キン肉マン~レオパルドン達がオメガケンタウリの六槍客に立ち向かうようです~ (やきたまご)
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意外なる援軍!!の巻

紅茶、楓、便器、咖喱の出番なし!?


 完璧超人達との闘いから一ヶ月後、地球に危機が訪れた。サグラダ・ファミリアにオメガケンタウリの六槍客と名乗る六人衆が、サイ攻めてきたのだ。その場に居合わせた、ウルフマンはオメガケンタウリの六槍客の一人、ルナイトを止めるが、他の五人は進行を進めた。

 

「この俺様が一番乗りだぜ――――――っ!!」

 

ドイーン

 

「ぐっ!」

 

 ヘイルマンの左腕に弾丸が飛んできた。

 

「なにやつだ!」

 

 ヘイルマンが弾丸の飛んできた方向を見て、弾丸をとばした人物の正体に気付いた。

 

「き、貴様は!?」

 

 その人物の背中には巨大な砲台が付いていた。かつて、王位争奪戦でマンモスマンに秒殺された男である。

 

「レオパルドン!!」

 

 ウルフマンが意外な助っ人の姿に驚いた。

 

「な、なんであいつが!?」

 

「一人、二人止めたところで、我が輩達の進行は止められんわ――――――っ!!」

 

 パイレートマンは勢いを落とさずに、サグラダ・ファミリアに向かった。

 

しゅるるる

 

「ムマッ!」

 

 突如、パイレートマンの首に何かが巻き付いた。

 

「こ、これは鼻か!?」

 

 パイレートマンの首には長い鼻が巻き付いていた。

 

「この鼻、そして我が輩の力をもってしても簡単に解けない力。あいつしかいない!」

 

 パイレートマンが予想したのは、かつて王位争奪戦でフェニックスチームの一員として活躍した男だった。

 

「パゴパゴ、こいつは真剣勝負を楽しめそうな漢だぜ!」

 

 そう、パイレートマンを捕らえた男はマンモスマンであった。

 ウルフマンやハラボテは次々と出てくるサプライズに驚きを止められない。

 

「マ、マンモスマンまで来やがるとは!?」

 

「キャミィ!」

 

 マリキータマンがかまうことなく、進行を続ける。

 

「スパイラル・ブレット――――――ッ!!」

 

ギュルルル

 

ザシュ

 

「キャミャア!!」

 

 何者かがマリキータマンに突撃し、身体に切り傷をつけた。しかし、冷静に分析を開始する。

 

「キャミキャミ、見事な空中攻撃、これを繰り出せるのは一人しかいない」

 

 マリキータマンの目の前には鷹の翼を持つ男がいた。かつて飛翔チームの先鋒としてキン肉マンを苦しめた男、ザ・ホークマンであった。

「兵隊超人の強さを思い知らせてやろう!!」

 

 ギヤマスターも流石に足を止めた。

 

「こ、これは一体!?」

 

ブオン ブオン

 

 ギヤマスターが大きなエンジン音を聞き、その方向を振りかえった。

ドガァ

 

「ギシャァ!!」

 

 勢いよく何かが衝突した。

 

「でくの坊よ、この俺がお前の相手をしてやろう」

 

 ギヤマスターの目の前に、王位争奪戦でラーメンマンを苦戦させたバイクマンの姿があった。

 この事態にはオメガマンアリステラも考えを変えた。

 

「フォ~フォフォ、どうやら簡単にはお宝はゲットできないようだな~」

 

 この事態にかけつけた四人が技をほどき、サグラダ・ファミリアをガードするように固まった。

 

「この先を通りたくば、俺達を倒してからにして貰おうか――――――っ!!」

 

 ウルフマンもルナイトへの組み付きを解いて、四人の元へ向かう。

 

「お、お前ら、どうしてここに!?」

 

「理由はそれぞれ違うがな。奴らの侵攻を阻止する目的だけは同じだぜ!」

 

 レオパルドンが口を開く。

 

「パゴパゴ、引退した横綱は帰った方がいいぜ。俺だけでも十分なくらいだからな!」

 

 マンモスマンが憎まれ口を叩いた。

 

「なんだと! 俺の後輩が目の前で惨殺されまくったんだ! 指くわえて黙ってみているわけにはいかねえぜ!」

 

 ウルフマンも負けん気で言い返す。

 

「まあいい、本軍が来るまでの時間稼ぎにはなるさ」

 

