴重品をくれた人と繋ぎが取れれば

良いのですが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反復練習よりも強い敵を狩る方が強くなる

なんて考えてるから、レヴィス殿はアノ程度

なんですね。

アレなら同じレベルに至れば無傷で

勝てるでしょう。

まぁ外にどれだけの強者がいるか

わかりませんから、鍛えはしますがね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

名前  ○○○・○○○○

 

種族   ハーフエルフ 職業 農家

到達階層 ○○階層   武器 剣

 

所持金  3000000ヴァリス

     常に現金として持ち歩く

     ことにしている。

     

 

STATUS    LV.6

 

力  S●●●  耐久 A●●●

器用SS●●●● 敏捷 S●●●

魔力 S●●●  教導  S  

鍛冶  A     神秘  B

調合  C     加工  C      

 

魔法

 

自然に従え

【セクレ・ナートゥーラム】

 

己が定めた領域に対しての侵入者に対して

毒、麻痺、石化、衰弱、睡眠、呪い

等の状態異常を付与。

込められた魔力により範囲、威力は変化。

 

侵入者が居ない状態が自然であると

定義付けているので、領域から脱出

しない限り回復不能。

 

領域を策定するにはいくつかの条件を

満たす必要がある。

 

1・※※※※※※※※※

2・※※※※※※※※※

3・※※※※※※※※※

 

なお、魔力の過剰使用により一時的に

領域の作成は可能になるが、効果は

格段に落ちる上、

消費魔力は跳ね上がることとなる。

 

   

 

スキル 

 

斯く在れかし聖四文字

【アンメンゾ・イマデウス】

 

任意の対象に試練を与える。

対象が試練を突破した際、双方の

ステイタスに成長補正。

試練の内容により補正の内容は変化

 

 

試される大地

【セイタン・ホッカイド】

 

指定された土地で作られる

農作物に対して試練?を与える。

試練を突破した農作物は通常の

農作物よりも味や効能が増す。

 

※品種改良のスキル

 

赤色狩猟

【リョーユーワナプロ】

 

トラップの隠蔽効果に補正。

トラップによるダメージ増加。

 

我知無知哲学三信

【ヘリントン・アトモスフィア】

 

歪みない姿勢。

いかなるときにも歪まぬ不動の心

精神耐性。

 

だらしなさへの戒め。

アビリティの教導やスキルの

試練の効果に補正。

自己の戒めにもなるため成長補正。

 

しかたないとする寛容の心。

対象の精神的重圧を軽減。

 

頼れる兄貴である。

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

 

装備 

 

○○○

 

彼が常に装備している剣。

彼が打った剣だが本人曰く雌雄一対であり

もう片方は所在、所持者共に不明

 

価格 ーーーーーーー    

 

 

 

倚天剣

 

彼が自作した剣。特殊な素材を

神秘と鍛冶と加工により金属として

打った剣。不変属性と

呪い(精神汚染)付き。

 

(不変属性とは不壊属性とは違い

折れるし曲がるし壊れるが、

自己修復能力により修復される)

 

使い手の技量と剣に宿るモノにより

『鞘に入れたままでも斬れる』と言う

伝承を宿すこととなった。

 

刃で斬られた場合は流血(止血不能)と

精神異常を起こす。

本来は持ち主にも影響を与えるほどの

呪い(素材由来)であるが

素材との力関係(?)があり、彼は

汚染されることはない。

 

価格 ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

神凪の服

    

彼が自作した服(インナー)特殊な素材を

神秘と鍛冶と加工により布とし、

不変属性を付けた。

 

サイズ自動調節・適温維持

自動修復・呪い(精神汚染)付き。

    

価格 ーーーーーーーーーーー    

 

倚天剣同様、彼以外の者が触れれば

精神異常を起こす程の呪い付き。

あまりに強い呪いなので、他の

状態異常(魔力由来)が弾かれるほど。

 

彼が呪われないのは、

主神曰く素材が彼に対して

完全に屈服した状態であったため。

 

彼に対して逆らうとか危害を加えると

言う意思が産まれないとのことである 

 

通常はこの服の上に市販されてる

服を着ている。

 

 




いや、本当にスキル名は気にしないように
お願いします

我は無知であることを知るって
意味ですよー。哲学ですよー。


こんな能力持ってますよー
だから色んな教えを授けてるんですよー
ってのがわかって貰えればってお話



素材に不変属性がついていたもよう。


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11話

狐っ子?!狐っ子じゃないか?!

前の話から一ヶ月くらい経過。

オリ設定
オリ展開

原作はいいヤツだった

嫌いな人は読み飛ばし!


「こ、こんにちゅわ農家さんっ!」

 

・・・噛んじゃったよ。

それに今は朝じゃん。

おはようございますだよね?!

 

・・・新人の頃からお世話になってる

ヒトだから頭が上がらないのもあるけど、

いい加減慣れろって話だよ。

 

「あぁ、こんにちわ。

今日はこの二人とダンジョンに潜る

ことになった。手続きを頼む」

 

「あ、はいっ!」

 

いつもはソーマファミリアの

リリルカさんとミアハファミリアの

ナァーザさんなんだけど今日は違うのね。

 

「アイシャだ」

「さ、サンジョウノと申します!」

 

・・・イシュタルファミリアかぁ。

まぁ農家さんも男の人だし、大人

だからそう言う人達ともお付き合いは

あるわよね。

ただ、昔は闇派閥との噂もあった

みたいだけどその辺はどうなんだろ?

 

「エイナ、手続きは終わったか?」

 

「は、はいっ!」

 

何考えてるの?職業で差別するなんて

最低だし、今は仕事中っ!

しかも待たせちゃってるし・・・

 

「手続きは終わりました!

サンジョウノさんは初めての

ようですが、ご説明等は?」

 

「あぁ、私たちで教えるから大丈夫さ」

 

そ、そうよね。農家さんは先生って

言われるくらい人を育てるのが

上手い人だし、下手に教えたら

邪魔になるわよね!

 

「かしこまりました!手続きは

問題なく終わりましたので大丈夫です。

お気を付けて行ってらっしゃいませ」

 

「あぁ、ありがとう。行ってくるよ」

 

あぁ農家さん苦笑いしてるし。

行ってらっしゃいませって・・・

自分で言ったのにスゴイ違和感。

 

高レベルの人はどことなく威圧感が

あるけど、あの人はなんか違うんだよなぁ。

優しさと厳しさが両立出来てる感じで、

大人なんだけどある意味まっすぐで純粋だし。

 

けどアイシャさんもサンジョウノさんも

イシュタルファミリアってことは、

もうあんなことだってしてるだろうし・・・

 

うーん。

 

「(エイナが恋した女の顔してるんだけど?)」

 

「(農家さんでしょ)」

 

「(あぁおんなじハーフエルフだから

親近感もあるみたいだけどねー)」

 

「(いまだに自分の心に気付いて無いし、

まぁ頑張れって感じよね)」

 

「「「「見せて貰おうか。

ギルドの受付嬢の実力とやらを」」」」

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

「しかし、アイシャお前が来ても

良かったのか?」

 

「いや、むしろ私がこないとダメさ。

先生の弟子がレベル4になって

一緒にいたヤツがレベル3になったんだろ?

私もしばらくレベル3だしね。

そろそろレベルアップ出来るならしたいのさ。

ヒキガエルにでかい顔させないためにもね」

 

「いや、フリュネは物理的にでかいからな。

それに実際の強さもある。粗暴な点は

認めるが、強くなるための努力は惜しまない

からお前も参考にすべき点はあるぞ」

 

「それはそうだけどね」

 

まったく、この先生はアレを普通に一人の

人間として扱うからスゴイ。

同じ女ですら避けてるってのに。

コレが度量って言うヤツかねぇ。

 

「それで、この狐っ子は?」

 

あぁ、ちゃんと紹介しないと。

先生次第じゃこの子が助かる可能性

だってあるんだし。

 

「新入りでね。春姫、挨拶しな」

 

「は、はいっ!先程ご挨拶を

させていただきましたが、改めまして!

サンジョウノ・春姫です!」

 

多少緊張してるが、まぁ大丈夫だろう。

失礼ではないはずだ。

 

「名前からすると極東か。

姫までが名前なのか?」

 

「は、はいっ!」

 

相変わらず造詣が深いねぇ。

 

「ふむ、極東にはどんな神がいるんだ?

アマテラスはさすがに居ないと思うが

タケミカヅチとかは居るのか?」

 

「は、はい。アマテラス様の他にも

タケミカヅチ様やツクヨミ様が

いらっしゃいます!

先生は極東にもお詳しいのですね?!」

 

聞いたこともない神様だけど居るってことは

やっぱり知ったかぶりじゃないんだね。

どこで知ったんだか・・・

 

「まぁな。しかし極東からわざわざ

売られてきたのか?

礼儀作法もそれなりってことは

良いとこの出身だろう?」

 

「まぁコイツの場合はちょいと

特殊でねぇ・・・」

 

「特殊ねぇ、家督争いか出入りの

商人に騙されたか?」

 

「・・・!」

「・・・何でわかった?」

 

まさかどこかで情報を得ていた?!

 

「いや、明らかに世間知らずだし

娼婦に堕ちたにしては娼婦としての

教育が終わってないように見える。

なら奴隷を買ったんだろ?

 

それにさっきも言ったが最低限の礼儀も

できてるし教養もある。見た目も良い。

これで借金のカタで売られるなら近場だ。

もしくは狐人の愛好家の場所へ直接売りにいく」

 

「「・・・」」

 

「ソレをしなかったなら近くにいられちゃ

困るから。かと言って売るってことは

殺すのもアレだったってことだ。

この時点で身内が関わってるだろ?」

 

なるほど。確かにそうだ。

しかしこれまでもの会話と立ち振る舞いで

そこまで分かるもんなのかい?!

 

「だが狐人愛好家の場所だと、知り合いに

春姫の所在を調べられる可能性がある。

復権を恐れたから遠くのオラリオだ。

 

もしくはオラリオの商人が初めから

春姫に目を付けていたか・・・

適当な罪を着せて、家族には

「殺さない代わりに自分が引き取る」とか

言ったら連れてこれるな」

 

「・・・罪を着せて?」

 

あぁ、この子は自分が悪いことを

したって思ってたからね。

外から見たら確実にヤられたって

わかるんだが、当事者にはわからないのか?

それとも先生が言うように家督争いもあって

便乗したのかもしれないけどね。

 

「ま、お貴族様の考えはわからないけど

ほぼ当たりさ」

 

「アイシャ様?!」

 

「現実は知っとくべきだ。

知らないってことは騙されるって

ことだからね。」

 

「・・・」

 

箱入り娘じゃなくなったんだ

厳しい現実を受け入れな。

まぁ先生次第じゃ・・・

 

「それで、俺に専属で買えと?」

 

「さすが先生、話が早い」

 

「ふえぇぇぇ?!」

 

先生なら無体なことしないし、先生と

専属契約をしたならヒキガエルも

イシュタルも、アレ以外なら手を出さない

だろうからひとまずは安心できる。

 

「アンタのお気に入りなら

ヒキガエルも手を出さないからね」

 

新入りを壊されないためって名目に

しとけば・・・

 

「ふむ、構わんがとりあえず手付金として

3百万で良いか?不足分はあとで払おう」

 

「さ、三百万?!」

 

「十分さ。さらにあたしをレベルアップ

させてくれたら文句無しだね。

むしろこっちが金を払うかも知れないよ」

 

入ったばかりの新人に教えを授けて

もらって、さらに金まで取れる。

イシュタルにもファミリアにも損は無い。

だからこそこの取引は成立するっ!

 

「あ、あの」

 

「春姫、アンタだってその辺の親父に

とっかえひっかえ抱かれるよりは

先生一人の方が良いだろ?」

 

そもそもアンタには拒否権なんて

ないんだよ。先生に嫌われたら

終わるんだよ?

 

「あの、初めてお会いしたからまだ良く

わかりませんけど、見目麗しくて

優しくていい人だと思います!」

 

「・・・いや、そこは聞いてないんだが」

 

優しさはともかく見た目って・・・

それ娼婦は言っちゃいけないセリフだよ?

 

「まぁ嫌われるよりは良いさ。

とりあえず接客に必要な知識と

作法はお前が教えてやってくれ」

 

「あいよ」

 

よしっ!とりあえずはコレで良い!

無駄にフレイヤと戦うなんてゴメン

だからね!これはアタシの為さ。

 

「では春姫、授業を始めよう」

 

「はい!」

 

あぁ、そういえばそうだった。

先生は教導とかいうアビリティがあって、

そのアビリティの効果を確認するために

レベルの違う人間を鍛えたいって話だったね。

 

「先に聞くがダンジョンにおいての

サポーターの役割は聞いてるな?」

 

「はい!皆様の邪魔にならないように

することが第一で、あとは魔石や

細かい道具をお持ちしたりします!」

 

よしよし、ちゃんと教えたことは

覚えてる!コレで知らないとか言ったら

イシュタルファミリアの評価がガタ落ち

だったよ!

 

「まぁ一般的にはそうなんだが、

俺は少し違う役割もあると思ってる」

 

「違う役割ですか?」

 

ほう?ただの荷物持ちではないと?

 

「そうだな。言うなれば工兵としての役割だ」

 

「「工兵?」」

 

工兵?なんだいそれ?

 

「戦闘が苦手でもお荷物にならずに

しっかり役に立てるってことだ。

なんにせよ力や器用も必要になるから

少しずつ学んでいこう」

 

「はいっ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「えぃっ」

 

ポコってかんじだな

戦いの経験はなしと。

 

「やぁっ」

 

闘争に置いても戦いよりは逃走だな。

 

「たぁっ!」

 

まぁやる気はある。責任感が強いのか

それともそうしないと行けないと

自覚してるのか

 

「そぉい!」

 

変な癖がなく、素直で前向き。

性格は間違いなくサポーターだな。

あとは魔力だが、支援特化にするか。

 

ナァーザがレベルアップ出来たって

ことはトラップでも数をこなせば

偉業なんだろう。

中層で兎や犬の相手だな。

護符の効果は確認できてるし

俺が居れば問題あるまい。

あとはアイシャのステータスと

偉業だな。

 

「なぁ先生、あたしは呼吸してる

だけなのかい?」

 

「焦るな。まずはその呼吸を

意識しないで出来るように

なることが大事だ」

 

なんでコイツらは反復練習より

強い敵を倒すことを優先するのか。

戦闘の勝利は積み重ねの結果であって、

勝ったから強くなるわけじゃないんだぞ?

 

戦闘の方がステイタスの成長率が高いのは

勝つために必死で創意工夫するからだ。

その結果のステイタス向上・・・のはず。

 

「意識せずにねぇ」

 

「そうだ、理想は寝てる時も

その呼吸ができること」

 

「寝てる時も?!」

 

一日の三分の一が睡眠時間だからな

トレーニングしないなんてとんでもない。

 

「理想はな。体中に魔力を通す感じを

忘れるな。常に魔力を動かしてるから

それだけで魔力のステイタスは上がるぞ」

 

「へぇ、そりゃいい。マインドダウンも

無いのかい?」

 

当然あるんだが、ココは言い方だろうな

 

「自然に回復する分と同じくらいの

力で行うことができたら無くなるよ」

 

「あぁ、そういう調整も必要なのか」

 

実際そうだしな。自分の魔力量の

調整にもなるし身体能力強化系の

魔法持ってるなら尚更簡単にできる

 

「器用も上がりそうだろ?」

 

「まぁね。いやはやさすが先生。

一番上げるのが面倒なのを

こんな簡単に上げれるなんてね」

 

なぜか魔法はダンジョンで使うモノって

考える連中が多いんだよな。

べつに禁止令があるわけでも

無いんだから身体強化くらいは

しといてもいいだろうに。

 

・・・あぁ疲れるのか。

 

「魔力があれば誰でもできる

素晴らしい訓練だろ?」

 

「そうだね。それを聞いたら

ただ呼吸して春姫を見てるのも

悪くない」

 

「はわわっ!」

 

まぁ、本人は必死で頑張ってるのは

わかるんだが・・・五階程度だとな。

イシュタルもそれなりの装備品を渡してる

みたいだし、俺たちも控えてる。

確実に死ぬことはないから、危機感よりも

見世物の度合いが強いんだよなぁ

 

「そういえば春姫には魔法はあるのか?

あぁ内容は聞かん。あるなしだけで良い」

 

「・・・あるよ」

 

「そうか。ならあいつにも

専用の呼吸を教えよう」

 

コレ名前でも付けるか?

波紋疾走的な。

 

「ふわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ふむ、魔石でも体力と怪我は回復

できたんですね。

朝起きて魔石食べて鍛錬して魔石食べて

朝食を食べながら魔石食べて、鍛錬して

魔石食べて昼食食べて魔石食べて一休み

してから魔石食べてモンスター狩って

魔石食べて夜食食べて魔石食べて

沐浴して魔石食べて寝てましたからね。

 

てっきり睡眠を取ることが回復の

条件だと思ってましたが、まさか

魔石だったとは。

 

「いや、アンタ魔石食い過ぎだろ」

 

「何をおっしゃいますか、質を

量で補うためには必要なことです」

 

実際ここまでやってようやく目の前の

赤髪の背中が見えてきましたからね。

 

「一体何がアンタをそこまで

駆り立てるのかはわかんないけど、

まぁ本能的なモノかねぇ・・・」

 

「そうかもしれませんね」

 

私にも貴女が理解できませんよ。

油断慢心ダメ絶対の掟を知らないと

こうなるんですね。

 

さすが我が師。

 

「一ヶ月でソコまで強くなれるなら

アタシもやるべきかねぇ。

だけどあの味がない石をずっと

喰らい続けるってのも・・・」

 

甘い果汁をかければ甘く感じる

ことはできますけどね。

ま、教える必要はありません。

そのくらい自分で気付きなさい。

 

「それで、そろそろ動くのですか?」

 

あまり顔を見せなくなりましたからね

例の闇派閥?とか言うのも選別してる

みたいでしたし

 

「ま、もう少しだね。今日は地上の連中が

遠征してきそうだから、身を隠しときなって

忠告にきたのさ」

 

「・・・遠征ですか」

 

地上の冒険者とやらは何のためか

わかりませんが、とりあえずダンジョンの

奥に行きたがるみたいですね。

まぁ欲は人それぞれですから構いませんが。

 

ですが、もしかしたら地上の上位者の

力を見ることも出来るかもしれません。

 

身を隠して追跡して見るか

それとも深層とやらの様子を

見に行くか。

身を潜めるならその間にレベルアップ

してしまうというのも手ですね。

 

「わかりました。暫くは身を隠して

おきましょう。連絡方法とかはどうします?」

 

こっちに用はありませんが、

何かあった時に情報源がいなくなるのは

避けたいですからね。

 

「あぁ、そうだね。とりあえず

今のアンタなら18階で誰かに

見られても逃げれるだけの力はあるし。

ローブを被ってれば捕まることも

ないだろう。いつもの沐浴の場に

何か書置きでもしてくれればいいさ。

私もそうするよ」

 

「了解しました」

 

ふむ、ようやく赤髪公認で沐浴以外の

用事で18階に行けますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コレでまともな服を自分で選んで買えますね」





いつの間にかレベルアップしてる小人と犬人

狐っ子は転生者ではありません。
普通に原作キャラです

狐さんは原作でも何度かダンジョンに
潜ってたぞ。古事記にも書いている。
そこそこ長い間イシュタルさんちに居たって
言ってましたよね。

なぜか裏の事情に詳しい主人公くん
いったいなぜなんだ・・・

ちなみに主人公くんは結構なお金持ちです。
なぜなら闇派閥の拠・・・どこかの
廃墟に大量にあったのを何度か拾ったから。
金運Aだね!ってお話


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12話

オリ設定が来たぞー
オリ展開が来たぞー

原作を起こさないでくれ
死ぬほど疲れてる


嫌いな人は読み飛ばし!!



『なるほど、それで春姫はアイツが

専属で買って鍛えたいと?』

 

「はい、鍛えるときに男の相手を

した後だとやる気も失せるとか」

 

実際言ってたしね。

気持ちもわかる。

 

『それはそうかもね。さらに春姫には

支援型としての素質がある・・・ねぇ』

 

「はい、魔法の内容は知りませんでしたし

確実に初対面でした。

それでもソコまでわかるんだから、

さすがは先生といったところですかね」

 

『…叔母様の眷属だ。そのくらいはできるか』

 

あぁ、神界での知り合いだったね

 

「あと、コチラが育成計画書になります」

 

『育成計画書?』

 

「はい、ただ行き当たりばったりで

育てるのではなく、きちんと方向性を

持って育てることで無駄な時間を

使わずに成長できるとか」

 

言ってることはその通りなんだが、

その人その人の素質を見抜く

先生の目があってのことだよね

 

『・・・なるほど、ステイタスをより

効果的に上げるにはこういった工夫も

必要なんだねぇ』

 

「そのようですね。教えることで

学ぶこともあるとかで、非常に

上機嫌でした」

 

よし、育成計画に興味を示した!

いくらフレイヤと戦うためって言っても

眷属を強化できるならしたいはず。

 

『それに調合、か。確かに非力でもできる。

さらに力を鍛えるために無理なトレーニング

じゃなく、少し重めの盾を持たせると?』

 

「はい、武器を持って戦うにはセンスが

必要ですが、どうしてもそれが無い

者も居ます。

ならば重いものを持たせて力を鍛えて、

盾で受けることで耐久を。

調合で器用を、走り込みで敏捷を、

呼吸で魔力を鍛えるのが良いだろうと」

 

ほほう。いや、ほんと無駄がない。

確かに春姫に武器を持たせても

まともに戦えないからね。

自分の身を守らせる意味も込めて

盾って選択肢は悪くない。

ゴブリンやコボルト程度なら潰せるし

耐異常もあれば壁役としても使える

ようになるだろうし。

 

『なるほどねぇ。その呼吸ってのは

誰でも習得出来るのかい?』

 

「出来ることは出来ますが、その人

その人にあった呼吸のタイミングが

あるそうです。今のところ先生以外には

教えることはできないんじゃないかと」

 

実際私と春姫で何が違うのか

わからなかったしね

 

『ふむ、それだけでも教えてもらえれば

十分な強化になるんだけど、アイツは

あんまり自分の技術をバラ蒔くような

タイプじゃないしねぇ』

 

「そうですね。今回もあくまで

先生自身のスキルの確認があったから

教えてもらえたんであって、頼んでも

普通に断られるでしょうね」

 

『まったく、この私をここまで悩ませる

なんてね』

 

そう言いながらも楽しそうだけどね

 

『まぁ良い。暫くは鍛えてもらおうじゃないか。

アレのレベルが上がったら、あの魔法に別の

効果も出るかも知れないしね』

 

「その可能性は高いですね。

もしかしたら二重のレベルアップに

なるかもしれませんし、そもそも魔力が

高いほうが魔法は威力が上がるモノです」

 

よしよし、コレで暫くは大丈夫だ。

あとは私のレベルアップを目標に

やれば良い!

 

『それに・・・この一文は本当かい?』

 

この一文?何か・・・あぁ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

春姫には門外不出の茶の調合を教える。

無論茶の淹れ方もな。

茶は淹れ方によって味が左右される

繊細なモノだ。

春姫を鍛えて、フレイヤですら飲めない茶を

イシュタルに飲ませてやろうじゃないか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「えぇ、私も飲ませてもらいましたが

同じ茶葉を使っても淹れ方で味は

相当変化しますね。

さらに茶葉同士で味を殺すものや

引き立てるものもあるようで、

その調合比率はまさに門外不出」

 

『ふ、ふふふ、そのフレイヤも飲めない

茶を私のために用立ててくれると!』

 

「そうなります。そのための条件として」

 

『春姫の専属契約か。いいだろう!

むしろこっちから金を払ってもいい!!』

 

よし!流石先生!事情もわかってないのに

しっかりイシュタルの関心を買ったぞ!

あ、けどまだ条件があるんだよ。

大丈夫だと思うけどちゃんと伝えないと

 

「実は春姫以外にも条件がありまして・・・」

 

『ほう?あいつが私に頼みごとでも?』

 

言ってる内容は不満そうでも

顔はちょっと嬉しそうなんだよね。

まったく、いっつもこんな顔してたら

みんな主神様に魅了されるだろうに。

 

「はい、茶葉と野菜の専属契約です。

粗末にせずにきちんと我々で消費すること

が条件ですね」

 

ま、美味しいし美容に良いらしいから

アタシ達は喜んで食うけどさ。

 

『ハハハハハ!良いだろう!あいつの

野菜はデメテルやソーマですら認める逸品!

料理人が必要だが、生野菜だって十分だ。

金に糸目は付けないよ!好きなだけ

売りに来いって伝えな!』

 

「はい、ではそのように伝えます」

 

よし、完璧だ!!

 

『あとはアンタと春姫のステイタス

更新だね。アイツの教えがどれだけ

ステイタスに反映されるか楽しみだよ』

 

「それは私も楽しみにしてます。

私はともかく、春姫に至っては

最初のダンジョンで一週間ですから。

相当伸びるんじゃないかって睨んでますよ」

 

『そうかそうか、それは楽しみだ。

それじゃアンタから更新しよう。

春姫のステイタス更新も見せてやるよ』

 

上機嫌だねぇ。

まぁ不機嫌より100倍マシか。

 

「ではよろしくお願いします」

 

魔力と器用がどれだけ上がったか

楽しみだねぇ・・・

 

『・・・・・・』

 

ん?無言??

もしかしてそんなに成長してない?

 

「あの、イシュタル様?」

 

 

 

 

『レベルアップ来たーーーーーーー!』

 

 

 

「えぇぇぇぇ?!」

 

いや、ナンデ?!ナンデレベルアップ?!

 

『アイシャ、アンタ一体何をした?

一週間で力も耐久も器用も魔力も

軒並み上がってるじゃないか?!』

 

いや、何かって言われても・・・

待て。敏捷だけ上がってない?

 

「・・・あっ」

 

『何か心当たりがあるのかい?!』

 

たぶんアレだよねぇ

 

「おそらくなんですが・・・」

 

『おそらく?』

 

「一週間ずっと先生の相手をしてたんで・・・」

 

『「・・・」』

 

『・・・レベルアップするほどなのかい?』

 

「さすがにソレだけじゃないとは

思いますが、凄かったのは事実です」

 

アレは全身運動だからねぇ。

それもレベル6との真剣勝負・・・

他が上がって敏捷が上がらないのも納得だ。

 

『春姫は・・・』

 

「まだですね。夜は気絶させてましたよ」

 

疲労回復のツボとか言って

ぐっすりだったね。

 

『そうか、いや、そうか・・・』

 

めっちゃ複雑そうな顔してるな。

安売りすんなって言われたから

値引きも出来ないし。

いや、待てよ?

 

「今度イシュタル様のスケジュール

教えとくんで、指名するように

言っておきますよ」

 

『そ、そうか?だがアイツの懐事情を

考えると・・・』

 

「私のレベルアップの礼なら値引きも

問題ないでしょう。眷属を大事にする

気持ちを無碍にするとは思えません」

 

あの人はそう言うところがあるからね

 

『そ、そうだな!礼だものな!!』

 

ほんと嬉しそうにしちゃって・・・

守りたいこの笑顔って感じかね?

 

「では春姫を呼びますか?」

 

『そうだな!』

 

コレでしばらくは上機嫌だな・・・

いやよかったよかった

 

 

 

『トータル1500オーバーキター!』

 

 

 

先生・・・あんたって人は・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『おぉ!耐久も突破したよ!』

 

ふむ、今回はアイシャと春姫のどっち

だろうな?

普通に考えたら初日からダンジョンに

一週間潜って7階でアリと戦ってた

春姫なんだが・・・

 

春姫は初めてで常識がなかったから、

アイシャは上級冒険者だから気付いて

無いが・・・アレ普通なら死んでるぞ。

 

イシュタルファミリアが持たせた

装備品のおかげで何とかなってたが

あそこまで行けば立派な試練だろ。

 

耐久とか思いっきり上がってそうだ。

そう考えたらやはり春姫か。

 

こうなると力と魔力と敏捷のキッカケを

探す必要があるが、そもそも力づくで

なんかするのは俺の流儀じゃないしな。

敏捷で限界突破ってなんだ?

 

魔力は・・・必要な状態に追い込めば

なんとでもなりそうだが、攻撃魔法持ち

を探さなきゃならん。

 

『あぁ、それと、連中がまた

出荷してきたよ』

 

「そうか、アイツ等はいつまでたっても

居なくならんな」

 

浜の真砂は尽きるとも

世に悪党の種は尽きんか?

 

『そうだね。取引の帰りに末端の部下が

殺られてるだけならまだしも、闇派閥

の冒険者を含む護衛全員が消されてたら

普通は手を引くと思うんだけど』

 

アイツ等を欲してるのは一人じゃ

ないからな。

いろんな国のお偉いさんや研究者が

欲してるから、現地協力者や商人の部下

程度が居なくなっても何度も派遣して

来るんだろうが・・・

 

しかし闇派閥はどこから連れてくるんだ?

巣でも見つけたか?それとも交配させて

産ませてるのか?

 

そういえばアイツ等の子供ってどうなるんだ?

普通にモンスター?

それとも知性あるモンスター?

レヴィスが言うには女型のモンスターに

子を産ませてるやつらも居るって話

だったが、それなら男の方の遺伝子が

優先されるのか?

もしくは人間の方が優性なのか?

 

ふむ・・・さすがにアイツ等の手前

実験する気は無いが資料は手に入れる

べきだな。

 

「下っ端じゃ大した情報がないから

なんともできんが、いずれは大元を

とっ捕まえる。その上で巣に居るって

連中にコンタクトをとって同類を

保護してもらおう」

 

『今のところそれしかないよね』

 

おそらくダンジョン内部では闇派閥と

ソレに敵対する勢力がアイツ等を巡って

暗躍している。

 

俺はそんなのに関わる気がないから

とりあえずは今保護してる連中に

技能を持たせて自活できるようにする。

 

それから地上に隠れ里を作って結界を張る。

 

神たちに里を不可侵の領域としてもらって。

不可侵領域と通常の領域の間に

交易用の街でも作れば・・・わずかでも

歩み寄りが出来るかもしれん。

 

それともカーリーやアレスと契約を

結んで、国の中に里を作るか?

アレスはよくわからんが

カーリーはティオネとティオナが

言うには競い合える強者さえ居れば

なんでも良いとか言ってる神だよな。

 

人間と交配できて、さらに生まれるのが

人間だって言うならカーリー的には

最高だろ?

アマゾネスだって同族よりはアイツ等

相手にしてたほうが気が楽だろうし、

アイツ等だって、血の気が多いヤツなら

戦いの果てに死んでも文句は言わん。

 

そもそも生きることは戦いだ。

それを考えれば・・・・・・

 

アイシャが知ってればいいが、知らな

かったらあの双子に聞いてみるか。

 

うまくいけば数年でアイツ等の国が

出来るんじゃないか。

 

しかしそうなれば今まで以上に

狙われることにもなる。

 

いざという時のために結界の部品は

多めに仕入れておく必要もあるようだ。

メンテは加工があればできるように

しておこう。

 

まぁ神秘と鍛冶と加工を持った

奴が居てくれれば良いんだが・・・

 

孤児でも鍛えて作るか?

いや、無理やり教えても

身につくもんでもないし。

情報が拡散するだけだ。

 

だが予備知識が無い幼い孤児なら、

教育次第でアイツ等をそう言う

存在って割り切ることも

できるんじゃないか?

 

ふむ・・・子守をさせて人間種に

対する知識を身につけさせる。

子供は自分を育ててくれた親を

ないがしろにはしないだろう。

まぁ人間至上主義者が扇動する

可能性もあるが、そのへんは

カーリーと考えれば・・・アレ?

結構いけそうだな。

 

戦争の火種上等!攻めてくる奴は

バッチ来い!!だろ?

もしかしてカーリーって良い奴か?

 

 

 

ウラヌスは怪しいが、接触する気はない。

一晩中他人の情事を覗くような骨に協力

する気はないぞ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『どうであった?』

 

「無理だな」

 

というか一晩中情事って・・・

日中は狐人と戦闘娼婦の鍛錬してるし

いつ接触しろというのか。

 

『・・・そうか。彼は気付いて

いると思うか?』

 

「彼らの存在についてはなんとも・・・

現れたモンスターは特に注意を払わず

殺しているから気付いては居ないかも

しれない。

 

だが私の存在は確実に気付かれている。

そのうえで殺されないところを見ると、

行動は黙認するが接触する気はないと

言う事ではないか?」

 

『そうか、アレの拠点は?』

 

「無理だな」

 

あのトラップは尋常じゃない。

しかも入口にあるのはわざと

見えるようにしているだけで

絶対に隠してるのがある。

ソレにあそこはヤバイ。

今の私でも入ればただではすまん。

そんな恐ろしさがある。

 

『接触はできんか・・・・』

 

「そうだな。彼は基本的に隠れたり

潜んだりはしないので、衆目が集まる。

彼に接触するには私は目立ちすぎるよ」

 

コレもな。拠点以外だと堂々と

その姿を晒すのは、闇討ちや面倒事を

避けるためでもあるのだろう。

 

「弟子がレベル4となったのだ。

弟子に協力を要請してみては?」

 

『なし崩しに彼も関わることになるか』

 

「それもあるが、レベル4で

ソーマファミリアならばソレだけで

十分な戦力になるだろう」

 

そもそも酒以外には興味がない神だ。

それは言い換えれば喩え異端児だろうと

己の邪魔にならなければ気にしない

ということにもなるだろう。

 

『ソーマか。確かに積極的に異端児を

敵視するような神ではないな』

 

「それにわざわざ他神と関わるような

性格もしてない。ソーマから情報が漏れる

ことは無いだろう」

 

あとは眷属だな。まぁソーマの酒に

心酔してる連中なら、ソーマが禁止

したことをわざわざ広めることも

ないだろう。

 

・・・自分で提案してみたが意外と

有りかもしれんな

 

『ふむ、あとは眷属の調査か。最悪

ソーマと弟子だけでもかまわんな』

 

今は彼らの存在に対しての理解者を

つくる時期だ。

友好関係や共存関係はそれからで良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだまだ先は長いな」




なぞのおりきゃらの出番がガガガガ


ウラヌス、アンタら視野が狭いんじゃない?ってお話


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13話

オリ設定
オリ展開

原作が準備運動を始めました

嫌いな人は読み飛ばし


『レベルアップ来たーー!!!』

 

 

・・・レベルアップかぁ

 

『どないしたん!?アイズたんが

レベルアップでも嬉しそうや

ないって・・・何かあったん?!』

 

「いえ、特に何も。お願いします」

 

まだステイタスにBとかあるけど

これ以上は上がりそうにないし、

何より彼の弟子もレベル4になった。

 

3年でレベル4。

 

私は7歳からレベル4になるのに7年。

レベル5になるのに8年かかったのに・・・

 

「私も師匠が欲しい・・・」

 

『アイズたん・・・』

 

フィンやリヴェリアやガレスとは

種族が違うから鍛え方も違う。

それにみんな剣も使えるけどあくまで

使えるだけ・・・

彼から教えを受けたティオナやティオネ

には魔法を使わなきゃ勝てないし、

やっぱりただ戦ってるだけじゃダメだ。

 

ステイタスは上がっても弱いまま。

私には技術的なモノが足りないんだっ!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

がむしゃらに戦いを求めるよりは

ええんやけど、あんな風に呟かれると

・・・堪えるなぁ。

しかもレベルアップの時に、や。

本当なら誰もが喜ぶところなのに

泣きそうな顔して呟くなんて反則やろ。

 

『・・・フィン、アンタ剣の使い手に

心当たり無いん?』

 

アイツ以外で

 

「今のアイズに剣を教えられるなんて、

武神と呼ばれるような神や

フレイヤのところの二人。

あとは彼くらいしか居ないさ」

 

『そうか・・・』

 

フレイヤのところは論外。

武神と言えばタケミカヅチが

極東からオラリオに来たらしいな。

 

貸し借りやなくて、きちんと月謝払う感じならどないやろ?

 

「それかへファイストスやゴブニュのところ

で使い手を紹介してもらうとか?」

 

あぁ確かに。剣を使ってる奴らに

顔も効くし変なヤツも紹介されんやろな。

けど問題はやっぱりレベルか。

 

『レベル5以上、少なくとも

レベル4は必要になるか?』

 

「そうだね。レベルが離れていると力で

技を潰されることになるから。

最低でも4は欲しい」

 

『そんな感じで有名なのはおるん?』

 

「椿はそれなりに剣も使えるけど

刀と剣は違うし、そもそもアイズは魔法剣士。

都市内で魔法と剣を両立してるのは

ヘグニとヘディンだけさ」

 

『あかんやん。けどそれなら奴もあかんってことか?』

 

農家やし、間違っても魔法剣士やないやろ?

 

「彼の場合はもっと基礎的な部分だからね。

…噂によると弟子のリリルカさんは

全ステイタスをカンストさせるまで

レベルアップが許されないんだとか」

 

『はぁ?!』

 

さらっとリリルカのこと調べとるけど。

問題はソコやないよな。

 

『ステイタスカンストってそんな簡単に

出来ることちゃうやろ?

しかも一年で1レベルやぞ?』

 

「だから彼が凄いって話しさ。

おそらくモノを教えることに特化した

スキルかアビリティがあるんだろうね。

しかもそれを隠してもいない。

ミアハファミリアの団長や、

この前一緒に探索に行った

イシュタルファミリアの

戦闘娼婦もレベルアップしたってさ」

 

『なるほど・・・先生言うのは伊達じゃないんやな』

 

それでいて誰もちょっかいをかけんのは

ウチが接触禁止令を守ってるのと、

フレイヤとイシュタルが野菜や茶の

契約をしとるからやろな。

 

「一度リリルカさんと打ち合って

みたけど、やっぱり技術は勝てないね」

 

こいつ何しとるん?!

 

「いや、彼には接触禁止だけど

リリルカさんは別に禁止されて

ないし。何よりソーマファミリアと

伝手はあったほうがいいだろ?」

 

『・・・せやな』

 

否定できん。酒は欲しい。

 

「彼にしてみれば僕たちは面倒な連中。

わざわざそんな連中の相手をする気も

ないから接触禁止令を解除する気は

ないみたいだね。

だけどリリルカさんへの接触は

許してくれてるってことは、何か

やましいことをしない限りは

敵対関係にならないってことでもある」

 

『なら、とりあえずアレとの関係は

今のまま、か。・・・けど師匠なぁ』

 

本当に基礎的なところだからこそ

難しいって話やし、ファイたんの

とこに行って椿に頼んでみよかな?

 

けど椿もアイズたんのことあんま

好きやないって話やったなぁ・・・

 

「中途半端に伝えられるのが一番困る。

かといって我流には限界がある。

棒術は剣術との共通点も多いから、

リリルカさんの体捌きとかは勉強に

なるかもしれないよ?」

 

『お前、リリルカと接点増やしたいだけやろ?!』

 

こんな奴やったか?!

 

「実際僕もいい歳だからね・・・」

 

まぁ、せやな。

逃せる余裕はないってか。

 

『けどティオネはリリルカに

迷惑かけたりせぇへんの?』

 

普通なら我を忘れて突貫

しそうなんやけど?

 

「彼に返り討ちにされたよ」

 

・・・また貸しが出来たんか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「まったく、なんなんですかあのアマゾネスは?!」

 

リリは興味ないって言ってるのに

興味ないとは何事だ?!って、

リリにどうしろって言うんですかね?

 

「けど、たまに会ったときは槍の鍛練みたい

なのに付き合ってもらってるんですよね?」

 

「鍛練と言うよりはリリの技を盗もうと

してるみたいですけどね」

 

リリも勇者さんが実戦で培った

技を見せてもらってるんですけど。

 

「フィンさんはそれを口実にしてるみたい

ですけど、プロポーズに関しては、

リリさんはきちんと断ってるんですよね?」

 

「そりゃそうですよ。リリは悪女になるつもりはありません」

 

先生に嫌われちゃうじゃないですか。

 

「ん~それでもリリルカさんに会いに来る

んですから、本気の本気ですよね」

 

ある意味では女の夢かも知れませんがね。

 

「ナァーザさん。もし貴女に同じように

男の人が付き纏ってきたらどう思います?

アホ・・・ミアハ様にも勘違いされちゃい

ますよ?」

 

最悪でしょ?

 

「あ~なるほど。そういう事ですか」

 

そういうことですよ。

 

「けどフィンさんはかなり人気ありますから、

プロポーズを断ってるリリルカさんの敵って

結構居るんじゃないですかね?」

 

「はぁ。OKしても敵になるしNOって

言っても偉そうにってなるんですよ?

本当に迷惑です」

 

そりゃ勇者程の人がリリを褒めて

くれるのは嬉しいですけど・・・

これってアレなんですよね。

 

貧乏だった時には目も向けなかった

くせに、お金持ちになったら求愛

してくるのと一緒です。

 

リリは弱かった時にリリを見つけて

育ててくれた先生に着いていくって

決めたんです!

 

・・・そう言ったんだけどなぁ。

 

「言われているうちが華ですよー」

 

あぁ、ナァーザさんはアホに惚れて

ますからねぇ。

先生に頼まれたお茶を開発したおかげで

あのアホにポーション持って行かれても

借金返済しても食べていける

売上はあるみたいですし。

・・・さすがにお茶は配ってませんよね?

 

「けど、二人で同じ部屋で

一緒にポーション作ってたら

いい雰囲気になりそうなんですけど

そういうのは無いんですか?」

 

「・・・全くないですねぇ」

 

おぉう。もの凄い黒いオーラが見えます。

 

「そもそも医学にしか興味のない神様ですし、

まぁそのぶん他の女性に食い物に

されないって考えれば良い事なんですけど」

 

「自分にも見向きもされないのはアレですか」

 

リリはまだソコまででもないですけど、

好きになったらそうなるんでしょうねぇ

 

「媚薬とかは作ったら消すって先生に言われてますし」

 

「消すって」

 

たしかに神様が作った媚薬とか色んな意味で怖いですけど。

 

「だ、だけど雰囲気を作るお香とかは

良いんでしょう?」

 

この前イシュタルファミリアから大規模な

受注があったって狂喜乱舞してましたよね。

仕事が多すぎるんでディアンケヒト

ファミリアと共同で作ってるとか。

 

「そうですね。ただポーションや

他の薬品を作ってる時にお香とかは

焚けないんですよ」

 

「あぁ、なるほど」

 

匂いとかつきますし、集中力が乱れますか。

 

「いやほんと、先生から頼まれた

お茶が無かったら胃に穴が空いてますよ」

 

穴が空きそうなのを体内から

治療してるんですね。

ある意味最高の胃薬じゃないですか。

 

「最近はアスフィさんやリヴェリアさんもご愛飲とか?」

 

「そうですね。ガネーシャファミリアの

シャクティさんやディアンケヒト

ファミリアのアミッドさんも

なんだかんだでご愛飲ですよ」

 

皆さん疲れてるんですねー。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ど、どうだい?』

 

「がんばれミアかあさん!」

 

「「「お前は働け」」」

 

お前らもな。・・・しかしなぁ。

正直方向性を見失っているぞ。

これでは野菜炒めではなく中華炒めだろうに。

 

「とりあえずのアドバイスとしては、

お前が何を作りたいのかわからん。

だから味がブレる。

野菜を活かした料理を作りたいのか

野菜と肉を一緒に食いたいのか

はっきりするべきだな」

 

『・・・そうかい。』

 

「ミア母さん!」

 

「だが以前と比べたら十分及第だ。

この野菜を使ってこの料金なら

問題あるまい。別に酒場で至高の料理を

作りたいわけでもないんだろう?」

 

つーか油使いすぎ。塩胡椒も少し減らせと

言いたいが、客層が客層だからこの店では

コレが正解かもしれん。

だが野菜の味は活かせていない。

所詮お前は肉と油の料理人だったな。

 

『・・・目的か、確かにそうだ。

作った飯をうまいと言ってもらえれば

良かったのに、いつからアタシは

間違えたんだろうね』

 

「強いて言えば俺に野菜炒め

もどきを食わせたことだな。

リューが絶賛してたんだから

俺の意見なんて無視して

それで満足していれば良かったのさ」

 

いやほんと。居酒屋でそこそこの

料金でうまいもん食えればそれで

いいぢゃない。

まぁ今後この店にはアイツ等が

作った方の野菜を卸すことになるが

 

『そうだね。味に妥協しない!なんて

言えるほど格式高い店にしようなんて

思って無かったんだ。

・・・自惚れてたのかね』

 

「「「ミア母さんが泣いた?!」」」

 

「私が・・・私があのとき、きちんと

判別できる舌を持っていたならっ!」

 

「「お前は無理に入ってくるにゃ」」

 

「ま、お前は良くやったよ。

リヴェリアやヘディンあたりに

食わせてみろ。大絶賛するはずだ」

 

『・・・そうかい。それでも

アンタには敵わないんだね』

 

「当たり前だ」

 

俺と競いたいならせめて卵料理専用の

フライパンくらい用意しろアホたれが。

 

『ふっ生産者が一番上手く作れるのは

当然って事かい?

・・・アンタに挑んだ時点で

アタシは負けてたんだね』

 

何を勘違いしている。生産者が一番

素材の味を知ってるのは当然だが、

調理はまた別だ。まぁそれ以前の問題だが。

 

「間違ってるぞミア。食材に貴賎なく料理に勝ち負けはない」

 

『はっ!』

 

「言葉もありません。流石先生・・・」

 

 

「「だからお前は関係ないにゃ」」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

ほほぅ。ここが闘技場と呼ばれる37階層。

 

地下に隠し部屋が有るようですが

なぜ誰も気付かないのか。

 

まぁ地上の人間は闘技場を避けてるようですからシカタナイと言えばシカタナイかもしれませんけどね。

 

しかし強化種ですか。魔石を喰らって

強くなるのは我々だけでは無いのですね。

 

ふむ。アレらの魔石なら少しはマシですよね。

 

さらに階層主。大きな骨ですが、

だからこそ良い鍛練になりそうです。

 

そしてガネーシャファミリアでしたか。

レベル5や4が何名か居たようですが

やはり技術が拙い、力だけの未熟者。

アレでは赤髪にも勝てません。

 

私としてはレベル6を見たかったんですが

それは次の機会としましょうか。

 

……しかし中途半端に肌を露出するのが

地上の流儀なんでしょうかねぇ?

それとも同行していた男を誘っている?

 

・・・もしも痴女が当たり前だと

したら私は地上へは行けませんね。

お、中々の弟子冗談。師が居たら

教えてあげましょう。

 

とりあえずあの階層主に挑むのは、

闘技場で鍛えてレベル5相当に

なってからですね。

 

それから階層主を喰らえば・・・

レベル6も見えてきました。

 

そうなったら地上に出てみるのも良い

でしょう。三十年は待たせてますかね?

まぁあの人は何処に居ても好き勝手

やってそうですけど。間違いなく居ますね。

あの団長とか言われてたヤツからは

師のお茶の残り香がしましたし。

 

 

ふふっ。俄然やる気が出てきましたよ。

それにレベルが4になった時に

頭に浮かんだ言葉がありますが、

コレが赤髪が言うスキルなんですかね?

 

とりあえず試し打ちも必要でしょう。

赤髪が居ないならアレも使えますしね。

 

はてさて、何体のモンスターが耐えられますか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※

 

 

 

 

ふむ、効果は上々。では受けなさい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

な、なんだ?

 

上で誰か階層主と戦ってる?

 

くそっ討伐しとくべきだったか?!

 

おいっ!天井が崩れてくるぞ?!

 

不味いっ!よけろっっ!

 

コレ、ジャガーノートが出るんじゃ?!

 

くそっ!上で何が起こったってんだっ!!

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

後に37階層の悪夢と呼ばれる

災厄が現れる事となったが、

35階層を訪れていた冒険者から

ギルドへ異常が報告されており、

調査依頼を受けて37階層へと赴いた

フレイヤファミリアの手によって

大きな被害を出す前に滅ぼされることになる。

 

これによりギルドはジャガーノートの

出現条件を特定し、上位ファミリアへ

ダンジョンに対する大規模な破壊行為の

禁止を通達することとなった。

 

尚、37階層を破壊したとされる

犯人はわかっておらず、闘技場に

大きな傷跡が有ったことから強化種に

よる自爆攻撃のようなモノがあったの

ではないかと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

『それでオッタル、実際はどうだったの?』

 

「何者かによる斬撃かと思われます」

 

『斬撃?ダンジョンの床を斬ったとでも言うの?』

 

「はっ。該当の箇所は自己修復途中では

ありましたが、床に残された痕跡から見れば

間違いないかと」

 

『そんなことが出来そうなのは・・・』

 

「ヤツですが、ヤツは我々が出動した前日に

ミア殿の店に居たとの事です」

 

『・・・なるほど。それではさすがに無理ね。

そうなると階層主と強化種に何か

異常でもあったのかしら』

 

「可能性はあります」

 

『わかったわ。とりあえず調査は終わりでいいわ』

 

「よろしいので?」

 

『真相究明はギルドの仕事よ。

ウラノスも何か知ってるかも

知れないしね。わざわざ掌で

踊ることも無いでしょう』

 

「かしこまりました」

 

『フフフ、ゆっくりお酒とお茶を味わう

のも良いけど、たまには不測の事態も

愉しいものよね』

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・まったくあんなに簡単に

床が斬れてはダメでしょう?

もう少し頑丈に作りなさい。

 




そーいや、原作のアイズさんは
レベル5になって暫く停滞していた
よーな気ががががががが

なにげにミア母さんへの評価が
辛辣ですが、主人公のなかでは
居酒屋には居酒屋に相応しい
料理と味付けがあると思ってて、
自分とこの野菜とは合わないなって
思ってるだけですよってお話


なぞのおりきゃら、やらかすの巻


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14話

原作介入!!(リリルカが)
前の話から一年経ってます

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


お知らせ

拙作は単品でも楽しめますが、
同じ作者の作品である
とある策士の外史旅(仮)を
読んだ後だと、登場人物に対する
理解が深まる可能性があります

・・・ステマじゃないですよ?


「正直、リリは納得してませんよ」

 

「もう諦めよ、フィンのヤツが

泣きそうになっとるぞ」

 

そんなの知りませんよ。

大手ファミリアに探索の義務がある

とか言われても、ウチは生産系ですよ?

ちゃんとお酒の売上で税金払ってますよね?

 

それに他は足手まといになるから

リリだけで良いって明らかに

勇者さんが何かやってますよね?

 

リリが深層を見て団員に教えて

次回からの探索に役立てるとか

言ってますけど、ソレは団長の

ザニスさんの仕事ですよねぇ?!

 

先生が「深層をタダで見れる機会

だから行ってこい」っていうから

来ましたけど、本来なら罰金払ってでも

お断りですよ?!

 

更に普段から接触の機会を狙ってる

剣姫さんとか、こっちをメチャメチャ

見てますし。

 

更に更に常識人っぽいガレスさんだって

 

「いやいや、貴方もお土産に持たされた

お酒狙ってますよね?」

 

「うむっ!今日のは新作か?」

 

「普段のも見てないはずなのに

なんでコレが新作だってわかるん

ですかねぇ?!」

 

まぁ新作と言うよりは、ロキファミリアと

一緒に行くってわかったソーマ様が

持たせてくれた、贈答用セットですが。

 

肉料理用の赤、野菜料理の白、

食前酒の三種類。

神ロキに渡したら跳び跳ねてましたよ。

アノ分だと感想は『旨かった』で

終わりですね。

 

「・・・」

 

あぁ、ティオネさんが見てる

この人もいましたよね。

メッチャ隣でガン見してますけど、

アイサツした方が良いんですかね。

年上でレベル5の先輩ですし

 

「・・・悔しいけど、今はアンタを

応援するわ」

 

「はぁっ?!」

 

このアマゾネス、今なんと言いました?

応援?暗殺とか闇討ちではなく?!

片想いを拗らせてイカれました?

 

「あ~リリルカさん」

 

「あ、ティオナさん、お早うございます」

 

ロキファミリアの幹部でまともなのって、

この人くらいですよね。

何だかんだでリヴェリアさんは王族で

常識無いところありますし。

 

「うん、おはよー!それでね、

ティオネなんだけどさ」

 

「熱があるなら今回は休ませた方が

良いですよ」

 

いやほんと。体調不良の人が無理した

ところで周りが迷惑するだけです。

 

「いや、いっつもティオネが迷惑かけてる

から、この遠征が決まってから農家さんに

説得してもらったんだよね」

 

「はぁ」

 

先生の説得ですか。

ソレならわからないでも無いですね。

さすがは・・・

 

「『まずはリリルカが一号さんになって

フィンの女関係のハードルを下げる。

それからティオネが二号で入ればいい。

そのあとは興味が無いと言ってる

リリルカを追い出せばティオネが

一番になれるぞ』って言われてさ」

 

「先生、なに言ってくれてんの?!」

 

いや、対象がリリ以外ならリリだって

いいアイディアだって褒めますけど!

 

「いやごめんね?ただティオネの暴走

とかで、リリルカさんに危害を加える

訳にはいかないからさ」

 

確かにその理屈ならティオネさんに

とって、リリは必要な人間になります。

闇討ちどころか積極的に安全確保して

くれるでしょう!

 

けど、先生ならもう少し他にも

方法があったはずですよね?!

 

「フィンにとっても後押しみたいな

意見じゃん?先生は『誰も損しないな』

って笑ってたよ」

 

「ソレは嘲笑ってるんですよっ!」

 

畜生、忘れてました!

あの人は面白いならアリって

人でしたよね!

しかもソレがリリの安全を確保する為の

策になってるから文句も言えないっ!

 

「まぁ、おんなじレベル5だし。

仲良くしていこう!」

 

「仲良くしてもしなくても

アウトじゃないですかぁ」

 

今回ほどレベルアップが悔しいと

思ったことはありませんっ!

ナァーザさんのお茶もらって

来れば良かったですね・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『久しぶりねイシュタル?』

 

ーおい、フレイヤ様がイシュタル様に話

かけたんだが・・・

 

ーコレ、逃げた方よくない?

 

ーいや、最近はイシュタル様も余裕?

出てきてるから大丈夫なんじゃないか

 

ーあぁ、そうだな。落ち着いてる

イシュタル様ってフレイヤ様とは

違った味があるよな?

 

「「「わかる」」」

 

『あぁ、久しいね。というか

アンタが神会にくるなんて珍しい

じゃないか?』

 

ー・・・普通に返した

 

ーやっぱり最近変わったよな?

 

ー噂の農家の野菜じゃね?

 

ーあの野郎、一体どんなゴーヤを

持ってるんだ?!

 

 

『アナタのところの団長や戦闘娼婦が

立て続けにレベルアップですもの。

そりゃ興味が沸くわよ』

 

ーお、おぉ。なんか普通に会話してる

 

ー眼福眼福

 

『それに関しては、アンタのお察しのとおり

ヤツのおかげだね。フリュネに至っては野菜と

節制で肌が綺麗になって無駄な肉が

落ちたせいで、大柄でSっ気がある

女が好きな男どもに大人気さ』

 

いやはや、呼吸と食事であそこまで

変わるんだねぇ。

本人は痩せるのに抵抗があったみたい

だけど、余計な肉が動きを阻害してる

って言われて不承不承節制を始めた

んだよね。

寸胴で短足なのは変わらんけど。

 

無駄な肉がなくなって攻撃の回転も

早くなったし、動きも機敏になった。

男から指名されるようになって

承認欲求も満たされてる。

ほかの戦闘娼婦にちょっかいも

出さないし、無駄に摘み食いも止めた。

それで充実した生活とレベルアップだ。

コレでアノ魔法を使えば・・・

まぁ今更なんかしようとは思わないが

何もできないのと何もしないのは別

だからね。

いやぁさすがは叔母様の眷属になるだけの

ことはある。

関係を保ってるだけでこんなに恩恵が

あるんだから、もうアイツが神だね。

 

『そう、それで噂に聞いたんだけど』

 

『噂?今の噂と言えばウチの眷属の

レベルアップとアレの弟子のレベルアップ。

それとロキファミリアの遠征についてだと

思うけど何かあったかい?』

 

春姫がレベル2でアイシャがレベル5って。

一年でソコまで仕込むとは。いやはや流石だよ

 

『いえ、そっちはそれでいいのよ。

遠征はがんばって。レベルアップは

おめでとうで終わる話だわ』

 

『上から目線なのがアレではあるが、実際

探索ではアンタのところには勝てないからね』

 

ーおいィ?お前らは今の言葉聞こえたか?

 

ー聞こえてない

 

ー何か言ったの?

 

ー俺のログには何もないな

 

『・・・そうね。ウチは探索系で

貴女は商業系ですもの。

冒険者のレベルや実績で負けてたら

私の立場がないわ』

 

『そうだろうね。これに関しては住み分けが

できてると考えるさ。

あぁ、商業系に転向するなら男娼

だけにしておくれよ?』

 

ー・・・やべぇ。コレ明日地震じゃね?

 

ー・・・いや、今日だろ

 

ー・・・コレから槍が降るでしょう

 

ーコレ多分神界で伝説になってるぞ。

 

『そう。前置きはこれくらいでいいわね。

本題はあなたのところで出されてるっていう

お茶のことなんだけど』

 

『あぁ、アレかい?』

 

ーうわっ!めっちゃいい笑顔!

 

ー尊い!

 

ー女としての優越感と無邪気さが

混合しているっ!!

 

『それが彼のところで栽培されてる

お茶なのは私も知ってるわ』

 

『そうだろうね。ヤツは別に

アタシだろうがアンタだろうが

差別せずに売るだろうよ』

 

それも隠しもしないでね。

と言っても隠すようなことでもないけとさ。

 

ふふふ、しかしやっぱりそうか。

アイツが言うように、春姫が

調合して淹れた茶は神クラスの客人

にしか出してないが・・・やっぱり

フレイヤのところよりも美味いか!

 

『・・・えぇ、味が違うってヘルメスがね』

 

『そりゃそうだろうね』

 

ふふふふふふ、よくやった

春姫!後でボーナスだ!!

 

『・・・もしかして茶葉の質が?』

 

ーおぉう!フレイヤ様の纏う空気が

重くなった?!

 

ーアレはアレで・・・イイっ!

 

ーあの目がイイっ!

 

ー踏まれたいっ!!

 

「「「わかる!!!」」」

 

『まさか、さっきも言ったが

アイツは客を差別しない。

茶葉の質はおんなじさ。

ただ、茶葉の種類が違うんだよ』

 

『種類?』

 

『葉っぱ自体にも色んな種類があるし

同じ品種でも一番摘みとか二番摘みとか

色々あるからね。またブレンドや淹れ方も

違うから、それによって味は違うんだよ』

 

どーせ部下に任せてたんだろ?

その部下だってそこまで知らんだろ?

 

『そうなの・・・ただお茶とだけ

聞いてたけど、ソレで味が違うのね』

 

『ま、アンタのところの茶を飲んだ

ことがないから何とも言えんが・・・

多分そうだろうね』

 

くくく、さらに門外不出の調合と

その茶に合った淹れ方が最大の旨みを

引き出すんだよ!

貴様は中途半端な眷属が中途半端な

知識と中途半端な技術で淹れた

中途半端な味で満足してるんだね!

 

『注文にも知識が必要なのね。

天界ではお酒はあったけどお茶は

なかったらから気付かなかったわ』

 

『なんだかんだ言っても素材が良いから

上を知らなきゃ適当に淹れても十分

美味いから言われなきゃ気付かないかもね。

ただ、ウチは客商売だからどうしても茶に

詳しい客も出てくるだろ?

そういった客のニーズに応えるのも

仕事のうちなのさ』

 

茶に詳しいのは主にアイツだが。

他は黙って飲んだり知ったかぶり

して飲むだけだからねぇ。

 

『なるほど。私は特に不満を持って

なかったからアレだったけど、貴女の

ところは色んな人に出すんですものね』

 

『ああ、そういうことさ。

それに飲んでみれば楽しいもんだよ。

脂っこい料理にも合う茶もあれば

さっぱりした料理にも合う茶もある。

甘い菓子に合う茶もあれば

香りを楽しむ茶だってある。

酒を飲めない客にだって進められるし

美容にもいいから女の客にだって

推奨できる。

飲み物は水と酒だけじゃないって

ことを教わったね』

 

貴様が味わえないモノを味わってると

思えば・・・今日から飲む茶は

さらに美味いだろうよ!!

 

『そうなのね。最近はソーマのところの

食前酒や各種料理に合わせたお酒を

楽しんでたけど、お茶にもそんなに

種類があったなんて・・・』

 

『アレはアレで良いもんだけどね。

とりあえず一気に楽しみを経験するんじゃなく

少しずつ味わっていけば良いじゃないか?』

 

ソーマの酒の新作もアタシが先に

飲んで感想をやってるがなぁ!!

ウチの眷属があの弟子と仲良くしてる

恩恵だね。よくやったアイシャ!

お前にもボーナスだっ!!

 

『それもそうね。お茶に関しても、

彼は別に逃げるわけでもないし

隠してる訳でもないんですもの。

あとはコッチがちゃんとした知識を

身につけて注文すればいい話よね』

 

その知識が極東の茶を調合できる知識だと良いな。

 

『それもそうだが基本は

やっぱりそれぞれの茶葉を買って

飲んでみることだね。

アンタにだって好き嫌いはある

だろうから、自分に合った茶葉を

購入することをお薦めするよ』

 

それ以前に、アイツはたとえ金を積んで

『全種類くれ』って言っても絶対売らんけど。

 

保管方法とか大変なんだよ?

探索系ファミリアで強者しか

集めてこなかった貴様と

その眷属達にどこまで出来るか

・・・見物といこうかね。

 

『そう、アドバイス感謝するわ。

お礼は何がいいかしら?』

 

貴様の吠え面で十分なんだが・・・

そうだねぇ何も要求しないのも

不自然だろうし。

 

『んー。なら猛者でなくてもいいからさ、

今度誰か高レベルのヤツとウチのフリュネを

立ち会わせてもらえないかね?

レベル6になったからって

自惚れてもらっても困るからさ』

 

『あら?そんな事でいいの?』

 

『格上の相手と命の危険なく立ち会える

ってのは、それだけでありがたい話さ』

 

頂点を見せてもらえれば最高だね。

あの魔法で届くかどうかもわかるし・・・

 

『なるほどね。特に問題ないわ。

貴女の都合がいい時に連絡を頂戴?』

 

『あいよ。っていうか帰るのかい?神会は?』

 

『今回私のファミリアは特に関係ないのよ』

 

『ほーん』

 

つまりは茶の秘密が知りたくて

探りに来たと。

ふふふ。こんなに楽しい神会は初めてだよ。

アイツにもサービスしてやろうじゃないか!

 

『それじゃごきげんよう』

 

『あぁ、またな』

 

「「「やべぇ、イシュタル様の笑顔が尊い!」」」

 

中途半端な茶で満足してる

姿を想像するだけで笑えるよ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『・・・オッタル』

 

「はっ!すぐにあの男に連絡を取ります」

 

イシュタルが上機嫌なのは私がお茶の

奥深さを知らなかったから、か。

……確かに悔しい気持ちはあるわね。

 

お茶自体は彼と繋ぎを付ける為に買った

モノだったからそこまで深くは考えて

居なかった。

それなりに楽しんでいたけど、まさか

そこまで深いモノだったなんて。

 

『ふっ、どこまでも楽しませてくれるわ』

 

その深みを研究するのも楽しみよ。

けど私の眷属は基本的には勇者だから

お茶みたいな文化的なモノには

弱いのよね。

かといって惰弱なのを眷属にする

気はないし。彼に教えてもらう?

 

オッタルが彼にお茶の講義を受ける?

・・・想像できないわね。

 

さてさてどうするか。私が自分で研究

するのも面白そうなんだけど、眷属は

美味しいとしか言わないわよね。

 

どこかにお茶に詳しい強者は居ないかしら?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ようやくレベル6が見えてきた

というのに呼び出しとは・・・。

 

「久しぶりだね」

 

「えぇお久しぶりです本日のご用向きは?」

 

しかしレベルが上がるとステイタスの

向上もなかなかうまく行きませんね。

骨を壊そうにも魔石を残して狩るのが

あんなに難しいなんて。

 

床があんなに脆いならスキルなんて

そうそう使えませんし。

どうやって魔石を傷付けずにアレを狩るか。

 

「アンタがレベル5相当になったからさ

紹介しとこうと思ってね」

 

「紹介・・・ですか?」

 

闇派閥の人ですか?

それとも貴重品をくれた人?

 

「・・・オリヴァスだ」

 

・・・阿呆の人でしたか。

 

「エインです。よろしく」

 

「・・・」

 

ん?何かシツレイなことしましたかね?

 

「あぁ、エインはどうやら頭を潰された

らしくてね、記憶と呼べるモノが

ほとんど無いんだよ」

 

「・・・なるほどな」

 

おやおや、もしかして有名人でしたか。

それは失礼なことをしましたね。

 

「それで、紹介だけでは無いのでしょう?」

 

それだけなら貴女方を狩って

レベルアップしますよ?

 

「もちろんそうさ。また地上の連中が

遠征に来るらしい」

 

「ほう」

 

またですか。前回は床が崩れたから

アレでしたが、今回はどうしましょうかね

 

「ロキファミリアでレベル6も居るらしい」

 

「へぇ、レベル6ですか」

 

それはそれは是非見てみたいモノですね。

 

「ロキファミリアだと?!」

 

「お知り合いで?」

 

焦り?ですかね。会いたくない人でも

居るんでしょうか?

 

「お前っ!・・・あぁ、知らねぇ

んだもんな。仕方ねぇか」

 

仕方ないの精神が発揮されるような

ことなんですかね?

 

「ロキファミリアはな、現在地上にある

ファミリアではフレイヤファミリアと

並ぶ最大手のファミリアだ」

 

最大手が並んじゃダメなのでは?

 

「ほほう」

 

「・・・レベル6ってのもヤベェ。

俺が知る限りは三人。そのうち

エルフの魔法が特にヤベェ」

 

ヤベェのですか

 

「そういうわけで、今回もいつもと

同じように様子見だ。

準備はもう少しで整うから、何か

頼むときは連絡するよ」

 

「了解です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふむ、最大手なら師が居ますかね?




ソードの方が時系列早いから
シカタナイネ!

イシュタル愉悦。
コレは原作7巻に影響が?!(今更)

美脚も狐もカンストする必要が
ないので、普通にレベルアップ
させてるよーってお話


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15話

時系列的にようやく
ソードの1巻

オリ設定
オリ展開

原作?アイツは変わっちまったよ

嫌いな人は読み飛ばし


リリルカに不壊属性の棒と護符。

防具は不壊属性のローブとインナー。

衝撃も吸収するようにしたかったが

流石に高性能すぎるとヤツラに

ちょっかいをかけられるだろ。

 

護符で魔法由来の精神異常は防げるが

毒キノコとか食ったらダメだから、

タブレット型の毒消しとエリクサー

ついでに毒殺用の毒。

 

液体のポーションだの毒消しは瓶が

割れたら困るからどうしても

タブレットの方が良いと思うんだが、

加工がないと液体から固体には

できないらしい。

 

さらに瓶職人の生活もあるから

開発が進まんのだろうな。

 

まぁ既得権益を壊してまで

儲けようとは思わんが、

この辺が俺の商人としての

限界なんだろうと思う。

 

アイシャと春姫のおかげで俺の

ステータスも魔力以外はSSになった

カンストは1111でHOOAH!方式。

 

SSSは有るのか無いのか。

 

生徒の立て続けのレベルアップと

SSのステータス自体が偉業らしく

レベル7にはなれるが・・・

今は目立つからなぁ。

 

レベル6と油断してもらったほうが

殺りやすいから、オッタルが8になるか

他のが7になるまではしばらく

このままか。

 

リリルカがいない間にカーリーの

ところに行くか?

それともイシュタルのところで

春姫を鍛えるか・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

名前  ○シ○・○○ー○

 

種族   ハーフエルフ 職業 農家

到達階層 ○○階層   武器 剣

 

所持金  3000000ヴァリス

     常に現金として持ち歩く

     ことにしている。

     

 

STATUS    LV.6

 

力 SS●●●● 耐久SS●●●●

器用SS●●●● 敏捷SS●●●●

魔力 S●●●  教導  S  

鍛冶  A     神秘  B

調合  C     加工  C      

 

魔法

 

自然に従え

【セクレ・ナートゥーラム】

 

己が定めた領域に対しての侵入者に対して

毒、麻痺、石化、衰弱、睡眠、呪い

等の状態異常を付与。

込められた魔力により範囲、威力は変化。

 

侵入者が居ない状態が自然であると

定義付けているので、領域から脱出

しない限り回復不能。

 

領域を策定するにはいくつかの条件を

満たす必要がある。

 

1・特殊素材による要石

2・※※※※※※※※※

3・※※※※※※※※※

 

なお、魔力の過剰使用により一時的に

領域の作成は可能になるが、効果は

格段に落ちる上、

消費魔力は跳ね上がることとなる。

 

   

 

スキル 

 

斯く在れかし聖四文字

【アンメンゾ・イマデウス】

 

任意の対象に試練を与える。

対象が試練を突破した際、双方の

ステイタスに成長補正。

試練の内容により補正の内容は変化

 

 

試される大地

【セイタン・ホッカイド】

 

指定された土地で作られる

農作物に対して試練?を与える。

試練を突破した農作物は通常の

農作物よりも味や効能が増す。

 

※品種改良のスキル

 

赤色狩猟

【リョーユーワナプロ】

 

トラップの隠蔽効果に補正。

トラップによるダメージ増加。

 

我知無知哲学三信

【ヘリントン・アトモスフィア】

 

歪みない姿勢。

いかなるときにも歪まぬ不動の心

精神耐性。

 

だらしなさへの戒め。

アビリティの教導やスキルの

試練の効果に補正。

自己の戒めにもなるため成長補正。

 

しかたないとする寛容の心。

対象の精神的重圧を軽減。

 

頼れる兄貴である。

 

 

至※※※※我※※※り※

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

名前 リリルカ・アーデ

 

種族   小人族  職業 サポーター兼杜氏

到達階層 37階  武器 棒・素手

 

所持金  1000000ヴァリス

     先生を見習ってとりあえず

     一定の金額を持っている

 

STATUS    LV.5

 

力  I  89 耐久  G 211 

器用 I  66 敏捷  I  61 

魔力 H 155 耐異常  C

精癒 E      拳打   D

堅守 E

 

魔法  

 

シンダー・エラ

 

解除詠唱

 

【響く十二時のお告げ】

  

自身と同じ体格のものに姿を

変える偽装魔法。

    

 

スキル 

 

縁下力持

【アーテル・アシスト】

 

一定以上の装備過重時における補正

能力補正は重量に比例する。

 

十二の試練

【ゴッドハンド】

 

与えられた試練を乗り越える度に

成長補正が追加。

失敗しない限り効果継続。

試練の内容により補正の内容は変化

 

 

 

装備

 

如意金箍棒

 

彼女の先生が自作した

リリルカ専用武器。重さ500キロ。

 

伸縮はしないが内部機構の一部に

特殊な素材による特殊な加工が

されており、三節棍のように

使うことも可能。

 

現在三代目。代を重ねるごとに

(リリルカのレベルに併せて)

重くしている。

あくまでレンタル品であり

メンテナンス料金のみ支払っている

 

所謂見せ武器であるが、

彼女の先生は棒に必要なのは

頑丈さと重さとしなりであると

考えているため、その点では

全ての条件を満たした逸品となってる。

 

内部機構に使われている素材の

一部から生じる呪いにより、

魔力由来の攻撃を無効化する。

(リリルカはこれが呪いである

とは分かっていない)

 

ヘファイトスファミリアの団員曰く

第1等級武装

 

不壊属性

魔法無効

 

 

価格 ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

神鉄・金砕棒

 

彼女の先生が自作した

リリルカ専用武器。重さ500キロ。

 

特殊な素材を特殊な製法で加工し

特殊な金属にして作られた。

 

彼女の先生が認めたモノ以外に

重度の精神汚染の呪いを付与。

ある条件を満たすと先端部分から

黒い炎が出るらしい。

 

尚、黒い炎の効果は不明

 

現在三代目。代を重ねるごとに

(リリルカのレベルに併せて)

重くしている。

 

呪いにより魔法由来の攻撃を無効化。

(リリルカもこれが呪いである

とは分かってるので、絶対に先端

部分には触れない)

 

保管場所は彼女の先生の拠点。

彼が居ないところでは持ち出しすら

許されない武装である。

 

 

不壊属性

不変属性

魔法無効

 

価格 ーーーーーーーーーーー

 

 

 

神巫のシャツ

 

彼女の先生が自作した

リリルカ専用武装(インナー)

 

素材の一部に特殊な素材が使われて

いるが、呪いはない。

(リリルカ以外が装備すると

不快感に苛まれる程度)

 

サイズ自動調節・自動修復・

消臭・適温維持。

 

上記の効果はリリルカの魔力を使って

行われるため、常に魔力を消費

している状態となる。

※現在は精癒のアビリティが

あるので、やや魔力回復量が上。

 

※インナーの自動修復効果に

ついては口止めされている。

 

神巫の衣

 

彼女の先生が自作した

リリルカ専用武装(上着)

 

素材の一部に特殊な素材が使われて

いるが、呪いはない。

(リリルカ以外が装備すると

不快感に苛まれる程度)

 

サイズ自動調節・適温維持、

防臭・耐熱・防水・不壊属性

 

上記の効果はリリルカの魔力を使って

行われるため、常に魔力を消費

している状態となる。

※現在は精癒のアビリティが

あるので、やや魔力回復量が上。

 

 

神巫の鎖帷子

 

彼女の先生が自作した

リリルカ専用武装(防具)

 

神巫の衣の下に装備している。

 

素材の一部に特殊な素材が使われて

いるが、呪いはない。

(リリルカ以外が装備すると

不快感に苛まれる程度)

 

サイズ自動調節・消臭・耐熱

不壊属性

 

上記の効果はリリルカの魔力を使って

行われるため、常に魔力を消費

している状態となる。

※現在は精癒のアビリティが

あるので、やや魔力回復量が上。

 

 

神巫の額当て

 

彼女の先生が自作した

リリルカ専用武装

 

素材の一部に特殊な素材が使われて

いるが、呪いはない。

(リリルカ以外が装備すると

不快感に苛まれる程度)

 

防臭・消臭・耐熱・防水・不壊属性

 

上記の効果はリリルカの魔力を使って

行われるため、常に魔力を消費

している状態となる。

※現在は精癒のアビリティが

あるので、やや魔力回復量が上。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「へぇ?消臭とか防臭っていいよね!!」

 

「でしょ?!先生にどんな効果を

付けるか?って聞かれたとき

真っ先に選択しましたよ!」

 

いや本当に。

ダンジョンに潜ってる人たちって

臭いですからね。

装備品とかも臭いますし!

 

おやぁ?ロキファミリアの男性陣が

クンクンしてるぞぉ?(愉悦)

 

「それは正直言って羨ましいわね

・・・けど重いんでしょう?」

 

「そうですね。色んな効果を

つければ、デメリットとして

その分重くなるんですよ」

 

流石にメリットだけじゃないんですよね。

まぁ、リリはスキルで補正が掛かるから

大丈夫なんですけど。

 

「武器の重さはおんなじくらいだけど、

スキルの分かな?リリルカさんの方が

動きに無駄がないよねぇ」

 

鍛えてますし。

慣れもありますよ。

 

「あとはその属性を維持するために

魔力を使うってことかしら?

そういうデメリットをきちんと

作ることで属性を維持してるのね」

 

「そうなりますね」

 

私は普段魔法を使いませんから、

身体能力の強化に回す分の魔力を

残せば、あとは装備してるだけで

魔力とアビリティの精癒が

鍛えられる優れモノです。

 

「うーん。私も欲しいけど、スキルが

ないと重さで動きが制限されるのがなぁ」

 

「そうね。とりあえずゴブニュのところに

行って「こんな装備を見た」って言えば

頑張って作ってくれそうではあるけど・・・」

 

「「絶対ダサイわよね」」

 

「確かに。鍛冶師さんでも作れるかも

しれませんけど、どうしても機能性を

優先してしまいますからね」

 

先生みたいに見た目と機能性を両立

させるのは難しいと思いますよ?

神秘と加工があっての職人技ですから。

と言うよりも。

 

「皆さん軽装過ぎませんか?」

 

ガレスさんみたいなドワーフさん以外、

皆さん何というか……痴女ですよね?

 

「うーん。寒いところだと上着を着るけど、

どうしても動きを阻害されちゃってね」

 

あぁ、なるほど。

リリの装備はサイズ自動調整で

リリの動きを邪魔しませんが、

皆さんはそういう訳にも

いきませんからね。

 

それに深層の敵の攻撃力は

馬鹿みたいに高いらしいですから

防御力よりも当たらないことを

前提にしてるわけですか。

一応の理由はあるんですね。

 

その代わりに痴女めいた服装になるし

奇襲でダメージも受けやすい、と。

けどダンジョンで肌を出して歩くって

どうなんです?

毒とか貰い放題ですよね?

これならリリは重くてもちゃんとした

装備を選びますよ。

 

いやはや、リリの縁下力持は恐ろしく

汎用性の高いスキルだったんですね。

 

「さらに適温維持ってのも良いよね!

熱くも寒くもないんでしょ?」

 

「多少の影響は受けますけど、

大体は我慢できる範囲ですね」

 

寒い時は無理せず温石や上着が

あれば良いですから。

ただ貴女方の格好だと・・・

どうなるんでしょうか?

 

「不壊属性も、棒なら切れ味とか

関係ないからね。

さらにそのせいで重くなっても

アンタには関係ないときてる。

うん、きちんと弟子のことを考えて

コーディネートしてる先生は凄いわ」

 

「そうなんですよね。装備品のテスターを

兼ねてるとは言え、なんだかんだで

優しいヒトなんですよねぇ」

 

 

 

 

 

 

「くっ、男としての格で負けた気分だよ!」

 

「気分じゃなくて、しっかり負けとるわい」

 

「お前は今まで戦士として上を

目指してきたが、男を磨いて来た

わけじゃなかったからな・・・」

 

 

 

 

 

・・・話すきっかけが無い。

あっちも私を見ようともしないし。

それもこれも全部

 

「ベートさんのせいだ」

 

「えぇぇ?!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ほほう、あの棒使い。アレは間違いない。

普段から気を纏って警戒をしていますし、

あの特徴的な呼吸と足運び。

確実に直弟子です。

痴女共も先生とか言ってますし。

 

まだまだ未熟ではありますが、それでも

今まで見た中では最高級の練度ですね。

赤髪位なら瞬殺できるでしょう。

 

・・・ですがまだまだ未熟。

おそらく5年~6年程度ですか。

間違いなく10年は積んでませんね。

 

他は褐色痴女の二人組が多少の教えを

受けた程度、といったところでしょうか。

 

それで金髪小僧と緑の耳長と樽が、噂の

レベル6の三人ですか?

 

・・・話になりませんね。

 

足しかにレベルという力は感じますが、

あの程度の技量では、ね。

 

本当にこれが最大手ですか?

あの阿呆さんの勘違いでは

無いんですか?

なんたって痴女に阿呆呼ばわり

されるヒトですからね。

 

まぁ耳長はまともな服を着てますし

9種類の魔法があるらしいですから、

そっち方面の厄介さがあると

考えるにしても・・・

 

アレが地上の上位者とは

いくらなんでもありえなくないですか?

 

というか最大手に師が居ない?

もう一つのフレイヤファミリアとやら

にいるのでしょうか?

 

いや、面倒臭がって敢えて弱小の

ファミリアに所属してるのかも

しれませんが、それにしては

直弟子が居るんですよねぇ。

 

ふむ。ここでいくら考えようと、師の考えは

読めません。

散々悩んだ結果「面白そうだったから」

で終わる可能性もありますし。

 

とりあえず考えるべきは今ですよね。

 

さてさて、私はあの妹弟子にどう

接するべきでしょうか?

 

種族的に敵・・・おぉここでも弟子冗談。

ふふふ、私も確実に成長してますね?

 

考えが逸れました。

 

敵だというならば、あれに親しく接すれば

師に迷惑がかかりそうです。

かといって敵対しても・・・

あぁ、敢えて敵対行動をとって

成長を促すのも面白そうではありますね。

 

それで殺さなければ師なら気付くでしょう。

 

そうなれば今回は見送って私が

レベル6になって、確実に邪魔を

排除できるようになってから

接触するのが良いでしょうか?

 

赤髪の邪魔にもならないでしょうし。

アレも、もはやいつでも殺れますが、

話し相手と情報源が無くなるのは

痛いですからね。

 

 

よし。とりあえず今回は手を出しません。

それどころかあの妹弟子が死なない程度に

ふぉろーしてあげようではありませんか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし安心しましたよ。一廉の者は

まともな服を着てるんですね。




リリルカステイタス公開

耐久が高いのは先生に
ポコポコやられてるから
魔力は使ってるからですね。

装備品はちゃんと装備しないと意味がないぞ


なぞのおりきゃら。
とうとう関係者見つけるってお話

彼女が失った記憶が戻る時が来るのか?(勘違いモノ?)


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16話

前話の続き


オリ設定
オリ展開

原作キャラアンチあり(今さら?)

嫌いなヒトは読み飛ばし


大幅修正の可能性あり。


はてさて「今回は僕たちがやるから

リリルカさんは見ているだけで良い」

とは言われましたが・・・

 

『陣形を固めろ!リヴェリアの魔法が

完成するまで足止めだ』

 

なるほど、大量の敵がいる場合、

この人たちは魔法で一掃するのですね。

 

戦闘経験がもったいないと思うんだけどなぁ

 

・・・あぁもしかしたらレベルが

低い人たちへの配慮ですか?

彼らには自衛力がないんですもんね。

 

それに基本的に装備が軽いから

長時間の戦闘で集中力が切れたら、

怪我をする人たちが増えますし。

 

怪我しても次階層が安全階層だから、

そこで魔法を使って回復するつもりですね。

だから今はポーションも使わないと。

温存なのか油断なのか・・・

 

「アイズっ?!」

 

あ、剣姫さんが突っ込んだ。

そんな指示出てましたっけ?

 

しかも何ですかあれ?

魔法で風を纏って直進?

 

爆発的な推進力と突破力で道を

切り開くタイプの魔法ですか。

 

ただ、フォーモリアがアレに耐えられない

程度の雑魚だからなんとかなってますが、

抑えられたらどうする気なんでしょう?

敵のど真ん中で孤立しますよ?

 

ついでに言えば、リリの武器なら

ソレ消せますし。

他にも消せる可能性だってあるんだから

そんなのに頼っちゃダメだし、切り札を

ポンポン見せちゃダメでしょうに。

 

何より、今はソレ使う必要まったく

有りませんよね?

 

「アイズが行ったけど、アレはフィンの

指示じゃないよね?」

 

「当たり前じゃない!もう、何やってるのよ?!

団長から指示があるまでは後衛の護衛って

言われてたのにっ!」

 

剣姫さんに対してティオネさんと

ティオナさんは危なげなく処理してますね。

ちゃんと勇者さんの指示通り、足止めに

専念して周りにまで気を使ってます。

 

しかし敵の動きがアレですね?

明らかな弱点であるこっちよりも

前衛を狙ってませんか?

 

モンスターは基本的に野生動物ですから

目の前の敵を逃がさないのもありますが、

弱い敵も見逃さないはずなんですが?

 

このままじゃ普通に詠唱始まっちゃいますよ?

 

・・・あぁ、けど今の状況だと無理ですか。

完全に剣姫さんが邪魔になってますよねぇ。

 

『ベートっアイズを!』

 

「ちっアノ馬鹿っ!」

 

凶狼さんですか。

あの人は人相と態度と頭が悪い。

 

それで剣姫さんにベタ惚れと。

 

まぁ剣姫さんは見た目だけはいいですからね?

親代わりのリヴェリアさんに相当甘やかされて

育てられたせいか、自分の人間性を鍛えること

も忘れてる人ですから、リリは嫌いですけど。

 

多分先生もこういうところが嫌いなんじゃ

ないですかね。

いつまで保護者同伴で無様晒してるんだ?

ってかんじで。

 

少なくともティオネさんとティオナさんは

自立してますし。

・・・ファミリアに甘えてる部分は

ありますけどね。

 

うーん。未熟な人たちが集まって

支え合うのがファミリアだと言えば

聞こえが良いんでしょうけど。

コレはリリには無理ですね。

 

【終末の前触れよ、白き雪よ。】

 

お、詠唱が始まりましたか。

準備から詠唱までの時間を考えたら

相当な魔力と集中力が必要みたいですね?

アイズさんの邪魔が痛かったかな?

 

狼さんは後衛に偉そうなこと言って

突っ込んだかと思えば、単純に殴る

蹴るだけ。

敵が弱いのか彼が強いのか。

まぁレベル5の上位ステイタスなら

この階層では強者ですよねぇ。

 

【黄昏を前に風を巻け。】

 

確かに早さがあれば無駄な動きをする

必要はありませんが、技撃軌道全部

丸見えですよ?

カウンターを一切考慮してません。

その速さで動いてる時にカウンター

取られても対処できるくらいの能力が

あるとは思えませんし。

 

【閉ざされる光、凍てつく大地】

 

あの程度であの態度・・・

流石先生に噛み付いたお馬鹿さんです。

そもそも本当に強い人は噛み付かずに

殺すんですよ?

 

【吹雪け、三度の厳冬】

 

接触禁止令を解いて欲しいとリリに

口添えを依頼するなら、きちんと

頭を下げないといけません。

 

謝罪に誇りはいらないんです。

それを捨てることで謝意となるんですからね。

そのつまらない誇りがダメなんですよ。

 

【我が名はアールヴ】

 

「アイズ、下がれっ!」

 

あ、詠唱が終わった感じですね。

 

【レア・ラーヴィテイン!】

 

・・・へぇ。コレが九魔姫さんの魔法ですか。

まぁ大規模な集団相手には便利ですよね。

 

使う必要があったかどうかは知りませんが、

それもこれも勇者さんの判断ですからね。

リリがどうこう言うつもりはありませんよ?

 

・・・ですが、今は後悔してるでしょうね。

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「アイズ、何故僕の指示に従わなかった?」

 

冷たい目と冷たい口調で目の前の

少女に詰問する団長の姿に、レフィーヤを

始めとした団員達は思わず背筋を伸ばした。

 

「・・・ごめんなさい」

 

少女から出るのは謝罪の言葉。

だが彼らの団長は謝罪を求めたわけ

ではない。指示に従わなかった理由

の説明を求めたのだ。

故に重ねて問いかける

 

「僕の話を聞いていなかったか?

何故、指示に、従わなかった?」

 

「・・・」

 

いつもとは明らかに違うフィンの姿に

副団長であるリヴェリアも違和感を

覚えた。

だが一番の違和感はフィンではない。

 

フィンの指示を無視したことに腹を

立てているティオネならまだしも、

普段ならアイズを庇うティオナまで無言で

アイズの答えを待っているではないか。

ガレスも渋い顔を崩さない。

 

なんだ?何があった?

 

「・・・」

 

「アイズ、僕の指示に従わなかった?理由を早く答えろ」

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

ま、当然こうなりますよね。

普通に考えたら連携とか計画とかが

全部破綻して、下手したら後衛の

人達が死んでたんですから。

 

「フィン。一体どうした?確かにアイズの

行いはお前の指示を無視したことに

なるが、あの程度はいつもの・・・」

 

「・・・リヴェリア、僕を失望させるな」

 

リリは失望しましたけど。

リヴェリアさんは馬鹿なんですか?

いつも命令違反してたのを許してたって、

そんなの甘いってレベルじゃ無いですよ?

 

「フィン、まさか客人の前だからって格好

つけてる訳じゃねーだろぉな?」

 

二人目の馬鹿発見です。

むしろ客人の前だから格好つけなきゃ

ダメでしょうが。

それに、あのことに気付いてない?

狼さんはその程度なんですか?

 

「ベェト。てめぇは少し黙ってろ。今はアイズの問題だ」

 

うん。ティオネさんはわかってますね。

 

「ねぇアイズ、もしかして分かってないの?」

 

「ティオナ?」

 

「・・・お前までそんなことを言うと

言うことは、あの場になにかあったのか?」

 

なにかあったのか?もなにも、現在進行形で

客人の前で不様を晒してますよー。

 

まぁ、リヴェリアさんは後衛だし、

詠唱に集中してましたからね。

わからないのも無理はありませんが

 

「私も気付いたのはリヴェリアの魔法が

放たれた後だったから偉そうなことは

言えないけどさ、ソレ以前の問題として

戦闘中にフィンの指示に従わないのは

駄目だよね?ここはダンジョンの中で

更に中層とか下層じゃ無く深層だよ?」

 

「・・・」

 

「それはそうだが・・・」

 

リヴェリアさん、貴女は剣姫さんに

甘過ぎます。

わかってますか?今のままじゃ剣姫さん

のせいで他の人が死んじゃいますよ?

リリは部外者ですからわざわざ

指摘はしてあげませんけどね。

 

「何か理由があるならまだしもさ。

何の理由も無いなら、アイズは自分の

気分で後衛の仲間を見捨てて前に出た

ってことになるじゃん?」

 

「あっ!」

 

そうなりますよねぇ。

 

「アイズは囲まれても大丈夫かも

しれないけど、レフィーヤとかが

襲われてたら死んでたよ?」

 

「・・・」

 

「はっ!だから雑魚は嫌いなんだよっ!」

 

狼さん。ソレはアイズさんへの

フォローのつもりですかね?

勇者さんの顔見た方が良いと思いますけど?

 

「アイズ。アンタとベートが抜けた穴は

リリルカさんが埋めてくれたの気付いてた?」

 

「何?!ティオネ、それは本当か?」

 

リヴェリアさん。いくら後衛でも

ソレは無いんじゃないですかねぇ?

 

「本当だ。リリルカさんはリヴェリアの

詠唱が邪魔されないように、きちんと

モンスターを牽制してくれていたよ」

 

「フィン・・・そうか。」

 

少しくらいは働かないと狼さんが五月蝿いですからね。

 

「気にしなくて良いですよ。私としても

皆さんが戦ってる中で黙ってお客さん

してるほど、面の皮は厚くないつもりですから」

 

貸しとか借りとかは考えなくても

良いのですが・・・正直言って

もう帰りたいですよ。

50階に来たら十分でしょ?

 

「なるほど。これは確かに失態だな。

私がアイズを甘やかしたせいだろう。

リリルカさんには申し訳ないことをした」

 

「いえ、さっきも言いましたが私もレベル5

ですからね。少しくらいは働きますよ」

 

それに重要なのはソコじゃないですよ?

 

「偉そうに『こちらに任せろ』なんて

言っておきながらこの体たらく。

確かにベートが言ったように、格好を

つけようとして失敗したのを怒ってる

と言われても反論出来ないかも知れないな」

 

「あ、いや・・・ソレは・・・」

 

狼さん。考えないで喋るから

そうなるんですよ。

 

「だがアイズ。ティオナが言ったように、

君の行動は理由もなく仲間を見捨てて

好き勝手にしたと言うことだ。

団長としてソレを認める訳にはいかないし、

うやむやにする気もない」

 

「・・・はい」

 

「君への罰は地上に戻ってからだ。

今は皆が無事に帰れるように帰還の

準備を整えることとする」

 

ま、ソレが妥当でしょうね

 

「「何だと?!」」

 

「どういうことだ?到達階層の更新を

するんじゃなかったのか?!」

 

「それにカドモスの泉はどうする?」

 

この二人は本当にわかってないんですね。

周りの空気を読んだらどうですか?

 

「ベートはともかくリヴェリア。いつから

君はそんなに頭が悪くなった?」

 

「何だと?!」

 

元々悪いんじゃないですか?

初対面で先生に礼儀を問うヒトですよ?

 

「・・・リヴェリア、さっきティオナが

途中まで言ったじゃろ」

 

「ガレス?」

 

そうですよね。リリもアイズさんが

突っ込むまで気付きませんでしたけど。

 

「そうだ。リヴェリアの魔法の詠唱が

終わって魔法が放たれた直後、

ほんの一瞬だが視線を感じた」

 

「フィンもか?それに視線?」

 

「そう、それも背後から、だ。

つまりは何者かに見られてたわけだ。

アイズの切り札もリヴェリアの魔法も

詠唱のタイミングや威力もな」

 

「なん・・・だと」

 

ガレスさんもティオネさんもティオナ

さんも気付いてましたね。

ここまで隠蔽されてたら罠の心配も

しなくては行けませんから、無傷の

うちに退くのが正解でしょう。

 

「この深層で正体不明の相手に対し、

僕の指示を無視して見せなくても

良いものを見せてしまった。

はっきり言って最悪だ」

 

「「「・・・」」」

 

「だから今回は探索より不測の事態を

想定して退く。カドモスの泉より

団員の命を優先する。反論はあるか?」

 

「・・・いや、無い」

 

ここで有るとか言えたら凄い

ですよねぇ。ただまぁ・・・

 

「フィンさん、残念ながら少し遅かった

みたいですよ?」

 

「リリルカさん?……あぁ。そうみたいですね」

 

今になって親指が疼きましたか?

もう少し早かったら準備も出来たと思います

けど、今回は間に合いませんでしたね。

 

「フィン?」

 

「ガレス!戦闘準備だ!

後衛を守るように陣形を敷いてくれ!」

 

「おうっ!」

 

「ティオネとティオナは僕と前に出る」

 

「はいっ!」

「はーい」

 

「リヴェリアは精神力の快復に専念。

アイズはリヴェリアを護れ」

 

「け、けど・・・」

「わかった。アイズ、今は言うことを聞け」

 

「・・・うん」

 

さすがは勇者さん。

無駄の無い采配ですね。

 

「フィンっ俺は?!」

 

「ベートはガレスと共に防衛陣地の

構築だ。防御が薄くなった所に急行して

もらうから用意を怠るな」

 

「おうっ!」

 

まぁ、この中でスピードの値が一番高いのが

狼さんらしいですから、そうなるでしょうね。

 

「リリルカさんは・・・」

 

「後衛さんたちの護衛をしますよ。

基本はガレスさんの指示に従う形で

動きます。

もし前線に必要なようなら呼んで下さい」

 

まぁ、この襲撃犯にアレを

見られてたなら、多分後衛の方が

忙しくなると思いますけど。

 

「・・・わかりました。宜しくお願いします」

 

「えぇ」

 

やっぱりわかってましたか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、コレも先生からの

試練なんでしょうか?

 




一体、誰が何のために彼らを
見ていたのか・・・

剣姫さんが都市最強の剣士とか言われて
ましたけど、フレイヤファミリアの二人
の方が上なんじゃないの?ってお話。

指揮官の言う事をきかない
兵士は銃殺が妥当。
今まで何故矯正されなかったのか。

リヴェリア甘やかしすぎじゃない?

オリ展開を忘れてはいないか?


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17話

ソード1巻

オリ設定
オリ展開

原作に入ったらもう短編じゃないのか?

嫌いな人は読み飛ばし!


いやいや

未熟未熟、弟子未熟。

 

金髪が風を纏った瞬間、

初めての魔法に対する動揺を

妹弟子に見抜かれましたね。

 

師曰く、「初めて見るモノに驚くのは

ヒトとして当たり前のこと」

ですから、別に良いのですけど。

 

緑耳長に関しても、あれがヤベェヤツと

言われる理由はわかりました。

 

まともな服を着ている

だけのことはありますね。

 

まぁ詠唱も威力も魔力の流れも

見ましたから、私の前では使わせませんが。

 

もしも妹弟子が命懸けで時間を稼ぐ

ようなら危ないかもしれませんけど。

そもそもアレは個人に向けて放つ

技ではないでしょうし。

 

と言うより、妹弟子が居なかったら

狙撃されて終わりですよね?

 

モンスターも石とか投げようとしてましたし。

 

魔法はともかくとして、私としてはこの

階層のモンスターに無明察相翫が

通用したのが知れたのが収穫ですね。

これで今後はここで安全に鍛える事が

出来ると判明しました。

 

後は、どうやら妹弟子はロキファミリアの

お客さんみたいな立ち位置のようです。

 

金髪小僧が己の未熟さを理解して、

妹弟子を助っ人に呼びましたか。

 

そうなると金髪小僧は、力はそれほど

無くても判断力に秀でた指揮官。

だが部下の統率は取れていない。

 

緑耳長は魔法特化。それしか出来ない

代わりにあの威力の魔法を使える。

 

樽は防御用ですかね?あとは力任せに

なにか・・・設営や採掘をするときの

要員ですか。

 

ついでに痴女姉妹は基礎を教わった程度。

それだけでも周りから二つは抜けてますね。

 

流石我が師

 

白髪は早さだけを磨いた感じですか、

それにしては中途半端ですから

何かしらの切り札はありそうですけど・・・

使い手がアレでは無意味でしょう。

 

金髪は何がしたいのでしょうかね?

魔法頼りの拙い剣技の癖に何故か

前線に出てましたが、もしかしたら

レベルアップしたばかりとかで体の調子を

確かめた、とかなんですかね?

 

もしくは気が逸ったのか調子に乗ったのか、

金髪小僧の指示を無視しての行動でしたが

特に何をするでもなく、弱いものイジメを

して終わってました。

 

もしかしたらアレも敵を倒さないと

強くなれないとか思っているのかも

しれませんね。

それとも妹弟子を意識してたのか。

 

まぁ妹弟子も命令違反を咎めるような

態度でしたから、評価はしないでしょう。

 

・・・しかしこうしてみると、妹弟子と

痴女以外の全員がステイタス的に

尖ってませんかね。

 

力だけとか魔力だけとか早さだけとか。

何か理由が有るのでしょうか?

 

赤髪や阿呆のように反復練習が嫌いで、

好きなステイタスだけを鍛えてるだけ、

と言う可能性もありますけど・・・

いえ、過小評価はいけませんね。

 

もう少し情報を集めたいところですけど

はてさてどうするか。

 

ん?モンスター?

奴らが言う話を聞く限りでは、五〇階層は

階層全体が安全地帯のはずでは?

 

いや、モンスターが少ないと言うだけで

居ないと言う訳では有りませんが、

この数は不自然ではありますね……って。

 

あぁ、赤髪が養育してるヤツですか。

 

普段この辺に来る冒険者とか居ませんから

普通に放し飼いにしてるんでしたね。

 

それで、先程の緑耳長の魔法を感知して

触手を伸ばしてきたと。

 

無意味に魔法なんか使うから自分の

位置を相手に教えることになるんですよ。

 

さてさて、地上の上位者は

初見の敵とどのように戦うのか。

 

連中は私の存在にも気付いてますよね?

その上でどんな判断をするのか……

冒険者の戦いとやらを見せて貰いましょう。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「ティオナ!わかってるわね?」

 

「うんっ!わかってる!」

 

「『初見の敵には近付かない!

距離を取って石か何かで反応を見る!

何も考えないで突っ込むのは司令官から

突撃の指示があった時だけ』でしょ?!」

 

あれだけ農家さんからカウンターくらったら

いくら私でも覚えるよ!

 

「・・・いやぁ、彼は本当に凄いな」

 

何を今さら。リリルカさんをあそこまで

鍛えた農家さんだよ?

言うこと聞かなかったら痛い目に合うし

美味しいお菓子も貰えないからね!

 

「数は多いけど早さはない。

しかも目の前の私たちより、後ろの

本隊に向かってます。

私たちを見ていた何者かの指示ですかね?」

 

「可能性は有るけど、断定するには

まだ情報が少ないかな?」

 

「あ~さらに倒すと破裂するみたい。

あの液体は周りの味方も溶かしてるから

近付くのはちょっと危険だよね」

 

ウルガには不壊属性が無いから使えないか。

 

「ティオネっ!投げナイフは温存だよ!」

 

「わかってるわよ!石で倒せるなら石で倒す!

団長、敵が集中してるところの真ん中を

殺れば効率が良さそうですけど試しますか?」

 

「あぁ、頼む。僕は奴らの反応を見て

判断させてもらうよ」

 

いやぁ本当に彼は凄いな。

 

軽く教えを受けただけの二人が

一番理知的って・・・。

元々テルスキュラで厳しい環境を経験して

るから、現実を見れる目はあったんだよね。

 

あとは時と場所と状況に合わせた

言動さえ教えていたら、彼女たちは

いつでもこうなれたってことか。

 

戦闘では熱くなりつつも、どこか冷静に

相手の弱点を探るのもアマゾネスの特徴だし。

 

いやはや、スキルとかアビリティじゃない。

純粋に教育者としての差だね。

 

それに比べてコッチは・・・

日常茶飯事となったアイズの命令違反といい、

それを庇う副団長といい、組織としてはダメダメだ。

 

・・・やっぱり才能に目が眩んで

甘やかしてたんだろうなぁ。

 

「団長!ヤツら味方が死んでも

動きを止めません。

テイマーが優秀なのか本能に忠実なのか

わかりませんが、とりあえず地面に

穴を空けてみませんか?」

 

「地面に穴?」

 

あぁ、突発的な事故に対する

対応能力の確認か。

急に動きを変えるのか、そのまま直進

するのか。

もしそのまま直進するようなら穴を空けて、

奴らを貯めたところに石を投げれば、連鎖的

に溶けて死ぬし、なんなら動けなくなった

ところに魔法をぶちこんでで一掃しても良い。

穴に落ちなくても、迂回することになる

から時間も稼げる。うん、無駄がない。

 

いやはや、彼は本当に凄いな!

 

「よし、その意見を採用するよ。ティオネ、頼む」

 

「はいっ!」

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

あぁ!団長から頼りにされてるのがわかる!

コレは初めての視線っ!さすがは先生ね!

 

最初はリリルカを認めろなんて言われて

思わず殴りかかったけど、言ってることは

まさしくその通りだったし、女の余裕を

持ったほうが男は惹かれるなんて

言われたら採用するしかないじゃない!

 

深呼吸して余裕を持って見たら、ウチの

ファミリアの無駄が多いこと多いこと。

ティオナも愕然としてたわ。

 

まぁ、みんな自分の目的があって冒険者

やってるんだし、ロキもあんな感じだから

仕方ないっちゃ仕方ないんだけどさ。

 

団長は無駄を嫌うはずだから、無駄を無くす

だけでも好印象とか言われたけど

ソレも大当たり!

 

くそっ!まさか恋愛についても一流とか

思いもしなかったわ!もっと早く

アドバイスを貰いに行けば良かった!

 

帰ったらアドバイスに従ってナァーザの

ところのお茶を買い溜めしなきゃ!

 

いえ、後悔は後よ。

 

とりあえず【団長から頼まれた】穴を

空けないとねっ!

 

すぅ~

 

はぁ~

 

魔力を丹田に溜めて・・・

 

すぅ~

 

はぁ~

 

強化したい場所にって、アレ?

奴らがコッチ向いた?

 

・・・よく考えたらあの芋虫って

目が無いわよね。

目が無い動物が相手を見つけるために

使うのは音か温度ってのが定番だけど、

今まで私たちを見向きもしなかったから、

てっきり私たちを識別してた上で後ろを

狙わせたテイマーの指示かと思ったけど、

コレはたぶん・・・

 

「団長っ!おそらくコイツらは魔力で

私たちを識別してますっ!」

 

こう言うことよねっ!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

なるほど、魔力か。

それなら僕たちを無視して

後ろのリヴェリア達に向かうのもわかる。

 

しかしリヴェリアめ、勝手に魔法を使わせようとしたな。

 

確かに僕が居ないときは彼女が指揮官なん

だけど、もしも相手が魔力を吸収するような

敵だったらどうする気だ?

 

ジャガーノートみたいに反射する魔物も

居るって知ってるだろうに。

 

その場合どうなる?自分達の魔法で全滅するぞ?

 

なんだかんだでエルフの誇りに頼るから、

いつまでたっても王族扱いされるんだ。

 

まずは先行した僕たちが持ち帰る

情報を精査してからだろうに。

 

……もしかしたら誰かに見られてることも忘れたのか?

 

結果として自衛能力が無い彼らが

狙われてるじゃないか。

 

・・・あぁ、もうグダグダだ。

帰ってお茶飲みたい。

 

まぁいいや。魔力で釣れるなら簡単だ。

大きな穴を空けてアイズで誘導。

その先にリヴェリアや

レフィーヤを配置すれば良い。

 

「ティオナ!後ろの連中にこの情報を

持っていってくれ!あとはリヴェリアに

まだ魔法が有効かどうかわからないから

魔法を使うなと伝えるように。

 

それとガレスに陣営の前に穴を掘るように

伝えてくれ。それで穴があいたら何匹か

入れてから小規模な魔法を当てて様子を

見るようにすればいいってね」

 

まずは魔法が通じるかどうかの

確認だから小規模でいい。

 

「はーい、あ、近くに伏兵がいる可能性も

あるから、詠唱の前にアイズが魔法を使って

おびき寄せる感じでいいかな?」

 

「そうだな、そうしてくれ」

 

それもそうだ。魔力に反応するなら

アイズが飛び回ってれば伏兵も釣れる。

 

いやぁ彼は本当にすごいな!!

 

「ティオネは僕と一緒に現状維持!

奴らを引っ掻き回すぞ!」

 

「はいっ!(先生アンタ最高よ!)」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「なるほど、魔力ですか」

 

通りで前衛の三人を無視してコッチ

来ると思いましたよ。

そうなると安全地帯なはずの50階層に

ヤツらが現れたのは、さっきの

王族さんの魔法が原因ですね。

 

まぁそれは流石に勇者さんの

判断ミスとは言えません。

判断をミスったのは今ここにいる

王族さんですからね

 

「そうか・・・確かに初見の敵に

大規模な魔法を使って反射されたら

全滅する可能性すらあるな」

 

ウカツ過ぎますよねぇ。

援護のつもりでしょうが、まずは

そういうの確認してからでしょうに。

 

指揮官が無能だと部隊はすぐに

全滅するから、中途半端な指揮官は

有害な存在でしかない。

もしリリがそんなヤツに当たったら

さっさと処分して帰ってこいって先生が

言ってましたが、こういうことですか。

 

「『ガレスたちみたいに力が強い

人たちは穴あけ!アイズはその周りを

魔力を纏って動いて伏兵を誘い出せ』

だってさ」

 

ま、不壊属性の武器と早さと魔力を兼ねてる

剣姫さんが一番適任ですね。

 

あぁリリはやる気ないですよ?

 

「俺はっ?!」

 

「ベートは特に指示がなかったから、

伏兵に備えて待機でしょ。

どこにいるかわからないんだから

どうしたって警戒が薄くなるところが

できるしね!」

 

「なるほど、待機は気に食わねぇが

近接戦闘は相性が悪りぃか・・・

今のうちに石や飛び道具になりそうな

モン探しとけってことだな」

 

ほほう、意外と冷静ですね。

石で倒せる程度の敵だって情報が

ありましたから、失念してたら

さりげなく教えるつもりでしたけど。

 

「・・・リリルカさんはどうするの?

不壊属性の武器持ってるよね」

 

「え?フィンは何も言ってなかったけど」

 

剣姫さん。それ、聞く必要ありますか?

 

「私は謎の敵に備えて待機ですよ」

 

「「「あぁ!」」」

 

そりゃそうでしょ?剣姫さんが

居なくなったら不壊属性持ってるの

リリしか居ないじゃないですか。

 

どんな敵が来るかわからないなら

ソレに備えないと。

そういうのは万遍なく鍛えられた

リリが一番適任ですからね

 

「なるほどな。何もなければソレでよし。

何かあってもリリルカさんの装備なら

対応できるということか」

 

装備だけじゃ何もできませんけどね。

まぁ後衛の人ですからしょうがない

んでしょうけど、この人って所々で

シツレイですよねぇ・・・

 

無意識に上から目線だから先生に

嫌われるんですよ。

 

「リヴェリア!リリルカさんは

装備だけの人じゃないからね!」

 

お、さすがは常識人のティオナさん!

わかってらっしゃる!

 

「あ、す、すまん!失礼した!」

 

その謝罪もねぇ。

いつまで王族気取りですか?

 

「いえ、分不相応な装備を

もらってるとは思ってますので」

 

コレは本当。先生は優しい人だからなぁ

 

「装備を使いこなすのもリリルカさんの

修行なんでしょ?それでしっかり

レベル5になってるんだから、分不相応

なんてことは無いと思うよ!」

 

あぁ、ティオナさんは本当に

良い人ですよね。

せめてこの人だけでも守らなきゃ

いけませんか。

 

「ありがとうございます。ただ、これ以上の

謝罪もフォローも良いですよ。今はみんなで

モンスターに当たらないと」

 

「そ、そうだな。ではアイズ、頼んだ」

 

「うん!」

 

……あれ? 

もしかしてコレは駄目なパターンじゃないですかね?

 

うん。なんかさっきの失態を取り戻そうと

無駄な動きをしそうな予感がします。

 

「アイズ!伏兵を誘い出すだけで

いいんだからね!突っ込んだりしちゃ

だめだよ!」

 

お、ティオナさんも気付きましたか。

 

「・・・え?」

 

あ~これ、違いがわかっていませんね。

突っ込んで戦闘してるときに

他の方向から隠れて敵が来たら

どうするんですか。

足止めされてる間に全滅ですよ?

 

隠れてる敵を誘い出して一つの方向に

纏めて、ガレスさんたちが作る穴に

誘うのが仕事なんですよ。

 

……あぁ、もう説明も面倒ですね。

説明してもわかんないだろうし、こんな人に

リリの命を預ける気はありません。

それに、下手にこっちに残ったほうが

危険なようですし、ね。

 

「・・・私がソッチ行きます。

アイズさんは本陣を守っててください」

 

「え?でも?!」

 

「私も魔法使えますからね。魔力を

纏って動くことくらいはできます」

 

シンダー・エラで部分的に換えれば

問題ないです。

スキルや魔法を使った状態ならともかく

単純な速度なら毎回のステイタスの

貯金がある分リリの方が上ですしね。

 

伊達に毎回カンストしてませんよ。

 

「・・・リリルカさん、ごめんね」

 

「ティオナさんが謝ることじゃないですよ」

 

問題は謎の相手ですが・・・

ま、そちらは本陣に残るガレスさんや

狼さんや剣姫さんに頑張ってもらいましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリルカ・アーデ!行きますっ!




先生に関わると常識フィルターが実装されます。

反射属性持ちにオート戦闘仕掛けたら
パトりますよ?
アナライズは戦闘の基本。

ジャガーノートの情報があったら
とにかくリヴェリアの魔法だ!
なんてことにはなりませんって。

リリルカの中でリヴェリアの評価が
王族さんにランクダウン(?)ってお話


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18話

前話の続き

王族さんたちにしてみたら
最初からフィンたちが居る
イージーモード。


オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


ほほう、初手で妹弟子が出ましたか。

まぁ初見の相手に最大戦力を

ぶつけるのは間違った判断では

ありません。

 

それに周りが使えないから

自分が出たという可能性も

ありますね。

 

金髪小僧はやはりそこそこの

判断力はありました。

 

あの程度では万の軍勢を率いることは

できませんが、そこまでの指揮能力は

ここでは必要無いのでしょう。

 

むしろ100人を完全に扱える

指揮官が求められるのですね。

 

そして特筆すべきは痴女ですか。

あの速さで穴を空けて虫の

行動を判別するという意見が

出せるのはなかなかのモノ。

 

しかも考えたというよりは

閃いたといった感じですかね。

 

痴女が骨組みを作り、金髪小僧が

それを補強すると。

 

コレが冒険者の戦いと言うなら

なかなか面白い。

 

本陣に残った連中も、穴あけと

飛び道具の確保に入りましたか。

 

まぁ伏兵を妹弟子が受け持つなら安心

して動けますからね。

 

では私も虫に使ってた無明察相翫を

解除してあげましょうかね。

妹弟子の邪魔になるでしょうし。

 

いざとなったら骨で作った鍼で

援護はしてあげますよ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「リリルカさん?!」

 

なぜアイズじゃなくリリルカさんが?

まさかアイズに何かあったのか?!

 

「団長、多分リリルカさんはアイズに

「伏兵を釣る」なんてできないと判断

したんじゃないでしょうか?」

 

「・・・ありえるな」

 

実際目の前に敵が出たら、釣るより

殲滅しようとして突っ込むだろうな。

 

魔力も敏捷もカンストさせてる

リリルカさんなら誘導も釣りも

できるし、武器も不壊属性の長物

だからヤツラ相手には相性がいい。

 

そもそもリリルカさんは棒で石を

飛ばして的に当てれるくらいの

技量もあるから、心配は居らない。

心配は居らないんだけど・・・

 

「お客さんどころじゃないよなぁ」

 

世話になりすぎ。

あの人が奥さんになってくれたら

凄く助かるんだろうけど、僕の

器量が足りないんじゃないかな。

 

・・・僕も弟子入りするか?

 

「こちらの残りはせいぜい

50体くらいですね。

伏兵が倍いたとしても注意さえ

すれば私たちで問題なく駆逐できます」

 

おっとそうだ。

今は目の前の穴に落ちてもがいてる

敵に専念しないと。

溶解液を飛ばしてくるかもしれない

から油断は禁物だよね。

 

「本陣はガレスとリリルカさんで問題

なさそうだ。

そうなると問題は、連中がどこから

来たかという事と謎の視線の主。

それと魔石の調査だな」

 

澱みというか何というか・・・

明らかに普通じゃない。

 

「そうですね。ですけど芋虫どもは

アノ魔石を優先して食らうようですから、

倒した後の回収も難しいのが現状です」

 

一度に相当数の敵を倒す必要があるか。

 

コレを持ってたら狙われるなら

敢えて持っておく手もあるけど、

今は魔法が効くかどうかだ。

それに親指がまだ疼いている。

おそらく親玉が居るな

 

「ティオネ、とりあえずここにいる虫は

殲滅する。ただ投げナイフを一本

使ってみてくれるか?」

 

「溶解液の威力の確認ですね?

わかりました」

 

「その通り。よろしく頼むよ」

 

「はいっ!」

 

いやはや話が早い。

指揮官としてラウルを鍛えようと

思ってたけど、その前にティオネを

副官として鍛えたら楽ができそうだ。

 

・・・今のところ戦闘中だけのこと

ではあるけど考えてみようかな。

 

 

(わかる!団長が私を信頼して

くれてるのがわかるっ!

 

だけど落ち着け、落ち着くのよ私っ!

今は戦闘中だからここで勢いに任せても

失望されるだけ!今は出来る女を維持して

後からご褒美をもらうのよ!

 

そう、すなわちギャップ萌え!

そうですよね先生?!

 

あぁ、あとでナァーザの店でイシュタル

ファミリアに降ろしてるお香を

買ってこなきゃ!

個人には売らないらしいけど

事情を話せば売ってくれるはずっ!)

 

「ではその後は本陣に合流しますか?

それとも奴らが来た方向の探索を?」

 

「悩みどころではあるな」

 

芋虫自体は動きを止めて遠距離で

片付ければ問題ない。

問題なのは親玉と謎の視線だ。

 

そっちを探るのも重要だけど、

お客さんのリリルカさんに働かせ

過ぎるのもなぁ。

 

「一度本陣に合流だな。まずは

低レベルの団員を避難させよう」

 

言っては悪いけどレベル4以下は

足手纏いになる。

親玉と戦うにしても彼らが居ない方が

戦いやすいからね。

問題は視線の主だけど、

避難する部隊はガレスに率いて

もらおうか。あの芋虫相手には近接戦闘が

できないから、ココでは盾役としても

戦えない。

49階で不測の事態が会った時の備えに

するほうが効率的だろう。

 

「わかりました。では殲滅しましょう」

(共同作業ね!二人の共同作業だわ!)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「舞うように戦う」と言う

言葉は聞いたことがある。

 

自分もそのように言われたこともある。

 

だが今、目の前で戦闘をしている

小人族の少女に比べたら、自分の舞が

どれほど無様なモノだったのかが

良くわかる。

 

アイズは痛感していた。

その技量は自分が及ぶところではない。

 

流麗にして華麗。それでいてあの一撃は

岩を砕く重さと激しさが宿っている。

 

更には本陣の近くまで潜んで

接近していた虫を釣り出して、

一箇所に集める視野の広さ

 

移動しながら戦い続ける継戦能力

 

敵を自分に惹きつけること忘れない

絶妙の魔力操作。

 

・・・最初に自分がフィンに

求められていた動きはアレだったのだ。

 

ソレを知った今、あの少女と同じ

ことが出来るか?と言われたら

・・・無理と答えるしかない。

 

ただ突っ込んで掻き乱せばいいなんて

考えてた。

いや、正確にはそれすらも考えて

居なかった。

 

魔力を纏って戦えば良いとだけ

考えていた自分に腹が立つ。

 

目の前で行われているのは

無駄のない動きに翻弄される虫と

それを翻弄する少女の舞踏。

 

 

 

・・・羨望。

 

今日この時、アイズは自覚することなく

一つの感情を手に入れた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・凄い」

 

アレがリリルカさんの本気?

棒はまるで生きてるみたいに縦横無尽に

動くし、その辺に落ちてる石を棒で

弾いて虫を倒してる。

さらに囲まれないようにきちんと

位置を確認しながら動いてるし、

隠れてる相手を誘い出すための魔力も、

常時見せるんじゃなくて

見せたり消したりしてる。

ああやって相手の動きを

完全に支配してるんだ。

 

「まさかこんなに近くに伏兵が

いたとは。あのまま詠唱を

していたら、こちらに少なくない被害が

出ていたな・・・」

 

あのリリルカさんの戦い方を

見てその感想?

あぁ魔法使いのリヴェリアには

わからないのか。

 

アレは普段からみんなが言ってる

ステイタスに依存しない強さだ。

 

フィンもガレスもアレが重要だって

わかってるけど、ちゃんとした師匠が

いるわけじゃないから身に付いてる

わけじゃない。

私もあんな戦い方ができたら、もっと

強くなれるのに。

 

「・・・ちっ」

 

ベートさんは気付いてる。

ステイタスは先にレベル5になった

私たちの方が上だけど、戦ったら

確実に負ける。

多分2対1でも敵わない。

 

「武器も溶かすみたいだし。

穴を空ける前に襲われてたら

ちょっと面倒だったよね」

 

ティオナは自然体。

そうか知ってるんだもんね。

 

・・・羨ましい

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さてさて、動きは遅いし単純。

目の前の魔力を目当てに動きますから

オンとオフを切り替えれば行動も操れる。

 

防御力は低いものの死ぬときに破裂して

溶解液を撒き散らす。

もしかしたら毒くらいはあるかもしれません。

ある意味では機能性の塊です。

つまりは・・・倒されることを前提とした

機能を植えつけられた量産型の虫ですね。

 

創ったのは人か神様かわかりませんが、

自然発生ではありません。

明らかに知性ある存在の手が入ってます。

 

先生あたりなら作れそうですけど、

あの人が創るならもっとエグい

モノを創るはずです。具体的には

空を飛んで来て、倒すと空気感染する

毒とか撒き散らすでしょうね。

 

そうなると一体ナニモノが何のために

コレを生み出したのか。

 

魔石のサンプルを一つ持っていきたい

ところですけど、そういうことを

するとギルドに目を付けられそう

なんですよねぇ。

 

そもそもソーマファミリアは生産系だし。

 

先生なんて眷属が一人しか居ないから

ファミリアは生産型のEランクですよ?

 

これ以上の面倒事はいりません。

リリは先生のサポーターで杜氏です!

さっさと終わらせちゃいましょう!

 

「ガレスさーん、そろそろいいですかー?」

 

「おう!連れてこい!!」

 

よし、これでリリのお仕事は終了です。

後は謎の視線の主がどうするかですが

今は完全に気配も消えてますし。

正直いるかどうかもわかりません。

 

ロキファミリアの皆さんにお任せですよ

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふむふむ、棒術と素手ですか。

上背がないから長物なのはわかります。

さらにアレは三節棍ですね。

上手く偽装されてますが、重心に微妙な

揺れがあります。

 

あの揺れはなんでしょうか?鎖の重心?

師が造ったモノならそんなのは

無いと思うんですが・・・

しなりを生むための遊び、もしくは

妹弟子の腕の問題ですかね?

 

足運びも体捌きも呼吸も十分。

全体的な視野も広い。

さらに実戦においても自分の技を

隠す余裕まである。

 

金髪や白髪では話になりませんね。

痴女姉妹なら・・・二人で行って

ようやく相手になるかどうかでしょう。

 

ですが、師の弟子と言うことは

その本質は狩人でしょうから

直接の戦闘能力より

その視野を褒めるべきなんでしょうか。

 

さてさて思い掛けずイイモノが

見れました。

あとは親玉的な大きな花ですが

気付いてますかね?

 

なんにせよ、今見た妹弟子の腕なら

問題なく捌けるから問題はありませんね。

 

あとは最大手のファミリアの上位者が

秘匿するような奥義とか魔法でしょうか。

 

もしもそんな切り札があるなら、

是非見せていただきたいモノです。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さすがはリリルカさん。助かりました」

 

いやほんと、ここまで完璧に仕事を

こなしてくれるとは。

 

「お気になさらず。不本意とは言え

お仕事で来てますからね」

 

それにまだ終わってないんでしょう?

 

「そう言ってもらえると助かります。

それで今後なんですが・・・」

 

「おいっ!コイツらが居なくなったなら

51階に行っても良いだろ?!」

 

「「・・・」」

 

何を言ってるんですかねぇ。この狼さん。

 

「フィン・・・私も行きたい」

 

剣姫さんまで。

アナタは我儘すぎませんかねぇ?

あぁだからお姫様なんですね。

 

「・・・ガレス」

 

「おう」

 

「レベル4以下の眷属を連れて先に49階層に行ってくれ」

 

「「フィン?!」」

 

フィン?!じゃありませんよ。

最初に帰るって言ってたでしょう?

 

「了解じゃ。しかしリリルカに

対する報酬はどうする?

正直働かせすぎじゃと思うんじゃが、

今までのドロップアイテムで足りるかの?」

 

いや、帰らせてもらうのが一番の報酬です。

 

「それもあるけど、まずは安全確保だ。

僕たちの団員が足手纏いになって怪我でも

させたら報酬どころじゃないだろ?」

 

「・・・まぁ、それもそうか」

 

「急いでくれ。何かあってからの

行動じゃ遅くなる可能性が高い」

 

「わかった。すぐに動く」

 

そうそう、余裕が有るうちに

帰るのが一番です。

 

 

 

「安全確保?まだ終わってないと

 言うことか?」

 

王族さん・・・貴女は本当に

後ろで偉そうにして魔法使ってる

だけなんですかねぇ?

 

「リヴェリア・・・いくらなんでも

君がそんな調子じゃ困る。

戦闘の前から、余裕があるうちに

撤退すると言ったはずだ」

 

「いや、確かにそうだが・・・」

 

「状況は何か変わったか?

謎の視線の正体はわかったか?

むしろ休憩すべきところで戦闘があって

疲労が溜まってるんだぞ?49階層で

負傷した眷属も回復しきれていない。

加えて今の時点でココは安全地帯じゃない。

話をしている時間すら惜しいんだ」

 

そうですよねぇ。ティオネさんと

ティオナさんが例の魔石の回収してますが、

正直ソレだって途中で止めて帰ったほうが

良いと思うんです

 

「なるほど、確かにそうだ。

安全地帯でないならここは

ただのダンジョン。

こうして話してるのも危険、か」

 

当たり前の話ですね。

 

「これ以上は潜らない、これは決定だ。

だが調査はするよ。万難を排する為に

レベル5以上の幹部がこの階層の

調査に当たることにする。

僕とティオネとティオナが組む。

リヴェリアはべートとアイズだ」

 

あ、面倒なのを纏めましたね?

・・・気持ちはわかります。

 

「えっと、リリルカさんは?」

 

剣姫さん。貴女リリに恨みでも

あるんですかねぇ?

さっき働かせすぎだってガレスさんが

言ってたの聞こえませんでした?

 

「さっきガレスも言っていたが、

流石にこれ以上は働かせすぎだよ。

ガレスと一緒に49階層に戻って貰う」

 

当然ですよねー。

 

「と言っても、もし49階層で何か

あったら、またお手伝いをしてもらう

ことになるかもしれません。

その際は恐縮ではあるんですけど……」

 

「無事に帰るまでが探索ですからね。

当然最低限のお手伝いはしますよ」

 

ここまで働かせて今更お客さん扱いは

無いでしょうし。

そもそもロキファミリアとギルドは

リリに何をさせる気だったのでしょうか?

 

先生を巻き込もうとしてる可能性は

ありますけど・・・

こんな形で巻き込んだら怒られますよ?

 

「重ね重ねお世話になります。

ベート、アイズ。君たちの我儘で

団員を殺す気はない。

調査に専念するように。いいね」

 

「・・・はい」

 

「ちっ!わーったよ!」

 

さて、リリはさっさと帰りましょう。

面倒事はゴメンですからねー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、下で大規模な戦闘音が・・・

やっぱり何かありましたね?

 




原作はフィンとか居なくて
事前情報もなかったけど
耐えてましたからね。

初めからフィンがいて指揮を執ってれば
魔法がなくてもさっさと終わります。
動きが遅いイモムシが二百か三百でしょ?
幹部が一人50個の石を投げたら釣り来ますよ。

花との戦闘?

原作通りですよ。
武器も潰れてないし
けが人も足手纏いもいないので
さっさと潰せた感じです。

レベル3とかが深層で
「アイズさんを置いて行けないっ!」
とか言ってもねぇってお話

謎の視線の主さんも
大きだけなら的ですよねーって感じです


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19話

そのころ地上では


オリ設定
オリ展開

時系列的にはすでに本編主人公が活躍中?

嫌いな人は読み飛ばし


「アレン。まさかお前がイシュタル

ファミリアにくるとはな」

 

「俺とて正直ここは苦手だ。

だがフレイヤ様の為ならどんな

ところだろうと構わん」

 

それはそうなんだろうが、

鳥肌立ってるぞ。

 

「そうか。そういえば聞くところによると

オッタルがフリュネの相手をしてくれると

聞いたんだが、本当か?」

 

「あぁ、神イシュタルから連絡が

あればいつでも立ち会うという

ことになってる」

 

「ほほぅ。元々がアドバイスの返礼だから

ケチるわけにはいかんってことか?」

 

「・・・そうだ。それもフレイヤ様から

神イシュタルへの返礼だからな。

それが軽ければフレイヤ様の名に傷が付く」

 

傷、ねぇ。今更って感じではあるが、

主神の対面を考えればわからんでもない。

 

「それで、茶葉についての交渉はお前で、

もし何かを学ぶことになったらお前が

学ぶという形になるのか?」

 

「オッタルが茶葉を吟味してる姿が想像できるか?」

 

「・・・できんな」

 

面白そうではあるが、絶対に

茶葉が無駄に使われるよな。

 

筋肉モリモリマッチョマンの変態が

燕尾服着て茶を淹れるのも面白そう

ではあるが・・・俺が教えるのか?

 

いや、アイツが燕尾服着たら

俺はスポーツマンだ!とか言って

服を破りそうだな。

なんだよあの上院議員・・・

 

「そういうわけだ。それに、なんでも

熱いだけでなく、温い茶もあると聞いた。

特殊なモノならフレイヤ様にもオススメ

できるし俺でも飲めるからな」

 

あぁ、そう言えば猫舌だったか。

それにせっかくフレイヤが

茶の研究するんだもんな。

こいつらの価値観からすれば、そりゃ

飲みたいだろうよ。

 

「確かに水出しで飲める冷たい茶もある。

温いのもそうだが、この茶葉に関しては

淹れ方が特殊だから俺が直接教えねばならん」

 

「ほう!」

 

あ、こいつ俺から教わってフレイヤの関心

独り占めしようとしてるな。

 

「とは言え、だ。俺がお前らのために

ただ働きするなんて思ってないだろう?

何か報酬はあるのか?」

 

「無論だ。フレイヤ様からは、お前が

望むものを用意するよう言われている」

 

「ふむ」

 

望むものって言われてもなぁ。

アイツ等の情報はないだろうし

欲しいのは自分で作れるし、

金も特にいらないし

あとは・・・なんだろうな。

 

「望む、モノねぇ。ちなみにお前にとって

フレイヤと二人っきりでお茶を研究して、

その成果を飲ませ合うことに匹敵する

報酬ってなんだ?」

 

「ふ、フレイヤ様と二人っきり?!飲ませ合う?!」

 

ほほほ。考えとる考えとる。

いやはや、普段クソ真面目な奴ほど

こういうのに弱いよな。

 

「そんな至高の時間に匹敵となると

・・・あるのか?いやしかし報酬が

なければ、その時間がっ!」

 

悩め悩め。悶々するがいい。

……しかしコイツって普通に真面目なんだな。

ヘグニとかなら多分『殺してでもうばいとる!』

とか言ってくるぞ?

 

まぁ返り討ちだし、俺を殺したら

知識は手に入らんのだが。

 

「あの~先生?」

 

「どうした春姫?」

 

なんか心配そうにしてるが、

アレンは自分から関わらない限りは

女に危害を加えたりしないぞ?

 

「・・・良いんですか?」

 

ん? あぁ、茶の淹れ方についてか。

調合比率が違えば味も違うからな

イシュタルにしてみたら、フレイヤが

自分の飲んでる味に近いけど

絶対に届かない味の茶を満足して

飲んでると思えば大喜びだろ?

 

「問題ないな。イシュタルには俺から話しておくさ」

 

「そうですか!先生がそう言うなら大丈夫ですね!」

 

自分のアイデンティティにも関わる

ことだからな。そりゃ心配するか。

 

「む?あぁ、なるほど、たしかに神イシュタル

への配慮も必要だったか。正直失念していた。

感謝するぞ」

 

こいつが女に感謝するとは珍しい。

まぁ自分にちょっかいかけてこないし、

恩を仇で返したらフレイヤの名に

傷がつくもんなぁ。

・・・フレイヤも使えるかもな。

 

「報酬についてはお前個人に貸し一つ。

それと絶対に茶葉を無駄にしないことを

条件に淹れ方と茶葉を提供しようじゃないか」

 

「・・・俺としては助かるが、

お前はソレでいいのか?」

 

「現状、特に欲しいモノも無いし、

茶の普及は俺としても望むところだ。

あぁ、俺から茶の授業を受ける場合は

俺を先生、もしくは師匠と呼ぶように」

 

こういうのは大事。古事記にもそう書いている。

 

「貴重な教えを受けるんだ、ソレで構わん!」

 

うむ、いい覚悟だ。

 

「方針が決まったところでなんだが、一つ大きな問題がある」

 

「・・・問題とは?」

 

「俺がこれから教える特殊な茶が、

フレイヤの舌に合うかどうかわからん」

 

好みの問題ってあるからな。

この辺は本当にわからんのだよ。

 

「なるほど・・・特殊な茶だからな。

その可能性もあるのか」

 

「そういう事だ。

だから今日のところは冷たくても

美味いのを何種類か

俺が淹れて土産に持たせよう。

味見にもなるし、お前らにとっての

目標にもなるだろう?」

 

ブレンドしてない普通の茶だが、

だからこそ奥深いと知れ。

 

「うむ、重ね重ね感謝する」

 

「あとは・・・そうだな

冷たい茶は基本的に菓子や料理に

合わせるモノだと思ってくれ。

 

冷たいのでも香りを楽しむことも

できなくはないが、それはかなりの

上級者向けだ。最初からハードルを

上げることもないだろう」

 

普及できんからな。

 

「なるほど、こうして話を聞くだけでも

奥深いモノだというのはわかった。

まずはフレイヤ様に確認してみてもらって

から、再度話をさせてもらいたい」

 

「それでかまわん。あぁ毒見はいるか?」

 

「いらんよ。頼まれなくても

しようとする奴らばかりだからな」

 

「それもそうか。あとは付け合せの料理に

ついてだが・・・その辺はそっちで

お抱えの料理人にさせるか?」

 

「だな。それもこちらで研究しよう」

 

よしよし、コレでさらに茶の普及ができる。

まぁそこらの三流神共に売る気は無いがな。

野菜だけでなく、高級品嗜好品を作れる

となればアイツ等の立場も良くなるし、

今回の貸しを使えば自然な形でフレイヤにも

意見を通せる。

 

フレイヤも、見た目より中身(魂)って

ヤツだからな。

勇者な中身してたら外見なんて

気にせんだろ?

 

さてさて、あとはどこのファミリアに

売り込みをかけるかな?

 

「あの、先生?」

 

「あぁ話は終わったよ。

土産に緑茶に合う菓子を用意して

もらえるか?」

 

「はいっ!」

 

「・・・リョクチャ?」

 

「文字通り緑色の茶だ。色が色だから

最初は警戒するかもしれんが、極東の

貴族が飲む珍しい茶だぞ」

 

「ほほう、極東の。そんな珍しい

モノを用立ててくれると?」

 

「フレイヤに飲ませるなら、あえて

ひと癖ある茶の方が面白いだろう」

 

「たしかに。在り来りなモノより

珍しいモノを好む方だからな」

 

くくく、緑茶の深みに溺れるがいい

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『・・・なるほど、それでコレが

その極東の貴族が飲むリョクチャね?』

 

「はっ!冷たくても美味い淹れ方を

したので、まずは味わってみて

口に合うなら淹れ方を教えると

言われました!」

 

ふむ、確かに色合いはアレだけど

透き通った感じはどこか

上品さを醸し出してるわね。

 

「それと・・・この茶にはこの菓子が合うそうです」

 

『・・・透明で丸いわね?』

 

それでいてプルプルしてる。

不思議な感覚ね。

コレはどうやって食べるが

正解なのかしら?

ケーキと違ってフォークで切るような

モノでもないわよね。

 

「こちらの木で出来た黒文字?

というナイフのようなモノで

切って食べます。

中の黒いのは餡と言うそうで、

砂糖とは違った甘みがありますね」

 

『へぇ、極東には変わったモノがあるのねぇ』

 

まぁアレンが毒見済みだし、あとは

私の口に合うかどうかよね。

 

『では頂きましょう・・・』

 

「・・・」

 

ふむ、プルプルもほのかに甘いのね。

最初はプルプルしてスーっと

溶ける感じが何とも。

あぁこの甘味がアクセントになるのか。

それで少し口の中に残る感じを

このお茶で流すのね。

 

 

『「・・・」』

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・アレン』

 

「はっ!」

 

『このお菓子の作り方とお茶の淹れ方を

教わってきなさい』

 

「はっ!!」

 

 

・・・コレは正しく味の革命だわ。

全体的に抑えられたほのかな

甘さが儚さを作る。

 

くっ!甘いとか辛いとかそんな

単純なモノじゃない。

 

まさかこんな甘味があるなんて!

確かにコレにはお酒や水じゃダメ!

香りが強いお茶もダメ!

 

熱いリョクチャならどうか

わからないけど、このお菓子は

暑い日にこそ美味しいモノ!

ならば冷たいリョクチャこそ至上!!

 

さらに他にも何種類かのお茶と

お菓子があるのよね。

まさかお菓子まで網羅しているとは・・・

 

『恐るべし無双農家』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『なるほどねぇ、ソレでフレイヤの

とこのアレンには三番茶と水出し。

水ようかんをくれてやったわけかい』

 

「そんな感じだな。流石に最初から

最上のモノをやるわけにもいかん。

しばらくはアレが至上と勘違いして

切磋琢磨してくれるだろうさ」

 

『くっくっくっ!三番茶には三番茶の

美味さがあるが、旬の一番茶には

絶対に勝てんからな!』

 

いや、味覚は好き嫌いの問題であって

勝ち負けではないんだが・・・

コイツの中ではそうなんだろうな。

それに、実際深いのは一番茶だ。

 

「春姫も随分慣れてきたしな」

 

「は、春姫は先生だけですよ?!

他の男の人なんて知りませんよ?!」

 

「いや、茶の話なんだが・・・」

 

「あうっ!」

 

まったくこのエロ狐は・・・

今の話の流れなら普通わかるだろ?

 

『・・・実際茶にも慣れてきたし、

アンタ以外の客も取ってないよ。

私は商売の契約は守る。だから安心しな』

 

「そうか・・・何と言うのが正解か

わからんが、とりあえず感謝する」

 

ほんと、なんて言えばいいのかね?

 

「か、感謝だなんて!春姫は先生に

会えて幸せです!!」

 

娼館に売られて幸せになられてもなぁ。

 

『・・・本人が幸せならそれでいいさ。

とりあえず今日の指名は私だ。

茶を入れ終わったら部屋に戻りな』

 

「・・・はい」

 

何と言うか、男を誘うのが上手いねぇ。

アレで天然だから凄い。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『それで、久しぶりの指名だが

アレだけじゃないんだろう?』

 

こいつはアレはアレでアレだが、

ソレだけで私を指名するような

奴じゃないからねぇ。

「気軽に指名して私の敷居が低く

なるのはダメだ」なんて変な遠慮は

居らないんだけどさ。

 

「まぁな。今回はカーリーについて知りたくてな」

 

『ほう』

 

カーリーねぇ。女としてじゃなく

闘争がお望みってわけかい。

 

「噂程度の知識はあるんだが、接点が

ないから連絡のつけようも無くてな。

下手に行って眷属をぶちのめせば

交配相手にされちまうって話だが

それは本当か?」

 

あぁ、ありえる。コイツなら

絶対に種馬にされるね。

全員殺して帰って来そうだけど。

 

『それは事実だね。奴が望むのは闘争。

その中で強い母体を作り上げて、それに

強い雄を掛け合わせてより強い子供を

作ろうとするのが趣味なのさ』

 

「サラブレッドみたいなもんか。

嫌な趣味もあったもんだ」

 

『女好きには堪らない国だと思うけど?』

 

コイツくらい強くなきゃ

ただの地獄だけどさ。

 

「さすがに仕事で女を抱く気はない。

それで、お前の口利きで普通に会話を

することは可能か?」

 

『出来るといえば出来るけど、

どっちにしろ『力を示せ』って

言われるのは確実だよ』

 

それがアイツにとっての普通だからね

 

「その後の面倒事さえなければ

それで良いさ。

ちなみに眷属を殺されたらどう出ると思う?」

 

『さて……やはり殺し方によるだろね。

真正面から打ち破ったってんなら

笑って褒めるだろうし、暗殺みたいな

殺し方したら地の果てまで追ってくる

って感じじゃないか?

闘争を司る神なら大体そんな感じだよ』

 

単純といえば単純。

力こそ正義な奴らだからね。

 

「なるほどな。ある意味では

わかりやすいか。繋ぎを頼めるか?」

 

ふむ、コイツの頼みなら

問題ないんだが・・・

 

『アタシを満足させたら、ね』

 

久しぶりだからね。

これくらいの役得はあっても良いだろう?

 

「ここは娼館だと思ったんだがな」

 

『ここじゃ私がルールなのさ』

 

 

 

 

 

 

さぁ、男女の勝負を楽しもうじゃないか

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

いやはや、あの巨大花は大きいだけでしたね。

 

もう少し効率的な攻撃は

出来なかったんでしょうか?

爆発する花粉が風で飛ばされるって。

 

それにあんなに的が大きければ

弓や投槍だけで潰せそうですが、

なぜ彼らはそうしなかったのでしょう?

 

あの程度の風や塵で見失うような

モノでも無いと思うのですが・・・

 

単純な力不足か、武具を惜しんだか。

 

・・・それとも私を警戒したか。

 

とりあえず連中はしばらくはここに

来ないでしょうから、ここを拠点にして

レベルアップするようにしましょう。

 

レベル6の上はどれほど強いのか。

と言うか妹弟子がアレなら、師は

当然アレより上ですよね?

 

・・・レベル7相当になっておかないと

折檻される可能性もありますか?

とは言え一人で鍛えるのもそろそろ

限界が近いような気もしますし。

 

うーむ。まぁとりあえずは

レベルを6相当にしてからですね。

 

この辺だと、カドモス?とか言うのが

階層主に匹敵するそうですし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・と言うか、それって51階層の

階層主じゃダメなんですかね?

 




和食チートはありませんよ。
普通に日本の神様居ますしね。

ただ、使われてる食材が良いので
味も良いって感じです。

品種改良は大事。
農家の皆さんはそれに命と
生活をかけてるんだよ!ってお話。


なぞのおりきゃら、世界の禁忌に触れる?!


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20話

彼はまだこないっ!

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


うーん。この人達って、ずっと気を張ってて

疲れないんですかね?

 

50階層から撤退して来ること3日。

敵は最速で殲滅してようやく18階層に

着いてリリが最初に思った事がコレです。

 

いや、確かに謎の視線については

わかりませんでしたが、実際に一番

ヤバイ時に手を出してこなかった

時点で手を出す気が無いことはわかると

思うんですが・・・まぁお客さんの

リリが居たから気を抜けないって

言うのもあったかもしれませんけど、

アレは気負いすぎだと思うんですよね。

 

剣姫さんと狼さんがなんかリリを

意識してましたけど、アナタ方では

返り討ちですよ?

 

勇者さんが気を使いすぎで倒れそう

でしたし、とりあえず今夜くらいは

気を使わなくても良いように

リリはちゃんとした宿を取りましたが、

ちゃんと休んでくれますかね?

 

明日合流するまでには皆さん少しは

回復してて欲しいモノです。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「いやーリリルカさんには気を使わせ

ちゃったよね?」

 

「そうよねぇ。わざわざ高いお金を

払って宿を取るくらいだもの」

 

「だよねー」

 

まったく。アイズとベートが無駄に

リリルカさんを意識するから、フィンも

無礼なことをしないようにって

神経を尖らせるし、三人がそんな

感じだから他のみんなもピリピリしてさ、

もう疲れたよー。

 

アレじゃあリリルカさんだって

気疲れするよね。

 

「けど、実際さ。アイズがリリルカさんを

気にしたところで意味ないよね?」

 

「そうね。リリルカにはリリルカの

戦いかたがある。アイズが技術的に

未熟なのは確かだけど、リリルカの

真似は出来ないわ」

 

武器が違うし、スキルも違う。

種族だって違うから参考にしようと

すれば、逆に悪くなるって話だよね。

 

「んー。農家さんはなんでアイズに

剣術を教えてあげないのかな?」

 

私たちには色々教えてくれるのに。

 

「先生の考えはわからないけど、

あの人にはあの人の明確なルールが

あるわ。おそらくそのルールに抵触

したんじゃないかしら?」

 

「あぁ、独特のこだわりがある人だからね」

 

悪気があろうと無かろうと、

知らないうちに相手を傷つけてる

時だって有るからねー。

 

いや、初対面の時に自分を探ったから

とか言われたらどうしようも無いけどさ。

 

「とりあえず私たちだって疲れてるんだから、

今日はさっさと寝ましょ?

明日には地上に戻って、一日休んでから

今回のドロップアイテムとかの換金よ。

アイズには打ち上げの時にでもやんわり

と教えて上げれば良いじゃない」

 

「それもそうだね。拠点に帰るまでが

探索って農家さんも言ってたし」

 

あの人のお陰でティオネもフィンの

ところに夜這いとか行かなくなったし。

コレでフィンもゆっくり休めるから

万々歳だよね!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「ようやく18階、か」

 

帰りにここまで気を使ったのは

随分久しぶりな気がするよ。

今までならラウルの練習を兼ねて

彼らにやらせてたけど、流石に

今回みたいなイレギュラーに対しては

僕が指揮を取らなきゃ不味いからね。

 

「いつもより疲弊しとるの。

気持ちはわからんでもないが、な」

 

「ガレスもお疲れさま」

 

正直あの視線の主の意図がわからないから

ずっと気を抜けなかったし、アイズと

ベートがリリルカさんにちょっかい

出さないかとか警戒してたけど・・・

ガレスはガレスで低レベルの団員を

抱えて先頭を進んで罠や敵襲を

警戒していただろうからかなり疲れたはず。

 

「いや、儂はそれほどでも無かったの」

 

「へぇ?随分余裕じゃないか」

 

何も無かったのは事実だけど、

ずっと気を張り詰めてたらすぐに

バテると思うけど?

 

「リリルカが警戒しとったからの」

 

「休ませてあげなよ?!」

 

いや、何してんの?働かせすぎだって

わかってたよね?!

 

「リリルカからの申し出じゃよ。

おそらく儂らを信用しとらんのじゃろうな」

 

「・・・あぁ、なるほど」

 

アイズとベートがあんな調子だし

組織的にもグダグダなところを

見せ続けたからなぁ。

そりゃ自分で警戒したほうが気も

楽だろうさ。

 

「仕事は丁寧で無駄がない。

罠やモンスターの発見も早いし

その対処も完璧じゃ。

儂らは後ろや意図してないところからの

強襲に備えて欲しいと言われたら断れん」

 

「・・・そうだね」

 

先頭集団で、謎の視線の主に即座に対処

出来るのはガレスとリリルカさんだけ

だったから役割分担としてはそうなるか。

 

僕たちは僕たちで後ろから来る敵を

警戒する必要があったし、リヴェリアは

真ん中で全体の纏め役だ。

 

それにリヴェリアはアイズが50階層の

デカブツを倒したことで、その前の

ことをうやむやにしようとしてるけど

それとコレとは話が違う。

 

これからも深層に潜るには、団員の

教育と組織の引き締めが必要だ。

 

とは言え僕にはそのノウハウがない。

今から急に厳しくしても、ただの

自己満足で終わる可能性が高い。

 

ん~とりあえず教育に関する知識を

つける必要があるね。

 

僕の目的を達成するには後進も

鍛えなきゃいけないんだし。

 

あとは・・・リヴェリアとアイズを

抜いてダンジョン探索をすることも考える

必要があるな。

みんなリヴェリアの魔法に頼りすぎだし、

アイツ自身にも

「魔法があればなんとかなる」って

油断と慢心があるのはわかった。

アイズにだって罰を与えないと

示しがつかない。

ダンジョン出入り禁止はアイズに

とっての罰になるのは団員全員が

知ってるしね。

 

「しかし、今回の遠征で痛感したが、

やはり儂らは教育者には向かんの」

 

「……そうだね」

 

僕達が長年鍛えてきたアイズやベートより、

彼が短時間鍛えただけのティオネとティオナ

の方が冒険者として優れてるのは誰だって

わかることだ。

 

技術や力がどうこうじゃない。

冒険者としての在り方が違う。

 

元々名声目当ての僕と、王族としての

責任を放り投げたリヴェリア。

豪快だが根が単純なガレス。

誰も彼も教育者には向かないだろう。

 

基本的に探索系のファミリアは力を重視

するから、どんなに頭が良くて素晴らしい

理論をもつ人の言うことでも、本人に

力が無ければ理屈倒れで終わってしまう。

 

他人に何かを言う前に自分を鍛えろって

話だね。

実際伸び悩んでいたアイズにはそんな

感じで近寄ってきた連中も居たし。

 

彼のように自分をしっかり鍛えた上で

他人に教えを授けることが出来る人間

なんて、居ないんじゃないかな?

 

それを考えたら、初対面で、

いやその前に無礼を働いて

印象を悪くしたのは痛かった。

 

くそっ!ロキとリヴェリアのアホめっ!

いくらアイズが心配だからって隠れて

素行調査って何様だよ!

 

あっちから来たならまだしも、こっちが

弟子になりたいなら通すべき筋と礼儀が

有るだろう?

そんなこともわからないから王族扱い

なんだよっ!

 

かといって今更謝罪するのも違うし。

 

同じ小人族で槍と棒の違いはあるけど、

同じ長物を使うリリルカさんをあそこまで

育て上げたんだ。

もちろんリリルカさんの素質も

有るだろうけど、あの戦いかたは

彼が教えたからこそのモノ。

 

武の世界では無駄の無い動きには美が宿ると

言われるけど、アレがそうだ。

・・・僕も鍛えて欲しいなぁ。

 

「何を考えとるのかはわかるが、お主は

ロキファミリアの団長じゃ。

他所のファミリアの人間に教えを

受けるのは外聞が悪すぎるぞ」

 

「くっ!」

 

そうなんだよ。彼がどうこうじゃなくて

僕の立場が邪魔をするっ!

このままだとラウルを団長にして

僕が自由になるまで何年かかる?

そのときの僕に力はあるのか?

 

・・・リリルカさんが居れば小人族の

誇りと自立については心配は要らない

だろう。

あとは僕自身の幸せを求めて動いても

良いはずだ!」

 

「心の声が漏れとるが、まぁお前が

自分の幸せを求めるのは間違って

おらんよ。

だが、リリルカへの求婚は暫くやめい」

 

「なんだって?!」

 

それをやめるなんてとんでもない

 

「あくまで暫く、じゃ。今回は流石に

迷惑をかけすぎじゃよ」

 

くっ、確かに!

 

「まったく、報酬をどうするか頭が痛いわい」

 

・・・そう言えば報酬の件もあったね。

ドロップアイテムや採取品で

とりあえずの収支は黒字だけど、

コレから深層に潜るためには

どうしても不壊属性の武器が必要になる。

 

幹部の分だけ作るにしても相当な予算だ。

出来るだけ支出は押さえたいけど

リリルカさんへの報酬はきちんと

払わないと駄目だ。

僕だけじゃなくロキファミリア全体の

恥になるからね。

 

「ちなみにリリルカさんは報酬について

何か言ってたかい?君のことだから

さりげなく聞いてるんだろ?」

 

豪快だけど意外とこういうところは

抜け目無いからね。

 

「・・・掛かった経費だけで良いそうじゃ」

 

「無欲なのか、それとも僕たちと関わりたく

ないのか・・・」

 

まぁ、両方だろうなぁ。

 

「おそらくは両方じゃろうな。

そもそもソーマファミリアは生産系。

儂らに素材を依頼することはあっても

同行する必要なぞ無いんじゃ」

 

「まったくもってその通り。

しかも今回はファミリア関係なしに

彼女個人での参加だからね」

 

彼女にしてみたらそっとしておいて

くれって感じだろう。

 

「・・・何でリリルカを同行させた?

命懸けのダンジョン探索で

お主が公私混同するとは思えんが」

 

「・・・理由の一つは、ギルドからの依頼だよ」

 

ガレスには知っておいてもらおうか。

 

「ギルドから?リリルカを名指しでか?」

 

「そうだ。名目上は、こんなに早くレベル五に

なったことに対する不正の調査だ」

 

「ふむ。実際リリルカを知らなければ

そう言った声が出るのもわからんではない」

 

彼とリリルカさんが不正なんかする必要が

ないが、そういう声があったのも事実だ。

 

「これに関しては、彼女の技術と冒険者と

しての立ち振舞いを見れば水増しや

不正は無いことは一目でわかる」

 

「そうじゃな。アレはきちんとした理論の

元に効率的に無駄なく鍛えられた一振りの

刀剣よ。不正や水増しでなんとか出来る

モノではないわい」

 

まさしくその通りだ。

無駄がないからレベルアップも早いし

立ち振舞いにも隙がない。

かと言って余裕や遊びが無いわけでも無い。

リリルカさんはアイズと違ってしっかり

人生を楽しんでいる。

 

「それで、他には?」

 

「ギルドが何かを企んでいて、彼女と

ソーマファミリアを巻き込もうとしている

みたいだね」

 

あわよくば彼も。けどそれは彼の怒りを

買うことになると思うんだけど。

連中、その辺には気付いてるかな?

 

「企み・・・のぉ」

 

「内容はわからないけど、その辺は神が絡んで

いるからね。ロキに任せるしかないよ」

 

アレはそういうのには強いからさ。

 

「ギルド関係なら仕方あるまいよ。

あとはお主にとっても悪い話では

無かったのとアイズやベートの

意識改革が目的か?」

 

「そうだね。僕個人もリリルカさんと接点が

欲しかったのも事実だ。そしてあの技を

見れたのは正直予想以上の収穫だった」

 

流水。とでも言うのか。

相手の流れを自分の流れに巻き込んで

コントロールする技術。

あれだけの数を相手に余裕をもって

行えるのであれば、彼女の技量は

僕を遥かに凌いでいる。

 

「ティオネとティオナが言うには、

習っとる呼吸をある程度修めれば

出来るようになる、と言われたとか?」

 

「らしいね」

 

僕も出来なくはないが、あくまで一対一や

技術的に差がある相手にだけだ。

戦場で周囲の全てを把握して、場を

コントロールするなんてことは不可能。

 

「あれじゃ、マトモな呼吸法を知らない

アイズやベートが、ティオネ達に勝てない

のも当たり前だ。

技術の根幹からして違うんだからね」

 

アレを知れば僕は更に上に行ける!

強くなる切っ掛けが目の前に有るのに

掴めないのがもどかしいっ!

 

ソレもコレも

 

「リヴェリアのせいだ」

 

「・・・まぁ、間違ってはおらんな」

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「アレン、重要なのは呼吸だ。

ただ茶葉を入れるのではない。

適温を維持しつつ、お湯の流れを見切り、

茶葉を傷めないようにすることで

味に深みと丸みが出るんだ」

 

「くっ!深いっ!」

 

「フレイヤクラスの神の味覚は

この丸みにも気付く。

他の奴等がお前の真似をして淹れても、

フレイヤならば味の違いを理解するだろう」

 

「た、確かにあの方の味覚ならそうだっ!」

 

いやほんと。明確に差が出るからな、

つーかアイツら基本的にガサツだから

適当な味しか出せんだろ?

ワインとかも正しい淹れ方が

あるんじゃなかったか?

 

「お前は猫舌が幸いして舌が繊細だ。

この味の違いを理解してフレイヤに

着いていけるのは眷族の中ではお前だけ

だろうな」

 

熱いものとか辛いものは味雷を刺激して

鍛えてくれるが、やり過ぎるとマヒに

近い感じになるからな。

 

「?!・・・師匠、俺はやるぞ!

何がなんでもこの茶の淹れ方を

修めて見せるっ!」

 

「うん、良い覚悟だ」

 

根がくそ真面目だし、フレイヤが関わると

面白いくらい集中的とやる気が増す。

 

ついでにちゃんと呼吸も教えておこう。

猫人は初めてだからこの機会に

きちんと見ないと・・・男だけど。

 

なにせアイツが男になる可能性だって

あるからなぁ。

そもそも俺が知るアイツって男だし?

 

なんにせよ俺にも得がある以上手は抜かん。

しっかり茶と呼吸の基礎を修めてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いろんな意味でオッタルを焦らせてくれよ?

 

 

 




王族さんはなぁ。

勇者と重傑の、二人だからこそ
口調です。


アレン強化フラグ?

妹さん、可愛いですよねってお話。


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21話

とうとう原作主人公が?!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし


『レベルを上げる?』

 

珍しい。まだ魔力はSSになって無いのに

 

「いつまで待っててもアレだし、

そもそもレベルアップの報告って

自己申告だろ?アレンと話をしてて

別に言わなきゃ気付かれんってことに

気が付いたんだよ」

 

『まぁ確かにそうよね』

 

元々オラリオでも屈指の使い手で、技術は

オッタルにも勝るって言われてるらしいから、

他のレベル6に勝っても不自然じゃないし。

 

「技術的に鍛えることは出来るが、

いざと言うときにレベルが足りなくて

手が届かないんじゃ困るからな」

 

『なるほどなー』

 

今度カーリーと会談するって話だし、

力は必要よね。

 

「魔力に関しては勿体ないところ

ではあるが、ソレ以上に他のが勿体ない。

そんなわけだから頼むよ」

 

『はいはーい』

 

元々こいつが望まなかったからレベルアップ

しなかったんだし、断る理由なんか無いわ。

 

発展アビリティは・・・

 

またなんか見たことないのが出てきたわね。

とりあえず本人に選ばせましょう!

 

 

―――――――――――――――――――――

 

「リリルカさんっ!おはよー!」

 

「おはようございますティオナさん。

ティオネさんも、おはようございます」

 

挨拶は大事です。先生も言ってます。

 

「えぇ、おはよう」

 

お二人はしっかり休んだみたいですね。

 

「おはようございます。リリルカさん」

 

「おはようリリルカ、早速じゃが

今日は後衛に回ってくれぃ」

 

勇者さんと重傑さんも、まぁまぁ

回復してます。これなら安心ですね

 

「おはようございます。

それで私は後衛に回るんですか?」

 

「そうですね。今までご負担をおかけ

しましたけど、流石にここから上なら

レベル4のラウル達に任せても

大丈夫でしょうし」

 

そりゃ、中層から上層ですからね。

レベル4あったらお釣りが来ます。

 

「わかりました。それでは大人しく

お客さんになりますよ」

 

そういうことでしょうからね。

 

「はは、宜しくお願いします」

 

「フィン!俺は前で良いよな?!」

 

「・・・私も前が良い」

 

「「・・・」」

 

えっと。うん。きっとそういうファミリアなんですよね?

 

意見が言えないよりは良いかと思いますよ。

せめて勇者さんの意見を聞いてからに

した方が、彼の胃には優しいんでしょうが。

 

「ラウル達に人を率いらせる経験だって

言ったの聞こえてたかな?」

 

そうですよねぇ。もしそれを聞いた上での

意見なら、二人はラウルさんの指示に従うって

ことなんでしょうけど・・・勇者さんの

指示に従わない人達がラウルさんの

指示に従いますかね?

 

なんか青ざめて首をフルフルしてるレベル4くらいの人が居ますけど。

 

「私が監督する。どうもコイツらは

リリルカさんに触発されたらしくてな」

 

王族さん。貴女が監督したらラウルさんの

練習にならないでしょうが

重傑さんは天を仰いでますし、

勇者さんも頭を抱えてますよ。

 

それにリリに触発されたって、

それで弱いものイジメをするんですか?

リリのせいにして欲しく無いんですけど。

 

「リヴェリア、お主が監督したらラウルの

練習にならんじゃろ。それともお主も

ラウルの指示に従うのか?」

 

「えぇ?!」

 

なんか見たこともないくらいの早さで

頭を振ってるレベル4の人が居ますけど。

 

普通はあの若さでレベル4なら凄いと

思うんですけどね。

それでいて謙虚ですから、先生に

習えば直ぐに剣姫さんや狼さんは

超えると思いますよ?

 

「……そうだね。ラウルだって自分より

レベルが上の者に指示を出すときだって

有るだろうし、アイズやベートや

リヴェリアなら良い経験になるかな?」

 

あ、考えるの止めましたね。

 

「はぁ?何で俺がラウルなんかの・・・」

 

「ナニカイッタカ?」

 

「・・・いや、なんでもねぇ」

 

うん、黙って正解ですよ。

それ以上何か言ってたら勇者さんの槍が

狼さんの頭を貫いてましたね。

 

「ラウルの指示に従うことが条件だ。

それが出来ないなら・・・カチ割る」

 

度重なる失態ですからねぇ。

躾と教育はキチンとしなくては

いけませんよ。

 

「ラウル!」

 

「はいっ!」

 

おぉ、焦ってる焦ってる。

今の勇者さんには逆らっちゃ駄目だって

理解してますね。

と言うかそもそもの話、普段ならともかく

ダンジョンに居る間は指揮官である

勇者さんに逆らっちゃ駄目なんですけど。

 

 

「聞いた通りだ。レベルによる戦闘力と、

個人の判断力や指揮能力は別物。

前衛の判断は君に任せる。

冷静に状況を見て指示を出せ」

 

「え、い、いやっ!」

 

「ヤレ。いいな?」

 

「はいっ!」

 

うんうん。別にラウルさんの意見なんて

聞いてませんからね。

ここで反論されてこれ以上の恥を

晒したく無いのでしょう。

 

「僕とガレス、ティオナとティオネ。

それとリリルカさんは後衛だ、何か

不測の事態があったら急行するから

直ぐに連絡を寄越すように」

 

「はいっ!」

 

「リヴェリア、二人を監督しつつラウルの

指示に従え。指示に問題があった場合、

緊急のモノならまだしも、そうでないなら

そのまま従うように。

地上に戻ったときに反省会をするから

そのときに指摘してくれ」

 

「わ、わかった」

 

「アイズとベートはそのままラウルの指示に

従うように。反論も反対も許さん。イイネ?」

 

「・・・はい」

「・・・あぁ」

 

ブチ切れる寸前ですねー。

まぁこんな問題児を抱えて命懸けの

探索なんかしてたらこうなりますか。

 

「じゃあ解散。僕らはあえて遅く出るから

ラウル達は急いで出発だ。

夕方前には帰還出来るように動くように」

 

「り、了解です!」

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「いやーリリルカさん、最後まで

グダグダでごめんね?」

 

「えっと、そういうファミリアなんだって

わかってますから大丈夫ですよ」

 

「ソレはフォローじゃないわよ?」

 

団長とガレスが沈んでるわよ?

まぁ流石にここまできて我儘抜かして

来るとは思わなかったけどさ。

ベートもアイズも上層で何をする気よ。

 

「それに、あくまでリリは怒ってませんよ

って言う意味ですからね。内部の組織的

な問題はそちらのお話ですから」

 

「・・・それはそうよね」

 

リリルカにしてみたら、挨拶と自分の役割を

確認しただけだし。

 

挨拶すらしなかったベートやアイズ。

相手から挨拶してくるものだと思ってた

リヴェリア。

 

リリルカが言いたいのは、お客さんである

自分への無礼は許した。三人の態度に

関して恥ずかしいと思うのはコッチの

問題だから勝手にやってくれってことでしょ?

 

なんとも情けない話よね。

団長が凹むのもわかる。それでいて

失礼なのはウチの連中で、寛容なのが

リリルカだから私だって何も出来ないわ。

 

やっぱりお茶を買わなきゃ駄目ね。

ゴブニュのところより先にナァーザの

お店に行きましょう。

 

「けどさぁ、まさかリヴェリアが二人の

我儘をリリルカさんのせいにするなんて

思わなかったよねぇ」

 

「えぇ。あの人は誉め言葉的な意味でリリの

名前を出したつもりなんでしょうけど、

あの状況で名前を出されましてもねぇ」

 

そうよねぇ。リヴェリア的にはリリルカの

戦い方が刺激になって二人がやる気を

出してるって感じなんだろうけど、

ソレ以前にあの二人が団長の命令に

逆らってるって状況があるのよね。

 

まだ正式に命令しては居なかったけど、

ラウルに指示を任せるって時点で

私たちも後衛だってわかるわよね?

 

そんな状況でリリルカの名前を出したら、

嫌がらせ以外の何物でも無いじゃない。

 

「とりあえずリリルカが怒ってないなら

良いわ、私たちも帰還の準備をしましょ?」

 

「そうだね!あとで何かお詫びするからね!」

 

「いや、もうそっとしておいて下さい」

 

うん、多分それが一番のお詫びよね。

 

 

――――――――――――――――――――

 

「・・ ガレス」

 

「あぁ、言いたいことはわかっとるよ」

 

情けない。

まともに挨拶も出来なければ

ダンジョンで自分を抑えることも

出来ないのが幹部だなんて。

 

レベルより品性と知性が重要なのかな?

けど力が無ければ言うことを聞かないし。

 

もぉ彼がウチの団長になってくれないかな。

 

「まさかリヴェリアがあそこまで

空気が読めんとは思わなんだ」

 

「そもそも空気を読むのが嫌だから

里を出たんじゃないか」

 

長生きしててモノを知ってるから教育係

みたいになってるけど、そもそもが苦労を

知らない我儘お姫様だからね。

 

オラリオで多少の苦労を学んだけど、

どん底を知ってる訳じゃない。

 

少しはリリルカさんを見習えよ!

 

「ベートもあの性格のせいで敵を

作っとるのはわかっとるはずじゃが、

一向に改める様子もないしのぉ」

 

「強さを求めるのは勝手だけど

あんな風に噛みついてるだけじゃ

意味がないんだよね」

 

強者には余裕が有ると何故わからない?

その余裕が視野の広さになって

更なる強さになるのに、いまだに

吠えて噛みつくだけ。

意味がないどころかマイナスだ。

今までの人生で何を学んできたんだ?

 

少しはリリルカさんを見習えよ!

 

「アイズに至っては確実に迷走しておる」

 

「リリルカさんの戦い方を見て自分に

足りないのを明確に意識したんだろ?」

 

強いて言えば全部だよ。

力も技も心も、全部が足りない。

ソレはアイズに限ったことじゃなく

全員がそうだ。

だからこそ鍛えて自分を完成させようと

するんだ。

リリルカさんのあの姿はその結果であり

今までの積み重ねなんだよ。

少なくとも人間の表面しか見てない

アイズには理解も到達も出来ない領域。

弟子入り云々以前の問題だ。

 

リリルカさんを見習うな。失礼だ。

 

「そもそもギルドやアイズはリリルカさんが

短期間でレベル5になったって思ってる

けど、彼女の冒険者歴を知らないのか?」

 

「ん?ヤツに弟子入りしたのが4年か5年前じゃろ?」

 

ガレスもか

 

「弟子入りしたのはね。だけど、彼女は

それ以前から冒険者だったよ」

 

正確にはサポーターだったけどね

 

「そう言えばそうじゃな。サポーターを

していたときに見出だされたと言って

おったわい」

 

くそっ羨ましい!

普通に会話が出来てるじゃないかっ!

 

「そんな目で睨まれてものぉ。

それで、リリルカはいつから冒険者を

しとったんじゃ?」

 

はぁ、まぁガレス相手なら間違っても

恋愛には発展しないだろうし、

ウチのファミリアにも常識の有る

人間も居るって思って貰えれば良いか。

 

しかしなんでギルドと言いコイツらと言い

リリルカさんの冒険者歴を知らないんだ?

別に隠してないし、むしろ有名な話だぞ?

 

「良いかいガレス。リリルカさんはね、

生まれた時から冒険者だよ」

 

「・・・はぁ?」

 

―――――――――――――――――――――――

 

・・・まさかミノタウロスが逃げるとはな。

 

「大変っす!アイズさんとベートさんは

大至急上層へ続く階段へ向かって下さい!」

 

「はぁ?ミノタウロスくれぇてめぇらで

十分だろ?」

 

「・・・アキっ!クルスと一緒に

敏捷が高いのを連れて直ぐに階段へ!

奴らが登った跡が有ったら追跡!

階層に居るヤツより上に登った

ヤツを優先すること!今すぐ行けっ!」

 

「「了解っ!」」

 

「ナルヴィ!リーネを連れて上の階に

行けっ向かうのは12階層より上。

怪我人が居たら応急処置して

地上に連れて戻れ!」

 

「はいよ!」

「はいっ!」

 

「エルフィとアリシアはそれぞれ

三人連れて移動!エルフィは10階と

9階を担当!

アリシアは8階と7階へ向かえ!

 

そこでアキと合流出来たらそれでよし、

出来なくてもその階層に生き残りが

居ないか確認して、終わったら上に向かえ!」

 

「「了解!」」

 

「残りはそれぞれ二人一組で12と

11階層の確認。

自力で中層に来ている冒険者の

邪魔をする必要はない!

ミノタウロスが居ることを注意喚起

するだけで良い!」

 

「「「了解!」」」

 

ふむ、中々の判断だな。

 

「リヴェリア様とお二人は僕と

一緒に上に向かってもらいます」

 

「上に?しかしこちらの指揮はどうする?」

 

そもそもラウルに割り当てれた仕事は

前衛部隊の指揮を執ることだろう?

 

「・・・アイズさん、着いてきてください」

 

「・・・えっと」

 

「団長に言われたでしょう?!」

 

「あ、うん」

 

「指揮はリヴェリア様にお任せします、

ベートさんは大至急戻って団長に

状況を伝えて下さい!」

 

焦りすぎだ。頭を冷やした方が

良いのではないか?

 

「いや、俺もソッチに行ってやるよ」

 

「・・・そうですか。なら急ぎましょう!」

 

「おい、ラウル?!」

 

「団長への連絡はお願いします!行きますよっ!」

 

「うん」

「おうっ!」

 

まったく、突発的な出来事ではあるが

ミノタウロスごときで焦りすぎだ。

あれではフィンの後釜は遠いな。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「は?ソレで君は何をしてるんだ?」

 

あ、勇者さんがキレましたね。

 

「いや、こちらに残った者たちを纏めてお前たちがくるのを待っていたのだが・・・」

 

王族さん、心底不思議そうな顔をしてますよ。

うーん。コイツらみたいなのが

リリを苦しめてた冒険者なんですよね。

 

「リヴェリア・・・お主、何故ラウルの指示に

従わんかった?レベル6のお主ならアキや

クルスよりも迅速に動けるじゃろう?」

 

「ガレス?いや、それはそうだが

こちらの指揮が・・・」

 

「そんなこと言ってる場合かっ!

ミノタウロスが逃げた?それはつまり

僕たちロキファミリアがミノタウロスの

怪物進呈をしたってことなんだぞ!

何故気付かないんだっ?!」

 

「あっ!」

 

あっ!じゃないですよ。王族さんにしてみたら

ミノタウロスごときって感じでしょうけど、

上層の冒険者にとっては普通に死活問題です。

事実アレに上層に行かれたら、間違いなく

大勢の冒険者が死にますよね。

 

別に冒険者がどうなろうとリリには知った

ことでは有りませんから良いのですが。

知り合いもミノタウロスごときに負ける

人は居ませんしね。

 

だけど、もしかしたら先生に怒られますか?

いや、あの人も冒険者は自己責任だし

突発的な事故にも対応するべきだって

人ですから、大丈夫ですよね。

 

それにレベル4とレベル5が最短距離を上に

登ったなら、ミノタウロスくらいの速さなら

そこまで上には行けないでしょ。

狼さんや剣姫さんが遊んでもラウルさん

がちゃんとしてれば問題ないですね。

 

「お説教は後にしてもらえます?

とりあえず私たちも上に行って

掃除と怪我人の治療をしましょう」

 

とはいえ流石に放置したらギルドに

怒られますからね。

その上で未帰還の低レベルの人達の

捜索と補償をしなくては行けません。

 

……この場合罰金とかどうなるんですかね?

 

「そうですね。ティオナ、大至急ギルドへ

戻って、事情を話して来てくれ。

下級冒険者の未帰還者リストと

照らし合わせて捜索を行う」

 

「はーい!じゃ、行ってきます!」

 

「頼んだ。ガレス、君は14階へ行って

団員と合流してくれ」

 

「うむっ」

 

「ティオネは13階だ」

 

「はいっ!」

 

「僕はこの階を探す。リヴェリアは団員を

連れてリリルカさんと地上へ戻れ」

 

「いや、しかし」

 

「戻れ。無駄話をする気はない」

 

「・・・わかった」

 

他人事って顔してましたからねぇ。

今さら責任を感じられても・・・

18階のが最後かと思ったら

まさかの怪物進呈ですか。

 

いやはや、ティオナさんとティオネさん

以外はもう二度と関わりたくないですね。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」




リリルカファン倶楽部では
常識ですよね。

下積み時代を考えたらリリルカは
大ベテランですし
冒険者は嫌いなのでダンジョンに
潜って死ぬのには何の感傷も抱きません

先生・・・農家
ナァーザ・薬師
アイシャ・娼婦
春姫・・・娼婦
ティオネ・友達?
ティオナ・友達
リュー・・エロフ

こんな感じです。

原作でも剣姫さんや狼さんは遊び感覚で
王族さんは他人事でしたよねってお話





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22話

地上に戻ったロキファミリア。
苦労人フィンの胃はどうなる?
白兎は?!

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


「ふ、ふふふ」

 

『ガレス、フィンが泣きながら書類書いとるぞ』

 

「・・・まぁ、そっとしてやってくれ」

 

いや、事情は聞いとる。

犠牲者がおらんかったのが奇跡や。

・・・いや奇跡ちゃうな、ラウルの判断が

良かったんや。

いくらミノタウロスが逃げたのが

予想外とは言え、ウチらが怪物進呈

なんかしたら洒落にもならんよ。

 

しかも5階にまで行ったミノタウロスが

おったって。

ベートはニマニマしとったけど

笑い事ちゃうで。

下級冒険者なら絶対死ぬやん。

 

そんでもってリリルカには散々

醜態をさらした挙げ句、打ち上げ

云々には呼ぶなって釘刺されたんやろ?

 

ラウルの成長は嬉しいが

ソレ以外が全滅って。

 

しかもアイズたんやベートの報告と

ティオネやティオナの報告に差が

有りすぎる。

 

リヴェリアはアイズたんやベートに近くて

ガレスはティオネやティオナに近い。

ラウルやその他は深く関わってないので

わからん。

 

迷惑をかけたのはわかるが、一体

どこまで補填すべきなんやろな?

下手なことしたら普通に酒を止められるで。

 

『なぁ、ガレス。リリルカからは

報酬は経費でえぇ言われたらしいけど、

この場合の経費って何なん?』

 

色を付けるにしても適正価格を知らんとな

 

「まず、レベル5の冒険者・・・本人は杜氏と

言っとるが、ソレを半月雇う分の人件費だな」

 

『杜氏って』

 

いや、まぁソーマファミリアやからな。

とりあえずソレはギルドからの依頼やった

からアッチに請求出来るか。

 

「それに装備品のメンテナンス料金」

 

うん、普通に必要経費やな。

不壊属性でもメンテナンスは重要。

 

『せやけど、リリルカの装備はヤツが

作ったんやろ?

メンテナンス料金っていくらが妥当なん?』

 

アイツの鍛治能力ってどのくらいなんやろ?

 

「リリルカも良くわからんらしい。

とりあえず第一級武装のメンテナンス

料金を用意する予定じゃ」

 

ティオネやティオナが言うには尋常やない

くらいの高級品らしいけど、そんなんで

ええんかな?

もし足りなくてもギルドに請求したるから

ウチらの持ち出しにはならんからええけど。

 

それでも一応装備についてはファイたんに

聞きに行こか。

なんでも不壊属性の武器の大量発注が

必要らしいし。

 

『ま、それもえぇ。あとは?』

 

他に経費として浮かぶのは消耗品とか

しかないけど、なんかあるやろ?

 

例えば迷惑料とか。

 

何だかんだで働かせたのは事実やし。

 

「いや、それだけで良いそうだ」

 

『はぁ?!』

 

なんやて?!普通に考えたらもっと

あるやろ?ドロップアイテムを何割とか

換金したぶんを何割とか?!

 

『・・・もしかしてウチらに貸し作って

なんかさせる気か?』

 

いくらフィンが惚れてて、探索で世話に

なって、ソーマファミリアからお土産の

神酒セット貰ったから言うてもなぁ!

 

・・・あかんやん。断れる気がせぇへん。

 

「疑うのも無理はないがな。

リリルカが言うには

『深層が見れましたし、なかなか貴重な

アイテムも見つけましたから私としては

問題ありません』だと」

 

『中々貴重なアイテム?なんかあったん?』

 

何かを見つけて、優先的に渡したとか?

 

「いや、普通に深層で採取出来るアイテムだ。

それもリリルカが自分で見つけて入手した

モノだから、こちらが譲渡した訳ではない」

 

『・・・』

 

そりゃ、普段深層に潜らんヤツにしてみたら

貴重品なんやろうけど、ソレって完全に

ウチらには何も求めとらんよな。

 

「ティオネは『謝罪とかお詫びは要りません。

そっとしておいて下さい』と言われたらしい」

 

『どんだけ失望されてんねや』

 

つっても、行きも帰りもやらかして、

迷惑かけっぱなしの醜態を晒しまくりや

からな。印象が良くなる理由は無いけど。

 

「で、なぜかギルドの床が血塗れだったのが

我々のせいだったと判明したため掃除を

してきて、今は打ち上げの前に反省会を

するかどうか悩みつつ、ラウルたちに換金

やら何やらをさせてる間に収支の確認と

怪物進呈に対しての顛末書の作成中じゃな」

 

『そりゃ・・・泣くしかあらへんなぁ』

 

このままなら反省会も打ち上げも絶対に

荒れるし、現実逃避をしようにも目の前の

書類が許さへん。

 

問題をおこしたものの死者や重傷者がおらん

かったし、その後の対応も悪くなかったから

罰金とか始末書やなくて顛末書なんやな。

コレを書いて提出しないことには

反省しとらんって周りから思われる。

 

・・・なんでミノタウロスが逃げたか

わからんから書きようが無いやろうけど、

その辺はなんとかするんやろなぁ。

 

そんでそのあとに反省会を先にしたら

打ち上げが微妙になるわな。

 

幹部にしてみたら問題だらけやけど、

普通に着いていった連中にしてみたら

全員無事に生還しとるし、収支も黒字。

 

最後の怪物進呈も連中の中ではしっかり対処

できたから楽しく飲みたいだろうし、

残ってた連中だって話を聞きたいやろ。

 

それを考えたら打ち上げが先なんやけど、

フィンやガレスはうやむやにしない為にも

反省会が必要やと思っとるわけか。

 

けど幹部が沈んどったら他の団員も

楽しくは飲めんよな。

フィンの気分を切り替える特効薬からは

呼ぶなって言われとる。

幹部無しで行かせるか?・・・厳しいな。

 

「あの、団長?」

 

『ティオネ?女連中は風呂に行ってたと

思っとったけど、なんかあったん?』

 

今は求婚とかやめたげて!

 

「いや、軽く汚れを落としてからナァーザの

店に行って来たんです」

 

ナァーザ?確かミアハんとこの団長やったか

 

「回復効果のあるお茶の新作です。

色はアレなんですけど、飲めば体の中から

疲れと胃を治してくれるとか」

 

噂の最強の胃薬か?!

 

「ティオネ・・・ありがとう。

ありがたく頂くよ」

 

めっちゃ儚い笑顔しとる?!

 

「はいっ!(よっしゃぁ!

弱ったらあえて攻めずに癒せ。

そうすることで弱さを見せてくれる

ようになる!そうですよね先生っ!)」

 

『ティオネが普通に気遣いしとるし』

 

「それくらい酷かったんじゃよ・・・」

 

「セットでお菓子もあるし、淹れ方も

教わってきたからロキやガレスもどう?

そんなに甘くないらしいし、流石に団長も

一人で飲み食いはアレでしょうからね」

 

『嘘の欠片もないホンマの気遣いやな』

 

「フィンへの気遣いのついでじゃがな。

ありがたく頂こうか。

フィン、お前も少し休め」

 

「・・・そうだね。ティオネ、頼めるかい?」

 

「はいっ!(周りの人間を巻き込めば

自然と団長のハードルも下がるっ!

そして巻き込むなら同性かつ年長の

ガレスが狙い目っ!完璧よ、完璧紳士よ!

流石は先生っ!ナァーザの店に居てくれて

ありがとうございますっ!)」

 

『報われた女の笑顔しとるわー』

 

もちろん下心はあるやろうけど、普段なら

フィンにしかやらんことを

ウチらにも用意するなんて相当やぞ・・・

やっぱり気遣いの方が大きいみたいやな。

 

 

 

まったく、どんだけ醜態を晒したんや。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「なんと言いますか。台風みたいな

感じでしたね」

 

いきなり店に来て『胃薬を!違うっお茶を

頂戴!ありったけっ!』だからなぁ。

 

「あれも恋する乙女だからな。シカタナイネ」

 

うん、まぁ女としては共感は出来るけど。

それよりもそろそろロキファミリアが

遠征から帰ってくるだろうからって

新作のお茶とお菓子を持ってきた

先生の慧眼が凄いよね。

普通なら遠征から帰ってきても

お茶を買いに来ることなんてないわよ?

 

「けど、良かったんですか?

弱った男を落とす方法とか教えて」

 

人によっては不快になる場合とかも

あるわよね?

そうなったら恨まれるんじゃないの?

 

「今回教えたのは、別にフィンが損をする

類いのモノじゃないからな。

アレが酒なら下心を疑って警戒するだろうが、

薬にもなる茶と付け合わせのお菓子だぞ?

それに、気遣いは本心からのモノだ。

本心から気遣われて悪い気がする男は

居ないし、フィンはベートのように

粗暴でも無い。きちんと効果はあるさ」

 

なるほどなー。流石は先生。

ミアハ様は神だからわからんって言われて

るけど、それは言い換えたら無責任な事は

しないって事だもんね。

 

「とりあえずティオネが来たと言うことは、

リリルカも風呂と更新が終わったら

来るかもしれん。いつも通り装備品は

預かっておいてくれ」

 

「はい、了解です」

 

専用の金庫に入れないとナニかが

おこるらしいから。忘れずに入れないと!

 

「それと、もしナァーザの

都合が良ければ飯でも付き合って

やってくれんか?アイツのこと

だから愚痴も溜まってるだろうし」

 

「もちろんですよ!」

 

私にも溜まった愚痴があるからね。

 

「助かる。それでは、

この店の無料券をやろう」

 

「えっ?無料券ですかっ?!」

 

しかもこのお店ってフレイヤ様

お気に入りのお店じゃない?!

 

「色々あってな。予約無しで行っても

服もレンタルしてくれるし、その間に

個室を取れるから大丈夫だぞ」

 

「色々って・・・」

 

まぁ今更この人にそんなこと言っても

無意味よね。

個室なら愚痴も言えるし、

服もレンタルしてもらえるなら

何の問題も無い。それに無料だし!

 

こんな形で綺麗な服を着れて美味しい

ご飯を食べながら友達と愚痴を言い合える

場を提供してくれるなんて、流石は完璧紳士!

 

「ではありがたく・・・」

 

今日かな?明日かな?リリルカさんが

来なかったら誘いに行こうっ!

 

『貴様ぁ!そこでナニをしている?!

ポーションは売らんぞっ!さっさと帰れ!

と言うか直ぐにナァーザから離れろっ!』

 

「「・・・」」

 

「まぁ、頑張れ」

 

「・・・はい」

 

アレは俺にもどうしようもないって目を

しないで下さいよっ!

私にもアドバイス下さいっ!

 

 

―――――――――――――――――

 

 

・・・ふむ。

 

「ど、どうでしょう?」

 

『見事よ。流石に最初に飲んだ彼の

お茶には届かないけど、

この短期間で明らかに上達してるわ』

 

「はいっ!精進しますっ!」

 

(師匠っアンタすげぇよっ!)

 

まさかココまで味に違いが出るとは

思わなかったわ。

アレン以外には分かってないくらいの

繊細な違いだけど。だからこそ深い・・・

 

『それとアレン?』

 

「はっ!」

 

『なんと言えば良いかわからないんだけど、

少し雰囲気が変わったかしら?』

 

表現が難しいのだけど、自然な形?

 

「お、恐らく彼から教わった呼吸法が

影響を与えているモノと思われます!」

 

(すげぇよ!師匠が言った通り、フレイヤ様は

違いのわかる方だったっ!)

 

『呼吸法?』

 

何かしら?吸って吐く呼吸よね?

 

「はっ!武の世界において呼吸は基本にして

奥義です!己の呼吸を理解し、相手の呼吸を

理解することで、相手を崩すことも出来れば

自然と寄り添うことも出来ます!」

 

・・・なんとまぁ。

確かに夜の営みの際に相手の呼吸を

見て合わせることもあるけど、ソレを

ごく自然に行わせるのね?

だけどおかしいわ

 

『彼が武を教えてくれたの?』

 

ロキファミリアの剣姫だって教えて

貰ってないし、そもそも私たちには

そう言う教えを授ける理由がない。

むしろ以前オッタルが言ったように

断るのが妥当なはず。

 

「はっ!正確には呼吸は武にも使えると

言うだけで、全ての基本です。

茶を淹れるためにも必須の技能と

言う事でしたので修得するように

指示を受けました!」

 

『あぁ、なるほど』

 

それならわかるわ。そもそもお茶の淹れ方を

学んできなさいと命じたのは私ですものね。

私に美味しいお茶を飲ませるために自分の

指示に従えと言う形にすれば、私の眷族なら

絶対に指示には逆らわないもの。

 

お茶だけでなく、眷族にまで深さを加えて

くれるなんてね!

 

ふふふ、一杯食わされたけど、

これは心地良い敗北感ね。

どこまでもやってくれるわ!

 

『アレン、今日は付き合いなさい』

 

「はっ!」

 

(師匠ぉぉアリガトォォォ!!)

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「・・・」

 

コレはどう表現したら良いモノやら

 

「わ、私は美味しく無いですよ!」

 

レベルも上がり、とりあえず試し斬り

をするために双頭竜を探してたら

妙な動きをするモンスターが居たので、

追い込んで水揚げしたら喋る人魚とは。

 

そりゃ、まぁ、上半身が人の形をしてて

内臓もあるなら喋れるでしょうけど。

 

「あ、あの?!聞いてますか?」

 

喋れるなら、とりあえずアイサツですよね。

 

「こんにちわ。私はエイン、貴女に名前は

ありますか?」

 

「えっ?」

 

呆けてますね。アレでしょうか?

とりあえず「自分は美味しく無い」と

だけ喋れるとか?

西蒙にも居ましたね、コロサナイデ!

しか喋れない人たちが。

 

「言ってる言葉はわかりますか?

わかるなら頷く・・・頷くがわからないと

困りますね。

わかるならわかると言って下さい。

それ以外ならわからないと見なして捌きます」

 

「わかりますっ!わかりますから

捌かないで!」

 

ふむ、捌くの意味まで理解してますか。

 

師曰く、人と動物の違いは知性にある。

 

ならばこのナマモノは人として扱っても

大丈夫ですね。

 

「それで、名前はありますか?」

 

「ま、マリィです!」

 

名前まであると言うことは、名前をつける

存在がいるということ。

つまり同じように言葉を喋る仲間が居ますね。

 

「ではナマモノ、質問するから答えなさい。

あぁ、別に話せないことは話さなくて

良いですよ。そんな身の上してたら

色々あるでしょうし」

 

「ナマモノって……きゃっ?!

ナニ?今のナニ?!」

 

「あぁ、質問に対してはハイです。

喋れないこと、わからないことなら

そのまま喋れません、わかりませんで

結構。よろしいですね?」

 

「ハイッ!」

 

ふむ、気の代わりに魔力で代用しましたが

人魚にも効きますか。

いやはや、魔法は使えませんから魔力が

無いと思ってましたが、そもそも私達は

魔石に含まれる魔力を摂取してますからね。

魔力がないはずがありませんでした。

 

それにこのナマモノ。傷は瞬時に

回復しても痛みは有る。

痛覚があると言うことは神経があると

言うこと。ならば経絡もありますね。

 

ふふふ、コレだけでも収穫ですよ。

 

「・・・」

 

さてさて、久しぶりの話し相手です。

色々教えてもらいましょうかね。

 

「では最初の質問です」

 

「ハイッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女は魔石、食べますか?」

 

 

 

 




しっかりと各方面に
根回しをしていく先生の図。

リリルカを拠点には連れていけないので
ミアハのお店で連絡をとりあってるもよう

紳士諸君。残念ながらリリルカの装備は
きちんと洗濯した後で持ってきているぞ



なぞのおりきゃら、やっと登場ってお話。



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23話

なぞのおりきゃら
コミュニケーションをとる

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし


ボリボリボリボリボリボリ

 

ふむ、よくわからないと言うことが

わかりましたね

 

ボリボリボリボリボリボリ

 

とりあえず私とは味覚が違うのは確実。

 

下の階層のモンスターから

取れた魔石の方が味が濃いとは

気付きませんでした。

 

「なんて言うんですかねー。濃いと

言いますか深いと言いますか・・・」

 

なるほど、内包されている魔力の

質の違いを味と言う形で認識

してるんですね。

 

「ごちそうさまでした!」

 

「お粗末さまです」

 

いや調理も何もしてないただの石ですから

お粗末どころでは有りませんが、

好きな人にはご馳走なのでしょう。

 

「たくさんの魔石ありがとうございます!

けどエインさんもモンスターなんですか?」

 

ふむ、なんと答えれば良いのやら。

 

「良く分かってないんですよね。

とりあえず知性が有るならヒトだと

思ってますから、ヒトでしょう」

 

師がそう言ってましたからね。

 

「ん~ヒトは水の上に立てませんし、

水を割ったりはしないと思いますよ?」

 

なんと言う不見識な。

 

「このようなダンジョンに居ると

わからないかも知れませんが、

世の中には水の上に浮かぶ鳥や

船と言う乗り物が有ります」

 

「フネですか、たまに冒険者の

人達が持ってくる乗り物ですよね?」

 

知っているではありませんか。

ならば話は簡単です

 

「あのようなモノですら水に

浮くのですから、ヒトが浮けない

はずが無いでしょう?」

 

まったく、少し考えればわかる

でしょうに

 

「そんなものですかねぇ?」

 

あぁ、ダンジョンの中にしか居ないから

どうしても常識が狭まってしまうのですね。

 

「重心や気の動きの把握が必要に

なりますが、まぁナマモノは

泳ぐ方が速いのでしょう?

無理せず泳いでくださいな」

 

わざわざ教えを授けるのも

面倒ですし。

 

「そうですね!」

 

素直なのは良い事です。

 

「それで、ナマモノはココで何を?」

 

狩猟にしては銛とか無いですよね

 

「お友達を待ってました!」

 

ほほう。お友達。

喋るモンスター仲間ですね。

 

「待つと言うのは、どこかに行って

るんですか?」

 

「あっ!ソレは、えっと!」

 

「あぁ、言えない内容なのですね。

構いませんよ。最初に言いましたが

喋れないことは無理して話す必要は

ありません」

 

「あ、ありがとうございますっ」

 

「別にお礼を言うことでも無いでしょうに」

 

しかしコレは誤算でした。

このような存在が居たとしたら

師は間違いなく「面白い」と判断

するでしょう。

 

今まで何の確認もせずに殺ってましたが、

まぁしかたないですね。

今後は気をつけましょう。

 

しかし気をつけてどうするのか・・・

死んだらただのモンスターですから

お土産にはなりませんし、

ココは保護に動くべきでしょうか?

 

「あのっ!」

 

ん?

 

「どうしました?」

 

「魔石って他にもいくつか有りますか?」

 

ふむ、食料の確保ですか。

水の中から出られず、特筆すべき強さも

ないなら確保出来るときに確保したい

でしょう。ですがただではあげません。

 

「有りますが、流石にコレ以上は

有料ですよ?」

 

御近づきの印は12個までです。

 

「あーうー」

 

「貴女の生き血とかは要りませんよ」

 

アレはいざと言うときの為に使うモノで、

普段からアレに頼ると注意力や警戒心が

緩みますからね。

 

「むーーー」

 

さてさて、彼女は何を提示して

くれるやら。

まぁゆっくり考えて下さいよ。

私はお客さんの相手をしましょう。

 

「それで、アナタはナマモノの

お知り合いで?」

 

「・・・」

 

中途半端な隠蔽ですよね。

しかし骨ですか・・・喋れないですよね。

筆談と行きたいところですが、

私は彼らが使う文字を知りませんし。

共通語でも大丈夫ですかね?

しかし試すにも紙も竹もありません。

 

仕方ない、捌きますか。

 

「・・・君は何者だ?」

 

骨が喋った?内臓が無いのに?

あぁ、この弟子冗談はダメな奴でした。

失敗失敗。弟子失敗。

 

ただ、質問に質問で返すなと

習わなかったようですね。

ソレをして良いのは強者のみ。

 

 

 

少なくとも貴様ではないぞ?

 

 

 

 

・・・奇跡の部屋が無いのが残念ですね

 

「ま、待てっ!私に戦うつもりはないっ!」

 

「ソレは貴方の都合でしょう?」

 

 

――――――――――――――――

 

 

な、何だこの圧力はっ!

動けば殺される!

動かなくても殺される!

 

何だ?何が彼女にとって私を敵と見なす

切っ掛けとなった?!

マリィと普通に接していたから

見た目で差別するようなタイプでは

無いと思ったが骨はダメか?!

 

「あ、フェルズじゃん」

 

マリィ!タスケテッ!

 

「ふむ、ナマモノの知り合いですか。

ならば黙って知り合いだと答えれば

良いモノを。

あぁもしかして決まった

言葉しか話せないのですか?

ユルシテクダサイッ!とか

ツギコソハカナラズッ!とか?」

 

威圧が無くなった?

そ、そうか!最初に知り合いか

どうか聞かれたな。

ソレで答えなかったから知り合いでは

無いと判断して口封じをしようとしたのか!

 

過激ではあるが、喋るモンスターの

存在を考えればやり過ぎとは言えん。

私の姿にも特に嫌悪感を抱いている

様子もないし、むしろ信頼できるか?!

 

「失礼した。私の名はフェルズ。

確かに彼女達の知り合いだ」

 

仮面とローブでどこの誰かはわからないが

少なくとも、異端児を差別しない強者。

すでに存在を知られてしまった以上は

口封じか協力を仰ぐしかないが、

明らかに口封じは不可能だ。

 

「ふむ、普通に話せるのですね」

 

ならば協力を仰ぐ!彼女ほどの実力者が

味方になってくれたら彼らの安全も増すし、

何より私が怖いっ!

 

「私はエインです。ちなみにアナタは

魔石を食べますか?」

 

「はっ?」

 

魔石?魔石と言ったか?

 

「おや?ダンジョンのモンスターは

魔石を食べるモノでしょう?」

 

あぁなるほど!

私をマリィと同じモンスターと

判断したわけか。

確かに見た目は骨だからな!

それで魔石を食うのか人間を襲うのかを

判別している?

 

おっと、返事をしなければ!

 

「いや、私はこう見えても

モンスターではないのでね。

魔石は食べんよ。

あぁ、無論人間も食わん」

 

コレ言わないと殺されそうだ!

 

「ほほう、見た目通りの骨ではない、と。

しかしどうやって言葉を話しているので?

見たところ肺も声帯もなさそうですが?」

 

「いや、私にもわからんのだ。

賢者の石が持つ魔力の影響だとは

思うんだがな」

 

私の姿に骨以上の感情を抱いてないのが凄い。

しかも肺や声帯ときた。医術にも詳しいのか。

これほどまでの存在を今まで

知らなかったとは、迂闊と言うしかない

 

「良くわからないことばかりが

わかる日ですねぇ。

まぁそれもこれも我知無知の哲学から

すれば私の成長につながる良いこと

なのでしょうが」

 

ガチムチの哲学が良くわからんが、

悪い印象は与えてないようだな。

 

「ねぇフェルズ、この人に魔石

もらいたいんだけど、何か対価?

になるモノないかな?」

 

ふむ、確かに私が持ってくるのにも

限りがあるしな。

頼みごとをするにもまずは切掛が

必要だ。コレを皮切りに彼女と

契約を交わすことができれば異端児達にも

あらたな理解者が出来る。

 

「エイン殿、取引をしたい」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

取引、ねぇ。

つまりは魔石と何かを交換して私との

繋がりを保ちつつ何かを依頼したいと。

 

まぁ下心がない取引などありませんからね。

それに、こちらには不足してるものが

多すぎますから、コイツに調達して

もらうのも悪くない、か。

 

「内容によりますね。とりあえず魔石が

欲しいなら、地上で換金出来るモノと交換

という形にして貰いましょうか。

あぁドロップアイテムはいりませんよ?」

 

魔石やドロップアイテムは基本ギルド

とやらで交換するのでしょう?

きちんと記録も録ってるようですしね。

 

「それは問題ない。今はさすがに

持ち合わせがないので後払いでいいかね?」

 

「問題ありませんね」

 

これで地上での資金が出来ました。

最初の取引で踏み倒すような阿呆では

ないでしょうから、第1段階は突破です。

 

「では魔石を出しましょう。

とりあえず20程で良いですかね?

37階層の強化種のモノですから

質はソコソコいいと思いますよ」

 

49階層の雑魚よりは下ですが。

それでもあと10個くらいあればナマモノの

レベルアップにはなるんじゃないですか?

コイツおよそレベル3相当でしょうし。

 

「「強化種?!」」

 

おや?何か問題が??

 

―――――――――――――――――――

 

 

37階層の強化種の魔石を20個?

もしも闘技場で得たモノだとすれば

彼女は少なくともレベル5の上位か

レベル6?何者だ?!

 

「エインさん、そんな貴重な

モノ貰ってもいいの?」

 

「勘違いしてはいけませんよナマモノ、

あげるのではなく売るのですからね」

 

「フェルズ?」

 

そうだよな。私が買うんだよな。

そ、相場はどれくらいなんだろうか?

 

「問題ない。ただ強化種の場合、強化の

度合いによって相場が変わるからな。

一つは私が買っても良いかね?」

 

「なるほど、もっともな話です。

しかし、元々モノはアナタに売るのですから

買った後の分配はソッチでやってください」

 

理知的で助かる。

単純な冒険者ではないな

 

「あぁ、ちなみにですが、多分10個

くらいでそこのナマモノはレベルアップに

近いナニかが起こりますね」

 

「なんだと?!」

 

そんなことまでわかるのか?!

い、いや、ハッタリの可能性も・・・

無いな。この場で試せば分かることだ。

 

「マリィ、これから10個食べれるか?」

 

「う、うん。だけど他のみんなには・・・」

 

優しい子だからな、独り占めは

心苦しいのだろう。だがコレは

試してもらわねばならん

 

「あぁ、魔石ならまだありますから、

そこの骨が代金を払うなら売りますよ」

 

「・・・なんと。」

 

一体どれだけの魔物を狩って来たのだ?

 

「・・・フェルズ?」

 

「心配するな。まずは君たちが

強くなることが大切だからな」

 

レベルが上がれば自衛力も上がるからな。

しかしそうか、鍛えれば強くなるし

魔石を喰らってレベルアップも

出来るのか。

戦闘タイプの異端児も回復や強化は

されていたが、今まではそこまで

魔石を食らう前に殺されるか

保護されるかだったから気付かなかった。

 

それに魔石の質もあるか?

基本的に彼らが喰らう魔石は、

その生まれの状況から大体が

自分より弱いか同レベル。

何度かの戦闘で一度強化をしても、

それ以上の強さを求めて深層に

なんか行かないだろうしな。

ましてそこの強化種の魔石を10個

なんて喰らうことはない。

 

ただ、あまり強くなりすぎて人に対して

復讐とか企てられても困るな。

戦闘タイプは4~5それ以外は

3~4くらいがちょうどいいと思う。

それだけあれば自衛には十分。

1~2は危険すぎるから早急な

レベルアップが必要だ

 

「あっ!凄いよエインさん!!なんか

変わったのが分かる!」

 

9個、か。まさかこれほどの逸材とは。

 

「確かに貴女の言ったとおりだった。

疑ったことを謝罪したい」

 

疑ったことになるかどうかわからんが

この者相手には礼儀を尽くす必要がある!

 

「初対面の人間を疑うのは当然です。

むしろ私も自分の眼が正しかったと

証明できたと考えましょう」

 

歪みない精神と寛容な心の持ち主か

コレはいい出会いをした!

 

「さて、今後の魔石の代金に関してですが

まずは情報を頂きたい」

 

情報の重要性を知っているか。

しかし私の持つ情報は話せんモノが

多すぎる。

 

「あぁ、話せないことは話せない、

わからないことはわからないで

構いません。そんな身の上では

色々あるでしょうからね」

 

「ご配慮感謝する」

 

しかしそれだと代金にならなくないか?

 

「とりあえず知りたいことが

知れればソレで良いのですよ。

わからないならアナタには

わからないという情報が手に入ります」

 

「・・・なるほど」

 

心を読まれた?!いや、一定以上の

良識があれば誰でも考えることだから

沈黙したことで内容を予測されたのか?

 

「しばらく深層に潜ってて世間に

疎いものでしてね。

最新の情報が欲しいのですよ。

とりあえずは先頃遠征を行った

ロキファミリアについてですね」

 

「ふむ、ロキファミリアか」

 

何か因縁があるのか?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

おや、しっかり情報は持っている様子

取り合えず痴女姉妹とリリルカとか

言う妹弟子の情報が欲しいのですが

ソレだけだと共通点がバレますよね。

そうなると・・・

 

「えぇ。とは言え知りたいのは

強者の情報でしてね。

フィン、ガレス、リヴェリア。

それからリリルカ、ティオネ、ティオナ

この六名の基本的な情報ですね」

 

別に金髪小僧も樽も耳長もいりませんが

アレが代表らしいですからね

 

「強者・・・なるほど。

しかし強者と言うなら凶狼と剣姫の

情報はいらんのか?」

 

凶狼?剣姫?

 

「誰ですそれ?前の遠征に居ましたか?」

 

それとも他にも師の教えを受けた者が

居るのでしょうかね?

・・・あぁそうか、本拠地を空にする

わけには行きません。

信頼できる者が留守を預かっている

と考えれば当然ですか。

 

「いや、おそらく居たぞ。

金髪で風を纏う魔法を使う剣士と

白髪で蹴りを主体とする拳士だ」

 

うん?金髪と白髪は確かにいましたし

風と蹴りも使ってましたけど。

 

「いや、アレ強者じゃないでしょ?」

 

装備とレベル頼りの未熟者ですよね?

何を基準にしてるんですこの骨?

目は・・・節穴でした。

ならばしかたないですね。

この分だとコイツの持つ情報も

役に立ちそうにありませんか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ま、現金収入の宛ができただけ

良しとしましょう。

無職で無一文だと師に折檻されますからね。




硬軟織り交ぜた情報収集中
見た目で差別なんかしませんよ?

異端児のレベルアップ云々は
当然オリ設定です



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24話

最近ご無沙汰な方々と
初見の方々

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!



ロキファミリアからの予約ですか・・・

 

『来るのは明後日。数は大体70だそうだ。

忙しくなるから覚悟しな!』

 

「「「はいっ!!」」」

 

ミア母さんが吹っ切れたのは嬉しいの

ですが、この分では彼は来ませんね。

 

くそっ!リリルカのレベルが

上がったので一緒に探索に行っても

足手纏いになるし、

料理の新作もないから

リリルカとナァーザが来ることは

あっても、彼がこっちに来ることも

無くなってしまった。

 

私に彼の野菜を調理する力があれば・・・

 

さらにロキファミリアの痴女姉妹、

ヒリュテ姉妹も先生の教えを受けてるとか?

私もステイタスの更新ができたら

鍛えてもらえたかもしれないのにっ!

 

私がこんな状況だって言うのに

シルなんて最近お気に入りの冒険者を

見つけてきゃっきゃしてるし。

さっさと爆ぜろ」

 

「なんかリューから怖い言葉が

聞こえた気がするんだけど」

 

「最近シルが白いのと楽しんでるから

羨んでるにゃ」

 

「妬ましいって言ってるにゃ」

 

「ま、そうよねぇ。お弁当とか作って

青春してるんだもの」

 

「「リューには不可能にゃ」」

 

『リュー、あんたはミアハの所に行って

茶を買って来な!』

 

「は、はい!」

 

ナァーザの店の茶ですか。

あぁ勇者と九魔姫や酒を飲まない

エルフ用ですね。

 

アレは初めから疲労回復を

目的とした茶ですから、特殊な

淹れ方をしなくても誰でも楽しめる

モノでしたね。

さすが先生。優しさと実用性を兼ねた

素晴らしいモノです。

当然私も飲んでますが、ナァーザは

先生とあのお茶の開発を・・・

くそっ妬ましい」

 

「もうダメにゃ、なんとかするにゃ」

 

「どうやって呼ぶにゃ?もうリリルカは

ウチらより強いにゃ」

 

「招待しようにもウチの店じゃ

味の好みが違うからねぇ・・・」

 

「アレンさんが最近仲良いみたいだから

頼んでみようか?」

 

「うげっ!あいつにゃ?」

 

「なんかイシュタルファミリアで

仲良くしてるって話だよね」

 

「「「うほっ!」」」

 

「あっ馬鹿っ!」

 

イシュタルファミリア・・・

女狐と麗傑が居ましたねっ!

くそっ麗傑はともかく女狐がっ!

専属とか羨ましい!

専属の娼婦ってもう内縁の妻じゃないですか!

 

後から出てきたぽっと出のくせに

彼を独占するなんて!

しかもお金まで取ってる?

考えられませんよ?!

逆に払わなきゃダメでしょう?

 

ま、まぁ彼も男ですから?

時には迸る熱いパトスを放出して

思い出を裏切ることだって必要でしょうけど!

何も娼婦で解消することはないでしょうに。

 

いや、職で差別する気はありませんよ?

特定の彼女が居ないと言うことですし?

リリルカのような幼女趣味でないことは

良い事ですけど?

もっと身近に目を向けてくれませんかねぇ。

 

・・・女狐に交渉してみますか?

いや、何て言うんです?私もまぜて?

 

いや、流石にはしたないっ!

だけど待ってるだけじゃ手に入らないのも

事実だし・・・男性を教えて欲しいとか

言ったら先生なら優しく教えてくれそう

ではある。

 

それにアレン・フローメル。

まさか女嫌いで有名な彼が

イシュタルファミリアにまで行って

彼とナニかしていると?

このままでは彼が間違った方向へ

進んでしまうのでは?

 

・・・行くか?」

 

 

『さっさと行きなっ!』

 

「はいっ!!」

 

まさか心を読まれた?!

その上で私の後押ししてくれた?

 

「「「ナァーザの店だぞ!!」」」

 

・・・そうでしたね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『リリルカ・アーデの装備のメンテナンス料金?』

 

そんなのコッチが知りたいわよ

 

『せや、今回の遠征に付き合って

もろてな。必要経費として支払わな

あかんのやけど・・・

アレって例の無双農家の作品やろ?

いくらくらい払えばいいのか知りたくてなぁ』

 

ん?遠征に付き合ってもらった?

必要経費?この言い方って、まさか

 

『・・・見たの?』

 

『は?』

 

『だから!リリルカ・アーデの装備品!ちゃんと見たの?!』

 

見たのよね?!だからこそ私に聞きに来たんだし!!

 

『あ、あぁ、ウチの団員が見とるよ』

 

団員が?あぁわざわざロキに見せたりは

しないか。それに確かファミリアとしては

仲が悪いけど、ティオネとティオナが

仲が良かったわね。

もしかしたら詳細を聞いてるかも・・・

 

『彼らは椿のところね?行くわよ!』

 

何やってるの?

さっさと来なさい!

 

『お、おう』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふむ、不壊属性の武器なぁ」

 

「そうだ、厄介な敵でね。

アダマンタイトで作った投げナイフも

あっさりと溶かす溶解液を使ってくる」

 

「なるほど・・・」

 

ロキファミリアのフィンが

専属契約を結んでるわけでもないのに

いきなり大量の不壊属性の武具が

欲しいとか言ってきたから一体何事かと

思えば、そういうことか。

 

おそらくゴブニュのところに半分、

ウチに半分と言ったところだろう。

 

「とりあえずあの場に出てきたのは

潰したけど、51階層以降にあいつらが

いないとも限らないしね」

 

安全地帯と言われていた階層にまで出てくる

くらいだからな。警戒するのも当然だろうさ。

 

「しかし不壊属性を付けた武器は

切れ味が落ちるぞ?それに壊れは

しないが摩耗はする。

第一、それほどの溶解液を相手にしたら

刀身が歪んだり更に切れ味が落ちたり

するだろう。お前らの中に鍛冶技能が

ある団員はいたか?」

 

メンテナンス出来んなら深層に持って

いっても邪魔になるだけだぞ?

 

「・・・居ないね。ならせめて

僕の槍とガレスの斧を鍛えて欲しい」

 

ガレスに関しては専属契約だからな。

しかしフィンの槍か・・・そそられは

するが不壊属性がなぁ。

 

むぅ、どこまで切れ味を保てるかを

考えるのも面白いかもしれんが・・・

 

「・・・条件がある」

 

「条件?」

 

「次の遠征に自分も連れていけ。

それなら頼まれた分の不壊属性の

武器を作ろうじゃないか」

 

メンテナンスもそうだが

実際に使い手を見てみんことにはな。

フロスヴェルトの様子も見たいし。

 

「それは願ってもないことだが、良いのか?」

 

「主神様に許可をもらわねばならんが、

たまには試し切りをせんとな」

 

ついでに自分の錆も落とさねばならん。

やはり自分で使えぬモノに一流の武器は

作れはしないだろう。

 

「それは助かる・・・とりあえず

僕とガレス、ベートの分を頼みたい。

余裕があったらティオネとティオナだね」

 

ふむ、ということは剣姫はゴブニュだな。

まぁ、あの人形はあまり好かんからあっちで

作ってくれるならそれに越したことは無い。

 

「相分かった。不壊属性以外に何か希望はあるか?」

 

一言で槍と言っても、長さや重心の

位置は人それぞれ。

石突の作りなど拘ればキリがないが

フィンほどの使い手ならば自分の

ことを理解しているからな。

無駄な注文はせんだろうよ。

 

そう思っていた時期が自分にもありました。

 

「条件か・・・先端の部分に不壊属性

は必要ない。

代わりに柄の部分をやや重くして、

石突に魔法無効を付けることはできるかい?」

 

それでは槍というよりは棍・・・

待て。今こやつは何といった?魔法無効?

 

「フィン、まさかお主・・・」

 

『居たっ!』

 

「主神どの?」

 

なんだ?妙に興奮しとるが、男でも漁りに来たか?

 

『椿!フィンはリリルカ・アーデの武器を

詳細に見たそうよ!』

 

「おぉ!やはりそうか!」

 

棍で魔法無効なぞ奴の武器でしかありえんからな!

 

「え?いや、魔法の吸収と放出効果のある

武器が作れたなら、無効の方が簡単なんじゃ

ないのかい?」

 

『「そんなわけないだろう!!」』

 

これだから門外漢は。

 

「わかっとるのか?アレはありと

あらゆる魔力由来のモノを

無効とする武器だぞ?」

 

『そうよ!わかりやすく言えば、アレには

無効化できる魔力の上限が無いの!』

 

「フロスヴェルトは一回吸収したら

放出せねばならん、さらにその際

吸収した魔力の分だけ反動が生まれる!」

 

『つまり使い手にも武装にもダメージを

与える諸刃の剣!しかも回数制限がある!

だけどリリルカ・アーデの棍はそんな

反作用が一切ない!ただ重いだけ!』

 

「自分の装備は複雑な機構をしとる分

壊れやすいが、それだって

衝撃を逃がすためにわざと強度を

落としている部分だってあるんだぞ!」

 

『けどあの棍はどう?単純な構造

でありながら完璧な機能を有してる

じゃない!!』

 

「想像してみろ!小柄で完璧な防具を

装備した、素早い動きと卓抜した技術を

持ったアレが、際限なく魔法を無効化する

武器を使って接近してくるんじゃぞ?

しかもその攻撃はお主らが思っとる

以上に重い!防げば潰されるぞ?

どうやって対処する?!」

 

『更にあの防具は防火耐熱適温維持なんて

属性まで網羅してるから、広範囲の魔法も

意味を成さないのよ!』

 

「武器は魔力由来の呪いや毒すら

無効化し防具は一切の環境の変化を

受け付けない、まさに特殊武装!

さあ教えろ!一体どんな武装だった?!

どんなメンテナンスをしていた?

材質はなんだった?!!」

 

「え、いや、流石にそこまでは・・・」

 

『「くそっ!」』

 

鍛冶師じゃないフィンにはわからんかっ!

それにこやつは女性の装備のメンテナンスを

のぞき見などするような男でもないからな!

 

『なら、ティオネやティオナは?

彼女たちなら何か知ってるでしょう?!』

 

「いや、さすがに素材や加工方法は

聞いてないはずだけど・・・」

 

『「くそっ!」』

 

それはそうか、鍛冶師でなければ

世間話でするような内容では無いからな!

 

『あぁ、そういや二人してゴブニュに頼んで

防臭と消臭とサイズ自動調節って機能を付けて

もらうつもりとか言うとったで』

 

『「サイズ自動調節?!」』

 

「なんだその画期的な機能は?!」

 

『形状記憶ではなく自動調節って

そんなのもう神器じゃない?!

なんでそんなのを装備してる

冒険者を放置してるのよ!!』

 

「いや、放置はしてないが・・・」

 

鍛冶師的には放置だろうがっ!!

 

「次の遠征には参加するのか?」

 

もし参加するなら絶対に調べるっ!

 

「いや、理由がないから多分無理かなぁ」

 

『「理由がないなら作れっ!」』

 

『「無茶言うなっ!!」』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あの装備が凄いのは分かった。

だけどこれ以上リリルカさんに

迷惑をかけられるか!

 

『こっちにも事情が有ってな。

さすがにもう遠征には誘えへんねや』

 

せっかくティオネのお茶で胃も

回復したってのに、打ち上げ前に

これ以上の悩み事なんか作らんぞ!

 

「むぅ・・・防臭と消臭かそれは【神秘】を使っておるな」

 

『そうね、鍛冶師にはない発想よ。なんでアレが農家してるのよ・・・』

 

なんか二人で話し合い始めたし

 

「しかし重さ以外で、使い手の

魔力を吸収することでアレだけの

属性を維持しておったのか」

 

『あえてデメリットを作ることで

効果を増してるとは。

ある意味呪いの装備と同じ発想だけど、

きちんと制御が出来ているってところに

抑えられているのが彼の技術なのよね』

 

まぁ確かに。魔力がなければ呪いの装備だね。

 

「本来ならデメリットだが、

リリルカ・アーデに魔力があることを

前提としているから、汎用性は無いが

専用武器としてなら完璧ではないか」

 

『ステイタスの魔力も自動で

鍛えれると考えれば、

むしろメリットよね。

装備してるだけで強くなるわ』

 

「重さもな。武装と合わせて

一トンはあるだろうが、リリルカの

スキルはソレを無効化する」

 

無効化どころか補正が掛かって

手がつけられなくなるけどね。

 

『見た目も機能性だけじゃなくしっかり

オシャレを考えて作られてるのよね』

 

「そうだな、アレだけの属性を

付けるとなれば、どうしてもゴテゴテ

した見た目になると思うんだが」

 

あぁ、それはそうだね。

リリルカさんの魅力を殺さない、

むしろ引き立てる装備だった。

 

『そうよ、それに装備自体の重さを

支えるだけの強度としなやかさが必要ね』

 

「一見すると普通の服なのに・・・

一体どれだけの技術を込めておるのだ」

 

そう言われればそうだ。

簡単に不壊属性とか防臭とか消臭とか

言ってるけど、不壊属性は壊れないって

だけで劣化もするし傷みもあるんだよね。

 

「・・・主神殿なら作れるか?」

 

『・・・使い手が居ないわ。

それに私はデザインは得意って

わけじゃないし。更に言えば肝心の

魔力無効がわからないわよ』

 

 

まぁヘファイストスは鍛冶の神様であって

デザインとかはフレイヤとかイシュタルの

領域だもんなぁ。

 

「ティオネとティオナの武装を

優先して作るからその代わりに

情報を貰うわけには・・・」

 

「その交渉は君個人で頼む。

僕としてはあの二人には近接武器

ではなくて礫のようなモノを用意してみる

つもりだからね」

 

石で殺せる程度の防御力しか

なかったからね。

アレを前にして冷静さを

保っていられる二人はアレの厄介さ

を知ってるから無理に戦わないし。

 

下手な近接武器よりその方がいい。

 

切れ味が必要な敵が出てきたら

二人に任せる感じにするさ。

 

「なるほど、だから余裕があれば

と言ったのか・・・」

 

『隙がないわね。とりあえずデザイン画

だけでも貰えないかしら?』

 

そんなの貰えたら僕の部屋に飾るよ

 

「絵が得意な奴に描かせるか?

しかし本人の許可が無いと・・・」

 

『えぇ、ただの犯罪者になるわよ』

 

うん。だから僕だって我慢してるからね。

 

『あ~とりあえずなんやけど、

ファイたんとこでメンテナンスする

としたらナンボくらいになるん?』

 

そういえばロキはソレを聞きに

来たんだったね。

 

『「コッチが払う!!」』

 

「・・・参考にすらならないじゃないか」

 

『・・・ほんまや。もうどないしよ?

請求書出してもらおか?』

 

はぁ・・・悩みが溜まる一方だ・・・

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「「「サイズ自動調節だと?!」」」』




団員のテンションを考えて
打ち上げを先にやることにした模様。

白兎が来るかどうかは・・・

名前は出てたけど
ようやく登場の鍛冶神様。

遼来来さんじゃないですよってお話



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25話

前話の続きと言うか
その頃彼らは・・・と言うか。
そんな感じのお話

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし



「まさか試しもしないで『無理だ』

なんて言われるなんてねー」

 

「そうよね。まったく鍛冶の

神が情けない」

 

まぁ必要なのは最低でも神秘と鍛冶らしい

からどうしても出来ないらしいんだけど、

消臭とか防臭くらいはできて欲しいものよね。

 

「しかもアイズに至っては剣が相当傷んでた

とかでメンテナンスって言うか修繕だしね」

 

「芋虫とはそれほど戦ってないはず

なんだけど、あの大きな花が原因かしら?」

 

あの花の周りにも芋虫は居たから

両方って可能性はあるわよね。

それとも普段から無理な使い方してるから?

不壊属性に頼りすぎって先生も言ってたし。

 

「私たちは特に武器も痛めてないし

簡単なメンテナンスで終わるらしいけど、

椿に私たちの分も不壊属性の武器を

作ってもらうのかな?」

 

「いえ、私たちは礫みたいな

使い捨ての武器を使うらしいわ」

 

不壊属性は頑丈だけど切れ味が

落ちるからね。

それに全員が不壊属性を持っても

しょうがないって言われたし。

 

これは、アレよね?信頼の証っていうの?

雑魚相手に無駄に突っ込んで武器を

傷めてメンテナンスに予算を使った

アイズやベートを芋虫対策にして、

指示に従って功績を上げた私たちを

決戦戦力として考えてくれてるのよね!

 

「へぇ~。なら芋虫はアイズとベートで、

他の強いのが私たち?」

 

「そうなるわね」

 

よしよし、ティオナもちゃんと気付いてる。

これで、新しい武器が無いのが不公平だー

とか言って団長を悩ませることもないわね。

 

「いやーなんか嬉しいよね?

今まではさぁ、差別とまでは行かないけど、

便利な魔法を使えるアイズが中心みたいな

ところあったから!」

 

「そうね、確かにアイズの魔法は汎用性は

高いけど・・・指揮官の言うことに

従えない兵士は戦場じゃ邪魔になるもの。

団長にしてみたら、きちんと状況を見れて

言うことも聞く私たちの方が使いやすい

んでしょうね」

 

優秀な指揮官は計算を狂わされるのが嫌い

だから、緊急時以外は動くより考えろ。

そして最初に団長の言うことを聞けって

言われたけど、その通りだったわ!

 

今回はアイズとべートとリヴェリアがアレ

すぎたし、私たちの評価が急上昇よ!

 

「そうだ!浮いたお金で農家さんに

消臭とか防臭の効果がついた装備品

作ってもらえないかな?」

 

「ん~難しいかもよ?あの人は

あくまで教師で農家だから」

 

お金でどうこうって人じゃないし、

鍛冶の腕を褒められてもあんまり

嬉しそうじゃないし。

 

「あーそれもそうか・・・あとは

アスフィとかなら作れるのかな?」

 

「鍛冶がないからねぇ。

けどお守りみたいな形なら

作れるのかも?」

 

一回聞いてみようかしら?

 

とりあえずはナァーザの店に行って、

お茶とお菓子の追加よ!

攻めれるときに攻めなきゃね!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「なるほど、溶解液か」

 

「そうですね。アレは厄介です」

 

どーりで全体に傷みがあると思った。

なるほど、溶かしてきたか。

 

こうなると不壊属性ってのはあくまで

魔力的な保護なのかもな。

魔力で形状を記憶させてる?

それとも切れ味が落ちたり、

歪みが出ることを考えたら

不可視の鞘みたいな形で無理やり

押しとどめてるのか?

 

未熟者が鞘のまま斬るから刀身が

歪む感じだと思えばわかりやすいか。

 

ふむ、これは後で魔法無効の武器で

不壊属性の武器を破壊できるか

どうか試したほうがよさそうだ。

 

肝心な時に武器が壊れて使えません

では話にならんからな。

逆に不壊属性の武器を壊せたら

相手に隙が出来るだろうし。

 

・・・もし不壊属性を破壊できるなら

【貫通】属性も行けるな。

くっくっくっ待っていろギリメカラ。

貴様とドッペルゲンガーには

貸しが溜まってるんだからな!

 

「とりあえず状況は分かった。

この分ならメンテには1週間だな。

それまでは・・・槍でも持つか?」

 

「槍ですか、ロキファミリアの勇者

さんと被るからちょっと・・・

他のは無いですかね?」

 

あぁ、被りはいかんな。それに棒なら

ともかく槍を持ち歩いてたらタダの

危険人物だもんな。

 

「では旋棍だな。携帯できるし素手との

親和性も高い。魔力無効は無いが不壊属性

はついてるから、その辺の武器よりは

よっぽど使えるだろう」

 

「あぁ、たしかに旋棍ならリーチは

ないですけど小回りが利きますからね。

不壊属性がついているなら盾にもなるし

十分だと思います。

けど、なんで普段からコレを

出さないんですか?

別に棒の邪魔にはなりませんよね?」

 

隠し武器としても使えるから邪魔には

ならんのは確かだが・・・

 

「完成度が低いからな」

 

ただ頑丈なだけのヤツだし、

練習用には良いが外に出すのは

ちょっとなぁって感じなんだよ。

 

「・・・コレ、完成度低いですか?」

 

「元々武器事体が無駄のない設計だから、

不壊属性だけで十分ではあるんだが

もう少し手を加えたいんだよなぁ。

かといって何を加えればいいのか

わからんし」

 

機能的には完成してるからなぁ。

かといってコレに魔法無効を付けると

どうしても体に触れるからアレだし。

 

「なるほど、下手に属性をつけてしまい

これが熱かったり冷たかったりしたら

使い手にもダメージ入っちゃいますね」

 

そうなんだよ。ゼロ距離だから

工夫が難しいんだよなぁ

 

「反対に、間合いはあるけど属性が

付けられないのがこの縄鏢だ」

 

「縄鏢、ですか?なんと言うか、投げナイフに

縄が着いたって感じですよね?」

 

「そうだ。先端から縄の部分まで不壊属性

だし暗器としても使える。

使い方次第で捕縛から打撃、斬撃、刺突、

防御と幅広く使える優れモノなんだが、

コレも他の属性を付けるのが難しい。

とはいえ、お前が遭遇した芋虫には効果的

だろう。

ただ、完全に使いこなすには九節鞭や投げ

ナイフを使える技量が求められる一品だ」

 

「えっと、確か投げナイフなら

ティオネさんが使えましたよね?」

 

そうだったか?体術とククリナイフっぽい

武器だと思ってたが投げナイフも出来たか。

 

「ティオネか。流石に昨日の今日で

店に来るとは思えんから、その話は

次に会ったときにでもしようか。

今日は店の営業が終わったら、お前は

ナァーザと飯に行くんだろ?」

 

「そうですね、せっかくの無料券です。

それにナァーザさんも相当ストレス

溜まってるみたいですし」

 

あぁ、愚痴が有るって言ってたからなぁ。

リリルカと違ってナァーザの悩みは

恋愛が絡むから相手を選ぶんだよな。

俺は何故かミアハに敵視されてるし。

 

「ま、せいぜい付き合ってやれ。

俺は帰ってメンテと晩飯だ」

 

「よろしくお願いします。ちなみに

メンテナンス料金は幾ら払いましょうか?」

 

「溶解液のせいで傷みが有るから

フルメンテなんだが、ロキファミリアに

請求だろ?下手に勘繰られたく無いから、

三等級武装の料金でかまわんよ」

 

不壊属性の穴も見つけたしな。

溶解液についても研究しなきゃ

ならんと言うことがわかっただけでも

十分な収穫だ。

 

「あぁ、それなら精査も何も無いで

しょうからこれ以上の関わりも絶てます。

・・・ほんと助かりますよ」

 

そんなしみじみ言われてもなぁ。

フィンには悪いが、ティオネが

どこまで攻めれるか楽しみではある。

 

「防具については鎖帷子は持っていくが

それ以外は普通に洗濯しとけば良い。

だいぶ上達したようで嬉しいよ。

そんじゃお疲れさん」

 

「了解です、お疲れさまでした!」

 

 

 

 

 

 

・・・ダンジョンで視線を感じた、か。

さらに今のリリルカでも位置を特定

出来無い程の使い手でありながら、

危機的状況でもちょっかいを

出してこなかった。

 

ついでに49階層の敵の不自然な動き。

 

ふむ、ようやく来たかもな。

それもアイツら側で。

もしくは少し前にレヴィスが言ってた

新入りか?

 

ん~そうなると無一文だよな。

服とか用意しといてやろう。

この辺の奴らは基本痴女だからな。

いやはや、サイズ自動調節付の素材が

あって良かった良かった。

 

さて、メッセージはどうするか。

わざわざ隠れてたのは種族的な

何かが原因だろうし。

それなら正面からは出て来れないよな。

 

ダイダロス通りの出入り口は闇派閥が

出荷で使うだろうから、ココで潰す

訳にもいかん。

俺が一人でダンジョンに潜ったら目立つし。

 

アレンでも連れていくか?

アイツの武器は槍だから、適当な長物を

作ってから「リリルカに使わせる前に

試してほしい」とか言ってみれば、

乗る可能性は高いよな。

武器はそのままくれてやっても良い。

 

俺とアレンを追跡しようとする冒険者は

居ないだろ?

フレイヤが見るかも知れんが、アレも

わざわざ俺を敵に回そうとはしない

だろうしな。

 

んで、鍛練だって言って気絶させてから

コンタクトを取ればなんとかなりそうだ。

 

もしくはロキファミリアにメッセージを

持たせるか?

奴らとしては今回は不完全燃焼だろうから、

武装を整えたら再度遠征に行くはずだし。

その時にティオネとティオナにわかりやすい

道具でも持たせるか。

 

あとの問題は青紅剣が装備出来るかどうか

だな。サイズとかなら打ち直しすれば

良いけど、そもそも手がないとか、下半身

蜘蛛とかだとリーチや踏み込みの関係で

槍にしなきゃならんし。

 

 

 

さてさて楽しくなりそうだな。

 

 

 

―――――――――――――――――

 

「何故もう少し引き留めないっ?!」

 

「エロフの都合なんて知りません!

さっさとお茶買って帰れっ!」

 

「あぁん?」

 

「殺りますか?」

 

「「・・・」」

 

「お店で暴れないでよー。

暴れたら先生に言うからねー」

 

「「・・・ちっ!」」

 

「ナァーザ!お茶とお菓子売って頂戴っ!」

 

「・・・ティオネ、あんたウチが薬屋だって

忘れてない?」

 

「「「えっ?」」」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

……なるほど、農家ですか。

自由気ままに生きるには自作農が

一番と判断したのでしょうかね?

 

そうなると、ある程度の土地を持って

るでしょうし、人手も要るでしょうから

居場所が無いと言うことは無さそうです。

 

いやはや、荘園に居たときを思い出しますね。

思い返せばあのときが一番自由に生きていた

気もします。

 

・・・いや、あの人はずっと自由でしたか。

 

「エイン殿?」

 

おっと、つい思い出に浸るところでした。

やはり私も無理をしているのでしょうね。

 

「いえ、考えを纏めてまして。

では、今現在地上で一番の強者と

呼ばれているのがフレイヤファミリアの

オッタル。コレはまぁわかります。

それで次点がロキファミリアのフィン。

よくわからないのが無双農家なんですね?」

 

オッタルとやらは赤髪も闇派閥

から聞いてたみたいですからね。

現在唯一のレベル7と言う話ですが、

師は違うのでしょうか?

さりげなくレベルを上げてそうですけど。

 

しかも有名なのによくわからない・・・

ふふっ、相変わらずですよね。

 

「そうなるな。しかし技術的な面や、

弟子の育成と言った方面では無双農家が

一番だろう。フィンもファミリアの若手を

育てているが、アレはロキファミリアと

してのモノ。対して無双農家は個人だ」

 

なるほど、5年で普通の小娘だった

リリルカをあそこまで鍛えることが

できるのは地上で師くらいしか居ないと。

 

更に冒険者は基本的に我が強く、種族や

ステイタスの関係上流派と言えるモノも無い。

実戦で鍛えたモノが全てなわけですか。

 

「では強者を求めるならフレイヤか

ロキファミリア、もしくは無双農家の

関係者ですね」

 

「そうなんだが。正直に言えば、あまり

ちょっかいを出して欲しくないと言うのが

こちらの意見だ」

 

ふむ。この調子で戦闘にしか興味が

無いと思わせましょうか。

 

「強さを求めてこんな場所に潜って

ますからね。無駄な殺生や弱い者虐め

をする気はありませんが、力試しは

してみたいじゃないですか」

 

「それはまぁ、冒険者としては

そうなんだろうが・・・」

 

とりあえず蛮族みたいなことを言って

みたら納得されてしまいましたよ。

冒険者は痴女な上に蛮族なんですか?

 

・・・淫獣母娘もそんな感じでした。

あんな感じのがウロウロしてるのですね。

 

「とりあえずナマモノとその仲間の

扱いは良いでしょう。彼方から襲って

来ないなら、私からは殺す事はないと

お約束します」

 

お土産には丁度良いでしょうしね。

 

「それは有り難い。彼等には貴女の

事を伝えて置く。もしそれでも

襲われたなら、出来たら生かして

おいて欲しいのだが・・・」

 

「それは約束出来ませんね。手加減しても

死ぬモノは死にますから」

 

土産は欲しいですが阿呆は要りません。

 

「それもそうだな。一応出来るだけでも頼む。

それから彼等を売り捌こうとする闇派閥に

ついてだが、奴らはどう処理してくれ

ても構わない」

 

「当たり前ですね、もし生かせとか言ったら

全身を砕いてましたよ」

 

「・・・」

 

貴重な情報源ですからアレですが、

問題は師が顧客だった場合なんですよね。

 

珍しいから買ってみて、とりあえず畑で

働かせてるとか有りそうなんですよねぇ。

 

どこで繋がってるかわからないから

今まで処理も出来ませんでしたが、

何か解りやすい符丁でも用意しておき

ますかね?

妹弟子や師の関係者ならわかるモノを

どこかに用意して飾りますか?

 

「とりあえず今回はこの程度で

良いでしょう?私とて初対面の

アナタとむやみやたらと契約など

交わしたくはありませんからね」

 

あまりがっついてもアレでしょうし。

 

「・・・そうだな。まずは次回

来るときに今回の分の報酬も

お持ちしよう、それに満足して

もらえ無いことには次の段階には

進めないだろうしな」

 

「そう言うことです。

私は普段は37階層の地下にある

安全領域にいますので、何かあったら

37階層に来て下さい。もし異端児が

居たら保護しておきましょう」

 

「あぁ、よろしく頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それでは符丁を考えますか。

いやいや、楽しくなってきましたよ」

 

 

 




娼婦はハーレムには含まれないと
思うのですよ。
だからタグには入れてませんよ?

まさか、なぞのおりきゃらに
知り合いが居るのか?!ってお話


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26話

話の進行上
なぞのおりきゃらが出せない・・・

オリ展開
オリ設定

常識フィルターが団長の胃を襲う!!

嫌いな人は読み飛ばし!


「団長!このお酒美味しいですよ!

もっと飲みましょうよぉ!」

 

「あはは、僕を酔わせてどうするつもりだい?」

 

ティオネ?最近は落ち着いてると

思ってたけど、お酒を飲んでとうとう

いつものアレが出たか?

 

「団長、こちらをどうぞ・・・」

 

「ん?」

 

何故小声?・・・いや、そうか!

酒の瓶に入ってたけど、注がれたのはお茶!

 

しかし、なんでわざわざこんなことを?

 

・・・あぁ、なるほど。わざと僕に絡んで

内心でイラついている今の僕に他の団員を

近付かせないのと、自分が絡むことで僕が

疲れていたりイライラしてるように見える

ことに違和感を与えないようにしてくれているのか。

 

僕だけじゃない。他の団員達や周りの空気を

読んだ素晴らしい配慮じゃないか。

自分が道化役を演じてでも他人を

気遣うなんて・・・

いつの間にこんな良い子に育ったのやら。

 

いや、彼がきちんと教えてくれて

彼女がそれに応えたんだよね。

 

それもこれも僕の為、か。

……あぁ、疲れた胃に配慮が染み渡る。

 

「・・・ティオネ、ありがとう」

 

「はいっ!(小声でありがとう頂きましたっ!

打ち上げではわざとらしいくらいに

接触しても良し。だけど飲ませるのは

お酒じゃなくお茶。そうすれば団長は

私に感謝してくれる!

普段は接触したら離されるのに、

今は受け入れてくれてる上に感謝までっ!

流石先生っ完璧です!)」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「そうだ、アイズ!お前、あの話を聞かせてやれよ!」

 

「あの話?」

 

なんだ?何かあったのか?

 

「ティオネ・・・何かあったのか?」

 

「すみません、わからないです。ただ……」

 

「ただ?」

 

なんだろう?

 

「アレが何を言いたいのかはわかりません。

ですが確実に碌でもない事だと思います。

いつでも止めれるような準備は必要かと」

 

「・・・それはそうだね」

 

酔っぱらいが大声で叫ぶ内容がマトモな

はずないからな。

しかもべートとアイズがかかわっていて

僕たちが知らないなら・・・帰還時の

怪物進呈だろう。

 

あの馬鹿。一体どれだけ僕の胃を痛めれば気が済むんだっ!!

 

「アレだって!帰る途中で何匹か逃がした

ミノタウロス!

最後の一匹はお前が5階層で始末しただろ?

その時にいたトマト野郎の話だよ!」

 

情けない・・・初めからお前とアイズが

ラウルの指示に従って全力で上に

向かっていれば、ミノタウロスごとき

そこまで逃がしはしなかっただろうに。

 

命令違反をしたことと恥を晒している事を

自覚しているのか?僕はカチ割ると言ったぞ?

 

「それでよ、いたんだよ!

ミノタウロスから逃げて追い詰められて

ガクガク震えていた、いかにも駆け出しって

言うようなひょろくせえ冒険者が!」

 

上層に駆け出しの冒険者がいるのは

当たり前だろう。

何を言ってるんだあの馬鹿は?

 

「抱腹もんだったぜ、兎みたいに壁際へ追い込まれちまってよぉ!」

 

僕は胃が痛くて腹を抱えそうだがな。

 

『ふむ、それをアイズたんが助けたんか?』

 

「あぁそうだ、アイズが間一髪のところで

ミノタウロスを細切れにしてやったんだよ!」

 

細切れに?なぜそんな事をする必要がある?

 

…まさか試し切りか!あの緊急時にそんな

ことをしながら動いてたのか?!

それじゃあ5階まで逃すわけだ・・・

 

「それでそいつ、牛の血を全身に浴びて

真っ赤なトマトになっちまったんだよ!」

 

僕が掃除したのはソレかっ!

お前らが黙って魔石を潰してれば

余計な手間もなかったものをっ!!

 

「それにだぜ?そのトマト野郎、叫びながら

どっか行っちまってな!うちのお姫様

助けた相手に逃げられてやんの!」

 

混乱してたんだろう?ミノタウロスより

怖い相手が来たと思って生存本能に

従って逃げたんだ。

 

緊急時に固まったりオタオタするよりよっぽど優秀じゃないか。

 

「いい加減その五月蝿い口を閉じろベート。

ミノタウロスを逃がしたのは我々の不手際だ。

その冒険者に謝罪することはあれ、

酒の肴にする権利などない」

 

・・・まったくもってその通り。

ここでお前まで反省してないようなら

僕の怒りは有頂天だったよ。

 

「はっ、さすがエルフ様!誇り高いこって。

でもよ、そんな救えねぇ奴を擁護して何になる?

ゴミをゴミと言って何が悪い?!」

 

誇り高いとかじゃねぇよ。

リヴェリアが擁護してるのは自分のミスだ。

ゴミ?自分のことか?

 

『ベートやめぇや。酒が不味くなる』

 

ロキにしてみてもアレは笑い事じゃない。

「反省してないじゃないか」ってなったら

次はロキに顛末書を書かせるからな。

 

「アイズはどう思うよ?

敵の目の前で震え上がるだけの

情けねぇ野郎を?

あんなのが俺達と同じ冒険者を

名乗ってるんだぜ?」

 

お前と同じ冒険者を名乗ってることが

コレほど恥ずかしいことだとは

思わなかった・・・

 

そもそもレベル1の冒険者がミノタウロス

を見て震え上がるのは当然だろう?

 

それにそこまで見たならさっさと助けろ!

そしてその感想はおかしいだろ?むしろ逆だろうに!

 

「・・・その冒険者、素質ありますね」

 

うん、ティオネはわかってるな。

そうだ。レベル1の冒険者があんな場所で

ミノタウロスに遭遇したら、逃げるどころか

固まって殺されるのが普通だ。

 

それが無事に逃げ延びて、援軍が来るまで

生き残った・・・立派な冒険者じゃないか。

 

「・・・あの状況じゃしかたがなかったと思います」

 

仕方ないって。アイズもその程度か・・・

コレがロキファミリアの幹部って。

僕は今まで一体何をしてきたんだろう。

 

「何だよ、いい子ちゃんぶりやがって。

じゃあ、質問を変えるぜ?

あのガキと俺、ツガイにするならどっちがいい?」

 

…もうダメだ。これ以上は【俺】が我慢できん

 

「・・・ティオネ、もういいアレを黙らせろ」

 

さすがにココでカチ割ったらミアに悪いからな。

 

「はいっ!」

 

「雑魚はアイズに似合わねぇ!!」

 

お前が強者だといつから錯覚していた?

 

 

 

「あっ!ベルさん?!」

 

ん?なんだ?このタイミングで食い逃げ?

 

『なんや?ミア母さんのところで食い逃げか?!』

 

いや、それなら店員が追ってるはず。

・・・まさかっ!

 

「アイズ!今すぐ今の少年を追えっ!

謝罪と所属ファミリアが分かるまで

帰ってくるな!

ティオネはそこの阿呆を縛れ!ガレス!

阿呆を拠点へ持って帰るぞ!

あぁ、ロキとリヴェリアとティオナは

他の団員と打ち上げを続けてくれ。

ミア、少年の分の支払いはこちらで行う」

 

「・・・!!」

「「はい!」」

「了解じゃ」

「む?どういうことだ?」

『りょーかいや』

 

リヴェリア・・・お前は馬鹿か?

 

『支払いについては了解したよ。けどね。

ウチも酒場だから客に酒飲んで騒ぐなとは

言わないけどさ、アレで幹部なんだろ?

もう少し品性ってヤツを鍛えてやんな』

 

「返す言葉もない。もし少年が来たら

こちらから謝罪したいので、名前や拠点。

あぁ、教えられる事だけでもいいから教えて

欲しいと伝えて欲しい」

 

『そっちも了解。アンタがまともでよかったよ』

 

まとも?幹部の一人も教育できない僕が?

皮肉にしては隠し味が効き過ぎだな。

 

「よろしく頼むよ。

僕は先に拠点に帰って謝罪の準備をする。

ラウル。すまないが君も帰還だ。

もう一度あのときの細かい状況を教えてくれ」

 

「は、はいっ!」

 

馬鹿がっ!

・・・いやソレを知っておきながら

甘やかして育てた僕が悪い。

 

責任とってロキファミリアの団長辞めて、

ソーマファミリアで杜氏できないかな・・・

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふむ、彼がこちらに向かって走ってきた?

目的地はダンジョンかしら。

 

その後ろに剣姫・・・彼を探してるわね。

 

『オッタル・・・いえここはアレンね、

アレンは顔を隠して剣姫の足止めを。

ダンジョンとは別方向に誘導して』

 

「はっ!」

 

『オッタルは彼が死なないように

見張ってて頂戴。おそらく彼の

目的地はダンジョンでしょうからね』

 

「はっ!」

 

今のアレンなら剣姫程度殺すことなく

足止めできるでしょう。

オッタルはどうしても目立つし・・・今後

繊細な仕事はアレンに回しても良さそうね

 

(師匠!俺は今!最っ高に輝いてるぞ!)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「それでね、もうポーション作るの

止めたほうが良いんじゃないかって

思ってるんですよ!」

 

あぁ、ナァーザさんも限界が近かったんですねぇ。

 

「作っても作ってもミアハ様がタダで

バラまくし。

この前なんか神友に眷族が出来たらからって

ご祝儀で大量に渡すし・・・」

 

「ま、まぁまぁ、そういった意味での

ご贈答ならバラ撒きとは違いますし」

 

理由があるなら、我慢できなくはないと思うんですが・・・

 

「その神友が二年前に20万ヴァリス貸して

まだ返してないヤツなんですよぉぉぉ!!」

 

「おおぅ」

 

ありましたねぇそんなこと。

確かじゃが丸君の屋台を爆破したんでしたっけ。

 

「それってまだ返済されてなかったんですねぇ

…ちなみに残りはどれくらいあるんです?」

 

「20万ヴァリスです」

 

「はぁ?」

 

返してない?1ヴァリスも?!

