俺ガイル×恋染紅葉 (Oceans)
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Episode 1 & Episode 2

あらすじに書いた通りで、俺ガイルと恋染紅葉のクロスオーバー作品となっております。

今回は2話分の投稿です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


とある7月の上旬の放課後、俺は戸塚と一緒に帰っており途中、駅で別れ江ノ島が見える海岸を1人で歩いていた。この海岸は夕方になると夕日が江ノ島のちょうど後ろに来ていい景色を生み出す。ちょっとした観光スポットでもある。いつも俺はここを通ることにしている。学校で嫌なことがあっても、この風景を見たら忘れることができるからだ。そんな事を考えつつ、歩いていると観光客だろうか...1人の女の子が俺に話しかけてきた。

 

「あの...写真を撮ってもらってもいいですか?」

 

「お、俺ですか?」

 

「はい。いいでしょうか?」

 

「...別にいいですよ」

 

女子に話しかけられるのは珍しいので言葉が詰まりそうではあったが、雪ノ下や由比ヶ浜、あーしさんなどと会話したことも多少あってか小中学時代のようにキョドることが無くて良かった。キョドったりするとドン引きされることもあるからな。

 

 

「ありがとうございます。江ノ島と夕日をバックにお願いします」

 

そう女の子は言って俺にカメラを渡す。俺は女の子からカメラを受け取りカメラのシャッターを切った。そこに映る姿はまるで映画のワンシーンのようだった。不意にも俺はドキッとし、そう思ってしまった。

 

「ちゃんと撮れました?」

 

「ええ。確認してもらえれば分かると思いますよ」

 

俺はそう言って、女の子にカメラを返した。そして、自分の映る写真を確認していた。

 

「綺麗に撮っていただいてありがとうございます。お礼をしたいのですが...」

 

「お気になさらず。それじゃあ、俺はこれで」

 

そう言って、俺は歩き出した。

 

「あ...行っちゃった。お礼とか話とかしたかったなぁ...また、会えるかな」

 

取り残された女の子はそう呟いていた。

 

 

 

 

そして、翌日の放課後。いつものように、俺は奉仕部にいて本を読む。すると、由比ヶ浜が

 

「そういえば、ゆきのん。もうすぐ、この辺で連続ドラマの撮影をするみたいだよ」

 

「そうなの?由比ヶ浜さん」

 

「うん。朝ドラの撮影だって。イケメンの俳優とかも出るみたいだよ!楽しみだなぁ」

 

「そう。この辺で撮影されるのなら私も録画して観ようかしら?」

 

「ヒッキーは観る?」

 

「わからん。小町が観るなら観ると思うぞ。チャンネル権は小町が握ってるしな」

 

「そうなんだ」

 

その後も雪ノ下と由比ヶ浜は朝ドラの出演者は誰が出るのかの話をしていた。俺は本を読みつつ、その話を聞いていた。そして、最終下校時刻となったので今日の部活は終わった。今日も依頼者は来なかった。帰りは雪ノ下と由比ヶ浜とは違う道なので一緒には帰らない。いつも、戸塚と材木座のどちらかと帰る。今日は昨日と一緒で戸塚と帰っている。

 

「八幡。今日、一緒にどこか食べに行かない?」

 

「いいぞ。どこにする?」

 

「サイゼリヤでいい?」

 

「ああ、いいぞ」

 

やっぱり、戸塚は分かってるな。サイゼはコスパもいいし学生に優しい。俺と戸塚はサイゼリヤに向かうため鎌倉学校前の駅を通った。すると、何やら騒がしかった。

 

「あの子、可愛くない?」

 

「それな。戸部、声掛けて来いよ」

 

「いや、無理っしょ!ここは隼人くんしょ!」

 

「戸部、何言ってるし!」

 

「俺はいいよ」

 

騒がしい主は葉山グループだった。ほんと、こいつらは可愛い子が好きだな。教室でもそういう話をしてるよな。

 

「葉山くん達がいるね。八幡」

 

「そうだな。また女の子の話をしてるけどな」

 

「あの子の事じゃないかな?駅のホームにいる子」

 

「ん?」

 

戸塚にそう言われ、俺も駅のホームを見た。すると、昨日写真を撮った女の子だった。

そして、俺と目が合った。

 

「八幡、どうしたの?」

 

「ああ...昨日、会った子だなと思ってな」

 

「そうなんだね。あ、その女の子。こっちに来るよ」

 

「え?」

 

さっきまで駅のホームにいた昨日出会った女の子は、俺と戸塚の前にいた。

 

「良かった。また、会えた...昨日ぶりですね」

 

「あ、ああ...」

 

ここから、俺と昨日出会った女の子のひと夏の物語が始まろうとしているのだった...

 

 

一方で、葉山グループはというと

 

「あれ?あの可愛い子、ヒキタニ君と戸塚君のとこにいるべ!」

 

「だな。可愛い子はヒキタニと何か喋ってるな。羨ましい〜」

 

「ヒキタニ君...」

 

「ヒキオ...これは結衣に報告するし」

 

「ハヤ×ハチが...」

 

それぞれそう呟いており、八幡達を見ているのだった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【 Episode 2 】

 

 

 

 

 

 

「昨日ぶりだな」

 

「昨日ぶりじゃないよ!なんですぐ帰っちゃったの⁉︎」

 

「どういうこと八幡?」

 

2人してそんなジト目で見ないでくれ...

 

「いや...だって、撮ってって頼まれた写真を撮り終わったから、俺はもう用済みかと思って帰っただけだ」

 

「私はちゃんとお礼をして..お話とかしたかったのに」

 

「そこまでしなくていいぞ。別に俺は写真を撮ってあげただけだし」

 

「え...」

 

「そんなこと言わないで八幡、ちゃんと彼女からのお礼を受け取ってあげたら?」

 

「はぁ...分かったよ」

 

「よかったね。えっと...」

 

「あっ!すいません。自己紹介がまだでしたね。私は紫之宮紗奈といいます。つい最近、ここの近くに引っ越して来たんです」

 

「そうなんだね。僕の名前は戸塚彩加だよ。よろしくね」

 

「はい。よろしくお願いします。貴方のお名前は...」

 

「俺は...比企谷八幡だ」

 

「...比企谷さんですね。本当に昨日はありがとうございました」

 

そう言って、紫之宮はお辞儀をしてお礼を言った。俺相手にここまでする奴はいない。

普通なら俺の目とか見て避けられたりとか怖がられたりするし。

 

「ああ」

 

「本当ならこの後に、お話をしたりとかしたかったんですけど、私...これから行くところがあるので、すぐにその場所に行かなきゃいけないんです」

 

「でも、ここの近くに住んでるならまた会えると思うよ。ね?八幡?」

 

「あ、ああ。まぁそうだな」

 

会う確率は低いとは思うがな。鎌倉は広いし。

 

「そうですよね。あっ!もし良かったら私と連絡先を交換しませんか?それならすぐに会えると思うので」

 

「そうだね。八幡もいいよね?」

 

「俺は別にいいが、連絡先交換のやり方とか分からんから代わりにやっといてくれないか?」

 

そう言って、俺は紫之宮にスマホを渡した。

 

「私が打つんですね...はい、どうぞ。登録終わりました」

 

「悪いな」

 

「気にしないでください。それじゃあ、私はこれで失礼しますね」

 

そう言って、紫之宮は走って目的の場所へと向かっていった。

 

「八幡。紫之宮さんって、綺麗で礼儀正しい人だったね」

 

「そうだな」

 

戸塚の言う通り、紫之宮は綺麗で礼儀正しい奴だ。雪ノ下とはまた違った美少女って感じだな。うん。

 

その後も俺と戸塚は紫之宮の話をしながら、当初の目的であるサイゼに向かった。

 

 

 

 

 

戸塚とサイゼで飯を食った後、俺は戸塚と別れ書店に行きラノベを買ってから家へと戻った。

 

「ただいま」

 

「あ、お兄ちゃん、お帰り。今日は遅かったね」

 

「戸塚とサイゼに行ってたからな」

 

「そうなんだ。じゃあ、夕飯はいらないの?」

 

「少しだけ食べるわ。サイゼで軽いもんしか食べてないし」

 

「了解であります!」

 

そう言って、小町は台所の方へと向かっていった。俺は手を洗い鞄を部屋に置き、リビングへと向かった。

 

「「いただきます」」

 

そして、小町と夕飯をとる。親はいつも遅くに帰ってくるので2人でテレビを観ながら食べることが多い。今日のおかずは肉じゃがだった。美味い、小町の作った料理はやっぱり美味い。

 

「あ、お兄ちゃん!これ見て!」

 

「ん?何だ?」

 

小町にそう言われ、テレビの方を見る。

 

「新ドラマのキャスト紹介やってるよ」

 

「ああ。前に言ってたやつか?」

 

「うんうん。誰になるんだろうな〜」

 

小町はワクワクしながらテレビの方を観ていた。

 

『では、今から新ドラマ「恋染紅葉」の主演2人をご紹介させていただきます』

 

「き、キマシタワー!!」

 

ちょっと小町ちゃん。言い方が海老名さんみたいになってるぞ。そんなことを思いつつ、俺もドラマの主演2人の紹介をみていた。

すると

 

『続きまして...もう1人の主人公、緋崎かえで役の...紫之宮紗奈さんです』

 

『緋崎かえで役を演じることになりました、紫之宮紗奈です』

 

俺の知ってる名前が出てきた。

マジかよ。あいつ、女優だったのか...

 

「おお〜!綺麗な人!ね?お兄ちゃん」

 

「あ、ああ」

 

『紫之宮さんは今作がテレビドラマ、初だとお聞きしましたが...』

 

『はい!私は朝ドラに出るのが夢だったので本当に嬉しいです』

 

『それと、今回はこのドラマのためにここ鎌倉に引っ越されたとか』

 

『はい。そうなんです』

 

『鎌倉についてどんな印象を受けられましたか?』

 

『鎌倉はいい所だと思います。海も綺麗で、それにいい人にも出会えたのでよかったです』

 

『そうなんですね。それでは最後に意気込みをお願いします』

 

『はい。まだ私は未熟ですが精一杯、頑張っていきたいと思います』

 

『紫之宮さん。ありがとうこざいました』

 

そして、紫之宮のインタビューは終わった。

 

「いやぁ...お兄ちゃん。このドラマ、楽しみだね!」

 

「そうだな」

 

俺はとんでもない人と知り合ってしまったと心の中で思う。

テレビに映る彼女は高校生にして新人女優、俺は最底辺カーストの一生徒。これ以上、彼女と関わってしまっては色々とマズイが起こるかもしれない。スキャンダルとかは御法度だ。今の時代、週刊○春とかがスクープ等で芸能人の不倫とか暴くとか色々ある。

 

「俺はどうすればいいんだろうな...」

 

俺はそう呟き、今後どうしていけばいいかをずっと考えていたのだった...

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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Episode 3

前回の続きとなります。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

翌日、俺は結局答えを出せなかった。...というより、その考えを放棄して会ったら会ったでその時考えようと俺は決めた。

 

俺はいつも通りに学校へ行き、1〜6限の授業をこなす。

そして、放課後は奉仕部へと顔を出す。

 

「うっす」

 

「あっ!ヒッキー!やっはろ〜」

 

「あら?今日はちゃんと来たのね。比企谷君」

 

「まぁな。それより、2人は何してんだ?」

 

「今、ゆきのんとテレビドラマの主人公の女の子が私の読んでるモデル雑誌に載ってたから、その話をしてたの」

 

ほー。紫之宮はモデルもやっていたのか...

