やはり俺のシンフォギアはまちがっている。(仮) (島田ミカ)
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やはり俺のシンフォギアはまちがっている(仮)。設定+小話

【飛ばしても問題ありません】

〜Rei オープニングトーク rei zizzl〜
〜〜ティロティロティロティロ〜♪
はじめまして、この度シンフォギア×俺ガイルを書かせて貰う島田ミカです!!
シンフォギアと俺ガイルのクロスとかやりたいなぁ…とか思ってしまったので、その設定とそれを元にした小話を1つ書かせて貰らいました!!
別の場所でね、書かせて貰ってることもあって初めましてじゃない人ももしかしたらいるかもしれませんが!!よろしければ是非お読みください。でですね、オープニングトークもこの辺にして早速本編に入って行きたいと思うのですが!!
今回この話にはですね、戦姫絶唱シンフォギアの主人公!我らがヒーロー立花ビッキーちゃんは出てきません。なんなら戦姫絶唱シンフォギア本編アニメにもそんな人はいませんが!!その点についてはご容赦下さい。
又、感想やこうしてほしいなー!!(願望)などありましたら是非是非送って来ていただけると、作者のフォニックゲイン(更新率)が上がったり下がったりします。嘘です。xdモード並みに上がり続けます。
ちなみに私のシンフォギアの推しはビッキーですまる。(聞いていない)
はい!!ではそろそろ始めて行きましょう!絶唱絶唱シンフォギア ×やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。設定+小話編スタート!!


あらすじ

比企谷八幡は中学生の時、少女が車に轢かれそうになったのを助けた結果、黒塗りの車に衝突され全治三ヶ月入院不可避の大きな怪我を負ってしまう。

とある少女を救ってしまったため、今後の運命のネジが大きく捻れていくのであった…

当時、3日毎には両親や妹が彼の見舞いに行き、その足で美味しいモノを食べに行ったり、レジャーを楽しんだりするのが比企谷家の慣例行事となりつつあった。

(本人は、この間は焼肉行っただの話題の遊園地に行っただのという話を事後報告的に妹から知らされ、むしろお前を焼肉にしてやろうか?とすら思っていたらしい)

そんなある日、いつもの如く比企谷家の面々は八幡の見舞いを終えた後、今流行りの天羽奏と風鳴翼による人気ボーカルユニット・ツヴァイウィングのライブを楽しんでいた。

だがその最中、人を飲み込んで炭素に変えてしまう認定特異災害ノイズが発生し、観客たちを次々と襲い始める。大混乱の会場で八幡の妹である比企谷小町は両親とはぐれてしまう。

その際、彼女自身も足を挫いてしまっており、偶然会場で知り合った襟足が広がったボブカットの少女と顔見知りの黒髪ショートの少女に助けられる。

大混乱の中、3人は必死に会場から逃げようとするが…

キャラクター設定

比企谷八幡 17才

私立リディアン音楽院 2年生

第1号聖遺物・天羽々斬のシンフォギア奏者

特異災害対策機動部二課所属。

本編より2年前、ツヴァイウィングのライブ中にノイズの大量発生の報告を病院のTVのlive中継で知り、急いで駆けつけるが、後一歩というところで家族と死別してしまう。

灰と化した妹の前で呆然と立ち尽くす八幡であったが、翼の最後の願いと共に聖遺物・天羽々斬を託されシンフォギア奏者となる。

シンフォギアの適合者となってからは風鳴弦十朗の庇護下に置かれ、特異災害対策機動部二課所属のシンフォギア奏者として活動している。

ただし、奏者としての彼の能力はあまり高く無い。

そのため、彼の正式な所属は諜報部といった裏方業務である。

加えて、彼自身の固有の特質として全ての聖遺物に干渉又は起動させることが出来る。

この点から、本来、1人1つが原則であるシンフォギアのギアも短時間であれば天羽々斬以外のギアの装着は可能である(が、しかし、天羽々斬以外の聖遺物は本来奏者の半分以下の出力しか出ないため、基本的に八幡の戦術として採用されることは殆どない)。

以前より捻くれた思考の持ち主であったが、事件以降は自身の身を顧みない作戦の立案など徹底的な効率主義と化した。

風鳴弦十朗からは自己を顧みないそのあり方は酷く歪んでいると、櫻井了子からは自身すらも1つの駒と捉える八幡の考え方は自意識の化け物、又理性の化け物と評されている。

家族を失ったことから半ば自暴自棄になっていたが、風鳴 弦十郎を始めとする様々な人との出会いから少しずつ理性の化け物から人間らしい感覚を取り戻していった。

なお、今作の八幡は自称風鳴翼のアンチである。

(過去のCD特典からアルバムに至るまで網羅)(グッズ購入)(彼女のバイクをメンテナンスして使う)くらいの筋金入りのアンチ。

…アンチとは?

 

風鳴翼

私立リディアン音楽院 3年生

第1号聖遺物・天羽々斬のシンフォギア装者であり、世界でも数少ない第一種適合者である。特異災害対策機動部二課所属。ツインボーカルユニット「ツヴァイウィング」の一人だったが、ツヴァイウィングのライブの際、天羽 奏と共に絶唱を発動。

戦闘中にノイズの大群からとある3人の少女を救うためアームドギアが中破してしまう。

結果、アームドギアを介さない無茶な絶唱の発動だったため、8割のノイズを焼き払うものの身体とシンフォギアがそのバックファイアに耐えきれずギアが強制解除された。

その負荷を一身に生身の翼が背負い死亡したとされる。

翼は絶唱のバックファイアでボロボロの身体を引きずりながら残りの力を振り絞って自身願いと天羽々斬を八幡に託す。

その最後は崩れた会場とかつて相棒だったモノと共に海に沈んでいった。

 

天羽 奏

ツインボーカルユニット「ツヴァイウィング」の片割れであり風鳴翼の相棒。そしてシンフォギアシステム3号『ガングニール』の装者。

原作とは異なり翼と共に絶唱を歌う。

しかし、ネフシュタンの鎧の起動実験のためとは言え、万が一を考慮してLiNKER薬を備えておいたマネージャーのおかげもあり、灰にはならずに済んだ。

が、依然としてLiNKER頼りで無理をしてシンフォギアに適合していたため、そのバックファイアは翼をも超え、それを一身に受けた奏は翼同様死亡したとされる。

 

雪音クリス

第2号聖遺物・イチイバルのシンフォギア装者である第一種適合者。私立リディアン音楽院 2年生

8年前に南米バルベルデ共和国にてNGO活動中の両親が紛争を原因とする爆弾で死亡、自身も現地武装組織に捕えられ捕虜生活を送った過去を持つ。6年を経て。特異災害対策機動部第二課に救出され帰国する。

(※ちなみに、この救出作戦が二課に入った八幡の初任務であった)

この際、大人の全てに憎悪と懸念を抱いていた雪音であったが、直接自分を救い出してくれた八幡や任務の際身を呈して自分を庇ってくれた弦十郎の説得により二課の一員として仲間であり続けている。

また、彼女の帰国に際して、彼女の日本における生活基盤が整うまでの間、アメリカのとある組織に身柄を寄せていた経歴を持つ。

 

ひとまずこんな感じの話があれば面白いかなーとか思って妄想を綴ってみました。

テーマは立花響(ヒーロー)がいない世界、と言ったところでしょうか。

いやまだ、話を書いても無いのにテーマもクソもあったものではありませんが、我らがヒーロー立花ビッキーさんはいません。なんなら原作にもそんな人はいません。(ええ…)

 

原作との大きな違いは翼と響がいないことですね。

その代わりにクリスが初期キャラとして二課に所属しています

ーーーー

設定だけだと寂しいのでここでプロローグっぽい小話を1つ。

 

夢を見ている。

助けを求める亡霊を振り払い、目的地に向かう夢。

助けて、助けて、助けて、助けて。

ひたすらにそればかりを呻いては足にしがみついてくる亡霊は助けを乞うというよりは、むしろ、お前もこっちに落としてやるぞと言わんばかりであった。

舌打ちが溢れる。

こんなモノに構っている時間はない。

夢だと分かっていても、これが現実ではないと知っていても俺は行かなければならない…

走る。

走る。走る。走る。走る。

どれだけ走ったかはわからない。

なんなら何処を走っているかもイマイチ鮮明ではない。

場所は狭い小道から大きな大広間へと出た。

ここは…どこかのライブ会場だ、いや、ライブ会場であった場所だ。

地面は大きく裂け、半壊した地盤からは真下の海が覗く。

辺りを見渡すとちょうど観客席の辺りだろうか、1人の少女がそこに佇んでいた。

「お兄ちゃん!!」

「小町!!助けに来たぞ!!」

最愛の妹。

唯一掛け替えのない大切な家族。

そして…これが夢であるとはっきり証明出来る理由。

俺が間に合わなかった過去。

あの日、あの場所で言えなかったそれを無意味と知りつつ口にした。

「うん、信じてた」

小町はそっと手を伸ばす。

俺は縋るようにその手を握り返した。

「小町!小町!!ああ、無事で良かった!!」

泣き叫ぶ俺の身体を小町はそっと抱きしめた。

「お兄ちゃん…あのね、小町、すっごく痛かったよ」

「ああ…!!」

「何かわからない鉄骨?みたいなの足に刺さるし、お腹から下もう無いし、もう小町将来仕事にもお嫁に行けない!!」

小町は冗談めかしてそんなことをのたまうとそっと俺の頭に手を添える。

その仕草がなにやら懐かしく思えてつい、いつもの調子で返答する。

「ふっ、そんなことは任せとけ、俺が親父に頼んで将来二人分面倒見てもらえるよう頼んどいてやる」

「…そこは嘘でも働いて面倒みてやるくらい言って欲しかったよ」

ごめんね、こんな兄で。

「本当だよ、いい?お兄ちゃん?小町達のこと心配してくれるのは小町的にポイント高いけど、お兄ちゃんは…ちゃんと…おね」

急に小町の声が遠くなっていく。

待て!待ってくれ!!小町!!