 

「もうミアハ様的にはあげたモノって

感じじゃないですかね?返済の催促

して下さいって言っても『そこまで

焦ることはないだろう?』って言うんです」

 

「・・・」

 

いや、まぁ今のナァーザさんは

20万ヴァリスくらいならポンと

払えるだけのお金がありますけどね。

それとコレとは違いませんか?

それにコレが200万だの

2000万になったら大事ですよね。

 

「今のうちにあの人にお金の大切さを

学ばせないとヤバくないですか?」

 

稼ぎを全部持ってかれますよ?

 

「そうなんです・・・お茶の保管庫や

金庫は絶対に開けられないようなのを

先生に作って貰いましたから良いの

ですけど、金庫に入れる前の売上や

ポーションはどうしても見つかってしまいます」

 

「それだけ聞くと、なんか中毒の人からお酒を隠してるみたいな感じですね」

 

リリの両親がそんな感じでしたよ。

 

「本当にそんな感じですよ。

それでミアハ様が『鍵はどこだ?』とか

探してるときがあるんですよ?

予備費で20万ヴァリスは置いてますから

金庫の鍵なんて絶対に必要ないのに!」

 

そういえば不壊属性の金庫に特殊な

認証が必要なようにしてましたね。

先生かナァーザさんが持つ鍵がないと

絶対に開けれない不思議な金庫でした。

 

先生が盗んだらどうするんだって思いますが、

あの人の場合お金が必要なら装備作って売れば

いくらでも手に入りますからね。

急に現金が必要になったから貸してくれって

言われたらイシュタル様とかも貸して

くれますし。ナァーザさんも先生相手なら

頼まれたら普通に出しますよね。

 

ティオネさんは縄鏢に興味津津でしたから

結構なお値段で売れそうでした。

うん、やっぱり先生が盗むのはありえないです。

 

「一体何にお金が必要なんですかね?騙されたとか頼まれたとか?」

 

「・・・孤児院の子供たちにお菓子をあげるんだそうです」

 

「ほほーん」

 

思っていたよりはまともな理由でした。

あくまで『思っていたよりは』ですけどねぇ。

 

「やってることは立派と言えなくもないですが、

ソレをするくらいなら【調合】を教えるなり

算術を教えるなんなりして孤児の手に職を

つけたほうが色々と良くないですかね?」

 

孤児の自立にも役立ちますし。

教養やスキルがあれば生まれはどうであれ

医療系のファミリアで雇い入れるでしょ?

と言うか、そういうことをしっかりしないと

いつまでたっても強請るだけのガキが

出来上がりますよ?

 

どこぞの狼さんとか剣姫さんみたいな。

 

「私もそう思います。けどソレを言っても

『孤児の教育はペニアの担当だ』で

終わるんですよ?!」

 

「はぁ。それならそのペニアさんとやらに

全部やってもらいなさいよって話ですね」

 

それができないなら共同で

教育するとかすればいいじゃないですか。

 

「本当にそう思います。

孤児に教育をしてるならポーションや

お金をバラ撒くこともありませんし!」

 

「あぁ、なるほど。ソレもありますね」

 

物理的な拘束もそうですが、孤児はお金に

五月蝿いですからね。バラ撒きは許さない

でしょう

 

「大体タダでポーションをばら撒いてたら

他の医療系ファミリアに叱られるんですよ?」

 

・・・まぁ、基本は商売ですからね。

タダでばら蒔かれたらそりゃ困りますか

 

「ほかの医療系の方々はあの愚行に

対抗するために試供品的な感じで

少量のポーションを付けたりしてますけど、

誰だって自分の作った作品がタダで

売られて面白いハズはないんです!」

 

ごもっとも。

 

「それでイシュタルファミリアからの

お香を始めとした大規模な事業を共同で

やってるんですね?」

 

最初は手が足りないと思ってましたが

そういう配慮だって必要ですよね。

 

「そうなんです。そういう配慮の

必要性を先生に言われてなければ

確実に潰されてましたよ・・・」

 

「さすが先生ですね」

 

ナァーザさんも目の前の借金とアホの

せいで視野が狭まってましたからね。

 

「まぁ私自身が医療系では珍しい

レベル3だし、色んな仕事も回してます。

それに先生の後ろ盾があるから

今は直接的な被害はありませんけど、

コレが続けばポーションを作れば

作るだけ損が出るんです・・・」

 

売上だけじゃなく、ほかの医療系

ファミリアにも害を与えてるなら

ポーション作りを止めようとするのも

わかります。

 

それに最近はミアハ様のお店ではなく

ナァーザさんのお店で浸透してますし、

お客さんのほとんどはお茶とお菓子

目当てらしいですからね。

 

「そうなるとお茶を医薬品扱いで

売るんですよね?

他には何か考えてるんですか?」

 

それだけでも十分でしょうが

茶葉は先生からの仕入れです。

「先生が居なくなったら商売が出来ません」

では独立したファミリアとは言えませんよ

 

「ソレを考えまして、リリルカさんにも

何か意見があればなぁって」

 

あぁなるほど。ソレを考えないことには

ポーション作りも止めれませんね。

 

「先生には?」

 

あの人に聞くのが一番早くないですか?

 

「・・・まずは周りから色んな意見を聞いて

自分で考えなさいって言われました」

 

あぁ、あの人はアドバイザーではなく

教育者ですからね。

相変わらず優しいのか厳しいのか

わかりませんねぇ。

 

「とりあえずお話はわかりました。

急に言われてもアレですから、

少し時間をもらえませんか?」

 

お酒関連だと二日酔いを治す

お薬とかあったらいいですよね。

ソーマ様にも聞いてみましょう

 

「あ、ありがとうございます。

意見をもらえるだけで助かります」

 

・・・相当弱ってますね

 

「まぁアレですよ!今後のことは

これから考えるとして・・・今日は

せっかくの美味しいご飯なんですから、

しっかり楽しんで帰りましょう!」

 

「そ、そうですね!こんなお店滅多に来られませんからね!」

 

お金があれば入れるってお店じゃ

ないですからねぇ・・・

 

「更に言えばなんたって無料です!

思いっきり食べて無料券を提供した

先生にしかめっ面させてやりましょう!」

 

それに無理にでもテンション上げて

いかないと、ナァーザさんが倒れますからね!

 

「はいっ!頑張っちゃいましょう!」

 

乗ってくれましたか・・・

せめて味わって食べるとしましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそもなんでリリがここまで全方位に気を

使わないといけないんですかねぇ?




気遣いの人リリルカ。

ミアハ死すべし

そりゃディアンケヒト様も怒りますってお話

剣姫さん?しっかり誘導されましたよ?
そうしないと追いついちゃいますからね


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27話

なぞのおりきゃらは出ないと言ったな
アレは嘘だ。


オリ設定
オリ展開

常識フィルターが原作キャラに
襲いかかる!!

嫌いな人は読み飛ばし!


「ティオネ、ご苦労様」

 

「はいっ!(最近は馬鹿が馬鹿やる

たびに私の評価が上がるのよね!

・・・団長の心労を考えたらアレ

だけど、もう少し程よい馬鹿を毎回

してくれないかしら。

それともナァーザに心労に効く

薬でも開発してもらう?)」

 

「うん、阿呆に有無を言わさない

見事な手際だった。

だけど、なんで縄を持ち歩いて

たんだい?」

 

少し前なら僕を捕まえるためと

警戒してたけど、今のティオネなら

明確な理由があるよね?

 

「あぁ、お恥ずかしい話なんですが」

 

「恥ずかしい話?」

 

縄で?・・・落ち着け。

落ち着くんだフィン・ディムナ!

 

「ナァーザの店にお茶を買いに

行った時にリリルカに会いまして、

そのとき先生に消臭とか防臭効果の

ある装備品を作ってもらえないかと

頼めないかって聞いてみたんです」

 

「ほ、ほう」

 

なるほど、恥ずかしいのは消臭と防臭か

まぁ女性だからね。

しかしリリルカさんまで関係しているのか?

 

「そしたらリリルカから、先生が縄鏢

という武器を持っていると聞きまして」

 

「ジョウヒョウ?」

 

なんだろう?

 

「縄の着いた投げナイフみたいな

武器だって言ってました。

不壊属性付きで、使いようによっては

捕縛、打撃、斬撃、刺突、防御と

幅広い用途があるそうです」

 

「ほう、そんな武器が・・・」

 

想像もつかないけど、それなら遠距離にも

対応出来るのか。

 

「私も現物は見てませんが、モノは

あるみたいですね。

それで、その武器のテスターになるなら、

報酬として消臭とか防臭の装備も作って

もらえるかもしれないって言われたんです」

 

「なるほど」

 

僕たちにしてみたら得しか無い。

彼の造る装備はヘファイストスも椿も

瞠目する逸品。

ソレを使わせてもらえる上に、

女性としての配慮が必要なモノまで

提供してもらえるなら取引ですらない。

 

ちょうど遠距離攻撃用の武器も

欲しかったし、不壊属性付きなら

言うこと無しだな。

 

「それで、今のうちに縄の感覚を

覚えておこうと思いまして。

・・・反省会が終わってから団長の

許可を仰ごうと思ってましたが

勝手な判断でした。

申し訳ございません」

 

「あぁいや、こちらに損がないからこそ、

君も話を受けようとしたんだろう?

僕としても特に問題はないよ」

 

むしろそれで彼と関わりが出来るなら

万々歳だ。

 

「ありがとうございます!あと、

ティオナの武器に関しても聞いて

みたんです」

 

「あぁ、ほかのみんなも新しい武器を

持つことになるからね。ティオナだけ

新しい武器を持ってないのもアレかな」

 

同室の妹の機嫌が悪いのも嫌だろうし

 

「そうですね、それでリリルカが

言うには旋棍と呼ばれる武器が

良いんじゃないかって」

 

「旋棍?」

 

また聞いたことがない武器だな

 

「コレはリリルカが持ってましたので

見せてもらいました。

近接戦用の武器で、小型でしたね。

両手に持つ武器で大きさは・・・大体

私のゾルアスとフィルカくらいの大きさで、

ウルガと違っていつでも持ち歩けますよ」

 

「それだけでも凄く助かるよね」

 

街中でアレ持ち歩いてたら危険人物だし

かといって素手っていうのもね。

ソレを考えたら小型の近接武器は

ありがたい。

 

「ですね。今リリルカが持っているのは

自分用らしいので、ティオナ用に誂えたのが

あるかどうかはわかりませんが、

先生に聞いてみるとのことでした」

 

「ふむ、ソレも問題ないね。

もともと君たちに雑魚の相手を

させるつもりがなかったから

不壊属性の武器を作ろうとしなかった

だけで、あって困るモノじゃない」

 

さらに邪魔にならないなら文句の

付けようもない。さすがは彼だ。

 

「はい!ありがとうございます!」

 

さて、疑問も片付いたところで

阿呆の処理をどうするか・・・

 

ラウルも最初は告げ口みたいに

思ってたのか、ベートやアイズを

庇うような報告をしてたけど、詳細を

聞いてみたら本当にグダグダじゃないか

もう庇うというより虚偽報告だよ。

 

「しかしまさかあの緊急時に

試し切りをしていたなんてね」

 

アレを馬鹿って言うんだろうね。

独立独歩で自己責任が基本の

冒険者としては間違ってないかも

知れないけど、状況とか考えろよ。

 

「えぇ、べートも遊び半分だった

ようですし。自分がレベル1のときに

ミノタウロスに襲われてたら

どうなるか考えることも出来ない

阿呆だったようですね」

 

「彼を笑ってた団員もだ。

はっきり言って僕たちは連中を

甘やかしすぎた」

 

ラウルや他のメンバーはまだしも

ロキファミリアに入って気が大きく

なった新入りや、甘やかしてきた

アイズやベートは一度地獄に叩き落とした

ほうが良いのかもしれないな

 

ベートはなんであそこまで現実を

理解してないのか・・・

過去の事故だか事件だかで現実を

見たはずだろ?

それとも現実を見ることができなく

なったのか?

 

「たしかにアイズとベートはもう少し

周りを見る必要がありますよね。

二人共リリルカに触発されて張り切る

のは良いのですが・・・

その結果が武装を力任せに扱って傷めて

高額なメンテナンス料金ですから」

 

「ほんとにね。無駄な出費だよ」

 

アイツ等は適当という言葉を知らないのか?

必要なところに必要な力を無駄なく

使うことがリリルカさんの凄さなんだぞ?

 

「コレも反省会が終わってからと

思っていたんですけど・・・」

 

「ん?何かあるのかい?」

 

「リリルカからメンテナンス料金の

見積もりを貰いました」

 

あぁそうだよね。ソレもあったよ。

だけどおかしいよね?

 

「もう見積もりが出るって早くない?」

 

普通メンテナンスってモノを見て、

状態を見て、その上で料金を算出

するモノだろう?

 

「先生ですから。それに自分で作った

武器ですし、リリルカの使い方にも

無理が無かったのもあって、

洗浄とフルメンテをするので

時間はかかりますが、特にお金が掛かる

ようなモノでもなかったらしいです」

 

「なるほどねぇ」

 

そもそもが頑丈な棍だからね。

ソレをリリルカさんが使うんだから、

アイズの考え無しの魔力を受ける剣や

阿呆の力任せの蹴りで歪む靴のような

問題は生じないのか。

 

「それでコレがその見積もり

なんですが・・・」

 

「うん?何か微妙な感じだね。

それにしては異常に高かったとか?」

 

まぁ椿たちの反応を見てないからなぁ。

アレを見たあとなら多少のメンテでも

高額なのは納得できるんだけど。

 

「安っ!!」

 

「そうなんです・・・防具と合わせて

30万ヴァリスですよ」

 

「コレはあれだね。無駄な精査とか

いらないから、さっさと払って

あとはそっとしておいてくれって

いうメッセージだよね」

 

「・・・そうだと思います」

 

わざわざ4000万ヴァリスのレイピアを

代用に出してきたゴブニュとの差が・・・

 

「まぁ断る理由が全くない。ギルドに

請求を上げるまでもないな。

人件費の見積はもう出てるし・・・

後でソーマファミリアに支払いに行こう」

 

ここは無駄にゴネたりしないで

さっさと支払うのが良いだろうね。

 

「お茶、飲みますか?」

 

うん、ありがとう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

・・・どうしよう。

 

謝罪と所属ファミリアどころか

見失っちゃったよ。

 

ヤツを返して欲しかったら着いてこい!

とか言われたから着いて行ったのに

彼もあの猫人もどこにも居ない。

 

フィンにはソレを聞くまで帰ってくるな

って言われたよね?

 

・・・どうしよう。

 

「ベルさん」って呼んでたから

お店の人は何か知ってるかな?

 

帰るとか帰らないは別にしても

とりあえず謝らないとダメだよね。

・・・リヴェリアに相談しよう。

 

それもこれも

 

「ベートさんのせいだ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

・・・いくらなんでも馬鹿すぎないか?

 

いや、フレイヤ様のご命令をしっかり

果たせたから良いんだが、それにしても

アレが幹部?大丈夫かロキファミリア?

 

あんなのと同列って実は俺たち相当

やばいんじゃないか?

 

・・・オッタルはまぁいい。

オラリオ唯一のレベル7だからな。

 

師匠が居るから実際唯一かは怪しいが、

公式にはそうだ。コレは他の全ての価値に

勝るだろうさ。

 

だが他は?

ヘグニとヘディンは卓越した魔法剣士

ではあるが師匠に瞬殺されてたよな?

 

それ以前に魔法無効の武器を持つ

レベル5のリリルカ先輩に勝てるか?

 

・・・ちなみに俺は負けたぞ?

 

あの人の技量は俺を超えてるし、

攻撃も武装が重いからレベル差を

無視した威力がある。

 

レベルアップ時は絶対カンストさせてから

だから貯金があるし。

・・・やはり師匠が言うように0~99と

900~999では数字上は同じ99だが

内容が全く違う。

 

・・・どーすんだよ俺たち。

力しか取り柄がないのに、肝心の力で

負けたら存在価値って無くない?

 

まぁ俺は最近他の眷族にはない【繊細さ】

を評価されて文化的な方向も鍛えてるが、

落ち着いて周りを見てみたらタダの

脳筋の集まりとか・・・

 

イシュタルファミリアの多種多彩さと

比べたら、どうしても貧相だよなぁ。

 

さらにガリバー兄弟だが、アイツ等って

レベル6にも勝る連携とか言ってるけど

一人一人が弱いから実際は勝てないだろ?

 

こないだレベルが上がったばかりの

イシュタルファミリアの団長にも

勝てないんじゃないか?

誰に勝てるんだよ。まさかエルフの

リヴェリアに4対1の接近戦なら

勝てるとか言わんよな?

 

誇大広告はフレイヤ様のお名前に

傷を付けるから止めて欲しいん

だけどなぁ。

 

現状のヤバさをフレイヤ様に提言してみるか?

いや、知ってるからこそ俺に期待してくれて

いるんだよな?

 

なら俺が後輩の文化的な面を鍛える?

今はお茶だが他にも・・・

そもそも文化ってなんだ?

 

あれ?多種多様な人種と神が居るのに

吟遊詩人の歌も決まりきったのしか

無いし、オラリオの文化って何だよ。

酒と女か?冒険者の脳筋に押し流されてない?

 

文武極めてこその美って師匠が

言ってたが、まさしくその通りだ!

今のままじゃ外から見たら

俺たちタダの蛮族だよ!!

 

ヤバイよヤバイよ!

フレイヤ様を蛮族の神に

しないためにも、文化的な価値観は

絶対に必要だってばよっ!

 

師匠は料理出来たよな・・・

鍛冶で作ってる武器や防具を見れば

美術的なセンスもある。

 

回復効果のある茶や、それに合う

菓子の開発も行うだけの見識もある。

 

音楽も、楽器を作って専属の

イシュタルの眷属に教えてたな。

 

・・・さすが影で完璧紳士の異名を

付けられるだけのことはある。

コレは茶以外にも学ばねばならんか?

 

・・・フレイヤ様に聞いてみよう。

そういうのは良いから「ただ強くなれ」

って言われる可能性だってあるしな。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さてさて、どんなモノならアイツも

わかりやすいかな?」

 

『あら、機嫌良いじゃない。

何か良い事あったの?』

 

珍しいくらいに機嫌が良いわよねー?

 

「あぁ、探し者が見つかったかもしれん」

 

『えぇ?!それならこんなとこに居ないで、

急いで迎えに行かなきゃダメじゃない!』

 

「落ち着け」

 

『いや、なんでそんなに落ち着いてるのよ?!』

 

何年探してたと思ってるのよ!

ずっと闇派閥潰したり、あの子たちの保護を

してるのだって、そのヒトがそういう存在に

なってる可能性があったからでしょ?!

 

「まだ確定では無い。もしアイツだとして、

自分から俺の前に出てこないということは

それなりの理由があるってことだ」

 

『それはそうかも知れないけど・・・』

 

それこそ種族的な問題よね・・・

 

「それなら今までのノウハウから得た

受け入れ態勢と、予想される障害を

潰す段取りが必要だろ?」

 

『なるほど』

 

そうしないと出会ってすぐに別れたり、

最悪敵対することになるもんね。

 

「まずは本人かどうかと種族の確認だ。

意思疎通は出来そうだから、本人にしか

わからん何かを用意しておく」

 

『それはわかったけど・・・』

 

アレよね、急がば回れってヤツよね

焦って動いてギルドや他の神に

ちょっかいかけられても困るから

しっかり準備してから動くのよね!

 

『ちなみにそのヒトは何処にいるの?』

 

「・・・ダンジョンの深層だな」

 

はい?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ふむ、コレならわかりますか。

あとはコレをどうやって渡すか・・・

 

一番良いのはロキファミリアの

遠征の際にリリルカか、

痴女姉妹に持たせることですよね。

 

骨は中途半端に賢しいようですから

下手に師との関係を探られても面倒です。

 

「よぉエイン」

 

「あぁレヴィス殿、お久しぶりです」

 

随分と久しぶりな感じがしますが

いまだにレベル5相当ですか・・・

 

「なんていうか魔石を食ってない

アンタを見るのは新鮮だね」

 

「まぁ、この辺の魔石ではあんまり

意味が無くなっちゃいましたし」

 

「そりゃ、そんなに早くレベル5相当に

なったらね。少しは体を休めた方が

良いってもんだ」

 

ふ、やはり赤髪程度では私の偽装に気付きませんか。

 

師曰く、隠すのではなく誤魔化せ。

 

流石我が師。

 

「そうですね。流石にここまで来たら

余裕が出来ましたし、料理や

小物作りくらいはできそうですよ」

 

「料理や小物、か。どこぞの阿呆みたく

騒ぎ回ったり戦ってばかりってのもねぇ」

 

「ですね。せっかくモンスターと違い

理性と知性があるんです。少しは

文化的なことをしないと自分がヒトとして

生きていたことを忘れてしまいそうです」

 

蛮族もヒトではありますがね。

 

「ヒトとして・・・か」

 

哀愁が漂ってますがコレは

聞いたほうがいいんでしょうかね?

 

「とりあえずそっちはアンタの好きにしな。

それで今回の用事なんだが・・・」

 

「えぇ、好きにさせてもらいますよ。

あぁお話の前に一つお聞きしましょうか」

 

「ん?なんだい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔石、食べますか?」

 

 

 




勇者の胃を苦しめる現実という名の悪夢。


お兄さん現実を知って焦るの巻
まぁ北欧神話ってそもそもが
アレですからってお話


お茶菓子の代わりに魔石を出す
なぞのおりきゃら。
まぁ客人に対する礼儀みたいなもんですよ


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28話

この辺は一日単位で原作が
動くのでちょっと時系列に
無理が出るかも知れませんが

オリ設定だし
オリ展開ですからシカタナイネ!

嫌いな人は読み飛ばし!


「それでは、わざわざ地上で騒ぎを

起こすと?」

 

「そうだな。理由に関しては……

私達の都合だ」

 

ふむ。赤髪【達】の都合ですか。

地上で何かを探すのと、誰かの目を

地上に向けるための陽動ですかね。

 

「それで私は何を?」

 

「今のところ特に役目はないんだが、

念のため18階で待機してもらいたい」

 

念のため待機、ですか。

18階で何かをするのか

もしくはその付近で何かがあるのか。

 

・・・まぁ特に用事もありませんし

たまにはあそこで人の文化に

触れるのも良いでしょう。

 

「了解です。ちなみに期間は?」

 

あまり長いと身を隠すのも面倒ですからね。

 

「明日から七日間ってとこだね」

 

七日ですか。ふむ。仕上げはあちらでも

出来ますし、留守の間に骨が来ても

良いように書き置きくらいはして

おきましょう。

 

「七日ですね。それなら小物作りでも

してますよ。ちなみに終わったら

連絡はもらえるのでしょう?」

 

「もちろんさ、連絡がないまま七日経過

したらそのまま帰っていいよ」

 

言われなくてもそうしますよ

 

「了解です。では準備しましょう」

 

「よろしく頼む」

 

内容がかなり不透明ではありますが、

赤髪には借りがありますからね。

これくらいなら良いでしょう。

骨も来ないし、ナマモノに魔石やって成長を

促してみるのも良いかもしれません。

 

雑魚は師に釣合いませんからね。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・見失った?」

 

「・・・はい」

 

コイツ、レベル1の冒険者すら

見つけられないって大丈夫か?

いや、それ以前の問題だけど。

 

「僕は謝罪と所属ファミリアを聞くまで

帰って来るなと言ったと思ったんだけど?」

 

舐められてるのかな?かな?

 

「・・・ごめんなさい」

 

はぁ。ここで机とか椅子を叩き壊せ

ないのが僕の甘さなんだよなぁ。

 

いや、物に八つ当たりする勇者も

アレだから、今は良いんだけど。

 

「フィン、あまりアイズを責めるな。

なんでも猫人に彼の追跡の邪魔を

されたらしい」

 

「それで?」

 

「い、いや、だからな・・・」

 

見知らぬ猫人に邪魔されたからなんだ。

 

だいたい何を勘違いしてるんだ?

そもそもキサマらが命令違反しなければ

彼を傷付けることは無かったんだぞ。

 

「他人事みてぇな面してんじゃねぇ。

お前も当事者だろうが」

 

こいつら、理解出来てないな?

 

「「・・・」」

 

「フィン、考え方を変えよう」

 

「ガレス?」

 

「自覚が無いのが一番の問題じゃ。

この分では、今のアイズが謝罪した

ところで、自己満足の侮辱でしかない」

 

「えっ?」

 

・・・あぁ、そうか。

謝罪の理由をべートの放言としか

考えてなかったらそうなるか。

 

「なるほど、それは確かにそうだ。

そうなると今回は謝罪出来なかった

ことが我々の矜持を守ることにも

なったのか」

 

無能がプラスに働くなんてね。

謝罪を指示した僕が悪いのか

内容を理解してないアイズが悪いのか

・・・育てた僕たちが悪いな。

 

「わかった。切り替えよう。

とりあえずミアの店には僕とガレスが向かう。

ティオネはティオナと一緒にナァーザの店に

行って、例の件で話しをしてきてくれ。

本人が居なくてもメモでもなんでも

良いだろうからね」

 

「了解じゃ」

「はーい!」

「はいっ!」

 

「フィン、例の件とは何だ?」

 

オメェには関係ねぇよ。

 

「・・・次の遠征についての準備だ」

 

「あぁ、薬か・・・確かに必要だな」

 

いつまでも寝ぼけてろ。

 

「リヴェリアとアイズとベートは謹慎。

黄昏の館からの外出を禁じる。

期間は怪物祭が終わるまでだ。

今は居ないアレにも伝えておけ」

 

「何?!」

 

「えっ?」

 

何?!じゃねぇよ

 

「命令違反で怪物進呈の被害を拡大させた

罰だ。僕はラウルの命令に従えと言った

はずだが、覚えてないか?」

 

「い、いや、そうだな。その通りだ」

 

お前がしっかり現実を理解してラウルの

命令に従うように言ってればこんなことには

なってないんだよ!

監督すると言ったのはお前だろう!

 

「でも・・・」

 

でも、じゃねぇよ。

 

「アイズ、今の君が謝罪しても

謝罪にはならない。

自分が何をしたかをリヴェリアと

しっかり考えろ」

 

どーせ1人じゃ何も出来ないんだからな。

 

「・・・はい」

 

「反省会と行きたいところだが

反省する点が多すぎる。ロキは

どうするべきだと思う?」

 

ロキのファミリアだし、今後の方針

にもなるからこの辺はしっかり

意思疎通しておかないと。

場合によっては本気で改宗も考えよう。

……テルスキュラみたいに小人族だけの

ファミリアを作るのも良いかもね。

 

『うーん、反省はしてもらうけど、

怪物祭の日はアイズたんを貸して

欲しいかな』

 

反省会の話をしたはずなんだが、

誤魔化す気か?

 

「理由は?ちなみにデートとか言ったら

ロキの頭に穴が開くけど?」

 

最低でもカチ割る。

ポーションは確かこっちに・・・

 

『い、嫌やなぁ!そんなわけあらへんやん!

だからポーションを探すのはヤメテッ!』

 

・・・こいつ、絶対考えてたな。

大体ロキとリヴェリアがアイズを

特別扱いして甘やかすから、いつまで

たっても成長しないし、椿に人形とか

言われるんだぞ。

それがわかってるのか?それとも

ロキは人形遊びがしたいのか?

 

『真面目な話をするとな、明日の

ガネーシャのところの神会次第やな。

最近フレイヤがなんか企んでるみたいやから

1回、会ってこよかなーって思っとんのよ』

 

護衛か。まぁ僕たちも暇じゃない

 

「・・・良いだろう。当日は

謹慎を解除しよう」

 

謹慎と言っても黄昏の館には図書室も

あれば鍛錬場もあるから大した罰には

ならないんだけどさ。

・・・自分の甘さに反吐が出る。

 

『おおきに!それで反省会も明日次第って

ことにしてくれへん?』

 

「フレイヤファミリアの動き次第では

それどころじゃ無くなると?」

 

『そーゆーこっちゃね』

 

「・・・わかった」

 

やっぱり、そのままうやむやにする気か。

まぁ良いさ、それが主神様の決定なら

従おうじゃないか。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『これは・・・ぱないの』

 

まさかコレほどのチャイを

下界で飲むことになろうとは・・・

 

『アイシャとか言ったの、コレは

お主らが作ったのか?』

 

茶葉といい、砂糖といい、ミルクと

いい、一切の無駄がない完璧な配合。

しかも冷めても味が劣化しないように

・・・いや、違う。

冷めた時に最大の甘味と香りが出る

ように調節しておる。

 

これはまさしく神膳に相応しい逸品よ!

 

「確かに作ったのはファミリアの団員

ですが、監修したのは先生・・・あ~

無双農家と呼ばれてるウチの顧客ですね」

 

(先生が「土産は茶だけで良い」って

言ってたのは本当だったね。

他の金品とかならここまでの

興味は惹けなかったはず!)

 

『無双農家か、聞いたことはある・・・』

 

オラリオ有数の強者でありながら

己を農家であると公言する、

オラリオでも有数の奇人よな。

しかし、これだけのチャイを監修出来る

ならばただの匹夫ではない。

 

『ふむ・・・妾を呼びつけるのは気に

食わんが、このチャイとお主を鍛え上げた

その手腕には正直興味がある』

 

そう、コヤツこそ奴の最大の土産よな。

聞けば無双農家に教わる前は

レベル3でしかなく、弟子入りして

すぐにレベルアップ。さらに1年で

レベル5になったとか?

現在のこやつの技の完成度は

レベル6のカリフ姉妹に引けを

とらんほどのモノ。コレは面白い!

 

「では?」

 

『うむ、イシュタルからの招待を

受けようではないか。

あぁ、滞在費や男娼の手配は

当然ソチラ持ちじゃぞ?』

 

さて、気付くか?気付かんなら相当な

貸しを作ることになるぞ?

 

「問題ありません。ですが人数は

10人まででお願いします」

 

ほうっ!即答しおったわ!

 

『クカカカカ!バレたか!人数の上限を

言わねば皆で行っておったのにのぉ!

騙し合いもまた闘争!見事に見破った

お主に免じて10人で行こうではないか!』

 

イシュタルの教えか無双農家の教えかは

知らんが一先ずは見事!

真の強者とは文武が揃ってのモノと

良く理解しておるわ!

 

「ありがとうございます」

 

(・・・先生の言ったとおりだ。

会ったこともない神をここまで

想定通りに動かすなんて、流石だよ!)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふふ~ん、ふふ~ん、ふ~んふふ~ふ

アナタにあえーなかぁったらぁ♪」

 

はぁ、良い歌ですよねぇ。

もしも旦那様に会えなかったら春姫は

どうなってたことやら・・・

 

キャッ!旦那様とか言っちゃいました!

いやいや、でもでも、もう内縁の妻

みたいな扱いですから、

呼び方は旦那様でも良いのでは?

けど、ご主人様も捨てがたいんですよねぇ。

 

今は身請けして貰ったようなモノですけど

あくまでようなモノ。

ご主人様には正妻様がいらっしゃったり

するのでしょうか?

万が一ご主人様に嫌われたら春姫は

生きていけません。

もしも正妻様が居ても、お傍に置いて

頂けるならしっかり引き立てると

あぴーるしなくてはっ!

 

これぞまさしく良妻狐!

 

目指すは2号さんですよ!

 

いやはや、極東を追われたときは

どうなるかと思いましたが、

まさかこんなに幸せな生活を

送れるなんて思ってもみませんでした。

 

この、他の男性に肌を晒さぬようにと

ご主人様が作ってくれたすとーるが

柔らかく春姫を包む風のようです!

 

それに春姫を罠に嵌めた商人は

ご主人様がしっかり〆てくれたみたい

ですし、極東に未練はありません!

春姫はココで幸せになるんですっ!

 

イシュタル様も優しくして

下さいますけど、やっぱり身請けして

欲しいですよねぇ・・・

けど、役立たずでは難しいでしょうか?

早くレベルを3に上げて、足手まといには

なりませんとあぴーるするべきでしょうか、

それともリリルカ様を見習ってかんすと

目指しましょうか?

 

 

うーん。これもご主人様に相談ですね!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

( ゚д゚) ・・・

 

(つд⊂)ゴシゴシ

 

(;゚д゚) ・・・

 

(つд⊂)ゴシゴシゴシ

 

(;゚Д゚)・・・!?

 

「は、春姫殿ぉ?!」

 

――――――――――――――――――

 

 

おや?誰かに呼ばれたような・・・

 

「は、春姫殿ですよね?!私です!命ですっ!」

 

命様?そういえば極東ではお世話に

なりましたね。

 

「こんにちは命様。良いお天気ですね」

 

「・・・」

 

おや?固まりました。

むぅ。アイサツにはアイサツを

返さないとシツレイなんですよ?

 

「いや、あの、はい、良いお天気です?」

 

ん~まぁ微妙ですけどアイサツだと

思いましょう!

春姫は優しい良妻狐ですからね!

 

「それで、命様もお買い物ですか?」

 

「あ、はい。お魚を買いにきました」

 

「あぁ、こっちのお魚は向こうと違いますから

味付けとか大変ですよね~」

 

御味噌やお醤油はご主人様が作って

くれましたけど、やっぱり素材の味が

違いますから中々再現が難しいのです。

 

「そ、そうですね。味もそうですし

値段も高めですから簡単に研究用として

買えないんですよね」

 

「ん~お高いですかねぇ?

お茶やお野菜に比べたら随分お安い

とは思いますけど」

 

もしかしたら命様もお金のことで

何かあったのでしょうか?

 

「そ、そうですか?私達はこちらに来て

まだ1年程ですから、物価とかには

あまり詳しく無いんですよ」

 

なるほどなー。

まぁ春姫も極東に居たときは

物価とか知りませんでしたから

そう言うモノかもしれませんね。

 

「そうでしたか。命様も色々大変みたい

ですし、今日は春姫がお支払いしますよ!」

 

命様達にはお世話になりましたからね!

 

「え、いや、それは有り難いんですが、

大丈夫なんですか?」

 

「ふふふ、春姫は自分で稼いでますからね!」

 

ご主人様のお相手ではお金を貰ってません

けれど、イシュタル様やお客様相手の

お茶とお菓子は春姫が担当してるのです!

ダンジョン探索の時の取り分もあります

から、お魚くらいなら全部買っても

余裕なんですよ!

 

「は、はぁ。えっと、春姫殿も冒険者に

なったのですか?」

 

「んー冒険者さんとは違いますかねぇ。

やってることは女中さんで、料理人さんで

さぽーたーさんですよ」

 

ご主人様専属だから、娼婦さんとは

言わない方が良いって言われてるんですよね

 

「な、なるほど。サポーターでしたか

着ている服も良いモノですし、

もしかして相当有名なファミリアに

所属しておられるのですか?」

 

おぉ、この服の良さに気付きましたか!

 

「流石は命様!この服の良さがわかりますか?

実はこの服は、ご主人様が春姫の為に作って

くれた特注品なのです!」

 

ふふふ、すとーるだけでは無く全部が

ご主人様のお手製なんですよ!

 

「ご、ご主人様ぁ?!」

 

むぅ、大声で何を言うかと思えば・・・

コレはいけません!

ご主人様は騒がしいのが嫌いな方ですし

娼婦さんとは言わないつもりですからね。

 

かといって結婚してるなどと嘘をついて

しまえば、正妻様がいらっしゃった時に

春姫が叱られてしまいます!

 

「命様、往来であんまり大きな声を

出されても困ります」

 

とりあえず声は抑えて下さいね!

 

「す、すみません。ちょっと、いや、

凄く驚きまして」

 

ふむん。確かに久し振りでしたからそれも

シカタナイですね。

良妻狐の春姫は寛容な心で許してあげます!

 

「とりあえずお魚を買っちゃいましょう。

大きめが五匹くらいで良いですか?」

 

「あ、はい。ヨロシクオネガイシマス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみませーん、このオヒョウ

五匹くーださーいな♪」

 




褐色の国から来訪?
行けば絡まれるなら呼べば
良いじゃないの精神です。


感想で話を膨らませる卑怯者?
誉め言葉ですな!


モンスターが居る世界で生きている
魚類の大きめってこんなもん?ってお話。



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29話

紐神様はまだ来ないっ!

前の話から一日しか経ってないぞ!

オリ設定
オリ展開


嫌いな人は読み飛ばし


『「「春姫(様)がいたぁ?!」」』

 

「は、はい普通にお買い物してました」

 

いや、あまりにも自然にお買い物

してましたから他人の空似かと

思いましたけど、普通に春姫殿でした。

 

『急に居なくなって心配はして

いたがオラリオに居たのか・・・』

 

「どうだった?元気そうだったか?」

 

「はい、普通に元気そうでした」

 

お金がない私たちよりも裕福で、何と言うか

思いっきり人生を満喫してました。

 

『そうか、元気ならそれで良いんだ』

 

本当に急でしたからね。

私達のせいじゃないかってみんなで

不安に思ってましたし。

 

「それで命さん、春姫様も気になりますけど

その大きなお魚?はなんですか?」

 

あぁ、調理をする千草は興味ありますよね

捌きがいのありそうな魚ですし。

 

「オヒョウと言いまして、カレイの

一種らしいです」

 

『そうなのか、確かに見た目はカレイだが、

ここにはこんなのもいるんだな・・・』

 

そうですよね。コレが普通にお店に

売ってるんですから驚きですよ。

まぁあのお店は大型のお魚を売ってる

お店だったみたいですけど・・・

 

「それで、久し振りに会ったからと

春姫殿が買ってくれまして」

 

「コレを、か?随分高そうだが・・・」

 

お値段はおいくらだったんでしょうね。

安くはないでしょうけど、普通に買って

ましたから本人が言うように、

懐具合には余裕があるのでしょう

 

「ちなみに最初は五匹買うところでした」

 

『「「食えるかっ!」」』

 

世間知らずなのか皆がこっちに来てる

と思って配慮してくれたのか・・・

 

「せっかくだからと大きめの魚を五匹ほど

買ってくれると言ってくれましたので

お願いしたのですが、大き目の魚が

まさかコレ程の大きさとは思っていなくて

・・・オラリオを舐めてましたよ」

 

『いや、オラリオがどうこうじゃ無くないか?』

 

「ですね。春姫様の天然なのか気遣い

なのかがわかりません・・・」

 

「残りの四匹は我々で消費出来ないなら

春姫様のファミリアで食べるそうです」

 

「結局5匹買ったのかよ?!」

 

「桜花殿が驚くのも無理はありませんが、

所属ファミリアには結構な人数が居るので

余裕で消費出来るそうですよ」

 

余裕・・・良い言葉ですよね

 

「そ、そうですか。

我々だと三日はかかりそうですけど」

 

『流石に三食コレというのもな。

ヘスティアやミアハを呼ぶか、

孤児院であら汁にして子供達に

分けるのもありだな』

 

ご近所付き合いは大切ですからね

 

「それで、春姫はどこのファミリアで何を

してるんだ?アイツは戦闘とかが出来る

ようなヤツじゃないだろう?」

 

「えーっと今はイシュタルファミリアって

ところで女中と料理人をしているとか」

 

『「イシュタルファミリア?!」』

 

「ご存じで?」

 

『・・・イシュタルファミリアと言えば

南の歓楽街を牛耳る大手のファミリアだ』

 

「「歓楽街?!」」

 

・・・なぜそれを桜花殿とタケミカヅチ様

が知っているんでしょうねぇ?

 

「ま、まぁ普通に飯を食う場所も

あるだろうから、如何わしい店と

決まったわけでは無いだろう!」

 

「そ、そういえば随分良い服を着てて

ご主人様に作って貰ったと言ってました」

 

『「「ご主人様ぁ?!」」』

 

「タケミカヅチ様、歓楽街でご主人様って

もしかして春姫様・・・」

 

『うむ、もしかしたらそうかもしれん』

 

「た、助けに行かないと!」

 

『落ち着け千草、あくまで憶測だ。

事情がわからんことには動けん』

 

「こっちの事情に詳しいお知り合いは?」

 

ならばその事情をできるだけ

早急に調べないと!

 

『今のところはミアハかヘスティアだな』

 

「ロキファミリアはどうですか?」

 

前に剣姫を見ましたよね。

 

『ロキファミリアか……以前剣姫を見たと

言っても、一ヶ月程度できちんと月謝も

もらっている。

それに大した教えはしていないから、

こちらから何かを聞けるような仲では無いな』

 

「自分の手には負えないとの

ことでしたか。それほどですか?」

 

『あぁ、レベル差云々もあるがそれ

以前の問題だ。

アレは強さとは何かを理解していない。

あのままではただの暴力装置になる。

私の元で技を磨くより、先ずは心を

鍛えねばならんだろう。

ソレはロキファミリアの仕事だよ』

 

「・・・なるほど」

 

確かにそんな感じでした。

なんと言いますか人としての

完成度が低すぎるんですよね。

お人形さんみたいな感じです。

 

それにわざわざ主神と副団長が

付き添いに来るのもどうかと思いました。

礼儀と言えば礼儀ですが立場を考えて

欲しいです。

相手のことを考えなければタダの

自己満足の押し付けですし、我々から

すればある意味脅迫ですからね。

 

「そうなるとミアハ様ですかね?

ヘスティア様のところはまだ入団した

ばかりの若者がお一人でしょう?

ミアハ様はオラリオも長いですし、

商売もやってます。

それによくポーションを無料で

頂いてますから、お礼もしなくては

いけませんし・・・

団長さんはレベル3と言ってましたから

情報はあるのではないでしょうか?」

 

春姫殿のことがわからなくても、

イシュタルファミリアやその他の

ことも我々は知りませんからね。

そういった事も知りたいですし、この

お魚をお裾分けする理由にもなります。

 

『そうだな。アイツは神会には出ないで

その辺にいるだろうから、少し当たってみるか』

 

よろしくお願いします!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『そう。とうとう貴方もソレに気付いたのね』

 

彼のところに修行にやったのは

間違いではなかったわね。

 

「私もということは、やはり・・・」

 

『えぇ、私も剣姫のアレは見たわ。

可及的速やかに対処すべき問題よ』

 

あんなのが幹部のファミリアと

同列ってありえないでしょう?

 

今のままではアノ子を手に入れても

深みを増すどころか濁らせて終わってしまう。

 

私自身にも文化的な価値観が必要だわ。

とは言え、エルフの独りよがりな芸術品も

ドワーフの造る実用性一辺倒の道具も

私が求める文化の対象にはなりえない。

 

美には儚さが必要なの。

この花入れや茶器のように!

 

『文武が揃って完璧な美と言うのは

私も同意見よ。

馬鹿では私には釣り合わないと言う

貴方の意見も同様に、ね』

 

「はっ!」

 

確かにオッタルのように

唯一無二ならばそれでも良い。だけど、

そうでないなら文化的なモノは必要だわ。

 

蛮族の神なんて称号はゴメンよ!!

 

『古来より勇者は力を示し歌を吟じるモノ。

小賢しい知能ではなく、きちんとした歴史と

教養の裏付けがある知性が武を輝かせるの』

 

「・・・では彼から他の文化的な知識を?」

 

悩みどころよね・・・

それができれば一番良いけど

彼がそこまでしてくれるかしら?

 

『とりあえずアナタはお茶を修得して頂戴?

他のも教えてもらえるなら教えて

もらいたいけど、まずは一つを

きちんと修めないと中途半端で

終わってしまうわ』

 

「はっ!」

 

『ただ、そっち方面はしばらくアナタ一人に頼ることになるわ』

 

彼には他の眷族に教えを授ける理由がないし。

 

「大丈夫です!問題ありません!」

 

(むしろ最高ですっ!!)

 

『そう言ってくれると助かるわ。

なにせこちらで派遣したモノが

彼に反抗的に接して、気分を害されて

貴方への教えすらなくなってしまったら

最悪ですものね』

 

「確かにそうですね」

 

(元々師匠の気分ひとつだからな。巻き添えはゴメンだぞ)

 

『・・・アレン。私はね、イシュタルと

私の違いは品格にあると思っていたわ』

 

「品格ですか・・・」

 

『どうやらアレンには違う答えがあるみたいね?』

 

「・・・はっ!」

 

言いにくいことかしら?けど聞いてみたいわ。

 

『貴方の思うところを言ってみなさい。怒ったりはしないから』

 

「では・・・私は純度ではないかと思っております」

 

『純度』

 

純度・・・成程。

私が求めたのは強者であり勇者。

強さと雄々しさを備えた眷族を

求めたとも言えるわ。

それゆえに探索系や力としての面では

イシュタルを大きく引き離す。

 

対してイシュタルは拘りがない。

強かろうが弱かろうが、美しかろうが

醜かろうが、関係ないわ。

ただひたすらに愛と欲を見ている。

 

少なくとも私はいくら強くてもフリュネの

ようなモノを眷族にはしないし、自分の

お気に入りを娼婦や男娼にすることはない。

 

だけどその結果として老若男女、

力の強弱問わず多種多様な

文化を持つ眷族が集まった。

 

それは例えるなら開花を待つ花の蕾。

それをきちんと見定めてしっかりと

咲かせることができる庭師・・・

今の場合は彼のよう存在が居れば

人材は人財となって一気に花開く。

 

『確かにそうね。その意見は正しいと

私も思う。それを考えれば文化的な面で

私がイシュタルに及ばないのは当然ね』

 

「・・・はっ!」

 

かといって今更その純度を落とす気もない。

そうであれば集めた眷族の深さを

増していくしか無い・・・か。

 

『アレン、レベル7になりなさい』

 

そしてオッタルを追いかけなさい。

そうすればオッタルは更なる

高みに向かうでしょうし、

文武を備えたモノが上に居れば

下も見習うかも知れないわ。

 

「はっ!」

 

(期待されてる!俺、期待されてるっ!)

 

『いい返事ね。あとは・・・

あぁ、今日はガネーシャの神会に

参加する予定だから、衣装合わせに

付き合うのと会場まで付き人をしなさい』

 

「はっ!」

 

イシュタルやまだ会ったことがない

彼の主神にも会いたいし、

あの子のことも調べなきゃ。

 

ふふっ最近は退屈しなくて良いわね!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふむ、縄鏢はともかく、旋棍か」

 

「はい、流石にティオナも毎日ウルガを

持ち歩く訳にも行きませんし。

携帯用の武器が欲しいと思っていましたので」

 

「お願いします!!」

 

気持ちはわかる。

 

だが旋棍のテスターはすでに居るからな。

そうなると・・・圏か?

 

いや、性格もほとんどネコモドキだから

ついつい甘やかしてしまったが、

圏まで使わせるとなぁ。

 

投擲させないように加工して・・・

あぁフジリュー版のアレみたいな

感じにするか?

それならバッファローマンの

アレ的な感じで持ち歩いて、

戦闘時はそのままでもいいし、

鈍器にするのも有りか?

 

もしくはティオナと同じように

縄に付けて流星錘にしても面白い。

もともと圏は打撃武器だしな。

 

大体コイツらダンジョンに潜るのに

軽装すぎるんだよ。

縄に不壊属性と耐熱、耐冷気とか

付ければ防具替わりにもなるだろ。

 

使い捨てなら円月輪だな。

純粋に投げるチャクラム風にするか

持ち手があるタイプにするか。

 

・・・どうせなら二つ作るか。

圏も縄鏢もすぐにマスターできる

モノでもないし、斬撃と打撃の

二種類に飛び道具もあったほうが

フィンも指揮を執る時に楽だろう。

 

こいつらにはメッセンジャーに

なってもらう必要もあるから

無事に帰還してもらわんと困るのよな。

 

「旋棍は既にテスターが居るから

あきらめろ。

代わりに圏と流星錘を用意する」

 

「「圏?流星錘??」」

 

縄鏢と流星錘を姉妹で教えあう

ことで進捗も早いだろうよ。

 

「これについては見てのお楽しみだ。

防具についても消臭や防臭は構わんが、

問題はティオナに魔力が無いことだな」

 

「あうっ!そうですよねー

農家さんの武装は、維持するのに

魔力使うんですよねー」

 

「不壊属性や耐熱とかは普通に

素材由来で良いんだが、【神秘】を

使う効果になると、どうしてもな」

 

魔石に含まれる魔力でもできるが

流石にこの技術を見せるわけにも

いかんからなぁ。

魔法石がコレに近いが、近いだけで

全然違うし。

誰かさっさと電池みたいなの開発しろよ。

俺やアイツ以外に居ないのか?!

 

「ティオナの分は魔法石を使ってみる。

少し大きくなるが良いか?」

 

「はいっ!とりあえずはそれでも良いです!」

 

 

「あの、先生・・・」

 

うん?あぁそういえばここは

ナァーザの店だったな。

 

「あぁすまんすまん。こいつらの

武装はお前には関係なかったな」

 

失敗失敗、農家失敗

 

「いえ、先生にはお世話になってるから

問題ないです。

ただ、ティオネから商品の開発を

依頼されまして・・」

 

「ほほう」

 

確かに色んな奴の意見を聞けって言ったが…

ティオネからってのは予想外ではある。

 

「はいっ!最近団長の心労が酷いことに

なってまして。胃は物理的に回復させて

ますけど、やっぱりお疲れなんです・・・」

 

「遠征の話は聞いたが・・・今まで

だって似たようなもんだったんじゃ

ないのか?」

 

確かに新種が出たのはあるが、連中の

素行自体は変わってないだろう?

 

「その通りなんですが、余りにも度が

過ぎてると言う現実に気が付いて

しまいまして・・・」

 

「そーなんです!今まで見えなかった

ことが見えちゃったみたいで、ガレスと

フィンが疲れてるんです!」

 

「なるほど、それで心労回復か」

 

「そうですね。元凶を無くすのが一番

ですけど、同じロキファミリアの眷族

ですので不可能。

ならばとお香のような形で精神を安定

させてはどうかと考えてます」

 

「悪くない。だがソレをやれば確実に

睡眠効果も発生してしまうぞ」

 

リラックス効果って言うのはそういうモノだからな。

 

「えっと、つまり団長がゆっくり

眠れるということでは?」

 

「良い事じゃないんですか?」

 

おいおい。マジかこいつら。

 

「犯罪に使われるだろうが」

 

「「「あぁ!」」」

 

コレがあるからイシュタルファミリアの

お香だって個人には売らんのだ。

ついでに生産者にしかわからんように

ロットナンバーを打ち込んで

横流しや何やらをした連中は

しっかり〆てるんだぞ。

 

「とはいえ発想は悪くない。このままでも

黙っててもアミッドやアスフィあたりが

開発するだろうから……これは、あれだな。

香炉とセットで初めて効果が

出るようにしてみようか」

 

「なるほど。香炉とセットで売ることで

使用相手や使用場所を選べますね。

耐異常を持つ相手に対しての備えとして

香炉に威力調節機能も付ける感じに?」

 

その通り。睡眠効果は状態異常だろう

からな。かといってリラックスには

必須の機能。ならば威力調節は必須だ。

 

「ついでに微弱な睡眠効果のある

お茶も作ってみるか?お香と

合わせることで威力アップする感じの」

 

やはり経口摂取は効果が高いようだし。

 

「・・・それこそ悪用されませんか?」

 

「どうせ誰かが作るだろうからな。

ならばその前にこちらで作って、

医療系ファミリアでルールを作ればいい」

 

存在を知ってから対処するのと、

対処してから普及するのは違う。

 

「パッと思いつくのは個室のある

癒し空間限定仕様にすることだな。

医療系ファミリア共同で店を作って、

そこでだけ使用させる感じか。

絶対に個人には販売しないこと。

調合比率は公表しないこと。

違反したら必ず消すこと。

ギルドはなんだかんだで情報漏洩するから、

奴らには絶対教えないこと。

これくらいのルールが必要になると思う」

 

「なるほど・・・次の医療系

ファミリアの会合で提案してみます!」

 

「そうしてくれ。それでフィンに

関しては・・・本人に事情を説明して、

テスターになってもらうように

交渉してみてくれ」

 

「なるほど!フィンに効くなら他の人にも効きますからね!」

 

「さらにテスターとしてという名目もあれば、団長の心労も軽減されます!」

 

「ついでに宣伝効果もあります。流石先生です!」

 

次のロキファミリアの遠征は俺にとっても

他人事じゃないからな。頼むぞフィン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・なんならリリルカも行かせるか?




ミアハの持つ情報網を舐めるなっ!

スイーツ女神さまにも常識フィルターがっ?!

リリルカの胃は大丈夫か?の三本ってお話


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30話

フィンはヒロインではありません

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!

誤字報告ありがとうございます!



「武装だけじゃなく心労回復の

アイテムまで作ってるのか・・・」

 

睡眠効果のあるハーブは聞いたことが

あるけど、アレとは違うのかな?

・・・違うんだろうな。

 

なんと言えば良いのかわからないけど

引き出し多すぎないか?

 

「まったくもって欠点という

欠点が無いわい。

完璧紳士は伊達ではないのぉ」

 

ガレスも最近疲れてるから

心労回復のお香は試したい

だろうね。

何気にお茶も気に入ってるし。

 

「それで二人はそのジョウヒョウと

流星錘の基礎を教わるために数日

空けたいと言っとるのか?」

 

「そうだね。とりあえずは

次の遠征までに基礎は

身につけたいって言ってるよ」

 

当然許可は出したさ。

 

最悪泊まりになるらしいけど、

新しい武器だからね。

命を預けるモノに慣熟訓練は必要だ。

 

「儂らも慣熟訓練は必要じゃろうが

肝心の武器が無いからのぉ」

 

流石に不壊属性の新作だからね。

武器自体は槍と斧ではあるけど、

それぞれの武器で癖が違うと考えたら

また差を付けられるかな?

 

「なんじゃ、楽しそうな顔しおって」

 

そうか?楽しそうな顔をしていたのか

 

「いや、彼女たちが強くなるのが

羨ましいやら嬉しいやらでね」

 

「なるほどのぉ。確かに若者の成長は見て

いて羨ましくもあるが、楽しくもあるの」

 

まったくだ。いやはや僕も

歳を取ったものだね。

 

「けどまぁ、まだまだ負けてやる

わけにはいかないさ。

この書類仕事が終わったら鍛錬に

付き合ってくれ」

 

「無論じゃ。そのためにココに

おるんじゃしな」

 

ガレスも同じ気持ちか・・・

そうだよな!負けてられないよな!!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そう思っていたんだけどなぁ。

 

「……ガレス。僕はもうダメかもしれない」

 

「・・・正直言えば儂もそろそろ

やばいわい。ティオネはいい仕事

しとったのぉ」

 

謹慎二日目でコレか・・・

なんで鍛錬場でウサ晴ししてるんだ。

図書室から出るなとかに

しておくべきだったか?

 

「む、フィンにガレスか。

今はベートとアイズが鍛錬中だが

お前たちも参加するか?」

 

リヴェリア・・・お前は馬鹿だな

 

「・・・のう、リヴェリア。

儂には二人が本気で打ち合って

おるように見えるんじゃが?」

 

僕にもそう見える。

いや、魔法は使ってないけども。

 

「そうだな。しかしそもそも

鍛錬とはそういうモノだろう?」

 

リヴェリア・・・馬鹿が

 

「フィンが死にそうになっておるから

儂が代わりに言ってやる。

いくつかあるが、まず第一にアイズの

武器はあくまでレンタル品じゃろう?

いつもの不壊属性と同じように

本気を出したら壊れるじゃろうが」

 

「・・・そうだったな」

 

4000万くらいなら安いと思ってる

かもしれないけど、レンタル品を壊したら

金額よりも信用に関わるんだよ。

 

「さらに、アレは本気とは言っても

力任せに速さ任せ。

監修する者が居なければ稽古ではない。

タダのぶつかり合いじゃ」

 

「ふむ?武の修練とはそういうモノだろう?」

 

お前はリリルカさんの何を見ていた?

 

「駆け引きに関しては多少の効果が

あるやもしれんが、もともと互いの

引き出しを知っておるからの。

 

ただ戦うだけでは大した成長にはならん。

それどころか悪癖が身に付くだけじゃよ。

 

更に言えば技と言うものはそう

単純に身につくモノではない。

今までキッチリと基礎を習ってきた

ティオネやティオナにあやつ等が

勝てんのがその証拠じゃ」

 

「そういうものか・・・」

 

そういうものなんだよ。

更にべートの装備品だって、椿が言うには

強度をあえて落としてるって話だし。

まさかスペアまで壊すんじゃないだろうな?

 

「ついでに言えばあの二人が

無駄に広範囲を使ってることで、

他の団員の訓練の邪魔になっとる」

 

「・・・そのようだな」

 

こんなの考えなくてもわかるだろう?

リリルカさんを見習うならさぁ

あえて力を抑えて戦うとか、周りを

しっかり確認して戦うとかあるだろう?

色々見せてくれたじゃないか!

 

あの流水のような動きを見て、

なんでこうも正面からぶつかろう

とするんだ?馬鹿なのか?

 

「その上、アイズには謹慎だけでなく

お主と一緒に反省してろと言った

はずじゃ。アレは反省しとるか?」

 

「・・・しているとは言えんな」

 

この馬鹿が。

何のためにお前と考えろって

言ったと思ってるんだ!

 

「なぁリヴェリア。君はもしかして

わざと僕の言葉を曲解してアイズに

教えてるのかな?」

 

「い、いや!そんなことはないぞ!」

 

「そうか。なら聞こう。

アイズが彼に対して行った謝罪

すべきことってなんだと思う?」

 

「むっ?!」

 

こいつがわかってないなら、いくら

考えろって言っても無駄だよな。

僕が教えるか?

いや、勢い余ってカチ割りそうだ。

 

それにコレ以上の特別扱いは、他の

団員にも悪影響を与える事になる・・・

 

「・・・あの場に置いてべートの放言を

明確に否定しなかったことだな」

 

・・・やっぱりダメか。

だからベートに対して八つ当たり気味に

ぶつかってるんだな。

 

「ガレス、鍛錬に誘っておきながら

すまない。少し休ませてくれ。

それとティオネが試供品を持ってきたら

たとえ寝てても起こして欲しい」

 

「うむ。とりあえず茶だけでも飲んでおけよ」

 

「あぁ、そうするよ」

 

せめて胃は守らないと。

 

「お、おいフィン?!」

 

「リヴェリア、もう良い。奴を休ませてやれ」

 

すまないね。後でリリルカさんから

もらった神酒セットの一本をあげるよ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さて、見ての通り両方とも縄と

一体化している武器だ。

この縄を腕に巻きつけていれば

防具にもなるし、捕縛用にも

使えるのはわかるな?」

 

「「はいっ!」」

 

ふむ、いい返事だ。やはり新しい

武器はロマンだからな!

 

「お前たちのような露出が多い場合は、

縄を10メドルほどにして腕や腰、

もしくは背中で巻いておき、攻撃用に

3~5メドルくらいを使うのが一般的な

使い方になるだろうな」

 

「なるほど。そうすることで

防御と攻撃を両立させて、更に

敵には間合いを誤認させるんですね」

 

さすがはアマゾネス、武器の特性を掴むのが早い。

 

「そうだ、その気になれば最大10メドルが

間合いになるし、両端に武器をつけて

両手武器としても使える」

 

片方なら鎖鎌みたいな感じか?

 

「ほえー!ジョウヒョウの方は

ちょっと怖いですけど、流星錘ですか?

コレはウルガみたいで良いですね!」

 

「使い方はウルガよりも多彩な分、慣れが必要だがな」

 

「コレいいですね!普段は縄を短く

して、錘は腰とかにつけて飾りみたいな

感じにしておけば目立ちませんし

重さもそれほどでもないから

普段の動きを阻害しません!」

 

「確かにそうですね、鏢もただの

小刀みたいな感じで収まりますし、

縄も不壊属性ですからコレ単体で

斬撃も防げます!」

 

「さらに耐熱と耐冷気だから火を

食らっても熱くないし、冷気を

食らっても凍って凍傷にもならん」

 

「おぉー!凄い武器なんですねー!」

 

「主な弱点は習熟の難しさと

メンテナンスですよね」

 

縄のメンテってどーすんだって話だからな。

 

つっても正確に言えばこれは縄ではなく

アダマンタイトや特殊素材を繊維

みたいな感じの合金に加工して

捩って作った金属繊維だ。

 

鍛冶師が見ても、この発想がない限り

素材はわからんし、特殊素材はタダの

神威が宿った服を多少加工しただけ

だから呪いも何もない。

 

おそらくヘファイストスあたりは

神の髪を使ったと考えるだろう。

 

・・・内臓ネタと一緒で声にだしては

駄目な先生冗談だから気を付けよう。

 

「概要は伝えた通りだ。ただしあくまで

試供品だからな。

使ってる中で不備も出るかもしれない

ってことは覚悟してくれ。

メンテは当然俺がやることになる。

とりあえず一ヶ月くらいなら問題ない。

洗浄液渡すからソレつけて干しとけ。

それと次の遠征には椿も行くらしいが、

連中にはあまり触らせるな。変に分解

されたら付随効果がなくなるからな」

 

「あぁ、やりそうですよねぇ」

 

「気をつけます!」

 

さて本題だ。

 

「それで、消臭と防臭についてだが」

 

「「はいっ!!」」

 

めっちゃ食いつくな。

リリルカもこんな感じだったが

やっぱり気になるんだろうか。

 

「お前たちが装備している

髪飾りや首輪って何か曰くがあるのか?

絶対にコレは外せない!的な拘りとか」

 

「「・・・」」

 

ん?なんか顔を見合わせたぞ?

 

「そう言われれば昔から装備してたから、

無かったら違和感を覚えるけど・・・」

 

「別に拘りというほどのものでは無いです」

 

ふむ、装備自体に特殊な効果は無いが、

なければ違和感を覚える程度には何かしらの

思い入れはある、と。

 

他人の思い出なんざどうでも良いが、

違和感は少ない方がよかろう。

 

「なら腰巻に防臭と消臭、

髪飾りに消臭だな」

 

「えっと、それはなんでです?

腰巻に防臭と消臭があるなら

髪飾りはいらないんじゃ?」

 

「効果範囲の関係でな。リリルカのローブや

シャツみたいに表面積が大きいならまだしも

小さいと上と下に付ける必要があるんだ。

お前らアマゾネスはどうしても軽装だろ?

他に装備品が無いじゃないか」

 

「「あぁ」」

 

「護符とかの形にすると重くなるし、

さらに髪って結構臭いが残るからな」

 

「「・・・そうなんですか?」」

 

そうなんだよ。

 

「臭いの元である汗が付着するのとか

色々あってだな・・・」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「うかつだったわ・・・まさか髪に

そんなに沢山臭いの元があったんて」

 

いままで団長に抱きついてた時も

「うわっクセェ!」とか

思われてたのかしら?

だから引き離されてた?

 

「そうだねー。さらに口の中も

きちんとしろって言われたよ。

虫歯でも人は死ぬんだねぇ」

 

「そうね。呼吸もそうだけど知らなければ

いけないことが多すぎるわよ」

 

ダンジョン探索でもお酒で口を濯ぐとかは

してたけど、あれってお酒臭くなるのよね。

・・・これからは先生が作った消毒や

消臭用の洗浄液を使いましょう。

 

「それでどうする?

イシュタルファミリアで普通の

宿は用意してくれるみたいだけど、

泊まってく?」

 

「うーん。悩みどころよね。

新しい武器の習熟はどうしても

先生が必要だし、だけど先生も

毎日居る訳じゃないしね」

 

先生も最初は縄に重りをつけて

振り回す練習からって言ってたし、

それ自体は広い場所さえあれば

できるのよね。

 

鍛錬場は他の団員の邪魔になるから

ダンジョンか・・・

あ、その前に団長にアレ渡さないと。

 

「まずは一度戻って団長に試供品を

渡しましょう。

香炉はまだないけど、ハーブで

代用したって言ってたから試して

もらわなきゃ」

 

「あ、そうだね!流石にアイズも

べートも外に出られないから問題は

起こさないだろうけど、フィンの

回復は早いほうがいいもんね!」

 

そりゃそうよ。これ以上

疲れることはないでしょうけど、

だからって回復するわけじゃ

ないんだから・・・

 

「それから事情を話してダンジョンで

トレーニングしたいって言ってみるわ」

 

「ダンジョンで?あぁ、そうだよね

鍛錬場だとみんなの迷惑になるし

基本的には縄を振り回すだけだもんね」

 

単純だからこそ難しい。だけどコレを

習得すればどんな状況にも対応

できるわね!

 

「けどコレ凄いよね、この長さの縄

だけで100キロくらいあるよ?」

 

「・・・そうね見た感じはタダの縄

なんだけど、どうなってるのかしら?

私たちはともかくレフィーヤとかが

持とうとしたら確実に腰をヤるわ」

 

油断してたら団長とかもヤるかも

しれないから、気を付けないと。

 

「あとはこの髪留めだよねぇ。

さすが農家さんって感じ?!」

 

「そうねぇ、この花の造形は

正直ゴブニュには不可能よね」

 

冬に咲く花らしいけど、

目立ちすぎないように

髪留めに彫ってるのよね。

どの角度から見てもしっかり

見えるっていうのが凄いわ

 

しかも私には冬のイメージの花で

ティオナには雪うさぎ?と

雪だるま?って言うかわいい系の

髪留めだし。

 

普段明るくて夏!って感じだからこそ

こういう冬のイメージも大切だって

言ってたけど、確かに明るいだけじゃ

ダメよね!

しっとり大人の女ってイメージも

有った方が良いのは当然よ!

 

しかも私たちが普段している

髪飾りの邪魔にもならないわ。

 

髪留め一つにも油断をしないなんて

さすが先生・・・

 

けど全然重くないわよね?

いや、まぁ額当てならともかく

髪留めが重かったら邪魔になるから

良いんだけど・・・

最大のデメリットが無くなったコレを

椿が見たら発狂するんじゃない?

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

さてさて、これでアイツらが深層まで

行けばアイツも気付くだろう。

 

あとは二人を死なないように

鍛えておけばいい。

 

タブレット型のエリクサーも渡すか?

 

しかしあれだな。発展アビリティも

バカには出来ん。

最初はコレで誰を殺させる気だ?

と思ったもんだが・・・さっさと

レベル7になって正解だった。

 

なにせ相手は神。

使えるもんは何でも使わんとな。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「あ、そういえば今日ってロキは

神会に行くって言ってなかった?」

 

「いきなりだけど・・・まぁそうね。

今日の神会次第では反省会が荒れる

ことになるわ。」

 

だからこそ団長には、せめて今日

くらいゆっくり休んでもらわないと!

 

「いや、そうなんだけどさ。ロキは

誰を護衛に連れて行く気なのかなって」

 

「・・・ラウルかアキ?」

 

まさかアイズは無いわよね。

 

「・・・そうだと良いね」

 

「「・・・」」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・すまん」

 

「・・・いや、予測出来たことだった。

釘も刺さずに休んでた僕が悪いんだな」

 




コラテラルダメージなのか
直接的なダメージなのか・・・

ささやかな行動に
色んな思いが錯綜してますってお話



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31話

ガネーシャだ!
台詞も何もねぇがなっ!

オリ設定
オリ展開

紐神様に台詞が?!

嫌いな人は読み飛ばし!


『・・・なるほど』

 

ふーむ。しっかり味わってみると

やはりガネーシャのところは

特徴的な味付けをしてるんだねぇ

 

なんと言うか、香辛料多めで

肉肉野菜肉って感じだ。

 

『とりあえずコレとコレを

包んでくれ』

 

「は、はいっ!」

 

嫌いな味付けではないんだがやはり大味だ。

春姫に食わせて改良させよう。

 

肉の場合も問題はソースだよねぇ。

細かく調節はされているが、

素材がアイツのところの野菜に追い

ついていないからどうしても大雑把だ。

 

いや、肉や魚自体も弱いからそれに

合わせたソースとも言える、か?

肉は品種改良が必要らしいが魚は

現在のモノでも調理や熟成の

度合いによって味はいくらでも変わる。

 

いやはや、佛跳牆は衝撃だったよ。

春姫に魚介類でアワビやらナマコ?

を探しに行かせたから何かと思えば

あんなモノがあったなんて・・・

 

一つ一つは極東でも当たり前に

使ってる素材らしいが、

時間と手間をかけることで

あそこまで変わるとは春姫も

知らなかったと言っていたな。

 

土産用に春姫に作らせたのを

持ってきたが、これでも

十分な味だったからね。

さてガネーシャはどんな

リアクションをするのかね?

 

それにここの料理を奴に見せれば、

より完成度の高いモノを

用意できるようになるだろう。

 

ふふふ、神が神の為に用意した

食事を何枚も上回るモノを

当たり前に出すようになれば・・・

 

ふはははは!笑いが止まらないよ!

 

ー「「「尊い!!」」」

 

 

『あらイシュタル。機嫌が良さそうね』

 

ん?

 

『フレイヤ?定例会にも来ないお前が

わざわざガネーシャの神会に

来るなんて珍しいじゃないか。

また何か悪巧みかい?』

 

ーオイオイ、フレイヤ様と

イシュタル様だぞ?!

 

ー逃げた方が良くね?

 

ーばっか、最近仲良いんだぞ

 

ー「「「マジで?!」」」

 

『悪巧みとはご挨拶ね。

最近は貴女のところに影響されて

ウチの眷族にも文化的なことに

目を向けさせてるのよ?』

 

やっと自分が蛮族の神だと気付いたか

 

『あぁ、アレンな。やる気があって

筋も良いって褒めてたぞ』

 

春姫には及ばんがな

 

『そう、それは良かったわ。

お茶一つとって見てもその深みは

未だに見えないもの。

正直貴女を侮っていたわ』

 

くははははははは!

そうだろうそうだろう!

 

『前にも言ったが住み分けだよ。

オラリオの中じゃ誰だって

オッタルにお茶の作法なんか

求めやしないだろうに』

 

蛮族にそんなのはいらんからな

 

『その通りね。けど私も美の神の

1柱である以上は、完成された

美というものを追求したいもの』

 

完成された美、ねぇ。

 

『わからんでもないが、

やっぱり私とは方向性が違うね。

神も人間も十人十色。

感性もまた同じさ』

 

ー・・・コレはヤバイか?

 

『なるほど。価値観によって美も変わる。

それもまた真理よね』

 

ーアレ?やばくない??

 

ーこの雰囲気だと戦いに・・・

 

『そうだね、けどアンタはそんな価値観すら

超えた美ってのを目指してるんだろ?』

 

ーならない?!

 

ーまさか理解を示しただと?!

 

『えぇ、文武を兼ね備えた美を体現した

勇者を私の手で作ってみたいのよ!』

 

『ふぅん。ま、頑張りなよ』

 

アイツが言うには文にも武にも

果ては無い。

確かに楽しいお題だろうさ。

 

私は目の前の食事を改良して

一歩一歩アンタの前を進んで行くよ

 

『・・・随分軽くないかしら?』

 

ーやべっ空気が!!

 

ーコレコレ!

 

ーたまらんっ!!

 

ーお巡りさんコイツらです

 

『ん?あぁいや、別にアンタの

思想がどうこうじゃなくてね』

 

『なくて?』

 

ふむ、一応聞いてみるか。

 

『最近は料理にも可能性を感じててねぇ。

とりあえずこれを食ってみなよ』

 

ーおいおい!イシュタル様が

フレイヤ様にあーんって?!

 

ー絵を!誰か絵を!!

 

『料理ね、確かに文化の集大成の

一つではあるわよね。

・・・うん、コレは少し脂身が強くて

大味だと思うけど不味くは無いわ』

 

だよなぁ

 

『私もそう思う。つまり脂身を減らして

焼き方とソースを変えれば、私たちに

とって好みの味付けになるわけだ』

 

『・・・なるほど。文化の集大成を

さらに発展させるわけね』

 

やけに文化にこだわるね?

 

『そういう事さ。神が神の為に用意した

食事を上回る料理を眷族と共に開発して

振舞う。中々面白いとは思わないかい?』

 

『それぞれの価値観はあっても

誰もが納得する美食・・・

なるほど、これもまた【美】ね。

究極のメニューとでも言うのかしら?』

 

そこまで大げさなモンでもないが

 

『まぁ、目指すのはソコだろう。

歓楽街ったって普通に酒飲んだり

飯食ったりする店だってあるんだ。

全てのお客様に満足をってね』

 

結果私が一番満足できるって寸法さ!

 

『見事よ。やっぱりそちらの方面では

及ばないのかしら・・・』

 

ー「「「な、なんだってー?!」」」

 

当たり前だろう?

私を誰だと思っている?!

 

『前にも言ったが、戦女神でもあるアンタに

この方面で負けたら私の立つ瀬がない。

こっちだってアンタの所に素材を

依頼することだってあるんだ。

持ちつ持たれつで良いじゃないか』

 

『それはそうなんだけどね・・・』

 

くくく、本来は貴様用じゃなく

ガネーシャに自慢しようと思って

持ってきたんだが丁度いい。

止めを刺してやろうじゃないか!

 

『本当はガネーシャへの手土産のつもり

だったんだが……』

 

『あら?何かしら』

 

『ヤツが開発した料理を私の眷族に

作らせたのさ。なかなかの出来だと思う』

 

『へぇ?彼の料理を踏襲すると

なると、噂の繚藍ね?』

 

ーおい、繚藍ってなんだ?

 

ー知らねぇのかよ、アレだよアレ。りょうらんだよ。

 

ーお前も知らねぇんじゃねぇか

 

ーいや、イシュタル様の眷族だろうが

 

ー「「「知ってるのか?!」」」

 

ー前回の神会でな

 

 

 

 

~ほわんほわんほわんかみがみ~

 

 

 

 

ーさて、次はイシュタル様の

ところの3人だが・・・

 

ー男殺しがレベル6で麗傑がレベル5。

麗傑はこないだレベル4になったばかり

だと思うんだが・・・

 

ー去年だからな。まぁロキのところの

剣姫だって似たようなもんだし

 

ー何より無双農家関連だろ?

 

ー「「「「なら仕方ない」」」」

 

ーなんで女神がみんな認めてんだ?

 

ー美容にいい野菜とか色々

作ってるからだろ?

 

ーゴーヤか!ゴーヤなのか?!

 

ーナスとキュウリかもしれん!

 

ーなんなら人参でもいい!

 

ー「「スタッフが美味しく頂きます」」

 

ー・・・で、二つ名は変えるか?

 

ーいや、このままでもいいだろ?

 

ー「「「だな」」」

 

ーで、問題はレベル2になった

この子なんだが・・・

 

ーあぁ、プロフィール見て驚いたぜ

 

ー俺もだ。ひゅんってなったぜ

 

ー極東出身で、神に仕える家の役人出身で

 

ー魔法使い型の狐っ子だろ?

 

ー「「「「「玉●の前じゃん」」」」」

 

ーコレもう絶対キャ●狐だろ?

 

ー髪の色違うけど、

絶対みこーんとか言うだろ?

 

ー二つ名って・・・良妻狐で良くね?

 

ーそれ以外つけたらヤバイだろ

 

ーいや、もしかしたら無関係と言う

可能性も・・・

 

ーまぁ確かにソレも有るにはあるんだが

 

『なんだい?何か知ってるのかい?』

 

ー「「「「え?!」」」」

 

ー・・・知らない方が良くない?

 

ー・・・ウルクの扱いはなぁ

 

ーエレちゃんhshs

 

ー「「「わかる」」」

 

『???』

 

ーソレは良いとして、だ。

娼婦で良妻ってのもアレだろ?

 

ーあぁ確かに。

 

ー別神の可能性もあるから避けるか・・・

 

ー特徴としては・・・金髪だよな?

 

ー馬鹿!金とか玉とか崩はダメだ!

 

ー槍とか持ってると思うか?

 

ーそっちもダメだ!

 

ー狐・・・らんしゃま?

 

ー「「「ソレだ!!!」」」

 

『乱射魔??』

 

ーならば良妻とらんしゃまをあわせて・・・

 

ー「「「「あわせて?!」」」」

 

ー【繚藍】ってのはどうだ?

 

ーほほう、百花繚乱と掛けるわけだな

 

ー(ΦωΦ+)ホホウ・・・

 

ーお前、ソレやりたかっただけだろ?

 

ーコレなら本神でも神違いでも問題ないな

 

ー「「「よし、決定!

・・・で、いいですかね?」」」

 

『その乱射魔が良くわからないけど

百花繚乱と掛けるのであれば

悪い意味ではなさそうだし・・・

まぁ、良いんじゃないか?』

 

ー「「「「よしっ!」」」」

 

『・・・春姫には何かあるのかねぇ?』

 

 

 

~ほわんほわんほわんかみがみ~

 

 

ーってなもんよ

 

ーいや、やべぇだろソレ。

娼婦とか大丈夫かよ

 

ー無双農家が専属で買ったんだと

 

ー「「「すげぇな!!」」」

 

 

『あぁ、それでコレがウチのヤツが作った佛跳牆さ』

 

『ふぉーてぃゃおちぁん?何と言うか

・・・発音が難しいわね』

 

わかる。アイツの作る料理は発音が

異常に難しいのが多いんだよね

 

『冷めても美味いには美味いが、

暖かいほうが良い。壺に保温機能が

付いてるから、戻ったら味わって

みると良いさ。

流石に出来立てよりは劣るがね。

 

あぁ因みに煮込み料理だから、一度冷めても

ゆっくり加熱していけば味はそんなに劣化しないよ』

 

『煮込む?小さいツボだけど、

保温?してるから、このままでもいけるし

冷めたら温めたほうがいいのね?

だけど、出来立てよりは劣ると言うことは、

現時点でも多少は劣化してるのよね?』

 

劣化したモノを食わせる気かって

言いたいんだろう?

だがね、コレはモノが違うよ!

 

『まぁね。さっきも言ったが

あくまでガネーシャへの土産の

予定だったからさ。

だけど味わってみるといい。

劣化しても神に食わせる価値がある

料理だと、この私が保証しよう』

 

『・・・凄い自信ね』

 

『それだけのモノなのさ』

 

劣化品を喰らって驚愕するがいいよ!

 

『……ありがたく頂くわ。

温め方以外に、なにか注意点は

あるのかしら?』

 

注意点ねぇ

 

『結構匂いが強いから、その辺は

好き嫌いが別れるかもしれないね』

 

匂いすら食わせる料理だからね

 

『なるほど・・・この後で

頂いてみるわ。ありがとう』

 

ー「「「ありがとう頂きましたー!!」」」

 

『私としても周りに文化的な視点を

もって欲しいって思ってるからね。

言うなれば普及活動さ。

もし借りだと思うなら、今度なにか

珍しい素材を頼むかもしれないから

そんときはよろしく頼むよ』

 

ウミガメとかトビウオとか

メレン方面には色々な食材が

あるらしいからね

 

『えぇ、ギルドを通さなくても

アレンにでも伝えてくれれば用立てるわ。

それじゃ他にも用があるからこの辺で。

・・・ごきげんよう』

 

『そうかい、私はもう少しこの辺の

料理を味わってから帰るとするよ。またな』

 

ココにあるのが全部可能性の

塊だと思うと・・・面白いねぇ!

 

ー「「「「尊い!!」」」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

まさかイシュタルからお土産を

持たされるなんてね・・・

けど相当な自信だったわ。

 

くっ!早く食べたい!けどアノ子の

情報も欲しいっ!!

 

『あらフレイヤじゃない。珍しいわね?』

 

『あぁ、ヘファイストス。こうして会うのは

久し振りね?』

 

あまり文化的とは言えないけど、

武器だって立派な文化よね?

 

『眷族同士は会ってるみたいだけど

私たちが会うのは珍しいわね』

 

ふむ、彼女はコレを知ってるのかしら?

 

『ねぇ、いきなりでアレなんだけど』

 

『ん?神妙な顔してどうしたの?

と言うかその壺は何かしら?

なんで壺に不壊属性が?』

 

『不壊属性ですって?!』

 

壺に不壊属性とは。

恐るべしイシュタルっ!

文化とはここまで気合いを入れて

守らないとダメなのね?!

 

『気付いてなかったの?貰い物かしら?』

 

『えぇ、イシュタルからね』

 

『イシュタルから?!最近仲が良いって

本当だったのね・・・』

 

仲が良いと言うか何と言うか。

アレ?もしかしてこう言うのを

神友って言うのかしら?

少なくともお互いを認めてる感じよね?

 

『フレイヤ?』

 

『あぁ、ごめんなさい。この壺が

それほどのモノとは思ってなくてね』

 

こんな壺に入ってるんですもの。

中身は相当なモノよね・・・

 

『確かに不壊属性がついた壺なんて

珍しいモノだからね』

 

『そうね。なんでも更に保温機能っていう

機能が付いてるらしいんだけど』

 

『保温?!』

 

あら、何かしら?珍しい機能なの?

 

『まさかその壺は無双農家の作品かしら?!』

 

『え?いや、わからないけど、その可能性も

有るかもしれないわね』

 

なんてこと、彼は陶芸まで出来るの?!

 

『ち、因みにその中には何が?』

 

あぁ、そう言えばソレを聞こうとしてた

んだったわ。

 

『確か、ふぉーてぃゃおちぁんって

言う料理だそうよ』

 

『・・・』

 

あら、固まったわ。

何か知ってるのかしら

 

『神器クラスの壺に料理なんて

入れるんじゃ無いわよっ!』

 

料理なんてとはシツレイな。

料理だって立派な文化よ!

 

けどまぁ、このリアクションだと知らない

みたいね。

さて、どうしようかしら。

いっそのこと一緒に食べてみる?

けど、ガネーシャにシツレイよね?

 

『と、とりあえず後でその壺を見せて

もらえないかしら?』

 

ふむ、鍛冶の神である彼女が驚嘆

する程のモノか・・・コレは文化ね。

 

『貰い物だから、キチンと返して

くれるなら問題無いわよ。

流石に分解とかされたら困るからね』

 

『え、えぇ、モチロンよ!分解なんか

しないわ!』

 

・・・やる気だったわね。

まったくこれだから技術に取り憑かれた

神は駄目なのよ!

 

『コレについては後にしましょうか。

今日はガネーシャが開催している神会。

そちらを楽しまなきゃシツレイよ?』

 

なんか油断したら狙われる気がするから、

とりあえず意識を逸らさないとね。

 

『そ、それもそうね!うん!』

 

怪しいけど、まぁ良いわ。

・・・壺は一応自分で持っておきましょう。

 

『とりあえず、あそこでヘスティアが何か

してるから行ってみない?』

 

・・・タッパーに何か入れてるわね。

イシュタルみたいにとまでは言わないけど、

もう少し品のある持ち帰り方だってあるで

しょうに。

 

『ヘスティア・・・あの子はもぅ!』

 

・・・天界ではヘスティアの方が歳上

なはずだけど、まぁそう言うのは下界

では無粋よね。

それに私も下界に来たばかりの頃は

とにかく楽しんでたもの。

 

あぁ言う風に気ままに振る舞えるのは

少し羨ましいわね。

 

『ヘスティアあんた何やってるの?!』

 

『ヘファイフフォフ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・口にモノを入れながら喋るのは

止めた方が良いわよ?

 

 




色白美の女神迷走中。
文化的なモノを求める成金が
美術品を買い漁る一歩手前?

褐色女神様は下界を
満喫しているもよう。

感想で話を膨らませる卑怯者?
ありがとうございます!
我々の業界ではご褒美です!ってお話



オリ展開だよ?
オリ設定なんだよ?


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32話

ガネーシャは?
モリモリマッチョマンの変態。出番無し


オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!


『オッタル、アレン、

試食に付き合いなさい』

 

「「はっ!」」

 

温かい料理らしいから、繊細な舌を持つ

アレンだけじゃなくオッタルにも

食べさせるべきよね。

 

美食のなんたるかを知って、

文化というものに触れさせないと。

 

それに冷ましても美味しいらしいから、

アレンの舌はそっちでも期待できる。

 

「では私が毒見を!」

 

あぁ、勘違いしてるわね

 

『オッタル、コレはイシュタルから

直接もらったモノで、元々は

ガネーシャへの土産だったらしいの。

神から神への贈答品だから毒見は不要。

貴方にして欲しいのはあくまで試食よ』

 

「はっ!失礼しました!」

 

さすがに神友から貰ったモノを

毒見するのはね。

 

「しかしフレイヤ様・・・」

 

『どうしたのアレン?』

 

神妙な顔してるわね。

貴方には神会の帰りに大体

話したと思うけど・・・

 

「・・・ソレはどのようにして

食すのが正しい作法なのでしょうか?」

 

『「?!」』

 

「さ、作法?」

 

・・・ウカツッ!!

 

オッタルから聞いたこともないような

声が聞こえたけど、咎める気はないわ。

 

だって私にもわからないもの!

 

けど確かにそうよね。コレは美の女神たる

私が、同じ美の女神であるイシュタルから

直接手渡された神膳。

 

まさか無作法するわけにも

行かないわ!!

 

・・・保温機能はどこまで有効なの?

開封してもいいの?

一旦冷めても美味しいとは

言っていたけど、冷ますことなく

このまま頂くのが礼儀よね?!

 

『「「・・・」」』

 

『今すぐ「ふぉーてぃゃおちぁん」を

知ってる眷族が居ないかどうか

確認して。

居なければそれとなくギルド職員に

聞いてみて頂戴・・・』

 

「「はっ!」」

 

文化とは深いものね・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「それでロキ?フレイヤは何を

企んでる感じだったんだい?」

 

アイズに関してはもういい。

改宗云々はラウルのレベルが

上がってからだ。

とりあえず今をちゃんとしないと

無責任だと思われるからね。

 

『あーうん、スマン。

わからんかったよ』

 

「そうか」

 

あのお茶のおかげだろうね。

何て言うのかな?凄い爽やかだよ。

 

例えるなら新しい下着をはいた

ばかりの年明けの朝のような気分さ!

 

『お、怒っとらんの?』

 

「・・・何に対して?」

 

正直アイズに関してはもうどうでもいい。

諦めの心境だね。

 

『い、いや、それならええんやけど』

 

そうか。じゃあ建設的な意見と行こう

 

「では会議を始めよう。

今回の遠征では特に被害もなく、

収支は黒字だった。

よって次回の遠征は今回の目的で

あったカドモスの泉と到達階数の

更新を目標とする」

 

『まぁ、せやろな』

 

「出発は新種が居ることを考慮して、

現在椿に作成を依頼している

不壊属性の武器が出来上がり、

さらに慣熟訓練が終わってからだ。

予定としては来月中頃だね」

 

「ふむ、予定としてはそんなもんじゃろ。

慣熟の度合いによっては出立は

遅れることになるかの?」

 

「そのとおり。ただし訓練が必要なのは僕と

ガレスだけだから、それほど時間は必要ない

とは思うけど」

 

ティオネとティオナはすでに訓練に

入ってるからね。

 

「訓練?そんなのダンジョン探索中に

慣らせば良いじゃねぇか!」

 

馬鹿が。

 

「新しい武装だからね。慣熟訓練をしながら

武装の不備を確かめる必要がある。

ダンジョンに潜ってから

「不備がありました」では

話にならないだろう?」

 

考えてから発言しろ

 

「あぁ?そのために椿が一緒に

来るんじゃねぇのかよ?」

 

「ベート・・・少しは考えい。

ダンジョンの中とオラリオ。

設備が整ってるのはどっちじゃ?」

 

「・・・あぁ、なるほどな」

 

そのくらい言われなくても察しろよ。

 

「私は新しい武器ではないけど・・・」

 

「それで?」

 

一人で行くのか?寝ぼけるな。

 

「えっと・・・」

 

「アイズ、お前一人が慣熟訓練が

必要ないからといって、一人で遠征に

行く気か?」

 

「あっ・・・そうだよね」

 

そうそう。その調子で

頑張って教育してくれ。

 

「・・・そーいやバカゾネス共は

どーしたんだ?」

 

お前が彼女たちを馬鹿と呼べると

思ってるのが凄いな。

ティオナは彼に「本物の馬鹿は自覚しない

馬鹿だ」って言われたらしいけど・・・

まさしくコイツじゃないか。

 

「そうだな、ティオナはともかく

ティオネが会議に居ないなんて珍しいな」

 

彼女も必要な時に必要なことを判断

できるようになったと言うことだよ。

 

「彼女たちはダンジョンとイシュタル

ファミリアの往復で、数日は戻らない」

 

『「「イシュタルファミリア!?」」』

 

イメージはあまりよくないけど、

普通の飲食店や旅館もあるからね。

 

『な、なんでイシュタルんとこに

行かなあかんの?!』

 

「そうだぞ、ああいう場所はまだ

早いだろう」

 

リヴェリア・・・お前、自分の発言の

根底にあるのが差別だとわかってるのか?

 

「新しい武器の慣熟訓練だよ。

教えられるのが彼しか居ないからね」

 

『「「はぁっ?!」」』

 

「・・・あの人に教わりに行ったの?」

 

「っち!抜け駆けかよ!」

 

そもそもお前らが一緒に行ったら

門前払いされるよ

 

『なんでや!ウチは聞いとらんぞ?!』

 

「聞いてないも何も。

できるだけ僕との接触をしなかった

のはロキの方だと思うけど?

ガレスはちゃんと聞いてるよ?」

 

アイズを連れ出すためにこそこそ

してたのを逆手に取らせてもらうよ

 

『うっ!』

 

「それに遠征の前に団員を鍛えて

もらうのに不都合はないだろう?

今までだって鍛えて貰ってたんだし」

 

『それはそうやけど・・・!』

 

「彼女たちだけ不壊属性が無いと

いうのも良くないしね。

それでティオネの相談を受けた

リリルカさんが、友人の為にと

彼に聞いてくれたんだ」

 

嘘でも何でもないよ?

事実そうだし。

 

『それはそうやな・・・』

 

「僕もティオネから相談を受けて、

ロキファミリアには何のマイナスも

無いと判断して許可を出した。

何か問題があるなら言ってくれ

帰還の指示を出そう」

 

せっかく彼女たちが強くなれる

機会があるんだ。僕には

それを奪う気はないよ。

 

「・・・イシュタルファミリアで

なければダメだったのか?」

 

リヴェリア、コイツは本当に・・・

 

「接触禁止中の我々が彼と普通に連絡を

取るには、あそこかナァーザの店を

使うしかないからね」

 

偶然会ったって感じにするんだよ。

さらにアソコならお前らもアイズを

連れて行こうとしないだろ?

・・・いやはや本当に隙がない。

 

『それは、そうやな。まさか呼びつける

わけにもいかんし・・・』

 

そんなことしたら、彼はオラリオに

来なくなるぞ?

 

「勘違いして欲しくないが、

こちらは頼んだ立場だ。

格が上だとかギルドへの貢献が

どうとかは一切関係ない」

 

『これ以上の無礼はすんなってか?

・・・わかっとるよ』

 

だいぶ不満そうだな。釘を刺すか。

 

「一応言っておくけど、下手に彼を

敵に回したら我々が潰されることになるよ」

 

なんの準備もなかったら間違いなく負ける。

 

『何やて?!』

 

「あちらはオラリオ所属のファミリア

じゃないんだ。

拠点もわからない以上コチラからは

攻めれないのに、アチラはいくらでも

コチラを闇討ちできる。

それに対抗できる者がウチには居ない」

 

『・・・フィンやガレスでも無理か?』

 

「「無理だ」」

 

リリルカさんを見てわかった。

今の僕たちでは彼女の師である

彼には勝てない。

 

『そこまでなんか・・・』

 

「その上、最低でもイシュタル

ファミリアが敵に回ることになる」

 

最低でも、な。

 

「・・・むぅ、確かにそうだ。

更にはソーマファミリアも敵になるな」

 

多分そっちは巻き込まないと思うけど、

リリルカさんは間違いなく敵になるね。

 

・・・ついでに僕もだぞ。

精神と胃を守ることにもなるし、

それなら堂々とロキファミリアを

脱退してソーマファミリアに行ける。

 

別に探索系にこだわらなくても

勇名は得られると分かったし。

 

・・・アレ?結構良いアイディア

なんじゃないか?

 

「フィン・・・何を考えてるか

大体わかるが、洒落にならんぞ」

 

「ガレス。君には悪いが、いい加減

僕も洒落で済ます気ないんだよ」

 

ここで胃と精神を殺されるくらいなら

さっさと脱退した方がマシだ。

 

『フィン?何を考えとるん?』

 

嘘が無いと見抜いたか?

 

「ロキ。この際だから言っておく。

別に僕のご機嫌を取れとは言わない。

だが僕を団長だと思うなら、僕が出した

指示を頭から無視させるのは止めろ。

組織としての示しがつかないからね。

もし自分のファミリアにそんなのは

不要だと言うのなら、僕も不要だ

ということだ」

 

『・・・』

 

「アイズ、ベート、普段の

生活の中での要望はともかく、

ダンジョンでは命令や指示に従え。

お前たちが勝手に動けばその分

だけ他の団員が危険に晒されるんだ」

 

「・・・はい」

 

「はぁ?そんなの知る・・・」

 

「従えないと言うなら遠征には

連れていかん。

はっきり言って邪魔だ。

お前も昔はファミリアを率いてた身

だろうが。それくらいは理解しろ」

 

「くっっ!!」

 

くっ。じゃねぇよ。

 

「リヴェリア、今後僕が居ない

場合の指示はラウルに取らせる。

君は他の団員がラウルの指示に

従うよう監督するんだ。

ラウルの指示に問題があるようなら

その都度アドバイスしてやってくれ」

 

もうお前には任せん。

ラウルには十分な判断力が

あるとわかったからね。

彼を鍛えるさ。

 

「あぁ・・・わかった」

 

まずは幹部から引き締めだ。

まだ間に合うならそれでよし

間に合わないなら後進を育てて、

外に出よう

 

「ベートとアイズは怪物祭が

終わるまで鍛錬場の使用も禁止だ。

ガレスも言ったと思うが、そもそも

反省させるための謹慎だからな。

憂さ晴らしされたら意味がない」

 

「・・・わかったよ」

 

不承不承だな。自業自得をしらん

阿呆が。まぁその不満を

力に変えてくれ

 

「わかりました」

 

そうじゃなかったらカチ割ってたぞ

 

「深層に潜る以上、油断や慢心は

そのまま命取りになる。

しかも死ぬのは自分独りじゃない。

各々で考えて動くのと、命令違反は

別だ。自覚と自制を忘れないように」

 

「了解じゃ」

「はい」

「・・・おう」

「うむ、そうだな」

 

この王族は・・・

もぉいいや()

 

「とりあえずの方針は

こんなところかな。

ロキから何かあるかい?」

 

『・・・いや、特にないよ』

 

「・・・そうか。なら解散」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『・・・フィンを怒らせた、か。

そりゃ昨日の今日でアイズたんを

連れ出したらキレるよな。

フレイヤの悪巧み云々よりもウチが

自分でファミリア壊しとるやんか。

・・・どないしよ』

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『イシュタルファミリアの狐人?』

 

タケミカヅチが聞きたいことが

あるというから何かと思えば

 

『あぁ、極東出身なんだが。

知ってるのか?』

 

『・・・サンジョウノだろう?

ナァーザの友人でもあるからな』

 

アイツの専属の娼婦だがなっ!

 

『そ、そうか!いや、アイツとは

極東での知り合いでな!

心配していたんだが・・・こっちで

友人が居るなら、そんなに酷い

生活はしていないんだな?』

 

『・・・』

 

酷い生活か・・・

ナァーザと話しているときは

幸せそうだが、アレはきっと外に

出れたから幸せそうなんだろうな。

くそっ!私に彼女を救う術が

あれば・・・私は唯一の眷族の

友すら救うこともできんのかっ!!

 

『な、なんだ?いきなり下向いて

震えだして。もしかして・・・

支払いがヤバイのか?』

 

『・・・いや、そうではない』

 

一昔前はそうだったが、

今ではツケが効くからな。

 

『だったらどうした?具合でも悪いのか?』

 

『いや、ただ己の無力さが悔しくてな!』

 

『・・・どういうことだ?』

 

ふむ。こやつも無関係では無いし、

真実を知っておいたほうが良かろう。

 

『サンジョウノ・春姫は確かに

女中で料理人でサポーターだが・・・』

 

『だが?』

 

『無双農家専属の娼婦だ』

 

やはり奴は金で女を買い漁る

外道だった!

しかも私が店にいない時を狙って店に

来てはナァーザに接触している!

 

『なんだと?!それは本当か!』

 

『あぁ、レベル2で二つ名は【繚藍】

花魁と掛けてるのだろうな・・・

わざわざダンジョンにまで連れて行き

彼女に重い盾を持たせて、魔物に

追わせていると言うイジメを

強要しているという噂もある』

 

外道がっ!

 

『なんだと・・・イシュタルは

自分の眷族がそんな目にあっても

何もしないのか?!』

 

『何もしないのではない。

何もできんのだ・・・』

 

私がイシュタルの立場なら彼女を

都市外に逃がすが・・・

 

『・・・どういうことだ?』

 

『奴はレベル6。さらにきちんと金を

払ってサンジョウノを買っている』

 

『・・・レベル6』

 

『イシュタルはアレで契約は守る神だ。

それ故に最初に専属で契約を

結んでしまった以上、その扱いに

口を挟むわけには行かんのだろう』

 

報告を聞いて苦笑いをしていた

らしいしな。

 

『そんな。だが俺の眷族が街で

会ったときは、元気そうで

楽しそうだったと・・・』

 

『そりゃあ娼館から外に出れたら

楽しいだろうさ・・・』

 

『そういうことかっ!!』

 

知り合いが娼婦に堕ちていたら

そりゃ驚くし怒りもするだろうな

 

『私も眷族の友人の為に何か

してやりたいのだが、正直に

言って力が足りん・・・』

 

イシュタルファミリアと抗争など出来ん。

ナァーザがどんな目に遭うか・・・

 

『そうか、いや、話してくれてありがとう』

 

『・・・すまん』

 

『何も言うな。とりあえずは

知り合いを当たってみるさ。

なんならイシュタルにも話を

聞いてみよう』

 

『何か手伝えることがあったら

言ってくれ。いつでも力を貸そう!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奴はなんとしてでも排除せねばっ!

それがナァーザの為になるんだからな!

 




別に褐色女神様は意地悪を
したわけではありません。
普通に蓋を開けて食べてる
モノだと思ってます

フィンの警告 まぁイエローですね

ミアハ死すべしってお話


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33話

春姫を守るんだ!!

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし

くっ!今日は二話しか
更新出来そうにないんじゃよ!


「ナァーザ様じゃないですか。

こんばんわ!」

 

お店が終わった後でしょうか?

こちらにくるのは珍しいですね?

 

定期的な搬入品も量がありますし、

遠征前とかでもコチラから行くのが

普通ですけど、何かあったのでしょうか?

 

「こんばんわ、春姫さん。

先生が作った試供品のお香を

貰いに来たんですよ。

明日の朝には医療系ファミリアで

会合がありますからね」

 

「あぁなるほど!

ちゃんと預かってますよ!

一応香炉もありますが、

まだ専用の魔法効果を持つ

香炉は出来てないそうです」

 

さすがの先生でも短時間では

出来ることは限られますからね!

 

「・・・」

 

ん?動きが止まりましたね

命様もそうですが、固まるのは

オラリオの作法なのでしょうか?

 

「・・・コレ、磁器ですよね?」

 

「さすがナァーザ様!お目が高い!

先生が作った白磁香炉千鳥です!」

 

「は、白磁香炉・・・」

 

「はいっ!最初はブタさんみたい

なのを作ろうとしたのですが、

お店の雰囲気にあわないからって

天の雄牛さんを象った香炉を

お作りになったんですよ。

他にもライオンさんもあって

イシュタル様のお気に入りです!」

 

「は、はぁ」

 

「それで今では色んな型の香炉が

ありますけど、今回は空焚き防止

の為に千鳥型にしたらしいです」

 

空焚きとか均衡が崩れそうになると

チチチって啼いて教えてくれる

優れモノなんですよねぇ。

 

極東の家にあったモノより立派な

モノですよ!

あ、コレも教えてあげないと!

 

「それに磁器はですね!弾くと

チーンって音がするんですよ!」

 

こんな風に・・・

むぅどうして止めるのでしょう?

 

「ヤ、ヤメテっ!お願いだから

ヤメテ下さいっ!」

 

おや?もしかして壊れることを

心配してます?

まぁ春姫もレベル2ですからね!

でもご主人様が作ったモノを

春姫が壊すわけがないじゃないですか!

 

「よっぽどのことが無いと

壊れませんから大丈夫ですよ?」

 

具体的にはレベル3の酔っ払いさんが

頭突きしても大丈夫でした!

 

「・・・よっぽどのことを

したら壊れるんですよね?」

 

んん~?あぁそういえば最初に

試すのはレベル6の人でしたか。

それは危ないかもしれませんね。

 

「そうですね。いくら頑丈でも

壊れるときは壊れます。

ですが陶器や磁器は壊れるからこそ

美が宿るそうですからね、あえて

不壊属性は付けてないんですよ!」

 

さすがにお土産とかを包むのには

不壊属性も使うみたいですけど、

美術品としては使えないって

お話でしたね。

 

「そ、そうですか・・・ではコレは

美術品なんですね?」

 

それはそうでしょう。

試供品でロキファミリアの

団長さんでしょう?

出来るだけ良いものを用意しないと

評判に関わりますよ?

 

「そうですね。先生が言うには価格は

第二等級武装くらいの価値で、

美術的な価値はまだついて無いって

お話でしたよ」

 

なんだかんだでレベル3の人の頭や

兜より硬いですからね!

 

「・・・最低で数百万ヴァリスですね。

わかりました。気をつけて使うように

伝えます」

 

わざと壊さない限りは大丈夫だと

思うんですけどねぇ。

なんにせよ大事に使うのは良いことです!

 

「そうですね!是非そうしてください!」

 

「・・・はい。では失礼します」

 

「またのお越しを~」

 

いやいや、なんかお店を切り盛り

してる女将さんみたいですよね!

旦那様と女将さんかぁ・・・

良いですねぇ!

 

「春姫さん!良いところにっ!」

 

・・・おや?アレン様??

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『よくやったわ!』

 

「はっ!」

 

そうよね、確かに作った本人である

繚藍に聞けば無駄がないわ。

まさかイシュタルに聞くわけに

いかないし。

 

彼と違って居場所もわかってるし

知り合いだから不自然でもない。

確かに聞きやすい相手でもあるけど

・・・女嫌いのアレンがこんな機転を

利かせることができるなんて。

 

やはりヒトは成長するのね。

 

『それで、普通に蓋を開けて、そのまま

掬って食べるのが正しいのね?』

 

容器を移したりはしないのね?

 

「はっ!専用の容器から取り出した後は

他の容器などに移し替えず、

できるだけ外気に触れる前に

食べたほうが良いとのことでした!

 

モノはスープなので、匙で掬って

飲むそうです。また下に旨み

成分が沈殿しているそうなので、

最初は上澄みの部分を一口、

それからかき混ぜて全体の味を

楽しめば二度美味しいとの事!

 

保温機能も、蓋を開けない限りは

アツアツだそうです!」

 

『なるほど』

 

単純でありながら色々と細かい

食べ方があるのね。

 

それに、下に沈殿している

旨み成分とは一体何かしら・・・

 

やはり蓋を開けなくて正解だった。

食べる前に気付いたアレンには

あとでご褒美をあげないと・・・

 

「あとは空になった容器ですが、

洗浄したあとは再度使えます。

保温機能もそのままなので

「温かいモノでも冷たいモノでも

おっけぇです」だそうです!」

 

・・・なかなか画期的な壺なのね。

 

『まぁその辺は特に急ぎでも

ないから良いわね。

アツアツと言うなら最初は私と

オッタルが頂きましょう』

 

「「はっ!」」

 

では蓋を開けるわ・・・って

 

『「「?!」」』

 

この問答無用で食欲を刺激する

芳醇な香りは何?!

お魚?お野菜?お肉???

何の香りかはわからないけど

色々な香りがそれぞれを邪魔しない

ように己を主張している!

 

イシュタルは匂いが強いとは

言ってたけどコレは断じて

そんなチャチなもんじゃないでしょ?!

 

「ふ、フレイヤ様・・・」

 

『あ、そ、そうよね。試食よね』

 

味は想像できないけど、間違いなく

美味しいと言うことはわかるわ。

 

琥珀色の澄んだスープが

なぜこうも芳醇な香りを

醸し出すのか・・・

 

まずは上澄みを一口・・・

 

 

 

 

 

『・・・・・・』

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「あ、あのフレイヤ様?あとオッタル?

お前が小さい壺とスプーン持って

固まってると、凄い違和感があるんだが

落とすなよ?こぼすなよ?」

 

『・・・コレはありえないわ』

 

そう、ありえない。

問答無用の完成された美食とは、

ココまで魂を震わせるモノなのね。

 

「・・・お口に合わないという

意味でしょうか?」

 

『そんなわけ無いでしょう・・・

あぁ、貴方はまだ食べて無いものね』

 

それに冷静になって考えてみたら

この熱さはありえないわよね?

出来たての熱さでしょ?

コレで劣化してると言うの?!

 

『アレン、スプーンで掬って

少し冷ましてから味わって見なさい』

 

「はっ!」

 

アレンの舌はコレをどう判断するのか。

 

『オッタル、まだかき混ぜてはダメよ』

 

「は、はっ!」

 

私も旨み成分が気になるけど、

まずはアレンにも味あわせなさい

 

 

 

 

「・・・コレはっ!!」

 

 

 

ちゃんと味わったわね?

 

『よし、かき混ぜなさい』

 

「はっ!」

 

「・・・アワビとシイタケとナマコ、

さらに彼の農園で取れる野菜が

数種類。他にも貝類と魚を数種類

使ってます。それぞれの味が

独立しているようで一体化している!

根本の出汁は・・・醤?」

 

『「詳しいな?!」』

 

よくわからないのが沢山あったけど、

アレンはココまで繊細な舌を持ってたの?!

 

「彼の下で茶を学ぶ関係上、色々な

種類の味を理解しておけと言われて

ましたので・・・」

 

なるほど、貴方の繊細さは

この領域まで来ているのね

 

「コレに旨み成分とやらが追加

されるのですね・・・」

 

『そうね。名前からすれば味が

増すのでしょうけど、一体何が

追加されるのか・・・』

 

「では、行きます」

 

オッタル、貴方そんなに食事に

興味無かったでしょうに。

やはり美食とは文化なのね!

 

 

 

「・・・」

 

固まったわね。

まぁオッタルに味の感想を聞いても

美味しい以外は無いでしょうから

私も頂きましょう

 

 

 

 

 

『・・・』

 

 

 

「あ、あのフレイヤ様?それとオッタル?

お前、壺を持つ手が震えてるぞ。

怖いからテーブルに置いてくれないか?」

 

『・・・コレはありえないわ』

 

イシュタル、貴女なんて物を

食べさせてくれたの?!

これをガネーシャファミリアで

開封してたらヘスティアに一気飲み

されてたわよ?!

 

「う、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「うわっ!いきなり何だ?!」

 

『・・・気持ちはわかるわ』

 

今、コレを味わったことへの喜び。

同時に今までコレを知らなかった怒り。

思いっきり飲みたいけど飲めない哀しみ。

次の一口を想像する楽しみ。

 

これ一杯に全ての感情が篭ってる。

恐るべし、ふぉーてぃゃおちぁん!

 

 

 

 

「アレン!俺は今、猛烈に感動しているっ!」

 

「そ、そうか、それは良かったな」

 

「フレイヤ様!ダンジョン探索の許可を!!」

 

『・・・えぇ、行ってきなさい。

その猛りをぶつけてくるのよ!』

 

「はっ!行くぞアレン!!」

 

「はぁ俺も?!」

 

 

 

 

 

 

・・・まさか私の取り分を多くする

ためにアレンを連れて行った?

 

オッタル、貴方も文化を知ったのね・・・

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『フレイヤのところのアレンが血相

変えて来たというから、何かと思えば

佛跳牆の食い方を教えてくれとはな』

 

ふはははははははは!!

ヤバい!腹筋が壊れる!!

 

「いやぁ殴り込みかと思って

焦りましたよ」

 

まぁアイシャはまだレベル5だからね。

あの魔法を見せる気もないから

フリュネじゃないと厳しいか。

 

「そうですねぇ。それに、確かに

食べ方を知らなければ壺から移し替えて

しまって無駄に匂いを逃がしちゃい

ますから、知らないなら聞いてくるのが

正しいのですけどね」

 

『フレイヤを待たせることに

なるから焦ってたんだろうねぇ』

 

で、これからアイツはアレを食って

阿呆面を晒すんだろう?

まだアイツの域には届いていないが

私たちは当たり前にこんなの食って

るのかって愕然とするんだろう?

 

『ふははははははははは!!

最高だよ!さらにロキファミリアに

千鳥香炉を無料で貸出したって?』

 

噂の勇者殿に美術品の価値を理解できる

頭はあるか?無いなら嘲笑ってやるよ!

有れば知って震えるがいいさ!

どっちにしても最高だっ!!

 

『春姫良くやった!またボーナスだ!!』

 

「ありがとうございます!」

 

ふははははははははは!!

 

 

 

 

 

「いやぁ。ほんと上機嫌だねぇ」

 

「そりゃなんだかんだでフレイヤに

吠え面かかせてるからねぇ。

しかし今の私がアレンと何処まで

ヤれるか知りたかったんだがねぇ。

旦那関連ならしょうがねぇさ。

猛者との立ち合いを待つことにするよ!」

 

「・・・アンタも変わったねぇ。

今や立派な団長様だよ」

 

「変わらなきゃ旦那に殺されてる。

アイシャだってわかってるだろう?

あの人は甘いだけじゃないぞ」

 

「……確かにそうだ」

 

そうじゃなかったらカーリーと

接触なんかしないよな。

さてさて、先生は何を企むのやら・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なぁリリルカ?

次のロキファミリアの遠征に

付き合うのと、アレンとティオナと

ティオネを連れてダンジョンの

階層主と戦うの、どっちがいい?」

 

( ・ _ ・ )

 

「近年希に見る真顔だな」

 

お前も顔芸覚えたか。

 

「・・・先生、リリの耳が遠くなった

のかもしれませんので、もう一度

お願いします」

 

気のせいですよね。リリはまだ

若いですけど最近疲れてるし。

 

「仕方がない奴だな。ならば

もう一度言ってやろう。

 

なぁリリルカ?

次のロキファミリアの遠征に

付き合うのと、アレンとティオナと

ティオネを連れてダンジョンの

階層主と戦うの、どっちがいい?」

 

( ・ _ ・ )

 

「近年希に見る・・・」

 

「それはもう良いですよ!!

なんでアレンさんとティオネさんと

ティオナさんなんですか?!」

 

そもそもなんで階層主と

戦わなきゃいけないんですか!!

 

「そりゃアレだ。今のうちに

偉業を積んでおくためだ。

さっき言ったメンツなら全員が

レベルアップを望んでるしな」

 

今のうちに?

 

「・・・何かあるんですか?」

 

ステイタスだけ鍛えてさっさと

レベルアップするのは、

基礎が疎かになるだけじゃなく

周りからもやっかまれる。

 

更に自分の力を把握出来ずに動けば

事故を起こす可能性もあるから

リリの為にならないって言って、

わざわざ1年かけて基礎や反復練習を

繰り返してレベルアップしてきたのに。

 

「そうだ、正確にはその可能性が高い。

その時になって「力が足りない」

じゃ困るだろ?」

 

「確かにそうですけど」

 

リリはもう奪われる気はありません!

 

「ソーマファミリア単独では

49階層にすら行けないからな。

かといって俺がついていけば

甘えが出る」

 

まぁ、いざという時に助けて

もらえるって甘えは出そうですね

 

「確かにそのメンバーだと問題は

なさそうですけど」

 

多かれ少なかれ先生の教えを受けてる

人たちですから、リリの邪魔にならない

ようにってところでしょうか。

 

「お前の推測通り、最低限

足を引っ張らないメンバーだ。

さらにそのメンバーで行けば

お前が深層で感じた謎の視線の主が

接触してくる可能性が高い」

 

「・・・心当たりがあるんですか?」

 

どんな相手であれ、確実に今のリリより

強いですよね。

 

「まぁな。俺の推測が正しければ、だが」

 

「正しければ?」

 

間違ってる可能性もあるわけですね?

 

「あくまで可能性だがな。もし会ったら

鍛えてもらえ」

 

「鍛えてもらう?」

 

「うむ。なにせ俺はファミリアが違うから

お前らを殺すレベルまで追い込んで

やれんからな」

 

「そのメンバーで殺される

レベルなんですか?!」

 

ジャガーノートじゃないですよね?!

 

「そのくらいじゃないと修行にならん」

 

そー言えばこういう人でしたね?!

 

「内容が内容だから他のメンツの承諾を

得てからになる。

なんたって所属ファミリアも

所属ファミリアだしな。

ついでにアレンは女嫌いだ」

 

「・・・確かにそうでした。

リリはともかく、ティオネさんと

ティオナさんはアレかもしれませんね」

 

断ってくれたら楽なんですけど

 

「ちなみに断られたら強制で

ロキファミリアだ。この場合

話は通しておくから安心しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

( ・ _ ・ )

 




なんですって?!要員になりつつある
色白女神様。

まぁファミリアの関係上、先生も
容赦なく地獄を見せて
あげれませんからね。

人は地獄を見ないと強くなれませんし?ってお話


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34話

褐色女神様の愉悦は続く

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


「・・・」

 

「なんじゃフィン?そんなところで

固まって。ナァーザから

試供品が届いたんじゃなかったか?」

 

「うん、試供品は届いたよ」

 

届いたんだが・・・

 

「ふむ、その箱か?中にお前のファンから

恋文でも入っておったのか?」

 

そんな事ならどれだけよかったか・・・

あぁ、一応確認して貰おうかな

 

「なぁガレス、これを見てくれ。

コイツをどう思う?」

 

僕の目がおかしいだけかもしれないしね

 

「うほっ!凄く・・・高そうじゃな」

 

「だよなぁ~」

 

いやいや、わかるよ?

試供品だし、何だかんだ言っても

僕はロキファミリアの団長だからね。

 

香炉一つ取ってもしっかりしたのを

使わなきゃって言うのはわかるんだ。

 

だけどね?僕は所詮冒険者なんだよ!

美術品とか持たせらせても使いづらいよ!

 

コレにお香を入れろ?マジかよ!

 

多少は頑丈に作ってるとは言ってたけど、

ナァーザの手が震えてたからな!

アミッドも見ないようにしてたし!

 

「・・・因みにいくらくらいするんじゃ?」

 

「第2等級武装に匹敵するらしい。

美術品としての付加価値無しで、な」

 

「「・・・」」

 

「・・・アイズやベートには見せるな。

リヴェリアやレフィーヤもだ。

ロキもヤバイかもしれん。

下手に騒がれて壊したら洒落にならんぞ」

 

そうだよなぁ。美術品は

弁償します!で済まないよなぁ。

 

「じゃが、考え方を変えれば、

これも良い機会ではないか?」

 

「・・・何が?」

 

そう思うならお前が使うか?

 

「お主が目指してるモノはただの猪

ではあるまい?小人族を引っ張るなら

力だけではなく、文化的なモノでも

立場を上げられるのではないか?」

 

「?!」

 

確かにそうだ!今までは力で劣るなら知恵と

勇気で勇名を上げようと思っていたけど、

美術品や文化財で築いた名声だって

立派な名声じゃないか!

 

むしろ個人の武に頼るよりも、誰でも

できる工夫によって芸術に昇華させる事が

できる分、小人族だって頑張りやすい!

これこそが知恵じゃないか!

 

もっと言えば個人で作るのではなく

小人族だけで工房を構えて作れば

その名声は小人族全体のモノになる?!

 

くそっ!何故気付かなかった!

ソーマファミリアで最高の酒を造るの

だって、究極的には同じことなのにっ!」

 

「また心の声が漏れとるぞ。

だがまぁそうじゃな。小人族の酒蔵で

造られた酒とか、小人族の工房で

造られた美術品とか、所謂ブランドを

作るのも再興と言えるじゃろうよ」

 

そうだよな。僕は焦りすぎていたのか。

 

この香炉は彼が造ったモノをイシュタル

ファミリアから借りたらしいけど、香炉とか

関係無しにただの置物としても秀逸過ぎる。

 

更に空焚き防止や火事防止の工夫までして

あるとか。この小さな香炉にどれだけの

技術を費やしているのか・・・

 

完璧紳士は美術品まで網羅してるんだな。

 

僕も勇者とか言われてるけど、彼から

見たらただの蛮族なんだろうなぁ。

 

あぁ、弟子入りしたい。

 

「ガレスが言いたいのは、今後はとりあえず

近くに美術品を置いて、美的センスも鍛える

ようにしろってことだよね?」

 

まぁ弟子入りするにしても最低限の

知識や品性は必要だよなぁ。

リリルカさんみたいに幼少の頃から

鍛えるのとは違うんだから。

今まで何してた?何が出来る?って聞かれて、

槍と書類仕事が出来ます!ってただの武装

事務員じゃないか。

 

「そうじゃな。偽物や贋作を見抜く為には

本物を知らねばならん、コレは武装だけの

話では無いと言うことじゃな」

 

確かにその通りだ。今まで考えもしなかった

事だが、今後は審美眼も養って行こう!

猪では小人族を率いる事なんか出来ないんだ!

 

「団長!」

「フィーン!」

 

「ティオネにティオナ?」

 

ダンジョンに潜って

無かったのか?

 

「おはようございます団長、ガレス」

「二人とも。おはようございます!」

 

「あぁ、おはよう」

 

「うむ、おはよう。それでどうした?

お主らはダンジョンで慣熟訓練中では

無かったか?」

 

うん、そうだよね。まだ二日くらいだけど

馴染んでる感じはしてるよね。

成果があるようで何より。

 

「はい、そうなんですが・・・」

 

「農家さんから提案?依頼?されたんだよ

ソレでちょっと判断がつかなかったから

フィンに聞きに来たの!」

 

うんうん。各自で考えて動くのと

暴走して越権行為するのは違うからね

 

「それで、彼に何を頼まれたんだい?」

 

「「実はですね・・・」」

 

 

―――――――――――――――――

 

「「深層ですか?」」

 

いきなり先生から依頼があるなんて

言うから、何かと思えばリリルカと

フレイヤファミリアのアレンと一緒に

深層へ行け?

 

「うーん。下層くらいなら問題無いん

ですけど、深層となると・・・」

 

「ですね。流石に団長の許可が

必要になります」

 

ベートとかアイズなら勝手に行きそう

だけど、流石に私たちまで団長を

苦しめる訳にはいかないわ

 

「モチロンわかってる。ただでさえ

面倒な依頼な上、フレイヤファミリアと

ロキファミリアは競合相手だしな」

 

そうなのよね。別に私は恨みとか

ある訳じゃ無いけど、今まで

お互いに襲撃とかしてたみたいだし。

 

「けど、ソレをわかった上での依頼

ですから、農家さんには何か理由が

有るんですよね?」

 

そうよね。先生が無意味にこんなこと

言って来るはず無いわよね

 

「そうだな。まずは深層で武者修行してる

ヤツへの届け物だ」

 

「「武者修行?」」

 

まぁ一時期のアイズみたいな感じかしら?

 

「リリルカからの報告を聞いてな、

もしかしたら謎の視線はソイツの

可能性もあるんだ」

 

「えぇぇ?!」

 

「つまりその人は一人で深層に

居るんですか?!」

 

頭おかしいんじゃない?!

 

「可能性はある。しばらく会ってないから

確証は無いんだが、そーゆーことを

しそうなヤツだと思ってくれ」

 

「「は、はぁ」」

 

強さを求めすぎでしょう・・・

 

「それで、『まずは』って言う事は他にも?」

 

あぁ、そうよね。あまりの衝撃に確認を

怠るところだったわ。

 

「お、よく気付いたな。ティオナも

着実に成長しているようで何より」

 

「えへへ~」

 

私だって気付いてましたよ!

 

「二つ目はお前たちとリリルカに偉業。

つまり上位の経験値を積んで欲しくてな」

 

「ソレは積めるなら積みたいですけど」

 

「そうそう簡単には行かないのでは?」

 

だからこそレベルアップは難しい

モノなんだから。

 

「その辺は報酬と被るんだが、

俺にはモノを教えることに特化した

アビリティとスキルがあるのは

なんとなくわかってるだろ?」

 

「はい、団長も言ってましたね」

「ですね!」

 

だからこそ私たちも少しの教えで

成長出来てるんだし。

 

「そのスキルは試練を与えるって

スキルでな。簡単に言えば、

試練をクリアしたら上位の経験値を得ると

共にステイタスの成長に補正がかかる」

 

「「えぇぇ?!」」

 

「そ、ソレ喋って良いんですか?!」

 

かなりヤバイじゃない!レベルアップ

し放題ってことでしょ?!

 

「問題ないな。必ずクリア出来るわけじゃない。

それにクリア出来なかったら普通に死ぬし」

 

「あ、あぁ。そうですよね。

試練ってそういうモノですよね」

 

うん、あくまでクリア出来たらだもんね。

レベルアップに相応しい試練に襲われる

って考えたら、ありがた迷惑なスキル

なのかもしれないわ。

 

「つまり、リリルカさんに試練を与えるので

付き合って欲しいって事ですか?」

 

そういうことよね。

 

「だけど報酬とか言ってませんでした?」

 

「その通り。ついでにお前たちも受けて

おけば恐らくレベルアップ出来るぞ?」

 

「「えぇ?!」」

 

ど、どういうことだってばよ?!

 

「モノを教える為には、相手の状態を

認識する必要があるからな。

なんとなくだがわかるんだよ」

 

「はぁ、そうなんですか」

 

もうなんでも有りよね・・・

 

「そんなわけで報酬はレベルアップに

必要と思われる上位の経験値と

ステイタス成長補正による成長ボーナス。

ティオナには魔導書で、ティオネには

美術品を予定している」

 

「魔導書ですか?!」

 

あぁ、ティオナは魔法に憧れてたもんねぇ。

だけど、私に美術品?なんで?

 

「ティオネは不思議そうな顔をしているな」

 

「えぇ、まぁ、それはそうですよね?

私は別に美術品に興味は無いですし」

 

一体何のために?

 

「あのなぁティオネ、普通に考えろ」

 

「はい?」

 

何を?

 

「フィンの妻が、脳ミソまで筋肉の

蛮族の娘で良いと思うか?」

 

「はっ!」

 

・・・・・・ウカツッ!

 

そうよね!脳筋が団長の妻に

なれるわけないじゃない!

勇者の妻にはソレに相応しい

品格が求められる!

 

「さらにフィンは小人族。

基本的に器用が高い種族だ」

 

「はっ!」

 

つまりは美術品や文化財を作製

するのに向いてるのね!

その長の妻が美術に対する

知識が無いなんて・・・有り得ないっ!

 

「審美眼というのは本物を知らなければ

養えん。更に本物の美術品は金を積めば

買えると言うモノではない」

 

「そうよ!ソレで騙されたって話は

其処ら辺に溢れてるわ!

だけど、先生なら!」

 

「そうだ。俺なら神が認める各種美術品を

提供できる」

 

くっ!コレは欲しい!審美眼を

養うためにも本物の美術品が欲しい!

 

「知識は後からでも詰め込めるし、

知らなければ聞けば良い。

だがな、最終的に必要となるのは

本物と偽物を見分ける確かな目だ。

コレを鍛えるには時間と現物が必要不可欠。

後から焦ったところで騙されて終わりよな?」

 

「・・・仰る通りです、私には

理解が足りていませんでした!」

 

そうよね、お金は武器や食べ物を買う

ためだけにあるんじゃないわ。

そんなの戦ってるだけじゃない!

 

私達は何のためにテルスキュラを出たの?

それ以外を知りたかったからでしょ?!

力が無ければ奪われる。

だけど、レベル2とかレベル3の人達は

みんなが奪われて不幸なの?

神の恩恵を受けてない人は不幸なの?

違うわ!ソレは何故?

戦い以外を知ってるからよ!

団長の妻になるには確かに力は必要。

けど、力は腕力だけじゃない!

知力・・・それと文化系への理解力が

必要だったのね・・・

 

「現実に気付いたティオネに良いことを

教えてやろう」

 

こ、これ以上何を教えてくれると?!

 

「見た目が良ければ良い訳ではない。

知性が有れば良い訳ではない。

文化に理解を示せれば良いと言う訳でもない。

美術品に対する審美眼が有れば良いと

言うモノでもない」

 

「そ、そんな?!」

 

それなら私は何を目指せば良いのよ!?

 

「そーゆーのを合わせて女を引き立てるモノ。

コレを女子力と言う!」

 

「じ、女子力?!」

 

なんて崇高な響きっ!

 

「ちなみにリヴェリアには無い。だから

ヤツはいつまでたっても独り身だ」

 

「た、確かにっ!」

 

綺麗で知性があって、文化を理解して

品格があるように見えても、女としては

負け犬ってことよね?

 

「ティオネ、女子力が欲しいか?」

 

「はいっ!」

 

欲しい!私は今、心の底から女子力が欲しいと思っていますよっ!

 

「いい返事だ。ならばくれてやる!

だが当然ただで手に入る力など無い。

代償が必要となるのは・・・わかるな?」

 

「モチロンです!そのためなら私は修羅にだってなります!」

 

何だってやるわよ!邪魔するなら

深層のモンスターだって踏み潰す!

 

「いや、修羅に女子力無いから」

 

「・・・ですよねー」

 

だからコレが駄目なんだってば。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

いや、途中からどうなるかと思ったけど、

最終的に彼が常識人でよかった。

 

「とりあえずティオナもティオネも

依頼は受けたい訳だよね?」

 

「「はいっ!」」

 

まぁ魔導書と美術品も欲しいだろうけど、

ステイタスにボーナスがついて、

上位の経験値が手に入るならコレに

乗らない冒険者は居ないよな。

 

彼にはリリルカさんやイシュタルの眷族を

鍛えた実績が有るから、嘘って線は薄い。

 

「遠征の前にステイタスアップ、もしくは

レベルアップ出来るなら、

ファミリアとしても損はないのぉ」

 

「そうだね。リリルカさんに関しては恐らく

階層主狙いだろうけど、カドモスだって

十分な経験値になるはずだし」

 

あとは視線の主か・・・まだ確定情報では

無いけど、深層で武者修行してるくらいなら

かなりの実力者だ。

恐らくは都市外の冒険者だけど、

調べておく必要もある。

何の繋ぎもなくて、遠征の帰りに襲われたら

洒落にならない被害が出るからね。

 

「あとはフレイヤファミリアのアレンか」

 

レベル6の猫人で槍使い。

正直興味はあったんだ。

 

「ロキがどう思うかわからんが、儂は

良いと思うぞ?そもそもこういう機会は

逃すべきではない」

 

「そうだね、間違いなく成長の機会だ」

 

それに断ったら、アレンとリリルカさんが

二人っきりで深層に潜るかもしれないからな!

 

「よし、とりあえずロキやリヴェリアには内緒にしておこう」

 

アイツら邪魔するだろうし。

 

「ふむ、それに下手に話してしまえば

「平等にしろ!」とか言ってアイズを

押し付けかねん。そうなれば間違いなく

断られるじゃろうからのぉ」

 

「だと思うよ。基本的に仲良くすることは

良いことだ。でも、だからって成長の機会

やらレベルアップまで並ばせるのは違う。

それは平等という名の差別だ。

 

実際に今までのレベルアップは

特別扱いを受けてたアイズの方が

早かったんだしね。

 

今回はティオネとティオナにその機会が

訪れた。それだけの話さ」

 

確かに特殊な生まれかもしれないけど、

苦労してるのはアイズだけじゃない。

リリルカさんやこの二人に比べたら、

むしろアイズは恵まれてる方だろ?

 

「「じゃあ?!」」

 

「うん。許可を出そう。どうせ君たちは

ダンジョンでトレーニングしてるって

話をしてるから、嘘にもならないしね」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「頑張ってくるんだよ」

 

「「はいっ!」」

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

しかし、女子力が無いから行き遅れる、か。

まったくもってその通りだ。

 

「女子力のぉ、確かにアヤツには無いわな」

 

「だね。一緒に里を出た親友はしっかり

結婚してて子供まで居るってのに」

 

わざわざ指摘はしてやらんが。

 

「うむ。それに美術品やその知識もくれると

いうなら、お主にも良いことじゃしな。

嫁云々は別として、副官みたいな

形で傍に置いてみたらどうじゃ?」

 

「・・・それは僕も考えてたよ」

 

だよなぁ。ティオネが着実に外堀を

埋めてきてる感じだけど、実際かなり

役に立つんだよなぁ。

 

特別扱いするならどう考えてもお人形さん

よりもコッチだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロキ、リヴェリア。

僕たちがいつまでもお前たちの

おままごとに付き合うと思うなよ?

 

 

 

 




勇者さんは明確な目的があって
ロキファミリアに居ますからね。

原作でも妖怪功名置いてけなので、
名前が売れるなら手段を選びません。

わざわざ馬鹿正直にスキルを話した
主人公くんの狙いとは?!ってお話


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35話

そろそろ話が動きそう

オリ展開
オリ設定

嫌いな人は読み飛ばし


「リリルカ先輩とロキファミリアの

アマゾネス2人を連れて深層へ?」

 

お茶の研究とリリルカ先輩の

相手以外をさせるなんて、珍しい

こともあったもんだ。

 

いや、リリルカ先輩の修行だから

おかしくはないのか?

 

「そうだ、ついでにお前もレベルアップ

してくると良い」

      

「『してくると良い』で出来るなら

苦労はないんだが・・・」

 

この人、何かしてるのか?

 

「ロキファミリアの二人にも

教えたが、俺のスキルに試練を与える

スキルというのがあってな。

試練を越えた者に、上位の経験値と

ステイタスの上昇ボーナスを与える

ことができる」

 

「なんだと?!」

 

それならリリルカ先輩が一年で

ステイタスをカンストさせて

レベルアップできるのにも納得が行く!

 

「そんでもって当然俺にも得がある」

 

それはそうだろう。

育てるだけのスキルじゃ師匠に得がない。

スキルってのはあくまで本人に得が

あるもんだろ?

 

「対象が試練を突破した場合、

俺にも経験とステイタスの上昇効果が

得られるわけだ」

 

「・・・なるほど」

 

弟子を育ててるのはそのためかっ!

 

しかし別に騙しているわけでもない。

教えを受けた連中もしっかり恩恵を

受けている以上、文句を言う奴は

居ないだろうな。

だがこの話し方・・・やはりレベル7か。

 

「それとお前には教えておこおう。

コレはリリルカにもロキファミリアの

二人にも、イシュタルファミリアの

連中にも教えてない情報なんだが」

 

なんだ?

 

「ステイタスにはSSがあるぞ」

 

「はぁ?!」

 

999がカンストじゃない?!

 

「SSのカンストは1111だったな」

 

「だった?!」

 

この人、極めたのかよ!

そういえばレベル6の期間が

長すぎる・・・

いや、実際何年レベル6だったかは

知らんが、リリルカ先輩の成長に

比べたら・・・

900~999にする労力を考えれば

1000~1111にする労力が

それだけ大変だったと言うことか?

 

「Sの壁を越える条件は未だに

わからんが。

俺の場合はステイタスがカンストした

状態で弟子が試練を突破したときに

SSになっていた」

 

「なるほど・・・カンストした上で

ステイタス上昇効果が入ったから?」

 

「その可能性は高いな」

 

なぜその話を俺に?

・・・まさか!

 

「気付いたか?俺としては、お前が

カンスト状態で試練を突破した場合、

Sの壁を破れるかどうかが知りたい」

 

「・・・リリルカ先輩は?」

 

そもそもあの人が突破出来てないなら

無理なんじゃないか?

 

「アイツは毎回1年かけてゆっくり

万遍なく鍛えて育成してきたから、

全部カンストした時点でレベルアップ

させてたんだ。上位経験値は早い時期に

貯めてな」

 

「なるほど、カンストした状態で試練を

与えたことはなかったと?」

 

SSに関しては最近分かった

ということか

 

「そう言うことだな。それでお前は

敏捷と器用に偏ってるだろ?

限界突破しやすいかと思ってな」

 

「ふむ・・・確かに」

 

試練とやらで何が起こるかは

わからんが、俺の成長になって

レベルも上げれる可能性もあり、

さらにフレイヤ様にSSという未知を

示すことが出来るのか・・・最高だな!

 

「俺としては問題ないのだが、

あとはファミリアとしての決定だな。

なにせフレイヤ様と神ロキは仲が

良いわけではない」

 

とはいえ俺がレベル7になれば、たとえ

アマゾネスの二人がレベルアップしても

単純な戦力としては突き放すことになる

から問題はないと思うが・・・

 

アレ?むしろついていかないと

差が縮まるからダメなんじゃないか?

 

「フレイヤか・・・何か説得材料が

有ればいいんだろうが、アイツの

好みはわからんからな。

最近何かハマってるモノはあるのか?」

 

これは・・・チャンスか?!

最近はお部屋に飾る大きな絵とか

目立つ壺や鎧じゃなくて

小さくても自己主張できる美術品に

興味がお有りだし、眷族に深みを

持たせるための美術品を探してる

感じだよな?

正直我々は絵や壺を見てもわからんし

 

前に俺が借りた茶器や花入れにも

興味がお有りの様子だった。

ならば茶器か?茶なら味という形でも

理解しやすいし・・・

茶を武人の嗜みとするか?

 

「アレン?」

 

「あ、あぁすまない。さすがに師匠相手

であってもフレイヤ様の情報を開示する

わけにはいかないからな!

一度確認してみないことには何とも言えん」

 

危ない危ない!せっかく美術品をタダ・・・

いや、こちらが得をする状況で入手できる

チャンスだ!無駄にはできん!

 

「それももっともな話だ。

とりあえず帰ったらフレイヤに

聞いてみてくれ。

ちなみに俺としてはできたら怪物祭の前

には出発してもらいたいと思っている」

 

「怪物祭の前?」

 

何かあるのか?

 

「ロキファミリアのところの剣姫や

凶狼の謹慎が明けるんだと」

 

「あぁ・・・あの阿呆か」

 

そうなれば無駄にアマゾネスに

絡んで師匠の実験の邪魔になるってか。

 

当然他にも何か理由があるのだろうが

・・・まだ読めんな。

相変わらず甘いだけの男ではないな。

 

「話は分かった。すこし急な話では

あるが、おそらく大丈夫だと思う。

返事は明日で良いか?」

 

「無論だ。俺が居なかったら春姫や

リリルカに伝えてくれればいい」

 

それならナァーザの店だな。

イシュタルファミリアよりは

そっちがマシだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ねぇ先生?アレンさんといい

ティオネさんといい、何であんなに

美術品にこだわるんですかね?」

 

そんなのいくらあってもお腹は膨れないのに。

 

「ふむ。お前にはまだわからんかも

知れんが、世の中には衣食足りて礼節を

知る。という言葉があってな?」

 

「はぁ」

 

「要するに、金があって良いモノ食べて

良い服を着たら、次は礼儀とか格式とかを

求めるようになるってことだ」

 

「なるほど」

 

確かにご飯も食べれないような浮浪児は

最低限の服だし、礼儀や格式なんて

気にしませんよね。

 

「それに鑑みて今のアイツらは…そうだな。

言うなれば世界一の鉱山都市で相応の稼ぎを

出す鉱夫とその親方ってところだ」

 

ほうほう

 

「部下もいて、金もあって、良い服も

着て、美味いもんも食ってる」

 

「そうですねぇ」

 

ロキファミリアとかフレイヤファミリアは

まさしくそんな感じですよね

 

「それでもな。ふとした瞬間に気付くんだ。

『あれ?俺って今まで穴しか掘って

ないんじゃないか?』ってな」

 

「あぁ~」

 

なるほど、そうなると伝統とか格式

のあるモノを集めたくなるんですねぇ。

 

「さらに連中は魔法大国やエルフの連中が

自分たちをある意味で見下してるのも

自覚しているからな」

 

「魔法大国は知りませんが、エルフの

ヒトたちは露骨に見下してきますね?」

 

王族さんだけじゃなく、種族全体が不遜

なんですよね。

 

「そうだ。だから文化が欲しいんだよ。

普通の冒険者は気にしないが、

主神や団長は自分たちのファミリアの

格式に関わる問題だからな。

例えば「最大手の蛮族ファミリア」なんて

呼ばれてフレイヤが喜ぶと思うか?」

 

「思いませんねぇ」

 

ソレ言われて喜ぶ神様って居るんですか?

 

「さらに言えばフレイヤは自分自身が

美の女神だから、自分より劣る美術品に

興味はない。

拠点に飾ってるのも、自分で集めた

というよりは贈り物がほとんどだろう。

 

神が美の神にふさわしいと思って

贈ったモノだから間違いなく良いモノ

だが、フレイヤを見ている団員には

どれも同じにしか見えん」

 

「そんなもんですかねぇ」

 

まぁ、リリも売り物にしか

見えないと思いますけど。

 

「それに対して茶は誰でも理解出来る。

それこそオッタルだろうがフレイヤ

だろうがロキだろうが関係ない。

つまり、敷居が低いんだな」

 

「それはそうですよね。先生がお茶を

淹れてるのとアレンさんが淹れてる

のだと明確な違いがありますし」

 

味も姿も違います。

あとは春姫さんも何気にしっかり

してるんですよね。

 

……あぁアレが教養からくる美ですか。

 

「そんな感じで、茶器はともかく

味と品性を誰でも理解できる茶道は

粗暴な部下に落ち着きと文化的な

教養を叩き込むには丁度いいモノなんだ」

 

「なるほどなー」

 

リリが礼儀作法を叩き込まれてるのは、

後になってあんな感じにならない

ようにってことだったんですねぇ。

 

「俺は司隷だったからまだしも、

へうへうとか・・・あぁノッブも

その辺で苦労したのかなぁ」

 

「司令?・・・へうへう?ノッブ?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『なるほど、ステイタスにSSが・・・』

 

「はっ!上限は1111と断言して

おりましたので、おそらく自身で

確認しております。嘘ではないかと!」

 

まさかSの上があったなんてね。

コレは成長促進系のスキルがないと

わからないわ。

さらにステイタスがカンストした

状態で壁を越えるほどの経験が

必要なのね?

 

ある意味レベルアップのようなモノ、か。

 

イシュタルにも教えてないこの情報を

教えたのは、私たちがこの迷宮都市を

代表する探索系ファミリアだから?

あまり情けない姿を晒すなって言う

メッセージ?

 

『なんにしても面白いわ。

私の眷族の成長を促してくれる

と言うなら乗ってあげましょう』

 

「はっ!」

 

ついでに、そうついでに!

・・・美術品も貰えるわ。

 

眷族もその辺の神が用意した壺とか

絵とか見せても首を捻るだけだし、

私も正直ふーんって感じだった。

 

だけどアレンの茶を飲む作法には

ひと目でわかる美があるわ!

 

静寂の中に雄々しさを内包している

とでも言うのかしら・・・

オッタルもアレなら理解出来るって

言ってたし。

私の眷族にはああいうのが必要なのよ!

 

専用の茶器とその一式をもらう事。

それも貸出ではなく譲渡ね。

コレを条件にアレンの帯同を許可する

と伝えましょう。

 

・・・もらいすぎかしら?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーおい知ってるか?

 

ー知ってる知ってる

 

ーあぁ、まさかとは思ったがな

 

ーちょとsYレならんしょこれは?

 

ー何?何の話?

 

ー「「「さぁ?」」」

 

ー知らねぇなら素直に知らねぇって言えよ!

 

ーいや、だって主語がねぇじゃんよ

 

ーだよな。質問の仕方が悪いんだよ

 

ー・・・まぁそうだけどよ

 

ーんで、何だよ?

 

ーあぁ、イシュタル様のところに

繚藍様が居るじゃん?

 

ーあぁ、居るな。良妻様だろ?

 

ーあぁ、尊いよな。

 

ーアレじゃなけりゃなぁ

 

ー「「「まったくだ」」」

 

ーで?あの狐様がどうした?

 

ータケミカヅチの知り合いらしい

 

ー「「「「やっぱりか!」」」」

 

ーとうとう確定したか。

 

ーまぁその場合知り合いっていうか・・・

 

ーなぁ?

 

ーそれで、タケミカヅチがなんか

探ってるみたいなんだよ

 

ーなんかって・・・

 

ーいや、下界満喫してるから

邪魔しちゃダメだろ?

 

ー娼婦って言っても無双農家専属だし

 

ー内縁の妻みたいなもんだって

本神も言ってるらしいしな。

 

ーしかも昨日フレイヤ様のところの

アレンが頭を下げてたらしいぞ

 

ー「「「マジで?!」」」

 

ーレベル6の女嫌いが頭下げるって

 

ーいや、マジでsYレならん。

 

ー俺、眷族に絶対に迷惑かけるなって

厳命しておこう

 

ー「「「俺も」」」

 

ーで、何をトチ狂ったかタケミカヅチが

迷惑かけようとしてると?

 

ー「「「おいおい、アイツ死んだな」」」

 

ー死んで天界に帰ったあとでも死ぬぞ

 

ーもはや新しい拷問だな

 

ー関わったら俺らもヤバい系?

 

ーそりゃそうだろ。巻き添えの

範囲だって広すぎるし

 

ーどうする?守るか?

 

ーいや失敗したり騒がしくして

迷惑かけたらアレじゃないか?

 

ーならとりあえず距離置いとくか?

 

ー「「「だな」」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

くそっ!どいつもこいつも

春姫のことになると口を噤む・・・

やはりレベル6とイシュタルを

敵に回すことになるからか!

 

「タケミカヅチ様・・・」

 

千草、そんな顔をするな

 

『あぁ、わかってる春姫は

なんとしても助け出す!』

 

すくなくともイシュタルファミリアで

無双農家の専属の娼婦であることは

確かなんだ!

独占するほど愛してるなら身請け

すれば良いものを、わざわざ

飼い殺しにするその根性が気に食わん!

 

「わ、私があの時春姫殿の笑顔の

裏に隠れた悲しみを理解していればっ!」

 

いや、あの子は優しい子だ。

我々の迷惑になると考えてあえて

明るく振舞ったのだろう・・・

 

「しかしどうしますか?実際イシュタル

ファミリアの団長はレベル6。

副団長はレベル4ですが、麗傑とか

言うのはレベル5らしいです・・・」

 

『桜花の言う通り規模が違いすぎる。

普通に頼みに言ってもレベル6と我々

ではあちらを優先するだろうな』

 

ヤツがその気になれば全員が

殺される事になる。

ナァーザはレベル3だがそれでも足りん。

 

「弟子のリリルカって言うのはどんな

ヤツなんです?」

 

『弟子か。ソーマファミリアで

レベル5の冒険者だな。

ミアハのところのナァーザとも仲が良く

春姫とも普通に話ができるらしい』

 

「「「レベル5?!」」

 

そうなんだよ。弟子でソレだ。

下手を打てばそのリリルカにすら

潰される。

 

「ち、ちなみに二つ名とかは

あるんですか?」

 

『あぁ、そうだったな。普段はその

二つ名で呼ぶことは紳士協定で禁じ

られているから、二つ名では

呼ばれないらしいが・・・』

 

「「「紳士協定?」」」

 

『神会でのお約束みたいなもんだ』

 

まぁ協定を破ったら罪袋に襲われるから、

誰も呼ぶ奴がいないんだが・・・

 

「お、お約束ですか。つまり神様ですら

配慮するヤツなんですね?」

 

『ある意味ではそうだな。ちなみに

特徴としては、赤い服と淡い朱色の

ローブを着て棒を持つ小人族の少女だ。

場合によってはサポーター用の

リュックも背負っている』

 

「サポーター用のリュック?

レベル5の冒険者が?」

 

「え?!まさかそれって?!」

 

「桜花さんは知ってるんですか?!」

 

・・・そうか、桜花は知ってたか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『桜花の予想通り、そやつの本名は

リリルカ・アーデ。

二つ名は紅魔【レッドアリーマー】だ』




感想を使って話を膨らませる
卑怯者?ありがとぉーーーーー!

まぁ気分はノッブですよね。
当時の尾張の武家なんて
京の公家とか堺の商人とかに
田舎者の蛮族とか
見下されてましたし。

ダンまちの冒険者はオラリオ以外だと
それに魔石回収業者的な扱いを
受けてる感じだと思うんですよねぇ。

そんなこんなで部下に茶を身につけさせて
落ち着きと文化と教養を身につけさせ、
ついでに茶器を褒美にして色々節約した
ノッブ様マジ天才。

拙作ではフレイヤとフィンが
その一歩手前になりそうな感じです。


・・・一応言っておきますが、
常識(作者の)フィルターを使った
オリ設定ですよ?

リリルカの二つ名がさらりと
登場。
詳細は次回か?ってお話


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36話

次回から怪物祭?
一体何がおこるんだ・・・

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!


~ほわんほわんほわんたけみかづち~

 

 

ーさて、最後はいつもの・・・

 

ーリリルカ・アーデか。

 

ーいい加減決めようぜ?もうレベル5だぞ?

 

ーバカ野郎!リリたん以外にねぇだろ!

 

ー阿呆が!ルカたんだって有りだ!

 

ー何言ってやがる!リリーちゃんだろうが!

 

ーアホか!アーちゃんだ!!

 

ーリカちゃんだって・・・

 

ー「「「それはいけない」」」

 

ー・・・また紳士どもが騒いでるよ

 

ーまぁわからなくはないよ?

実際可愛いし

 

ー苦労もしてるからな

 

ーそうだな。なんたって生まれた時から

ソーマファミリアの団員にされて

 

ー3歳の頃からアル中の親に虐待と

ネグレクトされて

 

ーときにサポーターとして

ダンジョンまで連れ回されて

 

ー6歳で親が死んだあとは一人で

飯を食うためにサポーターって

 

ー鬼かよ?!

 

ー「「「ソーマ死すべし!!」」」

 

『・・・返す言葉もない』

 

ー9歳のときに無双農家に見出されて

からは、ずっとちょこちょこ

奴の背中について歩いてたな

 

ー無双農家が来ない日はしょぼーんって

してたぞ

 

ー代わりに奴が来た時は尊い笑顔を

振りまくんだよな!

 

ー「「「アレはいい!」」」

 

ーソレ以外の相手には冷たいけど

当たり前だよな

 

ーそりゃそうさ、俺たちだって

見守ってはいたがそれだけだ

 

ーせめて死なないように眷族に

彼女を連れて潜ってやれって

言う程度だったし

 

ーかといって頼まれた眷族に

してみたら確実に足手まといだ

 

ーそのせいで自分たちが死んだら

困るからな

 

ー結果余裕のある上層でしか

働けなかった

 

ーだが上層に留まる冒険者の

質なんてなぁ

 

ー殴られ、蹴られ、騙されて

 

ーその結果が人間不信の冒険者嫌いだ

 

ー無双農家が「俺は農家で教育者だ!」って

言い切ったときの彼女の顔は見ものだった。

 

ーあぁ、ぽかんとしながら、泣きそうで、

だけど笑ってたよ

 

ー「才能を見出された」なんて言われた

ことなかっただろうからなぁ

 

ー誰からも愛情を受けてこなかった

子だからな

 

ーそれもこれも

 

ー「「「ソーマが悪い!!」」」

 

『・・・おっしゃる通りです』

 

ーそんなあの子の二つ名だから

ふざけて付ける気もないんだが

 

ー紳士がなぁ・・・

 

ーいや、俺もあの子はノータッチで

あるべきだと思うよ?

 

ー「「「当たり前だ!」」」

 

ー紳士じゃなくてもあの子は

愛でるモノだ!

 

ーその通り、だけど大体紳士の価値観

からすると発育良すぎないか?

 

ー「「「「貴様!首を出せ」」」」

 

ーひぃ!

 

ー禁句言っちまった

 

ーソレが良いんだろうが。まったく

コレだからニワカは・・・

 

ー「「「「お前もだ!」」」」

 

ーひぃ!!

 

ーはぁこの分だとまた決まらないか?

 

ーだな。紳士の幹部連中はすでに結論

出してるし

 

ー「「「リリルカ・アーデはアレで

完成しているとなぜわからん!

足すモノも引くモノも無い!!」」」

 

ー二つ名関係ねぇじゃねーか

 

ーコレだから紳士は

 

『ソレに関してだが・・・』

 

ーあぁん?

 

ーオメェに発言権あると思ってんのか?

 

ーおめぇこないだロキファミリアと

一緒に探索行かせたろ?

 

ーあの子は冒険者じゃねーんだから

そんなことさせんなよ!

 

『い、いや、アレはギルドの指示で』

 

ーあぁん?

 

ーあぁ、アレだろ?リリたんのレベルアップ

が早いからって不正を疑ったヤツ

 

ー「「「リリたん言うな!!」」」

 

ーいや、話が進まないからアレだけど

 

ーギルドの連中バカじゃねぇ?

 

ー人生の9割ダンジョンに潜ってんだぞ?

 

ーそのへんのオッサンなんかより

よっぽどベテランじゃねーか

 

ー下積み考えたら遅いくらいだってんだ

 

ーまぁその疑惑はロキファミリアの

報告書で払拭されたんだけどよ

 

ーフィンが求婚してるって?

 

ー「「「「あの野郎ぶっ殺してやる!」」」」

 

ー自分は無双農家の弟子でサポーター

だからフィンにはついて行かないってさ

 

ー金とか名声じゃないんだな

 

ー「「「「えぇ子や!」」」」

 

ーいや、ソレは良いとして・・・

ソーマは何が言いたかったんだ?

 

『い、いや、その無双農家から

二つ名の提案があってな?』

 

ー「「「「(ΦωΦ+)ホホゥ….」」」」

 

ーなるほど。レベル5だし、いい加減

弟子にも有った方が良いとは思うよな

 

ーだな。実際奴がどんな二つ名を用意

したのか興味がある

 

ー完璧紳士だからなぁ

 

ー(;゚д゚)ゴクリ

 

ー(;゚д゚)ゴクリ…

 

ー(゚A゚;)ゴクリ

 

『【紅魔】と書いて「レッドアリーマー」

もしくは「あかいあくま」だ。

・・・どうだ?』

 

ー「「「「・・・」」」」

 

ー・・・やるやないか

 

ー・・・あぁ、見事だ

 

ー・・・赤い服着てるし速くて強い

 

ー・・・無双農家の畑関連でもあるな

 

ー・・・オブジェと思って近付いたら

いきなり襲われるんだろ?

 

ー・・・ほっとくと加速して殴られる

 

ー・・・うっかりは無さそうだが

村の方と考えれば・・・

 

ー・・・確か素手でも戦えたな

 

ー・・・お金に五月蝿いよな?

 

ー・・・フィンは槍兵か

 

ー・・・□凛hshs

 

ー・・・おじさんこいつです

 

ー「「「完璧だ。さすが完璧紳士!」」」

 

ーおい、紳士同盟が泣いてるぞ

 

ーあまりにも完璧すぎたんだ

 

ー場合によってはハスラーとか

ヘルなシングにだってなるからな

 

ー永遠に赤い幼き○なんてまさに

紳士案件だしな

 

ー姉妹揃ってhshsしたい

 

ーお巡りさんこいつです

 

ーコレは決定か?

 

ーまさか人が決めた二つ名が通るとは

 

ーなら他にあるか?

 

ーいや、無いな

 

ー問題はどっちにするかだが・・・

 

ー「「「下界の子供に

リリルカ・アーデをあくま

呼びさせる訳にはいかん!」」」

 

ー・・・まぁそれもそうか

 

ーなら【紅魔】でレッドアリーマーだな

 

ー「「「異議なし!」」」

 

ー「「「ただし普段はリリルカ、

もしくはアーデだ!」」」

 

ー・・・それじゃあ、いつ呼ぶんだよ

 

 

 

~ほわんほわんほわんたけみかづち~

 

 

 

『・・・うん。とりあえず

リリルカ・アーデを

呼ぶときは二つ名では呼ばないように』

 

袋詰めにされるからな

 

「「は、はぁ」」

 

「ソレはわかりました。ですが

彼女は無双農家の味方なんですね?」

 

『そうだな。もしも俺たちが無双農家の

邪魔をしようとしていると判断されれば

潰されるだろうな』

 

幼少の頃から鍛えられてきたんだ

無双農家の行いが外道だと言った

ところで我々の言葉よりも奴の

言葉を信じるに決まっている

 

「ちなみに、神イシュタルと交渉

してみるとのことでしたが

春姫殿には会えたのですか?」

 

「あ、あぁそうだな。まずは本人や

イシュタルの意志だって確認しないと!」

 

「そうですね。もし私たちが助けても

イシュタルファミリアと敵対した

ままだとその後の生活が・・・」

 

『・・・イシュタルには会えたんだがな』

 

 

 

 

~ほわんほわんほわんたけみかづち~

 

 

 

『・・・アホか』

 

堅物のタケミカヅチが

わざわざ女主の神娼殿まで来て何を

言うかと思えば・・・

 

『あ、アホとは何だ!知り合いを

助けたいと思って何が悪い!』

 

知り合いって・・・さらに助ける?

気に食わないねぇ

 

『あのなぁ、知り合い程度の関係で

口を挟むなよ?

ならお前は知り合いの子供全員を

幸せにしてきたか?

極東の娼館にいる子供全部を

開放して来たのかい?』

 

『・・・そうではない』

 

『だろう?そもそも娼館だって

需要があって供給があるんだ。

それが無くなれば社会にどれだけの

悪影響が出るかは知ってるだろう?』

 

当たり前の話だがね

 

『・・・』

 

都合が悪くなればだんまりかい?

これだから頭の悪い男は・・・

 

『更に言えば。

娼婦の両親で2人、その両親で4人。

友人知人合わせたらどれだけの

数になる?

その中には間接的に神の知り合い

だっているだろうさ。

私はそいつらを全部無条件で開放

しなくちゃダメなのかい?』

 

『そうは言わんが・・・』

 

『そもそも娼婦や歓楽街ってのは、

社会のセーフティネット的な

意味合いが強い。

少なくとも路地裏で体を売って日々の

食を賄ってる子供達に比べて、私の

ファミリアに所属している子は十分

恵まれてるよ。

病気も餓えも心配も無いんだからねぇ。

アンタが正義の味方面して助けるなら

まずはそっちだろうが』

 

『くっ!』

 

くっじゃ無いよ

 

『さらにあんた、その知り合いを

解放してどうする気だ?』

 

『どうする気とは?』

 

・・・この阿呆が

 

『アンタの貧乏ファミリアに入れて

冒険者として使い潰すか?それとも

自分たちの性欲処理に使うのか?』

 

『そんなことするか!』

 

『ならどうする?解放しました。

はい、さようならってか?行き場のない

元娼婦はどうすると思う?

もう私のところには戻れないんだぞ?』

 

そのへんの辻で体を売らせる気か?

 

『あっ!』

 

何も考えてなかったな?

 

『娼婦には娼婦の事情がある。

その事情を解決しないまま

身請けしたところでトラブルにしか

ならんよ。

しかもアンタは身請けする気すら

ないんだろう?』

 

責任ぶん投げてんじゃないよ!

 

『・・・』

 

『結論を言おう。眷族である

本人ならまだしも、周りの無責任な

感情論なんて聞いてられないね』

 

『・・・では本人が望むなら?』

 

そう来ると思ったよ

 

『そうなればあとは条件次第だね』

 

さ、アンタは知り合いの為に

いくら払える?

 

『・・・そうか、ならば本人の意思

を確認したい。

極東出身の狐人サンジョウノ・春姫

にあわせてくれ』

 

アホか!!!!!

知り合いって春姫かよ?!

 

『・・・断る』

 

『な、なんだと!本人の意思も

確認させないつもりかっ』

 

確認もなにも・・・私も解放

する気なんかないし、本人の意思も

確認する必要がないだろう?

 

解放されたって極東には行けないし、

あの子の価値はアンタのファミリア

で賄えるほど安くはないぞ?

 

『当たり前だろ?

春姫は無双農家の専属だ。

その専属の娼婦を知り合いの男に

会わせるわけがない。

問題しかおこらんだろうが』

 

『くっ、な、ならば女ならどうだ?!』

 

そういう問題じゃないんだがねぇ

 

『無双農家と春姫次第だね。二人が

会ってもいいと判断したら会わせるよ』

 

『・・・そうか』

 

 

 

~ほわんほわんほわんたけみかづち~

 

 

「なるほど、やはり春姫様を助けた

あとのことを考えれば無理は出来ません」

 

「そうだな。なぜ極東から急に居なく

なったのかもわからんから、下手に

戻すわけにも行かんし」

 

「・・・私が侵入して聞きに行きますか?」

 

『今はダメだ。それで事情が分かっても

動けないし、捕まったらどうする?』

 

完全にイシュタルファミリアを

敵に回す事になる。

だが事情は調べねばならん・・・

 

『今後は情報収集を優先する。

桜花と千草はミアハの店に行って

さりげなく話を聞いてみてくれ』

 

「「はいっ」」

 

『命は無双農家の情報を集めて

くれないか?何か交渉材料に

なるものがあるかもしれん』

 

「はいっ!!」

 

『俺たちだって余裕があるわけ

じゃない。春姫も命に別状が

あるわけでも無いからな。

無理はするな。一歩ずつ着実にだ』

 

嗅ぎまわってることがバレたら

まずいからな。

ミアハの協力を得て少しずつ

やっていこう。待ってろよ春姫!!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ほぇ~コレは何と言うか・・・

難しいですねぇ」

 

「そうだな。表現は難しいな」

 

「ただ、食欲を刺激する香りでは

ありますよねぇ」

 

ウチの野菜でできるだけヤってみたが

正直インドのカレーなんて作ったこと

無いからな。

神に出せるレベルには遠いから諦めた。

 

タンドリーに各種香草を使った

チキンティッカやナン、チャッツネに

ヨーグルトは中々のレベルのモノが

用意出来たが、どこまで満足

させることができるやら・・・

 

確かコメも使うんだよな?

長粒種はあんまり好きじゃないから

栽培してないが、本来のカレーには

長粒種が正しいんじゃなかったか?

 

むぅ・・・カレーも本神に聞くか?

マサラの調合もそこそこ出来てるから

見せれば教えてくれそうではあるんだが

 

「ですがご主人様、コレはカーリー様用の

お食事なんですよね?」

 

「そうだな。他の連中にはちょっと

難しいだろう」

 

香辛料の数がな・・・

イシュタルやフレイヤならまだしも

アレンだと舌が壊される。

 

「そうなると作るのは春姫の

お役目でしょうか?」

 

「そうだな、事前に監修はするが

仕上げを含めればお前に

作ってもらうことになるな」

 

「わかりました!頑張ります!

(お前だなんて!きゃっ!)」

 

ま、シツレイにならん程度には

出迎えようじゃないか。

あまり使えないようなら

ここで消えてもらうぞ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「エインさん!コレも

おいしーですよ!!」

 

「そうですか、やはりナマモノは

魚介類の方が良いんでしょうかねぇ」

 

ふむ、やはりナマモノでは参考に

なりませんか・・・

好みはあるようですが最終的には

何を食べても「美味しい」の

一点張りですからね。

 

いやまぁ、不味いと言われるよりは良いのですが

 

「それで、本来ならそろそろ

レベルが上がると思うんですが

・・・アナタ魔石を食べてませんね?」

 

「あうっ!」

 

「どうせお友達の為に残してるので

しょうけど、在庫はまだあるんだから

さっさと食べて下さい」

 

雑魚のままだと師に見せられないじゃないですか

 

「・・・だけど、高いんでしょう?」

 

「貴女が払うわけでも無いでしょうに」

 

遠慮を知らないよりはマシですがね。

 

「とりあえず私はしばらくは18階層に滞在

する予定ですが、魚介類が欲しくなったら

こちらに来ます。もしそれまでにお友達に

会えて魔石を消費することができていたら

補充を考えますので、報告してくださいな」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ。まだ見ぬお友達とやらが師の

お気に召してくれれば良いのですが・・・




紳士によって守られるリリルカの図
先生に会えるまで死ななかったのは
一応の慈悲が会ったもよう

年齢はオリ設定だからな!


なんだかんだでちゃんと常識を
教えてくれる優しい褐色女神様ってお話

なぞのおりきゃらはナマモノで
色々試してるもよう


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37話

怪物祭当日

主人公くん。いろいろ悪巧み中

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし




『・・・ぱないの』

 

ナンは予想していたがティッカとチャツネまで用意してあるとは。

 

しかも使っている香草や調合してある素材の質が軒並み高い。

 

・・・コレ、ウチにも売ってくれんかのぉ

 

『どうだい?ウチの眷族が無双農家の

監修を受けて作った料理さ。

正直私には香辛料が多いように

感じたが、それでもこの鳥は美味いね』

 

『それはそうじゃろうよ』

 

ここまでのチキンティッカを作るには鳥の

品種から香草の調合、タンドリーの

設計まで何一つ気が抜けん。

 

だが真に恐ろしいのはこのチャツネよ

 

同じ素材を使いながらココナッツや

トマトの熟成と分量を変えることで

食感と味を変えておる。

 

コレが同じ素材しか使っておらんと

気付けるモノが何人おることか・・・

 

うむ。やりおるわ。

 

ロキファミリアのアマゾネスとは

タイミングが合わなんだが、

これだけでも十分な収穫と言えよう。

 

なにせ生きることは戦いで

食事もまた戦いじゃからな!

 

『いや、予想以上の歓待に正直驚いておるよ』

 

『そうかい?そりゃよかった。

私としても食事には自信があったけど、

肝心のアンタが血と闘争に飢えたイカレ神

だからね。正直不安はあったんだよ』

 

それはそうじゃろうな。

妾とてココまでのモノでなければ

おとなしく驚くようなことは

無かったからのう。

 

『それで、早速じゃが情報が欲しい。

単刀直入に聞くが、無双農家は妾に

何をさせる気じゃ?』

 

腹が膨れたならば情報収集といこうかのう。

さすがに素直に答えるとは思えんが

何かしらの情報は引き出さねばの。

 

 

『さぁ?』

 

『はぁ?』

 

おいおい、誤魔化しも何もない

明らかに本心かよ?

 

『・・・まさか内容も聞かんで妾を

呼び寄せたとでも言うのか?』

 

ありえんじゃろう?

それでは使いっぱしりではないか。

 

『そうだね。私は聞かない方が

良いって言われてねぇ』

 

『それで、お主ほどの者がバカ正直に

聞かないままでいる、と?』

 

阿呆かこやつ?

 

『言いたいことはわかるがね。

アイツが聞かないほうが良いと

言うなら聞かない方がいいのさ』

 

なるほど。ある意味で信頼しとるのか。

 

『では、本人に聞くとしよう。

その無双農家はどこにおる?』

 

妾とて無駄な時間を過ごしにオラリオまで

来たわけじゃ無いからのう

 

『何を言ってるんだい?さっきからアンタの

後ろに居るじゃないか』

 

『なんじゃと?!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『なんじゃと?!』

 

驚いて振り返る暇があったら行動に

移すべきだと思うが・・・

いや、下界では大した力が出せない

から護衛がいるんだよな。

ただまぁ忠告はしてやろう

 

「闘争を謳うならもう少し警戒した

ほうが良い。この程度ならタダのカカシだ」

 

「「馬鹿な?!」」

 

馬鹿なもなにも、今だって隙だらけだぞ?

瞬きする間に皆殺しにできる。

 

『く、くかかかか!まさかバーチェと

アルガナも気付かんほどの隠形とはっ!』

 

「イシュタルに気を取られすぎだ。

人間が護衛対象である貴様と美の女神

であるイシュタルに集中するのは

仕方ないことだがな」

 

「「くっ」」

 

『二人共、いやこの場の全員じゃな。

絶対に動くな』

 

ほう気付いたか。

 

「な、なぜですか!」

 

『バーチェ、貴様は両腕じゃ。

アルガナは・・・足首か』

 

「腕?・・・コレはっ!」

「私は足?・・・糸?!」

 

「お見事、さすがは闘争の神」

 

殺す気は無かったから警告したんだし。

あぁ、一応タブレット型のエリクサーも

用意していたぞ?

 

『何が見事なものか。姿を現した時に・・・

いや、姿を現す前からすでに終わっておる。

農家?ふざけおって。

貴様の本質は狩人ではないか』

 

「農家が獣を狩るのは当たり前だろう?」

 

『・・・おいおい、客人を殺す気か?

いくらなんでも後片付けが面倒なんだが』

 

『ソッチじゃないじゃろ?!』

 

「あぁ、安心しろ。ちゃんと

エリクサーを用意していたよ。

内装は防臭済みだし・・・いや

血が染み込むとアレだな。

すまん配慮が足りなかった」

 

失敗失敗、先生失敗だな。

 

『「「ソッチでもないっ!」」』

 

『ん。殺す気もないみたいだし、私は

話を聞かない方が良いらしいから

これで失礼するが、ほどほどに頼むよ』

 

「はいよ」

 

こいつらの力量は分かった。

不測の事態は、無い。

 

『・・・随分と軽いのぉ』

 

何を言ってるんだコイツは?

 

「常在戦場なら何処で死んでも一緒だろ?

夜討ち朝駆けは戦場の習い。

油断や隙を突かれたら卑怯と言うのが

闘争を司る神か?」

 

『・・・言いよるわ。

だが確かにその通り。常在戦場である

なら、戦場で阿呆面晒している者に

奇襲をかけるは当然の理。

戦場の習いと言うなら隙を晒した我らが悪い』

 

「「・・・」」

 

ふむ、コイツは闘争を求めてるが

それだけじゃないか。プラス1点だな

 

「つまりは今の俺はお前達を戦場で撃ち破り

その命を握った状態なわけだ」

 

『なるほど、それでは妾達の扱いも

軽くなるのも道理よな』

 

「そう言うことだ。さて、ソレを理解した

上で話をしたいんだが、この話をする前

にいくつか確認事項がある」

 

『・・・確認事項?』

 

「そうだ。あぁ、ちなみに糸を

取ったからといって動くのは

止めた方がいい。

その糸は言うなれば俺からの慈悲だ」

 

「「慈悲だと?!」」

 

『・・・警告と言うことじゃろう?』

 

ほほう。そのへんも理解できるか

思った以上に闘争の範囲は広いらしい

 

「カーリー様?」

 

『アルガナ、罠にかかった獲物に

警告をする狩人はおらん。

罠から逃げようとする獲物を逃がす

ような奴もな。つまりは現状こそが慈悲』

 

「「くっ!」」

 

『さらに言えば、この場そのものがすでに

こやつの狩場じゃ。

こやつが張った罠が糸だけと誰が言った?』

 

その通り。いやいやこの調子なら

随分楽しい話し合いができそうだ。

 

『無双農家よ。妾を相手にこの状況を作った

手際は素直に見事と褒めよう。

じゃが、いつまでも我らが大人しく

従うと思うなよ?』

 

「構わんよ。俺とて無理に猛獣を飼いならす

気はない。とりあえず大人しく話を

聴いてもらうためのモノだからな」

 

『…答えようによっては殺すんじゃろうに』

 

なにか勘違いしてないか?

 

「そのままお帰り願うさ、無意味に

国を滅ぼしても面倒なだけだし」

 

まぁアイツが欲しいとか言ったら

やっても良いが・・・

どうなんだろうな?アイツら側か

レヴィス側かにもよると思うんだが

多分いらんよな。

 

『・・・当たり前のように国を

滅ぼす、か。しかもソレを不可能と

思っておらん。恐ろしい男よ』

 

「実際お前が死んだらソレで

終わりだからな。混乱が

波及してきても面倒だし、

俺の目的からは遠くなる」

 

『目的、のう・・・妾を人質にとって

アマゾネスたちを好きに貪るか?』

 

うん?何を言っているんだコイツ?

 

「思ってもいないことを口にして

何がしたい?話を聞けば帰れるんだ。

時間を稼ぐ意味もないだろうに」

 

これは何かを企んでいると言うよりも

カーリーと言う神の癖だな。

 

『それはそうなんじゃがの。

やられっぱなしというのも

つまらんじゃろうが』

 

わからんでもないが・・・

 

「その話はあとで付き合おう。

本題以外にも頼みがあるしな」

 

『頼み、とな?』

 

頼むかどうかは本題次第だがな。

 

「さてカーリー。さっきも言ったが

話の前にいくつかの確認だ。

この場の勝者が俺だと思うなら

敗者たるお前たちは黙って聞け。

さっきも言ったが危害を加える気はない。

なにせ必要性が無いからな」

 

互いの認識に相違があれば不幸しか

うまんからな

 

『・・・よかろう。聞くだけ聞いてやるわい』

 

 

 

 

 

 

「ではカーリー。最初の質問だ。

お前達は闘争が好きらしいが

・・・戦争は好きか?」

 

『「「は?」」』

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『まったく、こんな場所に呼び出して

何の用かしら?私は忙しいのだけど』

 

貴女と違ってね

 

『まぁそう言うなや。ジブンが忙しい

言うことはウチラにだって無関係や

あらへんやろ?』

 

・・・え?無関係よね?

アレンのアレは確かに関係してるけど

今の忙しさとは別物だし。

 

『何が言いたいのかよくわからないわね』

 

いや、本当にわからない。

なにかあったかしら?

 

『とぼけんなや、なんやお気に入りが

出来た言うとったやろ?』

 

ああ、アノ子。

確かにあの子の成長を促すのも

大事だけどね。

今のままじゃ腐らせるだけだから

きちんとした受け入れ体制を作り

たいって感じなんだけど・・・

 

『今のところは何もする気は無いわよ』

 

せいぜいがレベル1の上位か2の下位の

魔物を当てるくらいかしら?

 

『今のところ・・・か?』

 

気にしてるわねぇ。

 

『そうね。少なくとも貴女が慌てる

ようなことはないんじゃないかしら?』

 

アレンがレベル7になってくれれば、

いいえ、SSのステータスを見せて

くれれば、今後はそれに見合った

試練や教育もできるだろうし。

 

あぁ、そうなったら慌てるわよね。

 

貴女のところは二人がレベル6でも

アレンはレベル7になるんだから。

 

『・・・50階層で出た新種については

何か知っとるか?』

 

50階層?確かリリルカが彼に報告

したって言う武器を溶かしてくる敵ね。

アレンが言うには人工的な何かに

よって作られたんじゃないかって

リリルカが推測してたらしいけど・・・

 

『私じゃないわね』

 

関係ないことまで疑われてもねぇ。

 

『私じゃない?どういうことや?!』

 

ん?もしかして人工的な手が入ってる

ことを予測してない?

勇者は?九魔姫もいたのでしょう?

リリルカがその場で出来た推測を

ファミリアの主力が全員いても気付かないの?

 

……あぁ、コレが知性なのね。

 

アレン、リリルカからしっかり学びなさい!

 

それと、あとでソーマファミリアにも

何か届けさせましょう。

 

だけどその前に・・・

 

『ロキ、貴女と私では持ってる

情報に差があるみたいね』

 

最低限の情報すら持たないなら

会談なんて意味がないわよ?

 

『らしいな・・・なら知っとること

教えてもらおか?』

 

何で教えなきゃいけないのよ。

 

『私に教える理由がないわね。

知りたいなら自分で調べるのが

筋じゃないかしら?』

 

『・・・ほう?』

 

凄んでも無駄よ?

その剣姫程度じゃオッタルには敵わない。

せめて勇者を連れてくるべきだったわね

 

けど自分の準備不足で交渉が失敗したら

コレ、か。・・・文化的じゃないわ。

 

こんなのと同格なんて言われてるのは

流石にねぇ……早くなんとかしなきゃ。

 

『オッタル、これ以上は無意味ね。帰るわよ』

 

無駄な時間を過ごしたわ。

ヘファイストスに壺を預けたら

作法の教本を買わないと。

 

「はっ!それと先ほど・・・」

 

ふぅん、あの子が・・・予定変更ね。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『どういうこっちゃ?』

 

明らかにやつはなんか知っとった。

 

それにオッタルもフレイヤも

アイズたんに何の注意も

払わんかったし・・・

 

あと、最後の耳打ちはなんや?

何を企んどる?

 

で、知りたいなら自分で調べろってか?

言ってくれるっ!

 

『アイズたん・・・ってどこ見とるん?』

 

窓の外やったよな?

リンゴ売りでも居たんやろか?

 

「・・・いえ」

 

『ふぅん。まぁええか。とりあえず

オッタルの最後の耳打ちが気になる。

フレイヤを追うで』

 

この祭りに乗じて何かする気

やろうしな。

ついでに最近ふさぎ込んどる

アイズたんをなんとかせんとあかん。

レフィーヤでも探しとこか。

 

・・・しかしティオネとティオナは

祭りにも参加せんでダンジョンやしなぁ。

 

ベートとリヴェリアは祭りが終わるまで

謹慎やったからアレやけど、二人は若い

んからもう少し自由にさせても

ええと思うんやけどなぁ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あの赤髪は何をやってるんでしょうね?

人探し?モノ探し??

 

単純な男漁りでは無いようですが・・・

まぁ私には関係無いですね。

 

しかしあと二日ですか。

符丁も出来ましたし

することが無いんですよね。

 

時折闇派閥の連中がナマモノみたいな

喋る魔物を18階層の奥に連れて行って

ますが、特殊な鍵がないと干渉

できないようですしねぇ。

 

骨も来ませんし、ナマモノのところで

暇でも潰しますか?

 

ん?ほう。アレはリリルカでは

ないですか。まぁ所詮18階ですからね。

何かダンジョンに用事があれば

すぐに来ることも出来るでしょう。

 

ふぅむ。見れば見るほど師の教えを

受けてるのがわかりますね。

いやはや、他のと比べると

その違いが良くわかります

 

それに新顔の猫耳。

アレはレベル6相当ですが

速さに特化した形ですね。

前に見たフィンよりも明らかに上に

見えますがフィンが二番手では

ないのですか?

・・・骨の目はやはり節穴なんですねぇ

 

あとは、痴女姉妹ですか。

二人共前回は無かった縄を

持ってますね。

ほほう、縄鏢と流星錘・・・

これはまた珍しい武装ですね。

師が与えたモノでしょうか?

挙動にぎこちないところがありますから

おそらく新しい装備品の慣らしでしょう。

 

他に新しい装備といえばあの髪ど・・・

あの髪留め?!

 

昔作ってくれた雪うさぎと雪ダルマ!

さらに冬に咲くと言う蘭の花!

 

・・・あぁ、さすが師です。

私に気付いてくれて居ましたか。

 

そうか。前回の遠征の帰りに

リリルカが報告したのですね?

よくやりました!

 

そうなればあの者たちは師からの

私に対する伝令役ですね。

 

しかしそれならリリルカだけでも十分では?

 

・・・いや、師は私がこの階層に

居ることを知りませんからね。

おそらく深層まで行かせるつもり

だったのでしょう。

 

・・・ならば深層に行くべきでしょうか?

ここには人間が沢山いますし。

 

それともあえて此処で会って符丁を

渡した方がいいのでしょうか?

 

それに深層に行くのに、師の教えを

受けた4人だけと言うことは、

どういうことでしょう?

私に鍛えろと言うことでしょうか?

 

ふむ・・・わかりませんね。ついでに言えば

赤髪からの依頼はあと二日あります。

 

「そんなの知るか」と言うのは簡単ですが、

勝手な判断で依頼を放棄したとなれば師は

怒るでしょうねぇ。

知り合いのかもしれませんから尚更です。

 

それに、何だかんだ言っても赤髪の

立ち振舞いに師の影響を感じ取れた

からこそ、今まで自棄にならずに

生きてこれたと言うのもありますし。

 

うん、最低限の恩は返すべきでしょう。

 

ココは赤髪に彼らのことを伝えて、

追跡するという形で場を離れる

のが正解でしょうかね。

 

もしダメと言われたら・・・

まぁそのときはその時です。

どうせ下に行くなら帰りに

接触する事もできますし。

 

焦ってはいけません。

こういう時こそ冷静に、

いつもどおりに動かねば

大きな失敗に繋がるのです!

 

 

 

・・・だけど、ちゃんと覚えてて

くれたんですねぇ。

 

随分待たせましたし、あそことは全く

違うところに居るから正直もう忘れられた

んじゃないか?って不安に思ったことも

ありましたけど・・・不敬でした!

 

流石我が師です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この不敬の罰は然と受けねばなりませんね。

仕方ありませんから粛々と受けてあげます。

 

私は素直で良い弟子ですからね!

 




怪物祭に合わせてカーリー召喚。
不自然じゃないよね!
カーリーがロキのところの姉妹に
興味がありそうだとアイシャに聞いて
二人をカーリーから逃がしつつ
メッセンジャーにしているもよう。

色白女神様、無乳様に興味無し

素直な弟子だって?
まさか、なぞのおりきゃらは?!ってお話


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38話

いまだに怪物祭中

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし

追記・・・今更ですが拙作では
ランクアップではなくレベルアップで
通します!だってレベルでしょ!ってお話



「リリルカ、階層を潜るたびに

テンションが低くなっていく

けど大丈夫?体調悪いとか?」

 

・・・何を言ってるんですかこの人。

あぁ、さては試練を甘く見てますね?

 

「そりゃそうですよ。

なんたって先生からの試練です。 

自分から地獄に行くっていうのに

テンションが高くなる人なんて

居ませんよ・・・

しかも今回はアレンさんがレベル

アップする可能性まである試練ですよ?

死ぬことはないでしょうが

確実に死にかけることが確定してます」

 

相手はレベルで言えば6の後半か

7に匹敵するんでしょうね・・・

 

「死にかけるか。それだけの試練に

巻き込まれても死ぬことはないと

言い切れるのは、リリルカ先輩には

何か覚えが有るのか?」

 

「一応は。アレンさんは今回の探索の

目的が何か聞いてますか?」

 

「いや、レベルアップとステイタス

アップくらいだが?」

 

・・・そうですか

 

「私たちはねー。深層の視線が知り合い

の可能性もあるから、もし会えたら

モノを渡して欲しいって言われてるよ?」

 

届け物ですか。リリは聞いてませんでした

けどまぁ集中しろってことでしょうね。

 

「特徴とかも聞いてないし、どんなヤツかは

知らないけど「会えばわかる」って

言われたから、おそらく立ち振る舞いが

違うんだろうね」

 

そうでしょうね、ティオネさんが言うように

先生に鍛えられた方は

ひと目で分かりますから。

それに「鍛えて貰え」と言うことは

間違いなく同門の先輩です・・・

 

「深層での武者修行の話は聞いたが、

まさか師匠とオッタル以外にそんな

イカレた冒険者が居るとはな」

 

先生は冒険者じゃありませんよー

農家で教育者なんですよー

・・・最近は鍛冶とか調合とか料理

とか陶芸とか色々やってますけどー

 

「それに深層で一人で武者修行してるって

話だけど、それならどうやって

恩恵の更新をしてるんだろうね?

レベルアップしたら報告も必要だけど

そんな人の話は聞いたこともないし」

 

反復練習ですかね?一年に一度

地上に出て更新するとか?

あとは先生と同じで都市外の

ファミリア所属の可能性もありますか

 

「・・・闇派閥関係かしら?」

 

あぁ、それもありえますよねー

先生は正義とか悪より

面白さを重視しますから。

弟子がそう言った方向に進んでも

笑って許しそうではあります。

 

「なんにせよ、そういうのは会えたらの

話です。それに、さっきも言いましたが

会えたとしても死にはしませんよ」

 

「ほう?闇派閥関連なら先輩はともかく

俺やロキファミリアの二人はやばいのでは?」

 

その可能性もありますが、それ以前に同門

ですからね。

 

「先生が言うには、あくまで死ぬ寸前まで

追い込んでくれるそうです。

コッチも見ればわかるように、あちらも

見れば同門だってわかるはずですからね」

 

「なるほど。下手に殺せば師匠が

出てくるからな。

しかし、もしかしたら師匠に勝てると

判断して敵対する可能性もあるのでは?」

 

「それなら荷物を持たせませんよ」

 

「あぁ、そっか!つまりは仲は悪く

ないんだね!」

 

「リリルカには心当たりあるの?」

 

「ん~知らないんですよねぇ」

 

弟子入りしてから5年程経ちますが

そんな人見たこともないんですよね

 

「……下手に探らない方が良いですよ?

絶対に碌なことになりませんから」

 

リリを付け狙っていたどこぞの

アホな冒険者共みたいに

生きたまま解剖されますよ?

 

おかげで人体について詳しく

なりましたけどね。

救いのない連中でしたが、最後くらいは

リリの役に立ってくれました

 

「「「うわ!」」」

 

「その乾いた笑いやめてよ・・・」

 

ふふふ、もしもティオネさんが解剖

されそうになったら助けて・・・

あげられるかなぁ。

 

「俺は探る気は無いが、今回の試練は

先輩じゃなくて俺がメインになる可能性

もあるんだったな・・・」

 

可能性どころか、アレンさんがメイン

だと思われます。

 

「それにここはダンジョンです。

試練にも一切の遠慮がありませんから

油断なんて絶対ダメです!

安全地帯でも襲われると考えて下さい!」

 

実際襲われたでしょ?

油断したら死にかけるじゃ

済まない可能性があります。

 

「え?けど死ぬことはないんじゃないの?」

 

「ティオナさん・・・試練はそうでしょう。

ですが試練以外は普通に死ぬじゃないですか」

 

「そ、ソレはそうだね!」

 

「それに試練が終わった後も注意が必要です」

 

「「「終わった後?」」」

 

「そうです。なんたって先生はファミリア

の関係上、修行とは言えリリたちを

そこまで追い込めません。

ですがダンジョンは違います。

死ぬ寸前まで追い込まれて試練を

突破しても、無事に帰れなかったら

やっぱり死ぬんですよ?」

 

だから試練は毎回ダンジョンの魔物だし。

家に帰るまでが試練です。

 

・・・帰っても試練が継続してる

場合もありますけどね。

 

「・・・追い込むってそこまで?」

 

ティオナさん、先生を甘く見てましたね?

 

「先生はアレで厳しい方です。

油断したり指示に反した行動を取れば、

容赦なく手とか足とかを斬り飛ばす

くらいのことはしますよ」

 

いやほんと、先生は有言実行です。

必要と思ったことはやるし、やらせます。

サボリは絶対に許しません。

 

「「えぇ?!」」

 

あなた方はそこまでやらないから

大手ファミリアで育成のノウハウもある

くせに、リリに追いつかれるんですよ?

いや、先生とリリのスキルもありますけど。

 

・・・それにしてもリリは

よく生きてますよね。

それもこれも先生の絶妙な力加減と

惜しみなく使われるエリクサーの

おかげです。

 

「世の中にエリクサーが無かったら今頃

リリは普通に死んでたと思いますね!」

 

「・・・そういう問題かなぁ?」

 

リリも最初はそう思いましたけど。

 

「痛みを感じさせずに斬るくせに、

わざわざリリが痛みを感じてから

治すのがなんとも言えません」

 

「・・・イジメじゃないのよね?」

 

ティオネさん。先生はそのへんの

アホな冒険者と違って、

イジメなんて無駄なことはしません。

 

「先生曰く、『油断慢心ダメ絶対。

ついでにヒトは痛みが無ければ覚えない。

ダンジョンでダメージを受けて手や足を

切断されても、冷静に動けるようになる

ためには経験しておく必要がある』と

言われましてね」

 

この教えのおかげで今まで生きてます。

 

「・・・なるほど。確かにその通り。

ダンジョンの魔物を前にして痛みを訴えて

いる暇があったら動けと言う事だな」

 

そうですね。まったくもってその通りです。

 

昔はリリもきゃぁ!とか言ってましたけど、

今なら普通にタブレット型のエリクサーを

噛んで戦闘続行できますからね。

 

これが杜氏やサポーターに必要かどうかは

わかりませんけど・・・

先生の足手まといにならないためには

必要なことですから。

 

更に言えば先生の技をその身で受ける

ことで、リリの中の慢心を無くす

効果もありますね。

 

「・・・テルスキュラより厳しくない?

けど、そうなると慣れてない流星錘よりは

ウルガを使った方がいいのかな?」

 

「そうね。流石は先生。優しいけど

甘くは無いわね。

とりあえず、試練とやらでは縄鏢と流星錘は

使わないで、普通の重い縄として使うわよ!」

 

そうですね。雑魚ならともかく、

そういった強敵には慣れない武器を

使うより単純な防具や牽制用の

武装として使うのが正解でしょうね

 

「油断慢心ダメ絶対。うむ、その通りだ。

・・・そう言えば二人は師匠から

届け物を預かってるんだよな?

内容は聞いてるのか?美術品とかなら

扱いに気をつけねばならんぞ?

「油断して壊れました」などと報告

したら、普通に殺されそうだ」

 

そういえばリリも聞いてませんでしたね。

割れ物とかなら取り扱い注意ですし、

お二人の身の安全以外に荷物にも

気を使わなきゃいけません。

 

「あぁ其の辺は心配いらないよ!」

 

「そうだね。溶かされたらアレだけど」

 

「なるほど割れ物ではないのですね?」

 

「うん服だよ!」

 

「「・・・」」

 

・・・着替えですか。確かに必要ですよね。

絶対に溶かされないようにしましょう。

 

―――――――――――

 

「何だって?」

 

レベル5~6の強者がパーティーを

組んで18階層に来ている?

 

「ほら、あそこに居ますよ」

 

・・・確かに。前に遠征に来たロキファミリア

の二人のアマゾネスとレベル6相当の猫人。

さらにもう一人。見た目は小人族の小娘だが

アレが一番ヤバい。

 

なんだいあいつは、明らかに練度が

違うじゃないか。

アイツの直弟子か何かか?

・・・今の私じゃアレには勝てないね。

 

 

「どうします?遠征にしては数が少ない。

何かを探ってる可能性がありますけど、

貴女とは無関係ですかね?」

 

わからん・・・あのレベルの連中が怪物祭を

放置して4人で来る以上、何かしらの目的が

あるのは確定だ。

ただそれが私に関係してるのかと

言われたら……微妙だな。

 

私はアイツにだって今回のことは話して

居ないし、アイツはアイツで地上でやる

ことがあるって話だったしね。

そもそもアイツが何かを察しても

私の邪魔はしないだろうさ。

自分で言うようにアイツはあくまで外道。

自分が面白ければ良いっていう破綻者だ。

 

そんなアイツから見て私の目的は「面白い」

に分類されるモノ。ならば積極的に邪魔しに

来ることはない。

 

ならあの弟子は何だ?何かが必要に

なったから採取に来た?

普通に考えればあのレベルでパーティーを

組む必要があるなら、目的地は深層だろう。

 

ただ、エインが言うにはアマゾネスも

小人族も、前回の遠征で私が養育していた

デミ・スピリットと戦っているらしいから、

アイツの意思とは関係なしにレベル6の

応援を連れて調査に来たと言う可能性もある。

 

さて、どうするかねぇ。

 

「・・・何の用かは知らないが、

今はやつらとは関わらない。

下に行くなら行かせてやれ。

ただ、ここに居座るなら私の

仕事の邪魔になる。その場合は

どうするかねぇ・・・」

 

様子を見るにしても時間に余裕が

あるわけでもないし。

 

「先程も言いましたが、あのレベルの

強者が4人と言うことは単純な探索と

言うことではないでしょう」

 

「そうだね」

 

何が言いたい?

 

「何かしらの明確な目的があると

考えるのが妥当です。

後をつけたほうがよいのでは?

貴女の企みの種は、この階層だけじゃ

無いでしょう?貴女がテイムしている

モンスターの簡単な指揮権を渡して

もらえたら、貴女が種を仕込んでる

階層ではあいつらを素通りさせたり

隠蔽工作もできますけど?」

 

・・・確かにそうだ。あいつらに下手に

探られて前回の50階みたいに

モンスターが反応した結果、

私の動きがバレるのが一番困る。

 

「隠蔽か、ソレをあんたがやると?」

 

オリヴァスよりは100倍マシ

なのは確かだけどね。

 

「そうですね。手始めに一匹か二匹

貸してもらえれば、ソレを使って

連中が18階を離れるようにしましょう」

 

「なるほど、囮か・・・そのまま深層にでも

連れてってくれれば私の邪魔にはならんし、

無関係なところ・・・例えば37階層の闘技場

あたりに誘導できれば、奴らは延々と無駄な

捜索をするわけだね?」

 

「そういうことです。更に37階層には

私が拠点にしている場所もありますから、

簡単に掃除しておけばお出迎えもできます」

 

「ふっ。お出迎えか」

 

確かにあそこは安全地帯だが、

私らには関係がない。ソレを知らずに

油断した連中があそこを拠点として何かを

探そうとしたら、連中の寝首もかけるね。

 

一匹か二匹であれだけの強者を戦わずに

誘導し、さらに仕留めることができる。

こんな策を瞬時に思いつくんだから大した

もんだよ。

この知性・・・怖いねぇ。

だがまぁ敵対する理由がない今はその

怖さが頼りになる、か。

祭りの日にわざわざ地上に陽動に行った

馬鹿より100倍マシだ。

 

「そういうことですね。とりあえずは

誘引してここから引き離しましょう。

その後で連中が何を探ってるのか

わかったら連絡しますよ」

 

ふむ。私に損はないね

 

「わかった。よろしく頼む。ただアンタに

回すのはあくまでイモムシタイプだけだ。

他のはアンタを敵として襲って来る可能性

もあるから、油断せずにやってくれ」

 

「了解です」

 

さて、こっちは仕事を急がないと。

最悪殺すことになっても

アイツ等には渡せないからね!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『ガネーシャファミリアが捕獲

していたモンスターが逃げだしたぁ?!』

 

「か、神ロキ!お声が大きいです!」

 

『あ、あぁスマン。ソレで状況は?』

 

コレがフレイヤの企みか?

確かにウチが焦るようなレベルの

話ではないけど、他は違うやろ!

 

「ガネーシャファミリアの皆さんが

動けないそうなので、付近にいる

冒険者の方々に協力を要請して

対処している状態です」

 

『ふむ、アイズたん』

 

ここでアイズたんを使えば、奴も何かしら

動きを見せて来ると思うが・・・

 

「・・・了解です」

 

「ご、ご協力ありがとうございます!」

 

『かまへんかまへん』

 

ウチらにとっても他人事じゃあらへんし、

こういう機会にギルドの印象良くしとかな

フィンがマジギレするしな。

 

今頃新作のお香使って寝とるんやろ?

・・・胃は物理的に回復出来ても

心労は治らん。

たまにはゆっくりさせてやらなあかんよなぁ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『シルバーバック、ねぇ』

 

まぁ今のアノ子にはちょうどいいわ。

けど何度見ても綺麗な魂・・・

無色透明なアレに深みを与えると一体

どんな色になるのかしら?!

 

「フレイヤ様、剣姫が出たようです」

 

『あぁ、お人形』

 

近くで見たけどアレは本当にダメね。

無色なんじゃない、透明なんじゃない、

白ですらない、ただ無知なだけ。

 

アレは無垢でもない。

心を壊した子供の色。

 

体に混じる血の影響があるから

そこそこの光はあるけど、つまりは

遺伝頼りの不純物じゃない。

 

アノ子も遺伝頼りなところは

あるけど、自分の足で前に進んでるわ。

 

ロキも九魔姫も何をしてきたのやら。

中途半端に甘やかして中途半端に叱って

それで親の気分でも味わってたの?

 

私との会談で連れてきたのは自慢する為?

話にならないわ。

ロキ、今の貴女はエンブレム通りの道化よ。

 

・・・今までは私もあんな感じだったのね。

オッタルがレベル7じゃなければ劣等感に

潰されてたかもしれないわ。

 

それに彼はどこにいるのかしら?

面倒事を嫌うから騒がしいオラリオに来て

居ないという可能性はあるけど、彼は彼で

何か企んでるのよね。

この騒がしさを利用しないようなタイプでは

無いと思うんだけど・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なるほど、この調合比率は新しいな」

 

『じゃろ?やはりカレーはこうでなくてはな!』




腰痛とネタ温存のため
一日1回から2回更新になるもよう

主人公くんは自分でエリクサーが作れるので
修行に使うことに躊躇しません。
リリルカ的にはエリクサーの価値を
知ってますので
「自分の修行でソコまでしてくれるんですね!」
って感じで感謝すらしてました。
アフターケアもばっちりな、
頼れる兄貴であるってお話

なぞのおりきゃらは狼狽えません
焦らず騒がず準備します。


紐神様は幸せを感じてる最中ですね
がんばれ白兎!
因幡のう詐欺も応援してるぞ!


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39話

時系列はまだ原作一巻なんだぜ?

オリ設定
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「そうか」

 

現状ではそうかとしか言い様がないな。

 

『そうかってそれだけかい?!

レフィーヤたんが重症負ったんやで!』

 

いや、それもなぁ。

 

「ハイポーションで治ったんだろ?」

 

『そらそうやけどっ!』

 

死んだならともかく、冒険者が

重症負う度に文句を言ってたら

冒険なんか出来ないじゃないか。

 

眷族に甘いんだかどうなんだか

知らないけど、何が言いたいのやら

 

「問題なのはそこじゃないだろ。

新型の花みたいな魔物と、

アイズが4000万ヴァリスのレイピア

を破壊したことだ。」

 

まぁ、鍛錬の様子からしてやるとは思ってた。

 

せめて保管庫にあるのを持って行けって

言ったのに、ロキがゴブニュの顔を立てる

とかフレイヤに会うのに無様な装備を

させる訳にはいかんやろとか言うもんだから

持たせたけどさぁ。

 

そんな事を言ったら、そもそも連れて行く

のはレベル6のリヴェリアだろうよ。

 

リヴェリアなら魔法と言う部分で

オッタルに勝ってるんだから、格好も

つくだろ?

側に置いて話を聞かせるだけでも意味は

あったと思うんだけどな。

 

大体アイズ連れって行ってどうするの?

アイズに読み合いなんか出来ないし

オッタルにだって勝てないだろう?

 

『レイピアは・・・しゃあないやん!』

 

「しょうがないとは言うけど、魔物一体倒す

ために4000万ヴァリス使われてもねぇ」

 

この場合無くしたのは信用なんだぞ?

とは言っても、其の辺はゴブニュのノリ

なら許してくれそうではあるけれど。

 

『ほんなら見殺しにせぇとでも言う気か?!』

 

「そんなことは言ってないさ。

ただレフィーヤとアイズのせいで

被害が拡大したと言われる前に

動かなきゃダメだろうよ」

 

『はぁ?』

 

50階に行ったとき魔力に反応する

魔物を見たっていうのに、そんなのヤツの

近くで魔法使おうとしたらそりゃ活性化

するだろうさ。

アイズが近くで魔力を纏って戦ってた

だけならいいけど、わざわざ距離をとって

魔法使おうとしたって。

 

そもそもレフィーヤの範囲魔法は

街中で使うモンじゃないだろ?

 

前回の遠征の帰りにも、リヴェリアを

筆頭にした魔法使い連中には

初見の相手に魔法は使うなって

指示してたんだけどなぁ。

 

「わからないならそれでもいいさ。

ガレス、ミアの店に行って少年の

情報をもらってきてくれ。

それと帰りにガネーシャファミリアに

行って、今回の連中の不手際に関しての

責任の所在を確認してきてくれ」

 

誰の手が入っていようとモンスターを

逃がしたのは事実。

関わった以上うやむやにして

良いことはないだろう。

 

「おう」

 

『ちょ?ガレス?!』

 

僕はどうするかな。ナァーザの店か

ディアンケヒトファミリアの診療所で

試供品の効果についての報告かな?

いやはや、頭がスッキリしてるよ。

 

『おい、フィン!』

 

「ああそうだ、ロキ、ギルドの職員からは

何か言われなかったか?」

 

弁償とか弁済とか補償とか

 

『は?いや、感謝はされたけど・・・』

 

感謝、か。なら今のうちにこっちから

押していくべきだな。

 

「そうか、ではリヴェリア。ギルドにアイズが

4000万ヴァリスのレイピアを壊した

ことを報告して、さらにレフィーヤが

重症を負ったことも報告してきてくれ。

それで治療費とレイピアの代金を

何割か請求できないかどうかも、だな」

 

アイツら基本的にリヴェリアの権威には

弱いからなぁ。

 

「あ、あぁ。もし不可能と言われたら?」

 

おいおい、そんなの決まってるだろう

 

「その方が良いだろ?粘らずにさっさと

引いてくれ」

 

「?」

 

・・・理解できてないな

 

『どうゆうこっちゃ!』

 

・・・ロキはロキで頭に血が昇ってるし、

まぁお気に入りが傷付いたんだもんなぁ。

 

「つまりだな。こっちの団員が重症を負い、

さらに4000万ヴァリスの損害を自腹で

負担したことで、市街地の破壊活動に

関しての非を帳消しにさせるんだよ」

 

『破壊活動って!!』

 

やれやれ、実際そうだろうに

 

「市街地での戦闘で建物や道路に被害が

出ている。行き場の無い怒りを抱えたヒト

たちの恨みが、間違ってもコッチに向かない

ようにする為の一手だ」

 

「・・・そんなモノがあるのか?

こちらは命を救ったんだぞ?」

 

これだから王族は

 

「こういうのは理屈じゃない。

関係者ってだけで責められるからね。

あの時何でもっと早くこなかった!とか

もっとうまくやれただろ!って言う声が

上がる前に動く必要がある。

怪我人はもちろんだが、商品や家、

家具を失ったヒトが居たらその補填も

したほうがいいだろう」

 

命が助かったってその後の

生活があるだろうに。

 

『・・・そこまでせなあかんのか?』

 

「そこまでやるからこそ意味が有る。

まぁ家や家具の補填については先に

お金で支払って、後でギルドと交渉

するけどね。被害者に対する

迅速な対応が信頼を生むんだ」

 

『「・・・」』

 

この信頼が名声になる。

うん、すっきりしたせいか視野が

広くなった気がするよ!

 

これなら僕が現場検証に行っても

いいかな?率先して補償も行おう。

 

「フィン!街中で新種が出たって?!」

 

・・・ベートか。

面倒なのが来たな。

 

「そうだな。とりあえずギルドと

ガネーシャファミリアへは確認の為

にリヴェリアとガレスを行かせる。

現地の調査は僕がやるよ」

 

花ってことは植物で、植物の本体は根だ。

そうなると地下が怪しいな。

 

「・・・俺は?」

 

「君はロキの護衛だ。敵の狙いがわからない

以上、ロキを守る人間が必要だからね」

 

どうせ好き勝手動くんだから、

纏めてしまったほうが良い

 

「護衛って、アイズがいるだろ?」

 

「代用品のレイピアを壊したからね。

ゴブニュのところに謝罪に行ってるよ」

 

「あぁ、そうか・・・」

 

今回に関しては人命救助だから文句は

言われないだろうけど弁償はしないとねぇ。

ファミリアとしてやるかアイズにさせるか。

 

いやコレがなかったら鍛錬で無駄に

傷めたって怒られてるだろうから

アイズに弁償させよう。

そうすることで彼女も手加減や

周りの被害も考えるようになれば良い

 

『・・・ウチは何をすればええ?』

 

ん?ロキか、勝手に動かれるよりは

情報収集してもらった方が良いかな?

 

「ロキはフレイヤともう一度会って欲しい。

何か知ってる風だったんだろ?

それに、ガネーシャファミリアが捕まえた

モンスターを逃がしたのは

おそらくフレイヤだ。

その理由と新種の花との関係が読めない。

もう少し情報が欲しいんだよね」

 

『・・・なるほどな。了解や』

 

レフィーヤを傷付けられた怒りの

矛先を見つけたな?

 

「バカゾネス共は戻さねぇのか?」

 

いつまで仲間を見下してるんだ?

それに相手に寛容さを求めるのは

甘えだぞ?

 

「二人を戻しても今のところ

仕事がないからね。

それなら次の遠征に向けて武器の

慣熟訓練をしている方が建設的だろう?」

 

「それもそうか。なぁ?俺も今日で

謹慎が空けるから、明日から

ダンジョンに潜ってもいいんだよな?」

 

「おいおい、ロキの護衛はどうする?」

 

お前たちは本当に・・・コレが

ウチの幹部なんだよなぁ

 

「あぁぁ・・・そうか、それがあったか」

 

『迷惑そうな顔でコッチ見るの

止めてくれんかなぁ?!』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あれ、明らかに誘ってますよね」

 

「そうだね!」

 

「・・・そうね」

 

「まぁ、そうだろうな」

 

あのイモムシ・・・あんなに目立つ

ところで葉っぱ食べてますよ。

アナタの主食は魔石でしょう?!

 

「大樹の迷宮の入口でモソモソしてる

ってことは下に来いってことかな?」

 

「そうでしょうね。例の人があの

イモムシと繋がりがあるなら、

団長にもいいお土産になるわよ!」

 

「それもそうか。フレイヤ様にも

情報は必要だろうからな」

 

先生は情報とかは持ってそうですね。

とりあえず服が溶かされないように

注意はしないといけません。

 

そういえば預かってる服に自動修復は

付いているのでしょうか?

・・・これは内緒にしておきましょう

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ほう、あんなにあっさり連中を

下に誘導するとは・・・やるね。

言うだけのことはある。

 

しかし、なんだってあんなところで

葉っぱ食わせてるんだい?

 

それで引っ張れてるから文句は

無いんだけど・・・なんかもやっと

するねぇ。

 

まぁ!アレさえ手に入ればこんな

ところに用はない、持ってる奴も

特定した。

 

・・・ガネーシャファミリアの

レベル4か。

連れ込み宿にでも誘って奪うかね。

 

ふふ、私が居なくなったあとで、

殺人事件と新種の魔物が出たって

騒いでればいい!

 

その間に仕込みはさせてもらう!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ふむ、気付きましたね?

 

ではイモムシ、溶解液で37と書きなさい。

 

 

・・・良し。

 

 

あとは先に行って闘技場の掃除して

お待ちしましょうかね。

 

あぁ、ナマモノに魔石を全部預けて、

冒険者が来るから避難しろと伝えて

やりましょう。

 

沢山あればちゃんと食べるでしょうし

本来レベル3相当のナマモノが

レベル5相当ですからね。

きっと師も喜んでくれますよ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

37、ですか・・・

 

「コレは闘技場に来いってことよね?」

 

「ついでにウダイオスも狩れれば

レベルも上がるかな!」

 

「そうだな4人で討伐なら、レベル5が

レベル6になるには十分と言えば

十分だろう。ただ、俺はな・・・」

 

あぁ、レベル7は遠いんですねぇ。

で階層主は前回の討伐を考えれば

期間的には微妙ですが、もしも

居たら狩る程度で考えましょうか。

 

「とりあえずコレでわかりました。

おそらく先生の出す試練も37階です。

コレなら帰りも相当油断しない限りは

生きて帰れますね」

 

コレは良い情報です。

49階だったら往復に時間が

かかりますし、アレンさんが居ても

油断したら死にますからね。

 

「あぁそうだね!37階層ならウ

ダイオス以外なら何とかなるよね!」

 

「あとは新種だけど、あれは

石でも倒せるし、動きは遅いからね」

 

「そうか、それなら無理に

戦わなくても大丈夫だな」

 

急げば一日で18階に着きますし

余裕を持った行動が出来ます。

コレはおそらく我々に対する配慮

なんでしょう。

・・・魔物を使った配慮って

言うのはアレですけど無いよりは

マシですよね。

 

・・・アレ?けどこの新種は50階層の

魔物じゃなかったんですか?

普通に深層の魔物が18階層に居ますよ?

コレって放置して良いんですかね??

 

「・・・ティオネさん。ボールスさんに

一応新種について教えておきましょう」

 

「え?あぁそうよね!今は葉っぱ

食べてるだけの大きめのイモムシ

だけど、本来は深層の魔物なのよね!」

 

「あ、それもそうだね!注意はして

おかないと!えぇっと、魔力に反応す

ることと溶解液があることと、

石で倒せることくらいかな?」

 

「動きが遅いから焦るなとも

伝えたほうが良いだろう。

それに下手に近寄って自爆とか

されたらアレだから遠距離からの

石か弓矢での攻撃を推奨すると伝えて

おけば、混乱はしないんじゃないか?」

 

さすがはアレンさん。こういうところに

冒険者としての質の違いが出ますよね。

 

なんにせよ、ここまでしたならリリたちが

新種を放置したとは言われないでしょう。

 

では行きましょうか!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!

こ、こんなに一杯魔石をもらって

良いんですか?!」

 

「えぇ、これからまた深層に

潜りますからね。今ある魔石は

持っててもしょうがないんですよ」

 

邪魔になりますし、蓄えは下に

いくらでも居ますしね。

 

「それにしたっていつものより

良いのが沢山ありますよ!

特にコレとか凄いです!!」

 

あぁ51階の・・・なんと言いましたか。

変なトカゲの魔石ですね。

こういうモノの違いは本能的に

わかるんでしょうかねぇ。

 

「他のも49階の魔物とか51階の

クロサイとかありますから

遠慮なくどうぞ。お友達ともども

存分にレベルアップして下さい。

強くなったら自衛もできるんでしょう?」

 

「ほ、本当に良いんですか?!私は対価

払えませんよ?」

 

そもそも研究と在庫処分みたいな

感じですからねぇ。

 

「別に、ナマモノにそんなの

求めてませんよ。

今までもそうでしょう?

それに良い事がありましたから、

お裾分けというヤツです」

 

流石に最近私が食べてる赤い

トカゲの魔石は持ってきてませんから

最高のモノではないですし。

 

うん?これはもしかしてシツレイに

なるんでしょうか?

 

いや、無職のナマモノには十分でしょう。

 

・・・よくよく考えたらコイツら無職です。

そうですよ師が嫌いな無職ですよ!

 

もし紹介するときに「無職ですっ!」って

言ったら何やってんだって怒られますよね?

 

生き血を売ってますって言うのも何か

違いますし。

 

まったく骨は何をやってるんだか。

無職の穀潰しがどうやって周囲から

理解を得ると言うのですか。

 

生まれや育ちは働かないことの

理由にはならないのですよ?

 

実際このナマモノだって両手が

あれば猟ができるじゃないですか。

 

・・・おぉ!冴え渡る弟子冗談。

やはり師が居ると違いますよ!

 

これを披露するのは後で良いですね。

つまるところこのナマモノは

「治験の手伝いをさせてました」なら

無職じゃありません。

 

「そういうわけですので、しっかり

食べて強くなりなさい。

もしもナマモノが借りだと思うなら、

私が困ったとき助けてくれれば

ソレでいいですよ」

 

「はいっ!絶対助けます!」

 

困ること前提ですか・・・

今回は素直ということで勘弁して

あげましょう。

 

「それでは、そろそろ冒険者がきますから

避難しなさい。お友達によろしく」

 

「はい!お疲れ様でしたっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、お出迎えの準備をしましょうか




冴え渡る常識フィルター
安眠は全てを救う


ちゃんと色々配慮するリリルカ。
うっかりはしないのですよってお話


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40話

ネタの温存と言いながら
一日二回投稿するのは
どうなんだ?

そんな作者の想いを無視した
オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


名前  ○シュ・○ァー○

 

種族   ハーフエルフ 職業 農家

到達階層 ○○階層   武器 剣

 

 

所持金  3000000ヴァリス

     常に現金として持ち歩く

     ことにしている。

 

     

STATUS    LV.7

 

力  G●●● 耐久 H●●●

器用 G●●● 敏捷 G●●●

魔力 H●●●  教導  S  

鍛冶  A     神秘  A

調合  B     加工  B      

革新  D

 

 

魔法

 

自然に従え

【セクレ・ナートゥーラム】

 

己が定めた領域に対しての侵入者に対して

毒、麻痺、石化、衰弱、睡眠、呪い

等の状態異常を付与。

込められた魔力により範囲、威力は変化。

 

侵入者が居ない状態が自然であると

定義付けているので、領域から脱出

しない限り回復不能。

 

領域を策定するにはいくつかの条件を

満たす必要がある。

 

1・特殊素材による要石

2・術者本人による認識

3・※※※※※※※※※

 

 

なお、魔力の過剰使用により一時的に

領域の作成は可能になるが、効果は

格段に落ちる上、

消費魔力は跳ね上がることとなる。

 

(実際はこちらが魔法の効果であり

道具で威力と範囲を拡大している)

 

   

 

スキル 

 

斯く在れかし聖四文字

【アンメンゾ・イマデウス】

 

任意の対象に試練を与える。

対象が試練を突破した際、双方の

ステイタスに成長補正。

試練の内容により補正の内容は変化

 

 

試される大地

【セイタン・ホッカイド】

 

指定された土地で作られる

農作物に対して試練?を与える。

試練を突破した農作物は通常の

農作物よりも味や効能が増す。

 

※品種改良のスキル

 

 

赤色狩猟

【リョーユーワナプロ】

 

トラップの隠蔽効果に補正。

トラップによるダメージ増加。

 

 

我知無知哲学三信

【ヘリントン・アトモスフィア】

 

歪みない姿勢。

いかなるときにも歪まぬ不動の心

精神耐性。

 

だらしなさへの戒め。

アビリティの教導やスキルの

試練の効果に補正。

自己の戒めにもなるため成長補正。

 

 

しかたないとする寛容の心。

対象の精神的重圧を軽減。

 

頼れる兄貴である。

 

 

 

至※の※は我※※※りて

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

装備 

 

至○○

 

彼が常に装備している剣。

彼が打った剣だが本人曰く雌雄一対であり

もう片方は所在、所持者共に不明

 

価格 ーーーーーーー    

 

 

 

倚天剣

 

彼が自作した剣。特殊な素材を

神秘と鍛冶と加工により金属とし、

アビリティ革新によって強化した

モノで打たれた剣。

 

不変・魔力無効、呪い(精神汚染)

 

アビリティ革新の効果により

鞘に不壊属性

 

(不変属性とは不壊属性とは違い

折れるし曲がるし壊れるが、

自己修復能力により修復される)

 

使い手の技量と剣に宿るモノにより

『鞘に入れたままでも斬れる』と言う

伝承を宿すこととなった。

 

刃で斬られた場合は流血(止血不能)と

精神異常を起こす。

本来は持ち主にも影響を与えるほどの

呪い(素材由来)であるが

素材との力関係により、彼が

汚染されることはない。

 

 

価格 ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

神凪のシャツ

    

彼が自作した服(インナー)特殊な素材を

神秘と鍛冶と加工により布とし、作成。

不変属性を付けた。

更にアビリティ革新により耐性と呪い

を高めている

 

サイズ自動調節・適温維持

自動修復・呪い(精神汚染)付き。

    

価格 ーーーーーーーーーーー    

 

倚天剣同様、彼以外の者が触れれば

精神異常を起こす程の呪い付き。

あまりに強い呪いなので、他の

状態異常(魔力由来)が弾かれるほど。

 

彼が呪われないのは、

主神曰く素材が彼に対して

完全に屈服した状態であったため。

 

彼に対して逆らうとか危害を加えると

言う意思が産まれないとのことである 

 

 

神凪の服

 

彼が自作した服(上着)特殊な素材を

神秘と鍛冶と加工で布とし、作成

アビリティ革新によって耐性と

靭性と呪いを強化した逸品。

 

サイズ自動調節・適温維持・耐熱

耐冷・不壊属性・呪い

 

強化された呪いは、この服に対して

攻撃を行ったモノを敵とみなし

その精神を破壊する。

 

価格 ーーーーーーーーーーー

 

 

倚天剣やシャツ同様、彼以外の者が

触れれば精神異常を起こす程の

呪い付き。

あまりに強い呪いなので、他の

状態異常(魔力由来)が弾かれるほど。

 

彼が呪われないのは、

主神曰く素材が彼に対して

完全に屈服した状態であったため。

 

彼に対して逆らうとか危害を加えると

言う意思が産まれないとのことである 

 

 

 

 

普段はこれらの装備の上に

自作の耐熱性能付きコートを着ている。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『しかしアレじゃな!お主の農園で作る

野菜と香辛料は良いのぉ。

まさか下界でこれほどのカレーが喰える

とは思わなかったのじゃよ!』

 

それはこちらの台詞だ。

流石カーリーが監修したカレー。

俺が開発するより数段上じゃないか。

やはり生産者と料理人は違う。

 

「いやいや、その野菜を上手く使え

なければこの味は出せん。

やはり料理には素材の味を活かす確かな

知識と舌が必要だな」

 

いやはやまだまだ未熟よな。

だが、覚えたぞ!・・・とりあえず

具の研究も必要だよな。

キーマカレーとか肉を使った

カレーにも挑戦しなければ。

 

『クカカカカカ!ソレは無論必要じゃが、

ちょっと辛めとか、もう少しまろやかに等と

言った曖昧な指示通りに調合出来る

理解力と腕が有ればこそよ!』

 

曖昧過ぎたが、なんとなくわかったからな。

この辺はカレーを好むHENTAI 国家出身の

面目躍如と言ったところかね?

 

『ふむ、刺激は強いが刺激の中に味が

隠れてる。ガネーシャのところのヤツより

数段美味いね』

 

イシュタルも納得の味か。

まぁ素材が違うからな!

 

『一度の監修でコレを作れる繚藍も見事よ!

妾の眷族ではこうはいかん!』

 

「「・・・」」

 

おいおい、団長と副団長がカレー

食いながら凹んでるぞ?

 

「まぁ今まで戦いの中で生きてきたんだろ?

料理も戦いだが、コレに必要な力はまた別だ」

 

食材と料理人との戦いだからな。

しかも相手を倒すのではなく、

どれだけ活かせるかを考えねばならんから、

必要な力は正反対とも言えるんだよなぁ。

 

「・・・貴方は普通に出来てるではないですか」

 

「アルガナ、ソレは環境の違いだよ」

 

流石にガキの頃から戦いしかしてこなかった

やつらじゃ料理なんぞ出来んだろ。

 

「そんな環境で育っておきながらアンタには

あっさり殺られるんだ。料理でも負け

戦いでも負けたらどうしろって言うのさ」

 

「ソレをどうするか決めるのはバーチェ

次第だな」

 

わかりやすく言えば、そんなん知るか。

 

『つまりは自分で考えろってことさ。

流石は農家で教育者だ』

 

『いやはや、これほどの男の種ならどれ程の

子供が出来るかのぉ?試せないのが

無念でならんよ』

 

「ま、勝ったのは俺だしな。お前らの種馬に

なる気はないし、テルスキュラみたいな

環境に俺の子供を置く気はない」

 

教育に悪すぎ。

 

『負けたのは確かじゃし、教育環境の

事を言われるとのぉ。

子種だけでもくれとは言えぬわな。

文武は鍛えねばならんが、

妾達はどうしても武に偏ってしまう。

どうじゃ?今すぐにとは言わんが

効率的な教育要項を纏めてはくれんかの?』

 

『あぁ、ソレはウチも欲しいね。

アンタのアビリティの【教導】はレアでは

あるが、スキルとは違って他のヤツにも発現

する可能性が高そうだしね』

 

ふむ、各種族別の基本的な教育要項か。

・・・責任が取れんからやめておいた

方が良いだろうな。

 

流石にテルスキュラみたいに無駄に人的資源を

浪費されるのはアレなんだが、アレはアレで

しっかりレベルアップ出来てるから

戦士を育てる教育としては一概に間違ってる

とは言えないんだよなぁ。

 

「今のところその予定は無いぞ。

性格もスキルも特徴も人それぞれだからな。

一人一人見て鍛えるのが精一杯だ。

実際アイシャとバーチェは同じアマゾネス

だが戦い方から何から全然違うだろ?」

 

スキルやアビリティ、魔法まであるからな。

教本で一纏めにはできんよ

 

『むぅ、まぁその通りじゃな』

 

『難しいもんだねぇ。まぁ本を読んだからって

教育が出来るモンでも無いし』

 

「まったくだ」

 

やはり教育ってのはなかなか難しい。

・・・アイツらは共通語と調合と農作は

出来てるから、次は鍛冶と陶芸か。

 

茶器の価値を高める必要がある。

フレイヤに渡すのは最上級にして

おいた方がよさそうだ。

 

それとアイツらが造ってソコソコ

質の良いモノを練習用にやろう。

 

それなら一目で違いがわかるからな。

 

 

――――――――――――――――

 

 

なるほど、ここに銅板を使うのか。

 

「いやはや、まさか噂の【保温】がスキルや

属性を利用したモノではなく、純然たる

技術の結晶だったとはな」

 

『そうね。誰にでも出来る創意工夫による技術。

これが下界の子供達の可能性なのね・・・』

 

きっと器と銅板の間にあるこの隙間にも

意味があるのよね?

深い・・・壊れないモノは美術品ではない

らしいから、これは工芸品とでも言うのかしら?

 

技術の粋を集めたコレは陶芸家ではない

私たちにとっても様々な可能性を魅せて

くれるわね。

これをお土産の料理を入れるのに使い、

さらにイシュタルは返却を求めてないとか?

 

材質が材質だからまったく同じものを

量産するのは難しいだろうけど、

保温だけのモノなら出来るかもしれないわね。

ソレをしないのは瓶職人への配慮かしら?

 

完璧紳士の名は伊達ではないわね。

 

「しかも分解しやすいように螺止めしてる

わりには、肝心の部分は隠しておるときた」

 

そうよね。確かに技術的には理解も

出来るけど、中の銅板や使われてる

金属の質がわからない。

単純な銅ではなく合金なのはわかるん

だけど、その材質と比率がわからないわ。

 

それにこの造形はどう?!

この小さくて丸いフォルムの中に工夫と

技術が詰まってる。

コレが一切の無駄を省いた機能美。

 

無駄が無いと言うことはここまでの

美しさを宿すのねっ!

フレイヤではないけど、コレは部屋に飾って

置きたいほどの逸品だわ。

だけど無双農家なら使ってこその壺と

言うのでしょう。

 

・・・コレと良く似たのを作ればフレイヤ

を騙せないかしら?

不壊属性にも気付いてなかったし、

保温機能についても詳しくは知らないわよね?』

 

『・・・心の声が漏れてるわよ?』

 

『はっ!』

 

―――――――――――――――――――

 

 

まったく、コレだから技術に溺れた

職人は駄目なのよ!

 

あくまで同じのを造れるかどうかを

聞きに来たのに、なんで自分の部屋に

飾ろうとしてるの?

 

まぁ気持ちはわかるけど

 

『あのねヘファイストス、貴女にコレを預ける

のは貴女に頼まれたのもあるけど、こちらでも

保温と不壊属性の付いた器が欲しいからよ?

さりげなく入れ換えられたら困るわ』

 

見た目はともかく、内部の機能的には私も

気付ける自信がないからね。

しっかり釘を刺しておかなきゃ!

 

『わ、わかってるわよ!ソレが有れば

探索の役に立つしね!』

 

『そうよ。探索の役に立つし、技術的にも

応用が利くでしょう。

それに文化価値、商業価値として考えても

その価値は計り知れないわ』

 

流石にがさつな眷族に作法を教えるために

不壊属性の器が欲しいなんて言えないけど。

 

『確かにそうなんだけど・・・』

 

『何かしら?』

 

『いえ、貴女が文化的な価値はともかく、

商業的な価値を考えるのが意外でね』

 

あぁそんなこと?

 

『流石に私も商業価値だけを考えたりは

しないわよ。ただ、ソレの価値と可能性を

考えたら自然と出てくるモノでしょ?』

 

そう、この壺の最大の魅力はコレに

内包された可能性なのよ!

 

『可能性・・・確かにそうね』

 

『わかりやすい例えだと、コレを少し

小さくしてポーションや毒消しを

入れたら壊れる心配もないし、劣化も

抑えられるわね』

 

『そうね。さらに言えば空になった容器を

盾替わりにも出来る。

つまり眷族の安全を高めることが出来るのね』

 

そうよね。いざと言うときの最後の

備えになる。

 

『さらに言えばコレを少し大きく

することで、カドモスの泉だって鮮度を

維持したまま持ってこれるし、

不純物も混じらないわよね』

 

わざわざ深層に割れやすい甕を

持って行って、その扱いに神経を

磨り減したりする必要も無くなるわ。

 

ソレだけで眷族としては嬉しいでしょうし、

素材を依頼した方も嬉しいわよね。

 

『そうか!純度の高い素材が有れば

ソレだけ良いモノも出来るわね!』

 

まぁそうだけど、これだから技術に

溺れた技術者は・・・

 

「なるほど確かに可能性の塊よな。

では主神殿、コレは自分が預かろう」

 

『いえ、コレはフレイヤから私が直接

受けた依頼。私が責任をもってやるわ』

 

「いやいや、主神殿はつい先日に一日中鍛冶

仕事をしていたでは無いですか?」

 

あら珍しい。何かあったのかしら?

 

『ソレを言ったら貴女だって、ロキファミリア

から不壊属性の武器を依頼されてたわよね?』

 

へぇ。例の新種対策ね?けどアレンが聞いた

話だと、近接しなければならない不壊属性の

武器よりも使い捨ての飛び道具の方が良いって

話だったわよね?

・・・まぁリリルカ個人の判断だけど、

ロキのところの主力よりもそっちの方が

信用出来るって言うのが何とも言えないわ。

 

「むっ、確かにまだベートの分は完成して

いないが・・・」

 

『それならそちらを優先しないとね』

 

勝ち誇った顔してるわねぇ

 

「ぐっ、しかしだな!ソレを研究したら

もっと良いモノが出来そうだぞ!

職人としてはより良いモノを造らねば

客にシツレイだろう?!」

 

まぁ、そう言う考え方もあるわよね

 

『ソレはそうだけど。まずは求められている

モノを、求められている期日内に納めてから

でしょう?それに余裕があったらティオナと

ティオネの分も造らないと駄目だし?』

 

「くっ!」

 

まぁ遠征に間に合わなかったらどんな装備も

無意味よね。けど、ティオナとティオネ?

 

『その二人なら彼が造った武装をもって

ウチのアレンと深層に行ったけど、他にも

武装を依頼してたの?』

 

慣熟訓練とか出来ないわよね?

いくらなんでも不自然じゃないかしら?

 

『「はぁ?!」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?この反応・・・まさか、知らなかったの?

 

 




先生には三段撃ちはありませんし
弓兵でもありません

カーリーとは意気投合したもよう。

壺のイメージとしては
縦7センチ
横10センチ
長さ15センチ
小型でやや寸胴細長なギリメカラ印の
虎っぽい魔●瓶。
それなりに外装も加工してますってお話

まぁあの世界にあったら衝撃ですよね?


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41話

口は災いの元?

オリ展開!
オリ設定!

嫌いな人は読み飛ばし!


『さ、さーて私は用も済んだし、これくらいで

お暇しましょうか』

 

『「待たれよ」』

 

『な、何?二人して無駄に良い声出して!』

 

ガシッって感じで捕まえられても困るわよ。

オッタルは何か微妙な顔してるし。

 

いや、やらかしたのはわかるけど、

流石にこんなの予想できないわよ?!

 

『いやー、私ったらいっけなーい!

お客様にお茶も出してなかったわ!』

 

貴女『いっけなーい!』なんてキャラじゃ

無いわよね!

 

「そうだな!お客様を放置して壺を眺める

など、客商売としてはあってはならん!」

 

『貴女達は自分で客商売してるなんて

思ってないわよね?』

 

特に椿!

 

『まぁまぁ細かいことは良いじゃない。

座りなさいよ~。ほら、お菓子もあるから』

 

親戚のおばちゃんかっ?!

 

「オッタルも座れ座れ。お主の武装とて

メンテも必要だろう?」

 

こいつ、さりげなく脅迫してる?!

 

いえ、あくまで善意の可能性を残すことで

オッタルに判断をさせない気ね!

 

コレはどう動くのが正解なのかしら?

下手に動いてロキとヘファイストスの

仲が悪くなっても・・・別に構わないわね。

 

そもそもがコイツらの連絡の不備だし?

 

『・・・まぁ、良いわ。オッタルも座りなさい』

 

「はっ!」

 

『話が早くて助かるわ~。あぁ、今お茶を

持ってこさせるから。椿~よろしく~』

 

「了解した!おーい茶と茶菓子を頼む!

一番良いヤツだぞー」

 

お茶ねぇ。そりゃ何だかんだで生産系の

ファミリアだし、それくらいはあるわよね。

 

『最近お茶を飲んでるんでしょ?結構評判の

良いところのヤツだから飲んでみなさいな』

 

ほほう?結構評判の良いところの

一番良いお茶とな?

ヘファイストスクラスが良いと言う

くらいだから味には期待が持てるわね。

 

ふっ、良いでしょう。

アレンが居なくともオッタルとて

美食を知り、文化に目覚めたのよ!

しっかり味わってあげるわ!

 

『オッタル、わかっているわね?』

 

作法よ!迷宮都市最強の強者に相応しい

作法を見せつけてやるのよ!

 

「・・・はっ!」

 

微妙に自信なさげだけど、大丈夫よね?

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

『・・・ヘスティア、貴女何してるの?』

 

じゃが丸くんの販売員じゃなかった?

 

『う、五月蝿いな!最近はコッチでも仕事してるんだよ!』

 

多分アノ子が持ってたナイフの代金なんだ

ろうけど、バイトで賄えるモノなのかしら?

 

何だったら払ってあげても良いけど・・・

いえ、そんな形でアノ子を甘やかしても駄目ね。

私は剣姫みたいなお人形が欲しいわけじゃ

無いんだし。

 

「・・・恐縮です」

 

そうよ、それで良いのよオッタル!

そんなんでも相手は神なんだから

一応の礼は払わないとね!

 

『これでも一昔前みたいにタダ飯食らいじゃ

無いからね。私からしたら十分な成長よ?』

 

そりゃそうかも知れないけどさぁ。

 

『・・・ベル君、僕は君のためならどんな

屈辱にだって耐えて見せるっ!』

 

あらそう?なら遠慮なく行くわよ?

 

『あのねヘファイストス?こう言っては

なんだけど、ヘスティアに

お茶を淹れさせるなんて正気かしら?』

 

『あら?貴女がヘスティアを庇うなんて珍しいわね?』

 

『そ、そうだ!一体何を企んでるんだい?!』

 

企むも何も

 

『庇うわけないじゃない。むしろ逆。

何よコレ?お茶の味が死んでるわよ』

 

これはひどい

 

『『「えっ?」』』

 

……オッタル、なんで貴方も驚いてるのよ。

 

『ヘファイストス。貴女、鍛冶仕事ばっかりで

お茶をただの水分補給と勘違いしてない?』

 

どんな茶葉でもコレはないわ。

 

『え、いや、まぁ、確かに香りを味わう

とかまではしてないけど・・・』

 

『じゃあ何を以て一番良い茶葉なのよ?』

 

まさか値段じゃないわよね?

 

しかもこれ、リョクチャと違って味を楽しむ

タイプのお茶じゃなくて香りを楽しむお茶だし。

 

だけどこのタイプだって、季節によって

美味しい茶葉は違うし、一番摘みとか

二番摘みもあるのよ?

アレンはリョクチャの三番茶から修行してい

るけど、ようやく次の段階に進めるって話だし。

 

・・・まさかあの深みがまだ入門編だったなんてね。

 

だけど言われてみれば、まともな淹れ方も

知らないアレンに最上級のお茶を任せる

訳がないわよね!

最近はアレンの腕が上がる度に、次の段階の

お茶の味を想像して楽しめるくらいに

なってきたわよ。

 

・・・はぁ。イシュタルの背中は遠いわ。

 

『あぁ~。いや~その~』

 

『自分でしっかり味わってなかったのね?』

 

これだから技術に溺れた技術者は!

 

『えっと、はい。そうです』

 

まったく、茶葉が勿体ないじゃない!

 

『そしてヘスティア』

 

『な、何だい?!』

 

髪で威嚇しても駄目よ。

 

『貴女が漫然として淹れた茶葉は貴女の

給金よりも高いのよ?ならば淹れる為の

技術や作法に気を配らないと駄目じゃない』

 

『グッ!』

 

生産者の皆さんに申し訳ないと思わないの?

 

『更にお客様に出すんだから、尚更

気遣いは大事よ!せめてカップを暖める

くらいはしなさいな』

 

香りが逃げるでしょ!

 

『か、カップを暖めるのかい?!』

 

これだからじゃが丸くんが主食の

女神は・・・

 

『ヘファイストス、こう言うのは

きちんと鍛えてからじゃないとお客様に

シツレイよ?それに貴女には都市外からの

お客様も多く来るんだから、粗末な

接客はオラリオ全体の品格を疑われて

しまうの。わかるわよね?』

 

最初から技術だけが売りならお茶なんか

出さなくても良いのよ!

むしろ出さない方が技術者としては

評価が高いかもしれないし!

文化的なのはとりあえずイシュタルの

ところに任せなさい!

 

『……そうよね。うん。確かにお茶を

淹れるときには色んな作法もあるし、

ヘスティアがソレを覚えてるかと

言われたら・・・』

 

『し、知らないよ!僕だって好きで

淹れてるわけじゃ無いんだし!』

 

確かに好きで自分でお茶を淹れてる

神様なんて、自分の作った茶葉の品質を

確かめてるデメテルくらいだろうけど、

仕事なんだから妥協しちゃ駄目でしょうに。

 

『とりあえず淹れ直しはしなくて良いわ。

私が淹れるのも違うでしょうし』

 

オッタルもまだそこまでの技量はないものね

 

『えぇ、気を使わせてごめんなさいね』

 

『くっ何も言い返せなかった。ごめんよ

ベル君!僕はまだまだ未熟者だったよ!』

 

いや、アノ子関係無いわよね?

 

『仕方ないわ。これから成長していけば

良いだけの話よ』

 

不変のはずの神が成長出来る。

コレだから下界は面白いのよ!

 

 

―――――――――――――――――

 

『さて、ヘスティアも帰ったことだし。

私もこの辺で・・・』

 

さっさと帰って文化の研究を

 

『「待たれよ」』

 

無理か・・・

 

『お茶についてはアレなのは認めたけど』

 

「そもそもお聞きしたいのはティオナと

ティオネの武装に関する話でして」

 

『・・・ロキが伝え忘れたんでしょ?

私に聞かれてもわからないわよ』

 

実際細かい武装についてはわからないし

確か縄を使った武装らしいけど、

オッタルも知らないらしいしね。

 

『それはそうでしょう。だけどそもそも

の話、何で貴女のところのアレンがロキの

ところの二人とダンジョンに潜ってるの?』

 

「そうですな、確か彼は女嫌いで有名な

はずですし」

 

『……疑問に思うのも無理はないけど、

ソレって話す必要有るのかしら?』

 

こう言っては何だけど、無関係よね?

 

『確かに必要はないけどね』

 

「自分としては単純な興味です。次の

遠征に参加することにもなってますから

あの二人の武装は気になりますし、

深層で何をしてるかは気になります」

 

『尚更ロキに聞くべきじゃないかしら?』

 

もしくは彼よね。

元々は彼の依頼なんだし。

 

『その言い方だと、アレンには彼の武器は

渡されてないの?』

 

『ええ。そうね』

 

武器よりも茶器を選んだものね。

・・・武器の方が良かったかしら?

いや、けど武器はその辺で買えるけど

茶器は買えないし。

 

「ならば尚更アレンが一緒に行った理由が

わかりませんな」

 

まぁそうでしょうね。私も茶器だけなら

断ってたわ・・・多分。

 

ステイタスのSSとレベルアップがあれば

こそ許可を出したんですもの。

 

それを考えたらロキは二人のレベルアップと

武装の慣熟訓練よね。

 

リリルカは・・・何かしらね?

彼が試練を与えるとは言っても

ウダイオスは前回の討伐を考えたら微妙よね。

バロール狙いにしてはレベルが足りないし。

・・・深層に何か有るのかしら?

 

噂の新種?いや、それならアレンを連れていく

のはおかしいわ。

そう言えばロキの態度はおかしかったわよね?

あの二人がアレンやリリルカと一緒に

潜ってるのを知っていたら、話の内容は

「新種について教えろ」ではなく探索での

取り分の調節になるはずよね?

 

けど深層に潜るのにファミリアの許可を

取らないなんてあり得ないわ。

……ロキと勇者の間で意思疏通ができてない?

 

そうだとしたら面倒なことになるかしら。

どうもロキは新種に私が絡んでるって

勘違いしてるみたいだし。

 

とりあえずは知ってる事を話して

さっさと帰った方が良さそうね

 

『私が知ってるのは元々が彼の依頼で、

リリルカの修行の手伝いで深層へ行った

と言うことね。アレンは経験値稼ぎと

壺の購入が目当て。あの二人はわからないわ』

 

買うのは壺だけじゃないけどね。

 

『あぁ、元々あの壺は彼が造ったモノ

だから、依頼の報酬として請求も出来る。

 

レベル6のアレンがリリルカを鍛える為に

深層へ行くのも・・・違うわね、あくまで

リリルカに深層探索の経験と知識を与える

為の付き添いなのね』

 

『おそらくはそうね。ティオナとティオネも

経験値稼ぎと慣熟訓練でしょうし』

 

「それですよ!」

 

『ソレ?』

 

「無双農家はあの二人にどのような武装を

持たせたのでしょう?」

 

『さっきから言ってるけど、それは

ロキファミリアの情報になるから

ロキに聞いてくれないかしら?』

 

その結果彼女のファミリアが荒れても、

私には関係ないしね

 

「むぅ・・・それはそうなのですが」

 

『まぁ、言ってる事はフレイヤが正しいわ。

椿、急いでベートの武装を作りなさい。

納品の後でロキに話を聞きましょう』

 

よし、注意をあっちに逸らせたわね!

 

「仕方あるまいな。まさか納品前に

問い詰める訳にもいかん」

 

良くわからない拘りだけど、それに関しては

そっちで上手くやって頂戴?

 

『これで私が話せる事は話したわ。後は

預けたその壺の解析をお願いね?』

 

預けたんですからね。偽物は作らないでよ?

 

『えぇ、確かに預かったわ。それと、

もし彼から何か技術や情報を貰ったら

私にも教えてくれないかしら?』

 

さて、それが鍛冶的なモノならそれでも

良いのだけど・・・

 

『モノによるとしか言えないわね』

 

下手に何でも教えるとか言うよりは

コッチの方が良さそうね。

 

『勿論それで構わないわ』

 

うん、流石にわかってる。

 

『では失礼するわ。行くわよオッタル』

 

「はっ!」

 

さてさて、ロキはどう動く気なんでしょうね?

 

 

――――――――――――――――――

 

 

『なるほど、な。闇派閥か』

 

『私はそう見ているよ』

 

ディオニュソスの様子に嘘はない。

フレイヤに聞くことが増えたな。

 

『とりあえず現場検証はフィンが

やっとるが、何かわかったら教えたるわ』

 

『それは助かる。正直闇派閥の連中が

関わってるとなると我々だけでは

戦力が足りない』

 

ま、そうやろな。それに前に色々

殺られたらしいし。

恨みがあるのはホンマやろうから

コイツがアッチ側ちゅーことは

なさそうや。

 

『あとは無双農家についてだが』

 

・・・ヤツか。

 

『アイツが今回の件に絡んどるとでも?』

 

『確証はない。だが彼が懇意にしている

イシュタルファミリアはその仕事の関係上、

裏との付き合いが噂されてるのは君だって

知っているだろう?』

 

『・・・まぁな』

 

昔から言われとるよな。フレイヤんとこの

団員の襲撃とか、随分前にアイズたんも襲撃を

受けたこともあったなぁ。

 

『けど最近は大人しいで?』

 

あんときの話はキッチリケリ着けたし、

アイツらみたいなのも必要なのも確かや。

最近はフレイヤとも仲が良いみたいやし

大人しくしとるなら、わざわざ蜂の巣を

突つこうとは思わんぞ?

 

『・・・先日からカーリーがイシュタルの

元で世話になっているらしい』

 

『なんやて?!』

 

あのイカレ女神が迷宮都市に居る?

しかもイシュタルのところ?

 

『あ、あかん!今イシュタルのとこには

ティオネとティオナがおるやん!』

 

最悪や!まさかヤツはコレを狙ったんか?!

 

『・・・カーリーとていきなり行動には

起こさないだろうが、警戒はしておいた

方が良いだろうと思う』

 

『情報提供感謝するで・・・』

 

くそっ!フィンに知らせなあかんな。

ヤツが行動を起こす前に間に合うか?!

 

 

――――――――――――――――――

 

 

『ぱないの!』

 

まさか二人懸かりで瞬殺かや!

 

「本来なら技を受けながら多少の手解きを

するんだが、今回は実力を見たいとの

要望だったからなぁ」

 

『いやいや見事よ!どうじゃ?どちらかに、

いや、この際両方に子種を仕込んでくれんか?

教育もお主に任せるぞ?!』

 

妾が育てなくとも、少なくとも母親は

妾が育てた子。それとコヤツの子ならば

どれ程の高みへ至るのか想像もつかぬわ!

 

「「・・・!」」

 

「何でお前らも期待した目で見るんだよ。

却下だ却下。女は間に合ってるし今は

子育てをする気は無いぞ」

 

「「・・・」」

 

『くっ!娼婦を買っておきながら妙に

身持ちが固いではないか!

良いのか?二人がしょぼーんとしとるぞ?

可哀想だとは思わんのか?!』

 

大体お主に損はなかろうが!

 

「訳のわからん脅迫は止めろ。それに

身持ちが固いから遊びでそこらの

女には手を出さんのだ」

 

そう言うもんかの?

 

『ならばイシュタルよ!』

 

その幻想をぶち壊す!

 

『駄目だね』

 

『なんじゃと?!』

 

まだ何も言っとらんじゃろうが!

 

『どーせ短期改宗するから専属娼婦にしろ

とか言うんだろ?』

 

『くっ読まれたか!』

 

やるではないかっ!

 

『話の流れからすりゃソレしか

無いだろうに。いいかい?娼婦は

押し付けるようなもんじゃないんだ。

その結果コイツがウチから離れたら

困るんだよ』

 

『ぐぬぬ』

 

言いたいことはわかるがのぉ。

 

「何がぐぬぬだ、諦めてその辺の公園に

いるイイ男を捕まえれば良いだろう。

レベル3とか4くらいなら居るぞ?」

 

『目の前に最上の雄がおるのに諦める

なぞ出来んわ!』

 

「「その通りです!」」

 

「コレだからアマゾネスは・・・」

 

『今ごろ気付いたかや?クカカカ!

夜討ち朝駆けは戦場の習い!

二人とも遠慮は要らん!何時でも襲え!』

 

約定があるかぎり殺されることは

無いんじゃからな!

撃退されるだけでも良い経験になる!

 

「「はっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

イツマデソノリセイガモツカノォ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あわよくばそのまま子種もGETじゃよ!




勘違いになるのかなぁ。
いや、春姫は勘違いになると思いますけど

まぁ怪しい動きはしてますよね。

日頃の行いは大事だけど
ロキも他人様に何か言えるような
神様じゃ無いよねってお話。


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42話

無乳ファミリアの動きががが

時系列はソード2巻?

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし


しかしこの件にヤツが関わってるかぁ

 

・・・冷静に考えたら無いよな。

なんたってヤツの弟子のリリルカだって

50階層で新種に襲われとる。

 

関わるとしたら解決する側やろ?

 

そうなるとイシュタルを探っとると

考えるのが妥当か?

 

せやけどカーリーが・・・

 

いや待て。別にイシュタルのとこに

居るから言うても、カーリーと

関わってるとは限らんや無いか。

 

そんなこと言うたら娼館の常連

全員が容疑者になるやん。

 

ディオニュソスめ。何を考えとる?

本気で忠告したんはわかるが、

情報不足か?それとも灰色だから

ウチらに調べさせてヤツの目をウチらに

向けさせるつもりか?

 

『・・・ベート、リリルカが新種の側に

立っとる可能性はあると思うか?』

 

「あぁん?・・・あぁ、さっきの話か?

