Fate/Grand Order 偉大なる龍球の導き (ほったいもいづんな)
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閻魔亭外伝 ー偉大なる龍球の寄り道ー
閻魔大王の娘!? 孫悟空、閻魔亭へ


高難易度のタイトルから次のコラボはウィローの映画だと思ったのは私だけではないはず


 山に佇む、人ならざるものが休まるために訪れ、迷うことがなければ必ず辿り着ける秘境にて桃源郷。

『閻魔亭』。

 

 これはまだカルデアのマスター達が閻魔亭で下働きをしていた時の話である。

 

 

 

 

 

***********************

 

 

 

 

 カルデアのマスターは今日も今日とて猿を追い返し、山や川で食材を集めていた。 ゴルドルフ新所長は腰を痛めるからといって作業に参加してないが、若人であるカルデアのマスターといえども流石に腰にくるものがある。

 もちろん仕事はそれだけではない。 新しくやってきた客の案内や閻魔亭の改築、いよいよ労基にバレたらブラック認定まっしぐらの労働環境。 流石の彼も疲れが見え始めてきた。

 

 そんな彼に優しく声をかける女性が一人。

 

「先輩、お疲れ様です」

 

 マシュ・キリエライトである。 彼女もこの閻魔亭でマスター共々下働きをしている。 彼女はデミサーヴァントであるためマスターよりも体力はあるし元気もある。 そして仕事の合間を見てこうして自分のマスターの様子も見る元気もある。 実に良い後輩である。

 

「幾度もレイシフトして人理を修復した先輩でも、流石にお疲れみたいですね……表情に如実に疲れがでてます」

 

 マスターを心配するマシュ。 いつもの彼なら笑って誤魔化すが、状況が状況である。

 天下のお正月休み、コンビニとスーパーとイオンと神社以外ほとんどの所が休みであった日本育ちの彼にとっては予想外の忙しさ。 ちょっといじけそうであった。

 

「うーん、今日はもう温泉に入って休まれては? 倒れてしまっては元も子もありませんし……あとで誰かに先輩の側にいてくれるように言っておきますので」

 

 マシュの提案を申し訳なさそうに受けるマスター。 しかし断固として清姫だけはやめてくれと念を強く押しておく。

 

「わ、分かりました……確かに清姫さんだとちゃんと看板してくれるかは半々な所ですしね……」

 

 多分そんなことはないであろうともマスターは思っているが、イベントの時のハッチャケ具合ランキング1位の清姫である。 流石にないだろうが念のため、ということだ。

 

「先輩、ごゆっくりと。 私は紅閻魔さんの所にいきますね。 どうやら上客……? が来たようでして、忙しくなるみたいです」

 

 そういえば何だか少し慌ただしいことを思い出し、「マシュも無理しちゃダメだよ」と伝えるとマスターは着替えを持って温泉へ向かった。

 

 

 

 

 

***********************

 

 

 

 

 閻魔亭の温泉はカルデアのマスター達の働きにより無事復活した。 あとついでに邪な怨念も復活したが、それもまたマスターとそのサーヴァントの活躍によって解決した。

 温泉の効能もとても身体によく、疲れを取るためには必須なものとなっている。

 

 そんな温泉に、一人の先客がいた。

 

「おっ、誰か入ってきたな」

 

 声はすれど、何故か主は見えない。 見えないというよりは霧がすごくてシルエットしか見ることができない。 男湯なので必然的に男であり、身長も高い。

 そして何より、カルデアのマスターが知らない声であった。

 

「いやーびっくりしただろ。 オラもさっき来たばっかだけどよ、霧がすごくてさぁ……身体洗ってる間に晴れてはくれたんだけんどぉ、まぁた濃くなってきたなぁ」

 

 こんな天気のいい日の霧? とカルデアのマスターが首を傾げる。 確かにこは山の上であり、朝と昼では気温の差があり霧が発生する場合もあるが……こんな昼間に霧とは実に珍しい。

 

 そう考えていたが、何はともあれ身体を洗い始める。 温泉に入る前には身体を洗う。 人によっては入ってから身体を洗う人もいるだろうが、ここは温泉。 たくさんの人(英霊)が利用するため綺麗にするのかマナーである。

 

 身体を洗い終えたマスター。 だがそれでも霧は濃いままであった。 湯に浸かりながら見る絶景も疲れを取るスパイスなのだが……今日はちょっびり運が悪いのかもしれない。

 湯に入ると、先程の先客が声をかけてきた。

 

「なぁ、オメェ……人間だよな? 生きてる」

 

 その問いにハイと答える。 冷静に考えれば閻魔亭は人ならざるものが向かう場所。 生きている人間がいるのは確かにおかしな話である。

 

