機動戦士ガンダム00 Flamer X (raphel)
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設定
設定1 沢田綱吉


沢田綱吉

 

【愛称】

ツナ

 

【作品】

家庭教師ヒットマンREBORN!

 

【性別】

 

【年齢】

14歳

 

【イメージCV】

國分優香里 または 朴璐美

 

【容姿】

原作と同じ

 

【一人称】

 

【死ぬ気の炎の属性】

大空

 

【所有リング】

■大空のリングVer.X(バージョン・イクス)

 

【武器】

■XグローブVer.VG(イクスグローブ バージョン・ボンゴレギア)

 

【ギアアニマル】

ナッツ

 

■正式名称

天空ライオンVer.X(レオネ・ディ・チエーリ バージョン・イクス)

 

■形態変化(カンビオ・フォルマ)

攻撃形態:I世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)

防御形態:I世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)

ボンゴレギア形態:手の甲にボンゴレの紋章が刻まれた、肘部分に炎の噴射口がある両腕のガントレット(※正式名称不明)

 

【代表的な技(原作)】

■死ぬ気の零地点突破・改

■死ぬ気の零地点突破・初代(ファースト)エディション

■X BURNER(イクスバーナー)

■X BURNER 超爆発(イクスバーナー・ハイパーイクスプロージョン)

■バーニングアクセル

■Xカノン

■超X(ハイパーイクス)ストリーム

■XX BURNER(ダブルイクスバーナー) 等

 

【設定】

『家庭教師ヒットマンREBORN!』及びこの小説の主人公で、イタリア最強のマフィア『ボンゴレファミリー』の次期ボス候補である14歳の少年。

 

虹の代理戦争後から数ヶ月後、自身の家庭教師であるリボーンや仲間達と共に平和(であるかどうかは微妙だが)な日々を過ごしていたが、ある日の修行帰りに突然『大空のリングVer.X』から放たれた光により西暦世界に飛ばされてしまう。

 

西暦世界に飛ばされたツナは手にしたガンダムーー『ダブルオーフレイマーX』で独立治安維持部隊『アロウズ』の反政府組織『カタロン』の基地襲撃の戦闘に介入、さらにその戦闘後に出会った私設武装組織『ソレスタルビーイング』の実働隊である『チームプトレマイオス』のメンバーとの出会い、そしてプトレマイオスのガンダムマイスター達やクルー達の人柄や世界と対峙するその覚悟を知ったことをきっかけに、彼らを守る為にダブルオーフレイマーXで戦う決意をする。

 

原作通り普段は気弱で何処か頼りない所があるが、仲間の危機には迷わず死ぬ気で立ち向かう強い覚悟と勇敢さを持つ。

 

その覚悟の強さと心優しく全てを包み込むような温かみのある性格から、プトレマイオスのメンバー達はそんなツナを可愛がり面倒を見ることが多い。

 

戦況オペレーターの『フェルト・グレイス』とは似たような性格をしている者同士だからかとても仲が良く、共に過ごしていく内に実の姉弟のような関係を築き上げていく。

 

ガンダムマイスター達とはツナの人柄もあって全員と仲が良く、特に同じダブルオーの名が付く機体に搭乗している『刹那・F・セイエイ』とは互いに影響を与え合い、共に成長し、戦いを重ねる中で息の合った連携を見せる等、互いに頼もしい相棒的存在になっていく。

 

戦闘スタイルは原作同様Xグローブによる高い機動力を活かしたヒット&アウェイでの打撃と、X BURNER等の死ぬ気の炎を用いた技を武器に戦い、彼の愛機であるダブルオーフレイマーXはそんなツナの戦闘スタイルを反映し、再現している(※詳細はダブルオーフレイマーXの設定を参照)。

 

さらに死ぬ気の炎相手にしか使えない死ぬ気の零地点突破・改と、死ぬ気の零地点突破・初代エディションが世界を越えた影響で、GN粒子または擬似GN粒子相手にも有効になったことで幅広い戦法を持つ。

 

虹の代理戦争以降もリボーンの厳しい修行により更なる戦闘力の向上は勿論、死ぬ気丸無しで超死ぬ気モードになることが可能になった。

 

因みに通常時の身体能力も格段に向上しており、並の不良や軍人を軽く倒せるだけでなく、高い所から落ちても、10tハンマーで殴られても、1億Vの電撃を受けても……まったく怪我一つせずに、痛いだけで済ませてしまうなど人間離れした頑丈さを持つ。

 

元の世界での戦いで身に付けた高い戦闘力や豊富な経験値、従来のMS戦では出来ない戦法、そして彼の戦闘スタイルを再現できるダブルオーフレイマーXとの相性の良さから無類の強さを発揮するが、パイロットであるツナ自身の心優しい性格から敵であろうとその命を奪わずに相手を無力化することが多い。

 

敵側から見ればツナは甘さが目立つパイロットで、敵対した際に戦死する心配がない相手だと思われがちだが……ダブルオーフレイマーXの持つ『特性』により戦死した方がマシだと思える被害に合うので甘い相手だとは言い切れない(※詳細はダブルオーフレイマーXの設定を参照)。

 

上記のことから、ツナとダブルオーフレイマーXは西暦世界における最強のパイロットとガンダムであると敵味方双方から認識されている(ツナ本人はその自覚はまったくない)。

 



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設定2 ダブルオーフレイマーX

ダブルオーフレイマーX(イクス)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

【型式番号】

GN-0000[FX]

 

【分類】

モビルスーツ

 

【装甲材質】

Eカーボン

 

【全高】

18.3m

 

【本体重量】

54.5t

 

【主動力】

GNドライヴ×2(ツインドライヴ)、死ぬ気の炎(大空の炎)

 

【出力】

不明

 

【開発元】

不明

 

【パイロット】

沢田綱吉

 

【設定】

ツナの大空のリングVer.Xから現れた、GN粒子と大空の炎の2つのエネルギーを動力源にしている、開発元を含め全てが謎に包まれたツナの専用機。

 

刹那の『ダブルオーガンダム』と同じツインドライブ搭載型で、左右の腰部にオリジナルのGNドライブが1基ずつ搭載している(※因みにチームプトレマイオスが保有しているオリジナルのGNドライブ5基以外に、何故オリジナルのGNドライブが2基も存在しているかについては現時点で不明)。

 

雰囲気自体も刹那のダブルオーに似ているが、白と青を基本色とする刹那のダブルオーとは対照的に、本機は真紅色を基本色としたカラーリングになっており、各パーツはビルドシリーズを含めた歴代ガンダムシリーズの下記のパーツで構成されている。

 

■頭部:ガンダムダブルオーダイバー

■胴体部:トライバーニングガンダム

■腕部:カミキバーニングガンダム、ガンダムダブルオースカイ(※手の甲のパーツ)、オーライザー(※GNビームマシンガン)

■腰部:インフィニットジャスティスガンダム、トライバーニングガンダム(※スカート部分)、ガンダムダブルオーダイバー(※ツインドライブ)

■脚部:インフィニットジャスティスガンダム

■バックパック:ガンダムダブルオーダイバー、デスティニーガンダム(※ウイング+光の翼)

 

前述にあるパーツ構成より、本機はビームライフルやビームサーベルと言った標準装備は無く、武装は腕部のGNブレイズガンと両脚のGNビームブレイド、防御兵装として腕部のGNビームシールドの3種類しかない為、大空の炎を灯したマニピュレータの拳による攻撃を基本とする格闘戦特化型。

 

因みに本機のツインドライブは刹那のダブルオーと異なり、大空の炎の調和による恩恵でオーライザーのような支援機無しでの安定稼動を可能にしている。

 

また大空のリングVer.X内に本機を収納することも可能で、その際自己修復機能が動作するので、整備等で人の手を借りることはあまりない。

 

【特殊機能】

■トレースリンクシステム

MSとパイロットをリンクしてシンクロ状態にし、パイロットのパンチや蹴りと言った動作をトレースし、その動作を機体に反映して機動させる、従来のMSとは異なる特殊な操縦システム(※Gガンダムのモビルトレースシステムと同じ原理)。

 

ツナの生身での戦闘スタイルや技を再現することが可能で、戦闘時は超死ぬ気モードのツナとシンクロしている影響で本機のバックパックから常に大空の炎を灯しており、その大空の炎と両腰のツインドライブの推進力により神速的な機動力を発揮し、まるで瞬間移動したかのように一瞬で敵との間合いを詰めることができる。

 

さらに、炎を灯した拳やX BURNER等の炎を使った技で敵MSを攻撃すると……その敵MSに搭乗しているパイロットにも痛覚や熱によるダメージを与える等、本システムと大空の炎の特性である調和が合わさったことで生じる、他のMSには無い特性を持つ。

 

大空の炎による攻撃の影響で敵MSとそのパイロットは強制的にリンクされ、ダメージを受けた時のみシンクロ状態となり、例えばMSが頭部を殴られたらパイロットも頭部を殴られる、炎での攻撃による熱でMSの装甲が焦げるとパイロットも火傷を負う等、パイロットはMSがダメージを受けた箇所と同じ部分に痛覚や熱を感じることになる。

 

そして本機の炎の攻撃で敵MSの手足が破壊、または機体全体が炎に飲み込まれた場合は、そのパイロットも腕や足を失ったり、身体全体を焼き尽くされたりする……なんてことは流石に無いが、腕や足が激痛により骨折したり、身体全体に高温の熱を感じたりする。

 

その為、この特性は上手く使えばパイロットの命を奪わずに戦闘不能の状態で無力化できる反面、必要以上のダメージを与えればパイロットの命を奪ってしまう危険性がある。

 

さらに本機のパイロットであるツナ自身も本システムにより本機が受けたダメージを受けることになり、最悪ツナ自身が死に至る危険性があるので、この特性……そして本システムは諸刃の剣であると同時に、パイロットであるツナが己自身と愛機である本機の力を過信しないようにする為の『戒め』でもある。

 

■トランザムシステム

GNドライヴに搭載されている、機体の内部に蓄積された高濃度圧縮粒子を全面開放するシステム。起動中は機体が赤く染まり、機体のスペックが3倍以上に引き上げられる。一定時間が経過して粒子を使い切ると自動的にシステムが解除されるが、任意での解除も可能。

 

刹那達のガンダムと同様、本機にも搭載されている……が、ツインドライブが安定稼動しているにも関わらず本システム自体がロックされている為、オーライザーを得る前の刹那のダブルオー同様、本機は初期段階にてトランザム無しでの戦いを強いられることになる。

 

■GNフェザー

背部のウイングから展開するGN粒子で形成された光の翼で、本機の機動性を飛躍的に向上させる。

 

その機動性はトランザム化した機体に匹敵する程で、上記のトランザムシステムと組み合わせることで、刹那のダブルオーライザーでさえも追従できないほどの驚異的な機動性を発揮する。

 

【武装】

■GNブレイズガン

両腕部のマニピュレーターの先端部にある小型のビーム砲で、大空の炎を含んだ粒子ビームを放つ。ツインドライブの恩恵により威力は高く、出力の調整によっては大火力の粒子ビームを放つことが可能。さらには拳での攻撃と同時に撃つこともできる。因みに本武装に大空の炎を用いる為、トレースリンクシステムによる敵機のパイロットへのダメージはある。

 

■GNビームブレイド

両脚部に1基ずつ内蔵されている格闘戦用の武装。膝と足の爪先にある発生装置からビーム刃を展開し、蹴りを繰り出す際に使用することでその威力を倍化させる。本武装はツナの戦闘スタイルと相性が良く、敵機が炎を灯した拳による攻撃に気を取られている隙を突いて、敵機の手足や武装を破壊する為に使用されることが多い。因みにツナは本武装に大空の炎を灯さずに使用する為、トレースリンクシステムによる敵機のパイロットへのダメージは無い。

 

■GNビームシールド

両腕部の手の甲にある発生装置からGN粒子で形成されたビーム状のシールドを展開する防御兵装。GNフィールドより防御範囲は狭いが、その分GN粒子が圧縮されている為防御力は高く、GNソード等のGN粒子を定着させた実体剣でさえも貫くのは容易では無い。

 

■ I世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)

■I世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)

■大空のボンゴレギア(ガントレット)

上記3点の武装はツナと共に同乗しているナッツが形態変化、そしてトレースリンクシステムの影響により本機にもMSサイズで装着される。性能や効果等はツナが生身で使用している時と変わらない。



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本編(機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン)
第1話 西暦世界に舞い降りる『大空』と『炎のダブルオー』


お久しぶりです、raphelです^_^

小説活動再開のリハビリとして、前々からやりたかったクロスオーバー小説を投稿しました♪
(※勿論メインであるX Dimension Soldiersに関しても、更新を再開できるように準備を進めてます(^◇^;))

記念すべき本小説の第1話を読む前に、設定を見ることをお勧めします。


西暦2312年

 

『ユニオン』・『AEU』・『人革連』の世界三大国家による『国連軍』と、『ガンダム』と呼ばれる『GNドライブ』搭載型のMSを所有する私設武装組織『ソレスタルビーイング』による大規模な戦闘ーー『フォーリンエンジェルス』の終結から4年の歳月が経ち、地球には国連を母体とした『地球連邦政府』が設立され、連邦政府が主体となった新たな支配体制が築かれていった。

 

連邦軍はその中で、さらなる国家の統合と人類の意思統一を謳い、連邦軍とは別の独立治安維持部隊『アロウズ』を設立する。

 

だがアロウズは治安維持を名目として、反政府勢力である『カタロン』を始め、主義・主張の異なるグループを武力で弾圧していた。

 

そんな中、活動再開に向けて秘密裏に動いていたソレスタルビーイングが、メンバーの復帰や新たな仲間と紆余曲折を経て再び表舞台に立ち、世界の変革の為にアロウズと戦っているのだった。

 

戦争が絶えないその世界に、並行世界からある『少年』が現れる……

 

 

 

 

 

 

 

「…………ここ何処ーーーーーー!!? って言うか、何で砂漠ーーーーー!!?」

 

 

イタリア最強のマフィアーー『ボンゴレファミリー』の次期ボス候補である茶髪の少年--ツナこと『沢田綱吉』は、見知らぬ土地である砂漠のど真ん中で絶叫していた。

 

『虹の代理戦争』から数ヶ月が経ち、ツナは仲間達や家庭教師兼元アルコバレーノの『リボーン』と共に平和(であるかは怪しいが)な日々を過ごしていたのだが……ある日のリボーンによる修行からの帰り道、突如彼の持つ『大空のリングVer.X(イクス)』から眩い光が放たれ、その光によって意識を失ってしまたツナが次に目を開けた時……彼は知らぬ間にこの砂漠地帯にいたのだった。

 

 

「はあ〜……ボンゴレギアが突然光り出して、いつの間にか意識を失って砂漠に……って言うか、知らない場所にいるなんて……10年後の世界に来た時と似たような状況になってるなぁ……俺、いつの間に10年バズーカの弾を受けてたんだ?」

 

 

先程は思わず絶叫してしまったツナだが、伊達にこれまで厄介事に巻き込まれて来た訳では無いのですぐに慣れて、落ち着きを取り戻していた。

 

 

「見た感じ、幻覚じゃなくて本物の砂漠みたいだ……って言うか……暑い……何処かに日陰、って言うかオアシスがあったりしないかな……?」

 

 

砂漠の暑さに参りそうになったツナは、暑さを凌げる場所またはオアシスらしき場所が無いか辺りを見回していると…… 突如何処からか爆発音が聞こえるのだった。

 

 

「っ! な、何だ!?」

 

 

ツナは突然の爆発音に驚くが、すぐに冷静になり……

 

 

「今の爆発音、そう遠くない……! あっちだ!」

 

 

ツナは彼の中に流れる『ボンゴレの血(ブラッド・オブ・ボンゴレ)』による『超直感』が感じた方に向かって駆け出した。

 

 

「はあ、はあ、はあ……! あれは……!」

 

 

走ること数分後、ツナはあるものを目にする。

 

それは……

 

 

「きょ、巨大ロボ!?」

 

 

基地らしき場所にて、複数の青と赤の巨大ロボ達が戦闘を繰り広げている光景であった。

 

ツナにとって知らないことだが、今戦闘中の巨大ロボ達は『MS(モビルスーツ)』と呼び、背中から赤い粒子を放出する赤のMS……『アヘッド』や『GN-X III』と言った擬似GNドライブ搭載型の新型MSを所有する独立治安部隊アロウズが、青のMS……『フラッグ』や『ティエレン』と言った旧型の機体が防衛している反政府組織カタロンの基地を襲撃しているのだった。

 

戦況は明らかに旧型の機体で戦っているカタロンが劣勢に立たされており、カタロンのMS部隊はアロウズのMS部隊の猛攻の前に必死に持ち堪えているが、次第にその防衛ラインが突破されようとしていた。

 

そして3体のアヘッドがカタロンのMS部隊の防衛ラインを突破し、腰部背面に装着しているコンテナを基地に向けて射出しようとしていた。

 

それを見たツナは……

 

 

ゾクッ……!

 

「っ! (あの赤い巨大ロボ達が付けてるコンテナ、危険な感じがする! 基地にいる人達を助けないと!)」

 

 

本来機械と言った無機物相手に対して超直感は働かないのだが、アヘッドのコンテナから危険なものを感じ取り、カタロンを助けることを決めたツナは目を閉じると……

 

 

ボウッ!!

 

 

自身の両腕にある腕輪ーー『X(イクス)リング』に対し、いつもリングに『死ぬ気の炎』を灯しているように意識を集中し、『大空』属性である橙色の炎を灯した。

 

X(イクス)リング……それは虹の代理戦争後、ツナが彫金師『タルボ』から貰ったものであり、『あるもの』を量子変換して収容かつ瞬時に展開できるようにする為に、特殊な石を使って彫金された腕輪である。

 

そのXリングに収容されているのは……「27」と刺繍された手編みの手袋と、ある技の調整に必要なコンタクトディスプレイとヘッドホンである。

 

それらがXリングから量子変換で瞬時に展開され、ツナの両手・両目・両耳へと装備されていく。

 

さらには……

 

 

ボウッ!!

 

 

その音ともにツナの額から大空の炎が灯されるのと同時に、ツナは瞳を開ける……その瞳の色は全てを見透かすような橙色へと変わっていた。

 

ツナの両手に装備していた手袋も手の甲にボンゴレの紋章が入ったクリスタル、そのクリスタルの上にオレンジ色のXの紋章が入った赤色のグローブ--『X(イクス)グローブ』へと変わり、そのXグローブから大空の炎が灯される。

 

先程の気弱で優しそうな少年だとは思えない、鋭い眼光で凄まじい威圧感を放つ歴戦の戦士のような少年がそこにいた。

 

これがツナの戦闘モードーー『超(ハイパー)死ぬ気モード』である。

 

以前は『死ぬ気丸』というアイテムを服用することで超死ぬ気モードになっていたが、虹の代理戦争の『あること』がきっかけでツナの中で変化が起き、それに加えてリボーンとの修行のおかげで完全に死ぬ気丸無しで超死ぬ気モードになることができるようになったのだ。

 

 

「よし、行くか……!」

 

 

超死ぬ気モードになったツナは戦場に向かって飛翔しようとしたタイミングで…… 突如大空のリングVer.Xから大空の炎が、ツナの意志に関係なく灯されたのだ。

 

 

「っ! な、何だ、俺のボンゴレギアから勝手に炎が……!?」

 

 

ツナは大空のリングVer.Xから溢れ出す大空の炎に驚いていると……さらにリングから大空のリングVer.Xから大空の炎と一緒に、死ぬ気の炎では無い正体不明の翡翠色の光の粒子が放出されるのだった。

 

 

「っ! これは、死ぬ気の炎じゃない……? 何なんだ、この翠の光の粒子は……?(汗)」

 

 

そして、大空のリングVer.Xから放出された大空の炎と翡翠色の光の粒子ーー『GN粒子』は……

 

 

「っ!」

 

 

ツナを包み込んだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、カタロンのフラッグやティエレンは武装のレールガンでアロウズのアヘッドやGN-X IIIを迎撃しようするが、どれだけ撃っても簡単に避けられてしまい、擬似GNドライブ搭載型の新型MSであるアロウズのMSに太刀打ちできる筈も無かった。

 

 

「あんな旧型のモビルスーツで……」

 

 

この作戦に脳量子波対応型にカスタマイズされたアヘッドーー『スマルトロン』に搭乗して参加している長い銀髪の女性ーー『ソーマ・ピーリス』は悲痛な気持ちで居た。

 

相手との戦力差は歴然としている、わざわざ殲滅作戦などしなくてもよいのではないのか?……ピーリスは上層部からの命令とは言え、内心納得がいかないでいるのだった。

 

そうしている間にも、次々とカタロンのMSは破壊されていき、オートマトンのコンテナを搭載した3体のアヘッドが防衛ラインを突破し、カタロンの基地の真上に辿り着く。

 

 

『これより掃討作戦に入る。オートマトン射出準備』

 

 

部隊長含め3体のアヘッドがキルモードに設定されているオートマトンをカタロンの基地内部へ射出しようとしていた。

 

 

「そんな!?待って!」

 

 

その行動にピーリスは驚く。

 

彼女は無抵抗の人間までも容赦なく殺すアロウズの本質がやっと分かったのだ。

 

しかし、ピーリスにそれを止める術は無かった。

 

無常にもオートマトンのコンテナは射出され、コンテナは次第にカタロンの基地内部へと近付きつつあった……その時、何処からか飛んで来た橙色の何かが、オートマトンのコンテナを全て破壊したのだった。

 

 

「っ!」

 

『何っ!?』

 

『オートマトンが……!?』

 

『今の攻撃は何処から……!?』

 

 

そのことにピーリスは勿論、オートマトンのコンテナを射出した部隊長ら3機のアヘッドのパイロット達は驚いていた。

 

そんな驚いている3機のアヘッドのパイロット達の隙を突くように……

 

 

『ぐあああっ!?』

 

『があああっ!?』

 

『うあああっ!?』

 

 

部隊長ら3機のアヘッドが、突然現れた素早い『何か』によってぶっ飛ばされたのだ。

 

ぶっ飛ばされた3機のアヘッドは砂漠の大地に大きく叩き付けられ、力無く倒れるのだった。

 

 

『隊長!』

 

『一体、何が……! ピーリス中尉!』

 

「! あれは……!」

 

 

突然目の前で起きたことに驚くピーリスや『アンドレイ・スミノルフ』らアロウズのMS部隊のパイロット達が目にしたのは……拳と背中に猛々しくも美しい橙色をした炎を灯し、両腰にあるオリジナルのGNドライブ2基から翡翠色のGN粒子を放出する真紅のMSであった。

 

その真紅のMSを目にしたピーリスやアンドレイは……

 

 

「が、ガンダム!? それに、あの機体は……!」

 

『ソレスタルビーイングの『二個付き』!? だが、機体の形状や色が……それに、あの炎は一体……!?』

 

 

現在敵対しているソレスタルビーイングが所有する『二個付き』と呼ばれるGNドライブ2基ーーツインドライブ搭載のガンダムーー『ダブルオーガンダム』に雰囲気が似ていることに驚くのだった。

 

そんな驚くピーリス達を他所に……

 

 

ボオオオッ!!

 

 

真紅のツインドライブ搭載型のガンダムは拳と背中の炎をさらに燃え上がらせ、拳を構えるのだった……

 

 

To Be Continue……




感想・アドバイスよろしくお願いしますm(_ _)m


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第2話 炎のダブルオーの力

反政府組織カタロンの基地を襲撃していた独立治安維持部隊アロウズ。

 

そんなアロウズのMS部隊の前に、正体不明のツインドライブ搭載型である真紅のガンダムが立ちはだかる……

 

 

『な、何だ、あの機体は!?』

 

『ソレスタルビーイングの、新型のガンダムなのか!?』

 

『あのガンダム、炎出して燃えてるぞ!』

 

『こ、壊れてるのか……?』

 

『だが、あれだけ燃えているのに機体が爆発しないのはおかしいぞ!』

 

『一体、どうなってるんだ!?』

 

「……各機、落ち着け! アンドレイ少尉、墜落した隊長達3人の安否は?」

 

「そ、それが……3人とも墜落した時の衝撃で気を失っているのか、通信に対しての応答がありません!」

 

「そうか……何名かは気絶した隊長達を連れて母艦へ帰投しろ! 残りは私と共にあのガンダムの討伐にあたる!」

 

『了解!』

 

 

部隊長が気絶した今、次に部隊での指揮権があるピーリスがそう指示を出し、気絶したパイロットを乗せた3機のアヘッドを連れて母艦へ帰投した機体以外の、ピーリスやアンドレイを含めたアロウズのMS達がそれぞれGNビームライフルやGNランスを敵機である真紅のガンダムに向けて構える。

 

 

「全機、攻撃開……!」

 

 

ピーリスがそう指示しようとしたタイミングで…… 真紅のガンダムがピーリス達の目の前から突然消えたのだ。

 

 

「なっ!?」

 

『き、消えた!?』

 

「奴は何処に……!?」

 

 

ピーリス達は慌てて真紅のガンダムの姿を探していると……

 

 

『ぐああああっ!?』

 

「っ!」

 

 

真紅のガンダムが1機のGN-X IIIの目の前に突然現れ、そのGN-X IIIは迎撃する間も無く、真紅のガンダムの炎が灯された拳による一撃を鳩尾辺りに受け、後ろへと大きく殴り飛ばされた。

 

 

『く、くそっ!』

 

『こいつ!』

 

『よくも!』

 

 

近くにいた何機かのGN-X IIIやアヘッドがGNランスやGNビームサーベルで真紅のガンダムに白兵戦を仕掛けるが……

 

 

『ぐああっ!?』

 

『がああっ!?』

 

『がはあっ!?』

 

 

対する真紅のガンダムは神速の如き速さで白兵戦を仕掛けようとしたGN-X IIIやアヘッドらの懐に一瞬で入り、鋭い炎の拳撃でその機体達を殴り飛ばし、次々にアロウズのMS達を砂漠の大地へ叩き落として行く。

 

 

『は、速い!』

 

『な、なんてスピードだ!』

 

『ま、まったく見えなかったぞ……!』

 

『それに、マニピュレータで殴っただけで、約69tあるGN-Xや約71tあるアヘッドをあそこまでぶっ飛ばすなんて……!』

 

『どんなパワーだよ!』

 

『だ、ダメだ! 今、あのガンダムに殴り飛ばされた者達も隊長達と同じで、墜落した衝撃で気絶してるみたいだ! 通信にまったく応答しない!』

 

「くっ! あの機体に白兵戦を挑むのは危険だ! 距離を取りつつ、粒子ビームによる一斉掃射で応戦する!」

 

『了解!』

 

 

ピーリス達は真紅のガンダムから距離を取ると同時に、真紅のガンダムに向けてGNビームライフルやGNランスからの粒子ビームを一斉掃射するが……真紅のガンダムはその粒子ビームの雨に怯むどころか、まるで先読みしているかのような動きで容易く回避しながら、背中の炎と両腰のツインドライブによる推進力により物凄いスピードでピーリス達の機体に向かって前進するのだった。

 

 

『くそっ! まったく当たらない!』

 

『これだけの粒子ビームを全て回避するなんて!』

 

『なんて奴だ!』

 

(あの動き、機体の性能によるものだけじゃない……あのガンダムに搭乗しているパイロットの並外れた反応速度と直感力があってのものだ。それに……あのガンダムから微かだが『脳量子波』を感じる……! まさか、『超兵』!?)

 

 

そう考えるピーリスを他所に、真紅のガンダムは粒子ビームを回避しながら右拳をピーリス達の機体に向けると……拳の先端にある銃口から橙色の炎が含まれた粒子ビームを連射して放って来たのだ。

 

 

「! 何っ!?」

 

 

驚くピーリスを他所に、真紅のガンダムが放った粒子ビームはピーリスのスマルトロンを含めたアヘッド達のGNビームライフルを破壊するのだった。

 

 

『うわぁっ!?』

 

『しまった! ビームライフルが!』

 

「くっ!(あのガンダムに火器類、遠距離から攻撃する手段が無いと侮っていた! まさか、マニピュレーターの先端に隠し武器があるなんて!)」

 

 

真紅のガンダムには外見上火器類は勿論、遠距離から攻撃する武装が無かった為、真紅のガンダムには中遠距離から攻撃する手段が無いと判断してしまったピーリスは苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

 

そんなピーリスに……

 

 

『中尉!』

 

「っ!」

 

 

真紅のガンダムが例の如く神速の如き速さでピーリスのスマルトロンの懐に入り込むのだった。

 

 

「し、しまった!」

 

 

敵機の接近を許してしまったピーリスは慌てて迎撃しようとするが、それよりも早く真紅のガンダムがピーリスのスマルトロンに拳を繰り出す。

 

 

「中尉はやらせん!」

 

 

ピーリスの危機にアンドレイのGN-X IIIが駆け付け、アンドレイはGN-X IIIのGNビームサーベルで真紅のガンダムを攻撃するが、真紅のガンダムはアンドレイの攻撃を紙一重で躱すと同時に、カウンターでアンドレイのGN-X IIIの胴体部の鳩尾辺りに炎が灯された拳を叩き込んだ。

 

すると……

 

 

「っ! が、はぁ……っ!?」

 

 

突如GN-X IIIのコクピット内にいるアンドレイの鳩尾に、まるで『殴られた』かのような激痛が打撃音と共に走り出す。

 

 

「げほっ、げほっ、げほっ! い、今感じた、この痛みは、一体……?」

 

 

アンドレイはあまりに突然感じた体への激痛に咳き込みながら、そう疑問を抱くが……

 

 

「アンドレイ少尉!」

 

「! はっ!」

 

 

ピーリスの声に、真紅のガンダムがさらなる追撃を仕掛けて来ようとしていることに気付く。

 

 

「くっ!」

 

 

アンドレイは急いで回避しようとするが、真紅のガンダムの神速の如きスピードの前に回避することが叶わず、アンドレイのGN-X IIIは頭部の左頬辺りに真紅のガンダムの炎の拳撃を受けた。

 

そして……

 

 

「ぐあああっ!?」

 

 

先程の鳩尾の時と同じ、コクピット内にいるアンドレイの左頬に大きな打撃音と共に激痛が走る。

 

 

(な、何故だ……? コクピットには、私1人しかいない筈なのに、誰かに殴られたような感覚がするんだ……? それも、MSがダメージを受ける度に……! ま、まさか、あのガンダムは……! ぴ、ピーリス中尉に、知らせないと……)

 

 

あることに気付いたアンドレイは、通信でピーリスにそれを知らせようとするが……真紅のガンダムがそれよりも早くアンドレイのGN-X IIIの首筋に手刀を叩き込んだ。

 

 

「があっ!? うっ、くうっ…………(ガクッ)」

 

 

アンドレイの首筋に衝撃が走り、彼の意識が失われてしまうのだった。

 

パイロットが気絶したアンドレイのGN-X IIIはそのまま砂漠の大地へと墜落して、力無く倒れるのだった。

 

 

「アンドレイ少尉!! くっ!」

 

 

ピーリスは目の前にいる、従来のMSとは明らかに違う異質な存在である真紅のガンダムが見せる圧倒的な強さの前に、ただ戦慄するばかりであった……

 

 

To Be Continue……



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第3話 大空(ツナ) VS 超兵(ピーリス)

X Dimensions SoldierSの更新を進める傍ら、こちらの小説の更新を進める気力が出ましたので、久しぶりに最新話を投稿しました^_^

設定が若干変わっておりますので、最初から読んでいただいた方が宜しいかもしれません。

それでは最新話よろしくお願いします^_^


驚異的な強さでピーリス達アロウズ部隊を圧倒する真紅のガンダム。

 

その真紅のガンダムに乗っているのは……

 

 

「ふう……何とか戦えているな」

 

 

超死ぬ気モードのツナであった。

 

彼は大空のリングVer.Xから放出された大空の炎とGN粒子に包み込まれた後、いつの間にか真紅のガンダムのコクピット内にいたのだ。

 

そのコクピットは従来のMSとは異なり、操縦席や操縦桿と言った物が無く、ツナが動いても大丈夫な程の広い空間である上、周囲にあるモニターのおかげで外の様子が360度見れるようになっていた。

 

 

「それにしても、この巨大ロボ……本当に俺の体の動きに合わせて動いてくれるんだな。おかげで戦いやすい」

 

 

真紅のガンダムはどう言う訳かツナの動きに合わせて動く様で、ツナはコクピットに乗った瞬間に脳へ流れてきた情報によりそのことを知り、普段の自身の動き……今までと同じ戦いをすることで、真紅のガンダムはツナの動きに応えるかのように再現し、現在アロウズ部隊を圧倒するに至っていた。

 

そんな中ツナの目の前に空中ディスプレイが浮かび上がり、あるデータを表示していた。

 

それは……

 

 

「ダブルオーフレイマーX(イクス)……もしかして、この巨大ロボの名前なのか……?」

 

 

『GN-0000[FX] ダブルオーフレイマーX(イクス)』と表示されているデータで、ツナはそれを見て真紅のガンダムの名前だと瞬時に理解する。

 

 

「ダブルオーフレイマー、俺に力を貸してくれてありがとう……このままあいつらを蹴散らすぞ!」

 

ボオオッ!!