 

「なるほどな」

 

「ヒッキーも一緒に読む?」

 

「いや、遠慮しとくわ」

 

「わかった」

 

そう言って、由比ヶ浜は雪ノ下と共にまた雑誌を読んでいた。俺は持参のライトノベルを読み、由比ヶ浜達の会話を聞いていた。しばらくすると...

 

『you got mail♪ you got mail♪』

 

俺のスマホからメールの着信音が流れた。

 

「誰の通知音?ゆきのん?」

 

「私ではないわ」

 

「じゃあ...ヒッキー?」

 

「あ、ああ。俺だわ」

 

俺はスマホを確認する。差出人は紫之宮からだった。内容は...

 

 

『比企谷さん、こんにちは。今日は空いていますか?空いていたら、少し比企谷さんにお話したいことがあるので恋ヶ浜駅の近くで会えることはできますか?お返事をお待ちしています』

 

と書かれていた。俺に話とは一体なんだろうか...

 

「貴方にメールなんて珍しいわね。それでメールの差出人は誰かしら?」

 

さすがに雪ノ下達にメールの差出人を紫之宮からだとは言えないのでごまかすことにした。

 

「小町からだ。買い物を頼まれた。だから、今日は早めに帰ってもいいか?」

 

「ええ。今日も依頼者は来ないと思うし、いいわよ」

 

「悪いな」

 

「じゃあ、またね!ヒッキー!」

 

「さようなら。比企谷くん」

 

「また明日な」

 

そう言って俺は部室を出て、紫之宮に今から行くとメールで送り紫之宮の待つ、恋ヶ浜駅に向かった。

 

 

 

 

 

15分後、俺は紫之宮が待つ恋ヶ浜駅に着き、どこにいるか探した。

すると、駅の改札付近で何やら人だかりが出来ていた。俺はそちらの方に視線を移す。

すると、人だかりの中心に紫之宮の姿があった。やはり昨日のテレビの影響だろう。

沢山の人が話しかけている。

こんな状況で俺が話しかけたら変な目線で見られること間違いなしだな。声をかけられるのを待つか...そんなことを考えていると...

 

「あっ!比企谷くん」

 

紫之宮が小走りで俺の方へ駆け寄ってきた。

それより呼び方、さんからくんに変わってる。まぁ、どっちでもいいけど...

 

「おう」

 

「待った?」

 

「いや、今来たとこだが」

 

「そっか...」

 

「それより、俺に話があるんだろ」

 

「うん。ここだと、人が多いから別の場所でもいい?」

 

「わかった」

 

俺と紫之宮がそう会話し移動しようとすると

 

「おい、ちょっと待てよ」ガシッ

 

さっき紫之宮に話しかけていたチャラ男が俺の肩を掴み、そう言い放つ。

 

「は?俺に何か用っすか?」

 

「大アリだよ。何、俺が話しかけてた女を取ってんだよ!」

 

「そんなの、俺には関係ないっすね。それじゃあ...」

 

そう言って俺は再度、歩き出そうとするが

 

「おい!まだ話は終わってねぇぞ!」

 

チャラ男は引き下がらなかった。ったく...めんどくせぇ...

 

「すまん、紫之宮。走るぞ」

 

「え?...あっ」

 

俺は強引ではあるが、紫之宮の手を取り走り出す。

チャラ男は大声で何か言っていたが、そんなことに構ってはいられないので俺はひたすらに走った。

 

 

 

 

 

 

しばらく走った後、俺達は海が見える公園に着きベンチに座った。

 

「すまんな。急に走ったりして」

 

「ううん。私の方こそごめんね」

 

「いや、紫之宮は悪くない。あのチャラ男が全て悪いんだ。だから、紫之宮が気にすることじゃない」

 

「比企谷くんは優しいね...」ボソッ

 

「何か言ったか?」

 

「ううん。何でもない」

 

「それより、俺に話があるんだろ?」

 

「うん。比企谷くんにお願いがあるの」

 

「いや、その先は言わんでも分かる」

 

「え?」

 

「俺と会うのとか連絡するのを今日限りでやめてくれってお願いだろ?」

 

「ち、違が...」

 

「当然だよな。紫之宮は女優で俺は冴えないただの一般人、こんな奴と関係があると分かったら仕事とかに、影響出るもんな」

 

「だから、私の話を...」

 

「それじゃあ、俺はもう行くわ。こんな所を誰かに見られたらいかんしな」

 

これでいい。勝手かもしれないが、紫之宮の初めての仕事をこんなことでダメにするよりはマシだ。そんな事を思いつつ、俺は静かにこの場を立ち去るが...

 

「ひ、比企谷くん!」

 

紫之宮が大きな声で俺の名を呼ぶ。

 

「何だ?もう話は終わっただろ」

 

そう言って、俺は紫之宮の方を振り返る。

 

「終わってないよ!まだ私、何も言ってない...」

 

「え?でも、さっき俺の話したとおりだろ?」

 

「ち、違うよ!私が比企谷くんにお願いしたいことはね...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私とデートしてほしいの」

 

 

「は?」

 

紫之宮が言う、お願いというのは俺の思ってたこととは180度違うものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

次回...紫之宮紗奈が言い放った言葉の真意とは⁉︎

 

そして、比企谷八幡はこの紫之宮のお願いにどう答えるのか⁉︎

 

 

Next... Episode 4




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

短めではありますが、2000文字程度の更新が続くと思います。

次回は短めです。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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Episode 4

今回は短めです。ご了承ください。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

 

「は?デート?俺と?」

 

「うん...」

 

「理由を聞いてもいいか?」

 

「比企谷くんは私が朝の連続ドラマに出るのは知ってるよね?」

 

「ああ。テレビで観た」

 

「それで私は恋する女の子を演じるんだけど、私自身そういう経験したことがなくて...恋といえばやっぱり男の子とデートとかするじゃない?」

 

「要するに役作りのためにデートをするってことか?」

 

「そんなところかな。それで、比企谷くん。どうかな?」

 

「そう言われてもな...俺、デートなんてしたことないぞ?どんなことするんだ?」

 

「ん...私にもわかんない」

 

「おいおい...」

 

そんなんで大丈夫かよ...先が思いやられるんだが。

 

「それじゃあ..比企谷くん。私のことギュ〜って抱きしめてくれないかな?」

 

「ち、ちょっと待て!それはデートと関係ないだろ」

 

何、急に抱きしめてほしいとか言っちゃってるのこの子!ビックリしちゃうだろ...

 

「デートには関係ないけど、恋人同士とかなら抱き合ったりとかするじゃない?ドラマと映画でもよくあるし」

 

「それはそうだが...」

 

紫之宮を抱きしめるのには少し躊躇いが生まれる。それもそうだ。俺みたいなボッチに紫之宮みたいな美少女を抱きしめるなんてできるわけがない。

 

「どうしたの?比企谷くん」

 

「紫之宮はいいのか?俺が抱きついても」

 

「うん。比企谷くんなら...いいよ。はい」

 

そう言って、紫之宮は両手を広げ抱きしめの体勢になる。本当にいいのか...俺?とりあえず、辺りを見回す。誰もいない。これなら、大丈夫か...いや、そうじゃないだろ!俺には無理ゲーだ。

 

「比企谷くん!早く!」

 

だが、紫之宮に急かされる。そして、俺の方に近づいてくる。

 

「こ、後悔すんなよ」ダキッ

 

俺はもう流れに任せることにし、紫之宮を抱きしめる。もちろん、役作りのためだ。ほんとだよ!ハチマンウソツカナイ。

 

「あっ....」

 

紫之宮は一瞬ビクッとなっていたが、受け入れて抱きしめ返す。うん。これはかなりヤバイ。女の子を抱くのは初めての体験だが、色々とヤバイ。身体も細いし、柔らかい2つの感触も服越しだが、かなり伝わってくる。理性が持たん。

 

「もういいだろ」

 

「あ...」

 

俺は理性が壊れる前に抱きしめるのをやめる。紫之宮は名残惜しそうにしていた。そんな悲しそうな顔すんなよ。反応に困るだろ...

 

「どうだ?役作りに役立ったか?」

 

「うん....ありがとう。恋する女の子の気持ちが分かった気がする...」

 

「そうか...じゃあ、俺はもう用済みだな」

 

「ううん。まだだよ」

 

「は?まだ何かお願いがあるのか?」

 

「うん。まだデートしてない」

 

「いやいやいや...今ので、恋する女の子の気持ちが分かったんだろ?要らなくないか?」

 

「それがね...オーディションのときに監督さんに言われたの。君のやる役は好きな人を一途に追っかける情熱的な女だ。恋愛経験もない、自分の夢しか追ってこなかったガキには無理だなって...」

 

「それで、紫之宮は何て答えた?」

 

「やれます!恋愛経験が必要?クランクインするまでに恋愛してみせますって答えちゃった...」

 

また大胆な宣言を...

 

「だから、デートの経験とか私には必要なの」

 

「そうか」

 

「だからね、比企谷くんにお願いがあるの...私の役作りのために彼氏役になってください!そして、私と役作りのためにデートしてください!」

 

紫之宮は俺に頭を下げてお願いをする。

 

 

「他に頼める人は?」

 

「いないよ....頼れる人は比企谷くんだけ...」

 

「紫之宮、顔を上げてくれ......分かった。俺でよければ引き受ける」

 

「...ほ、ほんと?」

 

「ああ。紫之宮は自分の夢を叶えるために俺に彼氏役をお願いしたんだろ?」

 

「...うん」

 

「もう覚悟も決めてるんだろ?」

 

「うん!」

 

「だったら、俺が断る理由がない。もうほとんど首突っ込んでるしな...俺でよければ、紫之宮の夢の手伝いをさせてくれ」

 

こんな一生懸命に頼んでるのに断っちまったら男じゃないしな。

それに、まっすぐに自分の夢を追いかけてる人なんてそんないるもんじゃないし、素晴らしいことだ。憧れの存在でもある。

 

「比企谷くん...本当にありがとう。これからよろしくお願いします」

 

紫之宮は笑顔でそう俺に言った。

 

そして、ここから俺と紫之宮はニセコイのような...偽りというか...役作りのための彼氏、彼女の関係となった。

 

 

 

...続く

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

今回は短めで申し訳ないです。

次回は多めとなっておりますのでご理解ください。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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Episode 5


今回は戸塚と葉山との会話シーンがメインです。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

 

 

 

役作りのための彼氏・彼女の関係となってから数日が過ぎた金曜日。今後のことだが、とりあえず明日の土曜日、10時に役作りのためにデートをすることになったのだが...俺には荷が重いのではないのかと後になって思えてきた。何故なら女の子とデートとか、一度たりともしたことないからだ。こんな俺に本当に務まるのか...不安である。

 

「どうしたもんかな...」

 

「どうかしたの?八幡」

 

戸塚が俺の呟きを聞いていたのか、そう問いかける。

 

「ちょっとな...」

 

「僕で良ければ相談に乗るよ」

 

「じゃあ、昼休みの時でいいか?」

 

「うん!でも、今日は昼練があるから昼練の前ならいいよ」

 

「わかった」

 

「それじゃあ、昼休みにね」

 

そう会話した後、午前の授業をこなし昼休みになった。

 

場所は変わって、俺のベストプレイスであるテニスコートが見渡せる所にいる。

 

「はちま〜ん!お待たせ!」

 

そして、体操服姿の戸塚が俺の所に来る。

 

「おう」

 

「それじゃあ、朝の話だけど...八幡、話してくれる?」

 

「ああ...それはだな...」

 

俺は戸塚にこの前の事を全て話した。そして、俺はどうすべきなのかを戸塚に相談した。

 

「そっか...この事は雪ノ下さんや由比ヶ浜さんには相談したの?」

 