 ホークマンも同様に憎まれ口を叩く。

 

「本軍だと?」

 

 ウルフマンが疑問そうに聞いた。

 

「かつての主より、この世を揺るがしかねない事態が起きかねないと聞いた。それを防ぐために、奴らを早く鎮圧せねばならない」

 

 バイクマンが意味深な事を喋った。

 

「そろそろこちらともお話をしてもらおうか!」

 

 オメガマンアリステラが話を要求した。

 

「我々にたてつくのであれば、命はない! それを承知で来たのか!」

 

「当たり前だろ、俺達は観光に来たわけじゃないんだぜ!」

 

 レオパルドンが頼もしそうな態度をとる。

 

「フォ~フォフォ、では最低限の礼儀として、丁重にお相手をしてやろう。お前達、リングが5つある。そこでこいつらと闘うのだ」

 

「カキカキ、アリステラも遊びが好きだな~」

 

 ヘイルマンが軽口でしゃべる。

 

「遊び? 遊びではない、やつらを殺す気でいけ! この地球の真の支配者が誰であるかを思い知らせるのだ!!」

 

 オメガケンタウリの六槍客全員から殺気のオーラが発生する。

 

「パゴパゴ、殺すだとよ。むしろ俺が殺してしまわないかと心配なんだがな!」

 

「油断するなよマンモスマン! あいつらは間違いなく強いぜ!」

 

 ウルフマンがマンモスマンの気を引き締める。

 オメガマンアリステラを除いた、オメガケンタウリの六槍客の五人がそれぞれ5つのリングにちらばった。ウルフマンと王位争奪戦参加選手達もそれぞれがリングにちらばった。

 ヘイルマンのリングにレオパルドンが着地した。

 

「カキカキ、俺様に砲弾を放った奴が相手か。二度とその攻撃はくわないぜ」

 

「二度どころか、三度以上当ててみようじゃないか」

 

 レオパルドンも負けじと返し文句である。

 

 リングがかわり、ギヤマスターのリングにバイクマンが降りた。

 

「ほう、なかなか技術のこめられた身体のようだな。もっとも、このギヤマスター様程ではないがな!」

 

「ふん、変速機構もエンジンもついていない歯車に負ける気はしないな!」

 

 マリキータマンのリングにはホークマンがおりてきた。

 

「キャミキャミ、お前も羽を持った超人のようだな。これなら存分に空中ファイトが楽しめそうだぜ!!」

 

「マリポーサ様、あなたのために私は勝利いたします!」

 

 パイレートマンの元にはマンモスマンが降りた。

 

「ムマムマ、なみの超人では我が輩のフルパワーは出せないが、お前相手なら本気でいっても良さそうだな――――――っ!!」

 

ガシィ

 

 パイレートマンがマンモスマンと組み合う。

 

「この俺とパワーで勝負とは、良い度胸してるぜ!!」

 

 一方、ハラボテのもとにキン肉マンから連絡があり、キン肉マンもまた、現在のサグラダ・ファミリアの状況を見て驚いた。

 

「ど、どういうことじゃ!? レオパルドン! バイクマン! ホークマン! マンモスマン! それに引退したウルフマンまで!?」

 

 ウルフマンがルナイトに肩の肉を食いちぎられながらも、健闘する姿を見て、キン肉マンもサグラダ・ファミリアへ向かう事を決心した。

 ヘイルマンのリングにおいて、早くも両者がヒートアップした。

 

「カキカキ、お前の事はよく知っているぜ。王位争奪戦最弱チームと呼ばれたビッグボディチームにおいて最も一番弱い超人だってな!!」

 

 ヘイルマンの言葉に対し、レオパルドンは冷静である。マンモスマンもレオパルドンの様子が気になっているようだ。

 

「俺は案外意地の悪い超人でな~」

 

スタタタ

 

 レオパルドンが瞬時にヘイルマンとの距離をつめた。

 

「なに!?」

 

「お前が最弱超人に負ける姿を全世界の皆に拝ませてやりたいと思っているんだぜ!!」

 

ドガァン

 

「カキャア!!」

 

 レオパルドンの放った弾丸が至近距離でヘイルマンをとらえた。




次鋒レオパルドン行きます!!


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特攻の戦車(レオパルドン)!!の巻

グオゴゴゴ!!