「…お…」

…なにやら聞き覚えのある声が耳に届く。

「…おーい…」

…なんだよ、寝てるのが分からないの?ちょっと昨日寝不足だったんだから寝かせてくれ…

昨日から続いた大雨。

どうせ大雨警報とかで学校が休みになるか、登校時間遅れんだろ…

そう思って昨日徹夜で撮り溜めしたアニメ鑑賞してたらコレだよ…

一晩立たないうちに雨は上がってしまい、朝方にはいつもの日常に戻ってしまっていた。

結果、ドッテンピカーン空は晴れて、いっぱいおっぱい僕元気。いや、元気ではない。

大雨を理由に最低でも遅刻は出来ると思っていたのでがっつり夜更かししてしまった。そのせいで睡眠不足である。なんならキテレツのOPにしてもいいくらいの寝不足。

最近の雨雲は根性がなくて困る。

「おい!!八幡!!八幡ってば聞こえてんのか!?」

ついに身体を揺さぶられ始めたので仕方なく顔を上げる。

んーだよ、俺の安らかな眠りを妨げる野郎はどこのどいつだ…

と、顔を上げたその先に、その少女は仁王立ちしていた。

銀色の髪に整った顔立ち、その見た目はアイドルもかくやと言わんばかりの美少女がそこにいた。

「やーっとおきたか!!オイ、もう昼だぞ!!メシ食おうぜ!」

そういうや否や隣にその少女は隣に座ると持っていたビニール袋の中からあんぱんと牛乳を取り出し始める。

どうやらもう昼の時間らしい。

普段も休み時間、自分の席で寝ていたり、寝たふりしていたりするが、今日は学校に着いてからの記憶がない。

「あー…」

寝ぼけて頭がよく働かない。

なんなら真横にいるこの少女がなんでわざわざ隣に来るのかもイマイチよくわからない。

ぼーっと隣であんぱんに齧りついている少女を眺めていると、そんな俺の視線を不思議に思ったのかその少女はガサゴソとカバンを漁りながら口を開いた。

「あん?どうした?…ははーん、さてはまだ寝ぼけてやがるな?ったく、しょーがねーなー」

そう言って取り出したるは一本の缶コーヒー。

「ほれ」

「あ、ああ…どうも」

条件反射的に受けとってしまったソレ。

プルタブに指を掛け、蓋を開ける。

コーヒーの香ばしい香りが鼻腔を擽るといくばかりか目が冴えてきた。

ようやくある程度頭が働くようになると、徐々に回りが見えてくる。

「あー…うん、1つ聞いていいか?」

「なんだ?」

少女は牛乳パックにストローをさしながら首を傾げた。

「なんでお前隣でメシ食ってんの?」

俺は隣にいた少女…もとい同じクラスの雪音クリスに質問することにした。

「あん?まだ寝ぼけてやがんのか?もうとっくに昼休みだぞ。ほら、八幡もメシ出せって…もしかして、忘れたのか?」

「あー、いや、そういうことじゃなくてだな…」

そんな俺の意思は伝わってくれなかったのか、雪音は難しい顔をしながら机の上に置かれたビニールを凝視する。

「…ほら、食えよ、食わねーと午後からの授業持たねーぞ」

そう言ってビニール袋の中から2つ目のあんぱんを取り出した。…君、あんぱん好きね…

「…いや、だからね?」

「遠慮すんなって、あたし達の仲だろ?」

そう言ってあんぱんを押し付けてくる雪音。

どうやら何を言っても聞いてくれなさそうなのでひとまず好意に甘えることにした。

受け取ってあんぱんを袋から取り出し、黙々と齧る。

普通に普通なあんぱんで特に感想はない。

ただ、口に残る甘さが足りないな…後でMAXコーヒーで補充すべきか…

「ふぁいふぃんふぁふぁんふぁりふぉいふふぇふぇふぉふぇふぁー」

なんて今後のことを考えていたら雪音が何か呪文地味たことをのたまっていた。

「…飲み込んでから喋れ」

口の中パンパンに膨らませやがって…リスかお前は。

口に含んだあんぱんを牛乳で流し込むとようやく俺にわかる言語で話始めた。

「ふぇ?…んっんん、最近はあんまりノイズも出てこなくなったよなー」

ノイズ

それは人類を脅かす特異災害の総称であり、人間だけを襲う化け物である。

なんか見た目は昭和の特撮の怪人やら妖怪から凶悪さを抜き取った感じ。…なんか全然怖そうじゃねえな。その説明。

ただ、ノイズが触れたモノは灰になってしまうクソ厄介な性能をしているので、見た目以上に面倒な存在でもあのだが…。

「…そもそもそんな何度も出てくるようなモンじゃねーけどな、アレ」

なんでもノイズの自然発生率は、東京都民が一生の内に通り魔事件に合う可能性より低いとか何とか言われてるらしいし、そんなに何度もポンポン出てこられたらたまったもんじゃないんだが…

「それで…よ、最近は二課の仕事も全然無いだろ?だから…その、八幡、今日の放課後暇か?」

「悪いな、今日は家に帰ってゴロゴロした後に睡眠するっていう大事な用がある」

「そっ、そっか…って、あん?それってつまり暇ってことじゃねーか!!」

気づいちゃったか。

しかし、それも仕方あるまい。

ぶっちゃけ面倒くさい。

ちなみにコイツのいう二課とは、特異災害対策機動部二課略して二課のことであり、ノイズが出現した際に出動する政府機関のことでもある。

俺も雪音も紆余曲折あってこの二課に所属しているが、二課はノイズが現れた場合に活動する組織であるため、最近はめっぽう仕事が無かったりする。

「よーし、放課後に八幡予定は無いんだな?」

「いや、だからね?」

この流れはマズイ…なにやら、雪音にやらされる予感がする。

具体的にはなんかこう…色々アレなことを。

この間、二課の司令官の弦十朗さんに仏壇持たせているのを見た時には軽く引いた。

ここは早めに上手い言い訳を考えなくては!!

「今日はあたしの買い物に付き合ってもらう!!」

「は?買い…物?」

「…なんだよ、嫌か?」

雪音は俺の顔色を伺うように覗き込む。

うっ…そんな上目使いするように見られってだな…。

カースト最底辺の俺なんかと一緒にいるところを見られたら雪音にとってもよろしくはあるまい。

ここは雪音の為にもキチンと断らなくては!!

「…どうしても嫌なら、無理することはねぇけどよ…」

雪音の声のボリュームがだんだん下がっていき、不安気に見つめてくる。

…………。

「…いや、別に、そんなことはねぇけど…」

言うと、ぱぁっと表情に笑顔が浮かぶ。

おい、弱すぎるぞ俺。

「んじゃ、決まりだな!また放課後に!!」

そう言うと雪音は残りのあんぱんを口に放り込んで席を立つ。

休み時間ももう残りあと僅か。

雪音が去ると俺の周りには再び静寂が戻ってきた。

ああ…安らぐ。

安らぐついでに再び睡魔が俺を襲う。

これでは次の時間も爆睡間違いない。

なんとか起きてるよう睡魔と戦う…具体的には、頬杖ついたり、机に突っ伏してみたり、腕と腕で頭を挟んでみたりと、寝るのに一番いいポーズを探していた。

やっぱりあれだ、戦いとかよくないことだから、平和的にいくのがいいよ、うん。

睡魔とはこれからも仲良くやっていこうと思う。

そうこうしているうちに授業のチャイムが鳴る。

休み時間終了のお知らせだ。

慌ただしく教室に入ってくる生徒たちを尻目に、俺は再び深い眠りに入っていった。




はい、ここまで読んでくれた読者さま本当にありがとうございました。
今回はそろそろお別れの部分なのですが、また近いうちに懲りずに更新して行きたいと思いますので是非、感想や批評などありましたら遠慮なく送って来てください。またね、どんな内容のモノでも出来る限り返信して行きたいし、それをストーリー反映して行きたいと思っておりますので!!是非お待ちしております!!


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やはり俺のシンフォギアはまちがっている(仮)。0.1

【飛ばしても問題ありません】

シャンシャンシャン!!シャンシャンシャン!シャシャンシャシャンシャンシャン!!foo!!なーんだかんだと〜♪もうすぐ次話投稿。いやいやい!ま〜だ早い〜♪ま〜だ早い〜♪と思ったら〜♪もーすぐ投稿する〜♪…いや、全然早くねえよ。
〜〜ティロティロティロティロ〜〜♪
こんにちは!!島田ミカです!!
このお話は戦姫絶唱シンフォギアとやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。のクロスオーバーを皆さんの応援を力に変えてお届けするssです。
はい、今回もね、やってきました!!
皆さん連休も開けて、お仕事や学校に通われてる方も多いと思います。連休中はいかがお過ごしぃ?お過ごしぃ?
最近はねー、暖冬とはいえ、ちょくちょく寒い日が続きますので、お身体には十分気をつけてお過ごしいただければなと思うわけですが。
作者はー、ソシャゲしてたら終わってたね、連休。
しかもそれにもかかわらずやってる某有名ソシャゲf●oイベント回りきれなかったっていうね。(聞いていない)
え?早く進めろって?(言っていない)はいはい。
はい、では今回は本編の2年前の話をやりたいと思います。
また前回ね、まあ、書いてるときは昨日なんですけれども、お届けした設定と小話編ですが、今後の話に直接繋がっていくので、是非そちらをまだ読んでないよーという方がいらっしゃいましたら、そちらからお読み下さい!!
それでは始めて行きましょう!!戦姫絶唱シンフォギア ×やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。すたーと!!


