Aqoursな日々 (A×K)
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1話

ラブライブ!サンシャイン!!の映画見たら 再熱しました。
曜ちゃんと梨子ちゃん可愛い(^p^)

基本的にメインは2年生ですがもちろん他のメンバーも出てきます。

駄文低クオリティですが、よろしくどうぞ。


─────4月。

 

新しい地に立つと、早速カモメからの歓迎を受けた。

大きく伸びをする。その先には大きな海が広がっていた。

 

「─────んんー…疲れた…。」

バス停を背景に周辺を見渡す。

ここは、静岡県沼津市内浦。

東京から電車でおおよそ2時間くらいの所だ。

 

「よっ、と」

防波堤の上に座り、暫し波の音と風に耳を傾けた。

 

自己紹介がまだだった。

俺の名前は冴木 悠(さえき ゆう)

高校2年生の至って普通の高校生。

────彼女?なんだろうな、それ。

特に優れている物も持ってないLOVE&Peaceな一般人。

 

さて、俺がなんで内浦に居るかと言うと話は遡ること1ヶ月ほど前。

 

────────────────────────

 

「…………赴任?」

「うん…ちょっと海外にね」

それは夕食の時突然聞かされた。

因みに父親は居ない。

なんで居ないのか分からないが…まぁ、昔の事だから気にもとめてない。

 

「それじゃあ、俺も?」

「その事なんだけどね…」

 

悩むように、考えるようにじっと一点を見る母。

何かを決意したのか、突然席を外した。

 

 

 

 

 

 

 

10分……15分程すると戻ってきて一言。

 

「貴方、一人暮らししてみなさい。」

「はい…?」

その言葉の意味がわからないままでいた。

「いやいやいや…高校2年になった途端に一人暮らしって…」

「そう言うと思って、宛てはちゃんとあるし話もつけてきたわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

「…と、言われて渡されたメモがこれかい」

ポケットから1枚の紙を取り出す。

場所と名前が書いてある……【だけ】の紙が。

 

 

「普通新天地に来たらこんな紙1枚じゃわかんないでしょ…まぁ、携帯もあるからいいけど…」

そういう所はなんとも母親らしいと思いつつ、携帯と

にらめっこをし目的地に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

歩くこと1時間ほど。

着いたのは……………………………。

 

「おおお…立派な旅館…。」

ホントにここか?と少し疑ったが間違いない。

確認のため中に入ると。

 

「あ、君が悠くんかな?」

なんとも、物腰の柔らかい女性が出てきた。

「あ、はい!冴木 悠です!」

「あらあら、元気ねぇ。高海志満です。

よろしくお願いしますね」

志満さん…うん、すごく優しそうな人だ。

 

「あと、2人紹介したい人がいるんだけど…まだ帰ってきてないからちょっと待っててね~」

 

そう言うと俺は志満さんに案内され部屋へと向かった。

その道中で聞いたのだが、高海家は三姉妹でその三姉妹の母親がウチの母親のと旧友だったそうだ。

 

因みに費用だの学校だのは全て手を回してあるそう。

…どんだけ用意周到なんだ、うちの母親。

 

「ここが悠くんの部屋ね。

一応お客さん…って立場でいいのかしらねぇ~?」

「あ、いえ、普通に接してもらった方がありがたいです

俺もお手伝いなり力仕事とかやりたいですし」

 

当たり前だが据え膳なんかするつもりは全く無い。

 

「よく言ったぁ!」

勢いよく扉が開いた。

 

「あら…美渡、帰ってきたの?」

「んいや、ちょっと野暮用で戻ってきた」

この人が…美渡さん?

 

「悠…だっけ?よろしく」

「あ、冴木 悠です…よろしくお願いします」

「これからバンバン手伝ってもらうからな~!」

背中をばしばし叩いて笑いながら言う美渡さん。

「いてて…よ、よろしくお願いします」

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

夕方。

 

バタバタと隣の部屋が騒がしい音がした。

しばらくすると、志満さんの声が聞こえた。

そのすぐあと。

 

「こんにちはー!」

…とても元気な子が来た。

 

「おー、ホントに男の子だ」

物珍しそうな目で見続ける女の子。

歳は…同じくらいか。

頭のてっぺんにある毛が右に左にふらふらと揺れる。

 

「あ、自己紹介まだだったね

私、高海千歌!よろしくね!」

「あ……冴木 悠、よろしく」

 

物凄く明るいスマイルに飲み込まれそうになりつつも話を続ける。

「部屋は私の隣なんだね、良かったら部屋においでよ!」

「うえっ!?」

いきなり女の子の部屋に入るのは流石にハードルが高い…というかなんでこの子そんな積極的なんだ?

 

最近の女の子はこんな感じなのか?

流石に年齢=彼女いない歴の俺には強敵すぎる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

そして歓迎会も兼ねた夕食を済ませ

湯船に浸かり今日1日を振り返る。

 

「ふあああああああ………」

温かさが身に染みる。

 

「明日は~……あ、学校か」

ついに転校先に学校へ明日登校する。

 

 

 

 

「確か学校名は~…………」

天井を見つめ母親からの言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「''浦の星''………だっけ?」



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2話

緋炉さん、お気に入り登録ありがとうございます。

今回は学校へ初登校!
ここでも賑やかな事態に巻き込まれる…?


「ねぇ~~~ほんとーにそこで合ってるの~?」

 

朝、千歌がジトーっとした目で俺を見てきた。

「嘘なんか言わないって」

因みに今は朝食を頂いてる。

 

「いや、だって…………ぶつぶつぶつ」

何やら独り言を呟いている。

俺が登校する学校を言ったらずっとこの調子だ。

 

「あ、いけない!そろそろ遅刻するよ!」

のんびりしすぎたのか時刻は8時前になろうとしてた。

 

「マジか、急ごう」

「はーいっ、いってきまーす!」

バタバタ身支度を済ませながら学校へ向かった。

 

 

 

───────────────────────

 

 

旅館十千万から学校へはバスで行く。

(因みに昨日歩いていったが、駅から十千万へもバスで行けると千歌から聞かされた…)

 

「あ、おはよう千歌ちゃん」

「おはヨーソロー!」

バスを待っていると声を掛けてきた女の子が2人。

千歌ちゃんの友達?だろうか。

 

「あ、おはようっ。曜ちゃん、梨子ちゃん」

しかし2人の視線は直ぐに俺の方を向き。

 

「「…………彼氏?」」

細い目をしながらじーっと見られた…。

 

「あは、あははは……」

これには千歌ちゃんも苦笑いを浮かべた。

「えーっと…東京から来た冴木 悠って言います。

今は十千万で住まわせてもらってる状態で」

 

「あ、千歌ちゃんが言ってた人ってこの人だったんだね」

「そうそう!」

「…?」

俺の知らないところで俺の話をされていたようだ。

 

「私も前は東京に居たのよ」

「あ、桜内さんもですか?」

「うん、何かと話が合うと思うしよろしくね」

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

そしてバスの中。

今は乗ってる人は俺を含めた4人しかいない。

 

「はい質問!」

渡辺さんが勢いよく手を上げる。

「どうしたの?」

「冴木くんはどこに向かっているのでありますか?」

「どこって……学校だけど」

「学校…で、ありますか?」

渡辺さんは敬礼をしながら学校名を!と質問してきた。

 

「えっと、浦の星学院ってとこ?」

「「え?」」

2人が同時に首を傾げる。

シンクロだったら高得点貰えるくらいタイミングバッチリだった。

 

「…なんかおかしなこと言った?」

「えっと…冴木くん、落ち着いて聞いてね」

桜内さんがゆっくり事情を説明しようとする。

しかし、その善意は見事に打ち破られる。

 

 

 

 

 

 

 

【次は、浦の星女学院~浦の星女学院】

 

 

───────────────────────

 

 

 

─────バスは坂を上り次のバス停へ向かった。

その姿を見届けながら口を開いた。

 

 

「女学院ってどーーゆーーことーーーーー!?!?」

 

「「「あ、あははは……」」」

3人が苦笑いを浮かべる。

「え、俺間違えてるって可能性は…」

「ないと思うよ、内浦にある高校はここくらいだし」

「それに、浦の星って名前のつく学校もここだけだし」

「ついでに女学院だし」

梨子→千歌→曜からのジェットストリームアタックを喰らう。

 

「はぁ…なんかすごい見られてるし」

無理もない。

本来''居るはずのない男子''が通学しているこの状況では。

 

「ってことは俺は学校着いたらどこに向かえば…」

その質問にうーん、と悩む3人。

しかし、答えは意外な場所にあった。

 

 

「…ねぇ、校門に仁王立ちしてる人がいるんだけど」

「あれは…」

「鞠莉ちゃん?」

いかにも帰国子女っぽい女の子が腕を組み待っていた。

 

「ふっふっふ、登校初日に女の子3人束ねて学校に来るとはユニークでシャイニーですネー!」

 

思わず渡辺さんに耳打ち。

「いつもあんな感じなの?」

「う、うん…いつも」

 

鞠莉さんは3人は教室にと言うとそのまま教室へ向かった。

 

「おっと、悠は私と一緒にカモン、カモン?」

しかし、俺は鞠莉さんに手招きをされ別室に案内された。

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

連れてこられたのが理事長室。

鞠莉さんはそこに座っている。

 

「あの、鞠莉さん…」

「ohっ、マリーでいいわよ?」

「………まっ、鞠莉さん」

「いけずね~」

ぶーぶーと頬をふくらませながら椅子にもたれ掛かる。

 

「あの…ここって女学院ですよね?」

「そうよ?」

「なんで俺がいるんですか?」

「教えて欲しい?」

「は、はい…」

 

 

「んーーー……''なんとなく''よ♪」

「り、理由になってないですよ…しかもどうやって俺の事を…」

「悠のママからよ」

「…え?」

 

「本当なら、沼津にある高校に行く予定だったのをこちらにしてもらったの……俗に言うヘッドハンティングってやつかしら?」

「いや、だって女学院ですよ、ここ!」

「そこは理事長特権♪」

……まさかこの人、自分が理事長とか言ったりしないよな。

 

 

 

 

 

 

「That's right♪」

当 た っ て ま し た



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3話

冬鬼さん、緋露騎さん、steelwoolさん
真面目さん、羽乃 秦御さん ウナギ丸さん
お気に入り登録ありがとうございます。

アイウィルビーバック(違う)


「──────というわけで新しいクラスメイトの冴木くんです」

 

しーーんと静まり返る教室内。うん、そりゃそうだよな。

鞠莉さんに背中を押され向かった先は2年生のクラス。

 

後はドアいきなり思い切り開けてポーイと投げられた。

そして今に至る。

 

ただ、クラス内を見渡すと顔見知りが3人居た。

 

「あ、悠くん!同じクラスだったんだね!」

「歓迎します!」

「隣が空いてるってことは席はここかな?よろしくね」

 

千歌と曜と梨子から手を振り席に座るよう促される。

しかし、他のクラスメイトからはジトーっとした目で見られてる。

でも流石に、その目線も慣れた…と言うか学校唯一の男だから珍しがられるのも無理ないな。

 

 

鞠莉さんからは「ハーレムなんか作っちゃノンノンよ~♪」とか言われるし…作る気とか全く無いし。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

授業も終わり、休み時間にもなると多くの人がこちらを見てくる。

「……なんか不思議な感じ」

「あはは…やっぱり男の子は珍しいからね」

伸びをしながら言う曜。

揺れる山…どこがとは言わないがそこは、見ないように。

 

 

 

今更ながらだが、千歌からの物申しで下の名前で呼ぶことになった。

理由は、堅苦しいから。とのこと。

まぁ、俺自身敬語は苦手だからそちらの方がありがたかったりする。

 

「でも、誰かそんなこと言ったのか?

男が来るって」

「あ、あー…それはね…」

梨子が答えにくそうに口篭る。

「?…梨子、言ってみ?」

 

「昨日の朝礼のときなんだけどね…」

 

 

 

───────────────────────

 

 

「みなサーン、Good morning~♪

早速なんだけどお知らせがありマース♪」

理事長(鞠莉ちゃん)の一言に場内がザワつく。

 

こういう時はだいたいよからぬ事を喋りそうと、みな勘づいていたからだ。

 

「明日からこの学校に~………男の子が1人!転校してきマース!♪」

パチパチパチ~と手を叩く鞠莉ちゃん。

しかし、聞いてる全校生徒+生徒会長は呆気に取られた。

 

「はぁぁああああ!?」

先陣を切って喋ったのは生徒会長だった。

「ぶっぶーですわ!ありえません、そのようなこと!」

「ノンノン、もう決定よ。私のお墨付きがあるし

それに…」

 

「それに…なんですの?」

「彼はKeyになりそうな予感がするの

もっとシャイニーにしてくれるような、ね♪

と、言うわけで明日からみんな仲良くね~」

 

 

────────────────────

 

 

「……みたいな感じで」

「…………あの振り回し理事長め…」

「あはは…それよりご飯にしよ~よ」

「そうだね、悠くんも一緒にどう?」

「ありがとう…ありがとう。今頼れるのは3人だけだよ…」

「もう、大袈裟何だから」

 

「いっただきまーす!」

「「「いただきます」」」

よほどお腹が空いていたのか口いっぱいに頬張る千歌。

 

「…ホント美味そうに食べるよねぇ」

「あはは、それが千歌ちゃんの良さでもあるからね」

「食べ過ぎて午後寝たりとかするなよ?」

「それは…ありそう」

「もう、千歌ちゃんったら」

 

談笑しつつ、話は部活の話になっていた。

 

「悠くんは何か部活するの?」

「部活…?…あー、何にしようかねぇ」

「前の学校では何をしていたの?」

「陸上だよ、種目は短距離」

「見るからに運動部って感じだもんね」

「えー、そうかな?」

 

すると突然千歌が手を合わせお辞儀をした。

「悠くん!どーーしても聞いて欲しいお願いが…」

「えっ…………な、なに?」

「スクールアイドル部に入って…欲しい!」

「…はい?」

 

前の学校にもスクールアイドル部があった。

文化祭や地元のイベントに参加してたりしたから多少知識はあるけど…。

 

「…まさか、アイドルやれって?」

「ち、違うよ!違う違う!」

「実はね、私たち3人スクールアイドル部なんだ」

「3人とも?」

まぁ、確かに3人とも可愛いしアイドルやっててもおかしくは無いだろう。

 

「でもね…''部としては5人''必要なの」

「…つまり、あと2人欲しいってこと?」

「そーなの~…生徒会長さん頑固だから絶対5人集まらなきゃぶっぶーですわ!とか言ってくるんだよ~」

「あ、あはは……まぁ、俺でよければ良いよ…裏方とかならできるだろうし」

 

「え、ほんと!?」

「随分と即決だけど…大丈夫?」

「まぁ、面白そうだし良いんじゃないかってさ」

「わーい!あと1人だ!」

喜ぶ千歌。そんなにスクールアイドルに憧れているのかな…?

 

「ところで、そのあと1人だけど心当たりとかあるの?」

「うーん、1年生に数人…いるけども」

「じゃあ、放課後会いに行こうよ!」

「悠くんも、もちろん来てくれるよね!」

「交渉人なら買ってでましょう」

「よーし、絶対部として成立させるぞー!」

 

 

「「「おーっ!」」」




鞠莉の喋り方が安定しません←

次回は1年生が登場。
突然始まる堕天(?)バトル

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4話

whitesnowさん、しろあん01さん、PeneTonさん、
ハクアхорошоさん、MNKNSさん、メルヘム@さん

お気に入り登録ありがとうございます。




「そんで、ここが1年のクラス?」

 

「そうだよ!それで心当たりがある人がね…」

千歌が口を開こうとしたその時。

 

ガラーっ。

勢いよくドアが空いた。

 

「我、堕天使の美少女なり!」

「……な、なんだ?」

突然美少女名乗る1年生が現れた。

 

「…何者?」

「堕天使ヨハネよ…リトルデーモン」

─────リトルデーモン?俺が?

反応に困り、千歌に視線を送る。

 

(こ、ここは合わせた方が良いよ…?)

…仕方ない、ここはひとつ芝居を打つか。

 

「その名を知ってるとは…貴殿、かなりの堕天使と見受ける」

「ふふ……この下界にいてもこの存在に気がつくなんて…流石ね、リトルデーモン」

(意外と悠くん…乗り気?)

 

「善子ちゃん、誰と話してるずら?」

「うにゅ?」

廊下で堕天使なるものと話していると2人の1年生が顔を覗かせていた。

 

「あ、花丸ちゃん!ルビィちゃん!」

「あっ、千歌先輩こんにちはずら」

「お、男の人……」

 

心当たりのある人物だろうか、千歌が話していた。

「どうしたの、リトルデーモン」

「…んいや、なんでもない」

 

「今日は3人に話があるの!」

……ん?3人?

チラッと堕天使を見る。

しかし謎のポーズをしたまま微動だにしない。

「3人とも…スクールアイドルしてみない!?」

 

「スクールアイドル…ずら?」

「ぴ、ぴぎぃ……」

「……………………」

 

ダッ!

ダッシュ一閃、堕天使が逃げた。

よほど嫌なのかかなりのスピードで逃げていった。

 

「悠くん!追いかけて!」

「やれやれ………」

しかし堕天使ダッシュも虚しく追いつかれてしまう。

 

「待たれよ」

「は、はやっ…!」

「ヨハヨハ系堕天使を捕まえにいくのか?」

「ヨハヨハ系ってなによ!」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

「というわけで捕まえてきた」

「ううー…」

観念した様子で捕まったヨハネ。

 

「あ、おかえり。

花丸ちゃんとルビィちゃんはスクールアイドル部に入ってくれることを決意してくれたよ!」

 

「え、ホントに?」

「は、はい…よろしくお願いしますずら」

「よ、よよよよ、よろしくお願いしま…しゅ」

(しま………しゅ)

 

「ルビィちゃんは男性恐怖症なんだって…だから察してあげて?」

と、千歌から耳打ちされた。

「よろしくね、二人とも…さてと、あとは」

「わ、私はスクールアイドルなんて下界の遊びやらないわよ!」

「したくない理由とかあるの?」

 

「だって、そんな事したら……!」

「そんな事したら?」

「堕天使ヨハネのリトルデーモンで下界が溢れてしまうわ…!」

 

(千歌、こいつは押せば行ける)

(ホント?悠くん)

 

「堕天使ヨハネ、是非とも下界でも堕天使ヨハネの名を轟かせましょう」

忠義の様なポーズをし、堕天使ヨハネの答えを待つ。

 

「なっ、なっ──────────」

顔を赤くし口をパクパクしてる。

すると、何とか平然を装いつつ

「あ、当たり前じゃない!そうね、下界でもヨハネのパワーを思い知らせましょう」

 

(ちょろい)

(さすが悠くん!)

 

 

 

とにもかくにもスクールアイドル部の部員が7人になりました。




善子はチョロいくらいが可愛い。

次回は生徒会長、降臨


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5話

ふらんどるさん、真空さん、輝良さん
更識深雪さん、お腹壊してばっかで辛いさん
つきしらさん、Kトンさん、柊椰さん
お気に入り登録ありがとうございます。

つきしらさん、☆9評価ありがとうございます。

ルーキーランキング39位に入ってました。
これも読んでくださった皆様のおかげです。


──────次の日のお昼休み。

俺と千歌は意気揚々と生徒会長の元へ向かった。

千歌の手には入部届けがしっかりと握られていた。

 

「出すだけなのになんか緊張しちゃうね~」

「まぁ、相手が生徒会長だからな」

「もしかしてまだ部として認められなかったりして」

「あはは、無い無い」

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────この時まさかこの後そんなことになるとは思ってもみなかった。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

「───────確かに5名以上集まりましたね」

「じゃあ、部として…!」

 

「ですが、生徒会長である私から1つ課題を出しましょう」

「課題?」

嫌な予感は的中した。

どうやら部として認めてもらうのは容易なことではないらしい。

 

「じゃじゃーん、理事長マリー、参☆上♪」

どこからともなく鞠莉さんが現れた。

「鞠莉さん!あなたという人はいつもいつも…!」

「ノンノン、ダイヤ、スマイルスマイル~」

生徒会長を制止し、鞠莉さんが話の続きを喋り始める。

 

「ダイヤも含めて、色んな人にスクールアイドル部がやることを発信する、それが課題よ?」

「発信……つまり」

「今から……そうねぇ、1ヶ月半の猶予を与えましょう

その間に歌やダンスを覚えて披露するのよ~♪」

「い、いきなり歌とダンス…!?」

 

少し驚きを隠せない俺に生徒会長がさらに追撃。

 

「本気でやるんですわよね、スクールアイドル部」

「……くっ」

「…やります!」

千歌がまっすぐ生徒会長と鞠莉さんの方を向いて言った。

 

「私はなりたいので…スクールアイドル!」

「oh!いい返事ね~♪

因みに場所は……………講堂デース!♪」

「講堂…か、たしかに壇上は大きいけども…

ただライブやっておしまい、じゃないですよね」

 

「察しがいいわね、悠

条件はただ一つ、満員にしなさい」

いつものトーンではなく真剣に言う鞠莉さん。

…上等だ、目に物見せてやる。

 

「分かりました、絶対に成功させてみせましょう

…行こう、千歌。失礼しました。」

「あ、う、うんっ。失礼しました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が居なくなった室内はシーンと静まり返った。

 

「…鞠莉さん、本当に出来ると思ってますの?」

「それは彼……悠次第ね。

さて…どう考えて実行するか、見物だわ♪」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「うう…緊張したし疲れた…」

「未だに(仮)部…って感じだな」

「でも講堂で満員ライブって…本当に出来ると思うの…?」

いつになく心配そうな声で聞く千歌。

スクールアイドルを絶対にやりたいと言ってたが彼女もまた不安な気持ちがたくさんあるようだ。

 

「やれることはやろう、スクールアイドル…続けたいだろ?」

優しく頭を撫でる。

「…っ///…うんっ!そうだよね…よーし、やるぞー!」

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

「…と言う段階まで話が行ってる。」

放課後、部室に6人が集まった。

部室は鞠莉さんが用意してくれた。

さすがに練習場所などは自分たちで探したりしなくてはいけないが。

 

「講堂でライブか…初ライブにしては充分すぎる、かな?」

「で、でも満員にしなきゃ部として認められないんだよね…」

曜はやる気満々だが、梨子は条件が気になるようだ。

 

「講堂意外と広いからなぁ…400…500人は必要か?」

「リトルデーモン、この学校は全校生徒で200人くらいよ?ましてや全員来れるとは思えないし。」

「他の部活とかやってる人も多いから難しいずら…」

「そ、それに曲とか…」

1年生トリオも各々思ってることを話す。

 

しかし、その思ってる事や不安を千歌が跳ね返した。

 

「やれるだけやってみようよ!

問題は沢山あるけど…一つ一つ解決していけば絶対に上手くいく!」

「…賛成だな、俺も」

「千歌ちゃんやる気満々だね!」

「わ、私も作曲出来るから…出来ることは精一杯やってみる…!」

「ふっ、堕天使ヨハネがこんな所で立ち止まるわけ無いでしょ?」

「オラも一生懸命やるズラ!」

「が、頑張ルビィ!」

 

 

「よーし、みんな…ライブ絶対に成功させようね!」

 

「「「おー!!!」」」

部室に7人の掛け声が響いた。

 

 

「とりあえず…詞だな、そこから振り付けとか曲をあてたりしなきゃだし」

「千歌ちゃん、詞はどうする?」

「………へ?」

「いや、だから詞だよ」

「しまった……なんにも考えて無かった」

 

 

 

 

 

 

 

「「「…えぇーーーー!?」」」

先行きは困難……だらけ?




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次回は千歌ちゃんと主人公が作詞作りに励みます。


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6話

「あのー………なんで俺は正座させられているんでしょうかかー…?」
「自分の胸に手を当ててみなさい、リトルデーモン」
「あはは…なんの事か………花丸さん?なんで身構えてるのかな?」
「更新遅れた作者さんにはお仕置きが必要ずら」
「え、ちょ……あの落ち着こう?」
「国木田奥義、マルインパクト~!」
「ぐおおおぉおあお!」
「綺麗なスリーパーね…ホントに堕天しちゃう?」
「お、落ちるの意味がちが………ぐへ…」


「それで、本当の理由は?」
「アーケード版のラブライブが楽しくて…」
「次やったらまたマルインパクトずら」

※更新遅れてすいませんでした…!
たくさんのお気に入り登録ありがとうございます…!!


 

 

「うぅーーん………」

お手上げ状態で机に突っ伏す千歌。

もうこの状態を見るのは何度目だろうか。

 

「やっぱり詞作りは難しい?」

「初めてだもん~…だから悠くん呼んだんだよ~…」

そう、俺は千歌の部屋に今いる。

もちろん女の子の部屋に入るのは初めてだったので最初は抵抗もあったが、案外入ったら慣れてきた。

 

「もっとこう…キラキラドキドキするような曲を作りたかったんだけどなぁ…」

現状、詞作りはタイトルすら決まってない状態。

行き詰まってはミカンを頬張る千歌。

 

「ありのままを書いてみたら?」

「……ありのまま?」

「そうそう、今の自分たちの気持ちとかそのまま詞にぶつけてみたりさ」

「…そっか、うん、そうだよね!」

何かヒントを見つけたのかアイデアをまとめる千歌。

 

「良かった、参考になれたかな?」

「ありがとうね、悠くん!」

「どういたしまして」

不意に千歌の頭を撫でる。

 

「ちょ……ゆ、悠くん…?」

顔が赤くなる千歌。

正直俺も何故こんな事したのか分からなかった。

 

「え、あっ…ご、ごめん!」

パッと手を離す。

部屋の中には気まずい雰囲気になった。

 

「あー…お、俺なんか飲み物持ってくるね!」

「あ、う、うん!…ありがとう…」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

半ば逃げるように部屋を出た。

「な、何やってたんだ…俺」

さすがに引かれたか…と、自分のした事を後悔する。

「はぁ……」

少し外の空気を吸おうと窓を開けた。

 

「あれ…悠くん?」

「あ、梨子」

向かいのベランダには梨子がいた。

今日の帰り道で聞いたのだが、梨子の家は十千万の隣らしい。

 

「詞作りはどうかな?」

「うん、まぁ進んでるよ」

「そっか、私も早く曲作りたいなぁ」

「…そういえば、梨子はなんでスクールアイドルになろうと?」

「…私ね、ピアノをやってて…それは悠くんも知ってるでしょ?」

梨子はコンクールでも賞を取るくらい才能がある。

 

「でも…音がね、聞こえなくなったの」

音…?

共感覚とでも言うのか?

 

「だから、内浦に来てすぐにね、海に入ろうとしたの」

「それは…音を聞くために?」

その問いに梨子は静かに頷く。

 

「その時に千歌ちゃんと出会ったの…その時にね、この人となら私の探してる音が分かるんじゃないかって…ううん、千歌ちゃんとならきっと私の知らない世界を教えてくれるんだって」

「…なるほど、じゃあこれからは2人じゃなくて俺も協力するよ」

「悠くんも?」

「当たり前だろ、俺も部員だぞ?」

「ふふっ、そうだったね」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

「おまたせ、千歌」

「………………………」

「千歌?」

呼んでも返事がない。

黙々とペンを走らせる千歌。

どうやらアイデアが浮かんだようだ。

 

静かに机に飲み物を置き、その真剣な顔を眺めていた。

(ホントにスクールアイドルに憧れてんだな…)

「ん……あれ、悠くん?」

「あ、ごめん作業の邪魔しちゃったかな?」

「ううん、そんな事ないよ…悠くんが居ると落ち着くっていうか…」

「え?」

「な、なんでもないっ!」

そう言い、グイッと飲み物を一気飲みする千歌。

「ぷはぁ……あ、そうそう!結構進んだよ!」

ノートを見せてくる千歌。

 

曲のタイトルは 青空Jumping Heart

 

「……………………うん、なるほど…」

詞の頭から最後まで隅々まで見る。

「ど、どうかな…?」

「OK!これで1度曲作ってもらおうか」

「ホントに!?やったー!」

喜んだまま机に突っ伏す千歌。

余程気力を使ったのか、そのまま寝そうな勢いだった。

「ほらほら、そのまま寝たら風邪ひくよ?」

「悠くん~…おぶって~…」

…おぶれ?女の子を???

さすがにハードルが高すぎる。そんなことしたこともない。

 

「はーやーくー……」

突っ伏した状態から仰向けの状態になった千歌。

もはや駄々っ子のようだった。

 

「はぁ……ほら、いくぞ?」

もうこうなってはやるしかないと千歌を持ち上げる。

俗に言うお姫様抱っこだ。

さすがにやる方も恥ずかしさMAXだったが、誰も見てないと言うのと千歌からのお願いだったのでやることに…。

 

「悠くん力持ち~…♪」

満更でも無さそうな千歌。

女の子はやっぱりこういうのはやって欲しいものなのか?

 

「ほら、ちゃんと布団かぶれって」

「えへへ…ありがとう、悠くん」

「何改まってんのさ、これくらいしてやるよ」

「悠くん…やさし~……………スゥ…スゥ…」

「はや……」

結構疲れていたのだろう。

静かに部屋を出ようとする。

 

 

 

「おやすみ、千歌」

「……スゥ…スゥ」

…気付かれないように、頭を数回撫でて部屋を後にした。




曲はオリジナル設定で今のタイミング出しました。
作中に出てくる曲は基本オリジナル仕様です。


次回は1年生と会議です。


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7話

コアラのマーチさん、蓮鬼さん、烈火の明星さん
セルスさん、南ことりの自称弟さん、ヒラタさん
白崎矢さん、絢瀬絵里さん、響也さん
お気に入り登録ありがとうございます!


 

 

放課後、花丸とルビィと善……ヨハネから呼び出された。

指定された場所は図書室。

 

「失礼しまーす」

「ウェルカム to ヘルゾーン♪」

「PUSH!」

「あいたっ!」

ヘルゾーンって言われたからついPUSHしてしまった…。

あ、もちろん頬をつついただけだよ?

 

「善子ちゃん、図書室で静かにずら」

「な、なんで私だけなのよぉ!」

「あの…2人とも、先輩が困ってるよ…?」

「ん、ルビィちゃん、大丈夫もう慣れたから」

昔から親交がある2人ならここまで話せるのも当然だろう。

 

「それで、なんの用件だい?」

「ライブの事ずら」

「ライブ?」

「うん、ルビィ達もどうやったらライブが盛り上がるか考えてたんだけど…」

「リトルデーモンにも良い案があるかと思って呼んだのよ」

「うーん、案かぁ…」

 

チラシ配りに…あ、千歌と曜が町内放送使って盛り上がってたっけ。

「あとは…SNSとか?」

「SNS?」

「まぁ、沼津とかにいる人くらいまでじゃないと来るのが困難なのがネックだけどね」

カチカチと携帯を操作する。

 

「おおお……未来ずらぁ」

「…もしかして花丸ちゃん、携帯とか苦手?」

「あんまり分かんないずら」

「ルビィもよく使い方とか教えてるよ」

「ずら丸は昔から機械苦手よねぇ」

「善子ちゃんが詳しいだけだよ、よくネットのライブとか…」

「わー!わー!!!」

「?」

ライブとかなんとか聞こえたけど…気のせいか?

 

 

 

「…よし、とりあえず宣伝はこんなもんかな」

「先輩凄いずらぁ…」

「さすが私のリトルデーモンね♪」

「結局任せっきりだったね…」

「気にすんなや、これが俺の仕事でもあるからな」

 

1年生3人との話し合いも終わり、図書室をあとにした。

 

 

───────────────────────

 

 

帰り支度をしようと教室に戻ろうとすると…。

 

「あっ…」

「あら、あなたは……」

 

怖ーい、怖い生徒会長様に出会した。

「あ、あはは……どうも…」

「スクールアイドル部のライブ準備は順調ですか?」

「あ、はい…それはもう…」

「そう…妹のルビィも居ますし、よろしくお願いしますね」

 

…珍しく丁寧に対応されるので面をくらってしまった。

「が、頑張りますね!」

「期待してますわよ」

 

 

 

そのまま生徒会長は廊下を歩いていった。

「…期待してる?」

その言葉だけが引っかかっていたが…。

 

 

 

────────────────────────

 

「はぁい、ダイヤ♪」

「…鞠莉さん」

「悠に会ってたわね?どうだったかしら?」

「…まだ分かりませんわ……ただ…」

「ただ?」

 

 

「鞠莉さんの言う…キーになりそう、と言うのは…間違ってない、そう思いますわ」

「そうね…スクールアイドルの件も…果南の事も」

 

 

「…ええ」




短めですがご了承ください…。
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次回は曜ちゃんと2人きりに…?


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8話

雪見だいふく・さん、DAIKINさん、高倉瑞姫さん
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ラブライブACがスクフェスと若干違うなぁと感じながらもプレイしてるA×Kです。


 

 

ライブまで残り3週間程となったある日。

 

時刻は15時30分。帰りのホームルームも終わり生徒達は帰る支度をし始めた。

 

「じゃあ、千歌ちゃん、梨子ちゃんまた明日ね♪」

敬礼をし、曜が教室を出た。

 

「曜、今日なんか予定でもあるのかな?」

「曜ちゃんは、部活だよ~」

もぐもぐとミカンを食べながら答える千歌。

…そのミカンはどこから出てきた…?

 

「そういえば、兼部してるんだっけ?」

「水泳部だね」

「スクールアイドルと水泳の兼部なんてすげぇな

通りで体力もあるわけだ」

体育の長距離走で負けた。女子相手に負けた。

いや、見くびってたわけじゃないけど、ほんとに早かった。

なんなら、そんなに息切れとかしてなかったからね?

 

「良かったら見てくれば~?」

「え、俺が?」

千歌からの提案に思わずキョトンとしてしまう。

 

「私達はこれから曲作りの続きだから」

「え、だったら俺もいた方が…?」

「悠くんには~…ライブ当日まで秘密にしておきたいって言うか…」

少し顔を赤くして視線を泳がす変な千歌。

 

「?…まぁ、楽しみはとっとけって言うならそうするけど…」

「千歌ちゃんも大変だね…」

「あはは…」

「?…???」

 

 

女の子同士の会話には裏がある……のか?

この時俺はどういう意味だったのかさっぱり分からなかった。

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

屋外プールに着いた。

 

夕陽がプールサイドに差し込む中、プールにはバシャバシャと水の跳ねる音だけ響いた。

 

「さすが水泳部…はや…」

しかし、泳いでいるのかこちらには全く気がつかない曜。

…よくよく思えば、女の子と俺がここに居るって傍から見たら変な光景…なのか?と今更ながら気にしてしまった。

 

曜の水着姿に興味が無いと言えば全くの嘘になる。

もちろんマジマジと見るのは男として嫌われる…。

 

「あれ、悠くん?」

「う、うわあああ?!よ、曜?」

プールサイドからひょこっと顔出す曜。

知らぬ間に目の前に現れていた。

 

「どうしたの?」

「あ、いや…曜の部活姿見てみたかったな~…って?」

疑問形で言葉を濁すと曜は思わず吹き出した。

 

「ぷっ…あははっ!変な悠くん、いいよ見てても大したものじゃないけど」

「いやいや、そんなことないって…めちゃくちゃ早かったし」

「昔から泳ぐのは好きだったからね」

「そ、そうか………」

 

会話は成り立つものの、次の問題が出てきた。

彼女はもちろん水着姿。色々と強調されている。

(き、着痩せするタイプなのかな…?)

 

もちろん女の子にしかない2つの山も強調しまくりだった。

 

「悠くん?」

「なっ、なんでございましょう!?」

「なんで敬語?」

「あ、あはは……咄嗟の言葉だから?」

「さっきからキョロキョロしてるけど…どうしたの?」

「いや…ほら…ここにいるの曜と俺だけじゃん…?

誰かに見られたらまずいかなって…」

 

「?」

俺が気にしてることに曜はポカンとしていた。

「まずいも何も、この学校に居る男の子は悠くんだけだし…」

「あ、そうだった……」

すっかり忘れてたけどそうだった。

ここに居る男は俺だけだった。

 

「だからここに悠くんがいても驚いたりしなかったんだよ」

「あー……納得です」

それもそうか、知らない男とかだったら悲鳴のひとつもあげるか。と冷静に考えてたら肩の荷が降りた。

 

「あはは…ごめんごめん、曜の水着姿がちょっと刺激的で…」

「……え?」

 

思わず本音が出た。完全に失言だった。

「あ、ああああ!違うの!今のは変な意味じゃなくて…!」

急いで訂正するが時すでに遅し、グッバイ俺の学園生活。

 

 

 

…と、思いきや。

「…あ、ありがと…///」

「え……?」

怒ったり軽蔑の目で見てくるのかと思ったら少し恥ずかしそうにする曜。

いつも見ない表情に少しドキッとしてしまう。

 

「あ、う、うん…」

………シーーーン…。

さっきまで跳ねてた水の音もせず、プールサイドは静まってしまった。

 

「そ、そうだ!悠くんもプール入ろうよ!」

「えっ、あ、俺…?」

話を繋ごうとする曜。

今からプールに入るというのは多少無理がある…それに。

 

 

「ごめん、曜…………………俺、泳げないんだ」

「ええええっ!?そうなの…?」

こればっかりは昔から治らない。

俺は足が着くとこでもかなり危うい位のカナヅチである。

 

「あ、あはは…面目ない…」

「そっか…うーん、でももったいなぁ…すぐ近くには海もあるのに…」

確かに、内浦にある海も1度は行ってみたい。

ホントに浅瀬しか行けないと思うが…。

 

「あ、そうだ!」

曜が何か閃いた。

「知り合いにね、ダイビングやってる人がいるんだ!

その人に教えてもらおうよ!」

「だ、ダイビング…?」

 

いきなりハードルが上がった感がする。

「大丈夫大丈夫、最初から潜ろうってことじゃないから、ね?」

「………わ、分かった」

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

結局、曜に勧められ今週末にダイビングに行くことに。

それを千歌に話すと。

 

「あー、果南ちゃんのところかぁ…私も行こうかな?」

「知ってるの?」

「うん、幼馴染だからね」

今はダイビングのお手伝いで学校に来てないらしい。

聞くと1つ上の先輩らしい。

…つまりフリーダム理事長と堅物生徒会長と同じってことか…。

「はぁ~♪果南ちゃんに会える~♪」

千歌は上機嫌だった。

(……千歌がスクールアイドルしてること、幼馴染はどう思ってるんだろ…?)

 

 

 

 

 

色々と気になる点はあったが、今はカナヅチを少しでも直そうと考えることにした。




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次回は4人で海へ!


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9話

曜ちゃんSSさん、ライスマンさん
お気に入り登録ありがとうございます。

おさんぽラリー、進捗いかがでしょうか←


そして来たる週末。

梨子も誘ったが、作曲がもう少しで完成しそうだからとお断りされてしまった。

 

今度別の機会に誘おう、と思いつつ今は騒がしい女の子の準備が出来るまで待ってるいる最中だ。

 

「お待たせー!悠くんー!」

ガサッと大きめの袋を持って千歌が出て来た。

 

「それなーに?」

「回覧板と…あとはお裾分けの品~」

うっすら、オレンジ色の物が見えた。

多分十中八九、ミカンだろう…。

 

「多分曜ちゃんがもうすぐ来ると思うんだけど…」

腕時計を見ると待ち合わせの時間5分前だった。

 

「おーーい!」

声がする方を振り向くと自転車に乗った曜が来た。

 

「おはよう、曜」

「おっはヨーソロー!いい天気になったね!」

「曜ちゃん、自転車ウチに止めてく?」

「うん!ありがとう!」

 

そして、俺と千歌と曜の3人はバスに乗りダイビングショップに向かった。

 

 

────────────────────

 

 

バスの中では俺が泳げない話に…。

 

「まさか悠くんが泳げないなんてね~」

「千歌…意外と気にしてるんだからやめてくれ…」

「プールの授業とかどうしてたの?」

「毎回休んでた」

「そもそも、なんで泳げないの?」

 

「……お風呂で溺れかけて泳げないことに気がついた」

「「え」」

 

あの時は死にかけた、いやホントに。

死因がお風呂で溺れたとかシャレにならん。

 

「あ、そうそう!」

携帯を操作し、なにか見せてきた曜。

 

「これは…?」

「ライブの衣装!もう完成しそうだよ!」

「曜ちゃんすっごーい!」

食い入るように衣装を見る千歌。

 

「あとは振り付けと歌だな」

「これからは朝練と放課後練習しなきゃね」

「場所とかどうしようかな~」

「あ、千歌良い場所知ってる!」

「お、じゃあ今度からはそこで練習しようか」

 

スクールアイドル部の練習場所やする事を打合せしてるうちに目的地に着いた。

 

 

「ここがダイビングショップだよ!果南ちゃーん!」

千歌が着くなり大声を出すと中から1人の女の子が出て来た。

 

「ん?千歌と…曜、それに男の子?」

長身のポニーテールが印象的な女の子。

ダイビング帰りなのか、水着の格好をしていた。

…かなり目のやり場に困る。

 

「悠くーん…?」

横にいた曜から脇腹を突っつかれる。

 

「あ、あはは……すいません…」

「はい、これ!」

千歌が大きめの袋を果南さんに手渡した。

 

「回覧板と、お裾分け!」

「どうせミカンでしょ?」

「文句ならお母さんに言ってよ~」

「あははっ、ありがとね♪」

 

やっぱり幼馴染ということもあるのか、かなり仲が良さそうだ

「それで、君は?」

「あっ、はじめまして冴木 悠と言います…えっと…」

「松浦果南、学年は3年だよ。今は学校お休みしてるけどね」

「果南さん、よろしくお願いします」

「なるほどね…君が噂の男子生徒って事ね」

「………?」

「ううん、なんでもない♪

それで今日はなにか用があって来たのかな?」

 

 

 

「あ、そうなの!実は悠くんがね………」

 

 

 

────────────────────

 

「なるほどね、つまり悠は全く泳げないと」

「だから果南ちゃんにね、教えてもらおうって!」

「うん、いいよ♪今日はお店もお休みだしね♪」

「やったー!着替えてこよー!」

聞くやいなや、千歌は曜を連れて奥へと消えていった。

 

「あははっ、千歌ったら元気なんだから」

「昔からあんな感じなんですか?」

「昔はもっとはしゃいでたよ、まぁ私に似たのかもね」

「…あ、俺どこで着替えたら…?」

「あー、千歌と曜が終わるまで待つしかないかなぁ」

あと数分はかかるだろう。

ここで気になることを聞くしか…。

 

「あの、果南さ………」

「お待たせー!」

しかし、思いのほか早く千歌と曜が来てしまった。

 

「はや…」

「下に着てたからね~………って!悠くん何言わすの~!」

「え、俺…?」

「あはは、2人とも準備万端だね♪

じゃあ、悠も着替えてきなよ」

「わ、分かりました…」

 

話の腰を折られてしまったが、仕方ないまたの機会に聞こう。

そう思い荷物の入ったカバンを持ち、奥へと進んだ。

 

 

────────────────────

 

「お待たせしました」

「へえ、意外と逞しいんだね。なにか運動やってたの?」

「陸上部に入ってました」

「なるほど、通りでね」

「…な、なんか悠くんの水着姿……見てる方が恥ずかしいんだけど!」

 

キャーと言いながら曜に抱きつく千歌。

…俺なんかしたか?

 

「じゃあ、行こっか♪」

果南さんを先頭に俺達は海へと向かった。

 

 

「おー!海だー!」

「全速前進、ヨーソロー!」

 

我先にと海へ向かう2人。

泳げるとこんなにもはしゃげるのか…。

 

「あはは、2人とも元気だねぇ。

さ、じゃあ泳ぎ方教えるね」

「よ、よろしくお願いします!」

「リラックスリラックス、だよ?」

 

…果南さんから出てくるお姉さん感に困惑しつつも泳ぎを教えてもらう事に。

 

 

 

「はっ!なんか胸騒ぎが…!」

「どうしたの、千歌ちゃん?」

「な、なんでもないよ!」

 

 

────────────────────

 

「ゆっくり顔を入れて~出して~」

「ぶはっ!」

果南さん指導のもと、泳ぎを教えて貰ってたが

なかなか上達はしない。

 

「ゆっくり自分のぺースで大丈夫だからね」

「す、すいません…」

分かってはいるけど、水が怖い。

でもまさかお風呂で溺れかけて泳げないことが分かったとか果南さんに言えないしなぁ…。

 

「じゃあ、こうしよ?」

俺の手を握る果南さん。

「手、掴んでるからこれなら安心でしょ?」

「は、はい…っ」

 

安心どころか緊張してきた。

突然とはいえ、女の子に手を握られたからだ。

彼女居ない歴=年齢の俺にはさすがに免疫はない。

 

「ゆっくり…ゆっくり」

「少し進んだね!」

ぎこちないが少し進めた。

これも教える人が上手いからだろうか。

 

「少し休む?」

「そ、そうしますね…」

 

水の抵抗もあってか、どっと疲れた。

しかし、千歌と曜は何処吹く風。

まだ泳いでいた。

 

…あれ、これ聞けるチャンスじゃない?

 

「…あの、果南さん」

隣で休んでる果南さんに話しかける。

 

「ん?どうしたの?」

「果南さんと千歌は幼馴染なんですよね?」

「そうだよ?」

 

「…千歌がスクールアイドル部を作ったんです

幼馴染として…どう思いますか」

「…知ってるよ、千歌から誘われたから」

初耳だった。

しかしどこか納得出来た。幼馴染にいの一番に誘うのは当たり前だ。

 

「でも……私はスクールアイドルは''絶対にやらない''」

簡潔に、だけれどどこか意味ありげにそう答えた果南さん。

 

 

 

「…そう、ですか」

「……さっ、あの2人にも休憩するように言ってきますか」

何事も無かったかのように千歌と曜の所に行こうとする果南さん。

 

 

「あ、あの!」

咄嗟に呼び止めてしまった。

 

「…なに?」

「……こんど、月末に…ライブがあるんです

良かったら……来て、ください。きっと彼女が伝えたいことが分かるはずです」

 

 

 

「………そっか」

たった一言だけ、そう告げて2人の元へ向かってしまった。




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次回はライブの練習編です


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10話

モーニング台さん、souseiさん、dra01さん
お気に入り登録ありがとうございます。

μ’sの中では真姫ちゃんが好きどす( 'ω')


 

【─────スクールアイドルは絶対にやらない】

 

果南さんの言葉がずっと突っかかっていた。

(絶対に………か)

あの言葉には裏がある。それは多分千歌も知らない事だろう。

 

「かと言って千歌にも聞きにくいしなぁ…」

こうなったからには自分の手でどうにかするしかない。

 

「とりあえず…本人はまだ学校お休み中だし…誰か知ってる人なんているかな…」

とは言え、3年生の知り合いなどいるはずも……。

 

「……あ、生徒会長に理事長が居た」

あの2人なら何か知ってるのかもしれない。

(仕方ない、明日聞きに行くか)

 

 

 

コンコン。

「悠くん、今いいかな?」

「ん、千歌?大丈夫だよ」

扉を開けると、千歌が部屋着姿で立っていた。

お風呂に入った後だろう。髪が濡れていた。

 

「何かしてた…?」

「ううん、大丈夫だよ」

こういう時の女の子の勘は鋭い、千歌も例外ではない。

 

「えっとね、明日の朝練の件なんだけど…」

「おっ、それはちゃんと聞いておかなきゃな」

立ち話もなんだったので部屋に入れることに。

 

「とりあえずね、砂浜でダンスの練習しようかなって」

「いい場所って言ってたけど…砂浜の事だったのか」

「うん…今のところはね。

どこか室内借りれたらいいんだけど…」

…現状、部室も(仮)の状態だ。

部として認められなければ明け渡さなきゃいけない。

 

「…不安?」

その一言に千歌はピクっとした。

 

「……うん」

珍しく、元気の無い返事で答えた千歌。

 

「大丈夫かなって…もし、部として認められなかったらって…」

不安になるのも無理はない。

それは多分、千歌だけではないはず。

 

「らしくねぇぞ、千歌

俺たちに出来ることを精一杯しよう」

「悠くん………」

「…なんて、下手くそなフォローでごめんな」

 

「ううん……ありがとうっ」

その笑顔はいつもの千歌の笑顔だった。

 

「そうそう、千歌はその明るさがなきゃな」

「悠くんのおかげだよ」

そう言って手を握る千歌。

お風呂上がりでほのかに温かかった。

 

「…うん、こうしてると…何だか落ち着く」

「なんか照れるな」

気まずくなったのかスっと立ち上がる千歌。

 

「えへへっ、悠くんパワー貰ったし、もう寝るね」

「明日の朝は砂浜な?」

「うんっ、おやすみ悠くんっ」

「おやすみ、千歌」

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

そして、次の日の朝。

 

「ふぁ~……あ…分かってはいたけど…眠いなぁ」

「悠さん、早起きはいい事ずら」

「だ、堕天使的にはこの朝日は厳しいわね…」

「千歌ちゃん、まず最初になにするの?」

「とりあえず完成した曲を聴こうっ、梨子ちゃん!」

「それじゃあ、流すよ?」

 

みんな聴き入るように耳を傾ける。

数分だったが、とても早く感じた。

 

「いい曲ずら~…」

「こ、これルビィ達が歌うの…?」

「くくっ…堕天使のボイスでリトルデーモン達を虜に…!」

「じゃあまず、振り付けだね…どうしよっか、千歌ちゃん?」

「それもまとめてあるよっ」

 

 

 

 

そして、千歌指導の元、振り付けの練習が進められた。

……しかし。

 

(…あの2人…動きが硬いな…)

目に付いたのは花丸ちゃんとルビィちゃんの動き。

どこかぎこちなさが残っていた。

 

「こ、こうずら…?」

「あ、あれ…手の動き逆かな…?」

 

「…2人とも、ちょっといいかな?

他の4人はそのままやってて」

 

 

 

 

2人を呼び、4人とは少し離れたところで話す。

 

「やっぱりダンス難しいかい?」

「…はいずら」

「…はい」

 

「まぁ、いきなりは出来ないもんなぁ…見てても分かるよ」

「…オラ、出来るか不安ずら」

「ルビィも…」

「…じゃあ、質問を変えるね。

2人とも、楽しんでやってるかい?」

 

「えっ…?」

俺の質問に2人は少し困惑していた。

 

「何事もだけど、心から楽しもうって思ったら…少しでも楽になるんじゃないかな?」

 

「心から…」

「…楽しむ」

「2人はどうしてスクールアイドル部に入ったのかな?」

 

「ル、ルビィはスクールアイドルが好きだから…」

「オラは…ルビィちゃんとなら出来るかもって…それにもっと目立ってみたいって…」

 

「ほら、ちゃんと理由があるじゃん。

2人にも楽しむ理由がさ。

不安なのは花丸ちゃんやルビィちゃんだけじゃないさ」

 

「…オラ達だけじゃないずら…?」

「俺も不安さ、でも今やれることを精一杯やろうよ

そのためには楽しまなきゃね、辛かったりいやいやなままやっててもいい事なんかないしさ」

 

「…ルビィ、頑張ってみる!」

「ルビィちゃん…」

 

その言葉と共に千歌のところに走っていくルビィちゃん。

「あ、あのっ!」

「ルビィちゃん…どうしたの?」

「だ、ダンス…教えてくださいっ!」

「うんっ、もちろんだよっ!

どこが分からないの?」

 

 

「…ほらな?楽しもうって思ったら何か変わるんだよ

それはルビィちゃんも花丸ちゃんも同じだと思うよ」

 

 

「…オラも…頑張るずら…!」

「その意気だ」

 

 

 

────────────────────

 

 

「じゃあ、朝練はここまで!

バスに乗り遅れちゃうからね」

「なんか充実した練習だったかも!」

「これもヨハネの恩恵…」

「善子って意外とダンス上手いんだな」

「善子言うな!ヨハネよーっ!」

 

「あ、バスが来たずら!」

 

 

7人でバスに乗り込み、学校へと向かった。

 

 

 

────────────────────

 

 

「…さて、と」

時刻は16時過ぎ。

他の6人には先に練習に行っててくれと伝え、俺は理事長室に向かった。

 

 

 

コンコン。

「2年の冴木です、理事長はいますか?」

「開けていいわよ」

 

重厚な扉を開けると、そこには理事長と……生徒会長もいた。

────これはちょうど良かった。

聞く手間が省けた。

 

「珍しいですわね、理事長室に来るなんて」

「ええ、少し聞きたいことが」

「…何かしら?」

 

「……今、学校を休学してる…松浦果南って人、知ってますか」

その質問に眉を少し動かす理事長と生徒会長。

 

…この2人は何か知っている。

「何か知ってるなら、教え………」

「教えることは何もないわ」

きっぱりと言い切った理事長。

 

「意地悪じゃないわ、でも察して…悠」

「…分かりました。」

これ以上聞いても多分答えないと判断した俺はそのまま理事長室を出た。

 

 

──────────────────

 

 

「悠…果南に会ったのかしら」

「さぁ…まだ分かりませんが…何かの因果関係…でしょうか…。

これも鞠莉さんの計算の内ですか?」

 

「さぁ……どうかしら」




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次回、【音楽室に2人】


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11話

「あーなーたーねぇー!」
「あ、はい…ダイヤさん怖いっす…」
「ぶっぶーですわー!」
「ほら、千歌さんだってこう言って……ってそれは私のセリフですわ!」
「すいません…ほんとすいません」
「それで、今回は?」
「いや、仕事が忙しかったんですよ…果南さん」
「マルインパクトするずら?」
「い、嫌っす…」
「じゃあ堕天?」
「それも嫌っす…」
「まぁまぁ、次回から気をつけて、ね?」
「梨子ちゃんまじ天使…!」

ということで更新遅れてすいません…!


「ごめん、皆おまたせ」

「あー、遅いよ悠くん!」

「あはは、ごめんごめん」

「どこか用事あったの?」

「うん、まあ少しね…そっちは?」

 

「うんっ、順調だよ!」

自信満々に敬礼をする曜。

 

「やっぱり踊るのって楽しいね、ルビィちゃん」

「うんっ!」

顔を合わせて笑顔で答える花丸ちゃんとルビィちゃん。

 

「ヨハネともなればこれくらい当然よね♪

もうリトルデーモンのみんなもヨハネの虜ね♪」

ギランっと独特のポーズを取る善…ヨハネ。

 

「…………」

一方、どこか不安な梨子。

 

「…梨子?」

「あ、う、うん。私も大丈夫だよ」

「…そうか?」

どこか焦るように答える。

「千歌達頑張ったんだからね!」

「よーしよし、よく頑張ったな~」

頭を撫でる。

周りからの視線が若干痛い。

 

「仲良いずら~」

「ヨハネに挑戦状かしら…」

「あ、あはは…千歌ちゃんは昔から甘えん坊だからね…」

「ルビィも昔はお姉ちゃんにやってもらってたな…」

「……………」

 

「今日はこれくらいで解散しようか」

「そうだね、私は少し砂浜走ってようかな」

「あ、私も一緒に走るー!」

 

「マルはもう少し自主練しようかな…」

「ふっ、しょうがないわね。

ヨハネも手を貸してあげましょう」

「善子ちゃん、やっぱり優しいねっ」

「だからヨハネよ!」

 

 

「あはは…みんな練習のあとなのに元気だなぁ」

「……そ、そうだね」

「梨子はどうしたんだ、元気ないぞ?」

「あはは…ちょっと……ね……」

「良かったら話聞くよ?」

「じゃあ…少し場所変えよっか」

 

 

────────────────────

 

連れてこられたのは音楽室。

ピアノの前で座ると少しピアノを弾き始めた梨子。

 

静かに近くに座り、響くピアノの音に耳を傾ける。

流石賞を取るくらいの腕前だ。

聞いてて心が落ち着く。

 

「……ふぅ」

2分……いや、それ以上長く感じた。

「私………ね」

「うん?」

「歌うのが…あんまり得意じゃなくって…」

「…だから、元気がなかったのか?」

 

静かに頷く梨子。

「足引っ張っちゃったらどうしようって…」

「何だ、そんなことか」

「そ、そんなことって…!

私にとっては……!!」

「梨子は綺麗な歌声してると思うけどな」

 

「………えっ?」

「だーかーら、綺麗な歌声してるって」

「そ、そんなこと…」

「あるよ。

梨子がないって言っても俺はあるって言い続けてやる」

 

「…ど、どうしてそこまで言えるの?」

「試せば分かるよ……なにか有名なデュエット曲とか弾ける?」

「じゃ、じゃあ…この前ドラマで話題になったあの曲とか…?」

「ん、それならOK」

 

俺の返事を聞き、弾き始めた梨子。

それに合わせて歌い始める。

最初は戸惑ってた梨子だが、Bパートに入った瞬間梨子の歌声が聞こえた。

言った通り、綺麗な歌声だ。

これをこのままにしておくなんてもったいない。

 

 

いつしか、音楽室は2人のステージとなっていた。

 

 

────────────────────

 

そしてその2人をこっそり見る人物達が…。

 

「気になって来てみたけど…あの2人仲良さそうだね」

「私的には、悠くんが歌結構上手いのが驚きだけどね」

「女装して出てもらう?」

「千歌ちゃん、さすがにそれは無理って言うと思う…」

「冗談だよ~…でも梨子ちゃん、楽しそうだね」

「そうだね、これでいい自信につながってくれればいいんだけど…」

 

 

────────────────────

 

 

「………ほらな、歌えただろ?」

「そ、そうするなら最初からそう言ってくれれば…!」

「そうしたら、緊張するだろ?」

 

梨子の両肩に優しく手を置く。

 

「もう少しリラックスしろ、そしたら緊張も無くなる」

「あっ……うん…分かった」

手を置いて数秒後、ボディタッチしたことに気がつく。

さすがに嫌な顔される…かと思いきや。

 

「歌えたのは…その…悠くんのおかげっていうか…その…」

髪の毛をいじりながら喋る梨子。

心なしか顔が赤い。

 

「だから…ね、ライブの時も…しっかり見てて欲しいなって…」

「当たり前だろ、特等席から見させてもらうよ」

「約束だからね?」

「ん、約束だ」

指切りげんまんをし、どちらからともなく笑い合う。

 

「帰ろっか」

「そうだね、すっかり遅くなっちゃった」

「でもいい歌声聞かせてもらったし耳が幸せ幸せ」

「も、もー!掘り返さなくていいからー!」

 

 

 

帰ろうと学校を出た時、梨子が小さな声でありがとうと言った気がしたが…多分気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

その帰りのバスの中では2人とも熟睡していた。




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次回、ライブへのラストスパート編


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12話

誤字脱字が多い…気をつけなきゃ…

たくさんのお気に入り登録ありがとうございます。


「あとライブまで3日か……」

 

カチカチとパソコンをいじる。

見ているのはSNSで投稿したスクールアイドル部のライブの閲覧数。

 

「2週間ちょいで……150、か。」

正直、講堂を満員にはかなり微妙。

浦の星女学院の生徒+親御さん。

さらには沼津界隈の高校生も来てくれなきゃ厳しいだろう。

 

「こまめにSNSも更新しないと…ね」

ちなみに俺は今、部室に1人。

ほかのメンバーは屋上で練習している。

…噂をすれば。

 

「たっだいまー!」

「おかえり、千歌。

なんかご機嫌だね?」

「そうかなー?

実はね~……」

「ちーかーちゃーんー!」

「んぐぐ…!……そ、そうだったごめんね曜ちゃん。」

「…?」

 

何やらこそこそと話2人。

その様子を他の人に聞いてみた。

 

「梨子、あの2人どうしたの?」

「えっ!?……あ、あー…どうしたのかな?」

「ま、マルも分からないずら!」

「る、ルビィも…!!」

「リトルデーモン…覚悟しなさい?」

「か、覚悟…?」

 

俺…何かしたか?と心に手を当ててみるが心当たりがない。

見るからに怒ってる感じはない。

 

「あ、あはは……そ、それはそうと悠くん!

そっちはどうー?」

話を強制的に逸らすように話題を変える千歌。

 

「あ、ああ…とりあえずこんな感じ」

「閲覧数…150…」

梨子がその数字を見て少し落ち込む。

 

「まだわかんないさ、やれることをやろう」

すかさずフォローする。

「そうだね、私たちなら出来るよ!」

曜もフォローしてくれる。

 

「だな…さてと、そろそろ帰ろうか?」

「え?!」

「いや、えっ?!って…もう5時だよ?」

「あ、あー…!そ、そうだったね!」

何やら落ち着かない千歌。

ホントにどうしたんだろうか…。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

千歌が焦っていた理由がよくわかった。

帰ってから1時間ほど過ぎた時だった。

 

 

「なんで5人がここに居るんだよー!」

「あ、あはは…実はね…」

千歌が説明をし始めた。

ライブまでもう少し。みんなの結束をより深めようとお泊まり会をしようと提案した。

 

「…俺の是非は?」

「あはは、聞いてなかった~……」

「いや、俺も男だし…みんな女の子だし…抵抗とか…」

 

他の6人は既に部屋着。

夏も近くなってきたからか、少し薄着。

かなり目のやり場に困る。

 

しかし、みんなは否定するどころか……。

「ま、まぁ…私は良いよ?」

「私も…悠くんなら?」

「マルも…」

「る、ルビィもお姉ちゃんから気をつけるように言われたし…」

「リトルデーモンのお世話をするのもヨハネの大事な役目よ♪」

「…え、えー…?」

 

「という訳で、悠くん含めて7人でお泊まり会!」

「いやいや!志満さんが許すわけ…」

「もうOK貰ったよー」

「はや!?」

 

「それとも…悠くんは、私たちとお泊まりするの…嫌?」

「ご、ごめんね…嫌なら…良いよ?」

曜と梨子が申し訳なさそうにする。

…こういう顔をされると弱い。

 

「わ、分かった…まぁ、みんながいいって言うなら…」

「ホント!?」

「よろしくお願いしますズラ!」

「さすがね♪リトルデーモン♪」

 

 

 

そんなこんなでハチャメチャなお泊まり会が始まりましたとさ………。




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次回、ライブ前のお泊まり会編


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13話

今回はハーレムルート…?
誤字脱字が目立つ…。


急遽始まった(?)お泊まり会。

 

いつも通りのテンションではしゃぐ千歌と曜。

それを注意しつつも楽しむ梨子。

そして独特のポーズをし、参戦する善子…もとい、ヨハネ。

その光景をあわあわしながら見ているルビィちゃん。

そして、モグモグと間食をしている花丸ちゃん。

 

 

…ちなみに今は何をしているのかと言うと…。

 

「ヨーソロー!」

「うわっ!…やったわねー!

ヨハネ奥義!インフィニットエターナル!」

「あははっ!善子ちゃん、当たんないよーっ!」

「ちょ、ちょっと!危ないよ!」

「リトルデーモン・リリィよ!お前もそっちの味方か…!!」

「リリィって何よ!それに、私は逃げ回ってるだけで味方とかなってないし!」

 

…食後の運動?なのか。

枕投げ大会、絶賛開催中である。

俺は椅子に座りながらそれを観戦している。

 

(元気だなぁ、コイツら…飯食べて少し練習して。

で、今枕投げ大会やって風呂はいって寝る…だっけ?)

 

千歌から夕食の時に説明があったが、この後お風呂に入り、明日の朝はまた朝練をする予定だ。

 

枕投げ大会は、千歌曰く

 

【修学旅行、お泊まり会と言えば枕投げ大会だよ!

これは戦場!サバイバルだよ!】

 

と言う。

それに乗るかのように善子が。

 

【戦場…!

つまりはヴァルハラ!ヨハネが求めてた地!】

 

と乗っかってきた。

そして今に至る。

…というか流れ弾に当たっていつの間にかルビィちゃんと花丸ちゃんも参加してるし。

 

 

 

 

「隙あり!」

完全に丸腰だったのか千歌から枕が飛んできた。

「ぶへっ」

もちろん、避けれる時間もなく直撃。

 

「へへーん、悠くん油断してたなー!」

「……やったな~?」

男と女の子じゃさすがにハンデがあるが、やられたらやり返す。

これぞ倍返しイズム。半〇直樹もビックリだ。

 

 

 

 

バスっ。

しかし、意外にも後ろからも直撃を食らった。

振り返るとそこにいたのは梨子。

 

「あ、あはは……わ、わざとじゃないよ?」

多分千歌から目で合図でも送られてたんだろう。

それが証拠に千歌から送られるGoodポーズ。

こやつら…。

 

「悠くん、今ここは6対1の状況だよ?」

「なん…だと…?」

そんな馬鹿な~…、と周りを見ると枕を持って獲物を捉えたような目をする6人。

 

「…や、待て…話せば分かるぞ?…な、な?」

「それっ!いっけー!」

 

 

 

 

 

次の瞬間、バスバスと枕の全弾集中砲火を食らったとさ。

ちなみにその後、千歌を捕まえてくすぐりの刑に処した。

 

 

────────────────────

 

 

「ふぅ……」

6人が先に風呂に入って出た後、俺も湯船に浸かり、1日の疲れをとった。

 

時刻は10時前。

なんだかんだ言って時間が経つのは早かった。

 

他の6人は俺が出るまでライブの打ち合わせをすると言っていた。

「思えばあと数日か……」

 

ライブの件もそうだが、他に考えることは山ほどあった。

例えばライブが成功したとして、次にすること。

その他にも、果南さんのこと。

まだライブに来てくれるのか明確な答えももらってない。

そして次の曲や振り付け、衣装のこと。

 

考えれば考えるほどキリがなくなってきた。

「……まあ、まだライブがどうなるかも分からないしな…」

やれることを精一杯やろう。

そうは言ったが、不安がないとなれば嘘になる。

 

もちろん、サポートする身としてそんな姿は見せないようにしてきた。

それはもちろん、今もこれからも続けていく。

 

「…今はライブのことを考えよう。」

湯船から上がり、モヤモヤする気持ちを洗い流すようにシャワーを浴びた。

 

 

────────────────────────

 

 

【※千歌視点】

 

「それで?」

打ち合わせの最中、善子ちゃんが突然口を開いた。

 

「それでって…どうしたの、善子ちゃん?」

「だから、ヨハネって…まぁ、今はいいわ」

「善子ちゃんが呼ばれ方を気にしなくなってるズラ…!」

「ズラ丸!そこは触れなくて良いわよ!

……悠の事よ、悠の事」

 

「悠くんがどうしたの?」

「ヨハネアイが見るからに…そこの3人!」

指をさされたのは、私と曜ちゃんと梨子ちゃん。

 

「直球で聞くわ。

悠のこと、どう思う?」

「悠くんの事?

楽しい仲間だよ!いつも支えてくれるし!」

「私もそうだな~。

やっぱり頼りになるし、優しいって思う!」

「わ、私も…悠くんから、勇気を貰ったから…」

「''ゆう''だけに?」

梨子ちゃんもダジャレを言うのかー。

「も、もー!千歌ちゃん、そんなんじゃないよー!」

あれ、違った?

 

 

「…ふっ…そう、ならいいわ。

変な事聞いて悪かったわね」

「善子ちゃん、もしかして…」

「ふふっ、リトルデーモン・ルビィ。

これは面白いことになりそうよ」

 

「…あ、ルビィも…リトルデーモンなんだね…」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

「ただいま~」

「あ、悠くんおかえり!湯加減どうだった?」

「うん、ちょうど良かったよ」

「そうだね、疲れもしっかり取れたよね!」

「明日も早いし、もう寝ましょう?」

 

「ヨハネの時間はこれから…!

キング・オブ・ダークネスワールドの時間が……ふぁ、ぁ…」

「善子ちゃん、大きいあくびズラ…」

「ヨハネよ!

しょ、しょうがないじゃない!たくさん練習したんだから!」

「おかげで善子もそうだけど、みんな振り付けも良くなってきたしね」

「ところで、千歌ちゃん?」

「ん?なーに、曜ちゃん?」

「寝る場所はどことか決まってるの?」

 

「…あ、決めてなかった。」

「俺はどこでもいいよ、端っこでもいいし」

今の状況を説明すると、布団が右側に3個。

左側に4個あるような状態。

どこじゃ寝れないとかないし、端でもいい言ったのだが千歌は…。

 

「だーめーだーよ!悠くんは上座じゃなきゃ!」

…あ、布団にも上座とかあるのね、しかも指さされたのは真ん中だし。

 

「あとの6人は…ジャンケンで決めよう…!」

千歌の一声を先頭にみんなが頷く。

…え、なんでこんなに緊迫するような状況になってる?

 

 

「いくよ………ジャーンケーン!!」

 

 

 

 

結果的に布団は

 

ル 梨 善

曜 俺 千 花

 

 

の配置になった。

ちなみに花丸ちゃんと善子は既に寝ている。

 

 

俺はと言うと…。

 

 

(…寝れねぇ!!!)

当たり前である。

よくよく冷静に考えてみたら女の子に囲まれて寝ようなんて無理難題に決まっている。

 

東京にいた頃の俺だったら考えられないだろう。

(…え、なに…モテ期?)

とか考えてみたりしたが、勘違いも甚だしい。

流石にそれは周りから見たら、無いわー。と言われるに違いない。

 

 

「…悠くん、眠れないの?」

曜の声だ。

横をむくと、布団から少しだけ顔を出してこちらを見ている。

…正直ドキッとするのが止まらない。

 

「えへへ…私も、眠れないんだ…」

「…珍しいね、いつも早起きなのに」

朝練の時も一番乗りで居る曜。

きっと、いつも規則正しい生活をしてるからだろう。

 

「うん……なんか、今日はね……あ、そうだ…悠くん?」

「…ん、なに?」

「…そっち、行っていいかな…?」

「…え、こっち?」

「…ダメ、かな?」

 

ダメじゃない!と即答したいが…それはつまり…隣でって…事、だよな?

…やけに曜が積極的に来る。何かあったのだろうか?

 

「…い、いいよ…?」

結局、了承することに。

…まぁ、断る理由もないけど…。

 

「えへへ…お邪魔しまーす♪」

遠慮なく隣に入る曜。

顔と顔の距離、わずか10数センチ。

 

「顔…近いね…///」

「お前が恥ずかしそうにすんなよ…」

「でも…暖かい。」

こっちは体が触れそうで身動きがあまり取れない。

 

「…なんか、これなら寝れそう…」

「…そ、それは良かった…」

そのまま服を掴んだまま眠りについた曜。

…しかし、俺の方は当然寝れる訳もなく。

 

(いい意味での拷問に近い…)

シャンプーの匂いだろうか、いい匂いがする。

しかし、ここで変な行為をしたら変態というレッテルを貼りかねない。

じっとし、眠りにつくのを待つ………すると。

 

 

 

 

ガシッ。

 

左側から何か来た。

何かは、分かっている。

 

「んん~……ミカンのステージに…ミカンの衣装~…」

犯人は千歌だった。

あろうことか、自分の布団を押しのけてこちらよ布団に来た。

…こんなに寝相悪かったっけ?と疑いつつも今ある状況に困惑してるのは自分だけだと気づく。

 

 

 

 

 

(な、なるほど…両手に花ってこういう状況の事ね…)

いつしか眠気が来るのを待つのではなく、理性との戦いに時間を費やしていた。

 

結果、最後に見た時間が3時を過ぎた頃で眠りについたのは覚えている…。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

「…朝起きてみたら…」

「悠くんの横に……」

 

「「きゃーーーーつ!」」

「…朝から賑やかだな……」

寝不足オンザミーな状態で朝からの賑やかな声に答える。

 

「最初見た時はリトルデーモンが誑かしているのかと思ったわ。」

「んなことしねぇよ…」

「でも、2人とも気持ちよさそうに寝てたよ?」

「梨子も叫んでただろうが…」

「そ、それは朝からそんなの見たらそうなるよ…!

……でも、今度私もしてもらいたい…かなって…」

「なんか言ったか?」

「う、ううん!なにも!」

 

ちなみに今は砂浜に来ている。

朝練の1番最初のメニューはストレッチ。

体を動かすのは基本中の基本である。

 

「…ふぁ、ぁ…」

それどころではないのは俺だけだが…。

すると、曜が近づいてきて耳打ちした。

 

「悠くんの横、すごく寝やすかったよ♪」

「なっ……」

 

敬礼をし、行ってまいります!と言い他の5人のところに行った曜。

「ぜ、絶対からかわれてる…」

ポカンとしつつその姿を目で追う俺。

確かに体勢的に腕枕っぽくなってたけど…。

 

(はぁ…いい想いをしたような…なんというか…)

悶々とする気持ちが行ったり来たり。

正直耐えられそうにない…。

 

 

「さてと、じゃあ走りますかー!」

千歌の掛け声と共に走り出す6人。

見てる限り6人とも、結構体力がついてきた。

ライブをするには体力も必要だ。

 

(そろそろ新しいメニューも考えなきゃな……あ、そうだ水分補給用の飲み物買ってきてあげよう)

歩いてすぐのところにあるコンビニへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

6人分の飲み物が入った袋を片手に、さっきまでいた場所に戻ろうとすると。

1人、砂浜を眺めている人物が。

 

「…あれ、果南さん?」

「…えっ?……あぁ、悠。おはよう」

「おはようございます、朝早いですね」

「まぁ、たまたまね……悠達は、朝練?」

「はい、そうです」

 

「…そっか」

走っている千歌を見て、どこか寂しそうな目をする果南さん。

「…あの、この前の…」

「ねぇ、悠」

「えっ…あ、はい」

ライブのことを聞こうと思ったが、話の腰を折られてしまった。

 

「大切な人が目指すものを側で見るって…どんな気持ちなんだろうね…」

「…え?」

「……ううん、なんでもない。

私、今日から学校登校するから、会ったら声でも掛けてよ」

「あ、はい。分かりました…」

「じゃあね」

最後に少し走っている6人を見てその場を後にする果南さん。

 

 

 

 

「大切な人が…目指すもの…」

それって…………。

 

 

 

「千歌と……スクールアイドルのこと…?」




今回は少し長めでした。
甘えてくる曜ちゃん、めちゃ可愛い(自画自賛)

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次回、ライブ本番


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14話

「マールーインパクトーーー!!」
「ぴぎゃああああああ!!」
「作者……堕天♪」

寒いですね←


そしてライブ当日を迎えた。

 

俺は今部室の前に居る。

…中では6人が着替えている。

俺は門番係である。

…悪く言ってしまうと省かれた。

いや、まぁ男だし当たり前だけど。

 

「あとライブまで1時間…かぁ」

俺達は部室で待たされている。

理事長の意向により、次の授業はライブ鑑賞会になった。

…参加しない人は、自習。

 

つまり、満員になるにはほぼ全生徒鑑賞会に来て

なおかつ他の人も来ないと不可能という訳だ。

 

(……ここまで来て後ろ向きになるのはやめよう)

 

「悠くん、お待たせー!」

中から千歌が出てきた。

ライブ用の衣装に身を包み、俺の名前を呼ぶ。

 

「うん、似合っているよ千歌

もちろん、他のみんなもね」

 

青をメインとした服と、白を基調とした服の2種類。

ずっとライブ衣装を見てなかったから余計に印象的に見えた。

 

「サイズピッタリずら~♪」

「ふっ…堕天使の闇のパワーが高まるわ」

「へへーん、ルビィちゃんと協力して作ったからね♪」

 

「そうなの?ルビィちゃん」

「は、はいっ!…結構手先器用なんで…」

「そっか、よく頑張ったね」

「えへへ…ありがとうございます…っ」

 

「…いよいよ、ライブ…だね」

千歌の声が少し震えてた。

 

「大丈夫、楽しいライブにしよう。

俺たちの…始まり、だからな」

 

「そうだね、千歌ちゃんも曜ちゃんも花丸ちゃんもルビィちゃんも善子ちゃんもみんながいてこその、このスクールアイドル部だもんね」

「…よしっ、みんな手を出して」

 

「?」

「…こう?」

6人の手が重なる。

「…みんな大丈夫、みんななら出来るよ

…ステージでめいっぱい輝いてこい!」

 

「…へへっ」

「悠くん…いい事言うね!」

「リトルデーモン…さすがね♪」

「いいアドバイスずら!」

「が、がんばルビィ!」

「よし…みんな行くよ!」

 

「「「おーっ!」」」

 

 

────────────────────

 

 

ステージに立つ6人。

この幕の先には…観客が。

(いる…はず)

 

袖でステージ上を見つめる。

千歌を始め、みんながひとつ、深呼吸した。

 

【では、ただいまより、スクールアイドル部のライブを開催します】

 

 

 

 

 

次の瞬間、幕が開いた…………瞬間だった。

 

ぱちぱちぱちぱち…!

そこには、満員になった観客の姿があった。

浦の星の生徒。そして大人の人もいた。

他の学校の制服も見えた。

 

理事長と生徒会長の姿も確認できた。

 

「すごい…ホントに、満員に…!」

梨子が思わず口に出した。

「…千歌ちゃん」

曜の問いに千歌が頷いた。

 

「私たち…浦の星スクールアイドル部です!

スクールアイドルに憧れて…輝きたい…そんな思いで部活を始めました!

私たちの初めてのライブ…聞いてください!」

 

 

曲が流れ始めた。

滞りなくダンスと歌が講堂に響く。

………しかし、ここで俺は気がついた。

 

(……果南さん…見に来てる…!)

理事長も生徒会長も驚いた顔をしていた。

来ることを予想してなかったのだろうか。

 

 

 

────────────────────

 

【果南視点】

 

「…やっほ、2人とも」

「か、果南!?」

「果南さん…!?」

 

ステージに目を向ける。

千歌…楽しそうに踊ってる…。

 

「…ちょっとね、しつこくライブを見に来てくれって言う男の子が居て…ね

見に来たって言うか…なんていうか…」

「…そっか、果南もやっぱり気になっていたんだね」

「…うん、やっぱり…スクールアイドルは…ね」

 

「…ルビィ」

「…そっか、ダイヤも何かあったの?」

「…ええ、妹のルビィが…」

 

────────────────────

 

【ダイヤ視点】

 

それは、突然のことだった。

夜、ルビィが部屋を尋ねてきた。

 

 

【お姉ちゃん…私、スクールアイドル部に入りたい!】

真っ直ぐこちらを見て、そう言ったルビィ。

…もちろん、ダメという理由もない…無いのだが、心がモヤモヤして落ち着かない。

 

「…貴方のしたい事を、すればいいわ」

そう、一言だけ言った。

 

 

 

 

だから、見に来た…ライブを。

もし、ダメだったら…その時はスクールアイドルを辞めさせようと。

───────でも、違った。

 

多分、このモヤモヤは…。

 

 

──────────────────────

 

【主人公視点】

 

 

たった数分だったが…ライブが終わった。

鳴り止まない拍手に応える6人。

 

いつの間にか、果南さんと理事長、生徒会長の姿がなかった。

 

そして、部室に戻った俺たちに理事長室に来るように放送が流れた。

 

 

────────────────────

 

 

理事長と生徒会長の前に並ぶ俺を含めた7人。

 

「…OK、部として認めましょう

Congratulation~!♪」

上機嫌に手を叩く理事長。

思わずその姿に面を食らう。

 

「「「…へ?」」」

 

「ああ、もう鞠莉さんったら…

約束通り、ライブを満員で成功させましたので、部として認めます。

…私も、あなた達のことを見くびってましたわ。ごめんなさい」

 

深々と謝罪する生徒会長にみんながすかさずフォローに入る。

 

「せ、生徒会長は謝んなくて大丈夫ですよ!!」

「私たちライブがやれてすごく楽しかったですし!」

「部として認められて良かったです!」

 

「あ、そうそう…もう1つ…サプライズ~♪」

パンパンと手を叩き場を静かにさせる理事長。

 

「スクールアイドル部に…新入部者がいマース♪

かもーん♪」

その掛け声に重厚な扉が開く。

その先にいたのは………………。

 

 

「…やっほ」

「「「か、果南さん(ちゃん)?!」」」

「と、私とダイヤの、3人ネー♪」

「…コホン、3人で話し合った結果、入ることに致しましたわ。」

 

「……でも、どうして?」

「ルビィ…なんでか分かる…かも」

ルビィちゃんが恐る恐る口を開いた。

 

「お姉ちゃん…昔スクールアイドル…やってた?」

「えっ!?」

その質問に生徒会長は静かに首を縦に振った。

 

「正しく言えば、私と果南とダイヤの3人で、ね」

「…でも、色々あって…解散しちゃったんだ」

「…じゃあ、絶対にスクールアイドルをやらないって言ってたのは…」

「そう、その事が…どうしても忘れられなくて…でも」

果南さんが千歌の方を見る。

 

「大切な人が…あんなに楽しそうに歌って踊ってる姿見て…やっぱり、もう一度やりたいなって…」

「果南ちゃん…」

「千歌…スクールアイドル部に…はいってもいいかな?」

 

「…もちろん!」

強く抱きしめ合う千歌と果南さん。

 

 

 

…こうして、スクールアイドル部は9人となった。




駄文だあぁぁぁ。
でもめげずに更新頑張ります←

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15話

スクフェスのフレンド募集中です!!!


ライブの翌日。

記念すべき、スクールアイドル部の活動開始…だったのだが。

 

 

「よーしっ、今日も頑張って部活するぞー!」

「ふふっ、張り切ってるね千歌ちゃん♪」

「…そう言えば」

「どうした?曜」

 

「あ、ううん。部室行ってから言うね」

「…?」

 

千歌と梨子がライブの回顧をしてる中、曜がなにか気にしていた。

 

───────────────────────

 

 

 

「「「スクールアイドル部のグループ名~?」」」

「うん、ライブの時から気になってたんだけど…」

「そう言えば、グループ名ねぇな」

「千歌ちゃん、なにかいいグループ名とかある?」

「そう言えば…ダンスや歌にばっかり気が行ってた…

うぅー…全然考えてない…」

 

「あの……」

「9人…9人だから…うーん……」

「あの…千歌さん……」

「冴木悠と愉快な女子高生たち!」

「なんで俺の名前が先頭なんだよ…」

「えへへ…リーダーっぽいから?」

「…なぁ、曜。俺ってリーダーっぽいか?」

「…うーん、、、まぁ、そうかなぁ…」

「そうかなぁ…」

 

「私の話を聞きなさーーーい!!」

「おわっ」

「ぴぎぃっ」

「ずらっ!?」

ダイヤさんの雷が落ちた。

スクールアイドルの雑誌を見ながら案を考えてたルビィちゃんと花丸ちゃんがその声に驚く。

 

「あはは…まぁ、ダイヤ。落ち着いて…」

理事長…もとい、鞠莉さんに近づき耳打ちする。

 

「ダイヤさん、すっごい部活に馴染んでません?」

「まぁ、本人はスクールアイドル好きだしね

私も、これが普通の状態だよ~♪」

「…まぁ、それは何となくそれは思ってました」

 

「それで、ダイヤどうしたの?」

「コホン…私に案がありますの…聞いてくださいますか?」

「ど、どうぞ…っ」

千歌が手を前に出し、どうぞどうぞといいながら俺の後ろに逃げた。

それを見て曜と梨子は思わず苦笑い。

 

 

キュッキュとホワイトボードに英語を書くダイヤさん。

「…このグループ名は…いかがでしょうか?」

「ダイヤ、それって…」

「oh…Amazing…」

 

どうやら、果南さんと鞠莉さんは心当たりがあるようだ。

 

「あーきゅー…ず?」

「千歌ちゃん、違うよ。

アクア、だよ。」

「アクア…か」

 

「このグループ名は…私達が活動してた時のグループ名ですわ」

「…3人で活動してた時の…ですか?」

「…まぁ、1つの案、ですわ」

「千歌ちゃん、どうかな?」

「……良い!」

「え?」

 

「すっごく良い!Aqours!」

どうやら気に入ったようだ。

「じゃあ…他のみんなもそれでいいかな…?」

「る、ルビィも大丈夫です!」

「マルも賛成ずら~♪」

 

「なんかそう思うと不思議な因果だね」

「果南も嬉しそうだね~♪」

「もう、訴えるよ?」

 

「……あれ、そう言えば善子は?」

「そう言えば見てないずら…」

「…あ、多分それなら…」

ルビィちゃんが心当たりがあるようだ。

 

「どこにいるのかな?」

「つ、着いてきてください」

ルビィちゃんを先頭に人気のない教室に連れてこられた。

ちなみに今は俺とルビィちゃんのふたり。

他のみんなは部室で今後の方針を決めているところだ。

 

「…静かだな」

「…ここです」

着いたのは教室…なのだが。

 

「…ここだけ、黒幕かかってる」

教室のドアの窓には黒い幕がかかっていた。

中の様子は見えなかった。

 

「あ、開ければ…わかると思います」

「よし、ならすぐ開けよう」

ガラッ!!と勢いよくドアを開けるとそこには…。

 

「くっくっく…私の中の堕天力が高まってる…

今宵の夜は…私の聖域よ…!」

「……何やってんだ、善子」

 

「ふっふっふ……誰かと思えば…盟友リトルデーモン」

「盟友って、しかもこの物々しいやつはなんだ?」

骸骨や魔法陣など怪しい物が所狭しと置いてあった。

 

「ここは私の聖域よ…?」

「あっ、オカルト部の部室です…」

「リトルデーモンルビィ!余計なことは言わないの!」

「…部室行くぞ?」

 

「…仕方ない、着いていきましょう」

ちなみに部室に行く時まで黒いマントは身につけたままだった。

…視線が痛い。




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16話

「マルインパクト~~!!!」
「ヨハンネ~ー!!!」
「も、もはや原型を留めてないわね…」


「あ、梨子。

ちょっといいかな?」

 

「どうしたの、悠くん?」

「今度の日曜日、空いてる?」

「空いてるけど…どうかしたの?」

「この前果南さんのダイビング一緒に行けなかったからさ…どっか出かけようぜってお誘いだ。」

「ふふっ、覚えていてくれたんだね」

「当たり前だろ?…それで、行く場所なんだけど…」

「悠くんにエスコートしてもらうかなぁ」

 

おっと…いきなりハードルが上がったな…

だかしかし!こちらにもプランはある!

 

「OK、期待していてくれや」

「自信満々だね?じゃあ、日曜日ね♪」

 

 

 

 

 

「…はっ!!梨子ちゃんと悠くんの絆Pが上がった!」

「千歌ちゃん、何言ってるの?」

「えへへ…なんとなくそんな気がして…」

「今度私も一緒にお出かけしたいなぁ」

「じゃあ、3人でお出かけだね!」

「ヨーソローっ!」

 

 

「……な、なんか視線を感じる……」

 

 

───────────────────────

 

 

そして週末。

待ち合わせ10分前。

 

朝の自主練をしてから家で準備だの着替えだのして待ち合わせ場所に着いた。

「先に来て待ってるのが出来る男って………」

「先に来て…どうしたの?」

「のわっ、梨子!?」

 

「ふふっ、私もほんの少し前に来たんだけどね」

「あっちゃ~…聞かれてたわ…」

「私とお出かけするの楽しみだった?」

「そりゃな、可愛い女の子と出掛けられるんだから楽しみに決まってる」

「……も、もう…またそうやって…///」

「?」

 

梨子の顔が赤くなる。

…まぁ、今日も暑いからなぁ。

 

「それで、どこに行くの?

内浦じゃなくて沼津で待ち合わせして…」

「…ところで、家が隣り同士なんだし…一緒に沼津まで行けば良かったんじゃない?」

「……あ」

「…ぷっ…ふふ…梨子が豆鉄砲食らったような顔してる…」

「も、もー!笑わないでよ!」

 

「ごめんごめん、まぁ俺も朝は走ってたりしたからね

次からはそうしようね」

「…次?」

「ん?今日1度でお出かけがおしまいなわけないじゃん」

「…そっ、そうだよね!

行こっか!」

「OK、はぐれるなよー?」

 

 

 

────────────────────

 

梨子と一緒に目的地まで歩いてる。

連れてきたのは、水族館。

 

「…深海の、水族館?」

不思議そうに首を傾げる梨子。

 

「ふふーん、ただの水族館だと思うなよー?」

「な、なんかあるの…?」

「中に入れば分かるよ!」

ふっふっふ…梨子、きっと驚くだろうなぁ。

 

「わぁ………!!」

中に入ると、暗めの照明に水槽の明るさだけが目立っていた。

それだけじゃない、音楽も流れていて魚達が優雅に泳いでいた。

 

「すごい…」

「…深海と、音楽のコラボだって

音楽が好きな梨子になら喜んで貰えるかなって」

 

「うん…っ

海の音とか、色々な音を聞いてきたけど…ここの音もすごく落ち着く…。」

「へへっ、喜んでもらえて良かった」

「色々見て回ろ?」

「そうだな………ほら?」

 

手を出す。

梨子の頭にはハテナが浮かんでいた。

 

「中、暗いだろ?

転ばないようにさ」

「あ、ありがと…」

 

梨子の手を握る。

女の子の手だからやっぱり小さい。

 

その後、色々見て回ったが。

行く先々で梨子の驚きと感銘の声が聞こえた。

…心做しか、梨子の方が握る力を強めてたのは…気のせいか俺の思い過ごし…なのだろうか?

 

────────────────────

 

その帰り道のバスの車内。

 

 

「今日は楽しかったなぁ」

「そう言って貰えるとこっちも誘った甲斐があったよ」

「次の曲作りに役立ちそうなのもあったし」

「あははっ、梨子らしいや」

「……ねぇ、悠くん」

 

「ん、どした?」

「……ううん、なんでもない。

少し眠くなっちゃった」

「着くまで休んでおきな…?

起こしてあげるからさ」

 

 

 

「ありがと…」

そう言うと肩に頭を寄り掛からせた梨子。

小さく寝息を立て始めたのが聞こえた。

 

 

 

その間…手を握っていたことに気がついたのは起こすときの事だった。




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次回:夏休み。そして猛アプローチ(?)


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17話

ゆっくりとですが、物語は進んでいきます。
暖かい目で見てください。


「なっつ休みー!!!」

テンション高く、千歌が叫んだ。

ちなみに部室で。

 

「千歌…元気だね」

「そりゃぁ、夏休みだもん!

はぁああ~今年の夏休みは何をしようかな~♪」

 

完全に今後のスケジュールで頭がいっぱいのようだ。

まぁ、俺もその1人でもある。

学生の特権、夏休み。満喫しない手はない。

 

「部活に海に…あ!夏祭りも行かなきゃね!」

「…あの、千歌さん?」

「悠くんにも教えてあげたいな~、ここの夏祭りは凄いんだよ!」

「ホントに?お祭りは好きだから行きたいな」

「…千歌さん?…悠さん?」

「あとね!海の家も夏限定でオープンす………」

「だまらっしゃーーーーーい!!!」

 

ダイヤさんの咆哮が部室に谺した。

 

「うわわぁ!?」「な、なんかこんなこと前にもあったような…!」

「お二人共!夏休みの計画をするのはいいですが、宿題もちゃんとするですわよ!」

「うっ……」

「わ、分かってますって…」

 

 

 

「みんな、お疲れ様…あれ?3人しかいないの?

なんか、大きな声が廊下まで響いてたよ?」

「ヨーソローっ!渡辺曜、部室に到着であります!」

「お、お姉ちゃん…なにか怒ってる?」

 

「あ、果南さんに曜、それにルビィちゃん。」

「忘れてもらっちゃ困るわね!

堕天使ヨハネ…部室に……堕天!」

「……えぇ…」

夏の暑さが増した気がした。暑苦しさって意味で。

どうでもいいことだけど善子はいじられキャラって感じがするのは俺だけ?

ってか、俺がよく善子をからかってるってか?

 

「も、もう…善子ちゃんったら先に行くんだから…」

「これもデビルの力ね♪」

「ま、マル…クタクタずらぁ…」

「あ、梨子に鞠莉さんも

…花丸ちゃん…大丈夫?」

 

「これで全員揃いましたわね」

「ダイヤさん、部室にみんなを集めて何の話しですか?」

「ズバリ、スクールアイドル部…Aqoursの今後の活動についてですわ!」

ババーンとホワイトボードを叩くダイヤさん。

 

…一番最初に部室に来てたのはこれを仕込んでたからか?

「夏休み中にラブライブに出るつもりでいますわ」

「…ラブライブ?」

「ゆ、悠先輩、ラブライブって言うのはスクールアイドルが参加するライブコンテストみたいなものだよ」

「へぇ…やっぱりルビィちゃん詳しいね」

「そりゃぁ~私のルビィですもの~よしよし~よく出来ましたわね~♪」

「えへへ…♪」

普段の厳格な生徒会長の面影はどこへやら

妹にはめちゃくちゃ甘いダイヤさんだった。

 

それを見てた善子が一言。

「…なに、この姉妹コント」

「コント、言うな!!」

「あ、あはは…それでそのラブライブは何時なんですか?」

「1ヶ月後、ですわ」

「マジか…じゃあ、曲とか衣装とかまたやることが多いですね…」

しかし、そんな課題が山積みな状況そっちのけで目を輝かせている千歌。

 

「ラブライブって……あのμ'sが出ていたライブコンテストですか!?」

「…μ's?」

「東京の秋葉原にいたスクールアイドルだよ、悠先輩。

廃校寸前だった学校をラブライブ優勝で立て直した凄いグループなんだよ!」

「お、おう…熱量がすごいな…」

「そ、それで…千歌?

なにかアイデアとかまとまってるの?」

 

 

 

「……………へ?」

さっきまでの目の輝きが消え、アホの子みたいな目をする千歌。

「あ…………あははー…まだ何も考えてないや…」

「…だと思いましたわ…そこで!

曲や詞を作る前に、PVを撮ってみるのはいかがでしょうか?」

「……P…V…?」

「まぁ、一種のグループ紹介ビデオみたいもんかな」

「果南さん達も、撮ったことが…?」

「んー、話で出てただけで…実際撮ったことは無いんだよね…」

「はいはーい!渡辺曜、カメラ持っているので撮影係を買って出るであります!」

「曜さん、ありがとうございます。

では、日取りを決めますので、今日は解散とします。

…千歌さん?宿題はちゃんとするのですよ?」

「うぇえ………はぁい…」

「…まぁ、俺も協力するから…」

 

力なく返事する千歌にぽんと手を置きフォローする。

実際、夏休みの宿題は早めにやっておいた方がいい。

 

「あ、そうだ……悠?」

「ん、なんですか、果南さん」

「この後って…暇?」

「特にやることは…ありませんが」

 

「じゃあ、ちょっとウチに寄ってかない?」

「…果南さんの…家に?」

「うん、無理にとは言わないけど…」

「俺は大丈夫ですよ」

「分かった、じゃあ行こっか?」

 

そう言われ、果南さんのあとを着いていくことに。

 

 

────────────────────

 

「さっ、入って入って」

「お、お邪魔します…」

流されるまま、家へとお邪魔する。

家の中はとても静かで人の気配はしなかった。

 

「…お父さんは?」

「今日は病院だよ、まぁ定期検診ってやつ?」

「…ああ、なるほど…」

落ち着かない。

よくよく考えれば、女の子と2人きりだ。

…しかも、果南さん…家の中だと結構のんびりさんなのかな…。

 

部屋着に着替えてるし…前とかけっこう…開いてるし。

「麦茶と紅茶、どっちがいい~?」

奥から果南さんの声が聞こえた。

恐らくキッチンにいるのだろう。

「あ、えと…じゃあ紅茶で」

「ん、分かった♪」

 

…そう言えば、なんで俺呼ばれたんだ?

なんか話したいこととか…あった…とか?

 

「はい、おまたせ…どうしたの?」

「あ、い、いえっ、なんでも!」

「…変な悠っ」

向かい合いながら座り紅茶を1口啜る。

程よい甘さが緊張をほぐしてくれてるような気がした。

 

「あの…それで、要件は…?」

「…うん、スクールアイドルのこと」

「…スクールアイドルの…事、ですか?」

「そう、悠が色々私に来てくださいって言ってたりした意味が…あのライブ見てわかったなって。

千歌が…可愛い幼馴染があんなに輝きたい、楽しんで自分のなりたい姿になりたいって…そう分かった。」

 

少し俯きながら話す果南さん。

ライブの後、色々と考えていたのだろう。

 

「…鞠莉やダイヤと、あのライブの後話したんだ

もう一度…スクールアイドル、やろうって…3人で、一緒にって」

「…そうだったんですか」

「それに気が付かせてくれた最大の人物は…悠だったのかなぁって」

果南さんはそのまま、真っ直ぐこちらを見てきた。

 

「だから…改めてお礼を言うね…ありがと、悠」

両手を広げる果南さん…何かのサインだろうか?

 

「ハグ、しよ?」

「……………え?」

「だから…ハグ、しよ?」

「は、ハグですか…?」

この人はなにを言ってるんだろうか…?

俺と果南さんは男と女であってつまり~…その~…。

─────やばい。まともな考えができない。

めっちゃ心臓バクバクいうてるし…。

 

…ええい!侭よ!

 

「お、お邪魔します…?」

恐る恐る、果南さんの両手の中に入る。

「ん…ハグ~♪」

(…あ、当たってる…)

しかし、当の本人は気にするどころかハグを辞めない。

「…あ、あの…こんなこと…ほかの男の人にも?」

「…?

他に仲のいい男の子なんていないよ?」

「そ、そうなんですか!?」

「…あ、もしかして悠…焼きもち~?

可愛いなぁ♪」

「ち、違いますし!!」

 

 

「あははっ、照れなくてもいいのに……ん、外…なんか音するね?」

「そう言えば…さっきからなんか音が…」

窓を開けるとさっきまで晴れてたはずが、雨音がしていた。

「あれ…っ、雨降ってる!!」

「そう言えば…今日は天気が崩れるかもって言ってたね…曜ちゃんが」

「マジか…どうしよ…」

降りしきる雨に困惑していると、電話の音が鳴った。

 

 

「あ、お父さんからだ…もしもし?

…え?…ああ、ほんと…?分かった、うん、こっちは大丈夫だよ…うん、うん」

「…あの、お父さん、どうしたんですか?」

「定期検診の帰りに仲のいい友人にあってお酒飲んでるってさ。

雨降ってるし、今日はその人のところに泊まるって…まぁ、昔からよくある事なんだけどね」

「…え、じゃあ…果南さん1人…?」

「…泊まってく?」

「は、はいいぃ…?」

突然の爆弾発言に口元がピクピクしてるのが自分でもわかった。

 

「それとも…嫌…かな?」

「うっ………」

そんな訴えかけるような目をされても…!

「…わ、分かりました…お世話になります…」

「よしっ、じゃあ決まり♪」

 

 

────────────────────

 

その後、果南さんの手料理をご馳走になり

お風呂にも入り、ゆっくりとさせてもらった。

 

千歌からメッセージがあり

【こっちは大丈夫だから絆PをMAXにするんだよ!ラブカストーンのために!】

と来た。…絆P?ラブカストーン?

 

「…あの、果南さん…?」

「ん、どうしたの?」

「布団が一つしか見当たらないんですけど…」

「そうだね」

「俺と果南さん…2人いますよね?」

「そうだね?」

「…ど、どうやって寝るんですかね~…?

あ、分かった!俺は床で寝ますね!」

「違うよ~、ほら、ここっ!」

1つしかない布団をめくる果南さん。

…ああ、やっぱりこれは…あれか…。

日本伝統とも言える…。

 

SO☆I☆NE

 

「いやいやいや!さすがにそれは!」

「大丈夫大丈夫、悠が相手なら」

「その自信はどこから!?」

「モーっ、大人しく観念しなさいっ!」

「わっ、ちょっと…果南さん…っ!」

手を引かれた反動で一気に果南さんとの距離が近くなる………と同時に違和感のする手のひら。

 

──────柔らかい。

…これはつまり…果南さんの………!!!

 

「ちょ、どこ触ってんのっ」

「ご、ごめんなさい!!」

「貴方って…意外と大胆、なんだね?

…ふふっ♪」

怒るどころか笑って許した果南さん。

こっちはドキドキが止まらない……。

 

「それとも…もっと触る?」

「な、何言ってるんですか…」

「ふふっ、冗談だよ♪

…さてとっ、寝よっか?」

「は、はい…布団、お邪魔します…」

 

さすがに2人用の布団じゃないので中は結構ぎゅうぎゅうに。

「このまま悠に抱きついたまま寝ちゃお~♪」

またしても果南さんのハグタイムが始まった。

「ん~…安心して寝れそう♪」

「そ、それは良かった…」

「………すぅ…zzz」

「って、はや……ホントに安心して寝ちゃったのか?」

そうと思ったのだが…多分、日頃の疲れなどもあるのだろうと考え、そのまま俺も眠りにつくことに。

 

 

 

 

 

…不思議なことに、ハグされていても緊張したりドキドキしたりしなくなってきた。

まるで、されることに慣れてきたみたいに…。




果南に抱きしめられたい!!!
どうでもいいけど、元気全開DAY!DAY!DAY!の曜が可愛すぎる

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次回:PVと作詞


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18話

今日は果南ちゃんの誕生日!


「曜ちゃん、カメラの準備はOK?」

「うんっ、大丈夫だよ!」

「じゃあ、始めよっか~」

 

夏休みのとある日。

俺と千歌と曜とルビィちゃんと花丸ちゃんはPVを撮りにきた。

ちなみに2手に別れてPV撮影をしている。

 

…俺?

今日は見張り役だ…。

 

「じゃあ自己紹介からだね~まずは…ルビィちゃん!」

「ええっ…えぇ~!?…ルビィから…?」

カメラを向けられあわあわするルビィちゃん。

無理もない、いきなり自己紹介と言われても…特にルビィちゃんなら尚更…。

 

「ふぇ……えぇ~ん…先輩…」

逃げるように俺の後ろに隠れるルビィちゃん。

小動物みたいで可愛い。

 

「あーっ!ルビィちゃん逃げちゃダメだよ~!」

「ご、ごめんなさい……」

「まあまあ…ルビィちゃんも自己紹介とか苦手なんだよな?」

その質問にルビィちゃんが首を縦に振る。

 

「むう……じゃあ、千歌がする!」

カメラの前に立つ千歌。

 

「初めまして!私、高海千歌って言います!

今、浦の星女学院ってところでスクールアイドル活動しています!」

 

つらつらと話す千歌。

出だしこそ好調だったものの…

 

「好きな物……好きな物か~…うーん……あ、ミカン!

あと、曜ちゃんと梨子ちゃん!果南ちゃんも!」

「ちょ、千歌ちゃん…それは好きな物じゃないよっ」

「あれぇ…おっかしいなぁ…?」

「じゃあ……ナマコとかカエル?」

「路線変更が急だよ…!」

 

「うーん…自己紹介って奥が深い…

…じゃあ、花丸ちゃんやってみる?」

「マ、マルずら?!」

自分に来るとは思ってなかったのだろうか

思い切り焦った表情をする花丸ちゃん。

 

 

「…こ、これに話せばいいずら?」

指さす先はカメラの…………レンズ。

 

「う、うん…普通に話せば大丈夫だよ」

「こうずら…?」

今度はレンズに超至近距離で近づく花丸ちゃん。

 

「そ、そんな近くなくて大丈夫だよ、花丸ちゃん!」

「ず、ずらあああぁ………」

恥ずかしそうに下がる花丸ちゃん。

前にも聞いたが、機械系はホントに疎いようだ。

 

「えっと…マ、マル…じゃなくて私の名前は…国木田花丸…ずら。

あ、ずらって言っちゃった…えっと、趣味は読書です…。

マル…じゃなかった、私もスクールアイドルになれるって思ってなくて…」

標準語をあまり使ってないのか、片言になってしまう。

 

「ううーん、やっぱりサクサクは出来ないね…」

「とりあえず、曜?

カメラ俺がやるから自己紹介撮ってみ?」

「ヨーソロー♪」

ノリノリな曜。これは期待値も高い。

 

「…あと、ルビィちゃん。

いつまで俺の背中に隠れてるんだ…?」

「ピギっ…ご、ごめんなさい…何だか、落ち着いて…」

「……まあ、落ち着くなら良いんだけど…」

正直悪い気はしない。

 

 

「コホン…初めまして、私の名前は渡辺曜です!

特技は運動と水泳!高飛び込みとかしてます!

スクールアイドルになってまだまだこれからだけど頑張っていくであります!

全速前進……ヨーソロー!」

 

「おお…中々の完成度…」

「へへっ、こういうのは得意なんだよね」

「さすがだな」

 

「じゃあ、ルビィちゃんのも撮るか?」

「そうだね、ルビィちゃん大丈夫?」

「あ………は、はい…」

 

おずおずとカメラの前に立つルビィちゃん。

「…あ、あの…く、黒澤ルビィって言います…っ

スクールアイドルの…μ'sに憧れて…スクールアイドル部に入りました…こ、これから活躍できるように………が、頑張ルビィっ!」

(頑張ルビィ…?)

 

曜に対抗意識でもあるのか、ルビィよ。

「よく出来ました、ルビィちゃん」

「えへへ…先輩、ありがとうございます。」

 

「とりあえず、あっちのグループの進み具合を聞いてみるか?」

「そうだね、悠くん、よろしく!」

「あいよ」

 

 

電話のコールの後、出たのは果南さん。

【悠?どうしたの?】

「そっちはどう?進んでる?」

【とりあえず、撮り終わったけど…えーと…】

「終わったけど…?」

【ま、まぁ…後で部室に行けば分かると思うよ…ははっ…】

果南さんの乾いた笑いに嫌な予感しかしないまま

俺達は部室に戻るのであった。

 

 

 

────────────────────

 

「さて………」

パソコンにカメラを接続した状態で、ダイヤさんが咳払いをする。

 

「一通り見てみることにしましょう…悠さん、再生ボタン」

「御意」

(悠くん、御意って…)

(任侠道?)

 

 

最初の映像に出てきたのは、善子と梨子と鞠莉さん。

これまた意外な組み合わせだ。

 

「くっくっく…カメラの先で見ているリトルデーモンのみんな…見てるかしら?ヨハネよ。」

「り、リトルデーモン…リリィよ」

「はぁーい♪リトルデーモン、マリーよ♪」

 

カチッ。

 

「おい」

ツッコミどころしかなく、一時停止のボタンを押す。

 

「あ、あはは…悠くん…ごめんなさい」

「いや、梨子は悪くないだろ?」

「そうよ…この人類リトルデーモン計画を企てたのは…ヨハネよ!!」

椅子の上に立ちヨハネポーズ(俺命名)を決める。

 

「危ないずら」

「善子ちゃん、落ちちゃうよ…」

「善子じゃなくて、ヨハーネー!」

 

「…しかも、鞠莉さんもノリノリだし…」

「結構楽しいわよ~?♪」

「私も止めたのですが…言う事を聞かず…」

確かに映像の最後に頭を抱えるダイヤさんが映ってた。

ということは撮影係は果南さんか。

 

「そちらの班はどうでしたか?」

「とりあえず全員撮って…こんな感じです」

一通り、4人の自己紹介映像を流す。

 

 

 

 

「…悠さん、あとでその映像だけコピーを」

「…ダイヤさん?」

「コホン…なんでもありませんわ。

まぁ…最初からPVと言うのも難しい事だったかもしれませんわ」

「まぁ、Aqoursの宣伝として使えるけど…」

「やっぱりライブが一番だよねぇ~…」

 

千歌がだらーんと果南さんにもたれ掛かる。

「そういえば、千歌ちゃん?作詞は…?」

「あれ…ダイヤさんから今回は千歌じゃなくて他の人に作詞をしてもらうって言ってたよ?」

 

「そうなの?ダイヤ」

「ええ…ラブライブの予選+宣伝用に使うライブの作詞…それを今回は悠さん、あなたを抜擢しますわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………は?」




スクフェスで果南ちゃんのURをゲットしよう!(どこ目線)

相変わらず駄文ですがお許しください!
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19話

果南ちゃんのバースデーカードを手に入れるために
雪の中出掛ける今日この頃。


「あー……うーん…ゴーンヌ…」

Aqoursのメンバーが寿司ポーズ?ないな…。

 

「さ、さっきからあんな状態ずら…」

「作詞、上手くいってないのかな…?」

「情けないわね、マイリトルデーモンなのに」

 

「…アジフライ…海老の干物…」

お腹空いたなぁ…ここのアジとかめっちゃ美味しいし…。

 

「あ、あれは…歌詞じゃなくて、夕飯…?」

「た、多分そうだろうね…歌詞にアジフライとか出てきたらびっくりだよ…。」

「そもそも、ダイヤはなんで悠に作詞を担当させたの?」

 

「そ、それは………」

「ファビラス……サンシャイン…」

…あ、サンシャインってなんかいいかも。

 

「ゆ、悠さんのおかげでスクールアイドル部が成り立ってると思いまして…」

「確かに…悠にライブ見に来てって言われてこうなったし…」

「言われてみれば…悠くんのおかげ…かもね?」

 

 

「だああああ…だーめだあー……」

何か話していたのだろうか、他のメンバーがこっちを見てくる。

「悠くん、進んだ?」

梨子がひょこっと顔を覗かせる。

「見ての通り、さっぱ梨子って感じ」

「…さ、さっぱ梨子…?」

ノートにはタイトルすら書かれてない状態。

 

「千歌のいう難しさって言うのがよく分かったよ…」

「でも、悠くんはその時私にアドバイスしてくれたよね!♪」

「……え?………あっ」

「そっ、''ありのままを書けば''良いんだよ!」

「ありのまま………か」

 

そうなるとテーマだなぁ…。

あの時はライブを成功させようって気持ちで千歌は作詞してたし…。

 

「悠くん!恋だよ、恋!」

「………コイって…魚の?」

「ちーがーうーよ!Loveの方だよ!ラブライブだもん!」

「…あー…そっち?…っていうか恋って…」

男にそのテーマはハードルが高くないだろうか?