「……あっ! そうか、オメェが紅閻魔が言ってた『かるであのますたぁ』っちゅうやつか!」

 

 男は合点がいったかのように手をポンと叩く。

 

「そうかそうか、いやぁここって「普通の気」を感じるやつなんてほとんどいねぇから不思議でさぁ! そーかオメェがなぁ……」

 

 ()()()()()に少し驚きつつも男が悪い存在ではなさそうな、不思議な雰囲気を出していることに気付き、警戒心を和らげる。

 マスターは男に「慰安ですか?」と問う。 男は少し頭をかきながら違うと答えた。

 

「いやぁ……オラはそういうつもりじゃねぇんだ。 久しぶりに『閻魔』のおっちゃんに会ったらよぉ……」

 

『閻魔』という単語に目を見開くマスター。 閻魔と聞けばマスターが思い浮かぶのは閻魔亭の女将である紅閻魔。 そしてその紅閻魔の義理の父である『閻魔大王』その人である。

 

「『娘の様子を見に行ってくれないか』って頼まれてよぉ〜オラおでれぇたぞ」

 

 絶賛マスターも驚いている。 その雰囲気を感じ取った男がそれに同調する。 勘違いの同調だが。

 

「オラも本当にびっくりしたさぁ……だってあの、怖えー鬼見てぇな顔したおっちゃんに娘がいるって言うんだぞ? 本当にびっくりしたさぁ」

 

「そっちじゃないです!?」っとややツッコミ。 驚いたのはそちらではない。

 マスターが驚いたのは『閻魔大王』とまるで旧知の仲だというように話すこの男の存在である。 日本において閻魔大王とは地獄の裁判長。 死後の罪の裁判を行い、唯一天国と地獄の行き先を決めることができるあの世の神のようなもの。 そんな大物と対等な存在など、人理修復で歴史に詳しくなった彼とて思い当たる人物はない。

 

 そう困惑していることを伝えると、また男はあっけからんと普通のことを言うように答える。

 

「閻魔のおっちゃんは確かにあの世だと偉いし強ぇな。 だけんども……『()()()()()』じいちゃんとかいるしなぁ……オラはそんなに閻魔のおっちゃんが怖ぇって思ったことはねぇなぁ」

 

 一見、男の傲岸不遜な言葉に見えるが、様々な神霊や英雄達に出会ってきたカルデアのマスターにはそういった態度には見えない。 この男は本心で閻魔大王と対等な仲であると自負しているのだ。 悪意のない、だけれども友情とも違う、その男だからこそ出せる不思議なキャラクターがなせる繋がりなのだと察する。

 

 あとでマシュ達に相談してどのような英霊なのか当てよう、そう考えていると今度は男の方から質問が飛んでくる。

 

「なぁ、ちょっと聞いてもいいか?」

 

 どうぞ、と返す。 男は少しだけ言葉を選んで口にする。

 

「閻魔のおっちゃんから、なんか紅閻魔のやつがいつもいつも大変そうに仕事してるって聞いたんだけどよぉ、何かあったんか? さっき会った時もちょっと気ぃ落としてたみてぇだし」

 

 マスターはすぐには答えられなかった。 現在の閻魔亭の危機、紅閻魔の苦難、レイシフトしたゴルドルフ新所長の問題、それらを今は漏らす事は出来ない。

 どう答えるか悩んでいると、男がすっと手をマスターの頭に乗せてきた。

 

「答えにくいなら、探らせてくれ。 オラ結構口堅い方だからさ、な?」

 

 霧の中から腕だけ先にハッキリと確認できる。 ゴツゴツとした筋骨隆々な腕、それだけで男が並々ならぬ経歴を持つのだと分かる。

 突然頭の上に置かれた手に驚くも、伝わる暖かな体温がすぐに緊張をほぐす。 「探らせてくれ」という言葉に、何か魔術的な力を使って記憶を読み取るのかと最初は考えたが、いつまでたっても『魔力』を感じる事はない。

 どうなっているか分からない、しかしこの男の正体が分かればカルデアのマスターも納得がいくだろう。 今この瞬間、男はマスターが経験したこれまでを目まぐるしい速度で「観ている」のだから。

 

「…………」

 

 時間にして1分と少し。 男はマスターの頭から手をどかす。 再び霧の中に消える腕、そして帰ってくる言葉。

 

「なるほどなぁ……そういう事があったんか」

 

 マスターに向けられた言葉は優しく、まるで子を思いやる父のように温かみがあった。 マスターも自然と「はい」と答える。

 

「うーん……オラが何とかしてあげてぇって気持ちもあるけんど……」

 

 男は悩む。 それは葛藤のように思える。

 

「……悪りぃな、今のオラはあんましそういう事しちゃいけねぇんだ」

 