 

 

ツナのその言葉に答えるかのように、ダブルオーフレイマーXは拳と背中の炎を強く灯していた。

 

一方、ツナとダブルオーフレイマーXに追い詰められたピーリスは……

 

 

「くっ! 動ける機体はアンドレイ少尉達を連れて離脱しろ! 私が時間を稼ぐ!」

 

『ピーリス中尉、しかし……!』

 

『あのガンダムに良いようにやられたまま撤退するなんて……!』

 

「作戦が失敗している上、気絶している者達が多い中で戦っても全滅するのが目に見えている! 敵を前にして逃げる等屈辱かもしれないが、ここは堪えて撤退しろ! これは命令だ!」

 

『くっ……了解です!』

 

 

他のアロウズ兵達に撤退する様に指示を出し、ピーリスの指示を聞いたアロウズ兵達はアンドレイを含めた気絶している者達の機体を抱えながら撤退して行くのだった。

 

それを確認したピーリスはスマルトロンのGNビームサーベルを取り出しながら、ツナのダブルオーフレイマーXを警戒する。

 

対するツナもダブルオーフレイマーXの拳を構えながら迎撃態勢に入っていた。

 

ツナのダブルオーフレイマーXと対峙するピーリスは……

 

 

(全く隙が無い……下手に踏み込めば、一瞬で返り討ちにされる)

 

 

攻め入る隙が全く無いことから、下手に攻撃をすれば一瞬で返り討ちにされることを理解する。

 

とは言え、警戒したままでいても拉致が開かないので、ピーリスはスマルトロンの左腕のシールドを前方に構えたままツナのダブルオーフレイマーXに突撃する。

 

 

「はあああっ!!」

 

 

ピーリスはスマルトロンのシールドを前方に構えた状態での体当たりを繰り出すが、ツナのダブルオーフレイマーXはその攻撃を容易く回避する。

 

しかし、ピーリスにとってそれは予測済みであった。

 

 

「そこだ!」

 

 

回避を終えたばかりのツナのダブルオーフレイマーXの死角に向け、スマルトロンのGNビームサーベルを振るう。

 

その攻撃に対してツナはダブルオーフレイマーXの左手の甲を向けると、手の甲にある青い円形のクリスタル部分からビーム状のシールドーー『GNビームシールド』を展開し、ピーリスのスマルトロンのGNビームサーベルの斬撃を防ぐ。

 

 

「何っ!?」

 

 

ピーリスはツナのダブルオーフレイマーXの死角を突いた攻撃が防がれたことに驚く。

 

 

「うおおおっ!!」

 

「ぐっ!」

 

 

ツナはダブルオーフレイマーXのGNビームシールドで防御したまま、ピーリスのスマルトロンのGNビームサーベルを押し返すように弾き飛ばし、それによってピーリスのスマルトロンは体勢を崩す。

 

体勢を崩したピーリスのスマルトロンの隙を狙い、ツナはダブルオーフレイマーXの脚部による蹴りを繰り出す。

 

そして……ツナのダブルオーフレイマーXの蹴りはGNビームサーベルを持っていたピーリスのスマルトロンの右腕を『斬り裂いた』。

 

それを見たピーリスは……

 

 

「っ! 脚部にビームサーベルだと!?」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXの膝と足の爪先にある発生装置から展開されたビーム刃ーー『GNビームブレイド』を見て驚きを露わにする。

 

ツナのダブルオーフレイマーXの外見から見て、ビームライフルは疎かビームサーベルさえも無いと思っていただけに、先程スマルトロンのGNビームライフルを破壊したダブルオーフレイマーXの腕部にあるビーム砲と同様、ピーリスはまたしても虚を突かれてしまうのだった。

 

残る武装が防御兵装のシールドのみになったピーリスのスマルトロンに対し……

 

 

「Xカノン!!」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXの拳の先端にあるビーム砲ーー『GNブレイズガン』からGN粒子を含んだ大空の炎の弾丸を連射して放つ。

 

 

「くっ!」

 

 

ピーリスはスマルトロンのシールドで防ぐが、連射されたツナのXカノンの1発がスマルトロンの右肩に命中する。

 

その瞬間……

 

 

「っ! 熱っ……!?」

 

 

ピーリスは火傷したかのような激痛と熱さを右肩から感じるのだった。

 

 

「(な、何だ、右肩から感じるこの痛みと熱さは!? まるで機体が受けたダメージが私にも反映されているような……っ! まさか、あのガンダムは……)はっ!」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXのある『特性』に気付いたピーリスだったが、それに囚われていた所為かツナのダブルオーフレイマーXの接近を許してしまうのだった。

 

ツナは隙だらけのピーリスのスマルトロンに対し……

 

 

「獅子戦吼!!」

 

「きゃあああああああっ!?」

 

 

ダブルオーフレイマーXの掌底を放つと同時に獅子の形をした闘気を叩きつけ、ピーリスのスマルトロンを大きく吹き飛ばした。

 

『獅子戦吼』……虹の代理戦争後の修行時に、修行の手伝いとして日本へ来ていたリボーンと同じ元嵐のアルコバレーノである『風(フォン)』との修行により、人間の体にある『気』と言うエネルギーをコントロールする術、そして気の一種である『闘気』を外へと放つ技術を身に付けたツナは、その修行の成果としてこの技を編み出したのである。

 

ツナの闘気で吹き飛ばされたピーリスのスマルトロンはそのまま砂漠の大地へと叩きつけられた。

 

 

「くっ……な、何だ、今の攻撃は……?」

 

 

ピーリスは得体の知れない攻撃であるツナのダブルオーフレイマーXの獅子戦吼に混乱するばかりであった。

 

 

(機体の右腕と武装を失ってしまった以上、戦闘継続は無理か……アンドレイ少尉達が無事に離脱できたのを確認できた今、ここに長居は無用だ……!)

 

 

ピーリスはスマルトロンの右腕と武装が失った状態での戦闘継続は無理だと判断し、撤退行動に入るのだった。

 

 

「撤退したか……まあ、こっちは最初から命を奪うつもりは無いからな。退いてくれて助かる……」

 

 

ツナは離脱するピーリスのスマルトロンを追撃すること無く、黙ってそれを見送るのだった。

 

そんなツナのダブルオーフレイマーXを、撤退しながら見るピーリスは……

 

 

「追撃はして来ないか……(カタロンの基地を防衛する為に深追いしないのか、それとも情けをかけているのか……恐らく後者だな。あのガンダムからは殺気を感じられなかった。恐らく初めから私達の命を奪うつもりは無かったのだろうな……)」

 

 

自身の脳量子波でツナが初めから自分達の命を奪うつもりが無いことを見抜く。

 

本当なら屈辱だとツナに対して怒りを覚えるところだが……

 

 

(だが、不思議とあのガンダムのパイロットに対して怒りを感じない……オートマトンを破壊してくれたことに、私自身感謝しているのかもしれない)

 

 

元々ピーリスは今回のカタロン掃討作戦に不満があったので、その作戦の要となるオートマトンを破壊してくれたツナには内心感謝していた。

 

とは言え、ツナはアロウズに対して敵対行動を取り、さらには反政府勢力の象徴とも言うべきガンダムに搭乗してしまった以上、アロウズ……大きく言えば地球連邦政府の排除すべき対象として認識されるのは間違いないだろう。

 

そのことに対してピーリスは複雑な心境を抱えたままスマルトロンを駆り、母艦へと帰路に着くのだった。

 

一方、戦闘を終えたツナは……

 

 

「さてと、この後だが……まずはあの基地にいる人達にここが何処なのか聞いてみるか……」

 

 

ここが何処なのかまだわかっていないので、近くのカタロン基地へ移動しようとした……その時。

 

 

「! 何か来る……!」

 

 

何かが近づいて来るのを感じたツナは、気配を感じる方向に視線を向けると……そこには空を航行している1隻の青い戦艦と、3機のガンダムの姿があった。

 

ツナの目の前に現れた戦艦と3機のガンダムはアロウズの最大の排除対象とも言うべき私設武装組織ーーソレスタルビーイングであった。

 

大空と天上人達が今ここに邂逅する……

 

 

To Be Continue……



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第4話 天上人(ソレスタルビーイング)

XDSより先にこっちの話が進んでしまった……こっちはサブなのですが……(^◇^;)

今回はソレスタルビーイング視点のお話になります。


私設武装組織ーーソレスタルビーイング

 

4年前の戦闘ーーフォーリンエンジェルスにより多くの仲間を失い、一度は壊滅したが、新たな歪みーーアロウズを倒す為……世界を変える為に、彼らは再び立ち上がった。

 

そして、ソレスタルビーイングは異世界からの来訪者である大空ーー沢田綱吉と、謎のガンダムーーダブルオーフレイマーXとの邂逅を迎えようとしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

時はツナがアロウズ部隊を退けるより少し前に遡る。

 

反政府組織カタロンの基地がアロウズ部隊の襲撃を受けているとの情報を得たソレスタルビーイングの実動隊『チームプトレマイオス』はカタロンを助ける為、トレミーの愛称を持つ母艦の『プトレマイオス2』でカタロン基地へと向かっていた。

 

そんなプトレマイオス2の前には……

 

4年前の戦いを生き残ったガンダムマイスターの1人である、中性的な顔立ちをした黒紫色の髪の青年ーー『ティエリア・アーデ』が駆る、重装甲と砲戦に特化した白色と黒色のカラーリングをしたガンダムーー『セラヴィーガンダム』

 

同じく4年前の戦いを生き残ったガンダムマイスターの1人で、ピーリスと同じ超兵でもある金と銀のオッドアイの瞳をした黒髪の男性ーー『アレルヤ・ハプティズム』が駆る、可変機構を持つ白色と橙色のカラーリングをしたガンダムーー『アリオスガンダム』

 

そして、4年前の戦いで戦死したガンダムマイスターである初代『ロックオン・ストラトス』こと『ニール・ディランディ』の双子の弟で、ソレスタルビーイングの活動再開に合わせて新たなガンダムマイスターとして加入した2代目ロックオン・ストラトスである襟足が少し長い茶髪の男性ーー『ライル・ディランディ』が駆る、狙撃戦に特化した白色と深緑色のカラーリングをしたガンダムーー『ケルディムガンダム』

 

……以上の3機のガンダムが出撃して先行していた。

 

特にライルのケルディムは他の2機よりも先に急ぐように移動していた。

 

何故なら……

 

 

「くそっ……!(頼む、俺が着くまで無事でいてくれ……!)」

 

 

ライルはソレスタルビーイングに加入する前はカタロンの構成員『ジーン1』として活動していた。

 

そしてライルはソレスタルビーイングのガンダムマイスターを務める傍ら、カタロンの構成員としてスパイ活動をしている(プトレマイオスクルーの中にはその事実を知っていて、敢えてそれを続けさせている者もいるが……)。

 

ライルにとって今も尚仲間であるカタロンがアロウズに襲撃されていると聞けば冷静でいられる訳が無く、ライルは焦りを募らせながらケルディムを最大スピードで駆る。

 

そんな時、ライルの視界にある物が映る。

 

 

「! あれは、アロウズか!?」

 

 

GN-X IIIやアヘッドと言ったアロウズのMS部隊が、まるで来た道をUターンするかのように移動していた。

 

 

「間に合わなかったって言うのかよ!? くそったれ!」

 

 

ライルは向かって来るアロウズのMS部隊に向けて、八つ当たりとばかりにケルディムのGNスナイパーライフルIIの銃口を向けようとするが……

 

 

「待て、ロックオン!」

 

「アロウズ部隊の様子がおかしい……!」

 

「何?」

 

 

ティエリアとアレルヤにそう静止され、アロウズのMS部隊を凝視すると……機能が停止しているのか動けない味方を抱えながら、自分達との交戦を避けるように移動する様子が目に入った。

 

 

「アロウズのMSの中に動けない機体がいるみたいだね」

 

「ああ。見る限りでは機体の損傷は無い様だが、乗っているパイロットが気絶していると見て良さそうだな」

 

「カタロンの連中がやったのか? だが……(旧式のMSでアロウズのMS相手にそんな真似ができるとは思えねえ……)」

 

 

ライル自身カタロンが所有する旧式のMSがアロウズのMS相手に太刀打ちできないのは理解しているので、カタロンがアロウズのパイロットを気絶させられるとは思えなかった。

 

だが、それはライルにある希望を与える。

 

 

「あの様子だと、アロウズの連中は仲間がやられたんで撤退しているって感じだな。つまり……カタロンはまだやられちゃいねえってことだ!」

 

「うん、その可能性はあるね!」

 

「しかし、まだそうだと決まった訳では……」

 

「わかってる。それを確かめる為にも急ぐぞ!」

 

 

ライルはケルディムのスピードを上げ、カタロン基地へと急ぐ。

 

 

「ロックオン!」

 

「まったく……(ライル・ディランディ、やはり彼はカタロンの……刹那は彼の正体を知った上でマイスターにスカウトしたのか? まあアロウズを倒すと言う共通の目的がある以上、彼も我々を危険に陥れることはしないだろう……)」

 

 

ティエリアはライルがカタロンの構成員であることに気が付いていたが、ライル自身アロウズを倒すと言う共通の目的がある以上、ティエリア達を危険に陥れることはしないだろうと判断し、敢えて追求しないことにするのだった。

 

それから少しして、カタロン基地が視界に入る位置まで来たライル達は驚愕する光景を目の当たりにする。

 

それは……アロウズのMSが肉眼で捉えられない程のスピードで動く『何か』によって次々にぶっ飛ばされて行き、砂漠の大地へと叩きつけられた機体はそのままピクリと動かなくなるのだった。

 

 

「! これは……!」

 

「な、何が起きてんだ!? アロウズのMSが地面に叩きつけられて動かなくなったぞ!?」

 

「何かと交戦している様だが、速すぎて目で捉えられない……!」

 

 

目の前に光景に驚くライル達に、アロウズのMS部隊を蹴散らす何かはある程度攻撃したところで、その動きを止めた。

 

アロウズのMS部隊と交戦している者の正体を確かめようと、ライル達が視線を集中すると……

 

 

「「なっ!?」」

 

「あ、紅い、ダブルオーだと……!?」

 

 

現在別行動中のガンダムマイスター『刹那・F・セイエイ』の愛機であるダブルオーガンダムに似た頭部で、真紅色のカラーリングをしたツインドライブ搭載型のガンダムの姿に驚きを露わにする。

 

そして、そのガンダムの姿は遅れてやって来たプトレマイオス2でも確認されていた。

 

 

「スメラギさん! あのガンダムは……!」

 

「あ、紅い、ダブルオー……!?」

 

「色や形状は刹那のダブルオーと違うが……!」

 

「セイエイさんのダブルオーと同じツインドライブを搭載してるですぅ! しかも、太陽炉はどっちもオリジナルですぅ!」

 

 

プトレマイオス2の艦長兼戦術予報士で、セミロングの長さがある茶髪と豊満な胸が特徴的な女性ーー『スメラギ・李・ノリエガ』

 

プトレマイオス2の戦況オペレーターで、ポニテールにしたピンクの髪と豊満な胸が特徴的な女性ーー『フェルト・グレイス』

 

フェルトと同じくプトレマイオス2の戦況オペレーターで、クルーの中では最年少である茶髪を巻き髪状のツインテールにした少女ーー『ミレイナ・ヴァスティ』

 

プトレマイオス2の砲撃士兼操舵士で、予備のガンダムマイスターでもある筋肉質でガッチリとした体格の男性ーー『ラッセ・アイオン』

 

……プトレマイオス2のブリッジにいる4人のクルー達もガンダムマイスター達と同様、真紅のガンダムの姿……特にオリジナルの太陽炉によるツインドライブを搭載していることに驚いていた。

 

 

「イアン、あのガンダムを開発した覚えはある?」

 

『ある訳無いだろ! ただでさえ刹那のダブルオーのツインドライブに今も手を焼かされているのに、新しいツインドライブ搭載型のガンダムの開発どころか、オリジナルの太陽炉を新規に製造する余裕なんて儂等には無い!』

 

 

スメラギの問いに、通信越しにいるプトレマイオス2やガンダムの総合整備士で、ミレイナの父親でもある眼鏡をかけた中年の男性ーー『イアン・ヴァスティ』がそう答える。

 

 

『因みに刹那のダブルオーはちゃんとトレミーの格納庫にあるから、ツインドライブが盗まれたと言うことは無いぞ』

 

「そう……(じゃあ、あの紅いダブルオーは誰が……それに、あのガンダムから放出されているあの炎は一体……?)」

 

 

スメラギは真紅のガンダムの開発者と、背中から放出されている橙色の炎にただ疑問を抱くばかりであった。

 

それ暫くして、真紅のガンダムはアロウズの隊長機と思われるカスタムアヘッドーースマルトロン以外のMSを退けると、GNビームサーベルとシールドを構えるスマルトロンと対峙する。

 

スマルトロンはシールドを前方に構えた状態で突進し、対する真紅のガンダムがその攻撃を回避すると、スマルトロンはその瞬間を狙ってGNビームサーベルを振るう。

 

しかし、真紅のガンダムは左手の甲にある青い円形のクリスタル部分からビーム状のシールドを展開してスマルトロンのGNビームサーベルの斬撃を防ぐと、そのまま押し返すように弾き飛ばす。

 

それによって体勢を崩したスマルトロンに、ダブルオーフレイマーXは脚部からビーム刃を展開した状態で蹴りを放ち、スマルトロンのGNビームサーベルを持つ右腕を斬り裂く。

 

さらに追撃とばかりにダブルオーフレイマーXは右拳の先端にある小型のビーム砲から粒子ビームを連射。

 

その攻撃にスマルトロンはシールドで防御するが、粒子ビームの1発が右肩に命中して体勢を崩してしまう。

 

その隙を突いて真紅のガンダムが掌底による攻撃を繰り出し、その掌底から獅子の形をした衝撃波が放たれ、スマルトロンはその衝撃波によって大きく吹き飛ばされ、砂漠の大地へと叩きつけられた。

 

 

「な、何だ、今の!? アロウズのMSが凄い勢いでぶっ飛ばされたぞ!」

 

「す、凄い……あのガンダム、とんでもない性能だ……!」

 

「ああ……だが、ガンダムの性能だけじゃない。パイロットも相当な手練れの様だ」

 

 

戦闘を見ていたガンダムマイスター達は真紅のガンダムの驚異的な性能は勿論、パイロットの技量の高さに舌を巻くのだった。

 

そして残っていたスマルトロンも戦線から離脱し、アロウズのMS部隊は全機カタロン基地から去ったのだった。

 

 

「アロウズ部隊の撤退を確認。残存戦力はありません」

 

「カタロンの方は被害が軽微みたいですぅ!♪」

 

「そう、良かったわ……あのガンダム、たった1機でアロウズのMS部隊を退けるなんて凄いわね……」

 

「ああ。にしてもあのガンダム、変わった戦い方をしてな。まるで格闘家みたいだ」

 

 

カタロンの被害が軽微であったことに一安心したスメラギはたった1機でアロウズのMS部隊を退けた真紅のガンダムの強さに舌を巻き、ラッセも真紅のガンダムの戦い方が格闘家のようだと評価するのだった。

 

プトレマイオス2のブリッジにティエリアからの通信が入る。

 

 

『スメラギ・李・ノリエガ、あのガンダムのパイロットとコンタクトを取りたいのですが、よろしいですか?』

 

「ええ、良いわよ。だけど、機体共々得体の知れない相手だから、慎重に対応して」

 

『了解です』

 

 

スメラギはティエリアからの真紅のガンダムのパイロットとコンタクトを取りたいと言う申し出を承認すると同時に慎重に対応するよう言い、ティエリアもそれを了承するのだった。

 

そして、ティエリアらガンダムマイスター達は……

 

 

「僕があのガンダムに通信で呼びかける。ロックオンとアレルヤは警戒したまま待機してくれ」

 

「わかった」

 

「おいおい、そんなに警戒しなくても良いんじゃねえか? 向こうはアロウズと戦ってたし、同じガンダムに乗ってるんだから味方だろ?」

 

「確かにアロウズに対して敵対行動を取っていたが、だからと言って味方とは限らない。イアンも言っていたが、あのガンダムは我々が開発した機体では無いからな」

 

「んじゃ、誰が作った機体なんだよ?」

 

「流石にそれはわからないけど……あれ?」

 

 

ガンダムマイスター達がそう会話していると、真紅のガンダムの背中の炎とツインアイの光が消え、そのまま力無く地面へと落下して行く。

 

 

「なっ!? 一体、どうしたってんだ!?」

 

「まさか、パイロットが気を失っているのか!?」

 

「大変だ! 助けないと!」

 

 

アレルヤはそう言ってアリオスを猛スピードで向かい、何とか真紅のガンダムを抱き留めた……その時。

 

 

「うわぁっ!?」

 

 

真紅のガンダムが突如橙色の炎へと姿を変えたことに、アレルヤは思わず驚きの声を上げ、アリオスは炎に変わった機体から手を離す。

 

 

「アレルヤ!」

 

「大丈夫か!?」

 

「な、何とか……だけど、この炎は一体……ん?」

 

 

アレルヤ達が真紅のガンダムが炎へと姿を変えたことに疑問を抱く中、炎の中からGN粒子で形成され球体に包み込まれた『何か』が飛び出し、アレルヤはアリオスのマニピュレーターである両手で受け止める。

 

そしてGN粒子が消え、包み込まれていたものの正体を現す。

 

それは……

 

 

「こ、子供!?」

 

「何だと!?」

 

「まさか、この子供があのガンダムのパイロットだって言うのか!?」

 

 

茶髪のツンツン頭をした年端もいかない少年であり、ガンダムマイスター達はアリオスの手の中で意識を失っている少年が真紅のガンダムのパイロットであることに驚きを隠せなかった。

 

そして、真紅のガンダムだった橙色の炎は……少年の右手にあるリングの中へと吸い込まれた。

 

 

「っ! 炎が子供の指輪の中に!?」

 

「おいおい、一体どうなってんだよ!?」

 

「わからない……まずはこの少年を保護するのが先だ。話は彼が目覚めてから聞かせて貰うとしよう」

 

「そうだね。それじゃあ、僕はこのままこの子供をトレミーのメディカルルームまで運ぶよ」

 

「頼む。僕はこのままカタロンの様子を見てくる。ロックオン、君も来るか?」

 

「ああ。俺もカタロンの様子が気になるからな」

 

 

その後、ガンダムマイスター達はスメラギの了承を得た後、ロックオンとティエリアはカタロンの基地へ、アレルヤはプトレマイオス2へと移動した。

 

アリオスの手の中で眠る少年ーーツナこと沢田綱吉は、リボーンの地獄の修行や真紅のガンダムーーダブルオーフレイマーXでの初戦闘の緊張による疲労や、ソレスタルビーイングが危険な存在では無いと感じたことによる安心感から、糸が切れたように寝てしまった様だ。

 

こうして、ツナはソレスタルビーイングの母艦ーープトレマイオス2へと知らずの内に招かれるのだった……

 

 

To Be Continue……




ツナのヒロイン、どうしようかな?

候補としてはフェルトにしようかなぁとは思ってますが、アニューも捨てがたい……まあ、アニューの場合はライルとのカップリングが好きな方が多いかと思いますが(^◇^;)

次回も応援よろしくお願いします^_^


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第5話 フェルトとの出会い

この小説サブなのですが、メインよりお気に入り登録が多くてびっくりです(^◇^;)

今回はツナとフェルトが出会う話と、ガンダム00の主人公ーー刹那が本小説に初登場します^_^


修行での疲労やアロウズ部隊との戦闘を無事終えた安堵感から意識を失い、アレルヤによってプトレマイオス2のメディカルルームに運び込まれたツナはベッドの上にて寝ていた。

 

 

「メディカルチェックの結果、特に問題はありませんでした。単に疲労で倒れただけみたいです」

 

「そう……」

 

「ふう、良かった……」

 

 

メディカルルーム内にはスメラギとフェルト、そしてツナをここまで運んだアレルヤがおり、フェルトからのメディカルチェックの結果を聞いてスメラギとアレルヤは一安心していた。

 

 

「アレルヤ、さっきの話だけど本当なの? この子があの紅いダブルオーのパイロットだと言うのは……」

 

「確証は無いですけど、この子があのガンダムの中から出て来たことを考えれば、乗っていたのは間違いないと思います」

 

「そう……ただでさえこの子が紅いダブルオーのパイロットであることが驚きなのに、その紅いダブルオー自体炎に変わってこの子の指輪に吸い込まれたって言うのもねえ……」

 

 

スメラギはメディカルルームのベッドの上に眠るツナの右手にある大空のリングVer.Xを見ながらそう呟く。

 

 

「信じられないのも無理ないですけど、本当のことなんです。僕だけじゃなく、ティエリアやロックオンもその光景を目にしてますから」

 

「わかったわ、ひとまずこの子が目を覚ますのを待ちましょう。フェルト、この子の面倒をお願いできる?」

 

「はい、了解です」

 

「フェルト、何かあったらすぐに連絡してね」

 

「うん。ありがとう、アレルヤ」

 

 

そう言って、アレルヤとスメラギは自身の仕事に戻る為メディカルルームから退出し、メディカルルームにはベッドの上に眠るツナと、彼の面倒を任されたフェルトだけが残された。

 

フェルトは未だに眠り続けているツナに視線を向けると……

 

 

「zzzz……」

 

「(くすっ♪)こうして見ると普通の男の子にしか見えないわね」

 

 

あどけなさが残る可愛いらしいツナの寝顔に思わず笑みを漏らし、そんな感想を口にする。

 

フェルトも先程のツナとダブルオーフレイマーXの戦闘……鬼神の如き強さでアロウズのMS部隊を圧倒していた光景を見ていたが、目の前で眠るこの少年がそれと同一人物だとは思えなかった。

 

そんなことを考えつつも、フェルトは寝ているツナの頭を撫でながら彼の傍にいるのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻はすっかり真夜中になっており、別行動中であった1人のガンダムマイスターがカタロン基地に戻って来た。

 

彼の名は刹那・F・セイエイ、チームプトレマイオスに所属しているガンダムマイスターで、ツインドライブ搭載型のガンダムーーダブルオーガンダムのパイロットである。

 

刹那はアザディスタン王国の皇女ーー『マリナ・イスマイール』の依頼で、彼女をアザディスタンへ送り届ける為に小型輸送船で向かったのだが……向かった先で待っていたのは、炎に包まれたアザディスタンの町であった。

 

アザディスタンを炎の海へと変えた元凶の赤いガンダム……『アリー・アル・サーシェス』の『アルケーガンダム』を目撃した刹那は捕捉される前に小型輸送船を方向転換し、全速力でアザディスタンから離れ、何とかカタロン基地まで戻って来れたのだ。

 

因みに炎の海と化したアザディスタンを見て絶望と悲しみに暮れているマリナの傍には、かつて彼女の側近であったカタロンの構成員の女性ーー『シーリン・バフティヤール』が付いており、刹那自身今のマリナにどんな言葉をかければ良いかわからないので、彼女のことを知っているシーリンに任せるしかなかった。

 

刹那は現在カタロン基地内の様子を見ており、先程カタロンの構成員からアロウズに襲撃されたことを聞いたのが、基地の被害は小さく、死傷者が0と奇跡的な状況で、そんな状況になったのも突如現れた背中から橙色の炎を放出した真紅のガンダムがアロウズのMS部隊を退けてくれたおかげとのことだ。

 

 

(真紅のガンダム、アザディスタンを破壊したガンダムとは別の機体の様だが……スローネの時のように、俺達の知らないガンダムがまだ存在しているのか?)

 

 

刹那がそう考えながらカタロン基地の通路を歩いていると……

 

 

「よう、刹那。戻ってたのか」

 

「ロックオン」

 

 

ロックオンに声をかけられた。

 

 

「随分早かったみたいだが、アザディスタンのお姫様を無事に届けられたのか?」

 

「いや……予期せぬことがあって、マリナと一緒に戻って来た」

 

「? 何があったんだ?」

 

「それは後で皆と一緒に話す。それよりも、この基地がアロウズに襲撃されたと聞いたが……」

 

「ああ。正体不明のガンダムがアロウズの奴らを追い払ってくれたおかげで、死傷者0って言う信じられない奇跡を目の当たりにしてるよ♪」

 

「それもカタロンの構成員達から聞いた。それでそのガンダムは今何処にいる?」

 

「あー、それなんだけどよ……あまりに信じられないことばっかで、どう説明したもんか……」

 

「? どう言うことだ?」

 

「良いか刹那、よく聞けよ。実はな……」

 

 

ロックオンは刹那にツナとダブルオーフレイマーXのことを話した。

 

その話を聞いた刹那は……

 

 

「冗談……ではないのか?」

 

 

ロックオンが冗談を言ってるんじゃないかと思い、思わずそう聞き返してしまう程驚いていた。

 

 

「お前がそう言いたくなる気持ちはよーくわかるが、大マジだ。後でアレルヤやティエリアにも聞いてみろ。俺と同じことを言うと思うぜ」

 

「わかった、信じよう……しかし、アロウズを退けたガンダムが俺のダブルオーと同じツインドライブ搭載型で、そのパイロットが子供……さらにその子供が乗っていたガンダムは炎に変化して、指輪の中に吸い込まれた……あまりに信じがたい話だな」

 

「だろうな。俺だって実際その光景を見なかったら、夢か何かだと思うくらいだ」

 

「それでパイロットの子供は今どうしている?」

 

「意識を失っちまったみたいでな、今はトレミーのメディカルルームに運ばれてるよ」

 

「そうか……話はその子供が目覚めるのを待つしか無いな」

 

「ああ、そうだな。んじゃ、俺はクラウスと話があるから、後でトレミーに戻るぜ」

 

「わかった」

 

 

ロックオンと別れ、刹那はそろそろプトレマイオス2に戻る為、小型輸送船へ向かおうとしたところ……何処からか誰かの泣き声が聞こえた。

 

刹那は何事かとその方へ視線を向けると、そこには何処か怒っている様子のティエリアと、膝をついて大声を上げて涙を流す青年……『沙慈・クロスロード』の姿が目に入った。

 

沙慈は元々宇宙技師の民間人であったが、アロウズにカタロンの構成員と間違えられたことをきっかけに、成り行きでソレスタルビーイングと暫く行動を共にした後、カタロンに保護されていたのだが、何故沙慈が今泣いているのかが気になり、刹那は2人に近づく。

 

 

「ティエリア、どうした?」

 

「! 刹那、戻っていたのか」

 

「ああ、ついさっきな。沙慈・クロスロードと何かあったのか?」

 

「話すと長くなるが……」

 

 

ティエリアは刹那に沙慈が犯した『過ち』について話す。

 

沙慈はカタロンに保護された後、戦いから離れたい一心でカタロンから脱走したところを連邦軍に見つかり、その際にカタロンの基地にいたことを話してしまったが故に、アロウズのカタロン基地襲撃作戦のきっかけを作ってしまったのだ。

 

幸い偶然居合わせたツナとダブルオーフレイマーXのおかげでカタロンの被害は小さく、死傷者も出なかったが、一歩間違えれば多くの被害と死傷者が出ていたのは確かである。

 

沙慈の無自覚な悪意とも言える現実から目を背ける行為や愚かな振る舞いに激怒したティエリアは激しく叱責し、自身の犯した過ちに気付いた沙慈自身も激しい後悔と自責の念を抱き、泣き崩れていた。

 

 

「沙慈・クロスロード……」

 

 

ティエリアから事情を聞いた刹那は、もう引き返せない所に来てしまった沙慈に対して何と言えばいいか分からず、ただ静かに名前を呟くのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃メディカルルームのベッドの上に眠っているツナはと言うと……

 

 

「ん……んん……あれ? ここは……?」

 

 

深い眠りから覚めると、見知らぬ場所にいることに疑問符を浮かべていると……

 

 

「あ、良かった、気が付いたのね♪」

 

「え?」

 

 

近くから声を掛けられ、その方に視線を向けると……制服らしき服装に身を包み、ウェーブがかかった長いピンクの髪をポニテールにした美女ーーフェルトの姿があった。

 

 

「(綺麗な人だな……)あ、あの、貴女は……?///」

 

「私はフェルト・グレイス、この艦ーープトレマイオス2の戦況オペレーターをしてるわ」

 

「プトレマイオス2? 艦?……あ、もしかして、空を飛んでたあの青い艦ですか?」

 

「うん、そうだよ。そして、君はその青い艦の中のメディカルルームにいるの」

 

「あー、なるほど……(そう言えば、俺疲れて寝ちゃったんだった……)」

 

 

ツナは疲労で意識を失う前に見た青い艦のことを思い出し、自身が今その艦の中にいることを知るのだった。

 

取り敢えず、ツナはフェルトに名乗ることにした。

 

 

「俺は沢田綱吉、並盛中に通う中学二年生です。俺のことはツナって呼んでください」

 

「(並盛中?)よろしくね、ツナ君♪ ところで、ツナ君はどうしてガンダムに乗って、アロウズと戦ってたの?」

 

 

ツナの言う並盛中と言う単語に内心疑問に思ったが、取り敢えずツナが何故ガンダムに乗ってアロウズと戦っていたのかを聞こうとするが……

 

 

「ガンダム? アロウズ?」

 

「え?」

 

 

当のツナは何のことだと言わんばかりに疑問符を浮かべながら首を傾げる。

 

そんなツナにフェルトは一瞬驚くが、流石に専門用語で言うのは良くなかったと思い、ツナくらいの年齢の子なら知ってそうな言葉で説明することにした。

 

 

「ええとね……ガンダムはツナ君がさっきまで乗っていたモビルスーツのことで、アロウズは背中から橙色の粒子を放出している赤いモビルスーツの軍隊のことなんだけど……わかる?」

 

「ええと、すみません……そもそも、モビルスーツって何ですか?」

 

「えっ!?」

 

 

ツナのモビルスーツさえも知らない発言に、フェルトは思わず大きな驚きの声をあげてしまう。

 

フェルトのその驚き様に、ツナは自身が何か変なことを言ったのかと不安になるが、すぐにあることを思い出したのをきっかけに、答えを直感する。

 

 

「あ、わかった! モビルスーツって俺が乗ってたダブルオーフレイマーや、俺が戦った相手である赤い巨大ロボ達の名称を指してて、アロウズは赤い巨大ロボ達のこと、ガンダムはダブルオーフレイマーのことを言ってる……んですよね?」

 

「う、うん、その解釈でOKだよ。ごめんなさい、私難しいことを言ったみたいで……」

 

「あ、いえ、気にしないでください! 俺、勉強とかまったくダメな方なんで、一般常識が足りなかったかもしれませんし……あはは……(自分で言って、何か恥ずかしくなって来た……///)」

 

 

運動の方はリボーンに鍛えられたおかげで常人以上に成長したが、勉強の方は相変わらずダメダメなツナは自身の勉強の出来なさに内心恥ずかしく感じていた(笑)

 

 

「そう言えば、ツナ君が乗っていた機体の名前ってダブルオーフレイマーで良いのかな?」

 

「はい。正しい名前はダブルオーフレイマーX(イクス)なんですけど、俺はダブルオーフレイマーって呼んでます」

 

「へえ、そうなんだね(刹那のダブルオーと名前が似てる……偶然なのかな?)」

 

 

フェルトはツナのダブルオーフレイマーXが刹那のダブルオーと名前が似ていることに、内心偶然なのかと疑問に思うが、ひとまず質問を続けることにした。

 

 

「最初の質問に戻るけど、ツナ君はどうしてダブルオーフレイマーに乗ってアロウズ相手に戦闘を?」

 

「ええと、話すと長くなるんですけど……」

 

 

ツナはフェルトにダブルオーフレイマーXに乗ってアロウズと戦闘することになった経緯について話した。

 

 

「ええと、つまり……ツナ君は自分の住んでいる町にいた筈が知らない間にカタロン基地の近くにいて、偶然カタロンがアロウズに襲撃されているのを見かけたから、カタロンの人達を助ける為にアロウズと戦ったってことで良いかな?」

 

「カタロンってアロウズって言う連中に襲われていた人達のことで良いんですよね? だとしたら、その通りです。そしてカタロンって人達を助けようと動こうとした時に、このリングからダブルオーフレイマーが現れて俺に力を貸してくれたんです」

 

 

ツナは大空のリングVer.Xを見せながら、フェルトにそう言う。

 

 

「ダブルオーフレイマーが指輪の中から……(じゃあ、アレルヤが言ってたガンダムが指輪の中に吸い込まれたって話は本当で、ツナ君のダブルオーフレイマーは元々指輪の中にあったってことかな?)」

 

 

フェルトはツナから聞いた話と、先程アレルヤから聞いた話を元にダブルオーフレイマーが元々大空のリングVer.Xの中にあったのでは無いかと推察するが、他にも気になることがあるので質問を続けることにした。

 

 

「そう言えば、ツナ君はその時初めてダブルオーフレイマーに乗ったんだよね? それなのに、よくアロウズのMS部隊を圧倒できたね。何処かで操縦の訓練を受けていたりするのかな?」

 

 

ガンダムどころかモビルスーツのことさえ知らないツナが初めてダブルオーフレイマーに乗ったにも関わらず、アロウズのMS部隊を圧倒できたことが不可解で、事前に何処かの施設で操縦の訓練を受けていたのでは無いかと思い、そう聞くが……

 

 

「いえ、まったく」

 

「えっ!?」

 

 

ツナに即否定されたことに驚きの声をあげる。

 

 

「そ、それなら何であんな動きができたの?」

 

「それはダブルオーフレイマーのおかげですよ。ダブルオーフレイマーが俺の体の動きに合わせて動いてくれたから、アロウズって言う連中を追い払うことができたんです」

 

「つ、ツナ君の体の動きにダブルオーフレイマーが……? じゃあ、ダブルオーフレイマーのコクピットには操縦席や操縦桿とかは無いの?」

 

「はい。外の様子がわかるモニターっぽいのがあるだけで、凄い広いんです。フェルトさんが言ってたモビルスーツのコクピットはそうじゃないんですか?」

 

「う、うん、私の知っているモビルスーツでパイロットの体の動きに合わせて動く機体なんて聞いたことが無いよ」

 

「へえ〜、じゃあ俺が乗っていたダブルオーフレイマーは変わった機体なんですね」

 

「そ、そうだね(パイロットの体の動きに合わせて動くモビルスーツって、ダブルオーフレイマーだけなんじゃ……)」

 

 

フェルトはそう思うが、異世界にダブルオーフレイマーのような動きをするガンダムがあることを彼女が知る由も無い。

 

ツナとフェルトがそうこう話していると……

 

 

ぐううう……

 

「あ……///」

 

「(くすっ♪) お腹空いてるみたいだね。待ってて、何か食事を持って来るから♪」

 

「す、すみません……///」

 

「ううん、気にしないで♪」

 

 

フェルトはツナの食事を取って来る為、一旦メディカルルームから退出した。

 

そして、フェルトは食堂へ向かう途中……

 

 

「あ、そうだ。スメラギさんにツナ君が目を覚ましたことを伝えなきゃ」

 

 

スメラギにツナが目を覚ましたことを伝える為、モバイル端末で連絡するのだった。

 

一方、メディカルルームに1人残ったツナは……

 

 

「気を失ってからだいぶ時間経っちゃったみたいだけど、リボーン達心配してるよな……後でフェルトさんに並盛町に送り届けて貰えないか頼んでみようかな……?」

 

 

並盛町にいるリボーン達が自身が帰って来ないことを心配していると思い、後でフェルトに並盛町に送り届けて貰えないか頼んでみようと考えていたが……ツナは後にこの世界が自分の知っている世界とは違う異世界で、並盛町が存在しないことを知ることになるとは、この時知る由も無かった……

 

 

To Be Continue……




ツナのヒロイン、もうフェルトにしようかな?