というか他のメンバーの視線がめっちゃ刺さってるくるし。

 

 

「恋なんかしたことないし分かんないよ~…」

「「あ、あはは…そう(だよね~…・ですわね…・だね…・ずら…)」」

十人十色…いや、九人九色?みんながみんな違った反応を見せる。

ただ一つシンクロしたのは9人の重いため息だけだった。

 

 

────────────────────

 

 

「…だめだ、思い浮かばない…」

おもむろに立ち上がる。

 

「どうしたの?悠くん」

「少し気分転換に走ってくるよ、15分位で戻ってくる」

「まぁ…気分転換は大事ですわ」

「行ってらっしゃい、気をつけてね?」

「ヨハネの施しを授けるわっ」

「善子ちゃん、堕天使がするからそれは呪術ずら」

「よーしーこ、言うなー!」

 

「あはは…じゃあ、少し行ってくるよ」

 

────────────────────────

 

悠が席を外し、静かになった部室。

 

「……さて、本人が居ないうちにハッキリさせておきましょう。」

ダイヤが口を開く。

 

「単刀直入に聞きます、皆さん…悠さんのことどう思ってますか?」

其の質問に2年生達は目を泳がす。

 

「悠くんは…すごく優しいし」

「頼りになるし…」

「励ましてくれたり…元気くれたりするし…」

 

1年生組も続く。

「正直、話していて楽しいわ。

…ちょっかいはよく出されるけど…嫌な気はしない、わ」

「マルも…スクールアイドル頑張ろうって思ったのは…悠さんのおかげ、ずら」

「ルビィも…先輩がいると、心強い…かな」

 

6人の話を聞き、ダイヤがふぅ、と息を吐く。

 

「果南さん、鞠莉さんは?」

「もちろん、私も感謝してるよ。

スクールアイドルにも戻れたし、ダイヤと鞠莉ともこうやって出来るのはライブに誘ってくれた悠のおかげだし」

 

「私は~前からダイヤに言ってるわよ~?

悠はkeyになると。」

「なるほど…つまり皆さん、同じ気持ちってことですわね」

「…ゴクリ」

「千歌ちゃん、ゴクリって言う人初めて見たよ…」

「つまり…ダイヤさんも?」

 

「べ、別に…私は…っ!///

…ただ、お慕いしているだけですわ…っ」

(…意外と…ダイヤってツンデレ?)

(お姉ちゃん…ルビィも初めて見たよ…)

 

 

 

「ただいま~…あ、これ差し入れのアイス……みんなどうしたの?」

 

 

────────────────────

 

ランニングの帰りにアイスを買って部室に戻ったら一斉に見られた。

 

「…あの、顔が怖いんだけど…」

「アイスずら~!♪」

「いただきま~す!」

 

千歌と花丸ちゃんが早速食いつく。

 

「こ、怖い顔なんかしてませんわ!

…貴方のせい、ですわよ…」

「あ、あはは…おかしいな…梨子ちゃん、この部屋暑いのかな…?」

「えっ!?…あ、あぁ~…少し暑いのかもね…?」

 

「…?

まぁ、いいやアイス溶けちゃうよ?」

目を離していたら善子とルビィちゃんと果南さんも食べていた。

 

 

(これは…大分気がつくまで時間がかかりそうですわ…)

(悠って…泊まった時から思ってたけど…鈍感、というか…)

(も、もっとアプローチが必要ってこと…なのかな?)

 

 

 

 

 

「「「はぁ~…………」」」

「?」

 

 

アイスを食べてたら、2回目の息のあったため息がした。




Aqoursの中で好きな曲は、
君の瞳を巡る冒険とHAPPY PARTY TRAINです↩︎

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次回:千歌と作詞と2人きり


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20話

書きたいネタも尽きた←ので前書き無しで行きます!!
_○/|_ 土下座…


「…うーん」

悩む場所は家(と言っても十千万だけど…)に戻っても変わらなかった。

 

「今日中くらいに何とかしなきゃ…」

悠長に待ってる暇はない。ライブまでかなり時間が惜しい。

 

「…はぁ」

「悠くん…ため息ついてどうしたの?」

「あっ、千歌…」

風呂上がりの千歌が様子を見に来た。

 

「あはは…さっぱりでさ…人にアドバイスした割にはダメだなぁって…」

「そんなことないよ!」

ぐいっと、接近する千歌。

女の子が使うシャンプーはこんなにもいい匂いがするのだろうか。

 

「…ち、千歌?」

「悠くんだってやればできるよ!」

「…う、うん…頑張るよ…ありがとうな、千歌」

千歌なりの励ましなのだろう、少し気持ちが楽になった。

 

「よし……」

自分の思ってるフレーズ、ワードを次々と出していく。

歌詞としておかしくないか、よく確認し気がつけば少しではあったが、歌詞が出来ていた。

 

「…………?」

「じーーーーーーっ………」

集中して気が付かなかったが、千歌が隣で顔を覗かせている。

前のめりになってるから腕に柔らかい感触がする。

多分本人は気がついてないとは思う。

 

「…あの、千歌…?」

「悠くんって指キレイだよね~」

「えっ…そう?」

言われても自覚はあんまりない。

むしろ、初めて言われた。

 

「だから頭撫でるのも上手いのかな~…?(チラッ」

横目で見ながら体を少しくねくねさせる千歌。

…ん?

 

「…つまり?」

「ううん~…上手いのかな~って(チラッ」

「…よしよし」

「えっへへ~♪」

女の子は頭を撫でるという行為は好きなのだろうか。

今度誰かで試してみ………たいが、何されるか分かったもんじゃないのでやめておこう。

 

「悠くん、もっと~♪」

「千歌は甘えん坊だな」

「甘えん坊は………嫌い?」

俺の手を自分の頬に添わす千歌。

 

「嫌いって…そんな事はないぞ、安心しろ」

「…えへへ、そっか…♪」

少しうっとりとした顔で手をスリスリする千歌。

…何かあったのだろうか?

 

「…どうしたんだ、千歌

お前らし──────────」

 

 

 

 

チュッ。

 

 

 

 

「……………え?」

頬ではあったが柔らかい感触がした。

「…頭撫でてもらったお礼♪

あとは…歌詞作り頑張れるようにってエールだよ♪」

「…ち、千歌…」

流石の俺でも頭がこんがらがる。

しかし、呆然としてる俺をよそに千歌は立ち上がり…。

 

「じゃあ、私は寝るね?

また明日ね、悠くん♪」

手を振りながら部屋をあとにした。

 

 

 

「…………………………」

ポーっと頬を触りながら先程の出来事で頭がいっぱいになった。

 

────────────────────

 

【千歌 視点】

 

ううぅ…………。

(やってしまった……!)

 

「うわぁーん!悠くんに嫌われたらどうしよう…!!」

さすがにいきなりあんなことしたら変な風に思われちゃうかなぁ…。

 

「逃げるように部屋に戻ったけど…うう、明日からどうやって顔合わせれば…」

 

思わずダイブしたベットにあった枕を抱きしめる。

「…なんであんなことしちゃったんだろ…悠くん…」

ぎゅっと枕を抱きしめる力が強くなったことを感じた。

「…もしかして……私…」

 

 

 

……ううん、考えるのは…ここまでにしておこう。

そう自分に言い聞かせ、眠りにつく。

明日には…きっと、普通にいつも通り話せてるはず…。

 

────────────────────

 

 

 

時刻は深夜2時。

 

さすがに眠気もピークに達してきた。

「ううん…眠い…」

携帯を開くと、メッセージが1件入っていた。

 

「……善子からぁ?」

その差出人は意外にも善子からだった。

 

【私の優秀なリトルデーモンへ

 

作詞作りはどうかしら?

難しくて、なかなか作業が進まないと思うけど…

あんまり根詰めるのは体に毒よ?

 

完成、楽しみにしてるわね♪

 

ヨハネより】

 

 

「…あはは、堕天使が俺の体心配してどうするんだよ」

でも、善子もなんだかんだ言って気にしてくれてるんだな…。

 

「明日、お礼言わなきゃな」

再びペンを握り、ノートと向き合う。

 

順調に進めていく中でふと気がついた。

「これをみんなが歌って…踊るのかぁ…

それって…めっちゃ凄いことだよなぁ…

そんな事に携わったって…昔の俺じゃ想像出来ないな…」

 

1人、苦笑いをしペンを走らす。

結果、完成したが時刻は5時過ぎまでかかってしまった。




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21話

15日からの限定SR(AQUARIUM衣装)の
曜ちゃんめちゃくちゃ欲しい…!!


「ふむ……………」

 

屋上に集まり、練習の前に完成した歌詞を渡す。

ペラペラとノートの上から下まで見るダイヤさん。

しかし、みんなの話は途中途中しか耳にしか入らない。

 

「……ん………ぁっ……」

カクッ、カクッと寝落ちする回数も増えてきた。

正直、寝不足で授業もままならない。

何度梨子に起こされたことか。

 

「悠?スリーピーね?」

「…あ、鞠莉さん…大丈夫っす…大…丈…」

「ノンノン、寝不足は体に毒よ?

…少し寝なさい?」

 

そう言い、鞠莉さんは自分の膝をポンポン叩く。

女の子座りしているとはいえ、男の頭を置くのは…如何なものかと…とは思ったが、寝不足には勝てない。

 

「…ごめんなさい…」

「ノープロブレム♪大丈夫よ」

 

余程眠かったのか、それとも鞠莉さんの膝枕が心地よかったのか…直ぐに眠りについた。

 

 

────────────────────

 

 

 

「…やはり、悠さんに頼んで正解でしたわ

これならいいライブ………あら?」

 

「しーっ……お疲れのようよ?」

「鞠莉さん…っ

なんてことをしてるのですか…!」

 

さすがに寝ているからだろうか、ダイヤも小さな声で話す。

「…悠、疲れちゃったのかな?」

「昨日から寝てないって言ってたし…かなり作詞作り頑張ったんだね」

「本当は授業中も起こしたくなかったけど…やっぱり眠かったんだね…」

 

「鞠莉ちゃん、ずるーいっ

私だって悠くんに膝枕されたいのに~!」

 

(あれ…されたい方なんだ)

と心の中で突っ込む曜であった。

 

「リトルデーモン…無理しすぎよ

体に毒ってあれほど言ったのに…」

「善子ちゃん、いつの間にそんなこと言ってたずら?」

「た、たまたまよ!」

 

 

「ですが…悠さんを寝かせたまま練習は…」

「そうね…可哀想だけど、起こしましょうか」

 

ユサユサと悠を揺する鞠莉。

「……ん、鞠莉さん……?」

 

────────────────────

 

 

体を揺らされる感覚に目を覚ますと鞠莉さんが手を振った。

「グッドモーニング♪

可愛らしい寝顔だったわよ♪」

 

「…あ…鞠莉さん、すいません…」

急いで頭を離す。

 

「あら、もっとやってても良かったのに~」

「あはは…また今度に…」

 

「悠さん、大丈夫ですか?」

「あ、はい…大丈夫です」

「分かりました、では練習を始めますので、見ていてください」

 

一応、俺は練習や活動の監督役になっている。

と言うのも、千歌や曜、梨子に花丸などが推薦でそのような役職になった。

 

(ううーん…鞠莉さんの膝枕…気持ちよかったな…)

9人で歌詞に合わせて振り付けを言い合っていたが、俺の頭の中は膝枕のことでいっぱいだった。

 

正直、膝枕なんて初めての経験だった。

眠気と戦いつつも、アドバイスをしたり振り付けのサポートをしてるとあっという間に夕方になっていた。

 

 

────────────────────

 

「ううーん………眠い…」

「ちょ、悠くん…足元おぼつかないけど…」

曜が心配そうに見つめる。

 

「あはは…徹夜作業はしない方がいいね…」

「私も衣装作りが徹夜になることも…まぁ、多少はあるからなぁ…」

 

「曜~…助けてくれ~…」

助けるもなにも、することはないだろ…と思いつつそんな冗談を言うと…。

「じゃあ…私の家、くる?

少し休んでいきなよ…ちなみに、悠くん。

もう十千万のバス停過ぎてるよ…」

「あぁ……?」

 

後ろを見ると、思いも虚しく目的地が離れていく。

「まじかぁ…曜のとこ行ってもいいのか…?」

「うん、お父さんいるけど大丈夫だよ」

「じゃあ、お言葉に甘えるわ…」

 

 

 

こうして、バスに乗ったまま、曜の家へと向かうのであった。




ちょっと短めだったかな…。
次回は曜の家にお泊まりです!何か一悶着ある(?)かもです!

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22話

お待たせしました!
曜ちゃんお泊まり回でございます!


「さっ、どうぞ♪」

「お、お邪魔します…」

 

曜に手招きされ、家の中へと案内される。

お母さんとお父さんに顔合わせしたがニヤニヤしながら口裏合わせて部屋へと消えていった。

 

 

曜も苦笑いしつつ自室に案内した。

「あんまり綺麗じゃないけど…どうぞ♪」

「いやいや…綺麗じゃん」

物がきちんと整理されている白を基調とした女の子らしい部屋。

カモメ…?のようなぬいぐるみや船に乗ってる幼い時の曜の写真などが飾ってあった。

 

「小さい頃から曜は可愛かったんだな」

「あっ、それは見ちゃだめ~!」

手をブンブン振りながら俺の目を遮る曜。

…そんなに見られたくないのだろうか?

 

「もー…あんまり女の子の部屋とかジロジロ見るものでもないよ?」

「あはは……ごめん」

「まだ、悠くんだから部屋にも入れるし許すけど…」

「何か言った?」

「なんにもない!…あ、そうだ。

ちょっとまってて?」

 

「?」

「いーから!目を隠して!」

曜に手を捕まれ、目を隠される。

 

奥の方でガサゴソと音がする。

布が擦れるような音もしたが何をしているんだろうか?

 

「えへへ…悠くん、目を開けていいよ♪」

「ん…曜、一体何を──────────」

目を開けると、ライブ衣装を身にまとった曜が居た。

 

「その服って…あの、講堂でライブした時の…」

それはAqoursになる前、スクールアイドル部として認めてもらう時にやったライブの際に使用した衣装だった。

 

「あんまり、悠くんに見てもらってなかったから…どう、かな?」

どうもなにも可愛すぎる。

これを曜を作ったと思うと改めて感心する。

 

次のライブも衣装は曜が作るのか…。

「…あ、そうだ

曜にお願いっていうか…」

「もう…悠くんにお願いされると弱いんだよね…」

 

…聞き方によると意味深に聞こえるがそこは素通りしよう。

「…この衣装、さ

3年生の3人分って…作れる?」

「…?

作れるけど…どうして?」

「あのライブでやった青空Jumping Heartを…9人で改めてやりたいなって」

「…9人で?」

 

「うん、あの曲もダンスも…9人でやったほうが絶対にいいなって…もちろん、ラブライブの予選が終わってから…だけど」

「そっか…悠くんの考えなら、私も協力するよ!

じゃあ、悠くんにも手伝ってもらおうかな♪」

 

「うん、任せてよ!」

「………ただ」

 

突然抱きつく曜。

いきなりの出来事に受け身が少し遅れた。

 

「…よ、曜…?」

「…今日は…私だけをずっと見ていて…欲しい、なって…」

「…曜?」

「…あはは、私らしくないって言うのは分かってるんだけど…」

 

「まぁ…曜がそう言うなら、いいよ…?」

「…うん、ありがとう…悠くん」

曜が抱き着いたまま時間だけがすぎていく。

心無しか、2人の鼓動が早くなっているのがわかるような気がした。

 

…曜も…ドキドキしている、のか?

でも…俺もしている…のか?

 

「…ありがとうね、悠くん

悠くんといるとね…すごく落ち着くの」

「…そ、そうなんだ」

「多分、私だけじゃなくて千歌ちゃんや梨子ちゃん…みんながそう思ってるはずだよ」

「…そ、そうなのか…」

 

自覚がなかった。

むしろ、みんなそんなことを言わないから気がつかなかった。

 

「…だから、悠くんもこれから私たちを…支えてね?」

「もちろん、当たり前じゃん」

「悠くん…ありがとう♪」

 

ぱっと離れるといつもの曜に戻った。

「さっ!ライブ衣装のアイデア出そうよ!♪」

「おいおい…もう11時だよ?」

「今日は寝かさないよー!♪」

 

ライブに向けた衣装作りが始まった…のはいいのだが。

 

「…なんで、衣装のままで居るの?」

「…悠くん、こういうのが好きなのかなーって」

「好きだけど…目のやり場に困るからやめて…」

 

「ほらほらー…こういうのがいいの~?」

子犬のように腕にすりつく曜。

しかし、自分がやった行為に恥ずかしくなったのか顔を赤くしたままライブ衣装のアイデア計画が始まった。

 

 

──────────結局、ライブ衣装を着替えたのは案がまとまった時だった。



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23話

「マルインパクトォオオオオオオ!!」
「あべし!!!」
「なんか恒例行事に見えてきたわ…」
「ハグ(スリーパー)、する?」
「果南ちゃん、遠慮なくどうぞずら」
「いや…ほんと、勘弁してください…」




更新お待たせしました…!!


「─────宿題が」

「──────終わらない…!」

 

その言葉にハッとする8人。

ちなみに今は、やば珈琲にいる。

 

「……へぇ、それは興味深いですわ…?」

「ちょ、ダイヤその震える手を抑えて抑えて…!」

「ゆ、悠くんも千歌ちゃんも決して忘れて遊んでたわけじゃ…!」

 

 

「だまらっしゃーーーーーい!!」

雷を落とされました。まぁ無理もないけど。

俺的にライフポイントに300のダメージ。

 

「それで、どの宿題が終わってなくって?」

「…いやー…そのー…」

「…まさかとは思いますが…全然終わってないと?」

「…あは、あはは…」

 

千歌と顔を合わせながら思わず苦笑い。

「ぶっぶーですわ!!」

…はい、ぶっぶーですよね…。

 

「仕方ありませんわ…突貫工事になってしまいますが…今日は勉強会に致しましょう…皆さん、いいですね?」

 

「は、はいっ!」

「よ、ヨーソローであります!」

「ヨハネにとって造作もないっ!」

「がんばルビィ♪」

 

ダイヤさんの威圧に負けたのか背筋を伸ばし返答する他メンバー。

みんな…すまねぇと合掌。

 

 

────────────────────

 

 

「という訳で、悠さんには果南さんと梨子さんと善子さんに

勉強教えてもらいましょう」

「…これはまた、意外なメンバーだな…というか、善子

お前、頭良いんだな…」

 

「私はヨハネよ?これくらい朝飯前よ」

「説得力がありすぎてなんも言い返せないわ…」

「さっ、勉強始めるよ♪

どこからやろうか?」

「じゃあ…苦手な英語と数学から…」

 

「いいよっ、じゃあ英語からだね」

「…梨子、なんかやる気になってるね?」

「…だって、宿題早く終わらせなきゃライブとか遊びに行けたりしないでしょ?

そんなの、やっぱり嫌だから…」

 

「…よ、よし!頑張るか!!」

何とも言えない気まずい雰囲気になりそうだったのですぐさま宿題に取り掛かった。

 

 

「…鈍いねぇ」

「このヨハネをもってしても…気がつかないとは」

「はぁ…まぁ、そこが悠くんのいい所というか…なんというか…」

 

 

 

「……3人とも、視線が気になるんだけど…」

「「「はぁ…………」」」

「……?」

 

 

 

────────────────────

 

「よし…とりあえず半分くらいは終わったかな…」

やはり、3人に教えてもらうと進みが早い。

毎回こんな風に勉強教えて貰えたらな……いや、ダイヤさんがお怒りになりそうだからやめておこう…。

 

「千歌は……そっちも苦戦していそうだな…」

むむむ…とノートに立ち向かう千歌。

その後ろでダイヤさんと曜が勉強を教えている状態。

 

…あ、ダイヤさん、ルビィちゃんにも教えているのか…。

やっぱりこういう所はお姉さんって感じだな。

 

花丸ちゃんと鞠莉さんは…あれ、ティータイムしてる。

もしかして、もう宿題終わってる…!?

 

 

「こらっ、悠?

手が止まってるよ?」

「す、すいません!果南さん!」

 

…先程からだが、果南さんと梨子の距離が近い。

善子も前のめりになって見てきている。

…コイツ、意外と大きいんだな…。

 

「……モヤモヤ…」

「…モヤモヤ〇まーず…?」

「人の気も知らないで…」

 

「あはは、冗談冗談♪

それで、さっきから視線が泳いでるけど…なにかあった?」

「いや…そのー……」

 

「思ってることがあれば素直に言った方がいいわよ…リトルデーモン?」

「…ですよね~…」

「もしかして、疲れちゃった?

少し休憩にする?」

 

「いや、というか…2人の距離が近くて…色々当たってるのと…善子…前が…。」

その言葉に3人とも、自分たちの位置を確認する……だけ。

 

「それが…どうしたの?」

「いや、どうしたって…女の子なんだし、そういうのはちょっと控えた方が…」

 

「悠くん…嫌、とか?」

「むしろ、悶々して仕方がない…」

「あははっ、意外と可愛い所あるんだね~♪」

 

そう言って、ハグをする果南さん。

お山によるダイレクトアタックで俺のライフポイントはもうゼロよ。

 

「リトルデーモン…ヨハネのここが気になるの?」

鎖骨の下あたりを指さす善子。

正直、夏服だからかなり目立つ。

 

「…………」

「首は横に振ってるけど…説得力ゼロよ、リトルデーモン」

「あはは…やっぱり?」

「まぁ…リトルデーモンがもっとヨハネの事信じてくれたら…考えなくもないわ?」

「いやいや…何言うてんの……あと、梨子いつの間に腕に抱き着いてるの?」

 

「えっ…!?

…あ、あはは…ホントだね、いつの間に…」

千歌と言い、曜といい擦りつくの好きだなぁ…とか思いつつ思い切り腕をホールドしてる梨子を見る。

 

……あ、そうだ。試してみたいことあったんだった。

 

「…よしよし」

「んっ…悠くん…?」

頭を撫でると不思議そうな顔で見つめる梨子。

「ん、女の子ってこういうのやっぱり好きなのかなって」

「…うん、好き、かも…」

恥ずかしそうに呟く梨子。

もちろん、梨子だけではなく果南さんと善子にも。

 

「…あははっ、いつも私がやる方だけど…される方も…悪くはない…ね…っ」

言葉とは裏腹に目をトロンとさせる果南さん。

 

「い、意外と大きい手をしてるのねリトルデーモン…っ!」

借りてきた猫のように縮こまる善子。

こいつもいつも明るく振舞ってるけどこんな顔する事あるんだな。

 

 

 

 

「……あーーーなーーーたーーーたーーーち……?」

 

──────────後ろを振り返ると

仁王立ちのダイヤさん。その姿まさに……ラスボ…。

 

 

「宿題は終わったのですか…?」

あ、まずい。これはかなりお怒りだ。

「は、はい終わりました!!」

即座に返事をし、ノートを渡す。

パラパラとめくり、確認をする。

…気がついたら千歌とか曜もこっち見てるし。

 

「…よろしい、ちゃんと終わってますね」

「はいぃ…」

お許しをもらえたようだ。さすがにハグでダイレクトアタックされた後に雷はキツい。ライフポイント的な意味で。

 

「よく頑張りましたね、悠さん」

にこやかに笑う姿に思わず見入る。

…ダイヤさんも、こんな顔するのか…。

 

 

 

 

「ですが…あまり変な行為はお避けください?」

「…あ、はい…気をつけます…」

 

 

 

 

…というか、まだ梨子腕に抱き着いてるんだけど…。




バレンタインガチャの梨子ちゃん可愛すぎません?

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次回、各キャラの胸の内。


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24話

「マーールインパーーー!……と、今回はまるは何もしないずら」
「はっ、やっとお許しをもらえたのか…!?」
「曜ちゃん~出番ずら~」
「…え?」

「ヨーソロー!」
「…あの、千歌さん?梨子さん?どうして腕を掴んでるのかな…?これって俗に言う無防備ってやつじゃ……」
「たぁー!」
「ぶふっ……!」
「どうかな?曜ちゃん必殺逆〇平チョップ」
「切れ味鋭く…ぐへ…」


毎度毎度更新が遅くなったり1日に2回も更新したりとバラバラで申し訳ねぇ…

今回は各キャラ視点です。
悠くんは出てきません←


「はぁ………」

 

今日の練習も無事に終わった。

悠くんはお風呂に入ってる。部屋には私一人。

 

「結局…悠くんにあんな事したの忘れてられてないよぉ…」

正直、自分でもなんであんなことしたのか今でも分からない。

 

唇を触ると、今でもその感触が残っている気がする。

「…もっと…したい…なんて」

彼のことを考えてると胸がドキドキする。

もっと頭を撫でて欲しい。甘えたい。

彼のそばにいるとそんな考えをするようになった。

 

「…でも、きっとそれは私だけじゃないんだろうなぁ…

みんな悠くんの事好きだもんね、それはそれで嬉しいな」

 

 

 

…あれ、私…今…''好き''って言った…?

「……これって………恋……?」

考えていたら恥ずかしくなった。

枕に顔を伏せ嘆く。

「うう~…どうしよう…誰かに相談した方がいいのかな…?」

 

 

キュッと枕を抱きしめる。

ただ一言、彼女は彼の名前だけを呟いた。

 

 

────────────────────

 

「ふぅ……」

自主練も終わり、ベランダに出て外の空気を吸う。

 

「悠くんは今何してるかなぁ…」

最近、自分の様子がおかしいことに気付いた。

ライブの衣装着て迫ったり、一緒に寝たり…。

 

「どうしちゃったんだろ…私」

考えるより体が先に動くのは私の性分なのは分かってはいたが、それとはまた別な感覚がした。

「…会いたいな」

 

 

闇夜に輝く月に、1人ポツリと呟く。

彼女はまだこの気持ちが''恋''とは気がついていない。

 

────────────────────

 

 

シャーと水の音が流れる。

髪に付いた泡を取り鏡を見つめる。

 

ふと、口ずさんだ歌。

彼と歌った歌。これがなかったら…もしかしたら私は歌うことに自信が持てなかったかもしれない。

 

「……悠くん」

自分の手を胸に当たる。

彼の出かけた時に…握られた手。

「あれって…デートってことで……いいの、かな?」

答えなど誰も答えない…が、自分に問いただしてみる。

 

彼といると安心する。元気も貰えるし励ましてくれる。

……………ホントにそれだけの感情、なのだろうか?

そう自分に言い聞かせていた。

 

「………あはは、でも私…地味だからなぁ……」

多分、彼がそれを聞いたらを笑い飛ばすだろうなと考えると自然と笑みがでた。

 

 

 

「湯冷めしちゃうし…上がろっ」

少しだけ暖かい気持ちになれたのはきっとお風呂だけが理由ではないだろう。

 

 

────────────────────

 

「……………………」

1人、携帯を見る。

自分で送ったメッセージを見てため息ひとつ。

 

 

「なんで私こんなメッセージ送っちゃったのかしら…そりゃぁ、心配だったし…体調不良になったら大変だとは思ってたけど…」

彼は頑張りすぎる時がある。

そして、よく私をからかう。

 

「だ、だいたいヨハネのことをバカにするなんて言語道断よ!

地獄に…堕天させてやるわ…っ」

【堕天するなら、善子と一緒にしたいな。

そうしたらずっと一緒だろ?】

 

「………………~~~~~~!!!」

1人脳内妄想をし、赤くなる。

「た、確かに!

リトルデーモンの事だからそんなこと言うと思うけど…!

そ、そんなんで乱されるヨハネじゃ…!」

 

…一体誰に向かって反論しているのだろうか。

彼といると調子が狂う。

スクールアイドル部に勧誘された時からだ。

話だけでもと言われて嫌がり逃げた時も

 

 

【ヨハヨハ系堕天使を捕まえにいくのか?】

【ヨハヨハ系ってなによ!】

 

【あはは、うそうそ。それより転んだら怪我しちゃうから1回止まろ?】

【なっ…余計な心配よ!

この程度でヨハネがっ……?!】

【あぶねっ…!………ほら、言ったろ?】

【…ふん!】

 

 

「なんてこともあったわね…」

「…ふふっ、リトルデーモンの虜にさせられちゃったのかしらね♪」

 

 

───────────────────

 

「………………………」

ベッドに横になり布団を顔に近づける。

 

(……あ、悠の匂い……)

まだ少し、彼の匂いが残っていた。

前まではこんなことなんて絶対してなかった。

 

…しかし、何故だろう?彼には…なんでも許せてしまう。

だから…あんなことされても…むしろ、もっとしていいと思ってしまった。

 

「…もっと…私に触れて…欲しかったな…」

あの時も…口ではああは言っていたが内心ドキドキが止まらなかった。

でもその反面、受け入れても…いいと思っていた。

 

「鞠莉や千歌…曜がしても…ドキドキしなかったのに…」

「…悠が男の子だから…?…それとも…」

考えれば考えるほど彼の声が聞きたくなる。

 

 

 

「……果南って…呼んで欲しいなぁ」

心に閉まっておいた本音が口に漏れる。

もちろん、私の方が先輩だからさん付けは、分かる。

けど…果南って呼んで欲しい。

 

 

届かない本音と彼の微かに残る匂いを胸に眠りにつく。

 

 

────────────────────

 

私の読んでる本に出てくる主人公は私の知っている男の人に似ている。

 

真っ直ぐで、優しくて、明るくて…。

私にはそれが羨ましかった。

地味で目立たない性格だった私には…それがとても羨ましく感じた。

 

「…でも、スクールアイドル部に誘われてからは…マルも少しは…変わった、かな…?」

ダンスなんて。って最初は思っていたが彼の親身なアドバイスで出来るようになった。

ライブでも…何かが自分の中で変わったのも感じた。

 

その変わったところを…彼は気づいてくれているだろうか?

「………答えは聞かなくても…決まってるずら」

 

''花丸ちゃんは変わったよ、すごく輝いてるよ''

多分、彼はそう言うと思う。

 

「でも、先輩は鈍感だから苦労しそうずら…」

本人にも他の人にも言っていないけど…マルも先輩のこと…気になっているんだよ?

 

 

パタンと本を閉じ、本棚にしまう。

奇しくも本のタイトルは…''恋''だった。

 

 

────────────────────

 

「ルビィ?そろそろ寝る時間ですわよ?」

「あ、お姉ちゃん。うんっ、もう寝るよ」

 

「そのノートは…いったい?」

「悠先輩がまとめてくれたやつを渡してくれたの!」

 

彼がまとめたノートにはダンスの振り付けや歌のアドバイスなどがこと細かく記されていた。

 

「…さすが、悠さんですわ」

「お姉ちゃん、悠先輩のことお慕いしてるって言ってたけど…ほんと?」

「…ルビィには嘘をつきませんわ

私は信頼しております、だから部も正式に認められるように努力すると信じておりました」

 

「…じゃあ、作詞も?」

「彼なら良い詞を作ってくれるはず…それだけですわ」

「なんかお姉ちゃん…悠先輩のこと話してる時嬉しそうだね♪」

「そ、そういうルビィはどうなのです?!」

「…ルビィはその…もっと、先輩のことよく知りたいなって…」

「それはいい事ですわ、ならもっとお話しないといけませんね」

「う、うんっ…ちょっぴり緊張しちゃうけど…頑張るねっ!」

 

 

 

(…事実、ルビィが男性の方とあんな風に話せてるのは初めて見ましたわ。

ルビィが思ってる以上に彼の存在は大きいはずですわ)

 

 

────────────────────

 

 

【─────彼はKeyになる。】

確かにそう言った。

ただし、確証はなかった…そうただの直感だった。

嬉しい誤算とも言うべきだろうか。

 

1度は解散した…3人が9人になって、Aqoursとして再スタート出来た。

偶然だろうか?……いや、彼が居たからこそ成しえた事かもしれない。

 

「まったく…悠はホントにアメージングね♪」

彼といると未来がどうなるか想像がつかない。

しかし、それが楽しい。

想像もできないようなことをやってのける。

そんな印象があった。

 

だからこそ…辛くなったり困難なことがあったら頼って欲しいと言う気持ちは、まだ彼に伝えてない秘密の気持ち。

 

膝枕した時も…弟ができたような気持ちになった。

 

 

「…もっと、マリーの事を知って欲しい…」

彼が手がけるライブがどんな風になるか胸踊らせつつ、彼への気持ちは秘密にしたまま胸にしまい込む。




悠、爆ぜろ!!!←←←←←←←←←←



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25話

恋になりたいAQUARIUMの限定SR曜ちゃん可愛すぎません…?
秒で絆メーターMAXにしました←


「悠くん!」

「お出かけ行こ!」

 

「……え?」

金曜の昼下がり、千歌と曜からの提案に気の抜けた声が出た。

 

「ほら~、朝練の時ダイヤさんが言ったでしょ~?」

遡ること朝の7時前。

 

【皆さん残りラブライブ予選まで1週間ですが…思ってるより順調ですので…明日はリフレッシュも兼ねてお休みに致しましょう】

 

「あー…言ってたね」

すっかり忘れていた。

 

「だから~、お出かけしようよ~!」

「いや、いきなり明日はって言うのは…」

モゴモゴしてると千歌がヨヨヨと泣きまねをし始めた。

 

「悠くん…そんな…ひどい男の子になっちゃったの…よよよ…」

「ああっ…千歌ちゃん…!泣かないで…!

あなたに涙は似合わないわ…!」

 

──────────なんか始まった。

曜が演技に参加しつつもこちらにウインクを送る。

…いや、答えはもう決まってるけどさぁ…。

 

「いいよ、お出かけ行こう?」

「よよよ………………ほんと!?」

「さっすが悠くんであります!」

 

目を輝かせながらこちらを見つめる千歌と曜。

見られてるこちらが恥ずかしくなり目をそらす。

 

「それでねー♪行くところなんだけど~♪」

「楽しみだな~♪」

 

YESと言うや否や、腕に抱きつき擦り寄る千歌と曜。

…周りの視線が痛い。

だいたいこういう時は決まって……。

 

「あの~…3人とも、そろそろ離れた方が……」

「あ、梨子いたの?」

 

 

 

「け、結構前から居たけど…なんか空気的に入りずらかったし…」

「あはは…ごめんごめん…」

 

 

────────────────────

 

「…じゃあ、明日の8時起きね!」

「了解であります!」

「…うん、千歌?色々と質問したいんだけど~…」

 

夜、千歌の部屋で明日の予定を確認したが…。

 

「…なんで曜が居るの?」

「あれっ?言ってなかったっけ?

今日は曜ちゃん泊まっていくんだよ~」

 

「…うん、なんかもう驚かなくなってきたわ…」

「まぁ、昔からよく泊まってたりしてたからね」

「…部屋着に着替えてるあたりからそうとは思ってたけどね…」

「あと、3人でこの部屋で寝よ~♪」

 

「……はい?」

さすがにそれは聞き返す。

''3人で''…?

 

「……俺も?」

「他に誰がいるのさ~」

「いやいや、さすがに……」

ちらっと曜を見る。

1回一緒に寝ているから彼女の意見を仰ごうかと思ったが…。

 

「賛成ー!」

「はいっ、というわけで多数決で賛成多数ってことで!」

…是非を問う前に可決されてしまった。

可決、超ショック。なんつって。

 

 

────────────────────

 

「…まぁ、こうなるよねぇ…」

 

3人ではいるベット。さすがにぎゅうぎゅう詰めだった。

しかし何故俺が真ん中なのだろうか?

 

両隣を見ると可愛い寝息をたててる2人。

 

「…ったく、襲われても文句言えねーぞ…いや、そんなことはしないけど」

さすがに警戒心が薄れ過ぎではないだろうか。

それとも俺だから…OKとかなのだろうか?

 

「…いや、考えるのやめよう……静かに目を閉じれば…寝れ………」

「んんっ……ぁ…」

「んにゃ…にゅ……」

 

「……ね、寝れない…というか足乗っけてるし…」

肌の密接がどんどん強くなる。

顔の近くで寝息をたてられるとさすがにゾクゾクッと来るものがある。

 

 

「あーーーーーーむっ…………♪」

「ぎっ……………!?」

なんということだろうか、千歌が耳を甘噛みし始めた。

 

思わず変な声が口から漏れる。

曜に助けを求めようとするが………。

右手の異変に気づく。

 

──────────柔らかい。

2度3度確認するように手を動す。

 

──────────やっぱり柔らかい。

そして隣から聞こえる曜の甘い吐息。

 

「……や…あっ…///」

 

…うん、これはー…あれだな…曜のむn………。

 

 

 

(うわあああああ!忘れろ~忘れろ~!!)

とは思いつつも動かない右手と咥えられたままの耳。

正直、ご褒美と言うにはハードすぎる。

 

ダイヤさんが居たらぶっぶーのラッシュだろうな。

…いや、まずこの状態をなんとかしないと…。

 

とは言うものの身動きが取れない。

もういっそのことこのまま朝を迎えようか…そんな考えをし始めた時…。

 

「…ぁ…悠…くん…?」

顔を紅潮させた曜が目を覚ました。

どうやら状況を理解したのだろうか。

 

「…ごめん、なんというか…不可抗力っていうか…」

怒鳴られたりするんだろうか…と考えていたら。

 

「…いいよ、ハグーっ♪…なんちゃって?」

頭掴むや否や、胸元にダイブさせられる。

珍しく(?)曜が積極的になる。

 

「な、なにしてんの…!」

「悠くんに…特別に?」

「特別に?……じゃないよ、千歌が起きたらどうするの…!」

「起きてるよ~…?」

 

寝ぼけ眼で俺と曜を見る千歌。

…終わった。南無三。

 

「悠くんも男の子なんだね~…♪」

よしよしと頭を撫でられる。

なんともこそばゆい。

 

「じゃあ、後ろからぎゅーってハグしよ~♪」

力いっぱいに抱き着く千歌。

前と言い後ろと言いまったく身動きが取れない。

 

「…ちょ、二人とも…!」

「…すぅ…んにゃぁ…♪」

「へへへ~…悠く~ん…♪」

 

抱きついたまま再び眠りにつく2人。

…はぁ、まったく…。

 

 

 

結局、そのまま眠りにつくことにした。

…まぁ、ぶっちゃけ…凄い寝心地はよかった…。

他言は出来ないけど…。




…R-15だよね?←今更気にするやつ。

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次回、お出かけという名のダブルデート(下)


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26話

「よしよし……更新したかったけど色々と大変だったんだね?」
「うわーん!曜ちゃーん!」
「ぶっぶーですわー!!
あーた、曜さん推しだからってなに甘やかした文書にしてるんですか!?」
「お、お姉ちゃん…怖い…」
「すいませんでしたぁあああ!!」


「…朝起きたら……」

布団は既にもぬけの殻だった。

そして台所が騒がしい。恐らく朝ごはんでも作っているのだろうか?

 

寝不足な目を覚まし、台所に向かう。

「あっ、悠くんおはよ!」

「おはヨーソロー!…って、なんだか眠そうだね?」

「あはは…寝付けなくて…」

 

本当は2人との距離が近すぎて悶々してたわ!なんて言えるわけもなく。

 

「あははっ、悠くんって遠足の前の日に寝れないタイプでしょ~?」

慣れた手つきで料理をしながら話しかける曜。

……なんか、こんな姿も新鮮でいいかも。

 

「もう少しで朝ごはん出来るからね?」

「ありがとうな、千歌」

 

そう言うと曜の所に行く千歌。

 

「………やっぱり…悠くん、気付いてるよねぇ…?」

「…そりゃ、朝あんだけ密着して起きてたから…ねぇ?」

「その割には~…昨日の夜~とか言わないよねぇ…」

「…まぁ、悠くんも言うのが恥ずかしいとかじゃない?

……あとは、ドキドキしすぎて自分の中にしまっておきたい、とか?」

「あー、なるほど~…」

 

 

 

 

2人がこしょこしょ話で盛り上がっている。

そして俺を見ながら笑っている……なんで?

 

 

────────────────────

 

朝ごはんが済み、着替えて十千万の前で2人が来るのを待つ。

しっかり着替えを持ってきている曜。

…まぁ、泊まる気満々だったからなぁ。

 

「…しっかし今日も暑いなぁ…」

8月も少し過ぎた頃、夏でもさすがにジリジリとした暑さが体を襲う。

 

「多分、薄着なんだろーなー…2人とも」

と、待っていると突如鳴る電話。

携帯の画面を見ると、松浦果南の文字。

 

「もしもし、果南さん?」

「あっ、朝早くからごめんね?大丈夫だった?」

「大丈夫ですよ、どうかしました?」

「…うん、ちょっと声が聞きたくなって…」

 

電話ができたのが嬉しかったのか、しおらしい声になる果南さん。

 

「あはは、変な果南さんっ。

別にいつでも電話してくれて良いですよ」

「…そっか♪今度また泳ぐの教えてあげるからね」

「はい、ありがとうございますっ」

 

「……あっ、それと、ね……」

 

「…な、なんですか?」

突然の声のトーンが下がったのに少し焦る。

「…さん、付けなくて…いいからね?」

「………え?」

「ううん、それだけ。じゃね♪」

そう言い残すと通話が切れた。

 

…さんを付けなくていい?

…つまり…果南って…呼んでってこと、かな?

 

「…まぁ、本人に確認してみるか」

 

「悠くんー!お待たせー!」

「着替えで少し時間かかっちゃった…ごめんねっ」

「ううん、大丈………おぅ…っ…」

 

2人の方を見てみると…案の定薄着だった。

と言うか曜さん、こんな目の前でそのショートパンツは反則かと…。

ってか…千歌もスカート短くね?気の所為?

 

「もー…悠くん、なんか一言!」

「うぇえ?…あ、に、似合ってるよ…2人とも、めっちゃ可愛い」

「えへへ~可愛いだって、曜ちゃん~♪」

「2人で選んで決めてよかったね~♪」

 

2人でハイタッチを交わす。

やっぱり、女の子は可愛いって言われると嬉しい気持ちになるのだろうか…不思議なものだなぁ…。

 

「さっ、いざ行こうか!」

「ヨーソロー!」

ガシッと腕を組まれた…しかも、両腕。

 

 

「…あれ…デジャブ?」

なんか前にもこんなことがあったような~…考えすぎかな…?

 

 

────────────────────

 

 

結局、バスと定期船に乗る間もずっと腕を組んでいた2人。

…たぶん、これは一日ずっとこの状態だろう…。

 

すれ違う人達の視線とか結構痛かったけど…。

ダイヤさんが居たら雷どころかデス・メテオ落ちそうだな。

さらば俺のライフポイント1000。

 

「…それで、どこに行くの?」

「もうすぐ着くよ♪」

「これから行くのはね~」

 

曜が指さす先にあるのはとある施設。

 

 

「「三津シーパラダイス!!」」

「…シーパラダイスってことは…水族館とか?」

 

「そうだよっ、1度は連れて来させようって曜ちゃんと話してたの!」

「悠くんは水族館とかは、好き?」

 

「うん、結構好きだよ」

まぁ、梨子と深海水族館には行ったけど……っと、他の女の子とあれこれ行ったって話をここでするのは無粋か。

 

「じゃあ、最初はナマコのふれあいコーナーだね!」

「…ナマ、コ……?」

「いきなりのワードにぽかんとしてるよ、千歌ちゃん」

「えー、ナマコ…だめ?」

 

逆にダメじゃないのか、千歌は。

そう思ったが聞かないことにしておいた。

 

「まぁ、最初なんだしやっぱりイルカとかアザラシとか色々メジャーな所でいいんじゃないかな?」

「ちぇー…分かったよ~…」

 

そうこうしてるうちに、三津シーパラダイスに着いた。

 

「おー…大きい…」

「さぁ、中に入ろー!」

「ヨーソロー!」

 

テンション高めに入口に向かう千歌と曜。

あれか、テン上げ☆ってやつか?

 

そして入口に入るや否や

「あー!このカモメのぬいぐるみ可愛いー!」

「見てみてー!エビのぬいぐるみもあるよー!」

 

入口を入ってすぐの所にあるクレーンゲームに目を奪われる2人。

 

「「欲しい~…」」

──────────欲しいんだ。

特に千歌、エビって…マジのエビの形してる奴やん…。

 

「やるのは見たあとからにしない?

…取れても荷物になっちゃうし」

 

「取れるの!?」

「むしろ抱えて見て回りたい!」

 

目を輝かせながらこちらを見てくる2人。

……これもデジャブ?

 

「わ、分かった分かった…ちょっと両替してくるから」

1000円を両替機に突っ込み、100円玉10枚にぎりしめる。

 

やるのは久々だが、苦手ではない。

 

「よしっ……やるか」

「悠くん、ファイトー!」

 

肝心の1発目、掴めたものの直ぐに落ちる。

2発目、同じく落ちる。

 

「やっぱり、難しいのかな~…?」

「…いや、多分…分かったかも」

「…悠くん、目が本気だよ…」

 

掴むタイミングを少し早めて………ここだ!

カモメを掴んだまま進むアーム。

…そして。

 

「ゲットしたー!」

「すごーい!」

3回目にしてカモメを無事ゲット。

嬉しそうに抱きしめる曜。

 

「悠くん~!エビも~!」

「任せろっ」

 

しかし、ここから調子が崩れたのか6連続失敗。

「…やっぱり、難しいのかなぁ…」

「大丈夫だ、絶対取ってやる」

 

と言うもののコインはラスト1枚。

慎重に慎重にアームを動かしていく。

先程のミスも頭に入れつつ、ボタンを押す。

 

「掴んだ…っ!」

そのまま…そのまま…!

そんな願いが通じたのか、下の取り口に落ちるエビ。

 

「わーい!エビちゃんだー!」

「よかったね千歌ちゃん!」

「ふぅ…緊張した」

 

「ありがとうね、悠くん!」

「どういたしまして、取れてよかったよ」

「あ、そうそう!見てて思ったことがあったの!見ててね!」

エビの尾で顔を隠す千歌。

 

「じゃーん、エビ星人っ」

「「……………………」」

 

 

 

エビ星人 不採用

 

 

 

 

その後もエビとカモメを抱きしめたまま水族館を巡った。

…組んでた腕が離され、ぬいぐるみの方に行って少しヤキモチを焼いたのは…自分だけの内緒にしておいた。




曜ちゃんの私服は【たのもー!】渡辺曜
千歌ちゃんの私服は【オレンジマーメイド】高海千歌

をイメージしてください!

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27話

「お気に入り登録数99!
99ってことはネフタリ・ソトってことですね」
「なにいってるずら?」


ライブまであと2日と迫ったある日。

 

俺を含めたメンバーは部室に集合していた。

 

──────────だが。

 

「外の雨…止まないね~…」

外はあいにくの雨模様だった。

もちろん屋外での練習も出来るはずもなく、ほかの部活が使ってる体育館が空く時間まで暇も持て余していたところだ。

 

「部室でもできること…なにかあるかな?ダイヤさん」

「流石にダンスの確認は広さ的に厳しいですが…歌の練習くらいなら…」

「じゃあ、時間も有効に使わないとね、練習しようか!」

 

先陣を切って準備をしようとする、これも俺の仕事である。

「よーしっ!いっぱい歌うぞ~!♪」

「は、花丸ちゃん、歌詞間違えたらごめんね…っ」

「大丈夫だよ、ルビィちゃんはちゃんと歌えてたずら♪」

 

「梨子ちゃんも大丈夫だよっ♪」

「うええっ??…あ、あはは、緊張してたの…バレた?」

「そうそう!梨子ちゃんは綺麗な歌声してるから!

…今度弾き語りとかしてみる?その気持ちを弾き語れ…的な?」

「ピアノしながら歌う…うん、なんだか面白そうかも♪」

 

 

一人一人思うことは違えどグループとしてAqoursが団結してるのを目の前で見てて感じる。

 

「やっぱ…いいグループですね、Aqoursって」

「あら~ぁ?意外と悠はセンチメンタルなのかしら~?♪」

「ち、違いますよ!…ただ、グループとしてこうやって目標に突き進む姿って…なんかいいなって」

 

「そうだね、それに気付かせてくれて…またこの場所に呼んでくれたのは…悠と千歌のおかげかな?」

「いやいや…俺は何もしてないよ、やっぱり1番は自分の気持ちが強かったんじゃない?……''果南''」

 

 

「………~~~っ//////」

言った方も聞いた方も恥ずかしくなり耳まで赤くなっているのを感じる。

 

「…………ばか…悠って卑怯だよ…っ///」

手の甲で口を隠すように何か言う果南。

それを近くで見ててニヤニヤしながら口を開く鞠莉さん。

 

「あらあら~?

いつの間にかこんなに仲良くなったのかしら~?♪」

「べ、別にそんなことないよ!!」

急いで否定する果南。

だが、その焦ってる感じが逆に肯定してるような感じにも見受けられてしまうのは事実。

 

「…ですが、Aqoursにとっても…皆さんにとっても悠さんはいなくてはならない存在、それは確かなことですわ」

「ん…なんかそう言われるとこそばゆいな」

「事実を言ってるだけですわ?

もっと貴方は自信を持った方がいいですわっ」

 

「う、うーん…俺は特別なにもしてないと思ってるけど…」

「……だから、皆さんの気持ちにも気付けてないのですわ……」

「なんか言ったか?ダイヤ」

 

「……………こ、こほん…っ///

歌の練習致しますわよ!」

 

あ、行っちゃった……なんか不味い事言ったかな…?

 

「流石ね…ヨハネのマイリトルデーモン…」

「なんだ、居たのか」

「い、居たわよ!目どこにつけてんのよ!」

「あはは、悪い悪い」

 

正直、気付いていたがからかってみる。

「リトルデーモンにはfeelingブレイカーの称号をあげるわ」

「feelingブレイカー?…俺がいつ気持ちをぶっ壊したんだ…」

「自分の胸に手を当ててみなさい…?

ヨハネが導くのはここまでよ」

 

…気持ち…を…ブレイク?

なんのことかさっぱりだった。

 

「悠くーん!体育館空いたって~!」

「あ、分かった今行くからね」

 

 

 

 

「…………待って!」

みんなが体育館に行こうとする中、1人部室に残っていた…善(と言ったら怒られそうなのでヨハネと呼んでおこう)ヨハネ。

 

「どうした?早く練習しに行くぞ?」

「………あ、あの…その…っ」

珍しくおどおどするヨハネ。

正直初めて見た…こんな表情するのか…ヨハネ。

 

「……さ、さっきの事の…続きなんだけど…」

「気持ちをぶっ壊したってやつ?」

「そ、そう…そう……それ…っ」

俯き始めたヨハネ。

 

…もしかしてあれか?その一言で俺が傷ついたとか思ってたりする?意外とメンタルは強いよ?

ダイヤのデス・メテオとかは堪えるけど。

 

 

 

「た、単刀直入に聞くわ…ヨハネの事をどう思ってるの!?」

「………あーー………」

斜め上の質問が来た。

どうって言われても……。

 

「大切なAqoursの一員だよ。

なんだかんだ言っても善子も可愛いしな」

 

「………そ、そう…///」

70点くらいの回答だったのだろうか。

まだ腑に落ちない様な顔をしてるヨハネ。

 

「………………っ!///」

「のわっ!」

突然来る胸あたりの衝撃。

善子を受け止める。

 

「……よ、善子?」

「…わ、私だって…たまにはこういう風に…して欲しい時あるんだからね…?」

「…意外と…寂しがり屋?」

「他の人に言ったら堕天させてあげるわ…」

「はい、他言無用で…」

 

「…ありがとう、少しスッキリしたわ

…練習、行きましょう?」

「おうっ」

 

 

 

 

 

ちなみに…このことがきっかけか分からないが、ヨハネを、善子と言っても怒ることが無くなった。

 

それも俺の時だけ……何故だろうか?




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もっと甘々にしたいな…←

次回は予選ラブライブです


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28話

各キャラの恋愛小説も書きたいとか思う今日この頃(小声)


いよいよラブライブ予選当日。

 

会場となるホールへ向かうと…かなりの数のグループが居るように見えた。

 

「…結構居るんだな…」

「グループの数は星の数くらいありますわ

…もちろん、有名グループはひと握りですけど…」

 

「…な、なんだか緊張してきた…千歌ちゃんは大丈夫…?」

「…………………」

「千歌ちゃん…?」

 

梨子の応対に答えない千歌。

「………ご……い」

「語彙?」

「すっごーーーーーい!!」

目を輝かせながら辺りを見渡す千歌。

大声を発したせいか、他のグループがこちらを見てくる。

 

「…あは、あはは…千歌、舞い上がりすぎ」

「だってラブライブだよ!予選会だよぉーっ!」

 

ホントこいつはスクールアイドル好きなんだなぁ…と感心しつつも他のメンバーの緊張も和らいだようだ。

 

「はぁ…なんか緊張してたのが変みたい…」

「えへへっ、さすが千歌ちゃん!」

「ま、マルも…練習通りにやれば…!」

「う、うんっ!大丈夫だよね…っ

ガンバ……ルビィ!」

 

「はうっ!」

…ダメージ(?)を受けたのか力なく倒れるダイヤ。

(………姉バカ?)

 

 

 

────────────────────

 

 

ステージ裏。

ライフ衣装に身を包み、9人が待機していた。

 

「……よしっ」

深呼吸をし、まっすぐステージを見つめる千歌。

 

「…みんなっ!手を出して!」

「「「???」」」

「こう…かな?」

 

訳も分からず手を出す1年組。

確認しつつ手を出す果南とダイヤと鞠莉。

笑いながら手を出す曜と梨子。

 

「1!」

「2!」

「3!」

 

千歌・曜・梨子の順で番号を言ってゆく。

チラッと横目で見て番号が進んでいく

 

「4っ!」

「…5!」

「6っ!」

 

そういうことね。と納得したような顔をする3年組。

 

「7!」

「8!」

「9ーっ!」

 

「さぁっ、悠くんも!」

「お、俺も…?」

「悠くんもAqoursの一員だもん!」

「わ、わかった………10っ!」

 

 

 

「Aqours~………サ~ンシャイン~!!!」

 

「…あれ、今…サンシャインって……」

「そうだよ、ふふっ悠くんが歌詞ノートにあんな大きく丸印してあったから取り入れてみたの!」

 

これは一本取られた。

千歌からとんだサプライズをもらったものだ。

 

 

 

 

揃った掛け声ととも9人はステージへと駆け出した。

 

 

 

────────────────────

 

揺れるバス車内。

全員揃って肩の荷がおりたのか深い息を吐く。

 

 

「「「はぁ~…ぁ」」」

 

決して失敗した訳では無い。

どこか緊張から開放されたような声だった。

 

「みんな、ステージめっちゃ良かったよ

後は人事尽くして天命を待つ、だ」

 

「ライブ楽しすぎてあっという間だったよ~…

悠くんの作った歌詞凄く気持ちが伝わってきたよ!」

「あはは…無事大役を果たせたかな」

「ダイヤさん、結果はいつ出るの?」

「来週、ですわ」

「そっか…長いようであっという間にきそうな1週間だね…」

 

ここで曜に耳打ちする。

 

「''アレ''、出来てるよね?」

「もちろんっ!…でも、まだお披露目しなくていいの?」

「うん…結果が出てから、だからさ」

「うん、分かったっ

悠くんがそういうならそうするよっ」

 

 

「今度から悠くんに作詞してもらおうよ~」

「千歌さん、いつも任せっきりにするおつもりで…?」

「あ、あはは…そんなこと……あるかも?」

 

 

あははっとバスの中で笑い合う。

確信はないが…この9人なら予選も突破できそう。

そう感じた俺だった。




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29話

「前書き書けなくなってきてる…!」
「なにやってるずらぁあああ」


結果発表まであと5日。

今日ものんびりと過している中…。

 

「お祭り行こ!」

「……お祭りぃ?」

千歌が立ち上がり、そう叫んだ。

 

「あー、明日…あるんだっけ?」

「梨子ちゃんも初めて参加…かな?」

「うんっ、お祭り楽しみだな~♪」

 

「じゃあ、決定!

明日の3時に十千万に集合!」

「…前にも聴いた気がするけど…俺の是非は?」

「無いよ!!」

「デスヨネー」

 

────────────────────

 

「さて…3時に集合はいいけど…」

それまで時間あるな…どうしよ。

 

「あ、そうだ…果南?」

「ひゃぁっ!?///……あ、な、なにかな?」

 

…そんな驚くか?別に大きい声なんて出てないけど…。

 

「明日の午前中さ…空いてる?」

「うん…空いてるけど…?」

「泳ぎ、また教えてくれない?

そろそろ泳げそうな気がするし…」

 

「…う、うんうんっ!もちろん!」

嬉しそうに頷く果南。

何かいいことでもあったのだろうか?

 

 

「……あ、そうだ、みんな少しいいかな?」

立ち上がり、みんなの前に立つ。

 

「どうしたの?」

「な、なにか重大な発表な気がするずら…」

 

「いや、大したことじゃないけどさ…」

「…悠くん、いいの?」

「うん、やっぱ隠しっぱなしは嫌だからさ

…というわけで、曜…例のものを」

 

「ヨーソローっ!」

敬礼をし、とあるものを取り出す曜。

 

「あっ………!!」

「これって…!」

「ライブ…衣装…?」

 

取り出したのは3着のライブ衣装。

それは、講堂で行ったライブの時の衣装。

 

「でも…私たちのとは違うけど…悠くん、これは?」

「うん…これは、3年生3人のライブ衣装だよ」

 

「私たち…」

「3人の……」

「ライブ衣装…ですか?」

 

「…ほら、講堂でライブしたじゃん?

あの時は6人でやったけど…やっぱりAqoursになったから9人で…あの曲をライブで披露したいなって」

 

「だから悠くんにお願いされたから3人の衣装を作ったのであります!」

「る、ルビィも手伝ったんだ!」

「あれ、そうだったの?

…ありがとうね、ルビィちゃん」

「はいっ!♪」

 

「それならそうと言ってよ~」

「いやいや…やっぱりサプライズしたいじゃん?」

「それは分かるけど~………って!果南ちゃん泣いてるよ!?」

 

「えっ…!?……あっ…ほ、ホントだ…」

ポロポロと涙を流す果南。

本人も気がついてないのか慌てて目頭を抑える。

 

「ごめん…なんかすごくうれしくって…悠やみんながそんな風に考えてくれてるんだって…思ったら…涙が出ちゃって…」

「それで…これを次のライブで…披露、ですか?」

「ううん…これは…宣伝用にって…あ、もちろん考えるのが面倒とかじゃないよ?

…ただ、この曲とライブが…今のAqoursを繋げてくれたから…みんなでやろうって」

 

シーンと静まる部室内。

…もしかして…不満が…?

 

「…素晴らしいですわ。感服致しました…!」

「まるも張り切るずら!」

「ヨハネも協力するわ、リトルデーモンのお願いならなおさらね♪」

 

「みんな、ありがとう…いいライブにしようね!」

「「「おー!」」」

 

 

「あと…曜もありがとうね、ハードなスケジュールで大変な思いさせちゃって…」

「ううん、悠くんのお願いならどんなことだってやっちゃうよ!」

「心強いなぁ……」

 

感心しつつ曜の頭を撫でる。

 

「えへへ…照れちゃうね…♪」

「あ、ごめん…嫌だったか?」

「むしろもっとやって欲しいかも♪

あ~……でも…2人きりの時がいい、かな…?」

 

「…え?」

 

 

「ううん、なんでもない♪

ほらほら、みんな明日のお祭りの話してるよ!」

「お、おう………っ」

 

 

 

 

2人きりって…曜も積極的なこと言うな……。

 

 

 

…………もしかして……。

………………………………いや、勘違いだろう…。

そう自分に言い聞かせた。

まだ、その気持ちを口にしてはいけない気がした。

スクールアイドルとして頑張ろうとしてる最中にそんなこと言ったら……迷惑かけてしまう。

 

そんな気がしたら、胸が苦しくなった。

 

 

「…悠、くん…?」

心配そうに梨子が見つめる。

 

「………えっ…ああ、ごめん、なにかな?」

「凄い怖い顔してたけど…何かあった…?」

「……ううん、何も無いよ。

心配させてごめんね」

「う、うん…ならいいんだけど…何かあったなら言ってね…?」

「ありがとう、梨子」

 

 

今は変な心配させないように気をつけないと…。

…この気持ちは…胸の奥底に閉まっておこう…。




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次回:夏祭りと本音と


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30話

そう言えばお気に入り登録数100超えてました。
皆様ありがとうございます(今更感)


そして夏祭りの当日。

 

いつも通りの時間に起床。

珍しく千歌も起きていた。

 

「おはよう、千歌

…今日は珍しく早いんだな?」

「あ、おはよう悠くん♪

うん、夏休みで沢山お客さん来たからね、今日はそのお片付け!」

 

「俺もいた方がいいんじゃ…?」

午前中は果南のところで泳ぎを教わる約束をしていたが…。

 

「ううん、大丈夫だよっそんなに片付けるって言ったって多くないし

悠くんも早く泳げるようにならないね!♪」

「……そうか?…ごめんな、千歌

夏祭りは好きな物食べていいからな」

 

 

「ホント!?わーいっ!♪」

ぴょんぴょん跳ねて喜びをあらわにする千歌。

現金なヤツだなぁと思いつつも荷物をまとめて果南のところへむかうのであった。

 

 

────────────────────

 

ダイビングショップへ行くと早速目的人物に遭遇した。

 

「あ、悠っ♪

待ってたよ~♪」

見つけるや否や、ハグをする果南。

今日も大きなお山は2つとも俺を攻撃するのでしたと感じつつもハグを受け入れる。

 

正直、悪い気はしないし、むしろもっとして欲しいくらいだ。

 

「ホント!?」

「なんで見透かしてるんですか…まぁ、可愛い女の子にハグされてたら嬉しいですよ、男としても」

「嬉しいなぁ♪もっとやっちゃお~♪」

 

水着であることもお構い無しに抱き着きを強める果南。

しかし、何かに気がついたのかピクっと体が震え顔が赤くなる果南。

 

目線が下に下がっていくのを感じ、何となく予測がついた。

ハロー、俺のサンシャイン←

 

「…さ、さぁっ!泳ごうか!///」

「……う、うんっ」

 

ほんとこういう時って俺は素直なんだな…と思いつつ海へと向かった。

 

「じゃあ、このまえのおさらいねっ」

ゆっくり顔を海につけ、泳ぎを進める。

 

「ここで息継ぎして~…また潜って~そうそう!

悠、泳げてきてるよ!」

「息継ぎがままならないと少し焦るけどね…」

「でも進んでるよ!すごいすごいっ♪」

 

自分の事のように嬉がる果南。

聞いてる方も嬉し恥ずかしになる。

 

「じゃあ、ここからが本番だね…!」

「?」

 

10m…いや、15m先に向かって泳ぐ果南。

「ここまで泳げるはずだよ~悠~!」

手を振りながら呼ぶ果南。

 

「さすがに一人でそこまでは泳げませんよー!」

「大丈夫大丈夫!悠なら出来るよー!

ゴールしたらハグしてあげるっ♪」

 

どうやら果南による卒業試験のようだ。

ゆっくりながらも少しずつ泳いでいく。

 

 

息継ぎ…泳ぎ…息継ぎ…泳ぎ。

泳ぎと言えない動きだが、少しずつ果南に近づいていく。

 

(もう……少しっ……!)

手を掴まれる感覚がした。

急いで顔を上げると果南が嬉しそうに抱き着いてきた。

 

「すっごいすっごい!♪

悠、泳げてたよー!♪」

「はぁ…はぁ…あんな短距離なのにめちゃくちゃ疲れたよ…」

 

「おめでとう~!ハグ~っ♪」

「ちょ、果南……!」

 

水着のせいか、肌の密着がすごい。

しかも手は胸元の近くにあった。

 

「…っ……ゆ、悠…?」

「ご、ごめん…わざとじゃないんだ…」

「べ、別にいいけど……んっ」

 

また手に柔らかい感触がした。

頭で分かっていても手は動かすのを辞めなかった。

 

(やばい………絶対に怒られる…!!)

「……っ…!…だーめっ、これ以上は!///」

ぐいっと体を離された。

「…ご、ごめんな…果南…」

「…べ、別にいいけど…こういうのは…2人きりの時とかさ…」

「…え?」

「何でもない!…ほら、戻って着替えるよ?」

 

「あ、うん…分かった!」

 

 

最後になにか果南が言った気がするが…波の音で聞こえなかった。

 

───────────────────

 

十千万に戻り、シャワーを浴びて夏祭りに行く準備をする。

 

自室に戻ると電話があった。

発信者は………………………………。

 

「………………もしもし?」

「グッドモーニング~♪

お久しぶりね~大好きなお母さんy………」

 

プツッ。

 

────間違い電話だろう。

しかし、その考えはすぐに打ち破られて再度かかる電話。

 

 

「冗談よ、久しぶりに電話したけど…そっちはどう?」

「新しい学校も仲間もいい人ばっかだし楽しいよ」

「そう……そういえば、部活は?やっぱり陸上なの?」

 

「…………いや…それが…''スクールアイドル部''に入ってて…」

「…そう…ふふっ…そう…♪」

「あ、今俺がアイドルするとか思ってたろ?」

「そんなこと考えてないわ、ただ…やるなら最後まで支えなさい?」

 

「…どういうこと?」

「自分で考えなさい?

…まぁ、鞠莉さんに聞いても分かるかもね」

 

「…なんで鞠莉の名前を知ってるの?」

「…あっ…………これから仕事だー!じゃね!」

 

何か知ってるような返事をしたが遮るように電話を切られた。

…鞠莉とウチの母親になんの関係が…?

 

 

「悠くん~…準備出来た…?」

おずおずとドアから顔を出す千歌。

 

「出来たけど…何でそんな顔だけ出してるの?」

「だ、だって~…………」

 

視線を泳がす千歌。

「バカチカね~、悠に浴衣見せるの恥ずかしいってさ~」

「み、美渡姉~!言わないでって言ったじゃん~!」

わあああと恥ずかしがる千歌。

 

「…どれどれ」

ドアを一気に開け、千歌の浴衣姿を見る。

 

「わぁぁっ!///」

「似合ってんじゃん、可愛いよ」

「…ほ、ホント…?」

「ホントに決まってるじゃん…」

 

「えへへ…ありがとねっ!///」

「じゃあ、そろそろ十千万の前に集合しておこうか?」

「うんっ!♪」

 

─────────────────

 

十千万の前に行くと既に梨子が居た。

「あ、悠くん、千歌ちゃん」

「梨子…お前も可愛いな、目が幸せだわ」

 

「えっ……?…あ、あぁ~…ありがと…っ///」

ポカーンとしたまま顔が赤くなる梨子。

可愛いと言われることに免疫が無いのだろうか?

 

「おはヨーソロー!…って言っても、もうお昼すぎだけどね♪」

「あ、曜ちゃん!」

「おはよ、やっぱり曜の浴衣姿も可愛いな…3人揃ってるところ写真撮ってもいい?」

 

「もちろんっ♪」

「え、ええ~っ?///」

「思い出って大切だもんね!♪」

 

十千万をバックに3人並んだ写真を撮る。

撮り終わると、後ろから声をかけられた。

 

「あら、写真ですか?」

「グッドね、悠♪」

「浴衣着るのに時間かかっちゃったずら…」

「ルビィもお姉ちゃんに手伝ってもらっちゃった…」

「ヨハネにもなればこんなのおちゃのこさいさいよ♪」

「………//////」

 

…1人、顔を赤くし顔を背ける。

果南…さっきの出来事がまだ気になるのかな…。

 

─────────────────────

 

 

「最初りんご飴にしよー!」

「ヨーソローっ!」

「ああっ、二人とも待ってよ~!」

 

「ル、ルビィは綿あめがいいな…」

「そう言うと思って、もう買ってありますわよ」

「甘くて…うっ…ヨハネの漆黒のパワーにダメージが…!」

「善子ちゃん、そうは言いつつも口は綿あめ食べるのをやめてないずら」

 

「果南、昔から射的得意よね?」

「ふふっ、射的にはちょっとうるさいよ~?♪」

 

やっぱりみんな夏祭りとなるとテンションが上がるものなのだろうか。

各々食べたいものや露店に足を運んだ。

 

…さて、俺はどうしようかな?

 

「はいこれ!」

「…お、おう…ありがとうな、千歌」

渡されたのはフランクフルト。

千歌の手には早くも焼きそばやチョコバナナなどぎっしり持っていた。

 

「あつっ……うん、美味いな

あ、そうだ…曜少しラムネ貰ってもいいかな?」

「えっ………あぁ、いいよ…?」

 

曜から少しラムネを頂く。

炭酸が喉に伝わる。

 

(あれっ…今のって…もしかして…間接キス~…っ!?//////)

1人が赤くなる曜。

何かあったのだろうか…?

 

────────────────────

 

一通り歩き回り。

少し休憩がてら俺と9人で階段に座る。

 

「この後花火だって!」

「そう言えば花火見るの初めてかも」

「えっ!?…意外だね~東京とかは多いイメージだけど…」

「…夏祭り行く人とかいなかったし…」

 

「「「あっ…………」」」

 

ドーンっと夜空が明るく照らされる。

 

「ほ、ほら!花火!」

「綺麗ずら~♪」

「お、お姉ちゃん…手を握ってていいかな…?」

「ルビィは昔から花火の音苦手ですもんね、いいですわよ♪」

 

 

「…………」

無言で花火を見つめる。

今年の夏祭りは…賑やかで過ごせそうだ。

願わくば…来年も…。

 

「……悠くん、ちょっといいかな?」

千歌から耳打ちされた。

 

他のメンバーに気付かれないように抜け出す。

 

「……ありがとうね、悠くん

今日は…すっごく楽しかったよ♪」

「俺も楽しかったよ、来年も夏祭り来たいな」

 

「ねぇ………悠くん」

「ん、なにかな?」

 

 

 

 

 

次の瞬間思いがけない言葉が千歌の口から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────好き、だよ」




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31話

花丸ちゃん、ハッピーバースデー!(1日遅れ)


「…………………………」

 

 

【──────────好き、だよ】

 

あの言葉の後、何事も無かったようにみんなのところに戻った千歌。

 

聞き間違いなんかじゃない、彼女は確かに''好き'' と言った。

「千歌が……俺の事を……?」

 

距離が近くなったのは感じていた。

しかし、好意を向けられていたのは初めて知った。

 

「…………………千歌…」

──────────返事は……まだ返せてない。

 

「…どうしろってんだ……」

天井を見上げ、ただ1人唇を噛み締める。

 

 

────────────────────

 

 

「…そっか、悠くんに言ったんだね」

「うん…ただ、聞いたあとから悠くんの様子がおかしくて…」

 

私は曜ちゃんに電話をしている。

夏祭りにあった出来事をありのまま話した。

 

「…多分だけど…モヤモヤした気持ちだけが先走ってるのかもよ?

…ホントの事を言ったら…多分いつもの様子に戻ると思うよ」

 

「ホントの事……分かった!今言ってくる!」

「えっ!?千歌ちゃん!?」

 

電話を切り、机に置く。

悠くんに想いを伝えなきゃ…その一心で。

 

 

────────────────────

 

「悠くん!入るよ!!」

「のわっ!?……ち、千歌…?」

 

結局考えてても何も浮かばず、布団に突っ伏していたら千歌が殴り込んで来た。

 

「悠くん!」

「は、はい?」

「何か勘違いしてるよ!」

「…な、何を?」

 

「悠くんの事が好きなのは私だけじゃないよ!」

「……は、はい?」

「悠くんの事が好きなのはみんな同じなんだよ!

…曜ちゃんも、梨子ちゃんも、果南ちゃんもみんなみんな…悠くんの事好きなんだよ!」

 

「……………えっ?」

耳を疑った。

曜も梨子も果南も…ダイヤも善子も鞠莉も…花丸ちゃんもルビィちゃん…も?

 

「ど、どういうことだよ…俺、そんな好意を向けられる事してないのに…」

 

「してるよ!…いつも悠くんには元気をもらってるし、励ましてもらってるし…ここまで出来たのも、悠くんの支えがあったからだよ?

それは、みんな思ってるんだよ?」

「……………でも…」

 

それって、みんなに返事をしなきゃってことじゃ…。

 

「…いいんだよ。

みんな抜け駆けするつもりなんてないよ。

みんな悠くんの事が好き。だから悠くんも、私達のことをずっと見てて欲しいの。」

「…なんでもお見通しなんだね、千歌は」

 

「悠くんの事が好きだからね!」

「…ははっ、全然知らなかったよ」

「そうなの!?………あ~…まぁ、悠くんだからね…」

「…どういうこと?」

 

「わかんないならわかんないままで良いよ~♪」

「なんじゃそりゃ?」

「ふふっ、いつもの悠くんに戻った♪」

「あっ………ごめん、もしかして落ち込んでる元気の無い姿見せちゃったかな…?」

 

「ううん、大丈夫だよっ♪」

嬉しそうに横に座る千歌。

 

思えば頭を撫でたり頬にキスされたりと心当たりがある点が様々あった。

……しかし、好意を向けられていると知ると…なんか照れくさい。

 

明日からどうやってみんなと顔合わせた方がいいんだろうか…。

 

「バカチカ~?曜ちゃん来てるよ~?」

「も~!バカチカってよばないでよ~!……って、曜ちゃん???」

 

「ヨーソローっ!………って、なんかお取り込み中だった?」

「ううん、今話終わったとこ~♪」

 

ずいずいと俺の前に曜を出す千歌。

心無しか千歌の顔が嬉しそう。

 

「えっと…千歌ちゃんから聞いたと思うけど…そういう、事…だから…」

「…曜…」

「私も…悠くんの事、好きだよ…っ♪」

 

へへっと照れ笑いを浮かべる曜。

 

「じゃーあー…曜ちゃん!」

「ヨーソロー!突撃ー!」

 

「おわわわっ!!」

2人そろってダイブする。

慌てて受け止めるものの布団に倒れ込む。

 

「…へへっ♪」

「…どう、かな…?///」

「…ど、どうと言われても…」

 

形からすると2人を抱き締めてる形になる。

 

「…でも、良かったなぁ

千歌もみんなが悠くんの事好きになってくれて嬉しいよ♪」

「…こういう時ってみんなライバルで…って感じなんじゃ…」

 

「そんなことないそんなことない!

…Aqoursの中心人物は悠くんだからね、それは絶対変わりないよ♪」

「悠くんったら、知らず知らずに絆メーターMAXにさせてたんだよ~♪

2倍期間だから?2倍期間だから?」

 

 

「……う、うん?」

 

 

結局、抱きしめられて安心したのか静かに眠りについた2人。

志満さんからは、あらあらと笑われてしまったが…。




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次回:悠の身に危機が…?


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32話

圧倒的補欠さん評価ありがとうございます!

スクスタはいつリリースになるんですかねぇ…


「…ううーん……」

 

「38.2………''夏風邪''ね~」

志満さんが体温計を見つつ呟く

 

ラブライブ予選の結果があと数日と言う時に…ついてない。

 

「悠くん~…大丈夫…?」

心配そうにドアから顔を覗かせる千歌。

 

「ああ…大丈夫だけど移すと大変だから…今日は安静にしてるよ…」

「…そっか…分かったっ、部活いってきまーす!」

 

少し寂しそうな顔をしたがいつも通りの元気な声で家を出る千歌。

 

「じゃあ、悠くん?安静にしててね~」

「はい…ありがとうございます…」

 

マスクをし眠りにつく。

少しでも体温を下げるために………。

 

 

──────────────────

 

「…ってことで悠くんは欠席だよ…んっしょっと…」

「夏風邪かぁ~…早く良くなるといいんだけど…いっちにーさーんしー…」

 

ストレッチをしながら悠くんの欠席理由を話す。

 

「全く…体調管理がなってないのですわ…」

「とは言いつつダイヤ~?心配そうな顔してるわよ~♪」

「ま、鞠莉さん!!…へ、変なことおっしゃらないで下さいますか…?」

 

「ねぇ、千歌。この後みんなでお見舞いに行ったら…迷惑かな?」

「私もそうしたいんだけど…多分悠くんの事だから断ると思うんだけどなぁ…」

 

「ダメだよ、みんなに移しちゃうよ…って言いそうだよね」

「リトルデーモンリリィ…随分と悠の事、分かってるのね…?……ふふっ、さすがね…まぁ、ヨハネもマイリトルデーモンのことは……い、いたたた!」

 

「善子ちゃ~ん?……悠くんの事、心配なのはみんな同じだよ」

「そうだね……よしっ!部活終わったらお見舞いに行こう!」

「ヨーソロー!」

 

「ふふっ、じゃあ色々と買ってかないとね」

「退屈しないように本とか渡した方がいいかな…?」

「花丸ちゃん…まさかあの本全部…?」

「ちょっと、多かったかな?」

「1…2…3…4…は、8冊くらいあるよ!?」

 

「さぁ、練習始めますわよ!」

「…ところでダイヤ?今日の練習は?」

 

「予め、悠さんから連絡をもらってますわ

…あの講堂でやったライブ…青空Jumping Heartを…9人で、と」

 

「つまり、私達の2年生と1年生で3年生たちにレクチャーってことだ!」

「そういうことみたいだね、歌うとことかも考えないとね」

 

「よーしっ、早く完成させて悠くん驚かしちゃうよー!」

「「「おー!」」」

 

──────────────────

 

 

 

 

 

「へくしゅ!!……しまった…風邪が、悪化したか…?」

携帯を見ると4時前だった。

 

体温は下がってる感覚があったが、まだ万全とはいかなかった。

「明日には治ってるかな…うう、こうして安静にしてるのも退屈だな…」

もともと体を動かす方が好きな方。

じっとしてるのは性にあわない性格だった。

 

携帯には千歌から[部活終わったよ!]とメッセージが入ってた。

 

「アイツの事だから…ただいま!大丈夫悠くん!?とか言って戻ってきそうだな…」

 

 

「ただいまー!」

噂をすればなんとやらだった。

玄関の方から騒がしい声と歩く音が聞こえた。

 

「悠くん、ただいまっ♪」

「おかえり、もうそろ帰ってくるかなって思ってたよ」

 

「顔色、だいぶ良くなったね…よかった~」

胸を撫で下ろす千歌。

「心配かけちゃったね…ごめんな?」

「心配してたのは私だけじゃないよっ、みんなもだよね!」

 

……ん?だよね?

 

「悠くん、大丈夫っ?」

「色々買ってきたよ~♪」

「食欲はありますか?しっかり食べないと早く治りませんよ」

「退屈しないように本も持ってきたずら!」

 

「み、みんな!?」

ぞろぞろと部屋に入ってくるAqoursのみんな。

 

「マイリトルデーモン…あんまり心配かけちゃダメよ?」

「悠がいなくて部活もいつもと違くて違和感がしたわ~」

「あぅ、悠先輩…これ、スポーツドリンクですっ」

 

「お見舞いに来てもらったよっ」

「…あはは、まぁ千歌の事だから考えるかもなぁとは思ってたけど…まさかホントに来るとは…」

 

「迷惑…だったかな?」

「ううん、全然。

むしろみんなの顔が見れて安心したよ」

 

 

「熱はありそうかな…」

おでこをくっつける果南。

不意の出来事に目を瞑る。

 

「…うんっ、ちょっとあるくらいかな

ちゃんと薬飲まないとね」

「…あ、ありがとうございます…」

 

「では、私たちは軽食でも作ってきますね」

「あっ、ダイヤさん手伝います!」

「ル、ルビィも!」

 

「私達はどうしようか?」

「リトルデーモン…着替えが散乱してるわよ…」

「あはは…着替える体力もなくて…」

 

「それはダメだよー!ほらほら、着替えて着替えて!」

脱がそうとする千歌。

 

「ちょ、千歌さん?…周りの目ってものが…聞いちゃいないね…」

為す術もなく服を脱がされる。

汗を相当かいていたのか服の重さが無くなり少しひんやりとした感覚が体を襲う。

 

「あら~♪意外と筋肉あるのね~♪」

「鞠莉さん、マジマジと見ないでください…」

「背中、拭くよ?」

 

「果南…うんっ、ありがとっ…」

「…こ、これが…リトルデーモンの服…」

「…善子ちゃん?服持って何してるの?」

 

「へっ!?…い、いや洗濯しようと思ってただけよ!

別に匂いがとか思って無いからね!?」

 

「…う、うん…ありがと…?」

 

さっきまでの退屈だった部屋の中が一転し、賑やかになった。

 

「それでね、悠くんっ。今日の練習でね!」

「うんうん、今日の練習で…?」

 

 

 

千歌はいつも俺が元気をみんなにあげてると言ったが…それは俺も同じだったのかもしれない。

俺もみんなから…元気をもらっている、そう感じれた。

 

 

───────────────────

 

 

みんなが帰宅し、部屋には千歌と梨子が残った。

明日から復帰することを約束し、果南は最後にハグして行った。

…移るかもしれないからダメって言ったけど聞かなかったしなぁ…。

 

「私、お風呂入ってくるから梨子ちゃん、悠くんの事よろしくね!」

「分かったっ、いってらっしゃい♪」

 

 

部屋をあとにする千歌。

 

「体はもう大丈夫そうかな…?」

「明日には復帰するって言ったからな…治さないとな」

 

ぎゅっ。

 

「ん…梨子…?」

突然、何も言わずに抱き着く梨子。

「心配…してたんだからね…?」

「…ん、ごめんな…」

 

「…千歌ちゃんから…聞いた、よね」

「何を?」

「もうっ…またそうやって知らないふりするんだから…っ」

 

「あはは、ごめんごめん…梨子も、俺の事…って話だろ?」

「うん…そう、それ…」

恥ずかしいのか抱き着いたまま少し俯く梨子。

 

「私も…音楽室で悠くんから励まして貰ったときや…一緒にお出かけした時から…好きになってたの…悠くんの事が」

「…全然分かんなかったなぁ…」

 

「ふふっ、悠くんは鈍いからね」

「……そうなのかなぁ…」

「そんなところも悠くんらしいけどね♪」

 

「…悠くん…」

少し体を離し顔と顔を近づける。

鼻と鼻がくっつきそうになるくらい近い。

 

「…り、梨子…?」

「…恥ずかしいけど…これが…気持ちだから…っ///」

 

そう言うと首にキスをする梨子。

くすぐったい感覚が首に集中する。

 

「り、梨子…っ」

「恥ずかしいけど…不思議、嬉しさで胸がいっぱいになるね…♪」

「…反則だっつの…」

 

お返しと言わないばかりに首にキスをする。

「ゃ…ぁ…///」

嫌とは言いつつも腕を頭に回し離そうとしない。

 

「…梨子の味がするな」

「な、なにそれ…変なの…っ///」

 

顔が真っ赤になる梨子。

こんな表情が見られると思ってもなかった。

 

「そ、そろそろ千歌ちゃん帰ってきちゃうから…やめよっか…?」

「…うん…でも…」

最後にもう一度キスをする。

 

「また、しような?」

「………うんっ///」

 

いつの間にかクセになりそうになっていた。

 

 

───────────────────

 

 

「千歌、そろそろ寝る時間だよ?」

「今日は悠くんと一緒に寝るんだ~♪」

「こーらっ、移ったら大変だよって言ってんでしょ~?」

 

「…ダメ、かな……?」

「うっ………」

枕を抱きしめながら見つめる千歌。

その目は完全に恋をしてる女の子の目だった。

 

「…わ、分かったよ…」

「わーい!じゃあお邪魔しま~すっ♪」

意気揚々と布団に潜り込む千歌。

 

「…悠くんの匂いだ♪」

「あ、あんまり変な事言うなや…」

「だってホントなんだもん♪」

 

ぎゅっと抱き着く千歌。

そんな千歌の頭を優しく撫でる。

 

「……うん…千歌ね、こうされると…すごく安心するの…

ドキドキも止まらないの…」

そう言うと俺の手を胸に当てる千歌。

触られてるのなどお構い無しのようだ。

 

「どう、かな…?

私のドキドキ…伝わってる…?///」

「…すごく伝わってるよ…」

と言ってる俺もドキドキしているが、ここは平然を装う。

 

「へへっ…悠くん、大好き…♪」

頬にキスをする千歌。

最近、千歌のスキンシップが激しくて悶々とする。

 

「…ありがとな、千歌」

頬にキスし返す。

 

「わわっ…悠くんからされたの初めてかも…なんだか幸…せ…♪」

ぎゅっと抱きしめる力を強くしたまま千歌は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

「なんだか…大変なことになりそうだな…」

そう思いつつも、どこか嫌な気はしない俺だった。




キスの回数が増えてきましたねぇ!(歓喜)

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33話

りょ~すけさん評価ありがとうございます!
色が付くまであと1つ…!


そしてやって来たラブライブ予選結果の発表日。

 

部室に集まる俺と9人。

「…それで、発表の仕方は?」

「見たところによるとインターネットで掲載されてるみたいだね」

「コホン…誰が見ますか?」

 

ダイヤさんの提案にシーンとする部室。

 

「ま、まるは機械系苦手だから遠慮しておくずら…」

「…ルビィも…」

 

「…こういう時は悠なんじゃな~い?」

「いや、実際ライブしたのは皆なわけだし…俺が観るのも…なぁ?」

 

「…どうする、千歌ちゃん?」

「むむむ…やっぱりみんなやりたがらないか…」

腕組をしながら難しい顔を浮かべる千歌。

誰かやりたがる人を待っていたようだ。

 

 

「私、見るよ♪」

その掛け声とともに携帯を操作し始める曜。

操作を開始したのを見るや否や、拝むように手を合わせるメンバー。

 

「いやいや…みんな精一杯やったんだから…結果は自ずと……」

「お…?…おおお?…おおおおおっ!」

 

驚きと共に目を大きく見開く曜。

 

「…曜?」

「……あった」

 

ポカンと開いた口が塞がらないのか、ただ1言答えだけをみんなに伝える曜。

 

「…あったの?」

「…あったよ…!

Aqoursの名前!」

 

携帯の画面を見ると、そこには確かに予選通過したAqoursの名前があった。

 

「……ははっ…あはは…こんな時どんな顔していいかわかんないや…」

綾〇レイ並の名セリフと共にヘナヘナと椅子に座り込む。

 

「…やったああああ!」

「凄い、凄いよ、千歌ちゃん!」

 

「oh....my....God!!!」

「…へへっ、やったね鞠莉♪」

 

「よ、ヨハネの力があれば…こ、こんなものよ!」

「善子ちゃん、手が震えてるずら」

「お、お姉ちゃん…予選通過だって…!」

 

「………ええ、ですが…まだ''一次''ですわ」

 

「「「………え?」」」

 

ダイヤからの思いもよらぬカミングアウトに一気に波が収まる部室。

画面をよーくスクロールすると…確かにそこには一次予選と書いてあった。

 

「コホン…一次予選を突破したら二次予選…そこから地区大会を通ってから本戦で優勝を争いますわ」

「つまり…まだ全然先ってこと!?」

 

「正確に言えば…スタートしたばかり、ですわ」

「とほほ…」

 

途方もないくらいの道のりに思わず肩を落とす。

 

「いいじゃん!スタートしたばかりって!

Aqoursとして道が始まったんだよ!」

 

いつもの明るさで元気に励ます千歌。

 

「…そっか、そうだよな。

次も予選通過しないとな!」

 

「そうだよっ!次に進む道が出来たって事だよ!」

「…確かに、千歌の言う通りだね。次も頑張ろうかっ」

 

「それで、二次予選はいつになるの?」

「…えーっと…1ヶ月弱先だね」

 

「次のアイデアは出来てるの、ダイヤ?」

「その事なんですが…次も悠さんにお願いしようかと」

 

「えっ…また俺…ですか?」

「もちろん無理強いはしませんわ…悠さんがよろしければ、ですわ」

「私達も協力するよ!」

 

「…分かりました、次もやります!」

 

 

 

 

この時、二次予選に向けて頑張ろうとAqours一丸となっていたが…思いもよらぬ出来事になるのは…この時、まだ知らなかった。

 

 

──────────────────

 

「まずは…予選通過おめでとう」

「俺は何もしてないよ、果南やみんなが頑張ってくれたからだよ」

 

その日の帰り道。

横で歩く果南から祝福の言葉を貰った。

 

「……でも、まさか予選通過するなんて、ね…」

「昔3人でやってた時は予選に出なかったのか?」

 

「…出たよ、でも一次敗退」

「…そっか」

「んもうっ、そんな昔の話今はいいのっ

今この時が楽しいんだから♪」

 

「へへっ、なんか果南らしいな」

「まぁ、それもこれも悠がAqoursに誘ってくれたのが始まりなんだけどね…

まさか悠の事好きになるなんてなぁ…」

 

「…最初はそうでもなかったの?」

「うん、まぁはっきり言えばね。

ファーストインスピレーション的にいえば…変な子って感じかな?」

 

「あはは…変な子、ね…」

「でも、好意を持ったってことは悠の優しさに惚れちゃったのかな…♪」

 

顔を赤くし、1歩先を歩く果南。

 

「…ほらっ、ハグしよ?」

「変な子って言ったら…果南も同じかもよ?」

「あっ…そういうこと言うと、ハグしないよ~?」

 

「あはは、ごめんごめん…でもドキドキさせられてあの時は大変だったんだよ?」

「ふふっ、年上を甘く見ないでね~?♪」

 

 

 

 

─────数秒ハグした後、唇に柔らかい感触がした。

 

「…………えっ……?」

「………///」

 

恥ずかしそうに俯く果南。

文字通り…初めてのキス、それも唇。

 

「今の…ファースト…」

「えっ…あっ…は、初めてだったんだ…てっきり千歌や曜ちゃんとしてるのかと…///」

 

「…あ…えっと…初めてです…」

「…わ、私も…///」

「そ、そっか…ありがと…?」

「ど、どういたしまして…?///」

 

 

どこかぎこちないまま隣で歩き始めた果南。

この時、2つわかった事があった。

 

 

1つは…女の子の唇が柔らかいって事。

2つ目は…果南が甘えるのが増えたって事。




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次回:招集1年生組!


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34話

評価バーに色がついて、うおおお…!ってなってます←

推薦も書かれるかも…!と自分一人で思ってたりします←フリ


「……うー…」

 

なによ…なによなによ!

リトルデーモンリリィも千歌も曜も…最近マイリトルデーモンにアプローチ激しくして…。

 

わ、私だってその気になれば…!

 

「…うーん…」

…と、言っても目の前に居るけど何も出来てないのが事実…。

 

「い、息詰まってるようね…!リトルデーモン!」

「…うん…中々ねぇ…テーマとかセンターとか決めてるんだけど…」

 

…そうか!これよ!これ!

 

「そんなリトルデーモンにヨハネから施しをあげるわ…?♪」

 

──────────────────

 

 

「はぁ?施し?」

そう言うと向かいに座っていた善子は立ち上がり目の前に来た。

「ふふっ、どんな施しがいいかしら…?♪」

 

指先を少し動かし顎をクイッと持ち上げる善子。

……いつもと様子が変だ。

 

「あ、あのなぁ…俺は別に…」

「…こういうのが、いいかしら?」

 

机に座ると足組をし始めた善子。

…チラリと見えるのだけどこれは伝えた方がいいのだろうか……ちなみに黒。

 

「…善子、どうしたんだ急に」

「べ、別に深い意味は無いんだからね!

…リトルデーモンのお世話をするのも…ヨハネの務めよっ」

 

「…ふーん?」

善子を押し倒す。

 

「ふぇぁ…!?」

情けない声とともに机に横になる善子。

少しスカートがめくれニーソックスの強調が激しいことになにか刺さった。

 

「…お前が誘ったんだからな?」

「そ、それは…そうかもしれないけど…!」

─────意外と攻める割に攻められるのは防御力0なのかもしれない。

 

「……善子」

「ちょ…ストップストップ!」

 

「…なーにやってるずら」

「よ、善子ちゃん…?」

 

「あ、2人とも、お疲れ様」

「はぁ…はぁ…助かった…」

「…忘れたとは…言わせないよ?…続きはまた今度ね?」

「なっ………!//////」

 

さっきまでの強気な態度はどこへやら。

しおらしく椅子に座り直す善子。

─────続き?するわけないじゃん…。

 

 

「それで、悠さんを呼んだのは他でもないずら」

「実はね…次の衣装作り…ルビィ達に任せてもらえないかな…!」

「…随分と急だけど理由を聞くずら」

「ずらを真似しなくていいずら~!」

 

「え、えっとね…前のライブの時もそうだったけど…ルビィ達…なにもしてないなって…だからスクールアイドル部として…みんなの役に立ちたいって!」

「…そっか、その心意気素晴らしいと思うよ、ルビィちゃん」

「こ、今度は普通ずらっ!」

 

「よし…じゃあ、今度の衣装担当はルビィちゃん達1年生にしようっ」

「が、頑張りま…!…間違えた…ガンバ、ルビィ!」

「…それは?」

「ルビィちゃんの必殺技ずら♪」

「よ、ヨハネにも任せなさいよね…!

…それで、アイデアまだ出てないんでしょ?」

 

「おお、そうだった…まだなにも思い浮かばないんだよ…」

「テーマとか…なにか出来たずら?」

「うーん、それも…まだ…」

 

「あ、あの…」

「ん?ルビィちゃんどうした?」

「な、夏ももう終わるし…夏っぽい衣装とか…どうかな?」

「夏っぽいかぁ…水着とか?」

 

「それは…恥ずかしいずら…」

「それ、見たいのリトルデーモンだけでしょ」

「あはは、バレた?」

「ほんっと素直ね…」

 

「となると…浴衣?」

「踊りにくくないずらか?」

「そ、そこは少しスカートっぽくしたりして!」

「なるほど…浴衣のような衣装…と」

 

出てくるアイデアを書きまとめる。

1つ驚きだったのがルビィちゃんが積極的に発言してる。

 

「…センターなんだけどさ、仮だけど決まってるんだ」

「誰ずら?」

 

「…センターは────────」

 

「えっ…?」

「ぴぎっ…!」

「それ…ホント?」

 

 

──────────────────

 

 

「ありがとな、ルビィちゃん。

おかげでスムーズにアイデアが出たよ」

「えへへ…お役に立てて良かったですっ」

 

衣装の完成図を書くルビィちゃん。

 

「…あの、先輩…?」

「ルビィちゃん、もう先輩なんて付けなくていいからね?」

「えっと…じゃあ…悠、さん…」

「かしこまらなくてもいいのに…」

 

「お、お兄ちゃん…」

「飛躍しすぎだよ!?」

正直、悪い気はしないが…。

 

「えへへ…お兄ちゃん♪」

────気に入ってしまったらしい。

俺の隣に座ってたルビィちゃんが頭を寄せる。

 

「…お兄ちゃんもちゃん付けなくて…いいからね?」

「…えっと~…ルビィ…」

「うん…っ♪」

 

「よしよし…」

「ふぁ…っ…///」

頭を撫でるとくすぐったいような声を出すルビィ。

 

しがみつくように体に抱き着く。

 

「悠さん…大好きですよ…っ」

「あ、お兄ちゃんやめた」

「さ、さすがにみんなの前でそれは恥ずかしいから…」

「まぁ、それもそうか…」

 

「…だから、これで許してね?」

そう言うと頬にキスをするルビィ。

 

「…や、やっぱり恥ずかしい…」

「なら無理にしなくても…」

「ゆ、悠さんだからしたんだよ…!」

「そっか…ありがとな、ルビィ」

「はいっ♪」

 

 

─────────────────

 

 

「みーつーけーたー…」

「…えーっと…校門で何やってるの、善子」

「貴方を待ってたのよ!リトルデーモン!」

 

先程のことを根に持ってるのか少し鼻息が荒い。

 

「と、特別に私と帰る権利をあげるわ!」

「…それはそれはありがたき幸せ」

「ふんっ!」

 

素直じゃないなぁ…と思いつつ善子の後を追うのであった。

 

「最近、モテモテね」

「あはは……」

「お気楽なもんね…みんな真剣なのに」

「その好意はすっげぇ嬉しいよ…ただ、俺は何もしてないよ?」

「その優しさよ…ホント、なんで気が付かないかしら」

 

「…ん、今みんなって言ったけど…善子は?」

「…ぎくっ」

「…善子さーん?」

「し、知らないわよ!リトルデーモンがどーーしてもって言うなら教えてあげなくも…!!」

 

腕組をしながら歩く善子。

そんなことしてたら転ぶぞ…。

 

「ひゃっ…!」

「あぶねっ」

言わんこっちゃない…。

咄嗟に腕を引っ張りこちらに寄せる。

 

「そそっかしいんだな、善子って」

「…不幸体質なのよ、私」

「不幸体質ねぇ…」

 

「…ふふっ、こんなこと前にもあったわね」

「…あったなぁ、そう言えば」

 

「…その頃から…好きだったのかしら」

「…えっ…今なんて…」

 

聞こうとするが抱擁がそれを邪魔する。

 

「…だから…好きよ!貴方の事!

…貴方から…善子って言われても嫌な気がしないし…ああやって話せてるのも嬉しいし…貴方の姿見てると胸が苦しくなるの!」

「……善子」

 

 

 

「やっと…言えた…」

顔を見えないように俯かせてる善子。

善子は……少し…泣いていた。




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…とは言うけど推薦がなにかよく分かってない主←


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35話

加点式ランキングに乗ってました…ビックリです。
お読みいただきありがとうございます!


「…うーん」

 

授業中、歌詞ノートにペンを走らす。

夏休みも終わりまた賑やかな学園生活が始まろうとしていた。

しかし、賑やかなのとは一転、テーマやセンターは決まったが歌詞がてんで浮かばない。

 

「悠くん…悠くんっ」

「ん…梨子、どうしたの?」

 

「指されてるよ…っ」

「ええっ…!?

…あっ、えっと…その…」

 

「ここのページだよっ」

横にいた曜が教科書を指さす。

 

 

 

「えっと~……」

突然の事にびっくりしたが事なきを得た。

…いや、まぁ授業中に歌詞考えてる俺がいけないんだけど…

 

─────────────────

 

「もー、悠くんったら…びっくりしたんだからね?」

「ごめんごめん…家でやってても浮かばなくて…授業中でもなにか良さそうなヒントあったら書き留めるようにしてるからさ…」

 

「それで、どんな感じなのっ?」

「衣装は…こんな感じ…テーマもそこに書いてあるよ」

 

「ふむふむ…なるほどね

ルビィちゃん、衣装は私がやりますっ!って言ってたけど…大丈夫かなぁ?」

 

「彼女がそう言うってことは珍しいからね…ここは任せてみようよ」

「そうだね、まぁ手先も器用だし…大丈夫だとおもうよっ♪」

 

「はーっ、次の予選まだかな~♪

悠くん、これっみかんどうぞ♪」

 

「おお、ありがと…うん、美味い」

「それで、この後はどうするの?」

 

「ちょっと、生徒会室に行くよ

みんなは?」

 

「水泳の練習に行くよっ!」

「私もピアノの練習しに行かなくちゃ…」

「私は十千万でお手伝い~…」

 

「そっか、じゃあ俺一人で生徒会室に行ってくるね」

3人に別れを告げ生徒会室に向かう。

 

 

─────────────────

 

「…ごめんな、ダイヤ

忙しかったか?」

「いえ、ちょうど仕事が終わったところですわ

…ふふっ、急に悠さんが来てびっくり致しました…♪」

 

紅茶を飲みつつこちらを見て微笑むダイヤ。

その姿に見蕩れつつも話を本題に移す。

 

「あの…ダイヤ、話があるんだけど…」

「あら、悠さんの方から話があるなんて珍しいですわね…何でしょう?」

 

「次のライブのセンター…ダイヤにお願いしたいなって!」

「……………………………」

 

紅茶のカップを持ったまま放心状態になるダイヤ。

 

「ダイヤ~?手が震えてるわよ~?」

「そ、そそそそ、そんなことありませんわ…っ」

どこからか来た鞠莉にも目もくれずただ目の前の話に震えるダイヤ。

 

「悠~、思い切ったことしたね~♪」

「ま、鞠莉…相変わらず神出鬼没だな…」

 

「生徒会室に悠が入っていくの見えたからね~♪」

「な、なんで私なのですか!!??」

 

我に返ったダイヤがグングンとこちらに歩み寄る。

 

「わ、理由をお聞かせ願いますわ!」

壁まで追い詰められてバンと壁を叩く音が聞こえる。

 

「(か、壁ドン…)…あ、あの落ち着いて…」

「これが落ち着いていられますかぁ!

…な、なにゆえ私が…っ!///」

 

「…嫌?」

「嫌ではありませんが…ぶ、ぶっぶーですわっ」

指で小さくバツ印を作るダイヤ。

なんだか新鮮で少し面白かった。

 

「…えっとな、ダイヤ…センターに選んだ理由が、今回のテーマにすごくダイヤがぴったりだったからだ。

お前なら…みんなをまとめてすっごいライブに出来そうだって信頼してるから頼んでいるんだ」

 

肩を掴み真っ直ぐと目を見つめる。

 

「わ、分かりました…分かりましたから見つめないでくださいますか…?…少し、恥ずかしいので…///」

「…あ、ごめん…」

 

「…コホン、抜擢されたからには大役、努めさせていただきますわ!」

「2人とも~マリーを忘れてないわよね~?」

 

足をプランプランとしながら何とも退屈そうに呟く鞠莉。

 

「わ、忘れてないよ」

「怪しいわね~…まぁ、いいわ

ただーし!悠に1つattentionね!」

 

「…あ、はい…?」

「私が2年生の教室に初めて連れて行った時なんて言ったかしら~?」

 

「…えっーと…教室に投げ捨てられた気が…」

「その前よ~!」

「…えっと…ハーレムなんか作っちゃノンノンよ♪ってやつ?」

 

「All right!…見事に約束破ったわね~?」

「いや、元より破るつもりなんか無かったんだけど…」

「…なんてね、ジョークよ

…まぁ、こんなことになることも予想してたわ、悠って、優しいし」

 

「…鞠莉もなんでもお見通しなんだなぁ…」

「これでも理事長よ?…まぁ、その好きになった人の中に私やダイヤが入っちゃったのは意外だったけどね♪」

 

鞠莉がダイヤにウインクすると恥ずかしそうに目線を外すダイヤ。

 

「それで~?…どこまで行ったのかしら~?」

「ど、どこまでもなにも…キスされたくらい…?」

「oh~!みんな大胆ね~♪」

 

「…い、いけません!そのようなこと……」

「あ、今ダイヤ少し羨ましいって思った?」

「お、思ってませんわ!…お、思って…」

 

「悠、ダイヤってわかりやすい性格になったと思わな~い?」

「…ごもっとも…」

 

「多分、悠のことを気にかけて怒ってたり面倒みたりしてたんだよ、ほら宿題の時とか」

「……あー、好きな人のこと放っておけない、的な?」

 

「そ、そこまで!ストップですわ!」

 

掘り下げられるようで恥ずかしくなったのか大きくバツ印を作るダイヤ。

完全に顔が真っ赤だ。

 

「あははっ、ダイヤ顔真っ赤♪

…さてと、邪魔者はここでドロンしましょうかね~♪」

 

そう言うとヒラヒラと手を振り生徒会室を後にした鞠莉。

 

「…な、なんだかどっと疲れましたわ…」

「ごめんな、なんか可愛くて」

「…悠さんは悠さんで意地悪ですわ…」

 

「好きな子を意地悪したくなっちゃう…的な?」

「…はぁ、でも許してしまうのは…なんででしょう…」

 

「…ダイヤもダイヤで俺の事信頼してるから…じゃない?」

「ふにゃっ!?///」

「…ふにゃ?」

「き、気のせいですわ…?///」

 

 

 

優しくダイヤの頭を撫でる。

猫のような声を出したような気がするが…気のせいだろうか?




そろそろもっと次のステージに行かせてもいいんじゃないんですかねぇ!
ほらほらほら、見とけよ見とけよ~←

というわけで次の回はR-17.9位の内容で行きやす←

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36話

ふ、ふふ…遂に来たぜ…くっくっく…←

かなりの甘さになってるゆえ(多分)
血糖値上がりまくりに注意されたし!刮目せよ!


………それは、夜の事だった。

 

千歌が布団に忍び込んできた。

それは、いつもしている事だったので、大して気にしていなかったが、その日だけは…様子が違った。

 

 

「……う、ううん……千歌…?

…はぁ…また忍び込んでるし…」

 

時刻を見たら0時過ぎ…眠りについてから1時間半くらい経っていた。

 

「……………」

「千歌…?」

 

呼びかけに応じない。

寝ていない…?

 

「…千歌…?」

「……っ…んっ…」

 

背中越しだが、なにか声が聞こえる。

細々とした声で全て聞き取れないが起きているようだ。

 

「…はぁ…ぁ…っ…」

背中を丸め、所々ピクっと反応する千歌。

…なにか様子がおかしい。

 

様子が気になり千歌の方を振り向こうとした次の瞬間、異変に直ぐに気がついた。

 

「…はぁ……ぁ…悠、くん…っ」

「………っ……」

 

千歌が手にしていたのは俺の制服。

抱きしめながら自分の体を触っていた。

 

(これってあれだよな…俗に言う──────)

「悠くん…っ…好き…っ…///」

本人に聞こえてないと思っているのか、身を捩りながら心の内の言葉を発する千歌。

 

 

…当の本人は寝たフリをするしかなかった。

 

(お、落ち着け…見なかったことにすれば明日の朝何事も無かったかのように…過ごせるはず…っ)

と言うものの、興味がないというと嘘になる。

年頃の男の子、そう言うのは特に過剰に反応してしまう。

 

「…悠くん…起きて、る…?///」

「…………………」

 

静かに首を縦に振る。

必死に頭の中を考えを巡らせていたが見事に爆散した。

 

「…え、えへへ…見られちゃった…♪」

恥ずかしそうに背中に抱きつく千歌。

こちらも恥ずかしくて顔を見れないでいた。

 

「…どこくらいから知ってたの…?///」

「忍び込んできた辺り…から?」

「…あははっ、結構見られたね…///」

 

「…ぎゃ、逆に千歌はいつからこんなことを…?」

「…なんか…今日は凄くドキドキして…気分が舞い上がったって言うか…///」

 

女の子にもあるんだ…そういう欲が…と思いつつも平然を装う。

 

 

「ねぇ…悠くん…」

「な、なにかな…?」

「………えいっ!」

突然身を寄せられ千歌が馬乗りになる。

 

「…えへへ、悠くん捕まえた…♪」

「…ち、千歌…」

いつも見る千歌の姿とは一転、どこか大人っぽく色っぽく見えた。

 

「…ここからは…本当の話、だよ…」

「ほ、本当の話…?」

 

「いつか、悠くんには…言おうって思ってたの…

…私の全部を…見て欲しいって…」

そう言うと部屋着の胸元を少しさらけ出す千歌。

顔は恥ずかしそうにしつつも目は本気のようだった。

 

「…千歌、お前…」

「…悠くんは…私の全部…受け取って…くれる、かな?///」

 

ついには部屋着の上を全て脱いでしまった千歌。

初めて見るであろう彼女の下着姿に思わず目が食い入る。

形の整った胸もさらに強調さを増していた。

 

「…本気…なのか?」

「…本気、だよ…っ///」

 

ここまで来て夢オチ…とも思ったが、千歌が乗っかってる重みやドキドキしてる鼓動を感じる事にこれが現実だと知らされる。

 

「…千歌…」

首元をなぞるように指を這う。

 

「ひゃ…っ…///

くすぐったいよ…///」

「ごめん…可愛くって、つい…」

「…いいよ、もっと触って…?///」

 

彼女の甘い言葉と吐息が俺を制御してた枷を取り外してくような気がした。

 

「千歌…っ…!」

千歌の体を寄せ、抱き締める。

そして奪うようにキスをする。

 

「んんっ……!

はぁ…はぁ……ドキドキしちゃうよぉ…///」

お互いの顔を触りながらそう呟いた千歌。

俺の方はとっくに我慢の限界だった。

 

「…確認するけど…本当に、良いんだよな?」

「…悠くんになら…良いよ///

初めからそのつもりだったし…///」

 

指を這う位置を太ももに移す。

「んっ……///」

ピクっと反応する千歌の顔がなんとも魅力的すぎて手はやめることを知らない。

 

「…千歌…お前、魅力的すぎ…」

「え、えへへ…そう、かな…?///」

 

二人の関係は1歩先に進んだような気がした。

それを確認するように問いかける。

 

 

 

「……千歌…いいな…?」

「うん…っ…おいで、悠くん♪」

 

 

 

月明かりが窓から差し込む中…千歌の気持ち…想いを全て受け止めた。

 

 

────────────────────

 

「…えへへ、すっかり寝不足になっちゃうね…♪」

 

布団の中でそう呟く千歌。

愛おしそうに抱き着く姿に思わず頭を撫でたくなった。

 

「…えへへっ、悠くん大好き…っ///」

「…体は大丈夫か?」

 

「悠くんが優しくやってくれたから…平気だよっ♪」

そう言うと嬉しそうに顔を擦り寄らせる千歌。

 

「…でも~…曜ちゃんや果南ちゃんにも相談したんだけどね~…」

「えっ、そうなの!?」

「そしたらね、2人とも悠くんなら優しく受け止めてくれるって言ってたよ♪」

 

「…買い被りすぎな気も…」

「だから、2人からもそんなふうに言われる、かもね♪」

「……え?」

「なんでもなーい!おやすみっ♪」

 

布団を思い切り被ると千歌は眠りについた。

時刻は1時を過ぎていた。

 

「トホホ…これはほんとに寝不足になるな…」

そう言いつつも俺も眠りについた。

 

 

────────────────────

 

 

「おはヨーソロー!

……って、2人とも眠そうだね…?」

 

「あはは…ちょっとな」

「大丈夫大丈夫っ♪」

 

昨日の深夜に話してた出来事が思い出される。

…曜も果南も…俺に…?

 

「…ぶっっっ」

「ちょ、悠くん!?

鼻血出てるよ!!」

「…朝から何想像してるんだろう…」

 

「あ、あはは…」

笑って誤魔化すしかない俺だった…




ふっふっふ……(後悔してない)
多分R-17.9(くらいのつもり)です。

千歌ちゃんかわゆす。
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さぁて、次回は誰かにしようか…←


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37話

曜ちゃんの誕生日までガチャ禁してるA×Kです。
ただいまストーン20個!←


「ううーん…今日も雨かぁ…最近多いなぁ…」

窓の外の天気を見てポツリと嘆く。

ここ数日雨の日が続いて練習も屋内の日々が多い。

 

「こ~ら、外の天気に呟いても晴れたりなんかしないよ?」

「…そうだけどさぁ…せっかく果南に泳ぎを教えてもらおうとしたのに…」

「プールでも何でも、教えられるでしょ?」

 

ホントはプールじゃなくて果南の水着が見たいなんて口が裂けても言えないのでここは黙っておく。

 

「あはは…まぁ、それは…ね?」

「海の方が波が急に来たりして危ない時もあるからね?

…泳げる人はいいけど、泳げない人にとっては命取りになる時だって…」

「…ありがとうね、果南」

「…でも、海なら2人きりで居れるんだけどね…」

「…果南?」

 

「…えっ…あっ…聞こえて、た?」

「…今回は…バッチリと」

「…あはは…おっかしいなぁ…///」

 

「…あ、あのさ…果南…」

「の、飲み物取ってくるね!あは、あはは…///」

 

逃げるように部屋を後にする果南。

恥ずかしくて照れるのは俺も果南も同じのようだ。

 

「…果南…のにおい…」

ベッドにダイブする。

人は好きな匂いがすると安心するのは何故だろう。

 

「お待たせ、悠……って、なにしてるの…?」

「あ、いや…果南の匂いが欲しくなって…?」

「…ぷっ…あははっ!変な悠♪」

「あはは…変だよね…ごめんごめん…」

 

「本人がいるのに何でベッドに行くの…?///」

「…え?」

 

四つん這いになりジリジリと詰め寄る果南。

ラフな部屋着なのか胸元に目がいく。

(果南…つけてない…!)