ー2年前ー

 

満開の桜が窓から入ってくる。

カーテンが春風に揺れ、どうやら近くの桜の木からこぼれ落ちた花びらが風を伝って入ってきたのだろう。

ひらりと翻った先から春の暖かな陽気が辺りを包み、春であることを認識させる。

新春、とでも言うのだろうか。

窓から見えるその光景には、パリパリの新しいスーツに身を包んだサラリーマンや真新しい制服を着て登校している学生が出社やら登校やらしていた。

「…それでね?…って、聞いてるの?お兄ちゃん?」

時刻は午前11時、白いだけで特に何もない病室の一室で、妹の比企谷小町は手を腰に当てながら、さも怒ってますよアピールをしていた。…あざとい。

俺はベットから起き上がると、読んでいた少女漫画の次の巻を枕元から引っ張り出す。

「…聞いてるよ、で?なんだって?」

「やっぱり聞いてないじゃん!!だからー、今日これからあの''ツヴァイウィング''のライブに行くんだー!!って話」

小町はえへん、と胸を張るとニコニコしながらそんなことを口にした。

「ツヴァイウイング?」

なにそれ?魔法少女的な?それともガンダムの方?お前を殺すの?

俺が聞きなれない単語に反応すると、小町は信じられないものを見た、と言わんばかりに驚愕する。

「…え、お兄ちゃん、ツヴァイウイング知らないの!?今までどうやって生きてきたの!?学校でも定番の話題じゃ…あっ」

おい…あっ、てなんだよあっ、て。

何やら納得しきった小町はウンウンと頷きながら優しい口調で続ける。

「大丈夫だよ!お兄ちゃん!!例えお兄ちゃんが学校で仲間外れにされてたって小町はお兄ちゃんの味方だよ!!…あ、今の小町的にポイント高い」

「…う、うぜぇ」

何故か妹に慰められてしまった。

ったく、軽々しくこういうこと言う奴が妹だから、俺は女子というものがイマイチ信じられんのだ。俺がうざったいと態度で示すと、小町はむーと不満げに唸る。

その相手をしないようにしていると、諦めて話を続けた。

「いい?お兄ちゃん。ツヴァイウイングってのはね、あの風鳴翼と天羽奏のツインボーカルユニットでチケットが出れば即完売の超超超人気アイドルのことだよ!!チケットも基本的にプレミアついちゃって滅多には当たらないんだけど今回なーんと!!小町、当てちゃったんだー!!」

小町は鼻歌混じりにじゃじゃーんと鞄の中から3枚のチケットをとりだした。

その風鳴さんやら天羽さんとか言うアイドルのことはよく知らんが、何やら小町が凄く楽しみにしていることだけは伝わってくる。

「…ほーん、ライブねぇ…」

「およ?お兄ちゃんも興味湧いてきた?」

「いや、全然?」

これっぽっちも興味は湧かない。というか、俺ああいう人混みとか本当嫌いなんだよな…

たまに出掛けた時とか、人混みが多いだけで帰りたくなっちゃうし。

「またまた〜でも、今度また小町が当てた時には連れてってあげるよ。お兄ちゃんのおごりで」

「はいはい…そりゃどーも」

「えー…反応薄いなぁ…小町本気なのに…」

よよよと泣き崩れる真似をする小町。実にあざとい。

女の涙ほど信用のならないものはない。特にこの小町は下の子特有の要領の良さを備えていて兄を利用するスキルにつあては折り紙つきだ。たちが悪い。おかげで俺の中での女性=小町のように男を利用するもの、という刷り込みがされてしまっている。

「俺が女性不信になったらお前のせいだぞ。結婚できなかったら老後とかどうするんだよ」

「そのときは小町がどうにかしてあげるよ?」

にっこり微笑む小町。ずっと子供だとばかり思っていた妹が見せたその表情はどこか大人びていて、俺の鼓動が一瞬跳ね上がったのを身体の内側から感じた。

「頑張ってお金貯めて介護施設とか入れてあげる」

大人びてるというか、ただの大人の意見だった。

「…やっぱりお前、俺の妹だよなぁ…」

思わずため息が漏れ出てしまった。

そんな俺の心情など知られるはずもなく、当たり前のように小町は違う話題に持っていく。

「そいやさー」

「あ?1世風●セピアか?古すぎんだろオイ」

「そういえばさ、だよ、お兄ちゃん。聞き取り悪いなぁ」

「お前の滑舌が悪いんだよ…」

「そういえば、あれから未来さん。うちにお礼に来たよ」

「ああ…そう」

こいつの未来さんというのは、ひょっとしなくても彼女のことだろう。

''小日向未来'' 彼女は俺が今こうして入院生活を送るきっかけになってしまった少女の名前である、

あれは3週間くらい前、俺は交通事故に遭った。朝方、家にMAXコーヒーの在庫を切らしてしまっており、ちょっとコンビニまで買いに行こうかなぁ…と思ってしまったのが運の尽きだ。

七時頃だろうか。家の近くの坂道、普段は近所のおばちゃんやおじさんのランニングコースと化しているその道で、同い年か1つ下くらいの女の子がランニングをしていた。

そこへ、運悪く金持ってそうな黒塗りの高級車がスピードを出して突っ込んで来た。気がついたときには全力で走り出していた。

その結果、救急車で搬送され、そのまま入院。現在にいたる。

事故の結果、おろし立ての服はボロボロ。黄金の左足は亀裂骨折。

もし俺がサッカーをやっていたや日本サッカー界の将来に暗い影を落としていたところである。ほんとサッカーとかやってなくてよかった。

怪我の具合がさほどでも無かったのが救いだ。

救いがなかったのはお見舞いに来たのが彼女を除けば家族だけという部分である。

家族だけが3日にいっぺんやってくる。いや、毎日来てくれよ。

その後、両親と妹で遊びに行くのが習慣になってるそうだ。こないだは寿司食ったとか焼肉食ったとかいちいち報告してきたときはお前を焼肉にしてやろうかと思った。

ただ、それとは逆に助けた少女である小日向未来の方は毎日来ると言ってくれているが、それは丁重にお断りしている。

そもそも俺が勝手にしたことが原因で怪我をしているのに、彼女にそこまで気負われるのは大変心苦しい。

大体、俺が小日向個人を特定して恩を売ったわけでもないのに、何で小日向が個人を特定して恩を返す必要があるのか。

と、似たような内容をいつも彼女に伝えはしているのだが、生真面目な性格なのか2日に一遍くらいの頻度で顔を出しに来る。

そういや、彼女もツヴァなんとかとかいうアイドルのライブを観に行くとか言ってたような…?小町の反応を見るによほど人気なのだろう。

普段申し訳なさそうな表情をしていた小日向であったが、その話の時は多少表情が和らいでいるように感じた。

まあ、その時の俺はそのアイドルに全く関心が無かったし(なんなら今もない)、生返事しかしなかったけどさ。

「でもさ、意外と早く治って良かったよね。骨折じゃ済まなかったかもしれないんだよ?このギプスが良かったんだね。きっと。やっぱ打ち身には石膏がよく効くよねー」

「ばっかお前そりゃ軟膏だっつーの。しかも打ち身じゃなくて骨折だし」

「またお兄ちゃんがよくわからないこと言う」

「だからっ!それはお前だお前っ!」

言っても小町が聞くはずもなく、小町は座っていたパイプ椅子から立ち上がる。

「あ、もう時間じゃん。小町、行くね」

そう言うや否や、小町は病室の出口の方へ向かっていく。

「あのガキ…」

遠ざかる背中を睨みつけていると、病室を出る直前、小町は振り返ってびしっと敬礼してくる。

「行ってくるであります!お兄ちゃんも今度一緒にライブ行こうねー!」

そう言ってウィンクされてしまうと、あんな妹でもちょっとは可愛げを感じる。俺が手でさっさと行けと合図すると、小町はそれを確認してから扉を閉めた。

俺はやれやれとばかりに軽くため息をつくと、読みかけの少女漫画をぺらりと開く。

その時にふと、少女漫画が置かれていた台に目を落とすと、そこには3枚のライブチケットがあった。

「…あのアホ」

すぐさま、松葉杖を片手に病室を出ようとすると、向こうから小町が涙目で走ってくるのが見えた。…おい、病院内で走るんじゃねえよ。

 

小町が去ってから数時間が経過した。

あれからと言うもの勿論俺の病室に訪れるなんて奇異な存在はいるはずもなく、やっと訪れた静かな病室で俺は一人惰眠を貪っていた。

そんな時である。ざわざわと外が騒がしい。

…おい、ここ病院だぞ…

むくり、と起き上がり何事かと辺りを見渡すと、同室の患者は一人もいなかった。

病室の外にでる。

どうやら、がやがやと騒がしい原因は共同スペースから聴こえてくる。

なにやら面白いTVでもやっているのだろうか?

ちなみにこの病院には据え置きのTVは無く、患者個人の持ち込んだ私物か、そうでないなら共同スペースに1つ置かれたTVがあるだけだ。

俺は松葉杖をつきながら共同スペースまで向かう。

そこには多くの患者や看護師がたむろしており、何やらTVに夢中になっていた。

…あん?なんだってんだ?全く、東京2020でもあるまいし…どうでもいいけど東京オリンピックをなんで2020って言うんだろうな、カッコいいと思っているのだろうか??むしろダサくない??

