紅閻魔ちゃんに甘やかされたい (明日のショー)
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紅閻魔ちゃんに甘やかされるだけ

主人公の性別はあなたにお任せします


 おはようでち、ご主人。

 随分とお久しぶりでち、カルデアにいた頃がまた遠くになったものでちね。

 まだお眠でち?いいでちよ。ここにはおまえさまを苦しめるものは何一つもございまちぇん、あるのはふかふかのお布団と暖かいお日さまのひかり、あとは紅が丹精込めて作る美味しいごはんだけでち、ゆっくりと何もかも忘れて今はお眠りになるといいでち。

 

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➡︎『........?』

お目覚めになりまちたか?では改めまちて、地獄へようこそでち、ご主人。

正確に言えば「地獄と現世の間」にようこそでちがまぁどっちでもいいでち、

閻魔亭にと思ったのでちが、ちょっと賑やかすぎかも、と思いまちて。

ここは以前、カルデアにお邪魔させていただいていた時に何度かご招待させていただいた雀のお宿の1つでち。

...ご主人、おまえさまは死にまちた。

➡︎『...............』

...ええ、おまえさまは本来ならば地獄へと行くはずでちた。

しかし!この紅閻魔が約束させていただいた通り!法廷で切った張ったの大立ち回り〜〜…ええと実のところ、

いざ出陣!とばかりに太刀を手に法廷に乗り込み閻魔様のおまえさまへの判決に異議を唱えた途端に、こう、なんともバツの悪そうな顔をされまちて、

「情状酌量の余地あり」とのことでちたので、そのままあちきが預かることになったしだいでち。

➡︎『..........ば、っ..』

はい、では、ここで紅閻魔としておまえさまに判決を下すでち。

「何もするな」、これがあちきがおまえさまに下す罰でち。意味がわからない、という顔でちね。

ご主人、おまえさまはもう十分に務めを果たしまちた。そんな小さな肩に世界なんてものを背負わされて、もう十分でち、もうたくさんでち。

➡︎『(抱きしめる)』

もうご主人は何もしなくてもいいのでち。すべて、すべて紅がやってあげるでち、お料理だってあれからもっと練習したでち、洗濯も掃除もずっとずっと上手になりまちた。だから、どうか、紅に、紅に紅におまかせ

➡︎『(少し力を入れて抱きしめる)』

くだ、...ああ、ふふ、おまえさまはまったく変わらないでちね、ここまで壊れても、それでも目の前で泣いてる人を放って置けない、おまえさまは、本当に...、もう大丈夫でち、落ち着きまちた、離して欲しいでち、

...ふう、まったく、あちきが慰められてどうするでちか、逆でち逆、しかし、これからは覚悟するといいでちよ、絶対におまえさまを癒して見せるでち!




感想、評価、誤字やアドバイス、お待ちしてます。


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紅閻魔ちゃんにあーんされたい

ご主人、おはようございまちゅ。いい夢はみれまちたか?

でちがご主人はよくお眠りになるでちね、確かに地獄に来たばかりの大体の人間は、肉体のない感覚と久しぶりの全盛期の姿に慣れずに疲弊ちてついつい眠くなるものでち。

あちきもそんな記憶がありまちゅから。しかし、それでもご主人は特によくお眠りになるようでちね。

➡︎『(頭を下げる)』

ちゅちゅん!?謝らないで欲しいでち、そんなつもりで言ったのではなくて。ああ、紅はまた失敗してしまったでち、昨日大見栄を切ったばかりなのに。

いえ、こんなところでくじけてられないでち!ご主人!すぐにお料理をご用意するでちから、ほんのちょっとだけ待ってて欲しいでち!

 

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さあ、ご主人、今日はお粥をご用意させて頂きまちた。

本当ならもっと豪勢なお料理をたくさん食べて欲しかったのでちが、今は病み上がりのようなもの、シンプルで食べやすく、それでいてお米の美味しさを最大限に引き出せるお料理と言えば、やっぱりこれでち。

確かに見た目は質素そのものでちが、中身はシンプルなものほど奥が深いものでち。お米の種類から洗い方、炊き方に至るまで工夫できるところはいくらでもあるでちからね、紅が一生懸命つくった自信を持ってお出しできる一品でち!

➡︎『...あぃあ、と....』

いえいえ、あちきはおまえさまを預らせていただいた身、粉骨砕身、羽の一枚に至るまで尽くさせていただくでち。...それに今度こそ...ちゅちゅん、いいえなんでもないでちゅよ、さあ、あったかい内にどうぞ、おかわりもたんとありまちゅからね。

➡︎『(紅閻魔の後ろの服を指差す)』

ちゅん?はい、お洗濯を干していまちたよ、ご主人の着物を街でいくつか見繕ってきまちたのでそれを、ご主人、もしよかったら後でなおしをさせていただいてもいいでちか?ご主人はどうにも出会った時よりもちょっとだけ小さくなったように見えまちゅからね。ちゅん。

➡︎『(茶碗を抱えるように持つ)』

?お一人で、でちか、いいえ、ご主人は危なっかしくて一人になんてとてもできないでち。

➡︎『(首を横に振る)』

いえ、でも、ああもうわかったでち。おまえさまは変なところで頑固でちね、わかりまちた、何かあったらすぐに呼ぶんでちゅよ。

すぐに飛んできまちゅからね!いいでちか!わかりまちたか!?

 

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お洗濯が終わりまちたよ、今日はいい天気でち。後で縁側でお茶でもいかがでちか?チュン!ご主人!?