 

「…どこ見てるか、当てようか?♪」

「…………え……えっ…?」

動揺してる俺を他所に果南が俺の手を取り胸へと伸ばす。

 

「ここ、でしょ…?///」

「……せ、正解…」

「…素直だなぁ、悠は…

触っても…良いんだよ?」

 

…やっぱり千歌の言ってた通りだった。

果南も……その気、だ…。

 

「……だ、ダメだよ…果南…」

「そう言う割には…手は正直、だよ…?♪」

「……くっ……」

 

確かに果南のソレはすごく柔らかく気持ちがいいものではあったが…。

 

「……で、でも…」

「ほらっ、ハグしよ?♪」

膝立ちになった果南は思い切り両腕を広げる。

 

「…お、お邪魔します…」

日本語として成立してないのはさておき、果南の広げた体に収まる。

 

「…ふふっ、気がついた?///」

「…えーっと…柔らかい、です…」

「やんっ……顔をうずくめたまま喋らないで…っ♪」

 

好きな人に対してはこうなのか不明だが果南は、こう…包容力に溢れている。

 

「どうしたの…?」

「あ、いえ…落ち着くなって…」

「ふふっ…悠が良ければ私はいつでもOKだよ♪」

眩しすぎるくらいの笑顔でそう言う果南。

 

「じゃあ…もう少しだけ…」

「…ほんとにもう少しだけで…いいの?」

「ど、どういう意味ですか?」

 

「…こういう…意味だけど…///」

少し強引にキスをする果南。

紅茶を飲んでたのだろうか少し甘い味がした。

 

「…悠…///」

「…果南…」

目が少し潤んでる果南。

その瞳に吸い込まれそうになる。

 

「…ふふっ、なんてね…♪

お風呂、入ろ?」

「あ、ああ…分かった………って?入ろ?」

「…?

うん、一緒に」

 

「…なんかもう驚かなくなったよ…」

 

 

──────────────────

 

「ふふっ、2人で入ると少し狭いね♪」

「そ、そうだな……」

 

モクモクと湯けむりが経つ中…俺と果南は湯船に入っていた。

 

「…でも、温かいからいいや♪」

「ひ、人肌だからかな…?」

 

タオルで身を隠す事などはしない。

つまり、目を横に移すと…果南の裸が…。

 

見るな。というのは無理難題である。

チラ、チラと目がそちらを向いてしまう。

 

(………や、やっぱり…スタイルいいな…)

制服や水着姿の時も思ってたが、実際見るとやはり凄い。

 

「…さっ、体洗おうね♪」

「…い、いいよ俺一人で洗えるから…」

「もー、それくらい任せてよ~?」

「……お、お願いします」

「はーいっ♪」

 

そう言うと嬉しそうに俺の体を洗い始める果南。

柔らかい2つの感覚が背中を襲う。

 

「…っ…」

「あれ?なんか様子変だけど…どうしたの?」

「な、なんでもない…(わざとやっているのか…?)」

「そっか♪」

 

なんとか気にしないようにするものの洗う度に感覚がするので気が散ってしまう。

 

「…前も洗うね~♪」

「えっ、前って…!!」

「?…何かあるの…?」

「ま、前は恥ずかしいよ…」

「もー、そんなの気にしなくていいんだよ?」

 

こちらの拒否は聞き入れてもらえず前も洗われる事に。

「…やっぱり泳ぐの教える時も思ってたけど…体逞しいねぇ♪」

「…そ、そうかな…まぁ、部活は結構真面目にやってたからね…」

「…どれどれ…?」

「…んっ…!?」

 

俺の体を触る果南。

首元を舐めたりお腹を触ったりと…好き放題される。

もはや、目の前に果南の裸体が見える。

ムラムラと沸き上がる欲を抑えきれない。

 

 

「…果南…俺、もう…」

「…ん、私と同じ気持ちだ♪

… 続きは…ベッドでね…///」

 

 

その日、俺と果南は朝まで起きていた…。

お互いの事を全部分かるまで…。

ずっとずっと…手を握っていた。




…さて、次は誰にしようか…?←

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38話

評価人数13人…!
…大変だあぁぁぁ!←


「……あのー…何故俺は正座させられてるのでしょうか…」

「さぁ~…?

ご自分の胸によーく手を当てて考えたらどうですか…?」

 

昼休み、校内放送で呼び出しを喰らい

生徒会室に入ったらすぐさま正座をするようダイヤから言われた。

 

腕組をし、眉をぴくぴくと動かすダイヤと

それを見て少しにやにやしている鞠莉。

 

…この2人はニコイチなのか…。

 

久々に食らうデス・メテオを凌ぎつつダイヤに目を向ける。

…ちくしょう、俺の治療の神ディアン・カナン…それにチカがいないから…。

居ればライフポイント2000も回復じゃないか…!

とまぁ、そんな話は置いておいてご立腹の訳を尋ねる。

 

「あの…良ければ訳を教えたくださいますか…?」

「ノンノン~、ダイヤはちょ~っと嫉妬メラメラビ~~~ム…って感じなのよ?」

「…は、はぁ…嫉妬メラメラ…?」

「鞠莉さん…!それは2人の秘密とあれほど…!!」

「隠していてもいつかはバレるものよ、ダイヤ?」

 

「くっ……分かりましたわ…

単刀直入にお伺い致しますわ。

千歌さんと…何かありましたか?」

 

ずいっと顔を近づけるダイヤ。

これは真面目な話っぽそうだ…

 

「…ええっと…誰から聞きました?」

「千歌さんが仰ってました。

悠さんに…''愛でられた''と」

 

そりゃなんともめでたい…とは言えないな。

「あはは…千歌のやつ…」

「それで、本当なのですか?」

 

「…はい」

「あーなーたーねぇー!」

「…ええっと…ごめんなさい」

「いくら同意の上とは言え高校生なのだからもっと秩序というものを守って頂かないと…!」

 

…言えないなぁ…果南とも、なんて……。

 

「まあまあ、ダイヤ?

悠だって、千歌っちのことが好きだからその想いを受け止めてあげたのよ?

愛こそ全て!よ♪」

 

そう言うとウインクをする鞠莉。

…ああ、今は鞠莉が女神に見えるよ…。

 

「……で、それが嫉妬メラメラになんの関係が…?」

「ダイヤが少し羨ましがってたから♪」

「そ、そんなことありませんわぁ!!///」

 

半分キレ気味にバツ印を作るダイヤ。

でも顔が真っ赤なので説得力が皆無だった…。

 

「…えっと…ダイヤ?」

「…な、なんですか」

「…実際のところ、どうなの?」

「お、教えるわけあるわけないじゃないですか!!

…も、もう教室に戻ってくださいまし!」

 

「…わ、分かりました…失礼しました…」

 

反抗しても意味が無いので素直に言うことを聞くことに。

 

────────────────────

 

「ほんとに帰してよかったの?」

「も、元はと言えば鞠莉さんが…」

「素直じゃないわね~、ダイヤも」

「よ、余計なお世話ですわ……」

 

「まぁ、ゆっくり時間をかけて、ね?

ダイヤがこうして変われてるのも悠のおかげなんだし♪」

「…………はい」

 

言えるわけない…甘えさせて…欲しいだなんて…。

 

────────────────────

 

「うう…呼び出しでどっと疲れた…」

「あ、悠さん♪

こんにちはずらっ」

 

「おお、はなま……って、なんだその数の本…」

6冊くらいある本を抱えた花丸に会った。

 

「返す本ずら♪」

「前にも聞いたけど…ほんとに本読むの好きなんだな…っと」

 

抱えていた本を全て持ってあげる。

「そ、そんな!申し訳ないずらっ!」

「重いもの持たせたままでいられるか

こんくらい平気だから頼っとけ」

 

「…あ、ありがとう…ずら…///」

「ん、どういたしまして」

 

 

────────────────────

 

 

「…よっと…ここで大丈夫か?」

「助かったずら~♪」

「…誰もいないんだな、今の時間」

 

「今日は図書室はお休みずら

まるは図書委員だから掃除しにきたずら」

「なるほどね、手伝おうか?」

「い、いや…そこまでしてもらうのは…」

 

「ん?」

花丸の話を聞かず手に清掃道具を持ち始める。

「…お、お願いします…ずら」

「おうっ」

 

 

清掃を始めること数分後………。

 

「…あの…悠、さん…」

「ん?どうした?」

「…今日は…月が、綺麗…ですね…」

 

「…月?…月なんてまだ見えないけど…」

「…やっぱり悠さんにはこれでは伝わらない…ずら…」

よよよ…と泣き真似をする花丸。

 

なにか特別な意味があったのだろうか…?

 

「…もうハッキリ言うずら!」

すくっと立ち上がった花丸。

 

「悠さん!」

「は、はいっ?」

「………好きです!///」

 

精一杯の想いが図書室に響く。

誰も聞こえてないからだろうか、聞いたこともないくらい大きな声ではっきりと伝えた花丸。

 

「…花丸…」

「…ずっと…言えなかったずら…

でも…悠さんのことは…いつも一番に考えていた…ずら///」

「……そ、そっか…ありがとう…」

 

「…その…もっと近づいても…いい、ずら?///」

「…うん、おいで、花丸」

「…えへへ…お邪魔しますずら///」

 

抱き締めるとちょうど顔のあたりに花丸の髪の毛がかかる。

シャンプーのいい匂いが鼻をくすぐる。

 

「…花丸って…意外と背が低いんだね」

「…そうかなぁ?…まるはあんまり気にした事無いずら…」

「…その割に…大きいけど…」

 

「えっ……?……あっ///」

「…悠さんって…エッチずら…///」

 

目線と言葉で何を意味してるのかバレてしまった。

しかし、恥ずかしそうに体をくねらす花丸。

嫌そうな素振りは微塵も見られなかった。

 

「…確かめて…見る、ずら?///」

両腕を寄せ、谷間を強調させる花丸。

こんなグラビアみたいなポーズどこで覚えたのだろうか…。

 

「…それとも…こっちの方が…好き、かな…?///」

脱力したかのように机の上に仰向けになる花丸。

どうやら、本気のようだ。

 

「……い、いいのか…?」

「悠さんなら……って、何度も言わせないで欲しいずら…///」

「…分かった…花丸の気持ち…受け取るよ…」

 

体を密着させようとした…次の瞬間、図書室のドアが開いた。

 

 

「…………えっ……?」

「………あっ…」

「…よ、善子ちゃん…」

 

 

「……あ、あんた達…な、なにやってんの…!?」

 

そのまま凍りついたように動けなかった俺と善子と花丸だった…。




更新ペースが捗るぅ!

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39話

そろそろ本編進めます…!←


「………えっ、ラブライブの予選が、ですか…?」

 

「えぇ…奇しくも、浦の星の学校説明会と重なってしまいまして…」

放課後、部室に集めまれたメンバー。

そこで話されたのは浦の星女学院の学校説明会とラブライブ二次予選の日程がぶつかったという事実。

 

「……………………」

昼休みにあった出来事で善子は顔すら合わせない。

 

「雨で学校説明会が延期になってね…

そもそも、生徒会長とか理事長がいない学校説明会っていうのも変でしょ?」

「…た、確かに…でもラブライブ二次予選は…?」

「…問題は…そこですわ」

 

机に地図を広げるダイヤ。

「浦の星の場所は…ここですわ」

「そして…ラブライブ二次予選の場所は、ここ」

「よりによってこんな辺地に…」

 

明らかに場所は離れていた。

「ま、鞠莉ちゃんのお父さんのヘリコプターで~!」

「OK~♪……な、訳ないでしょ?」

「…あはは…やっぱり…?」

 

「それなら~…善子ちゃんの堕天使の翼で」

「……えっ!?……あ、そ、そうね…っ

ヨハネのくらい翼で……!」

 

「…コホン…唯一、方法があります」

腕組をしながら淡々と話すダイヤ。

 

「ラブライブ二次予選の順番は、抽選で決められますわ

…そこで1番目を出せば…なんとか学校説明会には間に合いますわ

…かなり、タイトにはなりますが」

 

「……4人と、5人で分ける…とかは?」

曜が提案をする。

「…でも、それでAqoursって呼べるのかしら?」

すぐさま善子が反論する。

 

「「「………………」」」

部室に重い雰囲気が流れる。

 

「…千歌ちゃん、どうする…?」

「…ううーん………」

珍しく難しい顔をする千歌。

結局、この日に結論までは至らなかった。

 

────────────────────

 

…ダメね…アイツの顔、まともに見れない。

昼休みが終わろうとしてるのにズラ丸が帰ってこないから心配になって様子を見に行ったら…。

 

「それなら~善子ちゃんの堕天使の翼で」

「……えっ!?……あ、そ、そうね…っ

ヨハネのくらい翼で……!」

 

…ズラ丸…アンタはなんでそんなに普通で居られるの…?

…あの男の本性…見たんじゃないの?

 

──────────男なんて…所詮そんなことしか考えてない。

 

「…確かめなくちゃ…」

「えっ?善子ちゃん…何か言った?」

「何でもないわ、リトルデーモンルビィ」

 

────────────────────

 

 

「……それで、なんで俺をこんなところに呼び出したんだ?」

公園に連れてこられた。

連れてきた相手こそ……善子だった。

 

「…単刀直入に聞くわ

今日の昼休みの件…どういうこと、かしら」

「……どうもこうも…俺はただ単に…」

 

「ただ単に…何かしら?」

「花丸が俺の事好きって言ってくれて…その気持ちを受け止めようとした…だけ、だよ」

「…っ……なによ…それ…それが癪に障るのよ…!」

 

────────────────────

 

公園に私の大きな声が響いたのが感じた。

言われた方も吃驚とした顔を隠せなかった。

 

言った私も何故こんな言い方をしたのか分からなかった。

……何を…焦っているんだろう…。

…どうして、こんなに他の人と関わってることが気がかりになるんだろう…そんな思いばっかり頭を巡っていた。

 

…私も…彼のことは好き。

もちろん、襲うなんてしないと思ってた。

だけど…あんな場面見たら…。

 

「……羨ましいって…私の事も見て欲しいって…思うでしょ…!」

 

 

────────────────────

 

 

──────羨ましい、私の事も見て欲しい。

それが善子から聞いた本心だった。

 

花丸にヤキモチ妬いていたのだろう。

ただ、自分はそれが言えなかった。

言いたかったけど、勇気がなかったのだろう。

 

「…善子」

「……うぐっ…ぅ…な、なによ…っ…」

 

…善子が泣いている姿を見たのはこれが2度目、だった。

…そう言えば…1回目も…同じような内容、だったっけな…。

 

「…すまん、気がついてやれなくて」

「…ばか…ほんとにばか…っ…」

「何度でも言ってくれや、それで善子の気が済むなら」

「……ホントのバカなのに…なんで見て欲しいなんて…思うのかしら…っ…」

「……そういう気持ちは…もっと俺に伝えて良いんだからな?

…別に恥ずかしいことでも間違ってる事でもないんだからさ?」

 

「……なによ…リトルデーモンのくせに…生意気よ…っ」

泣きじゃくっていた善子が顔を拭き、舌を出した。

 

「これはこれは…堕天使様に無礼を与えてしまって…申し訳ない」

「ひゃっ…!」

 

こちらに寄せ、抱きしめる。

まだ公園にいる人が見ていたが、そんなの気にしない。

 

「…り、リトルデーモン…!?

貴方…何を…!」

「…善子、こういう時は普通名前じゃない?」

 

「…うっ……ゆ、悠…」

「あはは、一応先輩なんだけどなぁ…まぁ、その方が善子らしいかっ」

 

「…ごめんなさい、取り乱して…」

「ううん、悪いのは俺の方だから」

「…ほんっと…ばかでお人好しよね…悠って」

「そうかなぁ?」

 

「自覚なし…か…

はぁ…なんか1人でモヤモヤ考えてたのが馬鹿みたい…」

「これからは1人でなんか考えるなよ…な?」

「…分かったわ…これからは…悠に頼る…わね?」

 

「おうっ!

…それじゃ、帰ろうか?」

「……………待って!」

カバンを持ち帰路に就こうとしたが、善子に止められた。

 

 

「…ん、なに?」

「……その……大好きよ!//////」

 

 

その一言を言った後、逃げるように公園を後にする善子。

そこで見せた夕陽のように真っ赤な顔は俺の脳裏に鮮明に焼き付いていた。




…たまにはこういう展開も良いだろぉ~?
ワイルドだぜェ~←

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次回:夜with海!


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40話

スクフェスACに恋になりたいAQUARIUMの衣装が出ないかなぁと心待ちにしているA×Kです←


「……はぁ」

 

夜、1人海に向かってため息をこぼす。

気晴らしに海へ来たが静かな波音が聞こえるだけで辺りは静寂が包んでいた。

 

「…どうするべきかなぁ…」

気がかりなのはラブライブ二次予選の事。

 

9人で練習し、9人のためにある歌。

それを学校説明会と分けるのは多分間違っている。

 

しかし、どちらもどうにかしようというのは難しい問題でもある。

千歌もこの件はかなり頭を悩ませていた。

 

「…一つだけ…方法があるんだけどなぁ…」

多分、この方法を言ったらみんな驚くだろう。

これは最後まで秘密にしておくつもりだったが…。

 

「…隣、いいですか?」

「…えっ?…ああ、なんだ…梨子か…」

「ふふっ、悠くんも夜風にあたりに来たの?」

「まぁ…そんなとこ…ちょっと気晴らしにな」

 

「ふふっ、そうなんだ…んっしょ…隣、座るね」

部屋着の梨子はそのまま俺の隣に座った。

2人で特に何も話さずただ波の音を静かに聞いていた。

 

「…ラブライブ、の事?」

「……っ…」

静かに…梨子が口を開いた。

 

「…その様子は…図星、だね?」

「…うん…当たり」

「ふふっ、悠くんって顔に出やすいからすぐ分かっちゃった♪」

「…そ、そうかな…?」

 

自分の顔を触ってみる。

正直、そんな風に言われたのは初めてだった。

 

「…何か相談事があるなら、聞くよ?」

「……うん、ありがとう…でも、大丈夫だか……っ」

 

 

 

話していた口が…塞がれた。

塞いだのは…梨子の唇だった。

 

 

「……そうやって、一人で抱え込もうとするっ」

「…えっ…あっ…ごめん…」

「悠くんは優しいし…みんなを励ましてくれるけど…もうちょっと誰かに頼るって事をした方が…良いと思うよ?

貴方は…1人じゃないんだから…ね?♪」

 

俺の前に立つ梨子。

そして静かに手を差し伸べる。

 

「私…地味だけど、さ…悠くんの役に立ちたいの…悠くんのためなら…なんだってしてあげたいの」

「…梨子……」

「…なんて…ちょっとカッコつけちゃったかな?」

 

「…そんなことないよ、地味じゃなくて可愛いし…すっごい頼りになるよ…そう言ってもらえると俺も気が楽になる」

「…そっか♪なら良かった…っ」

 

差し伸ばした梨子の手を握る。

何も言わなくても…想いが伝わってきた気がした。

 

「…じゃあ、私はそろそろ戻るね?

…あんまり長居してると、体に悪いよ?」

「…そうだな、よし…戻ろっか」

「うんっ♪」

 

梨子の言葉で少し肩の荷がおりた気がした。

 

 

──────────────────────

 

 

翌日……。

 

「…つまり、悠が学校説明会に出る、と…?」

「うん、まぁ言ってしまえば俺がこの学校唯一の男なわけだし、なにかと宣伝になる、でしょ?」

「ですが、それはすなわち…ラブライブの予選会には…」

 

「…うん…出れない、ね……でも大丈夫っ

みんなならやれるって信じてるから!」

 

昨日考えていた案をみんなに打ち明けた。

 

「…どうする、千歌ちゃん…?」

「…本当に…悠くんは…それで、いいの?」

「ラブライブには出て欲しい、それが俺からのお願いだ」

 

「…分かった」

千歌も渋々ではあったが了承した。

 

「…でも、まだ気は早いよ?

順番決めで1番目を引けば…」

「…万が一、の方法だからね…そうなれば良いに越したことは無いけど…」

 

「順番決めは…3日後…ですわ

それから物事は決めましょう…」

 

なんとかかんとか話はまとまったようだ。

…少し千歌が悲しそうな顔していた。

…ごめんな…千歌…でも、こうするしかないんだ…。

 

────────────────────

 

「……悠くん…」

その日の夜、千歌が部屋を尋ねてきた。

 

「ん…どうした、千歌?」

「…その…さっきは、ごめんなさい…」

「さっきって…部室でのこと?」

 

「うん…悠くんは最善の策を取ってくれたのに…千歌、、悲しそうな顔してた…」

「…千歌は、悪くないよ…?」

「…悠くんの分まで…私達…頑張るから…!

…だから…だから!」

 

言葉よりも先に千歌の体は俺を抱きしめる方を選んだ。

 

「…少しだけ…悠くんのパワー…ちょうだい…?」

顔をうずくめながらそう言った千歌。

 

「…分かった…千歌…」

そのまま千歌をベットまで連れていった。

 

「…千歌…」

「悠くん…っ」

 

満月が照らす月明かりが差し込む部屋の中で

そっと体を寄せ合う俺と千歌だった…。




……あっ、曜ちゃんルート書いてないや…←
次は曜ちゃん主体で、いきまーす!(ア〇ロ風)

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41話

やっと来た曜ちゃん回だーーーーー!!!

作者の妄想3割・読者のこれが見たかったんよ!を7割で書いております!
甘々の甘々を目指して……!


「…むむむ……」

 

最近、千歌ちゃんや果南ちゃんが悠くんとの距離がすごく近くなってる気がする…。

私もそんな風になりたいなと思ってるけど…顔を顰めて唸ってるのが事実…。

 

…考えても仕方ない!こういう時は考えるより先に行動!

 

────────────────────

 

「…と、言うわけで…果南ちゃん!ご教授お願い!」

「それはいいけど…ふふっ、曜ちゃんもすっかり恋する乙女の顔だね♪」

「え、えへへ…そうかな…///」

「そうだな~…とりあえず、自分の気持ちとかを素直に言うのも大事、かな

どう思ってる…とか、こうしたい…こうしてほしい…とか?」

 

「なるほど…言われてみれば…自分の気持ちって伝えたことないかも…」

「……あっ…♪」

「…?

どうしたの?果南ちゃん」

 

「ううん♪なんでもないよ♪

…そう言えば今日は悠…1年生の3人と衣装作りって言ってたっけなぁ~?」

「…そっかぁ…じゃあ、気持ち落ち着かせるために水泳の練習してこようかな…」

 

「うん、いってらっしゃい♪」

 

────────────────────

 

しばらくして………。

 

「お疲れ様~…って、果南しか居ないの?」

「お疲れ様っ♪うん、今のところ私だけだね

…あっ、でも曜ちゃんが探していたよ?」

 

「…曜が?なんで?」

「さぁ…多分、プールにいると思うんだけど…

……あっ、もしかしたら泳げるのか確かめてみよう!とか?」

「…あー…ありえるかも……って、俺水着なんか今日持ってきてないんだけど…」

 

「まぁまぁ、とりあえず本人の所に行ってみなよ?」

「そうだな…分かった」

 

果南の言う通り曜を探しにプールへと向かった。

 

 

「…ふふっ、2人とも…ファイト♪」

 

 

────────────────────

 

プールに行くといつもの通り水の跳ねる音がした。

 

「お、いたいた…曜~?」

「……はぁ…はぁ……えっ?」

俺の方を向くとポカンと口を開き放心状態になる曜。

 

「…えっ…あっ…ゆ、悠くん…!?!?///」

恥ずかしそうに潜る曜。

なんだか見ていて面白かった。

 

「…そんなに驚くこと?」

プールサイドに座り込み潜った曜を見つめる。

 

「…なんで…ここにいるの?///」

浮き上がってきた曜が一言質問した。

 

「なんで…って…曜が探してるって言ったんだろ~?」

「えっ……私…そんなこと…」

「そんなことって…果南が言ってたよ?」

 

「か、果南ちゃんが……?…あっ…」

何か心当たりがあるのか、あああと困ったような顔をする曜。

 

「……どうしたの、大丈夫?」

「…だ、大丈夫…///」

 

静かにプールから出てプールサイドに腰掛ける曜。

腕や顔から落ちる雫がなんとも魅力的に見える。

 

「……あ、あの…さ…」

水面をバシャバシャと蹴りながら話し掛けてきた。

「…なに?」

「…その……えーっと…」

モゴモゴとした言葉だけが出てきて本題がなかなか出てこない。

 

「…あの、ね……その…」

「…曜?…なんか様子がおかしいけど…大丈夫?」

「だ、大丈夫!…大丈夫…だから…その顔近づけるの…やめ、て…?///」

恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながら手で顔を塞ぐ曜。

 

「…わ、分かったから…それで…話は…?」

「…う、うん…それがね…」

「…うん」

 

 

「…わ、私の手料理、食べない!?!?」

 

 

────────────────────

 

悠くんは今私の部屋に居る。

…居るん、だけど……。

 

(なんで手料理食べないなんて言うの~!!

…はぁ、変な子とか思われてないかな…)

 

普通に悠くんはうん、食べたいなって言ってたけど…ホントに伝えたいとこは他にあったのに…。

 

「はぁ…嘆いていても仕方ない…料理作ろ…」

重いため息をしながら手を進める私だった。

 

 

────────────────────

 

「私の手料理食べない…か

そういや、曜の手料理なんて食べたこと無かったな」

 

曜に誘われてお家にお邪魔している。

親がいないから1人でご飯食べるのが寂しくって!なんて帰り道に言ってたけど…どこか重いため息をしていなぁ…。

 

「ホントにどうしたんだろ、曜」

体調不良って訳じゃなさそうだけど…

何か思いつめてるのかな?

 

「ご飯食べながら聞こっと…」

「お、お待たせ~!」

キッチンの方から声がした。

どうやら夕飯が出来たようだ。

 

────────────────────

 

「さぁ、食べて食べて!」

「おぉ…これは豪華な…ホントに良いのか?」

「1人で食べるより2人の方がいいからね♪」

 

「…だな、よしっ

いただきまーす」

「いただきますっ♪」

 

「…んっ、美味っ!」

「ホントっ!?」

「うんっ、すごい美味い!」

あまりの美味しさに箸が進む。

 

「曜って料理得意なんだな」

「へへーん、意外だった?」

「ううん、そんなことないよ

こりゃ曜はいいお嫁さんになるな」

 

「…悠くんのお嫁さんになりたいんだけどなぁ…」

「?…なんか言った?」

「な、なんでもないから!!///」

 

誤魔化すように笑いながら箸を進める曜。

…箸で掴めてないけど…。

 

────────────────────

 

「ごちそうさま、曜」

「こちらこそ、楽しい時間だったよ♪」

「……さてと…今日は泊まろうかな?」

「…えっ…泊まってく、の…?///」

 

「…あれ、ダメだった?

千歌にはもう連絡してあるんだけど…」

「わ、私は構わないよ!…悠くんと居ると…楽しいし…///」

「…曜…」

 

「あのね…さっき言いたかったこと…なんだけど…」

「うん?」

 

話す前に目の前に立つ曜。

ベットに座ってる俺からして見たら見上げるような格好だった。

 

「…悠くん…お願いが…あるの…///」

「…な、何かな…?」

「私のことを…1人の…女の子として…見て欲しいの…///」

「…え?」

 

「悠くんの前じゃ…スクールアイドルじゃなくて…1人の女の子で居たいの…っ///」

押し倒すようにキスをする曜。

呼吸が苦しくなるくらい強めにされた。

 

「…っ…よ、曜…っ…」

「…これが…私の伝えたかった…事…///」

「…ばか、前から1人の女の子として見てるっつの…」

「…えっ…そ、そうだったの!?///」

「…当たり前だろ?…2人きりで居る時とか…俺だってドキドキしてたんだし」

 

「…あ、あはは…そっか…ご、ごめんねっ

私早とちりしてて…あっ、今どくから!」

「待って」

「っ…!///」

 

どこうとする曜を、抱きしめてホールド。

どちらも話さないまま時計の針の音だけが部屋の中でしていた。

 

「…あ…ゆ、悠…くん…っ…///」

「…曜…」

「…ずっと…見ていて、ね…?///」

「…うん、約束するよ」

 

────────────────────

 

「…えへへ、すっかり遅くなっちゃったね…♪」

「…だな、あいたたた…」

「あっ、大丈夫…?

どこが痛むの…?」

 

「あはは…少し張り切りすぎたかも…」

「もう…でも、嬉しかったよ…///」

 

ベッドで横になる俺と曜。

腕を枕にし、目と鼻の先まで近づく曜。

 

「…悠くんっ」

「ん?」

 

不意に呼ばれて振り向くと唇にキス。

 

「えへへ…大好きだよっ///

おやすみっ♪」

 

 

そう言うと抱き着いたまま眠りについた曜。

愛おしそうに抱き返して俺も眠りについた。

曜の暖かさがさらに俺を安眠へと誘うのであった…




ふ、ふふ……こう…曜ちゃんが居るやろ…?
こう…可愛くっての…もう、愛おしすぎての…もう、くぅ…っての…←

どうだったでしょうか、甘々な展開すぎて書いててにやけました←

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42話

海未ちゃんハッピーバースデー!


「………………(カリカリ…」

 

「…ねぇ、ルビィちゃん?さっきから善子ちゃんはノートとにらめっこしてるずら?」

「さぁ…分かんない…でもっ、きっと授業の復習なんじゃないかな?ほら、善子ちゃん頭いいし♪」

 

「気になるずら…見てくるずら!」

「あっ、花丸ちゃん…っ」

 

「よーしーこーちゃんっ」

「………(カリカリ」

「善子ちゃ~ん!」

「うわわわっ!…って、ずら丸、驚かさないでくれるっ!?」

 

「ごめんずら~

…さっきからノートに何書いてるずら?」

 

「…こ、これはなんでもないわ!

ただの勉強ノートよ!」

「そうなんだ~…やっぱり善子ちゃんは偉いずら~」

「あ、当たり前でしょ!あと、ヨハネ!」

 

「…えーっと…''彼は私の体を優しく触り…''…ぴぎっ!///」

ノートの中を見たルビィが赤面した。

 

 

「あっ、ちょ!リトルデーモンルビィ何やってのよ!」

「…ご、ごめんなさい…き、気になって…///」

口を魚のようにぱくぱくしながら話す。

花丸はジト目で善子を見る。

 

「なーにが勉強ノートずら…本当は何ずらか?」

「…べ、別に…アイツとの…妄想とかじゃないから!!」

隠すように机に突っ伏す善子。

はぁ…とため息をひとつし、花丸が善子に目線を合わせる。

 

「なんで、本人に素直に言わないずら?」

「ぎゃ、逆よ逆!なんでずら丸はそんなに簡単に言えたり行動にしたり出来るのよ!

…こ、こういうのもは順序ってものが…!」

 

「…?

……好きな人には…全部あげれるものじゃないかずら?」

不思議そうに善子を見る花丸。

 

「る、ルビィには…その勇気はまだ無い…かな…///

お姉ちゃんと一緒なら…出来る…かも…っ///」

「ほ、ほら…リトルデーモンルビィもこう言ってるわ

ずら丸が積極的過ぎるだけだわ!」

 

「え~…そうかなぁ…

まぁ、2人も悠さんと一緒になったら分かるずら」

「…うう、なんか腑に落ちない…」

 

 

 

(そういう善子ちゃんは悠さんに対して素直じゃないずら)

「何か言ったかしら?」

「なんでもないずら~♪

授業始まるし席に戻るずら♪」

 

 

 

────────────────────

 

 

「…ふぅ……」

今の授業は体育。

クラスのみんなが見る中1人50メートルを駆け抜ける。

 

「やっぱり早いね~悠くん」

「体力勝負だと勝てるけど…瞬発力はやっぱり負けるなぁ」

「…っていうか、悠くん腰が痛いって言ってた割には全然走れてるね」

「あはは…若いから…かな?」

 

「梨子、タイムは?」

「えっと…6秒12だよ」

「そっか…あんまし短くなってないな…」

「それでも凄いよ、やっぱり男の子なんだなぁ…」

 

そう言いつつ梨子がタオルを差し出す。

 

「ありがとね、梨子」

汗を拭い、ふと校舎を見ると3階の教室の窓が開いてることに気がついた。

頬ずえをついて授業聞いてる、あの人は…

 

 

「あ、果南だ」

 

 

────────────────────

 

 

(…あっ、悠だ…ふふっ、体育の授業頑張ってるみたいだね♪)

視線に気づき、手を振る。

 

(ふふっ、手を振り返してくれた…♪

やっぱりかっこいいなぁ悠は…///)

 

一生懸命授業に打ち込む悠にすっかり見蕩れていた。

(…あんな2人きりの時はガツガツ行くのに…

不意に見えるかっこよさにドキッとしちゃうんだよね…///)

 

 

「………どう思います?」

「……oh…Loveね…♪」

 

聞こえないように耳打ちするダイヤと鞠莉だった。

 

────────────────────

 

「…あっつー…」

1人職員が使う更衣室で着替えを始める。

 

当たり前のことだが女子とは別だ。

そしてこの時間は教師が使うことも、まずない。

 

「そういや順番決めって明日じゃん…ホントに大丈夫なのかな…」

1番目を引けばと言うが仮に20組いたとしたら5%

…なんだそれ、どっかのガチャか?

 

 

パタン

 

「…ん?」

「…えへへ…♪

悠くん見っけ♪」

あろう事か千歌が更衣室に入ってきた。

 

「な、何やってんの…千歌…!?」

「えへへ…悠くんの事見てたら…ドキドキ、しちゃって…///」

上半身裸なのもお構い無しに抱きつく千歌。

 

「……ダメ…かな…?///」

「で、でも次の授業が…」

「少しだけ……ね…?///」

 

 

結局押し負けた俺。

更衣室出る頃には授業の予鈴が鳴っていたとさ…。




だれが千歌ちゃんのイチャイチャ回が1回と言った…?!←
次は本編でございます!


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43話

「ちょっと遅くないずら~?」
「…すいません」
「まぁまぁ…作者さんも、頑張ってるからね?」
「果南ちゃんまじ天使…!」

みかん@ベルさん評価ありがとうございます!


いよいよ順番決めの日がやってきた。

 

意気揚々と会場入りする千歌に続く。

結局、どうするか決まってないまま当日を迎えた。

 

会場入りして千歌が一言。

 

「誰が引こうか?」

「あー…決めてなかったね…」

「ここは、やっぱり千歌ちゃんが引く?」

曜ちゃんの答えに千歌の顔が渋る。

 

「ううーん…やっぱり悠くんがいいんじゃないかなぁ…」

「…ですが、悠さんに任せっきりでは…」

ダイヤの顔が曇る。

 

「…ここに居るのは女の子ばっかだし…俺が引くのも…なぁ?」

「うーん…」

「…………………」

 

着々と順番決めが始まる中、決まらないままでいた。

 

「…ここは…公平にジャンケンに致しましょう」

ダイヤがそう提案した。

 

「…それで、大丈夫?千歌」

「…うん」

 

「…では…行きますわ…ジャン、ケン…!!」

 

 

────────────────────

 

残ったのはダイヤと善子だった。

 

「善子ちゃん…ここで勝って順番引くってなったら不幸体質が…」

花丸が肩を叩き小さく呟いた。

 

「う、うっさい!毎回毎回そんな不幸に見舞われないわよ!」

「まる達が幸せなのは善子ちゃんのおかげずら…」

「縁起でもないこと言うなぁ!」

 

「…善子さん、確かに運が良くてここまで勝ち上がってきましたが…私はジャンケン…強いですよ?」

「なっ……!!」

 

順番決めの代表者を決めるはずがジャンケンの真剣勝負になっていた。

しかもダイヤからの先制攻撃に見舞われた。

 

「よ、ヨハネだって…ここで闇のパワーを…!!」

「あと…補足ですが…私は今日の占い…1位でしたよ」

「なっ……!?」

 

「ダイヤさん、占いとか見るんだね…」

梨子が思わずそう呟いた。

善子は大ダメージをくらったのか戦う前から戦意喪失のようだ。

 

「…ふ、ふんっ!占いなんてまやかしよ!

い、いくわよ……!!!!」

 

見える…2人のあいだに…激しく身に纏うオーラが…!

 

「いきますわ…ジャーンケーン……!!!」

「「ポン……!!!!」」

 

 

2人が出した…ジャンケンは…。

善子がパーで……ダイヤがグー。

 

「…か、勝った……!」

勝った本人も驚きを隠せないようだ。

 

「…さ、さすがですわ…この占い1位の私を倒すなんて…!

…善子さん!胸を張って順番を引いてきてください!」

 

 

────────────────────

 

壇上に上がる善子。

完全にヨハネスイッチがONになっていた。

 

「…ふ、ふふっ…カマエル、ミカエル…ガブリエル…!

深遠なる闇のパワーを身に纏う堕天使ヨハネ…ここに…堕天!!」

「………………………」

 

司会の人も思わず息を呑む。

俺は完全に知らない人の振りをしていた。

ほかのメンバーは思わず苦笑い。

 

 

「……ここよ!!」

目を一気に見開いた善子が勢いよくボタンを押す。

ちなみに1番はまだ出てない。

 

 

7……15…30…2……

シャッフルされる数字に思わず見守る。

 

1…………

「「「おお……っ!!!」」」

 

 

【24】

「ジャス、ティス……!」

「「…ずこー…」」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

「1番…引けなかったね…」

「…うう…面目ない!」

「善子ちゃんが悪いわけじゃないよ…」

 

「それで、ホントにどうするの…千歌?」

「……………………」

 

「…やっぱり俺が学校説明会に出るよ

予選には9人で出てくれ」

「でも…!」

「頼む、千歌」

 

 

「………分かった」

少し俯きながら答えた千歌。

 

 

このとき、まだ知らなかった…その学校説明会で

最大のピンチが訪れようとしてることに…。




少し短めですいません!
許してください!次回はもう少し長くしますから!

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次回:学校説明会の原稿を作るのに悩んでる悠にあの2人が励まします。


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44話

「ランキングに乗るためにぃいいい!!」
「さ、作者が覚醒したずら…!」
「そして読者にもっと喜んで貰えるようにいいい!」
「…覚醒モード…?」
「にんじん吊るされた馬みたいずら…」


「…うーん……」

 

1人部室で唸る。

多分外にいる人達は奇妙な声がすると噂するくらいに大きな声で。

浦の星女学院七不思議に追加されちまうかもな。

 

「…さっぱりだ…そもそもここの学校の説明ったって…何があるんだろうか?」

 

この部活がすごい!とかここが良い!と言うのが直ぐに思い浮かばない。

ミッションスクールと花丸から説明されたこともあったがなかなか文章にまとめるのには難しかった。

 

「…あら、なかなか手こずっているようですわね?」

「お、お疲れ様です!」

 

「…あ、ルビィにダイヤ…お疲れ」

「飲み物と差し入れ持った来ましたわ…疲れてる時や頭が回らない時は甘い物ですよ」

「…そっか、ありがとうな」

 

「…やっぱり難しいですか…原稿」

恐る恐るルビィが聞いてきた。

多分顔が強ばっていたのだろう。

 

「うん…まぁ、こればっかりはサクサクとはね…」

そう言いルビィの頭を優しく撫でた。

 

「…すいません…本来なら生徒会長である私か理事長の鞠莉さんが出なくてはいけないものを…」

「なーに、気にするな…ラブライブの予選も俺にとっては大事だからな」

 

「…なるほど…全く進んでいない、みたいですね…」

「なんとか間に合わせるさ、気にしなさんな」

 

隣に座ったダイヤが原稿を見て少し申し訳なさそうな顔をなる。

飲み物を少し飲み、再びペンを持とうとした…その時だった。

 

 

「…ゆ、悠ひゃん!」

噛みながらも俺の名前を呼ぶルビィちゃん。

振り向くと…そこには思いもよらぬ光景が

 

「……ルビィちゃん?」

「…ど、どうひょ……っ///」

 

差し入れで持ってきてたチョコを口に咥えたまま目を閉じてるルビィ。

 

「る、ルビィ…!

あなた、一体なにを…!!///」

「……ゆ、悠…ひゃん…///」

 

チョコが微かに口元に触れたのを感じた。

…これは…つまりこういうこと…だよな…?

 

俺が行き着いた答えた……それは…

 

 

「…ん、ありがとうね、ルビィ…すっごい美味しいよ」

 

口移し…だった。

 

「…え、えへへ…少しでも元気になってくれたなら…よかった♪」

恥ずかしそうに…でもどこか嬉しそうにするルビィ。

 

「…な、なな……あのルビィがここまで積極的に……っ!///」

妹の成長(?)を目の前で見た姉は絶句していた。

顔を真っ赤にし手で目を隠すが隙間からチラチラと起こった出来事を見ていた。

 

「…わ、私もやってあげますわ!///」

「ええ、ちょ…ダイヤさん!?」

 

「ふぁいっ!//////」

 

口にチョコを咥えると一気に距離を詰めるダイヤ。

…明らかに無理してるようにも見えたが…。

 

「…ん、ありがと…ダイヤ」

「…こ、これくらい…平気、ですわ…///」

「お姉ちゃん…凄く顔が赤くなってる…」

「き、気のせいですわ!///」

 

ワイワイ騒ぐ2人を見ていたら少し気持ちが和らいだ。

「あはは…2人のおかげでなんか気負いしてたのが無くなったよ」

 

「それなら良かったですわ…貴方の辛そうな顔は皆さん、見たくありませんからね…」

「また何かあったら、遠慮なく言ってくださいねっ」

 

「…ホントに…?…じゃあ……」

 

 

 

 

「…えっ…また口移し…?///」

「もちろん恥ずかしいなら無理強いはしないけど…」

「…わ、分かりました…///」

 

ルビィが1つチョコを口に咥え差し出す。

それを優しく受け取る。

 

「…あっ…悠さん…口元にチョコが…///」

「え、どこ……?」

 

「…んっ……取れました…♪///」

口元に付いていたチョコをルビィが舐め取った。

あまりの出来事に少し放心状態になってしまった。

 

「…ルビィ…やっぱり、本気…なのですね?」

「お姉ちゃんの方こそ…///」

 

2人はアイコンタクトをすると思い切り抱き着いてきた。

 

「…ちょ、2人とも…」

「もう我慢できませんわ…!

…貴方の事をこんなにもお慕えしている気持ちが…収まりません!//////」

「ルビィも…悠さんのこと…大好きです!///」

 

 

 

……確かに前…ルビィが言っていた。

''恥ずかしいけどお姉ちゃんと一緒なら''…と。

2人で気持ちを打ち明けた結果が今の状況に繋がっているのだろう。

 

 

「…2人とも…」

「…正直…千歌さんが愛でられたと言った時…少し…ほんの少しですが…心が苦しくなりましたわ…///」

「ルビィも…悠さんなら…っていつも思ってたんだよ…?///」

 

 

 

もはや、言葉は要らなかった。

加速する気持ちは誰にも止められなかった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

誰か来るかもしれないという背徳感と2人二人同時という独占欲が俺をゾクゾクさせていた。

 

 

「…ごめん、2人とも…大丈夫…?」

「…あ、ありえませんわ…このようなこと…っ///」

「えへへ…恥ずかしいとこ見せちゃった…///」

 

ダイヤは恥ずかしそうにしつつも満更でもないような顔をしていた。

ルビィは嬉しそうに胸に手を当てていた。

 

「…ありえないって…ダイヤあんなに乱れてたのに…?」

「そ、それは言わない約束ですわ!///

誰か来たらどうするつもりでしたの!」

「まぁ……ね?」

 

「あはは…一応ルビィが鍵はしておいたけどね…」

「で、ですが…部室でこのようなこと…///」

「…部室じゃなきゃどこでも良かったのか…?」

 

「あ、あなたはそうやって揚げ足ばかり取るのですか…!!」

「あ、やっべ…逃げろ~!」

 

 

「おっ、今日も部室は賑やかだね♪」

「遅くなってごめんなさい~♪」

 

「あっ、果南ちゃんに千歌ちゃん♪」

「ねぇねぇ、ルビィちゃん

あの2人は何かあったの?」

 

 

「えへへ…内緒♪」

「んん~…?…変なルビィちゃん」

 

 

 

 

悠さんが強くにぎりしめてくれた手と優しく包み込んでくれた背中は…自分だけの秘密にしておこうとそっと胸に閉まっておくルビィであった。




ルビィちゃん可愛ええなぁ…←
黒澤サンドイッチ回、いかがだったでしょうか。
双方から攻められるのがないな~と思いつつ書いてみました。

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45話

18日からセブンイレブンでお菓子2つとクリアファイルが貰えるキャンペーンが…!!!
果南ちゃんと曜ちゃんをGETするぞぉ!!

ちなみに皆さんは誰推しですかねぇ?


「………はい、学校生活は順調そのものです」

 

1人、理事長室で電話を取る鞠莉。

窓から外を見ながら誰かと話していた。

 

「…ええ、少々問題が発生しましたが…こちらで処理します」

【よろしく頼むわね…''鞠莉ちゃん''】

「こちらこそ…ありがとうございます」

 

視線の先には…奇しくも悠と千歌と曜が歩いてる姿が見えた。

 

 

「…ふぅ…やっぱり私の見立ては間違ってなかったのね」

 

机に置かれた一枚の紙…そこには名前と印が書かれていた。

 

 

 

千歌 〇

曜 〇

梨子 ×

果南 〇

ダイヤ 〇

鞠莉 ×

善子 ×

花丸 ×

ルビィ 〇

 

…………………と。

 

 

────────────────────

 

「…え、善子が風邪?」

「そうずら、今日はお休みずら」

 

のっぽパンを食べながら答える花丸。

 

「善子ちゃん…大丈夫かな…」

ルビィも心配そうに携帯を見つめていた。

 

なんとかは風邪ひかないとか言うけど…後で痛い目に見そうだから辞めておこう。

 

「悠さん、お見舞いに行ってくれないずら?」

「え、花丸とルビィは?」

 

「……まるは、お寺のお手伝いずら」

「ルビィは衣装作りしなくちゃ…」

 

「あっ、じゃあ、私ルビィちゃんの衣装作り見るよ!」

 

「果南ちゃ~ん…自主練付き合って~…」

「あははっ、じゃあ砂浜走ろっか♪」

 

こうして、ルビィと曜が一緒に部室を出て。

千歌と果南が自主練へと向かった。

 

ダイヤと鞠莉…梨子は席を外していた。

 

「さ、行こうずら♪」

「お、おう……」

 

────────────────────

 

学校を出て歩く事15分。

一軒の家に着いた。

 

「ここずら~♪」

着くやいなやインターホンを押す花丸。

 

「…あっ、善子ちゃんのお友達の花丸です♪」

俺も挨拶しようと思ったが花丸に止められた。

 

「は~い……あれ、花丸ちゃんと……彼は?」

「冴木 悠くんです♪」

「…あっ、冴木です…」

 

「あ~!君が悠くんかぁ!

善子がよく名前言ってから誰かなぁってずっと思ってたのよ~」

 

善子によく似た母親は俺の顔を見るやニンマリと笑顔になった。

 

「じゃ、悠さん後はよろしくずら♪」

そう言うと本当に花丸は帰った。

 

 

────────────────────

 

「…善子?お友達よ?」

 

ノックした数秒後…ゆっくりと扉が開いた。

 

「…うう…誰、よ……?」

厚着した善子が俺を見ると一気に目を見開いた。

 

「……な、なななな、なんでここにアンタがいるのよ!!」

「…お見舞い…だけど…」

「ふふっ、あとは2人で…ね?♪

善子?あんまり無理してぶり返すんじゃないわよ?」

 

「わ、分かってるわよ!……とりあえず、悠は部屋ん中入りなさい」

「おう、お邪魔するな」

 

中に入るといつか見た部室のような黒い物が部屋を覆っていた。

「…相変わらずだなぁ…」

棚の上に…ペンタグラム。

壁に謎の悪魔の面。

 

「…あ、あんまりジロジロ見ないでよ」

「おう、ごめんごめん……体は大丈夫か?」

「…大したことは無いわ…過労だと思うわ」

 

ベットに腰かける善子。

俺は床に胡座をかいている。

 

「…ん、でも心配だからお見舞いに来たよ」

「…ホントとことんお人好しね」

「そりゃ、善子も大事な人の1人だからな」

 

「…ん、その…ありがと///」

「まだ少し横になってなよ?」

「…そうするわ…」

 

横になる善子を介抱しようとすると一枚の紙を見つけた。

 

「…なぁ、善子…これって…」

「…あっ…見るな!」

目にも止まらぬ速さで紙を奪い取る善子。

 

「…え、見られちゃいけないもの?」

「…そうよ、女の子の物を軽々しく見るものじゃないわよ?」

「…ん、悪い…」

 

「…はぁ、なんて…冗談よ」

すっと紙を渡す善子。

 

「…別に、隠しておく必要は無かったんだけどね…

本当は直接渡したかったんだけど…」

 

そこには学校の歴史や近くにあるおすすめスポットなどまとめた紙だった。

 

「…これって……」

「どっかの誰かさんから聞いたのよ…原稿で悩んでる人がいる、ってね」

「善子…」

 

「私はこれくらいしか協力できない…けど」

「ううん…すっげぇ嬉しいよ…もしかして…それで無理して…?」

「…らしくないわね、悠?

好きな人のために頑張るのは当然でしょ?」

 

「…ありがとうな…善子」

立ち上がり優しく頭を撫でる。

 

「…じゃあ…一つだけ見返りが欲しいわ」

「……ん…何かな?」

 

「……んっ…」

おもむろに服を脱ぎ始める善子。

部屋着だから何もつけてないのか脱ぐと素肌が顔を見せた。

 

「よ、善子…っ!?」

「…汗…拭いてよ…///」

「…いいの…?」

 

「良いから頼んでるんでしょ…///」

タオルも渡されそのまま善子の体を拭くことに。

 

「…こんな感じでいい?」

「…う、うん…っ…ぁ…前も…良い…?///」

今までの強気な感じとは一変しおらしくどこか弱々しい感じになる善子。

 

前を向くと善子の体がさらに強調を増していた。

何事もなく…何事もなくと思いつつ体を拭くが…。

 

「…ん…っ…そこ…だめ…っ…///」

「ご、ごめん…」

 

山の頂上に意図的ではないが指が当たってしまった。

ピクっと反応する善子を見ていると…何か湧き上がるものがあった。

 

「……善子…」

「…ちょっと…何反応してんのよ…///」

 

いつの間にか押し当てていたようだ。

完全に俺も物は雄と化していた。

 

 

「…痛く…しないでよ…///」

「…分かった…」

 

体を重ねる俺と善子。

自然と唇を合わせていた…。

3秒…10秒…1分…長く感じるくらい唇を合わせていた。

離すとお互いの唾液が垂れる。

 

「ん……クセになりそう…っ…///」

「…善子が良ければ…いつでも…」

「…今日は私だけ見ていなさい…?///」

腕をくるめ完全に抱きつく善子。

よはや裸体に近い善子の息を吸って吐く体の揺れを感じた。

 

 

「…善子…」

「悠…好き…///」

 

 

この日はそのまま善子の家にお世話になった。

夜は善子の考えたシチュエーションに付き合わされてお互い気持ちが舞い上がって…3、4回はしたのを記憶している…。




善子はクーデレ←

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46話

梨子ちゃん推しの皆の衆!お待たせ申した!!
待望の梨子ちゃん回だぞぉ!!

…あ、クリアファイルは無事に曜ちゃんと果南ちゃんと花丸ちゃんをGETしました。


夏の暑さも引いてきたある日。

授業中にそれは起こった。

 

 

「…?」

手になにか触れた感覚があった。

 

もちろん前にいる曜や千歌では無い…。

って、千歌は寝てるし…。

 

「…ふふっ♪」

犯人は梨子だった。

 

手を触れるように絡めあわせた。

 

「…梨子…?」

「…少しだけ…ね?♪」

嬉しそうに指を唇に当て静かにするように言われた。

 

「…う、うん…」

正直、授業中にこんなことするのは少し背徳感に駆られる。

結局、授業が終わるまでずっと手を握ったままだった。

ノートは書けなかったが…。

 

────────────────────

 

昼休み、俺と梨子は屋上に来た。

 

「いやはや…ビックリしたよ、急に」

「えへへ…悠くん見てたら手を握りたくなっちゃって…」

 

「可愛いなぁ、梨子は」

「…も、もう…またそうやって…///」

「ホントのことを言っただけだよ…」

 

 

梨子は遡る事3日前……とある人に相談していた。

 

【ねえ、曜ちゃん…悠くんって…正直肉食系だよね?】

【んん?…梨子ちゃん、急にどうしたの?】

【……こ、ここの話だけどね…もし、悠くんにガツガツ攻められたら…って最近思うようになっちゃって…///】

 

【へへっ、もう梨子ちゃんも悠くんの虜だね!

…んー…確かに悠くんはどっちかと言うと攻めかなぁ?】

【…激しくされても…いい、かも…///】

【悠くんが聞いたらどう思うだろうねぇ…♪】

 

それ以来、梨子の頭は悠に攻められる妄想でいっぱいだった。

 

 

「…ねぇ、悠くん?

…お願いがあるんだけど…」

「お願い?梨子がお願いなんて珍しいね?」

 

「…か、壁ドン…して欲しいの…///」

「……え?」

 

壁ドンって…前にダイヤからされた…あれ?

 

「…俺に?」

「…うん…悠くんに…壁ドンとか…股ドンとか…顎クイして欲しいなって…///」

「…り、梨子ってそういうのにキュンとくるタイプ…?」

 

「…ダメ…かな…?」

「…わ、分かった…俺でよければ…」

 

屋上の扉の近くの壁に梨子を追いやる。

梨子は抵抗するつもりは全くない。

 

「…こう、か…?」

「…んっ…///」

壁に手を当て、梨子の耳元で囁く。

その距離は鼻先5cm。

 

「…も、もっと…///」

梨子は縋るようにねだった。

 

「…ん…分かった」

顎を少し上げる。

もはやキスしておかしくないくらいの距離だった。

 

「…悠くん…っ…///」

「…下ががら空きだよ?」

梨子の足元に自分の足を入れる。

 

 

「あ…っ…スカート…めくれ、ちゃ…///」

「俺しか見てないんだし…良いよね?」

「…やぁ…///」

 

気がつくと俺と梨子の息が荒くなっているのを感じた。

まだ昼休みが終わるまで時間がある。

…多分、俺も梨子もその事はとっくに分かっていたからか…どんどんと大胆になる。

 

「梨子…っ」

「ひゃ…っ…///

耳舐めちゃ…や…ぁ…//////」

 

気がつくと壁に当ててた手は梨子の体を触っていた。

ピクピクっと梨子の体が反応する。

 

「…っ…悠く…んっ…!!///」

声にならない声を出す梨子。

そしてヘナヘナと脱力する梨子。

 

「…もしかして……」

「…バカ…ぁ…///」

「…ん…どうしたら…許してくれる…?」

 

「…じゃあ…貰ってよ…私の…初めて…///」

「…いいのか?」

「ここまで来て言わせないでよ…///」

「…分かった…梨子…おいで?」

 

手招きした先は…屋上の柵。

下に目をやるとグラウンドが見えた。

何人か生徒がいたが屋上に俺と梨子がいるのは気が付かない。

 

「やだ…っ…見られちゃう…///」

「気が付かれやしないさ…それとも、やめる?」

「…バカ…意地悪…///」

 

ゆっくりと体を合わせる俺と梨子…。

やだと言っていたが…最後は大きい声を出していた梨子だった…。

 

─────────────────────

 

一方のその頃、部室にいた2人が雑談をしていた。

 

「…そっか、ルビィちゃんも悠くんに」

「でも…凄く嬉しかったです♪」

 

「ルビィちゃんも悠くんの虜だね♪」

「えへへ…悠さんのためなら…なんでも…♪」

「そうだね、悠くんの支えになろうね♪」

 

千歌とルビィは2人で顔を合わせて笑っていた。

 

────────────────────

 

そして、グラウンドにいる2人も雑談をしていた。

 

「…そうなんだよね、悠の声を聞くと安心するって言うか…」

「あはは、果南ちゃんと同じ気持ちだ♪」

 

「そう言う曜ちゃんも悠の前だと恋する乙女じゃん♪」

「えへへ…悠くんには…色んなことを教えて貰っちゃった♪」

 

「これからも悠と仲良くしないとねっ」

「うん!♪」

 

梨子と悠が屋上にいることを露知らず…。

話しながら笑う2人であった。




ところでAqoursって9人いますよね?
野球で打順組むならこうだと思うんですよ(作者は野球好き)

1 梨子(遊)
2 ルビィ(二)
3 果南(三)
4 曜(中)
5 鞠莉(一)
6 善子(捕)
7 花丸 (左)
8 ダイヤ(右)
9 千歌(投)

…的な?(伝われ)


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47話

「そう言えばsaint snowの2人は出る予定あるずら?」
「うーん、出した方がいいよなぁ…って悩んでる」

「ちなみに、どっちが好き?」
「聖良!←」
「そういえば一番くじこの前引いた時に聖良ちゃんのポスター当たってテンション上がってたずらね…」


「第1回!衣装コンテスト~!!」

「わ~♪ぱちぱち~♪」

「急に呼び出されたから来てみたけど…これの事だったの?」

 

「さぁ…?」

「俺も何も知らないんだけど…」

 

俺とルビィ…果南と千歌が曜に呼び出された。

場所は何故か曜の部屋。

 

若干テンション高めに何かを取り出す曜。

出てきたのは数着の…衣装。

 

「メイド服に…船の制服……これは猫…?」

「いっぱいある~♪」

目を輝かせながら衣装を見ている千歌。

 

「…めっちゃ作ってるんだね」

「昔から衣装作りにハマっててね…まぁ、自分の趣味で着たりしてるんだけど」

「つまり…コスプレってこと?」

 

「えへへ、意外と着るとそんな気分になるっていうか♪」

「えへ~……って、果南?なにメイド服を持ってるの?」

 

「…えっ!?…あ、いや…着てみてもいい、かな?って…」

「…え、着るの?今?」

「もっちろん♪…あっ、悠くんは外に出てなよ?…まぁ、見てもいいけど♪」

 

「…う、後ろ向いてるよ…」

「はーい♪」

 

服を脱ごうとする果南から視線を外し後ろを向いた。

他の3人が「いいスタイルー!」「おっきい~…♪」とか言ってて悶々するのは内緒。

 

…ってか、こんな状況で平然となんかしてられない。

「…ん、悠

もう大丈夫だよ」

 

「…お、おう……っ!」

壊れかけのロボットのようにギギギと首を動かすと恥ずかしそうにメイド服をフリフリとさせる果南が居た。

 

「…どう…かな?///」

「…めっちゃ可愛い」

「えへへ…ありがと///」

 

ライブの時の衣装とか見るとやっぱりスクールアイドルって言うだけあるなぁと思っていたが…正直、こういう衣装は新鮮すぎて直視出来なかった。

 

「じゃじゃーん!チャイナ服~♪」

いつの間にか太ももがガッツリ見えるチャイナ服を着ている千歌。

「…エロい…」

「?…悠くん、何か言った?」

「な、なんでもない!」

 

「…悠さん、ルビィも着てみた…よ?」

「…お、おおおう……」

ルビィが来ていたのはゴスロリなお姫様衣装。

まだ幼いルビィに着せると…なんだか犯罪の匂いがしてきそうだった。

 

「私は船乗りの衣装!これお気に入りなんだよね♪」

 

…普通、船乗りの衣装って言ったらポ○モンみたいな船乗りを思い浮かぶだろう。

しかし、曜のは違った。ショートパンツスタイルで些か胸元の露出も激しかった。

 

「…よ、4人とも…」

 

「…悠くん♪」

「悠…///」

「どの衣装が好きなの…?」

「…教え、て…?///」

 

千歌・果南・曜・ルビィがズイっと迫る。

嘘偽り無しに4人とも可愛い。1番なんか決められなかった。

 

「み、みんな可愛すぎるから…っ」

「…えへへ…じゃあ…んっ…///」

 

千歌がキスをした。

それを見ていた3人が羨望する。

 

「あっ、千歌だけずるい…っ

私もしちゃうんだから…///」

果南も千歌に続いてキスをした………が、それはいつものキスとは違った。

 

「…んっ…!?」

舌が入ってくるのが分かった。

「…ぁ…ゆぅ…///」

 

それを見ていた3人はさすがに顔が赤くなっていた。

「ひゃあぁ…果南ちゃん大人だよぉ…///」

「…す、すごい…///」

「ぴぎっ…///」

 

「…ん…///

ご馳走、さま…♪」

「…ぁ…どういたしまして…?」

 

「…わ、私もやってみようかな…///」

「よ、曜…?」

「…大好きな悠くんのためなら…っ…んっ…///」

 

果南と同じようにキスをし、舌を絡めさせる曜。

恥ずかしいのか、それとも不安なのか手を握る曜。

 

「…っ…///」

目をぐっと閉じているのが分かった。

そんな姿を見ていると愛おしくなり、何度でもしたくなった。

 

「…ぁ…悠…く、ん…くるし…っ…///」

「あっ…ご、ごめん…」

「…はぁ…はぁ…ぁ…///」

目がトロンとする曜。

おもむろに唇に手を当てていた。

 

「悠さん…ルビィは…ここにキスしてください…っ///」

ゴスロリ服を少しめくり、お腹を出すルビィ。

 

「…お腹…?」

「…は、はい…っ///」

「…分かった…くすぐったかったりしたら言ってね?」

「……ん…ひゃあ…っ///」

お腹を触れるくらいのキスをする。

やはりくすぐったいのかピクっと反応するルビィ。

キスしているこっちもゾクゾクとするものを感じた。

 

「…ぁ…お兄…ちゃ、ん…っ///」

いつの日か言った呼び方をルビィはしていた。

そんな囁きが俺をさらに刺激した。

 

「ルビィ…ここ弱いね?」

「…だ、だめ…っ…///」

辞めさせようとするルビィだが、男の力に勝てる訳もなく為す術もなかった。

 

「…ぁ…///」

「…ルビィ…?」

「…や…やっぱり…そういう気分に…なっちゃうよぉ…///」

 

「そ、そうだよ…私達も…ドキドキしてるんだよ…?///」

「悠くん…っ///」

「…沢山…愛して…?///」

 

 

 

…両手に花どころか花畑に1人寝転がっているようだった。

4人が果てるまで…何度も何度も相手をした。

終わる頃には…衣装は汚れていてが、曜は洗濯すれば大丈夫だよと息を乱しながら言った。




次回は本編です。
いよいよラブライブ予選と学校説明会の日です。

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48話

評価が増えるように…!
もっとたくさんの人に見て貰えるように頑張ります…!


そして、いよいよ迎えた当日。

 

俺は予選会に向かおうとする9人を見送りに来ていた。

「…ほんとうに…大丈夫?」

「ん、学校説明会は任せな…みんなも、予選会頑張るんだぞ!」

 

「…うん」

「すいませんが…悠さん、よろしくお願い致しますわ…」

不安からか寂しそうな顔をする千歌と申し訳なさそうにするダイヤ。

しかし、これは俺が選択した方法。

9人には…予選会に出て予選突破して欲しい。

 

言えなかったが…それが俺の本心だった。

…もちろん、不安がないといえば嘘になる。

しかし、9人の前ではそれは見せないようにしようと決めた。

 

「千歌ちゃん、ダイヤさん!バス来たよ!」

 

「わ、分かった!…じゃあ…悠くん、いってきますっ」

「おうっ!頑張れよ!」

「終わったら…すぐ向かいますから…!」

 

そう言うと9人を乗せたバスは坂道を登り見えなくなった。

 

 

「…さてと、原稿の確認でもしようかね」

 

この時…まだ知らなかった…この後、学校説明会で自分が窮地に立たされる事を…。

 

 

 

────────────────────

 

1人静かに部室で原稿に目を通す。

いつもは賑やかなメンバーは今日は誰一人として居ない。

 

「……千歌…みんな…」

ポツリと弱気な言葉を零しそうになった。

振り払うかのように頭を振り原稿とにらめっこを続けた。

 

ちょうど学校説明会が始まるくらいにラブライブの予選が終わる。

バスも1時間に1、2本しか来ないし…。

「…なんの因果関係かねぇ…」

 

1人、誰もいない部室でポツリポツリと呟き続ける俺であった。

 

 

────────────────────

 

 

一方、バスの中では。

 

「…悠くん、ああは言ってたけど…やっぱり無理させちゃったかなぁ…」

座席にもたれながら千歌がそう呟く。

 

「終わったら、直ぐに向かってってあげないとね…とにかく、今は悠がラブライブの予選に集中してって言われたからしないとね…っ」

「…ヨハネが作った原稿…役に立つといいんだけど…」

「…善子ちゃん?」

 

「…いえ、ちょっと嫌な予感がするのよ……こういうの当たるからね…私」

「…大丈夫ずら、悠さんならきっと!」

 

「…そう、だね……よーしっ、元気よく予選会に臨まないとね!」

「千歌ちゃん!その意気だよ!」

「あははっ、いつも通りの千歌になったね♪」

「ですが、張り切りすぎるのはいけませんわよ?」

 

「はーいっ♪」

いつも通りの9人が笑い合った。

彼が頼んだことを成し遂げるために頑張ろうと一致団結したようにも見えた。

…気がつくと、予選会場に到着していたのであった。

 

 

────────────────────

 

腕時計を確認する。

恐らく、予選会は終わったと思う。

…しかし、あえて連絡はしないようにと伝えておいた。

みんなの口からどうだったのか聞きたかったからだ。

 

 

「…よしっ…」

気合を入れ直し壇上に上がる。

この幕の先には…春から入るであろう学生とは父兄がいる…はず。

 

しかし…幕が上がった瞬間、俺は言葉を失った。

 

(……なんだ…これ…)

そこには確かに人がいた。

だが、その人たちが一斉に視線をこちらに向けるその姿に思わず言葉を失った。

 

(千歌達は…いつもこんな中ライブを…っ)

自分には到底無理なことだった。

人前で…しかもこんな大勢いる中で話すなんてことが。

…いや、出来ると思って自分がとんと見当違いだったのかもしれない。

 

 

「…ぁ…こ、こんにちは…っ…」

────続きが出てこない。

あんだけ練習した原稿も頭から消えた。

口を開こうにも上手く言葉が出ない。

 

さすがに異変を感じたのか幕の袖にいた生徒も声をかける。

 

(……だめだ…やっぱり、俺は…)

もう逃げだしたい…そんな考えすらするようになった…その時だった。

 

 

 

 

 

 

「──────全く…情けありませんわね」

「…………えっ………?」

 

いつも聞いてる声、振り返ると、そこにはいつもの9人が居た。

 

「お待たせ♪」

「もうまる達が来たから大丈夫ずら♪」

「悠くんは1人で抱え込みすぎだよ!」

「…言ったよね?頼ってねって…ふふっ、悠くんは素直じゃないからなぁ♪」

「予選会はバッチリであります!」

「ヨハネの施しを貴方は…!…と、言いたいけど…悠も頑張ったから免じて許しましょう」

「ゆ、悠さん…後で…衣装の感想…聞かせてください、ね…?」

 

「みんな…なんで…?」

「マリー達も気持ちは同じよ、みんな頼って欲しかったし…助けてあげたいって」

「…鞠莉…」

 

「さぁ、ここは理事長と生徒会長とAqoursのみんなに任せなさい?」

 

「…………………ごめん、みんな…ありがとう……」

幕の袖に下がる。

 

理事長と生徒会長が話を続ける。

内容も予め考えていたのだろうか、テキパキと話す。

 

…そして…そこでAqours9人の…ライブを見た。

俺が作詞をし、センターを決め1年生組が衣装を担当した……''MY舞☆TONIGHT''を

そのライブは息を呑むほど綺麗で凄いライブだった。

 

────────────────────

 

部室に帰り、静かに口を開く。

 

「…なんで…みんなが学校説明会に…?」

「えへへ…それがねっ」

 

…………………………………………

 

「…と、トロッコ~?」

「そう!みかんを運ぶやつなんだけどね♪

それを使っていいって!」

 

「たまたまですが、浦女の近くに止まるルートがありまして…」

「それを使って来たってこと♪」

「果南ちゃん、途中でレバー壊してさ~♪」

「だ、だってあれは取れちゃって…!」

「でも、楽しかったずら♪」

「ジェットコースターみたいでberry fanだったわ~♪」

 

「何とかだけど…学校説明会に……って!悠くん!?」

「…ごめん…っ……みんな…!」

泣いていた。

悔しいとかそういう感情が入り交じり気がつくと涙を流していた。

 

 

「もう…これからはちゃんと頼ってよ?」

「ありがとう…梨子…」

 

「…もう、悠くんは1人じゃないんだよ」

「そうですわ…貴方も私達Aqoursを支えてくれているのと一緒で…悠さんのことを…支えたいのは皆さんも同じですわ」

 

「……………ダイヤ…」

「ゆ、悠さん…!」

ルビィが抱きついてきた。

 

「…どう、ですか…?」

「うん…みんなすごく可愛いよ…めちゃくちゃ似合ってる」

「えへへ…♪」

「ルビィちゃん達すごく頑張ってたんだよ!こういう衣装も好きだなぁ~♪」

 

「じゃあ、打ち上げでもしようか♪」

千歌の一言にいつも通りの部室に戻った。

さっきまで聞こえなかった賑やかな声が聞こえて…どこかホッとした俺だった。

 

 

 

 

そして、1週間後…Aqoursがラブライブの予選突破した合格通知が来た。




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もっともっと頑張らんとなぁ…。
そういえばスクフェス6周年ですね…!
アケフェスのフラワー衣装めちゃくちゃ可愛いし…曜ちゃん欲しい…(っ´ω`c)


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49話

評価ありがとうございます!

また、感想を書いてくれる皆さんと話したりできてほんと嬉しく思ってます!
これからも頑張って………

「なんか恩着せがましいずらあああああ!」

そんな事ない!!

…今回は少し趣向をずらしてます。
イチャイチャ回には変わりありませんが←


「…え?」

 

「花丸ちゃん…それほんと?」

「ずら……お願いするずら…!」

 

部室にいる9人。

花丸からのお願いに思わず耳を疑った。

 

「…その気持ちは分かるけど…やり方が斬新だよぉ~…」

「みんなは…悠さんから愛してもらって…羨ましいなって…まるも…そうして欲しいなって…」

 

「(あれ?あれれ?私はまだ×なんだけどなぁ~?)…んー…理事長としてOKするわ♪…ただ、自分で何とかするのよ?」

「ありがとうずら~♪」

「…じゃあ、作戦決行だね!」

 

人知れず、花丸の作戦が決行されたのだった。

…もちろん、あの男は何も知らない。

 

 

────────────────────

 

 

「お疲れ様~…あれ、花丸は?」

「あ、お疲れ様ですっ♪

花丸ちゃんは図書室に居ますよ♪」

ルビィが嬉しそうに抱きつきながら答えた。

 

「よしよし…また、図書委員の整理かな?」

「そうよ…多分、まだ帰ってこないと思うわ」

「じゃあ、様子見に行くか…」

 

「いってらっしゃ~い♪」

「ごゆっくり~…あ、違った…気をつけてね~♪」

 

「?…変な千歌」

謎の答えに首をかしげながらも図書室に向かうのであった。

 

 

「よし…っ、作戦決行だね!」

「本当にやるの~?」

「花丸ちゃんの想いを無駄にしちゃダメだよ…!」

「がんば…ルビィっ!♪」

 

悠が出て数分後、部室に居た数人は後を追ったのだった。

 

────────────────────

 

「花丸~?居るか~?」

「あ、悠さん♪こんにちは♪」

 

案の定、花丸は1人で図書委員の仕事をしていた。

 

「どうしたんですか???」

「ん、花丸が図書室にいるって聞いたからな…まだ時間はあるけど気になって様子を見に来たよ」

 

「ありがとうずら~♪

…もう、仕事は終わったところずら♪」

 

「ん、じゃあ部室戻ろうか」

「は~い…♪」

 

花丸がドアに手をかけたその時…。

 

「…あれ???」

「ん?…どうした?」

「…あ、開かないずら…」

「え?」

 

花丸が手にかけていたドアを引こうとするも…確かに開かない。

 

「カギ?」

「いや、鍵は…今持ってるずら」

確かに手に図書室のカギを持っていた。

 

「じゃあ…どうして?」

「わ、わかんないずら…!」

 

────────────────────

 

【図書室の外】

 

「へっへっへ…鍵閉めました…!」

「曜ちゃん…ノリノリだね…」

「さてさて…私達は退散しよっ♪」

 

「カギはどうするの?」

「花丸ちゃんから連絡来たら開けるよ♪」

 

 

────────────────────

 

 

「…ここは蹴り破るしかないのか…?」

「だ、だめずら!…そんなことしたら怒られちゃうずら!」

「…まぁ、確かにそうか…」

 

さすがに理事長や生徒会長も怒りそうだから手荒なことは辞めておこう。

 

「…とりあえず、千歌達に連絡して…待つしかないか…」

携帯に図書室に来てくれと連絡をし、図書室の椅子に座る事に。

 

 

「…あっつ…」

「はいずら」

手渡されたのはペットボトルのお茶。

 

「…ん、ありがとうな…」

「あ、まるも少し飲んでたから…間接キスになっちゃうね…///」

「…間接キスどころかキスも沢山してるだろ…」

 

「…こう、ずら?」

お茶を飲み終えた俺の唇を花丸が奪った。

 

「…えへへ…お茶の味がするずら…///」

「花丸…」

 

「…悠さんとは…前にもこんなことしていたずらね…」

「あの時は善子が入ってきたけどね…」

「…こんな感じ…ずら…?」

 

あの時のように机の上に寝そべる花丸。

スカートの中から黒いタイツと下着が見えていた。

窮屈なのか、少し胸元を緩めていた。

 

 

「…あの時の…続き?」

「…解釈は…悠さんにお任せするずら…///」

「…いいんだな?」

「…邪魔する人は…居ないずらよ…?///」

 

こんな状況だが、花丸が思ってることは伝わった。

…不自然にも、千歌達からの連絡も来なかった。

 

気がつくと、俺は花丸の体を貪るように舐めていた。

 

「んん…っ…悠さん…くすぐったい…よ…///」

「ごめん…花丸が可愛すぎて…」

「…もっと…しても…いい、よ…?///」

 

両手を広げる花丸。

まるで、果南のようにハグを求めているようだった。

 

「…花丸…っ!」

「…ぁ……///」

タイツの中に手を入れる。

ほんの少しだったが、湿り気を感じた。

 

「……大きいな…」

「あ、あんまり言っちゃだめずら…///」

 

片手はタイツの中に、片手は花丸の胸に。

胸の頂点もプクッと強調をし始めていた。

 

 

「…ここ、弱い?」

「………//////」

恥ずかしそうに首を縦に振る花丸。

弱い所をもっと刺激したくなるのは男の性…なのだろうか?

 

 

 

 

気がつくと、やめてと懇願している花丸を他所にどんどんと刺激する。

花丸の下着は湿り気でたくさんだった。

 

 

────────────────────

────────────────────

 

 

ヘナヘナと机の上で放心状態になる花丸。

制服が汚れないように脱がしたが…体に付いた汚れを取りつつ、謝る。

 

「…ごめん、痛かった?」

「…い、痛くはないけど…激しすぎ…ずら…///」

「…悪い…」

 

「…でも…気持ちよかったずら…///」

嬉しかったのか、最後にキスをした花丸。

 

 

 

 

…不思議だったのが、行為が終わってすぐに千歌達がドアを開けに来た。

……まるで、こうなることを知っていたかのように…。

 




残るは鞠莉だけとなりました…
果たしてどうなることか…!?
次回は本編です!

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50話

そろそろ推薦欲しいなぁ…

「もっと頑張らないとね♪」
物語はまだまだ続きますよ!!


「大変大変…!!」

 

息を切らしながら部室のドアを勢いよく開けたルビィ。

初めて見た光景に驚きを隠せないほかのメンバー。

 

「…ど、どうしたの…ルビィ?」

「…はぁ…はぁ……さっき、ラブライブの予選会の公式サイト見てたんだけど…」

 

ルビィは言葉よりも先に携帯を見せてきた。

 

「先に行われたラブライブ予選会の北海道大会で…2位に倍近く票差を付けて地区大会を突破したグループが居るの…!」

「…それって…凄いことなの?」

「すごいよ…だって、倍近くだよ!?」

 

鼻息荒く、ルビィが力説する。

 

「…と、とにかく1回見てみて!」

ルビィが携帯を渡してきた。

 

「……これは…姉妹?」

「そう…姉妹でスクールアイドルをしてるみたい」

「名前は…saint snow…か」

 

聖なる雪…いかにも北海道らしいグループ名だった。

 

「…確かに…凄いな…」

「うん…思わず見入っちゃうね…」

「これが…トップスクールアイドルの実力…?」

「正直…差を感じますわ…」

 

思わず、言葉を失った。

…確かに、Aqoursとの違いは多かった…だが、違いがあるから…何か問題があるのだろうか?

 

「…このグループはこのグループのいい所がある…けど、俺はAqoursのいい所…たくさん知ってるよ

…千歌達9人なら…絶対に上を目指せるよ…俺は知ってるさ」

 

「悠くん…」

「…そう、だね…やる前から弱音吐いてたらダメだよね!」

「私達も…地区大会突破しようね!」

「よっしゃ!……それで、つぎの地区大会の歌とかって…どうしようか?」

 

「…うーん…今回は、私が作詞するよ!」

「え、ホント?」

「うんっ、悠くんばっかに頼っててもね!

…あ、もちろん…行き詰まったりしたら…いっぱい…好きを受け止めて…ね?」

 

「…あ…う、うん…っ」

思わずカウンターを食らってしまった。

他のメンバーはそれを見て微笑んだ。

…一人を除いて…。

 

「…………」

「鞠莉?顔が暗いよ?」

「えっ……あ、そ、そう~???

気のせいよ♪ふふっ♪」

「…ん?…なら、いいけど…」

「(…やっぱりちまちまやるのはマリーの性に合わないわね~…んー…でも、強引に行くのは…さすがにダメ…かな?)…ふふっ、楽しみね…♪」

 

「…なんか、寒気が…」

「大丈夫…?なんか体調が悪かったら言ってね?」

梨子が心配そうに見つめる。

 

「…そうだっ!またお泊まり会しようよ!」

「はぁ?…なんでまた?」

「うーん…懇親会?」

「懇親会…かぁ」

 

「いいね♪しようよっ♪」

「賛成であります!」

「いつにしようか…?」

「(…これよ、これっ!)…ふふっ、じゃあ明日にしない?」

「あ、明日って…急過ぎない?」

 

「はーい!じゃあ、志満姉に言っておくねー!♪」

 

 

相も変わらず、人の是非も聞かずに話が進んで行った。

…先程まで、暗い顔をしていた鞠莉もいつの間にかにこやかな顔になっていた。




短くてすいません!!
次は鞠莉回です!
ついに9人目…どうなることか!!?←

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51話

次回作はやっぱり主人公と曜ちゃんの恋愛小説かなぁ…書きてぇなぁ、俺もなぁ…←


何度目か分からないお泊まり会。

…いや、3年生を加えてのお泊まり会は初めてかもしれない。

 

前回やった時は千歌達6人から枕投げの総攻撃食らったっけなぁ…。

 

「よーし!…''いつものやるよー!''」

そんなことを考えていた矢先だった。

千歌の手には既に枕があった。

 

「じゃあ、行くよ?…せーのっ…お''らぁ~!」

ばしっ

 

「ずゅらぁあああ…!!」

ああ、哀れなり。

無情にも枕は花丸を直撃。

 

「うう…まるが…こんなにもまるまるされてしまったずら…」

ちょめちょめの類義語みたく、まるまるという謎のワードを出す花丸。

 

…そっからというものの、枕が飛び交う戦場と化した。

ありがたい事に、総攻撃は食らってない。

 

…だが…。

 

「わ、わわっ…!」

「あっ、鞠莉ちゃん!」

避けるのに夢中だった鞠莉が俺にぶつかり2人まとめて倒れた。

受け止めるような形で倒れたためか、手は鞠莉の胸にあった。

 

「…やんっ…///」

「ご、ごめん鞠莉っ…ていうか…大丈夫?」

「悠が受け止めてくれたから………今のは…シークレット…よ?♪」

何事も無かったように立ち上がる鞠莉。

掴んだ胸は……すごく大きかった。

 

山で言うならエベレストだよ、エベレスト。

果南や花丸、曜とかもかなり大きかったけど…。

って、こんな言い方だと変態みたいだな…って言っても皆の裸見てるしなぁ…。

 

(…あれ…?

…もしかして俺…)

 

ここで衝撃の事実を思い知る。

俺…鞠莉以外の全員を…抱いて…。

 

「悠?」

「えっ、あっ…な、なにかな?」

「さっきっから黙り込んで…どうしたの?」

「な、なんでもないよっ!!」

 

「もしかして……胸触ったこと…意識してる?♪」

枕投げに夢中なメンバーを他所に鞠莉が耳打ちされる。

どうやら見透かされているようだ。

 

「…そ、そうだと言ったら…?」

「ふふっ…がっつかないの♪

…また、後で……ね?///」

 

そう言い残すと鞠莉も再び枕投げに参加した。

(また後でって…マジかよ…)

正直、頭の中はさっきの鞠莉の大きな胸で悶々とした気持ちでいっぱいだった。

 

 

────────────────────

 

……………しかし…………………

 

 

(なんもないんかい!!!!)

 

特にこれと言ったことも無く、みんなが眠りについていた。

鞠莉もああは言っていたが、既に布団の中だ。

 

(いや…期待してたわけじゃないけど…生殺しは殺生だよ…鞠莉)

と、言い出したらキリがないので俺も眠ることに。

 

…事件は、このあと起こった。

 

 

────────────────────

 

「…………………んっ…?」

眠り始めて1時間くらい経過した時だった。

 

体に異変を感じる。

 

─────寒い。

主に下が。

 

「…なんだ…?」

布団をめくると…そこには。

 

「…あら、起きちゃった?♪」

鞠莉が布団に侵入していた。

……何故か、俺のサンシャインを口に頬張っていた。

 

寝ぼけてるわけでもなく、鞠莉は小さく口に指を当てた。

「声を出したら…みんなにバレちゃうわ?♪」

「…な、なにしてんの…」

 

「…これ…何か分かるかしら?」

渡されたのは、一枚の紙。

 

そこには、千歌○ 果南○ 曜○…と言った具合に○が付けられていた。

…鞠莉だけが×だけだったが。

 

「…あはは…なんとなーく見当はつくよ…」

「ふふっ…ハーレム作っちゃノンノンって言ったけど…手が早いのね?悠」

「…そ、それは…」

「冗談よ…♪

…でも…そんな悠なら、今の状況…分かるかしら?」

「鞠莉…も………って、事だよね?」

 

「オフコース♪…でも…みんなにバレないように…ね?」

「…分かった…」

「…いい子ね♪…んっ…」

 

「…くっ…」

正直、こんな状況初めて見る。

…鞠莉が一生懸命に口を使って刺激している。

周りに気が付かれないように精一杯だった。

 

「ふふっ…悠、好きよ?」

「…こ、こういう時って鞠莉は引っ張るほうだったんだね…」

「…えっ……?……あっ、そ、そうに決まってるじゃない…♪」

びっくりしたように目を丸くする鞠莉。

 

…ん?なんか怪しいぞ…?

 

「鞠莉…こっちおいで…?」

「ひゃ…!」

 

鞠莉を引っ張り、こちらに手繰り寄せる。

鞠莉も下着だったのか肌を合わせると少しひんやりした。

 

「…ここ、反応してるけど…?」

「んっ…ゆ、悠…っ…!?///」

大きな胸の先端はさらに強調を増していた。

 

これ以上声を出すと他の人に聞こえそうなので鞠莉の口をキスして塞ぐことにした。

 

「んっ…悠…っ…///」

「鞠莉…セクシーすぎるから…」

 

塞いだが、口から漏れる喘いだ声に俺の感覚はビンビンと反応をしていた。

「…いい、よね?」

 

「…えっ…大きい…っ…///」

鞠莉の是非を聞く前にしそうな勢いだった。

というか、鞠莉は大きさに驚いているようだった。

 

「…ごめん、鞠莉…っ!」

「…いっ…!!///」

 

下着を、ずらして鞠莉と1つになる。

痛さゆえか、目をぎゅっと瞑り俺の服を掴む鞠莉。

 

「~~~~~~~~っ!!!!//////」

「…鞠莉…?」

「はぁ…んっ…だ、大丈夫よ…///」

 

…とても大丈夫そうではないけど…。

 

「…ゆ、悠はじっとしてて…?///」

ぎこちない動きでリードする鞠莉。

 

正直、胸も丸見えだし…。

繋がってるところも見えるし…。

 

「…鞠莉…俺もう…っ…///」

「…えっ…?//////」

 

なんのことか、分からない鞠莉はただ首を傾げるだけだった。

その刹那、俺の背筋に電流が走るような感覚がした。

 

「…あっ…~~~っ//////」

「…くっ…鞠、莉…!」

 

手を握り、同じ感覚を共有する。

仰け反った後、鞠莉は脱力するように抱きついた。

 

 

────────────────────

 

(な、なななな、なんですの…!?

音がするから目を覚ましたら…!)

 

ダイヤは目の前で起こってる出来事に言葉を失った。

 

(ま、鞠莉さんって…意外と激しいのがお好きなんでしょうか…?)

寝たフリをしつつも、やはり見入ってしまう。

 

(…わ、私も…またして欲しい…って!何思ってるのですか私は!///)

考えを忘れるように再び眠りにつくダイヤであった。

 

 

────────────────────

 

 

「…ごめん、鞠莉…俺中で…」

「…ん、大丈夫よ…///

それより…これで全員に手を出したわね?♪」

 

「…あはは……ごめんなさい」

「まぁ、悠ならみんないいって思ってるってことよ

私も言ったでしょ?…悠はAqoursにとってのキーって」

 

「鞠莉…」

「…さっ、寝ましょ?

…大好きよ、悠♪」

 

 

おやすみのキス、と言った方がいいのだろうか

髪を掻き分けてキスをする鞠莉。

その大人っぽく、艶やかな笑顔に見とれている俺が居た。




またしても来ましたR-17.9回です!(それっぽい単語があった気がするけど気にしない←)

次はどうなるのか、お楽しみに!

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52話

活動報告更新致しました。
閲覧・コメントよろしくお願いします

今回はイチャイチャ回です!


「そっか…ついに鞠莉も…」

「これで全員、悠くんのこと大好きって事だよね♪」

 

果南が嬉しそうにしみじみと呟き

千歌が幸せそうな笑顔を浮かべる。

 

「(まさか中で…とか言えないし…まぁ、あれは流れでって事にしておけば…いいかな?)…ところで~…千歌っちはそれをどこから知ったの?」

 

「ダイヤさんからだよ♪」

「…ダイヤ~?盗み見は良くないわよ~?」

「た、たまたまですわ…!…その…うっかり見てしまって…」

 

「鞠莉ちゃんも大胆だよね~

まさか寝てる時になんて…」

「ふふっ、そういう所は男の子って弱いのよ~♪」

「べ、勉強になるずら…!」

 

「…ところで張本人は…どこ?」

「曜ちゃんとグラウンドに行ったずら」

「グラウンド?…どうしてまた?」

 

「体動かしに行ったんじゃない?」

 

────────────────────

 

「おーい、曜?いくぞ~?」

「いつでもバッチリであります!」

 

俺と曜は久々にグラウンドで一緒に汗を流していた。

因みに今日は曜からのリクエストでキャッチボール。

 

「ほっ」

「ナイスボール!」

「…なぁ、曜?」

「…んっ?どうしたの?」

「いや、なんでもないよ…名前呼んだだけ!」

 

ふわふわとボールが浮かぶ。

それを受け取る曜。

 

「…あ、今何考えてたのか分かっちゃったかも♪」

「え、ほんとに?」

「なんで、俺に全部捧げてくれたの~…とか?」

「…ん、ほぼ正解だよ」

 

曜から返ってきたボールを思わず見つめる。

 

「…いや、最後は恋人になれるかわかんないような男にさ…初めてとかあげていいのかなーって」

「もー、何言ってんのさ~

…私は、悠くんだからあげたんだよ?」

 

「…あはは、なんか恥ずかしくなっちゃうな」

「…私は…悠くんが良ければ…いつでもいいのに…」

「なんか言ったかー?」

「なんでもないよ~!…あっ、果南ちゃん!」

 

「2人ともここにいたの~?千歌が探していたよ?」

「はーい♪…じゃあ、悠くん戻ろっか♪」

「そうだな、いい感じに汗もかけたし…」

 

「あっ、そうだ…曜ちゃん?」

「ん?何かな果南ちゃん?」

「実はね……ひそひそ……」

 

「えっ……ホントにっ?」

「しーっ、悠にはまだ内緒だよ?」

「ヨーソロ!♪了解であります!」

 

 

────────────────────

 

「………」

「えへへ…///」

 

何故か俺はルビィをお姫様抱っこしている。

と言うのも、遡ること部室に戻った時。

 

「せっかくなんだから、悠くんにして欲しいこととかみんな言っていこうよ!」

と、千歌が提案した。

 

すると、食い気味にルビィが。

「あ、あの…!」

「…えーと…ルビィ?

目がマジなんだけども…」

 

「…お姫様抱っこ!」

「……………………え?」

 

 

というわけである。

正直、ルビィはかなり軽い。

小柄だから当たり前だが、ここまで軽いとは思わなかった。

 

「…どんな気分なの?」

「幸せです…っ///」

「…さいですか」

 

「いいなぁ~…私も今度してもらお♪」

「まるは一緒に本が読めればいいかな…ほら、背中くっつけて本読んだりするの憧れたりしない?」

「いいね、それ♪

まぁ、私は悠をハグできればいいんだけどね♪」

 

「…ところで悠くん?

素朴な質問をしていいかな?」

 

「…ん、どうしたの?」

「もし、この中の1人と付き合うなら…誰がいい、かな?」

偉い鋭い質問が飛んできた。

…誰って言われても…選べないのが正直な意見なんだけど…。

 

「…み、みんな可愛いから…選べないよ」

「はぁ~…………………まぁ、悠くんらしい答えっちゃ悠くんらしい答えか…」

「さすが鈍感ずら」

「鈍いわね、悠?」

「る、ルビィは恋人になれなくてもお兄ちゃんになってくれればいいからね!?」

 

「ルビィ!?…あ、あなたそんなこと思ってたのですか…///」

満更でもないような顔をするダイヤ。

…もしかして、ダイヤもお兄様!…とか言いたいとか?

 

「…ダイヤって…M?」

「…なっ、なんでそうなるんですかぁ!?///」

「…いや、なんとなく…?」

「ぶっぶーですわ!!ありえません!///」

 

(これはMだね…)

(そう言ってる悠くんはだいぶSだよ…)

(まだ、ルビィちゃんお姫様抱っこしてるし…)

 

「あはは♪モテモテだね、悠」

「人生に3回は来るって言うモテ期が一気に来たような感じがするよ…」

 

「…あれ???

そう言えば鞠莉ちゃん、居なくない?」

「ホントだ、今度は鞠莉が居ないよ?」

 

 

「理事長の仕事があると言って、理事長に向かいましたわ」

「そっか…やっば理事長の仕事もあるから大変なんだな」

 

 

────────────────────

 

「…そろそろ、本当のことを伝えても…よろしいでしょうか?」

【そうねぇ…まぁ、あの子の事だから…特に驚いたりはしないと思うけど…ホントに鞠莉ちゃんの口から言ってもらっていいのかしら?】

 

「そちらも忙しいのは分かってますから…大丈夫ですよ」

【分かったわ…あ、悠によろしく言っておいてくれるかしら?】

 

「はい、分かりました」

【くれぐれもハメを外し過ぎないように…もね?】

「あはは…大丈夫ですよ…はい、では失礼します」

 

 

静かに電話を切る鞠莉。

そして手で顔を塞ぐ。

 

(言えない!むしろハメを外し過ぎてるのは私の方だったなんて!)

自分がやった事とはいえ…あの夜のことを思い出す。

 

(…正直…してからというもの…結構疼くっていうか…///)

 

女の子とは言え、欲はある。

もちろん、気分が高揚することも。

彼にそれを打ち明けたら…多分、優しく包み込んでくれるだろう。

 

「優しすぎよ…悠は…」

彼の優しさは…時に武器にもなるし、毒にもなる。

そんな優しさに惹かれた私は、多分もう彼の虜なのだろう。

 

「…それは、みんなも同じ…ね」

ポケットから出した紙。

 

いつの日か、Aqoursのメンバーと○×を書いた紙だった。

 

「…ふふっ、ハーレムなんか作っちゃノンノンよ?なんて…ホントにそうなるなんて…♪」

クスリと笑い、その紙を破る鞠莉。

 

「誰がどうとか…関係ないわね、Aqoursにとって悠は居なくてはならない存在…そして私たちにとっても…」

 

 

「…鞠莉?居るか?」

噂をすれば張本人がドアをノックしてきた。

 

「居るわよ?」

「失礼します…っと、なんか手伝えることあるか?」

「今終わったところよ♪」

 

 

今日も彼の周りでは賑やかなことが起こりそうだった。




次のお話はどうしようかなぁ…なんかいいアイデアないかなぁ…←
今のところとりあえず本編を進めようかなと思います!

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53話

こっちの作品もしっかりと進めるゾ☆

「今回はちょっとシリアス&短めずら!」


地区大会に向け、メンバーでアイデアを出し合っていた。

 

千歌が考えたテーマ…それは、''想い''だった。

スクールアイドルに対する想い。

そして…俺に対する想いも含まれているようだ。

 

「えへへ…悠くんのことを考えていたら、すっごくいい歌詞になった気がするよ♪」

「なんか照れるな…」

「あとはこれに曲をつけないとね!梨子ちゃん!♪」

「えっ!?……………あぁ、うん、そうだね…」

 

話を上の空で聞いていた梨子。

千歌からの問いに驚いた様子で反応した。

 

「…なんか考え事か、梨子?」

「…うん…少し、ね…」

消えてしまいそうな声で話す梨子にほかのメンバーも気にかけている。

 

「体調が優れませんか…?」

「それとも、なんか悩んでるとか…?

良かったら、話聞くよ?」

「私たちは仲間でーす♪

遠慮なく話していいのよ、リリー?」

 

こういう時の3年生はやはり心強い。

梨子も呼吸を整えてゆっくりと話し始めた。

 

 

「…今回の…地区大会…私は…参加出来ない」

 

 

 

 

──────────衝撃の内容だった。

梨子が…参加出来ない?

 

 

「…それって…どういう意味?」

「ごめんなさい…隠しているつもりはなかったんだけど…その日は…大事なピアノの演奏会があって…」

「…でも、ライブはどうするのさ…!」

 

考えよりも言葉が先に出てきた。

正直、冷静な考えなんか出来てなかった。

 

「ま、まって悠くん!

…もともと、梨子ちゃんはピアノとスクールアイドルの両立をするって約束で部活に入ってくれたから…」

「…でも、じゃあ…8人でライブをってことかよ…!?

そんなんじゃ……………!」

 

「Aqoursと呼べない…かしら?」

善子が代弁してくれた。

当たり前だ、9人揃ってAqoursなのだから。

 

 

「…本当に…ごめんなさい」

どんよりとした空気が部室に立ちこめる。

結局、是非は出ないままこの話は流されてしまった。

 

 

────────────────────

 

「悠くん…怒ってたよね…」

「…事情は知らなかったんだし…仕方がないよ」

 

「でも、悠さんにとっては…大変ショックが大きかったのでは無いでしょうか…」

「そうずら…いつも悠さんはまる達のことを一番に考えていてくれたずら…」

 

「…大丈夫、きっと梨子ちゃんと話をつけてくるはずだよ」

「…うん、私も千歌と同感、かな

なんだかんだ言っても最後は悠がしっかりリードしてくれるからね」

 

────────────────────

 

 

部室を出た梨子は音楽室にいた。

1人でポツリポツリとピアノを弾いていた。

 

 

「…ここにいたのか」

「…っ…!…悠くん…」

俺の顔を見るやいなや、顔を背ける梨子。

話しづらい…のだろうか。

 

「…怒ってる…よね…」

「…いや、俺も悪かった…頭に血が上ってた」

「ううん…言わなかった私が悪いの…

…ホント、ごめんなさい…でも…私…」

 

「…うん、梨子の言いたいことは…分かるよ

正直…9人揃ってライブをしてる姿が見たかったけど…

大丈夫、例え…梨子が演奏会に出てたとしても…心の中ではいつも一緒だよ」

「…悠くん…」

 

「…なんて…柄でも無いこと言っちゃったかな」

「…ううん、その言葉で…少し救われたような気がするよ…」

 

「…そっか………………良ければ、ピアノ、聞かせてくれないかな?」

「…うんっ、もちろん♪」

 

 

 

 

【…Aqoursのライブには、お前が必要なんだ。】

そう心の中では思っていた。

けど、梨子の決めたこと、そして部に入る時に決めた意思を…尊重しないと…。

そう頭の中で言い聞かせ続けた。

──────結局、地区大会は、8人で望むこととなった。




悠とAqoursのメンバーの喧嘩ってあんまり書きたくないけど…軽めに喧嘩っぽくなりましたね…笑

次回は梨子ちゃんともう1人…(?)のイチャイチャ回です!


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54話

梨子ちゃん回だああああ!
…おや、誰か来たようだ。


「…あれ、梨子は?」

「部室にはいないよ?…音楽室にも居なかったよ?」

 

部室に入っていの一番に梨子の居場所を聞いたが居なかったようだ。

果南の頭を撫でながら素朴な質問をしてみる。

 

「…果南は、今回の件…どう思う?」

「んっ……そうだなぁ…私も、家の事とかあったら…ライブを取るか…自分の方を取るかって…かなり悩むと思うよ

…もともと、梨子ちゃんがそういう約束でスクールアイドル部に入ったのなら…梨子ちゃんの意見を優先させてあげたいな」

「……やっぱ、そうだよなぁ…」

 

頭では分かっている。

しかし、そんな簡単には物事は進まない。

特に千歌は未だに難しい顔をしている。

無理もないだろう、歌詞も衣装も''9人''を想定して作っているのだから。

 

「…とりあえず、梨子を探してくるわ」

「うんっ、行ってらっしゃい♪」

 

部室をあとにし、宛もなく梨子探しに向かった。

 

────────────────────

 

「…ううーん…居ないな…」

当然、見つかる訳もなく1人廊下でモヤモヤしながら歩いてた。

 

「…連絡してみるのが早いかなぁ」

携帯を取り出した……その時だった。

 

 

【さぁ、祈りなさい!リトルデーモンリリーよ!】

…聞きなれた声が後ろの方からした。

この声絶対善子だろ…。

 

声のする教室のドアを思い切り開けた。

 

「ひぃっ!…な、何奴!…って、悠じゃない?」

「あっ…悠くん…ど、どうしたの?」

「もしかして~…今の聞いてた?」

 

驚いた顔をした善子だったが、直ぐにいつもの善子に戻った。

梨子はなんか見られてしまったみたいな顔をし、口元をピクピクさせている。

…と言うか、鞠莉もいたんだね。

 

 

「…なにしてんの?」

「これは堕天使ヨハネ式の儀式よ…」

「儀式?」

レベルは1くらいだろうサ〇リファイス的な。

 

「よ、善子ちゃんがどうしてもって言うから…」

「私は~楽しそうだから着いてきた♪」

「…儀式ねぇ…ホントは善子、梨子のことが心配で元気付けようとか考えていたんじゃないの?」

 

「…え、エスパーなの!?貴方!」

図星かい。

…まぁ、善子って不器用だから、こういうやり方しか出来ないのは分かってたけどさぁ…。

 

「…な、なによ!心配しちゃダメなの!」

「善子ちゃん…っ」

「んな事は言ってないよ…ただ、不器用なやり方してるなって」

「な、なんですって~…!?」

 

「…ぷっ…あはは…っ!

二人とも漫才みたいね~♪」

「「どこが!」」

 

「…ふふっ…2人とも、ありがとうね…」

「…べ、別にヨハネは……」

「…り、梨子のためだし…」

 

「…でも、大丈夫だよ

千歌ちゃんとは、しっかり話をつけるし…ピアノの演奏会をしてても…遠く離れてても…ずっと一緒だよ」

 

こちらを見てウインクする梨子。

…あの時の言葉…覚えていたんだ…。

 

「…ふふっ、そうね♪

今回は随分と悠が活躍したみたいじゃな~い?」

「…鞠莉…顔をわしゃわしゃしないでくれ…」

「鞠莉ちゃん、今回は、じゃなくて…今回も、だよ♪」

「それもそうね♪

…じゃあ、いつも頑張ってくれてる悠に…ご褒美、あげないとね?」

 

「…えっ…え…?」

「…さぁ、誰から…するの…?♪」

妖艶な笑みを浮かべながら顔を近づける鞠莉。

オカルト部(仮)の部室…つまり、入ってくる人もいない。

…これは…そういうこと、だよな…?

 

「…だ、誰からって…」

「…私、よね…?…リトルデーモン…?」

「わ、私からが…いい、な…」

「もちろん、マリーからよね~?」

 

逃げ場は無い…まぁ、もちろん逃げるつもりもないが…。

 

「…でも、オレ…あれ持ってないよ…?」

「ああ…大丈夫よ、私は最後までしてるし♪」

「最後まで…って!悠と鞠莉は何をしたの!?」

 

「あれ~…?

…何って……………もにょもにょもにょ…」

「なっ──────!///」

「え、ええっ……!?///」

 

事情を知った善子と梨子。

顔を真っ赤にしながらロボットのようにカクカクと首を動かす2人。

 

(…あ、まずいな…)

「……ず、ずるい!…わ、私だって…その…!」

「あう……あうあう…鞠莉ちゃんと…悠くんが…///」

 

結局、捕まった俺は為す術なく3人にされるがままだった…。

…しかし?

部室出る頃にはなぜか俺以外の3人がフラフラで顔も真っ赤だった。

 

「うう…こんなことって…///」

「な、生意気よ…リトルデーモン…っ///」

「ふふっ、2人とも未知との遭遇みたいな顔してるわね♪」

「鞠莉は顔色ひとつ変えてないね…」

「手の内は晒さないわよ…?♪

(…とか言っておいて…まだすごく疼くんだけど…ね…///)」




Guilty Kiss回でしたね。
予告で梨子ともう1人って言ってたけど許してちょ!

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55話

ついに来ました!友情ヨーソロー回!!

もう作者の誠心誠意、超絶怒涛の不朽の名作にするくらいのクオリティで頑張っちゃいますよー!!!


俺とAqoursのメンバーは駅にいた。

今日は梨子が東京に行く日だ。

みんなで見送りに来た。

 

「…悠くん…っ」

「ん、梨子なら大丈夫だ…

帰ってきたら…胸いっぱい抱きしめてやるから、自信もって行ってこい!

…たくさん、話も聞いてやるから、な」

「…うんっ!!」

 

「…あと、これ」

「…?

これって…リストバンド…?」

渡したのはピンクのリストバンド

「お守り…って、わけじゃないけど…持っててくれる…かな?」

「悠くん…ありがとうっ、付けて演奏会に望むね…!」

 

俺の挨拶も程々に千歌が梨子と挨拶をする。

 

「梨子ちゃん…次のライブは絶対に9人で出ようね!」

「千歌ちゃん…うんっ、約束だよ!」

「頑張ってね!」

「ありがとう…いってきます!」

 

決意を固めたような顔でホームへと向かった梨子。

全員でその姿が見えなくなるまで見送った。

 

「…さっ、俺らは戻ろうか?」

「そうだね、千歌ちゃん?」

 

「……………………………」

 

「…千歌ちゃん?」

「おーい、千歌?行くぞ?」

「…えっ…あ、うん!行こっ!」

 

 

少し考え事をしていたのか間を置いて返事をした千歌。

その様子を見た曜はすこし暗い顔をした。

 

 

 

────────────────────

 

学校に戻った俺たち。

ここからは8人でライブの練習に望む。

 

「…さて、梨子さんのポジションはどうしましょうか?」

練習前にダイヤが問いただした。

 

「やっぱり、ここは曜ちゃんじゃないかな?幼馴染なんだし」

「そうずら、千歌ちゃんとの呼吸もばっちり合うはずずら」

「ルビィも2人の意見に賛成です…っ」

 

「…って、言ってるけど…曜は大丈夫か?」

「…………………………」

「曜?」

 

完全に上の空である。

先程から暗い顔が消えない。

 

「曜!」

「…えっ!?…あ、うん、私が梨子ちゃんのポジションをやるよっ」

「…大丈夫なんだね?」

「う、うんっ!ごめんね、心配かけちゃって!」

 

気を取り直してライブの練習が開始された。

……………しかし、問題は直ぐに直面した。

 

「ここで…サイドにステップを…!」

「わ、わわっ…!」

「千歌…っ…曜ちゃんも大丈夫…!?」

 

千歌と曜のステップが合わずにぶつかった。

これで5回目である。

 

「ごめん、曜ちゃん~……」

「ご、ごめんね…千歌ちゃん…私が歩幅が合わなくて…」

 

「…みんな~?少し休憩しましょ?」

鞠莉で手を叩いて休憩を促した。

 

「さ、賛成ずら~…」

「喉乾いちゃった…」

 

「2人とも、飲み物はそこにあるからちゃんと飲めよ?」

「「は~い(ずら)」」

 

小休憩の間、鞠莉が小突いてきた。

「…悠、あの二人…どう思う?」

「どうもこうも…いつもの感じじゃないことは確かだな」

「…喧嘩したと思う?」

「…いや、なんか悩んでる感じが見受けられるけど…」

 

暗い顔をしながら先程のミスを悔やんでる曜の姿がすごく目に映った。

 

「…ここ、は…リーダーの出番、よね?♪」

「…えっ、リーダー?」

「今や悠はAqoursの押しも押されぬリーダーよ?

これは満場一致よ♪」

「…そんな大それた事してないんだけどなぁて…」

「あら、みんなのバージンを奪っちゃったのに?」

「…あのなぁ………………」

「ふふっ、冗談よ♪

…とりあえず、千歌っちから話を聞いてみたら?」

「ああ、分かった…そうするよ」

 

 

 

「…千歌、少しいいか?」

「…ん?…悠くん、どうしたの?」

「…ここじゃちょっと…向こうで話していいかな?」

「うん、分かった…?」

 

みんなから少し離れた場所で千歌と話をした。

 

「…やっぱり、梨子のポジションが曜になって難しいか?」

「…うーん…どうしても梨子ちゃんとの歩幅で踊っちゃって…」

 

やはり、千歌自身もそこは気にしていたようだ。

…したくはなかったが、曜に一言言ってみるか…。

 

 

 

「…曜ちゃん?大丈夫?」

「えっ…あっ…果南ちゃん…」

「体調優れないの?…今日は練習お休みする?」

「ううんっ…大丈夫、ありがとうね…」

 

そう言った曜だったが、目線は完全に悠と千歌の方を向いていた。

 

────────────────────

 

みんなが休んでる間、俺は千歌と曜にこう告げた。

 

曜は梨子と同じような動きを1回してみて、と。

 

すると、先程まで合わなかった歩幅が嘘のように合う。

(……………やっぱりそうか…)

 

自分の中で、1つ気がかりだったことが解消された。

 

────────────────────

 

「…それで…どうだった?」

帰り道、鞠莉に一日の出来事をフィードバックした。

 

「…多分だけど…曜が悩んでるのは…千歌と梨子の事、かなって…」

「…まぁ、薄々は感じてたけど…やっぱりね…」

 

「…曜は…あの二人に…なにか思うことがあるのかな…?」

「…正直なことを言わせてもらうと…千歌っちと梨子は私達から見ても大の仲良しって見えるわ

…もちろん、千歌っちになんの悪意も無いんだろうけど…」

「それが千歌の性格でもあり…良いところだからな」

 

「…つまりは…''嫉妬''…かしら?」

「…嫉妬…かぁ…」

「こう…嫉妬メラメラビ~~~厶……みたいな?」

「その表現が合ってるのかは微妙だけど…これは聞いてみる必要があるかもな…」

「あら、早速行動?」

「善は急げって言うしな

…俺自身、この問題は早く解決させてあげたいからな」

「その意気よ、リーダー♪」

「だーかーら、リーダーはやめろって!」

 

────────────────────

 

「…あれ、悠くん…お出かけ?」

「うん、少し出かけてくるよ…あ、自転車借りるからね?」

「分かったっ♪行ってらっしゃい♪」

 

自転車に跨り、スピードを上げる。

目指すべき場所は1つだった。

 

 

────────────────────

 

「…はぁ…」

1人ベランダでため息を漏らす。

 

「…私…どうしたら…」

…ずっと…考えていた…千歌ちゃんと梨子ちゃんの仲に…私は要らないのかなって…。

でも…そんなこと…言えるはずがなかった…。

言ったら…困らせちゃうから…。

 

「…なんっか…訳わかんなくなってきた…」

「…星でも見てるのかい?今日は曇ってるから見えないよ」

「…えっ…?」

 

────────────────────

 

自転車で曜の家に着くと、ベランダで1人悩みを抱えた人を発見した。

 

「…悠、くん…」

「…そっち、行ってもいいかな?」

「…うん」

 

曜が玄関まで来てくれてベランダまで誘導された。

やはり暗い顔はそのままだった。

 

「…どうして…急に…?」

「…悩み、聞くぞ?」

「…別に…悩みなんか…」

「嘘だね、こういう時って曜は嘘つくの下手だもん」

「…あはは…お見通しなんだね…」

 

静かに外を眺めながらぽつりぽつりと曜が言葉を呟いた。

 

「…私ね…ずっと昔から…千歌ちゃんと一緒に…なにかしたいなって…思ってたの」

「…うん」

「…だから、千歌ちゃんがスクールアイドル部に誘ってくれた時は…すっごく嬉しかったんだ…」

「……………」

「…だけど…気がついたら…梨子ちゃんがいて…皆がいて…そして…悠くんも居て…」

「……………曜……」

 

「…その時にね、思ったの…

千歌ちゃんは…私と2人でいるのが…嫌なのかなって」

「…っ」

「…ほら、私って…あんまり要領良くないじゃん…?