そんなどうでもいいことを考えていると、LIVEと書かれた画面の中でレポーターが緊急です!!と言わんばかりに口を動かしていた。

『大変です!!ノイズが!!ノイズが〇〇会場に大量に出現しました。ツヴァイウイングのライブ中にノイズが…うわああ!!』

そこで中継は途絶え、しばらくお待ち下さいの文字。

頭が真っ白になる。

ツヴァイウイング??確かその名前は…

共同スペースが騒めき立つ。

『〇〇会場ってここからそう遠くないだろう…』

『ノイズだなんておそろしいわぁ…』

『ライブ中の会場なんてねぇ…』

数歩後ずさり、場所と行き方だけ確認する。

思考を止めるのは後でいい、とにかく今は小町達が無事か確かめねえと。

大きく息を1つ吐いてから、全力で松葉杖をつき始めた。

国道に出ると、タクシー乗り場に一台の空きがあった。

全く、ツイているのかいないのかわからねえが、ありがたいので利用しよう。

タクシーに乗り込むと行き先だけ伝えて、小町に電話をかける。…入院にそなえて小遣いを大目にもらっといて助かったぜ。

小町…無事でいろよ…。

何度目かのコールの後、ガチャリと通話に出る音がした。

「もしもし!小町か!?お前、そっち無事なのか!?」

「お、お兄ちゃん…。小町…小町…」

小町の声が震えている。

だが、生きてる。

「よし、無事なんだな、今からすぐ行くから安全なとこに避難してろ、合流場所は…」

ツーツーツーと、通話が切れる。

くそっ…電波の状況が悪い。ますます最悪だ。

だがしかし小町が生きてるならまだ希望はある。とにかく急いでライブの会場に向かわないと。

通話の切れたスマホをポケットにしまうと、俺は松葉杖を握る手に力を込める。

間に合ってくれよ。小町。

俺が会場に着いた時には、日が沈みかかっていた。

辺りには人、人、人のオンパレードで埋め尽くされている。

そこは正真正銘の地獄であった。

悲鳴と混乱が群れを成し、阿鼻叫喚が支配するその場所は、生き地獄というのに相応しい場所である。

俺は小町を探す為にスマホを片手に、会場周辺を叫びながら探す。

しかし、どれだけ探しても小町らしい人影は見当たらず、そもそもちゃんと会場の外に逃げられたかもあやしい。

流石にこの混乱じゃあなぁ…。

なんとかして中に入らないかと規制の敷かれた会場付近を散策する。

いや、ほんとは窓ガラスでも叩き割るつもりだったのだが、会場一体に警備が張り巡らされ、そうそう迂闊なことは出来なさそうだった。

裏口に回る。

というのもここが裏口かどうかわからんが、何故かスタッフonlyと書かれたこの扉だけは特に警備がされていなかった。

おそらく、ここの入り口からアーティストやらが出入りするのだろう。

裏口から侵入し、ズドンズドンと鳴り響く廊下を進む。

ライブ会場とは言ってもそう複雑な造りではないのか、あまり入り組んだ道はない。

案内板を確認して、部屋の数を調べる。

とはいえ、一部屋一部屋小町を探して回る余裕もないので、一番広く辺りを見渡せるメインスタジオから向かうことにした。

通路の終わりが近い。

音につられて進んだ先は大広間。おそらく、ここがメインステージなのだろう。

大広間の辺り一面には、何やら正体不明の化け物達。

その化け物は俺が現れたことなど微塵も気にせずそこで何やら動いている。

これが、人類が恐怖するノイズか…。

見た目は昭和の特撮にでも出てきそうな怪物から凶悪さを抜き取ったマスコットのよう。

ぶっちゃけ、見た目そんな怖そうではない。

ただ、こうもウヨウヨと大量にいると、流石に見てるだけで気分が悪くなってくる。

そこに一陣の風が吹き荒れた。

その風は春の風というには荒々しく、怒涛の烈風とかそんな感じのイメージだ。

その台風は丁度、そこが台風の目と言わんばかりに中央に二人の少女がいた。

少女はこの大量の化け物に対峙するように立っている。

一人は槍を、一人は剣を携えており、対象になるように黄色と青の鎧を着込んでいる。

そして、その二人の少女は辺りに蔓延る化け物を倒して回っていた。

「なんだ…これ…」

槍を構えた少女の周囲には数本の槍が出現し、その何れもが、残らずこの化け物達に向いている。

剣を構えた少女は、絶え間無い斬撃を繰り返し、目に見えない速度で化け物を倒していた。

「お兄ちゃん!!!」

ふと、声がする。

丁度観客席の方だろうか、その声は俺の後ろから響いてきた。

15年も聞いたこの声に間違えるはずもない。この声の主は…

「小町!!」

俺が振り返るとそこには小町の姿が。

小町は俺の姿を目視するや否やこちらに駆けてくる。

「動いてはダメだ!!」

誰かがそんなセリフを口にした。

それは一瞬のことだった。

きっと、瞬きする暇も無かった筈だ。

小町の叫び声に反応した何匹かの化け物達が小町を目掛けて飛んできた。

最初に反応したのは剣を構えた少女。

一瞬にして小町と化け物の間に入り込むと、剣を盾に化け物の攻撃を受け止める。

「うぐッ!!…」

少女の苦痛に耐える呻きが聞こえる。

余程無茶な体制で飛び込んだからか、化け物の攻撃がそれほどまでに凄まじかったからなのかわからない、ただ、剣を構えた少女の剣の刀身はもう半分以上は欠けていて、おおよそもう剣と言うことは出来ないモノに変わっていた。

と、とにかく小町は無事だったんだ、今はここを一刻も早く立ち去らないと!!

そう言って小町の手を引こうとしたその時である。

さっきまで目の前にいた小町の姿が、ない。

おい…どこいったんだよ…こんな時にふざけてる場合じゃ…

今さっき小町がいた場所に手を当てる。

白い舞台に茶色い砂埃、それに混じった黒い灰がそこには残るだけである。

「な、なぁ…おい…そこのあんた、うち、うちの、小町知りません?さっきまでそこにいたアホ毛の女の子なんですけど?」

俺は何かに縋るように青い鎧の少女に尋ねていた。いや、尋ねざる追えなかった。

「…すまない」

少女は逆にこちらが見ていられない程いたたまれない悲しそうな表情で一言だけそう言うと目線を晒す。

すまない?すまないってなんだよ!!

どういうことなんだよ!!つい数時間前まで病室に来てライブのことを楽しそうに語っててそれで!それで!!なんで!!!

「…君はまだ動けるのなら早く逃げて」

少女は目線も合わせずそう口にすると、槍を構えた少女の方へ向かっていく。

「奏」

「…ん?どうした?翼」

青い鎧の少女は槍を構える少女に向かっていく。

「…奏、私のわがままを聞いてくれる?」

「…翼?こんな時に何を…?」

「奏にはずっと歌って欲しい。私が大好きな奏の歌を絶やさないで欲しい…」

「必ず奏を守るから。だから、約束」

そう言うと、青い鎧の少女は化け物の前に立つ。

奏と呼ばれた少女の方は、はぁ、と1つため息をついた。

「あのさ、翼、あたし達は両翼そろって初めてツヴァイウイングなんだ。だから両翼のどちらかが欠けたらそれはもう翼の望む天羽奏の歌じゃないんだよ」

「でもッ!!」

だから…と槍の少女は続ける。

「絶唱ならあたしも歌う。…翼一人にカッコつけられるわけにもいかないしな」

「それはダメだ奏!!」

「…いつか、心と身体全部空っぽにして思いっきり歌いたかったんだよな…今日はこんなに沢山の連中が聞いてくれるんだ。だからあたしも出し惜しみ無しでいく…やろう、翼。両翼そろったあたし達に止められるものはないって!!証明してやろう!!」

「奏…」

2人の少女は何かを決意したかのように並び立った。

『『Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl』』

 

聞こえて来たのは歌であった。

その歌は会場を支配する。

 

『『Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl』』

 

その歌はまるで世界が終わった後も、きっとこの歌だけは紡がれるんじゃないか、そう錯覚させるほど、美しい音色であった。

それを聞いていた時、先程まで混乱していた俺の身体も精神も止まってしまった。

ーー不覚にも聞き惚れてしまった。

彼女達を中心に紫色の光が風となり、辺りを破壊する。

砂塵が舞う。

叩きつける爆風によって会場は崩れ落ち、化け物共々海の藻屑へと消えていく。

…その中で、見た。

青いドレスが翻る。

彼女の鎧は既に解かれ血反吐を吐きながらも俺に近づき、思いっきり突き飛ばした。

「ーーーーー、ーーー、ーーーーーーーーー」

崩れ落ちていく青い姿。

その時、俺は確かに聞いたのだ。

『''私達の歌を聴いてくれてありがとう''』と、

『''どうか私達の歌を絶やさないで''』と。

貴方が生きて私達のことを覚えてくれている以上、私達の死は無駄じゃない。だから。

 

''生きるのを諦めないで''

 