恐らくだが、その可能性はねぇよ。

あの動きに演技の色は無ぇし、不自然さ

があったらフィンが気付いてる」

 

『だよなぁ』

 

ただでさえリリルカに惚れとるフィンが

そんな緊急事態に巻き込まれて、

リリルカを気にせんはずが無いよな。

そこに不自然さが見られなかったなら

リリルカは白や。

まぁその師匠が白とは限らんが、そんな

こと言うたら完全に白なヤツなんかおらん。

 

そうなるとヤツは一時放置でええな。

イシュタルとヤツは切り離して考えると

して、フレイヤはどうするか・・・

 

また交渉を持ちかけても、持っとる情報は

一昨日とほとんど変わらん。

 

フィンの現場検証次第では行けるかも

知れんけど・・・

 

「とりあえずゴブニュかヘファイストス

のところに行かねぇか?弁償が

どうなったか気になるし、俺達の武装が

どうなってるのかも気になるしな」

 

ベートが気になっとるのはアイズたんやろ。

って言いたいとこやけど、冒険者として

武装も気になっとるのは本当やろな。

深層の調査をするにも武装が必要やし

ウチかてアイズたんは気になっとる。

 

『よし、んじゃ先にゴブニュんとこ

行こか。必要ならいくらか出して

やらんとな』

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「例の植物の新種が出たのがこの上

だとしたら、探るのはこの辺だよな」

 

明らかに破壊された跡がある。

コレはアイズの魔法のせいなのか

植物の根の影響なのか・・・

 

「だ、団長、もしもその新種がまだ居る

可能性があるなら、ガレスさんやベート

さんにも来てもらった方が良いんじゃ

ないですか?」

 

そんなことをしたら甘えが出るだろう

 

「ラウル・・・コレは君の経験を積む

ためでもあるんだ。

そもそもレフィーヤを殺せない程度の

攻撃力しかないんだよ?レベル4の

君なら、危険があるかも知れないけど

よほどの事が無い限りは死にはしない」

 

即死さえしなければ治せるからね。

 

今まで安全マージンをしっかり取って

甘やかして来たけど、これからは

出来るだけその身を危険に晒して

冒険者としての勘を養ってもらうぞ。

 

「よ、よほどの事があれば死ぬん

ですよね?」

 

それはそうだろう

 

「その通りだ。だからこそ最悪でも

頭を守る癖をつけろ。それが嫌なら

冒険者を辞めるしかないぞ?」

 

「・・・はいっす」

 

重要なのは自覚と覚悟だ。

死ぬかもしれないと思うからこそ、

死を避けるために創意工夫をする。

 

創意工夫・・・これこそが小人族に

必要なモノだ。もちろん冒険者にも

 

「わかったら調査を始める。さっきも

言ったが、頭だけはしっかり守れ。

囮の魔石は急所の上にくるようにするなよ」

 

「は、はい!」

 

魔力を探知してくるならラウルは

大丈夫だと思うが、魔石にも

反応するかどうかを確かめないと

いけないからね。

 

さて、じゃぁ魔力を・・・

 

「う、うわっ!団長!!」

 

・・・早いな。

コレは僕の魔力だけじゃなく

持ってきた魔石に反応していたか?

 

「ラウル!魔石を投げろ!その上で

相手の動きを良く見て置け。

具体的には僕と魔石、どっちを

優先するかを見定めろ!」

 

自動で動くのか、それとも誰かが

操っているのか、ココで見定める!

 

「はいっ!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「・・・借金4000万ヴァリス」

 

借りたのを壊しちゃったからなぁ。

 

フィンが言ったように鍛錬場の

武器を持って置けばよかった。

どうせ魔法を使ったら壊れちゃうし。

 

・・・やっぱり私は不壊属性に

頼ってたんだ。

そもそもあの敵は魔法が無くても

倒せる敵だったよね。

急いで勝負を決めるために使った

けど、もう少し相手を見てれば

レイピアは壊さなかった・・・

 

だけどそれだとレフィーヤや周り

の人たちが傷付いてたし。

 

むぅ、武器も周りも守りながら

戦う為には技が必要で、その技は

間違いなくあの人が持ってるけど

私たちは接触禁止。

 

だけどティオネとティオナは教えて

貰ってる。

 

・・・ずるい。

 

むぅぅぅぅぅぅぅ

 

『アイズたーん!そんなふくれっ面

してどないしたーん?』

 

ロキかぁ・・・

ロキよりフィンの言うことを聞いた方が

良いよね?最近怒らせてばっかりだし。

 

「・・・レイピアを壊したのは許して

貰えたけど、やっぱり弁償はしないと

駄目なんだって」

 

報告は大事。ティオネも言ってた。

 

『そうかぁ、そりゃしゃーないな。

とりあえずフィンがリヴェリアと

ガレスをギルドやガネーシャんところに

行かせて交渉させとるから、

もしかしたら額は減るかも知れんよ?』

 

おぉ、やっぱりフィンは偉いなぁ。

けど壊したのは私だし、ちょっとは

稼がないと駄目だよね

 

「とりあえずアイズの武器のメンテが

終わったんなら、ダンジョンに潜って

稼げば良いじゃねーか」

 

ベートさんの言う通りだよね。

 

けどちゃんとフィンに話をして

からじゃないと怒られるから駄目。

 

ティオネもあんまりフィンに心配

かけるなって言ってたし

 

「とりあえずフィンとかリヴェリアに

聞いてからにします」

 

『せやな!最近ちい~っと怒らせ

過ぎとるからな。それにベートの

武装の出来上がり次第ではベートも

潜って慣熟訓練せんとあかんしな!』

 

「そ、そうだな!明日とかなら

護衛はガレスに任せれるだろうし、

俺も一緒に行ってやるよ!」

 

やっぱりフィンを怒らせてたんだ。

それにまだアノ子にも謝って無い。

 

だけど、謝るにしてもまず何が

悪かったかを考えなきゃ駄目だし。

リヴェリアも良く分かって無い

みたいだからフィンに聞こうかな?

 

だけど、もしかしたらもっと自分で

考えろって言われるかも・・・

 

ガレスとかティオネ達はわかってた

みたいだから先にそっちに聞いてみる?

ティオネもティオナも居ないからガレス?

 

むぅ、色々考えろって言われてる

けど沢山あって大変だ。

 

あ、ダンジョンに行ったら鍛えてる二人に

会えるかな?

お金稼ぎと相談が出来るし。

ついでにあの人にアドバイスとかを

貰えるかも。

 

・・・コレは良いかもしれない。

フィンに聞いてみよう!

 

『まぁフィン次第やけどな。

ベートもあんまし苦労かけんなや?

最近はお香とお茶が効いとるからえぇけど、

こないだまで心労と書類仕事で胃に穴が

空きそうになっとったんやからな!』

 

「・・・あぁ。アイツもストレスが

溜まってたのは俺だってわかってるよ」

 

ベートさんが気遣うほど疲れてたのか。

じゃが丸くん・・・違うか。お香?

お茶?買って帰ろうかな。

アミッドじゃなくナァーザのお店だよね?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

『ロキが来たぁ?』

 

「うむ、凶狼と剣姫を連れてな」

 

武装の催促かしら?それとも剣姫の分

の武装の依頼?

あとはティオネとティオナの武装に

ついての謝罪?

 

・・・謝罪は違うわよね。

元々正式に受けたわけじゃないし、

ベートの武装が完成して日程に

余裕があったらって話だったものね。

 

『ベートの武装は出来てる?』

 

「残りは微調整だな。本人が居るなら

今日中に出来るぞ」

 

なるほど、それなら問題無いわね

 

『コチラから追及する気はまだ

無かったけど、アッチから来たなら

問題無いわよね?』

 

「うむ、問題無いぞ!」

 

お茶は・・・駄目ね。フレイヤに指摘を

受けたばかりじゃない。

そうなるとお菓子とお酒かしら?

いや昼間からお酒を出してどうするの!

かといって水とか白湯ってわけには

行かないわよね?

 

・・・た、たしかミアハのところの

お茶は味とか香りじゃなく医薬品

としてのお茶よね!

気遣いにもなるから・・・なるわよね?

・・・なったらいいなぁ。

 

ロキがお茶に五月蠅いとも思えないから

大丈夫よね?

うん。ミアハのところのお茶にしましょう。

 

『ヘスティアーお茶の用意してー』

 

『またかい?!流石にあんな風に正面から

論破されたら僕だって傷付くんだよ?!』

 

え?この子にそんな繊細なところがあったの?

あ、よく見たらお茶の本読んでるし。

・・・悔しかったのね。

 

 

『・・・何かシツレイなこと考えたろ!』

 

あ、顔に出たかしら?

けどこの子がお茶の本を読んでるってことは

今後のお茶酌みは少しは改善されるわよね?

これも成長なのかしら?

まぁ今回は心配無用よ。

 

『今回のは大丈夫よ。お願いするのは

ミアハのところのお茶だからね』

 

味とか香りを楽しむお茶じゃないから。

 

『あぁ、アレかい。たしか医薬品だった

からね。うん、わかったよ!』

 

『それじゃ、よろしくねー』

 

・・・なんだかんだで仕事はしてる

から、まぁ良いか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『・・・ドチビ。自分何しとん?』

 

じゃが丸くんの販売員ちゃうん?

 

「あ、じゃが丸くんの・・・」

 

ほら、他人の顔を覚えんアイズたん

ですら覚えとるで?

 

『う、五月蠅いな!色々あるんだよ!

それとヴァレン何某君!ベル君は

渡さないからな!!』

 

「?」

 

『こっちもやらんわい!』

 

何を抜かすかと思えば・・・

 

『とりあえず仕事だからね!ホラお茶だよ!

ミアハのとこのヤツだから、匂いとか

味とかには期待するんじゃないぞ!』

 

あぁ、最強の胃薬なぁ。

効果もさることながら、味もそこそこ

良いって噂やろ?文句は無いよ?

 

『いや、出されたモンに文句をつける気

無いで?それにドチビが淹れたわりには

そこそこ美味いしな。

ホレ、ベートもアイズたんも飲みぃよ。

ちょっと苦いけど毒とかや無いし、

お菓子と併せたら結構イケるで』

 

「・・・どうも」

 

「ん。」

 

そうそう。そんなんでも神やからな。

会釈くらいでちょうどええわ。

 

『ヘファイストス・・・』

 

『えぇ、言いたいことはわかってるわ。

取り合えず後は良いから』

 

『うん、それじゃ失礼するよ!』

 

ん?なんや二人して?

なんでドチビが満足して帰って行くん?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

・・・このお茶がイケる味か。

眷族の態度と言い作法といい。

美しさというか何と言うか、

フレイヤと比べたら嫌でも差が

出るわよねぇ。

 

これが品格とでも言うのかしら?

何か言われると思ってたヘスティアも

普通に肯定されてびっくりしてるし。

 

まぁいいわ。重要なのは武装の話。

 

『さて、今回の来訪は凶狼の

武装に関してで良いのかしら?』

 

剣姫は普通に不壊属性の武器を

もってるから、護衛か付き添いでしょう。

 

『せや、コイツの武装はどれくらいで

出来るかな思てな』

 

やっぱりそうか。同じファミリアの二人が

ダンジョンに潜ってるなら、さっさと

追いつきたいと思うわよね。

 

『あとは微調整だけね。本人が付き合って

くれるなら今日中に出来るそうよ?』

 

「そ、そうか!」

 

あら嬉しそう。そりゃ冒険者ですもの。

新しい武装は楽しみよね?

 

『凶狼が手伝ってくれるというなら、

椿のところに行ってくれれば良いわ』

 

「・・・ロキ」

 

『あぁえぇよ、行っといで』

 

「よしっ!」

 

『椿にシツレイすんなやー』

 

「おうっ!行ってくる!」

 

うん、私に一礼もなく放置していく

あたり凶狼よね。

コレが普通の冒険者なのよねぇ。

 

『勇者と重傑の分はできてるから

帰りに持っていく?それとも

届けさせようかしら?』

 

『うーん。ガレスの分はベートに

預けてもらえるか?

フィンの分はアイズたんに持って

帰ってもらうから』

 

へぇ、剣姫に荷物を持たせるなんて

珍しいわね。

 

『了解よ。帰りまでに梱包させるわ』

 

さて、コレでそっちの要件は

終わったわね?

 

『な、なんや?なんか狩人が

獲物を狙う目しとるで?』

 

まさしくその通りよね。

わざわざ獲物が罠に入ってきて

くれたんですもの。追うのが当然よ

 

『いえね?ティオネとティオナが

新しい武装を手に入れてダンジョンに

潜ってるらしいじゃない?』

 

さぁ話せ!どんな武装だったのかを

事細かく教えるのよ!

 

『・・・誰から聞いたん?』

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

なんでファイたんがその事を知っとるん?

 

『昨日フレイヤがお店に来てね。

そこで聞いたのよ』

 

『フレイヤぁ?』

 

なんでフレイヤが二人の動きを

知っとるん?さらに武装の話まで。

 

『あぁ、確かにダンジョンに潜ってる

のは聞いてるけど、細かい理由や

武装は聞いてないわよ?

ロキファミリアの情報だから本神に

聞いてくれって言われてね』

 

なんやその中途半端な配慮は?

いや、それもそうやけど

 

『そもそも何でフレイヤがティオネと

ティオナの動きを知っとるん?』

 

まさか闇派閥関連でウチらを見張っとる?

 

『ん?あぁ細かいことは聞いてないけど

大まかなことは聞いてるから、大丈夫

別に隠さなくて良いわよ?』

 

んん?大まかなところって何?

 

『私が知りたいのはあくまで武装。

今のところは何の為にリリルカと

フレイヤファミリアのアレンと一緒に

深層に潜ったかには興味は・・・

無いわけじゃないけど、無理に

聞こうとは思わないわよ?』

 

『はぁぁぁぁぁぁ?!』

 

リリルカはまだえぇ!ヤツ関連で

一緒にダンジョンに潜ることもあるやろ!

だけどフレイヤのとことのアレンて!

それって女神の戦車やろ?!

レベル6の猫人の!しかも深層やて?!

慣熟訓練や無かったんか?!

 

『・・・聞いとらんぞ?』

 

『ロキ、どうしたの??』

 

なんでそのメンツで深層に?

共通点はヤツ関連?

 

フィン!流石にコレはヤり過ぎやぞ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそおいで下さいました」

 

 

「「「うわっ!!」」」

 




剣姫さんにも常識フィルターが?

原作でも凶狼さんは鍛冶神様に
シツレイだと思うの。

まぁ鍛冶神様としては
イキってる子供を見てる
感じなんだろうけど・・・

無乳神様混乱中

なぞのおりきゃら。ようやく
リリルカと出会う?!ってお話


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43話

リリルカ、姉弟子と会う。


オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!


芋虫の誘い通りに37階層に来ましたが

・・・何ですかこの威圧!

前に通った時はこんなの無かったですよねぇ?!

 

これからお会いするのは、これほどの気配を

隠蔽出来る程の使い手なんですか?!

 

「ねぇ、この感じって」

 

「・・・洒落にならないわね」

 

「あぁ、階層主など目じゃないな」

 

単純なモンスターとは違い、人の知性を

持った強者ですからね。

更に言えば先生のお弟子さんですから

冒険者と言うよりは狩人でしょう。

ならばすでにここはその方の狩場です。

 

油断慢心したら狩られますね・・・。

 

「ようこそおいでくださいました」

 

「「「うわっ!!!」」」

 

「・・・っ!」

 

いきなりですかっ?!

 

「師の使者に対してシツレイでは

あったと思いますが、こちらにも

事情がありましてね。

 

その辺はご容赦願います。

 

あぁ無論不敬の罰は後程師より

直接受けます。

ですからアナタ方は安心して

師からの御用向きを果たして下さい」

 

「えっ正面?!」

「なっ?!」

「いつの間にっ!」

 

・・・油断も慢心もしていないハズ

だったんですけどねぇ。

まさか正面に立たれても声を掛けられる

まで気付かないなんて。

先生以外にコレが出来る人が居るとは

思いませんでしたよ。

 

「ふむ、リリルカは警戒を緩めてませんね。

結構、流石に師の教えを受けた者が

この程度で不様を晒すようなら遠慮なく

矯正してましたよ」

 

危ないところでしたっ!

この方はヤると言ったら絶対にヤる。

いえ、言わなくてもヤった後に当たり前の

ようにヤったと報告するくらいの怖さが

あります!

間違いなく先生のお弟子さんですよ!

しかもリリの名前を知ってる?!

 

「すみませんがリ、私の名前は誰から聞いた

のでしょうか?先生では無いですよね?」

 

先生はまだ接点が無いはずですからね

 

「・・・あぁ、シツレイしました。

まず私の名はエインと申します」

 

「どうも、リリルカ・アーデです」

 

知ってるみたいですが相手は先輩みたいですし、

明らかに目上の方ですからね。

アイサツはきちんとしなくてはいけません。

 

「えぇ、ソレは良い心がけですよ」

 

心を読まれた?!

 

「貴女はまだ己を隠すことが苦手の

ようですね?

馴れれば表情と雰囲気で大体は理解出来ます。

師もそうでは有りませんか?」

 

た、確かに先生はそんな感じの事を

言ってました!

 

「話を進めますと、リリルカとそこの二人。

ティオネとティオナの名は先日のロキ

ファミリアの遠征の折りに耳に挟んでましてね」

 

「やはりあのときの視線は貴女でしたか」

 

この方ならば納得です。あの視線も

もしかしたらリリが気付くかどうかを

試したのかも知れませんね。

 

「えぇ、そのせいでアナタ方の帰還の際には

随分と気を使わせてしまいましたね」

 

「いえ、ダンジョンで気を使うのは当然です、

それに貴女のお蔭で早く帰還が出来ました

からむしろ感謝してますよ」

 

コレは本当です。気を使ったのは主に

勇者さんですしね。

 

「なるほど。ダンジョンへ潜る心構えも

出来ているようです。結構なことですね」

 

「・・・ありがとうございます」

 

当然のように上から目線ですけど

王族さんとは違ってソレが当たり前の

ような感じがして、不快にはなりません。

 

この人はどんな立場の方なんですかね?

 

「わざわざ師の関係者が纏まって来るくらい

ですから私に用が有ったのでしょう?

まずは用件を・・・そうですね最初は

リリルカから聞きましょうか」

 

あ、そう言えばそうでした!

ただ、用件と言われましてもねぇ。

 

「私は先生から、深層に行って階層主を倒して

来いとしか言われて無いんです。その上で

もしも貴女にお逢いできたら鍛えて貰えと」

 

「ふむ、まぁ確実に私に逢えるかどうかは

わからない状況でしたからね。

曖昧になるのも妥当と言えば妥当でしょう。

ただ、鍛える前にいくつか聞きたいのですが」

 

「なんでしょう?」

 

「まず最初の疑問なのですが、そもそも師が

鍛えてる貴女を何故私に鍛えさせようと

してるのかわからないんですよね。

何か聞いてますか?」

 

あぁなるほど。普通なら自分で鍛えろ

ってなりますよね

 

「はい、先生と私たちは所属してるファミリア

が違いまして、外聞もあるので修行は

どうしても一定以上追い込めないんです」

 

リリ的にはしっかり見てくれてるし、治療も

きちんとしてるから構いませんが、周りに

虐待だとか言われたら先生のイメージに

傷が付いちゃいますからね。

 

「なるほど。ダンジョンの中でも知り合い等に

見られたら、無用の勘違いを生みますか」

 

そうなんですよね。

エロフはソレで勘違いして先生に

喧嘩を売りましたからね。

 

先生が周りを気にして修行をするように

なったのはアレからなんですよねぇ。

冒険者みたいなクズ共なんか先生が

気にしなくて良いのに!

本当、邪魔しかしないエロフですよ!

 

「更に初対面の私なら甘えも無いでしょうし

きっちり死の手前まで追い込めますからね。

流石我が師。無駄がありませんね」

 

「・・・ソウデスネ」

 

うわぁ、追い込む気満々ですよ。

 

「では次の質問です。貴女方を追い込む分には

構いませんが、回復手段はお持ちですか?

腕や足を折ったからと言って一月も二月も

ここに居座る気はないですよね?」

 

「はい、先生からエリクサーやハイポーション

を沢山持たされていますから、回復手段は

大丈夫です。多分ですけどこれが切れたら

帰ってこいと言う指示だと思います」

 

妙に沢山持たされましたからね。

階層主に挑むためと思いきやこの方の

修行の方がきつそうです。

なにせ、当たり前に骨を折る気ですからね!

 

「ほうほう。つまりそちらの備えも万全、と。

あぁ、ちなみにココの闘技場の地下には

私が拠点としてる安全地帯がありますから、

休憩や睡眠は心配しないで下さい」

 

「安全地帯?!」

 

そんな情報はギルドにも有りませんでしたが、

深層は未踏破領域が沢山ありますから不自然

と言う程の事はありませんよね。

 

「さて、こちらからリリルカに対しての

質問は終わりですが、そちらからは何か

有りますか?」

 

聞きたいことはありますが・・・

下手に触れたら修行が厳しくなる

パターンですよね。何となくわかりますよ?

 

「今は特に無いです。後から浮かんだら

聞いても良いですか?」

 

急ぎでもありませんしね。

 

「えぇ、それで構いません。答えられる

ことならお答えしましょう。

ではリリルカとの質疑はコレまでとします。

次はそこの姉妹ですね。話しても良いですよ」

 

話しても良い?

そう言えば二人もアレンさんも一言も

口を挟んできませんでしたよね?

 

「「ぷはっ!」」

 

――――――――――――――――――――

 

「「ぷはっ!」」

 

よ、ようやく喋れるわ!

何をされたかは知らないけど、一切声が

出ないようにされたのはリリルカとの

会話を邪魔しないためか!

 

「な、何をされたかはわからなかったけど、

とりあえず喋れるってことは危害を加える

気は無いってことですよね?」

 

ティオナが敬語?!いや、まぁわかるわよ?

ローブと仮面で顔を隠してるけど、明らかに

先生と同じで礼儀には五月蝿い人っぽいし。

 

「そうですね。師の使いに危害を加える

気はありません。ただ、話をしてるときに

周りで騒がれるのは嫌いでしてね」

 

「そ、そうなんですね」

 

・・・そうとしか言えないわよ。

 

「さて、リリルカとの話を聞いていたら理解

できたかと思いますが、先にこちらから

質疑しますので答えられる事に答えて下さい。

あぁ、答えられないことには答えられないで

構いませんよ。わかりましたか?」

 

「「はいっ!わかりましたっ!」」

 

「よろしい。師の薫陶が行き届いている

ようで何よりです」

 

今、返事が遅れてたら絶対にヤバイ事に

なってたわよね?

この人はテルスキュラの二人よりヤバイわ!

 

「では最初の質問です。貴女方は師から

何を言われてますか?何か届け物は

預かってますか?」

 

「はいっ!先生からは、リリルカさんの試練に

付き合うことと、貴女に会えたら届け物を

届けて欲しいって言われましたっ!」

 

よくやったわティオナ!コレで

何で届け物を知ってるの?なんて答えてたら

「質問に質問で返すな」って言われて、問答無用

叩きのめされてたわよ!

リリルカとの会話を聞いてたけど、この人

絶対に容赦も遠慮もしないわ!

 

「ふむ、そうですか。つまりは貴女方も

鍛えろと言うことですね。

確かに縄鏢や流星錘は場所を取りますし、

加減をしつつ教えるのは難しいですからね」

 

この人もコレを使えるの?!

いや、だから先生は私たちにコレを

持たせたのか。

 

「で、師からの届け物とは何でしょう?」

 

ん?何か嬉しそうにしてる?

今まで感情なんか見せなかったのに?

 

「はいっ。服を一式預かって来ました!」

 

「ほほう、服ですか。確かにありがたい

話ですが微調整が必要ですね。

このような場所だとそれも難しいのですが、

それについて何か言ってましたか?」

 

「「わ、私たちは何も聞いてないです!」」

 

そうよね。着替えとは言え、確かに

微調整は必要だわ。

声しか聞いてないけど明らかに女性だし!

サイズだって極秘案件よね!

 

「あ、あの・・・」

 

「どうしましたリリルカ?何か質問でも?」

 

何か聞いてるのかしら?あ、いや、そうか!

 

「先生が造ったモノですから、サイズの

自動調節機能が付いてると思います!」

 

そうよね。アレンさんは知らないだろうけど

リリルカの装備に付いてたんだもの。

この人の装備にだって有るのが普通よね!

 

「ほう、自動調節機能。流石我が師」

 

興味深々だわ。まぁ私達だって驚いたし

ゴブニュとかも大騒ぎだったもんね。

 

「さて、では早速着替えたいのですが。

少々お時間を頂いても?」

 

「「「はいっ!ごゆっくりどうぞ!」」」

 

駄目だと言ったら殺る気だったわよね?

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

ふむ、流石我が師。

 

私が直接お会いしに行かなかった事から

種族的な問題に気付いてましたか。

 

まぁナマモノ側か赤髪側かわからなかった

でしょうが、だからこその自動調節機能付き。

 

いやはや。身を浄めておいて正解でした。

冒険者の服を加工したとは言え、

流石にあのような見すぼらしい格好では

人前に出られませんからね。

赤髪から貰ったローブなんて

ただの布ですし。

しかも赤髪ときたら、この布の下が

あの格好でしょう?痴女じゃないですか。

 

さてさて、師はどのような服を造って

くれたのやら・・・いやぁ楽しみです。

 

ほほう、無駄な露出を控えた道着型ですか。

更にこの色合いは・・・ふふっ。

 

柄は金糸と銀糸。印象的には月明かりを

浴びて淡く輝く冬の夜ですか。

 

師と昭ですかね?それとも師と私?

どちらにせよ私だけの為に造ってくれた

のが良くわかる逸品です!

 

靴まできちんと揃えてくれてますし、

流石我が師ですね!

 

おっと、感じ入ってる場合では

ありませんね。

未熟者とて師の遣い。無礼はいけません。

 

 

「お待たせしました」

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「お待たせしました」

 

 

「「「「・・・!」」」」

 

お、思わず跪いて頭を下げちゃいました!

だけどソレはリリだけじゃありません。

アレンさんやティオナさん、ティオネさんも一緒です!

 

フレイヤ様や王族さんを見慣れているはずの

皆さんですら、咄嗟に跪いて頭を下げるのが

当たり前と言うことですか?!

 

渡された服は明らかに上質の素材です。

色合いは青と黒と基調とした上品なモノ。

形は先生が好んで着る極東風の道着と

呼ばれる露出が少ない服。

金糸と銀糸による目立たないけど無駄の無い

装飾が、ただでさえ溢れている気品に

彩りを加えてます!

 

いやいやいや、現実逃避してる場合じゃ

ありません!今はそれどころじゃ無いです!

 

大体、何ですかこの方は?!

ただそこに居るだけでわかる教養と気品。

自然体で有りながら一切の隙が無い立ち姿!

コレはまさしく前に先生に見せてもらった

剣身一体の極致です!

その上で仮面で顔を隠してるのが無礼では

なく当たり前と思えるほどの存在感!

 

あちらが何もしていなくとも、問答無用で

頭を下げ無ければいけないと感じるほどの威!

 

ロキファミリアの王族さんなんて

目じゃありません!明らかにその上・・・

王様じゃないですかっ!

最低でも物語に出てくる英雄ですよ!

 

あのローブだけでこの気配を隠す?!

有り得ませんよ!どれだけの達人ですか?!

しかも先生の事を師と呼んでましたよね?

あの人はこの方に教えを授けたんですか?!

 

もぉどうすれば良いんです?

お言葉を待つのが正しい作法を

なんですか?

リリの考えが追い付きませんよぉ

 

――――――――――――――――――――

 

「(・・・ティオネ、この人って)」

 

えぇ、思わず頭を下げちゃったけど

明らかにリヴェリア以上のお偉いさんね。

 

何せ、ただそこに立っているだけで

教養と気品に裏付けされたナニかを

高い次元で纏ってるのがわかる。

この人に比べたら所詮リヴェリアは王【族】

この人は文武を極めた本物の王様よ!

 

しかも冷たい威圧だけじゃない、

さっき先生からの服を渡したとき

隠しきれない喜びがあったわ!

暖かさと冷たさを併せ持ち、問答無用で

人を惹き付ける不思議な力。

 

まさか、コレが女子力?!

 

・・・この人に教えを受けることが

出来たなら、私は戦士としても女としても、

間違いなく成長出来る!

 

こんな人と知り合いだなんて、流石先生ね!

 

 

 

――――――――――――――――――

 

コレは何だ?まさか俺が問答無用で跪付く?

いや、この方にはソレを当たり前にする

ような威と、力がある。

 

この方が纏う空気はフレイヤ様とは

違った美しさがあるっ!

 

フレイヤ様が目指す文武を極めた英雄とは

こう言う存在なのか?!

 

・・・オッタルでは駄目だな。

この方を越える猛々しさはあっても

それだけだ。

ソレはソレで自然の美しさと言えるかも

知れんがこの方を見た後だと、どうしても

見劣りしてしまう。

 

この方は言うなれば人の極致!

鍛えてきただけではない、

学んできただけでもない。

生活の全てを成長の糧として飲み込み

己を磨いた結果の完成品!

 

オッタルが雄大な自然石なら

この方は河を流れることで磨きあげられた

大理石を更に職人が加工した芸術品。

 

フレイヤ様が目指す文武を兼ね備えた

英雄が、まさかこのような場所にすでに

存在していたとは予想も出来なかった!

 

俺は本当にこの方の教えを受けれるのか?

無礼は晒してないよな?

フレイヤ様の名に傷が付くし、何より

この方に失望されるのが怖いっ!

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

おや、跪きましたか。まぁあんな貧相な布と

師が私の為に用意した服では比べ物に

なりませんからね。

 

私もつい嬉しくて気配を抑えるのを忘れて

しまいましたし。

失敗失敗、弟子失敗ですね。

 

通常であればこの態度で正しいのでしょうが、

今はあくまで同じ師のもとで教えを受ける

同門の徒。なればこそ私が譲るべきですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらためて名乗ります。私はエイン。

今は同じ師に学ぶ者として、

あなた方には親しみを込めて筆頭と

呼ぶことを許しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・コンゴトモヨロシク」

 

 




ま、まさか、なぞのおりきゃらが
主人公くんの弟子で筆頭の彼女
だったなんてっ!

み、見抜けなかった!
この海の作者の目をもってしてもっ!!

・・・まぁ元の世界では
普通に王様で英雄ですよ?
地域によっては神格化されるレベル

彼女の治めた領地と人口を考えたら
オラリオのような都市国家では
逆立ちしても勝てません。
王の威が背中に背負った臣民の命に
比例するなら、文字通り威の桁が
違いますってお話


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44話

前話の続き

まさか・・・なぞおりきゃらが
彼女だったなんて!

オリ設定
オリ展開

オリキャラタグは付いてるぞ?
嫌いな人は読み飛ばし!


「さて、話の続きでしたね。

では褐色姉妹。

直答を許しますから先ほどの

ように返答をするように」

 

「え、いや、そんな・・・」

 

言いよどむ気持ちはわかる。こんな人相手に

普通に会話なんて出来るわけない!

 

「え?!きゃあっ?!」

「・・・ぐあっ!!」

 

何?痛い?熱い?!魔法?!

 

「返事はハイです。そのあとで異論が

あれば聞きましょう。

・・・わかりましたね?」

 

「「ハイっ!わかりましたっ」」

 

わかりましたか?じゃなく

わかりましたね?ってのが物凄くアレだわ。

コレが女子力!最後の一言が違うだけで

ここまで違うのね!

 

「届け物は確かに受け取りました。

師にはコレを届けてください」

 

「「はいっ!」」

 

当たり前のように使い走りだけど

この人には習うことが沢山あるからね!

その代金だと思えば全然余裕よ!

怖くなんか無いんだからね!

 

えっと、それで・・・中が空の鈴?

 

「ソレを届ければわかりますよ」

 

読まれた!そうよ、この人は

リリルカの思考だって読んでた

じゃないっ!

 

「わかりました!お預かりします!」

 

絶対に壊さないようにしなきゃ!

 

「それで結構。これで私の用件は

済みました。貴女方から何か聞きたい

事はありますか?」

 

ここよ!

 

「「はいっ!!」」

 

ティオナ?何か質問があったかしら?

はっ!まさかティオナもこの人の

女子力に興味があるのね!

 

あのガサツなティオナにさえ影響を

与えるほどの女子力・・・流石だわ。

 

「ふむ、では妹の方にしましょうか。

姉は少し我慢なさい」

 

「ありがとうございます!」

 

「はい!」

 

こういう気遣いも重要なのね

 

「では褐妹。述べなさい」

 

褐色姉妹の妹ってことよね・・・

位の高い人は直接名前を呼ばないって

聞いたこともあるし、リリルカの場合は

先生からの使者として扱われてるのよね?

 

私たちはその従者みたいな感じ?

まぁその通りだし、呼び方は別に良いか。

突っ込んだらさっきの折檻されそうだし。

 

「はいっ!筆頭様は英雄様なんでしょうか?!」

 

(((うぉぉい?!)))

 

それは絶対に駄目なやつでしょ?!

 

わざわざ仮面で顔を隠してるんだから

素性の詮索は絶対に駄目でしょ?!

 

「ふむ、英雄ですか。……何を以て英雄と

呼ばれるかはわかりませんが、

確かにかつての私はそういったモノに

分類される可能性はありますね」

 

しかも答えてくれるの?!

 

大きいわ、私が予想したような事で

怒るようなチンケな人じゃなかった。

包み込むどころじゃない。

全てを飲み込むまるで海のよう!

コレを大器と言うのね!

けど、かつて?・・・駄目よ!

絶対探っちゃ駄目な気がするっ!

 

「やっぱり!!」

 

「しかし英雄が好きなら師が居るでしょう。

あの方は我らを全員足しても届かぬ

高みに居る方ですよ?」

 

「えぇ?!先生ってそんなに凄い

ヒトだったんですか?!」

 

今までは農家さんだったのがいきなり先生に

なったわね。

でもわかるわ。だってこの人明らかに

先生を尊敬してるし、怖いもの!

 

「あぁ、あの方は相変わらず己を隠して

生きていますか。まったく、その気に

なれば迷宮都市程度どうにでも

出来るでしょうに・・・」

 

そうなの?!いや、今更私たちが勝てる

なんて思ってないけど、そこまで

凄いヒトだったのね?!

 

「じゃ、じゃあ後ででも良いので、筆頭様が

知ってる英雄譚を教えて欲しいです!」

 

・・・あぁそれかぁ。

女子力では無かったけど、確かに

この方が知ってる英雄と言うモノには

興味があるわ!

 

「英雄譚ですか。遠く離れた地のモノに

なりますが、ソレで良ければ私が知って

いるモノをココに居る間だけ教えましょう」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

それでも教えてくれるのね。

やっぱり優しさと厳しさを兼ね備えた

大人の女性だわ!

 

「まぁ修行の後でソレを聞く余裕が

あるかどうかは知りませんがね」

 

・・・あぁ、そうよね。

 

「では褐姉、どうぞ」

 

この機会は逃がさないわ!

 

「はいっ!女子力とはなんでしょうか?!」

 

 

「「はぁ?」」

(は?)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふむ、女子力と来ましたか」

 

やはり私の溢れ出る淑女としての

力は隠せませんね。

その昔、伯師妹もソレを探る為に寝所に

忍び込んできましたし。

いやはや懐かしいモノです。

 

しかしコレは深い議題が来ましたね

 

「まず、この私に淑女の何たるかを

問うた褐姉の判断は評価しましょう」

 

「はいっ!ありがとうございます!」

 

(((答えるの?!)))

 

「しかし女子力の形は十人十色。貴女の問いは、

明確な答えが有る問いではありません」

 

「そんな?!」

 

「落ち着きなさい。まぁコレから話すのは

あくまで私見です。ソレを踏まえた上で、

貴女は貴女の女子力を探しなさい」

 

私に出来るのはこの程度ですからね

 

「は、はい!お願いします!!」

 

「・・・良いですか?女子力とは

目に見えるモノではありませんが

確かに存在する男を惹きつける力。

気品?知識?礼儀?格式?料理?

全て違います。まぁ知識や気品が無関係

とは言いませんが、最も重要なモノは二つ」

 

「二つ・・・」

 

女子力。ソレは卑弥呼殿が常日頃から謳い、

師が卑弥呼殿に授けた説教にこそ真理が

あります!

 

「そう、それは・・・」

 

「「「それは・・・?」」」

 

「恥じらいと謙虚さです」

 

「「「恥じらいと謙虚さ!」」」

 

(・・・俺、聞いてて良いのか?)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「恥じらいと謙虚さ!」

 

確かにリヴェリアには無いわ!

この方は・・・きっと先生の前で

恥じらうのよ!

 

だってあんなに嬉しそうに先生からの

服を受け取って、さらにすぐに着替える

程ですもの!

 

「そうです。どれだけ料理が出来ても

『さぁコレは美味しいから食え』なんて

宣うような女に惹かれる男は・・・

特殊な男を除いて居ません」

 

「た、確かに」

 

そうよね!ミアは料理が上手だけど、

アレに女を感じるかと言われれば・・・

特殊な趣味の人だけよね!

 

「上手に絵が描けるから何ですか?

タダ絵を描くだけでは男は惹かれません。

その作成中の合間合間の自然な仕種にこそ

男を惹きつける要素があるのです!」

 

「芸術に理解があるだけでも駄目

なのですね・・・」

 

「そうです。ソレは夫を支える力と

なりますが女子は関係ありません」

 

「あっ?!」

 

そうよ!その通りだわ!!

確かに団長を支えるために必要なのは

事実だけど、その前に団長の女になる

必要があるのよ!

 

先生が嘘を吐いたわけじゃないわ。

タダ私に足りないモノが多すぎる

と言うだけの事っ!

 

「ここで重要なのが恥じらいです。

貴女方褐色連中は男の本能を誘う

為に薄着なのでしょうが、ソレは

所詮獣としてのモノ。

理性を持った本物の男はそのような

モノには振り向きません」

 

「確かに!」

 

団長は本物の男だからこそ

単純な色気には振り向かないのね?!

ソレは他のオンナが近付かないことを

意味してるけど、私も近付けないっ!

 

リリルカは・・・そうか!謙虚よね!

しかも普段は肌を出さないような

恥じらいまである!

 

クソっ!こんなに近くに好例が

あったのに、種族が小人族だからって

決めつけてた自分が情けないっ!

 

「・・・血の涙を流してリリを見るの

止めてくれませんかねぇ?」

 

「それに貴女はアレでしょう?服が破けたら

コレ幸いとくっ付いたり、もっと見て!

とか強調する人間でしょう?」

 

「・・・うっ!」

 

その通りだわ!

 

「普通に考えなさい。集団行動してる中で

指揮官がそんなの凝視したり、手を出したり

したら集団が壊れるでしょうが」

 

「・・・はい」

「「そうですね」」

(ごもっとも)

 

つまり私の行動は全部逆効果だった・・・

 

「迫るのは二人の時だけ。普段は服が

破けたら隠しなさい。

対象以外に素肌を晒すのも男から見たら

減点対象です」

 

「・・・勉強になります」

 

凄く参考になります!

 

「あの・・・」

 

「どうしましたリリルカ?」

 

何よ?勝者の余裕?今は私の時間よ!

 

「そういうのは後にしませんか?

ココはダンジョンで、今は先生の

指示でココに来てますし」

 

・・・そうだったわ。

筆頭様があまりにも完璧な淑女だった

から我を忘れてしまったけど、

あくまで鍛錬に来たのよね。

教えは後から受ければ良いわよね!

 

「ふむ、まぁその通りですね。

淑女としての指導を求められたのは

久方ぶりでしたからつい力を入れて

しまいました。リリルカの言う通り

師の依頼を優先すべきでしょう。

失敗失敗。弟子失敗です」

 

「自分のミスを指摘されても焦る

ことなくソレを認める冷静さと

度量!やっぱりコレが女子力!」

 

「いえ、コレは女子力ではなくヒトと

しての器です。師だってそうでしょう?」

 

 

・・・ですよねー

 

 

「さて、褐色姉妹の用件は終わったので

最後は猫耳ですね。直答を許します。

質問に答えなさい」

 

「はっ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

やっとか。正直女子力云々の話になった

ときはどうなるかと思ったが、リリルカ

先輩が居てくれて良かった。

 

それにこの方も思った以上に寛容だ。

先ほど仰っていたヒトとしての器の

大きさ故だろうな。

 

「良い返事です。それでは問いましょう。

貴方が師に与えられた任は何ですか?」

 

「はっ!リリルカ殿を深層へ案内し、

探索に必要な知識と経験を伝えること。

そして師匠の実験への協力を依頼

されております!

ただ実験の内容については口外を

禁じられておりますので、お教え

することは出来ません!」

 

ステイタスのSSに関しては流石に

言えん。

いや、この方だけなら良いんだろうが

リリルカ先輩やロキファミリアの

アマゾネスに伝えるわけには行かんからな。

 

「ふむ、質問に対する返答がきちんと

出来ていますね。

まぁ師が口外するなと言うのですから、

例え私が相手でも口外してはなりませんよ」

 

「はっ!」

 

読まれたか。師匠もコレが出来るなら

今後は腹芸は無駄だな。

フレイヤ様にお伝えしよう。

 

「猫耳の事情は理解しました。

ただその実験とやらは、他の三人と

一緒に鍛えても大丈夫なのですか?」

 

「はっ!問題ありません!」

 

あくまで成長比率と限界突破の

確認だからな。

例え上位の経験が得られなくとも

筆頭殿の持つ力は明らかに我々より上。

この技術を学べるなら十分な利益だ!

 

「師の実験に協力できるなら

私としても望むところです。

槍も一通り使えますので短時間では

有りますが鍛えてあげましょう」

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

剣を佩いてはいるがやはり使えるか。

師匠と言い筆頭殿と言いどこで

これだけの武を・・・いや、詮索は

いかんな。

 

「では私からは特にありませんね。

猫耳から何か聞きたいことは

ありますか?」

 

「はっ!」

 

猫耳呼ばわりは名乗ってないから?

それとも極東の文化にあるように

名前には特別な力が宿るから気安く

呼ばない為?

・・・もしくは未婚の女性は男性の名を

呼ばないと言う文化があるやもしれんな。

明らかに文化圏の違う方だから何が

シツレイになるかわからん。

言動には注意が必要だな!

 

「ではその質問を聞きましょう。

まぁ答えるかどうかは内容次第で

あることは承知してますね?」

 

「はっ!無論です!」

 

貴人に秘密が多いのは当然だからな

 

「よろしい。ではどうぞ」

 

「はっ!では質問させて頂きます!

18階層で我々をココへ導いた

モンスターは筆頭殿の調教した

モンスターなのでしょうか?」

 

「「「あっ!」」」

 

この方が深層の魔物を嗾けたとは思わん。

恐らく取りこぼしたモンスターを調教

したのだろうが・・・

 

「ふむ、当然の疑問ですね。

アレは私の知り合いが調教した

モンスターです。

その者が18階で何やら悪だくみを

しているようでしてね。

アナタ方があそこにいると都合が

悪かったらしいのですよ。

ソレでアナタ方が私に用がありそうでし

たので、誘引するために借りたんです。

知り合いはアナタ方が居なくなり、

私はアナタ方とこうして話が出来る。

まぁ両者が得をする一手と言うことです」

 

「なるほど、悪だくみですか・・・」

「え?それって?」

「ティオナ!」

「先生のお弟子さんならそうですよねー」

 

・・・やはり師匠の弟子。

闇派閥とは違うが優先するのは己の目的。

ギルドや他の冒険者がどうなろうと

知ったことではないと言うわけだな。

 

「まぁ不満があるなら今から戻っても

良いですよ?今なら止めれるかも

しれませんし」

 

「・・・いえ、悪だくみの内容は知りま

せんが、我らフレイヤファミリアも

そこのロキファミリアも悪だくみの

一つや二つはしてますからね。

今更正義の味方面はしませんよ」

 

実際他のファミリアの連中がどうなろうと

知ったことでは無いからな

 

「独立独歩の冒険者らしい判断ですね。

ではリリルカと褐色姉妹はどうします?

妹の方は何か反応してましたけど?」

 

「はい!私は冒険者に興味が無いので

ダンジョンに入った冒険者が何を企み

何の企みに巻き込まれても

別に構わないです」

 

連中は偉そうに「自己責任だ」とか

言ってリリを虐げましたからね!

 

「私も特に。アレンさんが言ったように

ロキだって品行方正では無いですし、

冒険者が正義で筆頭様のお知り合いが

悪とは限りませんから」

 

「私は・・・うん、リリルカさんや

ティオネの言う通りですよね。

事件や事故なんて沢山あります。

それが地上の人達を狙ったモノなら

まだしも、少なくともダンジョンに

潜れる冒険者なら自己責任ですよね!」

 

「ふむ、世の中を勘違いした甘ったれた

正義感の持ち主なら首を刎ねてましたが、

無用の心配でしたね」

 

「「「「怖っ!」」」」

 

「先達が怖いのは当たり前です。

馴れ合いでは強くなれませんからね」

 

た、確かにその通り、

筆頭様の美しさは歪みの無い

精神性にもあるのかも知れん!

 

「あのモンスターについてはその程度

ですよ。調教している調教師については、

名前はレヴィス。赤い髪をしたレベル5

相当の女性ですね。

最終的な目的は聞いてません。

闇派閥と呼ばれる連中とも何かしらの

繋がりがあるようですが、目的は違う

ようですね。

あぁ、ちなみに前回ロキファミリアが

遠征で戦った大きなのも彼女のテイム

したモンスターのようですね。

あのイモムシがモンスターを倒して

強化種となり、その強化種を食わせて

成長させているようです。

私はあくまで顔見知り程度です。

師との知り合いである可能性もありますが

はっきりとはわかりませんね」

 

「そ、そうですか」

「はえぇー」

「ちょ、情報が多すぎます!」

「・・・後でメモさせて下さい」

 

思った以上の収穫だ!

しかしなぜここまでの情報を?

 

「それは師に届けてもらう為ですよ。

必要かどうかは知りませんが、知った

ことは報告しなければ意味がありません。

あぁ、アナタ方のファミリアの神にも

伝えても構いませんよ。少し調べれば

わかることですから」

 

「ご配慮ありがとうございます!」

 

「「あ、ありがとうございます!」」

 

「ソーマ様は・・・別にいいや。

先生に伝えれば良いですね」

 

「まぁその辺はそれぞれの判断に任せますよ

それではさっそく修行を始めます。

あぁ、割れ物は下の安全地帯に置くように。

特に師への届け物を破損させたら、理由を

問わず全員に連帯責任と地獄という言葉の

意味を教えてあげましょう」

 

「「「「怖っ!!」」」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿な!持ってないだと?受け渡した後?

もしくは受け渡し前だったのか?!」

 




技術も流派も無い剣姫(笑)に手加減付きで
鍛えられた主人公補正付きの白兎くんと、
何人もの弟子を育てた経験を持つ筆頭によって
容赦なく確かな技術を伝えられるリリルカ一行。
どっちが成長するんでしょうね?ってお話

オラリオでの傷害や殺人は日常茶飯事です。
原作の勇者さんが調査に乗り出したのは
放置したら名前に傷が付くからでしょ?
その後は偶然被害者がレベル4だったから
なし崩し的に関わってますけど。
作者は単純な正義感では無いと思いました。


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45話

そのころ地上では・・・

え?修行パート?
・・・前向きに検討します

オリ設定!
オリ展開!

原作キャラに対するアンチ有り!

嫌いな人は読み飛ばし!


「おや、リューとシルじゃないか。

珍しいところで珍しい奴に合うもんだ」

 

「おや、こんなところでお会いするとは

奇遇ですね?・・・お久しぶりです」

 

「・・・(奇遇って何だっけ?)」

 

良しっ!自然な形で会えました!

最近店に来ないし、野菜の搬入は

デメテルファミリアの連中が

やってますし、下手に八百屋とかに

行って彼に会ったら別のところの野菜を

買ってるなんて誤解されてしまいますからね!

最近は魚介類をよく見ているという話を

ナァーザと女狐がしてましたから、

こっち方面の買い出しに来れば逢えると

思ってましたよ!

 

「魚介類は猫人の二人だと思ってたが、

お前とシルがこっちに来るのは初めて見たな。

奴らは体調でも崩したか?」

 

「いぇ、我々とて魚介類とは無関係では

ありませんからね。たまにはこうして

役割を変えているのですよ」

 

「・・・(無理やりだったよねぇ)」

 

・・・この言い方だとあの二人と何度か

会ってますよね?

おのれオノレおのれオノレおのれぇ!

知らないにゃとか代わっても意味ないにゃ

とか言いながら彼とナニをしていたァ?!

 

「まぁそれもそうか。多分お前たちと

あの二人だと時間や回り方が違うから

今まで遭わなかったんだな」

 

「そうでしょうね」

 

頻繁に会ってることが確定しましたね。

貴女方はイイヤツだと思ってましたが、

ココまでですか。残念です。

 

「・・・(殺る気マンマンだよぉ)」

 

「では今回の新しい魚料理の味見はお前に

頼むか?いや、確か肉系はそんなに好き

じゃ無かったよな?

魚も魚肉ってくらいだし・・・」

 

「食べますっ!!サカナダイスキデス!」

 

「・・・(初めて知ったよ?!)」

 

今回の味見?アノ泥棒猫共っ!彼の手料理を

味見してやがっただとぉぉぉ?!

 

「ん?そうか。まぁ猫人以外の感想も

有った方が良いだろうしな。

今回はエンガワを使った料理だから

素材の味が難しい点があるし、野菜の

味を見極めるリューの舌なら問題ないか?」

 

「無論です。私の舌は野菜だけでないと

いうことをお見せしましょう!」

 

「・・・(言葉の意味は良くわから

ないけどとにかく凄い自信だ!?)」

 

ふふふ、コレで魚介類の味見役も

頂きです!!

 

「あぁ、それと二人共時間は大丈夫か?

急ぎならソッチの店でいいが」

 

「大丈夫です。問題ありません」

 

「・・・はい、ダイジョウブデス

(帰ったら怒られるなぁ)」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「どうしてこんな酷いことをするんですか?!」

 

「あぁん?お前ぇソイツの知り合いか?!」

 

お、路地裏でガラの悪い男どもに

絡まれてる少年発見。

 

「知り合いじゃないですけど・・・」

 

「ならなんでその盗人を庇うんだよ!」

 

ふむ、どうやら近くで寝転んでる少女を

助けに入ったか?

盗人ねぇ。まぁガラの悪いヤツらも無意味に

少女に絡むようなことは無いだろうから、

少女がスリか盗みをしたのは確定か。

 

「シル、彼は貴女のお気に入りの子では?」

「え?あ、ベルさん!」

 

ベルさん?シルの知り合いか。

 

「だって女の子じゃないですか!」

 

成人した男なら助けないのかよ。

・・・あぁコレはダメだな。

被害者とか加害者じゃなく、見た目や

性別で人助けする奴にロクな奴はいない。

 

それに話をつけたいなら盗んだものを

補填するか盗まれた側である連中に、

その鬱憤を解消できる何かを提供

しないとダメだろう?

 

盗みがバレました。返しました。

ハイ、サヨウナラとはいかんのだぞ?

さらに3対1で勝てるような実力も

無い。見たまんまのガキだな。

つーか孤児を見たことがないのか?

 

「シルの知り合いらしいが、アレはダメだ。

俺は助ける気ないぞ。リューはどうする?」

 

まぁコイツが動く分にはコイツの勝手だし

 

「シルが望むなら助けても良いのですが、

正直に言えば私もあまり気乗りしませんね」

 

だよなぁ。正義を語るには力が必要で

力がない奴が正論振りかざしても

大体は事態が悪化するってのはコイツも

理解してるからな。

 

更に言えばガラは悪いが、アイツ等が

被害者で、加害者が少女だ。

正義と悪で言えば少女が悪。

 

事情は知らんが、盗みと言う

ハイリスクハイリターンの賭けに

負けた少女を庇う理由がない。

 

治安が良い日本だってガキがヤクザから

モノ盗んだら、どんな理由があっても

殺されるか、良くてボコボコだろうよ。

 

ソレを女の子だからって・・・馬鹿か?

 

「リュー・・・ダメ?」

 

そういうのは俺の前でやるべきじゃないな。

ソレは自分で選択しないで曖昧な態度で

人を動かそうとする行為だ。

控え目に言っても反吐が出る。

 

こういうのを見ると無性に殺したくなる

んだよなぁ。

 

・・・いかんいかん、殺すなら殺す。

殺さないなら殺さないではっきりしないと。

 

「殺したくなる」なんて曖昧なのは

よろしくないぞ。

 

「シル、リューはお前が望めば助けると

言ったはずだ。曖昧な態度はやめろ。

お前が助けて欲しいか欲しくないかだ」

 

話を聞けぇ!とかやればいいのかねぇ?

 

「そうですね。行動には責任が伴います。

彼を守ると言うことは盗人である少女も

守らねばなりません。わかりやすく言えば

彼らに対する補填ですね。

 

我々が見ず知らずの盗人の少女の為にヤる

理由も無いのですが、あの少年にはその

意識は無いでしょう。

ですので我々が勝手に助けて勝手に

補填すると言う形となります。

まぁ一人1000ヴァリスもあれば

いけるでしょう。ソレでもよろしいので?」

 

「う”!」

 

お気に入りの前で良い格好するにも、

それなりの苦労は必要なんだって話だ。

さらに使うのは他人の力だし、

せめて金銭は自己負担だよな。

 

「「「このガキ!ふざけてんのかっ!」」」

 

お、あっちも進展ありだ。

まぁ連中の気持ちはわかるぞ?

 

「う、うわぁ!」

 

あのへっぴり腰。対人戦は未経験か。

さてシルさんや?

やばいぞ。お気に入りがピンチだぞ?

 

「・・・助けてあげてください!

オネガイシマス!」

 

自腹決定だな。

 

「了解しました。あぁ、すみませんが

コレを持っていてもらえますか?

何気に重いのでシルだと落としそうで」

 

あぁ、シルは恩恵受けてないんだもんな。

店で使う食材をこんな不衛生な地面に

置くわけにも行かんし、まぁ良いだろう。

 

「はいよ。まぁ油断してもアレなら余裕

だろうが、つまらんことで怪我すんなよ」

 

油断慢心ダメ絶対。毒付きの武器とか

持ってる可能性だってあるんだからな

 

「はいっ!」

 

「何か嫌な予感がするんだけど

・・・早まったかなぁ」

 

気に入った男を救うためだ。

多少の自腹は我慢するんだな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「そこまでにしておきなさい」

 

さてさて、シルに頼まれましたし

彼にも励まされました。

荷物も快くもってくれましたし、

やっぱり彼は優しいですよね。

 

そんな彼が心配して見守ってくれて

いますが、待たせるのはシツレイです。

 

さっさとお仕事を済ませましょう。

 

「「「あぁん?!今度はなんだってんだ」」」

 

「て、店員さん?!」

 

四人揃って鬱陶しい。

時間がかかればかかるほど彼の手料理が

遠くなっていくじゃないですか

 

「事情は知りませんが、おそらくその少女が

貴方達から何かを盗んだのでしょう?折檻も

わかりますが、そのくらいにしておきなさい。

無駄に騒いでも貴方達が悪者扱いされて

しまいますし、その少年と少女を痛めつけた

ところであなた方の得にはなりません」

 

こういう時は見た目って重要だと

つくづく思いますよ。

倒れてるのがオッサンなら誰も

助けませんからね。

 

「・・・だったらどうするってんだ」

「「お、おい!」」

 

ふむ、こんなナリでも冒険者。

私の方が強いとわかってますね?

 

「その少女が貴方達から盗んだものを

返却させ、更に補填をしましょう。

そうですね一人1000ヴァリス。

もしくは我々が働く豊穣の女主人で

なんでも一品無料で提供しましょう」

 

「え?!リュー?!」

 

シルが何か言ってますが聞こえませんね。

お気に入りの前でせいぜい格好付けて下さい。

 

「なんでも一品だと?」

 

「えぇ、なんでもです。ちなみにウチで

一番高いのは最上級の果物をふんだんに

使ったフルーツ盛り(特上)ですね。

お値段なんと30000ヴァリスです」

 

なんたって彼の農園で採れた

最上級の果物ですからね。

 

「「「「30000ヴァリス?!」」」」

 

「リュ、リュー!かむばーっく!?」

 

はて、かむばーっくとはなんでしょう?

いいぞもっとやれ!と言うことですかね?

 

「ちなみにお酒で高いのは天井知らず

ですが、流石にお酒は除外です」

 

「ま、まぁそりゃそうだろうな!」

 

「よ、よかった。お酒は本気でヤバい!」

 

さすがにそこまではしませんよ。

ですけど彼はこういう考えなしの子供が

大嫌いですからね。

そんなのを助けるなんて私の評価にまで

影響を与えるじゃないですか。

せいぜいフルーツを大量に使って

彼の農園からの入荷を増やしてください。

 

「・・・なるほど。確かに盗んだものを

返してもらって、普段食えないような

美味いモンが食えるなら、ここでガキを

痛めつけるより数倍得だな」

 

そうでしょう?わざわざ名目をつけて

上げたのです、それで引きなさい。

 

ソレ以上を求めたら・・・ヤルゾ?

 

「・・・怖い目すんなよ。アンタらが

その辺の冒険者より強ぇのは知ってるさ。

モノを貰えるうちに引かせてもらうぜ」

 

「賢い判断です。ではこのチケットを

持って行きなさい。

あぁ裏に今日の日付とシルと名前を

書く事を忘れないよう。

私が居るときはソレで良いですが、

居ない時は店員には私の特徴を伝え、

このチケットを出せば好きなものを

注文できます」

 

コレで無料の分はシルの負担で、他のは

私の売上になりますね。

 

「ありがたくいただくぜ。

おう、盗んだもの出せや」

 

「・・・」

 

・・・財布ですか。孤児とはいえ

冒険者から盗みとは。

シルや医療系ファミリアが孤児に

炊き出しや支援を行ってますが、

ペニアやマリアでは改善は難しいですね。

やはり彼が言うように教育が必要でしょう。

 

「中身は・・・あるな。おいそこのガキ!

他人の事情に口出しするんなら、

そこの店員みてぇに対価を出せ。

それが交渉ってもんだ。

事情も何も関係なく力で押しつぶすって

んならそれだけの力をつけてからにしろ!

貧弱なガキの主張なんざ誰も聞きや

しねぇんだよ!行くぞ!」

 

「「おうっ!」」

 

「・・・くっ」

 

この少年は、悔しいと思うこと自体

間違ってると気付いてますかね?

 

口は悪いですが彼が言ったことは事実です。

それに被害者はアッチであって少女や少年

ではありませんし。

 

そもそも法に則った正義とはソレを破った

者に制裁を与えることが出来るほどの力が

無ければ意味を為しません。

 

この少年はいずれ大成するかも

しれませんが、今は無力な子供です。

 

それにこのまま大成しても、結局腕力で

我を通すだけの存在になってしまいます。

 

どんなに崇高な意思を持っていても

その行動基準が好き嫌いで決まり、

問題の解決方法が腕力では・・・今の

ロキファミリアやフレイヤファミリアと

大差ありませんよ?

 

「ベルさん!大丈夫ですか?!」

 

シル、貴女の行動に伴う責任が一体

何万ヴァリスになるのか楽しみです。

 

いやはや、私もお店の売上と彼の果物の

消費に貢献できて嬉しいですよ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

白い少年で馬鹿みたいな行動原理。

あぁ、コレが主人公か。

 

しかし何と言うか・・・ダメだな。

性格もそうだが下積みが無い。

武に関しても知に関してもだ。

 

随分と温い環境で生活してきたようだ

 

さっきの男どもに対しても反論も

何もなかったことを考えれば、

今のコレは田舎から都会に出てきた

純朴なだけが特徴の少年。

 

アレか?平凡な高校生が何故か覚醒して

積み重ねを無視して強くなるアレか?

 

歳は大体14ー15ってところだろう。

これから覚醒するにしても、

今はまだ成長前、つまりは物語の序盤か

それ以前の段階ってところか。

 

もしコレが物語の主役なら、チートクラスの

遺伝か特殊なスキル持ちじゃなきゃダメだ。

 

そうじゃなきゃ物語を動かすのは無理。

もしくは種馬のように守護者による保護が

あったり異世界の知識がある?

 

いや、守護者はともかく異世界やら前世の

知識があればココまで自分を鍛えない

のはありえない。

 

さてさて、コイツがコレから強く

なるのに何年かかる?

最初弱いのが努力して強くなるのは

物語の定番だが、それだって基礎が

必要だろう?

基礎なしのチートスキル有りで

ステイタスだけの強化なら

三ヶ月あればカンストは可能だろう

・・・さらに遺伝もあれば

最速はもう少し早いか?

 

しかしそれだけの試練を自分に

課すことが出来るタイプには見えん。

もしソレが出来るなら今まで

やってきたはずだからな。

 

そうなると・・・神から何かしらの

ちょっかいを受けるパターンか?

コレは遺伝にもよるが有り得る話だ。

ちょっかいをかけるなら・・・

フレイヤとヘルメスか。

アポロンもありそうではあるが、

自分で育てるような真似はしないだろう。

 

神からの支援とチートなスキル。

それに不自然とも言える強制的な

イベントがあれば成長はするだろう。

 

まぁ反復練習がないから本物と

当たれば一瞬で終わるけどな。

俺の知り合いがどうこうされることは

ないだろうが、コレの周囲ではひと悶着

起きるのは確実。

 

奇貨として側に置く気は無い。

 

主人公の行動を制限する気は無いし、

物語が動くなら動かす連中が表に

出てくるってことだ。

主人公と関わったら警戒されてしまう。

 

それに闇派閥なんて主人公からみたら

格好の敵だろう?

連中や連中に関わる神の目を

引きつけてくれたら言うこと無しだ。

 

俺は俺で好きに動く。

もしも守護者が居るなら滅するまで。

すでに弟子を見つけた以上、

遠慮も容赦もいらん。

 

まぁ弟子が居るってことは他の

ヤツらも居る可能性もあるには

あるんだが・・・そんな事を

言ってたら何にもできんしな。

そっちはアイツらを保護しつつ

色々考えるとしよう。

 

「荷物ありがとうございます」

 

「あぁ、お疲れさん」

 

そうそう、コイツとシルのおかげで

良いモノが見れた。

猫人二人なら素通りだったから、

コレも良い影響だな。

 

今後はアイツ等の養育に加えて主人公と

その周囲の観測もしないとダメなんだが

人手が足りん。

 

・・・シルからリューに伝わるか?

そうなるとリューとの接触を増やさねば

ならんが、俺は娶る気は無いんだよな。

 

もちろんコイツの気持ちを弄ぶ気は無い。

だが何も言われてないのに振るって

言うのも違うし。

 

種馬として見られていたあそことは違う

から下手な接触は後ろから刺される

要因にしかならん。

アマゾネス的思考ならソレでも良いん

だろうが、リューはエルフだからな。

 

・・・まぁいいや()

そういうのは後で考えよう。

 

まずは物語が動く前に弟子を見つけられた

事を喜ぼう。

もしかしたらすでに物語が動いてるかも

しれんが、今のコイツが動かせる

歯車の大きさはたかが知れてる。

 

それにリリルカ達を行かせることも出来た。

弟子なら徹底的に殺ってくれるだろうから

耐久・器用・敏捷にボーナスがつくのは確実。

 

まさかオッタルが最後のボスってわけでも

無いだろうから、鍛えるだけ鍛えないとな。

 

だがまぁ、今日は祝いだ。

 

「リュー何か食いたいモノはあるか?

何でも奢るし、何でも作ってやるぞ!」

 

このくらいはしてやろうじゃないか!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「えっ?!」

 

急にどうしたんです?凄く機嫌良いですね?

そ、それに今、何でもって言った?

 

まさかコレはデートのお誘い?

 

とうとうこの時が!でもお店が・・・

だけどこの機会を逃したら絶対に

ダメだと私の勘が言っている!

 

ロマンチックなお店で夜景とお酒も

捨てがたいけど、こういうのは後

とかにしたら絶対に流れるパターン!

今ならリリルカも女狐も邪魔しないけど

今夜にしてもらうか?

 

でも今夜はお店が・・・どうしよう?

それなら作ってもらう?手料理も食べたい!

 

でもお店が・・・

あっそうだ!お店で作ってもらえば

良いじゃないですか!

さっき自分でも試食はお店でも

良いって言ってくれたし!

 

こんな機会は絶対に無いしミア母さん

でも作れる料理を作ってもらえば

遅刻も許してもらえるはず!

 

「で、ではお店で作ってもらえますか?

貴方が作るならミア母さんも文句は

言わないでしょうし!」

 

なんならお店が終わったらそのまま

行けるかもっ!

 

「ふむ、試食もあるしそのまま

何か作ってやろう。

フルーツ盛りも注文して良いぞ」

 

「ありがとうございます!」

 

ふふふ、何故だかわかりませんが

もの凄く上機嫌じゃないですか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シル、貴女の犠牲は無駄では

ありませんでしたよ!

 

 




白兎発見セリ。

主人公くんは白兎君も嫌いな模様

まぁ今はタダのチート持ちのガキですからね

憧れでスキルが生えるなら誰だって
生えるだろうがってお話です


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46話

そのころ無乳さんは?

修行パート?
・・・前向きに(ry

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


『フィン、どういうこっちゃ?!』

 

はぁ、まさかフレイヤからへファイストス、

へファイストスからロキに伝わるとは。

 

「分かりやすく言えば、彼から

リリルカさんを鍛えたいから深層探索

に付き合ってほしい。

ついでに深層の視線の主が知り合いかも

知れないから届け物を頼みたい。

って依頼があってそれを受けた形だね」

 

『女神の戦車はなんやの?!』

 

「恐らくフレイヤを除け者にしない

っていうメッセージじゃないかな?

それにレベル6だから深層でも十分な

戦力だ。彼女たちを守ってくれるだろう」

 

『せやけどな!』

 

無駄に熱くなってるな。

ロキにもお香を使わせるか?

 

「ロキ、冷静になって考えろ」

 

『・・・何を?』

 

「まず大前提として、新種に関しては

関係者全員が灰色なんだ。

僕達だって対応が早すぎるって

自作自演を疑われる可能性がある」

 

『はぁ?』

 

「今までの僕たちの行動は決して

品行方正なモノだけじゃなかったからね。

僕達を敵視する連中からすれば

いくらでもいちゃもんをつけれるんだよ」

 

『なるほどなぁ、ソレは分かった。

・・・あぁだからフレイヤんとこの

アレンが関わってくるんやな?』

 

元が聡明な神だから落ち着けば

わかるんだろうけどね。

 

「そうだね。少なくとも僕達と

フレイヤファミリアが敵対して

いないとわかれば

それだけで小さな火種は消せるし、

さらにリリルカさんがいればソーマと

イシュタルも同じ方向を見ていると

言えるだろう?」

 

実際はイシュタルもソーマも微妙では

あるけど、外向けのポーズには十分だ

 

『ソレがヤツが自分からウチらの目を

逸らさせる為の策と言う可能性は?』

 

「勿論ある」

 

あくまで可能性だけどね。

 

『あるなら!』

 

「落ち着け。この場合の可能性は二通り。

一つは自分から目を逸らすため。

もう一つは僕たちを同じ方向に

進ませて、オラリオの内部を団結

させる策って場合なんだ」

 

両立させてくる可能性もあるけどね。

 

『……あぁ、二つ目の場合は邪魔する

わけにはいかんってことか?』

 

「そういう事さ。それに一つ目の策にしても

今回は悪い効果はあまり無いだろうね」

 

『それは何で?』

 

「こうして警戒されているじゃないか。

この時点で目を逸らせていない。

更に彼はリリルカさんを捨て駒に

するような人間ではないからね」

 

したら僕が貰うしな!

 

『そんなことなんでわかるん?

その気になったらいくらでも

切り捨てるんちゃうの?』

 

確かにその必要があればヤるかも

しれないけどね。今回は無いだろう。

 

「簡単さ、彼が教育者だからだよ」

 

口実がリリルカさんの教育だったからね。

そもそも彼にティオナやティオネを

孤立させて罠に嵌める理由もないし。

 

『・・・ソレもわかった。

けどなんでウチに知らせんかった?』

 

決まってるじゃないか

 

「絶対反対するだろ?」

 

『当たり前や!』

 

「なんでさ?」

 

『なんでってジブンわかっとんのか?

フレイヤんとこやぞ?!』

 

お互いに眷族が殺された経緯もあるから

悔しい思いもしてるだろう。だけどね。

 

「なぁロキ?この探索について

いかなかった場合、僕達と

フレイヤファミリアの間にある

情報量の差はどうなる?」

 

過去の感傷も忘れたわけじゃない。

だけどそれに引っ張られて今を

失うわけにはいかないんだよ。

 

『・・・さらに拡がるな』

 

「そうだ。現状でさえ僕達に持ってない

情報を持つフレイヤを相手に、

これ以上の差をつけられるわけには

いかないんだよ。それに、もし理由も

無くただの感情で依頼を断れば、彼はもう

二度と僕達を誘うことはなくなるだろう」

 

これがヤバいんだ

 

『別にええやん。フレイヤと共同で

何かやる必要があるなら、ファイたん

だっておるんやし』

 

へファイストスを仲介するのは

悪くないんだけどね。

でもやっぱりロキは神だ。

 

「下界の人間の考えがわかってない

ようだから教えるけどさ。

もし彼が僕たちと縁を切るようになれば、

僕達はいろんなところに距離を置かれる

ことになるって理解してるかい?」

 

『はぁ?ウチらは探索系の最大手やぞ?

そんなんありえんやろ』

 

やっぱりわかってなかったか

 

「医療系や生産系にとって、日々大量の

日用品を消費するイシュタルファミリアは

僕達以上に気を使う相手だ。

何せ僕たちは遠征の前後限定の大量消費。

あっちは毎日だからね」

 

『・・・そうか、イシュタルとの距離は

ウチらよりもアイツの方が近いもんな。

イシュタルにしてみたら付き合いの無い

ウチらより団員のレベルアップやら

何やらに協力しとるヤツを重視するか』

 

そういうことだね。

 

「更に医療系のファミリアは、彼を敵に

回せば軒並み潰されることになるだろう」

 

それこそ問答無用で潰されるね

 

『はぁ?医療系潰したら周りが困るやんか。

いくら都市外のファミリアでも、そんなん

知らんって放置できる問題違うやろ?』

 

「それはそうだ。だけど彼は今でさえ

医療系ファミリアに対して高い

発言力を持ってるんだよ?」

 

『最強の胃薬やお香シリーズやな?』

 

それもそうだけどさ。

彼の持つ手段はそんなチャチな

もんじゃないんだ。

 

「それもあるけどね。コレを見てごらんよ」

 

こいつをどう思う?

 

『なんや急に?・・・飴ちゃんか?』

 

そりゃ知らなければそう思うよね?

 

「タブレット型のポーションだ」

 

『これがポーションやと?!』

 

ティオネに見せてもらったときは

僕も衝撃を受けたさ。

はっきり言ってコレはヤバい!

 

「わかるかい?瓶詰めされた液体の

ポーションに比べて持ち運べる

量も多いし、瓶が割れて使い物に

ならなくなるなんてこともない。

しかも毒消しやマジックポーション、

果てはエリクサーまであるらしい。

この時点で汎用性が高すぎる。

こんなのを量産されたら

既存の医療系ファミリアは

壊滅的な打撃を受けるだろうね」

 

患部に直接かけるためにも液体型は

必要だけど、それでも売上はかなり

減ることになるだろうね。

 

『既存のファミリア潰しても、

ソレ以上の効果がある薬で賄える

だけの力があれば、探索系からも

文句は出んな・・・』

 

「そうだ。新商品を開発して売上を

独占するのは商売の基本。

ギルドだって文句は言えないし

冒険者だってわざわざ割れやすくて

嵩張る瓶よりコッチの方が良いに

決まってる。

正直言って僕たちだって売って

もらえるならコッチを選ぶよ」

 

ディアンケヒトには悪いけど

団員の命がかかってるからね。

 

『こんなんあるなんて言われたら、

確かに医療系は逆らえんな』

 

「そうだ。今は生産量が少ないのか

医療系に配慮してるのかは知らないけど

積極的に売りに出すつもりは無いらしい。

あくまで今回はリリルカさんの付き添い

だから分けてもらったし、僕にも

試供品としてくれた。

だけどこれ一つでも彼が本気になった時点で

相当数のファミリアが動くのはわかるだろ?」

 

『医療系にそっぽ向かれた上に生産系と

探索系、さらにイシュタルとフレイヤ。

元々仲の悪いファミリアも敵、か』

 

その通り。どれだけのファミリアが

敵に回るか想像もつかないんだ。

 

「わかるかい?ゼウスやヘラのように

今度は僕たちが追われる可能性が高くなる」

 

『・・・そうやな』

 

最大手だからと油断してたら、前に僕たちが

以前の最大手にヤったことをヤられる。

それがオラリオだと言えばそれだけの

話なんだけどね。

 

「例えばの話だけど、もしも現状で僕達が

ギルドに成り代わろうと言う意思を持った

場合、フレイヤやイシュタルが動くだろう。

フレイヤの眷族は言うまでもないね。

イシュタルも今はレベル6が居るし

麗傑も5だ。

さらにはガネーシャも動くかな?

理由と根回し次第だけど、現時点では

僕たちが負けるのが確定している」

 

『・・・せやな』

 

「だけど、彼が敵意をもってギルドに

牙を剥いた場合・・・どうする?」

 

『どうって・・・』

 

「物理的な闇討ちもそうだけど、彼が作る

医薬品や装備品は、現時点で医療系や

生産系のファミリアを凌駕するんだ。

さらに服飾やら工芸品と言ったモノも

勝ち目がない。

言ってしまえば彼一人の手によって経済的

に殺されることになるんだよ。

そしてこの場合、死ぬのはギルドじゃなく

オラリオという都市そのものだ」

 

『オラリオそのものを殺す、やと?』

 

「そうだ。あくまで可能性だけどね。

つまり彼は現時点ですらギルドが降伏する

可能性もある相手だよ?

それがわかれば誰だって単純な探索系の

僕たちよりも彼を選ぶさ」

 

戦略とか戦術以前の問題だよね

 

『・・・ウラノスは気付いとるか?』

 

「多分気付いてない。大きな山と

一緒で規模が大きすぎて逆に見えないんだ。

だけど、イシュタルとフレイヤは

気付いてるだろう。

ゴブニュはそもそも中立だし

ヘファイストスだって敵対する気は無い。

ソーマは当然彼の味方。

ディアンケヒトにしても日常的に消費

する日用品を開発してくれて、その上

気前よく技術と分け前をくれるお得意様。

同じ医療系の代表格であるナァーザに

とってはそのまま命の恩人だし、

農産系のデメテルも付き合いが長い。

つまり大手ファミリアが全部彼の味方さ。

あとはテルスキュラから来たカーリーが

イシュタルファミリアに居るらしいけど」

 

『そうや、ヤツが動く可能性があるんや!

ティオネとティオナに伝えんと!』

 

「今は無いね」

 

あくまで今はだけど。

 

『なんで言い切れるんや?!』

 

「普通に仲良くしてるらしいからさ。

今は彼とカーリーが繚藍と料理の

研究をしてるんだと」

 

ナァーザが直接繚藍に聞いた情報だから

間違いはないね。

 

『料理って』

 

「カーリーの中では生きることも戦いで、

普段の食事も漫然と口にするモノでは

ないらしい。だから料理も重要だってさ」

 

『はぁ』

 

もう「そうか」としか言えないよ。

実際食事は強い戦士を作るために

欠かせない重要な要素だからね。

彼女の趣味である強者を作るためには

必要な知識であることは間違いない。

 

「さらに彼を男として狙ってる

らしいから、しばらくはこちらに

目が向くことはないだろうね」

 

彼もこれ幸いと女を抱くような

男じゃないからね。

 

朝晩襲われてうんざりしてるとか。

・・・こればっかりは彼に同情するよ。

 

『はぁ?どういうことや?』

 

「彼の教え子でもある二人を

傷付けたら怒られるだろ?」

 

おかげでティオネとティオナの

安全が保証されてるんだから良いけどさ。

 

むしろカーリーファミリアの眷族に

手を出して、リリルカさんに

失望されてくれれば良いのになぁ。

 

『怒られるって』

 

実際、だからこそ大人しいんだと思うよ?

普段の彼女たちならところ構わず僕や

オッタルに挑んで来るだろうし。

 

「彼女らにとっては闘争と子孫を

残すことは至上命題。

文武を極めたとも言える彼を

逃そうとはしないよ」

 

・・・文武を極めたかぁ。

間違いなく僕はそんなこと言われる

事ないよね?自分で言って羨ましいと

思うのってどうなのかなぁ。

 

『あぁなるほど。これだからアマゾネスは!』

 

「……それは、ティオネとティオナに対する

差別にもなる。今後は控えてくれよ?」

 

主神が種族で差別するようじゃ困るからね?

 

『あ~せやった。悪かった今後は言わん』

 

「そうしてくれ。とりあえず話を戻すと、

現状カーリーは大丈夫。

むしろ下手に突っつかないほうがいい。

ディオニュソスが何を知ってるのかは

知らないけど、闇派閥に対する

敵意が強すぎて怪しいモノを過度に

疑ってしまってるんじゃないかな?

その意見は参考にはするけど

現状ではあまり重視できない。

無駄に敵を作ることになるからね。

そして彼とはこれ以上距離をおいて情報的に

孤立するのは良くないと判断した」

 

『あぁそもそもの話題はソレやったな。

確かにフレイヤに情報を独占される

わけにもいかん、か』

 

「フレイヤも現状では彼も僕たちも

敵に回す気ははないからこそ、

アレンの派遣も許可したんだろうしね」

 

更に言えば彼のスキル効果があれば

恐らくアレンはレベルが上がるだろう。

こっちの二人がレベル6になっても

あっちは7だ。

・・・先に接触したのはコッチだったが、

あの失敗のせいでフレイヤに彼との

付き合い方を学ばせてしまったのが痛い。

 

『あ、それに断ったらリリルカとアレン

が二人でいく可能性もあったか?』

 

ん?やり返したつもりか?

けど甘いよ。

 

「最初はその可能性を考えたけど

普通に考えたら無いね。

その場合は彼が同行したはずだ」

 

睡眠を取った僕に隙はない!

 

『余裕あるなぁ。お香とお茶が効いたか?』

 

ふっ

 

「アレは良いものだ」

 

いやほんと。あんなに気持ち良く

寝れるなら、専用の個室付きの店は

大繁盛間違い無しだと思うよ。

 

『ま、まぁフィンが回復したならええけど。

そんで、コレからどうするん?』

 

「とりあえずダンジョンで慣熟訓練だ。

僕とガレスとべートにアイズで行く。」

 

アイズは本来関係ないけど、自分から

「借金返済のためにダンジョンに

潜りたい。だからその許可が欲しい」

なんて言ってきたからね。

すごい進歩だよ!

 

『リヴェリアやレフィーヤたち魔法使い組

は置いてくんか?』

 

不満そうだけど理由があるんだよ

 

「そうだね、まずはまだ新種が残ってる

可能性もあるから、僕と一緒にアレを

観察したラウルをこっちに残す。

アドバイザーとしてリヴェリアもだ」

 

『ラウルの経験か。けどレベル5の

ベートもアイズたんもおらんぞ?』

 

「普通に戦えばレベル4なら十分戦えるし

むしろ良い経験になる。

こっちに残るリヴェリアには、ロキの護衛と

4人1組を基本にしてその中に魔法使いを

1人入れたパーティーによる巡回を

ギルドに提案させる」

 

ここまで協力的なら自作自演を疑う

連中も居なくなるだろうよ。

 

『なるほどな。ラウルたちの甘えを

無くすのと、魔法使い組を巡回に回す

ことで巡回の経験を積ませて、さらに

ギルドや周りからの疑いを晴らすか』

 

「そうだ。今までは安全マージンを

取りすぎたところがあるからね。

その結果が魔法頼りの遠距離攻撃さ。

レフィーヤが都市内で魔法を使おうと

したのも、魔法さえあれば大丈夫と

言う甘えだ」

 

『・・・せやな』

 

「それがモンスターの活性化となって

彼女の重傷に繋がった。

重要なのは魔法に頼るんじゃなく

魔法を使いこなす為の創意工夫だ」

 

『そのためには高レベルの冒険者が

居るっちゅー甘えを無くす必要が

あるわけやな?』

 

「そうだね。リヴェリアは高レベルでも

守護する対象だろうから、油断には

繋がらないだろう?」

 

むしろ気合入れて守るだろ?

 

『確かにな。ギルドと交渉できるし、

甘えを考えたらラウルをはじめとした

連中にアドバイザーとして付けるのは

リヴェリアが一番か』

 

・・・アイズの甘えもある。

無意識にリヴェリアを頼る癖が

あるけどアイズだってレベル5の

冒険者だ。しっかり自分で考え

させないと駄目だろう。

まぁコレは言わないけどな。

 

「そう言うことで明日から

ダンジョンに潜る。

階層は・・・アイズのお金の件も

あるから24階層かな?

期間は一週間はかからないだろう」

 

『なんや深層には行かんのか?』

 

「・・・慣熟訓練で武装を傷める気は

無いし、修行の邪魔になるからね」

 

リリルカさんには会いたいけど、

修行の邪魔したら嫌われるよなぁ。

 

『そ、そうか。なんかすまん・・・』

 

ん?何で謝られたかはわからないけど

まぁいいや。

 

「それじゃ、留守はよろしく」

 

『あいよ、まかしとき』

 

・・・そういえば彼女たちはどんな

修行をしているんだ?アレンと

リリルカさんを相手に模擬戦とか?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「理解しましたね?これが命奪崩壊拳です」

 

「「「「・・・」」」」

 




色々考えてる勇者さん
安眠は世界を救うのです。

もちろん先生一人でオラリオは
殺せません
あくまで喩え話です。
現状でも先生と、先生に協力する
勢力がギルドを孤立させて
オラリオだって殺れるんだよ?って
最悪の状況を解説しただけの話です。


修行パート云々の前に命を奪われて
色々崩壊してるのが4人ってお話



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47話

修行パート・・・の前段階ですね

オリ設定!
オリ展開!

嫌いなら読まなくて良いんだよ?




さて。とりあえず各々の武装を持たせて

整列させましたが、修行の前に現在の

戦力の確認ですね。

 

まずは・・・

 

「?!」

「「「?」」」

 

リリルカは、簡単な技撃軌道は

見えるようですね。

 

他の三人はまだダメ、と・・・

 

間合いは?

 

「「「「?!」」」」

 

ふむ。間合いに関してはそこそこ

ですが、まだまだ歪んでます。

特に痴女姉妹は酷いですね。

これは遠距離から近接まで出来る武器の

慣熟訓練も兼ねているせいなのでしょう。

 

猫耳は全体的に未熟ですね。

反復訓練が足りません。

 

・・・師よ、この未熟者共に対して私は

どこまで殺れば良いのでしょうか?

 

「あ、あの、筆頭様?」

 

「あぁ、すみませんねリリルカ。

これからの育成についてを考えて

おりました」

 

あまりに未熟ですからねぇ。

とりあえずアチラなら

最初に命奪崩壊拳で無駄な誇りを

崩壊させるんですが、ココで

やったら普通にお腹に穴が

開通しちゃいますよねぇ。

 

・・・アレ?聞くところによれば

師が作ったエリクサーとやらは部位の

欠損も治るしハイポーションはもげた

腕がくっ付くくらいの効能はあるとか?

 

それなら別に穴を開けても良いのでは?

 

それに骨が言うにはナマモノの血も

そう言った効果があるとか言ってました。

まぁ、ヤツの目は節穴ですけど。

 

いやいや、まずは確認です。

 

「リリルカ、再度確認したいことが

あります。嘘偽りなく答えなさい。

命が惜しければ下手な虚勢などを

張らないこと。

わからないなら怒りませんので正直に

わからないと言いなさい。

私も師の教えを受けたアナタ達を無意味に

殺したくは有りませんからね」

 

修練の結果死んだならまだしも、

「勘違いで殺しました」なんて言ったら

どんな目にあうかわかりませんからね!

 

「はいっ!絶対に正直に答えます!」

 

 

―――――――――――――――――

 

 

有り得ません!

何ですか先程の技撃軌道は?!

気配も何もなく当たり前のように

リリの頭をカチ割ってるじゃないですか?!

しかもリリだけじゃなく他の皆さんも!

 

さらに次のは何ですか?

胴体と首を斬りましたよね?

しかも他の皆さんも同時に!

今度はわざと気付けるようにして!

 

もぉ技術とかそう言うのじゃなく、

全部の桁が違いますよぉ

先生はこの方以上って言ってましたけど

嘘でしょ?

アレだけ色んなことしてるのに武術だけ

でもこの方以上って!

 

・・・そう言えば先生はハーフエルフでした。

見た目通りの年齢じゃ無い可能性も有るん

ですよね。

リリ達よりずっと長い間鍛えてたなら

当然完成度だって上ですよね?

 

うん。少し落ち着きましたよ。

やはりナァーザさんやアイシャさんが

言ってたように「先生なら仕方ない」って

思えば大体のことは許せてしまいます。

 

落ち着いたところで質問の前置きが

怖すぎることは変わりませんけどね!

 

無駄に殺したくないって、無駄じゃ

無かったら殺すんですか?!

人体実験に為りましたとか言って誤魔化し

ませんよね?!

 

「質問の前にアナタ方には師の教えを

説明しておきましょう」

 

「・・・先生の教えですか?」

 

説明と言うことは知識的なモノでしょうか?

 

「そうです。武だけでなく、生きる上での

教えと言いますか、自らを完成させる為の

哲学といったところですね」

 

「「「「哲学?」」」」

 

「内容はソレほど難しい訳ではありません。

言われれば「なるほどなー」と納得する

ようなモノです。まぁ師の教えは大体が

そう言う類いのものなんですけどね」

 

あぁ、確かにそうです。無駄に回りくどく

言わないで核心をつくのが先生の教えです

 

「我々門下生の中では我知無知哲学と言われる

モノで、後進にその教えを広めています」

 

「「「「ガチムチ哲学?」」」」

 

なんか筋肉自慢の男の人が笑顔で白い歯を

見せそうな哲学ですよね。

 

「ソレには、人として極めるべき三信と

言われる教えがあります」

 

「「「「三信」」」」

 

コレは奥義と言うか、凄く大事な教えです!

 

「歪みない。だらしない。しかたない。

この三つですね」

 

「「「「歪みない。だらしない。しかたない」」」」

 

この方が言うと、どんな言葉でも立派に

聞こえますね

 

「まずは「歪みない」コレは強き心。

精神的な覚悟を示します。

分かりやすく言うなら、目的の

為に手段を選ばない。ヤると決めたらヤる。

こう言った精神性ですね」

 

「「「「強き心!」」」」

 

「あぁ、確かに先生に歪みは有りませんね」

 

ヤると言ったらヤる人です

 

「あの方はそうでしょうね。さらにコレは

理想とすべき自分を定めて、ソレに向かう

為の在り方も示します」

 

「「「「なるほどなー」」」」

 

自分自身に歪みない目標をつくり、

ソレに対して歪まずに挑戦する姿勢ですか。

 

「次の「だらしない」一見不要に見えますが、

例えば戦いと言うのは相手の隙、すなわち

だらしなさを見つけて叩くモノですね」

 

「「「「あぁ、なるほど」」」」

 

そうですね。基本的にはそうです。

 

「また自分自身の成長の為には

己のだらしないところを認識して戒め、

修正しなくてはいけません」

 

「「「「確かに」」」」

 

成長とはそう言うモノですよね!

つまりは見たくない現実や己の欠点を

だらしなさと言う形で見て、戒める

気持ちが大事なんですね!

 

「重ねて言えば己と向き合うには

詰まらぬ誇りなど必要有りません。

このときの自分はだらしなくて当たり前。

ソレを認識して改善すれば良いのです」

 

「「「「なるほどなー」」」」

 

先生も、中途半端な誇りは目を

曇らせるだけだって言ってますからね!

 

「最後の「しかたない」コレは諦めの

言葉ではなく寛容の心です」

 

「「「「寛容の心」」」」

 

基本的に先生は大概のことは笑って

許しますからね。

しかたねぇなって感じはコレでしたか!

まぁ笑いながら殺すときもありますけど。

 

「心の余裕とも言えますね。

歪みない自分が有ればだらしない敵なんて

余裕をもって処分できるモノです」

 

「「「「心の余裕」」」」

 

「コレは相手を許すとかだけではなく、

気持ちの切り替えにも必要になります。

どんなに憎い相手でも、今は勝てないと

判断し今回は仕方ないから引く。

せめて腕だけでも!せめて足を!とか。

もしくは自分一人では無理だから

援軍が来るまで耐える!とか。

こう言ったように思考に応用を利かせる

ことが出来るようになるのです」

 

「「「「なるほどなー」」」」

 

一つの方向からしか見ないで色んな

方向から物事を見るためには必要な

考え方ですよね。

 

「この三信は三原則とも呼ばれ、

生きていく上で大概のことに適用

される汎用性を秘めた教えです」

 

「「「「確かに」」」」

 

まさしく哲学ですよね!

 

「この我知無知哲学三信を知ったなら

効果的な成長には、己に対しての

『歪みなさ』すなわち強き心が必要で、

現状の己の『だらしなさ』すなわち未熟

な自分を認識することも重要だと理解

出来ると思います」

 

「「「「そうですね」」」」

 

理想とする自分と、今の自分を比べる

為には絶対に必要なことですね。

 

「そこで我らの流派では不要な誇りを

打ち砕き、逆境にあっても立ち向かえる

心の強さを得るための試練に使われる

技があります」

 

「「「「・・・」」」」

 

明らかにヤバイ技ですよね?

わかりますよ?さっきの質問と絡めたら

命の危険がある、おそろしく厄介な

技だってことが!

しかも誇りを打ち砕くんでしょ?

心と体を殺す技ですよね!

 

「リリルカは大体理解したようですね。

その通り、心と体を破壊します。

その上で立ち上がることが出来れば、

第一段階である『歪みなさ』と

『だらしなさ』を理解出来たと

言えましょう」

 

予想通り恐ろしい技です。

コレは立ち上がる気力がなければ、

そのまま死ねと言う非情の技ですよ。

 

気力または心の支えとも言えますね。

アレンさんはフレイヤ様の愛と忠義で

行けますかね?

ティオネさんも勇者さんへの想いが

あれば行けますか。

リリとティオナさんはどうでしょう?

いえ、他人を気にしてる場合では

有りません。リリは先生の弟子になって

ようやく幸せの意味を知ったんです!

コレからもっと幸せになるんです!

 

それにようやく質問の内容が予想

出来ました。

 

「ここで最初の質問になるのですが、

師の作ったエリクサーやハイポーションは

間違いなく身体の欠損を治療出来ますか?」

 

やっぱり!いくら覚悟が出来てても

体を破壊されたら死にますからね!

けどご安心ください。

 

「大丈夫です。先生のハイポーションは

体に穴が開いても回復しますし、

エリクサーも例え手足がもげて魔物に

喰われても、治療をしてない状態で

一時間以内なら回復します」

 

「「「試したのか?!」」」

 

「リリを狙っていた闇派閥の冒険者で

実験済みです!」

 

下手に傷口を焼いたりすると

駄目なんですよねぇ。

 

「「「あぁ・・・」」」

 

「なるほど、臨床実験済みでしたか。

これは不敬でした。これでは

また師に折檻されてしまいますね」

 

この方に折檻出来る先生に驚きですよ

 

「それでは憂いが無くなりましたので、

アナタ方に技を受けて貰います。

剣だの棍だの槍だの縄だのと言った

小手先の技術はその後です。

なにせ最低限の強さを持たぬ者には

教えを授ける事は出来ませんからね」

 

基礎的なモノをクリアしてからですね?!

望むところです!

 

「ふむ、全員良い目をしていますね。

この分なら皆が技を受けても立ち上がる

ことができるでしょう」

 

「ふっ、当たり前ですよ、私はコレでも

先生の弟子ですからね!」

 

「「「その通りです」」」

 

すでに覚悟は決めました!

 

「よろしい。ちなみに技名は命奪崩壊拳。

喰らったら最低2日は痛みやら何やらで

身動きが取れません」

 

「「「「えっ?!」」」」

 

「ふ、2日も寝込むんですか?」

 

技名と言い効果と言い、想像以上に

ヤバくないですかね?

 

「いえ、寝れませんよ?何せ全身が

絶え間なく痛みに襲われますからね」

 

「「「「・・・」」」」

 

「無論食事も出来ませんし

糞尿も垂れ流しです」

 

「「「「・・・!」」」」

 

ヤバイっっ!!尊厳とか女としてとか、

色んなものが崩壊してしまいますっ?!

 

「あぁ、今回は一人一人個室みたいな感じで

隔離して見えないようにしてあげますよ。

本来はそんなことしないのですが

師に不敬を働いてしまいましたからね。

そのお詫びのようなモノです。

それに安全地帯が臭くなっても嫌ですし」

 

絶対ソレが理由ですよね?!

 

って言うかさっきから動けないし

喋れませんっ!!

 

「「「「・・・!!!」」」」

 

顔も目線も動かせませんが、皆さんが必死で

逃げようとしてるのだけはわかりますよっ!

 

「無駄無駄無駄。アナタ方は既に木人間。

抵抗すれば新血愁心霊台という3日3晩

全身から血やら汗やら涙やら糞尿やら

血やらを垂れ流しつつ、叫びまわるような激痛が

あるのに何故か死ねないと言う不思議体験が

できる技を使用してあげますけど?」

 

で、でくって何ですか?!

それに全身から垂れ流し?!

しかも3日3晩?!

更に血が2回出てますよ?!

ソレで何で死なないんですかねぇ?!

 

「「「「・・・」」」」

 

そんなのよりはまだ命奪崩壊拳の方が

マシ・・・マシですかねぇ?!

 

「覚悟が決まったようで何より。

では受けなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「グフッ!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

ザクッと来たかと思ったら

ドムって感じでギャンです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「理解しましたね?コレが命奪崩壊拳です」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

痛みでソレどころじゃありません!

コレは・・・何ですか?!

外傷ではありません!

これだけの怪我を負っていながら

ソレよりも痛いのが内部から来てます!

 

「では出血や外傷で死なないように

ハイポーションを使ってあげましょう。

・・・ふむ、なるほど。

腹部に開いた穴が塞がりましたね。

流石我が師です」

 

そう言う問題ですか?!

 

「あとは移動ですね・・・面倒ですが

仕方ありません。臭くなるし」

 

は、ハイポーションを使ってもらっても

体が動きませんっ!痛すぎます!

剥き出しの神経をグリグリ

されてるような痛みが継続してます!

 

痛みで目も見えないってどういう状況?!

魔力か何かで四肢を動かせないように

した上で刺激を与えてる?

何ですかこの痛みは!コレが2日ですか?!

 

あと筆頭様!すみませんが、もう少し優しく

運んでくれませんか?

汚いのをそんな棒で持ち上げるみたいな

感じじゃなくて!!

まだ垂れ流してませんよね?!

 

 

あぁぁ、ヤバい!口からすでにナニか

が出そう!

それに痛くて見えないはずなのに赤くて

青いのが見えます!!なんか

聞こえるし!!

覚悟って何?コレハナニ?!

少し前のリリの馬鹿ぁぁぁぁぁぁ!!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふむ、リリルカは何だかんだで余裕が

ありますね。

恐らく痛みと恐怖に対する耐性が付いて

いるのでしょう。流石我が師。

 

しかしアレですね。

師から頂いた服を着た途端に

彼らに対する殺意と言いますか

敵意と言いますか、そういったモノ

が消えました。

 

コレは地上の連中を敵視するという

ダンジョンによって、産み出された際に

植えつけられた本能かと思って

いましたが、そういったモノにも

干渉できる服を作るとは、流石我が師。

 

まぁコレでわかりました。

今まではその本能を刺激するような

信号に似たモノを受け取っていたのですね。

 

赤髪はソレを発信する存在に近いか

コレと同じような装備で干渉を防ぎ

確固たる自我を持っている。

 

もしくはすでにそういうのが必要

ないくらいに干渉されてる可能性も

ありますか。

 

白髪の阿呆はソレが無いからあんな風に

常時敵意や害意に満ちているのでしょう。

 

ただ、アレは元からの可能性もありますが、

私に対する干渉があったくらいですから

全くないとは言えないでしょうね。

 

 

 

 

 

・・・舐めた真似をしてくれる。

 

 

 

 

私の意思を操る?地上の存在を敵視

させる?つまりは私に師と

敵対させようとしたという事だろう?

 

ダンジョンかココにあるナニカの意思

かは知らんが、ただで済むと思うな。

 

直接逆らえばまだ私が理解していない

この世界の理でもってこの体を

破壊される可能性もあるから、

今はまだ下手に動く気は無い。

 

だが無抵抗でいると思うな?

 

まずはキサマらに敵対する連中を

師と共に育てよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は私を操る存在を許さない。

 

ソレをして良いのは師だけだと

言うことを教えてやろうじゃないか!




我知無知三信を広める弟子の図

まぁどこぞの白河さんみたいですが
操られて面白い人はいませんね。

基本的に弟子は師以外に従いません。

無駄な誇りはありませんが、
積み重ねてきた自負はありますので
当然プライドは高めです。
また同じような修練をしている
未熟な同門に対しては寛容ですが
怠惰な小物に関しては普通に殺します。

古代中国的価値観の持ち主ですので
当然命に対する価値観は軽いですよ。

現在は誰がどのように師と
関わってるかわからないので
積極的に殺って無いだけですね。



・・・今更ですが弟子の特徴

1・前世の知識あり
2・前世では英雄と呼ばれていた
3・喰えば喰うほど強くなるチート有り

・・・あれ?俺tueeeeeeモノのオリ主?ってお話


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48話

た、た、た大変だっ!
リヴィラで殺人事件が!

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし。


殺人事件ねぇ・・・

正直な話、冒険者がダンジョン内で

殺されるのなんて今更の話だから

関わりたくないんだけど、被害者が

ガネーシャファミリアのハシャーナで

レベル4って言うのがなぁ。

 

さらに事件の翌日、タイミングよく現場に

現れたレベル5と6の冒険者集団。

・・・コレ無視したら僕たちが

疑われるパターンだよね?

 

「フィン、面倒じゃが無視はできんぞ」

 

ガレスの言う通りだね

 

「・・・あぁ。ここでコレを

無視したら俺たちが疑われんのか」

 

うん、べートも口に出す前に考えて

くれるようになったか。

 

「・・・ティオネやティオナは深層だから

事件には関係ないよね?」

 

アイズまで自分で考えてるよ!

 

「そうだね彼女たちは二日前にココを

通過して下に降りたそうだから、

あの二人は無関係だろう」

 

むしろ彼女たちが居なくなったからこそ

犯人は犯行に及べたんじゃないかな。

 

「しかも新種がおったらしいのぉ」

 

「らしいね」

 

・・・あの芋虫型の新種か。

リリルカさんが注意喚起して行った

らしいけど、さすがの配慮だ。

 

しかし深層の魔物が18階に居て

さらに葉っぱを食べてた?

・・・確実に調教されてるな。

 

「ベート、アイズ、用心しろ。

深層の魔物を調教した調教師が犯人

である可能性が高い。

ガネーシャファミリアの冒険者を

大きな抵抗もさせずに殺している

ところを見ると、本人のレベル的には

5か6だろう。

更に、誰にもばれずに殺しておきながら

わざわざ顔の皮を剥いだことから

暗殺に特化した技能がある可能性がある。

例えばこの皮を使ってマスクを作って

化けるような技もあるかもしれない」

 

「なるほどな。そうじゃなきゃ態々

顔の皮なんか剥がねぇか」

 

「・・・見た目が女の人じゃない

可能性もあるんだね?」

 

「そういうことだ。犯人は女なのかもしれ

ないけど、コレを触媒にして成り代わる

魔法だってあるかもしれないからね。」

 

先入観は危険だな。

 

「了解だ。つまんねぇ事件かと思ったら

犯人が前回の遠征を邪魔してくれた

野郎の可能性があって、さらにレベルも

俺と同じか上・・・はっ!

歯ごたえもありそうじゃねぇか」

 

「それに今回慣熟訓練する武装は

もともと芋虫に対抗するための武器

じゃからの。ココで試して問題が有れば

椿に修繕させることもできる。

油断はできんが悪くは無いのぉ」

 

べートの言うことはアレだけど・・・

まぁ油断はして無いようだし、一気に改善

なんて無理だから今はコレで良い。

それにガレスの言う通り、深層まで行く

手間が省けたと考えれば悪くない。

 

「アイズ、最悪50階層で戦った

あの大きなのも出てくる可能性もある。

犯人との戦闘になっても一人と思うな。

奇襲に備えて魔力は温存するように」

 

僕が犯人なら誘い出して各個撃破だ。

自分が前に出て注意を引きつけ、

後ろや下から奇襲させる。

 

「分かった。あのときの芋虫と一緒なら

最初から隠れてる敵を見つけるために

魔法を纏って動き回った方が良いかな?」

 

おぉ!前の遠征のリリルカさんを見たからか?

そうだよ!そう言うのが必要なんだよ!

 

「そうだね、良く気がついた。

今回はリヴィラの連中のこともあるから

隠れてるのが居るようなら誘い出したほうが

いいかもね。その場合タイミングと範囲は

僕が指定するから、とりあえず今は温存だ」

 

「・・・わかった」

 

「それじゃ現場検証と行こうか。

ここからは無駄口禁止。何か

あったら小声で頼むよ」

 

「「「了解」」」

 

やっぱり今まで甘やかし過ぎてたね。

それに謹慎も意味があったようで

何よりだよ!

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

うん、フィンも機嫌良さそうだ。

報告、連絡、相談は大事

ティオネが教わったらしいけど

さすが農家さんだ。

 

「ハシャーナが何をしていたかは

後でガネーシャに確認を取る必要が

あるけど。

今は犯人の目的だね。

懐に探られた跡があるのに財布が

残ってることから金銭目的の強盗ではない。

何か採取品か貴重品を持ってると思われて

襲われたと考えるのが妥当かな」

 

すごい、死体を調べただけでここまで

わかるんだ。

 

「そうなると、その品を奪ったなら

犯人は既に逃走済みかの?」

 

あ、そうか。目的を果たしたらココに

残ってる意味もないよね?

 

「いや、それなら顔の皮は剥がないよ。

おそらくは彼が目的のモノを持って

なかったんじゃないかな?」

 

と言うことは・・・

 

「それならまだこの辺に居る

可能性が高いってことか?!」

 

ベートさんの言うとおりだ!

 

「・・・そうじゃろうな。

ボールス、お主が決めろ」

 

「は、はぁ?何をだよ?!」

 

そういえばボールスさんも居たね。

 

「犯人を探すなら現在リヴィラに居る

冒険者を何箇所かに集めて持ち物検査

を行おう。

ハシャーナの皮を持ってればソイツが

犯人だし、そうじゃなくても怪しい

動きをしたヤツが居れば捕えればいい」

 

なるほどなー

 

「・・・なるほど。お前らが居る

今ならそれもできるってか?

それで犯人探しをしないならこのまま

解散。あくまで冒険者同士の争いって

ことにしてこの問題を放置すると」

 

・・・それはどうかと思うけど、

冒険者としては間違っても居ないかも。

 

「そういうことじゃな。

儂らとしても犯人探しをしたい

ところじゃが、そのせいで無駄な

犠牲が出たから損害を補填しろ

と言われても困るからのぉ」

 

そうか!私たちが強硬に調査をして

街に損害が出たら、そうやって

お金を取られるんだ!

 

・・・これ以上の借金は嫌だな。

 

「ガレスの言うとおりだね。

君がこのままで良いと言うなら

この話はここまでだ。

僕たちは目的である資金稼ぎを

行う為に下層に行くとしよう」

 

「ちっ!抜け目ねぇ連中だぜ」

 

あれ?新種と戦うんじゃないの?

 

「・・・ねぇベートさん?」

 

「あん?どーした?」

 

「ここでボールズさんが探さないって

言ったら犯人逃がしちゃうよね?

新種は良いのかな?」

 

「・・・あぁ、さっきガレスが

言った通りだ。俺たちは探したいんだが、

犯人を探したら間違いなく高レベルの敵

との戦闘になる」

 

うん、そうだよね

 

「さらに調教された新種も居る。

バカゾネス達が注意喚起したって

言っても、連中にしたら強敵だ」

 

「うん」

 

動きが遅いって言っても、油断したら

武器が溶かされたりするし

数が多かったら殺されちゃうかも。

 

「弱え連中が死ぬのは勝手だが、

その責任を押し付けられても困る」

 

「うん」

 

借金はダメ絶対

 

「だが犯人を見つけない限り、

リヴィラじゃ冒険者が顔を奪われて

死ぬ事件が続くわけだ」

 

「・・・そうだね」

 

犯人が目的のモノを見つけるまでは

そうなるよね。

 

「本題はここからだ。犯人の狙いが

わからない以上、ボールスだって狙われる

可能性もあるよな?」

 

「そうかも」

 

「しかも犯人はレベル4を殺せる実力者だ。

コイツらじゃどうしようもない」

 

「あぁ」

 

そういうことか。

 

「つまりボールスは俺たちが居る

うちに犯人を捕まえないと、ヤバい

ことになるってのはわかってる。

かといって俺たちが戦えば街に損害が出る」

 

「だからボールスさんは私たちに責任を

取らせるために自発的に動くように

仕向けたかったけど、

フィンとガレスはソレを防いだ。

それで協力を要請しないなら

知らないって感じにしてるんだね?」

 

「そーゆーこった。フィンはボールスが犯人

探しをするってわかった上で交渉してんだよ。

あわよくば依頼料も貰えるしな」

 

「おぉ!」

 

逆にお金をもらえるんだ?!

 

「ついでに言えば、調査する場合は

戦えない知り合いは隔離しとけって

言ってんのさ」

 

「なるほどなー」

 

だから一箇所じゃなくて何箇所かに

集めるんだ・・・フィンもガレスも

凄いなー。あ、それに

 

「ベートさんも頭良かったんだね」

 

「・・・そ、そうか?」

 

む、褒めたのに微妙な顔だ。

 

「・・・褒められてんのか馬鹿に

されてんのかわかんねぇな」

 

んん?馬鹿になんてしてないよ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ちっ!エインが面倒な連中を下に誘導

したと思ったら、次はロキファミリア?

 

オリヴァスは何をやってる!

一体地上で何が起こってるんだい!

 

戦力的には先日の連中よりは格下だが、

それでもレベル6相当が二人と

レベル5相当が二人。

 

しかも、これから身体検査するから

何箇所かに集まれって?

 

・・・各個撃破なら行けるか?

余程の馬鹿じゃない限りはレベル6と

レベル5を組ませて二箇所に

絞るんだろうけど。

さてどうする?連中の中に女が一人

しか居ないってことは、女の冒険者は

そっちに行くのが普通だよねぇ?

 

かといって私が居ない方でアレが発見

されたら、そのまま地上に運ばれちまう。

 

・・・ふぅ。焦るな、落ち着け。

アレを持ってる冒険者は間違いなく

ココに居るんだ。

そいつだって自分が命を狙われてる

ことは知ってるだろうし、

アレがポンポン他人に見せて良いもんじゃ

ないってことくらいわかってるはず。

 

それならこれからおかしな行動を取る

冒険者を探せばいい。

 

あとはロキファミリアの味方面して

不審者を追って、アレを奪ったら

モンスターを使って場を乱し、

そのまま撤収だ。

最悪破壊することになっても構わない。

 

・・・よし。行動指針は決まった

あとは待つだけだ。

 

根比べといこうじゃないか!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

・・・あのローブ、動きが怪しい。

さっきからキョロキョロしてるし

懐に手を置いたり思い出したかの

ように手を離したりしているな。

アレは無意識で懐にいれた何かを

庇ってる動きだ。

 

「アイズ、あの後ろにいる小柄な

ローブの冒険者に注意だ」

 

「わかった」

 

男と女を分けたのは良かったのか

悪かったのか。

 

まぁ間違いなくあっちにも足止めの

敵が向かうから、むしろ好都合か?

 

「フィン!逃げた!」

 

動いたか!だけどスピードが遅い?

アレじゃ良くてレベル3だが・・・

 

「追ってくれ!ただ今回の事件とは

関係がない可能性もあるから、

話を聞くまでは殺したりはするな!」

 

「うんっ!」

 

事件に関係なく後ろ暗い事をしている

可能性もあるからね。

 

それに何より、犯人が一人とは限らない。

アレを囮にしてレベル5相当の敵が動く

可能性だってあるしねって……見つけた!

少し離れたところに居たローブの女!

 

あの動きは少なくとも4はある。

しかし逃げたヤツを追っている?

全体を見ていたのか?何の為に?

……先に逃げたヤツが探し物を

持ってるから、か?

 

なら先に逃げたのは自分が狙われてると

わかっていた?

だけど、それならなんで僕たちに

保護を求めない?

決まってる。逃げた方も追ってる方も

後暗いことがあるからだ。

 

「すぐに一箇所に集まれ!調教された

モンスターが来るぞ!」

 

これで大きいのが来なければ

アイズへの援護にも行けるんだが・・・

 

「フィン!」

 

ベートか!いいタイミングだ!

・・・いや、タイミング良過ぎないか?

 

あぁ、さてはチラチラアイズを

観察してたな。

リリルカさんを気にしてた僕が

言うことではないかもしれないけど

程々にしとけよ?まぁ今は良いけど。

 

「ベート、アイズを追え!

恐らく犯人は同レベルだから、

方向さえ間違えなければ戦闘が

始まれば場所はわかるはずだ!」

 

「おう!」

 

「陽動を潰したら僕も行く、

生け捕りが最良だが、手加減できる

相手じゃないかもしれない。

最悪殺しても構わないから生き残る

事を第一に考えろ!」

 

「無駄な手加減がいらねえって

事だろ?了解だ!」

 

同じレベル5で2対1なら易々と

負けることはないだろうが・・・

親指が疼く!こっちを最速で片付ける

必要があるな!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・犬人?」

 

レベル的にはどうかと思うけど

魔法やアイテムで殺すことだって

できるから、油断はダメ。

 

「ち、違うんです!私はハシャーナさんを

殺した犯人じゃないんです!」

 

知ってる。犯人はみんなそう言うんだ。

 

「とりあえず隠したのを出して」

 

「い、いえ・・・ソレは・・・」

 

怪しい。モノはそんなに大きくない

みたいだし、それにっ!!

 

「ひぃ!!」

 

目の前の犬人に注意を向けさせて

後ろから一撃で仕留めるつもりだったね。

 

「・・・ほう警戒していたか」

 

「当たり前」

 

・・・犯人が奇襲してくるかも

しれないから1対1でも警戒は怠るな。

フィンの言った通りだ!

 

「ふっ。まぁ良いさ、お前に用はない。

私が用があるのはそこの犬人でね」

 

「斬りつけておきながら良く言う」

 

犬人の怯えようから、この人が犬人

の敵だって言うのは多分本当。

味方ならここまで怯えない。

 

「別にアンタの敵ってわけでもないが

味方でもないからね。邪魔されない

ように動きを止めようとしたのさ」

 

確かに殺したら動きは止まるね・・・。

それにフィンの予想通りなら

この人は新種の調教師。

 

「芋虫の調教師でしょ?なら敵だよね」

 

「・・・ほう、気付いていたか」

 

やっぱりそうか!

 

「目的はわからないけど貴女は敵。

ならその狙いは邪魔させて貰う」

 

「お前程度で出来るのか?」

 

・・・この人強い。

それにこの感じは、まさかティオナや

ティオネと一緒?!

まずい!それなら今の私じゃ!

 

「行くぞっ!」

 

くっ!できるだけ大きな音を出して

フィンを呼ばなきゃ!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さてさて、未熟者が崩壊している間は

どうしましょうかね?

 

本来なら垂れ流しの現場を相互に見せて

最後の誇りも砕くんですが、今回は

分けてしまいましたから私が見てやる

必要が有るんですが・・・師から頂いた

服に臭いを付けられても困ります。

 

放置で良いですね。

自分で確認しなさい。

 

そうなると時間が空きますけど、

留守にするのもねぇ。骨とか来そうだし。

・・・あ、そう言えば彼女たちの食料の

問題も有りました。

 

今ならローブと言う名の布とボロい

布で作った貧相な服じゃないですし、

お金もリリルカが持ってたのが有って

ドロップアイテムもそこそこ有りますから

問題なく買い物が出来ますね。

 

地上よりも物価は高いらしいですが、

元の値段を知りませんし。

普通に一週間分位なら買えるでしょう。

 

・・・よし、骨対策の罠を仕掛けてから

18階層に行くとしましょうか!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・何をしてくれてるんですかあの赤髪は?

 

 




冴え渡る勇者の頭脳!
今までどんだけ苦労してたんだ。

剣姫勉強中。

狼さんも剣姫さんも
勇者さんのマジギレと
謹慎の効果はあった模様。

あとは王族さんだっ!

狼さんの頭が良いと言うよりは
そこそこ世間を知ってる冒険者なら
大体わかることですよってお話


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49話

さらりと原作キャラに憑依して
オリキャラ登場


オリ展開!
オリ設定!

嫌いな人は読み飛ばし!


「あ、ウィーネちゃん、こんにちわ!」

 

「こんにちわマリィ殿」

 

挨拶は大事。教頭先生も言ってました。

 

だけど、何でこんなことになったのやら。

死んだら師姉様や教頭先生と同じお墓に

入れるようにって頼んだんですけどね。

 

最初は焦りましたよ。

目が覚めたと思ったらわけのわからない

ところで訳のわからない生物が居て

いきなり襲ってくるんですから。

 

とりあえず襲い来る連中を

ぶちのめして水場を求めて水の音が

している下へ向かったのが正解でしたね。

近付くでもなく遠ざかるでもなく、

妙な軌道で水の中を泳いでたマリィ殿

と接触できて色々教えてもらえましたし。

お仲間のリド殿やグロス殿も

何だかんだんだで良いヒト?です。

 

先生から頂いた槍の白寿が有ったから

何とかなってますけど、正直言って

今までは何をすれば良いのやらさっぱり

でしたからねぇ。

 

とりあえず自分を守るための力を付ける

ために反復練習と魔石を食べてたら、

レベルアップ?というのをしました。

 

いやはや食事でここまで心身を

強化出来るとは思いませんでした。

いつも良質の魔石を分けてくれる

マリィ殿には感謝してもしきれません。

冒険者に襲われたら優先的に

助けてあげようじゃないですか。

 

けどね。魔物がこういう事を言うのは

アレかもしれませんがね。

本音を言えば、フェルズさんとか言う

骨が持ってくる書物も大事ですが、

やはり最初は衣食が重要だと思うんです。

 

素っ裸で主食が石って・・・蛮族以下でしょ。

まぁ石にもそれぞれ味に違いがありますけど。

この違いがわかったからと言って

誇れるかと言われると・・・微妙です。

 

ただ、基本的にはマリィ殿が持ってる

魔石が一番美味しいのですよ。

魔力の含有量が違うようですが

それ以外にも深層の魔石には味に

作用する秘訣があるのでしょうか?

 

それともコレが強化種の味?

 

何でも最近知り合ったエインさんが

持ってきてくれるらしいですけど。

もっと無いんですかね?あるだけ欲しいです。

なんなら鱗とかあげるから持ってきて

くれませんか?

マリィ殿が居たら回復できますから

少しくらい痛くても良いですよ?

 

そんな感じの直接交渉したいのですが、

骨からはまだ会わないようにと

言われているんですよね。

 

骨曰く、エインさんは差別とかはしない

のですが容赦もしないんだとか。

 

なに言ってんだこの骨?と思った

私は悪く無いはず。

 

だって当たり前の話ですよね?

 

話も何も出来ない知性のないモンスターや

いきなり人の槍と命を狙ってくる阿呆ども。

ついでに不利になったら味方を見捨てて

逃げようとする阿呆どもですよ?

もはやその辺の賊と一緒です。慈悲など

不要。容赦する必要性が無いでしょ?

 

リド殿は甘いですが、グロス殿はそのへん

良く理解してますよね。

 

まったくアイツの目は・・・節穴でした。

なら仕方ありません。

寛容の心で許してあげましょう。

 

とりあえず今の私はマリィ殿と同じく

レベル4相当らしいですから、もう少し

鍛えないと強い冒険者には勝てないって

話でしたね

 

確かに、この前いきなり叫びながら

ダンジョンに来た猪みたいな巨漢には

勝てないと思います。

技はともかく力で押し流されて

しまうでしょう。

 

今の私では双頭竜とやらにもギリギリで

勝てるかどうかでしょうね。

 

とりあえずの目標は先生や師姉様を探す事!

そのためにも力は必要です!

衣類もまともなのが欲しいですけど、

あの人たちにソコまで望むのは酷と

言うものですし・・・

 

骨にはセンスが無いし。

ローブってコレ、タダの布でしょうが。

 

あぁ早くエインさんと直接交渉

出来ませんかね。

 

それに、聞くところによればエインさんは

どうも師姉様に似てるんですよね。

 

水の上に立ち、水を斬り、珍しいハズの

マリィ殿をただのナマモノ呼ばわりでしょ?

 

本人ではなくとも師姉様と同じような感性の

持ち主なのは確かですから、一度お話はして

見たいのですよ。

 

ただ、私は地上の人間からしてみたら

ヴィーヴル?とか言う魔物で、

額の宝石とかウロコとかが狙われる

対象らしいから、地上に行ったら

色々狙われるらしいですね。

 

そもそも白いのが珍しいんだとか?

だからエインさんがどう動くか

わからないので、接触は禁止。

 

この外見なら先生にまた白っ子とか言って

貰えるから良いんですけど、グロス殿

みたいじゃなくて良かったけども。

 

だけど目立つのは良くないですよねぇ。

 

あとの問題は先生が魔物を問答無用で

狩る立場にいる場合です。

恨みとかは別としても「面白い」とか

「珍しい」とか言って標本作る可能性が

あります。

 

・・・まさか奇跡の部屋に

木人間として入れられる訳には

行きませんからね。

私は嫌ですよ?何かに襲われて、

目が覚めたら奇跡の部屋の診療台の上とか。

 

間違いなく口を塞がれてるでしょうし、

何とかして気絶する前に意思疎通

できるようにしなくては!

 

それに口以外でも意思疎通の方法が

必要ですね。

白寿が有れば分かってもらえそうでは

ありますが、武器の持ち込みができると

は思えませんし診療台に固定されてる

状態ですからね。

 

・・・八方塞がりじゃないですか。

いや、先生が逃げ場を用意するはずが

無いって言われたらその通りなんですが。

 

しかしコレでどうやって意思疎通をすれば?

服(布?)に文字を書いておきますか?

 

・・・あんまり考えたくはないですけど

忘れられてる可能性だってあります。

 

それもこれも、先生が居たらの

話なんですけど。

けど白寿があると言うことは

居ないとも言い切れない・・・はず。

 

今はとりあえずの目標として

エインさんとの直接交渉を掲げて

行きましょう!

 

だけどもしもエインさんとやらが

師姉様なら、最低でもレベル6相当に

なってないと怠惰の罪で折檻されて

しまいますかね?

 

骨が言うには間違いなくレベル6

相当だって話だったし。

 

それにレベルと言えば・・・さっきから

気にはなってましたけど。

 

「マリィ殿。もしかして

レベルアップしました?」

 

なんか違いますよね?

 

「わかる?!エインさんがさぁ凄く良質の

魔石を沢山持ってきてくれてさ!

私が遠慮しないように本当に沢山だよ!

それでね?ちゃんと私も食べてレベルアップ

して自衛ができるようになりなさい。

沢山あげるからお友達と分けなさいって!」

 

おぉう。興奮して沢山と言う言葉が沢山

出て来ますが、なんとなくわかりました。

 

さすがはエインさん。素晴らしい配慮です。

 

問題はマリィ殿が私の分を

残してくれてるかどうかですが

 

「・・・その良質の魔石は

まだありますか?」

 

リド殿とか全部食べてないですよね?

 

「おぉ!やる気満々だね!

ちゃんとウィーネちゃん用にも

寄せてあるから大丈夫だよ!」

 

さすがマリィ殿、私は信じてましたよ。

 

「じゃーん!見て見て!凄いでしょ!

コレと同じのがまだまだあるんだよ!」

 

ほほう、コレは凄い!

なんというか、ひと目で逸品と

わかる品じゃないですか!

間違いなくレベル上がりますね!

 

うむ、いつまでももらってばかりじゃ

無職の穀潰しです。それはいけません。

たとえエインさんが師姉様でなくとも

受けた恩は返さねばなりませんよね。

 

まずはレベル6相当になって

みなさんの足を引っ張らない

程度にならなくてはいけません!

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「只今戻りました」

 

20階層の巣ですけど、私としては

もう少し深いところに巣を作るべき

だと思うんですよ。

24階にある宝石樹を狙った冒険者は

結構居ますからね。

25階より下が良いと思うんですが、弱い

お仲間が着いてこれないって話でした。

 

だけどエインさんから貰った魔石が有れば、

みんなレベルアップ出来ると思います。

連れ去られたお仲間や、新しく上層に現れた

お仲間を保護する為の精鋭をこちらに置き、

戦えない皆さんは奥に避難させるのが

最良ではないでしょうか?

地上から遠くなるのが嫌だと言うのも

あるかも知れませんけど、まずは安全確保

が大事ですよ。

 

「ウィーネ、オ帰リ。マリィハ元気ダッタカ?」

 

グロス殿ですか。まぁリド殿よりは

グロス殿の方が話がわかりますよね。

 

「元気でしたよ。それとエインさんから

かなり良質の魔石を沢山貰ってましたから、

グロス殿も急いで行った方が良いですよ」

 

沢山を連呼するくらい沢山でした。

 

「ホウ、マタエイントヤラガ魔石ヲ

クレタノカ?」

 

「はい、お陰様でまたレベルが上がりましたよ」

 

これで私もレベル5相当です。

 

「ソウカ、ソレ自体ハアリガタイ話ダガ……」

 

ふむ、コレはエインさんを疑ってますね?

ただ、私としてはエインさんを疑うよりも

まずは恩恵を受けるべきだと思います。

それにもしエインさんが師姉様なら、魔石を

くれる理由は「先生が面白いと判断するから」

だと思いますし。

 

「私としては、最近はフェルズさんより

エインさんの方が信用に値すると

思ってますよ。まだお会いしたことは

有りませんけど」

 

「・・・マァナ。マリィハ甘イガ

馬鹿デハナイ。ソレニエインハ

レベルアップノ事モ教エテクレタシ、

今マデ一度モ我々へ何カヲ

求メタコトモナイ」

 

そうなんですよね。マリィ殿を騙すとか

するなら強化する理由が有りませんし、

待ち伏せや我々の巣を探るとかを一切

してません。

 

「フェルズさんはやっぱり人間側。

何だかんだで我々が力をつける事を

恐れてます」

 

これもな。力をつけた我々が人間へ

復讐するのを恐れているのだろうが、

それは究極的には力で押さえつけて

隷属させてるだけじゃないか。

やってることは羅馬と同じ。奴等から

したら共存と言えるのだろうが、

我々からしたら・・・

やはり共存には相互で警戒する

くらいの力関係が必要だと思いますよ。

互いに競い合い成長もできますからね。

 

「ソノ通リダ。リド達ハ奴ヲ信用シテイテ、

何時カ地上へ行ケルト信ジテイルガ、

裏切ラレタ時ニ備エルノハ別問題ダロウ?」

 

「私もそう思います。そもそもフェルズ

さんは人間の組織に所属する人間です。

ならば組織の都合で我々を切り捨てる

可能性があります」

 

泣きながらスマンとか言って切り捨て

そうです。

骨ですから泣かないのでしょうけど。

とりあえず我々はその時に備えて

力をつけなければならないんですよ。

 

「ウム。積極的ニ敵対スル気ハ無ナイガ、

自衛ノ力ハ必要ダ。ソレヲ考エレバ、

我々ニ際限ナク魔石ヲクレル、エインノ

方ガマシダロウ」

 

「そうですね。何かを企んでいるにしても、

我々に力をくれているのは事実。

皆がレベル3相当になれば緊急時に下の

階層にも避難できますし、レベル4や5の

お仲間が増えれば救助活動も捗ります」

 

足手まといが居なければ進軍が早まるのは

自明の理。

また救助活動が出来る人が増えれば効率も

良くなります。

 

「ソウダナ。フム。フェルズヤリドガ

五月蝿ク言ウ前ニ、俺モ魔石ヲ喰ッテ

来タ方ガ良サソウダ」

 

「食べてしまえば文句も言えませんからね」

 

そもそもなんで強くなって文句を

言われなきゃならないのかが

わかりません。

恐らくリド殿は地上の連中に対して

我々は無害であると主張することで

外に出れると思ってるんでしょうけど

甘すぎませんかね?

 

「クハハハ、ソウ言ウコトダ。

デハコレカラ行クトシヨウ。少シノ間

ココヲ任セテモ良イカ?」

 

「無論です。しかしリド殿達が見えません

けれど何処かに出動ですか?」

 

私が出立する前は特に何もありません

でしたよね?

 

「アア、少シ前ニ上ガ騒ガシクナッテナ。

何ガアッタノカヲ調査ニ行ッテイル」

 

「上・・・人間の街があると言う?」

 

まだ行ったことないんですよね。

私は普通の魔物の振りをしても

目立つからダメって言われて。

 

「恐ラクナ。ツイデニ人間ト人間ノ街ヲ

観察シテ来ルダロウカラ、帰リハ遅ク

ナルト思ウゾ」

 

「なるほど」

 

観察と言うか観光と言うか・・・

まぁ良いですよ。私はレベルアップした

際に上がった身体能力の慣らしをして

おきましょう。

 

「デハマリィノ所ニ行ッテクル。連中ニハ

適当ニ言ッテオイテクレ」

 

「了解しました、行ってらっしゃいませ」

 

「オウ!」

 

本当は皆の分を持ってこれれば良いの

ですが、大量の魔石を持ち歩いてる

白い魔物なんて目立ちますからねぇ。

 

それに全員分もって来れる訳でもないから

どうしても争いが起きちゃいますし。

 

しかも弱い魔物仲間にはエインさんが

持ってくる魔石は味が濃すぎて

食べられないらしいです。

 

うーん。レベル5相当の魔石を食べるには

最低でもレベル3相当が必要と言うこと

なんでしょうかね?

 

こういう情報を纏めておけば

先生は喜んでくれると思うんですけど。

ソレを書くための紙も筆もありません。

 

まさか血文字で書いたのを先生や

師姉様に渡すわけにも行きませんよね。

・・・悩みどころです。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

あの赤髪め。ロキファミリアの連中と

戦闘してるのは良いのですが、街が

イモムシに襲われてるじゃないですか。

 

陽動のつもりなんでしょうが、コレでは

食料が買えませんよ。

 

師の弟子たるもの盗人などに

落ちぶれる訳にも行きませんし、

こっそり代金を置いていくのも

相場がわからないからダメですね。

 

かといって積極的に討伐して

目立つ気もない。

 

ただ、この街はダンジョン探索の際、深層に

潜るための中継地点になるらしいですから、

無くなれば師が困りますかね?

 

・・・しょうがない。さっさと赤髪に

用件を済まさせて帰らせましょう。

 

そうしたら街を襲ってる連中も

動きを止めるでしょうし。

 

今回の食料購入はお預けですね。

連中も最低限は持ってるでしょうし。

あそこには食用になるモノもありますから、

餓えることは無いでしょう。

 

さてさて。では動きますか。

ふむ、レベル6の樽は大きいのに

向かってますね。

年寄少年は指揮を執りつつ赤髪の方へ

距離を詰めてますか。

 

肝心の赤髪は・・・レベル5相当の

金髪と白髪の相手中ですか。

これは遠距離から年寄少年の邪魔を

しつつ赤髪に援護射撃が最良ですね。

手加減は面倒ですが、アイツらは師と

関わってるようですから

直接殺すわけにはいかないですし。

 

連中だけを狙えば、さすがの赤髪でも

私の意図に気付くでしょう。

 

・・・今回は弓より投擲の方が

良さそうです。

 

この辺の水晶は使えそうですね。

ふふふ、装備に頼る阿呆共よ。

この辺に転がっている石が使い手に

よってどれほどの凶器と変貌するかを

知るがいい。

 

 

 

残弾の貯蔵は十分だ。

受けろ雑種。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「散弾流星脚!!」

 




白っ子も参戦ですね。
だって原作では白いらしいですし。(安直)
オリキャラはコレで終わりの予定さ。

コレはもともとの構想にあったんですよ?
感想から膨らませたんじゃないですよ?ってお話

それぞれの勢力を強化ですね。



弟子はっちゃけるの巻。

オリ設定だってばよ


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50話

はっちゃけた後のお話

多少の汚い表現有ります

紳士にはご褒美ですけどね。

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「・・・まさか私ごとぶち抜くとは

思わなかったよ」

 

しつこいですねぇこの赤髪は。

 

洗脳の恨みを乗せた攻撃が偶然

当たっただけじゃないですか。

ちゃんと避けないのが悪いんですよ。

 

「ちゃんと回復させたでしょう?

おかげでアイツらもアナタが死んだと

思ったのか探索も途中で切り上げてますし」

 

「それはそうなんだけどね」

 

大体悪巧みしてるヤツがあんなに

目立つ戦闘してどうするんです?

 

「普通に2対1で戦ってましたが、

あのままだとレベル6も参戦してきて

逃げるのだって難しかったはずですよ?」

 

「・・・それもそうか」

 

それと、わざわざ正面から戦ってるくらい

ですから、目的は果たしたのでしょうけど。

・・・一応聞いておきましょうか

 

「それで、目的とやらは果たしたんですか?」

 

「……」

 

おや、苦い顔、まさか戦闘に集中してて

目的を忘れたとかじゃないですよね?

 

「一応は、な。失敗よりはマシって感じさ」

 

「あぁ、なるほど」

 

連中に邪魔はされたけど、最低限の

目的は果たしたわけですか。

 

「では失敗じゃないなら良いと考えて

切り替えましょう。

私は37階に戻りますが、レヴィス殿は

どうしますか?」

 

着いてきたら殺さないといけませんがね。

 

「私は24階層の食糧庫に行くよ」

 

「24階、ですか?」

 

なら私には関係ないですね。

 

「そうさ、こっちにも色々あってね。

・・・そう言えばアンタが誘引した

連中はどうした?」

 

「連中ですか。どうも深層での捜しモノ

が目的のようでしたので、そのまま放置

しています。流石にあの4人相手ではねぇ」

 

捜し者は私で今は放置もしてますし、

あの4人相手では勝負にもなりません

から、嘘でもなんでもありませんよ。

 

「・・・捜し物ねぇ。確かに私が相手した

奴らよりもアッチの方が格上なのも事実。

殺せないのはアレだが、下手に突っつく

よりは無意味なところを探って帰らせた

方が得策ではある、か」

 

「私もそう考えてます」

 

中途半端に賢いと勝手に補完して納得して

くれますから、楽で良いですよね。

 

「問題はロキファミリアの連中ですが、

奴等は下に降りて来ますかね?」

 

「さて、そもそも何をしに来たのかが

わからん。私の目的も知らなかった

みたいだが、まさか偶然あのレベルの

冒険者が来ると考えるのも、ねぇ?」

 

「なるほど。確かに偶然の可能性も

ありますが、今回は連中に自覚させずに

動かした者が居ると考えた方が良いと

お考えですか?」

 

そもそも私は赤髪の目的がとやらが

わかりませんが、誰かが赤髪の目的を察して

邪魔しに動くと言うのは、十分に有り得ます。

 

例えば師ならロキファミリアの連中程度

操るのは簡単でしょうしね。

 

師ほどでは無くともソレなりの知恵者なら

出来るでしょう。

 

そうなると連中が潜るのは24階層か?

 

「そうだね。ガネーシャファミリアも

関わっていたから、ギルドが動いてる

可能性も高い。・・・アンタも気を付けな」

 

何を?・・・あぁ、種族的な敵でしたか。

それに、今も私があの信号を受信してると

考えたら、奴等に襲いかかる可能性も有ると

判断した?

 

「了解です。しばらくは潜むとしますよ」

 

こいつも24階層でナニかするなら

丁度良いですね。

あとは白髪の阿呆がどうなるかですが

・・・下に来たら殺しましょう。

 

リリルカ達に殺させれば良い経験に

なりそうですし。

 

そう言えばコソコソこちらを伺っていた

連中は何でしょう。

この階層に歩行蜥蜴や鳥人間なんて

居ましたっけ?

もしかしたらアレがナマモノの

お友達とやらなんですかね?

わざわざ狩る気は有りませんが敵対する

ようなら減らした方が良いのでしょうか?

 

・・・後でナマモノに確認ですね。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

いきなり周囲の水晶が割れて僕たちに

降り注いだ・・・か。

勢いも狙いもつけてたみたいだし、

間違いなく何者かの攻撃なんだけど。

 

「あの攻撃は、俺たちも喰らったが

あの女もモロに喰らってやがった。

フィンはアレを奴に対する援護だと思うか?」

 

「難しいところだね。援護と言うよりは

僕たちを含めて処理しようとした、と

考えるのが妥当かな?」

 

調教師が調教していた魔物もほとんどが

アレで殺られたし、闇派閥内の勢力争いや

証拠隠滅の為なら有り得なくもない。

 

「調教師とは敵対している可能性が高いのが

救いじゃな・・・」

 

「全くだ、しかし姿も形も見せずに

アレだけの攻撃をしてくる敵だ。

今後の遠征で僕たちの敵になるとしたら

相当の準備と覚悟が必要になるね」

 

普通なら砕けた水晶程度では僕らの耐久を

抜く事はできない。だけどここの水晶は

ダンジョンの壁と同じだ。

つまり相手は今後も僕たちの意識外から、

壁を破壊して投擲武器として使って

来ることが予想される。

 

「確かに、それにリヴェリアとかレフィーヤは

もっと危ないよね」

 

「そうだね」

 

アイズもベートも、咄嗟の事だったから

防御が間に合わず直撃して負傷して

しまったけど、二人でさえ結構な

ダメージを受けたんだ。

後衛が喰らったら軽傷では済まないな。

 

「とりあえず、犯人の調教師は間違いなく

大ダメージを受けて逃げ出した。

攻撃を行ったのが調教師の敵なら追撃を

してるだろうし、味方なら治療をしてる

だろうね」

 

「えっ?味方の可能性もあるの?!」

 

驚くのはわかるけどね。

 

「アイズ、確かにアレだけの攻撃をして

味方ってのも変な話だが、俺たちから

逃げるためと考えればねぇ話ではねぇよ」

 

「ベートの言う通りだ。傷の回復はエリクサー

が有れば問題なく出来るし、実際僕たちは

こうして見逃してしまってるからね」

 

ヘルメスファミリアの犬人を確保

出来たのがせめてもの成果だ。

 

アイズとベートが見たと言う緑の宝玉が

何なのかを調べる必要もある。

 

「で、これからどうする?儂としては

新種と戦うという目的も果たしたし

犯人も逃げ出した以上、追撃よりは

一度地上に戻り、椿に武装を確認させる

必要があると思うんじゃがな」

 

それはそうだ。奇襲を受けたとは言え

誰も死んでないし、実際に溶解液を使う

敵と戦えたのは収穫だ。

武装に不具合が無いかの確認も必要だし。

アイズとベートも自分達を相手に戦える

敵と戦ったことで慢心も消えてる。

 

慣熟訓練には十分。アイズの目的である

借金返済はファミリアで負担すれば帰還にも

問題は無いよね。

 

「深層に居るティオネとティオナには

情報を伝えなくて良いの?」

 

あぁ、それもあるか。

 

「情報か。アイズが戦った感じだと、調教師は

彼の教えを受けてる感じだったんだよね?」

 

「うん。ティオネとかと鍛練してるときと

同じ感じがあった」

 

なるほど・・・

 

「ベートも同じ意見かい?」

 

「・・・あぁ、動きや視線の動かし方に

似たような感じはあった。

ただまぁ、同じ流派だとは思うが、

弟子って程のモンじゃねぇと思うぞ」

 

ふむ、そう言われればそうか。

彼の教えを受けた二人と似たような

動きをするからと言って、

彼の教えを受けたとは限らないよね。

武術なら同じ流派って言うのもあるだろうし、

似たような流派だってあるだろう。

 

そもそも彼の弟子なら二人懸かりでも

負ける可能性も有るよな。

 

「そう言えばアイズ。今回は魔法を

使わなかったみたいだね?」

 

「え?!あ、うん。指示があるまでは

使わないようにって思って・・・

ダメだった?」

 

ん?あぁ、全力を出さなかったから

怒られると思ってるのかな?

 

「いや、それで良いんだ。良くやった」

 

「そ、そう?あれで良かったんだね!」

 

そう、全力を温存できたのは大きい。

あの状況でこっちが手を抜くとは考えない

だろうから、次に会ったときは一撃で

決めることも出来るだろうさ。

 

「今回のアイズの決断は間違ってないよ。

魔法を使った結果、魔力に反応した魔物に

よる意図しないところからの奇襲が一番

危険だったからね」

 

調教師が意図して操れば戦闘中に隙が

出来ただろうし、此方も察して動くことが

出来るけど、自動で襲ってきた場合は

こっちが隙を突かれて殺られてる

可能性もあった。

 

次に繋がる戦いだったと考えれば

悪くない。

 

「それにティオネとティオナに関しては

問題ないだろう」

 

「・・・どうして?」

 

「あっちには守るべき対象でもある

低レベルの冒険者が居ないし、

リリルカさんもアレンも居るからさ」

 

はっきり言って、アッチの方が

僕たちより強いよね。

 

「なぁフィンよぉ、そのアレンは信用

できんのか?今回俺たちを狙ったのが

フレイヤんとこの奴等って可能性は

無ぇのかよ?」

 

ふむ、その可能性か・・・

 

「今回に限っては無いね」

 

何せ今回はアレンのレベル7が掛かってる。

修行の邪魔をさせない為に僕たちの邪魔を

するかも知れないけど、アレンが二人に

何したら彼が動く。

 

彼は恐らくレベル7だから、アレンが

レベルが上がっても潰されるだろう。

そうなればフレイヤ的にはマイナスだ。

 

「そうじゃな。アレンにしてみても

今回は己の修行でもあるし。下手な

行為はフレイヤの名に傷が付く。

二人の邪魔はせんだろうよ」

 

「だね。それにティオネとティオナに

しても、僕たち以外と深層に行くのは

良い経験になる。

ここで下手に僕たちが接触すれば彼女達に

甘えが出るかもしれない」

 

それに、調教師や謎の敵が彼女達の試練

かも知れないしね。

下手な干渉は手助けどころか邪魔になる。

 

「・・・そうかよ」

 

不満そうだな。まぁ彼女達に置いて

いかれるって焦りも有るんだろうけど、

こればっかりは日頃の行いとしか

言えないよ。

 

「むぅ・・・」

 

コッチもか、あわよくばアドバイスを

もらおうとしてたみたいだけど、彼は

地上に居るって忘れてないかい?

因みにリリルカさんへの接触は僕が許さないぞ!

 

「とりあえず今日は戻ってロキに報告だ。

ベートとガレスは椿に武装を見せて、

アイズはゴブニュのところに行って

武装を確認してもらってくれ」

 

「えっ?また・・・」

 

あぁ、ゴブニュに怒られるって

思ってるな

 

「今回は魔法も使ってないし、無理な使い方

をしていないから大丈夫だ。

ゴブニュには前に新種の話と溶解液の話を

してあるだろ?」

 

「うん」

 

「なら問題ない。メンテしたばかりで新種と

戦った場合、どれだけ武装が傷むのかを

確認してもらうことが目的だからね」

 

溶解液が不壊属性に与える影響の

確認とも言える。

 

「それに、レイピアの弁償については

ファミリアでするって僕からも言うから

安心していいよ」

 

「・・・良いの?」

 

「反省してるみたいだからね。

だけど今回だけだぞ。次からはキチンと

武器を見て戦うことを心掛けるんだ」

 

「うんっ!」

 

やれやれ、僕も甘いねぇ。

 

「じゃあ戻ろうか」

 

「「「了解」」」

 

・・・親指の疼きが止まった、か。

 

今の段階で深層に行けば間違いなく

殺されると言うことなんだろうね。

二人が無事なのは確かだろうが、

危険には違いない。

 

いざと言うときの為に、彼にも

情報を渡しておくか?

 

 

――――――――――――――――

 

 

ようやくわかってきましたよ!

この痛みはただの痛みじゃ有りません!

正しい姿勢と正しい呼吸を行うことで

赤くて青いヤツとか変な声が遠くなります!

 

筆頭様は最初にヒントをくれていました!

痛みの中で自分のだらしなさを認識して

歪み無い姿勢と呼吸を保てば良いんです!

 

この状況で力の流れと呼吸を認識できる

心の強さが有れば、体も自然と強くなります!

 

尊厳は死にますが・・・あうっ!

こ、呼吸を乱してはいけません!

だらしない自分を受け入れるのです!

そして筆頭様に一撃くれてやるんですっ!

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

よしっ!乗り越えましたっっ!

今のリリなら筆頭様すら殴れるっ!

 

「ほう、予定通り二日で立ちましたか。

よろしい。ならば清掃しなさい」

 

「ぉぉぉぉぉぉ~」

 

力の流れがわかるようになって確信

しましたよ。

筆頭様は敵にしてはいけません。

 

普通にもう一度命奪崩壊拳を

喰らう未来しか有りませんでした。

わかります。次は治療してもらえませんね。

 

けどアレですよ。試練を突破したリリに、

もう少しナニか無いですかねぇ・・・

 

「ふむ、リリルカ自身は臭いを消す

ナニかが有るようですが、元のナニかが

無くなる訳では無いのですよ。

食事は用意してますが、最低でも清掃と

沐浴と着替えをきちんとしてからです」

 

「・・・ハイ」

 

そうでしたね。さっき二日で立ったって

言ってましたもんね。

自覚は有りませんでしたが・・・

ハイ、ナニか有りましたね。

清掃と沐浴と着替えをさせて頂きます。

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

「おや、リド殿。お早いお帰りで」

 

予想を大きく上回る早さです。

上でナニかあったのでしょうか?

 

「お、ウィーネか?グロスはどうした?」

 

アイサツは重要なんですけどね。

 

「グロス殿ならマリィ殿のところに

行きましたが、何か急ぎの用事でも?」

 

まぁ良いでしょう。緊急時には緊急時の

対応が有りますから

 

「いや、用事って程でもねーんだが、

上が酷いことになっちまってな!」

 

「酷いこと、ですか?」

 

さて魔物であるリド殿が言う酷い事とは

何でしょうね?疫病が蔓延したとか、

魔物化した恐怖公が階層を埋め尽くしたとか

でしょうか。

・・・ラーニェ殿なら何とかなりますよね?

 

「そうだ!いきなり見たこともねぇ魔物が

沢山現れて暴れ出したと思ったら、

おっかねぇ仮面のヤツが沢山の透明な石を

蹴りで壊して沢山の破片を飛ばして

沢山の魔物を全滅させたんだよ!」

 

おぉう。リド殿も沢山を沢山使って来ますね。

 

要するに石を蹴りで壊して、破片を

飛ばして、沢山の魔物を倒したわけですか。

 

現場を見てませんから何とも言えませんが、

もしかして散弾流星脚じゃないですかね?

 

似たような流派や技が無いとは限りませんが、

可能性は高そうです。

 

そうなると、おっかねぇ仮面は誰かと言う

話になりますが・・・仮面で思い浮かぶ

のはエインさんですよね?

 

そうであって欲しいって願望が前提に

有るのが否定出来ませんから何とも

言えませんけど、可能性が有るなら

やるべきだと先生も言ってました!

 

「どうしたウィーネ?いきなり

ウンウン唸って?頭が痛いのか?」

 

おっと。今はリド殿との会話中でした。

 

「いえ、18階層の透明な石とか

見たこと無いので、どんなのかなぁって」

 

「・・・あぁ。そうだったな。土産に

持ってくれば良かったか。気が利かな

くて悪かったな!」

 

「いえ、大丈夫ですよ。あぁそうです。

グロス殿が戻るまでは私がこっちに

居ますので、リド殿は奥のみんなに

お土産話をしてあげてください」

 

「お、そうか?!宜しく頼むぜ!」

 

「えぇ、頼まれました」

 

 

 

・・・さて、これは本格的に調査が必要です。

とりあえず布にアチラの文字を書いて、

マリィ殿に預けてみましょうか?

 

むぅ。真名を使う訳には行きませんから、

とりあえず白い布地に『姜』とかだと

私だとわかって貰えますかね?

 

ただいきなり布だけを渡しても

他の人達に見られたら要らぬ誤解を

招きますか?

 

魔石のお礼と言う形で鱗を布に

くるんで渡して貰いましょうか?

 

粗暴な連中なら気付きませんが、

師姉様ならば『姜』の字を見えやすい

ようにすれば必ず気付くはず!

 

・・・もしも違うなら違うと言う

情報が手に入りますから無意味では

有りません!

 

 

有りませんけども・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・エインさんが師姉様だと良いなぁ~」

 




白っ子、とりあえず連絡を
とって見ようとするの図

勇者さんは最低限の
目的を果たしたため撤収。

リリルカたちは・・・頑張れってお話


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51話

今日もまた迷える子羊が救われた

地上のお話

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし


「いらっしゃいませー」

 

って何だ、桜花さんか。

この人と千草さんは最近ウチに

来るようになったけど、買い物目的じゃ

無いのよねぇ。

何たってポーションはミアハ様が無料で

優先的に配ってるし、毒消しとかも

そんなに使うワケでもないし。

 

しかし「優先的に」「無料で配る」

かぁ・・・もはや商売じゃないわ。

そりゃ他の医療系ファミリアにも

文句言われるってばよ。

 

「もう店舗とは別に診療所とかを作って

そこにミアハ様を閉じ込めて外出禁止

にしてしまった方が良いと思う」

 

とかアミッドさんにも言われるのも

当然の話よね。

 

私たちだって零細だったときに

近場でこんなことされたら洒落に

ならなかったもの。

 

医療系はレベル2のアミッドさんが

珍しいくらいで、レベル1しか居ない

ファミリアがほとんどだし。

ミアハ様のアレが本気で生死に関わる

問題なのは痛いほどよく分かる。

 

医療系やツケで飲む飲み屋から

災厄のヒモ神とか言われてるの

知ってるかしら?

 

関わったら確実に損をする貧乏神とか

サイコロの数だけポーションを放出してる。

とか言われてるけど反論できないのよ。

だって放出してるのはポーションどころか

現金もだし。まさに貧乏神よ。

 

私個人としては義手の借金も返して

普通に店舗経営できるけど、

ソレをやれば他の医療系から

「殺す気か?!」って迫られるし・・・

 

おかげでウチは主神が趣味でポーション

作ってるだけの胃薬とお菓子のお店よ。

 

大体医療系ファミリアの会合で

 

1・ポーションを店頭に置くな。

 

2・ミアハ様に釣られてポーションを

買いに来た冒険者は他の店に回せ。

 

3・毒消しやその他の薬はOK。

でもミアハ様が無料配布し始めたら

制作も販売も禁止。他店に回せ。

 

 

・・・こんなこと義務付けられた

薬局って何よ?

 

知ったこっちゃないって言えば、

私たちに追い詰められた他のファミリアの

人達にミアハ様が殺されて天界に送還され

ちゃうし。その後で私も殺されちゃうわよね。

 

今でさえなんとか我慢して

もらってるんだもん。

 

現在ミアハ様の行動は会合に参加

している医療系ファミリアの団員に

監視されてて、無料配布をすると

配布した本数がカウントされるのよね。

 

それで会合の時に

「ミアハ様がいなければ売れた分」

として何割か割り増し計上されて、

その分を私が購入してるのよ?

 

購入したポーションは私が調合して再度

作り直された後で回復効果のある

お茶やお菓子に混ぜられますって

 

・・・ハハッ。

 

何が悲しくてレベル1が作った

品質が安定してないポーションを

定価で大量に買った上で作り直して

処分しなきゃいけないのよ!

 

 

更に今はミアハ様がタケミカヅチ様や

ディオニュソス様を巻き込んで

先生に喧嘩売ろうとしてるし。

 

周りの目が凄いことになってるの!

医療系のみんなは先生を敵に回す気

なんか無いから、いい加減にしろ!

って突き上げが凄いし。

 

イシュタルファミリアのアイシャさん

以外の戦闘娼婦さんたちからも

被害者面するなって怒られるし!

 

もう勘弁してよ!

 

とりあえず今日桜花さんを説得して

タケミカヅチ様の愚行を止めるわ!

 

「桜花さん。春姫さんが極東に居たとき

の知り合いらしいですけど、

今はオラリオの娼婦なんです。

あんまり周囲を嗅ぎ回るのは

やめた方が良いですよ?」

 

狙いが春姫さんなのか先生なのかは

知らないけど、先生が笑ってるうちに

止めて!もう少し周りの目を見て!

 

「・・・気付いてましたか」

 

「そりゃそうですよ。

春姫さんが来た次の日とかを狙って

ウチに来たり、タケミカヅチ様が

色々探ってるのは有名ですよ?」

 

ウチのミアハ様と一緒に作戦会議とか

言ってツケで飲んでるし。

 

ツケって借金なんですけど?

一体誰が支払いに行ってると

思ってるんですかねぇ?

 

そのときにお店の店員さんから、

「物騒な相談は勘弁してくれ」って

懇願されてるんだからね?!

 

「有名って・・・じゃあ無双農家も

知ってるんですか?!」

 

「当たり前じゃないですか。

イシュタル様が、あなた方が先生に

迷惑をかける前に潰そうとしたのを

止めたのは先生ですよ?」

 

春姫さんの知り合いだし、

アレはアレで面白いからって。

 

こっちは笑えないわよ!

 

「そんな馬鹿な!」

 

「馬鹿なって。イシュタル様だって、

自分のところの娼婦が原因で

お客さんに迷惑をかけるわけには

いかないじゃないですか」

 

そのお客さんが先生って、普通に

アイシャさんや団長さんが動くわよ!

 

「いやそっちじゃなくて、何で

無双農家が俺達を庇うんですか?

彼なら自分を嗅ぎ回る俺達を

消すくらい簡単でしょう?!」

 

「簡単に消せるからですよ」

 

だからミアハ様だって先生に

殺されてないんだし。

 

「?!」

 

「現状の皆さんでは弟子のリリルカさん

にすら勝てません。

そんな人たちが動いても先生には

何の痛痒も与えられないんです。

だからこそ先生はアナタ方がどのような

工夫で自分に何をするのかを確認しよう

としてるんですよ」

 

「・・・強者の余裕ってことですか」

 

純粋に何をしようとしてるのかって

興味もあるんだろうけどね。

まぁ自分を威嚇してる小動物を

観測してる感じではあるわね。

 

「そうですね。油断や慢心、増長や驕り

ではなく余裕なんです」

 

だから足元は掬くえない。

諦めて現実を見て黙って

冒険してなさい。

 

「・・・俺たちでは春姫は救えませんか」

 

ん?救う?

 

「えっと、春姫さんに何かあったんですか?」

 

普通に幸せにそうにしてるわよね?

リューさんなんて羨ましそうに見てるし。

 

「何かって!娼婦なんですよ?!」

 

「先生専属ですよね?」

 

春姫さん本人も言ってたけど、専属なら

内縁の妻みたいなもんじゃない?

 

「専属だからって!!」

 

あぁ、コレは勘違いしてるわね。

このままだと暴走して先生に迷惑

かけちゃう。

その大元の原因はミアハ様だし。

間違いなく責任問題になるわよね。

 

・・・冗談抜きでヤバいんじゃない?

 

「桜花さん、いくつか勘違いを

しているようなので教えておきます。

落ち着いて聞いてください」

 

「勘違いだと?そんなことっ!」

 

「黙れ、殺すぞ」

 

落ち着けって言っただろうに、

本気で洒落にならないんだよ?

 

「?!」

 

「お前のせいで私たちが殺されたら

どうしてくれる。

先生本人が笑って許しても、周りが

いつまでも笑って許すと思うな」

 

少なくともソーマファミリアと

イシュタルファミリアはアンタらの

動きをマークしてるんだからな!

 

「・・・落ち着いたようなので

簡単な事情を説明しましょう。

本来なら娼婦の裏事情を語るのは

マナー違反でしょうが、勘違いの

挙句、先生に迷惑をかけるのは

春姫さんも望みませんからね」

 

当然私もね!

 

「・・・」

 

よし黙ったな?ちゃんと聞きなさいよ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「そもそも春姫さんはイシュタル様の

下で娼婦にならなければ、奴隷として

狐人愛好家にでも買われていました」

 

「奴隷?!」

 

娼婦よりタチが悪いじゃないか!

どういうことだ!?

 

「春姫さんの実家に出入りしていた商人が

彼女に目をつけていたらしく、冤罪を

押し付けたそうですね」

 

「冤罪・・・」

 

「なんでも出入りの商人が持ってきた

神饌を食べてしまったとか。

神に仕える職であったご両親にとっては

許せなかったことらしく、彼女は

勘当されました。

そしてその商人に損害を補填すると

いう形で預けられたそうです。

その後オラリオに連れてこられた

ときにはすでに奴隷扱いだったとか。

この時点で怪しいでしょう?」

 

「そんなことがあったんですか!」

 

箱入り娘の春姫が親元を勘当

されたら生きてはいけない・・・

その商人が生活の術のない春姫を

騙して罠に嵌めたのか!

 

「それで本来なら奴隷として売られる

ところでしたが、売りに出される前に

極東の狐人という珍しい種族である

春姫さんの情報が、歓楽街を仕切っていた

イシュタル様の耳に入りました。

そして春姫さんを見て気に入った

イシュタル様が彼女を買いました。

神様は珍しいモノが好きですからね」

 

「・・・それで?」

 

モノ扱いは気に食わねぇが、オラリオの

人間からすれば春姫の事情なんて関係

ねぇからな。あくまで一人の奴隷だ。

そのくらいは俺だってわかるさ。

 

「なんでも春姫さんを連れ帰った

イシュタル様が眷族として恩恵を

授けたとき。彼女にとても珍しい

魔法が発現したそうです」

 

「珍しい魔法?」

 

「さすがに内容は聞いてませんけどね。

よほど珍しい魔法だったようで、

イシュタル様は春姫さんの扱いを

通常の娼婦ではなく、ある種の特別

扱いをしようと考えたんです」

 

「特別扱い・・・」

 

まぁ珍しい魔法が発現したらそうなるか

 

「そんな時、もともとイシュタル様と

付き合いのあった先生から、

自分のスキルとアビリティを試し

たいので弟子を斡旋してくれないか?

という要請がありました」

 

「無双農家のスキルとアビリティ?」

 

・・・この情報は知っても良いのか?

あきらかにヤバい情報だろ?

 

「スキルは知りませんがアビリティは

【教導】で教えを受けた者の成長に

ブーストがかかる類のモノらしいです」

 

「成長にブースト?!」

 

やべぇアビリティじゃねーか!!

 

「まぁ先生を知ってる人なら大体

知ってる情報ですからね。

別に口止めもされてませんし」

 

「そ、そうですか・・・」

 

とりあえずはコレを知った

からといって問答無用で

殺されるってことは無いんだな?

 

「口止めされてないとはいえ

言いふらして良い事ではありません。

そのへんは常識をわきまえてください」

 

「・・・はい」

 

そりゃそうだ。

 

「そこでイシュタル様は当時レベル3で

戦闘娼婦の指揮官的存在でもあった

アイシャさんと、新人の春姫さんを

先生の弟子としました」

 

「・・・戦力の底上げと春姫の魔力の

アビリティを上げる為、ですか」

 

珍しい魔法なら魔力を上げれば効果も

上がるからな。

イシュタルにしてみたら損はねぇ。

 

「そうですね。それでアイシャさんが

先生と春姫さんが顔を合わせた初日に

春姫さんを専属で買って欲しいと先生に

頼んだんです。

わかりますか?先生が春姫さんを

望んだのではありません。

アイシャさんと春姫さんが先生を

望んだのです」

 

「・・・それは何故?」

 

「前提条件として、珍しい魔法をもつ

春姫さんは娼婦という身分から

抜けることは出来ません。

イシュタル様が手放しませんからね」

 

「・・・そうですね」

 

無双農家が身請けをしないんじゃない。

魔法の関係で身請け出来ないのか。

 

「その上で春姫さんの境遇を聞いて

哀れんでいたアイシャさんが、

いろんな男どもに取っ替え引っ替え

抱かれるよりは専属の方が良い。

少なくとも先生はイシュタル様とも

親交が有り、無下には扱わないだろうと

いう確信があってお願いしました」

 

「・・・なるほど」

 

どうせ娼婦なら・・・か

確かにそうかもしれん。

 

「基本的にイシュタルファミリアでの

専属娼婦と言うのは、娼婦の中では

最高の待遇と言っても良い待遇です。

なにせその人以外に客を取る必要もなく、

その人が居ないときは自由に過ごしても

良いとされてますからね」

 

閉じ込められたり、自由を拘束

されてるわけじゃないってことか

 

「そして先生の指導でレベルアップした

春姫さんは【調合】のアビリティを取り、

自由時間を使って料理やお茶の調合など

趣味を満喫してます。

それも良いモノが出来たらイシュタル様

からボーナスまでもらってるんですよ?」

 

・・・良い生活だな。

 

「ダンジョンでも、春姫さんは基本的に

戦うことはありません。

重い盾を持たせてのランニングで

筋力と敏捷を鍛え、その盾で

モンスターの攻撃を受けることで

耐久を上げて、調合で器用、魔法で

魔力を上げています」

 

重い盾を持たせて走らせてるって

のはそれか・・・

 

「先生の専属ですからね。先生や

レベル5のアイシャさん。

もしくはレベル6の団長さんが監修

して自衛の技術とサポーターとしての

知識と経験を身につけさせてるんです」

 

「なるほど・・・」

 

俺たちのところよりよっぽど

安全じゃねぇか。

 

「それに先生個人の話になりますが、

先生を狙う女性は非常に多いのですが

基本的に先生はそのへんの女性と

関係をもつことはありません。

例外は娼婦のアイシャさんと春姫さん

くらいです」

 

男としては・・・わかる。

女を弄んだりしてるわけじゃねぇ。

むしろ誠実なんだろう。

 

「春姫さん自身も先生を好いていますし

生活に不自由はしてません。

先程も言ったようにイシュタル様が

春姫さんを開放することはありません。

この前提条件があった上で聞きますが、

貴方は春姫さんを何から救うんです?」

 

「春姫が無双農家を好いてるなら、

娼婦と言っても相手をするのは

好きな男だけなわけですか」

 

無双農家の女性関係を見れば、

娼婦を辞めたらその関係が止まる

可能性が高い。

つまり俺たちの横槍のせいで

春姫は好いた相手と引き離される。

 

「生活にも不自由してませんね」

 

「・・・そうですね」

 

金銭的にもそうだしダンジョンでも

安全に鍛えてる。

きちんと自分の居場所があるわけだ。

・・・このまま無双農家に預けた

方が春姫は幸せに暮らせるのか。

 

「お話はわかりました。

我々が無双農家を勘違い

していたのも納得できました」

 

コレはもう良い。春姫については

俺から千草や命に言ったあとで本人に

会いに行って確認してくれば良い。

話に聞いた通りなら無双農家も

春姫も二人に会うことに反対は

しないだろうさ。

ただなぁ・・・

 

「えぇ、言いたいことはわかります。

そもそもの原因はウチのミアハ様が

原因なんですから」

 

そうなんだよなぁ。

いや、ミアハ様だけのせいにする

つもりはないぞ?

感情的になってきちんと確認

しなかったタケミカヅチ様にも

非はあるし、他の神様だってそんな

勘違いした俺たちに関わって

イシュタルファミリアに睨まれたく

なかっただろうさ。ただなぁ・・・

 

「とりあえず、先生に関しては

ミアハ様の言うことは無視で

お願いします。」

 

「え?」

 

もしかして仲悪いだけか?

 

「あの人はタダでポーションをくれる

神様であって、それ以上でもソレ

以下でもないと思って下さい。

知りたいことがあったらコッチで

教えますから探らないで下さい。

探ったらダメなことはダメって

教えますから。

とりあえず先生は良いヒトです。

・・・イイネ?」

 

「ア、ハイ」

 

ダメだ。この話題でこの人に

逆らったら冗談抜きで殺られる!

 

実際はどうか知らんが、そこは

まだ俺たちが殺されてないって

ことが一つの証拠になるしな。

 

・・・早めに確認に行かせよう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『くっ!ヤツめ!タケミカヅチにまで

手を回してきやがったか!!』

 

『落ち着けミアハ、サンジョウノは

イシュタルファミリア所属だ。

どうしたって圧力がかかるさ』

 

『ディオニュソス・・・そうだな。

だが圧力がかかろうとタケミカヅチは

俺たちを売るような神じゃない。

まだ我々の存在はヤツには

気付かれていないはずだ!』

 

『そうだ。こうして会議を開ける

のがその証拠。

・・・ロキにもヤツに対する警戒を

呼びかけてはいるが、やはり簡単

には動けんようだ』

 

『まぁ最大手だからな。そう簡単には

動けんだろう・・・だがまさかヤツが

闇派閥と繋がりがあったとはな!』

 

『確定ではないが、かなり高い確度の話だ。

ヘルメスやウラヌスも探ってはいるが、

なかなか尻尾を掴めん。探ってるのが

バレたら神とはいえ俺たちもヤバい。

ミアハ、お前も気をつけろよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あぁ!ナァーザは俺が守ってみせる!』

 




行方不明の異端児の関係上
去勢大神さんや水銀さんに象さんは
本気で主人公くんが何らかの形で
闇派閥に関わってると思ってます。

拠点は探れないし、イシュタルと
近いし・・・怪しいよね?

ミアハ死すべしってお話


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52話

ミアハは今日も生きている

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!

常識フィルターはあくまで
作者の常識だぞ!


『こ、これが野菜と魚介類を併せた料理?!』

 

ふ、ミアよ。日輪すらひれ伏す海鮮八宝菜の

威光におそれおののくが良いわ!

 

「野菜と魚介類がここまで濃厚に絡み

合いながら、其々の味を補っている!

コレはまさしく革新ですよ!」

 

「・・・とりあえずリューが納得してる

ならいいにゃ」

 

「このまま全部忘れてくれれば完璧にゃ」

 

「・・・」

 

「えっと、シルが燃え尽きてるけど?」

 

あぁ、白兎を助けるために自腹を切った

からな。

30000ヴァリス×3が確定してれば

そりゃ燃え尽きるだろうさ。

 

「ミア、コレは一つの到達点では有るが、

だからと言ってコレが唯一無二と

言うわけではない。この店にあった

味付けや組み合わせを見つけて

お前なりの到達点を目指すのだな」

 

本来は使う野菜も魚介類も決まっているが

こっちにしか無い野菜や魚がどんな味を

出すかわからんからな。

組み合わせによってはコレを超える

モノが有るかもしれんよ。

 

『調理方法を見ても、このトロミにまで

ここまでの深みを与える理屈がまったく

わからん・・・流石だよ』

 

ただ野菜を炒める訳じゃないからな。

絡ませるのが大事だ。

 

「その辺は教えんよ。お前も料理人

の端くれなら見て盗むんだな」

 

そうして自分なりの味付けを見つけるのだ!

 

「相変わらず上から目線にゃ」

 

「とはいえ、ミア母さんも認めてるし

実際コレも美味いにゃ」

 

「見て盗む・・・なるほど、では私も!」

 

『「「「お前はダメだ」」」』

 

「み、ミア母さんまで?!」

 

お前はその辺の訳あり野菜とかで

練習してくれ。

・・・作ったのはちゃんと自分で食えよ?

 

『いや、堪能させて貰ったよ!買い出しに

行かせた二人が中々帰って来ないから

帰ってきたらどうしてくれようかと考えて

たんだが、アンタを見つけてコレの材料を

買ってたってんなら仕方ない!今日の

ところは勘弁してやるよ!』

 

「「(よしっ!)」」

 

「ま、たしかに仕方ないにゃ」

 

「コレは金では買えないからにゃ」

 

そりゃ買い出しに行った連中が帰って

来なかったら普通に困るよな。

流石にすぐに材料を切らすって事は

無いだろうが、ものが魚介類の類いなら

鮮度の都合上、溜め込むわけにも行かないし

人員的にも普通に手が回らなくなるし。

 

冷凍庫位はありそうだがチルドとか

電子レンジは無いよな。

俺は科学技術チートなんざやる気は無いぞ。

 

弟子を見つけた以上、ギルドが舐めたマネ

してきたら我慢なんかせずにオラリオ

から離れて暮らせば良いだけだ。

 

あとは闇派閥か・・・そもそもギルドって

アイツらをどうしたいんだろうな?

無理矢理潰すならフレイヤやロキを使えば

今でも潰せると思うんだが、わざわざ

生かす理由はなんだ?

アイツらを捕らえさせるとか?

それともあの人造迷宮で何かさせてるのか?

 

・・・まさか本拠地を知らんって事は

無いよな?あんなに目立つ動きまで

してる奴らだぞ?追跡すれば一発だし。

鍵だって、鍵を開けたヤツが外に出たら

殺れば良いだけだろ?

昔のリリルカみたいな連中や孤児に

まともな人権が無い社会なら犯罪者に

人権なんざ要らんよな。

 

ソレをわざわざ生かしてるんだから

何かしらの繋がりは有ると見て良いだろう。

ギャンブルも税金払えば公営って事だ。

 

イシュタルはアイツらの存在は知ってたが、

特にどうこうする気は無いみたいだし。

 

なんやかんやで愛と欲を見る神だから、

空が見たいとかダンジョンの外が見たい

って言う欲なら問題ないらしい。

別にイシュタルに損も無いしな。

 

フレイヤは知ってるのかね?

怪物祭でモンスターを魅了するくらい

だから、モンスターにも感情があるっ

て言うのは知ってると思うが、あくまで

本能であって、知性とはまた別だと

思ってる可能性が有る。

 

ロキは・・・知らんな。

 

天界ではどうか知らんが今のアレは

策士気取りの甘ちゃんだ。

 

しかしギルドと闇派閥の意思を推察するなら

なんでフレイヤとロキがゼウスとヘラを

都市から追放するのを黙認したかも

わからなくなる。

いくら黒龍の討伐に失敗したとは言え

最大派閥を作れるだけの実力やノウハウ

がある神を都市外追放?

フレイヤもロキも闇派閥と敵対してたよな?

何らかの証拠を掴み、ゼウスとヘラが奴等と

繋がってると判断したのか?

 

基本的にギリシャ神話の神なんざ

ヘスティアとハーデス以外は、目の前に

居たなら殺すべき存在なんだがなぁ。

 

・・・いや、ハーデスも一目惚れした女を

拐ったんだっけ?じゃあダメか。

ヘファイストスもクソ神共に言われる通りに

道具を作ってるから加害者だよな?

 

ここにアルケイデスが居たら喜び勇んで

殺りまくるだろ?

 

しかしそれを考えたら処罰が中途半端だ。

追放したあとに何故殺さない?

天界での付き合いか?それとも

ギリシャ神話にありがちな馴れ合いか?

 

ギルドで偉そうにしてるウラノスだって

神話上はガイアと自分の子供を醜いからって

理由で怪物扱いして地下に押し込めたから、

ガイアの意思により派遣された子供に

去勢されたアホだから何も考えていない

可能性もあるんだが。

 

・・・うん?怪物を、地下に、押し込めた?

 

・・・確かヤツらが最初に下界に降りて

きたのは、未知を知るためだよな?

それで怪物や何やらに襲われてる下界の

人間と契約して、力をやるから働けって

感じの交渉をしたんだったか?

 

下界は天界から見たら・・・地下になるか?

 

なるほど。この可能性もあるのか。

やはり神はクソだな!

 

 

ではそれ以降の連中は普通に下界に来て

神生を満喫してるだけ、か?

なら怪しいのは古参の連中になるな。

 

そもそもの話、奴らが現れたのは

千年以上前と言われてるが実際何年前だ?

言ってしまえば1010年前も

2000年前も千年以上前だぞ。

 

中国や日本なら千年くらい前なら記録は

録ってるよな?その時の生活は

どんな感じだったんだ?

中世ヨーロッパみたいな宗教国家による

大規模な歴史の改竄があっても、古代

王朝とかは学術的な価値から研究は

されてたし。

・・・神が降りてくる前の記録を調べる

必要が有るんじゃないか?

 

資料が有りそうなのはエルフの里や極東?

 

うーむ。どうしたもんかねぇ。

 

迷宮都市やダンジョンの秘密にこだわるなら

細部まで確認するべきかもしれんが、俺と

しては特段興味ないんだよな。

 

ただし、現時点で興味がないからと言って

無視するのも危険な気がしないでもない。

 

そもそも迷宮都市が栄えているのは

ダンジョンから魔石を採取することが

できるからだ。

 

で、魔石は石とはいうものの、あくまで

ダンジョンが産み出した魔物からしか

採れない物質だから、魔石に頼る社会構造に

なれば、必然的に迷宮都市が栄えることになる。

 

 

だがな。ラキアや魔法大国はともかく、

テルスキュラは魔石に頼らない

国家運営が出来てる。よな?

アレを、運営と言って良いのかどうかは

知らんが、まぁ一応な。

 

極東もそれほど魔石に頼ってる訳じゃ

ないらしいし、そもそも魔力って言う

精神由来で物質に干渉できる力があれば、

魔石に頼らんでも技術革新は可能よな?

 

ならば現状はなんなんだって話になる。

 

わざわざ魔石だけに依存するように、

つまりはダンジョンに依存するように

仕向けている?

 

・・・やはりギルドは怪しい。

主神がギリシャ神話の神だから尚更だ。

 

ミアハを泳がせて友釣りを狙ったが、

関わらないのが正解かもしれん。

 

面倒事に巻き込まれるのもアレだし、

リリルカもレベル5で立派に自立できた。

 

もう実験も必要ないかな?

連中が帰ってきて、弟子の状況を

確認したら一度オラリオから距離を

置くのも良いかもしれんなぁ。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

赤くて青いのが目の前でオレサマ

ワタシマルカジリ!

 

「あぁ、起きましたか」

 

「だ、ダレ?!ワタシハダレ?ココハナニ?」

 

クトゥルフクトゥルフー!

 

「って痛い!」

 

「落ち着いてください」

 

「落ち着けって……今の何よ!バケツ?

ゴガンって音がしたわよ?!」

 

思いっきり投げつけて来たわね!

もの凄く痛かったんだけど!

 

「貴女はロキファミリアのティオネさんで

ここは深層の安全地帯です。ちなみに

私はリリルカですけど、名前以外は

思い出さなくて良いですよ?」

 

「ロキファミリア?ティオネ?・・・?!」

 

・・・思い・・・出したっ!

 

女子力を極めた筆頭様から

女子力とは何かを教えてもらって、

歪み無い良いオンナになるために

だらしない自分を受け入れようと

したらお腹に穴が開いて、黒くて

白いナニかに包まれたら赤くて

青いのがクトゥルフしてきたのよ!」

 

「・・・まぁ大丈夫そうですね。

それではさっさと清掃してください」

 

「清掃?」

 

掃除よね?一体ナニを?

 

「ティオネさん達は3日ですからね。

その分ナニが多いんです」

 

・・・3日?

 

「まさかっ!・・・あの痛みから

目覚めるのに3日もかかったの?!

じゃあナニって言うのは!」

 

「貴女が垂れ流したモノです。掃除道具と

水はあちらにあるので、清掃と沐浴と

着替えをお願いします。ちなみに

指示に逆らったりすると食事抜きの上で

折檻されますから、無駄な問答や抵抗は

止めてくださいね」

 

・・・あぁ、なるほど。どうりで

リリルカも部屋に入って来ないで

扉越しで会話するわけだわ。

いきなりバケツを投げてきたのも

優しさだったと言うことね。

 

確かに清掃と沐浴と着替えは大事。

3日も飲まず食わずだったと言われたら

お腹が空いてきたけど、何をするにも

身を浄めてからよねぇ。

 

せめてもの救いは自分が臭わないことか。

・・・防臭と消臭効果の有る装備を作って

もらってて良かったわ。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「なるほど、それでリリルカさんは

2日で呼吸と姿勢のことに気付いて

自分で立ち上がったんだね!」

 

私たちは自力で起きれなかったけど、

これ以上寝込んだままだと栄養が足りず、

修行に差し障りが出るからって

最初から最長3日で起きるように

調整されてたってわけね。

流石筆頭様だわ。

 

「自力で起きれなかった私たちは基礎が

足りないから基礎訓練。リリルカは

しっかりと指導を受けれるのね?」

 

とはいえ前に比べたら明らかに呼吸も

深くなってるし、動きも良くなってる

気がするわ。

これは多分痛みを和らげるために体が

無意識で正しい呼吸をしたり、体に流れる

痛みで神経が過敏になってるのよね?

 

「リリは先生から長年直接教えを受けた

直弟子ですからね。逆に自力で起きれな

かったら折檻がキツくなってましたよ」

 

「あぁ、そう言うのも有るよね!

それで、さっきからアレンさんが

下向いて死にそうな顔してるのは

なんでなの?」

 

「・・・」

 

「だらしない自分の受け入れに時間が

かかってます。ちなみに明日の朝までに

受け入れ出来ない場合は、再度矯正

されるそうです」

 

「「うわぁ」」

 

元々あの技には無駄な誇りを無くすって

意味もあるらしいから、いつまでも

引きずってたら再矯正もシカタナイわよね。

 

私は筆頭様の女子力を知った以上、

自分のだらしなさを受け入れる覚悟は

出来てるし、ティオナも少し

恥ずかしかったってだけだしね。

この辺は子供の頃のテルスキュラでの

経験が活きてるわ。

 

「なるほどなー。ちなみに基礎訓練って

何をするかリリルカさんは知ってるの?」

 

あぁ、それは私も気になるわ。

・・・まさかもう一度命奪崩壊拳じゃ

ないわよね?

 

「うーんリリは聞いてませんが、リリが

先生から受けた修行なら・・・」

 

「「修行なら?」」

 

「武器を持った魔物との組手、ですかね」

 

「「組手?」」

 

この辺だとスパルトイとか、その強化種

かしら?スパルトイ自体がレベル4相当

だから強化種ならレベル5か6相当ね。

 

「そうですね。利き腕を封じての組手

だったり、3対1とかで必ず2手受けて

から倒すとか、そういった技術を育てます」

 

「「なるほど」」

 

殺意をもって襲ってくる同格の魔物を

相手に技術を磨くわけね。

 

「多分その時に縄を使った戦い方も

教えてもらえますよ。実際ソレ、

かなり凶悪な武装ですし」

 

ん?この言い方だともしかして

 

「リリルカは筆頭様に見せてもらったの?」

 

「えぇ貴女方二人が持つ以上、他にも

使い手が居ないとも限らない。

ならば師の直弟子として対処方を

知らないのはダメだと言われまして」

 

なるほど、先生の名を汚すものは

許されないのね。

流石筆頭様、歪み無いわ!

 

「えっと、その筆頭様は今どこに?」

 

あ、そうよね。今は夜らしいし、

夜は寝るものだって話らしいから

こうして話が出来てるけど、基本的に

無駄な時間とか過ごしてるイメージが

沸かないわよね。

女子力を高めるための修行とかしてるの

かしら?

 

「・・・筆頭様なら修行してますよ」

 

やっぱり!

 

「んーそれなら私たちも修行に参加した方が

良いんじゃない?休んでて良いの?」

 

ソレはそうよね。筆頭様が修行してるなら

お手伝いとかした方が良いわよね?

 

「いえ、休息による体力と気力の回復も

立派な修行らしいですから、しっかり

呼吸と姿勢を意識して休むように

言われてます。手伝いとかに行ったら

命令違反扱いされちゃいますよ?」

 

「「絶対行きません!」」

 

休むのも修行とは言うけど、ここまで

強制力のある休息もあるのね!

 

「ちなみにリリルカは筆頭様はどんな

修行をしてるか知ってるの?」

 

「・・・えぇ、見学は許されてますから」

 

ほほぅ、ならあとで見学に行かなくちゃ!

 

「ちなみに怪我する可能性があるので

見学は自己責任です。

死んでも責任は取る気は無いそうなので

絶対に死なないような準備と覚悟を

するようにしてください。

リリの回復薬はありますが、数に限りが

あるので本当にヤバくならない限りは

使いませんよ」

 

「め、滅茶苦茶ヤバい前置きなんだけど

一体筆頭様はどんな修行をしてるのよ?!」

 

見学は自由ってことは、見たら殺すって

訳じゃないんでしょ?!

 

「・ャ・ー・・トです」

 

「「はい?」」

 

そんな下向いてぼそぼそ言われても

 

「筆頭様はジャガーノートを相手に組手

してるんですよ!」

 

「「「な、なんだってー?!」」」

 

あ、アレンさんも目覚めた。

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

まったくリリルカも、こんな魔物が居るなら

さっさと教えれば良いモノを。

 

「GAAAAAAAAAAAA!」

 

最初は早いだけでしたが、少しずつ強く

なってますよね。

壁を壊せばいくらでも出てくるし、

魔石も鱗も珍しいらしいですから

師へのお土産にもちょうど良いです。

 

倒す度に強くなるし、出現条件も特定されてる。

コレなら一度倒したら三ヶ月は出てこない上に

力も変わらない階層主の骨なんかより、

よっぽど良い相手ではありませんか。

 

「GAAAAAAAAAAAA!」

 

倒せば倒すほど強くなるなら、一体

どこまで強くなるんでしょうねぇ?

コレが私が勝てないようにまで強く

なるようなら、師にとっていずれ越えるべき

壁になる可能性も有り得ると言うことです!

きっと喜んでくれるでしょう!

 

「だから死ね」

 

今のコレはまだレベル6の私でも

勝てる程度。コレでも私の修行には

なりますが師には足りません!

 

「GYAAAAAAAAAAA!」

 

叫んでる力が有るなら戦え蜥蜴がっ!

 

「GYUOOO・・・」

 

コレで六体目ですか。

魔石は後で喰らうとして、次の蜥蜴を

呼び出しましょう。

ふふふ、魔物倒す、敵喰らう、私強くなる、

敵強くなる、私強くなる、お土産出来る、

師が喜ぶ!完璧です!完璧な連鎖ですよ!

 

「・・・壊す壁が無くなりましたね」

 

下に行ってみましょうか?階層が変わった

場合、アレの強さが変わるかどうかを

確かめた方が良いですよね?

とりあえず37階層の七匹目と38階層の

一匹目の違いですね。もしかしたら

37階層の分も引き継ぐかも知れません

から、その場合は火山地帯の40階層や

水場の27階層でも試して見ますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふふふ、コレは楽しくなってきましたよ!

 

 




そもそも常識フィルターを実装
しててギリシャ神話を知ってれば
奴等を信用なんか出来ません。

原作のウラノス妙に温くない?
ギリシャ神話なんか性犯罪と冤罪と
擦り付けと厚顔無恥とマッチポンプの
本場ですよね?今さら常識神ぶっても
手遅れなんだよってお話。

弟子は何十年か振りに師の役に
立てそうなのでテンションマックス。

更に近くに居るけど会えない
鬱憤も有るので病みに近い状態です。
まぁ男女の仲でもあったし、
死が二人を別ったんだから、シカタナイネ!


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53話

前話の続き。

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!

修行パート?・・・前向きに(ry


いや、あり得ないでしょ。見学どころか

コレだけ離れてるのに、筆頭様の動きも

ジャガーノートも全然見えないんだけど!

何かが動いたと思ったら胴体を両断された

ドラゴンっぽいのが居るんだけど?!

 

「・・・ねぇ、アレンさん」

 

ティオナも驚いてる。

やっぱり見えてないわよね?

 

「・・・言いたいことはわかる」

 

そう、だけどあえて聞くわ

 

「「37階層のジャガーノートってレベル6

ならあんなに簡単に倒せるの?!」」

 

団長も本気ならアレくらい強いの?

ステキっ!抱いてっ!

 

「いや、はっきり言って無理だ。

一人では勝つことすら難しいだろう、

27階層の悪夢はレベル4が8人と

レベル3が2人居てようやく殺した。

 

最近の37階層のは俺たちフレイヤ

ファミリアのレベル6が3人と

レベル5が4人で打倒したんだぞ」

 

つまり、殺すだけならレベル5相当の

冒険者が10人くらい必要ってことね。

 

余裕を持って殺るならレベル6の冒険者が

複数必要・・・か。

 

単純に考えれば階層主クラスの敵。

いえ、ウダイオスより自由に動く分

こっちの方が厄介よね。

 

今の私たちじゃあの速さに対抗するのは

無理だし、攻撃を当てる為には誰かが

命懸けで動きを止める必要がある。

魔法が弾かれるからアイズは無理だし、

ベートも一番の長所である速さで負けてる。

 

今のロキファミリアがアレに勝つには、

ガレスが動きを止めて、団長や私たちが

斬り込んで足を奪ってからの総攻撃か

装甲を貫いてから、リヴェリアや

レフィーヤが魔法を叩き込むしか無いわ。

 

「それにだ、以前見たときより間違いなく

速く力も強くなっている。まさか

ジャガーノートは成長するのか?」

 

それでもジャガーノートの動きは

見えてたか・・・レベルの差は大きいわね。

 

だけど魔物が成長する?つまりは強化種?

 

「・・・筆頭様は、リリからジャガーノート

の存在を聞いたとき、アレはダンジョンを

破壊する存在を殺すための免疫力のような

魔物なんじゃないかって推察してました」

 

「へぇ」

 

免疫力か。確かにそれならダンジョンを

大規模破壊したときに出現するのも

わかるわね。流石筆頭様だわ。

 

「なるほど、免疫力なら倒されれば倒される

程に強くなっていくのも道理だ」

 

それもそうよね。少しずつでも強く

ならなきゃ免疫の意味が無いって、あれ?

 

「つまり、今のジャガーノートは・・・」

 

「明らかに強化種のようなモノだろう。

レベル5は足手まとい、討伐には

近距離戦闘を得意としたレベル6が

複数必要な化物になっている」

 

駄目じゃん!私たちじゃ耐えるとかじゃ

なくて、鎧袖一触で殺されるってこと

じゃない!

 

「え、あれ? だけど筆頭様は当たり前に

狩ってますよね?」

 

・・・ティオナの言う通りよ。

つまり筆頭様はレベル7?

 

「あぁ、あれは筆頭様の力もありますが、一番の

理由はジャガーノートがダンジョンの魔物だからですよ」

 

「何か知ってるのリリルカ?」

 

ダンジョンの魔物だから勝てるって

どういうこと?何かのスキルか狩人

みたいなアビリティかしら?

 

「確かにアレは速くて強いのですが、

駆け引きがありません。

動きも直線的で勢い任せですから、

筆頭様クラスの技があればヤツが来る

ところを予測して、そこに剣を添える

だけで後は自分から刃に向かってくる

だけの獲物に成り下がります」

 

「自分から刃に向かってくる・・・

なるほど。その後は獲物に刃を弾かれない

だけの力と技が有れば勝手に両断される

ってわけね」

 

「そういうことです。その相手の殺意と

動きを予測する技術を修めたならば、

余程の戦力差が無い限りは負けは

しないでしょう。それでもあれを殺しきるには

最低でレベル6は必要そうですけどね」

 

レベル不足は余程の戦力差に繋がるってことね。

 

「ちなみにリリルカ先輩はその技術を

修めているのだろうか?」

 

良い質問だわ。

 

「一応は修めていますけど、これは皆さん

も多かれ少なかれやってることですよ?

今は意図せずやってますけど。リリとの

違いは、意図してやれるかどうか程度です」

 

「「「意図せずやってる?」」」

 

コレは大事なことよ!

なにせさっきまで、意図せずやってる呼吸を

自分の意思でコントロール出来なかったから

こそ、色々ダメだったんだからね!

 

「そうですね。実力差がある相手なら、

相手の目線や体の動き、呼吸等で次に

どのような動きをしてくるか、どんな

タイミングでどこに攻撃してくるか、

大体わかりますよね?」

 

「それは、そうよね。呼吸と構えと目線を

読めれば、タイミングも場所もわかるわ」

 

あぁ、そうか。これを意図的にやる技か

 

「アレンさんもティオナさんも納得

出来たみたいで何よりです。

先生の門下生の方々はこの技を修得した

上でフェイントや崩し、または防御や

回避を行うようですね」

 

だから先生の攻撃は避けれないし、こっち

の攻撃は当たらないのね!

 

「・・・次に来る攻撃を完全に予測して

いるなら攻撃は当たらんしカウンターも

し放題、か。コレが基本だと言うのだから

武術とは深いモノだな」

 

アレンさんの言う通りね。

 

「そうですね。それに先生の教えは

基本にして奥義というのが結構

有りますので、一つとて疎かに

してはいけないんですよ」

 

基本にして奥義。なるほどなー。

 

「その通りです。師の教えを受けながら

疎かにするような愚昧には今日を生きる

価値がありません」

 

「「「「うわぁぁ?!」」」」

 

い、いつの間に?!

 

「ここはダンジョンですよ?強者ならば

世間話も良いですが、アナタ方はいまだ

未熟者。気を抜いてはいけません」

 

「「「「はいっ!すみませんでしたっ!」」」」

 

アレンさんやリリルカですらまったく

気付かなかった隠行、これがステイタスに

頼らない技術なのね!

 

――――――――――――――――――

 

 

まったく、技撃軌道を理解していながら

意識をしていないとは。

この未熟者どもを鍛えるには何度か

物理的な地獄を見せねばなりませんが

所属が違うためにそこまでは出来ない。

 

更に虐待と勘違いされて師の評判が

落ちると言うなら、やはり私が代わりに

殺るしかありませんね!

 

「見学は許可しましたが呼吸と姿勢を意識

しなくては意味がありません。故に矯正です」

 

まずは基礎。これが出来ないことには

修行も何もありませんからね。

 

「「「「え"?!」」」」

 

おや、腹部を警戒した?

 

「あぁ勘違いはいけませんね。矯正と言っても

命奪崩壊拳ではありませんよ」

 

アレは短期間に何度も殺る技では

ありませんからね。

 

「そ、それでは何をするのでしょうか?」

 

ふむ、リリルカは何となくわかっていますか?

 

「痛みの中で姿勢と呼吸を保ちつつ、

技の習熟まで出来る素晴らしい修行です」

 

幻魔拳が使えたら良かったのですが

どうも理が違うみたいなんですよね。

やはり魔力と気の違いは大きい。

 

「「「「そ、その修行とは?」」」」

 

「何、アナタ方の武装を用いて

全身の骨を砕くだけですよ」

 

師曰く、人は痛みがなければ覚えない。

西蒙の者達にも通用した理です。

 

―――――――――――――――――――

 

 

「わ、私達の武装を用いて全身の骨を

砕く。・・・そうですかぁ」

 

リリルカが諦めたような顔をしてる!

確か先生に手足を斬られたとか言ってたから

筆頭様が嘘を言ってないのがわかるのね?!

 

いや、まぁ私にも筆頭様が脅しでも何でもなく、

当たり前に言ってるのがわかるけど!

 

「い、いくらエリクサーやハイポーションが

有るからってやり過ぎじゃ・・・」

 

ティオナ!気持ちはわかるけど口答えは

ダメよ!

 

「やり過ぎも何も、師がアナタ方に用意した

回復手段はそのために有るのですよ?」

 

「「「「マジで?!」」」」

 

えっ?そこまで殺れって意味なの?!

 

「リリルカまで何ですか。そもそも短期間に

技を修めるなど普通では出来ません。

すべての技術は基礎の積み重ねです」

 

ごもっともです

 

「基礎を学ぶ為に必要なのは確かな指導者と

時間か痛みです」

 

・・・筆頭様、カーリーファミリアの

人じゃないですよね?

いや、アマゾネスじゃ無いから違うのは

わかるんですけど、思考の方向性がまんま

奴らと同じなんですけど!

 

あ、一応選択肢に時間もあるから違うか。

 

「アナタ方とて中途半端な習熟で屍を

晒すよりはマシでしょう?

特に褐色姉妹の武装は特殊ですからね。

短期間で基礎を修めるには身体で受けて

貰わなければなりません」

 

わ、私たちが喰らうのは確定事項だった?!

 

「ついでにリリルカや猫耳も縄を相手に

した場合の経験も積めますし、姉妹も

自分で受けた後で見学まで出来ます」

 

・・・そう言われたら凄く効果的に

聞こえるわね。

 

「そもそも戦闘において万全の状態で

戦うなど有り得ません。怪我や損傷

が有るのが当たり前。

そんな中でも通常通り思考して動く

癖をつけなければ、一人前の武人とは

認められませんよ」

 

「「「「なるほど」」」」

 

痛みを訴えてる暇があったら動け、

もしくは考えろって話よね。

 

「そんな訳ですから早速縄を使った

戦闘方法を教えてあげましょう」

 

「「「「え"?」」」」

 

「あ、あの?たしか夜は休むんじゃ?」

 

ティオナ、良く言った!

 

「褐妹、アナタは何を言ってるのですか?」

 

「え?」

 

え?確か筆頭様がリリルカにそう言った

んですよね?

 

「別に骨が折れてても休めるでしょう?」

 

「「「・・・」」」

 

いや、本気で不思議そうに言われても・・・

 

「・・・あの、治療は?」

 

リリルカ?治療薬は使って貰えるって

話だったわよね?

 

「リリルカの予想通り、朝までオアズケですね」

 

あぁ、そうか。直ぐに治療するなんて言ってま

せんよね。そもそも痛みの中で正しい呼吸を

しなきゃダメなんですもの。

 

・・・垂れ流さないだけマシなのかなぁ。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

ふむ。

 

毎日毎日耐久にボーナスが付いてくる

んだが、コレは命奪崩壊拳かねぇ?

確かにアレは虐待にしか見えんし、世界の

理を理解できて無かったから使わなかったが、

弟子から見たら甘やかしなんだろうなぁ。

 

多分今まで何を鍛えてたんだ?って

途方に暮れた後に殺ったに違いない。

大量の回復薬を持たせて良かった良かった。

 

それで、レヴィスのアホが18階層で

剣姫と凶狼と戦ったけど勝ちきれなくて、

これ以上街を壊すなって感じで弟子に

ロキファミリアごと散弾流星脚を

喰らったわけだな。

 

わざわざフィンがナァーザに手紙と

言う形で俺に情報を流したのは

レヴィスと俺の関係を疑ったか?

それとも散弾流星脚が弟子の仕業と

気付いたか・・・

 

ま、リリルカ達が帰ってくれば弟子は

自分達と居たって証言してくれるだ

ろうから、俺からは特に情報をやる

必要は無いな。

 

それにリリルカ達を鍛えることが出来て、

18階層に行けるということは、見た目は

人間と一緒。つまりはレヴィス側だな。

着替えを含め2着持たせたが、普段着的

なのも必要だろう。

青紅剣も持てるようだから持って行くと

して、あとは・・・飯か?

茶はもちろん、調味料も無いだろうから

持って行ってやるか。

 

後は地上に出るための手段だな。

神共の監視があるから正面からは出れん。

 

そうなると闇派閥の出入り口を一つ

潰すことになるが・・・まぁいいや。

それも直接会ってからの話だ。

 

とりあえず今はイシュタルと春姫と

タケミカヅチファミリアの話か?

 

『いや、アンタが良いなら良いけど、別に

勘違いさせたまま潰しても良かったんじゃ

ないかい?男は殺して女はウチの娼婦に

すれば万々歳じゃないか。

春姫だって勘違いでアンタとの仲を引き

裂こうとした連中には怒ってたし、反対は

しなかったよ?』

 

口でプンプン言うくらいには怒ってたが、

アレは春姫的にはマジ切れだったのか。

 

「イシュタルの言うこともわかるけどな、

今後極東で悪巧みしないとも限らん。

何も持たずにオラリオから来たヤツと

タケミカヅチからの紹介状をもったヤツ

なら、後者の方が印象は良いだろ?」

 

閉鎖的な空間なら尚更な。

 

『そんなの眷族を捕らえて無理矢理にでも

書かせりゃ良いじゃないか』

 

なんとも神様的な考え方ではあるが、わからんでもない。

今回の件はイシュタルからしてみても、連中が

自分の眷族にちょっかい出して来たようなモン

だからな。

敵対行動を取られた以上、潰せるときに

潰したいんだろうが今は余りよろしくない。

 

「奴らにしか理解出来ないような符丁で

警告されても困るだろ?それにその後で一切の

連絡が無いとなれば怪しまれる事になるしな」

 

定期的に仕送りしてるみたいだし。

それが途絶えたら怪しまれるだろうよ。

 

『なるほどねぇ。今すぐに何かする訳でも

ないが、将来の可能性を考えた仕込みかい。

確かに今の状況ならヤツらには大きな貸しだ。

黙ってても春姫の生存は伝わるだろうし、

紹介状だって進んで書くだろう。

・・・やっぱりアンタは怖いねぇ』

 

このくらいは当然だろうに。奇貨とまでは

言わんが伝手は残して置くものだぞ?

ソレが完全にコントロール出来るなら尚更な。

 

「そもそも怖さが無いヤツが、お前やカーリー

の興味を惹けるはずがないだろうに」

 

何をするかわからないって恐怖は

何が出てくるかわからないと言う未知。

ソレを許容できる神だからこそ俺に

興味をもつ。

反対にギリシャ神話の連中みたいに

許容することが出来ない連中は俺に

敵意を抱く。神の格が良くわかる話だ。

 

『そりゃそうだ。不変の神よりもアンタ

を見てる方が面白いし、随分と楽しませて

貰ってるよ!』

 

「充実してるようで何よりだ。だが前にも

言ったが、ココは娼館で俺は客だと思う

んだがなぁ」

 

普通なら俺を楽しませるのが仕事だろ?

 

『前にも言ったが、ココじゃ私がルールさ。

そもそもアンタだって楽しんでるじゃないか』

 

「そうか?」

 

楽しんでたか?

 

『何だ自覚してなかったのかい?ここで

悪巧みしてる時のアンタは凄く楽しそう

にしてるよ!』

 

あぁそう言うことか。

確かに悪巧みは楽しいからな。

 

「なるほどな。だがソレは娼館の本来の

楽しみ方では無いだろう?」

 

『楽しみ方の一つではあるけど、ウチ

じゃあ本命ではないねぇ』

 

「だろ?だからコレから本命を楽しませて

貰いたいんだが問題はあるか?」

 

『勿論無いね。お互いに楽しもうじゃないか!』

 

お前も楽しむつもりかよ。

 

まぁ楽しむならお互いに楽しんだ方が

面白いのも確かではある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、次は誰を巻き込もうかね?

 

 

 

 

 




弟子的に【刈り取るもの】とか
【F・O・E】でレベルアップしてる
ような感じです。

主人公くんは色々考えているようだってお話


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54話

勇者さん地上へ。

オリ設定!
オリ展開!

今日も常識が火を吹くぜ!

嫌いな人は読み飛ばし!


『なるほどそんで早々に撤収してきたか。

それからガネーシャやヘルメスに証拠隠滅

される前にギルドへの報告しとく、と?』

 

「そうだね。「自分たちは無関係」とか

「ただの被害者だ」と言われてもこの

状況じゃ通らないだろう」

 

あの緑色の宝玉を狙った調教師や

こちらを含めた全員に攻撃を

仕掛けてきた謎の敵だって居る。

 

両者共に少なくともレベル5以上は確定だ。

こんな状況じゃ到達階層の更新の為の

遠征なんて出来やしないよ。

 

『せやな。正体不明の敵がおるなら、最低でも

どんなヤツか知らな遠征なんて出来んよな』

 

「そうだね。帰り際に奇襲でも受けたら

レベルが低い第2陣は全滅する可能性

すらあるし、分散したら各個撃破される

可能性もある」

 

それ以上に行きも帰りもずっと

奇襲を警戒しないと行けないから、

主要メンバーの集中力が持たない。

 

『ダンジョンの中だけやなく外も随分と

荒れとるしな。下手に戦力を動かせば

それだけで警戒されてまうで』

 

街中に潜んでいる新種が思ったより

多かったようだね。

コレも問題ではあるけど、今後の事を

考えれば今の段階で引っ張り出せたのは

僥倖とも言える。

 

「ディオニュソスは何か知ってたかい?」

 

ただ、ガネーシャやヘルメスとギルドが

繋がってる可能性を考えれば僕たちに

協力を呼びかけてきたディオニュソスも

十分に怪しい存在だ。

 

『いんや、アレはただ新種の数に驚いてただけみたいやな』

 

驚いていた、か。新種自体は何かしらの

心当たりがあるようだね。

 

僕たちがどれだけ単純に遠征していたか

良くわかるよ。

謎の敵にしてみたら僕たちがダンジョンに

潜ってる間は地上で好き放題出来たって

ことだからね。・・・舐められたモノだ。

 

「フレイヤとは連絡が取れたかい?」

 

あとは彼女たちだよね。僕たちほど遠征に

興味がなかった彼女たちなら都市の動きに

関して、僕たち以上の情報があっても何ら

おかしくはない。

それにフレイヤファミリアに地上を

任せて、僕たちがダンジョンに潜ると

いう役割分担もできる。

 

『ダメやな。アレンが戻ってくるまでは面会謝絶らしい』

 

「アレンが戻るまで?」

 

彼の依頼で深層に戻ったアレンが何かしらの

情報を持ってくると確信してる?

なら僕たちもティオネとティオナの帰還で

情報が手に入る可能性もあるか・・・

 

「ティオネとティオナの恩恵は消えてないんだよね?」

 

一時期消えかけたとかで大騒ぎだったらしいからね。

 

『今は大丈夫やな・・・なんであの時

消えかけたんかわからんけど、今は

特に問題ない。二人は間違いなく無事や』

 

恩恵が消えたとなれば死んだって判断する

んだろうけど、消えかけると言うのが

わからない・・・死にかけたとか?

 

けどそれなら僕たちだって何度も死ぬような

目にはあってるけどそんなことは無かった

よね?ダンジョン内で恩恵が届かないような

場所があるとか?それとも誤作動があるのか。

 

簡単に流して良いようなことでも無いような

気もするけど、それも帰って来てからだ。

 

予定は10日だったけど、一体どんな成長して

帰ってくるのか楽しみだね

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「情熱も思想も理念も頭脳も気品も優雅さも

勤勉さも、何もかも不要。

そんなモノは今のアナタ方に必要ありません。

必要なのは速さです。

考える前に感じなさい。感じたら動きなさい」

 

「「「「ハイっ!」」」」

 

「どんな攻撃でも当たらなければどうという

ことはありません。態々見えやすいように

単純な技撃軌道を見せているのです。

それに反応できなくてどうしますか。

次は足を砕きます、しっかり捌きなさい」

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ま、まさかこんなに茶器をもらえるなんて・・・』

 

まさか練習用の茶器までもらえる

なんて思わなかったわ。

それも不壊属性付きを5セットも!

 

恐るべし無双農家!

 

「・・・さすがの私にも練習用と

贈答用の違いはわかります。

コレが美術品なのですね!」

 

そうよオッタル!底に【不壊属性】と

書いてるのが練習用で、何も書いて

ないのが本番用よ!

 

彼は常々、美術品は壊れるからこそ美が宿る。

壊れないのは工芸品と言っているらしい

けど、それも納得だわ!

モノの完成度と儚さが違うもの!

まるで別人が作ったかのような違いよ!

 

ただ……

 

『問題は練習用をもらってもコレの

作法を知るアレンが居ないことよね』

 

アレンが言うにはお茶を淹れる作法は

ともかく、純粋に飲むだけでも作法が

必要なのよね。

 

確かにアレンの立ち振る舞いには品格があったわ。

 

まぁ最低限の作法さえ守ればあとは

自分なりに崩して飲んでも個性として

受け入れられるらしいけど、

その最低限の作法が問題よ。

 

「・・・無双農家に頼みますか?」

 

『悩みどころよね。せっかく茶器が

あるんですもの。きちんとした作法を

学んでから接触したいというのもあるわ』

 

迎えるにも最低限の礼節が必要よね?

 

いや、まぁ私は神なんだから良いと言えば

いいのだけど、こうして自分が成長できる

なんて思ってなかったから、こういった場合

どうすれば良いのかわからないわ。

 

だけどコレも下界の楽しみ方の一つよね!

 

(困ってるフレイヤ様・・・尊いっ!)

 

かといってアレンが戻るまでこのままに

するのは惜しい。

とは言っても作法も知らずにお客さんを

招くのも・・・

 

『あ、そうだわ。イシュタルから

繚藍を借りれないかしら?』

 

それかこっちから行けば良いのよね?

 

「あぁ、アレンもヤツが居ない時は繚藍に

作法を教わっているとか言ってましたね」

 

そうよ。

いくら彼の指示とは言え、あの女嫌いの

アレンが素直にモノを教わる事を厭わないと

判断する程度には腕があると言うこと。

 

それに繚藍なら彼とは違って私の眷族も

警戒してないし、アレンが世話になってる

ことも知っているはず。

 

さらに私の眷族たちだって、私の神友である

イシュタルの眷族に無礼はしないわよね?

 

誰を使者に立てようかしら。さすがに

オッタルはまだダメよね。

 

最強の冒険者に品格が無いなんて言われたら困るもの。

 

そうなれば・・・ヘディンかしら?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「まったく、何を考えてるんですか!」

 

いくら私が良妻で有名な春姫だって、今回の騒動にはさすがにプンスカですよ!

 

「す、すみません春姫殿」

 

スミマセンでは済みません!

 

「イシュタル様だって最初から春姫に

聞きに来いって言ってたじゃないですか!」

 

「はい・・・」

 

「そりゃ先生の専属娼婦をしている私に、

殿方のタケミカヅチ様や桜花様が

面会するのはダメに決まってるでしょう?

噂が立つだけでも春姫が他の殿方の

お相手をしたって言われるんですから!」

 

なんだかんだで娼婦ですからね。

お金を積まれたとか、知り合いだからって

理由でお相手をしたなんて言われたら

困ります!

してないなんて証拠は無くて、殿方と

会ったという証拠だけが残るんですからね!

 

「しかしミアハ様も・・・」

 

「ミアハ様は頭がおかしいんです!

先生が言うには、どこかで頭をカチ

割られたんじゃないかって言って

ましたけど、まさしくその通りです!」

 

「は、はぁ」

 

納得してませんね?

神様にもバカは居るんですよ!

 

「あのですね、ミアハ様は自分たちで

商売をしていながら、その商品を無料で

配って歩くおバカさんですよ?医療系

ファミリアの会合がある度にナァーザ様

の目が死んでるのがわかりませんか?

そんな神様の言うことを信じてどうするん

ですか?命様も騙されますよ?!」

 

春姫みたいに先生に出会えて幸せに

なれる可能性なんて無いんですよ!

もう少し世間を知ってください!

 

「・・・本当に申し訳ございません」

 

「大体普通に買い物してるんですから

その時に話しかければ済む話でしょう!

娼婦さんを差別して命様や千草様が

イシュタルファミリアに来ないのも

問題ですが、一体何をどう勘違いしたら

春姫が先生に脅されて虐待を受けてる

ことになるんですか!」

 

そんな噂をバラまくなんてありえません!

 

「いや、差別は・・・」

 

「してるでしょう!言い訳はダメですよ!」

 

プンスカです!イシュタルファミリアの

皆さんが彼らを纏めて捕まえてオラリオ

からたたき出そうとしたのを許してくれた

先生に対してシツレイです!

 

「一歩間違えたら袋詰めにされてチンっ

されてたんですから、今後はおかしな

ことはしないで普通に冒険者して下さい!」

 

「袋詰めにされてチンって・・・」

 

疑ってますね?先生におかしなことを

しようとして弟子のリリルカさんや

ナァーザさん。それに春姫を狙った

暴漢が袋詰めにされて運ばれていくのを

見たことが無いのでしょうか?

 

「命様、良いですか?お金がないなら

お貸ししますし、困ったことがあったら

聞きますから、今後は溜め込まないで

相談に来てください」

 

溜め込んだ結果変な方向に進まれても

困りますし、なんでもタケミカヅチ様

たちは利用価値があるらしいですからね!

先生のためにも頑張りますよ!

 

「あ、ありがとうございます。

今後はご迷惑をおかけしないよう、

しっかりと考えて行動させて頂きます!」

 

「そうしてくださいな。ただ、春姫は

命様に頼られても迷惑とは思いません。

ですから相談は気楽にして欲しいですね」

 

報告・連絡・相談は大事!

勝手な事をされるのが迷惑なのです!

 

「ハイっ!わかりました!」

 

「良いお返事です!では早速、命様の

困ったことを解消しましょう!」

 

「は?え?」

 

自覚が無いのが一番の問題ですね!

 

「良いですか命様、その格好は

痴女がするものです」

 

「・・・え?」

 

「そんな足を出して、下帯が見えるか

どうかが当たり前な装備がありますか!

殿方を誘ってるならまだしも、いえ、

普段着でそのような格好をしている

ようでは路上の娼婦さんと同じです!

それともお金がなくて誰かに買って

もらいたいのですか?」

 

「い、いえ!そんなことはありません!」

 

「それなら、ちゃんと隠すなり何なりす

べきです!それにダンジョン舐めてます?

ダンジョンじゃなくたって小さな傷から

毒が入ることだってあるんですよ!」

 

「・・・」

 

「きちんとした【ずぼん】型の

装備だってあるんですから、まずは

そちらを買いましょう!

布を一反とかは無いので完成品に

なりますが、最初は命様の分です!

料金を確認したら、着替えの分と

千草様の分も払いますから

必ず買い揃えてくださいよ!」

 

「はいっ!」

 

「まったく、そんな格好して歩いていたら

極東の人間がただの変態だと思われる

ではありませんか!

仕送りで大変かもしれませんが、ソレ

だって自分がきちんとしてからです!

タケミカヅチ様も桜花様も何を考えて

るのでしょう?!目の保養と思われてる

かもしれないんですよ?

これだから先生以外の殿方はダメダメ

なんです。

・・・まさか動きを阻害するから下帯

丸出しで良いなんて言いませんよね?」

 

「い、言いませんよ!私だって恥は

知ってるつもりです!お金がなかったから

衣類に関してはなかなか言い出せなかった

だけなんです!」

 

「ほんとうでゴザルか~?」

 

いつしかソレが当たり前になって

たんじゃ無いですかねぇ?

 

「ほ、本当です!一応黒装束もあり

ますけど何故か、側面が網状になってて

どうしようか悩んだくらいですよ!」

 

なんで側面を網状にする必要が

あるんでしょうねぇ?

 

まぁ命様はタケミカヅチ様を好いて

いますから、多少の露出は覚悟の

上なのでしょうけど、今この場で

そのようなふしだらな格好をする

理由にはなりません!

 

「命様たちのお財布事情はわかりました。

だけど衣食足りて礼節を知るという

言葉もありますので。

普段着くらいはきちんとして下さい」

 

「・・・はい」

 

「よろしい!」

 

ただレベルに合わない装備は他の

方々に狙われることになりますから、

レベル2か3相当の防具にした方が良い

でしょう。

それ以上は自分で稼いで買えますよね。

 

中層だとサラマンダーウールを使った

ローブがありますけど、ずぼんに

するにはゴワゴワしてます。

 

素材や命様との相性を見るなら

スカルシープの皮を使った装備品が

一番なんですけど・・・コレだと最低

でもレベル3か4相当になっちゃうん

ですよねぇ。

 

ん~けど最近何故か37階層前後の

魔物のドロップアイテムが増えてる

とか言ってましたから、少し奮発したと

思って買えば良いのでしょうか?

 

去年くらいだと25階層とか水系が

多かったんですが、どこかのファミリアが

重点的にレベルアップや素材稼ぎでも

してるのでしょうかね?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さてスパルトイとか言いましたか。

武器をもって生まれる割には未熟で

わかりやすいモンスターですね。

 

まず最初は動きを見なさい、

そして技撃軌道を見極めたら反撃です。

見極めが終わる前に反撃をしたら、

壁を散弾としてぶち込みますので

誤魔化しはしないように。

 

倒すことが目的ではなく、意を読む

ことが目的であることを忘れずに」

 

「「「「はいっ!」」」」

 

「それと骨羊は空気の動きを読みなさい。

姿や形が見えなくとも動けば空気が

揺れます。

コレは骨羊に限りませんが・・・まぁ

目に頼らない良い練習になるでしょう。

コレは意を読んだり反射で攻撃を

したら壁をぶち込みます。

あくまで空気の揺れを感じる訓練ですから。

 

あぁそれと針蜥蜴ですが、師の毒消しは

アレの毒も無効化できるようですので、

避けずにきちんと喰らいなさい。

熱病と寒気と吐血に襲われますが、

毒を受けた状態での戦闘の経験も

必要でしょうからね」

 

「「「「・・・はい」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはやココはいろんな種類の魔物がいて

基礎技術の習熟には困りませんよね。

強化種も作れるし階層主も居ます。

ジャガーノートも好きなだけ量産できるし、

何故誰もココを使って修練しないのでしょうか?」

 

「「「「(できないんですよ!)」」」」




ロキファミリア、遠征にストップの予感?

ファッションと恥じらいは違うと思う。
命さんを弟子や白っ子が見たら確実に醜態扱いってお話

修行がんばるの巻



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55話

微妙に話は進んでる

オリ設定!
オリ展開!


嫌いな人は読み飛ばし


「は?24階層の探索?」

 

「うん。お金は払うから出来たら

個人で受けて欲しいって」

 

いや、なんだソレ?普段のアイズなら

24階層くらいなら無断で行ってたかも

しれないけど・・・

今は調教師や謎の敵も居るから、

忙しくても行動の前に報告や相談は

絶対にするようにって言って

おいて正解だった。

 

しかもお金?アイズの借金のことを

知ってるとなるとゴブニュかギルドだろ?

ゴブニュが鍛冶に関係ない依頼なんかする

とは思えないからギルドで決まりだな。

 

「どんなヤツだった?」

 

恐らく何らかの方法で姿は誤認させて

いるだろうけど、ヒントくらいは欲しい。

 

「んと、わからない。影みたいな

感じだった」

 

「・・・そうか」

 

やはりそうか。もともとアイズは他人の

特徴なんか気にしない人間だし、影みたい

だったと言う印象を持ってるだけマシ、か。

 

「それでどうしよう?レイピアのお金は

ファミリアで払ってくれるって言って

くれたけど、補填は出来るならした方が

良いよね?」

 

おぉ、アイズが気遣ってるよ!

 

「確かにそれはそうなんだけど、今回は

相手が余りにも怪しすぎる。

そもそも個人で受けた場合だけど、

アイズは探索能力が高いわけじゃない」

 

「・・・うん」

 

己の力不足を認識してるのはいいことだ。

ただ、この場合は戦闘要員と探索要員の

違いだから、必要以上に気にする必要は

無いんだけど。

 

「その影みたいなのには、ただ24階層

に行けって言われたのかい?」

 

「えっと、確か18階層にあるお店で

協力者と合流するんだって」

 

「18階層?」

 

問題があったばかりの場所じゃないか。

ギルドには報告を上げたから、依頼人が

ギルド関係者なら協力者はガネーシャか

ヘルメスファミリアだな。

 

さて、ならばアイズ個人である理由は?

ロキファミリアを嵌める為?

強者が多いと何かが起きない?

それともアイズの生まれに関係する

何かがある?

もしくは単純に扱いやすい強者と

いうことでアイズを選んだか?

 

どれにしても結局は先日の戦いで

レイピアを破損したアイズに借金が

あることを理解した上で、金を餌にして

釣るやり口だ・・・気に食わないな。

 

「とりあえずその依頼は受けよう」

 

「・・・良いの?」

 

「うん。お金もそうだけど、そいつの

狙いがわからないからね。

あえて話に乗って情報を引き出そう」

 

「うん、わかった。それで、私は何を

すれば良いかな?」

 

や、役割までしっかり考えてる!

親離れした子供の成長はこんなにも

早いものなのかっ!

 

「とりあえず協力者との情報交換だね。

知ってることを話せるだけ話せって

感じで聞いてくれればいい」

 

「うっ・・・がんばる」

 

自信なさげだね。元々興味がないこと

を覚えるのが苦手な子だからなぁ

 

「できるだけ覚えてくれればいい。

とりあえずは一度喋ったと言う事実が

有れば、次回から情報を引き出しやすく

なるからね」

 

「そ、そうなんだ。わかった」

 

あからさまにホッとしてる。

これくらいわかりやすい方が相手も

情報を話しやすいかもしれないな。

 

「僕たちは監視されてる可能性が

高いから一緒には行けない。

もしも調教師が居た場合は下手に

戦わずに退くようにしてくれ」

 

「うん」

 

「一応退けない状況になった時の為に

君が出てから半日後くらいにべートと

ラウルとアキを派遣しよう。

協力者には何も無ければ言う必要は無い。

だけど、もし何かあったときは時間を稼げば

援軍が来ると伝えてくれれば良い」

 

そうすれば象神の杖や万能者なら

無理な戦闘より時間稼ぎに専念

するだろうからね。

 

「わかった」

 

「もしかしたら日程的にティオネや

ティオナも帰還してくるかも

しれないから、出発は少し遅らせて

明日のお昼頃にしておこうか」

 

帰還途中で会えれば、これ以上ない

援軍になる。

疲れてるだろうけどそれでもあの

二人ならサポートには十分だ。

一応回復薬を多めに持たせようかな。

 

疲労回復の効果があるポーション

とかあったっけ?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「縄を振り回すというのは、腕全体を使う

のではなく、手首より先を活用するのです。

最初は短めの方が良いでしょう。

体全体から、次に腕だけ、次いで手首より

先で操作します」

 

「「はいっ!」」

 

「打撃武器として使う場合は鞭のように

使うと良いでしょう。コレと良く似た

使い方をする武器に、九節鞭と呼ばれる

武器がありますがその使用法が応用

できます」

 

見えません、リリにはあの太くて長い

縄が消えたようにしか見えませんよ!

 

「もともと鞭はレベルによって強化されて

いない者が使っても音の壁を超える武器。

貴女方のように恩恵により強化されて

いるなら手首の返しだけでも十分な

破壊力となります。・・・このように」

 

「「グフッ!!」」

 

おおぅ、見事に折れないように加減

してます!

・・・アレってどうやったら

加減ができるんですかねぇ?

 

「重視すべきは引手。当たったから

避けられたからと一喜一憂するのでは

なく、常に次の動作を考えなさい」

 

「「は、ハイッ!」」

 

なるほど、連撃ですね。わかります。

 

「主に狙うのは末端部分、手や足です。

これだけ長くて重いなら右で頭を狙い

左で防いだ腕を狙うなども出来ますが、

それすら囮の軌道を作り下段を狙う

のもアリですね・・・このように」

 

「「ウグゥ!!」」

 

あ、ボキッていった。確実に

折れましたね。

 

「また防御に使った腕を絡めとり

引きずり寄せて、ガラ空きになった

ところに蹴りを叩き込むのも良い

ですね。・・・具体的にはこうっ!」

 

「「たわばっ!」」

 

うわぁ・・・引きずり寄せられて

からの無防備なところに回し蹴りですか。

体術もアイシャさん以上です。

 

「お、そうです。被害を軽減するため

に飛ぶのは間違ってません」

 

いや、吹っ飛んだだけですよね?

 

「ただ我々は力を逃がさぬように叩き

つける殺り方をしてますので、

後ろに飛んでも衝撃はなくなりません。

この武器を相手に間合いを取ることが

どれだけ危険か教えてあげましょう」

 

・・・十分わかってると思いますよ?

 

「足の骨が折れてるようですが、

その程度なら筋肉で支えられます。

呼吸を意識して前を向きなさい。

魔物は私のように待ってくれません」

 

まぁそうなんですが・・・

折れてるんじゃなく折ったん

ですよね?

 

「「アベシッ!!」」

 

これ最初に殺られたリリが良いのか、

最後に殺られるアレンさんが良いのか

わかりませんね。

 

ただコレでもしっかり順を追って解説

してくれる分、テルスキュラよりマシ

なんだとか・・・リリは温い環境に

居たんですかねぇ?

 

「ふむ、褐色姉妹は終わりですか。

さぁ猫耳、次は貴方です。

姉妹は槍に対する縄の使い方を

良く見ておくように」

 

「「はぃ・・・」」

 

「う、うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

あ、ソレはダメなやつですよ

 

「叫ぶ暇があったら殴りなさい」

 

「ヒデブッ!!」

 

いや、叫ばないとヤってられないのは

わかりますけど。

なまじアレンさんのレベルが高い分

威力マシマシです。

やっぱりリリや二人には相当手加減

してたんですねぇ・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『信じられないよ!ベル君がどこの誰

ともわからない女の子をサポーターに

したってのは聞いてたけど!』

 

そんなぽっと出に構って、僕を放置して

一緒にご飯に行くなんて・・・そんなの

ありえないじゃないか!

 

『あぁ、ならず者に絡まれてたところを

助けたとか?名前はエマだったか?』

 

『知ってるのかいミアハ?!』

 

まさか隠してたのかい?!

 

『うむ。ベルとは良く会うからな。

ポーションをやったが、その時隣に

見慣れない少女が居たんで聞いてみた。

なんでも行方不明の姉を探しに

オラリオに来たとか言っていたな』

 

『む、むぅ。ミアハが確かめたなら本当か』

 

悪いヤツではないんだろうけど!

お互い新人で気兼ねなく

付き合えるんだろうけど!

 

確かにソロは危険だからパーティー

を組んだらどうだ?ってギルドでも

言われてたらしいけど!

ベルくんの安全が増すならソレが

一番良いんだけど!!

 

『ベルとていつまでもソロと

いうわけにも行くまい。

今のうちに信用のできる人間と

組むのは悪いことじゃないぞ』

 

『・・・そうなんだけどさ』

 

確かに彼はモテたいとか言ってるから

男よりは女の子を選びたくなるん

だろうけど、そういうのはまだ

早いんじゃないかな?

そもそも女の子なら目の前に

居るじゃないか?!

僕になにか不満でもあるのかい?!』

 

『不満というか、お前は別にベルと

交際しているわけでもあるまい。

嫉妬や拘束するのはお門違いだぞ』

 

『ぐっ!』

 

その通りではあるんだけど、

 

『そ、ソレはそうなんだけど、たった

一人の眷族が大事なのはミアハだって

わかるだろ?!』

 

君にだってナァーザ君しか居ないんだし!

 

『当たり前だ!』

 

『おぉう!?』

 

な、なんだい?急に怒り出した?!

 

『今だってあの農家のせいでナァーザが

どんな辛い目にあっているのか思うと

腸が煮えくり返りそうだ・・・』

 

え?

 

『な、ナァーザ君に何かあったのかい?』

 

ベル君が言うには最近疲れてるみたいで

ポーションの調合もしてないみたいだけど

 

『無双農家に脅されてるんだよ・・・

それもこれも私が未熟なせいで』

 

『む、無双農家君と言えば

ヘファイストスが最近研究している

壺を造ってる冒険者だよね?』

 

フレイヤがもって来た壺だろ?

【保温】とか言う珍しい機能が付い

ててずっと研究してるもんね。

 

冒険者が探索の時に暖かいご飯を

食べれるようになるとか、装備品に

使えたら寒さで凍え死ぬ子供たちも

減るかもって言ってたよ。

 

『そうか、ヤツはヘファイストスまで

取り込みに来たか・・・』

 

『と、取り込み?』

 

どっちかって言うとヘファイストスが

彼を取り込もうとしてるような気が

するんだけど・・・

 

『ヤツはイシュタルやカーリーと言った

裏の連中と繋がりが有る冒険者でな。

リリルカと言う心優しい少女を騙して

ナァーザに近付き、金がないと言う

弱みを握って脅迫している卑怯者だ』

 

『な、何だって?!』

 

そ、そんな危険なヤツが?!

 

『タケミカヅチの知り合いもヤツの

罠に嵌ってイシュタルファミリアで

ヤツ専属の娼婦をさせられている』

 

『た、タケの知り合いが?!』

 

そ、そういえば少し前に悲痛な顔して

アマゾネスに頭を下げてたけど・・・

 

『イシュタルファミリアとは規模が

違いすぎる。最終的には泣き寝入りさ』

 

『そ、そんな。農家君はイシュタル

ファミリアの冒険者なのかい?』

 

農家で壺を作ってるって言うから、

デメテルの所とかでのんびりしてる

イメージがあったのに!

 

『いや、奴はオラリオの外に居る神の

眷族だ。イシュタルの天界での知り合い

らしいが、詳しいことはわからん』

 

『なるほど、それでイシュタルと仲が

良いんだね?』

 

ベル君の為にへフェイストスが借金で剣を

造ってくれたのだって、最終的には

僕の眷族だったからだし。

天界での付き合いは馬鹿にならないよね

 

『そういうことだ。奴は外から来たとき

から高レベルだったが、イシュタルの

権勢を知ってアイツのところに入り浸り

始めたのさ。そして弟子の教育と称して

子供を虐待し、娼婦を買って連日弄び、

それに意見したナァーザをダンジョンに

連れ込んで・・・』

 

『そ、そんな!』

 

『当時のナァーザはある事情でダンジョン

に行ったりモンスターを相手にすると

発作が起きる状態でな。

そんなナァーザをダンジョンに連れて行き

帰ってきたあの子は何十万ヴァリスもの

金を貰って帰ってきたよ・・・』

 

『それって・・・』

 

どう考えてもまともなお金じゃ・・・

 

『私を不安にさせない為だろうな、

リリルカにとても良くしてもらって

お金も沢山貰えたと笑顔で報告

してくれたさ』

 

『・・・嘘はなかったのかい?』

 

『あぁ、本当にリリルカは良くして

くれたんだろう。だがダンジョンに

潜れば発作が起きるナァーザを下層まで

連れて行き、三日戻らず、帰ってきたら

金をもらっていて、さらに器用さだけが

大幅にアップしてたんだぞ?』

 

『三日・・・それに器用さだけ?』

 

まさか・・・いや、ありえない。そんなこと

ヒトとしてありえないだろう?

 

『男が抵抗できない女を連れ込んでする

ことなんか・・・決まってるだろ?』

 

『まさか?!』

 

本当にそうなのかい?!

 

『ぎ、ギルドには?』

 

『証拠がないし、ナァーザも認めた

ことかもしれないんだ。

当時は本当に金が無かったからな。

それで金を返せなんて言われたら

彼女の覚悟が無駄になっていたっ!!』

 

そ、そうか。ナァーザ君が必死で稼いだ

お金を、その心意気を無にするわけには

いかなかったのか!

 

『・・・だけど今ならお金もあるんだろ?

ナァーザ君だって言う事を聞く必要

なんか無いじゃないか』

 

一時的にはそのお金が必要だったかも

知れないけど、今はそんなこと・・・

 

『・・・我が店の金庫のカギはヤツが

持っているんだよ』

 

『なんでさ!』

 

おかしいじゃないか!ナァーザ君が稼いだ

お金をなんで他所の子供が?!

 

『わからん、だがその所為で我々は

ディアンケヒトに借金を返すことも

出来ず、子供たちへの支援もまともに

出来ないんだ!』

 

弱みを握ってお金を自由に使わせない

なんて、まるで・・・

 

『ヤツはナァーザを逃がすつもり

が無いのだろう。

医療系ファミリアの会合の帰りは

いつも疲れて倒れそうになってるよ』

 

『そ、それは何故?』

 

『ディアンケヒトファミリアのアミッド

に相当嫌味を言われているらしい。

私が子供たちに無料でポーションを

配るのも辞めさせようとしているしな』

 

そんなことされたらベル君みたいな

駆け出しの冒険者がみんな困るよ!

 

『な、何とか出来ないのかい?』

 

『ディアンケヒトの言い分は借金も

返さないくせに・・・と言うのから

始まるものだ。だから金庫のカギを

入手して借金を返済すれば、ヤツは

文句を言えん』

 

・・・そのためには無双農家君を

なんとかしなきゃいけないのか。

だけどイシュタルファミリアは大き

過ぎる。

 

『僕に何が出来るかわからないけど、

とりあえずヘファイストスには注意喚起

しておくよ!』

 

珍しい装備とかを盾にして椿君や

他の女性団員を狙ってくるかも

知れないからね!

 

『あぁソレは助かる。だが下手に動けば

お前も目を付けられるかもしれん。

ヘファイストスには注意喚起だけに

しておけ』

 

・・・確かに、僕が目を付けられれば

ベル君がどんな目に遭うかわからない

 

『ゴメンよミアハ。君には世話に

なってるのに、僕は何も返せない!』

 

情けない!神友が困ってるのに何も

出来ない自分が情けないよ!

 

『ふ、その気持ちだけで十分だ。

ベルが強者となって余裕が出来た時、

ナァーザも支えてやってくれ』

 

ミアハ・・・君は本当に神格者だよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『無双農家君、弱者を虐げる君を僕たちは

決して認めやしない!今は無理でも、必ず

ナァーザ君に笑顔を取り戻して見せる!』




フェルズ、怪しさ満点の為、
単純な剣姫さんにすら信用されず。

まぁ当たり前ですね。

ミアハは嘘は言っていない・・・よね?ってお話



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56話

修行も大詰め。
まぁ原作の白兎よりは
数百倍辛い修行ですわな。

ミアハの人気に作者も驚き!

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


何だかんだでぶちのめされて転がる

のにも馴れてきましたねー。

倒れてる自分を客観的に認識してます。

コレが歪まない自分ですかね?

 

「さてアナタ方の修行を開始して三日経ち

ましたが、問題が発生しつつあります」

 

「「「「問題ですか?」」」」

 

問題が発生しつつある?遠回しな

言い方ですけど何でしょう?

 

「まず一つ目、ジャガーノートが

10匹目以降強化されません」

 

「「「「・・・」」」」

 

ソレは何と言いますか、アレですよね?

多分この階層の免疫力が筆頭様への

抵抗を諦めたんですよね?

 

だって15匹目とか明らかに腰が引けて

ましたから。

最初は格好良く登場するのに、筆頭様

見たら「え?マジ?!」って感じで

勢いが落ちるんですよ。

以前ロキファミリアを見てミノタウロスが

逃げたのも、多分あんな感じだったんじゃ

無いですかね?

 

アレを見て筆頭様は、他はどうか不明

だけど、すくなくとも10匹目以降の

ジャガーノートは情報を共有していると

仮説を立ててました。

 

大発見だと思いますが、短期間限定なのか

どうかの確認もあるのでもう少し検体が

必要だって話でしたね。

 

「40階層のジャガーノートは大体

ココの5匹目と互角程度でしたので、

強さの基準は階層主の強さに

準ずるのかもしれません」

 

「「「「なるほど」」」」

 

えっと、何が問題なのでしょう?

 

「ふむ、リリルカは何が問題か

分かってませんね?」

 

「ハイっ!すみません!!」

 

いや、何が問題なんでしょう?

 

「師へのお土産の価値が減ります。

40階層以下のジャガーノートを

相手する場合、私一人ではそれほどの

数を殺れませんし、そもそも私が

一人で殺りすぎると師が実証する時の

妨げになります」

 

「な、なるほど。確かに先生も確認

しないと駄目ですよね!」

 

その通りかもしれませんが、悩み事が

想像の斜め上過ぎますよ!

 

「その通りです、師は自分で確認する

事に喜びを見出すヒトですからね」

 

流石筆頭様。先生の趣味嗜好をしっかり

理解してますね

 

「師を理解しなくては弟子は務まりません」

 

ごもっともです。

 

「次の問題は時間です」

 

「「「「時間?」」」」

 

「アナタ方が無様に崩壊していた間にも

時間は流れているのですよ?

そもそも4人の探索予定期間は何日

でしたか?」

 

なるほど・・・確かにそうです。

 

「そういえば予定は10日でした。

だけど少しくらい長引いても・・・」

 

ココに来るのに二日、崩壊から

回復するのに三日。鍛錬で三日。

今日訓練したとして、明日の朝に

出発したらギリギリ10日目の夜

に地上ですか・・・

 

ティオネさん的には成長を実感

出来てるみたいですからね。

少しでも鍛えて欲しいのでしょう

 

「褐姉。時間を守れない将兵はどれだけ

強くても信用などされませんし、信用

出来ません。それは女性も同じですよ」

 

「はっ!」

 

うん。その通りですよね。昔は約束の時間に

なっても現れないような、自分にだらしない

冒険者はいくらでもいましたよ。

そういう奴に限って偉そうな無能なんです。

 

先生は絶対に約束の時間は守りますよ。

 

「そんなわけで本来であればアナタ方は

今日訓練を受けて明日の朝に帰還と

言うのが妥当なのですが、ここに問題が

あります」

 

「・・・未熟過ぎると言う事でしょうか?」

 

他の三人よりは多少は上ですけど、筆頭様から

見たら同じ未熟者でしかありませんからね。

 

「それもありますが、そもそもリリルカは

師より「深層に行って階層主と戦って来い」

と言われたのでしょう?」

 

「あ、そうでした!」

 

そうでした!筆頭様に会う会わないではなく

そもそもの指示はソレでした!

 

「今から49階層の一つ目と戦いに

行っても、帰りが間に合いません」

 

「・・・確かにそうですね」

 

このままでは連帯責任されてしまいます!

 

「そこで解決策を考えました。アナタ方は

今日40階層でジャガーノートと戦って

もらいます」

 

「「「「あぁ・・・」」」」

 

大体階層主と同じくらいですもんねー。

37階層のジャガーノートはもう我々の

手には負えませんから、40階層かぁ。

 

アレンさんの試練にもなりますよねー。

 

「打倒したら帰還し、その途中で双頭竜と

戦って帰れば「深層に行って階層主と戦う」

と言う師の命令を果たすことが出来ます。」

 

「な、何と言うか頓智じみてますけど

大丈夫なんでしょうか?」

 

誤魔化すなぁ!とか言われませんかね?

 

「問題ありません。師は深層へ行って、

階層主と戦えと言ったのでしょう?

このくらいは臨機応変と言うのです」

 

「ひ、卑怯とか言われませんかね?」

 

「師がそんなこと言うはずがないでしょう。

あの方にとって卑怯は誉め言葉です」

 

「そ、そうなんですか?」

 

苦笑いはするかも知れませんが

誉め言葉だったんですねぇ。

 

「曖昧な指示と言うのは受けた者に

最大限の忖度が許されるものです。

そもそも戦いに卑怯などありません」

 

「な、なるほど」

 

「アナタ方の中で何が卑怯に該当する

のかは知りませんが、例えば階層主相手に

多人数で襲いかかるのは良いのでしょう?

ならば多対一は卑怯ではないという

ことになりますね」

 

そうなるん・・・ですか?

 

「罠を張ることもあるでしょう。

陽動で相手を釣ることもあるでしょう。

魔法だって魔物にしたら卑怯と言える

かもしれません」

 

それは・・・そうですね。

 

「アナタ方は魔物に魔法なんて卑怯だ!

と言われて自粛しますか?

むしろ喜々として打つでしょう?

毒を使う魔物に卑怯だ!と叫びますか?

毒消し持って挑むでしょう?」

 

「「「「そうですね」」」」

 

まぁ魔物から卑怯だ!って言われたことは

ありませんけど、断末魔がソレだったと

しても止めることはないでしょうね。

毒を持ってる敵にもその通りで

対策して挑みます。対策しなくて

死ぬならソレは冒険者が阿呆なだけ。

 

「即ち相手に対して卑怯と叫ぶのは

未熟者の言い訳であり、同時に自分の

未熟を突いた相手に対する賛辞です」

 

「「「「なるほどなー」」」」

 

「もし自分が卑怯と思うような手を

使いたくないと言うのなら、それなりの

力を身に付けなさい。

少なくとも私の未熟な命奪崩壊拳を

受けて二日も三日も崩壊するよう

では話になりません」

 

「「「「・・・」」」」

 

命奪崩壊拳に未熟とかあるんですか?

 

「話を戻しましょう。故に師は自分の

指示を多少曲解して実行したとしても、

その機転を褒めることはあっても

怒ることはありません」

 

なるほど。

 

「そう言う訳で、回復したらさっさと

40階層に行きます。

ジャガーノートの倒し方は既に何度も

見せてますね?猫耳を主力に殺しなさい。

アナタ方が殺ったジャガーノートの

ドロップアイテムは主神への土産にすると

良いでしょう。

もし、万が一、億が一でも負けたら私が

殺ります。良いですね?」

 

「「「「はいっ!」」」」

 

どっちを殺るのかはわかりませんが、

絶対に碌な目に遭いません!!

もとから負けて良い戦いなんてありません

けど、今回は特にヤバいですよ!

 

「では行きますか。壁は私が壊すので

アナタ方は準備を怠らないように」

 

「「「「ハイッ!

よろしくお願いします!」」」」

 

そもそも一人で簡単にジャガーノートが

出てくるほどダンジョンを大規模に破壊

出来るのがおかしいんですけど・・・

筆頭様だからシカタナイネ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「先生、そろそろ力づくでミアハ様を

止めなくちゃ駄目ですよね?」

 

ふむ、目が死んでいる。ナァーザも

そろそろ限界か?

もう少し引っ張りたいところでは

あるんだがなぁ。

 

「俺に対する反対運動に関しては

勝手にしてくれても構わんが、

そもそもの元凶は無料配布だろ?

迷宮に挑む新人冒険者の命綱に

なりつつあるが、ヤツは止まるかね?」

 

ミアハで釣れるのはもう釣った感じ

があるから、俺的には問題ないぞ。

 

「先生への勘違いは何としても解消させます!」

 

あぁ、確かに自分がホレてる男があんな

勘違いしてたら何とかしたいよなぁ。

それはそれで面白いから放置させて

たけど、ナァーザ的には許せんか。

 

後は新人冒険者の件

金が無くてポーションすら買えない

冒険者の存在を知ってるからこそ医療系

ファミリアもナァーザの弁償と言う形で

我慢してくれてるんだし。

なんたって将来の顧客になる可能性が

あるんだからな。

 

問題は横流しする連中だが、ミアハの

作品はすぐに分かるよう瓶に工夫してる。

 

結果、横流しした冒険者には配らせない。

配っても監視員が後から没収する

ようにしてるらしい。

ミアハからポーションを貰うのはほぼ

レベル1だから出来る荒技よな。

 

・・・人件費の無駄だが。

 

しかもその分の料金もナァーザに請求が

上がってると言う、ある意味完成

された流れだ。

 

「無料配布についてはアレだ。

金がない冒険者に無理して売るよりも、

ナァーザに売れば冒険者の命も助かるし

ファミリアにも確実な儲けが出るって感じ

で思考誘導した方が良いんじゃないか?」

 

「・・・ミアハ様が無料配布する以上、

ウチが損するのはしょうがないと

割り切るしかないですよね」

 

「そうなるな」

 

そもそもヤツの無料配布と俺は関係無いし。

 

「せめて一人一本とかに抑えます。

孤児院への支援も、一切の現金を

持たせないことで何もさせません!

緊急時でも現金を触らせないように

しなきゃ駄目だったんですね!」

 

「そうだろうな」

 

目がグルグル逝ってるぞ

アミッドに相当言われたようだが、正論

過ぎて何も言い返せなかったんだろうよ。

 

「後はツケです!タケミカヅチ様や

ヘスティア様はまだしも、何で私たち

より上位のディオニュソス様にまで

奢る必要があるんですか!」

 

「なんでだろうな」

 

実際の懐事情は厳しいだろうけど。

 

アイツらは前々から闇派閥と揉めてるし、

団長が死妖精とか言われて団員に嫌われ

ててグダグダだからなぁ。

 

まずは内部を固めることが必要だと思う

んだが、ギリシャ神話の神は好き勝手が

デフォルトだから堪え性が無いんだよ。

 

神全体に言えることだが、ミアハは

このままディオニュソスと付き合えば

ナァーザもなし崩し的に闇派閥との

戦いに巻き込まれると分かってるのか?

 

今だって別の理由で狙われてるんだぞ。

 

「ふむ。ナァーザ、お前そろそろ

レベルアップしとくか?」

 

「えぇ?いきなり何ですか?!」

 

いきなりか?

レベル3だと普通に時間稼ぎすら出来ん。

幹部連中が出てきたらマズいが、それでも

逃げ切るにはレべル4は欲しいところだ。

 

「お前もレベル3になって2年は経つし

俺のスキルとアビリティがあれば

それほど難しくは無いだろう。

それにミアハの付き合い次第ではあるが、

このままだとお前は確実に闇派閥との

戦いに巻き込まれるぞ」

 

「や、闇派閥?!」

 

「そうだ。すでにマークされてるしな。

無関係で居たいのだろうが、流石に

ディオニュソスも逃がさんだろう」

 

アレも少しでも戦力が欲しいだろうし、

薬師のナァーザを味方に付ければ

回復薬代も浮く。何より闇派閥から

見てナァーザは既に警戒対象だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ディオニュソス様か。そういえばあの

神様は闇派閥に恨みがあるから、怪しい

動きをしてる先生を警戒してるん

だものねぇ。

 

それで先生を敵視しているミアハ様に

近付いて情報収集と、先生に対する

敵意を煽ってるのよね?

 

実際先生が闇【派閥】に所属するはず

無いんだけどさ。

どんな組織であっても、派閥なんかに

入ったら自分で好き勝手のやり放題が

出来なくなるじゃない。

 

「ディオニュソスが闇派閥と戦うときに

ミアハも協力を求められるだろう。

単純なミアハを乗せるのは簡単だからな」

 

「・・・そうですよね」

 

ちんたらしてられない!一刻も早く

ミアハ様の誤解を解かないと!

今だって間違いなく先生が闇派閥の

関係者だとか言われて協力を約束

させられてる!

 

「それにミアハの誤解を解いても、連中

の中だとお前は既にディオニュソスに

協力する冒険者だぞ?」

 

「うっ!」

 

断言してるってことは、根拠があると

いう事よね?闇派閥には所属して無く

とも何かしらの情報を共有してる?

 

「ちなみに、情報源はこの前ココを襲撃

しようとしてた阿呆だ」

 

「し、襲撃?!」

 

どういう事?医療系以外にも狙われてた?!

 

「基本的にお茶とお菓子は嗜好品の

イメージがあるからな。実際値段は

高いし、上位冒険者もご愛飲だ。

単純に強盗目的だったが、幹部は資金源

としても使えると思ったんじゃないか?」

 

「強盗・・・資金源・・・」

 

確かに特殊な金庫には結構な現金や

手形が入ってるけど。

ミアハ様は監視されてるから手を

出されてない?

それともディオニュソス様に近い

ミアハ様を隠れ蓑にする気だった?

 

「可能性はいくらでもあるが、今は

その心配をするよりも先にやることが

あるだろう?

アイシャ達に見張らせるのも

タダじゃない。

いい加減自衛できるようになって

貰わんと駄目な程になって来てる」

 

イシュタルファミリアの方々が護衛

してくれていたの?!

てっきり春姫さん関係でタケミカヅチ様

を警戒してるんだと思ってたのに!

 

だ、だからさっさとミアハ様を止めろ

とか、もっと危機感を持て!とか説教

されてたのね!

先生絡みじゃなく、闇派閥からの

武力行使に対する警告だったとは!

 

「・・・レベル3じゃ足りないんですね?」

 

「そうだ。最低でも4は欲しい。状況

によってはイシュタルファミリアに

避難してもらう可能性もある」

 

聞くまでも無かったわ。先生が

無意味な提案なんかするハズ

無いんだもの。

 

避難先まで逃げる為にもレベルが

必要だって判断したのよね。

 

「それなりの装備品も渡してやりたいが、

お前一人を特別扱いできん。

それに急に装備品の質が上がったら

ヤツらに警戒される」

 

それはそうよね。それに装備品だけ

良くなっても警戒された結果複数の

レベル3に襲われたらアウトだしね。

 

レベル4になれば選択肢も増えるか。

 

「・・・わかりました。ご指導お願い

出来ますか?」

 

先生に借りが貯まるけど仕方ない。

死んだら借りだって返せないんだから!

 

「了解だ。リリルカが戻ったら春姫と

お前を連れてダンジョンに潜ろう。

その間のミアハは・・・」

 

「最低限の食事代だけ残して

後は全部金庫に保管します。

お茶もお菓子も売り切って現金

収入の宛を無くしますよ」

 

ミアハ様はポーションや毒消ししか

作れないからね。

自分で作ったモノを売って商売するなら

ソレも良し。協定違反にはならない!

 

食費は・・・一日500ヴァリスあれば

十分よね。

 

いえ、贅沢よナァーザ。何年か前は

一日100ヴァリスでも贅沢だった

じゃない。

 

ツケも禁止にしてもらわなきゃ。

 

これはリリルカさんに関係なく

今からやっても良いわよね?