梨子ちゃんみたいに…できない…から…」

 

「……………話は…それだけか?」

「…えっ……………?」

 

頭では抑えてようと思ったが…プツンといったのがわかった。

 

「…………それ、本気で思ってるなら…俺は怒るよ、曜」

「……………悠くん…」

「…なにが…要領が良くないだよ…何が2人でいるのが嫌だよ…

ちゃんと本音で…心で話し合ったのかよ!!」

 

「…っ…………だ、だって…本音でって言ったって…

何を話していいか…分かんないだもん…!」

 

心の重りが取れたように素直な自分の気持ちを吐いた曜はポロポロと涙を流していた。

 

「…あのな、曜…

多分お前は今…千歌は梨子といた方が嬉しそう…とか

梨子の方がいいに決まってるって思ってるだろ?」

「……思ってたら…?」

「それは大きな間違いだ、俺が断言してやる。」

「何を…そんな簡単に…っ」

「…今回のライブの衣装…曜と千歌で考えてたよな?」

 

「…そう、だけど…」

「そのアイデアをな、千歌が嬉しそうに俺に見せてきたんだよ

曜ちゃんの考える服っていつも可愛くて素敵だよね!って」

「…嘘……」

「嘘じゃねぇよ、そんときの千歌の顔はすっごい明るかったよ」

「…千歌ちゃん…」

「…不安なのは…曜お前だけじゃ…無いはず、だろ?」

 

「えっ…?」

曜が家の前の道を見ると…そこには…。

 

「曜ちゃん!」

「…千歌…ちゃん…?」

「練習しようよ!」

「…練習…?」

「やっぱり…私は曜ちゃんと綺麗にステップを合わせたい!

千歌と曜ちゃんなら…出来るよ!」

「…ぁ………………」

 

「…お前は1人じゃねえんだよ…曜

大事な親友が目の前にいるじゃんか…ほら、行ってこい!」

「…私…バカ曜だ…」

「バカなんかじゃねぇよ…友達想いで…真っ直ぐな証拠だよ」

「…うっ…ああぁ…!」

 

涙を流しながら千歌の元に寄り抱きしめ合う2人。

 

「…ふぅ…一件落着、かな?」

 

 

「…千歌ちゃん…汗がすごいけど…」

「バスも無いし…自転車乗ってかれちゃったから…

でも、曜ちゃんと練習したいって思ったら…いてもたっても居られなくて…」

「千歌ちゃん…ごめん…私…!」

 

 

厚くかかってた雲がいつの間にか晴れ間が顔を出していた。

「…今日は満月か……あっ、流れ星」

 

1人見上げた空には…流れ星が流れていた。

これはきっと…曜の流した涙…かもしれない。

 

 




そういえばプチぐるが終わっちゃいますね…( ´:ω:` )
今回の友情ヨーソロー回いかがだったでしょうかぁ!
素晴らしい!!←←←

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56話

家にある寝そべりぬいぐるみが多くなってきて愕然としてるA×Kです。


迎えた地区大会当日……。

 

控え室に居たAqoursのメンバー8人はいつも通りの賑わいを見えていた。

「梨子ちゃんも、同じくらいの時間に演奏会をするずら?」

「そうだね…無事に終わるといいけど…」

「なーに、梨子なら心配いらねぇよ

…あ、それとみんな…これ…」

 

と、あるものを差し出そうとしたその時…。

 

「みんなー!こっち向いてー!」

曜の掛け声で振り向くとシャッター音が聞こえた。

「えっへへ♪」

「びっくりした~…もー、曜ちゃん!撮るなら言ってよ~!」

「ごめんごめん♪…ただ、ありのままを撮った方がいいかな~って…その方が梨子ちゃんも、安心するでしょ?」

 

写真を梨子に送信する画面を見ていて気がついた。

「…あれ…背景の写真…」

「あ、気がついた?

…この写真、お気に入りだからさ♪」

 

前までは…千歌とツーショットの写真だったが

夏祭りに行く前に十千万で撮った浴衣姿の千歌と梨子と曜の写真になっていた。

 

「…へへっ…♪」

「曜…」

あの一件が嘘のように照れくさそうに笑う曜。

 

「…ん、んんっ…!」

「あぁ、ダイヤ…ごめんごめん…」

「いえ…っ…それで、悠さんは何を渡そうと?」

 

「あ、今ダイヤ少し羨ましく思ったでしょ~?♪」

鞠莉がひそひそ耳打ちするとダイヤの顔が赤くなった。

 

「そ、そそそそ、そんなことないですわ!?

ありえませんわ!!??」

「お姉ちゃん…バレバレだよ…」

 

「えーっと…これ…なんだけど…」

出したのはキチンと包装されたリストバンド8個。

 

「…リストバンド?」

「うん、みんなの色をイメージして名前も入れて貰ったんだ」

「なるほど…通りで最近部室に顔出すのが少なかったのですね」

「あはは…びっくりさせようと思って…」

「う~んっ!中々のサプライズね、悠♪」

「ありがとね、悠♪

早速付けてみていいかな?」

 

「もちろん!」

各々リストバンドを受け取り手首に付ける。

「善子のは…無しで」

「なんでよ!」

「あはは、冗談冗談…はい、これ!」

「…う…っ…ま、まぁ受け取ってあげるわっ」

 

「おーっ…なんか、1つになった!って感じだね♪」

「梨子も付けてくれてるかな?」

「…おっ、早速返事が来たよ!

ちゃんと付けてるって♪」

 

携帯の画面を見ると、そこには確かに梨子が手首にリストバンドを付けてる写真が添付されていた。

 

「…よし…じゃあ、そろそろ準備するか!」

「うんっ…!

…じゃあ…みんな…手を合わして…」

 

8人が手を重ねる。

 

「…大丈夫…心で繋がってるよ…

だってAqoursは9人で1つ…だから」

「梨子ちゃんも…ちゃんと繋がってる!」

「いい報告、させないとね♪」

「私達なら大丈夫ですわ」

「ここを突破して…」

「目指すは本戦ずら!」

「ガンバ…ルビィ!」

「や、やや…やってやるわ!」

 

「あはは、善子…緊張も程々にな…

大丈夫、間近で練習見てたから断言出来るよ。

お前達は出来る…もっと輝ける!」

 

「…うんっ!

いくよ……Aqours~…」

「「「サーンシャイーン!」」」

 

────────────────────

 

「みんな…今頃は…ライブかな…」

舞台の袖で1人、演奏会に向かう梨子。

その手首にはしっかりとリストバンドがあった。

 

「…大丈夫…1人じゃない…皆が…居るよ…」

そっとリストバンドを胸に寄せる。

「心には…Aqoursのみんなが!」

 

しっかりとした目で演奏会に向かった梨子。

離れていても…遠くにいても、心は決して離れない。

それが…この曲にも、繋がっていたのかもしれない…。

 

そう…【想いよひとつになれ】と……。

 

 

────────────────────

 

ライブの次の日…。

 

「あ、梨子ちゃーん!」

あの日と同じように迎えに来たAqoursの8人と俺。

千歌が梨子の名前を呼び駆け足で戻ってくる梨子。

 

「……あれ…?」

向かってきたのは千歌の方ではなく俺の方だった。

 

「悠くん…っ!」

「のわっ…!」

梨子が思い切り抱きついてきた。

 

「…ただいま♪」

「…ん、おかえり」

 

「あー!梨子ちゃんずるーい!」

「そ、そうですわ!ずるいですわ!」

「…お姉ちゃん?」

「ダイヤさん…本音が出たずら?」

 

「まぁ…俺も梨子と約束してたし…な?」

「うんっ♪」

 

「それで、演奏会はどうだったの?♪」

曜が質問した。あの時とは違い顔も晴れ晴れしていた。

 

「…皆と繋がっていたから…かな

すっごく、上手くいったよ!」

「あはは、それは良かった」

「…ライブは…どうだった?」

 

「そりゃあもちろん…!」

思い切りピースサインをする千歌。

 

「良かった~…」

「と、言っても結果はまだこれからだけどな」

「それもこれも、悠がくれたリストバンドのおかげかもね♪」

9人がリストバンドをかざす。

…なんだか、見てる方が恥ずかしくなってきた。

 

「さて、思い出話でもしながら帰ろうか?」

「今日は志満姉に言ってあるから十千万でパーーっと打ち上げするよ!

料金は悠くん持ちね!」

「なんでだよ!」

「ふふっ♪」

 

ライブの事、そして演奏会の事…話したいことは山ほどあったのか十千万に着いてからも話は尽きなかった。

 

「…ねぇ、悠くんっ」

「…ん、曜?」

「…ありがとね…悠くんに、また助けられちゃった」

「…俺は当然のことをした迄だよ」

「ふふっ、頼りになるね…♪」

 

そう言うと頬にキスをした曜。

 

「これからも…頼っちゃうかもしれないけど…

よろしくねっ悠くん!♪」

笑った曜の顔は太陽のように明るかった。




次回は…招かれざる客が来ます…!

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57話

お気に入りユーザー登録も増えてきて
めちゃくちゃ嬉しいっす!

今回は遂にあの二人が出てきます…!


「えへへ~悠くん~♪」

「すりすり~♪」

 

「………………」

休日の昼下がり、千歌と曜は俺の部屋で寛いでいた。

……と言っても、相変わらずイチャイチャしてる。

 

「悠くん、マッサージしようか?♪」

「それとも、お菓子食べる?♪」

 

(平和だなぁ…)

こんな日が毎日続くなんて幸せだなぁ…と思ってた…。

 

その時だった。

 

「千歌~…?いる~?……………あらあら?」

志満さんに見られた。

しかし、驚くことも無く話を続ける。

 

(志満さん…完全にこの雰囲気に慣れてきてるよ…!)

(美渡姉だったら、怒られてたよ…)

 

「リビングに来てくれるかな~?」

「リビング?」

「いいから、いいから~♪」

 

そう言うと志満さんはリビングへ向かった。

「…行こうか?」

「そうだね」

「私もついて行くであります!」

 

 

────────────────────

 

リビングに向かうと…知ってる顔が1人居た。

 

 

「あーん、愛しの息子~!」

「………………」

突撃してくる母を迷うことなく避けた。

これが悪質タックルってやつか、恐ろしいな。

 

「くっ…成長したな…息子!」

「帰ってるなら一言言えよ…」

「それじゃぁサプライズにならないでしょ!」

「…さいですか」

 

「…そういえば…こちらの方は…志満さんの娘さん?」

ちょこんと座ってる……女の子?がこちらを見て笑った。

もしかして千歌の妹?…でも三姉妹って言ってたしなぁ?

 

「あはは、やっぱり娘とかに見られるんだね、志満ちゃん♪」

「あらあら、悠くん…私たちのお母さんよ?」

「…は?」

 

疑うようにその人物を見てみる。

千歌よりも背が小さいし、明らかに幼く見える。

……………いやいやいや…これはさすがに…。

 

「嘘…ですよね?」

「ホントだよ♪

私が志満と美渡と千歌のお母さんです♪」

「たまたまそこで会ったから2人でここに来た!」

 

にこやかに笑う千歌ママとうちの母親。

明らかにうちの母親だけテンションが高い。

 

「お母さん~っ♪」

「あらあら、よしよし…ところで、千歌?このお方は?」

「あ!紹介するね!冴木 悠くん!

私たちスクールアイドル部のリーダーで………あ……」

 

「ん?」

 

「…う、ううん!なんでもない!すごく頼れるんだよっ!♪

(危ない危ない…恋人って言えないし…どういう関係っていえば良いんだろう…?)」

(友達以上…恋人…未満?)

 

うーーんと2人して難しい顔をする。

多分、考えていることは一緒なのだろう。

 

「悠くん、ね…はじめまして♪」

「あ、ど、どうも…」

「千歌いい子でしょ~?」

「はいっ、それはすごく」

 

「…で、息子よ?…スクールアイドル部のリーダーとはどういうことだい?」

「…あーー…えーっと…」

 

自分の母親に順を追って説明をした。

すると………………。

 

 

「…はっはっは!」

聞いた母は高らかに笑った。

 

「…え、やっぱりおかしい?」

「違う違う…いやいや、私の目には狂いは無かった、とね」

「……………え?」

 

「…千歌ちゃん、曜ちゃん」

「「は、はいっ!」」

「…どうして…息子が浦の星に行ったか…分かる?」

 

「そういえば…」

「聞かされて…ないね…」

 

2人して顔を合わせて首を傾げる。

 

「浦の星に行くように提案したのは私。

そして、それを受諾してくれたのは……そうね、理事長って言えば…いいかしら?」

「…えっ…それって…鞠莉?」

「ビンゴ♪

…それで、晴れて息子は浦の星に…ってこと」

 

そういえば前に電話で鞠莉の事を少し話していた。

…まさか裏でそんな繋がりが…。

でも待てよ?

 

「…でも、それとスクールアイドル部のことがなんの関係が…?」

「…まぁ、元々鞠莉ちゃんがスクールアイドルをしてたって聞いたのと……あ、そうか」

「…?」

 

「そういや、言ってなかったか…私の仕事はね、

スクールアイドルの活動を広める仕事をしてるのよ」

「えっ!?」

 

「そ、そうなんですか!?」

千歌も驚いた顔をしていた。

 

「前まではスクールアイドルの大会の審査員とかもしてたけど…今は海外にその活動を広める仕事をしてるわ。

…今のスクールアイドルは日本に留まらず…世界にも発信したいってね…」

「だから海外に赴任してたのか…でも、なんで急に?」

 

「Aqours…だよね?

地区大会に出たって聞いたから…調べてたら息子に繋がったってわけ

その話を聞きに来ただけよ」

「…そう、だったのか…」

「ま、元気な顔見れて良かった良かった

そんじゃ、長居は失礼だからそろそろ出るね」

「また海外に?」

 

「ん、今度はイタリアだよ…今回は少し長くなるかもなぁ…

…千歌ちゃん、曜ちゃん…悠の事、よろしくね?」

「は、はいっ!」

「こちらこそ!」

 

 

「…それで~?誰が好みなの~?」

「…やっぱり食えないね…母さんは…」

「ふふっ、まぁ青春を謳歌しなさい?…程々に、ね?」

 

そう言うと、母は十千万を後にした。

初めて聞いた…ここに来た理由と…母の仕事。

でもこうして…この場所にいること…そしてスクールアイドル部に入ったこと…。

どれもこれも…''運命''だったのかもしれない。




次回はダイヤ回です!

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コメント下さる皆様いつもありがとうございます


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58話

今回はダイヤ回!
…R-17.9くらいになるかもなぁ…←


「えっへへ~…どこにお出かけ行こうかな~♪」

「ここはどうかな、千歌ちゃん?」

「うーん…ここも捨て難いなぁ…」

 

「何してるの?」

部室で千歌と果南と曜が賑わっていた。

「今度の祝日にね!みんなでお出かけ行こうって!」

「あー、そっか今度の月曜日は祝日か」

 

文化の日、お出かけ日和だろう。

まだ、地区大会の結果は来てないし、みんなで出かけるのはいい事だ。

 

「それで、どこにするか決めた?」

「まだだよ~♪」

 

あの日のことは後日鞠莉から聞いた。

鞠莉の口からも言うつもりだったが、母に先を越されちゃった、てへっ♪と言ってたので軽くチョップしておいた。

 

「…まぁ、俺にとってはいい事だらけだし…むしろ感謝しないとなぁ…」

「…あ、あのっ…悠さんっ」

ダイヤが耳打ちしてきた。

 

「ん?どうしたの、ダイヤ?」

「…あ、あの…これを…渡しておきます…///」

渡してきたのはリモコンのようなもの。

弱 中 強の三段が書いてあった。

 

「…なにこれ?」

「…そ、それは……あ、あれですわ!…エアコンのリモコン…ですわ…///」

「…なんでまた俺に?」

「よ、予備ですので…無くさないように…///」

「んー…まあ、分かったよ」

 

「(ふふっ…ダイヤったら…冗談半分で渡して顔真っ赤にしてたのに…ほんとに使うなんて…♪

…まぁ、ダイヤも構って欲しいもんね…でも…どうなるかな~♪)…ふふ~ん…♪」

 

「(うう…下に違和感を感じますわ…)…そ、それで場所はお決まりで?」

「静岡じゃないところがいいから…やっぱり東京かな~って♪」

「な、なるほど…それはいいですね…っ」

 

ふと渡されたリモコンを見ると少し違和感を感じた。

「(これ…温度の上げ下げとか…タイマーとか…普通のリモコンじゃないよな…?)…ふーん…」

 

中を押す。

しかし何も起こらない。

 

「…あ、今エアコン付いてたわ…。」

「…っ…くっ…///」

「…ダイヤさん?」

「ダイヤ?」

 

「えっ…あ…く、くしゃみが出そうなだけですわ…!///」

「風邪~?…ダイヤが風邪なんて珍しいね?」

「だ、大丈夫ですわ!///」

 

「……………?」

ダイヤがピクっと動く。

心無しか顔が赤い。

 

「…なぁ、鞠莉…ダイヤなんかあったのか?」

「ふふっ…さぁね~?♪」

「……んー…?」

何か隠してそうだが、それ以上は聞き出せなかった。

 

「…まぁ、いいや…」

机の上にリモコンを置いておいた。

そしてそのまま千歌達の会話に参加することに。

 

「…や、やっぱり…これはいけませんわ…///」

誰にも気が付かれないようにダイヤはリモコンを回収した。

 

「(あ、やっぱりダイヤには少し刺激が強すぎたかな~?)…ふふっ、悠はモテモテね~…♪」

 

会話してる姿を見て嬉しそうに笑う鞠莉。

…どこまでが、計画通りなのかは…鞠莉のみぞ知る、だけだった。

 

 

────────────────────

 

 

「あ、いたいた…ダイヤ~!」

「な、なんですのっ?!大声出して!」

「いやいや…リモコン無くしちゃって…見てない?」

「…あ、ああ…あれは私が回収致しましたわ…///」

 

「回収?なんで?」

「…ぁー…えっと…で、電池入れわすれていたので…!///」

「あ、そういうことか」

 

モジモジしながら答えるダイヤ。

…何か様子がおかしい。

 

「…なんかあったなら…聞くよ?」

「…に、ニブすぎですわ…あんなに激しく乱したのに…///」

「…え?」

 

「…わ、私は…っ!」

ぎゅっと抱きつくダイヤ。

 

「…もっと…貴方に…構って欲しい…ですわ…///」

「…あ…ダイヤ…」

「…嫌とは…言わせませんわよ…?///」

 

「…でも…部室に戻らないと…」

さすがに長い時間居なくなると、千歌達も気にし始めるだろう。

しかし、ダイヤは抱きついたまま離れようとしない。

 

「…もっと…こうしていたい…ですわ…///」

「…分かった…ただ、人目につかないところの方が…」

 

そう言うとダイヤは俺の手を引いた。

着いたのは保健室だった。

 

「…今は先生方は会議をしてるので…保健室は誰もいませんわ…///」

「…ダイヤ…」

「…私の寂しさを…埋めてくださいまし…///」

「…分かった…ダイヤ…気が付かなくて…ごめんな…」

「んっ…貴方は時にニブくて…時に鋭くて…変な人ですわ…///」

「あはは…精進するよ…」

 

ベットに腰掛けたダイヤを優しく押し倒す。

…保健室に出る時、ダイヤは先程と同じようにモジモジしながら歩いていた。

 

…小声で…

「垂れそう…っ…///」

と呟いていたのは…気のせいだろうか?




さあさあ…伝われ…!←ナニを

次回はお出かけデート!(アイデアありがとうございます!)
色々考えてありますのでお楽しみ!

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59話

はっ…!?
お気に入り登録数の霊圧が…消えた…っ!?

「作者のクオリティ不足ずら」

もっといろんな人に見て欲しいのに…どうすれば…!!
ううっ……!
「投稿し続けるしかないずら」
(…果南ちゃん、作者さんがや〇夫に見えたのは私だけ?)
(千歌…奇遇だね…私もだよ…)


「…頼みます!」

【珍しくそっちから電話が来ると思ったら…お金のこと~?

一体どうしたのよ?】

 

「…えーっと…」

 

週末に出かけることになったAqoursのメンバーと俺。

場所は……………。

 

 

「東京だよ!!」

「あ、やっぱり東京なんだね」

「そうだよ!…あ、まぁ…悠くんとか梨子ちゃんは元々東京に居たから馴染み深いだろうけど…」

「う、うんっ…でも、私も久々に東京行きたかったところだし…いいよ♪」

「リリーの場合はアソコでしょ?ア・キ・バ♪」

 

「…よ~し~こ…ちゃ~ん~…?」

ぐぐぐと変則のスリーパーを決める梨子。

 

「サイレントチェリーブロッサム…!」

「いたた!痛いから~!」

 

「梨子は何を必死になってるんだ?」

「さぁ?分かんないずら」

「よ、善子ちゃん……………大丈夫……?」

「だ、堕天するところだったわ…」

堕ちるの意味が違う…って、なんかこのセリフデジャヴ感がする…。

 

「じゃあ、悠くん!週末楽しみにしてるね!」

(…これは~…デートってこと…だよな?

…やばい、さすがに金に余裕持たせとかないと…まずい、か?)

 

ぶっちゃけ、無いわけではない。

ただ、女の子(しかも9人)とデートするとなるといくら必要かとんと見当もつかない。

 

 

 

「…えっと…デート……です…」

【デート?誰と?………………あっ、やっぱりあの可愛い千歌ちゃんと?】

「…えーーーーーーーーーーっと…………はい」

うん。間違っちゃいないよ?…間違ってはいない…けど…。

 

(言えない…っ…男1人と女の子9人でデートなんて…!)

多分言った瞬間に白々しい目で見られて俺のLPは一気にZEROになるだろう。終焉のカウントダウンかよ。

 

【しょーがないわね~…7で大丈夫?】

「すんません…ホント助かります…」

7万もあればどうにかなるだろう…。

 

【別に良いけど…早く孫の顔でも見せなさいよ?】

「ぶっ…!!!…ま、孫って…」

【あら、まだそこまで行ってないの?】

「えっと…はい…」

 

これも言えるわけない…まさかみんなに…と。

そんなこと言ったらお前はいつから一夫多妻制になったんだと言われてLPがゼロどころかマイナスになるだろう。

エクゾ〇ィアかよ。

 

【冗談よ…ただ、仲良くしなさいよ~?

…っと、じゃあ仕事に戻るから…明日にも確認しておきなさい。】

「ありがとう、母さん」

 

これで心配なくデートに出かけられる。

こういう時、人間は楽しみなことがあると日が過ぎるのが早く感じる。

平日の学校もあっという間に過ぎ…約束の週末になった。

 

 

 

「よーし!Aqours集合~!番号!」

「1!」

「2!」

「3!」

「4っ」

「5♪」

「6~っ」

「7!」

「8っ」

「9~!」

 

「…元気だなぁ…」

十千万の前で点呼を取る千歌。

 

「はい、悠くんも!」

「え、あ…10」

「はいっ、というわけで…全員集合したので…いざ、東京に!」

「…あ、ちょいまち?」

「ふぇ…?

悠くん、どうしたの?」

 

「行く前に確認したいんだけど…本当にその格好でいくの?」

「…ダメ?」

千歌の服装は明らかに私服ではなく…ライブの衣装だった。

 

「…いやぁ~…目立つかな~って…」

「うーん…せっかくの東京だし…目立った方がいいかな~って思ったけど…悠くんがそう言うなら着替えてくる!」

そう言うと急いで部屋に戻る千歌。

 

「あはは…私達も止めたんだけどね…」

「千歌ちゃん、東京に行くってなったら張り切っちゃって…」

 

「ルビィも…東京初めてだな……どこに行くか、沢山決めたんだよ♪」

「せっかくの休みだし、いい思い出出来るといいな」

「うんっ♪」

 

「あぁ…ルビィの笑顔が眩しすぎですわ…っ」

「私も東京は初めてだな~、悠のリード期待してるからね?♪」

「任せておいてよ、果南」

 

「お待たせ!」

お色直しをしてきた千歌。

今度は普通に可愛らしい服装だった。

 

「よし、じゃあ行こうか?」

「あ、待って悠くんっ」

千歌がトコトコ歩いて耳打ちした。

 

「…この服はね…いつか、悠くんとデートする時に着ていこうって…決めてたん、だよ?///」

恥ずかしそうに笑う千歌。

こんな風に考えてくれてる姿に胸を打たれる。

 

「…千歌…」

「お二人共~?バスが来てますわよ~?」

「は~いっ♪…行こっ、悠くん!」

「お、おうっ!」

 

そこからバスに揺られること10数分。

さらに沼津の駅から電車に乗ること1時間半…。

 

遂に東京に着いた。

…とはいえ…俺が来るのは半年ぶり、と言ったところか?

梨子は先週来ていたけど…。

 

「こ、ここが東京……………っ!」

「未来ずら~♪」

 

東京の壮大な駅の内部を見た2人は目を輝かせた。

「東京に初めて来た人ってあんな感じの感想言うよね」

「あ、あはは…」

これには思わず梨子も苦笑いだった。

 

「やっぱり、都会だね東京って♪」

「人が多いわね…悠、はぐれないように手を握ってなさい?」

「…普通それは俺が言うセリフなんだけどなぁ…」

 

「………さて、皆さん行きたいところはそれぞれ違うようですが…これからの回る順番はどうしますか?」

「さすがに、みんなの意見を聞いて回ってたら一日じゃ無理だもんね……二手に別れる?」

 

 

 

 

話し合いの結果、二手に別れることとなった。

 

 

「…さて、俺は誰と行こうかな…?」




次回は3パターンに分岐いたします!!
(ん?3パターンってことは…??)

どのような内容になるかお楽しみに!

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60話

間隔あいてすいません!

悠くんは千歌ちゃんに声をかけることにしました!

デート編Part1です!
ナンパとか暴力系のシーンは作りません、悪しからず!


「千歌はどこに行くんだ?」

 

「私は曜ちゃんとルビィちゃんの3人で…じゃじゃーん!

秋葉原と神田明神だよ!」

「おぉ…やっぱり?」

 

何となく、秋葉原は予測がついていたが…。

神田明神?どうしてまた?

 

「ここはね、μ'sの聖地なんだよっ♪」

「スクールアイドルとしては一回は行っておかないとダメだよね!♪」

鼻息荒く2人が力説する。ホント2人ともμ's好きだなぁ…。

 

「…曜は、秋葉原と神田明神で大丈夫なの?」

「うんっ、それに…私もしたかったことがあるし…♪」

「…したいこと?」

「えへへっ、内緒♪

それじゃあ~…秋葉原に向けて、ヨーソロー!」

「「ヨーソローっ♪」」

 

「…よ、ヨーソロー…」

こうして俺と千歌と曜、ルビィの4人で秋葉原に行くことに。

もちろん、案内役は俺だった…。

 

 

「すっごーい…建物が沢山…!」

「電車早ーい…!」

子供のように食い入る様に窓から外を見るルビィ。

電車の駅の多さと早さに驚く千歌。

 

曜は東京のガイドブックに目を通していた。

…その真ん中に座る俺。

 

「そういえば、お兄ちゃんは東京のどこに居たの?」

「「お兄ちゃん!?」」

 

…あー…そういえば一時期ルビィがお兄ちゃん発言していたな…ダイヤも居ないし、致し方ないっちゃ致し方ないか。

 

「東京ったって…田舎だしなぁ…区外だし」

「へぇ~…凄いなぁ~♪」

それでも凄いと感心するルビィ。

 

「ゆ、悠くんも普通に答えてるし…!」

「い、意外とそういう風に呼ばれたい願望が…?」

 

「「…?」」

あわあわしてる2人を不思議そうに見る俺とルビィだった。

 

 

────────────────────

 

「着いた~っ♪」

「こ、ここが…秋葉原…!」

 

曜が一番乗りで駅を出てルビィが嬉しそうに辺りを見回す。

千歌は……特に何も発してない。

 

「…と、東京ってことは…あちらこちらに…こう、ですわ~とかおほほ~♪みたいな人が居るってこと!?」

…大丈夫、千歌。身近に1人そういう人いるじゃん。

というか、偏見が凄い。

そんな言葉ばっか使ってるとかどこの王国貴族だよ…。

 

 

────────────────────

 

 

「っくしゅっ!」

「あれ~?ダイヤ…風邪?」

「もしかして~…悠が噂してたり♪」

「…ありえますわ……くしゅっ!」

 

────────────────────

 

 

「それで、どこに行くの?」

「秋葉原にあるスクールアイドル専門店!」

「そんな所あるのか…」

 

「いざっ、レッツゴー!」

「おーっ♪」

 

意気揚々と歩き始める千歌とルビィ。

そして後を追う俺と曜。

曜の目線は俺の方ばかり向いていたが…。

 

(やっぱり悠くんの私服姿カッコイイなぁ…見れば見るほど…知れば知るほど…惚れちゃうよ、ホント…///)

「曜、どうした?

人混みで酔っちゃったか?」

「ううん!大丈夫だよ!(その上優しいし…ほんと、悠くんにぞっこんだよ…っ)」

 

「悠くん、曜ちゃん~!早く早く~!」

「よし、行こうか曜っ」

「うんっ♪」

 

 

 

────────────────────

 

 

スクールアイドル専門店にやってきた俺と千歌とルビィと曜。

目の色輝かせながら物色する千歌とルビィ。

その様子を見つめる俺と曜。

 

「…ほんと、μ's好きなんだなぁ」

「その憧れと…悠くんが居たからここまで来れたんだよっ♪」

「…あはは、なんか照れるな…」

「千歌ちゃんもルビィちゃんもみんな思ってるよ!」

「…じゃあ、最後まで支えないとな!」

 

「いっぱい良いもの見つけた~♪

…あれ、2人ともどうしたの?」

「ううん、これからのことについて話してたんだよ

…それより、たくさん買ったね…」

 

「えへへ…だってこんな時じゃなきゃ買えないもん!」

「ルビィも…ついつい…」

 

「…ほら、半分持ってやるから…神田明神に行くよ?」

「「はーいっ♪」」

「あ、悠くんっ、私も持つよ♪」

 

4人で仲良く荷物を分担し、神田明神に向かうのであった。

 

 

────────────────────

 

「おおおお……っ!♪」

「ここが…神田明神…!♪」

 

「なんか壮大なところだな~…って、千歌とルビィは早速写真撮影だし…」

「だって前回大会の優勝チームμ'sがここでお参りしたり集まったりしてたんだよ!?」

「しかもその後は突然の解散…これは来なきゃ行けないんです…!」

 

「…ははっ…」

2人のスクールアイドル愛…というかμ's愛には脱帽される。

「…というか…やっぱり人が結構いるんだな…」

 

参拝客だろうか、平日にも関わらず人はかなり居た。

「はぐれないようにしないとな?」

「そうだね!♪」

 

 

「…君ら、スクールアイドルなん?

…ウチらの事、憧れてくれてありがとな…♪

…頑張るんよ?」

 

「えっ!?」

すれ違った人だろうか、何か言われた。

急いで振り返るがそこには誰もいなかった。

 

「…悠くん?」

「…いや…聞き間違い…かな…?」

 

「早速お参りしてくるねー!」

「あ、千歌ちゃん!ルビィも行く~!」

 

「はぐれないようにって言ったのに…やれやれ…

…曜はなにしてるの?」

「えっ、あ、いや!なにも!」

 

さっと何かを隠す曜。

苦笑いを浮かべてるが…なにか見つけたのだろうか?

 

(…恋愛運 道は遠し…か…

…でも、それくらいじゃなきゃ…燃えないもんね!)

千歌とルビィの後を追う曜。

その目はどこか決意に満ち溢れていた。




そういえば今ガチャの曜ちゃんと鞠莉ちゃん単発で当てました。
ガチャの完全制覇ですね、本当にありがとうございます。

励ましてくれた人は…誰でしょうかね?

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61話

立て続け投稿!

悠くんは果南ちゃんに声をかけることに…!


「果南は、どこに行くの?」

「ん、私?

私はダイヤと花丸ちゃんと一緒に浅草と…花丸ちゃんのリクエストでスカイツリーに行くよ♪」

 

「…スカイツリーって…どんなところだか知ってる?」

「…え?…わ、わかんないけど…」

「…そ、そうか…」

静岡にあんな高いタワーないし…驚くよね、絶対…。

 

「そうですわっ、悠さん案内してくださいますか?」

「え、俺?」

「浅草は人が多いと聞きまして…ここは土地勘のある方がいるので心強いと…」

「まるからもお願いするずら…」

 

「俺は全然構わないけど…それなら梨子でも…」

「もう梨子ちゃん達も千歌達も別のところ行ったよ?」

「えっ、はや!」

「それだけ皆さん、東京巡りを楽しみにしてたのですわ

…さぁ、悠さんエスコートよろしくお願い致しますわ♪」

「…OK、3人ともはぐれないでね?」

 

「ありがとうございます♪」

「よしっ、じゃあ行こっか♪」

「出発ずらー♪」

 

────────────────────

 

「…ここが、浅草の入口…雷門!」

電車を乗り継ぐこと、30分。

無事に雷門前に到着。

 

「おっきいずら~…!」

「雷門は…天慶5年に設立されて…重さは…700Kgあると言われてますわ」

「さすがダイヤ、博識だね♪」

「…って、東京のガイドブックに…///」

 

恥ずかしそうにガイドブックで顔を隠すダイヤ。

なんだかんだ言っても生徒会長さんも東京に来てみたかったのだろう。

 

「それで、ここにいる2体の像が…風神と雷神だよ」

「お疲れ様ずら!!」

最敬礼をする花丸。

…うん、確かに年は上だろうけど最敬礼なんかされたら2体の像もびっくりすると思うよ…。

 

「仲見世通りおっきいね~♪」

「どら焼き美味しそうずら~♪」

早速、食べ歩く花丸。

 

「…こ、これが…名物の雷おこし…っ!」

「あはは…みんな気になったのがあったら言ってね

ご馳走するからさ」

「えっ!?」

「よ、よろしいのですかっ!?」

 

「…え、いいけど…?」

「さっすが悠、太っ腹♪」

…ありがとう、母様のおかげでいい所が見せれそうだよ。

…さすがに3人の女の子とデートとは言えないけど…。

 

────────────────────

 

 

「お腹いっぱいずら~♪」

「大変おいしゅうございました…♪」

「じゃあ、次はスカイツリーだね♪

…それで、どこにあるのかな?」

 

「…えーっと…着くまでのお楽しみ…かな?」

既にてっぺんは見えているけど…あえて内緒で。

 

 

浅草・浅草寺から移動すること10分。

3人は天高く上を見上げた。

 

「…え…あ…っ…」

特に果南は空いた口が塞がらない状態。

「未来ずら~っ♪」

「634m…実際見ると…やはり圧巻ですわね…」

「…わ、わわわわ、私やっぱりやめておく…っ!」

逃げようとする果南を抱きしめて捕まえる。

 

「なんで?」

「…だ、だだだだって…!」

…ピンと来た。

 

「果南…もしかして…''高いところ苦手?''」

「べっ…!………べ、べべ別に大丈夫だよ!?

ほ、ほらっ!みんな行こ…っ!」

足と手が一緒に出ながらも歩き始める果南。

 

「…大丈夫か、果南のやつ」

「あれは絶対に苦手なタイプずら…」

「長いこと一緒にいますが…初耳でしたわ…」

 

引きつった笑いを浮かべながら歩く果南を追う俺たちだった。

 

 

────────────────────

 

エレベーターが高速で進み、画面に現れたのは地上350mの文字。

 

「地上350mって言ってもあんまり実感無いずら…」

「悠さんは、来たことがあるのですか?」

「うん、1回だけね…母親と

…果南はいつまで隅っこに…」

 

「えっ、べっ別に大丈夫だからね!?」

「…まぁ、この景色見たら高いところもへっちゃらだよ」

 

目の前に広がるのは一面ガラス張りの窓。

そこからは豆粒みたいに小さい建物や車の姿が見えた。

 

「凄いずら~!!」

「高いですわ…!」

食い入るように外の景色を見つめる2人。

…しかし、果南は。

 

「…こ、ここ…ガラス壊れないよね…!?」

「壊れないよ…」

「ちょっと少し傾いてない!?」

「傾いてないよ!」

 

「あ、果南ちゃんの下の床透けてるずら」

「ええっ!?」

よくある透けてるガラスの床。

東京タワーとかでもあるが、流石に果南にとっては初めての体験…悲鳴をあげるのかと思われたが…。

 

「…こ、こんなのへっちゃらだよ…っ」

しかし、じーっと下に目線をずらした果南。

その高さと恐怖からへなへなとこちらに抱きついてきた。

 

「はぐぅ~…」

「か、果南…よく頑張った…」

「ちょ、ちょっと~!」

ダイヤが周りの目もあるからだろうが注意する。

しかし、果南は離れないようとしない。

結局、回る時は俺の腕をしっかりと掴んでいた。

…まぁ、俺的には柔らかい胸の感触が腕に来て役得だったんだけど…。

 

そんな姿を見てジト目をしながらジュースをすする花丸。

 

 

「…あ、そういえばさらに上の450mってあるけど…」

「…も、もう無理~!」

「行ってみるずら!」

「私も賛成ですわ!」

「…え、ええええ~っー?!」

 

果南の拒否も虚しく、450mの展望台にも登ることに。

着いた瞬間から果南の足はすくみ、まるで怯えた猫のように腕にぎゅっとしがみついていた。

…あ、でも少し涙目で悠ぅ…って言われた時は正直刺さった…めっちゃ可愛かった…。




次回はGuilty Kiss回!
善子があるものを召喚(?)します。

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62話

評価人数20人!皆様本当にありがとうございます!
感想件数ももうすぐ100!


今回はGuilty Kiss回!


「梨子はどこに行くんだ?」

「私は、善子ちゃんと鞠莉ちゃんでお台場に」

 

「…おー、お台場か…」

確かに有名なところだが、行ったことは俺もない。

 

「俺も一緒に行こうかな?」

「oh♪もちろんウエルカムよ~♪」

「リトルデーモンのお願いなら断れないわね♪」

「ふふっ、じゃあ悠くんも一緒に行こうね♪」

 

こうして俺と梨子と善子と鞠莉の4人でお台場に行くことになった。

 

 

────────────────────

 

「…さてと、着いたよ?」

電車を乗ること30分程でお台場に着いた。

 

「あれが…フジテレビの球体ね…なかなか強い魔力を感じるわ…♪」

「…え、えーっと……善子ちゃん、魔力って言うよりも迫力を感じるんじゃなくて…?」

「似たようなもんよ!」

 

「それで、最初はどこに行くのかしら?」

「とりあえず~…ダイバーシティかな、色々揃ってるし……………」

「決まりね♪

じゃあ、悠のESCORTで東京を満喫しましょ♪」

 

ダイバーシティの広場に着くと善子の目が輝いた。

「感じる…魔力2000万のリトルデーモンが…!!」

 

善子の視線の先にあったのは…ガ〇ダムだった。

…いや、というかガン〇ムが魔力2000万って…。

あれか?白い悪魔だからか?デーモン的な?

 

「あれって、動くのかしら?」

「いや、アニメで出てくるロボットを忠実に再現したんだよ

だから1時間に何回か動いたりするよ」

「よく出来てるね~…って、善子ちゃん?」

 

「このリトルデーモンを背景に写真撮って!」

完全にガン〇ムの虜になっていた善子。

様々な堕天ポーズと共に写真がふえていく。

 

いつの間にか鞠莉がベンチに座りクレープを食べていた。

 

「…悠も食べる?♪」

クレープを差し出す鞠莉。

お言葉に甘えて1口貰うことに。

 

「…ふふっ、なんか可愛い弟ができたみたい♪」

そういうと優しく頭を撫でる鞠莉。

普段目にしない鞠莉のお姉さん感にかなりドキドキしてる自分がいる。

 

そんな様子を横目でチラチラと見る梨子。

「…私は…悠くんって、お兄さん感ある、かな…?♪」

「…ど、どうしたのよー!二人ともそんな………うぅ…私も…悠はお兄ちゃんって………呼んでみたいけど…」

 

鞠莉が放った一言が更なる引き金を呼び、悶々と頭の中で何かを考える梨子と善子。

 

「ふふっ…悠はホントにモテモテね♪」

「まだそうやってからかう……」

「あら、事実を言ったまでよ?

…私たち3人に…たくさん中でしちゃって…♪」

 

「あ、あれは…!」

「…でも…すっごく嬉しかったのよ…?♪

…もし…身篭っても…私は…構わないって思ってるわ♪」

その一言に梨子も善子も静かに頷いた。

 

「…3人とも…」

「ホント、罪な男ね…悠は」

「でも、そんな悠くんの事が大好きな私達も…ある意味罪ってこと…かな?」

「ノンノン♪…愛こそ全て、よ♪」

 

その後は、3人はお台場海浜公園に行ったり、フジテレビに行ったり満喫した。

なぜか、海浜公園で俺は鞠莉からのリクエストで歌わされることとなった…。

あとから聞いたが、梨子が千歌や果南、鞠莉に悠くんは歌が上手いと言っていたそう。




……………うーん!
こんな感じでデート編を区切りつけたいと思います!
次は本編でございます!

相変わらずの駄文の中読んでいただきありがとうございます
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63話

曜ちゃんの寝そべりぬいぐるみを枕元に置いているA×Kです。
残念ながら夢までは見れません←


「……………」

 

「…………………………」

 

「………………………………………」

 

部室で椅子に座る全員。

目の前にあるパソコンを見つめながらみんな沈黙を貫いていた。

 

今日は地区大会の合否発表。

…もし、ここに名前があれば…代表という事になる。

…無ければ……そういうことになる。

 

「…だ、誰が見ますか…?」

以前もやったようなやり取りをするダイヤ。

もちろん、進んで手を上げる人は居ない。

 

「…よし、俺が見るよ…」

「さすがリーダーずら!」

「…悠くん…お願い…っ!」

 

パソコンが目の前に置かれる。

画面にはラブライブ 東海地区大会 結果発表のリンクがあった。

既に地区大会を突破してるのは…北海道のSaint snowただ一組。

 

…大丈夫、みんなやれることはやってきた…。

困難もあったし、衝突することもあったけど…Aqoursの結束はどのチームよりも…強いと信じてた。

 

…マウスを操作する手も少し震えていた。

「…大丈夫だよ、悠もきっと考えてる事は…一緒だよ♪」

「…果南………………うん、ありがとう」

 

俺の考えてること……それは…………

─────もっとAqoursのみんなと…輝きたい。

もっともっと…上を目指したい。

1番大きな舞台で輝く彼女たちを…この目で見たい。

 

 

カチッ。

 

 

 

─────────────────

 

 

ラブライブ 東海地区大会

 

優勝 Aqours

 

 

─────────────────

 

 

「……………」

静寂が部室を包む。

 

しかし、俺の目には確かに見えていた。

優勝……………Aqours、と。

 

「……………っ…!!!」

握りこぶしを作る千歌。

押し寄せる感情を一気に爆発させた。

 

「やっ……たああああああ!!」

「す、凄いよ…地区代表だよ…っ、お姉ちゃん!!」

「…えっ…あっ…ほ、ホントですわ……!!!」

あのダイヤですら状況が飲み込めないほど放心状態になっていた。

 

「…やったね♪」

「ノンノン、まだまだゴールじゃないわよ?♪」

タッチを交わす果南と鞠莉。

 

「その通り!堕天使ヨハネの名をまだまだ広めさせてやるんだから!!」

「善子ちゃん、前にも言ったけど椅子の上に立つのは危ないずら」

 

「えへへ、やったね千歌ちゃん♪」

「これで、約束通り9人でライブが出来るね♪」

「うんっ!…それで…本戦は…一体…?」

 

「来年の…2月、ですわ」

「これはまた随分と期間が空くね」

「…まぁ、1年の総決算と言うことでしょう

前にも説明しましたが…」

 

キュッキュとペンを走らすダイヤ。

 

「本戦は2回ライブを致します

…とは言え、1回目のライブで上位2位までに入らないと意味はありませんが…」

「つまり、それも考慮してライブの曲と衣装を作らなきゃってことか…」

 

「…ええ、ましてや本戦…一筋縄ではいきませんわ」

「今までとは違った切り口のライブをするって言うのも…手って事か」

他のチームを出し抜くにはそれくらい必要、ということか。

 

 

「…燃えてきたな、千歌?」

「うん…ここまで来たら…狙おうよ、優勝!」

「ヨーソローっ!♪」

「ふふっ、千歌気合十分だね♪」

 

「もちろんだよ!

…だって…作れないって思ってたスクールアイドル部が…ライブが出来て…ここまで走ってこれた。

その一歩一歩が…奇跡だよ!」

「ははっ、奇跡…か…千歌らしい例えだな

…でも、そうだな…見せてやろうぜ、俺たち…Aqoursの奇跡を」

 

 

ここまで来たら…狙うはただ一つ。

いつか少女達が見た…夢。

輝きたいと願った…あの舞台へ。

優勝に向かって……………突き進むだけ!




次回はアイデアを貰ったので小説にしたいと思います!
1日2話投稿!!


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64話

と言う訳でただの通りすがりさんからアイデアを頂いた

果南×ホラー系

小説です!!


夜の8時。

千歌が先に風呂に入ってるので風呂待ちをしている時だった。

 

ガラガラガラ…

 

「…ん、こんな時間に来客か?」

玄関口から話声が聞こえるが…志満さんと…女性?

 

「…あっ、悠くん?千歌は、まだお風呂かしら?」

「ええ、まだ入ってますよ」

「あらあら…果南ちゃんが来たんだけど…」

「えっ、果南が?」

 

千歌の代わりに玄関まで行くとそこには確かに果南が居た。

 

「…こんな時間にどうしたの?」

「…えっと……じつは…」

 

──────────────────

 

「携帯を学校に置き忘れた~?」

「しっー…!!」

 

話によると、学校のカバンの中に入れたつもりの携帯を教室の机の中に置き忘れてしまったよう。

 

明日の朝でも取りに行けば…と思ったが、ないとやはり不便。

取りに行こうとしていた所…なのだが…。

 

「…取りに行くのに…なんでここに来たの?」

「…えっと…その……うぅ…」

「…あ、もしかして…怖い…とか?」

「……………うっ……………」

 

図星なのか目線を泳がす果南。

なるほど、これは意外な弱点だ。

 

「悠…お願いっ、一緒に付いてきて~…」

「それは構わないけど…大丈夫なのか?」

「鞠莉には報告してあるよ…大丈夫大丈夫♪って返事が来たけど…」

「そう言えば鞠莉って理事長なんだよな…すっかり忘れてたわ…」

 

靴を履き、十千万の外に出るが…時刻は夜の8時。

残念ながらバスはもう走ってない。

 

「…どうやって学校まで行く?」

「…うーん…歩きしかないのかな…」

「それじゃあ労力使うだろ……ほら?」

 

自転車を持ってきて跨る。

「…え?」

「だから、後ろっ」

「…え、ええ…大丈夫だよ…っ」

「いいから、いいから…ほら?」

「…う、うん……………ありがとう…」

 

十千万から学校まで二人乗りで行くこととなった。

ホントはいけない事だが、夜で人通りも少なく見られることは無かった。

 

─────────────────

 

「…えへへ、なんか恋人っぽいね♪」

「ん、そうか?」

「こういうの…憧れてたんだ…♪」

「それはよござんした…っと!」

「きゃっ!」

 

坂道を下ると一気にスピードが加速した。

落ちないようにしがみつく果南。

背中越しに柔らかい感触が伝わってきた。

 

 

──────────────────

 

そうこうしてるうちに夜の浦の星女学院に着いた。

 

「…それで、どこから入るんだ?」

「鞠莉からは…1階の西棟の一番左端の窓がいつも鍵がかかってなくて空いてるよ♪って…」

「なんで鞠莉はそんなこと知ってる…」

 

とりあえず言われた通り西棟に向かうことになった。

 

 

 

「…ここか?」

「…う、うん…そうだね…」

さっきから果南の口数が少ない。

やはり怖いのだろう。

 

「…ほんとだ…空いてる…」

「やっぱり…入らないと…ダメ、だよね…?」

「…俺だけ行こうか?」

「ひ、1人は嫌~っ!」

「…はぁ、やれやれ…ほら、肩に乗っかって中入りなよ?」

「…う、うん…よいっしょっと…」

 

果南が学校内に入ったことを確認し俺も中に入った。

…入った瞬間に思った。

 

「……………めっちゃ…静か、だな…」

シーンとしてる校内。

廊下の先は真っ暗で何も見えなかった。

 

「…う、ううっ…」

「これは出るかもな…」

「え、ええっ!?」

「冗談だよ」

「も、もぅ!訴えるよ!

…あっ…もしかして…霊感とか…あるの?」

 

「……じつは…」

「…え、えええっ……………?」

「無いよ、ほら行くよ?」

「…も、もー!待ってよ~!」

 

携帯のライトを手にし、3年生の教室へと向かう。

 

「…な、なんで3年生の教室3階なの…」

「こういう時って長ーく感じるよね…」

「ひっ!な、なにか動いた!?」

 

「…窓が動いたね、多分外風が強くなってきたのかな?」

「…うう、早く出ようよ~…」

「大丈夫だよ、なんかあったら守ってやるから」

「…何も無いことを祈る…」

 

 

キーーーーっ………………

 

「な、なんの音っ…!?」

「…この教室からだな…」

 

思い切り教室の扉を開けるがもちろんそこには何も無く。

 

「…なんかが擦れた音か?」

「…ううう……………」

縮こまるように腕にしがみつく果南。

なんか見てて可愛く見えてきた。

 

「…ほら、3年生の教室」

「な、中まで一緒に来て…」

「はいはい…」

 

中に入るとすぐさま自分の机を確認する果南。

「あっ……………!…あった!」

「良かった良かった…じゃあ、戻るよ?」

「う、うんっ…!」

 

その時だった。

 

バンッ!

 

 

「ひっ!!!!」

「…なんだ?」

 

何かが落ちるような音がした。

 

「ゆ、悠~…」

涙目になりながら声を震わせて名前を呼ぶ果南。

そろそろ限界のようだ。

 

「大丈夫、何もいないからね」

…ちらっと横目で見たが…花瓶が落ちていた。

そして窓に''何かが''横切った…ような気がした。

多分、それを言ったら果南が怖がるだろうからあえて言わないことにした。

 

─────────────────

 

「ふふっ、果南ったら昔から怖いのと高いところ苦手もんね~♪

…花瓶が割れたのは…計算外だけど…ま、いっか♪」

 

一部始終を見た鞠莉は颯爽と帰って行った。

 

 

─────────────────

 

 

果南の家まで自転車で送っていくことになった。

夜の学校に行った後だと1人で帰るのはさすが怖いだろう。

 

時刻は10時を過ぎていた。

「…じゃあ、俺は帰るね?」

「あっ、ま、待って…!」

「ん?」

 

自転車で十千万まで戻ろうとすると果南に止められた。

「…遅いし…泊まって…いきなよ?」

「…えっ…でも…」

「ちょっと今日は怖くて…悠が隣にいないと…寝れない…かも…」

 

「…ん…分かった…果南がそう言うなら…そうしてあげるね」

 

 

千歌に連絡を入れて果南の家に泊まることに。

いつもより力を込めてハグをしながら眠りについた果南。

相当怖かったのか、離そうとしなかった。

 

顰め面をしながら寝てる果南の頭を優しく撫でると…

少し落ち着いて幸せそうな顔をしてるようにも見えた。




果南ちゃんを怖がらせてググッと距離を近づかせたい。
そのまま押し倒したい←危険

次回は…またまたまたあの人が登場します。


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65話

無料ステップアップガチャで爆死してるA×Kです。
確変は終わりましたな…(*^◯^*)


 

prrrrrrrrrrr…。

 

「……………」

嫌な予感しかしなかったが、一応電話に出ることに。

 

「あ、しもしも~?

三〇大輔?ばんてふいっちょ、よろしくね~♪」

 

「…おかけになった電話番号はおでになりません

ピーという発信音の後にすぐに電話をお切りに…」

「相変わらず可愛げ無いわね~…そんなんだから彼女出来ないのよ?…この前の千歌ちゃんとのデートはどうだったのよ~?」

 

「…うっ…まぁ、楽しめました…」

色々と突っ込みたかったが、あえてスルーしておくことにした。

 

「…まぁ、早う孫の顔で見せてちょ」

「孫って…」

…気が付かれてる?

でもね、お母様もしかしかたら孫は9人できるかもよ………。

 

「…それで、電話の要件は?」

「あ、そうそう…地区大会、勝ち進んだんだってね?」

「…お陰様で、な」

「こっちでも情報は入ってるよ~…やっぱり、Saint snowが優勝大本命だね」

「…そんなに凄いのか?」

 

「一度会ってみれば分かるわよ♪」

「って言っても北海道だしなぁ…」

「まぁ、出るからには全力でやりなさい?」

「そっちはどうなの?…まだイタリア?」

「楽しくやってるわよ~、日本人の渡辺って人とも仲良くなっちゃってさ~」

 

「…まぁ、楽しそうならよかったよ」

「アンタもそろそろ千歌ちゃんにアタックしてみ?」

「…余計なお世話…切るよ?」

 

電話を切ると鞠莉から連絡が入っていた。

 

「…ん、鞠莉か?」

「珍しく電話中だったけど、なんかあったの?」

「ううん、母親からだよ」

「あぁ、そうだったの?

…それで、大したようって訳でもないんだけど…」

 

 

────────────────────

 

 

「…学園祭?」

「ええ、そろそろ近くってね…それで、悠には唯一の男の子としてアイデアを貰おうかな~って♪」

 

「…やっぱり、鉄板のライブじゃないの?」

「ふふっ、やっぱりそう来るよね~♪」

 

何か意味ありげに笑う鞠莉。

考えでもあるのだろうか。

 

「…今回は、悠も参加するライブにしましょ?♪」

「…は?」

「だってAqoursのリーダーなのにライブに参加しないのも変でしょ?」

「嫌だって、俺は裏方だし…!」

 

「賛成!」

話を聞いていた千歌がずいっと電話に乱入してきた。

 

「悠くんもライブに参加しよ!」

「ちょっ、千歌…聞いてたの?!」

「はいっ、2対1で決定ね~♪

まぁ、他のメンバーに聞いてもOKすると思うけど♪」

 

「…はぁ、分かったよ…ただ、センターとかやめろよ…目立つから…」

「ふふっ、分かってるわよ♪(それってフリよね?♪)」

(鞠莉ちゃん、期待してるよっ!♪)

 

 

こうして、学園祭の特別ライブに参加することとなった。

…嫌な予感しかしない…。

というか、ダンスとか自信ないんだけど…。

 

 

────────────────────

 

一方その頃、北の大地…北海道では…

 

「姉さま、何を見ているのですか?」

「あ、理亞……いえ、他の地区大会の結果を少し…」

 

「…これは…東海地区?…Aqours…」

「えぇ、少し気になって…9人という多いメンバーですが…上手くまとまっていて1つの大きな力となっているように見て取れます」

「…で、ですが…私たちの方が上です!姉さま!」

「気負いしてる訳ではありませんよ…ただ、少し気になっていまして…」

 

このチームを引っ張る…リーダーは誰なのか、と…。




次回は…学園祭の練習編!
そろそろ花丸とかと絡ませたいな…。

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66話

「……………」

「作者さんが死んだ魚の目をしてるずら…」
「千歌にはFXで有り金全部溶かした顔に見てるよ?」

「いったいどうしたというのですか!?」

「…あ、いや……………仕事が立て続いてて…(ガクッ)」
「あ、死んだ…」

更新遅れてすいませんでした……!
仕事って…楽しいですよね←


「………いくずら………」

「…こいっ!」

 

文化祭の練習兼打ち合わけで体育館に来たが…何やら千歌と花丸が舞台の上で構えあっていた。

 

花丸の手にはどこからが持ってきたのか分からないが…指示棒があった。

 

「貴様の陰我…私が断ち切るずら…っ!」

いや、断ち切るんじゃねぇ。

 

「私1人の力じゃない…この歌は、9人の…絶唱だあぁ!」

絶唱すな。

 

「…あれは…シンフ〇ギア…?」

「ルビィ…よく知ってるね…」

「しかもなんで〇狼なのよ!」

「…善子はなんでそれを知っている…?」

 

「え?カッコイイじゃない、牙〇」

「…まぁ、確かにそうだけど…」

 

「はいはい、そこまでだよ二人とも」

「いっ…!」

「ずらっ!?」

 

果南のチョップで動きを止めた千歌と花丸。

魔戒剣士も奏者も果南のチョップには敵わなかった。

 

「ん、んんっ!

…学園祭ライブの打ち合わせをしますわよ」

「はーい」

「よろしくね、ダイヤ」

 

「…こ、今回のライブは…鞠莉さんの提案と意見で手筈を進めますわ…///」

顔を赤くし、俺と目を合わせないようにしゃべり続けるダイヤ。

……………ん?…鞠莉の提案と意見…?

 

「…どういう事?鞠莉?」

「…ふふーん…♪」

 

鞠莉が舞台に上がる。

……………物凄く嫌な予感しかしない。

 

「今回の~ライブのcenterは…悠で~す!♪」

「「「おぉ~!♪」」」

 

千歌や曜…果南、花丸が喜びの声をあげる。

「…大抜擢ね、リトルデーモン?」

「却下!!…って言うか、鞠莉…俺はあれほど…!」

 

「ノンノン、そんな消極的じゃダメよ悠?

…それに、満場一致で賛成多数ってことで♪」

「…おまえらなぁ~…」

「「「えっへへ~♪」」」

 

嬉しそうに笑う他のメンバーを見て、ガックリと肩を落とす俺だった。

 

 

────────────────────

 

 

「それで、どんなライブにするの?」

「…それは、果南から言ってもらうわ♪」

 

「…え?」

果南から?

少し驚きつつも果南の顔を見る。

 

「…悠には…ライブのサビの前で決める…''バク転''をして欲しいの」

「……………は?」

 

…バク転?…難点?

「…えーーーーっと…言ってることがよく分からないというか…」

「…まぁ、そうだよね…」

「本当はね、果南ちゃんも昔やってたんだよ…ライブでバク転」

「…なんとなく、想像できるかも」

 

「でもそこで怪我しちゃって…それが昔、私たち3年生がスクールアイドルを辞めるきっかけだったの」

「……………あの時の話の内容はそうだったのか…

でも、なんでそんな役目を…俺に?」

 

「…悠なら、出来るって…信じてるから

悠とAqoursのみんなと…こうやって1つのライブで参加できるから…何か、達成したい!…そう思って…」

 

…確かに、ライブの舞台に立って歌ったり踊ったりするのは初めてで最後かもしれない。

そんな場をくれたのは鞠莉でもあり…果南でもある。

 

──────やる前から逃げ出すのは…良くないよな…。

 

「…よっしゃ、なら早速練習だな!」

「本当…!?」

「さっすが悠くん!♪」

「しっかりサポートするであります!」

「本番まであまり時間がありませんが…悠さんなら出来ると信じてますわ♪」

 

こうして、ライブの練習と俺の見せ場でもあるバク転の練習が始まった。

 

 

…までは良かったのだが…。

 

 

「のわあああ!!?」

バターーーン。

 

「だ、大丈夫ずら?!」

「…いてて…やっぱり難しい…」

体勢を崩し転倒。

怪我とまでは行かないが打撲っぽい跡が残った。

 

「…どうする、悠…やめる?」

「やめねぇよ…何かをAqoursのみんなと成し遂げたいって言うのは俺も同じだから…」

 

「悠…」

「安心しろ、果南…絶対に成功させるから」

「…うんっ!♪」

 

「悠くん~差し入れだよ~♪」

「あ、千歌!

サンキューな…飲み物と…それは?」

「シャイ煮と♪」

「堕天使の涙よ♪」

 

…明らかに山盛りの海鮮具材が入った…シャイ煮?と真っ黒な…たこ焼き?が乗った堕天使の涙となる料理がでてきた。

 

「これも差し入れだって♪」

「…あ、有難くいただくよ…」

 

明らかに味の保証は出来ないけど…こんな満面の笑みで食べて♪みたいな顔されてたら拒む訳にもいかないだろ…。

 

(ええいままよ!)

ガブッと1口シャイ煮を食べてみる。

 

「…ん、美味い…!」

「でしょ~♪」

見た目とは裏腹にシャイ煮の味は絶品だった。

 

「じゃあ、続いて堕天使の涙も…」

「まるもいただくずら~♪」

俺よりも先に堕天使の涙を頬張る花丸。

しかし、食べて数秒後にフリーズする。

 

…激アツ演出!…という訳では無いようだ。

「だぎゃあああああああ!!!??」

顔を真っ赤にして走り回る花丸。

 

「…おう、善子…お前何入れた…?」

「堕天使に相応しい…大量のタバ☆スコ」

「…お前なぁ…」

しかも平然とした顔で食べる善子。

…大の辛党…というわけか…。

 

「ほら、花丸…飲み物」

「…あ、あひぃがとぅ…じゅら…」

舌を出しながら顰めっ面をする花丸。

 

 

そんなこんなで練習はあまり出来ずに

その日はお開きとなった。

 

学園祭まで…あと5日




バク転で分かりましたよね?
その通り、MIRACLE WAVEです。
完全に原作無視ですね、お許しください!

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67話

曜ちゃんの誕生日まで1週間を切った!
スクフェスにアケフェス…やることはたくさん…!


「…うーーん…」

 

夜、1人で砂浜でバク転の練習。

しかし一向に上手くならない。

 

「………うーーーん……」

なんなら、完全に手詰まり状態だった。

 

「こんばんは、張り切ってるみたいだね♪」

「んっ…あぁ、梨子…」

「隣、またいいかな?」

「もちろん」

 

バク転の練習をやめ、座り込む俺の隣に座る梨子。

そよ風が吹く中、手を重ねる梨子。

 

「…どう、した…?」

「ふふっ…成功する…おまじない♪」

「…そっか…ありがと、な…」

 

絡ませた手はしっかりと握られていた。

 

「…こうやってね…手を握り合ったりしてたら…悠くんとの距離が近くなったって思うのは…私だけ…かな?」

「…梨子…ううん、それは俺も同じだよ」

「…両思い…かな?♪」

「…かもなっ」

 

髪をかきあげ、キスをする梨子。

「…悠くんは…学園祭のライブのことを…どう思ってる?」

「…どうって…Aqoursのみんなと…絶対成功させたいって…」

「それは間違っていないけど……………悠くん自身が…''楽しみたい''って…思ってる?」

「楽しみ…たい…」

 

言われてみれば…Aqoursのためにもライブを絶対成功させたいという思いにばかり囚われていたかもしれない。

自分自身の事など全く考えてなかったかもしれない。

考えていたとしても…俺はバク転を決める、という使命感だけだと思う。

 

「何よりも、悠くんがライブを楽しまなきゃ♪」

「…梨子……そう、だな…みんなと出来るライブだから楽しまなきゃ損だよな」

「ふふっ、なんか目が変わったね♪」

「梨子のおかげで気がついたよ…ありがとうな」

 

「…お礼は、ライブで見せて、ね?」

「おうっ!」

 

梨子の助言のおかげで学園祭ライブに対する考え方が変わった気がした。

 

────────────────────

 

「~♪」

「悠さんが鼻歌交じりで練習してるずら…!?」

「な、何かあったのかな…??」

 

「でも、楽しそうに練習してるね♪」

「これならライブもExciteしそうね~♪」

 

「多分、みんなが期待してくれてるからかな?」

「悠くんは出来る子って千歌は信じてるからね♪」

「千歌ちゃんだけじゃないよ~!

私も信じてるであります!」

 

こうして見るとほんと俺ってこの9人から好意を持たれてるんだなぁ…。

「…日本、一夫多妻制にならないかな…」

「叶わない願いは言わないことずら…」

 

「…あれ、そう言えばダイヤさんと花丸ちゃんは?」

「そう言えば来てないね…遅れて来るのかな?」

 

────────────────

 

「…えっ、悠さんの…ですか?」

「え、ええ…衣装なんですが…悠さんだけには内緒で皆さんから聞いています…」

「うーん…悠さんならなんでも似合うと思うずら」

「…やはり、皆さんと同じ衣装の方がいいでしょうか…

私的には黒服とかいいかなと…」

 

「…それはダイヤさんの好みも含まれてる気がするずら…」

 

 

────────────────────

 

「…いてて…」

「ここ…ですか…?」

「あーーー…そこそこ…ルビィやっぱり上手いな…めちゃくちゃ気持ちいいわ…」

「なら、もっと気持ちよくするね…っ♪」

 

「おおおおっ…腰の痛みが全部取れそう…」

練習終わりにルビィからマッサージを受けている。

もちろんいやらしいことなど何もしていない。

そう聞こえてしまうのは幻聴だ←

 

「お兄ちゃん、今日も一日頑張ったもんね…偉い偉い♪」

「えっ…お兄ちゃん!?」

「ワォ…!」

「リトルデーモンルビィも悠の手によって堕ちた…!」

「悠くん…そんな趣味が…?!」

 

お兄ちゃん発言を聞いて驚いた顔をする果南と鞠莉と善子と梨子。

 

「あ、あはは…私達は2回目だから驚くこともないよね…」

「やっぱり妹属性は強いのかな…?

私も三姉妹の1番下だから…妹のような物なんだけど…」

 

「…果南お姉ちゃんって呼んでもらうのも…あり、かな…?」

「……あり、ね…!♪」

何やらモクモクと頭で考えて閃く2人。

 

「…リリィはどう思うかしら?」

「…よ、呼んでみたいとか考えてないよ!?」

「バレバレね…まぁ、分からなくはないわ…」

「あっ…やっぱり善子ちゃんも…?」

「そんな風に呼んでも受け入れてくれるのが悠よ?

…その優しさにとことん甘えたいじゃない」

 

 

 

「……なんか、みんながこっちを見てくるんだけど…」

「みんなお兄ちゃんのことが大好きってことだよ♪」

「あはは……浦の星に来るまでこんな風景全く想像できなかったよ」

 

 

────────────────────

 

 

「あっ、悠くん~!」

「…あれ、曜今帰り?」

「うんっ、ちょっとダイヤさんと花丸ちゃんと話し込んでてね!一緒に帰ろ!」

「うん…いいよ?」

 

何やら上機嫌で先を歩く曜。

 

「ねぇ、悠くんっ明日って用事あるかな?」

「…えっ…まぁ…特にないけど…」

「2人でお出かけしよっ♪」

「…2人、で?」

「あ、これって俗にデートって言うのかな…///」

発言した後に恥ずかしそうに頬をかく曜。

 

「あははっ、変な曜~。

もちろん、断る理由もないし一緒に出かけよ?」

「ほんとっ!?

えへへっ、ありがとね♪」

 

次の日の10時に十千万の前で待ち合わせと約束をし

十千万のバス停で降りた。

 

「…そう言えば、曜と2人で出掛けるのって初めてだな…

なんか緊張する…なっ、しいたけ?」

「わんぅ?」

 

十千万に着いてしいたけに問いただしてみるが首をかしげるだけだった。




次回、曜ちゃんとのデート会!
場所は……どこでしょうか!?←

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68話

スクールユニティのルビィちゃんと梨子ちゃんって…
なんかすごい大人っぽくていやらしい顔してません?←


「あ、悠くーん!お待たせ~!♪」

 

約束の日。

十千万の前で曜を待っていると自転車に乗った曜がこちらに向かってきた。

因みに千歌は梨子ちゃんの家にお邪魔しているそう。

理由を聞いたがふっふっふ~♪と笑い声を出して内緒にしていた。

 

「ごめんね、待った?」

「ううん、俺も曜も時間通りだよ」

「良かった~♪(楽しみすぎて3時間前から起きてたなんて言えない…///)」

 

「それで、どこに行くの?沼津?」

「ふっふっふ~♪…それはね~♪」

「……………?」

 

 

────────────────────

 

 

「って…なんで東京なんだよぉぉお?!」

「えっへへ…驚いた?」

「途中から乗り継ぎで来たからまさかとは思ってたけど…びっくりだよ、でもどうして東京?」

「…悠くんと…2人で東京に来たいな…って…///」

「…あっ…曜…」

なるほど。この前の東京観光の時にそう感じて今回誘ったってわけか。

 

「…だめ…だったかな?」

「んなわけないだろ…むしろ光栄すぎる」

「えっへへ!じゃあ早速悠くんのコーディネートしに行くぞ~♪全速前進、ヨーソロー!♪」

思い切り腕に抱き着き歩き始める曜。

周りが曜を見て振り返る…確かに曜可愛いからなぁ。

でもそんな美少女と一緒にデート出来てる優越感に少し顔がほころぶ。

 

「あ、クレープだって!食べてみよ!♪」

「わかったわかった、そんなに急ぐと人にぶつかっちゃうよ」

 

後を追うようにクレープ屋さんに向かう時だった。

 

「きゃっ!」

「あっ…すいません!大丈夫ですか?!」

「え、えぇ…ごめんなさい、私もよそ見してたわ…」

 

うわっ、この人めちゃくちゃ可愛いし髪の毛金髪だ…。

ハーフかな……………?

 

「絵里~?何してるのよ~遅れるわよ~?」

「ごめんなさい、それじゃあ」

 

そう言うと女の子は2人組のところに戻った。

 

「?

悠くん、どうしたの?」

「…いや、なんでもない…」

 

 

この時、まさか伝説のスクールアイドルに出会っていたとは…悠は知らなかった。

 

──────────────────

 

「どうしたのよ、絵里。

さっきから後ろばっかり気にして」

「…いえ、さっきの男の子…少しかっこよかったなって」

「うっわ、絵里が男の容姿を褒めてる…珍しい~…希もそう思うわよね?」

「ふふっ、にこっちは相変わらず厳しいなぁ

…まぁ、ウチは会うのは2回目なんやけど…ふふっ♪」

 

─────────────────

 

 

「うーーーん…こっちの方がいいかなぁ」

「あの…曜…?」

これで試着して6着目。

もはや着せ替え人形状態だった。

 

「…あ、こっちはダイヤさん好みかな…悠くん、着てみて!」

「…へいへい」

 

ダイヤ好みってなんだ、裏でなにか話してたってか…?

 

「おー…これもなかなか…」

そう言うと1枚写真を撮る曜。

送信先はダイヤだろう、十中八九。

 

「あ、既読ついた」

「はやっ!」

 

「……ん、こほん…」

わざとらしく咳払いをして携帯をしまう曜。

 

「…なんだって?」

「あ、あはは…秘密…(悠くん、かっこよすぎて直視できない。と…)」

 

「…それで、曜のお眼鏡にかなう服装はあった?」

「最初のやつかなぁ…」

 

最初のって…白のジャケット…。

「…ほんとに言ってる?」

「そして下は黒いズボン!完璧だね!」

 

服とズボンを持って満面の笑みを浮かべる曜。

Aqoursの衣装担当がそう言うなら間違いないな。

 

「…って、これってライブ用の衣装の提案だったんじゃ…」

「……………あ''っ……………」

カー〇ィのストーンのように固まる曜。

…完全に忘れてたな…。

 

「…まぁ、いいや…これも買うよ

せっかく曜が選んでくれたんだしね」

「えっ…いいの?」

「当たり前じゃん?」

 

母様の仕送りの金額も少し増えてたし…。

多分デート代って名目なんだろうけど。

 

「…あ、ありがと…///」

「せっかくなら、このままで過ごそうかな」

 

俗に言う試着で着てそのままお支払いってやつ?

なんか大人になった気分だわ…。

 

「…あとは、どうする?」

「…あ、えっと…ね…」

歯切れ悪く言葉を濁す曜。

 

「…その…悠くんが良ければなんだけど…」

「…うん?」

「…お、お揃いのストラップが欲しい…な…って…!///」

「……………へ?」

 

顔を真っ赤にし、恥ずかしそうに告白する曜。

「…いや、俺は全然構わないけど…」

「…ほ、ほんとに!?///」

「断るわけないじゃん…」

 

「よ、良かった~…(ほんとはアクセサリーや服が良かったけど…それはまだ早いよね…///)」

「じゃあ、何がいい?」

「色々あるね~…んー…」

 

真剣に選ぶ曜。

こういう時って女の子は真剣に慎重に選ぶよね。

 

「…あっ!これなんかいいんじゃないかな!」

手にしたのは銀の船のストラップ。

 

「…うん、値段も高くないし…船って曜らしいね」

「えっへへ…大好きですから♪

…あっ、もちろん悠くんのことも大好きだよっ」

「…そういう恥ずかしいことは言わないの…」

 

危うく抱きしめて襲っちゃう所だった…。

 

「…んじゃ、これは俺から曜にプレゼント」

「んっ…帽子?」

「デート誘ってくれたお礼…帽子は嫌だったか?」

「ううん!すっごく嬉しい!♪」

 

 

 

店を出て、ストラップは携帯に付けることにした。

帽子は嬉しそう曜はずっと被っていた。

…因みに曜の選んだ服着て帰ったら千歌が顔を真っ赤にして絶叫していたとさ…。




曜ちゃん可愛い!……………ふぅ←
次は学園祭本番です。


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69話

Let's 学園祭!!


…涙腺崩壊注意されたし!!!!!!


「…よしっ」

 

深呼吸を1つし、部室の扉を開ける。

そこには、学園祭用のライブ以上に身を包んだAqoursのメンバーが揃っていた。

 

「えへへっ、悠くんどうどう?♪」

「似合ってるよ、千歌も…みんなもね!」

「こうして、悠さんと一緒にライブが出来る日が来るなんて…」

「ダイヤ、感極まるのは早いよ…ライブを成功させてからね!」

 

「はいっ、これ悠くんの衣装!」

渡されたのは1枚のTシャツと上着。

他のメンバーはへそを出したり、スパッツを履いたりとかなり動きやすさ重視のようだった。

 

「これは…Yと…星?」

「Yはもちろん、悠くんのイニシャルだよ!

星マークは…Aqoursのリーダーって意味!♪」

なるほど、梨子のスカートにもRの文字があった。

 

「AqoursのペアTシャツか…ライブが終わっても大事にするよ」

「もっちろん!♪」

「…さっ、そろそろライブの時間だよ!♪」

果南の一言でAqoursのメンバー全員で手を重ねた。

もちろん、そこには俺の手も重なっていた。

 

「…悠くん、なにか一言♪」

「えっ…それはいつも千歌が……………」

「今回は悠くんも参加するんだよ?…だったら悠くんが言わないと♪」

その言葉に他のみんなも頷いた。

 

「こりゃあ…責任重大だな…

…よし、じゃあみんな……今日もたくさんの輝きと…笑顔と…勇気を届けよう…!

学園祭…盛り上げていくよ!Aqours!」

「「「サンシャイン~!!!」」」

 

──────────────────

 

体育館に並べられた椅子には生徒を始め、保護者の方もたくさん見えた。

 

「…なんかあの時と似てるな」

「あの時…?」

「初めて講堂でライブした時…やっぱり満員の観客の前でライブするのは…いいな」

「…その時から…悠くんがAqoursのみんなや…千歌を引っ張ってくれてたんだよ」

「…そうですわ、それがあったからこそ」

「地区大会も勝ち進めたし」

「Aqoursのpowerも高まったわね♪」

「悩んだ時も…」

「落ち込んでいた時も…」

「悠さんが励ましてくれたずらっ♪」

「だから悠さんも一緒に…ガンバルビィっ!♪」

「今回は…リトルデーモンのお膳立てをしてあげるわ♪」

 

「…みんな……………うんっ!行こう!」

 

こうして、俺とAqoursのみんなでの最初で最後のライブが始まった。

 

各パートそれぞれの個性を発揮し、歌声を響かせる。

もちろん、俺のパートもある。

歌には自信があった、それは梨子の折り紙付きだし。

 

(やっぱり悠くんがいることで…ライブが自然と盛り上がってく…!)

(この歌声を…もっと聞いていたい…!)

 

千歌と梨子が背中を優しく押してくれた。

こんな振り付け…予定にはなかったんだけど…。

 

そして、いよいよサビに入る前に…最大の見せ場…。

バク転にさしかかろうとしていた。

 

…正直いえば…怖い。

出来るかも半信半疑だ。

…だけど、やると決めたからには…腹括ってやるしかない…!

 

Aqoursのみんながうつ伏せになる。

覚悟を決めて目線を一点に絞る。

 

助走をつけて…体を横に回転させるっ!

…たしか…果南がロンダートって言ってたっけな…?

そのままの勢いで…!!!

 

 

 

 

(あれ…っ…俺今…宙に浮いてる…?)

 

回転してる感覚とともに目線が床を向いていたのがわかった。

──────回ってるはずなのに…時間がゆっくりと感じる…。

あっ…これって…''ゾーン''入ってる…。

 

 

次の瞬間、足はしっかりと地面に着地していた。

 

 

「…っ……!!」

嬉しさを爆発しそうになった千歌がなんとか思い留まって歌うのを続けた。

他のみんなも、やった!という喜びの顔を浮かべていた。

 

(あっ…やった…成功した…)

当の本人は驚きを隠せない様子だが……………。

 

 

 

 

 

学園祭のオリジナルライブ

MIRACLE WAVEは

大きな盛り上がりのまま大成功を収めた。

 

ライブ後はみんなからハイタッチやハグ攻めにあったりと大変だったが、こうやって成功できたのも…Aqoursのみんなのおかげかもしれない。

 

 

 

──────────────────

 

 

 

ライブが終わり、着替えて部室に戻った。

打ち上げすると千歌が言ってたので、その準備をするためだった。

 

…しかし。

 

 

「…ん、あれ…誰もいない?」

部室は誰もおらず静まり返っていた。

「…おっかしいな…俺が最後に着替えたからみんな先に戻ってるはずなんだけど…」

 

すると、携帯にメッセージ通知の音がした。

差出人は千歌だった。

 

【大変大変!体育館に今すぐ来て!】

「…ん?」

体育館?もう片付けしたし誰もいないはずなんだけど…。

部室を後にし、体育館に向かうことに。

 

 

──────────────────

 

体育館の扉を開けると…中は暗かった。

「…千歌居ないじゃん…」

「ここにいるよ」

 

声は舞台の方からしてきた。

「…悠くん、そこに座って?」

 

舞台の前には椅子がひとつ、置いてあった。

…ここに…座れってことかな?

というか、千歌の姿が舞台の幕があって見えないだけど…。

 

「…座ったけど…一体どうしたの?」

「……悠くん、これから…悠くんにだけに…届ける…スペシャルライブを…開催するよ!」

 

「…えっ?」

…スペシャルライブ…?

……俺だけに…?

 

言ってる意味がちんぷんかんぷんだった。

すると、舞台の幕が徐々に開いていき…そこには、先程とは違う衣装に身を包んだAqoursのみんなが立っていた。

 

「みんな…!」

「…いつもは…たくさんの人に、私たちのライブを届けてきたけど…」

「…今日は、悠くんだけに…私たちの気持ちを」

「日頃の…感謝と、お礼を込めて…」

「ライブを…披露しようと…思ってますっ」

 

「マリーたち、AqoursのShinyでpowerfulなライブを」

「ぜひ…悠さんの目に…焼き付けて欲しいですわ」

 

「みんな…どうして…」

「…発案者は、千歌ちゃんだよっ」

 

 

遡ること…1か月前…。(52話参照)

 

──────────

 

「あっ、そうだ…曜ちゃん?」

「ん?何かな果南ちゃん?」

「実はね……ひそひそ……」

「えっ、悠くんに送るライブ?」

「しーっ、悠にはまだ内緒だよ?

千歌がね、悠にだけオリジナルのライブを…見せたいって」

「…千歌ちゃんが、考えそうなこと、だね♪」

「もちろん、私も大賛成なんだけど…曜ちゃんは?」

「ヨーソロ!♪了解であります!」

「うんっ、じゃあ悠に気付かれないように内緒で計画進めようね♪」

 

 

─────────────────

 

 

「……だから、今日…学園祭が終わったら…悠くんにだけ…見て欲しかったの…」

「…千歌…………」

 

「これが…私たちAqoursの気持ち…

聞いてください……''No.10''…」

 

「…っ……!」

10番…それは、俺の番号だった。

昔…千歌が言ってたな…。

俺もAqoursのメンバーなんだから…掛け声は10番だよ、と……。

 

「あいつ…あの時の言葉…覚えてたのか…」

彼女達の歌声とダンスが体育館に響く中…静かに聞いてた俺の目には…自然と涙が流れていた。

 

「…ここまで来れたもの…全部、悠くんが居てくれたおかげです」

「支えてくれて…ありがとう」

「そして…これからも…Aqoursのそばにいてください」

「私たちが1番輝いてる姿を見せたいのは…」

「リーダーである…悠さん、ですわ」

「マリーたちの気持ちは…」

「これからも、ずっとずっと…変わりませんっ」

「まる達は…悠さんの…事が…」

「ずっとずっと…大好き、なんだからねっ」

 

 

 

 

 

 

千歌…梨子…曜…果南…ダイヤ

…鞠莉…ルビィ…花丸…善子…みんなの想いと、歌と、ダンスは…俺の心を確かに奪った。

一生忘れることは無い…Aqoursのみんなが…歌ってくれた…このライブは…絶対に忘れたりしない。

俺はこれからも…Aqoursのリーダーで居たい。

そう強く願った…スペシャルライブだった。




たまには感動系もいいよねぇ…!
(この話は52話目位からずっと温めていた←)

悠くんも涙流しちゃうの、男の子だもん←


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70話

というわけで梨子ちゃんと犬の回です。

しいたけの子供も出てきます←あれぇ…?


「悠くん、おはよ♪」

「おはよ、梨子…なんか毎回朝来てくれてありがとうな」

「ふふっ、お隣だもん当然だよ♪」

 

「…でもさぁ…

…なんで、しいたけとめちゃくちゃ距離置くの?」

「え''っ…あーいや…その…」

「梨子ちゃんはね~…犬が苦手なんだよ~…ふぁああ~…」

「千歌…相変わらず大きなあくびして…」

「えへへ~…μ'sのライブ動画見てたら寝不足で…」

 

「…それで、梨子は犬が苦手なのか?」

「う、うん…昔から…ちょっとね」

意外と言えば意外かもしれない。

俺の中では梨子は動物から好かれやすく、動物好きそうなイメージがあったからだ。

 

「…ということはしいたけもダメか?」

「お、大型犬はなおさら…」

「じゃあ、その子供のマイタケとえのき茸は?」

「もー!悠くんその名前は却下って言ったじゃん!」

「あはは、しいたけだから…つい」

「…い、犬は…噛みそうで…怖いな…って」

 

「じゃあ、悠くんが梨子ちゃんの犬になれば良いんだよ!」

「千~歌~…?…そういうこと言うのはこの口かな~?」

「い、いひゃいいひゃいー!!」

「反省してるならワンって言ってみ?」

「ワンっ♪」

 

(あれ…千歌ちゃん、簡単に悠くんに手懐けられてるよ…!?

気がついてないし…!)

(というか千歌って犬っぽいよね…あと善子も)

 

 

────────────────────

 

「へっ…へっ…へっくシューティングスター!」

「わん?」

「あら、ライラプス…貴方にはヨハネも高度なくしゃみの理解はまだ早かったかしら…?」

 

「へっ」

「なっ…今鼻で笑ったわよね!?むっきー!」

 

────────────────────

 

 

「…んー、動物は俺も猫はダメなんだよなぁ…」

バスの中で先程の話の続きで盛り上がっていた。

途中乗車の曜も参加している。

 

「意外だねぇ…アレルギーとか?」

「うん…触るとくしゃみと涙が…」

「じゃあ、千歌は猫みたいにごろニャンできないじゃん…!」

(これはツッコミ待ちなのか…?)

(私はあえて突っ込まないよ…悠くん…!)

(そもそも、千歌ちゃんもオブラートに包んで行ったりしないんだね…)

 

「曜はどうなの?」

「私は動物全般的に好きかなぁ

馬とかウサギとか、ハムスターも!」

 

「…………………………………」

【ぴょんぴょん♪曜ちゃんウサギだぴょん♪】

 

「うん、アリだな」

「…?」

 

「千歌も好きだよ動物!ナマコとか!」

「な、ナマコ…」

「ナマコって動物かな…?」

「さぁ…?」

 

────────────────────

 

「えっ、まるのお家では…鳥を飼ってるずら」

「鳥かぁ…なんか花丸のイメージに似合ってるかもね」

「名前は悠ずら」

「…は?」

「?…変ずらか?」

「…あ、いや…別に…」

 

というかルビィはいつの間にか俺の膝に寝っ転がってるし…。

膝枕って普通女の子がやるんだよ?ルビィさん?

 

「ふへへっ…///」

嬉しそうな顔してるから…良しとするか…。

 

「これはあれだね…1回しいたけの散歩に行かせたら直るかもよ、悠くんっ」

「…夕方の散歩は任せたと?」

「お願い~っ」

「しょうがないなぁ…梨子、一緒に行ってくれるか?」

「わ、私は構わないけど…危なくなったら…守って…ね?///」

 

 

「…あー、眩しいわぁ…ヨハネ完全に乗り遅れた感がするわ…

こうなったらあれね…ヘル・アンド・ヘヴンを…」

「何言ってるずら?魔戒剣士の後は勇者王ずら?」

「カッコイイならなんでもありよ!」

 

────────────────────

 

「よし…じゃあ、行こっか?」

「う、うんっ」

 

学校が終わり、帰宅後そのまましいたけとマイタケとえのき茸(仮称)の散歩に行くことに。

 

リードを持つのは俺だから反対の手は梨子の手を握っていた。

 

「うぅ…やっぱり怖いかも…」

「…まぁ、噛むかもって想像するのは…分からなくもないよ」

「…触れないこともないとは思うんだけど…勇気がなくて…」

 

「…こういう考え方はどうかな?」

「えっ…?」

「犬だけに限った話じゃないけどさ…こう、噛み付いて来る!って自分の先入観だけで判断してる…とか?

もっと時間をかけて…相手と接したりすれば、自然と相手も心許す可能性もあるかもよ?

ほら、人間でも気難しかったり、物静かな人に話しかけたり相手のことをよく知ったりすれば…自然と心通じあったりするじゃん?…って、何真面目に語ってんだろ」

 

「…悠くん…ふふっ、相変わらずだね♪」

「俺の悪い癖、かもな」

「…マイタケちゃんとえのき茸ちゃんのリード、貸して?」

「えっ……………い、いいけど…」

というか、梨子の気に入ったのかな、マイタケとえのき茸ってネーミング。

 

「…よしよし…♪」

話を聞いて、少し安心したのかゆっくりとした歩幅で散歩を始めた梨子。

 

「わんっ!」

しいたけも嬉しそうに返事をした。

「ふふっ…しいたけちゃん。しっ、よ♪」

「…っ……」

 

静かに人差し指を口に当てた梨子を直視出来なかった。

可愛すぎだろ……………。

 

「このまま、砂浜とか行っちゃう?♪」

「それもいいかもねっ」

 

こうして散歩のゴールは砂浜に決定した。

 

──────────────────

 

散歩を始めて10数分が経過し、砂浜に着いた。

 

しいたけを追いかけるようにマイタケとえのき茸が走り回っていた。

 

「ふぅー、なんか楽しかったな♪」

「気がついたら犬に触れるようになってるし」

「ふふっ、悠くんが教えてくれたから、かな♪」

「お役に立てて何よりだよ」

 

「…悠くんっ♪」

「んっ…?」

 

呼ばれて振り向くと唇を塞いだ梨子。

……気がついたらしいたけ達も静かに見守っていた。

 

「…でも、悠くんは一つだけ…私に悪いこと、したんだよ?」

「…えっ…なんだろう、わかんない…」

「悠くんとこんなに…キスばっかりしてたから…私、悠くんのキス魔になっちゃったん…だからね…///」

 

「…梨子…それって…」

「だって…悠くんとキスするの…嬉しくて…それだけで心が通じ合うっていうか…お互いが何考えてるのかがわかるって言うか…///」

「…梨ー子っ」

「えっ……ぁ…っ」

 

今度は俺の方から唇を塞ぐ。

 

「…じゃあ、今俺が何考えていたか…分かる?」

「…う、ん…っ…///」

 

 

俺がキスする前に考えていたこと…。

それは''そんな梨子のことが好きだよ''と。




わんわん?(犬の回にしては私たちの出番少なくありませんでした?)

「いや…やっぱり梨子ちゃん可愛いじゃん…?
特に、しっ、よ♪の所とかまじ辛抱たまらんって感じで…」

うううううっ…!(マイタケとえのき茸ってなんやねん…!)
「割と気に入ってる←」

わんっ(千歌も悠くんの犬になりたい!)
「君は少し自重しなさい」


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71話

テーマパーク編の果南ちゃん当たりました。
果南ちゃん…ママ…(^p^)


「…じーーーーっ…」

「あの…果南?」

「なーに?」

「…どうして…そんなに見てくるの?」

 

「ふんだっ、しーらないっ」

今日の昼ごはんは果南と一緒に食べているのだが…どうも様子がおかしい。

明らかに…拗ねてる…よな?

 

「…えーっと…なんか怒ってる?」

「怒ってない」

「じゃ、じゃあ…お腹空いてるとか?」

「今食べてるから空いてない」

「…あっ、もしかして女の子の…」

「悠~……………?」

 

「…はい、すいません…」

理由が分からないまま縮こまる俺。

うぅ…女心って分からない…。

 

────────────────────

 

(…はぁ…悠ったら…最近全然構ってくれないし…

前はもっとハグ~とかしてくれたのに…私のアプローチ不足なのかなぁ…)

 

ちらっと彼を見る。

目線が完全に泳いで合わせようとしてない。

 

(…とは言え…これは気がつくまで時間かかりそうだし…うーん…どうしたものかな…。

 

……………あっ、そうだ!)

 

「ねぇ、悠?」

 

──────────────────

 

「は、はいっ!?…なんでございまするか?」

「何、その言葉……まぁ、いいや…今日の夜って…空いてる?」

 

「…えっ……………?」

今日の夜という魅惑の言葉についドキッとしてしまう。

 

「…あ、空いてるよ…?」

「…そっか…じゃあ…十千万の前の砂浜に来てよ

今日は、そっちに泊まるからさ」

「えっ、急だね…大丈夫なの?」

「大丈夫だからお誘いしてるんでしょ~?」

 

「…あ、ああ…分かった…」

今日の夜…何かするんだろうか?

 

──────────────────

 

「…うーん…」

授業中も果南の様子がおかしい理由を模索してたが…全然分からなかった。

 

怒らせるようなこともしてない…と思うし…。

誕生日…は、まだ先だし…。

 

「悠くん?どうしたの?」

隣の席の曜が小声で話しかけてきた。

 

「…いや…実はな…」

「………なるほどね…女の子同士だから、何となく理由は分かったかも」

「えっ、ホントに…?!

教えて欲しいんだけど…」

「それは、悠くんがちゃんと果南ちゃんの気持ちを分かってあげないと…ね?♪」

「…う、うぅ…それもそうか…」

 

至極もっともなことを言われてぐうの音も出なかった。

 

(…果南ちゃんも構ってもらえなくて寂しいんだよね…私も…悠くんに抱きしめてもらいながら…頭、撫でて欲しいな…///)

船のストラップを大事そうに擦りながら1人考える曜だった。

 

────────────────────

 

夜…十千万の前には果南が居た。

約束通り、カバンに泊まるセットを入れて持ってきたようだ。

 

「…じゃあ、行こっか?」

「わ、分かった…」

千歌は誘わないのか?と聞こうとしたが…多分、果南は2人で話がしたいのだろうと俺の直感が告げていた。

 

 

 

砂浜に着くと静かにさざ波が揺れてる音だけが聞こる。

果南は砂浜に座り込むと真っ直ぐ揺れる波を見つめていた。

 

「…それで…話って…」

「こうやって…二人きりになるのは…学校に潜り込んだ時以来…かな?」

「…そう、だな…」

 

「…ねぇ…悠」

「…ん?…どうしたの?」

 

「あの星…見える?」

「…あれ、かな…?」

 

上を指さす果南。

内浦は東京と違い、空に光る星座がきちんと見える。

……………そう言えば…ここに来てから星を見ることはあんまりなかったな…。

 

「あれはね、おおかみ座って言うんだよ…♪

星にも、ちゃんと星言葉って言うのがあるんだよ、知ってた?」

「…花言葉…みたいなものかな?」

「まぁ、そうだね…♪

おおかみ座の星言葉は…''さみしがり屋の好奇心''」

「…さみしがり屋の……好奇心?」

 

「…昼にね、話してた…事…決して、悠に対して怒ってんたんじゃないの…」

「…う、うん…」

「ただ…悠が構ってくれなくて…少し……ううん、結構寂しかったんだ…」

「…果南……………」

 

初めて聞いた果南の寂しいという本音。

「…だから…今日1日…その寂しさを…埋めて欲しい…なって…///」

「…好奇心って言うのは…?」

 

「…悠が、教えてくれたんだよ…?

…誰かを好きになって…その気持ちが、私の知らないドキドキして…でも、心があったかくなる…未知の感覚…でも、それがいつしか…悠に対する好奇心に変わってたんだよ」

 

「…果南………」

「…ねぇ…ハグ……して?」

少し泣きそうな顔をして両手を広げる果南。

「…ん…分かった」

優しく体を抱き寄せる。

果南がその胸の中で…小さく呟いた。

「…ずっと……そばにいたい…///」

その言葉は…波の音に消されるくらい小さく呟いた。

 

 

 

 

この時、寂しがり屋な彼女の一面を俺は初めて見たのかもしれない。

そんな姿は…年上だけど…どこか、甘える姿は…幼く見えた。




次回は果南&千歌と悠くんのお泊まり回です。
もちろん何事もないわけもなく…?

17日はスペシャル編曜ちゃん誕生日回です
(先に告知しておくよ!!)お楽しみに!

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72話

曜ちゃんの限定URは無事にGETしたぜ!
残り枚数4で出たぜ!なんでや!!!!


「えへへ…悠くん♪」

「あっ、悠~私の相手もしてよ~♪」

 

「………………」

千歌と果南が俺の部屋にやってくるなり甘えん坊タイムが始まった。

特に果南は砂浜での1件があったからか、物凄く甘えてくる。

 

「とり、あえず…っ、俺はお風呂行ってくるから、さ?」

「はーいっ、帰ってきたらまた甘えさせてねっ♪」

「悠…待ってるよ♡」

 

半ば逃げるように風呂へと向かった。

 

──────────────────

 

「悠くん、お風呂行っちゃったね~…えへへ…♡」

千歌が悠がいつも使っている枕を本人代わりに抱きしめる。

 

「千歌も悠のこと、すごく好きなんだね♪」

「私にとっても…果南ちゃんにとっても…悠くんは初恋の相手、だもんね♡」

「あっはは、確かに初恋の相手だね…♪

じゃあさ?悠から突然…付き合ってくれ、とか…結婚してくれって言われたら…どうする?」

 

「えっ…ええええっ!!?…つ、付き合ってくれ…かぁ…///」

千歌の脳内ではそのシチュエーションが妄想展開された。

 

 

【千歌…話がある…】

【なっ、なに…かな…悠くん…?】

【俺はお前のことが…大好きだ

俺と…付き合ってくれ…ずっと離さないからな!】

 

「ぷしゅ~………あわ、あわわ…恥ずかしいよ…///」

「どんな妄想してたの…千歌…」

「そ、そう言う果南ちゃんは言われたらどう思うの!///」

「えっ、わ、私…!?…そう、だなぁ…」

 

【果南…っ】

【ゆ、悠…っ?!】

【…好きだ】

【…へっ…えっ…!?】

【俺と…付き合ってくれ…ないか?】

【そ、そんな…私で…いい、の…?】

【果南じゃなきゃ嫌なんだ!…俺は…お前のことを…】

 

「わ、わああああ!///

や、やめっ、この話はやめようよ~っ!///」

「果南ちゃんも同じようなもんなんじゃん…」

 

「…でも…嫌な気は…しない、かも…///」

「悠くんは優しいからね…♪

千歌…悠くんに出逢えて…ほんとによかった♡」

「それは私も千歌と同じだよ♪

悠と出逢えて…私の景色はガラリと変わったから、ね…♡」

 

「ふぅー…いい湯だった……あれ、お取り込み中?」

「あっ、悠くん!♪」

「あははっ、ちょっと女子会してたとこだよ♪」

 

────────────────────

 

「女子会…ねぇ…?」

2人で顔を合わせてにこやかに笑い合う。

どうやら教えてはくれなさそうだ。

 

「そういや、2人とも着替えないのか?」

果南は先程砂浜で話した時と同じ格好だし…。

千歌は薄いキャミソールのままだし…。

 

「あっ、そうだ!果南ちゃん、あれ着よ!」

「えっ…あれって?」

「それはね~…こしょこしょ…♪」

「あっ、いいね、それ♪」

そう言うと2人揃っていそいそと部屋を出た。

 

「…また変なもの着てくるんじゃないよな…?」

少し期待しつつも2人が着替えてくるのを待った。

 

2~3分もすると、2人は着替えてきた。

その格好は…。

 

「…な、なにそれ?」

 

千歌が犬で…果南が猫のロングパーカーだった。

「えへへ…どう、どう?♪」

「…似合ってる…かにゃ?♪」

 

「…可愛すぎる…」

「わーいっ!やったね、果南ちゃん!♪」

「嬉しい…にゃ…///」

 

…何だこの可愛すぎる果南猫は…。

恥じらいながらも猫のような口調は直さない。

釣られるように千歌も犬のような口調をする。

 

「悠くんが喜ぶと思って着てみたわん♪」

「でも…ズボンとか履いてないから…少し動いたら…見えちゃいそうにゃ…///」

果南から思いもよらぬことをぶっ込まれた。

パーカーを脱いだら下着かい。

 

「…そんなこと言ったら…どうなるか…分かるかな~…?」

「にゃっ…///」

「くぅん…///」

 

 

 

察しがついたのか急にしおらしくなる2人。

もちろん、今日は寝かさないつもり。

とことん…相手をしてもらおうかな…?

 

 

──────────────────

 

 

「……………ううん……はっ!」

気がついたら寝ていたようだ。

外は明るく、目覚まし時計は6時30分前だった。

 

「ほっ…とりあえず遅刻はしなくて済む…」

最後に記憶してるのは…2人を抱きしめて寝てた…事、かな?

 

「…あれ、2人ともいない?」

既にベッドはもぬけの殻だった。

とりあえず探しに眠い目を擦りながらリビングに行くと

賑やかに料理をしてる2人を発見した。

 

「おはょ、2人とも」

「あっ、悠くんおはよ♪」

「おはよ、よく眠れたかな?♪」

「おかげさまでね…何してるの?」

 

「ふふーん、悠が卵焼きが好きって聞いたから果南ちゃんお手製の卵焼き作ろうかなって♪」

「果南ちゃんの料理すごく美味しいんだよ~っ♪」

「もう少しで出来るから、座って待ってて♪」

 

鼻歌交じりでテキパキと料理をする果南を見て一言。

「果南………ママ…」

と呟いてしまった。

 

本人に聞こえてたのか…

「ま、まだ気が早いよっ!?///」

と突っ込まれてしまった。




早く曜ちゃん誕生日編を書きたい…!!
お楽しみに!

…果南ちゃんはママだよ。母性の塊だよ…。
仕事で疲れて帰ってきたりしたらあの胸で慰めてほ…(殴

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特別編(渡辺曜 誕生日編!)

曜ちゃんHappy Birthday!!
これからも変わらぬ推しと愛をこめます!
曜ちゃんマジ天使!!

※本編 Aqoursな日々とは違う時系列で進行します。
悪しからず閲覧してください。


「…えっ、頼み事?」

「その~…一日だけで、いいから…さ

私の…彼氏になってくれない…?!」

 

唐突に曜が頼み事をしたと思えば…彼氏になって欲しいと言う内容だった。

 

「…あはは…いや、もちろんAqoursのみんな悠くんの事好きなのは分かってるよ?

…だけど…1日だけでいいの…私のわがまま…聞いてくれると…嬉しいな…って…」

「俺はいいけど……どうしてまた?」

「え、えへへ…っ、それは内緒!

じゃあ、約束ってことで…今週末…1日だけ、彼氏になってね♪」

 

そう言うと足早に曜は去っていった。

 

「……………なんだったんだ?」

「悠く~ん…??

千歌聞いちゃったよ!」

「げっ…千歌…」

嫌なタイミングを聞かれたかもしれない…。

これは拗ねるのかなぁ…と思いきや…?

 

「今週末って、曜ちゃんの誕生日だよ!」

「えっ……そうなの…!?」

千歌から聞いて初めて知った。

…しかし、なんで誕生日にそんなお願いを?

 

「決まってるでしょ~!誕生日って日は自分にとって大切な記念日なんだよ!?

…忘れられない…思い出とか…作りたいって…女の子は思うよ…?」

「…そう、なのか……」

「今週末はちゃんと曜ちゃんの事をリードするんだよ!

あと、プレゼントも考えておかなきゃ!」

「本人にバレないかな…」

「そこは上手くやるの!私も協力するから!」

 

こうして、曜ちゃんの誕生日までにプレゼントを考えることに。

千歌からのアイデアでサプライズプレゼントにする事となった。

千歌や梨子…果南達は前日にプレゼントを渡すそう。

早いものでもう決めてあるらしい。

 

 

──────────────────

 

「…とはいえ…沼津の商店街に来たものの…」

途方に暮れていた。

女の子の誕生日プレゼントなんてあげたことすらなかったからだ。

 

「…やっぱり、アクセサリー系かな?

船のストラップは一緒に買ったしなぁ…」

携帯に付けていたストラップがそれに呼応するように揺れた。

アクセサリー系だとしても、曜が喜びそうなものってなんだろう?

ショーウィンドウとにらめっこしながら必死に考えた。

 

因みに、千歌からも念押しで、今回は何のプレゼントが良いかなどのアドバイスや手助けは一切無しとなった。

あくまでも、自分で考えて贈るように!と言われた。

 

 

「……あっ…これ…」

ふと、目に入ったのは…誕生石のPOPだった。

 

「…4月は…ダイヤモンド…か」

ふと、目線を下げると、そこにはブレスレットなどが並んでいた。

「…これ…曜なら喜んでつけてくれるかな…

あー…でも…ブレスレットだと踊る時とか…運動する時に不便かな…」

うーんと難しい顔をしながら考えていたが…ブレスレットは却下となった。

しかし、誕生石は良いかもしれない。

ダイヤモンドだから…多少値は張るが…大丈夫だろう。

 

「…あっ…ネックレス…」

そこにあったのはダイヤモンドが光り輝くネックレスだった。

値段を見ると…。

 

「23800円…」

アクセサリーの平均相場など全く知らなかったが…。

そのネックレスだけは妙に目に付いた。

一目惚れ…ではないが、これがいいと自分の直感が告げていた。

 

 

 

 

「……よし………すいませーん」

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

「はいっ、曜ちゃんこれ♪」

「わぁ、千歌ちゃんありがとう~!♪」

「私からはダイバーウオッチだよ♪」

「果南ちゃんもありがとう~♪」

 

曜はAqoursのみんなから色々と誕生日プレゼントを貰っていた。

これもグループならではだろう。

もちろん、他のメンバーが誕生日の時は、お返し兼お祝いも兼ねてちゃんとプレゼントを贈る。

 

…まだ、俺はここでは渡さなかった。

 

 

 

 

 

「……ねぇ、千歌ちゃん…」

「ん、どうしたの?」

「悠くんって…私の誕生日…知らない、のかな…」

「…そんなこと、ないと思うよ♪(まだ前日だもんね…曜ちゃん、1日の辛抱だよ)」

 

たくさんのプレゼントを受け取り嬉しそうにする曜だったがどこか顔は寂しそうだった。

…奇しくも、その顔は悠には見えてなくて…。

 

──────────────────

 

誕生日当日、そして曜との約束の日。

 

「おまたせ、曜…待った?」

「悠くんっ♪今来たとこだよっ♪」

嬉しそうに腕に抱きつく曜。

今日は俺の彼女…そして、曜にとっては俺は彼氏。

そう思うと…どこか気持ちはドキドキとしていた。

 

「…それで、どこに行くの?♪」

「テーマパークだよ、人気なところでチケットなかなか取れなかったけど…2枚、取れたからさ」

「ホントにっ!?

あのテーマパーク1度は行ってみたかったんだよねー!♪」

 

テーマパークを選んだのは間違いではなかったようだ。

とりあえず幸先の良い滑り出し、と言ったところか。

 

「よーしっ、せっかくテーマパークに行くんだから未練が残らないくらい遊びまくるぞー!」

「はしゃぎすぎるなよ~?」

「えへへっ、分かってるって♪」

 

──────────────────

 

 

「はぁ…はぁ…どこが分かってるんだ…」

「んーーーーっ、楽しい~っ♪」

絶叫、絶叫、のんびりコーヒーカップ、からの絶叫。

視界がぐるぐる回る。

 

「悠くんと一緒だから楽しくって♪」

「…喜んでもらえてよかったよ」

ニコッと笑う曜の頭を優しく撫でる。

この風景も…曜にとっては違う景色に見えるのだろうか?

…俺も………今日は、曜との恋人関係を楽しもう。

そう心に決めたのだった。

 

 

──────────────────

 

「服まで買ってもらって…ごめんね?」

テーマパークで遊んだあとは買い物に付き合った。

服や靴など色々見て回りたいとリクエストがあったからだ。

 

「…あとはね~…あっ、今日のごちそうはハンバーグが良いなぁ♪」

「……じゃあ、ハンバーグの美味し……」

店に…と言おうとしたが、口が止めた。

……せっかくなら…。

 

 

「…よしっ、俺が作るよ!」

「えっ!悠くんが作ってくれるの!?」

「これでも…料理は結構できるんだからな~?」

「えへへっ、じゃあ悠くんのお手製ハンバーグ楽しみにしてるよ♡」

 

服や靴を買った袋を片手に材料の買い出しに向かう。

俺の内ポケットには…ネックレスの入った箱と共に…。

 

─────────────────

 

曜の家に着き、とりあえず洋服や靴を玄関先に置く。

 

「じゃあ、私この服や靴を部屋に持っていくね♪

悠くんのハンバーグ、リビングで待ってるよ♡」

 

ご機嫌そうに袋を持ち、部屋に向かう曜。

1人キッチンに向かい、料理を始めようとする俺。

ふと、始める前に内ポケットに入れたネックレスを手に取る。

 

「…アイツ…喜んでくれるかな…」

「悠くん~?食器や調理道具の場所って分かるかな~?」

意図しないタイミングで曜がキッチンに向かってきた。

急いで内ポケットにネックレスをしまう。

 

「あ、あぁ…大丈夫だよ…すぐ作るからね!」

「はーいっ♪」

 

 

キッチンのすぐ目の前のイスに座り携帯をいじる曜。

カチカチと操作をし、少し笑ったり困った顔をしたりしていた。

 

──────────────────

 

千歌ちゃん宛にメッセージを送った。

 

【やっぱり…悠くんは誕生日のこと知らないと思う…】

【そんなことないって!大丈夫だよ!】

【今ね、私が食べたいって言ったから…ハンバーグ作ってもらってるんだけど…プレゼントとかって話が出てこないし…服や靴を買ってもらったけど…それも私が見て回りたいって言ったから、かなって…】

【……悠くんなら、大丈夫だよ。

根拠はないけど…私はそう言いきれる!】

 

「…ふふっ…千歌ちゃんの言う事…結構当たるからなぁ…」

 

 

───────────────────

 

さて、料理は順調に作ってきてるが…ここで問題が発生した。

……プレゼント、いつ渡せばいいんだ?

 

今更ながら…渡すタイミングを見失った。

今か?…いやいや、いきなりすぎる…。

帰り際?…それは遅すぎるし…。

 

困り果てたとき、盛り付けしてたハンバーグの皿を見てふと思った

「…これを……こうすれば…良いのかな?」

思いついた作戦は…吉と出るのか、凶と出るのか。

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ~、悠くんお手製のハンバーグだよ~っ♪」

「待ってました~!♪」

順調に作ってたつもりだったが…いつの間にか時刻は6時を過ぎていた。

因みに曜ちゃんの両親は今日は夜遅くなるらしい。

朝のうちに誕生日プレゼントは貰ったみたいだ。

 

 

「ご飯と…スープ、サラダ…そしてメインの…ハンバーグ!」

「おお…っ…やっぱり豪語するだけはあるねぇ~♪

…んん?…これは…メッセージカード?」

 

そこには…目を瞑ってと書いてあった。

 

「…えっ、どういうこと???」

「ん、何が?」

「…いや、これ……」

「…目を瞑って…って書いてあるってことは…そうした方がいいんじゃない?」

「いいんじゃないって…悠くんが書いたんだよね???」

「まぁまぁ、いいから…ほら、目を瞑って?」

 

「んっ…分かった……こう、かな…?」

ぎゅーーっと目を瞑る曜。

薄目で見てたりはしないようだ。

 

…内ポケットに入れた手が少し震えていた。

女の子に贈るプレゼント…渡すのにこんなに緊張するのだろうか。

 

「ね、ねぇ…悠くん…?…もういいかな…?」

「まだかな…」

 

曜の目の前に箱を置く。

そして、一言。

 

「目…開いていいよ…」

「んっ…………あっ……!…えっ、これ…!?」

目を開け、周囲を見渡し、すぐさま箱の存在に気がついた曜。

動揺を隠せない様子だった。

 

「…えっ…な、何これ…何これ!?!」

「…開けてみ?」

「…う、うん…っ」

リボンを解いて…箱を開けると…。

 

「わぁ……!!」

ネックレスを見た瞬間、驚きと共に口をぐっと閉じて嗚咽を我慢する曜。

気がつけば目頭が熱くなっていた。

 

「…誕生日、おめでとう…曜」

「んっ……悠…くん…っ…!」

「ごめんな、色々考えて…曜が喜ぶものを選んだんだけど…どうかな?」

「嬉しい…っ…私、最高に…幸せだよぉ…!」

 

大事そうにネックレスを胸に抱き、涙をポロポロと流す曜。

立ち上がり、そっと曜を後ろから抱きしめる。

 

「もう泣くのはやめようぜ、せっかくの誕生日なんだからさ…

ほら、ネックレス…付けるか?」

「…うんっ…」

曜からネックレスを受け取り、首につける。

長さなど、大体の予測で買ったがほぼ間違いがなくキツすぎなく、長くすぎもなく、ちょうど良かった。

 

「…ほら、こんな感じ、だよ?」

携帯のカメラをインカメにし、付けた様子を見せる。

 

「わぁ…っ…すごい…っ!」

「…4月の誕生石は…ダイヤモンド…その輝きと…曜の明るさと似てるなって…一目見て…思ったんだ。」

「悠くん…っ」

抱き着く曜。

 

「ごめん…私…悠くんが誕生日忘れてるんじゃないかって…不安で…」

「んなわけないだろ……喜ばせようと…必死に黙ってたんだよ…」

「えへへ…恋人関係になってほしいって言ったのは…気がついて欲しかったから…なんだけど…私の思い違いだったのかぁ…やっぱり悠くんは優しいね…♪」

「…恥ずかしいからやめろっ、ほら早く食べよ!」

 

「…うんっ!♪」

 

 

涙を流したあとの曜の顔は幸せそうで晴れやかで…

ダイヤモンドに負けないくらい…輝いていた。

もう一度…ただ一言…俺はおめでとうと呟いた。

曜は、忘れられない…絶対に忘れたくない…誕生日になったよと満面の笑顔で答えた。




ラブライブサンシャインを好きになった最大の理由は曜ちゃんを見ての一目惚れでした。
そこからぬいぐるみ集めたりストラップ付けたり
クリアファイルをゲットしたりと。

Aqoursを好きになってから1年半位経ちますが、曜の推しは今までもこれからも変わりません。

曜ちゃん…お誕生日おめでとう!!