でも、アニューを加えたWヒロインも捨てがたい……うーん、迷う(^◇^;)

次回こそはツナを刹那達ガンダムマイスターに合わせる予定です。

次回も応援よろしくお願いします^_^


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第6話 ガンダムマイスターと戦術予報士との出会い……そして、明らかになる事実

今回はツナが刹那とティエリア、そしてスメラギと出会い、様々な事実が明らかになる話です^_^

この小説のお気に入り登録数がさらに伸びて行くのは嬉しいけど……メインじゃなんだよなぁ〜(汗)

多重コラボより2〜3作品程のクロス小説が良いのかな?

話が脱線しましたが、最新話よろしくお願いします^_^


ツナが目を覚ましてから30分後、カタロン基地から戻って来た刹那とティエリア。

 

カタロンに置いたままでは危険だと判断した上で一緒に連れて来た沙慈を彼に宛てがわれた部屋へと送り届けた後、スメラギに報告することがある為、現在彼女がいるであろうブリッジへ向かう途中……

 

 

「あら、刹那にティエリア。戻って来ていたのね」

 

「! スメラギ・李・ノリエガ」

 

「丁度貴女に話があったのですが、これからどちらへ?」

 

 

スメラギに出会い、彼女が何処へ向かっているのかを尋ねる。

 

 

「さっきフェルトからあの紅いダブルオーのパイロットの子供が目を覚ましたって連絡を聞いてね。今から会いにメディカルルームに向かうところなの」

 

「っ!」

 

「あの紅いダブルオーのパイロットが目を覚ましたのですか!?」

 

「ええ。もし良かったら、貴方達も一緒に来る?」

 

「ああ。ロックオン達から話を聞いて、気になっていたからな」

 

「僕も同行します。その子供に聞きたいことがありますので」

 

 

こうしてスメラギと共にメディカルルームへ向かうことになった刹那とティエリアは、移動しながら沙慈やマリナ、そしてアザディスタンのことを話した。

 

 

「そう、そんなことがあったのね……まさかクロスロード君が原因で、カタロン基地の場所がアロウズにバレたなんてね……」

 

「すみません、僕達の勝手な判断で沙慈・クロスロードをトレミーに連れて来て……」

 

「別に良いわよ。そのまま放って置いたら、クロスロード君がカタロンに何をされるかわかったものじゃないしね。貴方達の判断は正しいわ」

 

「ありがとうございます」

 

「話は変わるけど……刹那、アザディスタンを破壊したのがガンダムって本当なの?」

 

「ああ。擬似太陽炉搭載型で、恐らくスローネの機体の発展型だと思う」

 

「! スローネの……まさか!」

 

 

アザディスタンを襲撃したガンダムがスローネの発展型と聞いて、ティエリアはある男ーーアリー・アル・サーシェスの存在を思い浮かべる。

 

 

「俺もティエリアと同じ考えだが、確証はまだない……出来れば、そうであって欲しくは無いがな……」

 

「ああ……『彼』のことを思えば、僕達の考えが外れて欲しいものだな」

 

 

刹那とティエリアは4年前にサーシェスと相討ちとなって戦死した、ライルの双子の兄にして初代ロックオン・ストラトスである男性ーー『ニール・ディランディ』のことを思い、自分達の予想が外れていることを願うが……無情にもその予想が当たってしまうことを後に知るのだった。

 

 

「……ところで、マリナ姫はどうしたの?」

 

「彼女の友人であるカタロンの構成員に預けて来た。俺よりもその友人に任せた方が良いと思ってな……」

 

「そう……」

 

「彼女の傍にいなくて良かったのか?」

 

「……火の海と化したアザディスタンを見て落ち込んでいるマリナにどう励ませば良いかなんて、俺にはわからないからな」

 

「そうか……」

 

 

そうこう話している内に刹那達はメディカルルームの入口へと辿り着き、入室しようとすると……

 

 

「ガウッ♪」

 

「むぐっ!?」

 

「「刹那!?」」

 

 

突如刹那の顔面に何かが飛び付いて来た。

 

刹那は顔面に張り付く何かを無理矢理引き剥がすと……

 

 

「ガウッ♪」

 

「……猫か?」

 

「いや、鬣があるからライオンじゃないか?」

 

「にしては、変わった姿をしてるわね。それにこの鬣、炎のように見えるけど一体……?」

 

 

鬣の形をした炎を纏うライオンの子供であった。

 

刹那達がそのライオンの子供に疑問符を浮かべていると……

 

 

「こら、ナッツ! いきなり飛び付いたらダメだろ!」

 

「! 君は……」

 

 

1人の少年ーーツナが刹那達の元へやって来た。

 

刹那に飛び付いたライオンの子供は、ツナの相棒であるギアアニマルーー『天空ライオンVer.X(レオネ・ディ・チエーリ バージョン・イクス)』こと『ナッツ』であった。

 

 

「刹那、大丈夫!?」

 

 

ツナに続いてフェルトもやって来た。

 

 

「フェルトか。ああ、大丈夫だ」

 

「す、すみません! ナッツがご迷惑をおかけして!」

 

「いや、気にしていないから大丈夫だ」

 

 

刹那はそう言って、ナッツをツナに返した。

 

 

「君が紅いダブルオー……ガンダムに乗ってアロウズと戦っていた子供なのか?」

 

「あ、はい、沢田綱吉って言います。ダブルオーフレイマーに乗って、アロウズ……でしたっけ? その軍隊と戦ってました」

 

「ダブルオーフレイマー、それが君の乗っていたガンダムの名……そして、君が……」

 

 

刹那はそう言って、ツナを観察する様に見ていた。

 

 

「あ、あの、何か……?」

 

「あ、いや、すまない……あまりに普通の子供にしか見えないから、本当にガンダムに乗って戦っていたのか疑問に思えてしまってな……」

 

「あはは……そうですよね」

 

「怒らないのか?」

 

「? 別に怒ることでも無いと思いますけど? 俺自身戦いが好きな訳じゃないから、それができることを自慢するつもりは無いですし」

 

 

ツナは苦笑しながら刹那にそう答える。

 

 

「その言い方だと、君は戦いをまったく知らない一般人の子供と言う訳では無いと言うことか?」

 

「……そうですね。普通の中学生が経験しないようなことを、今までたくさん経験して来ましたから……」

 

「そうか……」

 

 

刹那はツナを見て、ダブルオーフレイマーXに乗って戦っていたのだと……そして、戦いを知る者だと感じるのだった。

 

 

「刹那、1人だけでその子と会話しないの。私達も彼に聞きたいことがあるんだから」

 

「すまない」

 

「ええと、綱吉君で良かったわよね? 体調の方はどうかしら?」

 

「はい、大丈夫です。すみません、疲れて倒れた俺の面倒を見ていただいたみたいで……」

 

「気にしなくて良いわよ。それで貴方や貴方のガンダムのことを色々聞かせて欲しいんだけど、良いかしら?」

 

「大丈夫です。俺の方も色々聞きたいことがありますし」

 

「ありがとう。あ、自己紹介がまだだったわね。私はスメラギ・李・ノリエガ、このプトレマイオスの指揮官的立場にいる戦術予報士よ」

 

「戦術予報士?」

 

 

スメラギがツナに自己紹介すると、戦術予報士と言う聞き慣れない言葉に疑問符を浮かべる。

 

 

「わかりやすく言えば、ミッションプラン……作戦を立案する人間よ」

 

「つまり、軍師みたいな感じですか?」

 

「ええ、そんなイメージで大丈夫よ。そして、この2人は……」

 

「刹那・F・セイエイ、ガンダムマイスターだ」

 

「同じくガンダムマイスターのティエリア・アーデだ」

 

 

スメラギの言葉を引き継ぐ形で、刹那とティエリアが自己紹介する。

 

 

「ガンダムマイスター?」

 

「簡単に言えば、ガンダムのパイロットだ。僕はセラヴィーガンダム、刹那はダブルオーガンダムとそれぞれの専用機であるガンダムに乗ってアロウズと戦っている」

 

「ダブルオーガンダム、俺が乗ったダブルオーフレイマーに名前が似てる……」

 

「まあ名前だけで無く、外見や特徴も似たところはあるがな」

 

「え? そうなんですか?」

 

「ああ。それで出来れば君のダブルオーフレイマーも見せて欲しいんだが、できるか?」

 

「えっと、それは良いんですけど……そう言えば、ダブルオーフレイマーって今何処にあるんですか?」

 

 

ツナはコクピットの中で意識を失ったので、その後ダブルオーフレイマーXがどうなったのか知らないのだ。

 

 

「そうか、君は気を失っていたのだからダブルオーフレイマーがどうなったかを知らなかったんだな。ダブルオーフレイマーは君を外へ出した後、炎へと変わって君の指輪の中に吸い込まれたんだ」

 

「リングの中に?」

 

 

ティエリアからその話を聞いたツナは、自身の大空のリングVer.Xを見る。

 

 

「そう言えば、ダブルオーフレイマーが現れた時もリングから出て来たんだった……」

 

「つまり、ダブルオーフレイマーは元々その指輪の中にいたと言うことか?」

 

「はい……後で何とか出しますから、見せるのはその時で良いですか?」

 

「ああ、構わない」

 

「それじゃあダブルオーフレイマーのことは一旦後回しにして、別の場所で話の続きをしましょうか。いつまでもメディカルルームに居続ける訳にもいかないしね」

 

「わかりました」

 

 

その後ツナは刹那達に連れられる形で別の部屋へと移動し、話の続きをすることにした。

 

ツナはフェルトにした同じ説明を刹那達にし終えたところで、フェルトが人数分の飲み物を持って来た。

 

 

「はい、ツナ君♪」

 

「ありがとうございます、フェルトさん♪ それにしても……」

 

「ガウッ♪」

 

「くすぐったいよ♪///」

 

 

ツナに飲み物を渡すフェルトの肩にはナッツが乗っており、フェルトはナッツに懐かれたのか頬ずりされていた。

 

 

「フェルトさん、完全にナッツに懐かれましたね。ナッツは俺に似て臆病だから、あんまり人には懐かないんですけど……」

 

「そうなの?」

 

「はい。きっとフェルトさんが優しい人だからナッツも懐いてるんでしょうね♪」

 

「そっか……何か嬉しい♪///」

 

「ガウッ♪」

 

「可愛い……♪///」

 

 

フェルトはすっかりナッツにメロメロであった(笑)

 

 

「さっきから気になっていたのだが、そのライオンの子供は一体何なんだ?」

 

「こいつはナッツ、天空ライオン(レオネ・ディ・チエーリ)と言って、死ぬ気の炎で稼働するギアアニマルです」

 

『死ぬ気の炎? ギアアニマル?』

 

「あ……」

 

 

刹那達は聞き慣れない単語に疑問符を浮かべる。

 

ツナは死ぬ気の炎やナッツ達ギアアニマル等、事情を知らない人間にあまり話してはいけないことを思い出すが、口にしてしまった以上引っ込められないし、どの道自身の『秘密』について正直話すつもりでいたので、説明することにした。

 

 

「ええと……まず死ぬ気の炎と言うのは人間の生体エネルギーを圧縮し、炎として視認できるようにしたもので、特殊な石を使って彫金したリングと覚悟さえあれば誰にでも使えます。こんな風に」

 

ボウッ!!

 

『っ!?』

 

 

ツナは大空のリングVer.Xに大空属性の死ぬ気の炎を灯して刹那達に見せると、刹那達はその光景に驚く。

 

 

「指輪から炎が……!」

 

「これが死ぬ気の炎……ん? この炎、何処かで……そうだ! ダブルオーフレイマーの背中から放出されていた炎と同じだ!」

 

「あ、確かに!」

 

「そう言われてみれば、そうね……」

 

 

ティエリアとフェルト、スメラギの3人はツナのリングに灯された大空の炎を見て、ダブルオーフレイマーXの背中から放出されていた橙色の炎と同じであることに気付く。

 

 

「まさか、ダブルオーフレイマーはツインドライブだけで無く、その炎を動力源にしているのか……?」

 

「ツインドライブと言うのが何なのかわからないですけど、ダブルオーフレイマーはこの炎で稼働していると思います。ナッツと同じように」

 

「え? ナッツも?」

 

「はい、ナッツ達ギアアニマルは死ぬ気の炎で稼働する動物なんです。こんな風に死ぬ気の炎を分け与えてやると……」

 

 

ツナはそう言って大空の炎を……フェルトに抱かれているナッツの口元に近付ける。

 

 

「「なっ!?」」

 

「ちょっ、ツナ君!?」

 

「な、何をしてるの!?……って、え?」

 

 

ツナの行為に刹那達が驚く中……

 

 

「ガウッ♪(ペロペロ♪)」

 

「炎を、舐めてる……?」

 

 

ナッツはツナの大空の炎を嬉しそうに小さな舌で舐めていた。

 

 

「火傷はしないのか……?」

 

「死ぬ気の炎は炎と言っても、基本は生体エネルギーです。確かに物を直接燃やす力も有りますが、それは使用者の意思でコントロール出来ます。実際フェルトさんがナッツを抱き抱えても、服が燃えていないですしね」

 

「あ! そう言われてみれば……」

 

 

フェルトはナッツの鬣が炎で出来ていることを思い出し、自身が抱き抱えても服が燃えていないことに気付く。

 

そしてフェルトは試しにナッツの炎の鬣を触ってみると、まったく熱くないことを感じるのだった。

 

 

「凄い、全然熱くない……」

 

「本当か?」

 

「僕達も触ってみよう」

 

「ええ、そうね」

 

 

刹那やティエリア、スメラギ達もナッツの炎の鬣を触り、フェルト同様熱くないことを確認した。

 

 

「……確かに、熱くはないな」

 

「ああ、意思で炎をコントロール出来ると言うのは本当のようだ」

 

「ただでさえ指輪から炎が出たことさえ驚きなのに、不思議な炎ね……ところで、どうして綱吉君は死ぬ気の炎……だったかしら? その炎を操るリングや、その炎で動く動物を持っているの?」

 

 

自分達ソレスタルビーイングが所有するガンダムやGNドライブに匹敵する程のオーバーテクロノジーである死ぬ気の炎を灯せるリングやギアアニマルを、何故ツナが持っているのかを疑問に思ったスメラギがそう聞くと……

 

 

「……俺自身が今まで経験して来た『戦い』、そして俺自身が周りに内緒にしている『秘密』に関わることで、とても長くて信じられないような話なんですけど、聞いて貰っても良いですか……?」

 

 

ツナは一瞬話すのを迷うが、自身が嘘や隠し事できない人間であるのは痛い程わかっているし、下手に誤魔化して刹那達に余計な疑いを持たれるのも嫌なので、正直に話すことにした。

 

 

「何やら深い事情があるようだな……だが、本当に良いのか? 話し辛いことであるなら、無理に聞かないが……」

 

「大丈夫です。俺自身隠し事するのが下手だし、前に下手に誤魔化して痛い目を見た経験があるんで……」

 

 

10年後の世界にて、同級生で自身の想い人である少女ーー『笹川京子』と、他校で自身に好意を寄せる少女ーー『三浦ハル』に、ボンゴレ……マフィアの戦いのことを隠し続けて来たことから2人を怒らせてしまい、喧嘩してしまった時の苦い記憶があるので、ツナ自身あんな想いをするのは二度とごめんである。

 

 

「わかったわ。それじゃあ綱吉君、貴方自身のことについて教えてくれるかしら?」

 

「はい。実は……」

 

 

ツナは少し内容を濁して話す……自身のこと、そして自身の今までのことを……

 

ツナ自身は運動や勉強がダメダメであることを除けば、基本何処にでもいる平凡な中学生であるが、彼自身にはある秘密があった。

 

それはボンゴレファミリーと言うイタリア最強のマフィアの次期ボス候補で、先祖代々からその血を受け継いでいることを、自身の家庭教師としてやって来た元晴のアルコバレーノにして、世界最強のヒットマンーーリボーンによって知った。

 

そして、その血を受け継いでいるが故に様々な戦い……

 

脱獄囚である『六道骸』率いる黒曜中との戦い……

 

もう1人のボス候補『XANXUS(ザンザス)』率いるボンゴレ特殊暗殺部隊『ヴァリアー』とのリング争奪戦……

 

パラレルワールドにいる自身と知識を共有できる能力を持つ『白蘭』率いる『ミルフィオーレファミリー』との10年後の未来の世界での戦い……

 

誤解やすれ違いから一時敵対してしまった親友の『古里炎真』率いる『シモンファミリー』、そのシモンファミリーを裏から操って暗躍していた初代霧の守護者『D(デイモン)スペード』との『誇り』を賭けた戦い……

 

ツナ自身の師であるリボーンらアルコバレーノの生存の未来を賭けた、マフィアの法の番人である『復讐者(ヴィンディチェ)』達との『虹の代理戦争』……

 

ツナ自身マフィアのボスになる気はないが、大切な仲間達の命を守る為にも逃げる訳にはいかなかった戦いについて、ツナは刹那達に話すのだった……但し未来とか重要な部分を除いて。

 

だがそれも直ぐに話す事になるとは、この時ツナも思わなかった。

 

 

「……以上が俺自身の秘密と、俺が今まで経験して来た戦いの全てです」

 

『……』

 

 

ツナの話を聞いた刹那達は驚きのあまり、何も言えない状態であった。

 

それもその筈、14歳の少年がマフィアの次期ボス候補であることさえ信じ難いのに、さらにその少年が想像を絶するような過酷な戦いに身を投じ、死線を乗り越えて来たなんて聞かされたら、最早漫画やアニメ、小説の話なんじゃないかと思ってしまう程である。

 

かと言って、目の前の少年ーーツナがとても嘘を言っている様にも見えないので、彼の話は事実なのだろう。

 

 

「やっぱり、こんな話信じられませんよね?」

 

「まあ、そうね……ただでさえ14歳の子供がマフィアの次期ボス候補なんて信じられないのに、とんでもない戦いに身を投じてたなんて……」

 

「そうですね……因みにだがそのボンゴレと言うマフィアで、君以外のボス候補はいなかったのか?」

 

「俺以外に4人ほどいたんですけど……その内の3人は亡くなっていて、さっき話したもう1人のボス候補であるXANXASはボスになる為に必要なボンゴレの血ーー『ブラッド・オブ・ボンゴレ』が無いんで、唯一その条件に該当する俺に白羽の矢が立った感じなんです。まあ、俺自身はマフィアのボスになる気なんてさらさら無いんですけど、裏社会の人間の多くから見ればボンゴレの血を引く俺自身の存在は目障りでしかなくて……そのおかげで、今迄どんな大変な目にあって来たか……」

 

 

今迄のことを振り返ったツナは乾いた笑みを浮かべながら、ティエリアにそう答える。

 

 

「……君も色々と苦労しているんだな」

 

「まあ確かに色々大変だったし、苦しくて辛かったけど……それ以上に大切な仲間がたくさんできたんで、今となっては大切な思い出ですよ」

 

「そうか……君は強いんだな」

 

「え?」

 

「目の前の非現実を現実として受け止め、自身の糧にして前に進む等そう簡単にできることじゃない……ましてや、君のような子供なら尚更な」

 

 

今まで経験して来た死と隣合わせの過酷な戦いを大事な思い出として昇華できるツナを強い人間だと、刹那は評価した。

 

そんな刹那の評価にツナは少し驚くが、苦笑の笑みを浮かべる。

 

 

「買い被り過ぎですよ。俺はそんな強い人間じゃないし、俺1人だけだったら今日まで生きて来れなかった……リボーン達皆がいてくれたから、今の俺があるんです」

 

「ツナ君は仲間達を家族のように大切に想ってるんだね……」

 

「そうですね、皆は俺にとってかけがえの無いの存在ですから」

 

「そっか……」

 

 

まっすぐにそう答えるツナを見て、フェルトは優しげな笑みを浮かべていた。

 

そんな2人を見た刹那・ティエリア・スメラギは……

 

 

「……君はフェルトに似てるな」

 

「「え?」」

 

「フッ、僕も刹那と同じようなことを考えていたよ」

 

「あら奇遇ね、私もよ。あなた達、姉弟なんじゃ無いかってぐらい内面が似てるわね♪」

 

「「えっと……そんなに似てますか?」」

 

「ああ。仲間想いなところとかな」

 

「あと、意外と芯が強いところもそうだな」

 

「「そ、そんなことは……///」」

 

「あらあら、揃って照れちゃって。2人とも可愛いわね♪」

 

「「か、揶揄わないでください!///」」

 

「「フッ……」」

 

 

スメラギの揶揄いの言葉に対して、息ピッタリに反論するツナとフェルトを見て、刹那とティエリアは柔らかな笑みを浮かべながら微笑ましそうに見ていた。

 

 

「それにしても、マフィア間でそれほど大きな戦いがあったとはな……今まで表沙汰にならなかった方が不思議なくらいだ」

 

「まあマフィア同士の抗争が表沙汰になっちゃったら、マフィアの法の番人である復讐者(ヴィンディチェ)達が黙っていないですから……」

 

 

ティエリアの疑問に対して、ツナはそう答えるが……

 

 

「そのことなんだけど……綱吉君は確か並盛町と言う町にいた筈なのに、気が付いたらカタロン基地の近くにいたのよね?」

 

「はい。リングが放った光で意識を失って、気が付いた時には砂漠にいたんでびっくりしましたよ」

 

「そう……もしかしたら……」

 

「? 何かわかったのか?」

 

 

ツナの言葉を聞いたスメラギの脳裏にある推測が浮かび上がり、そんなスメラギを見た刹那が尋ねる。

 

 

「まだ確証が無い上に、自分でも馬鹿げた推測だとは思うのだけど……それ以外考えられないわ」

 

「それは一体何なんだ?」

 

「それを言う前に、綱吉君に聞きたいことがあるんだけど……貴方、カタロンやアロウズは疎か、ガンダムやモビルスーツのことも知らなかったのよね?」

 

「? はい、どれも初めて聞く言葉ですけど……」

 

「それじゃあ……『ユニオン』、『AEU』、『人革連』、『地球連邦政府』、『ソレスタルビーイング』、『宇宙太陽光発電システム』、『軌道エレベーター』……今言った単語で、1つでも聞き覚えがあるものはあるかしら?」

 

「スメラギさん?」

 

「スメラギ・李・ノリエガ、何故そのようなことを彼に? 彼くらいの年齢なら流石に1つくらい知っていても……」

 

 

ツナにそう質問するスメラギの意図がわからず、ティエリアが戸惑いながらそう言うが……

 

 

「ええと……すみません、全部聞き覚えが無いです……」

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

「な、何だと……っ!?」

 

 

誰もが知っているような単語を、ツナは1つも知らないと言う驚くべき答えを口にしたことに、刹那・フェルト・ティエリアは驚きを露わにする。

 

そんな3人とは違い、スメラギは……

 

 

「やっぱりね……今の綱吉君の答えで、私の推測が正しいことを確信できたわ」

 

 

ツナがそう答えることがわかっていたのか、眉間に手を置きながら予想通りと言わんばかりの発言をした後、ツナに向き直ると……

 

 

「綱吉君、貴方が今置かれている現状についてわかったわ……だからこそ、落ち着いて聞いて欲しいの」

 

「落ち着いて? あの、それって一体どう言うことなんですか?」

 

 

ツナはスメラギのただならぬ表情から何か重大なことがわかったということを察する。

 

そして、スメラギは……

 

 

「綱吉君……貴方はこの世界の人間じゃないのよ」

 

「……はいっ!?」

 

「つまり、貴方は異世界の人間と言うことよ」

 

「えええええええっ!?」

 

 

とんでもない爆弾発言を投下し、ツナを驚愕させるのだった……

 

 

To Be Continue……




未だに決まらないツナのヒロイン……取り敢えずフェルト単体か、フェルトとアニューのWヒロインのどちらかで決めたいと思います。

個人的にはフェルトとアニューのWヒロインにして、ライルにはアニューと同じ遺伝子の女性型イノベイドのオリキャラを割り当てようかなあと考えてはいますが(^◇^;)

次回も応援よろしくお願いします^_^


【追記】
ツナにして欲しいことのリクエスト募集中ですので、ご協力よろしくお願いします^_^

○【機動戦士ガンダム00 Flamer X】ツナにして欲しいことのリクエスト募集中
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=255540&uid=33830


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第7話 ツナのこれから……そして、震撼する世界

あらすじにも書いてますが、ツナのヒロインはアンケートの結果フェルトとアニューのWヒロイン(※サブヒロインに留美追加)に決定しました^_^

ロックオンことライルにはオリキャラのヒロインを割り当てたいと思います。

それでは最新話をよろしくお願いします^_^


スメラギの口から出たツナが異世界の人間であると言う言葉に……

 

 

「異世界、だと……!?」

 

「スメラギ・李・ノリエガ、貴女は一体何を言って……!?」

 

「じょ、冗談ですよね、スメラギさん……!?」

 

「冗談でも何でも無いわ……綱吉君はこの世界に存在しない人間よ」

 

 

ツナが異世界の人間だと知って刹那、ティエリア、フェルトは衝撃を受け、スメラギが冗談を言っているのでは無いかと意見するが、スメラギの真剣な表情から嘘をついているようには見えなかった。

 

 

「綱吉君。貴方は並盛町に住んでいる……それは間違いないわね?」

 

「は、はい……」

 

「ここに来る前にミレイナに調べて貰ったのよ。だけど……この世界に並盛という地名は何処にも無いの。世界中のどこにもね」

 

「えっ!? じゃあ本当に……!?」

 

「ええ。恐らく綱吉君は先程言っていた謎の光によってこの世界に転移したと考えられるわ」

 

「な、なるほど……」

 

「しかし、沢田綱吉が住む町が存在しないと言う事実だけでは、彼が異世界の人間だと断定するのはどうかと……」

 

「確かにそうね。でも、綱吉君は『この世界に住んでいる人間なら誰もが知ってそうなこと』を何一つ知らないのよ? これで彼が異世界の人間だと言う証拠になると思うけど?」

 

「確かに、そうですが……因みにだが沢田綱吉、君は宇宙に行ったことはあるか?」

 

 

スメラギのその言葉をある程度理解するも、まだ納得が行かないティエリアはツナにそう質問すると……

 

 

「う、宇宙!? いやいや、俺みたいな中学生が行ける訳無いじゃないですか!? 宇宙って、宇宙飛行士として訓練された人達だけがロケットに乗って行けるんでしょ?」

 

 

ツナは驚きながらもそう回答した。

 

その答えに対し……

 

 

「……スメラギ・李・ノリエガ、どうやら貴女の推測は正しい様です」

 

「ああ、俺も納得した」

 

「私も納得しちゃった……」

 

「えっ!? 俺、何か変なこと言いました!?」

 

 

刹那・ティエリア・フェルトの3人はツナが異世界から来たと言うスメラギの推測が正しいことに納得し、逆にツナは自身が何か変なことを言ったのでは無いかと慌ててしまう。

 

 

「大丈夫よ、綱吉君は何も変なことは言ってないわ。だけどね……綱吉君が今言った宇宙飛行士やロケットで宇宙に行くと言うのは私達の世界では数百年前も古い話で、現在は先程言った軌道エレベーターで一般人でも宇宙に行ける時代なのよ」

 

「……ええええええっ!?」

 

 

スメラギのその説明に、ツナは驚きの声を上げながらも自身が異世界に来たことを改めて実感した。

 

それもその筈、ツナの世界では宇宙に行けるのは宇宙飛行士と言う限られた人間だけであるのに対し、刹那達の世界では多少の制限はあるものの軌道エレベーターにより一般人でも宇宙へ行けると言う、宇宙開発においてあまりの技術レベルの違いを突き付けられたのだから。

 

 

「俺、本当に異世界に来ちゃったんだ……」

 

「あの、ツナ君……大丈夫?」

 

「え? 何がですか?」

 

「ええと……いきなり自分の知らない場所……自分の知らない世界に来てしまったことに、不安になったりしてないかなって思って……」

 

「「「……」」」

 

 

いきなり異世界に来てしまったことに不安になっているんじゃないかと、ツナのことを心配したフェルトがそう聞く。

 

口には出さないが刹那とティエリア、スメラギも同じで、3人もツナのことを心配していた。

 

フェルトの問いに対して、ツナは……

 

 

「あ、いや、そこまで不安にはなってないですね」

 

「ええっ!?」

 

 

あまり動揺していないとばかりにあっさりそう返し、その答えを聞いたフェルトは驚きの声を上げる。

 

 

「よ、よく落ち着いていられるな、君は。僕だったら取り乱すどころか、現実逃避すらしてしまうところだ」

 

「俺は、僕は、私は……と言いながらか?」

 

「恥ずかしい黒歴史を掘り返すんじゃない!///」

 

 

刹那とティエリアのちょっとした漫才はさておき、ツナは言葉を続ける。

 

 

「ええと、別に全く不安になって無い訳じゃですよ? 前に『10年後の未来の世界』に行ったことがあって、そこで並行世界が実在したり、色々あったその時の状況に似てたから、今更異世界と思って慣れてるだけです」

 

「「「「じゅ、10年後の未来の世界に並行世界(だと)!?」」」」

 

「あー、ええと……実は……」

 

 

先程の説明で隠していた未来の世界に行ったことがあること、支配された並行世界のことを思わず口にしてしまったツナは、今更引っ込めることもできないので『10年バズーカ』のことも含めて話すのだった。

 

 

「……なるほど、君の世界では5分間だけ10年後の自分と入れ替えられるタイムトラベル技術、それに8兆もある並行世界があるのか……」

 

「何というか、そっちもそっちでオーバーテクノロジーね……」

 

「あはは……まあ、そうですよね」

 

「でもツナ君、本当に不安は無いの? もしかしたら、元の世界に帰れなくなるかもしれないんだよ?」

 

「大丈夫ですよ。リボーン達……元の世界にいる仲間達が何とかしてくれるって信じてるし、俺自身元の世界に帰ることを諦めてませんから♪」

 

「ツナ君……」

 

 

フェルトの心配な声に、ツナは柔らかな笑みを浮かべながらそう答える。

 

幾つもの死線を乗り越えて来たツナの精神は、周りの想像以上に逞しく成長している様だ……

 

 

「あっ! よくよく考えたら、住む場所が無いじゃん!? どうしよう〜!?」

 

「心配するところそこなの!?」

 

 

……前言撤回、やはりツナはツナであった(苦笑)

 

元の世界に帰るまでの間住む場所が無いことに気付いて慌てると言う、心配するところがズレているツナの発言に、フェルトは思わずツッコミを入れた。

 

 

「なるほど、確かにそれは死活問題だな」

 

「刹那、君はわざと沢田綱吉の天然ボケに付き合ってあげているのか……?」

 

「何を言っているんだ、ティエリア? どう考えても真面目な話だろ?」

 

「……すまない、僕が悪かった」

 

 

ツナのズレた心配事を真面目に考えてあげると言う、若干天然なところがありつつも純粋な刹那の前に、ティエリアはただ謝るしか無かった(苦笑)

 

 

「はいはい、綱吉君のこの世界での生活については既に考えてあるから安心しなさい」

 

 

天然なツナと刹那に苦笑しながらそう言うスメラギは、ツナの方へ視線を向ける。

 

 

「綱吉君、貴方さえ良ければなんだけど……元の世界に帰るまでの間、私達と一緒に行動しない? 貴方の生活について面倒みてあげられるわ」

 

「い、良いんですか!? この艦の人達に迷惑なんじゃ……」

 

「迷惑だなんて思ってないわ。元々貴方のことをこのトレミーで保護するつもりでいたしね」

 

「この艦の代表であるスメラギがこう言っているんだ。遠慮することは無い」

 

「そうだよツナ君、遠慮なんてしないで。元の世界に帰れるまでの間、私達がツナ君の生活をサポートしてあげるから♪」

 

「あ、ありがとうございます! あ、でも……」

 

「? 他にも何か心配事があるのか?」

 

「あ、いや、心配事って訳じゃないんですけど……この艦にお世話になる以上、俺は何をしたら良いのかなぁと思って……何もしないのも悪い気がするし……やっぱり、ダブルオーフレイマーに乗って戦うことぐらいかな?」

 

 

刹那達プトレマイオスクルーに世話になる以上何もしないのは悪い気がするし、ツナ自身できることは戦闘ぐらいなので、ツナはダブルオーフレイマーXに乗って戦うことを考えるが……

 

 

「ちょ、ちょっと待って! 私達は綱吉君に戦うことを求めていないわ!」

 

「え? でも、この艦は見た感じ戦闘になることが多いんですよね? 戦力は多い方が良いんじゃ……」

 

「確かにそうだが……だからと言って、異世界の人間である君を僕達の戦いに付き合わせるつもりは無い」

 

「ティエリアの言う通りだよ。さっきは偶然アロウズと戦闘になっちゃったけど、そもそもツナ君にはこの世界で戦う理由が無いわ」

 

「で、でも……」

 

 

スメラギ・ティエリア・フェルトにそう言われても、ツナはまだ納得していない様子であった。

 