彼女は確かにそう言った。

視界が砂塵に埋め尽くされる。

赤と青のドレスが海へと消える。

その姿が消える前に、俺は確かに受け取った。

それは彼女が付けていたと思われる赤いペンダント。

ーーこれがなんなのかは知らない。

だが、彼女が託した最後の願い(のろい)を受け取ってしまった。

視界が晴れていく。

舞い上がった砂塵と、一層高く積み上げられた瓦礫。

その後には何もない。

地面は大きく抉れ、大部分は下の海へと落ちていく。

黄色と青の鎧を身にまとっていた2人の少女は瓦礫と共に海の底へと消えていった。

「…ハッ、意味わかんねぇ」

ふと、嘲笑にも近い笑いが口元より溢れ落ちる。

なんだってんだよ、俺は小町を迎えに来ただけなんだぞ!?それをノイズだなんだって…

「ふざけてんじゃねえッ!!!」

握りしめたペンダントを海の底に向かって振りかぶる。

これをそのまま降り落とせば二度と彼女達のことを思い出すことはないだろう。

何故かわからないが、そんな確信があった。

「…ちくしょう…」

唇を強く噛みしめる。

口の中に鉄の味が広がり、行き場の無い怒りが当たる先を見失い騒めいている。

へたりとその場に座り込み、殆ど消えた地べたを眺める。

視界が歪み、ぽたぽたと水滴が頬を伝う。

これは涙なんかじゃない、そう自分に言い聞かせ、立ち上がる。

…帰ろう。

どこに?どうやって?何故?もう帰っても家族はいない、ならここでいっそ…

そう言った負の感情が湧き上がってくる。

振り返ると、落ちれば必死の崖。

下は海になっており、万が一にもここから落ちれば生きて帰ることは不可能だろう。

足を一歩前に動かす。

もう一歩。

そして、最後の一歩を踏み出しかけたその時。

『''生きるのを諦めないで!!''』

ふと、彼女に言われたそのセリフが脳裏によぎった。

「っッ!!」

足が止まる。

それ以上先へは一歩も歩けないと、脳からの指令を無視するかのように、ピタリと止まってしまう。

ちくしょう…なんだよ!!なんでだよ!!死ぬことすら出来ないってのかよ。

「…くそったれ」

喉に絡んだものが一息に出てきた。呟いた矛先はどこにあるのかなんてわからない。

だが、その声には苛立ちが、怒りが、そして、ほんのわずか悲哀が混じってることに気づく。

…ああ、本当にカリカリしている。綯交ぜの気持ちだ。

定義することの出来ない感情の塊が勝手に吐き出される。

「ふざけんな。ふざけんなよ…何がツヴァイウイングだ、何がノイズだ、関係ないんだよ、俺にとっては」

誰に言うでもなく、壊れたロボットのように口にする。その言葉に引き寄せられたのか、はたまた生き残りがいたのか、俺は数体のノイズに囲まれていた。

ああ…流石にこれはもうダメかもな…

そんなことを思いながら、首にペンダントを吊るす。

いつもそうだ、いつも、俺は1人だった。

そこに何か解決しなきゃいけないことがあって、それが出来るのは俺しかいなかった。

なら、いつも通りやるべきだ。

俺の世界には俺しかいない。俺が直面する出来事にはいつも俺しかいないのだ。

ドクン、ドクンと心臓から流れる血流の音が激しくなる。

「だから、生きるのを諦めるな?そんなの関係ねぇんだよ。俺の目の前で起きることはいつだってなんだって俺の出来事でしかない。他人のくせして割り込んでくんな」

世界は俺の主観だ。

俺が選択して失敗したなら、それでいい。けれど、その結果を他者に横取りされるのはまるで違う。

それは救済者の振りをした簒奪者だ。

俺は振り返り、一歩踏み出す。

どうせ戻ってもあの化け物に灰にされるだけだ、なら、ここは…。

崖の上から仰向けになって飛び降りる。

他者に俺の人生を奪わせない。

俺は俺の選んだ結果の上に立っているんだ。

だから…これは。

「ーーーーーamenohabakiri tron」

その歌は本当に突然やってきた。

胸の内から流れる演奏に喉が勝手に声を出す。

身体が熱い。そして痛い。身体中を塗り替えられていくようなそんな痛みが身体を襲う。

気がつけば、俺は先程の少女同様、半裸に近い鎧を身に纏っていた。

何コレ…さっきはパニクって何も思わなかったけど、これめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど…。あ、これ、足にブースター?みたいなの付いてんじゃん。こう?か?

鎧の足の部分からブースターを取り出し一気に崖を登る。

よっと…何だこれ、身体能力おかしくねえ?なんか昔こんな漫画読んだことあるぞ?

というか、骨折してたはずの足が全然痛くねえ…なにコレ?オーパーツ?

崖を登りきると、律儀にも待ち構えていたノイズの姿が。

あら…まだ帰ってなかったのか。

どちらにしろこれはマズイ、なんせコイツらは触れた人間全てを灰に変えちゃう化け物だ。いくら超人鎧を着込んだところで触られちゃえばなんの意味もない。

おい、ガ●ツ!!よこすならスーツだけじゃなくて銃も寄越せよ!!

するとブースターを取り出したところから何やらニョッキりナイフの柄ようなモノが飛び出ている。

あ、ここ取り外し式なのか。

俺が柄の部分を掴むと、ナイフと鎧が分離され、二本のダガーが引き抜かれた。

さて、まあ武器も揃ったことだし。

人並みだが仇打ちといこうか、人類の恐怖(ばけもの)さんよぉ。




しゃら〜ん〜♪しゃらららしゃんしゃしゃん〜♪終わるよぉ〜♪
はい、ここまでお送りしてきました。戦姫絶唱シンフォギアとやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。クロスオーバーss、今回もお別れの部分です。
いやー、どうでした?八幡もね翼さんについては複雑な感情を持っているようですが…なんていうかまだ作者の迷走ぷりが序章って感じよね。最新話とか超迷走してるし。これからどんどん迷走道を突っ走っていくんだろうな()。だめだめ、軌道修正はかけなきゃ!!
またね、今回の感想やこーした方がいいんじゃないかなー??や、して欲しいなー!!といったコメントはねドシドシ送って来て下さい!!
本当ね、なんだって構わないので、下ネタでも上ネタでも、口からコットンキャンディ出すやつのでもね、全然いいので!!お待ちしてます!!送り先はこの感想欄にお願いします。
また、次回投稿は未定ですが、なるべく早く投稿できるよう最新話も書いていかないとと思っております!!
それでは、今回はこの辺でお別れということにしましょう!!ここまで読んでくれた方に感謝を込めて、島田ミカでした!!


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やはり俺のシンフォギアはまちがっている(仮)。1

【飛ばしてくれても問題ありません】
注意!!この話は小話の続きになります。そちらをまだご覧になってない方はそちらからお読み下さい。

〜Killter オープニング トーク 〜♪
〜〜ティロティロティロティロ〜〜♪
こんにちは!!島田ミカです!!
このお話は戦姫絶唱シンフォギアとやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。のクロスオーバーを皆さんの応援を力に変えてお届けするssです。
はい、今回もね、やってきました!!ようやく1話ですね…前2つはなんだったんだという感じですが。
さっそくですが、前回のコメントの返信をしたいと思います!!
えー、結論からいいますと、この前書きは辞めません。
ここでインフォメーションもしたいですしー、物語で補足出来るところは前後書きで補っちゃいたいしね。なので、辞めません。お知らせある時だけ書くのもおかしいしね。
ただ、一応不快に思う方ももしかしたらいらっしゃるかもしれないので、頭に〈飛ばしても問題ありません〉の文字を入れておくことにしました!!ほんとね、飛ばしてくれても全然問題ないので、そこら辺よろしくお願いいたします!!
そして、後、オリ主にもしません。何故なら、私が八幡でやりたいから!!それでもいいよー!!という方で、読んで頂ければと思っております。(まあ、私自身が読みたいから書いてるって節も大きいからね)

はい、という訳でね今回は採用されませんでしたが、今後ね、出来る限りはストーリーに還元していきたいですし!!是非、またコメントお待ちしております!!
さて、前書きもまた長くなってしまいましたが!!そろそろ始めて行きましょう!!戦姫絶唱シンフォギア×やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。すたーと!!




…また随分懐かしい夢をみた。

これは、俺が風鳴翼(あのおんな)から天羽々斬(アレ)を受け継いだ時の夢。

全く、ムカつくことこの上ない。

あの女は最後の最後に呪いを残したのだ。

しかも、全く見ず知らずの俺へ向けて…もうこれ通り魔レベルの災害では!??この時、俺はあの女のアンチになることに決めた。

まあ、それはさておき。

その後の展開は別に大したことはない。

俺はあの場にいたノイズをダガーで切り裂くと、ノイズからノイズへまるで渡り鳥が如く飛びついていた。

といってもノイズの量自体も大したことはなく、最初の2割以下くらいの数しかいなかったし、倒し終える頃には俺の体力も底をつき、倒れるように眠ってしまった。

そして気づいた時には変な拘束衣で身体を雁字搦めにされた挙句、筋肉が隆起したゴリゴリのオッさんやコワモテな黒服のお兄さんに囲まれて、なんやかんやしているうちに今にいたる。

…何やかんやってなんだよ。せめてうまうましかじかくらいにしておけばよかったか…。

 

 

HRの終了を知らせるチャイムが鳴り響く。

先程から寝るのに一番いいポーズを探っていたのだが、結論としては、腕と腕の間で首のあたりを挟み、机に突っ伏すのがよさそうだ。これなら顔に寝ていた痕もつかないし。

問題は首と肩と背中が超痛いこと。

とはいえ、こんな程度では浅い睡眠しかとることが出来ず、その上、無理な姿勢を取ったせいかだるさは絶頂に達している。やはり横になって寝ないと寝た気がしない。

さっさと帰って一眠りつくか…

立ち上がってふらふらとする足取りで教室の後ろドアから出て行く。

ドアを開けた瞬間のことだ。

「うわっ!」

「っと、わりぃ」

ドッシーン★とはぶつからなかったものの、胸に軽い衝撃を受ける。ちょうど入れ替わりに入ってきた人と接触してしまったようだ。

おい、誰だよ、『前方不注意の免許取っちゃいかないオブジイヤー』は。

薄めで睨みつけるようにしてそいつの面を拝んでやると、見慣れた銀髪少女がイテテッと頭をさすっていた。

息せき切って教室に入ってきたのは、『本当、お前の運転だけは絶対乗らないオブジイヤー』の雪音クリスだった。

「イテテッ…ったく教室出る時は気をつけろよな…」

「あ、ああ、わりい、ちょっとボーッとしててな」

実のところ今も若干ぼーっとしてる。主に今後の展開について考えると。

「って、八幡じゃねーか!!どこ行くんだ?放課後はあたしの買い物に付き合ってもらう約束だろ!」

「あー…それまだ有効だっけか」

「勝手に水に流してんじゃねえ!!」

それまでイテテと頭をさすっていた雪音がオラッオラッオラッとオラつきながらツッコんでくる。

なんでこの子オラオラ口調なの??ジョースター家の生まれなの??

とはいえ、流石にこのままだとス●ープラチナでも召喚して襲ってきそうなので真面目に答えることにした。

「…わかったよ。で?買い物って、どこ行くんだ?」

「ふふん、それは行ってからのお楽しみって奴だな!!」

楽しそうにドヤ顔する雪音。

う、うぜえ…。

なんかこう、小町とは別ベクトルのウザさを感じる。

「よーし、じゃあ行こうぜ!」

そう言うや否や雪音は俺の腕を取ると、廊下をズンズン進み始めた。ちょっ!?ちょま!ちょまま!!ちょっままま!!見られてる!!見られてるから!!

「…おい」

「あん?ああ、見られてるってか?構うもんかよ!!そんなの」

構う!俺が構うから!!大体ですね、そういう気安いボディタッチが罪ない男子を勘違いさせちゃうっていつも言ってるでしょ!!

