書きかけ置き場 (みっくん)
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正義の味方と黒兎

Fate×閃の軌跡です。


「しに……たく……ない」

 

 口から赤い鮮血を吐きこぼしながら少女はそう願った。少女の周りには何かの液体がこぼれており、また割れたガラス片が彼方此方に点在した。

 少女は先ほど、自身の出生を知った。否、知ってしまったのだ。自分に充てられている部屋は廊下の声を拾うことが出来る。廊下を歩いていた白衣の二人組が自分の事を話しており、興味を抱き聞いてしまった。

 頭のどこかではわかっていた。自分がまっとうな人間ではないと。少女を見る白衣の男らの視線が普通と違う事に気づいていた。でも、目を背けていた。そんな筈はないと。だが、現実は違った。少女は人間ではない。

 しかも母体から生まれた生物ですらなかった。少女は試験から生まれた試験管ベビーで白衣の男たちにとっては研究対象でしかなかったのだ。

 そのことを知り絶望していた時だった。少女のいる施設に設置されている防犯機能が作動したのだ。侵入者が来たと。その瞬間施設が爆発し、冒頭に至る。

 

 少女は願う。自分の願いが叶うはずがないと分かっていながらも。死にたくない。生きたい。生きたい。自分はまだ何もしていない。

 そう願った時だった。少女の近くに謎の魔法陣が展開された。その魔法陣は突如として輝きだし、辺り一帯がまばゆい光に包まれた。

 光が収まると魔法陣があった場所には赤い外装に身を包んだ男がいた。

 

「サーヴァント―アーチャー。召喚に応じ……何だこの状況は!?ちっ」

 

 現れた男は舌打ちを一つすると、付近にいた自身の召喚者と思われる少女を抱きかかえると、何時の間にか右手に持っていた剣で爆発を続ける施設から脱出を図った。

 

☆☆☆☆☆

 

「此処までくれば流石に大丈夫か……しかし、この少女の状態が不味いな」

 

 赤い男は自分が抱えた少女に目をやる。腰近くまで伸びている銀色の髪が少女の吐いたと思われる血などで汚れいている。また、着ている服も入院患者が来ているような質素な服を身に纏っていた。

 少女は血を吐いていることから内臓に何かしらのダメージを受けているうえに、体のあちこちにガラスの破片が刺さっている。

 赤い男は自身のみでは少女を完全に回復させることが出来ないと分かっていながらも、少女に治療を施すことを決意した。少女と赤い男は通常では見ることの出来ないもので結ばれているのだから。

 

「これで一先ずは平気だ。ただ……どこか安全なところで医者に診てもらう必要があるな」

 

 先ほどまで爆発を続けていた施設に改めて突入し、包帯やら何やらを改修することに成功した。そのおかげで少女の命は繋がった。少女の願った通りに死なずに。

 食料などのようなものは満足に回収することが出来なかったが、少女が口にする分だけは確保することが出来た。

 それらをしり目に、少女が回復するのを見守ることにした。

 

 暫く男が辺りを警戒していると、少女が身じろぎをした。それに気づくと男は声を掛けた。

 

「起きたか?」

 

「……あなた……は?」

 

 かすれた声で少女がしゃべる。先ほどまで爆発していた施設で煙を吸ってしまったからだろう。それに起きたばかりで、頭も回っていないようだ。少女の背中に手を回すとゆっくりを起こした。

 

「私は……そうだな。君の使い魔のようなものだ」

 

「わたし……の?」

 

「ああ。君の右手を見ると良い。それは令呪と呼ばれるものだ」

 

 少女は男に言われたとおりに右手に目をやる。右手には見たことのない紋様が存在していた。赤い鳥が翼を広げているような紋様だった。

 

「それは私に対する絶対命令権だ。三回しか使えないから、よく考えて使うと良い」

 

「めいれい……それよりも……ここは?」

 

「此処は君が倒れていた場所から少し離れた場所だ。君がいたところは少々危険だったからな」

 

「そう……ですか」

 

 話しているとキュルキュルと可愛らしい音が聞こえた。少女のお腹のようだ。少女も自分のお腹だと気づいたのか、少し顔を赤くしながらお腹を押さえていた。

 

「詳しい話はあとだな。まずは食事といこうか。なに、直ぐできる」

 

「……はい」

 

 そういうと男は先ほど尻目にしていた僅かな食材を手に取った。どこからか取り出したフライパンなどで調理すること数分。辺りにおいしそうなにおいが広がってきた。少女には不思議な光景だった。

 先ほど男が手にした食材は、普段少女たちに出されていた美味しくない食べ物だった。それでも、生きるために必要だったので我慢して食べていたのだが。それを男が調理するだけで、おいしそうな料理へと変貌を遂げている。

 

「簡単なものだが」

 

「……いただきます」

 

「ああ。料理は逃げんからな急ぐ必要はあるまい」

 

 男は少女がスプーンを手にしたのを見て、再び辺りの警戒に戻った。爆発した施設の中からほかに人が出てくるような気配はないが、万が一に備えてだ。

 それに、少女はまだ説明しきってないが、男にとっての契約者だ。ならば守るのは自分の役目。そう考えながら警戒する。

 辺りには少女が咀嚼する音と、時々スプーンが器に当たる音だけが響いた。

 

「ごちそうさまでした」

 

「お粗末さまだ。さて、説明が途中となってしまったから続きといこう」

 

「はい。……そもそも私は貴男を呼ぶ術がなかったのですが」

 

 腹が満たことによって頭に酸素が回ったのか、会話がスムーズに行えるように少女はなったようだ。

 

「ああ、その事だがな。私はどうやらキミの願いによって召喚されたようだ。あの施設で倒れる前に何を願ったのだ?」

 

「願い……私は……死にたくなかった。神様なんていないと分かっているけど、それでも願わずにいられなかった。だって、私は……」

 

 少女はそこまで口にすると、口を閉ざしてしまった。言いたくないが、恩人だから言うべきなのか。自分の出生を伝えて、男は離れて行かないか。少女はこの短い間だが、男の事を信じることにした。仕方がないことだろう、死が目前に来ていた所を助けてくれたのだから。

 

「……」

 

 男は何も言わず少女が話すのをただじっと待っている。男には少女の正体が分かっている。男の過去にも似たような少女と出会ったことがある。最もその少女は姉だったのだが。

 

「私は……人間じゃないんです。人に作られた言うなれば人造人間です」

 

「そうか……だが、キミはキミだろう。私からすればキミは契約者だ。なれば、そこに人間かどうか等関係あるまい。キミはどうしたいのだ?」

 

「私は生きたいです。まだ何もできてない。何もしていない。私はあの施設で作られて閉じ込められてました。だけど何時か世界を見てみたいと思ってました。だから……だから私は生きます!」

 

「ふっ、そうか。ならばここに契約は完了した。私はアーチャークラスのサーヴァントだ。真名は……ん?どういう事だ。聖杯からのバックアップが存在しない」

 

 男は意識を別のところに飛ばした。普段ならばそれで自身の召喚を後押しした存在と繋がることが出来るのだが、今回はそれが出来ないようだ。

 

「ちっ、厄介な。何かしらのアクシデントが生じているのか。そもそも聖杯戦争で召喚されたわけではない。その時点で疑うべきだったか」

 

 




閃の軌跡Ⅱにものすごくハマってた時期に書いたものです。
軌跡で好きなキャラランキングトップ3には入るアルティナをヒロインにしたかった(過去形)


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槍兵の軌跡

Fate×閃の軌跡です。


 

「腹が減った……」

 

「……お腹がすきました」

 

そう言って二人は倒れる。

一人は全体的に青い男。もう一人は小柄な女の子だ。

男の方は背に赤い槍を持っている。女の方は武器を持っていないのか、手ぶらな格好のようだ。

 

「ティナ、飯最後に食べたのっていつだ」

 

「おとといの朝だったと記憶しています」

 

「……そうか」

 

そう言ったきり男は黙ってしまう。空腹のあまり喋れなくなったのだろう。

二人が路でそんな風に倒れていると一つの馬車が通りかかろうとしていた。

 

「……おいティナ。馬車が通るようだぞ。このままだと俺ら轢かれちまう」

 

「そのようですね。クラウ=ソラス」

 

ティナと呼ばれている少女が何かの名前を呼ぶと、先程まで何もなかった空間に一つの物体が姿を現した。

それは黒色の傀儡。機械ゆえに意思を持っていないように見えるが、ティナと呼ばれる少女だけが、彼あるいは彼女と意思を交わすことが出来る。

呼ばれたクラウ=ソラスは男と少女を抱き上げるとバシャの通り道から外れた場所に動かす。

そのおかげで二人は馬車に轢かれる心配は無くなったようだ。

 

轢かれずに済んだとホッと息を吐く二人。和やかな空気を出そうとしたところに別の人物から声がかかった。

 

「あの、お二方はどうなされたのですか?」

 

「んぁ?」

 

「……」

 

自分たちに声を掛けてきたと思えず一瞬静寂が訪れる。

 

「ん?もしかして俺らか?」

 

「……どうやらその様ですね」

 

「ええ、私はお二人に声をおかけしました」

 

そこでやっと二人は自分たちに声を掛けてきた人物に目を向ける。空腹だからか豪いゆっくりとした動きだったが。

 

「俺たちは見ての通り倒れてるだけだ。なぁ、ティナ」

 

「はい……マスターと私は此処で空腹で倒れてるだけです」

 

「まぁ!?お二人はお仲が減って倒れてるのですか。……よろしければお昼一緒にしませんか?」

 

「本当か!?」

 

「……本当ですか!?」

 

うって変わって素早い動きで声を掛けてきた人物に接近する二人。

 

「ええ、お二人が宜しければですけど」

 

「俺は問題なし」

 

「私もです」

 

「では、馬車の方へどうぞ。今日は天気が良かったので外でお昼を取る予定でしたので」

 