「いや、してない。色々面倒なことになりそうだしな」

 

由比ヶ浜とかに言うと、もしかしたら葉山グループに口を滑らすこともあるしな。雪ノ下の場合は口は堅いとは思うがこの相談には乗らないだろう。俺同様、知識がないからな。

 

「それじゃあ、小町ちゃんには話したの?」

 

「いや、まだだ。家に帰ったら相談しようと思う」

 

 

「そうなんだ。僕もそういうデートとかの経験はないけど、普通に買い物とかすればいいんじゃない?デートだったらショッピングとか、一緒に手を繋いたりとかじゃないかな?」

 

「マジか...」

 

非リア充には難しい案件だ。葉山がこういうのに慣れていそうだな...葉山は、こういう時...どうするのだろうか。

 

「役に立ったかな?」

 

「ああ...十分だ。ありがとな戸塚」

 

「うん!また何かあったら言ってね。相談に乗るから」

 

そう言って戸塚は昼練に向かった。さてと、俺がするべきことは決まった。とりあえず...小町には家で話すとして、まずは恋愛に関してのスペシャリストさんにご教授頂こうかな...貸しもあることだしな。

 

俺は素早く昼食を食べ終え、恋愛のスペシャリストさんがいるであろう教室へと向かった。

 

 

案の定、教室に1人でいたので俺は話しかけた。

 

「葉山、ちょっといいか?」

 

「珍しいな。比企谷が俺に話しかけてくるなんて...」

 

「まぁな」

 

ボッチの俺がリア充のイケメン君に話しかけるなんてものは珍しいものほかない。

 

「急ぎの話か?」

 

「ああ、葉山にしか相談できない案件だ」

 

「じゃあ、屋上にでも場所を変えようか」

 

「ああ。それよりも三浦達はいいのか?」

 

「俺の方からLI○Eしておくから大丈夫だ。......じゃあ、屋上に行こうか」

 

「わかった」

 

 

俺と葉山は屋上へと場所を移した。

 

 

「相談の内容は?」

 

「その事だが、他の奴には内緒にしてくれ」

 

「余程の相談って事か...分かった。他言しない事を約束しよう。話してくれ」

 

「分かった...」

 

俺は葉山に戸塚同様、新人女優の子の彼氏役をやることになったこと、役作りのためにデートをすることを説明し、戸塚にもある程度助言を受けたのだが、心配なのでセカンドオピニオンとして葉山(恋愛のスペシャリスト)の意見を聞きたいという旨を伝えた。

 

 

「恋愛のスペシャリストは言い過ぎじゃないか?」

 

「そうか?俺はそんな感じを受けるけどな」

 

葉山は学校1のモテ男子だからな。高1の時からかなり噂になってたりしてたしな。

 

「それは置いといて.....だ。俺から言えることも、戸塚君の言う通りでデートとかなら普通に買い物とかすればいいんじゃないか?」

 

「そうか...」

 

デートといえば買い物デートってのかお決まりのようだ。俺には分からない世界だ。

 

「それよりも比企谷があの新人女優の紫之宮さんと知り合いとはね。この前も戸塚君一緒に歩いてる所を見かけたけど、どうやって知り合ったんだい?」

 

「見られていたのか...まぁ、いい。簡単に説明するとだな...」

 

簡単に俺と紫之宮の出会いのことを話す。(※詳しくはEpisode1を参照)

 

「なるほどね...でも比企谷が彼氏役を引き受けるとは意外だな。君ならこういうことには疎いから断ると思ってたんだが」

 

「俺も最初は断ろうと思ったが、紫之宮に真剣にお願いされてな。だから引き受けた」

 

「そうか...なら俺も出来る限り協力しよう。比企谷にはチェーンメールや職場体験のこととかで借りもあるしね」

 

「それは助かる」

 

葉山の力を借りれるのは大きい。俺はあまり流行とかには詳しくないし。リア充の頂点に君臨する葉山なら百人力だ。

 

「とりあえず、買い物においてで大事なことを教えようか....」

 

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

 

葉山が何かを言いかけた際に、ちょうどチャイムが校内に鳴り響いていた。

 

 

「もう時間か。この話の続きだが、放課後は部活があって話せそうにないから比企谷のLINEとかメールで連絡をとりたいから連絡先を交換しないか?」

 

「分かった。でも、連絡先交換のやり方が分からんからやり方を教えてくれると助かる」

 

「分かった」

 

葉山にやり方を教えてもらいなんとか連絡先交換を終えた。

 

 

「それじゃあ、教室に戻ろうか。授業に遅れるからね」

 

「おう」

 

俺と葉山は屋上を後にし、教室へと戻った。

そして、午後の授業も消化し放課後。俺はいつも通りに奉仕部の部室にいる。

 

 

「」ペラッ...

 

「」ペラッ...

 

「」ポチポチ...

 

いつものように俺と雪ノ下は読書をし、由比ヶ浜は携帯をいじっている。今日も依頼人は来ないみたいだ。

 

「今日も依頼人が来ないようだから、ここまでにしましょうか」

 

「うん!」

 

「そうだな」

 

「じゃあ...また月曜日ね、ヒッキー!」

 

「おう」

 

俺は鍵を返しにいく雪ノ下達と別れて昇降口に向かう。その際に...

 

『you got mail♪ you got mail♪』

 

メールの通知音がスマホから流れた。差出人を確認したら葉山からだった。

 

『昼休みの話の続きだが、デートの際の注意事項としては待ち合わせ場所には30分から1時間前にいた方がいいのと、お金は極力女性には払わせない方がいい。後、女性の服装を褒める事。それと比企谷自身もオシャレな服装をしておいた方がいい。最後に女性に好まれる店もリストアップしておくからまた夜にでも送っておくよ』

 

内容は昼休みの続きの話だった。非常にありがたい。葉山のアドバイスをしっかりと心に留め、明日に生かそうと思いながら帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

「おかえりお兄ちゃん!」

 

「おう。あ、そうだ小町」

 

「何?」

 

「相談事があるんだがいいか?」

 

「お兄ちゃんの頼みならば小町はなんでも力になるよ!あっ!今の小町的にポイント高い!」

 

「そうだな。それで相談事なんだが...」

 

小町にも戸塚と葉山に話したことを話す。

 

「それ本当なの!お兄ちゃん!」

 

小町は興奮気味になっている。まぁ、それもそうだろう。紫之宮の大ファンみたいだからな。雑誌もよく見てるしな。

 

「ああ」

 

「凄いね。そういうことなら小町にお任せ!小町はデートに着る服装を考えればいいんだね!」

 

「ああ。デートプランとかのアドバイスは葉山とか戸塚に聞いたからな。あと小町」

 

「なに?」

 

「この事は他言無用な。雪ノ下や由比ヶ浜にもな」

 

「分かってるよ。それよりも彼氏役、頑張ってね!お兄ちゃん」(小町に新たなお義姉ちゃん候補が...小町は嬉しい!)

 

「...おう」

 

そんな会話をしながら今日の夜は更けていった。

 

 

 

 

 

そして、次の日。

 

 

「おはよう小町」

 

「おはよう、お兄ちゃん!服は用意してあるよ」

 

「ありがとな」

 

「それと、はいこれ」

 

「眼鏡?」

 

「うん。伊達メガネだよ。これを掛ければ目の腐り具合も和らいで完璧だよ」

 

「そうか。ありがとな小町」ナデナデ

 

「えへへ...」

 

「ご飯食ったら着替えて行くわ」

 

「うん!頑張ってね」

 

そして俺は朝食を摂り、小町の用意した服に着替えて家を出て待ち合わせ場所である時計塔に向かった。

 

「やっぱりいないわな」

 

時刻は午前8時45分。待ち合わせの75分の前だから当然か。それよりも...

 

「あの人、カッコよくない?」ヒソヒソ

 

「声かける?」ヒソヒソ

 

「でも、待ち合わせとかしてるんじゃないの?」ヒソヒソ

 

「だよね?」ヒソヒソ

 

周りからの視線が痛いな。俺なんかしたか?そんな事を考えていると...

 

「ひ、比企谷くんだよね?」

 

紫之宮がこちらにやってきた。

 

「なんで疑問形?」

 

「比企谷くんかどうか分からなくて 」

 

「そうか」

 

 

「それと今日は眼鏡掛けてるんだね」

 

「妹につけるように言われたから、掛けてるだけだ。変か?」

 

「変じゃないよ!似合ってるよ」(眼鏡掛けてる比企谷くん。すごくカッコいいなぁ...)

 

「そうか?紫之宮もその服、似合ってるぞ」

 

葉山に言われた通り、服装を褒める。これだけでも女性は嬉しいらしい。葉山の助言は為になるな。

 

「そうかな?ありがとう」

 

「それよりも紫之宮は来るの早いな。まだ1時間前だぞ?」

 

今の時間は朝の9時。待ち合わせ時間の1時間前である。

 

「それを言うなら比企谷くんもでしょ?」

 

「まぁな。待ち合わせに遅れるよりはマシかと思ってな。それに大事な約束に遅れたら紫之宮に申し訳ないだろ」

 

「...ありがとう」(やっぱり優しいなぁ...比企谷くん)

 

「それで今日はどうするんだ?」

 

「その事なんだけどね。お願いがあるの」

 

「お願いって何だ?」

 

「これなんだけど...」

 

「原作本か?」

 

「うん。でも...ドラマの時は色々、原作改変するみたいなんだけど、原作にあるデートシーンを元に今日のデートをしようかなって。これが私からのお願い」

 

葉山には申し訳ないが葉山のプランは必要ないかもしれない。まぁ、時間が余ったら葉山のプランを採用という形にしようかね。

 

「そうか。いいんじゃないか?原作本見せてもらっていいか?」

 

「うん」

 

そう言って、俺は原作本を受け取り本を開く。

 

「やばいな」

 

何がやばいのかというと原作本にはビッシリと書き込みがある。もの凄い熱意が感じられる。これは俺も心してかかった方がいいな。

 

「それで、最初は何をするんだ?」

 

「最初は待ち合わせ場所でかえでが、花岡さんに抱きつくシーンからね。比企谷くんはそこに立ってて」

 

「は?」

 

えっ...抱きつく?

 

「あっ!先輩!来てくれたんですね!嬉しい!」ギュッ

 

紫之宮はかえで役になりきり、今日限りで俺が務める花岡さん役に向かって抱きつく。

 

「うっ....」

 

俺は突然のことで固まってしまう。ヤバイな。主に俺の理性とか。抱きつくにあたり紫之宮の胸が俺の身体に当たって、役どころではない。心臓がバクバクして寿命が縮まる思いだ。

 

「......はい。このシーンはこれぐらいでいいかな」(き、緊張した)

 

紫之宮の方も俺の状態を理解したようで離れた。

 

「なぁ、この後もこんな感じてやってくのか?」

 

「そうなるかな?」

 

マジか。そうなると俺のHPはゴリゴリに削られるだけなんだが...

 

「ちなみに紫之宮はどんな役柄なんだ?」

 

「好きな人を射止めるために身体張って頑張る、恋愛に積極的な女の子の役だよ」

 

「マジでか?」

 

「うん...やれそうかな?」

 

これはかなりの覚悟が必要となるが、その覚悟はあの彼氏役を引き受けた時にしているので俺は...

 

「大丈夫だ」

 

そう紫之宮に言った。

 

「そっか。それじゃあ、次の場所に行こ?比企谷くん」

 

「ああ...分かった」

 

俺と紫之宮はそう言って、次の場所に向かうのだった。

 

 

 

...続く

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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Episode 6

お待たせ致しました。6話目です。

原作を改変してお送りします。

安定のご都合主義です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。



 

 

まず、俺達は台本通りで並木道を歩くことになったのだが...