 男は申し訳なさそうにマスターに伝える。 マスターも彼の実直な態度に、それだけで感謝する。 優しい人なのだと、マスターは素直に感じた。

 

 そして男は再びマスターの頭に手を乗せる。 今度は先程よりも少し熱い温度を持っている。

 

「だからオラができる最小限でオメェに手を貸してやる」

 

 そういうと、マスターの身体が頭から光をまとっていく。 突然の自身の発光に驚く中、男は優しく言葉を向ける。

 

「結構無茶してたみてぇだからな、オラの『気』を分けてんだ。 これで元気になれっぞ!」

 

 光が消える。 それと同時に身体が軽くなったような感覚になる。 マスターの全身に力が漲るような、羽でも生えたのかというくらい身体が疲れという重みから解放されたのを理解した。

 

「おっと、身体が楽になったからっていきなり動いちゃダメだかんな。 これで今日は飯をたくさん食ってたくさん寝る! そうすりゃあ明日は元気一杯になれっぞ!」

 

 マスターは男のしてくれたことに礼を言う。 だが男は「これだけしかできなくて……悪りぃな」と言ったが、マスターにとってはこれだけがとても大きな助けになるのだ。 出来うる限りの感謝の言葉をいい、そして閻魔亭のご飯はとても美味しいので是非食べていって欲しいと言う。

 すると男は「そうだ!」と立ち上がりながら大きな声でいう。

 

「紅閻魔が飯を用意してくれてんだった! オラとしたことが忘れてたぁ〜!」

 

 男は足早に湯から上がり、脱衣所に飛び込んでいった。 子どものような人だ、そう思っているとすぐにまた扉が開かれる。 別の人かと思っていたら、自分に向けられた声でその正体に気付く。

 

「なぁ! カルデアのマスター!」

 

 男が戻ってきたのだ。 布の擦れる音が聞こえるので服を着たのだろう。 一体どうしたのかと思っていると男が続けて喋る。

 

「せっかくいい天気だからよー! ちょっとこの霧を晴らしてやるよー!」

 

 え? っと小さく口にした瞬間。

 

 空気が揺れた。

 

 え? っと二度と口にした時にはもう……()()()()()()()

 

「そんじゃなぁ、ゆっくり休むんだぞー」

 

 いきなり晴れた霧に辺りを見ながら驚いていたが、すぐに男の姿を目に収めようと視線を入り口に向ける。

 

 そこには黄色のズボンに薄い青色の道着。 白い帯と独特な髪型、そして……猿のような尻尾。

 

 後ろ姿であったが、マスターは知っている。 その男の正体を。

 現代に生きるカルデアのマスターは当然知っている『世界の英雄(ヒーロー)』。

 

孫悟空(そんごくう)』、その人だった。

 

 ーー〜〜〜ッ☆¥+「%<^<〒@○!!?

 

 声にならない叫びが木霊した。 嬉しさと驚きと、何でいるんだよというツッコミの混じった叫び。

 

 部屋でくつろいでいたゴルドルフ新所長の耳にまで届いたという。

 

「今のは……あやつの声か? 一体何があったというんだ……それにしても下品な声だったな。 あとで教えてやらねば」

 

 

 

 

 

***********************

 

 

 

 

「はぐっ! ガツガツ! ……ぅんめぇなぁ!」

「喜んでいただけて何よりでち、『()()()』」

 

 閻魔亭の一室、そこに座して飯を食らう男が一人。 その隣で高速でなくなる茶碗に高速でおかわりをよそう女将が一人。

 

「アムッ、んぐんぐ……プハー! いやぁ本当に美味ぇなぁ紅閻魔の飯は!」

「正確にはあちちきだけでなくのあちきの弟子達も作っていますでち」

「そうなんか……アムッ……オラは美味けりゃなんでもいいけどな! ははは!」

 

 ものすごい勢いで消費されていく皿に乗っていた料理達。 そして空いた皿を慌ただしく運ぶ雀達、料理を慌ただしく運んでくる雀達……そして隣で一番忙しく思わせる紅閻魔の高速おかわり。

 もはや戦場と化した食事場において、悟空だけが実に楽しそうにしていた。

 

 いや、それを見ている紅閻魔もまた悟空が美味しそうにご飯を食べる様に笑みを浮かべていた。

 

「チュチュ〜ン! 閻魔亭史上最大の忙しさでチュン〜!!」

「一人で100人並みの胃袋でチュ〜〜ン!!」

 

 ……なお雀達にとっては地獄ではあるが。

 

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 積み上がった空の皿、白米の入ってたはずのおかま。 一人で閻魔亭の食料全てを食い尽くすのではないかと危惧された悟空の食事は、閻魔亭の食料庫に致命傷一歩手前までダメージを負わせた所でようやく止まった。