声を掛けてきた人物は二人とはかけ離れた姿をしていた。

男は旅人な服をしており、少女の方は肌の露出が意外とある格好をしている。

それと比べてその人物、いや少女は真っ赤なドレスで身を包んでいる。明らかに二人とは別次元を生きる人物だろう。

 

「挨拶が遅くなりました。私、アルフィンと申します」

 

「俺はクー・フーリン。クーでもフーリンでも構わないし、ランサーとも呼ばれてたりする」

 

「私はアルティナ・オライオン。クーさんの付き人をしています」

 

アルフィンが挨拶をしてきたことで自分たちも名を告げてなかったと思いだしたクーとアルティナ。彼らは挨拶をするとアルフィンの付き人と思われる人たちが用意していたテーブルに腰を落ち着ける。

 

座ってから暫くすると多くの食事がテーブルの上に並べられた。

二人はそれに目を輝かすとアルフィンに礼を言うと急いで手を付け始めた。

 

★★★★★

 

「ふぅ~食った食った」

 

「お腹いっぱいです」

 

「良かったですわ。満足されたようですね」

 

「ああ、助かった」

 

いっぱい食べたことにより元気になったクー。彼は腹を撫でたと思うと、真剣な顔つきになる。

 

「それで、俺たちに何の用で」

 

「やっぱりわかりますか?」

 

「伊達に長生きしている訳じゃねえからな」

 

「では、簡単に言いますわ。二人とも私の従者をしませんか?」

 

「あん?」

 

「はい?」

 

二人はポカンと間抜けな顔をしてしまう。

 

「この見た目から分かる通り私、貴族ですの。それで、実力のある方を探していたのですけど……」

 

「ほう……てことは俺たちの実力がある程度分かったから声を掛けたのか?」

 

「はい、そうですわ。それで、お引き受けしてくれますか?」

 

「どうするティナ」

 

「私はマスターの望むままに」

 

アルティナはあらかじめ考えていた言葉を口にする。地獄と呼べるレベルの場所から救い出してくれたクー。そんな彼だからこそ付いて行くことにしたのだ。だから、彼がアルフィンに付いて行くなら自分も行く。また、逆もしかりだ。

 

「そうか……助けてもらった恩もあるし。そろそろ金もなくなってきたしな。よし、その話乗った」

 

こうしてクーとアルティナはアルフィンに雇われる事となった。

これにより衣食住に困ることのなくなった二人だが、一つだけ間違いを犯していた。

それは、アルフィンがただの貴族ではなかった事だ。

アルフィン、本名をアルフィン・ライゼ・アルノールという。エレボニア帝国の皇女だったのだ。

それをこの場で雇われたばかりのクーたちは知らなかった。

 




正義の味方と同じく、ヒロインをアルティナにしたかった。


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緋弾のアリア(タイトル未定)①

緋弾のアリアにオリ主と結月ゆかりを入れました。


 

『直さん、そこを右に曲がると先回りできます』

 

「了解!」

 

 道路を走りながら彼女の言葉を耳にする。右に曲がれば良いと言われたので急いで曲がる。

 そのまま走ると一人の男性が俺に向かって走ってきたところだった。

 

「強盗の容疑で現行犯逮捕させてもらうぞ」

 

 男に向かって告げると走る。相手は走っているのでそれに合わせて相手を無力化する。

 

「そこをどけや!」

 

「はん、強盗した相手に退く道はねえよ」

 

 俺に向かってきた男―強盗犯は右腕を振りながら叫ぶ。右腕を左腕でうまく往なすと同時に俺も右腕を振る。上手く相手の腹に拳が当たり強盗犯が蹲る。

 その隙を逃さずにポケットから手錠を取り出すと両腕にはめた。

 

「11時31分 現行犯で逮捕!ゆかり任務達成だ」

 

『お疲れ様でした直さん。今警察を呼びましたので合流したら犯人を引き渡してください』

 

「了解」

 

 通信を終了してから数分後に警察がやってきて、引き渡しを済ませた。

 

 

 

「これで俺たちの1年の依頼は終わりだな」

 

「そうですね。2年からは直さんは強襲科に転科するんでしたっけ?」

 

「ああ、以前から蘭豹先生に誘われててな」

 

 俺は今は探偵科に所属しているが、新学年が始まると強襲科へと移る事となっている。

 

 俺の戦い方は基本的に銃で牽制、すきを狙って接近戦という中距離を主としたものだが、それでも強襲科に来たら磨けると先生に言われたので、折角なので転科することにしたのだ。

 

 誰でも転科することは可能だが、教師の推薦で転科すると武偵ランクは最低でもBは保障される。つまり、それほどの実力者でなければ教師は推薦しないという事だ。

 

「ゆかりは2年でも通信科か?」

 

「はい。それに私は直君の専属オペレーターですし」

 

 俺の対面でサンドイッチを頬張る彼女の名前は結月ゆかり。紫色の髪とウサギの耳を長くしたようなものが付いているフード付きのパーカーが特徴で身長が低いことが悩みな少女だ。

 そんなゆかりだが、入学して間もないころに行われたオペレーターを使った任務のオリエンテーリング以来の付き合いだ。彼女と組んだ時にこれ以上ないぐらいに息があったため専属オペレーターとして俺に付いてきてもらっている。

 

「この1年もあっという間だったなぁ……」

 

ラーメンを食べ終わり、コップに入っていた水をあおってしみじみと呟く。

いや、本当に1年はあっという間だった。

 

 俺の所属する東京武偵高校―通称武偵高は一般教養のほか武偵として必要な技術を磨くための訓練。実際に現場に出て実力を試す任務など日々やる事がぎっしりと詰まっているのだ。

 

「ごちそうさまでした」

 

「ああ、おそまつさま」

 

 二人して食事を終える慣習を終えテーブルを離れる。

 食堂の食事を終えた食器置き場にどんぶりを返すとゆかりに声を掛ける。

 

「あのさ、明日からの春休み暇か?」

 

「ええ、予定は空いてますが?」

 

「なら俺の戦姉妹組みに行くやつのところに行くんだけど一緒に行かない?今年新しく入学してくるんだ」

 

 最近彼女から合格したと連絡を受けていたので春休みに用紙でも持って契約しちゃおうという魂胆だ。

 

「分かりました。じゃあ、行く日が決まったら連絡ください」

 

「了解」

 

 

 武装探偵ー通称武偵。警察だけでは近年増えてきた犯罪に対応が出来ないためにとられた緊急措置な職業。武力を有した探偵が犯罪へと立ち向かう。その響きだけで入学したという生徒が増えているという噂も聞く。武偵を教育する機関として有名なのが東京武偵高校だ。武偵は複数の種類で分けられる。

強襲科(アサルト) 狙撃科(スナイパー)

諜報科(レザド) 尋問科(ダギュラ)

通信科(コネクト) 情報科(インフォルマ)

探偵科(インケスタ) 鑑識科(レピア)

装備科(アムド) 車輌科(ロジ)

衛生科(メディカ) 救護科(アンビュラス)

超能力捜査研究科(SSR) 特殊捜査研究科(CVR)

と14種類もの学部が存在する。

 

 俺こと桐生直樹は今日まで探偵科に所属しておりランクはBだった。普段取り扱っていた任務は浮気調査などの簡単なものばかりだった。新学期からは強襲科に転科するため今以上に忙しい毎日を送ることになるだろう。

 

 




書いていた当時は今以上にゆかりさんの実況を聞いていました。
なので、割と本気で使い道のないボイロを買おうかと思ってました。名残としてアマゾンのカゴの中にまだある。


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緋弾のアリア(タイトル未定)②

緋弾のアリアにオリ主と結月ゆかりを入れました。


 

 4月―それは桜の開花の時期。胸に期待を秘め新しい学生生活を送る人がいる時期。

 そんな4月だが俺はゆっくりと学校へと向かっていた。勿論、隣には学生寮前で合流したゆかりがいる。

 

「ついに綺凛ちゃんが入学してくるんですね」

 

「そうだな。今日から本当に戦妹(アミカ)だ」

 

 刀藤綺凛―俺が春休みに会いに行き、戦姉妹の契約を結んだ少女。戦姉妹とは下級生と上級生が結ぶことが出来る制度で、上級生が下級生に自身の力を教えることで武偵としての心構えや実力を高めていき、また下級生はそんな上級生の背中を追いかけるというものだ。

 簡単な任務なら問題はないのだが、困難な任務の場合信頼できる仲間という存在はとても大事だ。それを作るための制度でもある。

 

「今日はまず校長のありがたい話を聞くことから始まるのか」

 

「そうですね。まぁ、それが終われば今日は早く帰れますから」

 

 今日は4月最初の登校日。なので体育館に全校生徒が集まり、校長先生の言葉を聞くのだ。またそれと同時に新任教師の赴任の連絡などもあるのだが、それはそこまで大事な話ではないだろう。

 

「あ、帰りにでも任務課にでも顔を出してみるか。もしかしたら割の良いやつあるかもしれないし」

 

 任務は任務課という部署から発表される。基本的には早い者勝ちだが、中には例外として指名されている任務もある。まぁ、それらは高難易度のものばかりというものだ。

 

「なら私も付いて行きますね。もし何か任務を受けるならば私がいたほうが楽ですし」

 

 彼女はふんすと少しドヤ顔をしながら息を吐いた。確かに彼女がいたほうが楽だ。彼女は通信科に所属しておりSランクという優秀な成績を持っている。そんな彼女だから任務を契約する際に専属としている俺は優先して受けることが出来る。その証明として彼女がいると楽なのだ。

 

 その後も下らない話をしながら通学をした。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 今日の最後のチャイムが校舎に鳴り響いた。これで新学期最初の登校日は終わったのだ。

 よし、ゆかりと合流して任務課へ行くか。

 

 バッグに荷物が入っていることを確認すると俺は席を立った。

 

 

 武偵高校は学部ごとに校舎が存在する。つまり14個は最低でも校舎があることになる。それに加え一般教科(ノルマーレ)を学ぶ校舎に教務科(マスターズ)と呼ばれる教師たちが集まる所謂職員室が丸ごと一つ の建物になっている校舎の計16個が存在する。