 

台本ではかえでと花岡さんが並木道を一緒に歩くと書いてあった。そこまではいいのだが、手を繋いでとあった。俺は生まれてからこの16年、小町以外の女子とは手を繋いだことがない。何が言いたいのかというと、異性と手を繋ぐのは凄く恥ずかしいということである。

 

ふと、中学のキャンプファイヤーの時を思い出す。

 

【別に手を繋がなくてもいいよね】

 

明らかな拒絶。結構、アレはキツかった。数日は落ち込んだ覚えがある。またこのようなことがあるのではと思ってしまう。紫之宮に限ってそんなことはないと思っていても、中学での経験を思い出さずにはいられなかった。こんな調子で大丈夫か、俺....

 

「どうしたの?比企谷くん」

 

「あ、ああ...なんでもない」

 

「そう?」

 

「気にしなくて大丈夫だ」

 

「じゃあ、はい」

 

「ん?」

 

「手を繋ぐんだよ?台本にも書いてあったでしょ」

 

「そう...だったな」

 

 

俺は紫之宮に手を差し出す。

 

 

 

ギュッ

 

 

 

 

 

と柔らかい感触が俺の手に広がる。

 

小町とはまた違った感触だった。緊張する...心臓の鼓動が手に伝わって紫之宮の方にいっていないといいけどな。それに手汗とか半端ない....

 

 

一方で、紫之宮の方はというと...

 

(初めて男の子と手を繋ぐなぁ...男の子の手ってこんな感触なんだ。すごくドキドキする。比企谷くんにこのドキドキが伝わっているのかな?そうだとしたら少し恥ずかしいな...)

 

比企谷八幡と同様、緊張しているのだった。

 

無理もない。2人とも初の体験なのだから...

 

 

 

「じゃあ、歩こっか?比企谷くん」

 

「そうだな」

 

俺と紫之宮は台本通りに並木道の通りを歩く。

 

「人が多いね」

 

「まぁ...ここは結構有名なとこだし、休日ってこともあるからな」

 

「そうなんだ。あっ!あそこにお店とか神社とか沢山ある」

 

「気になるなら見ていくか?」

 

「いいの?」

 

「俺は別に構わんが」

 

「ありがとう」

 

並木道沿いにある出店で軽いものを食べたり、神社で参拝したりと極力台本に沿っていろんな所を巡っていく。少しは紫之宮の助けになっているのだろうか。なっているのなら、俺としては嬉しいことではある。

 

 

 

時間は過ぎ、昼になっていた。俺達がいるところは人通りも少なくなっていた。昼飯を食べるため、どこかの店にでも入っているからなのだろう。

 

「どうだ?役作りに活かせそうか?」

 

「うん、いい感じだよ。ありがとう」

 

「それなら良かったわ。それで昼はどうする?ここら辺の店は結構、混んでると思うが」

 

「それは大丈夫だよ」

 

「それはどういう...」

 

そう言って紫之宮は前にあるベンチへと向かっていく。俺はその後を追い、ベンチに腰掛ける。

 

「お弁当を作ってきたの。ほら」

 

紫之宮は弁当箱を開ける。そこにはおにぎりと卵焼き、ウインナーなどたくさんの具材が入っていた。

 

「なんか本格的だな。これって手作りか?」

 

「うん!料理には自信あるの」

 

「だろうな」

 

盛り付け方、色合い等を見れば料理のレベルは分かる。

 

「...ありがとう。それじゃあ、いくよ」

 

「いくよって何が?」

 

「はい、あ〜ん」

 

「もう一つ、箸はないのか?」

 

「一つしか持ってきてないの。だから、あ〜ん」

 

「マジかよ」

 

他の視線とかが気になるからあんまりやりたくはないんだが...

 

「比企谷くん、早く!」

 

「わかった、わかった」

 

俺は紫之宮の勢いに押され、卵焼きを一口で食べる。

 

「ど、どうかな?」

 

「美味いぞ」

 

程よい甘さの卵焼きだった。料理に自信があるというのは本当のようだ。別にそのことを疑っていたわけではないが。

 

「よ、よかった」(朝早く起きて作ったかいがあったかな)

 

「それじゃあ、次は比企谷くんの番ね」

 

「ん?」

 

「あ〜ん」

 

「俺もするの?」

 

「うん。お願いします」

 

あ〜んをするのは凄く恥ずかしいが、これも紫之宮の女優人生に関わることなので断ることは出来ない。俺は紫之宮の夢の手伝いをすると決めたのだから。

 

「ほれ」

 

「んっ....」

 

紫之宮はパクっと唐揚げを食べる。その食べる仕草に思わず見惚れてしまった。凄く色っぽい...

 

「ありがとね、比企谷くん。私のわがままに付き合ってもらっちゃって」

 

「気にすんな。役作りのためだろ?」

 

「うん」

 

「だったら遠慮はしなくていい。思う存分、俺を練習台として使ってくれ」

 

「本当にありがとう、比企谷くん」

 

この後も紫之宮が作った弁当を2人で食べた。その際、やはり周囲からの視線が凄かった。「若いっていいわね」っていう主婦がいたり、リア充爆発しろと言いたげな男子高校生がいたり、コートをなびかせている眼鏡のぽっちゃりさんが驚いた顔をしてこっちを見ていたりしていた。

 

 

弁当を食べた後は近くを散策した。そして、今は電車に乗って鎌倉高校前へと向かっていた。ちなみに紫之宮はどこに向かっているかは知らない。何故かというと...近くを散策した後に遡る。

 

「この後はどこに行くかは決めてるか?」

 

「ううん。ひと通り台本の場所は行けたから、特には決めてないかな」

 

「そうか。なら少し行きたい場所があるんだがいいか?」

 

「いいけど、どこに行くの?」

 

「着いてからのお楽しみって事で」

 

「そっか、じゃあ楽しみにしてるからね、比企谷くん」

 

 

---ー

 

 

---

 

 

--

 

 

 

 

 

ということがあったのだ。

 

 

 

【次は鎌倉高校前、鎌倉高校前....】

 

 

 

そして何分か電車に揺られた後、目的地である鎌倉高校前駅に着いた。

 

「降りるか」

 

「うん」

 

そして、俺と紫之宮は電車を降り改札口へと向かった。

 

のだが....俺は先に改札口を通ったのだが、紫之宮はカードをジッと見たまま改札口の前で立ち止まっていた。

 

「ん?どうかしたか?」

 

「大丈夫、今行くから」

 

そう言って紫之宮が改札口を通ると

 

 

ブーっと音が鳴り、改札口がガタンと閉まる。

 

「ひゃう!!」

 

「大丈夫か?」

 

久しぶりに見たわ...この光景。

 

「ど、どうしよう...」

 

「とりあえず、駅員さんを呼ぶから待っててくれ」

 

「う、うん...」

 

俺は駅員を呼び、対応してもらった。改札口がガタンと閉まった理由はICカードの残高不足だった。

 

「これで大丈夫ですよ」

 

「ありがとうございました」

 

「ありがとうございます」

 

「気にしなくて大丈夫ですよ。それではデートを楽しんでくださいね」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

そして俺と紫之宮は再び歩き出した。

 

 

 

数分後、俺の行きたかった場所についた。

 

「比企谷くんが行きたい場所ってここなの?」

 

「ああ...」

 

「ここって...」

 

「俺と紫之宮と初めて会った場所だ」

 

来た場所というのは江ノ島が見える海岸線で初めて紫之宮と会った場所だ。何故、この場所にしたかというと葉山から送られたメールにあった。思い出の場所や観光スポットに行くといいとのアドバイスを受けたので、俺はこの場所をチョイスした。SNS映えもする場所でもあるので間違ったチョイスではないはずだ。

 

「懐かしいね」

 

「...そうだな」

 

「ここで比企谷くんに会えてなかったら、今こうして出掛ける事もなかったのかな?」

 

「そうだろうな」

 

「本当に比企谷くんに出会えて良かった...」

 

「そうか...俺も紫之宮に会えて良かったかもしれない。会う前と後で俺の生活がガラッと変わったからな。いい方向に」

 

「そうなんだ...」

 

「また手伝うことがあったらメールしてくれ」

 

「うん、そうするね...あっ!」

 

「どうかしたのか?」

 

「まだ1か所、行くとこがあったの」

 

「どこだ?」

 

「ハ葉神社ってところなんだけど」

 

「ここから近いから行くか」

 

「ありがとう」

 

「気にすんな」

 

そして俺達はハ葉神社へと向かった。その道中、夕方でもあったので人が多く混んでいた。そのせいか、俺は女の人とぶつかってしまった。

 

「ぶつかって、すいません」

 

「こちらこそ、ぶつかってすいませんでした...」

 

俺は女の人の方を見てぶつかったことに対して謝罪する。その相手をどこかで見たような感じがしたが、すぐには思い出すことが出来なかった。

 

「比企谷くん、大丈夫?」

 

「ああ...俺はこれで失礼します」

 

俺は離れてしまった紫之宮の方へ向かうため再び歩き出す。

 

一方で比企谷八幡とぶつかった女の人はというと...

 

「...ハチくん?」

 

後ろを振り返り、さっきぶつかった少年、比企谷八幡の方を見ており後を追ったのだった。

 

 

 

ハ葉神社に向かう道中...俺は紫之宮の話を聞いていた。

 

 

「そういえば、さっきはごめんね、比企谷くん」

 

「電車の件ことか?」

 

「うん」

 

「別に気にしないていい」

 

「私ね、電車に乗り始めたの最近なんだ」

 

「こっちに引っ越してからってことか」

 

「うん。私は電車通学の前は車で送り迎えしてもらってたから」

 

「お嬢様ってことか」

 

「うん。小さい頃から女優を目指してて、それと並行して花嫁修行もしてたから普通に遊びに行くこともあまりなかったの」

 

「大変だな」

 

「だから最近、思うんだよね。私は知らないことが多いなって。共学に通う子の話を聞いたり普通の女子高生役を演じていると尚更ね」

 

「そうか」

 

「だから今日のお出かけ...ううん、デートがすごく新鮮なんだよね。だから本当にありがとう!比企谷くん」

 

紫之宮はすごいいい笑顔で俺に言う。すごくその笑顔が輝いて見えていた。

 

「紫之宮が喜んでくれてるなら手伝った甲斐がある...っと、もうハ葉神社の中だな」

 

「あ、本当だ」

 

そんな会話をしていたら、いつのまにかハ葉神社にいた。

 

「紫之宮はここで何かしたかったのか?」

 

「うん。このハ葉神社はね...小説の恋染紅葉でのデートの場面でかえでが先輩のく、唇を奪うシーンがあるの」

 

「マジか」

 

そんなシーンあったっけ?まぁ、紫之宮が言うならあるのだろう。

 

「うん。私は初めてなの、キスするのは」

 

「そうか」

 

「比企谷くんはかっこいいからキスぐらいしたことあるよね?」

 

「そんなことはない。俺は常に1人だったからな」

 

「そっか。お互い初めてなんだ...」

 

そして紫之宮は俺の元へと近づいてくる。

 

「本当にするのか?」

 

「かえでの役をやる上で必要だと思うから...比企谷くんは私とするの...嫌?」

 

「それは...」

 

嫌とかではないが、やはりキスというのは本当に好きな人とする為にあるものだ。役作りのためという理由でするのは違うと俺は思う。だから俺は...