 

「ふぃー……腹八分目ってところだな!」

 

 ガクッ、と閻魔亭丸ごとずっこける音がした。 気がした。 さしもの紅閻魔も苦笑いである。

 

「……話には聞いていまちたが、悟空様の胃袋はものすごいでちね」

「そうか? オラ達サイヤ人からしてみりゃぁこれくらい普通だけどなぁ」

「悟空様の奥様は毎日苦労したんでちね……」

「ハハッ! だからオラ、チチには頭上がんねぇんだ」

 

 食事を終えた悟空は紅閻魔と談笑している。

 元々悟空がこの閻魔亭にやってきたのは、先ほどのマスターに言った通り閻魔大王から頼まれたからである。

 本来紅閻魔のいう『閻魔大王』と悟空のいう『閻魔大王』は違うのであろう、しかしありえうる話ではある。

 もしくは、ここはそういう人理なのかもしれない。 諸兄らにはそう思っていただきたい。

 

「そうでち、悟空様。 以前の地獄での異変を解決していただちありがとうございます」

「ん? ……あぁ、あの世の17号と生きてる17号が合体した時んか」

「あの時は地獄が大変な騒ぎだったと聞きまちた。 閻魔大王も大変な目にあったと……」

「あん時はオラも地獄に落っこちたりしたかんなぁ〜。 ピッコロやベジータ、18号がいなかったらオラも危なかったぞ」

 

 世間話をしながら穏やかな時間を過ごしていた。

 

***********************

 

 

 

 

「それじゃあな、紅閻魔」

 

 しかし悟空は飯を食べた1時間後には閻魔亭からたとうとしていた。

 

 あまりにも早い出発に見送りにいけるのは紅閻魔一人だけである。

 

「もう行ってしまわれるんでちか? もう少しゆっくりとしていってもよいと思うのでちが……」

 

 名残惜しそうな表情をしている紅閻魔。 まだ彼女にとって十分なもてなしをしていないと思っているからである。 恐らくはこれで閻魔亭の女将としては最後になるであろうから、そう本気で思っているからだ。

 

「……」

 

 紅閻魔の暗い表情を見た悟空は、それとは反対にニカッと明るく笑いながら紅閻魔の頭に手を置く。

 

「でぇじょうぶだって紅閻魔!」

「ぇ……?」

 

 優しく、紅閻魔の頭を撫でる。 太い指が紅閻魔の髪に優しく触れる。

 

「『かるであのますたぁ』を信じろ、紅閻魔」

 

 子を優しく諭す父親のように、優しく力強く。

 

「あいつは良いやつだ。 オラが保障する。 きっとあいつが、あとあいつの仲間が何とかしてくれるさ」

「悟空様……」

 

 悟空を見上げる紅閻魔。 その表情は普段の大人びた女将としての顔でなく、一人の娘のような愛らしさと幼さを感じさせる。

 それを見た悟空は「なっ!」といって笑顔を見せる。 その笑顔につられ、紅閻魔も笑顔を浮かべる。

 

「んじゃな、紅閻魔」

「はい、短い時間しかおもてなしできまちぇんでしたが、また悟空様がご利用してくれると嬉しいでち」

 

 悟空の足が地面から離れる。 悟空達の世界で一般的な浮遊の技、舞空術である。

 

「……あっ! 忘れるところだった!」

 

 悟空は少し上昇したところで何かを思い出したのか空中で停止する。 そして……思い出した大切な頼みごとを口にする。

 

「紅閻魔」

「はい?」

()()()()()()()()()()()だ」

「えっ!?」

 

 悟空に紅閻魔の様子を見てきて欲しいと頼んだ閻魔大王の、一番大切な頼み。

 

「ーー『たまには里帰りしてもいいんだぞ』……だってよ」

「……! 閻魔大王……」

 

 紅閻魔の脳裏に浮かぶ閻魔大王の姿。 今の伝言を受け、紅閻魔の中の閻魔大王がちょっぴり恥ずかしそうに顔をかきながら顔を背けた。 なんだか可愛らしく思えてしまい、思わず顔がほころぶ。

 

 それを見て自分の仕事が無事完了したと考え、悟空は大空へ飛翔する。

 

「じゃーなー!」

 

 もちろん笑顔で……

 

 

 

 

***********************

 

 

 

 

 

「あ、あれ? 先輩どうしたんですか息を切らして……あと何故サイン色紙を?」

 

 玄関を掃除しようとやってきたマシュが玄関に走ってきたマスターと出くわす。 どうやら何か急いでいる様子で、かつ誰かを探しているようだ。

 