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74話

曜ちゃんの誕生日は終わりましたが俺の中では
まだまだ誕生祭ですよー!(じつはそこそこ酔ってる←)


今回は悠くんに対する気持ち パート2(2とは2年生編!)です。
もうひとつのAqoursな日々のアイデアが浮かばねぇ!!!
誰か助けて!!!←←←←←


「…うーん…………」

 

授業のノートを取るフリをして、一生懸命にノートに色々なワードや文章、アイデアを書いていく。

 

…えっ?何をしてるかって?

それは~…秘密ってことで。

 

 

────────────────────

 

「…あっ…」

 

悠くん…なんか真剣にノート書いてる…。

真剣な悠くんの顔も…優しい悠くんの顔も…全部全部…かっこいい…///

 

思えば…あの時、私は悠くんにスクールアイドル部に入ってと懇願していた。

気のせいかもしれないけど…千歌の勘違いかもしれないけど…悠くんなら、きっと…なにか大きなことにしてくれふ…そう思っていたからだ。

 

…その予感通り、悠くんはAqoursを支えてくれて…Aqoursの進む道を照らしてくれた。

だから、リーダーは悠くんにした。

理由なんてなかった。

 

みんな悠くんのことが大好きだし…。

困難があっても…辛い道だったとしても…悠くんが必ず居てくれた。

それだけで…すっごく心強かった。

 

「…悠くん…大好きだよ///」

聞こえない声で…小さく私はつぶやいた。

初恋の……愛おしい彼に。

 

 

──────────────────

 

「…悠くん…っ」

ノートの片隅に真剣な表情をしている悠くんをスケッチする。

私にとって…彼は不思議な存在だった。

 

明るくて…優して…真っ直ぐで…けれど、どこか鈍感で…憎めない。

そんな悠くんに私は完全に恋におちてきた。

 

もっと…彼のことを知りたい。

もっと…彼と一緒に歌ってみたい。

私がピアノを弾いて…悠くんが力強くも…やさしい歌声を披露するセッションを…奏でてみたい。

 

「…私も…浦の星に来て…ううん、悠くんに会ってから…変われた、のかな…♪」

ふふっと笑う、もちろん悠くんには…気が付かれてなかった。

 

────────────────────

 

「…♪」

船のストラップをじっと見つめる。

私と悠くんの…お揃いのストラップ。

 

これを大事につけて…悠くんの事をを想う。

それだけで…大好きって気持ちが抑えられなかった。

 

「まさか私が…初恋、するなんてね…///

でも、その相手が…悠くんで良かった…♪」

ちらっと横目で悠くんを見る。

 

視線に気づいたのか、にこやかに笑う悠くん。

…曜は、その笑顔に吸い込まれそう…だよ…///

 

────────────────────

 

「…3人とも、授業中なんか視線感じたんだど…なんかあった?」

「ふふっ、なんでもないよ♪」

「さ、さあっ…私にはわかんないかな~…♪」

「えへへっ…こうすれば…分かるかな?」

 

「…?」

その問いに首を傾げたままにしてると

3人が目の前に横並びで立った。

 

「悠くんっ」

「大好きだよっ♪」

「これからも…たくさん、愛して…ね?」

 

恥ずかしそうに微笑む3人に…俺は、もちろんだと答えた。




次回は3年生編!

酔いながら作ったから誤字脱字が目立つかも…
ほんとすいません…

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75話

前回は短くてすいませんでした…!
今回は1年生編と3年生編+‪α‬の2本をひとつのお話に盛り込みます!!


「…よしっ」

 

私だけの秘密のノートをパタッと閉じ、ひとつ深呼吸をする。

その物語は…ある男の子と…女の子が恋に落ち…体を交わし…愛を育む物語だった。

 

作ったのは…私、だが…ホントにそんな風に恋に落ち

好きな男の子に…全てを捧げる日が来るなんて…思ってもみなかった。

 

「…俺のリトルデーモンになれ…か…」

体を交わした時にその男の子が言ったセリフだ。

…このノートには……''なり、ます…っ'''と言う続きがあった。

 

「…ふふっ、悠のくせに…生意気ね…♪

…でも…ホントになっても…いい、かも…///」

彼の前では…ヨハネ…ではなく、善子で居たい。

曜も前に言ってたけど…1人の女の子として…見て欲しい。

 

「…ふっ…なんて…見てるからこそ…本気で想いを受け止めてくれた…のよね…///

…ホント…罪なくらい…優しいのね…」

 

「善子ちゃん、誰が優しいずら?」

「っ…!…ず、ずら丸…びっくりさせないで…って、ああ…聞いてたのね…

優しいのは…悠の事よ」

「まるもそれはすっごく分かるずら…♪

悠さんが優しいのも…善子ちゃんがその優しさに完全に身を委ねてることも…♪」

「ちょ、なんでそうなるのよ!?」

 

「…善子ちゃん、なにか気が付かないずら?」

「…えっ…なにかって…なによ?」

「悠さんと初めまして位の時はて…善子言うなっ!って言ってたのに、まるが善子ちゃんって言ってもそうやって反論しなくなってるずらよ?」

 

「…………あっ…」

言われてみればそうだった。

最近、善子言うなって誰かに言った記憶が無い。

「つまり、それだけ善子ちゃんを変えたのは悠さんの影響が大きいってことずら♪」

「そ、そういうズラ丸はどうなのよ…っ!」

 

「…まるは…多分、最初で最後の…心から好きになった人になるかもしれない…ずら…」

「…どういう事?」

「…悠さん以上に素敵な男性は…居ないと思ってるずら

だから…身も心も…まるの全部を…あげたずら…///」

 

恥ずかしそうにポツリポツリと呟く花丸。

恋する乙女の顔をした幼馴染を見て、つい顔がほころぶ。

 

「…そう、ね…確かに…それは言えてるわね」

「だから…まるはこれからも悠さんのそばにいれれば…それで十分ずらっ♪

本では教えてくれないことは…全部、悠さんから教えてもらったずら…///」

「だからって…図書室で営むのはやめなさい?

…見た時びっくりしたんだから」

「はーいっ♪」

「ホントに分かってるのかしら………」

 

 

────────────────────

 

 

「…うん、しょっと…」

「鞠莉?なにしてるの?」

「えっ…?ああ、悠

実はね、この箱を理事長室に持っていくところ、よ…っ」

「おいおい、フラついてるぞ…俺が持つから、貸してみ?」

「そんな、わるいわよ…っ」

「いーから、いーから…力仕事は男の役目…だろ?」

「…サンキューね…悠…///」

 

彼がこの浦の星に来る前に…ダイヤを始め、みんなにKeyになると言った。

──────正直、根拠なんてどこにも無かった。

 

ただ…悠のお母さんから貰った…沼津の学校に送るはずの書類と…顔写真を見て…私の直感が告げた。

 

''この子は…いつかビックなことを成し遂げる''…と。

 

今となっては…Aqoursと言うスクールアイドルグループに対する尽力もそうだけど…。

Aqoursというメンバーにも…大きな影響を与えてる…なんてね…♪

 

「…ねぇ、悠?」

「んっ…どした?」

「…ふふっ、なんでもないわ…♪

ただ…私の大事な大事な初めてをあげたんだから…責任はとって欲しいな~って♪」

「お前…そんな恥ずかしいことをよく言えるな…」

「べーーっだ♪」

 

彼の前を歩く私の足取りは…心做しか軽いようにも感じた。

 

────────────────────

 

「……………」

携帯の写真フォルダを見る。

そこにあったのは上半身裸で寝る男の子の寝顔だった。

 

「あははっ…寝てる時は…可愛い子どのような顔なのにな~…♪」

それは、不意だった。

電話で…果南と呼んで欲しい、募る想いをありのまま悠にぶつけた。

すると、彼はすぐに私のことを果南と呼んでくれた。

突然の事でドキドキが止まらなくて…でも、心が温かくなって。

あ…私この人の事…好きなのかな…。

そんな風に考え始めていた。

 

2人で…夜の学校に行った時も…彼の背中は大きくて…頼りになって…。

ベッドの上で…抱きしめられた時も…その握ってくれた手は大きくて…。

私の中で悠は居なくてはならない存在になっていた。

だから…甘えたい。

ダメになってもいい…でも、この想いだけは止められない。

「…曜ちゃんのこと言えなくなっちゃったな~…」

 

私も…すっかり恋する乙女になっちゃった…と照れくさそうにはにかむ私だった。

 

────────────────────

 

「うゆ…っ」

「ルビィ?ここにいたのですか?」

「あっ、お姉ちゃん!」

 

1人でミシンと戦うルビィを発見した。

そこには男の人のような小さなぬいぐるみと赤い髪の女の子のぬいぐるみがあった。

 

「…それは?」

「えへへっ…悠さんをイメージして作ったんだぁ♪」

嬉しそうに手に取り笑う妹。

あの方が来るまでは…弱気で…すぐに泣いてしまうような子だったのに…今ではライブで歌い、踊る…そんな妹の成長を見れて…姉冥利に尽きますわ。

 

「ルビィは…悠さんのこと…どう思いますか?」

「すっごく優しい…お兄ちゃん、かな…///

いつも頭撫でてくれるし…抱き着いても何も言わずに抱き返してくれるし…あとね、あとね!♪」

嬉しそうに話すルビィ。

それくらい悠さんのことが大好きなのだろう。

 

「…お姉ちゃんは…どうなの?」

「…正直、男の方に甘えたい、だなんて思う日が来るなんて想像もつきませんでしたわ…」

ですが…気がついたら…彼のことを目で追って…。

部室で悠さんを励ます時も…妹ながら…負けたくないと…思いましたわ。

 

「でも、ルビィはお姉ちゃんと一緒の人を好きになれて…すっごく良かったって思ってるよ♪」

「…ルビィ…ええ、悠さんが聞いたらさぞかし嬉しがると思いますわ」

 

あれほど硬く、厳しい生徒会長が幸せそうに笑った。

つられるように…笑う妹。

私達は…今ものすごく幸せなのかもしれない。

 

 

────────────────────

 

 

「…えっ、本戦2曲目の歌詞を作って欲しい?」

「…もし、行けたとしたら…やっぱりここまで来れたのは…悠くんのおかげ…だから…」

「悠くんの書いてくれた…歌詞で…みんなで大勢の観客がいるなかでライブをしたいの!」

「たとえ…悠くんがステージに立ってなくても…」

 

「思いは…ひとつずら」

「…心強い、からね…!」

「リトルデーモンなら…最高の歌詞が作れるって信じてるわ」

 

「…最初から最後まで…任せっきりになってしまいますが…今回はわがままを言わせてもらいます…っ」

「悠の書いてくれた歌詞を見て歌うとね…すごく元気が出てくるんだよ?

だから…1度諦めた道…それをまた進ませてくれた…悠の気持ちを…私は受け取りたい」

「FantasticでAmazingなライブにしましょ♪

Aqoursのみんなと…悠ならそれが絶対できるわ」

 

「みんな………よしっ!分かった!」

作る歌詞が…''2つ''になっちゃったけど…みんなのためだ。

最高のライブにしてあげたい…。

その為にも最高の歌詞を作ってあげたい。

Aqoursとしての…集大成を。

 

本戦まで…着実に時は過ぎていった。




…あれれ~?本戦1曲目は千歌が作る…。
なのに悠くんが作詞を2つやるって変だな~?おかしいな~?(わざとらしい振り)

次回は冬休み突入編です!

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76話

冬休み編突入!!


「ふっゆや~すみ~!♪」

「楽しみずら~♪」

 

12月も半月が過ぎようとしてた頃…千歌と花丸が鼻歌交じりで冬休みが来るのを今か今かと待ちわびていた。

 

「…冬休みまでには…作っておかないとな…」

「ねぇねぇ、花丸ちゃん、曜ちゃん!

冬休みはどこに行こっか!?♪」

「うーん、そうだなぁ…」

「まるはどこでも大丈夫ずらよ~♪」

 

「…あの、3人とも…?」

「やっぱり、東京~?」

「でも、それはAqoursのみんなで行ったずらよ~?」

「…あの、ですから…」

 

「じゃあ、どこか違う場所?

同じ静岡の富士山とか?」

「んもー、せっかくならもっと遠いところとか~…」

「だまらっしゃーーーーーーい!!!」

 

「ずらっ!?」

「よぅっ!?」

「ちかぁっ!?」

 

ダイヤの雷で少し驚いた俺は3人の方を見た。

というか、千歌と曜の驚き方はなんだ…名前が出る習性でもあるのだろうか?

…おい、いまユーはショックって言ったやつ、誰だ。

 

「貴方達、前にも言いましたが冬休みの宿題を…!」

「あっ、それは大丈夫だよダイヤさんっ!」

「…はい?」

「ちゃんと終わらせるずら♪」

「やっぱり、早く終わらせて…みんなと遊びに行きたいもんね!♪」

 

「…それには俺も同意だな

終わってなくてみんなの手を煩わせるのは夏休みの時だけで十分だ」

「…ゆ、悠さんがそういうなら…分かりましたわ…っ」

 

(うっわ…悠にだけ甘々だよ…梨子ちゃん)

(あはは…分からなくもないでしょ?果南ちゃんも)

 

「…それで、千歌はどこに行くのか決まったのか?」

「うーん…まだ全然…どこがいいのかなぁ…」

 

結局、千歌は唸るままで冬休みの予定は白紙のままだった。

 

─────────────────

 

その日の夜。

 

「…こっちの歌詞は…8割方完成してて…あとはこのライブ用の歌詞も今日7~8割くらい進めとかないとな…」

 

1人部屋でペンを走らす。

ライブ用の…それも本線の優勝を争うために作る曲。

何度も何度も…書いては消してを繰り返す。

自分の気持ち…伝えたいこと…Aqoursの皆の…個性や特徴…発揮できるものは全て発揮させたい。

 

 

その時だった。

 

 

prrrrrrrr!!

 

電話がなった。

嫌な予感はするが、とりあえず出てみることに。

 

「…もしもし?」

【good afternoon~!♪

フランスパリからシャンゼリゼ~♪】

 

ピッ。

 

「…ここはやっぱりこのフレーズの方が~…」

 

Prrrrrrr!!

 

「…もしもし…」

「はぁ…はぁ…敗北者……?

取り消せよ…今の言葉…!」

「凄い世界観が潰れるからやめておけ…そんで、要件は何かな…母さん」

 

フランス色に染まった母親が声のトーン高く話し始める。

 

「Youはあと1週間弱で冬休みよね~?

なんかスケジュールあるのー?」

「貴方はいつからジャニー喜〇川になったんだよ…

無いよ、Aqoursのみんなと出かけるって言うのは決まってるんだけどね」

 

「お、なら好都合

今度さ、週末に日本戻るからさ…せっかくならお出かけ先、用意してあげようかなって」

「…えっ、用意?」

 

「帰るって言っても、仕事はするけどね

北海道なんだけど…ホテルの副支配人が知り合いでね

頼めばAqoursのみんなとYouを入れて10人くらいなら予約も入れられるし…どうかなーって」

「…北海道…か…」

 

「ん、まあ千歌ちゃんとかと話してみなよ

予約して欲しかったらメールなり電話なりで連絡してちょ」

「…やけに至れり尽くせりしてくれるけど…なんか目的があるの?」

 

「んー…まぁ、Aqoursのみんなとどうなってるのかなーって

高校生活中は良いけど…そろそろ決めなさいよ、本命さんを」

「…あぁ…気づいてたのね」

さすがに怒るのかなと思ったけど、母親は大きく息を吐き、言葉を続けた。

 

「まぁ、千歌ちゃんだけじゃなくて曜ちゃんや鞠莉ちゃんを見てて思ったわよ…こういう時って女の勘は鋭いのよ?

…ま、アンタはお人好しで優しくて…モテるとは思ってたけどね」

「あはは、誰に似たんだろうね」

「一言余計なのは治らないみたいね?」

「あはは…ごめんごめん」

 

「…ま、今度ほかのメンバーさんも紹介してよ

とりあえず要件はそんだけだよ…渡辺さん待たせてるし、そろそろ切るよ?」

「ん、分かった…ありがとうね、おやすみ」

 

 

電話を切り、画面の消えた携帯を見つめる。

「…本命さん、か…

…思えば…春になれば3年生の3人は…卒業、なんだよな…」

そう思えば思うほど…歌詞を早く作りたいという気持ちになった。

 

「…喜んでくれかな…みんな」

その歌詞のタイトルは…''待ってて愛のうた''

俺からAqoursに送る…世界でひとつの…オリジナル曲。

歌詞も、演奏も、歌も…1人で手がける。

 

梨子ちゃんにバレないように、音楽室でピアノの練習も密かにしている。

 

「…よしっ、頑張るか!」

グッとペンを持っての力を込め、再びノートにペンを走らせるのであった。

 

 

────────────────────

 

 

「…えっ、北海道?」

「うん、母親がな…みんなの分の宿泊先とか手配してあげるからどうかって」

 

「そ、そんな!そこまでしてもらうなんて申し訳ないですわ!」

「北海道かぁ~…雪とか降ってるのかな~?」

「今は結構降ってるみたいだよ、積もってるみたいだし」

 

「ルビィ…雪見てみたい、な…♪」

内浦は滅多に雪が降らないらしい。

 

「私も、賛成かな

悠のお母さんがそこまで言ってくれるなら…好意に甘えてもいいのかなって♪

挨拶もしておきたいしねっ」

 

「千歌も賛成~!」

「北海道かぁ…初めての場所だしワクワクするね!♪」

「でも、行くとしたら…どれくらい行くのかな…?」

「…一応、母親的には5泊6日の予定だとさ」

 

 

「……はぁ、皆さんにダメと言っても無駄のようですわね…

大変申し訳ないのですが、悠さんのお母さんがそこまで言ってくださるのなら…皆さんで北海道に行きましょう」

「…ん、じゃあ頼んでおくね」

 

「よーしっ、早く冬休みにならないかなー!♪」

「えへへっ、行く時は飛行機なのかな?」

「ひ、ひっ、飛行機…!?」

「果南~?今更行かないは無しよ~?♪」

 

 

 

こうして、12月の冬休みは北海道に行くことになった。

…ん?…もしかして…クリスマスも…北海道で過ごす…のか?




次回は出発編から到着編までです!

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77話

いよいよ北海道へ!
しかし、一難去ってまた一難…?


「おー!飛行機だー!♪」

「おっきいずら~!♪」

「飛行機の操縦士の制服もかっこいいであります!」

 

「る、ルビィ達は今からあれに乗るんだよね…?」

「うぅ…て、鉄の…塊が…空を…っ…!」

「おーい、果南。乗る前から酔ってどうする…ほら、飲み物」

 

静岡空港に着いた俺とAqoursのメンバー。

千歌と花丸、曜は目を丸くしながら飛行機を眺めている。

特に曜は制服が気になる模様。

 

ルビィと果南は少々緊張していた。

特に果南は足を震わせていた。

 

梨子とダイヤと鞠莉は搭乗時間の確認をしていた。

こういう時の3人は頼りになる。

 

…あれ、善子は?

 

「…あっ……………」

「くっくっく……これがヨハネを運ぶ…ノアの…方舟!」

色々とひっちゃかめっちゃかだが、あえてつっこまない。

 

「善子……」

「それで、飛行機には主砲とか付いてないのかしら?」

「あのなぁ…」

ヤ〇トじゃあるまい、北海道ではなくイスカンダルにでも行くつもりか。

 

「皆さん!そろそろ飛行機に乗る時間ですわよ!」

「はーいっ(ずら~)♪」

「北海道へ~シャイニ~♪」

「ヨーソローっ!」

 

「いーーーやーーーーぁ!」

「ぴ、ぴぎぃっ!」

「…ほんとにぎやかね…」

 

嫌がる果南を半ば引きずるように飛行機に向かわせた。

その光景も見て善子が思わず本音を口にした。

 

──────────────────

 

 

「おー…飛行機だ…♪」

「ふかふかずら~…♪」

「キャビンアテンダントさんだ!写真撮っておこ!」

 

「…あのー、果南?」

「な、ななななななっ、なに、か、なん???」

「…えっと…飲み物飲むか?」

「あ、あーーーーー…も、もらっておくよ…!!」

 

飲み物を貰ったてはカタカタと震えていた。

危うく飲み物も零しそうなくらい…。

 

「お、お姉ちゃん…っ…」

「大丈夫ですわ、1時間半もすれば北海道に着いてますわ」

 

「怖いなら、私の手でも握ってなさい?リトルデーモンルビィ?」

「うぅ…善子ちゃん…ありがとぉ~…」

「善子さん!それは私の役目ですわ…っ!」

 

「高いわね~…まぁ、私はヘリコプターとか乗り慣れてるけど…?」

「羨ましいずら~…♪」

 

因みに座席は

 

花丸 千歌

曜 鞠莉 -

ルビィ 善子 窓

ダイヤ 梨子 -

果南 俺

 

だった。

果南はさすがに窓側は嫌らしい…。

千歌と花丸はわーっ、とかおーっと感嘆の声をあげる。

善子も頬杖をつきながら窓の先を見つめる。

もちろん、ルビィの手を握りながら。

 

────────────────────

 

「…ねぇ、ダイヤさん?」

「はい、どうしました?梨子さん」

「…今回の…北海道旅行ってさ…悠くんのお母さんが進めてくれたんだよね…?」

「えぇ…そうですね…?」

 

「…も、もしかしたら…北海道に着いた瞬間に…」

【Aqoursの人たちには私の可愛い悠を渡しません!!】

 

「…とか言われたり…して…?」

「…ぶっぶーーーーーーですわ!」

 

「おわっ…ダイヤどうした、急に大きな声出して…

果南がめちゃくちゃ驚いてるぞ…」

 

「ご、ごめんね悠くん!

…だ、ダイヤさん、冗談だよっ」

「…こ、こほん…まぁ、悠さんのお母様ともお話してみたかったので…大丈夫ですわ」

(ダイヤさん…目が本気だよ…っ)

 

────────────────────

 

「…離陸したけど…果南、大丈夫か?」

「うぅ…やっぱり…怖いよぅ…」

泣きそうな目をしてこちらを見つめる果南。

…やべぇ…超可愛い…。

 

「…ほら、手を握ったら…少しは違うだろ?」

「…うん……///」

思い切りぎゅぅと手を握る果南。

 

「…不思議…落ち着いてきた…///」

「…そっか、よかった…」

 

何故か目を合わせることが恥ずかしくなり、手を握ったまま窓の先を見つめる俺。

……いつの間にか、果南が俺の肩に頭を寄せていた。

 

────────────────────

 

「…ねぇ、曜」

「ん?どうしたの?」

 

キャビンアテンダントに敬礼をする曜に話しかけた。

 

「…ふふっ、なんでもないわ」

「何か嬉しそうだね、善子ちゃん♪」

「そうね…少なくとも…今年の春から…私の人生、変わったかも…しれないわね」

「それは…スクールアイドルってこと?」

 

「…それもあるわ……けど…」

「あっ、悠くんの事だね?♪」

「察しはやっ!

…まぁ、隠すつもりもないわ」

 

「…私も…かな…悠くんの…こと…大好きだし」

「…そうね…ふふっ」

 

2人で笑い合う。

3つ先の席にいる男の子は大きなくしゃみをした。

 

────────────────────

 

「~…♪」

「あれっ、千歌ちゃん、その曲って…」

「そうだよっ、No.10!

…この曲が…私たちの絆を…深めた…から…♪」

「…いい曲ずら…♪」

「あはは、あの時の悠くん号泣してたもんね~♪」

「そういう千歌ちゃんも少し泣いてたずらよ?」

 

「そ、それは内緒~!」

 

あの時の曲は…しっかり、音源として…残してある。

いつでも…悠くんといなくても…聴けるように。

この曲を聴くと…悠くんや…みんながそばにいる気持ちになれるから…。

 

────────────────────

 

 

案外乗ってみると早いもので北海道に着いた。

飛行機の中で困ったことといえば果南がトイレと言って扉の前まで俺を連れてきたことくらいだろうか。

 

ほんとに高いところダメなんだな…。

 

「あれ?悠くんのお母さんは?」

「…居ないな、先に着いてるって言ってたんだけど…」

「どこかすれ違いになったのでしょうか?」

 

空港を出て、キョロキョロ見回して見るが…母親の姿が見えない。

予定では俺らの1時間前に着いてると言っていたのだが…。

遅れるとしても連絡の1本があるはずなんだけど…。

 

「…しゃあない、連絡してみるか」

電話をすると数コールで出た母親。

 

「もしもし……」

「あ、母さん?今どこなの?」

「…あーーー…パリ…っす…」

「…は?」

 

「いや…パリ風邪?になってさ…

今渡辺さんに…介抱してもらってるとこ…」

「はいいい???

…北海道は?」

 

「…パスで」

「おおぃ!」

「私は…フランス大海賊時代の敗北者になったじゃきぃ…」

「そのネタまだ引っ張るのかよ!」

 

「なんで引っ張ってるか…明日までに考えといてください……あ、ホテルの場所はメールで教えるから…話は通してあるから…ほなまた…」

 

ぴっ。

 

 

「…あ、あのやろう…」

「ど、どうしたのですか…?」

「…………………いや実は…」

 

 

 

 

 

「「「「「えええええぇ~!?」」」」」

着いて早々、空港にAqoursの悲鳴が響いたとさ…。

この先どうなることやら…………………。




所々のネタは気にしないてください←

次回はホテル到着&散策編です。
Saint Snowはその次くらいから出させる予定です


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78話

曜ちゃん可愛いよ曜ちゃん←末期


「…いざホテルに着いたけど…ほんとに副支配人さんに話通してあるなんて…」

 

「すんなり入れて驚きだったね…」

「悠さんのお母様に重ねてお礼を申さねばなりませんわ…」

 

「わー!見てみてー!雪が積もってるよ~!」

「1面真っ白ずら~!♪」

「…あなた達!もう少し節度というものを…!」

 

「まぁまぁ…雪が積もること、内浦では無いんでしょ?

…そういうダイヤも気になるんじゃないの?雪」

「そ、そんなこと…!……あ、ありませんわ…っ」

と言いつつも目線は窓の方を向いていた。

 

「あ、みんなお菓子食べるずら?マカロン…ってお菓子ずら♪」

「あっ、いただきまーす♪…うーん、美味しい~♪」

「は、初めて食べたけど…美味しいね、花丸ちゃん♪」

 

「…た、食べたい…っ…けど、こんな甘いものに惑わされては堕天使ヨハネも面目が…!!」

「はい、善子ちゃん♪」

 

花丸からアーンと渡されたマカロンを善子がパクッと食べた。

 

「…うまっ!」

と言い、ベットにばたりと横たわる善子。

スカートの中が普通に見えたが気にしない振りをしておこう、因みにピンクだった。

 

「…とりあえず~、チェックインはしたし、色んなところ行ってみない?」

「賛成~!みんな行こ~!」

「あ、千歌ちゃん!待ってよー!」

「全速前進~…ヨーソロー!」

 

「あはは、みんなはしゃいじゃって♪

ほら、ダイヤも行くよ?」

「ま、待ってくださいまし!」

 

「…善子はいつまでそうしてるの?」

「…い、行くわよ!置いていかないでよー!」

 

 

────────────────────

 

外に出るやいなや、劇が始まった。

 

「…曜…ちゃん…梨子…ちゃん…私、もう…眠くなって…きた、よ…………」

「千歌ちゃん!寝ちゃダメだよ…!!」

「私も…もう…だめ…」

「よ、曜ちゃんまで…!」

 

「この雪のベッドで…私たち…寝るの…かな…」

「果南さん!しっかりしてください!」

「…ぁ…fairyが見える~…♪」

「ま、鞠莉さんまで!」

 

「…なにしてんの?」

「…あれ、悠くんも参加しないの?遭難劇」

そんなんやるか…。あ、別にうまいこと言ったは無いよ?

 

 

「堕天使ヨハネ…北海道に…刻印を!!!」

ギランとポーズを取ったまま雪にダイブする善子。

見事に善子の型が取れた。

 

「…ふっ、ふふっ…さすが…ヨハネのパワーの前に雪さえもひれ伏すのね…」

「鼻水出しながら言っても説得力ないずらよ…はい、ハンカチ」

「…あっ、ありがたく受け取るわ!!」

 

「…みんなはしゃいでるなぁ…」

そんなふうに眺めてる時だった。

 

バスっ。

背中になにか衝撃がきた。

 

「ふっふっふ…悠くん…背中ががら空きだよ…?」

「…千歌…これは…?」

千歌の手には雪の玉があった。

それだけではない、曜や梨子も手にもあった。

 

「…なんか…お泊まり会の時も…こんな光景あったなー

あの時は…枕だったけど…」

 

「それいけーーーー!!!」

次の瞬間、雪の玉はこちらに向かってきた。

全力で避けるが、投げる人数が多くなっていた気がした。

 

「私も参戦するよ♪」

「雪と言えばこれよね~♪」

 

「鞠莉…果南まで…!?」

「うにゅ…悠さんを守る方に付くね…」

「これぞヴァルハラ…!聖戦の時!」

 

意気込んでる善子に流れ玉が飛んできて呆気なくヒットし2回目の雪ダイブをする。

 

「どぉりゃあああ~!」

千歌が投げた渾身の一球が明後日の方向に飛んでいく。

…あ、そこには花丸が…。

 

バスっ!

「ずゅらぁああああ~!」

…なんか前にもこんなことあったな~…。

 

「えっへへ、楽しいね、悠くん!♪」

「ん…まあな…!」

 

 

 

つかの間の休息と思い出作りに勤しむ俺とAqoursのメンバーだった。

 

────────────────────

 

「あ~…もしもし…?」

 

「…珍しいですね、貴女から電話をするなんて」

「あはは、まぁちょっくらね…」

「それで、要件はなんですか?

…もうすぐラブライブの本戦が近いので、なるべく手短に」

 

「相変わらずね~…聖良ちゃん?

…まぁ、顔見に行こうって思ってたけど…まーさか、風邪でダウンするなんてね~…いやー、参った参った…」

「…要件、他にあるんですよね?」

 

「…ん、今そっちに、本戦の東海地区代表のAqoursがいるんだ

…良ければ、顔合わせしてよ」

「Aqours…ですか…私は構いませんが…理亞がなんと言うか…」

 

「見ればきっと…新しい発見もできる…かもよ?♪」

「…どういう意味ですか?」

「ふふっ、それは会ってみてからのお楽しみね♪」

「…はぁ…分かりました」

 

電話を切る。

飲み物を持った女性が悠の母親に近寄る。

 

「…また、なにか企んでるのかい?」

「企んでるなんて人聞き悪いわよ~…ただ、悠がAqoursじゃないスクールアイドル…しかもライバルになるSaint Snowと接触したら…どうなるのかなって興味本意よ、月ちゃん♪」

「…悪い方に進まなきゃいいけどね…」

「大丈夫よ、なんせ私の子だからね」

「それより、もう少し安静にしてるんだよ」

「あはは…面目なーい…」

 

 

遠く離れた雪国の地でキーとなる息子が大きなくしゃみをしてるのはこの時母親は知らなかった。




なんか色々出しました←
次回はSaint Snowが出ます。
聖良ちゃん可愛い←

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79話

「なーに数日も更新してないずら」
「すまん…ほんとすまん…」

「GWだよ!張り切ろうよぅ!」
「そんなもん無かったんや…はは…あはは…」

更新遅れてすいませんお待たせ致しました…!!


「…もう夕方だね…」

北海道散策をしていたAqoursのメンバーと俺。

 

楽しい出来事とは時間が経つのが早いもので日が暮れてきた。

 

「楽しみは明日以降に取っておきましょ♪」

「そうだな…じゃ、ホテル戻るか?」

 

「はーいっ!」

「ヨハネについて来なさいっ…きゃっ!」

先陣を切って歩き始める善子だったが、誰かにぶつかってしまった。

 

「い、つつ…ご、ごめんなさい!」

「いえ、私の方こそごめんなさい…大丈夫ですか?」

 

「………………あっ!!!」

ルビィがぶつかった人の顔を見るや大きな声を上げた。

 

「…どうした、ルビィ?」

「…こ、この人たち…!」

 

2人組の…年齢は同じくらいか?

……………………ん?

 

「もしかして…」

「Saint……Snow……!」

 

「…貴方達が…Aqours、ですか?(まさか本当に出会えるとは…)」

「……ふんっ」

 

「は、はいっ!スクールアイドルのAqoursです!」

千歌が自己紹介をする。

 

「遠路はるばるようこそ、私達はSaintSnow

私が鹿角聖良。こっちが妹の鹿角理亞」

 

…なるほど、やっぱり姉妹でスクールアイドルを…。

 

 

────────────────────

 

遡ること…出会う1時間前。

 

「…えっ、東海地区のスクールアイドルが今来てるんですか、姉さま?」

「ええ、もし理亞が良ければ…顔でも合わせておこうかと」

 

「(珍しい…姉さまがこんなことを言い出すなんて…)…大丈夫ですっ、それでその人たちはどこに…?」

 

「……今、時計台の方に向かってるとの情報が入ってます、向かいましょう」

「(情報……?)わ、分かりました!」

 

携帯には…悠の母親のメッセージ画面が表示されていた。

そこには…【今、時計台に向かわせるように手配したよ】とメッセージが入っていた。

 

──────────────────

 

「ふっふっふ…楽しみ楽しみ♪」

「また何か企んでる?」

「違うもーん…まぁ、本戦で戦う2組のスクールアイドルが相対するときに何か化学反応があるかなーって」

 

「それも、ご自慢の息子さん…えーっと…悠くん?だっけ?」

「そ!可愛い可愛い息子だよ~♪」

 

「(…まぁ、曜ちゃんから…私も聞いているんだけどね…まだこの人私と曜ちゃんがいとこ同士って気がついてないみたいだし…黙っておこう)…親バカ、だね」

「むっ!聞き捨てならない!こうしてやる~!わしわし~!!」

「あっ、ちょ!!///」

 

人から人に…そしてそこから繋がる線。

これも…悠の人徳、なのだろうか…?

 

 

────────────────────

 

「…それで、一つ質問なのですが、こちらの男性の方は?」

「…あっ、えっと…」

 

「冴木 悠…Aqoursのリーダーだけど?」

「…っ…そう、ですか…」

鹿角姉がなにか言いたそうに口を塞いだ。

 

「…悪いけど…アンタ達に負ける気なんか…ないから

そっちは遊び半分でやってるのかもしれないけど…私達は…本気だから」

「なっ………!!!」

反論しようとするダイヤを制する。

 

「遊び…ねぇ…

名も知られてないスクールアイドルが…地区の代表張ってるんだけど…それでも、そうと言いきれる?」

「…っ………」

反論されると思ってなかったのだろう、鹿角妹が睨んでくる。

 

「だいたい…っ…男がリーダーって何よ…!

スクールアイドルは…''遊び''じゃない…!!!!!」

 

そう言うと走り去る鹿角妹。

「あっ、理亞…!!」

急いで追いかけようとする鹿角姉。

しかし、1度立ち止まり…。

 

「…すいません、悪い子ではないんです…

ただ………その…………」

何か言いかけた鹿角姉だったが、そのまま走り去ってしまった。

 

 

「…あれが…SaintSnow」

「随分と言われたわね~リーダー?」

「……………………ああ(それ以上に…言いかけた内容が気になるけどな…)」

 

「………………………」

「どうしましたか、ルビィ?」

「あ、う、ううん!なんでもないよお姉ちゃん!」

 

こうして、初の遭遇と少しモヤモヤした気持ちを胸にホテルに帰る俺たちだった。

 

────────────────────

 

 

ホテルに帰ってからと言うものの…先程の少し暗いムードを何とか明るくさせようと千歌と鞠莉が先導し、場を盛り上げる。

 

「ほらほら~!一発芸でもやれ~!♪」

「最初は悠からね~っ?♪」

 

「新歓迎会のノリかよ…っ!!!」

「じゃあ、じゃんけんで負けた人にニックネーム付けて!♪」

なんだその有〇弘行みたいなノリ。

 

「いっくよ~じゃーんけーん!!」

 

 

「うう…まさか最初に負けるなんて…」

梨子……ご愁傷さま…。

とはいえ…梨子のあだ名…?

ずっと前にさっぱ梨子なんて言ったけど…不評だったしなぁ…。

 

「…リコピン?」

「あっ…い、良いか……………………え?」

「えっ、あっ…すいません…」

「ふふっ、なんてね…二人きりの時はそんな風に呼んでもいいよ♪」

 

 

「どんどん行くよ~♪」

「Are you ready~…………!」

 

 

 

 

 

「…何故か…善子さんに負けてから…ジャンケンが弱く…」

「ダイヤ……ダイヤ…ダイヤッホー?」

「…ぶっぶーですわ…」

と言うわりには、顔が赤いダイヤ。

今度呼ぶ時にでも使ってみるか。

 

 

 

 

「ん…?」

携帯が震えてるのに気がつく。

 

電話の発信者は母親。

 

「悪い、1回席外すわ」

 

渡り廊下に出て電話に出る。

「やっほ、北海道はどうかな~?」

「…どうもこうもないよ…SaintSnowって奴らに啖呵切られたし…」

「あははっ、変わらないな~聖良ちゃんと理亞ちゃんは…」

「知り合いなのか?」

「むかしちょっとね…で、その2人に関する情報だよ

 

茶房 菊泉」

「茶房…菊…なんだって?」

「そこに明日1人で行ってみ?」

「…俺だけで?」

「そっ…多分面白いことになるから♪」

 

「(嫌な予感しかしねぇ…)…でもなんでまた?」

「それはね~…あっ、ちょ!」

「もしもし、悠くん?」

 

「えっ…どちら様?」

「君の母親と一緒に行動してる渡辺 月って言います♪」

「あ、ああ…渡辺さん…母がお世話になってます…」

「ふふっ…曜ちゃんによろしく伝えといてね!」

 

「あ、はい…それはもちろ……えっ?」

「じゃね!♪」

そう言うと電話は切れてしまった。

 

「…曜に……んんん????」

俺は1人頭の上にハテナが浮かぶだけだった…。




次回は悠くんと鹿角姉妹が相対する!!

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80話

立て続けに更新!
R-18の方は少し待ってくれるとありがたいんじゃ…。


「…………………」

 

朝7時半過ぎ。

まだ他のメンバーは寝ている。

 

静かにホテルを後にし、携帯を開く。

 

「茶房……茶房…ここか?」

ホテルから歩いて15分程のところ。

 

「…合ってる…よなぁ?」

しかし、調べても他に出てこなかったので、とりあえず向かうことに。

 

 

──────────────────

 

「…ここか?」

着いたのは喫茶店だった。

 

「…って言っても…まだ営業時間外だし……」

「…あれ…っ…」

 

「…あ…か、鹿角さん!?」

ガラガラと扉を開けたのは鹿角姉だった。

 

「…聖良でいいですよ、どうしたんですかこんな朝早くから」

「えーっと…実は…」

「立ち話もアレですし…中にどうぞ?」

「えっと…お邪魔します…」

 

 

「それで、何故ここが分かったのですか?」

「…いや、母親から…ここに鹿角姉妹が居るって…」

「…なる、ほど………」

「それで、あの妹さんは…?」

「今、走り込みに行ってます…あの子、本戦にかなり気合が入っているので…」

 

…そっか…。

確かに本戦は一発勝負だからな…。

 

「…あの…昨日はすいませんでした…」

「えっ?」

「いや…あの後考えてみたんです

…確かに、お二人が言うように…スクールアイドルのリーダーが男って…おかしいのかなって…

俺の中では…それが自然になっていたって言うか…

2人に言われて気がついたって言うか…」

「………………いえ、私達の方こそ…」

「…あの…えっと……聖良さん…」

「はい?」

「…あ、いえ……その…理亞ちゃんにもそう伝えておいてください…」

 

「…あっ………待ってください!」

「…はい…?」

「その件については…ごめんなさい。

理亞の代わりに…謝ります。

もし…良かったら…私達の…ライブを…見て、ください…

貴方に見て欲しいです…私達の本気を…そうすれば…貴方の見方も変わる、と……」

「分かり、ました…」

 

「…今日の夜7時に…噴水公園で…待ってます」

「……はい」

 

その一言を最後に店を出た。

…聖良さんの…謝る姿が…どこか…頭から離れなかった。

 

────────────────────

 

「不思議…なんでこんなに…私は必死になって…」

本戦では…ライバルになるはずなのに…。

あの人は…不思議な人だ。

 

「…Aqours…か…」

たしかに…あの人がここまでのスクールアイドルにさせたのは…事実なのかもしれない。

 

「もし私たちのリーダーだったら…どうなっていたのかしら…ね…」

クスリと笑う聖良。

 

帰ってきた理亞はその姿を見て驚いた顔をしていた…。

この話と今日の夜のライブのことは…内緒にしておくことにした聖良だった…。




次回は北海道散策とライブ編です!

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81話

更新遅れて本っっっっっっっ当に申し訳ございません…!
バンバン更新できるまでもう少しお待ちください…!


「さてっ、今日はどこに行こうか?♪」

「その前に…悠はどこに行ったの?」

 

朝起きると、悠が居なかった。

不思議に思った果南が連絡したが、繋がらない。

 

「うーん…どこだろうね?」

「走りに行ったとか?」

「まぁ…悠ならありえると思うけど…」

 

「…あれ、みんなおはよ?」

噂をすれば何とやら、だった。

ドアを開けた悠が驚いた顔をしながらこちらを見ていた。

 

「あ、悠くん!どこに行ってたの?」

「えっ…あー…少し走り込みしてたんだけど…迷っちゃって…あはは…」

「繋がらないから心配してたんだよ~!」

「ごめんごめん…!」

 

 

「………………………」

謝る悠だったが、ただ1人…どこか腑に落ちない果南だった。

 

────────────────────

 

「ここが札幌ドーム…!」

Aqoursのメンバーと俺は回りきれなかった北海道巡りの続きをしていた。

 

「うゆ……」

「ルビィ?どうした?」

「あ、人が多くて…」

「…ほら、手を握って?」

「…はいっ…///」

 

ぎゅっと握る手はどこか安心する気持ちだった。

「次は…やっぱり、札幌タワーかな?」

「正確には、さっぽろテレビ塔、ですわ」

「さすがダイヤさん…物知りずら~…」

 

「…あ、悠…っ」

「ん?どうした?果南」

「…いや…ごめん、なんでもないよ(…悠……何か隠してる?)」

 

ぐっと自分の首元に巻いたマフラーを掴みながらどこか寂しそうな顔をする果南だった。

 

────────────────────

 

「ヨハネ…札幌の名所に…堕天!」

「…お前はいつでも元気だなぁ…」

「ヨハネの業火で札幌の雪を溶かすわ♪」

「顰蹙買うからやめておけ」

 

「ここで!千歌から発表がありまーーーす!」

札幌タワーを背景に千歌がこほんと咳払いしてみんなの前に立つ。

 

「発表?」

俺の頭にはハテナが浮かんだまま発表の内容を模索していた。

 

「では…曜ちゃん!」

「ヨーソロー!明日ここでライブをしようと思っているであります!」

「もう曲と衣装は出来てるんだよ♪」

 

「そ、そうなの!?」

明日って…クリスマスじゃん。

 

「Aqoursの…クリスマスライブだよっ♪」

「悠さんには内緒にしておこうとみんなで考えていたのですわ」

「これもサプライズ~♪ねっ」

 

「せっかくのクリスマスだもん、思い出作りたいもんね!」

「聖なる夜…特別に堕天使ヨハネも参戦しましょう」

「そのまま大天使にでもなっちゃうずら?」

「ならないわよ!!」

 

「そっか…クリスマスライブ楽しみにしてるね!」

「へへっ、まっかせて!♪」

嬉しそうに笑う千歌だった。

 

 

 

 

「…あ、そう言えば…曜?」

「ん?どうしたの?」

「…月さんって…知ってる?」

 

「えっ!?…な、なんで悠くんが月ちゃんを知ってるの…?」

「実はな………」

 

母親と月さんが一緒に居ることを曜に話した。

話を聞き終わると曜は納得したように手を叩いた。

 

「あー、月ちゃんまだイタリアに居るんだね~…

そうだよっ、従姉妹なんだっ♪」

「まさか、ウチの母親と居るなんてな…」

「(…まぁ、私はよく月ちゃんに悠くんのこと話してるから…ね…。

でも悠くんのお母さんも同じような反応なのかな?)よろしく伝えておくね♪」

「今度顔でも合わせられればいいな」

 

 

────────────────────

 

「あっ…悠、まって」

ホテルに戻ろうとした時、果南に止められた。

 

 

「…果南?」

「…ごめん、呼び止めて…

ただ…どうしても聞きたいことがあって……悠、何か…隠してる?」

「…隠してる、とは…?」

「…だって…朝、走りに行ったはずなのに…汗もかいてなかったし…」

 

…バレバレか、さすが果南だな。

「…そっか…隠すつもりはなかったんだけど…」

 

俺は果南に今日の夜のライブのことを話した。

「…それで…悠はどうするの?」

「見に行くよ、もちろん

アソコまで俺たちAqoursに言い切ったからには…それ相応のものを見せて欲しいしな…」

「…ふふっ、やっぱり悠はAqoursのリーダーに相応しいね♪

…しっかり、偵察してきてね?」

「ああ、心配かけて悪かったな」

 

果南には口裏を合わせてもらうことにした。

夜に1人でホテルを出るのはさすがに怪しまれるからだ。

 

 

────────────────────

 

そして、約束の時間の30分前。

「ほ、本気なのですか、姉さま!!」

「えぇ、本気です」

 

「あの男だけに…私達SaintSnowのライブを見せるなんて…!」

「遊びではないことを知らしめる為です…協力してくれますよね、理亞?」

「…っ………わかり、ました…」

(貴方に…伝われば…私はそれで構わない…遊びじゃないってことを…)

 

 

────────────────────

 

「ここが…噴水公園…か?」

約束の10分前に来たが…人気がなく、静かに噴水の音だけがしていた。

 

「……さむっ……」

北海道の夜は東京以上に冷え込む。

噴水の縁に座ると目の前にはライトアップされた札幌タワーが見えた。

 

「なんだ…意外と近いんじゃん…」

「…あっ…悠さん、お待たせしました…」

「…来たか、待ってたよ…聖良さん」

 

「…ふんっ」

「理亞ちゃんもありがとうね」

「姉さまの為だから」

 

「……約束通り…1人で来て下さり…ありがとうございます」

「…ああ」

「この…私達SaintSnowと悠さんだけの空間…そこで行うライブで…私達の思いや伝えたい事が…伝わればいいなと思っています」

「見縊るつもりなんてないさ、あくまで君たちは俺たちの好敵手だからな」

 

「………では…見てください…私達…SaintSnowの本気を」

そう言うと噴水の周りがライトアップされる。

どうやら、1時間ごとにライトアップされるようだ。

 

 

ただ1人の観客である俺の目の前で行われたライブは…ネットで見るPVとは違い、心の奥底に響き伝わる歌詞と歌声とダンスだった。

その歌詞1節1節事に気持ちを乗せて表情豊かに歌い上げる。

 

これが…SaintSnowの本気。

決して負けたと思った訳では無い。

ただ…Aqoursとは違う良さが如実に表れていた。

 

歌い終わると同時に…噴水のライトアップが消えた。

何も言わずに拍手をする。

 

「…流石だな…正直、見蕩れた」

「はぁ…はぁ…Aqoursには…Aqoursの良さがあるのは…私達は知っています…ですが…私達…SaintSnowには…私達なりの良さがあると信じてます…っ…理亞と2人で…必ず…優勝します…っ」

「…ふぅ……見たわよね、これが…ラブライブ本戦の実力よ……本番は…これ以上の力とパフォーマンスを…見せるんだから…!」

 

「…どっちが上かとか…そんなことは言わないさ

ただ…見て思ったよ…せっかくなら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「SaintSnowとAqoursの2組で決勝に進んで…最高のパフォーマンス対決をしようぜ」

「……!」

「っ…!」

「約束だからな、俺達も本気で…本戦に臨むつもりだ」

 

「……はいっ…!」

「…あ、それと…2人が良かったら…だけど…」

 

 

 

 

「「……ええっ!?」」




意味有りげな2人の驚いた声で終わりすいません…!
果たしてこの意味とは…!?

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なるべく更新スピードは早くしていきます…R-18の方も…


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82話

更新ペースが不安定な中待ってくださってる皆さん本当にありがとうございます…!

中々投稿出来ませんが一つ一つクオリティ高めで投稿していきます…!


「おかえり、悠♪」

 

ホテルに戻ると果南が笑顔で出迎えてくれた。

「悪いな、遅くなって」

「大丈夫だよっ、まだみんなも起きてるし♪」

 

そういうと、部屋の中は確かに賑やかな声がしていた。

「あははっ、北海道に来てまで…枕投げ大会?」

「まぁこれがAqoursらしさ…かな?♪」

 

「あ、悠くん!枕投げ大会しよ!」

俺が席を外してた事などどこ吹く風

いつも通りに接する千歌。

 

「…それもいいけど…みんな、少しいいかな?」

「………………?」

 

枕を投げる手を止め、視線をこちらに集めるメンバー。

ふぅと息を吐き皆の方を見る。

 

「明日の…クリスマスライブ、なんだけど…

''SaintSnow''の2人も…一緒にライブ、参加させても…いいかな?」

 

「「「えっ!?!」」」

「…Omg…」

「ふふっ、偵察に行って…何を言い出すかと思えば…さすがリーダーだね♪」

「い、いきなりどうしたのですか、悠さん!」

 

驚く1年生組と2年生組…そして呆然の鞠莉と動揺のダイヤ。

話は噴水公園のSaintSnowのライブ終わりだった。

 

───────────────────

 

 

「「ええっ!?」」

「あ、いや…あくまでも提案なんだけど…Aqoursとライブしたら…お互いの良さが…分かるんじゃないかって」

 

「…お互いの…良さ…」

「お、お断りよ!姉さま、こんな人の言うことなんて…!」

「…いつ、ですか?」

「姉さま…!」

 

「…明日…クリスマスライブをしようって…札幌タワーの前で」

「…振り付けは…そちらに合わせる形でいいのですか?」

「合わせると言うよりも…あくまでSaintSnowの振り付けで大丈夫だよ

…もし、OKしてくれるなら…歌詞も渡すし」

 

「………………………分かりました、貴方がそこまで言うのなら、やってみましょう」

「ね、姉さま……………?」

しっかりとした目付きでそう答えた聖良。

そんな姉の姿を見て驚きの表情を隠せない理亞。

 

 

「…明日の本番までに…大丈夫か?」

「見くびらないで下さい…北海道代表、ですよ?」

ふふっと微笑む聖良の姿を見てこちらも笑みが零れた。

 

「…そっか、悪かった…これ、俺の連絡先

後で……歌詞を渡すから」

「ええ、待ってます」

 

そう言って明日のクリスマスライブを一緒にやろうと約束し、俺は噴水公園を後にした。

 

 

「…理亞」

「は、はいっ…?」

「…ごめんなさい」

「………えっ…?」

 

「私1人の判断で…ライブを一緒にやることになってしまって…」

「そ、そんな!姉さまが謝ることは…!」

「…でも、これだけは…言わせてください」

「……えっ…?」

 

「…私たちが思ってる以上に…あの人は…大きな存在、なのかも…しれません…」

「…姉さま…それって…」

「……ライブに誘ってくれたのも…すごく…嬉しかった…なんて…///」

 

「…あの男が…そんな人だなんて…」

 

既に居ない人影を目で追っていた聖良。

その顔は赤く、胸の鼓動が早くなっていたのは自分だけが知っていた。

 

 

────────────────────

 

 

 

「……どう、かな?」

「うーーーーーーーん……敵に塩を送るって事でもないし…千歌は良いとは思うけど…」

提案はしてみたが即決快諾…という訳では無いようだ。

そんな中、思わぬ人が声を上げた。

 

「やろうよ…!!」

「…ルビィ?」

「一緒にライブ…しようよ!」

「…ルビィちゃん…」

 

「理亞ちゃん、まだ話したことないけど…同じ姉妹の妹として…もっと仲良くなれるはずって…思ってた!

それに…本戦では、ライバルになるけど…今はお互いのことをもっと良く知るべきだと思うの!」

 

「ルビィちゃん…」

「確かに…遠ざかってばかりじゃ…何も始まらないもんね

互いを知るっていうのは…大事、だよね…」

「あの二人も悪い奴らじゃないよ

それに、約束したからな…」

「約束…?」

 

「…いや、これはまだ先のお楽しみだな」

 

「…じゃあ、しよう!ライブ!

Aqoursのみんなと…SaintSnowの2人でクリスマスライブを!」

「ヨーソロー!いいライブにしようね!」

「2組の代表グループがやるライブなんて…すごい事だよね…!?」

千歌が嬉しそうに言った。

梨子は後々凄いことをするんだと思い知らされていた。

 

「名前は…Saint Aqours Snowいかがでしょうか?」

「ダイヤさん、ナイスネーミング!」

「Saint Aqours Snow…とってもシャイニーな響きね~♪」

 

S・A・S……

誰かがサタンオオカブトって言った気がするけど…気のせいか?

 

「(…良かった、これでお互いにとって、いい思い出になればいいな…)よしっ、じゃあ今日は寝ようか!」

「「はーいっ」」

 

────────────────────

 

 

みんなが眠りについたころ、俺は携帯を開いた。

 

【聖良さん、もう寝ちゃいましたかた?】

 

 

既読

 

 

(あれっ、まだ起きてたのか…?)

 

【まだ起きてますよ、どうしましたか?】

とりあえず、ライブの件について言わなきゃな。

 

【明日のクリスマスライブ…みんな大賛成でしたよ

お互いのことをよく知ろうって…仲良くなりたいって】

 

 

既読

 

 

【それは私たちも同じ気持ちです

…ああは言ってしまいましたが…やはり、仲良くしたいです

Aqoursの皆さんとも…悠さんとも】

【…えっ、俺?】

【…なんて、冗談ですよ】

 

あはは…なんか聖良さん、雰囲気変わったな。

 

【明日のクリスマスライブ…グループ名はSaint Aqours Snowって名前になったんですよ…!】

 

既読

 

【良い名前ですね…何だか、素晴らしいライブになりそうです】

【明日は…楽しみにしてます

夜遅くにすいませんでした】

【あっ、悠さん、待ってください】

【はい?】

【北海道には…いつまで居るのですか?】

【明後日の夕方には…空港に行きますが…】

【分かりました…明後日、少しだけ時間を貰えますか?】

【…?…分かりました】

【明日はよろしくお願いします…おやすみなさい】

 

明後日…少し時間…なんだろう、気になるな…。

 

「あ、いけね…千歌からライブの曲の名前聞くの忘れてた…」

 

ノートを見ようにも千歌達の部屋だし…。

「えーーっと…Awaken…なんだっけ?」

 

1人ライブの曲名と思い出すのに時間を費やす俺だった。

 

 

──────────────────

 

「…悠さん…」

横になった布団のなかで小さく彼の名前を呼ぶ。

 

「…変な、人…なのに…」

天井に向かって手を伸ばす。

どこか彼のことが…頭から離れない。

 

「……いえ、これは明後日まで……取っておきましょう」

ぐっと握りこぶしを作り、そのまま天井を見つめる聖良。

その顔はどこか微笑んでいて、柔らかい表情だった。




次回はクリスマスライブです!
聖良さんの気持ちとは…!?

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83話

いよいよクリスマスライブ!


ライブ当日。

空は雲ひとつない快晴だった。

 

「あ、でも夜少し雪が降るみたいだよ?」

「ホワイトクリスマスずら~♪」

「ライブが終わったらクリスマスパーティするんだよね?

SaintSnowの2人も誘うの、悠?」

 

「そのつもりだよ…せっかくなら、大人数でやった方が楽しいもんな?」

もちろん、あの二人にもその話は通してある。

茶房 菊泉をパーティ会場にしていいと許可ももらっている。

 

「じゃあ、SaintSnowの2人と打ち合わせと練習しに行こっか!♪」

「ヨーソロ!衣装も準備万端であります!」

「曜、俺が荷物持つよ?」

 

 

 

「……流れで、とはいえ…悠さんがここまで影響力があるなんて…鞠莉さんはここまで見え透いてたのですか?」

「…ノン……私はAqoursの結成までは予測していたけど…ここまでするなんて…正直、驚きの連続よ、ダイヤ」

「優しくて…でもどこかまっすぐで…見てて飽きないもんね、悠は♪」

 

 

 

「おーい?3人とも行くよ~?」

クスリと笑い合い悠の元に向かう3年生組。

きっと3人の思ってることは同じだろう。

Aqoursの為…そして、悠のためにも…優勝したい、と。

 

 

────────────────────

 

「お待ちしておりました、Aqoursの皆さん」

「えっと…聖良…さん、でいいのかな…?」

「はい、そのように呼んでくれれば大丈夫ですよ」

 

…そっか、俺以外は2回目の対面だからまだ少しぎこちないもの無理はないか。

 

「あ…の、理亞ちゃん?」

「…ほら、さっさと練習しましょ」

「…あっ………うん!!」

 

やっぱり妹同士…通づる物があるのだろうか?

不器用ながらも意気投合する理亞とルビィだった。

 

こうして理亞と1年組が本番に向けて練習をすることに。

 

「…あんまり時間無いけど…大丈夫か、聖良?」

「侮らないでください、しっかり仕上げます。

せっかくの…クリスマスライブ、ですから」

「…頼もしいな、期待してるよ」

 

こうして、ライブの練習は急ピッチで進められた。

そして…俺の裏計画も着々と進められて行った。

実行は…クリスマスパーティの時。

 

 

 

────────────────────

 

 

夕方になり、そろそろライブの時間が迫ってきた。

 

練習を終えたAqoursのみんなとSaintSnowの2人は充実した顔を浮かべていた。

 

「…いよいよ、だね」

「くぅ~…!…なんだか緊張してきたであります!」

「楽しいライブにしようね…♪」

 

「…あのっ」

聖良が口を開く。

 

「…今日は、ライブに誘ってくれて…ありがとうございます。

その…こんな風かもしれませんが…私たちとAqours皆さん、11人で奏でられる…最高のパフォーマンスでライブを盛り上げたいと思っています…

だから……精一杯、頑張りますね!!」

 

「聖良さんっ♪」

ニコっと千歌が笑う。

 

「11人じゃないよっ♪」

「えっ……?

…あっ…………」

「おいおい…今忘れてたよな…??」

「…ふふっ、そうでしたね…

Aqoursには居なくてはならない10人目が居ましたね」

俺の方を見て笑う聖良。

 

「そして…2組のスクールアイドルを繋いだ…架け橋になった張本人でもありますね」

 

「その通りですわ、悠さんが居なければクリスマスライブもこんなスケールの大きいことになりませんでしたわ」

「その感謝の気持ちと輝きを悠にたくさん見せないとね♪」

「シャイニーでファンタスティックなクリスマスにするわ~♪」

 

 

「理亞ちゃん…ルビィも…がんば……ルビィ!」

「えっ……なにそれ?」

「ルビィちゃんの必殺技ずら♪」

「えへへ……」

 

「必殺技だったの!?」

 

 

「…さぁ、そろそろライブ準備だっ!」

その掛け声に息ピッタリに返事をする11人だった。

 

 

────────────────────

 

 

ライブ会場となる、噴水公園と札幌タワーに近くにある並木道。

ライトアップされた道に11人が立つ。

 

空を見上げると少し雪が降ってきた。

 

「…空気読みすぎだっつの…」

千歌の方を見る。

視線に気がついた千歌が静かに頷く。

 

「大丈夫…9人じゃない…11人でやる…ライブはもっともっと輝けるよ…!」

 

 

立ち止まる通行人もチラホラと見えた。

今から何が起こるのか見ているようにも見えた。

 

「Saint Aqours Snow…今夜限りのクリスマスライブ…

曲名は…」

 

 

「「「「「Awaken the power!!」」」」」

 

曲が流れると共に…俺は全身が震えた。

聖良や千歌…理亞やルビィの歌声…そして、息のあった振り付け。

鳥肌が立った。

こんなにも…違うのか、と。

 

9人が…11人になると…2倍にも3倍にもなるのか。

そんな風に痛感した瞬間、俺はカメラを回さずには居られなかった。

 

二度と見れないこの今の瞬間を収めておきたかった。

輝く2組のスクールアイドル…Saint Aqours Snowをもっと見たい…そんなふうに思いながらライブを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

「かんぱーーーい!!」

「「「かんぱーい!」」」

 

ライブ終了後、茶房 菊泉でクリスマスパーティを開催した。

千歌の乾杯の音頭でみんなが一斉にグラスを上げる。

 

もちろん、ライブは大成功に終わった。

通行人からも拍手や歓声が止まなかった。

 

「いやぁ、それにしても…聖良さんも理亞ちゃんもここでお手伝いしてたんだねっ」

「ええ、普段は着物を着て」

「見てみたいなぁ、着物!♪」

曜はさっそく、衣装担として腕がなるようだ。

 

「…ルビィ、今日の振り付けと歌…すごく良かった」

「あっ…理亞ちゃん…ありがとう…!」

「次は…本戦で競い合いましょ?」

「うんっ!」

 

「いいライバルずら~♪」

「ヨハネを差し置いてリトルデーモンリリィに行くとは…笑止!」

「やめるずら♪」

「あぅ……はい…」

 

 

「ライブ、楽しかったね♪」

「ええ…忘れられないクリスマスライブになりましたわ」

「3年生の最後のクリスマスに…ナイスな思い出貰ったわね…」

 

「って、鞠莉!?

泣いてるの!?」

「の、ノット!目にゴミが入っただけよっ、ノープロブレム!」

 

 

 

 

「あはは、みんなライブの時とは表情が大違いだ…」

「あ、あの…悠さんっ」

「ん、聖良?」

「少し…いいですか?」

「…?」

 

 

────────────────────

 

 

 

聖良に連れて来れられたのは…自室だった。

「今日はお疲れ様でした…とても楽しくて…忘れられないライブになりました」

「こちらこそ…無理言ってライブしてくれてありがとうな」

「いえ…こちらの方こそ……あの、それで、ですね…」

 

「…ん?」

「明日の午前中…一緒に出掛けて…くれません、か?」

「…俺でいいのか?千歌とか果南じゃなくて…」

「その…悠さんが、いいんです…///」

 

「聖良……?」

「あの……もし…もしですよ?…私が…貴方のこと…

''好き''…って言ったら…迷惑、ですか…?///」

「…えっ?」

 

「…その…好き、です…///」

「…ほ、ホントに?」

「…はい、最初は…この人は何を考えているのだろうかって思っていたのが正直な感想でしたが…

話したりするにつれて…貴方の真っ直ぐな思いに…惹かれました…///」

 

そう言うと近寄ってくる聖良。

 

「…っ…///」

そのまま、唇を奪われた。

 

「…続きは…また、明日…いい、ですか…?///」

「あ、ああ……」

「ふふっ…皆さんのところに戻りましょう」

 

何事も無かったかのように自室を出る聖良。

俺はその感触が離れないでいた。

 

────────────────────

 

「あ、悠くん!どこ行ってたのさー!」

「あはは…ごめん、ごめん…ちょっと準備しててね…」

 

「準備…?」

「ん?」

 

咳払いをするとみんながこっちを見てきた。

 

「えっと…隠していたけど…今日のために俺1人で曲作ってきました…

良ければ…聞いてくれますか?」

 

「えっ…!?」

「ホントに!?」

「聞きたい聞きたい!」

 

「私達もぜひ聞いてみたいです」

「姉さまが…そう言うなら」

 

 

「えっと…じゃあ…聞いてください

''待ってて愛のうた''」

 

 

 

 

 

沼津に来て…浦の星女学院に転校して…

自分が感じたこと…思ったことをありのまま書いた詞と

録音しておいた必死に練習したピアノの伴奏を流し、自分の歌声と共にAqours……そして、突如ではあったがSaintSnowの2人にも伝えた。

 

 

 

そこで目にしたのは…自然の涙を流す千歌の姿だった…。




次回は北海道最終日聖良とデート編!


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84話

お待たせしました!
デート編です!


「よし…じゃあ、出掛けてくるね」

 

「悠くん、いってらっしゃ~い♪」

北海道旅行最終日、俺は鹿角姉妹のところに向かうことにした。

もちろん、聖良との約束のためだ。

 

────────────────────

 

「…さて、悠さんが居ない間に話をしておきましょう」

 

Aqoursのメンバーを集めてダイヤが咳払いをし、口を開き始めた。

 

「わかってるとは思いますが…ラブライブ本戦と同時に…私達3年生は来年の春で卒業致しますわ」

 

「…そう、だね…ダイヤさん達にとっても…最初で最後のラブライブ…だね」

 

「ノンノン、ダイヤが言いたいことはそうじゃないでしょ~?」

「ま、鞠莉さん…っ!

…コホン、本題に移りますわ…」

 

少し恥ずかしそうにごにょごにょと話すダイヤ。

 

「…そろそろ、悠さんも意中の人物を決めるはず、ですわ

なので…誰が選ばれても恨みっこなし、と言いたかったのですわ」

「つまり、ここからは駆け引きってことね~♪

あ、でもあくまでも公平に、よ?

明らかに度が過ぎるアプローチはNot!よ?」

 

その言葉に九者九様、頭の思考を巡らす。

 

(悠の誕生日って…いつだっけ?何かプレゼント選ばないと…)

(そもそも、悠さんが誰か一人に決めるってしないと思うよ…お姉ちゃん…)

 

(…と言うか、聖良さんとかライバルになる気がするって思ってるのは千歌だけかな…?)

 

人知れず9人のバトルの火蓋が切って落とされた…。

もちろん、その中心人物は気がつくことなく

茶房 菊泉に向かうのであった。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

所変わって茶房 菊泉では……。

 

「姉さま…それは本当ですか!?」

「ええ、彼と少し出掛けてきます」

この後の予定を妹の理亞に話していた。

 

「…確かに、Aqoursの実力は分かりました…

ですが…私はあの人のことは…絶対に認め……っ…」

言いかけて口を噛み締める。

認めたくないが…姉さまが惚れた理由が何となくだが…わかった気がした。

 

「…私は…本戦が終わるまでは…答えは出しません

姉さまのその気持ちは…全力で応援します!」

「ありがとう、理亞(と、言うけど…理亞が自分から男の人の話するなんて…私は初めて聞きましたよ…多分、自分でも分かってるのでしょう…気になっている、と…)」

 

 

──────────────────────

 

 

「おーい、聖良いる~?」

ドアを開けると、そこにはちょうど聖良が居た。

 

「待っていましたよ、悠さん」

「私服姿も可愛いな」

「……い、いきなりなんですか…っ///」

北海道だから寒さ対策をしつつもオシャレに気を使っているのか、可愛らしい服装で待っていた聖良。

ライブ衣装も可愛かったが私服姿もまた新鮮だった。

 

 

「事実を言ったんだけど…まぁ、いいや…行こ?」

「はい、今日はよろしくお願いしますね」

 

菊泉を出る時にふと、違和感を覚える。

「…なんで、少し離れて歩いてるの?」

「…えっ…あ、こ、こういう時は男の人の2歩下がって付いて行くものだと…っ」

「時代錯誤だよ……ほら、手を貸して?」

 

すらっと長い聖良の手を掴む。

「手を握って歩けば暖かいだろ?」

「…………はい…///」

恥ずかしそうに少し俯きながら答える聖良。

 

「それで、どこに行きたい?」

「…実は…行先は決めてなかったんです」

「え?」

「…私は…悠さんと一緒に居れれば…いいな、って…///」

「聖良…」

 

「…変、ですよね…まだ会って間もないのに…」

「そんな事ないよ、ありがとうね聖良」

「………………///」

 

また俯く聖良。

その後、ずっと手を握りしめたまま、ウインドショッピングを楽しんだ。

途中買い食いしてたりした時もライブで見せた時の顔とは全く違い女の子らしい表情を浮かべた時は俺の心もドキッと感じていた。

 

 

────────────────────

 

 

「…もしもし、理亞…ちゃん?」

予想外な人から連絡が来た。

ライブ後に連絡先を交換した理亞ちゃんから電話が来た。

 

「…ルビィ、今いいかな」

「…う、うん…」

「単刀直入に聞くけど…悠って人…どう思ってるの?」

「えっ…?…どうって…」

 

「…好き、なの?」

その言葉に私は顔が赤くなった。

「…うん…私は…悠さんが好き、だよ…」

「…そう」

 

「…でも、どうして急に…?」

「…なんでもない、それじゃあ」

携帯の画面には通話終了の文字。

わずか45秒ほどの通話だった。

 

「理亞ちゃん…どうしたんだろう…」

ルビィは考えたが…思い当たる節も無く

ただ自分が悠に対する想いを話しただけだと思うとまた顔が赤くなった。

 

 

────────────────────

 

「……帰りの飛行機まで…あとどれ位ですか?」

「1時間半だね」

「…そう、ですか…ではここまで…ですね」

 

名残惜しそうに手を離そうとする聖良。

「…次会えるのは…ラブライブ本戦の時…かな?」

「…ええ…そう、ですね…」

 

「…よしっ、聖良!こっち向いて!」

「えっ、ど、どうしたんですかっ急に…っ」

びっくりしたような顔をする聖良と一緒にツーショット写真を撮る。

 

「…これを…聖良に送って…っと」

「あ、あのっ…これは一体…?」

「…1つでも思い出、欲しいなって…迷惑だったか?」

「…いえ…すごく…嬉しいです///」

送られた写真を見つめそう呟いた聖良。

 

「…大事にしますね…次、会う時まで…」

「ん、すぐ会えるさ」

「……悠さん…っ!」

「…っ……!」

 

突然、両手で顔を掴まれ唇を塞がれた。

携帯が落ちる音がした。

しかし、そんな事が気にならなくなるくらい俺は聖良に視線を奪われていた。

 

「…っ……これが…私が今できる…精一杯の気持ち…です…///」

「…聖良……」

「…たとえ…ラブライブ本戦が終わっても…たまに…会いに行っても…いい、ですか…?///」

「…うん、いつでもおいで?」

 

「…はいっ!」

夕陽が出てきた空の下、俺と聖良は指切りげんまんをした。

また会う約束と…本戦で最高のライブをしようと…約束をして。




聖良ああああああああ!!←
これはエピローグ聖良編も作ってもいいかもなぁ…←

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次回は大晦日編!


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85話

時期はついに大晦日…
Aqoursのメンバーと悠くんが1年を振り返ります。


「ついに今年も終わりだね~…」

 

モゾモゾとコタツに潜りながらミカンを頬張る千歌。

さっきからずっとこんな調子だ。

 

「だなぁ~…なんかあっという間の1年だったわ…」

その横でゴロゴロする俺。

千歌が足でちょっかい出してくるが気にせずテレビを見る。

 

「あ、そうだ…この後曜ちゃんと梨子ちゃん来るんだった」

「え、そうなの??」

 

「うんっ、一緒に年越し迎えよって誘ったの!」

 

それをするなら他のメンバーも…とも思ったが

次の日の初詣の兼ね合いもあるそうだ。

…初詣行くって俺初耳なんだけど…。

 

「あっ二人とも、もう家の前だって!行こ!」

そう言うと勢いよくコタツから出た千歌。

その後をコタツから出たくなかったがゆっくり追う俺だった。

 

────────────────────

 

「ヨーソローっ!♪

今年も1年お世話になりましたっ♪」

「悠くん…なんか寒そうだね…」

「しばれるよぉ…ホント…」

 

(しばれる…?)

(悠くん、北海道に馴染みすぎてるよ…!!)

 

ちなみに寒いという意味らしい、聖良から聞いた。

 

「それに比べたらしいたけは寒くなさそうだなぁ…

マイタケとえのき茸は元気よく走り回ってるし」

「もー!悠くんその名前はぶっぶーだよー!」

 

(千歌ちゃんが…ダイヤさん化?)

(ちょっと…可愛いかも…)

「だめ?」

「ダメだよー!」

 

俺と千歌のやり取りを首をかしげて見る3匹の犬だった。

 

────────────────────

 

「そう言えば、悠くんのお母さんはまだイタリアなのかな?」

「みたいだなぁ…正月くらい帰ってくればいいのに」

 

携帯を見てみるが帰るという連絡は来なかった。

…いや、もしかしたらびっくりさせようと突然来るかもしれない。

 

「今年は色々あったもんね~…」

ガキの○いを見ながら呟く千歌。

 

「そうだな~…スクールアイドル部が出来て…ライブしたり…みんなと出かけたりしたもんな~…」

 

「曜ちゃんと梨子ちゃんの一番の思い出はなーに?」

千歌からの突然の質問に、えっ…としばし考える2人だった。

 

「…私は、やっぱり地区大会…かな…私の中ではアソコがAqoursとして結束が強くなった瞬間かなって…思うし…」

「あはは…そう言えば、あの時に曜に怒鳴ったっけ…あの時はごめんな」

「ううん、悠くんのおかげで今の私があるわけだし…♪」

 

「私は~…ライブで歌えなかったときに悠くんにアドバイス…まぁ、音楽室で一緒に歌った時かな、あの時に勇気を貰えたから…今もライブで自信もって歌えるわけだし…」

「まさか後々俺もライブで歌うこととなるとはね…」

 

「ちっちっち……2人とも、いい思い出だけど…肝心なこと、忘れてるよ!」

ふっふっふ…と悪役っぽい笑みを浮かべる千歌。

 

「肝心な……」

「こと……?」

2人の頭には?が浮かぶ。

ちなみに俺にも分からない。

 

「それはもちろん…悠くんに会えたことだよ!

もし、悠くんが東京にそのまま居たら…もしかしたら、他のスクールアイドルのサポートをしてたのかもしれないし…内浦に来なかったらこうはならなかったし…これはもう、運命だよ!」

「あはは…千歌は大袈裟だなぁ…」

「ホントだよっ!

…千歌が一目惚れしたのは…悠くんに出会った瞬間…なのかなぁ…///」

 

「そ、それを言ったら私も!///」

「わ、私だって!///」

 

「…3人とも?」

「あっ……こ、こほん…他のみんなにも聞いてみようよ!」

先程の話し合いをなかったことのように携帯にメッセージを打ち込む千歌。

 

 

────────────────────

 

 

一番最初に返事が来たのは果南だった。

【私はこうやってスクールアイドルをしてる理由をくれた悠の言葉かな……ああやって、真っ直ぐに気持ち伝えて…気づかせてくれて…すっごく嬉しかったから、ね…♪】

 

「くぅ…果南ちゃん…バブみが凄い…!」

「いつも思うけど、千歌ちゃんのその言葉はどこから覚えるの…」

「尊い…!」

「梨子?」

 

次に黒澤姉妹から来た。

【私は…10人でライブをした事、ですかね

最初提案が出た時は…悠さんがセンター…大丈夫でしょうかと心配でしたが…きっと私の高校生活で忘れられない思い出になりましたわ

 

ルビィも同じだけど…9人で、悠さんに向けて送ったライブ…かな

あの時の曲ね!すっごく好きだから今でも口ずさんだりするんだっ♪】

 

「…あったなぁ…まさかAqoursのみんながそんなことをせ考えてくれてると全然分かんなかったよ…」

「悠くんはバク転の練習と振り付けで忙しかったからね」

「衣装も頑張ったんだから!♪」

「…幸せ者だなぁ…」

 

「あ、善子ちゃんからも来てるよ?」

【ヨハネよ!】

「テレパシーかよ…」

【…まぁ、東京巡りかしらね

悠…いえ、マイリトルデーモンのおかげで楽しめたわ

こう…頼りになるって言うか…男らしいところも見れたって言うか…】

 

「そう言えば、東京巡りしてる時に誰かにあったんだよな…」

「え、誰々?」

「うーん…それがさ、京都?っぽい方言の人だったんだけど…どっかで顔を見た気がするんだよねぇ…」

「悠くん、それだけじゃ抽象的すぎるよ~」

「あはは、やっぱり…?」

 

そんな談笑をしていると花丸からもメッセージが来ていた。

 

【まるは…初めての講堂でのライブずら

それまで…スクールアイドルとか、歌うってこと…絶対に出来ないって思っていたずら

でも、ルビィちゃんや…千歌ちゃん…みんなのおかげで出来るって気持ちに変わったずら!

正直…スクールアイドル部に誘われた時も…かなり、迷ってたずら…今だから言えることだけど…】

「講堂でのライブ…確かに満員の時は驚いたな」

「地道な努力が実った瞬間だったよね♪」

 

あのライブの少しあとにダイヤから聞いたのだが

講堂でのライブの満員人数を400人と位置付けていたそう。

…果南が来て、ちょうど400人目だったそうだ。

 

 

【思い出?

…うーん…色々あるけど…やっぱり私はみんなでお泊まり会した時かしら~?

悠のことを夜b………】

「わ、わー!わー!!!!!!」

いきなり携帯の上に身を覆いかぶせる千歌。

…見せたくないような内容だったのだろうか?

 

──────────────────────

 

「うーん…やっぱり書く内容がアグレッシブだったかしら?」

(まさか見て高揚したとか…今更言えないよ…///)

(やっぱり千歌ちゃんも気がついてたんだね…///)

(と言うか、あの状況を気が付かない方が無理だよ…///)

 

────────────────────

 

「さてと…そろそろ年越しだけど…みんな寝る気は無いみたいだね」

「どうせなら初日の出も見ようかなって!」

「今夜は寝かせないであります!♪」

「でも、寝不足や夜更かしは体に毒だから無理はしないようにね?」

 

「あはは、他のメンバーも寝る気は無いみたいだな」

先程からダイヤ等から1年のお礼のメッセージなどが来ていた。

 

「あ!カウントダウン始まるよ!」

テレビには新年まで10秒と表示がされていた。

食い入るように秒数を数える3人。

 

3………2………1…………

 

「「「ゼロ~!♪」」」

「ん、3人とも今年もよろしくな」

「こちらこそっ!」

「今年もよろしくねっ」

「悠くんっ!♪」

 

3人の初笑いはなんとも眩しいものだった。




次回は初日の出と初詣編!

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86話

「…なんか言うことあるずら?」
「更新遅れてほんっとにすいません!!!!!」
「素直でよろしいずら!
だかコイツ(トミーガン)が許すかな!!」

「あべしぃいいい!!」

毎度毎度遅れてすいません…。


新年を迎えた最初の朝。

寝る気は無い無いと言ってたが俺は最初に寝ていた。

…いや、アレだよ。

修学旅行で寝ないわー!とか言って寝るやつだよ、俺は…。

 

そんな中、千歌に叩き起された。

「悠くん!!」

「………あい」

 

「初日の出だよ!!」

「…まさか、今から見に行こうと…?」

「そうだよ!新年だよ!ご来光だよ~!!」

寝てないからかテンションがハイな千歌に引っ張られ十千万を出ることに。

 

既に外で曜と梨子が待っていた。

「おっはヨーソローっ♪

悠くんは新年になっても変わらないね~♪」

「寝癖とか、そのままだよ?ふふっ♪」

 

「2人は元気そうだな…ありがたやありがたや…」

「「???」」

「ほらー!3人とも早く行くよー!」

 

我先にと前を歩く千歌に催促されてしまった。

「はいはい、そんなに急ぐと転ぶから前見て歩こうね…っと…」

(悠くん…お父さんみたいだね)

(むしろ千歌ちゃんが無邪気すぎるって言うのもあるけどね…)

 

鼻歌交じり歩く千歌を3人で追いかけた。

 

 

 

────────────────────

 

 

「おおおーっ!♪」

「綺麗~…♪」

「新年早々晴れてよかったね♪」

 

いつもの砂浜に立ち、眩しく照らす太陽をじっと見る俺と千歌と曜と梨子。

 

「いやぁ、なんかこう…見てると、したくなるね…こう…」

すーーーっと息を吸うと太陽に向かって千歌が叫んだ。

 

「今年もーー!!あの太陽みたいにー!!

輝きたーーーい!!」

「おっ、私も参戦するであります!♪」

千歌の横に立つと同じように息を吸う曜。

 

「今年も変わらずー!全速前進ーーー!ヨーーソロー!

…へへっ、なんだか清々しい気分になるね♪」

「ほーらっ、梨子ちゃんもやって!♪」

急に千歌から振られた梨子が困惑したような顔で返事を濁らす。

 

「え、えっと……じゃあ、その…えーーっと…」

何を言うか考えた末、息をふうっ…と吐いた梨子。

 

「…好きーーーーーーっ!!///」

「あっ、梨子ちゃんずるい!」

「反則であります!」

「え、えへへ…つい…♪」

 

「(…いや、主語がないから何が好きか分かんないんだけど…)」

というか、この流れだと…100%…。

 

「さぁ!最後は悠くんだよ!」

「期待してるであります!♪」

「悠くんは…何を言うのかな…???」

 

普通に考えれば…今年の抱負?

…うーん…なんだろう…そんなすぐには…。

 

「…あっ」

「思いついたみたいだねっ!」

「さぁさぁ、あの太陽に向かってっ」

「……じーっ…」

 

3人からの視線が気になるが…ここはやるしかない。

 

「…今年のラブライブの主役はー!!

俺たちAqoursだあー!!!!!」

 

「……あっ」

「悠くん…」

「…ふふっ、そうだね…肝心なことすっかり忘れてたね♪」

 

「目指すは……優勝!!」

ぐっと太陽を掴むように手を重ねる。

 

 

「へへっ…なんか美味しいところ持っていかれちゃった感じだよ…♪」

「さすがリーダーは言うことが違うね!」

「有言実行出来るように…頑張らないとね♪」

 

「…だな…さて、と…この後は初詣…だっけ?」

「あ、いけない!もうそろそろ時間じゃん!」

「急ぐであります!」

「あ、待ってよー!」

 

バタバタと砂浜を後にすることに。

確かに新年早々ダイヤさんとかの雷は喰らいたくない…。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「遅いですわ!」

「す、すいません…」

が、しかし…無念の5分遅刻。

 

というのも、着付の際に…。

 

【あれっ!?どうやってやるの!?】

【ゆ、悠くん!帯締めて!】

【え、こ、こう?】

【なっ、なんで緩めるのー!///】

 

 

…というようなやり取りがあり、残念ながら遅れてしまった。

 

「…コホン、まぁ、新年早々怒るのはやめておきましょう

改めて皆さん、あけましておめでとうございます」

 

「「「おめでとうございます~!」」」

「一年の計は元旦にあり、と言うように初詣はその年の抱負を神様に………」

「あれ、この話…長くなる感じ?」

「あははっ、ダイヤは毎年こうだからね~…」

 

果南は聞きなれたように困った顔を浮かべていた。

 

「ともかく!皆さん、祈願することはしっかり祈願してください!」

「ふっ……堕天使にそのような行為は…」

「そう言うわりには、一番乗りで集合してたずら」

「うっさいわね!…こ、今年こそはこの不幸体質を…っ」

 

多分それは無理だろう、善子…

そう心で呟いた俺だった。

 

向拝の前に並ぶ俺とAqoursのメンバー。

息ぴったりに二礼二拍手一礼をする。

 

(…どうか…今年もAqoursのみんなと仲良くなれますように…)

北海道旅行の時から思っていたが…3年生と一緒にいれるのはあと僅か。

願わくば、卒業してからも仲良くしていきたい、そう思っていた。

…いや、そう思ってるのは…3年生の3人も同じ、かもな。

 

 

「…むむむ…!」

「むむむむ……っ!!」

 

必死にお祈りする千歌と曜。

…そんなに必死になるお願い事があるのか…?

 

(悠くんと結ばれますように…っ!!)

(悠くんと幸せな家庭が築けますように…!)

 

「…何を祈ってるのか、大体勘づいてきますね」

「ずら…」

 

 

 

────────────────────

 

参拝が終わったところで絵馬を書いたり

御籤を引くAqoursのメンバー。

 

早速善子が大凶を引いて頭を抱えていた。

 

 

「…あ、そうだ…ダイヤ?」

「はい、なんでしょうか?」

「…えっと……これ」

 

「…これは…なんの箱、ですか?」

「…い、いいから…開けてみて…」

「は、はぁ…」

そう言うとダイヤが俺の渡した箱を開ける。

 

「…あっ…こ、これは…っ」

「…えっと…その、誕生日…おめでとう」

「嬉しい……でも、なんで…っ?」

「ルビィから…聞いた」

ダイヤの誕生日が…1月1日だって…。

 

「ささやかだけど…誕生日、プレゼント…」

箱の中には櫛と簪が入っていた。

 

「ダイヤに合うかなって思っていた選んだんだけど…どう、かな…?」

「……ずっと…大事に致しますわ…///」

 

箱を愛おしそうにぎゅっと抱き寄せるダイヤ。

目元に涙を浮かべていたのは…俺の見間違い、だろう…




今日の夜!もう1話投稿します!
良かったら見てってください!

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87話

「…死ね」
「ちょ、花丸さん!いきなりどストレートにその言葉は厳しくないすか!?」
「1ヶ月以上更新無いとか何してたんずら?
冬眠でもしてたずらー?」

「…いや、まぁ…創作意欲が無くなってたというか…燃え尽き症候群っていうか…」
「そんな事言う口はこの口かな~ん…?」
「いたたたた!痛い、果南さん!」

ほんっっっとにすいません!おまたせしました!
無理くりにはなりますが正月明けで悠の誕生日回にします!



「…そういえば、悠くんの誕生日ってもうすぐなんだよね~」

【えっ、そうなの?全然知らなかった…】

 

冬休みも残りわずかの、ある日

千歌と果南が電話でやり取りをしていた。

 

「悠くんのね、お母さんに聞いたの!

そしたら''1月11日''だって!」

【ちょ、もう三日後じゃん!!】

「だからね、Aqoursのみんなで誕生日プレゼント考えようって思ってるの!…どうかな?」

【そ、そうだね…でもこれは急がないと…!】

 

こうして、Aqoursのメンバーで秘密裏に悠への誕生日プレゼントを考えることとなった。

 

──────────────────────

 

その頃、悠本人はと言うと…。

 

「へっくしゅ!!!」

【あら、風邪~?】

「…誰かが噂してるのかも…」

 

時同じく、悠も母親に新年の挨拶をしていた。

 

【ははーん、さては千歌ちゃんだな!?】

「な、なんでその名前が出てくるの!」

【ジョーダンジョーダン……で、悠のお好みの子はどの子なのかな~?】

「…まだ…と言うか、そんなすぐには決められないし…」

【青春してんなコノヤロー!】

 

…言えないよなぁ…9人も手篭めにしてるとか…。

でもそんなことしててもみんな何も無いって…

俺は種無し巨峰か。

 

【あ、そうそう…今度…と言ってもまだ先か

全国大会…見に行くからね】

「…そっか、うん…俺の口から言うのも変だけど…

そのライブは…見に来て欲しいかな」

【Aqoursは貴方が作り上げたと言っても…過言ではないわ】

「それはさすがに言い過ぎだよ」

【(本当は千歌ちゃんが言ってた事の受け売りだけどね…)…あ、そうそう、スペシャルゲストも呼ぶからね!】

「…スペシャルゲスト?」

【当日のお楽しみに!じゃね!】

 

ポカンとする俺をよそに母は電話を切った。

「…スペシャルゲストねぇ…」

嫌な予感5割、少し気になるのが5割…と言ったところか。

 

 

─────────────────────

 

「というわけで!第1回!悠くんへの誕生日プレゼント会議~!!」

「「いえ~い!!」」

 

ぱちぱちと拍手とどこからが持ってきたか分からないパフパフ鳴る楽器を持ってきた1年生組。

 

「…2回目ってあるのかしら?」

「あるの?じゃなくて、2回目もするんだよ!

3回目も…5回目もずっと!」

「ふふっ、千歌っちいい事言うわね~♪」

 

「悠さんのプレゼント…ルビィちゃん、何がいいと思う?」

「え、えええっ…男の人にプレゼントなんか送ったことないから分からないよぅ…」

 

「あ、こんなのはどうかな!」

ガタッと勢いよく椅子から立ち上がる曜。

 

「リボンを体に巻いて~…プレゼントは私だよって!」

その発言の後、皆がみな、頭の中で想像する。

 

【えへへ…今年のプレゼントは…私、だよ…?

悠くんの、好きにして…いいんだ…よぅ?///】

 

「…ベタすぎますわ…」

「まぁ、悠のことだから喜びそうだけど…」

「うーん…とりあえずその案は保留ってことで…」

 

「じゃ、じゃあケーキを作るなんてどうかな!?」

梨子が手を叩いてアイデアを出す。

 

「ケーキかぁ…食べるものもいいけど…やっぱり形に残るものがいいよねぇ…」

「形に残るもの…かぁ…」

 

アクセサリー…リストバンド…帽子…服。

ホワイトボードに案を書き込むが決定とまでは至らない。

 

「…あっ…」

ここで何か千歌が思い出した。

 

「良いもの見つけた!」

「「「えぇ?」」」

 

「あのね!…こしょこしょ…」

「「「おー!」」」

 

 

…果たして、千歌が言ったプレゼントとはなんだったのだろうか?




後半に続きます!
更新遅れて本当に申し訳ない!!

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88話

更新遅れてほんとにすいません…お待たせしました。
新しい曲の曜ちゃん可愛い…抱きしめたい←

また頑張って進めるのでよかったら見てください


千歌を含めたAqoursの皆から部室に呼び出された。

 

呼び出される心当たりが無いし、なにかするというのも聞かされてなかった。

そして不思議なことで一緒に行こうと千歌と梨子を誘ったら……。

 

【あ、あー!梨子ちゃん今からみかん狩りにいこうよー!】

【そ、そうだねー!楽しみだなー!】

 

と、めっちゃくちゃ焦りながら断れて先に行かれた。

と言うかみかん狩りって新年早々やってるものなのか?

 

「ったく…」

あとでこちょこちょの刑だな。

なんて、ブツブツと言いながら部室へと向かうのであった。

 

 

────────────────────

 

「そっちは、準備できたー?」

「も、もー少しであります!」

 

「あっ、花丸ちゃんそこ少しズレてるよ♪」

「だぎゃぁっ、ほんとズラあ~…ルビィちゃんありがとうずら♪」

 

「さぁ、悠が来るまでもう時間ないよっ」

「ラストスパートね~っ♪」

 

部室では着々と準備が進められていた。

 

────────────────────

 

「…おかしい」

Aqoursのメンバーに誰一人として会わない。

もともと学校に来てる人なんて少ないが…明らかに怪しかった。

 

(まさか、騙された!?!?)

部室に行ったら──────誰もいませんでしたドッキリ、的な。

 

「…ないない」

なんて1人でツッコミを入れつつ部室のドアに手をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラ……。

 

 

「おつかれさまで~…………………」

パンっ!パンパン!!

 

「………す?」

入った途端破竹音がしたと思ったら俺の頭の上に紙テープが降ってきた。

 

「「「悠(くん)、お誕生日おめでとう~!」」」

「……………………え?」

 

突然のことで頭の整理が追いつかない。

誕生日?俺の?

なんでAqoursのみんなが?

 

「さあさあ!主役の席はこっちこっち!♪」

千歌が嬉しそうに手を取り席へと誘導した。

 

「え、えっ?な、なんのこと?それに誕生日って…」

 

「千歌さんから聞きましたよ、お誕生日が今日だと」

「それで、マリー達みんなでお誕生日会を開こうって話になったのよ♪」

「もちろん、悠には内緒でね♪…もしかして、今の今まで気がついてなかったの?」

 

その問いに俺は静かに首を縦に振った。

「あははっ、なんだか悠らしいね♪」

 

「み、みんな…ありがと…う…」

ぐずって鼻をすするとAqoursのみんなが笑い始めた。

 

「あははっ、悠くん泣いてる~!」

「うっせ!少し早い花粉症だし!」

「泣くほど嬉しかった?♪」

「…正直、こうやって誕生日を祝ってもらうの…初めて」

 

「ゆ、悠さん!これルビィ達から!」

「あっ、ルビィ!気が早いわよ!…っこほん…マイリトルデーモンに1年生の私たちからプレゼントよ…」

「受け取って欲しいずらっ♪」

 

もちろん。と言い受け取りプレゼントを開けてみると…。

「お、おおっ……」

そこにはネックレスが入っていた。

善子が中心となって考えたのだろうか十字架というのがなんとも善子らしい。

 

「ルビィが付けてあげるね♪」

俺の後ろに回りネックレスを付けてくれるルビィ。

「ああっ、、、ルビィにもついに思春期が…!」

「ダイヤは一体どこ目線なの…」

 

付け終わると後頭部に柔らかい感触が…。

「悠さん…お誕生日おめでとうございます///」

なんとルビィが後ろから抱きついてきた。

柔らかい感触は…言わずもがなだった。

 

「はいはーい!2年生組からもプレゼント渡したいと思いまーす!」

若干ハイテンションで千歌が起立した。

 

「2年生の3人からは~…これであります!」

少し小さめの箱だった。

中をあけてみると………

 

 

 

「これは………」

中身は財布だった。

 

「ふっふっふ…男の子のステータスは財布だよ、悠くん?」

「といっても、雑誌の受け売りだけどね」

 

「ありがとう…重宝させてもらうよ」

「いや~…前々から思ってたけど…マジックテープ式は…ねぇ?」

「えっ…ダメ?」

「ダメではないけど…「「ねぇ~…?」」」

と、顔を見合わす3人だった。

 

────────────────────

 

「3年生の3人からは少し奮発したプレゼントを用意したよ♪」

「きっと気に入ってくださると思いますわ」

 

明らかに箱ではなく…出てきたのは…服。

 

「ふ、服……!?」

「そっ、スーツよ~♪」

「す、スーツって…気が早いよ!」

「あら、そうでも無いわよ?、冠婚葬祭で使ったり…ねぇ?」

「ダイヤが着てるとこ見てみたいってさ♪」

 

「い、言いましたけど…!!///」

たしかに、男のスーツ姿ってグッとくるものがある…らしい。

 

 

「みんな…ありがとうね、すごく大事にするよ」

「感謝したいのは千歌達の方だよ」

「…えっ?」

「0だったみんなを…1に…ううん1以上の力にしたのは…悠くんのおかげだと思ってるよ」

「現にそんな悠に惹かれてるからね♪」

 

「感謝してもしきれませんわっ」

「ルビィも…悠さんと出会えて…ホントに良かったって思ってるよ」

「悠さん、ありがとうずら♪」

 

 

……あぁ、今わかった。

鞠莉が、俺のことをキーになるって言った理由が…。

なんとなくだけど…見えてきた。

 

「俺の方こそ…夢やドキドキをくれてありがとう」

やっぱりAqoursは……最高だって、堂々と胸を張って誇れる。

そう感じた誕生日会だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…結局、誕生日会は理事長(鞠莉)の権限で夜遅くまで及んだ。

母親からのプレゼントに気がついたのは帰ってきてからだった…

 

「母さん…女受けする香水って…」

 

母はお見通し、らしい。




次回は北海道より来たる!です!

更新今まで以上に頑張ります!
お待たせした皆さんはホントにすいません!
これからも見てください!


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89話

頑張って更新するぞぉぉおおお!
スクスタのアカウントができましたね。
もうすぐリリースなのかな?


それは、突然のことだった。

部屋で繕いでいると、携帯が鳴った。

連絡をくれたのは意外な人物だった。

 

 

差出人 鹿角 聖良

宛先 冴木 悠

 

お久しぶりです、聖良です。

明後日から3日間東京と沼津に行くことになりました。

もしよろしければ顔合わせてくれると嬉しいです。

 

…東京に行った時は、案内をして貰えると…助かります。

 

お返事お待ちしています。

 

 

 

 

────────────────────

 

「だってよ?」

次の日、俺はAqoursのみんなにことメールが来たことを伝えた。

 

「聖良さん達が遊びにくる~♪」

「理亞ちゃんにも会えるんだねっ♪」

 

各々、違った反応を見せるがSaint Snowが来ることに関しては大歓迎のようだ。

 

「問題はここだよ、東京案内だって?」

「東京に詳しい人といえば~………」

鞠莉を続き、みんなの視線が俺と梨子に向く。

 

「「で、ですよね~……」」

「ここは、悠さんに任せましょう…何かと男性の人の方が安全でしょう」

「リリーが案内しそうな場所はアキバ……」

 

「よーーーしーーーこーーーちゃーーーん??」

コブラツイストよろしく、関節技を決める梨子。

部室に善子の叫び声だけが響いていた。

 

 

────────────────────

 

 

その日の夜………………

 

 

「……つーーわけで、東京案内は俺がすることになったよ」

【ありがとうございます、心強いです】

「どこか行きたいリクエストある?」

【そうですね…本戦の会場を見に行くことが本来の目的でしたが…場所は悠さんに任せます。期待してますよ】

 

「んー………そう、だなぁ…」

動物園や水族館は北海道もあるし…スカイツリー…東京タワー…うーん…。

 

【…ふふっ】

「ん、俺なんか変な声出てたか?」

【いえ…そうではなくて…こうして出掛けるのは…北海道の時、以来でしたね】

「…ん、そうだな」

【あっ……すいません、1つ行きたいところがありました♪】

「お、どこだい?」

 

 

 

 

 

【それは──────────】

「…………………え?」

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

そして、Saint Snow東京観光当日…。

 

「こっちの方がいいよー!」

「え、えぇ…?」

 

何故か着ていく服を千歌に選別されていた。

千歌曰く…''服選びは戦争だよ!敵は待ってくれないよ!''

との事。

 

うん、敵なのは間違いないけどそれはラブライブの事であってこの後戦ったりするわけでは…。

 

結果、パーカーに白ズボンと至って普通の格好になった。

「帰りは遅くなるって志満姉に伝えてあるからね!」

「それは気をつかって貰ってありがとさん…行ってくるよ」

 

 

 

────────────────────

 

 

というのが約2時間前の話。

東京駅丸の内南口に一足先に着いていた俺。

鹿角姉妹の姿はまだ見えない。

 

【今どこら辺?】

ピンポーン

【す、すいません…迷ってしまって…八重洲…?というところに】

「げっ、真逆じゃんか…」

【すぐ行くからそこで待っててね】

【すいません…】

 

いかにも東京初めてって感じで逆に新鮮だった。

 

 

 

 

回り道にして数分。

「おっす、2人とも」

「悠さん!」

「遅い!」

 

「あはは、まさか逆に行くとは思ってなかったよ」

「す、すいません…東京って広いんですね…」

「…ま、許してあげるわ、ありがとね」

 

「………」

聖良の私服姿を見て思った…こんなに大きかったっけ?

って!俺なにみてんだ!?

 

「こ、こほん…本戦の会場だよね…案内するよ」

「…?…はいっ、よろしくお願いします!」

「ついでに何か食べ歩きたいわ」

 

「そう言うと思って…ここなんかどう?」

指さしたのはクレープ屋。

女子なら誰でも好きだろう。

 

「…こ、これがクレープ…」

理亞ちゃんの目がキラキラ輝いている。

 

「…ま、まぁっ、及第点ね」

とりあえずお許しは貰えたようだ。

 

「すいません…理亞がこういう感じで…」

「ん、もう慣れてるから大丈夫だよ

それより聖良も肩の力を抜いて…楽しも?」

「はいっ…!♪」

 

ニコッとした顔に思わず照れて目を背ける俺だった。

 

 

────────────────────

 

「ここが…本戦の…」

「武道館…」

 

連れてきたのは…ラブライブ本戦会場…武道館。

もちろん、今は他のアーティストのライブなどやってるが…もうすぐ…本戦が始まる。

 

自然と拳に力が入る鹿角姉妹。

「…気合十分って感じ…だな」

「ええ…今から本戦が…楽しみです」

「負けられない……!」

 

やっぱり…Aqoursの好敵手はSaint Snowの2人しか居ない…。

そう思う俺だった。

 

 

────────────────────

 

 

続いて聖良のリクエストで向かった場所は…。

「ホントに来たかったのか…?…ゲームセンター…」

「はいっ!」

半信半疑で連れてきたが…即答された。

特に目を輝かせていたのは…理亞ちゃんの方だった。

 

「あのぬいぐるみ…欲しい…っ」

食い入るように品定めをした後、犬のぬいぐるみが目に入ったようだ。

どれ、せっかくの記念だし…取ってあげるか…。

そう思い、プレイさせてと言おうとした時だった。

 

グイッと聖良に引っ張られとある場所に連れ込まれた。

「せ、聖良っ…!?」

「ふふっ、ああなるとあの子は周りが見えなくなりますから…♪」

 

連れてこられたのは…プリクラ。

聖良が来たかった理由はこれだったのだろうか。

 

「…ふふっ、なんだかいけないことしてるみたい、ですね…♪」

いたずらのように笑う聖良。

「…だな、気がつかれないうちに済まそうか」

 

硬貨を入れてナビの言う通りにフレームやら設定を変更していく。

 

恐らくだけど…あの携帯で撮ったツーショットももちろん良い思い出なのだが…こうやって物で残るものが欲しかったのだろう。

そう考えると、ゲームセンターに来て、プリクラを撮るというのは理にかなっている。

 

言い出せなかったのは恥ずかしさがあったからだろう。

 

「ゆ、悠さん…最後は自由にポーズを…って…」

「無難にピースにするか?それともSaint Snowのポーズとか……」

 

そう聞き返すと、聖良は答えなかった。

「…聖良…?」

「………っ……………!//////」

 

次の瞬間、シャッターが鳴ったと思ったら聖良が口を重ねてきた。

縋るように、俺の服を掴みながら…。

 

「…せ、いら…っ…」

「…………………好き、です………//////」

「…………えっ?」

 

「…す、すいません……聞かなかったことに…してください…///」

「…聖良………」

 

縋って掴んでいた服を離さず、目線を外す聖良。

自分が口に出した言葉が自分でも信じられないのだろう。

そんな聖良を優しく抱き返す。

 

「…ぁ……っ……///」

「ありがとう、嬉しいよ」

「……っ……///」

「返事がすぐに言えないのが俺の最大のマイナスポイントだよな」

「ふふっ、ライバルは多いほうが燃えます…っ///」

 

これはAqoursのメンバーに新たなライバル誕生の予感がした。

 

 

────────────────────

 

 

「お姉さま、どこに行かれてたのですか?」

「少しお手洗いに…ぬいぐるみ取れたみたいですね、理亞」

「ふっ、私の手にかかればこれくらい…」

「何回プレイしたの?」

 

「…な、7回…8回?…10回くらい…???」

「…よく頑張ったな」

 

「ふふっ、次はどこに行きましょうか?♪」

「お腹空いたわ、案内しなさいナビゲーター」

「へいへい…何が食べたいのさ」

 

「そうねぇ…」

うーんと考え始める理亞ちゃん。

つんつんと突く聖良。

 

「?」

「これ…大事にしますね…っ♪」

こっそり撮ったプリクラで口を隠すように出す聖良。

センターの大きな写真は不運なのか狙ったのかキスをしているやつだった。

 

 

「初めてのキスが…こんな形で写真で残るなんて…♪」

「えっ……初めて!?」

 

「な、なんの話?確かに東京のお寿司は初めてって今言ったけど…っ」

結局ご飯は寿司になりました…何故か俺持ちで。




次はSaint Snow沼津篇です!
聖良さんかわいいよぉ…

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90話

ひっさびさにスクフェスやったら全然できなかった…


飯を食べた後、鹿角姉妹にこんな質問をしてみた。

 

「今日はどこかに泊まるのか?」

「「……あっ…………」」

 

 

反応から察するに…考えてなかったようだ。

仕方ない、掛け合ってみるか。

 

【千歌、今日2人泊まれるか?】

【2人?志満姉に聞いてみるよ~】

 

数分後、千歌からメッセージが来た。

 

【ちょうど空いてるって!聖良さんたち来るの?】

【ん、そのつもりだよ。ありがとうね】

 

「…ということで…千歌の旅館に泊まる?」

「…えっ?」

「そんな…いいのですか…?」

 

「うん、今聞いたら空いてるってさ

沼津に行くんだし、win-winじゃない?」

「なら……お言葉に甘えさせてもらいます」

「ね、姉さまがそう言うなら…」

 

ということで鹿角姉妹と共に沼津に戻ることになった。

 

 

────────────────────

 

その道中、電車の中で。

 

「そう言えば、悠さんは千歌さんの旅館に住み込みでいるんでしたよね?」

「げっ、誰から聞いたの…?」

「千歌さん本人から…」

「ありえない……」

 

理亞がなんとも言えない冷たい目で見てくる。

そして口から出る大きなため息。

こごえるふぶきをしても、全体攻撃だぞ。

 

「なんもしてないから、普通に!」

「……………ほんと、ですか…?」

ぼそっと聖良が耳元で囁く。

 

「………っ……………」

「千歌さんから色々聞いてますよ…♪

もちろん、理亞には話してませんよ」

色々筒抜けのようだ。

隠す必要もなくなったので静かに首を縦に振ることに。

 

「ふふっ、悠さんが相手なら分かる気もしますね♪」

「姉さま、何の話ですか?」

「いえ、リーダーとしての器、という話ですよ」

 

誤魔化すように話題を変える聖良。

しかしこちらを見ては舌を出して笑う。

初めて見るその表情に俺もタジタジだった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

電車とバスに揺られること1時間半…十千万に着いた。

 

「あ、待ってたよー!♪」

千歌がこちらに気がつき大きく手を振る。

 

「お待たせ、千歌」

「お久しぶりです、千歌さん」

「…こんにちは」

 

千歌がしいたけを連れて待っていた。

「…可愛い…」

理亞がそう呟くとしいたけが嬉しそうにしっぽを振った。

 

「良かったー、この後天気崩れるみたいなんだよー?」

「え、そうなのか?」

「まぁ、明日の朝には回復するみたいだし…

Aqoursのみんなと会ったり色々見て回るのは明日にして…今日は2人とも疲れただろうゆっくり休んでいってね!♪」

 

「はい、ありがとうございます♪」

「…あ、ありがとう…」

理亞はしいたけに顔を舐められたりといい様にやられていた。

 

 

────────────────────

 

 

鹿角姉妹はとりあえず風呂に行った。

俺は千歌の話し相手をしていた。

 

「それでそれで~?何かいいことでもあった~?♪」

「あのなぁ…」

「えへへ~うそうそっ♪」

寄りかかるように体重を乗せる千歌。

千歌も風呂上がったあとなのだろうか、柑橘系のいい匂いがする。

 

「…ん、千歌…」

「わわっ…悠…く、んっ…///」

逃げないように抱きしめる。

 

「悠くん…っ……あの、ね……」

「…んー………?」

千歌の肩口に顎を乗せて目を閉じてると千歌が口を開き始めた。

 

「…みんなからは…まだ言っちゃダメって言われてるんだけど…どうしても内緒にしておきたくないから…伝えておくね…」

抱きしめてる俺の腕に触れながら千歌が言葉を選びながら話す。

 

「…ラブライブの…本戦が終わったら……本当に好きなのは…誰なのか…1人に決めて欲しいの」

「…………………………」

 

「もちろん、これはAqoursみんなで考えた答え…だよ」

──────────来た、か…。

その考えから逃げていた訳では無い。

母親からも言われていたし…この状況をいつまでも続けているつもりも毛頭ない。

 

…Aqoursとして出した答えなのであれば…それに答えないと…リーダーとして示しがつかないだろう。

そう俺自身も思っていたが…実際のところの怖い部分もあったのだろう。

 

誰かを振って…誰かと結ばれて…その人のことを考えたら…と。

「…大丈夫、だよ」

「…千歌……」

「えへへっ、それに初めてを悠くんにあげたことに後悔はしてないよっ♪」

 

にこやかに千歌が笑った。

そして鹿角姉妹が戻ってくるやいなやいつもの明るい千歌に戻っていた。

 

(…そっか…もう、そういうところまで来ている…のか)

1人ぽつりと考える。

考え始めたのが合図のようにぽつりぽつりと雨が降り始めた。

 

今の俺の心は…厚く覆われた雲のようだった。

…いや、きっと他のみんなも同じような気持ちだろう。

それを隠して…いつものように振舞っているのだろう。

 

(男なら男らしく決めなきゃ、な…)

ただ1人、そう決意する俺だった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

部屋着に着替え、寝ようとした時、ふと外を見る。

相変わらず雨が降り続き、雷も鳴っていた。

 

「………………………」

らしくない、寝て頭の中を空っぽにしよう。

「っても……果南の受け売りだけどな」

くすっと笑いベットに向かおうとした時ノックする音が聞こえた。

 

 

「(千歌か?)どうぞ?」

「…あっ……ゆ、悠さん…すいません、こんな夜遅くに…っ」

訪問者は聖良さんだった。

なんだか落ち着きがない。

それに枕だけ持って……一体どうしたのだろうか?