 

「すまん、紫之宮。それは出来ない」

 

「えっ...」

 

「そういうのは役作りとかじゃなくて本当に好きな人の為に大事にとっておいた方がいい。ファーストキスなら尚更な」

 

別にヘタレとかじゃないからね?こういうのは大事にするべきなのだ。

 

「...そうだよね」(比企谷くんはやっぱり優しい...私のことを第一に考えてくれてる)

 

「ああ...」

 

そう言って俺と紫之宮は距離を取る。その際、隣で俺達の様子を見ていた女の子がいた。

 

「」ジッ...

 

「うおっ」

 

「!?」

 

というか、この女の人...さっきぶつかった人だよな?

 

「えっ!?ナナちゃん?」

 

「こんにちは、サナちゃん」

 

なんだ、紫之宮の知り合いか。

 

「それと、久しぶりだね。ハチくん」

 

「はっ!?」

 

「えっ!!比企谷くん、ナナちゃんと知り合いなの?」

 

「いや、全然覚えてない」

 

昔、誰かにハチくん呼びされたのは思い出したが名前が出てこなかった。俺は目の前にいるハチくん呼びする可愛い女の子の名前を必死に思い出すのだった。

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

ついにもう1人の原作ヒロインが登場しました。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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Episode 7

お待たせ致しました。7話目です。

今回も安定のご都合主義です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


結局、思い出すことは出来なかった。小・中なんてロクな学校生活を送ってないから全然、覚えてないわ。むしろ黒歴史の方が多かったから思い出したくないのかもしれないな。

 

「ハチくん、思い出せた?」

 

「すまんダメだ。思い出せない...紫之宮は知ってるみたいだけどドラマの共演者かなんかか?」

 

「うん。私が出演する恋染紅葉には2人の主人公がいるんだけど」

 

「そうだったな。確か...いろはだっけか?」

 

「そうそう。それで...」

 

「サナちゃん、後は自分で紹介する」

 

連ドラに出るもう1人の少女はそう言って一歩、後ずさり...

 

「ある時は連ドラの主演女優、またある時には普通の女子高生...そして、さらに新進気鋭のグラビアアイドルでもあるナナちゃんです。よろしくね、ハチくん」

 

「お、おう...」

 

特徴のあるポーズを決めて自己紹介をしていた。それよりもこの少女はエロいな...どことは言わんが。由比ヶ浜といい勝負ではなかろうか。雪ノ下は.....圧倒的に敗北している。これを本人に言ったらブチギレられるから言わないが。

 

「ナナちゃん!こんな所でそういうポーズしちゃダメでしょ!!」

 

「大丈夫、人はいないし時と場合と見せる相手はちゃんと選んでる」

 

「そういう問題じゃないよ!」

 

「サナちゃんだって、こんな所でキスしようとしてた...だから私と一緒...」

 

「なっ!!」

 

(一緒かどうかは知らんが、やっぱり見られていたか...どう対応するかだな...)

 

「2人は......付き合ってるの?」

 

「え!?あ、その...」

 

別にアタフタしなくても...そこは普通に違うと言えばいいものを...

それより俺の方をチラチラと見ないでくれますかね、紫之宮さん。

 

「なぁ、紫之宮。どうすんだ?」ボソッ

 

「どうしよう、比企谷くん。うまく誤魔化してくれない?」ボソッ

 

「誤魔化すって.....」

 

誤魔化した所でいずれはバレてしまう。なら素直にいうしかないよな...

 

「どうなの?」

 

「ナナさんだっけ?俺と紫之宮の関係なんだが...」

 

「うん...」

 

俺は紫之宮との関係、初めて会ってから今までの出来事等を包み隠さず話した。(その内容はEpisode1〜6参照)

 

「そうなんだ.....役作りのためにハチくんとサナちゃんは今日、デートしてたんだ」(羨ましい...)

 

「うん」

 

「そんな感じだな」

 

「じゃあ...私も、お願いしようかな」

 

「はっ!?」

 

「えっ!!」

 

さすがに2人となると、荷が重い。俺に2人の役作りのために動くという器用さは持ち合わせていない。

 

「ダメ?」

 

「......」(比企谷くんはなんて答えるんだろう)

 

「すまんが、考えさせてくれないか?」

 

一旦、時間を置くことを俺は選択した。すぐには決められない案件でもあるしな。

 

「今度、返事聞くから待ってるね」

 

「あ、ああ...」

 

そう言ってナナさんは神社を後にした。今度と言ったが俺は連絡先とか知らないから今度はないのではないか?あってもなくても答えは決まっているから別にいいんだが....

 

 

 

そして、神社には俺と紫之宮の2人となった。

 

「この後はどうする?」

 

「どうしよっか?」

 

「紫之宮はまだ時間大丈夫か?」

 

「あと2時間ぐらいなら大丈夫かな」

 

「分かった。それじゃあ、行くか」

 

「うん」(どこに行くんだろう?楽しみだなぁ...)

 

葉山からもらったリストを元に、少し高めのレストランと女子が好むというお店、さらにタピオカドリンク店に行った。

 

紫之宮はタピオカドリンクを飲むのは初めてみたいでまじまじとタピオカドリンクをジッと見ていた。その仕草につい頬が緩んでしまった。こういうのもたまにはいいかもな...戸塚とも今度、行くかな...

 

 

 

 

 

楽しい時間はあっという間に過ぎて、別れの時間となった。

 

「今日はありがとね、比企谷くん。すごく勉強になったと思う」

 

「それなら良かった。俺としては役に立ててるかは分からんが」

 

「そこは大丈夫だよ、比企谷くん」

 

「それならいいんだが.....」

 

「また何かあったらその時はよろしくね」

 

「そういう約束だったからな。俺なんかでよければいつでも駆けつける」

 

「うん!ありがとう。またね、比企谷くん」

 

「....またな」

 

そして、俺は紫之宮が改札に入るのを見送る。

 

しかし、またもや改札でエラーが表示され紫之宮はアタフタしていた。

 

「やれやれ...」

 

俺は再度、駅員に頼んで紫之宮の通る改札のエラーを直してもらうのだった。

 

 

 

 

 

 

その一方で時系列は神社からの帰り道に遡り、ナナさんこと七里由比はというと.....1人で帰路についている所だった。

 

(ハチくん、メガネを掛けている所以外は昔と変わらなかった。でも、私の事は覚えてなかった。それは少し残念だった。小学生の時のことだからしょうがないと思うけど、出来れば思い出して欲しかった。私の唯一の友達で初恋の男の子だから...)

 

「でも、月曜からハチくんと同じ学校に通うと思うからそこで、あの時の事を思い出せてあげるから...だから待っててね、ハチくん」

 

七里由比という少女はそう呟き、月曜からハチくんこと比企谷八幡の通っている恋ヶ浜高校に行くのを凄く楽しみにしながら帰路につくのだった.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして2日後の月曜日....

 

 

俺はいつも通りに学校へと登校する。

 

 

「あっ!八幡おはよう!!」

 

「おう!戸塚、今日も可愛いな」

 

「もう、僕は男の子だよ?」

 

「知ってるよ」

 

「ヒッキー!やっはろ!」

 

「はい、はい、やっはろー由比ヶ浜」

 

「彩ちゃんとの対応と違くない!?」

 

由比ヶ浜は俺の対応に不満なのかプンスカ怒っていた。戸塚と由比ヶ浜だから対応が違うのは当たり前だろう。

 

「比企谷、おはよう。土曜日のデートはどうだった?うまくいったかい?」

 

「なんとかな。葉山のアドバイスのメモが役立ったわ。サンキューな」

 

「それなら良かったよ」

 

そう言って、葉山は自分の席へと向かった。

 

「おい、皆。席につけ。HRを始める」

 

担任である平塚先生が教室に入ると同時に皆、席につく。

 

「今日は転校生を紹介する。入ってきたまえ」

 

「はい」

 

平塚先生のこの一言で男子がざわめく。女子は冷ややかな目で男子を見ていた。特に葉山グループの風見鶏の大岡と大和と戸部がうるさかった。

 

「七里由比です。どうぞよろしく」

 

 

「うおおおっっ!!!」

 

入ってきたのは土曜日に会った少女、ナナさんだった。本名は七里由比というのか...それよりも自己紹介の仕方がエロすぎる。グラビアでやるポーズだった。アレが強調されてヤバイ。超ヤバイ。

 

「やめたまえ」パシッ

 

さすがの平塚先生も注意を促した。生徒指導の先生だから当たり前だが。

 

「痛い...」スリスリ

 

「君の席は比企谷の隣だ。早く座りたまえ」

 

「はい」

 

そう言って、ナナさんこと七里は俺の左隣の席へと座る。

 

「また会ったね、ハチくん」

 

「...どうも」

 

(比企谷のやつ、転校生の美少女と話してて羨ましい!!!)

 

 

周囲からの視線、半端ないな。特に由比ヶ浜。前を向け、前を。

 

「お前らHRをやりたいから前を向け、転校生とそんなに話したいなら終わってからにしたまえ。指導を受けたいというのなら今、喋ってもらっても構わんが」

 

平塚先生のこの一言で周囲からの視線はほぼ無くなり、前へと視線は移り、HRは開始された。

 

そして、これからの生活も大変になることを比企谷八幡はまだ知らない。

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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Episode 8

7話目です。

安定のご都合主義です。

原作を一部変更してお送り致します。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

HRが終わるとクラスメイト達は七里の周りを囲み、色々と質問していた。転校生の宿命である。俺は机に突っ伏す。眠いから...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------

 

 

 

------

 

 

 

-----

 

 

 

 

 

俺は夢を見た。

 

 

 

 

 

小学校の時の記憶....

 

 

ある女の子が転校してきたシーン

 

その子は可愛くてよく男子にいじられたりして物を隠されたりしているシーン。それを俺が探して、その女の子に返していた。このような事が何回かあり、俺はそれを見かねて男子に注意してその結果喧嘩となっていた。

 

 

 

 

 

 

そして、急に場面は変わり...その女の子と俺が仲良く遊んでいるシーンが流れる。俺が1人で遊んでいると女の子から一緒に遊ばないかと言われ俺は渋々、付き合っていた。

 

 

 

懐かしいいろいろな場面・シーンが俺の夢として流れる....

 

 

 

 

 

 

そして、最後には別れのシーンが流れる....

 

 

「ごめんね。ハチくん。転校することになったの」

 

「転校先でもうまくやれよ。もうイジメとかあうなよ」

 

「うん...またハチくんと私、会えるかな?」

 

「世界は広いからもしかしたら会えるんじゃないか?」

 

「またハチくんに会えたら私、伝えたいことがあるの」

 

「わかった。その時が来たら聞いてやるよ」

 

「約束だよ、ハチくん」

 

「ああ、約束だ」

 

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

 

------

 

 

 

 

 

くっきりと女の子の姿が現れた。

 

 

ああ、そうか...この時の女の子はあいつだったのか....

 

 

 

 

 

 

 

七里由比...

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の初めて出来た友達だった...

 

 

 

 

 

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---ー

 

 

 

 

 

---

 

 

 

 

「...起きてハチくん」

 

 

俺は誰かに呼ばれ目を覚ます。

 

「ん?ここは?」

 

「教室だよ。ハチくん」

 

「ずっと寝てたのか俺...」

 

「HR終わってから放課後までずっと寝てたよ」

 

「そうか...それより思い出した。お前のこと」

 

「え...」

 

「初めて出会った時の事とかな。夢でだけど」

 

 

「ほんと?」

 

「ああ...小学生の時、よく男子に物とか隠されたりしてただろ」

 

「うん...」

 

「それを俺が見つけてお前に返してた」

 

「うん」

 

「その後は、一緒に遊ぶシーンがあって別れのシーンがあった。急にお前が転校することになった」

 

「ごめん...」

 

「謝んなって、親の転勤なんだから。それで、何か俺に伝えたいことがあるんだろ?」

 

「うん。あの時は本当にありがとう。私が男子に物を隠されたとき、いつも見つけてくれて」

 

「気にすんな。俺は探すのとか、得意だしな」

 

「それとこんな私と仲良くしてくれてありがとう」

 

「どう致しまして」

 

「それでね...ここからが本当に伝えたいことなんだけど...私、ずっと前からハチくんのことが....」

 

 

七里は何か言いかけたが、最後まで言えなかった。なぜなら...