「……え? 猿の尻尾を生やした男がこなかったか? ですか? えっと……確かその方なら先ほど紅閻魔さんがお見送りしてましたよ? 私はお片づけしてたのでお見送りはしてませんがーーって先輩!?」

 

 その言葉を聞いてる途中でマスターは玄関から外へ駆け出す。

 

 しかし外にいるのは紅閻魔一人のみ。 件の男はすでに去った後であった。

 急いでやってきたからか息が乱れる。 その音を聞いて紅閻魔がマスターとマシュに気付く。

 

「おや、そんなに急いでどうしたのでちか?」

「えぇっと……先輩が先ほど紅閻魔さんがお見送りした男性の方を探してたみたいで……」

 

 マシュの言葉を聞いて「あぁ」と呟く紅閻魔。 乱れた息を整えたマスターに、空を指差しながら言う。

 

「ちょうど、ここから去る瞬間でちよ」

「え?」

 

 紅閻魔の指差す方へ視線を移す二人。 そこには……

 

「あ、あれは……!?」

 

 空を横切る緑色の鱗と黄色の腹。 雲を貫く程の巨体。

 

「東洋の……ドラゴン?」

 

 その姿を見たものは……ふとこの名を呟くだろう。

 

 ーー神龍(シェンロン)……と。

 

 マスター達は空の果てに消えるまで、その龍を見ていた。 偉大なる龍の雄々しき姿を。

 

 その時一瞬だけ、マスターは見た。

 

 龍の頭にあぐらをかいて座っている。

 

『孫悟空』という偉大なる英雄の姿を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 偉大なるドラゴンボール伝説。

 

 それは本来交わるはずのない歴史。

 

 しかし、今その『縁』が結ばれた。

 

 これより先の未来、カルデアのマスターがその伝説に立ち会う時がくるであろう。

 

 しかしそれはまた、いつかの話である。

 

 

 

 




後日また悟空のFGOに出た場合の設定を書きます。


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孫悟空(GT)設定資料

とりあえずFGO風味に書いてみました。
足りない項目や付け足してほしい項目等があればコメントにてお教えください。
反映するかは定かではありません。


 孫悟空(GT(グランドツーリスト)

 

【クラス】ルーラー

 

【マスター】カルデアのマスター

 

【真名】孫悟空(カカロット)

 

【性別】男

 

【身長・体重】175cm・62kg

 

【属性】善・中立

 

 ステータス

 

 筋力A

 耐久A+

 敏捷B

 魔力--

 幸運C

 宝具EX

 

【クラス別スキル】

 

 対魔力C:自身の弱体耐性を上昇させる。

 

【固有スキル】

 

 気の解放A:生きとし生ける全ての生物が持っている潜在エネルギーを解放し、身体能力の大幅上昇に加え空の飛行を可能にする。 また気を他人に分け与えることも可能。

 

 サイヤの咆哮A−:宇宙の中でも特に戦闘に特化した戦闘民族サイヤ人の血を持つ。 戦いを好み、自身が瀕死になるようなギリギリの戦いを求め、戦いの中で大きく成長する種族。 サイヤ人としての本能が強ければ強いほどこの恩恵を受けれる。

 

 ドラゴンボールの導きEX:7つ集めればどんな願いも叶えてくれる不思議な球、ドラゴンボールの導きによってこれまでの人生を歩んできた者にのみ与えられる加護。 ドラゴンボールの導きにより、加護を受けたものからこの加護をさらに受け、摩訶不思議な大冒険へと導かれていく。

 

【宝具】

 

『かめはめ波』

 

 ランク:C〜A

 種別:対人宝具

 レンジ:1〜99

 最大捕捉:1〜5

 

 体内にある気を手のひらに集め圧縮し一気に放出する亀仙流の奥義。 気を高めれば高めるほど威力と距離が伸び、星を破壊することが可能であり、その距離は地球から太陽にまで達する。

 

『元気玉』

 

 ランク:EX

 種別:対人宝具

 レンジ:1〜∞

 最大捕捉:1

 

 生きとし生けるもの全ての元気を分けてもらい放つ、東の銀河を納める界王より授かった秘伝の技。集める元気によってサイズと威力が変わり、ほんのわずかな元気であっても驚異的な威力を発揮する。 最大で全宇宙からの元気を集めることができる。 強大な宝具ではあるがその代わり発動し放つまでに時間がかかるのと、生物からの了承がないと元気を集めることはできない。 人の場合は手を空に上がる。 また必要以上に元気を集めすぎるとその星へのダメージも発生してしまう可能性もあるので、使い所には注意。

 

『龍拳』

 

 ランク:EX

 種別:対人宝具

 レンジ:1〜5

 最大捕捉:1

 