俺が振りほどこうとしても、雪音の腕に余計に力が込められ、なかなか振りほどくことが出来ない。

こいつ、意外なほど握力が強え…。

というか妙な角度から腕を取られたので、考え方によっては関節技を決められてるようにも思える。

俺の肘はぎしぎしと嫌な音を立てながら雪音の豊満なバストにちょいちょい当たっている。

…ふぅ。ここまで完璧に腕を極められてしまうとさすがの俺も抜け出すのは困難だな。

悔しいがもうずっとしばらくこの感触に甘んじていなければならない。

いやもうほんと残念。

おっぱいは二つだからバストはバスツと複数形にするのが正しいと思いました。

 

雪音が腕を解放してくれたのは、校舎を出てからだった。…というか、校舎を出るまでの視線が痛かった。

見てくれはアイドル並みの美少女な雪音。そんな彼女に引っ張られる目の腐った男子生徒って…そりゃ目立たない訳がない。

ルンルンと上機嫌な雪音が俺の隣を歩く。それどころか先程までは腕を取られていて、見ようによってはアイドルの何かしらのイベントのように見えただろう。

違うのは3点。まず雪音はアイドルではないという点、次に取られていたのは肘関節であった点、最後に俺はまったく嬉しくないしうきうきもしていない点である。

雪音の胸に肘の先が当たっていたが嬉しくない。大体彼女といると何かしらのトラブルに遭遇するのだ。

雪音はポケットから携帯を取り出すと何やら調べている。

「で、どこ行くんだよ」

「確かこっちの方だったと思うんだよなぁ…なあ、八幡は甘いものとか好きか?」

不意にそんなことを聞いてくる雪音。

「甘いものか。…これかな」

鞄から取り出したのはもちろんMAXコーヒー。なぜならこれもまた特別な存在だからです。

マッ缶を手に取ると、雪音の怪訝な視線が向けられる。

いや、その疑いのまなざしおかしいでしょ…。甘いもの貰うとき、これ貰って嫌な顔する千葉人はいない。と言いたいところだが、みんな結構微妙な顔するんだよなぁ…。

この間、二課で友里さんに何か飲みたいモノを聞かれた時にあったかいものくれるならMAXコーヒーのホットが欲しいと要求したら断られちゃったし…。

じっと缶を見つめていた雪音がボソッと呟く。

「…そんなん家で簡単に作れんじゃねーか」

「ばっかお前、ふざけんな、マッ缶なめんな。ただのコーヒーに砂糖と練乳入れればいいとか勘違いしてんじゃねえだろうないい加減にしろよマジで」

「お、おう…なんか釈然としねーな」

当たり前だろ。コーヒーに練乳入れただけのとはわけが違う。むしろ、練乳にコーヒー入れたって言われた方が納得するレベルなんだぞ。普通に成分通りにやってあのもったりとした甘さが出るはずがない。素人が安易に手を出していいもんじゃねぇ。

「って!聞きてーのはそういうことじゃなくてだな」

「なんだよ、じゃあ予算か?安心しろ。マッ缶なら買う店を選んで箱買いすれば100円以下で買える」

「どんだけMAXコーヒー(それ)好きなんだよ!!」

「なかなか甘い汁吸えないからその反動でな。吸ってんの、いつも苦汁とかばっかりだし」

へっと思わず苦笑いすると、雪音は呆れ顔で返答した。

「苦汁は吸うもんじゃなくて、嘗めるモンだろ…」

「いいんだよ、別に。結果苦しみ成分摂取してることに変わりねぇんだから。その分こっから先は甘い汁だけ吸って生きてたいの」

「…八幡が嘗めてんのは苦汁じゃなくて人生だったな…」

ふーっと雪音が深々とため息を吐いた。いや、ほんとおっしゃる通り。俺ってば苦汁ぺろぺろしてるし、人生もぺろぺろしてる。以上のことから人生=苦汁と言えるので、人生は苦しい!

そんなくだらない話をしながら、校門から中央の歓楽街へと続く道のりを歩く。

このあたりは飲食店や娯楽施設、商業施設が立ち並ぶ部分で、休日ともなれば多くの人が行き交う。平日も夕方頃には学生たちがよく立ち寄り、俺にとっても馴染み深い場所だ。

このまま進んでいけば映画館や書店、ゲームセンターといった施設が集中する俺の行き慣れたエリアに行きつく。

そんな時だった。

「…これって」

「…ああ」

普段この通りは人通りも多く、この時間帯は混雑しているのが通例だ。

だが、おかしい…あまりにも人が居なさすぎる。

ふと、近くにあったコンビニのレジ台。

黒い粉のようなものが宙を舞う。

これは…この感じ、まさか!?

すぐさま通信機を取り出し、特異災害対策機動部二課へ連絡しようとした矢先、ポケットに入れてあった通信機が鳴り響いた。

「…もしもし」

『八幡!クリス君!聞こえるか!』

野太い声がスマホ越しから聴こえてきた。

電話の声の主、こと現在俺の身元引受人である風鳴弦十郎さんである。

『現在、北海岸沿いにある〇〇工場とそこから南に2キロ程離れた市民公園を中心にノイズが発生している。すぐさま出動してコレを撃破してくれ!頼んだぞ』

「…了解」

「まかせろ!」

俺と雪音は同時に通信機を切ると、俺は工場へ雪音は公園へ、二手に分かれることにした。

「…ったく、しょーがねー。せっかく八幡と人気のケーキ屋行こうと思ってたのによ」

「え、何それ、俺初耳なんだけど」

別れ際、そんなことをのたまう雪音。

しかも雪音が指名したその店、確かかなり並ぶとかなんとか聞いたことあるんだけど…

「あん?そーだったか?まあ、いいじゃねーか!細かいこと気にすんな!!」

雪音がバシバシと強めに俺の背中を叩いた。

ちょっ、痛ッ!痛いっつーの!

「…怪我だけはすんじゃねーぞ」

「…お互いにな」

互いに数歩進み、赤いペンダントに手をかける。

…さあ、出番だぞ天羽々斬(やくたたず)

ーーーー

俺が工場にたどり着いた時にはもう日は沈みきっていた。

死を思わせる寂れた空気。所々色褪せた青ペンキ。先程まで稼働していたのか、ウォンウォンと動いている機械もある。

裏口から侵入し、湿った暗闇を進む。パニア板で閉め切った半端な闇だ。

人工の灯りは必要ない。

装飾の無い剥き出しのコンクリート。うっすらと先が見える通路はどこぞの石窟寺院を思わせる。

そんな時、こんな工場にはいるはずもない、少女の声が聞こえた。

「お母さん?お父さん?どこ?」

少女の声に引き寄せられたのか、ノイズが少女を囲み始めている。

ちっ。

心の底で舌打ちが出る。

なんならおそらく本当に舌打ちしてる。

なんだってこんなところに迷子がいるのか…

これじゃあまるで…ライブ(あのとき)の焼き回しじゃねえか。

…仕方ない、ここまできたら好き嫌い言ってる場合じゃねえ。

「melacholl amenohabakiri tron」

口にした聖詠に呼応するように胸に歌詞が涌き出でる。

ノイズは触れれば灰になる人類に敵対的な認定特異災害だ。

基本的に人類側にはノイズに対し有効手段は存在せず、一般的な対処法はノイズが一定時間で自壊するまで逃げることのみとされている。

基本的には。

…ただ、そこに例外は存在する。

FG式回天特機装束:通称シンフォギア 。

特異災害対策機動部二課所属の技術主任櫻井了子の提唱する「櫻井理論」に基づき、神話や伝承に登場する超常の性能を秘めた武具「聖遺物」の欠片から作られたソレはノイズに対する唯一の装備である。

首に下げたペンダントは分解され、鎧となって俺を包む。

二本のダガーを足元の収納スペースから引き抜くと準備完了。

「…怪我とかしてないか?」

俺がその少女に声をかける。

しかし、半裸の鎧男(+刃物)と幼女ってなんとも絵面がヤバイ。これ、通報されたら一発アウトな気がしてならない。

幼女は泣き腫らした目を擦りながら質問する。

「お兄ちゃんだあれ?」

「…パ〇オンマスクだよ」

和〇先生!!すいませんしった!!!

 

 

倒しても倒しても減らないものなーんだ。

ノイズ。

虚ろな目でノイズを倒しながらそんなことを考えていた。

というか、後ろの幼女を守りながら戦うのが結構キツイどころか普通にキツイ。

1人ならば適当にあしらった後、一箇所に集めて纏めて撃破という手段も取れるのだが、今ここを少しでも離れればノイズの一斉攻撃によって幼女は灰になってしまう。

幼女から一定の距離を保ちながら、襲いかかってくるノイズを倒す。

つってもジリ貧だが、雪音が向こうを終わらせて駆けつけてくれればまだこちらにも可能性がある。それまではなんとかしてこの幼女を守りながらノイズとフォークダンスを踊らなければならない。

と。シンフォギアのヘッドホンから聞きなれた電子音が鳴り響いた。こういう時このガラクタは便利でいい。わざわざ携帯をポケットから取り出す必要もない。

二課からの連絡か。雪音が本当に終わってすぐこちらに来てくれれば心強いが、まあ無理だろう。

「もしもし、弦十朗さ」

二課からの通信を傍受しようと耳に手を当てる。

瞬間、ノイズは俺ではなく後ろの少女目掛けて総突撃してきた。

「しまっ!?!!!?」

 

頭がショートする。

天羽々斬(コイツ)を投げれば間に合うか!?

いや、不可能だ。

例え忍術を使ったところで、全方位からくるノイズは避けられない。

また、助けられないのか。

俺は、また、小町のように目の前で見殺しにするのか。

…ふざけんな。

頭にきた。

なんで、こんな小さな子が、訳もわかんねーようなこんな間抜けな形をしたバケモンに、食い物にされなきゃなんねえんだ!!

誰でもいい…何でもいいから!このクソった現実をなんとかしやがれ!!