 

「あ、もしかして枕変わるの寝られない…とかそういう感じですか?」

「え、っい、いや、っそういう訳では…っ…!」

 

モジモジしながら歯切れ悪く言葉を放つ聖良さん。

ゴロゴロと雷が鳴ると枕を思い切り抱きしめた。

 

「ひっ……!!!!」

「…もしてかして…雷が苦手…とか?」

「…は、はい……っ…」

 

泣きそうな目でこちらを見てくる。

「…つまり、一緒に寝たいと?」

「…だ、ダメ…ですか…?」

ここで断れないあたり、俺はお人好しなんだろうなぁと自虐しつつ聖良さんを部屋に招いた。

 

…よくよく見れば…聖良さんの部屋着…結構可愛い。

やっぱり…果南や曜と同じくらい…あるだろうか。

 

「お、お邪魔します…っ」

「ん、狭くてごめんな」

結局、二人一緒にベットにはいることに。

 

「…あの…悠さん…」

「ん、どうした?」

「もう少し…くっついても…いい、ですか?」

「襲っちゃうかもよ~?」

 

さすがにドン引きされるか、と思ったが…。

 

「…も、もぅ…視線がどこに向いてるのか…バレバレですよ……///」

わざと押し付けるように体を密着させる聖良さん。

 

「……私は…その……///」

「…聖良さん?」

「……聖良、でいいです…っ」

 

「…ん、聖良…」

「…はい…っ///」

 

いつの間にか雨や雷の音など全く気にならない2人の空間ができていた。

自然と…どちらからともなく唇を重ね合う。

 

「…んっ…」

「…なぁ、聖良」

「は、い……?」

「…これ以上のものが欲しいって言ったら…どうする?」

「え、えええっ……!?///」

「質問してるだけだから…」

 

視線を合わせず顔を赤くしながら聖良は呟いた。

「…あなた…だったら…いい、かな…と…///」

 

 

 

…しん、と静まる部屋の中。

体が密着しているせいか俺のドキドキも聖良のドキドキも伝わってきた。

 

肝心の聖良は言ってしまった。という恥ずかしさ。

聞いた俺はどうしたらいいのだろう。という葛藤。

 

 

 

 

 

だが、今の俺たちには言葉はいらなかった。

気がつくと俺はずっと聖良の手を握っていた…。

 

朝日が顔を出すまで……ずっと。




次は沼津観光 理亞編です。

聖良さんって意外と初心だと思うんですよ←

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91話

そろそろ新作小説作りたいけどどうしようかなぁ…
なんかいいのないかなぁ…(その前に更新ペースを上げろ←)


「………むむむ……」

 

おかしい……明らかに姉さまの様子がおかしい…。

 

「はい、悠さんお醤油です♪」

「お、ありがとう聖良」

 

姉さまと、アイツの距離感も何だか近いし…それに呼び方も…。

 

(これじゃあ、まるで……………''正妻''…!!)

 

─────────────彼女の感覚はどこか人とずれているのだろうか。

いや、恋愛というものを知らないのであれば無理もないのであろう。

 

ただ彼女が思うことはただ一つだった。

 

(絶対にアイツのボロを剥いでやる……!)

1人静かに闘志を燃やす理亞だった。

 

 

────────────────────

 

 

朝飯を食べ終わり、十千万を出ると、既にルビィや果南が待っていた。

 

「おはよっ、3人とも♪」

「理亞ちゃん!待ってたよ♪」

「あ、朝からテンション高いわね…ルビィ」

 

「じゃあ、早速みんなで案内しようか?」

「そうだねっ、じゃあまずは浦の星女学院にレッツゴー!」

 

こうして千歌を先頭に俺たちは沼津観光を開始したのであった。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「じーーーー…………………」

視線を感じる。それも痛いくらいに。

 

「えっと…どうしたの、理亞ちゃん?」

「なんでもないから、気にしないで」

 

とは言うものの、やはり後ろからじっと見られるのはいいものでは無い。

…俺なんかしたかな?

心当たりを探してみる…。

 

 

(…まさか、聖良と一緒に寝ていたのバレた…とか?)

朝起きたら一足先に聖良が部屋を出ていた。

理亞ちゃんが寝て起きる前までに戻っておくためと説明していたが…。

 

(うーん……わからん、本人に聞いても…教えてくれるわけないよなぁ)

 

「…あ、あの、理亞ちゃん…?」

「ちょうど良かった、ルビィ…あの男、どう思う?」

「えっ…悠さんのことぉ?」

「率直にでいいわ、教えて」

 

「うーん、と…うーん…」

少し先を歩く悠さんを見ながら考える。

今彼は千歌ちゃんや曜ちゃんと話してる。

 

「そういや、鞠莉とか梨子とかは?」

「先に学校行ってるってさー」

「おもてなしの準備してるって!」

「ふふっ、Aqoursの皆さんはホントに仲良しなんですね♪」

 

「優しくて…かっこいい人だよ♪」

「他には?」

「ほ、他っ!?……え、えーっと…気が利くし…一生懸命だし…」

「…そっ」

 

「突然聞いてきて…どうしたの?」

「別に…なんもないわ」

そう言いきったが…その表情はどこか腑に落ちない様な顔だった。

 

 

 

────────────────────

 

 

そのあとも、三津シーパラダイスや果南のダイビングショップなどに行ったが…やはり、理亞ちゃんからの視線は何度も感じていた。

 

 

みんながワイワイと話してるなか、俺は理亞ちゃんを呼び出した。

最初は嫌そうな顔をしていたが…渋々ついてきた。

 

 

「…それで、話って?」

さざ波の音に耳を傾けながら静かに海を見つめる。

 

「…あの、さ…俺なんか…した、かな?」

その質問に理亞ちゃんはただ一言言い放つ。

 

 

「あんたの''目的''は何?」

──────────目的。

それは多分Aqoursのことに関してだろう。

 

 

「…ははっ、最初はなんで俺がリーダーなんだよ…上手く務まるか不安だぞ…ってすっげー思った。」

 

昔のことを懐かしむように思い出す。

部員がいなくて…ライブやって…時には衝突もして。

 

「…でも、さ…アイツら見てたらさ…めげないで前だけ見て…もし、後ろ向きになってもそれでも前に進もうとする姿勢に…ああ、俺もやると決めたらからには…最後まで全力でやろうってさ」

「……………………………………」

 

「確かにさ、女の子しかいない学校で女の子しかいないアイドルグループに俺だけ男って凄い違和感するけど…これがAqoursだって、俺は胸を張れて言えるよ」

「……………なんか…」

 

「…ん?」

「…ふふっ」

 

理亞ちゃんが少し微笑んだ。

「アンタの事…少しは分かったかも」

「それは良かった」

「…でも──────────」

 

ビシッと指を差される。

「……認めた…わけじゃないわ」

「あくまでも……そこは本戦で…ってか?」

 

その返事に理亞ちゃんは得意げに笑みを浮かべた。

「AqoursがAqoursらしくやるなら…Saint SnowはSaint Snowらしくやるわ」

「…ふっ、それでこそライバルだ」

 

「あー!2人ともこんな所にいたー!」

千歌に発見されてしまった。

こほんと濁すように咳払いをする理亞ちゃん。

 

「…ま、そういうことだから…」

理亞ちゃんが俺のことを少しわかったと言っていたが…それは俺も同じなのかもしれない。

 

「理亞ちゃんも…本気って事だよな」

 

 

 

 

────────────────────────

 

「理亞…?」

「モヤモヤしていた気持ちが…晴れました

姉さまのように特別な感情は抱いてはいませんが…少し…ほんの少し、見直しました。」

 

「ふふっ、気がつかれていましたか…幻滅しましたか?」

「いえ、それで姉さまが幸せになるなら…理亞は何も言いません」

 

「ですが、もしそういう関係になったら貴方は義理の妹になるわけですよ?」

 

 

 

 

 

「なっ──────────────//////」

 

 

 

 

 

 

今日一、顔を赤くし、絶句する理亞だった。




これにてSaint Snowは本戦まで出番無しです←

次回は本戦前最後の回です。
2月は女の子達の戦の月?らしいです???


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92話

いよいよ物語も最終章へと突入しました。

自分で読み返すとやっぱり最後まで投稿して完結させたいという思いが強くなってきますね…!

頑張って更新するので見ていってくださいね!

今回は何やらピリピリモードから始まる…?


「………………………」

 

「むむむむ………!!」

「うーん……おーー…あー…うーーん…?!」

「これと…これはー…うーん…」

 

…部室に入ると、各々が悩ましい声を上げていた。

聞こうにも話しかけるが、教えない!と門前払いされる。

おかげで部室の中はピリピリムード一色だった。

 

(俺なんかしたかなぁ…心当たり全然ない…)

やることも無いので本戦で披露するライブの曲と衣装を見る。

もちろん、既に完成間近で練習も滞りなく行われているが…みんなと話せないとなるとこうなるよなぁ…。

 

 

 

────────────────────

 

【千歌 視点】

 

 

それは、遡ること…悠くんが来る30分前のこと…。

 

「みんな……バレンタインデーは…''戦争''だよ…!」

「戦…争…?」

「確かに、渡す予定だったけど…戦争は言い過ぎじゃない?」

 

「甘いよ…!

もちろん、悠くんに渡すのは当たり前だし大前提だけど…

悠くんの好みとかで…貰った時の嬉しさが違ったりするかもよ…!」

「悠さんの場合、そのようなことは言わないで心から嬉しがると思いますが…」

「でも…確かにそうずら

悠さんに、1人恋人を決めてもらうには…避けられない争いずら…」

「…る、ルビィはお姉ちゃんと協力して作る…!」

 

「こうしちゃいられないわ…!材料を小原グループの人達に集めてもらわないと…!」

 

 

 

 

…こうして、あと数日に迫ったバレンタインデーに向けたAqoursのメンバーによるデスマッチ?が始まったのだった。

本人はもちろん、知らないこと。

今回ばかりは…千歌の口からも言えないの…ごめんね、悠くん。

 

 

(…なのはいいけど~…………)

悠くんの甘いものの好みとか分からないなぁ…。

聞いておけばよかったと後悔する。

 

みんなの合意で聞かない約束になった。

あくまでも、自分で考えるのが絶対条件だった。

 

(やっぱりミカンとかかな?…あー、でもフルーツを使ったチョコレートとかあるから…いいかも)

「うーーーーん…」

みんなも悩んでる…でも、それだけ悠くんにあげたい気持ちが現れてるって証拠だよね…。

 

 

(ここはいっその事……自分の体にチョコレートでも塗って……!)

…と、思ったが想像するだけで恥ずかしさと襲われるという事が頭に過り自分で自滅してしまう。

…と言うか、他の人も考えてるはずだよ…鞠莉ちゃんとか善子ちゃんとか。

 

(とりあえず、帰ったらネットで調べておこうかなぁ~)

「ほら、千歌…お茶」

「うわああああああぁ!?あっ、ありがとーぅ!?」

 

 

────────────────────

 

 

「……どこから声出してんの…」

飲み物を渡すやいなや高音を発する千歌。

因みにほかのメンバーも同じような反応をしていた。

 

(あれか?今度隠し芸大会でもするんか?)

真剣に携帯や雑誌とにらめっこするAqoursのメンバー。

鞠莉だけは電話して足早に部室を後にしていたが…。

 

「…ん、まぁいいや

あんまり詰め込みすぎるなよ?」

「あ、あははっ…ありがとうね、悠くんっ♪」

恥ずかしそうに笑う千歌。

…可愛い。

 

「悠~、携帯鳴ってるよ~?」

果南が机の上に置いておいた携帯を持って呼びかける。

 

「ん…誰から?」

「悠のお母さ……」

「無視しといていいよ」

「えっ?」

 

多分、ろくなことではないだろ。

何となく、直感がそんなふうに告げている。

 

「でも、出ておいた方がいいよ~…?」

「…まぁ、ごもっともな意見です…」

携帯を受け取り部室の外で電話に出る。

 

 

【ガッデム!!!】

「電話越しでも暑苦しいわ」

 

【新年開けたのに暑苦しいなんてアナタの周りには灼熱地獄か!】

「上手いこと言ったつもりか」

【それともあれか!Aqoursのみんなとあっつあつってことか!】

「聞くのすらしんどいんですが!?」

 

ペースをガタガタに崩されまくりだが、咳払いをし冷静さを保つ。

「…それで、要件は?」

【んー、難しいことではないのだけど…週末、東京に行くのに付き合ってくれない?…あ、もちろん荷物持ちって意味も含んでるけど】

「…ちょっと待っといて」

 

部室のドアを少し開けて千歌に確認してみる。

「千歌~今度の週末俺東京に行くけど…大丈夫そう?

母さんと一緒なんだけど……」

「い、いいよ!むしろ好都合!!」

食い気味に肯定された。

好都合とはどういうことなのだろう…あ、旅館の手伝いが忙しいからかな?

 

【あら~、千歌ちゃんと喧嘩でもしたの?】

「しとらんわい、そんで、東京駅に行けばいいのね?」

【そっ、よろぴこ~♪】

 

そう言うと母親からの電話は切れた。

「…全く、仕方の無い人だ」

 

 

 

 

 

 

…ただ、この時は気がつかなかった。

この東京巡りが…衝撃的な内容になることを。




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93話

実は今、沼津に聖地巡礼してます(泊まりで)←
ラバーストラップとか買ってるんですが鞠莉が圧倒的確率で出る…


ネタバレ注意報


「…………んで、東京駅に出迎えに来たけど…」

 

当の本人はまだ来ていない。

連絡を居れても返事がない。

 

「…まぁ、待つか」

そういうマイペースなところも母親らしい。

 

(……と言うか、ここ最近東京に来ること多いな…鹿角姉妹の時といい…)

 

「東京に~………帰還!」

「…なんか、同じようなテンションの奴を知り合いに1人知ってるよ……と言うか、遅かったね母さん」

「んー、少しね…連れも迷っていたのもあったし」

 

「…連れ?」

そう聞くと母親の後ろからひょこっと顔を出した女の子。

…いや、俺より少し年上だろうか?

 

「初めまして、渡辺月です♪」

「……渡辺……月……?」

Go〇gleならぬ悠グルが思い当たる件数は1件しかない。

 

「あーーー!

曜の従姉妹!?」

「おっ、その様子だと曜ちゃんから色々聞いてるみたいだね?♪」

にこやかに笑いながら握手を求める月さん。

 

「…よ、よろしくお願いします…(なんか男の子みたいな顔立ちだな…)」

「ふふっ、曜ちゃんが色々良いと言うのもわかる気がするな~♪」

「…え?」

 

「あー、こほん」

何やら聴き捨てならないセリフが来たと思ったが…母親に遮られた。

 

「まぁ、月はイタリアで一緒に行動してたんだけど…今回、東京に行ってみたいっていう経緯でね

ちょうど東京にも用があったからね」

「あぁ、なるほどね…」

「ついでに君の顔も見てみたかったしね♪」

「…お、おう…」

 

調子が狂わされる…。

この手の人は女の子のファンが多いんだよなぁ…。

 

「特にスーツとかピシッとした衣装が似合いそうだよねぇ♪」

「…そこも、曜に似てるんですね」

 

「んまぁ、久々だし東京巡って一緒に飯でも食べようや」

「あとは俺の荷物持ちな」

「さすが、忘れてないね♪」

 

こうして、初めて曜の従姉妹、月さんと顔合わせをし俺たちは東京の街中に出向いた。

 

「……曜ちゃんは、今スクールアイドルやってるんだよね♪」

「うん、まぁ千歌ちゃんのお誘いもあってね」

「色々聞いてるよ~♪

千歌ちゃんに梨子ちゃん、果南ちゃんに花丸ちゃん♪」

「あー、確かに曜が前に色々話してるって言ってたような気がしたようなしないような…」

 

「…ところで~……なんで''呼び捨て''なのかな?」

「え''っ……………」

痛いところを突かれた

「あはは、なんてうそうそ♪

その辺もちゃんと聞いてるからね♪」

「あ、あはは~……………」

言い逃れはできないようである。

 

 

 

 

 

なんて話に夢中になってると……。

 

 

 

 

ドンッ。

 

 

「いたっ…!」

「あっ、ご、ごめんなさい!よそ見して…!」

「なーにやってんの、バカ息子……………あれ?」

 

ペコペコする俺を後目に母が何やら話しかけている。

「久しぶりだね、ラブライブの本戦以来かな?」

「ええ、お久しぶりです♪」

 

「…あれ……?」

「ん、どうしたバカ息子」

…この人……確か……。

 

 

「あーーーーーー!この前曜と東京に来た時にぶつかった人!」

「あっ……もしかして…あの時の君?!」

 

「え、曜ちゃんと東京に?」

「あ、ああ…それはまた別の機会に…」

 

「へぇ、まさか顔見知りだったのね」

「ということは…こちらは息子さんですか?」

「そ、挨拶しとけバカ息子」

 

「バカ息子バカ息子…って…

度々すいません…冴木 悠って言います」

「大丈夫よ、私の方こそごめんなさいね♪

自己紹介出来て良かったわ…絢瀬絵里よ♪」

 

「…絢瀬…絵里…」

「この人はなぁ~…伝説のスクールアイドルμ'sの一員だぞ~?」

「えっ、あのμ'sの!?」

 

月さんは知っているようだ。

確かルビィとか凄い熱量で話していたなぁ。

 

「そんな、昔の話ですよ…今は普通の大学生ですし」

「懐かしいなぁ…このあと何かあるの?」

「いえ、特には…」

「じゃあ少しでもお茶飲まない?

バカ息子が奢るってよ?」

 

「なんでだよ…まぁ、いいけど…」

「あら、じゃあお言葉に甘えようかしら♪」

 

物腰柔らかそうな金髪の美少女はそう笑った。

…どこかのシャイニーとは大違いだなぁ…。

 

 

───────────────────────

 

「シャ、シャ…シャイニーっ!」

「ちょ、どんなくしゃみしてんの…」

「これは…悪い噂をされてるわ、果南!」

「悠だったりしてね?」

「ありえそうね…」

「あはは、まあまあ…悠はそんなことしないと思うよ?」

「果南は悠に甘々ね~…」

「そ、そんなこと……!…ごにょごにょ…///」

 

 

────────────────────

 

 

「──────────そんで…」

喫茶店に入った俺と母と月さんと絢瀬さんと……。

 

 

「やっほ、久しぶりやね?♪」

「まさか、絵里の誘いだからと来てみたら…」

 

──────────もう2人来た。

しかも、あの時の2人。

 

「んじゃ、私が紹介するわ~

東條希ちゃんと矢澤にこちゃん

絵里ちゃんと同じμ'sのメンバーよ」

「…と言うか、なんで母さんがμ'sのメンバー知って…」

 

「ウチらのライブを見てくれたりしてたんよ♪

もちろん、本戦の審査員もしてくれたし♪」

「ま、腐れ縁ってやつよ」

「へぇ~…」

月さんが感心したように頷く。

 

「そう言えば、Aqours…言うたっけ?本戦に出場するんよね?」

「あ、あぁ…今度のラブライブにね」

「あら、そうだったの?

…じゃあ、応援しに行こうかしら?♪」

「えっ…………!?」

思わぬ提案に思わず聞き返してしまう。

千歌やルビィ…ダイヤが知ったらどうなるんだろ。

 

「伝説のスクールアイドルに応援してもらえるなんてこりゃあ、不本意な結果じゃ終われないなぁ?Aqoursのリーダーさん?」

「は、ハードル上げるなよ!」

「あははっ、なんか面白い人ね、貴方

…まぁ、μ'sとAqours…少し通ずるものはあると思うわね」

「同じ9人やし♪」

「違うとこといえば…男の子のリーダーがいることかな?♪」

 

「ちょ、絢瀬さん…」

「じゃあ、約束しよ♪

本戦見に行くって約束♪」

小指を出す東條さん。

 

「は、はい…見に来てください…っ」

…この事は千歌達には直前までは言わないでおこう。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「じゃあ、私と月ちゃんは泊まってイタリアにまた帰るから」

「ほんとに大丈夫?」

 

「子供じゃないんだから大丈夫だよ

また何かあったら連絡するよ」

「悠くん。」

「あ、は、はいっ」

「曜ちゃんのこと…よろしくね♪」

「わ、分かりました…!」

 

最後にがっちりと握手をし、母さんと月さんはホテルに。

俺は内浦に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

【その帰り……】

 

「ば、バスがねぇ~…!!!」

終車のバスが終わってました…。

 

「仕方ねぇ…タクシーで帰るか…って、鞠莉からすごいメッセージきてるし…」

 

【なんか私の悪口を言ってた気がするんだけど…気のせいよね?】

…後で謝っておこう。




余談ですが淡島や長井崎中学校…天島神社や淡島神社に行きました。

カエル館にも行きましたが…作者はカエルが苦手です笑

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94話

沼津・内浦観光から帰ってきましたー。

なんと100話をラブライブ本戦の決勝戦に繋げたい…!
というわけで今回は分量多めに行きます。

悠くんの居ぬ間に!


【千歌 視点】

 

「むむむ~……………」

悠くんが東京に向かってから私は自分の部屋で唸っていた。

いざ作ろうと考えては見ると難しいものだ。

 

「こういうのもいいよねぇ~…」

パラパラと雑誌をめくっているとフルーツチョコレート等

普通のチョコレートとは一風変わったチョコレートがぎっしりと載っていた。

 

「…うーん…私らしいチョコを作りたいなぁ…」

「わぅ?」

 

しいたけがお座りしながら首を傾げる。

「私らしさってなんだろーねー、しいたけー」

「わんっ」

しいたけがトコトコと歩くとみかんの箱に前足を置いた。

 

「みかんかぁ~そーだよねぇ~…うーん…………あっ!」

めくっていたページにふと目が止まった。

「これ…これだよ~!」

 

早速バタバタと支度をし始める。

悠くんが帰ってくる前に……!

 

「でも~…これできるかな…お、オラン…ジェッタ…???」

もちろん、初めて聞くようなチョコレートだ。

「と、とにかくとにかく!やってみよう!」

 

意気揚々と作り始める私だった。

 

 

 

────────────────────

 

【曜 視点】

 

「うーん…チョコレートかぁ」

携帯で何個かレシピサイトを見てみる。

 

この時期になるとさすがにチョコレートのレパートリーも多くなる。

「ふむふむ……なるほどねぇ」

こういうのは本格的に作ったことがないから…自信ないけど…

 

「何かこう…特別なのがいいよねぇ…」

すると、あるサイトにたどり着いた。

 

 

「…………………うっ」

思わず目元がピクピクとしてしまう。

 

わ、私…渡辺曜はこういうのには耐性がないであります…。

「か、髪の毛に…血……さ、さすがにそれはぁ~…」

悠くんは喜ばれないよねぇ…。

千歌ちゃんに聞いてみ……う、うーん…今回はそうはいかないもんなぁ…。

 

「…こ、ここは無難にクッキーとかにしておこう…」

難しいなぁ…バレンタインデーって…。

 

 

 

────────────────────

 

【梨子 視点】

 

「ふんふんふーん…♪」

鼻歌交じりでキッチンでチョコを溶かす。

 

「初めて男の子にチョコレート作るなぁ…♪」

 

指先にチョコを付けて味を確かめてみる。

「うんっ、いい感じ♪」

 

…あっ、こういうのは…あれかな?

昔見た本にあったシーンを思い出す。

 

あのシーンは…確か…チョコを唇につけて舐めあって…。

「…わ、わわわっ…私何想像してるんだろ…///」

 

焦げ付かないようにチョコを見守るのを再開する。

……ふ、2人きりなら…いいかも、とちょっぴり思った私だった。

 

 

────────────────────

 

【果南 視点】

「うーん…」

カエル館の前で海を見ながら考え込む。

決して、チョコレート作りが滞ってる訳では無い。

 

「沼津の魚介を使ったチョコレートなんてどうかなぁ~…?」

アジでも入れてみようかな?なんてね…♪

 

「ここはシンプルにハート型…かな…///」

両手でハートを作ってみる。

「あ、あはは…何やってんだろ…///」

 

男の子にチョコレートを渡す時って…こんなにもドキドキするんだね…///

 

「…あっ、そうだ…♪」

 

 

何か思いついたら果南…果たして、それはチョコレートの事か…それとも別のことか…。

 

 

────────────────────

 

【善子 視点】

「くっくっく……………黒魔術により砕いたアーモンドを…投入!」

 

何故かいつものマントを身にまといチョコレートにアーモンドを入れる。

「尖ったチョコレートにしてやるわ…ふふっ、これでマイ・リトルデーモンのハートにも一突きね♪」

 

不敵な笑みと共にチョコレートを作る。

「あとはこの薬を~………さ、さすがにやめようかしら…」

このバレンタインデーという日は…多分ヨハネにとっての…最大のXデーになると思うわ…。

 

「ふふっ……ヴァルハラは…近い!!」

この後、知らず知らずにチョコレートが固くなり頭を抱える善子だった…。

 

────────────────────

 

【鞠莉 視点】

「うぅーん、シャイニーなチョコレートってどう作るのかしらねぇ~?」

珍しく難しい顔をする。

 

確かにチョコレートって作ったことはあんまり無い。

「んー、もう少し刺激的なチョコレートにしようかしら~?」

彼のことはよく知ってると思っていたけど…意外にも好みとか知らなかった。

 

「んー……これは大一番に一歩遅れをとっちゃうかしら?」

「…と、言ってもみんなも同じくらい足踏みしてるんだろうなぁ~…?」

 

色々と悩んだ結果、チョコレートという概念に囚われないようにした。

 

「となると…やっぱり、洋菓子とかかなぁ?」

 

 

…ちなみに、自分の部屋のベットから一歩も動いてない鞠莉だった。

 

 

────────────────────

 

【ダイヤ 視点】

「…ふぅ」

冷蔵庫に手作りのチョコをしまい、一息つく。

 

「…ルビィは大丈夫でしょうか…」

さすがに個々の戦いとはいえ…実の妹。

気にならないわけがない。

 

「…少し、だけなら…」

様子を覗きに行くことにした。

 

────────────────────

 

【ルビィ 視点】

「うゅ……上手くできない…」

デコレーション…難しいよぅ…。

 

「これで…5回目の失敗…」

どうしよう……。

 

────────────────────

 

(ふむ……やはり、手を煩わせてますわね…)

「…ルビィ、どうしたのですか?」

 

「お、お姉ちゃんっ??」

 

驚いた顔でルビィがダイヤの顔を見た。

「…ふむ、最後のデコレーションですわね

…少し、手伝いましょうか?」

「ええっ…でも……っ」

 

「いいのですわよ、困った時はお互い様ですわ

…それに、やはり放ってはおけないですわ」

「お姉ちゃん…」

 

この時、ダイヤにはひとつの思いがあった。

もし、ルビィが彼と幸せになるのであれば…私はその支えになれればいい、と。

それが姉として出来ること…だから。

 

────────────────────

 

【花丸 視点】

「メッセージカードは…これで…完成、っと…」

 

製造過程も最終段階に入ったところで大きく伸びをする。

「悠さん…喜んでくれるかなぁ…」

 

何度も何度も作ったチョコとメッセージカードを見直す。

誤字脱字は無いのはわかっていたが…やはり何度も見てしまう。

 

「…これが、まるが今精一杯伝えられる気持ちずら」

最後にメッセージカードをぎゅっと胸の中で抱きしめるのであった。

この思いが…伝わりますように、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

【そして、その次の日…バレンタインデー当日】

 

「ふぁ…ぁ……」

「眠そうだね、悠くん?」

 

「あー…まぁ、昨日は色々あったからなぁ…」

「えー、なになに!聞かせてよ~!」

 

「えっと…母さんと…あと…あっ」

「…?…どうしたの?」

 

「(あっぶね…絢瀬さんと東條さんと矢澤さんのこと言うとこだった…)あ、あはは…まぁ、色々と…」

言葉を濁しているとバスが来た。

じーーーっと千歌に見つめられながらバスに乗車した。

既に先客もいたようだ。

 

「おっはヨーソロー!」

「あ、曜ちゃんおはよ!♪」

「おー、曜…昨日、月さんとあったよ」

「あっ、私の方にも連絡来たよ!♪」

 

「月さんってだーれ?」

「ああ、それを言うとこだったんだけどさ…」

バスの道中、昨日、月さんと会って東京を巡ったことを話した。

もちろん、μ'sの人と会ったことは内緒だ。

月さんにもそう口添えしてある。

 

「なーんだ、曜ちゃんって従姉妹いたんだ~」

「そういえば、千歌ちゃん会ったことないんだよね

いつか会えるよ♪」

 

そうこうしてるうちに浦の星に着いた。

…と言うか、千歌も曜もソワソワしてる…なんかあったのかな?

 

「あっ、わ、私ちょっと部室行ってから教室向かうね~!」

「分かったであります!♪」

「お、おう?」

千歌が学校に着くや否や、さっさと部室に行ってしまった。

 

「朝から部室なんて何の用なんだろうな?」

「さ、さぁー??」

「……?」

 

 

 

────────────────────

 

それは昨日の夜、ダイヤの制約で決まった。

明日のバレンタインデーは各々で渡すタイミングは決める、との事。

もちろんみんな満場一致で賛成をした。

 

学校に着いた時でも…昼休みでも、部活の時でも…いつでもいいと言うルールらしい。

 

 

「…と、言うのを聞いて部室に来たはいいものの…」

部室において置くのも…あぁ、ダメだ…それだとムードが…。

 

「…わ、渡すタイミング考えないと…」

結局やることも無く部室をあとにする。

 

「渡すタイミングより部室に行った言い訳をしないと…はぁ~…」

廊下には溜め息をする声だけが響いた。

 

────────────────────

 

 

「おはよっ、悠♪」

「おお、果南…おはよ、どうした?」

教室に着くと果南が居た。

 

「…はいっ、これ♪」

「…え、っと…これは…?」

渡されたのは小さな箱。

 

「…あ、開けるのは…いつでもいいからね!///」

「…お、おう?」

足早に教室を後にする果南…顔が赤かったのはきのせいか?

 

(果南ちゃん…今渡すなんて…!)

「今開けよー」

「えっ、い、今開けるの?」

「?…なんかまずいのか?」

「い、いや~…大丈夫だよ?(まぁ、これで悠くんもバレンタインデー当日って気がつくよね…)」

 

開けると……そこにはチョコレートで出来た小さな魚が入っていた。

「…チョコ?」

「ちょ、チョコだね~…♪」

「………あーーーーーーーーーーーーーー……………………」

 

何度か確認をして頭を抱えながら頭を突っ伏す。

「ゆ、悠くん…?」

「あぁ…そっかぁ…今日はそういう日かぁ~…」

「…ふふっ、やっと気がついた…はい、私からも…チョコレートのプレゼントでありますっ♪」

 

ニコッとしながら曜も箱を渡してきた。

「よ、曜も…用意してくれてたんだ…チョコ」

「初めて作ったから…上手くできたか分からないけど…よく味わって…ね?///」

「お、おう…ありがとう…」

 

何故か朝から授業前に小さな魚の形をしたチョコと船の形をしたクッキーを食べることになった。

もちろんどっちも美味しかった。

 

 

 

 

 

授業中…俺はひとつの考えにたどり着いた。

 

 

 

 

「(このパターンって…そう、だよなぁ…)…なぁ、梨子?」

気になって梨子にも聞いてみる。

…まぁ、この考えが間違ってないのは確かだと思うが…。

 

「な、なにっ、かな???」

ドキッとした顔で梨子がこちらを見る。

…あー、梨子もそうだなぁ、これ…。

 

「…いや、なんでもないよ」

「そ、そっかぁ~……♪」

あえて、深くは問いつめなかった。

まぁ、本人の問題もあるだろうし…。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、昼休み…教室のドアからひょこっと3人が顔を出す。

 

「あの~………悠さん…居ますかぁ…?」

「ずら…ぁ?」

「ギランっ………マイ・リトルデーモン発見!」

 

「おぅ、よしまるビィ…どうしたの?」

「だからその呼び方で~!…って、まぁそれはいいわ…

お昼ご飯、一緒にいいかしら?」

「珍しいね…もちろんいいよ?」

「良かったぁ~…♪」

「じゃあ、屋上で食べるずら♪」

 

こうして1年生組に連れられ屋上で昼飯を食べることに。

 

「…ホントはお昼ご飯を一緒に食べたいって言うのは…建前ずら」

のっぽパンを食べながら花丸がボソッと呟いた。

 

「えっ、そうなの?」

「えぇっと…これ、ルビィからです…!///」

「ヨハネから…マイ・リトルデーモンに慈悲深きプレゼントよ…受け取ってくれるわよね?」

「まるからも…チョコの…お渡しずら♪」

 

「さ、3人とも…」

ずいっと渡された3つの箱に思わず目をこすって現実を確認する。

 

さっき辿り着いた1つの答え…それは。

────Aqoursのみんながチョコレートを用意してるんじゃね?………と。

どうやら…その予想は的中をしたようだ。

 

「食後に食べるよ…ありがとうね、3人とも」

「えへへ……良かったぁ…」

「ぜひ食べたら感想を聞かせて欲しいわ、リトルデーモン」

「まるからもお願いするずら!」

 

「あ、あはは…大層なコメントは出来ないよ…」

 

花丸のメッセージカードは…思わず目を背けちゃうくらい照れる内容だった。

善子のチョコは……甘かったがアーモンドがめちゃくちゃ多くて…尖ってた…それは、すごく。

どんくらいって言ったら、それはもう光の護〇剣くらい。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

放課後……部活の前に、ダイヤと鞠莉に呼ばれて理事長室に向かった。

 

「なんとなく~……要件は分かってます」

「あら、そうなの~…って、まぁこの流れならさすがの悠でも分かるわよね~…」

「こ、こほんっ!

…なら、説明は不要ですわね…」

赤い顔をしながらダイヤが箱を渡してきた。

「そ、そう言えば…ルビィからも貰いました?」

「うん、貰ったよ…すごく美味しかった」

「それなら、良かったですわ」

ニコッと笑うダイヤ。

その姿を見ながらニコニコとしながら状況を見つめる鞠莉。

 

「ふふっ、悠はモテモテね~

…という私も渡すんだけどね~♪」

「う、うん…だと思ったよ…」

あれか、プロ野球選手とかがバレンタインデーにたくさんチョコを貰う気持ちってこんな気持ちなんだね。

 

 

「とってもシャイニーで刺激的なチョコレートよ~♪」

「し、刺激的…?」

「是非…今食べて欲しいですわ」

「わ、分かった…」

理事長室に座りダイヤと鞠莉のチョコを舌づつみする。

確かに…なんかこう…刺激的な味だった。

なんとも表せなかったが…刺激的だった。

 

ダイヤのも美味しかったが…食べるとこをマジマジと至近距離で見られるのはさすがに緊張した…。

 

 

────────────────────

 

 

 

「だあああああ…お腹がチョコ…」

「(ううーん…もうみんな渡したかぁ…梨子ちゃんがここにいるってことは…)…あはは、悠くんおもしろ~い…」

「ふふっ、悠くん今日は一日大変だったね…♪」

 

横になる俺の頭を撫でる梨子。

そしてお腹をつんつんする千歌。

さすがにこれ以上食べるとチョコにでもなりそうだ。

と言うか、鼻血が出ない俺は鼻でも強いのだろうか。

 

「ね、悠くん…?」

「んん………?」

梨子が顔を寄せる。

その口には…チョコが咥えられていた。

 

「…えっ、と……梨子?」

「ふぁーに…?」

「…そういう…こと、だよな?」

その質問に梨子が頷く。

 

「…んっ…」

咥えられたチョコを口に含む。

「…ん、なんか…すっげー甘い…」

「…り、梨子ちゃんの…甘さも入ってる…なんて、ね…♪」

「あ、ず、ずるーい!///

…わ、私も食べさせてあげるねっ…はいっ、悠くん…

あーん…///」

 

「ち、千歌…っ」

抱き寄せ、口に…みかんチョコ?を近づける千歌。

まるで小さい子供が母親から食べ物を渡されるようであった。

 

 

「ん、ふふっ…美味しい?///」

「な、なんか…千歌の味がする…」

「あははっ、変な悠くん…♪」

 

 

 

 

 

 

そのあとは梨子から…千歌からと交互にチョコを貰った。

寝る前に…思ったことがひとつ。

 

 

 

 

 

「あっ、やべ…お返しどうしよう…」




俺史上1番長く書いた気がする…!!

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次回!本戦!!


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95話

ラブライブ本戦、はじまります!

※今回は台本調になってます。
時々カッコの前に名前が入りますのでご了承ください。


「…よし、じゃあ行こうか?」

 

その一声に千歌は深呼吸をし、目をぱっと開いた。

「…うんっ!」

 

既に十千万の前には曜や果南、ダイヤや善子…Aqoursのメンバーが集まっていた。

 

「2人とも、待ってたよ♪」

「えへへ、なんだか緊張しちゃって…♪」

「まぁ、気持ちはわかりますわ…ルビィもこんな状態ですし」

 

「が、がががっ…がんばルビィ…っ!」

横目でルビィを見ると、腕が震えながら必殺がんばルビィをしていた。

まぁ、無理もないだろう……今から本戦に向かうと思うと意識せずにはいられない。

多分、ダイヤや果南も表に出さないだけで内心緊張しているのだろう。

 

「こーーらーーーっ!」

そんな中、後ろから大きな声で呼ばれ全員がビクッと驚いてしまう。

 

「このあと私達も応援に行くんだから行く前からそんな暗い顔見せんなー!景気悪い!」

「み、美渡姉…っ?!」

「あらあら、美渡ちゃんったら張り切ってるわね~」

 

しいたけのリードを持ちながらメガホンを片手に美渡さんから強烈な激励を受ける。

「こら、リーダー!」

「えっ、あ、お、俺?」

 

「もっとリーダーらしくしろ!」

「わんっ!」

指を差しながら指摘をするとそれに乗っかるようにしいたけが吠えた。

 

「…え、ええつと……胸張って…内浦に帰ってこようぜ、みんな」

「…悠くん」

「…そうですわね、皆さんでやりきったと思えるくらい自信をもちましょう」

「ここまで来れたんだから大丈夫ずら!」

 

「よーーしっ!みんな行っくよー!」

抑えきれない感情とともに千歌がおっきな声でおー!と言うとみんなもつられる様に声を出した。

 

 

「ふぅ、らしくなったじゃん」

「美渡ちゃんって変なところ不器用よねぇ~」

「そ、そういうところは言わなくていいから!」

 

 

Aqoursが乗り込んだバスを見ながらそう呟いた志満さんと美渡さんだった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

電車を乗り継ぐこと…1時間半。

 

「ついに来たな、東京」

「うん…何だか、お出かけしてきた時とは違う感覚…」

「緊張してる?」

「ううん、悠くんがいるから…へっちゃらだよ♪」

 

喜びを噛み締めるような笑顔で千歌がそう呟いた。

 

「お2人とも?行きますわよ?」

「ん、分かった」

「はーいっ♪」

 

千歌の背中はどこか頼もしく、大きく見えた。

それだけ…成長した姿が間近で見られたのはリーダー冥利に尽きる。

 

 

────────────────────

 

会場に着いて、控え室に案内されたAqoursのメンバー。

 

「改めて確認致しますわ

本戦は、北海道地方・東北地方・関東地方・東海地方

近畿地方・中部四国地方・九州地方の7地区から選ばれたスクールアイドルによって頂点を争いますわ」

「その内の北海道地方が…Saint Snowで…」

「東海地方が…我ら、Aqoursってことね…」

 

「えぇ、ですが他の地方のスクールアイドルの方々ももちろん強豪で……」

言葉の途中でダイヤの口が止まった。

 

「…やっぱり、他のグループから結構見られていたね」

曜がそう呟いたからだ。

その言葉にみんな沈黙してしまう。

たしかに9人もいるグループは珍しいだろう。

中にはμ'sの真似とまで言う人までいた。

 

「……うゅ……」

「ルビィちゃん、大丈夫だよ…っ」

花丸に宥められるルビィ。

しかし顔は不安そうで縮こまっていた。

 

(…やっぱり、本戦の会場に来たらみんなまた顔が強ばってる)

なにか一言、場の空気を和ませることを言おうか迷ってた…その時。

 

 

 

?「あっ、ここじゃない?Aqoursの控え室!」

?「ちょ、ちょっと待ってください!ノックくらいしてからじゃなきゃ…!」

 

がちゃっ!と勢いよくドアが開いた。

みんな何事かと一斉にドアの方を向いた。

 

?「わああああ!ほんとに9人いる~!」

?「ほ、穂乃果…だからノックはしないととあれほど…」

 

千歌「穂乃…果……って……え、ええええええ!?!?」

この世の物では無いものを見るような目で千歌が目を見開いた。

続けざま黒澤姉妹が抱きつき合いぴぎゃあああと叫んだ。

 

絵里「ふふっ、来たわよ♪」

「他のメンバーが来るなんて聞いてなかったぞ…?」

希「話したらな、見に行きたいって穂乃果ちんが言う事聞かなくってな?」

「なるほど…あの子が穂乃果って子なのね」

 

昔出会いたての千歌によく似ている…髪の毛もオレンジだし。

 

穂乃果「私、高坂穂乃果!貴方は?」

千歌「たっ、ただただ、高海千歌です!!!」

裏返りそうな声で自己紹介をする千歌。

未だに現実が受けいられない様子。

 

?「穂乃果…相手の方が困ってますよ…

すいません、突然押しかけて…園田海未と申します」

ルビィ「お、おねぇちゃ…!」

ダイヤ「ゆ、夢ですか…!?

伝説の…スクールアイドルの方々が…!!」

 

2人で頬をつねりあう。

その直後、夢じゃないと喜びあっていた。

 

希「ふふっ、仲良しグループやんね♪」

「…あれ、そういえば背のちっちゃい子は?」

にこ「いるわよ」

 

東條さんの後ろからひょこっと顔出す矢澤さんと…もう一人の人。

?「はじめまして~、南ことりです♪」

にこ「はい、差し入れ…って、ほんとに9人もいるのね…」

 

曜「あ、ありがとうございます!」

果南「えっと…悠、顔見知りのようだけど…どういうこと?」

「あー…えーっと、実はな…」

 

 

────────────────────

 

 

果南「へえぇ~そんなことが…」

千歌「もうっ、それならそうと言ってくれればいいのに!」

「だって、そうしたらもっと緊張するだろ?」

 

穂乃果「いいなぁ~

なんかμ'sのみんなとスクールアイドルをしていたのを思い出すよ♪」

千歌「え、えへへ…私μ'sの皆さんに憧れて…」

「そういえば、あと3人は?」

希「ライブには応援に行けるけどちょっと遅れるみたい

挨拶できるのは本戦が終わってからやね♪」

絵里「写真、撮る?♪」

ルビィ「は、はいっ!」

 

海未「私達もAqoursの皆さんのライブを拝見しましたよ」

ダイヤ「こ、光栄ですわ…っ!」

 

梨子「あっ、このケーキ美味しい…!」

ことり「ことりの自信作ですよ~♪」

 

いつしか、控え室は話題が尽きないくらい明るい話し声が聞こえていた。

「…伝説のスクールアイドルの力ってすげー…」

にこ「ちょっと」

「んっ?…あぁ、矢澤さん…どうしたの?」

 

にこ「ここまでしたんだから…優勝しなさいよね」

「おうっ!」

にこ「しっかし、男のリーダーねぇ…珍しいわね」

絵里「あら、私はいいと思うわよ?

思わずμ'sの時にいたらどうなっていたのかなって想像しちゃうわ♪」

希「人柄も良さそうやし」

「か、買い被りすぎですよ…」

 

 

あははっと笑い声がし、μ'sのメンバーは観客席で応援すると去り際に約束し、控え室を後にした。




次回 一次予選…


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96話

ついに始まった本戦…。
他のグループのライブを見たAqours…。

その時、悠は……。


刻一刻とラブライブ本戦 一次予選の時間が迫る。

 

──────────俺はと言うと…。

 

「…なーんか、前にもこんなことあったなー」

控え室の前でみんなが着替える終わるの待ちである。

もはや、心を許しあった関係だし…そこも見てもいいような気がするのだが…。

 

「……ま、流石に他の人に見られたらな…」

「あら…?」

「あっ…」

 

控え室の前を2人組が通り過ぎようてしていた。

…よくよく見たら、Saint Snowの2人だった。

 

「…おっす、いよいよ………だな」

「ええ、お先にステージ…立たせていただきます」

「…絶対に…負けない、から」

 

ライブ用の衣装に身を包んだ2人が俺の目を見てそう答えた。

Saint Snowの次はAqours…という順番となっている。

「…おう、舞台裏から…見させてもらうよ」

 

「……あの」

「ん?」

「…いえっ、なんでもありません…っ

その…ライブの感想…聞かせてください、ね…♪」

そう言うと少し嬉しそうに聖良がステージへ繋がる道へと進んでいった。

 

 

「…姉さまの…姉さまがあんたの事が好きなのは…知ってる

…だけど…私はこの本戦が終わるまでは……っ!」

くっと唇を噛み締め、何事も無かったかのように聖良の後を追う理亞。

 

(…あいつ……)

「…ゆ、悠くん…?」

心配そうな顔を覗かせながら千歌がおずおずとドアの隙間から顔を出す。

 

「ん、終わったか?」

「うんっ……ど、どうかな…?♪」

カチャッとドアを開けると本戦用の衣装に着替えたAqoursのメンバーがこちらを一斉に見た。

 

「…えっへへ、どうかな悠くん…?♪」

「これが私達…Aqoursの本戦の衣装ですわ」

「とってもシャイ二ーで…♪」

「可愛い衣装だよ…っ♪」

 

ルビィと鞠莉…曜は白をメインにした衣装。

ほかの6人は青をメインとしたツートンカラーの衣装だった。

「みんな…すごい似合ってるよ」

「悠にそう言って貰えるだけで勇気が出てくるよ♪」

 

控え室に置いてあるテレビからは大歓声が聞こえる。

Saint Snowのライブが終わったようだ。

 

「…さて、向かいますわよ皆さんっ」

「ウェーーイトッ!その前に、リーダーからの金言…んー、ゴールデンワード?を貰いましょ?♪」

「えっ、俺から?」

 

「That's Right♪リーダーなんだから♪」

「……ん、んん…分かった…」

 

咳払いをし、並んだメンバーを一人一人見る。

 

「…果南、Aqoursの中でも指折りのダンスのキレの良さと…爽やかさ、この本戦でも輝かせてくれ」

「うんっ、もちろんだよ♪」

 

「ダイヤ…お前の華やかさは誰にも真似出来ない。

その華やかさで観客を魅了してやれ!」

「ええ…しかと胸に…♪」

 

「鞠莉…透き通る歌声はいつもライブの盛り上げには必要不可欠な存在だったよ

めいっぱい……歌ってこい」

「ええ…OKよ♪」

 

「…花丸…最初のライブの時より…見違えるくらい…成長したよ

今の花丸なら、なんでも出来るから…胸張ってステージへ行ってこい!」

「ありがとうずら…っ」

 

「ルビィ…ダイヤと本戦のステージに一緒に立てるのは…ルビィの努力の賜物だ

ここまで来たんだから…楽しんでこいよ?」

「うんっ…ルビィ、頑張るよ!」

 

「善………っと、ヨハネだったな

リトルデーモンである俺が太鼓判押して送り出すんだ

しっかり、ヨハネの名前を轟かせろよ?」

「言われなくても…闇のパワー存分に発揮させるわ♪」

 

「…梨子、歌うのが苦手って…言ってたけど

それを乗り越えられる力が梨子にはあるんだ、もう昔の梨子じゃないよ

その成長した姿を…俺に見せてくれ」

「……はいっ♪」

 

「曜…色々、悩んだり…つまづいたりしたな

…あん時は怒鳴ってごめん。

でも、一緒にここまで来れて俺は嬉しいよ

曜の元気なところ…いっぱいいっぱい…見せてくれよ」

「ヨーソローっ、でありますっ!♪」

 

「…そして…千歌…」

「…うんっ♪」

「まずは……ありがとう」

「…えっ?」

「正直、千歌のおかげで…ここまで来れたと思ってるよ」

「…悠くん…」

「お前はAqoursの太陽だ…いつでもみんなを照らしてくれる…明るい…いなくちゃいけない存在。

もちろん、みんなの中には俺も入ってるよ

楽しいこと…面白いこと…まだまだ、Aqoursとしてどんな道が続くのか…この先がどうなるのか分からない…けど、千歌と一緒にいると…それが楽しみでワクワクして仕方ないんだ

…だから…俺から言いたいことは…一つだけ…

 

………………''輝いてこい''」

 

「──────────うんっ!!!♪」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

Aqoursのメンバーがステージに向かった。

同じ本戦のグループのライバル視をした目とは違い観客の期待値は高い。

 

出てくるやいなや…完成が飛び交う。

 

「……千歌ちゃん」

「うん…大丈夫っ

──────────みんなと一緒なら!!」

 

 

 

ふっと、歌を歌い始める。

舞台裏で…静かにその歌声に耳を傾ける。

 

 

 

 

千歌「本気をぶつけあって……

────手に入れよう」

「「「未来を────!!!」」」

 

 

 

 

 

 

そう、未来の僕らは…知ってるよ。

Aqoursが照らす道のりは…明るいということを。




次回 一次予選の結果…。


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97話

久々にイラスト書いてみたけど明らかにレベルが落ちてる…
というわけで模写を描きました、貼っつけておきます


「……………ふう」

 

長い長い一次予選が終わった。

俺とAqoursの皆は控え室に戻ってきた。

 

曜「やりきった…よね」

千歌「うん…私は…やりきったよ!」

「千歌がそう言うなら大丈夫だよなっ」

 

平然を装っているが…みんな、結果が待ち遠しくて仕方ない。

仮に…一次予選落ちをしていたら…これがAqoursとして最後のライブ。

もちろん、決勝に行けた時用の曲と衣装も用意してあるが…それがおじゃんになってしまう。

 

ダイヤ「皆さん、自信を持って結果発表を待ちましょう

…私たちはやるべきことをやり通しましたわ」

果南「そうだよ、全力を尽くしんたんだし、あとは運命のみぞ知るって事だよ♪」

 

 

「…だな…」

結果発表を待っている時だった。

 

──────コンコン。

 

「ん……はい?」

ノックがすると思ったらそこに居たのは予想外の2人だった。

 

聖良「おじゃまします…ライブお疲れ様です」

理亞「……………」

 

ルビィ「理亞ちゃん!」

「2人とも…どうしたの?」

 

控え室にやってきたのはSaint Snowの2人だった。

聖良「いえ…Aqoursの皆さんと結果発表を見ようかと」

理亞「私たちとの約束を果たすかは…結果発表にかかってるから」

 

Saint Snowの2人は手応えバッチリのようだ。

しかし、こちらも負けてはいられない。

 

「…だな…いいよ、一緒に見よう。」

千歌「2人のライブっ、すっごく良かったよー!」

聖良「Aqoursの皆さんも、心揺さぶられる良いライブでしたよ」

 

お互いを認めあった仲。

ライブのことに対して褒め合う。

 

梨子「あっ…結果発表するよ!」

 

その声とともにそれまで賑わっていた話し声が止み…みんなテレビの方を見た。

 

【まずは…1位の発表!】

決勝に進むには上位2チームに入ってることが条件。

大方の予想通り……1位は…………。

 

 

 

 

【Saint Snow!!】

 

理亞「姉さま!」

聖良「ふぅ…まぁ、当然の結果です」

一位通過もどこ吹く風。

やはり、狙いは優勝ただ一つということだろう。

 

そして一気にプレッシャーがのしかかるAqours。

次の2位に入ってなかったら…道が閉ざされる。

 

【続いて、決勝進出をかけた…2位の発表!】

長いドラムロール中、みんながみんな祈るようにテレビを見つめる。

 

(大丈夫だ…Aqoursの実力は…もう並大抵のものじゃない…っ)

 

【2位は………………………Aqours!】

 

千歌「……………………えっ…………………」

曜「やっ………………………」

 

「「「やっ…………たあああああ!!!」」」

 

結果発表されるやいなや喜びに湧くAqoursのメンバー。

息の詰まるような発表から解放された俺は思わずヘナヘナと椅子に座り込んでしまった。

 

「は、はは………良かった…ホント…」

自分でもまだ実感がわかない。

 

聖良「決勝進出…おめでとうございます」

「………あぁ、ありがとうな」

聖良「ですが…ここからは、本気ですよ」

 

千歌「聖良さん………うんっ!真剣勝負で楽しいライブにしようね!」

理亞「それ、矛盾してるよ」

 

「あはは……まぁ、約束は…果たしたからな」

 

自然とグータッチをする俺とSaint Snowの2人。

優勝をかけて…全スクールアイドルの頂点を目指して2グループが激突する。

 

【なお、決勝戦は2時間ごとなっております】

つまり、2時間後には…決勝の舞台に立ってるという事になる。

どんどん高鳴る鼓動にドキドキとワクワクが止まらずにはいられなかった。

 

 

────────────────────

 

穂乃果「おぉー!Aqoursのみんな決勝に進めたよ!」

海未「これでひとまずは一安心ですね」

ことり「優勝したらいっぱいお祝いしよーっ♪」

 

真姫「甘いわね」

絵里「あらっ、真姫やっと来たのね?」

凛「りんもいるにゃー♪」

花陽「お、遅くなってごめんなさい…っ」

 

希「ええんよ♪

それより、注目のAqoursが決勝に進めたんや……最後まで見ていこうや♪」

にこ「そうね、μ'sに憧れてたってその実力…しっかりと見せてもらいましょ」

 

 

 

 

刻一刻と迫る…決勝。

果たして勝利の女神が微笑むのは…Saint Snowか…

それとも…Aqoursなのか。

 

 

 

 

───────決勝まで…あと少し。




次回、決勝とそして…

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98話

ラブライブ本戦
最終話です。


千歌「………よしっ…♪」

 

千歌が息を整え後ろにいるメンバーの顔を見る。

千歌「みんな…ついに─────来たよ!」

ダイヤ「ここまで…ホントに長い道のりでしたわ…」

果南「今思えば、楽な道では無かったよね…」

 

ルビィ「でも…Aqoursのメンバー全員でここに来れて…ルビィ、すっごく嬉しい!♪」

善子「でも、ここまで来たら狙うは…優、勝…よ?」

 

「…だな、みんな…決勝の用の衣装もすごく似合っているよ」

白や黒を基調とし、青色も散りばめている衣装。

 

「…なんか、お姫様みたいだな」

曜「そ、そそっ、そんなことないであります!」

「事実を言ったんだけど…」

 

千歌「じゃあ、みんな…最後にあれ、やろっか!♪」

握った拳を重ね合わせる。

 

千歌「……泣いても笑っても…私たち、Aqoursらしくいこうね…っ!

────────0から1へ!」

「………1から…その先へ!

Aqours………サン──────────」

 

 

 

「「「シャイン~~~~~~!!!!」」」

舞台裏で掛け声を合わせた俺たち。

結束という域を超えた硬い硬い絆で結ばれた。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

既にステージでSaint Snowの2人がライブを行っていた。

曲名はSELF CONTROL……。

 

「…まさに決勝に相応しい大歓声だな」

千歌「千歌達も負けないよ!」

「そうだな……ところで、決勝に使う曲名は?」

 

ダイヤがその質問に食い気味に答えた。

ダイヤ「WATER BLUE NEW WORLD…ですわ」

「…えっと…どういう意味?」

 

千歌「青い海が広がる内浦から─────」

果南「新しい世界を見せよう……って意味だよ♪」

 

「確かに…見せたい、な…内浦にこんなに最高で可愛いスクールアイドルが居るってことを」

梨子「沼津に来る人…増えちゃうかもね♪」

 

「「「あっはは!!」」」

とても決勝前とは思えないくらい落ち着いてるメンバーに驚きつつもこれがAqoursらしさだと思うと少し胸が熱くなった。

 

 

千歌「じゃあ…呼ばれたし…行ってくるね、悠くん♪」

「…ああ、全力尽くしてこいっ!」

 

最後に深呼吸をし、ステージへと飛び出していった千歌。

1番最後に出ようとしたダイヤがこちらを向いた。

 

「…?」

「ありがとうございます…悠さんにはどんな言葉もお礼を口にしても…したりません…♪

Aqoursとしての集大成を…是非見ていてください!」

「……………あぁ!」

 

 

 

────────────────────

 

【千歌 視点】

 

「凄い…」

ステージの上から見た光景に私は驚いた。

一次予選の時よりも多い観客でいっぱいだった。

 

「…あっ!」

最前列にいるμ'sの皆さんと…志満姉と美渡姉とお母さんの存在に気がついた。

 

(私たちは…1人じゃないんだ)

果南「さぁ、やろう千歌…♪」

「…うんっ!♪」

 

各メンバー持ち場につく。

これまで支えてくれた人に感謝して…。

そして何よりも…悠くんに…届けたい、この…Aqoursのライブを…!

 

 

「私……輝きたい……!!!」

 

────────────────────

 

 

鞠莉「イマはイマで昨日と違うよ────」

花丸「明日への途中じゃなくイマはイマだね」

梨子「この瞬間のことが───」

ダイヤ「重なっては消えてく」

ルビィ「心に刻むんだ───♪」

 

 

「「WATER BULE─────!!」」

 

 

 

 

 

「………………………」

【スクールアイドル部に……入って欲しい!】

あの時、千歌から両手を合わせられてそうお願いされたのが全ての始まりだった。

最初は、俺もみんなの手伝いくらいならしてあげたいなって思っていた。

でも、いつからか…リーダーになって…。

Aqoursのメンバーの成長していく姿を見れて…それが嬉しくて…。

 

 

【歌うのが…あんまり得意じゃなくって…】

【千歌ちゃんは…私と2人でいるのが…嫌なのかなって】

上手くいかないことも衝突することもあった。

 

【私はスクールアイドルは─────絶対にやらない】

部員が集まらないことなんて年がら年中だった。

 

【彼はキーになるわ♪】

でも、そんな中でも期待してくれてる人もいた。

 

 

「みんな………」

自分でも…気がつかないうちに涙が頬を流れていた。

 

 

───────────────────

 

果南・ダイヤ・鞠莉「ずっとここにいたいと思ってるけど────」

善子・花丸・ルビィ「きっと旅立ってくって分かってるんだよ」

千歌・梨子・曜「だからこの時を楽しくしたい」

「「最高のトキメキを 胸に焼きつけたいから────!!」」

 

 

Aqoursのメンバーが手を取り合った瞬間…感覚的に、だか風が吹き抜ける感じがした。

 

「……ふっ」

月「ん、もう行っちゃうのかい?最後まで見ていかないの?」

「見なくても分かる……アイツと…Aqoursのメンバーの実力…成長した姿、はね…」

 

 

 

 

穂乃果「凄い……」

海未「ええ、思わず見入ってしまいます…」

ことり「いつか…一緒にライブできるかな?」

 

絵里「ええ、しましょ…だって、こんなに輝いているんだもの」

希「ええな、それ♪」

にこ「でも、μ'sだって負けてはないわよ」

 

真姫「9人と9人…18人でライブなんて…騒がしくなりそうね」

凛「先輩として負けられないにゃー!」

花陽「り、凛ちゃん…そ、そうだよねっ!」

 

 

────────────────────

 

 

曲が流れ終わると……観客からは惜しげも無いくらいの歓声が沸き上がった。

 

千歌「はぁ…はぁ…!」

曜「や、やりきったね…千歌ちゃん!」

千歌「うんっ……けっ、結果は…!?」

 

 

【本年度ラブライブ優勝は───────Aqours!!】

スクリーンには大きい文字でAqoursと確かに書かれていた。

その結果に千歌は動くことが出来ない。

周りのメンバーも俺もそうだった。

 

千歌「やった……の……?」

曜「やったよ…!

やったよ、千歌ちゃん!優勝だよ!!」

梨子「私たち…優勝したんだよ!!」

 

 

その結果に千歌はいてもたってもいれらなくてステージから逃げ出す。

曜&梨子「えっ……!?」

 

…というのは言い過ぎで俺の方に向かってきた。

千歌「……………行こっ!♪」

「ど、どこに…?」

千歌「いーーから!♪」

 

引っ張られ連れてこられたのはステージの上。

 

千歌「悠くん…みんな…やったよ…!!!」

「「「やっ………たああああ!!」」」

 

「あはは…元気だな……ライ、ブ……後…なの、に…っ」

千歌「わあああっ!悠くん泣いてる!?」

「な、泣くだろっ、普通…!!」

つられるようにルビィや梨子、果南も涙していた。

 

 

────────────────────

 

聖良「……………………」

理亞「姉さま…」

 

聖良「いえ、全力を出し合った結果です、悔いはありません

…Aqoursの皆さんとこうして決勝で戦えたこと…誇りに思います」

 

…私は見逃さなかった…。

姉さまの目に…涙が浮かんでいたことを。

 

「(認めてあげるわ…悠…でも、これからは…目標として…見直すわ……いつか、必ず!)」

 

 

────────────────────

 

 

こうして、ラブライブ本戦はAqoursの悲願の優勝で幕を閉じた。

ステージ上に男が上がることがよほど珍しかったのかあの後取材陣に囲まれた。

 

Aqoursのリーダーってことはバレたけど…ただ一言だけ俺は取材陣に言った。

 

【頑張ったのは…1番輝いていたのは本人達です

俺はサポートをしたに過ぎません】…と。

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして、今はと言うと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「ではっ、Aqoursみんなの優勝をお祝いして…かんぱーい!」

「「「かんぱーい!!!」」」

 

何故か十千万でμ'sのメンバーとAqoursのメンバーで優勝祝賀会が開催されていた…。




次回、卒業そして…

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99話

ついに99話目です。
巡り巡ってついに卒業式…そして…。

ラブライブが終わった後日談から始まります。


ラブライブ本戦を優勝で幕を閉じて数週間が経った。

 

「……………………」

学校に行く前に砂浜で1人座り込み海を眺める。

あれから部活という部活はしていない。

3年生が卒業式の準備やリハーサルがあるからだ。

 

特にダイヤと鞠莉は生徒会長と理事長だから無理もない。

「あっ、悠くんここに居たんだ♪」

「千歌…」

「もー、どうしたの?

なんかセミの抜け殻みたいになってるよ?」

「あはは…なんかこうのんびりしてるのも平和だなーって…」

 

しいたけを撫でながらそう呟く。

「よいしょっ…と…まぁ、1年間慌ただしく動いてたりしたからね~…」

「…静かだなぁ…」

「…ふふっ、悠くんが内浦に来て1年経ったかぁ~♪」

「早いねぇ……」

 

ザザーっと波音がするだけで他の船の音や車の音は聞こえない。

「…よしっ、悠くん!学校行こっ!」

「……あぁ……」

 

事実に目を背けたくなったが…うだこだしてても始まらないので学校に向かうこととなった。

 

 

────────────────────

 

「あっ、悠くん!♪

おはようございますであります!」

「なんか暗い顔してるけど…大丈夫?」

 

「…うん、大丈夫だよ」

「うーそっ…何か考え込んでるんだね?」

「……やっぱり果南にはお見通しか…

いや、3年生は…卒業、なんだなって……」

 

「「あっ…………」」

曜と果南が、口を揃える。

 

「…ちょっと、みんな集めよ?」

その提案とともに千歌が携帯を取りだし部室に他のメンバーを集合させた。

 

 

「どうしました、千歌さん?」

「朝に呼び出すなんて珍しいわね~?」

 

「…うん、少し私から…伝えたい事があってね」

ラブライブの優勝旗を見つめながら千歌が話を続ける。

 

「……Aqoursを…''解散''させようかなって…」

「「「えっ……!?!?」」」

 

その言葉にみんながみんな言葉を失った。

「な、何でずら…?」

「そんな…解散なんて…っ」

 

「私ね……やっぱりAqoursはこの9人じゃなきゃ…ダメだと思うの…

3年生が卒業したら…6人だし…

新しい人が来るかもしれないけど…それは…Aqoursって呼べるのかなって…」

 

「り、リーダー…何か言ってくださいまし…っ」

「………………………」

 

正直……千歌の言う通りだと思う。

「…俺も…Aqoursはこのメンバーじゃなきゃ…嫌だ」

「悠さん……」

「…うん、悠がそう言うなら…私もそれが一番いいと思うな」

 

「…もちろん、それでAqoursがおしまいな訳では無いよ

いつも心には…皆がいるからね

離れ離れになっても…AqoursはAqoursだからね」

「……よしっ、みんなで写真でも撮ろうか!」

「えっ、悠くん…?」

「記念だよ、記念っ」

 

「そうだね、撮ろっか♪」

優勝旗の前で並ぶ9人。

みんないい笑顔だった。

 

「おーいっ、悠くんも入りなよ~!♪」

「ちょ、ちょっと待っててな…セルフタイマー…ってどうやるんだ……?」

 

現代っ子だと思っていたがまさかこんな所で手間取ってしまう。

「ええっと……あ、い、いきなり5秒前になった!」

急いで写真に収まろうと小走りしたら足がもつれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「わああああっ!?」」」

……受け止められるような格好で写った写真が携帯には収められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

そして、ついに迎えた卒業式。

生徒会長の言葉と…滞りなく卒業式は進んでいった。

 

続いて理事長の言葉……と言ったところで…。

 

「まずはスクールアイドル部の小原鞠莉として報告があるわ♪

…ラブライブで優勝することが出来たわ

応援に来てくれた生徒も居たみたいだし…改めてお礼を言わせてちょうだい…ありがとうね♪」

 

その言葉に在校生が拍手を送る。

「…とまぁ、卒業式はこれまででお開きにしておいて~♪」

いつものペースで話し始める鞠莉。

 

「この後みんな残ってちょうだい?♪」

その言葉は在校生にとって不思議でしょうがなかった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

「みんな集まってくれてるわね~♪」

「集まってくれたのは他でも無いですわ…私達3年生から皆さんに…在校生とAqoursの2年生と1年生の6人に伝えたいことがありますの♪」

「みんな聞いてくれるよねっ♪」

 

「私たちに?」

「伝えたいこと?」

「ずらっ?」

 

その言葉に1年生たちが首を傾げる。

いつの間にか在校生がAqoursのみんなを囲んでいた。

 

「…千歌ちゃんっ」

「…うんっ、これが…ほんとに最後のライブ!」

 

「─────そうですっ!

輝きたくて……始まりたくて

仲間に出逢いながら 走ってきた道」

 

いつの間にか録音した音楽が体育館で流れる。

それだけじゃない、校舎の方でも流れているのが聞こえている。

 

「─────0から1ってなんて大変なんだろう」

「だけど それが───────」

「「繋がりになったよ…♪」」

 

 

体育館で、Aqoursとしての最後のライブをするみんな。

その姿を見て…本当にみんなライブが好きなんだなとしみじみと感じた。

 

「悠くんっ!」

なんて考え事をしていたら千歌に手を引かれた。

 

「行こっ!♪」

「…えっと、どこに?」

「いいからっ!♪」

 

手を引かれて連れてこられたのは…校庭。

 

「一緒に歌お、悠くん!♪」

「ほらっ、悠くんも一緒に!」

 

「リーダーっ♪」

「一緒に歌って踊らないと意味ないずらっ♪」

 

みんなに誘われ、一緒にライブに参加した。

そう、今までの俺たち…Aqoursの筋書きを表した曲…

''僕らの走って来た道は…''と共に。

 

その歌声は青い空の元どこまでも響いていった。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

色々あった卒業式も終わり部屋へと戻った。

「…2週間後には3年生かぁ…」

 

鞠莉とダイヤ曰く、あのラブライブの後の反響もあったのか新入生も増えたようだ。

…しかし、何故か男子生徒は1人たりとも入らないらしい。

これも理事長の特権なのだろうか…?

 

「……さて…………………」

もちろんAqoursとの約束を忘れた訳では無い。

本当に好きな人と1人と付き合う。

 

それは恨みっこなしの真剣勝負。

きっと、みんなも俺の答えを待ち遠しくしているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…俺が本当に好きな人は────────




次から分岐です!

※その前に梨子の誕生日パートを作りますので
分岐ルートはその後から突入します。

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桜内梨子誕生日特別編!

梨子ちゃん誕生日おめでとう!
一体誰が梨子ちゃんをサキュバス化させたのだろうかぁ…←

ちなみに今は梨子ちゃんの寝そべりをポムポムしています。
※本編時系列は無関係です。


「梨子~」

「んっ、どうしたのかな悠くん?」

 

音楽室でピアノを弾く梨子の頬を後ろからぷにぷにと触る。

 

「ゆ、悠くん…?///」

「今度のさー、土曜って空いてるかー?」

「え、えっと……空いてはいるけど…というか、なんでほっぺを…?///」

 

「じゃぁ、出かけよっか!」

「い、いいけど…どこに?///」

「それは当日のお楽しみ!話はそんだけ!」

 

梨子の答えも聞いて音楽室を後にする。

 

「…な、なんだったのかしら…///」

梨子は呆然としながら触れられた頬を撫でるだけだった。

 

────────────────────

 

「あっぶね……自然に話しかけたつもりだけど…怪しまれてないかな…?」

次の週末…9月19日(土)は梨子の誕生日である。

曜から教えてもらったが…その際…。

 

【梨子ちゃんも悠くんからお祝いして欲しいって呟いていたよ?】

と教えてもらったのだ。

(とりあえず…OK貰えたし…準備色々とするか!)

本人にバレないように着々と準備を進めるのであった。

 

 

────────────────────

 

「とは言ったが~…プレゼントどうしよ?」

曜の時はネックレスにして喜ばれたけど…。

 

「梨子のイメージ…梨子……」

「悠くん?」

「わあああああ!?!?!?」

 

隣の家から俺の名前を呼ぶ声がした。

「なんか私の名前を呼んでる気がしたけど…気のせい?」

「あ、あー!リコー通りの門の大きさはどんくらいかなーって!」

「えっ、急にどうしたの…?」

「いや、ほら…昔から気になってたから?」

「昔って…悠くん内浦に来てまだ半年くらいしか経ってないような…」

「あ、あははーそうだっけー?」

 

……なんとか誤魔化しきれた…かな?

話を続けつつ、梨子に似合うプレゼントを模索する。

 

「ゆ、悠くん…そんなに顔をジロジロ見られると…照れちゃうんだけど…///」

「あっ、ご、ごめん…」

「何か考え事…?」

「んーん、梨子って可愛いなぁって」

「そ、それほどでもっ…!!///

……あ、あるかなぁ……?///」

「あらら、本音出てる出てる」

 

「…!

そうだ!」

「ひゃっ!///…も、もぉ…急にどうしたの?///」

「なんでもないっ!もう寝るね!おやすみーっ!」

閃いた顔をしたまま俺はそのまま勢いで眠りについた。

 

「お、おやすみなさい…?」

梨子はぽかんとした顔を浮かべていた。

 

 

────────────────────

 

次の日の金曜日…。

俺は部活を早上がりさせてもらった。

というのも商店街に用があったからだ。

 

「えーっと……あっ、ここか…」

行き着いた場所は…楽器屋さん。

 

「…んーーーー…あっ、あった…んー、やっぱりそうかぁ…」

値段を見ながら自問自答。

 

「さすがに高いなぁ…梨子に送ったら凄い申し訳ない顔されそう…」

プレゼントに妥協はしないが…さすがに楽器、どれも値は張る。

 

「…あっ、これ…20000円…でもどうなんだろ…音と値段って比例するからなぁ…」

結局、数分ほど悩んだがその楽器を買うことに。

自室に置いて明日の朝持って出かけることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「…あっ、どうやって隠そう…」

自室に戻った俺は今更ながら隠し場所に困った。

そのまま明日もって梨子と出かけたらさすがに怪しまれる。

 

「えーーーっと……あった!」

物置からスポーツバックを取り出す。

中に入れるとちょうどサイズ的に入り切った。

 

 

 

 

「よしっ…じゃあ明日の朝は少し早起きして…っと」

隣の部屋に目を向けると梨子はまだ起きていたが俺は一足先に寝ることにした。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

pppppppppp………

 

 

「んん…もう朝かぁ…」

7時にセットしたアラームを確認し、部屋を出る。

 

「んーーーっ…久々に作るけど大丈夫かなぁ…」

昔はよく作っていたが…作り方も曖昧で正直心もとない。

が、やると決めたからには途中で投げ出したりなんかしない。

 

ちなみにら事前に志満さんには朝使わせてもらうと許可をもらって置いてある。

 

「…よし、じゃあ作りますか!」

パン、卵、マヨネーズ、ソーセージ等とりあえず買っておいた食材を取り出す。

 

まだ誰もいないキッチンにカチャカチャと料理する音だけ響く。

「ふぁ~ぁ…志満姉…おはょ……って、悠くん!?」

「ん、千歌おはよ…って、寝癖凄いぞ?」

「わ、わわっ!///

直してくるー!」

 

恥ずかしそうに髪の毛を抑えながら千歌が洗面所に向かった。

 

「…あとは盛り付けて…っと…」

「うう…お恥ずかしいところを…///」

「お、いつもの千歌だなっ」

「ところで悠くんは早起きしてどうしたの?」

「弁当作り…ほれ、味見っ」

 

「はーーーむっ…♪

んー、美味しい~♪」

味は好評らしい。

 

「じゃあ、私しいたけの散歩に行ってくるね~♪」

「えのき茸とまいたけも忘れるなよ~」

「もー!悠くんがそんなこと言うから2匹とも唸ってるよー!」

 

騒がしく千歌は十千万をあとにした。

 

 

「…そんじゃ、シャワー浴びてきますか…」

出かける前に体を綺麗にして…と。

別に怪しいことは何もしないけど………多分。

 

 

────────────────────

 

 

そして約束の時間。

十千万を出ると既に梨子が居た。

 

「悠くん、おはよっ♪

…って、どうしたのそんな大荷物で…」

「ん、まぁ少しな…じゃあ行こうか?」

「え、っと……どこに…かな?」

あぁ、そう言えば場所言ってなかったっけ…

 

「たまにはピクニックでもしようぜ、のんびりとさ」

「あ、いいね♪

…その為の荷物?」

「そんな所、ほらバス来たよ」

「あ、待ってよー!」

 

そのバスの中でも中を傷つけないように…そしてバレないように気を使っていた。

 

 

────────────────────

 

 

「んー!いい天気だね~♪」

小高い草原に着いた梨子が背伸びをする。

 

「ほら、シート広げたから座ろ?」

「うんっ♪」

「それと…これ、お昼ご飯」

「えっ、悠くんの手作り…!?///」

「口に合うか分からないけど…」

「そ、そんなことないよ!いただきます!///」

 

勢いよくフタを開ける梨子。

「あっ…サンドイッチ…っ!///」

「いつも食べていたの知ってたからな

…ちなみに具はもちろん…」

「美味しい~…!♪」

説明の途中だったが既に梨子が口に運んでいた。

 

「あはは…それは良かったよ」

「…思えば、悠くんの手料理初めて食べたかも♪」

「喜んでもらえて良かったよ…早起きして作った甲斐があった」

「わ、わざわざそんな……でも、なんで?」

「ん、特に理由はないさ

…ただこうして、のんびりするのもいいかなってさ」

「うんっ、そうだね♪」

……………なんて言うのは建前である。

本当はプレゼントを渡すための……。

 

 

────────────────────

 

お昼を食べ終わった俺と梨子。

シートの上で女の子座りをしてる梨子に膝枕をしてもらっている。

 

「……平和だな」

「ふふっ、そうだね♪」

 

「……なんか…眠くなってきたな…」

「そうだね…心地、良くなって陽気だから…ね…」

「膝枕したまま寝るのは…辛いだろ?

横になれよ……腕で枕してやるから…」

「じゃあ…お言葉に甘えようかな…///」

 

横になった俺と梨子は静かに寝息を立て眠りについた。

 

 

────────────────────

 

 

「───────っ!!!」

目が覚めると既に日が暮れていた。

「どわあああああ!梨子起きろぉ!」

「んん~…なーにーぃ…?///」

「寝過ごした!」

「えっ…?

…あっ、私ったらつい…!!///」

 

焦ってキョロキョロする梨子を見て俺は思わず吹いてしまった。

「ぷっ……はははっ…!」

「も、もー!笑わないでよー///」

「ごめんごめん…じゃあ、そろそろ…あっ…」

「…?

帰る、んだよね…?」

 

「空、見てみろよ」

「えっ…?」

梨子が上を見上げると…暗くなった空に星が輝いていた。

「わぁ……!」

「今日はよく晴れてたからな…星もよく見える」

「綺麗……///」

 

「…あの、さ…」

「…どうしたの?」

「…そのまま、上を見上げてて…10秒でいいから」

 

「???…こう…?」

ガサゴソとスポーツバックの中に入れた楽器ケースを取り出す。

 

「悠くん、一体どうし………」

「…………これ」

 

「…えっ…ゆ、悠くん…これって…!」

「…その…誕生日…おめでとう」

「し、知っててくれたの!?」

「その…なんだ、もっとカッコよく…プランとか考えたかったんだけど…ごめん、なんか不器用で…」

「ううん…っ、すっごく嬉しい…っ!」

受け取ったケースを大事そうに抱きしめる梨子。

 

「ねぇ…開けても…いいかな?」

「…お、おうっ」

 

中を開けると…そこに入ってたのは…。

「あっ……ビオラ…!」

「…ごめん、プレゼント何がいいかなって…色々考えてたんだけど…」

「これ…まさか、昨日早上がりしたのって…!」

「うん、そう…必死にプレゼント探しをしてて…」

「嬉しい…っ…ずっと大事にするからね…っ!///」

 

目にうっすら涙をうかべながらにこやかに笑う梨子。

それはどんな星よりも輝いていて…俺の目を釘付けにさせた。




梨子ちゃんはかわいい。
梨子ちゃんはAqoursのヒーリング。
梨子ちゃんは地味じゃない可愛い。
誕生日おめでとう!!


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黒澤ルビィ誕生日特別編!

相変わらず時系列無視です!
ルビィちゃんハピバ!


「あ、あのっ悠さん!

今度のお休みの日…ルビィとお出かけしてくれませんか!?」

 

────と、言うの聞いたのが2日前のこと。

ルビィ自らがお誘いをするなんて珍しい。

しかもダイヤからも………。

 

【あの子とのお出かけ…ぜひ楽しい思い出にさせてあげてください♪

あぁ、それと…なるべく遅くならないうちに帰るようにお願い致しますわね♪】

 

と、釘を刺された。

 

「…それで、ルビィはどこに行きたいんだろうなぁ…」

「あ、あのぉ~…悠さん…?」

「うわあああっ!?」

「ぴぎぃっ!?」

考え事をしていたらルビィが来ていたことに気がつかなかった。

 

「ご、ごめん!驚かすつもりはなかったんだ!」

「あ、だ、大丈夫ですっ…それで…何を考えてたんですか…?」

「あ、いや…ルビィが行きたい場所はどこなのかなーって…」

 

「…その…東京、です」

「えっ、東京?」

「その…ずっと前から応援してるスクールアイドルの限定ライブがあって…それで悠さんと一緒なら…行きたいな、って…」

「…あーっ、なるほどね…でもダイヤでも良かったのでは…」

「お姉ちゃんにそう言ったんだけど…そしたらね、私ではなく悠さんをお誘いなさいっ!って言われちゃって…」

なるほど、あの時の釘刺されはそういう事だったのか。

 

「俺でよければお供するよ、ルビィ」

「よ、良かった~…ルビィ1人で沼津から先出ること初めてだから…その…緊張しちゃって…」

確かにルビィのような子供っぽい子が一人でいたら危険だよなぁ…これは責任重大だ…。

 

「俺がついてるから…安心してね?」

「うんっ!♪

お兄ちゃんにいっぱい甘えちゃうっ///」

「お、おにぃ…っ?!」

「2人きりだし…そうやって呼んじゃ…ダメ、かな…?」

「…い、いいよ…ルビィがそれで喜ぶなら…」

「……うんっ!♪」

こうして腕に抱きついたままのルビィとともに東京へ向かうのであった。

その道中でも電車の中でも腕に抱きついたまま

【楽しみだねお兄ちゃん♪】とか

【着いたら何食べよっか、お兄ちゃん?】とか言われて正直背中の当たりがこそばゆい感じになった。

……まぁ、悪い気はもちろんしない。

むしろ本当に妹が出来たような感じだった。

 

 

────────────────────

 

「んー!東京にとうちゃーくっ」

「わ、わわわあああっ…!

と、東京だあ~……」

 

戸惑いながら当たりをキョロキョロするルビィ。

「迷子になると大変だから手を握ってなよ?」

「うんっ、お兄ちゃんの手…離さないよっ♡」

満面の笑みに俺のハートは深くダメージを負った…もちろん、いい意味で。

 

 

「東京に来たんだし…何か買っていけば?」

雑貨屋さんを見ながらルビィに質問してみる。

 

「え、ええっ…いいの…?」

「それくらい出させろって…なんでもいいよ?」

「じゃあ……悠さん……///」

「…………?」

「ぴぎっ!……な、なんでもないよって…!///

…あっ、これ可愛い~…♪」

 

何かボソッといたのだろうが…聞き取れなかった。

ルビィが手にしたのは…うさぎの耳の形をしたカチューシャ。

「あー…○ィックトック?で人気になってたやつかぁ」

紐を引っ張ると耳がぴょんと立つ代物。

ルビィには珍しく感じたのか。

 

「えへへっ、どう?お兄ちゃん似合ってる?♪」

「似合いすぎて逆に困ってる」

「えへへっ…これいいなぁ♪」

 

嬉しそうに耳をぴょんぴょん立たせて遊ぶルビィ。

「……」

「わ、わぁっ…!

…お兄ちゃん…どうしたの…?///」

いきなり抱きしめたことに驚きを隠せないルビィ。

 

「ごめん…つい可愛くって…」

「うゅ……///

そ、そろそろライブに行こっか!///」

恥ずかしくて昇天しそうなところだったがわざとらしく話題を変える。

 

「そ、そうだなー!」

ルビィが抱きつく力を少し強めたのは…

恥ずかしさか…それとも愛おしいからなのか。

それはルビィにしか分からない。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

「楽しかったぁ~♪」

ライブ会場を後にするルビィが満足そうに呟いた。

 

「アーライズ…だっけ?凄かったね」

「違うよお兄ちゃん!

A-RISEだよ!」

「お、おう…ごめんごめん」

相変わらずスクールアイドルの事となると熱量がすごい。

 

「それでね、それでねっ♪

このスクールアイドルは────」

 

帰りの電車の中でもスクールアイドルの話は尽きなかった。

俺はその話すことを一つ一つ丁寧に聞いていた。

 

「…なぁ、ルビィ?」

「うゅ…?」

「俺と出かけたかったのって…理由があったの?」

「…えっとね…ルビィ、今日お誕生日なんだ…///」

「えっ!?

なんで先に言ってくれないの!…プレゼントとかあげたのに!」

「ううん!いいの!」

「…え?」

ルビィの言葉に思わず首を傾げる。

 

「…きっと…お兄ちゃんなら…そんなふうに言ってくれるって分かってたよ♪

でも…ルビィにとっては…お兄ちゃんと2人きりで出かけるのが…最高のプレゼント…だから///」

「……ルビィ」

「だ、だからね!一生懸命お誘いしたの…っ!」

「…ありがとな、ルビィ

その…もう1日が終わろうとしてるけど…遅くなってごめんな…お誕生日おめでとう」

「…うんっ!///」

 

この子なりの…幸せの見つけ方…。

今はその余韻に俺も浸っていようと感じた。

ルビィも成長していくが…俺も、何かが変わっている…ような気がした。

 

 

────────────────────

 

 

次の日の朝…。

 

「あっ、おはよう!お兄ちゃん!♪」

「なぁ…っ!??!

な、なな…なーーーんですってぇ!?」

「ずらっ…!?」

「くっくっく…修羅場の予感…」

 

「ぴ、ぴぎぃっ!!///」

(あの呼び方抜けなかったようだな…)

 

また今日も彼の周りは騒がしかった。




シャドバコラボ始まったぞおおお!
スクスタも26日にリリースだああああ!


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鹿角理亞誕生日特別編!

という事で理亞ちゃんの誕生日特別ストーリーです!

小説作りは…遊びじゃない!!
時系列はAqoursがSaint Snowに会いに行った辺りです。
(日付がバラバラになりそうですがご了承ください)


「聖良~…あれ?」

 

朝起きると聖良の姿が居なかった。

居るのは理亞ちゃんだけだった。

 

「…姉さまに、何か用?」

「ん……いや…(一緒に出掛けようとか思ってたんだけど…)」

 

また理亞ちゃんに何か言われると思うな……そうだ!!

 

「理亞ちゃん!一緒に出かけよう!」

「…………………は?」

 

こめかみの辺りをピクピクと動かす理亞ちゃん。

…しまった、失言だったか…。

 

「………別に、嫌じゃない…」

「えっ、ほんと…!!??」

「嘘なんか言わないし……ほら、行くならとっとと支度するわよ」

「お、おうっ、まってて!!」

 

バタバタと用意をし始める俺を見て、やれやれとため息をつく理亞ちゃんだった。

 

 

────────────────────

 

身支度を済まして…茶房を出ると…

聖良からメッセージが入っていた。

 

【突然、出掛けてすいません

実は…理亞の誕生日がつい10日ほど前だったのです

…そこで、理亞と悠さんで是非お出かけを…と思いまして

説明不足ですいませんでした、楽しんできてくださいね】

 

 

(…なるほど、そういう事だったのね)

「…どうしたの、ニヤついて」

「わ、笑ってないし!…コ、コホン…何か欲しい物とかあるか?…食べたいものとか」

 

「…えっ…なに?…怖いんだけど…」

「いやいや…こういう時は男がお金出すものだし…」

 

って言うのは建前で…誕生日を祝いたいって言うのが本音なんだけど…。

 

「…ん…じゃあそこまで言うなら…」

「おっ、なんだい?」

「着いてきて」

 

そう言うと足早に向かい始めた理亞ちゃん。

…あ、あれ?…今少し笑ってたような…気のせい?

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「……ここ」

「これは………」

 

見るからに…キッチンで使うような品々が置いてある。

「…製菓用品店」

「…えっ?」

「お菓子を作る道具が置いてるとこ」

 

「へぇー!理亞ちゃんってお菓子作り得意とか?」

「…ん、まあよくやる」

「今度食べてみたいなぁ」

「…………………は?」

「いや、なんでもないっす…」

「……覚えてたら、ね」

 

どこかご機嫌で道具を品定めする理亞ちゃん。

…良かった、喜んでるみたいだ。

 

 

────────────────────

 

 

「ホントに…買ってくれたけど…いいの?」

「いいのいいの!(い、意外と掛かったけど…)」

 

「…ん、今日は…楽しかった…」

「それは良かった。

…その道具は…俺からの誕生日プレゼントってことで…いいかな?」

 

「えっ……!?

…あっ……………」

 

じっと、袋を見る理亞ちゃん。

ここでようやく意味に気がついたようだ。

 

「………ありがと…///」

「いーえっ!」

「……アンタ…意外と…良いとこ…ある、ね……///」

 

 

 

「んー?……なんか言ったか?」

「な、なんもない!!!」

 

そう言うとツカツカと先に帰ってしまう理亞ちゃん。

…うーん…何を考えているのか分からない…。

 

…でも、笑顔が増えたから……良しとしよう!

そう思い、急いで後を追いかける俺だった。

 

 

 

 

 

後日…Saint Aqours Snowのライブが終わった打ち上げの時に…理亞ちゃんからのお手製お菓子を頂いたのは…別の話。




スクスタでSaint Snowとか出ないかなぁ…。
理亞ちゃんハピバー!!

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黒澤ダイヤ誕生日特別編!

あけましておめでとうございます!!
今年もよろしくお願いします!

ダイヤの誕生日編です!(時系列的には付き合ってるという体で行きます)


「おはよう、ダイヤ!」

 

「悠さん…今何時だと…」

朝一番でダイヤの家に来た俺。

ちなみに今は朝の6時。

 

「出かけよ!」

「出かけるって…どこにですか?

…しかも新年早々…」

「いいから、いいから!ほら、支度して!」

「わ、分かりましたから押さないでくださいまし…!///」

 

押されるがまま、ダイヤは身支度を開始した。

「あれ…ぇ…悠さん…っ?」

「おはよう、ルビィ」

 

眠い目を擦りながらルビィも起きてきた。

「お姉ちゃんと…どこかお出かけ?」

「うん、ちょっとの間、ダイヤ貸してもらうよ」

「うんっ、楽しんできてね♪」

「る、ルビィまで…!

…もう、分かりましたわ、少しお待ち下さい…?」

 

そう言うとダイヤは奥へと消えていった。

「ふふっ、ああは言ってるけど…お姉ちゃんも嬉しいと思うよ♪」

「…さすがに…早く来すぎたかな?」

「大丈夫♪…ほら、悠さんも中入って待ってなよ!♪」

「え、中入って…?…う、うん…分かった」

 

ルビィに誘われ…中で待たせてもらうこと…1時間。

「…な、長くないか…ダイヤ…?」

「ふふっ、そうかもね♪」

「…ルビィ…何か知ってる…?」

 

「あっ、お姉ちゃん来たよ!♪」

そう言うと、ダイヤが居間に入ってきた。

──────────その姿は…。

 

「あっ…………ダイ……ヤ…」

「…………そんなに……見ないでください…///」

「ふふっ、悠さん言ったでしょ?…早く来すぎたことは無いよ♪」

 

「…その、な、なんで…そんな…格好…な、の?」

俺の目に入ってきたのは……着物姿の、ダイヤ…だった。

 

「…に、似合ってます……か?///」

「…めちゃくちゃ綺麗」

 

「ふふっ、お姉ちゃんも悠さんも照れてる♪」

「る、ルビィ!からかうのはおやめなさい!///」

「はーいっ♪ルビィは善子ちゃんと花丸ちゃんと初詣に行ってきまーす♪」

 

そう言うとルビィは家を出た。

「…ま、まったく…///

それで…ゆ、悠さんは…どこに行こうと…?」

「………それが…………………」

 

 

──────────────────

 

 

着物姿のダイヤを連れて…やってきたのは…。

「と、東京に行くなら行くと言ってください……!!」

 

「い、言っても素直に来ないと思って~…!!」

バス乗って沼津駅から東京駅に向かう時…何度ダイヤから睨まれた事か…。

 

「うぅ、周りの目が…恥ずかしいですわ…///」

「…俺は、ちょっと嬉しいかったけどな」

「なっ……ど、どういうことですのっ!?」

 

「ど、どうどう……いや、こんなに綺麗な子が俺の彼女だって見せびらかしたというか…」

「あっ……///」

「だから…ずっと手を握ってたの…睨まれてたけど…」

「…そ、そういうこともちゃんと言ってください…っ!!//////」

 

と言ってぷいっと拗ねるダイヤ。

…しかし、顔は嬉しそうに赤めていた。

 

 

──────────────────

 

 

やってきたのは神田明神。

さすがに午後過ぎだからか人もピーク時よりも空いていた。

 

「こ、ここが…神田明神…っ」

「あはは、そう言えばμ'sの皆さんも来てたんだのね」

千歌と曜とルビィと一緒に来た時にはその事知らなかったけどね。

 

「…さ、早速祈願を致しましょう!」

「おし、じゃあしようか?」

 

早速、賽銭箱の前でダイヤと横並びでお祈りをする。

 

(…ダイヤと、ずっとずっと一緒に…居れますように)

(…悠さんのお傍に…どうか、居させてください)

 

しばしの沈黙の後、2人で顔を見合わす。

「悠さんはどんなお願いをされたのですか?」

「ん?…んー、大きなイチモツを下さいって」

「……え?」

 

「あはは、うそうそ…言ったら叶わないし…それに」

「…そ、それに…?」

「…多分、もう叶う…かも」

「…もう叶うかもとは…どういうことですの…?」

 

俺は神田明神を出る前に…ダイヤにあるものを渡した。

「…こ、これは………」

「…改めて言うけど…好きだ、ダイヤ」

 

ダイヤに渡したのは…小さな箱。

中には…2つの指輪。

 

「…こ、これって…!」

「…ダイヤが持ってて…くれる、か?」

「…そ、それはどういう…っ…///」

 

「……いつか、指に…入れるから…その時まで、持っててくれ、な?」

「悠さん…っ…」

 

 

 

周りを気にせず抱きつくダイヤ。

その時…少し俺の片口が…濡れていた事に気がついた。




ダイヤお誕生日おめでとう!!


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小原鞠莉誕生日特別編!

すっかり忘れてたけど更新します!!

…ああああ!!果南ちゃんと曜ちゃんが怒ってる!!
ごめんねぇぇええええ~!!!

悠くんがまだ元気な時のお話です、悪しからず!
※鞠莉の分岐ルートの続きだと思ってください


「なぁ、鞠莉?」

鞠莉「何かしら、悠~?」

 

「誕生日だけどさ…なんか欲しいものある?」

もうすぐ鞠莉の誕生日…なんだけど…。

(何贈ったらいいか全く分からねぇ…)

 

高価なものだったら何でも…って訳でもないし…。

かと言って、贈られて困るものだったら嫌だし…。

 

鞠莉「ん~…何もいらないわね」

「…え、ほんとに?」

 

意外だった。

鞠莉なら【悠の子供と家!】とか言ってきそうだと思った。

 

「いや、でもそれだと誕生日の意味が…」

鞠莉「ノンノン、分かってないわね~悠~♪」

「え?」

鞠莉「物を貰う、あげるが誕生日って訳じゃないわよ?

一緒に居れるだけで幸せってあるものよ?♪」

「…深いなぁ…」

 

こういう所は大人の女性って感じだよなぁ。

 

鞠莉「そ・れ・に~♪」

「んあ?」

鞠莉「悠からは沢山貰ってるし~♪」

 

いたずらっぽい笑顔を浮かべながらお腹をポンポン叩く鞠莉。

 

「だああああ、そういう事を簡単に言うな~!

というか、果南やダイヤも見てないで助けろ~!」

 

ダイヤ「いえ、これは…」

果南「もう夫婦漫才だよね…」

 

鞠莉「さっすが2人とも分かってるわね~♪」

得意げに笑いながらハグをする鞠莉。

2人も止める気が無いようだ。

 

鞠莉「…あ、そうだっ♪

悠?決まったわ誕生日プレゼント♪」

「…この展開で嫌な予感しかしないんだけど…」

 

 

 

────────────────

 

 

 

鞠莉「悠、紅茶♪」

「…はい、鞠莉お嬢様…………って、なんで執事なんか!」

鞠莉「あら、口答え?」

「…い、いえ、滅相も…」

 

こめかみの辺りがピクピクしてるが気にせず鞠莉の相手をする。

鞠莉が言ってきたプレゼントはこうだった。

【1日執事としてエスコートする事♪】真意は分からない。

 

ダイヤ「似合ってますわよ、悠さん♪」

果南「もう鞠莉の執事として一生養ってもらえば?」

「それはっ……!!………あり、かも…?」

鞠莉「あら、マリーはいつでもウェルカムよ?」

 

「…って!それじゃ男の威厳が!」

鞠莉「まぁ、悠ならそう言うわよね~」

果南「冗談を真に受ける辺りが悠らしいけどね」

 

「…みんなして茶化すなや…」

鞠莉「悠?マッサージお願い♪」

「はいはい、お嬢様…」

 

鞠莉とダイヤがニコニコしながらこちらを見てくるのを気にしつつ俺は鞠莉の肩をマッサージしていた。

 

「…というか、誕生日は明後日だよな?…やるのなら明後日の方が良かったんじゃ…」

鞠莉「悠ってば、な~んにも分かってないのね~…」

 

ため息をする鞠莉…どうやらこの要求はただ鞠莉がして欲しいからという訳では無いようだ。

 

鞠莉「まぁ、ずっとマリーに仕えるのは冗談として…

悠はマリーの伴侶になる人よ?これは決定事項、決して逃がしたりしないわ~♪

…なんてね、本当は…カッコイイ悠が見たかったのよ

将来、スーツが似合う…悠をね」

「…鞠莉…」

 

鞠莉「…素敵よ、悠…とっても…///」

「…まだ2日早いけど…誕生日おめでとう、鞠莉

心配すんな、逃げたりなんかするつもりは無いよ

…むしろ、これからもずっと一緒だ」

鞠莉「合格よ、悠…///

それでこそマリーに相応しい男性よ…♪」

 

 

果南「あの~………」

ダイヤ「私たちがいるのをお忘れで…?」

 

「「……あ」」

果南「よくそんな言葉言えるよね…聞いてる方が恥ずかしくなるよ~…///」

ダイヤ「私たちは席を外しましょうか…///」

 

 

「……あ、あはは…」

鞠莉「ねぇ、悠?」

「……どうしたの?鞠───」

 

振り返ると鞠莉が口付けをしてきた。

鞠莉「…大好きよ///」

「…あぁ、俺もだ」

 

 

 

果南とダイヤが気を遣ってくれた2人きりの時間。

お互いを気持ちを確かめ合うように何度も口付けをする俺と鞠莉だった。




鞠莉誕生日おめでとう!!

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他の作品も是非見てくださいね!


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津島善子誕生日特別編!

ヨハネ様の誕生日だああああ!!!


悠くんはいつも通りなので悪しからず。


善子「遅い!」

「…いや、朝一で連絡来てても…寝てたし…」

 

みんなが大好きな土曜日。

休みだから好きなことが出来る!…って、思ってたけど…。

 

【今すぐ駅前に集合!】

と言うメッセージが入っていた。

眠い目を擦りながらバスに乗り…沼津駅前に着いた。

プンプン怒りながら善子が待っていた。

 

「…それで、わざわざ呼び出して何用なんだ?」

善子「……着いてきなさい!!」

 

「えっ、ま、ちょっ…!!」

手を引かれて…俺は善子と一緒に駅の近くの商業施設に入っていった。

 

 

 

──────────────

 

 

「…連れてきたのって…ここ?」

それは何の変哲もない…ゲームソフト売り場。

 

善子「あっ……あった!!」

ワナワナと善子がソフトを手に取り震えている。

 

「…えっと…それは?」

善子「バイ〇ハザード!」

「…怖いの平気なの?」

 

善子「…………そっ、それはぁ~……そのぉ~…」

しどろもどろになる善子。

「……まさか、善子…」

善子「う、うっさい!!!いいから!来るの!!」

「…来る?」

 

 

 

会計を済ませた善子はそのまま自分の家に向かった。

…これは…まさか…?

 

「…なぁ、善子…まさか…」

善子「な、なによっ!」

「…一緒にプレイしたいとか…だった?」

 

その言葉にビクッと体を跳ねる。

善子「なっ、なななな、にゃにをっ…根拠に…っ!!」

「…あはは、、やっぱり……怖いんだ?」

善子「よ、ヨハネに欠点など…っ……!!!」

 

「あはは、お菓子や飲み物も買っておく?」

善子「…ぅ……き、気が利くわね…リトルデーモン…」

 

結局受け流されるまま一緒にコンビニに行く善子だった。

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

善子「うっ、うわっ…ぁ…た、弾っ…も無い…!

回復回復~!!」

「……善子…………」

 

プレイ内容は…明らかにお粗末なものだった。

何を思ったのか、突然ピストル縛りをし始めた。

回復も球補充も回数制限で…と言う。

 

善子「くっ……ヨハネに傷を…っ…!!」

「…やれやれ」

後ろからすかさずフォローをする。

そして、回復アイテムを使用して善子を回復させる。

 

善子「なっ…よ、ヨハネに施しなど…っ!」

「普通に頼れよ、2人プレイなんだから」

善子「…あ、ありがと……///」

 

もっと素直ならスムーズにクリア出来るんだけどなぁ…。

善子「…その……今日、私…誕生日なの」

プレイ中に呟いた善子。

それを聞いた俺は動揺してた自爆してしまった。

 

 

「はぁっ!!!??

それならそうと言えよ!プレゼントとかっ…!」

善子「いいの!!」

「……………善子…?」

 

俺は大きな声に吃驚した顔をする。

善子「…リトルデーモンが………悠がそう言うのくらい…お見通しよ…

だから…あえて言わなかったの…」

「…どういうこと?」

善子「その……だから…こそ…今日は…悠を独り占めしたかった…のよ…///」

 

「…善子…」

善子「…その…一緒にプレイして…楽しめて……クリア出来たら…抱きついたりしてって………何を言わせるのよー!!//////」

顔を赤くしてブンブンと腕を振る善子。

慌ててそれを止めさせる俺。

 

「善子!敵、敵!!」

善子「えっ……あああああ!」

気を取られてる間に…2人ともやられた。

 

善子「うぅ…ここまで来たのに…」

「こりゃクリアするまで帰れまテンってやつかな?」

 

頭を撫でながら俺は笑った。

善子「明日もお休みなんだから、ぜひそうしなさいっ♪

…でも…今は…///」

 

目を閉じてこちらに体を預ける善子。

「……………?」

善子「もう少し…頭を撫でてちょうだい…///」

「…ん、分かった…」

 

 

 

頭を撫でる度…善子が気持ちよさそうな声を出し…。

こちらに抱きついてくる。

 

そして…目を見会う度に…俺と善子はキスをした。

 

善子「…何だか…忘れられない誕生日になりそうよ…///」

「…そっか、それは良かったよ」

 

結局、ゲームを再開するのは…数時間後の事となった。




お台場のゲーマーズに行ってきましたー !

せつ菜ちゃんの赤いTシャツを買いました!
普段から着ようと思いますが…なかなか躊躇いますね…w


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高海千歌誕生日特別編!

うおおお!!千歌ちゃん!誕生日おめでとぉ!
今日はいっぱい悠くんとイチャイチャしてねぇ!


千歌「あつい~…」

 

7月の終わり、千歌は部屋でごろごろと項垂れていた。

 

「暑いって言っても涼しくはならないよ~」

千歌「だって~…」

 

汗をかいたのかパタパタと胸元を仰ぐ千歌。

…見ないふり見ないふり…。

 

「…どこか出かけるか?…部屋の中にいても気が滅入るだろ」

千歌「私は、悠くんとだったらどこでもいいよっ!♪」

「嬉しいねぇ…とはいえ、どこでもかぁ…」

 

…うーん、果南のとこに行くかぁ?

水族館も行ったし…どこか…。

 

「あ、そうだ!」

千歌「ほえ?」

 

呆気に取られる千歌を横目に俺は支度を始めた。

千歌「ああっ、ちょ、どこを開けてるの~っ!!///」

「いいからいいから!」

 

手にしたのは…千歌の水着。

…え?どうして場所が分かったかって?

そりゃあ…長い付き合いだし…なぁ?

 

「プール行こ!」

千歌「えぇっ…プール~…?」

「海とは違った面白さがあるよっ」

千歌「そっか!じゃあ曜ちゃんや梨子ちゃんも誘って─────」

「ああ、待った待った!…俺は千歌と2人で行きたいんだけど…」

 

千歌「…えっ……あっ、う、うんっ…///」

少し恥ずかしそうに頷く千歌だった。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

千歌「おぉーい!悠く~ん!次もあれ乗ろ~!」

「…ちょ、ちょっとまって~…」

 

先程の照れくささはどこへやら…。

ウォータースライダーを見るや否やテンションやや高めで千歌が手を引っ張る。

 

(これであのウォータースライダー…4回目なんだけど…)

しかし、嬉しそうに腕に抱きついてくる千歌を見てると悪くは無いかなと感じてきた。

 

 

「…千歌、腕が柔らかさに負ける」

千歌「…へ?……あっ、も、もー!変態~っ!///」

「うわあああ!」

 

突き飛ばされた勢いでプールに落ちる俺。

それを見て恥ずかしそうな顔から笑った表情になった千歌。

千歌「あっはは!やーいやーい!」

「やったなぁ~…!」

 

お返しとばかりに水をかける

不意打ちだったのか慌てて顔を守る千歌。

「おりゃおりゃ~!可愛い水着着やがってこの~!」

千歌「ゆ、悠くんが好きそうな水着だと思ったんだもん!!///」

 

そう言うと1度距離を取りどこからか持ってきたのか水鉄砲を持ってきた千歌。

千歌「おりゃ~!!」

「あぷっ、ちょっ、千歌~っ!」

 

千歌「えへへ、楽しいね♪」

「……だな」

 

お互いどちらからともなく笑い合う。

その時の千歌の表情はスクールアイドル、高海千歌では無く

一人の女の子、高海千歌として俺の目には写っていた。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

千歌「…ありがとうね」

「ん?」

 

プールサイドに腰掛けて呟く千歌。

千歌「私の誕生日の事も考えてお出かけに誘ってくれたんだよね?」

 

「…バレてたか」

千歌「バレるよぉ…悠くんの事はお見通しだもん…///」

「…楽しんで、もらえたかな?」

千歌「もちろん!…えへへ、ホントは悠くんを独り占めできたことが1番嬉しい、かな…?///」

 

「…千歌…」

千歌「…ねぇ、この後…どう、する…?」

 

千歌の質問が何かの合図になっているような気がした。

「そうだな……お腹すいたし、ご飯にしようか!」

千歌「へっ?………あ、あぁー!…うんっ、そうだね…悠くんらしくて、いいと思う、な……とほほ…」

「なんか言ったか?」

 

千歌「なんでもないもーんっ!デザートもちゃんと食べるからね~っ!」

「はいはい、沢山食べなよ?」

 

…ホントは思ってる事と違う事を言っちゃったけど…多分、千歌にはお見通し、なのかな?

 

「……千歌には敵わないなぁ」

千歌「それは私のセリフだよ、悠くん」

「…え?」

 

千歌「悠くんが…私に…スクールアイドルでは分からなかった…ドキドキや…心がぎゅっと苦しくなって…それが人を好きになる事なんだって…悠くんの事を好きになったから…乗り越えられた事もあるし…スクールアイドル活動に役立った部分も、あるんだよ…?」

「…あはは、俺も千歌に好きだっていわれたのが人生で女の子からされた初の告白だったり」

 

千歌「…離れたく、ないな…///」

「離さないよ、絶対

…またこうやって…お祝いさせてよ」

千歌「…うんっ!///」

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

【十千万】

 

美渡「あれっ、志満姉~…バカチカは~?」

志満「あら、悠くんとお出かけしに行ったわよ~?

…帰りは遅くなるけど、心配しないでくださいって」

 

美渡「バカチカめ~…しいたけの散歩当番のことすっかり忘れてたな~…」

志満「まぁまぁ、好きな男の子にお誕生日お祝いしてもらえるのが余程嬉しかったんでしょう?♪」

 

美渡「えぇっ?……あ、そっか」

志満「ふふっ、千歌ったら出かける間際嬉しそうに手を振っちゃって…♪」

美渡「バカチカが恋ねぇ~…未だに受け入れられない」

 

志満「あら、近いうち悠くんが跡取りになるかもしれないわよ~?♪」

美渡「えぇ~、ないない!」

 

 

 

 

この後、正真正銘の恋人となり…悠が十千万の跡取りになるのは…また別なお話。




千歌のセリフで
「大切な事はみんなμ'sから教えてもらった」というセリフ(スクフェスで)ありますが。

僕にとっては「Aqoursから大切なことを教えてもらった」という事がラブライブを知ったきっかけかなぁと思います。
もちろん、μ'sや虹ヶ咲学園も例外ではありません。

千歌ちゃんに最大限のお祝いと敬意を表してお誕生日編を投稿したいと思います。
千歌ちゃんお誕生日おめでとう!!


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千歌ルート
千歌ルート① ~貴方との将来 貴方の想い~


分岐ルート千歌編です!


「………………………」

 

俺は千歌の部屋の前にいる。

ドアをノックするのを思わず躊躇う。

 

(こ、ここに来て怖気ついてる…)

いつも通りに話しかけようと深呼吸しリラックスをする。

普通に…普通に…。

 

コン……コンっ。

「はーい?」

「あ…千歌?俺だけど…」

「あ、悠くんっ♪

入っていいよ~っ」

 

逆に千歌の方はいつも通りの対応をしてくれた。

「…ごめんな、夜遅くに」

「ううん、大丈夫だよっ…それで…どうしたの?」

ベットに座ってる千歌の横に腰掛ける。

首を傾げながらこちらを見つめる千歌。

 

 

「…あの…さ…」

「………………???」

 

「…その…お、お腹空いちゃってさ~!」

「あははっ、悠くん変なの~っ♪」

ケラケラと笑いながら千歌はミカンを取り出した。

 

「はいっ、ミカン食べる?♪」

「……その……っ」

しかし、その手をこちらに引っ張り千歌を抱き締める。

 

「わわわっ!!///」

「その───俺は…''千歌…お前が欲しい''」

「……ふぇっ?///」

 

何事かわからない千歌は、顔を真っ赤にさせてこちらを見る。

「…この意味…分かる?」

「え、えっと……気分が舞い上がっちゃったとか…?///」

「…いや、そうじゃなくて…千歌の事が…欲しい」

「…悠…くん…っ…///」

思わず抱きしめる力が強くなる。

 

「────好きだ…千歌…俺と、付き合ってくれ」

「──────────っ!!!!///」

目を大きく見開いて言葉を失う千歌。

俺の言った事を理解するのに時間がかかっているようだ。

 

「悠……くん…っ…///」

ポロポロと千歌が涙を流した。

 

「これからは…ずっとそばにいてくれ

絶対に…千歌の事、離さないから」

「悠…くんっ…!!///」

嬉しさのあまり俺の胸元で泣き叫ぶ千歌。

それを優しく諭す。

 

「うんっ…!