 孫悟空唯一のオリジナルにして最強とも謳われている奥義。 内なる気を爆発させ拳と共に黄金に輝く龍を出現させ敵に攻撃する。 黄金の龍は敵を貫き、炎と共に締め上げ、喰らい尽くすかのように襲う。 通常の姿、超サイヤ人3、超サイヤ人4で放たれている技であり、その時の姿によって技の細部が大きく異なる。 しかしどれを取っても一撃必殺級の大技なので悟空本人もここぞという場面でしか使わない。

 

『超サイヤ人』

 

 ランク:EX

 種別:対人宝具

 レンジ:ーー

 最大捕捉:ーー

 

 穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚める伝説の存在。 髪や眉は金色に輝き、瞳は緑色になる。 超サイヤ人となることで戦闘能力を遥かに上昇させ、その気性もサイヤ人本来のものとなり荒々しくなる。 悟空を始めとする数人はそれを克服し、更なるパワーアップを可能にした。 英霊となった悟空の超サイヤ人の段階は大きく4つに分類された。 通常の超サイヤ人、限界を超えた超サイヤ人2、極限のパワーを持った超サイヤ人3、神をも超える超サイヤ人4。 悟空の任意のタイミングでこれらを切り替えることができる。 ただしマスターにかかる魔力負担は解放するエネルギーの量だけ増える。

 

【Weapon】

 

『ドラゴンボール』

 

 かつて地球に存在していたドラゴンボール、そして宿っていた神龍と常に共にいる。 このドラゴンボールはすでにマイナスエネルギーが浄化されており、邪悪龍が生まれる危険はない。 だが悟空はこれまでの自分とドラゴンボールにまつわる歴史を振り返り、これを使用することを固く禁じている。 例え令呪をいくつ重ねたとしてもこれを使用することはできない。 だが存在するだけでいくつもの運命を呼び寄せるので、マスターには摩訶不思議な加護が知らず知らずのうちに付与されることになる。

 

【解説】

 

 絆Lv.1で開放

 身長/体重:175cm・62kg

 出典:ドラゴンボールGT

 地域:日本

 属性:善・中立 性別:男性

「オッス、オラ悟空! いっちょやってみっかぁ!」

 

 絆Lv.2で開放

 孫悟空という存在は英霊として十分な要素を持っているが、この孫悟空はドラゴンボールGTにおいて神龍と共に地球を去った孫悟空であり、地球にその霊基が刻まれているはずがない。だが今回の閻魔亭でも出会いにより新たな孫悟空が霊基として刻まれたため召喚が可能になった。

 

 絆Lv.3で開放

 ドラゴンボールGTはいわゆるアニメ時空であり、漫画には登場してないグレゴリーやアンニンなどの存在を記憶している。 だがその代わりターレスやクウラなどの強敵とは出会っておらず、(スーパー)の世界のことも経験にない。 しかし神龍との長い旅の中で、それらの世界のことを観測した経験があるようで、知識としてはそれらの存在を認識している。

 

 絆Lv.4で開放

 英霊として呼ばれてはいるものの、存在そのものがたまたま英霊という枠組みに、それも偶然的に無理やり当てはめたものなので既存のサーヴァントとは勝手が違う。 まず第一に、魔力は全て悟空の霊基によって気に変換される。 放出されるエネルギー全てが気になるため魔力による支援は悟空の気の増幅にしかならない。 また霊基が傷付いたとしても、あくまで孫悟空という存在を固定化するための力が失われるだけのため、消滅してもその時の経験が忘れることはなく、再度召喚に成功すればいいだけとなっている。

 

 絆Lv.5で開放

 戦闘能力は英霊の中でも随一であり、特に純粋な力比べとなった場合は神霊とも張り合える。超サイヤ人などを始めとする気を扱う技で消費した気はマスターからの魔力供給を挟まないといけない上に、本来の力の半分以下しか発揮できない。それでも十分に強く、悟空単騎で魔神柱を倒すくらいわけはない。しかし魔術などの特殊な力には相性が悪く、悟空本人も魔術が使えるわけではないのでそういった面での期待はできない。

 

 絆Lv.5で開放及び幕間の物語をクリアで開放

 元々悟空はルーラーではなくバーサーカーやライダーなどのクラスが割り当てられるが、この悟空はドラゴンボールGTにおいて最後に神龍と旅だった悟空であるため、便宜上のクラスはルーラーとなっている。 しかしあくまで現在存在するクラスの中でルーラーを当てはめているだけであり、もし仮に悟空に新たなエクストラクラスが割り当てられる場合、そのクラスは「旅人」であり『ツーリスト』である。 様々な摩訶不思議な冒険をしてきた悟空、彼はこの間違いなく『ツーリスト』というクラスの中での『グランドツーリスト』になるであろう。