 

 

「今、ここに誰か居なかったか?」

 

「いるわけないだろ。放課後なんだから」

 

「話し声がしたと思ったんだけどな...」

 

教室に男子生徒が2名入ってきたからである。俺は七里に手を引かれ教室内にある空の縦長いロッカーに隠れた。隠れる必要はないと思うんだが...

 

 

それにしてもキツイな...ロッカーはそこまで広くないのでどうしても密着する体勢になってしまう。

 

 

「......」

 

「.......」

 

ロッカー内は密室空間なので、すごく暑い。しかも、汗がダラダラと流れる。七里も同じで汗をかいている。制服の胸の辺りが汗のせいで透けていた。高校生にしては良いものをお持ちのようで、どうやったらここまで成長するのだろうか。由比ヶ浜も凄いがそれよりも七里はヤバいな。雪ノ下は未来に期待だな。うん。

 

とりあえず、俺は見ないように視線を上にあげる。心臓に悪いからな...

 

「どうかしたの?ハチくん」

 

「なんでもない...」

 

視線は上げてはいるが、密着しているのには変わらない。

 

俺は狭い空間で距離を取るが七里が距離を詰める。

 

 

(七里の豊満なアレが当たってる...これはヤバイ。理性が持たんし、心臓の鼓動が早くなってる気がする。七里に聞かれてないといいんだけどな...煩悩退散。理性を保つため戸塚の事を考えよう。戸塚、戸塚、戸塚....逆に理性が崩壊するな...やめよう)

 

(ハチくんが近くにいる...すごく緊張する...ハチくんの心臓の音がドクン、ドクンと伝わってくる...私を意識してくれてるってことかな...そうだと嬉しい)

 

(早く、出てってくんねーかな...もう持たないんだが...)

 

男子生徒はまだ探し物をしているみたいで一向に教室を出る気配はない。

 

 

「ねぇ...ハチくん」

 

「なんだ?」

 

「この前の約束だけど覚えてる?」

 

「役作りのお願いか?」

 

「うん。私もサナちゃんと同じで恋をする女の子の役。でも、私恋愛経験とかないから...」

 

「なるほど。それで俺にお願いしたのか」

 

「うん」

 

「でも、意外だな。彼氏とかいそうな感じがするけど」

 

「出来たことないよ...」(だって、私が好きなのは....ハチくんだから)

 

「ハチくんは彼女とかいるの?」

 

「いないな。出来たこともない」(振られた事はあるがな...)

 

「そっか...それで、引き受けてくれるかな?」

 

お願いする七里には紫之宮とは違った何か強い意志を感じた。役に対する気持ちが強いというのか、新人ということでここでいい活躍が出来れば今後も沢山のオファーが来る。実力主義での世界だから誰もが死ぬ気で俳優や女優業をやるのだろう。

 

「分かった。できる限りは協力はするが、紫之宮の役作りの手伝いを優先する形にはなるがいいか?」

 

3人でやるという手もあるが紫之宮に了承を得ていないのでその提案は保留した。

 

「それでも大丈夫」

 

俺は紫之宮の方の役作りを優先する形で引き受けた。この事を一応、紫之宮に報告する事にした。

 

この話をしている間に、教室内にいた男子生徒はいなくなっていた。

 

「ふぅ...なんとかロッカーから出られた」

 

なんとか、俺は理性を保てた。

 

「それじゃあ、明日からよろしくね。ハチくん」

 

「ああ...」

 

七里は、レッスンがあるらしく教室を出て行った。

 

 

(それより、さっきは何を言いかけたんだろうな...)

 

 

「まぁ、いいか。俺も帰るか」

 

俺も家に帰るため、教室を出るが.....

 

 

「あー!!!ヒッキー、こんなところにいた!!早く部活に行くよ。ゆきのん、怒ってるんだから」

 

由比ヶ浜とばったりと会った。やべぇ....部活、完全に忘れてた。これは雪ノ下の毒舌ショーの開幕だな。行きたくねぇ...

 

「ほら、ヒッキー!!早く!!!」グイッ

 

「分かったから引っ張るな」

 

俺は覚悟を決め雪ノ下の待つ部室へと向かった。

 

 

 

 

「ゆきのん!ヒッキーを連れてきたよ」

 

「ありがとう。由比ヶ浜さん」

 

「うーす」

 

「あら?遅刻谷くん、こんにちは」

 

「遅れてすまん。ずっと寝てた」

 

「まぁ、いいわ。今日も依頼人は来ていないから」

 

今日はそこまで毒舌を吐かれなかった。今日は運のいい日だな。

 

 

 

雪ノ下と由比ヶ浜は世間話を、俺はライトノベルを読むといういつもの部活動を行う。

 

 

 

 

 

 

 

【夢のような.....話でいい.....】

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして俺のスマホに着信が入った。

 

 

「なにかしら?この音楽は」

 

 

「私、違うよ」

 

 

「すまん、俺の着信音だ」

 

 

「え?ヒッキーの?」

 

 

「そうだが、何でそんなに驚いてんだ?」

 

 

「ヒッキーに電話する人がいたのにびっくりしただけ」

 

「そうね。友達の少ない比企谷くんには珍しいことだからそう思うのも仕方ないわね」

 

「俺に電話する相手なら沢山いるぞ、戸塚とか戸塚とか戸塚とか」

 

「全部、さいちゃんじゃん」

 

「どうしようもないわね。それより、早く出た方がいいのではないかしら?」

 

「そうだな。少し席外すわ」

 

俺は部室を出て鳴っているスマホ画面を見る。紫之宮からの着信だった。

 

「もしもし」

 

「やっと出てくれた。今、大丈夫?比企谷くん」

 

「ああ、部活中だったから出るのが遅れた」

 

「こっちこそごめんね」

 

「それで俺に何か用か?」

 

「大した用はないんだけど...その...」

 

「ん?」

 

「比企谷くんの声が聞きたかったから電話したって感じかな...」

 

「そ、そうか...」

 

一瞬、ドキッとしてしまった。言われ慣れてないからかもしれんな。

 

「比企谷くんはまだ部活中?」

 

「そうだけど」

 

「その後にちょっと会えないかな?」

 

「それぐらいならいいが...」

 

話したいこともあったし、ちょうどいいかもしれないな。

 

「ほんとっ!じゃあ、恋ヶ浜駅で待ってるから部活終わったらメールを入れてくれると嬉しいな」

 

「分かった。じゃあ、また後でな」

 

「うん。また後でね」

 

ツー....ツー...

 

「遅くなった」

 

俺は通話終了ボタンを押して、部室に戻った。

 

「電話は小町さんからかしら?」

 

「ああ。買い物を頼まれた」

 

とりあえず、そういうことにしておいた。芸能人と電話していたとは言えないからな...

 

 

「それなら今日は早めに切り上げましょうか。もう依頼人も来ないみたいだし」

 

「そうだね」

 

「比企谷くんは先に帰っていいわよ。部室の鍵は由比ヶ浜さんと一緒に返しに行くから」

 

 

「すまんな。先に帰るわ」

 

「ヒッキー!また明日ね」

 

「比企谷くん、また明日」

 

「おう」

 

 

俺は紫之宮にすぐに向かうとメールを送り、紫之宮の待つ恋ヶ浜駅に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

次回もよろしくお願い致します。


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Episode 9

大変お待たせ致しました。

約7、8か月ぶりの更新となります。


恋染紅葉クロス、第9話目です。


今回も原作改変でお送りします。


それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

 

 

 

約束場所である恋ヶ浜駅には既に紫之宮の姿があった。

 

 

「待たせたか?」

 

「ううん...今着いたところだから大丈夫だよ」

 

「今日は撮影はないのか?」

 

「うん。お休みだよ」

 

「どこかに移動するか...ここだと目に付くしな」

 

「うん」

 

俺と紫之宮は駅から海岸方面へと歩き出す。

 

 

「撮影とかは順調なのか?」

 

「うん。今のところは問題なく進んでるよ」

 

「それはよかった。俺も8回ぐらい読み返して役を掴みかけてるとこだ」

 

 

 

「そんなに読み返してるの?」

 

「ああ...やるからにはちゃんとやった方がいいだろ」

 

「そっか...」

 

「ああ....その件で1つ伝えたいことがあってだな..」

 

「何かな?」

 

「七里にも役作りを頼まれてな...紫之宮の方を優先するという条件で引き受けた」

 

「そうなんだ...」

 

「マズかったか?」

 

「そんなことないよ。ドラマもよりいいものになると思うし」

 

「そうか....原作だともうすぐ学校での一幕、シーンがあるけど.....どの高校でやるんだ?」

 

「恋ヶ浜高校でやる予定だよ」

 

「....マジで?」

 

「もしかして比企谷くんが通う高校だったりする?」

 

「ああ...」

 

「そっか....楽しみだなぁ....」

 

「撮影が近くで見れるのは貴重な体験だが....まぁ、お互い学校では接触とは控えた方がいいな」

 

「そうだね...」

 

「撮影頑張れよ。陰ながらだが...応援はするから」

 

「ありがとう....頑張るね」

 

 

 

しばらくして紫之宮と別れ、帰宅した。

 

 

 

 

 

 

数日後、俺が通う恋ヶ浜高校で撮影が始まった。

 

 

今現在、3回目(3日目)の撮影である。

 

 

 

当然ではあるが、学校内では紫之宮と七里の話題で持ちきりだった。

 

まぁ、2人とも美少女だから話題にならないわけないのだが....

 

 

「やあ、比企谷」

 

昼休み。葉山から話しかけられる。

 

「何の用だ、葉山」

 

「ちょっとした世間話だよ。例の彼女の撮影、ここでやってるんだね。びっくりしたよ」

 

「俺もびっくりしてる。しかも新人にも関わらずファンも多いみたいだしな」

 

「そのようだね。比企谷は紫之宮さんとは学校内で会ったりしているのかい?」

 

「いや、会ってない。スキャンダルになりかねないからな」

 

「そうだな...今のマスコミは異常に取り上げるから注意しないといけないね」

 

「ああ...だから基本はメールか電話だな」

 

「その方がまだ安全だね。撮影風景、近くから見ないか?」

 

「今日はいいわ。その内、見に行く。葉山だけでも見に行ったらどうだ?戸部達とか誘えばいいんじゃないか?」

 

「戸部なら一目散に行ったよ」

 

「マジか....」

 

「今度、観に行く時は声を掛けてくれ」

 

「分かった」

 

1人で行ってこいとは何故か言えなかった。

 

 

 

 

さらに1週間が経過しても、紫之宮と会うことはなかった。邪魔しても悪いし、スキャンダルに発展するのもダメだからな。初めての仕事を汚すことは出来ない。一方で、七里とは毎日会う。クラスメイトだし隣の席だからな。

 

 

「今日は行くかい?」

 

「葉山。毎日、毎日俺を誘うことはないんだぞ?」

 

1週間前からずっと俺を誘ってくる。もしかして俺のことが好きなのか?それはないよな?あったら怖いな。

 

「俺は比企谷と見たいんだよ。それに紫之宮さんの方も比企谷に近くで見に来てほしいと思ってるかもしれないぞ」

 

「そんなこと、昨日の電話で言ってたっけか?」

 

ふと、昨日の電話でのやりとりを思い出す。

 

 

「比企谷くん」

 

「何だ?」

 

「撮影、見ててくれてる?」

 

「遠くからは見てるぞ。近くからはないが....」

 

結構、人だかりができてるみたいからわざわざ近くで見る必要はない。教室の窓からでも見れるし。

 

「出来れば、近くで見てて欲しいな....久しぶりに比企谷くんの顔、近くで見たいな...」

 

「........」

 

「比企谷くん?」

 

「わ、分かった.....そのうちな」

 

 

明日にでも見に行くとは言えなかった。紫之宮のさっきの一言が原因だろう。ただ、俺のヘタレなだけかもしれないが....