➡︎『.......ごぇ、なさぃ...』

ご主人!やけどはありまちぇんか!?着物の中に入ったりしまちぇんでちたか!?どうちたのでちか、ほとんどこぼしてしまうなんて。

取り敢えず、すぐに着替えするでちよ、確か一枚閻魔亭の制服があったはずでちから。

 

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なるほど、つまりはご主人の手は以前、魔力不足の影響から壊死してしまったと。

ってしてしまったじゃないでち!どうして言ってくれなかったんでちか!

それになんで19歳で指が壊死するようなことにならなければならないでちか、なんでちか、前よりマシってなんでもないような顔で言わないで欲しいでち、もっと悲しんで欲しいでち、なんででち、なんでご主人ばっかりがこんな目に合わなきゃいけないでちか!?なんでちか!?

➡︎『(首を横に振る)』

ちがわないでち!ご主人は、ご主人は幸福に生きる運命でちた、ふつうに学び舎に行って、ふつうに働いて、ふつうに結婚して、ふつうに死ぬべきでちた、なのに、こんなのないでち。

..............わかりまちた、そんなことを言うようでちたら、あちきにも考えがあるでち。あちきは、死んで地獄に堕ちた後に、信じられないほどに幸せになりまちた、だからご主人、今、紅はここに、もう一度誓うでち。あちきは閻魔さまに頂いた、この名にかけて、ご主人を幸せにすると誓うでち。

いいでち?絶対でちよ!分かったらはい!紅が食べさせてあげるでち、拒否はさせないでち。かわりはまだまだあるでちよ。

ふぅふぅはい、あーんでち。ちゅちゅん、随分素直に食べてくれるんでちね、嬉しいでち。...お味はいかがでち?

➡︎『...ぉいし...い』

!!、そうでちか、おいしいでちか、まだまだあるでちよ、どんどん食べて欲しいでち。はい、あーんでち。




今回出てきた設定
1、指の壊死、7章でそんなこと言われてたから無理し続ければそうなるんじゃねってことでそうした。見た目はちょっと青白い程度。
2、主人公の姿、性別はあなたのお好みで、年は18くらい、目が死んでる、小さいって言われたのは雰囲気が昔に比べてかなり大人しいというか死んでるような感じだから。
3、地獄に堕ちたら全盛期の姿になる、肉を捨てて魂だけになったら多分自分の最も輝いてた姿になるってことで、老人でもいいけど死んだ目の障害のあるぐだを介護する紅閻魔ちゃんって絵的に映えるじゃん。公式設定無かったし。
まだまだ不幸の弾はあるよ、精神病もいくつかつけたし。
感想ありがとうございます、これからもお待ちしてます。むーんって名前でツイッターやってますそっちもよろしく。


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幕間

人魚姫はハッピーエンドか?

私はかつて青い髪の少年にそう尋ねたことがある、なぜそんなことを聞いたのか理由は覚えていないが確かに尋ねた事だけを覚えている。

どうやらそれは何気ない日常会話のうちの一つでその少年がなんと答えたのか、肯定だった気もするし否定だったような気もする。ただ、もう名前も思い出せない少年は、きっといつも通りの仏頂面を崩さずに、作業を中断させた事に対して散々こき下ろした後、どこかひねくれた、それでいてなぜだか心が暖かくなる答えをくれたのだろう。

私にはもう思い出せない、思い出す資格すらない。

ああだれか、どうか私に、私に罰をください。

 

 

 

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目が覚めた、どうやら私はまた死にぞこなったらしい。

 

 

私はもう死んでいる。それなのに生前の癖が抜けずこんなことを真っ先に考える自分が心底嫌になる。

「おはようでち。今日は早起きなのでちね、大変結構なことでち。」

少女が私に声を掛ける。私は一度醜い自己嫌悪を中断し、声を返そうとした

➡︎『…ぉ、あ』

しかし上手く声を出すことができない、おそらくこれも生前の名残だろう、私は老いて口も満足に動かせないくなったかつての自分の体について思いながら、その肉の檻に魂だけの存在である今も囚われているという事に怒りのような悲しみのようなそれでいて諦めようでもある感情を抱きながらも少女にあいさつを返そうとした。

しかし

「それにしても今日もまた随分といい天気でちね、お洗濯がよく乾きそうでち。けどご主人の服は全てお洗濯が終わりまちたし......。」

....まただ、また私はやってしまった、彼女はこんなにも私を、この醜く穢れた汚らしい人間である私によくしてくれているというのに満足にあいさつ一つ返すことができない。私はまたそうやって激しい自己嫌悪に苛まれることになった。

「こんなのはどうでち?今日はもうなにもせずにゆっくりと過ごすのでち、縁側でお日様の光に暖められながらお昼寝でもしてればいいのでち。」

私にはそんな暖かい場所はふさわしくない、彼女の明るい笑顔に照らされるとそんな言葉すら出てこなくなる。

──ハン、言葉なんて、一言だってまともに喋れないくせに。

「沈黙は了解と得るでちがいいでちね、もちろん反論は受け付けまちぇんが。」

…思考を止めよう。今日の私は少しおかしい。此処にあるのはただの痴呆の泥人形、それでいいじゃないか。

「では、そろそろ目も覚めたようでちので朝ごはんにいたちまちょう。

その前にお顔を洗ってあげまちょうね。」

チカチカと、ナニカ──が消え─る。──プツン。

➡︎『あーう。』




追加設定
防衛本能による幼児化。
 何かきっかけが有れば壊れる前まで戻る事もある。──そんな物誰も望みはしないだろうが。


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