私、も…悠くんの事…っ…大好き…っ!!///」

「…へへっ、やっと言えた…」

「その…悠…くん…なんで…千歌が…いいの…?///」

「やっぱり一番近くにいたのが…千歌だったからな

辛い時も嬉しい時も…悲しい時も、楽しい時も…いつだって千歌はそばにいてくれた。

それが何よりも嬉しくて…幸せだった。

だから…もっとそばにいたい…千歌と色んなことを…共有したいって」

 

「悠くん…///」

「答えを出すのに…時間がかかって…ごめんな」

「ううん…これから、2人で幸せな時間…

作っていこうね…♡///」

 

静かに瞳を閉じ…唇を重ねた俺と千歌。

これが…恋人として…初めてのキス。

 

「…不思議……なんだか、くすぐったい感じがするよ…///」

「奇遇だな…俺も」

「悠くん…///」

幸せそうな顔をしながら、千歌が擦り寄ってくる。

「…千歌…」

頭を撫でると千歌が満面の笑みを浮かべた。

……これからも、この笑顔を守っていこうと…俺はこの時固く心に誓った。

 

 

────────────────────

 

「…と、言うわけで…私、高海千歌は…悠くんとお付き合いすることになりました…///」

 

次の日の朝、千歌が志満さんと美渡さん…そして千歌のお母さんに報告をした。

 

「あらあら~、今日はお赤飯かしら~♪」

「なんだ、やっと付き合ったのか…じれったくて仕方なかったんだぞ~?」

「悠くんっ、不束者の千歌を…よろしくお願いしますね♪」

 

「…はい、必ず幸せにさせます」

「悠くん…♡///」

 

 

「これは部屋の換気の回数も増えるかしら~…♪」

「えっ、し、志満姉…?///」

「あら、やだ…しいたけが鳴いてる気がするわ~♪」

 

どうやら…筒抜けだったらしい。

俺と千歌は顔を見合わせおもらず苦笑いを浮かべた。

 

「…あ、そうだ…」

懐から携帯を取り出す。

連絡するのはただ1人…。

 

「……もしもし、母さん?」

【朝から連絡なんて珍しいわね…どうしたの?】

 

「…いや、大したことじゃないけど…千歌と付き合うことになったから…報告を…」

【あー、やっとーーー?…んー、じゃあ千歌ちゃんと代わって?】

「千歌、母さんが電話したいって」

携帯を差し出すと千歌が電話に出た。

 

「は、はいっ、高海千歌ですっ」

【ウチのバカ息子の事、よろしく頼むわね】

「こ、こちらこそ…私なんかで良ければ…よろしくお願いしますっ」

【あははっ、千歌ちゃん可愛いし大丈夫よ~♪

…それで、式はいつ挙げるのかしら?】

「な、なななっ!///

また気が早いですよっ!///」

 

顔を赤くしながら電話越しの母さんに向かって猛反論する千歌。

…多分ろくなこと言ってないんだろうなぁ…。

 

 

 

────────────────────

 

 

学校に向かう途中…。

 

「…ねっ、悠くん♪」

「ん、どうした?」

「その………手、繋ご?///」

すっと千歌が手を握ってくる。

 

「…うんっ、もちろん」

「えへへ…なんか幸せすぎて…夢見たい…///」

「夢じゃ困るけどな」

「だ、だって…千歌は絶対に恋人なんか出来ないんだろうな~…って思ってたし…///」

「そんなことないよ…千歌、可愛いし」

「ゆ、悠くんだってカッコいいもん!///」

「……押し倒したくなってきたわ」

「い、いくら千歌のことが欲しいって言ってたけど…朝からはダメだよぉ……///」

 

 

「…なんか、これは…」

「梨子ちゃん、それは胸に留めておこうよ…!」

((バカップルみたい…!!))

 

曜と梨子の考えてることは見事に一致していたようだ。

 

────────────────────

 

 

「おぉ~…千歌ちゃんと悠さん付き合ったみたいずら~♪」

「お似合いだよねっ♪」

「ある意味お似合いすぎて周りまで恥ずかしくなるわ…」

 

「そう言えばねっ♪

鞠莉ちゃんに言ったらお祝いしてくれるって!♪」

「ホントに?じゃあ、せっかくだしお言葉に甘えようか?」

「うんっ!///」

 

千歌は結局、教室に入ってからもずっと俺の傍にくっついていた。

周りからは…。

 

(子犬みたい…!)

(幸せそうだなぁ…)

((バカップル…))

 

と、羨ましそう?な目で見られていた。

 

───────────────────

 

 

放課後、淡島ホテルで鞠莉がお祝いのパーティを開いてくれた。

果南からは幼なじみの事、よろしく頼むね♪と言われ

千歌も思わず嬉し涙を流していた。

 

ダイヤからは順序はちゃんと守るように釘を刺されていたが…。

もちろん、俺と千歌の間ではそんな忠告も素通りで…。

 

 

「…悠くん…一緒に…寝よ?///」

「…千歌…おいで」

 

パーティーも終わり、十千万に帰ると、千歌が俺の部屋に訪れた。

もちろん、一緒に寝るからだ。

 

「…えへへっ…お邪魔します…♡///」

嬉しそうにベットに入る千歌。

そのまま俺の腕に頭を乗っける。

 

「…ねぇ…悠くん?」

「…ん、どうした?」

「んーん…呼んだだけ///」

「なんだ、この可愛いやつめっ…」

「きゃー///」

 

顎の下あたりをくすぐると千歌は可愛らしい悲鳴をあげた。

 

「…もっと…していいんだよ?///」

「…誘ってるのか?」

「だって…悠くんに…全部あげるって…私も思ったんだよ…?///

千歌が欲しいって言われた時…すっごく嬉しくって…悠くんになら…頭の先から…足まで全部全部…悠くんの物だよって…///」

「千歌……」

「だから……沢山…愛して…?///」

「…ああ、もちろんだ……大好きだよ、千歌」

「私も…悠くんの事…だぁい好き…///」

 

 

 

 

 

優しく引き寄せると千歌が目をうるわせて俺の服を掴む。

重ね合わせた体の温もりは…ほのかに温かく…お互いの鼓動が分かるようだった。




千歌ルート②に続きます!

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千歌ルート② ~2人の行く末~

千歌ルート②です!
晴れて恋人同士になった2人…だが、災難はすぐに降かかる…。


「悠く~ん?あっちの部屋の掃除まだだよ~?」

「は、はーい!」

 

「悠くん~?それが終わったらこっちの片付けもしてね~?」

「は、はーーーーいっ!!」

 

千歌に指示されて部屋を行ったり来たり。

決して旅館の仕事のお手伝いをしている訳では無い。

それは遡る事…朝の出来事。

 

「悠くん、今日は真剣なお話があるわ~?」

「えっと…志満さん、なんですか?」

 

朝、志満さんと美渡さんと千歌と千歌のお母さんと俺の5人は同じ食卓に並んでいた。

その時志満さんから話があるというので聞いているところだ。

 

「悠くんと千歌が付き合うことになったのはすごくおめでたいし嬉しいのだけど…私たちの条件として…

 

悠くん、貴方はここの''跡取り''になってくれないかしら?」

 

「……えっ?」

「つーまーり、一応今のところ女将は志満姉さんってことになってるんだけど…2人とも高校三年生になったろ?

来年卒業したら、本格的に2人ともここで働いて欲しいってこと」

「つまり…支配人とかそういうことですか!?」

「そうっ♪千歌ちゃんは若女将になるってこと~♪」

 

ぱちぱち~と手を叩く千歌のお母さん。

「ち、千歌からも何か言ってやってくれよ~…?」

「……ごめんね、悠くん

これは…私の憧れでもあったんだ」

「…憧れ?」

「いつか…大好きな人と一緒に…この十千万をもっともっといい旅館にしたいって」

「…千歌…」

「悠くんが頑張ってくれるなら…若女将…ううん、高海千歌として…支えたいから///」

「……千歌……………分かった。

旅館の娘と一緒になるってことはそういうことだもんな

…やります、やらせてください!」

 

 

 

────────────────────

 

 

 

……と、朝は意気込んで居たが…。

「い、いざやるとなると…重労働だな…」

「悠くんっ、お疲れ様♪」

作法や仕事の内容の暗記。

後は会計や掃除など…挙げたらキリがない。

 

「…千歌って凄いよなぁ…こんな仕事を易々とやりきるなんて」

「んー、昔からだからかな?」

「慣れって凄いなぁ…」

「…ねぇ、悠くん?///」

「…ん、千歌…?」

「休憩のついでに…少し甘えたい…かも///」

「…うんっ、いいよ…おいで?」

「えへへっ…わーいっ♡///」

嬉しそうに広げた両腕の中に千歌が飛び込んでくる。

 

「これから私達はどういう道を行くんだろうね…?///」

「わかんね……けど、ドキドキハラハラ…ワクワクするような道かもな」

「2人なら…乗りこえられる?♪」

「当たり前だろ?」

「えへへっ、悠くん大好き…っ///」

 

そのまま、奪うように千歌の唇を塞ぐ。

舌と舌を絡ませる音が部屋に響く。

「…ねぇ、悠くん?///」

「…んっ?」

「子供は…何人欲しい?///」

「…飛躍したなぁ…随分」

「えへへ…きっと将来…十千万の前で私と悠くんと…子供と…みんなで笑ってる姿を想像したら…なんだか、すごく嬉しくって…早くそうなりたいなぁ…って…///」

 

「その前に別れてるかもよ?」

「もーーーっ!悠くんの意地悪っ!///」

頬をぷくーっと膨らましながら怒る千歌。

さすがにからかいすぎたか。

 

「…そんなの…やだよ///

私はいつでも…ずっとずっと…悠くんのそばにいたいもん…///」

「…そうだな、俺も一緒だ」

「…出逢ってくれて…ありがとう///」

「こちらこそ…ありがとうな、千歌」

 

ぎゅっと握った手はずっと離れようとしなかった。

俺と千歌の心が固く結ばれてるかのように…。

 

「…へへっ、お仕事戻ろっか♪」

「だな、また怒られちまう」

「もう少しだよっ…続きは…また夜ね?///」

「…お、おうっ…」

 

いつの間にか色っぽい笑みを浮かべる千歌に

俺の胸の高鳴りは収まることを知らない。

 

(今の笑顔…反則だろ…っ)

 

 

 

────────────────────

 

 

「んーーーっ、気持ちい~~♪」

旅館の勉強も終わり

ゆったり浴場の湯船に浸かる千歌……俺。

──────そう…''2人''で。

 

「…千歌…」

「あっ…///」

抱き寄せると千歌は恥ずかしそうに顔を背ける。

 

「さっきの続き…いいかな?」

「…ゆ、悠くんって…こういう時は…オラオラ系、だよね…///」

「……嫌い?」

「……嫌い…じゃない…///」

「いい子だ…」

「んっ……っ!///」

 

今日何回目かわからない口付け。

「あっ…頭…ぼーっとしちゃう…///」

「ごめんごめん、千歌とのキス…なんか気持ちよくってさ…」

「もぅ…でも、千歌も好き…♡///」

 

結局、お互い上せるくらいまでキスをしあった。

上がった時に美渡さんに怒られてしまったが…。

 

 

────────────────────

 

 

次の日の朝…

今日は日曜日だしゆっくり寝……

 

「悠くんっ、悠くん!

あさだよっ♪」

───れなかった……

 

「んん…あと50分と25秒…」

「なんで秒まで刻むのっ!

…ああ、でも悠くんの寝顔可愛いからつい甘やかしたく…///」

1人で悶々としながら携帯のカメラで写真撮る千歌。

 

「…新手の起こし方かよ…」

「え、えへへ…つい…でも起きたんだから良し!だよっ♪」

「良しじゃなーいっ」

「わあぁっ!?///」

 

まだ半分寝てるような状態で千歌をこちらに引き寄せる。

「千歌もきょーはんだー…zzz」

「わ、わわっ…悠くんまた寝ちゃった…!!」

しかし、すぐ目の前にある大好きな人の寝顔と寝息を見ているとつい許してしまいたくなる。

 

「しょーがないなぁ…悠くん…もう少しだけ、だからね…///」

起きないように耳元で囁く。

気がつくと2人とも静かに寝息を立てていた。




次で千歌ルートはおしまいです!
その前に!
ルビィちゃんの誕生日特別編を次回更新します!
お楽しみに!

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千歌ルート③ ~あの時の言葉~

千歌ルート最終話です!


「おーいっ!悠くんこっちこっち~!♪」

 

時も巡り…去年同様俺と千歌は夏祭りに来ていた。

先程まで曜と梨子も一緒だったが…気をつかってくれたのか今は俺と千歌の2人きり。

 

「おいおい、あんまりはしゃぐと転ぶよ~?」

「その時は悠くんに助けてもらう~♪」

 

若干ハイテンションで、露店を回る千歌。

その手にはチョコバナナやらかき氷やらラムネが抱えられていた。

 

「(千歌とこうして夏祭りに来るのも…2回目、か…)

……願わくば…これから先も…こうやって来たい、な…」

「悠くん~?どうかしたの~?」

「ううん~なんでもないよ!」

 

千歌の後を急いで追う。

この願いは…俺次第だし…きっと千歌も同じことを考えてくれているだろう。

そう思うと自然と笑みが零れた。

 

「悠くん楽しそうだねっ♪」

「千歌と一緒だからね」

「そ、そういうこと普通に言っちゃうもんな~…///」

「へへっ……あ、そろそろ花火上がるみたいだよ?」

「一年ぶりだ~っ!♪」

神社の境内に座り空を見上げる。

あの時と同じ…花火が無数に空を彩る。

 

「………」

「………………?///」

無言で千歌の方を見つめると千歌が顔を赤くしこちらを見つめる。

考えてる事は────1つ。

 

「……………千歌…」

「…悠くん………///」

花火が空に上がり続ける中俺と千歌は唇を重ねた。

聞こえるのは花火の音と…少し荒くなった千歌の息遣いだけ…。

 

「…なぁ、千歌…」

「…な、なぁに…?///」

「───────好き、だよ」

「あっ…………………//////」

「あの時の…言葉…

今度は…ホントの…心からの…好きって気持ち

ちゃんと…彼氏としての…好きって言葉」

「悠くん…っ///」

「もう少し…こうしていたい…」

「うん…私、も…っ///」

 

花火が打ち終わるまで俺と千歌は手を重ね合わせながらずっとキスをしていた。

お互いの好きという気持ちを…伝え合うかのように。

 

 

 

────────────────────

 

 

「……そういえば、ね?」

「うん?」

 

夏祭りの帰り道、千歌が腕に抱きつき喋り始めた。

「初詣に行ったよね?

あの時におみくじ引いたら…小吉だったのっ」

「それは…またなんとも言えない運勢だな…」

「でもねっ?

恋愛は…''衝突もある''

結婚は……''身近な人に縁、あり''…って…」

「あははっ、変なの矛盾してるし」

「…ゆ、悠くんは…結婚…したい…?///」

「……い、言わせんなよ…」

「お、男の子なんだしそこは真っ直ぐに想いを伝えてよー!///」

 

「だあああああ!したいにきまってんだろ!!」

「なっ…────────//////」

 

千歌の数歩先を歩きビシッと指を差す。

「いいかー、よく聞け!

俺がちゃんと十千万を継いで千歌のお母さんや志満さんや美渡さんに認めてもらったら千歌と結婚する!

言ったからには絶対にやり遂げるからな!」

「悠くん……///」

「…だから…その…''何があっても…俺のそばにいろ''」

「……っ…!……うんっ!!//////」

 

 

時には喧嘩したり意見が不一致することもあるだろう。

でも俺と千歌なら…喜ぶ時も…怒る時も…悲しい時も…楽しい時も…全て分かち合える…考えすぎだろうか?

 

 

 

「……いや、お前のその笑顔が何よりの証拠…だよな」

「えっ??」

「なんでもない、千歌は千歌らしくいてくれよな」

「うんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

そう、太陽のように明るい君と…これからもずっと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌ルート

Fin




千歌ルート完結です!
(各ルート完結ごとにR版に動きが…?)

次回は誰のルートになるのでしょうか!
お楽しみに!

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果南ルート
果南ルート① ~ハグかそれとも~


千歌ルートからの~……果南!
いってみよー!


「……………」

 

携帯とにらめっこをする。

メッセージアプリの送信ボタンを押せないまま

かれこれ20分は過ぎただろうか。

 

「くぅっ…うううっ…!!」

まるで触らないものを何としてでも触るかのように指先に力を入れる。

しかし、まるで磁石のように反発しなかなか送信ボタンが押せない。

 

「…だ、ダメだなぁ…覚悟決めたのに…」

 

メッセージはこう打った。

【明日…10時に…淡島遊歩トンネルで待ってる】

 

この一言。

なのに送信が押せない。

 

「……えええい!」

目を瞑り指で送信ボタンをタップする。

そしてそのまま携帯をベットに投げ捨てそのまま自分のベットにダイブする。

 

(寝よう!返事なんか見れない…っ!)

結局、そのまま俺は眠りについてしまった。

 

1時間ほどすると…果南から返事が来た。

もちろん俺は寝ていたけど…。

 

【いいけど…どうしたの、悠?】

…まぁ、こんな風に返されるのは目に見えてるよな…。

と思ったのは朝起きてからだった。

 

 

────────────────────

 

次の日……

 

 

俺は連絡船に乗り淡島へと向かった。

…ダイビングショップの前に行くと…果南の姿はなかった。

 

(少し早く来すぎたかな…)

時刻は9時25分…まだ約束の時間までは30分以上ある。

 

(…先に行って待ってよう…)

ダイビングショップを横切り…俺は遊歩トンネルへと向かった。

 

 

────────────────────

 

【果南 視点】

「もー、悠ったら返事返してくれないし…」

お風呂から出て髪の毛を結いてる私は思わず愚痴が出た。

今の時間は9時25分…昨日の夜送られたメッセージに返事をしたが…逆に返事が返ってこない。

 

 

「後で会ったら説教するよねっ…もうっ」

…というのは冗談で…本当は彼がなんで私を呼び出したのかが気になって仕方なかった。

 

「…少し…早めに行こうかな…?

…ああ、でも…約束の時間の方が…いい、かなぁ…?」

心無しか私の服を選ぶ時間が…いつもより少し…早くなっていた。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「……………」

 

遊歩トンネルの壁にもたれ掛かり静かに時間が来るのを待つ。

何人かが目の前を通り過ぎたが俺は目もくれずただずっと時間が過ぎるのを待ってた。

 

 

「悠…っ!」

「あっ……おっす…ごめんな、急に呼び出して…」

「もぅっ、ほんとだよ~…って、まぁそれは許してあげようかな……」

「…ん、ありがと…」

 

青い照明に魚のライトがチカチカと点滅する中俺と果南の間には沈黙が生まれた。

 

「…………………」

「………………………」

 

「……………………………」

「…………えっと……」

「…果南が……………」

 

ようやく口を開い始めた両者。

そこからポツリ…ポツリと言葉を繋げる。

 

「…絶対にスクールアイドルはやらないって…最初は言ってて…でも…ライブを見てくれて…考えが変わって…千歌の為にも…そして…自分がスクールアイドルをもう一度やりたいって思ってくれて…嬉しかったよ」

「も、もうっ…急にどうしたの…?

…思い出話をしに来たの?」

 

と、果南は苦笑いするが俺の口は言葉を止めることを一切しなかった。

 

「…スクールアイドル部以外でも…泳ぎを教えてくれたり…家に招待してくれて…美味しいご飯作ってくれたり…

…初めての…キスも…果南、お前だった…」

「悠………?」

 

俺の様子がおかしい事に果南もようやく気がついたようだ。

 

「その……ごめん、上手く言葉に出来ないんだ…

ただ…伝えたいことを…精一杯表現するなら…

まだ完全に泳げないし…年下だし……背もそんなに大きくない…けど……果南の…ダイビングショップの手伝いをしたい…!」

「……それって……」

「…っ……─────好きだ!果南!」

「っ…!!!///」

 

今できる最大限の想いを果南に伝えた。

彼女はその言葉を聞き…絶句した。

 

「…もし…果南が良ければ…ハグ、してくれ…

…ダメなら…遊歩トンネルから…出てくれ…」

イエスかノーか…答えは2つに1つ…。

 

両腕を広げると…果南は…。

 

「バカっ……答えなんて決まってるのに…っ!!///」

目頭を熱くしながら俺の元に飛び込んで来た。

 

「悠…っ…悠…っ!!!///」

「…良かった……嬉しいよ…」

「悠…っ…私も…嬉しい…っ…!///」

ただ俺の名前を繰り返す彼女の姿が愛おしかった。

 

「…ほん、とに…私で…いいの…?///」

「果南じゃなきゃ嫌だ」

「悠…っ……うっ…ああああっ…!!!」

泣きじゃくる彼女の頭をそっと撫でる。

いつの日か…撫でた時とは違う。

これからは…そばにいて…どんな事でも…受け入れて…。

 

困った時は助け合って…。

悲しい時は精一杯励ましてあげて…。

疲れてる時は…元気してあげて…。

 

今もこの先も…変わらぬ大好きのままでいたい。

「果南…好きだ…大好きだ」

「悠…っ…私も…っ…大好きっ!///」

少し背伸びをしてキスをする果南。

 

思えばファーストキスも果南だった。

そして……これは、正真正銘恋人としての…ファーストキス。

 

唇越しから伝わる想いは…十分すぎるほど伝わった。

 

「……へへっ」

「……好き…♡///」

「俺もだよ、果南」

「…ねぇ…?///」

「…ん?」

「…これからは…悠…くんって…呼んでいい、かな…?///」

「えっ…急だな…どうしてだい?」

「その方が…年下の彼氏くんって感じ…がして…///」

「なら俺もちゃん付けた方が…」

「お、男の子は呼び捨ての方が男らしいの!///」

「そ、そうなの…?」

 

「じゃぁ…決まりね…悠くん…っ!///」

 

 

 

 

遊歩トンネルに来る時は…1人だった。

しかし出る時は…2人で…手を繋いで…。

決して離さないくらい…強く強く握りあった手で…。




果南ルート②に続く!

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果南ルート② ~初めての·····?~

スクスタが明日リリースだあああ!
そしてTwitterのスクスタプレゼント企画で桜坂しずくちゃんのミニ色紙が当たったので虹ヶ咲はしずくちゃん推していきます。


「はいっ、悠くん。

お給料~♪」

「えっ?」

 

ダイビングショップの手伝いをしてたある時、果南が茶封筒を渡してきた。

「い、いや…俺手伝いでやってるだけだよ…?」

「お父さんがね、悠くんのおかげで結構客足増えてるから少しでもって!」

 

確かに、土日は基本果南のダイビングショップの手伝い。

学校終わりでも時間があればちょくちょく足を運んでいる。

泳ぎはダメだが接客などは板に付いてきたとは思っている。

 

「そ、そうなの……?

…じゃあ…ありがたく貰うよ」

「うんっ、初めてのお給料なんだし有意義に使いなよ♪」

 

とは言われたものの…これと言って欲しい物も無い。

お給料の使い道は…とりあえずこの後、考えるか。

 

そして変わった事と言えば…もう1つ。

 

「悠くん~♪」

「わわっ…果南…胸押し付けすぎ…っ」

 

果南の家に泊まる回数が増えたという事。

付け加えるなら甘える回数も増えた。

 

「悠くん、胸が好きなの知ってるもん♪」

「あ、あのなぁ~…」

「あははっ、その困ってる顔も好きだよっ♡」

「……ず、ずるいぞ…果南…」

「あっ、恥ずかしがってる~♪

可愛いんだから、もう♪」

 

時にお姉さんという感じを醸し出す時もあれば。

仔猫のように甘えてくる時もある。

付き合い始めたが…面白い彼女だ。

 

「ほら、寝るよ果南」

「明日はそんなに忙しくないみたいだから学校終わったらフリーで大丈夫だよっ♪」

「んじゃ、夜にまた家に行くよ」

 

もっぱらこんな会話も増えてきた。

十千万よりも果南の家の方が断然に行く回数も多い。

 

(こりゃ本格的に移住も考えないとな…)

「ん、悠くん…どうしたの?」

「ん?…あぁ、果南と付き合ったこと…母さんに

報告しないとなって」

「私もしないとな~…」

「果南のお母さんは…今どこに?」

「東京だよ、最近は年に1〜2回くらいしか帰ってこないんだ~」

「へぇ~…まぁ、俺も人のことは言えないな…」

「でもね、お父さんは大賛成だったよ♪」

「期待には応えないとな」

「悠くんならできるよ♪」

 

おやすみのキスをし、俺と果南は一緒に眠りについた。

 

 

 

─────────────────

 

 

次の日の朝…。

 

「おーい、悠くん~?」

時刻は7時。

一足先に起きた果南が悠の事を起こしていた。

 

「んん…っ…あと10分…」

「昨日も手伝い頑張ってたもんね…♪

…んー…寝かせてあげたいけど…学校遅刻するわけには行かないもんね…おーきーてっ♪」

「やだ…ぁ…」

 

反抗するように寝返りを打つ。

すると、果南があることを閃いた。

 

「起きないと…こうしちゃうぞ~っ!♪」

自分の胸をこれでもかと悠に擦り付ける。

びっくりした顔をして悠が目を覚ます。

 

「なっ………な、ななっ…なにやってんのっ!?!」

「あっ、悠くん起きた♪」

「う、うっ…この感触…」

「あぁ…ごめん?…何も付けてないから…」

「…違う意味で遅刻しそうだよ…」

「変な事言ってないで早く顔洗ってきなよ♪」

「…おう」

 

心地よい目覚めのような

複雑な目覚めのような…なんとも言えない心情で顔を洗い朝ごはんを食べる悠だった。

 

 

────────────────────

 

 

放課後になり、1人商店街を歩く。

「初給料ねぇ…欲しいものかぁ…」

学校で使う物や服といったオーソドックスなものはすぐ浮かぶが…。

 

「とりあえず…コーヒーでも飲むかぁ…」

1人喫茶店…やば珈琲に入りコーヒーを舌づつみ。

しかし、ここで気がつく。

(これって初給料の有意義な使い方かっ!?)

冷静になり喫茶店のテーブルで初めての給料の使い道を考える。

…と、言っても結論はすぐに出た。

 

 

 

「やっぱり果南に何かあげたいなぁ…」

お世話になってる気持ちと…彼氏としてなにかプレゼントを…と考えていた。

 

 

──────────────────

 

 

 

「……これ…気が早いかな…」

喫茶店を出てすぐに目に留まり手に取ったのは…指輪。

ペアリング…なんて、まだ早いかと思っていたが…。

 

 

「…果南…こういう似合いそう」

不思議と指輪を付けてる果南を想像すると…凄く似合ってるのが目に浮かんだ。

 

「…えっと…すいませーんっ」

店員を呼び自分のサイズを確認する。

そこから逆算して…大体の果南の指のサイズも把握する。

 

(……あ、合ってますように…)

祈るような気持ちで包装された指輪をカバンに入れ果南の家へと向かった。

 

 

バスに乗ってる道中…渡し方について考えた。

「…普通に渡すのが…1番、かな…」

オシャレにどこかに隠して本人をそこに誘導して発見させて驚かせて………なんて、そんな器用なこと出来ないし…。

 

「…やっぱり直接渡そう…2人きりの時」

【次は~淡島マリンパーク…淡島マリンパーク】

「やべっ、通り過ぎちまう!」

 

急いでバスを降りて連絡船の乗船場に向かう。

多分、果南はまだダイビングショップの手伝い中だろう。

 

 

 

──────────────────

 

 

「おかえり、悠くんっ♪

…?…なんだか、ソワソワしてるけど…?」

表のデッキのところで頬杖を付きながら果南が呟いた。

 

「…水着姿がその…健康的ないやらしさが…」

「あははっ、悠くんも男の子だもんね~♪

…ごめんごめん、大丈夫だよっ…他の人には見せないもん♪」

「そんなことあったら困るっつの…」

「意外と~…悠くんってヤキモチ焼き?♪」

「こんな可愛い彼女…独占したいに決まってるだろ」

「…あ、あはは…嬉しいよ…///」

 

からかってたはずの果南がいきなり顔を赤くする。

……あれ、これ渡すのに良い雰囲気じゃない…?

 

「…あの、さ…果南…」

「…ん、どうしたの?」

「…少し…目を瞑って…?」

「…えっ………こ、こう…?」

 

言われた通り…目を瞑る果南。

そして…ゆっくりと近づき、手を持ち上げる。

 

「…ゆ、悠くん…???」

「まだ…開けちゃダメだよ」

 

静かに取りだした指輪を果南の薬指に通す。

…そう…''左手の薬指''に。

 

 

「…えっ…?!///」

目を開けていいと言う前に果南が目を開けてしまった。

 

「…良かった、サイズぴったりだ」

「ゆ、悠くん…っ!?///」

「初給料の使い道は…お互いの心に残るものがいいなって……それで探してたら…ペアリング、見つけた」

「で、でも……っ!///

恋人同士…右手の薬指じゃ…っ!///」

 

「………果南」

「は、はいっ!///」

「これは…俺からの幸せの前払い

…この左手の薬指に…指輪をしたからには…絶対にお前と結婚する

1度嵌めた指輪…絶対に取らせない」

「悠くん…っ…!///」

 

「…なんて…少しキザだったかな?」

「ううん…待ってるよ…未来の旦那さん…っ///」

 

 

 

 

 

夕陽が海を照らす中…俺と果南は口付けをした。

この日交した約束…そう遠くない約束。

いつか…彼女を最愛の妻として迎える日まで…

彼女に似合う男になろう…そう心に決めた俺だった。




次回で果南ルートラストです!

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果南ルート③ ~これからの事~

果南ルート最終話!


「悠くんは浦の星卒業したらどうするの?」

「んー…何も決めてないなぁ…

果南と結婚するために働きに就くけど…」

「このままダイビングショップに継いでくれればいいのに~♪」

「あはは、それもありだな」

 

「…結構、本気だったんだけど…」

「…え?」

「…ほら、夫婦で…一緒に経営とかって…憧れる…し///」

「…果南…」

「あははっ、まだ結婚してないのにね…///」

「…うん、俺も…そうしたい、かな」

「悠くん…///」

 

そのためには…泳ぎをもっと覚えないとな。

果南を支えられるように…。

 

「…じゃあ…結婚式は海であげる!?」

「あはは、私らしく?♪」

「ウェディングドレス姿の果南かぁ…」

「も、もーっ…想像するの禁止っ///」

「すごく似合ってると思うけど…」

「…その…お姫様…抱っことか…期待、するよね…?///」

「…ん、こうか…っ?」

「きゃあ…っ!///」

 

唐突に果南を持ち上げる。

「ん、意外と軽い…」

「ど、どういう意味~…///」

「いや、大きなの2つ付いてる割には…」

「…これ…悠くんのせいで大きくなってるんだけど…///」

「あはは…揉むと大きくなるってホントなんだな」

「…ふんっ…///

…ねぇ…このまま…少し歩いて…///」

「…ん、仰せのままにお嬢様」

 

海を見つめ果南をお姫様抱っこする。

耳元で果南が囁いた。

 

「…ねぇ…悠くん…」

「…どうした?」

「…私…すっごい幸せで…困っちゃう///」

「いいじゃん、幸せで…ありすぎても困んないよ」

「だ、だって…こんな幸せで…夢なんじゃないかって…」

「俺の一途な気持ちが…」

「わ、わわぁ!そういう意味じゃなくて~!///」

 

「冗談だよ…まぁ、俺も…実感やっと湧いた…感じかな」

果南をすっと降ろす。

 

「…悠くん…?」

「…でも…これから…2人で探してこうよ、幸せの形

俺と果南にしかない…幸せをさ」

「…っ……///」

 

片膝立ちで果南の手の甲にキスをする。

「…私で…よければ…///」

「おうっ、もとよりお前以外考えないっつの」

「…ホント…昔から…卑怯なんだから…///」

 

「なんか言ったか?」

「な、何もないよ!///」

「…あ、そう言えば…母さんが来るってよ…''この後''」

「こ、この後!?」

「スマン、報告が遅れた」

「え、ええっ…それってつまり…ご挨拶って事…!?」

「そういうことになるな…」

「う、うぅ……///」

「遅かれ早かれ…だ、俺が隣にいれば大丈夫だろ?」

「…うん…///」

 

母さんとマジマジと話したことが無いからだろうか

珍しく緊張した面持ちで家に戻る果南だった。

 

 

──────────────────

 

 

「いやぁ~、淡島いいところだなぁ…」

「着いて早々に出る感想がそれかい」

 

「イタリアにずっと居たからねぇ~…

あー、この日本の風景が身に染みる~…」

「…まぁ、いいや…とりあえず…来てもらうわ」

 

扉の奥にいる果南を呼ぶ。

「は、初めましてっ…松浦果南…です…///」

「…果南と…付き合うことになったから」

 

「ちょ、息子…ちょい、ちょい!」

「…今度は何…」

腕を首に回しひそひそと話し始める母さん。

 

「おまっ…あんなグッッッッッッラマラスな彼女…一体どこで…っ!?」

「だあああああ!感想がおっさんなんだよぉ!

というかAqoursのメンバー!見てたからわかるだろおおお!」

「あはは、冗談冗談…しかし、凄いなぁ…このボリューム…」

「あ、あのっ……///」

 

体を触診する母さん。

女同士とはいえ果南も困惑していた。

 

 

「イタリアの雰囲気で母さんがおっさんに…」

「ちっと前まで高校生だった人がこのボリュームは反則でしょ!なんだこれ!発育爆発か!?」

 

おう、ここのダイビングショップを歩いて15分位のところに同じくらいボリューミーな奴がいるぞ、母さん。

 

「…こほん、まぁ手が幸せになったところで…」

「2人が左手に付けてるそれは…本気?」

 

さすが母さん、抜け目がない。

 

「…俺はそういうつもりで果南の薬指にはめた…

幸せの前払いとしてな」

「キッッザ~…そんなセリフどこで覚えたんだか…」

「うっせ」

「…果南ちゃん?」

「は、はいっ!///」

 

「まぁ…こんな目の前のことしか目もくれないで怪我とかふつーにして…ヤンチャな藍坊主だけど…よろしくお願いします」

「えぇ…ずっと見てたので…知ってます♪

こちらこそ…よろしくお願いします…っ!」

 

「え、知ってたの?」

「悠くんの事は十分知ってるつもりだよっ♪」

 

「幸せそうだなぁ~若いっていいなぁ~」

「とりあえず…卒業したら…果南とこのダイビングショップを…一緒に経営しようかなって思ってる」

「泳げないのに!?」

「少しは泳げるようになったわ!」

 

「あら、意外」

「どうせ母さんの遺伝だろ…泳げないのは」

「あら、私元々水泳選手よ?」

 

「「…え?」」

 

────────────────

 

 

帰り際にそう伝えられた一言を果南がずっと面白おかしく笑っていた。

 

 

「あははっ…ゆ、悠くん…お母さんが水泳得意なのに…っ…くっ…あははっ!」

「笑いすぎだわ!……でも、俺は泳げなくて良かったと思ってるよ」

 

「あは、は……ふぇ?」

「じゃなきゃ、果南から泳ぎ教えて貰えなかったからな」

「…///」

「…ん、果南…ハグしよ」

「………うん…///」

 

後ろから果南を抱きしめる。

「…幸せ…///」

「…俺も…………」

 

「…これで…ちゃんと認められた恋人…同士だね…///」

「…色々出かけたり…遊んだり…しような」

「…うんっ!///」

 

嬉しそうに笑った果南。

結いていたポニーテールを解き…サラサラと真っ直ぐ伸びた髪型に戻した。

 

「…悠くんには…全部、見せたい…///

まだまだ…見せてないところ…いっぱい、あるから…///」

「…ああ、ゆっくりでいい…全部教えてくれ、な…///」

「…この前…ヤキモチ焼きって…言ったけど…私も…結構ヤキモチ焼きだからね…///」

 

「果南しか見てねぇよ」

「えへへっ…そう言うと思ってた…///」

 

 

 

 

 

 

 

 

これから始まる俺と果南が2人で歩む道。

少しずつでいい…ゆっくり…

幸せな道を2人で…作っていく。

左手の薬指に付けた…指輪がその証だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

果南ルート

Fin




次回!1年生の誰か!

そしてR版にも…動きが…!

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花丸ルート
花丸ルート① ~あの本~


スクスタにハマって更新滞った訳では無いぞぉ!
なんで君ここの曜ちゃん出ないんだよォ!(既に60連)

ぴぴぴのぴーー!!←


花丸ルート、始まります。


「…寝れない…」

 

結局、俺は答えが出なかった。

誰が1番…とか、正直考えたことも無かったからだ。

しかし、明日の学校で言わなきゃと考えると…眠れずにいた。

 

「…はぁ…」

ベットから出てふと、本棚に目がいく。

 

「…これ…花丸が持ってきてくれた本」

それは、俺が熱を出した時に花丸が持ってきてくれた本だった。

まだ中は一度も読んでなかった。

 

 

 

「返さなきゃいけないし…眠れないから本でも読むか…」

暖かい緑茶を持ってきて椅子に腰掛ける。

 

 

 

タイトルは──────────

 

「…昨日の夕日は…綺麗…か…」

いかにも花丸が選びそうなタイトルだ。

 

「………ふむ…」

目を通し…1ページ1ページ本をめくる。

…しかし、どこか違和感がしていた。

 

「…なんか…これ…」

その本の内容はこうだ。

 

【ある想い人が居た。

その人はずっと毎日…その想い人の事を目で追っていた

しかし、想いを伝えられずにいた。

自分には良いところがない、むしろ地味だと自分で否定をしていたからだ

しかし、彼に本を渡した…どうか、この意味をわかって欲しい…気がついて欲しい…本当の気持ちを…という願いを込めて】

 

「…似てる……これ…」

俺の思い込みだろうか?

しかし、どうも共通点がありすぎる。

 

「……」

携帯を開き、検索をかけてみる。

本には様々な訳し方がある。

小説家・夏目漱石の月が綺麗ですねがその一例だ。

そして、そのような言葉に似たような訳し方もあるようだ。

 

「星が綺麗ですね…雨やみませんね…寒いですね…か」

その時、俺の指が止まった。

 

「──────────っ……」

夕日が綺麗ですね

という類語がある事を知った。

意味は…。

 

「あなたの気持ちを…知りたい…」

…二つの考えが頭の中で揺れる。

たまたまなのか…それとも…遠回しな…告白、なのか…。

 

「…花丸…」

そう思うと…胸が苦しくなった。

花丸の……気持ちに応えたい…。

本を途中で閉じて…俺は眠りにつくことにした。

早く朝よ来い…そして、学校に向かいたい…そう思いながら。

 

 

 

──────────────────

 

朝。

俺は千歌達より一足先に浦の星に向かった。

 

「は、花丸っ!」

「ずら?…あ、悠さん♪

おはようございますっ♪」

 

その理由は…花丸が今日は日直だとルビィと善子から聞いたからだ。

 

「…花丸…」

「…?

悠さん…どうかしたずら…?」

「…ええいっ…花丸、はっきり言う!

昨日の夜…あの本を見た!」

「…あっ…///」

「…その…なんというか…読んでて…ちょっと胸が苦しくなったり…でも、何故か暖かくもなったり…花丸が…どうしてあの本を選んだのか…ずっと考えて…!」

 

「は、はい…っ…///」

「…お前は…花丸は…俺にとっての陽だまり…

そして、俺はその陽だまりを支える太陽になる…

どんな時でも…花丸の事を照らしてやる…

たとえ…どんな所にいてもだ」

 

これが俺の精一杯の想い。

''好き''と言う言葉を言えば簡単だろう。

ただ、俺は……俺が抱いてる気持ちを…ありのままにぶつける。

それが間違ってるのか…合ってるのか分からない。

でも、一つ言えるのは…自分の気持ちは…固い、ということ。

 

「…悠さん…詩的で…素晴らしいずら…///」

「…その…返事…は…」

「…その夕日を…まるはずっと見ていたい…です///」

「じゃ、じゃあ…!」

「…こんなまるですが…ずっと、そばにいてください…///」

 

「やっ………たああああ!!!」

俺も渾身の叫び声が浦の星に響いた。

ずっと燻ってた想い。

きっと花丸が本を渡してくれなかったら…気がつかなかっただろう。

…いや、もしかしたら…花丸はこの本を渡してくれた時から…俺のことを待っていてくれたのかもしれない。

 

「…ごめんな、花丸

もっとお前の気持ちに早く気がついてあげれば…」

「悠さんのその鈍いところも…大好きずら…///」

「…花丸…」

「…悠…さん…///」

 

 

 

 

 

 

 

誰もいない…1年生の教室。

俺と花丸は…そこでキスをした。

これはまだ…俺と花丸の恋人としての…冒頭に過ぎない。

2人で作る物語は…きっと、色とりどりで…何事にも変えられるない物になるだろう。




スクスタのIDー!
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曜ちゃんと青春ヨーソローしたかった…←

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花丸ルート② ~昼休み~

スクスタの曜ちゃんが出ません…!
これはシャイニークオーツで交換かなぁ…←


──────昼休み。

 

ここ最近、昼休みは決まって図書室に行くことにしている。

理由は2つある。

 

ひとつは…本を読む回数が増えたということ。

そしてもうひとつは…。

 

「おっす、花丸いるか?」

「あっ、悠さん♪」

 

眼鏡をかけた花丸がこちらを見て笑いかけた。

「今日はどんな本読もうかなぁ」

「それならこれがおすすめずら♪」

 

昼休みは花丸と一緒に読書をすると俺は決めた。

もちろん、時々話したり、手を握ったり…恋人になってからスキンシップも増えた。

 

ルビィは恥ずかしそうに見たり

善子はやれやれと頭を抱えたりと…なんだかんだ言いながらも祝福されていた。

 

「…あっ、悠さん♪」

椅子に座り本を読もうとする俺を花丸が止めた。

 

「ん、どうした?」

「今日はこっちの畳で本を読もうずら♪」

花丸が指さしたのは、2畳程の畳が置かれたスペースだった。

 

「そういやこんなスペースあったな」

「本を読む時は畳ずら♪

これぞ日本の和の心ずらっ♪」

本を抱えながら上機嫌に花丸が座る。

 

「…ふむ、今日オススメしてくれた本はこれまた難しそうな…」

ペラっとめくる…そして、1ページ前に戻ったりと俺の読むスピードがいつもより遅かった。

 

「まるが好きな文豪の本ずらっ」

「こんな難しい本を読んでたとは…関心するなぁ」

「読んでみると面白いずら♪」

 

背中を合わせた花丸が後ろからそう呟いた。

時計の針の音と本をめくる音だけが図書室に響く。

それが俺とっては心地よく…花丸にとっては幸せな一時になっていた。

 

「…なんだか、夢みたいずら」

「…ん?」

「…正直、悠さんへの想いは…みんなの方が伝わってて…まるはあんまり、見てもらえてなかったんじゃないかって…」

「そんなことないよ…みんな一人一人見ていたよ

でも、俺の中で花丸が1番だった…ってこと」

 

「お、おら……じゃない、まるはそんな大層なこと…」

「んー、そうかな?

俺は花丸の一生懸命なとこ…好きだけど」

「ま、真っ直ぐ言われると照れるずら…///」

 

「んー…事実なんだけど…」

「じゃあ…証拠…欲しいずら…///」

「…誰か来るかもしれないよ?」

「…鍵は閉めてある…ずら……あの時みたいに…///」

 

「…やっぱり…あの時…」

「ご、ごめんなさい…でも…悠さんと二人きりになりたくて…///」

「怒ってなんかないさ…ただ、少し驚いてる、かな

…花丸がこんなに積極的になるなんて…ね」

「…ゆ、悠さんの前だけ…ずら…///」

 

 

「…好きだよ…花丸」

「…悠さん…///」

 

 

 

 

 

 

 

誰もいない図書室…そこで俺と花丸は唇を交わした。

縋るように服を掴んだ花丸の手をそっと…重ね合わせて。




スクスタのフレンド申請ありがとうございました!
とりあえずMAX上限まで来てるので随時空きが出来たら承認していきます!

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花丸ルート③ ~イメージ?~

スクスタで早く恋になりたいAQUARIUMとかハピトレとかでて欲しい…(曜ちゃんの…衣装…!!)


「そういえば、知ってるずら?」

「ん?」

 

久しぶりの休日、俺と花丸は本屋さん巡りという名のデートをしていた。

 

「本を読む男の人ってかっこよくって…一途って言われてるらしいずら」

「…へぇー…ちなみに花丸から見て俺はどう見えるの?」

「かっこいいのは合ってるけど…かっこよく過ぎて…まるは少し心配になっちゃうずら」

「ふふん、それほどでも~…」

「悠さんのそばに居るのはまるずら!」

「うん、もちろん分かってるよ」

「へへへ……///」

 

頭を撫でる度に嬉しそうに花丸がはにかむ。

詩的に言うなれば…花丸との出逢いは…必然だったのかもしれない。

互いに心を通わせ、紆余曲折を共にし二人で歩んでいく…。

 

…なんて、花丸に言ったら笑われるかもな。

 

「よいしょっ…と…」

「持つよ、花丸」

「だ、大丈夫ずら……あっ!」

とても大丈夫そうな持ち方ではないと判断し花丸が持ってた本数冊を代わりに持つ。

 

「あんま無理すんな」

「えへへ…悠さんは頼りになるずら…///」

「そういえば、花丸の将来の夢ってなんだ?」

「い、いきなりなんずりゃ!?!」

「いや…気になった…だけ」

 

「おらの夢…夢~…」

ううーん…と難しい顔をしながら考える花丸。

 

「作家とか?」

「まる、書くのは苦手ずら…」

 

「じゃあ…先生とか?

ほら、文学とかの」

「先生…なんだか恥ずかしいずら…」

 

確かに…先生姿の花丸を想像してみると…あたふたしてそうだった。

 

「それに………今は悠さんとずっと一緒にいることしか考えてないずら…///」

目を逸らしながらも手を握り答える花丸。

 

「…そうだな、2人で陽だまりの中…一緒にお茶でも飲みながら過ごそうよ」

「…ふふっ、悠さんは作詞家とか向いてそうずら♪」

「ええっ!?…まぁ、確かに歌詞を考えたりしていたけど…!」

「ふふっ、スクールアイドル部の敏腕マネージャーって呼ばれてたずらね♪」

「そ、その話はやめろー!」

 

こうして笑い合う毎日。

変わり映えはしないけど…当たり前にある日常。

それが幸せで…温かかくて…。

ずっと続くと信じたいた。

 

 

「あーあ、こんな事なら花丸がセンターでライブする曲とか考えれば良かったなー」

「お、おらがセンターなんて無理ずら~!」

「そうかな?千歌とかに相談しよっと」

「ちょ、ちょっと待ってずら~!」

 

 

 

 

 

 

この後、千歌に連絡してみると直ぐに快諾してくれた。

他のメンバーも同じく賛成してくれた。

そして、数ヶ月後…花丸がセンターの曲…。

''未体験HORIZON''という曲ができるのは未来のお話…。

俺と花丸の…物語のプロローグに過ぎないお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

花丸ルート

Fin




上手いことくっつけました←
ほのぼのしすぎてむしろもう少しなんとかしたかったなぁって言うのが正直なところです。


次回は……「それでも男ですか、軟弱者!」です←

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聖良ルート
聖良ルート① ~久しぶり~


台風大丈夫かなぁ…
かなりシャレにならない感じになってますが…
金土と仕事です…。


結局、答えが出せないままゴールデンウィーク前に突入してしまった。

 

千歌達に謝ったが…

【ゆっくりで大丈夫だよ♪

私たち逃げるわけじゃないし♪】

【まぁ、悠くんの事だからそんな事じゃないかな~なんて思ってたよ♪】

と言われた。

…まぁ、悩むよな…そりゃ。

 

「…あ、いけね…財布に絆創膏入れとかなきゃ」

もしもの時ように財布の中にいつも絆創膏を入れて置いている。

さっき、ルビィちゃんが靴擦れしたって言った時に貼ってあげて無くなっちゃたんだよね。

 

「えーーっと…財布財布…あああっ!」

手が滑り財布が床に落ち…中に入ってたレシート等が散乱した。

 

「あちゃー…整理しないとなぁ……………ん…これ…」

目に付いたのは…プリクラだった。

Saint Snowの聖良と撮った時の…。

 

「…そういや、連絡最近してないな…

あいつも大学生だっけ」

Saint Snowを卒業して…今は大学に通ってると聞いていた。

 

「……なんか、声聞きたくなってきたな」

プリクラに映っているのは…幸せそうな聖良の顔。

それがどうしても頭から離れず…俺は聖良の声が聞きたくなって仕方なかった。

 

「…よし!」

財布の中身を整理し、俺は準備に取り掛かった。

早くも俺のゴールデンウィークの予定は決まったようだ。

 

 

 

 

──────────────────

 

【聖良 視点】

 

「あ、はいっ!只今お伺いします!」

…ふぅ…何故か今日は…忙しいですね…。

理亞も手伝ってくれて…何とかお店は回ってますが…。

 

「…ふぅ…ちょっとだけ…元気をください…悠さん…♪」

携帯の画面を見てそう呟いた私。

 

あの時、撮ってから…画像は変えていない。

2人で撮った…大事な大事な…写真だから。

 

(っ…いけないっ、お手伝いに集中しないと…!)

我に返り、入口が開き、来店したお客さんに声を掛ける。

 

 

「いらっしゃいま……………あっ…!!!!!」

 

「サブーーーーっ…いやぁ…5月でも寒いなぁ…北海道…」

「ゆ、悠さん…!?」

「おっす、久しぶり」

「な、なぜ悠さんがここに!?」

「…んー…来ちゃったっ」

「え、ええぇっと……」

 

 

 

ど、どうしよう…ほんとに来ちゃった…っ。

あああ、私変な顔してないかな…っ。

と言うか、お手伝いしてるところ見られるの初めてかも…っ、ううぅ…緊張してきました…。

 

 

─────────────────

 

【理亞 視点】

 

(姉さまがいきなり大きな声出すから…何かと思えば…悠って人、北海道に来てたんだ…)

 

楽しそうに話す姉さまを見て…本当にあの人に心を開いているんだと改めて実感する。

 

(姉さま…まるで水を得た魚のような目をしてる)

さっきまでは忙しすぎてため息をついていたのに…。

 

(…それほど…なの…?

…あの人の…影響って…)

聞きたい…けど、聞けない……。

私のモヤモヤが心に残るだけだった。

 

 

─────────────────

 

【悠 視点】

 

「ごめんな、忙しい時に押しかけて」

聖良が手をブンブン振って否定する。

「い、いえっ……あのっ、ここ…営業時間…あと1時間位でおしまいなんですよ…それまで…待ってて…もらえますか?///」

小声で耳元で言うように聖良が喋る。

 

「ん、じゃあお言葉に甘えてゆっくりさせてもらおうかな」

「…はいっ!♪」

 

その後の1時間…聖良は生き生きとお仕事の手伝いをしていた。

理亞ちゃんはちょこちょこ俺の方を見てきて…。

聖良と理亞ちゃんの…お母さんかな?は、こちらを見てあらあらと笑いかけてきた。

 

…と言うか…。

(聖良の仕事着…なんか、綺麗で…気品に溢れるというか…)

思わず見とれた。

そう言えば見るの初めてだっけ。

まぁ……連絡もなしにこう押しかけたらこうなるよな…。

 

 

 

 

──────────────────

 

「お疲れ様、聖良

…仕事の手伝いした後で疲れてるのに俺に付き合って大丈夫なのか?」

「はいっ、全然大丈夫ですっ♪」

 

椅子に座った聖良が嬉しそうに答える。

「あっ、理亞!…どこに?」

「…あっ…いや、その……っ…

汗かいたし…シャワー!」

そう言うと理亞ちゃんは逃げるようにその場を後にした。

 

「す、すいません…あの子…まだ…」

「あはは、理亞ちゃんも変わらないなぁ…

まぁ、それはまた今度ゆっくりと本人と話そうかな」

「ありがとうございます…そうして貰えると助かります…

…それで…今日は?」

 

「…ん、それがさ…

まぁ…ゴールデンウィークだから…って言うのもあって…北海道に…旅行に来たんだ」

「お1人で…ですか?」

「うん、1人で…まぁ、千歌からお土産をねだられたけどね」

 

苦笑いをしながら咳払いをし…本題に入る。

 

「でも…北海道に来た本当の理由は…

なんだか…''聖良の声が聞きたくなった''」

「えっ………?///」

「電話でも…いいかなって思ったんだけど…

久しぶりに顔を見たかったしさ…なんか、プリクラ見てたらそう思って」

「そ、そうだったんですか…///」

「ごめんな、来るなら来るって言えば良かったよな」

「そ、そんなことありません!

…むしろ…私も…お顔が見れて…嬉しいです///」

 

…なんだか、お互い恥ずかしいような

こそばゆいような空気が2人を包む。

 

「…きょ、今日はこのあと…どうするですか?///」

「………………………………あっ」

 

───────しまった。

''大事な事を忘れていた''

 

「泊まるとこ…手配してねぇ…」

「えっ、えええっ!?!?」

「仕方ねぇ…また母さんの知り合いに頼…………」

「あ、あのっ!!///」

 

「…ん?」

「もし…悠さんさえ、良ければ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「泊まっていきませんか!?///」

「…………………え?」




やっと君ここの曜ちゃんゲットしました!
交換で!!交換で!!(大事なことなので2回言いました)
もー…白演出見飽きたよ…驚きの白さだよ…アリエーナイだよ…。

聖良ルートです!
男です!軟弱者です!!!

次回は泊まります!
という事は…部屋はもちろん…???


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聖良ルート② ~泊まり~

聖良さん…作者の中で来てます…!!←


「…ど、どうぞ…」

「お、お邪魔します…」

 

案内されたのは聖良の部屋。

物が整理されていて、ライブ用の衣装も飾ってあった。

 

「あ、あんまり…見ないでください…///」

「あ、ああ…悪い、ついな…

それより、よくすんなり泊まらせてくれたね…

理亞ちゃんとか…親御さんは大丈夫だったのか?」

 

その質問に聖良が目線を泳がせて答える。

「り、理亞は…姉さまがそれで嬉しいなら…良い…と

…親は…まぁ…大丈夫です…(うぅ、本当は彼氏って嘘ついちゃった…お母さんは喜んでたけど…バレます…よね…)」

 

「ごめんな、聖良も…気を利かせて…」

その投げかけに今度は首を横に振る。

 

「い、いえっ!…すごく…嬉しい…です…///」

「…あ、あはは…っ……ん、なんか…照れちゃうな……そろそろ寝ようか?」

「あ、はいっ………………って…悠さん、なぜそこに…?」

 

俺は部屋の壁にもたれ掛かり胡座をかいて寝ようとしていた。

「…えっ…なんか変だったか?」

「そ、そんな所ではなく!…こちらで…寝てください

さすがに、夜の北海道は冷えますよ…そんな所にいたら、風邪を引いてしまいます」

 

「で、でも…そこは…聖良の布団じゃ…」

これは……そういうこと、か?

 

「…で、では…一緒に…寝てください…っ///」

「聖良が…良いなら……」

「…私が…したいんです…///」

そう言って一足先に布団に入り、俺が布団に入るのを待つ聖良。

 

「…じゃあ…失礼します…」

隣に寝かせてもらうと…さすがに2人はいると少しキツかった。

 

「…明かり、消しますね…?///」

「…ああ……」

 

明かりが消え、暗い雰囲気が部屋を包む。

「…なぁ、聖良…」

当然、寝れることも無く、隣にいる聖良に話しかける。

 

「…は、はい?」

「ごめんな、狭いだろ?」

「…い、いえ…むしろ……なんだか…温かい…です…///」

そう言って笑う聖良。

部屋が暗くても…彼女の笑う顔ははっきり見えた。

 

「…ん…確かに…温かい…な…」

静かに聖良の手を握る。

「ひゃぁ…っ!?///」

「…なぁ…聖良……」

 

安心したのか…瞼が重くなる状態と戦いながら話を続ける。

「は、はい…っ?///」

「どうしてだろうな……急にお前の声が聞きたくなったなんて……」

「…わ、私にも…それは……」

「でもな…聖良…の…………声が聞けて…すっごく…安心…でき、た…………」

「…悠さん…?」

「……あり…が……………と……」

 

 

 

 

そのまま俺は眠りについてしまった。

 

 

 

─────────────────

 

 

【聖良 視点】

 

「……あり…が…………と……」

そう言うと彼は寝てしまった。

 

「…悠さん…?…ふふっ、寝ちゃいましたか」

手を握ったまま彼の寝顔を見つめる。

いつもの明るくて優しい顔とは違い、どこか寝顔は幼く…新鮮な感じだった。

 

「…お礼を言いたいのは…こちらの方ですよ…

悠さんからは…いつも…元気を貰いますし…Saint Snowとして活動してた時も…今も…心の支えです

…面と向かっては…言えませんが……私はいつも、そう思ってました///」

 

 

そして、彼が起きないよう…目を瞑り…そっと唇を落とす。

私の初めて…恥ずかしさと…彼にあげたいという一心で唇を交した。

「……寝ている貴方に…こんなこと言うのは…卑怯、かもしれませんが……大好きですっ…//////」

 

もちろん、彼は返事はしない。

でも、自分の想いを…これ以上閉まっておくのはとても困難だった。

たとえ寝ててもいい…自分の気持ちが伝えられたのなら…。

 

「…いつか…貴方に…この言葉が言えるように…それまで…私の事…覚えてて…下さいね…///」

「んん…っ……聖……良ぁ…」

「っ……!!//////」

 

寝言…でしょうか?

…ふふっ、一体私とどんなことをしている夢を…見てるのでしょうか?

 

「…北海道に…居る時だけでもいいので…悠さんの事…独り占め…させてください…///」

最後にもう一度キスをする。

そして、手を握ったまま…私も眠りについた。

こんなにも幸せな気持ちで…寝れることなんて…初めてだった。

 

…どうか…この想いが届きますように…そう心に願いながら。




次回、聖良ルートラストです。

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聖良ルート③ ~見つけた幸せ 気づいた答え~

寝そべりぬいぐるみが増えてきた…。
今部屋にタワーができてる状態なうです←


ピピ……ピピ……ピピ……ピピ………。

 

 

「う……ぅん…っ…」

眠い目を擦りながら鳴ってるアラームを探す。

…しかし、見当たらず音だけが鳴り止んだ。

 

「…ふふっ、意外と朝…弱いんですね♪」

腕枕をした中に聖良が寄り添うようにこちらを見上げていた。

どうやら、アラームは聖良が止めてくれたらしい。

 

「…起きてるなら言ってくれればいいのに…」

「悠さんの寝顔が可愛らしくて…つい…♪」

「…なんか…良いな、こういうの…」

思わず抱き寄せる。

驚いた声を出した聖良だが、抵抗はしなかった。

 

「…んっ…そう…ですね…///」

「…2度寝…しそう…」

「だ、ダメですよ…ちゃんと起きてください…っ」

「…はぁい…」

 

抱きしめていた聖良を離し、頭に手をポンポンと置き、ベットを出た。

「いやー…理亞ちゃんが羨ましいよ…」

「…それは…どうして、ですか?」

 

聖良の厚意で朝ごはんをご馳走して貰ってる中…。

俺は唐突に話を切り出した。

 

「だって、こんなお姉ちゃんがいるなんて…ねぇ?」

「悠さんは…一人っ子ですか?」

「うん、だからこういうの…良いなって」

「じゃあ…今日は…悠さんのお姉さんになってあげますっ///」

「………え?」

「まだゴールデンウィークはありますし…その…一緒にお出かけ…したいんです!///」

「…うん、俺もしたい…な」

「…ふふっ…良かったです…///」

 

嬉しそうに笑う聖良。

俺にもこの光景が…当たり前のように思えてきた。

 

 

 

──────────────────

 

 

 

札幌の街を聖良と共に歩き回る。

東京とはまた違った良さがあり、聖良の説明のおかげで

より一層良さが伝わってきた。

 

「…そう言えば、お店の手伝いは大丈夫なの?」

「ええ、そもそも手伝いは時間に余裕がある時にしているので……それに…」

「…?」

「今は…悠さんと一緒に居る時間を…増やしたいので…///」

「…ん、俺も同じ気持ちだよ…」

 

…何故だろう。

こんな会話も違和感がない。

まるで…………俺と聖良が恋人のような気がしてきた。

(いや……のような…って言うのは…間違ってる、よな)

心のどこかで…分かっていた。

俺は……聖良のことが…。

 

 

 

「…ちょっと、お茶してこ?」

「はいっ♪」

 

2人で喫茶店に入る。

向かい合った聖良の目を見て…話を切り出した。

 

「……なぁ、聖良」

「…?

…はい?」

「……お前…大学出たら…どうするんだ?」

「……………………」

 

店員が持ってきた紅茶を目の前に…ただ、聖良が俯く。

「…すいません、まだ何も決めてなくって…」

「…いや、急な話だったよな…ごめんな、変な話をして」

「……いえ…」

 

2人で黙り込む。

…ええい、黙ってるだけじゃ…埒が明かない。

 

「…俺、さ」

「…はい…」

「浦の星…卒業したら…東京に就職するつもりでいる

…母さんにも…もう話はしてある」

「そう……なんですか……東京……」

「…聖良っ」

聖良の手を握る。

そして、驚いた目をした聖良に想ってる事を包み隠さず伝えた。

 

「…俺と……一緒に…住んでくれないか?」

「……えっ!?!?///」

聖良は吃驚した顔のまま言葉を失った。

顔は少し赤く…それでも目を逸らそうとはしなかった。

 

「…大学卒業したら…俺と一緒に東京で住んでくれ…

その…朝はお姉さんのようにって言ってくれてたけど…

俺はそんなの…嫌だ…だって…俺は…聖良のことが…

1人の女の子として…好きだから!」

「……………………っ……!!///」

「…ようやく…分かったんだよ…

なんで…聖良の声が聞きたくなったか…

なんで…聖良と一緒に寝たり…ああやって抱きしめたりするのが…当たり前のように感じてたか…

それは…どうしようもないくらい…聖良の事が好きだからだよ!

遠距離恋愛なんて無理だ!」

「悠…………さん……っ…///」

「…!

ご、ごめん!俺一方的に話して…!」

「……いいえ…私も…同じです…っ///」

頬を伝う涙…。

そしてより一層力を込めて握られる手。

 

「…ごめんなさい…私…悠さんに先に伝えてたんです///

昨日の夜…悠さんが寝た…後に…大好きって…っ」

「えっ……そうなの!?」

「ごめんなさい…今の私には…そう言う伝え方した…出来なくて…///

でも…今なら言えます…っ…悠さんの事が…大好きだって!」

「聖良…っ」

「卒業したら…会いに…行きます…っ

その時は…力いっぱい…抱きしめて…下さいね…?///」

「…ああ、ガンガン働いて

聖良の事…待ってるから!」

 

指切りげんまんをする俺と聖良。

ようやく…伝わった気持ちと…変わった関係。

それが嬉しくって…少し恥ずかしくって…。

でも、隣で一緒に歩いてくれる聖良を見てると…。

 

「…これが…俺たちの幸せ…だな…」

「?

何か言いましたか?」

「んいや、なんでも…次どこ行こっか?」

「あ、私おすすめしたい場所があるんです!」

「OK、そこにしよっか!」

 

幸せって…実は身近にあるのかも…と思う俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

【3年後……】

 

俺は東京のプログラム系の会社に就職した。

毎日多忙だったが…何とか過ごしていた。

 

 

 

ピーーーーンポーーン。

呼び鈴が鳴り、玄関を開けると……。

 

「…悠さん…っ!」

「うおっ………っ!?」

一目散に抱き着いてきた聖良。

 

「…ただいま…///」

「…ん、おかえり…聖良」

「約束通り…卒業して…東京に来ましたよ…///」

「…待ってたよ…ずっと…」

玄関先にはそこそこ大きめのバックがあった。

 

「…ははっ、準備万端だな」

「この後…また宅配で服とか来るのですが…場所は…大丈夫ですか?」

「当たり前だろー?

…この日のために…ちゃんと聖良の場所も取ってあるよ」

「…ふふっ…嬉しいです…///」

「…やっと…2人で居れる時間が…出来たな」

「…はい…っ…これから…いっぱい…いっぱい一緒に居てくださいね///」

「…聖良…っ」

「…っ///」

抱き着いてた聖良が唇を塞ぐ。

突然の事で押し倒されそうになったが、受止めた。

 

「…ごめんなさい…もう一個…嘘をついてました」

「…嘘?」

「悠さんが寝てた時に…大好きって言ったと言いましたが……実はその時に…キスも…///」

「…そ、そうだったんだ…」

 

寝ている時の俺…無防備なんだな…。

「…もう…私の全ては…悠さんの物…ですよ///」

「…うん、これから…ずっと…貰い続けるよ」

「…はいっ…大好きです……悠さんっ///」

 

 

 

 

 

2人の生活は…まだ始まったばかり。

決して楽でスムーズな道では無いだろう。

しかし、生活用品を整理する2人の顔は……………

どこか幸せそうだった。

 

 

 

 

 

 

聖良ルート

Fin




次回はーーーだーーーれっかなーーー←

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善子ルート
善子ルート① ~不幸体質~


こちらもお待たせしました!
今回は善子ルートです!

千歌→果南→花丸→聖良→善子
統一性が無いのでお馴染みのA×Kです。


「朝付けていたキーホルダーが…ないっ、ない!!」

「………」

 

「あれっ…飲み物買ったのに出てこない!」

「……………………」

 

「コンビニの自動ドア…毎回…ヨハネだけ反応しない…」

「……………………………………」

 

 

…毎度思うが…なぜ善子はこんなにも不運に見舞われるのだろうか?

…まぁ、幸い…キーホルダーは俺が帰り道に見つけたし…

(いや、まさか…帰りになにか蹴ったと思ったらそのキーホルダーだったし)

 

飲み物は俺が次に買ったら2本ちゃんと出てきたし。

自動ドアは単に故障みたいだったし。

 

それにしても善子は運が無い。

本人も自覚はしているようだが…。

 

「ふっ……これは神が与えし…堕天使ヨハネへの…罰に過ぎない…っ!」

と言う、何ともいつもの感じである。

 

「…なぁ、これっていつからこんな感じなんだ?」

「んー、少なくとも…まるが幼稚園時代に一緒だった頃からこんな感じだったずら」

「…幼稚園時代からかい」

「そうずら

工作で作ったねんどの作品が善子ちゃんのが真っ先に壊れて…

外で遊ぼうと1番に外に出たら雨が急に降ってきたり…」

 

「…………………」

もはや聞いてるだけで同情したくなってきた。

 

「ふふん、ヨハネは…罪な堕天使…そのくらいではめげないわ」

「…ホントーかー?」

「ほ、ほんとよ!…というか、ずら丸も余計なこと言わなくていいの!!」

「わわっ、善子ちゃんが怒る前に…まるは図書室に逃げるずら~っ」

 

その言葉を言い残し花丸は図書室に逃げた。

「…全く…ヨハネはこんな事、年がら年中だから…もう慣れたわ」

「…なあ」

「なぁに、リトルデーモン…?

…ふふっ、さては…ヨハネの虜に………」

「お前……''無理して無いか?''」

「…何よ、急に…」

「…そりゃあ……善子は慣れたって自分で言ってるけど…

やっぱり…その…不運に見舞われるのは…嫌、だろ」

 

「…私は昔から…不幸体質なの

遠足の時も雨…おみくじは常に大凶

…さっきみたいなことも…何回もあるわ」

「…いや、自分で決めつけてるだけであって…そんなことは…」

「あるの。

……まぁ、強いて言えば…貴方が一緒にいると…不運なことも…あんまり、起きないかな…って…」

「…えっ?」

「ふっ…なんてね、ヨハネの気のせいよ

変な話に時間使わせて悪かったわね、リトルデーモン」

 

「い、いや…俺は別に…」

「それじゃあ、次の授業があるし…教室に戻るわね」

「ああ、わかった」

「…………………待ってっ」

「…ん、どうした?」

「…その…話聞いてくれて…ありがとう」

「…どういたしまして、不幸体質でもそんだけ素直なら良いのにな」

「う、うっさい!!!」

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

【昼休み】

「…えっ、善子ちゃんの不幸体質?」

 

今日のお昼はルビィと一緒に食べている。

その際、話題の一つとして善子の事について聞いてみた。

 

「…確かに、ルビィも何回も見てるよ

ドッチボールの時に顔に思い切りボールが当たったり

悠さんのボールペン足で踏んで折っちゃったり…」

「…通りでひとつ少ない訳だ…」

「ご、ごめんなさい!…隠すつもりは無かったの…」

「いや、ボールペンひとつでそこまでは怒らないよ

…まぁ、隠した本人は今いないし…」

 

「…でも、ね…ルビィも思うの…」

「…?」

「いつか……本当に不幸な事が起こるんじゃないかな…って

…きっと、今までとは比べ物にならないような…」

「……確かに………な」

本人が気づいていれば……いいんだが…。

 

「ところで…なんで悠さんは善子ちゃんの事を?」

「ん?……あー…いや、なんでだろ…」

「ふふっ、悠さん…善子ちゃんのことが気になってるんだね♪」

「気になってる……のかな…」

 

ただ、アイツのことが心配な…だけ、だと思う…。

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

 

放課後、善子の姿は教室には無かった。

部室にも行ったが…鍵が閉まっていた。

 

「んー、今日はもう帰ったのかな…」

特に用って用は無かったけど…何故か善子のことが気になって仕方なかった。

 

「まぁ、せいぜいあるとすればボールペンの件は1つ物申ししないとな…」

なんて、1人で笑っていると、坂を下った所を辺りに善子が居るのが見えた。

 

 

 

「あ、いたいた…っ

ふふーん…少し驚かせてやろうかな…」

俺も少し早歩きで坂を下り、善子の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あと、数メートルの所辺りで善子の後ろを歩く。

本人に…気づかれないように…そろりそろりと…。

 

(ふふっ……きっと驚くんだろうなぁ……

……………………ん?なんの音だ?)

 

 

 

何かが─────────切れそうな音がした。

視線を向けると…。

 

(……………っ…!!!

木材が…っ!)

建設現場に立てかけてあった木材がメキメキと音を立てて…こちらに倒れ込んできた。

 

 

 

 

 

────────────善子は気付いていない。

「……っ…!」

 

カバンを投げ捨て一目散に善子目掛けて走る

 

間に合うか…っ…!?

畜生…っ…間に合え……っ!!

 

「善子、あぶない!!!!!」

「えっ…………………?」

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、ガラガラと木材が倒れる音と…

…ドサッと人が倒れる音がした。




今回はシリアスです。
果たして2人の運命は……。


【ここで作者からお知らせです

まだ3割程度ではありますが…新作小説の案を練っているところです。
Aqoursな日々を全分岐ルート+作者からの総括を経て…新作に移る予定でいます。
もちろん、ジャンルはラブライブの恋愛小説です。

残りのAqoursな日々も新作小説もぜひお楽しみください。】

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善子ルート② ~危機回避~

せつ菜可愛い!!!!!


「うん、右足首の骨折だね

…というか、何をしたらこんな風になるの?」

 

「…えっと…」

病室で横になりながらブラインダーを持った医者がそう告げた。

診断の結果は───────骨折。

全治2~3ヶ月…との事。

………………善子はと言うと…。

 

「………………」

俺に突き飛ばされて尻もちをついてすり傷を負ったが

大事には至ってない。

 

「…とりあえず、先方の人と話してくるよ」

「あぁ…ごめん、母さん」

 

そう言うと医者と共に病室を後にした母さん。

…部屋には俺と善子の2人。

 

「……ふう」

「…………………………」

 

原因は…縛っていた縄の腐敗だそうだ。

間一髪、善子を突き飛ばして…俺の右足はそのまま倒れてきた木材の下敷きに。

 

「…いやぁ、この先寝たきりかぁ…体なまりそうだよなぁ…」

「……………なんで……」

「…ん?」

「なんで…………助けたの…」

「助けない理由がないだろ?」

「でも…貴方の足が…………」

衝撃で覚えてなかったが…救急車を呼んだのは善子だったみたいだ。

…激痛すぎて覚えてなかったんだけど…。

「…こんなので済んだだけマシだよ…痛いけどな」

「…ごめん…なさい……」

俯いて泣きそうな顔をする善子。

…やれやれ、これじゃあ余計に治りが悪くなるな…。

 

「…そんな顔すんなよ、善子」

「……あっ……………」

抱き寄せた善子が驚いた顔をしたまま…俺の腕に収まった。

「……無事でよかった」

「……悠……………」

「…なんで、上の空だったの?」

「…その…考え事してて…」

「考え事?」

「…うん……なんで…貴方と一緒だと…私の…不幸体質が…そこまで…感じないのかな…って…」

「…善子……」

「…でも、これじゃあ…一緒に居ても…貴方を不幸に…」

「ばーか、何言ってんだっ」

「いたっ…!」

 

デコピンをすると目を瞑り、おでこを押さえる善子。

「な、なにするのよ…っ!」

「たとえお前がどれだけ不幸体質だろうが…そんなの関係ねぇよ

お前が不幸体質でも…俺が幸運体質なら…プラスマイナスゼロ…だろ?」

「そ、そんなこと…分からないじゃない…っ」

「分からないからこそ…全部俺に任せてみろよ

どんな不幸も…受け止めてやるからよ」

「なんで……なんでそこまで…っ」

「……わかんね、けど………善子のことが…好きだから…かもな」

「…っ……こんな、時に……ずるいわよ…っ!」

「ずるいったって…事実、善子の事は心配だし…

…いや、ぶっちゃけ…好きだし…」

「……なによ…こんな時に…っ…

そんなこと言われたら…私…どうしたら…っ…!」

「…だから言ったろ?…全部受け止めてやるってよ」

「…バカね……本当に…」

「馬鹿でもお前の事、守ってやるよ」

「…ありがとう…悠…私…少しだけ…心が軽くなった気がするわ…」

 

ニコッと笑った善子。

いつもの堕天使ヨハネとしての笑顔ではなく…一人の女の子善子としての笑顔だった。

 

 

「あー!悠くんの病室ここだよー!」

「千歌ちゃんっ、病院では静かにだよっ」

「およ?みんなお見舞いに来たのかな?」

「…っ……こ、こほん…っ!

…飲み物、買ってきてあげるわ」

 

「あ、善子…っ!?」

「あれっ、善子ちゃん居たの?」

「ええ、先にお見舞いに来ていたわ」

「やっほ、悠くんっ!」

 

「…千歌ー、病室では静かにな?」

「えへへ…つい………って、なんか凄い光景だね…」

「だろー?…これ、すごい痛いんだぜ…」

「というか、悠くん…結構いつも通りな感じなんだね…」

「んー、痛いけどな……というか、横になりっぱなしなのが退屈っていうか…」

「あはは、悠くんらしいね♪」

 

 

───────────────────

 

 

「…………………」

自動販売機で購入した飲み物を抱きしめる。

 

正直、逃げるように病室を出てきたのは確かだ。

あんなこと言われたら……どうしていいか分からない…。

 

(好き……か……悠が…私の事…を………)

返事が出せずに…病室を出てきた。

多分、本人も気がついているだろう。

 

(ごめんなさい…悠…返事は…まだ…返せない…

けど……私も…あなたのこと…)

…少し…私も…変わってみよう…かな…。

彼の…気持ちに…答えられるように…。

 

 

 

 

─────────────────

 

数日後……

 

 

 

「んー……携帯をいじるのもさすがに何日も経つと飽きるなぁ…」

外で思い切り走り回りたい…。

と言うか浦の星の教室が恋しい…。

 

「…ん、善子から連絡だ……この後お見舞い来る、か…」

なんだかんだ言いながら善子は毎日お見舞いに来てくれてる。

…そう言えば…告白…?の返事がまだ聞いてないな…。

…まぁ、急ぐものでもないよな…本人にも考える時間が必要だし…。

 

 

ガラガラ…っ

(ん………来たかな?)

 

「…おじゃま…します」

「…よ、善子…???」

コンビニの袋を持って善子が病室に来たが…

なにか様子がおかしい。

 

「…どうした?」

「何が…ですか?」

「いや、ですかって……」

口調というか……立ち振る舞いというか…。

 

「…なにかあったの?」

「…いえ、何もありませんよ…♪」

「…だあああ、調子狂うよ!!

どうしたの、ヨハ子!」

「ヨハ子ってなによ!……うぅ、せっかく変わろうって思ってたのに…」

「…え?」

「…その…なりたいのよ…あなたに相応しい彼女に…///」

「…え?」

「…ダメ…かしら?」

「…何かと思えば…そんなの、もうなってるよ

俺の最高の彼女に……」

 

抱きしめると、善子が抱き返して来たのが背中越しに伝わった。

「……いつも貴方には…適わないわね…」

「ふふん、これでも年上だからな」

「…その……完治するまで…ずっと待ってるわ…」

「おうっ、頑張って治すからな」

 

 

早く治して…善子の隣を歩きたい。

その一心で俺は治療に向き合った…。




次回、善子ルート最終話!

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善子ルート③ ~凌駕~

新作を早く書きたいので…本作更新頑張ります!
(もう新作の予測ついてる人もいるかな??)


概ね、2~3ヶ月かかると言われていた足の骨折も…

医者が驚くくらいのスピードで治っていった。

その結果、1ヶ月と少々で退院することが出来た。

 

…まぁ、早く退院したかったのにはもう1つ理由がある。

…それは………………。

 

 

「毎日お見舞い…ありがとうな、ヨハ子」

「ヨハ子言うな!…ふんっ、そ、そんな言葉で…このヨハネが嬉しくなるとでも?!」

「あはは、顔真っ赤だよ?……っと、善子…もっとこっち寄れ」

「きゃっ…!///」

 

善子の手を取りこちらに引き寄せる。

ちょうど車道を走っていた車が水溜まりの上を走り少し水が飛んだ。

 

「…今までの善子なら濡れていたな」

「も、もう…っ……びっくりするじゃない…でも…ありがと…///」

「ふふん、ヨハ子の行動パターンはお見通しだからな」

「な、なんですっ…………!?」

 

言い切る前に唇を塞ぐ。

「隙、ありすぎ」

「なっ……あ、あああっ……!///」

 

完全に面を食らったのか、口をパクパク動かしながら

唇を押さえる善子。

 

「…まぁ、でも…恋人なんだし、これくらい普通…だよな?」

「に、にしても…!

心の準備ってものが…!」

「そこは俺の行動パターンを見通さないとな!」

 

「…そんなの…無理よ……貴方はいつも予測不能で…ヨハネの心を惑わして……」

「ん、どうした?」

「な、なんでもないわよ!早く学校行くわよ!

リトルデーモン!」

「へいへい」

 

 

 

─────────────────

 

【善子 視点】

 

彼は…大怪我をしても私に笑いかけてくれた。

そして、私の不幸を…全て受け止めてくれると言ってくれた。

 

…正直、半分くらい…信じていなかった。

でも、一緒にいる時間が増えて…気がついた。

 

(飲み物を買ってくれたり…私がどこに何を置いたとか…よく見てくれてるし…)

彼には言えないが…自分って不幸だな…って思うことが少なくなった。

…むしろ、幸せ…って思うことの方が多くなった。

(本人には…口が裂けても言えないわね…まだ…)

 

笑う回数も増えて気がするのは…私の気のせい…だろうか?

それとも…彼の…人徳、なのだろうか?

 

(でも…私…悠の前だと…普通の女の子になってる気がする…)

もちろん、ヨハネという存在も受け入れてくれてる…。

けど…どうしてだろう。

悠の前だと…普通の女の子で居たい。

そう思えるのは…。

 

「ほんっと…おかしな人…っ」

くすっと私が笑うと授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

逢いに行こう……私が恋をした…大好きな彼の元に。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「うぅ…まさか雨が降るなんて…」

「善子って雨女なのかなー?」

「う、うるさいわねっ!」

「とまぁ、冗談はさておき…こんなこともあろうかと折りたたみ傘をカバンに入れて置いてるんだよねー」

「…用意がいいわね…」

「そりゃあ、伊達に善子の傍には居ねぇからな」

 

傘を広げて善子の頭の上に差す。

「ほら、入れよ?」

「えっ………でも…」

「…あのな、彼女濡らして自分が濡れずに帰るなんて俺はしたかねぇぞ?」

「……あり、がと……///」

 

肩と肩が当たるくらいの至近距離。

…善子の抱きつく力も…今日はどこか…強かった。

 

「…たまには…こんな不幸体質も…いい、わね…///」

「んー?なんか言ったか?」

「なんでもないわ……そうだ、今日…ウチに寄っていかない…?///」

「嬉しいお誘いだね、ぜひお邪魔しようかな」

「…その…もし、悠がいいなら…泊まって言っても…いい、わよ…///」

「親御さん…大丈夫なのか?」

「その…報告もしたかったし…///」

 

「…えっ?」

「なんでもないわよ!泊まるならとことんゲームに付き合いなさーい!」

 

いつの間にか…空には晴れ間が出ていた。

2人のこれからを祝うかのように…虹も顔を出していたことに…2人は気が付かなった。

どこか、幸せそうな顔をする女の子と…。

それを困り顔しながらも追いかける男…。

 

2人のこの先の道は…きっと、晴れが続くだろう。

 

 

 

 

 

 

善子ルート

Fin

 




次回…分岐史上、1番の問題作?笑

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鞠莉ルート
鞠莉ルート① ~後任~


と言うわけで鞠莉ルートです。
物語は3年生が卒業する少し前に遡ります。


それは、卒業式1か月前のことだった。

 

「…え、次期生徒会長?」

「そうですわ、長年…浦の星女学院では生徒会長を推薦して次期生徒会長として選ぶようになっていますわ」

「…つまり、ダイヤが次の生徒会長を選ぶって…こと?」

「さしずめそういうことになりますわ

…そして、その候補に…悠さん、貴方を推薦します」

 

「…えっ、俺ですか!?」

「オフコース♪

Aqoursのみんなも賛成するし…ほかの生徒達もOKを出すと思うわ~♪

悠ってば、意外と評判いいのよ~♪」

 

「知らなかった……じゃあ、理事長は!?」

「それはまだ未定…undecidedって所かしらね?」

「そ、そうなんだ……わかりました!推薦してもらったらからにはしっかり生徒会長を務めます!」

 

 

 

 

────────────────────

 

(……と言うのが卒業式の1か月前のこと…)

 

そして、今俺は全校生徒の前に立っている。

朝礼も慣れ始めたが…やはり、首元がきゅっと締まるような感じだ。

 

「………以上、風紀委員からのお知らせでした。

それでは、本日の朝礼はこれで………」

「Don't stop~~!!!」

 

突然体育館に響く声。

しかも聞き慣れた声だった。

 

登壇したのは………鞠莉、だった。

「えっ…鞠莉ちゃん!?」

「卒業したんじゃ…!?」

「でも…ここにいるってことは…?」

 

 

そして、俺の横に立ち、話し始めようとしていた。

「…コホン、久しぶりね~♪

元在校生アーンド新理事長の小原鞠莉よ~♪」

「…えっ、鞠莉…理事長続けるの!?」

「正式に決まったわ♪

みんな、これからもよろしくね~♪」

 

状況が呑み込めない生徒達だったが数名…また数名と拍手が起こり始めた。

それに手を振り答える鞠莉。

 

「…あと~…もうひとつ、ハッピーなニュースがあるわ~♪」

話の続きがあるようで、鳴っていた拍手が止んだ。

 

「…悠…♪」

「…えっ、えっ…?」

手を握ってきた鞠莉。

そして、とびきりの笑顔を俺にしてくれた。

…最も、された俺はなんのことはさっぱりだったが。

 

 

「…小原鞠莉………''ママ''になりまーす!♪」

「………………………」

 

千歌「…………………」

曜「…………………………」

梨子「…………………………」

花丸「…………………」

ルビィ「………………………」

善子「……………………は?」

 

 

「「「「ええええぇえぇぇええええ~!?(ぴぎゃあああああああ!?)」」」」

 

「は!?…ど、どういうこと!?」

「もー♪どういうこともなにも……妊娠2ヶ月目よ♪」

「…は?…えっ…は!?」

 

「る、ルビィちゃん!ルビィちゃん!」

「ぁ…あぁ……うゅ……///」

「…完っ全に、ショートしたわね…」

 

「…あー…やっぱり悠くんは種無しでは無かったのね…

うぅ、千歌も期待してたんだけど…」

(期待、してたんだ……千歌ちゃん)

(というか、鞠莉ちゃんも何も全校生徒の前で言わなくても…)

 

 

 

「と言うわけで~…♪

小原鞠莉と冴木悠は…晴れて恋人…どころか~!?

夫婦になる予定でーす!♪

生徒会長&理事長共々よろしくね~♪」

 

 

 

 

………俺は、この時…誰かが言った…

【お前がパパになるんだよ!!】のセリフは一生忘れないと思う。




次回は衝撃のカミングアウト後のお話です。
(分量少なくて申し訳ねぇ…)


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鞠莉ルート② ~説明と説教~

問題作ルート(ぉぃ)のパーーーート2でございます。



「ちょ、ちょっとちょっと!!」

「oh...wait…wait…がっつく男の子は嫌われちゃうわよ?」

「そ、そうだな………っておい!」

 

集まった生徒達が凍りついた朝礼後…俺は理事長室に向かった。

あの、カミングアウトの説明を聞きに…だ。

 

「い、いつから!?」

「んー…2ヶ月前だから……ちょうど、ここでやっていた時の…かしら?///」

 

…ああ、あの時か……(R版26話参照)

「…なんてこった…」

ソファにドサッと座り込む俺。

 

「あら…嫌だった…かしら?」

「嫌…じゃない…けど…高校生でパパって…」

「んー…私も、最初は女の子の日が来なかった時はWhy?って思ったんだけどね~…検査してみたらビックリ!お腹に子供が────────」

 

「だああああ!わかったわかった!…で、今後はどうするのさ…」

「あら、さっき言ったでしょ?♪

理事長を引き続き続投するって」

「…いや、その後だよ……」

「まぁ、産休には入ると思うわ♪」

…まさか高校3年生になって産休で…なんて言葉を聞くとはな…。

 

「…それで……悠?

責任…取って…くれるかしら?///」

「…子供作って逃げるほど心無い男じゃねぇよ…俺は

鞠莉も、生まれてくる子供も…幸せにさせてみるよ

…まだ将来のこととか…何も考えてないけどな」

「ふふっ、そう言うと思ったわ♪

大丈夫…2人で一緒に考えていきましょ…♪」

 

そう言うと優しく抱きしめてきた鞠莉。

まだ感じ取れないが…お腹には…鞠莉と俺の…子供が…。

 

 

「…あら?千歌っち達が覗いてるわよ?」

「…………え?」

「………むーーーーっ……!…んっ!!」

めっちゃ素早く手招きされた。

恐る恐るついていくことになった。

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

「なーーーーにしてんの!!!」

「………………はい」

 

連れてこられたのは部室。

そして俺は正座。

 

どうどうと宥める曜と梨子。

「もしかしてあれ?自分のタイミングで種無しとか出来る能力とか持っちゃってる感じ?」

「…それは…違うと思う……」

「じゃあなんで千歌には出来ないのー!!…はっ!体の相性とか!?」

「ち、千歌ちゃん!それは高校生の発言としてどうかと思うよ!?」

「お、落ち着いて~…!」

 

「悠くんのバカー!種無し柿!巨峰!スイカー!!」

絶賛怒りんぼ大会中の千歌。

…と言うか、千歌も望んでいたんだね…。

 

「…こうなったら鞠莉ちゃんに直談判して命名権を譲り受けてもらおう…」

「ちょっ、千歌ちゃん!?趣旨変わってるよ!」

「あ、ああっ!理事長室に行っちゃった…!」

 

慌てて千歌の後を追う曜と梨子。

「……でもね…私も少し…思ってたんだ…

悠くんの子供…どんな姿かなって」

「…これを聞いたのは…内緒…だからね?

…しっ、よ?♪」

 

(……ははっ…とことん罪な男だな…俺)

どこか諦めたような笑みを浮かべる俺だった。

 

 

─────────────────

 

 

【鞠莉 視点】

 

「…お久しぶり、です」

【ほいほーい?どうしたのかしらー?】

 

理事長室で1人…電話をする私。

相手は…悠のお母さん。

 

「…すいません…突然のお電話」

【むむ、その畏まった態度…何かあったかしら?】

「…えっと…実は………」

 

 

…………………………………………

 

 

【……はぁ、あのバカタレ……本来なら勘当物だよ…】

「…すいません…ご報告が遅れて…」

【…なってしまったものは覆せない…あの子には責任もって働いて支えるように言っておくわ…しっかし…子供ねぇ…】

「……ええ、恐らくは…年末…12月頃が10ヶ月になるので…産まれる…かと」

 

【…怖い?】

「…っ……」

図星を突かれた。

いつも通り…彼の前で振舞っていたが…私自身…怖かった。

…そう……特に…''あの人''に言うのが。

 

【…でも、貴女自身…あのアホ息子と一緒にいるって決めたのでしょ?

…大丈夫…あんな子だけど…馬鹿みたいに優しいから…貴女の事しっかり支えてあげるはずよ

怖い気持ちも…焦る気持ちも…全部受け止めてあげるわよ、きっと】

「…はい、ありがとうございます」

【そんじゃ、バカ息子に電話でもしてみるわ~…じゃね♪】

 

 

 

 

ツーツーツー…っと電話が切れた。

(全部…受け止める………か)

少しうつむき加減で…携帯を見つめる。

…怖い…けど、彼と一緒に歩きたい。

その一心で…私は電話を掛けた。

 

「──────────もしもし」

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「むむむ…鞠莉ちゃん電話中だった…」

「そりゃあ、理事長の仕事してるからね」

「また放課後に来ましょ、千歌ちゃん?」

 

「ぶーぶーっ、そんな事してたら悠くんがまた鞠莉ちゃんとちゅっちゅくちゅーしちゃうよー!」

「………あのなぁ……ん?」

 

携帯が鳴ってる。

「悪い、少し外す」

 

着信は母からだった。

「……もしもし?」

「まーーーーーーーー、悠くんパパー?????」

「…鞠莉のやつ………………」

「というのは置いておいて…なにしてんの、バカ息子」

「…すいません…一生の不覚です…」

「そんな御託はいいから、しっかりあの子のこと支えなさい

卒業したらすぐに働くとか…これから考えること、山積よ?」

「…わかってる、こうなったからには…俺自身、どうしなくちゃいけないのか…考えなきゃいけないことも」

「…ん、ならいい

それより、彼女の傍にいてあげなさい?

…気がついてないだけかもしれないけど…彼女も悩んでいる、みたいよ?」

 

「…え?」

「話はそんだけ、と言うかたまには連絡しなさいよー?

……んじゃね」

 

 

 

そう言うと母からの電話は切れた。

(……鞠莉が……悩んでる?)

その悩みの種の心当たりは………………

俺には見当たらなかった。




次回、鞠莉ルート最終話です!

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鞠莉ルート③ ~はじめまして~

スクスタの補填…皆さんどうお過ごしでしょうか←
ところでCHASE!…いい曲ですよね…


ある日のこと……校内放送で理事長こと…

鞠莉から呼び出された。

 

授業中もお構い無しに呼び出すのはさすがに勘弁してくれ…

周りからはパパとか呼ばれるし…(主に千歌から)

 

「鞠莉~…どうした~?」

「あ、悠♪

久しぶりだねっ」

「果南…!…それにダイヤも…!」

「卒業式ぶりですわね…悠さん」

 

そこには果南とダイヤの姿があった。

「…鞠莉…どうしたの?」

「まだこの2人には報告してなかったから…今しようかなって♪」

 

…………え?

「……それって………………」

「果南…ダイヤ…実はね…………………」

 

 

…………………………

 

 

 

「えええええええ~っ…!!??」

「はああああああ~!?!?!?」

「えへへ…報告が遅れて…sorry…♪」

 

「ゆっ、ゆゆゆゆっ、悠…が…お父さんに…!?」

「…えーーっと………」

「ど、どういうことですか…っ!!?

あれほど秩序を守ってと…!///」

「ど…………どういうことだろう……?」

 

 

「2人ともリラックス、リラックス…まぁ、悠も意図的に…って訳じゃないんだし…」

「そ、それにしても…!」

「……まぁ…確かに…結婚はできる歳ではありますが…」

「ええっ、ダイヤ納得した……!?」

 

「…それで、鞠莉さん…これからどうするのですか?」

「それを悠に伝えるところよ♪」

 

そういうと鞠莉が俺の手を掴みにっこりと笑った。

「行きましょ?♪」

「………どこに?」

 

「ふふーん、そーれーはー♪」

…なにやら校庭が騒がしい。

 

 

手を引かれ…校庭に着くと…そこには…。

「なっ──────────」

「このhelicopterに乗れば分かるわ~っ!♪」

自家用なのだろうか…ヘリコプターが着陸していた。

 

「ど、どこに行こうって言うの…っ…!?…うわああ!」

ずいずいと押されるようにヘリコプターに乗せられた。

後を追うように鞠莉も乗ってきた。

 

「じゃぁ、行きましょ!♪

いざ、イタリアへ……シャイニーっ!♪」

「はあああああああああああ!?!?!?」

 

驚きの声も空へと消え…ヘリコプターは離陸してしまった…。

 

 

 

 

 

「…悠って、絶対尻に敷かれそうだよね…」

「ええ…鞠莉さんが相手なら…尚更そうなりそうですわ」

 

「あっ、果南ちゃん!それにダイヤさんも!

…なんかヘリコプターの音がしたけど…あれは…?」

「…えぇっと…悠が鞠莉と一緒に…イタリアに…」

 

「…………………………え?」

 

ええぇぇえええええ…!!!…………と今度は千歌の声が校庭に響き渡るのであった…。

 

 

─────────────────

 

 

「ちょ、ちょっと!イタリアってどういうこと!?」

「wait…wait…順番に説明するわ」

 

空高く外の風景を見ながら…鞠莉がゆっくり話し始めた。

「…これから…ママの所に行くわ」

「……えっ……鞠莉の…お母さんのところ?」

「そうよ、イタリアの家を飛び出して…内浦に来て以来の…顔合わせよ」

「…そ、そうだったの…!?」

 

「…まぁ、あんまり良くは思われてないし…顔を合わせたら何を言われるかもわかんない…ましてや、私のお腹に…なんて、言えないし…」

「……鞠莉」

「…あっ…sorry……マリーも…少し、怖くって…」

 

俯いて唇を噛み締める鞠莉。

……いつかは、こうやって報告しなきゃいけない日が来るって…鞠莉も分かってたんだろう。

 

「…大丈夫…月並みな事しか言えないけど…俺がついてるよ」

「…悠……ええ、ありがとう」

「…でも、イタリアに行くのに手ぶらって…」

「あ、それなら平気よ♪

既に悠の衣類や使いそうな物は持ってきてあるし♪」

「…用意周到なことで…」

 

 

 

 

─────────────────

 

 

なっがいことヘリコプターに乗ること…13時間。

イタリアに着いた。

 

とりあえず、今日はホテルに泊まり…明日、鞠莉のお母さんと顔合わせをするようだ。

 

「…ふふっ、まさか悠とホテルで一緒に過ごすなんてね♪」

「計画してヘリに乗り込ませたのは鞠莉だろ……

ってか…その格好…」

「あら、嫌いかしら?…ネグリジェって言うのだけど…」

「…いや…薄すぎない…?」

 

もはや下着とか全然見えてるんだけど…。

「もぅ、そんなこと…気にするような間柄じゃないでしょ?///」

「そ、そうだけど…っ」

「夜はまだ長いわ……今日はマリーと一緒に…ね?///」

 

 

 

………据え膳食わぬは男の恥…ってか。

「…寝かさないからな?」

「きゃーっ…///…マリー…悠のこと本気にさせちゃった…♪」

 

色っぽい声とともにどこか体をくねらす鞠莉だった…。

結局、俺と鞠莉は夜更かしをした…。

恋人として…する、初めての交わりだった。

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

──────────次の日。

「…さっ、悠…準備出来たかしら?」

「出来たけど…なんでスーツなんだ?」

それも3年生の3人からプレゼントしてもらった時の…。

 

「あら、スーツはジェントルマンの嗜みよ?

…と言うのは建前で…本当はマリーが一番先に…悠のスーツ姿を見たかったって言うのが…本音よ♪」

 

「…鞠莉……でも、俺ジェントルマンじゃないけど…」

「日本で言わない?…変態紳士って」

「誰が変態紳士だ!!…………って、間違ってないのか……???」

 

むむむ…?と考え込む姿を見て鞠莉が思わず吹き出す。

「ふふっ…良かった…いつもの悠ね♪」

「鞠莉こそ、いつもの鞠莉だな」

「ええ、悠のおかげでね?…行きましょ?」

 

鞠莉と一緒に来た所は…いかにも高そうなレストランだった。

通された部屋は……VIPルーム。

(さすが……小原家…)

 

扉を開くと…そこには、赤いスーツを着た。

正しく、貴婦人が座っていた。

 

「……久しぶりね、マリー」

「…ママ……」

「…と、そこに居るのが…御相手?」

 

その質問に鞠莉が頷く。

「…立っているのも疲れるでしょ?座りなさい?」

その言葉に俺と鞠莉は鞠莉のお母さんと向かい合うように座った…ものつかの間。

 

「…困るわ、お見合いの話が最終段階に進んでるって言うのに」

…お見合い?

「ママ…それは…っ!!!」

何か言いたげだって鞠莉だが…隣にいる俺を見て…言葉を飲んだ。

 

「小原家に相応しい人を見つけたのに……家を勝手に飛び出して…それで見つけた相手が…メインディッシュに添えられた野菜のような男デスか?」

……む、なんか俺も癪に障る…。

 

「ママ……この人は…そんな人じゃない!

マリーが心から愛した人なの!…高校生活も…最後の3年生としての1年間をすごくかけがえのないものにしてくれた人なの!

…それを…そんな風に言うなんて…ママでも許さない!」

 

語気を強めに鞠莉が言う。

しかし、母親は断固として表情を変えない。

 

「…そもそも、貴方は日本に何をしに行ったの?

幼なじみと仲良しこよしをするため?」

 

「…っ…そんな…!」

「──────────あの」

 

手で鞠莉を制す。

……しっかり鞠莉に結んで貰ったネクタイを解いた。

正直、ネクタイ…首元キツくて嫌いなんだよな…。

 

「お言葉を返すようですけど……貴方は鞠莉が本当に日本で無駄な時間を過ごしたと思ってるんですか?」

 

「……YES、と言ったら?」

「だとしたら…それは大きな間違いです。

見当違いも甚だしいです

……鞠莉は本当に幸せそうな顔をしてました。

1番近くで見てきたから俺は分かります、誰よりも

そんな子が…自分から連絡もしなかった母親とこうやって顔を合わして…自分の好きな人を見つけたと報告したんですよ……親として…応援してあげるって…思わないですか?」

 

「……小原家の問題に首を突っ込まないで欲しいわね」

「……っ……いつまで…そんな意地張ってんだ……

親なら親らしく!!

自分の子供の幸せを願ってなんぼだろうが!!!!

可愛い子には旅をさせよって言うだろーが!!

今はまだ俺の事認めてねぇのかもしれないけど絶対に認めさせてやる!!」

 

「ゆ、悠…っ…?」

「…はぁ…はぁ……こっちだって…本気で好きになった女……簡単に諦めてたまるかよ…!」

「…っ………!///」

 

 

「……………………………」

小さくため息をついた鞠莉のお母さん。

 

 

「…分かったわ…ただ、まだ認めては…いないわ」

「ま、ママ…っ?」

「貴方…高校三年生…だったかしら?」

「……はい…」

「卒業したら…大学に行って経営学を学びなさい」

「…経営学…?」

「小原家に相応しい男性になるのだったら…ゆくゆくはホテルの経営などに携わってもらいます」

 

「…………………」

「マリー」

「…う、うんっ…」

「あなたも物好きね…こんな情熱的な人を好きになるなんて」

 

「……あっ…………」

「私と…小さな生命を…失望させないようにね」

 

「…気づいてたんですか…」

「マリーがお腹を何度も摩るのをみて…もしや、とね

…あなた達が本気で愛し合ってるのであれば…どうこういうつもりは無いわ」

 

「…………………」

「…じゃあ、私は行くわ…あとは2人でゆっくりランチでもしてゆっくりしてなさい」

 

 

そう言うと鞠莉のお母さんは部屋をあとにした。

 

 

「…これで…良かったのかな?」

「…分からない……けど…………」

 

ふふっと微笑む鞠莉。

「きっと…伝わったはず、よ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

時はめぐり…12月。

「予定日はいつなの~?」

「んー、24日とかになりそうかしら?」

 

「クリスマスが誕生日~?いいなぁ~♪」

大きくなったお腹を擦りながら千歌が呟いた。

産まれてくる子供の名前…鞠莉も千歌に付けさせるのを了承した。

 

「…それで、千歌?

どんな名前にしたの?…男の子だけど」

「ふふーん、じゃじゃーん!」

 

筆で書かれた半紙には…''悠哉''と書かれていた。

 

「とっても良いわぁ~千歌っちに頼んで正解ね♪」

「…しかし、なんで悠って字を使ったんだ?」

 

「そりゃぁ、悠君のように誰かを引っ張って元気づける明るい子になって欲しいからだよ!」

「…親の名前を取って付けると親よりも大成しないって昔から言われてるんだけど…」

 

「………へ?…そうなの?

じゃあ、亜久亜(あくあ)とかの方が良かったかなぁ~?」

「…いや、悠哉でいい…」

 

 

 

 

千歌が十千万の手伝いで家に戻り…俺と鞠莉の2人きりになった。

「…悠哉…かぁ……となると…マリーも冴木鞠莉になるのかしら?」

「気が早いよ……せっかく大学受かったのに…」

 

あの後、猛勉強の末…名門大学に受かることが出来た。

…とはいえ、まだスタートラインにたったばかりだ。

 

「…期待してるわ、あなた♪」

…でも、鞠莉と2人で………いや、3人か。

千歌が言ったように鞠莉と…俺と鞠莉の子供を引っ張っていけるような存在になりたいと心から思う…俺だった。

 

 

 

 

 

鞠莉ルート

Fin




鞠莉のお母さんの口調が変ですがお許しください!!

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梨子ルート
梨子ルート① ~連弾~


お待たせしました!梨子ルートでございます!


俺は音楽室で…1人、ピアノを弾いていた。

誰も居ない中…静かにピアノの音色だけが響く。

 

 

 

………………すると…。

 

「…綺麗な音がすると思ったら…やっぱり悠くんだった♪」

「ん……っ…ああ、梨子」

 

弾いてる手を止め…音楽室に入ってきた梨子に視線を送る。

「ふふっ、先にピアノ弾かれちゃってた♪」

「…もう一節…弾かせてくれる?」

「もちろんっ、悠くんのピアノ…私は好きよ♪」

 

「…ふっ…ありがとう」

椅子に座り…静かにピアノの音に耳を傾ける梨子。

そして、俺は止めていた手を…再び動かした。

 

演奏してる楽曲は…''いつくしみ深き''

結婚式などで使われる…賛美歌だ。

 

「………っ………ふぅ……」

波が徐々に静まるように…ピアノの音が鳴り止んだ。

そして、ただ1人…拍手を送る梨子。

 

「ふふっ…素敵な演奏だったわ♪

…でも、どうしたの?…賛美歌なんて…」

「…これを…梨子に送る曲…って言ったら…変、かな」

 

「…えっ?」

俺の言葉に耳を疑う梨子。

 

「…思えば…一番最初に…デートした時から…好きだったのかも、しれない……」

「…悠…くん…?」

「…この曲…覚えてる?」

 

そして、梨子が話す前に一節…再びピアノを奏でる。

北海道にAqoursのメンバーと言った時に…演奏した。

''待ってて愛のうた''…今思えば…この曲をどうして作って…あそこで演奏したのかも…分かる気がする。

 

「…ごめんな、待たせて…俺が本当に好きなのは……梨子、お前だよ」

「っ………………!!//////」

信じられないような顔で口を押さえる梨子。

 

「…一緒に、ピアノ…弾こっか!」

「……はいっ…!///」

 

2人で座るには…少し小さいピアノの椅子。

でも…こんな距離感はデートの時…以来かな。

 

「……なに弾きたい?」

「ふふっ…悠くんの好きな曲で良いよ♪」

「…じゃあ、恋人として…もう一度、賛美歌…弾こうか」

 

その問いに梨子が嬉しそうに頷いた。

連弾なんて…初めてやったが、驚くくらい息ぴったりに演奏が出来た。

 

「…どうしよう…私…今すごい幸せ…///」

「…俺も、幸せだよ」

「ねぇ…悠くん」

「…ん?」

「ありがとう…こんな私を…好きになってくれて///」

「こんな、じゃなくて…梨子がいいんだよ

他の誰でもない…桜内梨子が好きなんだ」

 

「…ふふっ…面と向かって言われちゃうと…照れちゃうね…///」

そう言いながらも照れくさそうに笑う梨子。

そして、ピアノを弾くのをやめ…梨子の顎を少し持ち上げる。

 

「…ふぁ…っ…///」

「…だから、これからはずっとそばにいろよ」

 

ピンッ……と一音鳴ったのを合図に…俺と梨子はキスをした。

「こんな…口付けされたら……もう貴方の事しか…見れないよ…///」

「梨子…こういうの好きだもんな」

「…もっとせがっちゃうかも…///」

「何度でもしてやるよ」

「…もう………馬鹿……///」

 

「……馬鹿でも好きだろ?」

「……大好き……///」

恥ずかしそうに…呟く梨子だった。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

その日の夜…。

俺は梨子の家に泊まった。

…と言っても、十千万の隣だし…すぐなんだけどね。

 

「さっぱりした~…」

「ふふっ、いい湯加減だったでしょ?♪」

「ああ、おかげで暖まれたよ」

 

飲み物を差し出され、一気に飲み干す。

「…そう言えば…泊まるのは…初めて…だね///」

「…そういやそうだなぁ…」

「…あ、あまり…ジロジロ見ないで…///」

 

…それは本棚とかのことを言ってるのか?

というか…梨子の趣味は既に分かっているのだけど…。

 

「見ないよ」

「ほっ………」

「…さて、と…この後はどうする?」

「んー…特にすることは無いし…寝ましょう?

…あっ、そうだ!♪」

 

どうやら何か提案があるようだ。

「明日、お出かけしましょ?♪」

「いいねぇ、正真正銘恋人としてのデート?」

「うんっ!///」

 

こうして…次の日の予定を立て…俺と梨子は一緒のベッドに入った。

 

「…悠くんの腕…大きいね…///」

「…ドキドキする?」

「…ドキドキ…しっぱなし…///」

「あはは、これから慣れていかないと大変だよ~?」

「じゃあ…慣れるために…これからも…いっぱい…いっぱい…やってね…?///」

 

 

 

そう言うと口付けをし、背中向きに眠りについた梨子。

俺も梨子を後ろから抱きしめ…そのまま眠りにつくのであった。




次回はお出かけ編!

電撃G'sを買い忘れたA×Kです。
曜ちゃん……( •︠ˍ•︡ )

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梨子ルート② ~いざ、お出かけ!!~

しゅかしゅーとかに見て貰えないかなぁ……
とか絶対に叶うことのねぇ淡い期待を抱きながら小説を投稿してるA×Kです。

天変地異でも起こらない限りないですね、わかります。


(んんん………あれ…まだ夢の中……か?)

(梨子の姿が見えないし…夢…かぁ…)

 

【あぁいださん、料理出来るよォ!?】

「(……な、なんだ…?)う……ううーん…」

 

【あ、さっきね?…チョコ…梨子のお腹の上で温めておいたんだっ】

(……あーーー…うん?)

 

【儲かってんだからいいでしょーーー!!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬわああああ!!」

なんとも言えない夢から覚め、勢いよく布団をめくると…。

 

 

「…あっ………………」

「…へ?」

 

…梨子がお着替えの真っ最中…だった。

「…あー…っ…えっと……///」

「………その…おは、よう…?」

「……あっ……お、おはよう!…あは、あはは…///」

 

しかもタイミング良く…下着を着け終わった所。

「…えっと……ご、ごめん!!そんなつもりは!」

「だ、大丈夫大丈夫っ!…着替えてから悠君のこと起こそうって思ってだけだし…!」

 

猛スピードで布団にくるまる。

下着姿を見ただけで恥ずかしくなるのはどうしてだろうか

…いや、見られた方も恥ずかしいだろうけど…。

 

「……そ、それに…恋人同士なんだし…見られても…不思議じゃないっていうか…///」

「……り、梨子…」

「だからって、マジマジと見るのは…禁止…///」

「……………あ、あぁ……」

 

恐る恐る布団から顔を出すと…ちゃん着替え終わった梨子が頭を撫でてきた。

 

「…ふふっ、なんかこういうのも新鮮かも…♪」

「朝からバタバタだな…こりゃ」

 

「いやぁ~…お二人共朝からアツアツですなぁ~」

「「…あっ」」

 

隣の部屋から頬杖を突きながら千歌が呟いた。

「それってあれ?新婚夫婦?

いやぁ、夏もビックリなくらいアツアツ~……あ、シイタケの散歩行かなきゃ」

 

そう言い残すと千歌は部屋をあとにした。

「…あ、あはは…恥ずかしいところ…見られちゃったね///」

「…まぁ…これも…恋人ならではってことで…」

「そ、そうだねっ…!///」

 

照れくさそうに着替えを済ませて…家を出る俺と梨子だった。

 

 

 

─────────────────

 

 

「それで、どこに行くの?」

「まぁまぁ、行ってからのお楽しみだよ」

 

バスに乗車し、二人席に座る。

まだ梨子には行先は告げていない。

 

「バスに乗るってことは~……沼津?」

「へへーん……正解は~…!!」

 

 

着いた瞬間…梨子の顔が引きつった。

「な、なんで…秋葉原なの…?」

「…あれ、こういう場所…嫌いだった?」

「嫌いじゃないけど……!!」

「大丈夫、梨子の趣味は知ってるし…むしろ、もっと教えて?

彼女の大好きを…俺も共有したいし」

「…悠くん…///」

「その……梨子がして欲しい時に…出来るように…俺も勉強したいっていうか…」

「…じゃあ、今日は私のことをもっともっと知ってもらうデート……だねっ///」

「おうっ、たまには梨子のエスコートもいいかもなっ」

 

 

そして、梨子が連れてきたのは…本屋だった。

「…こ、これとか…どうかな?」

「ま、股ドン……?」

股ドンだドン!と俺の頭の中で赤い何かが喋ったが…気にしないでおこう。

 

「…も、もう…悠くん…学校の屋上でしたじゃない…///」

「…あ、あはは……」

「あとは…こんなの……とか?///」

 

肩トンに………うわ、唾液の交換…?

なんかどんどんエスカレートしてきてるぞ…。

 

「…その…悠…くん?///」

「ん、な、なにかな…?」

「……帰ったら…やってくれる、かな…?///」

 

俺は頷く以外に選択肢は…無かった。




次回は梨子ルート最終話!
長めに仕上げたい…!


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梨子ルート ③ ~変わらない日々~

スクスタの8章が解禁しました!
…まだ、半分くらいしか言ってないけど…あのキャラ…誰?