 

「楽しみに待ってるからね。じゃあ、おやすみなさい」

 

「ああ...」

 

 

ここで電話のやりとりは終わった。

 

 

 

 

「なら、尚更行こうじゃないか!!」

 

葉山らしくない、異常なテンション....ついに壊れたか?

 

「分かったから、落ち着け」

 

「す、すまない」

 

 

 

俺と葉山は撮影現場となっている中庭に向かった。

 

 

 

 

「カァァット!!いいよ!その調子で次のシーンも行こう!その前に休憩を入れようか」

 

 

紫之宮が堂々たる演技で監督らしき人からOKをもらっていた。

 

 

 

(順調そうだな...遠くで見るのと近くで見るのとだと結構違うもんだな。迫力が違う)

 

「!」(比企谷くん....近くで見に来てくれた...嬉しい)

 

おっと、紫之宮と目が合った。久しぶりに見るけど...やっぱり美少女だよな....俺とは住む世界が違うと改めて思わされる。

 

 

 

(ちゃんと近くで見に来たぞ)

 

(比企谷くん、ありがとう)

 

(約束だったからな...元気そうで良かった。これからも頑張れよ)

 

(うん!これからも近くで見ててね)

 

(....善処する)

 

 

「戻るぞ、葉山」

 

「もうかい?」

 

「次は移動教室だし、もう十分だ」

 

「なるほど、心で通じ合ってる感じか....青春してるな」

 

「それはお前だろ。爽やかイケメン」

 

「褒め言葉として受け取っておくことにするよ」

 

「....勝手にしろ」

 

移動教室のため、俺と葉山は中庭を後にした。

 

 

 

その間も、撮影は順調に行われたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は進み、夏の暑い時期へと入る。

 

 

 

 

 

「あちぃ.....」

 

「本当ね。温暖化の影響かしら?」

 

「だろうな」

 

「そうだね」

 

 

今日の奉仕部も暇だった...

 

まぁ、あれを読むのにはもってこいだが...

 

 

「あら?貴方も読んでいたのね。恋染紅葉」

 

「ん?まぁ、撮影とかやってるから気になってな」

 

もう一つの理由があるのだが、その事を話す訳にはいかない。

 

「「も」ってことは雪ノ下も読んでるのか?」

 

「ええ、もう3回は読み返しているわ」

 

「そうか...」

 

「いつまで撮影やるんだろうね」

 

「しばらくはやるのではないかしら」

 

「そっか....」

 

原作通りならまだまだ学校での撮影は続くだろう。

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

「もう時間ね。鍵は返しておくから由比ヶ浜さんと比企谷くんは先に帰ってて」

 

「おう」

 

「ゆきのん、また明日ね」

 

「ええ、また明日」

 

 

 

「ヒッキーもまた明日ね」

 

「おう。気をつけて帰れよ」

 

 

 

 

由比ヶ浜とも別れて、俺は学校を出る。

 

いつもの海岸沿いを歩く。ここから吹く海風が気持ちいいからだ。

 

 

ブーブー

 

 

 

海岸沿いを歩いているとスマホが振動していた。

 

「もしもし、比企谷くん。今、大丈夫?」

 

 

「おう。どうした?」

 

「今週の週末は空いてたりするかな?」

 

「まぁ、予定はないけど.....」

 

「じゃあ....遊びに行かない?前みたいに出かけたいなぁ...って思ってたの」

 

「俺の方は構わないが、そっちは大丈夫か?スキャンダルとか」

 

「変装すれば大丈夫だよ。ナナちゃんも変装すれば大丈夫って言ってくれたから」

 

「七里も来るのか?」

 

「その予定だよ」

 

「それなら、俺の方も1人連れてきてもいいか?2+2なら怪しまれないと思うしな。信用できて、この状況を知ってる奴だから心配はしなくてもいい」

 

「うん。じゃあ、今週末よろしくね」

 

「ああ」

 

 

 

こうして、今週末は出掛けることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、今週の日曜日。

 

2+2で出かける事となったため、俺は早く起きる。

 

 

行き先は横浜市で。ショッピングがメインとなるようだ。

 

 

 

「およ、お兄ちゃん。起きるの早いね」

 

「出かけるからな」

 

「雪乃さん達と?」

 

「違う」

 

「もしかして、紫之宮さんと?」

 

「まぁな」

 

「おお!それじゃあ、ちゃんとオシャレしないとね!」

 

「小町に任せてもいいか?」

 

「うん!小町にお任せ!!」

 

「悪いな」

 

「ううん!大丈夫だよ!それより、いいお土産話を聞かせてね」

 

「おう」

 

小町presentsのファッションで出かけることになった。

 

 

「じゃあ、行ってくる」

 

「行ってらっしゃい。お兄ちゃん!」

 

家を出て、恋ヶ浜駅へと向かう。俺が誘った1人と合流するためである。

 

「やあ、比企谷」

 

「早いな。葉山」

 

本当は戸塚を誘う予定だったのだが、部活の試合があるため行けないとのことだった。他に誘える奴がいなかったため、ちょうど部活がなかった爽やかイケメンくんの葉山隼人を誘った。

 

「遅刻するわけにはいかないからね。それよりもその服とメガネ、いいね。妹さんに選んでもらったのかい?」

 

「ああ。俺よりセンスあるからな」

 

「かなりセンスがいいね」

 

「自慢の妹だからな。それより行くか」

 

「そうだね。行こうか」

 

無事、葉山と合流し待ち合わせとなっている横浜駅へと向かった。

 

 

 

 

 

AM 10:00

 

 

横浜駅に着き、待ち合わせ場所に向かう。

 

「あっ!比企谷くん!こっちだよ」

 

「待ったか?」

 

「ううん。さっき来たところだよ」

 

「そうか...それと紹介する。七里は知ってると思うが、クラスメイトの葉山隼人だ。色々と事情を知ってる、信用できる人間だ」

 

「比企谷八幡のクラスメイトの葉山隼人です。初めまして、紫之宮さん。学校で恋染紅葉の撮影風景を拝見しました。今後とも頑張ってください。七里さんは一昨日ぶりだね。今日はよろしく」

 

「ご丁寧にありがとうございます。葉山くん」

 

「うん。よろしく」

 

「それより....よく出掛ける許可、おりたな」

 

「その事なんだけど....」

 

紫之宮の話によると、休みはいつなのかとマネージャーに尋ねたところ、男と一緒に出かけるのではないか?と問われ、その問いに答えれずにいると七里のフォローが入り、七里と2人で出かけると言う事で話がマネージャーとついているとの事だった....

 

「なるほどな」

 

「それなら、慎重に行動しようか。いつ誰かに見られているか分からないからね」

 

「葉山の言う通りだな。周りを意識しながら出かけないとな」

 

この辺り周辺でも恋染紅葉の宣伝ポスターがいくつも掲示されている。かなりの話題となっているようだ。そして、紫之宮の話によると隣の掲示版に貼ってあるアイドルポスター「PEACE」の春日小鳥という少女もクラスメイトの役として出演するらしい。

 

 

 

 

 

 

 

「何かと気を遣いそうだ」ボソッ

 

 

 

 

 

 

 

俺はそんなことを考えつつ、移動を開始した.....

 

 

 

 

...続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。

次回は横浜市内にて2+2(比企谷、葉山+紫之宮、七里)のショッピングデートとなります。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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Episode 10

大変お待たせ致しました。

節目ノ回である10話目です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

 

 

俺は周りを見ながら、不審者がいないか警戒する。

 

 

「どうしたんだい?比企谷」

 

「いや、不審な人とかマーキングしている人がいないか確認してただけだ」

 

「側から見てると比企谷が不審者に見えるよ」

 

「マジで?」

 

「うん。マジで。そこまで気にすることもないよ」

 

「ああ.....」

 

 

 

(やっぱり私の勘は正しかったわね....あの紗奈にボーイフレンドが......しかも相手と思われる2人はかなりのイケメンなんて......どっちが紗奈、ナナちゃんの相手なのかしら?どっちにしても羨ましいわ!!)

 

 

しかし、八幡の心配は的中し、ある1人の女性が尾行していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー 横浜市のショッピングモール・水着売場 ー

 

 

 

「水着?」

 

「うん。新しく新調しようかなって.....」

 

「いいんじゃないかい?なぁ、比企谷?」

 

「そうだな。七里も買うのか?」

 

「うん、買う...」

 

「ピンクとかが似合うんじゃないか?知らんけど」

 

「うん....参考にする!」

 

そして、紫之宮と七里は試着室に入り水着に着替えている。

 

「落ち着かないみたいだね。比企谷」

 

「こんなとこ、滅多に入らないしな.....それに色んな視線も感じるし」

 

「それは....ね」(比企谷を狙ってる人が大多数だからね....まぁ、本人はそんなわけないだろって言うと思うけど)

 

「なんだよ?」

 

「何でもないよ。それより楽しみだね。彼女達の水着姿」

 

「そうだな......」

 

「ハチくん......どう?」

 

七里はピンクのビキニ姿で試着室を出た。

 

色々と隠しきれておらず何かエロい。由比ヶ浜を凌ぐモノをお持ちのようだ。周りの男性陣も釘付けになっており、カップル客の中に揉める人もいくらかいたぐらいに注目されていた。

 

「似合ってるんじゃ.....ないか?なぁ、葉山」

 

「そうだね。よく似合ってると思うよ」(これは凄いな.....比企谷も隅に置けないな。羨ましいな)

 

そして、尾行している女性もいくつか写真なり動画を撮っていた。

 

 

 

「あれ?紫之宮は?」

 

「あの.....比企谷くん」

 

「何でカーテンに隠れてるんだ?サイズが合わなかったのか?」

 

「比企谷くん....あのね....私、ビキニを着るの初めてで......」

 

 

(比企谷、紫之宮さん....可愛いね)

 

(アレはやばいな......)

 

「サナちゃん!早く!」

 

七里が急かすが、紫之宮は恥ずかしいのかカーテンから離れようとしない。

 

 

いくら待っても出てこないため、七里が強引にカーテンを開けた。

 

「あっ!」

 

「「おおっ...」」

 

思わず俺と葉山はそんな声を漏らす。

 

思っていたよりも似合っていて破壊力が抜群だった。

 

「可愛い......」

 

「っ!!!」

 

余程、恥ずかしかったのかカーテンに隠れてしまう。

 

 

俺は紫之宮から視線を外す。

 

 

カシャ

 

その際、カメラのシャッター音を俺は聞き逃さなかった。

 

「ん?どうしたんだい?比企谷」

 

「写真か動画撮ってるやつがいた。スキャンダルになるかもしれん。追ってくる」

 

「それはやばいな。僕も追うよ」

 

俺と葉山は写真か動画を撮った奴を探す。そして、ある女性に声を掛ける。

 

「すいません。ちょっといいですか?」

 

俺は女性に声を掛けるが.....