確かにフェルトの言う通り、ツナにはこの世界で戦う理由が無いし、ツナ自身戦うことは好きでは無いので出来れば戦いたくない……だが、本当に戦わなくて良いのかと言う疑念がツナの中にあり、それがツナに戦わないと言う選択肢を否定させていた。

 

そんなツナの心情を察したのか、刹那は……

 

 

「皆、これは沢田綱吉……彼本人が決める話だ。俺達の都合だけで勝手に決めるのは良くない」

 

「刹那!?」

 

「しかし……!」

 

「わかっている。この世界で戦う理由が無い彼に、戦うことを簡単に決めさせるのも良くない……だからこそ俺達ーーソレスタルビーイングのこと、そしてこの世界の戦争について話した上で、彼に考えて決めて貰った方が良いと俺は思う」

 

 

ツナの意志を尊重しつつも、ティエリア達の言うことも正しいので、自分達ソレスタルビーイングやこの世界の戦争について話した上で、ツナに考えて決めて貰う方が良いと言う自身の意見を言うのだった。

 

 

「そうね、刹那の言う通りだわ……綱吉君も隠したかった自身のことを話してくれたんだから、私達のことも話さないとフェアじゃないわね」

 

「そうですね……そう言う訳だ、沢田綱吉。僕達の話を聞いた上で、君がどうしたいのかを考えて欲しい」

 

「……わかりました」

 

 

刹那達はツナに自分達ソレスタルビーイングやこの世界の戦争について語り始める。

 

刹那達の世界では枯渇した化石燃料に代わるエネルギー源として宇宙太陽光発電システムと軌道エレベーターを実用化していたが、莫大な建造費が必要なこれらのシステムを所有しその恩恵が得られるのはユニオン、AEU、人類革新連盟の世界三大国家群のみで、それらの超大国間には全面的な対決こそ無いものの熾烈な軍備開発競争による冷戦状態が継続し、いずれの国家群にも属さない小国でも紛争や内戦が繰り返され、貧困に喘ぎていた。

 

そんな争いの絶えない世界を変えるべく、刹那達ソレスタルビーイングは戦争・内乱など世界中のあらゆる武力紛争に同じ武力をもって介入し、戦争根絶を目指す集団として決起し、平和のための武力行使という矛盾を含んだ理念の元5年前から活動していた。

 

だが刹那達とは別働隊である『トリニティ』の過激な武力介入、そしてソレスタルビーイングの監視者の1人である『アレハンドロ・コーナー』の裏切りにより、擬似太陽炉こと『GNドライヴ[T(タウ)]』が各国家群へと渡ったことがきっかけで、ユニオン・AEU・人革連の世界三大国家による国連軍が組織され、国連軍によるガンダム殲滅作戦ーーフォーリンエンジェルスによって刹那達ソレスタルビーイングは多くの仲間を失い、壊滅的な打撃を受けてメンバーも一度離散することとなった。

 

それから4年の月日が流れ、各国家群は地球連邦として統一を果たし、世界は1つになりつつあった……だが、その裏では独立治安維持部隊ーーアロウズによってカタロンを始めとした反連邦主義や思想への弾圧や虐殺が行われており、世界の歪みは収まっていなかった。

 

その歪みを正すべく、刹那達ソレスタルビーイングは再び立ち上がり、現在はアロウズと戦っている。

 

これらの話を聞いたツナは……

 

 

「……ここは俺が住んでいる世界以上に技術が発展してるのに、争いが絶えない程過酷で……悲しい世界なんですね……」

 

 

悲しそうな表情を浮かべながら、そんな感想を言うのだった。

 

 

「ああ、そうだな……僕達も結局は武力で物事を解決しようとしている野蛮な集団……テロリストと似たようなものだ」

 

「俺達のことを軽蔑して貰って構わない。だが君を保護すると決めた以上、君が元の世界に帰れるようになるまでの間、絶対に死なせないと言うことだけは約束させてくれ」

 

「軽蔑なんて、そんなことしませんよ。まあ、確かに刹那さん達ソレスタルビーイングのやってることが正しいとは言えないですけど……」

 

 

ツナは一呼吸を入れ、真っ直ぐな瞳を刹那達に向けながら言葉を紡ぐ。

 

 

「刹那さん達が戦争を無くしたい、大切なものを守りたいと言う意志で戦うことは俺も共感できるし、その意志自体間違ってないと思います……だから、あまり自分達を卑下するようなことは言わないでください」

 

「綱吉君……」

 

「沢田綱吉……」

 

「ツナ君……」

 

「…………」

 

 

否定では無いツナの優しさ溢れる肯定の言葉に、刹那達は温かなものが中から込み上げ、胸が救われるのを感じていた。

 

 

「あ、何かすみません、俺みたいな子供が偉そうなことを言っちゃって……///」

 

「いや、そんなことは無い……寧ろ、今の言葉で胸が救われたのを感じた」

 

「そうだね。ありがとう、ツナ君♪」

 

「あ、いえ、お礼を言われることは何も……///」

 

 

刹那とフェルトの言葉に照れているツナはすぐに気を取り直し、スメラギに視線を向ける。

 

 

「ええと……取り敢えず、俺がこの世界でどうするかについて一晩考えてから答えを出す形で良いですか?」

 

「ええ、構わないわ」

 

「寧ろ、そうした方が良い。後先考えずに答えを出して、後悔するような真似だけは僕達もさせたくないからな」

 

「わかりました、ちゃんと考えて答えを出します」

 

「素直でよろしい♪ 取り敢えず、今日のところはもう休んで良いわよ。色々あって流石に疲れているでしょうしね。ダブルオーフレイマーの話については明日にでもしましょう」

 

「ありがとうございます、是非そうさせて貰います」

 

「フェルト、引き続き綱吉君の世話をしてあげてくれる? あなた達、すっかり打ち解けてるみたいだしね♪」

 

「了解です、任せてください。それじゃあツナ君、『私の部屋』に行こう♪」

 

「はい♪…………ん?///」

 

 

ツナの世話をすることに張り切っているフェルトが言ったその言葉に、ツナは返事しつつも引っ掛かるものを感じていた。

 

 

「あ、あの、フェルトさん? 今、なんて言いました? 私の部屋って言う単語が聞こえたような……///」

 

「? うん、言ったよ。私がツナ君の世話を任されたんだから、『相部屋』として私の部屋で生活して貰おうかなって思ってるんだけど?」

 

「あ、相部屋ーーーーーー!?///」

 

「ふぇ、フェルト!?」

 

「「………」」

 

 

フェルトの『相部屋』と言う爆弾発言にツナは勿論、彼女にツナの世話を任せたスメラギも驚いており、刹那とティエリアに至っては驚きのあまり固まっていた(苦笑)

 

 

「あ、いや、それだと、フェルトさんに凄い迷惑をかけるんじゃ……///」

 

「もう、何言ってるの? 迷惑だなんてまったく思って無いから、早く行こう♪」

 

「え、あ、ちょっ!? ちょっと待ってーーーーー!!!///」

 

 

フェルトはツナの手を引き、そのまま自身の部屋へと連行するのだった(笑)

 

そして、残された刹那・ティエリア・スメラギの3人はと言うと……

 

 

「……スメラギ・李・ノリエガ、フェルトはああ言ってましたが、大丈夫でしょうか……?」

 

「うーん……確かにツナ君の世話をフェルトに任せたけど、相部屋だなんて一言も……まあ綱吉君は無害そうだし、大丈夫なんじゃない?」

 

「まあ、沢田綱吉が無害であることには僕も同意しますが……『男女』が1つの部屋で生活すると言うのは流石にどうかと……」

 

「ティエリア、貴方の言ってることは正しいわ……でもね、あんなに張り切ってるフェルトにそんなこと言える?」

 

「……すみません、無理です」

 

「……取り敢えず沢田綱吉のことはフェルトに任せて、俺達は他の皆にも先程聞いた情報を共有しよう」

 

「そうね、フェルト以外の皆をブリーフィングルームに集めましょう」

 

 

フェルト以外の他のメンバーにも情報を共有する為、招集をかけながらブリーフィングルームに向かうのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アロウズ側では……

 

 

「この役立たず共!! カタロンの基地を壊滅させられなかった上、たった1機のガンダムに良いようにやられて逃げ帰るなんて、恥晒しも良いところだ!!」

 

「「「も、申し訳ありません、リント少佐!!」」」

 

 

指揮官の1人である男性ーー『アーバー・リント』が、ツナとダブルオーフレイマーXに敗走させられたカタロン殲滅部隊の隊長3人に対し、激しい怒りを露わにしていた。

 

そんなリントに……

 

 

「リント少佐、そこまでにしておけ」

 

「マネキン大佐! しかしですね……!」

 

「今は貴官の文句に時間を割いている余裕は無い」

 

 

元AEU軍のMS隊作戦指揮官で、リントと同じアロウズの指揮官ではあるが、階級は彼より上の大佐である女性ーー『カティ・マネキン』が厳しく諫める。

 

 

「ピーリス中尉、疲れているところ悪いがカタロン基地にて遭遇した『紅の二個付き』について報告して貰えるか? 勿論……貴官の右肩の『火傷』のことも含めてな」

 

「わかりました、報告させていただきます」

 

 

軍服で隠れて見えないが、カティの言う通りピーリスの右肩には火傷の跡があり、彼女の右肩は治療で包帯が巻かれていた。

 

そして、ピーリスはカティ達に『紅の二個付き』と称したツナのダブルオーフレイマーXの恐るべき戦闘力と『特性』について報告し、その報告を聞いたカティやリントを始めとしたアロウズの面々が驚愕したのは言うまでもなかった。

 

それから数時間後、自室に戻ったカティはピーリスから受け取ったツナのダブルオーフレイマーXとの戦闘記録である映像データを見ていた。

 

 

(紅の二個付きの桁外れのパワーとスピード、人間に似た動き……パイロットのデタラメな操縦技術も相まって、最早化け物だな……)

 

 

カティはダブルオーフレイマーX、そしてパイロットであるツナを合わせてそう評価するが、彼女はツナが実はMSの操縦経験が無い全くの素人であることを知る由も無かった。

 

 

「しかし、このガンダムの相手の命を奪わない戦い方、今まで戦って来たソレスタルビーイングのガンダムとは異質なものを感じるな……ソレスタルビーイングの機体では無いのか? それにこのガンダムの背部から放出されているこの炎は一体何なんだ……?」

 

 

時は同じくして、自室に戻ったピーリスはかつての上官にして、彼女にとって父親のような存在である元人革軍所属の軍人して、通称『ロシアの荒熊』の異名を持つ地球連邦軍の兵士ーー『セルゲイ・スミノルフ』に通信を入れていた。

 

 

『すまなかったな、ピーリス中尉。こちらの不手際で、不本意な作戦に参加することになってしまって……』

 

「いえ、大佐が気に病む必要はありません。結果的に作戦は失敗して、嫌な思いをせずに済みましたから」

 

『そうか……それは良かった』

 

 

軍人としては作戦が失敗したことを喜んではいけないのだが、人間としては今回のカタロン殲滅作戦は不本意なものであったので、作戦に参加したピーリスは勿論、カタロンから逃げた沙慈を保護したことをきっかけに作戦の引き金を引いてしまったセルゲイも苦笑しながらそう言うのだった。

 

話題はツナのダブルオーフレイマーXへと移る。

 

 

『先程マネキン大佐から送られた新型のガンダムとの戦闘記録を見させて貰ったが……ここまで化け物じみた強さを持つMSは見たことが無いな……』

 

「ええ、それに……紅の二個付きから微かですが、脳量子波を感じました」

 

『脳量子波を? もしや、中尉と同じ超兵か?』

 

「わかりません……ですが、新型のガンダムのパイロットが只者では無いことは確かです」

 

 

ダブルオーフレイマーXに乗るツナと戦闘したピーリスだからこそ、ツナが只者では無いとわかるのだった。

 

 

『うむ、その様だな……それにしても紅の二個付きの背部やマニピュレーターに纏わり付いているこの炎は一体……?』

 

「わかりませんが、どうやらその炎が紅の二個付きの最大の武器の様です。それにその機体には恐ろしい特性があって……」

 

『恐ろしい特性?』

 

「はい、これは私の仮説に過ぎませんが……」

 

 

ピーリスとセルゲイの会話が続く中視点は変わり、2人の男性が通信で話していた。

 

 

「どうだ、カタギリ? 新たなガンダムの戦闘記録を見た感想は?」

 

『何というか……このガンダムがMSとは思えない程、デタラメで化け物じみた性能だね』

 

 

アロウズ司令部から独自行動の免許を与えられた『ライセンサー』のパイロットである日本風の仮面と衣装を身に付けた男性ーー『ミスターブシドー』の問いに、通信越しにいる旧ユニオン軍の技術顧問で現在はアロウズの新型MS開発主任であるポニテールの男性ーー『ビリー・カタギリ』はツナのダブルオーフレイマーXの戦闘記録を見ながらそんな感想を漏らす。

 

 

「フッ、私も同感だ。だからこそ、手合わせ願いたいものだ」

 

『あはは、君は相変わらずだね。それにしても、新型のガンダムの背部やマニピュレーターから放出されているこの炎……炎そのものでは無く、炎の姿をした未知のエネルギーと見たね。もしこれが本物の炎であったら、機体が耐え切れずに爆発してしまうよ』

 

 

ビリーは技術者としての視点から、ツナのダブルオーフレイマーXの背部やマニピュレーターの大空属性の死ぬ気の炎を見て、本物の炎では無く炎の形をした未知のエネルギーであると推測する。

 

 

「ほう、未知のエネルギーとは面白い……そう言えばピーリス中尉から聞いたのだが、新型のガンダムには面白い特性がある様だぞ」

 

『へえ、それは興味深いね。どんな特性だい?』

 

「ふむ、それはだな……」

 

 

ミスターブシドーからツナのダブルオーフレイマーXの特性を聞いたビリーが顔を引きつらせたのは言うまでもなかった。

 

そして、視点は変わり……

 

 

「報告ありがとう、ネーナ。それじゃあ、トレミーから依頼されたカタロンへの補給物資の運送よろしく頼むわね」

 

『了解です、お嬢様』

 

 

ソレスタルビーイングのエージェントである女性ーー『王留美(ワン・リューミン)』は、元トリニティのガンダムマイスターで、その生き残りの女性ーー『ネーナ・トリニティ』から受け取ったあるデータを見ていた。

 

 

「もう1体のダブルオー……一体、誰がこの機体を開発したのかしら?」

 

 

それはツナのダブルオーフレイマーXの戦闘記録データで、それを見た留美はダブルオーフレイマーXがソレスタルビーイングが開発した機体では無いのは支援して来た身としては理解しているので、誰が開発したのかについて疑問を抱いていた。

 

 

「まあいいわ、この紅のダブルオーも世界を変える為に戦ってくれれば良いのだから……」

 

 

留美は妖艶な笑みを浮かべながら静かにそう呟いていた。

 

この時留美は知らなかった……ダブルオーフレイマーXのパイロットーーツナとの出会いによって、自身の運命が大きく変わることを……

 

視点は別の場所へと変わり、1人のライトグリーンの髪の青年ーー『リボンズ・アルマーク』が、量子型演算処理システムーー『ヴェーダ』を通じてツナのダブルオーフレイマーXの記録データを見ていた。

 

 

「ダブルオーガンダムのツインドライブ以外にも、ヴェーダのデータに無いガンダムが……それにあの機体が纏う炎の形をしたあのエネルギーは一体……?」

 

 

リボンズの言う通り、ヴェーダにツナのダブルオーフレイマーXは勿論、大空属性の死ぬ気の炎に関するデータは無い。

 

何故ヴェーダのデータに無いものが存在しているか疑問に思っていると……

 

 

「どうやら、ヴェーダのレベル7まで掌握した君にも分からないことが増えたみたいだね」

 

 

ティエリアによく似た容姿をした青年ーー『リジェネ・レジェッタ』がソファーに座っているリボンズの後ろから現れて、揶揄うようにそう言う。

 

 

「…………」

 

「ふふっ、そんなに怒らないでよ」

 

「フッ、そんな事は無いさ」

 

「それで、このガンダムに関してはどうするんだい?」

 

「そうだね……暫くは様子見するよ。このガンダムの力はまだ全て引き出されていない様だしね」

 

 

リボンズは余裕の笑みを浮かべながら、リジェネにそう返すのだった。

 

異世界から来たツナとダブルオーフレイマーXの登場に世界が震憾しているのだった……

 

 

To Be Continue……




次回も応援よろしくお願いします^_^


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第8話 ツナの決意と覚悟の試練

数週間ぶりの更新ですが、前話より短めです(^◇^;)

それでは最新話の閲覧よろしくお願いします^_^


取り調べが一旦終わり、今日のところは休むことにしたツナは、フェルトに連れられる形で彼女の部屋へと来ていた。

 

 

「大したものは置いて無いけど、自分の部屋だと思って寛いで良いからね♪」

 

「は、はい(そ、そう言われても、寛げそうに無いんですけどーー!?)///」

 

 

女性の部屋と言うこともあって、ツナは内心落ち着け無いのは当然の反応と言えるだろう(苦笑)

 

とは言え、このまま何も話さないのはフェルトに悪いと思うので……

 

 

「あのフェルトさん、1個質問しても良いですか?」

 

「? 何かな?」

 

「その……フェルトさんはどう言った理由でソレスタルビーイングに入ったんですか? やっぱり、戦争の無い平和な世界を作る為ですか……?」

 

 

フェルトがどんな理由でソレスタルビーイングに入ったのかを聞いてみることにした。

 

そんなツナの問いに対し、フェルトは……

 

 

「勿論それもあるけど……きっかけは私のパパとママかな」

 

「フェルトさんのお父さんとお母さん? 2人ともソレスタルビーイングのメンバーだったんですか?」

 

「うん、刹那やティエリアと同じガンダムマイスターだったの……だけど、2人とも私が物心つく前に戦死して……」

 

「っ! す、すみません、俺、無神経なこと聞いて……」

 

 

ガンダムマイスターであったフェルトの両親が戦死しているのを聞いたツナは、彼女に無神経なことを聞いてしまったことに謝罪する。

 

 

「ううん、気にしないで。それで話の続きだけど……私がソレスタルビーイングに参加するのを決めたきっかけは、パパとママの意志を受け継がなきゃと言う使命感と、2人が命を賭してまで掴みたかった世界を見てみたいと言う気持ちがあったからなの……でも」

 

「でも?」

 

「世界の変革は私が想像してたよりも難しくて厳しいんだってことを、4年前の国連軍の戦いでクリス、リヒティ、モレノさん、そしてニール……大切な家族である仲間達を失った時に、痛い程思い知らされたわ……」

 

 

机の上にある写真立てに飾られている写真……5年前に撮られたプトレマイオスクルーの集合写真で、そこには4年前の国連軍との戦いで戦死した仲間達ーー『クリスティナ・シエラ』・『リヒテンダール・ツエーリ』・『JB・モレノ』、そして初代ロックオンこと『ニール・ディランディ』の姿も写っており、フェルトはその写真を見ながら戦死した家族である仲間達を想いながらそう呟く。

 

刹那達も言っていたが、ツナとフェルトが似た者同士と言うのはあながち間違いでは無い……何故なら2人は誰よりも仲間想いで、仲間を失うことを誰よりも恐れているのだから……

 

そして、フェルトはさらに言葉を続ける。

 

 

「私達ソレスタルビーイングは世界を相手に武力介入を行ったテロリスト……罪人同然である私達が滅びを迎えるのは当然なことだし、私達の命を代償に世界が……戦争の無い平和な世界になるのなら、それでも良かった……だけど、世界は私達の想いなんかどうでもいいかのように、悪い方向に変わってしまっている……こんなに悔しいことは無いよ……」

 

「フェルトさん……」

 

 

悔しさと悲しさが入り混じった表情を浮かべながらそう言うフェルトに、ツナは胸が痛めつけられるのを感じるのと同時に……

 

 

(フェルトさんが……誰よりも平和な世界を望んでいる人達に犠牲を強いる世界なんて、おかしいよ……!)

 

 

誰よりも平和な世界を望んでいるフェルトや刹那達ソレスタルビーイングに犠牲を強いるこの世界がおかしいと、歪んだ世界に対する怒りを感じていた。

 

そんなツナの怒りを他所に、フェルトは話を続ける。

 

 

「今の世界は私や皆、逝ってしまったニールやクリス達も望んでいない……だから私達はもう一度立ち上がった、もう一度世界を変える為に……そして、今度こそ皆一緒に生き残るの。もう仲間を、家族を失うのは嫌だから、私は自分にできることで皆を守りたい……それが今の私が戦う理由かな」

 

「……///」

 

 

美しくも凛とした表情でそう言うフェルトに、ツナは思わず見惚れていた。

 

同時にフェルトの言葉は、ツナにある『決意』を生み出していた。

 

 

「……フェルトさん、俺決めました。この世界でどう生きて行くのかを……」

 

「え?」

 

「俺、アロウズと……いや、この世界の歪みと戦います」

 

「っ!」

 

 

ツナのその言葉に、フェルトは驚きの表情を浮かべる。

 

そんなフェルトを他所に、ツナは言葉を続ける。

 

 

「紛争根絶とか、世界の平和とか、そう言う大層な理由で戦うんじゃない……ただ単純にフェルトさん達を死なせたくない、守りたいから戦うんです。フェルトさん達をこの世界の犠牲になんかさせない」

 

「ツナ君……///」

 

 

覚悟を秘めた真剣な表情でそう言うツナに、フェルトは思わず頬を赤らめていた。

 

 

「つ、ツナ君の気持ちは嬉しいけど、本当に良いの? 私達を守ることを理由に、世界を敵に回すことになって……///」

 

「大丈夫です。ここに俺の家庭教師……リボーンがいたら『お前の戦う理由はシンプルで単純なもので良いんだ』って言ってくれると思うし、何より俺自身がそうしたいと思ってるから……もしフェルトさん達を守る為に戦わなかったら、死んでも死に切れない!」

 

 

ツナの戦う理由はいつだって、家族・友達・仲間……大切な人達を守る為。

 

それはシンプルで単純だが何よりも強いことを、数々の戦いで強敵達を討ち破って来たツナが証明して来た。

 

この世界での戦いでもそれは変わらない……彼の誇りとも言える想い、そして大切な人達を守り抜くと言う『覚悟』がある限り、ツナはアロウズは勿論世界の歪みを象徴する者達に負けないだろう。

 

 

フェルト「ツナ君……ありがとう……///」

 

 

本当ならツナが戦うことを止めたい……しかし、それ以上に自分達の為に戦うと言ってくれるツナの優しさに、フェルトは嬉しい気持ちで一杯であった。

 

 

「明日スメラギさんにも戦うことを伝えます。そして、俺なりの『覚悟』を示して戦うことを認めて貰おうと思います」

 

「覚悟を示す……? それって、どう言う……」

 

「それは明日話します。さてと、そろそろ……って、ベッド1つしか無いですね」

 

「あ、忘れてた……この部屋は私の1人部屋だから、ベッドが1つしか無いんだった……ごめん///」

 

 

ツナはそろそろ寝ようと思ったが、ベッドが1つしか無いことに気付く。

 

それもその筈、この部屋は元々フェルトの1人部屋なのだから、ベッドが1つしかないのは当然である。

 

そのことを失念してたフェルトは恥ずかしそうに顔を赤らめる。

 

 

「あ、いえ、気にしないでください! 兎に角、俺は床で寝ますから、フェルトさんは今迄通りベッドで……」

 

「そ、そんなの、ダメだよ! それだとツナ君がよく眠れないでしょ! 私が床で寝るから、ツナ君はベッドで寝て良いよ!」

 

「いやいや、そんな訳にいきませんよ! ここはフェルトさんの部屋だし、女性を床で寝させるなんてできませんから!」

 

「でも……!」

 

 

ツナとフェルト、どちらも相手を思うが故に中々譲らない状況の中……

 

 

「あ、そうだ! 2人一緒にベッドで寝たら良いんだよ♪」

 

「え?………ええええええええっ!!?///」

 

 

フェルトがとんでも無い提案をして来て、ツナは顔を真っ赤に驚きの声をあげる。

 

 

「よし、話がまとまったところで……一緒に寝よう、ツナ君♪」

 

「あ、いや、フェルトさん、ちょっと待ってください、それは流石に……って、ああああああああっ!!!///」

 

 

結局、フェルトに押し切られる形で2人はベッドに一緒に寝ることになった。

 

幸いベッドが2人一緒に寝られる大きさがあったので問題無かったが……

 

 

「スー……スー……」

 

(ね……眠れねえーーーー!! って言うか、フェルトさんの大きい胸が、柔らかな感触が俺の顔にーーーー!!///)

 

 

フェルトがツナを抱き締める形で寝ており、抱き締められているツナは異性と密着している上、フェルトの柔らかく豊満な胸が自身の顔に当たっている為中々寝られず、眠りにつくまで長時間を要するのだった。

 

そして、翌朝……

 

 

「ふわぁ〜……おはよう、ツナ君♪ よく眠れた?」

 

「な、何とか……ただ、一言言わせて貰って良いですか……?///」

 

「? 何かな?」

 

「フェルトさん……男相手に無防備過ぎです。俺、一応男なんですよ?///」

 

「? うん、わかってるよ?」

 

(絶対わかってねーーーー!!!///)

 

 

宇宙育ちである故か、何処か常識が抜けているフェルトの将来を本気で心配になるツナであった(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

起床後、朝食を食べ終わったツナは仕事があるフェルトと一旦分かれ、単独でスメラギの部屋へと来ていた。

 

 

「おはよう、綱吉君。朝早くに来て貰って悪いわね」

 

「いえ、大丈夫です。俺も昨日の答えをスメラギさんに言おうと思ってたので」

 

「昨日のと言うことは、貴方がこの世界で戦うかどうかだったわね?」

 

「はい。俺の答えですが……」

 

 

ツナは昨日フェルトに言ったのと同じ答えをスメラギに伝えた。

 

 

「そう……何となく貴方が戦うことを決めるんじゃないかと思ってはいたわ……だけど」

 

「わかってます。俺自身口先だけでスメラギさんに納得して貰おうとは思ってません。だから‥…俺なりに『覚悟』を示して、スメラギさんに戦うことを認めて貰いたいんです」

 

「覚悟を? どうやって示すと言うの?」

 

「こいつです」

 

 

ツナはそう言って、大空のリングVer.Xをスメラギに見せる。

 

 

「指輪?」

 

「この世界での戦いにダブルオーフレイマーのようなMSが必要なんですよね? そしてダブルオーフレイマーは俺のリングから現れ、覚悟の炎とも言える死ぬ気の炎で稼働している……よって、ダブルオーフレイマーは俺の覚悟の証とも言えるガンダムってことになります。そのダブルオーフレイマーをこのリングから出せたら、俺自身の覚悟を示したことになりませんか?」

 

「なるほど、面白い考え方ね。つまり、貴方がこの世界で戦う為に必要なダブルオーフレイマーを出すことができたら、私達と一緒に戦うことを認めて欲しいってことね?」

 

「はい。どうですか?」

 

「……わかったわ、その条件を元に入隊テストをしてあげる。入隊と言っても私達の正式なメンバーでは無く、協力者としてね♪」

 

 

スメラギはツナの提案を受け入れるのだった。

 

 

「ありがとうございます♪ 早速テストしたいんですけど、良いですか?」

 

「それは良いけど、大丈夫? 言っておくけど入隊テストは1回だけで、再テストは無しよ? これに合格できなかったら、それ以降私達と一緒に戦うのは認めません」

 

「うっ……わ、わかりました! 一発合格できるよう死ぬ気でダブルオーフレイマーを出します!」

 

「し、死ぬ気になるところが間違ってる気がするけど……まあいいわ。この後格納庫で貴方のダブルオーフレイマーを出して貰う予定だったし、丁度良いからテストはそこで行いましょう♪」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

その後、ツナはスメラギと共にダブルオーフレイマーの起動及びツナの入隊テストの為、プトレマイオス2の格納庫へと向かうのだった。

 

果たして、ツナは大空のリングVer.Xからダブルオーフレイマーを出し、スメラギにソレスタルビーイングと共に戦うことを認めさせると言う覚悟の試練を乗り越えることができるのだろうか?

 

 

To Be Continue……




本当はダブルオーフレイマーの再登場までやる予定だったのですが、長くなりそうなので一旦ここで区切ります(^◇^;)

次回こそはダブルオーフレイマーを再登場させたいと思います^_^

次回も応援よろしくお願いします^_^


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第9話 覚悟を示す時……ダブルオーフレイマー、再び!

XDSに続いて、本小説も最新話投稿です^_^

と言っても、今回も短めですが(^◇^;)

それでは最新話をよろしくお願いします^_^


フェルト達を守る為に戦うことを決意したツナは、その覚悟を示す為の試練としてダブルオーフレイマーXの起動テストに臨む為、スメラギと共にプトレマイオス2の格納庫に訪れていた。

 

 

「お、来たな。待っておったぞ♪」

 

 

整備士であるイアンがツナとスメラギを出迎えた。

 

 

「急で悪いわね、イアン。彼のダブルオーフレイマーの起動テストで、この空きスペースを使わせて貰うわよ」

 

「なあに、新たなガンダムの姿を拝めるならお安い御用だ♪」

 

「スメラギさん、この人は?」

 

「紹介がまだだったわね。彼はイアン、このトレミーことプトレマイオス2とガンダムの整備を担当している整備士よ」

 

「イアン・ヴァスティだ、よろしくな♪」

 

「沢田綱吉です。こちらこそよろしくお願いします」

 

 

ツナとイアンは握手しながら挨拶を交わす。

 

 

「さてと、どうする? ダブルオーフレイマーの起動テストはもう始めるか?」

 

「そうね、綱吉君の方は準備良いかしら?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「わかった。それじゃあ……って、ん?」

 

「どうしたの、イアン……って、あら?」

 

「え?」

 

 

ダブルオーフレイマーXの起動テストを開始しようとしたところで、ツナ・スメラギ・イアンの3人があることに気付き、その方へ視線を向ける。

 

そこには……

 

 

「おっ、どうやら今から始まるみたいだぜ」

 

「グッドタイミングですぅ!♪」

 

「ふう……間に合って良かった」

 

「でも、皆揃って来ちゃって良かったのかな?」

 

「駄目に決まっているだろ。とは言え、気になって仕方ないのも確かだ。ならば、沢田綱吉がダブルオーフレイマーを出すところをしっかり見届けさせて貰うとしよう」

 

「ああ、そうだな。彼のダブルオーフレイマーをしっかりこの目に焼き付けさせて貰う」

 

「お、刹那とティエリアがヤケにノリノリだな。こりゃ楽しみだ♪」

 

 

上から順にロックオン、ミレイナ、フェルト、アレルヤ、ティエリア、刹那、ラッセ……スメラギとイアン以外のプトレマイオスクルー全員が格納庫のキャットウォークの上に集まっており、見学しているのであった。

 

 

(んなーーー!? 何かギャラリーが出来てるーーー!?)

 

「イアン、貴方まさか……」

 

「いや、儂は言ってないぞ! 恐らく地獄耳なミレイナ辺りが元凶だと思うが……」

 

「まったく……まあ良いわ。皆、気になっている様だし、このまま始めちゃいましょう」

 

「は、はい……って、あれ? ここに立っている機体は?」

 

 

ツナは近くに立っている青と白を基調としたカラーリングに、両肩にGNドライブがあるガンダムーー刹那のダブルオーに気付く。

 

 

「こいつは『GN-0000 ダブルオーガンダム』、刹那の愛機であるツインドライブ搭載型のガンダムだ」

 

「これが刹那さんのガンダム、ダブルオーガンダム……何処となくダブルオーフレイマーに似てる。この機体の隣にダブルオーフレイマーを並べたら、兄弟みたいに見えるんだろうなぁ……」

 

「ふふふ、それなら何がなんでもダブルオーフレイマーを出さないとね♪……貴方が私達と共に戦う為にも」

 

「……そうですね、絶対にダブルオーフレイマーを出して見せます」

 

 

ツナは必ずダブルオーフレイマーXを出し、スメラギに一緒に戦うことを認めさせる為に、気合いを入れ直す。

 

 

「? おいおい、何の話をしてるんだ? 一緒に戦うって……?」

 

「悪いわねイアン、それについては後で話すわ。それじゃあ綱吉君、お願い」

 

「はい! すう……はあ〜……よし」

 

 

ツナは精神を落ち着かせる為、一旦深呼吸をした後、覚悟を決めた表情で大空のリングVer.Xに精神を集中する。

 

そんなツナの様子をキャットウォークから見ていたフェルトは……

 

 

(ツナ君……昨日言ってたスメラギさんに覚悟を示すって、やっぱり……)

 

 

昨日フェルトが言っていたツナがスメラギに覚悟を示すと言うのが、大空のリングVer.Xから彼の覚悟の象徴であるダブルオーフレイマーを出すことだと気付く。

 

そして、フェルト以外にそのことに気付いている者がいた。

 

 

「フェルト」

 

「刹那?」

 

「彼……沢田綱吉はこの世界でどう生きるか、答えは出したのか?」

 

「うん……私達を守る為に、私達と一緒に戦いたいって昨日……」

 

「やはり、そうか……恐らく、この起動テストはただダブルオーフレイマーを出す為だけじゃない、彼がスメラギに俺達と一緒に戦うことを認めさせる為の試練も兼ねているんだろうな」

 

「そうだね……ツナ君、昨日スメラギさんに覚悟を示すって言ってたから、刹那の言ってることは合ってると思う。ねえ、刹那はツナ君が私達と一緒に戦うことをどう思う?」

 

 

フェルトは刹那にツナが自分達と一緒に戦うことについて、どう思うかを聞いてみる。

 

刹那の答えは……

 

 

「正直に言うと反対だ。どんな理由があっても、子供は戦うべきじゃないと今でも思う……だが、それは戦うことの恐ろしさを理解していない子供の場合だ」

 

「え?」

 

「沢田綱吉は戦うことの恐ろしさを、悲しさを理解している……それでも目の前の現実から逃げず、大切なものを守る為に戦う彼の覚悟を、彼が切り開く未来を俺は見てみたい……同じ『ダブルオー』の名を冠するガンダムに乗る者としてな」

 

「刹那……うん、私もツナ君と一緒に戦いたい。ツナ君と一緒なら、何かが変わりそうな気がするから」

 

 

刹那はツナ……沢田綱吉と言う人間が見せる覚悟を、彼が切り開く未来を見てみたいと、柔らかな笑みを浮かべながら答える。

 

フェルトも笑みを浮かべながら、刹那に同意するようにそう言う。

 

そこへ……

 

 

「フッ……どうやら君達も僕と同じ考えの様だな」

 

「! ティエリア」

 

 

ティエリアが刹那とフェルトに話しかけて来た。

 

 

「やはり、お前も気付いていたか」

 

「ああ、昨日の沢田綱吉の様子から見れば想像が付く。本当なら彼を僕達の戦いに関わらせるべきでは無いと思う……だが、彼が覚悟ーーダブルオーフレイマーを見せることが出来たら認めるさ……共に戦う仲間ーーガンダムマイスターとしてな」

 

「ティエリア……!」

 

「変わったな、ティエリア……」

 

「フッ……それはお互い様だろ、刹那?」

 

 

ティエリアもまた、刹那とフェルトと同じ気持ちであった。

 

3人は試練に挑むツナに視線を向けると……

 

 

(ツナ君、頑張って……!)