デートの後、少し梨子の様子に変化が現れた。

というのも……。

 

「悠くん…頭…撫でて…?///」

「もう少し…ぎゅーっ…てしてたいな…///」

 

と、甘える回数が増えてきた。

そして今日は休日…梨子の部屋にいるが、もちろん梨子は甘えん坊モードだ。

 

「…ん…悠くん…キス…///」

「……そんなにがっつくなよ…おれはここにいるよ?」

「…ん…やぁ……///」

 

まるで俺の全てを奪うようにキスをする梨子。

「…やっぱり…悠くんとのキス…好き…///」

「…完全に虜だな」

「悠くんが…かっこいいのがいけないの…///」

「そんなこと…………」

「あーるーのっ!///

…ホントに…悠くんは…かっこいい、よ…?///」

 

ここ最近では学校の昼休みにサンドイッチを週に1回か2回ほど作ってくれる。

訳を聞くと…。

 

【…そ、その…花嫁修業…というか…///】

と答える度に千歌から可愛いー!と抱きしめられる始末。

 

(…まぁ…こういう幸せ…いいよな)

毎日好きな人の声で起きて…一緒の時間を共有して…。

時には喧嘩とかするけど…すぐに仲直りするし。

 

「…あ、そうだっ♪」

「ん?」

「ちょっとまってて…♪」

 

そう言うと梨子が部屋を後にした。

そして何かを取りに…階段を下り…しばらくしてまた階段を登ってきた。

 

「新しい家族の…プレリュード♪」

「えっ……犬飼い始めたの!?」

 

それは耳をも疑うような出来事だった。

しいたけやえのき茸…マイタケを散歩に連れていくことはあったが…まさか自分から飼い始めるとは…。

 

最初の頃なんて…

【あんな小さい動物でも…あの牙は噛まれたらすごく危険】

とまで言ってたのが嘘のようだ。

 

「んー、可愛いでしょ~?♪」

しかし、本人はどこ吹く風。

むしろ溺愛しているくらいだった。

 

「(あ、あはは…これもしいたけとかのおかげで免疫ついたのかな…)…じゃあ、あとは子供と家があれば完璧だな」

「え、ええっ…!?///」

 

オーバーなくらい驚く梨子。

「…なんか変な事言ったか?」

「い、いやー?…気が早いというか…ほん、き…?///」

「当たり前だろ…本気だからこんなこと言えるんだし…

梨子に言いたいこと…だったし…」

「悠くん………」

 

「その…これはサプライズとしておきたかったんだけど…我慢できない、言うね」

「…う、うん…っ」

「俺は…将来、梨子とずっと一緒に居たい

…賛美歌も…あの時は音楽室だったけど…いつか、ちゃんとした場所で…梨子に向けて…演奏したい、というかするつもりだ」

「それって………!」

 

「……だ、だから一緒に居てくれなきゃ困るんだよ!」

恥ずかしくなり背中を向けた。

好きな人に…精一杯の想いを伝えるには…これしかないと俺は思っていたからだ。

 

「…ふふっ…こんな私でよければ…貴方の隣に…いさせてください…♪」

そう言って後ろから抱きつく梨子。

その目は涙を浮かべ…覚悟ができているような眼差しだった。

 

 

少しドキドキしてるのだろうか、握る手が力が籠っていた。

……だったら、俺も梨子の手をしっかりと握っていよう。

どこに居ても…たとえ遠くに行ったとしても…離さないように。

俺の隣には…梨子が居て。

梨子の隣には俺が居る。

そんな日常がこれからも…変わらずに…

続くようにと…願いも乗せて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子ルート

Fin




残り!
ダイヤ
ルビィ

理亞

…とまぁ、流れ的に分かりきってることだけど
曜ちゃんは最後です笑

そして新作も着々と進行中です!

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ルビィルート
ルビィルート① ~募る想い~


ルビィルートです!
ぴぎゃああああああ!!!←

1話は完全ルビィ視点です


【ルビィ 視点】

 

「……………はぁ」

悠さん……まだ…返事してくれない…なぁ。

…まぁ、悩んでるって事…だよね…。

 

「…分かっている…けど…」

辛い…よぅ…。

 

「うっ…ぅ…うええっ…んっ…っ…」

1人…ベットの中で泣いてしまった。

こんなにも…誰かを想って…苦しくなって…。

悠さん……っ…。

 

 

「ルビィ、学校の件でお話…が………ルビィ…?

泣いてる…の、ですか?」

「あ、うぅっ…おねぇ…ちゃん…」

布団にくるまっていても…さすがに分かってしまった。

泣くのをなんとか堪えて…お姉ちゃんに話を打ち明けた。

 

「…なるほど…それは辛かったですね…

…私から提案、なのですが…もう一度、本人に…

想いを伝えてみてはいかがでしょうか?」

「……ふぇ…っ…?」

「あの人も…きっと、伝えられて…初めて気がつく事もあると思いますわ」

「……わか…った……そうして、みる…」

 

自信が無いよ……お姉ちゃん…。

(……ああは言ってましたが…私は、一歩…後退させていただきますわ…悠さん。

……どうか、ルビィの想いを受け取ってあげてください)

 

 

──────────────────

 

 

次の日…。

私は放課後に屋上で話がしたいと…悠さんに伝えた。

それまで…どうやって想いを伝えようと…必死に考えていた。

 

(……ルビィも…変われた、のかな……

男の人に…こんなに必死になって……でも…分かった…

彼のことが……本当に…好き、なんだと…)

 

「ルービィーちゃん!」

「ぴきゃっ!……あ、は、花丸ちゃん…どうしたの?」

「ルビィちゃんが必死に考えていたから…心配になっちゃって…どうかした…ずら?」

「……う、うん……じつはね…」

 

 

………………………………………………

 

 

 

「なる、ほど…………」

うーん…と、顎に手を当てて考えてくれてる花丸ちゃん。

「…やっぱり、そのまま想ってくれてることを伝えた方がいいと思う…ずら」

「…そう、だよね…」

「大丈夫っ、ルビィちゃん…ね?」

「う、うんっ……がんば…ルビィ…っ!」

 

決意も新たに…放課後を待つことにした。

 

 

 

────────────────────

 

 

そして、放課後になった。

夕陽が校庭を照らす中……私は1人…待ち続けていた。

 

…すると、ドアの開く音がした。

「………っ…………」

「悪い…遅れた、ルビィどうしたんだ?」

 

「え、えっと……その……」

「………………………うん?」

 

どうしよう……言葉が…出てこない…。

…うう、怖気付いても…ダメ、だよね……っ。

 

「ゆ、悠さんっ…!」

「…う、うん…」

「…その…悠さんが…今…悩んでいる、のは…分かります…

そんな時に…こんな、事…言うのは…ダメかなって…思ったんですけど…っ……!」

「…ルビィ…?」

「…悠さん……大好きです…っ!///」

 

目を瞑り、思い切り大きな声で想いを伝えた。

しばらくの沈黙が屋上に流れる。

 

「…あ………う…っ…」

「…その、ありがとう…ルビィ

ごめんな、答え出せなくて……もう少し、待って欲しい…

でも、ルビィの気持ちは…十分伝わってるよ」

 

 

 

 

そう言うと…悠さんは頭にポンと手を置き…はにかんだ。

でも……………………………ホントに…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────これで良かった…の…?




次回は悠くんが答えを出します!

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ルビィルート② ~らしくない~

スクスタ8章…クリアしました。
今後どうなるかな~って勝手に考察してますが
まぁ、それは追々…まだ8章クリアしてない人もいるかもだしね


ルビィちゃんからの告白を受けて…数日が経った。

俺の中でも気持ちの整理がついていない。

 

 

(はぁ……優柔不断っていうか…甲斐性なしというか…こんなんじゃルビィちゃんから幻滅されちまうなぁ…)

 

「悠くん、先に帰ってるね~!♪」

「おう、あんまり急いで転ぶなよ、千歌~」

梨子と一緒に千歌が帰路に就く。

曜は高飛び込みの練習らしい。

 

(…俺も体動かすか、あんまりじっと考えてても仕方ないし…)

気分転換に校庭で体を動かすことにした。

 

 

 

─────────────────

 

「…はぁ…はぁ………はぁ………」

砂の上というのもお構い無しに校庭で大の字になり寝転がる。

自分がもう無理という所まで…走り続けた。

だが、心のもやもやが取れない。

 

「…ルビィちゃん……」

ふと、屋上に目をやる。

…あの日、彼女は俺に本心を告げてくれた。

最初は…弱気で…何をするにも自信がなかった子が…あそこまで変われた。

スクールアイドルをやったから?

──────────それもあるが……果たしてそれだけが要因だろうか?

 

 

(…帰ったら、連絡してみよう…それで少しでもルビィちゃんの気が晴れてくれるなら…)

立ち上がり、更衣室で着替えることにした。

……それと同時に…雨雲もまた…近づいていた。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

「おいおいおい…………」

なんて、どっかのグラップラーに出てきそうなセリフとともに俺は天を見上げた。

 

「さっきまで晴れてたじゃんかよ……」

ザーーーー…っと外は雨が降りしきる。

生憎、傘なんてものは持ってない。

 

「通り雨かな……待っててもいいけど…」

いつ弱くなるかも分からないし…

このまま降り続いていたら待ってるだけ時間の無駄だし。

 

「(風邪ひきそ~……)……行くっきゃねぇよなぁ…」

カバンを頭の上に置き、勢いよく校舎を出た。

 

無論、あまり体を隠せてないため…直ぐに制服も何も濡れ始めた。

 

「せめてバス乗るまでは耐えてくれぇぇぇぇ…!」

1人叫び声だけが響いた…。

 

 

 

………………………

 

 

「だぁ…だああああ…」

バスに乗り…着ていたブレザーを脱いだ。

残念ながらブレザーは濡れまくっていた。

 

(…着いたらまずは風呂だなぁ…)

千歌にメッセージを入れておく。

 

 

「…なんだか…この雨…いつもより…冷たい雨な気がする…気のせい…かなぁ…」

1人、外を見ながら…思わず呟いた。

まだ…雨は止みそうにない。

 

 

 

──────────────────

 

 

「ふぅ…十千万に着いた…………ぞっ?」

誰かいる…宿泊客だろうか?

 

「(あれっ……あの赤い髪…まさか…っ!?)…ルビィ…ちゃん…!?」

「…ぁ……悠…さん…」

 

傘もささずに…ルビィちゃんが十千万の前に居た。

もう何分もここにいたのだろうか…制服も髪もずぶ濡れだった。

 

「な、なにしてるの!風邪引いちゃうよ!!」

「……ぁ…っ……」

 

どうしてここにいるのか理由を聞く前にルビィちゃんの手を引く。

予め千歌に風呂を用意しておいて欲しいと頼んでおいた。

 

自分が入るつもりだったが…ルビィちゃんを真っ先に入れた。

タオルで濡れた髪の毛を拭く。

 

「…じゃあ、千歌もルビィちゃんが十千万の前にいた事…知らなかったのか?」

「悠くんが連れてきて初めて知ったよ~…

連絡なんか来てないし…いつから居たのかも分からなかったよ…」

「…そう、か……」

「…なにか、理由があったのかな…」

「分からない、このあと聞くつもりだよ」

「じゃあ、私はその間席を外しておくね!」

「すまないな、千歌」

 

 

ルビィちゃんが出るまで…大人しく待つことにした。

 

 

─────────────────

 

 

ルビィちゃんがお風呂から出て…千歌に髪の毛を乾かして貰っているあいだに俺も風呂に入ることにした。

 

(………ルビィちゃん…大丈夫かな)

風邪を引かなきゃいいけど…。

そもそも、ダイヤにも十千万に来ると言ったのだろうか?

…いや、言ったのかな。

何も言わずに来たら、それこそ俺か千歌に連絡が入りそうだ。

 

(…分からない、なんでルビィちゃんがここに来たのか…)

…というのは…自分についていた…嘘かもしれない。

本当は分かっていた…そんな答えは1つしかないと。

 

(出たら…聞いてみよう)

まずは自分も体が冷えてしまったので…しっかりと温まろうと風呂に入った。

 

 

────────────────────

 

 

風呂から出ると…ルビィちゃんが俺の部屋に居た。

千歌が貸したのだろうか、部屋着を着ていた。

 

「…体は冷えてない?」

「…だ、大丈夫…」

「そっか、よかった」

 

「…あの…悠さん…」

「無理に言葉を言わなくても…大丈夫だよ」

「…悠さん…っ…!」

 

と言ったが、ルビィちゃんには通じないようだ。

抱きつくような格好で押し倒されてしまった。

 

「ごめんなさい…っ…でも、ルビィ…悠さんに会いたくって…会いたくて……!」

「…うん、俺もなんでルビィが来ていたのかなぁ…って考えてたよ

理由は一つしかないって分かったけどね」

「悠さん……」

 

「…っと、その前に…まずは謝らないとな」

「……ふぇ…?」

「ごめんな、ルビィ…答え、遅くなっちゃった」

「そ、それって……」

「好きだ、ルビィちゃん」

「…はっ…!……ぁ…悠…さん…っ…」

 

──────────これが行き着いた答え、だった。

そもそも…ルビィちゃんのことを第一に考えてる時点で答えなんか分かりきっていたのかもしれない。

 

 

「…こんな俺でも、大丈夫か?」

「そ、それを言うなら…!…ルビィで…良いの?

…たくさん、甘えたり…困らせたり…しちゃうよ…???」「そんなことじゃ、音をあげねぇよ…むしろ、ルビィちゃんが安心するのなら…たくさんしてこい?」

 

「ううっ…ぅっ…悠さん…!」

泣きじゃくるルビィちゃん。

「うん…うんっ…悠さん…大好き…だよ…ぅ…!」

「ははっ、泣くのはやめろって…笑顔でいようよ?」

「…うんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はい、ルビィちゃんは大丈夫ですよ」

【ありがとうございます……よかった、これで私も肩の荷が降りました…】

「ダイヤさん、大丈夫ですよ…ルビィちゃん…すっごく幸せな顔、してますよ…♪」




次回、恋人となった2人のその後…。

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ルビィルート③ ~·····喧嘩?~

ルビィルート最終話です!


「…え、ルビィがダイヤと喧嘩?」

「そうずら…朝もその事でずっと話を聞いてたずら…」

 

「…珍しいな、あの二人が喧嘩なんて…」

「(と言うか…いつの間にか悠はルビィ呼ばわりに…っ!?)…ここは腕の見せどころよ、悠」

 

「だなぁ…とりあえず、ルビィ本人から話聞いてみるよ」

「悠さん…ルビィを……呼んだ?」

「うわっ!?…う、後ろに居たなら言ってくれよ…」

「えへへ……ごめんなさーい…♪」

 

「(いつの間にか花丸と善子逃げたな…)…さっき聞いたんだけど、ダイヤと喧嘩したんだって?」

「そうなのっ、お姉ちゃんったらひどいんだよ~っ…」

「(喧嘩するほど仲が…ってか)…とーにーかーく

今日家に行かせてくれ…ダイヤからも話聞いてみないとだし」

「うぅー…分かった…」

 

兎にも角にも…2人から話を聞いてみないと埒があかなかった。

…ただ一つ言える事と言えば…。

 

 

 

 

 

 

(この2人が…喧嘩ねぇ…)

きっと余程の理由なのだろう。

 

 

 

────────────────────

 

 

黒澤家にお邪魔した。

いきなりご両親と顔合わせしたが…予めダイヤが告げ口をしていたのだろうか、すんなり顔合わせが終わった。

 

そして、今は居間でくつろがせてもらっていた。

「…それで、ダイヤは?」

「今来るよ、悠さん♪」

「…ったく…一体何が原因でこんな喧嘩に…」

 

「だ、だからぁ…それはぁ…!」

と、ルビィが喋ろうとした時…ダイヤが入ってきた。

 

「…………ルビィ」

「…む、むーーーっ……!!」

 

喧○番長ばりにメンチビームを散らす2人。

 

「どうどう…とりあえず落ち着け……ダイヤも座りんしゃい」

「…は、はい」

 

「…こほん……で、本題だけど…なんで喧嘩してたん?」

「…そ、それは……」

「うゆ…………」

 

言葉を濁らす2人。

………………ううーん?

 

「教えて?」

「…わ、分かった…ぁ…」

「ル、ルビィ…っ」

「実…はね………悠くんとの初めての子は…どっちがいいかなって…」

 

「…は?」

「ですから!

絶対に男の子で黒澤家の網元を継ぐと!」

「お姉ちゃんわかってないよぉ~!

女の子がいいって~…!スクールアイドルさせようよ~!」

 

 

……呆れた。

まだ全然先の話だし……と言うか、ルビィもその気なのか。

 

「あのな…2人とも……まだ先の話だし」

「…だ、だけど…ぉ…」

「…す、すいません…先走りすぎました…」

 

さすがダイヤ、物分りが早い。

「…まぁ、子供…欲しくないと言えば嘘になるが…俺とルビィはまだ学生……いや、やることはやっちゃってるけど…」

 

「…ルビィも…同じだよ…っ!」

「やれやれ…どうやら、私たちは無意味な口論をしていたようですね…」

「ごめんなさい…お姉ちゃん」

「いえ…ルビィの人生なのに変に口出しして…申し訳ありませんでしたわ…」

 

これにて一件落着…かな…。

 

 

──────────────────

 

 

「泊まらせてもらって…良かったのか、ルビィ?」

「うんっ…それに…悠さんとずっと居れるし…ルビィも嬉しい…♪」

 

そう言いながら抱きつくルビィ。

お風呂上がりのシャンプーのいい匂いがする。

 

「…あ、さっき言いそびれたけど…」

「………………?」

 

「ルビィと…出会えて良かったわ」

「ゆ、ゆゆゆっ、悠さんっ!?///」

 

 

「正直、そこまで俺の事思ってくれてるんだってすっごい嬉しくって言葉にできないくらい」

「そ、そんなことないよ…ルビィの方こそ…ありがとう…///」

「…へへっ」

「…ふふっ」

 

 

なんにもなくても…2人で笑い合う。

そんな関係がどこが心地よくて…安心して…。

 

 

あぁ、これが幸せなんだと…痛いくらいに伝わる。

 

 

「…ところで、ダイヤはあそこでカメラ片手に何してんだ…?」

「…あっ…あれはね、卒業祝いでお父さんからプレゼントしてもらったんだって

…ルビィと悠さんの思い出を是非このカメラに収めようと…!…って…」

「…あはは……相変わらずだな…」

 

 

 

ルビィとの思い出は…色褪せることはきっと、無いだろう。

 

 

 

 

ルビィルート

Fin






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理亞ルート
理亞ルート① ~鹿角姉妹、内浦に来たる~


お待ちどうさまでーす!
理亞ルートでございやす!!!


「……えっ、鹿角姉妹が東京に来るの?」

「ふぉーみたいだひょーー?(そうみたいだよー?)」

「なるほど、来週からゴールデンウィークだからか」

「ひゃのしみだねーぇー♪(楽しみだねぇー♪)」

 

ミカンを頬張りながら千歌が答える。

…そうか、本戦以来か…。

 

「と言うか、なんで千歌に連絡したんだろ…」

「聖良さんがねー……理亞ちゃんが悠くんに知られたらまた不機嫌に…ってことで…」

「あ、あはは……」

 

とりあえず、夜連絡してみようと思う俺だった。

 

 

 

──────────────────

 

【その日の夜………】

 

「ん、聖良か?

夜遅くに連絡して悪いな」

【いえ、大丈夫ですよ

…千歌さんから、お話は聞きましたか?】

「うん、聞いたよ…東京に来るなんて、急にどうしたんだ?」

【…あっ、それが……】

「うん?」

 

どうも歯切れが悪い。

なにか隠し事でもあるのだろうか。

 

【…あの…それは…''嘘''です】

「…嘘?」

【…実は…東京ではなく、沼津に行こうと思ってまして…】

「えっ、そうなの?」

【ええ…ですが、理亞に言ったら…激しく拒絶するかと思いまして…】

「あはは…俺絡みだから…か…」

【ご、ごめんなさい!!】

「大丈夫大丈夫…まぁ、来たら理亞ちゃんからは俺が説得するよ…悪い子じゃないしさ」

 

 

【お手数お掛けします…】

「ううん、大丈夫だよ

…じゃあ、当日…待ってるからね?」

【はいっ】

 

会話も終わり、電話を切る。

時刻は22時半を回っていた。

 

「…しっかし…理亞ちゃんが俺を毛嫌いする理由がわからない…まぁ、男だからかな…」

 

考えても仕方ないので当日まで待つことにした。

 

 

 

 

──────────────────

 

 

【聖良 視点】

 

悠さんに連絡を入れて…っと…。

あとは新幹線で目的地まで行けば良いのですが…。

 

「理亞、用意はできましたか?」

「姉さま、私は準備万端です!」

「えぇ、では行きましょうか」

 

…あとは怪しまれないように…っ。

 

 

 

 

……………………………………

新幹線に乗ること…数時間。

車内の電光掲示板には東京と出ていた。

 

 

「そろそろですね、姉さまっ

長旅でしたが…疲れてないですか?」

横でいそいそと用意をし始める理亞。

 

「え、えーっと…理亞…その…」

「?……どうしました、姉さま?」

「……あー!!!急にお腹がー!!」

「ね、姉さまっ??!!

東京着きましたよ…!?…姉さま!?!?」

 

こうしてあたふたする理亞と

痛がるフリをした聖良は…無情にも東京駅を通り過ぎてしまった…。

 

 

 

 

 

そして…着いた先が……。

「あの…姉さま…こ、ここは………」

「…ふ、ふふ…そうです…っ…沼津ですよ……!」

「……………ええええええ!?!?」




次回 Aqours & Saint Snow

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理亞ルート② ~AqoursとSaint Snow~

理亞ルートの2話目です!


「はぁ……はぁ…」

「はぁ…はぁ…」

 

鹿角姉妹は…さっそく内浦の洗礼を受けていた。

本人たちもここまで遠いとは思ってもみなかったのだろう。

バスも使わず…徒歩で千歌の旅館まで歩いたのだ。

 

「ま、まさかこんなに距離があるなんて…」

「バスに乗ればよかった……というか、姉さま

なぜ内浦なのですか?…東京に行くはずじゃ」

「……あっ、千歌さんの旅館ですよ!」

「あっ、姉さま!」

 

待ち焦がれた十千万に着いた鹿角姉妹。

既に旅館の前では千歌と悠が待っていた。

 

「おーいっ、こっちこっちー♪」

「…随分遅かったね、それに汗だくだし…」

「すいません…まさか、徒歩だとこんなに距離があるなんて…」

 

「「徒歩で来たの!?」」

「ちょ、耳元でうるさい」

「あぁ、ごめんなさい………」

 

年下相手に縮こまる千歌。

理亞は相変わらずか……。

 

「とりあえず中入ってゆっくりしなよ?

…あ、千歌。2人とも汗かいてるし…お風呂はいってもらった方がいいかもな?」

「はーいっ♪」

 

千歌に連れられ、中へと入る鹿角姉妹。

聖良は【お気遣い…ありがとうございます…♪】と会釈して行ったが…理亞は…。

 

「…ふんっ」

「そんな顔してると、可愛い顔が台無しだぞ?」

「うっさい」

あれれ…相変わらず手厳しい…。

そのままツンとした態度で中へと入ってしまった。

 

 

「んー、どうしたもんかなぁ」

「oh、何が~?」

「…ん?…あぁ、鞠莉か」

「私達も居るよー!」

 

曜、鞠莉、果南、花丸、ルビィ、ダイヤ…梨子に善子とAqoursのメンバーが次々と十千万にやってきた。

 

「難しい顔して、どうしたのさー?」

「ん…いや、なんでもないよ」

「…理亞ちゃんと聖良さんのこと?」

「…ルビィは鋭いな…うん、そんな所…」

「…あんまり、しつこく接してるとほんとに怒っちゃうわよ?」

「うぐっ………」

 

図星を突かれ…ぐうの音も出ない。

(んー…聖良はいいとして…マリーとしては…理亞っちも本当に悠のことが嫌いっ!…って訳じゃないような気がするのよねー)

「…さてとっ、中で準備始めようか?」

「「「はーいっ」」」

 

 

──────────────────

 

(浴場)

 

「姉さま…今回の来たかったのって…」

「隠していても…仕方ありませんね

…今回は…沼津に来るつもりでした」

「なら最初から…っ!!」

 

クスッと笑らう聖良。

 

「そんなこと言ったら…理亞は絶対に来なかった…でしょう?」

「……ぅ………………」

「特に…あの方と会うとなると…余計に…違いますか?」

「…そんな……こと……っ」

 

「昔から、嘘をつくのが下手ですね、理亞」

「…っ…………」

「出て…あの人を知れば…分かりますよ…ね?」

「…わかり……ました……」

 

分かってなどいない…けど…私は返事をしてしまった。

…男なんて…誰でも…同じ、だから…。

 

 

─────────────────

 

 

「ではでは~!鹿角姉妹またの名をSaint Snowの沼津・内浦初訪問を祝って~…………」

「「「かんぱーい!」」」

 

千歌の掛け声とともにグラスを高々とあげるAqoursメンバー。

 

「皆さん、今日はありがとうございます

突然の押しかけにも関わらずこんなに振舞ってくれて…」

「いいのいいの♪賑やかな方がみんな楽しいからね♪」

 

「はいっ、理亞ちゃんお皿っ♪」

「あ、ありがとう…ルビィ…」

 

ルビィの嬉しそうな笑顔に思わず照れる理亞。

うんうん、やっぱこの顔じゃなきゃな。

 

「ささっ、悠さん…遠慮なく…」

「お、おう…悪いな…聖良」

「…ふふっ、今日は私ではなく…理亞に構ってあげてください♪」

「…理亞に?」

「話せば分かりますよ♪」

 

そう言うと聖良は千歌や果南の話の輪に入ってしまった。

(…どゆこと?)

 

と疑問を持ちつつもルビィや鞠莉、花丸や理亞の話の輪に入ることに。

 

「楽しいか、理亞?」

「…ま、まぁまぁ…」

「そっか、学校はどうだ?」

「…別に………いや、あんまり…」

「そうなのか?なんかあったなら話聞くけど…」

 

(ルビィ達は席を外した方がいいかもね?♪)

(オフコース♪そうしましょ♪)

 

「…そっか、新しく入ってきた部員と上手くいってないか…」

「…なんで…そんなこと聞いたの?」

「んー?…いや、まぁ…話せば…楽になるかなーって」

「…実は……もうひとつ…聞いて欲しいことが…」

「ん?」

「…ううん、あとにする」

「……あと?」

「…ありがと、話…聞いてくれて」

「どういたしまして…これくらいならいくらでも」

 

そう言うと…気のせいか寂しそうに席を立つ理亞だった。

 

 

 

───────────────────

 

宴会のようなノリのパーティーも終わり、俺と聖良と理亞は砂浜を歩いていた。

 

「…んじゃあ、あと2日くらいこっちに居るってことか?」

「えぇ、是非とも沼津を巡りたいので」

「………………………………」

 

「千歌達も喜ぶよ」

「はいっ」

「………………………………」

 

「…………ん…………っ?」

「…理亞……………?」

歩いていた足が止まる。

 

「…2人に…聞いて欲しいことがあるの…」

「…俺と…」

「私…に?」

 

「…私…もう1回…姉さまとライブやりたい…!!」

「…っ……!」

余程の衝撃発言なのか…聖良が言葉を失った。

 

「わがままかもしれない…けど…あの決勝を…乗り越えないと…私はまだ上を目指せない…だから…姉さまと…!!」

「Saint Snowは……あの決勝で終わったんですよ…」

「…つまり…解散したってこと、か…」

 

聖良は高校を卒業したし…自分の将来もあるだろう

不思議な話ではない…事実、Aqoursの3年生も…卒業。

事実上の解散したわけだし。

 

「…でも…っ………………お願いします…!!!」

深々と頭を下げる理亞。

正直、こんな姿見たことがない。

それほどまで…思い詰めていたのだろうか。

 

「…やってやれよ、聖良」

「ゆ、悠さんっ…?」

「ぁ………っ」

「聖良だって、あの決勝…本当は消化不良なんだろ?

それに、俺個人として…2人のライブ、もう1回見たいし」

 

「…………………………ふふっ」

話を聞き終わり…クスッと笑った聖良。

 

「やっぱり隠し通せませんか……」

「姉さま…っ…」

「1度…だけですよ」

「っ……はいっ!!」

 

「よっしゃ、決まりだなっ

…じゃあ、提案なんだけど…さ」

「「……???」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作詞とか作曲…振り付け…全部俺が作っていいか?」

「「…………………えっ?」」




次回、ラストライブ!
理亞最終話です!

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理亞ルート ③ ~もう1回の決勝~

理亞ルート最終話です!

12月にまた沼津に行くんですが…
体中のAqours成分が切れてます…ダレカタスケテー


「うーーーーん……」

 

Saint Snowの2人に合う曲と振り付け…

更には作曲を考えている、が…。

 

「あの二人に合うテーマやフレーズかぁ…」

思いのほか…進まない。

 

思い返せば…Saint Snowの2人の為に書くなんて…初めてだしなぁ…。

「ん?…悠くん…どうしたの?」

「あ、千歌……いや、実はな…」

 

俺はあの時の会話を千歌に打ち明けた。

「へぇ~…それで、聖良さんと理亞ちゃんの為に作曲かぁ~」

「出来るまで時間かかりそうだけどね…」

「じゃあ私達も協力しないとね!」

「…協力?」

「だって、もう1回ライブ、するんでしょ?

ならAqoursが居てこそのSaint Snowだよ!」

「…たし、かに……でも、Aqoursも…」

 

解散…した、し…。

「そこは任せて!…それに、私達も…ライブ、したいし」

「…千歌……じゃあ、お願いしよう…かな…」

「うんっ、任せて!」

 

こうして、AqoursとSaint Snowの2組による…決勝がまた…始まろうとしていた。

 

 

────────────────────

 

「…ってことになったんだけど…」

【ふふっ…理亞も喜ぶと思いますよ】

 

夜、俺は聖良さんに連絡していた。

 

【…作業は、進んでますか?】

「少しずつ…な…待たせてすまないな」

【ふふっ…私よりも…理亞の方が楽しみにしてますよ】

「……えっ?」

【理亞…前に比べて、明るくなったんですよ

…まるで、悠さんと打ち解けたみたいに…】

「……聖良…」

 

【…ここから先は…理亞から聞いてください、ね?】

「……ああ、分かった」

 

理亞が……俺のことを…?

…考えすぎ、なのだろうか…。

 

しかし、どうしてだろう…アイツの事を…理亞の事を考えると…歌詞が沸いてくるのは…。

 

 

────────────────────

 

 

そして…作業を始めて…2ヶ月が過ぎようとしていた。

俺は土日を利用して…鹿角姉妹に会いに行った。

 

 

「…おっす、待たせて悪かったな…2人とも」

「いえ、遠路はるばる…ありがとうございます」

「……すごい、待ってた」

「ん、その分…凄くいい出来になったから…楽しみにしててね」

 

「…さて、そのライブまで時間もありますし…悠さんはゆっくりしててくださいね?」

「うん、そうするよ」

「…あっ、そうだ…少しお買い物に行ってきますね♪」

 

そう言うと聖良が席を外して…俺と理亞の2人きりになった。

 

「…その…ありがとう…ワガママ聞いてくれて…」

「ううん、俺も作業しててすごく楽しかったよ」

 

そして俺はそのまま理亞の頭を撫でた。

嫌がられるんじゃないかという気もしたが……理亞は…。

 

「…ん、くすぐったい……///」

「…嫌い?」

「…べつ、に…///」

 

くすぐったいのか…体をもじもじさせる理亞。

正直、こんな理亞を初めて見た。

 

「…ん、ならこれくらいにしておこうか」

「…うん…///」

 

物足りなそうな…どこか残念そうな顔をしていた理亞だった。

 

 

────────────────────

 

日も暮れ始め…俺と鹿角姉妹はとある場所に向かっていた。

 

「…ここは…」

「旧函館区公会堂…です…良いところ、ですよね」

「…ああ、趣があっていいな」

 

「…さぁ、始めよう…2人とも…」

ライブ用の衣装に身を包んだ理亞が気持ちを引きしめ…見つめる。

 

「待った」

「…え?」

 

「…こっちも用意…出来たかな」

取り出したのは…携帯。

 

ビデオ通話にすると…そこには、千歌を先頭にAqoursのみんなが写ってた。

 

「…ほんっとに集まったんだな…みんな」

「当たり前だよ!」

「マリー達もこうして集まることを望んでいたわ♪」

「もう1回…しようよ、ラブライブ!」

「理亞ちゃん!」

 

「えっ、あっ……ルビィ…?」

「AqoursとSaint Snowの…決勝…しようよ!」

「…ぁ…これ…どういう…」

 

驚きで言葉を失う理亞。

 

「黙ってて…悪いな…実は、2人がもう一度ライブをしたいってことを…みんなに言ったら協力してくれて…俺自身も…あの痺れるような決勝を…もう一度みたい」

 

「…バカ……そんな、ことなら…もっ…と…早く…言ってよ…っ…!」

感極まったのか…理亞が泣いてる。

そして、その姿を見て優しく宥める聖良。

 

「…理亞…見せましょう、私たちの…Saint Snowの…最高のライブを!」

「……うん!!!」

 

 

そして、1から作った…Saint Snowのために作ったライブ曲…''Believe Again''…それはとても身震いするくらい感動的で…。

見てて心に響くようなライブだった。

 

「…すごい…やっぱり…Saint Snowのライブ…」

「今回は悠も協力してるからね、そりゃ最高のライブになるよ♪」

「マリー達も負けてられないわ~♪」

「…行こう、Aqoursだけの輝きを放ちに…!!!」

 

そして、携帯のビデオ通話から伝わる…千歌を筆頭に考えたライブ。

それを鹿角姉妹と俺の3人で見る。

 

曲名は…''Brightest Melody''

もう一度…Aqoursのライブが見られるなんて俺も思ってもみなかった。

たとえ遠く離れていても…携帯越しでも…その熱気と…凄さは伝わってきた。

みんないい顔をしているし…輝いている。

 

──────────やっぱり、Aqoursを解散なんて…嫌だ。

…もちろん、Saint Snowが解散するのも嫌だ。

…自分勝手なのは…分かっているんだけど…。

 

……いや、そんなこと言ったら皆を…困らせる…よな。

言えない本音を…心にしまい…ライブが終わった千歌に話しかける。

 

「…凄かったよ、Aqoursのライブ」

「Saint Snowのライブも…最高だったよ…!」

「…ああ、俺と…Aqoursと…Saint Snowだけの…決勝…俺は絶対忘れないよ」

「…うん!」

 

「…2人も…ありがとうな

こんな…心に響くライブを見せてくれて」

「…いえ、お礼を言うのは…私たちの方です…そうですよね、理亞?」

「…っ…姉さま…」

 

「────これ以上隠すのは、いけませんよ」

「…………っ…」

 

胸をぐっと抑え…顔を俯かせる理亞。

「…理亞?」

「……悠!……さん…」

「…えっ、あっ…お、おうっ…」

 

「ずっと…隠してて…自分の気持ちを否定してた…!

…けど!もう嘘はつけない…!

……好き!…あなたの事が…好きなの!」

 

「…あっ……………」

「…返事……聞かせて…」

「…っ………」

 

聖良の方を見る。

すると、聖良は微笑み返してきた。

…ああ、なるほど……理亞が変わった理由が分かった気がする。

俺っていう存在が…理亞の中で大きくなってきたのか…。

「…俺も、好きだよ…理亞」

「…っ…!」

「こんな俺だけど、よろしくな

…これからはもっと会いに来るからよ」

「──────────っ!

はいっ…!!!」

 

 

こうして、ビデオ通話を通して…Aqoursの皆にも

隣で聞いてた聖良にも報告するような形で…俺と理亞は付き合う事になった。

…まだまだ分からないことだらけの2人だけど…衝突しつつも…乗り越えていける気がする。

 

 

 

 

 

 

「…あっ、そうなると私は義理の姉になるんですかね?」

「んな!?」

「ね、姉さま!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……前途多難だけど…。

 

 

 

 

 

理亞ルート

Fin




あと2人!
新作に向けて頑張っていきます!


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ダイヤルート
ダイヤルート ① ~宣戦布告は突然に~


ダイヤルート!
ちょっと角度を変えた分岐ルートになればいいなぁーって思ってます


【ダイヤ 視点】

 

───それは…突然の出来事でした。

浦の星女学院を卒業後…

鞠莉さんに呼び出され、私は淡島ホテルに向かいました。

 

(なんでしょう…また、突拍子もない提案とかで無ければ良いのですが…)

こういう時は大抵聞いてる人を悩ますような提案をするのが鞠莉さんのいいところでもあり、困ったところでもありますが…。

 

幼なじみながら、昔からそういうところは本当に読めない人であった。

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

ホテルに着き、部屋の前でノックをする。

 

「鞠莉さん?入ってもよろしいでしょうか」

「ええ、大丈夫よ」

 

いつになく、神妙な声で返事が返ってきた。

「……?

失礼しますわ……」

 

中に入ると……そこには果南さんも居た。

「果南さんも呼び出されたのですか?」

「うん…要件はなんだか分からないんだけど…」

 

2人で鞠莉さんの方を見る。

じっと目を閉じたまま…一向に口を開こうとしない。

 

「あの、鞠莉さん…?

要件はなんですの?」

「…………………改めて…言わせてちょうだい」

「……?」

 

真剣な目付きに………変わった。

 

「ダイヤも果南も…昔からの親友だし…今もこうやって…仲良しでいられるのは…凄く嬉しいし幸せだわ」

 

「…あ、うん…?」

「…それが一体どうしたのですか…?」

 

「……でも……恋になったら…話は別、よ…」

「…………………」

「…………鞠莉さん……」

 

当てはまるワードは1つしかない……''悠さん''であると。

 

「私は全力で行かせてもらうわ…例え、幼馴染がライバルだとしても…」

「…聞き捨てなりませんわ、私も最初からそのつもりです!!」

 

「ちょ、ちょっと!喧嘩はダメだよっ!」

「…………………」

「……………………」

 

バチバチと目線を合わす私と鞠莉さんを見て果南さんがすぐに止めに入った。

 

「……まぁ、いいわ…私たちが張り切っていても仕方ないわ

…でも、私はそのつもり…って、ある意味宣戦布告…かしらね」

「…受けて立ちますわ…」

 

 

 

 

 

 

結局…そのまま、話はお開きとなってしまいました。

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

シャーーー………………。

 

湯気が立ち込める中…一日の疲れを取る。

(…あんな真剣な鞠莉さん…初めて見ましたわ…)

 

それほど心を許し…一緒にいたいと思える人物なのでしょう…悠さんは。

もちろん、私も例外ではありません。

 

(……悠さん…貴方は…貴方から見て…私は…どう映っているのでしょうか…)

聞いてみたい…が、怖い気持ちと…不安な気持ちと…様々な感情が入り乱れる。

 

「……私には…そんな度胸…ありませんわ…」

小さく呟いた言葉は…シャワーの音でかき消された。

 

 

──────────────────

 

【悠 視点】

 

「ん、電話…?

…果南からだ……もしもし?」

 

【あ、悠…今、大丈夫?】

「大丈夫だよ…どうしたの、夜遅くに電話なんか」

【…うん、ちょっと…聞いて欲しいことがあって…】

「………うん?」

 

 

 

 

……………………………………

 

 

 

「…なるほどねぇ…ダイヤが悩んでる…ねぇ…」

【うん…ちょっと、元気がないって言うか…考えているって言うか…(ホントは、口論した事が頭から離れないだけなんだろうけど…)】

「…ん、わかった。本人に聞いてみるよ」

 

【うんっ、ありがとうね…。

ダイヤも喜ぶと思うから…そうしてあげて…?】

「お礼なんて大丈夫だよ

俺に出来る事なら何でもしてあげたいしさ」

 

【……ねぇ、悠】

「…ん?」

「…真剣に…向き合ってあげて?」

「………………え?」

 

【ううん、それだけ!

夜遅くにごめんね!おやすみっ♪】

 

そう言うと果南からの電話は切れた。

(……向き合う…?……何に?)

 

 

俺にはその言葉の意味が…分からないままでいた。




次はダイヤと悠くんのお出かけ編!

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ダイヤルート ② ~意図~

ダイヤルートの第2話!
いきなり寒くなってしんどい…
風邪には気をつけてくださいね…!!

スクスタUR曜ちゃん…欲しい…!
(すでに50連なう)


「あ、ダーイーヤー!」

「ちょっ、悠さんっ!あまり大きな声を出すのではありません!」

「あはは、ついつい」

 

週末、俺はダイヤを遊びに誘った。

…思えば、こうして2人で出掛けるのは初めてかもしれない。

 

「…それで、急にどうされたんですか?一緒に出掛けようなんて…」

「ダイヤと出掛けたかったから!それだけ!」

「…もうっ、相変わらず強引ですこと…」

 

と言いつつも顔はどこか嬉しそうなダイヤだった。

「それで…どちらに向かうのですか?」

「…実はー…決めてなくって…」

「…………………………は?」

 

ところが一転、いきなり嬉しそうな顔から怪訝そうな顔をするダイヤ。

…いや、何もそこまで露骨に表さなくても…。

 

「あーれーほーど、計画はしっかりと立てておくようにと学生の頃から───────」

「うわあああ、違う違う!…決して決めるのが面倒とかなんも考えてないとかそういう事じゃないから!」

「…じゃあ…なんですの?」

 

「…だ、ダイヤと一緒に…色々決めて…出掛けたい、なって…」

「…悠さん…」

「……無理、今の恥ずかしいから忘れて…」

「…そ、それは出来ないお願いですわ…っ

…なるほど、なら……一緒にどこに行きたいか…決めましょう?♪」

「……ああ、そうしようっ!」

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

「………気になるから様子を見に来たものの…」

「意外と上手くいっているんじゃないかしら~?」

 

物陰から2人を見つめる2つの視線。

なんだかんだ言いながらも昔からの縁。

様子が気にならないといえば嘘になる。

 

「ふふーん?♪

ダイヤって、ああなると燃えるタイプだから恋愛もそうかなーって思ってたけど…ビンゴね~♪」

「鞠莉…ぃ…なんか、楽しんでない…?」

 

「あら、そんなことないわよ?

…って、果南に言ってもお見通しよね

…まぁ、どういう意図なのかは…後々分かってくるわ♪

後は恋にはスパイスが必要…ってね♪」

「…なんか、すっごく嫌な予感しかしない…」

「ふふっ、なかなか一歩踏み出せない2人に少し刺激を与えるだけよ♪」

 

「ホントかなぁ……あ、2人とも歩き始めたよっ」

 

バレないようにこっそりと後をつける2人だった…。

 

 

────────────────────

 

 

 

「ん、うまっ!」

街を散策がてら食べ歩きをする。

しかし、隣からは…。

 

「いけません!そのようなはしたない行為は!」

「あはは、元生徒会長は厳しいなぁ…ならこうだっ」

「んぐっ…!」

 

大きく口を開いて説教をしていた途中で食べてた物を口へ運ぶ。

ちなみ食べてたのはクレープ。

曜と東京行って食べてからハマったんだよなぁ…。

 

「…お、美味しい…ですわ…///」

「ふふーん、これでダイヤも共犯ってことで!」

「…な、何故かすごく悔しいですわ…」

「あはは、ごめんねダイヤ」

「…もう…///」

 

拗ねたのかプイっと顔を背けるダイヤ。

…こんな素直で可愛げのある表情にドキッとしてしまう。

 

「…ん、許して?」

頭を撫でると、ふにゃんと顔が緩む。

 

「わ、わひゃりましたから…やめてくだひゃいまし…///」

「ごめん、気持ちよくってつい」

「…それは…夜のお楽しみ…ですわ…///」

「……え?」

「なんでもありませんわ!///」

 

そう言うとテクテクと先に歩いていくダイヤ。

………あんなに積極的な子だったっけ?

 

 

 

────────────────────

 

 

「んー、遊んだー!」

「ふふっ、充実した一日でしたわ♪」

 

バスを降りて俺とダイヤは砂浜で夕日を眺めていた。

「…結局のところ、砂浜が1番落ち着くかも」

「悠さんもすっかり内浦の一員になりましたわね♪」

「……んなぁ、ダイヤ」

 

「……はい?」

「…悩んでた事、少しは紛れさせれた?」

「…っ……お見通しでしたか…」

「何となく、はね…まぁ、最後までは言わなくていいよ

ダイヤにだって言いたくないこともあるだろうし」

 

「…そ、そうではなくて──────────!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…人の気配…っ。

 

 

 

「…誰だ…っ!」

背後を振り返ると…そこには黒いスーツを着た男が数名。

…ここは逃〇中のステージじゃねぇっ…つの…。

 

「…あんたら…誰?」

「………………………………」

 

黙秘か、ますます怪しい。

 

「…ダイヤ、俺の後ろにいろ」

「…け、警察に言った方が…っ」

「いや、迂闊にそんな事したら何をされるかわかんね…

それに、そんなヤワじゃねぇよ、俺」

 

 

…って、啖呵は切ってるけど…コイツら強そうだな…。

 

「…目的は…ダイヤって所か?」

「……」

 

1人が距離を縮める。

……先手必勝!

 

「…っ……!!!」

側頭部目掛けて放ったハイキックが……防がれた。

 

 

「くっ……!」

体勢を立て直す間もなく、距離を一気に詰められる。

 

「ちっ……!」

 

いつの間にかダイヤの周りに数名男が近寄っていた。

「ダイヤ…っ!」

 

 

 

 

【ま、まずくない?さすがに暴力は…っ】

【ノンノン、手荒にするつもりは無いわ♪】

【そーじゃなくって…悠、怒ったらすごく怖……】

【あ、もう遅いみたい♪】

 

 

 

 

 

「…くっそ……………」

冷静に冷静に…って思ってたけど…無理だな、これ…。

 

「悠さん!私のことなど気にせずに…!!」

「だあああああ!馬鹿かお前は!」

「……………えっ…」

 

大きな声を上げると思ってなかったんだろう、ダイヤが驚いた表情を浮かべる。

 

「なんでお前はそうやって!」

1人、また1人と倒し、ダイヤに近づいていく。

考えるよりも先に…体が動いていた。

 

「1人で抱え込むんだよ!」

相手の出す拳が…見切れる。

まるで、周りがスローになったかのように。

 

「…そんなの、俺は見たくねぇ…」

じりっと身構える男たち。

 

「…放っておけねぇよ…ダイヤの事が

だから…俺に守らせろ…お前は!俺の後ろに居ればいい!!」

 

「…悠さん……」

「…好きだ、ダイヤ

どうしようもないくらい…お前が…好きだ…!」

「…っ……!…わ、私だって…悠さんの事が…大好きです…!///」

 

「Congratulation~っ!♪」

「……は?」

いざダイヤを助けようと思った瞬間…随分聞き慣れた声が後ろからした。

 

「…鞠莉…それに、果南も…!?」

「んんー、凄くかっこいい告白だったわよ~悠~♪」

「ご、ごめんね…私は止めてたんだけど…」

 

「…まさか………………」

「そうっ♪この人達は小原家のボディーガード達よ♪」

「んなっ…!」

 

ダイヤが確認するように前に立ちはだかっていた男たちを見る。

 

「…………………はぁ、どうしてまたこんな…」

「あらぁ、素直になれないふたりにちょーっとスパイスを加えたのよ?♪」

 

……ありがた迷惑…ぅ…。

「あのなぁ、そんな事しなくても……」

「そ、その前に!鞠莉さん!貴女、私に宣戦布告を…!」

「…宣戦布告?」

 

「…いえ、こちらの話ですわ」

「んー、したけど…あれは本意的な元じゃないわ?

譲れない思いは強かったけど…それ以上にダイヤが悠の事を思う気持ち、マリーはしっかり分かっていたわ♪」

 

「…鞠莉さん」

「もー、鞠莉ってば、やり方が大掛かりすぎなんだよーぅ」

「きゃはは、sorryっ」

 

「…ありがとうございます…鞠莉さん、果南さん

…やっぱり、私は…悠さんのことを…お慕えしております///」

「んー♪具体的にはどのくらーい?」

 

「…て、手篭めにされてもいいくらい…///」

「「きゃーーーーっ!///」」

 

 

鞠莉と果南の叫び声が響く砂浜だった…。

 




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ダイヤルート ③ ~変わらないからこそ~

ダイヤルートも最終話!
…感慨深いなぁ。


「ほら、ここ間違ってるよ」

「うゅ…ぅ………」

 

俺はダイヤが大学から帰ってくるまでの間…ルビィに勉強を教えていた。

 

「またダイヤに怒られるぞー?」

「うゅ…がんばルビィ…」

 

「ただいま帰りました……わ…?」

ガラガラと玄関のドアが開いた音がした。

どうやらダイヤが帰ってきたみたいだ。

 

「あ、お姉ちゃん!♪」

勉強を途中で抜け出して迎えに行ったルビィ。

俺も後を追うことにした。

 

「おかえり、ダイヤ」

「悠さん、いつもありがとうございます♪」

「えへへ、悠さんの教え方凄く上手なんだよっ♪」

 

「もうっ、ルビィはいつまでも悠さんに甘えて───」

「どうどう…落ち着いてダイヤ…」

 

笑いながらカバンを受け取る。

ここからは選手交代でダイヤがルビィに勉強を教える。

俺はその間に夕飯を作る。

 

最初はダイヤから''わ、私がやりますわっ!''と言ったが…これくらいのお返しはしたい。

…正直、寝泊まりする回数も増えてきたし…。

 

「今日は何がいいー?」

「あっ、ルビィはハンバーグが良い!」

「ルビィ!あまり困らせないの!」

 

「あはは、じゃあハンバーグだな」

「あっ…悠さん…何かお手伝いしましょうか?」

 

勉強が一段落ついたのか、隣にダイヤが立っていた。

「…んー、じゃあフライパンに油敷いておいてくれるかな?」

「わかりましたわ♪」

 

流石に2人だと効率も早くなる。

今日あった事をお互いに話し合う。

他愛も無い話や、面白かった話を言って2人で笑い合う。

 

その姿を、じーっと見つめるルビィ。

「…ん、どうしたルビィ?」

「なんか…お姉ちゃんと悠さん…新婚さんみたい!」

 

「なっ…ぁ……あ…っ…!!//////」

突然のことすぎて言葉を失うダイヤ。

…そして…次の瞬間、顔から火が出るくらい顔を真っ赤にする。

 

「ぶ、ぶっぶーーーーーですわっ!!///

そんなの…気が早すぎますわ…//////」

「じゃあ…そんな風になりたくないの?」

 

「うっ………………//////」

ルビィからの純粋な質問にタジタジになるダイヤ。

どう答えていいか分からないダイヤはこちらに視線を送る。

…やれやれ、助けてやるか…。

 

「俺はなりたいよ」

「なっ──────────!/////」

「…ん、何か変な事言ったか?」

「…………本気……ですの……?//////」

 

視線を合わせず、袖をきゅっ…と掴みながら呟いたダイヤ。

「…本気じゃなきゃそんなこと言わねぇよ…」

「…わかり…ましたわ……///」

 

深々とお辞儀するダイヤ。

「…若輩者ですが…よろしく、お願いしますわ…///」

「わぁー、ルビィ…こんな告白…目の前で聞けちゃった…///」

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、ハンバーグが焦げそうになってることに気がついて

あたふたする俺とダイヤだったが…目が合う度にドキドキして…それがどこか面白くって笑い合ってしまう。

 

 

 

 

 

 

…後日、この告白していた内容をガッツリ両親に聞かれていたみたいだった…。

お父さんは号泣していたみたいだけど…。

 

 

 

 

 

 

ダイヤルート

Fin




いよいよ、次は曜ちゃんルート!
待ってましたって人も多いのかな?
そして、この作品も曜ちゃんのルート3話で…完結となります…!
駄文ですが…最後までお付き合いよろしくお願いします!



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曜ルート
曜ルート ① ~この気持ちは?~


来たきたきたー!!!曜ちゃんルートでーーす!!
文量増し増しで頑張るのでよろしくお願いします!

甘すぎて血糖値上昇不可避なので注意してください!
では始まりまーーす!


「ふんふーん♪」

鼻歌交じりで曜が何か作業をしていた。

 

「何してるの?」

そこにお呼ばれされた…俺。

何をしているのか……内緒と言われた。

 

「 へへーん、実はオリジナルの服を作っているのであります!」

「…服?」

「そうっ♪

…ほら、Aqoursの衣装…作らなくなったから何か作りたいなぁって♪」

 

「…それはいいけどさぁ……」

「んー?」

 

「…なんで、俺の上に座りながらなの…?」

「えっへへ、なんか落ち着くんだもん♪」

 

俺のあぐらの上に座る曜。

もろに感触が…する…。

 

「………」

「わわっ…悠…くん…?///」

 

抱きしめると曜は驚いた表情をした。

「…ん、落ち着く…」

「…私も…落ち着くよ…///」

 

「…そんで、どんな服を作るの?」

「へへんっ♪悠くんとのお揃いの服だよ!♪」

「…要はペアルックって事?」

「そうっ!♪

…どう、かな…?///」

 

「…へへっ、毎日着て学校行きたいな」

「あっ、私も!♪」

 

2人で笑う。

「……悠くんとこうやって話すのはすっごく楽しいなぁ…♪」

「どうしたんだよ、急に」

「ううん、ホントにそう思ってるの!♪

…ああやって、ホントの気持ちを言い合ったりすること…無かったから…」

 

「…あー、あったな…そんな事…」

「えへへっ、悠くんには助けてもらってばっかりだね♪」

「それこも男の性って事だ」

「頼もしいなぁ♪

…何か…お礼したいなぁ…」

 

「お礼だなんて、そんな…」

「あ、そうだ!」

「ん?」

「お礼きーめたっ♪」

「……???」

 

そして、また鼻歌交じりで作業を続ける曜だった…。

俺は頭を撫でたり曜の作業風景をずっと眺めていた。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

【次の日の昼休み】

 

「さーーーーーって…ご飯ご飯…あれっ、弁当忘れた…ー!?」

 

…いや、志満さん…俺の分渡してくれてないような…。

「…あ、ゆ、悠くん……その…これっ!///」

 

ぐっと前にお弁当箱を差し出す曜。

「……曜?」

 

「あっ、千歌ちゃん、曜ちゃん、悠くん…お昼食べ───」

「梨子ちゃんストーーーップ!!

…ふ、2人で食べよ、ね?」

「…えっ、あ、うんっ…///」

 

そのまま2人はいそいそと教室を後にした。

曜は苦笑いしながら言葉を続けた。

 

「…ご、ごめんね…っ!

志満さんに先に言っておいたの…今日は…私が悠くんのお弁当…作りたい、なって…///」

「…あ、ありがと…曜っ。その…一緒に食べよっか?」

「うんっ!♪」

 

 

そして俺と曜は屋上に来た。

他の生徒は居ないようだ。

 

「んー、いい天気だなあ…」

「へへっ、食べたら眠くなっちゃいそうだね♪」

「午後はなぁ…寝ないようにしないと…」

「じゃー張りきって……じゃーんっ!♪」

「おおっ、美味そう!」

 

「今日は腕によりかけたよっ♪」

「どれから食べようかなぁ~」

 

と、選んでいると曜が箸を持って…。

 

「…は、はい……あーん…///」

「…よ、曜…っ?」

「…その…今誰も見てないし…///」

 

「……う、うん…」

差し出された卵焼きを…そのまま口に運ぶ。

正直、味なんてよく分からないくらい恥ずかしかった。

 

「…めっちゃ…美味い…」

「…へへっ、よかった…♪」

 

というが…どこか寂しそうな顔をする曜だった。

 

 

────────────────────

 

【曜 視点】

 

…こうやって…接してくれてるけど…。

いつか…悠くんは、好きな人と一緒に…居るんだよね…。

 

 

私じゃ……なかったら…。

今こうしている時間や…行動は…もう、出来ないって…事だよね。

 

そんなの…やだよ……。

 

「…曜?」

「へっ!?…あ、あー、ごめんねっ!どうしたの?」

 

…ううん、悠くんの前では…笑顔でいなきゃ。

 

 

 

────────────────────

 

 

「飯を食った後あたりから曜の様子がおかしいんだけど…心当たりある?」

「あっ、悠くん今のは曜ちゃんの曜、と様子の様を掛けたのかなっ?」

「もう、千歌ちゃん……うーん、私は心当たり無いかなぁ」

 

「うーん、あの感じはまた悩んでるように見えたんだけど…」

 

「…ふふっ♪」

考えてる姿を見て梨子が吹き出した。

 

「…ん、どうした?」

「私は、曜ちゃんと悠くん…凄く仲良しに見えるけどね♪」

「あっ、千歌もそう思う!」

 

「…そう、か?」

「見てるとね、こっちまで笑顔になるって言うか…」

「お似合いだなぁーって」

 

「…んん…そうか…」

…確かに…そう考えると…辻褄が合うというか。

俺は以前、曜に…''スクールアイドルではなく、1人の女の子として見てほしい''と言われた。

 

あの時はその言葉だけで終わったが…。

俺のために服を作ってくれたり、お弁当を作ってくれたり。

そんなの…好きじゃなきゃ、やってくれない…よな。

 

 

「…………………………」

「ふふっ、これは……だね、梨子ちゃん♪」

「そうだね♪」

 

「あ、絆メーターがMAXになったって事かなぁ?」

「そういう事じゃないと思うけど…」

 

 

────────────────────

 

 

【夜】

 

「…突然、押しかけて悪いな」

「ううん、悠くんならいつでも歓迎だよっ!///」

 

俺は居ても立ってもいれなくなり…曜の家に行った。

…何故だろう、意識し始めると…普段見ていた曜の部屋着もどこか色っぽく見える。

 

「…今日も、作業するのか?」

「うんっ♪」

「じゃあ、横で見させて貰おうかな」

「もっちろん♪」

 

そのまま曜の部屋に行き…隣で見ていたが…。

どうにも言葉が出てこない。

 

───自分のホントの気持ちを伝えるべきか?

…ダメだ、言える自信が無い。

 

───曜の考えてることを…聞いてみる?

…きっと、本音を隠すだろうな…。

 

 

「─────くん、悠くんっ?」

「えっ……ああ、どうしたの?」

「ぼーーっとしてるよ?…何かあったの?」

「ん、少し疲れただけだよ」

 

不安がらせちゃ…いけないよな。

「…じゃあ…一緒に…寝る…?///」

「…いいのか?」

「もう…それも込みでウチに来たんでしょ…///」

 

「あはは…じゃあ、お言葉に甘えようかな」

…本当は今の関係がハッキリしないままは…腑に落ちないのに、どこか勇気を踏み出せない自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ベットの中で背中を合わせる俺と曜。

 

「…曜」

「…んー?」

「…その…''ごめんな''」

「………えっ?」

「……いや、何でもない…おやすみな」

「…あっ…………うん…おやすみ…」

 

 

 

この言葉が…2人にとって、意味が違う言葉になる事を…お互いに知らなかった。

 

 

 

────────────────────

 

 

【曜 視点】

 

(ごめんな…って…それって…フラれてた…の?)

聞き返そうにも…悠くんはもう眠りについている。

 

(そっか…私は…悠くんの1番になれなかった…)

 

ポロポロと涙が溢れていた。

──────────あの人には、気付かれることもなく。




曜ちゃんルート…楽しい…!(本音)

と言うか曜ちゃんのスクスタ水着可愛すぎません?
なんなの?俺はアヒル船長になりたいよ←

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曜ルート ② ~食い違い~

曜ちゃん可愛い!!(挨拶)

というわけで曜ちゃんのルート2話目でございます。
文量増し増し!


朝起きたら、曜が既に居なかった。

曜のお母さんに聞いたら……学校に言ったという。

 

つまり…あそこってことか。

身支度を済まして急ぎ足で浦の星学院に向かう。

……なんだか嫌な予感がする。

 

 

そして、学校向かう道中…前から走ってくる…ポニーテールの女の子に出会った。

「あっ、果南!…朝練?」

「あっ、悠♪

うんっ、毎朝の日課だよ♪」

 

そっか…確かにいつも走っていたな。

「んー?…悠…何か…悩んでる?」

「…あっ…分かった?」

 

そういや梨子からよく顔に出てるって言われていたな…。

仕方ないよな…曜の事、心配だし…。

 

「……………………実は……」

「……あっ、曜?…そう言えば…さっき、すれ違ったよ?」

 

「えっ、そうなの?」

「こっちが声を掛けても反応してくれなくて…何か上の空 …って感じだったなぁ…」

「……っ……そう、なんだ…」

 

やっぱり…アイツなんかあったんじゃねぇか…。

「…ふふっ、悠の顔…本気で曜の事心配してるみたいだね♪」

「当たり前だろ…っ」

「本気なら本人にしっかり伝えなきゃ!」

 

そう言うと果南は俺の背中を思い切り叩いた。

「いっつ…!!…な、なんの事だよ?!」

「…あっ、もしかして…気付いてない~?

…まぁ、それが悠らしさだからねぇ…まぁ、早く逢いに行きなよ♪じゃあねっ♪」

 

そう言うと果南は走り去ってしまった。

「…しっかり伝える…?…何をだ?」

 

理由が分からない…けど…俺の歩くスピードは…少しだけ早くなっていた。

 

 

────────────────────

 

【曜 視点】

 

「……………………はぁ…」

 

背泳ぎの格好でじっと天井を見上げる。

私以外、プールには誰もいない。

 

「………悠くん…好きな人誰なんだろ……あはは、やっぱり千歌ちゃんかなぁ…それとも…果南ちゃん……なの、か……な…」

 

目頭がまた熱くなる。

泣かないって…自分に言い聞かせて…いたのに。

 

「……悠…くん…っ……」

もう…一番近くで…声は…聞けないのかな…ぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱり居た」

「……………っ…………悠くん…っ…!!」

 

息を切らしながら…悠くんがプールの入口に立っていた。

 

「…ったく…心配したんだぞ…朝から家に居ないし…

どこか出かけるなら一言くらい声を────」

「……こ、来ないで…っ…!」

 

「…………えっ…?」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「……こ、来ないで…っ…!」

「…………えっ……?」

 

曜から思いがけない言葉が出た。

…来るな?……どういうことだ?

 

「…嫌だね、そんな言葉…

納得出来るわけないだろ…っ…!」

財布や携帯…上着を投げ捨ててプールに飛び込み…。

曜の元に歩み寄る。

 

 

「…な、なんで…来るの…っ…!」

「うっさい!そもそもなんでそんな遠ざけようとすんの!」

 

「だ、だって…!!」

「だっても勝手もない!」

 

慌てて逃げようとする曜だったが…すぐに捕まった。

手を掴むと…曜が顔を背けた。

 

「…曜………お前……泣いてるのか?」

「…っ…う…っ…泣い、てなんか…ない…よ…ぅ…っ!」

 

言葉とは裏腹に…曜の口から嗚咽が聞こえる。

…明らかに…様子がおかしい。

 

「…曜、お前…何があったんだよ…っ!」

「……っ……!」

 

目線をこちらに向けると…曜の目は真っ赤に腫れていた。

「だって…だって…悠くんに……フラれちゃ…った…んだもん…っ…!」

 

俺の胸に擦り付き…わんわんと泣き続ける曜。

…俺が…曜の事を…振った?

いつ?どこで?どんな風に?

 

俺の中でハテナしか浮かばなかった。

…いや、その前に…曜の事を落ち着かせなきゃ。

 

「…曜…落ち着け」

頭をポンポンすると…曜は首を横に振った。

「嫌っ…優しく…しないでよ…っ…!

悠くんの事…諦めきれなく…なっちゃう…っ…!」

 

 

「…ん、お願いだ…落ち着いて…」

ぎゅっ…と抱きしめると…曜の泣く声が…だんだん小さくなっていく。

 

「…悠…くん…?」

「…その……これは、そのままの意味での…謝罪、だから

…ごめん、俺の言葉足らずだった」

 

「…えっ…………?」

「…あ、いや…確認…だけどさ…

それって…昨日の夜…の事…だよね?」

 

その質問に曜は小さく頷く。

「…その時言った……ごめんって…言葉…

あれは…''曜が俺に対して思ってくれてる気持ちに…返事がまだ返せなくてごめん''って事だったんだ…」

 

「えっ……!?…う、嘘…っ…!」

「嘘じゃないよ……と言うか、まだ決まってなかったのは事実だし…」

「…じゃ、じゃあ……私の…早とちり…っ!?」

「………ま、まぁ…お互いの食い違い…って事…かな?」

 

「…ぁ……わ、私…てっきり…っ!」

「…ん、じゃあ…今度はしっかり、ちゃんと伝えるから…聞いてよ?」

 

「……悠くん……?」

「俺は………曜の事が好きだ

疑問系じゃなくて…確信に変わった。

俺はいつまでも…曜を一番近くで見ていたい。

…俺の前では…1人の…渡辺曜っていう女の子で居てくれ」

 

「……は…ぁ………っ……!!」

信じられないような顔で俺を見つめる曜。

しかし、俺の口は曜の言葉を聞く前に喋り続ける。

 

「お前の事が…好きで好きでしょうがない

初めて会った時から…一緒に居てくれて

喧嘩もしたし、手を取り合った事もあった…

勘違いする所だって……俺は曜らしくて…好きだよ」

 

「そ、そんな……私なんかで…っ…!」

「なんか、じゃないよ…俺は曜がいいんだ」

「…ゆぅ…くん…っ…!」

 

「…もう寂しい思いや…不安な気持ちになんか…させないよ

だから…ずっと…俺のそばに居てくれ

お前のことは…俺が守ってやる」

「……うんっ……うんっ…!!!」

 

嬉しさを爆発させるように抱きしめる力を強くする曜。

涙を流しながら…俺と曜は唇を交わした。

ゆらゆらと揺れる…水面で2人。

全てを奪い取るように…熱く熱く…唇を交わす。

 

2人を止めるものは…もう何も無い。

いや、止めようとしても…無駄かもしれない。

それくらい…お互いがお互いの事を欲してたまらなかったのだ。

 

「…ごめん…悠くん…服が濡れちゃった……」

「あ、あぁ…あの時は…必死だったからな…」

「…そんな…必死になってくれる…悠くん…大好き…っ…///」

「…それは…返事って解釈で…いいのかな?」

「もぅ…私の答えは…ずっと前から…決まってるよ…///

悠くんの事が…だああああああぁぁぁい好きっ!///」

 

「…俺もっ!」

2人の笑い声がプール中に響き渡る。

…しかし、HappyENDの展開もつかの間…曜がねっとりと指を絡ませてくる。

 

「…悠くん…///」

「…んっ、ここじゃまずいな……曜の家…戻ろうか…?」

「で、でも…服は…っ」

「確かジャージがあったはず…取りに行こうか?」

「うんっ…!///」

 

 

プールを出て…教室に向かうと確かにジャージが置いてあった。

曜からタオルを貸してもらい体を拭いて…学校を出る頃には日も暮れ始めていた。

 

 

 

──────────────────

 

曜の部屋に戻ってくるや否や…俺は曜をベットに押し倒した。

 

「ひっ……!//////」

「…ごめん、我慢できない」

 

「うぅ………いい、よ…?///」

曜の体に自分の口が当たりそうなくらい接近した…。

 

 

 

 

次の瞬間!

 

 

 

 

prrrrrrrrrrrrr!!

 

 

 

 

「ひっ!///」

「んぐっ!?」

 

曜の携帯が鳴った。

2人で顔を見合わせる。

 

「…で、出る?」

「………そ、そうだな…」

 

画面には 千歌ちゃんという文字が。

 

「…あ、も、もしもし?」

【あっ、曜ちゃん?

果南ちゃんから曜ちゃんの様子が変って聞いて連絡したんだけど…】

「(あっ…あの時完全に上の空だった…)…だ、大丈夫だよ!…その…色々~…あったけど…もう平気!」

 

【ほほーう…つまり悠くんと結ばれたってことかなぁ~?♪】

「へっ!?///……あ、あー…そのぉ…///」

【悠くん…居るんでしょ~?♪】

 

「…あ、お、お電話です…///」

しまった~…みたいな顔をして曜が携帯を渡してきた。

 

「……千歌…あんまり曜をからかうなよ」

【もー!それはこっちのセリフだよぉー!

曜ちゃんの事、悲しませたら許さないからね!!

【ワンっワンっ!!】

 

「…曜、どうやら全部お見通しのようだぜ?」

「…め、面目ない……うぅ…///」

 

【あっ、もしかしてお邪魔しちゃった?

ご、ごめんね~っ!話はそれだけだから!あとはごゆっくり…!?

わ、私梨子ちゃんの所行ってくるから~!】

 

そう言うと……電話は切れた。

 

 

「………あはは…なんか…タイミング逃しちゃったね…?///」

「…だな………とりあえず…風呂でも一緒に入るか?」

「えっ…あっ……は、はいっ…!///」

 

 

 

 

 

ぎこちない動きでお風呂場に向かった曜。

一緒に湯船に入っていたが……その時も喋り方はどこかロボットのようで…。

さっきの事を思い出しては…恥ずかしかってブクブクと何度も水面を揺らしていた。

 




曜ちゃん
可愛い可愛い
曜ちゃんだ(字余り)

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曜ルート ③ ~いつも通り~

曜ちゃん可愛い!!(挨拶)

寝そべり曜ちゃんもどこか嬉しそう!!
(自宅で頭をポンポンしつつ)


「えっへへ~悠くん~♡」

 

朝の通学路…曜が腕に抱き着きながら歩いていた。

完全に甘えん坊モードである。

 

「よしよし、今日も可愛いな、曜は」

「悠くんもかっこいいよ♪」

 

「あ、あわわ…梨子ちゃん…何だか見てる方が恥ずかしくなってくるね…///」

「これは~…なんか~…こう…///」

 

数歩後を歩く2人…その姿を見てアワアワと見たり見なかったりを繰り返していた。

 

「悠くんっ、一緒にご飯食べよ~♪」

「デザートは…曜にしようかなぁ」

「えっ……///

…あ、うん…いい、よ…///」

 

「「ひゃ……///」」

恥ずかしさの頂点に達したのか…千歌と梨子が抱きついた。

 

 

 

────────────────────

 

 

「ゆ~う~く~ん~…………」

 

朝の通学路までの元気はどこへやら…。

「うぅ…英語の授業は苦手であります…」

「あっはは……」

 

「次は体育とはいえ…やる気が…ゼロであります…」

「しょーがないなぁ…曜ってば……」

 

 

俺は曜の唇に軽く口付けをした。

「…っ~~!!!???///」

「…これで頑張れるか?」

「ひゃ、ひゃい…///」

 

 

「ネェネェ、リコチャン…コレナンテラブコメ?」

「あぁ!千歌ちゃんがショートしたっ…!!」

顔を真っ赤にした千歌ちゃんの目を急いで梨子が隠す。

…そんなに変なことをしたかな?

 

 

 

しかし、元気をもらった曜は体育の授業中も留まることを知らなかった。

 

「ゴールと悠くんのハートは私のものであります!」

「そんな恥ずかしいセリフ言うなー!///」

「こ、このリア充ー!///」

 

いつの間にか…曜が突っ込まれキャラになっていた。

「…いや、既に俺のハートは曜の物だし」

「そ、そこぉ!乗るなぁー!///」

「そ、そうよそうよ!///」

 

…俺も突っ込まれキャラになったようだ。

 

 

────────────────────

 

 

【学校の帰り道…】

 

 

「はー、楽しかったー!」

「元気だなぁ…曜は」

「うんっ!♪

…だって、悠くんと一緒に居れて…毎日幸せで…楽しいんだもんっ♪」

「…照れるなぁ…」

 

「…悠くんっ!」

「…ん?」

 

数歩先を歩き…こちらを振り向く曜。

「……大好きっ!!///」

「曜」

 

「…は、はいっ!?///」

「抱きしめていい?」

「あっ……えっへへ…うんっ!///」

 

道の真ん中でもお構い無しに抱きしめ合う。

「………………………」

「…………//////」

 

「曜…今度、デートしよ?」

「と、突然だね…っ…///」

「ん…そうかな?」

「…ううん、悠くんとなら…どんな所でも行きたいなっ///」

 

「じゃあ…家に帰ってどこ行くか決めよっか!」

「うんっ!♪」

 

────────────────────

 

「んー、ここも行きたいなぁ…あっ、ここもいいかも!♪」

椅子に座り…雑誌を片手にあれこれと迷ってる曜。

 

「決まった?」

「うんっ、だいたい決まったよ♪」

 

「………っ……」

くるりとこちらを向いた曜。

いつも見慣れたメガネをかけた姿にドキッとしてしまった。

 

「はあ~~~~~……好きだわ…」

「ちょ、ちょっ…悠くん…?///」

抱きしめられて困惑する曜。

 

「…ゆ、悠くんは…抱きしめるの…好きなの?///」

「…好き、かも」

「あはは…果南ちゃんと同じだね…///」

 

「…でも、キスの方がもっと好きだけどね」

「それは…私も///」

 

その言葉の後…どちらからともなくキスをする。

「…ん、じゃあ…そろそろ寝ようか?」

「うんっ…///」

 

 

────────────────────

 

 

手を繋いで眠りにつく…。

しかし、曜が声をかけてきた。

 

「…ねぇ、悠くん?」

「…ん、眠れないのか…曜?」

「…えへへっ…なんか昔のこと思い出しちゃって…///」

「…昔?」

「…悠くんの隣で…初めて寝た時のこと///」

 

「あの時は…すっごく…ドキドキしたなぁ…」

「私も…あんなに男の子に積極的になれたの…初めてだったよ///」

「…あの時から…好きだった?」

「…かも………///」

「…へへっ、ありがとな曜」

「うんっ…♪」

 

「…悠くん…もっとくっついて…いい?///」

「ん、おいで…曜」

「やったぁ♪」

 

頬と頬が擦り付く位くっつく曜。

もはや胸が当たったりするのは当たり前のようになっていた。

 

 

「…悠くん、おやすみ///

…大好きだよっ♪」

「おやすみ、曜…大好きだよ」

 

そのまま2人で眠りについた。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

【そんなこんなで次の朝】

 

「悠くん、起きて~♪」

「………もう5分…」

 

「いいよ~♪」

「…いいんかい」

 

多分将来あれだな…曜は甘々で許しちゃう性格になりそう…。

それに甘える俺も俺だけど…。

「へへん♪…悠くんの寝顔ならいつまででも見てられるからね♪」

「そんなこと言ってると…朝から襲うよ?」

「……いいよ…?///」

 

寝ながら腕に抱きついてくる曜。

…しかし、その直後…悪戯っぽく笑う曜。

 

「…にっしし♪

でも朝はお預けっ♪

…デート楽しんでから…夜に……ね?///」

 

 

…俺は曜には逆らえないようだ。

 

 

────────────────────

 

 

 

デートでやってきたのは…意外にも、近場の三津シーパラダイスだった。

 

「…ここで良かったの?」

「…うん、悠くんには…ちゃんと言っておこうかなって思って」

 

水槽にもたれ掛かり…曜が静かに話を始めた。

 

「…梨子ちゃんが、ピアノの発表会で抜けた時のライブ…覚えてる?」

「ああ、もちろんだよ」

「…あの時ね、悠くんが…家まで来て私を説得する前まで…何度かここに来ていたんだ」

 

「…そう、だったのか…でも、何で…?」

「ほら、悠くんと千歌ちゃんと私の3人で…ここに来たことあったでしょ?

…その時の事とか思い出して…

私は千歌ちゃんの横に居ていいのかな…どうすればいいのかな…って…1人でずっと悩んでて…」

 

「………………」

「結局、答えは出せなかったんだけどね…あはは」

自虐そうに曜が笑う。

 

「…もし、あの時…あの場所に…悠くんが居なかったら…私はもしかしたら、ライブができなかった…かも」

「…曜…」

 

「…だからね、今日はその時の思い出を塗り替えるくらい…ここで沢山楽しい思い出を作りたいのっ!

…大好きな…悠くんと…一緒に…///」

「…そっか

……うん、俺も…曜と楽しい思い出…沢山作りたい

今日も…これからも…ずっと」

 

「……うんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手を繋いで水族館を回る2人。

固く握った手は…どんな事があっても離さない。

いつも通り眩しいくらいに笑ってくれる君とずっと一緒にいれる証だから。

 

 

 

 

 

 

曜ルート

Fin




今も昔もこれからも…曜推しは変わりません!
眩しいくらい輝く曜ちゃんをこれからも応援します!


さて、これにて11人のキャラの分岐が終了しました!
次回はエピローグとなります!

エピローグまでご自愛ください!!
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エピローグ
エピローグ(.......?)


今年の1月15日から投稿し始めた。

ラブライブ!サンシャイン!!の恋愛小説。

 

【Aqoursな日々】 皆さん、どうだったでしょうか?

 

ありがたいことに、お気に入り登録413件

評価 29名の方

UA 100,000突破

 

と、すごく投稿する活力になりました。

見てくれた皆様、本当にありがとうございます。

 

また、見終わった後に感想等くれたりしたら

とても嬉しく思います。

 

正直、130話を超える作品になるなんて

最初の頃は思っても見ませんでしたw

 

最初っから最後まで駄文だし…

途中更新が途絶えた事もあったりと…反省も多かったと思ってます。

 

しかし、感想や評価など

読んでくれてる人が沢山いて投稿した甲斐があったなぁと感じてます。

 

分岐ルートなど、皆様の推しキャラの良さが出た内容になったなら幸いです。

 

また、R版は曜ちゃんルート編を投稿したら、リクエスト系をちょこちょこ投稿していくつもりです。

 

こちらの作品はAqoursのキャラの誕生日などに投稿をしていくつもりです。

それまではしばし更新が止まると思いますがご了承ください。

 

新作も投稿します!

もちろん原作はラブライブです!

 

こちらの方も投稿されたら是非お目を通して頂きたく思います。

 

まだ肝心なタイトルが模索中って所なんですが…w

今作と同じくらい張り切って更新しますのでお楽しみに!

 

 

 

【Aqoursな日々】をご愛読していただき

ありがとうございました!!!

 

 

A×K

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

【それは、とある日の帰り道

そしてこれは…まだ悠が誰が本当に好きな人か決まってない時の事…】

 

 

「うわあああ!!」

天気予報だと雨のマークなんてこれっぽっちも出てなかったのに…!!

 

 

カバンを頭の上に置き、少しでも濡れないように一目散に走る。

 

お昼すぎまで晴天だったのが嘘のように土砂降りの雨。

通り雨だと思って学校の正門で待っていたが、一向にやむ気配がない。

 

こんな時に限って先生に呼び出されて学校の帰りが遅くなる。

 

千歌と梨子と曜は一足先に家に帰っていた。

千歌が傘を持って行こうか?と連絡を入れていたが気がつかなくそのまま走って十千万まで向かっていた。

 

 

(とは言うものの…さすがにキツいな…)

どこか雨宿りできる所を…と、探していると少し先に船を置いておくような小屋があった。

 

「あそこに行こう…っ!」

 

と、走り始めたその時だった。

 

 

 

 

 

 

「──────────っ……!」

一瞬にして体の力が…………抜けた。

 

 

 

 

 

まるで、体の奥底にある芯が抜かれたかのように。

そして、違和感はすぐに気がついた。

 

 

 

 

声が…………''出ない''

 

 

 

 

視界もかすみ、全身を強い倦怠感が襲う。

そのまま為す術もなく…雨に濡れた地面に倒れ込む。

 

次第に段々と…頭の思考回路も回らなくなってゆく。

 

 

最後に聞こえたのは…遠くで鳴り響く雷鳴だけ…だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はそのまま……眠るように意識が無くなった。




to be continued…?


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ファイルNo.00000

────────、───────

─────────────────────。


千歌「…おはよ、悠くん」

 

病室の静けさの中…一言だけ、挨拶の言葉が飛んだ。

もちろん、返事は返って来ない。

 

千歌「…あっ、時計…止まってる」

いつからか…分からないが、時刻が16時過ぎで止まっていた。

…ちょうど…悠くんが…雷に打たれ…。

 

千歌「…っ」

切なくなった千歌は、悠の手を取った。

 

千歌「…悠…くん…っ」

 

────────────────────────

 

 

【病室の外】

 

 

果南「…………………」

病室のすぐ外で何も言わずに壁にもたれかかっている果南。

 

近づく足音に果南は目をやった。

果南「…ダイヤ」

ダイヤ「私だけではありませんよ……」

 

聖良「…お久しぶりです、果南さん」

果南「北海道からありがとうね、聖良ちゃん」

聖良「…いえ、この位の事しか…千歌さんは…」

果南「…………………」

静かに果南は首を横に振った。

 

果南「…むしろ…前より酷くなってる…少し痩せた感じ気もするし…」

聖良「…千歌さん…」

 

ダイヤ「…ふぅ、お2人とも、少し良いですか?」

果南&聖良「………えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイヤに連れて来られたのは……談話室だった。

お茶を片手に…対面で座ったダイヤは静かに口を開いた。

 

ダイヤ「…なぜ、千歌さんがあそこまでショックを受けてるか…分かりますか?」

果南「そりゃ…悠の事が好きだから…」

聖良「…私も、そう思います」

 

ダイヤ「もちろん、それもあります…が…

…良いですか、ここからは本当に大事なお話です」

果南「…ダイ、ヤ…?」

聖良「……………………」

 

ダイヤ「雷に打たれて……地面に倒れ込んだ悠さんを発見したのは

─────────千歌さんなんです」

 

果南「…えっ」

聖良「…そん、な…」

ダイヤ「携帯電話に連絡を入れても既読が付かず、心配になった千歌さんは傘を持って浦の星までむかっていたそうです

…そこで目にしたのは…雨に打たれながら…地面に倒れてる…」

 

果南「…で、でもっ…!」

聖良「……………」

ダイヤ「千歌さんは、酷く後悔をしていました

私がもっと早く迎えに行ってたら…朝、雨が降るよと伝えていれば…と

…これは、千歌さんと2人だけで話をした時に聞いたものです

他言はなるべく…控えてあげてください…それが千歌さん本人の為でもあります」

 

 

梨子「…千歌ちゃん、夜は悠くんの部屋にいるみたい」

ダイヤ「…梨子さん」

梨子「すいません、盗み聞きをするつもりはなかったんです

…でも、夜…千歌ちゃんの部屋を見ると…明かりが消えてて…

隣の…悠くんの部屋が付いてて…」

 

曜「辛いのは…私達も同じ…だけど、このままっていうのは、きっと悠くんが望んでないって…私たちは思うんだ」

果南「…それって…」

 

 

聖良「…私たちに出来ることは…一つだけ、ですね…」

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

【病室】

 

 

 

千歌「あっ…虹…珍しいね、悠くん

きっと、方向的に…淡島の方…かな?」

 

手を握り、何度も頬を擦り付ける千歌。

 

千歌「……信じてる、から……」



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Code:142 確かに動き出した秒針

事実上の最終話です。


曜「…千歌ちゃん」

果南「…千歌、顔…上げよ?」

 

千歌「……………」

悠が雷に打たれるという悲惨な事故から数ヶ月…

千歌の顔が晴れないまま…Aqoursのメンバーと…Saint Snowの2人は沼津に居た。

 

事の発端は、聖良の一言だった。

聖良【ライブ、しましょう…悠さんの、為にも】

 

意識が無くても…きっと歌声は届いてくれる…そんな想いからの発言だった。

千歌は承諾しなかったが…周りのメンバーからの後押しもあって何とかライブ当日を迎えた。

 

Aqoursのしばらくの活動休止もあったからか…ファンもライブを心待ちにしていた。

 

善子「…私たちはやれる事をやるだけ、よ」

梨子「千歌ちゃん…大丈夫、悠くんとは…心が繋がってるから」

 

鞠莉「それに、こんな暗い顔してたら…逆に心配させちゃうわよ?」

ダイヤ「えぇ、いつか…目を覚ましてくれる悠さんのためにも…悠さんの大好きな私たちのライブを披露しましょう」

 

千歌「…………が………よ…」

ルビィ「…ち、千歌ちゃん…?」

 

千歌「違うよ…っ!!!!こんなの…まるで…お別れみたいじゃん…!!」

聖良「違います!!」

 

泣きそうな千歌を聖良が止めた。

聖良「…私たち…AqoursとSaint Snowのメンバーで奇跡をおこすんですよ!

悠さんに目を覚まして欲しいのは、全員同じです!!

だから…悠さんに…私たちの歌声を届けたい、それだけです…!」

千歌「……………っ………」

 

曜「千歌ちゃん…ほら」

曜が手渡したのは…悠のリストバンド。

 

曜「…辛いのは…みんな、同じだから…だけど…諦めてないのも…同じ」

千歌「……奇跡…起きる…かな…」

 

果南「少なくとも…千歌なら起こせる気がするけどね」

梨子「うんっ、悠くんとずっと一緒にいたい千歌ちゃんなら起こせるよ」

 

千歌「……私…」

聖良「…千歌さん」

 

千歌「…歌いたい…悠くんのために…」

花丸「千歌ちゃん…!」

 

千歌「…ステージ、行こっか」

まだ戸惑いながらも…ゆっくりと歩き始める千歌。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

日も暮れ始めた中…ライブを見に来てくれたファンで埋め尽くされていた。

 

曜「私たち、Aqoursです!」

聖良「お久しぶりです、Saint Snowです!」

 

千歌「…っ…」

曜「…ほらっ、千歌ちゃん?」

 

千歌「私たちは………」

…グッと、力を込める千歌。

 

千歌「この歌を…かけがえのない大事な人に送りたいと思っています!

聞いてください────Over the Next Rainbow!」

 

この…歌詞を…想いを…悠くんに向けて…奏でたい…!

涙を零しながら、叫ぶように歌った千歌であった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

ライブは無事に成功した。

夜遅いこともあり…車で十千万に帰るAqoursとSaint Snowのメンバー。

 

 

曜「…明日、悠くんに報告しよ?」

果南「そうだね、ライブしたよって」

 

千歌「…うん」

梨子「…千歌ちゃん…」

 

千歌「…あはは…泣き疲れちゃった…」

聖良「…千歌さん」

 

ルビィ「あっ、流れ星!」

善子「…珍しいわね?」

花丸「善子ちゃん、それ以上は言っちゃダメずら」

 

善子「何も言ってないし!あと、ヨハネ!」

千歌「…悠くん…」

 

大事そうに…ギュッとリストバンドを手の中に収める千歌だった。

 

 

 

────────────────────────

 

 

【その日の深夜 病室】

 

 

「………っ…………あ…」

酷く体が重い…何かに押さえつけられているようだ。

視界も定まらない…なんだ…ここは…。

 

「…心電図…?…それに…この傷…」

…そうか…思い出した…俺は…。

 

「ぐっ……ああぁ…っ!」

思い出そうとすると…頭が痛くなり…そのまま…意識がまた途絶えた。

 

(…こんな所で…終われるか…っ…)

ぼんやりと意識が薄れる中…手を伸ばすが…そのままプツリと事切れたかのように手が下がった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

【次の日の朝】

 

 

 

「…ぅ…あっ…」

頭の痛みが引き…静かに目が開いた。

外は明るい…もう日が出始めているのだろう。

 

(千歌…どこ、だ…っ…)

会いたい、声が聞きたい…その一心で俺の体は動いていった。

 

 

(…くそっ、あん時の記憶だけが思い出せない…)

断片的だか…何かをしていたような記憶。

俺は…一体…っ。

 

 

 

「…体…重い、な…」

ナースコール押す力も残ってねぇ…。

千歌…頼む……早く、その顔を…見させてくれ…。

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

千歌「はぁ、はぁっ…!!」

 

 

 

果南「ま、待ってよ千歌~!」

ダイヤ「病院は走ってはいけませんよ!」

 

千歌「…っ…!」

何かを感じ取ったのか…急ぎ足で病室に向かう千歌。

 

 

息が荒くなる中…ドアを開けると…………そこには…。

 

「………どうした、血相変えて」

千歌「……………えっ…」

 

「…幽霊を見たような顔するなよ…''千歌''」

千歌「………ゆぅ…く、ん……………」

 

果南「…千歌…やっと追いつい…………た?」

「…果南…それに、みんなも一緒か」

 

果南「………っ…!!!先生!!!悠が!!!」

口を抑えて泣きそうな気持ちを抑えて、果南が先生を呼びに行った。

 

曜「…悠…くん…?」

梨子「本物…だよ、ね……」

 

聖良「…ゆう、さん…っ!!」

鞠莉「…全く…心配かけてんじゃないわよ…」

ルビィ「お姉ちゃん…っ!」

ダイヤ「…起きましたね…奇跡」

 

善子「…ゆ、ゆゆゆ、夢…っ?!」

理亜「夢じゃないから」

 

花丸「試しに頬抓ってみるずら」

善子「いひゃい、いひゃい~!!」

 

 

「……騒がしいな…相変わらず」

千歌「…なん、で……そんなことって…っ…」

「…なんだろな…はは、奇跡とでも言おうか…い、つつ…」

千歌「…っ…!!安静にしてて…!!」

 

支えるように、体を持つ千歌。

「…悪い、正直…めちゃくちゃ体重い」

千歌「…当たり前だよ…何ヶ月も…眠ったままなんだもん…

このまま…目を覚まさないんじゃないかって…千歌…心配で…心配で…」

 

ボロボロと泣く千歌。

弱々しい力ではあったが…俺は確かに自分の手で千歌の頭を撫でた。

 

 

 

 

医者「…信じられない…記憶障害も後遺症も何も無い…」

「…はは、自分でも驚いてます」

 

医者「…直撃雷を受けても…生きてるなんて…致死率70%以上だぞ…!?」

「…なら、俺の生命力じゃなくて…こいつらのおかげですね」

 

医者「…と、とにかく!今は安静にしててください!直ぐに精密検査の準備を!」

慌ただしく、医者は病室を後にした。

 

 

 

それからというもの、精密検査に精密検査を重ね…

記憶障害も後遺症も無く、しばらくの安静とリハビリが必要ということになった。

 

Aqoursのリーダーであり、瞬く間に情報が広まり…

雷に打たれて復活した男として少しの間、有名人となった。

 

 

────────────────────────

 

【数日後】

 

 

 

「…いつつ…」

千歌「あぁ、ダメダメ!無理しないの!」

意識を取り戻して数日後…やはり、1人で着替えするのもままならない。

…それに…。

 

「…雷の置き土産…か」

俺の体には…植物の根っこのような傷跡がついていた。

雷に打たれるとこんな傷跡が出来るらしい。

 

「…見てもいい物じゃないな」

千歌「…でも、こうやって意識を取り戻してくれただけでも…奇跡だよ」

「…でも…はぁ…留年だよなぁ…」

こんな状態で学校なんて…と思っていたが…それはまた先の話になりそうだ。

 

「…あ、そうだ…千歌…リハビリも出来て…外に出ていいって言われたら…お願いがあるんだけど…いいかな?」

千歌「…お願い?」

 

「…あぁ、確かめたいことが…あってな」

 

 

それから…リハビリを重ねて…俺が外出できるようになったのは…1ヶ月半も先の事だった。

医者曰く、これでもかなり早い方らしい。

 

「…母さんには感謝しないとな」

仕事をかなり放ったらかしにしてたらしく…今も世界中を駆け巡ってるらしい。

もちろん、意識が回復した時に連絡はしたよ…泣いてたけどね。

 

 

 

──────────────────────

 

 

【電車内】

 

曜「行きたいとこって…」

梨子「…東京?」

 

「…あぁ」

千歌「…μ'sの所…じゃ、無いみたいし…」

 

乗り継いで…着いたのは…。

 

曜「…お台場?」

梨子「悠くん、一体ここになんの用が…?」

 

「…あった」

千歌「…学校?…えーっと…虹ヶ咲…学、園…?」

曜「…ここがどうかしたの…?」

 

いるはずだ…''あいつらが…''

 

???「…あのー…この学校に、何か用ですか?」

曜「あぁーっ!決して怪しい者では!」

 

???「あーっ!渡辺曜ちゃんだ!」

「…君は…」

 

そこに居たのは…見慣れたピンクの髪の子と……。

???「…貴方って…もしかして!」

「…Aqoursのリーダー…冴木 悠だよ」

 

???「やっぱり~!!私、Aqoursとμ'sのライブ見て感動したんです!!…あっ!私、高咲 侑って言います!…えへへ、同じゆうって名前…ですね♪」

 

…高咲…侑…?

 

「…ちょっと待って…ここって…男子生徒って…」

侑「…?…ここは女子高ですよ…?」

「はじめまして…上原歩夢って言います

…何かあったんですか?」

 

「…あの、ここって…スクールアイドルって…」

侑「ありますよ?あっ、部長は私です!♪」

 

「…せつ菜とか…彼方とか…愛は?」

歩夢「お知り合いなんですか?…あっ、やっぱりAqoursのリーダーだから情報が早いのかな?」

 

…峻という存在が…居ない?

 

侑「今度ね、ライブするんです!

良かったら見に来てください!9人ともソロでするライブなんですよ!」

「…そう、か…」

 

……いや、峻という存在が……侑という存在になっている?

 

 

「…………っ」

 

 

キョトンとする2人に頭を下げて…俺はその場を後にした。

 

曜「ご、ごめんね、急に!…また今度顔出すからね!」

千歌「し、失礼しましたー!!」

梨子「あっ、ま、待ってよー!」

 

 

侑「…なんだったんだろうね?」

歩夢「何だが、思い詰めてた顔してたけど…」

 

 

 

 

────────────────────────

 

【数日後 内浦 砂浜】

 

 

「…はぁ」

不思議なことに、曜や花丸に宮之原 峻という男を知ってるか

そしてニジガクを知ってるかと聞くと何も分からないと来た。

この2人も完全に覚えてないとなると……本当に夢だったのだろうか?

 

「……にしては……悪い夢だっつの……くそっ、俺の選択はこれで合っていたのかよ…」

 

あの後、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の記録を見ていたが…。

 

「俺が峻として過ごした日々ばかりだったな…」

峻として過ごしたあの時間は…全て俺の夢だったということなのだろうか?

 

(それに、あん時の声……)

暗い世界の中で聞こえた声…あの声は、間違いなく…。

 

 

「…考えても…答えなんか出ないよな」

多分…きっと、何かに繋がるのかも…しれない。

そう自分に言い聞かせるしか無かった。

 

 

千歌「悠くんっ♪」

「…ん、千歌?」

 

千歌「みんな待ってるよ♪」

「…あぁ、分かった…行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも、再び動き出した秒針を…ゆっくりと噛み締めながら。

今を生きる…そう思って笑う俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

【その、数ヶ月後……】

 

 

 

 

千歌「よーしっ!行ってくるよー!♪」

梨子「あ、待ってよ、千歌ちゃーん!」

 

せつ菜「私達も行きましょう!」

歩夢「見ててね、侑ちゃん!」

かすみ「侑先輩が見るのは、かすみんだけですよ~!♪」

歩夢「かすかす、どうしたの?♪」

かすみ「か~す~み~ん~です~!!」

 

 

侑「あはは、賑やかだね……」

「……まさか、Aqoursと虹ヶ咲が一緒にライブするなんてな……」

 

侑「ごめんね、急に提案して……

でも、悠くんが虹ヶ咲学園に来て……初めて見た時に

何だか、ときめいちゃって!」

「……あぁ、俺もときめいた……すっごくな」

 

侑「そうだよね!ほらほら!1番近くで見ようよ!」

グータッチをして、ステージの最前列に向かう俺と侑。

峻との物語は……不思議な形で終わってしまったが……。

また始まる新たな物語を1歩ずつ噛み締めながら……ライブを見届ける俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

Aqoursな日々

Fin




長らく投稿していたラブライブ恋愛小説の第一弾
「Aqoursな日々」楽しんでいただけたでしょうか。

読んで面白いと言ってもらえたり
小説を通じて話せる仲間が増えたりと書いてて毎話毎話楽しくって仕方ありませんでした。

読んでくれた皆様、本当にありがとうございました。
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の恋愛小説、ならびに
新作小説共々よろしくお願い致します。

A×K


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Aqoursな日々 in the MIRROR
Aqoursな日々 in the MIRROR ①


幻日のヨハネ
Aqoursな日々バージョンスピンオフ作品です


「はー、いい天気だな〜」

とある休日の昼下がり。

砂浜でくつろぐ1人の少年がいた。

 

「こんな日は平和で穏やかな一日に…」

なんて考えてる時だった。

突然、悠の周りに突風が吹き荒れた。

 

「つむじ風…って、なんか俺を纏うように吹き続けてる…っ!?」

台風の中心にいるかのような感覚に思わず目を瞑る悠。

「前が、見えない…っ…!!」

身動きが取れないまま、目を瞑り続けること…数分。

 

 

 

 

 

「……あれ?」

目を開けると…そこは。

 

「…ここ…どこだ…?」

見渡す限り…木々が生い茂る森の中に居た。

突然、周りには誰も居ずに…静けさだけが悠を支配していた。

 

「えっ…えっ、えっ…?俺、確か…沼津の…砂浜に居たよな!?」

普段慌てる事の無い悠も、流石に焦ってオロオロとしていた。

 

 

???「何ですか、そんな大きな声を出して」

「だ、誰っ!?」

顔を上げると、そこにはふよふよと浮かぶ…何かが。

 

???「何ですか、おかしな物を見るような目をして」

人差し指ほどの大きさの…見知った顔が浮いていた。

「……せ、聖良?」

???「失礼な、私の名前はセイラーンです」

(そんなセイレーンみたいに言われても…)

 

セイラーン「さて、選ばれし者となった貴方には────」

「まったまったー!」

いきなりの話に流石にストップをかける悠。

 

「え、選ばれし者って何っ!?」

セイラーン「貴方は、使命を仰せつかったのです

そして、私はそのサポートをする妖精です」

「し、使命…っ!!?!?」

 

セイラーン「はい、それは…ここ、''ヌマヅ''で多くの人を助け迫り来る脅威に立ち向かって欲しいのです」

「…沼津…ヌマヅ…?」

いきなりの話に、難しい顔をしながら腕を組む悠。

 

「…い、嫌だ」

セイラーン「何故ですか!」

「そんないきなり過ぎて何が何だか…元居た場所に帰してくれよ」

セイラーン「使命を果たしたら、帰しましょう」

「鬼!!悪魔!!北海道!!デカメロン!!!」

セイラーン「う、うぐっ…何故でしょう…心にグサグサと刺さります…」

???「姉さま、こいつ生意気」

呆れた顔で物陰から出てきた…もう1人の…妖精?

 

セイラーン「まぁ、こんなものでしょう、許容範囲内です」

「り、理亜…!!」

???「理亜?…誰それ、私の名前はリ・リアーだから」

「リ・リアー…って…」

セイラーン「私たち姉妹でサポートします」

「なんか…アレだな、死に戻りしそうな世界線だ─────」

セイラーン「それ以上言ったら、死に戻り出来ない鬼がかりをさせますよ」

「つまり死ねと」

 

セイラーン「さてっ!のんびりお話してる暇はありません!

街に出ますよ!」

「いや、だから俺は…」

リ・リアー「どうせ元の世界には戻れない、諦めて」

「…………」

悩み抜いた挙句…悠は…。

 

 

「だああああっ、分かったよ!!その使命…?とやらを速攻で終わらせてやるわ!」

セイラーン「はいっ、期待してます!」

やれやれと、頭を掻きながら森を抜ける悠と妖精姉妹だった…。




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Aqoursな日々 in the MIRROR ②

沼津行ったパワーで書き進めるぜ!


「うーん……」

街へと繰り出した悠…しかし、顔は浮かない表情をしていた。

 

「……ま、周りの目が…」

不思議そうな顔をしながらこちらを振り返る人はこれで何人目だろうか。

 

セイラーン「当たり前です、アナタの様な青年、そんなに居ませんから」

「いや、聖良の強調も激しい気がするんだが…」

隣でふよふよと浮かれてては気になってしまうのは必然だろう。

 

セイラーン「ですから聖良ではなく、セイラーンです」

「…同じようなもんじゃん」

リ・リアー「姉さま、こいつ馬鹿だから話通じない」

「…手厳しいねぇ…」

 

気を落としてても仕方ない…と、辺りを見渡す悠。

「…世界は違っても…場所とかはほとんど変わらないんだな…」

沼津駅…?っぽい建物が見えた瞬間、悠がそう呟いた。

 

セイラーン「えぇ、ヌマヅですから」

「…とりあえず、内浦地区に行けば何か分かる…かな」

リ・リアー「ウチーラね」

「…う、うん、そこね、そこ」

 

と言いながら、看板を見る悠…しかし。

「…な、なんて書いてあるんだ?」

明らかに記号っぽい文字列に悠は早速頭を悩ました。

 

「も、もはやアンノーン…」

セイラーン「仕方ありませんね、ちょっと待っててください」

そういうと、小さく何かを唱えるセイラーン。

 

セイラーン「…せいっ!」

パッと何か光ったかと思った……が、特に何も起こらなかった。

 

「…い、今のは?」

セイラーン「看板を見てみてください、視認出来るはずです」

「……ええっ!?」

確かに、記号のような文字の下には「ヌマヅ」と書かれていた。

 

セイラーン「簡単な魔法です、この世界では珍しくはありませんよ

…使える方は、限られてますが」

「…それを、俺にかけたって事?」

リ・リアー「姉さまの魔法は、1級品…!」

自分の事のように、誇らしげにする理亜。

 

セイラーン「この世界の文字は全てこのような配列になってるので、視認出来ていた方が良いでしょう」

「…だな、ウチーラは…向こう、か」

 

歩いて向かおうとした……その時だった。

 

 

「…っ……!!」

背筋に冷たい物を入れられたかのような感覚に陥った。

 

「だ、誰だ…っ!!!」

急いで振り返るも、そこには誰もおらず…。

 

「……………」

セイラーン「熱源反応、皆無です」

リ・リアー「遂におかしくなった」

「いや、確かに誰か見てたはず…」

何度も気にかけるように、後ろを振り返りながら歩き始める悠だった。

 

 

 

 

………………………………

 

【???】

 

???「……聞こえる…勇ましい、青年の心の声が」

???「キュー?」

 

???「えぇ、大丈夫よ…ただ、もう少し様子を見ましょ

どこか…人とは違う、何かを持ってそうね…」

 

???「……………アナタは…一体…」

 

 

 

……………………

 

 

しばらく歩き進めて、街を出ようとした時だった。

 

「…あれ…?」

セイラーン「どうしましたか」

 

「あの人物は…」

???「何よ、お出迎えも無し!?」

「…あの!!」

???「…な、何よ」

 

見覚えのある髪型…そしてトレードマークである丸い団子…。

「…善子…?」

善子?「はぁ?…誰よ、それ、アタシにはね、ヨハネって立派な名前が────────」

 

???「着いて早々賑やかだね、ヨハネ」

ヨハネ「ら、ライラプス…っ!」

ライラプス「その人、だぁれ?」

ヨハネ「し、知らないわよ!急に話しかけられたのよ!」

 

「犬が…喋ってる…」

セイラーン「喋ってますね」

 

ライラプス「聞こえるの?」

そう言葉を発し、首を傾げる大型犬。

 

「う、うん…」

ライラプス「凄いね、こんな事初めてだ…名前は?」

「え、えっと…悠」

ライラプス「だってよ、ヨハネ」

ヨハネ「ユウ?…知らないわね、しかもここら辺の人じゃ無さそうね」

 

「…えっと…(な、なんて言えば…)」

セイラーン(東京から来たとでも言えば良いのでは?)

「と、東京から…」

ヨハネ「と、トーキョー!?…き、奇遇ねっ、アタシもトーキョーから来たのっ」

ライラプス「夢敗れて、ね」

ヨハネ「うっさい!」

ライラプス「そんなに故郷が嫌い?」

ヨハネ「ふんっ!」

 

「……な、何か訳ありって感じだな…」

ライラプス「難しいお年頃ってやつだよ」

ヨハネ「あのね、そりゃそうよ、良い思い出もないし、友達も居ないし

私はね、憧れの方が大事なのよ」

 

「じゃあさ」

小走りでヨハネの前に立つ悠。

 

「俺が友達って事にしない?」

ヨハネ「…はぁ?」

「友達になるのに時間は必要ないだろ?」

ヨハネ「……バカなの?」

「良い提案だと思ったんだけど…」

セイラーン(流石に、突拍子も無さすぎたのでは…?)

(やっぱり…?)

 

やれやれと呆れた表情で再び歩き始めたヨハネ。

ライラプス「キミ、面白いね、また会おうね」

しかし、ライラプスの方は何か面白いものを見終わった後のようにクスッと笑うのだった。




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Aqoursな日々 in the MIRROR ③

ダダダ・ダーーーークネスッ!


「はぁああぁああ〜〜…」

川を眺めながらため息をつく悠。

 

セイラーン「なんですか、その幸の薄そうなため息は」

「いや、前途多難だなぁって…善…ヨハネにも悪い印象持たれたかなって…」

リ・リアー「姉さま、コイツ女々しい」

「俺だって感傷に浸る事くらいあるわい!!」

セイラーン「まぁ、こんなもんですよ…ははっ」

「…えっ、俺、今鼻で笑われた?」

リ・リアー「そんな事より、こんなところで油売ってていいわけ」

「…って言われてもなぁ…」

 

ただ何となく川や街…遠くに見える山だけを見つめる。

「……って!!!俺住む場所どうするの!?」

突然我に返ったように、聖良に問い詰める悠。

セイラーン「自分の手持ち、確認しましたか?」

「手持ちって……携帯…は、この世界に居ても必要ないし…というか電源つかないし…財布は…………」

 

中身を見ると…。

「な、何か結構入ってるんだけど!?」

セイラーン「しばらくは生活には困らないと思いますよ」

「……えっ、錬金術?」

セイラーン「違います」

「じゃ、じゃあ…悪さしたとか…っ!?」

リ・リアー「…はぁ」

 

セイラーン「世界線です」

「…あんまりそういうの、言わない方がいいんだからな…?」

リ・リアー「仕様だから」

「もっとダメ!!」

 

セイラーン「とにかくっ、まずは宿探しです!さあ、歩いた歩いた!」

「うぅ…と言ってもここら辺にあるのかよ…」

リ・リアー「ここから歩いて十数分の所に、1軒」

セイラーン「リアーは位置情報の把握に長けてるんですよ」

「あー、千里────────」

 

ゲシッ。

 

「いった!」

リ・リアー「人の事、言えてないから」

「うぅ…はい…」

 

 

 

……………………………。

 

 

「…ん、なんかいい匂いが…」

セイラーン「た、確かにしますね…っ…」

リ・リアー「姉さま、お腹空いてるの?」

セイラーン「す、少しだけ!ほんの少しだけですがっ!」

 

「あれは…」

???「いらっしゃいませ〜ずら〜♪」

大きな豚?猪?を連れた、女の子が何かを販売していた。

 

「…花丸…」

???「あっ、いらっしゃいませずら!♪」

ペコッと頭を下げる花丸がそこに居た。

 

「…えっと、キミ…名前は?」

???「…見ない顔ずら〜…あっ、オラの名前はハナマルずら!」

「ハナマル…そうだよね」

ハナマル「…???」

「あ、ごめんごめん、俺は悠

ここ最近こっちに来て───────」

 

ハナマル「あーーーっ!」

悠の隙間から何か遠くを見るハナマル。

それに続いて、悠も後ろを振り返ると…。

 

ハナマル「ヨハネちゃんずらーっ!」

ヨハネ「ハナマ…っ……って、あ、アイツは…!!」

チラシを手に持ったヨハネとライラプスがそこに居た。

 

ライラプス「ほら、行きなよ?」

ヨハネ「わ、分かって…あっ…!!」

つい、チラシを離してしまったヨハネ。

空中に舞うチラシをヨハネと悠とハナマルが目で追った。

 

 

 

「…手を伸ばせば取れ…………っ…!!!」

セイラーン「悠さん、何を!?」

 

しかし、その時だった。

 

 

 

 

 

ドックン。

 

 

「…っ!!!」

ヨハネ「…く、うぅっ…!!」

頭に響くような雑音が悠とヨハネを襲った。

嫌な空気と共に…どこかで大きな破裂音がした。

 

「あ、がっ……ぁ…っ!」

セイラーン「悠さん、気を確かに!!」

リ・リアー「姉さま、これって…っ」

セイラーン「やはり…''アレ''に関すること、でしょう…」

 

しばらくすると、雑音と大きな音は鳴り止んだ。

子供A「怖かった~」

子供B「音…どんどん大きくなってるね…」

 

ヨハネ「い…つっ……ど、どういうことよ…もぉ…」

ライラプス「よく分からないんだけど…最近、変なんだよね…ヌマヅ」

ヨハネ「は、初耳よ、そんなの!」

「はぁっ…はぁ…っ…」

セイラーン「…落ち着きましたか?」

「…あぁ…」

リ・リアー「凄い汗…」

「何か…黒い物が見えた…こっちに、手招きして…」

 

ハナマル「大丈夫…ずら?」

腰を下ろして、しゃがみこむハナマル。

「…あ、あぁ…ごめんな、心配かけて…」

ヨハネ「と、とにかく帰りましょ…!」

ハナマル「…あっ…」

 

ライラプス「良いの、話さなくて?」

ヨハネ「……い、良いっ!」

ライラプス「…ふーん」

 

ハナマル「喧嘩するほど仲が良いずらね~♪

…こっちは、そうでも無い、ずら?」

「………だってよ?」

セイラーン「はい」

リ・リアー「所詮使い駒」

「ひ、ひでぇ…」

 

ハナマル「それにしても…ヨハネちゃん、久しぶりずらね~!

いつ帰ってきたずら?」

ヨハネ「…ほ、ほんの少し前よ…ついさっき」

 

ハナマル「歌手になる夢は叶った?」

ヨハネ「も、もちろん…っ!!」

ハナマル「すご~いっ!♪」

ヨハネ「…あ、あはは…」

 

ハナマル「…さっきの変なの…ビックリしたよね

どうしてあんな事が起こるのか…誰にも分からなくて…

最近、果物も不作だし…森は騒がしいって聞くし…」

(…これが、迫り来る脅威…なのか?)

セイラーン(ゼロとは言いきれません、そうと断言も出来ませんが)

 

ヨハネ「と、とにかく…っ…アタシ、帰るわね!」

ハナマル「もしかして、忙しかったずら…?」

ヨハネ「ま、まぁそんなところ!じゃ、じゃね!」

ハナマル「またね~っ!」

 

 

(…逃げるように帰って行ったな)

昔何かあったんだろうか?

 

「…あ、いけね、宿探し中だったんだ!」

ハナマル「宿?それならここをまーーーっすぐ進んだところにあるずらよ」

「ホントに?助かった!」

ハナマル「知り合いの旅館だから、あったらよろしく伝えておいて欲しいずら~♪」

 

「…知り合い?…旅館?」

…………………つまり。




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