 

「くっ.....」

 

女性の近くにいた大柄な男性が一目散に走って逃げ出した。

 

「2人もいたのかよ」

 

「比企谷、追ってくれ。この女性は見ておくから」

 

「助かる」

 

葉山に託して、男性の後を俺は追った。

 

 

 

 

大柄な人だからすぐに捕まえることが出来ると思っていたんだが、中々に逃げ足が早く、捕まえることが出来ない。

 

「比企谷!」

 

「さっきの女性はいいのか?」

 

「あの女性は紫之宮さんのマネージャーさんみたいだ」

 

「マジで?」

 

「ああ。あの人も追ってくれてる。挟み撃ちにしたいからうまく誘導させたい」

 

「了解」

 

しばらく追いかけた後....行き止まりへと誘導出来、問い詰める。

 

「すいません。さっき撮った写真を見せてくれませんか?」

 

「何の事ですか?」

 

「確認したいだけなんです。いいですよね?」

 

「何もないなら見せてくれてもいいんじゃないですか?もしかして盗撮してたんですか?」

 

「そんなことは....」

 

「じゃあ、見せてください」

 

葉山の怖い笑顔に男は顔を強ばらせ、渋々とカメラを渡す。

 

「やっぱり撮ってましたね。申し訳ないですけど消しますよ。許可なく撮ってる写真なので」

 

「それは......」

 

「いいですよね?」

 

葉山の笑ってない爽やかスマイル、初めて見たわ....怖い....

 

「はい」

 

そして、大柄の男は落ち込みながらこの場を後にした。

 

「やっぱり撮っていたのね.....」

 

「貴方は紫之宮さんのマネージャーさんでよかったですよね?」

 

「ええ。私はマネージャーの星と言います。紗奈と交えてお話しがあります。いいですね?」

 

「了解です」

 

 

 

その後、マネージャーさんは紫之宮さんと連絡を取り合流した。

 

 

 

 

 

 

「詳しく説明してもらおうかしら?紗〜奈!!」

 

「それは.....」

 

「なるほど、状況は理解しました。彼のおかげで最近、調子が良かったのね」

 

「比企谷くんだったかしら?」

 

「はい」

 

「今までありがとう。貴方のおかげで今のところ撮影は順調に進んでいます。ですが......」

 

「分かってます。俺と紫之宮の関係を解消してほしいんですよね?」

 

「えっ!!」

 

「そうよ。今のような事態がまた起きるとも限らない....」

 

「はい」

 

「それにうちの事務所は18歳まで男女交際は禁止!!私もこの掟に悩まされたけれどこれはルール!絶対に守りなさい!」

 

 

(うーん。この人は平塚先生と同じ匂いがしなくもない。一生、独身でいそう....)

 

 

「誤解されていますが、俺と紫之宮は付き合ってはいません」

 

「そうですよ!!」

 

「貴方達はそう思っていても世論はそうは思わない。2人でいるだけで恋人扱いされるわ。それは許されないのよ!」

 

「マネージャーさんのことは理解出来ます。紫之宮さんは新人で今から伸びる逸材。ここで問題が上がればイメージダウンは免れない」

 

「ええ。比企谷くんは分かってくれているようね」

 

「はい。自分もいずれはこのような事案が起こるだろうとは予想していました。なので自分はマネージャーさんの指示に従います」

 

「紗奈もいいわね?練習相手なら私が新たに探しておくから」

 

 

 

 

「.........嫌です」

 

「「は?」」

 

俺とマネージャーさんの言葉が重なる。

 

「比企谷くん以外の人は嫌です」

 

その後も紫之宮さんはマネージャーさんに説得を試みていた。

 

 

 

 

「比企谷、随分と好かれているんだな」

 

「そうか?」

 

「彼女の必死な姿を見ていたらね。君が羨ましいよ」

 

 

葉山は羨ましそうな顔をしながら紫之宮さんとマネージャーさんの話す所を見ていた。

 

 

 

「分かったわ。比企谷くん」

 

「はい」

 

「紗奈の必死なお願いによって最大限の譲歩をするわ」

 

「はぁ......」

 

「今後はこのような事態にならないためにも比企谷くんと紗奈の2人で会うのはもちろんのこと、今日みたいに少人数での行動も控えること!もっと大人数で行動すること。そうしてくれるのなら会うのは許可するわ。それを守れなかった場合は2人の関係を解消させます。いいわね」

 

「はい!」

 

「分かりました」

 

 

 

 

条件付きでのルールが決定された。

 

 

 

 

ここで紫之宮と七里、マネージャーと別れて俺と葉山は歩き出す。

 

 

「関係解消に至らなくて良かったな。比企谷」

 

「ああ....」

 

「今後はより一層、気をつけないとね。マネージャーさんとの取り決めもあるからね」

 

「まぁ、でも大丈夫だろ。もう少人数で会う必要もないだろうしな」

 

「練習する際はどうするんだい?2人きり」

 

「そこなんだよなぁ......」

 

「奉仕部の雪ノ下さんや結衣に協力を仰いだらいいんじゃないか?」

 

「それは避けたい。協力を仰ぐなら状況を知ってる戸塚、あんまり頼りたくはないが材木座とお前ぐらいだな。奉仕部は最終手段だ」

 

「結衣がうっかり漏らす可能性があるからかい?」

 

「それもある」

 

「何かあったら連絡をくれ。また協力するよ」

 

「何かすまんな。色々と」

 

「これぐらいいいよ。君にはいくらか借りがあるからね。それを俺が個人的にその借りを返したいんだよ」

 

「恩に着る」

 

 

「またな。比企谷」

 

「おう」

 

 

葉山と別れ、家へ帰った。

 

 

 

 

 

 

あの一件以来、会うことはなくメール等の連絡のみに抑えた。

 

 

 

それと並行してドラマ撮影も順調に恋ヶ浜高校で行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、神奈川に夏が訪れる。

 

 

 

 

終業式の前日の夜。

 

 

 

Prrrrrrrrrr.............

 

 

俺のスマホに通知が入る。紫之宮からの電話だった。

 

 

「もしもし」

 

「比企谷くん?」

 

「おう。どうかしたのか?」

 

「その.....前に一緒に買い物出かけたじゃない?」

 

「ああ」

 

「私とナナちゃん、また一緒の休みが取れたから前に買った水着を着て今月末の土曜日に海に行こうって話になったの。だからまた遊びに行けないかなって.....」

 

「俺は構わないがあのルールがあるからな。他に来れる人がいるか聞いてそれ次第になるけどいいか?」

 

「うん。なんかごめんね」

 

「これぐらい構わん。それと.....」

 

「何かな?」

 

「撮影頑張れよ」

 

「うんっ!ありがとう!明日も早いからまたね」

 

「またな」

 

「また電話してもいいかな?」

 

「おう」

 

「おやすみなさい。比企谷くん」

 

「おやすみ」

 

通話は終わり。スマホをベッドに置き、眠りについた。

 

 

 

 

 

翌日。

 

俺は戸塚に声を掛ける。

 

 

「戸塚、ちょっといいか?」

 

「どうしたの?八幡」

 

「今月末の土曜日、空いてるか?」

 

「空いてるけどどうかしたの?紫之宮さんの件?」

 

「ああ....」

 

戸塚に前の買い物の件で決めたルールを詳しく話した。

 

「なるほどね....うん!分かった!僕も協力するね」

 

「助かる」

 

「後は誰を誘うの?」

 

「候補しては材木座と葉山、後は雪ノ下とか由比ヶ浜とかだな」

 

「それなら大丈夫そうだね。頑張ってね!八幡」

 

「おう」

 

その後、葉山にも事情を話して協力を仰いだ。葉山グループの戸部が新たに参加することとなった。

 

 

 

 

最後は奉仕部に相談か.....

 

 

 

 

 

放課後、俺は部室へ入る。今回は依頼する側なのでノックをした。

 

 

「どうぞ」

 

「失礼するわ」

 

「比企谷くん......」

 

「ヒッキー?どうしたの?ノックなんかして」

 

「ちょっと用があってな」

 

 

俺はいつも座る場所ではなく、依頼者が座る場所に座る。

 

「あっ.....」

 

「どうかしたの?いつもと違くない?」

 

「これでいいんだ」

 

「どういうことかしら?」

 

「1つ依頼がしたい」

 

「えっ.....」

 

「珍しいね。ヒッキーが依頼なんて」

 

「お前ら、紫之宮紗奈と七里由比は知ってよな?」

 

「ええ....今、ドラマ撮影している女優さんよね」

 

「もちろん知ってるけど、どうかしたの?」

 

「話が長くなるんだが、いいか?」

 

「ええ.....貴方の初依頼だもの。何時間でも聞いてあげるわ」

 

「うん!何かこういうの新鮮な感じだしね!」

 

「助かる....」

 

そして、俺は一から説明する。紫之宮の初対面のこととか練習相手として連絡を取り合っていること、七里と俺が小学生からの知り合いだったこと。そして、横浜での件でのマネージャーさんと決めたルールのこと。このことを詳しく知っているのは他に葉山、戸塚ということ。そして、今月末に海に行くこと。

 

「本当は早く言うべきだったんだろうが....事情が事情でな。今回の依頼としては彼女らの友達、知り合いとして今月末に海で一緒に遊んでほしい」

 

「そう。状況は理解したわ。本当なら早い段階で教えてほしかったけれど、事情があったのなら仕方がないわね。比企谷くんの依頼、受けましょう。由比ヶ浜さんもいいかしら?」

 

「もちろんいいよ!」

 

由比ヶ浜は紫之宮紗奈に会えることに非常に楽しみにしていた。

 

「1つお願いとしてはこの件は他の奴らには伏せてくれ。大事にはしたくないからな」

 

「分かっているわ。だから貴方はいつも部室で恋染紅葉の小説を真剣に読んでいたのね」

 

「まぁな」

 

「奉仕部部長として、比企谷くんには是非とも紫之宮さんの力になってあげて」

 

「そのつもりだ」

 

「それでは今月末の土曜日、海へ遊びに行くにあたって色々と準備をしましょう」

 

「うん!水着を買いに行こう!」

 

「そうね。私も買いたいし」

 

「雪ノ下は水着持ってないのか?」

 

「あるにはあるけれど1年前に買ったものだから新調しないと」

 

買い替える必要はないと思う、雪ノ下は.....由比ヶ浜は分かるが......

 

まだ、雪ノ下にもチャンスというかこれからに期待って感じだな。

 

「何か変なことを考えてないかしら?比企谷くん」

 

「そんなことはありませんよ」

 

「なんか、ヒッキー敬語!?」

 

「まぁ、いいわ。それでは今から行きましょう」

 

「楽しみだなぁ.....」

 

この後も雪ノ下と由比ヶ浜は楽しく話していた。

 

 

「じゃあ、俺は帰るわ。2人で楽しんでくれ」

 

「何を言っているの?貴方も一緒に行くのよ」

 

「俺、要らんだろ?」

 

「依頼者の貴方がいないのは変でしょう?」

 

「分かったよ」

 

何故か俺も参加することになった。まぁ、いいか.....ショッピングモール内の書店で時間を潰せばな。

 

 

 

 

 

そして、部室を出て鍵を返した後....学校を出る。

 

 

 

「貴方の意見も参考にさせてもらうわね、比企谷くん」

 

えぇ....マジかよ。

 

 

 

 

俺は頭を抱えつつ、雪ノ下と由比ヶ浜の後を歩くのだった。

 

 

 

 

 

 

.....続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。


次回は奉仕部を交えての海回となります。

当然ですが、奉仕部の面々と紫之宮紗奈とは初対面となります。


それでは、次回もよろしくお願い致します。


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