ミアハ様に見える場所にツケ禁止の

貼り紙をしてもらわないと!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ツケ禁止だと?!オノレ農家!!』




医療系ファミリアの人たちは
基本お人好し設定。

まぁそうじゃないと出来ないってのも
あるんでしょう。

荒くれ者の冒険者よりナァーザに
売った方が安全だよねって方向に
したらどうよ?ってお話

主人公くん的には、ミアハを使って釣りを
してるので出来るだけ釣り上げたかったが
見切りをつけたもよう。
餌が小さいと釣れる魚も小さいのです。

ナァーザにレベルアップを薦めるのには
【加工】が出ないかなぁなんて下心も有ります。



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57話

修行終わりそう

オリ設定!
オリ展開!

作者も大好きなラッキースケベ要員の
メイドエロフに出番が!

嫌いな人は読み飛ばし。


なるほど、ジャガーノートがいくら

速くても真っ直ぐ来るだけなら

私とティオナの縄の餌食よねっ!

 

よし、突っ込んできた!ココだっ!

脚を狙って・・・ぐっ重いっ!

この速さと重さを活かした体当たりが

読めても防げない攻撃ってヤツねっ?!

 

それに溜めが来た、コレからの行動は

咆哮かブレスっ。さぁどっちだ?!

 

「GYAOOOOOOO!!」

 

咆哮か!ならばっ!

 

「覇ッ!」

 

咆哮は指向性のある音。音は振動

だから自分の前の空間を乱せば良い。

後は音に遅れてくる衝撃を捌くだけ!

 

「疾っ!」

 

「GAAAAAAAAAA!!」

 

そもそも咆哮をするためには動きを

止めて大きく息を吸う必要がある。

物理的にも構造的にも頑丈さが

足りない足を砕けば取り柄の

高速移動は出来ない。

 

「邪ッ!!」

 

呼気は短く!気合と共に出すだけ!

 

「AAAAAAAAAA!!」

 

ブレスは音と衝撃をぶつける咆哮より

効果範囲が狭い。

溜めから放出までの予備動作が単純で

大きいから頭を左右に動かす前に

横に回って狙いを分散させる。

コッチを向いた・・・半身で防御!

頭さえ守ればいい!

 

「ぐっ!」

 

・・・腕が砕けても体全体で縄を回せ!

先生が造った縄鏢は耐熱と不壊属性。

ブレスですら・・・耐えるっ!

 

「憤っ!!」

 

「GOAAAAAAAAAA!!」

 

良し!こっちに集中した隙にアレンさん

が片目を奪ったか!

 

これで足と胴体、顔面の装甲を破壊した!

 

・・・焦るな。回復しつつ弱点を見ろ。

ヤツに駆け引きも速度も無い。

だけど傷付いた獣は予想外の行動を取る。

見ろ、観ろ、感じろ、動けっ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふむ、なんとか勝てそうですね。

 

と言うか何故レベル5相当あって

アレに苦戦するのか・・・攻撃は

見え見えだし、直線的。

 

アレの動きが反応速度を超えてる?

いや、リリルカは反応出来てますね。

褐色姉妹は多対一で戦うことに慣れ

過ぎてるのと猫耳は単純な経験不足

でしょうか?それとも武装が弱い?

 

リリルカは・・・猫耳を主体と

するようにと言う命令を守ってますね。

 

確かに、黙ってアレの進行方向にあの棍を

立てれば勝手に致命傷です。

それでは修行になりませんからね。

 

ふむ、高速移動する敵との戦闘経験を

得ると言う隠れた指示まで読み取れる

のは師の薫陶の賜物でしょう。

 

しかし何度見ても錬度が甘すぎませんかね?

師が弟子としたなら、何故あの程度の

練度で抑えてるのか・・・

 

もしかして私がナマモノのような

立場になった時に、冒険者に殺されない

ようにするためでしょうか?

 

そう考えれば、生まれたばかりのころで

有れば赤髪相手でも逃げることは出来ても

戦うことは難しかったですね。

 

・・・そのうえで彼らが師の教えを

受けて居るとわかるようにしたと言う

ので有れば納得できます。

 

こんな服まで作っているくらいですから、

私が来ることは予想していたみたいですし。

 

ふふふ、あの連中の未熟さも師の気遣い

と思えば許すべきなのでしょう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「GAAAAA・・・・・」

 

「「「「か、勝った!」」」」

 

お、終わりました。流石に階層主相当の

実力がある魔物です。

アレンさんの武装はボロボロですし

ティオネさんとティオナさんも

縄以外は武装だけでなく全身ボロボロ。

リリも無傷に見えてジャガーノートの

速さについて行くために全身の筋肉を

酷使して正直体中が痛いです。

 

「多少時間がかかりましたが、勝ちは勝ち。

とりあえずは及第としましょう」

 

「「「「筆頭様(殿)!」」」」

 

戦ってみてわかりました。アレを一瞬で

刻むのはアナタだけだと思います!

 

「では次です」

 

「「「「次?!」」」」

 

え?筆頭様、リリの耳がおかしくなった

のでしょうか?あ、双頭竜ですよね!

 

「あの程度のトカゲに4人掛かりで

挑んだならば勝つのは当然です。

師が試練と言うなら当然の勝利に

意味などありません。

疲弊し、損傷し、武装も傷めた状態で

先ほどよりも強い敵と戦ってこそ試練です」

 

「「「「・・・・」」」」

 

いや、確かにソレは試練ですけど!

 

「今回は私が雑魚を処分してますが、

本来ならば敵が1匹しか居ないなど

ありえません。

2匹同時の戦闘が出来ないなら

連戦です。さぁ十分休みましたね?」

 

「「「「え、ちょっと待って!」」」」

 

せめて回復を!!

 

「待てと言われて待つ魔物など居ません。

回復も立て直しも戦闘中に行いなさい。」

 

ごもっともです!!

 

「GAAAAAAAAAAA!」

 

あぁぁぁぁ!!なんでさっさと回復

しなかったんですかっ

 

少し前のリリの馬鹿ぁぁぁぁぁぁ!!

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「あ、ベルさん!」

 

ふむ、シルはこの前の冒険者達による

搾取で受けたダメージから回復しましたか。

残念ながら流石の冒険者も全員でフルーツ盛り

は頼みませんでしたから最悪のダメージ

では有りませんでした。出来ればもう

少し果物を消費して欲しかったモノです。

 

「本とかはどうですか?ここにお客さんが

忘れていった本が有りますよ!」

 

「えっ?!そんなの借りて良いんですか?」

 

「大丈夫ですよ!大切なモノならとっくに

取りに来てますからね!」

 

確かに以前(オッタルと言う)お客さんが

(意図的に)忘れていった本では有りますが

いくらなんでもわざとらし過ぎませんか?

 

「ありがとうございます!・・・それと、

少し聞きたい事があるんです」

 

ほほぅ。シルに聞きたいこと、ねぇ。

その前に、その手にある本の価値を

知るべきだと思うんですが。

 

あっ。じ、冗談じゃ無いですよ?!私は

まだ若いんです!里のオヤジ共が言う

ような寒い冗談何か考えてませんよ!

 

「リューは何してるにゃ?」

 

「頭をフリフリしてるにゃ、あぁやって

現実を忘れてるにゃ」

 

「働こうよ~」

 

む、私に黙って彼と密会していた

泥棒猫共が何か言ってますが、

私は忘れてませんよ?

それとシルはさっさと爆発しろ」

 

「・・・何かリューが怖いんだけど。

えっと、ベルさんが聞きたいことって

どんなことですか?」

 

少年がシルに聞くことなんかどーせ

彼氏が居るか?とか、

普段何をしてるの?とか

趣味はなんですか?とか、

料理美味しいですよね?とか

今度買い物行きませんか?とか

エルフは嫌いですか?とか

野菜料理は好きです!とか

お魚も好きです!とか

甘いのも好きです!とか

アマゾネスが羨ましいです!とか

狐が羨ましいです!とか

リリルカばっかり構ってズルい!とか

もっとお店に来て!とか

何なら家に招待して!とかでしょう?」

 

「・・・コイツもうダメにゃ」

 

「最近周期が早すぎにゃ」

 

「おーい」

 

『海鮮八宝菜。コレは淡白な魚介類以外は

野菜も魚介類も味を殺しちまう。

肉なんて論外だ。

だが幅は広い。格調高く作ればフレイヤ

だって驚く味だが、かといって酒場に合わ

無い訳じゃない。ヤツが作ったのは確かに

到達点だが、アタシでも新しい道を開ける

柔軟さがある。ふ、ふふふ。やってくれる

じゃないか!』

 

「働きな!ってツッコミすらないにゃ」

 

「完全に嵌まってるよね。組み合わせは

自由だし、最悪塩だけでも美味しいから

試食は楽しみではあるけど」

 

「ヤツが作ったラー麺?に載せるのも

有りにゃ」

 

「「「わかる」」」

 

アレは確かに味の革新でした。

似て非なる五目餡掛けは

普通のコメにも合うし、コメを焼いた

チャーハンとやらにも合いました。

まさに無限の可能性を秘めた野菜の宝島!

 

「えっと、シルさんは・・・」

 

お、そう言えば少年がシルに何かを

聞こうとしてましたね。

内容によってはしっかりフォローして

あげようじゃないですか。

 

「むそうのうかって悪い冒険者の事を

知ってますか?」

 

「「「はぁ?」」」

 

「・・・あぁん?」

 

小僧、今、何て?

 

―――――――――――――――――

 

 

「あぁ、ソレは神ミアハの勘違いです。

彼が弱味を握ってナァーザを、と言うか

女性をどうこうすることは絶対に

有りません。娼館に行くのも男の甲斐性。

そもそも彼は妻が居るわけではないので

他人にどうこう言われる筋合いは無いし、

むしろ無責任に女性に声をかけないのは

誠実さの証と言えましょう。

彼は女性を選べる立場に有りますからね。

ついでに言えば相手が悪党であれば

殺すことはありますし、なぶりもします。

ですが女だからと対応を変えたりは

しません。悪・即・殺です。小賢しい悪党に

人権はありませんから何の問題もありません。

彼は自らを外道や悪党と言いますが、ならば

貴方は正義の味方なのですか?

悪い冒険者?冒険者なんてダンジョンに

潜ってダンジョンに生きる生物を虐殺して

その内臓や体の一部を取引してる外道で

しかありませんよ。考えてもみなさい、

自分の村が魔物に襲われて、その魔物が

知り合いの体の一部を使って自らを

着飾っていたらどう思いますか?

ヒトの心臓が自分達の技術や魔法を強化

するから集めてると言われたらどうですか?

相手が魔物だから何をしても良いと言うなら、

魔物にしても相手が人間だから何をしても

良いと言う理屈になるじゃないですか。

悪い冒険者などと曖昧な言葉を使って

他人を評価出来るほど貴方は高潔なの

ですか?一人前の冒険者が常識や世の中を

なにも知らないのは無垢ではなく無知なの

ですよ?そもそもリリルカを鍛えたのが

虐待と言うなら親切丁寧にレベル5まで

レベルアップさせるわけないでしょう。

彼女が彼に出会う前にされてたようなことを

虐待と言うのです。

そもそもナァーザが彼に鍛えて貰うことに

なったきっかけは、ミアハの阿呆が

ポーションを無料でばら蒔いて生活が

出来なくなったからでしょうが。

トラウマを乗り越える手伝いをして貰い、

お金を貰い、新商品や技術を貰い、日々の

相談まで乗って貰っておきながら弱味って

何ですか?金庫のカギだって元々ミアハの

クズが借金返済用のお金に手を着けたからで

しょうが。ミアハに甘いナァーザが何とか

するために自分から彼に頼んで特殊なカギ

付きの金庫を造ってもらい、カギの管理を

任せたのです。それにミアハのボケが

金庫から盗んだお金は少年の主神が

じゃが丸くんの屋台を破壊したときの

弁償に使うために借りられたモノなはず。

いまだに1ヴァリスも返却されてないと

嘆いていましたよ?わかりますか?

現状借金を踏み倒してナァーザに迷惑を

掛けているのは間違いなく貴方達です。

さらに少年はシルバーバッグを倒せるだけの

腕を持ちながらいまだにミアハの馬鹿から

ポーションを貰ってますよね?

 

いい加減店で買え。

 

節約?つまりは他の店の売り上げが

無くなってると言うことですね。

だいたいアレが勝手に周囲に無料で

ポーションをばら蒔くせいで他所にどれだけ

迷惑を掛けてるか知ってますか?

貴方はただ貰うだけですから良いですが。

そうですね。喩えるならばミア母さんが

自分で作った料理を無料で配るのと一緒です。

何が問題かわかりますか?そう、周りの飲食店

に迷惑が掛かりますね。無料で配って美味しい

と思ったら店で食えとか、他店にしてみたら

完全に営業妨害です。わかってますかシル?

ハッキリ言ってミアハが頭と素行が悪い神

なのです。貴方は得してるからソレで良い

のでしょうがボケの愚行のせいでナァーザは

疲れてるのです。無理配布の問題を少しは

考えなさい。

アレが配れば配るほど他の医療系ファミリア

への補填の為にナァーザが苦しむのです。

薬局を経営しているくせに医療や医術にしか

興味が無いなら経営を止めて他所の診療所で

馬車馬のように働けば良いじゃないですか。

ゴミが先生の悪口を言い触らして評判を

落として回ってますがね、見方を代えれば

アレがやってることが経済と他の医療系

ファミリアへの妨害行為だと気付くはずです。

そんな虫にも劣る塵の言うことを鵜呑みに

して誰の事を悪い冒険者などと言っている?

食事しながら寝言を抜かすな」

 

「「す、すみませんでした」」

 

まったくコレだから夢見勝ちな子供は

ダメなんですよ。現実を見なさい。

 

「途中でシルにもツッコミが入ってたにゃ」

 

「けど、アレのせいで他所様の売り上げが

減ったと言われたら否定できないにゃ」

 

「営業時間内なら他所様も競合相手だから

アレだけど、早朝にご飯をタダで渡すのは

・・・業界の仁義って言うのに反してるわ」

 

「は、はい」

 

たまたま料理が出来るからと言って、

これ見よがしにお弁当なんか作って

若奥様気分を味わってる罰ですよ!

 

『しかしアイツの悪い噂を広めてミアハは

何がしたいんだい?』

 

ミア母さんまで話に乗ってきましたね。

まぁ自分が目標としている彼を侮辱

されたら面白くはありませんよね。

 

「ぼ、僕はヘスティア様から注意するように

言われただけでして・・・」

 

『注意したから何が出来るってわけでも

あるまいに。わざわざ敵にしなくても

良いヤツを敵に回すような真似は

止めるんだね。リューも言ったが、

アイツはいつまでも笑って許すような

甘ちゃんじゃないよ!』

 

「は、はい!気を付けます!」

 

そうなんです。彼は優しいから勘違いされ

がちですが、決して甘くはありません。

基本的に彼は自らに敵対行動を取るモノは

素材か研究材料でしかないんです。

 

犯罪者に人権なしと言う彼のルールにより

私では裁けなかった悪党どもを捌・・・

裁いて貰いましたしね。

情報提供だけで十分だとか、ソレ以上の

モノを貰ったから礼はいらないとか、

私から何も受け取ろうとしないで不敵に

笑う彼の横顔は忘れられません。

 

悪党でしか裁けない悪が有ると知ったのは

アノときでしたか。

 

ソレを何も知らない小僧が悪い冒険者

などと軽々しく口走りやがって。

他でも似たような事を口走ってるん

じゃないだろうな?

 

便乗した小者の相手が面倒になって

彼がオラリオに来なくなったら

どうしてくれる?

 

・・・彼に止められてなければクズ神

なんぞ両手両足をへし折って地下室に

保存しておくのにっ!

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・ヘスティア。アンタ馬鹿?』

 




修行(色々)終わりそう。

ラッキースケベ要員のエロフの出番だね!
だけど別にラッキースケベが起こるとは
一言も言ってないぞ(断言)

白兎、魔導書をゲットするも説教を受ける。
だいたいミアハのせいだけど。
さらに主神の借金を知る(しかも返してない)

先生は優しいらしいってお話


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58話

前話の続き

オリ設定
オリ展開!

ヒモ神説教回

嫌いな人は読み飛ばし!


『ば、馬鹿とはなんだい!ミアハから

聞いたから注意喚起してあげたのに!』

 

ヘスティア・・・本当に馬鹿なのね

 

『ソレ、事実確認はしたの?』

 

『え?』

 

『え?じゃないでしょう?人の悪口を

言うんだから、ちゃんと事実確認は

したのよね?まさかミアハが言ってた

から事実の確認なんて必要ない!

無双農家は悪い冒険者だ!なんて

言うつもりなのかしら?』

 

自分が何をしてるのか少しは

考えなさい

 

『あ、い、いや、確かに確認は

してなかったけど・・・』

 

『ミアハが間違ってるハズがないって?

ならなんで無双農家が手を差し伸べる

まで、アイツは借金まみれだったのよ?』

 

今は大丈夫ってことは助けて貰ったって

ことじゃない。

 

『で、でもその対価がナァーザ君じゃ

やっぱりダメじゃないか!』

 

『何が?』

 

いや、彼がそんなことをしないのは

わかってるけど、もしそうだとしても

何がダメなのかわからないんだけど?

 

『何がって、お金で女性を好きに扱う

なんて最低じゃないか!』

 

『いや、普通でしょ?』

 

別に詐欺でもないし、ちゃんと利益配分

されてるなら何か問題あるのかしら?

 

『普通って!』

 

『処女をこじらせたヘスティアには

わからないかもしれないけどね?

お金貰って、レベルアップさせて

貰って、新商品の技術やアイディアを

貰うなんてことが体を売ったくらいで

出来るなら、誰だって彼に体を売るわよ?』

 

いや、本当に。特に新技術とレベルアップ

なんてお金じゃ買えないんだから

 

『そ、そうなのかい?!』

 

『当たり前じゃない。大体アンタも

あの壺見たでしょ?』

 

『保温機能付きの壺だろ?見たけど

それがどうしたのさ?』

 

フレイヤですら驚く壺の価値に

なんで気付かないのかしら?

 

『あの壺の価値はアンタの眷族に

造ったナイフより上なのよ?』

 

『はぁ?!壺が2億ヴァリス以上だって?!』

 

『正確にはアレに使われてる機能なん

だけどね。個人で使う武器とは違い、

誰でも使える工芸品。

アレを解明できれば億なんて端金よ?』

 

一つの家庭に一個1000ヴァリスで

売ってもオラリオだけで億なんて越えるわ。

ラキアや魔法大国まで含めたら

どれだけの売上になることか。

 

『億が端金・・・』

 

『わかるかしら?周りにしてみたら

ナァーザは羨ましくてしょうがないの。

ミアハは勘違いして暴走してるけどね。

その結果彼がナァーザから離れたら、

彼女は多分死んでるわよ?』

 

責任追求と知識や技術を搾り取る為にね。

闇派閥もそうだし、医療系ファミリアも

私達みたいな技術屋も、彼女の持つ情報が

欲しいもの。

 

殺してでもうばいとる!って感じになるでしょうね

 

『勘違い?それにナァーザ君が死ぬって』

 

『さっきも言ったけど彼は女を選べるの。

わざわざ脅迫する必要なんてないし、

交換条件だとしたら女の方から喜んで

話に乗る。

ナァーザが疲れてるのはミアハが

ポーションを無料配布してるからよ』

 

あのバカが自分で苦しめてるんじゃない

 

『ポーションの無料配布は新人冒険者

みんなが助かってるじゃないか!』

 

『皆とは言わないけど、そう言う

部分があるのは確かよ。

だけどミアハが無料配布した分、他の

お店の売り上げが落ちるわ。

例えば・・・そうね私やゴブニュが

新人用の武器を造って無料で

配布したらどうなると思う?』

 

ウチでバイトしてるんだからコレ

くらいは理解してもらえないと

困るんだけどね。

 

『あっ・・・君の眷族が造った

武器が売れなくなるよ!』

 

あら、わかってるじゃない。

正確には私の眷族だけじゃないけど。

 

『そうね。新人冒険者は助かるかも

しれないわ。だけど他の鍛冶系の

ファミリアの鍛冶師にしてみれば

営業妨害以外の何者でもないの。

ナァーザはそれで医療系ファミリア

に文句を言われてるのよ』

 

ほんと、文句で済んでるのが不思議な

くらいよ。

ナァーザのレベルが3で他にも利益供給

してるからなんでしょうけど、ここまで

面倒見てもらってるのに勘違いで悪評を

撒き散らすミアハが凄いわよね。

 

『じゃあ金庫のお金を彼が管理してるって言うのは?』

 

『ミアハが関わったら全部寄付とか

援助に使うでしょ?ソレは良いこと

なのかもしれないけど、物事の抜本的

な解決にはならないわ。

無意味にばら蒔くくらいなら、孤児に

技術を教えたり教育を施す施設を造るべき

だって生産系の会合で言ってたわね』

 

鍛冶師だけじゃなく各種技術者の育成に

役立つ意見だから、私も賛成だけど

ギルドは関わらせないって言うのが

彼が提示した条件なのよね。

 

まぁギルドも完全中立って訳でもないし

自分たちの利益があっての組織だから

完全に信用しないのは当然だけど。

 

『・・・確かに孤児にご飯をあげるより

稼ぎ方を教えるほうが建設的な意見ではあるよね』

 

孤児を守護するのがヘスティアの

仕事なのに、完全にお株を奪われ

てるわよ。

 

『そもそもアンタだってミアハから

借りたお金返してないじゃない。

アレだってミアハがお店のお金を

勝手に使ったのよ?』

 

『え゛?』

 

『当時のお金がないミアハから20万

ヴァリス借りたって言うから、一体

どうしたのかナァーザに聞いたのよ。

そしたら留守にしてたら勝手に金庫を

開けられて、売上を持ち出されたって

死んだ目をしながら言ってたわ』

 

あの時のナァーザの目は本当に死んでたわね。

 

『あ、あの時ミアハは普通にお金を

貸してくれたのに、アレはお店の

お金を着服してたのかい?!』

 

『えぇ、生活費と仕入れに使うお金。

それとディアンケヒトへの支払いの分

を丸々着服されたんですって』

 

さすがにその話を聞いたときはミアハ

の頭をカチ割ろうとしたけどね

 

『・・・な、ナァーザ君はソレを

どうしたんだい?生活費も

仕入れのお金も無くなったら

生きていけないじゃないか!』

 

少しは現実を知ったようで何より

 

『その留守にしたってのがリリルカの

修行に付き合ってのダンジョン探索

だったのよ。

サポーターとしてついていって、

24階の魔物を相手にしたリリルカの

サポート、と言うか荷物持ちね』

 

『け、けどナァーザ君はダンジョンに潜ると発作が・・・』

 

『それ以上に生活がヤバかったの。

あと、急に襲われたりしなければ

魔石やドロップアイテムを拾うこと

くらいはできたみたいでね。

彼は足手まといを連れて探索する

のもリリルカの経験だからって言って

連れていった上でナァーザが魔物に襲われ

ないようにフォローしてたそうよ』

 

『良い子じゃないか!』

 

良い子、というよりはギブアンドテイク

の関係よね。

まぁ契約を誤魔化さずにきちんと

お金は支払ってるし、ナァーザが

必要以上に負い目を感じないように

役目を与えてるのは確かだけど。

 

『それで報酬をもらって帰ったら、

金庫は空だし、ポーションは無いしで

心が死んだのよ。ミアハはソレを見て

彼にナニカサレタんじゃないかって

勘違いしたのね』

 

『完全にミアハのせいだよね?!』

 

何を今更

 

『そうよ?だから私たち生産系や医療系

ファミリアはミアハを信用してないの』

 

商売のルールを無視するし恩を

仇で返すし、どんな理由があっても

お店のお金を着服するような神に

信用なんかないわ。

しかもナァーザだって止めてるのに

自分の意思で続けるんだからもう

最悪、いえ災厄と言ってもいい。

 

『た、タケの知り合いが罠に嵌められて

彼専属の娼婦にされたっていうのは?』

 

『罠云々は知らないけど、タケミカヅチ

の知り合いで彼の専属娼婦っていうと

繚藍のことかしら?・・・彼女は下界を

満喫してるから邪魔したらダメよ?』

 

邪魔して焼かれるのはゴメンだわ!

 

『満喫?!娼婦なのに?!』

 

『えぇ専属の娼婦なんて内縁の妻

と同じ!って幸せそうにしてるわね』

 

『ま、まぁそうなのかな?いや

本人が良いなら良いんだけど』

 

そうよ、そういう問題は私たちが

関わるような問題じゃないの。

当人同士の問題なのよ

 

『それに無双農家が闇派閥と関係

が有るかもしれないって言うけど』

 

『けど?』

 

『そんなこと言ったらウチやゴブニュ

だってそうじゃない?』

 

ウチから買った武器を使ってる

可能性もあるし、ドロップアイテムを

持ち込んだ客が闇派閥関係だ

なんて私たちにはわからないし

 

『・・・そうか。わざわざお客さん

の素性を調べてなんて無いから、

僕たちも知らないうちに関わってる

可能性だってあるんだね?』

 

『そういう事よ。彼が積極的に関与

してるなら闇派閥の連中の武装は

彼が造ったモノになるでしょう。

だけど今のところ犯罪者が彼の

造った武装を持ってたなんて聞いた

ことが無いわ』

 

リリルカ以外に持ってるのは繚藍と

麗傑だけだと思ってたんだけどね。

ティオネとティオナ・・・早く

帰って来ないかしら。

 

『なるほどなー。闇派閥の武装を

見れば彼が本格的に関わってない

証拠になるのか!・・・けどなんで

ミアハやディオニュソスはソレに

気付かないんだい?』

 

馬鹿だからよ。

 

『さぁ?生産系ならすぐに気付くん

だけどね。まぁディオニュソスは

闇派閥に子を殺されてるから、一度

「関わりがある」って疑っちゃうと

そのままになっちゃうんじゃない?』

 

彼も怪しい動きをしてる時が

無いわけでも無いし。

・・・多分アレは自分に敵対する

神や眷族を釣るための擬態よね。

自分を餌にして獲物がかかったら

一気に捌くつもりかしら。

怖い怖い。ウチで働いてる従業員が

あんな子の悪評を流してるなんて

言われた日にはコッチにも火の粉が

飛んでくるわ。

 

『そうか。ディオニュソスも色々

あったんだね・・・』

 

色々あるのはディオニュソスだけ

じゃないから、同情なんてしてられ

ないけど・・・

この子もまだ一人目の眷族が

出来たばかりですものね。

 

感情移入も仕方ないか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『なるほど、それで春姫を指南役として

フレイヤファミリアに招待したいと』

 

「はっ!こちらがフレイヤ様からの書簡

となります」

 

まったく、いきなりヘディンが来て

「フレイヤ様が繚藍殿をご所望だ」

なんて言うから何かと思えば・・・

コイツにしてみたら拐わないで

交渉してる時点で最大限の敬意を

払ってるつもりなんだろうが、

相手に伝わらなきゃ意味が無いだろうに

それで、書簡ねぇ。

・・・大層な紙を使ってるね。

 

 

拝啓 

 

早春の候。

 

日ごとに春めいてまいりましたが、

ご眷族の皆様にはお変わりござい

ませんでしょうか

 

中略

 

春になると、何か新しいことを

始めたくなる気分になりますね。

 

そこで今回我々の眷族に作法を

学ばせようと思い立ち、神友

であるイシュタル殿のご眷族

である繚藍殿を講師として

お招きしたく使者を立てさせて

頂いた次第です。

 

イシュタル殿におかれましては何卒

寛容なご決断をお願いしたく候

 

ご返答は口頭でも結構ですので

ヘディンにお伝えいただければ

幸いで御座候

 

季節の変わり目でございますので、

体調をくずしたりなさいませんよう

お気をつけください

 

フレイヤより

             敬具

 

 

『・・・』

 

途中の候とか御座候は笑えば良いのか?

いや、春姫が極東の狐人だから気を

使った結果?

 

言い回しが妙にアレだが言いたい

ことは伝わってるから良いのか?

 

それ以前に神友だったの?

友とは・・・

 

い、いや、アイツなりに頑張った

結果だからね!

笑うのはシツレイだろうし、要望に

対する返答はきっちりしないと

私の沽券に関わる。とは言え・・・

 

『フレイヤが言いたいことは分かった。

だが春姫は無双農家の専属娼婦。

いくら神友からの招待でも他所の拠点

に送るような真似は出来ないね』

 

「・・・ほう」

 

フレイヤの要望を断ったから

不機嫌になったか?だがね

 

『まぁ聞け。当然フレイヤもそれ

は理解してるだろうさ。

断られることを知りながら、

わざわざアンタを使者に立ててきた

のは私に対する礼儀の問題でね』

 

「礼儀、ですか?」

 

ちょろい

 

『そうさ。神友に対して無礼な

お願いをするんだから、使者に

だって格が必要だろう?

私だってお前が使者じゃなければ

たたき出して終わりさ』

 

「なるほど、そういうことですか」

 

何に納得したのかは知らないけど、

そうやってフレイヤを過大評価

すれば良いさ。

 

『アンタとしても手ぶらで帰る

わけには行かないだろうし、

私としてもアンタ程の冒険者を

手ぶらで返したら名が廃る』

 

「ふむふむ、最初から無理な願いを

しつつ断られることを織り込んだ

上で折衷案を引き出す為の私ですか。

さすがフレイヤ様!」

 

全部私が言ったことだけど

コイツ、大丈夫かい?

 

『そんな訳でだ、こちらから条件を

出させてもらうよ。

春姫に習う生徒は女性であること。

そちらがウチに習いに来ること。

春姫の予定を優先すること。

春姫の時間を拘束している以上

春姫に対しての人件費、

まぁ茶道指南役としての給金だね。

コレの支払いをすること。

あぁそれと一度に来る生徒は最大で

2人までにしてくれ』

 

あんまり多くてもウザイからね。

 

「・・・神イシュタルに対しては

何も必要無いのですか?」

 

おいおい、何を言ってるんだコイツ?

十分笑わせて貰ってるしこれからも

大爆笑させて貰うんだ。これ以上

貰ったら腹筋が持たないじゃないか!

 

『なぁヘディン?フレイヤは友からの

依頼に対して何かを要求するような

浅ましい神を友と認めると思うかい?』

 

「はっ!・・・失礼しました!」

 

だ、ダメだ。笑うなっ!耐えろ

イシュタル!太ももを抓るんだっ!

 

『まぁ神同士の交友は下界の子供

には難しいかもしれないから今回は

不問にするが、あまり軽薄な発言は

フレイヤの格を落とすことになる。

 

お前ほどの者なら、今後もフレイヤの

名代として使者になることもある

だろうから重々気を付けるんだね』

 

「はっ!ご忠告ありがとう

ございます!」

 

おぉ・・・フレイヤのところの

精鋭が私に頭を下げてるっ!

最高だ!最高の気分だよっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ウチの神様絶好調だねぇ」

 

タンムズなんかずっと前のめり

じゃないか。

 

「旦那サマサマってね。

そういやミアハはいつ殺るんだい?」

 

「まだダメなんだとさ。まったく、あの

ボンクラに何が有るのやら」

 

釣り以上に何か企んでるのかねぇ?

 

「ま、旦那の指示が出てるならソレに

従えば良いさ。

それで悪くなったことがねぇんだし」

 

「ごもっとも。しかしまさかフレイヤの

眷族がイシュタル様に頭を下げる日が

来るなんてねぇ・・・」

 

しかもアッチから進んで、だ。

そりゃイシュタル様絶好調だよ。

 

「力づくじゃないのがアレだが、

技術力も立派な力って言われたら

納得するしかないさ」

 

「だね。あとはディオニュソスと

ヘルメスか。・・・どう思う?」

 

ギルドもあるがアレはまた別だろう。

 

「ディオニュソスはともかくヘルメスは

油断出来んだろ。いつでも潰せるからと

思って油断してたら足を掬われそうだ」

 

うん。油断慢心ダメ絶対。

ディオニュソスは眷族が纏まって

無いからアレだが、ヘルメスは違う。

 

「アンタもそう思うかい・・・

ヤツのところの団員は万能者を

筆頭にほとんんどの有名どころが

ダンジョンに潜ったらしい。

一体何を企んでるのやら」

 

「それに剣姫も単独で潜ったらしいね。

・・・今なら潰せるんだろうけどねぇ」

 

心にもないことを。

 

「別に興味ないだろ?」

 

「・・・まぁね。今でもお人形を

壊したいのは変わらんが、どうにも

気分が乗らない。

なんであんなのに執着してたのか

自分でもわからないんだよ」

 

麻疹みたいなもんだろうさ。

 

「とりあえずアタシらは待機だね。

暇ならフレイヤのとこから来た客人に

礼儀と作法を教えてやれば良い」

 

「ん?あぁ春姫は旦那と潜るんだったか?」 

 

「そうだ。ナァーザも連れて行く

らしいから、恐らく房中術はやらん

だろうけどね」

 

アレはねぇ・・・確かにダンジョンで

盛ってると勘違いされても不思議は

ないけどさ。

 

「レベルアップはしなくても

強化は出来る、か。何があるかは

知らないけど、強化が必要なことが

あるようだね。アタシらも怠けてる

わけにはいかないよ!」

 

「あいよ」

 

足手まといはごめんさ!

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「剣姫が応援?!」」」




内容自体は前話のエロフと同じようなモンですね

褐色女神様と美白女神は仲良しです♪ってお話



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59話

ひとりでできるもん。

そう思ってるのは本人だけ
というのはよくある話

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


「じゃが丸くん抹茶クリーム味」

 

「「「・・・」」」

 

店がシーンとしてるけどなんだろう?

この店で、この席に座って、コレを

注文すれば良いはずだよね。

 

「「「えぇ?!剣姫が協力者?!」」」

 

むぅ。言われた通りに言っただけ

なのに店のヒト全員に驚かれた。

 

「えっと、お初にお目にかかります。

ヘルメスファミリアの団長をしてます、

アスフィ・アンドロメダです。」

 

急にお店のお客さんが話しかけてきた?!

 

「・・・あの?」

 

「・・・アイズ・ヴァレンシュタインです」

 

名乗り返すのはあくまで配慮だけど

今回は特にシツレイされて

無いから名乗っても大丈夫だよね。

 

それともいきなりお店の人が話しかけて

来るのはシツレイなのかな?

 

「あ、ど、どうも。さっきので貴女が

我々の協力者と言うのはわかりました。

依頼者から細かい事情は聞いてますか?」

 

情報を探ろうとしてる?でも残念

私は何も知らないんだ。

 

「何も聞いてない。ただココに行って

手伝えって言われただけ・・・です」

 

だからさっさと情報を話すんだ。

 

「なるほど・・・私達は24階層で

魔物が異常発生していると言う情報が

あってその調査を依頼されています」

 

「そう・・・ですか」

 

・・・そういえば24階って言われてた。

う、嘘は吐いてないよね?実際細かい

ことは何も聞いてないし!

 

「で、では向かいたいと思いますが

何か準備は必要ですか?」

 

「特に必要ない・・・です」

 

回復薬はある。ベートさんたちに

ついては話さなくて良いって言われ

たし、ティオネとティオナのことも

会わなければ言わなくて良いみたい。

 

「わ、わかりました。それでは

こちらの準備が出来次第出発します

ので、少々お待ちください

(やりづらい!裏が無い人だからこそ

の人選なんでしょうけど、すっごく

やりづらいわ!)」

 

「・・・わかりました」

 

おとなしく待ってやろうじゃないか。

だから、じゃが丸くん抹茶クリーム

味を出すんだ!

 

私は謙虚だから9個で良いよ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「いやー双頭竜は強敵でしたね」

 

リリは疲れましたよ!

 

「・・・まさか双頭竜との戦いが

あんなことになるなんてね」

 

「やっぱり英雄様は違うよね!」

 

「いや、英雄とかそう言う次元か?」

 

全くです。筆頭様に常識は通用

しないと思ってましたが、あの

レベルまで行くといっそ清々しい

ですよね!

 

「水の上に立って、水の上を走って、

水を斬って、水と一緒に双頭竜の頭を

一つ飛ばして、本体蹴り上げて水揚げ

して、半殺しにしたあとで

「さっさと本体に止めを刺しなさい」

なんて言われるなんて想像すらしてま

せんでしたよ!」

 

もうツッコミが追いつきません!

 

「この程度できなくては師に折檻

されます」

 

とか言ってましたが、先生は一体

どこまで出来るんですか?!

空を歩くとかしませんよねぇ?!

 

「・・・まぁおかげで「深層に行って」

「階層主と戦う」と言う先生の命令を

クリアできたんだから良かったじゃない」

 

いやほんとに。クリア出来なかったら

どうなってたんでしょうか。

絶対「師を待たせるのは不敬です。

・・・コイツ等の首だけでも持って

帰りますか?事故死しましたとか

言えば大丈夫ですよね。」

とか言って実行してますよね!

 

「そうだよ!ジャガーノートも二匹で

勘弁してくれたし、なんだかんだで

死なないように手加減?してくれて

たんだよ!・・・きっと」

 

死んだらそれまでって感じでは

ありましたけどねぇ。

 

「双頭竜の魔石はリリルカ先輩が

もらったが、俺たちが狩った

ジャガーノート以外の魔石は

筆頭殿が持ってるよな?

アレはどうするつもりなんだ?」

 

筆頭様が殺した魔物の魔石ですから

文句はありませんが、確かにあそこに

保管しておいても何にもなりません

よねぇ。ですがあの方は基本的に

先生と同じタイプの方ですからね。

 

「詮索しても良い事なんて一つも

無いと思います。

だけどあえて言うなら、先生が

降りて来た時に並べてお見せするん

じゃないですかね?」

 

質の違いとかは並べたらわかります

からねぇ。

 

「なるほど。確かにありえそうだ。

というかそう思っておかないと後ろ

から散弾が飛んできそうで怖い」

 

そうですよね。今ならあの方が

壁を蹴破って現れても驚きませんよ!

 

壁を砕いて武器にするくらいですからね!

・・・自然武器よりよっぽど恐ろしい。

 

「それと18階層のリヴェラがお知り

合いの悪巧みで損害を受けたよう

だから、手に入れた37階層のドロップ

アイテムで補填しろとのことでしたけど

・・・多すぎますよね?」

 

どんだけ損害受けてても、この量は

多すぎると思います。

 

「まぁリリルカが持てるだけ持つって

話だったから悪乗りしたのもあるけど

・・・ちょっと多いわよね」

 

「ちょっとどころじゃないですよ。

重さはともかく幅が邪魔でマトモに

動けませんよ」

 

まさかここまで全身に括りつけ

られるなんて・・・筆頭様も

「ほほぅ、コレは面白い」とか

言って積んできましたし!

 

「まぁまぁ、貴重品と戦闘はコッチ

で受け持つから良いんじゃないかな!」

 

ティオナさん、さすがにこの状況で

戦闘までは出来ません!

素材を無駄にしたら連帯責任ですし。

 

「どんなことがあっても鈴は

死守して下さいよ?ソレに何か

あったら全員物理的に地獄に行く

んですからね!」

 

「「「当然!」」」

 

最悪この素材全部捨ててでも鈴は

守り抜きます!

筆頭様に抵抗しても無意味なのは

もう十分わかりました。

あの方が先生にお会いした時

「貰ってない」とか「壊れてた」

なんてことが有ったら、確実に

アウトです!

 

・・・しかしアレですね?

 

「なんと言いますか、この階層、

魔物の数が多くないですかね?」

 

「そうね。数が多いだけだから

普通に縄鏢で纏めて殺せるし、

負担にはなってないんだけど

ちょっと数が多いわよね?」

 

ココは24階層ですよね?宝石樹以外

だと、食料庫があるくらいですか?

 

「なんか群れですし、一方向に

向かってるみたいですよね。

またロキファミリアが逃がしたん

じゃないですかねぇ?」

 

退治した方が良いのでしょうか?

 

「あぁ~そう言われたら何か無関係

じゃないような気もしてくるわね」

 

「確かに。フィンに心労かけるのも

アレだし、殺っといた方が良いかな?」

 

「殺って誰に迷惑がかかるわけでも

ないしな。知っておきながら放置して

「ゴミ掃除も出来ないのか?」と

言われるよりはよほどマシだろう」

 

「「「確かに」」」

 

師に雑魚の掃除をさせるとは何たる不敬。

とか言って矯正されますよねぇ。

 

「その前に前方から冒険者?ですかね」

 

結構な数が居ますけど、どこかの

ファミリアの遠征と当たりましたか?

まぁ問題にはならないでしょう。

ロキファミリアとフレイヤファミリア

の二大派閥に喧嘩を売るのは闇派閥

くらいですからね!

 

「・・・ティオナ、私は先頭で剣を

振ってる金髪の剣士に見覚えが

あるんだけど」

 

「・・・うん、私にも見覚えがある。

一人で何してるんだろうね?」

 

やっぱりロキファミリアですか。

何か問題になりそうですし

リリは荷物が多いのでコレで・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あ、ティオナとティオネだ。

久し振りだけど・・・

また強くなってる。

 

むぅ、ズルい。

 

あの人は居ないはずなのに、なんで?

リリルカさんに鍛えてもらったのかな?

 

「アイズあんたって子は・・・」

 

「ねぇアイズ?一人で何してるの?」

 

あ、コレはヤバいヤツだ!

 

「ち、違うよ!フィンも良いって

言ったの!むしろ行ってこいって!」

 

ココはちゃんと言わないと、何故か

叩かれて地上に運ばれるのがわかった!

 

「団長が?アンタ一人で?」

 

「おかしいよね?他のファミリアと

一緒なのは確かだし、普通の単独行動

じゃ無いみたいだけど・・・」

 

あう、そんなに次々言われても

説明ができない!

 

「ヴァレンシュタインさん、他の

冒険者と何か問題でもありましたか?」

 

アスフィ!よく来た。説明!説明をっ!

 

「え?怒蛇に大切断?!

なんでこんなところに!」

 

驚かなくていいから説明!

 

「・・・アスフィってことは

ヘルメスファミリアよね?

なんでアイズがあんな胡散臭いヤツ

の眷族と一緒に行動してんのよ?」

 

「だよねアノ神様は胡散臭いよねぇ」

 

「・・・ハイ、ソノトオリデス」

 

うぅぅぅ、アスフィが頼りに

ならない。どうしよう。

怪しい影に頼まれた。とか

フィンに色々喋らせろって

言われたとか言って良いのかな?

 

「・・・まぁリリには関係なさそう

ですし、さっさと18階層に行っても

いいですかねぇ」

 

「「「?!」」」

 

荷物が喋った?!

 

「同じくだ。リリルカ先輩を10日

以内で帰還させなければ連帯責任と

言われてるからな。

お前たちが剣姫と何をするかは知ら

んが、俺たちは帰還させてもらうぞ」

 

「紅魔に女神の戦車?!」

 

「な、なんでソーマファミリアと

フレイヤファミリアとロキファミリアの

冒険者が纏まってこの階層に居るの?!」

 

「「「「説明が面倒臭い」」」」

 

なんか疲れてるみたいだから私が

代わりに教えてあげよう。

 

「・・・アスフィは勘違いしてる。

この人達は深層帰りだよ」

 

「し、深層?!このメンバーで?!」

 

「アイズ、余計なこと言わなくていいから!」

 

「情報漏洩は矯正案件なんだよ!」

 

「「こっちを巻き込むなよ!」」

 

え?だ、ダメだったの?!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あぁもぉ、だからロキファミリアは

嫌いなんです!

筆頭様に「口が軽い。故に矯正」とか

言われて矯正されたらどーしてくれる

んですかねぇ?!

 

それにヘルメスファミリアはギルドと

一緒に何か企んでるって先生も

言ってましたし、ギルドは冒険者共の

元締めですからね。

碌な連中じゃありませんよ!

 

「リリにはヘルメスファミリアにあげる

情報はありません。

何か聞きたいことがあればティオナ

さんとティオネさんが知ってます。

ですからそっちに聞いてください。

・・・リリが居なくなった後で」

 

「あ、アンタ見捨てる気?!」

 

何を言うかと思えば・・・

 

「ロキファミリアの剣姫さんが、

勇者さんの指示で、

ヘルメスファミリアの皆さんと、

ダンジョン探索してるんですよ?

ティオネさんはソレを無視して

地上に帰還するんですか?」

 

10日という期限も、勇者さんから

指示が有れば変更は可能でしょ?

 

リリとアレンさんはさっさと

帰還します!

 

「た、確かにそうだけど・・・」

 

「あぁ、鈴は俺が預かろう。

万が一があっても困るからな」

 

アレンさんナイスアシストです!

 

「「あ~う~」」

 

姉妹揃って頭を抱えてます。

ですがわかりますよ。このままココに

居たら間違いなく面倒事に巻き込ま

れてしまいます。

そしてふらりと現れた筆頭様に

「まだ居たのですか?故に矯正」

とか言われて矯正される可能性が

ありますからね!

反論も弁明も矯正を受けてからと

言うのが恐ろしいところです。

 

「あの、皆さんは一体何を?」

 

「「「「黙れ」」」」

 

「はいっ!」

 

まったく、情報はリリが居なく

なってから二人に聞けと言った

ばかりでしょう。

コレだから冒険者は嫌いなんです。

 

アレンさんも女嫌いは解消された

わけではありませんからね。

アマゾネスでもないのにあんな

格好した痴女なんか相手にしません。

 

「ティオナはどうするのが正解

だと思う?」

 

「うーん、喩えフィンが許しても

アイズ一人を他のファミリアと

一緒に探索はさせないと思うんだ」

 

あぁなるほど。後続が居るのですね。

なら尚更リリ達は不要です。

ロキファミリアと関わると碌な

ことがありません。

 

「じゃ、お疲れ様でした」

 

「「えっ?!」」

 

コイツらが何をしようとしてるかは

知りませんが、今は情報収集より

指令を優先。ここはさっさと逃げます!

 

「鈴は預かった。では失礼する」

 

「「あっ!」」

 

アレンさんも同じですね。

コイツらの情報よりも筆頭様や

フレイヤ様を優先するのは当然です!

 

「あぁもう!まぁ万が一鈴を壊したり

したら間違いなく矯正・・・

いえ処刑だから、二手に分かれるのも

仕方ないって思うしか無いか」

 

「・・・そうだね。さすがに休みたい

ところではあるけど、アイズ一人じゃ

ちょっと、ね」

 

剣姫さんは痴女みたいな格好ですし。

騙されやすそうな顔してますからねぇ。

 

まぁリリには関係ありません!

さっさと18階層に行ってドロップ

アイテムをボールスさんに渡して

帰りますよ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・行ったわね」

 

「だね。まぁさっきも言ってたけど

私たちのせいで鈴が壊れたり、

リリルカさんの帰還が遅れたら

マズイからこれで良いと思うよ?」

 

ティオナの言うとおりだけどさぁ。

はぁ、私もさっさと帰って団長に

報告したいのに!

 

「ごめんねティオネ、ティオナ」

 

ん?申し訳なさそうな顔してるけど、

なんか不満そうだわ。

・・・あぁ、自分と実力差が開いたの

を理解したのね?

ただねアイズ、私程度に嫉妬してる

ようじゃ本物の強さは得られないわよ。

 

「アイズ、強さを求めるなら

中途半端は絶対ダメよ。

目標をしっかり持ちなさい」

 

筆頭様ですら先生には敵わないって

言ってたもの。

強さの頂の高さがまるで見えない。

 

私たちは別に世界最強を目指してる

わけじゃないからアレだけど、

もし最強を目指すなら筆頭様は

超えなければ行けない壁よ!

 

「え?そ、そうなんだ?」

 

まぁ筆頭様は団長のような

聡明さと団長を凌ぐ技。

ガレス以上の力と

リヴェリア以上の教養に気品!

そして完成された女子力を兼ね

備えた完璧淑女!

 

私にとって筆頭様は超えるものじゃ

ない、その背に一歩でも近付きたい

という憧れだけどね!

 

筆頭様曰く目標は近く大きくが理想。

まさしくその通りだわ!

 

つまり、武を志すなら筆頭様が自分

より上と断言する先生を見なきゃ

ダメなんだけど、あの人が本気出す

ところ見たこと無いから想像は

難しい。

やっぱり手加減はするけど容赦は

しない筆頭様を目標にした方が

わかりやすいのよね。

 

それをどうやってアイズに伝えよう?

 

それに私とティオナは帰ったら

レベルアップするでしょう?

・・・するわよね?先生のスキルを

受けた上でアレよ?

レベルアップしなかったら他の

レベル6はどんな地獄を見たんだ

って話になるから、ココは確実に

レベルアップするとしましょう。

 

けどレベルアップしたら絶対

アイズとべートが同じ修行しに

深層へ行こうとするわよね?

 

そしてあの方の修行を邪魔して

刻まれる。うん、ヤバイわね。

もはや目標云々じゃないわ。

 

団長に止めてもらう?だけど

団長になんて報告すればいいの?

深層にはジャガーノートと組手して

階層主を魚扱いするヒトが居るから、

この人と話がつくまでは遠征は

ストップした方が良いって言えば

良いの?

・・・間違いなく他の団員が興味を

示すわよね。それで

「私は見世物ではありません。死ね」

と言われて刻まれる。うん、ダメね。

 

知り合いだからどうとかじゃないもの。

 

なんとかしてアイズとべートの興味を

深層から引き離す必要があるけど、

何か策は無いものかしら・・・

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

りりるか  あれん

  ↓    ↓

_| ̄|○  _| ̄|○

 




剣姫さんがレベルアップしてない分
褐色姉妹が加わりましたってお話


リリルカと猫耳さんは18階で
衝撃の新事実を知ってしまったもよう。



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60話

前話の続き

身軽になったリリルカとアレン
向かう先は友が待つ・・・

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!




「いやぁ助かるぜ!旦那にもよろしく

言っといてくれよ!」

 

「「・・・」」

 

ボールスさんが新種の魔物の被害より

上下左右から襲い来る水晶の方が

問題だったって言いますけど、

コレ明らかに筆頭様ですよね?!

 

「・・・リリルカ先輩。きっと

筆頭殿は魔物から冒険者を

守るために水晶を割ったんだ。

だから被害を出したのは調教師。

街を守ったのが筆頭殿だ」

 

な、なるほど!

 

「そうですね。そして正義の味方は

正体を明かさないモノですよね!」

 

「その通り!正体を明かさずに

寄付金だけ置いていくのが正義の

味方と言うものだ!」

 

「「・・・」」

 

よし、アレンさんは大丈夫です!

あとはティオナさんとティオネさん

ですけど、リリには関係ありません!

 

ボールスさんが受け取った時点で

弁償・・・寄付は完了ですよ!

 

実際筆頭様はどう思ってるんでしょう?

 

可能性としては、先生にバレる前に弁償

して全部なかったことにするか、

もしくは本気で調教師とやらが悪くて、

街が荒れたままだと先生が困るからっ

て理由で、寄付をしてる可能性も

あるんですよねぇ。

 

・・・いや後者ですね。

自己責任の冒険者がどうなろうと

筆頭様は関係ないでしょうし。

あくまで先生が施設を使えるように

しただけですね。

 

うん、そう考えれば別にリリが凹む

必要もありませんね!

先生には筆頭様が調教師の魔物を止める為に

冒険者ごとぶち抜いたって正直に報告

しましょう。

嘘の報告をしたら怒られますからね!

 

しかし新種が暴れて筆頭様の散弾を

受けたにも関わらず、もうココまで

復興してるなんて、相変わらず冒険者は

ゴキ○リ並にしぶといですよね。

 

しかもリリの視界の先には剣姫至上主義の

エロフと剣姫至上主義の狼さんが見えますし。

 

コレはアレですね?剣姫さんへの援軍です。

しかし狼さんがリーダー的なヤツなんです

かね?勇者さんが来れなくてもラウルさん

が来ると思うんですが、地上は荒れてるん

ですかねぇ?

 

ソーマファミリアが壊滅してたら先生と

同じファミリアに改宗出来るんですけど。

 

あ~あ。地上への出口くらいで

いきなり恩恵が消えてくれるような

奇跡がおこらないかなぁ~

 

―――――――――――――――――――

 

 

「ロキ、神同士で同盟を決めるのは

構わないが、派遣する冒険者までそっちで

決めるのはやめてくれ。

そう言うのは経験がある指揮官の仕事だ」

 

前みたいに頭っから全否定してるわけ

では無いから前進ではあるんだろうが、

自分が何をしたか理解してるのか?

 

しかもディオニュソスなんかと

同盟を組んでどうするって言うんだ。

今さらレベル3なんか足手まといに

しかならないだろうが!

情報だけ搾り取れよ!

 

しかも24階での魔物の異常行動?

ギルドの関係者からの依頼でアイズが

乗り込んでる階層だぞ?

明らかに連動してるじゃないか!

 

ギルドはアイズがわざわざダンジョンから

戻って僕に報告してるとは思って無かったな?

 

素知らぬ顔をしてやってくれるっ!

無関係とは言わせんぞ。こんなタイミング

良く異変なんか起こるかよっ!

 

しかもロキの阿呆が!ベートの派遣はまだしも

ラウルやアキを連れていかないで、

よりにもよってレフィーヤだって?

同じ女性でレベル3だから?

なんで足手まといの押し掛け援軍に

こっちが気を使う必要がある?!

 

予想される敵の強さに対して

こっちの耐久が低すぎるだろう!

 

一撃の火力目当てかも知れないけど、

そう言うのは場を作る指揮官が居て

こそ活きるんだ。

今のベートやアイズは隙を作って

ぶっぱなす程度のことしか出来ないぞ!

 

『いや、すまんとは思っとる。せやけど

眷族の仇討ちがしたいなんて言われたら

断れんよ・・・』

 

「その結果足手まといを抱えて戦うことに

なった。わかってるのか?他人の仇討ちに

巻き込まれて自分の眷族が死ぬんだぞ!」

 

ディオニュソスの眷族やレフィーヤは

地上で警戒させてれば良いものを!

 

『せやけど24階やろ?レフィーヤたんも

最近落ち込んどったし、少しでも自信を

取り戻せたら・・・』

 

馬鹿か?!

 

「今の状況で魔物の異常行動と18階層の

調教師が無関係なはずが無いだろう!

調教師一人でアイズとベートを相手にして

負けないだけの戦いが出来るんだぞ!

そこに闇派閥が絡む?

ヤツに協力者が居たら、まともな自衛も

出来ない後衛のレフィーヤなんて弱点以外の

何者でも無いじゃないか!」

 

『あっ!』

 

「その程度の考えでラウルやアキの参加を

邪魔したのか?!調教師が関われば相手は

武器を溶かし、魔力に反応する新種だぞ!

べートが抑えられたら誰が彼女を守るんだ?

リヴェリアはロキの護衛としてその場で話を

聞いていたんだろう?一体何をしていたっ!」

 

「・・・すまん」

 

くそっ!こいつもレフィーヤの気分転換

くらいにしか考えて無かったな?!

 

「僕はこれから最速で援護に向かう。

地上はガレスに任せるよ」

 

「おうよ。して後発はどうする?回復薬や

毒消しくらいは持たせた方がよかろう?」

 

ふむ、確かにそうだ。ついでに食料も

持たせれば僕は更に身軽になるか。

 

「ラウルに部隊を任せてくれ、副官は

アキで数はレベル3が・・・6人居れば

良い。そのうち魔法使いは二人だね。

食料も多少余分に持たせてくれ」

 

こうすれば四人一組で一人は魔法使いだ。

うまく誘えば新種には勝てる。

 

「なるほどの。すぐに手配しよう」

 

「頼んだ。もし何も無ければそのまま探索

して帰ってくるよ。そろそろウダイオスが

復活する頃合いだしね」

 

「了解じゃ。何も無ければベートやアイズも

不完全燃焼じゃろうからのぉ。少しは

憂さ晴らしも必要じゃな」

 

何も無いことなんて有り得ないけどね

こうでも言わないとやってられないよ。

 

「私はどう動けばいい?」

 

死んでろ

 

「ガレスと地上に残った団員の指揮だ。

だけど僕たちが不在の間は絶対に

巡回もダンジョン探索もさせるな。

僕たちを引き離してコッチを狙う

可能性だってあるかね。

あぁ、ギルドからの依頼でも断れよ。

今回の件でわかったが、奴らは信用

できない」

 

「なるほど・・・わかった」

 

何が勇者だ。何が最大手だ。

連中にしてみたら体のいい労働力で

しかないと言う事かっ!

 

「ロキ。自分の眷族を殺したいなら、

僕を除名するか僕の目の届かない

ところでやってくれ。

眷族の成長の為にピンチを演出したい

なら、時と場所を弁えろ!」

 

万全の準備の下で行われる彼の試練とは

訳が違うんだよ!

 

『・・・』

 

あぁ、勇者が仲間を見捨てる訳には

行かないよな。

部下も自分も守らなきゃいけないのが

団長の辛いところだ。

 

覚悟は・・・したくないなぁ。

親指がこれ以上ないくらいに

疼いてるよ。

 

ギルドとディオニュソス、

この借りは高くつくぞ!

 

――――――――――――――――――

 

 

さて未熟者達が帰りましたし、

私はどうしましょうかね?

奴等の帰還速度を考えたら、師が来るには

最低でも3日か4日は掛かるでしょうし。

 

一刻も早く師にアレを届けさせる為に

さっさと戻しましたが・・・未熟なまま

帰還させた事を叱責されますかね?

 

いや、時間を守らせるのは弟子として

当然では有ります。

だけど師の『鍛えろ』と言う

依頼を無視した形になりますか?

 

いやいや、しかし他のファミリアの連中も

巻き込んでいるのですからやはり時間は

厳守すべきですよね?

 

いやいやいや、それでも他のファミリア

の都合より弟子の強化が必要だと言われ

てしまえば・・・

 

不味いですね。何か別のことで

補填しなくては。

このままでは叱責どころか

失望されてしまいます・・・

 

ナマモノは?まだレベル5ですが

珍しいモノです。

ただ。お友達とやらがどう動くか。

ナマモノを餌に珍しい連中をまとめて

捕らえておけばどうでしょう?

 

・・・知性あるナマモノ達への師の評価が

読めません。

面白いと思っても、研究材料としてなのか

未知の価値観を持つヒトとしてなのかに

よって扱いが代わります。

研究材料ならまだしも、ヒトとして見ている

場合だと纏めて捕縛は逆効果ですよね。

 

そうなるとナマモノは師にお会いするまでは

保留にしておいた方が良いでしょう。

間違いなく興味は引けるでしょうから

最終兵器としておけばなんとか・・・

 

あとはジャガーノートの素材と魔石です。

私が強化の為に使っても良いですが、

それも師に見せてからだし。

 

あれ?ソレを考えたら今の私は師にとって

興味深いモノになるのでしょうか?

 

ふむ・・・不味いですね。

 

失望された上に興味深いなんて、

この時点で役満確定です。

 

それも国士無双の13面待ち。

 

さすが無双農家!って、いやコレは

本気で洒落になりません。

 

同類を生け贄に・・・阿呆の居場所は

わかりませんが、赤髪は24階の食糧庫に

居ると言ってましたね。

師の知り合いかも知れませんが、検体を

用意しないと不味いですよね。

 

とりあえず24階層に行きましょう。

アレがどんな悪巧みをしてるかは

知りませんが、場合によっては手伝うし

場合によっては邪魔してやりましょう。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「ん~何かしら?」

 

魔力に反応しないけど、新種の

ナニカよね?アレの仲間とは思う

けれど、断言はできない。

だけど食糧庫に向かう途中の道に

あからさまに怪しい壁が出来てる。

 

さて、食糧庫でナニカしてるのは

確定だけど何をしてるのかしら?

 

普通に考えたら食糧の独占よね。

栄養を吸収して強化種になろうとしてる?

たしか筆頭様の知り合いの調教師が

イモムシで似たようなことをしてた

わよね?ソレが少し前まで18階層に

居て、24階層がコレか。

 

「モンスターの異常発生はこの奥の

食糧庫に行けなかったモンスターが、

他の食糧庫に向かってただけの話

だったってことだよね?」

 

「そうなるわね」

 

ティオナの言う通り。コレで依頼は最低限

達成なんだけど、問題はアイズがあくまで

アスフィのお手伝いとして来てることよ。

 

「この先の調査はどうするのかな?

ほぼ間違いなくアイズが18階層で

戦ったって言う調教師とその人が

操る深層の魔物が居るよね?」

 

「・・・そうよね」

 

アイズから特徴聞いて焦ったわよ。

筆頭様の顔見知りでレヴィスとか言う

赤髪の調教師でしょ?レベル5相当の。

 

「だよねぇ。多分ここでもナニカ

悪巧みしてるんだろうけど。

まぁ筆頭様のあの感じだと、邪魔

しても怒られないと思うよね?」

 

「そうね。18階層のことも邪魔を

したいなら、邪魔しに行っても良い

とは言ってたし」

 

勘違いした正義感とかならそのまま

殺されてたけど、敵対したなら問題

無さそうよね?

 

「「うーん」」

 

先生とも知り合いらしいから、

正直帰りたいのよね。

まぁ戦って殺したとしても先生も

筆頭様も、自己責任で許しては

くれそうだけどさぁ。

 

大体なんでこいつらの手伝いで態々

危ない橋を渡らなきゃ行けないのよ。

 

危ないのレベルが違いすぎるわ。

 

今ある情報だけでも団長は喜んで

くれるって確信があるし。野菜も情報も

鮮度が落ちたら意味が無くなるのよ?

 

「あぁ、アイズ、敵が弱いからって

一人で出ちゃダメよ?ソレが誘いで

分断されて各個撃破される可能性が

あるんだから」

 

「・・・うん」

 

私たちとの実力差に気付いて焦るのは

分かるけど、ソレは歪みよ?

一人で勝てなかった相手が待ち伏せ

してる可能性があるんだから単独

行動は絶対ダメ。

そもそもアイズは単独行動したら

戦闘は出来ても調査なんて出来ないん

だから「何も無かった」って言っても

再度探索する必要があるんだもの。

労働力の無駄よね。

 

「あくまで私たちはお手伝い。

ヘルメスファミリアの経験の為

にも雑魚は残してやりなさい。

それに雑魚を何体倒したって、

変な癖が付いて弱くなることは

あっても強くはなれないわよ?」

 

「あ、それもそうだね」

 

よし。コレでアイズも納得したっと。

私たちだけ働くのはおかしいものね。

しかも相手がヘルメスファミリア

なら尚更よ。

 

リリルカじゃないけど、私たちが

命懸けで掴んだ情報を奴らに渡す

つもりはないわ。

 

・・・命を危うくしたのは筆頭様

だけどね!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「強い。コレがロキファミリア・・・」

 

剣姫も強かったけど怒蛇と大切断は

次元が違うわ!

コレで剣姫と同じレベル5なの?

立ち振る舞いにも隙がないし、

他のアマゾネスに無い気品のような

モノも感じる。コレが強者の余裕?

 

少なくとも私たち全員が奇襲を

かけても、どっちか一人にだって

勝てないわね。

それにあの縄みたいな武器・・・

アレは何?右でなぎ払ったかと思ったら

次の瞬間には左で殴打?してるし。

かと思ったら敵が斬れてる時もある。

攻撃の種類も間合いも全く読めない。

 

味方にしたら頼りになるけど敵に

したら厄介すぎるわ。

しかも全体を見て剣姫が暴走しない

ように手綱まで握ってる。

 

冒険者としての格が違う・・・

リリルカ同様無双農家さんの弟子と

いうことだけど、女神の戦車と

一緒に深層で何をしてたの?

そもそもロキとフレイヤが組むなんて

聞いてないわよ?!

 

「それで、魔物の異常行動の原因は

わかったけどどうするの?この先に

行くのかしら?」

 

あ、そ、そうよね。

あくまで彼女たちはお手伝い

私たちがココで帰ると言えば

帰れるのよね。

 

けど明らかな異常を放置して帰るのも

アレなのよね。

 

今なら剣姫と怒蛇と大切断が居るから

私たちだけで探索するよりもずっと

安全だろうし・・・

 

「あぁ、言っておくけどこの先に

居るのは恐らく私たちが深層で

戦った魔物で、ソレを操る調教師が

居るわよ?」

 

「は?」

 

え?深層の魔物?調教師?!

 

「そうだね。アイズも18階層で戦った

らしいし、そっちの冒険者も見たん

でしょ?植物っぽい魔物とイモムシと

赤い髪した調教師」

 

あ、確かにルルネが命を狙われたって

話をしてたけど・・・

 

「アイズとべートの二人と戦って

負けない戦いが出来たってことは

少なくともレベル5の上位。

私たちなら戦えるけどさ、例えば

後ろから不意打ち喰らったら

アンタたちやばいんじゃない?」

 

「そ、そうですね!」

 

確かにレベル5の上位者が敵に

居たら洒落にならない被害が出る。

けどなんでそう思うの?

何か根拠が有るの?

 

「不思議そうな顔してるけど、

18階層での話は聞いたわよ?

今の状況でソレと無関係だと考える

のは流石に軽率過ぎないかしら?」

 

「だねぇ。それにこの状況は私たち

だけじゃちょっと面倒事になりそう

だから、フィンに報告してからじゃ

ないとね」

 

「・・・え?」

 

剣姫は驚いてるけど、言ってることは

二人が正しいわよね。

深層の魔物と調教師か・・・

ヘルメス様がどこまで読んでるのか

にもよるけど、一度引くべき?

 

「ティオネ、私はこの先に

行きたいんだけど・・・」

 

「「「はぁ?」」」

 

・・・剣姫にとっての何かがあるの?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの緑色の宝玉を見たとき何かを

思い出しそうになった。

 

あの調教師は何かを知ってるハズ!

この先に居るならソレを確かめないと!




友が待つ・・・地上。

勇者さん、ギリギリイエロー出さず。

あきらめるな24階層!お前はまだ一度も
ジャガーノートを出してないじゃないか!

常識フィルターを実装した二人に
剣姫さんの我儘が通用するかどうかってお話


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61話

くっ三話目が書き上がってしまった!

前話の続き

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


ヘルメスファミリアから先を調査

したいって言って来たならともかく、

アイズがこんなこと言い出すなんてね

 

「ねぇティオネ?この場合はヘルメス

ファミリアに損害が出たら私たちの

せいになるのかな?」

 

「難しいところだけど、恐らく

突っぱねることは出来るわ」

 

最終的な決断は責任者であるアスフィが

すること。

責任を負うからこその

責任者なんですもの。

それにもともと冒険者は独立独歩の

自己責任。周りの意見に流されて死ぬ

ほうが悪いのよ。

一応心配するとすれば、アイズがソレを

理解してるかどうかだけどね。

 

「アイズ、あんたの意見が採用されたら

巻き添えになって死ぬ人間が居るって

ことは分かってる?」

 

「え?!」

 

・・・わかってなかったか。

ファミリアとしての責任はともかく、

個人の負い目は別。しっかり理解した上

ならともかく、何も考えずに巻き添えに

するのはいただけないわね。

 

「この先に居るのはアンタとベートでも

勝てなかった敵よ。聞けば魔法は温存してた

らしいけど、それでもヘルメスファミリア

からしてみたら太刀打ちすら出来ない

強敵よね?それがまっすぐアンタの相手を

してくれるならまだしも、最初に後ろから

攻撃してきたらどうするの?」

 

「・・・みんな死んじゃうね」

 

「そうね。まぁ決めるのはアスフィだし

アンタが悪いってことにはならないけど、

あそこで黙ってたら引き返してた可能性が

高かったのは理解してるわよね?」

 

してたからこそ行きたいって

言い出したんだろうけど。

 

「それは・・・うん、わかってた」

 

「それがわかってれば良いわ。

ただ覚えておきなさい。

コレからココで死ぬヒトは、

引き返してたら死ななくて済んだヒト。

自分の意見が採用された結果、人を殺す

こともあるんだってことを知りなさい」

 

ソレを知らないとこの子は周囲に

死を撒き散らす殺戮機械になっちゃう。

冒険者の恨みはモンスターじゃなく

アイズに向けられちゃうわよね。

 

「・・・じゃ、じゃあやっぱり今回は

帰ろう?後でフィンとかと一緒に

来れば良いよね?」

 

うんうん。強さを求めてるとは言え、

他人を殺してまで何かを成そうとは

思ってないのがこの子の良いところよ。

 

筆頭様から見たら「温い」の

一言なんでしょうけど。

 

けど問題は、アスフィがどう判断するか。

私たちに情報を独占されるのを良しと

するかどうかよね・・・

 

「ねぇティオネ・・・」

 

ティオナ?なんかすっごく複雑な

顔してるけどどうしたのかしら?

 

「どうしたの?まさかアンタまで

この先を探索したいとか言わないわよね?

筆頭様に見つかったら弁明の前に矯正

させられるわよ?」

 

帰還もしないで何をしてるんだって

感じでさ。いやマジで。

 

「それは嫌だなー。だけどさぁ」

 

「だけど何?」

 

珍しくはっきりしないわね。

この微妙な表情と何か関係

してるのかしら?

 

「後ろ見てみなよ?」

 

後ろ?壁でしょ?ジャガーノート

でも出てきたの?って

 

「はぁ?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「だ、団長、どうします?」

 

怒蛇の言うとおり、ココで引き返せば

誰も死なずに任務を達成できる。

レベル5の上位者が罠を貼って待ってる

可能性があるなら、ココは撤退が当然。

 

もし進めば間違いなく団員に犠牲者が出るわよね。

 

問題はココで問題解決をしないで帰還

した場合、依頼者がどう思うか、よ。

 

「問題を発見しました。原因もおおよそ

わかりました。あとは我々では力不足

ですので他のファミリアへ協力要請を

して下さい」

 

コレで通用するの?異変の調査って

私たちにどこまで求められてるの?

 

あぁもう!ルルネの馬鹿が怪しいヤツの

依頼なんて受けるからっ!

 

ココで引き返せば後はロキファミリアか

フレイヤファミリア。もしかしたら

仇討ちの為にガネーシャが来るわよね?

私たちはお役御免で万々歳だけど

ヘルメス様は自分が蚊帳の外に置かれる

ことに耐えられる?

また問題行動起こしたりしない?

 

未来のヘルメス様の行動は問題だけど

現在の問題も大きすぎるわ。眷族死亡の

確率もある事案なんだから、一度団員を

帰還させて、指示を仰ぐべきよね。

 

「一度撤退しましょう。怒蛇が言うように、

予想される危険の度合いが違うわ。

依頼の未達成になった場合に生じるであろう

何かしらの罰則も痛いけど、団員の命には

代えられないもの」

 

後はルルネに接触してきたヤツと

どうコンタクトを取るか。

18階層とか地上に出る前には一度

コンタクトを取って来るとは思うけど。

 

「だ、団長!」

 

何ようるさいわね!元はと言えば

アンタが変な依頼を受けたから!

ってどこ指さしてんのよ?後ろ?

 

「・・・はぁ?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

不味いな。このままだと彼女達が

帰ってしまう。

 

怒蛇の言うことも、万能者の判断も

冒険者としては何ら間違ってはいない。

だがココで帰られてこれ以上汚れた

精霊に養分を吸われても困る。

 

だがこれだけの冒険者が見てる中で

私が出るわけにも行かん・・・

18階層に何かメッセージを残すか?

それとも団員を拐って壁の向こうへ

連れて行くか?

 

その場合ギルドに敵意が向く可能性は

どれほど有る?

 

ディオニュソスがロキファミリアを

動かすということだったが・・・

この状況でロキファミリアが来たら

ギルドに対する信頼が無くなるぞ?

ディオニュソスは焦りすぎだ。

 

リリルカ・アーデやアレン・フローメル

が協力してくれれば良かったのだろうが

情報の拡散は抑えねばならんし、

エイン殿は・・・ダメだな。

今からでは間に合わんし、

私にそこまでの信用は無いだろう。

 

やはり18階層にメッセンジャーを

立てて行動を促すのが一番確実か。

 

では動くと・・・ん?なんだ?

彼らの動きが止まった?

 

「・・・は?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

どういうつもりだアノ阿呆!

 

「万が一に備えて壁付近で待機。

もし壁を破ってきたら全員入れた

上で挟み撃ちにする」って言うのが

基本戦術だったはずだぞ!

 

あくまで内部に入ってこないことが

第一なのはわかってるだろ?

 

黙ってれば帰ったモノを!

 

アレか?そのまま帰らせるのが

気に入らないとかそんな訳の

わからない理由で壁を崩したのか!

 

わからんのか?あのアマゾネスはお前

の手に負えるような練度じゃないぞ?!

 

クソっ。ヤツに出入り口の開閉と魔物の

指揮権を譲ったのは失敗だった!

 

アレは頭までイカレた阿呆で、

エインのような理知的な策士とは

根本から違うってことを忘れてた

私の責任かっ!

 

・・・いや、どう考えてもアレが

悪いよな。自省は必要だけどバカを

フォローする必要も無い。

 

しかしどうする?死兵どもはまだ

隠してるけど。このまま誘うか?

 

いや、今更魔物を撤退させても

怪しまれるだけか。

 

奇襲が通じる相手でもないだろうし、

今からでも撤退の準備をするしかない。

 

あぁもう!地上から帰ってきて喚いてる

時点でさっさと殺しておくべきだった!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「「「・・・」」」

 

明らかに誘いなんだけど、コレに

乗らなかった場合は・・・特に

問題ないわね。

逆にコレに乗った場合は・・・

間違いなく敵との戦闘か。

 

普通なら帰るんだけどさ

 

「・・・」

 

アイズがチラチラこっち見てるのよね。

アレかしら?コレなら自分は悪くない

よね?とか思ってるのかしら?

 

「アスフィ、誘いに乗るかどうかは

アンタが決めなさい。ただしココは

ダンジョンよ。

罠が前だけとは限らないわ。

悠長なことをしている余裕は無いと

思いなさい」

 

結局最終的にはこうなるのよね。

何だかんだ言ってもべートや

アイズが戦えた程度の敵よ。

喩え新種のイモムシや大型のアレに

襲われても今の私たちなら生きて

帰ることは出来るでしょう。

 

イザとなったらジャガーノートを

出してこの辺全部破壊させても良い。

今の私とティオナならこの階層の

ジャガーノートくらいなら倒せるわ。

 

「・・・そうですね。先ほどの段階で

撤退を決めてましたし、ここまで

あからさまに誘われたなら、相手に

相当の備えがあると言うことです。

ソレを考えれば私たちの戦力では

この先は危険すぎます」

 

「「「団長!」」」

 

団長!じゃないわよ。

ギルドのアドバイザーは、冒険者は

冒険しないとか言ってるらしいけどね。

 

正確には【賢い】冒険者は【無駄な】冒険をしないの。

 

自分に出来ることと出来ないことを

しっかり考えて判断するのは常識。

 

私たちが名乗る冒険者とは無謀な冒険する

ヒトの総称ではなく、あくまで職業なのよ。

 

物事を冷静に考えて、周りに迷惑を

かけないのがプロの仕事。

 

崖の向こうの未知を探るために

時間短縮のため一か八かで崖の向こうに

飛び出すのは冒険じゃないわ。

見てる方はハラハラして面白いかも

しれないけど、そんなのは英雄願望に

取り憑かれた馬鹿のすること。

時間をかけて崖に橋を造って、その先の

未知を探るのが私たち冒険者なのよ。

 

「じゃあ撤退・・・はぁ。ティオナ?」

 

「うん。新種に囲まれてるね・・・

そりゃ18階層まで連れて行けるなら

ココでもこれくらいはできるよねぇ」

 

そうよねぇ。罠は前だけじゃないって

自分で言ってコレですもの。筆頭様に

見られたら矯正よね。

 

「え?え?囲まれてる?」

 

アスフィは気付かないか。

 

「溶解液を使う新種が上と後ね。

見た目がイモムシだから落ちてきた

ところを咄嗟に殺しちゃうかも

しれないけど、殺したら弾けて

溶解液をバラまくから必ず一定の

距離を取りなさい。

落下の衝撃で死ぬ可能性もあるから

落下地点には行かないこと。

あぁ、溶解液はアダマンタイトを

溶かすし不壊属性の付いた装備にも

影響を与えるから、人間が喰らったら

溶けるわよ」

 

「「「え、えぇ?!」」」

 

さて、この状況で安全地帯は・・・

イモムシが居る後ろよね?

まさかこれ見よがしに誘ってる壁の

向こうに行こうとはしないでしょう。

だけど傷を負ったら分からないわ。

治療のためにとか言って一見魔物が

居ないあっちに行こうとするかも。

あぁ、忘れないうちに言って置かないと

 

「アイズ!使っちゃダメよ!」

 

「え?あ、うん!」

 

何をって感じだったわね?

だけどココで魔法は使っちゃダメ。

せっかく前回隠したんだから切り札は

残しておきなさい。

 

それにココまで操られてるなら魔力

云々じゃないわね。

調教師が直接指示を出してるだろう

から釣るのも難しいか・・・

 

「あの・・・」

 

「どうしたのアイズ?あぁ前の壁に

開いた穴は誘いだから、あっちはもっと

ヤバいわ。だから行っちゃダメよ?」

 

この子は単純だからねー。

 

「えっと違うくて、何かあったときの

ために、私から半日遅れでベートさんや

ラウル達が来ることになってるの」

 

ほほう。なんで今まで黙ってたの?って

言いたいところだけど、たぶん団長から

「何かあるまで誰にも言うな」って

言われてたんでしょうね。

 

団長命令ならシカタナイ。

 

それに、ベートはともかくラウルは正直

ありがたいわ。

私だってコイツ等の纏め役ではある

けど指揮官って訳じゃないからね。

 

ふう、こうなったらラウルと合流して

ヘルメスファミリアの護衛をする部隊と

前進して問題解決に当たる部隊を編成

するのが妥当よね?

その場合私とティオナは別れて配置

したほうが良いか。

 

「ティオナ、ヘルメスファミリアの

護衛と、奥に進んで調教師の相手を

するのだとどっちが良い?」

 

調教師が筆頭様の知り合いだから

喩え単純な戦闘で勝てるとしても

後方の警戒と護衛は必要。

 

本当は分散なんかしたくないけど、

そうしないと間違いなく後方に

被害が出るもの。

そのまま足手まといを抱えて戦闘に

なったら不覚を取る可能性もある。

なにせあの方々は相手の弱点を突くのは

当然で、卑怯は褒め言葉なんですから!

 

「ん?・・・あぁラウルと合流すれば

そうなるかぁ。

うーん。悩みどころだよねぇ」

 

そうよねぇ。後ろも警戒は必要だけど

前だってアイズとべートの面倒を

見ながらの戦闘ですもの。

単純な戦力としては足手まといとは

言わないけど、連携は難しいわよね。

 

「私がアイズとべートの面倒見たほうが

良いかな?流星錘ならともかく縄鏢だと

程よいところで止めれないよね?」

 

「・・・そうね、今の私の腕じゃ

正直手加減は難しいわ。

斬るか殺しちゃうかだものね」

 

なぎ払いや捕縛もできるけど、そこまで

ヤれば動きが拘束されちゃうし。

かといって普通じゃ止まらないからねぇ。

流星錘でど突くくらいがちょうど良いか。

 

ソレを考えたら筆頭様は凄いわ。

鏢の先端でしっかりど突くんですもの。

・・・なんで刺さらないのかしらね?

 

「りょーかい。ラウルは半日遅れで来る

らしいけど、ベートはアイズと合流する

ために急いで来ると思うわ。

アレも不壊属性の装備を持ってるから

しばらくは雑魚退治ね」

 

「だね。上から来るのは直上のを除いて

石で殺ろうか、後ろのは・・・これも

石でいいかなぁ」

 

悩みどころよね。慣熟訓練になるから

このまま戦っても良いけど。

あぁ、別に私たちが全部相手を

しなきゃいけないってわけでもないか。

 

「アイズー。今は少し休んでなさい。

アンタはもう少ししたら壁の

向こうで調教師とヤるんだからねー」

 

ココまでやられたら仕方ない。

もう殺っちゃおう。

 

「あ、そうか。じゃあ休まないとダメだね」

 

そうそう。別にヘルメスファミリアが

戦えないわけじゃないんだし。

今まで楽してきたんだから働けってね。

イモムシ相手に経験値稼ぎなさいな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なっ?!」

 

この状況で休憩?深層の魔物に完全に

囲まれてるのに?!

 

「あぁ、イモムシは石で倒せる程度の

防御力しかないから焦らずに距離を

取って殺れば大丈夫よ。

直上のはそのまま殺ったら溶解液が

降ってくるからアレだけど、ソレ

以外は普通に石で落とせば良いし。

数も200匹程度だし、他の魔物とも

連動してこないから落ち着いて行けば

何の問題もないわよ」

 

「そ、そうですか。貴重な助言

ありがとうございます」

 

こ、コレが第1級冒険者の余裕?!

200匹程度って言うけどそんな

簡単なもんじゃないわよね!

 

さらに剣姫が奥に行くことが確定してる?

この状況なら包囲を突破して帰還するのが

妥当じゃないの?

 

わからない。今の私たちには情報が

少なすぎるわ!

 

「とりあえず円陣!怒蛇さんの助言

通り遠距離攻撃で仕留めます!」

 

「「「応っ!」」」

 

「あ、一応言っておくと魔力に反応

してくる可能性もあるから、安易に

魔法は使わないほうが良いわよ」

 

剣姫が魔法を使わない理由はソレかっ!

 

「了解です!聞いたわね?溶解液に

注意しつつ石や弓で攻撃よ!」

 

「「「了解!」」」

 

前に進むにしても後ろに退くにしても

魔物を片付けないと何にも出来ないわ。

 

彼女たちは休憩と言いながら油断せず

敵の奇襲に備えてる・・・のよね?

 

実際レベル5相当の敵が来たら任せる

しかないんだから、雑魚はコッチで

相手しなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来なさい魔物ども!万能者の名は伊達では無いってことを教えてやるわ!」




褐色姉妹は敵を過大評価してますが
正体不明の敵を警戒するのは
当たり前です。なにせ筆頭様の
知り合いですからね。

骨、複雑な気分になるも目的が
果たされそうなので撤収。
18階で待機するもよう

赤髪さんは姉妹の戦力をきっちり
把握してるので、撤退準備に入ってます

万能者・・・万能?ってお話



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62話

弟子に敵認定されると
大変な目にあいます

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!


ふむ、なんと言うかグダグダですね。

さすがの無能。相変わらず堂々とした

悪巧みですが、やはり痴女はいけませんね。

 

しかも褐色姉妹までいるではないですか。

帰還もせずに何をやってるのやら。

 

…ふむ。リリルカと猫耳が居ないですね。

 

ならば姉妹はあの二人を先に返してから

メガネ痴女と金髪痴女に同行した見る

べきなのでしょう。

 

これなら師に怒られませんよね?

 

それに彼女らのぶつかり合いは【面白い】

結果を生みそうです。

 

もしかしたら怒られないどころか、良い時期に帰したと褒められる案件ではありませんか?

 

加えて、今あそこにいるヘルメスファミリアと

言えば、地上で師にチョッカイを出そうと画策

している他に、ディオニュソスと並んで

リリルカが名指しで批判するような連中でした。

 

師に不敬を働く連中など、生かす必要が

ありません。

それに師が直接手を下せば問題があると言う

ならば私がダンジョンで殺せば問題解決です!

 

あとは褐色姉妹の修行の仕上げとして、

強者を敵に回したときの戦い方を経験

させた。とか言えば完璧です。

 

…ふむ、褐色姉妹が犯した帰還命令無視の

不手際も今回は許そうではありませんか。

 

と言うか、そもそも褐色姉妹はリリルカの付き

添いと私への目印兼荷物持ちでしたからね。

 

既に仕事は終わってますし、命令する権利は

彼女達が所属するファミリアの団長か主神に

あります。あの金髪痴女が何かしらの命令を

受けていたならソチラを優先するでしょう。

 

探索云々は猫耳が担当ですから地上に

帰還するまできっちり面倒見るでしょうし。

 

つまり、荷物は間違いなく師に届きます。

 

よし、最大の懸念は解決したので残るは

この状況で私はどう動くべきか、ですね。

 

ヘルメスファミリアを殲滅させるのと

検体を抑えたいのもありますが、ソレ以前に

師が造ったあの髪留めが無能に汚されるのが

我慢なりません。

 

特殊な加工をしているため壊れないらしい

ですけど、そう言う問題ではありませんよ。

 

早速あそこでなんか連中を眺めて笑ってる

白髪を潰すか?それとも先に赤髪に会いに

行くべきでしょうか?

 

うーむ。今の段階で下手に赤髪に逆らうと

どうなるかわかりませんからね。

師にお会いする前に体が崩壊するなんて

ことになったら最悪です。

 

白髪が赤髪の命令で動いている可能性を

考えれば先に赤髪でしょうね。

状況によっては冒険者ごと散弾で潰して、

「足手まといは引っ込んでろ」的な

狂言で両方に味方面もできます。

 

褐色姉妹も慎重に進むようですし、

ついでに無明察相翫を使って時間稼ぎ

でもしてあげますか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「こんにちはレヴィス殿。あっちで

オリヴァス殿が何か楽しんでますが

私も何かお手伝いしましょうか?」

 

「エイン?!」

 

このタイミングでなぜ?

 

「不思議そうな顔をされるのが意外ですよ。

貴女が24階層に居るのは聞いてましたし

深層に居た連中が帰還を始めましたからね。

コッチで何か有ったら困るだろうなと思い

連中を追跡してたんです」

 

「あぁ、なるほど」

 

精鋭とかち合うのが分かってるからね。

そりゃ様子も見に来るか。

 

「見ての通りオリヴァスの阿呆が勝手な

ことしたせいでコッチはてんやわんやさ。

下から来たのは二手に別れたからまだ

最悪でもないが、アマゾネスと金髪が厄介でね」

 

特にアマゾネスがねぇ。慎重に進んできて

絶対罠には掛からない。

ありゃ確実にヤツの弟子だし、下手に

敵に回したらヤツまで敵になっちまう。

 

「おや、アレはオリヴァス殿の独断でしたか。

それにアマゾネスはともかく金髪?

・・・あぁ剣姫ですか?

確かに風の魔法を使うから、貴女の魔物とは

相性が悪そうではありますね」

 

そうだよ。あの阿呆の独断だよ!

まったく面倒を・・・まて、今コイツ

なんて言った?

 

「・・・金髪が風の魔法を使う?」

 

コイツ、間違いなくそう言ったよな?

 

「えぇ、以前深層で見ましたよ?

体か剣かは知りませんが風を纏っての

突撃を得意としてましたね。

貴女が知らないということは今まで温存

していたのでしょうか?」

 

「・・・多分そうだろうね」

 

そうか!見つけたぞ。アレがアリアか!

言われてみれば、年頃もそうだし面影も

あるじゃないか!

 

「ん?嬉しそうですが、私が思う以上に

良い情報をお渡しできたようですね」

 

「まぁね。敵が隠してた切り札を教えて

もらったんだ。十分な収穫だよ!」

 

掴みどころの無いヤツだとは思ってたが、

実際コイツは私に損を与えていない。

 

理知的で暴走もないし。オリヴァス

なんかよりよっぽど良い仕事してるよ!

 

「ふむ、ついでにひと仕事していきますか?

何やら撤退の支度をしていたみたいですし、

時間稼ぎが必要でしょう?」

 

「・・・頼めるかい?」

 

話が早い。ほんと良い拾い物したね!

 

「お世話になってますからねぇ。

魔物の指揮権さえ頂ければアマゾネスと

剣姫もなんとか抑えますよ。

足留めも出来ますが・・・別に奴等を殺して

しまっても良いのでしょう?」

 

モンスターを使ってあの三人を止める?

まさかオリヴァスと違って奴等の実力が

わからないってことはないだろうから、

何らかのスキルを使うつもりだね。

 

・・・どんなスキルか知らないが

アリアを殺されても困る。

 

「流石に三人任せるのは悪い。

剣姫は私が受け持とう。18階でも

邪魔された因縁があるんでね」

 

「あぁ、そういえばアレと戦ってましたね。

了解しました。あとはオリヴァスさんです

けど、アレって良いんですか?」

 

「・・・色々良くないけど、アンタは

アレの何を心配してるんだい?」

 

ちょっと、いや、かなり気になるね。

 

「いえ、気のせいだと良いのですが、

なんかあぁ言う悪役見てるとですね。

何故か堂々と姿を晒して、声高らかに

自己紹介とか情報漏洩しそうで怖いん

ですよねぇ」

 

・・・わかる。確かにやりそうだ。

調子に乗ってわざわざ敵に情報を与えた

挙句見事に返り討ちにされるまで見えたよ。

 

はぁ・・・どうしたもんかねぇ。

 

「いっそのことオリヴァスさんは気絶させて

こっちに運んだほうが早くないですか?」

 

気絶どころか殺しても良いくらいだ。

 

一応、まだ何かに使えるかもしれないから

生かしてはおくつもりだけどさ・・・

 

「流石に負けそうになったら退くだろうよ。

あぁ言うのはしぶといのが取り柄だからね」

 

ソレしか取り柄が無いとも言うけどね。

 

「・・・中々に苦労なさってるようですね。

とりあえず私がやることは決まりました。

奴等を止めますので、指揮権をお願いします」

 

「あいよ。一応あの馬鹿にも一言伝えてくれると助かる」

 

私が言っても無駄に文句を垂れるだろうからね。

さっさと撤退準備をしてアリアと接触しなきゃ

ならんのに、馬鹿の相手なんかしてられないよ。

 

「了解です。まぁ上手く言っておきますよ」

 

うん、コイツに任せときゃ大丈夫そうだね。

 

あとは勢い余ってアリアを殺さない

ようにさせないと。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

さて、魔物の指揮権も貰いましたし。

あとは阿呆の相手ですね。

 

「お久しぶりですオリヴァス殿」

 

「ん、あぁエインか。久しいな。

見ての通り今は忙しいのだが何か用か?」

 

不機嫌そうですけど、まぁ阿呆の機嫌など

どーでも良いですね。

 

「用と言うより伝言?ですかね」

 

「伝言?妙なニュアンスだがレヴィスが

何か文句でも言ってたか?」

 

自覚あるんですね。まぁこのくらいの方が

煽りやすいから良いのですけど。

 

「文句と言いますか、諦めたと言いますか」

 

「?・・・良くわからんな」

 

これだけならそうでしょうね。

 

「つまりはレヴィス殿より私が魔物の指揮権を

預かりましてね。この際、雑魚は私にまかせて

オリヴァス殿は強者の相手に専念して欲しい

とのことです」

 

「あぁなるほどな。確かにソレなら文句とも

言えるし諦めたとも言える、か。

いやいや、さっきから魔物の動きが

鈍いと思ったらそう言うことだったのか!」

 

やはり自尊心を擽るのが楽な型の者でしたか。

こう言った型の人間は味方の足をも引っ張る

から、さっさと殺した方が良いのですけどね。

 

とはいえコイツは貴重な検体ですからね。

ここでは殺しません。とりあえずは指揮官

たる赤髪の指示に従いましょうか。

 

「納得頂けたようで何より。ただ前方にいる

剣姫は、レヴィス殿が因縁があるので

レヴィス殿に回して欲しいとのことでした」

 

「因縁?」

 

「18階層で邪魔してきた相手だそうで」

 

ソレ以外も有りそうでしたけどね。

 

「あぁ、ロキファミリアの冒険者に邪魔された

と言っていたがアレがそうか。ソレなら

仕方ない。アレはレヴィスに譲るとしよう」

 

何が仕方ないのかわかりませんが、

納得したならそれで良いです。

 

「残る強者は一緒に居る二人のアマゾネスと

先程この階層に来た凶狼。これは援軍ですね。

魔法使いを一人か二人連れてますよ」

 

「ほう・・・なら先にそちらを潰すのも

良いな。期待している援軍が来なければ

奴等も焦るだろうさ!」

 

褐色姉妹に挑んだら殺されますからね。

ソレくらいはわかってましたか。

 

「では援軍はお任せしても?」

 

「任されよう。ただ魔法使い対策に魔物を

10体程連れて行きたいが良いか?」

 

ふむ、少しは冷静さも有りましたか。

 

「無論です。ではオリヴァス殿が準備

出来次第、こちらも動きます」

 

「ん?あぁ俺は特に問題ない。直ぐにでも行ける」

 

そうでしょうとも。

 

「そうですか?了解しました。ではこれより

コチラの指揮は私が執ります。御武運を」

 

「あぁ、雑魚は任せたぞ!」

 

 

 

・・・最後まで妙な自信がありましたが、

万が一の際の検体ですからね。死なないように

頑張って下さいよ。

 

―――――――――――――――――――

 

「えっ何?魔物が共食い?」

 

ヘルメスファミリアの連中に殺られてた

イモムシがいきなり共食いを始めた?

強化種でも作る気?いや違う、この配置はっ!

 

「ティオネ!不味いよっ!」

 

「えぇ、そうね!」

 

魔物の動きがあからさまに変わった!

 

「え、な、何が?」

 

アイズにはわからないか。

 

「アスフィ!直ぐに壁を越えなさい!

アイズも壁を越えて上に居るイモムシを

警戒!あっちにヤツらがいたら魔法を使って

でも溶解液を防いで!」

 

「え?き、急にそんなこと言われても・・・」

 

「わ、わかった!」

 

ヤツら溶解液を当てるためだけの位置取りを

始めたわ!しかも私たちが逃げれない

ように共食いで溶解液をばら蒔いてる!

 

「ぐわっ!」

 

「セイン?!」

 

ちっ、上のも共食いを始めたか!

降り注ぐ液体を完全に避けるのは不可能だし、

何よりこのタイミングは不味いっ!

 

「あぁぁぁ?!」

 

「メリルっ!」

 

やっぱり偶然じゃない!私たちの付近に来る

タイミングで、丁度良く死んで破裂するように

ダメージを与えてから落として来てるわ!

 

「アスフィ!さっさと引きなさい!壁を

越えたく無いなら足が溶けるのを我慢して

でも溶解液を踏み越えて後方へ突破!

さっさとどちらかに動きなさい!このまま

ここに留まってたら貴女達、全滅するわよ!」

 

魔法で防げるアイズや縄で防げる私たち

ならまだしも、アスフィ達にはこの自爆

攻撃は防げない!

 

「ティオネ、こっちは大丈夫!上にも居ない」

 

やっぱり壁の向こうには罠が無いか。

この場合ソレが良いのか悪いのか。

明らかに誘いだけど乗らないと全滅するわ。

 

・・・私たちだけなら何とでもなるのに、

何でヘルメスファミリアなんて足手まといを

連れてきたのよ!

 

「くっ!直ぐに壁を越えます!負傷者を優先っ!

分断されないように一塊になって動きなさい!」

 

アスフィはそっちに決めたか!

 

「ティオナ!集団の中央に行って上から来る

虫を凪ぎ払って!アイズはそのままそこで

待機!目の前に魔物が現れても絶対に

動いちゃダメ!防御に専念して!」

 

「了解!」

 

「う、うん!」

 

ヘルメスファミリアが円陣を組んで

纏まって居たのが仇になったか!

まさか自爆攻撃をしてくるなんて・・・

 

さっきまでのイモムシの動きは彼女達を

一ヶ所に纏める為の罠だった?

準備が終わったから仕掛けてきた?

それとも単純に指揮官が代わった?

 

まず壁の向こうに罠を仕掛けない理由は

誘いよね?

私たちにここで時間稼ぎされて困る理由が

有るとしてそれは・・・援軍か。

 

何らかの手段でベートかラウルが到着した

のを知った調教師が、合流をさせない為に

私たちを壁の内部に誘引したのね。

 

更に援軍がこの壁を越える為には、溶解液の

水溜まりを突破する必要がある。

 

やられたわ。完全に相手が上手。

筆頭様の知り合いならコレくらいは出来て

当然よ。

イモムシが単純な動きしかしてこなかった事に

違和感を抱かなかった時点で負けてたのね。

 

やっぱり私は指揮官なんてガラじゃない。

アイズやアスフィに任せるよりはマシ

なんだろうけど、この敵からしたら一緒よね。

 

まぁもし相手が筆頭様なら、最初から

魔物の罠なんか使わずに殺されてたから

最悪ではなかったと思いましょう。

 

しかしコレからどうするか。

壁の向こうは確実に相手が待ち構えている

けどヘルメスファミリアはお仲間の回復の

為にどうしても時間が必要よね。

 

かといって大人しく回復を待ってくれる

ような相手かしら?

 

問題解決のためにこっちが動くにしても、

アイズの単独行動は論外。私とティオナが

一緒に行ったら残ったアスフィ達が全滅。

私かティオナが残っても、残った方は

単独行動と変わらない。

いいえ、足手まといを抱えてる分、

単独行動よりタチが悪いわ。

 

相手に主導権を握らせた上で3人残って

時間を稼ぐしかないの?。

いえ・・・もしくは私かティオナが一度

ここを離れて援軍と合流してから最速で

戻れば良い?援軍は間違いなくこっちに

来てるんだから、探すか大きな音でも

立てれば合流は難しくないはず。

 

一番無駄がないように思えるけど、

問題はやっぱり残った方が耐えれるか

どうかよね。

 

・・・だけどベートとラウルが居れば戦力も

獲られるし指揮はラウルに任せて私も戦闘に

専念できるようになるわ。

 

あとは援軍の規模によっては後続にヘルメス

ファミリアを預けて、私たちは前に行ける。

 

それに、アイズはともかく私たちは別に

ヘルメスファミリアの連中から何か依頼を

受けた訳じゃ無いから、本来はアイツらの

心配なんて要らないのよね。

 

助けられるのを見捨てたら団長に怒られる

かも知れないから守ってるだけだし。

 

つまり今は自分の判断で動いても問題ない。

 

アイズとティオナはあの程度の罠じゃ

殺られないだろうし。

 

よしっ、さっさと合流しちゃいましょう!

 

「ティオナー!私はコレから後続と合流

してラウルとベートを連れてくるから

ソッチは任せても良いかしらー?」

 

「りょーかーい!待ってるよー!」

 

これでよし、アイズが釣られてもティオナ

が居れば止めてくれるでしょ。

 

問題はこの水溜まりなんだけど、

まさか早速筆頭様から教わった「ジャンプ

した後で縄を水面に叩きつけ、その反動で

再度跳ぶ」なんて方法を使うことになるとは

思わなかったわ。

縄に溶解液が付着するから長距離は無理

だけどこの距離なら問題なく跳べる。

 

さすが筆頭様ね!

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

さて、計画通り褐色姉妹は別れました。

 

まったくもって未熟ですが、彼女達は

あくまで兵士ですからね。あんなモノで

良いのかも知れません。

 

しかし、褐姉は教えた通りに縄を

使えたようで何よりです。 

もしも無様に溶解液を無理矢理突破なんて

したら矯正してましたよ?

 

後は白髪とカチ合わないように進路を

定めて置けばしばらくは良いでしょう。

 

これで一応の時間稼ぎは終わりましたが、

どうも赤髪は金髪痴女に接触をしようと

してましたよね。

 

ふむ、褐妹も引き離してあげましょうか?

一応アマゾネスは引き受けますと言って

しまいましたし・・・

恩は売れる時に売っておいた方が

良いですよね。

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふははははは、私は人間を越えたのだよ!」

 

「「「な、なんだってー?!」」」

 




計略コマンド

罠→自爆→誘引→火計→混乱→
突撃→罠→自爆→誘引→火計→
混乱→突撃→罠→自爆→誘引→

のエンドレスワルツ。
知力99の計略を防げるのが居ない!ってお話

まぁ弟子は自分が直接水銀の眷族を殺れば
姉妹にバレて主人公くんに迷惑がかかるし、
今は姉妹を殺す気も無いので魔物任せです。

死兵による火計も突撃も無いのでまだ
みんな生きてますね。

もしかしたら程々で切り上げる・・・かも。

姉妹は実はベートよりラウルに期待してます。
まぁ剣姫も後続のメンバー変更は知らなかった
ので、勘違いではなく無乳様の失態ですね。




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63話

前話の続き

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!

オリ設定なんだぞ!


なるほど、どーせ突っ込んでも殺される

だけならいっそ自爆か。勉強になるねぇ。

 

ついでに面倒なオリヴァスを後方に

回して、アマゾネスも一人誘引に

成功してる。

 

こっちに残った連中は傷の回復と

罠を警戒して動けないっと。

 

分断から時間稼ぎまで一手でこなすとは、

素体の素質が良かったのか頭を潰された

ことで何かが覚醒したのかは知らないが

見事としか言い様がないよ。

 

それに比べてアノ阿呆は

 

「人と魔物、二つの力を兼ね備えた至上の存在だ!」

 

・・・エインの予想通りか。

しっかり情報提供してやがる。

 

あの阿呆は殺したら一緒だとか思ってる

んだろうが、逆を言えば殺さないと

情報が漏れるって事じゃないか。

 

時間稼ぎは出来てんだから、情報を

渡さなけりゃ放置してもいい連中なのに。

自分から選択肢を狭めてどーすんだい。

 

アレ、もう殺したほうが良いな。

 

それもこれもアリアとの接触次第だが

もう一人のアマゾネスはどうやって

引き離す気なんだろうねぇ。

 

こっちは安心して見てられる分まだ

マシだ。

素直に勉強させてもらうとしようかね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

むぅ。動けない。

 

遠くに魔物は居るけど動いちゃダメって

言われてるし、ティオネが居なく

なったのも敵の狙い通りなんだよね?

 

そうなると私がここから動いたら

後ろの人たちが狙われる?

それとも私が狙われる?

 

どっちにしても危ないからダメ

だってことだ。

ティオネはココまで予想しながら

戦ってるのか・・・なるほどなー。

 

「アイズ、敵の狙いが私たちなのか

ヘルメスファミリアの人たちなのか

わからないから、下手に動いちゃ駄目だよ!

ここはラウルの到着を待って状況判断して

もらわなきゃ」

 

「うん、わかった。けどこのままで

良いのかな?何かしなくても良いの?」

 

ティオナも敵の行動を予想してるんだ。

考えながら戦うから強いのかな?

 

「アイズ、今の問題は敵の狙いが

わからないことなんだよ」

 

「私たちか後ろの人かってこと?」

 

やっぱりそうだよね?

 

「それもあるけど、なんでコッチに罠を

仕掛けなかったかって言うのもね。

周辺の魔物は奥に誘ってるみたいな

動きをしてるけど近づいてこないし。

わざわざ壁を崩してまで誘ったにしては

追撃が無いのがおかしいんだよ」

 

お、おぉ?

 

「コレを考えれば敵の狙いは私たちの

戦力の分断と時間稼ぎだと思う」

 

そ、そうなの?

 

「だったら奥に進んだほうが良いの?」

 

敵の狙いを邪魔できるよね

 

「それが一番駄目だね。」

 

ナンデ?!

 

「後ろの人たちを放置して先に進む

ことになるでしょ?

今の彼女たちはアスフィ以外の

ほとんどがさっきイモムシの自爆で

ダメージを受けてる。わかってる?

自爆したのは10匹も居ないんだよ?

それなのにコレだけの損害が出たって

ことは、傷を回復しても彼女たちだけだと

残ったイモムシに殺されちゃうの」

 

爆発したのは10匹も居なかったのか。

そっか、みんな纏まってたから少しの

数でも溶解液を集中出来たんだ。

かといってバラバラだと、後ろの

人たちは力が足りないから数に飲まれる。

 

「かといって全員で奥に進むとラウルとの

合流が遅れるし、罠に嵌る可能性もある。

足手まといを抱えて罠になんか嵌ったら

危ないでしょ?

イモムシは弱くても溶解液は強いんだよ?」

 

むぅぅ確かにそうだ。溶解液を浴びたら

溶けちゃう。だけど私だってずっと風を

纏う訳にも行かないよね。

 

今は前にも後ろにも動けないのか・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

情けない・・・万能者なんて言われても

完全に足手まとい扱いじゃない!

 

実際円陣を組まないと数に潰されてた

から、アレはアレで間違いじゃ無い。

敵が上手だっただけの話。

 

レベル5の奇襲の可能性もあったから

彼女たちがイモムシ退治に参加をしない

のは当然だった。

むしろ避難を援護してくれたことに

感謝しないといけないわ。

 

そもそも私たちがもっと早くアレを

退治出来ていたら、こんなことには

なっていない。

 

つまりは完全な実力不足・・・

単純だからこそ解決策が無い。

奥の手なんか隠してるからこうなる!

 

剣姫の意見云々関係なく撤退すべき

だったわ!

 

コレからどうする?溶解液のダメージは

重度の火傷に匹敵するわ。

普通のポーションじゃ足りない。

しかも液体だから避けることが出来ないし。

 

さっきは大切断が縄を振り回して盾の

替わりにしてくれたからなんとかなった

けど、もう私たちだけではアチラには

戻れないわ。

つまりこの状況を解決するためには

援軍を待つか奥に進まないと駄目よね。

 

敵の狙いが時間稼ぎなら何が来る?

このまま私たちを回復させて物資の

消耗を狙うというのも有り得るけど。

 

なにせ回復しても足手まといなのだから。

 

クソっ!今は大切断の指示に従うしかない。

これ以上足を引っ張ったら全滅する

可能性もある。

ファミリアの意地とか冒険者の誇りは

後回しで良い!生き延びることを

最優先して動く!奥の手でもなんでも

使おうじゃないっ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

巨大花ねぇ・・・なんと言いますか、

そのままですよね。

 

私も名付けの才は無いと自負してますし

特徴を捉えてると言えばその通りでは

あるんですが、せっかく蛇みたいな

格好してるんですから相手に勘違い

させたりしようとは思わないのですかね?

 

ま、名前に関してはどーでも良いです。

コレが居れば問題無いでしょう。

褐妹と金髪痴女を引き離してあげますから

あとは好きにやってくださいな

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あ、あれは・・・」

 

怪物祭りのときに見た魔物だ。

 

「アイズ、あの蛇みたいなの知ってるの?」

 

あぁそっか、ティオナは居なかったね。

 

「アレは蛇みたいに見えるけど、新種で

花みたいなヤツなんだよ

魔力に反応するから魔法はダメなの」

 

「花みたいなヤツ?」

 

「うん、斬撃に弱いから落ち着いて

戦えば勝てるけど・・・ティオナは

ウルガ持ってないから危ないかな?」

 

「ふーん。そんなのがあんな

離れたところで何してるんだろ?

なんか暴れてるみたいだけど

アレは魔法とかの予備動作かな?

離れたところに一方的に攻撃できる

手段とかあったりした?」

 

「うーん。前に見たときはあんなこと

してなかったと思うけど・・・」

 

なんだろう?壁を叩いてる?

あんな遠くの壁を叩いてどうするの?

 

「・・・あっもしかして!まずいっ!」

 

え?何かわかったの?

 

「あぁ~どうしよっか?この階層なら私や

アイズなら大丈夫だけど、アスフィ達は

全滅するかなぁ」

 

「「「えぇ?!」」」

 

全滅?アレは何をしようとしてるの?

ティオナは何に気付いたの?

 

「アイツね、多分ダンジョンを壊して

ジャガーノートを出そうとしてるんだよ」

 

「「「ジャガーノートだって?!」」」

 

・・・ナニソレ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

27階層の悪夢ですって!

 

アストレアファミリアを壊滅させた化物で、

出現条件はダンジョンの大規模破壊って

言ってたわね・・・

 

適正レベルは5。双頭竜より早くて

力もある上に魔法を反射する装甲を

持つから近距離戦闘で戦わなきゃいけない。

 

確かに剣姫と大切断なら十分戦えるで

しょうけど私たちは余波でさえヤバい!

 

さらにあの蛇みたいな花?も敵なら

どうしても二手に別れる必要がある!

そうなれば確実に分断されるわ!

 

かといってあの敵を叩くためには

斬撃武器を持つ剣姫が行くしかない。

 

どちらにしても分断されるのね。

ここまで的確にこちらの選択肢を奪う

なんて。この調教師はどこまで陰険なの!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ほほぅ。壁に切れ込みを入れてたから

何かと思えばそういうことかい。

 

確かにあれだけ切れ込みを入れた

後に巨大花が暴れれば大規模な

破壊が起きる。

そうなればジャガーノートが出てくるわな。

 

アリアとアマゾネスならまだしも

後ろの連中はソレには耐えられまい。

 

あのまま巨大花を止めなければそのまま

ジャガーノートを誘導してあいつらに

ぶつける。

アリアは風の魔法を使うが故に相性が悪い。

アマゾネスは斬撃の武器を持っていない。

 

そうなれば巨大花にアリアが向かい

ジャガーノートにアマゾネスか。

 

もし出現を止めることを選んだら

どっちかが前に出るしかない。

この場合は斬撃武器を持つアリアだろ?

孤立したところを私が相手しろってことか。

 

全員で前に出たらどうする?

あぁ足手まといが居る以上

ジャガーノートの出現の方が早そうか。

 

なるほど。どう転んでもアリアは孤立する。

・・・完璧じゃないか。

 

撤退準備も終わった。栄養補給はまだ

不十分だけど、そもそもヤツらをココへ

導いた存在が居る以上、長居は無用。

 

あとはアリアを連れて行けたら良いん

だが、ソコまでやるには時間が足りない。

無理してアマゾネスに関与されても

困るし、エインに余計な情報を

与えるのは危険かもしれないしね。

 

今回は59階へ導いたら帰るとしようか。

 

最初はオリヴァスの阿呆に殺意も覚えたが、

アリアも見つけたし良い機会を提供して

くれたと思えば許してやろうとも思えるね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さてアイズ、どうする?」

 

え?ど、どうって何?

 

「正直ロキファミリアとしてはね?

足手まといを連れて前進するくらいなら

アイズと私で前進して、さっさと問題

解決して帰るのが一番なの」

 

なるほど、でもそれだと・・・

 

「後ろの人たちは見捨てるの?」

 

「「「・・・」」」

 

「うん。元々冒険者は自己責任だし。

それにアイズは護衛じゃなくて協力者。

頼まれたのは問題の調査と解決であって

ヘルメスファミリアの護衛じゃないの」

 

それは・・・そうだね。

 

「余裕が有ればアレもコレも出来るけど

今の私たちにはそんなの無いよ。

ジャガーノートが出たら・・・まぁ私

一人でも勝てるだろうけど、周りの

被害までは面倒見られない。

もしジャガーノートの出現を防ぎたいなら、

あの蛇みたいな花を潰さなきゃいけない」

 

「うん」

 

なるほど。

 

「アイズが一人で向かえば、孤立した

アイズが罠に嵌められちゃうね」

 

「うん」

 

そうだよね

 

「私と一緒に行けば罠に嵌っても

なんとかなると思うけど、ヘルメス

ファミリアの人は死んじゃうね」

 

そっか、そうなるのか。

 

「・・・みんなで動いたら?」

 

「ジャガーノートの出現を止めるには

間に合わないかな?そうなると

私とジャガーノートの戦いに

巻き込まれて半分は死んじゃうよ。

あとは敵の罠次第ってところ」

 

「なるほど・・・」

 

じゃがーのーとはそんなに強いのか。

じゃが丸くんみたいな名前だから

強くて当然かも・・・

 

「私としてはヘルメスファミリアの為に、

アイズを敵の罠に差し出すような真似は

したくないんだよ」

 

「・・・そうなんだ」

 

どうしよう。ティオナの言ってることは

わかる。だけどココでこの人たちを

見捨てるのも何か違う気がする。

 

だけど罠に嵌っても必ず大丈夫って

言えるわけじゃないし。

 

むぅぅぅぅぅぅぅぅ。

 

「あんまり考えてる時間は無いよ?

今は行くか行かないかだけを考えて。

そもそも、この依頼を受けたのは

アイズなんだから、アイズが

決めなきゃダメなの。

何も決めないのはもっとダメだよ!」

 

そうだよね。フィンと話したのは私だし、

ティオナもティオネもお手伝いだもの。

決めるのは私じゃなきゃダメなんだ。

 

「・・・私一人で行く、ティオナは

後ろの人たちを守って」

 

罠があったら、なんとかして逃げて

合流すれば良いよね!

 

「うん、ソレがアイズの決定なら

私はお手伝いしてあげるよ!

・・・だけどすぐに応援に行くから

絶対に無理しないで。

仲間と合流するために逃げるのは

恥じゃ無いからね!」

 

「うん。わかった。こっちはよろしく」

 

「任された!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

うんうん、アイズも自分で考えて

自分で決めることが出来て何より!

 

「あの・・・良いんですか?」

 

ん?あぁアスフィにしてみたら複雑

だよねー。だけどアイズ一人でも

多分大丈夫だよ?

 

「放置するわけじゃないから、すぐ

追うからさっさと回復してよ?」

 

「は、はい!」

 

このタイミングでジャガーノートを

出そうとするってことは、筆頭様か

筆頭様のお知り合いが居るのは確定。

 

筆頭様本人の場合は敵対行動を

取った時点で私たちは死んでるから、

ここにいるのはお知り合いだけ

だと思うんだよね。

 

そうなると私たちが先生や筆頭様の

用でココに来てるって知ってる

だろうから殺しには来ないでしょ。

 

だって態々筆頭様が修行付けたのに、

先生が確認する前に殺すなんてしたら

筆頭様に殺されるじゃない。

 

実際単独行動取ったティオネが罠から

抜けるときに邪魔されなかったし。

イモムシも私たちに対しては何も

してこなかった。

 

アイズを狙うにしても一人なら罠から

抜けれるだろうし、18階層で戦った

ときだって魔法を使わないで戦っても

殺されてないって話だしね。

魔法有りの全力戦闘なら勝てないまでも

負けない戦いは出来るはず。

 

それにアイズも私たちとの差を感じて

焦ってたし。少しくらいピンチに

なった方が成長するよね。

実際ここでも自分で考えて動いてる

ようだったからかなり成長してるよ!

 

まぁ最終的には一方的に殺される

ような敵じゃないから、合流すれば

アイズはなんとかなる!

 

アスフィたちは・・・最低限守るけど

頑張って自衛してもらおう!

 

それで死んでもシカタナイネ!

 

だって冒険者だもの!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オリヴァス!貴様のせいで私は、私達はっ!」

 




オリ設定=ご都合主義とも言う。
当たり前に死にかけるけど
死なないからご都合主義だよね!

褐妹、なんとなくで敵の思考に気付く。

多少の勘違いはあれど大筋では
間違ってませんね。

実際赤髪は先生関連で、白髪は単純に実力差で
褐色姉妹を相手にしようとしてなかったからね!

アスフィ達はシカタナイの精神が働き
歪みない優先順位を定められたもよう。

剣姫さんの単独行動に関しては、
殺すつもりならとっくに死んでるから
大丈夫。それに死にかけた方が
強くなると知ったので、アイズも
強くなれば(死にかければ)良いよね!
と言う親心でもあるよってお話。



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64話

さっさとココを終わりたいのに・・・
また三話だと?!

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!


金髪が前に出ましたか。あの速度では

蜥蜴の出現までは壊せませんね。

この階層は中層と呼ばれているようです

から、下層や深層の蜥蜴との差を確認して

みたかったのですが・・・

 

「あとは連中が食糧庫に入ったら、

死兵で退路を絶って支柱を引き抜いて

部屋ごと潰せば終わりですね」

 

「・・・エグいねぇ」

 

この程度で何を言っているのやら。

 

直接手を出して師に何か悪影響が

あっても困りますから、今回は

此処までで良いでしょう。

 

「ではレヴィス殿。こちらはもう

大丈夫そうなのでオリヴァス殿の

様子を見に行こうと思いますが、

何かありますか?」

 

金髪との関係はあまり私に知られたくない

ことのようですし、席を外してあげましょう。

褐妹は、まぁ髪留めの回収が出来れば

ソレで良いと言えば良いのですけどね。

 

ただココで死なれても修行が無駄に

なりますし。

どこかネコモドキに似てますから

師も甘やかしている様子。

 

冒険者である以上死んでも文句は

言わないでしょうが、良い気分には

なりませんよね。

 

死にそうになったら助けてあげる

程度で良いでしょう。

 

「いや、十分だ。あとはコッチで壁を

造って分断するよ。

オリヴァスは・・・負けそうになったら

連れてきてくれ。状況や態度によっては

私が直接処分するよ」

 

「処分、ですか・・・」

 

ほほう?貴重な検体は失いますが、

処分の方法を見ておけば今後の対策が

取れますね。

 

まさかこんなに早く機会が訪れるとは

思いませんでした。

褐色姉妹には何か褒美になるものを

あげないといけませんね!

 

「あぁ、流石にアレはやり過ぎだ。

アンタが言ったように無駄に情報提供

してやがる。

昔の知り合いが居るらしいが話してる

暇があったらサッサと殺せって話しさ」

 

離れていても詳細がわかるのですね。

調教師の同調というか同期と言うのは

侮れません。

 

しかしやはりと言うか何と言うか。

何故三流の悪役というのは態々

自己主張するのでしょう?

師のように結果と背中で語るような

悪党は居ないんですかね?

 

「自己紹介と情報提供したんですか・・・

ではその場に居て情報を得た連中は

どう処理しましょうか?

流石にオリヴァス殿を倒すような手練の

冒険者が相手では私も確実に殺れるとは

言えませんけど・・・」

 

一応は同じレベル5相当と言うことに

してますから、余裕を持ってたら

怪しまれますよね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あぁ、コイツの策があんまり上手く

行くもんだから、当たり前のように

オリヴァスより格上だと思っちまうが

実力的には同格なんだよな。

 

あくまで腕力だけだが・・・

 

「そうだね。とりあえず弱ってたら止め

を刺す程度で良いよ。無理に戦ってアンタ

まで危険な目に遭う必要はない」

 

別にエインが悪いわけでもないしね。

 

「・・・ふむ。相手も無傷じゃ無いで

しょうから、逃げることに専念すれば

大丈夫ですかね?

オリヴァス殿は気絶くらいはして

もらいましょうか」

 

「騒ぐようならそうしてくれ」

 

そのほうが処理も楽に終わる。

 

「では私はあちらに向かいます。

何かあったら魔物に溶解液で

字でも書かせてくださいな」

 

・・・いや、伝言方法としては

間違ってないけどさ、なんて言うか

こいつの発想自由過ぎないか?

 

「何か問題でも?」

 

「あぁいや、問題はない。

何かあったらそうするよ」

 

実際問題は無いからねぇ

 

「そうですか?レヴィス殿が良いなら

良いですけど・・・」

 

「うん、細かいことは気にするな」

 

「はぁ・・・ではまた後ほど」

 

「あいよ、よろしく頼んだ」

 

 

さて!気持ちを入れ替えてアリアを

歓迎してやろうかね!

報告を疑ったワケじゃないが、実際に

巨大花に接近する際に風の魔法を

使ってたし、本人に間違いない!

 

アマゾネスが壁を突破する前に

魔法込みの戦力調査と59階層の

情報をくれてやろう!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふーん。オリヴァス・アクトねぇ」

 

なーんか大物ぶってるけどそれほど

強くはないわね。

ベートはレフィーヤとフィルヴィスを

守ってたから勝ちきれなかったのかしら?

 

「怒蛇?!」

 

「ティオネさん!」

 

「・・・けっ」

 

・・・あれ?ラウルは?

 

「アマゾネスが一人こちらに来たか・・・

まぁ、いつまでも援軍が来なければ

こちらに戦力を派遣するのも当然。

単純にヤツの失敗とも言えんだろう」

 

ヤツっていうのが言うのが誰か

知らないけど、おそらくは調教師の

レヴィスって人よね?

 

まったく・・・何を企んでるのかは

知らないけど、私たちは別に正義の

味方じゃないのよ?

敵対するなら片付けるけど、そうじゃ

ないなら情報もらって放置でも

構わないと思うんだけど。

 

「オリヴァス・アクト。アンタが過去

闇派閥に属していて今も悪巧みを

してるのはわかった。

だけど一度だけ警告してあげる」

 

「・・・警告?」

 

コイツが先生や筆頭様の知り合いなら

問答無用で殺すのはヤバいからね。

 

「ここはおとなしく引きなさい。

私たちは24階層の魔物の異常行動

に対する調査の手伝いをしてるだけ。

現時点でその理由は掴んだから一度戻って

ロキや団長に報告するつもりなの」

 

「「えっ?!」」

 

「おいバカゾネス!勝手なことを

言ってんじゃねぇぞ!」

 

うるさいわね。私はあんたらよりも

筆頭様が怖いのよ!

 

「なるほど、必要の無い戦いはしないか。

それもまぁ正しい冒険者の姿ではある」

 

「納得してもらえたようで何よりね」

 

コイツみたいにペラペラ情報を

明かしてくれる敵は、殺すより

生かしたほうが良いでしょうに。

 

「ふざけんな!コイツは敵だぞ!」

 

「ベート、明確な敵よりも中途半端な

味方の方が仲間を殺すモノよ?」

 

そこのフィルヴィス然りヘルメス

ファミリア然り。

両方リリルカ曰く先生にちょっかい

出してるファミリアじゃない。

こいつらと一緒に居るって時点で

筆頭様に敵認定されそうで怖いのよ!

 

「あぁ?」

「・・・」

「ティオネさん!フィルヴィスさんは!」

 

「あぁ動くなよオリヴァス、私はまだ

お前の返事を聞いてないからな?」

 

「・・・ふっ。ソッチの話はソッチで

片付けてくれ。正直興が削がれたよ」

 

うん。私に勝てないことはわかってる

みたいだし、逃げ口上には十分よね。

 

これ以上の慈悲を掛ける気は無い。

隙をつくようなことをしたら

さっさと殺せば良いわね。

 

「そもそもの話なんだけど、

なんでレフィーヤが居るの?

ラウルが来るんじゃなかったの?」

 

後から来るにしても、レフィーヤが

べートと先行して来るって有り得なくない?

 

「・・・ラウルはこねぇ」

 

「はぁ?!アイズは団長からアンタと

ラウルとアキを派遣するって言われた

って言ってたわよ?」

 

そうなるとアッチがヤバいわ!

私もティオナもヘルメスファミリア

なんてどうでも良いけど、無駄に

犠牲が出たらアイズが気にするかも

しれないじゃない!

 

「俺だって知らねーよ。ロキが

ディオニュソスと話して決めたんだと」

 

ちっ!あの無乳め!またレフィーヤを

特別扱いして団長を無視しやがったな!

 

「レフィーヤ、今すぐフィルヴィス

と一緒に地上に戻りなさい!

ベートは北の食糧庫に行ってアイズと

ティオナに合流して!」

 

「「えぇっ?!」」

 

とりあえず弱点はさっさと逃がさないと!

筆頭様の知り合いなら間違いなく

彼女たちを狙ってくるわ!

 

「・・・アイズと合流すんのは良い。

最初からそのために来たんだしな。

だがコイツはどーすんだよ?」

 

「オリヴァスなら私が抑えるわ。

アンタの方が敏捷も高いでしょ。

急いで合流してラウルが来ないことを

ティオナに伝えて欲しいのよ!」

 

一刻も早く伝えて方針転換させないと!

 

「・・・やべぇのか?」

 

「えぇ、アイズもティオナも二人だけ

なら良いけど、足手まといが居てね。

ラウルに任せようとしたんだけど・・・」

 

レフィーヤじゃ指揮なんて執れない。

このままじゃ足手まといを抱えた

ままレヴィスと戦う事になるっ!

 

「なるほどな。協力者が使えねぇっ

てんならラウルに率いらせて撤退

させた方が良いってか。クソっ!

ロキのアホが!」

 

まったく同感。だけど喋ってる暇が

あったら動いて欲しいわね

 

「ベート、そういうのは後で良いから

急いで!北だからね!」

 

「おうっ!」

 

あぁオリヴァス、邪魔はさせないわよ?

 

「ちっ隙は無いか・・・しかしそちらも

一枚岩では無いようだな」

 

「恥ずかしながら見ての通りよ」

 

ほんと、情けなくて笑えてくるわ。

 

「ふむ。私としても強者の足止めは十分

だろうし無意味な戦闘で傷付く気もない。

ここはお言葉に甘えて退かせてもらうよ」

 

「そう。なら、そこにいる蛇みたい

なのも一緒に連れて行きなさいよ」

 

「「蛇?」」

 

隠れててもあんなのが蠢いてたら

空気が震えるわ。さすが筆頭様!

 

「・・・っ!流石、と言っておこう」

 

「アンタみたいなのを相手にするなら

警戒は当然でしょ?後ろから襲われても

潰すことは簡単だけど、面白くはないからね」

 

油断慢心ダメ絶対。

アイツ油断してましたよ!なんて

報告されたらどんな目に遭うか・・・

 

「いやはや気付きもしなかった

そこの冒険者モドキとは大違いだ。

足手まといが居てくれて助かったと

言うべきなんだろうな」

 

はっきり言ってその通りよね。

 

「オリヴァスっ貴様ぁ!!」

 

「「黙れっ!」」

 

「・・・ティオネさん?」

 

「フィルヴィス、あんたがどんな

立場でココに居るかは知らないけど

今のアンタに発言権なんて無いの」

 

せっかく交渉で纏まりそうだったのに。

こんな都合の良い情報源をコイツの

気分で無くして堪るもんですか!

 

「そういうことだな。過去の因習が

どうだろうと弱者は正義を語れない。

迷宮都市とはそう言うモノだ」

 

……別にアンタが強者とも言えないけど

強者と繋がりがあるのは事実。

組織の強さもソイツの強さと

考えれば、コイツの背後関係が

わからない以上、下手な敵対行動は危険よ。

 

「あぁちなみにオリヴァス。帰る前に

これだけは聞かせてもらうわ」

 

答えなかったら・・・わかるわね?

 

「・・・何かね?」

 

さて、コイツはこの問いにどう反応する?

 

「ここにレヴィスとエインも居るのよね?」

 

「「???」」

 

「ほう・・・その名をどこで聞いた?」

 

筆頭様への呼び捨てに対して

リアクションが無い・・・

つまりレヴィスは筆頭様の知り合い

だけどコイツは違うってこと?

確かに立ち振る舞いは全然違うけど・・・

 

「質問に質問で返すなって習わなかった?」

 

「ちっ。仕方ない。この場の強者は貴様だ。

答えは・・・ガハッ!」

 

「「なっ?!」

 

いきなりぶち抜いた?!

この一見致命傷だけど、的確な場所に

回復薬を使えば治療できる程度に抑え

られた攻撃。そしてこのタイミング!

 

・・・まさか本人に見られてたとは。

あぁ~コレって詮索したことになるの?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

まったく、この阿呆は敵にペラペラ

情報を与えて何がしたいのか。

誤魔化そうにも調教された魔物の同期が

ありますから下手な接触もできませんし。

 

いや、もう接触しますか?調教

された魔物を全部撤退させて、残った

魔物も殺してから接触すれば

これからの分は大丈夫でしょう。

 

理由としては「指示に従わなかったから

普通の魔物と勘違いした」といった

感じでいいですね。

 

今までの会話は・・・赤髪が金髪に

集中して聞いてなければ良いのですが、

期待は薄いでしょうか?

 

「とりあえず巨大花。この阿呆を赤髪の

ところまで運びなさい。他の魔物も撤退」

 

うむ、うねうね動きます。

褐姉も私の存在に気付いて

動かないようですし。

 

対処としては及第点です。

 

「あっ!あの魔物は?!」

 

ほう、そこの耳長は知ってますか。

地上で見たんでしょうかね?

さて付近に魔物はいなくなりましたが

この阿呆との関係をどう誤魔化すか・・・

 

「怒蛇さん!このままだとヤツが逃げます!」

 

あの白耳長は現状を把握できてませんね?

 

「五月蝿いフィルヴィス!死にたく

なかったら黙れ!絶対に動くなっ!!」

 

「え?え?」

 

ふむ、アレはエンブレムが違います。

別のファミリアですか。

 

まぁ良いでしょう。私はあくまで協力者で

あって、怪人とは違うと思ってもらうと

しましょうか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「上が騒がしいと思って来てみれば。

さて褐姉。言い訳を聞きましょうか?」

 

あぁ、やっぱり・・・けど言い訳

させてもらえるだけマシよね?

 

「何者?!」

 

何者も何も筆頭様よ!

って言うかアンタには死にたく

なかったら黙れって言ったわよね?!

 

「言い訳?何を言っているんですか?!」

 

・・・さっさと帰れって言われた

私がまだ残ってることと、詮索した

ことですよね!

 

「そこな耳長共。私はアナタ方に謁見も

直問も許した覚えはありません。

とりあえず黙りなさい」

 

「「・・・!!」」

 

・・・何をしたかわからないけど

何かしたことだけはわかるわ。

 

だけど筆頭様クラスになると会うのも

許可が必要なのね!

リヴェリアも本来はこんな感じ

らしいけど、やっぱり桁が違う!

 

あぁそうじゃない!どうしよう!

 

「言い訳はしないと言うことですか。

なかなか潔い態度です・・・では

大人しく首を出しなさい」

 

「スミマセンデシタっ!!」

 

ここで許すとかじゃなくて

ナチュラルに首が出てくるのが

筆頭様よね!

 

「何に対する謝罪かわかりませんが、今回は不問としましょう」

 

え?良いの?地獄は?

 

「逝きたいですか?」

 

「結構です!」

 

逝かないならソレに越したことは無いわ!

 

「いや、貴女が私の知り合いに剣を

向けたことを謝罪する気持ちは

わかります。ですが、ハッキリ言えば

謝罪の必要はありません」

 

「え?そ、そうなんですか?」

 

いや、謝ったのはソレじゃない

ですけど!許してもらえるなら

オッケーです!

 

「えぇ、彼はあくまでレヴィスを通した

知り合いでしかありませんからね。個人的な

付き合いはほとんど無いんですよ」

 

良しっ!コレはセーフね!

 

「先ほどの私に対する詮索も・・・

師に聞けば済む話ですが、私が

怪しいのはわかりますからね。

それにアレの背後関係を調べようと

したのでしょう?情報収集は大切なこと。

それらを鑑みて今回は不問としましょう」

 

「アリガトウゴザイマス!」

 

コレが寛容の心!さすが筆頭様!!

 

「あとはそうですね。レヴィスが

ここで何をしていたかを探って

いたのですよね?」

 

「え?そ、そうですけど教えて

もらえるんですか?」

 

知り合いなんじゃないの?

 

「別に彼女の悪巧みについては私は

関係ありませんし、変に私が関わって

居ると師に報告されても困ります」

 

あぁ、そういう事か。

知り合いの悪巧みよりも、先生に

誤解されるのが嫌なのね。

 

「そういうわけでレヴィスの企みですが

24階層の食糧庫で、自分の調教した

魔物に栄養を与えてましたね」

 

「・・・やっぱりそうでしたか」

 

強化種とは違うけど、そんな感じの

ことだろうとは思ってたわ。

 

「それと彼女は剣姫と何かしらの関係があるようです」

 

「アイズと?!」

 

どういうこと?アイズはそんなこと

何も言ってなかったけど・・・

 

「今頃は接触してる頃でしょうか。

殺すことはなさそうだから、油断さえ

しなければ褐妹も剣姫も無事ですよ」

 

「そ、そうですか!情報ありがとう

ございます!」

 

ヘルメスファミリアは無事ではない

可能性もあるけど、ヤツらは自分たちで

何とかしなさいってことよね。

 

私は知らないわよ?だって筆頭様には

絶対に逆らわないと決めてるもの!

 

「あとはそうですね・・・先ほどの

オリヴァスに関しては正直何も

知らないんですよ」

 

「そ、そうですか」

 

確かに、相性は悪そうよね。

それに筆頭様って闇派閥とかそういうの

気にしないだろうから、本当に何も

知らない可能性が高いわ。

・・・さっきのも手加減?って感じの

一撃だったし。

 

「他に何か聞きたいことはありますか?」

 

さて、何かあったかしら?

下手なことは聞けないし・・・

 

「直ぐに思い至らないならそれで結構。

とりあえず師には勘違いされないように

きちんと説明するように」

 

「はいっ!」

 

逃げも隠れもできないからね!

 

「では私はコレで。そこな二人は気絶

してますから起きるまで護衛するなり

持っていくなり好きになさい。

私に関しては・・・特に口止めをする気はあり

ませんが見世物になる気もありません。

その辺のさじ加減はお任せしますよ」

 

「はいっ!お疲れ様でした!」

 

・・・あぁ釘刺されたわねぇ。

とりあえずティオナと相談して

団長とロキだけに報告しよう。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、やはりお前がアリアか」

 

「?!」




オリヴァスぅー!

情報漏洩は処刑案件ですが弟子は
赤髪による処理方法が見たいので
一応手加減(殺さない程度)してます

レベル3程度ではなぁってお話


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65話

気絶した足手まといを抱えた
褐姉。ようやくメインヒロイン?と合流



オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


お疲れさまでした!とは言ったモノの、

これからどうしようかしら?

 

この二人を担いで北の食糧庫に向かう?

いや、こんな自衛も出来ない足手まといを

罠の中に連れて行ってもねぇ。

 

そもそも筆頭様は何処に行ったの?

食糧庫だとしたら・・・いや、だけど

ティオナとアイズは無事だろうって

話だからご自分で何かをするつもりでは

無さそうだったわよね?

レヴィスの撤退の手伝いとかするのかしら?

 

なら下手に触れなければ私たちは大丈夫。

あとはヘルメスファミリアだけど、

アイツらは怪しいのよね。

そもそも何でアイズが一人で連中と階層探索

なんてしてるのかって事よ。

 

後からベートやラウルを送るくらいなら

初めから一緒に送り出せば済む話よね?

 

ヘルメスファミリアが居るところだと

あんまり喋れなかったみたいだけど、

事の発端は一人で歩いてたアイズに何者かが

接触して依頼を出したのよね。

 

それでアイズは団長に報告して、団長は

依頼主が怪しいとわかった上でアイズに

探索の許可を出した。

 

アイズには何かあった時の為に後続に

ベートとラウル達を派遣するから、何か

あったら無理をしないで時間を稼ぐように

指示を出したのよね?

 

あわよくば私たちと合流するように時間も

調節したみたいだし、流石団長よね!

 

ソレを邪魔した馬鹿が居るけど、今は良い。

 

18階でアスフィ達と合流して、24階層へ

やって来たわけだ。

 

ここで、何でヘルメスファミリアが総出で

居たのかになるのよねぇ。

普通ならロキファミリアで良いじゃない。

私たちが居なくても団長もガレスも

リヴェリアも居るし、ラウルやアキだって

アスフィ達よりは戦えるわ。

 

依頼主とヘルメスファミリアが繋がってる

と考えるのが妥当よね。

まぁアスフィも不本意そうだったから

ヘルメスと依頼主の繋がりね。

ソレからこのフィルヴィスも問題よ。

 

何でコイツが後続に参加してるの?

今回の依頼に後続を出すことを読んでた

神の横槍?あとレフィーヤは何なの?

ロキが選出したらしいけど、ベートの

機動力が完全に殺されるわよね?

 

それにレフィーヤを出したからって

ラウルやアキを温存する理由にも

ならないわよね?

むしろベートを活用するならベートに

単独行動させてアイズの援護に回して、

レフィーヤの護衛と魔法を活用する場を

作る為のラウルを一緒にしなきゃ駄目よね?

 

範囲魔法って言ってもただぶっ放すんじゃ

無くて、より効果的なタイミングて撃たなくちゃ

意味が無い。

ソレなのに、まともな自衛も場を作ることも

出来ないレフィーヤをここで使う?

まさかロキがアイズやレフィーヤを追い詰める

ために邪魔をしてきた?

 

いやいや、先生みたいにきちんと告知して

準備をした上での試練ならともかく、

命懸けのダンジョン探索で面白半分で

そんなことをされたら私だってキレるわよ?

 

けどソレ以外でレフィーヤを一人で

出してくる意味が無いのよね。

 

まったく私たちが居ない間に地上で何が

あったの?

 

団長の胃は・・・ん、この足音はまさか

 

「団長?!」

 

「ティオネか?!」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

ティオネがここに居ると言うことは

アイズは無事に合流できたか!

 

しかしなぜレフィーヤとフィルヴィスが

倒れてるんだ?敵の攻撃でも受けたのか?

 

「まさか団長が来るとは。やはりこの

二人は団長ではなくロキの独断でしたか?」

 

「お察しの通りさ。僕はラウルを出そうと

したんだけどね、ディオニュソスからの

押し掛け援軍のフィルヴィスに遠慮した結果

同じエルフでレベル3で女性のレフィーヤさ」

 

相変わらず話が早い。

しかも強くなってるのが一目でわかる

くらいに成長してるじゃないか。

彼の試練に行かせたのは正解だったな!

 

「押し掛け援軍ですか、やはりディオニュソス

とヘルメスとギルドは繋がってるようですね?」

 

ティオネも何か情報を掴んだか。

まぁソレは後で聞くとしよう。

 

「そうみたいだね。とりあえずソレは後にして、

こっちの状況を教えてくれ」

 

「はい。色々有るんですが、まずは緊急性が

高いと思われるモノからいきます。

現在ヘルメスファミリアの面々とアイズと

ティオナが敵の調教師が仕掛けた罠に嵌まり

動きを拘束されてます」

 

「・・・もうこの時点で色々アウトだね」

 

いやほんと。お茶持ってくれば良かった。

 

「私やティオナ、アイズは問題無いのですが

ヘルメスファミリアが足を引っ張りまして」

 

それはそうだろうね。団長のアスフィでさえ

レベル3だ。どうしたって邪魔になる。

 

「で、アイズから後続としてベートと

ラウルが向かってると聞いたので私は

ラウルを迎えに来たのですが・・・」

 

「あぁ、なるほど。足手まといを纏めて

ラウルに指揮を執らせて後退させようと

したんだね?」

 

うん、正しい判断だ。ロキが邪魔さえ

しなければ足手まといを抜かした

精鋭で調教師と当たれたよ!

 

「はい、まさかこちらにも足手まといが

来るとは予想外でしたけど」

 

そうだよな。深層の魔物を操るレベル5相当の

調教師を相手にするなら、この二人は邪魔に

しかならないよなぁ。

 

「とりあえずベートを問題の元凶である

北の食糧庫に向かわせて、ラウルの到着を

待つティオナに方針変更を伝えて貰うよう

頼んだんです」

 

「なるほど」

 

ステイタスを更新して居ない以上、ベート

の方が敏捷は上だからね。

しかも最速でアイズと合流しろって

言われたら喜んで行くだろう。

良いキャスティングだ。

 

「この二人が気絶してるのはちょっと

説明が難しいのですが・・・」

 

「いや、命に別状が無ければ良いよ」

 

押し掛けられたとは言え同盟相手の団長だし、

レフィーヤも無事なら問題ない。

 

「後で書類で報告します。それで敵の

情報と目的なんですが」

 

「何かわかったのかい?!」

 

目的までわかるってどんな状況なんだ?

 

「敵の主犯の名はレヴィス。赤髪をした

レベル5相当の調教師です」

 

「名前は初めて聞いたが、特徴はあってるね。

やはり調教師だったか、それに主犯?」

 

つまり複数居るのか?

 

「もう一人はオリヴァス・アクトを名乗る

白髪の男でした」

 

「オリヴァス・アクト?!27階層の悪夢の

主犯か?生きていたのか!」

 

「その辺が良くわかりません。フィルヴィスが

反応していたので本人かと思われますが、

死んでから蘇ったとか、自分は魔物と人間の

二つの力を獲た存在だとか言ってました」

 

「・・・確かに良くわからないな」

 

フィルヴィスが本人と判断したなら

そうなんだろうけど、死んでから蘇った?

魔物と人間の力?そいつらがここに居たのは

偶然じゃ無いだろう。ギルドは何を知ってる?

 

「それで、そのまま色々な情報をぺらぺら喋って

くれましたので、コレからのことを考えて

生かしておこうと思ったのですが・・・」

 

「あぁ、馬鹿な敵ほど有り難い存在は

居ないからね。

倒すより生かしておいた方が良いのはわかる」

 

だけど言い澱むってことは口封じされたか?

 

「話の選択を間違えてしまい、ある御方に

口封じをされてしまいました」

 

やっぱりそうか。しかしある御方?

ティオネの知り合いでそんな表現

をするのは彼くらいだけど

 

「その御方は先生の一番弟子だそうで、

深層でリリルカや私、ティオナとアレンさん

を鍛えてくれた方なんです」

 

「・・・ん?彼の一番弟子が深層の視線の主で

君たちを鍛えてくれたのはわかるけど、

オリヴァス・アクトとの関係がわからないな。

その人は闇派閥の人間なのかい?」

 

「いえ、あの方は派閥とかそう言うのには

興味が無いようでした。ただの知り合い

だったようですが・・・ま、まぁこの辺も

今はあまり急ぎでは無いので戻ってから

お伝えしても良いでしょうかっ?!」

 

「あ、あぁそうだね。今はレヴィスとやらの

目的を優先しよう!」

 

目茶苦茶キョロキョロしてるな。アレか?

自分も口封じされるかもって怯えてる?

相当厳しい修行をさせられたんだな・・・

 

「すみません助かります。それでその方から

の情報では、レヴィスの狙いは北の食糧庫

を占領し、己の調教した魔物に栄養を

与えているようだったとの事でした」

 

「食糧庫の栄養か・・・」

 

その人がどうやってその情報を手に入れたか

気になるが、今は考えても仕方がない。

ティオネにソレを疑ってる様子が無いと

言うことは恐らく嘘では無いんだろう。

 

「それと、レヴィスはアイズと何かしらの関係

があり、接触を図ろうとしていたそうです」

 

「アイズと接触だって?」

 

やはり彼女の生い立ちに関わる何かが有るか。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

「くそっコイツら爆弾抱えてやがる!」

 

ふぅん。死兵って奴かな?まぁ倒したら

爆発するイモムシと一緒だよね。

防御もしないで突っ込んでくるだけなら

流星錘の餌食でしかないんだけど。

 

「アスフィ!」

「団長っ?!」

 

えぇ。何でこんな奴らにやられるの?

てか相手が人間だからって慌てすぎでしょ。

 

最初から闇派閥と関係あるってわかって

・・・無かったね。

 

レヴィスさんが筆頭様の知り合いで闇派閥と

関係あるって知ってるの私たちだけだった。

 

まぁいいや。

 

ダンジョンで敵対する冒険者に襲われる

なんて当たり前の事だし、ヘルメスは

元々怪しいし、リリルカさん曰く先生の

敵なんでしょ?

 

つまりは筆頭様の敵だよね。

団長とかがファミリアの方針として決めた

ならまだしも、私もティオネも筆頭様の敵を

積極的に助ける気なんか無いよー。

 

「とりあえず今は戦闘中。叫んだりしてても

邪魔だから屈むか下がるかしてくれない?

一応コイツらはこのまま抑えてあげるから。

あぁ回復はそっちでやってね」

 

自爆に巻き込まれる気は無いから排除する

って言うのは助けてると一緒なのかなぁ。

 

いやーだけど足手まといってこう言う人達を

言うんだよね!

この人たちを引き連れてくれる予定だった

ラウルはロキのせいでこないらしいし、

ベートはさっさとアイズを探しに行っちゃうし。

これアイズ一人だったらどうなってたかな?

 

「す、すみません!一旦下がります!」

 

「はいはーい」

 

さて、コレで存分に振り回せるよ!

あの支柱を壊そうとしてる蛇みたいな

花は、斬撃に弱いらしいけど打撃はどう?

 

筆頭様みたいに衝撃を内部に伝えたら

どうなる?

 

支柱を壊して天井が降ってきても、そんなの

一度壊れた壁に過ぎないってのは筆頭様の

大規模破壊で経験済みなんだよ。

 

所詮は1階層分の床だから、落ちて

きたのを壊せば生き埋めにはならない!

 

つまりは私が遠慮する理由もないっ!

さあ、向かってくる人形みたいな連中共々

慣熟訓練に付き合って貰おうかな?かな?

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「はいはーい」

 

・・・なんて余裕。喩え相手が人間でも

あそこまで歪み無く戦えるなんて。

アレが第一級冒険者なのね。

しかも最初は手や足を狙ってたのに

自爆するとわかるや否や頭を潰すことに

切り替えた!

 

「団長、大切断が抑えてくれてる間に

食糧庫から出ましょう?なんか支柱みたい

なのを壊そうとしてるし、このままだと

生き埋めになっちゃいますよ!」

 

確かにそうね。連中の狙いが何かはわからない

けど、支柱を破壊しようとしてるってことは

もうここには用が無いって事でしょ?

 

コレ以上は無駄な損耗にしかならない。

 

「大切断!ここは危険です!一度退きましょう!」

 

そして剣姫との合流を・・・

 

「んー?別に私は大丈夫だから、貴女達が

大丈夫なら下がっても良いよー」

 

「「「「はぁ?」」」」

 

えっと、どういう事かしら?あの大きい

のが支柱を壊そうとしてるのは見えてる

わよね?いやむしろ狙いってるみたい?

 

「・・・団長、良くわからないけどハッタリ

とかじゃ無いみたいですし、足を引っ張る

前に撤退しましょう!」

 

「・・そうね。ただでさえ負傷者が多いし、

お言葉に甘えて下がりましょう」

 

さっきは剣姫の言葉で動揺して機を逃した

けど、同じ過ちは繰り返さないわ!

 

「すみませんが我々は一度下がります!」

 

「はいよー」

 

軽いっ!彼女にしてみたらピンチでも

何でもないってわけ?

 

「団長っ!」

 

そ、そうね!私達は私達で動かないと!

 

「後退します!みんな急いで食糧庫から

逃げるのよ!」

 

「「「「了解っ!」」」」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

ティオナが言った通り、私を狙ってきたね?

 

「ふむ、18階層では落ち着いて話も

出来なかったが、自己紹介といこう」

 

「え?」

 

じ、自己紹介?何で?

 

「私はレヴィスだ。ちょっとした事情があって

今はアンタの敵だが、まぁその辺はまだ説明

が難しいんで勘弁してくれ」

 

「え、あ、はい?」

 

えっと、この場合は名乗るべき?だけど

敵だって言ってるから必要無いかな?

 

「ま、警戒するのも当然だ。私としては

アンタが【アリア】かどうかの確証が

欲しくてね」

 

「なっ何でその名前を!?」

 

どうしてお母さんの名前を?!

ううん、私が【アリア】かどうかの確証?

 

「心当たりは有るようだねぇ。なら次は

魔法の確認だ!」

 

魔法のことまで知られてる?!

フィンにはバレる前に片付けろって

言われたけど・・・

 

「テンペストッ!」

 

バレてるなら一気に行くっ!

 

「リル・ラファーガッ!」

 

くら、えっ?!

 

「ふむ、やはりお前がアリアか」

 

「!?」

 

風ごと捌かれたっ!

 

「この程度でそんなに驚かれてもねぇ。

速いだけで単純な突撃なんざ、捌かれて

当然じゃないか。

あのアマゾネスの二人ならこの程度簡単に

やれるだろう?」

 

ティオネとティオナの強さを知ってるの?

 

いや、この人もあの二人と同じような

教えを受けた可能性が有るんだった!

 

「感情が隠せてない。表情にも剣にも動揺が

丸見えだ。一言で表現するなら未熟だね」

 

くっ!読まれてる!

 

技や動きはあの二人に比べたら荒いけど、

少なくとも今の私よりは強いっ!

 

「さて、この程度なら予定を変更しても

良さそうだが・・・あぁ、運ばれてきたか」

 

なに?蛇みたいな花が何かを運んでる?

 

「ふむ、一見致命傷だが回復は可能。

一応どっちを選んでも良いようにしっかり

気絶させてる、か。

本当に良い仕事をしてくれる」

 

・・・何?何をするつもり?

 

「オリヴァス、お前はもう要らん。このまま死ね」

 

ゲフッ!

 

「えっ?寝てる人から魔石が?」

 

ど、どう言うこと?!

 

「ふんっ不味そうではあるが、無駄には

出来んからな・・・あいつにやっても

良いが、今回は私が食っとくか」

 

「は?」

 

ま、魔石を食べた?!

 

「ふ、フフフフフッ!レベルが上がったか!

なんてタイミングだい!」

 

何?!魔石を食べると強くなるの?!

ま、まずいっ!ただでさえ勝てないのに

レベルが上がったら・・・!

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、わざわざ魔石を抜いて喰らうと

言うことは、赤髪の意思や我々だけに

通じる特殊な魔法で殺られるなどと言う

可能性は限りなく低いと言うことですね」

 

この一例だけで決めつける訳には

いきませんが、参考には成りました。

 

このまま赤髪に目的を達成させるのも

アレですから、今回は金髪を援護して

あげましょうかねぇ?

ついでにヘルメスファミリアも減らしましょう。

 

 

 




褐妹もアマゾネスですからね。

弟子が色んなところに居ますが、単純な速さで
ごわす。
元々レベルが違うし、探り探りの凶狼さん
より弟子の方が速いのは当たり前の理。
ついでに空気を読む(物理)で離れてる
ところの会話や動作も把握してますよ?

赤髪さん、さすがに白髪さんの会話までは
網羅出来なかったもよう。

一応レフィーヤとフィルヴィスは24階層に
来るまでの間に茶番しましたよ?ってお話




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66話

前話の続き

ようやくココが終わりそう。
主人公くんが丹波文七状態だッッ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


状況は理解した。その一番弟子さんや

オリヴァス・アクトについては良く

わからないけど、ソレは急ぎでもない。

とりあえず今の僕たちが取るべき行動は

 

「この二人をどうするか・・・だね」

 

「はい。この先を考えればこのままでも

邪魔ですし、目が覚めても邪魔です」

 

「うん、言い方は厳しいけどその通りだ。

だけどレフィーヤは僕が場を作って

ティオネが守ればまだ使いようはある」

 

「・・・確かにそうですね」

(共同作業?団長との共同作業ね?!)

 

さて、だけどここでフィルヴィスだけを

置いていく訳にも行かないよな。

足を引っ張らないって条件で送り込んで

きたらしいけど、しっかり足手まといだ。

 

連れて行ったら、二人だけならまだしも

ヘルメスファミリアまで居るんだろ?

 

見捨てたら文句は出るだろうけど

積極的に助けるのもなぁ。

 

「あ、あとコレは注意事項になると

思うんですが・・・」

 

「うん?注意事項?」

 

また微妙な言い回しだね?

 

「筆頭様・・・えっと先生の一番弟子さん

なんですが、なんでも結構な期間を

深層での修行に費やしてたみたいでして」

 

筆頭様、ねぇ?いや相当厳しい訓練を

受けたみたいだし、上下関係に厳しい

人なんだろうね。

それにそんなに長い間深層で修行

してるって相当なキチ・・・いや

変わり者だよ。

 

「それで、その人がどうしたんだい?」

 

「えっと修業中に、リリルカさんから

先生に関する情報を収集してたんです」

 

「ほう」

 

ふうん? いや、確かに長い間あってないなら

師匠の近況くらいは気にするかもね。

 

「それでリリルカさんは筆頭様に、

最近はギルドやヘルメスファミリアや

ディオニュソスファミリアの連中が

先生にちょっかい出したり、ミアハ達を

使って悪評をバラ蒔いているっていう

報告をしていたんです」

 

「・・・まぁ、事実だよね」

 

実際ディオニュソスからロキに対して、

彼に警戒するようにって警告されてるし

 

「結果、筆頭様は彼らを敵認定してます」

 

「・・・なるほど。つまり積極的にヘルメス

ファミリアの連中を助けたら、その一番弟子

さんを敵に回すことになるわけだ」

 

「はい、さっきも言いましたが彼女には

派閥とかそういうのは一切関係ありません。

その証拠に私たちロキファミリアや

フレイヤファミリア、ソーマファミリアの

所属に関係なく等しく地獄を見せました」

 

「彼女?!一番弟子さんは女性なのかい?!

それに地獄って!」

 

一番弟子さん意外性有りすぎないかな!

 

「仮面で顔を隠してますが、間違いなく

高貴な女性です。

リヴェリアが王族なら、あの方は王。

あの方から見れば私たちは等しく

未熟者で、先生の弟子でしかありません」

 

「は、はぁ」

 

お、王様?さらに明らかに強くなった

彼女やレベル6のアレンが未熟者?

地獄っていうのは地獄のような修行?

 

「地獄に関しては・・・色々ありますが、

最終的には40階層でジャガーノートと

連戦させられました」

 

「地獄だな!?」

 

オリヴァス・アクトなんて目じゃ

ないだろ?

悪夢って呼ばれた魔物そのものだぞ?!

4人で挑むようなモノじゃないだろ?!

しかも連戦って!

 

「・・・筆頭様は当たり前に一人で

ダンジョンを大規模破壊してアレを

呼び出し、一人で討伐するんです。

その結果、階層や出現回数によって

ジャガーノートの強さが変わることも

分かりました」

 

「・・・なるほど。良くわからないけど

良くわかった。絶対に敵に回したら

ダメなタイプの人なんだね?」

 

大発見だけどさ!それがわかるって

どんだけ殺したんだよ!?

キラーアントじゃないんだぞっ!

 

「はい、絶対にダメです。ティオナ

でさえ敬語を欠かさない程の方です」

 

「それは凄い」

 

・・・もしかして出発前の親指の

疼きはその人か?今は収まってるけど。

ヘルメスファミリアを助けるために

動いたら疼いてきそうだな。

 

「それに水の上に立ち、水の上を走り、

水と一緒に双頭竜の頭を斬り飛ばし。

水を割って物理的に双頭竜を水揚げ

するような御方でした」

 

「それはもう人間じゃないだろ?!」

 

水揚げって魚かよ?!

ツッコミが追いつかないぞ!

 

「筆頭様は『これくらい出来ないと

先生に折檻される』と当たり前のように

言ってましたから、先生も同じことが

できると思われます」

 

「そうか。よし、ヘルメスファミリア

なんて居なかった。いいね?」

 

とりあえず今は関わらないのが一番。

実際僕は見てないし、態々僕たちを

嵌めてくれた奴らの為に危険な目に

遭う気もない。

 

真偽は後でロキと確認すればいいか。

 

「私もソレがいいと思います。

おそらくティオナも同じ意見です。

それにレヴィスはアイズと接触しても

彼女を殺すつもりは無いようですし、

筆頭様にしても態々鍛えた私たちを

先生に見せる前に殺すようなことは

無いでしょうから、ティオナとアイズは

間違いなく無事だと思われます」

 

「なるほど。それなら依頼された調査も

原因・犯人・目的をすでに把握したし

とりあえずこのまま待機でも良いか」

 

ソコまで情報をくれるってことは

レヴィスの用事も終わってるって

ことだろう?

 

追撃と言っても現在はレフィーヤと

フィルヴィスがいるし、それに

彼にも話を通さないといけないな。

 

二人がレベルアップ・・・するよな?

少なくとも深層のジャガーノートだし

階層ごとに強さが違うんだろ?

さらに連戦?地獄を見すぎだ。

コレに彼のスキルが加わってレベル

アップしないなら僕たちがレベル6

なのがおかしいって事になる。

 

うん。それはそれとして。

とりあえず二人がレベルアップしたら

そのお礼ということで挨拶に行って、

その時に筆頭さんの話もしよう。

話を聞く限り彼を尊敬してるみたいだし

許可が有れば敵にはならないだろう。

 

「あとは筆頭様にお会いしたときべートが

噛み付かなければ良いんですけど・・・」

 

あぁ、居たな狂った狼が。

 

「・・・リリルカさんはべートが彼に

無礼を働いたって報告したかい?」

 

もしそうならウチもやばくない?

ソーマファミリア行っちゃう?

 

「いえ、流石に私たちに遠慮してくれた

みたいで、その辺は言ってません」

 

「そうか、それなら良かった!」

 

アレがヘルメスファミリアを助ける

ようなことはしないだろうし。

とりあえずは二人を抱えて北の

食糧庫に行くか?それとも後続の

ラウルと合流するか・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「がっ・・・!」

 

「ファルガー?!」

 

何?今の岩は何処から来たの?

 

「くそっ!・・・即死だっ!」

 

「「「・・・」」」

 

流れ弾?それとも自然武器による狙撃?

死兵どもはまだ居るけど、奴らに

飛び道具を使うような思考力が残ってた?

 

私は何をしてるのよ!戦闘は撤退時が一番

被害を受けるなんて常識じゃない!

 

死兵共の単純な動きに慣れてしまった

結果、近接戦闘しか警戒していなかった

私の見積りが甘かった!

奥の手でもなんでも使うって

決めたじゃないっ!

 

「セインっ!指揮を任せます!

私が先行して奴らを潰すから

皆で食糧庫から脱出しなさい!」

 

「団長?!」

 

撤退だろうがなんだろうが全力全開よ!

 

「飛翔靴!」

 

闇派閥の死兵ども!上空からの爆撃をくらえ!

 

「コレが奥の手っ!爆炸薬!!」

 

さぁ出口までの道は開けたわ!

皆が後退するまでこの穴が埋まる

とは思わないことね!

 

 

 

 

「・・・未熟」

 

 

 

「えっ?・・・ガハッ!!」

 

ば、馬鹿な、空を飛ぶ私が狙撃された?

しかも弾は・・・上から?!

 

「「アスフィ!」」

「「「団長!!」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

最初の岩による攻撃を狙撃と判断して

おきながら、単騎で上に躍り出るなど

浅はかにも程がある。

 

何故上が安全だと思った?ダンジョン

にも空を飛ぶ魔物が居るだろう?

 

それに天井が近いこの食糧庫で上に

飛べば天井を破壊した時に発生する

散弾が直撃するのは当然。

 

師に逆らう愚か者共、纏劾狙振弾が

秘技を受けろ。

 

「ガハッ!!」

 

着弾点から発射点を見切ることを

不可能とするこの技。

 

師曰く跳球電影弾!

 

ただでは殺さん。散弾を用いた

狙撃の極地を味わえ。

 

「死兵、落下地点に向かえ。接近すれば

あの爆薬も貴様らの爆弾に引火する

だけの種火に過ぎん」

 

まったく、自爆攻撃をしてくる者に

対する切り札が爆薬とはね。

多少の教養はあるようだが地獄を

知らん小娘など相手にならん。

 

下手な魔法と違って詠唱が無い分

楽だろうがな、奥の手や切り札とは

自己の持つ最大最強の技では無い。

 

状況と相性を見極めて戦場の流れを

変えるものを切り札と言うのだ。

 

「「「団長、今助けます!」」」

 

「アスフィ!すぐ行くから!」

 

「だ、ダメ!来ては行けません!」

 

ほう、自分が餌だと気付いたか?

だが遅い。

 

直撃しなかった跳弾が無駄弾だと

誰が決めた?散寇流星弾っ!!

 

「「「「ぐあぁ!!」」」」

 

「セイン!メリル!ネリー!ルルネっ!」

 

 

「驚いている暇があるなら動け。

・・・死兵ヤレ」

 

「「「「「あぁぁぁぁ!!」」」」」

 

 

ふむ、ネコモドキなら

 

『爆ぁく殺っ!( ゚∀゚)o彡゜』

 

と言ったところですかね?

 

メガネは生きているようですが・・・

装備と自己の耐久のおかげでしょうか?

 

まぁ良いでしょう。

師が敵を釣るためにわざと生かしてる

可能性もありますからね。

それにアレはヘルメスファミリアの

団長。つまりは師の敵の責任者です。

 

 

 

 

 

貴様はココで楽に死ねると思うな?

 

 

 

 

さ、あとは食糧庫の外に出た雑魚共を

溶かして終わらせましょう。

 

魔物と死兵の指揮権を簡単に貸して

くれたことから、赤髪は金髪に

集中して褐姉と白髪の話までは聞いて

無かったようですし。

 

師の敵を潰して、欲しい情報も手に

入りました。

 

今日はぐっすり眠れそうですね!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

わ、私をわざと殺さずに餌にして団員を

おびき寄せ、地面と天井から

信じられない速度と量の礫に襲わせた?

 

この礫はダンジョンの壁かっ!

そのうえ動けない私たちを死兵の

自爆で殺害だとっ!

 

くそっ狙撃兵が居るとわかってるのに

私はなんで上に跳んだの?

 

大切断だけじゃない、ヘルメスファミリアの

仲間の足まで引っ張って・・・

万能者と言われて自惚れてたっ!

レベルを偽って強者面してたっ!

 

その結果がみんなの・・・あ、そうだ!

食糧庫の外に逃げたみんなは?

 

あぁ考えがまとまらない

 

くそ、血をながしすぎ・・たか。

 

わたしも、せ、いんもふぁるがーも

いな、いのにぶじに、かえれるの?

 

せめ、ていきてか、えさなきゃ。

 

だめ、よここでいしきをな、くしたら

だ、め・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・エグいねぇ」

 

「くっ!」

 

アリアを吹っ飛ばしたタイミングで

エインが来て

 

「仕上げをするから死兵と魔物の

指揮権を貸して欲しい、ついでに

その金髪は殺さないで地上に帰した

方が後々楽になると思う」

 

なんて言うから何をするかと思えば、

まさしく仕上げだ。

 

確かに生き埋めじゃ確実とは言えない

だろうし、回復薬だってあるから

ああやって一人一人確実に止めを刺す

のが確実だね。

 

さらに奇襲が通じないアマゾネスは

巨大花で動きを拘束してるから

助けにも行けない。

 

その上で止めの爆殺ときたもんだ。

一応メガネが生きてるようだが、

アレはわざとだね?

 

あえて生かしてロキファミリアとの

間に不和でも作るのか?

 

アマゾネスが拾って帰るだろうが

片方が全滅で片方がほぼ無傷・・・

 

ついでにアリアは私と接触して

負けたのに殺されていない。

 

この状況で地上に居るロキファミリアの

協力者はどう思う?ってところか。

 

この分なら食糧庫の外に逃げた連中は

全滅確定だろう。

 

いやはや徹底してるよ。

これでオリヴァスの阿呆が敵に情報を

やらなけりゃ最高だったんだけどねぇ

 

態々死んでから蘇っただの、彼女だの

魔物と人間の混合種だの伝えて何が

したかったんだあの馬鹿は。

 

まぁいいや

 

「とりあえずレベルが上がったが、

まだあのアマゾネスには勝てそうに

無いね。アンタも今は殺すよりは

生かしたほうが後の為になる」

 

「な、何をっ!」

 

気力で立ってる状態だろうが、

そう言うヤツを侮ったら負けるのが

物語のお約束ってね。

こっちはまるっきり悪役だが油断

なんかしないよ。

 

「ちょうどお迎えが来たようだし

支柱も壊れそうだ。今日はここまでと

しようじゃないか」

 

「何を勝手なっ!」

 

気持ちはわかるけどね。

 

「ダンジョンで決定権を持つのは

強者だけ。アンタは弱い。だから

アンタの意見は通らない」

 

「くっ!」

 

「私に何か言いたいならもっと

強くなるんだねお姫様?

せめてアマゾネスくらいになったら

話を聞いてやるよ」

 

さて、面倒になる前にさっさと帰るか。

コレからエニュオとの調整やら闇派閥

との調整やらで忙しくなる。

まぁ今回は栄養補充はアレだが

レベルが上がったし、阿呆も片付いた。

アリアも見つけたから十分な収穫だ。

ココにコイツを導いてくれた

黒幕気取りの野郎には感謝してやるよ。

 

「待てっ!」

 

「さっきも言った、お前の意見など

聞く必要がない。

あぁ一つ教えてやろう。

アリア、59階層を目指せ。

ソコにお前が望むモノがある」

 

「・・・59階層?」

 

まったく、自分で言っておいてなんだが

こんな素直に敵の言うことを聞く奴が

あるかい。

戦い方も考えも方もまるで子供。

いや、コレは神のお人形か?

説教してやりたいところだが・・・

 

「アイズぅ!」

 

凶狼だったか?今の私なら確殺できるが

地上の連中の仲間割れを起こすのが

エインの策だってんなら、ココは無傷の

ままが効果的だね。

それにコイツらにはアリアを59階層

まで連れてってもらう必要もある。

 

「見つけたぞ調教師っ!テメェには

聞きたいことが山ほどある!」

 

「聞きたいことねぇ。アンタにはあっても

アタシにはアンタの疑問解消に付き合う

つもりもなければ、その時間も無い」

 

聞かれたら何でも喋るアレと

一緒だと思われても困るしね。

 

「時間だぁ?」

 

「べ、ベートさん!蛇みたいな花が

支柱を壊した!もう少しで崩れるっ!」

 

「何だと?!」

 

アマゾネスは・・・やはり引いたか。

ここまでだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また会おうアリア。今度はもう少し

強くなってることを願うよ」




勇者さん、フラグ回避に成功

セクスィーメガネ。敵認定される

剣姫も凶狼も無事。の三本ってお話


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67話

長かった!ダンジョンに拘って無いのに
原作ソードの三巻が長かった!

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嫌いな人は読み飛ばし!


うわぁ、壁の散弾って明らかに筆頭様だよ。

しかも何アレ?上からだけじゃなく

下からも襲いかかってくるの?

アレがあんな量であのスピードで地面

から浮き上がる感じで襲ってきたら

どうしようもないよね!

 

私でも普通に行動不能になってるって。

 

そのうえで爆殺って・・・

流石筆頭様っ容赦ない!

 

いやぁ入口あたりで急にイモムシが

自爆してきたりして溶かして来たのも、

蛇みたいな花が暴れて壁を壊して

ジャガーノートを出そうとしたのを見て

もしかしたらって思ったけどさ。

 

やっぱり本物の英雄様は桁が違うね!

 

そんで私に何もしてこないってことは、

さっさと帰れってことだよねぇ。

 

うーん、アスフィは生きてるみたいだけど

あれってなんで生きてるのかな?装備?

それともココに来る前にレベル上がってた?

 

まぁいいけどね。

 

そんなことより、筆頭様がさっさと

帰れって言うなら帰らないとね!

 

「GRUUUUUU・・・」

 

お、蛇みたいな花も大人しくなった。

支柱は壊したみたいだし、なんか真ん中に

穴が空いるから、あそこに何かあったん

でしょ?とりあえずフィンに報告しよっと。

 

アスフィは・・・連れてくかぁ。

アイズがヘルメスファミリアと一緒に居る

ところをアレンさんにも見られてるし、

見捨てたって言われても困るよね?

 

連れ帰って足手まといが戦いに着いて

これなかったって言った方が説得力

ありそうだし。

タブレットのエリクサーも残ってるから

使って上げてもいいよね?

 

・・・いや、やっぱりコレは温存しとこ。

なんか凄い嫌な予感がした。

 

先生の作った回復薬を使うなど、不敬。

とか言われたら怖いからね!

 

18階でポーション買って、後で

ヘルメスファミリアに請求した方が

良さそう!

 

 

「それじゃ、お疲れ様でしたー!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふむ、きちんと私の意思を酌んで

いるようで何より。

特に師が作った回復薬を使おうと

して途中で止めたのは良い判断です。

 

コレから奴らがどう動くか・・・

赤髪は金髪に59階層がどうとか

言ってましたね。

となると連中は遠征に来るでしょうか?

 

その場合褐色姉妹と共に私の拠点に

来ますか?まぁ、釘は刺しましたからね。

その上で来たなら殺せば良いだけの話。

 

邪魔さえしなければ普通に通行させますよ。

 

私は37階層を掃除しながらゆるりと

師をお待ちしましょう。

 

・・・掃除といえば階層主の骨がそろそろ

出ますけど、アレは一応貴重品ですよね?

残した方が良いのでしょうか?

それとも掃除した方が良いのでしょうか?

 

ふむ・・・リリルカに聞くべきでした。

 

それともいっそのこと18階層で待ちますか?

 

だけどいつ来るかわかりませんよね。

ジャガーノートの魔石やドロップ

アイテムもお見せしたいですから

やはり37階層ですかね?

 

最速で来てもらえればそれが一番嬉しいの

ですが、師にも予定や段取りがあるでしょうし。

 

そのときは近いうちに確実に来るのです。

いつ来ても良いように37階層の

部屋を留守にしないようにしておくのは

絶対ですが・・・こういう時に限って

何かあるんですよねぇ。

 

へうへうみたいな空気が読めない奴が出てくるんです。

 

具体的には骨。

 

・・・どうしても留守にしなくてはダメな

場合は書置きをしておかなくては。

いつ来るか判明してれば絶対に留守に

などしないのですがねぇ。

 

一応ナマモノも育てておいた方が良いの

かもしれません。

しかしここ数ヶ月で急速にレベルアップ

してますから、慣らしも必要ですか。

 

中途半端にレベルだけ上げても、

基礎を疎かにしたって叱責されそうです。

 

ふふ、けど叱責してもらえるだけ

マシかもしれません。

アレから何年になりますかねぇ。

話を聞く限りでは特に御変わりは無い

ようですがお元気そうで何より。

 

あぁいや、目が死んでないと言ってましたね。

 

・・・目が死んでない師なんか想像も

出来ませんがやってることやお考えは

間違いなく師です。

 

それにあの髪留めやこの服も間違いなく

師の作品ですから、ご本人なのは間違い

無いのですが・・・やはり想像もつきません。

 

兎にも角にも、早くお会いしたいものですね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ティーオーネー!」

 

お、ティオナが来たか。ん?なんか

ボロ雑巾みたいなの持ってるけど

アレは・・・アスフィ?

 

ところどころ焦げてるし瀕死だけど、まぁ

生きてるわね。

ふーむ。溶かすだけじゃなく爆発するような

敵も出たのかしら?

 

「お疲れ様、ティオナ」

 

団長、とりあえずアスフィは見ないことにしたのね・・・

 

「はいよーって、フィン?ラウルが来ないのは

ベートから聞いてたけどフィンが来たんだ?」

 

「そうよ、ロキが勝手な横槍を入れたせいで

レフィーヤとフィルヴィスがついて来た

からね、最速で動ける団長が来てくれたの」

 

ほんと碌なことしないわよね!

 

「へぇー。でもさ、そもそもベートと

レフィーヤを一緒にしたらべートの

到着が遅くなるだけだから、意味が

ないって言うか完全に邪魔だよね?」

 

まったくもってその通り

 

「それがねぇ・・・ロキが所詮24階層だから

レベル3有れば大丈夫だろうって、勝手に判断

したんだってさ」

 

「ふーん。フィンとガレスとアイズ。それに

ベートも18階でレヴィスさんと戦ったって

報告してたんでしょ?馬鹿だよねぇ」

 

本当にそうよ。団長やアイズから18階層

のことを聞いてたら、レベル3なんか足手

まといにしかならないってわかるでしょ?

そもそも私たちと合流しなかったら

アイズだってどうなっていたことか・・・

 

「あ、それでさ。アイズとはぐれちゃったんだ。

まぁ足手まといが居ないから大丈夫だと

思うけど、一応ベートが探しに行ったから

今頃は合流出来てると思うよ」

 

「あ、筆頭様もアイズは心配いらないって

言ってたから大丈夫よ。ベートは・・・

まぁ大丈夫でしょ」

 

筆頭様に敵意が無いからね。

馬鹿やらない限りは大丈夫よね。

 

「そっか。筆頭様がそう言うなら大丈夫だね!

それとヘルメスファミリアは見ての通り

アスフィ以外は全滅したよー」

 

「あ~やっぱり?」

 

筆頭様の敵だから当然よねぇ。

アスフィが生きてることが驚きよ。

 

「なんか上と下から壁の破片がバピューン

って来てさ!動きが止まったところに自爆

する敵が来てボーン!って感じでさ!

アレは絶対筆頭様だよ!」

 

下から壁がバピューン?・・・想像

できないけど筆頭様だからねぇ。

 

「・・・上から下から壁の破片が?」

 

おや団長、何か心当たりでも?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「なるほど、天井を破壊して破片を

バラ撒いて上に跳んだアスフィを撃墜。

落ちた破片をどうにかして弾いて、

助けに行ったヘルメスファミリアの

団員を強襲したのか」

 

えげつねぇな

 

「そう!そして死兵?って言ってたけど、

爆弾を抱えた闇派閥の人たちが動けない

人たちに抱きついてボーン!って感じ」

 

えげつねぇな

 

「その上で仕上げの崩落ね・・・それじゃ

確かにアンタが抱えてきたアスフィ以外は

全滅だわ」

 

えげつねぇな

 

「コレも見捨ててきても良かったけど、

一緒に居るところをアレンさんや

リリルカさんに見られてたからさー。

流石にヘルメスファミリアは全滅で

私たちは欠員ありません!って言うのも

どうかと思ってねー」

 

ティオナも考えて行動してるんだな。

 

その基準が「筆頭さんの邪魔しない」

に偏ってる気もするけど、僕としても

今は下手に敵に回す気は無いから良いか。

 

「なるほど、確かにそうだ。加えて言えば

ここで見捨てようが助けようが僕たちと

彼らの仲は悪くなるね。

ここまでが筆頭さんの策かな?」

 

えげつねぇな

 

「こいつらは実力不足の逆恨みですけどね。

私たちに対しては・・・付き合う相手は

選べって言う警告でしょうか」

 

「そうだろうね。ただ、今回のことでヘルメス

やギルドは信用出来ないってことが確定した。

ディオニュソスも単独じゃ何もできないし、

奴らは放置・・・いや逆に僕たちの足を

引っ張ったって扱いにした方が良いかな」

 

何も言わなければ自分の都合の

良いように情報を操作されそうだし。

 

ロキが何をするかは知らないけど

どーせ勝手に動くんだろ?

 

しばらくは情報収集と彼との繋ぎを

つけることに集中する必要があるね。

 

それに18階層でレヴィスごと僕たちを

襲った水晶は筆頭さんの仕業みたいだし。

 

時期的に二人が修行を初めて初日か二日目。

 

筆頭さんの性格を聞く限りだと悪気とか

悪意じゃなく、買い物の邪魔!って感じで

ヤられた可能性があるんだね。

 

・・・はぁ。謝罪した方がいいのかな?

いや、攻撃受けて謝罪っていうのも変

だよな。そもそも買い物の邪魔したのは

レヴィスだし。あぁ、だからレヴィスを

重点的にぶち抜いたのか。

 

全部が繋がるけど、結局は筆頭さんの

気分次第って言うのが何とも言えない。

 

「フィン、それでコレどうしよ?」

 

アスフィとフィルヴィス、ついでに

レフィーヤか。

 

余裕があればウダイオスの討伐も

考えてたけど流石に今はヤバいよな?

 

今は筆頭さんとやらを敵に回す気は

無いから、さっさと帰還して二人の

ステイタス更新と情報を受け取った

方が良いだろう。

 

アスフィは急ぎで18階に連れて帰る。

フィルヴィスとレフィーヤは、ラウルと

合流させてココの探索って感じかな?

 

押し掛け援軍とはいえ、援軍は援軍。

元々その為に派遣されて来たんだから

少しは仕事をあげないと彼女たちの

立場もないし、同盟を組んだにも関わらず

僕たちだけが働いてたんじゃ不満が溜まる

かもしれないからね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さて、コレで帰れるわ。

 

さっさと帰ってステイタス更新とか

報告を終わらせないと、何がなんだか

わからなくなっちゃいそう。

 

「フィン、それでコレどうしよ?」

 

アスフィねぇ・・・万能者の名前は

伊達だったけど、相手が悪いと言えば

それまでなのよね。

 

「団長、アスフィは致命傷ではありませんが

回復薬を使わない限り危険です。

フィルヴィスは・・・もう問題解決して

ますから地上に連れて行きませんか?」

 

そう言う名目にして急いで帰って

来ましたって事にしとけばヘルメスも

イチャモンをつけれないわよね?

 

「そうだね。後続のラウルに回復薬を

持たせるように指示を出したけど

今は持ってないからね。

僕たちはこのまま地上に戻って二人の

報告を受けよう。ただ、レフィーヤと

フィルヴィスはラウルたちと一緒に

食糧庫の跡地の調査をさせるよ。

遺品とか有ったらもってこさせようか」

 

あぁそうか、そう言うのもあるわよね。

流石団長だわ!

 

「りょーかーい。それじゃさっさと帰ろっか?

流星錘の慣熟訓練にはなったけど、今までとは

まったく違う戦い方だからねー流石に疲れたよ」

 

「あぁ今までのウルガだと、一箇所に

纏まった敵とか大型の敵には良かった

けど、囲んできたりする大量の雑魚の

相手は難しかったもんねぇ」

 

ただ周辺の敵をぶった斬る!しか出来な

かったからねぇ。

 

今回ので、私も周りの敵を全部相手に

出来るってわかったけど、その分

間合いが広くなって注意することが

増えたもの。

 

だけど確実に戦術の幅が広がったわ!

 

「ふむ、そんなに使い勝手がいい武器

には見えないんだけどね。ティオネの

それも後で見せてもらおうかな」

 

「はいっ!喜んで!」

 

やった!一緒の訓練確定よ!

 

「そんじゃさっさと地上に帰ろう!

って行きたいところなんだけど、

アイズとベートはまだ帰ってこないのかな?」

 

「そうよねぇ。崩落に巻き込まれる

なんてことは無いでしょうから、

寄り道してるのかしら?それとも

まだレヴィスと戦ってる?まさか私たちを

探してるなんてことはないと思うけど」

 

普通ならさっさと戻ってくるわよね?

探しに行こうかしら?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ベートさん・・・」

 

「んあ?」

 

「私は弱いですか?」

 

「・・・さぁな。少なくとも俺からすりゃ

弱くはねぇよ。

だがフィンやオッタルから見たら

強いとは言えねぇだろうな」

 

そうか、そうだよね。

強さは比べるものだから人によって

強かったり弱かったりする。

 

それでレヴィスから見たら私は弱いんだ。

 

誰かを守るのも追いつくのも強さが必要。

だけどその強さはレベルだけじゃない。

 

実際レベルが上がったレヴィスも

私と同じレベル5のティオナを見て

「まだ勝てない」って言ってたし。

 

レベルに頼らない強さか。

 

「強くなるにはどうしたらいいのかな?」

 

「・・・俺が知りてぇよ」

 

あぁベートさんもわかってるんだ。

ティオネとティオナから見ても、

私たちは【弱い】

 

だからって今まで通り何も考えないで

深層の敵と戦っても、変な癖がついて

強くなるどころか弱くなるって

ティオネは言ってたよね。

 

まずは基礎なんだ。必要なのは基礎訓練!

 

「よし、まずは帰ろう!それでティオネと

ティオナに模擬戦を挑んで、悪いところを

注意してもらおう!」

 

「はぁ?珍しく喋ると思えば・・・」

 

「ベートさんは悔しくないの?

同じレベル5でも全然違うんだよ?」

 

「・・・」

 

悔しいに決まってる。

たった二年か三年あの人に学んだ

だけでここまで差が開いたんだ。

あの二人があれだけ強くなったなら、

リリルカさんだってとっくに

私たちを追い越してる。

 

いや、追い越すは違うか。後から

聞いた話だとリリルカさんは

産まれた時から冒険者だったって。

 

単純に周りに恵まれなかったのと

下積みが長かっただけ。その間に

彼女は我慢と忍耐を覚えたんだって

フィンもガレスも言ってた。

 

技とか力みたいな表面上の強さじゃない、

そう言う経験から来る強さもあるんだ。

 

「このままヤツらの後塵を拝すってのは

俺だって気に入らねぇ。

強くなる為なら頭くらい下げるのも良い。

だが問題はアイツ等が剣も蹴りも専門外

だって話だ」

 

・・・そうなんだよね。悪いところって

言っても二人も生粋の剣士じゃないから

剣士としての技術はつかない。

武器が違えば基礎訓練も違うよね。

二人がやってる基礎の基礎である呼吸は

農家さんしかわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでも今は考えるより動かなきゃ。

直ぐ近くに少しでも強くなれる切っ掛けが

有るんだから、まずはソコに手を掛ける」




散々エグいだとか、えげつねぇと言われて
ますけど、弟子にしてみたら甘々な処置です。

恐るべきは呉竜府ってお話。

「頑張ろう」で身に付く基礎は無いのです。
まぁその意志は絶対に必要ではあります
けどね。



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68話

色白女神様リザルト会

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嫌いな人は読み飛ばし!


「フレイヤ様!ただいま戻りました!」

 

あら、もう10日経ったのね。

最近はアノ子に魔導書を渡したり、

ミアが作る新作料理を食べたり、

イシュタルのところに遣わした子が貰ってくる

お土産を研究してたらあっと言う間だったわ!

 

『良く戻ったわねアレ・・・ン?』

 

え?誰?いや、アレンよね?

 

「はっ!無事、師匠からの依頼を完遂して

戻りました!」

 

『そ、そう。ソレは良かったわ』

 

どうしよう。明らかに変わってるんだけど?!

魂の色も深みを増して、なんて言うの?

凄く透明度が高くて深い湖みたいな感じの

色になってるわ!

レベルアップするまでもなく成長がわかる。

コレが、コレこそがヒトとして深みを増すと

言うことなのね?!

 

「あ、あの、フレイヤ様?」

 

『アレン、良くやったわ!それでこそ

私の眷族!それでこそ私の愛し子よっ!』

 

凄いわ!10日でここまで成長するなんて!

 

「はっ!ありがとうございます!」

(よ、良くわからんが、とりあえず筆頭殿!

ありがとうございますっ!貴女に見せられた

地獄は無意味ではありませんでしたっ!)

 

『で、では早速ステイタスの更新をするわ!

報告はその後で聞きましょう!』

 

は、早く観たい!この子がどんな経験を

積み重ねて来たのか!

一体どれ程の試練を潜り抜けて来たのか!

ソレが私の恩恵を受けてどんな形になるのか!

 

「はっ!宜しくお願いします!」

(す、凄くテンションが高いが、コレで

レベルアップもステイタスSSも無かったら

ヤバくないか?)

 

『で、では行くわ・・・』

 

 

『「・・・」』

 

 

―――――――――――――――――

 

 

『な、なんてことっ!』

 

え!まさかレベルアップもステイタス

のSSも何も無いとか?

 

『レベルアップ来たー!』

 

良しっ最低限クリアっ!流石師匠と筆頭殿!

 

『ステイタスオールSオーバーも来たー!』

 

おぉ!今までは筋力も耐久も魔力もそこまで

高くは無かったが、とうとう壁を越えたっ!

流石師匠と筆頭殿っ!

 

『更にステイタスSSも来たー!』

 

おぉ!やはり嘘では無かったか!耐久か?

器用か?敏捷か?流石師匠と筆頭殿っ!

 

『新しいスキルも来たー!』

 

えぇ?!命奪崩壊拳で3日崩壊してた

から実質の修行期間は3日か4日だぞ?

貰いすぎじゃないか?!

 

『見事よアレン!貴方は私の予想を遥かに

越えたわ!コレが下界の子の可能性なのね!』

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

ここまで来れば下界の子の可能性と言うより、

あの二人の可能性じゃないか?って思うが

少なくとも地獄を経験したのも越えてきた

のも俺だからな!そう思っておこう!

 

・・・いや、何かお土産包んだ方が良いか?

 

『もしもSSになるとしたら敏捷か器用かと

思ってたけど、まさか敏捷と器用の両方が

SSで耐久もSになるなんて!』

 

・・・色々心当たりはあるが、決め手は

命奪崩壊拳だよなぁ。

最初の一撃が決め手とは、流石筆頭殿。

 

『更に発展アビリティの耐異常がFからCに

上がってるわ!こんなことも有るのね!』

 

あぁ、アノ毒を死ぬ間際まで解毒しないで

修行を続行してたからなぁ。

多少は免疫が着いたと思ったら、やはり

そっちも上がったか・・・

 

『新たに覚えたスキルはガチムチ三信?

名前はちょっと微妙だけど、効果が凄いわ!

精神異常耐性に成長補正に寛容の心?よ!』

 

そうか、俺もあの三信を理解出来ていたか。

最後のは、まぁシカタナイネ!

 

『発展アビリティは3つから選択よ!

【堅牢】に【治力】に【観測】?前の

二つは攻撃を受けたときのモノね?今までは

敏捷と器用で捌いたり回避してたから

出てこなかったアビリティだわ。

最後の【観測】は私も知らないレアな

アビリティよ!』

 

尊い!あのフレイヤ様が踊り出しそうなほど

テンションが高いなんて、こんなの初めてだ!

 

『では選びなさい!私のお奨めはもちろん

【観測】よ!』

 

「では【観測】でお願いします!」

 

全部欲しいが、俺のスタイルはあくまで回避。

【観測】は技撃軌道に影響を与えるはず!

筆頭殿には勝てんだろうが、ソレは堅牢や

治力があっても同じこと。そもそもアノ方に

勝とうとすることが烏滸がましい。

せめてオッタルやミア殿と一緒でなければ

挑むことすらせんぞ!

 

『良く言ったわアレン!ソレではこれから

レベルアップするわ!あ、それと報告を

聞く前にお茶の準備をお願い。

やっぱり私たちの中では貴方が一番お茶を

淹れるのが上手いわ!』

 

「はっ!喜んで準備をさせて頂きます!」

(その御言葉だけで、俺は死ぬまで戦えます!)

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

『なるほど、彼の一番弟子が・・・』

 

素質があったとは言え、少し鍛えただけの

アレンがここまで成長してるんですもの。

彼によって見出だされ、長年鍛えられた者が

居たら文武を修めた勇者になるのも納得よ。

 

「はっ!フレイヤ様が目指す勇者の形を

体現した方かと」

 

女嫌いのアレンがここまで無条件に認める

相手か。正直に言えば見てみたい。

気に入ったら眷族にもしたいけど、

でもその子は彼が育てた子なのよね。

 

ならば手に入れて愛でるのではなく、

その子を越える勇者をこの手で育ててみたい!

 

私は彼とは違い寿命と言うモノが無いから、

いつかはその子を越える勇者を作れる

とは思う。

だから、その子は私の子供たちの目標に

するべきよね。

アレンがレベルアップしたことで、コレからは

オッタルも私の側から離れて鍛練できるよう

になるわ!

レベル8を目指すと共に立ち振舞いを磨き、

最強の冒険者として君臨するのよ!

 

問題は彼なんだけど・・・その子を育てたと

言うことは彼はその子以上の存在なのかしら?

 

もしくは小さいときに教えを受けて、今では

師匠を越える実力を手に入れたけども、尊敬

はしている。とか?

 

だってジャガーノートを当たり前に狩って、

水の上に立って、階層主を水揚げする王様で

かつては英雄と呼ばれるような存在だった

んでしょう?ソレの師匠がなんで農家なんて

してるのよ。

 

・・・あぁ、彼は教育者でもあったか。

なら彼は元々が勇者や英雄を育てる事を

生業としていたのかもね。

 

実力より人柄を尊敬している可能性は

高いわよね?

実際彼は何でも出来るし、力だけの存在じゃ

無いもの。

 

・・・一度アレンに挑ませる?いや、駄目よ。

確かに彼はアレンの師でもあるけど、あくまで

お茶の師匠。武に関してはリリルカの練習相手

程度の付き合いでしか無いわ。

 

それなのにレベルが上がったから勝負を挑む

なんて丸っきり蛮族の思考じゃない!

今の段階でも、お茶と作法を教えて貰って

アレンを強化して貰ってるんだから、こちらが

礼を欠くわけにはいかないわ!

 

私の無礼な要求を笑って許したイシュタルを

見なさい!

 

アレよ、私に必要なのはアノ余裕と視野!

 

普通に考えたら彼の専属娼婦をしている

繚藍を貸し出しなんて出来るはず無いわ!

でもイシュタルは私を評価してくれてるから

深読みして、条件付きの承諾をしてくれた。

 

いえ、もしかしたら私が恥をかかないように

フォローしてくれた可能性すらある・・・

 

余裕と言えばロキよね。無駄に動き回った

結果余裕を無くし、今じゃファミリア全体が

完全にグダグダじゃない。

 

アレンは会わなかったみたいだけど、勇者が

凄い勢いでダンジョンに潜ったのは恐らく

報告にあった24階層に居た剣姫関連でしょ?

 

ヘルメスのところの子供たちと一緒に

居たらしいけど・・・大切断や怒蛇にしたら

大量の足手まといを抱えてレヴィスとやらの

相手をするのよね?

 

しかも一番弟子の子がレヴィスとやらと

顔見知りで。

更にその子はリリルカからの情報でギルドや

ヘルメス、ディオニュソスを敵視してる?

 

完全にアウトじゃない。

 

ヘルメスも小賢しく立ち回って私やロキを

動かそうとしてるみたいだけど・・・

まぁ、今回は完全に失敗だったわね。

 

ソレを考えたらイシュタルのところと私の

ところのお茶の味の違いを指摘をしてきたの

もヘルメスよね?

 

普通出されたお茶の味の違いを、しかも

アッチの方が質が良かったって感じで

言うような真似をするかしら?

 

その結果、私も気になってイシュタルに直接

聞きに行ったけど、今考えたらアレって

相当シツレイよね?

 

あのときイシュタルが大人な対応でお茶や

茶葉の質についてを教えてくれたからこそ、

今の関係が有るのは確かだけど、ソレは

あくまでイシュタルの器に依るもの。

 

だれど、もしあのときイシュタルが情報を

隠してたり、私を下に見るような態度を

取っていたら?

私はお茶を販売してくれた彼やイシュタルを

誤解して敵に回していたかも知れないわ。

 

・・・疑えばいくらでも埃が出てくる。

そうか、ヘルメスはゼウスと繋がりがあるし

ウラヌスとも何やら悪巧みをしているよう

だったわね?

 

今回は何を狙ったのかしら?ロキを

味方につけようとした?それとも

ロキファミリアの弱体化を狙った?

 

どちらにしても失敗よね。大切断と怒蛇は

レベルアップするでしょうから弱体化は

しないわ。更に命懸けのダンジョン探索に

足手まといを押し付けられて気分が良い

はずがない。

 

この上でロキはどう動くかしら?

あくまでヘルメス達を信じて動く?

もし奴らが何かを企んでいて、私たちを

狙ってきたらどうなるかしら?

 

コッチはレベル7が二人にレベル6が二人。

 

奴らは彼を敵視してるみたいだけど、彼は

多分レベル7だし、一番弟子やリリルカも

レベル6と数えても良いかしら。

 

イシュタルのところもレベル6と5が居る。

 

あぁ、ミアも味方に数えても大丈夫よね?

普段ならミアは協力してくれないだろう

けど、彼が関わるなら問題は無いはず。

 

しかしあの海鮮八宝菜・・・アレは酒場で

子供に食べさせる料理じゃないわよね!

しかも彼が作った場合は更に味が増すとか?

 

何だかんだで直接彼の料理を食べたこと

無いのよね。一度試食させて欲しいけど、

ミアの店に行くわけにも・・・

 

いやいや、今はそっちじゃない。

ヘルメスやウラヌスの企みよ。戦力的には

連中が束になってもウチ単独でも勝てるわ。

 

だけど油断は出来ない。戦力の運用方法に

よっては被害は出る。

 

特に警戒すべきは勇者が大切断と怒蛇を

率いて個別に狙ってきた場合よ。

 

アレンとオッタルなら3対1でも時間は

稼げるけど、勝ちきれるかどうかは不明よね。

 

ヘグニとヘディンは二人で居るならまだしも

一人の時に襲われたら不味いか。

 

ふむ、コレからはオッタルとアレン以外は

二人一組か三人一組を基本にして、奇襲を

警戒させましょう。

 

アレンを見てわかったわ。深みを増せば

私が見出だした純度の高い勇者達は更に

輝くのよ!その色を見ないウチに無駄死に

なんてさせるモノですか!

 

今まではヘルメスが何を企もうが黙認

してきたけど、コレからはヤツの動きには

警戒が必要よね。

ロキの子供に手を出してきた以上、

私の子供にも何かしてくるかも知れないし。

 

イシュタルにも注意を促す?

ロキのところとは仲良くは無いはずよね。

お人形とフリュネに何か因縁もある

みたいだし、彼とも敵対しないって言う

メッセージにもなるわ。

 

オッタルとアレンなら彼に勝てるだろう

けど、もはやそんな勝利に意味は無い。

 

彼の価値は単純な力じゃ無いと言うことは

知ってたつもりだったけど、まだまだ

甘かった。

一番弟子が地上に戻ってきたら、アレンを

使者にして私たちの拠点に招待しようかしら?

 

それまでに作法を身につけさせないと

駄目なんだけど、まぁこれから彼は

繚藍とナァーザを連れてダンジョンに

潜るらしいから、暫く時間はあるわよね?

 

作法はウチの子はまだまだ未熟だから

麗傑が教えてくれるらしいし。

 

アレもね。最初は約束が違う!って思ったり

したけれど、説明を受けたら納得したわ。

 

そもそもの条件に繚藍の都合を優先って

有ったし、最高の指導を受ける為には

最低限の下地が必要だって言われたら納得

するしかないわよね。

 

アレンはレベル6で有名人だったし彼とも

顔見知りだった。それに彼のスキルの関係で

鍛えてくれたって事を忘れちゃ駄目なのよね。

 

何事も基礎を学んでからよ!

 

そういえば彼が不在の間、アレンに関しては

リリルカが作法を教えてくれるらしいけど

大丈夫なのかしら?

いえ、一番弟子では無かったけど彼女も

何だかんだで数年彼の教えを受けてた直弟子。

 

礼儀や作法もキチンと出来るのは知ってるわ。

 

だけど、そもそもソーマファミリアよね?

杜氏として新酒の醸造にも関わってるはず

だけど、ファミリアとしては良いのかしら?

 

まぁアレンもレベルアップした以上は

慣らしが必要でしょうから、なんなら

作法は休ませても良いかも知れないわね。

 

・・・力の調節が出来なくて、勢い余って

イシュタルのところの美術品壊したら困るし。

 

けど、今回の探索は沢山得るものがあったわ!

 

レベル7と、ステイタスSSと、新スキルに

レアアビリティに、目標となる勇者の存在!

練習用の茶器に本番用の茶器の一式!

 

これで彼にどれだけの利益が出るかは

わからないけど、実際のところ、彼と

しては茶器しか出してないのよね。

 

双方に損が無く利益が有る。あえて言えば

一番弟子の子が損をしたとも言えるけど、

リリルカから情報を貰ったり、他の二人から

服を届けて貰ったみたいだし丸っきりの

損では無いはずよね。

 

やはり彼はヘルメスみたいな小賢しい策士

とは根本から違うわ。

今後はこう言った知謀も鍛えさせなきゃ駄目ね。

文武を極めるとはそう言うことでしょうし。

 

そうなると今現在高レベルの子よりも

低レベルの子を鍛えるべき?

アレンのスキルは他人のだらしないところを

指摘出来るスキルみたいだし・・・

今回のアレンのSSやリリルカみたいに毎回

カンストとまでは行かないでしょうけど、

オールSくらいにはしたいところよね。

 

 

低レベルと言えば、アノ子もコレから

益々深みを増すでしょう。

 

彼が与える試練とは違い、効率は悪い

かも知れないけど・・・ソレでも

ロキのところのお人形みたいにぬるま湯に

浸ける気なんか無い。

 

今の真っ白で透明な彼が強さを身につけた

時にどうなるのかしら。

その輝きが歪むの?それとも深みを増すの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりでも良い。だから今は世の中を知り、

様々なモノを飲み込んで強くなりなさい。

この迷宮都市では弱者は輝けないの。

 

そして何も知らない無知な子供に、深みなんて

出せるはずが無いのだから。

 

 




誰得猫耳超強化。

水銀さん、敵認定される。

色白女神様、白兎に対しての興味が
やや軟化ってお話。

いや、作者には魂の色は見えませんけどね?


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69話

久々登場の主人公君
餓えた狼の伝説みたいに
打ち切りとかなったりしない・・・はず!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし


「いやー、なんだかこのお店に来るのも

凄い久し振りな気がしますねー」

 

実際は10日程度なはずなんですけど

内容が濃すぎましたよ!

 

「リリルカさんも無事・・・無事?に

戻ってこれたみたいで何よりです」

 

無事と言えば無事ですよね?何たって

五体満足でカンストこそまだですが

ステイタスもかなり上昇して

レベルアップの条件は満たしましたし

ガチムチ三信なんてスキルが出たくらい

ですからね。

 

今まで以上に成長補正が懸かりますよ。

 

レベルアップはまだしませんけど

レベルアップしたら選択する

発展アビリティはもちろん【観測】です!

 

レアなのもありますけど、杜氏としても

使えますからね!やっと生産に関係する

アビリティが来ましたよ!

 

加工とか神秘とか調合も欲しかったですが

あんまり選択肢があっても困りますからね!

 

それでもアレでしたか。ソーマ様にも言われ

ましたが、一目見てわかるくらいにリリは

疲れてますか。

 

だけどナァーザさん程では無いと思いますよ?

 

ほんと、相変わらず疲れてますよねぇ。

貧乏神が居ませんが、またポーションの

無料配布でしょうか?

 

筆頭様が地上に来たら問答無用で三枚に

卸されますから、アレが大事なら今すぐ

都市外に逃がした方が良いですよー。

 

けどなんかお店が寂しいですよね?

 

「相変わらずお疲れみたいですけど、

商品棚に商品が無いですよね・・・

お引っ越しでもするんですか?」

 

会合でナァーザさんがポーションを作る

ことは禁止されてますから、薬品が

少ないのはわかるんですけど、それに

したって量が少なすぎますよね?

 

貧乏神が根こそぎ持ち出す可能性も無い

とは言えませんけど、それにしては

ナァーザさんの表情に余裕があるみたいですし。

 

まぁ儲けだってしっかりありますから

お引っ越しの可能性か高いと思うんですよ。

 

なんたって現在進行形で闇派閥だの

医療系だのに狙われていますからね。

もう少し守りやすい場所に移動した方が

良いのは確かです。

 

新しい拠点がどこかわかりませんが、もし

間に合うなら貧乏神の暴走を抑えるための

診療所か地下室を造ってみたらどうです?

 

「いやぁ、リリルカさんが戻ったら先生と

春姫さんと一緒にダンジョンに潜ること

になってまして・・・今のうちに在庫は

処分しておこうって思って」

 

 

 

(・_・)

 

 

 

「き、近年稀に見る真顔ですね」

 

「えっと、ナァーザさん。リリの耳が遠く

なったのかも知れませんので、もう一度

お願いできますかね?」

 

まだ若いですけど最近疲れてますからね。

きっと何か聞き間違えたんでしょう!

 

「えっとですね、今のうちに在庫は

処分しておこうって思って」

 

「その前です!」

 

明らかに話題を逸らそうとしてますがそれで

シカタナイネって言うとでも思いましたか?

 

リリは引っかかりませんよ!

 

 

「い、いやぁリリルカさんが戻ったら

先生と春姫さんと一緒にダンジョンに潜る

ことになってまして・・・」

 

 

 

 

 

(・_・)

 

 

 

 

 

「き、近年稀に見る・・・」

 

「ソレはもぉ良いですよ!どーゆー事ですかっ」

 

何でリリはティオネさんやティオナさんや

アレンさんと一緒にダンジョンに行くのに、

ナァーザさんや春姫さんが先生とダンジョンに

潜るんですか?!

 

先生のサポーターはリリですよっ!

 

「ふっ、話は聞きましたよリリルカ」

 

「エロフがいきなり何の用ですか?!」

 

つーか極々自然にふらりと現れましたが、

どっから沸いてきたんですか?!

 

「お茶の買い出しですよ。何せナァーザは

貴女を置いてきぼりにしてダンジョンに潜る

ようですからね、今のウチに買い出しを

しなくては行けません。ふふふっ!」

 

コイツ・・・何を言ってるんですかねぇ?

 

「エロフなんかいっつも放置されてるくせに」

 

無駄に勝ち誇ってますがお前は関係無い

ですよね?

そもそも今までだって、勝手についてくる

だけで誘われたことなんか無いでしょうに。

 

 

 

 

(・_・)

 

 

 

 

「・・・リューさんもソレ出来たんですね?

とりあえずお店で戦うのはやめて下さいよー」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

「どーゆーことですかっ!」

 

リリルカが帰還したかなーと思って

ナァーザの店に確認しに来たらリリルカが

待ち伏せしてた件について。

 

「いや、なんの事だ?弟子が何かしたか?」

 

ナァーザが奥に避難したが、良いのか?

ここはお前の店だろう?

 

「確かに筆頭様には色々して頂きましたが!

今はその件ではありませんよ!」

 

ふむ、筆頭と言う名乗りまでしたなら

弟子はコイツらを同門と認めたか。

良かった良かった。未熟過ぎて伝令役と

しか見られない可能性もあったからな。

 

「そうか、アイツから何か預かってないか?」

 

恐らく何かしらのメッセージを託してると

思うんだが、もしかしたらアレンとか

あっちの二人に預けるかな?

 

「あ、はい。筆頭様からはコレをお預かり

してます。見せればわかると言われました。

それと「服はありがたく頂戴します。師に

宜しく」との事でした」

 

ふむ、中身が空の鈴、ねぇ・・・なるほど。

やっぱり俺から行かなきゃ駄目か。

 

「伝言と預かりものは確かに受け取った。

それでアイツは深層のどこを拠点にしていた?

50階層の安全地帯か?」

 

だとしたら春姫はちとキツイよな。

 

「いえ、37階層の・・・って違いますよ!

筆頭様からの預かりものを渡すのと

伝言をお伝えするのは最優先事項だから

まだしも、リリは誤魔化されませんよ!」

 

37階層か、闘技場に安全地帯でも有るのか?

それともレヴィスの同類なら安全地帯を自分

で作れるのか?

 

「聞いてますか?!何で春姫さんとナァーザ

さんをダンジョンに連れていくのに、

リリは置き去りなんですか?!」

 

ふむ元々の予定はそうだったが、予定は

未定という言葉を知らんらしい。

それに今のコイツの状況と弟子の居場所が

判明した以上、コイツも連れて行くのは確定だ。

 

「いや、お前も連れてくぞ?見た感じだと

レベルアップはともかくステイタスはカンスト

してないだろ?」

 

「・・・えっ?」

 

「聞きたいこともあるし、ステイタスの更新に

伴う慣らしを兼ねて俺を含む春姫やナァーザ

のサポートをしてもらう予定だ」

 

本当はアレンへの指導を任せる予定だったが

予定変更だ。鉄は熱いうちに打つもんだし、

せっかく弟子の居場所がわかったんだ。

俺の錆び落としと弟子の戦力の確認をしなきゃ

ならん。その間の二人の護衛はコイツに

任せることになるだろう。

 

あとはアレだ、コイツらを死の縁まで追い込んで

貰おうか。

 

「あ、そ、そうだったんですね!それなら

そうと言って下さいよ!」

 

今回はアレンもレベルが上がるだろうし、

自身の慣らしと休憩も必要だろう。

 

直ぐに潜る訳でもないし、状況の説明と

何かしらの宿題を出しておけば、俺たちが

ダンジョンに潜ってる間の作法を休みにしても

フレイヤ陣営から文句は言われないはず。

 

つーか俺が悪いみたいな言われようだが

 

「勝手に暴走したのはお前だろうに」

 

何か言えるような流れじゃ無かったよな?

 

「ま、まぁその辺はアレです!帰還して

テンションが上がってたんですよ!」

 

ふむ、本来ならダンジョンから戻ったら暫く

休むのが普通なはずなのに、まさか

ダンジョンに連れていくと言われて喜ぶとは。

 

まったく、コイツは筋金入りの社畜だよなぁ。

 

・・・この歳でコレだけ金があるのに働かないと

何か落ち着かないってのはどうかと思うんだが。

 

今までの生活を考えればしょうがないか。

まだまだ若いんだし、俺への依存もそこそこ

薄れては来てるから今後に期待だな。

 

「そうか。別に構わんよ。とりあえず

武装のメンテもあるから直ぐにではない。

お前の装備はフルメンテで一週間は必要か。

さすがにしっかり使い込んでくれたようだ」

 

ただ、ちょっと力任せか?まぁ棒術も

槍術も基本は教えたが、李厳程では無い。

そもそもアイツは文官だからなぁ。

 

直接鍛えた期間が長かったから徐晃とも

戦えたが、単純な武の才は白っ子の方が

上だったし・・・長物は尚更だよな。

 

しかし為政者としてならアイツが一番だ。

経験も積んだことだろうし、コレからは

積極的に頼りにさせてもらおう。

 

「筆頭様は何でも出来る御方でしたからねぇ。

あぁ、武装のメンテナンスはティオナさんと

ティオネさんの分もあるから出発は遅れて

しまいますか?」

 

「そうだな。一緒じゃないのは何かあったって

事だろうから、そこら辺の報告も聞いとくか。

ただ場所は移すぞ」

 

ここに居たらヤツが五月蝿いからな。

 

「・・・ウチの神様がすみません」

 

話が終わったと見て出てきたか。

こう言う空気の読み方は流石客商売の

専門家ってところよな。

 

「ま、少しずつ改善してくれ」

 

あの貧乏神はアレはアレで面白いし

なんならもう少し引っ張っても良いぞ。

 

『貴様っ!よくもココに顔を出せたな!

それにナァーザを騙した挙げ句、

飲食店に手を回してツケを禁止にしたなっ!

地味な嫌がらせをして何がしたい!』

 

「「「・・・」」」

 

いやいや、ヒモが当たり前にツケとかしてる

のってどーよ?

ツケって借金だぞ?きちんと自分で払わない

奴に信用なんかないし、ナァーザがダメって

言ったらダメになるに決まってるだろ?

 

地味な嫌がらせして何がしたいって

お前が言うのか?

 

うーむ、ツッコミどころ満載で

見てる分には面白いけど、関わると

アレだなぁ。・・・流石貧乏神。

 

 

 

ナァーザ、お前には頑張れとしか言えん。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ほほう、ジャガーノートにそんな特性が」

 

流石に珍しい魔物の情報ですから

先生も興味津々ですね。

 

「はい、ただ10体目以降変化がないと言って

ましたけど、アレンさんが言うには少し前に

彼らが1体討伐してますので実質11体目以降

のジャガーノートに限るのかもしれない。

とのことでした」

 

大した違いはありませんけどね!

 

「ふむ、それもあるかもな。流石弟子。

珍しいモノに対する研究は怠らないようで

何より」

 

やっぱり先生にしてもジャガーノートは珍しい

モノ止まりなんですねぇ

 

「この装甲もな、40階層の2匹か3匹目の

装甲なんだろ?アレンやティオナ達が

欲しがったりしなかったのか?」

 

あぁそれですか

 

「アッチには魔石を分配しましたし、

先生が装甲を使って武装を造るかもって

話をしたら快く譲ってくれましたよ」

 

アレンさんはともかく、ティオネさんと

ティオナさんは実際に先生に武装を造って

貰ってますからね。

 

「ほう・・・ならアレンにも何か造って

やるか?話を聞く限り素材は弟子が

大量に持ってるんだろ?」

 

「そうですね。いっぱい持ってました」

 

ソレもあるから今の内に先生に優先的に

渡して「後で分けてもらおう」とか考えて

たと思います。

 

「あ、そういえば筆頭様が言ってて気になった

ことがあるんですが」

 

「うん?何か言ってたか?」

 

実際は気になったことだらけなんですけど、とりあえずコレですよね

 

「先生は水の上を走れたりするんですか?」

 

これくらい出来ないと折檻されるって

言っていましたけど、冗談ですよね?

 

「ん?出来るが、走るのはよろしくないな。

アイツは走ってたのか?全く相変わらず

落ち着きがない奴だ。

事故の元だからあんまし水の上は走るなよ

って言ったハズなんだがなぁ」

 

うわぁ普通にできるんですね。

それに事故の元って馬車が行き交う

道路じゃないんですから・・・

 

「ちなみにソレでどんな事故が起きるんです?

そもそも水の上を走って発生する事故って想像

つかないんですけど?」

 

水の上を走る人が複数いてぶつかるとか?

 

「ん?付近に居る水生生物が驚くだろ?

変に刺激したら普段とは違う動きをしてしまい

争いが生じてしまうじゃないか。

水の中の生き物だって縄張りがあるんだから

そのへんの配慮は忘れちゃいかんな」

 

「あぁ事故を起こすのはソッチでしたか」

 

双頭竜も愕然としてましたけど、アレは

気のせいじゃなかったんですね!

 

「技術的には走っても衝撃を与えないようには

できるんだが、どうしても視覚的に刺激を

与えてしまうからな。

普段は歩くのが基本だよ」

 

「・・・ソウデスネ」

 

いや、水の上の話なんですが・・・

もうこの人達への突っ込みは諦めましょう。

 

シタカナイの精神が早速役に立ちましたよ。

 

「それで武装の更新だが・・・この分ならまだいらんな」

 

それはそうでしょう。

 

「まだレベルアップしてませんし、筆頭様の

技を見たらリリはまだ使いこなせて無いって

実感しましたからね・・・」

 

棍なんて単純な武装を使ってもあそこまで

違いが出るんです。

やっぱり基礎が違いすぎますよね。

 

「ちなみにリリには先生の力の流れとか

技撃軌道がまったく見えませんが、

何かしてるんですか?」

 

いやほんと。筆頭様でさえ朧気ながら

見えましたけど、先生は全く見えませんよ?

 

「ん?そりゃ単純にお前が未熟なだけだ。

本来技撃軌道ってのは同格の相手との戦闘に

おける崩しや間合いの攻防戦だからな」

 

あぁなるほど。確かに最初筆頭様にお会い

したとき、他の三人には見えてませんでしたね。

 

「筆頭様のは朧気ながら観えてましたけど

アレは態と観せてたんですか?」

 

そもそも本気の戦闘も見てませんが・・・

 

「さて、あいつの今の実力を知らんから

なんとも言えんが、武装の傷み具合から見て

今のリリルカに見えたなら、おそらく態とだな」

 

「なるほど」

 

一流の鍛冶師の人は武具の傷み具合でどんな

使い手がどんな使い方をしたかわかるって

言いますけど、やっぱりわかるんですね。

 

「さっきも言ったが出発は一週間後を予定して

いるが、ティオネとティオナの武装の状態に

よっては何日か遅らせるかもしれん。

とりあえずは、いつ出発しても良いように

簡単な慣らしと準備はしておくように」

 

「了解です!」

 

久しぶりに本職である先生のサポーター

ですからね!気合入れて行きますよ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『レベルアップキター!』

 

「「・・・」」




そろそろナァーザの二つ名も・・・

リリルカにはリリルカなりのプライドがあるもよう

アレンへの教育?まぁ本人も色々あるからねってお話


い、一体誰がレベルアップしたんだ?!


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70話

褐色姉妹のリザルトの前に・・・

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!



『ほい、今回はこんなもんやな』

 

「・・・どうも」

 

むぅ、耐久は少し上がったけど他は全然ダメ。

 

レヴィスとの戦闘も、全力で戦ったけど

確実に手加減されてたから、大した経験

にはなってないってことかな。

 

『簡単に話は聞いたけど、実際の戦闘は

一日やろ?今のアイズたんのステータスじゃ、

そんなに一気には上がらんよ?』

 

それはそうだけど・・・

 

ティオナとティオネはお風呂に行って、

ナァーザのお店に装備を預けてから

更新するって話だったよね?

 

フィンは二人は多分レベルアップする

かもしれないって言ってたし。

ステイタスも一気に上がってるよね?

 

一体深層で何をしてきたのか聞いても

苦笑いだけで教えてくれないし。

 

むぅぅぅぅぅ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃ、コレお願いね?」

 

「お預かりします。それと先生からは武器だけ

でなく髪留めと腰巻きも預かるように言われて

ますので、そっちも良いですか?」

 

「えぇ!?せっかく可愛いの貰ったのに!」

 

「あ~ティオナの気持ちもわかるけど、

コレだってちゃんとした武装だからね。

メンテナンス必要でしょ?

それにゴブニュとかヘファイストスに

見られたら五月蝿くなると思うわよ?」

 

勝手に弄られた挙句分解とかされたら

堪ったもんじゃないわよね。

それに貰ったって言うけど実際どうなの?

そもそもコレって試供品でしょ?

 

「あーうー!それもそうか・・・だけど

流星錘とか縄鏢はともかく、コッチは

そのまま戻って来ないかもしれないよねー」

 

試供品だからその可能性もあるのよねぇ。

代わりの髪留めって言っても、防臭と

消臭が無かったら意味ないし・・・

 

「腰巻の代わりはありませんけど、髪留めは

預かってますよ?」

 

「おぉ!流石先生だね!」

 

ほんとよね。腰巻がないのはシカタナイ、か。

ダンジョンに潜る訳でもないし、普段の生活

なら髪留めに防臭と消臭機能が付いてるなら

ソレで十分。文句なんて無いわ・・・

あら、今回のデザインも良い感じよね。

コレはバラ?かしら

 

「ティオネさんのがクライミングローズって

言って春と秋に咲くバラをモチーフにした

髪留めだそうです。

春より秋の方が色が深いので、大人な感じが

出るみたいですね」

 

「へぇ~、普通バラなんてモチーフに

したらゴテゴテしそうなモノだけど、

よくまぁこの大きさに纏めれるわよねえ」

 

何がすごいって、飾り付けじゃなく彫って

あるのが凄いのよね。

おかげでゴテゴテしないし、邪魔にもならない。

 

それに、もしかしたら団長に対してバラが

欲しいってアピールする意味もあったりする

のかしら・・・深いわ。さすが完璧紳士ね!

 

「私のは何かな?!コレもカワイーよね!」

 

うーん、やっぱりまだ魔力が無いから

ティオナのは少し大きめになっちゃうのよね。

 

その分彫り込むスペースがあるから

良いといえば良いのかもしれないけど。

 

それにこれは何かしら?見たことない

動物だけど、可愛いのはわかるわ。

猫とネズミを合わせたような、不思議な感じね。

 

「リスっていう動物らしいです。

先生の故郷では冬に眠る動物みたいで、

秋に栄養を蓄えるために沢山木の実を

食べるんですって。

それで手に抱えてる木の実を一心不乱に

頬張ってる姿が秋の風物詩として有名

なんだって言ってましたよ」

 

「「へー」」

 

世の中にはいろんな生き物がいるのね。

それにそういうのを意識してみれば

コレも秋を意識したコーディネートに

見えてくるわ。うんやっぱり実用性

一辺倒のゴブニュとは違うわね!

 

「あぁ、あとですね。ヘファイストス様や

ゴブニュ様達には見せないで欲しいって

言ってましたよ。

下手に見せて分解されたり騒がれると

面倒だって感じでした」

 

「「了解!」」

 

面倒って一言に全てが集約されてるわよね。

 

こんなことで先生に迷惑かけて、筆頭様に

処刑されたら洒落にならないし。って言うか

 

「今回はゴブニュにもヘファイストスにも

用は無いから、ステイタス更新したら

黄昏の館で慣らしと体術の訓練でもしてれば

良いわよね?」

 

あくまで縄鏢と流星錘の訓練だったからね

 

「だね!やっぱりすべての基本は体術だって

筆頭様も言ってたし、私も水の上走りたい!」

 

わからないでもないけど・・・アレって

簡単にできることなの?

いや、出来なかったら先生に怒られるって

話らしいけど、同じ直弟子のリリルカは

出来ません!って言ってたわよね?

 

「水の上?船か何か使うんですか?」

 

あ、ナァーザが居るの忘れてたわ・・・

口止めはしないけど見世物になる気は無い

って言われてるし、そもそも他の冒険者の

情報をペラペラ喋るのはルール違反。

ここは余計なことを言わないで帰るのが上策よね。

 

「(ティオネ・・・不味いよね?)」

 

よし、ティオナも筆頭様の情報をバラ撒く

のはヤバいって言うのはわかってるわね!

 

「あーちょっと口を滑らせちゃったけど、

他の冒険者のスキルに関わること

だから、あんまりペラペラ喋れないのよ」

 

スキルっていうか技って言うか・・・まぁ嘘ではないわよね?

 

「なるほど。あぁ、こっちも詮索とかは

しないから大丈夫ですよ!」

 

「そう、助かるわ」

 

客商売の仁義ってやつ?本当に助かるわ。

…あの貧乏神はそういうの無視してるけど

ナァーザはまともだから助かった。

それとさっきから気になってるんだけど

 

「随分商品が少ないみたいだけど引越しかしら?」

 

お茶は金庫から出すから良いらしいけど、

あまりにも殺風景よね?

 

いや、他の医療系ファミリアとの兼ね合いで

ポーションを作れないように制限されている

せいで、元々薬局としてはアレだったけど。

 

「あ、それは私も気になってた!お茶とお菓子で

儲かってる割にはこじんまりした建物じゃん?

もっと大きな店舗に移ってもいいと思うよ?」

 

そうよね。こじんまりってのはシツレイだけど

なんだかんだで儲かってるはずだから

新店舗とか作ったり眷族増やしてもいいと

思うんだけどねぇ。

 

私もナァーザの事情は聞いてるからアレ

だけどさ。確かに一番大事な時に逃げ出した

連中のことを考えれば、そうそう眷族なんて

増やせないのもわかるんだけどね。

 

あとはやっぱり貧乏神のせいでポーションを

作れないってのもあるか・・・

 

うん。次の拠点には地下室と隔離病棟を

作ることをお奨めするわよ?

 

「なんだかんだ言って眷族が一人しかいない

お店ですからね。そんなに大きくなくても

良いんですよ。

それとリリルカさんにも言ったんですけど、

引越しとかじゃないです。

みなさんの武装のメンテが終わったら先生と

春姫さんとリリルカさんでダンジョンに潜る

予定なんです」

 

「「はぁ?」」

 

リリルカって戻ってきたばかりよね?

 

「リリルカさん、またダンジョン行くの?」

 

ティオナも驚いてるけど、ソレが普通よね?

・・・もしかしてお金が必要なのかしら?

 

「そうですねぇ、リリルカさんは日頃から

自分を杜氏で先生のサポーダーだって

言ってますから、先生がダンジョンに潜るなら

自分も一緒に!って感じです」

 

「「あぁ」」

 

確かにそう言ってるわね。

まぁ私だって団長がダンジョンに潜るって

言ったらついて行こうとするし、リリルカ

の場合は恋愛感情と言うよりは依存に近い

けど・・・アレはしょうがないわよね。

 

「じゃ、そもそもはナァーザさんと

春姫さんを鍛えるためのダンジョン

探索だったのかな?」

 

「みたいです。私もそろそろ本格的に

危なくなってきたので、レベルは上げて

おいた方が良いって言われまして・・・」

 

「「なるほどなー」」

 

ただでさえミアハがアレなせいで医療系に

狙われてるし、お金があってレベル3が一人

の拠点なんて危ないわよねぇ。

 

「最悪金庫は置いていっても、私か先生しか

開けれないし追跡機能もあるみたいなんで

お金の心配は無いんですけどね」

 

「追跡機能って」

 

奪われること前提だったのね。

 

「もしミアハ様が神質に取られても、

ミアハ様は鍵は先生が管理してるって

本気で思い込んでますから、先生を

頼ればなんとかなるって言われてます」

 

「なるほど」

 

貧乏神が足を引っ張ることまで予想済みか

 

「あとは肝心かなめの私が弱かったら

話になりません。最低でもイシュタル

ファミリアへ逃げ込める程度の実力が

必要だって言われてまして・・・」

 

「「確かに」」

 

「レベル3だと流石に危ないからねー」

 

そうね。実際ヘルメスファミリアなんて

レベル3は軒並み死んでるし、新種の蛇

みたいな花でもレベル4有ればそこそこは

戦えるもの。

 

「とりあえず納得したわ。それなら

お菓子とお茶を買いだめしておく

必要が有るわね」

 

ディアンケヒトのところにも有るには

有るんだけど、やっぱり先生と春姫が

直接監修してるココのが一番美味しいし

効果も高いのよね。

コレはナァーザのステイタスも関係して

るんだろうけどさ

 

「買いだめはあまりお奨めしませんよ?

出発はお二人とリリルカさんの武装の

メンテナンスが終わってからですから

大体一週間後を予定してます。それまでは

普通に販売しますんでよろしくお願いします」

 

「了解。変に買い貯めして品質落としても

困るもんね。適時買いに来るわ」

 

お茶はともかくお菓子がね

 

「それでお願いします。あと私が不在の間、

どんなにミアハ様が騒いでも絶対お金を

貸したりしないで下さい」

 

「「了解!」」

 

頼まれても貸さないわよ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「それでさー、ティオネ?」

 

「・・・言いたいことはわかるわ」

 

正直今はロキの顔を見たくないのよねぇ。

 

「やっぱり?いや、ロキにしたら悪気は

無いんだろうけどさー

アレはもう悪気の有る無しじゃないよね?」

 

「そうね。危険地帯に向かったアイズの

援軍に態々足手まといをつけるなんて、

普通に考えたら有り得ないわよ」

 

それも団長の意向を無視してなんて・・・

嫌がらせにも程があるわ

 

「レフィーヤもべートも回復薬とか

全然持ってなかったしさ。

急いで援軍に行けって言われた割には

チンタラしてたみたいだし」

 

「なんかレフィーヤはフィルヴィスの

ことを庇ってたけど、正直言ってアレの

都合なんか知らないわよね」

 

アレならベート一人の方がよっぽど

マシじゃない。

 

しかもオリヴァスとの会話は邪魔するわ、

死にたくなかったら黙ってろって警告まで

してあげたのに無視して筆頭様に問いかけ

なんかするし。

私まで死ぬかと思ったわよ!

 

「筆頭様とか先生が一切無駄のない行動

する人たちだから、つい比べちゃうのかも

しれないけどさー。本来ならあの人たちを

理想とするべきなんだよね?」

 

「そうよ。ハードルが上がるのは事実

だけど、ダンジョン探索に無駄なんか

無い方が良いに決まってるじゃない」

 

思い返してみてもあの人たちって

一切の無駄がないのよね。

 

先生は出発前からきちんと武装も回復薬も

準備してるし、筆頭様も回復薬や毒消しの

残量と私たちの限界を確認した上で

きっちりギリギリまで私たちを追い込んでた。

 

さらに魔物を使った罠なんか、単純な

動きに見えて計算に計算を重ねたモノ。

 

あの溶解液の罠に捕まったら、ベートは

単独で逃げれるかもしれないけど

レフィーヤとフィルヴィスは無理でしょ?

 

さらにエルフなんて実力もないくせに

無駄に気位が高いのを送り込んできて、

あんなの連携も何も取れないじゃない。

 

レフィーヤ一人と連携が取れたって何の

意味もないのに!

 

しかも筆頭様のことは知らなくても、

レヴィスとそれに攻撃を加えた強者が

居るってわかってたって言うじゃない!

 

ラウルなら指揮を取れるし、アキだって

逃げたり援護は出来るけど、魔力に反応

するイモムシや蛇みたいな花に対して

あの二人に何が出来るって言うのよ?

 

 

 

・・・筆頭様がいつから見てたのかは

知らないけど、フィルヴィスの所属が

ディオニュソスファミリアだって知って

たら私を含めて全滅してたのよね。

 

筆頭様については結果論になるけど、

それでも他所のファミリアの足手まとい

を急遽参加させるのはありえない。

 

 

 

「つまり今回は理想に対して全力で逆走した

わけじゃん?まぁ私たちはあくまでアイズの

お手伝いだったし、アイズも無事だったけど」

 

「ヘルメスファミリアの連中はアスフィ以外

全滅したけど、アイズは気にしてる感じでは

なかったわね」

 

アレは私たちみたいに覚悟を決めてるとか

優先順位がどうとかじゃなく、レヴィスに

負けた悔しさで単純に忘れてるだけね。

 

「・・・あんまり良い事じゃないよね?」

 

「乗り越えた、とかじゃないからねぇ」

 

後から何か言われたら動揺して失敗するか

責任を感じたところを付け込まれるわね。

 

「私たち個人はともかくとして、

ファミリアとしてはもう少し何とか

しないとダメだよね?」

 

「そうね、指揮系統を考えても組織として

あまりにもグダグダ過ぎるわ。

ステイタス更新の後に報告があるから、

それが終わったら反省会を開いてもらって

色々話さないとダメよ」

 

遠征に向かうにしてもコレじゃ

個人の群れでしかない。

せめて団長の指揮の下で集団として

動けるようにしないと・・・

 

「・・・私たちがレベルアップした後で、

ロキとかアイズやべートがマトモに話を

聞いてくれるかな?」

 

「・・・」

 

ロキは反省とか後にしてとにかく祝おう!

・・・とか言ってうやむやにしそうよね。

 

アイズは戻ったら模擬戦とか言ってたし。

 

まぁ気持ちはわからないでもないけど、

正直私たちの都合も考えて欲しいわ。

 

休ませて欲しいのもあるけど、

それ以上に筆頭様の技を体が覚えてる

内に自分たちの修行をしたいのよ。

 

メンテに出したから縄鏢も流星錘も無い。

他の縄で代用しようにもアノ重さが有る

縄なんて他には無いから、変な癖がつく。

 

今だからこそ体術をしっかり復習しないと

ダメなのに、あの二人と模擬戦しても

得るものが無いどころか、逆に悪化しちゃう。

 

かといって上手く断る口実もない。

 

「今回はステイタス更新しないとか

・・・ダメだよね?」

 

「ダメよねぇ」

 

正直そんなことしなくても成長したのは

実感できるんだけど、周りが許して

くれないわ。

 

「前の遠征のときにさ、リリルカさんが

「レベルアップして後悔した!」って言って

たじゃん?こう言うことだったんだね?」

 

「・・・そうね」

 

最初は何言ってんだこの泥棒猫!って

思ったけど、今ならわかる。

 

「「すっごくメンドクサイ」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『レベルアップキター!』

 

「「・・・」」

 

はぁ、レベルアップが嬉しくないなんて

日がまた来るとは思わなかったわ。




問題提起からの解決が出来ないのは、
大体無乳と王族さんがなぁなぁに
するからってお話。

そもそも原作の剣姫さんの
「強くなりたいから階層主と一人で戦う」
って提案・・・提案?勇者さんの性格だと
絶対許可しないよね?

今まで特別扱いで我儘し放題だった分
姉妹にもフラストレーションは
溜まってたもよう


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71話

前話の続き

無乳ファミリアの会話

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


『レベルアップキター!』

 

「「・・・」」

 

はぁ、レベルアップが嬉しくないなんて

日がまた来るとは思わなかったわ。

 

『さらにステイタスもオールSやで!

耐久は二人共カンストや!』

 

決め手は命奪崩壊拳よね・・・最初の一手が

決め手なんて、流石筆頭様。

 

『更になんや?ガチムチ三信?

なになに?歪まない心が精神異常耐性で、

だらしないという戒めが・・・成長補正?!

更にはシカタナイという寛容の心ぉ?

いや全部アレやけど最後のは何やの?!』

 

・・・なるほど。一度で理解できなかったら

再教育だったでしょうから、今回習得できて

良かったと言うべきね。

 

『ティオネの【治力】がD?それに

【耐異常】もDになっとる!

ティオナも【耐異常】がDや!

一体何をしたらこの短期間で?!』

 

確かペルーダの毒は麻痺と幻覚と熱病と

関節痛に吐血だったかしら?

 

命奪崩壊拳に比べたらまだ耐えられたわね。

 

「なんなら新血愁・心霊台逝きますか?」

とか言われたけど、アレは絶対ダメなヤツよ!

 

だって「ちなみにこうなります」って言われて

喰らったバーバリアンとかルー・ガルーが

全身から血を噴き出してたもの!

 

叫ぼうにも口から血とヨダレが出てたし、

爪がパックリ割れてそこからもナニカ

出てきてたし、目と耳からもナニカ出てたし

転げまわろうにも内臓が傷んでたかなにか

知らないけど、動く度にビクンってなって

最終的には身動きすら取れてなかったわ!

 

ソレが私たちの修行が終わるまで、三日間。

何故か死なずにずっと苦しみ続けてた。

 

いっそ殺してやれよって何度思ったことか!

 

しかもビクンビクンしてるのを見て

 

「あぁ、忘れてました」

 

って言ったと思ったら破裂したのよ?

しかも内部から!一体どうなってるのよ!

 

アレをみて私たちは絶対に筆頭様には

逆らわないって決めたの!

 

アレはレベルとかそんなチャチな

もんじゃない!もっと恐ろしいモノの

片鱗を見たのよ!

 

『更に発展アビリティも出とるぞ!

ティオネは【堅牢】に【精癒】に【観測】

ティオナは【堅牢】に【治力】に【観測】

・・・当たり前のように出てきとるけど

【観測】って何やねん!』

 

「「【観測】で」」

 

精癒も欲しいけど、観測は技撃軌道を観る為に

絶対に必要なアビリティよ!

さらに言えば、だらしない精神と併せれば

相乗効果も期待できるわ!

おそらくアレンさんもリリルカもコレを取る!

 

『ふ、二人してソレか・・・いや、レアな

ヤツやからウチも問題無いとは思うけど』

 

よし!やっぱりティオナも同じ考えね。

これでお互いのだらしないところを

指摘しあって成長出来るわ。

 

『本来ならコレからパーっと祝いなん

やけど、今回は二人の修行や24階層での

出来事の報告があるさかい、そっちは

ちょ~っと待ってなぁ』

 

待つもなにもソッチが本題でしょうに・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『なるほど、レヴィスにオリヴァス、それからエインなぁ』

 

「筆頭様だよ!」

「筆頭様よ!」

 

何呼び捨てにしてんのよ!

 

『お、おぅ。まぁウチは神様やし、ここは

筆頭さんで勘弁してもらえんか?』

 

「さん、か、それなら良いと思うけど。

あぁ、ガレスもリヴェリアもアイズも

べートも、本人が居ないところだって

最低でも「殿」とか「さん」を付けてよ!」

 

オリヴァスのときにわかったけど、

居ない時にこそ警戒しないとダメなの!

あの時は許してもらえたけど、普通に

死んだかと思ったし!

 

仲間が呼び捨てにしたせいで

私たちまで「連絡不足、故に矯正」なんて

言われて処罰されるのはゴメンだわ!

 

「お、おぉ、良く分からんがわかった」

 

うん、ガレスはなんだかんだで常識人だから

「様」とか「さん」はアレだけど「殿」なら

大丈夫でしょう!

 

「そこまで警戒が必要か?王とは言うが

実際は伴も無く一人で武者修行をしている

のだろう?本物の王や王族であったら

仰々しいのは嫌うのではないか?」

 

「リヴェリア、それは王族なりの気遣いかも

しれないけど、不敬とはまた別!

アッチが良いって言ったらソレでも良いけど

許可がないうちはダメよ!」

 

「そ、そうか」

 

レフィーヤもフィルヴィスも許可なく見て

話しかけただけで「不敬」扱いだからね!

 

「・・・筆頭さんは剣を持ってたんだよね?」

 

・・・アイズ

 

「多分弟子入りとかは出来ないわよ?」

 

「えぇ!?」

 

なんでって顔されてもね。

 

「あのねアイズ、そもそも筆頭様は先生の

お弟子さんで、自分の修行の為に深層に

潜ってるの。

今回は先生の用事と口利きがあったから

鍛えてくれたけど、アイズだって自分が

鍛えてる時にいきなり知らない人に

「弟子入りさせて下さい!」

って来られても困るでしょ?」

 

「むぅ・・・確かに」

 

ティオナ、ナイスよ!

 

「なるほどな。俺らがその筆頭さんとやらに

弟子入りができねぇのはわかった。

相手が強者でお偉いさんで世話になったから

敬称をつけろってのも、まぁ良い。

レヴィスやオリヴァスに対する攻撃に

一切遠慮がなかったり、連中の情報を

コッチにくれたりするってことは、奴らとは

知り合い以上じゃねぇのも事実なんだろう。

ヘルメスファミリアが野郎の敵だから

潰したってのも納得できる」

 

うん、べートも強者には一定の敬意を

払うから、そのへんは特に問題無いわね。

 

それにレフィーヤの報告で筆頭様が

オリヴァスを殺したって言うのが

あったのも大きいか。

実際止めを刺したのはレヴィスみたい

なんだけど・・・

アイズもそのへんは微妙だったからね。

 

「だが今のレベルアップしたお前ら

でも勝てねぇってのが想像出来ねぇ。

フィンやガレスが居ても無理か?」

 

「「無理」」

 

なんて恐ろしいことを・・・

あの人はレベルがどうこうじゃないの!

 

「即答かよ・・・ならリヴェリアの魔法なら?」

 

「無理無理。詠唱とか集中も見られてるし、

足止めしようにも筆頭様なら壁を壊して

周りの人間全部潰しに来るよ?」

 

そうよね。あの人の前で詠唱なんか

しようものなら、当たり前に「遅い」って

言われてぶち抜かれて終わりよ。

 

「それに万が一無事に詠唱が終わっても

まず当たらない。

装備品次第かもしれないけど、おそらく

魔法ごと斬られるわ」

 

「「「魔法ごと?」」」

 

そもそも私だってジャガーノートの

ブレスを縄鏢でくぐり抜けたんですもの。

 

筆頭様なら間違いなく炎ごと斬ってるわ。

・・・あのときはブレスを吐くどころか

溜めることすら出来てなかったけど。

 

「・・・なるほど筆頭さんの腕もそうだし、

そもそも彼の装備が有れば魔法は無効化

できるからね」

 

「そうですね。それに筆頭様が先生から

贈られた服は、明らかにリリルカのモノ

より手が込んでました」

 

サイズ自動調節や適温維持は当たり前に

あるわね。

 

「つまり現時点でその筆頭さんを敵に

回すのは控えた方が良いってことだ。

ちなみにコレは単純な戦力だけじゃなく、

情報収集のタメでもある」

 

『あぁ確かに、レヴィスやら闇派閥が

やっとる事を教えてくれるんやもんな。

敵対するより仲良くした方がえぇか』

 

単純な戦力だけでもそうだけど・・・

まぁそう言っておけばロキも

無駄に敵に回そうとはしないわよね?

 

「それで、筆頭さんのことは良いとして。

レヴィスがアイズに59階層に

ナニカあるって言ってたらしいけど、

二人はその辺のことは何か聞いてる?」

 

「「いえ、特になにも聞いてないです」」

 

そもそも質問に答える方だったからね。

下手な質問して地獄なんか見たく

なかったし。

 

「ふむ、そうなると59階層に有る

ナニカと筆頭さんは無関係か・・・

あとは下手に騒がなければ敵対の

可能性は少なそうだね」

 

「そうですね。基本的に容赦ない方では

ありますが聡明で理知的な方です。

手当たり次第に襲うとかはしませんね」

 

こっちが無礼な真似をしなければね!

 

「さらに彼の一言が有れば協力関係に

持っていける可能性が高い、か」

 

「おそらくは。先生を尊敬しているようでした」

 

先生に敵対した結果がヘルメスファミリアですしね。

 

「・・・それなら次回の遠征は最終到達

階層の更新だ。ついでにレヴィスの

企みとやらに乗ってやろうじゃないか」

 

「・・・いいの?」

 

お、自分の我儘で仲間が死ぬかもって

心配してる?

 

「もともと遠征は予定してたしね。

ティオネとティオナがレベルアップして

調教師の正体もわかった。さらに深層の

視線の主である筆頭さんも敵対しなくて

済む方法があるなら、今まで不確定要素

としていたことが無くなったということだ」

 

ま、そうよね。アイズだけの為じゃなく

そもそも計画してたことだし。

 

「問題は彼との繋ぎだが・・・武装の

メンテナンスが終わったら、彼も

ダンジョンに潜るって話だったね?」

 

「はい、リリルカとナァーザと春姫を

連れてく予定ですね」

 

リリルカもねぇ。さっさと団長を落として

もらって二号さんの地位に付きたいけど、

今の私じゃまだまだ足りないってことは

十分わかった。

もう少し時間が欲しいから、団長との

接点は少なくして欲しいところよね。

 

「確かに最近のナァーザは危険だし

自衛ができるようにってのはわかる。

むしろ何かあったらコッチに逃げて

きても良いって伝えてくれるかい?」

 

「了解です」

 

ナァーザがいなくなったら、オラリオの

上位冒険者の半分は吐血するって

言われてるもの。そりゃ守るわよね。

・・・胃袋を掴むってこう言うことか!

 

 

『それで、地上の話になるんやけど、

ヘルメスやディオニュソスとは

距離を置いたほうがえぇって話は本気か?』

 

本気か?も何も、筆頭様とアイツ等なら

筆頭様を取るに決まってるでしょ?

 

「実際彼らと手を組んでも足手まといに

しかならない。

今でさえそうなのに、アイズの話だと

レヴィスは魔石を食べてレベルが

上がったんだろう?

敵にレベル6相当の強者がいるとなれば

今以上に油断なんか出来ないよ」

 

『あぁ、そもそもの力が足りんか。

アスフィもフィルヴィスもレベル3

しか無いもんな・・・』

 

アスフィは怪しいけど・・・ソレでも

レベル4でしょ?後衛としては良いかも

しれないけど、指揮系統が乱れるから

正直いない方が良いわよね。

 

「同盟を組んでしまった以上こちらから

突き放しはしない。だけどダンジョンには

連れて行けないね。

フィルヴィスとレフィーヤが仲良くなった

みたいだけど、あくまで個人としてだから

その辺は別にかまわないさ。

正直59階層に挑むってときに彼らの

面倒なんか見てられないし・・・」

 

ま、地上でお留守番よね。

レフィーヤは・・・どうするのかしら?

一発の火力はあってもソレだけだし

52階層以降は・・・厳しいかもね。

 

『それもそうやな。椿たち鍛冶師と違って

そういう仕事があるわけでもないもんな』

 

「そうだね。そういう点で言えばアスフィは

何かアイテムを作ってくれるなら有りかも

しれなかったけど、彼女が居れば筆頭さん

が間違いなく敵に回る」

 

はいアウトー。私とティオナが捕縛して

「先生に敵対する悪党です!」って言って

筆頭様に差し出すわよ。

 

『・・・ジャガーノートを獲物にして、

アレンを子供扱い出来るヤツを敵には

回せんよなぁ』

 

そんな生易しいお方じゃ無いって言ってるのに・・・

 

「・・・わかってないなぁ。

あ、そうだ!一度ロキも命奪崩壊拳

受けてみたら良いんじゃないかな?

確か先生も出来るんだよね?」

 

『え”?!いや、その明らかにおっかない

名前の技は何なん?!』

 

「そういえば筆頭様のは未熟だって

ご自分で言ってたわね。

アレで未熟なら先生のは・・・」

 

『まてまてまて!何かヤバい方向に

話が向かっとるぞ!』

 

「そうだフィン!今回のロキの罰は

ソレにしない?

先生は基本的に神様嫌いだから頼めば

喜んで殺ってくれると思うよ?」

 

そうよね、神様を殺るなら喜んで殺って

くれるわよね

 

『殺すな!待て!これって

マジでヤバイんちゃう?!』

 

「ふむ、確かに今回は一歩間違えば

アイズやレフィーヤも死んでいたかも

しれない案件だ。

全員無事だったからといって【二人】とも

無罪放免とは行かないかな」

 

団長は相当イラついてるからね。

少しは自分のやった事を反省しなさい。

 

ついでに先生の気分も良くなるし、

良い事ずくめね!

 

「まぁそうじゃの」

 

ガレスもなんだかんだで貧乏くじ

引かされてるからねぇ。

私たちが居ない間も大変みたいだったし

 

「・・・確かに」

 

アイズは普通に怒っても良いわね。

まぁ今は邪魔するなって感じでしか

ないだろうけど。

 

「まぁな。俺なんて援軍だってのに

足手まとい抱えさせられた挙句に

「戦いに間に合いませんでした」だぞ?

話になんねぇよ。

こんな間抜け晒したのも元はといえば

ロキのせいだしよぉ」

 

ほんとそうよねぇ。オリヴァスだって

あの二人が居なかったら勝てたかも

しれないし、不完全燃焼よね。

 

「い、いや、今回はしょうがないところ

もあったと思うぞ!」

 

リヴェリア・・・そんなのは無いわ。

 

「うーん、だけど流石の先生も

リヴェリアには殺ってくれないかな?」

 

「そうかもね。そうなるとリヴェリアは

筆頭様に会った時に殺ってもらうのが

良いんだけど、流石にダンジョンで

アレはみんなの邪魔になるわよね・・・」

 

足手まといもそうだし、臭いとか処理とか

・・・いや、リヴェリアの介護なら喜んで!

って言う連中もいるけどさ。

 

『「アレって何?!」』

 

ん?そりゃもちろん

 

「垂れ流しだよ!」

「垂れ流しよ」

 

「「「「・・・(垂れ流し?)」」」」

 

あぁ、細かく言ってなかったものね

 

「えっとさ、最初に筆頭様に会ったときにね、

私たちがあんまり未熟だから、まずは自分の

だらしなさと向き合えって言われてさ!」

 

「「「「・・・はぁ(だらしなさ?)」」」」

 

「有無を言わさずお腹に穴を開けられたわね」

 

あの時は何故か動けなかったけど・・・

アレも何かの技かしら?