 

(沢田綱吉、見せてくれ……!)

 

(お前の覚悟を……お前も『ガンダム』だと言うことを!)

 

 

ツナをダブルオーフレイマーXを起動させられることを信じて、内心祈るのだった。

 

一方、試練に臨むツナの精神は思いの外落ち着いており、何処か懐かしそうな笑みを浮かべていた。

 

 

(何か10年後の世界で初めてリングに炎を灯した時のことを思い出すなぁ……あの時は変に気負い過ぎてて、リング炎を灯せられなくて、リボーンやラルに怒られてたなぁ……)

 

 

ツナは10年後の世界で初めてリングに死ぬ気の炎を灯した時のことを思い出しており、その時は皆を過去に帰す為とか、敵を倒すために修行に耐える為とか、変に気負い過ぎてしまった為にリングに死ぬ気の炎を灯せられず、家庭教師のリボーンや10年後の世界で自身を鍛えてくれた女性ーー『ラル・ミルチ』に怒られたことを思い出していた。

 

だが、今のツナはその時とは違う……何の為に戦うのかを、何の為に死ぬ気になるのかを、ちゃんと理解している。

 

 

「(ダブルオーフレイマー……俺、この世界でフェルトさん達と一緒に戦うことを決めたよ。だけど、それはアロウズを倒したいとか、戦争を終わらせて平和な世界を作りたいとか、そんな大層な理由じゃないんだ……フェルトさんと、フェルトさんの大切な家族を死なせたくない、守りたいんだ! だから……!)俺と一緒に戦ってくれ! ガンダム!!」

 

 

ツナのシンプルで彼らしい『覚悟』と共に放たれたその言葉に……大空のリングVer.Xが応えるかのように巨大な大空の炎と、翡翠色の光の粒子ーーGN粒子を放出し、何かを形成し始めるのだった。

 

その光景にプトレマイオスクルー達が驚く中……

 

 

「沢田綱吉のリングから炎と一緒にGN粒子が……! ティエリア、まさかあれが……!」

 

「ああ、そのまさかだ……!」

 

「ツナ君……!」

 

 

刹那やティエリア、フェルトはこの後に起きる展開を想像出来ていた。

 

そして、巨大な大空の炎とGN粒子の中からある機体の姿が見え始めていた。

 

その機体は勿論……

 

 

「ダブルオーフレイマー……!」

 

 

ツナのガンダムーーダブルオーフレイマーXであった。

 

ダブルオーフレイマーXは刹那のダブルオーに並び立つかのように、その姿を現すのだった。

 

ツナはダブルオーフレイマーXが自身の覚悟に応えてくれたことに、嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 

 

「あの時の紅いダブルオーですぅ!♪」

 

「うおおおおっ!! これがダブルオーフレイマーか!!♪」

 

「お前らから話を聞いた時は半信半疑だったが、まさか本当に指輪からガンダムが出て来るとはなぁ……」

 

「あはは……一度見たことある俺達でも驚いてるよ」

 

「そうだね」

 

 

プトレマイオスクルー達がダブルオーフレイマーXの登場に驚いている一方、ツナはスメラギの方に視線を向ける。

 

 

「スメラギさん……」

 

「ふう……正直こんなにあっさりクリアされるとは思って無かったわ。それだけ貴方の覚悟が私の予想を上回っていたと言うことね♪」

 

「! それじゃあ……!」

 

「ええ、勿論合格よ。共に戦う仲間として歓迎するわ、綱吉君♪」

 

「やった! ありがとうございます!♪」

 

 

スメラギはツナに合格を言い渡し、共に戦うことを認めるのだった。

 

 

「ツナ君……良かったね♪」

 

 

フェルトはツナがスメラギに覚悟を示すことができたことを、共に戦うことを認めさせることができたことを、自分のことのように嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 

 

「ダブルオーフレイマー……本当にダブルオーに似ていて、良い機体だ。沢田綱吉……ツナの覚悟の強さを象徴しているのが、見ただけでわかる」

 

「同感だ。沢田綱吉とダブルオーフレイマー……どちらも見事なものだ。共に戦うガンダムマイスターとして認めなくてはな」

 

「フッ、そうだな……」

 

「ところで刹那、彼は君の言う『ガンダム』か?」

 

「聞くまでも無い……ツナ、彼も『ガンダム』だ」

 

「フッ、そうか……ガンダム馬鹿である君なりの彼への最高の褒め言葉と言う訳だな」

 

「ああ……」

 

 

刹那とティエリアもまた、ツナを共に戦う仲間……ガンダムマイスターとして認め、柔らかな笑みを浮かべながらツナを見ていた。

 

こうしてツナはダブルオーフレイマーXを再び大空のリングVer.Xから出すことに成功し、スメラギだけでなく刹那やティエリアにも覚悟を示し、共に戦うことを認めさせるのであった。

 

そして、これがツナの新たな戦いの始まりであった……

 

 

To Be Continue……




次回はツナの刹那・ティエリア・フェルト・スメラギ・イアン以外のメンバーとの邂逅、ダブルオーフレイマーのことを多少解明する話にしたいと思います^_^

次回も応援よろしくお願いします^_^


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第10話 ダブルオーフレイマーの謎

やっと最新話を更新できました(^◇^;)

今回はダブルオーフレイマーの謎を少し解明します。


見事リングからダブルオーフレイマーXを出すことに成功し、スメラギに覚悟を示すことに成功したツナ。

 

ツナはダブルオーフレイマーXをイアンに預けた後、ブリーフィングルームに移動すると……

 

 

「改めて紹介するわ。彼は沢田綱吉君、異世界からやって来たダブルオーフレイマーのガンダムマイスターで、私達の協力者となってくれた子よ」

 

「さ、沢田綱吉です、よろしくお願いします。知り合いからはツナって呼ばれてるんで、そう呼んで貰って大丈夫です」

 

 

スメラギにより刹那やティエリア、フェルトを始めとしたイアン以外のプトレマイオスクルーに協力者として紹介されていた。

 

勿論、先程のダブルオーフレイマーXの起動テストがツナの覚悟を試す為の試験を兼ねていることも説明済みである。

 

 

「改めてよろしくね、ツナ君♪」

 

「沢田綱吉、君と一緒に戦えることを心強く思う」

 

「ああ。同じダブルオーの名を持つガンダムのマイスター同士、よろしく頼む」

 

「はい、改めてよろしくお願いします。フェルトさん、ティエリアさん、刹那さん♪」

 

 

ツナの人となりを知っているフェルト・ティエリア・刹那の3人は友好的な雰囲気で歓迎する。

 

それに続くかのように、ロックオン達もツナに自己紹介をし始める。

 

 

「俺達も自己紹介しないとな。俺はラッセ・アイオン、このプトレマイオス2の砲撃士兼操舵士だ。よろしくな、ツナ♪」

 

「俺はロックオン・ストラトス、刹那やティエリアと同じガンダムマイスターだ。一緒に頑張ろうぜ♪」

 

「はい、よろしくお願いします♪」

 

 

最初にラッセとロックオンが気さくな笑みを浮かべながら自己紹介をし、ツナも緊張が解れたのか笑顔で握手を交わす。

 

次に……

 

 

「僕はアレルヤ・ハプティズム、僕も刹那やティエリア、ロックオンと同じガンダムマイスターだ。正直言うと僕達の戦いに子供の君を巻き込みたく無かったけど……君自身が覚悟を決めた上で戦うなら、とやかく言わない。だから、一緒に頑張ろうツナ君♪」

 

「はい、よろしくお願いします♪(アレルヤさんが本当に優しい人だって言うのが、見ただけでわかるなぁ……でも、アレルヤさんから感じるこの独特な気配は何だろ? まるで、1つの体に2つの心があるみたいだ……)」

 

 

アレルヤが優しげな笑みを浮かべつつも、心配そうな表情で自己紹介をする。

 

ツナはそんなアレルヤを見て、彼が本当に優しい人物であることを理解するのと同時に、アレルヤから1つの体に2つの心があるような独特な気配を感じていた。

 

そして、最後にミレイナが自己紹介し始める。

 

 

「グレイスさんと同じ戦況オペレーターを担当してるミレイナ・ヴァスティですぅ! 同い年の仲間ができて嬉しいですぅ! 沢田さん、これからよろしくですぅ〜!♪」

 

 

ツナと同じ14歳であるミレイナは同い年の仲間ができたことが嬉しいのか、ツナの手を握りながら元気いっぱいに自己紹介をするのだった。

 

 

「よ、よろしく///(何かハルみたいな娘だなぁ……ん?) ヴァスティってことは……もしかして、イアンさんの『お孫さん』なのかな?」

 

『ぶふぅっ!?www』

 

 

ツナのその発言にミレイナ以外のクルー達は思わず吹き出してしまうのだった。

 

 

「違うですぅ! イアン・ヴァスティはミレイナのパパですぅ〜!」

 

「えええええっ!? 親子なのーーー!?」

 

 

イアンとミレイナが親子であることに、ツナは驚きの声を上げる。

 

 

「つ、綱吉君、気持ちはわかるけど本当よ。あと、そう言うのはイアンの前では言わない方が良いわよ……ふふふwww」

 

「お、おやっさんに怒られるからな……くくくwww」

 

「み、皆、笑い過ぎだよ……ぷくくwww」

 

「き、君も笑っているぞ、アレルヤ……www」

 

「だ、駄目だ、笑いを抑えられねえ……あはははは!www」

 

(スメラギさん達、めちゃくちゃ爆笑してるーーー!?)

 

 

先程のツナの発言が可笑しかったのか、ほとんどのプトレマイオスクルー達は爆笑しており、イアンがダブルオーフレイマーXの調査を終えてやって来るまで続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあイアン、ダブルオーフレイマーの調査結果の報告をお願い」

 

 

すっかり笑いが収まった雰囲気の中、スメラギはイアンにダブルオーフレイマーXの調査結果の報告を促す。

 

 

「わかった。まずダブルオーフレイマーの両腰にある2基のGNドライブだが、どちらも刹那達のガンダムと同じオリジナルの太陽炉だった」

 

「やっぱり……」

 

「だが、一体誰が太陽炉の製造を……?」

 

「あ、あの、GNドライブとか太陽炉って何ですか?」

 

「綱吉君にはちゃんと説明して無かったね。GNドライブは簡単に言うとガンダムの動力となっている装置で、そのGNドライブによってGN粒子と言う光の粒子の形をしたエネルギーが半永久的に生産され続けることから、ガンダムはほぼ無制限に活動できるの。因みに太陽炉と言うのは、GNドライブの別名よ」

 

「へえ……あ、そう言えば、ティエリアさん達のガンダムから緑色の粒子が放出されてましたけど、あれがGN粒子ですか?」

 

 

ツナはティエリア達のガンダムから緑色の粒子が放出されていたことを思い出し、その緑色の粒子がGN粒子であるかを質問する。

 

 

「その通りだ。オリジナルの太陽炉が生産するGN粒子は僕達のガンダムの動力及び推進力になるだけで無く、電波撹乱によってレーダーや通信を無効化する他、粒子を圧縮してビーム兵器及びバリアの使用が可能になり、機体重量の軽減と幅広い効果を持っている」

 

「GNドライブって、凄いんですね……あれ? 俺が戦ったアロウズって言う連中の機体からも違う色の光の粒子が放出されてましたけど、アロウズもGNドライブを使ってるんですか?」

 

 

アロウズの機体から橙色の光の粒子が放出されていたのを思い出し、アロウズもGNドライブを使っているのかを聞く。

 

 

「いいえ、アロウズが使用しているのはオリジナルの太陽炉を模して製造された『擬似GNドライヴ』……別名『擬似太陽炉』よ」

 

「擬似太陽炉……刹那さん達のGNドライブとはどう違うんですか?」

 

「大きな違いについて簡単に説明すると、儂等が所持しているオリジナルの太陽炉が半永久的にGN粒子を生産できるのに対し、擬似太陽炉はそれができないんで、擬似太陽炉を搭載している機体の活動時間には制限があるんだ」

 

「なるほど……何かそう聞くと擬似太陽炉が欠陥品っぽく思えますけど、何でアロウズ側はそんなのを使ってるんですか?」

 

 

オリジナルのGNドライブと違って半永久的にGN粒子を生産できない上、活動時間に制限がある擬似GNドライブをアロウズが何故利用しているのかと言うツナの疑問に、イアンが答える。

 

 

「それはアロウズ側がオリジナルの太陽炉の製造方法を知らないと言うのもあるが、1番の理由はオリジナルの太陽炉と擬似太陽炉の生産性の違いが関係するんだ」

 

「生産性の違い?」

 

「ああ。詳しくは言えんが、オリジナルの太陽炉は高重量環境である木星でしか製造できない上、1基作るだけでも何年もかかることから生産性は良いとは言えん。その反面擬似太陽炉は地球圏での生産が可能な上、量産しやすいと言う利点があるから、どうしても生産性と言う点では擬似太陽炉の方に軍配が上がっちまうんだ」

 

「なるほど、擬似太陽炉にそんな利点があるんですね……因みに、オリジナルの太陽炉って何基あるんですか?」

 

「私達が所持している5基と、綱吉君のダブルオーフレイマーXが搭載している2基を含めると7基になるわね」

 

「た、たったの7基!? オリジナルの太陽炉って、本当に製造するのが大変なんだ……」

 

「そうね。だからこそオリジナルのGNドライブ……ガンダムは私達にとって重要なものなの。綱吉君もダブルオーフレイマーを壊さないように気をつけてね」

 

「わ、わかりました!」

 

 

ツナがオリジナルのGNドライブとガンダムの貴重性を理解したところで、イアンのダブルオーフレイマーXの調査報告は続く。

 

 

「皆も知っているように、ツナのダブルオーフレイマーも刹那のダブルオーと同じツインドライブ搭載型なんだが、驚くことにツナのダブルオーフレイマーは……刹那のダブルオーと違ってツインドライブが『完全に同調している』と言うことだ」

 

『っ!』

 

 

イアンのその言葉に、プトレマイオスクルーは全員驚きの表情を浮かべる。

 

 

「イアン、それは本当なのか!?」

 

「ああ、大マジだ。それ故にツナのダブルオーフレイマーは武装が少ないことを除けば、刹那のダブルオーよりも性能が遥かに上だ」

 

「俺のダブルオーよりも……」

 

「あ、あの、また質問なんですけど……ツインドライブって何ですか? 俺と刹那さんのガンダムだけにあるものはわかるんですけど……」

 

「ツインドライブと言うのは、2基の太陽炉を同調させることで、粒子生産量と粒子放出量を二乗化させるシステムでな、もっと簡単に言うと1基の太陽炉しか搭載していない機体よりも性能が高いということだ」

 

「なるほど……じゃあ、俺と刹那さんのガンダムには太陽炉が2基があるからツインドライブ搭載型で、ティエリアさん達のガンダムよりも機体性能は上なんですね」

 

「ああ、その通りだ……ただし、それはあくまでツインドライブが完全に同調できたらの話だがな」

 

「同調? さっきもそんなことを言ってましたけど、どう言うことなんですか?」

 

「ツインドライブは2基の太陽炉の出力を完全に同調させることによって、初めて真価を発揮する……だが、元々単機で製造された2基の太陽炉を同調させるのは難しく、最初は出力が安定領域に達せなくて起動できなかった刹那のダブルオーも今は強引な方法で何とか起動できてはいるが……それでも完全に同調しているとは言い難く、常に不安定な状態であるという問題を抱えてることから、刹那のダブルオーは本領を発揮できないと言うことだ」

 

「…………」

 

「刹那さんのガンダムにそんな問題が……(まるで、X BURNERの剛と柔の炎を安定させることに苦労してた頃の俺みたいだ……)」

 

 

刹那のダブルオーのツインドライブが抱えている問題を聞いたツナは、10年後の世界でミルフィオーレファミリーの『メローネ基地』に突入する前の、自身の必殺技の1つである『X BURNER(イクスバーナー)』を撃つ為に必要な『剛の炎』と『柔の炎』の出力を完全な状態で安定させることに苦労していた頃の自身と重ね合わせていた。

 

 

「あれ? それなら、俺のダブルオーフレイマーはどうなんです? さっきダブルオーフレイマーのツインドライブが『完全に同調している』って言ってましたけど……」

 

「ああ、驚くべきことにツナのダブルオーフレイマーは2基の太陽炉が完全に同調している状態で稼働しておる。予め同調できるように2基の太陽炉が製造されたのか、それとも『外部的要因』で2基の太陽炉が同調できているのか……それさえわかれば、刹那のダブルオーのツインドライブを完全に同調させるヒントになるんだがなぁ〜……」

 

「外部的要因……あ、もしかして……」

 

 

ツナはイアンの『外部的要因』と言う言葉を聞いて、あることに気付く。

 

 

「綱吉君、何か思い当たる節があるの?」

 

「はい、たぶんなんですけど……俺の死ぬ気の炎ーー大空の炎の特性によって、ダブルオーフレイマーのツインドライブが完全に同調できてるんじゃないかと思うんです」

 

『大空の炎?』

 

「はい。死ぬ気の炎は大空・嵐・雨・雲・晴・雷・霧の7つの属性があって、『嵐』の炎は赤色で特性が『分解』、『雨』の炎は青色で特性が『鎮静』、『雲』の炎は紫色で特性が『増殖』、『晴』の炎は黄色で特性が『活性』、『雷』の炎は緑色で特性は『硬化』、『霧』の炎は藍色で特性は『構築』、そして『大空』の炎は橙色で特性は『調和』と言う風に、それぞれ炎の色や特性が違うんです」

 

「な、何か天候みたいな名前の属性だな」

 

「炎の色も虹に使われている7色みたいだね」

 

「だな。けど、それぞれの炎が持ってる調和とか、構築とかの特性がイマイチよく分かんねえなぁ……」

 

「まあ、そうですよね。それぞれの炎の特性について一例をあげて説明をすると……

 

『嵐』の炎は人体に使うと細胞組織が『分解』されて傷を作り出す。

 

『雨』の炎は体の気管を『鎮静』させて体の自由を奪う。

 

『雲』の炎は物量を『増殖』させて圧倒的状況を作り出す。

 

『晴』の炎は体の組織や器官を『活性』させて回復力と身体能力の強化をする。

 

『雷』の炎は武器や防具を『硬化』させて破壊力と防御力を増加させる。

 

『霧』の炎はリアリティのある幻覚を『構築』して生み出す。

 

そして『大空』の炎はあらゆるものを『調和』して性質を無効化したり、バランスを整えたりする……炎の各属性の特性については、こんな感じです」

 

『なるほど(な/ね/ですぅ!)』

 

 

ツナの死ぬ気の炎の各属性が持つ特性の説明に、プトレマイオスクルー達は一斉に理解する。

 

 

「ツナ君の炎の色は橙色だから大空の炎で、大空の炎の特性である調和がダブルオーフレイマーのツインドライブのバランスを整えているから、完全に同調できてるって訳ね」

 

「はい、俺はそう考えてます」

 

「なるほどね、それならダブルオーフレイマーのツインドライブが完全に同調できていることに辻褄が合うわ。だけど……」

 

「ああ、その方法はツナとダブルオーフレイマーにしかできないことだから、刹那のダブルオーに応用と言うのは無理そうだな……」

 

「そうか……」

 

 

刹那やイアンが残念そうな表情を浮かべる中、ツナがあるアイデアを出す。

 

 

「あの〜、1つ思い付いたんですけど……刹那さんのガンダム単体でツインドライブを同調させるのが難しいなら、他の機体でそのサポートすると言うのはどうですか……?」

 

「何?」

 

「どう言うことだ?」

 

「ええとですね……刹那さんのダブルオーに別の機体を『合体』させて、その機体にダブルオーのツインドライブの出力を調整させて完全に同調できるようにしたら良いんじゃないかなぁって思ったんですけど……ダメ、ですかね?」

 

 

ツナは元ミルフィオーレファミリー・ブラックスペル所属のメカニックーー『スパナ』が開発したX BURNER専用のコンタクトディスプレイとヘッドホンによって剛の炎と柔の炎の出力を調整していることから、刹那のダブルオーに別の機体を合体させて、その機体にダブルオーのツインドライブの出力を調整させて完全に同調できるようにしたら良いのでは無いかと思い付き、そう提案したのだが……

 

 

『…………』

 

(あ、あれ!? もしかして俺、馬鹿なこと言っちゃった!?)

 

 

プトレマイオスクルー全員が驚きの表情を浮かべ、ツナは自身が馬鹿なことを言ってしまったのでは無いかと不安になるが……

 

 

『……そ……』

 

「そ?」

 

『そ……それだーーー!!』

 

「えええっ!?」

 

 

ほとんどのクルーが突如大声を発したことに、ツナは驚く。

 

 

「そうだ、その手があった! 何で儂はこんな簡単な考えを見落としてたんだ!? 畜生!」

 

「あ、あの、イアンさん……?」

 

「ツナ、ナイスアイデアだ! おかげで刹那のダブルオーのツインドライブを完全に同調させる道が見えたぞ〜!♪」

 

「あわわわ……!?///」

 

 

イアンは嬉々とした様子でツナの頭を撫で回す。

 

 

「イアン……嬉しいのはわかるけど、綱吉君が戸惑ってるから離してあげなさい」

 

「おおっ、すまんなツナ」

 

「あ、いえ……よくわからないけど、役に立てたみたいで良かったです///」

 

「大手柄だね、ツナ君♪」

 

「沢田さん、凄いですぅ〜!♪」

 

「本当に助かった。感謝する、ツナ」

 

「あ、いや……えへへ♪///」

 

 

フェルトやミレイナ、刹那にも褒められ、ツナは照れ臭そうに笑っていた。

 

ツナのアイデアによって、刹那のダブルオーがツインドライブの真価を発揮するのは後の話である。

 

 

「よおし、早速リンダに連絡して……!♪」

 

「ストップよ、イアン。まだダブルオーフレイマーの調査報告が終わってないでしょ?」

 

「おっと、そうだった。んじゃ、報告を進めるぞ。次にダブルオーフレイマーの操縦系統だが……機体とパイロットをリンクしてシンクロ状態にし、パイロットの動きをトレースして機動させる『トレースリンクシステム』と言う、従来のMSとは異なる特殊な操縦システムが使用されている。フェルトの報告通り、ダブルオーフレイマーはパイロットであるツナの動きに合わせて動くようだ」

 

「なるほど、ダブルオーフレイマーが人間らしい動きをしてたのはその操縦システムによるものだったんだな」

 

「ああ、そうだ。コクピットには操縦席や操縦桿と言ったものは無く、パイロットであるツナが思いっきり体を動かせる程の広い空間と、360度全方位見渡せる全天周囲モニターしかなかったよ」

 

「おいおい、マジかよ……」

 

「人間の動きだけでMSを操縦できるなんて、凄い操縦システムなんだね……」

 

「だが、元の世界で生身で戦って来たツナにはうってつけの操縦システムだな」

 

「あはは、そうですね。普通の操縦システムだったら、まともにMSを動かせられなかったかもしれませんし……」

 

 

ダブルオーフレイマーXの操縦システムーー『トレースリンクシステム』に各々が感想を述べる中、イアンはさらに驚くべき事実を告げる。

 

 

「驚くのはまだ早いぞ。このダブルオーフレイマーのトレースリンクシステムには驚くべき特性があることがわかったんだ」

 

「特性?」

 

「それは何なんだ?」

 

「それはだな……攻撃した敵のMSと搭乗しているパイロットを強制的にリンクさせ、MSが受けた箇所のダメージを敵のパイロットに痛覚や熱として与えることができるんだ」

 

『なっ!?』

 

 

イアンのその言葉に、ツナ以外は驚きの声を上げる。

 

 

「ま、マジかよ!? そんなオカルトじみたことが……あ、いや待てよ。指輪から出てきた時点で十分オカルトじみてるし、それができても不思議じゃねえか」

 

「ああ……それにイアンの言ったことが本当なら、アロウズのMSの多くが機体の損傷がまったく無いにも関わらず、ダブルオーフレイマーの攻撃を受けて動かなくなったことに説明が付く」

 

「! そうか、パイロットがダブルオーフレイマーの特性によって気絶する程のダメージを受けたから、アロウズのMSは動けなくなったんだね」

 

 

ツナとダブルオーフレイマーXの戦闘を間近で見ていたロックオン、ティエリア、アレルヤの3人はすぐに納得するのだった。

 

 

「流石にパイロットであるツナはダブルオーフレイマーの特性を知っている様だな」

 

「まあ、何となくですけど……因みにダブルオーフレイマーの攻撃全てで敵のパイロットにダメージを与えられる訳じゃなくて、俺の大空の炎を使った攻撃を敵のMSに当てた際にそれが起きるみたいです」

 

「なるほど。大空の炎の特性である調和によって、アロウズのMSとパイロットは強制的にリンク……ダメージを受けた時だけシンクロ状態にされる訳ね」

 

「だが逆も然りで、ツナとシンクロしているダブルオーフレイマーがダメージを受ければ、当然パイロットであるツナにもダメージを受けるからな。そこのところは注意せんといかんぞ、ツナ」

 

 

イアンはダブルオーフレイマーXのトレースリンクシステムの欠点より、ツナにそう注意するが……

 

 

「心配してくれてありがとうございます、イアンさん。でも、大丈夫です。伊達にリボーン……あ、俺の家庭教師で師匠みたいな奴なんですけど、そいつに毎日数千メートルある崖を登らされたり、鮫の多い海で鮫に追いかけ回されながら水泳訓練させられたり、ライオンやチーターのような獰猛な動物と追いかけっこさせられたり、ガトリング砲やバズーカ、10tハンマー、ミサイルランチャーとかあるゆる武装でぶっ飛ばされたりと、死と隣り合わせの地獄の修行をさせられてませんから、打たれ強さには自信があります。あははは♪」

 

『いやいやいやいやいや! ちょっと待て! なんだその黒歴史な修行は!?』

 

 

ツナは笑いながらとんでもない爆弾発言を投下し、ロックオンやラッセを始めとしたツッコミ担当のメンバーが一斉にツッコミを入れる。

 

 

「どの修行も明らかに死んでもおかしくないんレベルじゃねえか! そんな修行させてるリボーンって奴はどんな奴なんだ!?」

 

「ええと……簡単に言うと、見た目は赤ん坊、中身は鬼・悪魔・殺し屋な奴ですね」

 

「何じゃそりゃあーーー!?」

 

「えっと、その人は人間なんだよね……?」

 

「一応人間だと思います……たぶん」

 

「たぶんかよ!?」

 

「つ、ツナ君のお師匠さん、怖いけど会ってみたいかも……」

 

「そ、そうだな……」

 

「ああ……」

 

「ええ、そうね……」

 

「ミレイナも会ってみたいですぅ!♪」

 

 

ツナの師匠であるリボーンにドン引きしながらも、気になってしまうプトレマイオスクルー達であった。

 

取り敢えず一同はダブルオーフレイマーXの話へ戻すことにした。

 

 

「イアン、他にダブルオーフレイマーでわかったことはあるかしら?」

 

「いや、残念ながらわかったのはここまでだ。まああとわかることと言えば、ダブルオーフレイマーにはブラックボックスになっているシステムが多く、そのプロテクトの解除には時間がかかるってことだな」

 

「そう……因みにだけど、ダブルオーフレイマーに『トランザム』は搭載されているの?」

 

「ああ、搭載されてはいたんだが……何故かそれもプロテクトがかかっていて、今は使用できん状態だ」

 

「トランザムが使用できないなんて……その点は刹那のダブルオーと一緒ね」

 

「あのスメラギさん、トランザムって何ですか?」

 

 

ツナはスメラギの言う『トランザム』が気になり、質問する。

 

 

「トランザムと言うのは機体の内部に蓄積された高濃度圧縮粒子を全面開放し、一定時間機体のスペックを3倍以上に引き上げるシステムで、擬似太陽炉には無いオリジナルの太陽炉だけが持つ切り札よ」

 

「ガンダムを一時的にパワーアップさせるシステムだと思ってくれたら良い」

 

「そんなシステムがあるんですね……でも、今の話を聞く限りだと俺と刹那さんのガンダムはそのトランザムが使用できないんですよね?」

 

「まあな。刹那のダブルオーの場合は正確に言うと使用できない訳じゃないんだが……ただでさえツインドライブが完全に同調できていない状態でトランザムなんか使ったら、オーバーロードして機体が大破する怖れがあるからな。刹那にはトランザムの使用を禁じていると言った方が正しいな」

 

「なるほど……俺と刹那さんは暫くその切り札を使えないハンデを背負って戦わないとダメなんですね」

 

「そう言うことだ。刹那、何度も言うがトランザムは絶対に使うなよ」

 

「ああ、わかっている」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXと、刹那のダブルオーガンダム……ツインドライブ搭載型のガンダム2機は切り札であるトランザムを使用できないハンデを背負っていることをツナは理解し、刹那もイアンにトランザムを使用しないよう釘を刺されるのだった。

 

 

「ダブルオーフレイマー……開発元含めて謎だらけの機体ね。イアン、時間が空いている時で良いから、今後もブラックボックスの解除含めてダブルオーフレイマーの調査をお願いできるかしら?」

 

「ああ、勿論だ。メカニックとしては腕が鳴るぞ♪」

 

「よろしく頼むわ。さて、ダブルオーフレイマーの件は一旦置いといて……私達の今後の活動だけど、まずは拠点を移すことになったカタロンのサポートをします」

 

 

スメラギはアロウズに潜伏場所を知られて拠点を移すことになったカタロンの移送のサポートをする旨を伝える。

 

 

「そっか、同じ場所に居続けたらまたアロウズに襲撃されますもんね……」

 

「だな。それで俺達はカタロンの移送が完了するまでの護衛をするのか?」

 

「いえ、私達はアロウズの目がカタロンに行かないよう引きつけます。要するに陽動よ」

 

「なるほど、囮になるって訳か。へっ、上等だぜ」

 

「アロウズからすればカタロンよりも僕達の方を排除したいだろうからな。僕達が奴らの注意を引きつければ、カタロンの移送先を知られるリスクは低い」

 

「そう言うことよ。綱吉君も早速で悪いけど、今回の陽動作戦に参加して貰うわよ」

 

「わ、わかりました!」

 

 

ツナは若干緊張した様子で答える。

 

 

「ははは、緊張してんのか? まあ入ったばかりで緊張すんのはわかるが、頼りになる先輩達がいるんだ。もうちょい気楽に行こうぜ♪」

 

「ロックオンさん……はい、ありがとうございます♪」

 

 

ロックオンがツナの緊張を解すが……

 

 

「君も最近加入したばかりの新米マイスターだろ? いつから先輩面ができる様になったんだ?」

 

「おっと、そうだったな。あはは……」

 

(えええっ!? ロックオンさんも俺と同じ新入り扱いなのーーー!?)