 

 

 

 召喚時ボイス

「オッス、オラは孫悟空だ。 ルーラーってやつみてぇだな。 ま、よろしくな!」

 

 再臨一段階目

「お? オラの(りき)が上がったな。これがサーヴァントの特徴ってやつなんか……ちょっとむず痒いぞ」

 

 再臨二段階目

「もっともっと修行しなきゃなんねぇな……よし! マスターも一緒に修行しようぜ! まずはこの重たい亀の甲羅を背負ってみっか!」

 

 再臨三段階目

「だいぶ気も安定してきたな。 マスター、サンキューな! よーし、これでオラもっと修行できっぞー!」

 

 最終再臨

「いやぁーまさかオラがここまで力を出せるようになるなんて思わなかったぞ〜。 マスター、ありがとな。 これで超サイヤ人4まで完璧になれるように戻ったし、もっと強え奴と戦えっぞ!」

 

 絆レベル1

「オラ、ここ気に入ったぞ。 飯は美味ぇし修行できる場所もあるし……何より強ぇやつがいっぱいいるからな! ハハッ!」

 

 絆レベル2

「オラ達が絵になってる……マンガ? ちゅうやつは知ってっぞ。 あと絵が動くアニメ? ってやつもな。 でもスーパーってやつはオラ本当に知らねぇやつだから驚いたぞ! あれに出てたヒットってやつとかジレンってやつと戦ってみてぇなぁ」

 

 絆レベル3

「そういやマスター、オメェこの間かめはめ波の練習してたみてぇだけど、やってみてぇんか? 教えてもいいけどマスターなら魔術ってやつの方がいいんじゃねぇか? え? そういうのじゃない? どういうことだマスター?」

 

 絆レベル4

「オラ達サイヤ人はいつだって強ぇやつと戦いてぇんだ。 んでもよ、こうしてマスターと話してり飯を一緒に食うんのも好きだ。 じいちゃんや亀仙人のじっちゃん、カリン様達にオラ色々教えられてデカくなったかんな。何せオラ、地球育ちのサイヤ人だからな! だからマスターもそうやってデカくなるんだぞ? オラとの約束だ」

 

 絆レベル5

「マスターも沢山修行して、強ぇ奴らと一杯ぇ戦って強くなったなぁ。 オラずっと側で見てたから強くなっていくマスターを見るのは嬉しいしワクワクするんだ! ……なんでワクワクするのかって? そりゃもちろん強くなったマスターと一対一で戦うのが楽しみなんだ! サンキュー、マスター! オラ楽しみに待ってるぞ」

 

 stay night男性サーヴァント所持セリフ

「……なぁ、オラよく分かんねぇんだけんど。 何でオラにかめはめ波や舞空術を教えてもらいてぇって奴が多いんだ? あれは亀仙人のじっちゃんや天津飯達の技だからオラ教えてもいいんかなぁ?」

 

 玄奘三蔵所持セリフ

「この前ぇにオラとは違う『孫悟空』がいるって教えてもらってオラおどれぇたぞ。 この前ぇにアニメってやつで見た『黒いオラ』の事かと思ったぞ」

 

 ナイチンゲール所持セリフ

「いぎゃああああああああ! やめろナイチンゲール! オラいくつになっても注射は嫌なんだあああああああ!!」

 

紅閻魔所持セリフ

「紅閻魔は小せぇのに強えし飯も美味えしすげぇ奴さ。 閻魔のおっちゃんもどうして今まで顔を出さなかったんだろうなぁ。 ……あ、オラが地球で戦ったりした時に死んだ地球人が多かったからか! あ、あはは……こりゃあんまり紅閻魔には言えねぇなぁ」

 

 謎のヒロインX、謎のヒロインXオルタ、謎のヒロインXX所持セリフ

「カルデアにもオラみてぇな宇宙人がいるんだな。 ……でも、オラも宇宙中を冒険したけんど、あんな変わった連中がいた星なんかあったかなぁ?」

 

 



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大奥外伝 ー宇宙揺るがす神と神ー
宇宙震撼! 誇り高き『ブルー』の輝き!


悟空ときたらやっぱり彼でしょう。

特にイベントで何の関係性もないけど、いいよね!