 

『「穴ぁ?!」』

 

「傷はハイポーションで治してもらえたよ?

だけど、魔力?みたいなのを体内に流し

込まれてて、ずーーーと痛いの!」

 

『「鬼かっ!」』

 

「アレはもう地獄よね。固くて柔らかくて

赤かったり青かったりするのが

黒かったり白かったりしてマルカジリよ」

 

「「「わけがわからん!」」」

「(よく分かんないけど、凄い修行なんだ!)」

 

「だね、それで痛みが治まったと

思ったら三日も経っててさ!」

 

リリルカは二日で立てたんだもんね。

今の私たちなら何日かしら?

・・・試したくはないけどね!

 

『「・・・三日?」』

 

「「そう、三日」」

 

『「・・・つまり垂れ流しって」』

 

「「そう、三日分」」

 

『「カンベンシテクダサイ!!」』

 

「「「(・・・それはキツイ)」」」

「(それは流石に・・・)」

 

「ロキ、罪には罰だよ。筆頭様が言ってた

から間違いないって!」

 

「そうね、頭を下げるのはタダ。

痛みがなければヒトは覚えないのよ」

 

コレは真理よ!

 

『筆頭さんサツバツし過ぎやろ?!

いや、確かに今回はウチが

邪魔した形になったけども!』

 

「「「「今回【は】?」」」」

 

今回【も】でしょ?いい加減

キレても良いと思うの。

 

「眷族の命に関わるミスだよ?反省の

ための罰は必要じゃないかな?かな?」

 

『ひぃぃぃ!!ティオナの目が怖いっ!』

 

次の遠征に茶々入れられたら冗談じゃ

済まないからね。一回死んで来なさい。

 

「ま、まぁソコまではアレかな!

彼も迷惑だろうし、今回はもう少し

軽い罰で行こうじゃないか!」

 

「「「「賛成!」」」」

 

リヴェリアはともかく、ガレスとアイズと

ベートまで?

 

「・・・んーフィンがそう言うなら

良いけどさ」

 

「私も団長の決定に逆らう気はないです

けど、甘すぎません?もう少し

厳しくしたほうが良いと思いますよ?」

 

『カンベンシテクダサイっ!!』

 

・・・私にドゲザされてもねぇ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ここは?」

 

ベット?

 

「あぁ起きたか、私が誰かわかるか?」

 

「・・・フィルヴィス・・・さん?」

 




怖いのは強い人じゃねぇ
容赦しない人だ!ってお話

基本的に実験も治験もやりたい放題の弟子
ダンジョン内は法とか関係ないからね!


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72話

前話の続きさ

ぼっち団長とセクスィメガネ

オリ展開!
オリ設定!

嫌いな人は読み飛ばし!


「・・・ここは?」

 

ベット?

 

「あぁ起きたか、私が誰かわかるか?」

 

「・・・フィルヴィス・・・さん?」

 

ディオニュソスファミリアの団長よね?

 

「起きたばかりだが意識はハッキリ

しているようだな。

外傷もない・・・ロキファミリアが使った

エリクサーが効いたようで何よりだ」

 

医務室?でもギルドじゃない・・・

ディオニュソスファミリアの拠点?

なんで・・・あっ?!

 

「み、みんなは?!ダンジョンは

どうなったの?!」

 

「みんなは知らん。大切断が抱えて来た

のはお前一人だったらしい」

 

「そ、そんな・・・」

 

じゃあ、みんなはあのまま・・・

 

「神ヘルメスがオラリオにいないよう

なので、お前を我々の拠点で預かった。

・・・私たちも情報が無くてな。少し

でも情報が欲しかったと言う事情もある」

 

「情報・・・」

 

情報と言われてもね、私たちだって

さっぱりよ。

 

「答えろ万能者、お前たちは24階層で

何を見たっ!

大切断と怒蛇は何を知っているっ?!」

 

「え?ちょ、ま、待って、正直こっちも

混乱してるの!少し状況を整理させて!」

 

大切断と怒蛇が何か知ってる?

それに何を焦ってるの?

 

「ちっ!なら一つずつ質問するから

それに答えろ。

代わりにこっちも知ってることは

教えてやる」

 

偉そうに・・・とは言えないか

 

 

 

「・・・つまりお前たちはルルネとか言う

犬人が、怪しい奴にファミリアの弱みを

握られ24階の魔物の異常発生と異常行動に

ついての調査を求められたわけか」

 

「そうよ」

 

そのルルネも死んだ以上、依頼主の特徴も

何もわからない。

 

「アナタ方はどうして24階層に?」

 

「・・・ディオニュソス様は、ある

協力者から24階層の魔物の異常行動に

闇派閥が関わっていると言う情報を得た。

その真偽を確認するために、もともと

一緒に地上の異変を調べていたロキ

ファミリアと共同で冒険者を派遣する

ことになってな」

 

なるほど。おそらくその協力者は

ルルネを脅迫して、剣姫を送り込んで

きたヤツと同一人物。

最低でも同じ目的を持ったヤツ?

 

けどそれならおかしい。その協力者は

最初から異常行動の原因を知っていた

事になる。

それなのに私たちに調査の依頼をした?

闇派閥が関わってるとわかってたら

ヘルメスファミリアだけを

送り込むなんてありえないわ。

 

「・・・食糧庫において、新種の魔物と

闇派閥が共同で何かをしていたのは事実よ。

事実自爆を前提とした死兵によって、皆が

爆発に巻き込まれたことまでは覚えてる」

 

くそっ!高レベルの調教師以外にも

敵が居るなんて、考えなくてもわかる話

じゃない・・・あの狙撃も闇派閥の

幹部クラスによるモノだったのね!

 

「深層の魔物を操る調教師か・・・ロキ

ファミリアはソレを知ってたよな?」

 

「・・・えぇ、少なくとも剣姫も

大切断も怒蛇も対処法まで知ってたわ」

 

遠征に行ったときに深層で襲われたって

話だったけど・・・

 

「そうか、隠してたら問題だろうが

きちんと話してたなら問題ないな。

そもそも私たちがダンジョンに潜る前、

リヴィラでガネーシャファミリアの

冒険者が殺される殺人事件があり、

その犯人は深層の魔物を操る調教師と

言う情報はあったし。

お前たちも無関係では無かったな?」

 

「・・・えぇ、ルルネが今回の依頼を

受けることになった原因ですもの」

 

何かを受け取ることだったらしいけど、

今となってはそれが何かもわからない。

・・・情けない。どこまで黒幕の手の

ひらの上だったの?

 

「そこからしておかしいんだ。

ダンジョンにロキファミリアの冒険者が

勝ちきれなかった殺人犯が潜んでると

わかっておきながら、何故お前たち

だけで24階の探索をするんだ?

その調教師と魔物の異常行動を結び

つけるのは当然のことだろう?

ファミリアの弱みの漏洩を防ぐと言うなら、

そこに剣姫が居ることがおかしいしな」

 

普通に考えればその通りよ。誰がどう

見ても怪しい行動ではある。

ただ、ソレは買い被りなのよね

 

「正直に言えば舐めてたのよ」

 

「舐めてた?」

 

「えぇ、24階層の魔物くらいどうと

でもなるって考えてて、18階層の

調教師のことなんて考えてなかったの」

 

「いや、おかしいだろう?私のように

初めからレベル5である凶狼を

つけてもらっていたならまだしも、

レベル2や3の集団にしてみれば

24階層の探索は油断できるような

モノじゃないはずだ」

 

そうよね。公表されている情報だと

私たちは団長である私ですらレベル3。

普通なら危険があると判断して依頼を

断るか、上位の冒険者に応援を頼む。

 

「少し前にレベルアップしてたのよ。

ヘルメス様は定例会の前に公表して

周囲を驚かせようとしてギルドには

まだ報告してなかったけどね」

 

他のみんなのことは喋れないけど、私

一人なら報告が遅れてたで済む話よ

 

「なるほど、レベル4の後衛が居れば

普段の24階なら安全圏か」

 

・・・そうタカをくくった結果がアレよ

 

「わかった。では次だが、大切断と怒蛇だ。

ヤツラは深層探索の帰りで偶然合流した

と言ってたな?」

 

「そうね実際剣姫を見たとき、あの二人は

剣姫を問い詰めてたわ」

 

何故我々と一緒に居るのか?とか

一人で何をしている?って感じだったわ

 

「・・・深層で何をしていたかは

知らないんだな?」

 

「何をしていたかは「関係ない」って

言われて教えてもらえなかったからね。

それに彼女たちだけじゃなく

女神の戦車や紅魔も一緒に居たわよ」

 

「つまりレベル6が一人にレベル5が三人?」

 

「そうね、紅魔がサポーターだったの

かしら?大量の荷物を持ってたわね」

 

アレは深層のドロップアイテムよね。

目的はアイテム探索?

でもあれだけのメンバーを揃えて

それだけってのも無いわよね。

 

「大量の荷物か・・・おそらくリヴィラ

の再興のために寄付したと言うヤツか」

 

「寄付?」

 

態々あれだけのアイテムを持ってきて?

 

「そうだ、そもそも18階層で新種の

魔物を発見してボールスに報告

したのはヤツらだったらしい」

 

「そんなことが・・・」

 

「そのとき対処法も教えて行ったとか。

おかげで調教師が操った新種が暴れた

ときも人的被害はほとんど無かったらしいな」

 

「それなら彼らは調教師の敵って

ことじゃないの?」

 

味方なら新種を見つけてその対処法まで

教えていくなんてことはしないでしょ?

 

「それだけなら私もそう思っていた

だろうさ、だが・・・」

 

「だが?」

 

悔しそうな顔・・・コレは怒り?

 

「18階層については後で話そう。

我々が24階層に着いたときの話だ」

 

「・・・続けて」

 

「我々が24階層に着いたとき、ヤツが

オリヴァス・アクトが現れたんだ!」

 

「オリヴァス・・・白髪鬼?!」

 

27階層の悪夢の張本人じゃない!

 

「そうだ、間違いなく本人だった!」

 

・・・彼女が言うなら本人で

間違いは無いわね

 

「ヤツは「一度死んでから蘇った!」だの

「彼女こそ主!」だの

「魔物と人間の力を得た!」だの

得意げに喚いていた。

頭はおかしくなってたかもしれないが

間違いなくヤツだった!」

 

何よそれ・・・

 

「ヤツの死体は確認されていない。

あくまで下半身が残ってただけだ。

だからエリクサーや特殊な魔法が

あれば延命はできた可能性はある!」

 

「・・・確かにそうね」

 

本人であることに間違いはないし、

それなら生き延びてる理由もわかる

 

「しかし当時レベル3しかなかった

ヤツはレベル5の凶狼にも引けを

取らない実力を持っていた」

 

「・・・」

 

まぁアレから4年いえ5年あれば

成長も出来るか。あとは主神だけど

闇派閥なら・・・

 

「それで凶狼とヤツが戦ってる

ところに怒蛇が現れてな」

 

あぁ、私たちが罠に嵌ったときか。

最速で援軍を呼びに行ったのよね。

凶狼だけ来て、そのまま剣姫を

探しに言ったから私たちとは特に

関わりがなかったけど・・・

 

「そこで怒蛇は奴を闇派閥に所属する

オリヴァス・アクトと知りながら

「一度だけ警告をする」と言い出したんだ」

 

「はぁ?」

 

何で警告なんてするの?

 

「内容は『ココで退け、今なら追わない』

と言う類のものだった」

 

「・・・ありえないでしょ?」

 

情報を得るにせよなんにせよ、

生かして捕らえることはあっても

逃がすなんてありえないわ。

 

「そう、ありえないんだ!百歩譲って、

罠に嵌ったと言うお前たちへの救援と

して凶狼を食糧庫に向かわせたのは良い!

自分もさっさと食糧庫に向かいたかった

というのもあるかもしれない!」

 

・・・それもあったか。

私たちが足を引っ張ったせい?

 

「だけど白髪鬼が生きていたら、

後ろから襲われるじゃないか!

実際蛇みたいな花?も潜ませてた!」

 

「確かにそうね」

 

こっちにも援軍が来るけど敵にも

援軍が来る。

そうなったら戦場はごちゃごちゃよ。

先に倒せるヤツを倒すのが普通か。

そして怒蛇がその程度を読めない

ハズがない。

・・・何か裏があったの?

 

「そしてヤツが「お言葉に甘えて

退かせてもらう」と言ったとき

怒蛇が奴にあることを聞いたんだ」

 

「あること?」

 

「これだけは答えてもらうと言う

前置きの後、奴に聞いたのは

『レヴィスとエインはココに居るのか?』

という内容だった」

 

「レヴィス・・・エイン・・・」

 

ココに居るのか?と言う問いかけなら

ソレは闇派閥の人間?

 

「それに対してヤツは目を見開いて

『ほう、どこでその名前を聞いた?』

と問い返したよ」

 

白髪鬼側の人間の名前を怒蛇が

知ってた?

 

「・・・それで?」

 

「質問に質問で返すなって言った後、

何かを喋ろうとしたヤツを岩?の

ようなモノが襲ったんだ。

・・・おそらく口封じだろう」

 

「なんですって!?」

 

岩のようなモノと言ってるけど

おそらくソレはダンジョンの壁!

 

「・・・何か知ってるのか?」

 

知ってるも何もっ!

 

「・・・食糧庫で私たちを襲った

狙撃手はダンジョンの壁を散弾のように

使って私たちを狙ってきたわ!

おそらく白髪鬼の口封じをした後で

私たちを攻撃してきたのねっ!」

 

「・・・そうか、ならお前も

知っておけ」

 

「奴に対する情報を持ってるなら、

断られても聞き出すわよ!」

 

みんなの仇よ!

 

「怒蛇はソイツと知り合いのようだった」

 

「は?」

 

いや、え?だって闇派閥とロキファミリア

はずっと戦ってたわよね?

 

「ローブと仮面で姿を隠していたから

顔も何もわからんが、私と同じくらいの

背丈の女だった」

 

「女?」

 

「あぁ、仮面のせいでくぐもった声しか

聞こえてないが間違いなく女だ」

 

なるほど、まぁ女でも高レベルなんて

いくらでもいるからね。

 

「それで、ソイツは怒蛇に対して

『言い訳を聞きましょう』

と言ってきたんだ」

 

言い訳・・・?

 

「ソレは何に対して?」

 

「わからん。一緒にいたレフィーヤも

わかってないようだった」

 

千の妖精も一緒に居たのね。

 

凶狼と千の妖精、さらにこの

フィルヴィスなら24階層への

応援なら十分な人材。

つまりロキファミリアには

怪しいところはない。

 

問題はその狙撃手と怒蛇の関係か・・・

 

「その後の話の内容は?」

 

何に対しての言い訳なのかが

わからないと判断も何も出来ないし

 

「わからんのだ」

 

「は?」

 

どういうこと?

 

「いつの間にか気絶させられていた。

気づいたら全部終わった後でな。

超凡夫と貴猫が居て、後処理を手伝え

と言われてそのままさ。

何を聞いても自分たちも知らないの

一点張りで大した情報も貰えず、

せめての情報源としてお前を引き取って

運んできたわけだ」

 

「・・・」

 

なるほど、完全に蚊帳の外にされたのか

 

「それで色々考えていたら、連中の

18階層への寄付が不自然だと気付いた」

 

「何が・・・あぁそうか。そうね」

 

わざわざ深層に潜って採ってきた

素材を寄付する時点でおかしいけど。

 

「普通なら売るだろ?深層で危険を

承知で集めた素材だぞ?

しかも4人で集めたモノをロキ

ファミリアの2人の承諾もなく寄付?

ありえんだろう」

 

「そうね、同じファミリアでも分け前に

関しては揉めるのに、ソーマ・ロキ・

フレイヤの三つのファミリアが関わってる」

 

いくら女王の戦車がレベル6でも、

そんな独断は出来ない。

 

「つまりヤツらはリヴィラが新種や

調教師によって損害を受けていた

ことを知って居たんじゃないか?」

 

「それでも彼らが【寄付】する理由には

ならない。つまり彼らは調教師とも

何かしらの繋がりがある?」

 

いや、けど大切断は容赦なく連中を

殺してたわよね?アレはどうなるの?

 

「もしくはリヴィラで調教師と戦った

ロキファミリアの一員として、責任を

感じた二人が自分の分を寄付に回して

くれと言った可能性もあるが・・・」

 

「それはないわ。彼女たちはあそこで

そんな話はしてなかった」

 

むしろ面倒事だからさっさと帰ろうと

してたもの

 

「そうか・・・そうなるとやはり

奴らの行動が怪しくなる」

 

そうね。大切断は何も知らなかったと

言う可能性もあるけど、4人中3人が

知ってたならソレも無いわよね。

 

「ヤツラは24階層でどんな会話を

していた?

今は少しでも情報が欲しいんだ!

どんな小さいことでも良いから

思い出して欲しい!」

 

・・・どんな会話、か。

 

「紅魔は私たちにやる情報は無いって

言って、取り付く島がなかったわ」

 

「・・・まぁ彼女が冒険者嫌い

なのは有名だからな」

 

事情が事情だからソレも当然よね。

 

「それを言ったら女神の戦車も

女嫌いだった筈だけど、普通に

パーティーを組んでたけど。

それに・・・あぁそうだ!」

 

「何かあるのか?」

 

「隠語か何かだと思うけど、女神の戦車が

『鈴を預かった』とか言ってたわ」

 

「鈴?」

 

「そう怒蛇も大切断も貴重品だし、

紅魔の帰還が遅れたり、鈴に何か

あったら困るって言ってたわ」

 

そう、あれだけのドロップアイテムを

持ちながら、大切断も怒蛇も心配

してたのは鈴だった・・・

 

「鈴か、それも探らねばならんな」

 

「えぇ、かなり重要視してたから

無関係と言うことは無いでしょう。

まぁ依頼を受けてたのかも知れないし、

貴重なドロップアイテムなのかも知れない。

もしくは闇派閥関連の何かなのか・・・」

 

ヘルメス様が戻ってきたら神ロキや

神フレイヤの周辺を探ってもらう

必要があるわね。

 

「あとは・・・無双農家さんね」

 

「なに?!」

 

そう、紅魔の帰還を待つのは神ソーマか

彼の可能性が高い。

大切断も怒蛇も彼の教えを受けてるって

剣姫が言ってたし、女神の戦車も女嫌いの

はずなのに、イシュタルファミリアまで

行って彼と何かしてるって噂があった!

 

「少なくとも私は4人の共通点は

無双農家さんしか知らないわ。

貴女にはなにか情報はあるの?」

 

「・・・4人に関しては無いが」

 

無いが?

 

「ディオニュソス様は無双農家が闇派閥

との関わりがあるようだと疑っている」

 

「なるほどね」

 

まだ怪しいって段階だけど、無視して

良い情報でもない。

今までは出来るだけ触れないように

してきたけど、これからはそうも

行かないわね。

 

「・・・フィルヴィス殿?」

 

「なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘルメスファミリアの団長として

ディオニュソスファミリアの団長に

正式に同盟を申込みたいのだけど

何か問題はあるかしら?」





今までは個別にやってたけど
これからは情報の共有ヨロシク!って感じです

問題・・・問題は・・・なぁ?ってお話


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73話

それぞれの拠点フェイズ

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


さてさて、ダンジョン探索前に色々な

仕込みが必要なんだが・・・

なんでヘルメスファミリアが壊滅

してるんだ?

 

一応あそこの悪巧みの根源である

主神とアスフィは生きてるし

外に出てる連中とかも居るから、

あくまでオラリオ内部の連中って

のは付くんだろうが・・・

それにしてもおかしいだろ?

 

いや、なんか24階層でレヴィスが

悪巧みするとは聞いてたぞ?

だがあの連中にティオナとティオネが

合流したんだろ?

よっぽどアホな真似をしない限り

全滅なんてありえないと思うんだが。

 

まさかわざわざ罠を張ってた食糧庫に

突っ込むわけもないよな。

 

奴らだってこの前の18階層での

事件については知ってるだろうから、

今の時期にダンジョンの魔物に

異常があったら当然レベル5相当の

調教師を警戒するはずだし。

 

隠れ潜む強者なんて一人でも厄介なのに、

深層の魔物を使う調教師相手にレベル3

だの2の足手まといを抱えて戦うか?

 

そもそも連中が調査依頼を受けた時点で

ガネーシャに連絡しなかったのは何故だ?

 

連中のところの犬人が18階層で

ハシャーナから何かを受け取る予定

だったんだろ?ガネーシャが調教師に

関する情報を集めてるのを知らない訳が

無いよな。

 

そもそも情報の入手が早すぎる。

24階層については誰に聞いたんだ?

 

リリルカが言うには剣姫さんが居た

らしいがアレだろ?人形だろ?

あんなん単独で出してどーする。

 

後から援軍で凶狼と千の妖精と

見たことないエルフが居たらしいが

相性悪すぎだろ。

 

騎兵と砲兵が指揮官無しで人形と

合流って・・・フィンは何をしていた?

 

さらにその砲兵は無駄に気位が高いエルフ。

九魔姫が居たら無条件で従える

こともできるかもしれんが、凶狼だろ?

 

ラウルはどーしたラウルは。

何故あいつを鍛えないんだ?

アイツこそ人の可能性の塊だろうに。

 

・・・今度の探索に連れてくか?

 

何をするにしても本人の殺る気がなきゃ

意味がないんだが、あのスキルやアビリティに

頼らないスタイルは嫌いじゃない。

 

俺や弟子が鍛えたら我知無知三信が出る

可能性もあるが、それくらいはご褒美で

良くないか?

 

歳は21だったな。成長期はとっくに

越えてるが、この世界はレベルと

スキルとステイタス制の世界。

 

何歳になっても成長出来るし基礎は

歳をとっても学べるもんだ。

 

スキルも魔法も持たない一般的な成人

男性の成長率か・・・面白そうだよなぁ。

 

かといってロキファミリアと

関わるのも面倒だよな。

他はともかく人形と王族とロキが。

なんだあの三位一体は?

中途半端な地獄しか見てないから

あんな人形になるんだ。

 

( `Д´)>)) д')の理を知らんのか?

 

神の愛ってそんなんじゃないの?

フレイヤだってそんな感じだろうに。

 

しかし勿体無い。ラウルがロキファミリアじゃ

なかったらなぁ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『・・・そうか』

 

『アンタがウチらを不審に思う気持ちはわかる

けどな。現状、ウチもウチの眷属もアンタを

信じられん。

結局は自分の眷族が大事やねんな』

 

同盟組んだのは正直失敗やった。

ウチが欲した「24階層の情報を

どこで得たか?」に対して「情報はやれん」

なんて言われたら、コイツらとつるむ

意味があらへんよ。

命奪崩壊拳も怖いが、こんな奴らの為に

眷族が殺されてたかと思うと自分の

迂闊さに腹が立つ。

 

『いや、フィルヴィスが足手まといと

言われてしまえばその通りだし、

24階層の情報を君に流したのも私だ。

その24階層でヘルメスファミリアの

冒険者が壊滅した今となっては、情報源を

言えない私を疑うのは当然のことだ』

 

『せやな。情報を集めてもソレを

渡す気がないし。情報源は教えられん。

なんて言われたら、もう話にならん』

 

フィンに真顔で、コイツらとつるんで

ウチらに何の得がある?なんて言われて

考えたら・・・なんも得ないもんな。

 

精々が単独で動いた時に生じる悪評を

流されるのを防ぐとかやろうけど、

今やコイツらとつるんでた方が悪評が

流されるわ

 

『・・・それは君も同じだろう?』

 

あぁ?

 

『それはそうやろ?ウチの子が

命懸けで掴んだ情報を、なんで

コバンザメに教えなならんの?

元々のきっかけがジブン言うこと

忘れんなや?

最低限ソッチが教えんことには

掴んだ情報はやれんよ』

 

『君は同盟の意味を知ってるかね?』

 

はっ、言うに事欠いて何を言っとる。

 

『お前が言うなや。大体かけた労力が

違いすぎるやろ?こっちはレベル5の

冒険者4人と団長のフィンやぞ?

うちらは100の労力使って100の

情報を得た。10の労力も使ってない

連中は10しか得られないのは当然や。

同盟言うのは無条件の対等と違うぞ?

実行能力がないお前に、ウチラに対して

情報隠す権利なんか無いんや。

それともアレか?重要な情報はヘルメスと

ウラヌスで共有して、ウチらは放置ってか?

ウチらは貴様らの体のいい労働力ちゃうぞ?』

 

舐め腐りやがって。

コイツと言いヘルメスと言いウラヌスと言い

もともとゼウスやヘラの同郷の連中は

ウチらにとって信用できんヤツばっかりや。

まぁ技術一辺倒のファイたんや

頭空っぽのどチビは例外やけどな。

 

『・・・それはそうだが』

 

そうだがもなにも無い。

これ以上コイツらの味方したら

こき使われた挙句に全滅や。

コレは筆頭さんも農家も関係ない。

 

死にたいならお前らだけで死ね

 

『とりあえず敵対行動とったとか、

ウチらを嵌めたから潰すとまでは言わん。

ただ、今後はなんか依頼したいなら

知っとる情報全部吐き出せ。

それを精査した上で信用に値すると

判断したなら動くこともあるやろな』

 

実際コイツらの持つ情報なんて大した

事無いやろ?

フィンの推測通りならヘルメスファミリア

への依頼主も、アイズたんへの依頼主も

こいつらの情報源もウラヌスの関係者で

決定やしな。

その程度の情報を後生大事に抱えて

優位に立っとるつもりの小物にすぎん。

 

どーせレヴィスや59階層については何も

知らんし、筆頭さんの手によって現れた

レアスキルやらアビリティの成長。

農家のスキルによるレベルアップも

知らんのやろ?

・・・ティオネとティオナ曰く、

おそらくアレンもレベルアップしとるし

リリルカもレベルアップ出来るはず。

 

お前らごときが関われると思うなや?

 

『こちらが持つ情報か・・・ならば

闇派閥とロキファミリアの関係に

ついてと言うのはどうだね?』

 

『は?普通に敵やな』

 

それ以外何があるん?

 

『とぼけるな。君のところの怒蛇が

闇派閥の白髪鬼と何かしらの交渉を

行っていたのは知っている。

凶狼も千の妖精も大切断もそれに

ついては何も知らなかったようだが、

君が彼女に密命を出していたのだろう?』

 

白髪鬼って、あぁ筆頭さんに殺られた

阿呆やろ?交渉も何も無いやろが

 

『アホか』

 

『何?!』

 

『敵の情報をペラペラ喋ってくれる

阿呆やぞ?殺すより生かしたほうが

良いと判断しただけの話やな』

 

『しかしレベル5の凶狼と互角に

戦う存在だ!最低でも捕らえるべき

じゃないか!』

 

視野が狭いで?

 

『捕らえたら最新情報が手に入らなく

なるやろが。

自由やったからペラペラ喋ったが、

捕らえたら黙秘や嘘だって吐くやろ』

 

神なら嘘は見抜けるが、それでも

黙秘されたら意味ないし。

拷問されて吐くとも限らん。

そんなら生かして調子に乗せたほうが

情報も収集できるし、阿呆な敵は

敵の中の不協和音を生む。

 

実際は筆頭さんに殺られたらしいけど、

現場の判断としてはなんも間違っとらん。

 

『大体やな。べートと互角言うが、それは

レフィーヤやお前んとこの足手まといが

おったからやぞ?

足手まといを抱えても互角なら、

ティオネにしたら脅威でも何でもない

ただで情報を拡散してくれる阿呆

やったってだけの話や』

 

つーかコイツ、ウチが協力を断ったら

悪評広める気やったな?

 

『・・・ならばレヴィスとエインとは

何者だ?』

 

はっ!その程度で鬼の首獲ったつもりか?

フィルヴィスが話を聞いとったのは

ティオネも知っとる。すでに対処済みや!

 

『レヴィスが18階層でガネーシャの

ところの眷族を殺した調教師で、

24階層で悪巧みしとった主犯。

エインはその知り合いらしいな』

 

『な?!』

 

『今朝方ギルドへ報告書あげたばっかや。

今頃ウラヌスあたりが精査しとるん

ちゃうか?』

 

秘密は隠すから弱みになる。

本当に秘匿すべき情報以外は

無駄に抱え込まず、さっさと公表する。

そうすれば悪巧みなんざ出来んってな。

 

『ウチから情報を搾り取ろうとした

のかもしれんが残念やったな。

別に後暗いことでもなければ隠す程の

ことでもない。

ウラヌスがどうするかは知らんけど?

もし公表せなんだら、ウチがガネーシャに

伝えに行くだけや。

ま、ガネーシャにしても仇の情報になるし

今後ダンジョンに潜る連中に対する

注意喚起にもなるやろうから、秘匿は

せぇへんと思うけどな』

 

なんや下向いてプルプル震えて。

下に小銭でも落としたか?

 

『そもそもその情報はどこで手にれた!』

 

阿呆が、さっきまでの話を全否定か?

 

『お前が情報源明かさんのにウチらが

明かす必要あんのか?』

 

聞けば答えてくれると?

何様のつもりや。

 

『あぁ、ちなみにやけど、今更教えんでも

ええぞ?ウラヌスの関係者ってことは

わかっとる。

勿体ぶって教えられて恩着せられても

困るからな』

 

『くっ!』

 

『くっやあらへんよ。最初にソッチから

明かしてたなら、まだ信頼出来たモノを。

阿呆が・・・無駄に隠しよってからに』

 

ホンマ阿呆やな。隠すべき情報と

明かすべき情報の違いもわからんで

黒幕ぶんなって話やで。

 

あとはヘルメスもな。

どうもヤツを敵視しとるようやけど、

ヤツは敵だの味方だのと言った視点で

見ちゃあかんってことはわかった。

 

中立の鍛冶師や生産職と一緒で

農家や杜氏に敵も味方もないわな。

こんな感じの距離感が一番なんや。

 

それをこの阿呆どもは・・・

 

『つまるところ、お前らは信用出来ん。

今後は積極的に協力することは無いと

思ってくれてええぞ』

 

『・・・』

 

たとえギルドが後ろにおってもな、

沈むとわかっとる泥船には乗らんよ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

『いやはや随分と嫌われたモノだ』

 

しかもウラヌスの関与まで気付いてるか。

さすがはロキと言ったところだね

 

『ヘルメス・・・戻ってたのか』

 

『ついさっきね。大体のことはアスフィから

報告を受けてるよ。さっきのレヴィスとか

言うヤツの情報は初耳だけど、コレから

ギルドに行って報告を読ませてもらう予定だね』

 

最初は余計なことをって思ったけど、

ロキがあそこまで情報を出してきたのは

フィルヴィスが一緒に居たからだ。

それを考えれば情報を独占されなかった

だけマシだよな。

 

『・・・お前は怒蛇と白髪鬼の関係を

どう思う?』

 

『ん?ロキの言った通りだろ?馬鹿な

敵は生かして活用した方が良いのは確かだ。

ま、相手のレベルが高いから、そんな

ことが出来るのはフレイヤ様かロキのところ

くらいだと思うけどね』

 

実際ウチじゃレベル5の凶狼と戦える

白髪鬼をそんな扱いには出来ないし。

 

『そうか、そうなると後は奴の情報源

がわかれば、闇派閥についても・・・』

 

あぁ、無駄に入れ込んでるよ。

コイツってこんなヤツだったかな?

 

『気持ちはわかるが今はダメだ。

ロキの信頼を失ってるから、下手に

探ったら敵対行動と取られるだろう』

 

『お前は悔しくないのか?!目の前に

眷族の仇の情報があるんだぞ!!』

 

いや、別に?とは言えないよなぁ

 

『悔しいさ。悔しいに決まってる!

だけどココで僕たちが感情的に

なってどうする?

相手は少なくともレベル5相当だ!

勝ち目のない戦いに眷族を向かわせる

つもりなのか?!』

 

実際勝てないよねぇ。アスフィもレベルは

上がらなかったしさ

 

『・・・そうだな。すまん。お前が

一番悔しい思いをしているはずなのに』

 

いや、別に?とは(ry

 

『さっきも言ったけど、気持ちはわかる

まずは情報収集だ。特に【鈴】に関しては

僕たちが知ってるとは思わせないように

しないといけない』

 

勝手に動いて警戒されても困る。

正直これ以上君には動いて

欲しくないんだよねぇ。

 

『あぁ、そうだな。ソーマにフレイヤ、

それにロキが関わる案件となれば

簡単に探ることも出来ん。

だが必ず尻尾は掴む!白髪鬼が

いたのなら尚更だ!』

 

あぁ、魔物と人間の混合種か・・・

ウラヌスが隠してる異端児と同じ

方向性の存在だが、コレはどこまで

情報が拡散されてるのやら。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『今回の件ではロキに警戒心を

与えてしまったな』

 

「まさか守護者が、自分から現れて

堂々と素性を語るとは思わなかった」

 

本当に何を考えて居たのか・・・

しかもロキは本当に包み隠さず報告を

上げてきた。それも早くて正確なモノ。

 

これではヘルメスファミリアや

ディオニュソスファミリアの報告は

隠蔽工作を疑われるほど内容が薄い

モノとなってしまうそ。

 

『ロキは予定されていた深層への遠征を

やめるどころか積極的に行い、レヴィス

とやらを探し出して討伐する気だ』

 

「中途半端な探索ではなく、ファミリア

上げての討伐とする気か」

 

『そうだ。報告によれば今回の戦いで

凶狼が間に合わなければ、お気に入りの

剣姫まで殺されていた可能性もあった

らしいからな』

 

神にとってお気に入りの眷族は

何にも代え難い宝。

ソレを傷付けられて黙っているほど

温厚な神ではなかったな。

 

まぁ剣姫たちの態勢が不利だったからこそ

レヴィスとやらもペラペラ情報を語ったの

だろうが・・・

 

「それにしてもロキは情報を出しすぎ

だと思うのだが、ギルドに内通者

が居ると踏んでいるのだろうか?」

 

ここまで情報を曝け出してくるとなると

あえて「知ってるんだぞ」と言う

脅しをかけているようにしか見えん。

 

『だろうな。情報の漏洩をさせて敵に

警戒させ、個別ではなく纏めて叩く

つもりだろう』

 

やはりそうか。ファミリアの主力総出の

遠征で、チマチマ個別に相手などしない

という覚悟の現れか。

 

「連中が守護者を討つのは良い。

だがアレを見つけられると困るな」

 

ロキファミリアの面々にはまだ早い。

さて、どうしたものか。

 

『エインとやらは使えないのか?』

 

「・・・内容によるだろう。

ロキへの妨害か?それとも協力か?」

 

さすがに一人で妨害というのも

難しいだろうが、彼女なら出来そうな

気がするから怖い。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エイン頼みがある」

 

「・・・なんでしょう?」

 

 




無駄に難産だった・・・

水銀さんと酒神さん夢のタッグ!
モースト・デンジャラスコンビ並みの怖さ

去勢大神様も色々考えてるけどねぇ

弟子はしかめっ面であるってお話


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74話

各勢力から不発弾扱いのお弟子さん

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「エイン頼みがある」

 

「・・・なんでしょう?」

 

骨が来るかと思ったら赤髪ですか。

師の顔見知りのようだから殺しは

しませんが・・・内容によりますか。

 

「近いうちロキファミリアが遠征に

来るんだが、連中の邪魔をしないで

欲しいんだ」

 

うん?それなら別に・・・あぁ

私が地上の人間に挑むことを警戒

してるのでしょうか?

 

「邪魔もなにも、私としては現在拠点と

してるココを荒らされない限りは

特別敵対するつもりはありませんよ?」

 

流石に今ココを荒らすような真似を

したら褐色姉妹含めて全員殺しますが。

 

「いや、連中がピンポイントでここを

荒らしに来るとかじゃないんだ」

 

「うん?微妙な言い回しですね?」

 

なんでしょう?何か目当てが他に

あって、それを捜すためにココに

来るということでしょうか?

 

「・・・どうも連中は今回の遠征で

到達階数の更新の他に私を討伐する

つもりらしくてさ」

 

「ほほう、レヴィス殿を討伐ですか」

 

「らしい。とはいえ闇派閥からの情報

だからどこまで信ぴょう性が高いか

不明だけどね。ただ、先日ロキファミリアの

連中と敵対したからね。それを考えれば、

私が遠征の目的になる可能性はあるだろうよ」

 

敵対したら潰すのは当然ですが、

なんか自分で餌を撒いてましたよね?

 

「では連中はレヴィス殿を捜すために

ココも捜索しに来るかもしれないと?」

 

「そうなるね」

 

さっさと自首しなさい。

それで解決です。

 

「なるほど。しかしここまで早く遠征

計画を組まれるのは誤算でした。

剣姫を逃がすように提案したのは

失策でしたかね?」

 

赤髪的にも問題ないと思ってましたが、

ココを荒らされるなら間違いなく失策。

 

いえ、別に殺せばいいだけですから

私的には問題ありませんか。

 

「いや、あの時はアレで正解さ。

失策はオリヴァスの阿呆さ加減を

見誤った私の方だよ」

 

「あぁ・・・確かにあの人は想像を

越えてました。

そういえばアレから見ませんが、

きちんと届きましたか?」

 

知らないことになってますからね。

この辺はキチンとしないと怪しまれます。

 

「あぁ、しっかり届いたよ。

見事な手際だと感心したくらいさ。

おかげでこっちの手間も省けた」

 

「手間が?なるほど、その言い方では

アレは処分しましたか。

で、レヴィス殿は彼の魔石を食べてレベルアップ

をはたした、と?」

 

「おや、気付いてたかい?」

 

隠すつもりも無いでしょうに。

 

「えぇ。一目見てわかるくらいには違いますからねぇ」

 

とはいえ、実際能力的には上がりましたが

慣らしが足りていません。

現状では褐色姉妹には勝てませんね。

 

「お察しのとおりさ。それで

私もしばらくは慣らしをするから、

連中の相手をする気はないんだ。

だがそうなると、連中の捜索の手が

広まってしまう可能性が有るんだよ」

 

目標が見つからなければ

そうなるでしょうねぇ。

 

うむ。さっさと自首しなさい。

 

「なるほど、それなら罠に嵌めて数を

減らしたりはダメなんですか?」

 

59階層云々は私は知らないと言う

ことになってますから、ここはあくまで

邪魔する方向で行きましょうか

 

「こっちにも事情があってね。今回は

連中に奥まで行って欲しいのさ」

 

「事情、ですか・・・」

 

さて、拒否したらこの場で襲ってきますか?

特殊な魔法で即死とかが無いなら

赤髪程度返り討ちでも良いのですが……

今回は別に構いませんか。

接近してきたら痴女姉妹に警告はしましょう。

 

「細かくは話せないんだけどね

アンタにしてもロキファミリア

全部を相手取るのもアレだろう?」

 

ふむ、どうやら私には利用価値が有る

と思っているようですね。

 

「あぁ、事情は話さなくても良いです。

それに確かに私一人でロキファミリア

と戦うのはアレですしね」

 

面倒だし、師の関係者ですから。

 

「そうか。そう言ってくれると助かるよ」

 

殺す気・・・ではないですね。

あくまで言うことを聞けって感じの

折檻をするつもりでしたか?

 

「それでは連中が来たら潜んで

おきましょう。別に奥に行くのに

協力する必要は無いのでしょう?」

 

「流石にソコまではしなくても良いさ」

 

ふむ、自力で奥まで行けないなら

それはそれで良いと?

 

「了解です。何かあったら18階層の

いつもの場所に書置きしますので」

 

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

さて、それなら特にココを離れる

必要もありませんし問題ありませんね。

 

掃除掃除っと・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「エイン殿、一つ依頼したい」

 

「・・・なんでしょう?」

 

ふむ、骨まで来ましたか。

 

「近々ロキファミリアが遠征に来る。

その際彼らの手助けをお願いしたい」

 

「手助け?」

 

・・・赤髪が放置で邪魔さえ

しなければ良いと言う話でしたから、

手助け自体は特に背反しませんが

 

「そもそも遠征の目的は何です?

階層主の討伐なら手助けなど不要

どころか邪魔になるのでは?」

 

赤髪は到達階層の更新と自身の

討伐が目的だと言ってましたが、

骨はどこまで掴んでるのか・・・

そしてどこまでを開示するかですね。

 

目は節穴でしたが、頭は空かどうか。

 

「最もな話だな。彼らの目的は

到達階数の更新がメインで、闇派閥の

冒険者の掃除も目論んでいるようだ」

 

赤髪だけではなく闇派閥ときましたか。

確かに赤髪をソレだと考えていれば

そうなるのでしょうね。

情報源は一緒、いや骨は59階層に

あるモノを知らないようですけど。

 

「では私に闇派閥の掃除を手伝えと?」

 

「いや、少し違う」

 

ん?少しとは?

 

「・・・エイン殿はレヴィスという

調教師を知っているだろう?」

 

知ってるか?の確認ではなく、

知っていると断定してきましたか。

情報源は褐姉のアレですね。

 

「えぇ、顔見知りです」

 

「・・・」

 

おや?隠すとでも思いましたか?

褐色姉妹が赤髪の報告を上げたなら

私に関しても何かしらの情報を

上げているでしょうからね。

 

それにあのとき褐姉が放った問いかけは

耳長共に聞かれてましたし。

この程度口裏を合わせるまでもありません。

 

加えて、一応ではありますが情報に対する

意識も教育しましたから、連中がバカ正直に

私と師の関係を口外したりはしないはず。

 

「で、彼女が何か?」

 

もし言ってたとしても殺すだけです。

 

もし師に何か迷惑がかかるような

ことが有れば・・・ふふふ。

 

しかしアレですね、コレで骨は報告を

読める側、つまりギルドの上層部と

繋がりが有ると判明しました。

 

「彼女はロキファミリアと敵対している

らしくてな。今回の彼らの標的の一人に

なっている」

 

「ふむ、彼女は闇派閥でしたか」

 

さて、コレにはどう返答する?

 

「いや、そこまではわかっていない。

ただレヴィスと彼らが戦闘になったら

レヴィスの味方をしないでもらいたいのだ」

 

ふむ、一つでも嘘を吐いたら砕こうと

思ってましたが正直なことです。

 

「なるほど、顔見知りと知って

いながらその依頼ですか。

つまり私に彼女を見捨てろと言って

いるということはわかってますよね?」

 

「・・・そうなるな」

 

「ふむ」

 

実際赤髪がどうなろうと知った

ことではありませんが、ここは

少しくらい考える素振りが無いと

違和感が出るでしょうからねぇ

 

しかし骨の癖に感情豊か過ぎませんか?

 

思考ダダ漏れですよ?

 

これなら洛陽の名家どもの方が

よっぽど老獪でした。

やはり迷宮都市とは政治・文化的に

かなりの後進国のようですね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さて、エイン殿はどう出る?

報告書では知り合いのようだ

としか書かれて居なかったが、

ロキファミリアへ情報を

提供したのはおそらく彼女だ。

 

ヘルメスやディオニュソスは

何やら疑ってるが、先日の紅魔と

女神の戦車と大切断と怒蛇が

深層へ潜ったのは無双農家からの

依頼で、リリルカの修行の付き添い

だと言うことはわかっている。

 

ついでに新装備の慣熟訓練とテスター

も兼ねてるんだったか?

 

まったく、情報をキチンと集めれば

わかることを中途半端な情報で無駄に

推測なんかするからダメなんだ。

 

無双農家が怪しい動きをしているのは

事実だが、今回に関しては特に

何もしていないだろうよ。

 

そもそも何か企んでいたら紅魔に

ロキファミリアの大切断や怒蛇、

フレイヤファミリアの女神の戦車を

同伴などさせん。

つまり今回は疚しいことなど無いと

言うメッセージではないか。

 

もしその上で何かしてるなら、

フレイヤとロキが手を組んだことになる。

そうなればヘルメスやディオニュソスが

何をしようと無駄だろう。

 

まぁエイン殿を知らなければ、彼女が

レヴィスや白髪鬼の情報を持っている

ことに不信を抱くのもわかるがな。

 

しかし今回の件を深読みせずに考えるなら、

両者の関係は知り合いなだけの可能性が高い。

 

普通に考えて強者との死合を望むエイン殿が

レヴィス達に対して興味を

示さないはずがないからな。

 

マリィに対しても平等に接するエイン殿なら、

レヴィスが何者であれ、ダンジョン内に居たら

接触もするだろうさ。

 

紅魔や怒蛇に関してもそうだ。

前回私が彼女らの情報を提供したし、自分と

立ち合いをすると言う条件でエイン殿が

彼女らに情報を提供したと言うのなら

わからん話ではない。

 

「まぁ良いでしょう。レヴィスが

勝とうがロキファミリアが勝とうが

弱い者が淘汰されただけの話。

勝った方が私の敵となるだけです」

 

・・・流石は深層に篭って修行を

するキチ・・・エイン殿だ。

 

あ、いや、しかしそれだと困るぞ

 

「もしロキファミリアが勝ったと

しても、その場でロキファミリアと

戦われても困るのだが・・・」

 

別に彼女たちの壊滅を求めている

わけではないからな。

 

「そんな事はしませんよ。貴方は

私を何だと思っているのです?」

 

キチ・・・何でもありません。

私は何も考えてませんよ?

 

「しかしエイン殿は強者に興味を持って

いただろう?挑まないのか?」

 

いや、挑まれても困るけど

 

「だからこそです。普通に考えなさい。

疲弊した連中と戦って何が面白いのです?」

 

あぁ、確かに戦闘狂ってこんな

感じだったな。

 

「・・・それもそうだな失礼した」

 

失礼かどうかは知らんが、ココは武人の

心を理解しなかった私に非があると

いう事にしておこう。

 

深く考えたら負けのような気もする。

 

「それにロキファミリアの姉妹も

知らない顔ではありませんからね。

先ごろ深層に修行に来ていた

4人組に、オッタルか無双農家か

フィン・ディムナ・・・どれかを連れて

来てくれるよう頼みました。その結果

フィン・ディムナが最初のようですね」

 

・・・やはりそういった条件があったか!

 

ヘルメスやディオニュソスが知った

【鈴】とやらが何かはわからんが

紅魔の腕前を知ったエイン殿が、師で

ある無双農家に興味を持つのは当然。

 

紅魔の帰還を優先した事といい、

無双農家に対する何かしらの挑戦状

を【鈴】と言う表現にしたのでは

ないかと推察したが・・・

 

「しかしそうなると、彼との

立ち合いはアナタからの依頼である、

ロキファミリアの手伝いに反する

ことになりますかね?」

 

・・・さて、この場合はどうなる?

死合ならともかく立ち合い程度なら

冒険者として問題ないとも言えるが

 

そもそも我々が考えた協力は守護者に

味方してロキファミリアを邪魔しない

と言うモノだ。

それならば彼女とロキファミリアの

契約は別問題。

 

「いや、知り合いであるレヴィスの

戦いに関与しないだけで十分な

手助けと言える。

あとの立ち合いに関しては彼らの

判断に任せることにしよう」

 

探索の邪魔だと思ったら、帰りにしたり

後日にしたりと日程の調節くらい

自分たちでするだろ。

正直そこまで面倒見れんよ。

 

「あぁ、本題はソコでしたか。

「自分達にとってレヴィスは敵だから

討伐の邪魔はするな」と言いたかった

のですね?

最初からそう言ってくれれば良いのに」

 

「・・・エイン殿とレヴィスの詳しい

関係がわからなかったからな。

もし親しい仲なら困るだろう?」

 

ま、まだるっこしいとか言って

殺されないだろうな?

 

「あぁ、それもそうですね。

先程も言いましたが、彼女もいずれ

私の敵と成り得る強者ですからね。

無駄な消費は好みませんが、

それが強者同士のぶつかり合いの

結果なら文句はありません」

 

勝った方を倒して喰らうからか・・・

まぁこのくらい目的がハッキリ

してれば逆に安心できる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

いやなんか納得してますけど、大丈夫

ですかこの骨は?

というより冒険者とはどれだけ血に

飢えた獣なんですか?

リリルカが言った通り、連中には

常識も良識もないのですね。

 

「依頼の内容は放置に近いもの。

ぶつかりあった際に見学くらいは

しますが関与はしないと言う形で

大丈夫ですか?」

 

要するにそう言うことですよね。

それなら赤髪との頼みと一緒です。

 

隠れ潜むと言うことでしたし

もしかしたら地上に行くかも

しれませんね

 

「そうなる。もしレヴィスが勝ちそうなら・・・」

 

「助けませんよ?弱者は散るのが迷宮都市の流儀でしょう?」

 

師の依頼があるならともかく、

自分の意思でダンジョンに入ったの

なら自己責任なのでしょう?

そのくせ白髪に仇だ元凶だと言って

ましたが・・・見苦しい。

 

そう思うならレベル3だの4だのと

言う己の怠慢を恥じなさい。

 

少なくともリリルカは師の教えが

あるとは言えしっかり鍛えている

ではないですか。

 

「・・・それもそうだな。では今回の

依頼料に関してだが」

 

「放置するだけで報酬など貰う気は

ありませんよ。

あぁついでに言えば先日ナマモノに

魔石を無料配布しましたので

アナタに売る分も無いですね」

 

蜥蜴の分は売るつもりがありません。

師にお見せした後はアレを喰らって

レベルアップです。

 

もし持って行かれても再度蜥蜴を

狩れば問題ありませんしね。

 

「ふむ、そうか。だが流石に無料配布は

気が引けるな。

マリィの証言や残っている分を見て

少しでも補填できるようにしておこう」

 

「そのへんはお好きにどうぞ」

 

借りは作らないとでも言いたいのでしょうか?

私としては手持ちの蜥蜴の素材だけでそれなり

の資金になると知っていますから、特段

がっつく気はありませんが。

代金を支払うと言うなら貰っておきましょう。

 

「ではコレからマリィたちにあって

来るとしよう。失礼させて頂く」

 

「えぇ、ナマモノによろしく」

 

師が来た時のために少しでも

鍛えてることを祈りますよ。

 

さて掃除掃除っと・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「あ、フェルズじゃん」

 

「ウム、フェルズダナ」

 

「どうもフェルズさん」

 

「・・・な、なんじゃこりゃー!」

 

 




ロキファミリアは当然弟子のことは
詳細に報告してません。

骨ごときが腹芸しても、
弟子には丸っとお見通し☆

思考読まれてるので交渉も何も
あったもんじゃありませんね。

謀略で勝つには視野と経験が足りませんってお話



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75話

異端児と骨、ときどき弟子

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「こ、この魔石は一体・・・」

 

「あーちょっと前にエインさんが

沢山持ってきてくれたんだ!

コレから下に戻るから邪魔になるんで

あげるって!

タダであげるからみんなで分けなさい

って言ってくれてさ!沢山くれたの!」

 

「そ、そうか」

 

・・・グロスとウィーネが黙々と

食ってるがコレって最初はどれくらい

あったんだ?

 

「みんなで分けましたので残ったのは

大体10分の1くらいですね」

 

「そ、そうか」

 

コレで残り10分の1だと?!

 

「ウム、オカゲデ大体ノ仲間ガレベルアップ出来タ」

 

「ですね。一気に2レベルのアップは

危険ですから、皆さん1レベルアップ

くらいしましたかね?」

 

「そ、そうか」

 

そうなるとグロスやリドはレベル6相当!

マリィやウィーネもレベル5?!

 

「……フェルズさんが何を心配してる

かはわかりますけど、別にこっちから

冒険者に喧嘩売ったりはしませんよ?」

 

「ダナ、俺タチダケガ強クナッテモ

絶対的ナ数ガ違ウ。

自衛ト仲間ヲ守ルノヲ躊躇スル気ハ無イガ、

俺タチカラ火種ヲ作ル気ハ無イ。

不安ガ有ルナラ闇派閥トヤラヲ片付ケテクレ」

 

・・・言いたいことはわかる。

あまり強くなりすぎて人間に

対して復讐に走って欲しくない

と言うのはコチラの言い分。

 

彼らにしてみれば今も人間によって

仲間が捕獲され、傷付けられているのだ。

自衛の為の力を求めるのは当然の話。

 

「やっぱり自衛くらいできないとねぇ。

こないだもエインさんが来て双頭竜を

水揚げして冒険者に倒させてたし!

高レベルの冒険者って言うのがみんな

あんなことが出来るんだったら、変に

遠慮しちゃダメだよね!」

 

「は?」

 

双頭竜だと?冒険者はおそらく紅魔

たちなんだろうが、水揚げ?釣ったのか?

 

「それはそうですよね。この辺にも

我々のお仲間が生まれることも

あるでしょうが、巣に水場を造って

無理やり運び込む訳にもいきません。

そうなるとマリィ殿が保護するしか

ありませんからね」

 

そうだな。レイのように空を飛べるなら

まだしも、水中でしか生きられない魔物は

どうしてもマリィが保護する必要がある。

 

「今のマリィ殿なら双頭竜相手でも

逃げるどころか時間稼ぎだって出来ます。

でも油断したら捕まるのは変わりません」

 

「ソウダゾ、マリィハ甘イトコロガ

有ルカラナ!人間ニ騙サレナイカ

不安デショウガナイ!」

 

確かに。マリィは水中での移動は早いが、

性格的に甘いところが有るから罠とかを

張られる可能性は高い。

 

「大丈夫だって!なんだかんだで

エインさんも忠告くれるし、それにね」

 

「「それに?」」

 

「・・・あの水揚げを見て人間とは

絶対に関わらないって決めたんだ!」

 

「「「・・・」」」

 

・・・よっぽど衝撃的だったようだな。

まぁ高レベル云々は関係ないような

気もするが、彼女は実際に危ういから

関わらないのが一番ではある。

 

「あ~それで、フェルズさんはどうして

ココに?何か連絡事項でも?」

 

そ、そうだった!最初から想定外な

ことが有ったから忘れかけてたが、

本題は魔石についてだったな。

 

「あぁ、エイン殿と会ってきてな。

マリィに魔石を渡したと聞いたが、

無料配布と言うじゃないか。

あまり借りを作るのもアレだと思って

せめて代金くらいはと思ったんだが・・・」

 

コレで10分の1ならどれだけの

代金が必要か・・・

だが自分から払うと言った以上、まさか

「やっぱり止めました☆」等と言ったら

ただでさえ低い信用が無くなるだろう。

 

「あぁ、確かに無料で良いと言われたとは

言え、何も返さないのもシツレイですよね」

 

は?

 

「マァソウダナ」

 

ど、どう言うことだ?この二人は異端児の

中でも人間嫌いの代表格だぞ?!

 

「ならちょうど良いですね。代金の支払の時に

コチラも渡してもらえませんか?」

 

な、何があったんだ?

ソレにコレは?布に包まれた・・・鱗?

 

「私は希少種なんでしょう?」

 

「あ、あぁ、確かにそうだが」

 

「ならこの程度の返礼でも、少しは

エインさんとやらの心意気に答える

ことになりませんか?」

 

「・・・そう言うことか」

 

そうか、珍しいが故に冒険者に狙われ

人間を信じなかったこの子も

エイン殿の無償の善意には感じ入る

モノがあったか・・・

 

「少しでも代金の足しにしてください。

お礼の気持ちもありますしね」

 

「わかった。確かに届けよう」

 

異端児たちにとって貴重である

布まで使っての気持ちだ。

無碍にするわけには行かんし

こういった一歩が彼らとの融和に

つながるのだ!

 

「俺ハ特ニ無イガ、感謝ハシテイル。

何カ協力出来ル事ガ有ルナラ手伝ウト

伝エテクレ」

 

「・・・あぁ。確かに伝えよう!」

 

あ、あの人間嫌いのグロスまでっ!

やはり私の目に狂いは無かった!

彼女のような知性と寛容さが有れば

人と魔物も分かり合えるんだ!

 

・・・いや、エイン殿にしてみたら

強者を作って戦いたいと思ってる

可能性もあるが、それならマリィを

強化したりしないよな?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「なんかフェルズさん感動してました

けど、絶対勘違いしてますよね?」

 

大事に抱えてたから落とすとかは

無いでしょうけど、ちゃんと届けて

欲しいですね。

 

「ソウダナ、俺ガ人間ヲ信ジルハズ

無イダロウニ。

コレモ歩ミ寄リト言エバソウダロウガ

今ハエインヲ敵ニ回ス気ガ無イダケダ」

 

「ですよねぇ。双頭竜を一人で狩る

ようなヒトです。

私たちに敵対する気が無いなら、

私たちを狙う人間相手に戦ってくれる

かもしれませんからね」

 

もし師姉様なら、あんな賊崩れの

冒険者なんかよりコッチの方が

面白いって感じで味方してくれますよ。

 

「アァ、オ前ノ作戦ハ見事ダト思ウ。

人間ナンカ勝手ニ戦ワセテオケバ良イ」

 

「ですね。それに、もしかしたらその

エインさんだって私たちのお仲間かも

しれませんし」

 

師姉様じゃなければただの人外でしょ。

立派なお仲間ですよね?

 

「ウム、話ヲ聞イタダケデモ普通ノ

人間デハ無イノハ確カダ」

 

グロス殿は人間は嫌いですが、仲間は

大事にするヒトですからね。

現状灰色のエインさんは、少なくとも

敵ではなく魔石をくれる有用な存在。

私としても間違っても敵に回す

つもりはありませんから、友好的に

接することが出来るならソレが一番です。

 

それにグロス殿が認めたなら、骨も

巣に招待してくれる可能性もありますしね。

 

「あとはロキファミリア?の遠征

ですか・・・」

 

また隠れなきゃ行けませんね。

ただでさえ24階のゴタゴタや

18階のゴタゴタでリド殿達が

巣から出してくれなくて移動も

大変だって言うのに。

 

「地上ヲ代表スル強者ラシイナ。

オ前ハ目立ツカラ様子ヲ見ルノモ

危険カモ知レンガ、俺ハドウシタ

モノカ・・・」

 

「下手に戦えば我々を警戒して

大勢で来るかもしれません。

ただ、彼らは闇派閥も標的にしている

ということですから・・・」

 

「連中ヲ潰ス好機デモアルノカ」

 

「ですね。連中の拠点がある18階層で

何かしらの動きを見せますか?」

 

私は目立つから無理ですが、連中の拠点

の近くから魔法を使うとか射撃で注意を

引きつけるとかやって見るのも良いと

思うんです。

 

「悪クナイナ。連中ノ拠点ノ中ニ

入レンノハ変ワランガ、入口ヲ

見張ッテル連中ガ居レバ我々ノ仲間ヲ

ドウコウスルコトモ出来ンシ」

 

「そうですね。あの付近に怪しい

何かが有ると分かるだけで、

連中には十分な牽制になりますよ」

 

常時入口付近を見張られてたら、

我々のお仲間を連れて入ることも

出来ません。

つまり奪還しやすくなる。

 

お仲間だからと言って無条件に仲良く

する気は有りませんが、戦いは数です。

実際地上の戦力がどれほどのモノかは

わかりませんが、とりあえずレベル5相当が

30人とレベル6相当が10人もいれば・・・

防衛くらいは出来ますよね?

 

この調子でレベルアップできたなら

2年も有ればいけそうです。

まぁ調子を保つためにはエインさんを味方に

しなくてはいけませんけど。

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「エイン殿!」

 

おや、また骨が来ましたか。地上に戻って

代金を持ってきたにしては早すぎる。

ナマモノに会って来ると言ってましたが、

魔石の量や質を見て驚いた?

それで代金の支払について何か考えること

でもあったのでしょうか?

 

「妙に興奮気味ですが、何かありましたか?」

 

やっぱり止めました☆とか言ったら骨を

外してその辺のスパルトイに飾り付けますよ?

 

「あぁすまない。先ほどマリィに会って来たの

だが、その場に彼女の友人が居てな」

 

「ほう。お友達とやらが居るのは聞いて

いましたが、本当に居たのですね」

 

いや、空想上の友人で無くて良かった

ですよ。

私には見えない友人とか言われても対処

出来ませんからね。

 

「エイン殿はまだ会ったことが無かったか。

まぁ彼女は特に珍しい種族でなぁ」

 

彼女ですか。どんな種族かはわかりませんが、

骨やナマモノも十分珍しいと思うんですがね。

 

「人間に狙われ続けてしまい、どうしても

人間と言う種族を信用出来なかったのだよ」

 

「なるほど」

 

いや個人ならまだしも、組織や種族なんて

信用しちゃ駄目でしょう。

一人の人間が良い人だから全ての人が

良い人ではないですし、反対に一人の人が

悪い人だからと言っても全ての人が悪い

わけでも有りませんからね。

 

それに人間と言う種族は生き物として絶対に

信用してはいけない生き物だと思いますよ?

 

「そんな子が、エイン殿に感謝の気持ちを

渡して欲しいと言ってきてな!」

 

「はぁ、それはまた律儀なことですね」

 

お礼は大事。師も言ってました。

 

「あぁソレでコレを預かって来たのだよ!」

 

布?中に何かあるようですが・・・

いや、なるほど。そうですか。

 

 

 

 

貴女も居たのですね。

 

 

 

 

「エイン殿?布ではなくて、中の白い

鱗が彼女からの気持ちなのだが・・・」

 

・・・まだ骨が居ました。

未熟未熟。弟子未熟。いや、弟子だから

未熟で当然なのですけどね。

 

いやいや、落ち着いて思考を纏めなさい。

素数を・・・いや、大丈夫ですね。

 

まだ骨にはばれてはいません。焦るな。

こう言う時に焦ると失敗するのです!

 

「あぁ、そうでしたか。しかしナマモノの

友人と言う事でしたので、布も貴重品なの

ではないかと思いまして」

 

実際赤髪もローブとか言って、一枚の

布を大事に使ってますからね。

 

「流石エイン殿!確かにその通りなんだ。

彼女達にとっては布も立派な貴重品。

その辺の心意気も酌んであげて欲しい!」

 

やはり貴重品でしたか。わざわざ骨経由で

知らせて来たのは、私だと確信が無かった

からでしょう。

布に書かれた文字ですが、骨はコレを理解

出来て無いようです。

ですが偶然出来るようなただの模様ではない。

 

さてさて、私はどうやって師妹の

情報を得たものか。

 

「鱗がこの大きさと言うことは、彼女と

言うのは龍種?まだ子供なのでしょうか?」

 

まずは触りからいきますか。今はどんな

情報も欲しい。

何年くらい生きてるのかわかれば

彼女がどれくらい苦労してきたかも

わかってあげられますし。

 

「詳しくはわからんが保護されたのは

二年ほど前だな。魔物の成長過程が

良く分かってないが、彼らの中では

子供扱いされているよ。それが何か?」

 

なるほど、保護された時期は

私と似たようなモノですか。

 

ただ、保護されるまでどれくらいの時間が

あったのかはわからない。

魔物は生まれつき大きさや強さも大体

決まってますから、外見だけでは年齢も

わかりませんよね。

 

「いえ子供だとしたら、幼い女子が

自分の鱗を剥いで私にくれたのでしょう?

流石に何か報いるモノが必要では無いかなと」

 

「なるほど!たとえ魔物であっても対等に

扱おうとするエイン殿らしい気遣いだ!」

 

なんか妙にテンション?高いですね。

躁病ですか?

 

「たがそもそもがエイン殿が無料で

渡した魔石に対する返礼だ。

次にマリィに会った時に感謝の言葉を

伝えてくれるだけで十分だよ!」

 

なるほど、この骨は魔物と人間の融和派と

言ったところですか。

ソレで人間を嫌いだった伯師妹が初めて

人間に感謝と言う形で歩み寄ったことに

感動してる。

私は私で魔物だからと言って差別をしないので、

骨から見たら私たちは理想の具現化

したモノと言ったところですか?

 

確かにダンジョンに拘る冒険者はアレな

連中しか居ないと言うのはリリルカからも

聞いてますし、私のようにリリルカのような

存在に情報を貰うことが出来なかったのなら

冒険者と人間は一纏めにしてしまいますか。

 

いや、文化的には蛮族で間違いがないよう

ですから、一纏めにしても良いでしょうけど。

 

・・・もう冒険者は皆殺しで良いのでは?

 

師は自分で魔石を加工出来るようですから

必要な分が有れば自分で調達出来るし、

近くに海や湖が有って師の農園も有る

のでしょう?

 

迷宮都市なんて要らなく無いですかね?

 

それともお茶の普及のために生かしてる?

……ここでいくら考えても、師の考えは

わかりません。接触の機会を待ちましょう。

 

しかしそうなると闇派閥は伯師妹の敵。

師との関係によりますが積極的に

狩る必要がありますよね。

 

ナマモノの友達とやらもしっかりと保護

する必要もありそうです。

18階層で連中が出入りしてた場所を

重点的に見張るか・・・いや、それだと

ここを空にしてしまう。

優先順位をつけなければいけません。

普通なら師一択なのですが・・・

 

「ちなみにその彼女は自衛は出来る

のですか?

珍しいなら色々狙われるような気も

するのですが」

 

もし事情が有って自衛ができないなら

こっちを優先しないと師に折檻

されてしまいますよね。

 

「お気遣い感謝する!だが大丈夫だ!

彼女はエイン殿の魔石のおかげで今や

レベル5相当の強者。

自分の身を守ることは十分できる!」

 

レベル5相当?2年前から居て?

私からの魔石の供給があったのに?

・・・コレは怠慢ですかね?

それとも何か事情が?

 

ふふふ、師にお会いする前に師妹に

会わねばなりませんか?

それとも師と共に鍛えますか。

 

「いやはやコレは会うのが楽しみです」

 

「そうか?!まぁ彼女も直接会うのは

まだ難しいかも知れんが、いずれ必ず

紹介しよう!気難しい奴らも居るが

仲間想いのいい奴らなんだ!」

 

・・・こんなに熱い骨でしたか?

まぁ華佗殿に比べたらマシですけど。

 

それにいずれ紹介してくれるという

なら、無理をせずに待ちましょう。

 

伯師妹の情報を得た師がどんな行動を

取るかはわかりませんが・・・ね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「・・・?!」

 

「ドウシタ?イキナリビクットシタカト

思ッタラキョロキョロト?」

 

「いえ、何か寒気が・・・」

 

「ソウカ。ナラサッサト巣ニ戻ロウ」

 

「・・・えぇ、そうですね」

 

 

 

 

嫌な予感がします。強くならねば

取り返しがつかないことが起こりそうな

・・・そんな予感です!




骨、喜びのあまり急いで持っていく。

弟子、妹弟子の存在を知る

妹弟子、なんかヤバいと思う の三本ってお話

白っ子に襲いかかる悲劇とは?!


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76話

無乳ファミリアの修行風景

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「「・・・」」

 

「・・・」

 

むぅ、ティオネもティオナも全然動かない。

何かをしてるのはわかるけど

何をしてるのかがさっぱりわからないから、

見て覚えるとか全然出来ないぞ。

 

「ふっ!」

 

「ハッ!」

 

あ、動いた。・・・やっぱり早い。

ティオネの上段の廻し蹴りを

ティオナが左手で受けて、蹴りの反動を

利用して体ごと回転、その勢いのまま右足で

下段蹴り・・・アレ?

蹴らないで回っただけ?

 

「チィっ!」

 

じゃない!さらに半回転して左の踵で

ティオネの胴体を・・・違う!

防御に回した腕を狙ったんだ!

なるほど、最初から防御されることを

前提にした攻撃か。

最初の一手目でお互いの左手が壊れたけど

ダメージ的には回って衝撃を逃がした

ティオナの方が少ない。

 

このままなら今回はティオナの勝ち?

 

「あー負けたぁ!」

 

「ふふん、やっぱり後半戦は私の

方が有利みたいね!」

 

え?!終わった?しかもティオナの負け?

ナンデ?!

 

「ベートさん?」

 

「・・・わからねぇ」

 

だよね。

 

「フィンはわかる?」

 

「・・・多分だけど、ティオネが攻撃を

受けたときにティオナの左足に何か

したんじゃないかな?」

 

そうなの?でも何かって何?

 

「あぁコレで今日は1勝2敗2引き分けか。

やっぱり後半になると負けが多くなるなぁ」

 

「ま、そのへんは性格よね。改善しないと

ダメだけど、そう簡単には行かないわよ。

まずは意識して調節するようにしないと」

 

むぅ・・・レベル以外でも置いて行かれた

感じがする!

 

「次、次は私!」

 

「あ、私は左足がアレだからティオネお願いねー」

 

やっぱりティオネが何かしたんだ。

フィンに見えたのはレベルの差かな?

 

「はぁ?・・・まさかあんたワザと

受けたんじゃないでしょうね?!」

 

「ハハッ」

 

むぅぅぅぅ!最近扱いが雑だぞっ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はい、今日はコレで終わりよ」

 

「まだ!まだ一回もティオネを倒してない!」

 

「だーめ。私も疲れたの!」

 

「むぅ!」

 

いや、そもそも無理だってば。

レベルも違うし、観測とだらしなさを

戒める心を得た私たち相手じゃ

アイズもべートも隙だらけなんだもの。

 

出来るだけ指摘してあげてるけど、

呼吸がおざなりだから力の流れや魔力の

調節がわかって無い。その結果

どうしても動作にムラが出るのよね。

 

そこを突くだけで倒せちゃうんだもん

コレじゃ私の練習にならないわよ。

 

きっと筆頭様や先生から見たら

私たちもこんな感じなのよね?

 

「そうじゃアイズ、お前はそろそろ

下がれ!次は儂じゃ!」

 

「なんでガレスもやる気になってるのよ!」

 

アンタはそう言うキャラじゃないでしょ?!

 

「若いモンに負けてられんからの!

教える側じゃなく教わる側なんぞ久方ぶり

じゃから楽しみでしょうがなかったわい!」

 

・・・コレは今まで教えてきたんだから

借りを返せって言ってるのよね?

 

「シカタナイわね!一本だけよ!」

 

「三本先取じゃ!」

 

「疲れてるって言ってるでしょ!?」

 

いや、疲労してる状態で強者と

戦うのは必要な訓練ではあるし、

ガレスから一本取れるのが当たり前に

なったって言う自分の成長は正直

嬉しいけど!嬉しいんだけど!

 

「フィン、まだだ!まだ俺の番だ!」

 

「もう疲れたんだってばー!」

 

「さて、僕も久しぶりに本気で

行こうか?」

 

「いやーーーー!」

 

くっ!団長がティオナの方に?!

まぁ団長と殴りあうのはアレだし

縄鏢も無いから仕方ないけど・・・

仕方ないんだけどっ!!

 

「とりあえず死ねぇ!!」

 

「ふははは!気合十分じゃな!」

 

この滾りはガレス!アンタにぶつけてやるわ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……久し振りに全力で訓練できたよ」

 

ボコボコにされたけどね!

 

「うむ、最後の方は二人共容赦なかったの!」

 

いやまったく、流石はアマゾネス。

一度殺る気になったら容赦が無いよ。

もう素手じゃ勝てないね。

 

「彼女たちが手を抜かなかったおかげで

良い訓練になったのも確かだ」

 

最近の強敵と言えば思考能力のない

魔物だからね。

そういった連中の相手には搦手を使うのが

常態化してたから、ソレが通用しない

オッタルみたいな力で押し通るタイプは

相性が悪いと思ってたけど・・・あの二人

のように技を持った相手にも搦手は

通用しないか。

うん、やっぱり基礎は大事だな!

 

「アレでジョウヒョウや流星錘を持てば

近・中距離戦闘を網羅できるんじゃろ?

下の教導は二人に任せて儂らは上を

目指しても良さそうじゃの!」

 

「あぁ、後輩に教えることで彼女たちも

人間的に成長できるだろうし、新しい

スキルの影響でお互いの練習でも随分と

効果が出るらしいね」

 

自他のだらしないところを戒めるスキルか。

それにアビリティの【観測】が備わって、

かなりの確度で相手の弱点や隙を突ける

らしいけど・・・それでも筆頭さんには

勝てないって断言してるんだよなぁ。

 

「レベルアップした後はただでさえ

ステイタスが上がりやすいからの。

コレに成長補正が付くなら今後

しばらくは訓練場の練習でも

さぞかし楽しかろうよ」

 

「だね。アイズやべートの相手だと

不完全燃焼みたいだけど・・・

その辺は先にレベルアップした者の

宿命と思って諦めてもらおうかな?」

 

実際僕たちもそんな感じだったし。

これからはしっかりと鍛錬していこう

 

「しかしあの、だらしなさを指摘する

と言うスキルは凄いモノじゃの。

アヤツにはコレに加えて成長を促進させる

【教導】や試練を与えるスキルまで

あると言うんじゃから、リリルカの

カンストやレベルアップが早いのも当然じゃ」

 

「そうだね。ステイタスだけじゃなく

他の知識や技術を学ばせるために、

あえてレベルアップをさせてないと

言うのも本当の話だろう」

 

彼といい筆頭さんといい、レベルに

頓着しない強さがある。

さらに筆頭さんは槍を使ってアレンを

子供扱いできるほどの実力者。

次の遠征で筆頭さんに会えたら一手

教授願いたいものだ。

 

・・・垂れ流しは断固拒否するけどね。

 

「あえてレベルアップさせないのぅ。

もしかしたらあやつはレベルアップの

条件を知っておるのかもしれんの?」

 

レベルアップの条件か。

最低限のステイタスと上位経験値や

偉業と言うが、あまりにも曖昧過ぎる。

 

だが彼はティオネやティオナに自分の

試練を受ければレベルアップ出来ると

断言したし、実際レベルアップしている。

 

それを考えれば・・・

 

「有り得る話だ。教育者とは研究者。

リリルカさんやナァーザ、繚藍や麗傑

をサンプルにして彼なりの理論は

出来てると思うよ」

 

アレンがレベル7になってれば尚更だよね。

彼も忙しいだろうからお礼は僕たちの

遠征が終わったあとになるだろうけど、

その際にレベルアップ出来なかったら

彼の意見ってヤツを聞いてみたいね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あーうー」

 

おぉ、めっちゃダレてるわね。

 

「ティオナーだらしないわよー」

 

私も気持ちはわかるけどさぁ。

レベルアップして一日休んで

今日はあくまで慣らしの訓練って

言ったのに初日からコレだもんねぇ。

 

「いやー。流石に疲れた・・・

まともに技撃軌道戦をできるのが居な

かったから、疲れただけでまともな訓練に

ならなかったのが更に疲れた原因

なんだけどさー」

 

「わかるわ。正直ガレスがあそこまで

力任せで、フェイントとかもあんなに

拙いモノだったなんて思わなかったもの」

 

ドワーフだからって言われたら

その通りなんだけどさ。

 

「んーフィンはそれなりに複雑だったけど

展開が遅いんだよね。

そのせいで本命とフェイントが丸わかり

だし、私の「こう来たらこう返す」

に対する防御や捌きもアレだったなぁ。

やっぱりフィンが全力を出すには

槍が必要なんだろうね」

 

「そもそも団長は小人族だからね。

普通なら素手で戦うようなことは無いから

私たちと比べたらどうしても後手に

回ちゃうのよ。槍を持ってたらまるで

違う結果になると思うわよ?」

 

アイズは模擬専用の剣持ってたし、

べートも普通に鉄靴履いてたけどあの

二人相手なら素手でも十分だった。

 

だけど流石にガレスや団長が武器アリで

こっちが素手なんて勝負にならないのは

わかる。長年の経験から自分なりに

最適化された技術を持ってるのよねえ。

 

「だよね。それに素手だったからこそ

こうして無傷で休めるんだろうけどさー」

 

「そうね、寝る時にドコも痛くないって

言うのはありがたいけど・・・」

 

正直自分が劣化していく感じが

わかるのよね。

 

「やっぱり?ティオネもそうだよねぇ。

平和なのはいいけど本気で強さを

求めるなら、筆頭様みたいに常に修行!

って感じじゃなきゃダメだったんだね」

 

「そうね。テルスキュラのやり方は

効率が悪いってだけで、戦士を作るには

それなりに有効な方法だったってことか」

 

……その効率が悪いのが最大の問題

なんだけどね。

 

「なんていうかさ、今の自分がぬるま湯に

浸かってるのがわかるんだよねー。

今までは強くなりたい!ってのはあんまり

なかったかもしれないけど、流石に弱く

なるのは嫌だなぁ」

 

それは嫌よね。この衰えるって感じは本当に嫌。

 

「リリルカさんはこんな感じにならないのかな?」

 

「リリルカは先生の教えがあるからね。

ダンジョンの知識の他に礼儀作法に

一般教養とか。それに杜氏としての

仕事もあるから、私たちみたいな

感じにはならないんじゃないかしら?」

 

探索系は強くなることが仕事みたいな

もんだけど、生産系は強くなって素材を

持ち帰ってからが仕事だからね。

 

「そっかー。そういえばそうだよねー。

リリルカさんは杜氏でサポーターさん

なんだもんね」

 

先生の後ろについていくのも大変

なんでしょうけど、自分で決めた道

だから楽しそうに歩いてるわよね。

 

強さに囚われない強さか。ホント歪みないわ。

 

「ま、リリルカについては良いじゃない。

私たちは私たちのやり方を見つけないと」

 

「そうだね、参考に聞いてみることは

あっても、多分真似はできないだろうし」

 

今更生産職につくのは難しいわ。

あ、だけどティオナは報酬次第じゃ

いけるんじゃない?

 

「そういえばアンタ魔道書貰うって

話だったけど、まだ貰って無いわよね?」

 

魔法も戦うモノだけじゃないし。

視野が広がればソレがそのまま可能性に

なるのが魔法でしょ。

 

「まだだねー。とりあえず先生に

会わないとダメだし」

 

「そうか。流石に私の美術品や魔道書は

ナァーザの店で預かったりは出来ないか」

 

・・・先生の装備があるってわかったら

ゴブニュとヘファイストスのところの

連中が大挙して押し寄せて行きそうだけど。

 

「そうだねー。魔法に関するアドバイス

も欲しいし、そういうの聞いてから

貰って読もうかなって思ってるんだー」

 

「あぁなるほど。リヴェリアや

他の魔法使いと違って前衛だから

基本からしてが違うもんね」

 

今までは憧れだったけど、ソレが手に

届くとなれば色々考えるわよね。

 

「詠唱とかカッコイイって思ってたけど

筆頭様みたいな戦い方もかっこいいじゃん?」

 

憧れの英雄様だもんねぇ。

 

私も【何が来ても真正面から叩き潰す】

っていう戦い方は正直憧れるし。

 

「筆頭様は『魔法?必要ですか?』って

言ってたけど、やっぱり欲しいし。

けど詠唱は唱えてる時間がないよね・・・

でも詠唱が無いと威力は弱いんでしょ?」

 

「一概にそうとも言い切れないけど、

長ったらしい詠唱にはそれなりの

意味があるのは事実よ」

 

そうじゃなかったらタダの時間の無駄って

ことになっちゃうからね。

 

「短文で攻撃に回せるのだとアイズの

テンペストだけど、アレは特殊な魔法

らしいし・・・」

 

魔法なんて全部特殊だと思うけど

 

「・・・難しいけどコレは嬉しい悩み

だから、もう少し悩みたいんだ!」

 

「・・・そう」

 

夢があって目標とする人が見つかって

愛する人も居る。その上で妹も

幸せそうに笑ってるんですもの。

やっぱりテルスキュラを出てココに来た

のは正解だったわね。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「相手にならなかった・・・」

 

こっちは武器有りであっちは素手だった

のに、なんて言えばいいんだろう?

「ココ甘い」とか「踏み込みダメ」とか

「剣を振りすぎ」とか散々指摘されて、

投げられて、蹴られて、飛ばされて、

殴り倒されて、関節決められたよ。

 

最後は勝負とか試合と言うよりは普通に

教わってる感じになってたよね。

 

「・・・クソっ!レベルで負けてんのは

わかるが、まさか純粋な体術であそこ

まで差がつくとはな」

 

ベートさんも散々だったしね。

流石に異性だから組み技はされてなかったけど、

その分蹴りとかは容赦が無かった。

 

「むぅ、確かに基礎を教えてもらえたし

何を直せば良いのかもなんとなくだけど

教えてもらったけど・・・」

 

「あぁ、コレから勝手に修行は出来ねぇ。

アイツ等が監修してないところで

我武者羅にやっても変な癖が付くから、

基礎訓練だけにしとけって話だったからな」

 

今までの私たちの鍛錬は無駄が多いから

出来るだけその無駄をなくさなきゃダメ。

その上で一定以上の技を修めたら

次は無駄を技に取り入れる?

 

 

わけがわからないよ

 

 

そもそもその基礎訓練だって

なんというかふわっとした感じでしか

教えてくれなかったよね。

 

『私たちは筆頭様や先生じゃないから

上手く教えるのは無理』って言われたら

そうなんだって納得するしかないけどさ。

 

「とりあえず私は踏み込みが魔法頼り

だから、もう少し走れって言われた。

あとは重心が高いって」

 

「・・・重心は俺も言われたな。

「前に偏りすぎだから簡単に

転がされるんだ」とか言ってやがった」

 

「重心は走りながら確認するように。

しっかり母趾内転筋?を鍛えろだって。

ねぇ・・・母趾内転筋って何?」

 

「・・・知らねぇよ」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「母趾内転筋と短母指屈筋がまだ甘いぞ」

 

「はいっ!」

 

「ココをしっかり鍛えんと、踏み込みを

力に変換するときに歪みが出る、お前の

装備の重さを力に変えるには絶対に

必要なモノだ。踏み込みはスキルに頼るな。

それに単純につま先と考えるなよ。

意識するだけでも効果は違うということを

忘れるな」

 

「はいっ!」

 

 

チャ○さんとア○カさんも言うように、

そもそも人体に余計なモノなんか無いんだが、

武術家にとってココの筋肉は特に重要だ。

 

卑弥呼殿も何度も残さず言ってたから、

弟子も白っ子もネコモドキもこの

筋肉だけはちゃんと理解してたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネコモドキが「つま先で良いじゃん!」

とか言って卑弥呼殿に叱られてたのも、

今じゃいい思い出よな。

 




筋トレは意識してやると効果が出るらしい

主人公くんは「筋肉を褒める」まではしません

実際武術や格闘技では踏み込みに関わるため
母趾内転筋と短母指屈筋はスゴク・重要ってお話。

いや、もちろん他の筋肉も全部重要ですよ?


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77話

久方ぶりの登場

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「よし、休憩だ」

 

「・・・はいっ!」

 

『・・・』

 

ふむ、弟子に鍛えられたおかげか呼吸の

乱れや体内の魔力や気の流れが

ディ・モールトベネ!だな。

まぁディはイタリア語の文法上

正しくないらしいが・・・それが良い!

 

冗談はともかく、基礎鍛錬は

ダンジョン探索なんかしなくても

出来るし、俺も農作業やら何やらで

わざわざダンジョンなんぞに行って

られん。かといって歓楽街で鍛錬って

言うのも違うからって言うんで

ソーマファミリアの敷地内で

リリルカを鍛えるのは良い。

 

良いんだが、なんでソーマはこっちを

見ながらティスティングしてるんだ?

 

「ソーマ、何度も言うが俺は基本的に

酒を飲まんし、昼間は尚更飲まんぞ?」

 

『知ってるさ。だが飲めないわけ

じゃないだろう?

そもそもこの酒はお前から得た知識と

お前の農場の野菜で出来た酒だ。

ソレを飲むのは生産者の義務では無いか?』

 

そう言われてしまえばそうなんだが。

 

前と違って酒を飲んで変な事を口走った

としても、狐憑きだなんだでムラハチされて

殺されるような世界でもないから別に

問題は無いんだ。

 

だがなぁ。コイツは違うだろ?

 

「なら預かって後で感想を・・・」

 

『それじゃ俺が味見出来ないだろ!』

 

やっぱりか。

 

「結局は付け合せの料理を作らせたい

だけだろうが」

 

『旨い酒に旨い料理。それの何が悪い?!』

 

開き直りやがった。流石インドの酒神だ。

 

こんなんでもディオニュソスみたいに

無駄に悪巧みしない分、付き合いやすいと

言えば付き合いやすいんだが。

 

「・・・先生すみません」

 

「ん?あぁ心配するな。リリルカが

悪いわけじゃ無いからな」

 

実際悪いか悪くないかで言ったら

誰も悪くない。

酒神が旨い酒を作って飲まそうとするのも

当たり前だし、真昼間から飲まない俺も

常識で考えたら問題ないだろ。

 

そもそも俺だってソーマがこう言うヤツ

だって知った上で来てるんだから、特に

無礼でも何でもないぞ。

 

「とりあえず今日はコレくらいだな。

本格的な鍛錬は、アッチで弟子に

任せるからお前は汗を拭いて酒造りに

行くといい」

 

「は、はい!」

 

うむ、微妙に怯えてるな?弟子とはしっかり

上下関係を結べたようで何より。

 

『おや?修行をつけるために来たのに

リリルカを遠ざけたか。

つまり私に何か用があると?』

 

まったく、最初からこのくらいの賢さを

見せればリリルカもお前に失望なんか

しなかったろうに。

 

いや、賢かったから下界の子供に

失望したんだったか

 

「まぁそうだ。料理は作るから、

食いながら聞いてくれればいい」

 

『そうか・・・ちなみに聞いたからと

言って、私がお前の悪巧みに乗るとは

限らんぞ?』

 

「構わんよ。とりあえず俺が知ってる事を

お前が知ってるかどうかの確認と、もし

知らないなら知っておけって話をする

だけだからな」

 

別に乗る必要など無い。お前のソーマと

違って、情報は知るだけで人生を狂わせる

毒なんだよ。

 

『・・・お前の言葉には嘘がない。

だからこそ心底恐ろしいと思う』

 

「そうか?なら良い事を教えてやろう」

 

『良い事?』

 

「恐怖は進化に必要なモノだ。つまり

お前はまだ成長できる」

 

『・・・お前に殺されない限りはな』

 

俺に殺されても天界に送還されない

ことは知らんだろうに、随分とまぁ

警戒されたものだ。

 

それだけ今は下界を満喫してると

言うことかね?

 

「別に死因が俺とは限らんだろ?

恨みつらみで言えばリリルカだって

相当なモノだし、似たようなのが

他にも居るんじゃないのか?」

 

『否定はせん。だがお前に殺されるのが

一番苦しみそうなんでな』

 

「あぁ、それはこちらも否定しない。

貴様の今までの所業を考えれば

・・・まぁ楽に死ねると思うな?」

 

実際普通に死なせる気などないしな。

他の連中と同じように髪の一本、

爪の一枚まで有効利用してやるさ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

・・・恐ろしい男だ。

 

ヤツが乗り込んできたのは

4,5年前だったか?

ただ乗り込んできた理由が我々を

説教しに来たというのだから驚きだった。

 

問題は説教の内容だ。

当時のリリルカの境遇に対して

来たならばまだわかる。

当時の私はあまりに無関心で

あまりに無責任であった。

他の神も、下界の子供たちもその

境遇を哀れんではいたし、死なない

ように援助もしてくれていたようだ。

 

・・・もう少しヤツが来るのが遅ければ

紳士同盟が出動してきたかもしれん。

 

だがアレが指摘してきたのは

子供への扱いや眷族に対する無関心

ではなく、人的資源の無駄使いに

ついての説教。

すなわち、これだけの人員が居るなら

使うならもっと効率よく使え、

壊すならもっと効率よく壊せ、だ。

 

アレにとって、神もヒトも等しく素材。

アレが私やザニスを見る目・・・

今思い出しても震えが来る。

 

もし抵抗していたら、今頃生きた

まま腕やら足やらを捥がれて

転がされた挙句、適時回復させられて

無限の素材の供給源とされていただろう。

 

実際闇派閥の主神が天界にも戻らず

行方不明となっているらしい。

・・・潜んでいると言う可能性も

あるが、おそらくはヤツの手で加工

されている。

 

「本来は殺すヤツにしか見せんが特別だ」

と言って鞘から抜かれた剣を見て

思わず死を幻視した。

あの剣の呪いは間違いなく神の呪いだ。

更に誰かに喋れば私もこうなると言う

無言の脅し付き。

 

つまりヤツにとってリリルカは確かに

素質のある弟子ではあるが、彼女を

育てた本来の目的は私を捌く大義名分。

 

さらに怖いのは、リリルカにはその辺を

きちんと説明していたところだ。

 

ただ利用するのではない。ソレで私が

変わらなければ、自分が引き取って

育てると言う覚悟まで見せたからこそ

リリルカはヤツに従うのだ。

 

アレは優しくはあるが甘くはない。

ヤツが私に突きつけたのは因果応報。

 

私が下界の子に関心を払わぬなら、

自分も敬意なぞ払わんと言う当たり前の理。

 

その結果どうなるかをアノ剣を

見せられて理解させられた。

 

・・・私は奴に逆らう気はない。

 

普通に付き合えば新酒の原料やアイディア。

技術や付け合せの料理など様々な利点が

あるのもわかってるしな。

 

リリルカのレベルアップも奴の許可を

得てからだか、別にそれは構わん。

 

私の子が自らを鍛えてその器を完成

させていく様を見るのは楽しいし、

私に口を挟む権利など無いのは重々

承知の上だ。

 

それに他の眷族たちもリリルカに感化

されて成長している。

ヤツのおかげで充実していると考えれば

恐怖よりも感謝の方が強いくらいだ。

 

だが、今回のは何か裏があるのか?

 

「知性がある、もしくは喋る魔物を探している」

とか言っていたがなぁ。

 

どうも奴の地元では、珍しいことは珍しいが

そこそこ居る存在らしい。

こちらで言えば極東の狐人みたいなモノか

 

例えでセイレーンや人魚を出されたが、

「人間と同じ頭と内臓を持ち、歌を

唱えるなら喋るだろ?」と言われれば

『ア、ハイ』としか言えん。

 

カーリーにも知恵ある魔物を探して

もらっているらしいが、なんでも

地元の知性ある魔物に頼まれたんだとか?

 

確かに同胞が珍しい魔物として売られて

いたり研究材料にされているなら

何とかしたいと思うのは当然だし、

別に私も魔物だから必ず殺さねばならん

と思ってるわけでもない。

 

それに知性ある魔物を認めないなら

ナーガの眷属やガルーダはどうなんだ?

等と言われたらな。

確かに彼はヴィシュヌ様の乗り物となった存在

だがソレまでは神族に敵対する魔物扱いだった。

まさか彼を出されたらカーリーも

納得するしかなかっただろう。

 

ついでにガネーシャも魔物を調教してるし、

彼らとの共存も可能だろうよ。

 

何と言ってもヒューマンやエルフ、ドワーフ

だって戦争はしていたし、小人族も種族ごと

奴隷のような扱いを受けていた時期だって

あったんだからな。

 

しかし、その存在を認めない連中が

居るのも確かだ。

 

探索系ファミリアの冒険者にしてみたら

魔物は殺すもの。

下手に情けをかければ殺されるし、

ダンジョンで出会ったら知性があるか

どうかなんてわからんだろう。

 

魔物にしても、自分達に無条件に敵意を

向ける冒険者に接触はできまい。

 

結果闇派閥が捕らえて、研究機関や好事家に

売りさばき資金源にしている。

 

ヤツは売った闇派閥や買った連中を捌き、

売られた魔物を解放しているわけか。

 

それで、社会性を持たせるために農業を

させていると・・・

農作物の量や陶磁器の話を聞いてヤツ一人で

出来る事では無いとわかっていたが、まさか

そんなことをしていたとはな。

 

闇派閥を滅ぼさない理由は、奴等が

ダンジョンの中で知性ある魔物を見つける

手段を有している可能性があるから。

 

知性ある魔物は知性の無い魔物に襲われる。

故に同類が保護するか、闇派閥に捕らえるか、

そのまま魔物に殺されるかとなる。

 

殺されるくらいなら闇派閥に捕らえてもらい

出荷したところを、解放して保護すると言う

のが今の流れ。

 

ガネーシャファミリアの怪物祭は、

もしかしたら知性ある魔物との融和策の

可能性も有ると言っていたな。

 

私に望むのは野菜の納品場所の提供か。

 

今まではデメテルのところに運び込んだり

イシュタルのところに運び込んだり

していたが、量が多くなって来たので

どうしても知性ある魔物の手が必要だと。

 

しかしこのオラリオで彼らが人目に着けば

大騒ぎになるから、昼夜問わず人通りが

多いイシュタルのところには運ばせられない。

デメテルの回りはヘルメスやディオニュソス

が何かを企んでいるから向かわせない。

 

それなら弟子が居る我々ソーマファミリアの

倉庫に搬入させて貰えれば、問題は解決する

と判断したわけだ。

 

なんにせよ我々がすることは、倉庫を貸し出すだけ。

 

ヤツは業者や取り引き相手を倉庫に

来るようにすれば良いだけか。

 

不審者の取り締まりはコチラでやっても

良いし、ヤツが殺っても良い。

 

ふむ。特に損はない。断れば野菜の供給が

無くなるが、命を奪ったり危害を加える気も

無いと言っていた。

 

脅しにしては軽すぎるが、間違いなく

本心だった。

ヤツにしてみたら本題のついでの交渉

なのだろうな。

 

本命はあくまで知性ある魔物に対する私の

反応の確認だ。

知ってるか知らないか、それと少しでも

嫌悪の感情を見せていたら・・・

 

ヤツが嘘を吐かないのはいつでも殺せるから。

それと相手の器を見定めるためだろう。

 

ヤツは常に本気だ。そんな相手に小手先の

話術や虚偽など無意味。

そこで中途半端な応対をすれば信用に

値しないと判断され、素材予備軍となる。

 

今はミアハとヘルメスとディオニュソスか?

 

馬鹿なヤツらだ。下界に降りて子供たちと

同じように過ごすと言いながら、やはり

彼らを見下している。

 

下界の子供たちは貴様らの人形では無い

のだぞ?

 

・・・私は人形扱いどころか酒しか見ていな

かったから、本来なら奴等以下なのだろうが、

ヤツ的には情状酌量の余地が有ったようだ。

 

「酒の神が酒を使って眷族を使うのは

当たり前。酒に溺れて歪んだのは

お前の眷族個人個人の問題だ」

 

と言われたが、コレが思考誘導や人形扱いと

判断されていたらどうなっていたことか。

 

まぁ眷族には奴等と距離を取るように

命じたし、元々私は社交的な性格では無い。

 

無駄な接触をする気も無いから、暫くは

秘密厳守で倉庫の提供をしようじゃないか。

 

何せヤツが遠征から返って来たら

リリルカもレベル6だ!

 

ガチムチ三信のお陰でソーマを味見して

下界の子供視点のダメだしが出来るよう

になったし、更に良い酒が造れるぞ!

 

 

――――――――――――――――

 

「いや、ソーマファミリアにいるから

杜氏なんてしてますけど、そもそもリリは

お酒って好きじゃないんですよねー」

 

先生も味見以外じゃ飲まないし、リリの

人生を狂わせた元凶じゃないですか。

 

まぁこうして酒場でナァーザさんと

ご飯食べながら飲む分には楽しいから

良いんですけど、ソーマ様が造った

お酒の味見とダメだしとか。

まるっきりトラウマ直撃案件ですよ!

 

あのときは先生が『子供に酒を飲ませるな』

って言ってソーマ様たちをど突いて

くれましたし、体に残ってた成分もしっかり

抜いてくれたから良いモノの、

そうじゃ無かったらきっと今もリリは

お酒に囚われて悪さしてましたよ?

 

「ま、まぁソーマ様の造ったソーマは神様が

飲むお酒ですからね!

先生も不変の神様を酔わせるんですから、

下界の人間にとっては毒になるって言って

ソーマ様を説教したんですよね?」

 

「そうですねぇ。あのときは先生に

『酒を飲んだ事無いヤツにアルコールの塊を

飲ませたら壊れるに決まってるだろ』って

言われて、ソーマ様も『はっ(゜ロ゜)!』

って顔してました。

神の常識非常識とは良く言ったモノです」

 

いやほんと。リリの意思がどうこうじゃなく

初めから間違ってるんですからね。

 

はぁ~あのときソーマ様が改心しなかったら

リリを引き取って貰えたのになー。

 

「あはは、私からすれば先生の常識も結構ぶっ飛んでますけどね」

 

ん、ナァーザさんはわかってませんね

 

「先生の常識は先生が研究者として研究を

重ねて立証した事柄がほとんどです。

中途半端な倫理とか思い込みが無いから

9割方が事実です。

だからあれは非常識と言うよりは私たちの

視野が狭いんですよ」

 

ある意味で神様達の視点と同じですけど、

神様は地上と天界の常識の差を理解出来て

無いのに対して、先生は何故か天界の

常識まで理解した上でのモノです。

なんと言うか、完成度が違うんですよね。

 

「なるほどなー。だけど9割なんですか?」

 

「残りの1割は可能性だそうですよ。

『遊びがないとつまらんだろ?』

って言ってましたよ」

 

完璧主義者に見えて、完成品は作らない

のが先生の方針です。

常に上を目指せって言う発破をかけてる

とも言いますけどね。

 

「可能性ですか、そうなるとやっぱりアノ話は

本当なんですかね?」

 

「・・・酒場でする話じゃありませんよ?」

 

情報漏洩は処刑案件です。

 

「あ、そ、そうですよね!そんな怖い目

しなくても大丈夫ですよ!」

 

「お酒飲んで話題を出す時点で駄目なんです。

先生の信頼を裏切るようなら・・・

ナァーザさんでも消しますよ?」

 

お酒の勢いを舐めてはいけません。

それに実際リリ達の会話を盗み聞きしてる

連中だって居るんです。

 

もともとはリリが誘った縁。

幕を引くのもリリの仕事ですよね。

 

「・・・はい、すみませんでした」

 

「ナァーザさんは軽率過ぎるんですよ。

もう少し自分が色んな方々に狙われて

居ると言う立場を理解してください」

 

貧乏神の件もそうですし、闇派閥や生産系

にも狙われてるって言うのに・・・なんで

さっさと引っ越さないんですかね?

 

「先生の信頼と言えば私ですよね」

 

「エロフは帰れ」

 

「「あぁん?」」

 

「・・・ミアさんに怒られますよー。

いや、私が悪いんですけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の探索で、先生の探しモノが見つかると

良いんですけどねー。

あのときは他の人たちも居たんで聞けません

でしたが、筆頭様は何か知ってますかね?




原作では白兎がリリルカを死んだことにして
探索とか言ってますがねぇ。

隠したりしないで、珍しいけど自分の
周囲には結構居るぞ?的なニュアンスで
存在を周知させていくスタイル。

昔(○年以上前)から周囲(拠点)に居るし、
頼まれても居るので嘘を言ってません

ギリシャ神話の連中は外見で差別する
(ウラヌスがソレをやった)からギルドや
ギリシャ連中を信用しないスタイル。

インドはスケールが大きいから
大丈夫だろうってお話

一応インドだから無条件に言ってるわけ
ではなく、吹聴して回らないようなのにしか
言ってませんよ?


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78話

先生もやらかす?

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「何者かは知らんが春姫様は貴様の相手

などしない!さっさと失せろ!」

 

・・・

 

春姫に会いに来たら何か知らんヤツが

通せんぼしてる件について。

 

・・・ふむ、俺を知らないと言うことは

この付き人は新入りか。

 

それはともかく相手をしない?専属娼婦が

相手をしないとなると、専属契約が切れた

ってことよな。契約更新の時期を逃したか?

 

確かに最初の三百万以降は払ってなかったか。

それでいつの間にか春姫に他の客がついたと?

 

この場合はどうなる?更新の時期を告知しない

イシュタルが悪いのか、それともそーゆーのを

しっかり確認しなかった俺が悪いのか。

 

HENTAI 国家的価値観なら契約内容の確認を

怠った俺なんだが、古代中国的価値観なら

・・・隙を見せた俺だな。

古代と近代の間を取っても悪いのは俺か。

 

ふ、やりおるわ。

 

ならばシカタナイネ!

 

スピードワゴンはクールに去るぜ。

 

いやはやこうなるとソーマと連絡取っといて

良かった。

まぁ弟子を迎え入れるに当たって、

アイシャはともかく春姫の処遇は

難しいところがあったからな。

 

しかしコレが世に言う寝取られか?

特にクるモノは無いんだが。

ふむ、どうやら俺はソッチ方面の紳士

ではなかったらしい。

 

ギリシャとは違うのだよギリシャとはな!

 

「あ~すまん旦那。ちょっと時間もらうよ」

 

「ん、フリュネか?時間ったってなぁ。

さすがに春姫を連戦させる気は無いぞ?

今日はアイシャにしよう。空いてるか?」

 

他の男の残り香もあまり好きじゃないし、

まぁ春姫については明日以降イシュタルと

話した後だな。

状況によってはもう俺がダンジョンに連れて

行く必要もないだろう。

 

「・・・やっぱりそうなるよなぁ。

アイシャは大丈夫だが、そうじゃない。

春姫はしっかり旦那専属だよ!」

 

「ん?その割には付き人が俺を威嚇してる

ように見えるんだが?」

 

良くわからんな

 

「勘違い、とは言えないねぇ。

完全にこっちの不手際だ。アイシャ!

ちょっと出てきな!」

 

アイシャも春姫の部屋に居るのか?

 

「はいよって、先生?そんなところで

何してんだい?」

 

「えっセンセイ?」

 

おや、なんか付き人の様子が

 

―――――――――――――――――――――

 

niceboat。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「ソ、ソフィア・フローレスです!

大先生にお会いできて光栄です!」

 

・・・

 

春姫に会いに来たら何か知らんヤツが

土下座で挨拶してきた件について。

 

いや、やり直し必要か?

 

しかしアレだな俺を大先生と呼ぶと言うことは

春姫の弟子か。

まぁ春姫も今じゃ立派な茶道や華道の

家元だしな。弟子の一人や二人は居る

だろうが・・・

 

「な、何をしでかそうとしてやがるんですか!

貴女は春姫を、いや、イシュタルファミリア

を潰すために差し向けられた刺客ですか?!」

 

思いっきり師匠にゲシゲシ蹴られてるな。

 

「痛っ!すみません!すみません!」

 

アレが痛いで済むってことはレベル2の

上位かレベル3の成り立てだろう。

しかし、こんなくっ殺しそうなクソ真面目な

眷族なんてココに居たか?

明らかに場に合ってないぞ?

 

「いやすまないね。アレは最近フレイヤの

ところから見習いにきた弟子でさ」

 

「フレイヤの?あぁ、練習用の茶器とかやった

から、使える眷族を増やしたいって感じか?」

 

なんかヘディンが来たとか言ってたな。

俺が居るときは当然俺優先だから

今まで遭遇しなかったってことか。

 

「そんなとこだね。春姫が言うには弟子と

言うよりは茶道や料理を教わる行儀見習い

ってヤツらしい」

 

なるほど。春姫的には自分が家元とは思って

ないだろうから、そう言う扱いになるのか

 

「そーゆー訳で、アレが言った戯言は

忘れてくれると助かる。

何なら私たちもサービスするからさ」

 

サービスねぇ。

 

「心意気は有り難いが、俺はフリュネを

娼婦としてより戦士として見てるからな、

ソッチの対象には出来そうもない。

だからサービスはいらんよ」

 

残念ながらドMな紳士じゃ無いんだよなぁ。

 

「そうかい?それじゃアタイは失礼するよ。

気が向いたら何時でも指名しておくれ!」

 

昔は指名なんか関係なく男を襲って

たのになぁ。変われば変わるもんだ。

 

 

 

 

 

 

「先生!誠に申し訳ございません!」

 

さすが本場極東の狐。土下座に不自然さが無い。

 

「ふむ、最近は娼婦としてと言うよりは

内縁の妻みたいな扱いだったからな。

契約内容の確認を再認識したと思えば

むしろ助かったと言える」

 

なぁなぁで済ますところはなぁなぁで

良いが、そうじゃないならキッチリ

しないといかんと言うのを再認識したからな。

 

コレも油断になるんだろうかね?

 

「にゅあ!内縁の妻!?」

 

「ん?何を今さら。専属の娼婦ってそんな

感じだよな?」

 

「そ、そうですね!そうですよっ!春姫は

先生の内縁の【妻】ですよっ!」

 

おぉう、今日は随分攻めて来るな。

いや、今は比較的自由にしてるって言っても

結局は娼婦だからなぁ。

魔法の関係で身請けが出来ない以上、

他のファミリアのヤツとは結婚も出来んし

俺には恩も好意もある。何より少しでも

後ろ楯は必要だろう。

 

「とりあえず。イシュタルとも契約内容の

確認はしておくよ。

それで、春姫がダンジョンに潜る間は

アイシャがそのフローレスさんとやらに

茶道教えるって話だったか?」

 

「そうだね。現状は先生や春姫じゃなくても

教えることが出来る段階だからね」

 

ふむ、本来は基礎の段階でキッチリ師匠が

面倒見て土台を固めるモノなんだが、

冒険者的な考えだと、

「師匠が出るまでもありません!」に

なるもんな。基礎を疎かにするのは問題だ。

しかしコイツを連れていく気がない以上は

・・・春姫を置いていくか?

 

元々サポーターの予定だったが、リリルカ

が居れば春姫3人分くらいにはなるし。

 

春姫が残れば、アレンや他のイシュタル

ファミリアの眷族にも教育は出来る。

 

ただ、春姫もレベルアップの条件を満たして

おいた方が良いと思うんだよなぁ。

 

はてさて、どうしたものか。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

ま、不味いです!旦那様が何かお考えですが、

春姫には何となくわかります!

だって内縁の妻ですからねっ!

 

きっと次回のダンジョン遠征に

春姫を連れていくか連れていかないかで

お悩みなんです!

 

まったくこのお馬鹿さんっ!

置いていかれたらどうするんですかっ!

 

「い、痛いです春姫様!」

 

「痛いで済むだけありがたく思いなさい!」

 

フレイヤ様からは、殺さない限りは

怒らないから厳しくしてやってくれと

言われてるそうですからね!

 

「それで、俺に基礎になる呼吸を教えて

やってくれと?」

 

はわっ!今はソフィアさんよりも旦那様です!

 

「そうなんです。春姫には間違ってることは

わかるんですけど、直し方が良くわからず。

本日、先生がいらっしゃるのは知ってました

ので、ご紹介とご指導を賜りたいと思いまして。

・・・お手数おかけして申し訳ございません」

 

弟子くらい自分で育てろ!とか言われたら

どうしましょう?

けど、お茶の普及は旦那様も望んでること。

フレイヤファミリアとイシュタルファミリア

で広めればもっと効率は良くなるはず!

アレン様は温いのと冷たいのしか出来ません

から、ソフィアさんを鍛えて熱いのも

しっかり学んでもらえば良いと思いました!

 

「ふむ、別に呼吸を学ばせるのは良いんだ。

しかし呼吸は基礎にして奥義。

俺は暫く居ないから正しい呼吸を監督

出来るヤツが居ないんだよな。その間に

変な癖がついたら逆効果になるぞ?

その辺はどうするつもりだ?」

 

まさか呼吸を止めろとは言えません。

アレン様も他人に教えることが出来る程の

習熟はしていないようですし。

 

「わ、私がサポーターとして!あばっ!」

 

あほーーー!

許可なく喋るんじゃありません!

しかも言うに事を欠いてサポーター?

春姫やリリルカ様に喧嘩売ってますか?!

 

「ソフィアさん、貴女は喋らないで下さい!」

 

「え、いや、しかし!」

 

「しゃ べ る な !」

 

「ハイッ!スミマセンでした!」

 

まったく、弟子が先生の許可なく

喋るとは何事ですかっ!無礼ですよっ!

プンスカどころの騒ぎじゃありません!

 

「サポーター、か。ふむ、そう言えば

リリルカ達はあの技を受けて成長出来たと

言ってたな」

 

「えっと『あの技』とは何でしょう?」

 

はて、この話の流れからすると短時間で

呼吸を理解することが出来るように

感じますが・・・

 

「ん? あぁ、とりあえずアレンに確認だな。

許可なく殺ったらフレイヤファミリアとの

戦争になるかもしれんし」

 

「「ふぇ?」」

 

「せ、戦争って、どんな技をソフィアさんに

使う気なんですか?!

イシュタル様にも相談が必要なのでは?!」

 

「いや、イシュタルが場所を提供する

場合はイシュタルの許可も必要だが、

フレイヤが場所を提供するなら問題ない」

 

「「ば、場所?」」

 

い、一体ソフィアさんはどう

なっちゃうのでしょうか?!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

『・・・アレン』

 

「はっ!」

 

ソフィアが彼に粗相したのはわかるけど

 

『身体に穴を開けて一度瀕死にした挙げ句

三日三晩苦しみ抜く?それでドタバタしたり

叫び声やうめき声、排泄物が垂れ流しでも

文句の言われない場所の提供って・・・』

 

ご、拷問か何かかしら?

 

「はっ!まさか師匠からその提案をして

いただけるとは思ってませんでした!」

 

いただける?えっ?何?コレって

良いことなの?

 

『・・・拷問ではないのね?』

 

「はっ!一見すれば間違いなく拷問です。

筆頭殿は本来は懲罰に使う技と言って

おりました!」

 

駄目じゃない!

 

『き、許可を出したらどうなるの?』

 

「・・・垂れ流しですね」

 

目を逸らした?!

 

『・・・もしかして貴方もその技を?』

 

「はっ土手っ腹を貫かれました!」

 

うわぁ。

 

確かに地獄を見たとは言ってたけど、

そんな地獄だったとは。

そりゃ喋りたがらないわけよね。

 

それに確かに死なない限りは無茶しても

良いとは言ったけど、あくまでも虐め

とかそう言うのを防ぐ為のモノよ?

 

まさか額面通りに受け止めて死ななきゃ

何をしても良いと判断するなんて、想像も

つかないわ。

 

『だけど、貴方はこの申し出を有り難いと

思ってるのよね?』

 

コレがわからない。まぁソフィアが粗相を

したのは事実らしいし、彼女が拷問を受ける

ことで、彼の不満が治まるならソレはソレで

良いことなのかもしれないけど。

 

あまりにもへりくだり過ぎじゃないかしら?

 

「はっ!その技を耐えて立ち上がることが

出来れば、恐らくソフィアにもガチムチ

三信のスキルが芽生えます!」

 

『なんですって?!』

 

こ、この精神耐性と成長補正と寛容の心を

得るレアスキルが手に入るですって?!

それなら確かにこちらから頼みたいくらい

だけど!

 

「また呼吸や姿勢の基礎も強制的に身に付き

ますので、作法の修得の役にたちます!」

 

『な、なんて技!』

 

一粒でどれだけの得が有ると言うの?!

三日三晩苦しみ抜くと言う、デメリットを

遥かに越えるメリットがあるのね!

 

「他のファミリアの有象無象ならば痛みで

自分を見失いますが、フレイヤ様が御自ら

選別した勇者の資質のある眷族ならば

間違いなく立ち上がるでしょう!」

 

そうね!試練を乗り越えるのが勇者!

 

ソフィアも本物の英雄に成りたいって

夢がある。

ならばこの試練を乗り越えて見せなさい!

 

『アレン。彼に許可を。場所は適当な建物を

買う必要が有るわね』

 

借りるのは駄目よね。適当な建物を買って

寮とか出張所みたいにするべきかしら?

 

「はっ!理想は部屋に掃除用具と風呂と

トイレ付きですが・・・」

 

・・・垂れ流しだものね。

 

「すぐに見つからない場合はとりあえず

適当な地下牢にでも入れておけば

よろしいかと!」

 

『そんなので良いの?』

 

・・・ダンジョンよりは安全よね。

 

「はっ!先程も言いましたが、そもそもが

懲罰用の技です。

更に自己のだらしなさを自覚するためには、

至れり尽くせりな万全の態勢で受けるより

惨めな環境の方が効果はあるかと思われます!」

 

あぁ、それもあったわ。彼にしても

春姫をダンジョンに連れていく事に対する

補填ではなく、あくまでソフィアの無礼に

対する懲罰として使うのよね。

 

私たちは結果としてスキルが得られたら

良いことだからって感じで了承するのか。

 

それに経験者であるアレンが、整った環境を

与えるよりは地下牢みたいなところが

良いって言うのなら試して見るべきよね。

 

ソフィアへの事前説明もきちんと

してくれるなら言うこと無いわね!

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

う~む、何故か技を修得するための

試練みたいに扱われてるが、実際は

ただの殺人技を改良して華雄に地獄を

見せた上で羌族に対する見せしめとする

為の所謂ネタ技だったんだよなぁ。

 

立ち上がった華雄が何故か英雄扱い

されて、周りも普通に称賛してたから

弟子も疑問に思わなかったんだが。

 

「だ、だ、大先生!死なないんですよね?

ちゃんと傷は癒して頂けるんですよね!」

 

「ん?あぁ、外傷はな」

 

中身はわからんが。

いやはやアッチと違い、気の概念が曖昧

だから今まで頻繁に使うことはなかったし

闇派閥の連中は普通に死んでたもんな。

標的の外傷を回復させつつ体内に気と魔力を

打ち込んで魔法に近い効果を産み出すとは。

 

弟子も中々やりおる。

 

コレはアレだな。初めから試練用の技と

考えた弟子と、ネタで止まってた俺の差だ。

 

さらにこの世界のスキルやアビリティは

経験を神の恩恵で具現化させたモノ。

ならば死の淵から自力で甦ればスキルも

生える、か。

 

弟子も中々やりおる。

 

「が、外傷はって!」

 

「元々が懲罰用の技だからな。しっかり

乗り越える事が出来ればスキルが得られる

・・・らしい」

 

「ら、らしい?!」

 

そもそも俺が試した訳じゃ無いからな。

命奪崩壊拳を食らわせて、回復させて、

神の恩恵を更新させるなんて機会は

無かったし。

 

だがまぁ理屈としてはわかる

 

「正しい姿勢と正しい呼吸は教えた。

変な癖が付く前に、歪み無い気持ちで

自分のだらしなさを認識しろ。

そしてソレを寛容の心で受け入れた上で

姿勢と呼吸を保てば3日もかからずに

立ち上がることも出来る・・・ようだ」

 

「所々不安なんですけど?!」

 

そもそも俺が(ry

 

しかしアレだ。確かに試練とするなら

呼吸やら気の巡りによって回復できる

ように調整するのも有りだな。

 

弟子も中々やりおる。

 

コレは師匠として負けてられんぞ?

 

「安心しろ、死なないようにしっかり

監修してやる。あとはお前の

心の強さの問題だ」

 

弟子はそのまま放置したらしいが、

死にかけてるコイツの呼吸を無理矢理

矯正しつつ、目が覚めないように調整

して長時間地獄の奥地を旅行させて

やろうじゃないか。

 

「心の強さ・・・か、覚悟は決めました!

よろしくお願いします!」

 

「良く言った、ならば喰らえ!」

 

新血愁・心霊台っ!

 

「えっ?お腹に穴じゃ・・・・・

ぎゃぁぁぁぁぁ痛いイタイいたいイタイ

いたい痛いイタイいたいイタイぃぃぃ!」

 

 

 

 

 

 

ふふふ、レベルアップは器の昇華。

俺が解脱させてやろうじゃないか!

 




ソフィアが出てきたのは
前に伏線張ってたからしょうがないね!

弟子にネタを本気の技ににされて
しまったので対抗する先生の図。

弟子は技の完成度が違うと思ってますが
実際は試練や教育としての意味合いを
込める弟子と、誇りを打ち砕くネタ技
として使ってる先生との容赦の有無の違いです。

まぁ技を当てるまでの動きだとか
そう言うのは当然先生が上ですよ?ってお話


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79話

キューP3分クッキング的な

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


さて、ここに3日経ったソフィアが居ます

 

「勝てない・・・憎しみの心を燃やしても

恨みの力を拳に込めてもっ!」

 

まったく、サツバツしてるな

 

「しかし髪の色は変わらんか・・・

言動もマトモだし、まだ余裕があったか?」

 

精神的にも韓遂やシュウユも暫くは

世紀末の世界に逝ってたんだが

 

「よ、余裕なんて有りませんよ!目から

耳から口から鼻から血が出てきて、

声も出せないし身体中痛いし!爪は

弾け跳ぶし!トイレとか全部済ませて

たのにアレでしたし!

赤いのとか青いのとかがいて、魚みたいな

花がオギャアって何ですか?!

 

『ふむ、旅行ですか?・・・ではあちらの

窓口で手続きしてください』

 

とか言われて手続きしたら体験コースって

書かれた書類でそのまま地獄体験ですよ!

剣の振り方はこう!とか言われて金棒で

真っ二つにされたりしましたよ!」

 

ほほう。幻魔拳も出来るかと思ったら、まさか

の臨死体験で冷徹な御方に会ってくるとは。

さすが神が実在する迷宮都市。

 

……向こうの迷惑になるだろうから今後は

地獄旅行は控えるか。

 

いやしかし、なんだな。やはり一人一人の

魂と地獄は繋がってるんじゃろか?

 

「しかしステイタスを更新しなくても

自分が成長したのはわかるだろう?」

 

一目見ればわかるからな。

 

「それはそうです!あんな体験して成長

してなかったら、大先生と言えども

自爆覚悟で突貫してますよ!」

 

その場合は自分の未熟を自覚

させるため命奪崩壊拳だな。

 

「や、やりませんよ?!成長したのは

わかってますし、返り討ちが目に見えて

ますからね!」

 

「ちっ」

 

立て続けの臨死体験ならどれだけの経験に

なるのか見たかったんだが・・・

 

「・・・これからフレイヤ様にお会いして

ステイタス更新していただきますが、

レベルアップした場合は慣らしの為に

作法の勉強はお休みで、アレン様と技の

修練をしろとの事ですよね?」

 

「そうだな。ソフィアも経験があるだろうが、

レベルアップしたばかりだと細かい調整が

必要だ」

 

「確かにそうです」

 

実際いきなり全ての力が上がるからな。

どうしても慣らしは必要だ。

 

「アレンですら美術品を壊す可能性

があるからって、作法は休んで慣らしに

専念するんだ。

ソフィアは地獄で基礎を学んだとはいえ、

本来基礎技術と言うのは時間をかけて

学び、身に付けるモノ」

 

「た、確かにそうですね」

 

「ようするに今のソフィアはまだまだ未熟。

これからは互いの技を見て自分なりの技を

身に付けろって話だな」

 

実際俺は武術の師じゃないからな。

 

「それはわかりますが・・・」

 

「何か問題でも?」

 

何だ?フレイヤだって基礎を学ぶ

大切さを知ってるし、ソフィア本人も

技やレベルアップの際の慣らしの

必要性は知ってるみたいだが?

 

「そもそも私は二ヶ月前にレベル3になった

ばかりです」

 

あぁソレな。そもそも無理じゃね?って話か

 

「だからレベルアップしたらって話を

してるんだよ。もちろんしない可能性も

あるぞ」

 

「そ、そうですよね!流石に大先生でも

レベルアップまで自由自在なんて

有り得ませんよね!」

 

「HAHAHA当たり前じゃないか」

 

まぁレベル3から4なら大丈夫だと思うが

 

「あ、あと、もう一つありまして」

 

「なんだ?とりあえず言ってみろ」

 

不安の多いヤツだが、これでも春姫の弟子だ

しかたねぇから少しは解消してやろうかね。

 

「アレン様が私ごときの相手をして

下さるかどうか・・・」

 

あぁ、レベル7の幹部で女嫌いだもんな。

だがまぁ、今回は心配いらんよ。

 

「大丈夫だ問題ない」

 

「・・・手紙ですか?」

 

「アレンには個人的な貸しがあるからな

ソレを見てお前の相手を嫌がるような

ことは無いだろう」

 

貸し貯まりすぎだから、一つくらいは

返して貰うぞ?

 

――――――――――――――――――

 

『ソ、ソフィアよね?』

 

な、なんて言うか、世紀末を体験して

きたかのような風貌をしているわ!

 

「はっ!大先生により地獄を体験させ

られましたが、無事に生還することが

出来ました!」

 

地獄ってそんな。まぁアレンですら

気が狂いかけるほどの激痛ですものね。

二ヶ月前にレベル3になったばかりの

ソフィアにはまだ辛いのはわかるわ。

 

『良く戻って来たわね。では早速

ステイタスの更新をするわよ』

 

アレンの時は三日の痛みと三日の修行

だったけど、痛みだけでどこまで成長

出来るのか・・・ガチムチ三信は手に

入るのかしら?

 

「はっ!よろしくお願いします!」

 

『・・・』

 

「・・・」

 

 

はぁ?

 

「あ、あの、フレイヤ様?」

 

『ソフィア、アナタ何をしたの?』

 

いや、コレはあり得ないわ。

 

「普通に臨死体験と地獄での修練でした!」

 

『ソレは普通じゃないわよ?!』

 

恐るべし歪まない心っ!

 

いや、けどまさか本当に地獄に逝ったの?

下界の子供が?生身で?!

 

「あ、あの、フレイヤ様?」

 

あぁ、まずは現実の確認よね!

 

『まず、レベルアップ出来るわ』

 

「え、えぇぇぇぇ?!」

 

まさか二ヶ月でレベルアップとは。

 

『更にステイタスはオールSでカンストよ』

 

「え、えぇぇぇぇぇぇ?!」

 

三日の修行でオールカンスト?

いくら教導と試練とだらしなさを

指摘するスキルでもやり過ぎじゃない?!

 

『更に更にスキルが二つ・・・』

 

「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」

 

コレが問題よ!

アレンのは、ガチムチ三信だったのに

ソフィアのは我知無知哲学三信?!

哲学だったの?いや、コレ見れば

わかるけど、てっきり肉体美が売りの

男たちのナニカ関連だと思ったら、

予想以上に高尚なスキルだったのね!

 

表面上の効果は同じように見えるけど、

多分ソフィアの我知無知哲学三信が完成形!

成長率とかが違うんでしょう。

 

もうひとつは【庇獣の咆哮】?

 

受けたダメージを己のステイタスに

変換して戦闘を継続するですって?

 

つまりこれほどのスキルが産まれるくらい

肉体にダメージを受けたまま戦い続けた

ってことよね!

 

いつ?どこで?誰と?どうやって?

 

突っ込みが追い付かないわっ!

 

 

――――――――――――――――――

 

 

いきなり呼び出しを食らったから

何かと思えば、さすが師匠としか

言いようがないな。

 

師匠は筆頭殿を越えてると言うのは

筆頭殿の謙遜ではなく事実だったか・・・

 

『それでアレン。アナタが受けたと言う

命奪崩壊拳とソフィアが受けた新血愁・心霊台

の違いはわかるかしら?』

 

違いと言うかなんと言うか。

 

「はっ!我々は受けてませんが、技は見せて

いただきました。その際に概要だけは

伺っております!」

 

『概要だけ、なのね?』

 

「はっ!申し訳ありません!」

 

深く突っ込んで食らう気はなかったからな!

 

『いえ、責めてるワケじゃないの。

あまりにも衝撃を受けてね』

 

わかります。筆頭殿に関わることは深く

考えては駄目なんです。

 

しかしまぁ、基礎も何も知らない者に

呼吸と言う奥義を教えるとなると

相当な荒療治か必要になるのだな。

 

筆頭殿は優秀な指導者と痛みか時間が必要と

おっしゃって居たが、まさに真理だ。

 

「では簡単な概要をご説明させて頂きます!」

 

『えぇ、頼むわ』

 

「まず最初に、命奪崩壊拳が試練を与える

技なのに対し、新血愁・心霊台は痛みと

恐怖の後に死を与える技です!」

 

『「はぁ?!」』

 

「つまり、新血愁は対象を三日三晩苦しめ

物理的に地獄を見せて見せしめとし、

周囲に対して自分に逆らえばどうなるかを

教える為の技なんです」

 

『「エグい!」』

 

わかります。俺たちもバーバリアンや

ルー・ガルーに同情する日が来るなんて

思ってませんでした。

 

「えっと、ですが私は生きてますけど?」

 

コレが師匠の恐ろしいところだ。

 

「監修して死なないように調節されて

いたのだろう。普通なら激痛で目の前

さえ見れんのに、臨死体験して地獄を

体験して来たと言ったな?」

 

「は、はい!」

 

やはりそうか。

 

「ソレは筆頭殿がおっしゃっていた

地獄巡りだ」

 

『「じ、地獄巡り?!」』

 

「そうです。本来の命奪崩壊拳は肉体は

無意識に正しい呼吸と姿勢を保ち、

精神は地獄を体験して来る技のようです」

 

『3日も寝てる時間が勿体ないでしょう?

本来なら夢の中で地獄を体験して精神も

鍛えるのです』とか言ってたけど、

あの痛みの中で寝れる自信は無いぞ!

 

『すごく痛いのよね?眠れないくらい

痛いのに、精神を飛ばすの?

その状態で精神を飛ばしたら普通なら

死ぬわよね?』

 

普通なら生きることを諦めたとして

肉体が死を選ぶんだよな。

 

「はっ!心が死んだ状態になるか、肉体が

死んだ状態になります!

ソレをさせずに肉体は無意識でも

死なないように調節し、改造・・・

鍛えたために、ステイタスはカンスト

していると思われます!」

 

「い、いま改造って?!」

 

「体を鍛えることを肉体改造と言う

だろう?ソレだ!」

 

「それなら言い直しませんよね?!」

 

うるさいうるさい。聞こえんぞ。

俺には何も聞こえんし何も見えん!

 

『なるほど、あとは技術に関してだけど』

 

「技術的なモノは精神を飛ばして臨死体験

・・・恐らくリアルな夢を見せて

その中で徹底的に鍛えたのでしょう!」

 

『ゆ、夢の内容まで操るとは・・・

彼が本当に下界の子なのかどうかも

疑わしくなるわね』

 

「「確かに」」

 

神イシュタルの知り合いの眷族だから

間違いなく下界の人間なんだが・・・

規格は違うよな。

 

「ま、まぁソレで私は肉体が傷付いても

戦い続けたことになるんですね」

 

「恐らくだがな」

 

いやはや、筆頭殿の鍛練も無駄が無いとは

思っていたが・・・流石は師匠。

当たり前のように上には上が居たか。

 

いや、筆頭殿が俺達四人を見ていた

のに対し師匠はソフィア一人だったと

言うのも無関係ではないだろうがな。

 

どちらにしても俺は絶対に逆らわんぞ。

 

「あ、そ、それで、大先生からアレン様に

お手紙を預かっております!」

 

師匠から手紙?

 

「フレイヤ様、御前にて失礼しても

よろしいでしょうか?」

 

すぐに読まないとヤバいよな?

 

『えぇ、私も興味があるわ』

 

「・・・では失礼致します」

 

 

拝啓 アレン殿

 

暫くソフィアを鍛えてくれ。

 

敬具

 

『「「短っ!」」』

 

ま、まぁ無理難題ではないだけマシだ。

レベル4だがガチムチ三信と【観測】を

得たなら技術的なトレーニングも出来る

だろうしな。

 

しかし地獄でのトレーニングの内容を

肉体に馴染ませるか・・・あの人たちに

とっては地獄も鍛練場所なんだな。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

ソフィアがレベルアップ可能になった、か。

 

「やはり偉業と上位経験値は別物だな」

 

「やっぱりそうなんですか?まぁ前々から

先生はそう言ってましたよね?」

 

「だな。それが実証出来た感じだ。

それに新血愁・心霊台も実験出来たし、

今回は良い結果に終わったよ」

 

いやいや、毎回こうだと楽で良いのだが

 

「あぁ言う拷問紛いの技に耐えれる

ヤツって中々居ませんからね」

 

ほんとにな。普段偉そうにしてるくせに。

 

「やはり未熟な木人間だけでは足りんなぁ。

意思がある強者が居なくては研究にはならん」

 

それに今回みたいにレベルが上がりたてにも

関わらず偉業を満たしてる可能性がある

ようなヤツが居なかったからな。

 

リリルカはキッチリ鍛えてたが、

なんだかんだで段階を踏んでたから

サンプルとしては弱かったし。

 

「急造で強化しても問題なくて、さらに意思の

強い冒険者なんても中々居ませんからね」

 

「まったくだ。生半可な闇派閥の連中程度

じゃ実験にならなかったし、弟子を使い潰す

わけにも行かないからな。

丁度良いサンプルが居てよかったよ。

コレでナァーザと春姫も今回の探索で

レベルアップは確実だ」

 

カンストまでは・・・どうだろうな。

弟子次第だと思うが、出来るだけ

やってみようじゃないか。

 

「んーだけどナァーザさんは危機感も

足りないし、貧乏神付きですよ?

今のままでも良いんじゃないですか?」

 

お?貧乏神だけじゃなく、ナァーザも

なんかやらかしたか?

 

友達が居た方が情操教育には良いと

思ってたが、さすがに友達は選ぶか。

 

昔は自分と重ねてたが、なんだかんだで

ナァーザは貧乏神に愛されてるからな

・・・文字にすると非常にマイナスな

イメージしか出てこないが、

リリルカにしてみたら『あそこまで

愛されてるなら良いじゃん!』って

感じにもなるんだろうよ。

 

冒険者は自己責任だって言うなら、

ナァーザの怪我だって自己責任。

度重なる貧乏神の無礼と、それを無理矢理

でも止めようとしないナァーザの姿勢に

温さを感じて、今じゃ同情も共感も

出来ないって気付いたんだろうな。

 

「感情の切り替えは大事だが、まだ

ナァーザも使えるだろ?」

 

「お茶の普及ですか?」

 

それも無関係じゃないけどな。

 

「今はナァーザが消えれば上位ファミリアの

幹部の半数が胃を壊して血を吐くと言われ

てるのは知ってるな?」

 

「あーはい。ディアンケヒトとかのよりも

味が良いし、質も良いからって言われて

ますよね?」

 

「そう。ファミリアの団長とかになれば、

胃痛はトモダチ。そうなれば、少しくらい

高くてもより良い胃薬を求めるのは当然だ」

 

そこそこ金もあるから多少の値が張っても

良いのを買おうとするんだよな。

 

「あ~なるほど、半数じゃ足りないんですね?」

 

うんうん。文武を鍛えた甲斐があるって

もんだな!

 

「その通りだ。もう少し手を広めて貰う予定だ」

 

レベルアップすれば自然と器用や魔力も

上がる。アビリティの調合もな。

そうなれば薬の味も効果も上がるだろう。

 

動くのはそうやって物理的に胃袋を掴んでからだ。

 

なんたって俺も同じ茶を調合出来る

んだからな。

更に味も質も上。技術的にも素材的にも

負ける要素がない。

 

ナァーザがそのまま従うならよし。

従わないなら貧乏神を殺して俺たちが

茶と茶菓子を販売すれば良いだけになる。

 

「なるほど、わかりました!」

 

リリルカも頭の回転が早いから、皆まで

言わなくてもわかるのが楽だよな。

 

「ま、仲良く出来るならその方が良い。

無理して仲良くやれとは言わんが、

敵として捌くには早いな」

 

「了解です。あと、ちなみになんですが」

 

「どした?」

 

「そのぉ、新血愁・心霊台はリリも

受けないとダメですかね?」

 

ん、随分と不安そうだが弟子が

見せたんだったか?

アイツは基本的に優しさが足りんから

使ったら使いっぱなしだろうし

新血愁は立派な殺人技だ。

受ける必要があれば受けるが、受けなくて

良いなら受けたくは無いだろうな。

 

「いや、受けないとダメってことは無いぞ?

元々我知無知の哲学ってのは技を受けて

覚醒するんじゃなく、人生を生きていく

上で数々の荒波に揉まれて身に付ける

モノだからな」

 

無理矢理スキルと言う形にまとめても

人格崩壊にしかならんよ。

だからこそコイツらのはガチムチ三信

なんだろうし。

 

「なるほどなー。あ、リリは毎回ステイタスを

全部カンストさせてますし、レベルアップ

のスピードもじっくりやってますから、

スキルの成長率促進が勿体ないとかって

言う思いは有りませんよ?」

 

だからいらないってか。普通なら

「今までのステイタスがー」とか騒ぐんだ

ろうが、リリルカは問題ないのも事実だ。

 

ステイタスにSSがあることが一般に周知され

たらアレかもしれんが。暫くは大丈夫だろうさ。

 

「それはそうだな。それにサポーターとしても、

杜氏としても必要ってワケでもないしなぁ」

 

だらしなさを戒めるのはあって困るもんでも

ないが、別にそんなん無くても酒は造れるし

リリルカも最強を目指してるワケでもない。

 

「ですよねー。冒険者とか英雄とかは

なりたい人がなれば良いんですよねー」

 

そーゆーことだ。

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポリポリ・・・む?何か嫌な予感が。

 

具体的には師に未熟者扱いされて

笑われた挙げ句に、命奪崩壊拳を

くらいそうな予感ですね。

 




作者的なレベルアップの解釈は
後日webで!

感想で話を膨らませた?
残念ながら今回は最初から
こんな感じって決めてたのさぁ!

拙作のリリルカはスーパードライってお話


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80話

出発前に色々消化中

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


うーむ。魔法反射材を使って何を造れば

良いものか。

 

既に俺の武装やリリルカの武装は

魔法を無効化するし、弟子の武装も

既に加工済。

 

大体武装で魔法を無効するとか慢心したら、

飽和攻撃されたり武装の穴を突かれて

負けるのがお約束だから、あんまし

そう言う装備を造るのは宜しくない。

 

そうなると新しい装備が必要なのは

春姫しかいないが、春姫の装備品は

重めの盾。

 

俺が予想するレベル3になるための条件は

満たしてるし、今更武器を装備しても

使いこなせないよな。

 

敏捷と魔力はSだったような気がしたから

練習用の重い盾と実戦用の軽い盾を造るか。

 

いや、だが軽いとシールドバッシュの際の

威力が無くなるか?

 

ん~だが実際魔物と人間だと重さに差が

有りすぎるよな?

だがらこそ深層に行く連中は攻撃を受け

ないように軽装になるんだし。

 

頭すら護らんのはどうかと思うが、ソレが

今までのやり方。

 

リリルカは重さも武器に出来るから良いが、

そうじゃないなら、軽くて硬い武装を使う。

 

カドモスごときに苦戦するのは重さが

無いからだもんな。

 

ステイタスでしか攻撃出来んから、

何をしても軽いんだ。

 

まぁわざわざ指摘しようとは思わんが。

 

で、ジャガーノートは巨体と早さが売り

だから装甲も軽い。魔力を通せば更に軽く

なるようにして・・・問題は硬さか。

そうなると併せる素材はアダマンタイト

じゃなくオリハルコンだよな。

 

金属繊維にしたら重くなるから不壊属性は

付けれない。

ふむ、ジャガーノートの装甲は普段は普通だが

魔力を通せば魔法反射の効果が得られる。

つまりはフェイズシフト装甲っぽい使い方が

正しいのだろう。

 

これで魔力由来のモノを反射して・・・

いや待てよ。

軽くて硬い盾を持ったスピードある狐?

 

有るじゃないか、近接戦闘最強の武器が!

くそっ!何故今まで気付かなかったんだ。

 

魔力を使って盾から魔法反射の杭を発射

出来るようにして、杭の中に毒かナニカを

仕込めば狐目さんの●解になる。

コレはやりようによってはドリルも仕込めるん

じゃないか?

 

そうなると必要なのは凶狼の靴に

仕込まれた魔力吸収と射出機能。

 

いやまて、それなら盾だけじゃなくても

出来る!?具体的にはガン●ムのランドセル!

 

背中にしょってブースト掛けてシールドバッシュ

からの射突っ!まさにロマン武装っ!

 

春姫は俺達と違って純粋な後衛タイプだから

武術よりも機動力と盾で受けることを学ばせて

きたのは正解だった!

 

たしか、アノ靴の素材はミスリルだったよな?

そんなら機構の部分にミスリル使って、表面は

ジャガーノートの装甲だ。

 

アレなら不壊属性など邪道。残弾だって

あって然るべきだよな。

 

軽いと言っても決して脆い訳じゃない。

杭に【貫通】属性を付ければ、どんな魔物

でも一撃必殺の狐が出来るじゃないか!

 

当然武装の名前は玉天崩!

 

・・・いや怒られるか?

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「みこーん!」

 

「ど、どうしたんですか春姫さん?」

 

いきなりみこーんとか。ソレは狐さんと

してのナニかですか?

それとも未婚であることのアピールなん

でしょうか?

 

「あぁリリルカ様、今先生が春姫の武装を

考えてくれてる気がしたんです!」

 

「あぁ、まぁその可能性は高いですよね?」

 

実際ジャガーノートの装甲を使った武装を

必要としてるのって春姫さんですしね。

 

最初はナァーザさんの分も造ろうとして

ましたが、アノ人は今のままじゃ駄目です。

 

先生のお世話になっては居ますし、恩義も

感じてますけど最終的には貧乏神を選びます。

 

そんなヤツに新しい武装なんて要りませんよ!

 

先生がネタ神みたいに扱ってるから生きてる

だけの癖に悪口とか言い触らして!

 

今は偉い人たちはわかってますけど、

ポーションを貰ったりしてる若手の連中は

先生をただの悪党だと思ってるみたいですし!

 

その点筆頭様は凄いですよね!先生に敵対する

ヘルメスファミリアの眷族皆殺しです!

リリに出来ないことを平然とやってのけます!

痺れるし憧れますよ!

 

・・・なんか最近エロフの店に来てる

白いのを思い出しましたね。

 

先生はフレイヤ様やヘルメスが色々と

ちょっかいかけてるみたいだから、ヤツの

周囲に警戒しておけって言ってましたけど、

アレのツレがシツレイなんですよね!

 

なんか知りませんがリリを見ていきなり

「私たちのサポーターやらない?」とか

言って来やがりました。

 

何でリリが駆け出しの冒険者のサポーター

なんかやらなきゃダメなんですか!

 

最初は殺っちゃおうかな?って思いましたが

どうやら主神が昔のリリのことしか知らない

ヤツで?もしリリを見たら誘ってやれって

感じの事を言われたとか言ってましたが、

どこまで本当なんだか・・・。

 

確かに悪意とかはなくて、あくまで善意

だったみたいだからあの場は我慢して

やりましたけどね!

 

いや、ツレは良いんです。問題は白いの。

 

現在白いのは、少なくとも主神とフレイヤ様と

ヘルメスとツレの主神。ついでに貧乏神とも

繋がりがあるみたいですね。

 

数年前の20万ヴァリスは白いのの主神が

やらかした借金だとか。

 

しかもこの前エロフが説教するまでその

借金の事を知らなかったとか?

まぁあくまで眷族になる前の借金です

からね。白いのには関係ないと言えば

関係ないでしょう。

 

でもアイツ、自分の装備しているナイフに

神ヘファイストスのロゴが入ってるのを

わかってますかね?

 

20万ヴァリスすら返せない主神の眷族が

持てるようなナイフじゃありませんよ?

 

鞘だって明らかに分不相応ですし。

 

盗まれないのは、恐らく彼しか装備

出来ないような特殊武装だからでしょう。

 

しかも最近魔力を宿しました。

 

きっと魔導書ですよね?おそらくソレが

フレイヤ様のちょっかいなんでしょうけど、

先生曰く、人工的に植え付けられた魔法は

自分の器を壊すことになるからあまり推奨は

しないんだとか。

 

そりゃそうですよね。スキルも魔法も本来は

自分の経験や想いから生じるもの。

 

歩みの中で手にした力ならともかく、何の

経験も無く手に入れた力は今までの自分の

歩みを変えてしまいます。

 

器の再構築を監督できる環境に無い者に

軽々しく与えちゃ駄目なんです。

ティオナさんに魔導書をあげる予定ですが、

先生がきちんと監督する予定ですからね。

 

ソレでもティオナさんは今までとは違った

歩き方をしてしまうことになるでしょう。

 

フレイヤ様も白いの本人も理解してない

でしょうけどね。

ソレは人工的に造られた英雄ですよ?

 

 

「そう言えば春姫さんは英雄譚とか好きで

したよね?」

 

「はい?いきなりですけど、まぁそうですね!

リリルカ様も興味お有りですか?」

 

まったく興味無いですね。リリにとっての

英雄は先生だし。

 

「いや、英雄に憧れる人って言うのが良く

わからないんですよね」

 

ティオナさんもそうでしたが、お話の中の

英雄に意味があるのでしょうか?

 

「なるほど~。そうですねぇ。

・・・リリルカ様も知ってのとおり、

春姫は商人に騙されて売り飛ばされるまでは

基本的に箱入り娘と呼ばれるような

世間知らずのお嬢様でした」

 

「らしいですね」

 

ソレこそお話に出てくるようなお嬢様

ですよねぇ。

 

「売られてココ、迷宮都市に来るまでの道中も

ず~っと箱の中でした」

 

「奴隷ですからねぇ」

 

衣食住が保証されていた奴隷と、何もなかった

リリではどっちがマシなんでしょうか?

 

「そうですね。そんな春姫にとっては、

箱の外の世界こそが憧れだったんです」

 

「なるほど、つまり英雄譚は春姫さんが知る

ことが出来た、数少ない外の世界のお話

なんですね?」

 

自分の境遇もあるでしょうね。いつか自分を

助けてくれるヒトが現れるかも知れない。

そんな淡い夢を持つことで自分の心を守って

いたのですか。

 

「はい!だから沢山のお話を読みました。

ソレ以外が無かったからこそ、一心不乱に

好きになりました」

 

「好きに成らざるを得ませんよね」

 

ソレしか無いんですもんね。

 

「そのおかげ?と言えば良いのでしょうか。

先生との話題にもなりますし。

ご存じですか?英雄譚と言うのは地域の文化を

学ぶにはとても有効なモノなんだそうです」

 

「地域の文化ですか?」

 

先生らしい着眼点ですよねぇ。

 

「そうなんです。主人公が食べてる食事の

素材や料理方法。食事風景から始まり、

何を持って悪として、何を為して善行と

するのか。使う武器もそうですね」

 

「ほ~。言われて見れば確かにそうですね。

料理は文化の集大成だし、物事の善悪は

所属とか時代で違います」

 

ラキアにとっては開拓の歴史でもエルフや

小人族にしてみたら蹂躙の歴史。

クロッゾの魔剣なんかそのままズバリ

ですよね。

 

「春姫はそうやって外の世界と繋がっていた

と言うことを再確認できたんです。

だからこうして外の世界を見聞できる

ようになった今でも、自分を支えてくれた

お話は大好きです」

 

「なるほどなー」

 

その辺の無邪気な子供とは深さが違う

と言うことですよね。

 

「それに先生が春姫を箱の中から外に出して

くれました!ただの夢物語ではなく、本当に

あるお話にしてくださいました!」

 

おぉう!凄い笑顔です!

 

「だから春姫は先生をお慕いしてますし、

今の境遇も幸せだと思ってるんですよ!」

 

し、尻尾がすごい勢いでブンブンしてます!

 

「内縁の妻も先生公認ですもんねー」

 

「そうなんですよ!先生的には最初から

そんな感じだったらしいんですけど、

口に出して言って貰えたときは思わず

気を飛ばしかけました!」

 

お、大声で言うことじゃ無いですよ?

まぁ極東風の物言いを理解出来るヒトが

居ないから大丈夫だと思いますけど・・・

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「公認、内縁の妻・・・」

 

「おーい」

 

「ダメにゃ。今のリューは既に脱け殻にゃ」

 

「別に今までと何も変わってないにゃ」

 

「まぁそうだよね」

 

『繚藍と言えばアイツの料理の弟子にして

イシュタルファミリアの料理番。コレは

今のうちに助言を貰うべきか?』

 

「ミア母さんが悩んでるにゃ」

 

「あれは農家以上に外食なんてしない

ヤツだからしかたないにゃ」

 

「かなりのグルメらしいよ?」

 

「うん。あの人クラスの料理人が外食って、

リリルカが居なかったら普通に嫌がらせを

疑うよね」

 

「公認・・・ヤツが居なければ私が・・・」

 

『「「「ソレはない」」」』

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「けど、リリルカ様が春姫を外食に誘うなんて

珍しいですよね?」

 

珍しいと言うより初めてですよね?

 

「あぁそうなんですけどね?ダンジョン探索

の前に一度お話しておきたかったんですよ」

 

んん~?リリルカ様は旦那様の娘さん

みたいなヒトですからね。つまりは春姫に

とっても娘さんみたいなヒトです!

お悩みとか有るなら聞いてあげましょう!

 

ただし、その前に確認しなくてはならない

ことがあります。

 

「そのお話は、こういった酒場でしても

良い話なんですよね?」

 

先生は秘密が多い方ですからね。

春姫もカーリー様やイシュタル様と一緒に

お食事しながら色んなお話を聞いてますけど、

基本的に旦那様は情報を重視されますから、

話の内容は団長様ですら知らないんです。

 

本当に隠すべきお話については、カーリー様は

旦那様に協力を約束されましたし

情報戦も戦いと言ってましたから、自分から

吹聴して回ることはありません。

 

イシュタル様はあえて聞かないように席を

外しました。

 

もしもあのお話が漏れたら、間違いなく

春姫かリリルカ様が犯人です。

「知らずに話した」とか「悪気は無かった」など

関係ありません。

 

「あ~なんといいますか。そう言うことを

ちゃんと理解出来てるかどうかの確認も

あったんですよ」

 

「……あぁ、なるほど」

 

つまりは情報に関する危機管理の確認

ですか。

これからダンジョンに潜るにあたって

確認しておいて、もし問題があるようなら

ダンジョンで処理する予定でしたね?

 

「春姫さんは先生のことが大好きですし、

先生が不利になるようなことはしないって

言うのはわかってるんです」

 

当たり前ですね!今は先生に内縁の妻と

認められてますが、いずれ正妻様にお会い

した時に『こんなヤツ認めない』なんて

言われたら春姫は終わってしまいます!

 

油断慢心なんて絶対にしませんよ!

 

「『春姫は』と言うことは、誰か居るのですか?

先生に不利になるようなことをしようとする

不届きモノが」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「・・・何?」

 

「リュー、仕事中だよ」

 

「アッチに集中しすぎにゃ」

 

「・・・コイツのことじゃないかにゃ?」

 

「可能性は高いよね」

 

『やはり海鮮八宝菜の意見を求めるか?』

 

「「「ミア母さん、注文入ってますよ」」」

 

――――――――――――――――――――

 

 

さすがに春姫さんは大丈夫ですか。

ソフィアとか言う春姫さんの弟子が

先生に粗相を働いたって言うから、何か

愚痴でも言ったのかと思いましたけど。

 

リリの考えすぎでしたね。

 

「春姫さんも知ってるでしょ?あの貧乏神」

 

「貧乏神?あぁ、ろくに働きもしないで

ナァーザ様のお店の稼ぎを着服して、

先生の悪口を言い触らしているアレですか?」

 

春姫さんもアレ呼ばわりですか。

まぁ危うく地元の知り合いも騙される

とこだったって話でしたからね。

 

「先生の慈悲で生かされてますけど、

そのせいかナァーザさんがあまりにも

危機感が足りないんじゃないかって」

 

今はリリより親しいヒトが居ないから

大丈夫ですけど、最近はソレなりに交遊関係

も広くなってきてますからね。

例えばタケミカヅチファミリアの命さん。

同じ鈍感に恋するオンナとして、かなり

共感してるみたいです。

 

「ナァーザ様ですか。確かにアレを自由に

している時点で同罪ではありますよね」

 

「ですよねぇ」

 

アレだけ先生に世話になっておきながら、

何を考えてるのやら。

 

前は先生が自由にさせとけって言ったかも

知れませんが、今はナァーザさんが好きに

しろって言われてるんでしょ?

 

「先生へ恩を感じてるなら、監禁でも

何でもしろよ!って思いますよね」

 

「ソレはその通りですね。イシュタル様も

『袋詰めにして都市外追放してしまえ』って

何度も先生に言ってますよ!

ナァーザ様さえ居ればお薬は作れますからね!」

 

そうなんですよね。別にステイタス更新なんか

しなくても今のママでお茶は作れます。

先生の狙いがわからなければそう言う

意見も出ますよ。

・・・つまりは一番仲が良いイシュタル様も

先生の狙いはわかってないんですね。

 

流石は先生です!

 

ソレはともかくとして、この様子なら春姫

さんが筆頭様に粗相することも無さそうです。

 

 

ダンジョンでやんわり教えてあげましょう。

おそらくあの方が先生の正妻さんですからね。

 

 

 

あ、何か手土産とか必要ですかね?

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふむ、師にお会いするにあたりどのように

して出迎えるのが良いでしょうかね?

 

御足労願った以上は礼を尽くすべきですが、

久方振りに逢う私の成長を御見せするのも

弟子としての在り方です。

 

ただ、婚姻はされていないと言うことでしたが、

師の中で私の扱いはどういうモノなんで

しょう?

もしも妻と言う立ち位置ならば、また違った

お迎えをしなくてはなりません。

 

・・・私としてもここまでお待たせしておき

ながら今更正妻面する気はありませんが、

あまりにもふざけた輩がお側に居たら

どうしましょうか。

 

それが師の選択なら弟子として受け入れる

べきでしょうが、女としては・・・

 

とりあえず今の内縁の妻は狐と言って

いましたが、どんな狐なのやら。

 

 

 




主人公くん、気付く。

いや、実際狼さんの装備はそーゆーこと
出来るよね?

春姫とリリルカの二人は実は珍しい
取り合わせだったりします。
まぁリリルカが主人公くんに対して
恋愛感情より父性を感じてるから、
争いにはなってません。

白兎のツレは何かを知っている?

弟子、意外と気にしてるってお話


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81話

絢爛舞踏?による原作介入

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「わ、私達に剣を教えてくれませんか?」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

・・・どうしよう。

 

ティオネに言われた母趾内転筋(爪先じゃ

駄目なんだって)を鍛えるために外壁の

上を走ってたら、白兎みたいな男の子に

会って、アイサツしたら弟子になりたい

とか言われた。

 

なるほど、ティオナが言ってた通りだ。

自分の鍛練中に知らないヒトにいきなり

弟子にして下さいって言われても困るね。

 

ただ、別にまったく知らない訳ではないし、

謝る必要も有るんだよね。

 

今までは顔をあわせる度に逃げられてたから

謝れなかったし。

それを考えたら無下には出来ないんだけど……

 

「私はヒトにモノを教えれるほど

何かを修めたわけじゃないよ」

 

見た感じ二人とも完全な素人。

つまり中途半端に変な癖もついてないから、

ちゃんとした師匠について教われば

私みたいにはならないと思うんだ。

 

「そ、それでも貴女は私たちより遥かに

先を進んでる人です!」

 

遥か先、かぁ。ティオナとかティオネには

負けてるし、二人が勝てないって言う筆頭さん

とか、その筆頭さんが敵わないって言ってる

農家さんに比べたら私なんか全然だよね。

 

「前に進むためには基礎が必要で、私は

その基礎を学んでる途中。

だからヒトにモノを教えるなんて無理かな」

 

そんなことしてる暇があったら自分を

鍛えなきゃ。

ティオナとティオネもそうだけど、私が

リリルカさんに追い付くには寄り道なんか

絶対出来ないんだ。

あんな風に魔法も使えて広い視野をもってて、

踊るように戦えるようになるためには・・・

今の私には足りないモノが多すぎる。

 

「そ、そんな。それじゃベル君が」

 

「・・・エマさん?」

 

むぅ。この世の終わり見たいな顔してる。

だけど、実際女の子は双剣だし、兎少年は

ナイフだよね。

 

私じゃ教えられないよね・・・あ。良いこと思い付いたぞ。

 

コレなら私の訓練にもなるし、

多分フィンも許可を出してくれるよね!

 

「ちょっと聞いてくるから、返事は

明日でも良いかな?」

 

「え?聞いてくるんですか?」

 

ん?この少女は常識を知らないな?

他のファミリアのヒトに何かを

教えるなら団長の許可が必要なんだよ?

 

「うん。許可が無いとダメだから」

 

秘密にして欲しいとか言うヤツは悪いヤツ。

ティオネもそう言ってた。

 

「それはそうですよね!宜しくお願いします!」

 

うむ、兎少年はわかってるから悪いヤツ

じゃないみたい。

 

「よ、宜しくお願いします!」

 

むぅ。こっちは何か隠してる?

 

―――――――――――――――――――

 

 

「・・・それで私?」

 

「うん!」

 

この子はいつからこんな悪知恵を働かせる

ようになったのやら。

 

べートが別方向にランニングに行ってて

正解よね。

その場にいたら蹴り飛ばしてるし、ココに

居ても五月蝿く騒いでるでしょうね。

 

「アイズが言うように、彼にはファミリア

として謝罪が必要なのは確かだよ。

それに武装の件を考えれば、剣を使うアイズ

より双剣もナイフも使えるティオネの方が適任

なのも確かではある」

 

団長も苦笑いしてるわね。

 

豊穣の女主人でのアイズとベートの粗相だけ

なら私は関係ないけど、その元ネタである

ミノタウロスの怪物進呈はロキファミリアと

しての失態。

 

それだってアイズとベートが素直にラウルの

言うことを聞いてれば無かった話では

あるんだけどね。

 

「それならタケミカヅチを紹介した方が

早いのでは?基礎が出来てないと言うなら、

武神と言われる神が鍛えたほうが身に

付きますし、余計な怪我もしません。

月謝はこちらが払うと言う形であれば

謝罪になると思いますけど」

 

とにかく問題は過去じゃなくて今。

なんで私が他所のレベル1の駆け出しの

冒険者に指導なんかしなきゃいけないのって

話になるのよねぇ。

 

いや、素質が有るのはわかるわよ?

いきなりミノタウロスに襲われて生還できる

なんて中々居ないもの。

 

だけど自分の仕事や修行を後回しにしてまで

鍛えたいか?って言われたら、ノーよね。

 

「あぁ、確かにレベル差が有りすぎるから

下手に手加減を間違えれば重傷を与えて

しまうか。

同じファミリアならともかく、他所の

団員に怪我を負わせるのも良くない」

 

レベル6とレベル1で手加減間違えたら

普通に死にますからね。

借りを返すどころか、積み重なっちゃいます。

 

「け、けど、頼まれたから!」

 

アンタは私から技術を盗める時間を

増やしたいだけでしょうに。

 

『んーアイズたんの頼みやし、相手が

レベル1なら鍛えても脅威にはならん。

ファミリアとしては借りを返したい

ところやけど、流石にティオネを出して

までってのは微妙なラインやなぁ』

 

アイズのついでとか言い出したらベートも

参加してグダグダになるのは目に見えて

るし、むしろ団員を優先しろってなるわ。

 

アイズが我儘言うようになったのは

友達としては良いことだと思うし、

ロキやリヴェリアなら嬉しいんだろうけど、

その我儘が私に降りかかるなら・・・

単純に喜んではあげられないわ。

 

私はアイズのお母さんじゃないんだからね。

 

「別にアイズが教えてあげても良いんじゃない?」

 

「・・・ティオナ?でも私は」

 

「元々頼まれたのはアイズだし、悪いのも

アイズとベートだもん。最初に手加減が

苦手だから怪我するかもって条件で、

簡単な体術とか戦い方を教えてあけたら?」

 

良く言った!まぁ元々の話をすれば

そうなるし、ココはティオナに乗るわ!

 

「アイズの手加減の練習も兼ねると考えれば、

全くの無駄手間にはならないかもしれません。

最初にタケミカヅチを案内して、それでも

アイズの指導を望むならポーション代は

コチラの負担とすると言う形を取って

謝罪としませんか?」

 

これなら勢い余ってアイズが殺しても

問題無い・・・とは言わないけど、

十分な優しさを見せてるわよね。

 

『なるほどなぁ。そもそも駆け出し冒険者が

アイズたんに教わることがご褒美やし、

怪我の可能性を説明した上でポーションを

負担したり、事前にタケミカヅチを紹介する

なら、その後の修行で手加減を間違えて

痛め付けたとしても謝罪にはなるのか』

 

そうそう、本人がソレでも構わないって

言うならご褒美でしょ?

 

「で、でも・・・」

 

自分が不利になりつつあると気付いたわね。だが遅い!

 

「それに他人に教えることで気付くこともあるのは確かよ?」

 

筆頭様曰く、教えて学ぶの理よ!

 

「そうだね!それに変な癖がつくかもって

心配してるけど、そんな心配をしてあげる

筋合いは無いし、そもそもだけど多分

アイズが教えても変な癖はつかないよ?」

 

「えっ?そうなの?」

 

「それはそうよね。アイズは魔法剣士だから

普通の双剣使いやナイフ使いに技術を

教えることなんて出来ないもの」

 

まったく、そのベルとか言うのもエマとか言うのもアイズに何を求めたのやら。

 

「じ、じゃあ私は何を教えるの?」

 

そんなの決まってるじゃない

 

「「戦い方」」

 

「???」

 

 

―――――――――――――――――

 

 

ティオネに頼んで二人を鍛えてもらう

ついでに、私も修行しようとしたのに

・・・もう私が教えることになってない?

 

「つまるところソイツらは、アイズに教えて

もらいたいのよ」

 

『はぁん。そう言うことかい』

 

どういうこと?

 

「だからアイズが教えれば良いんだよ!

そうだなー。あっちから斬りかからせて

アイズが捌く。

その時に隙があったら蹴ったり、より

良い攻めかかり方を教えてあげれば

ソイツらの練習になるよ!」

 

ふむ、そうなの?

 

「アイズも未熟者が自分に斬りかかって

くるタイミングとか、そう言うのを見る

練習にもなるわよ」

 

おぉ!なんとか軌道だ!

 

「うーん。確かにそろそろアイズも指導の経験を

積んでも悪いことはない、かな?」

 

フィンまで認めるなら、きっとそうなんだよね!

 

「なるほど、そう言うものかもしれんな。

ただやり過ぎないように監督は必要だろう」

 

『「「「じゃあリヴェリアで」」」』

 

「な、何?!」

 

知ってる!言い出しっぺの法則だ!

 

「そう言うわけで、期間は次回遠征予定の

出発日の前日まで。具体的には10日間だね。

時間は午前中くらいが良いかな。

リヴェリアが仕事がある場合はガレスを

監督につけようか」

 

「お、おい!」

 

リヴェリアは決定だよ。何かあったら

回復魔法お願い。

 

「ん?儂か?」

 

ガレスは元々私たちを鍛えてくれたし、

何かあっても大丈夫だよね!

 

「ティオネとティオナは暫く温存したい。

大体こんな時期にわざわざアイズを狙って

弟子入りを申し込んで来るようなヤツは

信用出来ないだろう?」

 

えっ?そうなの?!

 

『確かにな。唯でさえギルドもヘルメスも

ディオニュソス達も何かしとるし、農家も

ダンジョンに潜るって話やしな。

アレは間違いなく筆頭さん関連やろ?』

 

「だと思うよ?元々ダンジョン探索は

予定してたみたいだけど、鈴のことを

考えたら無関係じゃ無いよね」

 

ほほう。農家さんは筆頭さんに会いに行くのか。

 

「「アイズ、絶対邪魔しちゃダメだからね!」」

 

「し、しないよ!」

 

私だって垂れ流しは嫌だよ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さて、コレでその二人はアイズに

押し付けることができたけど・・・

 

「ティオナは今回の件どう思う?」

 

「んーフィンが言った通り、アイズを

狙って来たのはわかるけど・・・」

 

そうよね。だけどそもそもの話、

何でアイズを狙って来たのかが

わからないわ。

 

『時期的に怪しいのも事実やけどな。

単純にその少年がアイズたんのファン

だったとかは無いん?』

 

「それだけなら弟子云々は無いわよ。

普通に仲良くしましょうで済む話ね」

 

実際コッチには負い目もあるんだし。

 

アイズ・ヴァレンシュタインって言う

ブランドに群がって来るような阿呆共なら

間違いなくそうする。

となると、弟子入りすることに意味がある?

 

「ティオネの言うとおりだよロキ。

アイズが有名な剣士なのは事実だけど、

ソレは指導者としてじゃない。

レベル1の冒険者が師事を仰ぐような

実績なんて無いんだ。さらに使う武器も

違う・・・明らかに不自然なんだよ」

 

「ですね。アイズが私に話を持ってきたように

ロキファミリアでナイフや双剣を使うのは

私ですから、私を師匠として紹介してくれって

言うならわかります。ですがアイズに弟子入り

したいとなると・・・」

 

『ま、それもそうか。・・・アイズたんの

人の良さに付け込んだ仕込みってことか?』

 

そうなるわよね。

 

「以前アイズに接触してきた影みたいな

依頼主が彼らの思考を操ってる可能性もある。

・・・と言うかその可能性が高いかな?」

 

「ですね。流石にレベル1の駆け出しが

私たちを罠に嵌めようと考えるのは

無理があります」

 

つまりソイツらは自覚が無いだけで

誰かの操り人形になってるわけね。

 

『そうなると怪しいのはソイツらの主神か?』

 

それは・・・どうかしら?

 

「ストレートに考えればそうだけど、

ココまで回りくどい事をしてくる敵が

そんな単純な手を打ってくるかな?」

 

団長の言う通りよね。

 

一応そう見せかけて・・・って

作戦もないわけじゃないけど

 

『・・・なんにせよ裏の裏って可能性も

あるから警戒はしとくべきやな。

あ、ちなみにそいつらの所属ファミリアはどこなん?』

 

疑い出せばキリがないけど、最低限

警戒しなきゃいけないところは警戒

しないと。

 

「少女の方は知らないけど、少年の方は

前にアイズがギルドのアドバイザーから

聞いてたらしいね」

 

わかっててなんで報告してないのかしら。

報告・連絡・相談の必要性は教えた

はずなんだけど。

あぁ・・・さてはあの子、自分で謝罪しようと

してたけど、色々あって忘れてたのね?

 

「報告してこなかった理由は色々ある

みたいだけど、今回は不問にしよう。

こうして謝罪する機会は得られたんだからね」

 

実際忙しかったし、今回は仕方ない、か。

 

「それで、少年の所属なんだけど・・・」

 

『「なんだけど?」』

 

「ヘスティアファミリアだってさ」

 

「ヘスティアファミリア?ですか?」

 

聞いたことないわね。

ん?ロキがプルプル震えてるけど?

 

『どチビんとこかい!!』

 

・・・知り合い?この感じだと、ロキと

仲が悪い敵と言うよりは、悪友?みたいな

感じなのかしら?

 

なんにせよ、少年の主神はロキに任せて

良さそうね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ソフィア』

 

「ハッ!」

 

『貴女の妹がアノ子に接近してるのは

知ってたけど、アレは本当に貴女の妹なのね?』

 

「ハッ!間違い無く妹のエマ・フローレスです!」

 

『・・・』

 

どういうこと?一つの体に二つの魂が

入って居るように見えるわ。

 

稀に居る前世の記憶持ちとかではない。

 

アレはあくまで魂が集合意識に溶け込む

前に転生した場合におこる現象だから、

結局魂は一人分だもの。

 

二重人格とも違う。アレも一つの魂を

二つに分割しているだけ。

 

ならアレは憑依とでも言うのかしら?

元の魂に何か別の魂が乗り移ってる?

 

『そのエマは昔からおかしな言動はあったかしら?』

 

「いえ、英雄譚を好むごくごく普通の子でした」

 

『・・・そう』

 

さて、コレはどう見るべき?コレは昔から

面倒を見ていたソフィアが何も気付かない

ような生易しい症状じゃない。

 

生まれた時から擬態していた?

それともソフィアと離れてから何かに

取り憑かれた?

 

普段なら【面白い】とか思うのかしら?

それとも【アノ子に近づくな】と警告

すべきなの?

そもそも、何故あのお人形に師事する

必要があるの?

それにチラチラとコチラを伺ってるわね。

私がアノ子を見てることを知ってる?

 

「わ、私の妹は何かに操られているのでしょうか?」

 

『その可能性は高いわね。ただその目的がわからないわ』

 

危害を加えようとしてるわけじゃない。

むしろアノ子の成長を促進しようと

しているの?

 

だけどソレなら師事すべきはロキの

お人形では無く、武術の基礎を習得している

タケミカヅチじゃないの?

彼はヘスティアとも仲が良いし、眷族の

レベル的にも違和感がないわ。

 

所属はヘルメスファミリアだったわね。

戻って来たかと思えば早速妙な動きを

して。一体なんのつもり?

 

『とりあえず今は様子見よ。動くべき

時が来たら貴女にも指示を出すから

今はその時に備えて鍛えなさい』

 

「ハッ!」

 

ソフィアに今まで以上に戦う理由が

出来たわね。

コレは彼女の成長に繋がるでしょう。

だけど一体アレは何がしたいの?

 

喧嘩なら買うけど、そんな感じでもないし。

 

ヘルメス・・・彼と違って私たちに何の

得も齎さない貴方の小細工。

 

楽しむには無粋が過ぎるわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくら文化的な私でも我慢の限界はあるのよ?

 




ドイツ軍基地に侵入しようとする
ジョセフ並に不自然・・・アレ?
あんまり不自然じゃない?

むしろあそこにドイツの基地がある方が不自然?

不自然とは・・・ってお話



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82話

地上は今日も大荒れのもよう

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


『ヘルメスがフレイヤのお気に入りに

ちょっかいかけてる?』

 

「らしいね。さっきソフィアが来て

フレイヤからの伝言だって言ってきたよ」

 

まったく、アイツがダンジョンに潜った

と思ったらコレだ。

 

フレイヤと私の仲違いを狙ったり、

アイツの悪評を広めたりと何がしたいのか

さっぱりわからん。

 

アイツが言うには、他はともかくヘルメス

の狙いは「物語を動かす」ことらしいね。

 

登場人物を定めて、勝手に試練を与えて

自分好みの英雄を作るのはゼウスやヘラの

同郷連中の癖みたいなもんだが、私たちを

巻き込んでまで育てたい子供ってことか?

 

それで私が興味を抱いて、その子供にちょっかい

出してフレイヤの怒りを買って戦争になる?

 

ちょっと前の私ならそれも面白そうだって

乗ったかもしれないけど、今はフレイヤの

子供より自分の子供の成長が楽しみだし、

食い物や飲み物の開発だって忙しい。

 

フレイヤの眷族がフレイヤ本人からの手紙を

持って頭を下げて習い事までしに来てるしね。

 

つまりその眷族は名代・・・ってことは

本人が私に頭を下げてるのと一緒だろ?

 

戦闘力で負けても技術力や文化の度合いで

勝ってるから悔しくもなんともないし、

正直わざわざ子供一人のために戦争なんか

起こす気はないんだよねぇ。

 

うんうん、アイツが言ったように元が違う

種類の美なんだから、住み分けりゃ良い

だけの話だったよ。

 

ヘルメスとの面会は明後日の予定だが、

おそらくヘルメスはフレイヤからの使者が

来る前に私に接触して興味を引こうと

したんだろう。

だがフレイヤの動きが早い。

いい加減連中の相手に疲れたか?

 

ギルドもヘルメスもディオニュソスも

ゼウスの同郷。

ロキやフレイヤ相手に何らかの策を

弄してる可能性は高いからね。

 

それなら私はどうするべきだ?

カーリーとアイツの狙いはわからんが、

ソーマからはアイツに頼まれて倉庫を

貸すことになったが、別に競合や敵対を

するつもりじゃないって連絡もあったね。

 

ソーマとカーリーは同郷だったか。

そうなるとガネーシャはどう動く?

アレも同郷だがギルドに近いよな?

知性ある魔物に関しては間違いなく

関わってるだろうが・・・アイツが

ガネーシャに何かしたって話は聞かないね。

 

つまりガネーシャはギルド側と踏んで信用

ならないと判断した?

 

まったく、アイツが動けばどれだけの船が

沈むやら。

とはいってもウチはイザとなったらここから

離れれば済むだけの話だから問題はないがね。

 

衣食住・それぞれに欲が宿る以上私は

どこでもやっていける。

 

あとは叔母様へ挨拶もしておきたいけど

・・・もともと簡単に大衆にお顔を晒す

ヒトでもないし、接触が難しいんだよねぇ。

 

「あぁ、それでそのヘルメスの眷族と

フレイヤのお気に入りが、ロキのところの

お人形に弟子入りしたんだとさ」

 

『はぁ?アレに弟子入りして何になるんだい?』

 

普通弟子入りするなら、アイツの弟子の

大切断か怒蛇だろ?

 

「ソフィアはアタシの興味も引きたいんじゃ

ないかって言ってたけどねぇ」

 

『あぁ、ソレもあったか』

 

昔はホント執着してたからね。

 

そうなると、ロキのお気に入りのお人形と

フレイヤのお気に入りの子供を使って

私たちを動かそうとした?

 

一応春姫の魔法を使えば今のフリュネと

アイシャならロキファミリアは潰せる、か?

 

んー九魔姫次第ではあるが、現状だと

潰せないまでも結構な損害を与えることが

できるね。

 

ロキかフレイヤ、どっちかに損害を与えて、

更に歓楽街の利権を狙ってるのか?

 

どんなお題目を並べても歓楽街が無い街は

無いからね。

私たちの力を落として、自分たちは莫大な

経済力を身につける。

そうやって敵対勢力を潰す算段でもしてる?

 

だとしたら舐められたもんだ。

奴らの都合に合わせて踊る必要もない。

 

『フリュネ、とりあえずヘルメスとの面会は中止だ』

 

「あいよ・・・潰すかい?」

 

さて、前回の探索でレヴィスとかいう

調教師に主力を潰されたらしいが・・・

ヘルメスの力は情報力とも言うべき力。

 

迷宮都市の外にアンテナを張ることで

私たちとは違う視点で罠を仕込むのが

ヘルメスのやり口だ。

それに「動かしている物語」とやらが

何を意味するのか・・・

 

『いや、まだだ。アイツが態々生かしてる

のには何か意味があるはずだからな』

 

そうじゃなかったらああして暗躍

してるヤツなんざ真っ先に消すだろ?

オラリオから離れてる時に闇討ち

したらそれで終わりだ。

ソレをしないってことは何かしらの

策が進行してるってことだろう?

 

「あぁ、旦那が無意味な事をしないって

のは同感だ。ヤツらを利用して何かを

計画してたら・・・潰すのはダメだね」

 

『そう言うこった』

 

少なことも私は叔母様もアイツも敵に

回す気はない。

あのヒトは私を可愛がってくれるけど、

絶対に甘くはないからね。

天界に帰った時にどんな目に遭わされるか

わかったもんじゃない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『用が出来た・・・か』

 

イシュタルもフレイヤも僕との接触を

絶ってきた。

さてコレはどういうことだ?

 

「無双農家さんがダンジョンに潜る際に

何かを言付けたのでしょうか?」

 

『・・・有り得るね』

 

実際彼は何年も前から何かを知っている

ようだったよな。

 

ただ僕がベル君を見つけたのは、彼が

迷宮都市に来ることを心配したゼウスが

僕に彼の事を見守るように頼んできたから。

 

つまり彼に対して僕が興味を持ったのは

今年に入ってからだぞ?

 

少なくとも二年前から何かを知ってたが

それは何だ?

 

まぁ今回のウチの眷族の壊滅はウラノスの

ところの眷族が僕の眷族を勝手に巻き

込んだから。

そこに無双農家は関係ない。

 

そのへんはアスフィにしっかり理解

させたからフィルヴィスみたいに

無駄に彼を敵視することはないだろう。

 

・・・そもそも僕が嫌われてる

からアレだけど、それだけなら彼は

手を出しては来ない。

 

彼は感情では動かない。自身の好き嫌い

すら許容する寛容さがあるからね。

 

じゃあ僕がいない間に何かがあって、

僕もそれに関係してると思われてる

って言うのが今の状況だよなぁ。

 

いや、普段から怪しげな動きをして

周りを煙に巻いてるのはわかるけどさ。

 

彼を見つけてからイシュタルやフレイヤに

対する仕込みも少しはしたけどさぁ、

警戒されるようなレベルじゃないだろ?

 

コレ絶対俺が黒幕扱いされてるよ。

 

実際今の段階で俺が関わってるのって

4割くらいだぞ?

オラリオの眷族の主力が壊滅して更に

影響力が減ったし。

 

まぁレベル詐称については、アスフィの

レベルアップは申請したし他は死んだから

誰にも突っ込まれることはないだろうけど。

 

だけど他に関しては潔白ってわけじゃない

から疑いを晴らすのは無理だし。

 

あぁ~ウラノスめ!余計なことを!!

 

あとミアハ!あの馬鹿少しは抑えろよ!

もうアイツの後ろに釣り糸が見える

レベルじゃないか!

 

なんでディオニュソスはアレと仲良く

してんだよ!

おかげで俺も共犯だよっ!!

 

コレでベル君に接触したら確実にフレイヤ

に喧嘩売ってるって受け取られるよね?!

 

「あの、それでヘルメス様?」

 

『うん?』

 

あぁ、農家の話だったっけ?

 

「エマをベル・クラネルに接触させて、

剣姫の弟子にしたのは何かの策ですか?

彼女たちと関わるなら事前情報が

欲しいんですけど」

 

『・・・は?』

 

エマ?確か姉を探しに来たとか

言ってた子だよね?

 

ベル君と接触してたの?剣姫の弟子??

アレと男殺しとの因縁知ってるよね?

 

つまり、現在僕はフレイヤのお気に入りと

ロキのお気に入りに眷族を接触させて、

イシュタルのところの団長を釣ろうと

してると思われてる?

だから会談も断られた?

 

いやいやいやいやいや!

無双農家とか関係なく自爆じゃん!

 

事前準備も何もできてないぞ!

 

男殺し一人でお腹いっぱいだってのに

何してんの?!

 

そもそもエマがベル君と関わってるのは

偶然だろ?・・・偶然だよな?

 

まぁそれは後で確認するとして、

なんで剣姫?

 

ベル君の交遊関係を見たら、弟子入り

するならヘスティアやミアハ絡みで

タケミカヅチがいるじゃないか。

 

まぁ彼もミアハとは普通の友神付き合い

以上の関係ではないらしいけど。

それでもヘスティアとは友神だろ?

 

このことをロキは知ってるのか?

もし知ってたら絶対警戒されてるよね!

 

 

どーーーーーすんだよぉぉぉぉ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ヘルメスファミリア?』

 

ここに来てヤツか。

 

「らしいね。特に隠すことなく

アイズに教えてきたそうだよ」

 

「あぁ、それは私も聞いた。それで

ベル・クラネル少年との出会いは、

彼がヘスティアファミリアに入って

少ししてから。

道に迷って悪漢に絡まれてるところを

助けてもらったんだそうだ」

 

つまり出会い自体は偶然?けどその後の

行動がおかしいやろ?

 

「彼女が24階層に居なかったのは

レベル不足が原因かい?」

 

まぁそれはそうやろ。ウチらかてレベル

1を遠征に組み込むことは無いからな。

 

「本人はそう言っていたな。あそこも

もともと団員は多いから、少なくとも

レベル2以上なければ遠征には参加

できないそうだ」

 

なるほど、だから遠征に関係なく

どチビの眷族と一緒に探索してると?

そこがおかしいよな?

 

主力が壊滅したなら真っ先にすべきは

再編成と育成や。

 

いくらヘルメスが都市の外を出歩いてる

言うても此処までダメージを受けて

放置なんざありえん。

 

悪巧みするにも手足が必要や。

アスフィがレベル4になったかて

一人じゃなんも出来ん。

 

その上で・・・

 

『そうなると、自分の眷族の再編成を無視

してヘルメスファミリアがアイズたんに接触

してきたってことになるんやけど』

 

こうなる。一体何が狙いなんや?

 

「自分たちが損害を被った以上、僕たちの

目を他に逸らそうとしてるとか?」

 

『他?』

 

なんや?

 

「例えばイシュタルファミリアの団長は

アイズと因縁があるよね」

 

『・・・ディオニュソスも前に言っとったな。

ウチらの中ではケリが付いとる事やけど』

 

アッチはそうとは限らんか?

 

まぁヘルメスも自分が胡散臭いと

周囲に認識されとるのは自覚あるやろ。

 

自分の勢力が弱まったところに止めを

刺されんようにイシュタルをコッチに

向けようとしとるんか?

 

向こうの団長はレベルが4で神秘持ち。

どんな切り札があるかわからんから

それなりの力がなければ潰せん。

 

そんでそれなりの力を持つウチラが

牽制しあってるうちに態勢を立て直す

つもりか?

 

しかし、そこにどチビのところの眷族が

どう関わってくるのかがわからんな。

 

「ベル少年に対してアイズに師事するように

強く推したのもエマと言う少女だそうだ」

 

『(ΦωΦ+)ホホゥ・・・』

 

「ロキ、その神特有の顔で会話を

するのはやめてくれ。

読むのが大変なんだよ」

 

『あぁスマンスマン。こうでもせんと

中から滲み出るモノを抑えるのが

大変でなぁ』

 

いやいやヘルメスめ。やってくれる。

 

「君の気持ちもわかる。ヘルメスは僕たちが

彼に対して借りがあることを理解した上で、

少女に接触と交渉を行わせアイズをテーブルの

上に載せてきたわけだからね」

 

「ベル少年もエマ少女も修行自体は

真面目に行っている。つまり彼女の

役目はそこまでだという事か?」

 

そうやろうなぁ。そのエマとか言う奴を

脅迫しようが拷問しようが何も知らんやろ。

 

「だろうね。問題はそこから何を仕掛けて

くるかって言うことだ。

感謝の気持ちとか言ってモノや食事を

与えられても、絶対に手にするなよ」

 

あぁ、神秘を使った道具を仕込みに

使う可能性もあるか

 

「・・・無垢な少年少女を使った

罠か。反吐が出るな」

 

ウチも偉そうなことは言えんが、

控え目に言ってもクズの発想や。

 

「あくまで可能性だ。他にも

何か企んでる可能性があるから

用心に越したことはない」

 

『せやな。絶対に隙は晒さんように

せんとあかん』

 

「そうだな。アイズには何も知らせずに

いた方が良いと思うか?」

 

・・・難しいところやな

 

「相手を引きずり出すなら知らない

ままの方がいいだろう。

下手に相手の誘いに乗る気が無いなら

教えた上で警戒させたほうが良い」

 

そうなるな。

あと留意すべきは細かい目的や。

 

『・・・イシュタルの仕業に見せかけた

襲撃とかがありそうやな』

 

「確かに、それもありえるね」

 

ティオナが言うには空を飛んで上から

爆発する薬を投げつけて来るとか?

 

アイテムの効果ならレベルも関係ないやろし

モノによっては相手が低いレベルでも

アイズたんにダメージを通すことも出来る。

 

流石にそこまでわかりやすいモンは

使わんやろうけど・・・

 

いや、まさか!

 

『ヘルメスめ、ウチラと無双農家を戦わせる気か!?』

 

「何だと!?」

 

「そうか・・・神秘を持ってるのは万能者

だけじゃない。

彼はダンジョンに潜ってるが、アイテムは

関係ないからね。

イシュタルファミリアと懇意にしてるし、

僕たちには接触禁止令が出てることも

知ってれば、眷族をイシュタルの連中に

見せかけて神秘のアイテムを使った襲撃を

させるだろう。

そうなれば真偽はともかくとして僕たちは

イシュタルファミリアに確認の使者を出す。

謂れのない誹謗を受けたイシュタルが

僕たちと戦うことを選べば・・・」

 

その場合、非はコッチにある。

イシュタルは実際何もしとらんし、

売られた喧嘩を買っただけ。

 

歓楽街を支配するイシュタルが、喧嘩を

売られてなぁなぁで済ませたら面子が

立たんから、喧嘩を売った方が全面的に悪い。

 

リリルカや筆頭さんと一緒に帰ってきたとき、

イシュタルとウチらが戦闘状態になっとったら

間違いなくヤツはイシュタルに付く。

 

『嫌やぞ!ウチは命奪崩壊拳を受けるのは絶対に嫌やぞ!!』

 

垂れ流しなんてしてたまるか!!

 

「もちろん僕だって嫌だ。自分の意思で

敵対して覚悟を決めた結果ならまだしも

・・・いやそれでも嫌だけど、

まぁ納得は出来る。だけど他人に

踊らされた挙句に喰らうのはダメだ!」

 

「よし、アイズに知らせて警戒させよう!

絶対に神秘のアイテムを使わせるような

隙を与えてはいかん!」

 

リヴェリアもか。まぁ当たり前や。

イシュタルに勝ってもその後がダメや。

アレンを子供扱いする筆頭さんは恐らく

レベル7に匹敵するし、農家だって

少なくともレベル6や。

闇討ちされたら防げる奴がおらんもんな!

 

『イシュタルにも使者を出しとこか?』

 

あくまで予想や。だけどコレはあかん!

万が一の可能性すら無くす必要があるで!

 

「そうだね。もし本当にイシュタルが

何かを企んでいても、コッチは警戒を

してるんだって事をアピール出来るし、

何も企んでないならそのまま友好の使者だ」

 

くそっ!農家がオラリオから離れた途端に

動きよってからに!

 

今は証拠が無いから手は出せんが

この恐怖は絶対忘れんぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えコッチの勘違いでも、紛らわしいこと

したヘルメスが悪いんやからなっ!




水銀さん各勢力に、勘違いされる。
まぁタイミングも日頃の行いも悪いから
シカタナイネ!

みんな最悪を想定するのは当然ですよねってお話


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83話

まさかの邂逅!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「ララララ~ラララ強くなれるよ~♪」

 

おぉ、ダンジョン探索だというのに春姫さん

のテンションが天元突破してますよ~。

 

「あ、あの、アレって良いんですか?」

 

ん?ナァーザさんが心配してますね。

普通ならダンジョンで歌なんて歌いま

せんからねぇ。ですが問題ありません。

 

なんだかんだでキッチリ警戒もしてますし

 

「大丈夫ですよ。ああして歌うことで、

敵を呼び寄せてから、手持ちの盾で敵の

攻撃を受けるのが春姫さんの訓練なんです」

 

本来のダンジョン探索ならありえない行為です

けど、今回は春姫さんの訓練も兼ねてます。

それに春姫さんも先生お手製の新装備を貰って

ウキウキですから止めるのも悪いでしょう。

 

「な、なるほど。それにまだ中層ですから

レベル的にも余裕もありますもんね」

 

そうです。加えて今はリリもいますからね。

だからアレは油断慢心ではなく余裕です。

 

しかし盾に射出機能を搭載ですか。

盾にシールドバッシュ以外の攻撃力を

求めるとは流石先生です。

しかも背中に背負ったランドセル?

バックパックとは違った機巧のよう

ですが何が入ってるんでしょうかね?

 

「とりあえずサポーターはリリがやりますから、

ナァーザさんは春姫さんと一緒に警戒ですね。

春姫さんが予期せぬ奇襲を受けないように

援護をお願いします」

 

「は、はい!」

 

春姫さんはおっとりしてて運動神経が

無いように見えますが、狐人さんですから

意外と勘も鋭いし俊敏に動くんですよね~。

 

「ラララララララ~どんなとき・・・もぉ?」

 

お?歌が止んだ?何かを発見しましたか?

15階層だと、また可愛いアルミラージとか

出ましたかね?ってこの感じはっ?!

 

・・・マズイ!!

 

「ナァーザさん戦闘準備です!春姫さんはコッチに下がってください!」

 

「「え?」」

 

あぁまだるっこしい!

なんでわからないんです?!

この感じは、明らかに強敵!

筆頭様に似てますが違います!

 

押しつぶす感じではなく刺すような圧力

ですし、あのときの筆頭様と違って

試そうとかそういうのじゃありません。

 

コレは明らかに敵意です!

ですがこの階層でここまでの威を出せる

魔物はいません。

 

ならば相手は先生と敵対する闇派閥っ!

 

「そこな狐、その歌をどこで聞いた?」

 

「ほぇ?」

 

ん?この声は女の子ですか?

 

いや、油断慢心ダメ絶対!

 

リリだって見た目は小さくて可愛い

女の子ですけどその辺の阿呆よりは

強いじゃないですか!

 

白いローブに身を隠してますけどわかります!

 

槍を持ちながら無造作に立ってるだけに

見えますが、アレは全方位を警戒した

構えですよ!

 

ウカツです!先生が実験のために先行

したところを狙われましたっ!

 

・・・けどこれって誰の油断になるので

しょうか?もしかして先生?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ロキファミリアとやらが遠征に来る前に

周りに無理を言って中層でお仲間を

探してたら・・・

 

まさか、まさか、先生がネコモドキたちに

教えていた歌をこのようなところで聞く

ことになろうとは思いませんでしたっ!

 

師姉様は他はともかく、歌だけは教えられ

ませんから間違いなく先生も居ます!

 

問題は先生の今のお立場ですよね。

冒険者に歌を教えていると言うことは

ヤツら依りでしょう。

 

・・・絶対に気絶は出来ませんね!

 

あとはコイツらとの関係です。ネコモドキの

ように先生から直接聞いたのか、構えの未熟

さから見て他の弟子や関係者から聞いたと言う

可能性もありますか。

 

いやはやエインさんにお会いする前に、

この情報は絶対に逃せません!

 

「そこな狐、その歌をどこで聞いた?」

 

さぁ答えろ!さっさと答えろ!答え置いてけ!

 

「ほぇ?」

 

ちっ!さっさと質問に答えろと言いたい

ところですが、先生の関係者である可能性を

考えれば、最初から力ずくや無礼は交渉な

出来ませんよね。

 

動きを封じるために威圧して

姿を見せてしまいましたが、

今の私はローブに包まって槍を持つ

小柄な存在。

 

控えめに見ても怪しい存在です!

先生の関係者なら明らかに怪しい

奴に情報を出すわけがありませんよね。

 

さて、どうするか。

 

「春姫さん!小柄な女の子でも武器を

持って威圧してくる敵です!

油断してはいけません!」

 

「は、はいっ!」

 

ほう犬耳は論外ですが、後ろの小娘は

構えと言い呼吸と言い、やはり我々と

同じ流派の教えを受けているようです。

 

コレが先生が直接教えているのか、

それとも同じ流派というだけなのか?

 

また一つ聞かねばならないことが出来ました。

 

ま、その程度では基礎の基礎段階ですがね、

この私に長物で挑むには30年足りません。

 

しかしどのような素性であれ相手は冒険者。

どこに仲間が居るかわかりませんし

こちらも情報を搾り取るまで殺せません。

 

万が一先生が居たとしても、会話する前に

奇襲で気絶させられたら奇跡の部屋が

待ってます!

 

ここは一度叩きのめして奥に運び自由を

奪った後に話を聞いたほうが良いのかも

しれませんね。

戻るのが遅れれば他のお仲間も来て

しまいますし。

それに小娘は、私なら楽勝ですが他の

お仲間だと負けちゃいますよね。

 

つまりは短期で仕留めて迅速に尋問する必要があります。

 

解唖門天聴が使えれば楽なんですが・・・

 

もし小娘が先生が鍛えてる最中の弟子で

近くに先生が居たら折檻でしょうけど、

妹弟子に稽古を付けたという事にして

おけばなんとか・・・なったらいいなぁ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

マズイです!

 

筆頭様が言うにはリリの棍術はまだ基礎の

基礎段階で、技を習得する段階ではないと

のことでしたが、相手は明らかにリリより

上の使い手です!

 

レベルも恐らく5以下と言うことは

無いでしょう。

 

「で、質問に答える気はあるか?」

 

くっ!これだけの圧力を出しても春姫さんや

ナァーザさんは理解できてません!

リリにだけ圧力を飛ばして来てますね!

 

「あ、それはですねぇ」

 

「春姫さん!情報漏洩は処刑案件ですよ!」

 

何を口走ってるんですか!

 

「あっ!そうです!お教え出来ませんっ!」

 

リリには威圧で動きを止めて、春姫さんには

敵意を感じさせずに情報を引き出そうとする

とは・・・

いや、もしかしたら本能的にリリたちが危険

と判断して情報を渡そうとした可能性も

ありますね。

 

「ふむ、まぁ言っていることはキサマらが

正しい。命惜しさにペラペラと情報提供を

するような冒険者に生きる価値はない」

 

はぁ?今なんと言いました?

 

「リリは杜氏兼サポーターです!冒険者

なんかと一緒にするんじゃありませんよ!」

 

たとえどんな敵でもコレだけは譲れません!

 

「はぁ?」

 

「そ、そうです!春姫はサポーターで内縁の

妻です!冒険者なんかじゃありません!」

 

「はぁ?」

 

・・・二人の気持ちはわかります。

春姫さんの譲れないこだわりですがココで

内縁の妻とか言われても困りますよね。

 

「・・・薬師です」

 

「はぁ」

 

・・・二人の気持ちはわかります。

実際今のナァーザさんは薬師というよりは

お茶とお菓子の作り手ですからね。

 

それ故、妙に自信のない宣言になってしまい

相手の方もどうしていいか分かってません。

 

このグダグダ感はどうしたら

良いのでしょうかねぇ?!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

杜氏?お酒作る人ですよね?

サポーター?冒険者とは違うんですかね?

 

薬師?妙に自信なさげだし、二人も

嘘じゃないけどなんか違うって感じの

微妙な空気を出しましたね。

 

しかし最大の問題は狐が内縁の【妻】

と言うことです。

 

・・・誰の?

 

もし先生のだったらどうなりますかね?

 

・・・

・・・

・・・

 

こ、ココは謝罪すべきですか?

い、いや、実際私ってどんな立ち位置?

 

子は居たけど妻とかそう言う関係じゃ

無かったですよね?

 

弟子とかの序列なら上位ですけど、

妻としての奥向きの序列って一体

どうなんです?

 

師姉様が正妻様になるんですか?

いや、気持ち的にはそうですけど、

でも先生も師姉様もそんなこと一言も

言ったこと無いし。

 

そうなったら内縁の妻と認められてる

この狐・・・殿が一番上なのですか?

 

え?もしかして先生の奥様なの?!

 

けど内縁の妻って正妻様じゃないですよね?

 

けど正妻様がいなければ内縁の妻でも

妻って名乗ってるし、奥様扱いしなきゃ

ダメなんじゃないでしょうか?

 

い、いや待て、落ち着け姜維!

白ッ子は慌てないのだ!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「オッタル?お前ミノ相手に何してんだ?」

 

「・・・お前か」

 

お前かって、まぁ俺だが。

 

「ふむ……お前ならよかろう。フレイヤ様の

ご命令で試練を作っているところだ」

 

試練だ?あぁ主人公か。

 

「レベル1の白兎の試練に強化種・・・

ではないな。多少鍛えたミノを当てると?」

 

リリルカからの情報だと魔法も取得したって

話だしな。

魔法の性能とステイタスによっては勝てるか

どうかってところか?

 

「ほう、これだけでわかるとはな。話が早くて助かる」

 

「まぁな。しかし何故ミノなんだ?わざわざ

強化するならオークの強化種の方が細かい

武器も使えるし強敵になると思うんだが」

 

戦い方によってはあの白兎でも勝てるしな。

ミノの場合咆哮くらったら終わるんじゃね?

 

「これはあの兎のトラウマでな。克服することに意味があると踏んだ」

 

「トラウマ?レベル1でミノに?

・・・あぁそういえばリリルカが

ロキファミリアと潜った時にミノの

怪物進呈したとか言ってたな」

 

なるほど。確かにトラウマの克服は大事だ。

魔法を与えて試練を与えてレベルアップ

させるつもりか

ただステイタスはどうなるんだ?

 

「しかし今から作っても白兎の成長が

間に合わんと思うんだが・・・

誰かアレを鍛える予定でも有るのか?」

 

「いや、まだだな。だがその時になって

『試練がありません』では格好がつかん」

 

格好って。いや、黒幕は黒幕なりに

色々下準備してるもんだけど。

 

「あぁ、それとお前自身の手加減の練習もあるのか?」

 

普通ならミノごとき鍛えるどころか撫でるだけで死ぬからな。

 

「・・・それもあるな」

 

あ、コイツ結構な量のミノを消費

してやがる。

 

必要な時に必要なミノを作るための

作業か・・・哀しいやつだ。

流石一人でバロールを狩りに行かされた

だけのことはある。

 

「・・・その可哀想なモノを見る目は止めろ」

 

「それ以外どんな顔すれば良いんだよ」

 

笑えば良いのか?

 

「……まぁ良い。似合わんことをしてるのは

自覚してるしな。

しかしお前はココに何をしに来た?繚藍や

紅魔を連れて一番弟子に会いに行く

予定ではなかったか?」

 

アレンからの情報か。実際そうなんだが。

ソレを考えたら普通は17階のこんな

微妙な場所に来ることはないよな。

 

「下に潜る前にこの階層で実験したいことが

あってな。その為の場所を探してたんだ。

巻き添えが出ると困るから近場に人が

いないところに来たんだが、なんか

知り合いの気配がするから見に来た」

 

実際、なんでこんなところに居るんだ?って

思ったからな。

普通に探索とかマッピングしてるところに

お前が居たら他の冒険者は腰抜かすぞ?

 

「なるほど、しかし実験?コイツらでも使うのか?」

 

確かに弟子はルー・ガルーとかバーバリアン

使って秘孔の実験してたみたいだけど。

残念ながら今回は秘孔の練習じゃない。

 

「いや、用があるのはジャガーノートだ」

 

「・・・はぁ?」

 

その何か可哀想な者を見る目は止めてさしあげろ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

またコイツはわけのわからん事を・・・

 

数年の付き合いでしかないが、コイツが

無意味な事をしないのはわかってる。

 

隠し事はするが無駄な嘘も吐かん。

ならば実際ジャガーノートに用が

あるのだろう。だが邪魔だ。

 

「下層や深層でやったらどうだ?」

 

別に他の冒険者がどうなろうと

知った事ではないが、16階層より

17階層の方がミノタウロスの

質が良いみたいだしな。

 

コイツに荒らされても困る

 

「まぁまぁ、お前もアレンから聞いてる

だろうがジャガーノートは階層と出現

回数でその強さが変わるらしいじゃないか」

 

「・・・そうらしいな」

 

こいつの一番弟子は一体どれだけ殺したんだ。

アレだろう?以前俺たちが殺したのもコイツの

一番弟子が床ごと切ったんだろう?

 

迷惑だ、止めさせろ。

 

「つまるところ、同じ中層でも17階層と

24階層で違いがあるのかを知りたくてな」

 

「これだから研究者は・・・」

 

他人の迷惑を考えろ

 

「おいおい、結果によってはジャガーノート

の素材取り放題だぞ?今のところ深層の

ジャガーノートの装甲はあるが、中層との

差がどれだけあるかで装備品の強弱も

変わるんだ。お前だって魔法反射する

武装があったら強いほうが良いだろう?」

 

ふむ、言ってることはわからんでもない。

同じミノタウロスでも強弱があるし、

強い方が素材も良いモノになるだろうよ。

 

「魔法反射か・・・確かにそそられるが、

ジャガーノートの装甲は軽いが故に硬さも

そこそこだと言う話じゃなかったか?」

 

それでも肩当てや小盾にすれば

かなりの有効性があるとは思うがな。

 

「そのへんは俺の加工技術だな。

剣は無理だが、防具には不壊属性と

魔法反射を付けることは可能だぞ」

 

「ほう・・・」

 

相変わらずわけのわからん奴だが、

既存の常識に囚われない新装備の開発に

関しては単眼の巨師や神ヘファイストスに

比べて圧倒的に上なのも事実。

 

「武器もな。面白いものを開発中だ」

 

「面白いもの?」

 

コイツが言う面白いモノか・・・

7割はネタだから油断はできん。

魔剣でもないのに爆発とかするんだろ?

 

「あとはそうだな。ジャガーノートを

量産出来ればレベル3やレベル4の

冒険者も量産出来るようになるだろう」

 

「・・・ほう」

 

単純な偉業や上位経験値と言うわけではない。

何かしらの根拠が有るようだな。

 

実際レベル3に上がったばかりの

ソフィアをレベル4にして見せたんだから

ハッタリではないだろう。

 

アレンもレベル7になったし、コイツも

間違いなくレベル7。

 

・・・もしやレベル8になるための条件も

掴んでいるのか?

 

もしそうだとするなら聞き出したいところ

だが、コイツとてタダで研究成果を渡す

ようなヤツではない。

だからと言って無理矢理は悪手。

そもそも戦闘の相性が悪い上、コイツとの

敵対はフレイヤ様の許可が必要だ。

 

許可があったとしても死なないように

手加減出来る相手でもないし、万が一

相討ちなんかしてみろ。

 

・・・噂の垂れ流しはゴメンだぞ

 

つまり今は情報を引き出すために此方から

出せるモノが無い。

むしろミノタウロスへの手加減に助言が

欲しいくらいだ。

 

さて、この状況はどうしたものだろうな。

 

「ま、とりあえずは見ておけ。面白い

内容ならフレイヤにも教えてやれば

良い土産話にはなるだろ?」

 

確かに『延々ミノタウロスを殴り倒して

ました』という報告よりは間違いなく面白い

だろうな。

 

「・・・良いだろう、しかしこっちの仕事の

邪魔をするんだから対価として飯でも

出して貰おうか」

 

 

保温付きの弁当くらい持ってるだろ。

 

よこせ。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・つまり貴女はどちら様の内縁の妻

なのでしょうか?」

 

「旦那様は先生ですよ?」

 

「先生?教頭先生ですか?」

 

「教頭先生?先生は先生ですよ?」

 

「「「「・・・」」」」

 

 




弟子は隠すつもりがなかったので
リリルカたちも一目で同門だとわかりましたが
白っ子は隠してますので同門とは思われません
でした。

戦うよりも話し合いをえらんだもよう。

ちなみに見た目はローブと覆面。
更に冒険者の装備を剥ぎ取って作った
簡単な服を装備してます
結果として、北斗○拳に出てくる
修羅の国のボロみたいな感じです。


オッタルとは普通に会話する程度の仲。
まぁフレイヤもミアも認めてるので、
ソレなりに交流はありますってお話。


ウカツ!・・・今までウラヌスだと思ってたら
ウラノスでした!


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84話

白っ子は色々都合があるのです

オリ設定!
オリ展開!

アレ?おかしくない?って思ったら
遠慮なく指摘してくれて良いんですよ?


嫌いな人は読み飛ばし!




グダグダです!グダグダですよ!

 

いや、どうもこの方も先生のお弟子さん

みたいですけど、キョウトウ先生とは

一体なんですか?

 

「埒が開きません。とりあえずそこな

小娘に棍術を教えたのは、貴女方が

先生と呼ぶ方なのですね?」

 

「こ、小娘ぇ?ソッチの方が小さいじゃないですか!」

 

「り、リリルカさん、そう言う話じゃないような・・・」

 

いえ、コレは譲れません!

勇者さんが無駄にこだわるのとは

訳が違いますよ!

 

「ふっ、小娘ごときの腕でこの私に勝てるとでも?」

 

「くっ」

 

実際今のリリではコイツには勝てませんっ!

この場は戦術的撤退を・・・

 

「あ~えっと、春姫はサンジョウノ・春姫

と申しますがソチラ様はなんとお呼びすれば?」

 

・・・自己紹介しちゃいましたよ。

 

そういえばアイサツしてませんでしたね。

いや、まぁ、コイツが言うキョウトウ先生が

先生のことなら、弟子としての先輩でしょう

からコッチからアイサツしなきゃいけない

のは確かですけど。

 

「ふむ、春姫殿か。私は・・・ウィーネ

と呼んで頂こう」

 

子供の癖に偉そうな喋り方ですね。

 

「で、そこな犬娘と小娘は?」

 

ほ、ほほう・・・まだ言いますか

 

「ナ、ナァーザ・エリスイスです」

 

「ナァーザな。先生の教え子か?」

 

「い、いえ、武術は教わってませんが、

お茶を使った薬品やお菓子の開発を

行っております」

 

「ふむ、お茶・・・やはり教頭先生で

間違いない?」

 

何を納得してるか知りませんが、先生は

先生です!お前の言うキョウトウでは

ありませんよ!

 

「小娘は小娘で構わんな。事実だし

別に訂正する必要はあるまい」

 

お、お前が言うなっ!と叫びたい

ところですが、コイツには勝てませんっ!

 

くそっ!無力なのがここまで悔しいとはっ!

 

「で、春姫殿?」

 

「な、なんでしょう?」

 

「先生は何処に?こちらにいらっしゃる

ならご挨拶をせねばなりません」

 

「あぁそれなら・・・」

 

「春姫さん、情報漏洩は処刑案件ですよ!」

 

ふ、誰がお前なんかに教えるモノですか!

・・・先輩だった場合下手に声に出したら

マズイですからね。

 

ですがこれなら文句も言えないでしょう!

 

「あぁ、それはそうか。教頭先生の情報

は極秘案件だからな。隠すのが普通か」

 

な、何ですと?!納得した?

これはシカタナイの精神ですねっ!

先生のお弟子さんの可能性が

さらに増しました・・・

 

でもリリはこんなに小さなお弟子さんが

いるなんて知りませんでしたよ?

いや、種族によっては見た目以上の歳と言う

可能性はいくらでもありますけど。

 

「かといってコチラにはコチラの

事情がある。ついていくわけにも

行かんし、どうしたものか」

 

そうですか、残念ですね、さっさとカエレ!

 

「えっと先生がウィーネ様のお知り合いとも

限りませんし、何か言伝でもしますか?

それで旦那様がウィーネ様の言う教頭先生

なら、何かしらのご指示もあるでしょうし」

 

「なるほど・・・」

 

ま、まぁ万が一本当に知り合いだった場合

「何でなにも言わずに帰した?」とか言われ

ても困りますからね。

 

言伝くらいは聞いてやりますよ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふむ、小娘はともかく春姫殿は流石内縁の妻殿です。

 

確かに彼女らが言う先生が教頭先生とは

別人だった場合を考えれば、言伝を

頼むのは悪くありません。

 

まぁほぼ確実に先生ですが、ココで

焦って下手な失敗は出来ませんからね。

 

万が一違ったら情報漏洩ですし・・・

その場合は小娘が言うように処刑案件。

 

エインさんが師姉様なら、先生の情報を

漏洩するような阿呆は間違いなく処刑です。

例え私でも、いえ私だからこそ師姉様が

直々に手を下そうとしますよね。

 

そうなると、どのような言伝が正しいのか。

 

白寿は・・・先生に教えてませんね。

 

師姉様と同じように姜の字を書いた

布と言うのも・・・今は染料になる

ものがありません。

 

血を使おうにも、下手に素肌を見せて

私が魔物だと知られれば言伝もして

くれませんよね。

 

先生がわかって、尚且つ情報漏洩に

ならないもの?

 

うーーーーーむ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

『自然に還れ』

 

「GUUUUU・・・・・」

 

「・・・なるほど」

 

相変わらずエグい魔法だ。

 

「ふむ、所詮は装甲頼りの魔法反射と言うことか」

 

魔法を弾く装甲があっても、目や口は装甲

が関係ないから、コイツの範囲魔法なら

問題なく通るということだな。

 

しかも正確には反射ではなく、魔法を弾くだけのようだ。

 

「魔法を反射するわけではなく、魔法を

弾く装甲か。

・・・ということは、装備品にしても

弾けるのは直接的な攻撃力を伴った

魔法だけか?しかしそうなると魔法の

結果生まれた事象である熱や冷気にも

効果が無いと言うことだよな。

適温維持や耐熱、耐冷気の方が使い勝手

は良いようだが。さて、この素材どう活用

したものか・・・」

 

それはそうだろう。紅魔のような魔力を

無効化させる武装が有るならソッチが

良いに決まっている。

 

最初に作ったのが性能良すぎてその後に

作ったモノが正当な評価がされないと

言うのも哀れなものだ。

 

「無いよりはあった方が便利なのも

確かだ。広範囲魔法も直撃しない

だけで随分違うからな」

 

「ほう。そういうものか?」

 

そういうものだ。

 

コイツは魔法を喰らったことが無いんだろうな。

 

しかしこの素材で出来た武装が有れば

九魔姫のような遠くから範囲攻撃を

ぶち込んでくる敵に対しても有利に

なるだろうよ。

 

「あとはそうだな・・・直接的な魔力攻撃を

弾くなら、遠くからぶっぱなすだけの魔剣に

対してはどうなる?」

 

「おぉ、その発想はなかった。

そうか、魔剣対策にもなるのか」

 

気づいてなかったか。まぁコイツは

その魔力を斬れる武装を持ってるから、

遠距離攻撃なんざ興味ないんだろうな。

 

「俺達クラスになれば注意すべきは意識外

からの狙撃だ。例えばだが、もしコレを

外套のように加工出来たなら要人警護にも

役立つだろう」

 

外套の表面に貼る感じで出来るのなら

フレイヤ様に一着用立てて欲しいモノだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

オッタルが意外と協力的な件について。

 

アレか?やっぱり一人でミノの相手は

寂しかったか?

 

まぁわからんでも無いぞ?

多分バロールの討伐も相当寂しい

思いして殺ったに違いない。

 

「しかし外套という発想も無かった。

魔剣対策といい中々柔軟な発想してる

じゃないか」

 

いやマジで。脳筋の代表みたいに思ってたが、結構考えてるのな。

 

「・・・お前が何を言いたいかは

この際不問にしてやる。

ただ敵を倒すのではなく、フレイヤ様を

御守りすることを考えれば自然とこの

発想が出てくると言うだけだ」

 

「あぁ要人警護な。なるほどなるほど」

 

流石社畜の鑑。リリルカもびっくりするだろうな。

 

「そういうことだ。お前も守るべきモノを

見つければわかるようになるだろう」

 

「守るべきモノなぁ」

 

笑わせるな甘ったれども!

( `Д´)>)) д')!

 

って言うのが俺のスタンスだから、

守るべきものと言われても・・・

 

アイツ等は・・・別に守ってないな。

リリルカも・・・別に守ってないな。

春姫や弟子も・・・別に守ってないな。

 

と言うか守るってなんぞ?

どうなれば守ってることになるんだ?

 

一時的に庇うのは当然違うしなぁ。

 

まぁいいや

 

とにかく実験だ。

金属繊維の作り方はもう習得した。

あとはコレの養殖が可能かどうか

だよな。

 

剥ぎ取り→回復→剥ぎ取り

の地獄ループを養殖と言うか

どうかは微妙だが。

 

あとは数だな。一度に二匹は出て

来ないということだが、ココで俺が

拘束してる時に、下で弟子がダンジョン

破壊をしたらどうなるんだ?

 

階層ごとに強さが変わり情報を共有する

って話だが、中層とか深層。もしくは

10階単位か階層主で区切ってる

可能性もあるって話だよな?

 

元々は18階層の安全地帯を挟めば

どうなるかって実験だったが、コレは

もう少し深いとこまで確認した方が

良いのかもしれん。

 

この分だと、弟子と会ったら色々確認を

する必要があるな。

 

それと生きてる時に剥ぎ取った装甲が、

本体が死んだら消えるとかは困るから

やはり基本は単体じゃなく合金にしなきゃ

ダメか?

確実に装甲を落とすわけじゃ無いからな。

 

・・・いや、リオレ○スとかは尻尾を

切断すれば尻尾からも素材が取れた

ような気がする。

 

アレ?そうなると宝石樹に居る木竜とか

双頭竜も、尻尾切り飛ばして何らかの

保存方法を確立出来ればそのまま素材

GET出来るのか?

 

「おい」

 

「ん?あぁ、すまんな。ちょっと素材の

可能性について考えてた」

 

いやいや、寂しがりのオッタルを一人残しちゃいかんよな

 

「それは別に良い・・・おかわりだ」

 

あぁん?

 

おかわりってお前、料理はまるまる

残ってるじゃ・・・野郎そういうことか。

 

 

「てめぇ、さっきから白トリュフしか食って

ねぇな?

コレはな、メインの料理と一緒に食うんだよ」

 

モッツァレッラチーズとトマトのサラダ

みたいにな!

トマトとチーズとオリーブオイルを一緒に

味わうからこそ、「ゥンまああ〜いっ」

って叫ぶ一品だろうが!

 

何で白トリュフにトリュフオイルつけて

チマチマ食ってんだよ!

 

猪か!

 

「お前のところで作られた白トリュフだぞ?

イシュタルファミリアの料亭ですらお目に

かかれん一品だ。

食えるときに食うに決まってるだろうが」

 

確かに外に出してねーけどよ!

 

ウチの連中で食うか、ソーマのところで新酒

開発をさせるためのインスピレーションを

出させる時とか、リリルカの作法と味覚を

鍛えるために料理を作るときとか

春姫の味覚を鍛えるときくらいにしか

使ってねーけどよ!

 

「だからってトリュフの厚切りに

トリュフオイルかけて喰うってお前・・・」

 

「・・・確かに邪道ではあるだろう。

だがここは料亭でもなければ

高級レストランでもない。

ならば羽目を外して見るのも一興」

 

こいつ、アウトドアキャンプで偶然松茸

見つけて丸焼き+醤油で食らう学生か!

 

「一興じゃねーよ、羽目外しすぎだ。

これだけの量を独り占めしたとか

フレイヤが知ったら切れるぞ?」

 

アレか?ボッチ飯が寂しくてついつい

はっちゃけたか?

一応トリュフは弟子に食わせるためも

あって結構な量を持ち込んでリリルカに

持たせては居るが、このアホの食い方だと

即効で無くなるぞ。

 

「ソレは困るな。では土産を・・・」

 

「誰が包むか」

 

このクソぼっち。ついでに一回地上に戻って

フレイヤの顔見てエネルギー充填する気だろ?

どんだけ厚かましいんだ。

 

「ほう。その言い様だと、まだあるようだな」

 

ちっ、このアホ。無駄に鋭いな!

 

「これ以上はやらん。普通にメインと合わせて

食って終わりだ。情けとしてトリュフオイルと

塩なら土産に持たせてやろう」

 

コレはアイツらの自信作だからな。

イシュタルの料亭・・・と言うか春姫には

使わせてるが、フレイヤもお気に入りに

なれば、立場の向上にも役立つだろうよ

 

「それはそれで有り難く貰おう。だがそこまで出すならトリュフも出せ」

 

「寝ぼけんな。そこまでしてやる義理はねぇ」

 

そもそも味のなんたるかも知らん猪が。

ワスカバジ製の毒茸で我慢してろってんだ。

 

「ほう?」

 

「あぁん?なんだその中途半端な威圧は?」

 

俺を相手に『殺してでも奪い取る』をやる気か?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「「「・・・」」」

 

あのちっちゃいのと別れて、先生が

居るはずの17階層の合流予定地点

近くに来たんですけど、なんですか

この圧力は?

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ舐めるなぁぁぁ!」

 

「はっ!流石イノシシ!力だけは

・・・あるようだなぁ!」

 

「「「・・・えぇぇぇ?!」」」

 

こ、この声は先生とオッタルさん?!

まさか二人が戦ってる?

 

「リ、リリルカさん!なんかこの辺の

壁も壊れてますし、これ以上近づいたら

ヤバいんじゃないですか?!」

 

明らかにヤバイです!あのお二人が真剣

勝負なんかしたら余波で吹っ飛びます!

 

「だ、旦那様をお助けしなければっ!」

 

「春姫さん、落ち着くのです!」

 

「で、ですがっ!」

 

そう、落ち着けリリルカ・アーデ!

お二人が本気で戦ってたら周囲の

破壊はこの程度じゃありませんし、

今だって破壊音が鳴り響くはず!

 

「もしお二人が戦ってたなら、

我々が向かっても援護なんか出来ません!

むしろ先生の足を引っ張ってしまいます!」

 

レベル7同士の戦いなんか想像も

つきませんが、それでもオッタルさんは

迷宮都市で最強の座に君臨し続ける猛者!

 

先生曰く、あの方くらいのレベルになれば

自分に最適な呼吸も技も、ある程度本能で

理解しているからそうそう簡単には

殺せないとのことでした。

 

「春姫の魔法なら旦那様をお助けできます!」

 

春姫さんの魔法ですか・・・イシュタル様の

指示で秘匿され、先生すら知らない秘密の

魔法ですよね。

二人の戦いに干渉できるとすれば

援護系の魔法と言うことでしょうか?

 

・・・うん?魔法といえば先生の魔法は

相手の弱体化ですよね?

それなら何でオッタルさんが戦えて

いるんですか?

アレは特定の条件を満たせば発動する

魔法で、防御も解除も不可能なはず。

 

あの魔法で弱体化したらオッタルさんが

先生と戦えるはずがありません。

 

いや、ソレ以前に先生は狩人です。

 

予定外の戦闘をすることもなければ、

手ごわい獲物と正面から戦うなんてことも

絶対にしないはずですよね?

 

声を聞く限りだと罠に嵌めてるのでしょうか?

いや、それにしては少し悔しそうです。

 

力がどうこう言ってましたよね?

 

 

・・・・・・あ。

 

 

 

( ・ _ ・ )

 

 

 

 

「リリルカ様!何を落ち着いているんですか!」

 

「そ、そうですよ!直ぐに逃げないと!」

 

ナァーザさん、ココはなんとかして

恩返しする方向に動くところじゃ

ないですかねぇ?

 

こういうところで借りを返そうとする

人と逃げる人の違いって出ますよね。

 

「心配いりません。さっさと合流しに行きましょう」

 

「「え?」」

 

リリの予想が正しければ恐らくお二人は

争ってはいますが、戦ってはいませんよ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

り、リリルカ様が一瞬凄い真顔に

なったかと思ったら、さっさと奥に

行ってしまいました。

 

「な、ナァーザ様?」

 

「う、うん。リリルカさんは何かに

気付いたみたいですね。警戒してた

のが一気に無くなりました」

 

「そ、そうですね」

 

オッタル様と旦那様が戦ってると思ったのですが、違ったのでしょうか?

 

いえ、空気を震わせる緊張感は何も

変わってません。

ウィーネちゃんに対してはアレだけ

警戒していたリリルカさんが、この

気配の中で何の警戒もしていないって

スゴク・不思議です。

 

リリルカ様は一体何に気付いたのでしょう?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

あぁやっぱり・・・だから壁が壊れてたんですね。

 

「先生、ジャガーノートを土台にして

オッタルさんと腕相撲するのは

止めてください!心臓に悪いです!」

 

まったくこのお二人は!

当たり前のようにジャガーノートを

土台にして何してるんですか!

 

「ん?おぉリリルカ、遅かったな。

もう少しで勝つからちょっと待ってろ」

 

「・・・寝言は寝て言え。今のところ

4勝3敗で俺が勝ってるだろうが」

 

先生に4勝出来るオッタルさんが凄いのか

オッタルさんに3勝出来る先生が凄いのか

コレはもぉわかりませんね。

 

って言うかお二人の全力を受けて

ジャガーノートの頭が潰れてますよ?

まだ生きてるみたいですが、ソレは

何で生きてられるんですかねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそもオッタルさんはここで

何してるんです?




白っ子、お仲間の関係上一緒には行けない
ので言伝を頼むことにしたもよう。

お仕事を途中で投げ出すと怒られますし
立場の関係上、下手したら戦闘になりますから
慎重に事を進めます。

古代中国的価値観でも焦れば失敗するし
失敗=死 なので、自制と自省を忘れません。

オッタルはボッチ。はっきりわかんだね。



作者の勘違いはバンバン確認とか報告
して下され。具体的には宝石樹!
自分でも原作9巻読み直して「あっ!」って
なりましたが修正する勇気もなく・・・

いや、ほんとご指摘ありがとうございました。


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85話

色々動く主人公くん一味

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「試練、ですか?」

 

これだから冒険者は・・・と言いたい

ところですが、あの白いのは冒険者

として成功したいって感じらしいです。

 

ならその為の試練をあげるなら慈悲

になるんでしょうか?

 

先生みたいにしっかり告知しないのは

どうかと思いますけど、これは先生が

自分のスキルやアビリティを試す意味も

有りますから告知してるのであって、

普通の試練は突然発生するモノだと

言われたら・・・まぁそうですよね。

 

「・・・ベルに試練ですか」

 

あぁ、ナァーザさんは貧乏神繋がりで

色々縁がありますからね。

微妙なところでしょう。

 

「ふん。不満があるならお前が試練を

用意するか、力で俺を止めてみせるんだな」

 

「あ、い、いや!そういうわけでは!」

 

ナァーザさんが焦るのはわかりますよ?

オッタルさんを力で止めれるヒトなんて

・・・目の前に居ますか。

 

結局腕相撲は負けましたけど、

なんだかんだで正面からの力比べで

三回勝ってます。

 

他の試練云々は先生にやらせようと

した感じですかね?

話を聞く限り、手加減が上手く行って

ないようですし。

試練と言えば先生ですから。

 

ただ、恐らくですが先生は関与しませんよ。

 

むしろオッタルさんが。ミノを強化種に

しないままでどこまで鍛えられるのか

って言うのを見ようとしてますよね。

 

ですが、あの白いのも一度ミノに襲われて

おきながら何の対策もしないまま

ダンジョン探索を続けるような阿呆

ではないでしょう。

 

何があるかわからないからこそ警戒するし、

死にたくないからこそ準備するんです。

 

トラウマだって言うなら、確実に何らかの

準備をするでしょう。

 

・・・まさか「もうあんな事は無いよね!」

って感じで楽観視はしてませんよねぇ?

 

いやいや、ありえませんよ。レベル1の癖に

フレイヤ様だけじゃなく、ヘルメスと貧乏神、

さらに神ヘファイストスとも何かしらの繋がり

がある冒険者です。

 

それを考えたらオッタルさんが、ただのミノ

じゃ駄目だって言うのもわかりますね。

だってミノ対策をしてる相手ですもん。

 

・・・ついでにあのシツレイなヤツも

すっ飛ばしてくれませんかねぇ?

 

「それで、到着が遅れたようだがアレか?

コイツの叫び声のせいで圧力でも感じたか?」

 

いや、ソレもありますけどね

 

「・・・お前だって叫んでただろうが」

 

そうですね。要するに二人の叫び声と

圧力で動きが停まったのは確かですけど

 

「いえ、ソレもありますが、15階層で変なヤツに会いまして」

 

「変なヤツ?」

 

もうすっごく変なヤツです!

 

「えぇ、先生のことをキョウトウ?とか言ってましたね」

 

意味がわかりませんよね?

 

「・・・ほう」

 

あ、あれぇ?心当たり有る感じですけど

気のせいですよねー。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さて、この世界で俺を教頭と呼ぶのは

今のところアイツらだけなんだが・・・

まぁ弟子が居るくらいだ。

他の誰かが来てる可能性は確かにあった。

 

「その変なヤツはココに来てないのか?」

 

オッタルが居るから隠れてる可能性も

あるが、俺の気配察知には何も反応が無い。

 

コレが隠形だと言うなら相当だが・・・

 

「そ、そうですね。何かアッチはアッチで

都合があるので一緒に着いて行くことは

出来ないって言ってました」

 

ん?妙に焦りが・・・喧嘩でもしたか?

 

しかし都合、か。

わざわざダンジョンで接触してくる

くらいだから、まともな冒険者では

ないのは確定だが、何がある?

 

闇派閥に所属してて何かの作戦の実行中

なのか?いや、それならリリルカ達を

生かしておく理由が無いな。

 

まぁ俺の関係者だと思って生かした

可能性も無いわけでは無いが、

組織的には間違いなく敵対関係にあるんだ。

連中には俺の情報もソコソコ流してるから、

やっぱりこいつ等を生かして逃がす

理由がないよなぁ。

 

「外見と性別はどんな感じだった?」

 

なんだかんだで女の知り合いが多いが、

妙なヤツと言われれば楊修も法正も

孟達も立派に妙なヤツだからな。

 

この世界の女は基本痴女めいた格好しか

してないから、周泰や甘寧はむしろ普通に

見えるだろうし。

 

「性別は多分女で、小さいヤツでした!」

 

「多分?」

 

・・・貂蝉殿や卑弥呼殿を女とは言わんよな?

 

「全身ローブで隠してたんですよ!

あとは真っ白な槍を持ってました!」

 

「真っ白な槍か」

 

それで思い浮かぶのは白っ子だが・・・

全身ローブっで武器を持つってことは

レヴィス側か?

 

あいつ等と同じ知性ある魔物の可能性も

あるにはあるが、その場合は自分から

人前に出てくるようなことはしないはず。

 

「それなら何か預かりモノとか伝言とか

あるか?多分何かしらのメッセージは

持たせてると思うんだが?」

 

おそらく弟子と同じで、リリルカの

立ち振る舞いを見て俺との関係に

気付いたんだろう?

 

その上で俺を教頭と呼ぶなら俺たちに

しかわからない何かがあると思うんだが。

 

「はい、伝言を預かってます」

 

やはりそうか。

 

「伝言か、ならココで春姫の作った弁当と

トリュフを貪ってる猪は邪魔だな」

 

闇の炎に抱かれて消えろ

 

「ふ、負け犬の遠吠えか?」

 

「あぁん?」

 

「「「・・・」」」

 

腕相撲で負けたのは事実だから賞品は

くれてやったが、ちょっと調子に

乗り過ぎじゃないですかねぇ?

 

「ま、まぁ私たち三人も聞いてますし、

意味も分かりませんでしたからオッタル

さんが居ても大丈夫だと思いますよ!」

 

「ちっ」

 

「ふっ」

 

しかしまぁココまで話を聞かれてたら

巻き込むのもアリか?

誰かは知らんがレヴィス側かアイツ等

側は確定だ。

フレイヤ分の補給とトリュフを持ち帰る

ために地上に戻るだろうし、

上でヘルメス辺りが何かしてるかを確認

させるのも悪くは無いか

 

「『ビャッコは嫌いですがハクリュウなら

まぁ良いかなと思ってます。だからシセイ

はシリュウにしましょう』だそうです」

 

・・・なるほど白っ子か。

 

西蒙に行くときに散々言ってたからなぁ。

 

しかもわざわざその話題を選ぶと言うことは

・・・白竜、だろうな。

 

アイツは竜系の魔物にでもなったか?

だがそうなるとリリルカ達との

コミュニケーションは取れんよな?

ヒト型の竜とすればリザードマンみたいな

感じだと思えばいいのか?だが尻尾は?

 

考えればキリが無いが、レヴィスからは

新入りの情報も無い。

コレはアイツ等側と見て良さそうだな。

 

「あ、あの先生?」

 

「ん?あぁ、そいつは俺の弟子だ」

 

いかんいかん。こいつ等に対する説明も

あるし、何より猪がいるから、下手な

リアクションは出来んぞ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

またコイツの弟子か、紅魔が知らないと

なると一番弟子と同じところで鍛えてた

のがコッチに来たのか?

 

「えっと、リリが知らないってことは

筆頭様関連ですか?」

 

「そうだな、師姉と師妹って感じで仲良くしてたぞ」

 

やはりそうか。しかしアレンが恐れる

一番弟子に近い存在とはな。

一番弟子が文武を兼ねた勇者の完成形

ならばソレの途中ということだろう?

この情報はフレイヤ様もお喜びに

なるだろう。

 

一番弟子にしても、例の垂れ流しが

無ければ一度仕合を望むのだがなぁ。

 

「うげっ!」

 

ふむ、どうやら紅魔とは接触時に何か

問題があったらしいが・・・

 

まぁコイツの秘密主義の弊害だな。

 

「小柄と言っていたが、リリルカより小さかったのか?」

 

「は、はい。そのくせリリを小娘扱い

してきました!

・・・もしかしてそう言う種族の方

なんでしょうか?」

 

自分自身がそう言う種族だしな。

その辺は無条件に年下とは言えんか。

 

「いや、種族は・・・微妙だな」

 

「「「「微妙?」」」」

 

イエスかノーの答えで微妙?どう言うことだ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

・・・種族が微妙と言うことは、アイツは

知性ある魔物ですか!

 

先生の地元で教えを受けてて、コッチには

同類を探して保護するために来てるって

事ですよね。

 

それなら小柄なのもわかります。

魔物は知性があろうが強化種だろうが

歳を取ろうが、基本的な大きさとかは

変わりませんからね。

 

もしくは闇派閥で養育していると言う

人間と魔物の子供かもしれませんが・・・

 

いえ、それなら先生のお弟子さんと言う

事実に対して矛盾が生じます。

悔しいですがアレは明らかにリリより

長年鍛え上げてきた実力者ですし。

 

「では、アノ人は・・・」

 

「リリルカの予想通りだ。そうなると今すぐの合流は難しいな」

 

そうですね。今までは出荷されるのを

待って外で開放してましたから、

彼らは先生が自分たちの庇護をして

いると言うことを知りません。

 

下手に接触しようとするとギルドの

連中も嗅ぎ付けてくるでしょうし。

 

そうなれば先生の計画が露呈します。

 

フレイヤ様だって上から見てるときに

必ず先生を見るでしょうから、

アイツにだって気付くでしょう。

 

先生の足を引っ張るなんて駄目な

チビッ子ですね!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

紅魔が何かに気付いたが・・・何だ?

 

「しかたねぇ。オッタル。お前には

土産用のトリュフと情報をやる。

ついでにギルドの企みも教えるから

フレイヤに報告しろ」

 

「・・・報告が必要か否かを判断する

のは俺だが、情報の内容によっては仕事

の途中で地上へ戻るのも吝かでは無い」

 

トリュフも鮮度があるからな。

コイツのところのトリュフだけでも

立派な土産にはなるが、それに加えて

ギルドの企み、と来たか。

 

その弟子が関わっているのだろうが

間違いなく面倒ごとだ。

 

・・・ミノタウロスを撲殺するよりは

面倒ごとの方がマシと思えるように

なって来た俺も大概だな。

 

あぁ、ついでに手加減の情報も出させよう。

より効率的に試練に使う魔物が出来るなら、

フレイヤ様の命令にも反しないからな

 

「企みと言っても簡単な話なんだがな・・・」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『あらオッタル。アノ子の試練の為に

ミノタウロスを鍛えていると思ったけど?』

 

何か持ってるわね?

ちょっと大きめの箱だけど、何か貴重品

でも手に入れたのかしら?

 

・・・中層で手に入るモノでこんなに

大事そうに持つようなモノは無いと

思うんだけど?

 

「はっ!作業の途中で農家に会いまして」

 

『あぁ、彼もダンジョンに潜ったものね』

 

中層ならソレほど広くもないし、オッタルが

何かしてると思ったら接触してくる可能性は

あるわよね。

 

と、言うことは、その箱は彼からのお土産かしら?

 

特に装飾はない容器みたいだけど、

大事そうに持っていると言うことは、

もしかしたら【保温】が付いた箱

なのかしら?

 

・・・いまだにヘファイストスから返却

されないし、量産体制も整ったって言う

連絡が無いのよねぇ。

 

「はっ!一番弟子に会いに行く途中で、

ヤツが実験をするための場所を探して

いるところ、私を見つけたので接触

してきたとのことでした」

 

『なるほど』

 

そうなるとアノ子への試練もバレたか。

 

彼から見たら未熟な試練でしょうから、

少し気恥ずかしいわね。

 

「そこでやつとちょっとした力比べを行い

私が勝利したので、コチラを渡されました!」

 

『力比べ?!』

 

彼と?オッタルが?なんてこと!

 

レベル7同士のぶつかり合いなんて

お金を出したって見れるモノじゃないわ!

 

私は何故ソレを見逃したのっ!

 

「あ、力比べと言っても簡単な腕相撲です。

……流石に全勝は出来ず5勝3敗でした」

 

それだって全力の勝負ってことよね!

 

しかしオッタルに正面から挑んで3勝

出来るとは・・・彼はいい加減農家

名乗るの止めなさいよ。

 

「・・・申し訳ございません」

 

あぁ、それでもしっかり勝って来たのよね!

流石は私が見出して育て上げた勇者よ!

 

『いえ、良く勝って来たわ。謝る必要は

・・・あるわね。そういうのは次からは

きちんと告知してからにしなさい。

止めることはないけど、それ程の戦いに

観客が居ないのはよろしくないわ』

 

神力を使ってでも見学するわ!

 

「はっ!次回からはそのように心掛けます!」

 

まぁ彼も見世物になる気はないだろう

から突発的な出来事なんだろうけど。

 

それじゃあその箱は戦利品かしら?

あまり文化的ではないけど・・・

いえ、戦いも立派な文化だし、古来より

勝者には栄誉と報酬があるモノよ!

誰憚ることなく、胸を張って貰えば

良いのよね!

 

『よろしい。それで、その箱の中身が

戦利品なのかしら?それとも箱自体が

戦利品になるのかしら?』

 

普通は箱が戦利品なんて・・・と思う

かもしれないけど、オッタルも私と共に

赴いたヘファイストスのところで

【保温】の有効性を知ってるから、

箱だけでも立派な戦利品になることは

知ってるでしょう。

 

「はっ!箱もそうですし、中身もです!

またヤツからギルドの企みについての

情報を得た為、一度報告の必要が

あると判断して帰還致しました!」

 

『・・・ギルドの企み、ねぇ』

 

アノ子にヘルメスの眷属が接近してるのも何か関係があるのかしら?

 

「はっ。戦利品を味わいながらお話

することがフレイヤ様にとっても

無聊の慰めになると愚考しております」

 

『味わう?つまりソレは食料品なのね?』

 

ま、またふぉーてぃゃおちゃん

みたいなのかしら?

それならアレだけ大事そうに持つのも

わかるけど・・・作法は大丈夫かしら?

 

ちゃんと聞いてきた?繚藍も一緒に

ダンジョンに潜ってるから、聞きに

行けないわよ?

 

『アレンやソフィアは必要かしら?』

 

もし特殊なモノならあの二人の知識

が役に立つかも・・・

 

「いえ!今回は調理済みの品ではなく

食材と調味料ですので、お抱えの料理人に

調理させれば良いかと。

場合によってはミア殿を呼んできた方が

喜ばれるかもしれません」

 

『ミアを?』

 

いや、食材ですものね。この言い方ならば

私達も知る食材だろうし、珍しいモノなら

ミアもいじってみたいわよね。

 

「はっ!アレンやソフィアは・・・好みが

わかりませんので、呼ばれて喜ぶかどうか

は微妙です!」

 

ふむ、確かにそういう事もあるわよね。

オッタルは私の好みも知ったうえで

こう言っているのだから、間違いなく

私にとっては良い食材か。

 

もしかしてオッタルの好物なのかしら?

 

『では調理させましょうか。ギルドの

企みとやらはオッタルの提案どおり

食事を頂きながら聞きましょう』

 

この感じなら急ぎでは無いようだし、

彼に勝ったオッタルを労うのも

主神として当然のことよね

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

『ちなみに中身は何なのかしら?

あぁ、私を良い意味で驚かせるのも

アナタの計画なら深くは聞かないけど?』

 

彼との勝負に勝って手に入れた食材です

もの。悪いモノでは無いのでしょうけど、

彼が言葉巧みにオッタルを騙してて

食べた後に「凄く美味しい蜘蛛でした」

とか言われても困るわ。

一応確認はしないと駄目よね!

 

「はっ!驚いて頂きたいというのは

無論ござますが、モノは一目見れば

分かりますので隠す事もありません!

・・・ヤツの農場で獲れた白トリュフと

それを使ったオイル及び塩のセットです!」

 

 

 

 

 

 

( ˙-˙ )

 

 

 

 

 

「ふ、フレイヤ様?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『何ですって?!』




別に主人公くんは嘘が嫌いな正義の味方
ではないので、敵対勢力の情報や狙いに
関して憶測を交えた上で悪意を乗せて
話すことに躊躇なんてしませんよ?ってお話

普通5階でミノさんに遭遇したら
もっと普段から警戒しますよね?

フレイヤも顔文字できる設定です

だって神だもの。



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86話

猪と美白女神様。
ほぼ女神様ですな。

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


『喋る魔物、もしくは知性ある魔物?』

 

「はっ!ヤツの地元では珍しいには珍しい

ですが、それなりの数が居るそうです」

 

ふむ、確かに人魚やセイレーンのように

ヒトと同じ頭が有り、歌も歌えるなら

彼女たちなりの知性はあるわよね。

あとは共通語を教えて、本能を理性で

抑えることが出来れば良いのか。

 

『なるほどね。それで、私がその珍しい

モノを見たことがないのは、独占してる

連中が居るから、だと?』

 

「はっ、ギルドのウラノスやガネーシャは

それらと何らかの伝手を持っている

ようですし、闇派閥によって捕らえられ

外に出されたモノは一部の研究者や好事家が

買っているそうです」

 

・・・あぁ外に居たとしても

ソレが調教が終わった魔物と

言われれば納得はするでしょうね。

 

迷宮都市で行っている怪物祭りは、

彼らを認知させる為のモノだと。

 

ただそれだけなら私やロキにも根回し

して、保護を求めるわよね?

そうしないと遠征に行ったときに

討伐されてしまうわ。

 

いえ、私たちが遠征すると言う情報を

その連中に流してるなら、避難は

してるのでしょうけど・・・

 

だけどその場合だと連中が保護していない

喋る魔物は冒険者や闇派閥、それに知性の

無い魔物に狙われることになるわよね。

 

それもこれも彼の持つ情報が正しければ

と言う前提条件が必要になる。

ただ、実際彼が闇派閥を討伐してて、

その際開放した連中を農園で使ってると

言われれば、農作物の量とか納品の際の

不自然さも説明がつくのよね。

 

既にイシュタルやカーリー、ソーマも

知ってるときた。

 

この情報を私に教えた理由は、お弟子さんの

ことをオッタルに聞かれたことと、

私が見た目より魂を重視するからしら?

 

私としては見た目も重要だと思うけど

・・・それ以上に興味が勝るわね。

 

『ではリリルカ・アーデ達が会ったという

その弟子は紹介しては貰えるのかしら?』

 

小人族のリリルカより小柄で、リリルカ

より前から彼に師事していた存在となれば、

魔物かどうかは別としても明らかに私が

知らない種族よね?

 

ウラノスたちはそんな【未知】を独占

して何をしようと言うのかしら?

 

気になるわよね?

ソレらに神の恩恵は意味があるの?

レベルアップはするの?

魔法は?スキルは?アビリティは?

寿命は?子供に知性は引き継がれるの?

 

あぁ・・・コレは許せないわ。

こんなのを隠してるなんて許して

良いわけが無いわ!

 

「いえ、何でも弟子の都合で簡単には合流

出来ないそうです。ただ今後の探索で

白い槍を持った魔物が居たら、戦うことなく

交渉を願いたい、とのことでした」

 

『えぇ。それはコチラも望むところよ』

 

魔物たちにしてみれば冒険者は

問答無用で襲い掛かってくる敵。

普通ならコンタクトは取れないけど

・・・ガネーシャは調教した魔物と

して一緒に居ることで自然に交渉を

行ってきてたのね。

闇派閥もおそらく似たような方法で

彼らを見つけて、言葉巧みに誘い

出して捕獲していると言う事か。

 

ただ、すべての眷族に伝えるわけ

にはいかないのも事実。

余裕をもって魔物と交渉できる

実力がある子供でないと最初から

コチラを敵と見做して襲ってくる

魔物に殺されてしまうわ。

 

あぁ、私に教えたのはその他にも

子供たちへの統率の度合いもあるか。

 

ロキのところだと無駄に賛否両論で

内部崩壊しちゃうけど、コッチは

私が『最初に声を掛けなさい』と

言えば絶対にそうするし、

『他言無用』と命じれば必ず守る。

 

労働力や実行力としてではなく、悪だくみ

出来る仲といったところかしら?

 

うん、まぁこういう形で信頼されるのも

悪くないわね。

 

『それでウラノス達の狙いは?』

 

普通に共存するだけなら独占の

必要は無い。

我々に隠れて何かをしている以上

隠された狙いがあると見るのが

妥当な判断よ。

 

コチラもコレから情報収集するけど、

彼の私見も聞いて見たいわね。

 

「はっ!・・・ガネーシャは純粋にそれらと

の共存を求めていて、ウラノスは黒龍との

交渉を求めているのではないかと推察

しているようでした!」

 

『・・・なるほど、そう来るか』

 

なるほどなるほど。知性がある魔物がいると

言うのなら、アレに知性が無いはずが無い。

そしてゼウスやヘラが挑んで負けたアレに、

力で挑むのではなく交渉で何かを

得ようとしているのか。

 

有り得る。と言うか、そう聞いてしまえば

ソレしか無いように思えるわ。

 

『そうなるとヘルメスは?』

 

アノ子にちょっかいを出しているのは何か関係が?

 

「これに関わっているかどうかは不明ですが、

我々の試練に便乗しヤツを英雄として導き、

自分の作る物語の主人公に仕立て上げようと

している可能性が高いそうです」

 

・・・なるほど、ゼウスやヘラが

好きそうな話よね。

ゼウスが浮気して出来た子供をヘラが呪い、

周囲に悲劇を作り出して悲劇の主人公を

作るのが連中の娯楽だったもの。

 

それで可哀想に思って神にしただの

星にしただのと・・・本当に哀れに

思うなら浮気を止めるか、子供を守るか

ヘラを止めるかすれば良いじゃない。

ソレをしないのはそういう物語を

創り、眺めるのが趣味だから。

 

そうなると今回の物語は・・・アノ子が

それなりに成長したら、知性ある魔物と

引き合わせて友好の懸け橋とし、

その後で黒龍との交渉役にでも

するのかしら?

 

小柄でかわいらしい魔物に

「このヒトは良いヒトだ!」とか

言わせて周囲の同情と理解を得る?

 

それともその魔物を被害者に仕立て上げて

「こんな子供を虐めるのは許さない!」

とでも言わせるのかしら?

 

それで、私は時に試練を与え時に陰ながら

支援する謎の黒幕の役?

 

ふむ、簡単に考えても神にも魔物にも

ヒトにも認められた存在が歩む、壮大な

物語となるわね。

 

 

 

 

 

つまりその物語をヤツが作ると?

 

アノ子をその物語の主人公に仕立て上げると!

 

その主人公を裏で操り自分の娯楽にすると!

 

 

 

 

ふざけるな

 

 

 

確かに英雄を彩るには物語は必要不可欠。

私が彼に与える試練はまさしくその物語となる。

 

けどヘルメス、アレの創る物語は頂けない。

私が創るのはあくまで試練。

ソレを乗り越えた結果、試練は

彼を彩る物語となるの。

 

ヘルメスやウラノスが作った物語の

上を歩いた結果出来るような

安物の英雄では意味がないのよ!

 

アノ子は連中の物語で肉付け

されて良い存在ではない。

 

己の力で試練を乗り越え、己の

意志で進むべき道を定めるの。

それは決して奴らが敷いた道の上を

歩む存在ではない!

 

例え英雄となれなずに死んだとしても、

そうして生きた結果初めてアノ子の

魂は輝くのよ!

 

もしも事を成した後で、自分が神の操り

人形に過ぎなかった理解したら・・・

きっと彼の魂は歪んで汚れてしまうわ。

 

例え彼が自力で連中が作った物語を

乗り越えたとしても、その道中は

間違い無く意志も思想も無い人形劇。

 

その道中に失われた命に対する

責任は誰が背負うの?

アノ子が背負うの?確かに何も知らずに

用意された道を歩むとは言え、無知は罪。

 

知らないからと言って、行動に伴う

責任が無いとは言えない。

 

だけど、その黒幕たるアイツらはどう?

 

下界の子供を人形に貶め、悪知恵を巡らせて

悲劇を作り、ソレを眺めて遊ぶアイツらが

何も背負わないなんて許されるの?

 

私もアノ子には物語の主人公に相応しい

英雄になって欲しいとは思うけど、

 

その物語の脚本を作って監督まで

務めるなんて・・・

認めるわけには行かないわよね。

 

今のはあくまで彼の予想に過ぎない。

だけど実際アノ子の周りには

ヘルメスの眷属が居るし、何かを

企んでいるのは間違いない。

 

潰すか?

 

いや、ココまではおそらく彼も予想

してるのよね?

その上でヘルメスたちを生かしている

のは何故?

 

・・・そうか。そう言うことか。

これならミアハも殺さない理由にも

なるわね。

 

『オッタル』

 

「はっ!」

 

『試練に関しては今まで通りで構わないわ』

 

「はっ!」

 

なら私もその企みに乗りましょう。

わざわざオッタルを通じて私にヤツ等の

企てを教えてきたのはそう言うこと

なんでしょうからね。

 

それに彼の企みなら乗っても良い。

必要なら私が自分で用意するけど、

流石に今回は間に合わないわ。

 

他にもイシュタルとの打ち合わせにも

あったように、私たちを戦わせて歓楽街に

介入する口実を作ったり、ロキと戦わせて

我々の弱体化を狙うと言う策もあるので

しょうけど、ソチラには乗る必要が無い。

 

ロキの考えでは、私たちをどうにかして

操ってイシュタルと戦わせ、ダンジョンから

戻った彼と私たちを戦わせようとしてる

可能性が高いんじゃないかって予想した

らしいわね。

 

・・・実際ソレも有り得るわ。

連中が好きそうな手なのよね。

そうして双方の不信感を煽り適度に

介入して場を荒らすのが常套手段。

 

別に失敗しても自分達は損をするわけ

でもないから、いくらでも試せる。

 

・・・その結果、かなりの勢力が踊らされて

長期に渡り連中を倒せる勢力が生まれる

ことはなかった。

 

連中は私たちが悪で自分たちこそ正義と

嘯くのかもしれないけど、連中が上に

いたときは暗黒時代と言われるほど

治安が悪かったし、現在残ってるタナトス

だのイケロスだのは連中の同郷だし。

ラキアのアレスも同郷よね?