 それだけの校舎があるので移動だけでも地味に大変だったりする。本日から強襲科に所属するので強襲科の校舎の一階に存在する任務課に顔を出すのだ。

 

「お待たせしました」

 

「俺も今着いたところだよ。大丈夫」

 

 走ってきたゆかりに大丈夫だと声を掛ける。彼女は今日は通信科の校舎にいたので今いるすべての校舎から見ると真ん中にある噴水場へは別々の道でやってきたのだ。

 

「じゃあ強襲科に行こうか」

 

「はい」

 

 

 ゆかりを連れて校舎の中へ入る。大分うるさい校舎のようで至る所から銃声や怒鳴り声が聞こえる。強襲科は他の学部と比べて難易度が高い任務が回ってくる学部だ。それは所属する生徒が卒業するまでに3%が死亡してしまうというほどだ。

 

 任務課へ入ると受付にいる女性に声を掛ける。

 

「すみません。今日から此処に転科になった桐生直樹ですけど」

 

「ああ、桐生さんですね。蘭豹先生から話は聞いています。ランクはAだそうです」

 

「本当ですか!?」

 

 探偵科に所属していたころはBランクに位置していた俺が強襲科に転科するとAランク。どのような点が判定されたのだろうか。

 

「すみません、Aな理由ってわかりますか?」

 

「ええ、聞いています。どうやらあなたの戦闘スタイルに関係するようです。中距離を一番とする武偵は多くがリーダーや指揮官を務めることが多いよう、蘭豹先生曰く『任務の内容を見せてもらったが他の生徒をよくまとめ達成できている』だそうです。この点とこないだの試験で判定されたそうです」

 

「なるほど、ありがとうございます」

 

 思った以上に俺は先生に評価されていたようだ。ランクがBからAに上がったので受けれる任務も増えたし、もしかしたら指名されるかもしれないな。

 

「それで、これが現在Aランクまでで受けることが可能な任務一覧ですね」

 

 用紙にびっしりと書かれている任務に目を通す。ふむ……

 

「やはりというか強襲科はストーカー被害に関する任務が多いですね」

 

「ええ、最近のストーカーは武器を持っていることも多く、ほかの学部の生徒よりと比べて安全に対処できるという事でストーカー被害の任務が回ってきます」

 

「なるほど……では、一つこれでも受けてみましょうか」

 

 一番上に書かれていたCランク程度のストーカー被害を選んで用紙に記入する。オペレーター有無の欄にきっちりとゆかりの名前を書く。あとは判子を押すだけだ。

 

「ゆかり頼む」

 

「はい……では、私は詳しい任務内容に目を通しておきます。何時頃行きますか?」

 

「一度お昼をとってからにしよう」

 

「わかりました」

 

 用紙を受け付けの人に渡すと受理される。あとは任務地に行って聞き込みだ。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 いつもの食堂でお昼を済ませると、現場へと直行する。

 ゆかりからの無線によると被害者は20代後半の会社員の女性らしい。

2週間前から人に見られてるような感じがすると違和感を覚え、1週間ほど前から仕事帰りの時後ろに人がいることに気が付いたらしい。

 依頼人からの話によると、そいつは灰色のスエット姿の男のようだ。

 典型的なストーカー被害のようだ。問題はこの男が武器を有しているかどうかだ。探偵科にいたときは帯銃こそしてたものの、発砲許可は緊急時以外許されなかった。しかし今は違う。

 強襲科では本人の意思で発砲が出来る。最も、撃ったのちに始末書を書くことになるが。

 武偵が世間に認められるようになってから、世の中に以前よりも武器が出回るようになった。勿論、表で売っているところなどない。しかし、裏での取引が武偵法が成立する前よりも増えた。それにより、一般人も秘密裏に武器を持っていることがある。

 今回はそのケースでなければいいが……

 

 現場付近を歩いて、近所の人から夜の交通量などを調査する。ゆかりにはネットを使っての捜査を頼んである。最近はSNS等で情報が出回っていることがあるので、真偽はともかく意外と情報を集めることが出来る。

 

 夜になり、依頼者が帰る時間となった。

 予め依頼者の女性には、自分が近くを見回りをすると伝えてある。

 

「今日も無事に後をつけているようだな。ゆかり先回りをする。ナビを頼んだ」

 

「はい。お任せを」

 

 依頼者から少し離れた場所で警護していると、犯人に似た装いの男が後ろを歩いていた。ただ歩いているなら兎も角、時々隠れるようにして後ろを付けてるので、おそらく犯人だろう。

 

 依頼人が十字路で曲がる時に正面から接触を図る。

 

「少しいいか」

 

「な、なんだよお前」

 

相手はいきなり声を掛けられて驚いたのか吃りながら喋る。

 

「最近、このあたりでストーカー被害にあっているとの情報があってだな。ああ、先に出してなかったが、俺は武偵だ」

 

ポケットから武偵の証明である、武偵手帳を見せる。これは警察手帳と同様の権限を持っていることの証だ。手帳を見て相手は焦ったのか、回れ右をしようとしていた。

 

「どうした?いきなり逃げようとして。悪いが、任意で応じてくれると助かるのだが」

 

「ふ、ふざけるな!?お前になんの権利があって俺とあの人の邪魔をするんだ!?」

 

「俺とあの人?俺は被害女性からお前に付けられていると聞いたのだがなぁ。どうやら認識に齟齬があるようだ、詳しい話がしたいから近くの交番に来てもらおうか」

 

 その言葉を皮切りに犯人はポケットからナイフを取り出した。

 男はナイフを右手に持つと俺に向けてくる。

 

「いいのか?俺に刃物を向けて公務執行妨害に銃刀法違反も付くぞ?」

 

「し、知るかよ!お前を此処で殺せばどうにでもなる」

 

そのまま俺に向かって走りながらナイフを振ってくる。

 

 俺はそれを後ろに下がりながら軽く右に左にと避ける。一応言っておくと、流石に探偵科と言えど、対ナイフ所持者との仮想戦闘の訓練があったのでその訓練の賜物だ。それに教官レベルではないしな。

 

 俺が避けることに苛立ってきたのか、ナイフの振りが大振りになってきた。これならば先ほど以上に避けやすい。相手の大振りを回避するのに合わせて、右足で男の足を払う。

 

 急に足が払われたことにより相手はそのまま倒れる。それだけで済ませずに、俺は相手を俯せにさせその手に手錠を掛けた。相手はジタバタともがいているが、手錠をかけた今どうしようもない。

 

「ストーカーに付いては後で詳しく聞くとして、取り合えず公務執行妨害により現行犯逮捕とさせてもらう。ゆかり、警察を呼んでくれ」

 

「はい。お疲れ様です直さん」

 

「ああ。ゆかりもお疲れさん」

 

 やってきた警察官に犯人を引き渡すと、情報を一緒に伝えておく。これで後日、ストーカーの件について男に尋ねることが出来る。

 

 聞き込みと犯人逮捕とで疲れたので、流石に今日は帰ることにした。

 

 後日談となるのだが、被害者女性を連れて、犯人を尋ねたところ犯人はストーカーを認めた。これで俺は依頼達成となる。

 依頼者の女性は俺に金品を報酬として直接渡そうとしてきたが、俺はそれを受け取らない。というか受け取れない。武偵への報酬は所属組織を通して渡される。俺は学生なので、学校を通して報酬を受け取るのだ。

 そのことを女性に伝え、今度こそ本当に依頼達成として学校に帰った。

 



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緋弾のアリア(タイトル未定)③

緋弾のアリアにオリ主と結月ゆかりを入れました。


 

 ストーカ任務を達成してから数日が経った。

 今日も今日とて強襲科での訓練だ。今日は既に教養科目の授業を終えているので残るは訓練だけだ。

 基本的には自由に訓練場で訓練が出来るのだが、時たま強襲科の訓練長である蘭豹先生が特別訓練を生徒に付けるときがある。それが今日だ。

 

「よし、今日はおめぇらに私が訓練付けてやる。喜びな」

 

 訓練場に近いグラウンドに先生は生徒を集めると叫ぶように喋った。

 

「今回の訓練は、強襲科にお似合いの近距離戦闘だ。おめぇらは各々の獲物を持って来な。私はこれで十分だからよ」

 

 そう言って自身の右腕を掲げる先生。自信過剰と言えればどれほど良いだろうか。強襲科初日の訓練で先生は所属生徒全員を同じ様に拳一つで沈めている。その中には武偵上(例外を除いて)トップの実力を誇るSランクの生徒もいたのだ。

 

 集合時にランク順に並んだので、高ランクから順に訓練という名の地獄が始まる。何故、低ランクからじゃないかというと高ランクの戦いを見て参考にさせるのと、発破を掛ける意味合いがあるらしい。

 探偵科にいた時からそのような光景を見てきたのでおよその予想は付いている。

 

「次の奴こいやぁ!」

 

「いきます!」

 

 自分の番が回ってきたので、返事をしながら突っ込む。

 俺の獲物は小型ナイフだ。探偵科に所属していたこともあって、俺の相手はもっぱらストーカーか、猫や犬などの動物ばかりだった。

 故に、市街地での行動が多く、狭い路地でも取り回しの効くナイフを選んだのだ。

 

「せいっ!」

 

「はっ、その程度じゃあ不意を突けねぇぞ!攻撃ってのはこうやるん……だよっ!」

 

 俺の右腕によるナイフでの攻撃を囮に左での攻撃で不意を突いたのだが、直ぐに看破されてしまい、そのまま先生の攻撃がやって来た。

 腕の振りが良く何とかナイフを持っていない左腕でいなそうとするが、あまりの強い攻撃に左腕にまともに食らってしまう。

 予想以上の痛みによろけている俺に先生は追い打ちをかけてきた。

 

「おらおらおら、どうした?お前の力はこんなもんか?」

 

「ぐっ……まだまだぁ!」

 

 ステップでギリギリ回避すると一度距離を取る。さっきは攻撃を回避されたことに動揺してしまったが、よくよく考えると相手は教師。自分よりも強いのは当たり前だ。ならば、

 