 

 

ティエリアが呆れ顔を浮かべながら、容赦なくロックオンに釘を刺すのだった(笑)

 

ロックオンは苦笑し、ツナはガンダムマイスターの中で年長者のロックオンが自身と同じ新入り扱いであることに内心驚くのだった。

 

そんなこんなでスメラギから陽動作戦のミッションプランを告げられ、プトレマイオスクルー達、そしてツナはアロウズとの戦闘に向けて準備を進めるのだった。

 

 

To Be Continue……




次回あたりでアロウズ戦に突入できたらと思います^_^

次回も応援よろしくお願いします^_^


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第11話 陽動作戦、開始

ツナがソレスタルビーイングと共にアロウズとの二度目の戦闘に臨みます。


拠点を移すカタロンのサポートとして、アロウズの目を引き付ける陽動作戦を行うことになったソレスタルビーイング。

 

現在スメラギとティエリア、アレルヤはカタロン基地に来ており、この中東第三支部のリーダーである男性ーー『クラウス・グラード』に陽動作戦のことについて伝えていた。

 

 

「……わかりました。あなた方には昨日の戦闘と言い、今回の陽動作戦と言い、世話になってばかりで申し訳ない気はしますが、是非よろしくお願いします」

 

「お気になさらず。今回の陽動作戦は、あなた達カタロンとの共闘の申し出を断ってしまったことに対する謝罪の意味合いもありますので」

 

「謝罪なんて、とんでもない! 我々カタロンが如何に力不足であるのか、昨日の戦闘で痛感させられました……ですが、それでも我々はあなた方の支援をしたい。無論あなた方の迷惑にならない範囲でですが……」

 

「わかりました。では、私達が物資の補給等で困っていた時は是非お願いします」

 

「ええ、勿論です」

 

 

スメラギとクラウスはそう言って握手を交わす。

 

ツナがこの世界に来る前、ソレスタルビーイングとカタロンの会談があり、その際スメラギ達はカタロンと違って政治的な目的で戦っている訳では無いこと、カタロンが所持するMSが太陽炉を搭載していない旧式の機体であることからカタロンからの申し出を一度断ったが……その時に沙慈の保護を迂闊にカタロンに任せてしまったことが原因で、彼らに迷惑をかけてしまった為、彼らへの謝罪の意味合いもあって、カタロンに自分達の後方支援をさせる形で共闘を受け入れることにするのだった。

 

 

「そうだ。アロウズから我々を助けてくれた真紅のガンダムのパイロットに会うことはできますか? 礼を言いたいのですが……」

 

「申し訳ない、そのパイロットは陽動作戦の出撃に向けての準備で忙しくてな。後で我々の方からあなた達の感謝の旨を伝えさせて貰うが……」

 

「そうですか……わかりました。では、我々が助けてくれたことを感謝しているのをそのパイロットに是非伝えてください」

 

「了解した」

 

「では私達は出撃準備がありますので、ここらで失礼します」

 

「ええ、どうかご武運を」

 

 

カタロンとの会談が終わり、ティエリア・アレルヤ・スメラギはプトレマイオス2への帰路に着く。

 

 

「本当なら直接礼を言わせてあげたかったけど、流石にツナ君のことを公にする訳にはいかないよね」

 

「当然だ。沢田綱吉は我々の正式なメンバーでない上に、この世界の人間では無いんだ。カタロンに変に詮索されて、彼に余計な心労をかけさせる訳にいかないだろ?」

 

「そうだね……いくら元の世界で色んな戦いを乗り越えて来たって言っても、彼はまだ子供だしね」

 

「そうね……協力者として受け入れはしたけど、やっぱり元の世界に一刻でも早く帰してあげたいわ。彼の帰りを待っている人達の為にもね」

 

「ええ。絶対に沢田綱吉……いえ、ツナを死なせはしません」

 

「あれ? ティエリアもツナ君のことを愛称呼びになったね」

 

「ああ、フルネーム呼びよりこちらの方が呼びやすい」

 

「ふふふ、ティエリアはすっかり綱吉君のことを気に入ったのね♪」

 

「フッ、そうかもしれません……ツナは目の前の現実や戦いに恐れを抱きながらも逃げずに立ち向かう勇気、そして自身の想いを貫く覚悟がある……敬意に値する人間だと思っています。それに……同じダブルオーの名を冠するガンダムに乗っているからか、彼は何処となく刹那に似ている気がするんだ。 刹那とツナは何かを変えてくれる……そう感じずにはいられない」

 

 

ティエリアはツナ、そして刹那に対してそう評価する。

 

それを聞いたアレルヤとスメラギは……

 

 

「「………」」

 

 

驚いた様子でティエリアを見ていた。

 

 

「? どうした?」

 

「あ、いや……ティエリアは随分と変わったなと思って……」

 

「そうね……5年前は刹那と銃を向け合うほど仲が悪かったのにね」

 

「む、昔のことはあまり掘り返さないでくれ! 昔の僕は色々と醜態を晒してしまっているのだから……///」

 

「まあまあ。誰にだって恥ずかしい過去の1つや2つはあるんだから、いつまでも引き摺るものじゃないわよ?♪」

 

「そうだよティエリア、4年間酒に溺れてたスメラギさんがこう言って「アレルヤ、4年前のように私と朝まで飲みたいのかしら?」すみません、それだけは勘弁してください」

 

「2人して何をやっているんですか、まったく……」

 

 

3人はそんな会話をしながら、プトレマイオス2へ戻って行く。

 

一方、プトレマイオス2の格納庫では……

 

 

「………」

 

 

ツナが隅っこで座禅を組み、精神統一をしていた。

 

 

「ツナはさっきから何やってんだ?」

 

「精神統一だ。緊張している心を落ち着かせる為にやっている様だ」

 

「へえ〜……ああして見ると、意外と様になってるな」

 

「そうだな。少し話を聞いたがリボーンと言う家庭教師の他にも、中国拳法の達人など様々な人物に修行を見て貰っているとのことだ」

 

「なるほどねぇ……ダブルオーフレイマーで戦ってる時の格闘家スタイルも、その修行の賜物って奴か……そういや、ツナのパイロットスーツってどうなるんだ?」

 

「イアンが先程ツナに採寸をしていたことから用意すると思うが、流石にこの後の陽動作戦には間に合わないだろうな」

 

「あー、まあそうだよな。ツナが俺達の協力者になったこと自体、今日決まったからなぁ」

 

「ああ。ツナ自身も俺達と同じパイロットスーツを着たそうに見ていたからな。内心残念に思っているだろうな」

 

「ははは、そう言うところは子供らしくて可愛いなぁ♪」

 

「フッ、そうだな」

 

 

パイロットスーツに着替えた刹那とロックオンは精神統一するツナを興味深そうに見ながらそんな会話をしていると、ガンダムの整備をしていたイアンがやって来る。

 

 

「お、ここにいたか、刹那。ちょっと良いか?」

 

「どうした、イアン?」

 

「お前のダブルオーだが、以前話した強化プランの『セブンソード』を装備させておいたぞ」

 

「わかった、後で武装を確認する」

 

「とは言っても、セブンソードは急場凌ぎの武装だ。装備が重くて機動性も少し落ちる。無理はするなよ」

 

「了解」

 

 

刹那のダブルオーは前々から強化プランとして考えられていた『セブンソード』……元々ある2本のGNビームサーベルに、GNソードIIロング、GNソードIIショート、2本のGNカタール、GNバスターソードIIの計7本の剣を装備している状態へ強化される。

 

とは言ってもセブンソードは急場凌ぎの武装で、機体の重量が増えて機動性も少し落ちていることから、イアンは刹那に無理しないように注意するのだった。

 

その後カタロンの基地からスメラギ、ティエリア、アレルヤの3人が戻り、陽動作戦の準備が完了したプトレマイオス2はアロウズの部隊がいる海上へと飛翔する。

 

プトレマイオス2が飛び去って行くその姿を……

 

 

「刹那……」

 

 

アザディスタンの皇女である長い黒髪の女性ーーマリナは戦いの中に身を投じようとする刹那の身を案じながら、カタロン基地にて見送るのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プトレマイオス2は故意にレーダーの索敵に引っかかる事でアロウズの注意をこちらに引き付け、カタロンの移送が完了するまでの時間を稼ぐつもりでおり、その為GN粒子はあまり散布せずに移動していた。

 

そして、レーダーの索敵圏内に入って20分ほど経過していた。

 

 

「そろそろ索敵空域に入るわ。ガンダムを出して」

 

「了解。第1、第2デッキ、ハッチオープン」

 

「アリオス、セラヴィー発進準備ですぅ」

 

 

ブリッジのシートに座りスメラギは作戦プランを考えながら指示を出し、フェルトとミレイナがガンダムの発進を進めていく。

 

プトレマイオスのハッチが開放され、モビルスーツデッキからリフトでティエリアのセラヴィーと、飛行形態に変形したアレルヤのアリオスが運ばれ、カタパルトに固定される。

 

2機の目の前には青い空が広がっており、今まさに飛び立とうとしていた。

 

 

「リニアカタパルト、ボルテージ上昇。射出タイミングをセラヴィーへ譲渡します」

 

『了解。セラヴィー、ティエリア・アーデ行きます』

 

 

フェルトの指示に従い、ティエリアのセラヴィーが最初に発進する。

 

 

「ユーハブコントロールですぅ♪」

 

『I have control。アリオス、アレルヤ・ハプティズム迎撃行動に入る』

 

 

片言のミレイナの指示に従い、アレルヤのアリオスも続いて発進する。

 

 

「続いてケルディム、ダブルオーの発進に入るですぅ。リニアシステムクリア、射出タイミングをケルディムに譲渡しますですぅ♪」

 

『オーライ。ハロ、今日は本気モードで行くぞ』

 

『リョウカイ、リョウカイ!』

 

 

ケルディムのコクピットにて、ロックオンのサポートをするサブパイロットのオレンジ色の丸い小型ロボットーー『ハロ』が耳をパタパタしながら答える。

 

 

『ケルディム、ロックオン・ストラトス狙い撃つぜ!』

 

 

ロックオンのケルディムもセラヴィーとアリオスに続いて発進する。

 

 

「リニアカタパルト、ボルテージ上昇。射出タイミングをダブルオーへ譲渡します」

 

『刹那、しつこく言うがトランザムは使うなよ』

 

『了解。ダブルオー、刹那・F・セイエイ出る!』

 

 

イアンの忠告を受けながら、セブンソードを装備した刹那のダブルオーがプトレマイオス2から発進した。

 

残るガンダムの出撃はツナのダブルオーフレイマーXのみとなった。

 

 

「ツナ君、そろそろ出撃だけど大丈夫?」

 

 

ツナのことが心配であるフェルトが通信を入れて問いかけると……

 

 

『大丈夫だ、フェルト。いつでも出撃できる』

 

「え?」

 

 

返って来たツナの声は冷静で、フェルトのことを呼び捨てで呼んでいた。

 

そして通信でモニターに表示されたツナを見て、フェルトを始めとしたブリッジにいるメンバーは驚きの表情を浮かべる。

 

何故なら……

 

 

「つ、ツナ君……!?」

 

「額に炎が、それに目の色も……!」

 

「雰囲気もいつもと全然違うですぅ!」

 

「ええと……貴方は綱吉君……で良いのよね?」

 

『ああ。まだ説明して無かったが、俺のこの状態は超死ぬ気モードと言って、簡単に言えば俺の戦闘形態だ』

 

「そ、そうなのね……(普段の綱吉君とはまったくの別人ね……アレルヤのように二重人格なのかしら?)」

 

(裏社会の戦いを生き抜いて来たってのは、嘘じゃなかったんだな……)

 

(沢田さん、かっこいいですぅ!///)

 

(今のツナ君、何処か刹那に雰囲気が似てるような……気の所為かな?)

 

 

ツナが超死ぬ気モードになっていたからで、普段の気弱で優しそうな少年から一変し、鋭い眼光で凄まじい威圧感を放つ歴戦の戦士のような雰囲気へと変わったことに、スメラギ達が今のツナを別人のように感じてしまうのも無理はなかった。

 

そんな中、フェルトだけはハイパー化したツナが刹那に雰囲気が似ているように感じるのだった。

 

 

『そろそろ発進する。指示を頼む』

 

「は、はい! リニアカタパルト、ボルテージ上昇。射出タイミングをダブルオーフレイマーへ譲渡します……ツナ君、頑張ってね」

 

『ありがとう……ダブルオーフレイマー、沢田綱吉出る!』

 

 

ツナはいつも生身で戦う時のようにXグローブから炎を逆噴射し、ダブルオーフレイマーXの足を固定していたカタパルトが火花を上げ高速で移動し、そのまま勢いに乗ってプトレマイオス2から発進する。

 

そして、ツナのダブルオーフレイマーXは背中から大空の炎を灯し、背中の大空の炎と腰部のツインドライブの推進力により猛スピードで飛翔し、先に発進していた刹那達のガンダムに一瞬で追い付く。

 

 

『お、速いなツナ……って、ツナお前、頭が燃えてるけど大丈夫か!?』

 

『そ、それに、雰囲気がさっきと全然違う……!?』

 

「驚かせてすまない。これは超死ぬ気モードと言う俺の戦闘形態だ。額の炎は俺の頭を燃やしている訳じゃないから安心してくれ」

 

 

スメラギ達と同様ガンダムマイスター組からも驚かれ、ツナは苦笑しながら超死ぬ気モードについて簡単に説明する。

 

 

『驚いたな、さっきまでとは別人のようだ。それに気の所為か、何処となく刹那に雰囲気が似ているな』

 

『そう言われて見ると、確かに似てるね』

 

「『そうか?』」

 

『見事にシンクロしてんぞ、ダブルオーコンビ』

 

「ダブルオーコンビって……」

 

『ふむ……悪くない響きだ』

 

『刹那は満更でも無さそうだね』

 

『まあ、それは置いとくとして……ツナ、君はスメラギ・李・ノリエガのミッションプラン通り敵を戦闘不能にするか、僕達のサポートをするかのどちらかで臨機応変に対応してくれ』

 

「わかった、全力でやってみる」

 

『頼りにしてるぜ、ツナ♪』

 

『だけど、無茶だけはしないでね』

 

『行くぞ、ツナ』

 

「ああ」

 

 

5機のガンダムは戦場に向かって飛翔して行き、後方にいるプトレマイオス2もそれに続くのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、カティ率いるアロウズ部隊側はブリーフィングルームにて、監視衛星の索敵網に探知されたソレスタルビーイングの輸送船撃破の為の作戦会議を開いていた。

 

 

「監視衛星がソレスタルビーイングの所在を掴んだ。モビルスーツ隊はプランE-3で輸送艦を包囲する」

 

 

スクリーンに映し出される地形図を元にマネキンはブリーフィングルームに集まった兵に説明をして行く。

 

 

「そこで我々は……」

 

「失礼する」

 

 

作戦会議の真っ最中、仮面を付けた男ーーミスターブシドーが突然扉を開けてやって来た。

 

 

「お前は……!」

 

「肩に動力のある青の二個付き、そして背中から未知の炎を放出する紅の二個付き……この2機のガンダムは私が合間見える。干渉、手助けは一切無用だ」

 

「何だと……!?」

 

 

マネキンは作戦会議の途中で割って入ってきた上に、独断で青の二個付きーー刹那のダブルオーと、紅の二個付きーーツナのダブルオーフレイマーXと戦うと言うミスターブシドーの発言に苛立つ。

 

そんなミスターブシドーにピーリスが異を唱える。

 

 

「待ってください! 青の二個付きと戦うのはまだ良いとして、紅の二個付きとも戦うつもりですか!?」

 

「先程の言葉通りだが、何か問題でもあるのかな?」

 

「当然です!昨日説明した通り、紅の二個付きはMSのダメージをパイロットにも与える特性を持っています! ライセンス持ちである貴方にこう言うのは失礼ですが、近接戦闘型である貴官のアヘッドでは紅の二個付きと相性が悪い!」

 

 

ピーリスはツナのダブルオーフレイマーXがMSのダメージをパイロットにも与える特性があることに気付いており、昨日の戦闘から圧倒的な格闘戦能力を持つツナのダブルオーフレイマーXに近接戦を挑むのは無謀であることを痛いほど身に染みており、ミスターブシドーの搭乗機である近接戦闘型アヘッドーー『サキガケ』はツナのダブルオーフレイマーXと相性が悪いと指摘する。

 

 

「ピーリス中尉……紅の二個付きと交戦した貴官の言うことは説得力があり、近接戦で無類の強さを誇る紅の二個付きと私の機体では相性が悪いと思うのも最もだ」

 

「それなら……!」

 

「だが遠距離からの攻撃を仕掛けても、紅の2個付きに神速のスピードで一気に間合いを詰められ、結果的に相手の得意な近接戦に持ち込まれる。それに紅の二個付きのパイロットも相当な技量の持ち主だ。下手な鉄砲も数撃てば当たると言う訳では無いことを、紅の二個付きと交戦した君自身よく理解していると思うが?」

 

「そ、それは……!」

 

 

ミスターブシドーのその切り返しに、ピーリスは言葉を詰まらせる。

 

昨日の戦闘でツナのダブルオーフレイマーXを相手に近接戦は不利と判断し、部下達と共に遠距離からの一斉射撃を仕掛けたが、ミスターブシドーの言う通りダブルオーフレイマーXの神速の如きスピードとツナの超直感により当てることさえ叶わなかったのも事実なので、反論の余地が無かった。

 

 

「近接戦も遠距離からの攻撃も通用しない化け物相手にどう挑むつもりだ?」

 

「無論、私の得意とする近接戦で挑むつもりだ」

 

「何を馬鹿なことを……! 馬鹿正直に真っ向勝負を仕掛けるつもりか!?」

 

「如何にも。下手な小細工をするよりは、多少のダメージを覚悟に真っ向勝負を仕掛けた方がマシと言うもの。それとも、マネキン大佐には紅の二個付きに対抗する為の上等な策がおありなのかな?」

 

「くっ、それは……!」

 

「無いのであれば、これ以上私の戦いに口を挟むのはご遠慮願いたい」

 

「何だと……!」

 

 

カティとミスターブシドーの間に流れる、一触即発が起こりかねない空気を見かねた一人の兵士ーー『バラック・ジニン』が立ち上がり、マネキンをなだめようとする。

 

 

「まあ良いではないですか、マネキン大佐。ライセンスを持つ噂のミスターブシドー、その実力拝見したいものです」

 

 

ジニンは威嚇するように棘のある言葉でそう言う。

 

それに続くようにブリーフィングルームに居る者全てがミスターブシドーに煽る様な眼差しを向けるが、ミスターブシドーはその視線を一切気にしていなかった。

 

 

「ご期待にはお答えしよう。叱らば」

 

 

一言そう言うと、ミスターブシドーは立ち去った。

 

 

「作戦を開始する」

 

 

カティはミスターブシドーの後ろ姿を見送った後、ソレスタルビーイング打倒の為、作戦を開始する。

 

 

『はっ!』

 

 

ブリーフィングルームにいた全員が起立し、カティに敬礼をする。

 

カティもそれに答えて敬礼を返すと、兵達は各自のMSに搭乗する為、部屋から出て行く。

 

それから暫くして、連邦軍の大型空母からアロウズのMSが随時発進をして行く。

 

最新型のGN-X IIIとアヘッドで構成されたMS部隊が飛び立っていく。

 

無論その中にはミスターブシドーのサキガケや、ピーリスのスマルトロンのカスタムアヘッドの姿があった。

 

 

『ガンダムを確認した、これより作戦行動に入る。これより各小隊に分かれてガンダムを各個撃破する。ミスターブシドー』

 

「何か?」

 

『ドライブ二個付きのガンダム2機は任せますよ』

 

「望む所だと言わせて貰おう」

 

 

ジニンの言葉に、ミスターブシドーはそう返す。

 

 

「紅の二個付きはミスターブシドーに任せ、我が隊は羽根付きを目標とする。アンドレイ少尉、昨日の怪我が完治していないんだ。無理はするな」

 

『了解です、中尉』

 

 

ピーリスの言葉に、昨日の怪我から応急処置で復帰したアンドレイが通信でそう答える。

 

 

「行くぞ!」

 

 

ピーリスの機体に3体のGN-X IIIが続き、その中には……

 

 

「ついに仇が討てるよ、パパ、ママ……」

 

 

沙慈のガールフレンドで、4年前にネーナの『ガンダムスローネドライ』によって両親を奪われた過去を持つ短い金髪の少女ーー『ルイス・ハレヴィ』は憎しみの光を募らせ、ガンダムへの復讐に静かに燃えていた。

 

 

『全機、攻撃……!』

 

 

視認したソレスタルビーイングのガンダム5機に対し、ジニンが全機への攻撃開始の命令を出そうとした……その瞬間、紅の二個付きことツナのダブルオーフレイマーXが視界から消える。

 

 

『何っ!?』

 

「紅の二個付きが消えた!?」

 

『中尉!』

 

「各機、注意しろ! 何処から紅の二個付きの攻撃が来るかわからないぞ!」

 

「何処から来る、炎のガンダム……!」

 

 

アロウズのMS部隊がツナのダブルオーフレイマーXからの攻撃に警戒する中……

 

 

『うわああああっ!?』

 

『っ!?』

 

 

1機のGN-X IIIが何かにぶっ飛ばされたかのように猛スピードで落下と同時に海へと叩きつけられ、そのまま力無く海に浮かんでいた。

 

1機のGN-X IIIを殴り飛ばしたのは勿論ツナのダブルオーフレイマーXで、アロウズのMS部隊の前にその姿を現す。

 

 

『こ、こいつ!』

 

『よくも!』

 

『くらえ!』

 

 

2機のGN-X IIIと1機のアヘッドがそれぞれGNランスとGNビームライフルから粒子ビームを放つが……ツナのダブルオーフレイマーXはまたもや視界から消える。

 

 

『また消えた!?』

 

『一体、何処へ……ぐああっ!?』

 

『がああっ!?』

 

 

突如2機のGN-X IIIの背部から小規模の爆発が発生し、2機のGN-X IIIのパイロットは背中に大きな激痛と火傷を負う。

 

何が起きたかと言うと、背後に移動したツナのダブルオーフレイマーXがGNブレイズガンからの出力調整した粒子ビームを放ち、2機のGN-X IIIの擬似GNドライブを狙い撃って破壊したのだ。

 

 

『し、しまった、擬似GNドライブが!?』

 

『うわああああああっ!?』

 

 

擬似GNドライブを破壊された2機のGN-Xは機能停止し、そのまま海へと落下するのだった。

 

 

『おのれ!』

 

 

1機のアヘッドがGNビームライフルから粒子ビームを連射するが、神速のスピードを持つツナのダブルオーフレイマーXに掠りさえできず、接近を許してしまう。

 

 

『速っ……ぐっ!?』

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXは脚部のGNビームブレイドでアヘッドのGNビームライフルを持つ右腕を切断し、さらには炎を灯した拳撃をアヘッドの胴体に叩き込む。

 

 

『ぐはあ……っ!?』

 

 

鳩尾に激しい衝撃を受けたアヘッドのパイロットはそのまま気絶し、アヘッドは力無く海へと落下する。

 

 

「くっ……ガンダムーーー!!」

 

『ハレヴィ准尉!』

 

「よせ!」

 

 

仲間達を次々に戦闘不能にされ、怒りに燃えるルイスのGN-X IIIがピーリスやアンドレイの静止を無視して単機でツナのダブルオーフレイマーXに突撃する。

 

ルイスのGN-X IIIの突撃に気付いたツナのダブルオーフレイマーXは炎が灯されている右手を前に出す。

 

 

「その自慢の拳を串刺しにしてやるーーー!!」

 

 

ルイスはツナのダブルオーフレイマーXの右手に目掛けてGNランスを突き出す……しかし。

 

 

「なっ!?」

 

 

ルイスのGN-X IIIのGNランスはツナのダブルオーフレイマーXの右手を貫くことは無く、逆に先端が高密度の炎の熱によって溶け、押し潰されたかのような形へと変形した。

 

 

「くっ、だったら!」

 

 

ルイスは使い物にならなくなったGNランスを捨てると同時にGNビームサーベルを取り出し、ツナのダブルオーフレイマーXに向けて振り下ろすが……

 

 

「う、嘘……!?」

 

『ば、馬鹿な!?』

 

「ビームサーベルを、マニピュレーターで掴んだだと……!?」

 

 

なんとツナのダブルオーフレイマーXは炎を灯した右手でルイスのGN-X IIIのGNビームサーベルの光刃を掴むと言う、普通のMSではできないことをやって見せるのだった。

 

そして、ツナのダブルオーフレイマーXはGNビームサーベルの光刃を掴んだ状態のまま……

 

 

「がはあっ!?」

 

 

GN-X IIIの胴体に炎を灯した左拳による拳撃を叩き込み、ルイスの鳩尾にダメージを与え、さらには背後に回り込むと……

 

 

「あう……っ!?」

 

 

GN-X IIIの首筋に炎を灯した手刀を叩き込み、ルイスの首筋にダメージを与えた。

 

その攻撃を受けたルイスは……

 

 

「パパ……ママ……ごめん……」

 

 

意識を失い、ルイスのGN-X IIIは力無く海へと落下した。

 

 

『ハレヴィ准尉!!』

 

「くっ! 1分も満たない内に5機も戦闘不能にされるなんて……!」

 

『あ、あれは本当にMSなのか……!?』

 

 

ピーリス、アンドレイ、ジニンを始めとしたアロウズのMSパイロット達は、1分も満たない内に5機も戦闘不能にしたツナのダブルオーフレイマーXの恐るべき強さに戦慄する中……

 

 

「何というスピード、何というパワー、何という常識外れ! 素晴らしい! 少年以外でここまで私を魅了するガンダムが存在するとは! それでこそ戦い甲斐があると言うものだ!」

 

 

ミスターブシドーは強敵に出会えた喜びから興奮し、ツナのダブルオーフレイマーXへの闘志を漲らせていた。

 

一方、ダブルオーフレイマーXに乗るツナも……

 

 

「俺の死ぬ気の炎が燃えている内は、フェルト達……プトレマイオスの皆を誰1人やらせはしないぞ、アロウズ!」

 

 

ソレスタルビーイング……プトレマイオスクルー達を守ると言う覚悟のもと闘志を漲らせ、それに呼応してダブルオーフレイマーXの炎は炎圧と共に純度を増し、さらに燃え上がらせるのだった。

 

ソレスタルビーイング VS アロウズの戦いはさらに激化する……!

 

 

To Be Continue……




次回の話ではツナだけでなく、刹那達も頑張って活躍させます(^◇^;)

次回も応援よろしくお願いします^_^


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第12話 宿命の対決・前編

長らく更新を停滞しててすみません(^◇^;)

漸く最新話を更新できましたので、よろしくお願いします^_^


1分も満たない内にアロウズのMSを5機も戦闘不能にしたツナとダブルオーフレイマーX。

 

ツナの圧倒的な活躍にアロウズのMS部隊は勿論、刹那やティエリア達も驚きを隠せなかった。

 

 

「これがツナとダブルオーフレイマーの力……」

 

「凄い……一度見たことがあっても、あの強さには驚かされるよ……」

 

「あんだけ強いと、俺達の必要性無くなって来るな……」

 

「気持ちはわかるが、ツナ1人だけ戦わせる訳にいかない。我々もやるぞ!」

 

「ああ!」

 

「了解!」

 

「オーライ!」

 

「行くぞ!」

 

 

刹那達も戦闘を開始する。

 

 

『ソレスタルビーイングのガンダム4機が来ます!』

 

「迎え撃つぞ!」

 

「待ち侘びたぞ、少年!」

 

 

刹那達のガンダムの接近に気付いたアロウズのMS部隊は迎撃を開始する。

 

最初にティエリアがセラヴィーの両手に持つGNバズーカIIを両肩のGNキャノンと連結させると……

 

 

「ツインバスターキャノン、発射!!」

 

 

大出力の粒子ビームをアロウズのMS部隊に向けて発射するが、今までのガンダムの戦闘データの分析も進んでおり、セラヴィーの放った粒子ビームはあっさりと回避されてしまう。

 

 

『落ちろ、ガンダム!!』

 

 

1機のGN-X IIIがGNランスを構え、セラヴィーに突進すると同時にGNランスを突き出す。

 

対するティエリアは素早く反応し、GNバズーカIIを両肩のGNキャノンから切り離すと、迫り来るGNランスにGNバズーカIIを斜めに当てがい、攻撃を受け流す。

 

その一瞬敵機の動きが止まり、ティエリアはセラヴィーの右膝のGNキャノンを敵機のコクピットに向けて発射する。

 

 

『このくらい!』

 

「避けた!?」

 

 

粒子ビームを避けたGN-X IIIがGNランスに搭載されているバルカンを撃つ。

 

ティエリアは回避行動を取りながら、GNフィールドを展開して機体を守る。

 

GN-X IIIがティエリアのセラヴィーに猛攻を仕掛ける中……

 

 

「俺の事を忘れてもらっちゃ困るぜ!」

 

『何っ!?』

 

 

ロックオンのケルディムがGNスナイパーライフルIIでGN-X IIIの右足を狙撃し、バランスを崩させる。

 

 

「もういっちょ!」

 

 

ロックオンは再度ケルディムのGNスナイパーライフルIIから粒子ビームを放ち、放たれた粒子ビームをGN-X IIIの胴体を撃ち抜き、その機体を爆散させた。

 

 

「ふう……余計なお世話だったかな?」

 

「いいや、おかげで助かった。感謝する」

 

「お、教官殿に礼を言われるなんて、明日は大雪が降りそうだ♪」

 

「フッ……馬鹿を言っている暇は無いぞ。次が来る!」

 

「オーライ、狙い撃つぜ!」

 

 

ティエリアとロックオンは攻撃を再開する。

 

 

「突破口を開く!」

 

 

ティエリアのセラヴィーはGNフィールドで防御しながら、GNバズーカで敵機を次々に撃墜して行く。

 

ロックオンのケルディムも海上スレスレで仰向けに飛行しながら、GNスナイパーライフルIIで敵機を狙撃して行く。

 

 

『メイチュウ、メイチュウ!』

 

「言っただろ? 今日は本気モードだって!」

 

 

ロックオンはライフル型コントローラーのスコープを覗きながら、次のターゲットに狙いを定めて行く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、刹那とアレルヤ、そしてツナは3機で連携を取りながら確実に敵機の数を減らして行く。

 

 

「僕が敵を撹乱する。刹那とツナ君はその隙を狙って!」

 

「了解。行くぞ、ツナ!」

 

「ああ!」

 

 

飛行形態となったアレルヤのアリオスが猛スピードで飛翔し、単機でアロウズのMSに突入する。

 

アロウズのMSはアリオスに向けて粒子ビームを一斉に放つが、アレルヤの巧みな操縦技術とアリオスの機動力によって尽く躱される。

 

アレルヤのアリオスは敵機の粒子ビームの雨を回避した後MS形態になり、GNツインビームライフルやGNサブマシンガンから粒子ビームを連射し、アロウズのMSを攻撃または牽制して敵機の陣形を崩す。

 

陣形が崩れたアロウズのMSに対し……

 

 

「「うおおおおおおおっ!!」」

 

『な、何っ!?』

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXと刹那のダブルオーが猛スピードで敵機に接近し……

 

 

「はああっ!!」

 

『ぐあああっ!?』

 

「破壊する!」

 

『うわああああああっ!!?』

 

 

ダブルオーフレイマーXの炎の拳撃と、ダブルオーのGNバスターソードIIの斬撃で、次々に敵機を戦闘不能または撃墜して行く。

 

 

『この!』

 

 

1機のGN-X IIIがツナのダブルオーフレイマーXと刹那のダブルオーに向け、GNランスのバルカンを連射しながら突撃する。

 

その攻撃に対し、刹那のダブルオーがシールドモードにしたGNバスターソードIIからGNフィールドを展開して防御し……

 

 

「ふんっ!!」

 

『ぐはあっ!?』

 

 

素早くGN-X IIIの懐に入ったツナのダブルオーフレイマーXが鉄拳を浴びせ、敵機を海へと叩き落とす。

 

 

「Xカノン!!」

 

『ぐっ!』

 

『くそっ!』

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXは次の標的であるアヘッドとGN-X IIIに向け、GNブレイズガンからの大空の炎を含んだ粒子ビームで牽制すると……

 

 

「刹那! アレルヤ!」

 

「「了解!」」

 

『『何っ!?』』

 

 

両手にGNバスターソードIIとGNソードIIショートを携えた刹那のダブルオーと、GNビームサーベルを抜刀したアレルヤのアリオスが敵機の隙を突いて接近する。

 

 

「はあああっ!!」

 

『ぐああああああっ!!!』

 

 

アレルヤはアリオスのGNビームサーベルでGN-X IIIを斬り裂いて撃墜し……

 

 

「そこだ!」

 

『何っ!? うわぁっ!?』

 

 

刹那はダブルオーの左手に持つGNソードIIショートの先端を射出してアヘッドの腕に突き刺し、そのままパワー任せにアンカーを引っ張り、アヘッドの姿勢制御を崩すと……

 

 

「でやああっ!!」

 

『うあああああああっ!!!』

 

 

右手に持つGNバスターソードIIでアヘッドを斬り裂き、敵機を爆散させる。

 

 

「ふっ! はっ! せいっ!!」

 

『ぐはあっ!?』

 

『がああっ!?』

 

『ぐああっ!?』

 

 

ツナは風(フォン)との修行で鍛え上げられた体術でアロウズのMSを次々に戦闘不能……敵機のパイロット達を気絶させて行く中……

 

 

『紅の二個付き! よくもハレヴィ准尉を!』

 

「っ!」

 

 

アンドレイのGN-X IIIがGNランスを構えながら突撃して来る。

 

アンドレイはGNランスをツナのダブルオーフレイマーXに向けて刺突を放つが、ツナは機体を少しずらすことでその攻撃を難なく回避すると同時にアンドレイのGN-X IIIの胴体に炎の拳撃を放つ。

 

 

『ぐはあっ!? くっ、ここだ!』

 

「っ!?」

 

 

アンドレイはダメージを受けながらも何とか耐え、咄嗟にツナのダブルオーフレイマーXの腕を掴む。

 

 

『捕らえたぞ、紅の二個付き! 覚悟!!』

 

 

アンドレイはGN-X IIIのGNビームサーベルを抜刀し、ツナのダブルオーフレイマーXに振り下ろそうとするが……

 

 

「獅子戦吼!!」

 

『ぐああああああああっ!!!』

 

 

ツナは慌てる事なく、アンドレイのGN-X IIIの胴体に叩き込んだ拳をグーからパーの形に変えると、その掌底から獅子の形をした闘気を放ち、アンドレイのGN-X IIIを大きく吹き飛ばし、海へと叩き落とす。

 

 

「ふう……」

 

「ツナ、大丈夫か?」

 

 

刹那のダブルオーがツナのダブルオーフレイマーXに近付き、通信を入れる。

 

 

「ああ、今のところ問題はないさ」

 

「そうか、それなら良いが……」

 

「? どうかしたか?」

 

「いや……俺達がお前の目の前で敵の命を奪っていることに、お前に嫌な思いをさせていないか心配になってな……」

 

「刹那……」

 

 

死戦を潜り抜けてきたとは言えまだ子供で、敵の命を奪わないようにしているツナの目の前で、『いつも』のように敵の命を奪っていることに気付いた刹那はツナに嫌な思いをさせてしまっているのではないかと心配になり、気遣うようにそう言う。

 

ツナはそんな刹那の優しさを嬉しく思い、口元を緩ませる。

 

 

「大丈夫だよ、刹那。俺自身覚悟を決めてこの戦いに臨んでいるし、刹那達の戦いを否定するつもりも無いよ。皆、生き残る為に必死なのはわかっているからな……」

 

「ツナ……」

 

「寧ろ俺の方が……俺の戦い方に刹那達が不満を持っていないかとか、刹那達に迷惑かけていないかとかの心配があるんだが……」

 

「フッ……その心配はいらない。俺達はツナに俺達の戦い方を強要するつもりは無いからな。寧ろ敵を戦闘不能にしてくれるだけで、十分助かっている」

 

「そうか……それを聞けて少し安心したよ」

 

「お互い安心したところで、次の目標へ向かうぞ」

 

「ああ!」

 

 

ツナと刹那が戦闘を再開しようとした……その時。

 

 

『セイエイさん、沢田さん! ダブルオーとダブルオーフレイマーに接近する機体があるです!とんでも早いです!』

 

「「っ!」」

 

 

ミレイナからの敵の情報が通信で伝えられ、レーダーで確認すると、単機で刹那のダブルオーとツナのダブルオーフレイマーXに接近してくる機体ーーミスターブシドーのサキガケの姿があった。

 

 

「お手わせ願おう! 少年! 炎のガンダムよ!」

 

「あの新型は……! ツナ、アイツは俺が引き受ける。お前はティエリア達の援護を頼む」

 

「だが、1人だけでは……って、刹那!?」

 

「フッ、まずは少年からか……良いだろう! 来い!」

 

 

刹那はツナの返事を聞かぬまま、接近して来るミスターブシドーのサキガケに向けてダブルオーを移動させる。

 

そして刹那のダブルオーは右手に持つGNバスターソードIIをマウントし、GNソードIIロングに持ち替えるとソードモードからライフルモードに切り替え……

 

 

「狙い撃つ!」

 

 

ライフルモードになったGNソードIIロングから粒子ビームをミスターブシドーのサキガケに向けて放つが、対するサキガケはスラスターを右に噴かせて迫り来る粒子ビームを回避する。

 

刹那はすぐさまもう一発粒子ビームを放つも、これもまたサキガケに避けられてしまう。

 

 

「ほう、射撃も上手くなったものだ」

 

 

ミスターブシドーはまるで刹那と以前戦ったことがあるかのように、喜びに震えながら刹那の射撃の腕を評価していた。

 

 

「くっ! ならば!」

 

 

射撃に見切りを付けた刹那はGNソードIIロングをソードモードに切り替え、GNソードIIロングとGNソードIIショートの二刀流を構えた状態でダブルオーを敵機に向けて突撃させる。

 

 

「はあああっ!!」

 

「それでこそだ! 少年!!」

 

 

刹那のダブルオーの斬撃に対し、ミスターブシドーもサキガケの左腰から日本刀の様な刀身のGNビームサーベルを引き抜いて受け止め、刹那のダブルオーとミスターブシドーのサキガケは火花が散る程の鍔迫り合いを展開した後、激しい斬撃の応酬を繰り広げる。

 

 

「刹那!」

 

 

ツナはミスターブシドーのサキガケと交戦している刹那に加勢すべく、猛スピードでダブルオーフレイマーXを飛翔させるが……

 

 

『仲間の加勢には行かせんぞ、紅の二個付き!』

 

「くっ、邪魔をするな!」

 

 

ジニンのアヘッドを始めとしたアロウズのMS達の妨害に遭い、囲まれ始める。

 

 

「ツナ君!」

 

 

アレルヤのアリオスがツナの加勢に向かうが……

 

 

「見つけたぞ! 被験体E-57!!」

 

「っ! あの機体は……マリーか!?」

 

 

ピーリスのスマルトロンがアリオスの前に立ちはだかり、それを見たアレルヤはピーリスのことを『マリー』と呼んでいた。

 

実はソーマ・ピーリスと言うのは仮の名前で、彼女の本当の名は『マリー・パーファシー』。

 

かつてアレルヤが人類革新連盟の超人機関技術研究所……通称『超兵機関』にいた頃に出会った少女で、『被検体E-57』として脳の施工手術をされ、自身の名前や過去の記憶など一切を失ったアレルヤに『神様への感謝の言葉』の意味を持つ『アレルヤ』と言う名前を与えた人物である。

 

その頃のピーリス……マリーは五感が全くなく、アレルヤとは脳量子波を通じてしか会話できなかったが、それでも2人は心を通い合わせていく……しかし、そんな2人の時間は長く続かなかった。