 

ソレは闇の中から現れた。

思考が停止している。

そんな…ありえない、ソレが今ここにあるハズがない。

ソレは少女に襲い掛かるノイズを叩き潰すとこちらをちらりと覗き見る。

そんな…どうして。

通信機から弦十朗さんの声が響く。

奇しくも俺も全く同じ気持ちだ。

暗闇の中でも見間違えるハズもない、それはかつてあの会場で目にした天羽々斬(コレ)とは異なるもう一つの鎧。

 

『「ガングニールだとぉ!?」』




しゃら〜ん〜♪しゃららしゃんしゃしゃん〜♪

ここまでお送りしてきました。戦姫絶唱シンフォギアとやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。クロスオーバーss、今回もお別れの部分です。
はい、ということでね、絶対絶命の八幡の前に現れた謎のシンフォギア奏者ってところで終わりです。
少しでも続きが気になってくれるなんてことが有れば、作者としてはこれ以上嬉しいことはないワケですが、如何だったでしょうか。
またね、本当はこの話ももう少し経ってから投稿しようと思っていたのですが、まあ、最新話が3分の1くらい書き終わったからいいかな、と思ってね、投稿しましたまる。はい。
そして今回も、毎度毎度のことで恐縮ではありますが、今回の感想やこーして欲しいな!!みたいな願望があればドシドシ送って来てください!!お待ちしております!!
まー、今回はね、期間も短かかったし、お知らせすることも特に思いつきませんし、ネタも出て来ないのでこの辺で〆させてもらいましょうかね。
それでは、今回はこの辺でお別れということにしましょう!!ここまで読んでくれた方に感謝を込めて、島田ミカでした!!


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やはり俺のシンフォギアはまちがっている(仮)。2

【飛ばしても問題ありません】

〜Rei オープニングトーク rei zizzl〜
〜〜ティロティロティロティロ〜♪
こんにちは!!島田ミカです!!
このお話は戦姫絶唱シンフォギアとやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。のクロスオーバーを皆さんの応援を力に変えてお届けするssです。
や、ややや、皆さんどうもこんばんは!現在2019年1月29日です。
投稿中のね、時刻は0時を回っています!
ということでね!!今回はあまり脱線しないでどぅんどぅん先に進めたいと思ってます!!
いやー、二話目ですよ二話目。本当はね2月1日以降に投稿しようと思ってたんですけどね。まあ、最新のストックも出来たし、タカキ頑張ってるし、もういっちゃえ!!ってノリで投稿しちゃいました!!
…止まるんじゃねーぞ…ってね、今後もどんどん投稿していこうと思います。
またね、シンフォギアだけでなくfateクロスの方も是非読んで頂ければなお幸いです。
こっちはね、俺ガイルとfateのクロスssとなってまして、マスター7人とサーヴァントがなんやかんやするfate系ssです。(fateキャラが出るとは言っていない)
まだ1話にも到達してないんですけどね、今後も頑張っていきたいと思ってますので、よろしければご一読下さい。
さて、前置きもここまでにして、早速始めて行きましょう!!
戦姫絶唱シンフォギア×やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
すたーと!!


「しまっ!?!?!?」

全方位からノイズの群れが後ろの幼女に襲い掛かる。

やべぇ、間に合わねえ!!

俺が手を伸ばそうとしたその瞬間。

 

『Granzizel bilfen gungnir zizzl』

 

その歌声は闇の中から現れた。

思考が停止している。

そんな…ありえない、ソレが今ここにあるハズがない。

ソレは少女に襲い掛かるノイズを叩き潰すとこちらをちらりと覗き見る。

そんな…どうして。

通信機から弦十朗さんの声が響く。

奇しくも俺も全く同じ気持ちだ。

暗闇の中でも見間違えるハズもない、それはかつてあの会場で目にした天羽々斬(コレ)とは異なるもう一つの鎧。

『「ガングニールだとぅ!?」』

 

現れた少女は難なく辺りにいたノイズを葬ると、俺に向かって話かける。

「ハロハロ、助太刀は必要無かったかしら?」

「あっ、え?は?…あっ」

混乱してつい二課からの通信切っちまった…

え、本当、誰!?

その鎧姿は間違いなくあの時、天羽奏が纏っていたソレと同じだ。

しかし、彼女の身に纏っているガングニールは天羽奏が着けていたソレと比べて、カラーリングが異なっていた。

黒を基調とした鎧に、黄色と赤が混じり合った槍。

全てが対局にな色合いであるにも関わらず、コレがあのガングニールであることだけは否が応でもにも俺の身体が覚えている。

「っと、話は後!今は周りのコイツらを片付けるわよ、着いて来なさい!!」

黒色のマントが翻る。

黒いガングニールを身に纏う女性が槍をノイズに向けるとそう口にしてノイズ掃討に身を乗り出した。

…いや、だから、アンタ誰よ!?

 

 

そこから先はあまり大した戦闘ではなかった。

黒いガングニールの女性が前衛で切り込んだ残りを俺が拾う、そんなことを繰り返しているうちにみるみるノイズが消えていった。

辺りにいたノイズはほぼ全滅し、後には灰が宙を舞っている。

一方、幼女はといえば途中から気を失っていたのか、今は俺の背中でスヤスヤと寝息を立てている。

先程、二課に連絡を入れておいたのできっとすぐに親は見つかるだろう。

「お疲れ様、貴方が日本のシンフォギア奏者ね、よろしく」

スッと伸ばされる手。

勿論、手の主はガングニールを身に纏っていた少女である。

今はもうノイズが現れる危険もないと判断したのか、シンフォギアすら解除していて、その中身を露わにしている。

どう見ても日本人とは思えない水色の瞳にピンク色のネコミミ風ヘアースタイル、女性にしては高い身長に抜群のプロポーション、見てくれだけで言えば、そこらのアイドルやモデルなどモノともしない美人だ。

ただ、彼女はあの日俺の目の前で死んだツヴァイウイングの1人''天羽奏''のガングニールを身に纏って現れた。

決して油断していい状況ではない。

「…貴女は一体…それに、どうしてそのシンフォギアを?」

すぐに装着できるように天羽々斬に手を伸ばしつつ質問をする。

すると少女は驚いたように瞬きを二、三度繰り返えし、呆れたように返答した。

「…貴方、もしかして、櫻井了子から何も聞いていないの?」

あん?櫻井さんから?

一体何の話だよ…

話を続けようとするも、俺の声が発せられる前にドンドンと工場の正面に位置する扉が叩かれた。

さらに加えて言えば、なにやら聞き覚えのある声もする。

目の前の少女はチラリと扉を見ると''開けてきたら?''と言わんばかりに俺に視線を向ける。

ええ…俺が??

あの扉の向こうにいるのは誰なのかは声を聞けばなんとなく察しはつく。

先程までは願ってもない来訪者だが今となっては彼女の存在は話を拗らせかねない。ちょっと残念な子なのだ。

そうこうしているうちに、目の前の少女は''早くしなさい''と催促の視線を向けて来た。

………。

……。

…。

…本当に全く関係は無いのだが、ベートーベンでおなじみのダダダダーンというアレは運命が扉を叩く音だとか聞いたことがある。だとすれば律儀な運命もいたもんだとすら思う。

今、扉を叩いているのは俺の同僚であり、また二課の人だろう。要は仕事を持ってくる人だ。

つまり、運命=仕事であり、働かないで生きようと思う俺は運命に抵抗せんとする勇者であり、是非とも俺の人生を「働く運命にあらがうRPG」というジャンルでゲーム化するべきだと思うのだ。

そのロイヤリティで働かずに食っていきたい。

そんな馬鹿げた現実逃避をしていても仕方ないので、質問を中断しつつ扉を開いた。

「よう、そっちも無事片付いたみてーだな」

そんなことをのたまいながら人影。

ノッキンオンヘブンズドアーの正体はやはり雪音クリスと二課の面々だった。

 

特異災害対策機動部二課の本拠地は俺達の通うリディアン音楽院高等科の地下にある。

俺も始めはよく(意味が)分からなかったし、なんならこれ考えた奴頭オカシイんじゃねーのとすら思った。

まあ、これがまた意外と効率的なのだ。

おそらく、設計者の趣向も関係しているんだろうな…あの人、以外とアレでアレな人だし。

あの戦闘後、連れていた幼女を友里さんに預け、まずは謎のシンフォギア奏者を二課に連れていくことになった。

三人して地下一直線なエレベーターに乗って本部を目指していた。

「…驚いたわね、まさか二課の本部が音楽学校の地下にあったなんて」

先程からキョロキョロと学園内を見渡していた少女が驚いたように呟く。

まあ、リディアンの内情を知らなければ当たり前の反応っちゃ当たり前だな。

しかし、そもそもシンフォギアのような歌を媒介にする兵器を除いたとしても音楽と学生とは切っても切れない縁があるのだ。

例えば合唱コンクール。

ていうか、なんでリア充グループは合唱コンクールの練習で喧嘩すんの?

『男子がちゃんと歌ってくれない!』っていって女子が100%泣く。で、クラス全員が追いかけるんだよな。わかりやすいテンプレ青春イベントだ。

で、実際は

『ていうか、M子、なんで急に泣いてんの?ウケる』

『いや、ウケるっていうかちょっとイラッと来たんだけどー』

『わっかる!あの子仕切りたがりだからねー!』

『…っていうかさ、戻ってくんの遅くない?迎え、行く?』

『あー、あれじゃん?みんなで行くやつ?やっば、うちら今超青春してなーい?』

みたいなやりとりがあるんでしょ?いやー、ほんと青春を謳歌するとはよく言ったものですよね。素敵!

「それに貴方達…」

少女の視線は俺と雪音を交互に見渡す。

なんかこう、美人に見つめられると背筋がブルっと震える。

普段、雪音や二課以外の人間と接触しない弊害からくる防衛本能からなのか、なんともむず痒い。

「…なんだよ、ジロジロみてんじゃねーよ」

雪音はそんな視線がカンに触れたのかご立腹のようだ。

…というか、コイツさっきから妙に機嫌悪いんだよなぁ、なんなの?