 

あまりの無法っぷりにアストレアが

天界の因習関係無しに恥と判断して

ブチ切れて粛清するくらいの連中よ?

 

そんな奴らが作る物語なんて完成

させるわけには行かないし。

その企みもわざわざ叶えさせてやる

理由も無い。

 

ただこうなると危険なのがアノ子の

主神であるヘスティアとヘファイストス。

 

ヘスティアも連中の同郷だし、顔見知り

だからいくらでも言い含めることは

出来るでしょう。

その上素直で考えが足りない子だから

連中から見たら最高の隠れ蓑よね。

 

・・・何も知らなければその眷族である

アノ子も私が守るんだから普通に

考えたら優良物件もいいところ。

 

ヘファイストスもなんだかんだで

ヘスティアには甘いし、中立を謳うが

故にギルドに操られたヘスティアにも

情報や力を与えてしまう。

 

力はともかく情報は不味いわよね。

ヘスティアは隠し事なんか出来ないし。

 

彼女たちとは距離を置く必要があるか。

 

今後の武装はゴブニュに注文かしら?

それともイシュタルに紹介してもらう?

 

まぁ市販されてるモノなら別に

どこのを買っても良いのだけど、

専属契約に関してはもう駄目ね。

 

別に鍛冶師はヘファイストスと

ゴブニュだけじゃないから新規の

開拓をしても良いし、なんなら自分達で

武装を整備するのも良いかも知れないわね。

 

……とりあえずヘファイストスとは

ファミリアとしての付き合いは

終わらせてしまいましょう。

 

ウラノス。貴方の考えは知らないけど

これだけの【未知】を独占されて笑って

済ますほど達観はしていないし、貴様らの

作る物語の中で都合のいい悪役にされて

笑って居られるほど甘くもないわ。

 

 

まぁ物語云々は私の考えすぎだとしても

やりかねないってだけで十分よ。

 

少なくともヘルメスがアノ子を【主人公】にしようとしてるのは事実でしょうからね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『フレイヤファミリアに所属する

冒険者が専属契約を断って来た?』

 

「あぁ、それも全員だ。コレは明らかに

ファミリアとしての決定だろう。

主神殿には何か心当たりがあるか?」

 

フレイヤがいきなりそんなことを

してくる?どういう事?

 

『・・・まさか』

 

「何かあるのか?」

 

『ほ、保温の壺を分解して元に戻せなくなったのがバレたとか?』

 

「何しとんじゃー!」

 

いや、流石に預かってるモノをそんな

風にしてたら不味いけど、それでも

いきなりファミリアとしての付き合いを

やめるなんて事するかしら?

 

私なら・・・するわね。

 

だってこれほどのモノよ?ヘスティア

にも言ったけど、コレは億なんて

目じゃない程の価値がある壺!

 

ソレを『バラした挙句元に戻せません』なんて言われた日には・・・

 

うん。戦争遊戯を吹っ掛ける自信があるわ。

 

そうなると何らかの方法でバレたのよね?

造り方や戻し方を聞こうにも、造った

彼はダンジョンに潜ったらしいし・・・

 

『どうしよう・・・』

 

「本来ならフレイヤファミリアに苦情を

言わねばならんが、理由を考えたら・・・」

 

『えぇ、非はコチラにあるわ』

 

むしろ声高らかに非難して戦争遊戯を仕掛けてこないだけマシよね。

 

ファミリアとしての信用とか眷族の

売り上げも不味いことになるけど

最大の問題は、この壺の賠償よ。

 

・・・い、一体いくら支払えば良いの?

そもそもお金で何とかなるの?

 

とりあえず彼がダンジョンから帰って

きたらドゲザでも何でもして修理して

もらいましょう!

 

その後でフレイヤにも謝罪して、怒りを鎮めてもらうわ!

 

専属契約については痛いけど・・・

信用を失ったのはコッチだものね。

元々腕が良い子達だから、直ぐにお金に

困るってことも無いだろうし。

 

追々信用を取り戻せば良いわ。

だけど、コッチはそうはいかないわよね。

 

『まずは謝罪の使者を送るとして・・・なんて謝ろうかしら?』

 

正直に言った方が良いのかしら?

けど流石にコレは酷い。

自分でもブチ切れ確定なんだから、

もっとソレらしい理由を考えないと。

 

「それ以前に誰が謝罪に行くのだ?

間違いなく針の筵だし、モノの価値を

考えたらそのまま殺されて首だけ

帰って来てもおかしくないぞ」

 

『うっ』

 

可能性が無いとも言えないわ。

 

私の失敗で子供を殺させるわけにはいかないと考えたら、私が謝罪に行かないと駄目よね?

 

だけど一番上が謝罪に行っても解決策が

無いって言うのは、私が来たんだから

ソレで許せ!って言うメッセージに

ならないかしら。

 

そうなったらアッチだってどんなに

怒ってても許さなきゃ駄目よね。

 

それでも

 

ゆ" る" さ" ん"

 

ってなったらもはや戦争しかない。

 

生産系の私たちがフレイヤと戦争?

しかも非はコチラにあるし、

戦争以前に理由を公表されたら普通に

全方位説教されて全面降伏よね。

 

・・・どうしよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『え?ヘファイストスから謝罪の使者?』

 

抗議じゃなくて謝罪?何で?何か企んでいたの?

 

「はっ!先程単眼の巨師が、手紙と

『手付けとして』と言ってオッタル様用の

大剣とアレン様用の槍を置いていきました!」

 

えぇぇぇ・・・謝罪の品が高価過ぎない?

 

更に椿が来ておきながら私に挨拶も無く

それだけのモノを置いてさっさと帰った?

受け取り拒否をさせないつもり?

 

ソフィアが、リアクションに困った表情をするのも当然だわ。

 

『その手紙は?』

 

「はっ!こちらに!」

 

とりあえず読んでみてから・よ・・・ね?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やりやがった!マジかよあの野郎!やりやがったっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これだから技術に溺れた技術者はっ!』




鍛冶神様は変態はっきりわかんだね。

今更ながら拙作は原作ネタバレとか
予想タグ必要なんでしょうかね?

原作は既読してる方が色々と脳内補完
しやすいのは確かですがガガガガガ


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87話

弟子接近中?

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


・・・先生の言うことが正しかったのは

わかるんですが、いくらなんでも簡単

過ぎませんかねぇ?

 

「はじめまして!私はマリィだよ!

貴女はお名前あるの?魔石食べる?

すっごく美味しいのが・・・あ、ごめん!

もう無いんだったー!」

 

ルー・ガルーに変身して単独行動を取って

みたら人魚がめっちゃフレンドリーに

接触して来た件について。

 

――――――――――――――――――

 

「リリルカ、お前は一人で37階層に行けるか?」

 

んん?急に何ですかね?

イジメ・・・は無いですね。

何かしらの修行でしょうか?

 

あぁ、まずは質問には答えないといけません。

 

「今日の朝までは大丈夫と言えたんですが、

あの先生のお弟子さんみたいなのが

居ると考えたら危ないかも知れませんよ?」

 

悔しいですが、ヤツはリリより強いです

からね。アレと同等クラスが一人でも

いたら逃げることすら出来ないでしょう。

 

「なるほど、もっともな話だ。それにお前が

単独行動をとったら闇派閥の連中も罠に

嵌めてくるかもしれんしな」

 

そうなんですよねぇ。基本的には

先生の作った武装がありますから

呪いだの魔法だのは効かないんですが、

それでもティオナさんが受けた物量を

利用した自爆突撃とかされたら面倒だし

普通に物理的な爆発を利用した罠とか

になると、ちょっと厳しいかもしれない

んですよねぇ。

 

「ならとりあえず三時間分くらい先行して

貰おう。そのくらいなら時間稼ぎや

戦い方で離れてても異常は知らせる

ことが出来るだろう」

 

「まぁそれくらいなら大丈夫だと思います」

 

時間稼ぎと言ってもいつまで稼げば良いのか

わからない場合と違って、大体の到着時間が

読めてて、先生が来るまでの間って考えれば

全力戦闘も出来ますからね。

 

最悪手とか足を無くしても、先生の薬が

あれば再生出来ますから相当無理も

出来ますし。

 

・・・それでもヤツには瞬殺させられ

そうですけどね。

まぁ先生が、ヤツの言うキョウトウって

言う存在らしいし、次に会ったらリリ達は

「筆頭様に会いに行く途中だ」って言えば

邪魔はされないって話でしたけど。

 

むしろ邪魔して先生と筆頭様に説教されれば良いのに。

 

「ならコレから三時間分先行してくれ。

ただし25階層からの水の迷都は、お前の

魔法でルー・ガルーに変身して移動する

ようにな」

 

「ルー・ガルーですか?・・・あぁなるほど、

確かに水の迷都ならあちらから接触して

来る可能性は高いですよね」

 

 

ヤツに会えれば一番楽なんですが、

会えない場合は誰かに言伝を頼まなくては

いけません。

ヤツはお仕事として同類の捜索と保護をして

歩いているようでしたから、単独ではなく

組織立って動いているはず。

ならば水の魔物の同類が居ればあそこに

居るでしょう。

 

人間の格好なら警戒されますが、見た目が

魔物で他の魔物と戦ってたら目立つで

しょうし、水の中からでもアチラはコッチを

見ることが出来ますからね。

あちらから接触して来る可能性が高いです。

 

いやはや、流石先生ですよ!

 

――――――――――――――――

 

なんて思ってた時期がありました。

 

「う~ん?喋れないのかな?おーい。私はマリィだよー!」

 

うん。スゴく・良いヒトなのは良く

わかりますが、このヒト絶対騙されたり

しそうですよね?

 

「あー。リリと申します。ハジメマシテ」

 

ソレはソレとして、アイサツは大事です。

 

「リリちゃんだねぇ。よろしく!」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

しかし冒険者とかならダンジョンに

潜るのは自分の意思だし、自己責任が

基本だから騙そうが殺そうが痛くも痒くも

ありませんけど、彼女みたいにただここで

生まれただけの存在を騙すのは正直

気が引けますね。

 

「なんか固いなぁ。持ってる棒も何か

ウィーネちゃんみたいだけど、もしかして

ウィーネちゃんに助けられたのかな?」

 

ウィーネちゃん?あのちびっこですよね?

やはりお仲間でしたか。助けられた云々は

アレですが今は都合が良いですね!

 

「リリは助けられてはいませんが、ウィーネ

さんに伝言を預かってるんですよ。

彼女が今どこにいるか知りませんか?」

 

「ほえ?伝言?ん~確かウィーネちゃんは

中層で仲間探しをするって言ってたような

気がするよ?」

 

知ってます。中層で会いましたからね。

 

「中層・・・上ですか。すみませんがリリは

コレから下に行かないといけないので

伝言お願いしてもよろしいですかね?」

 

「下?あぁ~最近は深層の方も探しに

行ってるんだっけ。リリちゃんも

深層生まれみたいだけど、大変だよねぇ」

 

最近は?今までは行ってなかったような

言い様ですが、最近深層で何かあったんで

しょうかね?

 

いや、今のリリの役目は情報収集じゃあり

ませんし、そもそも下手に話を長引かせて

ボロを出す訳には行きませんからね。

 

長話は厳禁です。

 

「まぁお仕事ですから。お仲間がいたら助けてあげないと」

 

「そーだよねぇ。今までは深層なんて

行けるのグロスさんしか居なかった

からお仲間さんがいても助けてあげられな

かったし。だけどまさか「一人で深層

に行ってきて」なんて言えないもんね~」

 

グロスさん?深層に一人で行ける

実力者ですか。いやいや、さっさと

終わらせないと!

 

「ですね。ソレでウィーネさんへの

伝言なんですが宜しいですか?」

 

「あ、そうだったね!どんとこい!」

 

どんと行くモノでも無いんですがねぇ。

 

「それでは『キョウトウ先生はエイン様と

お芝居を見に行きます』と伝えてもらえますか」

 

「あ、エインさんに会いに行くんだ?

お芝居ってことは地上?いいなぁー。

そうなるとキョウトウ先生はフェルズかな?」

 

流石筆頭様。当たり前に知り合いでしたよ。

 

いや、先生の地元には喋る魔物が居たらしい

ので、彼女くらい話しやすいと普通に

接触出来るんでしょうね。

 

・・・珍しい生き物だと思って水揚げしたら

彼女だったとかはありませんよね?

 

しかしフェルズ、ですか。

先程のグロスさんとは違うニュアンス

です。恐らくギルド関係者でしょう。

 

ふーむ。思った以上に情報が集まりましたねぇ。

 

もっと情報を集めたいところですが、

ここは筆頭様と合流してからの方が

良さそうです。

魔法での擬態がバレたら無駄に敵対

することになりますし。

 

「あぁいや、フェルズさんでは有りませんよ

とりあえず急ぎますので、また帰りにでも

お話しましょう」

 

筆頭様と一緒ならたとえ誰が来ても余裕で

お相手できますからね。

 

「あ、そーだよね。エインさん待たせたら

叱られるからね。ソレじゃエインさんに

魔石ありがとうございました。みんなで

美味しく頂きました!って伝えて貰える?」

 

普通に叱るんですね。流石筆頭様です。

 

それに魔石?あぁ、彼女らは強化種みたいな

感じで魔石を食べるんですね?

だから先生は魔石を持ち帰ってたんですか。

 

なるほどなー。

 

「了解しました。筆頭様にお伝えします」

 

「筆頭様?うん、それじゃヨロシク!」

 

よし。こんなモノで十分です!

これ以上は賭けになりますからね。

まずは今ある情報をきちんとお伝え

しましょう。

 

――――――――――――――――――――

 

小娘たちも一応冒険者ですから、警戒

するようにマリィ殿に警告に来たのですが

 

「私に伝言ですか?」

 

そんなのわざわざマリィ殿にしなくても

巣にいる仲間にすれば良いのに?

 

「うん。初めて会う子だけど強い子だった

から深層生まれの子だと思うよ?」

 

深層生まれのお仲間?ソレが上から下に?

マリィ殿が強いと判断すると言うことは

少なくともレベル4相当以上ですね?

・・・そんな新人さんいましたか?

 

「ふむ、良くわかりませんね。まぁ

伝言を聞けばわかりますかね?」

 

まずはソレからですよね。そのあとで

どんなヒトだったかを聞けば良いだけ

でしょうし。

 

「えっとね『キョウトウ先生はエインさん

とお芝居を見に行きます』だってさ。

地上でお芝居なんて羨ましいよねー。」

 

・・・・・・

 

「ウ、ウィーネちゃん?」

 

そうですか。そうですか。そうですか!

 

やはり教頭先生でしたか!

ご本人様がご存命でいらっしゃいましたか!

そして、私を覚えていてくださってましたか!

 

「ウィーネちゃん?!どうしたの?

何で泣いてるの?アイツ悪いヤツだったの?!」

 

更に更に、お芝居ですか!教頭先生が

私だとわかった上での伝言ならば

エインさんはやはり師姉様でした!

 

「・・・マリィ殿」

 

「う、うん!何?!」

 

「その伝言を伝えてくれた方の特徴を

教えて貰えますか?」

 

春姫殿でしょうか?ナァーザでしょうか?

あの二人は尻尾や動物の耳もありますから

マリィ殿がお仲間と間違えても無理は

有りませんからね。

 

「え、えっとね。小柄で、ウィーネちゃん

が持ってる槍みたいな棒を持ってたよ!」

 

 

 

 

(・_・)

 

 

 

 

「う、ウィーネちゃん?」

 

「小娘ではありませんか?!」

 

なんで小娘と普通に接触してるんですか?!

貴女、人間とは関わらないって言って

ましたよね?!

 

「こ、小娘?確かに小さかったけど、

知り合いなんだよね?」

 

「まぁ確かに知り合いですが、一体

何があればマリィ殿がアレから伝言を

預かるようなことになるんですか?!」

 

騙されたりするから接触はやめなさいって

皆から言われてますよね?

闇派閥がお仲間を餌にして釣って

くる可能性だってあるんですよ?

今までみたいに問答無用でお仲間を拐って

水の中を逃げるのとは訳が違いますよ!

 

「え?な、なんで私が怒られてるの?

知り合いなら良いんじゃないの?

それにエインさんの知り合いだよ?」

 

「そっちはソレで良いのです!素晴らしい

伝言でした。ありがとうごさいました!」

 

今まで生きてきた中で(この世界ではまだ数年ですが)最良の伝言でしたとも!

 

「あ、はい。どういたしまして?」

 

「ですがソレとコレとは話が別です!

貴女はもう少し危機管理と言うモノを

しっかりと考えてもらわないと・・・」

 

「な、なんでウィーネちゃんが嬉しそうに

泣きながら怒ってるの~?」

 

貴女が余りにも警戒心が無いからでしょうがっ!!

 

―――――――――――――――――

 

 

「ほほぅ。人魚のマリィ、ねぇ」

 

魔物に変化して他の魔物と戦ってたら

確実に接触してくると思ったんだが

予想以上の収穫だな。

 

「はい、後はグロスさんとフェルズです」

 

グロスさんが深層に行ける程度の力が

あるお仲間で、フェルズが弟子の知り合い

で更にギルドの関係者っぽいヤツか。

 

ウラノスにはダンジョン内部で暗躍できる

手駒は決して多くない。

ソレを考えれば、ロキファミリアが報告書に

書いてた剣姫に依頼を出してきたヤツか?

 

影みたいなヤツでギルドの関係者と

なれば、幽霊か。

 

「さらに弟子は両方と接触済み・・・と」

 

「そうみたいです。フェルズとの関係は

不明ですが、マリィさんとの仲は

良さそうでしたね」

 

まぁわざわざ魔石を差し入れるくらいだ。

強化種だろうし、レベルアップもしている

と見て間違いないだろう。

 

おそらく研究材料扱いだろうが餌付け

してたら懐かれたパターンか。

アイツの行動は一見すればタダの

ツンデレだからなぁ。

 

いや、獲物に警戒を抱かせない手腕は

褒めるべきなんだが。

 

それにしても、レヴィスとギルドと知恵ある

魔物とロキファミリアとフレイヤファミリア

に伝手があるってすげーな。

 

今後は予想以上に楽になるぞ。

 

「よし、とりあえず35階層までは

一緒に行動する。それで35階層に

着いたらリリルカは先行して37階層に

向かってくれ」

 

「え?みんなで行った方が良いの

ではないですか?」

 

ん?あぁ、文化が違うからな。

 

「俺たちの地元では、先触れの使者と

言ってな。偉い人に合う前に

「コレから行きますよ」って言う

連絡を入れるのが礼儀なんだよ」

 

「ほー。そうなんですね」

 

基本的に冒険者は無礼だ!とか失礼だ!とか

言っても、所詮は言葉遣いや態度だけしか

見てないからな。こういった儀礼は歴史が

無ければ生まれないもんだ。

 

「弟子だって修業中にイキナリ客に

来られても困るだろう?

もてなしの準備とか掃除とか着替えとか

沐浴とか色々しなきゃならん」

 

「なるほど、ソレはそうですね!」

 

同じ女だからな。こういった目線なら

納得もしやすかろうて。

 

しかし着替えといえば、白っ子が居ると

思ってなかったからサイズ自動調節の

服1着と布を2反しか持ってきてない。

 

コレはどうしたものかな・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ほうほう、やっぱり偉い人に合う

時は色々面倒なんですねぇ。

 

無駄手間と言えばそうですが、

「そういう手間を惜しまないですよ」

って言うメッセージにもなるんだとか?

 

逆に使者を送らない場合は

「アナタに手間をかける気は無い」

って思われちゃうんだから、面倒

な世界ですよねぇ。

 

実際問題、筆頭様が修行中なら普通の

来客は邪魔になるでしょうし、

筆頭様も尊敬する先生にお会いする

なら寝起きとか汗をかいたままとかは

ダメですよね。

 

でもその使者が邪魔したせいで不機嫌に

なった場合はどうなるのでしょうか?

 

・・・筆頭様は弁明も言い訳も矯正の

後ですからね。

コレは相当まずいことになりますよ。

 

例えば、お食事中とかなら待てば良いだけですよね?

 

修行中なら筆頭様の方がリリに気付く

でしょうからそのままで良いですね。

 

寝てたら・・・起こした方が

良いのでしょうか?

それともお休み中ですと先生に

伝えるべきでしょうか?

 

おもてなしや、掃除の為の時間を

くれって言われたら、そのまま一回

帰って来いって言われてます。

 

相手の準備を待つのがお客さんの礼儀なんだとか。

 

ソレはそうですよね。

 

元々何日後に来ますって約束をしている

わけじゃないんですから。

ダンジョンの深層でおもてなし云々は

難しいですけどお部屋の掃除とかは

必要ですもんね!

 

とりあえず闘技場まで言って大声で叫んでみましょうか。

 

何のリアクションも無ければ寝てるか

お留守ってことで先生に報告です。

 

「筆頭様ーリリルカですけど、いらっしゃいますかー?」

 

お願いですから「うるさい。故に矯正」

とか言ってイキナリ命奪崩壊拳を

打ち込んだりしないでくださいよー?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

む?また誰か来ましたか。

 

最近来客が多いですねぇ。

 

「筆頭様ーリリルカですけど、いらっしゃいますかー?」

 

リリルカ?大声で何を・・・と言いたい

ところですが、在宅の確認や寝てたり

してた場合、起こす意味合いもあるので

しょうね。

 

本来なら「うるさい」と言って矯正ですが

今は女中の一人も居ませんからねぇ。

リリルカなりに気を使ったのでしょう。

 

ふむ。入口に「不在」とか「修業中」と

言った看板でも立て掛けますか?

 

もしくは横に箱でも置いて、不在時は箱の

中に用向きを書いた手紙でも入れるように

とでも書いておけば、来客もこんな大声を

出さなくてすみますよね。

 

それに彼女が来たと言うことは師の

使者の可能性が高いです。

 

きちんと出迎えるのが礼儀でしょう。

 

「えぇ、おりますよ。師から何か言伝でも頼まれましたか?」

 

だとしたら嬉しいのですがねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・まさか師とまったく関係なくて

「忘れ物しました☆」とか抜かしたら、背中に

「不在」と書いて入口に立掛けますよ?

 




どーせ下に行くなら色々探して
みよーぜ!って感じですね

白っ子はリリルカの魔法を
知らないので、普通に人間の小娘に
接触したと思ってるし
ナマモノは普通に新顔のお仲間に
アイサツして伝言を伝えただけなのに
怒られて???状態です

離間の計ではありませんってお話


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88話

ようやく再会?

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし


「ほほう・・・」

 

こちらにも先触れの使者と言う文化が

あったのか?と思いましたが、

師からの使者であればそれも当然ですね。

 

あの方は基本的に相手の無礼や無作法は

許しますが、自身は礼儀や作法を

遵守する方です。

 

内容を考えれば性急ではありますが

その理由が理由です。

 

本来なら18階層で別れ、一日早く

リリルカが先行する予定でしたが

道中で己より明らかに強い敵である

(この時は正体不明だったようですね)

伯師妹に出会った為、警戒して単独行動を

抑えたと言うなら当然の事と言えましょう。

 

伯師妹もタイミングが良いのか悪いのか。

一応道中ナマモノに会って伝言を伝えた

と言うことですから、今後は何かしらの

行動を起こすでしょう。

 

いま私が考えるべきことは、

師と内縁の妻の狐殿と、ミアハとか

言う師を貶める神の下僕の犬が一緒に

35階層まで居ると言う事実です。

 

しかしわかりませんね

 

「師と狐殿は良いとして、その犬は

なんなのでしょう?リリルカは何か

聞いていますか?」

 

敵の下僕にわざわざ師妹や私の情報を

与える意味がわかりません

 

「私も最近はさっさと殺すべきだと

思ってるんですけど、改善するかも

しれませんし・・・利用価値も

あるみたいなんです」

 

「利用価値?」

 

それが無ければわざわざ生かしません、か。

 

「では師との会話はその犬も聞くのですか?」

 

正直邪魔はいらないのですけどね

 

「いえ、私とナァーザさんは闘技場で

鍛錬して春姫さんも筆頭様への

アイサツが終わったらそのまま鍛錬

に参加することになってます」

 

「ふむ、狐殿からのアイサツですか。

それでは多少の準備が必要ですね。

すみませんが師には・・・貴女の

往復の時間も込みで半日ほどお待ち

頂くようお願いできますか?」

 

場所が場所ですから、師だけなら

笑って許して下さるでしょうが、

流石に狐殿をなんの準備もなく迎える

わけには行きません。

 

リリルカが持ってきたアイテムの中

にはその為のモノもあるでしょうしね。

 

「分かりました。そうなるとおそらく

明日の到着になると思われます」

 

「ん?あぁ、コレから半日だと

地上では深夜になるのですか?」

 

18階層で昼夜の確認は出来ますが

一度瞑想に入ってしまうと時間の

感覚がまったく無くなってしまう

のがダンジョンの難点です。

 

「そうですね。先生も夜は寝るもの

と言う方ですから、野営した後で

来ることになると思います」

 

ふむ、師を野営させるなど・・・と

言いたいところですが、準備に時間が

必要なのも事実。

さらに師は師で野営すら楽しむ方

ですから問題ありませんか。

 

「了解しました。ではそのように。

師にはよろしくお伝え下さい」

 

「はい!では失礼します!」

 

さて、掃除と沐浴と準備をしなくては・・・

師の弟子の筆頭たる私が狐殿に無作法は

できませんからね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はわわわわ」

 

どうしましょう、どうしましょう!

正妻様が37階層にいらっしゃる方

だったなんて聞いてませんでしたから、

何も用意をしてきてません!

 

ご挨拶します!と言ったものの

初対面で何も持ってないのはダメです!

 

お、お土産になるようなモノは・・・

お料理や食器しかありません。

 

先生はソレで十分と言ってますが、

殿方と奥様は違うのです!

 

「リ、リリルカ様!何か、何か

お土産は無いですか!」

 

正妻様にお会いするとわかって

いるのですから、何かしらの用意は

ありますよね!

 

「いや、特にないですね」

 

なかった!

 

「うーん、先生が服と剣を持って

来てますから、春姫さんはご飯と

お茶で良いと思いますよ?」

 

「だーめーでーすー!」

 

お客様のおもてなしならば

それで良いのでしょうけど、正妻様と

内縁の妻では格が違うのですよ?!

最初のご挨拶もできないようでは

「コイツ認めません」

とか言われてしまいます!

 

「そもそも筆頭様はモノで釣れる

ような方ではありませんし、先生

からのお土産以上に嬉しいモノ

なんて無いんじゃないですかね?」

 

「そ、その気持ちはわかりますが!」

 

確かに旦那様から頂いたモノが一番

嬉しいのはわかりますが!

だからといって何も持たないのは

いけませんよ!

 

「あぁ心配するな。こういう場合の作法もあってな」

 

「さ、作法があるのですか!」

 

流石先生!何も用意しなくて良いと

言うのは意地悪でもなんでもなく

根拠があってのことだったんですね!

 

「うむ、俺が持ってきた土産を春姫が

手渡すのが作法だな」

 

・・・旦那様が作った服を正妻様に

お渡しするのですか。

 

なるほど!確かに内縁の妻とはいえ

奥向きの理屈では夫婦ですからね。

旦那様の紹介でお会いするのも

普通ですし、夫婦で別々にお土産を

渡すのもおかしい話。

 

問題は相手が正妻様だということですが、

先生の地元ではそれで良いというの

でしたら、それが良いのでしょう!

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

「・・・それは明日弟子に言ってやれ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

うーん、春姫さんが舞い上がってるわ。

まぁ気持ちは・・・わからないけど。

 

ミアハ様に奥さんがいて、その人に挨拶に

行くってなったならアレなんだろうけど

私はミアハ様の奥さんって段階で我慢

できそうにないからねぇ。

正妻様ぁ?一番大事なときに居ないで

何を偉そうに!って喧嘩しちゃう

可能性が高いわ。

まぁその一番大変な理由を作ったのは

私なんだけど。

 

だけどなんだかんだでずっと一緒に

居たし困ったところもあるけど、

ソレもショウガナイって思っちゃってる。

 

先生に迷惑をかけるのは止めさせない

とダメなんだけどね。

 

けど今回は色々知りすぎた感じが否めない。

 

フレイヤ様がベルに目をかけてて

試練を作ってるとか、ヘルメス様が

ソレに便乗してベルを主人公にした

物語を作ろうとしているとか。

 

ベルに何があるのかはわからない。

正直、今はただの夢見がちな新人

冒険者でしかないよね。

 

けど、あのオッタルさんがベルの為に

ミノタウロスを鍛えてるって証拠が

ある以上は嘘じゃないんだと思う。

 

自分の進む道や、自分の選んだ道が

神様によって勝手に決められてる

なんて言うのは正直面白い話では無い。

 

だけどベルが自身の夢を叶えるために

ダンジョンに潜るなら、ソレは他人

の目的とぶつかることを意味する。

 

ソレが嫌なら力をつけるしかない。

知恵を磨くしかない。

 

それにフレイヤ様が与えようとしてる

試練はベルにとってのきっかけとも言えるわ。

 

そのきっかけが無くてウダツの

上がらない冒険者はいくらでも居る。

 

欲しても得られないモノを用意

してくれてるんだもの。

冒険者ならむしろ感謝すべきよね。

 

それに試練の内容もちゃんとベルが

対策を練ってれば問題なく突破

出来るレベルのもの。

ミノタウロスは確かに強敵だけど、

一度上層で襲われたベルがなんの

備えもしてないはずがない。

 

咆哮は危険だけど、ソレ以外なら

レベル1でも戦える。

 

別に特殊な装備品でもいいよね。

魔剣みたいな使い捨ての武器だって

ミノタウロスを倒せるし、

何かの罠でもいい。

ソレで足を壊せば一番怖い突進力が

無くなるからね。

魔法も覚えたらしいし、相手も

強化種じゃないなら多少頑丈で戦いを

覚えただけのミノタウロスだもの。

対策自体は変わらない。

むしろトラウマを解消できる優しい

試練とも言えるわ。

 

ソレを考えれば私にもフレイヤ様と

ヘルメス様の違いは分かる。

 

フレイヤ様はベルを英雄に育てたくて

ヘルメス様はベルを主人公にしたい。

 

英雄は進む道は自分で決めるけど、

主人公は作者の都合で動くもの。

 

そもそも下界に暇つぶしに来た

神様に善悪を期待するなってことか。

 

ミアハ様は・・・性分よね。

行動自体は善だけど、その結果が

周囲を傷つける悪になってることを

理解出来てない。

 

行動も視野もあまりにも狭いのよね。

 

だからヘルメス様やディオニュソス様の

都合の良いように動いてる。

 

先生もソレを知ってるから殺さない。

 

人形を壊しても人形使いが生きていれば

同じことが繰り返されるだけだもの。

次の人形が誰かわからなくなるから

生かされてるのよね?

 

それでも多分限界が近いわ。 

リリルカさんもイシュタルファミリアの

人たちも何度も警告はくれている。

 

そして私はソレを無視してる形。

 

ここまで迷惑をかけて、警告まで

してもらってるのに態度を改め

無いのは明らかに失敗だった!

先生だって優しくはあるけど甘くはない。

 

・・・現状を甘く見すぎてたのね。

今はもう私に利用価値が無いと判断されたら

すぐにでも殺されちゃうでしょう。

 

違うか。私たちにそこまでの価値は無い。

 

先生が私たちから手を引くだけで勝手に

死ぬもんね。

 

ミアハ様は絶対に止める。

説得しても改善してもらえなかったら

ディアンケヒト様に借金返してから

無理やり袋に詰めて都市外に逃げよう!

 

 

これから迷宮都市は荒れるから

その方がミアハ様も私も安全だし。

なんたって

 

「・・・知性ある魔物が実在した」

 

この存在は迷宮都市を大きく揺さぶる

ことになるわ。

 

リリルカさんも喋る人魚に会って

情報をもらったらしいし、そもそも

私たちに接触してきたウィーネも

知性ある魔物だった。

 

ギルドもガネーシャファミリアも

すでに知ってて、ソレを認知させる

ために色々動いてる?

 

先生は闇派閥に捕らえられて外に

売られた彼らを開放して自分の

農園で働かせてる?

今や普通にお茶や野菜の収穫まで出来る?

 

オッタルさんには言わなかったけど

もしかしたらダンジョンで死んだ

ヒトの魂がリンネの輪に入れずに

そのまま魔物に入ってる可能性まである?

 

リンネって言うのがよくわからなかった

けど、ヒトの魂は死んだら天界に行くの

よね?でも天界に行くことが出来ずに

ダンジョンに捕まってしまった魂が

新たに生まれる魔物の体に宿って

しまったら・・・魔物にも人間にも

狙われる彼らが生まれるのね。

 

魔物は殺すものだと考えてる迷宮都市

の冒険者にしてみたら衝撃的な話。

 

私もそうだったし、今だって

正直魔物と分かり合えるって

言われても・・・

 

「ナァーザさんは魔物にトラウマが

ありますからね、中々納得は

難しいかもしれませんよねぇ」

 

・・・口に出してたか

 

「そうですね。まぁ先生も無理に

納得する必要はないって言って

くれましたから幾分は楽ですけど」

 

魔物より、同じヒトの方が大量にヒトを

殺してると言われればその通りだって

言うのもわかるんだけどね。

 

「それはそうです。所詮ダンジョンに

潜る冒険者は独立独歩で自己責任が原則。

先生が何を言おうが最終的には自分の

意思で全部決めなきゃ行けません」

 

「・・・そうですね」

 

ソレを言えば私達も自己責任。

準備が足りなかった。

訓練が足りなかった。

連携が足りなかった。

覚悟が足りなかった。

だからこうなった。

そう言われたらソレ以上は何も言えない。

 

ダンジョンで魔物に殺されて、

それから魔物に生まれ変わって

冒険者に殺されるよりは、

死ななかっただけマシとも言えるしね。

 

「それでも、もしナァーザさんが

先生と敵対する道を選んだら・・・」

 

あぁ、別に言わなくても良いのに。

リリルカさんは優しいなぁ。

 

「・・・出来たらあんまり

痛くしないで欲しいですね」

 

それとダンジョンで殺すのは勘弁

して欲しいかな。

 

「あぁソレは安心してください。

一撃で頭を潰してあげますよ!」

 

安心・・・まぁある意味では安心

できるかな。

 

「あ、あはは。そうならないように

努力しますね」

 

そう、これ以上の怠慢は許されない。

全力でミアハ様を説得しなきゃ!

 

もし無理でも逃げるか、最悪の場合は

リリルカさんにお願いしよう!

 

・・・先生は実験するって話だしね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

どうやら視野は開けたようですね。

流石にこれだけの情報を貰って

意識改善しないなら、地上に戻って

ステイタス更新した後で貧乏神を

ソーマファミリアとイシュタル

ファミリアで監禁してましたよ?

 

これなら大丈夫でしょう。

筆頭様にはきちんとフォローして

あげます。

 

命奪崩壊拳は使ってもらいますけどね!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「来ましたか・・・」

 

数は3?リリルカと他2名は知らない

気配ですが、4人では??

 

「久しいな弟子。俺を呼びつける

とは偉くなったもんだ」

 

くぁwせdrftgyふじこlp?!

 

「リアクションに幅が増えたか?

だが妙に緊張してる・・・まぁ

久し振りだし、春姫も居るから当然か?」

 

「こ、この腹黒腐れ目はっ!

感動の再会とかそういうのは

ないんですかっ!」

 

私の覚悟と緊張を返せ!

 

「ん?いや、お前が俺に会いに

来るのはわかってたからな。

こっちも色々準備はしたが、

感動云々を俺に求めるのは・・・

無理がないか?」

 

確かにそーだけど!

外道にそんなの求めるのは

間違ってるって思うけどっ!

 

こう、色々あるでしょう?

 

・・・それもこれも私を信頼して

いたって言うならしょうがないですけどね。

 

「そーですかそーですか。

それで、とんでもない無茶降りをする

腐れ目で、腹黒で、無情で、非道で、

悪逆な師匠はこんな素直ないい弟子に

対して何かないんですか?」

 

ほら、褒めるなり頭を撫でるなり

しても良いんですよ?

 

「弟子としてなら・・・技が鈍ってる」

 

「・・・申し訳ありません」

 

言葉の選択を間違えました。

 

そりゃそーですよね。

鍛えることは怠ってませんでしたが、

師が亡くなってからは李厳殿も多忙

でしたし、私は私で西蒙の内政と

戦と子育て。ソレが終わったら晋国内の

監査でしたから、個人技なんて維持が精一杯。

 

卑弥呼殿や左慈殿に鍛えて貰うことも

ありましたが、やはり流派が違うので

基礎鍛錬だけでしたし。

 

せいぜいが至上を使った剣技を磨く

だけで、他は劣化したでしょうね。

 

あぁ、失望させてしまいましたか・・・

 

「だが想像を絶する多忙の中、師である

俺が居ないのにそこまで武を維持出来た

のは見事と言って良いだろう。

流石は最高で自慢の弟子だよ」

 

「そ、そうでしょうそうでしょう!

私は素直で最高の弟子ですからね!」

 

失望されてません!むしろ褒められた?!

 

いや、まて、この人が褒める時は

絶対に裏がある!

 

「これからは暫く俺の錆落としに

付き合ってもらう。

ついでにお前も鍛え直しだ」

 

ん?それなら別にいつものことです。

むしろ望むところと言えますね。

 

「前と違って俺も劣化して無いし

今更無駄な政治を教える必要もない。

白っ子も見つかったし、まずは徹底的に

武を磨こうか!」

 

・・・待て待て。伯師妹はともかく、

今の師は相当ヤバいんじゃないですかね?

 

「わ、私は文官ですから・・・」

 

「そうか、なら今は無職だな」

 

ウカツっ!!まさかここでこんな

罠を仕掛けてくるとはっ!

 

「・・・お前の就職については良い。

お前から聞きたいこともあるし、

お前にやってもらうこともあるからな」

 

「あぁ、また悪巧みですか?」

 

まったくこの人は。目は腐ってませんが、

腐った心は治らないようです。

 

「そうだ、今回はお前も最後まで

付き合ってもらうぞ雪蘭」

 

「無論です林冲様のお好きなように」

 

前みたいに置いて行かれても

困りますからね。

無理矢理にでも着いていきますよ。

 

「取り合えずあれだ、頭を撫でて

やるからその仮面外せ。

・・・それともソレは外せないのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・そういえば私、仮面してましたね」




犬耳、瀬戸際に追い詰められてることを
自覚してようやく覚悟完了したもよう

リリルカもなんだかんだで友達だから
心配と失望の間で揺れてたんですね。

この二人はこんな感じで良いんです。
当人同士がわかってれば良いんです。ってお話


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89話

ご挨拶回

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし


「さて、弟子も存分に撫でたことだし、

そろそろ37階層の入口で待ってる春姫に

挨拶させようか」

 

随分久しぶりでしたが、やはり師は師です。

・・・目が腐って無いのには早く慣れないと

いけませんよね。

 

「了解です。ご紹介をお願いします。

ですが、この仮面は要りますか?」

 

しかし、流石に狐殿に会うのにコレは

シツレイじゃないですかね?

 

「お前の素顔は知られない方が

都合が良いって言うのもあるし、

なんかアイツ等の知識では高貴な

モノは顔を隠すとかそーゆーのが

あるらしいからな」

 

「なるほど、師が望むならソレで

良いのですが・・・」

 

けど弟子として考えたら、師の奥方に

顔を晒さないのはやっぱり無礼ですよね。

 

「それに春姫はあくまで内縁の妻。

正妻のお前にどうこう言うことは

ないと思うぞ?」

 

「え?いま何と?」

 

せいさいって言いました?制裁じゃない

ですよね?!

 

「お前が正妻で春姫が側室ってことだよ」

 

わ、私は正妻だったんですね!?

何でこうっ、いつもいきなりこの人は

・・・もうっ!

 

「真名もお前にしか教えてないしな。

あぁ、あくまで俺の中ではってことだから、

お前に不満が有るなら別に・・・」

 

「不満なんて有りませんとも!」

 

言わせねぇよ!

 

「いや、ソレはソレでスゴク・良いこと

なんですけど、今まではそう言うことを

話した事が無かったから驚いただけですよ」

 

実際、師とこういった話はしたこと

有りませんでしたね。

 

「あぁ、流石に前はな。俺の名前を

隠さなきゃならなかったし、すぐ死ぬ奴が

お前の旦那を名乗る訳にもいかんだろう?」

 

「あぁ、それはそうですね」

 

この人はそういう人でしたね。

 

「今も正式な婚儀をあげることはできんが

・・・まぁ俺にとってはお前が正妻だ」

 

「な、なるほど。まぁ私も師以外は男と

して見る気はありませんので、これを期に

正式な夫婦となるのも良いですね」

 

なんて言ってみましたが・・・

 

ふ、夫婦って何をするんでしょう?

 

今までと何か変わるんですかね?

いやいや、それ以前に私はレヴィスと

おんなじで普通の人間では無いですし、

当然師とも違いますよね?

 

そういえば師は耳長族になってますが

前に気絶させたヤツらと血縁関係

あったりしません・・・よね?

 

「ま、お前に異論が無ければそれでいい。

春姫に服と剣を預けてる

から挨拶のついでに受け取ってやれ」

 

「かしこまりました」

 

前に二着頂きましたが、もう一着

ですか。ソレはそうですね。

正式に師の正妻となったからには

弟子筆頭ということ以上に身だしなみ

には注意を払わねばなりません。

 

・・・呼び方とか変えたほうが

良いんですかね?

人前で真名を呼ぶ気はありませんし

下手に仲達だの言われてもアレです。

 

「そういえば私はエインと言う名が

ありますが、師のお名前は変わって

無いんですか?」

 

「ん?あぁそういえばそうだな。

今は自分で決めた名を名乗ってるぞ」

 

「自分で決めた?」

 

ん?捨てられたとかでしょうか?

まぁ違う世界の知識がある子供なんて

親にとったら異常でしかありませんか。

 

「まず俺はハーフエルフで父親はエルフ。

そいつが遊びで手を出した人間の女が

母親だな。そんでガキらしくない俺を

不気味に思った母親が、俺が2歳くらいの

ときに他の男とどっか行ったから、

今はどうなってるかわからん。

結果的に親からもらった名前は無い。

今の名は勝手に名乗ってるんだ」

 

「は、はぁ」

 

突っ込みどころが多々ありますが、

やはりそんなところでしょうね。

取り合えず師としては自分を縛る

軛が無くなったと判断している様子。

 

ならば特に私が気にする必要はありません。

 

・・・耳長は敵ですが。

 

「発音とかの関係上コッチの連中は

中々言えないらしく、微妙に崩して

使ってるけどな。

いつまで経っても慣れないんで先生

とか農家って呼ばせてるよ」

 

「あぁ、だからリリルカも先生としか

言わないし、骨も無双農家としか

呼ばないのですね」

 

てっきり何か意味があってご自分の

お名前を隠してるのかと思いましたが

なんのことはない、気分ですね。

 

「骨?あぁフェルズって奴か?

まぁそういうことだ。ちなみに外で

名前を呼ばれても大体気付かんから

今まで通り師とか先生とか教頭とか

呼ぶといい」

 

「了解です」

 

外ではという事は家の中では

林冲様とか・・・だ、旦那様とか

でも良いと言うことですよね?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

名前  リシュ・ヴァーユ

 

種族   ハーフエルフ 職業 農家

到達階層 ○○階層   武器 剣・素手

 

 

所持金  3000000ヴァリス

     常に現金として持ち歩く

     ことにしている。

 

     

STATUS    LV.7

 

力  D●●● 耐久 E●●●

器用 C●●● 敏捷 C●●●

魔力 C●●●  教導  S  

鍛冶  A     神秘  A

調合  B     加工  B      

革新  D

 

 

魔法

 

自然に従え

【セクレ・ナートゥーラム】

 

己が定めた領域に対しての侵入者に対して

毒、麻痺、石化、衰弱、睡眠、呪い

等の状態異常を付与。

込められた魔力により範囲、威力は変化。

 

侵入者が居ない状態が自然であると

定義付けているので、領域から脱出

しない限り回復不能。

 

領域を策定・維持するにはいくつかの

条件を満たす必要がある。

 

1・特殊素材による要石

2・術者本人による認識(常時魔力消費)

3・異界創造の為の生贄

 

生贄は死なない限り有効なので

現在領域は常に展開されている。

そのため術者の魔力も常に

一定量消費されている状態。

 

 

なお、魔力の過剰使用により一時的に

領域の作成は可能になるが、効果は

格段に落ちる上、

消費魔力は跳ね上がることとなる。

 

(実際はこちらが魔法の効果であり

道具で威力と範囲を拡大している)

 

   

 

スキル 

 

斯く在れかし聖四文字

【アンメンゾ・イマデウス】

 

任意の対象に試練を与える。

対象が試練を突破した際、双方の

ステイタスに成長補正。

試練の内容により補正の内容は変化

 

 

試される大地

【セイタン・ホッカイド】

 

指定された土地で作られる

農作物に対して試練?を与える。

試練を突破した農作物は通常の

農作物よりも味や効能が増す。

 

※品種改良のスキル

 

 

赤色狩猟

【リョーユーワナプロ】

 

トラップの隠蔽効果に補正。

トラップによるダメージ増加。

 

 

我知無知哲学三信

【ヘリントン・アトモスフィア】

 

歪みない姿勢。

いかなるときにも歪まぬ不動の心

精神耐性。

 

だらしなさへの戒め。

アビリティの教導やスキルの

試練の効果に補正。

自己の戒めにもなるため成長補正。

 

 

しかたないとする寛容の心。

対象の精神的重圧を軽減。

 

頼れる兄貴である。

 

 

 

至上の剣は我が手に在りて

 

※厨二臭いので基本は使わない

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

装備 

 

至上剣

 

彼が常に装備している剣。

彼が打った剣だが本人曰く雌雄一対剣

であり、もう片方は弟子が佩刀としている

 

剣の名前は弟子がつけた為、変える気はない。

 

価格 ーーーーーーー    

 

 

 

倚天剣

 

彼が自作した剣。特殊な素材を

神秘と鍛冶と加工により金属とし、

アビリティ革新によって強化した

モノで打たれた剣。

 

不変・魔力無効、呪い(精神汚染)

 

アビリティ革新の効果により

鞘に不壊属性

 

(不変属性とは不壊属性とは違い

折れるし曲がるし壊れるが、

自己修復能力により修復される)

 

使い手の技量と剣に宿るモノにより

『鞘に入れたままでも斬れる』と言う

伝承を宿すこととなった。

 

刃で斬られた場合は流血(止血不能)と

精神異常を起こす。

本来は持ち主にも影響を与えるほどの

呪い(素材由来)であるが

素材との力関係により、彼が

汚染されることはない。

 

弟子が持つ青紅剣と対を成す剣

 

価格 ーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「正妻様の麗しきご尊顔を拝し奉り、

このサンジョウノ・春姫、恐悦至極に存じ

奉りまする次第でございます!」

 

さ、流石正妻様です!旦那様のお隣に

居るのにまったく違和感がありません!

 

「ふむ。内縁の妻として師を支えて来た

貴女にそこまで畏まられるとは。

本来ならこちらもそれなりの態度を採るべき

なのでしょうが、私は奥向きの作法は詳しく

知らないのです。

無礼に感じたら誠に申し訳ございません」

 

な、内縁の妻としては認めて頂けた?!

い、いえ、油断はいけません!

甘い顔したら付け上がった!とか言われる

可能性も有るのです!

 

「な、内縁の妻とは言え、所詮は旦那様に

買って頂いた娼婦に過ぎません!

その私が正妻様へ無礼を感じることなど

有りませんし、有ってはなりません!」

 

どう考えても正妻様の方が立場も力も上です!

逆らいませんし、文句も言いません。

お願いですから春姫を認めて下さいっ!

 

「なるほど、己の立場をきちんと弁えて

いるようですね。

貴女のような方が私と共に師を支えて

くれるならコレに勝る喜びはありません」

 

こ、これは認めて頂けましたか?!

 

流石先生の正妻様です!この泥棒狐!

とか娼婦の癖に生意気だ!とか言われると

思って怯えていたのはシツレイ極まりない

程、大きな器をお持ちでした!

 

「は、はい!旦那様が望む限り、私は正妻様

と共に旦那様を支えて行きますです!」

 

「そうですか。我が名はエインです。

コンゴトモヨロシク」

 

春姫大勝利です!商人に騙されて奴隷に

まで堕とされた身でありながら、こんな

素晴らしい方々に認めて貰えました!

 

これからも幸せが待ってます!!

 

―――――――――――――――――――

 

 

仮面着けてる私に対してご尊顔がどうこう

言い出した時点で、大丈夫かコイツ?

と思いましたが、アレはあくまでこの狐殿の

故郷における定型のお約束のようですね。

 

師を支えるつもりも有るし、師の寵愛を

奪い合うと言うような感じでもない。

 

私がお側に居ない時のお相手としては

十分及第と言えましょう。

 

あとは・・・少し弱いですね。

まぁ本来奥の者が強く有る必要は

ありませんが、所詮この世は弱肉強食。

ならば最低限の自衛は出来て貰わねば

困ります。

 

そもそもがその為に連れてきたようですし、

ここに居る間は修練を見てあげましょう。

 

奥の話もしなければなりませんしね。

 

おっと、頭を下げさせたままではいけません。

まずは服と剣を頂きましょうか。

 

「では、そちらの品を頂戴してもよろしい

でしょうか?」

 

・・・こんな感じで良いのでしょうか?

他の家の正妻や側室の関係ってギスギス

してるのも有れば和気藹々としてるのも

有るんですよね。

 

・・・手探りで行くしか有りませんか。

 

―――――――――――――――――――

 

 

お互いが一杯一杯だから見ていて楽しいが

一歩間違えたら全面戦争だから女の戦いは

怖いよな。

 

「とりあえずのアイサツが終わったようで

何より。それじゃ春姫はリリルカたちと

合流して鍛練してくれ。

鍛練内容はリリルカに伝えてあるから

指示に従うように」

 

「は、はいっ!それでは正妻様!御前を

シツレイ致します!」

 

「えぇ、励むように」

 

「はいっ!行って参ります!」

 

うむ、完全に序列が出来上がったようで

何よりだ。

コレで揉めたら春姫を殺さなきゃ駄目

だったからな。そうなったらイシュタルと

揉めて計画が遅れることになってたよな。

 

いやーお互い大人で助かるよ。

 

「まだ話したばかりですが中々良い方ですね」

 

「あぁ。間違っても悪人ではない。

それに単純で人が良いように見えるが

一度騙されてドン底に堕ちたからな。

今じゃしっかり相手の言動を見てるから

簡単に騙されたり踊らされることもないぞ」

 

意思は強いが争い事は嫌いだから、寵を争う

と言うよりは調整をするタイプ。

つまり正妻としては弱いが側室としては

極めて優秀ってことだ。

 

「そのようですね。細かい話はまた

後で伺いますが、その前にお話して

おきたい事が有ります」

 

お話しておきたいことねぇ。

 

「今の自分はレヴィスや、オリヴァスとか

言うヤツとおんなじ存在だって話か?」

 

「・・・はい。ご存じでしたか」

 

やっぱりこの話題か。種族の違いは大きいからな。

 

「何年か前にレヴィスから新入りの話は

聞いてきたからな。その可能性も考えて

いたさ」

 

「ほう、やはりあの赤髪は師と繋がりが有りましたか」

 

「まぁな。もしお前がアレと同じような

存在に生まれた場合でも、俺の存在に

気付く程度に基礎を教えたぞ」

 

いやほんと、あんまり強くして

殺し回られても困るし、微妙な匙加減

が大変だった。

 

「あぁ、やはりリリルカたちの未熟さも計算の上でしたか」

 

やはり気付くか。

 

「そうだな。実際白っ子と会ったときも

自分より強くて勝てないから戦うことを

選ばなかったようだし、一応基礎の

基礎が大事なのも事実ではあるから

そこを鍛えてたってことだな」

 

コレからは技もそこそこ鍛えるが

白っ子を超えるのは無理だろうな。

 

「なるほど・・・では犬と狐殿はどうなさるので?」

 

「ナァーザに関しては特にテコ入れの

必要はない。リリルカに聞いているとは

思うが場合によっては神諸共捌くだけだ」

 

リリルカの説得で覚悟は決めたようだが

ミアハはミアハで釣りの餌として使って

きたからな。

 

今更現実を見せてどうなるモンでも無い

とは思うが。ま、素材も生贄も多くて

困るもんでも無い。好きにさせるさ。

 

「春姫に関しては今の盾が使える

ようになれば随分面白い戦闘が

できるようになる。ソレ次第だな」

 

「はぁ・・・」

 

あとランドセルな。もともと冒険者は

その脚力で三次元戦闘も可能ではある。

 

だがアレは更に加速効果もあるし

方向転換も自在に出来る。

燃料もクリーンな魔力だし・・・

原理だけなら魔法石と同じ原理だが、

技術的には大違いなんだよな。

魔力が魔法に変わる瞬間の一瞬を

捉えて物理に干渉させるのがあれほど

難しいとは思いもしなかった。

 

月に導かれたマコト君は凄まじい

技術を力技でやってたんだな。

 

「リリルカが居ればあそこの雑魚程度なら

問題ない。魔石は人魚にやって白っ子の強化

に使わせよう」

 

「伯師妹はレベル5相当らしいですからね。

この世界はレベル差で技術が潰されるような

世界ですから、最低でもレベル6相当になって

もらわないと困りますか」

 

人魚かフェルズ情報か知らんが

そこそこの情報は得ているようだ。

 

「ふむ・・・お前はレベル7相当には

なれそうか?」

 

俺の予想が正しければ、レベルアップの

最低条件は多分一緒だと思うんだよな。

 

あとは魔石の質と量だと思うんだが・・・

 

「えぇ、師へのお披露目が終わった後に

お許しをいただければ蜥蜴の魔石を喰らって

レベルアップすることは可能かと」

 

お披露目?あぁ、ジャガーノートか

相当殺ったらしいからな。

 

魔石も素材も階層ごとの強弱や回数ごとの

強弱の確認が出来るなんて冒険者が中々

こない深層じゃなきゃ出来ない実験だ。

 

「ソレは楽しみだ、お前の研究成果を見せてもらおう」

 

「えぇ、存分にご覧下さい!そ、それでその後なんですが・・・」

 

ん?あぁ、まぁ久し振りだからな。

 

「ま、春姫やリリルカを寝せてからだな」

 

「かしこまりました。では今から命奪崩壊拳を・・・」

 

おいおい。殺る気満々だな。まぁ弟子の

命奪崩壊拳を見てみたいのもあるが

 

「リリルカには使ってもいいが

春姫とナァーザには使うなよ」

 

なんか知らんがコイツの命奪崩壊拳は

ガチムチ三信なんて妙なスキルを生む

らしいからな。

 

男ならともかく女に習得させたら、

真昼間から野獣のような男が来たり、

夜中に妖精が説教しに来そうで怖い。

 

「はぁ?了解です」

 

それ以前にあまり軽々に広めるべき

モノでもないからな。

リリルカにも言ったがアレは生きていく

上で自然と学ぶ哲学であって、無理やり

アッー!して叩き込まれるもんじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・いや、叩き込むのが正しいのか?

 




特に話は進まない!

弟子、正妻認定される。

狐、側室認定される。

リリルカ、腹部にアッー!の三本


主人公くんの出生の謎(?)が
さらりと公開

古代中国的価値観では捨て子なんて
当たり前に居たので、生きてるなら
まぁ良いよね?の精神が働いたもよう。

神も精霊も獣人も居る世界なので
野獣のような先輩や森の妖精も
結構本気で警戒する主人公くん

まぁ罪袋がいるくらいだからね!ってお話


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90話

和やかな修行?風景


オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「それで、師の今後のご予定は?」

 

だ、旦那様とか言いたいですが、まだ

ちょっとアレですからね。

真名は誰に聞かれるかもわかりませんし。

しばらくは師で良いですよね。

 

うん、何度か練習して慣れたら呼ぶ

ことにしましょう。

 

「ロキファミリアの遠征に合わせて

帰る予定だな。本来ならお前も一度

地上に連れて帰って色々紹介や案内を

する予定だったが・・・」

 

あぁ、赤髪が金髪に言った59階の

ことがありますからね。

ダンジョンの内部に居ることに違和感

の無い私が探るのが妥当でしょう

 

地上の案内や師が世話をしていると言う

知性ある魔物たちを紹介してもらう

のも良いですが、やはり師のために

働くのが弟子であり・・・せ、正妻と

しての努めですよね!

 

「赤髪や骨からは遠征の邪魔さえ

しなければ良いと言われています。

何か手を貸しますか?」

 

師とお会いできた以上、今更連中の

機嫌を取る必要もありませんが

情報源は必要ですからね。

 

「そうだな。とりあえず魔石を食って

レベルアップした後で体を慣らそうか。

俺が戻るまでどこまで錆を落とせるかに

よって、お前に頼む内容も変えよう」

 

なるほど、まぁ確かに慣らしは重要です。

それに今の私がどれだけ使えるかと

言うのも確認しなければ、何をさせれば

良いかはわかりませんよね。

 

「では明日からは師との鍛錬ですね」

 

ふふ、懐かしい。

伯師妹には悪いですが、暫く師は

私が独占させていただきましょう!

 

「そうだな。だがリリルカが崩壊

してるから春姫とナァーザもこっちで

見る必要がある。流石に二人だけで

闘技場はキツイだろう」

 

ふむ・・・リリルカには問答無用で

命奪崩壊拳を打ち込みましたし

狐殿と犬は無理やり眠らせましたが、

まさかそんな弊害があるとは。

 

やはり焦りは行けませんね。

失敗失敗、弟子失敗です。

 

「確かに狐殿は面白い武装を持って

いましたが、肝心の基礎が足りません

でしたからね。

午前は彼女達の鍛錬を監督しながら

慣らしを兼ねた軽めの修行で、午後から

気合を入れた修練を行うという形で

よろしいでしょうか?」

 

奥としての序列的な問題もありますから

狐殿はコチラで見ましょうか。

 

「リリルカの監修もある。以前にお前が

打ち込んだ命奪崩壊拳は二日で回復

したらしいが、今回はそうも行かん

だろう?ただ眠らせるのは勿体無い」

 

あぁ、ソレもありましたか。

確かに今回はあまり手を抜きません

でしたからね。

 

大体なんですかガチムチの教えって。

 

私はそんな卑弥呼殿が喜ぶような怪しい

教えを授けた覚えなどありませんよ。

 

「それではリリルカは師が監督して

地獄巡りをさせるのですね?」

 

前に居たところとは勝手が違うので

幻魔拳が使えず、私では連中を寝かせた

ままにしかできなかったのですが・・・

 

流石我が師です。

 

「本来ならそうするんだが、今回は

俺の魔法で徹底的に弱体化させて

身体と耐性を鍛えようと思う」

 

「ほう・・・魔法ですか」

 

以前はありませんでしたが、今は

当たり前にこの世界にある理です。

 

師なら当然その理を解明して

利用しますよね。

 

「簡単に言えば相手を弱体化させる魔法だ。

狩人にふさわしい卑怯な技と言える」

 

「それはそれは」

 

師にお似合いの魔法です。

 

「お前にも一度体験してもらうが、

そうした場合お前の相手が居ない

んだよなぁ」

 

「あぁ、弱体化すると言っても犬や

狐殿に負けるほどでは無いのですね」

 

あの二人なら死の淵にあった状態でも

勝てるでしょうし、リリルカは同じ

状態です。

師は・・・タダでさえ勝てないのに

弱体化した状態など話になりません。

 

それに魔法の維持にもそれなりの

集中力が必要でしょうし、手加減を

誤って私を殺してしまう可能性も

あるのでしょうか?

 

「そう言うことだ。本来は弱らせて

捕えるか殺す為の技だから、

中々手加減も出来ん」

 

やはりそうですか。手加減抜きの

師の力など想像も出来ませんからね。

 

それでもここは相性や魔法がある世界で、

神と呼ばれる超越者が居るようですから、

技術が絶対のモノでは無いと言う話です。

 

技術を上回る力や理に対抗するために、

更に技術を磨くと言うのが師らしいと

言うか何と言うか・・・

 

「まぁウダイオスが居るからそっちと

戦って貰えば良いかなって思ってる」

 

お、師と私の役に立つとは・・・

何かの役に立つと思ってあえて

骨を残して置いて正解でしたね。

 

「俺の為に残しておいたんだろ?

ありがとな」

 

「と、当然です。私は正妻で素直な良い

弟子ですからね!」

 

骨を残しておいて正解でしたね!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「うぅぅ・・・」

 

筆頭様、なんの前置きもなくイキナリ

命奪崩壊拳はキツイと思うんです。

 

はぁ・・・やっぱり掃除が大変です。

 

「ふむ、今回は三日で立てましたか」

 

そうですか。三日経ってましたか。

 

前回より明らかに痛かったですし

何と言いますか、寒気とか吐血とか

麻痺とか石化とか、おどろおどろしい

モノに囲まれてたような気もしますから

前回のは相当手加減してくれてた

んですよね。

 

「『三日で立てた』と言うことは、

今回は三日で治るようにはして

なかったってことでしょうか?」

 

こういう調節も普通にできるんです

から凄いですよねぇ。

 

「そうですね。前回は貴女方をどこまで

鍛えて良いかわかりませんでしたから、

あくまで触りの部分だけでした。

ですが師はアナタに基礎を教える段階と

判断したようです。それ故今後は少しずつ

技も教えることになります」

 

「おぉ!ようやく基礎の基礎は卒業ですか!」

 

武術の世界での5年は長いのか短いのか

わかりませんが・・・ようやく一歩前進

ですね!

 

「基礎の基礎である呼吸はそのまま

奥義にも通じます。決して軽んずる

ことのないように」

 

「はいっ!」

 

基礎こそ奥義。先生も言ってました!

 

「そういえば先生はどちらに?」

 

てっきり筆頭様と一緒かと思った

んですけどね?

 

「師なら狐殿と犬を鍛えてますよ」

 

あぁ、ソレもそうですか。筆頭様と私に

したらこの階層はそれほど危険でも

ありませんが、あの二人にしてみたら

危険地帯ですからね。

ちゃんと監督できるヒトがいないと

危険が危ないです。

 

「ロキファミリアの遠征に合わせて

地上に戻るそうなので、ここでの

鍛錬は前回と同じ3日となります。

午前中は私が貴女を鍛え、午後は

狐殿と犬と貴女で階層主の骨と

戦ってもらいます」

 

「う、ウダイオスですか・・・」

 

流石に三人だと無理じゃないですか?!

いや、そもそもナァーザさんも春姫さん

も足手まといですよ?!

 

「あくまで実戦訓練ですからね。

足手まといを守りながら戦うのも

貴女に必要な経験です。

まぁこの場合は足手まといではなく

護衛対象と見れば良いですかね?

もちろん勝つ必要はありません。

・・・むしろ勝ってしまうと今後の

貴女方の相手が居なくなるので、

今は程々で帰ると良いでしょう」

 

相変わらず心配の内容が斜め上です!

 

「いや、そもそも程々で帰るなんて

できるんですか?」

 

階層主ってそんな感じでしたっけ?

 

「アレは下半身が埋まってますから。

雑魚を召喚したり特殊な魔法のような

モノで逃げられないようにする技も

ありますが、その魔法も私と師の鍛錬

を邪魔できるほどの強度でもありません。

故に普通に帰ってこれます」

 

・・・このヒト達はそう言うヒト達

でしたよ。

 

「もしかして、私たちも巻き込まれたり

しますか?」

 

なんか普通に巻き込まれて吹っ飛ぶ

のが想像できるんですが。

 

「出来るだけ狐殿を巻き込まないように

気を遣いたいのですが、師との鍛錬では

私も周囲を気遣う余裕がないですからね。

危ないようならなんとかして逃げてください」

 

「・・・そうですか」

 

やっぱり巻き込まれるんですね。

て言うか、そもそもリリやナァーザさん

には気を遣う気はないんですね?

 

「師がソッチ側に被害が出ないように

調節してますから、今のところは

それほど心配する必要はありませんよ」

 

筆頭様が全力で挑んでも先生は

そう言う調節が出来るんですか?

けどそれなら遠くから見る分には

安全ということではないでしょうか?

 

「筆頭様と先生の鍛錬は見学したら

ダメなんですか?」

 

見るだけでもかなりの勉強に

なると思うんですけど?

 

「あぁ、まぁ問題無いと言えば問題

無いですが、それ以前に今の貴女の実力

では見えませんよ?」

 

巻き込まれるとかなら回復薬で

何とかします!と言えましたが

そう言う次元の問題でしたか。

 

「・・・わかりました。ウダイオスとの

修練を頑張ります」

 

ま、まぁ午前中は筆頭様直々に鍛えて

貰えるんですから、コレだけでも

アレンさんたちから見たら相当

羨ましいお話ですよね!

 

「いや、師に直接鍛えられてる方が

よっぽど羨ましい環境ですけどね」

 

「・・・そうですね」

 

そういえばこのヒト達は当たり前に

思考を読んで来るんでした・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

さ、朝ご飯を食べたら今日も訓練です!

訓練なんですが・・・

 

「ちなみにナァーザさんは正妻様と

旦那様の鍛錬は見えてますか?」

 

残念ながら春姫には全然見えて

無いんですよね。

 

「いやぁ、全く見えないですね。

周りの壁とかが壊れたり、エインさんが

天井に叩きつけられてるのは一瞬だけ

見えるんですけどね」

 

ですよねぇ

 

「旦那様についていくには、正妻様

くらいのお力が必要なんでしょうか」

 

春姫が無力なのは知ってましたが

こうして見ると正妻様との差が

大きすぎます。

 

正妻様は春姫に対しては「足手まといに

ならない程度の力があれば良い」と

仰って頂けましたけど。

 

「いや、筆頭様は春姫さんの立場を

奥様としての立場と認識してる

みたいですから、敵を倒す力は

必要無いんじゃ無いですかね?」

 

「「リリルカ様(さん)」」

 

「正妻様からは秘密の訓練中と言って

隔離されてましたから、今まで

何をしてたかはわかりませんが

もう起きて大丈夫なんですね?」

 

旦那様が見てるから大丈夫って

言ってましたから、心配はして

ませんでしたけどね!

 

「えぇ、先ほど掃除も終わって

筆頭様からの指示も頂きました。

ご飯食べたら訓練ですよー」

 

「正妻様からの指示ですか?」

 

「ですね。午前中はリリは筆頭様に

教わって、お二人は先生からの

指導を受けます」

 

「「なるほど」」

 

今まで私は正妻様に見て貰って

ましたが、次からは旦那様に指導

してもらえるんですね!

 

「午後からはリリと春姫さんと

ナァーザさんの三人で、ウダイオスを

使った訓練です」

 

「「・・・」」

 

えっと、あの上半身だけの骨さん

ですよね?

確か階層主だった気がしますけど。

 

「リリルカさん?私はレベル3で

春姫さんはレベル2ですけど・・・

邪魔になるんじゃ無いですか?」

 

そうですよね!普通に考えたら

リリルカ様の邪魔になりますよね?!

 

「そういう足手まとい、この場合は

護衛対象を抱えたまま戦うのも

リリに必要な修行なんだそうです」

 

「あぁ確かに昔、先生と一緒に

ダンジョンに潜った時もそんなこと

言ってましたよね」

 

ほぉほぉ。確かに後衛の魔法使いを

守りながら戦うって言うのは普通の

冒険者さんだと当たり前ですからね。

イシュタルファミリアの皆さんも

そういう訓練はしてますし。

・・・春姫の魔法を使ったら多分

勝てるのでしょうけど、旦那様からも

イシュタル様の許可なく使うなって

言われてしまいましたから、使う

ことはできません。

 

旦那様に教えちゃったことはちゃんと

イシュタル様に謝らないと行けません

よねぇ。

 

「そういうことですね。それに別に勝つ

必要は無いですよ?むしろ勝ったら困る

って言われてしまいました。

やばかったら逃げれば良いらしいですし、

本当に危険になったら先生や筆頭様が

助けてくれる・・・と思います」

 

「・・・そうですね。先生の作った

エリクサーは「死ななきゃ治る」が

売りですから。

死ぬ一歩手前になったら助けに来て

くれると思います」

 

逆に言えばそこまでは助けに入らない

ということですね!わかります!

 

「ウダイオスからの攻撃はリリが抑えますが

周りの雑魚は大丈夫ですか?」

 

リリルカ様や階層主から見たら雑魚ですが

実際はレベル3やレベル4相当の魔物です。

 

普通なら春姫やナァーザさんだけでは

厳しいのも事実ですが・・・

 

「問題ありませんよ!旦那様が春姫の

為に造ってくれた盾はあんな魔物に

壊されるほど脆くはありません!」

 

それにランドセルの噴射機能があれば

衝撃を逃がすこともできますから

受け損なわなければ戦えるんです!

 

「そうですね。それに私も深層へ

潜るにあたっていくつか準備して

来ましたから、強化種で無ければ

そこそこは戦えます」

 

ナァーザさんもアレの眷族で、アレを

野放しにしているとは言え経験豊富な

ヒトではありますからね。

深層に行くと事前に言われてたら

それなりの準備は出来るヒトでした。

 

昔はどうだったか知りませんが、

今はお金もありますからね。

 

経験と安全をお金で買うと考えれば

十分黒字でしょう!

 

「なるほど。まぁリリも余裕があれば

ウダイオス以外も相手します。ただ・・・」

 

「「ただ?」」

 

何かあるのでしょうか?

 

「程良いところで退くようにとは

言われてますが『程良いところ』って

どこなんだろうなって思いまして」

 

「「あぁ~」」

 

「そう言えばそうでした。私たちは

アレですけど、リリルカさんは今まで

隔離されてたから知らないんですね」

 

どうやらそのようですね

 

「えっと、お二人もウダイオスとは

戦ってませんよね?それなのに何か

知ってるみたいですけど、もしかして

合図みたいなのがあるんですか?」

 

合図と言いますか何と言いますか。

 

「まぁソレに近いですよ。簡単に

言えばお二人が鍛錬を始めて、闘技場が

破壊され始めたら逃げれば良いんです」

 

一番早いのがそのたいみんぐですね。

 

「もしくは蜥蜴さんが出て来たら

終わりでイイのでは無いでしょうか?」

 

あの蜥蜴さんはオッタル様のところ

にも居ましたけど、ここでは

旦那様と正妻様の鍛錬の音に驚いて

出てくるみたいです。

気持ちはわかりますが、そのまま

隠れてた方が良いと思うんですよねぇ。

 

「・・・そうですか」

 

んん?さては想像出来てませんね?

 

「つまりエインさんが手加減を忘れたら、

巻き込まれる前に逃げるんですよ」

 

「そういうことです。最初は正妻様が

ですね、体の慣らしとか技の反復練習

とかでゆっくり組手をしてるんです。

それで、ある一定の時間が過ぎると

全力戦闘を始めます。

そうなったら決まった場所に避難

しなきゃいけないんです」

 

旦那様がコッチに被害が出ないように

してくれてますが、流石にウロウロ

してたら迷惑ですからね。

旦那様に「一箇所に纏まってた方が助かる」

って言われたら纏まるのが良妻です!

 

「はぁ」

 

あ、まだ良くわかってません。

でもまぁ大丈夫でしょう。

 

「リリルカさんも始まればわかりますよ」

 

「そうですね、空気が一気に変わり

ますから!」

 

最初は本当にびっくりしましたけど、

お二人とも「訓練は全力じゃなきゃ

意味が無い」と言う方々ですから

アレが普段の訓練なのでしょう。

 

あの方々の足手まといに

ならないように頑張らないと!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「転げ回る幽鬼!!」

 

「ぐ、ぐぁぁぁぁぁ!!」

 

み、見たこともない技?!

まさかアレから更に新たな技を

開発するとは・・・

 

流石我が師!

 

「ふっ、何か勘違いをしているようだな」

 

「勘違い・・・ですか?」

 

い、一体何を勘違いしていると?

 

「あの時お前に教えることが

無くなったと言ったな?」

 

そう、確かに師はそう言ったけど・・・

 

「ま、まさか」

 

 

 

 

 

 

「アレは嘘だ」

 

 

 

 

 

 

「こ、この腹黒ぉぉぉぉ!!」

 




事後()承諾ですね。まぁ大人ですから。

基本的にこの2人が居るときの
お話はシリアルです。

まぁ弟子は文官だし個人技に関しては
まだまだ未熟だからシカタナイネ!ってお話


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91話

地上のお話

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「なるほど・・・農家の言う通りだな」

 

基本的に反撃せずに受けるだけ。

 

最初の段階で相手の武器が壊れたり

しても向かって来るヤツを対象とする。

 

逃がさないように袋小路に追い込んで

休息を与えつつ鍛錬すること。

 

野生動物は基本的に痛みで学習するから

俺に攻撃した反動で自分がダメージを

受ければ攻撃をしてこなくなる。

そのため柔らかい素材で攻撃を受けつつ

効果的でない攻撃をした場合に痛みを

覚えるような受け方をする。

 

そうなれば効果的な攻撃を学習するし

疲労で握りや構えが雑になったら

武器破壊して回復薬を与えて休ませる

ようにすれば、より効果的な鍛錬になる。

 

最後の追い込みはその辺の魔物を使えば

魔石を喰らって強化種になる恐れがある

から、上層の弱いモンスターを襲わせて

中途半端に空腹な状態にすれば良い感じ

に仕上がる・・・か。

 

「ヤツの言う事に従うのは癪ではあるが、

効果的なのも事実。

俺にモノを教える才能など無いのは自覚

しているし、フレイヤ様の命令を完遂する

為ならば俺の好き嫌いなど言ってられん」

 

しかしこのタイミングで白兎が剣姫に

弟子入りとはどういうことだ?

 

今は基礎の基礎を固める段階なはず。

 

俺が言えた話では無いが、あの人形に

他者を導くなど不可能だ。

 

むしろ監督している九魔姫や重傑が

教えたほうがマシだろう。

上級冒険者としての心得云々もアレ

から教わる必要は無い。

 

そもそもレベル1の冒険者が師事する

ようなモノでもない。

 

一緒に居たヘルメスの眷族が何か

怪しい動きをしているらしい。

ソフィアの妹だが、別の魂が宿って

いるとか?

 

農家が言うように、ヘルメスがフレイヤ様の

試練に便乗し、自分の物語の主人公を作ろうと

しているというのも強ち嘘ではなさそうだ。

 

なにせ農家も白兎が剣姫に弟子入りして

いることは知らなかったようだしな。

 

農家がダンジョンに潜った後で

ヘルメスの眷族が白兎に接触した。

 

コレを偶然と見るのは難しいだろう。

 

・・・この延々とミノタウロスを鍛える

作業の成果を、横からかっ攫おうとする

連中をどうしたものか。

 

フレイヤ様はヘルメスの策に気付いて、

今回はあえて便乗するようだったな。

 

フレイヤ様の指示がある以上、手を

抜く気はない。

だからといって無条件でヘルメスの

行動を認めるわけでもない。

 

農家はロキファミリアの遠征前には

戻ると言うことだったな。

 

もしかしたら白兎の試練とぶつかる

かもしれんか。

 

・・・その場合はまた弁当でも提出

させよう。

 

帰りだから食材が不足してる可能性も

あるが、味気ない保存食よりはマシ

だろうよ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『それで、何で僕に断りもなく剣姫に

弟子入りを?』

 

普通さぁ、もう少し考えるよね?

 

「え?そもそもヘルメス様は迷宮都市に

居ませんでしたし、指示を出してない

ときは各自で好きにしろって言って

ませんでした?」

 

・・・言ってるね。

 

「今のは確かにヘルメス様が悪いわ。

いえ、今だけじゃなく大体ヘルメス様が

悪いんだけど」

 

『アスフィ?!』

 

更に遠慮が無くなってきたな!

まぁ仲間がみんな死んだからね。

精神的な余裕もないんだろうけど

 

「私もダンジョンに潜ってて、帰って

来たらディオニュソスファミリアで

療養だもの。貴女が連絡を取れなかった

のもわかるし、そもそも逐一連絡を取る

ようなファミリアじゃ無い。

本来なら貴女を責める理由が無いわ」

 

そうなんだよなぁ。僕が居ない時は

好きにしろって言ってるのも事実だし、

責めるようなことじゃ無いんだよなぁ。

 

ベル君と出会った経緯に嘘は無い。

偶然助けてもらって、そのまま

つるんでるだけってのも事実みたいだし。

 

恋愛感情に関しては微妙だった

けど、ソレはそう言うもんだしね。

 

「えっと、本来ならって言うのは?」

 

あぁ、この子はギルドへの報告書を

読んでないか。

・・・普通のレベル1の冒険者

はそんなの気にしないよね。

 

「・・・私たちの主力の壊滅と

ロキファミリアは無関係じゃないわ。

私も一方的に助けてもらった以上、

これ以上借りを作るのは良い事

ではないのよ」

 

実際はソレだけじゃないんだけどね。

彼女に言っても意味ないから言わないけど。

 

「借りですか?あぁ、それなら

大丈夫ですよ!」

 

『「・・・何が?」』

 

いや、ほんと何が大丈夫なの?

 

「もともとロキファミリアはベル君に

失礼なことをしてたんです!

その借りを返してもらう形の弟子入り

ですから、ヘルメスファミリアと

しては何の問題もありません!」

 

『「・・・」』

 

はぁ?コイツ何を言ってるんだ?

 

いや、ロキファミリアがベル君に何を

したのかは知らないけどさ。それって

「断られない事を前提としたお願い」だよね?

脅迫とか脅しでは無いだろうけど、ソレ

に近い行為だって自覚は・・・無いか。

 

あぁぁぁ。コレは確実にロキにも警戒

されてるよね。どんどんドツボに嵌って

行くよ。

 

いや、自由にさせすぎた僕が悪いって

言われたらどうしようもないけどさ!

 

それにしたって程度が有るんじゃない

かなぁ?

どうしよう。このままだと仕込みの

ほとんどが無駄になるぞ。

 

かといってこの子のステイタスは順調に

伸びてるから、真面目に訓練してる

みたいだし。今更「弟子辞めます」と

言ったところで悪印象を与えるだけ。

 

これ以上不自然な真似は出来ないし・・・

まずはベル君との縁を結べたことを良し

として、計画の練り直しだな。

 

今後はコイツも使うか。

うん、新人の時からの付き合いで

苦楽を共にした戦友だ。

 

悲劇にも喜劇にも使える配役を

得たと思えば・・・

 

『とりあえずエマに関しては今まで

通り、そのベル君とやらと仲良く

してくれて構わないよ』

 

あくまで僕はベル君を知らない風にしないとね。

 

「はい!ありがとうございます!」

 

『剣姫への弟子入りについては・・・

彼女たちの遠征の前日までだったよね?』

 

「はいっ!あと2日ですね!」

 

それならこれ以上問題が起こることは

ないだろう。

 

『最終日はちゃんとお礼を言うように。

アスフィ、何かお礼になるような

モノを作れるかな?』

 

貸し借りがあるのはあくまでベル君で

あってこの子じゃないからね。

最低限何かしないとシツレイだって

怒られそうだ。

 

「はぁ・・・わかりました。

何か用意しておきます」

 

「お、お手数おかけします!」

 

そう思うならもう少し加減してくれ。

 

『あぁ良いの良いの。コレはファミリア

としての礼儀だからね』

 

台本と配役の練り直しか。

何事も上手くいかないからこそ

下界は面白いって言うけどさ。

 

それでも計画通りに行ったほうが

面白いに決まってるじゃないか。

 

あぁフレイヤが何か動いてるみたいだから

そっちにも注意を払う必要があるな。

 

イシュタル以外に個別に親交があるのは

ヘファイストスか?

ヘスティアにはエマがベル君に接近してる

から面白くは思われてないだろうし。

 

問題は今回の件に農家が絡んでるか

どうかだな。

地上に居ないことは無関係と言う

証拠にはならない。

僕だって迷宮都市に居なくても

悪巧みや仕込みは出来るんだから。

 

剣姫は最初勇者に何かを聞きに行ったと

言っていたな。

 

普通に考えれば許可なんだけど、

それだけではないだろう。

こっちは双剣を使うエマとナイフを

使うベル君の二人だ。

その師匠は剣姫ではなく怒蛇が妥当なはず。

 

ファミリアとしての貸しがあると言うなら

勇者の性格なら師匠として役に立たない

剣姫より怒蛇を出すはず。

 

それでも剣姫に指導を任せたのは何故だ?

 

農家の教えを受けた怒蛇が何かしらの

情報を得たからじゃないのか?

 

彼相手には油断なんか出来ない。

・・・本当にやりづらい相手だよ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『アレン、アノ子の習熟度合いを

確認するにはどうしたら良いかしら?』

 

当初の予定では低レベル者による

襲撃を予定していたけど、今の段階で

私が火種を作るわけにも行かない。

 

かといってコレ以上アノ子にお人形や

ヘルメスの手が入るのは面白くないわ。

 

正直にロキに話を通せば彼女にも

彼の存在が気付かれるし、面白

半分で試練に横槍を入れて来る

可能性もあるのよね・・・

 

「あの阿呆も重傑も九魔姫も襲撃を

警戒しています。そのため当初の

予定の襲撃は取りやめが妥当。と

言いたいところですが」

 

『ですが?』

 

あえて襲撃すると?

 

「ソフィアの妹の所属はヘルメス

ファミリアです」

 

『あぁ、なるほど』

 

確かにそれなら

「イシュタルに弁明の使者を出して

おきながらヘルメスファミリアの

眷族を鍛えているのは何故か?」

と言う形での詰問が可能になるわね

 

「阿呆をガリバー兄弟で抑え、

九魔姫や重傑は私が抑えます。

残る2人はレベル2の冒険者数人

で襲撃させるのがよろしいかと」

 

『ソフィアは参加させないのね?』

 

「ハッ!レベルも違いますし、妹に

取り憑いているモノの狙いがまだ

不明瞭です。

暫くは泳がせるのがよろしいかと」

 

それはそうよね。さらに言えば妹を

助けるために無理するかもしれない。

 

ヘルメスの狙いよりも、取り憑いた

モノがどういう存在かわからない

以上は、下手な干渉は控えてボロを

出すのを待ったほうが良いか。

 

『下手に正体を隠すより、しっかり

正体を明かして堂々と襲撃を行う。

そうすれば無駄な憶測も無いし

後暗い連中に対しても牽制になる。

・・・アレン見事よ』

 

本当に見事。この発想の柔軟性が

余裕を生み、視野を広くするのね。

 

「ハッ!ありがとうございます!」

 

『その提案を採用するわ。決行は

訓練最終日。つまりは明後日ね。

ロキファミリアの遠征の前日になるわ」

 

この日程もね・・・ミアの店でわざわざ

周囲に聞こえるように話をしていたのは

何かの策かしら?

 

まぁ好きに企むといいわ。私たちは

その策すら利用して見せましょう。

 

『メンバーは貴方が集めて頂戴。

あぁ、ガリバー兄弟には私から

直接命令するわ』

 

「ハッ!」

 

あの子たちは癖が強いから、アレン

の指示に逆らってアノ子に襲撃を

掛ける可能性もあるのよね。

しっかり言い含めなきゃ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「フィンよ、今日がアイズの訓練

最終日なんじゃが」

 

「あぁ・・・仕掛けて来るとしたら

今日しかないね」

 

相手が修行の日程を知っていれば

の話だが、エマ少女はヘルメスの

許可も取ったと言っているから、

確実にヘルメスは日程を知っている。

 

「ティオナやティオネも警戒に

当てるか?」

 

「いや、あの二人は温存だ。

まずはガレスとリヴェリアが

二人で行ってくれ」

 

最終日だからね、世話になった

二人にもアイサツさせる機会を

あげよう。

コレで無礼な態度をとられたら

今後僕たちが彼らに対して気を使う

必要も無くなる。

 

「まずはと言うことは?」

 

「後続として僕も出る」

 

ラウル達は・・・待機だな。

下手に数を集めたらその分犠牲者

が出るかもしれないし、あえて

最大戦力で動くことで敵の動きを

封じよう。

 

「ほう、潜むか?」

 

「いや、迎えに来たと言う形で

堂々と動くよ」

 

襲撃されたら負けだからね。

 

戦力として万全を期すならティオネや

ティオナとベートも居た方が良いのは

確かだけど、温存と・・・ベートはまた

無礼を重ねられても困るからね。

 

ティオナとティオネの2人に抑えさせれば

万事解決だ。

 

なんならそのまま気絶させても

良いと伝えておこう。

 

べートもジョウヒョウと流星錘をもった

2人を相手にした訓練なら喜んで

するだろうさ。

 

僕としても、あの武装をもった二人との

訓練は勉強になるから、ソッチの方が

良いんだが、今回は垂れ流し・・・

いや、襲撃の恐れがあるからね。

 

そちらを優先しようじゃないか。

 

それでも襲撃を仕掛けてきたら、

敵は戦争を求めてるということに

なるだろうね。

 

イシュタルとは連絡が取れた。

ヘルメスも主力は壊滅状態。

 

残るはギルドかゼウス、ヘラかな?

フレイヤは無いと思うけど・・・

闇派閥の可能性もあるか。

 

ふっ、現状闇派閥よりギルドが怪しい

って言うのもどうかと思うけど、

実際アイツ等の上層部は中立を

謳ったロクデナシだ。

 

真面目な受付やアドバイザーを

隠れ蓑にして僕たちからの敵意を

受けないようにする作戦は見事

なんだけどね。

 

いい加減小細工が過ぎる。

 

何を仕掛けてくるかは知らないが

受けて立とうじゃないか。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「くそっ!まだだ!まだやれる!」

 

「・・・あぁ何て言うか、ティオナが

言ってた気持ちがわかったわ」

 

いやほんと、ただ突っ込んでくる

だけならどんな敵でも餌よね。

 

「でしょ?24階層に居た闇派閥も

爆弾抱えてたけどさー。結局一直線に

来るだけだったから、芋虫と一緒

だったよ」

 

死を覚悟するならもっと効率的に

死になさいって話よね。

 

「俺をあんなのと一緒にするん

じゃねーよ!」

 

「いや、軌道が丸見えでフェイント

も何も出来てないじゃない。

まっすぐ来てるのと変わらないわよ」

 

最短距離を無駄なくと言えば聞こえが

良いんだけど、それ故に読みやすい

のよねぇ。

 

「だよねぇ。「これを当てる」って

言うのが丸わかりだから、こっちは

ソレを狙ってカウンター入れれば

良いだけだもん」

 

そうそう。動きに無駄を取り入れるには

基礎が足りないから、本当の無駄にしか

なってないのよ。

 

魔物相手には良いけど、対人戦に

おいてはダメダメね。

 

「じゃあどうしろってんだよ!」

 

「「母趾内転筋鍛えなさい」」

 

「またソレか!」

 

いや、実際つま先・・・じゃなくて

母趾内転筋は重要よ?

コレがちゃんとしないと踏み込みが

甘くなるし、踏み込みが甘く

なったら全体が甘くなるんだもの。

まさに基礎の基礎よね。

 

「アンタだって足の親指がどれだけ

重要かは知ってるでしょ?ソレを

効果的に鍛えることに何か問題

でもあるの?」

 

「いや、問題はねーけどよぉ」

 

それに筆頭様の蹴りみたいに芯に

響く蹴りを放つには自分と相手の

重心を理解しなきゃ駄目なのよね。

 

自分の重心と重さを攻撃に

載せる為には絶対に必要な部分よ。

 

相手に関しては・・・同レベルの

ティオナ相手だとまだ難しいけど、

べートになら試せるわ。

 

まさしく教えて学ぶの理。

 

流石筆頭様よね!

 

「とりあえず、何度も言うけど蹴りで

相手を吹っ飛ばすのは未熟の証。

衝撃が逃げてるってことだからね。

まずは角度的に、少しでも良いから

上から下に向けて蹴りを打つように

しなさいって言ってるでしょう?」

 

「・・・あぁ」

 

地面を使って力が逃げないように

するのが第一段階。

 

上段回し蹴りも頭を砕くのではなく

頭を揺らすように打つことが大事。

 

ガレスも蹴りで壊すことは出来なく

ても、頭を揺らせば倒れたもの。

 

力の流れと方向性を理解するには

呼吸と魔力の流れを知るのが

手っ取り早いんだけど、流石に

そこまでは見れないしねぇ。

 

せいぜい私たちがボコボコにして

体に教えてあげるわ。

 

恨むなら団長の前でバカゾネスだの

何だのを連呼していた自分を恨むのね!

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

おいおい、まさかロキファミリアの

幹部三人が揃い踏みかよ。

どんだけ襲撃を警戒してるんだ。

 

・・・まぁ下手したら師匠と筆頭殿に

新血愁・心霊台と命奪崩壊拳だから

警戒するのも当然か。

 

「アレン、どうする?」

 

どうするもこうするも。

警戒されてるのは初めから

わかってたことだろうに。

 

「お前たちは予定通り阿呆に当たって

くれ。あの三人は俺が止めよう」

 

「・・・そうか」

 

それに、勝とうと思えば普通に

勝てそうだし。

だからと言って下手に勝っても

無駄な諍いを生むんだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




修行も終わりそう。

監視役(エマ、樽、王族)が
居るので膝枕やお昼寝は無い模様

そのため色白女神もそれほど
嫉妬してないんだよってお話


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92話

地上+アルファ

オリ設定!
オリ展開!

ようやく話が進む!(原作+ソード)

嫌いな人は読み飛ばし!


本当に襲撃が来た・・・

襲撃が来たら負けって言ってたよね?

どうしよう、た、垂れ流しは嫌だ!

 

「小人族が4人?まさかコイツら!」

 

リヴェリアの知り合い?

 

「ふむ、確かに4人ならレベル6に

匹敵すると言われておるようじゃが

・・・儂も舐められたモノじゃな」

 

ガレスも知ってるの?

 

「いや、別に舐めちゃない」

「お前たちが居るのは最初から

理解していた」

「二人揃っているのは少々

予想外ではあったが」

「特に問題はない」

 

「ほう?レベル6を2人とアイズを

前にしてその余裕。何を企んで

いるかは知らんが、私をただの後衛

だと思ったら大間違いだぞ?」

 

リヴェリアが少し怒ってる?

 

「そうだな」

「魔法が使えぬ九魔姫など」

「タダの後衛以下」

「足手まといでしかない」

 

魔法が使えない?・・・あぁそうか

街中では使えないよね。

 

「う、うわぁ!」

「きゃぁ!」

 

あ、ベルとエマが!

 

「むっそういうことか。ガレス!」

 

「おう!」

 

そ、そういう事って?

 

「確かに彼らを狙われてたら我々も

戦力を分けねばならん。だがその

程度の策で我々に勝てるとでも?」

 

な、なるほど。確かに2人が

狙われたら守らないとダメだよね。

 

「その程度の策か」

「所詮は王族」

「策士でもなければ」

「戦士でもない」

 

「・・・なんだと?」

 

え、え、?どういうこと?

 

「貴様らの相手が」

「いつから」

「我ら4人しか」

「来て居ないと」

 

「「「「錯覚していた?」」」」

 

むぅ、いちいちバラバラに喋るの

止めてほしいな

 

「ぐふッ!!」

 

え?!ガレスが負けた?

一瞬で?5人目?何処に居たの?!

 

「・・・貴様も居たか」

 

「ふん、人形姫だけならともかく

レベル6の冒険者が3人。

ソレもロキファミリアの最古参が

そろい踏みとなればな。

そこの4人だけで襲撃など行う

はずがなかろう?」

 

き、猫人?それにレベル6が3人?

ここには2人しかいないよ?

 

「・・・フレイヤファミリアは

戦争を望んでいるのか?」

 

え?この人たちフレイヤファミリア

なの?!そうなると筆頭さんは

どっちの味方になるの??

 

「はっ、戦争を望んでるのはキサマ

らだろうに」

 

私たちが戦争を望んでる?

どういうこと?

むぅさっぱりわからない!

 

「・・・それはどういうことかな?」

 

フィンまで来た?!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

まさかフレイヤファミリアがこの時期に

堂々と襲撃をかけてくるなんてね。

 

「炎金の四戦士、そこの人形は任せる」

 

「「「「おう」」」」

 

アレンか。無策に動いたら潰されるな。

しかも街中じゃリヴェリアの魔法は

使えない・・・普通の襲撃者なら

まだしも、あの4人相手の白兵戦じゃ

アイズの足を引っ張るだけだし。

ましてレベル7になったであろう

アレン相手じゃ瞬殺だ。

 

先にガレスを潰されたのは痛かった。

いや、ソレも計画の内か。

 

「で、僕たちが戦争を望んでいると

言うのはどういうことかな?」

 

何かを勘違いして先んじて攻めて

きたのだろうけど、その大本が

わからない。

 

「とぼけるな。証拠ならあそこに

あるだろうが」

 

あそこ?アレンを前に目を離すのは

危険だが、何がある?

 

「あそこ?・・・あの2人がなんだ

と言うのだ!」

 

おいおい!この王族!あっさり目を

離しやがった!

見ろ、アレンも溜め息吐いてるぞ!

 

「今ので勇者はわかっただろうが

コチラは戦争を望んでいない。

だが貴様らの動きが不明瞭だった為

こうして詰問の使者として俺が来た」

 

「は?貴様何を言っている?!」

 

今の隙を突かれて、お前が殺され

なかったことを言ってるんだよ!

 

「リヴェリア、少し黙っててくれ」

 

今は情報収集が先だ

 

「フィン?」

 

「話が早くて助かる。コチラも

無駄な戦闘は禁じられているのでな」

 

なるほど・・・だからガレスを奇襲で

気絶させ、アイズをあの4人で抑えて

動きを止めて、さらにアノ2人も

殺さないようにしていると言うことか。

 

「で、詰問とやらの内容を聞いても

良いかな?」

 

さて、どう来る?内容によっては

そのまま戦争だぞ?

 

「なに簡単な話だ。何故ヘルメスの

眷族をキサマらが鍛えている?」

 

「・・・それか」

 

確かに、ヘルメスやギルドの狙いが

僕たちとイシュタルファミリアの

抗争を狙ったモノかもしれないと

言う使者を出したのに関わらず、

ヘルメスの眷族を鍛えている現状は

何かの仕込みにしか見えないか。

 

 

はぁ・・・さて問題です。

 

1・僕たちロキファミリアは、

わざわざ使者を出してまで

イシュタル【には】敵対しないと

言いました。

 

2・自分たちに罠を仕掛けている

可能性が非常に高いヘルメスや、

後ろのギルドとの繋がりを切る

どころか、ヘルメスの悪巧みの

手足となるであろう眷族を鍛えて

何かを仕込んでいます。

 

3・その相手は誰でしょう?

 

 

 

・・・うん。客観的に見て

フレイヤしか居ないよな。

 

 

加えてフレイヤは天界でのロキの

所業に詳しいらしいから、タダの

言いがかりとは言えない。

 

むしろ詰問という形であっても

こうして聞いて来るだけマシか。

 

「実際はメインで鍛えてるのはベル

少年で、エマ少女はその付き添い」

と言ったところで、付き添いなら

尚更ヘルメスの眷族を鍛えるのは

おかしいと言われればそれで終わりだ。

 

実際僕もエマ少女がヘルメスファミリア

と判明した時点で、彼女を鍛えるのを

やめさせようと思ったくらいだからね。

 

さて、ここは何と答えたものか・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

『それで、何て答えたん?』

 

襲撃犯がまさかのフレイヤとは

思わんかったが、話を聞いたら納得や。

 

ウチが聞いてもヘルメス達を使って

自分を罠に嵌めようとしとるって

考えるやろな。

 

・・・それにフレイヤってのがなぁ。

 

ウチは天界で散々迷惑かけとるし

「また悪巧みしてるかと思った」

なんて言われたら、おそらく知り合い

全員がフレイヤの意見を支持するわな。

 

「ん?『詳しいことは実は僕も

わかってない。ただ今のままじゃ

ヘルメスの策が眠ったままになる。

だから引きずり出す意味も込めて

関与している』って感じかな」

 

『・・・嘘や無いけどなぁ』

 

不発弾残すくらいなら今のうちに

爆発させるか、最低でも発掘しと

こって感じやろ?

 

『それでアイツ等が納得した?

おかしくない??』

 

そんなら態々襲撃なんて・・・

あぁ、ヘルメスの眷族の小娘が居たな。

 

動かぬ証拠があった方が良いってか。

 

「納得はしてなかったみたいだけど、

彼らはあくまでフレイヤからの使者

だからね。

こっちが答えた以上、その答えを

持ち帰って精査する必要があるん

じゃないかな?」

 

『あぁ、なるほど』

 

あいつらはフレイヤ第一主義やから、

自分の判断は二の次やもんな。

 

「こんなこと言ってました」って報告

して、フレイヤが納得すれば良し。

納得しなければ、さらに何らかの

リアクションがあるか。

 

「アイズもガレスも外傷は無いから

明日の遠征に行く分には問題ない。

つまりは手加減してくれてたって

ことだ。本当に詰問の為の行動

だったんだろうね」

 

なるほどなー。あくまでコッチが

襲撃を警戒して戦力を集めたから、

アッチも出してきたってことやな。

 

コレでこっちがティオネとティオナも

出してたら、アッチも対抗して

ヘグニとヘディン出してきて・・・

最悪オッタルまで来とったかもな。

 

流石にリヴェリアの魔法が使えない

市街戦でレベル7が2人相手は厳しい。

 

かといって今更リヴェリアが近接

戦闘覚えても無意味やし・・・

 

まぁ今回は戦いにならなかっただけ

マシと考えるしかないか。

 

いやしかし、あのエマ言う女一人で

ここまでウチラを踊らせるとは。

 

ヘルメス、いやウラノスかゼウス?

ホンマやってくれる!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

いやはや、完全に手玉に取られた。

 

市街戦でリヴェリアが使えないこと

をしっかり理解した上での分断策。

 

本来ならリヴェリアがあの二人の

援護に行って低レベルの冒険者を

制圧するのが正解なんだけど、彼女は

アイズを優先することまで計算していた。

 

それにガレスもレベル1の2人へ

奇襲してきた連中を、無意識に

見縊って居たんだろう。

 

普通に考えたら自分やリヴェリアや

アイズがいる方に主力を差し向ける

だろうからね。

 

まさか初めからソレを狙って、

低レベルの襲撃犯にアレンが潜んで

いるなんて考えないよ。

 

それでティオネにヤられたように

頭を揺らされたわけだ。

外傷は無いが、技だけじゃなく

レベル7の力も上乗せした一撃を

不意打ちで喰らった。

 

そりゃ立てないよね。

 

その上で、あの状況、あの間合いで

アレンを前にしたらリヴェリアは

自衛すらできないただの足手まとい。

 

僕だって全力じゃなきゃ相手に

ならない可能性が高い。

 

更に他にもヘグニやヘディンが

潜んでいる可能性もあった。

 

つまりあの場は彼らが用意した狩場。

そこにノコノコ入って行った獲物が

僕たちってわけだ。

 

・・・無様だよなぁ。フレイヤは無いと

勝手に決めつけて、一番警戒すべき相手

への警戒を怠ったんだから。

 

誰が何を仕掛けてくるかわからない

からこそ、万全の備えをするべき

だったのに・・・

 

まともに戦力の運用もできず、

無様に各個撃破されて。

相手に一矢報いることも出来ずに

情報だけ持って行かれた。

 

あぁ、なんて無様。なんて惨めっ!

 

ティオナやティオネに関しては

結果的に言うなら出さなくて正解だった。

もし居たらガリバー兄弟が現れた

時点で本格的な戦闘になってた

可能性もあったからね。

 

だけどそれはあくまで結果論だ。

 

もし彼らが僕たちを完全に敵と

見なしてたら、あの場で僕たちは

全滅していたんだぞ!

 

せめて一人は潜ませておくべき

だった!

団員の命を預かる僕が油断慢心

なんかしちゃいけない!

できるほどの余裕なんか無い!

忘れるな!僕より強いヤツなんか

いくらでもいるんだぞ!!

 

 

 

 

 

・・・よし。反省はもう良い。

今回の失敗は僕の油断が招いた

ことだが、まだ僕は生きてるんだ。

 

この屈辱も経験と割り切って

今後に活かそうじゃないか。

 

 

そうなると考えるべきはフレイヤ

の狙いだな。

 

もちろんヘルメスファミリアや

その後ろにいる連中のことも

気にはしてるんだろうさ。

 

エマ少女がいるところを抑えて

僕たちがヘルメスの眷族を

鍛えている証拠としたのも事実だ。

 

しかし狙いはそれだけか?

 

僕たちの戦力調査やアレンの調整も

あるだろう。

 

今の段階で僕たちと戦争になったら

どうなるかを確かめた?

 

・・・例えコッチにティオネとティオナ

が居ても、アッチのメンツにオッタルが

加わったらそれで終わりか。

 

僕たちは探索系の双璧とか最大手とか

言われてるけど明らかに差がついてる。

 

明日からの遠征で最終到達階数を

更新したら、個人の修練に時間を

掛けるようにしよう。

 

アレンにも成長促進のスキルがある

以上、せめてレベル7にならないと

差は開く一方だからな。

 

本気で彼に弟子入りを考えないと

ダメかもね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『なるほど・・・魔法の習熟も

基本的な戦闘技術も、魔物相手

なら十分ね』

 

「ハッ!」

 

ミノタウロスについては・・・

更新後のステイタスとアノ子の工夫

に期待しましょうか。

 

アノ子は自分にトラウマを与えた相手に

どんな準備をしているのかしら?

一応お人形たちに上級冒険者の心得の

ようなモノも聞いてたみたいだしね。

 

いえ、戦支度は戦士の嗜み、種明かしも

無粋だから今は覗き見たりはしないわ。

 

ふふっ、本番を楽しみにしましょう。

 

『だけど、勇者といい九魔姫といい、

こんなに簡単に転がされる程度の

モノでしかなかったの?』

 

コレが私たちと同格っておかしくない?

 

いくらなんでも勇者は不自然さに

気付くと思うんだけど・・・

 

「そうですね。もともと彼らは

策士ではありませんし、何より

今回はヘルメスファミリアの名が

大きかったのでしょう」

 

『あぁ、自分たちもギルドやゼウス

との繋がりを疑ってるんだものね。

私たちがソレを警戒するのも

当たり前と考えてしまうのかしら』

 

警戒してるのも事実だから

まるっきりの嘘では無いし、

そもそもレベル7のアレンが

本題じゃないなんて考えられない

と言うのもあるかもしれないわね。

 

「それと私にも戦闘をする気が

無かったと言うのも大きいでしょう」

 

それはそうよね。コチラの目的は

あくまでアノ子の戦力調査。

 

もしも戦争を前提とした全力戦闘なら

勇者も簡単には引かなかったろうし

決して侮って良い相手ではない。

 

それに簡単に交渉に持っていけたのは

重傑を最初に潰して選択肢を潰せたのも

大きいわよね。

 

もしも最初に九魔姫を潰してたら、

足手まといが居なくなった重傑と

勇者の二人を相手にすることに

なってたんですから。

 

都市内では魔法を使えないから

九魔姫への警戒は不要。そう判断した

アレンの好判断と言っても良いわね。

 

『ふふっ』

 

「フレイヤ様?」

 

『あぁ、ごめんなさい。ちょっと

嬉しくてね』

 

「・・・あの少年の成長でしょうか?」

 

あら、嫉妬かしら?

 

『それもあるけどね。今はアレン

貴方のことよ』

 

「わ、私ですか?」

 

『えぇ。ロキの眷族、それも勇者と

重傑と九魔姫の3人を手玉に取って

無傷で帰還してくるなんて、

オッタルですら難しいわ。

ソレを易々とこなしてくる貴方が

誇らしくて嬉しいのよ!』

 

「ハ、ハッ!ありがとうございます!

(師匠、筆頭殿!ありがとぉー!)」

 

試練も仕上がったとのことだし

明日か明後日、アノ子がダンジョンに

潜ったらオッタルに連絡を入れて

用意をさせましょう。

 

問題はロキの眷族の遠征かしら?

確か連中はレベルが低い眷族を

先に送り出すのよね?

 

アノ子とのタイムラグは半日

あるかどうかと言ったところ?

 

ふむ、邪魔される可能性もあるか。

 

『アレン』

 

「ハッ!」

 

『明日、アノ子がダンジョンに

潜ったらオッタルへ連絡を。

そのまま試練に邪魔が入らない

ように2人で警戒なさい』

 

流石にダンジョンであの3人に

加えて怒蛇と大切断がいた場合

オッタル一人だと厳しいでしょう。

 

だけどそこにアレンが居れば

ロキのところの眷族が騒いでも

十分足止め出来るわよね。

 

「ハッ!」

 

あとはヘルメスの眷族がどう動くか。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「さて、行くか。後は任せるぞ」

 

「えぇ、万事お任せ下さい」

 

さてさて弟子としてではなく

正妻としての初仕事です。

失敗は出来ません。

 

まず伯師妹との連絡はナマモノを

使えば良いですね。

 

当座の魔石も十分にありますし。

 

師・・・旦那様の農園については、

私の知り合いが彼らを闇派閥から

開放して地上で使っていると言えば、

伯師妹はわかるでしょう。

 

あとは59階層ですね。

まぁ58階層の赤蜥蜴を潰せば、

後は勝手に行きますよね。

 

連中は50階層で休息を取るで

しょうからその間に先行して、

アレが床に穴を空けたらそのまま

突貫して終わりです。

 

魔石は・・・どうしましょうか。

 

集めて食べてるところを連中に

見られるのも間抜けですよね。

 

かといって担いだまま59階層の

調査というのも間抜けな話。

 

適度に喰らって適度に残すのも

アレですし・・・

あぁ、そうですね魔石だけではなく

赤蜥蜴を何匹か生かして残せば

良いかもしれません。

 

下手に全滅してれば不自然ですからね。

 

褐色姉妹が居れば、数が少ないのは

私が修行で潰したと推察してくれる

でしょう。

 

あ、それに不在の立札を忘れては

いけませんね。

 

貴重品は師・・・旦那様から頂いた

服と布だけですが。

一応コレは隠しておきましょう。

 

もしも何者かに荒らされたら、

犯人は連中。確定的に明らかです。

 

リリルカが言うには冒険者という

連中は独立独歩で自己責任が基本。

 

ダンジョンで全滅することも決して

珍しくないんだとか?

 

最終到達階層を更新しようとして

失敗するなんてよくある話みたい

ですよねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険者とやらが、人の留守中に勝手に

部屋を漁るような無作法な連中

ではないことを祈りましょうか。

 




おかしいなぁ。

弟子と会った時点で
「俺たちの戦いはこれからだend」
だったハズだったのになぁ。


白兎のハードル上がってる?下がってる?

原作的には一日空くような気が
しないでも無いですが、そもそも修行の
日程や時間が違うから問題ないよね!

オリ設定だし!ってお話



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93話

試練?・・・試練中。

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「ヴォォォォォォォォォォ!」

 

「み、ミノタウロス?!何で9階に?!」

 

・・・いや、お前は以前に5階層で遭遇

しただろう。

 

「くっ!エマさん逃げて!!」

 

倒せよ。

 

「あ、あ、み、ミノタウロスが・・・コレが

こ、こんなに怖いなんて思ってなかったの!

ベル君ならなんとかなるって思ってたの!」

 

・・・ほう。つまりコイツは

ミノタウロスに襲われることを

知っていた?

 

「ヴォォォォォォ!」

 

「きゃぁぁぁ!!」

 

「エマさんっ!うわぁぁぁぁぁ!!」

 

焦りすぎだろう。潜り込む隙は見逃す、

目線は外す、咆哮で固まる、武器しか

見ていない、足が止まってる。

 

・・・もしやあの白兎、ミノタウロス対策を

一切してないのか?

 

いや、有り得るのか?以前にここより上で

襲われたんだぞ?そのときに満足に動けないで

馬鹿にされたのが悔しくて、一人で倒れるまで

ダンジョンに挑んだだろう?

 

その元凶に対して何も備えてない?

 

剣姫や重傑は一体何を教えていた?

 

それにアノ小娘は何を知っている?

ミノタウロスを知っていながら対策を

取っていない?

武具は?防具は?道具は?

このままだとあの兎、死ぬんじゃないか?

 

アレンは・・・何とも言えない顔を

しているな。

いや、まさかトラウマを解消させる

だけの易しい試練の筈が、絶体絶命の

ピンチって・・・予想外にも程がある

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・なぁアレン」

 

珍しくオッタルが弱気だが、コレは

シカタナイ。

 

「あぁ、気持ちはわかる」

 

凄く良くわかる。

 

「「どうする?」」

 

いやマジで。どうすんだコレ。

 

そりゃあオッタルが師匠のアドバイスを

受けて鍛えたから、あのミノタウロスは

その辺のヤツよりは強いさ。

だが師匠は厳しいが越えられない試練は

与えないヒトだ。

白兎が受けるとわかってるなら、白兎なら

越えられる程度に収まるような助言をする。

 

その証拠にあのミノタウロスだって、

落ち着いて良く見れば攻撃に特化していて

その攻撃は、ほぼ全てが大振りだ。

 

恐らくオッタルは一切の攻撃せず、

ミノタウロスにだけ攻撃をさせていた

のだろう。

イシュタルファミリアの連中が言っていた

総受けと言うヤツだな。

 

それ故に、もしもトラウマの元凶に対して

何の装備や道具による対策をしてなかった

としても、レベル5の剣姫に戦闘のイロハ

を叩き込まれた今なら、レベル2相当だが

強化種ですらないミノタウロスなどただの

筋肉質な獲物に過ぎん。

 

獲物に過ぎんハズなんだが・・・

 

「早く逃げろよっ!」

 

「あ、あぁ・・・」

 

なんだあの絶体絶命のピンチは?

昨日複数のレベル2相当の冒険者に

襲われたときに見せた動きはどうした?

アイツらの方が、ミノタウロス一匹より

よっぽど手強い相手だろうが。

 

魔法はどうした?目眩ましにはなるぞ?

 

いやまぁ、通常通りの動きが出来ないから

トラウマと言うんだろうが・・・

 

「行けぇぇぇぇ!」

 

「う、うわぁぁぁぁぁ!」

 

「「何でだよ!」」

 

二人懸かりで攻めろよ!お前のナイフなら

ミノタウロスの肉くらい斬れるだろ!

 

相手より小柄で、相手は大振りしかして

来ないんだぞ!懐に入って足を斬れよ!

末端を狙うのは小柄な者が大きな相手を

倒す時の・・・いや冒険者がミノタウロスを

倒す時の定石だろうが!

 

剣姫は何を教えていたっ?!

 

フレイヤ様からは【邪魔をさせるな】と

【手出し無用】と言われているが、ソレは

昨日の腕試しで今の白兎でもミノタウロスに

勝てると言う確信があったからだ。

 

故に、コレは完全に予想外なはず。

 

最初の試練で死んだらどうするんだ?

万が一の際は助けるのがフレイヤ様の

御為になるとは思うが、だからと言って

命令違反も・・・いや、どうすんだコレ?

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

『「・・・」』

 

ま、まさかアノ子がミノタウロス対策を

何もしていないだなんて。

コレは潔いと言えば良いの?

それともウカツなだけ?

 

・・・間違いなくウカツよね。

 

一度事故に遭ったのに二度目の事故を

警戒しないなんてありえないわ。

 

次はこうしようとか、またこうなったら

どうしようとか色々考えるわよね。

 

アドバイザーもその辺は注意喚起する

でしょうし、そもそもミノタウロスは

戦い方がある程度決まっている魔物。

 

剣姫に鍛えられてステイタスも上がった

今のアノ子に、ヘファイストスが造った

あのナイフが有るなら十分に戦えるはず。

 

あとはトラウマを克服するだけの

簡単な作業だったのに。

 

それともソフィアの妹が準備や覚悟を

しないように誘導した?

 

『ソフィア、貴女の妹は何かを

知ってたわね?』

 

そうじゃなかったら

「ミノタウロスがこんなに怖いとは・・・」

だとか「ベル君ならなんとかなると・・・」

なんて言葉は出てこない。

 

「は、はい。まるでミノタウロスを

用意してあることを知っていたかの

ような口振りでした」

 

やっぱりそうよね。一体どこでその

情報を手に入れたの?ヘルメス絡み?

それとも憑いてるヤツがダンジョンの

中や私たちの言動を観察していた?

 

いや、今の問題はアノ子よ。今は戦おうと

前を向いてるけど、アレは破れかぶれ

のヤケクソ状態よね?

まぁトラウマを克服するには勢いも重要

だとは思うけど、問題なのはその勢いが

向いてる方向よ。

 

仲間・・・エマとか言う小娘を逃がすと

言うことは勝てないと判断したから?

 

それとも足手まといで邪魔になると

判断して遠ざけた?

 

後者ならまだ良いのだけど・・・

前者なら完全に英雄症状。自己犠牲に

酔いしれる子供のままで終わってしまうわ。

 

ま、まさか最初の試練で死なないわよね?

昨日の戦力調査で今の段階でも勝てると

踏んだからこそ、アノ二人には

「誰にも邪魔をさせるな」と「手出し無用」

としか伝えてないから、いざと言う時でも

助けない可能性が高いし!

 

ど、どうしよう。

 

「フレイヤ様、問題は少年の行動だけでは

ありません。妹の行動にも注意が必要です」

 

妹の行動?ただ逃げ出しただけじゃないの?

 

『散々怪しい行動を取った挙げ句、戦場

から逃げ出しただけでは無いと?』

 

流石に今回はアノ子の周囲しか見れ

ないから、アレがどんな行動を取ろうと

してるのかはわからないけど、ソフィアは

何かを感じ取ったのかしら?

 

「はっ!戦場から逃げたす際に口が

「助けを」と動いていました」

 

『助け?』

 

流石は姉よね。私はアノ子しか見てなかった

けど、しっかり妹の行動を見ていたとは。

見学を許可して正解だったわ。

 

「はっ!ただ逃げ出したのではなく、確固

たる援軍の宛が有るように見えました」

 

『なるほど』

 

今現在上層に居て、彼らを無条件でアレ

から助けることが出来る強者・・・

つまりはロキファミリアの主力ね。

 

さてどうする。オッタルもアレンも

私の命令は守るだろうけど、今回は

明らかに私にも予想外のケースだと

わかっている筈。

 

行動に幅を利かせて助けてあげたりは

・・・しないわね。命令違反になるもの。

 

なら可能性としては、ロキファミリアに

突破されたって感じにして命令違反では

なく、己の未熟って感じで収めてくれる

パターンかしら。

 

・・・まさか二人で全力戦闘はしない

わよね?今回はロキファミリアに突破

されて邪魔されても責めないから、

アノ子が死なないように動いて頂戴!

 

―――――――――――――――――――

 

「ベル君を!ベル君を助けて下さい!」

 

ふむ、通りすがりの冒険者から上層に

ミノタウロスが居たって情報を入手したんで、

前回の生き残りかと思って来てみたら・・・

エマ少女にベル少年が関わってるとは。

 

しかも本気で助けを求めてる?

アイズに鍛えられたこの二人なら、準備と

戦い方によっては勝てるんじゃないのか?

 

「どっち?」

 

アイズ・・・まぁ心配するのはわかるが

 

「あ、アッチですっ!」

 

「担ぐから案内して」

 

いや、確かにソレが手っ取り早いけどさ

 

「は、はいっ!あ、でもっ!オッタルさん

がぁぁぁぁぁ」

 

アイズ・・・話の途中だったよね?

しかもオッタル?どういうことだ?

 

「お、おい!くそっ何だってんだ?!」

 

そう言えばベートには秘密にしてたな。

 

「ティオネ、さっきエマ少女はオッタルさんが

どうとか言ってなかったか?」

 

気のせいじゃないよな?

 

「そうですね。確かに『オッタルさんが』

と言っていました」

 

だよなぁ。ミノタウロスよりそっちの方が

よっぽど問題だよ。

昨日のアレンと言い、今日のオッタルと言い

フレイヤファミリアはベル少年とエマ少女に

何を見ている?

 

「フィン、とりあえずアイズとベートを追いかける?」

 

あぁそれもそうか。オッタルが何かしてる

ならあの二人だけじゃ潰されて終わるからね。

 

「リヴェリア、魔法を使うことになるかも

しれないから集中しておいてくれ」

 

「あぁ、わかった」

 

しかしミノタウロスか。親指も疼かないし

エマ少女を追い込むことで何かを見定め

ようとしてるってところか?

 

―――――――――――――――――――

 

 

「う、うわぁぁぁぁ!」

 

「ヴォォォォォ!」

 

「・・・一応、前を向いたことで少しは戦えているが」

 

一方的な惨殺にならなくて良かったと

思うべきなんだろう。

コレは大振りしか覚えさせなかった

師匠のアドバイスの賜物だな。

 

「あぁ、しかし所詮は破れかぶれの勢い任せ。

気を抜けば一撃で終わるのは同じだな」

 

オッタルの言う通り、勢いが止まったら

終わりだ。一撃で即死する可能性もある

から、ヤバイ軌道に入ったら何時でも

止められるように殺意と礫を放つ準備はしてる。

 

まぁあのミノタウロスの力だけの攻撃なら、

振り切らない限りは死ぬことも無いだろう。

 

多少の怪我は・・・うん。しておけ。

それが迂闊さの代償だ。いやはや、やはり

ヒトは痛みが無ければ学習しないのだな。

 

ミノタウロス対策こそしていなかったが、

アレもそこそこ戦えてるし。

 

腰が引けてて満足に踏み込みが出来てないから

勝つことは無理だろうが、トラウマの解消には

・・・どうなんだ?一歩前進と言ったところか?

 

あれはどうするべきだろうな。あとで怒蛇に

接触してミノタウロス対策を授けさせるか?

 

それとも今回の件はシル様に伝わるだろうから

ミア殿の店で何か魔道具でも渡すようにするか?

 

「む?」

 

あぁ、さらに問題発生か・・・

こう言うのは本当に重なるモノだ。

 

「オッタル」

 

「あぁ」

 

タイミングが良いのか悪いのか。いや、

援軍と言う形であれば確かに間に合っている

から良いタイミングなんだろうが。

 

「俺としては今の状況ならまだ邪魔を

させるべきではないと思うんだが・・・

お前はどう思う?」

 

少なくとも、あの勢いが続いている限りは

戦わせた方が良いと思うんだよなぁ。

 

「俺もそう思う」

 

だよなぁ。そうなると

 

「俺が白兎を見張ろう。邪魔者の相手は

任せても良いか?」

 

コイツに援護ってのは難しいだろうしな。

 

「・・・それが良さそうだな」

 

しかしこの邪魔者。恐らくソフィアの妹が

呼び込んだんだろうが行動が早すぎないか?

 

普通は助けを求められてもここまで早くは

動けん。なら知り合いか?・・・ヘルメス

ファミリアかロキファミリアの主力だな。

 

ならばこのタイミングでの干渉は偶然

ではなく必然か。

あの女はミノタウロスの襲撃を知っていた

かのような口振りだったし、それなりの

準備はしていたのか?

 

それにしてはミノタウロスに対する怯えは

ホンモノのようにも思えたが・・・

 

徹頭徹尾ちぐはぐだな。もしやコレが魂が

二つあると言うことなのか?

 

もう少し追い込めば情報はとれそうだが、

ソレは俺に与えられた仕事ではない。

今はコッチに専念しよう。

 

「頼んだ。コッチが終わったら合図する」

 

「了解だ。それまでは抑えよう」

 

あの様子ならそれほど時間はかからんだろうがな。

 

――――――――――――――――――

 

さて、子守りよりはマシだと思いたいが。

 

「この先は通さん」

 

人形か。抱えているのはソフィアの妹?

なるほど、ロキファミリアが来ている

ことも知っていたか。

 

「オ、オッタルっ?!」

 

「や、やっぱり居た・・・」

 

ほう、流石の人形でも俺の名は知っている

ようだな。それに【やっぱり居た】か。

最初はヘルメスの傀儡かと思ったが、

コイツ自身に何かが有るようだな。

 

「・・・そこを通して」

 

「ヒトの話を聞いてなかったのか?

俺は通さんと言ったぞ」

 

コレだから甘やかされて育ったガキは。

 

「なら通らせて貰うっ!」

 

「・・・押し通るには足りんな」

 

情熱、思想、理念、頭脳、気品、

優雅さ、勤勉さ、加えて

力、耐久、器用、敏捷、魔力。

 

そして何よりレベルが足りん。

 

「あうっ!」

 

「アイズさんっ!」

 

この程度で俺を抜けると思って・・・

いないな。エマとか言ったか?明らかに

後ろを気にしている。

 

それもそうか。人形が居ると言うことは

他のも居ると言うことだ。

 

流石にダンジョン内では九魔姫の魔法を

警戒しないわけにはいかん。

 

ジャガーノートの素材を農家に渡したのは

失敗だったか?

 

いや、今は別に良いか。試作品を

渡された後を本番にすれば良いだろう。

 

「アイズぅ!・・・テメエっ!」

 

次は凶狼か。戦力の逐次投入は悪手だが。

俺が居ることを小娘から聞いてないのか?

 

―――――――――――――――――――

 

『とりあえず何とかなりそうね』

 

アレンがしっかり見張ってるようだし、

最悪でも死なないように抑えるみたい。

 

さて、そうなるとアノ子の戦いだけど

 

『・・・そこそこ戦えているわね』

 

コレはミノタウロスが防御に注意を

払っていないからかしら?

 

「はっ。ただでさえ図体が大きいのに動作も

大きいので、防御は難しいですが回避は

それほど難しくはありません」

 

『そのようね』

 

これは彼の助言を受けたオッタルの調整の

成果。レベル7の二人の合作だなんて、

贅沢な試練よね。

 

「アレン様による援護もあるようですし、

このままソコソコ戦えるならトラウマの

克服も不可能ではないでしょう」

 

『そうね。そうなると問題は終わらせ方よね』

 

一番良いのは勝つことだけど・・・

次点はソコソコ戦えている今、援軍と

いう名の邪魔が入って不完全燃焼で

終わることかしら?

 

最初は「助かった」って思うでしょうけど、

その後で「もっとこうしてたら!」とか色々

考えるでしょう?

 

次は確実に対策をしてるだろうし、何なら

高レベル冒険者に着いて、実地指導を

してもらっても良いかもね。

 

その場合はミアハのところの夜叉姫が

妥当かしら?

うん、まぁソレは後にしましょう。

当初の目的であるトラウマの克服は

出来そうだから良いわ。

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

「・・・良く頑張ったね。後は任せて」

 

「・・・いか・・んだ」

 

「えっ?」

 

「アイズ・ヴァレンシュタインに助けられる

わけにはいかないんだっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・あぁ、なんて魂の輝きなの!』

 

 




フレイヤファミリア全員
白眼開眼。

妹、介入を怪しまれる。

白兎輝く。の三本ってお話。

中学生男子が女の子の前で意地をはって
頑張ってる姿を見て喜ぶショタの図。

お巡りさんあいつです


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94話

危なく更新出来ないところだった。

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「いや、明らかに不利な流れを止めてもらい、

立ち上がれる程度まで回復する時間と

呼吸を整える時間も稼いでもらい、

その上で気合いまで注入してもらって

おきながら、ナニ言ってんだあの白兎?」

 

普通に守って貰ってるじゃねぇか。

 

「・・・アレンの言う通りだな」

 

フレイヤ様からすればヤツが文字通り必死で

演じてるから真剣味がある見世物にも見える

かもしれんが、ヤツに思い入れのない師匠とか

筆頭殿が見たら「なんだこの茶番」とか言って

俺たちまで殴り倒されるんじゃねぇか?

 

「しかもロキファミリアの幹部全員が見物?

これで白兎にも帰りやらソフィアの妹の

心配やらが無くなり余裕が出来てしまったぞ」

 

ただの戦士ならともかく、冒険者だろ?

拠点に帰るまでがダンジョン探索だろうが。

 

ソフィアの妹が連れて帰るならまだしも、

恐らく人形が連れて帰るんだろ?

 

もう台無しだ。

 

「フレイヤ様は白兎の戦闘が観たいのだろう。

それも帰りやその後の事の一切を忘れた

全力戦闘を」

 

・・・それは、そうかもな。

今回の演目はあくまで白兎対ミノタウロス。

 

白兎が勝ちました。めでたしめでたしって

感じに終わることをお望みなのだろう。

 

それを考えれば「だけど帰りに死にました」

では話にならん。むしろ我々に連れて帰る

ようにと指示が出ていた可能性もある、か。

 

・・・まさに至れり尽くせりの試練。

 

我々から見て茶番ではあるが、本人や

裏側を知らなければ楽しい演劇か。

 

「そもそもの目的であるトラウマは解消

出来た。間違いなく殻は破ったのだから

問題はあるまい・・・いや、我々に

演劇を楽しむ文化的な余裕が無いことは

問題かも知れんがな」

 

「ふん。お前がそんな気の利いた皮肉を

言えるようになったと知れば、フレイヤ様は

さぞお喜びになるだろうよ」

 

あの無骨なオッタルが、芝居を最後まで

見ようとしている時点で立派な成長だよ。

 

今までならロキファミリアの連中が来た

時点でさっさと帰ってただろうからな。

 

あとは演劇の感想を報告するだけ・・・

ではないな。

 

「ソフィアの妹はどうする?」

 

ミノタウロスの存在を知り、オッタルが

居ることも知り、ロキファミリアの援軍

までも呼び寄せた。

 

最低でもヤツが何を知っているかは

問い詰めねばならんだろうよ。

 

「・・・ここで仕留めるのは簡単だ。

だが、簡単だからこそフレイヤ様のご指示

を仰いでから動いた方が良いだろう」

 

「それもそうか。もしかしたらアレも

【面白い未知】なのかも知れん。殺したら

取り返しがつかんと言うことだな」

 

未知は確実だからな。あとは面白いか邪魔

なのか。その判断は俺たちがすることでは

ない、か

 

「そう言うことだ。・・・ようやくあの

演目も終わりそうだ。感想を考えておけよ」

 

「芝居の感想なぁ。・・・っ?!」

 

 

な、なんだ今のは!まるで背中に

氷の柱を突っ込まれたかのようなっ!

いきなり自分の頭を刀で叩き斬られた

かのような・・・殺意か?!

 

「ん?いきなりなんだ。周囲を警戒して

いるようだが敵か?」

 

「・・・い、いや何でもない」

 

オッタルは気付かなかった?気のせいか?

いや、今のアレは筆頭殿が攻撃を加える際に

わざと見せる攻撃の前兆だ。

 

い、居るのか?筆頭殿が?この場に?!

 

ま、不味いぞ!「煩い、故に矯正」とか

普通に殺られるっ!

試練どころではないぞ、直ぐに避難せねば

本気の命奪崩壊拳で垂れ流しだ!

 

いや、しかしフレイヤ様のご命令は

【邪魔をさせるな】だし・・・

 

く、くそったれぇ!せめてオッタルも

巻き込んでやるからなっ!

 

「な、なんだ?その往生際の悪い罪人が

時折見せる『お前も巻き添えだ』と

言わんばかりの悪意ある目線は?!」

 

中々良い勘をしている。筆頭殿がその気

なら逃亡は不可能。大人しく垂れ流せ。

 

俺は頑張って手とか足で許してもらうからな!

 

「そ、その目を止めろぉぉぉ!」

 

――――――――――――――――――――

 

「ティオネ、アレどう思う?」

 

どう思うと言われてもねぇ。

 

「アンタと同じだと思うわよ?」

 

ティオナだって、そう思ったからこそ

私に聞いて来たんだろうし。

 

「だよねぇ。アイズとベートとリヴェリアは

楽しんで観てるけどさぁ。何なんだろうね

あの茶番」

 

「そうよねぇ。散々守ってもらいながら、

アイズに守られる訳にはいかないんだ?

現実みなさいって話よ」

 

オッタルが邪魔してきた時点で、フレイヤが

アノ子を気に入って、自分なりの試練を

与えてるって事くらいわかるでしょう?

 

「良く頑張ったね。後は任せて」って、

本来はソコで乱入しちゃ駄目でしょうに。

 

劣勢のところを無理やり仕切り直し

させてるし・・・アレは援護じゃないの?

 

「と言うか、アノ子ってアイズが鍛えた子

でしょ?何でミノは足にダメージが

入ってないのかな?」

 

「それもそうよね。ナイフ使いがミノと

戦うなら、最初は足を狙うのが定石。

ミノに襲われたことがある少年が、ミノ

対策をとってないなんてあり得ないし」

 

トラウマを克服するためにあえて正面

から受けて立つとか、そんな感じかしら?

 

レベル1がやることではないわ。

 

しかも話によれば、少年はつい最近冒険者

になったばかりだって言うじゃない?

ソレであの動き・・・アイズが鍛えたって

のも有るんだろうけど、間違いなく成長促進系の

スキル持ちよね。

 

先生が言うには先生の教導や試練の

スキルに、ガチムチ三信があれば2回の

地獄巡りでレベル3くらいならステイタス

のカンストも不可能ではないって言うし。

 

(命奪崩壊拳なんて目じゃないくらいの、

想像を絶する地獄を体験するらしいけど)

 

さらに魔法まで発現してるわよね?

 

どんだけ神様に気に入られてるのよ。

 

ソレで調子に乗って戦い方を選んだの?

ソレで調子に乗ってアイズの助力を拒んだの?

 

出来ることを全部やるのが全力戦闘。

弱点を突いて、最小の労力で最大の

利益を得るのが冒険者よ。

 

そして手段を選べるのは強者だけ。

あの少年は間違っても強者では無いわよね?

 

そもそも。レベル1の冒険者がミノタウロスに

襲われたら逃げるのは当然の事。

 

つまりはソレを笑ったベートは馬鹿だけど

少年が逃げたり、他の上位冒険者に力を

借りるのは当然なのよ?

 

まぁリリルカみたいに自分から狩りに行く

例外は居るけど、アレは特殊なスキルと装備

があってのこと。

 

……あぁ、だから少年は逃げないのか。

特殊なスキルと装備があって、頑張れば

勝てる状況だと理解はしていなくても

コレ以上アイズの前で恥を掻きたくない

から戦うと?

 

「助けられる訳にはいかない」ねぇ。

 

・・・男尊女卑とまでは言わないけど、

今までの私たちの苦労とかそう言うのが

全否定されてる気がするわね。

 

ぽっと出のスキル頼りのガキが何様だ。

 

そう思うなら最初から対策をしろよ。

再度の遭遇に備えて弱点を調べておけよ。

アイズよりも目の前の敵を見ろよ。

 

ダンジョンでは油断は禁物。実際に

ミノから逃げ延びた冒険者なんだから

その経験を活かせよ。

 

レベル1に成り立ての敏捷である程度

逃げれたんだろ?正面から戦わねぇで

有利な場所に誘導しろよ。

 

アイズぅ。アンタ一体あのガキに何を

教えたの?戦い方を教えたんじゃなかったの?

 

「うーん。別にこの茶番を観てる必要は

ないよね?ガレスたちも待ってるし、

さっさと潰しちゃダメなのかな?」

 

飽きてるわねぇ。でも気持ちはわかるわ。

わざわざレベル1の演劇なんて見ても

しょうがないもの。

 

獲物を奪うのはルール違反って言うけど

そもそも私たちは少年のパーティメンバー

である少女に助けを求められてココに

居るのよ?

本来なら私たちがさっさと片付けても

文句を言われる筋合いじゃ無いし、

何なら私が殺って「アイズじゃないわよ?」

とか言ってやっても良いんだけど・・・

 

「気持ちはわかるけど、多分私たちがあれを

殺ろうとしたら、オッタルが邪魔してくるん

じゃないかしら?」

 

コレが有るからねぇ。さすがに私の判断で

オッタルは敵に回せないわ。

 

「あー確かに。もしかしたらアレンさんも

居るかも知れないよね?」

 

有り得る。そうなれば昨日の戦いの

続きがココで出来るんだけど・・・

 

団長を罠に嵌めた連中と戦えるのは

嬉しいけど、オッタルとアレンさんを

相手にすればコッチの被害は洒落に

ならない。

遠征どころじゃなくなっちゃうし、

2回続けての遠征失敗なんてダメ。

 

今回はヘファイストスファミリアも

一緒に居るから、尚更ココでの消耗は

許容出来ないわよね。

 

「うん。どう考えても下手には動けないわ。

とりあえず今は黙ってお芝居見物ね」

 

「あー。まぁ、お芝居だと思えば良いのかな?」

 

「「・・・?!」」

 

あ、頭は・・・ある。

 

今のはナニ?!刃が頭を突き抜けた?

いえ、斬られたのよね!

 

「・・・ティオナっ!」

「うん!ティオネもっ?!」

 

やっぱりティオナも感じたか・・・

今のは筆頭様が私たちにわざと見せる

「見えるけど避けれない攻撃」の軌道と、

ソレを喰らった時に感じる「間違いなく死ぬ」

と言う明瞭なイメージ!

 

「二人とも急に身構えてどうしたんだい?

・・・まさかオッタルがまだ何かを

仕掛けて来るとか?」

 

だ、団長は気付いていない?

 

と言う事は私たちだけに殺意を見せた?

 

「ティオネ、不味いかも」

「・・・えぇ、そうね」

 

「???」

 

いや、実際私たちは何もしてないから

何が不味いってわけでもないんだけど。

・・・「騒がしい。故に矯正」って言って

地獄を見せるのが筆頭様よ!

 

あ、謝る?何に?ミノを問答無用で

殺さなかったこと?

 

いやいやいや、ソレは私たち悪く

ないわよね?

 

オッタルを、オッタルを殺ってくださいっ!

 

 

――――――――――――――――――

 

 

ふむ、ついついアレン達の【芝居】と言う

言葉にツッコミをいれてしまった。

失敗失敗。先生失敗だな。

 

「先生ー。アッチ側にオッタルさんとかが

居るんですよね?リリたちも白兎とか言う

ヤツの試練を見に行くんですかぁ?」

 

全身から面倒くせぇオーラを出してやがる。

まったく、器用な真似をしやがって。

 

元々冒険者は嫌いだし、さらに相性の

悪いロキファミリアだもんなぁ。

関わらないでさっさと離れたいか。

 

「いや。フレイヤの演劇に興味はないし、

俺たちが行っても邪魔になるだけだ。

関わりたくもない。それにさっさと帰って畑の

様子も見たいから連中は無視して通り抜ける」

 

「了解です!」

 

おぉ、さっきのオーラが嘘みたいに消えた。

コイツも随分器用になったもんだな。

 

「かしこまりました!」

 

春姫もなぁ。弟子に認められて鍛えられた

ことで、さらに精神的な余裕を得たな。

 

うん。今の弟子ならイシュタルファミリア

なんざ簡単に潰せるもんなぁ。

いざと言うときの後ろ楯を得たら自然と

そうなるか。いや柵が無いってのは強いな。

 

「・・・まぁベルも冒険者ですし。

今は他人に関わる余裕がありません。

さっさと戻ってミアハ様に説教しないと!」

 

ナァーザに他人を気遣う余裕が無いのは

事実だ。説教以前にミアハが無事に

生きてるかどうかの確認もしないとな。

 

干からびてるか、他所のファミリアのヒモに

なってるかの違いでしか無いだろうが・・・

 

「よし、それじゃ全員納得したところで

撤収だ。寄り道せずに最短距離で帰るぞ」

 

「「「了解です!」」」

 

天井を破壊するのが一番近いんだが、

今回は壁の破壊で勘弁してやろう。

 

あぁ、アレンにティオネにティオナ。

お前達にはナニもしないぞ。

 

ただ白兎の試練は潰す。

フレイヤにヘルメス。他多数の関係者には

残念なことに、知らないところでやってる

ならまだしも、目と鼻の先に居る原作主人公に

力を与えてやるほど俺は甘くないぞ?

 

 

 

 

 

 

さぁ数多の管理者を葬り、世界の境界を

斬り裂いた剣撃の極致を受けろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【剥奪剣界】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、世界の理をも刻む一撃を見ろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【至上の剣は我が手に在りて】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

……オッタルが舞台を設えたとは言え、

目の前で行われるベル少年とミノタウロスの

戦いは互いに本気で、互いに命懸け。

 

冒険者になったときの初心を思い出す

ような戦いだ。

 

しかしそろそろ終局。互いに最後の力を

振り絞っての一撃になるだろう。

 

・・・ティオネとティオナか周囲を

異常に警戒しているけど何かあるのかな?

 

僕の親指には何も・・・な、何だ?!

疼きどころじゃない激痛?!

 

 

「うぉぇぉぉぉ・・・えっ?」

 

「ヴォォォォォ・・・ガァ?!」

 

 

「「「「「はっ?」」」」」

 

「「き、来た!」」

 

来た?何が?周囲の壁とミノタウロスが

輪切りになった?何だ、何が起こっている?!

 

――――――――――――――――――

 

「な、何が?!」

 

『し、神力が掻き消された?!』

 

どういう事?!いきなり画面が消された?

まさか私の干渉を弾いたと言うの?!

 

げ、現地はどうなってるの?

アノ子は無事?オッタルとアレンは?

 

な、何が起こったというのよ!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

ミノタウロスが周囲の壁ごと輪切りにされた?

何だ?誰に斬られた?ロキファミリアか?

いや、奴等も慌てている?

 

「オッタル!撤退だっ!」

 

「アレン?何か知ってるのか?!」

 

確かに最低限の目的は果たしたとは言え

ココでの妨害なんぞ認めるわけには・・・

 

「恐らく筆頭殿だ!しかも明らかに

敵意をもった攻撃をしてきた!」

 

「筆頭?ヤツの一番弟子か?!」

 

ならばコレは単独で37階層の壁を

大規模破壊すると言う見えない剣撃?!

 

「恐らくこちらの数が多い上に状況が不明瞭

だから、俺やロキファミリアのアマゾネスに

警告を与えた上で壁とミノタウロスだけを

刻んだんだろう!」

 

警告?そんなモノを受けていたのか?

なるほど、だからさっきから様子が・・・

 

と言うよりも状況が不明瞭だから切り刻む

っておかしいだろ!

 

「説明や解説は後でしてやる!わざわざ

警告をしてくるってことはさっさと

帰れば追撃は無い・・・と思う」

 

自信なさげだな!

 

「垂れ流したいなら残れ!」

 

「よし、退くぞっ!」

 

事情は後で聞かせてもらうが、ソレも

後があったらの話だからな!

演劇の幕切れには慌ただしいが、

フレイヤ様の許可を得る前にヤツの

一番弟子を敵に回す気は無い。

 

 

 

 

 

いずれ死合を望むことになりそうだがな。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「だ、団長?!不味いです!明らかに殺る気です!」

 

ティオネ?

 

「フィン、直ぐに動かないと!不味いよ!」

 

ティオナ?

 

「GYAAAAAAAAAAA!」

 

「ジャガーノートだと?!まさか今の

攻撃が破壊したのはそこの壁だけじゃ

無いってことか?!」

 

「団長!あの蜥蜴は私とティオナで

瞬殺しますから、直ぐに避難して下さい!」

 

「そこで呆けてる少年と少女はアイズと

ベートとリヴェリアが大至急地上に送って、

フィンは下に避難してガレスと合流してっ!」

 

「いや、避難って何から?!」

 

「筆頭様です!」

「筆頭様だよ!」

 

「・・・は?」

 

いや、筆頭さん?何で筆頭さんが

攻撃してくるの?

 

「さっき、私たちにだけわかるように

警告されました!恐らく今の一撃は

警告したにも関わらず、私たちが行動を

起こさなかったから

「さっさと動かないと殺るぞ」って言う

最終通告ですっ!」

 

警告?だから二人とも異常に周囲を警戒

していたのか!

 

「しかし何で筆頭さんがいきなり?」

 

しかもさっさと動けって何処に?

僕らに何をしろって言うんだ?!

 

「・・・元々私たちロキファミリアは

先生に迷惑を掛けてますから」

 

「もしくは単純に「騒がしい」って感じかな」

 

あぁ、ただでさえ敵なのに、機嫌が

悪いとそうなるのか。

それで、何をしてるかは知らないけど

ウザいから消えろと?

 

流石は一人で深層を大規模破壊する

キチ・・・強者だ。

 

「了解だ。ベート達を地上に送るのは

元凶を遠ざける為だな?」

 

「そうです!」

「そうだよ!」

 

リヴェリアもアイズもしっかり無礼を

働いたからな。ココで意地を張って

敵対しても待ってるのは垂れ流しか。

 

よし、避難しよう!

別にフレイヤの演劇が潰れようが、

ベル少年の戦いに水を差されようが

僕の目的には関係ないし。

 

流石に遠征前のこんなところで

筆頭さんを敵に回すつもりはないぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かと言って無条件に譲り続ける気もないぞ。

 

今は敵対しない。もし敵対するなら準備を

整えてからと言うだけの話さ。

 




白兎、しっかり守られてますよねってお話。


主人公くん。弟子の呼び捨てにイラッ☆
ついつい殺意を出した(板垣漫画風)ので
ついでに大規模破壊をしてみる。
弟子のせいになってますが、シカタナイネ!

まぁ仕込みでもありますので。

原作?崩壊してますよ?

ちなみに剥奪剣界は純然たる技術であり
スキルではありません。
技名も言う必要は有りませんが、
読・・・皆がわからないからシカタナイネ!


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95話

ガラスの腰が砕けた音を聞いたぜ

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「き、来たぞ!」

 

「すぐに報告だ!」

 

「よしっ俺が行く、後は任せた!」

 

「お、俺が足止めとか無理だって!」

 

「「「お前なら出来るさ!」」」

 

「お前らも逃げんなよ!」

 

 

ふむ、賑やかなことだが、誰かの出待ちか?

少なくとも俺の知り合いでは無いようだが。

 

「うーん。先生が壁とか壊したのバレたん

じゃないですか?」

 

可能性は・・・無いな。

 

「いやいや、ロキファミリアの連中や

アレンもオッタルもまだ戻って来て

無いだろ?誰がばらすんだよ」

 

そもそも俺が春姫を担いで、リリルカが

ナァーザを担いだ上での全力疾走だぞ?

 

攻撃喰らって右往左往してたアイツらが

追い越せるはず無いじゃないか。

 

つまりヤツらはリリルカか春姫の

出待ちの可能性が・・・いや、

ナァーザか?

 

「ナァーザ、もしかしたらミアハが何か

やらかしたとか、上位のファミリアの

幹部連中の胃が殺られたとかで、お前の

帰還を待ってる連中が居るんじゃないか?」

 

「・・・後者なら頑張ります!で済む

話なんですけどね。前者ならもう

手遅れかなって」

 

うむ、なんか諦めの境地よな。

 

「イシュタルファミリアの皆様が旦那様と

春姫を待ってると言うのは・・・無い

ですよね。それならアイシャ様とか団長様

とか、旦那様の顔見知りが来ますよね」

 

だな。足止め云々言うならアイツ等が来れば

良いだけの話だ。あとは・・・あぁ、

リリルカファンクラブの可能性が微レ存。

 

罪袋たちがリリルカの無事を祈る

ついでにノータッチを確認しに来たか?

 

性的に手は出してないが、普通に殴ってる

よなぁ。まぁ俺は紳士同盟加入者じゃ無い。

 

それに・・・鍛えるのは有りだよな?

 

「とりあえず出てみよう。罠とかなら

こんな地上に近い所ではやらんだろ」

 

あえて衆目に晒すってパターンも

有るが、そんなこと気にしてたら

外に出れんしな。

 

「ですねー。とりあえず、さっさと

お風呂入って一休みしたいですよ」

 

立て続けのダンジョンだからなぁ。

俺のサポーターとしての仕事はあまり

出来なかったが、コイツのおかげで

春姫とナァーザは楽に修行できた。

 

「ですねぇ。旦那様と離れるのは辛いですが

ステイタス更新と残ってる食材とかの

確認もありますし、ソフィアさんの指導も

考えないと駄目です。

お部屋のお片付けもありますから・・・」

 

内縁の妻として頑張ってくれとしか言えん

 

「はぁ・・・帰りたくない」

 

OLか。時と場所によっては男を誘う

決め台詞だが、目が死んでるのがなぁ。

 

自宅が職場だから、そのまま職場直行

と思えば中々に辛いところだろう。

 

『貴方の帰還を待っていたわ農家!

いえ、農家君!いや、農家さん!!』

 

「「「・・・」」」

 

こらこら君たち。「やっぱりお前じゃん」

みたいな顔は止めなさい。

俺だってコレは予想外だよ。

 

フレイヤだのイシュタルとつるんで

るから、大体のファミリアは俺との

接触を諦めてる風だったし。

 

しかしヘファイストスとはなぁ。

そりゃ知り合いは居ないか。

そもそも付き合いねぇもんな。

 

狙いは俺やリリルカの装備品か?

いや、それにしてはなんかいつもとは

感じが違うような気もするが・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「なんじゃフィン。えらい疲れた

顔しとるの。リヴェリア達は別行動か?

 

「あぁ、上層でちょっとした演劇が

あってね。リヴェリア達は遅れて来るよ」

 

アッチが狙われる可能性もあるけど、

彼からの手紙をリヴェリアに持たせた

から、さっきみたいに問答無用の

攻撃がこない限りは交渉も出来る

はず・・・だよね。

 

「演劇?」

 

「後で説明するさ、こっちも

ちょっと考えを纏めたいんだ」

 

ちょっとどころじゃないけど。

いやいや、遠征の最初っから

クライマックスってどうなんだろう?

 

「そうか、まだ遠征は始まった

ばかり。気を詰めすぎるなよ」

 

「了解だ。とりあえず他の皆

には彼女たちが来るまで待機

・・・いや、今日は休息にしよう。

明日出発するからキャンプの

準備をするよう伝えてくれ」

 

いつ来るか分からないのを待つのは

キツいからね。

いっそ休ませた方が良いだろう。

 

「ふむ・・・まぁ良いじゃろ」

 

「頼んだよ」

 

さて、コレであとはゆっくり考察

できるな。

 

ジャガーノートを瞬殺した二人と

合流して此処まで急いできたけど

アレ以降筆頭さんからは特に干渉は

無かった。

コレはどう見るべきだろう?

 

「ティオネ、今回の件どう思う?」

 

筆頭さんのことは考えるより

彼女に聞くのが早いよね。

 

「えっと、まずフレイヤがベル少年を

気に入り試練を与えたことですよね?」

 

あぁ、質問が漠然としすぎてたか。

だけど今回は時系列を追って考えた方が

良いかな?

 

「そうだね、最初はソレだろう」

 

そこには問題点はないよね。

 

いや、他所の子供だとか、ダンジョンで

やるなとか、言いたいことはいくつか

あるけど、今更って感じだし。

 

相手がフレイヤなのは確定。

そうじゃなきゃ彼処でオッタルは

出てこない。

今回のアレは、邪魔が入らないように

見張るのと、少年が試練を突破できるか

どうかの見届け人ってところかな。

 

「次に、エマ少女がなんとか逃げて、

私たちに援軍を要請しました」

 

ここからだ。

 

「あの少女はオッタルの存在を

知っていたよね?」

 

「はい、アイズに連れ去られる時に

そう言いましたね」

 

その上で僕たちに助けを求めた・・・

という事はオッタルと僕たちを

戦わせることが目的だった?

 

ヘルメスの眷族の企みとしては

妥当だけど、不自然だよなぁ。

それに、不自然な点はまだある。

 

「ベル少年はミノタウロスへの攻撃を

上半身に集中していた。

つまりナイフ使いがミノタウロスと

戦う際の定石を知らなかったということ。

一度5階層でミノタウロスに襲われた彼が

ミノタウロスのことを調べないまま

ダンジョンに潜るなんてあり得るのか?」

 

普通なら次に遭遇しても逃げれるように

臭玉的なのを用意したり、戦闘に

なっても攻撃が届くような武装を

持つだろう?

 

そもそも彼は特別な訓練を受けてない

素人だったはず。それが何故ナイフだけ

特別製なんだ?普通ソロの冒険者は

汎用性の高い剣とかも持つだろう?

 

武装のランクがちぐはぐ過ぎる。

 

冒険者としての知識や覚悟もなく、

一度命に関わる事故にあったにも関わらず

二度目の事故を警戒していない?

 

普通はトラウマになってダンジョンに

潜れなくなるほどの案件だろう?

対策も何も取らずにダンジョンに潜れる

モノか?・・・普通は無理だ。

 

アイズとの鍛錬の時にもアドバイスの

一つも貰わなかったのもおかしい。

 

いやまぁアイズにアドバイスが出来る

とは思えないが、ガレスやリヴェリア

だって居たんだぞ。

 

馬鹿にされた僕たちにそんな話題を

降るのは難しいと言うなら、そもそも

弟子入り自体あの出来事が切っ掛けだ。

 

普通なら接触すらしないだろう?

 

それでも接触するということは、ある

程度彼の中では決着が着いている。

 

ならミノタウロス対策をしないのは

おかしい。

 

ティオネが言うように、彼は明らかに

成長促進系のスキルの保持者だろう。

 

さらにヒューマンにも関わらず魔法も

覚えていて、ヘファイストスのロゴ入の

特別な武装もある。

その上で高レベル冒険者のアイズに

修行を付けてもらう?

 

どんな駆け出しの冒険者だ。

 

もしかして特別扱いされて自惚れた?

そういう感じには見えなかったが・・・

 

それに先日の襲撃も、僕たちの意図の

確認もあっただろうけど、彼らの

戦力調査もあったんだろうね。

その上でミノタウロス程度なら大丈夫と

判断した結果の試練の筈だ。

 

普通、此処までお膳立てされて

ミノタウロスに勝てないものか?

 

何者かに勝てないように誘導

されたんじゃないか?

 

誘導したのは・・・エマ少女か。

 

「普通ならありえませんが、何者かに

ミノタウロスのことを意識させない

ようにされれば、そういうことも

あるのかも知れません。

怖い思いをした冒険者がそれを記憶

から消そうとするのも決して珍しい

ことではありませんから」

 

そうだな。普通ならトラウマとして

心に傷を持ち続けるか、何も無かった

かのように忘れてしまうかのどちらかだ。

 

「だが・・・一ヶ月程度だぞ?アイズ

との鍛錬が終わった後もダンジョンに

潜っていたと言うじゃないか」

 

ギルドだって他の冒険者に対して、

一か月前に5階までミノタウロスが来た

ということで警戒を呼びかけてる。

 

それは僕たちが倒したけど、生き残りが

居ないとは限らないし、再度同じことが

起こる可能性もあるんだからな。

 

それらの警戒、警告を完全に無視

なんか出来るのか?

 

「えぇ、不自然過ぎます。調子に乗った

だけではなく、思考誘導された挙句に

ナニカサレタ可能性もあります」

 

「ナニカ?・・・そうかヘルメス

ファミリアにはっ!」

 

「アスフィがいますからね。

差し入れの食事や飲み物に

一服盛ることは難しいことでは

ありません」

 

・・・有り得る。

エマ少女が何を知ってるかは

別としても、ベル少年がフレイヤの

お気に入りだと言うなら、彼を操れば

フレイヤと僕たちの間に溝を作ること

も可能だ。

 

実際アイズは彼に感情移入し始めている。

 

しかし自分のお気に入りに手を出されて

あのフレイヤが大人しくしているモノ

なのか?

 

もしくはフレイヤはヘルメスの狙いに

気付いて、あえて僕たちとの戦闘を

避けてるのか?

 

それなら試練の邪魔をするために

先行したアイズやべートが無事な

のも繋がるな。

 

「エマ少女か、普通ならアイズや

ベートに警戒させるんだが」

 

「あの二人に腹芸は出来ませんから、

すぐにバレてしまいます。

そうなればヘルメス達は彼女を

切り捨てて無関係を装うのでは?」

 

「・・・だろうね」

 

オッタルが居たことをどのタイミングで

知ったかだけでも聞き出せれば良いの

だけど、リヴェリアは聞き出せるか?

 

アイズに気を取られてエマ少女の

言った言葉を聞いてない可能性も

あるけど・・・いや勝手に過小評価

するのはダメだな。そのへんは合流

したら聞いてみよう。

 

「あとは演劇を見ていた僕たちに

対する警告か・・・」

 

最終的にアレが全部持っていったよ。

『演劇なんか知らねぇ!』と

言わんばかりの一撃?だった。

 

「筆頭様だとしたら、煩いから

もしくは先生のお見送りの邪魔だと

判断された可能性もあります」

 

「あぁ、彼もダンジョンに潜ってた

からね、その帰還に付き合ってた

可能性もあるのか」

 

想像が難しいけど、リヴェリアの

周囲に居るエルフ連中みたいな

感じかな?

アレがレベル7相当でちょっと、

いや、かなり過激になってると思えば

・・・もうダメだな。

 

「その場合、とりあえす彼に苦情?

を言うべきかな?」

 

苦情と言っても、実際は

ダンジョンで煩くしてたら

怒られたって感じだからね。

誰が悪いかと言われると微妙に

なるんだけどさ。

 

「苦情と言いましても、実際被害は

被ってませんし証拠もありません。

あえて言えばジャガーノートくらい

ですが、筆頭様の折檻がアレで済む

ならむしろ感謝した方が良いです・・・」

 

「そ、そうか」

 

実際僕たちに被害は無かったからね。

もし怒るとしたら試練を潰された

フレイヤファミリアになるのか?

いや、別にダンジョンはアイツ等の

モノじゃないから、文句を言う筋合い

でもないよな。

 

あくまで殺ったのはダンジョンの

壁とミノタウロスだけだし。

 

・・・もしかしてそこまで計算した

上であの攻撃を加えてきたのか?

 

文武に秀でた英雄にして王様って

話だけど、敵に回したらかなり厄介な

相手みたいだね。

 

第一、まずは一度会って話をしてみない

ことにはどんな人物かも分からないし、

対策の立てようがない。

 

今後の課題だな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『なるほど・・・それで一度退いたのね?』

 

「「はっ!」」

 

まさか筆頭さんとやらが神の力を

斬り裂くほどの使い手だったなんて。

 

しかも不意打ち・・・ではないわね、

ちゃんとアレンに警告を与えた上で

攻撃をしてくるという事は、

私に対して無条件に敵対行動を

取ったわけではないということ。

つまり、何かしらの理由があったと

考えるべきよね?

 

それなら私の許可なく敵対は

出来ないというのもわかるわ。

 

『それで、アレンは彼女の意図は

なんだと思うの?』

 

まずは彼女を知るアレンの意見よね。

 

「はっ!おそらくダンジョンで騒ぐな。

喧しい。師の帰還の邪魔をするな。の

いずれかかと思われます」

 

あぁ、そういえば少し前に彼も

帰還してたわね。

その際に彼女らしき存在は

居なかったから、また深層に

修行に戻ったか・・・

いえ、それとも深層に居る知性ある

魔物の保護を彼に命じられてる?

 

そう考えれば長期に渡って深層から

出てこないのも分かる。

 

もしかしたらその作業の邪魔に

なったから彼らを追い出した?

 

・・・単純に試練の邪魔をした

だけならこちらも報復を考えるけど、

一応試練の目的は果たしたのよね。

 

それに何より、私が知性ある魔物に興味がある。

 

ふむ。今回の件は、一度彼に連絡して

魔物のお弟子さんの紹介をしてもらう

くらいで勘弁してあげても良いかしら。

 

『とりあえず一度、彼に手紙を出すわ。

その返事が来るまでこの件は保留ね』

 

「はっ!」

 

そっちは後でアレンかソフィア

に連絡させれば良いわ。

 

彼とて試練のことは知ってたんだし、

弟子が邪魔したとなれば何か補填は

するでしょう。

 

・・・オッタルに腕相撲で負けた

腹いせとかじゃないでしょうね?

 

 

ま、まぁいいわ。問題は次よ。

 

『それでオッタル。エマとか言う

ソフィアの妹についてだけど?』

 

コレが問題よ。オッタルの存在に

気付いていた事といい、試練の内容を

知っていた事といい、それなのに

対策を講じていないなんて不自然過ぎる。

 

「はっ!最初はロキファミリアと

私を戦わせることで、抗争状態を

作ろうとしていたのかと思いましたが、

アレはそこまで考えているようでは

ありませんでした」

 

『・・・つまりアレに取り憑いている

存在は試練を利用してアノ子を育て

ようとしてるだけ。

ヘルメス達は私たちを戦わせようと

しているけど、そもそもこの二つは

別ということかしら?』

 

そう考えれば最低限の説明は出来るか。

 

「ハッ!おそらくはその通りかと!」

 

あの小娘に取り憑いている存在が、

ヘルメスとは無関係と考えれば・・・

 

アレは小娘に対して啓示のような

形で夢か何かを見せてるのかしら?

 

予知夢のような形で未来を視る巫女の

ような存在は下界にも居るし、

ヘルメスの恩恵を受けたときにソレに

近い存在と融合したか、スキルか魔法で

依代になった可能性もある?

 

それならミノタウロスの存在を

知ってても対処はしていない。

本物を見て本気で怯える。

オッタルやロキファミリアの

存在も知っていたことも一応

納得は出来るわね。

 

だけど、ならばアノ子を育てようとして

いるのは何故?という話になるわ。

 

考えられるとすれば自分が依代と

している小娘を守らせる為かしら?

 

うーん。身近な少女を守る為に

強くなるというのは確かにアノ子の

モチベーションにはなる。

彼を彩る物語にもなるでしょう。

 

だけど・・・ソレを操るヘルメスの

介入が邪魔になるわよね。

 

変な色が着く前に殺す方が良いかしら?

 

それとも今のままアノ子の側に置いて

情操教育の一環とするべき?

 

ヘルメスが自分の物語の主人公に

する為に試練に便乗しようとして

差し向けて来た存在と言うだけ

ならそれで終わりだったけどねぇ。

 

そもそも、ヘルメスは小娘とソレに

憑いてる存在を知ってるのかしら?

 

場合によってはヘルメスの策を

根底から破壊する存在にもなる。

 

そう言った存在を許容できないのが

連中の特徴だから、おそらくは

知らないわよね?

 

よし、殺すのはいつでも出来るわ。

 

今は生かして利用する方向で調整

しましょう。

 

知恵者気取りの阿呆どもが策に

溺れて溺死する有様を見て

楽しむのも一興。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘルメス、その爆弾は処理を誤れば

全て台無しよ?せいぜい用心しなさいな。




主人公くん、歓迎される

勇者、怪しむ

色白女神、考えた の三本

いや、将来子供にその地位を奪われる
って言われて子供飲み込んだり
殺す連中ですからね。
普通に禅譲するとかそう言う発想
無いのかよ?

態々伝える預言者も預言者だけど
預言した奴は大体殺されてるし。

何がしたいのやら・・・ってお話


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96話

主人公くんネタの仕込み中

オリ設定!
オリ展開!

聞いてくれよ。俺さ100話を越えたら
1日1話更新にするんだ。


嫌いな人は読み飛ばし!


「預かった壺をバラしたら元に戻せ

なくなって、どうしようかと考えて

たら結果的に放置した形になって、

信用を失って専属契約切られたぁ?」

 

頭を下げながら無理やりギルドの

店にある執務室に連行されたかと

思ったら・・・

 

コレだからギリシャは。

ニコイチですらねーよ。

だから信用ねーんだよ。

 

器用な真似をするなぁと思って

話を聞こうとした俺がアホだった。

 

『そうなのよ!信用云々は自業自得

だからしょうがないとしても、

せめてバラした壺は直さないと

マズイでしょ?』

 

そりゃそうだ。不壊属性だから美術品

ではないが、一応外観だって美の神

であるイシュタルが持ち歩いても

恥ずかしくない程度に加工したモノ。

 

工芸品としてもソコソコの値が着く

モノだしなぁ。

 

「いやしかし。そもそもあれをバラした

というが、あれって分解掃除する為に

ネジ止めした場所以外にバラすような

ところあったか?」

 

初期版のギリメカラ印の魔法瓶。

というかランチジャーだぞ?

モーターとかはついてないし・・・

 

『い、いやぁ素材が気になっちゃって』

 

「おいまさか」

 

『不壊属性だから溶断もできない

でしょ?でも表面に加工をして

あるじゃない?ってことは条件付きの

不壊属性じゃないかって思ったのよ!』

 

その通りだが・・・

 

『で、色々試してたら原型無く

なっちゃった(*ゝω・)☆』

 

(*ゝω・)てへぺろ☆じゃねーよ

 

「お前、製作者を前にしてもう少し

『悪いことしたなぁ』とか無いのか」

 

嬉々として他人様の技術を解析

しようとしやがって

 

『え?フレイヤには悪いことした

かなぁってのはあるけど、貴方には

無いわね。

むしろこんな技術独占してることに

殺意すら沸くわ!』

 

「そうか、お疲れさん」

 

そのままどうぞ

 

『マッテ!マッテヨ!流石にこのまま

じゃ不味いのよ!』

 

「知るか。なんで殺意を向けてる

奴が勝手に分解した工芸品を修繕

せにゃならんのだ」

 

こんなんアメリ○軍だって

引き上げるだろ。

 

俺はお前らから思いやり予算貰ってる

わけじゃねぇんだよ!

 

『いや、ソレは技術者としての

素直な気持ちの発露であって!

アレよ!褒め言葉なのよ!!』

 

どこの世界に殺意が沸くって

褒め言葉が・・・あるかもな。

 

それに心なしか分解された

ギリメカラが哀しい目で見て

くるような気がしないでもない。

 

コレ、ジャスタ○ェイにするか?

いや爆発したら怒られるよな。

 

だがここの神連中ならネタ扱いして

イイ笑顔してくれそうなんだが。

 

しかしギリメカラに罪は・・・有るが

コイツは別に物理反射してきた

わけでもないしなぁ。

 

いやいや、しかし此処までヤられたら

作り直したほうが早いレベルだし

畑の世話もあるし何よりめんどい」

 

『ワザとでしょ!ワザと声に出して

私を焦らせて反応を見てるだけよね?!』

 

「いや、紛れもなく本心だ」

 

おぉ、声に出してたか。失敗失敗。

長年探してた弟子に会って気が

緩んでるようだな。

 

『ソレはソレでどうなのよ?!』

 

「そもそも別にお前と付き合いが

有る訳でもないしな。

お前の信用が失墜して、フレイヤと

仲が悪くなって、眷族が食いっぱぐれ

ることになっても俺は痛くも痒くもないし」

 

むしろ俺に絡んで来るのが減ると

考えれば、このまま放置でも

良いんじゃないかな?かな?

 

『いや、貴方にしたらそうなんだろうけど!』

 

「コイツも元々土産を入れるための

モノで下手に量産させる気も無かったし」

 

HENTAI国家の皆様の発想を勝手に

使ってる身だからな。

世界最強の剣と言われた著作剣に並ぶ

名剣、知的財産剣の一つ特許剣が俺に突き

刺さることになる。

 

趣味でヤる分には良いんだぞ?

営利でヤると駄目なんだ。

 

だからあくまで食材や土産物を

入れるだけのモノにしてるってのに、

この阿呆どもは・・・

 

『そんなこと言わないで!ほら!

私に出来ることなら何でもするから!』

 

「ん?今なんでもって?」

 

あんなこと(分解)や

こんなこと(切断)も?

 

『え?えぇ。イシュタルと色々

してる貴方には物足りないかも

しれないけど・・・』

 

ヒトを猟奇殺人犯みたいに

言いやがって。

 

俺としては謝罪と技術の為に体を切り売り

するのはどうなんだと言いたいところだが

・・・こいつらギリシャだからな。

 

さらに失った部位すら復元する

エリクサーなんてモノも有れば

その辺は軽くなるのも仕方ない、か。

 

ふっ嘆かわしい話だな。

 

・・・さて、鍛冶神ヘファイストスの

一部を素材にしたらどうなる?

ただの悪党と一緒か?それとも何か

出来たモノに対して補正が掛かるのか?

 

『え?なんか目が残念な同業者を見る

目から、珍しい素材を見つけた技術者

の目になってない?』

 

なかなかいい勘をしている

 

「よし、何でもすると言ったお前の覚悟に

免じて修繕を引き受けようじゃないか」

 

『え、いや、この流れで?』

 

「もちろんコッチは条件として

お前の体を要求しよう」

 

なに、全部とは言わん。せめて腕だな。

利き腕なら最高だ。

 

『なっ!だ、ダメよ!普通ならアッチ

方面で納得するところだけど、

今の貴方は確実にヤバイわ!!』

 

失礼な、ちゃんと回復させるっつーの。

・・・闇派閥の連中で試したから

神にも効くってのは実証済みだしな!

 

「ダイジョウブダイジョウブ、

イタクナイイタクナイ」

 

『なんでカタコトなのよ!』

 

初めての経験に緊張している

ヘファイストスの緊張を和らげようと

する心優しい俺からの配慮じゃないか。

 

「落ち着け、天井のシミを

数えている間に終わるから」

 

『終わるの意味が違うわよねぇ?!』

 

HAHAHA何を言ってるのやら。

さてエリクサーはっと有った有った。

 

『に、逃げ・・・逃げれない?ナニ?

体が動かない?!』

 

「知らなかったか?俺からは逃げられない」

 

元々お前が招いたことだ。諦めろん

 

『え?い、いや、マッテ、マッテ

ちょっとマッテ、待ってってばぁ!!』

 

「待てと言われて待つヤツはいない。

俺と二人きりになって「何でもする」

と言った己の迂闊さを悔いるのだな」

 

吐いたツバ、呑まんとけよ

 

『ちょちょちょ!ちょっとぉぉ?!』

 

「痛いのは一瞬だ。なぁに慣れれば

気持ち良くなるさ」

 

ギリシャにはそう言うヤツも居るだろ?

変態の巣窟みたいだし?

 

『・・・!!』

 

「あんまり大声でうるさいのもな。

ホラ、周りに迷惑だろ?」

 

頬内・・・顎の力が無ければ

まともに喋れんよなぁ?

 

『・・・っ!・・・っ!!』

 

「あぁ、一応コレがエリクサーだ。

奥歯にセットしてやろう。

痛みを感じたら顎が締まるから

そのまま砕くといい」

 

いやぁタブレットは便利だなぁ

 

『・・・・・・』

 

お、ようやく諦めた。んじゃ目に

タオルを当てて・・・

あ、一応口にも当てんとな、イキナリ

顎の力が戻ったら怪我するし。

 

エリクサーがあるから大丈夫か?

そんならヘファイストスの舌も・・・

いや、あんまり欲張っちゃいかんよな!

四肢で十分!

 

 

 

 

 

 

 

 

そぉい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『(アッーーーーーーー!!)』

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

へ、へファイストスの店の中にある

執務室へ2人で入って行ったけど

ナニをしてるのかしら?

 

壺の件なら私も話を聞きに行きたい

ところだけど、アレしてたら流石に

アレよね?

 

他にもお弟子さんの話とかあるけど

今日は諦めて明日以降にしましょうか。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

『う、うっ・・・』

 

ふ、いい仕事したぜ。本体はさっさと

治ったし、切り離した方は止血して

冷凍保存だ。

 

あまりの速度故に相手に冷たさを錯覚

させる泰山天狼拳とは違い、しっかり

凍らせる滅凍黄凄陣。

 

うむ、闘気は万能だ。

 

「ふ、ヘファイストス、なかなか

イイ体だったぞ」

 

これなら随分良い素材になりそうだ

 

『素材としてじゃない・・・

いや確かに痛みは一瞬だったけど、

どんだけ刻んでるのよ』

 

4回だな。

 

『あぁ、見せなくてもいいわ。

そのまま袋に包んでて!』

 

「まぁ別に構わんが・・・んじゃ

代金ももらったし壺は確かに預かろう。

修繕したらお前に渡せば良いのか?

それともフレイヤに直接?」

 

『私からフレイヤに返すから

私に頂戴・・・』

 

だいぶ弱ってるな。痛みが無かった

なら問題あるまいに。

 

「了解。とりあえず三日ほど

もらおう。ただしお前があんまし酷く

弄ってて修繕が難しいようなら同じの

造って渡すことになることは留意

するように」

 

ワンオフの美術品ならともかく

あくまで工芸品だからな。

 

『あぁ、そんなに簡単に同じの

造れるのね』

 

「そりゃそうだろ」

 

量産品とはそういう物だ。

 

『・・・ねえ、やっぱり私には

女としての魅力は無いかしら?』

 

はぁ?

 

「イキナリ何抜かしてんだコイツ」

 

『いや、声に出さなくても・・・』

 

あぁ失敬

 

『普通は何でもするって言ったら

アッチでしょう?それなのに

貴方が私を見る目はあくまで

素材としてだけ・・・まぁ

こんな目をしてたら女として

見られないのは知ってるけど

ソレでもやっぱり思うことはあるわ』

 

「あぁ、そーゆーことな」

 

まぁ気持ちはわからんが、

女としてのプライドか?

 

「俺的には職人気質のイイ女だとは

思うが、そのままハニトラに移行

されても困るし?」

 

『えっ?う、嘘じゃ・・・無いわね。

な、ならハニトラじゃ無ければ?』

 

「美味しく頂くぞ?」

 

『そ、そうなのね?』

 

うむ「嘘だ、こんな私なんて?!」とか

言って面倒な女にならないのが嘘を

見抜く神の便利なところだよな。

 

「そりゃそうだろ。お前くらい

イイ女は中々いないぞ」

 

見た目もそうだが芯の部分がな。

コレは神だからそうなのかコイツ

だからそうなのかは知らんけど。

 

『そ、そうなのね!』

 

別に操を立ててるわけでも無欲な

訳でもないからな。

アイシャや春姫、イシュタルにも

手を出してるんだから今更だろう。

 

あ、だが娼婦以外だとマズイか?

 

弟子を正妻扱いした以上、側室や

商売上の関係以外は駄目だよな?

 

うーむ、かといってココでそのまま

帰れば女としての覚悟を踏みにじる

ことになるよな?

 

コンプレックスもあるようだし

ここは義眼でも作るのが正解か?

いやいや、義眼ってことは今の

こいつを認めてないってことになるし

 

『あ、なんか考え込ませちゃったわね。

えっと、変な質問してごめんなさい』

 

「ん?いや、お前を抱く口実を

考えてただけだから気にするな」

 

『だっ・・・そ、そうなのね!!』

 

「いくらお前がイイ女だからって

ホイホイと盛るわけにも行かん。

男にも色々あるんだよ」

 

ほんと色々な

 

『色々・・・そ、そうなのね!!!』

 

今回は魔法瓶くらいで貰い過ぎなような

気もするが・・・だが知的所有剣の

恐怖を考えれば足りんとも言えるか。

 

『え、えっと、その・・・』

 

「あー代金が足りないかもなー」

 

どうしよっかなー

 

『え?急に何を・・・あっ!』

 

「そういえばさっき何でもするって

言った女神様が居たような気が

するんだが・・・まだ有効かなー」

 

『え、えぇ、もちろんよ!私にも

神としての矜持がある。

下界の子に嘘なんかつかないわ!』

 

「・・・そうか、コッチは条件として

お前の体を要求しよう」

 

『えぇ、望むところよ!』

 

まったく、弟子と会って緩みすぎだな。

 

まぁいいや。

 

明日から自制しよう。

 

「行くぞ鍛冶神。部屋の防音は十分か?」

 

『私のエア(真空硝子)を見せてあげるわ』

 

・・・遮音には十分だな

さて、射殺すか。ギリシャだしな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アッーーーーーーーーー!』

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「オラァ!」

 

「ふっ・・・!!」

 

「なんじゃなんじゃ、アイズとベートの

二人が無駄に前に出るもんじゃから

後続の連中の訓練にならんぞ」

 

不完全燃焼だからねぇ。

 

「私には、なんでアレを見て燃えるのかが

わからないんだけど?」

 

そんなの決まってるじゃない

 

「ば・・・演劇だって気付いて無いからよ」

 

危ない危ない。他のファミリアが居る

ところで、本音をぶちまけるところ

だったわ。

 

「・・・なるほどなー」

 

ティオナも合わせてくれたわね。

今はいつも以上に警戒しないと。

 

ヘファイストスファミリアとの連携も

あるけど、なんたってここは既に深層。

いつ筆頭様が壁を切り裂いて現れるか

わからないんだからね!

 

「演劇がどうした?あヤツらが芝居など

観に行くとは思えんが?」

 

「椿、盗み聞きははしたないわよ」

 

ほんとにもう。あわよくば武装を研究

しようとするヤツらも居るしね!

 

「いやいや、お主らの腰巻きとその縄が

噂の新武装であろう?見たこともない

材質を見たこともない加工で造り上げ、

見たこともない効果を付与している。

コレに興味を抱かん鍛治師はおらんぞ!」

 

「「「そうだそうだ!」」」

 

うわぁ。他の鍛治師連中まで同意してるし。

 

「と言うか、腰巻きを凝視するの止めて

くれないかしら。はっきり言って迷惑。

いくら鍛治師としての視線でも、

良い気分はしないわよ?」

 

「そうだよねぇ。普通の男連中の視線より

怖いって言うか、つい反撃したくなるよ!」

 

そうよね。いくらアマゾネスだからって、

こんな視線を向けられたら不快にもなるわ

 

はっ!まさかこれが恥じらい?!

筆頭様が言っていた、特定の相手以外に

肌を見せる事に対する忌避感ってヤツ?!

 

「あ~ソレはそうだな。いくらなんでも

腰巻きに集中されては戦闘の邪魔に

なるだろう。そんなお主達に解決策が」

 

「「断る」」

 

「なっ!まだ何も言っておらんぞ!」

 

「どーせ流星錘か縄縹を使えって

言うんでしょ?」

 

ガレスも言ってたけど、本来この階層は

二軍の訓練の為に彼らに攻略させなきゃ

駄目なのよ。

ソレをあの二人が団長の指示を無視して

ストレス発散に使いやがって。

 

このファミリアはあんたらのファミリア

じゃないっての!団長のファミリアよ!

 

「まぁその通りだが、どうだ?使うのが

嫌なら自分に貸してみんか?」

 

「「なんでさ」」

 

わけがわからないよ

 

「その縄が異常な重さがあるのはわかって

いる。だが、何故その重さになるのかが

わからん!材質か特性か、調べねば

メンテナンスも出来んだろう!」

 

それらしいこと言ってるけど、残念ね

 

「先生からは専用の洗浄液で溶解液や

汚れを落とす以外のメンテは不要って

言われてるのよ」

 

ついでにアンタらには触らせるなってね。

 

「くっ!オノレあヤツめ!アレだけの技術を

持ちながら、まだ技術を独占するか!」

 

「いや、アンタらだって無条件に技術を

教えろって言われても断るでしょ」

 

当たり前の話じゃない?

 

「ソレはそうだがっ!せめて販売してくれて

も良いだろう?!」

 

「いや、アンタらはソレをバラすんでしょ?」

 

なら売らないのが正解よね。

 

「ソレはそうだがっ!大体お主達は何で

武装を造って貰えたのだ!あヤツには

色仕掛けも通じんし、金で動く男でも無い!」

 

色仕掛けなんか通じるはず無いでしょうが。

 

「うーん、何でだっけ?」

 

「リリルカ関連よ。武装のテスターでしょ」

 

縄縹と流星錘は先生が見れば大体のことが

わかるらしいからともかく、腰巻きと

髪留めに関してはキチンと報告が必要なん

だからね。忘れないでよ?

 

「くっ!ならば自分を紅魔に紹介してくれ!」

 

「「断る」」

 

「な、何故だ?!」

 

自分でやりなさい。

 

「そもそもリリルカの武装は全部先生の

作品だから、アンタを紹介してもリリルカに

得が無いじゃない」

 

むしろ先生を面倒事に巻き込むことに

なるから「嫌がらせか?」って怒られるわよ。

 

「ソレはそうだがっ!」

 

諦めなさい。私もティオナもアンタらの為に

先生と筆頭様を敵に回す気はないの。

 

「な、ならばせめて、壺の造り方とかは

聞けないか?」

 

「「はぁ?」」

 

「壺って。椿、アナタ鍛治師よね?陶芸

でも始める気?」

 

わけがわからないよ。

 

「・・・コッチも色々あってな」

 

あら、珍しく疲れてるわねぇ。

まぁ何だかんだで大手のファミリアの

団長だから色々有るんだろうけど。

 

「良くわかんないけど、普通に正面から

頼んだ方が良くないかな?」

 

「そうよね。技術を盗むとかじゃ無いなら

壺くらいなら造ってくれるんじゃない?」

 

下手に小細工するから嫌われるのよ?

 

「うっ、うむ。ソレはそうなんだが・・・」

 

あ、これは駄目な奴ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体何をしでかしたのやら。とりあえず、

先生が笑って許してるうちに謝りなさいよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




仕込み(意味深)

鍛治神、体を売る(意味深)

前に価値については色々言って
ましたからねぇ。

自分の技術には確かな自信があるのに、
外見には自信が無い技術系女子ですね。
・・・すてきやん?


ご都合主義?

ソレがチラ裏の二次創作だろうがッ!ってお話


主人公くんの中では神様は男女のアレ的に
微妙な判定になるもよう。



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97話

地上編。鍛冶神様って結構堂々と惚気るよね?

オリ設定!
オリ展開!

ふっ、いつから仕事が暇だと錯覚していた?

嫌いな人は読み飛ばし!


『いやーもう、ほんと酷い目にあったわ!』

 

お昼過ぎから一晩中だなんて・・・

もう!彼にも困ったものね!

 

ホント、知的財産も財産なんだから

下手に手を出しちゃ駄目よね。

 

アレだけのモノだもの、賠償だって

高額になるのは当たり前!

 

もしかしたら昨日のだけじゃ支払い

には足りないかもしれないわね。

 

あぁもしも「まだ足りない」って

言われたらどうしようかしら?

 

うーん、ちゃんと支払わないと

現物を渡してもらえないかも

しれないわよね。

 

そうなったら信用問題だし、

それに・・・何でもするって

言っちゃったし。

 

一回だけなんて限らないわよね!

 

『いやーホント、困ったわ!

どうしようかしら?』

 

『にやけながらそんなこと言っても

説得力ないと思うけど・・・

それに妙にツヤツヤしてるよね?』

 

『あらヘスティア、居たの?』

 

この子にも一目で分かるくらい

にやけてたのかしら?

 

ツヤツヤは・・・シカタナイわよね!

 

 

『そりゃ居るよ!仕事だからねっ!』

 

ほー。何ていうか、少し見ない間に

成長したのかしら?

 

・・・まだまだお子様だけどね。

 

『な、なんだい、その、何ていうか

家で飼ってる小動物が微妙な芸を

覚えたかのような、微笑ましいモノ

を見る目は!』

 

妙に具体的だけどあやふやな例を

出してきたわね。

・・・微妙な芸って何かしら?

 

『いや、アンタが仕事だからって

強弁できる日が来るなんて・・・って

思ったらつい』

 

『む、むぅ。ソレに関しては

何とも言えないよ。悪かったね』

 

『良いの良いの。今はちゃんと

働いてるんだし』

 

あの頃と比べたら全然マシよ

 

『そうそう、仕事といえばミアハへの

借金はどうなったの?

私への借金はあくまで物納だったから

アレだけど、アッチはタダでさえ少ない

現金を借りたんだからね。

返済はアッチを優先しなさいよ?』

 

今は金銭的な余裕はあるらしいけど、

やっぱりそう言うのはちゃんと

しないとダメよね。

 

『あぁ、うん。ベル君も借金のことを

言われたらしくてね。

少しずつでもいいから返そうってなって

とりあえずミアハに5000ヴァリス

返したよ』

 

『うんうん、5000ヴァリスでも

返さないよりはマシ・・・待ちなさい』

 

『え?』

 

コイツ、今、誰に返したって言った?

 

『・・・ミアハに返したの?』

 

『え?あぁ、うん。なんかフラフラ

してたし、お金が無かったみたい

だったからご飯奢るついでにね』

 

ナァーザ、ごめんなさい。私の

説教が足りなかったわ。

 

・・・まぁいいや()

 

よくよく考えたらその辺はミアハと

ナァーザの問題だし。

個人営業の会計は色々あるから、

他所の会計に口出ししちゃダメよね。

 

よし!さっさと話題を変えましょう。

 

 

 

『あぁそうそう!そういえば眷族の子は

大丈夫だったの?』

 

なんか昨日早退したらしいじゃない?

 

『・・・急に話題を変えてきたね?

えっと、ちょっと怪我してたけど

ミアハから貰ったポーションで治ったし。

意識とかもちゃんとあるから大丈夫だよ。

今はゆっくり休養中さ。

昨日は早退して悪かったね』

 

ふーん。へー。ほぉー。

 

なんでもこの子の眷族が

ロキファミリアの剣姫たちに

運ばれてきたとか?

ダンジョンで何があったのやら。

 

本神がいうように問題ないからこそ、

こうして仕事に出てきてるんでしょうけど。

 

『良いのよ、たった一人の眷族が

大事なのはわかってるし、

こっちの問題も解決したしね』

 

私も最初の眷族は特別可愛かったしね。

 

それに昨日この子が居たらあんな事には

なって無かった可能性もある・・・

結果オーライね!

 

『あぁ、なんか最近ずっと悩んでたよね?

解決したのかい?』

 

『えぇ、色々解決したわよ』

 

本当に色々・・・壺といい肩こり腰痛、

つまらないコンプレックスとかも

全部吹っ飛ばす感じで解決してくれたわ!

 

フレイヤとはもう少ししたら話をしなきゃ

いけないけど、とりあえず今は椿たちが

居ない間のファミリアの運営よ!

 

『・・・頭抱えて溜め息ついて

悩んでるよりは百倍良いけどさ』

 

『でしょ?それに私は鍛冶神なんだから

まずは動かないとね』

 

そんなところが私の美さの芯だ

なんて言われたし・・・

 

あぁ、今は無性に鍛冶がしたいわ!

 

『なんか燃えてるけど・・・とりあえず

今日はお客さんの予定も無いし、店頭で

売り子してるから。何かあったら

呼んでおくれよ』

 

『そうね、よろしく頼むわ』

 

あ、鍛冶をする前に部屋の掃除を

しないとね。

 

流石にコッチは他人に任せるわけには

いかないんだけど・・・イシュタルとか

どうしてるのかしら?

 

『ヘスティア・・・はわからないか

ごめん、何でもないわ』

 

この子が片付けてるのは精々

自分のヨダレくらいですもんね。

 

『なっ、なんだかよくわからないけど

無性に負けた気がするよ!』

 

あんたはそう言う意味じゃ

いっつも負けてるわよね?

 

アレだけベル君ベル君って言ってるのに

未だに何の進展もないなんて・・・。

 

可愛い顔と凶悪な体の持ち腐れよ。

そりゃロキも羨ま死ねって騒ぐわ。

 

もういいけどさ。

 

『良いのよーお子様のヘスティアは

黙って働いてれば良いのよー』

 

『くっ!なんだいなんだい!

その上から目線は!』

 

いや、実際小さいし?

 

だけどアレよね。あんなに激しく求め

られたら、もう女として見られてない

なんて言えないわよね。

 

順当に行けば次に会えるのは3日後かぁ。

 

・・・少しくらい外出しても良いわよね?

 

仕事の合間を見てナァーザの店に

お茶を買いに行ってみたり、

イシュタルのところに営業でも

行ってみようかしら?

 

やっぱり殿様商売はダメよね。

それに普段眷族にさせてることを

理解することも大事だし。

 

あんまり他所のファミリアの子と

ベタベタ接触するのはよく無いけど、

偶然なら仕方ないわよね!

 

うーん、そうなると、どんな服が

良いのかしら?ドレスみたいなのは

流石にアレだけど、普段着で

変に着飾ったら不自然よね?

 

かといって何時ものシャツとか

レギンスパンツも・・・

日常でのオシャレって誰に聞けば

良いのかしらね?

フレイヤもイシュタルも開放的

すぎて参考にならないし。

 

『ヘスティア・・・は駄目ね。

ごめん、何でもないわ』

 

こんな布と紐で外をうろつくのはねぇ。

もう痴女丸出しだもの。彼はそういうの

あんまり好きそうじゃ無いし。

 

『遠くを見たり真剣な顔で何かを考え

始めて、なんか顔を赤くして頭を振った

かと思ったらイキナリ駄目出しかい?!』

 

だって布一枚と紐だし・・・行動も

無意識に巨乳を強調してるわよね。

 

これでなんでゼウスとかポセイドンに

無理やり奪われなかったのかしら?

姉って立場で言ったら他の二人も

そうだったけどしっかりヤられてるし。

 

『だからこそお子様なんだけどねー』

 

『何かひどい言われようだよ・・・』

 

こんな格好してるのに手を出されないのは

良い事なのか悪い事なのか。

ま、私の場合は良い事だったけど。

 

ヘスティアも処女こじらせてないで

さっさとベル君とやらに手を出さないと、

誰かに持って行かれちゃうわよ?

 

『ぐぬぬ!ヘファイストスが見たこと

無い顔してるよ。この敗北感は一体

何だろうね!』

 

ふっ。お子様にはまだ早いわ。

 

貴女は黙って働いてれば良いのよー。

 

 

―――――――――――――――

 

 

『レベルアップだ!頑張ったなナァーザ!』

 

「そうですか」

 

『む、?あまり嬉しそうではないな。

疲れたか?それともダンジョンで

奴にナニカサレタか?!』

 

・・・頑張るのはこれからよね。

 

「ミアハ様、お話があります」

 

『な、なんだ?留守中の生活費か?

た、タケやディオニュソスが食事を

奢ってくれてな!あぁヘスティアも

アレだった!ツケはして無いぞ?!』

 

「真面目な話です。茶化さないでください」

 

いえ、それもかなり気にはなってたし、

後で補填しないとダメなんだけど。

それにヘスティア様って言った?

ベルの主神で20万ヴァリスの神様?

ご飯奢ってもらった?そんなお金あるの?

 

『そうか・・・無理やり金庫を開けよう

とした跡に気付いたか』

 

「・・・そんなことしてたんですね」

 

何してるんですかねぇ?金庫には

絶対触るなって言いましたよね?

 

もしかしてツケはしてないけど、

いろんな場所に借金とかしてるんじゃ

ないでしょうね?

 

『・・・あーうー』

 

何かを喋ったら自爆する可能性が

あると判断して口を噤んだ?

コレは他にも何かやらかしたわね?

 

半月にも満たない短期間で一体

何をやらかしたの?

 

権利書とか手形には手を出せない

ようにしてるからその線は無い。

 

いや、だけど口約束や借金は借用書

さえ相手が用意すればいくらでも

できるし・・・

金利見ないで借金とかしてたら

今すぐにでも返済しなきゃ駄目よね?

悪質ならリリルカさんにも協力を

仰いで組織ごと潰すのも有り、か。

 

被害者がミアハ様一人ってことは無い

だろうから、それだけで数多くの

ヒトが救われて先生に素材の提供

も出来るわね。

そうなれば周りの敵意も少しは

減らせるかしら・・・。

 

先にソッチを話した方が良いかしら?

それとも先生のことを先に話すべき?

 

どっちも感情的になったらダメなこと

だけど、まず優先すべきは命に直結

する方よね。

 

・・・ミアハ様が何をしでかしたか

によって変わるか。

 

なんでも先生が言うには先生には

先生の企みがあるから、別に無理して

ミアハ様の態度を変えさせる必要は

無いって話だったけど

・・・ソレ以上にお世話になったヒトの

悪評を垂れ流すなんて行為をコレ以上

させるわけには行かないの。

 

そういうのを理解した上で先生の

策に協力するならまだしも・・・

いや、ミアハ様は隠し事なんか

できない神様だから、誤解を解いたら

先生の策を潰すことになるんだけど。

 

さてこの場合どうするのが正しいの?

 

『ど、どうしたナァーザ?

やはりヤツに何かされたのか?!』

 

・・・やっぱりコッチね。

流石にこの勘違いは許容出来ない!

 

「いえ、そもそも今まで先生に性的な

ナニカをされたことはありませんし、

技術や商品のために、こちらから

そのようなことを持ちかけたことも

ありません」

 

なんか生産系や医療系でそう言う噂が

流れてるらしいけど・・・先生が

そんなことで技術の漏洩なんかする

はずないじゃない。

 

『う、嘘では無いな。いや、しかし・・・』

 

ちゃんと嘘か本当か見分けて下さいよ?

 

「大体そもそもの原因は私じゃないですか」

 

『む?どういうことだ?』

 

そのままの意味ですよ。

 

「ダンジョン探索で不覚を取って

無様に死にかけた私が悪いと言う

ことです」

 

『それはちがうぞ!』

 

「違いません。ダンジョンにおいて

冒険者は独立独歩の自己責任。

あの時の私達は準備も知識も覚悟も

実力も足りませんでした。

その結果があの怪我でこの右手です」

 

そう、先生たちを見れば分かる。

 

ダンジョン探索に必要なのは

レベルだけじゃない。

情報も道具も知識も技術も、全部準備

してからじゃないと潜っちゃ駄目なの。

 

それでも不測の事態は起こるから、

それに対応できる遊びも重要。

 

お金が無くて追い詰められてたなら

まだしも、あの時の私たちはそれなり

に余裕が有った。

 

それなのに準備を怠った為にあの事故が

・・・いえ、アレは事故じゃない。

油断慢心が招いた必然よ。

 

「今までご苦労をかけてすみません」

 

『苦労などと思ったことはない!』

 

あぁ。きっと本心からの言葉なんでしょう。

 

だけどその言葉に甘えちゃダメ。

 

油断慢心の結果、私の義手が必要となり、

ミアハ様はライバルのディアンケヒト様に

頭を下げ多額の借金を抱えたファミリアは

解散状態・・・私はトラウマでまともに

ダンジョンに潜れず、稼ぎは少量の薬品の

販売のみ。

借金返済や仕入れのお金で食うにも困る

生活だった。

大恩あるミアハ様にそんな生活を強いて

しまった私に何かを言う権利は無いと思う。

 

だけどコレ以上は駄目なの。

 

「ミアハ様、私の失態を自覚したうえで、

今とこれからの話をします」

 

『今とこれから?』

 

さぁナァーザ。もう逃げるな!

己の罪に向き合うえ!

 

そしてミアハ様を守るのよ!

 

もしダメだったら・・・せめて都市

から逃がすくらいはしてみせる!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふーん

 

『いや、「旦那様に魔法教えちゃいました」

って言われてもねぇ。

むしろ今まで秘密にしてたことが驚きだよ』

 

「え?あ、はい。そうです」

 

コイツも生真面目な性格してる

からね。私への恩義みたいなのも

感じてるみたいだし。

 

奴隷から娼婦になったヤツに恩義って

のもアレな話だが・・・まぁ貰える

モンは貰うさ。

 

『アイツなら悪用もしないだろうし

ナニカ有った時にはアイツの力を

借りることもあるだろう。

ソレを考えたら秘密にしてるより、

今のうちに打ち明けたほうが信用も

されるってもんだろ?』

 

実際緊急時に「私の魔法は対象を

一時的にレベルアップさせます!」

なんて言われても信用ないだろうし。

 

「は、はい!それはそうだと思います!」

 

むしろ気になるのはウィーネって

弟子と正妻様だよねぇ。

ウィーネは知性ある魔物で、リリルカ

よりも強い?

アイツはアレで迷宮都市内でも上位の

実力を持つ冒険者だぞ?

さらに今回の探索でレベルが上がるなら

アレに勝てる冒険者なんて数える程。

それより明確に強い魔物が居る?

しかもギルドが闇派閥とソイツらを

巡って争ってる?

 

そこにアイツが第三勢力として・・・

いや魔物連中の組織が有るなら

第四勢力として関わるんだろう?

 

かなり厄介な面倒事じゃないか。

 

さらにアイツの弟子の正妻様は、

深層の蜥蜴?まぁ壁を破壊すると

驚いて出てくるっていうから

ジャガーノートだと思うが、

ソレをウダイオスごと斬り捨てた?

階層主ってそんな扱いで殺って良い

モンじゃないと思うんだけどねぇ。

 

アイツはアイツでその正妻様以上

ときたもんだ。まったくどこまで

三味線引いてやがったんだか。

 

まぁ昔っからフリュネが手も足も

出なかったから強いのはわかって

たけどさ。

 

コレは聞くことが増えたねぇ。

 

何時ものパターンだと明日来店で

アイシャを指名だろうが、今回は

割り込ませてもらうとするか。

 

こっちも半月で色々溜まったモンを

発散しないとやってられないよ。

 

『で、その正妻様はコッチには

来てないんだね?』

 

「はいっ!旦那様に言われてロキ

ファミリアの遠征の結果を確認をする

ことと、その上で知性ある魔物の方々

と連絡を取るように言われてました」

 

ふむ、ロキファミリアの監視と

知性ある魔物との連絡役か。

確かにギルドやら何やらを信用

出来ない以上、ダンジョンで

自由行動が出来る手駒は貴重だ。

 

一度外に出てきてしまえば監視の

目が向けられることを考えれば

そのままダンジョンで行動させる

のが普通ではある。

 

それもこれも深層で長期の単独行動が

可能な実力と確固たる精神力がなけりゃ

不可能だが、それが可能だからこそ

あいつの正妻様になれるわけか。

 

それに春姫を内縁の妻と認めて、

私やアイシャと言った他の女を

認める度量もあるって?

 

もし認めないとか言われてたら

色々困ることになってたから

ありがたい話ではあるけどさ。

 

それに正妻さまの決定はアイツに対する

愛情が薄いんじゃなくて、自分が居ない間

アイツに不自由をさせないための配慮

だって言うんだから・・・もう

どれだけ尽くす気だって話だよ。

 

その代わり裏切りとかは絶対に

許さないんだろうねぇ。

 

ま、その気はないから良いんだけどさ。

 

・・・ただ面白がってもいられない

 

『まぁ正妻さまの件については

今は置いておこう』

 

後からじっくり話す必要は有るが。

今はそれ以上の厄介事だ

 

「はぇ?春姫たちの留守中に何か

あったんですか?」

 

何かあったとは少し違うが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『春姫、アンタ殺生石って知ってるかい?』

 

 




鍛冶神様、色々あった。

貧乏神への説教は?

褐色女神様は尊いってお話



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98話

まだ地上のお話

オリ設定!
オリ展開!


嫌いな人は読み飛ばし!


「で、結局貧乏神はどうなったんです?」

 

「・・・もう私を前にしても、誰も

ミアハ様とは呼んでくれないんですよねぇ」

 

「そりゃそうですよ。行動が全てを

物語ってます」

 

なんで返済してもらった借金を

使ってお酒飲んでるんですか。

 

外食してたら5000ヴァリス

なんてすぐに消えちゃうでしょうに。

 

それに元々お店のお金を着服してたんだから、

せめてナァーザさんに渡せって話ですよ。

 

「まぁ流石にアレはねぇ。ベルも

駆け出しにしては儲けてるみたい

だけど、やっぱり余裕があるって

ほどでもありません。

そんなヒト達が返してくれたお金を

そのまま食費に充てるのはどうか

とは思いますよね」

 

しかも帳簿も領収書もないから

貧乏神からの申告がなかったら

ナァーザさんも彼らからの借金返済に

気付かなかったかもしれないって言うね。

 

・・・もぉどーしよーもないですよ。

 

「お金にだらしないヒトは何を

させても駄目です。信用できません」

 

冒険者でも神様でも駄目です。

 

ソーマ様でさえお酒の代金と納期

については妥協しませんでしたよ?

 

「そうですよね。失った信用は

どうしようもないでしょうね」

 

そりゃそうです

 

「あっ!だけど、とりあえず行動は改めて

貰えることになりましたよ!」

 

「へー。そんな素直なタマでしたっけ?」

 

どんなに言っても先生への態度は変わらないし

ポーションも無料配布を止めないから、

思い込んだら試練の道でも一直線な感じで

半ば諦めてましたけど。

 

「素直ではあるんですよ?ちょっと

足りないだけで」

 

足りないのが一番面倒だって言いますよね?

 

「とりあえずポーションの配布は

・・・いきなり辞めると他の医療系

ファミリアの儲けに関わりますから、

徐々に減らして行く予定です」

 

「ほぉー。その件でアレが納得したんですか?」

 

意外ですね。意地でも無料配布をする

と言い張ると思ってたんですが。

 

それに確かにいきなり無料配布を

辞めると、それはそれで他の医療系は

困るんだから迷惑なヤツです。

 

今は割増でナァーザさんが買うことを

見越して生産されてますからねぇ。

今後はその辺も会合で数量調節して

いくのでしょうかねぇ。

 

そっちは先生に関係ないから勝手に

やってくれって感じでしたから別に

どうでもいい話ではありますけど。

 

「えぇ、商売の仁義とかでは納得

してくれなかったので、ちょっと

冒険者の理屈を使って説得させて

もらいました」

 

「冒険者の理屈ですか?」

 

都合のいい時だけ実力主義を出すとか

 

都合のいい時だけ降伏して復讐を

考えるだとか。

 

都合のいい時だけ偉そうにしておきながら

イザとなったら弱者を囮にして逃げるとか

 

都合のいい時だけお金を払って、少しでも

気分が悪くなったら力尽くで奪ったりとか

 

自分の行動を神様のせいにしたりだとか

 

恩恵が無くなったらタダの生ゴミだとか

 

血の色は赤いけど不摂生だから無駄に

粘ついてるとか

 

基本的に臭いとか

 

基本的に頭が悪いとか

 

基本的に無駄口が多いとか

 

基本的に命乞いが同じセリフとか

 

基本的に冒険なんかしてないとか

 

・・・あと何かありますかね?

 

「えぇ、独立独歩の自己責任って

話をさせてもらいました」

 

「ん?それはそうですが、貧乏神は

知らなかったんですか?」

 

あいつらいつも偉そうにそう言って

ヒトの言うこと聞かないですよね?

 

自己責任だから好き勝手やって良い

って考える阿呆どもですから・・・

責任の意味を知るときには素材か

生ゴミですけどね。

 

しかし昔は中級でそこそこ裕福だった

らしいのに、そんな冒険者が二言目

には口にする理を知らなかったんですか?

 

「知識としてはありましたが、

実感はなかったみたいですね」

 

「あぁ、なるほど」

 

そういうこともありますか。

実際貧乏神は医療の神様ですからね。

 

ヒトは痛みが無ければ覚えないの理を

考えれば、アレは何も覚えてませんよね。

 

「それで、自分の力でポーションも

買えない冒険者は冒険者に向いてない。

下手にポーションを貰えると思って

油断させてはいけないって感じです」

 

「あぁ、なるほど」

 

駆け出しの冒険者にとってポーションと

装備にかかるお金は馬鹿になりません。

 

ですがソレはみんなが超えてる壁です。

その程度の壁も超えれないようなら

冒険者辞めろって話ですね。

 

「装備品や回復薬にかかるお金を

計算して準備を整えるのが冒険者です。

だけどもし最初から回復薬をミアハ様に

頼っていて、他の道具や装備にお金を

使ってしまった場合。その冒険者が

ダンジョンに潜る前にミアハ様に

会えなかったらどうなりますか?って」

 

「なるほど」

 

基本的に駆け出しはカツカツなのに

せっかちで余裕がないから貧乏神に

会えるまで待つなんて出来ません。

 

「あくしろよ」とか言って準備も満足に

出来てないままダンジョンに行くんです。

 

それで、そういう時に限って、いつもは

しないミスをして怪我するんですよね。

 

「つまり無料配布は新人冒険者の

心に油断を植え付ける行為であり、

結果として怪我をさせたりすることに

繋がる行為なんだって話をしました。」

 

「あぁ、なるほど」

 

そもそもはナァーザさんみたいな

冒険者を減らしたいって言う思い

だったみたいですが、完全に逆効果

ですもんね。

 

連中は甘やかしたら駄目なんです。

一歩引いたら二歩踏み込んでくるんです。

 

そしてタダでもらっておきながら

ポーションの量が足りなかったー

とか、効果が悪かったーとか抜かして

因縁をつけてくるんですよ。

 

リリは詳しいんです!

 

「その結果『その発想は無かった』

って素直に認めてくれまして」

 

「へー。その言葉が出たってことは

真剣に考えるつもりがあるみたいですね」

 

真剣に考えた結果がどうなるかは

わかりませんが。

 

「そうなんですか?」

 

「えぇ、先生は天界でのお約束とか

言ってましたけど・・・まぁ確実に

意識に変化は出ますよ」

 

ソーマ様もそうでしたからね。

 

「・・・あぁ、ソレなら嫌われるのを

覚悟してお説教した甲斐があります」

 

そうですよねぇ。ナァーザさんは

貧乏神に大恩があって、さらに惚れてる

から中々強硬策には出られなかった

んですよねぇ。

覚悟を決めた甲斐はあったと言う事ですか

 

「で、覚悟ついでに男女の仲は

進展したんですか?」

 

なんかソコから突入しちゃっても

いい雰囲気になるんじゃないですか?

 

「ままま、まさか!すっごく真面目な

お話でしたからね!そんな空気には

なりませんよ!!」

 

「そんな空気にしなきゃダメでしょう。

嫌われることを覚悟して、場合に

よっては命懸けの直談判ですよ?」

 

行けるところまで行かなきゃ

ダメじゃないですか

 

「い、いや、ソレはそうかも

しれませんけど・・・」

 

まったく、これじゃいつまで経っても

筆頭様や春姫さんには届きませんね!

 

「そこはしっかり冒険するべきだと

思いましたマル」

 

「作文ですか!」

 

どっちかって言うと感想文ですよねー。

 

 

 

 

 

「で、ナァーザさんもレベルアップ

したんですよね?」

 

二年くらい経ってますし、深層での

修行ですからね。

先生の考えた偉業の条件と上位経験値は

十分満たしてると思いますけど

 

「えぇ、発展アビリティは【加工】を

取りました」

 

「ほほう。これで【神秘】が有れば

先生に匹敵・・・は無理ですね」

 

あの人は【鍛冶】ともう一つなんか

生産系のアビリティがありますもんね。

 

・・・アレで生産系だから農家は

嘘つきとか言われるんですよ。

 

先生は基本無駄な嘘はつきませんけど

ネタで人を騙すの好きですからねぇ。

 

「あはは、流石に先生に追いつくのは

無理ですよ。ただ、これから作るお茶や

お菓子については味や効果もワンランク

上げていくつもりですけどね」

 

「ふぅん。レベルが上がって調合や器用も

上がれば自然と新しい境地も見えてくる

もんですか?」

 

リリは生産系の癖に【観測】

以外のアビリティが無いし、

基本は先生が作ってるお茶や

料理を食べてますから、新商品の

味見役として役に立ちません。

 

全部先生のほうが美味しいで

終わっちゃいますからねぇ。

 

あんまり舌が肥えてもアレなんですが、

お金があってレベルも高いならちゃんと

お金を使わないと経済が回らないし、

他の杜氏を目指す眷族の為にもリリが

羨ましいと思えるような生活を

してくれって言うし・・・

 

・・・別に経済が回らなくても

他の杜氏が困っても痛くも痒くも

無いんですけどねぇ。

 

ただ、リリが先生のサポーター

してる時にお酒造りが止まっても

困るんですよ。

 

お酒の味見をするためにも肥えた舌は

必要なんですって。

まぁそりゃそうですよね。

 

美味しいご飯に美味しいお酒が

あればこそ、先生の農園の野菜も

売れるし。

 

一般の冒険者は高いけど美味しい

お茶なんて飲まないし・・・

 

あーうー。そろそろアレですかね?

新入りたちをレベルアップさせるために

久しぶりにミノでも狩りにいきますかね?

 

オッタルさんもやってましたけど、偉業

だけなら十分稼げますし、上位経験値に

関してはスキルやアビリティや武装次第で

なんとかなりますよね。

 

「やっぱり前よりは上手くいく

と思うんですよ。

レベル3になった時も調合のアビリティが

上がってポーションやお茶の出来は良く

なりましたし」

 

「ほー。そういうモノなんですね?

やっぱりリリも生産系のアビリティ

欲しかったですよぉ」

 

いや、先生の育成計画に文句は

ないんですけどね?

どうしたって憧れちゃいます。

 

「いや、リリルカさんのか・・・アレだって

幅広く使える便利なアビリティじゃないですか」

 

うんうん。少なくとも4人持ってるとは言え

アレもなんだかんだでレアアビリティ

ですからね。前の反省を活かして

口に出さなかったのは評価できます。

 

「それはそうなんですけどね。ようやく

お酒造りに使えるモノを覚えられました」

 

そもそも、今までは子供だからって

理由で取らせてもらえないのも有りました

からねぇ。

 

ふふふ、とうとうリリも大人扱いですよ。

 

「リリルカさんは杜氏ですもんね。

おめでとうございます。

でも今回の神会ではリリルカさんと春姫さんの

扱いは大変そうですよね?」

 

「そうですねぇ。アレンさんは不明です

けど・・・ナァーザさんは2年くらい、

ティオネさんやティオナさんは1年くらい

かかってのレベルアップに対して、

リリや春姫さんは3ヶ月くらいしか経って

ません。しかもどれもこれも先生が

関わってますから、今以上に騒がしく

なりそうな気がしますね」

 

と言っても今回はロキファミリアと

フレイヤファミリアだけに加えて

イシュタルファミリアまで居ますから

この方々を相手に騒げる神様がどれだけ

居るかって言うのは不明ですけど。

 

あぁ、その分ソーマ様や貧乏神に来ますか?

 

かといって筆頭様のことは話せませんし。

 

先生も使ってましたけど、あのスキルなら

地上に居るリリすら狙い撃ちされそうです。

 

なんたって筆頭様ですからね!

 

ま、まぁコッチは先生と深層行って階層主と

戦ったって報告は上げてますので、

納得はしてもらえると思いますけど。

 

「・・・貧乏神には話してませんよね?」

 

「・・・もちろんです。私は先生に

鍛えて貰ってましたから」

 

あぁ、それもそうですね。ならば良し。

 

あとはソーマ様がウカツなことは言わな

ければ大丈夫です。

 

そもそもペラペラ情報を出すような神様じゃ

無いですし、何だかんだで先生を認めてます

から、その心配も無いでしょう。

 

いや、あえてウカツなことを言って貰って

先生に捌いて貰えば・・・ダメですね。

先生に迷惑が掛かってしまいます。

 

改宗はまだまだ難しそうですねぇ。

 

ま、それはそれとして

 

「どっちにしても、こうも早いと

ギルドへの説明とか大変で困ります」

 

今までは一年かけてのレベルアップ

でしたからアレでしたけど、今回

みたいに半年以内って言うのは

正直珍しいですからね。

さらにレベルも6ときたもんです。

 

レベル5で足踏みしてるヒトたちに

してみたらリリの情報は垂涎モノです。

 

なんてったって杜氏としては歴代さいきょー

ですからね!

 

・・・こうして現実逃避しても

あのチビッ子には負けそうですけど。

 

ふん!リリは杜氏だから良いんですぅー。

悔しくなんかないんですぅー。

 

これから先生に技も教えてもらえるん

だから、チビッ子は指くわえて見てれば

良いんですぅー。

 

「そうですよねー。でも先生から「スキル」

だって言っても良いって許可が出て

良かったじゃないですか。

そうじゃなかったらリリルカさんの

レアスキルだって騒がれてましたよ?」

 

リリのレアスキルかぁ。

先生の【教導】と【試練】と【我知無知】

・・・ガチムチじゃなかったんですよね。

 

これのせいで筆頭様に説教喰らいましたよ。

 

この筋肉質な男が喜びそうなスキルは何だ

とか、リリに言われましても・・・。

 

でも教えをキチンと理解していなかったって

ことですから、普通に平謝りでしたけど。

 

今回の更新でちゃんと我知無知哲学三信に

なりましたけど。

 

先生はステイタスの神聖文字を読めるし

ロックも開錠できますからねぇ。

もし変化がなかったら説教じゃなく矯正

でしたから、本当に良かったです。

 

普通なら背中を見せるとか恥ずかしがる

んでしょうがリリや春姫さんは今更ですし。

 

ナァーザさんは別に弟子ではありません

から見せる必要は無かったですけど。

 

結局その先生のスキルやアビリティと

リリのスキルを使った結果、ガチムチが

無くても今までステイタスは三ヶ月で

カンストしてましたからね。

 

そもそも冒険者連中の修練が温いんですよ。

まぁ部位欠損すら治す先生のエリクサーが

あってこその修練ではありますけどね。

 

どんな修練だって聞かれたから、普通に

手足が斬り飛ばされてお腹に穴が開通

するような修練だって教えて上げましたよ。

 

ソレを言ったらギルドの乳寄せメガネも

「ア、ハイ」としか言えませんでしたね。

 

本来スキルは隠すモノですから、先生が

エリクサー作れるとかも秘密に

しなきゃ駄目なんですけど

「ギルド辺りが煩いだろうから」ってことで

許可が降りましたから、遠慮なく報告

しましたよ。多分こうやって連中に情報を

流すのも先生の計画でしょうし。

 

ま、そういう事情も知らない連中が、先生

本人ならともかく、弟子のリリに堂々と

スキルのことを言われたら茫然となりますか。

 

そういえばヤツはエロフと同じ感じが

しますよね・・・先生を狙ってるとまでは

いきませんが、意識はしてるでしょう。

 

といっても、意識してるだけじゃ

なんの意味はありませんがね。

 

「しかし先生はそろそろ自粛を止める気

なのかもしれませんねぇ」

 

筆頭様と色々悪巧みしてるみたいだし

チビッ子も合流したら、ダンジョンの

中では本当に無双状態です。

 

「ほう、とうとう彼が自粛をやめると?

では私も色々準備をしなくては」

 

「だからお前は仕事しろってんですよ」

 

毎回毎回このエロフは。大体何の準備

するつもりですかねぇ。

 

乳寄せメガネより付き合い長いくせに、

未だに手も握って無いじゃないですか。

 

本気でぶつかってこない癖に

本気になって貰えるとでも?

 

先生からアタックしてるならまだしも、

さりげなくアピールして・・・とか

乙女思考は無意味ですって。

 

強請るな勝ち取れの理です。

 

こいつに「先生には正妻様がいますよ」

とか言ったらどうなりますかねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

て言うか先生がソッチ方面で自粛を

やめたら筆頭様はどうするんですかね?

 

春姫さんとかアイシャさんの事は普通に

認めてましたけど、もしかしたらリリも

許して貰えるんでしょうか?

 

 

 




リリルカとナァーザ打ち上げ中

貧乏神改心?

エロフも乳寄せメガネも好きですが何か?

春姫は?殺生石は?ってお話



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99話

まだ地上のお話

エロフのエピソードの
時系列がわからんので
とりあえずココに入れてみた

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!


「殺生石?」

 

確かキャットの本体が色々殺ったと

されて討伐軍に那須まで追われたときに

最後の力を振り絞って呪詛を振りまく

石になったとかなんとか?

 

うむ、かなりあやふやだな。

 

『んぅ・・・あぁ、なんでも

春姫の噂を聞いた商人が

「狐人にはこんな使い方もある」

とか言ってきたらしくてね』

 

(ΦωΦ+)ホホゥ・・・

 

『・・・んぁ。まぁ、普通に考え

たら阿呆の妄言さ。いくら魔法を込める

ことが出来ても殺したらそれまでだし、

そもそも普通の魔法なら魔剣や魔法石

でも十分じゃないか』

 

「そうだな。春姫の魔法を知った

今なら石を割って複数人に渡して

レベルアップさせて戦うって

のも有りと言うかも知れんが・・・」

 

それだって春姫の魔法を知らなきゃ

そんな提案は出来ん。

 

イシュタルもフリュネもアイシャも

情報をバラ蒔くような真似はしないし

俺が春姫の魔法を知ったのはつい先日。

 

『あっ・・・ま、まぁ春姫の魔法に

関してはウチの従業員が仕事中に

薬や魔法を使われて情報を

抜かれてる可能性もあるね』

 

「あぁ、娼館は情報の宝庫だからな。

情報収集に関してそれなりの見識が

有ればヤルか」

 

問題はそれで得た情報を使って何を

したいのかだ。春姫はイシュタルに

とってのお気に入りで、料理長。

使い捨てなんかするはずもない。

 

更に眷族が一時的にレベルアップ

したからって何だってんだ?

 

フリュネやアイシャのレベルを

上げても時間制限付きのレベル6

とレベル7が一人ずつ。

 

副団長だってレベル5になるだけだ。

 

奇襲ならロキファミリアに勝てるが

そもそも商業系のイシュタルが

探索系に勝ってどうなる?

 

『ぁん・・・わ、私はソイツの狙いは

アンタと私を敵対させるつもりなんじゃ

ないかって思ってるんだけどね』

 

俺とイシュタルか・・・

 

「この場合は俺の孤立化を狙って

の策と考えるべきか?」

 

直接的な戦闘じゃなく春姫を

使った意見対立?

 

『ん・・・そうだろうね。

もし私が春姫を使ってソレに

魔法を込めようとしたら、

いきなり戦闘とかまではいかなくても

アンタとの関係に罅が入るのは確かだ』

 

「いや、ソレだって事前に俺に

話を通さなければの話だろう?

契約を遵守するお前が、俺専属の

春姫を勝手に斬り捨てるのはありえんよ」

 

なんだかんだで律儀だからな。

 

『ふふ、流石に私のことを良く

わかってるじゃないか』

 

そりゃそーだ。それなりに長い

付き合いだし。

 

「お前がイイ女なのは知ってるよ。

愛や欲に純粋でまっすぐなイイ女だ」

 

『そ、そう言う事じゃないよ!』

 

今更恥ずかしがられてもなぁ。

 

「まぁ今回は純粋な客だ。殺生石に

関してはこっちも調べておくが、

とりあえずもてなしてもらわんと」

 

わざわざアイシャの指名に割り込んで

来たが、アイツはあくまで娼婦。

情報のやり取りはまた別問題だ。

 

『そ、それはそうだね』

 

レベル5のアイシャなら普通に耐え

れることでも、そう言う強化がない

コイツやヘファイストスには手加減が

必要だからなぁ。

 

『お、お手柔らかに頼むよ?』

 

「今日のお前は純粋な娼婦。

手加減はするが遠慮せず頂こう」

 

当たり前の話だがな

 

『あ、あぁ、確かにそうだ。

・・・ぞ、存分に召し上がれ?』

 

相変わらず攻められると弱い奴だ。

 

これもイシュタルって神様の特徴?

 

まぁ娼婦に遠慮して欲求不満

貯めるのもアレだし。

こういう部分で料金分楽しもう。

 

 

「精々楽しませてくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『え、あ、何か、いつもと違・・・

アッーーーーーーーー!』

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

『・・・あーうー』

 

ヘファイストスもそうだったが

やはりイシュタルもか。

恩恵による肉体の強化はこういう

面でも影響を与えるな。

 

さて、殺生石な。商人がどうとか

言ってたが、明らかに春姫や俺を

狙って来た罠だろう。

 

そうなると怪しいのはギルドだよな。

 

そもそもの狙いはイシュタルと

フレイヤだろうが、2人が想定

以上に仲が良いから、まずは

その二人を繋いだ俺と春姫を潰す?

 

それとも主目的は春姫を殺すことで

イシュタルや他のファミリアの連中に

春姫の魔法を使わせない為の仕込み?

 

まず最初にアイツらが冒険者の

レベル管理をしてるのは何のためだ?

 

規模を算出して税金を取るためとは

言うが、ヘファイストスや

イシュタルファミリアの眷属の

レベルを知ったからって何になる?

 

軍事力を算出して対策を練る為の

モノじゃないのか?

 

彼を知り己を知ればと言うが・・・

 

情報を独占し、自分は無力だと言って

他のファミリアを戦力とすることで

目的を果たすのが連中のやり方。

 

そこにレベルブーストなんて

使われたら、わざわざレベルを管理

してるギルドの立場がなくなるし、

何か悪巧みしようとしたとき

オッタルだのアレンがレベル8に

なったらアイツ等の策が土台から

破壊されることになる。

 

イシュタルとフレイヤを潰し

合わせることが出来ない以上

他の方法で春姫を潰す必要が

あると判断したか?

 

それなら俺はついで?あわよくば

イシュタルとぶつけて、コイツの

戦力を弱めようとした?

 

まぁイシュタルの勢力が弱まれば、

確かにギルドは歓楽街に干渉できる

ようになるだろう。

だがそれ以上に闇派閥も干渉してくる

ようになるとは考えないのか?

 

生真面目すぎて歓楽街そのものの

存在が許せないってんならともかく、

現状だと今以上にココを統治出来る

組織なんて存在しない。

 

だがイシュタルは別に正義の味方って

わけでもないから、ガネーシャみたいに

治安維持だの詐欺の取締なんて

ことはしていないんだよな。

 

もしかしてヤツらは歓楽街にソレを

求めてるのか?

 

「旦那ーなんかリリルカが来て

旦那を呼んでるけど、どうする?」

 

「リリルカが?」

 

時間的にはまだ早い時間ではあるが

夜中にイシュタルファミリアに

来るなんて珍しい。

って言うか子供がくるようなところ

じゃないだろうに・・・。

 

つまりはそうしなければならない

ような一大事でもあったか?

 

「了解、とりあえず汗を流したら

話を聞きに行く。イシュタルは・・・」

 

さすがに途中で放置は気が引けるが

 

『うん、聞こえたよ。コッチはちょっと

休むから私に構わず行ってくるといい』

 

・・・そういう気遣いが出来るから

お前はイイ女なんだよ。

 

「了解。また後でな」

 

『あいよ。ただし、ちゃんと戻って

こないと割増するからね』

 

「お、油断も隙も無いな」

 

『当たり前さ。今のアンタは私の

男で、私はアンタの女なんだ。

それならお互いが満足しないと

ダメだろう?』

 

「自分の満足を考えるのは娼婦の

発想じゃ無いと思うんだがなぁ」

 

『はっ。ここじゃ私が法なのさ』

 

まったくわがままな神様だよ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

いやぁ、別にカジノのオーナーが

誰だろうと、イカサマしてようと、

阿呆が賭け金のカタに娘を持って

いかれて愛人にされようと・・・

 

そんなん冒険者が居るここ迷宮都市

で中途半端な腕でギャンブルしてる

阿呆共の自業自得だろう。

 

力こそ正義の迷宮都市だぞ?

勝った金を守ることも出来ん

一般人が歓楽街でギャンブルって。

 

「まず賭け事をするなら場所を選べ。

次にイカサマを見抜く目を持つことだ。

それからソコソコで止める自制心だな」

 

コレが無いと無駄に勝ちすぎて

殺されるし、負けすぎて首を吊る

ことになるからな。

 

「まったくもってその通りです。

歓楽街のギャンブラーがイカサマ

するのは当たり前ですし、正義云々

言うのなら最初に捌くのはアナタだ」

 

ほら、リューもこう言ってるぞ

 

「だな。ギャンブルで借金して娘を

差し出しておきながら、被害者ヅラ

してココで酒飲んでる時点で有罪だ」

 

大体ココは冒険者御用達で結構

高めの店だぞ?

 

つまりコイツは娘を売った金で

普段来れないような店に来る

ようなクズじゃねぇか。

 

もう死ねよ。

 

「え、いや、だけど農家さん?」

 

「シル、もう少し考えてください」

 

「え?そんなにダメなことなの?!」

 

わざわざリリルカがイシュタル

ファミリアに呼びに来るから

何かと思えば・・・

 

「先生もそう思いますよねぇ?」

 

そりゃそうだろう。

 

一緒にいたナァーザに至っては

 

「自業自得ですね、ミアハ様が

待ってるので帰ります」

 

って言ってさっさと帰ったらしいが

それで正解だ。

 

 

ふーむ。リリルカ的にはこの

クソ親父がどうこうじゃなくて、

売られた娘が哀れと思ったか?

 

まぁ若いうちは愛人云々で済むが、

飽きられたり歳を取ったら

捨てられるもんな。

 

そうやって捨てられた女に対して

救いの手を差し伸べるほど

この世の中も、歓楽街を統べる

イシュタルも甘くない。

 

「そりゃそうだろ。どーせ今回娘を

取り戻しても、親がコイツみたいな

クズな時点で何度も同じことが

起こるだろうさ」

 

なんか男神に求婚されるくらいの

いい女だって?

明らかに狙われてんじゃねーか。

 

「そうですね。もしこれがギャンブル等

関係なく罠にハメられたと言うなら

同情の余地も・・・まぁパンくずの

欠片程ありますが、このケースは

はっきり言って自業自得です」

 

「リリもエロフと同意見ですね。

元凶のコイツは死ぬべきです。

ただ売られた娘に罪はありません。

親権放棄が条件になりますが、

ソーマファミリアで引き取って

ソーマ様に恩恵を与えてもらった後で

杜氏として働いてもらいましょう」

 

「お、無責任にどうしよう?とか

抜かす灰色と違って、ちゃんと

助けた後のことも考えてるな。

偉いぞリリルカ」

 

今後の後ろ盾から就職先まできっちり

ソーマファミリアで担当するか。

 

なんか近々店舗の出店とかも考えてる

らしいから、美貌が評判の女なら

売り子にもなるし。いやはや、ただ

哀れんだダケじゃ無いってことか。

 

うむ完璧だ。

 

つまりリリルカが俺を呼んだのは、

そのカジノを潰したあとで

イシュタルに口添えを頼むためか?

 

いや違うな。娘の債権を買うに

当たって俺に繋ぎを頼むつもりだな。

 

「えへへ。リリも成長してますから!」

 

「くっ!わ、私だって!」

 

「灰色・・・」

 

まったくこの灰色は。

下界を満喫しすぎじゃないか?

人助けには責任が伴うんだよ。

 

助けたあとで、また同じ様な目に

あったらどーすんだ?

 

どーせ助けたあとは田舎にでも

逃がそうとか考えてるんだろうが

田舎でどーやって暮らすんだ?

 

農業?土地は?経験は?人手は?

作物を売りさばく為の販路は?

農業なめんな。

 

もしコッチに残すにしても一回

ソッチ系のヤツの愛人にされた女が

何の後ろ盾もない普通の一般人と

恋愛結婚して幸せになれるとでも

思うのか?

 

一度でも暴力が関係する事件に

巻き込まれたら、常に暴力に対する

恐怖が付きまとうんだぞ?

 

それは「陰ながら守る」じゃダメだ。

目に見える確固とした力じゃ無いと

恐怖から逃れることも、恐怖を

克服することも出来ん。

 

「大体だな。大手カジノのオーナー

なんて個人でヤるもんじゃない。

確実に組織ぐるみだろ?

それならオーナー個人を潰しても

借金は残ったままになる。

コイツはソレを返済出来るのか?」

 

酒飲んでグダグダ抜かしてる

クソにそんな金があるのか?

 

「え、で、でも元はイカサマでしょ?」

 

「シル、帳簿の面でイカサマ云々は

関係ありません」

 

その通りだ。イカサマ云々が通用

するのは現行犯でイカサマを指摘

したときだけ。

 

もし次にオーナーのイカサマを

指摘したとしても、コレは遡及

できるような案件でもない。

 

今回は今回。前回は前回。

それで終わる話だからな。

 

つまり現場でイカサマの指摘が

できなかった以上、こいつの借金は

正当な手続きで発生した借金だ。

 

ソレを力で潰すなんて行為は、

法と秩序に対する反逆。

 

他はともかくリューには絶対に出来んよ。

 

それでも力尽くでコイツの娘を

奪った場合、普通に後ろの組織が

取り戻しに来るだろ?

 

債権は本物なんだ、正当な権利に

よる要求ならギルドも娘を渡す

ように命令してくるぞ?

 

そうなればフレイヤファミリアを

動かしても無意味だ。

金を払うしか解決法が無い。

 

個人で払う分には良いと思うが、

それなら最初からそうしろって

話で終わることだし。

 

「それに他に愛人にされてる

連中は誰が面倒を見るんです?

リリはコイツに売られた娘さんは

保護しても良いですけど、

他のまでは面倒見る気ありませんよ?」

 

「そうだな、今現在何人も愛人が

いるなら、そいつらの去就も確認

せにゃならん」

 

「確かにそうですね。最初は

嫌がってても、存外扱いが良くて

今の生活に満足してる可能性も

ありますし」

 

「え?そんなこと有るの?」

 

「「「はぁコレだから灰色は」」」

 

「えぇ?リューまで?!」

 

ほほう。リューもその可能性に気付く

くらいには成長したか。

 

世の中には春姫みたいなのも居るんだぞ。

 

扱いが悪くて開放を望んでるなら

まだしも、愛人としてソコソコ良い

生活してたら、今更一般市民の家に

戻って質素な生活は難しいだろう。

 

それに、これから家に戻ってもなぁ。

周囲の噂もあるし、借金のカタに

売られたなんてのは本人にとっては

トラウマ案件だろうに。

 

『みんなで力をあわせて、

かわいそうな女の子達を無事に

助けましたとさ。めでたしめでたし』

 

で済むお話じゃないんだよ。

 

その点ソーマファミリアなら大手だし

イシュタルファミリアには俺が話を

通すからその辺の報復も無い。

 

だからこのクズの娘はそれで良い。

問題は他の娘どもだ。

 

「テッドとか抜かす小悪党の愛人と

イシュタルのところで娼婦を

するのってどっちが良いんだ?」

 

そいつらは言ってしまえば小悪党の

専属娼婦だろ?

身請けや借金の返済による開放は

あるにしても、不特定多数の男に

買われるのと小悪党の愛人なら

小悪党の愛人を選びそうな気が

するんだよなぁ。

 

「それこそ本人次第ではないですか?」

 

「ですね。アマゾネスの方々なら

娼婦でも良いって言う人がいると

思いますけど、それ以外だとリリにも

わかりませんね」

 

「えっと、それ以外は無いの?」

 

「「「何言ってんだコイツ?」」」

 

「り、リュー?!」

 

「元々が借金のカタで売られた女達だ。

さっきも言ったがその債権は正規の

モノ。誰かが肩代わりしないといかん」

 

悪法もまた法ってな。

 

「そうですね。過去のイカサマを

理由に借金の帳消しなど出来ません」

 

「カジノは多かれ少なかれイカサマして

ますからね。もしソレをしたら借金が

あるクズどもみんなが騒ぎ出してカジノ

そのものが無くなります。カジノに縁が

ないリリはそれでも構いませんが

そのせいで発生する被害に対しての

責任は取れませんし、取る気もありません」

 

それともこういうゴタゴタを放置

してるからって理由でギルドの連中は

イシュタルを責めるつもりか?

 

・・・そうなったらギルドの命令を

錦の御旗にして、歓楽街に蔓延る

闇派閥を一掃出来るな。

 

ふむ。もう根刮ぎヤるか?残ったのを

ギルドが関与する前にイシュタルに

纏めさせて、迷宮都市の裏を

完全に統治するのも悪くない。

 

なら今回の愛人どもは放置だな。

娘だけを買い取って保護。

その後は、そうだな。助けて欲しければ

連名で金を出して、ガネーシャや

ギルドに依頼を出させればいい。

 

無料で助けを求めるからダメなんで

あって、しっかりとした依頼なら

連中も動くだろう。

 

仕込みとしては・・・そのテッドとか

言うのに目を付けられそうなのを

用意させるか。

 

それで、その家族が被害者友の会を

作って連中とイシュタルに依頼を出す。

 

問題がカジノだけならアイツらが

潰してソレで終わり。

愛人云々も連中に押し付ける。

 

イシュタルも素知らぬ顔してればいい。

 

もし規模が大きくなりそうなら

「イシュタルも依頼を受けていた」

と言って介入だ。

 

愛人云々はやっぱり押し付ける。

 

まぁ押し付ける以前にイシュタルが

「借金肩代わりして娼婦にするか?」

と言えば、ガネーシャは自腹切って

でも自分で引き取るだろうけどな。

 

どちらにせよ問題は解決するし

こっちには一切損はない。

 

ふむ、コレはイシュタルに

いい土産ができたな。

 

「先生がスゴク・イイ笑顔してますねぇ」

 

「えぇ、何か妙案を考えついたのでしょう」

 

「妙案って言うか・・・大丈夫なの?」

 

失敬な。誰も損をしない最良の策だぞ。

 

さっさと戻ってイシュタルと調整しよう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お?予想以上に早い帰りだね。

それに何か楽しそうだ。

また何か悪巧みかい?』

 

「まぁそうだが・・・そういえば

今日はそういうのは後にするって

話だったな」

 

失敗失敗、先生失敗だ。

まずはお互いが満足しないとな。

 

 

『え、ちょ、ちょっ、いきなり?!

い、嫌じゃないけど、まだ話の

途ちゅ・・・アッーーーーー!』

 




イカサマ云々で借金が無くなるなら
ギャンブルで破産するヤツなんか
いねーんだよ!ってお話

調整(意味深)

褐色女神様?大好きですが何か?

なんかグダグダな地上。

まぁ去勢大神だの水銀さんだの酒神が
水面下で動いてますが、原作でも
ソードでも今の時期地上で大きな
イベントって特に無いですよね?


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100話

ふ、燃えつきたぜ。真っ白にな
何とか2話投稿


前話の続き。

オリ展開!
オリ設定!


嫌いな人は読み飛ばし!



『あーまだ腰に違和感が・・・』

 

流石高レベルと言うべきか?

いや、コイツだからこそなんだろうね。

 

アイシャは毎回こうなのか?だとしたら

大変だ。

たまには代わってやるのも主神としての

優しさってヤツかも知れないねぇ。

 

よし、後でシフトの調整をしとこう。

 

うんうん。腰を痛める心配が無くなった

アイシャの感謝の声が聞こえるようだよ!

 

「何か納得してるが、こんな感じでどうだ?」

 

あぁ、そういえば悪巧みの時間だったね。

いやはや、あの短時間で良くもまぁこんな

悪巧みを思い付いたもんだ。

 

『うん。それならどう転んでも私には

損が無い。私が反対する理由はないね』

 

むしろどう転んでも得になるんじゃないか?

相変わらず利害調整が神掛かってるねぇ。

 

「一応そうなるように調整してるからな。

あとはこのドワーフの背後関係だが・・・」

 

『ん?話を聞く限りだと、ただの小悪党に

しか聞こえないけど、何か有るのかい?』

 

コイツが警戒するような事が何か有るか?

 

「ただの小悪党だからだよ」

 

『?』

 

良くわからないね。コイツなら嵌めて

潰して終わりだろ?

 

「あのなイシュタル。普通に考えて、だ。

大手のカジノのオーナーがこんな小悪党に

務まると思うか?」

 

『・・・あぁ、なるほど』

 

そりゃそうだ。カジノなんて金の成る木を

バカな小悪党に任せる阿呆は居ない。

居るとすれば小悪党を使って誰かを

釣ろうとしているヤツか。

 

「こんな幼稚な手口で、周りから恨みを

買うような阿呆だぞ?しかも今回の女は

男神から求婚されるような女だとか?

普通ならそんな女にこんな手段で手は出さん。

どんだけ目立つつもりだよ。」

 

男神云々に関してはアレだけどね。

男神連中は本気とノリが半々だから、

その娘の求婚については何とも言えん。

 

コイツなら大丈夫だとは思うが、万が一

神が全部そーゆーノリで求婚するような

ヤツらだって思われたら私まで評価が

落ちてしまうかも知れない。

 

他はともかく、コイツに失望されるのは

・・・嫌だねぇ。

 

「どうした?何か思うところでも?」

 

『あぁいや、確かに不自然だね』

 

まったく、こうして神を当たり前に

気遣う子供がどこに居るってんだ。

 

「そうだな。カジノのオーナーなんて

黙ってても恨みを買うもんだ。

普通なら影武者やら代理を立てて表には

出ないもんじゃないのか?」

 

『そうだねぇ』

 

普通ならそうだ。ソレをしないってのは

後ろ楯に絶対の自信があるか、もしくは

ただの阿呆。

それでさっきの「ただの小悪党にカジノの

オーナーは務まらん」になるわけだ。

 

かと言って、この歓楽街で私が知らない

ような勢力があったか?

 

そこまで隠し通せるような組織力が

有るとすれば、他所の力を借りた闇派閥?

 

だがヤツらはこんな目立つような真似は

しないだろ?

ただでさえコイツに狙われてるのに、

こんなに堂々とセコい真似をするほど

バカじゃない。

 

「金を集めるだけならイカサマでも何でも

やればいい。だが、素人にもわかるような

杜撰な手口だし、少し調べただけで情報が

出てくるような阿呆だ。

その上、手に入れた女はコイツの愛人だぞ?

組織が絡んでるとしても何の得にもなって

ないじゃないか」

 

『確かにそうだ。借金のカタに女を手に

入れておきながら、ソレで商売をしてる

訳でもないし自己満足にしかなってない』

 

おかしいねぇ。組織が絡んでれば絶対に

そんなことはさせないよ。

 

大きな組織ならもちろんだが、小さい

組織は基本的にカツカツだからね。

少しでも儲けを出そうとするはずさ。

 

「つまり個人で馬鹿やってるだけの小悪党

にしか見えん。コレが釣りなのか、何か

の裏技でカジノのオーナーに成り済ました

小悪党なのかによって、コッチの行動も

変えていかなきゃならんわけだ」

 

なるほどねぇ。成り済ましってケースも

あるのか。

 

『つまり私は裏を取れば良いんだね?』

 

成り済ましだろうが何だろうが、カジノは

個人で経営できるモンじゃない。

上納金やら何やらで必ず外部へ金が流れる。

 

その流れを掴めば後ろに居る組織も

わかるか。流れが無ければただの

成り済ましとして処分も・・・いや

この歓楽街で私に許可なく好き勝手してる

小悪党だ。生かして自覚もさせないまま

搾り取るのが妥当か。

 

潰すのは簡単だが、せっかくの金の成る木だ。

まずは上納金の取り立てからやろう。

 

最初は・・・今までの滞納分からかね?

コレなら裏にドコの誰が潜んでても払う

ことを拒否するなんて有り得ないだろう。

 

まずはアイシャに行かせるか。

レベル5の冒険者からの取り立てにどんな

リアクションをするかで、ソイツの後ろに

居る奴らの質がわかる。

 

「そうだな。ついでにしっかりと搾り

取ってやれ」

 

ふふっ、本当に良く分かってるじゃないか

 

『あぁ、もちろんそのつもりさ!ソイツが

どこに泣き付くか・・・楽しみだねぇ』

 

闇派閥ならコイツの餌だし、新参の

ファミリアならガネーシャにそれとなく

情報を渡して、依頼を出してやろう。

 

それで問題の愛人とやらを引き受けて

もらおうじゃないか。

解放だろうが職の斡旋だろうが好きに

すれば良い。娼婦に成りたいなら私が

引き受けるのも有りだね。どちらに

しても私はカジノの経営権を頂く。

 

そうなると依頼はギルドを通さないで

直接ガネーシャにもって行かせるか。

 

ガネーシャはギルドと違って歓楽街での

影響力云々には興味が薄いからね。

 

ギルドが気付いた時には全部終わって

たって形にしてやるよ。

 

そしたらギルドからの文句はガネーシャに

行くか?それとも私に来るか?

 

もし文句を言われても、私もガネーシャも

正規に依頼を受けてそれを片付けただけの話。

 

依頼主達は何度もギルドに訴えてたって

事実も有るから「お前らが無視したから

私が動いた」で良いな。

 

ロイマン辺りが騒ぐだろうが、勝手に

やらせとけば良い。騒げば騒ぐだけ

ガネーシャとは疎遠になるし、

周りの市民からの評判も落ちる。

 

ギルドは頼りにならない。歓楽街での

問題は私たちイシュタルファミリアに

言えば解決する。

 

そういう既成事実を作り上げて広めて

やろうじゃないか。

 

いつまでも偉そうに暗躍して好き勝手

してるが、そもそも裏で私たちの邪魔を

してる奴等に上納金を払うのがおかしい。

 

ウラノスが【祈祷】してるからダンジョンは

小康状態だって言うけどね。

 

だからってアイツ等の都合で頭を押さえ

つけられたり、仲違いさせられたりする

筋合いは無いんだ。

 

・・・恐らく私の力が強くなりすぎてる

からこそ、フレイヤのお気に入りの子供を

ロキの人形に接触させてフリュネごと

私も釣ろうとしたり、殺生石なんてモノを

持ち出して私とコイツを敵対させようと

してきたりしてるんだろうが、逆効果さ。

 

ただでさえ貴重なレベル3の狐人を

使い捨てる気も、コイツと敵対する

つもりも更々無い。

 

むしろ共通の敵が出来て連携を深める

事が可能になったじゃないか。

 

・・・ついでに親睦もね

 

「ん?急に凭れてきてどうした?疲れたか?」

 

『ん・・・ちょっとね』

 

なんて言うか、コイツとこうしてると

色々と楽なんだよねぇ。

 

「あーとりあえず今のところ考える

ことは考えたからな。続き、行くか?」

 

『そうだねぇ。それも悪くない。

ただ、今はまだ腰に力が入らないから

今度は優しくして欲しいところだけど?』

 

「はいはい、わかりましたよオヒメサマ」

 

ふふっ。たまにはこうして甘えるのも

良いモンだね。

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

『ん―・・・ふぁ・・・』

 

まったく、今日のコイツはちょっと

油断しすぎじゃないか?

半月留守にしただけでここまでストレス

溜めてるとは。

 

まぁ普段は歓楽街を仕切る強面の美の

女神様だから、イメージとか保つのも

大変なんだろうけどな。

 

このへんはヘファイストスも一緒か。

 

イシュタルのストレスは良いとして、

とりあえずの方針は決まった。

明日にでも交易所に行かせて借金返済

させよう。

 

リリルカも金を溜め込んでるからな。

その辺の一般人ができる借金程度なら

即金で支払えるし、ソーマファミリアの

信用はカジノのオーナーなんかより

ずっと上だ。

しかもレベル6でイシュタルファミリアの

お墨付き。

これに正面から逆らえるのはフレイヤくらいだ。

 

もしコレでも何らかの抵抗をしてくるなら

相手はイシュタルと絡まない闇派閥か、

この問題を放置しているギルドになる。

 

ギルドの一部が連中と繋がってるのは

レヴィスからの情報で確認済みだし、

闇派閥の連中も自白してくれてるからな。

 

殺生石に関しては・・・極東から来た

連中を疑わせる策か?

 

普通に考えれば極東の商人や冒険者だが、

極東に行って調べてきたとか狐人愛好家

からの情報だとか、色々あるからな。

 

偶然の線は無い。こちらが殺生石を

気にしてないし使うつもりもないと

知ったら次は・・・何だ?

 

狙いが春姫か俺か歓楽街の利権かで

打ってくる手は変わるんだが、一手で

全部となると今回の殺生石みたいな

俺が知らないモノを使ってくるよな。

 

ヘルメスなら白兎を主人公として使う

だろうが、あれはまだレベル1だしなぁ。

いや、もしかしたらレベルアップしてる

可能性もあるのか?

 

偉業が微妙だが、レベル1が2に成る程度の

上位経験値は十分だし、ミノと戦えるなら

ステイタスも有る。

 

稼ぎを見れば期間と単独での討伐数で

偉業となる可能性はあるんだよなぁ。

 

それに世界の意思がどうなるか。

もしアレが主人公なら、当然ご都合主義で

ミノを倒してレベルアップだろ?

 

オッタルだのロキファミリアの幹部連中

だの、さらに覗き見してた神も居たよな?

アレはヘルメスかフレイヤだろう。

 

あそこまで観客集めた演劇で、まさか

主人公が負けるなんてのは有り得んよな。

実際負けそうになったら人形が乱入したし。

 

しかも間違いなくトラウマは克服してる

から、今ごろ自分でミノを捜し歩いてる

可能性すらある。

 

そこまではしてなくても、レベルアップ

はしたと考えた方が良いかもしれんな。

 

レベル2になれば自然と回せる歯車も

大きくなる。

 

しかも白兎の歯車はフレイヤとロキと

連結してやがる。

 

それに主神がヘスティアってのもな。

ギリシャで唯一と言って良いくらい

マトモな神なんだよなぁ。

 

ギルドの去勢野郎とか都市外の強姦魔とか

水銀とも当然繋がりはあるだろう。

 

ナァーザが言うにはミアハやタケミカヅチ

とも仲が良くて、ヘファイストスの店で

バイトしてるって話だよな。

 

ふむ、微妙に俺とも関わって来るのか。

 

これは一度迷宮都市から離れて、絡みつつ

ある歯車を外すか?