「これでっ……どうだ!」

 

 グラウンドの土を手に取り先生の顔めがけて投げる。先生がそれを振り払っている間に死角となる位置に移動する。 

 市外戦だと狭い故にその場にあるもので戦う必要がある。今回はグラウンドの為、土を戦略に組み込んだ。

 卑怯だという生徒もいるだろう。だけど、俺は一般市民の命を守る武偵だ。

それぐらいの避難など喜んで浴びよう。

 死角からナイフを用いた攻撃ではなく、格闘術を用いた攻撃へ移る。これほど至近距離でナイフを振り回すと隙の方が大きく、先生に再び押されてしまうだろう。

 

☆☆☆☆☆

 

 あれから戦略を変えて先生に攻撃をしたが全て満足にダメージを与えることが出来ず、俺の体力が切れて終わりとなった。これでも体力には自信があったのだが……

 

 更衣室で着替えると、ゆかりを待つ。

 今日はゆかりも同じように通信科で指導を受けている。




ここまで書いたところで力尽きました。


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ハイスクールD×D(タイトル未定)①

ハイスクールD×Dにオリ主とアズレンからベルファストを入れてみました。


 

「あー面倒なことになった」

 

頭をガシガシと掻きながら廊下を歩く男。

 

男の身長は180を優に超えており、体格もそれに見合った武骨さをしている。

 

となるとそれに見合った強烈な顔つきをしているのかと思えばそうではない。顔つきは意外と綺麗な部類で少なくとも

街で出会っても女子供が叫び声を上げながら逃げるものではない。

 

「あの野郎……いい加減あの席から降ろしてやろうか」

 

先程まで彼と相対していた相手の事を考え呪いの言葉を口にする。

 

この大男と相対していたのは冥界において絶大な権力を有する魔王であるサーゼクス・ルシファーという男だった。

 

先の戦争で前魔王からその席を奪うと、同じく別の魔王から奪った新魔王らと共に、今日日まで冥界を治めている者だ。

 

その例にならい、この大男も彼の魔王の席を狙っているのだ。残念ながら、一度として奪えていないが。

 

さて、大男は文句を口にしながらも彼を待つ者たちがいる部屋へと足を運ぶ。

 

彼のいる屋敷の中でも一番奥に存在する部屋だ。というのも、この屋敷の全てが彼の全てだからだ。

 

彼の名前はラカン。ラカン・バルバトスという。

 

サーゼクス・ルシファー旧姓と同じく元72注が一つバルバトス家の次期当主だ。

 

彼の他に兄弟は居らず、無用な後継者争いが起きていないのが幸いだ。悪魔も人間と同じように権力を欲する。いや、

人間以上に欲する面もあるか……

 

「おかえりなさいませラカン様」

 

「ああ、戻ったよベル」

 

部屋に入った彼に一番に声を掛けたのはドアの近くにいたメイドだ。

 

メイドは銀髪碧眼。身に纏うは少し手が加えられているメイド服。

 

彼女が屋敷にいるときはこの胸元を強調しているかのようなメイド服を纏っている。なんでも彼へのアピールらしい。

 

ベルファスト。それが彼女の名前だ。古くからラカンに仕え、今では従者筆頭の地位を貰っている。

 

「どうでした?魔王様との会談は」

 

次に声を掛けてきたのは何処かの姫かと見間違うほどの少女だった。

 

彼女自慢の金髪を彼女の性格を象徴するかのようにドリル状にしている。

 

ドレスを好んで着込み、その姿は言葉遣いも合わさり姫に見える。

 

レイヴェル・フェニックス。フェニックス家がバルバトス家へと縁を繋ぐ為に送り込んできた少女だ。

最も彼女もその事は留意しているが、全く気にしていない。むしろ、自分を送り込ませてくれてありがとうと感謝しているほどだ。

 

「おかしなことになった、面倒だぜ。グレモリーのお守りだってよ」

 

「サーゼクス様の言うグレモリーとはリアス・グレモリーの事で?」

 

「ああ。そのグレモリーだ」

 

リアス・グレモリー。現魔王であるサーゼクス・ルシファーとは血の繋がった妹で、何かと期待されている者だ。

 

グレモリー家は慈愛の一族と言われるぐらい、身内に甘く、サーゼクスもその例に漏れずリアスに対して少々、いやかなり溺愛している。

 

現在彼女は冥界に居らず、人間界に住んでいる。

 

というのもサーゼクスが箔を付けさせるために土地の管理者という肩書を与えたのだ。その為、駒王町と呼ばれる場所で学生を

している。

 

ラカンが知っているのは其れぐらいだ。

 

「ということは人間界にラカンさんも行くんですか?」

 

最後にラカンに声を掛けたのはレイヴェルと同じく金髪の少女だ。

 

アーシア・アルジェント。

冥界では見ない、というかしてる方が心配になるシスター服を身に纏っている少女。彼女は悪魔へ身を変える前は聖女と呼ばれ

人間界で生活していた。しかし、ある日を境に教会から追われる身となりラカンと出会い、現在に至る。

 

「ああ。俺だけでなく、眷族も良いそうだ。どうだ?アーシアにレイヴェル」

 

「わ、私も通えるんですか!?だったら行きたいです!」

 

アーシアはその出自上、教育機関に通った経験がなく前々から通えたらとラカンは聞いていた。

それ故、今回この話を持ち掛けられた時に眷族も通えないかと相談をしている。

 

「アーシアとラカン様が行かれるのでしたら私も付いて行きますわ。実を言うと前々から人間界には興味がありましたの」

 

見た目通りの箱入り娘の為、外の世界に興味があるというレイヴェル。

 

彼女はバルバトス家へやって来てからは結構な頻度でバルバトス家の所有する領地を歩き回っている。

 

「でしたら私の方で人間界における住居の確保をしてまいります」

 

「ああ頼んだぞ、ベル。金の事は気にしないでくれ、快適さを優先するように」

 

「かしこまりました」

 

ラカンに向け文句のつけようのない綺麗な礼をすると音もなくその場を去る。

 

このような理由で彼とその眷族は駒王町に身を寄せることとなった。

 




アズレンを始めた時期に書き始めました。
確か当初、アズレンはベルファストを見て始め→ベルファストを書きたい→HSDDのアーシアやレイヴェルも可愛いな→なら、両方を出して書こう。
そんな思考だった気が……


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ハイスクールD×D(タイトル未定)②

ハイスクールD×Dにオリ主とアズレンからベルファストを入れてみました。


 

ラカンらが入学してから一年が経つ。

 

自分たちの実力で彼らは駒王学園へ入学をした。悪魔として歳を食っているのでアーシアに合わせて編入ではなく入学という形に

したのだ。

 

アーシアはつい最近まで人間として人生を歩んでいたので年相応の見た目をしている。レイヴェルも幼い見た目もあり

入学に違和感は持たれなかったが、ラカンだけは周りから少し驚かれていた。

 

まぁ、常識的に彼ほどの大男が一年生というのはどうも違和感が残る。幸いにして老け顔という事でやり過ごしたが。

 

「しかし、グレモリーも中々に大変だな」

 

「本音では?」

 

「無能だ。あの男の妹だからと期待していたんだがな……」

 

時刻は夜。人間であれば眠っている時刻だが、彼ら悪魔にとっては活動適応時間だ。

 

駒王町は魔王の妹が治めていることもあり、現魔王に不服あるいは何かしらの狙いを持った者たちが度々出没する。

 

多くははぐれ悪魔と呼ばれる存在だ。位の高い悪魔は眷族を持つことが許される。先に述べたように悪魔は権力を欲する。

故に、他の悪魔の眷属よりも強い眷族をと追い求めるのは火を見るよりも明らか。

また、他の種族を悪魔へと変える悪魔の駒と呼ばれるものもある。アーシアが人から悪魔になったのもこの力のおかげだ。

望まず悪魔になったものが主人を殺したり、あるいは主人のもとから逃げ出したりした存在がはぐれ悪魔の大部分を構成する。

多くは力の持っている奴らだ。主人が力を求めるがゆえに。

 

「これでっ……終わりだ……っと」

 

共に回るレイヴェルと会話しながらはぐれ悪魔を討伐する。

 

ラカンは純粋な腕力のみで敵を圧倒した。しかも傷一つ負わずにだ。負ったら負ったで彼の眷属が黙っていないが。

 

「ば、化け物め……」

 

最後にそう言い残すとはぐれ悪魔は塵となり風に乗って消えた。

 

「元は違えど同じ悪魔だろうがによ……」

 

彼からすればはぐれ悪魔は被害者だ。しかし、だからと言ってその悪逆を放置するわけにはいかない。

更に彼はバルバトス家の者だ。

バルバトス家は冥界における武の一族。家訓が「強いものが正義」とする程度には武力を行使するのを躊躇わない。

 

「これで反応が消えましたわ」

 

「そうか……はぁ、疲れた」

 

はぐれ悪魔を倒すのに使った右腕をぐるぐると動かし軽くストレッチをする。

彼がはぐれ悪魔が駒王町に出没すると気づいたのは入学してから半年の事だった。

初めての学校生活にアーシア共々目を輝かせて毎日を過ごしていたのだが、ある日彼のセンサーに引っかかる出来事が起きた。

一家惨殺事件である。

何気なく朝にテレビを見ていた時に発覚。テレビでは元警察関係者の見解が述べられていたが、直感的に違うと思った。

それから事件現場付近を警察に怪しまれない程度にウロチョロしていたら悪魔の気配を感じたのだ。

彼からすれば月とスッポン程の力量差だが、一般人からすれば怪獣VS人間だ。勝てるはずがないので彼が直々に成敗した。

グレモリーも動く気配がなく、仕方なく今日まで新たな惨殺事件が起きないように毎晩パトロールをしているのだ。

 

「お疲れ様ですわ、ラカン様」

 

「ああ、レイヴェルも付き合ってくれてありがとな」

 

「いえいえ、私は貴方の下僕。となれば主人に付き添うのも当然の事ですわ」

 