 

超兵として安定しないアレルヤや他の被検体達は失敗作として処分される事になり、死にたくなかったアレルヤ達は輸送船を奪取し、機関を脱走する事を決めた。

 

アレルヤはマリーの身を案じたが、当時自身の事でいっぱいだったアレルヤは彼女と別れる事になった。

 

そして、アレルヤと離れ離れになったマリーは新たな人格ーーソーマ・ピーリスを植え付けられる事で五感を復活させられ、超兵1号として人類革新連盟軍のパイロットとなり、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターであるアレルヤと敵対することになってしまったのだ。

 

4年前にピーリスがマリーであることを知ったアレルヤは彼女を取り戻すべく再びガンダムに乗り、今まさにその機会を得たアレルヤは通信でピーリスを説得しようと必死に叫ぶ。

 

 

「マリー! 僕だ、アレルヤだ! 昔、ラボで一緒に居た……!」

 

「私はマリーなどと言う名前では無い! 私はソーマ・ピーリス、超兵だ!!」

 

 

だがピーリスにはアレルヤの声は届かず、ピーリスのスマルトロンは容赦無くアレルヤのアリオスを攻撃し、アレルヤもGNツインビームライフルからの粒子ビームで牽制しようとするが、ピーリスは怯むことなくGNビームサーベルを抜刀すると、アレルヤのアリオスを突き刺そうと突撃する。

 

そして、スマルトロンのGNビームサーベルによる刺突がアリオスのGNツインビームライフルを斬り裂き、アリオスの胴体を貫くが……

 

 

「マリー!!」

 

「っ!?」

 

 

アレルヤが間一髪機体をずらしたことでコクピットへの直撃は避けられ、アリオスは装甲をGNビームサーベルで貫かれながらもスマルトロンにがっちりと組み付き、離さずにいた。

 

 

「くっ、こいつ!」

 

「もう放さない、マリー!」

 

 

ピーリスはアームレイカーを動かすが機体はビクとも動かず、アレルヤのアリオスとピーリスのスマルトロンは組み合った状態のまま何処かへ墜落するのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジニン達のMSと交戦しているツナはと言うと……

 

 

「はああっ!!」

 

『ぐはあっ!?』

 

『がああっ!?』

 

 

強力な炎の拳撃やGNビームブレイドを伴った蹴りで次々に戦闘不能にして行くが、あまりの数にキリがなかった。

 

 

「くっ、このままじゃ埒が明かない! こうなったら……!」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXは包囲網を突破すると、ジニン達のMSの周囲を回転するように高速で移動し始める。

 

 

『な、何だ!?』

 

『紅の二個付きが妙な動きを!』

 

『くそっ、速過ぎて捉えられない!』

 

『各機、奴の動きに注意しろ! どんな攻撃を仕掛けて来るか読めん!』

 

 

ジニン達は自分達の周囲を動き回るツナのダブルオーフレイマーXに戸惑いながらも警戒するが……警戒するあまり機体を密集させてしまい、それがツナの狙いだと言うことに気付かずにいた。

 

 

「今だ! 超Xストリーム!!」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXは超高速の回転移動によって発生させる大空の炎の竜巻ーー『超X(ハイパーイクス)ストリーム』を繰り出し、ジニン達のMSを炎の竜巻で包み込む。

 

 

『ぐあああああああああっ!!!』

 

『『『うわああああああああっ!!!』』』

 

 

超Xストリームの回転の遠心力と炎の熱風による激しいダメージと高熱が、大空の炎の調和によって機体と強制的にシンクロ状態にされたジニン達の体を襲う。

 

 

『う……ぐ……く、くそ……』

 

 

ツナの超Xストリームが終わった後、全身に大きなダメージを受けたジニン達はそのまま意識を失い、気絶した彼らを乗せた機体は力無く海へと落下した。

 

 

「刹那、今行くぞ!」

 

 

ジニン達のMSを退けたツナは刹那の元へと急ぐ。

 

一方、ミスターブシドーのサキガケと交戦している刹那はまだ慣れない武器であるセブンソードを駆使して攻撃を仕掛けるが、ミスターブシドーに攻撃の全てを見切られてしまい、苦戦を強いられていた。

 

 

「その新装備、使いこなせていないようだな! はああっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 

サキガケのGNビームサーベルによる一閃で、刹那はダブルオーの左手に持っていたGNソードIIショートを振り落とされてしまう。

 

ツインドライブの出力が100%安定していない上、セブンソードによって重量バランスが整っていない刹那のダブルオーと比べ、機体のポテンシャルをフルに使い切る事で接近戦ではガンダムと対等に戦えるよう設計されているミスターブシドーのサキガケは、ミスターブシドーの高い技量も合わさって戦闘力が高く、常に優勢である。

 

刹那のダブルオーはGNソードIIロングをマウントし、GNバスターソードIIに持ち替えるとミスターブシドーのサキガケに斬りかかるが……

 

 

「そのような大振りの攻撃が当たると思うか!」

 

「くっ!」

 

 

GNバスターソードIIは攻撃力が高い分重量があり、取り回しが難しい武器であることから攻撃が大振りになってしまうので、手練れであるミスターブシドーの機体に当てるのは至難の業であった。

 

 

「ならば!」

 

 

刹那はダブルオーのGNバスターソードIIを左手に持ち替えてシールドモードにし、さらには右手にGNソードIIロングを持ち、ライフルモードにする。

 

そして、刹那のダブルオーは右手のGNソードIIロングから粒子ビームを発射しつつ、左手のGNバスターソードIIからGNフィールドを展開した状態で、ミスターブシドーのサキガケに向かって斜め上から突撃する。

 

 

「特攻とは面白い! 受けてたとう!!」

 

 

ミスターブシドーのサキガケも迫り来る粒子ビームを回避しながら、GNビームサーベルを構えた状態で突撃し、刹那のダブルオーのGNバスターソードIIにGNビームサーベルの斬撃をぶつけ、激しい鍔迫り合いを展開するが……

 

 

「ぬおっ!?」

 

 

突如前方から衝撃が走るのと同時に重くなるのを感じる。

 

どうやら刹那のダブルオーがGNバスターソードIIを破棄した様で、GNバスターソードIIを破棄すると同時にミスターブシドーのサキガケにぶつけると……

 

 

「狙い撃つ!」

 

 

GNソードIIロングから粒子ビームを発射し、ミスターブシドーのサキガケ……では無く、破棄したGNバスターソードIIを狙い撃つ。

 

 

「何っ!? ぐあああっ!?」

 

 

狙撃されたGNバスターソードIIはミスターブシドーのサキガケの目の前で大きな爆発が起き、その爆発によってミスターブシドーの機体は大きくバランスを崩す。

 

 

「貰った!」

 

 

刹那は機体の重量が軽くなったダブルオーを猛スピードで駆り、ソードモードにしたGNソードIIロングをミスターブシドーのサキガケに向けて振り下ろすが……

 

 

「くっ! 何のこれしき!!」

 

「何っ!?」

 

 

ミスターブシドーはサキガケの両肩のスラスターを大きく噴かして移動し、サキガケの左足を犠牲にすることで撃墜を免れた。

 

 

「やるな、少年! そこでこそ戦い甲斐があると言うものだ! うおおおおおっ!!」

 

「くっ!」

 

 

体勢を立て直したミスターブシドーのサキガケはGNビームサーベルを構え、刹那のダブルオーに再び斬りかかる。

 

対する刹那はダブルオーのGNソードIIロングでの粒子ビームでミスターブシドーのサキガケを牽制しようとするが、ミスターブシドーの猛攻は止まる気配が無く……

 

 

「射撃だけでは私を倒せんぞ、少年! でやああっ!!」

 

「ぐあっ!?」

 

 

遂にはダブルオーの唯一の射撃兵装であるGNソードIIロングも、サキガケのGNビームサーベルによって振り落とされてしまう。

 

 

「貰ったぞ、少年!!」

 

 

両手に武器が無くなった刹那のダブルオーに向けて、ミスターブシドーのサキガケがGNビームサーベルを斜めに一閃する。

 

 

「いいや、まだだ!」

 

 

迫り来るミスターブシドーのサキガケのGNビームサーベルに対し、刹那はダブルオーの右足を蹴り上げ、脹脛に増設されたハードポイントに装備されているGNカタールで無理矢理斬り付ける。

 

 

「何と!?」

 

「うおおおおおっ!!」

 

「ぬぐっ!?」

 

 

刹那はGNカタールでGNビームサーベルの斬撃を受け流すと同時にミスターブシドーのサキガケを蹴り飛ばし、ダブルオーの腰部にマウントされているGNビームサーベル1本を取り出すと……

 

 

「GNダガー!!」

 

「ぐっ!?」

 

 

ダガーモードに出力を調整したGNビームサーベルを、ミスターブシドーのサキガケの右肩に向けて素早く投擲し、投擲されたGNビームサーベルは見事サキガケの右肩に突き刺さると同時に爆発して、サキガケの右腕、そして右肩のスラスターやGNシールドを使用不能にする。

 

刹那はもう1本のGNビームサーベルを右手に持ちながら突撃し、対するミスターブシドーも残っている左手のGNビームサーベルで迎撃し、ダブルオーとサキガケは同じGNビームサーベルで斬り結んで行く。

 

 

「このような技を持っていようとは、嬉しいぞ少年!」

 

「はああああっ!!」

 

「だが……それでも歯ごたえがない!!」

 

「ぐっ!?」

 

 

同じGNビームサーベルでもサキガケの方が出力が高く、ダブルオーはパワー負けしてしまう。

 

 

「手を抜くか、それとも私を侮辱するか!」

 

「このままでは……!」

 

「ガンダム、引導を渡す!!」

 

「くっ!(こうなったら、トランザムを……!)」

 

 

GNビームサーベルで一刀両断しようとするミスターブシドーのサキガケに対し、追い詰められた刹那はイアンから使用を禁止されていたダブルオーのトランザムを使用しようとした……その時。

 

 

「させるか!」

 

「ぐああっ!?」

 

「っ! ツナ!」

 

 

間一髪のところでやって来たツナのダブルオーフレイマーXがミスターブシドーのサキガケを大きく蹴り飛ばしたことにより、トランザムを使わずに済むのだった。

 

 

「大丈夫か、刹那?」

 

「すまないツナ、おかげで助かった……」

 

「気にするな。それよりも刹那は一旦プトレマイオスに戻ってくれ。あいつの相手は俺がする」

 

「しかし……!」

 

「ほとんどの武装が失われているその状態で、これ以上の戦闘続行は難しいだろ? 一旦戻って、イアンに補給・整備して貰った方が良い」

 

「……確かにそうだな」

 

 

ツナの言う通り、今のダブルオーに残っている武装はGNビームサーベル1本とGNカタール2本のみで、これ以上の戦闘続行が難しいのは刹那も理解していた。

 

 

「わかった。奴の相手は任せるが、無理はするなよ」

 

「ああ、わかっているさ」

 

「あと……良かったら、こいつを使ってくれ」

 

 

刹那はダブルオーの脹脛のハードポイントからGNカタール2本を取り外し、ツナのダブルオーフレイマーXに渡す。

 

 

「良いのか?」

 

「ああ。お前とダブルオーフレイマーの戦闘スタイルを見る限り、相性の良い武器だと思う」

 

「そっか……わかった、ありがたく使わせて貰うよ」

 

「俺が戻るまでの間、絶対に死ぬな」

 

「了解。まあ、俺自身死ぬつもりはまったく無いけどな」

 

「フッ、そうだったな。では、頼むぞ」

 

「ああ!」

 

 

刹那のダブルオーはプトレマイオスに戻り、ツナのダブルオーフレイマーXは両手にGNカタールを携え、体勢を立て直したミスターブシドーのサキガケに向かって飛翔する。

 

 

「フッ、交代と言ったところか……面白い! 手合わせできて光栄だ、炎のガンダムよ!」

 

「刹那の代わりに、お前を死ぬ気で倒す!」

 

 

大空(ツナ)と武士道(ミスターブシドー)が、今激突する!

 

 

To Be Continue……




刹那も善戦しましたが、やはりツインドライブが100%安定できていない序盤のダブルオーでグラ……ミスターブシドーに勝つのは難しいので、ツナに交代して貰いました。

次回はツナVSミスターブシドーで、決着をつけます。

次回も応援よろしくお願いします^_^


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第13話 宿命の対決・後編

ツナ VS ミスターブシドー

果たして、勝つのはどちらなのか?

最新話よろしくお願いします^_^


ソレスタルビーイングとアロウズの海上での激しい戦闘の最中、プトレマイオス2はティエリアのセラヴィーやロックオンのケルディムの援護を受けながら、アロウズのMSをGNキャノンやGNミサイルで迎撃していた。

 

それと並行して、補給の為に帰艦した刹那はモビルスーツデッキにてダブルオーのコクピットから降りると、出迎えたイアンに補給を急ぐよう頼んでいた。

 

 

「イアン、ダブルオーの補給を急いでくれ。補給が完了次第、すぐにツナの加勢に向かう」

 

「急かすな! ったく、新造したばかりのセブンソードを早速全部ダメにしおって!」

 

「すまない……」

 

「まあ、トランザムを使わなかっただけでも良しとするか。兎に角、ダブルオーを通常の装備に換装させるから少し待て」

 

「わかった」

 

 

刹那とイアンがそう会話していると、モビルスーツデッキに1人の青年ーー沙慈が入って来る。

 

 

「! 沙慈・クロスロード」

 

「おおーい、こっちだ!」

 

 

後ろからイアンが沙慈を手招きしながら呼ぶ。

 

どうやら沙慈もソレスタルビーイングの作戦行動に、ガンダムの整備と言う形で参加する様だ。

 

 

「良いのか? お前はガンダムを……」

 

 

ガンダムの整備とは言え、ソレスタルビーイングに参加すると言う事は戦いに加担する事になる……そのことは戦うのを嫌っていた沙慈自身よく知っている筈だ。

 

 

「良いんだ、カタロンの人達が逃げられる間は何でもやるよ……」

 

 

罪の意識に苛まれているのだろうか、刹那の問いにそう答える沙慈の目は、4年前に見た彼の目と変わっていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、交代でミスターブシドーと戦うことになったツナは……

 

 

「行くぞ!」

 

「いざ尋常に勝負!」

 

 

ミスターブシドーのサキガケに向かって猛スピードで飛翔し、ミスターブシドーのサキガケもまたツナのダブルオーフレイマーXに向かって行く。

 

 

「うおおおおおっ!!」

 

「でやああああっ!!」

 

 

ツナはダブルオーフレイマーXの両手に持つ炎を灯したGNカタールによる刺突を繰り出し、対するミスターブシドーはサキガケの左手に持つGNビームサーベルによる斬撃で迎え撃ち、互いに近接戦での激しい攻防を繰り広げる。

 

 

「くっ!(このMSのパイロット、機体が万全の状態じゃ無いのに攻撃を捌いて行くなんて、凄い操縦技術だ……他のアロウズのパイロットとは違って、一筋縄じゃいかないと言うことか……!)」

 

「(こうやって実際に対峙してみるとわかる……目の前のガンダムが人間に近い動きをしていること……そして、そのパイロットが武道の心得があり、想像以上の実力があることを!) 面白い、面白いぞ炎のガンダム! 少年以外で私をここまで奮い立たせた君を宿敵として認めようではないか!」

 

 

ツナはミスターブシドーが強敵であることを感じ、対するミスターブシドーもツナを刹那と同じ宿敵として認めるのだった。

 

 

「斬り捨て……御免!!」

 

 

ミスターブシドーはサキガケの左手に持つGNビームサーベルを勢いよく上から振り下ろすが……

 

 

「舐めるな!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

ツナはダブルオーフレイマーXの両手に持つGNカタールでその斬撃を受け流すと同時に、ミスターブシドーのサキガケを大きく蹴り飛ばす。

 

 

「まだだ!」

 

 

さらに追撃とばかりにツナのダブルオーフレイマーXは高速移動し、GNカタールによる刺突をミスターブシドーのサキガケに向けて放つ。

 

 

「何のこれしき!」

 

「くっ!」

 

 

体勢を立て直したミスターブシドーのサキガケは左手のGNビームサーベルでその刺突を受け流す。

 

 

「このまま真正面から挑んでも拉致が開かないな……なら!」

 

 

ミスターブシドーと真正面から戦っても拉致が開かないと判断したツナはダブルオーフレイマーXを猛スピードで移動すると同時に……ミスターブシドーのサキガケの前から姿を消した。

 

 

「何っ!?」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXの姿を見失ったミスターブシドーは驚くもすぐに落ち着き、冷静に辺りを確認すると……ツナのダブルオーフレイマーXが現れては消え、消えては現れるを繰り返しながら、ミスターブシドーのサキガケの周りを高速移動しているのだった。

 

 

「なるほど……神速で私を撹乱し、私の隙を突いて一気に決めようと言う考えか……悪くはないが、私の心眼の前では無意味だ!」

 

 

ミスターブシドーはそう言って目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませると……

 

 

「! そこか!」

 

 

気配が感じた方に向けてサキガケのGNビームサーベルを猛スピードで振るうと、『何か』がGNビームサーベルに当たる。

 

そこには……

 

 

「なっ!? これは、少年のガンダムの武器……!?」

 

 

サキガケのGNビームサーベルに弾かれて宙を舞うGNカタールだけが映り、ツナのダブルオーフレイマーXの姿は無かった。

 

ツナはミスターブシドーが反応したタイミングを見計らってGNカタールを投擲、そして投擲と同時に高速移動したので、ミスターブシドーは気配を感じた先にツナのダブルオーフレイマーXがいると勘違いしてしまったのだ。

 

そのことにミスターブシドーが虚をつかれていると……

 

 

「何処を見ている?」

 

「っ!?」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXが掌底を構えながら、ミスターブシドーのサキガケの懐に潜り込むと……

 

 

「しまっ……!」

 

「獅子戦吼!!」

 

「ぐああっ!?」

 

 

獅子の形をした闘気を放ち、ミスターブシドーのサキガケを大きく吹き飛ばす。

 

 

「くっ、おのれ……!」

 

 

ミスターブシドーはすぐさま体勢を立て直そうとするが……

 

 

「獅子戦吼!!」

 

「がああっ!?」

 

 

高速移動でミスターブシドーのサキガケの吹き飛んだ先に回り込んだツナのダブルオーフレイマーXが再び獅子戦吼を食らわせ、吹き飛ばす。

 

さらに……

 

 

「X(イクス)レオドライブ!!」

 

「ぐああああああああっ!!!」

 

 

高速移動で敵の吹き飛んだ先に回り込む→再度獅子戦吼を放つと言うモーションの繰り返しで、敵に獅子戦吼の連続攻撃を浴びせる技ーー『X(イクス)レオドライブ』を繰り出し、サキガケ……否、トレースリンクシステムと大空の炎の調和の併用により生じるMSとパイロットの強制リンクで、ミスターブシドーにダメージを与えて行く。

 

 

(こ、これが、ピーリス中尉の言っていたMSとパイロットが強制的にシンクロされたことによるダメージ……それに、何という技だ……反撃する暇が無い……!)

 

 

ミスターブシドーは身体中に襲い掛かる激痛に呻き、意識が飛びそうになりながらも懸命に堪え、機体の体勢を立て直そうと試みるが、ツナのダブルオーフレイマーXの高速移動と獅子戦吼の威力を活かした連続攻撃の前に為す術が無く、サキガケは今やピンボールの玉のようにあらゆる方向へ弾き飛ばされていた。

 

ツナはある程度ミスターブシドーにダメージを与えたところで……

 

 

「X(イクス)……レオバズーカ!!」

 

「ぬあああああああああっ!!!」

 

 

両手の掌底から獅子戦吼の時より強大な炎を纏った獅子の闘気を放ち、敵を吹き飛ばすと同時に爆炎で焼き尽くす獅子戦吼の強化技ーー『X(イクス)レオバズーカ』を放ち、ミスターブシドーに大きなダメージと高熱を与えつつ、サキガケを海へと叩き落とした。

 

 

「よし、次だ!」

 

 

XレオドライブとXレオバズーカの2つの大技を受けたミスターブシドーがすぐに復活することは無いと判断したツナは、ダブルオーフレイマーXをアロウズの大型空母へと猛スピードで飛翔させる。

 

 

「! ガンダムが、紅の二個付きが本艦に接近して来ます!」

 

「紅の二個付きだと!?」

 

「み、ミスターブシドーもやられたと言うのか!? ええい、MS部隊速やかに迎撃しなさい!」

 

 

リントは空母を護衛していたGN-X IIIの部隊に迎撃するよう指示を出すが……

 

 

「遅い!」

 

『ぐああっ!?』

 

『がああっ!?』

 

「そ、そんな、MS部隊がこうもあっさりと……!?」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXは驚異的なパワーとスピード、そして巧みな技で迎撃して来たGN-X IIIの部隊を瞬殺とばかりに戦闘不能にする。

 

 

「すぐに弾幕を張れ! 紅の二個付きを本艦に近付けさせるな!」

 

「りょ、了解!」

 

 

カティの指示により空母は主砲からのビームやミサイル、機関砲で弾幕を張り、ツナのダブルオーフレイマーXを近付けさせないようにするが……

 

 

「そこだ!」

 

 

ツナはGNカタールを投擲し、投擲されたGNカタールは見事敵艦の主砲に突き刺さり、主砲を爆発させる。

 

それによって弾幕が薄くなり、ツナのダブルオーフレイマーXは一気に敵艦との間合いを一気に詰めると、GNブレイズガンやGNビームブレイドを駆使して空母のミサイルや機関砲……敵艦の武装を全て破壊し、敵艦から離れて行くのだった。

 

 

「ほ、本艦の武装が全て破壊されました!」

 

「そ、そんな馬鹿な!?」

 

「あ、紅の二個付きが本艦から離れて行きます!」

 

「な、何故だ、本艦を墜とす絶好のチャンスなのに!?」

 

「紅の二個付きめ、我々に情けをかけようと言うのか!?」

 

「畜生、ふざけやがって!!」

 

 

リントを始めとした空母のクルーが情けをかけられたことに屈辱と憤りを感じる中……

 

 

「……(やはり、紅の二個付きのパイロットはこちらの命までは奪うつもりは無いか……ソレスタルビーイングと共に戦っているとは言え、奴だけは戦い方も含め異質に感じる……フッ、敵ながら不思議な奴だ)」

 

 

カティだけはダブルオーフレイマーXのパイロットであるツナの異質さに興味を持つのだった。

 

一方、敵艦の武装を破壊して無力化したツナはプトレマイオス2へ戻ろうとする中……

 

 

「逃さんぞ、炎のガンダム!!」

 

「! さっきの奴か!」

 

 

先程海へ叩き落とされたミスターブシドーのサキガケが復活しており、再びツナのダブルオーフレイマーXに斬りかかる。

 

 

「うおおおおっ!!」

 

「くっ!」

 

 

ミスターブシドーのサキガケのGNビームサーベルによる斬撃を、ツナのダブルオーフレイマーXはGNビームシールドを展開して防ぐ。

 

 

(なんて奴だ、XレオドライブとXレオバズーカを受けても意識を保っていられるなんて……!)

 

「はあ、はあ、はあ……!(ピーリス中尉が言っていた炎のガンダムの特性によるパイロットへのダメージ、予想以上に大きい……だが!) 勝利を掴む為にも、まだ倒れる訳にはいかん!!」

 

 

ガンダムに勝つと言う執念から、ミスターブシドーは身体中の激痛に構わずサキガケのGNビームサーベルで激しい剣戟を繰り出す。

 

ミスターブシドーのサキガケの猛攻を、ツナのダブルオーフレイマーXはGNビームシールドで防ぎ、受け流しながら……

 

 

「はあああっ!!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

炎の拳撃で反撃し、ミスターブシドーにダメージを与える。

 

だが……

 

 

「ぬ、ぐう……舐めるなあああっ!!」

 

「ぐああっ!?」

 

 

ダメージに耐えるミスターブシドーがサキガケをツナのダブルオーフレイマーXに向かって体当たりさせ、その体当たりを受けたツナのダブルオーフレイマーXは大きく体勢を崩す。

 

 

「隙あり!!」

 

 

ミスターブシドーは好機とばかりにサキガケのGNビームサーベルを、体勢を崩したツナのダブルオーフレイマーXに向かって振り下ろす。

 

しかし……

 

 

「やらせるか!」

 

 

ツナもただではやられないとばかりにダブルオーフレイマーXの脚部のGNビームブレイドを展開した状態で蹴り上げ、ミスターブシドーのサキガケの斬撃を防ぐ。

 

 

「なんと!?」

 

「うおおおおおおっ!!」

 

「ぐっ!」

 

 

GNビームブレイドとGNビームサーベルの鍔迫り合いの状態から、ツナのダブルオーフレイマーXはミスターブシドーのサキガケを大きく蹴り飛ばして後退させると同時に体勢を立て直す。

 

 

「こいつ相手に出し惜しみしていたらやられる……ナッツ!」

 

ボウッ!!

 

「ガウッ!!」

 

 

ツナは大空のリングVer.Xに炎を灯し、そこからナッツを呼び出すと……

 

 

「形態変化・攻撃モード(カンビオ・フォルマ・モード・アタッコ)!!」

 

ナッツ「ガオオオオオオッ!!!」

 

 

ナッツにそう指示を出し、それを聞いたナッツは咆哮と共に体を輝かせ、ツナの右手のXグローブと合体するとその姿を変えていき……

 

 

「I世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)!!」

 

 

かつてボンゴレI世ことジョットが究極の一撃を放つ際にグローブを変形させた形態と言われたガントレットーー『I世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)』へと形態変化するのだった。

 

そして、ダブルオーフレイマーXもパイロットであるツナとシンクロしているからか……

 

 

ボウッ!!

 

 

右腕に大きな炎を纏わせ、その炎は形を変えて行くと……ダブルオーフレイマーXの右腕に、MSの武装サイズではあるがツナと同じI世のガントレットが装着されるのだった。

 

 

「炎が籠手に変わっただと!?」

 

 

ツナと対峙しているミスターブシドーは勿論……

 

 

「あれは、一体……!?」

 

 

補給を終え、通常装備のダブルオーで再出撃した刹那も、ツナのダブルオーフレイマーXの右腕に現れたI世のガントレットを見て驚いていた。

 

ツナのダブルオーフレイマーXは右腕に装着したI世のガントレットを構えながら、ミスターブシドーのサキガケに向かって猛スピードで接近する。

 

 

「真っ向勝負か……良いだろう! こちらも全力で受けて立つ!」

 

 

ミスターブシドーもサキガケのGNビームサーベルに粒子をチャージしながら、最大スピードでツナのダブルオーフレイマーXに突撃すると……

 

 

「斬り捨て……御免!!」

 

「バーニング……アクセル!!」

 

 

ミスターブシドーのサキガケは残りの粒子全てをチャージしたGNビームサーベルによる斬撃を、ツナのダブルオーフレイマーXは右腕のI世のガントレットによる死ぬ気の炎を球状に収束した究極の一撃をそれぞれ放ち、中央で激突すると激しい火花が飛び散る。

 

 

「「うおおおおおおおっ!!」」

 

 

ツナとミスターブシドーの両者は共に咆哮を上げ、互いに一歩も譲らないとばかりに激しい鍔迫り合いを展開するが……2機の攻撃のぶつかり合いはそう長くは続かず、遂には……

 

 

「これで……終わりだああああっ!!」

 

「ぬうっ、ぐあああああああああああっ!!!」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXのバーニングアクセルが押し勝ち、ミスターブシドーのサキガケのGNビームサーベルは疎か左腕ごと粉砕して破壊し、後方へと大きく吹き飛ばすのだった。

 

そして、ツナのダブルオーフレイマーXに吹き飛ばされたミスターブシドーのサキガケはそのままアロウズの空母の甲板へと不時着した。

 

 

「ぶ、ブシドー機が……!?」

 

「すぐに整備班と医療班を向かわせろ!」

 

「は、はい!」

 

 

大破したミスターブシドーのサキガケを見て、リントは顔を真っ青にし、カティはミスターブシドーのサキガケの元に整備班と医療班を向かわせるように指示を出す。

 

一方、サキガケを大破させられたミスターブシドーは……

 

 

「っ! う、ぐうっ、があああああああああっ!!?」

 

 

左腕の激痛と共に感じる骨が破壊されて行く感覚に、苦しそうな叫び声を上げる。

 

トレースリンクシステムと大空の炎の調和の併用により生じるMSとパイロットの強制リンク、そしてサキガケの左腕が破壊されたことによって、ミスターブシドーの左腕は激痛と共に骨折してしまった様である。

 

ツナとダブルオーフレイマーXの攻撃を耐え抜いたミスターブシドーだが、凄まじい破壊力を秘めた究極の一撃を受けたことによるダメージには流石に耐え切れず……

 

 

(私の、完敗だ……炎の、ガンダム……そして、少年よ……)

 

 

心の中でツナと刹那に対して自身の完敗を認めながら意識を手放した。

 

意識を失ったミスターブシドーに続く形で、サキガケも粒子切れで機能停止へと至る。

 

ミスターブシドーを始めとした主戦力が失ったアロウズは……

 

 

「ぐぬぬ……悔しいですがここは退くしかありません! このままやっても全滅するだけです!」

 

「わかっている。信号弾を放って! この戦域から離脱する!

 

「了解!」

 

「MS部隊で動ける機体には、動けない機体に手を貸すよう伝えろ!」

 

「わかりました!」

 

 

勝ち目が無いと判断し、撤退行動へと移る。

 

撤退していくアロウズ部隊を見て、ツナは胸を撫で下ろす。

 

 

「ふう……何とか乗り切れたか……」

 

「ツナ、無事か?」

 

 

ツナのダブルオーフレイマーXに、刹那のダブルオーが近付く。

 

 

「刹那。ああ、この通り無事だ」

 

「良かった……援護が間に合わなくて、すまなかった。結局お前1人に任せる形になってしまった」

 

「そんなことは無いさ。刹那があの機体にダメージを与えてくれた上に、渡してくれた武装のおかげで幾分戦い易かったよ。ありがとう」

 

「そうか……お前の役に立てて何よりだ」

 

 

ツナの感謝の言葉に、刹那は柔らかな笑みを浮かべながらそう返す。

 

 

「トレミーに戻ろう。アロウズが撤退したとは言え、また敵の襲撃がいつ来るかわからない。休める時に休まないとな」

 

「そうだな」

 

 

そう言って、ツナと刹那はプトレマイオス2への帰路へ着こうとした……その時。

 

 

『刹那! ツナ君!』

 

「フェルト?」

 

「どうかしたのか?」

 

 

突如フェルトからの通信が入り、何処か慌てている様子であった。

 

 

『2人の近くにアレルヤのアリオスはいない!?』

 

「アレルヤ? いや、近くにはいないが……」

 

「そう言えば、アロウズと交戦している内に逸れてしまったが、一体何処に……?」

 

『それが……レーダーにアレルヤのアリオスの反応が無くて、所在が掴めないの!』

 

「「何っ!?」」

 

 

アロウズを退けたツナや刹那達であったが、一難去ってまた一難とばかりにピーリスと交戦していたアレルヤが行方不明になるのだった。

 

果たして、アレルヤは無事なのだろうか……?

 

 

To Be Continue……



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第14話 再会と別離と覚悟・前編

漸く最新話を投稿できました(^◇^;)

アレマリ回ですが、2人のラブシーンは多少カットした上に前編・後編に分けました(^◇^;)


激しい戦闘の末、カティ率いるアロウズ部隊を退けたソレスタルビーイング。

 

しかし、ピーリスと交戦していたアレルヤが行方不明になると言うトラブルが発生し、プトレマイオス2はミッションレコーダーでアリオスが最後に交戦したポイントを目指し、月明かりに照らされる夜の海を飛行していた。

 

今はもうアロウズの部隊も撤退しており、レーダーに何も反応は無いが、この場所に長く留まっていてはアロウズの増援部隊に発見されてしまう可能性が高いので、アレルヤの捜索及び救出は迅速に行わなければならない。

 

一旦プトレマイオス2に戻って補給を受けた刹那、ティエリア、ロックオン、そしてツナの4人は愛機にそれぞれ搭乗すると、スメラギからの通信を聞いていた。

 

 

『ガンダム各機にアリオスが最後に交戦したポイントのデータを転送しておいたわ。制限時間は3時間……その時間内に帰艦してちょうだい。それ以上は待てないわ』

 

 

スメラギはガンダムマイスター達に交戦空域のデータを転送すると同時に、3時間と言う制限時間内に帰還するよう伝える。

 

制限時間内にアレルヤを見つけられなかった場合、アレルヤは最悪置いていくしかない。

 

アレルヤもガンダムマイスターとして今まで世界を変えようと戦って来てくれた……だからこそ、もしもの時にどうするかは覚悟出来ているだろう。

 

ツナとガンダムマイスター達は制限時間内にアレルヤを見つけ出すことを誓い、発進しようとしていた。

 

 

『セラヴィー、ケルディム、カタパルトに固定完了! 発進どうぞです!』

 

「了解。セラヴィー、ティエリア・アーデ行きます!」

 

「ケルディム、ロックオン・ストラトス狙い撃つ!」

 

 

最初にティエリアのセラヴィーとロックオンのケルディムが出撃する。

 

次は刹那のダブルオーとツナのダブルオーフレイマーXが出撃する番で、2機はリニアカタパルトへと固定される。

 

 

『リニアカタパルト、ボルテージ上昇。射出タイミングを刹那・F・セイエイ、沢田綱吉へ譲渡します……刹那、ツナ君、アレルヤをお願い』

 

「……了解。ダブルオー、刹那・F・セイエイ出る!」

 

「必ずアレルヤを見つけ出す……! ダブルオーフレイマー、沢田綱吉出る!」

 

 

刹那のダブルオーとツナのダブルオーフレイマーXもプトレマイオス2から出撃し、先に出撃していたティエリアのセラヴィーとロックオンのケルディムに追い付く。

 

 

「手分けしてアレルヤを探そう。スメラギ・李・ノリエガからも言われていたが、3時間後にはトレミーに戻るんだ」

 

「了解」

 

「オーライ」

 

「わかった」

 

 

ガンダム4機は分かれて、アリオスが最後に交戦したポイントから周辺の島々や海を調べ始めるのだった。

 

一方、アロウズのカティの部隊もピーリスが戦闘中に行方不明になったと言う報せを受け、直前の戦闘記録を元に至急捜索班を出動させていた。

 

 

「スミルノフ大佐に何と報告すれば……」

 

 

レーダーでピーリスのスマルトロンを捕捉できない以上、恐らく見つけるのは困難であろうと思うカティは右手の親指の爪を噛み、ピーリスの元上官にして父親のような存在であるセルゲイにどのように報告するべきか悩んでいた。

 

それから数時間後、上層部からカティの部隊にピーリスの捜索を中断し、本国へ帰投するよう命令が下された。

 

ソレスタルビーイング……特にツナのダブルオーフレイマーXにより空母の武装は全て破壊され、負傷したMSパイロット達が多いこの状況でソレスタルビーイングの追撃は難しく、下手をすればカティの部隊は全滅する可能性があると判断した上層部は、ピーリスの捜索を中断して離脱するように言って来たのだ。

 

命令に違反する事は出来ないカティは捜索を打ち切り、ピーリスの事をセルゲイに通信で伝える。

 

 

『大変申し上げにくいのですが、恐らく……』

 

「……分かった、もういい」

 

『私のミスです、申し訳ありません……』

 

「いいんだ、ピーリスだって覚悟していた筈だ。君もそんなに気にするんじゃない」

 

『……本当に、申し訳ありません。失礼します』

 

 

カティの通信を終えて地上空母の通信室から出た後、セルゲイはパイロットスーツに着替え、モビルスーツ格納庫へと移動する。

 

そして地球連邦型である青を基調としたカラーリングのGN-X IIIに近くと、セルゲイに気付いた整備兵が呼び止める。

 

 

「大佐、どちらへ!?」

 

「中尉の捜索へ行く」

 

「お待ちください! 何も、大佐自らお出にならなくても……!」

 

「離れていろ。怪我をするぞ」

 

 

セルゲイは整備兵の制止を聞かずにGN-X IIIに乗り込み、地上空母から発進する。

 

 

「中尉……」

 

 

セルゲイはGN-X IIIの擬似太陽炉から橙色のGN粒子を噴出させ、娘となる女性ーーピーリスの無事を祈りながら暗闇の空を飛翔する……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨が降り注ぐ深夜の中、アレルヤの捜索を開始してから1時間経つが、未だにアレルヤを見つけられないことにツナは焦りを募らせる。

 

 

(落ち着け、焦っても何かが変わる訳じゃない。アレルヤの気配を感じ取るんだ。俺の超直感ならできる筈……!)