『レオパルドンの放った弾丸がヘイルマンをとらえた――――――っ!!』

 

「俺の名前の由来であるレオパルト(ヒョウ)の通り、俊足なのも売りなんだぜ!」

 

『レオパルドン! ヘイルマンに追撃をくわえにいく!!』

 

 レオパルドンが右ストレートをヘイルマンに当てにいった。

 

しゅっ

 

 レオパルドンの拳がヘイルマンのほほをかすった。

 

「調子に乗るなよ、雑魚が! ブリザードハンド!」

 

『ヘイルマン! 自身の右腕を氷の武器に変えた!』

 

ザシュ

 

「グオオ!!」

 

 ヘイルマンのブリザードハンドがレオパルドンの胸に、斜めの切り傷を作った。

 

「ここはあついな、そろそろ涼しくさせてもらうぜ! フリージングリング!!」

 

 ヘイルマンがブリザードハンドをマットに突き刺し、リング全体を凍らせた。

 

『あ――――――っと! リングがヘイルマンの技によって一瞬で凍り付いたぞ!』

 

「グオッ!」

 

 レオパルドンがバランスを崩す。

 

「ここからはヘイルマンのアイスショーだぜ!」

 

 ヘイルマンがアイススケートの如く、リングの上を滑っていき、レオパルドンにブリザードハンドをきりつけた。

 

ザシュ

 

「グオゴォ!」

 

ダダン

 

『レオパルドンダウン! このまま王位争奪戦の汚名を晴らせず散っていくか――――――っ!』

 

「カキカキ、しょっぱなこそ面くらったが、お前の実力では所詮こんなもんよ!」

 

 レオパルドンが立ち上がってきた。

 

「俺がどれだけ多くの奴に馬鹿にされたか分かるか! 長い間味わってきた屈辱を思えば、この程度なんてことはないわ!!」

 

 レオパルドンが銃である左腕をかまえた。

 

「カキカキ、お前のちゃちな大砲はもうくらわないぜ!」

 

「それはどうかな、ホーミングキャノン!!」

 

ドゴォン

 

 レオパルドンの左腕から砲丸が発射された。

 

「あらよっと」

 

 ヘイルマンはしゃがんで砲丸をかわした。

 

「思わせぶりな事言っときながらざまあないぜ」

 

ドガァン

 

「カキャア!!」

 

 ヘイルマンの背中で何かが爆発した。

 

「馬鹿な! よけたはずなのに!?」

 

「俺のホーミングガンは追尾機能もあってな。狙った獲物にあたるまでおいかけていくんだぜ!」

 

 レオパルドンが左腕を自分の後方に発射した。

 

ドゴォン

 

 その勢いを利用して、レオパルドンがヘイルマンに向かってもの凄いタックルでせまる。

 

「レオパルドン流! 強力タックル!」

 

ドガァ

 

「カキャア!!」

 

 レオパルドンの体当たりで、ヘイルマンが上方に吹っ飛ばされた。

 

「ここらでフィニッシュといこうか!」

 

 レオパルドンが空中へジャンプし、ヘイルマンをとらえて技をきめていく。

 

「キャノンバックブリーカー!!」

 

グキグキグキ

 

『レオパルドン! 自身の背中の大砲にヘイルマンの背中をひっかけ、両手でヘイルマンの頭と両脚をとらえ、背骨を折りにいく!!』

 

 ヘイルマンも冷や汗をかく。

 

「お前が侵略者とはいえ、命を奪うような事はしたくない! ギブアップすれば命だけは助けてやるぜ」

 

「けっ、舐めた事聞いてんじゃねえぞ!」

 

 ヘイルマンはギブアップする気はさらさらない様子を見せる。

 

「お前は自身の雪辱のために闘っているかも知れないが、俺達はお前よりも重い物を背負ってこの地球にやってきたんだ!」

 

 ヘイルマンが決められていない両腕でレオパルドンの頭をとらえる。

 

「凍り付いてしまえ!!」

 

カッキン カッキン カッキン

 

「ぐおお!」

 

『あ――――――ッ! レオパルドンが脚から凍り付いていくぞ――――――っ!!」

 

「くっ! この技だけは外しはせん!!」

 

『レオパルドン、凍り付きながらも技を外さない!』

 

 やがてレオパルドンは完全に凍り付いた。ヘイルマンは難なくレオパルドンの技を抜けてしまった。

 

「秒殺超人にしてはよく頑張ったな。ご褒美にとっておきの惨殺をプレゼントしてやるぜ!!」

 