レイヴェルはラカンから騎士の駒を受け取っている。

騎士の駒はその対象者の速度を上げる効果を持つ。速度とは簡単に言えば全ての動作だ。

剣をふるう速度、動く速度、魔法を唱える速度。レイヴェルは元々フェニックス家の悪魔で炎系統の魔法の扱いでは他の追随を

許さないレベルを誇っていた。

そこに騎士の駒の効果の一つである魔法詠唱の速度アップが合わさり、ラカンの眷属の中でもかなりの戦力となっている。

 

☆☆☆☆☆

 

サーゼクスからリアスのお守りを頼まれたラカンだが、日常においてはほとんど関わりを持っていない。

一応、バルバトス家の者だという事は伝わっている。というか、彼の傍にいるレイヴェルの存在でバレている。

 

しかし、彼女は彼に対しては興味どころか悪意を持っている。

あの偉大な魔王である兄から土地の管理者を任されているにも拘らず、バルバトス家の者を送り込んでくるとはどういう了見かと怒りさえ持っている。

 

バルバトス家に対しての感情として冥界の悪魔たちは大きく三つに分けられる。

一つはリアスのように嫌う者たちだ。戦乱ではない現在において武を誇る一族に対して元々一定数が嫌っていたが、ラカンが次期当主になってからは爆発的に増えた。

というのも、現魔王であるサーゼクスに対して無礼である上に数回に渡って私闘を繰り広げているからだ。

次に中立の者たちだ。彼らはバルバトス家の武の恐怖をしっており、敵対はしたくないが懇意にしたいわけでもないという者たちだ。

最後は好意を持っている者たちだ。筆頭としてフェニックス家が挙げられる。現当主であるフェニックス卿とラカンの父であり、現在のバルバトス家当主のゼオン・バルバトス

は昔からの交友がある。

 

とまぁ、リアスが怒るのも無理はなかった。ラカンらが夜な夜なパトロールをしているのを鑑みるに本人の管理能力は置いておくとしてだが。

 

「裕斗、ラカンのクラスでの評判は?」

 

「彼はクラスの人間からは好意的にみられてますね。学校の問題児たちを懲らしめてるそうですから」

 

苦笑いしながら自身の眷属である木場裕斗が言う。彼はリアス・グレモリーの眷属の一人で騎士の駒を貰っている。

駒王学園ではその整ったルックスから王子とも呼ばれてる。

 

その木場の口から出た問題児。彼やラカンらと同じ二年生の松田・元浜・兵藤の三人の事を指す。

彼らは学校に在籍する女子に対して必要以上のセクハラ行為を働き、学校のみならず近隣でも噂になるレベルの問題児だ。

一応生徒会も何度も注意をしているのを見かけるのだが、反省の色が見えない。

 

「そう……」

 

「なんでリアスはそんなにラカン君の事が気になるの?」

 

木場とリアスに紅茶の入ったカップを差し出したのは姫島朱乃。彼女もまたリアスの眷属で女王の駒を持っている。

リアス・グレモリーと並び学校のマドンナとして持て囃されている。

 

「バルバトス家は嫌なのよ。アイツら武力で物事を解決しようとするのよ」

 

「あら?でも木場君の話によると武力よりも対話路線のようだけど」

 

「ええ、僕も問題児に対して説教をしているのを見た事があります」

 

木場と姫島は自身の主人がラカンに対してあまり良い感情を抱いていないという事は彼がやって来てから知っているが、理由までは分かっておらず、これを機にと思ったようだ。

 

しかし、そんな彼らの思惑通りにはいかずリアスは紅茶に口を付けると黙ってしまった。

 

☆☆☆☆☆

 

リアスが眷族から質問を受けている頃、ラカンはアーシアを共に連れて教会に寄っていた。

 

悪魔は例外なく教会などの神聖とされる場所には近寄れないとされている。なので、近寄り遠くから見るという事をしていた。

 

アーシアが一度、駒王町の教会を見てみたいと言っていたのだ。ラカンに拾われなければ、アーシアは此処の教会に派遣されていた可能性があるのだ。

しかし、その教会はおよそ形を保っていなかった。

 

遠くから見ても分かるぐらいにボロボロで何とか雨風をしのげるといった様子だ。このような場所に派遣されていたと思うと何処か寒く感じるアーシアだった。

 

「これは酷いな……」

 

「はい。幾ら何でもこの状態の教会を放置は」

 

「此処の教会は現在は無人なのか?だとしても……なぁ」

 

教会は天界と呼ばれるこの世界を構成する一部の場所の管轄下に置かれている。

 

即ち、神という存在は天界を統べている。その事を知るのは天界や、冥界でも一部の者たちだ。

 

神というのは千差万別で、駒王町の存在する日本は日本神話勢。協会が属するのは西洋神話と別れている。一口に西洋神話と言われても様々だ。

 

天界や冥界とは別の勢力として北欧神話勢など神がまだこの世に存在しているという証拠の一つだ。

 

話が逸れたが、協会は天界の管轄下。それを放置など威信に係るものだ。

 

「これはキナ臭いな。アーシア、今日の所は帰るぞ」

 

「え?は、はい」

 

アーシアの手を引きラカンはその場を後にした。その際、ラカンが扱う使い魔を教会を監視する目的で放っておいた。

 

アーシアが此処に派遣されたとするならこんなボロボロの状態は可笑しい。天界に所属する教会の上層部の連中が何か企んでいるのか。

はたまた一部の暴走した部下なのか。

 

 




此処で力尽きて止まってます。


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駒王の管理者(仮)

ハイスクールD×Dにオリ主を入れてみたものです。


 

深夜と呼ぶべき時間に二つの影があった。

 

片方は平然と立っているが、もう片方はボロボロの格好のまま膝をついていた。

 

「ば、化け物が……」

 

「悪魔が化け物っていうなよ」

 

「黙れ黙れ!貴様さえいなければ」

 

「なんだ?まだ口を開くほどの元気はあったか」

 

ボロボロの格好をしている者は不思議な恰好をしていた。服こそ見慣れたものを着ているがその背中には黒色の翼が生えている。およそ人間にはないものだ。それもそうだ、彼らは悪魔と呼ばれる生物なのだから。

 

『あの女が近づいてきているぞ』

 

二人の人物しかいないのに何処からか女の声が聞こえた。

 

「そうか、俺も時間をあるわけじゃない。これで終わりだ」

 

彼はその言葉に返事を返すと、

 

「……ぐっ」

 

彼は手にしていた剣で悪魔の首を落とした。首を落とされた悪魔はまるでそこに存在していなかったようにサラサラと砂となり風で散り散りとなってしまった。

 

「ふぅ……後始末は日中にするとして逃げるか」

 

彼は呟くと足下に魔法陣を発動させその場を後にした。

 

 

「こら~、そこの変態3人待ちなさいー!」

 

言いながら箒を手にしている女生徒は前を走っている3人の変態を追いかけた。

 

ここは駒王学園。駒王町に存在する高等学校である。この学園には学園のマドンナとも呼ぶべきお姉さまが2人在籍している。3年生のリアス・グレモリーと姫島朱乃。とても同学年と思えないほどの体付きに男女関係なしに人気を誇っている。

そんな学園に彼は在籍していた。

 

狩魔隆二 深夜に悪魔と呼ばれる者を倒した男だ。学園で目にされる彼は基本的に誰にでも優しいと評判だ。基本的にといったが彼は自身が悪と判断したもの、周りの評判から悪と判断すべきものに対しては一切容赦をしない。

 

今もそうだ。

 

「其処の3人、風紀委員長の願いでな捕まえさせてもらう」

 

女生徒から逃げている3人の前方に立った彼は、3人に向かって突撃をした。勿論、彼は暴力で解決するのではなく、無力化を図ることを目的としている。

 

3人はすぐに無力化され彼が手にしていた縄に結ばれた。

 

「あっ、狩魔君。ありがとう」

 

女生徒は変態3人組を捕まえた彼に礼を言う。3人がしっかりと縄につかまっていることを確認した彼は、

 

「なに、これも俺の仕事だ。むしろ被害者は君たちだろうに。生徒会にでも一応連絡を入れておくよ」

 

「うん、ありがとね」

 

彼女に背を見せながら縄を持っていない手をヒラヒラさせると彼は風紀委員たちが集まっている教室へと足を向けた。

 

 

「ただいま」

 

家の鍵を開け靴を脱ぎながら家に上がる。帰宅の言葉を口にした彼に何者かが抱き着いた。

 

「おかえりなさいですわ、隆二様」

 

「ああ」

 

彼に抱き着いたのはレイヴェルという少女だ。幼いころに出会い、今も親交がある少女だ。

 

「昨夜、悪魔を倒したと聞きましたが?」

 

「ああ、深夜に今は無人の教会でな」

 

昨晩戦闘した場所は廃教会だった。教会に属する者がいる場合、悪魔は教会に立ち入ることが出来ないが、生憎と今は無人なため本来魔に働く防御機能が作動していなかったのだ。

 

『今夜にでも報告に行くと良い。最近何かと忙しく行ってないのだからな』

 

再び何処からか声が聞こえてきた。その声に驚いた様子も見せずに彼は頷き返した。

 

「そうだな。昨夜結界を貼りなおしたから暫くは来ないだろうし顔をついでに出しにいくか」

 

「私も行ってよろしいですか?」

 

「構わないよ。それに彼らだって歓迎だろうよ」

 

彼は部屋に一度戻ると制服から部屋着に着替え、夜までレイヴェルと過ごすことにした。

 

 

深夜になると彼はレイヴェルと並び足下に魔法陣を展開する。彼の一族独特の魔法陣なので他の者には真似することが出来ないものだ。

 

「忘れ物はないな?」

 

「大丈夫ですわ」

 

二人の姿は魔法陣が光ったかと思うと消えていた。

 

 

次に姿を現した二人がいる場所は黄色い雲の上だった。

二人の前には坂道がありそこを昇ると日本の神々が住まう高天原へたどり着く。

 