 

 

ツナは精神を落ち着かせ、超直感でアレルヤの気配を感じ取ろうとすると……

 

 

「っ! この独特な気配は……間違いない、アレルヤだ!」

 

 

微かだが、アレルヤの気配を感じ取るのだった。

 

アレルヤは刹那達とは違い、『1つの体に2つの心が入っている』様な独特な気配であるので、ツナは感じた気配の正体がアレルヤだとすぐわかったのだ。

 

ツナはアレルヤの気配を感じる方へダブルオーフレイマーXを向かわせた……その時。

 

 

「!(アレルヤの他に別の気配を感じる……何処となくアレルヤの気配に似ているが……兎に角、急がないと!)」

 

 

何処となくアレルヤに似た別の気配を感じ取ったツナはその気配の正体を確かめるべく、猛スピードで飛翔すること数分後……

 

 

「見つけた! アリオスだ!」

 

 

遂にツナは無人島の地面に大きく倒れているアレルヤのアリオスを発見する。

 

 

「ん? あの機体は、カタロン基地で戦った奴か……?」

 

 

さらにその近くには昨日カタロン基地にて戦ったカスタムアヘッドーーピーリスのスマルトロンも倒れており、2機が交戦している内にこの無人島へ不時着したことを物語っていた。

 

ツナはダブルオーフレイマーXをリングの中に収納し、アリオスとスマルトロンの近くに着地するとテントらしきものを見つける。

 

 

(あの中にアレルヤがいるのか? 兎に角、調べてみよう)

 

 

テントの中を調べることにしたツナは一旦ハイパー化を解除し……

 

 

「あ、アレルヤさーん、いますかー……?」

 

 

アレルヤがいないかの確認で、静かに彼の名を呼びながらテントの中へ入る。

 

テントの中に入ったツナの視線の先には……

 

 

「私はあなたのお陰で生きることに感謝できたの。そんなあなたをこの眼で見つめることができる。話すことも、触れる事だってできる。こんなときが訪れるなんて……」

 

「マリー……」

 

「……神よ感謝します……アレルヤ……」

 

 

見知らぬ長い銀髪の女性と良い雰囲気になっているアレルヤの姿があった。

 

それを見たツナは……

 

 

「んなーーーーーー!?///」

 

「え?」

 

「この声は……つ、ツナ君!?」

 

 

思わず驚きの声を上げてしまう。

 

そんなツナの声に気付いたアレルヤと銀髪の女性も驚きの表情を浮かべる。

 

そして、ツナはアレルヤと銀髪の女性のラブコメのような雰囲気の中にタイミング悪く入り込んでしまったことに罪悪感を感じたのか……

 

 

「し……失礼しましたーーー!!///」

 

「ちょ、ちょっと待って、ツナ君! 誤解だ!///」

 

 

テントから猛スピードで退出し、アレルヤはそんなツナを慌てて追い掛けた(笑)

 

それから数分後、何とかツナをテントの中へ連れ戻したアレルヤは彼に銀髪の女性について説明する。

 

 

「彼女はマリー・パーファシー、僕が超兵機関……ソレスタルビーイングに入る前にいた場所で仲良くなった友達なんだ」

 

「マリー・パーファシーです。改めてよろしくお願いします♪」

 

「さ、沢田綱吉です。皆からはツナって呼ばれてるんで、そう呼んでください///」

 

「ええ、よろしくねツナ君♪」

 

(フェルトさんもそうだけど、この世界の女の人は綺麗な人が多いなぁ……///)

 

 

銀髪の女性ーーマリー・パーファシーの慈愛溢れる綺麗な笑みにツナは内心ドギマギしていたが、同時にある疑問が生まれる。

 

 

「それにしても、アレルヤさんの友達であるマリーさんがどうしてこんな所にいるんですか? それにマリーさんのその格好……パイロットスーツですよね?」

 

「あ、いや、それは……」

 

 

アレルヤの友達であるマリーが何故ここにいて、パイロットスーツを着用していたのかが気になったツナはそう質問し、アレルヤはその質問に対してどう答えるか悩んでいると……

 

 

「……私はアレルヤの敵であるソーマ・ピーリスとして、アロウズのMSパイロットを務めていたの……アレルヤのガンダムと一緒に倒れているアヘッドは私の機体よ……」

 

「えっ!?」

 

「マリー……」

 

 

マリーが代わりにツナの質問に答え、そんなマリーの答えにツナは驚きの表情を浮かべる。

 

 

「ど、どうして友達であるアレルヤさんとマリーさんが敵同士に……? それに、ソーマ・ピーリスって……?」

 

「はあ……話せば長くなるんだけど、実は……」

 

 

アレルヤは自身とマリーが超兵として生み出されたこと、五感が全く無かったマリーが新たな人格ーーソーマ・ピーリスを植え付けられた事で五感を復活させられて人類革新連盟軍やアロウズ所属の超兵として戦わされていたこと等をツナに説明した。

 

 

「アレルヤさんとマリーさんにそんな過去が……(超兵……それを生み出す為に、何の罪も無い子供達の体を改造するなんて……!)」

 

 

話を聞いたツナは、アレルヤやマリーのような超兵を生み出す為に何の罪も無い子供達の体を改造した超兵機関の連中に怒りを覚えると同時に、1人の青年を思い浮かべる。

 

それはかつて敵対し、現在では利害が一致すれば共闘することが多いボンゴレ霧の守護者ーー六道骸のことで、彼もアレルヤやマリーのように幼い頃『エストラーネオファミリー』に人体実験の被験体として扱われ、体を改造された過去があることから、マフィアに対して強い嫌悪感を抱いていた。

 

もし骸がこの場にいて超兵機関の話を聞いていたら、超兵機関を壊滅させようと動いていただろう(最も超兵機関自体はアレルヤが4年前に爆破しているので、それはもう叶わないが)。

 

 

「ええと、取り敢えず今のマリーさんの人格はソーマ・ピーリスじゃなくて、マリーさん本人の人格に戻ったと言うことで良いんですよね?」

 

「うん。何がきっかけで戻ったのかはわからないけど、またこうやってマリーと話すことができて嬉しいよ……」

 

「私もよ、アレルヤ……」

 

 

そう言って見つめ合うアレルヤとマリーから醸し出される甘い雰囲気に……

 

 

「……すみません、やっぱり俺はお邪魔みたいなんで暫く退出しますね……///」

 

「ご、ごめんなさい! そんなつもりは全然ないの!///」

 

「だ、大丈夫だから! 全然邪魔になってないから! だから、行かないでくれ!///」

 

 

ツナは自身がこの場にいることが場違いなように思えて再びテントから退出しようとし、アレルヤとマリーはそんなツナを慌てて引き止めるのだった(笑)

 

 

「今更だけど、ツナ君はソレスタルビーイングのメンバーなの? アレルヤと親しいみたいだし……」

 

「ええと……正式なメンバーでは無いんですけど協力者で、俺は……」

 

 

ツナがマリーの質問に答えようとした……その時。

 

 

「っ! この音は……!」

 

「GNドライブだ!」

 

「と言うことは、MS……!?」

 

 

3人の耳に聞き慣れた音ーーGNドライブがGN粒子を放出する時の駆動音が入る。

 

ソレスタルビーイングかアロウズのどちらかはわからないが、別のMSがこの場所へやって来た様だ。

 

3人はそれを確認すべくテントから出ると、青いGN-X IIIがゆっくりと降り立つ姿が目に入る。

 

 

「アロウズのMS!……って、何か機体の色が違うような……」

 

「あれは連邦軍のMSだよ。でも、連邦軍がどうしてここに……?」

 

「あの機体……」

 

 

ツナ・アレルヤ・マリーの3人がそれぞれ呟く中、連邦軍のGN-X IIIのコクピットから1人の男性が現れ、ヘルメットを脱いで顔を露わにする。

 

 

「中尉!」

 

「大佐!?」

 

「マリー! ツナはテントの中にいて、連邦軍に君のことを知られる訳に行かない!」

 

「は、はい!」

 

 

連邦軍のGN-X IIIに乗っていたのはセルゲイで、セルゲイはウィンチロープを伝って地面へと降りて行く。

 

セルゲイを視認したマリーは弾かれたように連邦軍のGN-X IIIに向かって走り出し、アレルヤはツナにテントの中にいるよう指示した後、マリーの後を追いかける。

 

 

「マリー! あの人は君の知り合いなのか!?」

 

「ええ!」

 

 

マリーに尋ねたアレルヤの声を聞いたセルゲイは……

 

 

「その声……そうか、君があの時のガンダムのパイロットか……」

 

 

5年前の低軌道ステーションの事故のことを思い出し、その時の救助活動に参加したガンダムーーアリオスの前の機体である『ガンダムキュリオス』のパイロットがアレルヤであることに気がつく。

 

そんなセルゲイの声を聞いたアレルヤの中で警戒信号が明滅し、マリーの腕を掴んで彼女を止めた。

 

マリーが何かを言いたそうに振り返るが、アレルヤは目線だけでそれを制して、セルゲイに顔を向ける。

 

どのような経緯で自身を知ったのかアレルヤにはわからないが、セルゲイの外見的年齢から4年前の活動期に戦っていたことは疑いなく、それだけに因縁がある。

 

アレルヤはそれだけでマリーの知り合いであるセルゲイに信頼を置くことはできなかった。

 

警戒心を露わにするアレルヤに対し、セルゲイは数歩近付くと……

 

 

「中尉から離れろ! ソレスタルビーイング!!」

 

 

アレルヤの危惧した通りホルスターから拳銃を抜いて構えるのだった。

 

 

(んなーーー!? いきなり銃出して来たーー!?)

 

 

テントの影から様子を見ていたツナはセルゲイの行動に心の中で驚きの声を上げる。

 

一触即発な雰囲気のアレルヤとセルゲイ……この状況どうする、ツナ!?

 

 

To Be Continue……



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第15話 再会と別離と覚悟・後編

大変長らくお待たせしました……やっと最新話を更新できました(^◇^;)

アレマリ回の後編です……久しぶりの投稿で内容が変になっていないか心配ですが、温かい目で読んでいただけると助かります(^◇^;)


「中尉から離れろ! ソレスタルビーイング!!」

 

 

マリー……ピーリスの救助に来たセルゲイがアレルヤに銃を向けたことで、その場の空気が緊迫したものへと変わる。

 

 

(と、兎に角、アレルヤさんを守らないと……!)

 

 

テントの影から様子を見ていたツナは、アレルヤを守る為にハイパー化しようとするが……

 

 

「ま、待ってください、大佐!」

 

「マリー!?」

 

(マリーさん!?)

 

 

それよりも先にマリーがアレルヤを庇うように、セルゲイの拳銃の射線上に立つ。

 

 

「中尉、何故ソレスタルビーイングであるその男を庇う!?」

 

「彼、アレルヤは私にとって大切な人です。それに……今の私は大佐の知っているソーマ・ピーリス中尉ではありません」

 

「っ! それは、一体どう言うことだ……!?」

 

「実は……」

 

 

マリーは自身のことやアレルヤとの関係……隠されていた超人機関の真実を全てセルゲイに話した。

 

拳銃を下ろさずにマリーの話を聞いたセルゲイは、眉間に皺を寄せていた。

 

 

「人格を上から書き換えただと……!?」

 

「そうです、今の私はソーマ・ピーリスではありません……マリー、マリー・パーファシーです」

 

「マリー……それが中尉の本当の名か……超人機関は、そのようなことまで……!」

 

(あの人……)

 

 

ツナはカタロンのような反連邦主義者達への弾圧や虐殺をするアロウズや、非人道的な実験でアレルヤやマリーのような超兵を生み出して戦わせようとする超人機関の話を聞き、この世界の軍隊やその軍隊を認めている地球連邦、さらにはそこに所属する者達に対して正直悪いイメージしか持っていなかった……だがマリーに非道な行為をした超人機関に少なからず怒りを覚えるセルゲイの姿を見て、彼が良識のある軍人だと認識を改めていた。

 

だがセルゲイが未だにアレルヤに銃口を向けている以上、ツナはまだセルゲイに気を許す訳にいかなかった。

 

一方で、アレルヤがマリーを庇うように前へ出る。

 

 

「マリーは優しい女の子です。人を殺めるような子じゃない……だから、貴方にマリーは渡せない」

 

「アレルヤ……」

 

「…………」

 

 

アレルヤは銃口を向けられながらも毅然とした態度にセルゲイにそう言い放つ。

 

セルゲイがマリーを救助に来たことはアレルヤもわかっている……だが、その対象は『マリー・パーファシー』では無く、『ソーマ・ピーリス』だ。

 

 

「連邦やアロウズに戻ったら、彼女はまた超兵として扱われる……そんなこと、二度とさせない!」

 

 

マリーを取り戻して、戦場から引き離したい……それがアレルヤにとっての戦う理由であり、決して譲れるものでは無かった。

 

アレルヤのその言葉を聞いたセルゲイは不服そうに唇を歪める。

 

 

「だが、君はソレスタルビーイングだ。君といても中尉は戦いに巻き込まれる」

 

「そんなことはしません!」

 

「テロリストの言うことを信じるほど私は愚かではない!」

 

「信じてください!」

 

「私は君の……いや、君達の馬鹿げた行いによって多くの同胞、部下を失っている……その恨み、忘れた訳ではない!」

 

「っ……それでも……それでも、僕はマリーを戦場から救い出すって決めたんだ! 何があってもマリーは渡さない!」

 

「それはこちらの台詞だ! 君が中尉のかつての友人とは言え、ソレスタルビーイングの人間である以上、中尉を任せる訳にはいかん!」

 

「アレルヤ……大佐……」

 

 

同じ人を想っているにも関わらず、何処までも平行線なアレルヤとセルゲイ。

 

自身を巡って口論する2人にマリーは悲しそうな表情を浮かべていた。

 

一方で、アレルヤ達の様子を遠巻きから見守っていたツナはと言うと……

 

 

「…………はあ〜……」

 

 

先程の緊張した様子とは違い、何処か呆れた様子で溜息を吐いていた。

 

そして、ツナは……

 

 

ボウッ!!

 

 

ハイパー化して、両腕のXグローブの炎を逆噴射して目に止まらぬ速さで移動すると……

 

 

げ・ん・こ・つ!×2

 

「いだあっ!?」

 

「ぐふぅっ!?」

 

「アレルヤ、大佐!?」

 

 

アレルヤとセルゲイの脳天に拳骨をお見舞いし、2人を地面へと叩き伏せた。

 

 

「い、痛っ、今のは……え"っ!?」

 

「い、一体、何が起きて……ん"っ!?」

 

 

痛む頭を押さえながら起きたアレルヤとセルゲイの視線に入ったのは……

 

 

ゴゴゴゴゴ……!

 

「あんたら2人とも、いい加減にしろ……!」

 

 

鬼の形相を浮かべ、額の大空の炎を猛々しく燃え上がらせ、絶対零度の視線をアレルヤとセルゲイに向けながら腕を組み、仁王立ちしながら空に浮いているツナの姿であった。

 

どうやらツナは『一番大切なこと』をわかっていないアレルヤとセルゲイに怒っている様だ。

 

 

「「つ、ツナ君!?」」

 

「こ、子供だと!? 君は一体……!?」

 

「今は俺のことはどうだって良い。それよりもさっきから黙って聞いていれば……『お義父さん、娘さんを僕にください!』、『誰がお義父さんだ!? 貴様なんぞに娘さんはやらん!』的な会話をしてるのかあんたらは!? 聞いているこっちが恥ずかしい!///」

 

「「な、何を言ってる(んだ/のかね)君は!?」」

 

「…………///」

 

 

ツナのとんでもない発言に対してアレルヤとセルゲイは仰天し、マリーに至っては湯気が出るほど顔を真っ赤にしていた(笑)

 

ツナは一度咳払いをし、先程の怒りを収めて冷静な様子で話を続ける。

 

 

「んんっ!……2人ともマリーを大切に想うあまり、大切なことをわかっていない」

 

「大切なこと……?」

 

「それは、一体……?」

 

「アレルヤのマリーを戦いから遠ざけたい気持ち、そしてそっちの大佐のマリーを信用できない相手に任せたくない気持ちはどちらも理解できる……だけど、肝心のマリーの気持ちを蔑ろにするのはどうなんだ?」

 

「「っ!」」

 

「2人がマリーを想ってあれこれ言っても、どうしたいかを決めるのは彼女自身だ。彼女が自分の意志で決めて選んだことなら、何があっても後悔しない筈だ」

 

「「…………」」

 

「ツナ君……」

 

 

ツナの言う通り、アレルヤとセルゲイがマリーを想ってあれこれ言っても、どのような道を歩むかはマリー自身が選ぶこと……例えそれがマリーにとって過酷な道であっても、彼女自身の意志で選んだことなら尊重するべきである。

 

ツナのその言葉によって、自分達の間違いに気付いたアレルヤとセルゲイはマリーに謝罪する。

 

 

「ごめん、マリー……」

 

「すまない、中尉……」

 

「ううん、良いの……アレルヤと大佐が私のことを大切に想ってくれていることは、十分にわかっているから……だからこそ、私自身の『答え』をちゃんと言わないといけないわね」

 

 

マリーは聖母のような笑みを浮かべながら2人を許し、自身の『答え』を言おうと一旦深呼吸をするが、それでも何処か不安そうであった。

 

そんなマリーの様子に気付いたツナは優しく声をかける。

 

 

「大丈夫だ、どんな答えでも2人は納得してくれる……マリーは自分の気持ちを正直に言えば良い」

 

「……ええ。ありがとう、ツナ君……」

 

 

ツナの言葉で後押しされたマリーは真っ直ぐにセルゲイに視線を向け、自身の正直な気持ちを口に出す。

 

 

「スミノルフ大佐……貴方がソーマ・ピーリスを対ガンダム戦だけに徴用し、他の作戦に参加させなかったこと……そして娘のように接し、娘として迎え入れようとしてくれたこと……感謝しています……それでも、私ーーマリー・パーファシーは、アレルヤと一緒にいたい……超人機関にいた頃、五感を失って脳量子波でしか会話できない孤独だった私に、彼はいつも話しかけてくれた……そんな彼を、私は……愛しているから……」

 

「マリー……」

 

 

近くにいるアレルヤの手を握りながら、彼と共にいたいと言う想いを口にしたマリー。

 

その答えを聞いたアレルヤはマリーの想いに応えるべく、彼女の手を握り返しながら視線をセルゲイに真っ直ぐ向け、自身の決意を口にする。

 

 

「スミノルフ大佐……貴方がソレスタルビーイングの人間である僕を、貴方の仲間や部下の命を奪った相手を信用できないのは理解できます……それでも僕はマリーと一緒にいたい、離れ離れになんてなりたくない……例えマリーを戦いに巻き込んでしまったとしても、僕に名前と生きる意味を与えてくれた彼女を、僕は絶対に守り抜いてみせます!」

 

「アレルヤ……!」

 

 

アレルヤはマリーと共にいたいと言う正直な想いを口にし、何があっても彼女を守り抜くと言う覚悟をセルゲイに示す。

 

アレルヤとマリーの答えを聞いたセルゲイは……

 

 

「……そうか……」

 

 

柔らかな笑みを浮かべると同時に、拳銃の銃口を上に向けると……

 

 

パアンッ!!

 

「「っ!?」」

 

「……」

 

 

空に向かって発砲した。

 

セルゲイの不可解な行動にアレルヤとマリーが驚く一方で、ツナは超直感で彼のその行為の意味を察したのか冷静に見守っていた。

 

そして、セルゲイは拳銃をホルスターに戻すと……

 

 

「たった今、ソーマ・ピーリス中尉は名誉の戦死を遂げた。上層部に報告すべく、帰投する」

 

「っ!」

 

「大佐……!」

 

 

アレルヤとマリーの互いを想う気持ちを……アレルヤにマリーを……大切な存在であるピーリスを託すことを認めたセルゲイは、最愛の娘(ピーリス)への最後の贈り物とも言える言葉を口にするのだった。

 

元々セルゲイはアレルヤを撃つつもりなど無かった……恨みが無いと言えば嘘になるが、短い会話の中でピーリス……マリーがアレルヤをどれほど大切に想っているのかを知ったし、同様にアレルヤがマリーをどれほど大切に思っているかのかも知った。

 

それにアレルヤの言った『マリー(ピーリス)を二度と争いに巻き込まない』と言う思いはセルゲイと同じであった……彼女を悲しませたくないと言う思いも。

 

だからこそセルゲイは拳銃を向け、厳しい言葉を投げてでもアレルヤのマリー(ピーリス)を守る覚悟が本物か試したかったのだ……あまりに回りくど過ぎた上にマリー(ピーリス)の気持ちを蔑ろにしてしまい、ツナの拳骨を食らう羽目になってしまったが。

 

そしてセルゲイはアレルヤの覚悟を認め、アレルヤを信じてマリー(ピーリス)を託すことを決めたのだ……だが、セルゲイがアレルヤが信じたのにはもう1つ大きな『理由』があった。

 

 

「……そう言えば、礼を言ってなかったな」

 

「え?」

 

「5年前の低軌道ステーションの事故……救助活動に参加してくれたこと、感謝する……」

 

「! もしかして、貴方はあの時の……!」

 

「フッ、覚えていてくれたとはな……やっと礼が言えて良かった」

 

 

そう、5年前の低軌道ステーションで起きた事故……アレルヤのもう1つの人格である『ハレルヤ・ハプティズム』の脳量子波に怯え、錯乱したピーリスが引き起こした事故の際、アレルヤはミッションを放棄して救助活動に参加したのだ。

 

セルゲイはその時のことを今でも恩を感じており、数年来伝えることができなかった謝辞をアレルヤに言うことができて満足そうであった。

 

セルゲイは帰投する為、GN-X IIIに搭乗しようとしたが……1つだけ気掛かりなことがあり、足を止める。

 

 

「ところで先程から気になっていたのだが……そこの少年」

 

「ん?」

 

「空に浮いていると言い、その額に宿る妙な炎と言い、君がただの子供では無いのは見てわかる。君は一体何者なのかね?」

 

「…………」

 

「す、スミノルフ大佐、彼は……!」

 

 

先程自身とアレルヤの口論を(物理的に)仲裁した少年ーーツナのことであった。

 

ただの子供と片付けるには、ツナはあまりに異質過ぎる……それが気になって仕方ないセルゲイはツナに何者なのかを問う。

 

セルゲイの問いに、ツナのことを地球連邦に知られる訳にいかないアレルヤは身を固くし、どう説明すれば良いか悩んでいると……

 

 

「……俺の名は沢田綱吉、この世界とは違う世界から来た人間だ」

 

「つ、ツナ君!?」

 

「えっ!?」

 

「ち、違う世界の人間だと……!?」

 

 

何を思ったのか肝心のツナがあっさりとバラしてしまい、アレルヤは仰天する。

 

違う世界から来た人間と言う単語に、マリーとセルゲイは信じられないとばかりに驚きの表情を浮かべる中、ツナはさらに話を続ける。

 

 

「そして、今は……」

 

ボウッ!!

 

 

ツナはリングに炎を灯し……

 

 

「このガンダムーーダブルオーフレイマーのパイロットとして、ソレスタルビーイングの皆と一緒に戦っている」

 

 

彼のガンダムであるダブルオーフレイマーXを展開する。

 

 

「なっ!? このガンダムは、紅の二個付き!?」

 

「と言うことは……ツナ君が、紅の二個付きのパイロット……!?」

 

 

ツナが紅の二個付きことダブルオーフレイマーXのパイロットであることに、セルゲイとマリーは驚きを隠せなかった。

 

特にマリーは人格がピーリスであった時に一度戦闘したことがあるので、その衝撃は大きかった。

 

 

「つ、ツナ君、どうして……!?」

 

「……スミノルフ大佐に隠し事はできないと感じた。それに……大佐に話しても大丈夫だと思ったから、正直に話すことにしたんだ」

 

「だからって……!」

 

「わかっている、簡単に話して良いことじゃないのは俺自身よくわかっている……でも、大佐相手に嘘はつきたくない」

 

 

いくらセルゲイが良識ある軍人とは言え、簡単に話して良い訳では無いのはツナ自身よくわかっている……それでもツナはセルゲイ相手に嘘はつきたくない気持ちが強く、質問されたことに対してだけでも正直に話すことにしたのだ。

 

一方、ツナがガンダムのパイロットであることを知ったセルゲイは一瞬アレルヤ達ソレスタルビーイングに憤りを覚えそうになるが、早合点してはいけないとすぐに冷静になると……

 

 

「君が異世界の人間で、紅の二個付きーーガンダムのパイロットであることが本当のことだとして……異世界の人間である君が何故ソレスタルビーイングと共に戦っている? まさかとは思うが、ソレスタルビーイングの紛争根絶と言う理念に魅入られでもしたのかね?」

 

 

さらなる問いとして、異世界の人間であるツナが何故ソレスタルビーイングと共に戦っているのかを聞く。

 

ツナのような年齢の子供は様々なことに影響を受けやすい。

 

もしツナがソレスタルビーイングの紛争根絶と言う理念に魅入られているとしたら、セルゲイは何としても止めなければならない。

 

年端も行かない子供が覚悟も無しに死と隣り合わせの戦場にいること……ましてやテロリスト同然であるソレスタルビーイングと行動を共にすることは、絶対に間違っている。

 

そんな思いを抱えたセルゲイの問いに対して、ツナは……

 

 

「…………」

 

シュウウウ……

 

 

空から地面へと降り立つと同時にハイパー化を解除し、視線をセルゲイに向ける。

 

 

「っ!(先程とは違って弱々しい雰囲気だが、彼の瞳から真っ直ぐで強い意志を感じる……!)」

 

 

先程までの歴戦の戦士のような雰囲気が消え、今は弱々しく頼りない印象へと変わったことにセルゲイは内心驚く。

 

だが、それでもツナの瞳には真っ直ぐで強い意志が宿っているのを感じていた。

 

そして、ツナは自身の戦う理由をセルゲイに語る……かつてフェルトに語った時と同じように。

 

 

「……俺は紛争根絶とか世界の平和とか、そう言う大層な理由で戦っていません……俺自身がアレルヤさん達トレミーの皆を死なせたくない、守りたいと思うから戦うんです! 誰よりも平和な世界を望んでいて……異世界から来た俺を助けてくれて……俺を戦いに巻き込まないように気遣ってくれて……戦うことを選んだ俺のことを心配してくれる、温かくて心優しい人達を、アロウズみたいな歪んだ連中の犠牲になんかさせない! 例えトレミーの皆を守ることが間違いだったとしても……世界中の人間を敵に回すことになったとしても、この人達を守る為に戦わなかったら死んでも死に切れない!」

 

「「っ!」」

 

「ツナ君……」

 

 

ツナの世界を敵に回してでもプトレマイオスクルーの皆を守りたい、死なせたくないと言う純粋で強い覚悟と温かな優しさが秘められた彼の戦う理由に、セルゲイとマリーは目を見開き、アレルヤはツナの優しさが嬉しかったのか目から少しばかり涙を浮かべていた。

 

そして、ツナの戦う理由を聞いたセルゲイとマリーは……

 

 

(何という少年だ、これほど純粋で強い覚悟で戦っていたとは……それに、こうやって直に話しているからこそわかる……この子が幾つもの死線を乗り越えて来たことを……!)

 

(凄い……なんて優しくて強い子なの……ソーマ・ピーリスが、アロウズが彼に勝てないのも納得だわ……)

 

 

ツナが純粋で心優しく、強い覚悟を持った少年であると……そして、幾つもの死線を乗り越えて来たことを。

 

だからこそわかる……アロウズが彼に勝てないことを、ツナがソレスタルビーイングに強制的に戦わされている訳ではない、自分の意志で戦っていることを……

 

それを確認したセルゲイは……

 

 

「フッ、そうか……君が自分の意志でソレスタルビーイングと共に戦っているのは、よくわかった……その純粋で真っ直ぐな心、強い覚悟をいつまでも忘れないでいて欲しい……そして、大切なものを守り抜くのだぞ」

 

「スミノルフ大佐……はい!」

 

 

ツナの覚悟を認め、本来なら敵である筈の彼に強い激励の言葉をかけるのだった。

 

 

「アレルヤ君、そして綱吉君……ピーリスのことを、どうかよろしく頼む……」

 

「はい、マリーは必ず守り抜いてみせます……!」

 

「俺も、マリーさんを守ります……アレルヤさんの大切な人であるマリーさんは、もう俺の守るべき人ですから……」

 

「ありがとう……では、私はそろそろ失礼するよ」

 

 

言うことを全て伝え、最早何も言うことは無いと思ったセルゲイはGN-X IIIへ向かうが……

 

 

「スミノルフ大佐!」

 

 

マリーの呼ぶ声に足を止める……そして、セルゲイは彼女に背を向けたまま応える。

 

 

「……何だ?」

 

「……最後に、貴方にどうしても伝えなければならないことがあります……私の中にいるソーマ・ピーリスがこう言っています……『貴方の娘に、なりたかった』と……」

 

「っ!」

 

 

マリーの中にいるピーリスの言葉を聞いたセルゲイの顔が僅かに上がる。

 

彼は逡巡していた……このまま顔を合わせず去ることもできるが、これが最後だと思うとどうしても抗いがたかった。

 

ここまで来て、これで別れなのだ……それぐらいの我儘は、許されるのではないだろうか……?

 

そして、セルゲイは……

 

 

「……そうか、その言葉だけで十分だ」

 

 

柔らかな笑みを浮かべながら振り向き、マリーにそう答えた。

 

彼の視線の先にいるマリーは雨で顔をぐちゃぐちゃに濡らし、泣くのを堪えるかのように顔を歪めていたが……

 

 

「……大佐!」

 

 

それも程なく決壊し、マリーは弾かれたようにセルゲイに駆け寄り、彼に強く抱き着いた。

 

セルゲイはそれを柔らかく受け止め、躊躇いながらも恐る恐るマリーの体に腕を回し、彼女の美しく長い銀髪を優しく撫でた……親子になりきれなかった2人の、最初で最後の抱擁であった。

 

 

「生きてくれ……生き続けてくれ……彼と、幸せにな……」

 

 

それだけ言うと、セルゲイはマリーの両肩に手を置き、彼女の体をそっと離した。

 

マリーも素直に従い、腕を解いて一歩下がると、掌を相手に相手に向ける人革連式の敬礼をして見せた。

 

 

「今までありがとうございました、大佐……!」

 

「うむ」

 

 

セルゲイも人革連式の敬礼で応えた。

 

その後セルゲイは今度こそ振り返ること無くGN-X IIIのコクピットに乗り込み、ハッチを閉めると機体を浮上させ、そのまま飛び去って行く。

 

機体の操縦を手動から自動操縦に切り替えた後、セルゲイの脳裏にピーリスとの出会いから、彼女と過ごした思い出が蘇っては消えて行く。

 

彼女との思い出は全て覚えている、忘れる必要など無い……ただ、心の片隅にそっとしまって置くだけだ……マリーがピーリスと言う名を忘れたくないと言っていたことも……

 

 

「……ピーリス……」

 

 

モニターが夜空だけを映すコクピットの中で、セルゲイは静かにピーリスの名を呟くのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セルゲイのGN-X IIIが遠くへ消え去った後も、マリーは敬礼を解こうとしない。

 

身じろぎもせず雨に打たれている彼女に、アレルヤは近づいて行った。

 

 

「マリー……」

 

 

マリーは泣いていた……空を見上げたままの両目からは幾筋もの涙が頬を伝い落ちている……寒さとは違う震えが彼女を支配していた。

 

そんな彼女を見たアレルヤは、改めて自身がセルゲイに託されたものの大きさを実感する。

 

だからこそ、彼はセルゲイに言った『マリーを二度と争いに巻き込まない』と言う約束を果たすつもりだ……勿論、セルゲイがマリーに言い残した『生き続けてくれ』、『彼と幸せに』と言う願いも……

 

アレルヤはマリーの体を後ろからそっと抱き締め、敬礼したままの彼女の手を握り、頬を寄せる。

 

 

「……ありがとう、生きていてくれて……ありがとう、こんな僕に……生き甲斐をくれて……」

 

「……アレルヤ……」

 

 

マリーは体を振り向かせ、アレルヤの胸に顔を埋める。

 

アレルヤは彼女の体を強く抱き締めた……腕の中で泣いているマリーを守りたいと、二度と手放さないと、愛おしいと思いながら……

 

そんなアレルヤとマリーの様子を見ていたツナは……

 

 

(……邪魔すると悪いし、辺りに敵がいないか見て来ようかな……///)

 

 

2人の雰囲気に気を利かせたのか、または気恥ずかしく感じたからなのか、アレルヤ達に気付かれないようダブルオーフレイマーXをリングに仕舞い、ハイパー化すると周囲に敵がいないか見回りに向かうのだった。

 

ツナが去った後、アレルヤ達はセルゲイのGN-X IIIから送られた光通信によって居場所を特定したロックオンのケルディムによって救助された。

 

因みに、ロックオンのアレルヤ発見の連絡と同時に伝えた『アレルヤの彼女も一緒だ』と言う悪戯心を発露させた報せでプトレマイオス2のブリッジ内が騒ぎになったり、一旦補給でプトレマイオス2に戻っていた刹那がアレルヤの無事を聞いて安心したように柔らかな笑みを浮かべたのを見た沙慈が意外とばかりに驚くと言う一幕があったり、ツナがアレルヤ達に気を利かせることばかりに意識が言ってプトレマイオス2にアレルヤを発見したことの連絡をするのを忘れてスメラギやフェルトに怒られると言うのがあったりしたのは余談である(苦笑)

 

アレルヤを無事に見つけて一安心なツナであったが……彼はこの後世界の歪みである敵と遭遇することになるとは、この時知る由も無かった……

 

 

To Be Continue……




次回はツナがイノベイドに遭遇します。

次回も応援よろしくお願いしますm(_ _)m


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