弟子と白っ子が居ればダンジョン内部での

工作は問題ないし、地上での仕込みも

今回のイシュタルによる介入で方がつく。

 

俺を囮にするなら迷宮都市に食い込むか

不自然に離れるか・・・

 

ギリシャと関わりたくないから

離れる方が気が楽になるよな。

 

俺が居なくなれば連中は勝手に騒ぎ出すだろ?

 

別に極東とかにいく必要は無いんだ。

まずは新規販路の開拓とか言って

メレンとかラキアを見に行くか。

 

特にメレンは魚介類の産地だし、一度

ゆっくり海を見るのも悪くない。

 

それに湖の奥に有るリヴァイアサンの魔石

についても興味がある。

 

破壊した場合、ダンジョンから魔物が

溢れ出すって言うが、魔石に関係なく

そもそもどんな形で塞いでるんだ?

ダンジョンと繋がってる通路みたいに

なってるところにデデーーーーン!と

置いて物理的に塞いでるだけなのか?

それとも、その魔石を中心に力場が出来て

何も通さないような結界が出来てるのか?

 

その場合、水の流れはどうなる?

湖からダンジョンに水が流れてたなら

ダンジョンの水が無くなるし、

ダンジョンから水が流れてたなら湖の水が

無くなるよな。

 

いや、海と繋がってるって話だから、

そのまま塩分濃度が上がって海と同じ

ような環境になるのか?

 

確かダンジョンの水はクリスタルから

出てるんだったか?

 

そうなると排水の関係上水が溢れる

んじゃないか?

 

いや、そもそも穴が一つと誰が決めた?

水の中に隠された穴があってもおかしく

ないよな?

結界を作る装置を用意するか?【潜水】は

別にスキルが無くてもアイテムで代用

出来るし・・・

 

ん?まて。水を斬って空間を作って

から治水工事すれば良いのか。

 

リヴァイアサンの魔石が埋まってる

場所の近くに行って、水を抜いて、

壁を刻んでバイパスみたいな感じで

魔物1匹くらいが通れる穴を開ければ

マリィとか言う人魚は外に出せるな。

 

知性が無ければ開けれないような

構造の蓋を造れば尚良しだ。

 

ふむ、これなら水生の魔物もギルドや

闇派閥を使わずに地上に出してやれるな。

弟子や白っ子にも道具をやれば良い。

 

後はでかいヤツだが・・・そこまでは

まだわからんな。

居るか居ないかもわからんヤツへの

対策よりも弟子と白っ子を優先だ。

 

骨がどうこう言ってたし、ギルドの幽霊

は意外と各方面に影響力が有るようだが

・・・ロキに情報提供してやるか。

 

イシュタルやフレイヤはアレだから

ヘファイストスからだな。

 

素材の加工はまだだが、アイツも自分の

手足がどうなったかよりもギリメカラ印

の魔法瓶が気になってるはずだ。

 

元々アレは同じの有るから、先にフレイヤに

持って行かせよう。

確かもうすぐ神会だからその前に返した方が

アイツも顔も合わせやすいだろうし。

 

そんでもって修繕したのはアイツに

やれば良いよな。

自分のモノになれば研究でも何でも

好きに出来るし、椿が帰ってくるまでの

暇潰しにもなるだろう。

 

合金を使用した不壊属性に気付いて

素材を分離させようとしてきたのは

流石に驚いた。

 

超高温に耐える遠心分離機でもあんのか?

と思ったら、普通の炉でやったって言うし。

 

アイツの新技術や新素材に対する情熱は

HENTAI国家の技術者に通じるところが

ある。

 

ただの鍛治神で終わらせるのは惜しい

存在だよな。

 

まぁいいや()

 

とりあえず今はロキにフェルズと言う名と

骨みたいなヤツって言う情報が伝わるよう

にしないと。

 

そんでもって、メレンにあるギルドの

支部を潰して影響力を削ぐ。

 

穴云々はまだ計画段階だから

もう少し調べてからで良いな。

 

イシュタルにはメレンに支店を出して

もらうか?もしも既にあったら業務の

拡張を依頼しよう。

 

そして中立を謳うギルドが手を出せない

裏社会の治安維持をコイツに担ってもらう。

 

裏ギルド的なのを作れば良いかもしれん。

なんならカーリーを呼び寄せても良いな。

 

ギルドにしても迷宮都市の外に関しては

でかい態度も取れまいよ。

 

今はロキファミリアも居ないし、

フレイヤも白っ子達に興味津々だから

邪魔はしないだろう。

 

イシュタルは・・・少し無理させすぎか?

いくら便利だからってあんまり頼り過ぎ

ても疲れが溜まるだろう。

 

コイツは少し様子を見るか。

 

『・・・ん?』

 

「あぁ、すまん。寝てて良いぞ」

 

『そう?・・・オヤスミ』

 

「あぁ、オヤスミ」

 

・・・まったく、油断し過ぎだぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、悪巧みの段取りは十分だ。

 

誰が俺に喧嘩を売ったのかは知らんが

「疑わしきは処刑」の理でもって御応え

しようじゃないか。

 

 

 

俺がいつまでも笑って許すと思うなよ?

 




褐色女神様は尊いってお話。

どんどん内容が荒くなる気がガガガガカ

オリ展開だから大丈夫!


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101話

鍛治神視点。

オリ設定
オリ展開

ギリギリ更新!

かなり荒いから大幅修正の可能性が!

嫌いな人は読み飛ばし!


「と、言うわけでコレを持ってきた」

 

『あ、いや、持って来てくれるのは

うれしいんだけどね?』

 

えっと、心と部屋の準備が・・・

 

「ん?流石に急だったか?フレイヤへの

弁償は急いだ方が良いと思ったんだが」

 

『あ、違うの!そっちは凄く助かるわ!』

 

まさか彼から来てくれるとは・・・

外出用の服のコーディネートに

悩んで外に出なかったのは僥倖ね!

 

し、しかも新しいのはフレイヤへの

返却用で、私が弄ったのは私の研究用

にしても良いって。

 

つ、つまり代金が発生するわよね?

 

『ありがたく頂くわ。そ、それでこの

分の代金なんだけど・・・』

 

「ん、あぁそうだな。今日の夜は

予定を空けてもらえるか?」

 

やっぱり!・・・もう!

しょうがないわね!

 

『まぁ仕方ないわね。研究用と新品の

二つ分だもの・・・ひ、一晩で良いの?』

 

別に今からでも良いんだけど・・・

 

「そうだな。お前の都合次第では、

別の頼みをする可能性もある。

その辺の調整もしたいから、もし

時間を作れるなら作って欲しい」

 

『うん?別の頼みごと?良くわからない

けど、時間ならこれからでも大丈夫よ』

 

よしっ!頼みごとはともかく、とりあえず

ナニがあっても良いように他の子達が

来ないようにしておきましょう!

 

「そうか、流石技術屋。こういうとき

話が早くて助かる」

 

よしっ!高評価もゲット!やっぱり技術者

たるもの時間は有効活用しないとダメよね!

 

後はどれだけ彼との時間を有効に使えるか。

 

気合い入れてイかなきゃ!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

いやぁ、今日が神会だって忘れてたわ。

 

はぁ、もう少し余韻に浸ってから続きと

イきたかったんだけどなぁ。

 

『へ、ヘファイストス!本当にいつもの

格好で大丈夫かな?』

 

今回は私の眷族でレベルアップした子が

居ないから別に欠席でも良かったんだけど。

 

『大丈夫よ。別にどんな格好したってネタに

されるだけなんだから』

 

『全然大丈夫じゃないよね?!』

 

『いやいや、変に気合いを入れたらそれ

こそアッチも気合い入れて来るからね。

こう言うときは自然体が一番よ』

 

『そ、そーゆーモノなんだね?!』

 

いやはや、まさかヘスティアの眷族が

レベルアップするなんてねぇ。

 

期間的にはヘスティアの眷族になってから

まだ2か月も経って無いわよね?

しかも何の土台も無かったはずでしょ?

 

奥の部屋で聞いてた彼は「やっぱりか」って

納得?してたみたいだけど、彼もこの子の

眷族のことを知ってるのかしら?

 

私も武器を造ってあげたし、全くの無関係

でもないからヘスティアの協力要請に答えて

あげたけど・・・

だけどまさかそんな用事で扉に立て掛けてた

「緊急時以外は立ち入り禁止」

の札を無視して扉を叩き続けるなんてねぇ。

 

ムードとか余韻とか、まったりとしたのが

全部吹っ飛ばされたわよ。

 

それで余程の事かと思ったらコレでしょ?

 

いや、ヘスティアにしたら緊急事態なんだ

ろうけど。

 

もう、なんて言うかね。

 

この子が上手く行きそうになったら邪魔して

やろうって思うくらいは良いわよね?

 

『へ、ヘファイストスの背後になんか、

おどろおどろしいモノが見えるよ!

いや、疲れて?寝てたところを起こした

のは悪いと思うけどさ!』

 

そう思うなら少しは遠慮しなさいよ。

 

まったく、彼が迷宮都市に来るのは

週の半分しかないのよ?その上、大体は

イシュタルのところに居るんだから、

あぁして独占出来る時間かどれだけ貴重

な時間なのか・・・まぁこの子にわかるわけ

無いわよねー

 

『そ、その怒りと哀れみを含んだような

視線は止めてくれないかな?!

って言うかどんな感情が渦巻けばそんな

視線が出来るんだい?!』

 

あぁん?空気もマトモに読めない処女を

拗らせたお子様に、女としての幸せを

噛み締める時間を邪魔されたらこうなるのよ。

 

『あ、あらヘファイストス。元気そうね』

 

『げっフレイヤ!』

 

『ん?あぁフレイヤじゃない。良いところで

会えたわ。ハイこれ。長々とごめんなさいね』

 

今回は彼女の眷族もレベルアップしたから

神会には来ると思ってたのよね。

早めに壺を返さないとフレイヤの分まで

分解しちゃいそうで怖かったから、誘われた

のは丁度良いと言えば丁度良かったのよ。

 

『あら?修繕出来たのね?』

 

『私がしたわけじゃないけどね』

 

正確には修繕ですら無いけど、まぁフレイヤ

としては、機能と見た目が同じなら新品でも

修理品でも一緒だろうし。

 

『なるほど、彼に直して貰ったのね?』

 

『・・・えぇ』

 

なんかフレイヤに【彼】とか言われると

イラっと来るわね。

 

いやいや、ダメよヘファイストス!

そもそも彼は私の旦那でも無ければ彼氏

でも無いんだから!

あくまでビジネスライクな関係なのよ!

 

まぁメイクラブでも良いけど!鍛治神として

メイクしちゃっても良いけど!

 

『それにしては何か不機嫌そうだけど・・・

あぁ、自分で直せなかったのが不満なのね?』

 

『え?あ、あぁそうね。やっぱり鍛治神と

してはキチンと解析して修繕したかったわ』

 

これは嘘偽り無い、紛れもない私の本心。

ま、まぁ修繕出来なかったからこそ彼と

あんな風になれたんだけど!

 

『ふぅん。私は技術に関しては専門外だから

なんとも言えないけど、彼とは相当揉めた

みたいね?』

 

相当揉めたと言うか相当揉まれたと言うか

 

『え、えぇ。流石に制作者を前にして

「分解しました~」は不味かったわ』

 

『ソレはそうよね。貴女が謝りながら彼の

腕にしがみついて執務室に入って行くのが

見えたから、この壺の件だとは思ってたのよ』

 

み、見られてた?!流石に部屋の中は見て

無いだろうし、ナニをしてたかは知らない

だろうけど・・・危ない危ない。

 

『彼の説得が大変でね。それでも貴女から

借りた分は何とかしてもらえたわ』

 

普段はもうちょっと冷たい感じなんだけど、

ダンジョンから戻って来てからと言うもの

何だかんだで優しいのよね。

 

何かあったのかしら?

 

『ま、私としてはこうしてモノが帰って

来てくれればソレで良いの。だけど眷族の

専属契約については・・・』

 

あぁ、それも有ったわ。

 

『それに関しては私の不徳が原因だから文句

無いわ。もし私が貴女の立場なら専属契約

云々じゃなく、戦争遊戯を仕掛けてるくらい

の案件ですものね』

 

秘密にしてくれてるだけで十分有り難いわ。

失った信用は少しずつ取り戻して行きましょう

 

・・・合金の秘密とかわかったら装備品の

質も向上するでしょうし、そうなったら

腕によりをかけて良い武装を作れば良いわ。

その結果でもって信用を取り戻す!

 

なんたって私たちは鍛治師なんですから!

 

『なるほど。その様子なら、遠くない

うちにまた貴女たちと良い関係が築けそうね』

 

『えぇ、そのときは是非お付き合いの

再開をお願いするわ』

 

良し!コレで最大の懸念は片付いたわ!

 

後は今回レベルアップした子供達の

二つ名を面白おかしく決めるだけね。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

『よーし、第114514893回神会始めるでー。

今回の司会はウチや!』

 

ーおぉ!今回はフレイヤ様とイシュタル様

のお二人が参加してるぞ?!

 

ーそりゃそうだろ、知らんのか?

 

ーえ?何が?

 

ーおいおい、常識だぞ?

 

ーどーせお前も知らねーんだろ?

 

ー「「「無論だ」」」

 

ー・・・まぁいいけどよ。今回はな

フレイヤ様のところのアレンと

イシュタル様のところの繚藍が

レベルアップしたんだよ

 

ー「「「ほぉ」」」

 

ー繚藍はもうアンタッチャブルが常識。

レベルが上がるのも別に違和感がないが、

女神の戦車がついにレベル7に到達、か。

 

―・・・探索系はもうフレイヤ様一強?

 

ーいや、無乳のところの大切断と怒蛇も

レベルアップしたらしい

 

ーおいおい、高レベル続出だな。

 

ーさらにリリルカ・アーデもレベルアップだ

 

ーはぁ?こないだレベルアップしたばっか

じゃねーか?何か不正か?

 

ーいや、以前にロキファミリアと深層に

行って不正はなかったって判明してるし、

修行の内容を確認すれば納得するさ

 

ー修行の内容・・・うげっ!マジ?!

 

ーあぁ、マジらしい。紳士同盟も確認済みだ

 

ー「「「流石リリルカ・アーデっ!!」」」

 

ーよく殴り込みとかしなかったな?

 

ーまぁ以前虐待がどーとかで騒いだ

連中が居たから、最近までこの訓練は

自粛してたんだとよ。

 

ー既に殴り込んでいたか・・・

 

ーだがレベルも上がって、深層で不覚を

取るくらいならコッチでスパルタにした方が

リリルカの為だって感じでこのトレーニングを

再開することにしたらしい。

 

―深層だと普通に死ぬからな

 

ーそれもそうだ。ちなみに、この修行?

苦行?は何処でやってるんだ?

 

ーソーマのところだとさ

 

ーあぁ、あそこなら広い敷地もあるからな

 

ーついでに紳士が監視出来る場所だったと?

 

ー監視?覗きの間違いじゃ・・・

 

ー「「「貴様!首を出せ!!」」」

 

ーひぃ!

 

ーアイツ馬鹿だなー

 

ーあくまで虐待をされてないかどうかの

確認の為の監視だ・・・本人の許可は無いが

 

ーいやソレって覗き・・・

 

ー「「「貴様も首を出せ!!」」」

 

ーひぃぃ!!!

 

ー・・・紳士はさておき、資料の内容に

間違いや虚偽はないことは確認されてる

 

―確認?い、いや、何でもない。

 

ーな、なるほどなー。

 

ー修行にエリクサーなんて高価なモン

使ってんだぞ。虐待とかそーゆー

モンじゃ無いってわかるだろ。

 

ー疑うとしたらエリクサーをそんなことに

使うかって疑問が出るくらいじゃないか?

 

ーそりゃそうだ。

 

ーで、確認したら実際使ってた、と。

これなら短期間で強くなるのも分かる。

つーか強くならなかったらおかしいよな

 

ー全くだ、四肢欠損やら土手っ腹に穴が

開通するのが日常茶飯事って。

 

ーそっからすぐに回復じゃなくて、

怪我を抱えたまま戦うトレーニング?

 

ースパルタで済む話かコレ?

 

ーかかってる費用と成果を見れば

単純な虐待とは言えないな

 

ーだな。コレに対しては期間が短いとか

不正とか、そーゆー突っ込みは出来んわ

 

ー袋詰めにされるからな

 

ーそれもある。

 

 

 

あぁ、そういえばリリルカは立て続けに

深層に行ってたわね。

しかもこの内容・・・私も手足を切断

されたからわかるけど、コレは事実ね。

 

普段からこれだけトレーニングしてて、

さらに階層主との戦闘か。

 

そりゃレベルアップもするわよ。

 

それに、アレンのレベル7に隠れて

ソフィアって子がレベルアップしてる。

 

この子も期間は短いけどフレイヤの眷族だし

レベルも3から4へのレベルアップ。

 

コレはどうしてもみんなの意識から

外れるわよね。

普通ならレベル4なら幹部扱いなのに。

 

変な注目を集めないのはこの子に

とっては良いことかも知れないけど。

 

 

―それで夜叉姫もレベルアップかよ

 

―アレだけ胃薬作ってたら、ある意味

偉業だろうけど。

 

―・・・そういや貧乏神はどうした?

 

―留守中の金遣いについて夜叉姫がキレて

現在外出禁止なんだと

 

―「「「あぁ」」」

 

―わかる。

 

―自分で作ったポーションを配るってんなら

色々言いたいことは有るが、わからんでも

なかったんだがなぁ。

 

―店の金を着服して孤児にお菓子だの

食い物ばら蒔くって・・・

 

―そりゃ、ちさたろー社長もキレるわ

 

―何しに下界に来たんだって話だ。

 

―だよなぁ。

 

―上から目線で子供に施しできる立場

でもないだろうに。

 

―そんな優しいミアハ様を目指してたんだろ?

 

―モテモテらしいからな

 

―そりゃ周りから見たら金回りの良い優しい

イケメンだからな

 

―「「「死ねば良いのに」」」

 

―実態は周囲と眷族に迷惑を掛けまくる

貧乏神だが。

 

―お陰で夜叉姫のストレスがマッハになって

最強の胃薬が出来上がったと思えば・・・

 

―怪我の巧妙ってか?

 

―随分助けられてるのは事実だな。

 

 

 

 

それで、ナァーザもレベルアップ。

コレはまぁ期間も長いし、ナァーザも

有名な冒険者だから特に違和感がない。

 

大切断と怒蛇もレベル6になったし、

今もロキファミリアは遠征中だから

その結果によってはフレイヤの一強とも

言い切れないわね。

 

ウチの子達も深層へ行ったし、何人かは

レベルアップ出来ると思うから、私が

忙しいのは次回かしら?

こう言う忙しさは大歓迎なんだけど、

椿達が帰ってきたら自由な時間は減るわよね。

 

はぁ・・・どうしよっかな。

 

 

 

―それで他にはヘルメスのところの

万能者?

 

―あぁ、何か無乳のところの幹部と戦ったり、

ガネーシャのところの冒険者を殺った

調教師に眷族の主力が殺られたんだっけ?

 

―そんな地獄を経験して戻ってきた、か。

 

―やっぱり死にかけたら強くなるのかねぇ?

 

アスフィか。私が見れば装備品に【神秘】

以外のアビリティが付与されてるのは

わかってたから、元々がレベル4でヘルメス

が誤魔化してたんじゃないかって思うけど。

 

・・・ま、別にレベルを偽ってようが、

誤魔化してようが私には関係ないしね。

 

 

 

―それとあとは、タケミカヅチんところの

ヤマト命。・・・繚藍の知り合いらしいが

大丈夫だろうな?

 

―あぁ彼女は無関係だ

 

―ならばよし。今回はほとんど大手だから

アレだったが

 

―・・・メインはこの子と、次のコイツだ

 

―あぁ、ヘスティアの子だな。

 

―期間がなぁ。

 

―いや、それは確かに一番のツッコミどころ

だがそもそもツッコミどころが多すぎるだろ。

 

あ、ヘスティアが自分の眷族の話題を

持ち出されてビクッてしたわ。

髪もウネウネしてるし、かなり情緒不安定ね。

 

『少し成長が早い気がしないでもないけど、

どチビのところの眷族は成長率促進系の

レアスキルが有るよって。コレくらいは出来るやろな』

 

―「「「はぁ?!」」」

 

成長率促進系?!レア中のレアじゃない!

ま、まぁそんなのが無ければ、こんな

急激なレベルアップは無いだろうけど。

 

『な、何で君がその事を知ってるんだい?!』

 

あ、言っちゃった。知らない振りしとけば

良かったのに。

 

―「「「おいおい、マジかよ?!」」」

 

『はっ!レアスキル持っとるのはどチビの

眷族だけやない。ウチのところの二人も

そうやし、フレイヤのとこのアレンかて

持っとるからな!』

 

―「「「はぁ?」」」

 

『あら、他所の眷族の情報を勝手にバラす

のはルール違反じゃないかしら?』

 

内容は抗議だけど、否定はしてない?

女神の戦車と大切断と怒蛇か・・・共通点は

リリルカと一緒に深層へ行ったメンバー?

 

まったく、彼とは仲良くなれたけど、

まだまだ秘密があるようね。

 

結局リリルカの武装は調べられてないし。

 

この分だと椿と深層に居る大切断や怒蛇の

武装もろくに確認出来ないわよね。

 

・・・ソッチは研究のし甲斐が

有るってことにしておきましょうか

 

しかしコレだけ彼の関係者がレベルアップ

してるなら、ウチのあの子も鍛えてもらえ

ないかしら?彼の側に居るだけで鍛治師

としても冒険者としても貴重な経験が

積めると思うんだけど・・・

 

だけど彼に弟子を押し付けてた場合、授業料を

請求されるなら良いんだけど、嫌われて距離を

おかれたら本末転倒よね。

 

うん、アノ子はもう少し自力で何とかして

もらいましょう!

 

―「「「「絶†影で決定!」」」」

 

『ノ、ノォォォォォォォォォ!』

 

あ、タケミカヅチの魂の叫びが聞こえるわ

 

『た、タケぇぇ~!』

 

いや、次はアンタだから。

他神の心配してる余裕なんか無いわよ?

 

なんかフレイヤもニヤニヤしてるけど、

介入してくるつもりかしら?

 

もしそうならとりあえずは無難な内容に

なりそうではあるけど、ヘスティアの

子が厄介なヤツに目をつけられたって

事にもなるのよね。

 

なにはともあれ、可愛い眷族のために頑張って抵抗しなさいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず神会が終わったらイシュタルと

情報交換しないとダメよね。

 

今後彼がどう動くのか、一番詳しいのは

多分彼女だろうし。

 

そ、それに夜のアドバイスも・・・ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




絶†影の間の逆さ十字?っぽいのが出きました!
ありがとうございます!

貧乏神に憑かれたナァーザさん
当然【夜叉姫】で【ちさたろー】ってお話。

ちなみに絶†影決めたのはディオニュソス
らしいけど・・・お前にそんな余裕ねぇだろ?

本編に対するソードの後付け設定は
色々破綻してませんかねぇ?公式が病気?


と言うか運営から警告が・・・
遂に来たかと思ったら甲賀忍法●?
恋姫の方じゃん!今さらかよ?!って
思いましたマル


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102話

鍛治神様と褐色女神様のお話


オリ設定!
オリ展開!

散々引っ張った作者的レベル考察

嫌いな人は読み飛ばし!


ヘファイストスが話があるって言うから

営業か何かかと思えば・・・

 

『私が他所に支店を出すってんなら、

そりゃアンタにも声が掛かるか』

 

普通なら冒険者が居ないから商売に

ならないって判断するところだろうが、

この辺の利害調整はアイツの得意技だな。

 

『最初に話を聞いたときは儲けにならない

って思ったけどね。よくよく聞いてみれば

小さい店でも地域にしてみたら有って

困るもんじゃないし、眷族にとっては

店舗経営の練習にもなるのよね』

 

『そうだね』

 

迷宮都市に近いメレンだの、独自の戦力がある

ラキアなんかはともかく、他の地域にして

みれば高レベルの冒険者と伝手が出来る上に、

何かあったら頼りに出来るからね。

 

モンスターもそうだし、冒険者崩れのゴロツキが

来てもウチの戦闘娼婦やヘファイストスの

ところの上級鍛治師が対処できるだろう。

 

もしくはソイツが造った武装を装備した

ウチの戦闘娼婦って言う合作だってアリだよ。

 

つまりは抑止力として治安向上にも役立つ

ことになるわけだ。

 

地域の住民が私たちを信頼できるかどうかの話は別として、ね。

 

『最悪でも貴女のところの戦闘娼婦が

定期的なメンテだったり武装の購入をして

くれれば、売り上げ的には大丈夫だし、

地方に居る冒険者の卵にウチの支店の武装を

見てもらえば、いずれ本店のお客さんに

なってくれるかもしれないじゃない?』

 

この発想が凄いんだよね。今の迷宮都市に

一極集中してる状態でも利益は出るが、他の

ところの細かい利益まで吸い上げるやり口が

何とも言え無いよ。

 

ウチやヘファイストスみたいに、一店舗が

赤字でもトータルで補える地力があれば

こその経営方針だよねぇ。

 

ま、私のところは必需品みたいなモンだから

トチ狂ってよっぽどの田舎の村とかに行かない

限りは、そうそう酷い赤字にはならないけどさ。

 

『そうだね。ウチの娼館や旅館も支店を

通じて本店の宣伝も出来るし、人材発掘にも

役立つからねぇ』

 

もっと欲しいのは地域の情報だが。

 

この方法なら、ヘルメスのようにこそこそ

と各地に諜報員を潜ませたりする必要もない。

 

むしろその諜報員を客にして情報を吸い

上げたり、私たちが望む情報を流して

コントロールすらできるだろうよ。

 

それに迷宮都市に関係なく、堂々と他所に

勢力を拡大していけるってのが良いね。

 

近隣の裏社会の全てを握り、アイツが言う

ような世界一の悪党を目指すのも面白そうだ!

 

『確かに、一部の地域にしか存在しない

秘伝を継いだ人材とか、珍しい知識は

手に入りやすくなるわよね』

 

『だな。世界は迷宮都市だけじゃない。

別に迷宮都市を全部掌握する前に、他の

地域に手を広げても・・・感謝こそされても

文句を言われることは無いだろうよ』

 

元々存在する地元地域の店舗とかに対する

配慮は必要かもしれんが、基本的に裏の店は

多かれ少なかれ金と暴力で纏まってる。

 

雑魚に魅了を安売りするつもりはない。

純然たる力でもって地元のゴロツキを

叩き潰して私が君臨してやるよ。

 

『あと、さっきの神会でも話題にあがった

けどラキアが戦準備してるらしいわよね?』

 

『らしいね。まったく毎回毎回面倒な・・・

あぁ、もしかしてそう言うことか?』

 

こいつ、意外と腹黒いな。いや、ココで

長らく商売やってるんだから、この程度は

出来てくれないと困るけどさ。

 

『えぇ、今回は私たちも参加して、土地や

店の権利を狙うのも悪くないかなって』

 

『戦に勝って戦利品を貰うのは当然

だからね。ただ、アンタのところの武装は

恐らく販売制限がかかると思うけど?』

 

ラキアは良質の武装が手に入る伝手を得ら

れるから喜んで迎え入れるだろうけど、

こっちはそうは行かないだろ。

ギルド連中だけじゃなく、迷宮都市に住む

冒険者からしたら敵が強い武器持ったら困る

からね。誰だってそうするよ。

 

『でしょうね。とりあえずは第三級武装までとかにするわよ』

 

『それならまぁ、大丈夫か?』

 

『これでもギルド辺りは騒ぎそうだけどね』

 

『ギルドは騒ぐのが仕事だからな。他の神たちは・・・何とかなるか』

 

元々ラキアとの戦いに低レベルの冒険者は

出ないし、楽に勝つよりは多少苦労した方が

良質の経験値になるかもって話が出てたしな。

 

アイツに言わせれば「戦闘でしか経験を

得られない未熟者」になるんだろうけど。

 

本来実戦やら戦闘は経験を得る場じゃなく、

普段の訓練で得た力を発揮して敵を倒し

欲しいものを得る為の行為でしかない。

 

普段の訓練が温いから、取るに足らない

魔物相手にも苦戦する。

 

本人は真面目だし戦闘は本気の命懸け。

そして苦戦して勝つからその戦闘が経験となり

勝利が自信となり成長する。

これが普通の冒険者なんだけどね。

 

アイツは最初に鍛えて、準備を整えて

苦戦しないようにするんだ。

 

その結果、勝利が自信となるのは一緒だが、

苦戦せず無傷で勝つから数をこなせる。

 

そうして初めてアイツの言う本当の実戦訓練

が可能になるわけだ。

 

レベル1のガキが、拙い装備と知識を抱えて、

命懸けで一体のミノタウロスと正面から戦って、

傷だらけになって倒す。まぁ見映えは良い

だろうさ。演劇としては面白いかもね。

 

だけど冒険者としては無駄で無意味な徒労だ。

 

ちゃんとした装備と知識を持って、十体の

ミノタウロスを弱点突いて無傷で殺すほうが

安全だし、得られる経験値も多いに決まってる。

 

成長の順序が逆なんだよね。

 

アイツはレベルアップを山登りに例えたが

アレは分かりやすい。

 

偉業は山を登りきること。

例えばレベル1が2になるためには

1000Mの山を登りきる必要がある。

 

ステイタスはその為に必要とされる目安。

 

上位経験値は山登りに必要な知識と技術を

実践で使用して身に付いて居ることの

確認と承認みたいなモンだ。

 

あとはその山を何人で、どうやって登ったか。

 

他人に頼りきりじゃ経験にならないからね。

ま、100人で役割分担して登りましたって

連中と、1人で登りましたってヤツを比べたら

そりゃ1人で登った奴に経験値が入るし

自信にも繋がるだろうさ。

 

その際、努力や苦労は一切関係がない。

 

事前に知識を得ることもなく、予行訓練もせず、

何も持たずに山に登るのは大変だろう。

 

だがそんなのは無駄な労力だ。

 

アイツから見て大体のレベル1の冒険者が

コレに該当するらしいね。

 

普通は遭難したり、山の動物に殺されるが、

なんとかして生き延びて帰還できた場合、

その苦労を経験と知識として体が覚える。

 

その結果、徐々に準備を整えて山に挑み続け

れば・・・いずれは自力で登頂できるわな。

 

先人に聞けって話になるが、先人だって

命懸けで学んだことをホイホイとは

教えたりはしない。ちなみにホイホイ

教えてるのがロキやガネーシャみたいな連中。

 

つまりはどんな形でも良いから、自力でその山を

登れるようになり、実際に山頂からの景色に

触れ、己が壁を乗り越えたことを魂が理解した

とき、器の昇華の条件が満たされる。

 

レベル1だの2は曖昧らしいが、レベル4

以降には分かりやすい目安がある。

 

階層主だ。

 

あらゆる方法でもって、一人でヤツらを

殺せるならソイツにはレベルアップに

相応しい上位経験値が有るって話だね。

 

ゴライアスを単独撃破出来るならレベル4。

 

双頭竜を単独撃破出来るならレベル5。

 

ウダイオスを単独撃破出来るならレベル6。

 

バロールを単独撃破出来るならレベル7だ。

 

偉業とも連動してるだろうから、バロール

狩りに参加したことが有るならレベル7

への条件は満たしてるらしいが、

九魔姫みたいに一撃の魔法頼りの場合は

単独での登頂には見なされないようだね。

 

これは、本人も支援が無ければ倒せない

ことを理解してるが故の精神的な壁らしい。

 

この壁を越えないから、いまだに九魔姫は

レベル6だし、勇者もレベルアップしない。

 

いかに人を率いる事に長けていても、所詮

レベル云々は個人のモノだからね。

 

それを考えれば個人で勝手気ままに

やってるオッタルだのアレンだのアイツだのが

レベル7に到達してるのも分かる話だよ。

 

苦労すれば良いって話じゃ無いってことさ。

 

だが、そんなことを教えてやる必要は無い。

 

ラキアが強くなれば、その分経験値が増える。

そうなれば私らも強くなるから問題ない。

 

ついでに第三級武装までしか許可しないなら

なんの問題も無いじゃないかって感じで

話を進めれば、ヤツらは納得するだろ。

 

一応フレイヤにも話は通しておくけどね。

 

納得しないのは・・・ギルドだろう。

アイツ等は基本的に自分を脅かす存在を

許せない連中だからな。

 

 

 

『そういえばギルドが騒ぐで思い出したんだが』

 

『ん?何かしら?』

 

コレがあるから迂闊に迷宮都市の中の

ファミリアは信用できないんだよね。

 

『アイツが言うにはアンタもギリシャっての

に分類されるらしいけど、大丈夫なのかい?』

 

『・・・ソレだけで何が言いたいかは大体

分かったわ』

 

ほぉわかるのか。自覚はあるんだな。

 

『私も最初は天界での話を持ち出すのは

ルール違反だって思ったんだけどね』

 

そのルールだって先に来てたヤツが

後から来た私たちに植え付けたルール

なんだって気付いたら、ねぇ。

 

『その気持ちは有り難いけど、性根の

部分を見るならその視点は必要よ』

 

その通り。ルールがどうとか言って都合の

悪い部分を隠されてるだけじゃないか。

 

私以外の神だって、ギリシャ連中の話を

聞いたら天界での所業の確認は絶対に

必要だって判断するだろうよ。

 

『そうだろうよ。私は愛や欲に忠実だし

アンタは鍛治一辺倒。ソーマも酒造りしか

しないし、タケミカヅチは武神だ』

 

フレイヤは勇者あさりが趣味だし、

ミアハやディアンケヒトも医療系。

ロキは悪巧みが好きだしカーリーは闘争。

どうしたって影響がある

 

その上でギリシャ?の面子を聞いたら

・・・ねぇ

 

『今いるだけでも、この迷宮都市に君臨し

ギルドによる知識や技術、ダンジョンの情報や

魔石なんかの権益を独占しながら中途半端な

都市運営をしているウラノスを筆頭に、

敵対するファミリアを謀略で掻き回して、ここ

迷宮都市に暗黒時代を造り上げたゼウスとヘラ』

 

『・・・』

 

『そのゼウスと繋がりが有るヘルメスと、

狂乱のディオニュソス。

今も生き延びる闇派閥の代表格と言われる

タナトスにイケロス』

 

『はぁ・・・』

 

『他にも泳ぐ強姦魔のポセイドンだとか、

ラキアの脳筋のアレスだろ?比較的

まともなのが農業やってるデメテルと

来たばかりのヘスティアってどうなんだ?』

 

コイツはコイツでアレだしねぇ。

 

アストレアは親戚筋ではあるが微妙に

違うらしいけど、それはいいさ。

 

『いや、もう返す言葉も無いわ』

 

言ってしまえば、こいつらギリシャこそ

今の迷宮都市の歪みと淀みの元凶だよ。

 

私だって品行方正とは言わないけど、

そもそも闇派閥の連中やらゼウスやヘラ

関連では随分やられたし、アイツの

力を借りてソレと戦ってたらいつの間にか

歓楽街で一番になってただけだからね。

 

そいつ等の天界での元締めがウラノスで

ゼウスやヘラの祖父にあたるとか言われたら

信用なんか出来るわけがないじゃないか。

 

『正直な話、フレイヤは同じ美の神で

対抗意識があったこともあるが、だからこそ

アイツはある意味で信用できる』

 

美に忠実で、自分が美しいと思えるものに

執着するんだ。勇者を集めるのは無駄な

装飾の無い【暴力】を美しいと感じてるから。

 

『ロキは悪巧みが趣味ではあるが、最近は

自分の眷族の為に悪巧みをするのが趣味

みたいになってるから、コレも良い』

 

要するに眷族に関わらなければ問題ない

 

『ソーマはより良い酒を造りたいだけだ』

 

子供の成長を喜んではいるが、究極的には

レベルが高い子供が居ればその分だけ

旨い酒を造れると理解したから。

それにソーマはアイツがリリルカを弟子に

迎え入れる際にしっかり心を折られてるから

今さら反抗することはない。

 

『そして私は全ての愛と欲を肯定し、

世界中の愛と欲をこの目で見て、そして

抱えこむことを願うアイツの共犯者さ』

 

欲はどうしても悪事と絡むからね。

美学をもって、欲を認めるなら小悪党じゃ

ダメだ。世界中の愛と欲を知るなら

世界一の悪党にならなきゃいけない。

 

迷宮都市の中だけで満足してるわけには

いかないんだよ!

 

アイツはハーフエルフだからその辺の

子供たちより寿命も長いし、高レベル。

 

だからずっと一緒に居られる仲間と言える。

 

・・・アイツが死んだらアイツの魂を

探しに天界に戻るのも良いかもね。

 

アイツが居たら退屈な天界も楽しめそうだ。

まぁ私より先に叔母様が一緒に居るだ

ろうけど。

 

叔母様もねぇ。

この、神なら誰でも興味を覚える迷宮都市に

興味がないって、どんだけアイツの側が

楽しいんだって話さ。

 

・・・おっと、そんな先の事より足元を

しっかり見ないとね。

油断して連中に足を掬われてアイツの

足手まといになるのはゴメンだよ。

 

『その点、アンタはどうなんだ?アンタは

技術に忠実で、勢力やら思惑なんかには

興味がない。いや、興味がないって事に

して中立を保っている』

 

『・・・・・・』

 

だからこその鍛治系最大手ファミリアだ。

 

『だが中立であるが故に全部の勢力へ

武装と情報をばら蒔くことになる。

特にアンタと仲が良いヘスティアなんか

隠しごと何か出来ないだろ?

悪意も何もなく私たちの悪巧みをペラペラ

喋られても困るんだよ』

 

フレイヤがこいつとの専属契約を切ったのはコレが理由だろう?

 

『・・・その懸念は尤もよ』

 

『だろう?正直信用できないんだよ。

悪巧みなんて自分に関係ないって言って

他人事みたいに動く技術者なんてさ』

 

直接間接問わず、いくらでも情報を

抜けるじゃないか

 

『えぇ、そうでしょうね。貴女達から

見たら私たちの防諜なんて、有って無い

ようなモノだものね』

 

まったくもってその通り。

技術者なんて、酒飲んで女を抱いたら口が

軽くなるヤツの典型だからね。

 

『だけど、コレだけはハッキリ言える。

少なくとも私は彼を裏切ることは無い』

 

『【彼】ねぇ・・・覚悟を決めた女の顔

だから信じてやりたいところではあるよ?』

 

女としてアイツを見て、応えて貰ったなら

アイツを裏切ることなんて出来やしないさ。

 

『だけど、信じては貰えないのね?』

 

そりゃそうさね。

 

『アンタ一人は信じても良い。神として

じゃなく、女としてね。でも組織として

統率が取れないのが問題なんだよ』

 

鍛治師連中の性根はどうにもならん。

 

更にコイツの個神的な付き合いを考えたら

ヘルメスやウラノスには秘密を造った時点で

気付かれるだろう。

 

今はただの他所への出店の打ち合わせ。

 

裏にどんな思惑があろうと、そもそも

わざわざ迷宮都市の外に店を出すなんざ、

何かしらの思惑が有って当然。その内容も

決まったモノでもないし、私の言った

『裏社会を纏めて世界一の悪党を目指す』

なんて話は夢物語で終わる話だ。

 

突っ込まれたら『このくらいの意気込みが

なくてどうする。誰だって店を持つなら

世界一の店にしてやるって思うだろ?』

ってな感じで堂々と答えてやるよ。

 

後の内容は勝手に想像させておけば良い。

 

だが内部に情報をばら蒔くヤツが居たら

どんな計画だって土台から破壊される。

 

互いの持ち味を活かすことを考えたら、

コイツは私たちの輪の中に入れずに、

外部協力者とするのが妥当だろうさ。

 

『なるほど。かと言って私には組織を

投げ捨てることなんて出来ないし、

もし出来たとしても周りを警戒させるだけ、か』

 

『その通りだね。ついでに言えば組織が

無ければそもそもの出店の話が無くなるよ』

 

この辺が技術屋の限界なんだよね。

 

『・・・じゃあ彼が私に求めてることは

何か分かるかしら?』

 

あぁ、間違っても邪魔はしたく無いって?

健気だねぇ。気持ちはわかるけどさ。

 

『とりあえずは私と歩調を合わせて

欲しいってところだろうね』

 

私一人だとどうしても目立つし警戒される。

 

今回はあくまで商業的な勢力の拡大と

思わせたいんだよね。

それを前提にしたなら、それほど親密とは

思われてないコイツの協力は有り難い。

 

『なるほどね。新規事業の開拓に貴女と

乗り出すってことか。それなら私にも

ファミリアにも損は無いから問題ないわね』

 

『そう言うことさ。人が集まるところには店

が出来る、店が有るところには人が集まる。

ま、実際にはこんな簡単にはいかないけどね』

 

それでも目眩ましにはなるし、実際ノウハウ

を手に入れるにはやってみるしか無い。

 

『何事も経験か。まぁ当たり前の話よね』

 

『あぁ当たり前だからこそ忘れやすいことだな』

 

神だからって油断しちゃ駄目だってこと

を忘れないようにしないと、でっかい

落とし穴に嵌まることになるからね。

 

 

 

 

『そ、それでね?』

 

『あん?』

 

なんだ?いきなり雰囲気変わったぞ?

 

『その、夜の経験の話で・・・』

 

いきなりソッチの話かよ!

 

『アッチの話か。アンタも知ってると思うけど

アイツは技術も体力も凄いから、私でも

いまだに腰が持たない時があるんだよねぇ』

 

まぁ大好物ではあるがな!

 

『や、やっぱり?!私もこの前、初めて彼と

アレしたんだけど、お昼から一晩中・・・』

 

『ほぉ。昼間からねぇ。私の場合は夜から

次の日の夜までとかで・・・』

 

『ほ、本当に?う、うわぁ・・・』

 

ふっ、親睦を深めるなら下ネタか悪口って

のは世の中の真理。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、アイツと昼間からナニをしたのか、

根掘り葉掘り聞かせてもらおうか!




段取りは大事。古事記にも書いてある。

ギリシャ=信用できないモノって
意味で言葉と認識を広める主人公くん。

なんかウィキ見たらポセイドンとか居た
らしいので渾名を上げましたってお話。

レベルに関して、百話越えてからする話か?と
思った諸君。君たちは正しい。


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103話

久々登場。本拠地フェイズ

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


白兎に専属契約。それもクロッゾか。

 

『ふーん、これはまた・・・ヘルメスが

動いたのかな?』

 

「直接的には何もしてないな。ただ眷族の

エマとやらが多少誘導したらしい」

 

このエマとか言うヘルメスの眷族。

イシュタルが言うにはかなり不自然な

動きをしているらしいな。

 

リリルカが言ってた白兎のツレだが、動きが

不自然過ぎるってんで行動を漁ってみたが、

初対面のリリルカにサポーターを依頼して

来たり、人形姫への弟子入りを志願したり

した程度なんだよなぁ。

 

普段から見てれば不自然な点が多いのかも

知れんが・・・とりあえず俺が気になるのは

何故こいつはリリルカをサポーターにしようと

したのか?ってことだ。

 

あいつの場合、事前知識が無ければタダの小人族だろ?

 

普段はバックパックも背負ってないし、

普通の冒険者みたいな格好もしてないぞ?

 

神に言われたって話だが、その神はヘルメスなんだろ?

 

アイツがリリルカを知らないはずがないよな?

 

数年前に言われたっていう可能性もあるが、その

場合このエマって娘のレベルが、な。

 

リリルカと接触して白兎のコネとするか

経験を積ませようとした?

それともティオナやティオネみたいに、

俺に鍛えさせようとした?

 

まぁ端から見たら俺は所属を問わず気分で

他人を鍛える気紛れな教育者だからな。

 

ネコモドキに似てたとかは知らんだろう

から、そう考えても不思議ではない。

 

しかしあのヘルメスが、自分が主人公にしよう

としてる白兎を俺と関わらせようとするかね?

 

いずれ師匠を越えて、涙しながら

師匠を倒すのも物語上はアリではあるが。

 

・・・そう言うのは卑弥呼殿でやれ。

 

『リリルカや人形姫に関してはヘルメスの

企みって言うよりは、このエマって娘の

暴走に見えるけどね』

 

「だな。今の段階でヘルメスが裏方の自分を

主人公の周囲の演者に気付かせるのはおかしい」

 

人形姫についてはロキのお気に入りで、

フリュネが昔執着してた敵だしな。

 

これだって何も知らなければ

「高レベル冒険者との繋がりを持ちたかった」

と言った感じの話で終わるが、絡んでる

連中がロキとイシュタルとヘルメスだろ?

更に白兎がフレイヤのお気に入りとなれば

……フリュネの態度次第ではイシュタルが

ロキとフレイヤを敵に回してたかもしれん。

 

偶然と考えるには無理があるよな?

 

実際フレイヤはともかく、ロキに関しては

春姫の魔法を考えれば不可能ではない。

 

更にその抗争の最中に殺生石を使わせること

で連中にとっての後顧の憂いを無くす策。

 

あとはイシュタルとロキもしくはフレイヤの

勢力を弱め、歓楽街と探索系への影響力を

高める策か?

 

三つ巴になればイシュタルは最初に潰される

だろうから、歓楽街の権益が浮くことになる。

 

そうなれば治安維持と歓楽街の必要性を

主張してギルドがソレを管理運営、か。

 

自作自演が得意なギリシャらしい手段。

 

ロキとイシュタルとフレイヤはそう読んで

敵対ではなく協調を選んだ。

 

ヘルメスならこんな手は使わんよな。

 

『あからさまに怪しいもんね。もしこの

エマの動きが計算通りなら、あえて手を

結ばせたって可能性も有るけど』

 

「ん?敵を一つに纏めるためか?」

 

『そうそう、強大な敵に立ち向かう方が

主人公っぽくない?』

 

なるほど。神の視点だとそうなるのか。

 

ロキは遠征があったし、フレイヤは

眷族の強化に忙しい。イシュタルは

フリュネが人形に執着してないから

わざわざちょっかいを出す理由がない。

 

つまり各ファミリアに戦う理由が無かった。

 

そんなところにギリシャ連中が仕掛けたって

そりゃ共通の敵と見なされるだけだろ。

 

おかしいとは思ってたが、ソレを狙うか。

 

明らかにアイツ等じゃ手綱を取れんが、

一度結託したあとで決裂したら再度の

連携は難しくなる。

 

決裂する理由はいくらでも作れると

考えれば、今の段階で纏めるのも有りだな。

 

「奴らがある程度纏まったら、ガネーシャ

辺りが中立面して奴等をかき回すか?」

 

『多分ね。知性ある魔物なんか絶好の

種火じゃない?』

 

「なるほど。それならガネーシャは本心から

動くし妥協もない。細かい部分はギルドが

裏から手と口を出して各ファミリアや

冒険者を操る、か」

 

ならこちらの策は簡単だ。

 

今までのギルドやゼウス・ヘラの行いを

省みれば、連中が正義の味方だなんて

言えるヤツは居ないから、奴等の存在を

悪として固定する。

 

今後もイシュタルを通じてロキやフレイヤに

ギリシャについての啓蒙活動をしていく必要

がある。

 

あとは世間の噂だ。今はロキやフレイヤが

黒龍討伐に失敗したゼウスやヘラを奇襲で

追い出したと成ってるが、コレも変える。

 

ゼウスやヘラを悪党にしよう。そんで

ソレを追い出して迷宮都市の暗黒時代を

終わらせた英雄のお話と、裏でゼウス

とヘラを支えながら甘い汁を吸っていた

黒幕の存在を匂わせ、そいつらがヘルメスを

使って悪巧みをし、闇派閥を率いて復権を

狙ってると言う物語を作ってみようか。

 

ギリシャ的に考えれば、どう考えても

ヘラは闇派閥だしな。

 

『今のうちに知性ある魔物を連中だけ

が知る秘密じゃなくて、それなりに周知

して行けば、連中の策は潰せるよね』

 

「その通りだ。謀は密を以て為す。ならば

秘密で無くなれば策でも何でもない。

ただの情報に成り下がる。

あとの問題はそのエマが俺と同じような

前世の記憶持ちの場合だ」

 

細かく言うなら降臨者か転生者、

転移者の場合だ。

 

『なるほどなー。ソレはありそうだね。

スキルやステイタスでは見れないし、

ヘルメスも知らないのかな?』

 

俺を見てるこいつが言うなら間違いないな。

 

はぁ、原作知識が有れば白兎が主人公なのは

知ってるだろうし。ソレと仲良くして

原作沿いに物語を進めれば自分も安泰

だろうし、原作が好きなら特等席で見れる

楽しい見世物だろうさ。

 

こうなれば行動原理が損得や感情ではなく、

原作の流れだから動きの予想が出来ん。

 

ソレを潰すなら、白兎を殺せば良いだけだ。

だが、今の俺は白兎を殺すことが出来るか?

 

・・・恐らく無理だろう。世界が邪魔をする

可能性が有る。それに卑弥呼殿みたいな

管理者が来た場合、今の俺で勝てるとは思えん。

 

居るかどうかはわからんが、実際卑弥呼殿は

居たんだ。この世界に居ないとは限らんしな。

 

管理者となれば、レベルを超越してるか、

最低でも9とか10だろう。

 

レベルが2つ離れてればその戦力差は絶望的、

レベル差が3つなら絶対に勝てん。

 

つまり、せめてレベル8になるまでは

白兎には手が出せないわけだ。

 

「・・・忌々しいことこの上ないが、

ヤツのおかげで一つだけ良いこともわかった」

 

『良いこと?』

 

「あぁ、原作改編に対する揺り返しは無い」

 

ヤツの行動から見て原作では、今の歳でも

リリルカはサポーターしてたんだろ?

 

あの環境のままここまで生きていられたと

考えれば、やっぱりアイツは凄いな。

 

で、なんやかんやで原作なら白兎に

救われるんだろうさ。

 

リリルカは悲劇のヒロイン張れる

程度の悲惨さだったと。

 

囮として喰われたりしてナァーザみたいに

四肢欠損してたら、回復のアテがない

アイツは悲惨じゃ済まない状態になる

だろうからな。

 

少なくとも白兎に拾われてサポーターが

出来る身体が有ったってことだ。

 

まぁそれはそれとして、俺が干渉したことに

よる世界の揺り返しを警戒していたが、

少なくともリリルカは大丈夫。

 

まさか原作においてリリルカがレベル5や6に

なったあとで駆け出し冒険者のサポーター

なんかしないだろうよ。

 

『あぁ、そうなるのか。けどアンタか居る

時点で原作って言うのは無いようなモン

だから、考えすぎじゃない?』

 

コイツら神にとっては下界がお話の中に

来るようなモンだからな。

この辺の価値観はわからんよなぁ。

 

「考えるのがヒトだからな。この件に関して

は考えすぎるくらいがちょうど良いんだよ」

 

『ふーん。そんなもんかー』

 

「あぁ、そんなもんだ」

 

 

 

後は人形姫とクロッゾ。

 

物語にはちょうど良い配役ではある。

 

何せ次の戦争におけるラキアの狙いは

迷宮都市じゃない。クロッゾの小僧だ。

 

アレスは戦争さえすれば良いかもしれんが、

部下の司令官としてはヤるからには勝ちたい。

 

そのために今回の戦を捨ててアレスの好きに

ヤらせ、その影で次回に活かす策を練った。

 

着眼点は悪くない。今はなんか綺麗事ですら

ないアホ臭いことをほざいてるレベル1の

鍛治師でしかないからな。

 

名前が売れればエルフ辺りが暗殺に来るから

積極的に名も売れないし、現在アレを守ろうと

するのはヘファイストスだけ。

 

不遇なところに声をかけて上手く誘導すれば

ラキアに引き込めたはずだ。

 

そもそも魔剣を打てる鍛治師をワザワザ

外に出す為政者は居ない。

両親やら親族やらもヤツを使って鍛治貴族

に復帰したいと思うのは当たり前だしな。

 

つっても魔剣が打てなくなった連中を虐げた

のもヤツらだがな。この辺は調子に乗った

鍛治師と既存の貴族達の権力闘争だ。

 

鍛治師から脱却出来ないクロッゾどもには

ただ魔剣を打てなくなったからその地位を

追われたとしか理解できんだろうなぁ。

 

いまだに親族は復権を狙ってるらしいが

小僧はその浅ましさを嫌ったんだろう。

 

ラキアもクロッゾもアホな連中だ。

そんなん小僧を普通の鍛治師として抱えれば

良いだけの話だろうが。

 

小僧が魔剣を打たなくても、子供や孫が

打てるようになるかも知れんし。

 

はじめから魔剣も戦力の一つと割りきって

無駄に圧力を加えたり、醜態を見せて

嫌われるより、余裕を持って恩情と時間を

かけて家族や主君の為に剣を打たせてれば

いずれ魔剣も打つだろうよ。

 

別に兵士全員が魔剣を持つ必要も無いしな。

 

今となっては魔剣は切り札になりえんが。

その辺は後程絶望して貰おうか。

 

・・・ついでに拠点防衛用の防御兵器の

デモンストレーションにもならんかね?

 

とりあえずクロッゾを目当てに来る連中だ。

今はヘファイストスのところの主力が

居ないから浚うなら好都合なんだよなぁ。

 

冒険者連中は単純に勝てるからって理由で

相手を探ることをしないが、アッチは違う。

ラキアの密偵なんざいくらでも居るし。

 

しかし怪しいのを捕らえたら闇派閥だとか

ラキアだとか、魔法国だとか。

迷宮都市ってのはどんだけ防諜が甘いんだ?

 

それもこれも各々が好きにやってる

だけだからシカタナイと言えば

シカタナイことかもしれんけど。

 

だが、クロッゾはラキアも闇派閥も身柄と

血統を狙ってるし、エルフや魔法国は

その命を狙っている。

この世界の連中は、もう少し恨みについて

敏感になるべきじゃないか?

自分達が没落したって、ソレは自業自得。

クロッゾの魔剣のせいで森や海を焼かれた

連中はその存在を認めはしないぞ?

 

武器に罪はないとか言うアホも居る

らしいが、少し考えればわかるだろ?

 

クロッゾの小僧は気分が乗れば大量破壊

兵器を量産出来るんだぞ?

 

ヘファイストスのお気に入りらしいが

アレもどこまで理解出来ているやら。

 

『うーん。ちなみにラキアが迷宮都市を

治めるのはダメなの?』

 

「駄目、と言うよりは無理だな」

 

『無理?』

 

魔剣云々は別としても、統治って意味なら

人間の王による統治を行ってるラキアの方が、

政に関与しないとか自称中立とか抜かして

問題を放置してる去勢神が幅を利かせてる

迷宮都市なんかよりはマトモではある。

 

だが住民がなぁ。

 

「戦争も人の営み。市民にしてみたら別に

ラキアが迷宮都市を治めても問題は無い。

ただ、自由民である冒険者が我慢出来ない

んだよ」

 

『あぁ、なるほど。そりゃ無理だわ』

 

冒険者を名乗るアホどもは、基本的に不文律

とか曖昧なルールを粋と感じる癖に、

法とか規律とか明確なルールにはなぜか

忌避感を抱く連中だ。

 

露出狂でもあることから、世紀末のモヒカンだと

思って良いだろう。

 

力ある企業には従うが、絶対に自分の看板を

降ろさない地方の自営業者・・・は失礼だな。

あの方々はしっかり自己責任で日々を

暮らしてる。

あんな、都合が悪くなったら看板ごと何もかも

さっさと投げ出す自称自己責任を掲げる

冒険者と一緒にしちゃいかんよな。

 

『そもそもフレイヤとかロキとかも黙って他神に

従うような神じゃないし、何らかの条件で

味方にしても気分で裏切るような連中だしね』

 

「そーゆーことだ。かといって連中の力

じゃアイツ等を倒せない。

仲違いさせても、残った方にすら勝てん」

 

これが迷宮都市に根を張るギルドと外来の

ラキアの違いだよな。

 

それにラキアとギルドが手を組む可能性も無い。

 

ギルドがダンジョンに固執する限り、

どんな組織もアイツ等とは手を取り合えん。

 

・・・ゼウスとヘラが都市外で何を

してるかにもよるがな。

 

ま、今はヤツらは良い。ヘルメスを

張ってればいずらゼウスやヘラに

行き着くのはわかってるし。

 

神秘の道具で姿を消すだの空を飛ぶのは

ヤツ等の専売特許ではない。

 

くくく。いずれロッズフロムゴットで

衛星軌道上からオリハルコン製の杭で

爆撃してやるわ。

 

『なんか悪い顔してるけど、畑が荒れる

ようなことはしないでよ?』

 

「・・・そうだな」

 

衛星軌道上からの爆撃は、間違いなく近隣の

土地や環境が荒れるから駄目だな。

 

普通にアンブッシュして生け贄にするか。

 

とりあえずラキアが来るなら良い機会だ。

 

オール・オア・ナッシング。

戦争と言う行為の意味を存分に教えてやる。

 

それに弟子が間に合うかどうかが問題かな。

 

あ、そういや弟子と言えばアレがあったか。

 

「なぁベレト。知性ある魔物には神の恩恵は

効果が無かったが、魔物と人間の間に産まれた

子供には恩恵が適用されるのは闇派閥で実証

されている。この違いは何だと思う?」

 

 

――――――――――――――――――

 

 

『いきなりどうしたの?いや、いつものこと

だけどさ。普通に考えたらヒトの因子だよね』

 

まったく、ようやく見つけた子が魔物と

人間を併せたような子だからって前より

ずっと真剣に考え込んじゃって。

 

あぁ、それにもう一人居たんだっけ?

ソッチは知性ある魔物らしいけど。

 

前世の記憶持ちは珍しいには珍しいけど、

居ない訳じゃ無いしね。

珍しい理由だって大体は親とか周りが気持ち

悪がって殺すか捨てるかしちゃうからだし。

 

魂そのものは巡りめぐってるモノだから

強い想いさえ残ってれば、記憶として

残る可能性は有るんだよ。

 

赤ん坊の時なんて結構みんな夢とか

でぼんやりと思い出してそうだよね。

 

コイツは単純に魂の強度が違うだけだと

思うけどさ。探してたお弟子ちゃんも

見つかった白ちゃんも、相当魂の強度が

強いんだろうね。

 

「ヒトの因子か。魔石を喰って強化する

連中は・・・薄いだろうな」

 

『だね。お弟子ちゃんは肉体を再構成された

時に覚醒したか、空の肉体にその魂が宿った

って話だったけど問題は肉体だから・・・』

 

お弟子ちゃんもナニによって再構成された

かは知らされてないみたいだし。

 

人間の知性と魔物の特性って言ってもねぇ。

今のところ違いは魔石を食べれること

くらいしか無いみたいだけど、魔物の力って

他にナニが有るのかな?

 

肉体に使われた魔物によって得られる力が

違うとか有りそうではあるけど、お弟子

ちゃんは特に違いを感じて無いみたいだし。

 

寿命とか、色々考えないと駄目だもんね。

 

子供はどうなのかな?

 

元々私やイシュタルはコイツといくらシても

出来ないけど、お弟子ちゃんの場合は

多分出来るよね?まぁその場合の種族が

どうなるかは微妙だけど。

 

春姫ちゃんは内縁の妻とは言うけど、

イシュタルの眷族だから親権とか

色々あるし、アイシャちゃんもそうだよね。

 

白ちゃんも多分出来るだろうけど、やっぱり

寿命とか種族に問題が出る。

 

そう言えばカーリーのところのアマゾネス

姉妹もねぇ。

何だかんだで良い歳だからって結構本気

で子供を望んでるんだよねぇ。

女としてはわからないでは無いけどさ。

 

コイツはその辺どうするつもりなのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『ふむぅ、そろそろカレーに使う香辛料が

切れそうじゃよ』

 

「「・・・?!で、では誰かが迷宮都市に

行くしかないですね!」」

 

『そうじゃのぅ。とりあえず何人かで行って

買ってきて貰おうかの』

 

「「ならば私が!」」

 

「・・・」

「・・・」

 

『こりゃ、そこで本気で睨み会うでないわ。

二人で行けば良いじゃろ』

 

「「よ、よろしいので?!」」

 

『代わりにどっちかがヤツの子種を貰って

来るならな!なんなら両方でも良いぞ!』

 

「「はっ!かしこまりましたっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くくく、農家よ!強き雄を求めるアマゾネス

の執念をアマクミルデナイゾ!




前話でも有りましたがこの段階ですでに
ラキアは戦争準備してますからね。

戦争遊戯でヴェル吉を見つけたから狙うとか、
普通の指揮官ならそんな場当たり的なことは
しませんよね。しかも皇太子でしょ?
まともだって話だし、まともなら下準備を
しっかりヤってるよねってお話。

褐色の国の姉妹、ティオネやティオナより
10歳年上ですってよ。





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104話

何かの前振り?

弟子も仕事をしてるもよう

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「困りましたね」

 

いや本当に困りました

 

『何がだ・・・?』

 

「無駄飯喰らいが邪魔で邪魔で」

 

『ぐっ・・・!』

 

まったくこの赤蜥蜴は、自分の立場も

理解できませんか。

 

師・・・旦那様が喋れる魔物は保護しろ

と言うから保護してやってるだけだと

言うのに。この無駄飯喰らいの無職が」

 

『扱い酷く無いか?!』

 

妥当ですよ。

 

「回復薬があるから再生出来ると言うのに

尻尾寄越せと言っても嫌だと抜かすし、

牙寄越せと言っても嫌だと抜かすし、

爪寄越せと言っても嫌だと抜かすし、

角寄越せと言っても嫌だと抜かすし、

命寄越せと言っても嫌だと抜かすし。

この蜥蜴は一体何が出来るんです?」

 

『最後のは回復薬関係無いよな?!』

 

「役立たずならせめて全身を捧げなさい」

 

『やっぱり殺す気じゃないか?!』

 

まったく、図体がでかいだけで何も

出来ないじゃないですか。

 

コイツが居るせいで他の蜥蜴も出て

来ないし。

 

同時に2体現れないのが確定したのが

唯一の成果でしょ?もう死ねよ」

 

もしかしたら30~40階だけの話かも

しれませんから、一応他の階も試した

かったんですがね。いつロキファミリアが

来るかわからないからとりあえず保留です。

 

『いや、あの、俺も現状が理解できて

ないんだ。いきなり身体を取り戻したかと

思ったらワケのわからないところで、

お前に殺されそうになるし』

 

訳がわかりませんよねぇ。何でも神に

殺されて魂を神器?に閉じ込められて

人間の魂の中で暮らしてたとか?

 

それで取り憑いてた人間が死んで、

次はどんな人間の魂と同化するのかと

思ったら普通に身体があってビックリ。

さらに私に殺されそうになってビックリ。

何がなんだかわからなくてビックリとか。

 

まぁ私も死んだと思ったら、いきなりワケの

わからない所に居ましたからね。

気持ちはわからなくはありませんよ?

 

ただねぇ。ロキファミリアの連中が来る前に、

伯師妹の為に魔石を稼ごうとしたら出て

きたのがコレでしたからねぇ。

 

『ま、まて!何だここは?!』とか

言い出したから殺さずに従えましたが、

何だってコイツなんでしょうねぇ

 

『いや、そんな「外れ引いた」みたいな扱い

しなくても良いじゃないか。コレ

でも地元じゃ有名な竜だったんだぞ?』

 

どうも知性があるだけじゃなく、私たちと

同じように別の世界から来たみたいだし。

珍しいのは確かなんですがねぇ。

 

「地元で有名でもコッチじゃ無名ですよね」

 

『ぐっ!』

 

流石に知性がある分、その辺の本能頼りの

蜥蜴よりは強いみたいですけどね。

 

ただこの蜥蜴、特筆すべきは魔法?です。

 

なんでも放った攻撃やステイタスに蜥蜴の

力を上乗せ出来るとか。

 

最初は倍とか言ってましたが、強化

できる力に上限があり(当たり前です)

自分の力以上には出来ないとか。

 

散々役立たずと罵った後に、何が出来るか

調べたら、倍に拘らなければ良い。つまり

上乗せなら可能だと言うことに気付いたん

ですよね。

 

お陰で私の攻撃に足りなかった重みが

加わりましたが、今度はコイツが不器用

で遅すぎて上乗せが上手く行かないとか。

もう死ねよ」

 

『お前が速すぎるんだよ!』

 

弱点を指摘したら克服するよう努力する

どころか泣き言ですよ。

今までどれだけ甘やかされてきたのやら。

 

「私で速すぎたら旦那様なんかどうなると

言うのか・・・まぁ産まれたばかりで

不見識なのは仕方ないですが、もう少し

世間を知りなさい」

 

まったく、こんな蜥蜴を見せても最終的

には邪魔だから捨ててこいって言われ

そうですよね。

 

『むぅ、確かにこの世界のことは何も

知らんからな。反論が出来ん』

 

知らないということは利用されると言うこと。

骨はこうして生まれたばかりで右も左も

分からない伯師妹たちを洗脳してるんですかね?

 

ふむ、そう考えるとあの骨にこの蜥蜴を

けしかけるのも悪くは有りませんか。

結果討伐されても私は痛くも痒くも

ありませんし。

 

あぁけど旦那様に見せないと駄目

ですよね。

私がちゃんと仕事してますって

証拠にもなりますから。

 

「私が温厚で良かったですね。こんな珍しくて

生意気な蜥蜴なんか血と性欲に餓えた冒険者が

見つけたなら、即効で危険物として退治依頼が

出されて見つけ次第討伐されて、バラされて

素材にされてますよ?」

 

勝手にダンジョンに来て、勝手に魔物が

危険だと騒いで討伐されるんですね。

 

虎穴に入らずんば虎子を得ずと言いますが

勝手に巣に侵入されて子供を取られる虎の

気持ちを考えなさい。

 

それで虎が危険だって討伐するって

危険なのは冒険者であり依頼者ですよね?

 

まったく、冒険者というのは嘆かわしい

イキモノです。

 

『モン○ンかよ?!』

 

「モ○ハンが何かは知りませんが・・・」

 

まぁ我知無知の哲学からすればコイツ

のもつ異世界の知識は私を成長させる

ことになるから良いんですけどね。

 

それに50階層は広いし、このでかい

図体を隠せるからコイツはこの辺に

住ませれば良いです。

 

最初『とりあえずココに一人でいても

しょうがないから着いていく』って言われた

ときにはついバラそうかと思いましたが、

間違っても旦那様が手を加えて過ごし易く

してくれた37階層には置けませんからね。

 

ある意味怪我の巧妙と言えましょう。

 

『あぁ、そうだったな。こっちも勢いで

言っただけだから気にするな』

 

「そうですか。・・・貴方の居た世界に

ついては暇なときにでも聞くとしましょう」

 

異界の知識など望んでも得られぬモノ。

旦那様も喜んでくれるでしょう!

 

『うむ、それで良いさ。で、ロキファミリア

とやらが近々来るのはわかったが、

そもそもロキとは北欧神話のロキのことか?』

 

「いや、北欧神話がわかりませんからねぇ」

 

この蜥蜴が居た世界にもロキと言う名の

神は居たようですが、同じかどうかは

わかりません。

 

『あぁ、そうだよな。とりあえずは

俺が知ってる知識と擦り合わせを行い

たいんだが、知ってる国とか神とか

色々と教えて欲しい』

 

ふむ。コイツにとってここは右も左も

分からない世界です。

少しでも拠り所となる知識は

欲しいのでしょう。

 

私もそれほど詳しいわけではありま

せんが、この質疑によって自分が

知らないことを知ることが出来ます。

 

タダで情報をやる気はありませんが

ソレとコイツの知識の引換なら悪くは無い。

 

それに旦那様への報告は別として、私も

異なる世界の理には興味がありますし。

 

・・・ロキファミリアが来るまでの暇潰し

にはなりますか。

 

「私も詳しいわけではありませんからね。

とりあえずは現在地上にいて、旦那様の

敵と見なされている神について話します。

もし何か知ってるなら教えて下さい」

 

まずは敵を知るとしましょう。

 

名前が同じだから同じ存在とは限りま

せんし、下手な先入観は危険ですが

ソレを判断するのは私ではなく

旦那様です。情報は多いに越したことは

ありませんからね。

 

『旦那様の敵、な』

 

何様だコイツ。旦那様に会ったことも無い

癖に、何か不満でも有るんですかねぇ?

 

コイツにはもう一度身の程を教えてやる

必要がありますね。

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

前の宿主が死んだと思ったら訳の

わからない場所に居て、いきなり

殺されかけた件について。

 

いや、身体を得られたのは正直嬉しいし

ダンジョン?とか言う場所も別に

悪くはない。

と言うか身体に馴染む感じはある。

 

ただこの化物がな・・・

 

コイツが言うには、ダンジョンの壁を

壊すと俺と同じような竜が出てくる。

 

それで、俺たちは倒すごとに強いのが

出てくるらしい。

 

その特性を利用して、修行がてら俺たちを

狩って生活していたが・・・ある日を境に

情報の共有をし始めたとか。

 

コイツの旦那の予想だと、俺たちは

ダンジョンを破壊するヤツを殺すために

生まれる抗体みたいな存在で、コイツが

あんまり殺し過ぎたもんだから抗体が

コイツの情報を覚えてしまった。

 

それでコイツに対抗する為の進化を

する為に情報を共有し始めたらしい。

 

うん。まぁなんとなく分かる。

 

生まれたばかりの状態ではコイツには

何をしても勝てん。普通に狩られるから、

最初からある程度の情報を持って

対抗しないとダメだよな。

 

だがその結果、歴代の恐怖も情報として

共有したわけだ。

 

なんたって生まれて最初にコイツを

見たとき「コイツに逆らうな」って!

本能が叫んだからな。

 

コレは「もう嫌だ!」て言う種族的な

本能だろう。

 

生物は恐怖によって進化すると考えれば、

まず俺はコイツに対する恐怖で自己を

確立したわけだ。

 

そしてコイツと誰か(おそらく旦那だな)

の会話から、言葉を話せば殺されないと

理解した。

 

で、言葉を話せる知性ある竜の魂が

偶然見つかったら取り込まれたって

ところじゃないか?

 

世界線云々の問題があるが、なんか

コイツも違う世界から来たらしいから、

巡るモノと考えれば納得もできる。

 

しかしなぁ。この化物を一蹴する旦那様

ってのは一体どれ程の化物なのか・・・

いや、確かに理が違う世界でいきなりの

事だったから動転していたのは有るけど。

 

だがなぁ。攻撃が一切見えんだとか、

鱗が役に立たんとか、俺の倍加が

意味を成さんとか。

この時点でコイツは紛れもない強者だ。

 

しかもコイツが持つこの武器。

明らかに神器じゃないか。

しかもアチラの世界の神滅具に

匹敵する禍々しさだ。 

コレを二振り?さらに着ている服にも

神の呪いに似たナニカが備わっている。

 

それを当たり前に着こなして使いこなす

化物が当たり前に居る世界なのか?

 

・・・地上に出たいような出たくないような。

 

神が受肉して下界に降りて来てるって

言うのは、アッチでも似たような

モンだったが、眷族って言うのはよく

わからん。悪魔の駒みたいなもんか?

 

「まずはウラノスとヘルメスですね。

あぁゼウスとヘラとか言うのも

目下旦那様の敵だそうです」

 

『豪勢だな?!』

 

ギリシャ神話の有名どころじゃないか!

しかもゼウスだと?!ヤツが敵?

コイツの旦那、魔王とかじゃ無いよな?!

 

「豪勢?有名な神なのですか?」

 

『あ、あぁそうだな。ギリシャと言う

地域の神だが、世界中で知られる神と

言っても良いだろう』

 

知らんと言うのは恐ろしいことだ。

あんなヤツ等が受肉して闊歩してるのか。

・・・カオスだな。

 

「ギリシャ。確かに旦那様もロクデナシの

集まりの事をギリシャと呼んでましたね」

 

『ん、あぁ、まぁ、間違ってはいない』

 

連中は本当にロクデナシの集まりだからな。

特にゼウスとヘラが二人揃ってるなら、もう

最悪、いや災厄と言っても良いだろうよ。

 

「他にもディオニュソスは敵だし

タナトスは闇派閥とかで敵なんだとか」

 

『なるほど、それは是非討伐するべきだな』

 

いやマジで。

 

「ほほう。即答するほどのモノですか」

 

『うむ、ギリシャとローマはダメだ』

 

「羅馬ですか・・・」

 

ローマを知ってるかどうか知らんが

ダメだと教えておこう。

 

それにタナトスはハデスに仕える神だから

それほどでもないが、ディオニュソスは

ダメだろうな。

 

ヤツらは人間の側から見れば明らかに害悪。

 

うむ、どうやらコイツの旦那はまともな

精神の持ち主のようだ。

 

・・・この俺が人間の精神の在り方を

気にするとはな。人間の中で過ごしすぎたか。

 

だが神が下界の子に干渉するのが

当たり前の世の中だと言うなら、

その神を跳ね除けるのも人間の選択。

 

俺としても神連中に力を貸すくらいなら

コイツに力を貸したほうがマシだ。

 

何が何だか分からずに生まれて、何が

なんだかわからないまま抵抗して

狩られて素材にされるのはゴメンだし。

 

誰が何のために俺をココへ生まれ

させたのかは知らんが・・・久々の

肉体だ。精々好きにさせてもらうぞ

 

『この世界ではどうかわからんが、

俺の居た世界ではソイツ等は・・・』

 

別に連中をかばう理由もないし、嘘をつく

必要も無いな。

 

とりあえず神どもは死ね。

 

特に聖書関連とギリシャは死ねw

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふむ、やはりギリシャはロクデナシですか。

 

さらに地域によっては羅馬の連中と

一緒になったりしてるとか。

 

旦那様も以前言ってましたね。

師曰く『羅馬死すべし慈悲は無い』

確かに連中は駄目です。

 

これはもうこの世界の神を捕まえて

事実確認をしたら殺すしかありませんね。

 

いや、旦那様がナニカに使うかも

知れませんから、あえて生かして

拘束でしょうか?

 

ロキやフレイヤは北欧神話というのに

出てくる神で、北欧と言うのが羅馬の

北の方を指す言葉だとか。

 

基本的にギリシャやローマ連中とは

敵対していた地域の神らしいですから、

優先順位としては低くても良いのかも

しれませんね。

 

ロキに至っては最終戦争の引き金を引く

黒幕のような神だとか?

それも別名が多々有って

閉じるものとか、終えるものとか

狡知の神だとか、ずる賢い者とか。

 

・・・旦那様じゃないですよね?

 

あの人神格化されたらそんな感じに

なりませんか?

 

いやアホやって捕まったり毒蛇の毒

で苦しめられたりするようなことは

無いでしょうけど。

 

とりあえず褐色姉妹がロキファミリア

ですから、後で機会があれば尋問

してみますか。

 

旦那様に迷惑が掛かるようなら

連中に蜥蜴を嗾けましょう。

 

私もレベル7相当になりましたし

この蜥蜴もレベル7相当。

 

そこそこ知恵も回りますし、単体

ならともかく、私が居れば連中如きに

不覚を取ることもないでしょう。

 

いや

 

あぁ、その前に58階層に居る赤蜥蜴を

相手にしたら効率良くないですかね?

 

最初は私が殺るつもりでしたが、

連中と鉢合わせても面倒だと思って

自粛してたんですよねぇ。

 

ですがコイツが勝手に暴れて蜥蜴の魔石を

喰らう分には問題ないですよね?

 

アレが居なければ連中が無駄な時間を

使うこともないですし。

 

連中が近付いたら穴から上に跳んで

脱出させましょう。

 

この蜥蜴もそのくらいの脚力はありますし

魔力の使い方次第で飛べるかもしれないと

言ってましたし。

 

その辺の練習もさせましょうか。

 

それに、もしかしたらこの蜥蜴が

レベルアップするかもしれません。

 

そうなったら旦那様の

レベルアップに使えるでしょう。

 

なかなか良い感じで使えますね。

作戦名「豚は太らせてから喰え」

と言ったところでしょうか。

 

『・・・なんか怖いこと考えてないか?』

 

「何を言ってるのかさっぱりです。

旦那様の回復薬があるから、死なない

限りは治りますよ」

 

まったく、最終的に狩られるのが

コイツの仕事でしょうに。

 

『おいィ?怪我が前提かよ!』

 

「冗談はさておき、これから行動に

移りますよ」

 

『行動?』

 

「えぇ、私と貴方の双方が得をする

行動です。具体的には58階層に

行って貴方とは違う赤蜥蜴を狩りましょう」

 

赤蜥蜴ですが、形も違いますし。

確実に別種ですよね。

 

『急だな?ここでロキファミリアを

待つのではなかったか?』

 

「別に構わないでしょう?

私としても別件で用事がありますから

時間は有効に使いたいのですよ」

 

『別件? あぁ、知性ある魔物との接触だったな』

 

そうそう。旦那様からの指示でもあり

ますし、伯師妹が骨に利用される前に

回収しないといけません。

 

「貴方だってただここでダラダラ

してるよりは他の魔物の魔石を

喰らって自己を強化した方が良いでしょう?」

 

時間は有効に使うべきです。

 

本来ならさっさと59階層に行っても

良いですが、金髪が行くことで何かが

起こるならソレを確認して旦那様に

報告しなくてはいけません。

 

全く面倒な・・・

 

『確かに、強くなるに越したことはないな』

 

「そうでしょうそうでしょう。

ソレでいいのです。地上の神の敵と

なるなら弱いままではいけませんよ?」

 

何をするにもまずは力です。

 

弱者は何も語れませんし何も得る

ことは出来ませんからね。

 

『・・・そうだな』

 

おや?何か微妙な応えですが・・・

私がコイツの【神】に対する悪意に

気付いていないとでも思って

いたのでしょうか?

 

ソレは私の奥底にもありますが、

コレがダンジョンから生まれたモノ

共通の本能なのでしょうね。

 

どちらにせよ旦那様の敵なら狩るだけです。

 

ロキファミリアをどうするかは59階層

次第ですし、連中が安全最速で辿り着ける

よう手伝ってあげようではないですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで手間暇かけるのです。つまらない

見世物ではないことを祈りましょう。




どこかで聞いたような竜が・・・(棒読み)

弟子、主人公くんの指示どおり
喋る魔物を保護(調教)したもよう。

喋る竜、他の世界の記憶有り?
どうやらローマや聖書?が嫌いらしいぞ?ってお話


弟子関連で喋る魔物で知性が宿り
そうなのが、コイツしか想像できなかった
作者の引き出しの少なさに絶望するが良い!


ネタキャラだから!ネタキャラなんだから!

拙作では重要キャラではありませんよ?
弟子が騎乗するくらいです。


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105話

漸く登場の無乳ファミリア。

主人公くんがダンジョンに拘ってないからね。

オリ設定!
オリ展開!

地元じゃ有名なドラゴンが有名過ぎます。

嫌いな人は読み飛ばし!




何事もなく、ほんっとーに何事も無く

50階層に来れたわね・・・

 

「うーーん。あんまりにも何も無くて

逆に怖いよね?」

 

ティオナもそう思うのね?

 

「えぇ、特に前の49階層はね。筆頭様が

不在だったから色々してるんでしょう」

 

闘技場の入口に立て看板かけてスゴク

綺麗な字で「不在」って書いてたからね。

 

何て言うか普通に威圧を感じたわ。いや、

アレはもう恐怖よね。

侵入したら許さんって意思を確かに感じる

ような看板だった。

文字だけでも恐怖を感じるって明らかに異常よ?

 

魔物もあの看板には近づかなかったし。

 

アレはジャガーノートの鱗か何かかしら?

 

「だよね。それにべートが看板退けて

入ろうとしたのには焦ったよね!」

 

「えぇ・・・あの変態。無駄に強がって

「不在だァ?」とか言って普通に入ろう

としてたわ。アレはもう馬鹿とか変態とか

そういうのを超えた存在ね!」

 

恐怖を感じたのを誤魔化そうとしたん

だろうけど、あんなの完全にアウトよ!

 

筆頭様も怖いけど、それ以前に不在の女性の

部屋に勝手に入るなんてどういうつもり

だったんだか。あの変態!

 

「何とかして止めたけど、看板が動いてることに

気付いた筆頭様に怒られたりしないかな?」

 

「・・・ありえる」

 

普通なら誰かに侵入されたって思うもの。

今この状況で侵入するのは私たちしか居ないわ。

 

あの変態、本当に余計なマネをしてくれたわね!

 

「ま、まぁ今はそのことはいいわ。

問題はこれからよ。筆頭様に謝罪するに

しても生き延びなきゃダメなんだから」

 

そう思わないとやってられないわよ!

 

「それはそうだね!よし、切り替えよう!」

 

うんうん、この切り替えがこの子の

良いところよね。

それに筆頭様のところで学んだガチムチで

シカタネェの精神はモノスゴク・役に立つわ!

 

流石筆頭様よね!

 

「んでさ、これから先はウルガじゃなく

流星錘を使っていかないと駄目かな?」

 

「その方が良いでしょうね。それに多分

砲竜の砲撃は縄鏢と流星錘で打ち落とせる

でしょうから、そっちの方が安全よ」

 

実際に試して見ないとわからないけど

多分大丈夫。

この縄の汎用性が高凄すぎるのよ。

 

「あー確かに。あの砲撃は床を壊す

くらいの威力はあるけど、それでも

52階層の天井は壊せないからね!」

 

「そうね。威力が弱まってるのか

そもそも他の階層の床が脆いのかは

知らないけど、少なくとも問答無用で

壁も天井も破壊する筆頭様の攻撃より

は圧倒的に軽いでしょう」

 

あとは使い手の私たちの技量だけど・・・

あの砲撃は威力はともかく、遠距離から

真っ直ぐ来るだけだからタイミングは

掴みやすいし。

 

最終的に58階層ではガレスも

盾で防げたくらいだから、衝撃を

正面から受けずに受け流せば

対処はそれほど難しくはないわ。

 

つまり最初の砲撃さえ回避出来れば、

あとは真っ直ぐ正面から迎え撃てば

良いってことね。

 

そして縄の重さを利用して振り子

みたいに重さをコントロールして

落下スピードを調整すれば穴を降り

ることも出来る。

 

アイズも魔法を纏えば降りれるから、

私とティオナとアイズの三人で

先行して砲竜を潰す。そうすれば

残りのみんなは普通に降りてこれるわ。

 

「ワイバーンとかは・・・これも私達

が相手するべきかしら?」

 

「あーうん、そうかも。基本的に

空に浮かんだ敵に対して攻撃出来るのって

アイズしか居ないけど壁とかワイバーンを

足場にすれば私たちも十分殺れるからね!」

 

一応べートもやればできるだろうけど

武装の関係上どうしても接近しなきゃ

駄目だから一回一回飛び跳ねなきゃ駄目だし。

 

集団に対しては効率が悪いのよね。

 

私たちなら最悪ワイバーンを足場に

して周囲のワイバーンも攻撃出来る。

 

ほんと、この縄の万能さが凄い。

 

驚異度からすれば砲竜を優先するのは

当然なんだけど、私たちには距離的な

アドバンテージがあるから敵との

戦い方を選べるのよね。

 

うん、58階層までは比較的楽に行けそう。

 

さすがに椿も騒げる環境じゃ無いし、

ここは存分に使って行くべきね!

 

ただねぇ

 

「・・・問題は新種とかと筆頭様だよね?」

 

「・・・えぇ。このコンビは唯一に

して最大の問題よ」

 

そうなのよね。普通に穴の上から溶解液

とか降ってきたらそれだけで大ダメージだし、

戦闘中にイモムシが降ってきて自爆して

来たらやっぱり大ダメージ。

 

ただまぁ今回はレヴィスが59階層に

行けって言ってたらしいから、

新種の邪魔はないとは思うけど・・・

 

筆頭様一人でも大問題よ。

9階層でのアレがどうしても、ねぇ?

 

「・・・49階層はバロールどころか

何も居なかったよね?」

 

「そうね。ただ、壁に傷をつけてる跡は

無かったから、筆頭様がジャガーノート

呼び出して虐・・・鍛錬してたってこと

はないと思うけど」

 

だけどアレは明らかに筆頭様よね?!

あの無音で何も無い空間は「安全だ!」

とか言うより、ただただ不気味だったわ。

 

そのせいで団長もこれからの

遠征について考え込んでるし・・・

 

せめて筆頭様とお話が出来れば良かったん

だけど。このままじゃ「邪魔。故に矯正」

とか「煩い。故に矯正」とか普通にあり

そうで怖いのよ。

 

あの人には戦闘中とか関係無いし・・・

 

それに不法侵入が・・・あーもぉ!

ベートの変態のせいで高いハードルが

更に上がったわよ!

 

 

この遠征が失敗したらどーすんのよ?

 

「うーん。とりあえずべートを殴ろっか?」

 

「えぇ!アイズやアキも誘うわよ!」

 

ボコボコにしてドゲザさせれば

筆頭様の溜飲も下がるかもしれないしね!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

うん。何事もなく50階層に来れたし

今も親指は疼かない。今回は襲撃は

無いと見て、今日はこのまま休憩に

しても良さそうだけど・・・

 

「ふむ、ずっと考え込んどるが、

やはり49階層に何も無かったと

言うのが問題かの?」

 

「だね。17階のゴライアスが出現

する直前とかもあぁ言った独特の

雰囲気は出るけどさ。バロールも

ジャガーノートも居なかったのに

魔物まで居ないとなると・・・ね」

 

明らかな異常だよね。

可能性としてはティオネが言うように

筆頭さんが武者修行した結果か、

アイズへ59階層に行くように嗾けた

レヴィスが新種を使って掃除したかに

なるんだろうけど・・・

 

「確かにそうだ。だが今は考えても

答えは出ないだろう?

とりあえずここ50階層も

安全地帯とは言い難い以上。

あそこで無駄な損耗が無かったことを

プラスに考えた方がいいだろう」

 

それはその通りではあるけどね。

 

「リヴェリアの言うことも尤もじゃ。

レヴィスにせよ筆頭殿にせよ儂らの

邪魔をする理由は無いんじゃから、

どっちがアレをやったとしても問題は

無いじゃろう」

 

「いや、レヴィスはそうだけど、

筆頭さんは微妙だよね?」

 

「「・・・あぁ」」

 

それでも49階層の掃除をしてくれたこと

には感謝しなきゃダメだけど。

 

もしこの先に居た場合は・・・なぁ。

 

「あそこでべートのアレがなければ

まだ良かったんじゃがな」

 

ホントだよ。何で無駄に強がって

不在って書いてる女性の部屋に

入ろうとするかな?

 

いや、元々ダンジョンで個人の部屋って

のもおかしな話だけどさ、僕たちで

言うキャンプの女性のテントみたいな

もんだぞ?

 

ダンジョンに縄張りなんかねぇって

言って入ったらどうなるかわからないか?

 

筆頭さんじゃなくても怒るだろ。

 

「確かに。アレが無ければ、とりあえず

筆頭さんとやらには彼からの手紙が

あることを伝えて「敵対はしない」と

約束を取り付けることも出来ると

思ってたのだがなぁ」

 

流石のリヴェリアもべートの行動は

擁護出来ないか・・・

 

「とりあえずはべートを差し出してドゲザ

が妥当じゃよなぁ」

 

バレてるとかバレてないは別として、

責任者としてはそうしなきゃ駄目だよね。

 

「入口だけだったのが唯一の救い・・・にはならないか」

 

普通入口だって嫌だよね。

 

「流石にな。いくらダンジョン内部でも

最初から「不在」と書かれていて、

そこに居る相手が女性だとわかってるんだ。

同じ女性としても「入口だけだから許せ」

とは言えんよ」

 

「「だよなぁ」」

 

冒険者の仁義だとか不文律とかじゃ

なくて普通にデリカシーの問題だから

何ともできないんだよ。

 

謝罪方法も検討もつかないよ。

弁償とかは違うだろうしさぁ。

 

しかも相手はティオネとティオナが

お世話になったヒトで、僕たちを

殺せるレベルの強者だろ?

 

普通に垂れ流し案件じゃないか。

 

べートのアホめ、思春期の子供みたいな

怖くないアピールなんか要らないんだよ!

 

むしろプロとしては怖い相手は正直に

怖がるのが正解だろうが。

 

あぁなんで遠征でこんな苦労をしなきゃ

ならないんだ・・・

 

「とりあえず、だ。居るかどうか

わからん筆頭さんとやらへの謝罪より、

今後の予定について話そうじゃないか」

 

・・・今考えても沈むだけだからね。

気分を切り替えなきゃダメだよな。

 

「よし。まず今日はこれから休息に充てよう」

 

アイズとべートが無駄に張り切ったから

他の連中はそれほど疲れてないけど、

それでも神経を使ってきてるからね。

 

「ふむ、では装備の確認や、59階層に

挑むモノと残るモノを分けねばならんの」

 

「そうだね。こっちにも戦力を

残す必要があるからレベル4はラウル

だけを連れて行くよ。残った部隊は

アキに面倒を見させよう」

 

さすがにこの階層になると探索も

レベル5は必要だから下には行かせ

られない。探索は50階層だけにして、

この階層にある採取品を集めて

もらうとしよう。

 

ついでにアキやクルスにも二軍の

纏め役としての経験を積んでもらう。

 

「レフィーヤはどうする?」

 

「レフィーヤか・・・」

 

一撃の魔法は確かに強力だけどさ。

 

基本的に隙だらけだし、この階層だと

まともに自衛もできないんだよね。

 

リヴェリアと同じ魔法を使えても、

基本ステイタスの差があるから威力は

レベル6のリヴェリアには及ばない。

 

しかもレヴィスが絡んでるとなれば

敵は魔力に反応する敵の可能性が高い。

 

ここで59階層に連れて行っても

足手まといにしかならないよな。

 

問題は足手まといを抱えた時の損耗と、

リヴェリアの代役が出来る汎用性を

比べて、どっちを取るかって話だ。

 

59階層に何がある?普通に考えたら罠。

もしくは階層主みたいなのが居るはずだ。

 

それを打倒するためには攻撃力は必須。

だが、彼女を誰に守らせる?

 

普通ならティオナかティオネだよな?

アイズもベートも防御には向かないし

ガレスも敵が単体なら問題ないけど

複数になると殲滅力の問題が出る。

 

それに階層主みたいな存在にはガレスの

一撃は捨てがたいんだよな。

 

それに元々リヴェリアを守るための

戦力も必要だし、ラウルとティオナで

二人を守らせるか。

 

ティオネは副官として補佐してもらおう。

 

罠や敵によっては戦場で長考する

可能性もある。その際思考の手助けと

僕の護衛をしてもらえばいい。

 

といっても無条件で、とはいかない。

 

「レフィーヤも連れて行こう。ただし

59階層へ向かう前に51階層で

カドモスの泉の採取に付き合ってもらう」

 

「カドモスの泉?カドモスとの戦いを

経験させるのは彼女個人にはいいこと

だとは思うが、全体の疲労や消耗を

考えればあまり良い案とは言えんのでは?」

 

「その心配は尤もだけどね。疲労は

普通に休ませればいいだけだ。

最悪もう一日休憩に充ててもいい」

 

足手まといを抱えて未知に挑むより

よっぽどマシだ。

 

「あぁ、レフィーヤの性根じゃな?」

 

「性根だと?」

 

「そうだ。戦闘中に無駄に自信なくして

オドオドしたり「私なんかじゃ・・・」

なんて悲劇のヒロインされても迷惑だ」

 

あの子はそういうところがあるからね。

 

「それもあの子の性格だからしょうがない

・・・とは言えんな」

 

「じゃな。それなら最初っから冒険者なぞ

するなという話じゃ。ましてこれから

先は儂らとて余裕があるわけではない。

わざわざフォローなんぞ出来んぞ」

 

そうなんだよ。あんなの戦闘中に

されてもさぁ。わざわざ励まして、

宥めすかして集中させないと魔法を

使えないって・・・

正直戦力としては数えられないよね?

 

「まずは少数での強敵の戦いに慣れて

もらう。そこで強敵を前にして自分の

身が危険にさらされても仲間を信じ、

指示に従って魔法詠唱が出来ればそれで良し。

もし出来ないなら足手まといだ。

今回は置いていくことにするよ」

 

普通ならこんなことはしないけど、

彼女の魔法にはそれだけの価値があるからね。

 

あとはラウルも一緒に連れて行って

場の作り方とかをしっかり見て

もらわなきゃな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「GYAAAAAAAAAAA!」

 

『ふむ・・・』

 

見た目はともかく知性が無い。

なるほど、確かにコレは赤蜥蜴だ。

 

「何が『ふむ』かは知りませんが、やはり

貴方の鱗は赤蜥蜴のブレスも弾くようですね」

 

『まぁな。コレが俺の鱗の特性なのか、

連中の攻撃力不足なのかはわからんが』

 

実際この身体は随分と性能が良いからな。

速さと硬さを両立出来てるし。魔力由来の

攻撃を弾くらしいから、残るのは魔法に

よって発生した事象による冷気や熱だけ。

 

ブレスは魔力も使ってるようだが、他にも

力を感じるから、最終的な判定は微妙。

俺的には、まぁ多少衝撃を感じる程度だな。

 

「私も受け流してはみましたが、思った

以上に衝撃が軽いんですよねぇ」

 

『受け流すどころか、正面から受け止めただろうが』

 

この化物が・・・受け流して軽いと判断

したら、次は正面から受け止めやがった。

 

「実際受けてみないことには戦力調査に

なりませんからね」

 

『・・・それはそうだろうがな』

 

重さとか、物理現象とか有るだろ?!

受け止めた後は衝撃だけを後ろに流すとか、

ブレスごと斬るとか、どういう原理だ!

 

しかも服にも剣にも埃一つ残らないって?!

「ふむ、流石旦那様が造りし服」じゃねーよ!

絶対コイツの旦那も神だろ?!

 

「しかしこの程度の威力で天井が壊れる?

わざと脆い造りになってるんですかね?」

 

『もしくはこのブレスにはダンジョンの

壁に対する特効がある可能性だな』

 

なんと言うか、無意味な特性では有るが

長距離砲撃を活かす為と考えれば

無いわけでも無さそうだ。

 

「ふむ。特効、ですか?」

 

ん?あぁ、この世界の住人は属性とか

特効についてはあまり詳しくないのか?

 

といっても俺だって悪魔だの天使への特効

なら、相性だのその成り立ちを考えれば

理解出来なくは無いがドラゴン特効とか

言われても、正直原理がわかってないからな。

 

別に属性が反転してるわけでもないし、

ドラゴン専用の毒ってわけでもないのによ。

 

聖書の神が恨んだから何だって話だ。

 

そんなんで特効出来るなら怨み辛みなんざ

世界中に有るわい。

むしろ聖書の神を恨んでる神なんかいくら

でもいるじゃねぇか。

 

そもそも各地の伝承のドラゴンだって、

武器に殺されたんじゃねぇ。

その使い手に殺されたんだ。

 

ドラゴン特効で有名なグラムもその誕生に

関してドラゴン関係ないからな?

 

元はオーディンが何処からともなく持ってきた

スゴイ・キレアジノ・ケンだろうに。

 

つまりアレはドラゴンすら斬れる剣ではあるが、

ドラゴンに特別な効果がある剣ではないぞ?

 

ソレがなんで特効になるのやら。

 

わけがわからないよ

 

「良くわかりませんが、アレには壁を

壊すことに特化した・・・そうですねぇ、

破城鎚のような効果を内包してると思えば

良さそうですね」

 

『・・・まぁそんなところだな』

 

コイツ、頭の回転が速すぎないか?

 

「あと不思議なのはコイツらはどうやって

52階層に居る侵入者に気付くのでしょう?」

 

『あぁ、ソレは俺も不思議に思っていた』

 

実際良くわからんよな。

 

1階層上くらいなら出入り口が近いとか

穴が空いてたりとかでわかるときもあるが、

流石に6階層は無理だろ。

 

52階層に攻撃を当てるために、何度も

天井に砲撃するのも間抜けだしな。

 

まぁ一撃で5階分も貫ける砲撃ならあの

程度の衝撃じゃ済まんだろうし、一気に

崩落してきたら自分達が生き埋めになる

から、分割で正解なんだろうが。

 

「探知能力が特別高いわけでも無いですしね」

 

『縄張りに侵入して来た存在に気付くのは

本能で説明がつくんだがな。これはソレだけ

じゃない。多分観測役がいるんじゃないか?』

 

恐らくコレだろうな。

 

「観測役?あぁナニカが52階層以降を

監視していて、赤蜥蜴にしかわからない

何らかの合図を出してると?」

 

『うむ。そうじゃなきゃ侵入者はともかく

その現在地まではわからんだろう』

 

縄張りに侵入してきたってのは本能で

何となくわかるかも知れんが、流石に

細かい場所まではな。

 

狭い空間ならまだしも、これだけ空間的な

広さがあって数も居るんだ。各々縄張り

だってあるだろう。

それが一斉に上に向けて砲撃を放つなど

本能だけでは片付かんよ。

 

「なるほど、魔物ならではの意見ですね。

ダンジョンの魔物同士で情報の共有を

してるならソレも有り得ます」

 

『俺とは違うが、そう言う繋がりもあるだろうよ』

 

「無いとは言えませんね。とりあえず

仮説として旦那様にお伝えしましょう」

 

初対面から思ってたが、コイツ旦那好き過ぎ

だろう。

いや、そのお陰で俺も殺されてないし、この

くらいの人間味が無きゃこうして付き合う

ようなことはしてないんだろうが。

 

「ふむ。仮説とは言え疑問が片付きました。

では次の実験に行きましょうか」

 

『次の実験?なにをする気だ?』

 

しかしコイツは前置きもなく話を変えて

来るから油断できん。

頭の回転が速いヤツの特徴でもあるが、

前置きも無く、いきなり斬るとか止めろよ?

 

「いえ、私の全力に貴方の全力を乗せた一撃で

何処まで天井を貫けるかに興味がありまして」

 

ほう!今の俺の全力とコイツの全力の一撃か。

正直、いや、かなり興味があるな。

 

『確かにそれは俺も興味があるが、お前の

攻撃に俺の全力を乗せるには多少の溜めが

必要だぞ?

かといってお前の溜めやタイミングに

併せるのも難しい』

 

流石に魂で繋がってる訳じゃないからな。

コイツの戦闘機動に対応するのは無理だ。

 

「今回は仕方がありません。とりあえず

貴方の頭の上に乗りますよ」

 

乗り心地が悪いとか言ってたくせに・・・

 

「何か不満でも?」

 

『いや!何でもないぞ!さぁ乗るが良い!』

 

ナチュラルに心を読むな!

 

「なぜ上から目線なのか。やはり貴方には

一度教育が必要なようですね」

 

『やはりって何だ?!』

 

コイツの怒るタイミングとその切っ掛けが

わからん!

 

「ですが刻むのはいつでも出来ますからね。

今は実験に集中しなさい」

 

『出来るかっ!?』

 

刻まれるの確定してるのにそんなん

出来るわけあるかっ!

 

「いいからさっさとやれ」

 

『・・・はい』

 

くっ、この身体が本能の部分でコイツに

敗けを認めてしまっているっ!

 

・・・まぁいい。とりあえず今は実験で良い

結果を出して良い気分になってもらおう。

そんで刻まれるのを頑張って回避しよう!

 

『行くぞっ・・・譲渡!』

 

「漸くですか。さぁこの一撃はどこまで

旦那様に近づくことが出来るか・・・」

 

越えるとかは考えて無いのな。

コイツの旦那は絶対人間じゃねぇよな?!

 

「さぁ世界を斬り裂く一撃を見よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「剥 奪 剣 界」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

「えっ?!」

「あっ?!」

 

ん?急に二人の動きが止まった?

ご飯の準備をしないと怒られるよ?

 

「ティオネ!」

「ティオナ!」

 

「「何かヤバイっ!」」

 

え、何が?まさかまた魔物が?!

 

 

 

――――――――――――――――

 

な、何だ?いきなり親指が?!

 

「フィン?」

 

「なんじゃ?非常事態か?!」

 

「ガレスっ!、リヴェリアっ!大至急退避だ!」

 

ココはヤバいっっ!

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「下から来るぞ!気を付けろっ!」」」

 

 




せっかくだから全力を出してみたの図

正確には気を付けろよぉなんですが
まぁいいやってお話。

オノレ砲竜っ!何て事をっっ!


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106話

螺旋の力で地上を目指す!
そんな弟子と蜥蜴。

がんばれ無乳ファミリア。
少なくとも弟子に邪魔するつもりはないぞ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「ふむ、とりあえず50階までですか」

 

師なら単独でもアレくらいは

超えそうなんですがねぇ。

 

『そのようだな。あそこは天井も

高いし49階層は階層主の関係で

底も厚いのだろうよ』

 

その通りなんでしょうね。

 

しかし穴が空けば50階層に居る

連中のことがわかります。

 

赤蜥蜴は穴がなくともこんな感じで

わかってるんですかね?

それとも蜥蜴が言うように・・・あぁ

蜥蜴だの赤蜥蜴だの紛らわしいですね。

 

ふむ、この蜥蜴の特徴は

まるで・だめな・汚物ですから

略してマダオにしましょうか。

 

『なんか不名誉な扱いをされてそうな

気がするんだが・・・』

 

「そう思うなら、もう少し身嗜みに

気を使いなさい。なんか蜥蜴の臭い

しますよ」

 

師からもらった服に染み付いたり

しませんよね?

 

『いや、竜だからな?!』

 

自称ですけどね。私も実際の竜を見たこと

ありませんからなんとも言えませんけど。

 

それはさておき、このマダオが言うように

本能か観測役がいるのかは師へ報告を

上げるとして。

 

「50階層にロキファミリアの連中が

いますが、マダオは喋らないように」

 

『マダオ?!』

 

おや、自分にピッタリな名前が付けられた

のがそんなに嬉しいですか。

 

名付けの才能がないと言われた私も

成長したものです。

以前楊修殿に散々鍛えられましたからねぇ。

 

『絶対何か勘違いしてるぞ!!』

 

勘違い?確かに旦那様ならコイツにもっと

ふさわしい名を付けるでしょうからね。

確かに慢心はいけません。

 

失敗失敗正妻失敗です。

 

とにかく自分の立場を弁えず口答えする

このマダオに言い聞かせることが先ですか。

 

「煩いですよ?喋らないようにする

理由は前にも話したでしょう?」

 

忘れてるようならもう一度刻み付けて

やりますけどね。

 

本来なら喉を潰すのですが、マダオは

部下や弟子ではなくあくまで保護した

動物ですからね。旦那様の許可なく

虐待・・・躾はできません。

 

『・・・あぁ、喋る魔物は貴重でお前の

旦那の策の一環になるんだったな』

 

ちっ!覚えてましたか?

 

「そうですね。マダオも今まで

散々見たでしょう?知性のない

赤蜥蜴やら魔物やら階層主やらを」

 

『あぁ、アレは醜悪だった』

 

マダオも美麗とは言いませんが、

アレよりは幾分マシですよねぇ

 

「ああいったのが冒険者や神

にとっては常識なのです。

味方ならともかく、いつ敵に

なるかわからない連中にわざわざ

マダオのような存在を教えてやる

必要はないでしょう?」

 

『彼を知り己を知れば百戦危うからず。か』

 

ほほう、孫子を知っているとは。

あぁ人間の魂に寄生していたと言って

ましたね。それならばこういう知識も

あるのでしょう。

ただ、孫子が有るなら他の教えも

あるかもしれません。

 

・・・書にまとめて師に渡しましょうか

このマダオ、中々の拾い物かもしれませんね!

 

「そういう事です。正しい情報とは

それだけで力となります。

いくら相手が阿呆でも誇示すれば対処

されますからね。故に隠すのですよ」

 

『了解だ。しかも相手がロキの

眷族なら尚更隠すべきだろうな』

 

北欧神話のロクデナシですからねぇ。

 

その辺も連中に確認してみましょうか。

 

「では行きましょうか。飛べマダオ!」

 

『・・・おう』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

とりあえず避難したものの・・・

 

「コレ、50階層の1/5は

吹っ飛んでるわよね」

 

それも私たちに当たらないように調節

したってわけでもなさそうなのよね。

 

少なくともアッチ方面に採取に

行ってたら問答無用で死んでたわ。

 

「うん。私としては砲竜の強化種の

仕業だと思いたいけどさ」

 

「私もそう思いたいけど・・・」

 

その前に感じた圧力は筆頭様なのよねぇ。

 

「ねぇ、天井に斬撃の跡が残ってるよ」

 

「えぇ、そうね。もう確定だわ」

 

砲竜じゃあんな跡は残らないわよね?

 

「・・・とりあえずベートの用意、しよっか?」

 

「そうね。それに被害の報告を纏めて

団長にも大至急連絡しないとダメね」

 

ソレはラウルあたりにさせましょう。

 

「うーん。とりあえず見た感じアイズも

べートもラウルもアキもレフィーヤも

無事みたいだね!」

 

「第一報としては十分、か。まずは

報告に行ってくるから、安否確認

が終わったら団長のところに来て

くれない?」

 

ベートはダメよね。アイズは普通に

不敬なことしそうだし。ラウルやアキは

こっちを纏めてもらわなきゃダメだし

 

それにティオナも筆頭様と先生と

顔見知りだし、なんだかんだで

相性も良いみたいだからね。

 

筆頭様相手なら保険はいくらあっても

足りないわ!

 

「りょーかい。ティオネもリヴェリアが

無礼を働かないようにしっかり見張っててね」

 

「えぇ、絶対に変なことはさせないわ!」

 

筆頭様が怖いのは知ってたけどコレは無い。

 

捌くとか受けるとかそういうの

全部超越してるもの。

 

コレどうするの?ベート一人で済むかしら?

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「な、なんじゃコレは?!」

 

階層の1/5を吹き飛ばす一撃だと?

コレがあと4回続けばどこに逃げても

階層ごと消されるぞ?!

 

「魔法?いや、魔力の残滓は感じない。

しかも天井に付いた傷からも何も

感じない、だと?」

 

砲竜の強化種でも生まれたか?

 

「団長!」

 

「ティオネ?無事だったか!」

 

この状況だと団員の安否の確認すら

難しいからね。

 

「はい!今のところアイズやベート、

ラウルやアキなど、主だった者に

被害は出てません。

残りはティオナが確認中で、終わったら

報告に来る予定です!」

 

おぉ!指示を出す前からちゃんと

動いてくれてるよ!さすがティオネ!

 

「それでリヴェリアは・・・無事ですね!」

 

「「リヴェリア?」」

 

何故ここでリヴェリアを心配する?

 

「わ、私か?まさか重傷者が?」

 

いや、それならエリクサーで良いはずだ。

緊急事態だから当然使うだろうし、それに

許可を取るなら僕であってリヴェリアではない。

 

「先生から預かった手紙が有るでしょ!

直ぐに用意して!」

 

「「「手紙?」」」

 

何故ココでソレが・・・いや、まさか?!

 

「まさかコレって筆頭さんがヤったのか?!」

 

「「はぁ?」」

 

普通なら有り得ない。こんなこと一人の

力で出来る事じゃない!だけど何らかの

スキルの暴走とかなら・・・

 

「間違いありません。天井のアレは

筆頭様の斬撃の痕跡です!」

 

「「はぁ?」」

 

やっぱりか。

 

コレ程までの実力者だったとはな。

ベートの無礼は本当に洒落にならないぞ!

 

「手紙は今すぐ持ってこよう!だがベートはどうする?」

 

「それは・・・筆頭様の気分次第ね」

 

まぁ、被害者の気持ちは大事だよね

 

「あっ!」

 

「「「?!」」」

 

この、何だ?押し潰されるような圧力は?!

親指の疼きがなくても分かる!

今すぐ逃げろと本能が叫んでる!

 

「・・・筆頭様です。どうやらこの階層に来たようですね」

 

「コレが筆頭さんの圧力だって?!」

 

やばいヤバいヤバイ!手紙もベートも

何も用意してないぞ!

 

「とりあえず、私とティオナでお相手

しますので、団長達は身支度と手紙の

準備をお願いします」

 

「ど、どういう事だ?」

 

リヴェリアの疑問も尤もだ。

 

「謝罪とかなら最初から僕たちも行った

方が良くないかな?」

 

下手に勿体ぶったら怒られない?

 

「・・・筆頭様は王様なのでお会いするにも許可がいるんです」

 

「「「あぁ。そう言えばそうだった」」」

 

レフィーヤとフィルヴィスはソレで

気絶させられたんだったね。

 

つまりティオネかティオナが挨拶して

紹介してもらってからじゃないと

謝罪すらシツレイになるんだね。

 

王様って大変だなー

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うわぁ!うわぁ!」

 

「ふむ、褐妹ですか、久しいですね」

 

なんか目を輝かせてますね。

マダオがそんなに良いのでしょうか?

 

「凄いです!凄いですよ筆頭様!」

 

なんというか、言語回路に異常が

見えますねぇ。

とりあえず返事はさせましょう。

 

「褐妹、アイサツにはアイサツで

返すものですよ」

 

「ハイ!スミマセンデシタッ!!」

 

うむ。それで良いのです。しかし

このマダオ。普通に飛べましたね。

 

そもそも今までの個体には

翼が有りませんでしたよね。

コイツだけ特別なのか、それとも

コイツ以降の蜥蜴には翼が生えるのか。

 

この辺の実験もしたいのですが

とりあえず師に見せないことには・・・

 

(頭の上に殺意とか向けてくるヤツがいる件について)

 

それに、この身体にこの翼ではどうしても

バランスが悪いと思うのですが・・・

 

翼を切り裂いて中に何があるかを

確認すべきですかね?

 

(なんか全身が刻まれる未来が

見えるような気がする)

 

「筆頭様!ソレ調教したんですか?!」

 

ふむ?まぁそういうことにした方が

自然ですよね。

 

「えぇ、翼も生えてて珍しいでしょう?

斬り捨てる前に、だ・・・師にも

見てもらおうと思いましてね」

 

流石にコイツらの前で旦那様は

マズイですね。

何かあったら旦那様に被害が

及んでしまいます。

 

「凄いですよ!空飛ぶドラゴンの頭に

乗るなんて、お話の中の英雄様ですよ!」

 

あぁ、そういえば褐妹は英雄譚が

好きでしたね。

しかしこの蜥蜴を竜などと・・・

流石にお世辞が過ぎませんかね?

 

(全長20M超えてて空飛ぶ蜥蜴って

もう竜で良いんじゃないですかねぇ?)

 

「なんなら貴女も乗せてあげましょうか?」

 

ここでチンタラ野営されてもねぇ。

さっさと59階層に行かせましょう。

 

「良いんですか?!」

 

「えぇ、ただし乗り心地は期待しないで下さい」

 

(いや、まぁ、そもそも乗り物じゃないからな・・・)

 

あと蜥蜴臭くなっても文句言わないで下さいね。

 

「で、では失礼します・・・

おぉー!おぉぉー!おぉぉー!本物の

ドラゴンだ!私ドラゴンに乗ってる!」

 

うむ、ここまで喜ばれると満更でも

ありませんね。

 

(うむ、もっと褒めても良いのだぞ)

 

「褐姉は金髪少年のところですか?」

 

「ハイ!フィンのところに行ってます!

ちなみにあっちです!」

 

聞かれる前に答えるとは中々気が利く

ようになりましたね

 

「ではマダオ。行きますよ」

 

『グルルルルル』

 

「この子の名前はマードゥオですか?

なんか難しい名前ですね!」

 

(ふむ・・・コイツは良いヤツだな)

 

マダオがなんか納得してますが、

何か碌でもないことしそうです。

 

余計なことはしなくて良いから

さっさと動きなさい。

 

「・・・待って」

 

「ちょっと待て!」

 

『グルァ?(なんぞ?)』

 

「あ、馬鹿っ!!」

 

ん?金髪に白髪?私は謁見を許した

覚えはありませんから、この場合は

後ろの褐妹ですよね。

 

「褐妹、呼んでますよ?」

 

「は、ハイ!ちょっと話をしてきます!

お時間よろしいでしょうか?!」

 

「えぇ。それに考えてみればこちらも

急に来ましたからね。

少しくらいなら待ちましょう」

 

先触れを出すのは無理でしたからね。

流石に準備くらいはさせるべきでしょう。

 

「アリガトウゴザイマス!」

 

コイツらも野営中に、いきなり床が

崩落したら大変でしょうし。

 

・・・このまま叩き落としたら

直行できますが。

 

なんかグダグダ抜かしたら

金髪だけでも連れて行きましょうか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「アイズ!ベート!何してくれてんの?!」

 

むぅ。なんかティオナが怒ってるけど

ティオナだけズルいと思うんだ。

 

「何してるってのはコッチの台詞だ!

アイツがコレやったんだろ?!」

 

ベートさんの言う通り。あの人が

筆頭さんで、床を切り裂いて天井に

アレだけの傷跡を残せる斬撃の

使い手でしょ?紹介してよ!

 

「そうだよ!だからすぐにフィンの

ところに案内しなきゃ駄目なんじゃない!」

 

ドラゴンに乗ってはしゃいでたよね?

・・・私も乗ってみたい。

 

「いや、その前に何でいきなりこんな事

してきたのかの確認とかあるだろ?!」

 

そうそう、そういうの確認しないで

フィンの場所に連れてったら駄目なんだよ?

 

「は?修行でしょ?」

 

おぉティオナにとっては確認するまでもないことなのか。

 

・・・流石筆頭様だ!本物の英雄は

修行でコレだけの技を使うんだ!

 

「なんでソレで納得してんだよ!危うく

俺たちも死ぬところだったろうが!」

 

確かに。当たってたら死んでたよね。

 

「あのねぇベート、あんた間違ってるよ?」

 

「はぁ?」

 

な、なんかティオネっぽい言い方だ!

 

「例えばさ。リヴェリアが魔法使った時に

たまたま近くに別のパーティーが居て、

「危ないだろ!」って文句を言ってきたら

アンタは何て言って返す?」

 

「はぁ?そんなの雑魚が邪魔すんなって・・・そういうことか」

 

あぁ、なるほどなー。

 

「そういうこと。コッチに被害は無いし

筆頭様は確実にレベル6か7だよ?

アンタの理屈なら邪魔してるのは私達

ってことにならない?」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

あ、知ってる!ここは「何がぐぬぬだ!」

って言うんだよ!

 

「とりあえず筆頭様が下で修行してて

上に向けて技を放った。

偶然ここには私たちが居たけど、別に

私たちを狙ったわけじゃない。

ほら、ここまでで何か問題ある?」

 

「・・・そうか。もし俺たちを狙ってた

なら、今この時に殺せば良いってか?」

 

「あ、そうだね。もし敵対するなら

フィンとかが居ない今がチャンスだもんね」

 

「いや、フィンとか居てもダメだと思うよ?

筆頭様が調教したあの竜って多分37階層

のジャガーノートの強化種だし」

 

じゃがーのーとって確か相当強いんだよね

その強化種ってことは、スゴク・強いんだ。

 

「・・・そんなの調教できるの?」

 

普通は無理だよね?

 

「え?してるじゃん」

 

「・・・あぁ」

 

・・・そうだね。普通に頭の上に

乗ってるし、ティオナも乗ってたね。

 

「とりあえずお待たせしちゃ駄目なの。

そんでもってお話するにも許可が必要なの。

謁見っていうの?お会いするのも許可が

必要な人だから、今は許可をもらっていない

2人は話しかけちゃ駄目なんだよ!」

 

「はぁ?何様だよ?」

 

「王様で英雄様だって言ってじゃん!」

 

「た、確かにお話の中の王様とか

女王様はそんな感じだよね!」

 

チラッとしか見えなかったけど

ピンっとしてて、何ていうか

凄く偉い人って感じだったもんね!

 

「それにベート!アンタはフィンの

話が終わるまで隠れてて!」

 

「はぁ?なんで俺が?」

 

いやいや、ベートさん。いくら

なんでもそれは無いと思うよ?

 

「ベートさん37階そ「アイズぅ?!」

・・・急にどうしたのティオナ?」

 

悪いのはベートさんなんだから、

何が悪かったのかちゃんと教えないと

反省にならないってフィンも言ってた!

 

「あぁ、もう。アイズの馬鹿っ!」

 

「い、いきなり馬鹿ってひどくない?!

馬鹿って言うヤツが馬鹿なんだぞ!」

 

「そんなんどーでも良いよ!もう馬鹿っ!」

 

またバカって言った!

 

「はぁ・・・もう良いよ。とりあえず後ろ。

あとベート。今更逃げないでね?」

 

諦めた?ソレにベートさんの顔が真っ青だ。

具合が悪いのかな?後ろ?後ろに何が?

 

「・・・あ」

 

「ふむ、そこな金髪。37階層でそこの

白髪が何をしたのでしょうか?直答を

許しますので、教えてもらえませんかね?」

 

こ、コレ知ってる。ロキが言ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\(^o^)/オワタ  

 

 




調教したら名前を付けねば。

主人公くんが見たらグラ=サンなんですが、
弟子からしたらマダオでしたねってお話

なんたってロキの秘蔵っ子ですからね。
コレくらいはできますよ!


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107話

狼さんの垂れ流しを望んだ諸君
待たせたな!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「何だそんなことですか」

 

いきなり褐妹が白髪の頭を掴んで地面に

叩き付けるから何をやらかしたかと

思えば・・・

 

「えっ?そ、その、良いんですか?」

 

そんな風にドゲザされましてもねぇ。

 

「別に、あの安全地帯の中で私が自分の部屋

として仕切ってる場所に侵入して部屋を

荒らしたり、衣類を盗んだりしたわけでは

無いのでしょう?」

 

流石にそんなことされたら処刑しますが

 

「ま、まさかっ!入り口で止めました!」

 

「ならば問題有りません」

 

まったく。私をなんだと思ってるんですか。

 

「えっと、ふ、普通なら怒りませんか?」

 

ん?あぁ、怒られないのが逆に怖いとか

そんな感じですかね。

・・・旦那様の正妻で有り弟子でもある私が

あまりにも狭量だと勘違いされたままでは

旦那様の評価に関わります。

ここはキチンと解説をしてあげましょう。

 

「ではキチンと解説しますから拝聴なさい。

あぁそこな金髪もです。白髪は・・・

気絶してますね。起こすのも面倒ですから

放置します。後でいい聞かせなさい」

 

「「はいっ!」」

 

「まず第一に、ここはダンジョンであって

私の家ではありません。それ故、不在時に

までダンジョン内の安全地帯を自分の縄張り

などとは言いませんよ」

 

「な、なるほど」

 

普通に考えたらわかるんですけどね。

 

「第二に、あの不在の立て札は「不在だから

帰ってくれ」というモノではなく「不在だから

用があるなら書き置きでもしてくれ」という

意味のモノです」

 

「そ、そうなんですね!」

 

へうへうや僕眼鏡もよく勘違いで焦ったり

して謝罪をしてきたりしましたが、究極的

には価値観の相違ですよね。

今回彼女らは私が縄張りとしている領域に

入ったから怒られると勘違いしてるのです。

 

・・・野生動物じゃあるまいし。

 

「第三に、まぁ最初のと被りますが、

不在だから気にしないで使えと言う

意味合いでも有ります」

 

「そ、そうなんですか?!」

 

普通、あんな場所に不在の札が有ったら

賊やら後ろ暗い連中は真っ先に侵入します。

冒険者も似たようなモノだと思ったからこそ

立て札を用意してあげたのですけどねぇ。

 

それにロキファミリアが来ると言うのは

わかってましたし。

 

魔物やコイツらに荒らされても良いように

貴重品だけは隠しましたしね。

 

アソコが荒らされてたら犯人はコイツらで

確定でしたから、地獄を見せてましたけど。

 

「つまり、入り口に入った程度で怒る

ようなことはありません」

 

不在ではなかった時に勝手に入ろうと

したら、しばき倒すくらいはしたと

思いますがね。それだって声くらいは

掛けるでしょう?

 

「な、なるほどなー」

 

どうやら納得した様子。最初に上下関係を

厳しく躾るのが苦悶式では有りますが、

気を遣いすぎですよ?

 

ですがまぁデリカシーと言いましたか?

そう言った配慮が無いよりはマシですけどね。

 

―――――――――――――――――――

 

「つまり、入り口に入った程度で怒る

ようなことはありません」

 

た、助かった~。

アイズが口を滑らした時は死んだかと

思ったけど、流石筆頭様だよね!

 

器が大きいって言うのは知ってたはず

なのに忘れてたよ!

 

だからって勝手に入るのは良くない

ことなのは変わらないけどさ!

 

「あの、それで、筆頭様?は・・・」

 

アイズ?何をお話する気?

 

「あぁ、私の名はエインと言いますので

そちらでお願いします。筆頭と言うのは

師に教わる一門だけに呼ばせる呼び名

ですので」

 

あ、そうだったんだ!じゃあフィンとか

にも伝えないと駄目だね!

 

「あ、は、はい。エイン・・・さん?」

 

アイズ~本当に頼むよ?

今のはシツレイじゃないよね?今の間は

【様】にするか【さん】にするか悩んだ

結果だよね?!いくらなんでも呼び捨ては

駄目だよ!

 

「エインさんでもエイン殿でも構いません。

金髪には直答を許しましたし、常識の範囲で

有れば文句を言うような事でも有りません」

 

さ、流石筆頭様!ちゃんとさりげなく

「呼び捨ては許さない」って釘も刺してる!

 

「じゃ、じゃあエインさん。私に剣術を

教えてくれませんか?!」

 

「アイズぅ~?!」

 

何言ってんの?!前に話したよね!

修行中にそんなこと言われても困る

だけって納得してたよね?!

 

「剣術?」

 

ほら~筆頭様も困ってるじゃない!

 

「アイズ!前に言ったよね?」

 

迷惑かけちゃダメ!当たり前の話でしょ!

 

「・・・ティオネとティオナは

教えてもらってるじゃん」

 

だからズルいって?

それは前提が違うでしょ!

 

「私たちは筆頭様にも教わったけど

それ以前に先生に教わってるの!

アイズは先生にお願いして断られたん

だから、筆頭様だって教えられない

に決まってるじゃない!」

 

「あっ!何で言っちゃうの!?」

 

言わないで教えを受けてみなさい!

後で知られたら筆頭様を騙したって

ことになるでしょーが!

 

「ふむ、師に指南を断られましたか。

まぁそれはそうでしょうね」

 

ん?この言い方って?

 

「え、えっと何か私に問題が

あるの・・・んでしょうか?」

 

無かったらこんな言い方にはならないよね?

 

「いや、金髪は別に剣術を学ぶ必要がないでしょう?」

 

「「え?!」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

まったく、何を言い出すかと思えば

 

「えと、私に剣術が必要ないって・・・」

 

あぁこれは自分を理解出来ていませんね。

 

態々教えてやる必要はありませんが、

ここはどうしたものか。

 

・・・放置でいいですね。

旦那様も特に教えを授けてる

わけでもないですし。

 

ヒントだけでも十分でしょう。

 

「そもそも私は金髪の疑問に答える

為にここにいるわけではありません。

褐妹、褐姉と金髪少年の下に案内なさい。

マダオ、行きますよ」

 

『グルァ(ようやくか)』

 

「は、はい!」

 

「あ、ま、待って・・・下さい」

 

「控えなさい金髪。

人に教えを受けるには最低限の

礼儀と、師となる者に何かしらの

利益が必要です。

私が金髪に教えを授けることで

得られるものは何ですか?」

 

利益を得るどころか、旦那様に

余計なことをするなとお叱りを

受けるではありませんか。

 

「あぅ・・・」

 

「アイズ、とりあえずは後にして!」

 

頭ごなしに無視をして後ほど旦那様へ

文句を言われても困りますから、

納得させましたがね。

本来なら周囲が気付いて説明する

ところでしょうに。

 

やはり旦那様は凡百の者たちとは違います。

 

「お、お疲れ様です筆頭様!!」

 

おや、褐姉が自分から来ましたか。

それに・・・手紙?

 

「久しいですね褐姉。壮健そうで何より」

 

「は、はい!筆頭様もお元気そうで!」

 

さて、コイツも妙に緊張してますが

またさっきの説明が必要なんですかね?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

な、なんで竜が居るのかと思ったら

普通に調教したのね。

 

流石筆頭様!

 

それにべートの不法侵入も気にする

ことはないって・・・流石の大器!

 

それでいて先生からの手紙には嬉しそうに

反応するなんて・・・凄い女子力だわ!

 

「ふむ、まぁ師からの指示で有れば

協力も吝かではありませんが」

 

「は、はい」

 

ありませんが・・・何かしら?

 

「既に58階層に続く穴は有りますし

そこにいた赤蜥蜴もほぼ殲滅済みです。

これ以上私は一体何をすれば良いので

しょうか?」

 

「あ、あぁそうですよね!」

 

協力どころかもう終わってるのよね!

まさかカドモスの泉の採取を手伝って

欲しいとも言えないし・・・

 

「レヴィスやフェルズも貴女方の

遠征に協力するよう依頼してきました

けれど、これなら大丈夫でしょうね」

 

んん?

 

「あ、えっと、レヴィスは筆頭様の

お知り合いの赤髪の調教師だと分かり

ますが、フェルズとは誰でしょうか?」

 

いや、ほんとに誰かしら?

 

「おや、知りませんか?厚手のローブ

を纏ってる陰気なギルドの手先ですよ」

 

え?まさかアイズに24階層の

探索を依頼した影みたいなヤツ?!

 

筆頭様にも接触してたのね。

だけど正体不明がこんなにあっさり

判明するなんて流石筆頭様!

 

「えっと、それっぽいのならアイズ、

あぁあそこの金髪が接触したみたい

なんですけど、我々は相手の情報とか

細かいことがわかってなかったんですよね」

 

アイズがもう少し相手に注意を

払ってくれれば良かったんだけど

そういう子じゃないからねぇ。

 

しかもこの場で弟子入り志願って

・・・馬鹿じゃない?

前にも迷惑になるからヤメろって

言ったし、先生に怒られるような

ことを筆頭様がするはずないじゃない。

 

「ふむ、それは油断慢心ですよ?」

 

「ハイッ!スミマセンデシタッ!」

 

そうですよね!ダンジョン探索は

命懸けなんだから、わからないなら

わかるまで調べなきゃダメですよね!!

 

「まぁ良いでしょう。とりあえず

レヴィスは59階層にナニカを用意

していて、貴女方を接触させたがって

いたようでしたね。

それでフェルズはレヴィスが何を

企んでるかわからないけど、その

企みを貴女方に潰して欲しいと言った

感じでしたよ」

 

「な、なるほど!」

 

概ね予想通りね。あとはそのギルドの

手先のフェルズがレヴィスと敵対して

何かを企んでるってことか。

 

「双方の私への協力要請は、先程も

言いましたが貴女方を59階へ

無事に到達させることです。

はっきり言えば、遠征の邪魔はしないで

くれと言うものですね」

 

「邪魔、ですか」

 

確かに筆頭様が敵対してきたら

遠征どころじゃないけれど。

この破壊は・・・どうなるのかしら?

 

「今の褐姉妹ならこの穴から58階層

にいけるでしょうし、二人だけだと

不安と言うならマダオを貸しましょう」

 

『グルァ?(マジで?普通に乗り物?)』

 

な、なんかドラゴンが驚いてるみたい

だけど筆頭様の言葉を理解できてる?

 

調教ってこんな事も出来るのねぇ。

 

「マダオに数人で乗って58階層に

到着後、橋頭堡を作ればその後の

遠征も楽になるのでは?」

 

「あ、はい。そうですね!」

 

実際この竜ならワイバーンなんて

餌でしょうし、安全に58階層

までは到達出来るわね。

 

問題はロキファミリアとしてソレで

良いのかって話なんだけど・・・

 

「で、では団長に聞いてきます!

その後ご挨拶とかさせましょうか?」

 

筆頭様は「そんなに気を使わなくて

良い」って言ってくれたけど、

礼儀とか色々あるからね!

私たちを鍛えてもらったことに対する

アイサツとかもしてないし!

 

「以前にも言いましたが私は見世物に

なる気はありません。ついでに言えば

金髪の弟子入り志願のような要望も

聞く気はありません。

故に師の許可の無い現状では勝手な

接触は控えた方が良さそうです。

そういうわけで私との接触は貴女方姉妹

だけにしてもらえると助かります」

 

「そ、そうですか!」

 

これは先生と同じような感じよね。

 

別にこちらの挨拶を拒むとまでは

言わないけど価値を見出していない。

 

私たちロキファミリアなんだけどなぁ。

 

でもアレンさんにもこんな感じだから、

筆頭様が相手に見るのはファミリア

じゃなくて個人ってことよね。

私たち以外だと、先生と直弟子のリリルカ。

あとは内縁の妻の春姫くらいなんじゃない?

 

春姫かぁ。王様とか英雄様とかなら側室とか

妾とかそういうのも理解してるだろから

一方的に敵視するようなことは無いと

思うんだけど・・・実際2号さんとかって

どういう扱いになるのかしら?

 

けど、下手に聞いて逆鱗だったら困るわね。

 

「あぁそう言えば褐姉」

 

「ハ、ハイっ!」

 

い、今の考えを読まれてた?!

 

「ん?何を焦ってるのかは知りませんが

貴女に聞きたい事があります」

 

「ハイ!なんなりと聞いてください!」

 

良かった!考えを読まれてなくて

本当に良かった!

 

「貴女を見てて思い出したのです。

師に関してですが、狐殿以外に側室

や妾は居ないのですか?」

 

「・・・はい?」

 

いや、読まれて無いのにその話題?

私を見て?ナンデ?!

 

「いや、貴女が男を誘う格好を

してるからですけど」

 

「あ、あはははは」

 

ア、アマゾネスだもん。シカタナイヨネ!

 

「で、質問の答えは?」

 

こ、これはなんて答えるのが

正解なの?!正直に話せば良いの?

嘘ついたら筆頭様に殺されるし

正直に話したら先生に殺されるんじゃないの?!

 

「え、えっとですね・・・」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

なるほど。現在わかってるのはヒト

としては狐殿の他にはアイシャとか

言う娼婦だけ。

 

コレに関しては狐殿も言ってましたね。

 

それから狐殿の主神であるイシュタル

とやらですか。

 

つまり娼婦や神といった相手しか居ない。

 

というかソレ以外には手を出してないと

言うことでしょうね。

 

確かに旦那様はそういうところがありましたけど。

 

むぅ。困りましたね。

いや、女として、正妻としては

確かに嬉しいのですよ?

 

しかしこのままでは旦那様の

子供が居ないじゃないですか。

 

狐殿は現在娼婦でファミリアの関係上

結婚や子育ては難しいらしいですし、

アイシャとやらもソレは一緒。

 

イシュタルはそもそも神なので

子供が出来ないらしいですし。

 

私はこのような身ですから

子が出来るかどうかも、種族が

どうなるかわかりませんし

伯師妹に至っては知性ある魔物。

 

リリルカは子供ですし、犬は貧乏神

に懸想しているのでしょう?

 

むぅ。正妻として奥の事を考えれば

どうしても子は居ないとダメですよね。

 

旦那様がどうお考えかにもよりますが、

やはり子が小さいうちに父を亡くす

というのも経験させたいことでは

ありません。

できたらお若い内に何人かはお作り

頂きたいのですが、その相手が・・・。

 

リリルカが言っていた旦那様を狙う

エロフ?とか言うのはどう言う

存在なのでしょうかねぇ。

 

一度地上に確認に行くべきでしょうが、

流石に勝手な判断は出来ませんし

褐色姉妹やリリルカに連れて

来させるにしても、旦那様に内緒には

出来ませんよね。

勝手な真似をするなとお叱りを受けて

しまうでしょう。

 

しかし正妻として認めてもらった

からには無視しては通れない道。

はてさて、これはどうするか・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「つまり筆頭さん。あぁエインさんは

手伝うのは了承してるけど、下手な

接触は出来ないと?」

 

僕たちは彼に対して接触禁止令が出てる

からね。そのことを考えればこの

くらいの距離感が妥当なのかな?

 

「はい、現状58階層まで直通の

穴は空いてますし、砲竜もほとんど

狩っているそうです」

 

「・・・遠征が楽になったのは確か

なんだけどね」

 

「えぇ、コレで良いのか?と思う

自分がいます」

 

うん。気持ちは良くわかる。

気合入れてこれから59階層に

挑むぞ!って思ってたら、

「近道作っておきました」って

言われた状態だからね。

 

いや、ファミリアとしては苦労しなくて

済むならその方が良いのだろうけど、

多少の苦労は成長にも繋がるからね。

 

ただその苦労で発生する消耗品だとか、

損害・被害を考えればそういうマイナスが

発生しなかったことは間違いなくプラス

ではあるし・・・。

 

悩ましいところだ

 

「・・・感情的には悩ましいところ

ではあるがな、損害なしで59階層に

乗り込めるならソレで良いではないか」

 

「・・・ガレス」

 

「もう起こってしまったことだしな。

まさか穴が塞がるまで待機するわけ

にも行くまいよ」

 

「リヴェリアもか」

 

ファミリアとしてはソレが正しい。

それに気持ちはわかる。

 

なんたって当の筆頭・・・エインさんは

ティオネから彼の女性関連の情報を

聞き出してからというもの、何かを

真剣に悩んでるって言う話だもんな!

 

誰がそんなところに文句を言いに

行くんだよ!!

正直アイサツだって嫌だよ!

 

もう受け入れるしかないよねって

空気になるのも当然だ!

 

「すみません、筆頭様に嘘をついた

瞬間に殺されるという確信が・・・」

 

「あぁ、いや、この場合はシカタナイ」

 

うん。本当にシカタナイ。

 

このあと彼が筆頭さんと、どんな話合いを

するかは知らないけどさ。その時は

ティオネはしばらく都市外に逃がそう。

 

そもそも正直に話しただけだしね!

 

「とりあえず移動用にドラゴン・・・

マードゥオ?を貸してくれると

言うなら喜んで借りようじゃないか」

 

59階層で何かあったら援護も

させてくれるって言うし。

 

ジャガーノートの強化種が協力

してくれるなら、事前に考えた

問題の大半が片付くよね。

 

しかし普通にドラゴンを調教するとは。

いやはや流石ティオネとティオナが

認める英雄様だ。

 

しかもあの頭に乗って空を飛べるんだろ?

 

ある意味男のロマンだよね!年甲斐もなく

ワクワクしてくるじゃないか!

 

もうね。気持ちを切り替えていこう。

 

少なくともこっちは損害なく59階層に

行ける。罠を食い破る用意もある!

最終到達回数を更新して、更に

連中の思惑も破壊できる!

何も悪いことはないじゃないか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レヴィスやフェルズってのが何を

考えてるかは知らないけどさ、

台無しにしたのは彼女だからな!

 

恨むならエインさんを恨めよ!!

 




垂れ流しをさせるとは言ってない。

古代中国的価値観では、不在なんて書いてたら
普通に侵入されますよねーってお話。

それに使用人がいるのが当たり前の
環境なら、不在時に部屋に入られるのも
当たり前ですので、そのくらいでは怒りません。

荒らされてたら普通に怒りますけど。

それに弟子は前にも、フェルズが自分が
不在の時に来たら・・・と発言してますよ?

部屋の机に書置きとかお土産を置く分には
「あぁ来たんだ」で済む話という事ですね。

先生の女関係で悩む弟子に話しかける?
それは勇気じゃない!ってお話。



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108話

穢れた精霊・・・何て恐ろしい存在なんだ!

オリ設定!
オリ展開!


嫌いな人は読み飛ばし!!

成層圏?ハハッ


「まさかレヴィスが仕掛けてた罠が

穢れた精霊の分体とは・・・」

 

いやぁ穢れた精霊は強敵だったね!

 

うん。本当に強敵だった。

強敵だったんだよ?

 

「二体目が出た時には死を覚悟

しましたけど・・・」

 

「うん。そうだね。アレは本来なら

一体でもヤバイモノだよ」

 

そう、本来ならティオネが言うように

僕たちはあそこで死んでいただろう。

ただ僕たちにとって幸運で奴らに

とって不幸だったのは、エインさんと

マードゥオがコッチに居たことだ。

 

「筆頭様が「ふむ、十分見ました。

あの程度なら問題ありません」とか

言ってマードゥオを前に出した途端

全部終わりましたからね・・・」

 

本当にな。

悲劇が喜劇に変わった瞬間を見たよ!

 

「ジャガーノートに魔法が通じん

のは知っていたが、あそこまで完璧に

封じ込められたら高速詠唱だろうが

平行詠唱だろうが無詠唱だろうが

関係ない。しかもあの巨体であの速さ。

あれでは回避もできん。私も魔法使いの

端くれとしてアレのヤバさはよくわかる。

精霊の絶望した顔にも納得するしかない」

 

魔法使いとして考えればアレは

まさしく悪夢だからね。

魔法に特化した精霊じゃどう

転んでも勝てない。

 

「かといって脆いわけでも無いし

駆け引きが出来んわけでも無い。

エイン殿が操らんでも、アレは

階層主よりも余程恐ろしいわい」

 

ガレスの言う通りだ。元々の

ジャガーノートの特徴である

魔法反射装甲と超スピードに加え、

強化種として鱗とソレを支える

筋肉が強化。その上で空を飛ぶし

ブレスは吐くし・・・アレどうやって

調教したのさ?

 

それにゼウスとヘラファミリアの連中が

挑んだ黒龍ってアレより強いのか?

 

だとすれば黒龍に挑むには今のままじゃ

無理だな。装備品から戦い方、団員の

レベルと意識。

その全部を変える必要がある。

 

うん、ソレが知れただけ良しとしよう!

 

「その筆頭様は「とりあえず60階層も

見れました。師に良い土産が出来ましたね」

とか言って負傷者を50階層まで運んで

くれた後、普通に帰って行きましたけど

・・・何かお礼の品とか必要ですよね?」

 

「何も無いと言う訳には行かないよね」

 

とは言っても深層で武者修行してて

特にお金やモノに執着はしてないし、

ドロップアイテムだってコッチが

貰った側だしなぁ。

 

「マードゥオが食う魔石も自分たちで

調達してるしのぉ。肉も食うらしいが

儂らとて深層に余分な食料など持って

来ることも無いしのぉ」

 

ふむ、肉か。確かに今は無理

だけど一度地上に戻ったら、食材を

買いこんで37階層に届けるか?

 

「食材も良いですが、筆頭様が喜ぶのは

先生から何か貰った時くらいです。

後で双方から何か届け物があればソレの

配達員として働くと言った感じであれば

恩返しにはなると思います」

 

あぁ。ソレがあるか。とりあえず彼と

筆頭様の間を取り持つ便利屋的な

扱いになるけど、それは我慢しよう。

 

マードゥオ単体なら、僕たちが全力で

挑めばギリギリ討伐も出来るだろう

(かなりの損害が出るだろうけど)

エインさん一人でも、まぁ同じだろう

(確実に何人かは垂れ流しだけどな!)

 

だけど二人?揃ってる状態はダメだ。

装備品と回復薬と、相手に呪いでも

掛けない限り勝てない。

 

装備品もな・・・椿はエインさんを

見た瞬間に気絶したし。

アレは装備品に驚いたのか?

それとも面倒事になると思って

気絶させられたのか?

まぁどっちでも良いけど、アレは

タダの武装じゃない事は確か。

 

椿が起きても面倒だから

今は気絶させたままで良いな。

 

面倒だし。触れないでおこう。

 

「とりあえず犠牲も無く最終到達

階層は更新できたのだ。

凍土となれば装備品の一新も必要

だし、今回はココで引き上げる

のだろう?」

 

リヴェリアの言う事は間違っては

居ないよね。

流石に今の装備じゃ遭難するのが

目に見えてる。

 

彼みたいに適温維持を付与できれば

良いかもしれないな。

 

もしくは暖を取る為のモノだと

考えれば火山地帯の素材か?

 

帰りに多めに持って帰ろうか。

次回以降の遠征は・・・地上に

戻ってからだな。

ギルドとレヴィスの狙いを調べないと

駄目だ。これ以上連中の掌の上で

踊るのは危険すぎる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「いやしかし、神会では特に何も

無かったようですね?」

 

ほんと意外ですよねー。

 

「ですねー。てっきり騒がれるかと

思いましたけど、何も無かった

ですよねー」

 

普通ならリリや春姫さんとソフィア

さんのレベルアップだとか白兎の

最速更新だとか、アレンさんのレベル7

だとかティオナさん達のレベルアップで

かなり騒ぐと思ったんですけどねぇ?

 

「神ロキと神フレイヤが成長率促進系の

レアスキルを公表しましたからね。

ソレがあれば短期間でのレベルアップも

不可能じゃないと判断されたようですよ?」

 

あぁ、なんかそんな事したみたい

ですよね。

何のつもりかはわかりませんが

おかげで周りが静かなのは良い事です。

 

「そうですね。それにリリはスキルでは

なく修行内容の公開で納得してもらえた

みたいですし」

 

アノ内容なら納得するしか無いって

ところでしょうね。

 

まぁリリに言わせれば?冒険者が

温すぎるって話なんですけどね。

 

都合が悪くなればすぐ逃げるし、

その時に怪物進呈とか当たり前に

やってきますからね。

コッチは大人しく採取してる

だけなのに・・・巻き込まれた方は

いい迷惑ですよ!

 

「最初スキルの話になった時は先生や

エインさんの事がバレると思ったん

ですけど、よくよく考えればアレンさん

やティオネ達が一緒に深層に潜ったのって

イシュタル様かヘルメスファミリア

しか知らないんですもんね」

 

「ですね。ヘルメスにしてみても先生と

一番仲が良いイシュタル様の眷属の春姫さん

やアイシャさんにそのレアスキルが無い以上

先生との関係は断言できません」

 

リリに関しては・・・なんで言わなかった

んでしょうね?勇者さんに配慮したか、

それとも先生の教導スキルの影響がある

って分かってるからでしょうか?

 

「私も指導は受けてますがあくまで

調合とかトラップや戦闘の心得とかです。

呼吸とか技とかじゃないから

そう言ったスキルにはなりませんしね」

 

そうですね。先生もナァーザさんには

戦闘技術より調合や加工を覚えて

欲しそうですし、呼吸とかを教え

ないのはステイタスとアビリティだけで

どこまでやれるのか見るための

実験でもあるらしいですし。

 

「貧乏神様も神会に出ないで

大人くしてたから特に騒がれ

なかったって言うのもありますよね」

 

今までは他の神様に会う度に先生の

悪口を言ってたらしいですけど、

今は反省して口を噤んでますし、

神会も今回はお休みしましたからね。

 

本来眷族がレベルアップしたら定例の

神会には強制参加らしいのに、

ナァーザさんが貧乏神の素行に切れて

外出禁止にしたって言ったら普通に

参加免除になりましたよ。

 

先生に絶対参加じゃないんですね?って

聞いたら「さぼりじゃないからな」って

言われましたけど・・・ソレで良いん

ですかねぇ?

 

「・・・貧乏神に【様】が付いただけ

マシですよねー」

 

そりゃリリだってまともに仕事してる

なら少しは敬意を払いますよ?

 

「とりあえず次回先生がダンジョンに

潜るのは、筆頭様から何か連絡が

有ったときか、筆頭様に用が出来た

時らしいですからね。

しばらくはお酒造りと採取です」

 

新人連れてミノ狩りですよー。

どっかのオッタルさんみたいな

試練は与えませんから、普通に

経験積ませてあげますよー。

 

「あぁ、採取には私も一緒に

行きたいですね。

新人さんの教育が終わったら

誘ってもらえませんか?」

 

ナァーザさんはレベル4ですし、一緒に

深層まで行けますからねぇ。それに

採取品の良し悪しはナァーザさんに

確認してもらった方が分かりやすいです。

 

ついでにお酒に使えるようなモノが

無いかの調査もありますからむしろ

コッチからお願いするレベルですよね。

 

「もちろん大丈夫です。ただ貧乏神様

にはちゃんと言い聞かせて下さいよ?」

 

あのカジノの小悪党みたいなのに

目を付けられて、帰ってきたら

億単位の借金とかあったら流石に

笑えませんから。

 

「あぁ、あの娘さんを売り払った

クズみたいな真似はさせませんよ。

助けるためとか言ってお金を

払うような真似もさせませんし」

 

被害者ヅラしてお金をだまし取る

連中もいるみたいですからね。

建物の中に監禁してポーション

造らせとけばいいんですよ。

 

「最近の詐欺の手口は巧妙ですからね。

お金が無ければひもじいですが

有れば有ったで詐欺師が寄ってくる。

本当に面倒ですよねぇ」

 

ソーマファミリアはソコソコ大きい

ですから小悪党も中々手を出せま

せんけど、ナァーザさんは一人だし

貧乏神が居ますし・・・

ダンジョンに潜った時も

「ミアハ様どうしてるかな?」

ってよく呟いてましたが、アレは

乙女的な心配ではなく、普通に詐欺や

借金の心配でしたからね!

 

「ですね。私としては今はそういう心配が

出来るだけのお金があるだけマシって

考えるようにしてますよ」

 

うん。本当にそうですよね。お金が無くて

首吊るか体を売るかを真剣に悩むよりは

全然マシです。

 

「お金と言えば白兎の借金って・・・」

 

『ナァーザ君!ミアハは居るかい?!』

 

ん?誰か来たようですね。貧乏神様を

呼び捨てにするってことは神様ですかって

 

・・・何ですかこのチビ痴女は?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ナァーザ君!ミアハは居るかい?!』

 

お客さんかと思ったら紐神様じゃない。

・・・なんて言うか、こうしてみたら

まるっきり痴女よねぇ。

紐が胸を強調してるし服だって布一枚で

足も丸出しの超ミニルック。

 

こんな格好で男を誘ってないなんて

言われても誰も信じないわよ?

 

正直ミアハ様の教育上あんまり

仲良くして欲しくないけど、あえて

仲良くさせることでミアハ様が異性に

興味を持つかも知れないし・・・

けど神様同士でくっつかれたら

私が入る隙間が無いのよね。

 

・・・悩ましい。けどミアハ様の数少ない

神友ではあるから、無礼な真似は駄目よね。

 

「ヘスティア様?ミアハ様なら奥で

お茶に合わせるポーションの研究中

ですけど、どうしました?」

 

血相を変えてるけど何かしら?

お薬とかならミアハ様に直接

言わなくても私でも良いわよね?

 

もしかしてベルが怪我をしたとかで

タダで貰おうとしてる?

 

絶対無料ではあげないわよ?

 

それにせっかくミアハ様が誰の邪魔にも

ならない、ウチ専用の商品である

お茶調合用のポーションの研究開発に

乗り出してくれたんだからさぁ。

 

今まで通り茶葉にも合うしお菓子の

材料にも使えるけど味と香りは今まで

以上って言う素材の味を活かした

逸品を作るための研究を邪魔しないで

欲しいんですけどねぇ。

 

それとも借金かしら?

 

前は借金を踏み倒そうとしてたから

お金は貸す気は無かったけど、今は

少しづつ返してくれてるし。

 

……少しなら良いか。

 

「ヘファイストス様を保証人にしてちゃんと

返済計画を立ててくれれば無利子で

50万ヴァリスまでなら貸しますよ?」

 

今185000ヴァリスの借金が

ありますから、残り315000

ヴァリスですけどね。

 

『な、なんで借金の話になってるのさ!』

 

「「え?」」

 

違うの?リリルカさんも普通に驚いてるし。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

『まったくあの子ったら』

 

いきなり来て『力を貸してくれ』とか

言うからまた武器か借金の話かと

思ったら眷族が帰って来ないって。

 

確かに唯一の眷族だしレベル2の

冒険者が13階層に行って帰って

来ないって言うのは心配よね。

 

さらに今は専属契約を結んだウチの子も

一緒だから私だって無関係じゃない。

 

だからって捜索隊まで出すかと言われたら

私の立場だと特別扱いは出来ないから

 

『自己責任なんだから自力で何とかしなさい』

 

って言わなきゃ駄目なのよね。

ああして突っ走れるあの子が羨ましいわ。

 

『とりあえず依頼はしていったみたいね』

 

10万ヴァリスか・・・ちゃんと貯金してたのね。

 

うっ涙が出そう。

 

『おや、ヘファイストスじゃないか。

こんなところで目頭抑えてどうしたんだい?』

 

『ヘルメス・・・』

 

目下コイツとゼウスやウラノスは彼の

敵なのよね。まぁ私はファミリアの関係上

中立だから邪険には出来ないけど、

だからって仲良くする気も無いわ。

 

それに確かコイツはヘスティアの子を

自分の物語の主人公にしようとしてる

のよね・・・ならコレを利用すれば

ヘスティアの子は助かるんじゃない?

 

一緒にパーティーを組んでるのも

ヘルメスの眷族だし。

コイツが自分の眷族を心配するなんて

有り得ないけど、名目にはなるしね

 

『いえ、ヘスティアのところの子が

パーティーごと行方不明になってね』

 

『へぇ・・・ヘスティアの。確か

世界最速兎で未完の少年だったよね?』

 

さりげなく確認してるけど、自分の眷族が

同じパーティーに居るって私が知らないと

思ってるのかしら?

 

『えぇ、その子よ。だけど行方不明と

言っても、昨日「13階層に行く」って

言ってまだ帰還して無いってだけの話

だから不測の事態に陥って戻りが遅く

なってるだけの可能性もあるんだけどね』

 

さて、さりげなく重要な案件じゃないと

言ってみたけど・・・どうする?

 

『なるほどね。心配しすぎ、と言いたい

ところだけど、彼女にとっては初めてで

唯一の眷族だ。焦る気持ちもわかるよ』

 

普通のリアクションね。まぁがっついて

来るとは思って無かったけど

 

『そうね。それでヘスティアが焦って

捜索依頼を出したのよ。コレがその依頼書』

 

『へぇ・・・』

 

『あの子が10万ヴァリスも貯金出来てた

って思ったら、つい泣きそうになってね』

 

このまま世間話で終わらせる?

それとも関与してくる?

 

『あぁ、そういえば無職のときは

君が面倒みてたんだもんね。

うんうん。気持ちはわかるよ』

 

『でしょ?本来なら私が依頼を受けて

あげるところなんだろうけど、今は

ロキのところの遠征に人を出しててね』

 

『・・・ほう。それじゃヘスティアは?』

 

『ミアハのところね。ナァーザが

レベル4になったでしょ?

中層なら問題ないじゃない』

 

ミアハが受ければこの話はお終い。

ナァーザなら回復アイテムもあるしね。

当然ヘルメスも気付くわよね?

 

『ふむ、アスフィ。確か彼のパーティーにはウチの・・・』

 

「はい、エマが居ますね」

 

掛かった!

 

『よし、ならコノ依頼は僕たちにも

無関係じゃない。ここは僕が受けよう!』

 

『僕たちって・・・大丈夫なの?』

 

主力のほとんどを失ったのにね。

どこから戦力を持ってくる気なのかしら。

 

『君も知っての通り、ウチも戦力の

再編成を急いでるからね。今の会話で

分かったと思うけど彼のパーティー

には僕の子供も居るんだよ。

ならこの依頼は僕の子供を救う為にも

僕が動かなきゃいけない』

 

僕の子供を救う為、ねぇ。

名目としては十分よね。数が減ったから

これ以上減らせないってのも

あるでしょう。けどやっぱりコイツの

性格を考えたら有り得ないわ。

 

やっぱり主人公に関与する気ね。けど

今回は私もコイツを利用させて貰うわ。

 

『実は件のパーティーには私の子も居るの。

立場上大っぴらに特別扱いは出来ないけど

私のポケットマネーからも報酬を出すわ』

 

あの子を助けたいのは紛れも無い事実だからね。

 

コイツの作るお話の【尊い犠牲】に

されない為にも釘を刺しましょう。

 

『なるほど、君の立場ならそうだよね。

こっちも正直カツカツだし貰えるものは

ありがたく貰うよ』

 

『えぇ、よろしく頼むわ』

 

ヴェルフはまだ生きてるし、おそらく

ヘルメスの子も生きてるのでしょう。

 

アスフィとナァーザがすぐに出立すれば

恐らく救助は間に合う。

 

問題はこの一連の流れがコイツが

作ったモノなのかどうかってことよね。

 

・・・もし貴方の物語に私の子も

巻き込んで見なさい。

 

私が造った武器を彼に渡して貴方も

ゼウスも去勢してもらうからね!

 

『・・・今ひゅんってしたけど

アスフィ何かした?』

 

「え?いや、何もしてませんよ?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「春姫殿!折り入ってお願いが!」

 

「おや、命様?・・・何か負傷してますね?

ソフィアさん、命様にポーションとたおるを

出してあげて下さいな」

 

「はいっ!」

 

「あ、どうもすみません・・・」

 

「良いんですよぉ。私と命様の仲ではありませんか」

 

ふふふ、何のお願いかは知りませんが、

命様にはお世話になりましたからね!

 

この良妻狐に出来ることならば

チャチャっとやって丸っと解決して

あげようじゃないですか☆




精霊って相性的にジャガーノートには
勝てないって思うの

ま、まさか白兎が行方不明だって?!
たたた、大変だぁーーーー!

狐殿、頼られてちょっと嬉しいお年頃

みこーんってなってパタパタしてる
モフモフは尊いってお話


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109話

リリルカは新技を覚えた

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「うん?つまり・・・どういうことです?」

 

よくわかりませんねぇ?

 

「え、いや、だから」

 

ちょっと口に出して整理してみましょう!

 

「まず、命様や桜花様たちが13階層で不測の

事態に陥り撤退。その帰還中に自分達が

助かる為に別の冒険者ぱーてぃーに対して

怪物進呈をしたんでしょう?」

 

「・・・はい」

 

うんうん。三行には纏まりませんでしたが

特に問題はありませんね!

 

「それで、それがどうして救助に行きたいって

言う話しになるんです?」

 

コレがわかりませんよね?

 

「は、春姫殿は本気でわかりませんか?」

 

あぅ?何か本気で驚かれてます?

 

「うーん。もしも命様が帰ってきてから

罪悪感に見舞われたとかなら、その必要は

ありませんし・・・」

 

こんな勘違いは流石にシツレイですよね!

 

「えっ?!」

 

「いや、だって基本的にダンジョン内では

冒険者さんは自己責任ですよ?」

 

「そ、それはそうですが!」

 

「怪物進呈は別に犯罪でもないですし・・・

マナー的にはあまり良くないらしいです

けど、春姫やリリルカ様の場合は不測の

事態に対応する訓練として利用するよう

にって言われてますからね。

怪物進呈はむしろご褒美なんですよ?」

 

「は、はぁ?」

 

いや実際にアレをやってもらうと魔石や

ドロップアイテムの収集が楽なんですよ?

まぁリリルカ様は冒険者を助けることに

なるから、あんまり好きじゃ無いみたい

ですけどねぇ

 

「そもそもダンジョン内では何があっても

自己責任。その中には他の冒険者からの

襲撃や意図的な怪物進呈だって含まれます」

 

先生やイシュタル様には敵も多いですからね!

 

「し、襲撃?!」

 

ふむ、もしや命様には覚悟が足りてない?

いやいや、わざわざ極東からダンジョンを

求めてこの迷宮都市に来たのです。

 

殺し殺されの覚悟が無いなんて普通は

有り得ませんよね!

シツレイシツレイ。良妻シツレイです。

 

「つまるところ、ダンジョンに潜る冒険者

の方々は、怪物進呈をされることすら覚悟

してからダンジョンに潜らねばなりません」

 

当たり前の話ですね。常識なんですよ?

 

「な、なるほど」

 

「つまり相手の方にしてみれば怪物進呈は

ご褒美かもしれません。

その場合救助とかは不要ですしね。

そもそも罪悪感を感じたとすれば、それは

決断した選択に対する結果として受け入れる

のが冒険者の在り方では?」

 

「そ、ソレはそうですが!」

 

もしかしたらと思ったら、まさかの罪悪感

ですか。まぁ命様は優しい方ですからねぇ。

 

「それに、今になっていたたまれないとか

言うのは桜花様の決断に対する無言の

否定ですよ?」

 

実際は無言どころじゃ無いと思いますけどね

 

「うっ!」

 

「コレで救助って言われましてもねぇ」

 

相手側にしてみたらどうなんでしょうか?

 

「あぅっ!」

 

「勢いで春姫に助けを求めたのでしょうが、

まずはそう言う問題について考えないと

ダメですよ?そもそも桜花様は救援に

向かうことを了承してるのですか?」

 

「そ、それは・・・」

 

ふむぅ。本当に勢いで来ちゃいましたか。

うん。それだけ春姫が頼れる友人だと言うことですね!

 

「散々言いましたけど、正直に言うなら

春姫がダンジョンに行って命様のお手伝いを

することに関しては問題無いのですよ?」

 

イシュタル様には中層に採取に行くって

言って友達の命様に護衛をお願いする

って形にすれば良いのですから。

襲撃に備えて戦闘娼婦の方を二人くらい

連れていく必要がありますけど。

 

その費用くらいは春姫が払っても良いですし?

 

旦那様からも採取とかは自由にして良いと

言われてます。もし春姫が居ないときに

旦那様が来たらアイシャ様やイシュタル様が

旦那様をお迎えしますし。

 

・・・最近イシュタル様が旦那様に近いと

思うんですよ。色々考えることもあるので

しょうし、正妻様も認めてますから春姫

には何とも言えませんけども。

 

「えっ?そうなんですか?!」

 

そうなんです!なんかもやっとするんです!

って今は違うお話でしたね。

えーっと・・・そうそう、救助です。

 

「ついでに戦闘娼婦の皆様にも「知り合い

だから見かけたら助けてあげて下さい」って

お願いする程度ならお金も掛かりません」

 

こちらはあくまでついでのお願いですからね。

 

「な、ならソレを何とか!」

 

「う~んそうですね。とりあえずコレは

お願いしておきましょうか」

 

これで誰が損するわけでも無いですしね。

それに命様の頼みですから、少しくらい

応用は利かせますよ!

 

ただコレ以上は難しいかもしれません。

 

そもそも今の命様の行動は、桜花様の決断を否定してしまってます。

 

それがタケミカヅチファミリアとして

どのような扱いになるのかがわからないと

最悪仲違いしてしまいますからね。

 

まさか仲違いしてファミリアを追放されたり

したら・・・命様をイシュタルファミリアに

誘うわけにもいきませんし。

リリルカ様にお願いしてソーマファミリアに

入れて貰えれば良いのですけどねぇ。

 

ま、まぁ流石にそこまでは考えすぎですよね。

まずは目先の事を片付けちゃいましょう!

 

「ではその怪物進呈をした相手の特徴を

出来るだけ詳しく教えて貰えますか?」

 

とは言え所詮は13階層ですからねぇ。

レベル3が一人でも居れば100や

200程度の魔物なら楽勝ですけど。

 

もしレベル2しか居なかったらちょっと

危ないかも知れませんよねぇ。

 

「えっと、特徴と言うか・・・」

 

「あれ?何も知らないとかですか?」

 

ソレじゃ救助も何もないですよ?

 

急いでたからとか、焦ってたからとか

はいけません。

そう言うときこそ周りを見ないと!

 

「あぁいや、知ってます。有名な方ですし」

 

「ほむぅ?有名な方なんですか?」

 

ソレなら13階層程度、怪物進呈を受けても

大丈夫ではないですか?

基本的に有名って事は実力があるって

ことですから。

 

「はい、3人組で他の2人はわかりません

でしたが、1人はヘスティア様の眷族で

世界最速兎。未完の少年でした!」

 

あぁ有名ってそう言う・・・レベル2に

成り立ての噂の白兎さんでしたか。

 

彼なら13階層は危ないかもしれません。

 

ですが旦那様曰く神の物語の主人公でしょう?

普通にぴんちに陥って、苦労はするでしょうが

最終的に頑張って帰ってきましたーって感じに

なるような気がしますけどねぇ。

 

「・・・はいぃ?」

 

ん?ソフィアさん?あぁそう言えば白兎の

ぱーてぃーにはヘルメスファミリア所属の

妹さんが居ましたっけ?

 

――――――――――――――――

 

『・・・それで、繚藍の判断は?』

 

まさかアノ子が怪物進呈を受けて未帰還

だったなんて。13階層とは言え、

レベル2に上がったばかりだから少し

危ないかも知れないわね。

 

「はっ!ほぼ確実に無事に帰還するだろうが

大先生の敵が作る主人公に関しての事案

なので、神イシュタルの指示を仰ぐ必要が

あると判断されました!」

 

『あぁ、なるほど』

 

それはそうか。仮にも物語の主人公がこの

程度で終わらないと言われればその通りだし、

勝手な判断は彼を敵に回すかもしれない。

 

そもそも何処までヘルメス達が関与してるか

わからないんですもの。

 

動く前に裏とりが必要と判断するのも当然よね。

 

「絶†影は一度タケミカヅチファミリアへ

帰還させてあちらのファミリアとしての

判断を仰がせ、ご自身は神イシュタルへ

報告するとのことでした。

私もフレイヤ様に報告するようにと言われ

こうして帰還してきました!」

 

『妥当な判断ね。イシュタルもアノ子が

私のお気に入りだと言うことを知ってるし、

エマに関しても・・・教えてたかしら?』

 

どうだっけ?

 

「私の妹が未完の少年のパーティーにいる

ことと、ヘルメスファミリアに所属して

居ることは伝えてます!」

 

ふぅん。ま、そんなところよね。

 

『流石に何かに憑かれてることまでは教えて無いわよね?』

 

「はっ!」

 

アレに関してはある意味未知だから、

わざわざ他に教える気はないし。

 

ま、まぁ神友のイシュタルになら教えても

良いかもしれないけど。

 

『それにアノ子のパーティーは3人組と言う

話だったけど、残りの1人は・・・』

 

「はっ!イシュタルファミリアでは既に調べて

おりました!ヘファイストスファミリアの

ヴェルフ・クロッゾです!」

 

流石我が神友。情報戦では勝てないわね。

しかしそうか。

 

『クロッゾか・・・』

 

なるほどなるほど。頑なに魔剣を打たない

クロッゾの末裔が、主人公と苦楽を共にして

自分の殻を破り主人公の為に魔剣を打つ覚悟

でもするのかしら?

 

彼を彩る物語にはなるかもしれないわ。

 

それにアノ子を武器頼りの三流にされても

困るけど、切り札を持たせるのは悪くない。

 

エマに憑いてるモノが何を企んでるか

わからないけど、恐らく似たような感じ

なのかしら?

 

問題はコレがただの事故で、本気で助けを

欲するような事態に陥った場合だけど。

 

「こちらが関与する方法としては、春姫様の

護衛として私が同行し絶†影に協力するか、

神ヘファイストスと接触し、彼女の眷族の

救助と言う形を取るかになると思われます」

 

『そんなところかしら。もし主人公絡みで

イシュタルが動くなら、繚藍の護衛には

麗傑か男殺しを出して来るでしょう。

そこに貴女が入れば喩えジャガーノートが

出ても無事に帰還することができるわ』

 

「はっ!」

 

『ヘファイストスの場合は・・・ヘルメス

次第よね。私がアノ子を気に入ってる

ことは理解してるはず。エマとソフィア

の関係に気付いてるかどうかは知らないけど、

わざわざヘルメスの前にネタを差し出す

必要は無いわね』

 

いずれ何かしらの接触はしてくるでしょう

けど、奴も今は手駒が少なすぎるからね。

 

ヘルメスが何か仕掛けてきても個人で

対応できるくらいにはなってもらわないと。

 

「そうですね。下手に関与されて奴の演劇の

登場人物にされるのは面白くありません」

 

そうよねぇ。私の勇者の使い方は私が

決めるべきよねぇ。

 

よし、それなら今回はソフィアは待機にして

無関係なアレンに小隊を指揮させましょうか。

 

『まずはヘファイストスがどこに居るか

確認をとりましょう』

 

イシュタルが動くならソッチに使者を

だしてアレンを同行させる。

繚藍の護衛なら彼繋がりで違和感も少なくて

済むでしょう。

 

彼女が動かないならウチが単独で小隊を

派遣して・・・そうね、前に異常があった

24階の再調査でもさせようかしら?

 

ついでにギルドで未帰還者を確認させて

救助もさせましょう。 

 

あぁそうだ!筆頭さんに何かお土産でも

持たせようかしら?お世話になりっぱなしも

無礼だし、アレンなら普通に深層に行けるわ。

 

これなら別にヘファイストスを探す必要も

無いけど、とりあえず少しは気を使ってる

ところも見せないと、彼の工芸品を量産

出来たときに譲って貰えないかも知れないし。

 

 

 

アノ子の冒険を邪魔する気は無いけど

無粋な横やりは許さないわ。

 

 

 

さて、方針が決まったところで肝心の

ヘファイストスなんだけど・・・居た居た。

うん?ヘルメスに万能者と一緒?

向かう先は・・・ミアハの店かしら?

 

そっちにはヘスティアとミアハ。夜叉姫に

リリルカ・アーデ?あぁそう言えばアノ子の

主神はヘスティアだものね。

そりゃ神友でレベル4の夜叉姫が居る

ミアハのところに駆け込むか。

 

それでリリルカ・アーデはたまたま店に

居たのね?うわぁスッゴい嫌そうな顔してる。

 

器用が高いと下界の子でもアレが出来るの?

 

へぇ~はじめて知ったわ。

 

 

――――――――――――――――――

 

「( *・ω・)ノ」

 

「いや、ソレ何ですか?!お疲れさまでした

って感じですけど、いや、何ですか?!」

 

そのものズバリ「お疲れさまでした」ですよ。

 

何かレベル6になったら出来るようになったん

ですよね。

珍しく先生も「おぉ!やるじゃないか?!」って

褒めてくれたリリの奥義です!

 

『ま、まさか下界の子にソレが出来るとは!』

 

何かリリをみてチビ痴女女神が驚いてますが、

これはそれほどの技なんでしょう。

 

「まぁ実際リリには関係ないお話ですし?」

 

別にチビ痴女女神の眷族がどうなろうと

知りませんし。そもそも一日帰ってこない

だけでしょ?

 

「いや、それはそうなんですけどね」

 

「それに男と女が一日帰ってこないなんて

良くあることじゃないですか」

 

騒ぐだけ騒いで翌朝歓楽街から出てきたら

眷族が恥ずか死にますよ?

 

『べ、ベル君がそんなことするはずないじゃないか!』

 

おや、このチビ痴女はどうやら男と言う

ナマモノを理解してませんね?

 

先生以外の男なんて性欲と暴力しか

取り柄がない獣なんです。

 

レベルの低い連中はもとより、あの勇者さん

だってリリを狙ってるくらいですからね!

 

その辺の酒場に居る連中を見なさいって話ですよ。

 

「って言うか、ベル君?どこかで聞いたような

気がしますね」

 

うーん。なんでしたっけ?

 

「・・・リリルカさん、ベルは先生が白兎って

呼んでる冒険者のことですよ」

 

「はぁ?白兎ぃ?」

 

白兎ってヘルメスが作ってる物語の主人公で

フレイヤ様がオッタルさんを使って鍛えよう

としてる英雄モドキじゃないですか!

 

『し、白兎って。確かに特徴としては

間違ってないけどさ!』

 

はぁ~このチビ痴女の眷族だったんですねぇ。

 

ま、主人公ならすぐには死にませんよ。

どーせヘルメスやフレイヤ様が動きます。

 

『ナァーザ、ベルを助けてやれんか?』

 

『ミ、ミアハ!』

 

出たよ貧乏神。無駄に関わると先生も

敵に回すことになるからリリ的には

関わりたく無いんですけど。

 

「助けるも何も、状況がまったくわかりません

からね。それでも、普通に中層に探しに行く

だけなら問題有りません。と言いたいところ

なのですが・・・」

 

『『なのですが?』』

 

「最近のダンジョンは闇派閥の連中がいたり、

ロキファミリアと争っている調教師も居ます。

先日ヘルメスファミリアが全滅したのも中層

ですし、油断したら二重遭難しますよ?」

 

ナァーザさんの言う通りですよね。

チビっ子に有ったのも中層でしたし。

 

あのときは春姫さんが居なかったらきっと

リリもナァーザさんも殺されてましたよ。

 

『む、むぅ』

 

流石の貧乏神もナァーザさんを危険に

晒してまで何かをしようとはしませんよね。

 

『な、なら尚更ベル君が危ないかも

しれないじゃないか!』

 

うーん。その場合もう死んでるんじゃ

ないですかね?

 

けど、チビ痴女が焦ってるってことは

まだ生きてるってことですか。

・・・冒険者なんか死ねば良いのに。

 

『確かに今のダンジョンは中層であっても

レベル4のナァーザに余裕があるとは

限らんか・・・』

 

「そうですね。更に遭難者の探索になると

一人では範囲に限りがあります」

 

それはそうですよねー。ナァーザさんは

先生にスカウトとして鍛えられてますが

一人では限界が有りますよね。

 

『『・・・』』

 

「ん?なんか視線を感じますけど?」

 

何でしょうかねぇ?

 

『・・・ごほんごほん。ヘスティアよお前は実に運が良い』

 

『へ、へぇ。そうなのかい?』

 

「(・_・)」

 

なんか茶番が始まりましたよ?

ナァーザさんもなんかアチャーって

顔してますし。

 

『なんと、今、ここに、ナァーザの親友に

してレベル6の冒険者が居るのだ!』

 

『ナ、ナンダッテー?!』

 

いや、おい。

 

『ナァーザが一人でダンジョンに潜るなんて

危険な真似を見過ごすような薄情なヤツ

じゃないのは私が良く知っている!』

 

『ナ、ナンダッテー?!』

 

「いや、自分で潜ると決めたならリリは

口を出すような真似はしませんけど」

 

ソレがナァーザさんの決めたことならね。

 

「いや、私も一人で潜る気は無いです」

 

ですよねー。それに、そもそもそんな三文芝居は不要ですよ?

 

「とりあえず、ヘスティア様でしたか?」

 

『ナ、ナンダッテー?!』

 

「いや、もうソレはもういいですって」

 

ほんと。神様って良くわかりませんよね。

 

『き、協力してくれるのかい?!』

 

何でそうなるんですか。

 

「いえ、まずは後ろの方々とお話しをして

みたらどうですかって言いたいのです」

 

やはりヘルメスが来ましたか。

ヘファイストス様は・・・何でしょう。

 

最近先生と色々ヤってるのは知ってますけど

コレは筆頭様へ報告案件ですよねぇ?

 

『後ろ?あっ!ヘファイストス!!』

 

『僕を素通りしないでくれるかな?!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かチビ痴女とヘルメスがギャーギャー

言ってますが、コレで白兎の救助隊が編成

されるのは確定です。

 

あとはフレイヤ様がどう動くか・・・

 

それに、他にも数人コッチに向かって

来てますね。うーん。アレは命さん?

 

なーんか面倒事の予感がしますよ~




拙作の狐殿は意外と自由度が高いのです。
ついでに主人公くんやリリルカと仲が良く
冒険者の自己責任と言う言葉を真っ直ぐ
受け止めてるので物凄くシビア。

その上で油断慢心しないし、色んな意味で
貴重な人材ですから褐色女神様もソロで
潜らせたりはしません。

戦闘娼婦の皆さんもその程度のお願い
くらいは聞きますね。

色白女神様があんまり心配してないのは、
レベル1の段階でミノと戦える白兎ならば
中層程度なら大丈夫って思ってるからです。

実際原作でも一人なら普通に無事でしたからね

リリルカは覚醒しましたってお話。


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110話

前話の続き

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


『はぁ?フレイヤのお気に入りとヘルメスの

ガキとヘファイストスのところのクロッゾ

がタケミカヅチの眷族に怪物進呈された?』

 

なんというか・・・賑やかな面子だねぇ。

 

「そうですね。そのまま未帰還みたいです」

 

そんで怪物進呈したヤツが罪悪感を感じて

救助に行きたいから同行して欲しい?

 

それで戦闘娼婦への要請は約束したが同行に

関しては保留にしたか。正しい判断だね。

 

見掛けたら助けてやってくれ。程度なら

問題ないし、フレイヤやヘファイストスに

対しても配慮した形になるからね。

 

『フリュネ、聞いたね?とりあえず団員に

白兎とそのパーティーを見つけたら救助を

するように伝えな』

 

「ん?なんでそんな面倒な……ってあぁ、

フレイヤとヘファイストスがいるからか。

了解了解」

 

アイツも随分丸くなったもんだ・・・いや、

外見は痩せたんだけどさ。

ま、何にせよコレで最低限の仕事は終わり。

 

後はコレから私が何を得るかって話になるね。

 

これを物語と考えるなら白兎とヘルメスのガキ

とのラブロマンスか、クロッゾとの友情物語。

 

いや、両立も不可能では無い、か。

 

あとはその罪悪感を感じてるヤツが主人公

に対してどんな感情を持つことになるやら。

 

アイツなら・・・乗るだろうね。

 

ヘルメスが主人公に何をさせようとして

いるか、何が起こるのかを見定めるはずだ。

 

ならコッチも本格的に動くか。タケミカヅチ

次第ではあるが春姫を行かせるなら、ついでに

正妻さまに何か持っていかせるとしよう。

 

護衛には丁度良くアイツらも来てるしね。

 

アイシャと連中を行かせればいいか。

この面子なら春姫の魔法があれば万が一

襲撃を受けても潰せるだろう。

 

『春姫、出立の準備をしな』

 

「は、はい!」

 

『タケミカヅチが動かなかった場合には

正妻さまへの挨拶とアイシャや連中の紹介が

目的になる。それなりに準備しな』

 

「せ、正妻様ですか?!かしこまりました!」

 

コレでよし。アイシャの存在は元々認め

られてるが挨拶させて悪いことはないだろう。

 

いや、普通なら不快に思うんだろうが、

正妻さまはお偉いさんみたいだから

側室や妾を認めてる。この場合はどんな

相手か知らないよりも知った方が良いはずだ。

 

「挨拶が無い」って言われて下手に嫌われて

アイツがここに来ることを禁止されても困る。

 

でもって連中は自分達で交渉させれば問題ない。

 

アレに関しては、下手に関与してもダメだし

黙認もダメ。

ま、これも私の仕事の1つと割り切れば良いね。

どっちにしろ連中に貸しが出来るって寸法さ。

 

あぁ。正妻さま繋がりで知性ある魔物に対して

も、コッチは敵対するつもりが無いことを伝え

るか?なんなら1度地上に連れ出しても良い。

 

大きな甕とか箱に入れて運べば普通に

ドロップアイテムとして持ち出せる

だろうしねぇ。

 

それでアイツの農園で働く仲間を見たら、

私たちとも敵対しようとは思わないだろう。

 

全員連れ出すのは・・・無理だね。

コレからも新しく生まれて来るだろうから

ソイツらを保護するためにもダンジョン

内部に拠点と戦力は必要だ。

 

ふむ、そうなるとこちらが準備するモノは

・・・とりあえず正妻さまに茶葉と容器。

手紙と食材?

魔物には服。というより布とかローブかね?

 

「イシュタル様、フレイヤファミリアの

アレンが神フレイヤからの書状をもって

来ました」

 

ほほう。もうきたか。いや、それだけ長時間

私も考え込んで居たってことかね?

 

『流石に早いな』

 

ま、ソレにしても早いのは事実。

 

お気に入りだけじゃなくヘファイストスへの

配慮とヘルメスへの牽制もあるだろう。

 

さてさて、一応ヘファイストスは仲間だし

ウチにしてもクロッゾを助けることに文句は

無い。何よりコッチの主目的は正妻さまだが、

フレイヤはどんな決断をしたのやら。

 

――――――――――――――――――――

 

「(# ゜Д゜)凸」

 

「・・・そんな「さっさと帰れ」みたいな顔されましても」

 

って言うかソレどうやってるんですかね?

 

「実際さっさと帰って欲しいですし。

てゆーか暴力しか取り柄がないエロフが

来て何になるんです?罠の漢解除役?」

 

「いや、私だってスカウトの経験くらい

・・・ないですけど。漢解除役って」

 

確かにいつも力加減とか間違えるから

罠には絶対触るなとか言われてましたけど。

 

むしろ逝けって言われてましたけど!

・・・漢解除役ですよねぇ。

 

それに私もヘルメスの子供なんか助ける

のはゴメンですよ?でも灰色がねぇ。

なんとかしてくれって頼んでくるんです。

 

アーニャとかクロエは行こうともしないし、

白兎のケツはどうしたケツは。

 

何故かミア母さんからも許可が出るし。

 

「と言うより、ナァーザとアスフィがいれば

中層では過剰戦力じゃないですか?」

 

そこにリリルカでしょ?私いらなくない?

 

「あ!それはそうですね!さらにエロフが

加われば下層でも安心ですよ!」

 

何だ?さっきはさっさと帰れって

顔してたのに。急に態度を変えてきた?

 

「そんなわけでリリはこのまま帰るので、

エロフは灰色の為に頑張って先生の敵を

助けてやってください!」

 

「おまっ!」

 

「そんでそのまま先生からの評価を地に

落とせば良いんじゃないですかねぇ?」

 

コイツっ!なんて事を?!

 

「き、貴様はそうやって逃げる気か?!」

 

流石に卑怯じゃない?!

 

「逃げるも何も、そもそもリリには関係ない話ですし~?」

 

私だって関係ないぞ!・・・とはシルの

ことを考えたら言えませんっ!

 

「ついでに命さんが春姫さんに頼んで戦闘娼婦

の方々に、白兎一行を見つけたら保護して

もらうように言って貰ってるらしいですよ。

しかもその場には春姫さんのお弟子さん・・・

つまりソフィアさんが居たって言いますからね。

もしかしたらフレイヤファミリアも動くかも

しれません。それにタケミカヅチファミリアが

認めたなら春姫さんも探索に加わるとか?

ならイシュタルファミリアも動きますね」

  

いやいやいや、やり過ぎでしょ。

 

「・・・私、本気で要らないですよね?」

 

それに春姫やらイシュタルファミリアの

娼婦がこっちに居なくて、さらにリリルカも

一緒に行けば、彼は今1人じゃないですか。

 

それなら私としては寂しさに襲われそうな

彼を捜索して救助してあげたいんですけど。

 

「その辺は未確定情報ですし~。何よりその

判断をするのは灰色とヘルメスですし~」

 

「くっ!」

 

確かにその通りなんだけどなんか釈然と

しない!何とかしてコイツも巻き込めない

モノか?!・・・はっ!コレなら行ける!

 

「ふふふ、そんなこと言って良いのですか?」

 

お前も道連れだ!

 

「何ですか?リリには動く理由は有りません。

第一、夜は寝なきゃ駄目なんですよ?」

 

私たちが夜通し働いてるのに、お前だけ

安眠なんかさせてたまるか!

 

「先程絶†影が、春姫に話を伝えるために

イシュタルファミリアへ向かいましたね?」

 

タケミカヅチファミリアの許可があれば

春姫も絶†影と一緒に探索に加わると約束

してたんでしょ?

 

「そうですねぇ。今頃春姫さんも準備

してるかもしれませんねぇ」

 

ふっ、ソレが貴様の入る墓穴だ!

 

「彼の・・・彼の内縁の妻に何か有ったら、

春姫が参加する事を知りながら放置した

貴女の評価はどうなりますかねぇ?」

 

くそっ、あの泥棒狐を内縁の妻とか口に

するのがこんなに辛いとは・・・

人を呪わば穴二つとはこの事か!

 

「・・・(゜-゜)(。_。)(゜-゜)(。_。)」

 

ふふふ、考えてる考えてる。

・・・考えてるんですよね?

 

―――――――――――――――――――

 

「は、はぁ?!」

 

は、春姫殿が出るなら護衛がつくのは

知ってましたが、その護衛が麗傑にカーリー

ファミリアのカリフ姉妹?!

 

麗傑はレベル5だし、カリフ姉妹は

二人ともレベル6でござるか?!

いくらダンジョンが自己責任で

不測の事態が起こるからって

コレはないですよね?しかも、その上で

 

「フレイヤ様と神イシュタルの共通の神友

である神ヘファイストスの眷族の救助と、

師匠の内縁の妻を弟子が守るのは当然だな」

 

しかもその上で女神の戦車って・・・

レベル7でござるぞ!サイン下さい!

 

「貴様程の実力者の師でもあるとはな!」

「やはりあの方しか居ない!」

 

姉妹は妙に気合い入ってるし!

 

「な、なぁ、春姫この格好で大丈夫かい?」

 

「うーん、アイシャ様は上に一枚羽織る

くらいでいいと思いますよ?」

 

あ、アマゾネスが衣服を気にしてる?

しかも上に羽織るの?脱ぐんじゃなくて?!

 

「あぁ、貴様らも装備の点検を急げ。

フレイヤ様の眷属としてみすぼらしい

格好は絶対に許さんぞ」

 

「「「はっ!」」」

 

フレイヤファミリアの方々まで?!

 

いや、美の女神の軍勢だから見た目を

気にするのかもしれないけど!

コレ、遠征に行ったロキファミリアと

戦争でもする気でござるか?!

 

こ、コレに拙者が同行するの?

って言うか同行出来るの?

 

私って邪魔じゃないですかね?!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あぁもう!いくら考えてもダメです!

 

春姫さんに関しては、まぁ自己責任で

何とでもなりますが・・・わざわざ

敵の行動を目の前で見てて、面倒だから

見逃したなんて知られたら絶対に怒られますよねぇ?

 

「で、お前は何してるんだ?」

 

って言われて空を飛ぶリリが見えました!

 

「リリルカさん、諦めましょう」

 

ようこそ地獄へって?壊したい!この笑顔っ!!

 

「ナァーザさん。道連れが出来たって喜んでますよねぇ?」

 

「ははは、まさか」

 

クソっ!明らかに楽が出来るって顔して

ますけど、そりゃ今でさえ過剰戦力なのに

スカウトもできるリリが同行したら当然

ナァーザさんは楽になるでしょうよ!

 

「・・・メインの装備品はメンテに

出してるんで、一度拠点に戻って

装備を整えてきてもいいですかね?」

 

別に待たなくて良いですよー?

置いてかれたって言えば先生なら

笑って許してくれそうですしー?

 

「「ギルドの前でお待ちしてます」」

 

エロフまでっ!!

 

ですが仕方がないですよね。

こうなったら少しでも前向きな

話題を出してやる気を出しましょう!

 

「・・・それでミアハ様。報酬とか

どうなるんです?

流石にただ働きはゴメンですよ?」

 

相手は冒険者で先生の敵ですからね!

 

大事なことですから二度言いますが

タダ働きはゴメンですよ!

 

『『う”』』

 

頼んできたのは貧乏神だし、コイツに

何かさせましょうか?

 

簡単な気持ちで人を動かすと言うことが

どういうことになるか教えてやります!

 

『ほ、報酬か』

 

痴女女神と貧乏神に払えますかねぇ?

まぁ、払える限界までむしり取って

やりますが。

ナァーザさん?お仕事に私情を

挟んではいけません。

 

これでもリリはプロですからね!

 

それにヘルメスとヘファイストス様

からも貰えますよねー。ヘルメスには

遠慮なんかしませんよー?

なーにもらおっかなー。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

報酬か。ナァーザがミアハに指摘した

ように、今のダンジョンはレベル4

でも安全とは言えない。

 

だけどそこにレベル6のリリルカが

加わってくれれば、ほぼ大丈夫って

言えるわよね。

ソレにスカウトとしての技能を持つのは

ナァーザとリリルカだけ・・・あぁ

絶✝影もあるみたいだけど、レベル2

じゃ単独行動はできないし。

 

ヴェルフの事を考えればリリルカは

説得したいのよね。

かといってタダ働きなんかさせたら

彼からの評価が酷いことになるわ。

 

労働には対価を。私も常々言ってるけど

当たり前の話よね。

 

『うーん友情に対価を求めるのはどうかと思うよ?』

 

ヘルメス!あんた馬鹿ぁ?

 

「いや、ダンジョンに潜るのに友情とか無いですよ?死ね」

 

『し・・・この子アスフィより辛辣なんだけど?!』

 

リリルカは彼のサポーターで杜氏!

気質は職人のソレ!

彼からの命令か仕事以外でダンジョン

になんか潜らないのよ!

そんな彼女に報酬の出し渋りや

値切りなんてしたら逆効果って

わからないの?!

 

「いや、そんな痴女みたいな格好した

独身眷族と一緒にしないでくださいよ」

 

「痴女・・・独身・・・」

 

ま、まぁアスフィのこの格好はねぇ。

流石にヘスティアには及ばないけど、

結構アレな格好よね

 

『な、なんだい?その目は!何かスゴク

不名誉なこと考えてないかい?』

 

ならアンタの格好が不名誉ってことね。

 

『他人のふり見て我がふり直せってね』

 

男から見て自分がどう見えるか

少しは考えなさい。この処痴女が。

 

けどヘルメスは一体どういうつもり?

本当にリリルカを読み違えた?

それともリリルカが邪魔なの?

 

・・・確かに低レベルの主人公の

冒険にリリルカなんて居たらゲームに

ならないって言うのはあるだろうけど、

事故ならまずは安全確実な確保を

求めるモノじゃないの?

 

それともこの一件は予期せぬ事故なんか

じゃなく、計画の内だというの?

 

もしヘルメスにとってリリルカが

邪魔だと言うなら、彼女を動かせば

ヘルメスの邪魔になるわよね?

 

それにウチからの報酬に関しては

実はそれほど難しく無いのよ。

 

『ウチからはソーマファミリアの団長と

副団長に装備品を作らせてもらうわ』

 

「・・・そうきましたか」

 

リリルカ個人だから大変なんであって

あくまでソーマファミリアの杜氏を

雇うって感じにすれば良いのよね。

 

プロだからこそ断れないし、

ある意味正式な手順。

 

団長はレベル3で副団長はレベル2。

第三級武装で済むから即日物納可能。

ファミリアとして断ると言う

選択肢は無いでしょ?

それに普通なら「関係ない自分で買え」

って跳ね除けるんでしょうけど

どうやら参加は決めてるみたいだし。

 

貰えるだけ貰おうって言うのは

丸わかり。

この辺の駆け引きはまだまだ彼には

及ばないわね。

 

「ふぅ。シカタナイですね。ヴェルフさんの

救助は了解です。ただしかかった費用は別途

払って下さいよ?」

 

それは当然よね。

 

『えぇ勿論。もし武装をメンテナンスする

なら料金は無料でも良いわよ』

 

彼の手を煩わせることはない。

 

私が直接メンテして上げるから、

彼が作った武装を見せて頂戴!

 

「引っかかるわけないでしょ!

メンテナンスは当然先生に回します!」

 

『ちっ!』

 

レベル6のリリルカに相応しい

サブウェポンとか見たかったのに!

 

『あ、じ、じゃあ一緒にベル君も・・・』

 

『「何言ってんだこの痴女?」』

 

世の中そんなに甘くないわよ?

 

『ち・・・ヘファイストスまで?!』

 

いやいや、リリルカに報酬を払うのは

ヴェルフの救助を口実として彼女と

繋がりを持つためって言うつもりだし。

 

他の眷族が文句つけてきたとしても

あくまで狙いはリリルカ・アーデ。

レベル6の冒険者、まぁ杜氏だけど。

とにかく彼女と繋がりを持つことに

不満を言う子は居ない。

 

これはファミリアを運営する経営者

としての私と眷族を保護したいと言う

主神としての私の意見を両立させる

ための報酬なの。

 

便乗されるのは面白くないわよねぇ。

 

『いや、報酬の二重取りはプロとしてどうなんだい?』

 

ヘルメス・・・やっぱりリリルカを排除したいの?

 

「は?冒険者なんか当たり前に

やってるじゃないですか?

その親玉が何抜かしてるんです?

さっさと死ねばいいのに」

 

そうよねぇ。ついでにって感じで

みんなやってるわ。

むしろ二重取りしない冒険者って

居るのかしら?

 

『いや、正論なんだけどさ?もう少し

敬意とか払おうよ?!』

 

「凸(・∀・)凸」

 

『『『『うぉい?!』』』』

 

・・・リリルカが冒険者関係に

敬意を払うわけないでしょ。

 

っていうか器用よね。ミアハや

今まで黙ってたタケミカヅチまで

突っ込んだわよ?

 

さてさてどうするヘルメス?

 

報酬を払わなければ貴方の子は

【尊い犠牲】になっちゃうかもよ?

 

ヘスティアの子は元々レベル2だから

足手まといが居なければ1人でも

なんとかなるでしょうし。

 

それにヘスティア。アンタは

ギルドに依頼出したでしょうが。

 

ソコに依頼を受けた胡散臭い神と

痴女臭いメガネが居るわよ?

 

この子がさっさとソレに気付けば

報酬なんかいらないんだけど・・・

 

わざわざ教えてあげるのもアレよね。

今回は痛い目みて覚えなさい。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、流石にこれ以上コイツを

連れて上には行けませんか」

 

『なんでだ?今まで通り普通に天井に

穴を開ければ良いだけだろう?』

 

これだからマダオはまるでダメなんです。

 

「この上は水が溢れてる階層です。

穴なんか開けたら水没するで・・・

いや、別に大丈夫ですかね?

私が水没するわけでもないし。

いやしかし水が無くなって生態系が

乱れたら旦那様に叱られます。

うんやっぱりダメですね。このマダオが」

 

『扱い酷くない?!』

 

危ない危ない。やっぱりマダオの

言うことは聞く価値ありませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっさとナマモノに魔石届けて

伯師妹に接触しなくては。

 




褐色女神様や猫耳としてはレベル2の
白兎よりレベル7(推定)の主人公くん
や弟子に気を使います。
まぁ当たり前の話ですね。

お色気ニンジャはそのことを
知らないので焦ってるってお話。

姉妹は狐殿から正妻様の許可を
取らないとダメなんじゃない?
って感じの指摘を受けたもよう。

リリルカは今日も元気です!


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111話

出発前に色々ある模様

後半はもうカオスだっ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


なるほど、わかりません

 

「ねぇナァーザさん?何がどうなったら

痴女神とヘルメスがダンジョンに潜る

ことになるんですかねぇ?」

 

まぁリリはヴェルフさんの救助しか

受け持ってませんから、誰が死んでも

知ったことではありませんけど。

 

「私にも何が何だか・・・ヘルメス様が

『ダンジョンに潜る』って言い出して

ヘスティア様も『それなら僕も』って」

 

奴らダンジョン舐めてませんかねぇ?

 

神様って肉体強度的には普通の人と

一緒で外にいる魔物にすら負ける

程度の実力しかないはずです。

 

それにダンジョンに立ち入ることは

禁止されてるはずですよね?

 

コレ、黙認したって言ってリリにも

罰則とか来ますかね?

 

ヘファイストス様が黙認してるのは

ヘルメスの狙いを見定める為ですか?

 

ん~よし、乳寄せメガネに報告です!

 

ヘルメスには何らかの狙いが有るかも

しれませんが、そんなのリリには

関係ありませんし。

 

ダンジョン内部に足手纏いを二匹

連れてくなんて冗談じゃありません!

油断慢心ダメ絶対の精神からすれば

コイツらは連れていかないのが当然!

 

先生だって許してくれますよ!

 

ってなわけで・・・

 

「そこの乳寄せメガネ。耳より情報です」

 

「え、わ、私のことですか?!」

 

お前以外に誰が居るんですか。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

レベル6のリリルカさんに呼ばれたと

思ったら、ち、乳寄せメガネって・・・

 

「あぁエイナはたまにやってるにゃ」

 

「狙ってるんだと思ってたよ」

 

「アレはあざといよねぇ」

 

思った以上に認知されてた!

 

「現実を理解したところで情報を

やりますから、ロイマンさんにでも

伝えて有効活用して下さい」

 

「情報、ですか?」

 

ベル君のことかな?

リリルカさんが探しに行って

くれるならこれ以上の応援は

ないわよね。

 

流石農家さんが育てたお弟子さん。

やっぱり優しい人なんだなぁ。

 

「何をトリップしてるんですか?

エロフじゃないんですから仕事中

は仕事に専念してくださいよ」

 

「・・・スミマセンデシタ」

 

ごもっともです。更にダンジョンに

潜るのは命懸けの作業だもん。

ふざけた態度をとられたら怒る

のも当たり前よね。

 

「で、情報ですがね。未完の少年を

助けるための救助隊に神様が

二人ほど便乗するつもりですよ」

 

「え、えぇぇぇぇ?!」

 

か、神様が二人って重大な規則

違反じゃないですか?!

 

「声が大きいですよ!お前は

本当にプロなんですか?

そうやって大声でレベルアップだの

ステイタスだの到達階数だのを叫ぶから

お前は上位冒険者の中で『拡声器』って

呼ばれて、見た目に騙された

男以外に避けられるんですよ!」

 

「えぇぇぇぇ・・・」

 

いや、確かにベル君の時に言ったわね。

他の人の時も声を荒らげて説教した

こともあるし・・・高位の冒険者の人は

あんまりこないけど、説教のせいかと

思ったら、そうかぁ情報の漏洩を心配

してたのかぁ。

 

「あぁ、確かにエイナはよくやるにゃ」

 

「狙ってるんだとおもってたよ」

 

「だよね。宣伝とか情報収集の

手伝いを依頼されてるのかと思ってた」

 

・・・みんなにそんな風に思われてい

たのね。私って中立を謳うギルドの受付嬢

としてはかなりダメなんじゃないかしら?

 

「そんなこれ見よがしに落ち込んで

ないでさっさと報告に行け。

あざといことしてもリリには意味

ないですよ?奴らはもうダンジョンに

行きますけどギルドは黙認しますか?」

 

「あ、はい。そうですね!」

 

そうよ!まずは仕事しないと!

 

「「「あぁ、エイナってあざといとこあるよねぇ!」」」

 

・・・貴女達、後で聞きたいことが

あるから勝手に帰るんじゃないわよ?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なるほど神ヘルメスと神ヘスティアが」

 

「はい、神ヘスティアの眷族である

未完の少年の救助隊に参加しようと

しているそうです」

 

自分の眷属を心配するのはわかるけど、

リリルカさんにしてみれば足手まとい。

それに万が一神ヘスティアが死んだら

ベル君は恩恵なしでダンジョンに放り

投げられることになるからね。

 

いくらレベル4が2人とタケミカヅチ

ファミリアが居てもダンジョンに絶対

は無いって考えたら、やっぱりあの

二人は行くべきじゃないわ。

 

「ふむ・・・とりあえず連れ戻す

用意はしよう。あぁ連中に対する

警告はいらんぞ」

 

「え?いらないんですか?」

 

なんで?

 

「言って止まるようなら初めから

こんな真似はせんだろうが。

連中は最初から違反だとわかってて

やっとるんだからな。故にこちらは

ダンジョンに入ったところを見つけて

連れ戻すか、自分から出てきたところを

抑えて罰金を課すのだ。

リリルカ・アーデが有効に使えと

言ったのはそういうことだぞ?」

 

「そ、そうなんですか?!」

 

そんなことまで含まれてたの?

そしてソレを読み取るこの人も

やっぱり凄いのよね?

 

「当たり前だ。それに自分はきちんと

報告したと言うアリバイ作りでもある。

流石にこれではソーマファミリアから

罰金は取れんだろう?」

 

「それは・・・そうですね」

 

なるほどなー。さすが上級冒険者

自分の身の安全確保は怠らないのね。

 

「わかったら戻れ。ついでにリリルカ

・アーデには出来たら神ヘルメスだけ

でも生かして連れて帰ってきてくれと

伝えるように」

 

「神ヘルメスだけでも、ですか?」

 

ヘスティア様は?

 

「言えばわかる。さっさと行け!

手遅れになったらどうする!」

 

「は、はいっ!」

 

言えばわかる?何かあるのかしら?

 

けど、確かに彼女がダンジョンに

入る前にちゃんと報告しないと!

 

あとベル君のことも頼まなきゃ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ヘルメスだけでもねぇ・・・」

 

なるほど罰金ですか。まぁ痴女神には

お金無いですからね。

資産の50%と言っても、その金額は

5万ヴァリス。

それならヘルメス狙いの方が良いですよね。

 

さらにリリ的にはヘルメスとギルドの仲違いにも使えます。

 

ギルドが止めなかったらドサクサに

紛れてダンジョンでヤツを痴女

メガネごと殺すつもりでしたが

運のいい野郎です。

 

ま、ヘルメスから分捕った罰金のうち

報奨金としていくらか入ってくる

でしょうから、今回はコレで我慢して

やりますよ。

 

報酬の二重取りとはこうやるのです。

 

それに、これでギルドとヘルメスが

仲が悪くなったら最高ですよね!

 

仲が悪くなったからってこっちが

容赦する必要はありませんし?

そのまま各個撃破してやりますよ!

 

「あの、それで・・・」

 

あぁ、乳寄せメガネがいましたね。

 

「ロイマンさんには問題ないと伝えて下さい。

代わりにミアハファミリアへの罰金も控除で。

タケミカヅチファミリアへは連中の行動を

黙認したということで請求しても構いません。

ただしあそこに居るヘファイストス様は

二人を止めてました。以上です」

 

へファイストス様は自分でどうにか

するでしょうけど、一応援護射撃

をしておきましょうか。

 

「な、なるほど。わかりました。

それで、なんですけど」

 

「・・・なんですか?先生への

紹介とかは受け付けてませんよ?」

 

いや、コレ意外と多いんですよね。

最近は修行を付けてもらおうとする

連中とかも来ますし。

 

なんでリリが先生にそんなの紹介

しなきゃいけないんですかね?

 

先生が無条件で話を聞くのは

今や畜産と水産業者くらいですよ?

 

ほかの農家だって品種改良とか

言ってきますけど、アレは先生の

スキルを使った企業秘密ですし。

 

ギルド?話を聞く価値ありません。

 

「あの、いえ、そうではなく!

いや、紹介してもらえたら嬉しい

ですけどっ!」

 

「だーかーらーあざといし、声が

大きいんですよ。普通に言っても

聞こえますから、用があるなら

さっさと言って下さい」

 

「「「あぁーエイナって・・・」」」

 

ほら、同僚にまであざといって認知

されてるじゃないですか。

 

「あいつら・・・すみません。

えっとベル君のことを頼みたくて」

 

「お断りします」

 

尻軽が(∩゜д゜)q

 

なんでリリがタダで白兎なんか

助けなきゃダメなんですか。

 

寝言は寝て言えって言うんですよ。

 

「え、えぇぇ?」

 

なんですかコイツ?しおらしく

頼めば「任せてください!」とか

言うと思ったんですか?

 

そもそも白兎はレベル2です。職員

として心配するならパーティーメンバー

の2人でしょうが。

 

あぁ、男キープですかー?そうやって

冒険者どもを騙して殺すんですねー?

 

リリに通じるはずがないでしょうが。

 

やっぱり冒険者ギルドはクソです!

死ねばいいのに。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「リリルカさん、荒ぶってますねー」

 

「それはそうでしょう。あれは元々冒険者が

嫌いですし、ギルドはその元締め。

さらにヘルメスなんて足手まとい兼彼の敵が

同行するんです。普通ならダンジョン内で

撲殺してもおかしくありませんね」

 

「まぁ・・・そうですよね」

 

足手まといなだけでなく、ヘルメスは

彼の敵ですからね。私だってシルから

言われて無ければシカトしてますし。

 

奴はリリルカが自分を殺しに来るかも

しれないとわかってないんですかね?

 

万能者なんか露骨に怯えてますよ?

 

もしも神だから大丈夫とか思っているようなら、普通に死にます。

 

彼はもとより私もリリルカも、今更神

なんかに敬意を払うようなことは

ありませんからね。

 

迷宮都市の暗黒時代を作り上げた

ゼウスやヘラと親しいヘルメスなんか

本来ならサツガイ対象なんですがね。

 

「エロフ、残念なお知らせです」

 

「残念?ギルドの受付で乳寄せメガネ

と話をしていましたが、何か問題でも?」

 

あの受付め、ああやって彼にも色目

使ってるのは分かってるんですよ。

 

糞が、死ね。

 

「えぇ『ヘルメスは殺すな』だそうですよ」

 

「・・・ほう?」

 

ヘルメスやヘスティアの違法行為を

報告してましたか。

妥当と言えば妥当ですよね。

コイツらの行為は立派に違法行為。

ヘスティアの眷族云々は動機としては

美しいですが、だからといって決まり

を破って良いわけではありません。

 

コレを許せば他の神も「自分の眷族が

帰って来ない」と言ってダンジョンに

潜るでしょう。

 

その結果が足手まといを抱えた眷族の

死亡か、足手まといの神自身の死亡です。

 

法にはそれなりの理由があるのですよ。

 

それを感情で好き勝手に曲げる連中が居たから、

ここは暗黒時代なんてモノになったのです。

 

「ギルドは罰金狙いですね。

無事に帰還させて精々搾り取って

やりましょう」

 

「あぁ、なるほど」

 

ヘルメスをとことん追い詰める気ですね?

 

「・・・ウチは罰金とか無理ですよ?」

 

ナァーザにしてみたらそうですよね。

痴女神に助けを求められてダンジョン

に助けに行ったら、何故か一緒に

ついてきた痴女神のせいで罰金請求された。

なんてなったら、拷問でしかありません。

 

「あぁ、ミアハファミリアもリリと

一緒に告発した側ですので、報奨金

が出るんじゃないですかね?」

 

この辺の利害調整は彼譲りですか。

流石に神ヘファイストスには一本

取られましたが受付嬢如きには

負けませんよね。

 

「なら大丈夫ですね・・・いやー

もう帰ろうかと思いましたよ!」

 

貴女が帰ったらリリルカの抑え役が

居なくなるから止めてほしいのですが。

 

「リリをこんな面倒事に巻き込んで

おいて帰るとか・・・店壊しますよ?

ついでに貧乏神も」

 

「ついでが本題ですよね?!」

 

気持ちはわかります。コイツはもう

神ヘファイストスから報酬を提示

されてるから帰れませんもんね。

 

私もシルが居なければ・・・はぁ。

 

しかしさすがロイマンは俗物ですね。

帰ってきたら現行犯で指摘するつもりですか。

 

ヘルメスは以前眷族を大勢失ってますが

財貨を失ったわけではありません。

 

その残った財貨を搾り取る。

うん・・・良いですね。

 

彼の為にもなりますし、金も眷族も

失えば悪巧みも出来ません。

 

「リリルカ、万能者はどうします?」

 

殺りますか?それとも消しますか?

 

「あ~共犯者ですから殺っても良いの

ですがね。ヘルメスだって両腕両足

なくして歯を全部抜いて目玉をくり抜い

ても、生きてさえいれば良いでしょうし」

 

「「そうですね」」

 

そうすればこれ以上の悪巧みは出来ません。

 

「・・・麻酔ならありますから、

ダンジョンでキャンプした時に

両方殺りますか?」

 

ナァーザも彼を敵に回す気は

無いようですからね。

それに面倒事を持ってきた神を

消す分には反対しませんか。

 

「レベル4が中層で死んだら不自然

ですが、以前18階層に深層の

魔物が出てきたことがありまして」

 

「「ほう」」

 

なるほど。深層の魔物ですか。それは危険だ。

 

「しかも相手を溶かすんですよ。

いやーおっかないですねぇ」

 

「「確かに」」

 

溶かしちゃいますか。それは怖い。

 

「というわけで何か問題が

起こるとしたら18階層に

なるかもしれませんねぇ」

 

「「なるほど」」

 

18階層ですか。要注意ですね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

しかし命さんが来ませんね。

春姫さんの準備に時間が掛かって

るんでしょうか?

 

まぁあのヒトは複雑な立場ですから

イシュタル様が止める可能性もある

んですよねぇ。

 

なにせ筆頭様が狐殿と言って気を

使うようなヒトですからね。

 

春姫さんに何かあったら先生だけじゃなく

筆頭様にも殺されちゃうってさっき気付き

ましたよ。あの人は自己責任とか

関係なく結果で捌きますからね。

 

先生の内縁の妻を見殺しにしたって

バレたら、弟子としては失格です。

間違いなく矯正されますよ。

 

だから本当は周りに止められたりして

くれた方が助かるんですけどねぇ。

 

「あや?リリルカ様も行くんですか?」

 

「あ、春姫さんが来まし・・・え?」

 

いや、何というか・・・え?

 

「リリルカ、私には泥棒狐と絶✝影

以外にも何名か見えますが」

 

リリにも見えますよ。

 

「あぁリリルカ、久しいね」

 

「あ、どうも。お久しぶりです」

 

春姫さんが来るならアイシャさんが

来るってのはリリにもわかりますよ?

 

今でこそレベルはリリが上ですが、つい

この間までは一緒でしたし、女としては

明らかにアイシャさんが上ですからね。

普段から色々教えてもらってますから

普通に頭が上がりません。

 

「万能者と夜叉姫は予想していたが

リリルカ先輩も居るのか。スカウトの

能力は俺以上だし、探索は楽になるな」

 

「はぁ、まぁ、成り行きで・・・」

 

リリと同じ理由でアレンさんも

わからないではないですけどね?

 

ただ今回はそれ以上に・・・

 

「ほう、久しいな紅魔」

 

「お前もレベルが上がったのか。以前も

そうだったがこれではますます勝てんな」

 

「いや・・・なんで痴女姉妹が?」

 

コイツらがなんで?また先生が呼んだ

んですか?コイツらが来るとご飯が

辛くなるから正直苦手なんですよねぇ!?

 

「リリルカ?このお二人は?」

 

あぁ、エロフは知りませんか。

そもそもアマゾネスとは相性

悪いですし、個人的な付き合いが

無ければ名前は知ってても顔は

知りませんよねぇ。

 

「このお二人は普段はテルスキュラに

居るカーリーファミリアのトップで

レベル6のカリフ姉妹ですよ」

 

「なっ・・・レベル6?」

 

うん、驚きますよね。コイツらが居る

こともアレですが、そもそも春姫さんの

護衛に付くような連中じゃないですよ?

 

「そこにレベル7の女神の戦車が居る

のにレベル6の我らに驚かれてもな」

 

「まったくだ、さらに麗傑はレベル5で

紅魔もレベル6。我等など今更だ」

 

「い、今更って・・・」

 

エロフも驚いてますけど。この二人はそんな

に軽い存在じゃないと思うんですがねぇ?

 

「して紅魔、この者は?」

 

「ふむ、まぁソコソコの強者だな」

 

あぁ面倒ですが紹介してやりますか。

 

「コイツは先生を狙うエロフです」

 

「おいっ!」

 

いや、だって顔隠してますよね?

てっきり名前とか知られたくない

もんだと思いまして。

 

いやー失敗失敗。リリ失敗(⊃д⊂)

 

「エロフ?よくわからんがあの方を狙う

ならコイツも正妻殿へご挨拶が目的か?」

 

「ふむ・・・まぁ強さはアレだが、

エルフならあの方と同じ。いや確か

あの方はハーフエルフだったか?」

 

なるほど。コイツら筆頭様に挨拶

して先生の側室になる気ですか!

 

アイシャさんが上着を羽織ってるのも

筆頭様にシツレイが無いように?

 

アレンさんは・・・ご挨拶とレベル7

になったから力試しとかですか?

 

「ん?彼の話ですよね?正妻殿?ご挨拶?」

 

あ”

 

「・・・リリルカ、ちょーと良いですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ

 

「逃がすかっ!」




ヘルメスとセクスィメガネ、どうなる?
いや、原作もあの時点でレベル4が2人
じゃ安全とは言えませんよね?

レヴィスの存在忘れたのん?

ヘルメスのことをバラすリリルカ。
巻き添えはゴメンですよね。

狐殿合流。経緯から行けば指揮官は
セクシーニンジャなはずなのに、
頑張って空気になろうとしてますってお話

エロフは何かを知ったようだ


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112話

耐えろ18階層!お前はまだ大丈夫だ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


『ねぇアスフィ、もしかして今の僕ら

って相当ヤバくない?』

 

「もしかしなくてもヤバイですよ!」

 

この馬鹿神っ!ただでさえ農家さんに

嫌われてるから紅魔や疾風に敵視され

てるって言うのに、繚藍に麗傑に、

テルスキュラのカリフ姉妹?

 

女神の戦車はさっさと最短距離を駆けて

17階層に行ったけど、残った高レベルの

面子が皆して馬鹿神を敵視してるじゃない!

 

「と言うか絶†影!あっちのパーティを

呼び込んだのは貴女なんだから、

あっちに居ないとダメでしょうが!」

 

何でコッチに居るのよ?

責任もってコントロールしてよ!

 

「無理でござるよ~。アレン殿が居ないとは

言え、レベル6が3人にレベル5が1人。

さらになんか知らないヤツも居ますし~。

ナァーザ殿もレベル4あるし、春姫殿は

そもそも護衛対象だから良いでござるが、

拙者が側に居ると「何だコイツ?」って

視線がくるんでござる~。視線に圧力を

感じるくらい実力差があるんでござるよ~」

 

絶†影は疾風を知らないの? いや、確か

彼女たちは最近迷宮都市に来たんだものね。

しょうがないと言えばしょうがないか。

 

ちなみにアレもレベル4なんだけど、

あの面子だとソコソコでしかないのよね。

そりゃ視線すら圧力になるわ。

 

しかし、なんかコッチをチラチラ見て

『18階』とか『まだ待て』とか

言ってるのって、明らかに殺る気よね?!

 

わざわざ声に出すって事は『今なら見逃す』

って事でしょ?!逆に言えば18階層に

到着したら殺るって事でしょ?!

 

「ヘルメス様、今回は洒落になってません。

逃げましょう。今なら助かります」

 

『・・・彼女たちは本気でボクらを

殺る気なんだね?』

 

「その通りです。イケニエとか素材とか

言ってますがアレは事後の私たちの

使い途を相談してるんですよ!」

 

『しーっ!声が大きいっ!』

 

「何を今さら・・・」

 

どーせ警戒されてるからばれてますよ!

 

そもそもあの連中は私たちを味方と思って

いないわよね?タケミカヅチファミリアは

繚藍の知り合いだからアレだけど、私や

ヘルメス様やヘスティア様はただのゴミ

だと思ってるわよね?!

 

夜叉姫もなんか私が持つ薬を警戒してる

みたいだし、明らかに味方を見る目じゃ

無いわよね?!

 

『あ、アスフィ君?どうしたんだい?!』

 

「どうしたもこうしたも有りませんよ~

足手まといでお荷物の痴女神さま」

 

このクソ痴女神が!

 

『えぇ?!君までそんなことを?!いや、

確かに迷惑はかけてるけどさ!』

 

だったら帰れこの処痴女!そもそもコイツが

無駄に騒ぐからウチの馬鹿神が便乗した

んじゃない!1日くらいで騒ぐなよ!

その程度の覚悟なら最初から冒険者なんか

させるなよ!眷族を持つってそう言う

ことでしょ?

フィルヴィスや疾風みたいに仲間が全滅

することだって有るんだからね!

 

一応唯一の救いがあるとすれば、あっちの

面子の決定権を繚藍が持ってることよね。

あくまで連中は繚藍の護衛らしいし。

 

それで、繚藍は絶†影の依頼で来てるから、

対象のパーティを助けるまでは敵対しない。

 

そして、敵対しないウチに逃げないと死ぬ。

 

あぁもう改宗したい!私もソーマファミリア

とかで静かにお酒を造りたい!

 

確かにヘルメス様には感謝してるけどさぁ。

敵が多すぎるのよ!さらに大き過ぎるのよ!

味方はいないし、いても使えないし!

今さらタケミカヅチ?何になるって言うの?

 

「とりあえず絶†影はさっさとあっちに行って、

未完の少年の探索をしてもらって頂戴」

 

「えぇ?!」

 

無理とか聞いてないから。アンタの責任で何とかしなさい!

 

それに連中は明らかに違う目的で

動いてるわよね?特にカリフ姉妹と疾風。

つか疾風、アンタ何しに来たの?いや、

あくまでベル・クラネルの探索だって言う

ならこっちにいる必要はないんだけどさ。

 

確かにこの馬鹿神とかあの痴女神を守る

必要なんてないんだけどさ!

 

だいたい夜叉姫もあっち側だしねぇ。

実質私とタケミカヅチファミリアで

足手まとい二人抱えてる状態よ?!

 

疾風と夜叉姫有りきっていう大前提

がもう崩壊してるんですけど?!

 

『……とりあえず今は先に進もう。そして

道中でベル君達を見つけたら保護は連中に

まかせてさっさと逃げるぞ!』

 

「はい、問題は18階層までいっても

見つからなかった場合ですが」

 

死んでる場合もあるけど、その場合は

エマも死んでるから馬鹿神が気付くはず。

そしたら連中にバレる前に逃げるけど

最悪は18階層にいる場合なのよね。

 

当然何か考えてるんでしょ?

 

『その場合は・・・どうしよう?』

 

 

・・・もうやだ!おうちかえる!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『あ”~風呂は良い。風呂は良いなぁ』

 

さらにアイツがいないから自由だし。

あ”~確かに汚れを落とすのは大事だ。

 

「マードゥオさんって物凄く強いのに

すっごく大人しいですよねぇ」

 

ふ、強者には余裕があるのだよ。

 

『無駄に騒いでもしょうがないだろう』

 

煩いって言われて怒られるしな。

 

「たしかにそーですけど」

 

『それより・・・何といったか。

白いのとやらはまだ来ないのか?』

 

ソイツに魔石を喰わせてレベルアップ

させんとやっぱり怒られるんだが・・・

 

「あぁウィーネちゃんですよね?

あの子はロキファミリア?とか言う

ニンゲンが帰るまで巣からは出ない

んじゃないですかねぇ?」

 

あぁそうそう、ウィーネだ。

 

なんでもアイツもまだ見てなくて、旦那

から白くて小さいとしか言われてない

らしいからな。アイツはそれで理解

できてもコッチはさっぱりわからんよ。

 

しかし、ココでもロキファミリアか。

見つかっても撃退はできるかもしれんが

下手に目立って討伐部隊を差し向け

られても面倒だからな。隠れるのも当然か。

 

『全くロキはどこにいてもロクなことをせんな』

 

あっちでもこっちでも・・・本当に邪魔だ。

褐色姉妹以外殺して良いんじゃないか?

 

「んん?その言い方だと、あれですか?

マードゥオさんはそのニンゲン達に

ついて何か知ってるんですか?」

 

『ん?あぁ、ちょっとな。昨日まで

エインが調教した魔物ってことにして

側で連中を観察してたんだ』

 

いや、まぁ実際調教されてるが・・・

 

だからといって独立運動的なことを

しようとも思わんのだよな。

 

そんなことしても「そうですか」って

無視されてそのまま放置されそうだし。

 

んで旦那様に「コイツです」って言って

見せたら殺されるんだろ?

 

もしそれから逃げれたとしても、それ

からどうしろってんだよ。

何が悲しくてダンジョンの奥地で一匹

寂しく孤高を気取らねばならんのだ。

 

「あー流石エインさんですよね!

それに今回もこんなに凄い魔石を沢山

持ってきてくれたし!」

 

うむ。58階層の赤蜥蜴がメインだからな。

この階層の人魚にしてみたら食料と

言うよりもはやお宝だろう。

 

『今までは自分が運んでたが、俺に載

せれば良いってことに気付いたからな。

まったく、竜使いの荒いヤツだ』

 

別に大した重さじゃないし、ついでと

思えば問題ないんだが。

 

「いや、普通は集めることが大変だと

思うんですけど、そこはとっくに

超えてるんですね!

流石エインさんのお友達!」

 

・・・おい待て。俺まで常識崩壊

してるような言い方はヤメロ。

だがまぁ、

 

『あの程度が雑魚なのは確かだな。

だからお前もさっさと食ってレベル上げろ』

 

今回のはコイツとウィーネをレベル

アップさせるためのモノらしいからな。

 

足りないならまだしも、喰ってもいない

なんて知られたらその口を切り裂かれて

無理やり詰め込まれるぞ?

「どこまで入りますかね?」とか

「噛まなくても効果は出ますか?」とか

そう言う実験もされるだろうよ。

 

「あーエインさんに言われたしなー。

だけど他の人たちにも食べさせて

あげたいんですよねー」

 

そういうのは良いから。つーか

この人魚はそこらの人間より

気遣いが出来てるな。

 

マッポーの世と言うが、世知辛い

世の中になったもんだ。

・・・いや、人間はいつも争ってるか。

 

『時間が経てばいくらでも出て来る

奴らだ。後からでも補給は出来る。

むしろエインの指示に逆らったって

判断されて「もう持ってこない」とか

言われたらどーするんだ』

 

アイツはヤるぞ。普通にヤるぞ?

 

「あ!それもありますね!それは

困るから食べますよ!・・・もし

レベルが上がらなくても、マリィは

ちゃんと食べたって伝えて下さいね!」

 

なんか真顔で戦地に向かう兵士みたいな

ことを言ってるが・・・美味いメシ

食うだけだからな?

 

それだけエインが怖いんだろう。

 

気持ちはわかる。普通にしてればむしろ

付き合い易いんだろうが、その普通が

俺たちとかけ離れてるからな。

 

何が逆鱗になるかわからんのだ。

とりあえず旦那に関しては触れない。

褒めても貶してもダメ。

 

キサマニナニガワカルって

言われて刻まれるからな。

 

しかし旦那に側室を持たせようとしている

のはわかるが、自分がダンジョンにいて

どうやって後宮の管理をする気なんだ?

 

今の側室、というか妾の狐殿とやらは

娼婦なんだろ?神に担当させる気か?

 

・・・アイツの考えることはわからん

から考えても無駄だな。

とりあえず風呂に浸かって汚れと

疲れを落とすとしよう。

 

蜥蜴臭いとか言われて正直ちょっとショックだったからな。

 

石鹸は・・・無いな。あ~確かあれは海藻と

灰と油をまぜるんだったか?

 

灰はそのへんの魔物を消し炭に

すれば良いな。

油は・・・そのへんの魔物を

生け捕って肝臓でも出すか。

 

後は海藻が・・・ここに人魚がいるな。

よし、コイツに持ってきてもらうか。

 

目指せ石鹸!ってな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・ティオネ。あれって、マードゥオだよね?」

 

「・・・えぇ、そうね」

 

あの巨体にあの翼。赤褐色の鱗の色に

あの存在感。間違いなくマードゥオね。

 

ていうかこの階層にあのクラスの魔物が

マードゥオ以外に居たら大惨事よ。

 

いえ、マードゥオだけでも問題だけどさ。

……もしあれが暴れたらどうなるかしら?

筆頭様が調教した魔物だから

勝手に討伐なんか出来ないわよね。

 

それ以前に討伐自体がかなり難しいんだけど。

 

まぁそれは良いわ。問題は筆頭様と一緒に

上に行ったと思ったマードゥオがここで

何をしてるのかってことよね。水浴び?

 

「ん~水たまり作って、水浴び?でも

あの水から湯気が出てるってことは

お湯にしてる?つまりお風呂かな?」

 

・・・流石筆頭様が調教しただけの

ことはあるわ。まさかダンジョン内で

自力でお風呂を作って入浴するとは。

 

「筆頭様は居ないみたいだけど、上に行ったのかな?」

 

「おそらくそうね、37階層にも

いなかったし、18階層で買い物

でもするんじゃないかしら?」

 

大量の魔石を持って行ったから、多分買い物よね

 

ドロップアイテムは貰えたけど

魔石は貰えなかったのよねぇ。

 

魔石はマードゥオの餌にするらしいけど

あの魔石一つでどれだけの食材が

買えることか・・・

 

スケールが大きすぎてまともな判断ができないわよ。

 

団長も理解することを諦めたし。

 

流石筆頭様ね!

 

「ほぇ~筆頭様がいなくても大人しいのかぁ。

それに調教すると魔物ってあそこまで理知的に

動くんだねぇ」

 

ホントよね、水溜まりを作って水浴び

するくらいならまだしも、まさかお湯

を沸かすとは思わなかったわ。

 

「そうよねぇ。ただマードゥオは元々普通の

魔物より頭も良いみたいだから特別かもよ。

それと調教師の腕次第でしょうね」

 

筆頭様の場合は調教って言うかなにかが

違う気もするけど・・・いや、違う。

アレが本来の意味での調教なのよ!

 

一応、後でガネーシャファミリアが

調教した魔物を見せて貰おうかしら。

 

なんだかんだ言って団長もマードゥオに乗って喜んでたし。

 

やっぱり勇者とか英雄に竜は付き物。

私も竜を調教して団長にプレセント

出来れば評価はうなぎ登りよ!

 

「ま、調教云々は地上に戻ってからにしましょう」

 

今は急がないとね。

 

「だね。って言うかさー。毒妖蛆の毒くらいで動けないって・・・」

 

それについては私も思うところはあるけどさ。

 

「そりゃ深層の、さらに強化種の毒に

鍛えられた私たちとは違うわよ」

 

そういう愚痴は後で良いのよ。

私たちはまず団長に言われたように

先行しての安全確保が最優先。

それとキャンプ予定地の場所取りもね。

 

「あ!マードゥオに頼んだらまた

上に乗せてもらえないかな?」

 

「そのまま大瀑布の上までって?

それはそれで近道にはなるだろうけど、

他の団員の安全確保を考えたら勝手な

判断はできないわね。

そもそも筆頭様がいないときにあれに

近づいたら私たちがヤバイんじゃない?」

 

色んな意味で。

 

「あーそっかー。そーだよねぇ」

 

「頭が良いから、話せばわかるかもって

勘違いしそうになるのは私にも

わかるんだけどね」

 

ほんと、頼めば乗せてくれそうな

気がするから不思議よねぇ。

 

いやいや、今はそういうのは良いから、18階層に急がないと!

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

ウカツ!まさか彼に正妻が居るとは!

見抜けなかった・・・・この私の

目を持ってしてもっ!

 

しかも彼公認で泥棒狐もその存在を

認めてる?神イシュタルや麗傑も?

 

彼が二人を身請けをしなかったのも

ソレが理由?

 

それにイシュタルファミリアの娼婦は

正妻を差し置いて自分が正妻になろう

とは思ってない。

 

むしろ正妻に認めてもらおうと

挨拶に行こうとしていたって。

 

カリフ姉妹も、彼との結婚は求めて

ないが、こ・・・子種が欲しい?!

その許可を貰いに行くぅ?!

 

あの万年発情期のアマゾネスが、

他人の夫だろうと彼氏だろうと

構わず襲うような性欲の権化が、

よりにもよって許可を求めるぅ?

 

正妻はそれだけの存在だというの?!

 

「エロフは心配しなくても良いですよ。

筆頭様は深層で修行してますから、

エロフ一人じゃ辿り着けませんからね」

 

「ぐっ・・・」

 

た、確かに私一人では深層には行けない。

 

「私には彼を巡って争うだけの

資格が無いということか・・・」

 

なんという無力感。コレが敗北っ。

 

「いや、元々お前にそんなの無い

ですし?いまだに手すら繋いだこと

無いエロフなんか、筆頭様にして

みたらまさしく眼中にないのでは?」

 

「ぐはっ!」

 

いや、ご飯食べてる時とか、

買い物に付き合ってもらった時とか

偶然!道端で会った時とか、色々

機会はあったかもしれないけど

一体どうやって手を繋げと言うのか!

 

頭の中でアストレア様やアリーゼが

行けっ!って言ってくるけど、そんな

簡単に行けるかぁ!

 

「その上、先生の敵を助けに来て、

そんな冒険者丸出しの格好です。

ついでにお土産の一つも持って来て

ないから便乗すら出来ませんねー」

 

「・・・」

 

そうなんですよねぇ。アマゾネスで

すら上着を羽織ってるというのに

私と来たら薄汚れたローブとマスク。

足を丸出しの短パンルック。

 

絶✝影ですら足は隠してるのに。

 

神ヘスティアと万能者に次いで

露出が大きいって。私、これでも

エルフなのになぁ。動きやすさより

優先するモノってありますよねぇ。

 

実際リリルカは露出なんてないのに

動きやすい格好してますし。

こういう服があるって知ってるん

だから私も作るなり買うなり

するべきでしたよねぇ。

 

そしてお土産・・・なんでも、あの

女神の戦車ですら自分の師匠の正妻

相手と言うことで持ってきてるとか。

 

それでヘルメスや万能者は正妻の

ことすら知らないって?

・・・今の私は客観的にみたら

明らかにアッチ側ですよねぇ。

 

「ちなみにその正妻とやらには何か

好みとかあるんですか?」

 

18階で買えないでしょうか?

もしくは万能者を殺った時に

何か持ってないかな?

 

「【様】を付けろエロフが(#゚Д゚)、」

 

コイツっ!

 

だが実際その正妻が彼公認と言うなら、

彼を諦めるか、泥棒狐のように正妻に

認められて後宮に入るしかない。

 

もともと私が彼を独占できるなんて

考えてないし。それにこれからの

長い人生を考えれば・・・

あれ?もしかして今の段階で認めて

貰えば、寿命の問題でいずれ私が

一番になれるのでは?

 

神イシュタルは例外ですけど、

ソレはまぁシカタナイですよね?

 

うむ。これはアピールポイントですよ!

正妻がどう思うか知りませんが

彼に対しては間違いなくアピールポイント!

 

伝説の騎士のように謙虚にアッピル

とか言ってる場合ではない!

 

ああいや、彼に対してはともかくとして

問題は今の状況ですよ。

彼公認の正妻にアイサツ出来ないのは痛い。

 

だがこのメンバーが居れば私も普通に

深層に行けるから、便乗すれば

アイサツは出来るかもしれない、か。

 

服に関しては、もう18階層で探そう。

 

あとはお土産です。

 

ヘルメスは殺してはいけないので、

土産になるものが万能者しかない

というのは・・・

しかもその万能者は皆の共有すべき

財産ですからね。

私が独占出来るものでも無い。

 

あとはこの木刀くらいですが・・・

どこの世界に中古の木刀をお土産に

する阿呆が居るんですか。

 

温泉のお土産だって新品ですよ。

 

・・・そういえばヘスティアが居ますね。

今回シルに頼まれたのは少年の保護で

あって、お荷物の保護ではありませんし。

それに彼の正妻なら神は素材でしょ?

しかもダンジョンに乗り込んできた。

 

ギルドも特にアレについては明言して

来なかったし・・・つまりはそう言う

ことですよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別に、アレを殺してしまっても構わんのだろう?




セクスィメガネ、ロックオン
解除を頑張る。

マダオ、温泉に入る(自作)

エロフ、目をつけるの三本。

ロキファミリアがちょっと遅れてる?
それとも救助隊が早すぎる?
微妙なラインってお話。


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113話

18階に迫る危機。
来るぞ来るぞ来るぞっ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばしっ!


エロフが殺る気を出すのは良いん

ですけどねぇ。

 

『な、なにか嫌な予感が?!』

 

ほら、そういうのは殺ってからに

しないと獲物に勘付かれるんですよ?

逃げられたらどうするんですか?

って言うか、それ以前にですね

 

「エロフ、アレを殺ってもお土産

にはなりませんよ」

 

「・・・何故ですか?」

 

「(´・д・`)」

 

はぁ~コレだから見た目と暴力しか

取り柄の無い冒険者はダメなんです。

 

まったくもってダメダメです。

まるで・だめな・お前ですよ。

 

「・・・言いたいことが有るなら

はっきり言いなさい」

 

「このマダオが( ゚д゚)、」

 

「マダオ?!」

 

まるでダメなお前にピッタリな名前です。

 

前に筆頭様にコイツのことを「エロフ」

って言っちゃいましたが「マダオ」に

してやっても良いかもしれませんね。

 

「言葉の意味はわかりませんが、

罵倒されてるのはわかりましたっ!」

 

自覚が無いのがさらにダメですよねー

 

「それで、何故アレは土産にならないの

ですか?彼の正妻なら、神など敬うに

値しない、タダの素材でしょう?」

 

「素材だからじゃないですか」

 

まったく、なんで気付きませんかね?

お前だって神を殺したでしょう?

 

「素材だから?」

 

まぁ加工や保管は全部先生がヤって

ましたから知らないのもシカタナイ

んですけどね。

 

「ダンジョンの中には連中を加工

するための設備がありませんよね」

 

「確かに・・・」

 

あんまり言うのもアレですが、

コイツは基本ボッチですからね。

報告する相手は灰色くらいですが

アレに神の末路なんか話すような

ことはしないでしょう。

 

・・・してもどうにもなりませんからね。

 

「さらに保管場所もです。ソレをちゃんと

用意しないと、連中は光になって天界に

帰りますよ」

 

「・・・そういえばそうでしたね」

 

そうだったのですよ。

 

「つまりココでアレを殺すのは

先生にとってアホな獲物を減らす行為です。

農家として見れば収穫前の作物を

減らす行為。普通に怒られますよ?」

 

コイツが怒られるだけならまだしも

止めなかったリリまで怒られます。

 

「なるほど。それはダメですね。・・・では一部なら?」

 

コイツは・・・

 

「ソレをもらった筆頭様はどうするんですか?」

 

「あぁ、確かに。ご自分で加工が出来る

なら良いでしょうが、普通は困りますよね」

 

そうですよ。

少し考えればわかるでしょうが。

 

「そんなわけで、アレはお土産には

なりません。精々恩を売って白兎に

感謝されてやったら良いんです」

 

「なるほど、灰色・・・シルの事を

考えればアレはそうするしか

ありませんか」

 

そのまま灰色と一緒に白兎に

惚れてしまえばいいんです。

 

「しかしそうなるとお土産が・・・」

 

「諦めるしかないでしょうね。

そもそも普段から深層で修行している

筆頭様にとって18階層にあるものが

お土産になるはずがありません」

 

実際あの方は物欲も金銭欲も

ありませんし。

貴重なモノはあくまで先生に

見せる為のものです。

コイツに用意できるモノで

まともなモノなんかありませんよ。

 

「くっ!ナニカ、ナニカあるはず!」

 

ねーですよー。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

芳香剤?いや求めるべきは臭い消しですよね。

マダオから花の香りがしてもイラっとするだけですし。

 

普通に汚れを落とすだけの洗剤でも

良いのですが、18階層には売って

ませんかねぇ。

 

まさか骨に依頼するわけにもいきません。

 

そもそも冒険者って臭いんですよ。

なんで気を使わないんです?

 

私やリリルカの胴着には消臭と防臭

の効果があるらしいですけど

まさかマダオの為に旦那様にその

ような依頼をするわけにもいきません。

 

・・・そういえば先ほど褐姉妹がこの階層に

上がって来ましたけど、あいつらが着けてる

髪留めと腰巻も旦那様のお手製だとか。

 

・・・殺しててもうばいとる?

いや、旦那様にバレたら怒られ

ますってば。

 

あいつらに依頼したらどうでしょうか?

精霊の分体だかなんだか知りませんが

アレを片付けたり運搬してやったり、

結構な貸しがあると思うんですよね。

 

なんか店舗を回って何かを買ってましたし

さらに野営場所の確保、ですか?

 

つまりココで最低でも一泊する

つもりだと言うことです。

 

レヴィスからの書置きも無し。

 

ふむ。これなら接触しても良いでしょう。

 

あとは時間ですね。

 

ここから地上との往復だと、だいたい二日

くらいという話でしたよね?

そのくらいなら待っても良いし、あまり

時間がかかるようならココに運ばせて、

後から取りに来ましょう。

 

その間にマダオも伯師妹に接触

出来れば尚良し。と言ったところです。

 

ロキファミリアが居るうちは、巣から

出てこない可能性もありますが

その場合はこちらから行きましょうかね?

 

20階層に妙な気配が集まってましたから、

多分アソコでしょ?

 

同じ喋る魔物であるマダオが居れば普通に

接触できそうですし。 

 

しかし魔石はまだいくつか持ってますが

大体はナマモノにヤってしまいました。

 

もしマダオが伯師妹と接触出来ていなくて、

ナマモノのレベルが上がってたら、残りは

私が自分で持って行ってやりますか。

 

何と言っても旦那様から私が直接

命じられた案件ですし、伯師妹もさっさと

鍛えないといつ冒険者に殺されるか

わかったものではありませんからね。

 

さて、方針が決まったら行動です。

野営の場所取りをしている褐妹に

接触を・・・ん?この感じは?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「アレガロキファミリアノ連中カ」

 

「みたいですね」

 

先生の教えを受けた痴女が一人で行動

してますが、アレは安全地帯に居ると

言う油断でも慢心でもありませんね。

 

動作も流星錘もまだ素人の域ですが、

それでもその辺の冒険者や魔物では

相手になりません。

 

グロスさんなら時間稼ぎは出来るで

しょうけど勝つのは難しいです。

私なら・・・1対1なら勝てます。

いや姉妹相手でも勝てるでしょう。

 

でもアイツら、会話の節々に「筆頭様」

って言ってるんですよね。

 

先生の教えを受けていて筆頭様って

単語を使うなら、師姉様の知り合い

でもあります。

 

奇襲で問答無用で殺したら怒られますよね?

かといって表だっての接触は出来ません。

 

今回はあくまであの連中に闇派閥の連中が

利用している出入り口を教えるのが目的

ですからね。

 

しかし、何か様子がおかしいような?

 

「・・・ミョウダナ」

 

「・・・そうですね」

 

奴らの野営予定地に少しずつヒトが

来てますけど、妙に疲弊してます。

 

しかも普通の疲労ではありません。

肩に担いだり俵持ちしたり、アレは

毒か何かに犯された状態でしょうか?

 

「アレデハ使イモノニナランカモシレン」

 

「かもしれません。今回は諦めましょうか?」

 

お仲間の事を考えれば退くのは業腹ですが、

中途半端に警戒されるくらいなら今回は

諦めて次回に・・・

 

「確かに使えません。何ですかこの有様は」

 

「何?!」

 

「まさか?!」

 

私が後ろを取られた?!

 

「喋るカラス?の石像はレベル6相当

ですか。そしてその槍、伯師妹ですね?

レベル5相当なのはともかく、その技量。

一体今まで何をしてたのですか?」

 

え?声は違うけど・・・

 

「何者ダ!」

 

「ダメですグロスさん!」

 

この方が話してる時に刃を向けたらっ!

 

「無礼・そして怠惰。故に矯正です」

 

「「グホッ!!」」

 

やっぱりこうなりますよねぇ・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「まったく。私程度に後ろを取られるのは

まだしも、あそこまで長時間気付かない

とは。油断にもほどがありますよ」

 

「はい・・・」

 

もともと伯師妹は私より武の才が

あると旦那様に認められていたのです。

 

鍛えられた期間や時間が私のほうが

多かったからこそ、私の後塵を排して

いましたが、旦那様がもう少し長く

生きていられたら、きっと李厳殿の

域にまで到達出来たであろうに。 

 

それが今やこの有り様ですか。

まったくもって嘆かわしい。

 

「アノ、俺ハ関係無イデスヨネ?」

 

「烏も後ろを取られたでしょうが」

 

無関係?私が冒険者なら伯師妹と

一緒に死んでますよ?

 

「カ、カラスッテ・・・」

 

「何か文句でも?」

 

呼ばれ方に文句を付けれる立場

じゃないでしょう。正座してろ。

 

「アリマセン!スミマセンデシタッ!」

 

「グ、グロスさんが正座してます!

って言うか正座できたんですね?!」

 

「出来なくてもさせます。所詮石ですからね。

足を砕いて枠でも作って、回復させれば

永久に正座ができますよ」

 

・・・なかなか良いアイディアですね。

今度マダオの足でやってみますか?

 

「カンベンシテクダサイッ!」

 

ふむ、知性があるとは言え所詮は魔物。

力関係がはっきりすれば素直なモノです

 

「師姉様は相変わらずですね・・・」

 

何を今更。

 

「貴女が劣ったのですよ?師にお会いする

前にその体に染み込んだ錆を落としなさい。

そうでないと師が悲しみます」

 

私の時ですらお叱りを受けたのです。

純粋な武官であった伯師妹までもが

自分が死んだ後一切前に進んでいない

など、師にすれば悪夢でしょう。

 

「・・・はい。師姉様はもう先生とは?」

 

「えぇ、この服や剣も師から頂い・・・」

 

「え、えっと?師姉様?」

 

布で身を隠してはいますが、その布もツギハギ

だらけ。布の質も荒い。針や糸も無く、

無理やり合わせたのでしょうね。

 

その努力は認めます。認めますが・・・

 

「なんて見窄らしい姿をしてるんですか」

 

晋にその人有りと言われた白狼将軍

のする格好じゃないでしょう。

 

「あう!」

 

骨はこの子に衣類を用意しようと

思わなかったのですか?

それで相互理解が出来るとでも?

 

やつは衣食足りて礼節を知るという言葉を知らんのか?

 

「烏!」

 

「ハイッ!」

 

「近日中に布を持ってこさせます。

それを仲間に持って行きなさい」

 

急いで褐姉に持ってこさせましょう。

消臭剤よりこちらです!

こんな格好の連中を師の前に

立たせるなど有りえません!

 

「ハイッ!アリガトウゴザイマスッ!」

 

「よろしい。糸と針も持たせるので

裁縫が得意なモノにやらせるように」

 

「ハイッ!」

 

裁縫出来るのはちゃんと居ますよね?

空返事だったらその空っぽの

全身を砕いてマダオに喰わせますよ?

 

「伯師妹・・・今はウィーネでしたね?」

 

「ハイッ!」

 

「これから水辺で遊んでるナマモノの

ところに行きなさい」

 

「え?ナマモノ?・・・あっ!マリィ殿ですよね?」

 

確かそんな名でしたか?

まぁナマモノはナマモノです。

 

「今、ナマモノのところには私が調教

したマダオが居ます。ヤツに魔石を預け

ているので、レベル6相当になるまで

食べるように。足りなければ再度取って

来ますが、満腹で食べれないなどと弱音を

吐くことは許しません。これ以上の怠慢を

見逃すつもりはありませんよ」

 

「ハイッ!(ま、まだお?)」

 

まったくもって緩みすぎですよ!

 

「烏には後で別命を与えますので、とりあえず

あそこのロキファミリアを見張りなさい。

嫌なら頭だけ取り外して見張らせますが

・・・どちらが良いですか?」

 

「ハイッ!ワカリマシタッ!喜ンデ

連中ヲ見張リマス!」

 

「手間が省けて結構。では伯師妹、貴女には

まだ話したいことがありますので、あちらに

行きますよ」

 

「・・・ハイ」

 

―――――――――――――――――

 

 

師姉様に失望されてしまいました・・・。

 

あの距離で気付かないなんて、確かにレベル

云々関係なしに腕が鈍ったのでしょうね。

 

「さて、この辺で良いでしょう」

 

あんなにお会いしたいと思っていたのに

・・・師姉様のお顔を見るのが怖いです。

 

「胡花、面を上げなさい」

 

?!

 

「師、師姉様?!」

 

私を、師姉様を失望させた私なんかを

真名で呼んで頂けるんですか?

 

「胡花。よくぞ生きていてくれました」

 

あっ・・・師姉様も泣いて・・・

 

「師姉様・・・雪蘭様っ!」

 

やっぱり師姉様は変わってません!

冷たくて綺麗な。厳しくとも優しい、

冬に咲く花のような人のままなんですね!

 

「気持ちは私にもわかります。今は泣いても

構いません。むしろ存分に泣きなさい」

 

そんなこと、言われなくても泣きますよ!

 

「ハイッ!ハイッ!今まで我慢してた分

泣きます!雪蘭様が煩いって言うまで

泣きますから!」

 

「えぇ。存分に泣きなさい」

 

そ、そんな、優しく、されたら、我慢なんか、

出来ませんっ!

 

「・・・ダンジョンは怖かったでしょう?」

 

「ハ、ハイ。いきなり訳のわからないところに

居て、いきなり魔物や人間に襲われて!」

 

凄く怖かったです!

 

「独りは寂しかったでしょう?」

 

「ハイ。話せる人が誰も居なくて、マリィ殿

に会うまでずっと独りで・・・」

 

凄く、凄く寂しかったです!

 

「師や私が居ないかも知れないと不安に

思ってたでしょう?」

 

「ハイ。お二人が居なかったら私はなんの

為にこんなところに居るのかって!」

 

ずっと不安でした!

 

「もし、師や私が貴女を忘れていたらって

脅えたでしょう?」

 

「ハイ!敵とか魔物って言われて話も出来ずに

殺されたりしないかって!」

 

ずっと、ずっと脅えてました!

 

でも今は大丈夫です!師姉様に会えました!

先生からもお言葉を頂きました!

 

こうして抱きしめてもらえました!