「さて、まずは主神様のもとへ行くか」

 

「はい」

 

彼らが歩いている間にレイヴェルという少女について話そう。

彼女 本名をレイヴェル・フェニックスと言いい悪魔元72柱の一つフェニックス家の少女だ。

隆二が幼いころに傷ついていたレイヴェルを助けて以来の縁となっている。ではなぜ悪魔の少女が高天原というある種の天敵の場所に平然と入れるのかそれはまた今度とする。

ともかく彼女は日本の聖の気に充てられても大丈夫だと言っておこう。

 

歩いていた二人は日本神話の主神である天照の居城にたどり着いた。

 

天照が高天原で過ごしている城は決まった名称がないため俺は天照城と簡単に呼んでいる。

 

城内に入り、天照を探す。どうやら向こうさんも俺たちがやってきたことに気付いたようで城内にある茶室で待っていたみたいだ。

 

「久しぶりです、天照様」

 

「ええお久しぶりですね、御使い殿」

 

お互いに挨拶をして出してもらったお茶に手を付ける。ずずっ……うん、おいしい。

 

 




確かこれもレイヴェルを書きたいなって思って途中まで書いたやつです。


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清水谷竜華の場合

自分の別に上げている京太郎と彼女(仮)で書こうとしたものの、今一納得がいくような設定が練られなかった奴です。


 

「え!?竜華、お前彼氏居ったんか!?」

 

 千里山女子高校の麻雀部に一人の少女の声が響いた。声の発信源の少女は、およそ少女らしくない恰好をしていた。

 男でも今時そのような着方はしないような前方を完全に開けた学ラン姿だ。というのも彼女、江口セーラはスカートを履かなくて良いを条件に推薦枠で入学を果たしている。更に、本人の好みも相まって学ランを着ているということだ。

 

「あれ?うち言った事なかったっけ?」

 

「ねーよ。初めて聞いたわ」

 

 セーラの声に返答したのは清水谷竜華という少女。彼女は学校指定の制服をきっちりと着こなしており、セーラと比べると不良と学級委員みたいな関係に見える。

 

「あの子が彼氏になってもう1年半ぐらいかなぁ……付き合い自体はもっと前やけど」

 

「おっ、りゅーか。京の話してるん?」

 

「せやでーって、怜起きたんか?」

 

 竜華に話しかけたのは部室に設置されているソファーで横になっていた少女。彼女の名前は園城寺怜という。今年の夏大会ではエース—先鋒として起用すると監督が決めている程の人物だ。しかし、ソファーで横になっていたように、体が生まれつき弱い。今日も練習を程ほどで終えるとソファーで横になっていた。

 

「その呼び方的に怜も親しくしている男なのか……どんな奴や」

 

「その、えっと……」

 

「どうしたんや竜華。そんな言いづらそうにして」

 

「竜華が言いづらいのはうちもよう分かるわ。京は見た目がアレやから誤解多いもんなぁ」

 

「うちの彼氏のきょーくん……京太郎っていうんやけど、彼見た目がもろに不良なんや」

 

「ふ、不良!?はぁー、まさか竜華がそんな奴と付き合うてるとは思えんわ」

 

「あ、あはは」

 

 竜華も怜も気まずそうに笑うしかない。竜華が言った京太郎という男は染めてるとしか思えない金髪に長身、その上コンタクトレンズを付けるのが怖いとの事で授業以外では眼鏡を付けていない。そのせいで普段から、相手がにらまれてるように思ってしまう。そんな男なのだ。

 本人からすると、不良なつもりはないとの事だ。

 

「今日これから会う予定やけど、セーラも来るか?」

 

「そうだな。一目見てみたいわ」

 

 そういう事で江口セーラは京太郎なる男と出会う事になった。

 

☆☆☆☆☆

 

 部活動を終え、街へと繰り出した三人。

 待ち合わせ場所に付くと既に京太郎という男が居たようで、竜華の足が速くなった。

 

「きょーくん!」

 

「竜華さん。こんにちわ」

 

 竜華が近づいた男は挨拶に気が付くと、挨拶を返してきた。

 



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雀明華の場合

自分の別に上げている京太郎と彼女(仮)で書こうとしたものの、今一納得がいくような設定が練られなかった奴です。


 

物事には全て運命が決まっている。

 

彼と出会ったのは大会会場でのことだった。

普段使っている日傘が見つからず、学校の皆と別れた後一人で探し回っていた時だった。

 

ないないと探していた姿を見て気になったのか、彼は私に「何か探しものですか」と英語で声を掛けてきた。

私の見た目を見て英語で話しかけてくれたのだろう。私は「日傘を探しています」と彼に答える。

其れならコッチで見たと彼の後姿を追うと簡単に見つかった。

 

一時間ほど探していたものがいとも簡単に見つかるなんて。

運命の出会い。何故かその言葉が頭を過った。いくら何でも早計過ぎると頭を振る。

彼は不審に思ったのか大丈夫ですかと心配げな声色で話しかけてくれた。あぁ、心臓がバクバクする。

 

「あの、お礼をしたいのですが……」

 

日本に来る前に覚えた日本語で話す。英語で話しかけてくれた事は嬉しいが、それよりも彼と同じ言葉で話したい。

 

「え、お礼なんていいですよ。俺は当然のことしただけです」

 

「それではワタシの気がすみません。えっと……失礼ですが名前は?」

 

「あ、挨拶してませんでしたね。俺は須賀、須賀京太郎と言います。一応、この大会の関係者です」

 

「ワタシは明華―雀明華です」

 

彼の学校と戦う前の事だった。

 

 

☆☆☆☆☆

 

彼―京太郎君と出会ってから半年近くが経った。

あの夏の大会で私の通っている学校は三位という結果で終わった。勿論団体でのことだ。

というのも個人では腕が振るわずベスト4にすらなれなかった。

世界ランカーに名を載せているのでそれなりに自負はあったのだが、何処か自惚れもあったのだろう。

早い段階で気付けて良かった。

京太郎君とはあの後、無理矢理な感じに喫茶店に連れて行き、連絡先を交換した。

大会が終わってからはネット麻雀を使って彼に指導に近いことをしている。

 

今日は春の大会の本戦。京太郎君が出るので私も見に行く。仲間からも誘われたが、彼の観戦は一人でしたいと思った。

 

女子と男子では日程が別なので今日は一日自由だ。

お気に入りの日傘をもって家を後にした。

 

★★★★★

 

「うぅ、緊張するな」

 

春で日差しが温かいのに震えが止まらない腕を摩る。

去年の夏の大会では無念の予選敗退だった俺だが、とある縁のおかげで本戦に出れるレベルの腕前になった。

 

彼女の指導が上手く、自分の実力だと分かっていつつも何処か自信が持てず震えてしまう。

 

そんな俺を見越してか、タイミング良くメールがスマホに届いた。

差出人は去年の夏に出会った師匠兼友人の明華からだった。




これもまた竜華と一緒で今一設定が練られなかったんだよね。


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艦隊これくしょん(春風)

艦隊これくしょんの春風もの。


 

 コツコツと泊地鎮守府の廊下に足音が響き渡る。時刻は早朝の為、足音を立てている人物以外の物音はしない。

 足音を響かせているのは小柄な少女だ。少女は桜模様の入ったピンク色の着物を上手に着こなしている。艶のある茶色の髪の毛を顔の横に来るように縦ロールにしている。

 彼女の名前は春風。かつての大戦時に活躍した船の記憶を所持している少女だ。

 少女は執務室と書いてある部屋に入ると、中にもう一つある扉を優しくノックした。

 

「司令官様、起床の時刻です。春風が参りました」

 

 暫くの間待つが、何一つ物音がしない。彼女は遠慮がちに扉を開け、中へと入った。

 中の部屋にはベッドが一つと机と本棚が存在した。一見、知らない人が見ると、執務室との違いが、ベッドだけに見える。しかし、よく見ると本棚の中身が趣味で埋め尽くされているのが分かる。

 春風はベッドの上で眠る目的の人物へ目をやる。ベッドで眠っているのは小柄な少年だ。眼を開けているときの眼付きの悪さとはうって変わり、眠っているときは穏やかな感じだ。そのギャップ差にやられる艦娘が多いと青葉から聞いたことを思い出す。

 ともかく、この少年を起こさなければ春風の一日は始まらない。何故なら、彼女は彼の嫁さんなのだから。

 

☆☆☆☆☆

 

 世界中に深海棲艦という悪しき存在が跋扈するようになって早半世紀。深海棲艦への対抗策へと作られたのが、かつての大戦時の記憶を所持する少女たち―艦娘だ。

 艦娘の装備は人間の手によって作られてはおらず、深海棲艦が登場してから見つかるようになった妖精と呼ばれる存在によってのみ作られている。

 それらを用いることで深海棲艦と日夜艦娘は戦っているのだ。

 そんな彼女たちに対する世間の目は大きく分けて二種類に分かれる。一つは、世界を守る味方的な見方だ。

 彼女たちの行動はどうあれ、人間からすると深海棲艦と戦っている以上は、頼もしき存在だ。そんな彼女たちだからこそ人道的に扱うべきではないかと主張する勢力が多数ある。

 その意見とは反対に、艦娘を兵器だと一蹴する勢力もまた存在する。今は深海棲艦に対してその力を向けてはいるが、何時人間に矛先が向くか分からない。なれば、彼女たちは使い潰すものだと彼らは主張する。

 それらは世間だけでなく、軍人にまでも作用する。

 と言っても、軍人の多くは前者を支持する。やはり、前線で戦わせるとなると、信頼感と呼ぶべきものが生まれるからだろう。

 そんな彼女たちへの一つの信頼の証として登場したのが『ケッコンカッコカリ』というシステムだ。

 艦娘は現状未だ、人間と呼べるわけではない。そもそも戸籍が存在しないのだから。なので、彼女たちが意思ある存在と言えど、人として扱えないので、軍上では人間として扱おうという考えのもとに作られた。