俺としてはこの妙にピリピリした空気からさっさと逃げたいどころか、早く帰りたいまである。

ああ…本当、帰りたいなぁ…。

 

 

「ようこそ!!マリア君!!了子君から話は聞いた!!我々特異災害対策機動部二課は君を歓迎する!!」

そんな陰々鬱々な空気を漂わせていた俺達一行を迎えたのは、誰かの誕生日会でもやろうかといった雰囲気の宴会会場であった。

いや、俺誕生日会とか誘われたことないから知らんけど…まあ、だいたいこんな感じだろう。

というか、弦十郎さんなんてパーティキャップにクラッカーも持参してるし。

「え、ええ…ありがとう」

マリアと呼ばれたその少女も頰を若干引攣らせながら返答している。

さしもの彼女すら状況がイマイチ掴めていないらしい。

このままじゃ埓ががあかないな…

仕方ないので、弦十郎さんに状況説明を求めることにした。

「…それで、これは一体どういうことなんですか?」

「?これと言うと?」

「いや、だから、彼女が一体誰か、とかそういうことですよ」

いや、わかるでしょ、わからんか?わからんな。

その答えは別の人物からもたらされた。

「そこは私が説明するわよ」

で、でたー!!二課の行き遅れ…じゃなくて二課が誇る天才発明家!シンフォギア システムの発案者こと櫻井了子その人である。

「…八幡君。後で話があるから私の研究室(ラボ)に寄りなさい」

…ちょっと、この人本気です怖いんですけど!?何、エスパー?、いや、この人なら出来そうという妙なリアリティがあるのがまたタチが悪いんだよなぁ…。

「彼女は米国連邦聖遺物研究機関・通称F.I.Sから来たエージェント…そうね、米国版の二課とそのシンフォギア奏者と言ったところかしらね。今度日米で行われるある実験のためにちょっと早めに来てもらったのよ」

「実験…ですか」

「ええ、内容は近々発表するつもりよ。それに彼女は以前FISに預けていた、奏ちゃんとは別のガングニールの適合者。やっぱり奏者同士の交流は大切だとは思わない?」

櫻井さんはそっと俺の耳元までくると''こんな美女ばかりに囲まれてラッキーね''とかなんとか抜かしてくる。…いや、普通にやり辛いだけなんですけどね?

まず、現実的に異性だらけの職場の居心地の悪さは異常。

それがうっかり誰かの着替え中にでも入ったが最後、それはもう虫を見るかのような視線が一日中続くのだ。俺の場合のみ。

お、おかしい…。二課には俺の他にも男がいるのに!これ差別?ねぇこれ差別じゃないですか!

まあ、そんなことはともかく、だ、やはりあのシンフォギアはガングニールなのか…彼女(あもうかなで)の物以外にガングニールがあったことも驚きだが、それに適合する奏者が現れたことにも驚愕を禁じ得ない。

「FIS所属のマリア・カデンツァヴナ・イヴよ、改めてよろしく。えっと…」

マリアさんたらいう少女に促され、俺は会釈してしまう。

多分このまま自己紹介タイムに入る流れなんだろう。

「比企谷八幡です」

マリアさんはスッと右手を出してきた。

…ああ?握手?なんでこうイケイケリア充っぽいやつはこうも距離が近いのだろうか?まったく、ほんとアメリカ人かってんだよ。いや、アメリカ人なんだろうけどさ。

「ど、どうも…」

おかげでどもった声が出てしまった。

出された手を握り返すと、マリアさんはニコリと微笑む。

その笑顔はきっと見る者全てを魅了するのではないか、そう錯覚させるほど、絵画じみている。

さらりと揺れるピンク色の髪も、白く透き通るようなきめの細かい肌も、潤んだ大きな瞳も、形のいい桜色の唇も。

これにはさしもの俺も、本当に美人だなこの人と認めざるを得ない。

さて、彼女の素性は分かったが他にも聞かなきゃなんねーことが幾つかあるな。

と、横で『むー』と唸ってる変な生き物がいた。

「…何、そんなとこで唸ってんだよ」

見れば、雪音が今にもマリアさんに食ってかかりそうな勢いで唸っていた。

「ちょっと待て!あたしはコイツを仲間として認めたワケじゃねーぞ!!」

そう勢い込んでから、雪音はビシッとマリアさんを指差した。

「しかもFISからのエージェントだと!?冗談じゃねぇ!!あんなとこの奴のことなんか信じられっかよ!」

「あ?お前何言って…」

いや、まてよ、確かコイツ、俺達が南米で救出作戦実行後、日本で居住環境が整うまでアメリカの組織で一時的に身柄を保護されていたんだっけか?それと何か関係が??

「…クリス君がFISについて思うところがあるのは知っている。だが、今回の件とは全くの無関係だ。そこは分かってもらえないだろうか?」

弦十郎さんが難しい表情を浮かべながら雪音を説得するために口を開く。

おそらく、弦十郎さんとしてもあまりFISとやらがやってることについて快く思っていないのだろう。

しかし、政府の上層部やその他の皆が決めた決定であれば、弦十郎さんや雪音がいくら反論しても決定が覆ることはない。

雪音はキッと音が出るくらい強く弦十郎さんを睨みつけるとそのまま視線だけで俺に向けた。

「八幡は…どうなんだ?」

どうと言われてもな、俺はそもそもFISとやらがどんな組織か知らんし、考慮する材料がない。

なら、俺が言うべきことは何だろうか。

「…まあ、別にいいんじゃねえの。今時労働力の確保って結構難しいし。ブラック企業ですら最近はすぐ労基に駆け込まれたりすんだから」

いつものように適当ぶっこいて思いついた端からいかにも俺らしいことを口にする。

結論ありきで過程も何もあったものではない思いつきにしてはなかによく出来たセリフだ。

やりがい搾取、サービス残業、週休二日(週二日休めるとは言っていない)。…ああ、素敵な響き。

と、悦に入ってるのは俺だけだった。

当たり前だね!弦十郎さんも雪音も苦い顔してしょっぱい視線を俺に送っているし、なんならマリアさんも若干引いている。

「チッ、あーそうかよ。勝手にしろ」

雪音は舌打ちをするとそのまま踵を返す。

普段より早い足取りで雪音は歩く。

けっして、振り返らず、そのまま本部を出て行った。

「私、何か彼女に悪いことしちゃったかしら…?」

「…クリス君もここに来るまで色々とあったんだ、すまんが大目に見てくれると助かる」

そんなマリアさんや弦十郎さんとは対照的に櫻井さんは何か含んだように微笑む。

「あの子も女の子してるわよねぇ…ちょっと羨ましいくらい」

「は?」

突然何言い出すんだこの人。

今の会話のどこに女の子要素があったのか。

普通、女の子との会話ってもっとこう、心踊るもんなんじゃねえの??心沈みしかしねぇよ。これなら普段俺が会話しているぬいぐるみのほうがよっぽどいいよ?口答えしないし、にこやかに微笑みかけてくれるし。

「もう!他人(ひと)の心の機微に敏感なくせに、こういうところは鈍感なんだから…本当あの子も大変ね」

何だこの人…。

俺は思わず苦笑してしまった。

俺が鈍感?いやいや、むしろ敏感な方だ。

敏感で、過敏で、過剰に反応してしまう。

世の中の男子の八割は常に『こいつ俺のことすきなんじゃね?』という想いを抱きながら生きているのだから。

だからこそ、自分を自ら戒める必要がある。いつだって、冷静で冷徹な自分が『そんなわけないだろ』と冷ややかな視線を向けてくるのだ。

俺は他人をさして信じていないが、それ以上に自分という存在を信じていない。

とまあ、うんざりして軽く論破の一つもしてやろうかとすると、櫻井さんは俺の目をじっと見てから肩を竦めた。

「何か言いたそうにしているけど、君のそういうところがつくづく鈍感なのよ」

「…そうっすか」

「そうよ。まあ、とにかくあの子ことは貴方に任せるわ。というか、あの子自身と貴方でしか解決出来ない問題よこれは」

''頑張りなさい''っと俺の背中をポンと叩いて、小さな声で呟いた。

「…貴方はまだ好きでいてくれる子がいるのだから」

その声音に振り返った時には、櫻井さんはんーっと肩こりをほぐすように大きく背伸びをしていて、どんな表情をしていたかはわからない。

こきこきと首を鳴らして、俺に向き直った時にはいつも通りの櫻井さんだ。

櫻井さんはニコっと微笑むと弦十郎さんやマリアさんの方へ進んでいく。

俺はただ黙ってその背中を見つめていた。




しゃら〜ん〜♪しゃらららしゃんしゃしゃん〜♪

ここまでお送りしてきました。戦姫絶唱シンフォギアとやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。クロスオーバーss今回もお別れの部分です。
ということでね、前回、八幡を助ける為に現れたそのキャラとは!?
''何故そこでマリア!?!?''
はい、名言をアレンジして…はいって感じですけれども。おやおや?クリスの様子が何やら変だぞ??と読んで頂いた方は感じて頂けたかと思うのですが。
それもそのはず、ここ完全なオリ展開なのよね…ここから迷走していきます(断言)…いやいや、修正していかないと!!
というわけで、ちょこっとだけこの場を借りて補足させていただきます。
本来原作のクリスはバルベルデ共和国の捕虜から救出後、即行方不明という展開を辿っています。
しかし、本作では国連軍が彼女を発見する前に八幡達による雪音クリス救出作戦が実行されたため、クリスは最初から二課の一員として活動しているという設定です。これに伴って、彼女の日本での生活環境が整うまでの間アメリカのとある組織に身を寄せていた、という経歴があります。
…この時にちょっと色々あったのよね…、まあ、そこら辺の話は次回またします。はい。
そして今回も、毎度毎度の事で恐縮でございますが、こーしてほしいな、や、こんな感じだったらなーといった感想がございましたらドシドシ送って来てください!!お待ちしております!!
さて、今回の話はここらで〆させて頂きましょう!!
ここまで読んでくれた方に感謝を込めて、島田ミカでした!!


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