 ヘイルマンがブリザードハンドをフェンシングのような細く長い形状に変える。

 

「くらえ、アイスフェンシング!!」

 

ドシュウ

 

『ヘイルマン! 自身の右腕をフェンシングのごとく変えて、レオパルドンの胸を貫いた!! これは、レオパルドンがマンモスマンに秒殺されたときと同じやられ方だ――――――っ!!』

 

 凍り付いたレオパルドンの胸から出血がみられる。

 

「待っていたぜこの瞬間を!」

 

パキィン

 

『レオパルドン! まだ死んではいない! 最後の力をふりしぼって、両腕だけを氷から脱出させた!!』

 

 レオパルドンは両腕でヘイルマンの身体をとらえた。

 

「なんのつもりだ! もう貴様に逆転の道はない!!」

 

「ふふふ、意地の悪い貴様の事だ。フィニッシュは俺の胸板を刺し貫くと予想していた。その時を待って、この技を最後まで温存していたのだ」

 

チチチチチ

 

「こ、この音は!?」

 

「俺の体内には強力な爆弾が仕込んであってな、俺の好きなタイミングで爆発させる事ができる」

 

「なんだと!? は、離しやがれ!! 俺は心中する気はねえ!!」

 

「元から死ぬ気でこのリングに上がったんだ。一緒に地獄へ行こうじゃねえか」

 

『あ――――――っ! レオパルドンの身体が発光し始めたぞ!!』

 

「ビッグボディの兄貴ぃ! 後は頼んだぜぇ!!」

 

チュドォォォォォン

 

 巨大な爆発音とともに、両者の行方は分からなくなった。火柱がたち、砂煙があたりの風景を見えづらくしている。あちらこちらにリングの破片が飛び散っていた。

 

「レオパルドン!」

 

 ウルフマンがルナイトに張り手をしながら、レオパルドンの自爆に衝撃を受けていた。

 

「パゴパゴ、秒殺超人にしては上出来な最期だったぜ」

 

 マンモスマンがパイレートマンと力比べをしながら、レオパルドンの特攻精神に敬意を表した。

 

「ギシュ!? あの野郎! まさか死んだというのか!?」

 

 ギヤマスターがヘイルマンの生死不明の状態に心配していた。

 やがて、砂煙が晴れて、一人の超人の姿が現れた。ヘイルマンであった。

 

『なんと――――――っ!! ヘイルマンが生きていたぞ!!』

 

 その結末に一部の超人を除いて、誰しもが驚いていた。

 

「ムマムマ、あいつはあぶなっかしい場面が多いからな」

 

 パイレートマンはこの展開を予想していたようなそぶりであった。オメガマンアリステラやマリキータマンも同様の態度である。

 

『あ――――――っ!! ヘイルマンの右腕に巨大な氷の盾がついていた!! 恐らく、この盾でレオパルドンの自爆を防いだのでしょう』

 

パッキン パキーン

 

 ヘイルマンの右腕の盾にヒビが入り、砕け散った。

 

「カキカキ、危うく足をすくわれるところだったぜ。俺のアイスシールドを破壊するとは、まともに食らったらあの世いきだったところだぜ」

 

 リングにはレオパルドンが死んだ証拠と言わんばかりに、レオパルドンの背中の砲台だけが残っていた。

 

カン カン カン

 

『レオパルドン! 無念の敗北です! 王位争奪戦の汚名返上のため健闘しましたが、ヘイルマンをあと一歩で道連れに出来ませんでした!』

 

「そんなぁ! レオパルドンの奴無駄死にじゃねえかちくしょう!!

 

 ウルフマンが悲しみと怒りをこめて叫ぶ。

 

「レオパルドンと交流も深いわけでないのに、よくまあそんな気持ちになれるもんだな」

 

 マンモスマンがウルフマンに冷たい言葉を投げた。

 

「なんだと!」

 

「ウルフマンよ、俺達は遊びに来たわけじゃないんだ」

 

 そう言ったのはバイクマンだった。

 

「俺達は殺し合いに来ているんだ。だからどっちが死んでもおかしくない。今回死んだのがレオパルドンの方だったということだ」

 

「バイクマン! てめえまで!」

 

「ウルフマン! だからレオパルドンが死んだからといって悲しむな! 怒るな! そして俺が死んでもだ!!」

 

「バイクマン……」

 

 ギヤマスターがバイクマンに感心した態度をとる。

 

「ほう、はなっから死ぬ気でいくとはな! それなら俺も全力で答えてやらんとな!!」

 

ギュワアアアア

 

 ギヤマスターがバイクマンを惨殺しようと、歯車の回転をより一層強くした。




事故るバイクは歯車と踊る!?