 艦娘の指揮官である提督が信頼のおける、或いは好意を持った艦娘に対してケッコンカッコカリ用の指輪を渡し、艦娘側が了承する事で成立するものだ。

 長々となったが、春風もまた彼女の指揮官から手渡され、了承している。

その為彼女は指揮官の嫁さんなのだ。

 

☆☆☆☆☆

 

「……春か」

 

「はい、春風です。本日の起床時刻になりましたので、お迎えに上がりました」

 

「そうか……着替える」

 

 目を覚ました少年は先ほどの穏やかな顔とは打って変わり、既に眼付きの悪い顔になった。というのも、普段から顔つきが悪いが、彼はそれに加え低血圧ときた。

 春風は掛けてあった軍服を取ると、甲斐甲斐しく世話をしていく。ゆっくりと着替えをしたので、数分の時間を要した。その数分で彼も覚醒したようで、言葉遣いも普段通りに戻った。

 

「助かった」

 

 




春風を掘り終わった時に書いたものだったような?
春風って何時のイベントだっけな?なんか16春だったような?違うような。


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李下に冠を正さず①

D.C.Ⅲにオリ主を入れてヒロインを雪村すももにしたやつです。


 

 俺にはちょっと変わった友人たちが複数いる。

一人は先輩にあたるのだが、やってることが余りにも幼稚な感じが否めないので俺の中ではタメみたいなものだ。

隣で珍しく共に昼食を食っている芳乃清隆。こいつがその友人1だ。

 なんでも最近、昔の事を思い出したらしい。電話で聞いた。コイツの話を聞いた限りだとコイツの前世?に当たる世界には俺もいたらしいが、生憎と俺にはそんな記憶は戻ってきていない。

 なので半分ぐらいは冗談として受け止めている。勿論こいつが嘘つくような奴ではないとしっているので本当の事としても受け入れている。

 

「久々に学食に来たけどやっぱり美味いな」

 

 ラーメンを啜りながら一言呟く清隆。普段は弁当作ってきているのでめったに食堂には顔を出さない彼。今日は寝坊したから顔を出したようだ。

 俺も今日の日替わり定食であるチキン南蛮を飲み込んでから同じように美味いと呟く。

 風見学園の食堂は思わず美味いと言ってしまうレベルの料理を出す。それがこの学園に通うようになってからの俺の持論だ。

 まぁ、多くの人が思ってそうだが……

 

 昼食を終え、食後の一休みをしたくなったので教室に帰る清隆と別れ自販機の置いてある体育館への通路へ歩く。

 自販機に俺の好きなカルピスソーダがあるのを確認して小銭を入れる。

出てきたペットボトルを取り出して歩きながら口を開ける。

 一口飲んでホッとしたところに後ろから声を掛けられた。

 

「あら?佐々木くん」

 

「ん?……あぁ、雪村か。奇遇だなこんな所で会うのは」

 

「そうね。でも、学内唯一の自販機の近くだし、良くある事じゃないかしら」

 

 俺に声を掛けたのはクラスメイトの雪村すももだった。綺麗な銀色の髪を肩まで伸ばしている少女だ。

 

「それもそうだな」

 

俺は肩をすぼめながら同意する。

彼女の言う通り自販機は此処にしかない為、そこを訪れる生徒は多くいる。

 時間も時間の為、彼女と共に教室まで歩く。彼女は手にミルクティーの小型ペットボトルを持っていた。季節はそろそろ夏へと動いているので暑くはないのだろうか。

 そんなことを考えながら彼女の手元を見ていたので、流石に彼女も気になったようだ。

 

「どうしたの?私の手元なんて見て」

 

「あぁ、悪い。ただこの時期にホットのミルクティーを飲むのを意外だと思って」

 

「好きだからよ。佐々木くんもあるでしょ?好きなものなら時期とか気にしない物とか」

 

「あー、俺にとってのカルピスソーダみたいなものか。冬でも確かに飲むし」

 

「そういことよ」

 

 彼女ととめどない会話をしていると教室に着いた。

 自分の席に座ると、清隆とは別のもう一人の変な友人が声を掛けてきた。

 

「よぉ、正之」

 

「おう、耕助」

 

 江戸川耕助。俺に声を掛けてきた男の名前だ。一つ上の学年に姉を持っており、中々に苦労している奴だ。まぁ、大半が自業自得感が否めないけど。

 

「それでどうした?」

 

「いや、飯食って暇だからよ。暇になったらダチに声を掛ける。それに限るぜ」

 

 妙にキメ顔で喋る耕助。ていうか、

 

「おい耕助。確か次の授業って……小テストあった気がするが大丈夫か?」

 

「は?……は?」

 

「俺は普段から復習してるから大丈夫だが。お前、次赤点取るとたしか……」

 

「あー、聞こえない。聞こえないー」

 

 耳をふさぎ嫌々と頭を左右に振る。なんで野郎のキモイ行動を見なければいけないのだろうか。

 額に青筋が浮かんだのが分かるが、なるべく優しめの声で自分の席に戻ることを促す。

 

「ほら席に戻って勉強したらどうだ。俺も勉強するからさ」

 

「うっ……お、覚えてろよー!」

 

 最後には三下キャラみたいなことを口にして自分の席に戻っていった。

 はぁ、俺も勉強するか。

 

☆☆☆☆☆

 

 放課後になると、仲のいい同士に集まって帰ろうとしているクラスメイトを尻目に俺は急いで教室を出る。

 今日は俺のアルバイト先である保育園から掃除の依頼をされたので、急いで帰宅する。家に帰ると制服を脱ぎ、私服に着替えると簡単にバッグに荷物を入れる。

 俺の借りているアパートの自転車置き場に行き、自転車にまたがる。初音島にやってきてからの相棒だ。

 初音島は本土からは車でしか来れない。一応本土では初音島を観光地としてバスが通っている。その為、この島に来る多くの人たちは観光客だ。俺みたいに住む人は少ないらしい。

 かつてこの島は一年中桜が咲き誇っていたらしく、その名残か多くの桜の木が彼方此方で見ることが出来る。

 園長先生から聞いた話だが、その桜の木は何でも願いをかなえてくれる木だったそうだ。まぁ、真偽のほどは確かめようがないが。

 

 そうこう考えているうちに保育園が見えてきた。職員用自転車置き場に自転車を置いて、挨拶をしながら中に入る。

 平日は簡単な掃除しかしないので、結構ほこりなどがたまっているのが見える。これは中々に骨が折れそうだ。気を引き締めると俺は掃除に取り掛かった。

 

☆☆☆☆☆

 

 今日のアルバイトが終わったのでスーパーで夕飯の総菜を買うことを決めた。本当は自炊をしようと思ったのが、思った以上に疲れてしまったので今日は総菜で済ませることに。

 時間が遅めなので、値引きシールが貼られている物が多い。揚げ物が食べたい気分なので、唐揚げを手に持ったかごの中に。既にかごの中には明日の朝用にと確保された菓子パンが入っている。勿論、お菓子もある。

 

「後は、牛乳がないはずだから買って帰るか」

 

 ポテトを更にかごの中に入れると、紙パック売り場へ足を運ぶ。そこで意外な自分を発見。思わず隠れようとしたが、隠れる必要がないことに気が付くと、売り場に近づいた。

 

「よぉ、雪村。昼といい奇遇だな」

 

「……あら?佐々木くん。本当ね、奇遇だわ」

 

 俺が声を掛けると一瞬の間があってから彼女はゆっくりと返答をした。制服を着ているので、学園の帰りだろうか。彼女は特定の部活に入ってなかった覚えがあるが……

 

「ああ、制服の事を考えているのかしら。ちょっと図書室で本を読んでいたら、遅くなったのよ」

 

 俺が見ていることにまたもや気付くと、理由を教えてくれた。小首をかしげたそのポーズに見とれてしまったが、頭を振る。

 

「なる程。しかし良く俺が見てると気づくな。昼も気付いていたし」

 

「あら、知らないのかしら。女の子は視線に敏感なのよ」

 

「……左様ですか」

 

 女っ気がないせいか初めて聞いた言葉だ。そうか、女子は視線に敏感なのか。これからは気をつけなきゃな。

 

「佐々木くんはこんな時間にどうしたのかしら?」

 

「俺はアルバイトさ。一人暮らしをしていると何かと物入りだからな」

 

 洗うため持ち帰った制服が入ったバックを叩く。

 

「佐々木くんって一人暮らしだったの?ご両親は?」

 

「母は幼いころに。父とは初音島に来る前までは一緒に住んでたけど、海外に転勤って事を切っ掛けに別居さ」

 

「言いにくいことを聞いてしまったみたいね。ごめんなさい」

 

「いや気にしなくていいさ。父と一緒に暮らしてた頃も、一人の時間が多かったからな。慣れたものさ」

 

 父は会社ではそれなりの地位に付いているようで、朝早く会社に向かうと遅く帰ってくることばかりだった。

 母がすでにいない為、家事は俺がやっていたのでかなりの腕前だ。まぁ、だからこそ保育園をバイト先に選んだのだが。

 初音島に来たのだって、観光客たちと同じだ。桜が咲き誇っていた島ならば、桜の季節には楽しいだろうと思ったからだ。

 

「じゃあ、カゴの中身は夕飯かしら」

 

「おう。流石に今日は疲れたからな。帰って料理するのが面倒で」

 

「中身は……見事に揚げ物ばかりね。体に悪いわよ?」

 

「まだまだ若いから平気だろ。まぁ、流石に毎日こんな食事ってわけではないが」

 

「……ちょっと待ってて」

 

「ん?……あぁ、構わないが?」

 

雪村は携帯を取り出すと、少し離れて何処かに電話を掛けだした。

 

「ああ、杏姉さん。これから友達を連れて行くのだけど、大丈夫かしら」

 

「ええ、わかったわ。じゃあ、もう少ししたら帰るわ」

 

電話が終わったのか、鞄に携帯をしまってこちらに戻ってきた。

 

「じゃあ、佐々木くん。そのカゴの中身。夕飯は全部戻してきて」

 

「はい?話が読めないのだが」

 