 

だから胡花はもう大丈夫なんです!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

まったく。少なくとも40を越えた武人が

子供みたいに・・・。

 

私も師にお会いしたときはこんな感じ

だったのでしょうか。

 

怖くて、寂しくて、不安で、脅えてて。

けど師にお会いしたときは嬉しくて。

 

師は身体に魂が引っ張られると言って

ましたが、まさしくソレでしょう。

 

私にとって師は何時までたっても歳上で

大きな背中を魅せてくれる人ですから。

 

伯師妹にとって私は何時までたっても

歳上の甘えさせてくれる姉なのでしょうね。

 

ですがずっと甘えさせてやるわけには

行きません。

この世界の理も基本はやはり弱肉強食。

弱いままではいけないのです。

 

「胡花、貴女にいくつか指示を出します」

 

「はいっ!何なりと仰って下さい!」

 

良し、きちんと前を向いていますね。

 

「先程も言いましたが、何より先に必要

なのがレベルアップです」

 

本来なら錆を落とすのが先ですが、今は

余裕が有りません。まずは最低限の

鍛練が出来るくらいの力が必要です。

 

「はい!まだお?が持ってる魔石を食べます!」

 

「そうですね。そしてレベルが上がったら

すぐにマダオと戦って錆を落として貰います」

 

基本的な技術などではなく、命懸けの

戦いで勘を取り戻して貰いますよ。

 

「まだおと戦うんですね?確かに最近の私は

安全を第一に動いてましたから・・・」

 

「そうですね。本来はソレで間違いでは

無いのですが、心に甘えや隙が出来て

しまっています」

 

実際私に後ろを取られて「まさか?」などと

言う言葉が出るようではね。

 

「・・・何か急ぐ理由が有るんですか?」

 

「そうですね。何かあるのは確かなのですが、

ソレ以前の問題でしてね」

 

弟子として、筆頭を名乗るものとして!

 

「ソレ以前の問題ですか?」

 

「えぇそうです・・・胡花。よく聞きなさい」

 

「は、はい!」

 

 

「・・・師は以前より強くなっていました」

 

それも格段に。

 

「?!で、では先生から見たら私たちはっ!」

 

気付きましたね?

 

「そうです。師から見たら己が死んでから、

私たちは一歩も前に進んでいない。むしろ

劣化したと見えるでしょう」

 

「先程の先生が悲しむと言うのは・・・」

 

「えぇ私が師を失望させてしまいました」

 

あのときの師のお顔は・・・

あんな顔は見たことがありません。

もう二度と見たくもありません!

師妹には見せたくありません!

 

「私は一門を率いる身として、これ以上師を

失望させるわけにはいかないのです!」

 

私は正妻である前に師の弟子ですからね!

 

「私も先生に失望されたく無いし、師姉様

にも失望されたくありません!」

 

よくぞ言いました!

 

「私は普段は37階層に居ますので、

こちらでの用が済んだら戻ります。

その際貴女も連れて行きますが問題は

有りませんね?」

 

「無論です!強くならねば何も守れません!

意地も、名誉も、誇りも、お仲間もっ!」

 

うむ!その通りです!

 

・・・・・・ん?お仲間 ?

 

「そういえば伯師妹」

 

「ハイ!何でしょうかっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女、こんなところで何してたんです?」

 




来るぞ来るぞ詐欺。

良くある良くある。

感動?の再会
グロス=サン被害に会う。

弟子、何気にトラウマ案件ってお話。


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114話

うちゅうのほうそくがみだれる!

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!


なるほど。お仲間を守る為、と言うか

闇派閥とやらに捕まったお仲間を拠点に

運ばせない為に冒険者に監視をさせる、と。

 

言いたいこともやりたいことも

分かりますが、計画が荒いですね。

 

まぁ、伯師妹も未熟で周囲の理解が

なければコレが限界ですか。

 

ですがこの計画は当然容認できません。

 

「許可出来ませんね」

 

「そんな?!」

 

ん?私に口答えとは珍しい。

 

ですがこの子も連中に世話になった

ようですしね。

助けられるなら助けたいのでしょう。

 

「あぁ、別に貴女のお仲間を見捨てる

と言うわけではありませんよ?」

 

「そ、それでは?」

 

そもそも旦那様が珍しいモノを見捨てる

ような真似をするはずが無いでしょうに。

 

「師はアナタ方を保護する為の策を

遂行中です。その為には連中に貴女の

お仲間をダンジョンの外に出荷

してもらうことが必要なのです」

 

「先生が?!」

 

元々は私が知性ある魔物となった

時の生活環境を整えるためのモノ

だったらしいですけどね。

 

流石旦那様です!

 

「言うまでも無いことですが、今話した

内容の口外を禁じます。

たとえ貴女が信用出来ると判断した者。

つまりあそこの烏やナマモノにも決して

言ってはいけません」

 

旦那様の策の妨害など許しませんし

伯師妹たちの為の策でもあります。

 

「わ、私が先生の策を口外するなど

有り得ません!」

 

ソレが当たり前なんですがね。

身内を説得するために断片的に

情報を出さないといけない場合も

あります。

 

「情報が骨に伝わる可能性がある

以上、伯師妹には悪いですが策の

内容も伝えることは出来ません。

ですが、アナタ方にとって損になるような

計画ではない。そう断言しましょう」

 

なにせ旦那様が私の為に。そう、私の為に!

とてつもなく長い時間をかけて準備して

くれた策ですからね!

 

それを烏共に使わせるのは癪ですが、

ここに伯師妹がいるというなら話は別。

元々手を抜く気などありませんでしたが、

更に気合を入れて知性ある魔物の保護に

努めましょう!

 

「・・・そうですね。知ってしまえば

フェルズはともかく、マリィ殿には

言ってしまうかもしれません」

 

最初に会話できたのがナマモノらしい

ですからねぇ。

 

私も赤髪には多少の恩義を感じてます

から、この子なら猶更でしょう。

 

「自覚できているならそれで良いのです。

とりあえず師がアナタ方を保護する為に

動いていること。

ただし骨とは違う方法であり、

周囲に内密にしていること。

さらに骨が所属してると思われる

ギルドとは基本的に敵対している

ということを覚えておきなさい」

 

その上で骨に付くなら、たとえ貴女と

言えども旦那様の敵です。

 

「はいっ!元々フェルズは人間より

の考えをしていたからあまり信用

出来るとは思ってませんでしたし、

何より衣類や職について無頓着な

アイツが、自分で思うようなヒト

との橋渡しが出来るとは思えません!」

 

そうですよねぇ。素っ裸の無職が

どうやって社会的信用を得ようと

言うのか・・・

 

せめて小綺麗な服を着ているだけで、

アレ?って思わせることが出来る

でしょうに。

その程度にも気付かないから・・・

あぁ目は節穴で頭は空っぽでした。

 

コレはシカタナイと見做すべき

なんでしょうかねぇ?

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「では伯師妹はすぐに下のナマモノに

合流してレベルを上げなさい」

 

「はいっ!」

 

お仲間については色々思う所はあるけど、

師姉様と先生が動いているならソッチを

優先するのが当たり前!

私たちが下手に何かするより

絶対にいい結果になります!

 

師姉様の様子から見て、私を見捨て

るって感じでも無いですしね!

 

「・・・ソレデ俺ハ?」

 

グロスさんが見た目ニンゲンの師姉様を前に

してココまで大人しいなんて・・・

凄い違和感があるけど相手が師姉様だからなぁ。

 

西蒙の連中もこの人の前では一切虚勢を

張らないで降伏一択だったし。

 

「烏は暫くウィーネと共に私と

深層に籠り、修行と深層で生まれた

お仲間の保護をしてもらいます」

 

「修行・・・ソレニ仲間の保護デスカ」

 

グロスさん的には断る理由が無いですよね。

 

師姉様が居れば深層だって安全だし

元々お仲間の保護には人一倍熱心なヒト

ですから。

 

「えぇ一応マダオも居ますが、アレは

見た目が大きくて邪魔だし無駄に周りを

威圧するようですからね。

アレではお仲間も逃げてしまいます」

 

まったく役に立たないまだおですって

言ってますけど、魔物が見た目だけで

逃げるくらいの存在?それに大きい?

 

まだおとは一体・・・

 

「さしあたっては貴女方の身の

安全確保ですね。烏は私と共に

来なさい。伯師妹は私が連中の

目を引き付けている間に下へ

行くように」

 

「「ハイッ!」」

 

どうやって連中の目を誤魔化すか

と思ってましたが、流石師姉様!

連中とも接触済みでしたか!

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「やれやれ。ようやく一息付けるかな?」

 

18階がココまで遠いとはね。

 

「うむ。途中の水の迷都でマードゥオが

湯をはって入浴しとるのは驚いたがのぉ」

 

「だね。ブレスを吐くのは知ってたけど、

お湯を沸かすってのは予想外だよ」

 

まさか調教された魔物があそこまで自由

で応用が利くなんて思わないよねぇ。

 

エインさんにしてみたら馬を放し飼いにして

必要な時に乗るような感じなのかな?

 

うーん。そう考えたら、英雄とか

勇者には名馬が付き物だよね。

・・・僕一人だけで目立つんじゃなく

名の有る武装やそういうのでも名を

上げることが出来るのか。

 

まぁそれもこれも基本的な強さが

無ければ駄目なんだけどさ。

 

いやはや、あの人の在り方は僕の目指す勇者そのものだ。

 

英雄譚が好きなティオナが目を輝かせるのも良く分かる。

 

僕も小人族からあんな目で見られる

ようにならなきゃ駄目なんだよなぁ。

・・・目標を確認できたのは嬉しい

けど、何て高いハードルだ。

 

まず必要なの文化的視野と乗り物か?

文化的視野は経験と時間が必要だけど

乗り物はどうだろう?

 

ガネーシャファミリアから何か調教済みの

魔物を売ってもらう事は出来ないかな?

 

「とりあえずベートが戻るまでは

ココで待機じゃな。リヴェリアは

魔力回復に努めて、そこそこ回復

したら魔法を使うように言っとるが、

まぁあまり期待は出来んじゃろう」

 

「そうだね。毒妖蛆の毒は専用の

血清が必要になるような強力な毒だ。

リヴェリアの魔法は解毒の魔法では

無いから完治は難しいね」

 

それでも応急処置にはなるから

死者は今のところ出てないけど

流石に数が多いんだよな。

 

「今回は完全に上級鍛冶師が足手

まといになっとるなぁ」

 

それな。

 

「それはそうだけど、今回は状況が

状況だからシカタナイさ」

 

実際50階から一切の消耗無く

59階層に行けるなんて想定外

だったからね。

 

居残りの連中には採取させたけど

その際にも新種は出てこなかったし。

 

レヴィスにしてみれば僕たちが

59階層まで行かないと困るん

だからソレも納得ではあるけど。

 

帰りに居なかったのは、エインさんの

スキルで全滅したのかな?

それとも、あの実際に重さを感じる

くらいの圧力を受けて、本能に従って

逃げたって可能性もあるよね。

 

上級鍛冶師を率いる椿に至っては

速攻気絶させられて、目を覚ましたと

思ったらエインさんを探そうとするし。

 

装備品がアレなのはわかるけどさ、

見世物になる気は無いんだってば。

 

下手に接触して敵対とかしたら

どれだけの損害が出ることか・・・

 

「まぁの。だがこの場合帰還後

のドロップアイテムの分配は

どうなるのかの?」

 

「あ~条件としては深層のドロップ

アイテムの優先権だけど、今回は

彼らの仕事量に対して砲竜の素材が

多すぎるよね」

 

なんたって58階層の魔物がほぼ

全滅だからね。流石にこれだけの

アイテムをタダでばら撒くのは

ちょっと遠慮したい。

 

「じゃな。それに、元はと言えばあれは

エイン殿から貰った物じゃからのぉ。

ヘファイストスファミリアへ

無料配布をするのではなく、売る分を増やす

ことにして見返りを求めるのが良いと思うぞ」

 

ふむ、それもそうだね。

椿にすれば個人の心情としては

微妙になるだろうけど、契約は契約。

 

貰えるものは貰うだろうし、そもそも

希少な素材を逃がすようなことは

しないよね。

 

「で、儂としては見返りの分をエイン殿に

還元すべきじゃとおもうんじゃがのぉ?」

 

「それはそうだ」

 

もちろんエインさんをないがしろにする気はないぞ。

 

「とりあえずは素材を売ったお金で何かを

買うか、彼に素材を渡して何かを

造ってもらって、それをエインさん

の下まで運搬するかって感じかな」

 

もし向こうが何かを望んでくれればソレを

優先するくらいはしないとね。

 

「ほう、ソレは良い心がけです。

交渉の手間が省けると言うモノ」

 

「「え?!」」

 

侵入者?馬鹿な?!見張りは何をしていた?!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ゴライアスなぁ・・・こいつ等の

経験にはちょうどいいか。

 

「春姫殿が来る前に片付けろ」

 

「かしこまりました!」

「お任せください!」

「見せてもらおう、階層主の実力とやらを!」

 

・・・なんか最後のヤツが妙に

負けそうなんだが。

 

まぁいいや()

 

そん時は俺が片付けよう。

 

さて、ココまで最短距離で来たが

白兎は居なかった。

下に行ったか上で震えてるか

だろうが、上の場合はリリルカ

先輩が見つけるだろう。

死んでればヘスティアやヘルメスが

何かしらリアクションを取るだろう

から現状特に問題は無い。

 

18階層より下に行くと言うこと

も無いだろうから、コイツらは

18階層で待機。

白兎が居たら遠巻きに監視で良かろう。

 

問題は筆頭殿へのご挨拶だ。

フレイヤ様からの使者として無礼は

・・・まぁ元より許されんが、絶対に

許されん。

ソレを考えればあの同行者連中は

どうなるんだ?

 

「ぬっ!」

「ふんっ!」

「ば、馬鹿な?直撃な筈だ!」

 

 

リリルカ先輩が言うには、春姫殿は

側室として認められているそうだ。

だから春姫殿に何かがあれば連帯

責任で間違いなく処刑されるとか?

 

ならば守護するのは必然と言える。

 

麗傑に関しても問題はないらしい。

 

問題はカリフ姉妹だ。師匠との間に

子供が欲しいから許可をくれって?

その提案はシツレイじゃないのか?

 

いや、アマゾネスがそうやって許可

を貰おうとする時点で異例では

有るが、それはアマゾネスの都合。

普通に考えれば良い気分はしないよな?

 

・・・筆頭様の考える普通はわからんが、

この辺は先行して釈明しておいた方が

良さそうなんだよな。

 

「はぁぁ!」

「喰らえ!」

「当たらなければどうと言うことは無い!」

 

何でも先触れの使者?と言うらしいが

アポイントメントみたいなモノだろ?

そう言われれば納得もするさ。

 

この場合はフレイヤ様の使者ではなく

春姫殿の使者になるのだろうが、

無事に用を伝えることが第一だからな。

 

間違っても喧嘩を売りに行くわけ

ではないと考えれば、連中とは別

行動を取った方が良いか?

 

しかし師匠の奥さんだ。使者とは

いえ、男が一人でアイサツに行く

のはあの人たちの礼儀的に有り

なのか無しなのか・・・

 

「うぉぉぉ!」

「まだまだ!」

「えぇいゴライアスは化物か!」

 

・・・うるせぇな。魔物だよ。

そう言えばアイツらレベル3と4か。

普通ならギリギリの戦力だが、

何であんなに自信満々だったのやら。

 

負けることは無いだろうが

時間切れはありそうだ。

 

準備だけはしておくか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うーん。白兎君にヘルメスの

眷族に所属不明の鍛冶師かぁ」

 

「微妙よねぇ」

 

何があったか分からないけど、

いきなり18階層に転がり込んで

きてソレをアイズが見つけるって。

 

なんか作為的なモノを感じるのは私だけかしら?

 

とりあえずアキが団長に報告に

行ったから戻るまでは様子見よね?

 

鍛冶師は治療した方が良いかも

しれないけどさ。

 

「椿も呼んでおいたから、コレが

ヘファイストスファミリアの一員

なら回復させなきゃね」

 

「先生から貰った薬はもう無いから

買ってこなきゃ駄目かな?」

 

そうなのよねぇ。ポーション類は全部

使っちゃてるし。まさかリヴェリアに

魔法を使わせるわけにも行かないし。

 

「一応確保だけはしておいた方が良いかもね」

 

ヘファイストスファミリアの所属なら

後で請求すれば良いだけだし、違えば

ウチの連中に使えばいいわ。

 

「ただ問題は白兎よね」

 

コレは現在オッタルが鍛えてる

フレイヤのお気に入り。

 

コレって私たちが保護しても良いの?

 

「何気にこのヘルメスの眷族も

問題だと思うけど?」

 

そうよね。ヘルメスの意を酌んで白兎や

鍛冶師を連れ込んだ可能性もあるし。

 

かと言ってアイズにしてみたら

自分が初めて鍛えた弟子みたいな

感じだから邪険にするつもり

は無いだろうし。

 

今更元の場所に返して来なさい

って言うのもねぇ。

 

レフィーヤが妙に敵視してるから

そのまま事故ってことにして

この二人を殺ってくれないかしら?」

 

「えぇ?さ、流石にそんな事はしませんよ!」

 

あら、声に出てたかしら?

 

失敗失敗姉失敗だわ。

 

ま、こいつらはとりあえず保留ってことで

良いとして、状況確認しないとね。

上から転がり込んできたってことは

ゴライアスが出たのかしら?

 

もしそうなら、毒消しを持ってくる

ベートの邪魔になるから潰した方が

良いわよね?

 

ただ今回経験を積めなかった連中に

回す可能性もあるから、勝手な

判断は厳禁。

 

「何をするにも、まずはアキが戻って来てからね」

 

「だねー勝手に動かなきゃいけない

ような状況じゃない・・・し?」

 

ん?どうしたのかしら?ソッチは

アキが行った団長の天幕・・・え?

 

アキが倒れた!?それに、アレは黒いけど

 

「「ガーゴイル?!」」

 

いつの間に?どうやって?いや、

今はそうじゃない!あの石野郎!

団長に何をする気だっ!!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・16階層にも居ませんでしたね」

 

『・・・あぁ、17階層には女神の戦車が

向かったから、たとえ階層主が居ても彼らは

無事だろう』

 

「なら、もう私たちは要りませんよね?」

 

エマも生きてるんでしょ?

ココで帰らないと私たちが

死にますよ?

いや、素材とかイケニエって死ねるの?

 

『・・・そうだな。流石の僕でも

コチラに向けられた悪意と言うか

ナニカには気付くよ』

 

でしょうね。痴女神ですら気付いてますから

 

いや、アレは『こ、コレがダンジョンの

恐怖!ベル君はこんなところでずっと

戦ってたのか!』とか色々的外れなこと

言ってるけど。

 

怖いのは隣の集団で、白兎はキャリア

二か月にもなって無いでしょうが。

 

無理やり感動話に持って行こうと

するんじゃないわよ。

 

「言っておきますが、一度狙われたら

何をしても逃げきれません。

連中に殺る気は無いかもしれませんが、

間違いなく手と足は奪われます」

 

何度も手足って連呼してるし。

・・・確かにこの馬鹿神に悪さを

させないようにするには手足を

奪ってダンジョン内に監禁した

方が確実ですものね。

 

私に至っては共有財産とかドロップ

アイテムとか言われてるし。

 

『こ、ココまでストレートに殺りに

来るなんて、農家君の指示かな?』

 

「いえ、それはありません」

 

もし指示が出てるなら、私たちに

逃げる機会なんて与えない。

 

殺すなら即殺すし、捕まえるに

しても速攻で気絶させて頭に袋を

被せて手と足を奪えば捕獲完了よ。

 

『となると自主的に?僕は彼女らには

何もしてないよね?!彼に嫌われる

だけでココまで敵視されるの?!』

 

・・・それはそうよね。コノ馬鹿神が

色々やってるのは事実だけど、彼女

らに問答無用で襲われるようなこと

なんかして無いわよね?

 

・・・よく考えたらコチラに殺意を

向けてるのはみんな女性?

 

「一応、一応聞きますが、最近覗き

とかはしてませんよね?」

 

『・・・・・・うん』

 

おい、このヤロウ!マジか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちが殺る前に私が殺るべきじゃない!?




白兎は無事保護?されたぞ!

グロス=サンの受難は続く

セクスィメガネは混乱した!ってお話


狼さんは原作通り一人で走ってます。

持ってくるアイテムとお迎えのことを
考えたら階層主くらいは倒してあげても
良いと思うんだけど。
この辺どうなんでしょうね?


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115話

無乳ファミリアサイド

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「・・・ティオネ、なんかおかしくない?」

 

「・・・そうね。なんかおかしいわね」

 

アキが気絶したし、団長の天幕の前に

現れたからこの石野郎は敵かと思って

殺すつもりで来たけど・・・

 

「・・・正座してるよ?」

 

「・・・正座してるわね」

 

アレはどういうこと?いや、もう

なんとなくわかったけど。

 

「・・・討伐してみる?」

 

「・・・その後確実に粛清されるわよね」

 

アレ、筆頭様が調教した魔物でしょ?

だって正座してるし。普通に珍しいし。

 

「ふむ、状況把握が早くて何よりです」

 

「「筆頭様!」」

 

やっぱり!18階層に居るってのは

予想してたし、こうしてお会いする

可能性も考えてたわよ!

アキが気絶したのはアキと話す気が

無かったからでしょ?!

 

「コチラの用は済みました。細かい話は

金髪少年にしてますのでそちらに確認

してください。烏、行きますよ」

 

「・・・グルル」

 

やっぱり筆頭様が調教してた!

でもこのガーゴイル明らかに

強化種よね?それに賢過ぎない?!

 

「ティオネっ!アイサツ!」

 

あ!そ、そうだった!まずはアイサツ

しなきゃ!

 

「「オツカレサマデシタッ!」」

 

「えぇ、師の教えを受けた者として

精進を怠らないように」

 

「「ハイッ!」」

 

このヒトのインパクトは白兎なんて

目じゃないわよねぇ。

 

それに私たちが毒とかで倒れてたら

間違いなく止めを刺されてたわね・・・

 

油断慢心ダメ絶対よ!

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「布かぁ~」

 

「うむ、言われればその通りじゃ」

 

そうだよな。珍しい魔物を討伐したと

思ったらエインさんが調教した魔物でした

ってパターンもあるもんな。

 

それにマードゥオなんか、知ってても

いきなり遭遇したら絶対にパニックになるし。

 

調教済みっていう目印は必要だよね。

 

「・・・ガネーシャファミリアの許可が

必要なのって、あくまで迷宮都市で

飼育する場合だったよね?」

 

ダンジョンで飼育する分には

大丈夫って言うか、そんなの初めから

想定されてないか?

 

「確かそうじゃ。と言うか現状で

許可を出さぬと言ったところで

どうしようもなかろう」

 

だよなー。あのガーゴイルだって

強化種でレベル的には僕たちと同じ

6相当の魔物だったし。

 

アレが「烏、お座り」って言われて

大人しく正座したのを見たら、素人の

僕だって「はい。調教済みですね」

としか言えないよ。

 

でも、上層や中層ならともかく下層や

深層で咄嗟にあった魔物が調教済みか

どうかを判別できるか?って言われたら、

正直自身がない。

 

僕らだけじゃなく見敵必殺の冒険者にだって

そんな余裕は無いだろうしね。

 

その結果、エインさんが調教した魔物を

殺してエインさんに殺されるわけか。

 

いくらダンジョンに潜る冒険者は

自己責任が基本とはいえ、これは

何とかした方が良いよなぁ。

 

それに何よりエインさんがコッチに

配慮した結果だし?

無視して戦闘になっても悪いのは

配慮を無視した僕たちだ。

 

「そもそも何かを用意するべきと

話とったんじゃから、アッチから

欲しいモノを提示してくれたのは

助かったと思うべきじゃないかの?」

 

「そうだね。不要なモノを渡して

機嫌を損ねたら、借りを返すという

目的からは外れるからね」

 

ご機嫌取りと言えばそうだけど、

現在の僕たちは借りが多すぎるからね。

そういうのを清算してからじゃないと

戦闘とかは駄目だと思うんだ。

 

・・・決して、奇襲を受けて気付い

たら垂れ流しなんて目に遭うのが

怖いわけじゃないぞ。

 

「団長!ご無事ですか?介護は要りますか?!」

 

ん?ティオネか。ここで介護云々が出るって

ことはエインさんと会ったんだな?

 

しかし懐かしい感じがするねえ。

そういえばこういう娘だったよ。

 

でも何で入ってこないんだろ?

 

「特に変なうめき声とか臭いがしない

から大丈夫じゃないかなぁ?」

 

テイオナ・・・そうか、もし僕たちが

垂れ流してたら尊厳的に不味いもんね。

 

なんだかんだで気を使ってるのか。

成長は嬉しいけど、今はなんだかなー

って感じだよ。

 

「僕もガレスも大丈夫だ。見張りに

立ってた団員は大丈夫かい?」

 

むしろソッチが心配だ。

 

「ハイ!気を失ってるだけです!」

 

うん。特に問題無しだ。

その程度で文句を言ったら

エインさんとは話が出来ない。

 

・・・そもそもローブを取って本気に

なればティオネとティオナでさえ

頭を垂れる位の威が出るって言う

けどさ。近くに居るだけでヤバイだろ!

 

ローブを羽織ったままでさえ鳥肌が

立つくらいの威を感じたぞ!

 

気を抜いたら普通に跪いてた・・・

アレが本物の英雄。僕が目指す先!

 

ティオネ達の用件はわからないけど

まずはコッチを終わらせよう。

 

あの人に「この程度も出来ないのか」

なんて失望されるのは御免だ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「へぇ~」

「布ですか」

 

それに食材や洗剤ね。入浴してる

ドラゴン用の洗剤って・・・もう

本当に住んでる世界が違うわよね。

 

「そうだね。エインさんが言うには

師、つまり農家君から珍しいモノは

出来るだけ殺さないようにって

頼まれたらしい。

それで殺さないように手加減したら

魔物が命乞いしてくるんだってさ」

 

「「すごく良く分かる」」

 

元々調教って実力差を教えてなんとか

かんとかして、魔物の本能を押さえ

つけるとか言ってたもんね。

 

それに筆頭様の場合、手加減するって

言っても確実に命奪崩壊拳クラスの

攻撃を喰らうんでしょ?

 

そりゃ魔物だって降伏するわよ。

 

「それで降伏・・・調教した魔物の

目印にするために大量の布とソレを

洗う為の洗剤が欲しいって?もう

流石筆頭様としか言えないよね!」

 

ホントにねぇ。一体どれだけ調教

するつもりなんだか・・・

けど、それもこれも先生からのお願いを

叶えたいと言う一途な願い。

 

つまり女子力ね!

 

「実際に言葉を交わして分かったが

確かに彼女は英雄で王様だ。

だからこそ受けた恩はキチンと

返すべきだと思うんだ」

 

「それはそうですね」

 

踏み倒しなんかしたら踏まれて

倒された挙句に刻まれるわ。

 

「それについては私も賛成だけど、そもそも

筆頭様への引き渡しとかはどうするの?

布とか洗剤抱えて37階層まで行くの?」

 

それもあるわね。普通に考えれば

そうなんでしょうけど、それだと

手間がかかるわよね?

いや、筆頭様相手に手間をかけるのが

嫌ってわけじゃないけど!

 

「18階層に荷物を置くための場所を

用意するらしいね。そこに置いて

置けば自分たちで持っていくってさ」

 

「「なるほど」」

 

自分【たち】ってことは調教した魔物よね?

 

少し下まで持っていけば後はマードゥオの

背中に乗せて運べばいいし。

別に一回で全部運ぶ必要も無い。

 

特に珍しいモノじゃなく、普通の布なら

わざわざ盗む連中も居ないわよね。

 

流石筆頭様!

 

「そんなわけでとりあえず無事な団員を

地上にやって布と洗剤を買ってきて

もらおうと思う。

食材は後で良いらしいからね」

 

「了解です」

 

筆頭様から欲しいって言われたんだもの。

しっかり用意しないとね!

 

「それで、コチラの話はコレで

終わりじゃが、お主らは元々周辺の

見回りが任務じゃろ?何か用があって

来たのではないのか?」

 

「「あっ!」」

 

・・・ガレスに言われなかったら

そのまま地上に向かってたわ。

 

いや、だって、白兎より筆頭様でしょ?

 

アレを鍛えて大物にしたいのは

ヘルメスとかフレイヤであって

私たちじゃ無いし。

 

「えっとね、白兎君がヘルメスの

所の女の子と所属不明の鍛冶師を

連れて転がり込んで来たんだ!」

 

「「はぁ?」」

 

うん、わけがわからないですよね。

私たちも良く分かりません

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

白兎君ってベル少年だろ?それが

エマ少女とココに?

以前の演劇でレベルが上がったのか?

それともその鍛冶師の付き添いか?

 

「それで、鍛冶師については椿を

呼んでヘファイストスファミリアの

所属かどうかの確認をさせてます。

白兎と少女については応急処置だけ

してますね。

ポーションなどは使用してません」

 

「なるほど」

 

鍛冶師についてはそれで問題ない。

問題はベル少年とエマ少女か。

僕たちがココに来たタイミングに

併せて・・・って言うのは不可能だ。

 

何せエインさんが居なければ往路も

復路も、もっと時間が掛かってたからね。

 

「応急措置だけってことは、今は

2人とも待たせてるのかい?」

 

わざわざ僕たちが治療する必要も

無いけど、縁がある2人をアイズが

見殺しにするとは考え辛い。

 

「待たせてると言うか、気絶して

ますね。相当疲弊してたみたいです」

 

「あぁ、なるほどね」

 

それもそうか。つい先日までは間違いなく

レベル1でミノタウロスにまで苦戦する

ベル少年が18階層まできたんだもんな。

鍛冶師のレベルは不明だけど、疲弊する

のは当然か・・・

 

「コレはどう判断するべきだろうね?」

 

「ふむ・・・儂としても知らぬ仲では

無いから邪険にするつもりはないが、

背景が分からんことにはのぉ」

 

ガレスは保留か。背景が分からない

から何とも言えないよねぇ。

 

「私としては別に白兎に関わって

何かする必要はないと思います」

 

ティオネは放置。まぁ応急処置

だけでも十分だって感じかな?

 

「白兎君はまだしもヘルメスのところの

子はなぁー。あきらかに胡散臭いから

さっさと殺した方が良いような

気がするんだよなー」

 

ティオナの判断はベル少年は保留で

エマ少女はヘルメス関係だから下手に

ナニカサレル前に殺したほうが良いと。

 

僕個人としてはティオナに賛成だ。

2人だけならそうしてただろうね。

 

「結局は鍛冶師次第かな。もし鍛冶師が

ヘファイストスファミリアの所属で、

あの二人が何かの依頼を受けて同行して

たなら、今殺すのは流石に不味い」

 

現段階で彼女らを敵に回す気は無いからね。

 

「あーそっかー。それなら

さっさと椿に確認させよーよ」

 

「そうですね、白兎達はラウル達に

任せて、私たちは地上に行って資財

を買ってきた方が良いと思います」

 

「そうじゃの。ベートがおらん以上、

最も早く地上に行けるのはお主らじゃ。

急なこと故、量はそれほど用意できん

かもしれんが借りは少しでも早く

返した方が良いからのぉ」

 

それもそうだ。先に行って持って

くるのもあるし、向こうで買取の

指示を出して来た方がより早く

大量の布を集めることが出来る。

 

コレは貸し借りだけじゃなく、他の

冒険者の命にも関わることだから

現在命に別状がないベル少年よりも

優先すべきことだよ。

 

「じゃあ2人には手間だろうけど

地上に行って布や洗剤を集めて来て

貰えるかな?量が多いようなら

サポーターを連れて来ても良い」

 

2人が居ればサポーターの保護も問題無い。

 

「了解!」

 

「了解です。あぁ、それとなんですが」

 

「うん?」

 

何かあるのかな?

 

「白兎は何かに追われるように

18階層にやって来ました」

 

ん?あぁそういう事か

 

「ゴライアスが出たってことだよね?」

 

周期的にはそろそろだった。

 

「はい、毒消しを持ってくるベートや

私たちの戻りの事を考えたら討伐

するべきだと思いますが、団員の

経験的にはどうかなと思いまして」

 

おぉ~。やっぱり余裕があると違うよ!

全体を見ることが出来てるじゃないか。

 

「今回は団員の経験よりも確実性を取ろう。

ベートだって毒消しを抱えたままじゃ

全速力での機動は出来ないだろうし、

何より障害物はない方が良いに決まってる」

 

「了解です。では私とティオナで片付けて…」

 

「いや、僕とガレスも行こう」

 

「え?団長もですか?!」

 

いや、ガレスもだってば

 

「ふむ。たまには良いかの」

 

だよね。一刻も早く倒して地上に

向かってもらわないと。

 

だけどガレスが妙に積極的な気がする

んだよなぁ。

 

あぁそうか。ガレスも垂れ流しは嫌、か。

 

気持ちはわかるぞ。誰だって嫌だろうけど、

年齢と立場を考えたら僕らが一番ヤバイからな。

 

間近で接してみてわかった。

あの人に容赦とか遠慮は無い。

ソレが必要だと思ったら何の躊躇も

なしにぶちかましてくる人だよ!

 

「よし、さっさと殺るぞ!」

 

こんなところにいられるか。

僕は17階層に行くぞ!

 

ベル少年?ラウルとアイズに任せる!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

『グ、グォォォォォ』

 

終わったか。春姫殿が来る前にゴライアスを

片付けることが出来たのは良い意味で予想を

裏切られたな。

 

それに向こうも今回は探索じゃなくあくまで

白兎の捜索だから、いつも以上に細部まで

じっくり捜索しているんだろう。

 

それに捜索してるのは恐らく

タケミカヅチファミリアだし。

 

リリルカ先輩?救助ってのは生きてたら

助けるってだけの話だ。契約を交わした

以上真面目に探すだろうが、その捜索

結果をわざわざ連中に教えることはない。

 

つまりリリルカ先輩がココには

居ないと判断した場所も、連中は

探す必要があるわけだ。

 

その所為で探索が遅れて、白兎達が

死んでてもリリルカ先輩は構わんだろう。

「残念ながら見つけたときには死んで

ました」って報告するだけだからな。

 

そもそも冒険者が嫌いな先輩に

師匠の敵であるヘルメスの眷族

がいるパーティーの探索を任せる

のがおかしい。

 

それでも見つけたら無事に連れて帰る

くらいの事はするだろうけどな。

 

ヘルメスとヘスティアはどうするか。

師匠がいう所のギリシャだろ?

ロクデナシの神の中でもとびっきり

のロクデナシ。

 

フレイヤ様も『ロキより酷い』と

言っていたし、俺としては殺せる

ときに殺すべきだと思うんだがなぁ。

 

「勝った!」

「勝てた!」

「何故冒険者をするのかって?

他に食べる方法を知らんからさ」

 

・・・アイツは誰と会話をしてるんだ?

 

まぁいいや()

 

「よくやった。俺はこれから18階層に

白兎がいるかどうかの確認と、春姫殿と

リリルカ先輩の宿の手配に行く。

お前たちはここで休憩と装備の点検をしつつ

春姫殿を出迎えるように。俺が守っていた

土産には誰も近付けさせるなよ」

 

「「「はっ!」」」

 

こいつらに宿舎とか任せても

絶対碌なところを取らんからな。

 

前回俺とリリルカ先輩で大量の賠償金

・・・寄付をしたから、俺が行けば

奴らも良い場所を用意するだろ。

 

あとは俺たちが休息するための

キャンプ地を探す必要があるな。

 

・・・麗傑の分はどうしたものか。

アレは内縁の妻とかじゃなくただの

お気に入りの娼婦だしそもそも戦闘娼婦

だから、カリフ姉妹と一緒で良いか。

 

夜叉姫は自分で宿かキャンプか

決めればいいし、タケミカヅチ

ファミリアなんざ知らん。

 

さっさと下に降りて・・・あぁん?

ここでヒリュテ姉妹、だと?

 

「あれ?アレンさん?」

「あ、ほんとだ。どうも」

 

戦意を感じたが、俺と戦う気は無いようだな。

ならば狙いはゴライアス?

 

「あぁ、久しいな。そう言えば

遠征に出ていたか。いま帰りか?」

 

前の芝居については、触れる必要もあるまい。

 

しかし何と言うか、このタイミングで

ロキファミリアとかち合うとはな。

これがヘルメスの狙いというなら、やはり

奴は近いうちに殺さねばならん。

 

「えっとですね。帰りと言うか筆頭様絡みで

ちょっとありましてー」

 

「ティオナ、情報漏洩は不味くない?」

 

筆頭殿絡み?まぁ深層に行ったら無関係

ではないだろうが、何かあったのか?

 

「いや、漏洩って言うか、共有しないと

「連絡不足故に矯正」ってなるんじゃない?」

 

「う”っ・・・」

 

・・・有り得る。

 

「うん。僕もそう思う。だけど情報提供では

なく情報交換をしないか?君の情報も知って

おかないと、何をされるかわからないし」

 

「そうじゃな。儂らもここでお主と戦って

エイン殿に折檻をされるのはゴメンじゃ」

 

勇者に重傑か。そりゃ誰だって垂れ流しは

ゴメンだろうさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・しかしこの言い方だと、もしかして

今18階層に筆頭殿が居るのか?




ヘルメスへのカウントダウンが今、始まる!
(今更)

セクスィメガネはウス=イ本(魔導書)の
題材(素材)にされてしまうのか?!

数多の荒くれモノが住むリヴェラの町で
無力な処痴女は無事に純潔を守れるのか?!

白兎の扱いがガガがががってお話





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116話

前話の続き

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


なるほど、わかるようなわからんような。

 

「とりあえず、そちらの目的は出来るだけ

早く地上へ帰還して布と洗剤を確保する

ことなんだな?」

 

筆頭殿を待たせるのは不味いと言うのは

わかる。それにこの二人にしたら色々

借りがある相手でもあるからな。

 

「ですねー」

 

「ならばここで話してる時間も惜しい。

見ての通りゴライアスはこっちで

片付けたから急いで向かうと良いだろう」

 

全員いてもしょうがないし、さっさと

行かせた方が良さそうだ。

 

「団長、どうしましょうか?」

 

「ゴライアスがいないならそれが妥当だろうね。

よろしく頼むよ」

 

「「了解!」」

 

流石は勇者中々の決断の早さだ。

ま、これくらいはして貰わんと困るがな。

 

「それに筆頭殿が布を所望と言うなら

ウチの連中にも手伝わせよう」

 

単純に人手があった方が良いだろうし。

18階層に白兎が居るならコイツらは

不要だ。さっさと帰らせてマードゥオや

カラス?とか言う黒いガーゴイルについて

報告させた方が良いだろう。

 

・・・恐らく知性ある魔物だよな?

つーか話を聞く限り普通に知性あるよな。

それを調教の一言で済ませるのはどうなんだ?

 

いや、筆頭殿に関しては深く考えたら

負けだと言うのはわかるんだがよ。

 

「聞いた通りだ。お前らは直ちに地上へ戻り、

筆頭殿のこととヘファイストスファミリアの

ヴェルフ・クロッゾが無事に保護された事を

フレイヤ様に伝えるように。言うまでもない

ことだが、筆頭殿に関しては極秘案件の為

フレイヤ様への報告以外での他言を禁じる。

あぁ、帰りの道中でリリルカ先輩や春姫殿

と会ったら二人には報告しろ。無論救援対象

である他の連中のこともな」

 

「「「はっ」」」

 

「何度も言うが、へルメスやヘスティアは

もちろんのことタケミカヅチファミリアや

他にいる連中にも筆頭殿の情報が知られる

ことは許さん。情報の漏洩が認められた場合

フレイヤ様より厳罰が下る事を忘れるな。

では行け」

 

「「「はっ!」」」

 

さてこれで良し。最初に筆頭殿絡みの案件を

確認するためにと言って向こうに喋らせた

のは正解だったな。まさか奴等の手元に

白兎とヘルメスの眷族と所属不明の鍛冶師

という扱いでヴェルフ・クロッゾが居るとは。

 

ま、ロキファミリアの連中にしたら白兎は

フレイヤ様が目をつけてる冒険者であり、

ヘルメスの眷族とパーティーを組んでる

怪しい冒険者だ。こんな何時炎上するか

わからん厄介な火種なんざ、さっさと

こっちに引き渡したいだろうさ。

 

「なるほど、鍛冶師はヘファイストス

ファミリアのクロッゾだったのか・・・」

 

ん?勇者はクロッゾを知らなかったか。

まぁ名前は知られていても所詮レベル1の

鍛冶師だからな。顔までは知らないのが

普通ではある。

 

「確か魔剣を打てるクロッゾじゃったの。

・・・エルフ連中は引き離した方が良い

かもしれんぞ」

 

ガレスもそれくらいは知ってるか。

 

「そうだね。椿がその辺を上手く捌いて

くれれば・・・いや、僕たちもすぐに

戻ろう。リヴェリアに優先的に魔法を

使って貰ってから隔離した方が良い」

 

ん?魔法?重傷なのか?そのわりには……

あぁそうか。遠征で消耗品を失ったか。

 

「ヴェルフ・クロッゾに関しては、フレイヤ様

はあくまで友義だが、リリルカ先輩が直接

神ヘファイストスより救助要請を受けている。

よって回復が必要ならこちらで用意してある

ポーションを使ってくれ」

 

死んでたら諦めるが、生きてるなら責任を

持って持ち帰るだろうからな。

 

「それはありがたい。じゃあとりあえず下に

行くから、移動がてらそっちの事情も聞か

せて貰えるかな?」

 

「ふむ。しかたあるまい」

 

さて、どこまで話たモノやら。筆頭殿が

師匠の公認の正妻だって話はコイツらに

しても良いモノなのかね?

いや、まぁ春姫殿とカリフ姉妹が来れば

バレる話では有るんだが。

・・・俺もソレで気付いたしなぁ。

 

――――――――――――――――――――

 

「(# ゜Д゜)」

 

「いや、そんな「余計なことを」みたいな顔されてもねぇ」

 

下からティオナさんとティオネさんが来た

から先行して接触してみたら、筆頭様の

情報だけじゃなく白兎の保護までしてた

情報をもらった件について。

 

「そうだよ!別に好きで保護したわけじゃないんだしさ!」

 

それは確かにそうでしょうけどね?

折角引き延ばして時間稼いでたのに、

ここに来て白兎の生存情報って。

 

筆頭様の情報だけで十分ですよ!

 

「いや、そっちにしても面倒事の種だから

さっさと引き取れって言うのはわかるん

ですけどね」

 

特にヘルメスの眷族が。

 

「うん。否定はしないわ」

 

「だね。正直白兎君より筆頭様だし」

 

気持ちは良くわかりますよ!しかしまさか

18階層に筆頭様が居るなんて予想外です!

 

「・・・てゆーかアンタ、何でヘルメスなんか

連れてきたのよ?普通に矯正されるわよ?」

 

「勝手についてきたんですよ!」

 

これじゃあ明らかにリリが怒られますよね!

「敵とじゃれあうな。故に矯正」的な感じで

殺られますよね?!

 

「今からでも殺ったら良いんじゃないの?」

 

「・・・ギルドからは生かして連れて帰る

ように言われてるんです」

 

失敗でしたかねぇ。いや、黙認したのが

バレたら罰金ですし、先生の獲物を勝手に

収穫するわけにも行かないし。

 

「なるほど、罰金狙いか。それはわかった

けどなんでヤツらまで来てるのよ?」

 

ヤツら?あぁ痴女姉妹ですかね?

 

「久しぶりではあるけど、今は話とか戦闘を

してる余裕なんか無いからねー。襲いかか

ってきたらリリルカさんが止めてよー?」

 

「えぇ、それは勿論です。ですがその心配はありませんよ」

 

アマゾネス同士で何かあるかもって思って

ましたけど、やはり知り合い。しかも戦う

ような間柄でしたか。

 

しかし今回は戦いにはならないでしょう。

 

「へぇ?自信が有るみたいね?」

 

そりゃそうです。アイツらの目的を考えたら

すぐ下に主目的である筆頭様が居るのに

わざわざここで汚れるような真似をする

はずがありません。

 

もしもソレをヤったら、上着まで

着込んできた意味が有りませんからね。

 

それにこの二人は筆頭様の為に動いてる最中。

つまり邪魔をしたら印象を悪くすることに

なりますからね。

 

「こっちにも色々と事情がありましてね。

とりあえず情報ありがとうございます」

 

知らなかったら18階層を素通りしてたかも

しれませんでした。そうなったら無駄足

ですからねー。

 

「えぇ。私たちは地上へ戻って布と洗剤を

用意してから来るから二日か三日はかかる

と思うわ。まずは一回目の受け渡しだから

筆頭様も18階層で待ってると思う」

 

なるほど。洗剤良くわかりませんが布は

知性ある魔物用ですよね。

普通なら魔物に服なんか着せないので

しょうが何せ先生からの依頼ですからね。

自分が保護した魔物を、調教したと言う

扱いで認知させ、自然に保護すべき魔物で

あるとロキファミリアに認識させましたか。

 

そりゃ、魔物が小綺麗な服を着てたら誰でも

「あれ?」ってなりますよ。

 

流石の知恵ですよねぇ。しかも調教の仕方

に一切違和感が無いってどうなんですかね?

 

手加減したら魔物が命乞いって・・・もう

「流石筆頭様」としか言いようがありません。

 

「了解です。とりあえずの返礼として、

深層まで行くと思って用意してた回復薬や

毒消しをロキファミリアさんに寄贈しますよ」

 

ここまでで良いなら残りは荷物にしか

なりませんからね。

先生の毒消しなら毒妖蛆の毒程度普通に

治療出来ますし、恩を売っておきましょう

 

「あーそれは助かるね!毒とはいえ仲間が

無様な姿を晒してるところを見せたくないし!」

 

ですよねー

 

「そうねぇ。しかも毒に掛かってるのって

ヘファイストスファミリアの上級鍛冶師

が多いから、邪険にも出来ないのよね」

 

お客さんですからねー。ロキファミリアの

連中を「情けない!」って叱ったら鍛冶師の

立場がないですもんね。

 

「ま、リリにしても上級鍛冶師を助けるのは

ヘファイストス様の手前悪くはありませんし」

 

恩は売れるときに売るんですよー。

もちろん最高値で(ФωФ)

 

冒険者を助ける鍛冶師なんか死ねば良いの

ですが、今回は許してやりますよ!

 

「それで良いわよ。お互いが得してるんだし。

じゃ、こっちも急ぎだからそろそろ行かせて

もらうわ。お薬宜しくね」

 

「アルガナとバーチェにも宜しく言って

おいて貰えると助かるよー」

 

あぁ、後から面倒事になりますからね。

 

「ちゃんと伝えておきますよー。

あぁそうだ。上に行くならアッチから行けば

我々のパーティーとはかち合いませんから

少し遠回りですけど結果的には時間短縮に

なると思いますよ」

 

「あら、その情報はありがたいわね」

 

「おぉー流石リリルカさん。そんじゃ

宜しくねー」

 

「オタッシャデー( ・ω・)ノ」

 

ふふふ、良い情報が手に入りましたよ!

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「( ・∇・)♪」

 

「いきなり先行して行ったと思ったら妙に

上機嫌ですね?何ですか?何か貴重な

アイテムでも手に入りましたか?

それならお土産にするからよこせ」

 

何寝言をほざいてるんですかねぇ?

お前はコレから地獄に落ちるんですよ?

 

あぁ、その前に連中に最後の機会を与えて

やりましょうかね。

 

「春姫さ~ん。情報ですよ~(* ̄∇ ̄)ノ」

 

「えっ?私は無視?!」

 

お前は虫ですよ。お邪魔虫!

 

「ほぇ?情報ですか?」

 

まずは捜し物からです。邪魔者がいたら

筆頭様も気分が悪いでしょうからねぇ。

 

―――――――――――――――――

 

 

「アスフィ殿っ!一大事でござる!」

 

「な、なに?!とうとう動くの?!」

 

これまであっちの連中に張り付いてた

(繚藍から離れられなかった)絶†影が

飛び込んでくるくらいの一大事って何?!

 

「ベル殿一行が18階層にてロキファミリア

に保護されたそうです!三人とも命に別状

は無いとのことでござる!」

 

「なんですって?!」

 

『『な、なんだってー?!』』

 

ソレが本当なら・・・助かるわっ!

 

『命君!ソレは確かな情報なのかい?!』

 

そ、そうよ。痴女神に従うのは癪だけど

情報の真偽を確認しないと!

 

「何かを察知したリリルカ殿が、先行した

先でロキファミリアの大切断と怒蛇に遭遇

したそうです!」

 

何かを察知した?気配的な何かってこと? 

それに、ここでロキファミリア?なんか

タイミング良すぎない?

 

「・・・ここであの二人に?遠征の帰り

だとして、他のメンバーは?」

 

どういうこと?普通なら中層は二軍

の連中を前に出して経験を積ませてる

んじゃなかったっけ?

 

「え~何でも遠征の帰還中、下層で毒妖蛭?

の大量発生に見舞われたらしくて、

ヘファイストスファミリアの鍛冶師達が

特殊な毒を受けて苦しんでいるとか」

 

「あぁ、なるほど。毒妖蛭の毒か」

 

あの毒は普通の毒消しじゃ対応出来ないから

先行して地上へ戻って、専用の毒消しを

買い漁るつもりか。

 

それなら敏捷が高いであろうレベル6の二人が動くのもわかる。

 

つまり本当にベルクラネル達は保護されてる!

 

「ヘルメス様!」

 

まさかこの状況で18階層に行くなんて

言わないわよね?私は帰りますよ!

 

『わかっているさ!流石に今回は洒落になら

ないからね!さっさと帰るぞ!』

 

よし、それで良いのよ!今なら先行した二人

を追う形で馬鹿神一人なら抱えていける!

 

『「はぁ?!」』

 

「何よ、未完の少年達が無事ならそれで

良いでしょ?帰りだって私たちと一緒

よりは、ロキファミリアと一緒の方が

安全だし」

 

普通なら見捨てられるだろうけど、

今回はヴェルフ・クロッゾがいるからね。

 

ヘファイストスファミリアの鍛冶師を

見捨てたりはしないだろうし、何より

紅魔は神ヘファイストスと直々に契約を

交わしてるから!

 

「しかし、18階層には貴女方のご同輩がいるのでは?」

 

ぐっ、痛いところを突いてくるわね!

 

『いやいや、僕としては眷族を大っぴらに

特別扱い出来ないからさ』

 

さすが馬鹿神!屁理屈言わせたら迷宮都市

でも勝てるヤツは居ないわ!

乗るしか無い!このビックウェーブにっ!

 

「そ、そうよ!差別になっちゃうから駄目

なのよ!本人の為にもならないし。

あくまで陰からサポートするだけなの!」

 

実際自分が特別扱いされてるって思うと

駄目になるからね!

 

『いや、けど今から戻るのかい?聞く

ところによると18階層は安全地帯で

街まで有るって言うじゃないか?

アスフィ君だって疲れてるだろうし、少し

休ませてあげたらどうだい?』

 

この処痴女神が知ったような口をっ!

ここで少し休んだらそのまま目覚めること

なくオダブツよ!素材にされちゃうわよっ!

 

『ヘスティア。眷族に指示を出すのは

主神の仕事で僕の判断は帰還だ。君は君の

主観で僕たちの『戻る』という判断の邪魔

をする気かい?』

 

そうよそうよ!そもそもコイツに意見なんか

言う権利は無いんだから、黙ってなさいよ!

 

『い、いや、そんなこと言う気はないけどさ!』

 

だったら黙ってろ!ていうかそのまま寝てろ!

  

『なら黙っててくれ。別に君も無理やり

連れて帰るって言ってるわけじゃ無い。

君は君で好きにやれば良いさ』

 

「ですね。先ほども言いましたが戻りに

関してはロキファミリアが居ます。

未完の少年を保護してくれているなら

ヘスティア様も無下にはされないでしょう」

 

ギルドに帰ったら間違いなく捕まって

差し出されることになるだろうけど、ね。

 

『な、なるほど。確かにベル君は無事

みたいだし、ここまで運んで貰っただけ

でも十分だよね・・・』

 

よし、コイツも納得したし!私は帰還に

備えて馬鹿神の身を隠す装備を準備して

おかないと!

 

―――――――――――――――――――

 

ほほぅ。ヘルメスは帰ることにしましたか。

ま、帰るならさっさと帰れば良いですよ。

ギルドをどう騙すか知りませんが、何か

手が有るようですしねぇ。

 

しかしリリはどうしたもんですかね?

 

そもそも今回リリは筆頭様に用があるってわけ

じゃないんですよね。

リリとしてはヘファイストス様の眷族の無事を

確認できたから、このまま帰ってヘルメスと

痴女眼鏡を見張りつつ、地上付近で気絶させて

ギルドに差し出せば、褒賞金も出るし、先生の

敵を苦しめることも出来ますから、そっちを

選ぶべきじゃないかなぁって思うんですよ。

 

筆頭に挨拶が無いのも、先生の為に動きました!

と言えば、むしろ褒めてくれますよね?

 

ふむぅ……(ФωФ)

 

よし、帰りましょう!春姫さんの護衛もこの

面子で18階層なら別にリリが居る必要は無い

ですし!

 

そもそも護衛はアイシャさんや痴女姉妹に

アレンさんの仕事ですからね!

 

「ナァーザさん。リリはここで帰ります」

 

「えぇ?!いきなりどうしたんですか?」

 

「いや、どうやらヘルメスが逃げるみたい

ですから・・・・・・」

 

――――――――――――――――

 

カクカクシカジカ(゜-゜)(。_。)

 

まるまるうまうま(゜-゜)(。_。)

 

――――――――――――――――

 

「なるほど、確かに撤退するヘルメスを追い

込むならリリルカ=サンのアンブッシュが

有効ですね」

 

アンブッシュがわかりませんが、奇襲が

有効なのは事実ですね。

 

「そう言うことです。筆頭様にお会いしたら

リリはこう言う事情で挨拶出来なかったん

ですよーって伝えてもらえませんか?」

 

何も言わなかったら矯正されちゃう

かも知れませんからね!

 

「あ~了解です。先生の敵を苦しめることを

優先したって伝えておきますよ」

 

良し!コレで面倒事からは避けられますね!

 

筆頭様の保護した魔物についても、先生に

伝えておいたほうが良いでしょう。

 

詳しい内容はナァーザさんや春姫さんが

帰ってきてから聞けば良いですから、

リリはヘルメスを潰しつつ、先生に第一報を

届けて褒めてもらいますよ!

 

 

 

・・・そもそも先生は痴女姉妹が筆頭様に

挨拶しに来てるって知ってるんですかね?

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はわっ、はわわわわわ!せ、正妻が!いや、

正妻=サンが18階層に居るですって?!」

 

予想外にも程があるっ!?お土産は?

服は?!それにリリルカは帰る?ナンデ?!

 

「リリにも色々あるんですよ。お薬とかは

ナァーザさんに頼んでおいたんで、お前は

特にすることはありません。

いや、無様な格好を晒して筆頭様からの

評価を落とせば良いのですyo (σ≧▽≦)σ」

 

くっ!こいつ、楽しんでやがるっ!

 

「いや、まって、何か、何かないの?ほら

私たちって何だかんだで付き合いが長い

・・・そう、友達でしょう!」

 

有るわよね!そう、ユウジョウが!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(´・ω・`)凸」

 




セクスィメガネ、地獄の口から脱出。
だがしかし、後ろのリリルカに気付かない
限りダンジョンからの脱出は出来ないもよう。

リリルカ、ちゃんとギルドと鍛冶神からの
依頼を達成するつもりである。

エロフ、焦るってお話。

タケミカヅチファミリア?
今さら元凶のレベル1とか2に発言権が
あるとでも?力こそが正義なんだぜぃ?


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117話

散々引っ張ってようやく18階層!

登場人物多すぎっ!


オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


なになに?ことの発端はベル少年達に怪物

進呈をしたことに責任を感じたタケミカヅチ

ファミリアの絶†影とか言う冒険者が友人の

繚藍に救助の手助けを要請したこと?

 

いや、それなら最初から怪物進呈なんか

するなよ。

したならその罪悪感を抱えたままで冒険者

をするか冒険者を止めるかを決めるべき

じゃないか?

後になって不安になり、後味が悪いから救助を

手伝ってくれって・・・冒険者辞めろよ。

 

それとベル少年が一日経っても帰って来なかった

ことに対して不安を抱いて、無駄に焦った神

ヘスティアがギルドとナァーザにベル少年の救助

を依頼した?

 

いや、一日くらいでガタガタ抜かすな。

まぁ最初で唯一の眷族だから拘るのは

わかるけどさ。だけどそれがよりにも

よってフレイヤのお気に入りでヘルメス

が主人公にしたがってて、ウチのアイズに

弟子入りして鍛えて貰ったベル少年かよ。

 

既に突っ込みどころが多すぎて、もう

なにがなんだか・・・

 

その後、繚藍は要請に快く応じイシュタルに

その旨を伝えたところ、イシュタルは最近

物騒だからと言う理由で護衛を用意した。

 

本来は麗傑とフレイヤファミリア所属で

レベル4の繚藍の弟子を護衛につけるつもり

だったが、偶然香辛料と野菜を買いに来ていた

テルスキュラのカリフ姉妹がダンジョン探索

に興味を示したためコレに便乗。

 

ちなみにアレンはフレイヤからの指示で

ヘファイストスファミリアの鍛冶師である

クロッゾの救援とついでに繚藍の護衛

として参加。かわりに元々予定されてた

弟子は今回は待機になった。

 

(そもそも絶†影が繚藍に協力要請をした

とき、繚藍の弟子が話を聞いてたらしいね)

 

ついでにベル少年達を助けるために救助隊が

編成された。メンバーはヘルメスと万能者。

タケミカヅチファミリアにナァーザともう一人

援軍を加えて現在中層を捜索中。

 

それでリリルカさんはベル少年の救助を

依頼された側らしいけど、ベル少年より

繚藍に何かあったら困るから繚藍のそば

に居るわけか。

 

さらに何故かベル少年の主神である

ヘスティアまで便乗してダンジョンに

潜ってる?

 

コイツらなにしてんの?

 

・・・うん。とりあえずヘルメスは殺そうか?

 

――――――――――――――――――――

 

「いや、もうわけがわからないね。

ナァーザが来たらお茶を買いたいん

だけど持ってきてるかな?」

 

冷たいのを一気飲みしたい。

 

「知るか」

 

つ、冷たいなぁ。確かに元々僕たちは仲良く

お話するような間柄では無いけどさぁ。

 

しかし胃薬くらいは持ってきてくれてると信じたい。

 

「だけど、ヘスティアはともかくヘルメス

はなんで殺して無いんだい?君たちにとって

も邪魔な存在だと思うんだけど?」

 

ヘスティアはロキの知り合いらしいし

積極的に殺したいとは思わないけど、

ヘルメスは生かす理由がない。

 

今まで散々悪巧みしてきた実績があるし、

最近では都市外でゼウスやら何やらと

コンタクトを取ってるっぽいし。

 

僕たちやフレイヤファミリアにしたら

存在自体が殺すべき害悪だよね。

 

「・・・それか。リリルカ先輩がギルドから

「ヤツは生かして連れて帰って来るように」と

依頼を受けたらしくてな」

 

ギルドからの依頼?悪巧み仲間を殺させない

ためにウラノスが手を回したか?

それともロイマンあたりが罰金狙いで?

 

「生きてるだけで良いらしいから、両手

両足を奪って歯とかも全部叩き折り、金庫

に入れてギルドに差し出す予定らしい」

 

「なるほど、ソレから農家くんの指示を

仰いで、殺すか放置かを決めるわけか」

 

更に罰金も取ってるし、最後まで搾り取る気

だな?流石はリリルカさん。容赦ないけど、

神相手にはソレくらいしないとダメなのは

闇派閥と戦ってきた僕たちが良く知っている。

 

「ちなみに万能者はどうするんだい?」

 

普通なら激しい抵抗をしそうだけどそれ

だけの面子が居たらどうしようもないよね。

 

「今のところサツガイ予定だが、その前に

どうするかはわからんな」

 

その前?あぁ、神秘持ちだからね。

ヘルメスを神質にして延々とアイテムを

作らせたりするのかな?

 

もしヘルメスが今さらゼウスやヘラの復権を

狙っているなら奴等は立派な闇派閥。

 

骨の髄まで使ってから殺すのは何も間違ってない。

 

「ならウチもヘルメスを発見次第捕縛する

ように団員に指示を出しておこう」

 

ヘルメスが面白半分でエインさんに絡んでも

面倒だし、万が一水浴びを覗くなんてしたら

普通に18階層から上が消えるからな!

 

「そうしてくれると助かる。とりあえず俺は

リヴィラに行って春姫殿とリリルカ先輩の

宿の確保に動く。そのあとで筆頭殿に挨拶

したいから、筆頭殿が用意すると言う布の

保管場所を教えて貰えるか?」

 

あぁ、彼の立場ならアイサツしないと

不味いよな。

邪魔したら僕たちまで怒られそうだし。

 

「了解した。ただ、細かい場所はまだ聞いて

ないんだ。大まかな場所は教えるから、

エインさんに会う気が有ればあっちから

接触してくると思うよ?」

 

これは情報の漏洩になるのか?いや、

あくまでエインさんの教えを受けた

彼がアイサツに行くだけだし!

しかも布や洗剤も用意してくれるから、

きちんとした場所は知らないと駄目だよね!

 

「ふむ。それもそうだな。接触してこない

場合は寝てたりしてる可能性もある、か。

とりあえず騒がしくない程度に動くとしよう」

 

このフレイヤ第一主義にしてレベル7に到達

したアレンにここまで気を使わせるなんて。

 

やっぱりエインさんは凄いよなぁ。

 

――――――――――――――――

 

 

ヘルメスが逃げ、リリルカがソレを追い、

ヘスティアとタケミカヅチファミリアが

寂しそうな目でこちらを伺ってますが・・・

 

「ナァーザ。連中のフォローはしなくて

良いのですか?」

 

この中で奴等とまともな接点があるのは

貴女だけでしょう?

 

「いや、ヘルメスに頼まれたのは貴女もでしょう?」

 

ふっ、そのヘルメスは依頼は達成された

と判断して地上へ逃げましたし、そも

そも私が依頼されたのはヘルメスではなく

灰色です。

 

「私はベル・クラネルの無事が確認できた

時点で任務完了してますからね。連中の

帰路を守るのは貴女の仕事でしょう?」

 

実際レベル2が二人とレベル1が一人で

来るような階層でもありません。

ロキファミリアもコイツらを守る理由が

ありませんからね。

 

下手したらまた帰りに違うパーティに

怪物進呈しますよ?

 

「いや、正確には私ではなく春姫さんです。

ヘスティア様は守る必要があるでしょう

けど、そっちはベルがロキファミリアに

保護されていると言うことですから特に

問題はありませんね」

 

・・・そう言えばそうでした。

 

絶†影があまりにもアレだから忘れがち

ですが、あくまで我々はついでであって、

メインは眷族の救助を依頼した痴女神と

泥棒狐に護衛を依頼した、タケミカヅチ

ファミリアなんですよね。

 

「しかしそうなると正妻さんのことが

タケミカヅチファミリアにバレるのでは?」

 

基本的に彼は情報の漏洩を嫌いますし、

その内容が正妻さんでしょう?

 

「そうなんですよねぇ。春姫さんもエイン

さんにご挨拶する必要がありますから、

先に帰るとかはできません。

そうなると絶†影が春姫さんの側に居ること

になります。・・・私としても彼らをなんと

かしてロキファミリアに預けたいんですよ」

 

ふむ、ナァーザも色々考えてますね

 

「連中は毒妖蛆の毒に犯されてるそうですが、

対応出来る薬を作れたりしないのですか?」

 

レベル4の薬師なんてナァーザくらい

しか居ませんからね。噂のアミッドみたいな

特殊な回復魔法みたいに、特殊な調合とかは

無いんですかね?

 

「私も以前に深層でエインさんや先生と

籠ってましたからね。調合もできますし

今持っている毒消しも普通に毒妖蛆の

毒くらいなら消せますよ」

 

「・・・ならばそれと交換で良いのでは?」

 

普通に十分な条件だと思うんですけど。

 

なんなら毒で苦しむ連中を前にして

「お荷物を抱えるのと苦しむの、

どっちが良い?」と言いながら薬瓶を

揺らすくらいしても良いと思いますよ?

 

なんたってロキファミリアには当時

散々邪魔されましたからね。

・・・闇派閥とは関係ないところも

潰した私が悪いんですけど。

 

「んーリリルカさんから恩を売りたいから

可能なら無料配布をして欲しいって頼まれ

てるんですよね」

 

リリルカめっ、余計なことをしやがる!

 

「・・・それなら無料は九個までとかは

駄目ですかね?」

 

伝説の謙虚な騎士は九個で良いって

言葉を言い残しています。連中の中には

エルフの九魔姫やその取り巻きも多数

居ますから当然この話も知ってるはず・・・

まさか【九】魔姫と言うのはそう言うことか?

 

実は十二の魔法が使える?

 

あぁいや、今はソレはどうでも良いです。

タケミカヅチファミリアをどうするか

なんですよ。

 

「あ~確かに私は薬師ですから無料配布

ではなく有料での販売が普通ですし、

一般には貴重な毒消しですからね。

個数制限は悪くないアイディアです」

 

ですよね。それに貧乏神が真面目にポーション

を造るようになったらしいですからね。

ロキファミリアもナァーザが真面目に商売を

しようとしてるのを邪魔はしないでしょう。

 

「では、その方向で春姫さんと話をして

みますよ。ただ・・・」

 

「ん?なんですか?」

 

私を見てそんな風に言われると流石に

不安になるのですけど?

 

「いや、私がロキファミリアに薬を処方する

ことになれば、誰がリューさんをエインさん

に紹介するのかなぁ?って思いまして」

 

 

 

・・・リリルカめ!逃げやがったなっ!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「ふむぅ。確かに正妻様は見世物ではありませんね!」

 

そんなことになれば、いくらお優しい正妻様

でも春姫を許してはくれませんよ!

 

「そうなんですよ。ロキファミリアは

既に接触してるみたいですけど、先生の

正妻さんって扱いは知らないみたいだし」

 

むぅ。そうなればなおさら桜花様達とは

別行動をしなくてはなりません。

 

何せ情報漏洩は処刑案件ですからね!

 

ん~だけどどうしますかね?

私たちは深層に行くと言っても、肝心の

正妻様が18階層に居ると言うのであれば

別行動も不自然ですよねぇ。

 

そうなると白兎さんと合流させてさっさと

地上へ返すべきなのでしょうけど、では

皆様が地上へ帰還するまで正妻様をお待たせ

することになるんですか?

 

いや、正妻様はお優しい方ですから

そのくらいは笑って許しては下さるで

しょうけど・・・

 

いやいや、やっぱりダメです!そんなの

内縁の妻としてありえません!

 

私と命様のユウジョウより正妻様の御都合を

優先するのは当然のことです!

 

「とりあえず18階層に着いたら春姫たちは

即座に別行動を取ります。ナァーザさんは

タケミカヅチファミリアの皆様と一緒にロキ

ファミリアの皆さんと接触をお願いたいの

ですがよろしいでしょうか?」

 

ダメと言われたら・・・アイシャ様にお願い

して運んで貰いますか?でもアイシャ様も

正妻様へご挨拶しないとダメですよね?

 

「了解です。そのあとはベルたちと合流

して、出来るだけ早く撤収しますね」

 

良し、大丈夫でした!ナァーザさんには気を

使わせてしまい申し訳ありませんが、

そもそも地上にアレが単独で居ますからね。

 

彼女としても早く戻れるならそれに越した

ことはないと思うんです。

 

「そうですね。お手数をお掛けしますが、

ナァーザさんの為にもなりますし。

少なくとも正妻様がお休みの場所に彼らを

近付かせるような真似は慎まねばなりません!」

 

旦那様以外の男性を近付けるなど、正妻様と

旦那様のお二人に対する裏切りです!

 

宿とか取ってるのでしょうか?それとも

安全地帯を改良して過ごしやすい場所を

お作りなのでしょうか?

 

ふむぅ。場合によっては謁見するための

場を整えねばなりませんよね!

何せ急に押し掛ける形となってしまった

のですから。

 

う~ん。う~ん。あまりにも準備不足ですよねぇ。

 

「それでその、一つお願いがありまして・・・」

 

ほぇ?この流れでお願いですか?

なんでしょうかねぇ?

 

――――――――――――――――――

 

 

金髪少年が18階層に戻って来たかと

思えば、一緒に居るのは樽だけでなく、

猫耳ではありませんか?

 

ふむ。力はレベル7相当ですが、まだ

慣熟訓練は済ませてませんね?

 

それでもやはりレベルが2つ離れれば

技を潰されてしまいます。

伯師妹のレベルアップが間に合えば良いの

ですが・・・

 

今は最低限この烏と伯師妹とマダオの分の

布が有れば良いのですが、実際マダオには

どれだけの布が必要なんですかね?

 

調教した魔物を見てきた褐色姉妹ならその

辺の常識も理解してるとは思いますが。

 

・・・と言うかこの体の奥底から来る

イラつきはなんですかね?

 

烏も何かに耐えているような感じがしますし。

 

「烏。我々の本能が敵と見なす存在に

心当たりは有りますか?」

 

「・・・神ダト思イマス」

 

ふむ、神か。確かに魔物が冒険者に対して

本能的な殺意を抱くのは神の恩恵が関係

しているとのことでしたが、それなら

調教済みの魔物の存在に矛盾が生じます。

 

しかしこの問答無用の不快感を野生の魔物

が抑えられるとは思えません。

 

違いは・・・ダンジョン内だから?

 

空気の澱みと言うか、そう言うのが本能を刺激する?

 

これは旦那様にご報告する必要がありますね。

 

と言うより、さっさと17階層を消し

飛ばしたいのですが。

 

別に神に知り合いは居ませんし、犬の気配も

感じますけど、アレは旦那様に迷惑を掛ける

クズの下僕。

 

何人かいるが纏めて殺るか?いや、待て、

微かに感じるこの気配は・・・狐殿?

 

何故?いや、狐殿には狐殿の事情があって

ダンジョンに潜ることは有るでしょう。

そして猫耳が狐殿の護衛として来たなら

話は繋がりますが・・・この不快な気配は?

 

狐殿とコレを一緒にしてきただと?

 

猫耳には聞かねばならないことが出来ましたね。

 

金髪少年とは別行動を取るようですし。これは丁度良い。

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

ナニかとてつもなく強大な敵の気配がする。

 

本能は逃げろ!と伝えているが、ここで

逃げたらもっと悲惨な目に遭うんだろ?

 

俺は詳しいんだ!

 

「ふむ、覚悟が決まってるようで何より。

わざわざ追う手間が省けます」

 

や、やはり筆頭殿かっ!レベル7になっても

微塵も勝てる気がしないっ!!

しかもなんか怒ってないか?手間が省ける

って何だ!俺はまだ何もしてないぞっ!

 

「さて、猫耳。単刀直入に聞こう。貴様は

狐殿と一緒にナニを連れてきた?」

 

き、狐殿?春姫殿だよな?

 

「え?あ、いや・・・」

 

一緒に来た連中と言えば麗傑とカリフ姉妹?

やっぱり奴等はシツレイだったのか?!

 

「・・・質問に答える気は無い、と?」

 

「ち、違います!何故か居たんです!私は何も

知らなかったんデグレチャフっ!」

 

 

 

 

「烏、運びなさい」

 

「・・・ぐるぅぅ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イイワケハジゴクデキコウ




勘違いになるのかならないのか

エロフはどうなる?

猫耳が行方不明だとっ?!

魔物の本能なのかダンジョンの本能
なのかってお話


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118話

前話の続きだっ!

そろそろ構想の練り直しのために
どっちかの投稿休むかも?

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「ほほう。それでは狐殿は娼婦の

アイシャとやらを連れてのアイサツが

目的で、その他に同行しているカリフ

姉妹とやらが師の子が欲しいので、その

許可を求めて私に会いに来たと?」

 

「はっ!その通りです!スミマセンデシタ!」

 

何に謝っているのかは知りませんが・・・

 

狐殿に対しては態々御足労頂いたのです。

何かしらの返礼は必要でしょうが、何か

私に出来ることはありますかね?

これに関しては狐殿に直接聞くべきでしょう。

 

アイシャと言う娼婦にしても、狐殿の

恩人で古くから旦那様と関係があると

言うなら、認めるも認めないもありません。

 

彼女のような存在があればこそ、旦那様

も独身のままで、私を正妻として迎えて

くれたのです。

 

それにカリフ姉妹、ですか。生まれる子は

必ずアマゾネスとかいう痴女になる

らしいですが、それでも旦那様の子を

産めることに違いはありません。

 

旦那様の子については懸念事項でしたからね。

 

わざわざダンジョンにいる私にアイサツに

来てその許可を求めるなら、余程アレで

ない限り異論はありませんよ。

 

無論品性や人格などの確認もしますし、

子の教育環境についても話し合う必要が

有りそうですが、そもそもそう言うのは

旦那様が決める事ですし。

 

ただ、子に関しては私の許可が有った方が

旦那様も認めやすいと言うのはありますよね。

 

なんと言っても私は旦那様が自分自身で

お認めになった正妻です。

 

正妻を差し置いて子供を産ませるなど普通

なら控えるべきことですから。

 

順番や時期なども気を使うことでしょう。

 

本来ならばそれを纏めるのが正妻としての

務めではありますが・・・私はこのような体

ですし、ダンジョン内での任務も有ります。

 

こちらの任務は私が直接旦那様に依頼された

モノ。私にしか出来ませんし、させませんよ。

 

それでは奥に関しては狐殿にお願いするしか

無いのでしょうか?しかし内縁の妻とは言え

娼婦と言う立場では・・・せめて身請けが

出来れば良かったのですがねぇ。

 

それとも狐殿の主神であるイシュタルとか

言う神が管理しますか?いや、話を聞く限り

では、そのイシュタルも娼婦に近い立場です。

 

そうなると後は、旦那様と契約を交わしている

神に頼むことになりますか?

 

それなら私も納得出来ますが、そもそも神

が一人の眷族の奥を管理することが有るの

でしょうか?

 

あぁ少し考えが飛びました。今は子に関して

ですよね。実際種族的に痴女が多くても、

育て方さえ間違わなければ痴女にはなりません

よね?実際ネコモドキは淫獣母娘みたいには

ならなかったし。

 

ですがあくまで希望的観測に過ぎません。

ここでいくら考えても答えは出ないんです。

 

とりあえずは本人たちと言葉を交わしてから

判断するしかない、か。

あとは旦那様にお任せしましょう。

 

とりあえず、狐殿たちに関しては良し。

 

次は神を含む屑どもです。

 

「ではその他の足手まといと神は

何ですか?明らかに邪魔でしょう?」

 

これがわからないんですよね。何故わざわざ

足手まといを抱えて狐殿を危険に晒すのです?

死にたいんですね?今から死にますか?」

 

猫耳の落ちる地獄はどこだろうなぁ?

 

「も、申し訳ございません!ただ私は

あくまで春姫殿の護衛でしてっ!

向こうの人員に関しては、リリルカ先輩が

ギルドから殺さないようにと依頼を受けて

いるようでしたっ!」

 

ほう。ただでさえ師の敵であるヘルメス

をギルドの依頼で守ると・・・

 

これはリリルカによる裏切りですね?

ならばその先に何があるかをその身に

教えねばなりません。

あくまで猫耳が嘘を吐いて居なければと

言う前提があっての話ですが。

 

「しかし上にいる集団にリリルカはいない

ようですが・・・何かありましたか?」

 

「えっリリルカ先輩がいない?!」

 

ふむ、この反応は嘘では無さそうですね。

 

それに神はヘルメスとヘスティアの二匹

がいるとの事ですが、どう探っても神の

気配は一匹分しかありません。

それも大きさ的に・・・恐らく女ですよね?

 

ならコレはヘルメスではなくヘスティアか。

 

一個上の階層程度ならこの不快な気配を

読めないということは無いですし、隠蔽

している様子もない。

 

コレは何かあって二手に別れたか?

 

まぁいいや()

 

狐殿が無事なようですから狐殿に聞けばわかりますよね。

 

とりあえずこの猫耳には狐殿の分の宿を

取らせましょう。まさか宿があるのに

野宿などさせるわけにもいきません。

料金は・・・以前大量に寄付させてますが

足りないならコイツに払わせましょう。

そのくらいは有るでしょうからね。

 

「猫耳、宿に関しては2部屋で構いません。

ただし使うのは狐殿とアイシャとやらです。

もし狐殿が一人で使うのを遠慮すると言う

ならば、狐殿とアイシャを同じ部屋に。

残りをカリフ姉妹とやらに使わせなさい」

 

「はっ!」

 

狐殿は謙虚ですからね。そういうことも

あるでしょう。

 

犬に関しては・・・良くわかりませんね。

貧乏神との関係もありますが、そもそも

旦那様はアレにお茶と薬草を合わせた

特殊なモノを作らせているらしいし、

まだ殺さないと言ってましたよね?

 

そうなればアレは保留ですか。

残るはタケミカヅチファミリア数名と

ヘスティアとか言う良くわからない神。

それに正体不明のレベル4相当の護衛が一人?

 

「それで、そのヘルメスが連れてきた正体

不明の護衛とは何ですか?

そもそも護衛対象である狐殿に、そのような

怪しいモノを近付けたまま放置するとは一体

どういう了見ですか?」

 

普通護衛任務なら正体不明など許さない

でしょう?それが私のようなモノで、自分

では勝てないから仕方なく黙認したという

ならまだしも、レベル4相当の冒険者という

ことがわかっていて、さらにヘルメスが呼び

込んだと言うなら素性の確認は必須ですよね。

 

コイツらは一体何をしてるんですか?

怠慢ですか?旦那様の弟子として、狐殿の

護衛に着く身でソレが許されると思うのか?

 

「そ、それですが、そいつもリリルカ先輩の

知り合いらしく、ナァーザとも普通に会話を

しておりましたので・・・」

 

「またリリルカですか」

 

あの小娘。少し甘やかし過ぎましたか?

 

狐殿曰く、旦那様の娘のようなモノと

いうことですから、多少のことならば

目こぼしをしてやろうと思いましたが

・・・コレは一度しっかりとした教育が

必要なのでは無いですかねぇ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

リリルカ先輩すまん!だが嘘は言ってない!

 

しかし流石筆頭殿、一階層上に居る冒険者

パーティーの数やメンツまでわかるのか!

 

「まぁ良いでしょう。向こうに何が

あろうと、私には関係ありません。

猫耳の主神であるフレイヤ殿からの

アイサツと猫耳を鍛えたことに対する

返礼の品は確かに受け取りました」

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

よし!コレで最低限の任務は果たした!

 

「あとは慣熟訓練が必要なようですが、

ふむ。これは丁度良いかもしれません」

 

「丁度良い・・・ですか?」

 

何だ?何をさせる気だ?!

 

「えぇ、話の前に問いますが、師より

フレイヤファミリアには知性ある魔物に

ついての話をしてあると聞いてますが、

相違ありませんね?」

 

いや、ここまで聞かされて知らなかったら

どうする気・・・あぁ知らないと言ったら

証拠隠滅のために殺すのか。

 

「はっ!外の黒いガーゴイルやマードゥオ

と呼ばれるドラゴンはソレに該当している

と推察しております!また師匠より白い

槍を持った小柄な魔物を見かけたら、交戦

ではなく交渉をするよう指示も受けて

おります!」

 

普通に考えたらそれ以外ねーよ。

何だ風呂沸かすって。勇者は苦笑い

してたけどよ!おかしいと思えよ!

 

「流石我が師。話が早いですね。

ではその白い槍を持った小柄な魔物と

訓練を行いなさい。アレは長物を専門

としている者で、その習熟度合いは

私を凌駕します」

 

「はぁ?!筆頭殿を凌駕?!」

 

いや、マジか?!槍の穂先の先端部分だけで

ジャガーノートの突撃を真正面から受け止め、

その動きを完全に封じる筆頭殿だぞ!

 

それ以上の槍術ってどうなるんだ?

いくらなんでも想像がつかんぞ!

 

「えぇ、力は多少錆び付いてはいますが、

こと長物に関しては今の私では勝てません」

 

た、確かに師匠の一門だとは知っていたが、

錆び付いていても筆頭殿を越える技量の

持ち主だとはっ!

 

「ただ、今はレベル5か6相当でしてね。

単純な戦闘では猫耳に遅れを取る可能性

もあります」

 

「今は・・・ですか」

 

万事に曖昧な表現を嫌う筆頭殿が、レベルを

曖昧にすると言うことは・・・まさか魔物も

レベルアップするのか?!強化種と言うだけ

でなく、純粋に器の昇華もする、だと?!

 

「えぇ、猫耳が察したようにレベルアップに

近い現象が発生します。とりあえずマダオの

ところに行ってレベルアップするように命じて

おきました。足りれば良いのですが・・・」

 

足りる?何かしらの条件があるのか?

いや、詮索は厳禁だ。必要なら教えて

もらえるだろうしな。

それに今は筆頭殿を超えるという槍の

使い手に興味が有る!

 

「つまりは猫耳の慣熟訓練とその者の錆び

落としを兼ねると言うことですね。

元々私へのアイサツがあったなら、日程に

余裕はあるのでしょう?狐殿の宿を取ったら

そのまま下層に行きなさい。

今は29階層に居ると思いますが、マダオは

見ればすぐにわかります。

私からの指示と言えばウィーネも・・・あぁ、

小柄な魔物も特に問題なく修練に付き合うこと

でしょう」

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

レベル7となったが師匠は特に武術を教えて

くれるわけではないからな。

コレは望んでも得られぬ上達の機会!

コレを逃すようならもはや冒険者では無い!

 

「一応言っておきますが下層へ行く前に、

どこの宿を取ったか狐殿にわかるように

しておくことを忘れぬように」

 

「はっ。了解致しました!それでは早速

行動を開始致します!」

 

予定通り宿は二部屋で良い。春姫殿に

わかるように店の冒険者あたりに伝言を

頼むとしよう。

 

あのパーティーはわかりやすいからな。

 

「えぇ、ウィーネによろしく」

 

「はっ!」

 

こうしてはいられん、ロキファミリアに

邪魔される前に動かねば!

 

・・・くそっ回復薬を譲ったのは早計だった。

 

下に行く前に夜叉姫と接触するか?

 

―――――――――――――――――――

 

 

「一目見てわかる大きさで、魔物ですら逃げ

出す威風!貴方がまだおさんですか!」

 

『ん?初対面で俺をマダオ呼ばわりするとは

良い度胸・・・白くて小さいな。お前が例の

ウィーネとやらか』

 

「そうです!私がウィーネです!」

 

どうやら師姉様から私のことを聞かされて

いたらしいですね。

しかしなるほど、確かに見ればわかります!

 

こんなのを調教するなんて流石師姉様!

 

「おぉ?いきなりだねぇウィーネちゃん。

誰からマードゥオさんのこと聞いたの?」

 

『ふむ。(いや、俺をマダオと呼ぶのはアイツ

しかいないだろうが。しかしアレだな。言葉の

意味は良くわからんが、間違いなくマダオは

ダメな名前なはず。ここはマードゥオと

認知させるべきだよな)』

 

マリィ殿は・・・なるほど、レベルアップ

してますね。

師姉様に余程良い素材を頂けたのでしょう!

 

「師姉様・・・エインさんに教わりました!」

 

危ない危ない。師姉様との関係はあくまで

秘密のモノ。下手に私が地上の先生と繋がり

が有ると思われては仲間内での扱いが微妙に

変わってしまうかもしれませんからね。

 

グロスさんの様子をみた限りそれは無さそう

ですけど・・・油断慢心はいけません!

 

『ふむ。まぁそうだろうよ。それに確かに

白くて小さい。更にその白い槍。アイツが

言うウィーネとやらで間違い無さそうだ』

 

おぉ。黙っててもアレでしたが、身動ぎして

私を認識するだけでコレほどの威圧が出せる

なら、まだおさんは図体だけの蜥蜴ではなく

圧倒的な強者です!

 

今の私の錆び落としに不足は無いどころか、

お釣りが多くて払いきれませんよ!

 

「はい!まだおさんがエインさんからどのように

聞いてるかはわかりませんが、私は早急に

レベルアップをして、まだおさんと戦うように

言われてます!」

 

私に足りないのは、圧倒的な力がある敵が

もたらす死の恐怖です!

 

「えぇ?!マードゥオさんと?!このヒト

大人しいけど滅茶苦茶強いんだよ!」

 

だからこそ意味が有るのですよ!

 

『・・・確かにエインならそのくらいの事は

ヤらせるだろうよ。だから俺としては構わん。

ただし、アイツがマリィに預けた魔石を

喰らってお前のレベルが上がってから、だ。

残念だが今のお前では戦いにはならん』

 

「あ~エインさんだもんなぁ」

 

流石の余裕ですね、ですがそれも事実です。

 

最低限の力が無ければレベル差で潰されて

しまいますからね!

 

「了解です!さぁマリィ殿、魔石を下さい!

喩えおなかいっぱいになっても食べ続けて、

必ずレベルアップしてみせます!」

 

先生に武の才を認められたモノとして、

これ以上の醜態を晒して師姉様も先生も

失望させるわけにはいきませんからね!

 

「おぉう。凄いヤル気だよ・・・まぁ元々

エインさんからはウィーネちゃんのレベル

アップに使うように言われてたから問題は

無いけどね」

 

『もし足りん場合は追加の魔石を深層に

取りに行くから、お前もそのつもりでな』

 

「了解です!」

 

それは望むところです!そこでレベルアップと

鍛練をしてやりますよ!

 

 

 

・・・と言うか、ここでレベルアップしたら

どこで戦うんですかね?

まだおさんが本気で動いたらマリィ殿のお家が

無くなってしまうんじゃないですか?

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

不味い。何だかんだで18階層について

しまう!まだ何も決めてないのに!

 

「って言うかリューさん。そもそもの疑問

なんですけど、今の段階でリューさんが

エインさんに会って何をする気なんです?」

 

「何をってそれは・・・」

 

そんなの決まってるでしょう?アイサツして

・・・アレ?そのあとはどうするの?

私も妻として認めてください!とか言うの?

初対面で?彼の意見とか聞く前に?

 

「考えてませんでしたね?」

 

「う"っ!」

 

な、ナァーザの言う通りでしたっ!あまりの

急展開にテンパってましたが、今の私は

あまりに準備不足!さらにカリフ姉妹の

ような覚悟も足りていないっ!

 

こんな女がいきなり表れてアイサツした

ところで、正妻さんも「何しに来た?」って

感じになりますよね!

 

印象を悪くするだけじゃないですかっ!

 

「あ~それなら今回は一度引いて、後でお土産

やちゃんとした服装で出直した方が良いんじゃ

ないですか?」

 

「・・・そうかもしれません」

 

むしろそうしないと評価が恐ろしいことに

なりそうですよね。

 

アマゾネスより露出が多いエルフって何です?

 

誰が見ても私の方が男を誘う格好をして

いるじゃないですか。

 

万能者もいなくなったし。今や痴女神に次いで

の露出で、更にこの冒険者丸出しの格好・・・

 

よし!今回はアイサツは見送りましょう!

 

なんかアストレア様とかアリーゼとか灰色

とか他の同僚が『ヘタレがっ!』と言ってる

気がしますが気にしませんよぉ!

 

準備不足を認識したならば大人しく引いて、

次の機会を待つのがプロの冒険者なんですぅ!

 

「ではナァーザ!タケミカヅチファミリア

と共に白兎と接触しようではありませんか!」

 

「・・・私も偉そうなことは言えません

からね。とりあえずは了解ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・次の機会を活かすために、カリフ姉妹や

麗傑と仲良くなっておきましょう。

 

こ、子種の話とかも有りますしね!

 




弟子、色々考える。

猫耳割りとマトモな修行が出来そう?

白っ子。まだおを発見、

エロフ、ヘタレるってお話。


登場人物が多すぎるよね!


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119話

前話の続き!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!!


「ヘルメスが帰った?万能者を連れて?」

 

そしてリリルカさんがそれを追った?

・・・何でだよ!久しぶりにリリルカ

さんに会えると思ったのに!!

 

「そうですね。我々としても積極的に

神殺しをする気もありませんでしたし、

万能者はちょっともったいないかと

思いましたが、まぁ今回はギルドに

突き出して罰金を搾り取る方向で

話が進みました」

 

罰金ねぇ。やっぱりロイマンか。

奴ならやりそうだよ。

 

「なるほどのぉ。確かに罰金という方法

で連中の力を削ぐのも間違ってはおらん。

ついでにギルドとヘルメスの仲が悪く

なってくれれば万々歳じゃな」

 

ガレスの言う通りではあるんだけどさぁ。

 

「それで、これがリリルカさんから

頼まれた毒消しの無料配布分です。

当然毒妖蛆の毒も解毒出来ますので

ご利用ください」

 

「あぁ、正直それは助かるよ。

リリルカさんにも感謝してたって

伝えてもらえるかな?」

 

ありがとうリリルカさん!貴女の

優しさは忘れません!

 

何かお返しが必要だよな。うん。

今度何か彼女が喜びそうなものを

調べて用意しないと!

 

ティオナの方が仲良かったよね?

彼女に調べさせよう!

 

「ふむ。無料配布以外に薬はあるのかの?」

 

あ、そうだ。まずはこっちだよな。

 

「勿論ありますよ?お値段は・・・

今回ベルを保護してもらいましたから、

サービスで地上と同じ価格で結構ですよ」

 

ほほう。販売ときたか。いや、普段例の

貧乏神が無料配布して回っているだけで、

ナァーザはちゃんとした薬師だからね。

薬が欲しかったら買えと言うのは当然だ。

 

それにレベル4の薬師が作る解毒薬は

やはり効果が高い。

素材も良いんだろうけど、味まで違う

となると……純粋に腕の違いだろうな。

 

「まず毒消しをありったけ、それと

傷の治療じゃなく体力を回復できる感じ

のポーションが欲しいけど、あるかい?」

 

「ん?そんな便利なのが有るのか?

儂は聞いたことが無いが・・・」

 

普通は市販してないけど、確か人魚の

生き血を原料にしたポーションに

そんな効果があったはず。

多分ナァーザなら持ってるよね。

 

「えぇ、ありますよ。ただこちらは

数が少ないので現在の状況だと薄めて

使ってもらう形になりますよ?」

 

「それで構わない。料金はとりあえず

手形になるけど、それでいいかな?」

 

リリルカさんなら現金一括です!とかイイ

笑顔で言うんだろうけど、流石に問題

ないよな?

 

「大丈夫ですよ。あ、それと九魔姫様に

マジックポーションはどうします?

これなら薄める必要はありませんけど?」

 

「あぁ商売上手だな。モチロンもらうよ」

 

流石は貧乏神を抱えながらもこれまで

なんとかやって来ただけのことはある。

 

定価で売ってくれるってのが信じ

られないくらいの高待遇だ。

 

普段はお茶とお茶菓子しか買ってないのにねぇ。

 

・・・そのお茶もかなりの売上に

なってるだろうから常連の上客では

あるだろうけどさ

 

「で、ナァーザとしては何が狙いだい?」

 

「狙い?あぁ、まぁいくら儂らが相手

でも商売人としては温いか」

 

ここは単刀直入に聞こう。

罠に嵌める気ならここまで僕たちを

治療するようなことはしないはず。

おそらくベル少年絡みだろうけど。

 

「狙いというか、頼み、ですかね?

私は白兎とヘスティアたちを一刻も早く

ここから叩き出したいんですよ。

だから元気になった団員さんを何人か

ベルやタケミカヅチファミリアの連中

に同行させて帰還させてもらえませんか?」

 

「「・・・ん?」」

 

叩き出す?この白兎って言うのは

ヘスティアと一緒にしてるからベル

少年のことだよね?

 

「さっさと地上に帰還させるって?

わざわざ連中を連れてきたのに18階層

を見せずに帰らせるのかい?」

 

冒険者としては初めてココに来たなら

存分に驚いて欲しいところなんだけど?

 

「18階層については後で自力で

余裕を持って来いとしか言えませんね。

とりあえず今はダメです。邪魔です」

 

「邪魔と言うと?」

 

何に対して?

 

「私もリリルカさんも春姫さんもアノ人

に関する情報の漏洩はしたくなんです。

だから知らないなら知らないままで、

さっさと帰ってもらいたいんですよ」

 

「「なるほど!」」

 

エインさんな。そりゃそうだ。

 

本人も見世物じゃないって言ってるし

そもそもレベル1だの2の冒険者が

顔を合わせるようなヒトでも無い。

 

さらに繚藍が麗傑とカリフ姉妹を

連れてきてるんだろ?

エインさんが「麗傑を認めない」とか

カリフ姉妹が「「勝負だ!」」とか

言いだしたら・・・なぁ。

 

色恋ごとは誰だって争いになる可能性があるし、

そもそもそんな面倒な状況になったら上から

エインさんの斬撃が来て、下から

マードゥオの砲撃が来るぞ?

 

18階層終焉のお知らせだよ。

 

そんなところに自衛も出来ない

知り合いが居ても邪魔にしかならないよね。

 

「特にタケミカヅチファミリアです。

連中は春姫さんの知り合いですから

春姫さんに同行しようとするかも

しれません。

ですが春姫さんはエインさんへの

ご挨拶が控えてますから・・・」

 

「うむ。どう考えても邪魔だわな」

 

「だね、善意でついてくるかも

しれないけど、間違いなくエインさん

は気分を害するだろうね」

 

アノ人と会って会話を交わすには

最低限、一定以上の力が必要なんだよ。

そうじゃないとアノ存在に潰される。

 

それで潰れるような人間をアノ人は

許すことはないよね。

タケミカヅチファミリアが潰されるのは連中の

勝手だけど、不機嫌になったエインさんが何を

するかって考えると……ダメだな。

 

いや、感情で暴れまわるような人じゃない

と思うけど、あの人はレベル7相当の実力者。

本人的には軽い叱責のつもりでも、

周りにしてみたら災害だよねぇ。

 

「納得してもらえたようで何よりです。

ついでに、早く地上に戻ってミアハ様

がナニカしてないか確認しないと怖くて

怖くて・・・」

 

「「・・・」」

 

何と言うか・・・苦労してるなぁ。

こっちはサービスでお茶も付けて貰ったし。

ここはさっさとラウルたちに連中を

連れて帰らせるのも悪くない、か。

 

例の鍛冶師もヘファイストスファミリア

のヴェルフ・クロッゾだってわかった以上

エルフから引き離したほうがいい。

 

「ガレス、連中はまだ気絶してるんだったな?」

 

「そうじゃな。……うむ、そういうことか。

確かに気絶してるならそのまま運んだ方

が良いじゃろ」

 

抵抗するなら全員まとめて袋詰めだ。

 

「ついでにヘスティアをギルドに運ばせよう」

 

眷族のためにって理由はわかるけど

そう言う足手まといが居るから危険

なんじゃないか。

 

待つ覚悟が無いなら冒険者の主神に

なんてなるんじゃない。

 

「了解じゃ。取り合えず運搬の準備をさせよう」

 

「任せた。僕はリヴェリアに薬を

渡してこよう。ナァーザには団員に対する

薬の処方をお願いして良いかい?」

 

理由が理由だから間違っても足を

引っ張るなんてことは無いよね。

 

「了解です。薬が無くなったらベルの

ところに行きますので、よろしく

お願いします」

 

「あぁ、こちらこそ頼む」

 

さて、これで大分楽になる。急いでる

ベートには悪いけど、元々ベート一人が

持ってこれる量の毒消しだけじゃ全員の

治療が出来る分には足りないだろうし。

 

何より毒で苦しみたい人間なんて

居ないからね。

ココはちょうど良かったと思おうか。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「久しいですね狐殿」

 

「お、お久しぶりです正妻様!」

 

ふむ、相変わらず見事な土下座です。

 

「そこなアマゾネスがアイシャですか?」

 

一人で居るからそうですよね?

 

「は、はい!アイシャ・ベルカです!

せ、正妻様におかれましてはご挨拶が

遅れて申し訳ありません!」

 

ふむ、痴女姉妹とは違いしっかり上着を

羽織ってますね。

これは彼女なりの礼儀なのでしょう。

 

「元々旦那様の浮気相手などとは思って

いませんから、そのような畏まった

アイサツは不要ですよ。ただ、私に礼を

尽くそうとしたことは評価しましょう。

今後も狐殿と共に旦那様を支えてくれる

ことを願います」

 

普通ならどうなんでしょうね?

遊郭は浮気になるのでしょうか?

ですがそもそも私は二、三年前まで

居なかった者です。

 

にも拘わらず私に会うまで正妻を娶ることが

なかった旦那様の事を思えば、やはり

この者を咎める理由がありません。

 

「ありがとうございます!先生には

お世話になりっぱなしですので、支える

なんて偉そうなことは言えませんが、

いつかきちんと恩を返せるようにって

思ってます!」

 

ふむ。見た目とは裏腹に中々情に篤い

女子ですね。

この者も身請け出来れば尚良いので

しょうが、そうなると狐殿の庇護者

が減るわけですか。

むぅ・・・ままならないものです

 

「そしてそこな阿呆二人がカリフ姉妹ですね?」

 

「・・・はい。正妻様にご迷惑をおかけ

して、誠に!申し訳ございません!!」

 

狐殿が悪いわけでは無いでしょうに。

 

「ま、まさか我らが鎧袖一触とは・・・」

「さ、流石はあのお方の正妻殿っ!」

 

いきなり「「覚悟っ!」」とか来るから

何かと思えばただの腕試しですからね。

 

「まず奇襲なら無駄な掛け声は止めなさい」

 

「「ご教授ありがとうございます!」」

 

・・・てっきり旦那様を一人にしていた

私に対する罰かと思えばこそミネ・ウチ

にしましたが、コレは普通に殺しても

良かったのでは?

 

いや、まぁ元より旦那様の子を産みたい

という者を殺める気は有りませんが。

しかしこの二人は予想以上に良い母体

なのかも知れませんね。

 

レベル6相当なら出産の際に簡単に

死ぬようなこともないでしょうし・・・

 

しかも自分から望んでいると言うのも良いです。

 

頭の中は淫獣母娘と同じような感じ

ですから教育環境がアレなようですが、

子が産まれた時からコチラで教育できる

ならば6歳で旦那様のもとに来たネコ

モドキよりもよっぽど矯正は楽でしょう。

 

主神のカーリーとやらも教育に関しては

旦那様に一任しても良いと言う判断

を下しているようですし。

 

コレは拾いモノかもしれませんね。

 

「旦那様の子種に関しては、私から

特に言うことはありません。

旦那様が認めたなら子を成すのも

良いでしょう」

 

「「おぉ!」」

 

「よ、よろしいのですか?」

 

ん?狐殿は何に驚いているのでしょう?

 

「旦那様の偉大さを広める為には、優秀

な一門の存在は欠かせませんからね」

 

本人たちもしっかり旦那様に傾倒して

いるようですし、外戚としてナニカ

しようとしたら旦那様が殺すでしょう。

 

「あ、確かにそうです!旦那様はあまり

名を売ることを良しとしてませんが、

何かあった時に頼りになる一門衆が居て

困ることはありませんよね!」

 

「えぇ、その通りですよ」

 

旦那様だけでなく春姫殿や農園を守る

為に戦力はいくらいても足りません。

 

そうそう戦力と言えばあの小娘です。

 

「狐殿?リリルカは途中で帰ったと

聞きましたが?」

 

正体不明な冒険者は犬が狐殿から引き

離したそうですが、リリルカが狐殿の

護衛任務を放棄したことは事実。

 

何か理由があってのことでしょうね?

 

「あ、そうです!リリルカ様は逃げた

ヘルメスを追いかけました!

旦那様の計画がわからないので、勝手には

殺せませんから、今回は捕らえてギルドに

差し出して罰金を搾り取る予定です!」

 

「なるほど・・・」

 

ふむ、逃げたヘルメスを追うのは良い。

この様子では狐殿の護衛も投げ出した

というより他の者に任せたと見るべきか?

 

ここで殺さずに、ギルドに生かして連れ

帰るのは罰金の為か。

 

「そもそも罰金とは?」

 

「あ、それはですね!元々神はダンジョン

に入ることを禁止されてまして・・・」

 

 

 

 

 

なるほどなるほど。確かに私や烏の

ような知性がある存在でもこのような

腹の底から敵意が出てくるのです。

 

他の魔物やダンジョンにしてみたら

間違いなく神は劇物。それに穢れし

精霊の存在を考えれば、ギルドと

してはダンジョンで神には死んで

欲しくはないのでしょう。

 

そこで連中は「無力な神が入っても眷族や

他者の足を引っ張る」と言う理由を付けて

罰金刑としたのですか。

 

「ではヘスティアとか言う神も?」

 

「はい!地上に出たらギルドに引き渡します!」

 

・・・もしココで私がアレを殺した場合

旦那様の予定を狂わせるナニカが

生まれる可能性がありますか。

 

それなら罰金刑として経済力を削ぐ

と言うのは間違いではありません。

 

ふむ・・・そういうことであれば、

まぁ挨拶が無いことも春姫殿の護衛を

他者に任せたことも、旦那様の敵を

苦しめることを優先させたと考える

べきなのでしょうね。

 

元々リリルカは旦那様の直弟子で

サポーターらしいですから、優先順位

としては間違ってはいない。

 

むしろコレを咎めては、私こそ

旦那様に対する不忠となりますか。

 

「リリルカの事情はわかりました。

正直な話、本来であれば旦那様の敵で

ある神を目の前にして殺さぬ狐殿に

対しても何かしらの罰を与えるべき

かと考えておりましたが、これは私の

浅慮でしたね。申し訳ございません」

 

失敗失敗。正妻失敗です。

 

「そ、そんな!謝罪など不要です!春姫も

何度もアレを殺めようとしましたが、

旦那様のお気持ちがわからず・・・

離ればなれになってお仕事をしている

正妻様と違い、これだけお側に居ながら

このような無能を晒しているのです!

正妻様から罰を受けるのが当然と

言えましょう!」

 

・・・相変わらず謙虚な方ですね。

 

「旦那様の考えなど長年連れ添っても

理解出来ません。狐殿のそれが当たり前

なのですよ」

 

聞けば教えてくれるでしょうが、

それだって一部だけですからね。

 

まったく嫁泣かせの困った旦那様ですよ。

 

「とりあえずアイシャ、カリフ姉妹は

一刻も早く狐殿を無事に地上へ戻すように。

狐殿をあの神のような存在の近くに置いて

いては旦那様から何を言われることになる

か、私にもわかりませんからね」

 

アレはすぐに引き離すべきでしょうね。

 

特にダンジョンの中でアレの傍に居るのは危険すぎます。

 

「「「ハイッ!」」」

 

「せ、正妻様!春姫ごときにそのようなお気遣いは・・・」

 

ごときとはなんですか。ごときとは。

 

「狐殿、貴女は旦那様が内縁の妻と

認めた方なのです。必要以上の謙遜は

旦那様の名を汚すことになりますよ?」

 

「はっ!も、申し訳ございません!」

 

まったく、謙虚なのもほどほどになさい。

 

この分では、もう少し己に自信を持って

もらわねば奥の管理をお任せすることは

できませんね。

 

今はそれほど数も居ないようですし

当分は旦那様ご本人様に頑張って

もらいましょうか。

 

あの方にはそれを楽しむだけの甲斐性も

ありますからね。

 

「それと狐殿には旦那様に対して

この書状を届けてもらえますか?」

 

59階層の情報と60階層の凍土。

マダオと烏、そして伯師妹の情報です。

狐殿以外には託せません。

 

「ハイッ!お預かりします!」

 

「良い返事です。ではすぐにでも

出立の仕度を・・・・・・?!」

 

「え?正妻様?どうなさいました?!」

 

 

 

 

 

 

 

なんだこれは?なんだコレは?

ナんだコレは?!ナンダコレハッ!!!

 

 

 

 

 

 

「烏!貴様は大至急下層へ行け!ココ

から離れろ!勝手な行動は許さんっ!」

 

 

 

コレは、この体の奥底から漏れ出る

のは神に対する殺意かっ!

 

 

 

「グ、グラァァァァァァ!!」

 

 

 

 

「「「「正妻様(殿)?!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の精神をここまで揺さぶるとは!

 

神め!一体ナニヲシタッ?!

 




狐殿はやっぱり特別扱い
はっきりわかんだね。

リリルカは助かったもよう

あれ?紐神様まさかやっちゃった?ってお話


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120話

前話の裏側的な話

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


まさかレベル2になってから最初の探索で

18階層にくるなんて・・・やるね少年。

 

「はい、皆さん大人しくして下さいね~」

 

『うわっ!なんだい君たちは!』

 

「ナ、ナァーザ殿?一体何が?!」

 

ん?なんか騒がしいけど何かあったのかな?

まだ毒で苦しんでる人が居るんだから静かに

しなきゃダメなんだぞ?

 

それでじゃが丸くんの神様とかもここから

追い出されたんだし。

 

「アイズ、ベル少年とエマ少女を運びだす

から手を貸してくれ」

 

「フィン?」

 

騒いでたのはフィンだったよ。じゃあ

シカタナイネ!でも運び出すって、どこに?

 

「ラウルはベル少年を、アキはエマ少女だ」

 

「「了解!」」

 

「えっ?えっ?」

 

あの、ま、まだ気絶してるよ?

 

『君達!ベル君に何をする気だい?!』

 

そ、そうだよ?一応ポーションは使った

から死ぬことは無いけど・・・あれ?

それなら別に運び出しても良いのかな?

 

「神ヘスティア。ダンジョン侵入の現行犯で

貴女を拘束します。タケミカヅチファミリア

も貴女の共犯として捕縛します」

 

『「「「ナ、ナンダッテー?!」」」』

 

あ、そうだった。神様はダンジョンに入って

来ちゃ駄目なんだぞ!ロキだって我慢してる

んだから!神様でも悪いことしたら捕まる

のは当然だよ!

 

「あぁ、そもそもの原因であるベル少年と

エマ少女もこのまま貴女と一緒に我々が

保護してギルドまで運びます。その間の

安全はナァーザ団長と我々が確保します

のでご安心下さい」

 

おぉ。それでも少年も一緒に保護して運ぶん

だからフィンは優しいよね。

 

「すでにベートやティオネとティオナに加えて

万能者やリリルカさんが先行して帰還してる

から、特に脅威になる魔物や罠は無いだろう。

だが一応レベル4でスカウトも出来るミアハ

ファミリアのナァーザ団長が先行するから

ラウルやアキは彼らの護衛に専念してくれ」

 

「「「「了解!」」」」

 

『ちょ、ちょっと、待ってくれないか!

ベル君もまだ目が覚めてないし、もう

夜じゃないか!』

 

うーん。ただ寝てるだけだし、下手に起こす

よりは寝たまま運んだ方が安全だよね?

 

それにどうせ自力では帰れないんだから、

無駄な抵抗は辞めればいいのに。

 

「神ヘスティア。良いことを教えよう」

 

おぉ、フィンがスゴク・悪い顔をしてる!

 

『な、なんだい?』

 

「犯罪者に待てと言われて待つヤツは居ない」

 

うん。そうだね。当たり前の話だったね。

えっとこーゆー時はなんて言うんだっけ?

え~確か・・・

 

『ヴァレン某くんっ!助けておくれっ!』

 

ヴァレンなにがしって何?あっ!そうやって

誤魔化そうとしてるんだな?!

そうは行かないぞ!それに思い出した!

 

「はっ犯罪者のごみむし風情が何を偉そうに。

往生際が悪いんだよ。大人しくお縄につけ」

 

 

 

『「「「・・・・・・」」」』

 

 

ふっ決まった。

 

「よ、よし運び出せ。現行犯の犯罪者だ!

抵抗するようなら気絶させても構わない!」

 

「「「「了解!」」」」

 

―――――――――――――――――――――

 

「ヘルメス様、そろそろ地上ですので

アレを装備して下さいね」

 

『了解了解。目撃者が居たら困るからね』

 

(ФωФ)

 

なるほどアレが神秘を使った道具ですね。

 

効果としては・・・姿を隠すだけですか。

 

見えなくなるだけで実際にはあそこにいます。

 

空気の流れを誤魔化すわけでも無いですし、

注意深く見れば気配も感じることが出来ますね。

 

しかしアノ痴女眼鏡め・・・たま~にアイツが

何もないところに話し掛けてると言う目撃情報

が有りましたが、ソレはあのアホ神と関わって

疲れたからではなく、ああして隠れてるヤツに

話し掛けてただけですか。

 

リリもナァーザさんも痴女眼鏡には少しだけ

同情してたのに、見事に裏切られましたよ。

 

やっぱり冒険者はクソですね!(# ゜Д゜)q

 

さて、あのクソ痴女眼鏡とその親玉は

どのタイミングで殺りましょうか?

 

・・・一番効果的なのはギルドの職員

の前でアノ兜をとる事ですよね。

 

あーリリはまだ未熟ですから、見えない

相手に手加減とかむずかしーなー( ・∇・)

 

思いっきり殴り飛ばすしかないなー。

 

いやいや、未熟未熟、リリ未熟ですよね。

 

後で先生に怒られてしまうかもしれませんが

コレは甘んじてお叱りを受けるべきですよ。

 

「ですけど、後からイシュタルファミリアや

フレイヤファミリアとかから、ヘルメス様が

ダンジョンに潜ったって報告されたらヤバイ

んじゃないですか?」

 

ですよねぇ。ついでに痴女神とタケミカヅチ

ファミリアとリリとナァーザさんが報告

しますけど?

 

『ま、証拠がないからね。喩えダンジョンの

出入口で見張ってるヤツが居ても、ソイツが

発見出来るのはアスフィだけだし』

 

いや、信用の問題で行けませんかね?

 

「ん~でも私が何かアイテムを使ったって

バレませんか?農家さんなら兜の性能まで

一発で見抜いて来ると思うんですけど」

 

そうですよねぇ?報告者がアレンさんと

リリと春姫さんとナァーザさんですよ?

確実に関与してくると思います。

 

『・・・確かにそうだね。それでも

あくまで憶測に過ぎないから、今回は

罪には問われないさ。多分ウラノスも

口添えしてくれるだろうし』

 

秘密兵器が一つ使えなくなるのは痛い

けどねって、そう言う割り切りをきっちり

してるからアイツは厄介なんですよ。

 

ですが今回はリリが居ますからね。ヘルメス

の阿呆はギルドで醜態を晒すでしょう。

 

具体的には下半身の衣類が弾けとぶ

くらいの一撃を与えます。

 

死ぬ前に回復させますが、服までは直り

ませんからね。きっちり晒してやりますよ!

 

痴女眼鏡はどうして殺りましょうか?

 

先生から眼鏡使いの眼鏡は割ってはいけない

って言われてますからねぇ。

ふむぅ。普通に頭をかち割りましょうか?

 

タイミングとしてはダンジョンから出た

瞬間。ギルド職員が痴女眼鏡に話しかけ

たりした瞬間です。

 

やつは足早に逃げようとするでしょうから、

そこをぶち抜きます。

 

「なるほど。ただ次回からは同じ手は絶対に

使えませんから、色々別の手段を考える

必要がありますね」

 

ふふふ(ФωФ)

お前はもう考える必要など有りませんよ。

 

何せ透明になる魔道具を使って犯罪を

犯したのですからね。

 

特にヘルメスが覗きをするのは有名な話。

 

痴女眼鏡も一緒に社会的に地獄へ送って

やりますよ!

 

―――――――――――――――――――

 

 

「レベルが・・・上がりましたっ!」

 

ギリギリ足りた!これで最低限師姉様に

顔向けが出来ます!

 

『ふむ。マリィのときもそうだったが、

器の昇華とは中々に興味深い現象だ』

 

もしかしたら、まだおさんは最初から

強かったからまだレベルアップを経験

してないのかも知れませんね。

 

私も他のお仲間もマリィ殿が師姉様と

会うまでは自分達がレベルアップを

出来ることすら知りませんでしたし。

 

いや、師姉様と比べるのはアレなんですけど

フェルズは一体何をしてたんでしょうね?

 

師姉様なんかマリィ殿と会って半年も

経ってないのに、我々をレベルアップさせる

ことで自衛手段としたり、まだおさんを

冒険者に認知させたりしてますよ。

更にグロスさんも認知させてるんでしょ?

 

私だって師姉様が凄いのはわかってるん

ですけど、あんまりにもあんまりじゃ

無いですかね?

 

『ではお前の馴らしが終わったら軽く

戦闘を見てやろう。馴らしの内容は・・・

そうだな。マリィと競走でもすると良い』

 

「私ですか?!けど私の馴らしにもなるし

ウィーネちゃんと遊ぶのも久し振りだし、

何よりエインさんにも自衛くらいできる

ようになれって言われてますから、体は

動かさないと駄目ですよね!」

 

なるほど。マリィ殿も今やレベル6。

さらに元々水中での機動力は我々の中では

誰も勝てませんでしたら、彼女との競争は

全身運動としては申し分ないですよね。

 

 

流石に泳ぎでは勝てないので走る必要がある

んですけど先生からは「水の上は走るな」って

言われてるんですよねぇ。

 

師姉様は走ってたらしいですが・・・むぅ。

 

『ん?乗り気では無いようだが、なにか

問題でもあるのか?』

 

おぉ!僅かな沈黙からこちらの躊躇を

読み取りましたか。流石はまだおさん。

 

「いえ、先生から・・・いや、エインさんの

先生さんから水の上は走るなって注意され

ておりまして」

 

修行の為に走るのはどうなのか・・・けど

先生のお言葉を私が勝手に解釈するわけ

にも行きません。

 

『いや、普通は走るなって以前の問題

なんだが・・・流石は奴の旦那だな』

 

そうそう、流石は先生って・・・なんですと?

 

「マードゥオさん?!エインさんって

旦那さんが居るんですか?!」

 

やっぱり?!聞き間違いでは無いですよね!

師姉様が正式に妻と認められたのですか?

 

『ん?知らなかったのか?基本的にアイツの

行動基準は旦那一択だし、二言目には旦那様

というくらいのベタ惚れ具合じゃないか』

 

「「べ、ベタ惚れ?!」」

 

いや、先生の事が大好きなのは私も一緒

ですけど、周りにわかるくらい浮かれてる

師姉様というのは想像出来ませんよ?!

 

それに春姫殿との関係はどのような

関係になったのでしょう?

 

あと、私は立場的にはどうなるのですか?

 

この体では子も産めるかわかりませんから

先生の妻にはなれないでしょう。

 

そうなると師姉様付の妾ですか?いや、あと

何年かすれば体も少しは大きくなるでしょうし

・・・なりますよね?そうなったらお情けを

頂く程度で良いのですよ?

 

ただ奥の序列がどうなるのかですよね。

 

これまでは春姫殿が内縁の妻でしたから

暫定的に一番上でしたけど、師姉様が

正妻様なら一番は師姉様ですから私としても

何の問題もありません。

 

ただ師姉様も私たちと一緒で魔石を食べて

レベルアップするそうですから、子や家の

ことを考えたら正妻様は難しいですよね?

 

むぅ。コレは軽々しく片付けて良い問題

ではありませんよ。

 

場合によっては小娘もこの序列に割り込んで

来るかも知れませんからね。

 

アッチは先生と同じく地上に居ますし、子に

関しても問題無いでしょう。

もしもヤツがお情けを頂くようになったら、

私は常に小娘の風下に立たねばなりません。

 

いや先生の決断に文句を言うつもりは

有りませんが・・・悩ましい。

 

『ヤツの旦那に関しては後で本人に

聞いてくれ。こんなことで「情報漏洩だ」

なんて言われて刻まれるのはごめんだ』

 

「あぁ、エインさんならやりそうですよね!」

 

いや、師姉様なら刻んだ後で「情報漏洩は

処刑案件です」って言いそうですよ?

 

「気にはなりますが私も余計な詮索をして

エインさんに刻まれるのはごめんです。

とりあえずマリィさんと競走しましょう!」

 

先生については・・・まだお会いしてません

からね!師姉様の指示を優先しても苦笑いで

許してくれますよ!

 

『ふむ、ウィーネも覚悟が決まったようで

何より。それではとりあえず今日と明日は

全力で馴らしを行ってくれ』

 

「はーい」

「了解です!」

 

たった二日では心許ないですが、

先生にお会いするまでに錆びを落として

おかないと、師姉様の覚悟に泥を塗る

ことになりますからね。

 

余計な時間なんて無いんです!

 

「マリィ殿っそれでは全力で・・・まだおさん?」

 

なんだ?いきなり殺気が膨れ上がった?!

 

 

 

 

 

 

 

『何だコレは?何だこの不快感は?!』

 

 

 

 

 

 

くっ・・・階層全体を押し潰すかのような

圧力はただ事じゃない!コレがまだおさん

の威ですかっ!

 

しかし何故急に?不快感?

 

 

 

・・・何だコノ感じは?まだおさんの威圧

に驚いたのも有るが、この体内から沸き出る

猛烈な殺意は何だ?!

 

「マリィ殿、感じますか?」

 

「・・・うん。私にもわかる。コレは何?

絶対に殺さなきゃダメなヤツが上に居る

のがわかるっ!」

 

やはりか。この大人しくて基本的に誰にでも

友好的なマリィ殿ですら殺意を覚えるなど

尋常ではない。

離れていてもコレだ、巣のお仲間は大丈夫

でしょうか?

 

あ、不味い!グロスさんや師姉様も上だっ!

もしコレが我々を誘き寄せる敵の罠だと

したら至近距離に居る二人はどうなる?

師姉様が敵の罠に掛かるなど有り得ないが

この感じは万が一が有るかもしれないっ!

 

「まだおさんっ!」

 

師姉様を守って下さいっ!

 

 

 

『がぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

 

 

アチラは・・・大瀑布ですか。

 

近道してから天井を破るつもりですね。

私はどうする?コレが罠なら巣のお仲間

が不味いが、マリィ殿も安全とは言えない。

 

それにコレは私たちだけじゃなく、

他の魔物にも効いてる?つまり魔物を完全な

狂騒状態にする魔法か道具か?!

くそっ誰が何をしたかは知らんがこんな

真似をしてただで済むと思うなよっ!

 

 

―――――――――――――――――――

 

『ちょっと待って、話を聞いてくれよ勇者君!』

 

「駄目ですね。神がダンジョンへ潜るのは

明確な違反だと知っていたことは、ミアハ

ファミリアのナァーザ団長から確認が

取れています。ソレを黙認したら我々も

罪に問われることになります。貴女の

我儘に我々を巻き込まないで頂きたい」

 

エインさん関係なしにコイツは直ぐに対処

しないとね。

コイツのせいで僕たちまで罰金とか洒落に

ならないからな。

 

ギルドにしてみたらヘルメスには後で

いくらでも補填出来るだろうし。

 

僕たちだけが損をするように動くだろうね。

 

連中に口実を与えない為にも、ここで

即座に捕らえて地上に送らないと不味い

ことになる。

 

『いや、確かにここに居るのは僕の我儘だ。

禁止されてることをした僕が悪いってことは

わかる。だけどタケのところの子供たちに

罪は無いだろ?!』

 

何を言ってるんだ?

 

「貴女を連れてきた罪ですね。本来なら

貴女を縛り上げてでもダンジョンの中には

入れないようにしなければ駄目なんです。

つまり彼らは立派な協力者じゃないですか。

それなら罪人ですよ」

 

『そ、そんな・・・』

 

馬鹿が。自分の仲間を生かすために他人を

殺す覚悟も無いヤツがダンジョンに潜るん

じゃない。

 

両方守りたいなら力をつけろ。油断するな。

情報を集めろ。アイテムや準備を怠るな。

 

それが出来てからだろうがよ。

 

レベル2になったからと言ってレベル1の

冒険者を二人連れての中層探索だと?

ダンジョンを舐めるな。

 

世界最速兎とか言われたらしいがソレで

調子に乗ったか?世界で最速でも所詮は兎。

 

ソロなら逃げるなりなんなり出来ても、

仲間を抱えて同じ動きが出来るものか。

 

まして急造のパーティーなら尚更だ。

 

「行動には責任が伴います。貴女の我儘の

結果が周りにどれだけ迷惑をかけるのか

を良く理解し、眷族をダンジョンに向かわ

せると言う行為がどのような行為なのかを

今一度よくお考え下さい」

 

『・・・』

 

大体コイツが来たからって何になるんだ?

足手まといを抱えて動くナァーザの身に

なれよ。

ヘルメスと万能者は帰ったらしいが、向こう

はまだ自分の眷族の力で動いてるのに対して

コイツは完璧に他人任せじゃないか。

 

ダンジョンで足手まといを抱えることの

意味を知らないんだろうけどさ、コイツは

あまりにも冒険者への理解がなさすぎる。

 

「ん?う、うわっ?!何コレ?えっ?

どうなってるの?!」

 

『べ、ベル君?!』

 

「ちっ!」

 

ベル少年が目覚めたかっ!なんてタイミング

が悪いんだ!

 

「え?へ、ヘスティア様?何で?あっそうだ!

エマさんとヴェルフは?!」

 

「ベル少年。とりあえずエマ少女とクロッゾ

は無事だ。これから君とエマ少女を地上に

送るから、黙って寝ててくれ。細かいことは

地上で話すから」

 

『そ、そんな邪険にしなくても!』

 

わざわざ丁重に扱う理由があるか?

 

「ベル少年に罪はありませんからね。

大人しく寝てもらうのが一番です。

そもそもの原因は貴女なんですから

貴女はもう黙っててくれませんか?」

 

黙らないなら黙らせるぞ。

正直今の君たちは疫病神でしか無いんだ。

 

「え?ゆ、勇者さん?!いや、何が何だか

わからないんですけど?!」

 

知るか。答える義理すらない。

 

「説明は地上ですると言ったよ。すまないが

今は急がなきゃ行けないんだ。寝る気が

無いならせめて静かにしてもらえないか?」

 

ヘルメスの帰還からヘスティアの送還まで

時間が経ちすぎたら、それが僕たちへ罪を

なすりつける口実になりかねない。

 

ラウルやアキには既にその事を伝えて

いるから無駄足は踏まずに最速で帰る

はずだ。

ヘルメスを抱える万能者に追い付くのは

難しいかも知れないが、今ならそれほど

差はつかないだろう。

 

『勇者君!もう少しベル君に優しくして

あげても良いだろう?!一体何をそんなに

急いでるんだい?!』

 

黙れと言っただろうに・・・

 

「何度も言わせないで下さい。犯罪者の

貴女方を一刻も早くギルドに届けないと

僕たちまで共犯にされてしまうんですよ」

 

「は、犯罪者?!ヘスティア様、直ぐに

謝りましょう!ギルドに行く必要がある

なら直ぐに行きましょう!」

 

『いや、違う!違うんだよベル君っ!』

 

 

 

 

 

「「「・・・・・・」」」

 

 

 

 

なんだこの茶番。

 

「もういい忠告は何度もした。ラウル。

ベル少年を黙らせろ。ヘスティア様。

貴女ももう黙って寝てください」

 

「了解っす・・・少年。下手に動くと

痛いっすよ?」

 

「えっ、いや、確かに静かにしてろって

言われたけどこの状況は流石に・・・?!」

 

『べ、ベル君?!ゆ、勇者君!僕は君たちの

行動について正式に抗議をさせてもらうよ!』

 

「神威を出してまで何を・・・何度も説明して

るのに指示に従わないのはソチラでしょう?」

 

何でここまで僕たちが気を使わなきゃいけ

ないんだよ。前の謝罪もあって甘やかした

から自分達と僕たちが対等だとか勘違い

してるんじゃないのか?

 

神だからって護送が当たり前だと思うなよ?

犯罪者どもなんざ、このままダンジョンに

放り投げても良いんだからな?

 

 

 

 

 

ん?空気が・・・変わった?

 

 

 

 

 

 

何だ?!親指がいきなり痙攣してる?!

コレはエインさんやマードゥオの時と一緒か?!

 

 

しかもこの感じは、複数?

 

一番近くて僕たちに敵意を向けているのは

・・・上だとっ?!

 

 

 

何だあの水晶?中にナニか居る?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総員戦闘準備!上から来るぞ!気を付けろ!」

 




紐神、捕まる。いや実際捕まえないと
立場上ダメでしょ?原作で普通にテント
かしたりしてたのは水銀がなんか交渉
したからだろうし?

わりとしょうもない理由で神威を使って
ますが、原作でもエロフが参戦して白兎の
勝ちが決まってから発動してましたよね?

つまり本来使う必要が無いところで、
偉そうに神威を使うような阿呆であると
作者的に判断しましたってお話。

まぁオリ展開のオリ設定ですからね!


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121話

18階層、旅に出るんだってよ

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


上の、アレはこちらに敵意を向けてるな。

 

しかし大きな水晶の中で暴れてるアレは何だ?

戦争遊戯の時に出るような何か遠くの映像?

 

それとも水晶から出ようとしてる?

 

けど18階層の水晶の中にあんな魔物が居る

なんて聞いたことも無いぞ!

 

「アレは何だ?黒い・・・魔物か?」

 

「フィン、ラウルたちはどうしよう?」

 

アイズも非常事態であることは気付いて

いるんだな。ラウルの心配と言うよりは

ベル少年とエマ少女か?

 

「どう見ても階層主クラスだ。ラウル達は

別行動させるのも危険だが、足手まといを

抱えたままと言うのもな・・・」

 

ガレスとリヴェリアが居るのがまだ

救いだった。

 

「アイズ、リヴェリアに攻撃魔法の

詠唱準備をさせてくれ。魔力が回復

して無いようなら、ナァーザから

マジックポーションを買ってるから

無理やりにでも飲ませろ」

 

「・・・うん。了解」

 

とりあえず相手がアレだけとは限らない

からね。複数来ても良いように備えは

しないと。

 

問題なのはエインさんだ。彼女はどう動く?

 

自分が殺すに足る強い敵と判断して狩りに

来るか?

それとも取るに足らない雑魚と見做して

放置するか?

 

下手に戦闘に巻き込まれるわけには

いかないんだが・・・

 

まぁ向こうの人員を考えればコッチが

邪魔になる心配をしないと駄目なんだよな。

 

麗傑とカリフ姉妹にアレンにエインさんか。

繚藍の護衛を考えても大概のことに対応

できるだろうし。

 

こっちと違って足手まといも居ないしな。

 

しかしアノ魔物の敵意、というか殺意は

僕たちと言うよりヘスティアに向いてるよな?

コッチに落ちてくると仮定して準備するべき

だろうな。

 

そうなるとコノ事態の原因はヘスティアの

神威か?コレがあるから神はダンジョンへ

の立ち入りを禁止されてるのか?

 

いや、単純に神がダンジョンで死ぬことを

嫌ったと言う可能性も高いな。

なにせ穢れた精霊の事を考えれば神だって

同じ存在になる可能性が高い。

 

・・・ウラノス。奴は何を知っている?

 

『ひ、非常事態かい?』

 

お前が招いた事態だよ!・・・とはまだ

確証があるわけじゃないから言えないか。

 

だがこの阿呆をどうする?アレがコレを

狙ってくるなら、離れたら殺されて

終わりだよな。

 

僕たち的にはそれでも問題無いけど、

心配すべきはその結果だ。

 

コレがアレに喰われて天界に還るなら

それで良い。馬鹿がダンジョンで

馬鹿やって死ぬだけだ。

 

だが万が一にも穢れし精霊のような存在を

僕たちが生み出すわけにはいかない。

 

なら逃がす?いや、どんな攻撃手段を

持ってるか分からない敵に対して、

分断策は逆効果だ。

 

神を喰らうことで強化されたらシャレに

ならん。コイツがコレ以上騒ぐ前に気絶

させガレスをコイツのそばに置くか?

 

相手が一体ならガレスが居れば防ぐ

ことも出来るだろうし・・・

 

「ヘスティアって神だ!」

「ヘスティアってヤツを探せ!」

「そいつがアレを呼び出した原因だ!」

「責任を取らせろ!」

 

『え?、ぼ、僕?!』

 

なんだ?リヴィラの冒険者がヘスティア

を探してる?

ソレにアノ魔物がヘスティアが原因だと

確信しているようだが・・・いや、

引き渡すのは構わん。むしろ同罪と

思われる前に捕えて差し出すべきだ。

 

だが連中は何処からその情報を手に入れた?

 

誰かの罠じゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『総員傾注!』

 

 

 

 

 

 

コレは?!こんな問答無用で背筋を

伸ばすような威と声を出せる人間は

・・・エインさんしか居ないっ!

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

総員傾注!

 

 

 

今、ここ18階層にヘスティアと言う

神が不法に侵入している!

 

先に結論を告げる!上の水晶に写る魔物は

ヘスティアが諸君らを殺す為にダンジョン

に産ませる魔物である!

 

 

 

 

そもそも神がダンジョンへの侵入を禁止

されているのは何故か?!

 

足手まといだから?違うっ!

 

神の力がダンジョンの魔物を刺激し、

狂わせるからだ!

 

その証拠に17階層からの出入り口

を見ろ!19階層への出入り口を見ろ!

 

神の力を受けて狂った魔物がここ18階層

に大挙して押し寄せて来ているぞ!

 

更に上を見ろ!諸君らを殺そうとする

魔物の殺意がわかるだろう!

 

ギルドはコレを知っていたからこそ

神がダンジョンに潜ることを禁じたのだ!

 

だが今回ギルドはヘスティアがダンジョン

に潜ることを黙認している!

 

コレが何を意味するか?つまりコレは

諸君らを排除しようとしている勢力が

仕掛けた諸君らを殺すための罠である!

 

ギルドを率いるウラノスが天界での同郷

であるヘスティアに密命を与えてここ

18階層に送り込んだのだ!

 

その内容は事故に見せかけた諸君らの

殲滅であり、リヴィラの権益を狙った

モノたちの仕掛けた罠である!

 

故に宣言しよう!これよりここ18階層で

起こる魔物の狂乱は不幸な事故ではない!

 

ヘスティアがギルドの指示で齎した

神災であると!

 

コレからの戦闘で傷を負う者、命を失う者、

パーティーメンバーが死ぬ者も居るだろう!

その罪は誰のものか?

 

魔物に殺される未熟な冒険者か?

 

否!不法にダンジョンに侵入し、諸君らを

殺す為にココで神の力を行使したヘスティア

こそ、ギルドの手先にして自分が『悪』だと

気づいていないもっともドス黒い『悪』だ!

 

冒険者諸君!君たちはギルドや神の気分

で殺されるような、無力でか弱い存在か?

 

多少の魔物に襲われた程度で生を諦める

ような、無力でか弱い存在か?

 

そうだと言うならココで無様に死ね!

違うと言うなら武器を取れ、魔物を殺せ!

 

ヘスティアを捕えろ!ただし殺すな!

 

ギルドが諸君らに仕掛けてきた罠の

証拠として、連中の鼻先に突きつけろ!

 

決して死んで楽になどさせるな!永劫

生きる神に永劫続く罰を!痛みを与えよ!

 

 

 

 

 

 

 

ーー太極  ●●●●●●●●

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

流石はエインさん・・・見事だ。

 

『え?ぼ、僕が魔物を?!』

 

話の内容に違和感が全く無いし、事実

だけを使って状況証拠とした上で

冒険者達の自尊心をうまく操っている。

 

それに明確な敵を用意することで冒険者達

の行動に方向性を与えているのか。

 

さっきの冒険者は今の宣告の前にカリフ

姉妹や繚藍に情報を分散させたんだな。

 

これは彼がギルドやギリシャ連中を敵と

見做しているからこその宣告。

ヘルメスが居たらヘルメスも巻き込んで

居ただろう。

 

まさか奴はコレを読んで逃げたか?

 

『い、いいがかりだ!僕はウラノスに

そんなことは言われてないし君たちを

殺す気なんかない!』

 

・・・自覚がないどす黒い悪か。まさしく今のコイツのことだ。

 

「ヘスティア様。貴女がダンジョンに潜って

いて、先ほどの神の威を受けてダンジョンの

魔物が活性化したと言われれば、否定できる

人間はこの場に居ません」

 

『だ、だけど!』

 

いい加減自分の状況を理解しろよ。

 

「冒険者にとって必要なのは「どんなつもり」

とかじゃない。ソイツが何をして、その結果

何が起こったか、です」

 

実際お前らがココに来たのだって怪物進呈が

切っ掛けだろうが。

 

タケミカヅチファミリアがどんなつもりで

怪物進呈を仕掛けてきたかなんて、された

方には関係ないだろう?

 

『何をして、何が起こったか・・・』

 

今回みたいに偶然助かったなら、文句や

賠償もあるだろうが、ベル少年たちが全滅

してたらどうなっていた?

死体の無い墓の前でゴメンナサイとでも言って

悲劇のヒロイン気どって終わりだろうが。

 

結果なんだよ!生死が掛かった場合の冒険者は

特に生に執着するからこそ、自分に死の可能性

を突き付ける存在を許せない。

 

この場合は魔物ではなくヘスティアだ。

 

「貴女が不法にダンジョンに侵入して、

神の威を解放した結果、ダンジョンの

モンスターが暴れ狂い更にアレが産まれる。

そしてこの階層に居る冒険者の全てに命の

危険がうまれた。これが全てですよ」

 

『い、命の危険?!』

 

実際あの上に居る魔物の強さはわからない

からな。未知は即ち危険だ。

 

「ヘスティアだ!まずはヘスティアを探せ!」

「これ以上魔物を活性化させるな!」

「殺すなよ!殺せば奴等は体ごと消えて

無くなるんだからな!」

「おう!生きて地上に戻ってギルドの

クソヤロウどもに証拠を突き付けてやる!」

 

そしてヘスティアの存在を許せない以上、

コイツの言い訳なんざ誰も聞かん。

 

なんたって自覚してない悪だからな。

話を聞く意味がない。

 

『ぼ、僕はそんなつもり・・・あぐっ?!』

 

「もう黙れよ」

 

どんなつもりかは関係無いって言ってる

だろうが!知っていようが知らなかろうが、

罪は罪。ロキの知り合いだから今まで手は

出さなかったが、流石に見苦しいぞ。

 

「言い訳はこれから貴女のせいで死ぬで

あろう冒険者たちの前で言うんだな」

 

もしくは彼らの墓の前か。

 

しかし流石はエインさん。これほど

簡単に独立心の強い冒険者達を操るのか。

 

情報が少ない中、非常事態の原因を普段

存在しない神に結びつけるのも当たり前。

 

後でギルドあたりがあの宣告を誰がしたかを

調べてもエインさんを知らない冒険者は彼女

に結び付けることは出来ないし、僕たちは

エインさんの情報を売る気がない。

 

さらに言うならエインさんと言う証拠が

あるわけじゃ無いからね。

 

宣告の前に動いていた冒険者は、麗傑や

カリフ姉妹の名を挙げるかもしれないけど

彼女達も宣告を聞いたと証言すれば

良いだけだ。

 

何せ宣告が一度だけとは限らないんだからな。

 

むしろ宣告は繰り返し行うモノだから、

僕たちは方向や距離の関係上たまたま最後の

ヤツだけが聞こえたと言うケースだって有る

かもしれない。

 

つまりギルドはアノ宣告からエインさんに

辿り着くことは出来ない。

喩えフェルズと言うのがギルドの幽霊で

エインさんの知り合いでも、この現場に

居なければ決定的な証拠も無いしな。

 

「ガレス、ヘスティアを任せる」

 

「おうよ。上級鍛冶師や毒で弱ってる

連中とは別枠じゃな?」

 

ナァーザのおかげで死にかけてるのは

居なくなったし、大分動けるようには

なったけど、流石に戦闘はまだ早い。

 

「そうだな。アレはコイツを狙ってくる

可能性が高い。だからコイツを餌にするよ」

 

せめてソレくらいは役に立てよ?

 

「ラウル、他の足手まとい達を全員

連れてキャンプを防衛してくれ」

 

「了解っす」

 

喩え狂乱してても所詮は17階層や19階層

程度の魔物だ。ラウルたちなら十分だろう。

 

「僕とガレスとリヴェリアとアイズは

街とキャンプ地の両方から距離をとり

アレと戦闘だ」

 

「なるほど。確かにアレの強さがわからん

以上は最大戦力で当たるのが妥当じゃな」

 

「それにヤツ一体とも限らん、か。

・・・アイズ、マジックポーションは

もう要らん。ちゃんと全回復したから」

 

「そう?・・・まだあるのに」

 

この戦闘がどこまで長引くかわからない

から、節約してくれると助かるんだけどさ。

 

問題はエインさん達か。いや、とりあえず

最初にやらなきゃ行けない事がある!

 

 

 

「ヘスティアはロキファミリアが捕まえたぞ!」

 

 

これをやらないと僕たちが保護したなんて

言われるからな!

 

 

 

「あのデカブツもロキファミリアが迎え撃つ!

他の皆は狂乱して襲いかかってくる魔物の

相手を頼む!指揮はボールスにやらせろ!」

 

 

 

ボールスで無理なら麗傑やアレンが動く

だろう?とりあえずコッチはアレと戦わ

うことに専念させてもらうぞ!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「さ、流石正妻様です!冒険者の皆さんが

ヘスティアとギルドを敵と見なしましたよ!」

 

「うん。あんな演説されたらね。声だけで

格が違うってわかるじゃないか。

ありゃ嘘か本当かを疑う以前の問題さ」

 

しかも姿を現さずに声だけでもな。まったく

恐ろしい手腕だね。これが先生の一番弟子に

して正妻様、か。

 

ギルドはどう動くかねぇ?ヘスティアを

庇えば今後の冒険者との兼ね合いが

取れないし、庇わなければギリシャの

お仲間が居なくなる。

 

それに、どちらに転んでも白兎の冒険は

ここでおしまいさ。

何せこれだけの大惨事を引き起こした神の

眷族だ。ロキファミリアの勇者までもが

ヘスティアの罪を認めた以上、同業者は

誰もヤツの相手をしないだろう。

 

むしろ今後は、今回の争乱で死んだ冒険者の

仲間から襲撃を受ける可能性だってある。

 

「ダンジョン内で殺せぬと言うのが

もどかしいが、あの方の方針を邪魔

するワケにもいかん」

 

「それ以前の問題だ。命令に背いて正妻殿に

粛清されるのはゴメンだぞ」

 

……ようやく先生から子種を貰う許可も

貰えたし、正妻様から紹介状も貰う予定

だからねぇ。そりゃ従うか。

 

なんせ。ただでさえ勝てないのにアレだけ

の殺意を見せられたらね。

 

私たちに向けたものじゃ無いとわかっては

いるが、今思い出しても震えが止まらない。

 

春姫は良くもまぁ、あの正妻様にお優しい

なんて言葉を使えたもんだよ。

 

あの正妻様と、さらに正妻様でも鎧袖一触の

先生を同時に敵に回すなんて真似は私には

出来ないね。

 

・・・主神様に頼んで私も先生の子を産ま

せて貰えないもんかね?

モチロン女としてのアレも有るが先生との

繋がりはあった方が良いと思うんだよねぇ。

 

「とりあえず春姫達はロキファミリアの

戦闘の見学ですか?」

 

「そうなる。負けそうなら私らも参戦すること

になるかも知れないけど、その辺は状況

次第だろうね」

 

最悪カリフ姉妹に春姫の魔法を使えば

レベル7相当だ。コレでも勝てないなら

正妻様が潰すだろうよ。

私たちは正妻様に言われたように春姫の

護衛をしてればいいさ。

 

「春姫。とりあえず茶の支度だ」

 

「ほぇ?お茶ですか?」

 

「筆頭様が奥から出てきたら出さなきゃダメだろ?」

 

なんせ尋常じゃない殺意と一緒に、大量の

汗をかいてたからね。

身を浄めて頭を冷やす頭を冷やすために

沐浴するって言ってたけど、この状況で?

なんてツッコミは出来なかったよ。

 

あの殺意を抑えてくれるなら、むしろ沐浴を

手伝っても良いくらいだ。

 

「確かに!春姫は全く気付きませんでしたよ!

流石はアイシャ様ですよね!」

 

「ま、歳の功ってやつさ。正妻様と同郷の

先生との付き合いも長いしね」

 

て言うか、正妻様の機嫌をとろうとしない

アンタの方がよっぽど大物だよ。

 

多分そう言うところも気に入られた

要因なんだろうけどさ。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

・・・ようやく収まりましたか。

 

狐殿の前で醜態を晒してしまいましたね。

クソっ。ヘスティアを殺せないのは癪

ですが、旦那様の敵である白兎を封じる

ことが出来たのは唯一の成果です。

 

本来ならアレも殺せれば良いのですが、

ソレをしようとすれば卑弥呼殿のような

存在を呼び込む可能性があるから、

最低でもレベル8相当は必要との見立て

でしたからね。

 

後は旦那様の敵を更に追い詰めればいい。

 

魔物の暴走はヘスティアのせいですからね。

骨も否定は出来ないでしょう。

 

くくく。貴様の行いが何を産むのか、腐り

きった神でも理解できるような形で残して

やるから、しっかり現実を理解するんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うかマダオがこちらに上がって来て

ますが何をする気なんでしょうかね?

流石にヘスティアの殺害許可は出しませんよ?

 

 

しかしまぁ、あの黒いのくらいは殺らせて

やっても良いかもしれません。

 

その戦闘が、冒険者を巻き込んでの戦闘に

なれば最高ですよね。

 

・・・黒いのを一撃で殺さぬように言い

含めた方が良さそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まったく面倒な。だからアイツはいつまで

たってもマダオなんですよ。




弟子、紐神のせいにする(事実ではある)

勇者、紐神を捕らえる(一応保護でもある)

マダオ、黒いのと死闘を繰り広げる?

黒いのと戦った後でボールスが白兎と
仲良くなるのってマッチポンプじゃないの?

まぁ犯人は自覚しない悪だからアレかも
しれないですけどねってお話

流出の文字数とかは変わるかも?


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122話

黒ゴライアス降臨っっ!
黒ゴライアス降臨っっ!
黒ゴライアス降臨っっ!
黒ゴライアス降臨っっ!

だからなんだって感じですけどねっ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


さて、マダオが来たら存分に冒険者を

巻き込んで暴れさせるとして・・・

 

その前に狐殿を避難させる必要がありますか。

 

私がお守りすれば良いのでしょうが、

先程のようなコトが有れば突発的に

ナニカしてしまう可能性もあります。

 

「アルガナ、バーチェ」

 

「「はっ!」」

 

ふむ、よく教育されています。これは

カーリーとやらが強者に対する敬意を

持つように教育しているからでしょうか?

 

「これより下から私が調教した

蜥蜴が来ます。コチラを襲うような

ことは無いでしょうが、暴れまわる

ことになるでしょう」

 

「「・・・」」

 

ふむ、途中で口を挟まないか。無駄がなくて結構。

 

「その際、狐殿が巻き込まれ無いように

守護しなさい。直接の戦闘では分が悪い

でしょうが、余波を防ぐくらいなら十分

出来るでしょうからね」

 

「「はっ!」」

 

流石にこの者たちでは勝てませんし、

勝てたとしても旦那様に見せる前に

マダオが殺されてしまっては、今まで

与えた魔石が無駄になります。

 

「アイシャは私の傍に控えるように。

なにか別命が有れば命じます」

 

「はいっ!」

 

さて、あとは狐殿ですが・・・居ませんね?

 

「正妻様!お茶をご用意しました!」

 

ほう、流石は狐殿。見事な気遣いです

 

「ありがたく頂戴しましょう」

 

・・・ふむ中々の腕前。コレは伯師妹と

違い、純粋に女として鍛えられた故の技

ですか。

 

「あ、あの・・・」

 

あぁ、普通に味わってしまいました。

失敬失敬正妻失敬です。

 

「ご馳走様です。見事なお点前でした」

 

このような場所でもきちんと茶を点てる

ことが出来るとは。流石狐殿です。

 

「は、はい!お粗末さまでした!」

 

このような方が師の子を産んでくれれば

言うことはないのですが・・・

狐殿はファミリアや身請けの関係で

結婚や出産は難しいようですが、

種族的にはどうなのでしょうね?

尻尾とかありますけど、子はどうなる

のでしょうか?

 

まぁ、今は良いですね

 

「さて狐殿、これより私が調教した

少し大きめの蜥蜴が18階層に来て、

多少暴れることになるでしょう」

 

「お、大きめのとかげさんですか?」

 

とかげさんなんて可愛いモノでは

ありませんよねぇ。

アレは蜥蜴、いえマダオで十分です。

 

ですが、まるで・ダメな・汚物を私が

調教したと旦那様に伝えられても

困りますよねぇ。

 

ヤツはマードゥオとか呼ばれて己の心を

誤魔化してましたが、それも止むなし?

いや、今は狐殿への状況説明が先でしょう。

 

「えぇ、ただ先程の宣告でも言ったように

ヘスティアのせいで我を失っていますので、

冒険者を巻き込んで暴れると思われます」

 

「な、なるほど!正妻様が調教したとは

いえ魔物ですからね!」

 

む?もしや私の力不足と評価されたりしますか?

 

いや、旦那様ならわかってくれるとは思いますけど。でも狐殿からの評価は落ちますよね。

 

・・・クソっマダオが!どっちに転んでも

ダメじゃないですか!

 

アレがダメなのはシカタナイですが、

私まで駄目にするんじゃないっ!

 

それともこれが飼い主の責任?くっ!

さっさと捨てるか殺したいのに中途半端に

珍しいから殺せないし・・・

 

「え、えぇ。アレです神のせいです。そう、

全てヘスティアが悪いのです」

 

もう全部神のせいにしましょう。嘘では

ありませんしね。

 

マダオに関しては再教育してからちゃんと

お披露目すれば、きっと狐殿も褐妹の

ように喜んでくれますよね?

 

「やっぱりぎりしゃは駄目なんですね!

これだから旦那様の敵はダメなんです!」

 

プンスカですよって言ってますが、

どうやらヘスティアのせいだと言う

ことは納得してくれましたか。

 

無駄に責任を感じたり、私に恨みを

持たれては困りますからね。

 

「それで、狐殿が巻き込まれないように

アルガナとバーチェに守らせますので、

余程のことがない限りは二人の言うこと

をよく聞いて下さい」

 

ここでどこかのお話の主人公のように

「守らなきゃ!」とか言って突貫されたら

万が一も有りますからね。

 

「はいっ!正妻様や旦那様の邪魔に

なるようなことはしません!」

 

うむ。流石は狐殿。素晴らしい決意です。

 

 

 

 

さて最大の案件が片付いたところで、

ロキファミリアはどうしましょうか?

 

布と洗剤は褐色姉妹が取りに行きましたし。

 

褐色姉妹が居ないなら別に殺しても

良さそうですが、旦那様が何かの策に

使うかもしれませんよね。

 

しかも今回は突発的な事故のようなモノ

ですから流石に証拠を残さず全滅させる

のは不可能。

 

マダオが私が調教した蜥蜴だと連中は

知ってますから、そこから旦那様に

苦情が入るでしょう。

 

私の不始末で旦那様に迷惑をかける

わけにはいきませんよね。

 

となると巻き込まれて死ぬ分には

良いですが、積極的に攻撃はさせる

べきじゃないですね。

 

ロキファミリアを避けて攻撃していた

という事実があれば、尚良しと言った

ところでしょう。

 

コレでマダオに関しては大丈夫。あとは

モンスターの群れですね。

 

烏は下に向かわせましたが・・・中々の

正妻冗談ですが、今はダメですね。

 

20階層の巣の中の狂乱を抑えて

もらうことにして、猫耳はこちらに

きますかね?

マダオがこちらに向かってることを

考えれば、伯師妹の目印が無くなる

から一度上がってくるとは思いますが、

その場合はアイシャの守護に当てて

私は私で動くのが良いかも知れません。

 

 

あぁ。もしアレならマダオを使って実験

をするのも悪く無いですね。

 

ロキファミリアの動きにもよりますが、

ソチラの方向での策も考えて起きましょう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『GAAAAAAAAAAAA!!』

 

出て来たっ!アレは・・・黒いゴライアス?

階層主の強化種とでも言うのか?!

 

まぁ良い、今の威圧からして勝てない敵ではない!

 

「リヴェリア!キャンプ地に障壁魔法!」

 

「了解だ!【舞い踊れ大気の精よ、光の主よ!】」

 

咆哮を使われたら低レベルで弱ってる

連中は余波だけもマズイからな。

 

「ガレス!ヘスティアを簀巻きにして

持ち運びが出来るようにしておけ!

それとレフィーヤにも障壁を張る準備

だけはさせておけよ!」

 

「おうよ!」

 

セクハラだなんだのと騒がれて

自分の罪を誤魔化されても困るからな。

 

「【森の守り手と契を結び】」

 

レフィーヤの障壁は簡易で良い。アレは

良くてレベル5か6相当。ならば咆哮が

直撃しない限りリヴェリアの障壁は貫けん!

 

「アイズ!近接戦闘で反応速度を探れ!

特に上段の反応と下段の反応、攻撃の

回転が見たい。上下左右に揺さぶりを

かけろ」

 

「・・・っ!了解!」

 

「【大地の歌をもって我等を包め。】」

 

アイズにはこうして明確な方向性を

持たせた方が良い。慣れてきたら

自分で考えて動くだろうが、今は

指示通りに動くだけで十分だ!

 

「椿!君にも参戦してもらうぞ!」

 

「おうよ。正直言って今回は何も

しとらんからな!少しは仕事をせんと

素材の分け前が減らされてしまう!」

 

「【我等を囲え大いなる森】」

 

良くわかってるじゃないか。

それにあのゴライアスはリヴェリア

よりもアイズを狙っている。

つまり魔力に反応するタイプではない!

 

「ラウル!リヴェリアの魔法詠唱が

終わったら僕も前に出る!後の指揮は

任せる!不安があればリヴェリアに聞け!」

 

「り、了解っす!」

 

「【光の障壁となって我等を守れ】」

 

レベル4有ればアレに襲われても

時間稼ぎくらいは出来るだろう。

雑魚の群れに関しても、落ち着いて

当たれば抜かれることは無い。

 

「アキ、タケミカヅチファミリアは罪人

だがベル少年とエマ少女は罪人ではない。

騒いだら気絶させる程度に抑えろよ!」

 

「了解です!」

 

「【――我が名はアールヴ】」

 

感情的になって怪我でもさせたら

ヘルメスやヘスティアに反撃の糸口

を与えてしまうからな。

 

「さて、詠唱が終わる・・・僕も行くか」

 

アイズ一人だと決定力に欠けるみたいだな。

それでも戦えてるのはアレがこちらに意識を

向けているから?

 

「【ヴィア・シルヘイム!!!】」

 

よし!コレで後はアレを潰すだけだ!

 

『GAAAAAAAAAAA!!』

 

戦力的にはウダイオス以上バロール以下と

言った感じか?

 

ヘスティアを使って注意を散漫にさせて

攻撃を当てていくか。

 

・・・しかしヤツは傷が自動回復するのか。

厄介ではあるが、魔石を見つけるか回復し

きれないだけのダメージを与えれば良い

だけの話だ。

 

「フィン・ディムナ!行くぞ!!」

 

まずは足を止めるっ!!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さて、標的はこの上のようだが

・・・どうしたモノかな。

 

他の魔物どものように木の穴から出る

のはナシだ。

 

かといって勢いに任せてここに穴を空けて

出た場合、上の階層に居るであろうエインに

刻まれる可能性も有るんだよな。

 

恐らく上に居るのは神だろう?

 

殺すのは簡単だが、ダンジョンの中で

殺した場合穢れし精霊みたいな感じで

変なヤツが産まれるんじゃないか?

 

そうなったらヤツの旦那の計画は間違いなく

狂うよな?

 

そんでもって、自分が調教した俺のせいで

旦那の計画の邪魔をした。なーんてことに

なったら・・・怒り狂ったヤツに俺が

刻まれるわけだな。

 

かといってこの殺意を抑えるのは、正直

厳しいモノがある。

階層を跨いでもコレだ。同じ階層に居たら

間違いなく殺意を抑えられん。

 

神は地上ではなんの力も無い一般人なの

だろう?それが俺の殺意を受けて生きて

居られるのか?

 

対抗するために神の力を使えば、俺の殺意は

更に増すし、殺意だけではなく物理的に殺し

に掛かるだろうな。

 

そのときエインのヤツはどう動く?

基本的に神は旦那の敵だからそのまま

魔物の暴走として黙認するか?

ソレとも積極的に殺すか?

もしくは表面上は俺を止めようとするか?

 

積極的に敵対はしないだろうな。よりにも

よって旦那の敵の為にアイツが動くとは

思えんし、何よりアイツは表に出る気が

無い。俺を追い払って正義の味方面しよう

とするようなヤツでもないしな。

 

例外としては俺が間違えてアイツに攻撃

した場合だろ?

 

・・・そんな間抜けな理由で殺されるのは

正直ゴメンだ

 

ならいっそのこと、ここで待機も有りか?

別に俺がここに居ることは知らんだろうし。

 

いや、だが、ウィーネにあんな風に言われて

勢いよく飛び出したは良いが、少し冷静に

なったからナニもしないで帰ってきました☆

 

なんて言ったら、送り出したウィーネや

マリィは俺の事をどう思うだろうな・・・

 

いやいや、そんなの流石に情けないだろう。

まるで・駄目な・おっさんで、まだおだよ。

 

かといって何となくイラついて、我を忘れて

暴れたら退治されましたなんてのも・・・

 

『何をしている。さっさと来い』

 

うぉ?!何だ?いきなりアイツの声が?!

 

『・・・』

 

無言だがイラついてるのはわかるぞ!

さっきのは気のせいじゃ無いと言うことか?

 

『真上の天井を破壊するように。また

18階層には人間の冒険者も多数居るので、

言葉を喋ることを禁じます。私の声はマダオ

にしか聞こえないように工夫しているので、

これからは指示が聞こえたら短く鳴くか

頷くなどの動作を行うようにしなさい』

 

いや、俺にしか聞こえないように工夫って

何だ?無線とか念話みたいなモノか?

 

まあいいや()

 

上の状況がわかったし、俺を呼ぶと

言うことはアイツも最低限の冷静さ

を持っていると言うことだ。

 

何かさせることでも有るんだろうし。何より

意思疏通が出来ると言うなら問題なかろう。

 

少なくとも俺を旦那に見せる前に殺すことは

無いだろうし。

 

『・・・』

 

わかったわかった。その「さっさと来い刻むぞ」

って感じの無言の圧力は止めろよ!

 

行くぞ?真上に穴を空けて良いんだな?

 

勢いをつけて格好良い感じの登場シーンで行くからな?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

あの黒いゴライアス・・・まずは剣姫と

勇者が当たり、九魔姫の魔法で潰す気

ですか?私はどうするべきでしょうね。

 

あの有無を言わせぬ威圧を感じさせる

声により、ヘスティアの罪が公表されて

しまいましたが・・・別に私には痛くも

痒くも無いんですよね。

 

ついでにタケミカヅチファミリアの連中も

罪人としてロキファミリアに捕まったし。

面倒事を持ち込んだ罰です。

甘んじて受けるが良いでしょう。

 

それで、私がどうこうされないのはナァーザ

のサポートのお陰でしょう。

 

実際私を巻き込んだのはヘルメスと灰色

だし、ヘスティアの護衛もしてませんからね。

 

「さてリューさん。私たちはしばらくコッチで

陣地防衛ですけど、神ヘスティアや他の連中

をどうしますか?」

 

「どうする、とは?」

 

罪を償わせる為に殺さないと言うのは

私も賛成です。

それに、あの声が神殺しを煽動したなら

なにがなんでも正体を探られるでしょうが、

アレの提案は罪人を捕らえることですからね。

 

罪人を捕らえて責任を取らせることに文句を

言う者など居ないでしょう。

 

「いや、一応『助ける』とか『逃がす』とか

言い出したらどうしようかと思いまして」

 

あぁ、なるほど。私は灰色に言われて

白兎を助ける為に来てますからね。

 

白兎の主神を助けると思われましたか。

 

「私としても、その辺の冒険者がどさくさに

紛れて彼女の身体を好き勝手しようと言うなら

止めたかも知れませんが、ロキファミリアが

責任を持ってギルドに差し出すと言うなら、

特に何かしようとは思いませんよ」

 

今回の魔物の狂乱の元凶かどうかは

知りませんが、実際彼女はダンジョンへの

侵入と言う法を犯した罪人ですからね。

 

裁かれるべき対象なのは確かなんです。

 

「いやぁ、それを聞いて安心しました。

何せさっきの声はエインさんの声ですからね。

逆らったり、逆らったヤツを見逃したら

私が殺されちゃいますもん。どうやって

同じレベルだけど経験豊富なリューさんを

止めようかって真剣に考えちゃいましたよ」

 

・・・なんですと?

 

「先程の声が正妻さんの声ですって?」

 

「ですね。普段の声とは少し違う感じが

しましたが、多分大勢に語りかける為の

方法みたいなのが有るんでしょう」

 

嘘では・・・無さそうですね。

つまり声だけでアレだけの威を出すことが

出来るニンゲンが彼の正妻さんと言うこと

ですか。

 

やはり今回は無礼をしなくて正解でしたね!

私はヘタレたのではなく、正しい選択を

したのですよ!

 

「それなら尚更ヘスティアは逃がせませんね」

 

元々白兎だって彼の敵が自分の話の主人公に

しようとした子供ですし、ヘスティアと

ヘルメスが罪に問われてしまえば、主人公

どころでは無いでしょう。

 

・・・悲劇の主人公にはなれそうですがね。

 

「えぇガレスさんが黒いのと戦うために

持っていきましたが、やはりアレは神を

目当てにしているようですよ」

 

「そうですね。正妻さんの宣告は正しかった

と、この場にいる誰もが認めるでしょうね」

 

ギルドの密命云々もね。

 

真実と嘘をここまで綺麗に混ぜ合わせ疑い

の方向性や信憑性を高める技量は、まさしく

彼を彷彿させる遣り方です。

 

闇派閥を黙認し、迷宮都市に暗黒時代を築いた

ギリシャのロクデナシども!我々がいつまでも

貴様らに無条件で従うと思うなよっ!

 

まずはヘスティア、次いでヘルメス!

 

貴様らは今日で終わりだっ!

 

とりあえず何時でも参戦出来るように

用意だけは・・・ん?何だ?アッチに

居る魔物が一目散に向かってきてるが、

何か有るのか?

 

 

   

 

 

 

 

『ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』

 

 

 

 

 

 

 

何だ?!今の声、いや咆哮はっ?!

 

「リューさんっ!」

 

「あぁ、何か恐ろしいのが下から来るぞ!」

――――――――――――――――――――

 

 

 

『ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

 

 

 

 

やっと来ましたか。下の階層で何やら

まごまごしてましたが。とりあえず

掴みはあんな感じで良いでしょう。

 

後は戦闘に関してですが・・・とり

あえずは好きにさせましょうか。

 

計画が可能かどうか吟味が必要ですからね。

 

さて、マダオに指令をあたえましょうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『超人108技が一つ、肺力狙音声!!!』

 




弟子考える。

勇者戦う。

マダオ、冷静になる。

エロフ、非情の決断(?)をする

18階層に起こる悲劇は防げるのかってお話



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123話

地上でも事件がっ!

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


「馬鹿な!ここでマードゥオだと!?」

 

「・・・なぁフィン、コイツを担いだまま

じゃと儂が狙われるんじゃないかの?」

 

リヴェリアの悲鳴もガレスの不安も

良くわかる・・・この状況でアレは

最悪の相手だよ!

 

そうだ。ダンジョンの魔物が狂乱して

階層を越えて安全地帯に来るなら、

通常攻撃でダンジョンの天井を突き破る

マードゥオがココに来る可能性だって

あるじゃないか。

 

アレがエインさんの言うように狂乱してて

狙いがヘスティアなら・・・ガレスが

いうようにヤバイのはコッチだ。

 

そしてガレスの敏捷ではアレからは

逃げ切れん。いや、誰の敏捷でも空を

飛ぶアレから逃げるのは無理だろう。

 

戦うにしても足手まといを担いで戦える

ような生易しい相手じゃないし、何より

ティオネとティオナが居ないのが厳しい!

 

「・・・フィン、流石にマードゥオを相手に

様子見は無理だよ?」

 

それはそうだろうな。そもそもマードゥオは

あの黒いゴライアスとは格が違う。

 

ただでさえレベル7相当で、アイズの攻撃では

傷をつけることすら難しい相手だ。

 

加えてあの巨体に咆哮とブレス。爪や牙を最大限

活用した突撃は一撃で全部持っていかれるだけの

力と速さと鋭さがある。

 

更に頭も良いのが厄介だ。即席の罠には

掛からないだろうし、何より目の前の敵より

目的を優先するだけの知性もある。

 

その上で飛行能力と魔法を反射する装甲だぞ。

・・・どうしろって言うんだ!

 

いや、ヘスティアのせいで狂乱してるなら

まだ罠にかけれる可能性があるかも知れない

けど、狂乱していると言うならその突撃は

防御を無視した突撃になる。

 

レベル7相当と予想されるアレが、なりふり

構わず全力全開で突撃してくるんだぞ?

 

そんな攻撃をガレスは支えられるか?

僕の攻撃は当たるか?アイズの反応速度で

回避出来るのか?

 

張られてる障壁は障壁として機能するのか?

普通にマードゥオの攻撃の余波だけで死ぬぞ!

 

マードゥオの狙いはヘスティアなんだよな?

 

・・・本来なら命懸けでヘスティアを守る

理由は無いんだ。

 

穢れし精霊の存在がある以上ヘタにここ、

ダンジョンで神に死なれるわけにはいかない

と思って、こうして逮捕と保護の中間みたいな

扱いをしているけどさ。

 

団員の命と秤にかけたら、当然団員

の命を優先するべきだよね。

 

もともとコイツが元凶だと判断されてるから、

ココでマードゥオに殺されても僕たちが

見捨てたということにはならないだろう。

 

どうする?ヘスティアを捨てて逃げるか?

 

それとも何とかしてアレンかエインさんと

連絡が取れるまで時間稼ぎするか?

 

そもそもマードゥオは本当にヘスティア

狙いなのか?調教したエインさんに対して

叛旗を翻したとかならどうなる?

 

 

 

 

うん。どうにもならない。ただの大惨事だ。

 

 

 

さーて、逃げようか。あのままにしておいたら

暴れてるところをエインさんが「五月蝿い」って

言って殴り倒してくれそうだし。

 

黒ゴライアス?ヘスティアをそのへんに置いて

おけばマードゥオの攻撃に巻き込まれて普通に

死ぬと思うよ?

 

マードゥオの攻撃は、回復とかそう言う次元の

レベルの攻撃じゃ無いから。

 

僕たちの攻撃でダメージを受ける程度なら

マードゥオの突撃で全身砕かれて飲み込まれて

終わりだよね?

 

魔石だの回復云々は関係ないだろ。

 

それに万が一マードゥオを倒せたとしても、

次はエインさんでしょ?ただでさえアレな

相手なのに損耗した状態で勝てるわけがない。

 

しかも彼女一人じゃなくカリフ姉妹や麗傑、

最悪アレンまで敵に回る可能性が高い。

 

うん。無理無理。さっさと退こう。

 

退くべき時に退くのが正しい指揮官と

言うものだしね。

 

「ガレス、ヘスティアを投棄する用意を」

 

「おう!」

 

こうなったら、出来るだけ黒ゴライアスと

マードゥオが戦うようなポイントに投げ

捨てることが、今出来るせめてもの

有効利用だよね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・なに?万能者は来たがヘルメスは居ない、だと?」

 

「は、はい。クエストとして一、二階層で

見張らせていた冒険者から報告があがって

来てますが、それによると万能者は一人で

行動をしているそうです」

 

ふむ?リリルカ・アーデが嘘を吐いたと

言う可能性は・・・無いな。

 

そもそも報告をしたときには、我々の

目の前に救助隊を名乗るパーティーが

居たのだ。

少しでも探ればヘルメスとヘスティアの

存在は確認は出来ただろう。

 

そうなれば万能者一人で帰ってきた

ということか?主神を置いて?

 

確かにロキファミリアの凶狼をはじめ

大切断や怒蛇などが急いだ様子で帰還

しているが、アレは毒妖蛆によって毒を

受けた連中を回復させるためなはず。

 

布や洗剤は・・・おそらく毒で汚れた衣類を

あちらで洗浄するためだろう。

 

まぁ毒妖蛆の毒が付着した衣類なんか

地上にもってこられても困るからな。

 

あの勇者なら、そのへんの配慮くらいはする

だろうよ。

 

となると、万能者もソレ関係か?だが普通に

考えるならヤツは中層に残してヘルメスの

護衛をさせるだろう?

 

わざわざ他所の眷族である万能者を

使わずとも他にもレベル4などいくら

でも居るんだからな。

 

後の違和感は・・・その移動速度だな。

 

もし万能者の帰還に急ぐ理由があるなら、

上層にいる依託の冒険者などよりも

早く上がってくるはずだろう?

 

だが、未だに上がって来ないということは、

ヤツが急いでいる訳ではないということだ。

 

ほかの連中より先んじて帰って来て

おきながら、帰還を急いでいない?

・・・ココだな。何かの仕込みをして

いると考えるべきだ。

 

なんと言っても【神秘】持ちの万能者。

こちらが知らない手札なんぞ何枚も隠し

持っていることだろうさ。

 

「とりあえず万能者が戻ったら、聴取

を行うので別室に案内するように」

 

だが、みすみす逃す訳には行かんよな?

 

折角のリリルカ・アーデからの情報を我々が

活用出来ないとなれば、今度こそ奴は我々の

能力に見切りをつけるだろう。

 

利用価値すら無いと判断されたら、俺も普通に

殺されるなんて贅沢は出来んだろうしな。

 

「は、はい!理由はどうしましょう?」

 

このアホは・・・それくらいわからんのか?!

 

「リリルカ・アーデからの情報提供に

基づく、神ヘルメスのダンジョン侵入容疑

に関してだ!そのくらいわかるだろう!」

 

別にそれが嘘や誤認でリリルカ・アーデと

連中の仲が悪くなろうと我々には関係ない。

 

それにヘファイストスは止めたと言う

情報まで有るんだぞ?

 

ヘルメスがダンジョンに潜ったのはほぼ

確実だ。

帰還に関しては、万能者の側に居ては

すぐに気付かれると判断して、ロキ

ファミリアと何らかの取引をしている

場合だってあるだろう!

 

その場合はロキファミリアからも罰金が

取れるじゃないか!なんでこんな簡単な

ことにも気付かんのだ?

 

まったく。これでは単独で利害計算が出来る

リリルカ・アーデの方が数十倍マシだな!

 

「す、すみません!」

 

あぁん?まだいたのか?!

 

「さっさと受付に戻れ!万能者が

逃げたらどうする気だ!」

 

謝ってる暇があったら動けよ!これ

だからリリルカ・アーデに「あざとい」

だの「乳寄せメガネ」だのギルド職員

としてあるまじき評価をされるんだ!

 

「は、はいっ!」

 

・・・どいつもこいつも無能ばっかりだ。

 

しかし問題は捕らえた後か。ダンジョン侵入

の罰は罰金刑で資産の50%。

 

ヘルメスにはそれで良いが、ヘスティアには

そもそも払う財産がない。

かといってこれを許せば零細ファミリアの神

どもが興味本位でダンジョンに向かう事になる。

 

それは主神殿からの命令に反するよな。

そうなると神が嫌がることをさせる

しかない。

 

・・・数年単位の無料奉仕が妥当か?

 

奴らは基本的に大したことが出来ない

くせに、休憩と給料はしっかり貰おう

とするクズ共だからな。

 

タダ働きほど堪えるモノもなかろう。

 

とりあえずこの方向で主神殿には報告だな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

『ふむ、アスフィを見て地上に上がって

行くってことは、アレはギルドの依託

冒険者かな?』

 

狙いは・・・僕だろうね。

 

「おそらくはそうですね。ヘルメス様

と痴女神がダンジョンに入ったと

言う情報を掴んだのでしょう」

 

ふむ。それで罰金狙いで待ち構えるか。

ロイマンあたりならやりそうだな。

 

『その情報を提供したのは誰だと思う?』

 

「紅魔か繚藍。もしくは麗傑に

女神の戦車ですかね」

 

そんなところか。もしくはヘスティアが

騒いでたから、誰か目撃者が居たかもしれない

けどそれならココまで厳重に見張ることはない。

 

その情報にそれなりの信憑性があると

見做されたと考えればその辺だろうね。

 

・・・もしも18階層に行っていたら、足を

砕かれてなにも言えないように猿轡とかされた

上で暴行されて、動けなくなったところを

ギルドに突き出されていた、か。

 

いやはや恐ろしい連中だ。

 

『この様子だとアスフィは聴取の為に

別室へご案内かな?』

 

「そうですね。それでは少し時間が経ったら

ヘルメス様は素知らぬ顔してギルドに来て

ください。一声かけてもらえれば私は開放

されますよね」

 

『だね』

 

ダンジョンに潜ったアスフィ、もしくは

ベル・クラネルと一緒に居るエマが心配

で様子を見に来たとでも言えば良いかな?

 

 

 

 

 

「(#ФωФ)ホホゥ・・・」

 

―――――――――――――――――

 

 

なるほど、それならアリバイは無くとも

【外から来た】という一点でもって冤罪

となりますね。

 

使い方としてはリリの魔法と似たような

感じではありますが、やはり姿が消せる

と言うのは大きいですよ。

 

まさか痴女眼鏡を囲むような完全な壁を

作るわけにも行きませんし。

 

隙間があればソコから逃げる訳ですね。

 

さてさて、どんな目に遭わせましょう?

 

コイツらを纏めて拘束するのは決定ですが、

出来たら痴女眼鏡には投獄されて臭い飯を

食ってもらいたいんですよね。

 

だってコイツがこんなアイテムを作らな

かったら、ヘルメスの悪巧みもココまで

加速しなかったわけでしょう?

 

コレは許せませんよねぇ(´・ω・)

 

先生なら多分・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「来たっ!とりあえず囲んで!」

 

「「「了解」」」

 

ほんとに万能者一人だけね?

 

「あらエイナこんばんわ。何やら物々しい

雰囲気だけど誰かのお迎えかしら?」

 

白々しい・・・

 

「えぇ、こんばんわアスフィさん。少し確認

したいことがありまして。別室で調書を

取らせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

嫌だって言ったらそのまま罪を作るって

話だけど・・・ソレってどうなのかしら?

 

「調書?まぁ構わないけど、その内容は

ココで教えて貰えるの?」

 

やはりこの程度じゃ隙を見せないわよね。

 

「えぇ、リリルカ・アーデさんからの

情報提供がありまして。貴女の主神で

ある神ヘルメスがダンジョンに侵入した

と言う情報についての真偽の確認ですね」

 

さて、どう出る?

 

「紅魔が?うーん。確かにあの人の師匠は

ウチの神様を嫌ってるからねぇ。

それはウチの神様の自業自得ではあるけど、

だからって冤罪を受け入れる気は無いわよ?」

 

やっぱり一筋縄ではいかないか。

 

「よくぞ言いました。死ね」

 

『え?ぐおっ?!』

 

「「「え、えぇ?!」」」

 

な、何?いきなり何も無いところから

神ヘルメスが現れた?!

しかも下半身の装備品が破かれてる?!

 

「乳寄せ眼鏡。コレが動かぬ証拠ですね。

さっさとこの性犯罪者どもを捕らえるのです」

 

り、リリルカ・アーデさん?

 

「あ、あの、こ、この二人が性犯罪者とは?」

 

そもそもの罪ってダンジョン侵入じゃないの?

 

「今までコイツはそこの痴女眼鏡が造った

この兜のような魔道具で透明になって、

様々な悪さをしてきました。

今回のようなダンジョン侵入はもちろん。

有名なのは風呂場や更衣室の覗きですね」

 

「「「ナ、ナンダッテー!」」」

 

「た、確かに神ヘルメスがそのような行為を

しているのは、噂には聞いたことがあります!」

 

他の神や男どもに自慢してたって・・・

今まで捕まらなかったのはコレのせいか!

 

「ま、待って!それは違う!!」

 

アスフィさんが焦ってる?さっきは

あんなに自信満々に冤罪とか言って

たのに?これはまさか、本当に?

 

「何が違うというのですか?このように

透明になる道具を使って犯罪を犯して

おきながら、リリの証言を冤罪と言い

切ったのはどこのどいつですかねぇ?」

 

「た、確かに!透明になって隠れていた

神ヘルメスがいて、証拠の魔道具まである。

さらに神ヘルメスの普段の言動を省みれば、

普段からこれを使って悪事を働いていたと

考えるのが妥当ですっ!」

 

「え、いや、それはっ!」

 

「はっ。言い逃れが出来る状況だと思うな

この性犯罪者。主神が望んだからと言って

造っていい道具と悪い道具があることくらい

わかりませんか?!この女の敵が( ゚д゚) 、」

 

「せ、性犯罪者・・・女の敵・・・」

 

・・・それはそうよね。覗きが趣味の神に

透明になれる魔道具を渡すって。

これは女として絶対に見逃しちゃダメよ!

 

覗きを止めるとか止めないじゃない。

 

そもそもこんな魔道具を造ったコイツこそ

主犯と言っても良いんじゃないかしら?!

 

「アスフィさん。聞くことが増えましたね?

別室での取り調べを受けてもらいます。

これは任意同行ではなく、強制力のある

命令と思ってください」

 

「あぁ、逃げても良いですよ?そしたら

リリがお前の下半身を砕きますから。

そこで無様に痙攣してる神とお揃いに

なってもらいましょうか?

そしてギルドを訪れた冒険者たちに無防備な

下半身を晒せばいいんです。

それが今まで貴様らの被害にあった女性への

せめてもの贖罪になるでしょう」

 

厳し・・・くもないか。ソレもコレも

こいつらがヤって来たことだもんね。

 

「では皆さん。ヘルメスと万能者を

捕らえて下さい。

また万能者が妙な真似をしないよう

アイテムは全て没収します。

装備品も別室で全て着替えて頂きます

のでそのつもりで。抵抗は・・・」

 

「ん?別に抵抗しても良いんですってば。

むしろ抵抗してくださいよ。そしたら

リリが物理的に地獄を見せてあげますから」

 

スゴク・頼もしい!リリルカさんなら絶対

さっきの処罰をやるわよね!

コイツらはリリルカさんが嫌いな冒険者で、

農家さんの敵で女の敵なんだから!

 

万が一【神秘】を用いたアイテムとか

秘策があってここから逃げ出すことが

出来ても、その後はどうしようもないわ。

 

普通にリリルカさんに狩られて終わる

ことになる。その場合は今回みたいな

峰打ちっぽい攻撃じゃない、普通に

殺しに行くでしょうね。

 

「・・・ということですので、抵抗しても

良いですが無意味と言うかマイナスです。

大人しくしてくれると楽ではありますが、

女としては・・・抵抗して無様を晒して

欲しいですね!」

 

ギルド職員にあるまじき言動かもしれ

ないけど、これくらいは許されるわよね!

 

「・・・はい。抵抗なんかしませんので、

何卒普通に別室に連行お願いします」

 

「「「ちっ」」」

 

抵抗して地獄を見てからでも調書は

取れるのにっ!

 

「・・・まぁ良いでしょう。皆さん

万能者と神ヘルメスの逮捕・拘束を

お願いします」

 

「「「了解っ!!」」」

 

よしっ!コレでロイマンさんから怒られ

なくて済むし、今後の覗き被害も減る

でしょう。

 

・・・まさか同性の万能者が覗きの

協力者とは思って無かったけど、こう言う

自分さえ被害に遭わなければ良いなんて

考えるヤツが居るから性犯罪は無くならない

のよね!

 

兎に角コレで女の敵が減ったわ!主従揃って

暫く臭い飯喰わせてやるから覚悟なさい!

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「ヘルメスが性犯罪?何を今さら・・・何?

透明になる魔道具を万能者に造らせていた?

それを使ってダンジョンから出ようとした

ところをリリルカ・アーデに捕縛された?」

 

・・・ヤツは主神殿やゼウスらと何か

企んでいたようだが、計画は破綻か。

 

まぁ私はその計画について何も知らんから

どうでも良いが・・・罰金と禁固刑。さらに

万能者にも無料奉仕だな。とりあえず透明に

なった相手を見つける事が出来る魔道具でも

造らせるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「主神殿よ、お前たちは下界の子供たちを

舐めすぎだ。上から見下すだけでは何も

見ていないのと一緒だぞ?」

 




勇者。戦略的撤退を決意?

水銀。下半身の装備が弾け、丸出しで捕まる。
(ろくでなしブルースのアレみたいな感じ?)

セクスィ眼鏡。暫く臭い飯フルコース確定。
死んではいないが社会的には・・・

ロイマン。強キャラっぽいけど、特に何かに
絡む予定は無いってお話。

次回、紐神様と18階層が死にかけるかも?


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124話

まさかマダオが働くのか?。

オリ設定!
オリ展開!


嫌いな人は読み飛ばし!


さて、言われるがままに上に来た

ものの、何だこの階層は?

水晶に光?ダンジョンに昼夜があるだと?

 

それと神の気配は・・・あの簀巻きか。

 

ふむぅ。今も確かに殺意は沸くが、少し前

のアレ程では無いな。

あの時、何か特殊な力でも使ったのか?

 

神なんざさっさと殺したいところだが、

アレをかついでるのはロキの眷族だしなぁ。

 

はぁココでも奴らかよ。いい加減にしろ

裸褌マントの変態め。

酒場で偉そうに酒飲んで財産全部盗まれろ。

 

『マダオ、神の右、奥方向に黒い素っ裸の

原人が居るのはわかりますね?』

 

あぁん?黒い素っ裸の原人ってなんだよ

そんなの・・・居た?!

 

『ぐるぅ』

 

いや、何だあれ?何だアレ?!

アレが普通の階層主なのか?棍棒持つ

前に服着ろよ!

 

テレビとかだと【不思議な光】で急所を

無かったことにするかもしれんが、

アレは、お前・・・ダメだろ?!

 

『とりあえずヤツを狙いなさい。

ただし一撃で殺さないこと。殺さない

限り回復するみたいですからね。

そして多少弱らせたら持ち上げて東側

・・・あちらの方角に全力で移動。

原人を壁に叩きつけてから体当たりを

行いなさい』

 

んん?えらい具体的な指示だな。

プロレスじゃないんだから、普通なら

「そんなことまで面倒みれん」と言う

ところだが、コイツが言うからには

何かしらの意味があるんだろう

 

『・・・ぐるぁぁ』

 

最初に殺さないようにか。回復すると

言っても無尽蔵では無いと言うことだな。

 

そうだとすると、最大の問題はアレが

どの程度のダメージに耐えられるのか

ってことになるよな。

 

まさか一撃で殺すなって言われてんのに

開幕の一撃で殺すわけにもいかん。

 

かと言って中途半端な一撃は違和感を

生むよなぁ。

 

『様子見の一撃はチラチラ神を見ながら

行いなさい。本当は神を攻撃したいんだが

生意気な原人を相手にすると言った風に

見せれば、冒険者たちは納得するでしょう』

 

ほほう。確かにそれなら違和感も

薄くなるな。

注意力が散漫だから攻撃も軽くなる

というわけか。

 

下手したらそれでも死にそうでは

あるが、その辺は俺の経験だな。

 

この体にも随分慣れた。そろそろ手加減

を出来るようになるのも悪くない。

 

『ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

さぁ原人!遊んでやるからかかってこい!

 

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

マードゥオはとりあえず黒ゴライアスに

狙いを定めたか!

 

「ふぅ。アレと競走することにならなくて

良かったわい」

 

だな。いざとなったらヘスティアを

投棄するのは変わらないが、それだって

しないに越したことは無いからな。

 

それに一瞬コッチをみたけど、結局は

アチラに向かったね。

 

「他の魔物はゴライアスの指示に従って

いるようにも見えるけど、マードゥオとは

敵対した。

やはり調教された魔物は無条件に狂乱する

わけではないと言うことかな?」

 

それとも単純に調教師の腕?

 

まぁ魔物だってエインさんに逆らいたくは

ないだろうけどさ。

 

「・・・それでこれからどうしよ?

マードゥオを手伝うの?」

 

これから、か・・・確かに悩みどころだ。

 

だいたいマードゥオも正常には

見えないんだよなぁ。

 

さっきからチラチラこっち見てるし。

 

アレ、間違いなくヘスティア狙いだろ?

注意力散漫なんじゃないか?

 

そんなマードゥオに近付いたら

普通に巻き込まれて死ぬよね?

 

かといって団員を避難させるだけの

余裕があるわけでもない。

 

結論としては雑魚を退治しつつ

マードゥオに備えるって感じに

なるんだろうけど・・・何を

どうやって備えれば良いんだろうな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「「おお!」」

「・・・マジか」

 

「ほぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

あ、あれが正妻様が調教したと言う

大きなとかげさん・・・って言うか

アレはもう竜じゃないですか!

大きいですよ?飛んでますよ?!

強そうですよ!!あんなの調教する

なんて流石正妻様ですよ!

 

「ふむ、神のせいで狂乱している

ようですが、どうやら多少の知恵は

残っているようですね」

 

「た、多少の知恵ですか?」

 

あの竜も知恵ある魔物なんですね?!

 

「とりあえずこの辺が戦場になること

はなさそうです。ですが油断は大敵。

他にも暴れる魔物や大きな魔物が

現れる可能性がありますからね。

狐殿はしっかりと身を隠すように」

 

「はいっ!」

 

流石正妻様!なんてお優しい・・・

 

「では私も諸用を片付けるために

動きましょう。アルガナとバーチェは

引き続き狐殿の守護を。アイシャは

私に続きなさい」

 

「「「はっ!」」」

 

おぉ。コレが奥を取り仕切るという

ことなのですか!

普段正妻様がいらっしゃらない時は

春姫が頑張らないとダメですからね!

少しでも見て覚えなければ・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

・・・まさかさっきの竜が筆頭殿が

調教したというマードゥオってやつか?

 

アレ、蜥蜴じゃなくて竜だろ?

ジャガーノートの強化種とか

じゃないのか?

 

「「GRAAAAAAA」」

 

翼生えて空飛ぶ魔法反射装甲の巨体って、

一体どうやったら倒せるんだ?

 

弓?投げ槍?いや、筆頭殿の斬撃なら

問題なく殺れるんだろうが、遠距離攻撃の

方法をもたない俺の場合はどうだろうな。

 

速度を乗せた突撃で頭を一突きって

感じか?

だが正面からブチ当たったら衝撃

でコッチが弾け飛ぶよなぁ。

 

うん現時点では無理だな。

主従揃って手がつけられん。

 

それはさておき、問題は俺のこれからの行動だ。

 

上で何かあったのは事実だが、上に

居るメンツを考えれば・・・

俺が行く必要ってあるのか?

 

「「GAAAAA!!」」

 

筆頭殿とマードゥオが居て片付かない敵?

想像も付かんな。

 

かといって俺一人で下層に行ったところで

ウィーネ殿に会えるかと言われたら・・・

向こうは俺を知らんからな。

コッチも目印が無いし、隠れるか襲われる

だろうなぁ。

 

筆頭殿を上回る技量の使い手に奇襲された

場合、耐えれるかどうか。

レベル5なら問題ない。腹に穴が開くかも

しれんが、即死さえしなければ回復できる。

問題はレベル6になっている場合だ。

 

「「GAAAAAA!!」」

 

・・・一度上に戻るか。筆頭殿の指示に

反することになるが、マードゥオが凄い

勢いで登ったから緊急事態と思った!

とか言えばなんとかならんか?

それとも正直に「目印が無くなったんで

帰還しました」と言った方が良いのか?

 

こういう時あの人の怒るポイントが

わからないのが困るよなぁ。

 

「「GYUUUUUU!!」」

 

しかしさっきから魔物がうるせぇな!

お前らじゃ1000匹集まっても無理

だって気付けや!

 

「グウウウウウ・・・」

 

また新手か?今度は一匹みたいだが

なんか調子悪そう……って

 

「お前、筆頭殿が調教したガーゴイルか?」

 

確か烏とか言ってたな。筆頭殿が「珍しい」

から調教したってロキファミリアの連中に

言うくらいだから、ただの強化種ではなく

知性ある魔物だとは思っていたが、

この感じはソレで当たりか?

 

「グ、グルルルルル」

 

どうやら俺のことは覚えてるみたいだな。

まぁさっきコイツに運ばれたばかりだし。

 

しかし知らないと威圧されてる感じなんだ

ろうが、話せるって知ってるとこれも随分

間抜けに見えるよなぁ。

 

「あぁ、お前らが知性ある魔物で、会話が

出来るのは知っている。俺たちが筆頭殿と

呼ぶのはお前らも知るエインさんだ」

 

これはちゃんと言っておかないと。ヘタに

誤解されたら知性ある魔物を敵に回すし、

ウィーネ殿も敵になるからな。

それに筆頭殿とか正妻様って言われても

普段ならまだしも、なんか余裕がない感じ

だとわからんかもしれんし。

 

「ソ、ソウカ、正直喋レルノニ魔物ノ

鳴キ真似ヲスルノハ結構キツクテナ」

 

「わかる」

 

そうだよなぁ。俺らだって猫の鳴き真似

しろって言われたら普通に切れるし。

 

相手が筆頭殿だからこそシカタナク

やってたんだろ?逆らえねぇよなぁ。

 

「オ前ハ確カ猫耳トカ呼バレテ居タナ?

マサカ本名デハナカロウ?」

 

ん?あぁ名前の確認か?

喧嘩売ってきたわけじゃねぇよな?

 

「当たり前だ。アレン・フローメル。

アレンで構わんよ」

 

女神の戦車とか言ってもわからん

だろうし、筆頭殿の関係者に殿だの

様って付けられてもな。

 

「フム。俺ハ、グロスダ」

 

グロスねぇ。しかしコイツらって

そもそも誰が名前つけてんだ?

 

まぁいいや()

 

「それではグロス、さっきまで上に居た

はずのお前が何故ここに?それに妙に疲れて

いるようだが、上で何かあったのか?」

 

マードゥオが上に行ったのに、コイツが

下に来るっておかしいよな?

 

「アァ、上デ神ガ「グロスさん?!」ン?」

 

神?ヘルメスかヘスティアが何かしたのか?

 

それに新手?グロスの名を呼ぶという事は

相手は知性ある魔物?それに槍、だと?!

 

「グロスさんから離れろ冒険者っ!!」

 

な?槍が分裂した?!スキルか?!いや、

これは筆頭殿がリリルカ先輩の棍で見せた

【しなり】を利用した攻撃だ!

 

「チィッ!!」

 

速度はレベル6相当かっ!とりあえず

弾くっ!複数に見えても所詮は一本の槍!

中央を弾けば・・・

 

「ハッ!甘いぞ未熟者がっ!」

 

なに?!弾けない?巻き取られた?!

 

「私を相手に槍で向かったことを後悔してシネ!」

 

ぐっ完全に封じられた!槍を捨てれば

レベルとステイタスの差で回避できるか?!

 

いや、そのまま貫かれるだけ。軌道は

・・・読めんっ!腕を捨てるしかない!

 

「・・・ウィーネ。ソイツヲ殺ッタラ

多分エインサンニ怒ラレルゾ」

 

「え?」

 

お、おぉ、アレだけ勢いの有った攻撃を

ピタリと鼻先で止めるあたり、流石は筆頭殿が

認める槍の使い手だよなぁ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ、あはははは。まさか人間嫌いの

グロスさんが冒険者と会話してるとは

思わなくて・・・申しわけありませんね」

 

いや、普通こんなの考えませんって。

なんたってアノ、グロスさんですよ?

 

「あ、あぁ。そちらが勘違いするような

状況だったのはわかっている」

 

そうでしょうそうでしょう。

この猫耳は中々良い奴のようですね。

 

「それで、私はマリィ殿に避難を促した

あとで巣に戻ろうとしてたんですけど、

グロスさんは何故ココに?エインさん

と一緒でしたよね?」

 

まさか師姉様に何かあったとか?

 

「ウム、神ガ18階層ニ来テイテナ。

ソイツガ何カ仕出カシタヨウデ、俺ガ

暴レ出シソウニナッタノヲ察シタ

エインサンガ、18階層カラ、イヤ

コノ場合ハ神カラダナ。距離ヲ取ル

ヨウニト命ジタノダ」

 

ふむ、神ですか。アレは魔物の

本能にある神に対する殺意と言う

わけですかね?

 

「ヘスティアかヘルメスが神力を開放

した結果魔物が暴走したって?

さっきの魔物どもも上に行こうと

していたってことになるのか」

 

「ダロウナ。正直サッキマデ、ソノ

衝動ヲ抑エルノガキツクテナ」

 

ほほぅ。それであんなに弱ってる感じだったんですね。危ない危ない白っ子危ない

 

「ま、まぁ、マードゥオさんも上に行きました

から、あっちはもう大丈夫でしょう。ここで

我々が心配してもシカタナイですよ」

 

「ダナ」

 

むしろそれでもダメならあとは先生

を呼ぶしかありません。

 

その場合先生は大喜びでダンジョンに

来そうですけどね。

 

「で、猫耳はエインさんに言われて

私に長物の扱いを習いに来たと?」

 

「あ、あぁ、そうだ。です」

 

ん~、身体能力はともかく技量に

関しては未熟も未熟ですね。

 

それに多分というか、ほぼ確実に

私の錆落としも兼ねてるのでしょう?

 

まったく師姉様は心配性なんですから。

私はそこまで子供ではありませんよ!

まったくもう!しょうがないヒトですよ!

 

「しかし、グロスさん。この猫耳に基礎技術を

仕込むのは良いのですが、場所はどうするのか

聞いてますか?

元々我々はエインさんと共に深層に赴き

修行とお仲間の保護をする予定でしたよね?」

 

そうやって本格的に修行に専念しないと

錆落としにはなりませんからね。

 

まさか未熟なまま地上に出て、先生にお逢い

したときに失望されるわけにもいきません。

 

「ソウダナ、アレンノ都合ガワカランカラ

何トモ言エンガ、エインサンノ事ダカラ

トリアエズ連レテ行ッテ文句ヲ言ッタラ

首ニスルトカジャ無イカ?」

 

「首が免職じゃなく生首ってことなのが

わかるのが嫌だな・・・」

 

その通りではありますが、この猫耳は自分が

どれだけ贅沢な状況なのか自覚してないんじゃ

ないですかねぇ?

 

「未熟者がガタガタ抜かすな。私やエインさん

に鍛えてもらえるだけ有り難く思えよ」

 

「・・・」

 

この未熟者が師姉様に教わるなんて、畏れ

多くて頭を地面に叩きつけて平伏すレベルの

お話ですよ?

 

本来なら陳登あたりに任せる案件だと言うのに。

 

さらにお茶や礼法を先生に教わってる?

なんて贅沢な!猫耳程度ならあの小娘だって

鍛えれるでしょうにっ!

先生の手を煩わすなんてとんでもない奴だ!

 

「・・・トリアエズアレンハ1度上ニ行キ、

誰カニ言伝テデモ頼ンデ来タラドウダ?」

 

「そ、そうだな!筆頭殿の予定が変わる可能性

もあるから、1度確認は必要だな!」

 

それは確かにそうですね。上で予定外の何かが

あったからって言う理由で計画が変わる

可能性はあります。

 

勝手な判断は行けませんからね!

 

「では猫耳は戻るように。グロスさん、我々も

1度巣に戻りましょう。お仲間が心配です!」

 

暴れて怪我をする程度なら良いですけど、

巣の外に出てきて上に向かうとかしてたら

最悪ですからね。

 

「ン?確カニ仲間ハ心配ダガ、ソウナッタラ

エインサントノ合流ハドウスル?

逃ゲタトカ思ワレタラ殺サレルンジャナイカ?」

 

師姉様がそんな勿体無い事をする可能性は

有りませんが、知らなければ警戒しますか。

 

「エインさんは既に我々を知ってますからね。

巣の位置も大体わかってるでしょうから、

事が終わったら彼方から接触してくると

思います。マードゥオさんも居ますから

普通にお仲間扱いも出来ますし」

 

間違っても師姉様を攻撃する阿呆は居ません

よね?猫耳も魔物と言えば魔物で誤魔化せそう

ですから、問題は有りませんが。

 

「ソレモソウダナ。ソモソモノ話エインサン

カラ逃ゲラレルトハ思エン。隠レヨウガ逃ゲ

ヨウガ、見ツカッテ捕マルノガワカル」

 

その通りです。師姉様から逃げれるのは、

李厳様や先生くらいのモノですよ。

 

あぁこうして噂してるだけでもわかる。

やっぱり師姉様は変わってないんだ。

 

 

 

なんか嬉しいなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではアイシャ、貴女は冒険者の纏め役に接触

しなさい。話の内容は先程教えた通りですが、

状況次第では多少の変更も許可します

私は地上やギルドについては知りません

からね。その辺は臨機応変にやりなさい」

 

「はい!了解しました!」

 

・・・さて、私はロキファミリアに接触

しましょう。

 

旦那様の敵をワザワザのさばらせておくほど

私は甘くないと言うことを教えてやろう。

 




猫耳、呼ばれかたを諦める。
もちろん他の連中が同じことを
言ったら普通に処刑しますよ?

グロスさん。アレンに同情してるもよう。

弟子は何かを企んでいるってお話


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125話

待たせたな!(震え声)

他の作品の影響で、頭がうまく切り替えられていません。

そのせいで地の文やら何やらが前話と
ガラリと変わってますが、話の流れとしては
変わってませんので、作者の作風の歪みを
「シカタネェナ」と笑顔で流してくれる寛容な
読者様以外は見ないほうが良いかも・・・

大幅修正する可能性大!

ーーー


オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!




ーーボールス視点ーー

 

「くそっ!所詮は17階や19階の魔物

だから個の強さはねぇが、数が多いっ!」

 

中には毒が有るヤツも居るし、前みたいに

深層の魔物が紛れ込んでる可能性も有る

から気は抜けねぇし、何より向こうで

争ってる黒いゴライアスとドラゴンの

余波がコッチに来る可能性も有る。

 

あんなのに巻き込まれたら普通に死ぬからな!

 

ボールスは遠くに見える異形の戦いを

眺めながら現状を再確認する。

 

周囲の冒険者は魔物の数に圧倒された為

少なくない死傷者を出している。

 

だが誰一人とて持ち場を離れる様子は

無いし、目にはギラギラしたモノが

宿っている。

 

本来ならば俺を含めたリヴィラの街の

関係者はもっと賢い。

 

自分で言うのもアレだが、実際こんなに必死で

街を守るような真似はしないし、ココで死ぬ

くらいならばさっさと逃げて、モンスターを

やり過ごし、それから街を再建をするべきだと

判断をするだけの頭がある。

 

普段ならそう判断して、無理に魔物なんかと

戦わず、ロキファミリアに任せて逃げるだろう。

 

ソレが賢い冒険者としての判断だと言うのは

ココに居る全員がわかってる。

 

それでも、ココから逃げ出そうとする冒険者

は一人もいない。

 

ソレは何故か?と聞かれれば、彼らは一様に

「冒険者の意地だ!」と答えるだろう。

 

自分たちがヤクザな商売をしていると

言うのは自覚している。

 

だがそれと同時にダンジョンの中で自活する

だけの力があり、実績もあると言う自負が有る。

 

ソレをギルドの中でぬくぬくしている様な

連中に壊されるのが我慢出来ないのだ。

 

そう、今回のコレは事故ではない。

 

明確な意思によって引き起こされた神災と言うではないか!

 

実際は声の主が不明なので信憑性は薄い。

だが自分たちを邪魔だと判断した連中が

引き起こしたモノの可能性があるのだ!

 

そこから逃げたら俺たちは冒険者じゃ

なくなっちまう!

 

態々口には出さないが、ここリヴィラで

今も戦う冒険者たちは皆そんな気持ちを

持っている。

 

だからこそ、街の元締めの俺が弱音を

吐くわけには行かねぇし、吐く気もねぇ!

 

気を吐きながら雑魚を蹴散らすが、その

数は減るどころか増える一方。

 

自分達は19階層から来るモンスターを

相手にしてるが、その数は数えるのも

億劫になってくる。

 

今は良いが、これがどれだけ続くのか・・・

近い将来のことを考えると、ただでさえ

厳しい顔が、さらに歪むのを感じる。

 

「随分苦戦してるようだねぇ?」

 

そう言いながら目の前の大群を造作もなく

蹴散らしたのは・・・

 

イシュタルファミリアの戦闘娼婦の

取りまとめ役である麗傑。

 

「なんでぇ。ロキファミリアだけじゃなくお前さんも居たのかよ」

 

そう軽口を叩くが、なんでコイツがココに

いるのか?と言う疑問よりも、ようやく俺も

一息吐けると言う安堵の気持ちの方が大きい。

 

確か今のコイツのレベルは5だったはず。

19階層の魔物なんざ1000匹来たって楽勝だろうよ。

 

それにコイツは指揮も出来る。

 

コレで少しは休憩出来ると思うと、今は

女に助けられたと言うことより、正直助かると

言った気持ちの方が大きい。

 

そういう思いが顔に出ていたのだろう、

麗傑は「とりあえず掃除だ!」と言って

苦笑いしながら敵を蹴散らしていく。

 

「いやぁレベル5ってのはスゲエもんだな」

 

数をモノともしない麗傑を見て、つくづく

そう思う俺の言葉に、いつの間にか集まってた

周りの連中も無言で頷いている。

 

・・・俺も本格的にレベルアップ目指すか?

 

前回の殺人事件や新種の魔物。そんでもって

いきなり階層中に降って街を破壊した水晶。

 

そして今回のコレだ。

 

街代表者ヅラしてる俺が、いつまでもレベル3

ってわけなはいかねぇよなぁと反省するには

十分すぎる出来事だ。

 

『ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

『GAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

 

・・・ソレもコレもこの場を生き延びることが

出来たら、だがよ。

 

こっちが落ち着けば、今まで触れなかった

向こうの戦いがどうしても目に付く。

 

うん。コッチ来たら逃げよう。

 

おそらく俺以外の冒険者も同じ気持ちだろう。

 

声の方向を見ては逃走経路を確認している

ように見える。

 

黒いゴライアスを蹂躙する赤いドラゴンには、

冒険者たちの意地とかそういうのを全て

吹き飛ばす迫力が宿っていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーアイシャ視点ーー

 

正妻様の命令でボールスに接触したのは

良いが、どうもこうも集中しきれてないねぇ。

 

いや向こうで正妻様が調教したドラゴンが

無双してるの見たら、何時コッチに来るか

って心配するのもわかるけどさ。

 

ま、コッチも遊びに来たワケじゃない

さっさと命令をこなさないとね。

 

「で、ボールス。あんたはさっきの声に

ついてどう思う?」

 

コイツがどう考えてるかによってコッチ

の話の切り出し方が変わるからねぇ。

 

あくまで自然に。正妻様の声と私は

無関係を装う必要があるけど、

そんなの娼婦の私にしたらねぇ。

 

男を騙すのも仕事のウチだし?

それほど難しいことじゃないけどさ。

 

「あぁ、あの声な。ヘスティアとか言う

神のせいであの黒いのとかドラゴンが

暴れてるってヤツだろ?

全くの嘘ってわけじゃねぇだろうよ」

 

そう言ってボールスは考え込むように

顎に手を当てている。

 

ドラゴンはまた別だけど、そこまで

教えてやる必要は無いね。

 

「だね。実は私たちにも心当たりがある」

 

私がそう言うとボールスは思考から一転、

目つきを鋭くして私に続きを促す。

 

「心当たりと言ってもあそこで戦ってる

黒いゴライアスに関してじゃなく、その

原因と言われる神、ヘスティアについてさ」

 

「ソッチか・・・それでも俺らはヘスティア

なんて神知らねぇからなぁ。今はどんな情報

でもありがてぇよ」

 

そう言ってさっきと同じ視線を向けてくる。

 

しかし、コイツ。場の空気を利用して無料で情報を持ってく気だね?

 

何も言わずに無料で情報を明かせば

逆に疑われるよねぇ。なら、私がすべき

交渉は・・・

 

「本来なら情報は有料だとか言って、色んな

交換条件を出して駆け引きをするんだろうけど

今回は非常事態だ。貸しといてやるよ」

 

こんな感じで、あくまで貸しってことにする

のが自然だよねぇ。

 

「ちっ!流石に商売の神様の眷族だ。抜け目ねぇな」

 

苦い顔をして頭をかくが、情報は欲しい

のだろう。貸しという言葉を否定する

ようなことはしてこなかった。

 

コレで第二段階クリアか。

 

ボールスとの接触が第一で、こいつに

情報を渡すことが第二ってね。

 

「実はヘスティアを連れて来た連中と、

私たちは途中まで一緒だったのさ」

 

まさかこんなことになるとはね。と言って

苦笑いする私を見て目を見開くボールス。

 

「あぁん?そんじゃコレは本当にギルドの

企みってわけか?」

 

ボールスは驚いて声を上げたが、それでも

現状半々と言ったところかね?

 

正体不明の正妻様の声を完全に信じてたワケ

じゃないだろうけど、ヘスティアって神が

ココに居るのが真実なら、さっきの言葉の

信憑性が一気に上がるもんねぇ。

 

「さてね。そもそも私が聞いた話だと、

ヘスティアがココに来たのは自分の眷属が

一日で戻って来なかったから、心配になって

来たって話だったよ?」

 

コレも嘘じゃない。調べられれば私達も

連中と一緒だったってのはバレるから、

話せることはさっさと話すべきだろう。

 

「はぁ?なんだそりゃ?」

 

心底不思議そうに首を捻るが、私も同じ意見だね。

 

「なんでも初めての眷属で、まだ一人しか

いないんだと。そんでもって、その眷属が

あの世界最速兎、未完の少年(リトル・ルーキー)だ」

 

先生曰く主人公。あの黒いのも、本当なら

あのドラゴンやロキファミリアじゃなく

主人公が片付ける予定だったかもしれない。

 

ゼウスだかヘラだかウラノスだか知らないが

・・・本当にやってくれる。

 

未完の少年(リトル・ルーキー)?あぁ、なんか一ヶ月だか

二ヶ月でレベルアップしたってガキか。

成長促進系のスキルがあるんだって?」

 

流石に情報が早い。まぁコイツらにしたら

地上の情報は必要不可欠。

常に最新情報を入手出来るように色々

やってんだろうさ。

 

「それだよ。珍しいし唯一の眷属なら執着も

するんだろうね。

それで、ソイツがウチの繚藍の知り合いの

タケミカヅチファミリアとか言うのと

なんか色々有ったらしくてさ、その縁で

捜索を依頼されてねぇ」

 

まったく春姫の甘さも困ったもんだ。

 

とは言え、そのおかげで先生が敵とみなす

連中の企みも見えたし、正妻様にご挨拶

出来たと思えば悪くない。

 

・・・もしも何も知らずに粗相してたら、

あのドラゴンに殺されてた可能性も有るからねぇ。

 

それでも一発で死ねるなら慈悲深いとも

言えるけどさ。

 

正妻様の歪み無さと先ほどの殺気を思い出す

と背筋が凍るような感覚が自分を襲う。

 

最低でもヤレと言われたことをしっかり

こなさないとね。

 

アノ殺気が自分に向くかと思えば、ココでの仕事は失敗できない!

 

ひしひしと正妻様の重圧を感じるアイシャ。

 

当然表情ほど余裕があるわけではなかったし、

ボールスもアイシャが焦ってるように感じ

たが、遠くで叫び声を上げるドラゴンを見て

現状を再確認し、余裕がないのは当然かと

アイシャの態度に納得した。

 

「はぁん。ソレでお前さんが一緒について

来たってわけか。ソレはまたなんつーか、

タイミング的には助かったと言った方が

良いんだろうがよ」

 

やっぱり私が居たことを疑問に思ってたか。

ウチの主神様も色々やってるからねぇ。

 

「そういうわけさ。ガキの搜索なんざ私が

やることじゃないけど、繚藍が出るって言う

なら私も黙ってるわけにもいかないだろう?

最近はレベル4でココで殺されてるヤツが

居るし、ヘルメスファミリアもアレだしねぇ」

 

先生との関係は有名だし、なんか天界の

関係で神サマ連中も注目してるとか?

 

しかもレヴィスとか言う調教師が暴れてるから、

そう言う情報を持ってるなら護衛は必要だって

判断するのが普通だよねぇ。

 

「あぁ、農家か。それに調教師のことも

考えればお前さんが来るのもわかる。

だがソレなら、なんで依頼した神までココに

来ることになるんだ?明らかに搜索の邪魔に

なるじゃねぇか」

 

ごもっとも。本当になんでだろうねぇ?

 

「ソレが私にもわからないのさ。明らかに

不自然だが、ヤツは眷属が心配の一点張り。

だけどそこにさっきの声だろ?」

 

実際はただ心配だっただけなんだろうが、

そんな小娘みたいな感情で動かれてもねぇ。

 

周りも「足手纏いなんだから本気で眷属を

助けたいなら黙ってろ」となんで言わな

かったのやら・・・。

 

ま、私らはそこを利用させてもらうんだけどね。

 

「なるほど。確かに不自然だし、状況的

にも無関係とは思えねぇな」

 

そう言って18階層をぐるりと見渡すボールス。

 

アイシャがかなり減らしたので自分たちの

周辺には余裕があるし、17階層からの

モンスターはロキファミリアの連中が相手

しているようだから、現状特に問題は・・・

 

 

 

『ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

『GuGyaaaaaaaaaaaaa・・・』

 

 

 

特に問題は・・・無い。

 

 

「だろ?今までリヴィラが魔物に襲われた

ことはあっても、あんな黒いゴライアスの話

なんか聞いたことがない。

同じように、今まで神がココに来てナニカ

したってのも聞いたことが無い。

もしかしてアンタは何か知ってるかい?」

 

ココで前例があるならちょっと困った

ことになるけど・・・

 

「いや、ねぇな」

 

私の心配を余所に、ボールスはそう断言すると

ともに、その口元を歪ませた。

 

「なるほどなるほど。状況証拠としては

十分過ぎるほどの状況だな」

 

今までダンジョンの中に居なかった神がココ

に来て、ナニカした結果、今まで見たことも

聞いたこともないような化物が現れた。

 

無関係と言い切るには難しいだろう。

 

「俺としても、ギルドの連中が俺たちを

面白く思ってねぇのはわかってるんだ。

正規の出張所みたいなのを作るべきだって

声だって今まで何度も上がってる」

 

心底憎らしげに語る様子に嘘の気配は見えない。

 

「へぇ。そうなのかい」

 

普通に知らなかったけど、ありえない

ことじゃないね。

 

私らにしてみたら、少し物価が高いけど

便利な中継地点って感じだけど、カツカツな

奴らからしてみたら18階層程度でここまで

ボッタクリされて面白いわけがない。

 

せめて適正価格にしろ!とかもう少し

高く買い取れ!と言った色んな意見

が上がってるのは想像できるよ。

 

「だからさっきの声みてぇなことをギルドが

企んで実行してくる可能性も、ゼロじゃ

ねぇと思ってんだ。

それは俺だけじゃねぇ。街の運営に関わる

連中は多かれ少なかれそう思ってるだろう」

 

・・・断言はしないか。まぁこの内容は

即決できるようなモノじゃないからねぇ。

 

「私としては最初闇派閥あたりがアンタら

とギルドの仲違いを狙った虚言だと思った

んだがね?

ソッチの可能性はないのかい?」

 

あえてギルド以外の敵にも目を向けさせる

ような意見を言ってみるが

 

「あ~ねぇだろうな」

 

コレに関する答えは否定。さらに即答ときた。

 

「即答かい?ソッチだって無い話じゃ

無いと思うんだけど?」

 

実際に奥様がやってるのはそう言うこと

だしねぇ。なんでソッチを無いと言い切る

ことが出来るのかは知っておきたいね。

 

「簡単だ。ココが無くなったら連中も

補給が出来なくなるだろう?」

 

「・・・なるほど、簡単だ」

 

言われてればその通りか。連中にして

みたらココは素性を問わずに魔石やら

ドロップアイテムを売りさばける場所だし、

下手に地上に上がったらロキファミリア

やら何やらに目を付けられるからね。

 

その心配がないリヴィラを破壊するような

策は取らないと言うわけか。

 

どうしても必要ならヤルんだろうけど、

現状勝負を懸けるような状況でもない。

 

そう考えれば闇派閥は無関係としても問題は

ないってワケだね。

 

うんうん。この情報は正妻様も喜ぶんじゃないか?

 

「つまり一番怪しいのはギルドだ。次点で

何も考えてねぇ馬鹿な神が暴走したって

感じだろうが、その場合でも裏でギルドが

手を回してる可能性がある」

 

イイ線行ってるねぇ。

 

実際コッチもよく分かっちゃいないが、

おそらくその次点が大当たりだよ。

 

しかしまぁ、こっちとしては都合が良い。

 

「なるほどねぇ。次点の場合は、ギルドが

あえて暴走するような馬鹿に、あること

ないこと吹き込んでから送り込んで来たって?」

 

そういうことかい?と話を振れば、その通り

と言う答えが返ってきた。

 

いやぁこのギルドの信用の無さと来たら・・・

 

ま、冒険者にしてみればギルドは自分らを

管理する組織だからねぇ。

自由気ままなヤツほど連中が嫌いになるし、

こんなところで商売をやるような連中に

してみたら親しみなんかわかないか。

 

「そうやって自分らは無関係ってことに

しようとしてると考えれば・・・確かに

違和感が更に無くなるねぇ」

 

私の声に頷くボールス。

 

いやはや、私が誘導しなくても勝手に

ギルドを敵認定してくれてるよ。

 

本来なら敵意を煽るとか、そんな感じで

良かったんだけどさ。

 

コレで第三段階もクリアだ。

 

このまま第四段階に行こうかね。

 

「そんじゃさっきの声の主は何者だと思う?」

 

闇派閥じゃない、だけどギルドに敵対してる

ヤツなんか居るのか?

 

「おそらくだが・・・闇派閥だな」

 

「はぁ?」

 

さっきと言ってることが違うじゃないか?

馬鹿にしてんのかい?

 

そんな気持ちが顔に出てたんだろう。

「落ち着け」と言ってボールスは説明を続ける。

 

「お前さんの気持ちもわかるがよ、さっき

お前さんが言ったのは、俺たちとギルドの

仲を裂く『闇派閥による虚言』だろ?」

 

確かにそう言ったけど・・・あぁそうか。

 

「気付いたな?『虚言』じゃねぇんだよ。

嘘なら調べればわかるが、本当のことを

言うなら問題はねぇ。闇派閥の連中にしても

結果だけ見りゃギルドの企みを潰してるし、

俺たちの仲を裂くことが出来るって寸法だ。

どう転んでもそこに損はねぇだろ?」

 

自信満々にそう言われれば、事情を知る

私でさえそうなのかもしれないと思ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の推察を聞いて呆然とする私に気を

良くしたのか、喜々として今までのギルドの

所業に関する愚痴をぶつけてくるボールス。

 

ソレを見て、私は先生とその一番弟子である正妻様の怖さを再確認した。

 

 

 

計画の第四段階。正体不明の声の件。クリア。




読者様に寛容さを求める、だらしない作者がいるらしい。

そう、ソレが私だっ!!!


現在ハイスクールなDDの方を書いてるので
予定される更新速度はナメクジです。ってお話

禿げたオッサン視点は誰得なのか・・・


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126話

他の作品がスランプ気味にも関わらず、なぜかコッチを更新だッ!

オリ設定!
オリ展開!

地の文が・・・地の文がぁぁ!

嫌いな人は読み飛ばし!


ーーアイシャ視点ーー

 

アタシが何もしなくても、勝手にボールスが

ギルドを敵視してくれてるし、正妻様の声を

闇派閥による告発と勝手に勘違いしてくれた

のは助かる。だからこそ次の段階の話をしたい

と思ってるんだけどねぇ・・・

 

「でよぉ。ギルドの連中のやりようがよぉ!」

 

ボールスの愚痴を聞きウンウンと頷く連中。

いやまぁ、コッチに上がってきた魔物はほぼ

討伐したし、何故か下から来る奴らが居なく

なったからその程度の余裕は有るんだよ?

 

だけどねぇコッチは正妻様の命令で動いてるんだ。正直言ってあんたらの世間話に乗ってる余裕なんか無いんだよ。

 

だからこそ愚痴大会になりつつあるリヴィラの連中の会話をぶった切るっ!

 

「私らとしても最近のギルドの行動はアレでねぇ。連中はどうも歓楽街の権益まで狙ってるみたいなんだよ」

 

ぶった切ると言うよりは方向転換だが・・・

まぁ何も生み出さない愚痴よりはマシだろう。

 

アイシャの言葉を聞き、仲間内での愚痴を止め、続きを話せと言うような目を向けるボールスに、こんなに簡単に思い通りに動く連中でいいのかい?と不安を覚えてしまう。

 

だが、ボールスにはボールスの言い分がある。

 

それはアイシャが力ある冒険者だからだ。

 

冒険者は権力や政治力には反発するが暴力

には素直に従うところがある。

本人たちは武力と言い張るかもしれないが、

実際レベル1の新人に同じことを言われても

彼らは聞く耳など持たないだろう。

 

本人のレベルが高いということは、ソレだけ修羅場をくぐってきたと言う証拠でも有るし、アイシャの場合は歓楽街を統べるイシュタルファミリアの所属で戦闘娼婦の指揮官だ。

 

冒険者は暴力に裏付けされた社会的な権力

には反発しない。まさしく破落戸である。

 

ついでに言えばイシュタル・ファミリアと

何か有れば、地上での酒や女に不自由する

ことになる。

 

だからこそアイシャの発言は、冒険者にとってはそれなりの重みが加わるのだ。

 

「当然アタシらだって喧嘩を売られて

黙ってる気はない。かといってギルド

相手に戦争を起こすつもりもないよ?」

 

おどけて言うが、現状ボールス達はギルドに

不満は有れどもギルドと戦争する気はない。

 

「まぁ、そりゃそーだろうよ」

 

だからこそ冗談は冗談と受け止める。

 

「本当はこんなことになる前にアンタらに

接触したかったんだけどね。

まぁ良い機会だと思うことにするさ」

 

アイシャの言葉を受けて、察する

モノが有ったのだろう。

 

「あぁ、そう言うことかよ・・・そりゃなんつーか、確かにタイミングか良い悪いのかわかんねぇな」

 

頭を掻きながらそう言うボールスの目には、確かな理解の色がある。

 

(どうやら第五段階もうまく行きそうだ)

 

着実に進む計画を思い、正妻様にいい報告が

出来そうだとほくそ笑むアイシャ。

 

リヴィラの関係者はソレをギルドに対する

嫌がらせを思いついたものだと勘違いして

いるようだが、ソレは一向に構わない。

 

実際勘違いでは無いのだから。

 

「ボールスが予想した通り。アンタらと同盟を

組んで連中に嫌がらせを行いたいのさ。

具体的には、ここで取引された魔石や

ドロップアイテムをアタシらに売って

貰いたい。当然ギルドの買い取り価格に色を

つける準備はできてるよ」

 

ギルドとて無償で動いているわけではない。

魔石の専売やドロップアイテムの鑑定や

仲介などで利益を得ている組織だ。

 

そしてリヴィラの街の商人は、冒険者から安く

買い叩いたモノをギルドや他の店に売って、

その利鞘を主な利益としている。

 

つまり買取先はギルドである必要がない。

 

「なるほどなぁ。ドロップアイテムはともかく魔石はデカいだろうな」

 

ギルドの主な収益である魔石。

 

大抵の冒険者はドロップアイテムの方が

単価が高いものの、あれは嵩張る上に

公的機関による鑑定の必要が有るので

(リヴィラの街での鑑定を宛にしてはいけない)

必然的に売るのは魔石が多くなる。

 

とは言えココで取引される魔石は、大体

上層から中層へ向かう際に入手したモノ

や、リヴィラの街を起点にして稼いでいる

冒険者たちが売るものなので、良くて

下層のモノだ。単価としてはそれほど高くはない。

 

だが量がある。

 

一個100万ヴァリスの魔石が10個よりも

1個10万ヴァリスの魔石が千個の方が

総額が高いように、千個では利かない数の

魔石が取引されているのだ。

 

それらの供給がなくなれば、ギルドの経理は一気に破綻することになるだろう。

 

無論魔石の蓄えはあるだろうが、それだって各方面に需要が有るのだ。

 

魔石を供給できなくなったらギルドの価値は暴落することになる。

 

「まぁね。さらに言えばソレは別に

法に触れるわけでもないだろう?

そもそも商品を誰に売ろうが冒険者の

自由だしねぇ」

 

今までは、ただギルドが一番信用が出来る

と言うだけであって、そのギルドが信用

出来ないとなれば別の販売先を探すのは

当然と言える。

 

と言うか売り先が一つだけというのは商売の流れとしては不健全だ。

 

ファミリアとして考えても、今のギルドに対して不信感を持つ神は多い。

 

もしも自分の眷族が「イシュタルがギルドより高く買うって言うからイシュタルに魔石を売りたい」と言えば『別にいいんじゃない?』と答える神が大半だろう。

 

「そりゃそうだな。まさかギルドも派閥の

垣根を超えて、全員でギルドに魔石を売ら

ないなんざ考えねぇし、ギルドが何を言って

きても『いや、向こうの方が高いし』で

終わる話だ。いやはや、良く考えたもんだぜ」

 

ニヤニヤしながら顎をさする姿はまさしく悪党である。

 

まぁアイシャもわざわざ指摘しようとは

思わないが・・・

 

「そう言うことさね。因みにそこでギルドが魔石の買取価格を上げればどうなると思う?」

 

どうなるもこうなるもないけどね

 

「俺たちの懐が潤う。つまり得をするのは冒険者だ」

 

自分たちの懐が潤い、更にギルドに対して

効果的な意趣返しが出来る。

 

コレはリヴィラの冒険者にとっては魅力的な提案である。

 

「そういう事さ。ウチもその時に溜め込んだ

魔石を売り払ってしまえば損はないだろ?

ギルドが更に困窮することになるけどね」

 

ボールスに劣らぬ悪い顔をするアイシャを

見て、その場にいる全員がどうやらギルドは

イシュタル・ファミリアの逆鱗に触れた

らしいと理解した。

 

ある意味で利用される形となるが、

実際に高額で魔石やらアイテムを

買い取ってくれるなら冒険者としては

一切の損がない。

 

さらにイシュタルファミリアも、機を見て

魔石を放出して荒稼ぎする気だとわかれば

コレに反対する理由も無いように思える。

 

「言いたいことはわかった。俺らも

ギルドに一泡吹かせることが出来るって

言うなら特に反対意見はねえだろう。

だが正式な取り決めは今回の事態が

落ち着いてからにしてぇ。

感情で突っ走ってもロクなことがねぇし

管理する連中も何人か減っちまったしな」

 

そう言って寂しそうに周囲を見渡せば、

少なくない数の冒険者の死体が周囲に点在していた。

 

「あぁ、ソレはそうだろうさ。しっかり

考えておくれ。その間にこっちもギルド

の連中を上手く出し抜く方法を考えて

おくよ」

 

アタシらみたいな戦力があるならまだしも、

ココの連中に報復されたらたまったもん

じゃないからねぇ。

 

「あぁ、よろしく頼むぜ」

 

ギルドが直接的な力を持たなくても、

力を持つものを操ることは出来る。

 

実際に連中は今までそうやって迷宮都市に

君臨してきたのだ。

 

その軛から脱却しつつある彼女たち

イシュタル・ファミリアに対する

直接的な力の行使が無いのは、ソレが

出来るロキやフレイヤもギルドに対して

不満を抱いているからだ。

 

故に今が攻め時。正妻様の判断は間違っちゃいない。

 

そう再認識したアイシャは心の中で

ガッツポーズをする。

 

 

 

第五段階。クリア。任務完了。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーー弟子視点ーー

 

 

『ぐらぁぁぁぁぁぁ!!』

 

『gyuooooooo・・・』

 

 

ふむ。削られた身体は回復しても体力と気力は戻らない、か。

 

さらに中途半端に神を狙うという知性が

あるせいで、勝てない相手との戦いに

不毛さを覚えていますね。

 

この様子ならアレも調教できるかもしれませんが・・・うん。珍しいですけど不要ですね。

 

現状マダオが優勢。戦闘においても私が

指示したように闇派閥が使う出入り口

とは正反対の方向で戦ってますし、

どうやらアレも手加減の練習をしている

ようですね。

 

うむ。そのくらいの向上心が無ければ

知性があるとは言えないし、とてもでは

ありませんが旦那様に見せることなどできません。

 

マダオが仕事をしている以上は私も

成果を出す必要がありますね。

 

「という訳でロキファミリア団長のフィン・ディムナ。貴方に頼みがあります」

 

マダオと原人の戦いを観戦している

くらいですから、暇なんでしょう?

 

暇なら働け。

 

「うわっ?!」

 

「・・・?!」

 

「お、おぉ?!」

 

金髪少年と金髪痴女、そして樽が驚きの

声を上げてますが、どうも私に気付いて

無かった様子。

伯師妹といいコイツらといい、此処を

どこだと思ってるのやら・・・

ダンジョンで隙を晒し過ぎじゃないですかねぇ。

 

「あ、エ、エインさんですか!シツレイしました!」

 

「・・・シツレイしました」

 

「申し訳ない!」

 

私に気付き、持っていた槍を手放して跪く金髪少年。それを見て同じように膝を折る痴女と樽。

 

しかし妙に固くなってますね?先程は萎縮はしていたようですが、ここまでへりくだるような感じでは有りませんでしたが?

 

そう思って自分の格好を見てみますが、特に何か変化したと言うわけでも・・・あぁ、狐殿との挨拶と沐浴が有ったのでローブを着てませんでした。

 

こいつらが旦那様が私のために作った服を見れば、その威に打たれ跪くのが当然ですね。

 

事情がわかってスッキリしたのは良いのですが、神への憎悪を刺激されていたとはいえ、師の弟子筆頭である私が意図せずに己の情報を晒すとは・・・未熟未熟、弟子未熟。

 

お叱りは後で旦那様に受けるとして、とりあえずココはコレで良いと言うことにしましょうか。いちいち問答するのも面倒ですし。

 

「えぇ、今は緊急時ですからね。その謝罪を受け入れましょう。あぁそれと直答を許可するのはフィン・ディムナだけです。他の二人は控えるように。良いですね?」

 

ここで剣術だなんだのと言われても面倒ですし。

 

「「はっ!」」

 

「えっと・・・はっ」

 

樽は不馴れながらも答えてますが、この痴女は・・・何なんでしょうね?前から思ってましたが、コレでは人形ではないですか。そりゃ人を愛する旦那様にも嫌われますよ。

 

まぁ私も態々何かを教える気は有りませんが。

 

「よろしい。では本題の頼みなのですが、

アナタ方が捕獲したそこのヘスティアを

ギルドへ差し出すのは構いません。

ですが今回の件が冒険者たちに広がってしまい、

ヘスティアやその眷族が他の冒険者に狙われる

ような状況にしたくはありません。

そうならないようにすることは出来ますか?」

 

私の頼みを聞き、怪訝そうに首を傾げる金髪少年。

 

先程は自分でヘスティアを犯人と断定したのに何故?というところでしょうか。

 

その辺は知ったかぶりをされて意図を勘違いされたら困りますからね。きちんと教えてあげましょう。

 

「簡単な話ですがね。ギルドにトカゲの尻尾切りをさせないため、ですよ」

 

私がそう言えば「なるほど」と納得したような顔をしました。

 

流石に組織を率いるだけあって、他の二人とは違いそこそこの理解力があるようです。

 

そもそも今回の件、確実にギルドは無関係ですが、あの黒い原人のことで彼らに情報の秘匿をしたと言う事実には違いがありません。

 

ソレを突いて、今回の件は「無知な神を利用したギルドが、自らに反抗的な態度をとっている冒険者を狙ったのだ」という構図を造るのが私の目的です。

 

大体にして眷族が一人しかいないヘスティアを追い詰めても何の得も有りませんからね。

 

旦那様の敵にして諸悪の根源たるギルドこそが標的なのです。そこを間違えてはいけません。

 

「なるほど・・・了解です」

 

うむ。意図を正しく理解しましたね?

 

こいつ等にとってもギルドは味方ではありません。探り合うくらいが丁度良いのですよ。

 

いや、旦那様の敵として一つに纏まって貰った方が良いですかね?そうすれば片付けが楽になりますし。

 

まぁいいや()

 

その辺は旦那様がご自身でやるでしょう。

あまり手を加えては叱られてしまうかも

しれませんからね。

 

さて、簡単ではありますが、ここでの話も終わったことですし、伯師妹の今後や旦那様との接触についても考えねばなりませんね。

 

あぁ、布を持っていかせて服飾に気を使うように教育もせねばなりません。

 

何せアノ原人のような格好では知性など認められませんからね。旦那様が恥をかいてしまいます。

 

考えるべきことはいくらでもあると言うのに・・・

 

『ぐらぁぁぁぁぁぁ!!』

 

「やかましい」

 

『gyu・・・・・・』

 

私の一撃で細切れになって爆散する原人。

 

だいたいさっきから「ぐらー」だの「ぎゅおー」だの五月蝿いんですよ。このマダオが!

 

考え事の邪魔です。少しは黙って戦えないのですか?さらに原人に至ってはあんなに醜い姿を晒して・・・狐殿の目が腐ったらどうするんですか。

 

コレだから魔物はダメなんですよ。

 

「「「・・・え?」」」

 

『・・・(えぇぇ)』

 

ふむ。とりあえずは良しとしましょう。いつまでも原人を引き摺ってもしょうがないですし、アイシャの仕事も終わったようですからね。さっさと帰りましょうか。

 

あぁ狐殿へ何か土産を持たせねばなりませんね。

 

マダオを見て喜んでましたから、爪か鱗でも差し上げましょうか?旦那様にも見てもらいたいですし。

 

『(めちゃくちゃ嫌な予感がするんだが)』

 

「・・・何をしてるんですか?さっさと帰りますよ」

 

狐殿へのお土産もありますが、マダオには伯師妹の相手をして貰う必要がありますからね。無駄な時間など無いのですからさっさと来なさい。

 

『ぐるぅ(・・・流石に理不尽じゃね?)』

 

「「「・・・」」」

 

さて、マダオも納得したところで戻りましょう。

あぁ一応釘を刺しておきましょうか?

 

「では先程の用件はよろしくお願いします。無論事を成した後に何かしらの補填は行いましょう。望みが有るならティオナかティオネに伝えるように。それでは失礼します」

 

私が吝嗇と思われてしまえば旦那様にも迷惑がかかりますからね。働いたなら対価を用意すべきでしょう。

 

私に支払えないモノを要求するような連中でも無いでしょうし、そもそもギルドへの対策はコイツらだって必要ですからね。

 

ヘスティア一人に押し付けて解決なんて認めることは無いでしょう?

 

「ハイッ!お疲れさまでしたッ!」

 

うむ。わざわざ教育する必要が無くて何より。

 

とりあえず姉妹が布を持ってくるまでに伯師妹のところにどれだけの数が居るのかを確認しましょうか。

 

今は大量輸送に向いたマダオが居ますしね。

 

『(なんか扱いがどんどん雑になっていくような気がするんだが・・・)』

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「なんと言うか・・・突っ込みどころが多すぎるのぉ」

 

「・・・ならガレス。君がエインさんに意見を言ってみるかい?」

 

「断るっ!」

 

「アレがエインさんの剣術・・・凄い・・・」

 




弟子による兵糧攻めである。

魔石を溜め込んで放出すれば利益が出るとは
言ってるが、売るとは言ってないってお話。

つまりは冒険者とギルドへの離間が目的。
不信感を煽りまくるんですね。
だからヘスティア一人のせいにされても
困るし、主人公を追い詰めすぎると管理者が
来る可能性も有りますからね。

生かさず殺さずを目指すもよう。




本来拙作は地の文をなるべく押さえて、会話と心理描写で話を作っていく予定だったのですが、作者が未熟なため他作品との切り替えが上手くいっておりません。

作風にブレが有るのはその為です。

全体が歪みまくり中途半端なだらしない作品になってしまいますが、ソレでもシカタナイネって思ってくれるような読者様が居てくれたらなぁ~なんて思ったり思わなかったり。



未熟な作者でスミマセンデシタッ!




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127話

地上のお話

オリ設定
オリ展開

嫌いな人は読み飛ばし!


色白女神様視点。

 

『アレンと一緒に潜っていた筈の眷族が

アレンを残して先に帰還してきた。ですって?』

 

夜景を眺めながらミアが作った料理を

肴にソーマの新作を楽しんでんだけど、

何か緊急事態かしら?

 

「はっ!彼らはアレン様からの報告を

携えてきました。

内容に例の筆頭様が絡むそうなので、

私が手紙を預かりご報告に上がりましたが

・・・明日にしますか?」

 

ソフィアがそう訪ねてくるけど、噂の彼女が

絡むなら聞かないわけには行かないわよね。

 

『いえ、今聞きましょう』

 

それにアノ子のことも有るだろうしね。

 

アレンとしては当然筆頭さんとやらを優先する

だろうけど、私が命じたのはアノ子の探索と

筆頭さんへの挨拶。

 

それからヘファイストスの子であるクロッゾの保護ですもの。

 

それらはどれ1つ取っても重要事項。

聞かないなんてとんでもないわ。

 

「畏まりました!それともう1つ。

神ヘルメスについても情報が

上がって来ております」

 

『へぇ・・・』

 

ヘルメス、ねぇ。

 

もしかして何かヤツの狙いを掴んだのかしら?

流石はアレンね。純粋な強さではオッタルには

及ばないけど、こう言った細やかな配慮では

私の眷族の中でも随一よ。

 

ソフィアも短期間で目を見張る程の

成長をしているし、やっぱり師が良いと違うわね。

 

そう思ってた時期が私にもあったわ。

 

「はっ!なんでもギルドの受付の横で下着一枚の姿で晒し者にされているそうです」

 

『・・・はぁ?』

 

いや、え?ナニ?ギルドの受付の横で

下着一枚の姿で晒し者にされてるって

言ったかしら?

 

罰金とかじゃなく?

ダンジョンに侵入したときの罰ってそんな

屈辱的な罰則だっけ?

 

だとしたらヘスティアはヤバイんじゃない?

いや、あんなのでも女神なんだから、

なんとか水着とかで勘弁してあげてほしい

ところなんだけど。

 

・・・そもそもあの子って水着とか持ってるかしら? って言うか下着履いてるの?

 

「はっ。何でも万能者に自身が透明になる兜を

造らせていたそうで、それを使って女子風呂や

女子更衣室の覗き、また各ファミリアの機密

情報を探った疑いが持たれています」

 

『あ、あぁ。そう言うことね』

 

ダンジョン侵入の罰じゃないのね?

 

いや~あんな子でも一応知り合いだし、アノ子の

主神だからあんまり惨めな思いはして欲しく

なかったから、一安心と言ったところかしら。

 

そしてヘルメス。

 

覗きはともかくとして、機密情報に関しては頂けないわね。

 

私やロキの弱味を探ってゼウスやヘラにでも

流してたのかしら?

 

『ウラノスが何かをしてくる前にヘルメスが

何を知っているかを徹底的に洗う必要があるわ。

そうね・・・アレンからの報告を確認したら

イシュタルのところに行って、尋問に向いた

冒険者を借りてきて頂戴。

私からも手紙を書くけど、顔見知りの貴女なら

手続きも簡単に済ませてくれるでしょう』

 

私のところだと暴力で喋らせるくらいしか

出来ないからね。

 

ここは幅広い人材を抱えるイシュタルと共同で当たるべきよ。

 

「はっ!ではアレン様からの報告も?」

 

私の言葉の裏に隠されたこともちゃんと読み取ったようで何より。

 

『えぇそうよ。アレンからの報告の内容も

教えてあげれば、イシュタルも喜ぶでしょう』

 

全部が全部明かす必要は無いから、

いくつか添削はするけど・・・

 

いつもお世話になってるから、これくらいはしてあげても良いわよね。

 

「はっ!畏まりました!」

 

うんうん。

 

それにしてもアレンといいソフィアといい、

話が早くて助かるわ~。

 

この調子で眷族が育てば、私達を蛮族ギルド

とか呼ぶ連中が居なくなる日も近いわね!

 

それはそれとして。

 

『では報告を聞きましょうか』

 

さてさて、アレンは一体何を知ったのかしらね?

ソーマの新作の肴になれば良いのだけど・・・

 

 

 

―――――――――――

 

カクカクシカジカヒサシブリノムートンイトウ

 

―――――――――――

 

 

『なるほど・・・』

 

よくわからないけど、とりあえずアノ子の

パーティーはロキファミリアに保護されて

いて、全員の無事を確認した、と。

 

これに関しては、アノ子が無事で、特に怪我も無いようならそれで良いわ。

 

で、アノ子らの無事を確認したヘルメスが

探索パーティーから抜け出して帰還。

 

ダンジョンの出入り口で受付と万能者が

口論している最中に透明になる兜を被って

姿を消し、その場から逃れようとしたところ

リリルカの攻撃を受けて、下半身が弾けた?

 

そこで今まで彼が透明になる魔道具を使って

様々な性犯罪を犯していたことを告発され

万能者もそれを認めた為に逮捕された、と。

 

で、下半身が弾けたヘルメスは見せしめの

為に全てを晒されているのね?

 

うん。これに関しては特に言うことは無いわ。

 

『問題はお弟子さんの存在よね』

 

なんでも彼女が18階層に居て、布や洗剤を

欲しているとか。

 

その要望に応える為に、大切断と怒蛇が

動いているって言うのが、もう、ね。

 

「はっ。ロキファミリアの怒蛇と大切断が

布や洗剤を集めているのも事実ですし、

間違いなく大先生が言う知性ある魔物の

為に用意させているものと思われます」

 

『そうよねぇ』

 

つまりは、お弟子さんが知性ある魔物を

『自身が調教した魔物』としてロキの眷族に

認知させることに成功したということよね。

 

実際問題彼らは私たちとは違って

『魔物の中に知性ある魔物が居る』

なんて言われてもそれを簡単に認める

ことが出来るような連中じゃ無いわ。

 

だって向こうはオラリオ随一の蛮族ファミリアですもの!

 

だからこそ『調教した』と言うワンクッションが必要なのでしょう。

 

なにせロキファミリアに限らず、魔物は

見つけたら見敵必殺が基本だけど、そこに

『服を着た魔物が居たら、それは

誰かが調教した魔物だから殺さない』と

いうルールを作れば、その限りでは無い。

 

そしてその魔物が片言でも言葉を話した

としても、それは『調教師が仕込んだから』

とすれば違和感は最小限に抑えられる。

 

それに、通常なら大量の布や洗剤をダンジョンに

運ぶなんて行為は不自然過ぎて衆目を集める

けれど、今回は事前に凶狼が帰還した際に探索

パーティーが毒妖蛭の毒に犯されたことを

告知して毒消し薬を大量に買い込んでいるから

周囲やギルドも『毒で汚れた衣類を処理する為』

と認識するはず。

 

毒妖蛭については偶然なのでしょうけど

その偶然をしっかり利用する手腕は見事と

言うしかないわね。

 

アレン一人に手玉に取られたロキの眷族

では、自身が良いように利用されたとも

認識できないでしょう。

 

これに関しても見事と言うしか無いわ。

 

「緊喫の連絡は以上となります」

 

『そう。ご苦労様』

 

今までの考察は、あくまで状況証拠から

導き出した推察。

実際のところはアレンが戻って来てからよね。

 

『フフフ』

 

「フレイヤ様?」

 

『あぁ、何でもないわ。ただアレンが

戻って来た時にどんな報告があるのか

楽しみでね』

 

「なるほど・・・・・・」

 

えぇ、本当に楽しみ。

 

こうして眷族が戻ってくるのを楽しみにする

なんていつ以来の事かしら。

 

これほどの『未知』がこんな身近に有る。

そしてその『未知』の間近に居ながら、

それに全く気が付いていないロキの滑稽さ

と言ったら、もう何とも言えないわ!

 

だけど、私がこうしてロキに感じている

ような思いを、ガネーシャやウラノスは

私に対してもしていたのよね。

 

・・・それも数年じゃ足りないくらいの期間。

 

許せないわよねぇ。

 

私とロキを蛮族ギルドの神として担ぎ上げ

ていた陰で、笑っていたのでしょう?

 

許せないわよねぇ?

 

いずれ連中には目にものを見せて殺るわ。

 

と言っても私のファミリア単独で動いても

それはただの下剋上に過ぎないわよね。

 

「ではこれより神イシュタル様の下に

向かう準備を致します!」

 

あぁそうね。連中の前に万能者や

ヘルメスの尋問よね。

 

『えぇ。その間に私もイシュタルに

宛てる手紙を書くわ。少ししたら

また来て頂戴』

 

「はっ!」

 

まずは目の前のことからやらないとね。

 

『え~っと。今は初夏だから、最初は

『拝啓、若葉の候』から入るべきかしら?

いや、ここは『薫風の候』の方が

美の神っぽさが出ると思うんだけど・・・

はてさてどうしたものかしら?』

 

 

 

――――――――

 

――リリルカ視点――

 

「ではリリルカさん。お疲れ様でした」

 

「えぇ。今後連中が何かしたらすぐに

呼んでください」

 

しっかりと罰を与えてやりますからね。

 

「はい!その際はよろしくお願いします!」

 

乳寄せメガネからの事情聴取と言う名の

報酬の分配の話を終えたリリは、そう

言ってギルドの奥の部屋から退室しました。

 

これから痴女眼鏡の尋問があるのでしょう

けど、リリとしては先生に筆頭様や

カリフ姉妹についてとか色々報告を

したいんですよねぇ。

 

うーん。先生って今はどこで何をしてるんでしょうか(ФωФ)?

 

真夜中だからご自身の拠点で寝てるかも

しれませんし、イシュタル様の所に

行ってるかもしれませんけど・・・

 

その場合は春姫さんが白兎の探索の

為にダンジョンに潜ったことを知る

ことになりますよね?

 

私が護衛しないことについては、

同じイシュタル・ファミリアの

アイシャさんや客人のカリフ姉妹が

責任を持って護衛をしてくれてるっ

てことで納得してもらえそうですが、

説明が遅れたら折檻されちゃいますよね?

 

うーむ。うーむ。

 

とりあえずはイシュタル・ファミリアに

行ってみましょうか。

 

そこで言伝を残してから、ヘファイストス様に

白兎とクロッゾの生存を報告すればとりあえず

私の任務は終了ですよね。

 

あとの懸念は筆頭様へのご挨拶諸々を

省略したことなんですが、あっちは

春姫さんに任せるしかありません。

 

けど、あの人って所々で抜けてるところが

あるから心配なんですよねぇ。

 

・・・よし、それも先生に相談しましょう!

 

そんでもってお手紙か何かを用意して

貰えれば、筆頭様に襲われずに・・・

無理ですね。

 

襲われた後に『おや、そうでしたか』って

言われて終わるのが目に浮かびました。

 

まぁリリは杜氏だから必ずしもダンジョンに

行く必要は無いんですけど、でもなぁ。

 

ナァーザさんと探索に行く約束もしちゃって

ますし、ソーマファミリアの連中の強化も

あるしなぁ。

 

それに・・・・・・

 

「はぁ」

 

つい溜息を吐いてしまいましたが、それも

仕方が無いでしょう?

 

なにせリリの目の前には、二人の

『まるで・駄目な・オッサン』が

待ち構えていたのですから。

 

『おぉ! 戻ったかリリルカ!』

 

『む?一人か?桜花や命はどうしたのだ?』

 

あぁ・・・そうなんですよねぇ

コイツらも居たんですよねぇ。

 

と言っても、リリにはコイツら相手に

真面目に報告をする気なんかありません。

 

だからここは一発で済ませてやりましょう!

 

「(ΦωΦ)凸」

 

『『おいィ?!』』

 

こうして二人の貧乏神に対しての

説明が面倒になったリリは、

一言で話を終わらせたのでしたマル

 

 

 




さらっと投稿してみたりなんかして。
文章にブレが有る? 
誠に申し訳ございません!ってお話



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