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歯車漢達の激突!!の巻

運命の歯車が回る!!


『こちらギヤマスターVSバイクマン! どのような展開を見せるでしょうか!!』

 

 ギヤマスターとバイクマンがリング中央でにらみ合う。

 

「ギシュギシュ、一つ聞きたい事がある」

 

「なんだ?」

 

「ここまでのお前達の様子から察するところ、かつての五王子達が俺達の侵略を阻止しようという魂胆があるように思える。当たりじゃないか?」

 

「ああ、そうだ」

 

 その会話を聞いてハラボテやウルフマンが驚く。

 

「なにっ!? まさかフェニックス達がこの闘いにっ!?」

 

 ギヤマスターが納得した顔を見せた。

 

「なるほど、先程のレオパルドンはビッグボディに対する忠誠心があった事は分かる。だからこそ命を賭して闘ったのだろう。しかし、お前はゼブラに対して金で買われた男だ。そんなやつが、ゼブラのために闘うとは思えない。どうせまた金で雇われたんだろう?」

 

「お前は無償で闘うのが素晴らしいと考えているのか? 地球では大戦の度にキン肉マンのために命をかけた奴らがいる。俺はその考えには賛同できない」

 

 その発言にウルフマンが怒った。

 

「バイクマンてめえ! 俺達正義超人の絆を愚弄する気か!!」

 

「そういうわけではない。そのようなボランティア精神も素晴らしい。だがな、仕事に対ししっかりとした報酬を与える。これも大事なことだ。現にこれをやっていたのは五王子の中でゼブラだけだ」

 

「ギシュギシュ、いかにも機械野郎の考えそうな合理的な考え方だな。しかしな、俺達が闘う理由はそんなものよりもはるかに大きいものだぜ!!」

 

ぎゅるるるる

 

『ギヤマスター! 歯車を回転させバイクマンに突進だ!!』

 

「おっと」

 

『バイクマン! 素早くかわした! そしてどこからともなく現れたタイヤで人型からバイク型へと変身! これはかつて王位争奪戦でラーメンマンを苦しめた形態でもあります!!』

 

ぶぉぉぉん

 

『バイクマン! エンジンのうなりをあげる!』

 

 バイクマンは猛スピードでギヤマスターに突進した。

どがぁ

 

「ギシャッ!」

 

 バイクマンのボディに傷がついた。

 

「そうらまだまだこれからだ!」

 

『バイクマン! 高速ながらも小回りをきかせてまたもギヤマスターに体当たり!』

 

どがん

 

「ギシュ――ッ!!」

 

がごん ばごっ どがっ

 

『バイクマンの猛烈な体当たりにギヤマスター防御が精一杯の状態だ!! このままバイクマンの圧勝か――――――っ!!』

 

「今だ!」

 

ガシィン

 

『ギヤマスター! ついにバイクマンの突進を受け止めた!!』

 

「ギシュギシュ、ようやく目が慣れてきたぜ! このままフィニッシュだ!!」

 

ギュワアアアア

 

『ギヤマスター! 歯車を勢いよく回転させる! バイクマンのタイヤのゴムがどんどんけずれていく!!』

 

ばあん!

 

『あ――――っ!! バイクマンのタイヤがパンクした!! これではバイクマンもう走れない!!』

 

「ぐっ!」

 

 バイクマンは慌てて人型に形状を戻した。

 

「よくも好き勝手やってくれたな! お返しをしてやる! ジェノサイドギヤ!!」

 

『ギヤマスター! 今度はバイクマンそのものを粉砕しにいくつもりだ――――っ!! レオパルドンに続き二連敗となってしまうか――――っ!!』

 

「そうはいくか! チェンジ・ギヤ・ロー!!」

 

ガシィン クキィン

 

 バイクマンの体内から金属音が聞こえた。

 

「ふん無駄な事を!!」

 

「無駄な事かどうか、教えてやるぜ!!」

 

ぐわぁ

 

 バイクマンは力尽くで強引に歯車から体を引き離した。ギヤマスターはバイクマンの腕力の強さに驚いた。

 

『バイクマン! 力尽くでギヤマスターから脱出した!!』

 