「此処であったのも何かの縁。夕飯うちで食べて行きなさい。大丈夫うちの人に許可は貰ったわ」

 

 




確か、D.C.WithYouが出た頃にすももが可愛くて書いたやつですかね。個人的にはD.C.好きな癖に二年ぐらい触れていないので記憶薄れてきてるんですよね。やり直そうかな……でも、そうすると書きたくなるんだよね。

覚えてる人などいないと思うけど、この作品一度だけ挙げてた頃があるんだよね。


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李下に冠を正さず②

 

「ここが私の家よ」

 

 雪村に連れていかれた先は大きな門を持つ家だった。いや、マジでデカい。門だけで分かるこの家の広さ。初音島の歴史を知らないが、昔は武士とかが住んでいそうな家だ。

 

「さ、入って」

 

 門の鍵を開けて俺に入ることを催促してくる。初めて訪れる女子の家に少し緊張しながらも門をくぐった。

 再び彼女の後ろを歩き、居間と思われる大きく開けた部屋に付いた。そこにはすももに似た女性がちんまりと座っていた。

 

「あら、すもも。おかえりなさい」

 

「ただいま、杏姉さん。今日はお仕事大丈夫なの?」

 

「ええ、大丈夫よ。今日と明日は休み取ったわ。明後日からはまた家を空けてしまうわ」

 

 休みを取ったあたりで一瞬目が遠くなった女性。彼女は一体何の職に付いているのだろうか。

 

「分かった」

 

「それで?そこにいる彼の紹介は?」

 

「あっ、彼は佐々木くん―佐々木正之くん。さっき偶然スーパーで会って、栄養バランスが酷くてつい連れてきてしまったの」

 

「そう。……ま、すももが連れてきたから心配はしないわ」

 

 俺の紹介をしてくれたものの、今一会話に入ることが出来ない。しかし挨拶をしないのは余りにアレなので無理やり割り込んだ。

 

「えっと、紹介にあずかりました佐々木正之です。雪村さんとはクラスメイトの仲で今一自分もどうして此処にいるのか分からない状況です」

 

「丁寧にどうも。私は雪村杏……すももの、そうねお姉さんといったところかしら。でも一応保護者よ」

 

「ほ、保護者ですか……」

 

 姉で保護者。従姉妹か何かだろうか。それほどまでに二人は似ている気がする。雰囲気とかそっくりだし。

 

「じゃあ、佐々木くん。私は料理作るから暫く待ってて」

 

「あ、いや俺も手伝うよ。流石にタダでご馳走になるのは……な」

 

「ふふっ、じゃあ手伝ってもらおかな」

 

 彼女から予備のエプロンを借りて台所に立つことに。

 しかし、この家の台所大きいな。家が大きいから当然なのだろうが、びっくりだ。まぁ、物を置くスペースが多い分料理しやすいけど。

 

「じゃあ、私は先にお米を研いでセットするから、佐々木くんはお野菜を洗っておいて」

 

「了解」

 

 彼女の指示に従って料理をしていく。

 意外にも息が合ったのか、テンポよく料理を作ることが出来た。

 

「それじゃ、いただきましょ」

 

「はい、いただきます」

 

「いただきます」

 

 杏さんの言葉を皮切りに料理を口に運ぶ。今日作ったのはタケノコの炊き込みご飯と、玉ねぎやニンジンを使ったかき揚げ、豆腐とわかめの味噌汁。後は、サラダだ。

 

「ふぅ、ごちそうさまでした」

 

「おそまつさま」

 

「佐々木君は結構食べるのね。お姉さん、驚いたわ」

 

「これでも育ちざかりですからね。それに、久々に人の作った料理を食べましたからつい」

 

 本当に久々に自分以外の料理を口にした。父は料理できる人じゃないし、母が亡くなって以来ではないか?

 本当に美味しかった。食後に出されたお茶を口にしながらしみじみ思う。

 

「良かったわねすもも。美味しかったって」

 

「……ええ。作った甲斐があったわ」

 

 少し照れ臭そうに話す雪村。しかし、

 

「どうして俺を夕飯に誘ったんだ?こう言っては何だが、俺と雪村は特別仲が良いってわけじゃないし」

 

「そうね。私自身もよく分かってないわ。でも、迷惑だったかしら?」

 

「いや。それはないな。むしろこちらが礼を言いたい。美味しいご飯をありがとう」

 

 俺は思わず頭を下げた。ただのクラスメイトという関係だというのに飯をくれた。簡単にできる真似ではない。

 

「喜んでもらえて何よりよ……それに私も久々に杏姉さん以外と夕飯を食べたし、お相子だわ」

 

「そっか……じゃあ、そろそろお邪魔しようかな。これ以上は明日に影響出そうだし」

 

 話をしていると予想以上に時間が経ったので、帰らないと不味い。お風呂にも入ってないし、洗濯物も畳まなければならない。

 

「あっ、そうね。じゃあ、また明日?」

 

「ああ。また明日」

 

 玄関まで見送りに来てくれた杏さんと雪村にもう一度ごちそうさまと告げ。俺は家の門の内側に置いておいた自転車に跨り帰路に着いた。




ここで力尽きてます。


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貴方の傍に

BanG Dream!の花音ちゃんをヒロインにしたやつです。


 

カランカラン

 

来客を知らせるベルが店内に鳴り響く。やってきた客の相手をするために厨房から商品を並べているショーケースの置いてある店内にやって来ると見えた客は彼女だった。

 

「いらっしゃい花音ちゃん」

 

「こんにちわ、隼人さん」

 

やって来たのは松原花音ちゃんだ。明るい青色の髪をサイドテールにまとめている女の子だ。そして俺の年の離れた彼女だったりする。

 

「今日もいつものでいいかい?」

 

「は、はい。それでお願いします」

 

花音ちゃんは俺が務めているケーキ屋によく遊びに来る。花音ちゃんがケーキやクッキーといったお菓子が好きなのも理由の一つだと思うが、俺に会いに来ているとならば嬉しい。まぁ、直接聞いたわけではないから推測だけど。

 

彼女には前から試作品を食べてもらっている。彼女の意見は何かと参考になるので助かっていたりする。

 

「今日はフルーツタルトを作ってみたよ」

 

「わぁ、おいしそうです」

 

「そう言ってもらえると嬉しいよ。さ、どうぞ」

 

彼女にタルトの乗った皿を出すと俺も対面に座る。今日は彼女が来たら店を閉めようと思っていたので、もう休みのようなもんだ。

 

この店は俺の家族がやっている店だ。祖父が一人で立ち上げ、従業員たちと頑張ってきたものらしい。父は残念ながら受け継がないでサラリーマンをやっており、孫の俺が継ぐことになっている。

 

高校を卒業後、祖父の縁でイタリアに渡りそこで修業を積んでこっちに戻ってきた。その後祖父からお前に継がせる気だと言われ、暫くの間、俺と従業員たちだけでこの店を動かしている。

花音ちゃんと再会したのもこっちに戻ってきてからだ。

家が近いこともあり昔から遊んであげた相手だったのだが、凄く可愛くなっていて驚いた。

 

「それでどうだい?」

 

「美味しいです!このタルトならお店の紅茶に合う気がします」

 

「そうか……ちょっと待ってて紅茶入れてくるよ」

 

店の紅茶は祖父の知り合いから仕入れている。店内で食べる人向けにケーキセットとして紅茶とケーキを出している。

 

「はい、お待たせ。熱いから気を付けてね」

 

「ありがとうございます」

 

彼女が紅茶を飲むものを見ながら俺も持ってきたコーヒーを飲む。

むぅ、まだまだコーヒーの方の腕は上がらんな。俺が渋い顔をしていると花音ちゃんが不安そうに声を掛けてきた。

 

「あ、あの。何かありましたか?相談に乗りますよ」

 

「ん?ああ、大丈夫だよ。コーヒーの腕は上がらないなって思ってただけさ」

 

「そうなんですか?なら良かったです」

 

「心配してくれてありがとう。そうだ、今週末空いてる?」

 

「はい、その日は練習もないので大丈夫ですね」

 

「じゃあ、一緒にちょっと遠くのケーキバイキングに行こうか。花音ちゃんに意見貰って助かってるけど、他の店の味も参考にしたいからさ」

 

花音ちゃんはバンドを組んでいるらしい。彼女から聞いただけなので詳しくは知らない。いつか見に行きたいと思っているのだが、中々時間が出来ないのだ。

 

★★★★★

 

今日は花音ちゃんと試食に行くという建前のデートだ。

気温が暑くなく、かつ寒くないという丁度いい。空も雲が一つもないほどの快晴。

うん、気分が何時にまして良くなってきた。少し鼻歌を歌いながら彼女の家へと向かう。

花音ちゃんは良くある待ち合わせ場所で会うという方法を取りたかったらしいけど、彼女の方向音痴が原因でその案は取り消された。

なので俺はこうして彼女の家へ迎えに行くのだ、

 

「お、おはようございます」

 

「ああ、おはよう」

 

インターホンを鳴らし暫くすると花音ちゃんが外行きの格好をして迎えてくれた。

 

「準備は大丈夫?」

 

「うん。大丈夫」

 

「じゃあ行こうか」

 

彼女の手を自然にとり歩き出す。

時刻はそろそろ昼となる。ケーキバイキングに行くならお昼時の方が良いだろうという考えだったりする。

 

電車で切符をタイミングよくやって来た電車に乗り込む。

お昼時だからか、普段よりは車内はすいている。空いている席を見つけ二人で其処に座った。

 

「今日は空いてますね」

 

「そうだね。まぁ、お昼時だし出掛けるには丁度良いね」

 

「はい。あ、そうだ。隼人さんは」




BanG Dream!にハマってた時期に書いてたやつです。
去年の8月終わりに入院して、連続ログイン途切れてからと、通信料を抑える為入院中にやらなかったことを切っ掛けに離れてしまったアプリです。でも、確定ガチャとか回して金は入れてたんだよなぁ。最後の記憶はP5コラボの頃。


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