「ギシュ!? なんだこのパワーは!?」

 

「俺の体内にはバイクのスピードを変えるトランスミッションが内臓されている。内部の歯車のかみ合わせを変えて、ギヤ比を低くすることによって、スピードが落ちる分! パワーが得られるのだ!」

 

がしぃ

 

 バイクマンはギヤマスターの足をとってジャイアントスイングの体勢に入った。

 

ぶぉぉん ぶぉぉん

 

『バイクマン! なんと自分よりもはるかに大きいギヤマスター相手にジャイアントスイングだ――――っ!』

 

「どぉりゃああ!!」

 

ぐおん

 

 バイクマンはギヤマスターをジャイアントスイングでコーナーポストに投げつけた。

 

ががぁん

 

「ギ、ギシュ……」

 

『ギヤマスターダウン! バイクマン! このままレオパルドンの仇をとれるか――――っ!!』

 

「ギシュ……こんな金だけのために闘っている奴に負けたらオメガケンタウリの名が泣くぜ!!」

 

『ギヤマスター! 負けじと立ち上がってきた――――っ!!』

 

「金のためか……確かに当初、俺はゼブラに金で買われた関係であった。しかし、あいつは寂しい目をしていたのだ……何か大事なものを失い、それを補うために、金で絆を買おうとしていたところがあった」

 

 ギヤマスターはおとなしく黙ってバイクマンの話を聞いていた。

 

「後々、奴が愛馬のキッドを殺した事を知って合点がいった。俺はゼブラにとってのキッドにはなれないが、キッド以上の存在になれないかと、あいつのそばにいてやろう、そう思ったのだ……」

 

「ギシュギシュ、機械野郎にしてはずいぶんセンチメンタルな感情を持った奴だな。まあいい、貴様はゼブラに対して何も出来ない事を、今知るだろうがな!!」

 

『ギヤマスター! ジェノサイドギヤで再度襲ってきた――――っ!!』

 

がしぃ

 

『バイクマン! 巨漢のギヤマスターに対し、真っ向から組み合います! むしろパワー負けしているのはギヤマスターの方か!!』

 

「かかったなバイクマン! まさか俺の隠し技を使うことになるとは思わなかったぜ!! パラサイトギヤ!!」

 

「ぐぅぅ!!」

 

『バイクマン! 突然苦しみ始めた!』

 

くっきん くっきん くっきん

 

『あ――――っ!! バイクマンの身体に歯車が現れ始めた――――っ!!』

 

ごぎん ぐぎん

 

 バイクマンの体から不快になる金属音が聞こえてきた。

 

「ギシュギシュ、俺は無機物でできた超人に歯車を寄生させることができる。バイクマン、お前のトランスミッションにあたる部分は歯車で緻密に構成されているだろう。そこに無秩序に歯車が入り込んだらどうなるか分かるだろ?」

 

ばきん ぶちん

 

 バイクマンの体から煙があがり、あちこちにヒビが入った。

 

「もうこれでお前はおしまいだ――――っ!!」

 

ギュワアアアア

 

『ギヤマスター! バイクマンを自身の歯車に巻き込んでいく!!』

 

ガリリリリ

 

「ウギャァアアアア」

 

 バイクマンの悲痛なる悲鳴が響いた。

 

がしゃん

 

 やがて、あちこちを破壊されたバイクマンがギヤマスターの胴体から飛び出してきた。

 

ぼわぁ

 

 バイクマンの体が金色に光った。

 

「死ぬ前にせめて……あの男ともう一度……闘いたかった……」

 

 バイクマンは、かつて自身が闘ったラーメンマンの事を思い出していた。

 やがてバイクマンの身体から金色の光が消えた。

 

カン カン カン カン

 

『バイクマン! ギヤマスター相手に勝利なるかと思いましたが、まさかの逆転を許してしまいました! これでオメガケンタウリの六槍客二連勝! ホークマン、マンモスマン、ウルフマン、連敗の流れを止めることが出来るか――――っ!!』

 

 

 

「キャミキャミ、ギヤマスターの奴、随分苦戦したがその割に成果はあげられんかったようだな」

 

 マリキータマンとホークマンは自身の羽を生かして空中戦を繰り広げていた。

 

「生涯この私に黒星をつけた男はキン肉マンただ一人、あの男にリベンジするまでは、ここで負けるわけにはいかぬ!!」




熱き空中戦がはじまるっ!!


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