 大奥。

 それは男性は入ることが禁じられている女人だけの園。 しかしそこに渦巻く女の憎悪や姦淫、蠢く恐ろしき女の悪感情。

 だがそれらは一人の女神によって利用されてしまった。

 

 それがこの『大奥』という特異点であり、カーマという女神の恐るべき計画の一部なのである。

 

 それを解決しようとカルデアのマスターとサーヴァント達はついに最奥にてカーマと対決する。

 

 しかし、それそのものが罠なのであった。

 

「マスター!?」

「いけません……これは……!」

 

 突如としてマスターに襲いかかる謎の圧力。 重力ではなく、肉体そのものが屈服を始めていた。

 

「クスクス……どぉやらバカ正直にここまで、正当に来てくれたみたいですねぇ。 あぁ、何とも短絡的、しかしそれでも私は愛してあげますよ」

 

『徳川化』。 それはこの大奥の中で楽な道を選択した男が『徳川と化し堕落する』現象。

 それにまんまと落とされてしまったのだ。

 

「さぁて、あとはそこに這いつくばっている可愛い芋虫みたいなマスターさんを堕として終わり……なので貴方達はもう消えていいですよ?」

「そうはいきませんわ。 マスターをお守りするのが私達の使命であり存在意義」

「何を言っているんですか? もうそいつは『カルデアのマスター』ではなく『徳川将軍』になるんですよ?」

「黙りなさいカーマ! 我々は『カルデアのマスター』だから付き従うのではありません! 『私達のマスター』だから共に戦うのです!」

 

 引く気の無いサーヴァント達。 その抵抗に少しの苛立ちを覚えるカーマであったが、そもそもこれすら彼女にとっては瑣末ごとである。

 

「やれやれ……物分かりの悪いサーヴァント達を従えて大変ですね貴方は。 だから私に溺れてしまいなさい!」

 

 カーマの真に恐るべき点はこの大奥という迷宮を作り上げた事ではなく、その身にラーマとしても側面を多く表出していることでもない。

 

 カーマの真に恐るべき事実、それは彼女が人類悪である『ビーストIII/L』、Lapseでありシヴァの『宇宙を焼き尽くす程の炎』により『宇宙に等しい存在』であることだ。

 

 これではいかに暗殺が得意だとしても、剣術を極めようとも、百を超える物語を語ろうとも、同じ神の力を纏っていようと……元ビーストだとしても敵うはずがない。

 

「やれやれ、無駄な足掻きって言葉をこうやって体験させてくれるなんて、なんてカルデアの人達は優しい人達なんでしょうか。 クソほど面倒でウザいですねぇ」

「うぅ……」

「身体が……重い……!」

 

 すでにそこは『宇宙』に等しい空間。 果てのない愛と果てのない悠久、それら全てを支配しているカーマを相手に、戦うという行為すら無意味。

 

「さぁ、そろそろ貴方も限界でしょう? 強がっても、無理をしても、目を背けても……もう貴方は『()()』に成っている。 もう私にその肉体を、魂を沈めてしまいなさい」

「いけません……! このような……このような身勝手な力に屈してはいけません!」

「マスターお願い! 絶対に貴方は折れないで!」

 

 

 春日局、マタハリの説得すら今のマスターには魂を燃やす燃料にならない。

 頭はモヤがかかり、身体は地に食い込む程重く……何より肉体が『堕落(それ)』を求めている。 委ね初めてしまっている。

 

「いけません……もうこれ以上は……!」

「フフフふふふ! さぁ、私という愛がこの宇宙を、歴史の全てを堕落させる記念すべき日にしましょう!」

 

 マスターの口が、重く閉ざされていたその言の葉を、溺れて漏れる空気のように……

 

「貴方の言葉で! それを成すのです!」

 

 漏れる──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──貴様か」

「……は?」

 

 それよりも早く、この空間に響く新たな声。

 

「『()()()』にビルスの星まで頼んだというのに、貴様だろう。 突然訳の分からん空間を宇宙に作り出したのは」

「あれは……誰……?」

「あの御仁……何故……」

 

 その男は、全身青いスーツに白を基調としたプロテクターを装着し、手足には保護を目的とした手袋にブーツ。

 そしてその髪は天に歯向かうが如く逆立っている。

 

 その男は。

 

「何ですか貴方……」

「貴様だろう、こんな傍迷惑な空間を作りやがったのは。 こっちは『ブロリー』を『フリーザ』の野郎に利用されても困らんようにもっと修行しなければいけないというのに……邪魔をしやがって」

「何で貴方はこの空間にひれ伏さないんですか……」

「どこのどいつだか知らんが、こっちは機嫌が悪いんだ。 さっさとこの空間を消さんと女でも容赦せんぞ!」

「貴方は……本当にこの宇宙で生まれた存在ですか……この宇宙にも等しい私の影響を受けないなんて……!」

 

 カーマという宇宙の支配、生殺与奪の支配すら物怖じせずに不機嫌そうな顔でカーマを睨んでいる。

 その男の正体を、マスターだけは知っている。

 

「まぁいいです。 ムカつきますが、貴方をさっさと消すことにしましょう!」

「ほう? やるつもりか。 いいだろう、俺のトレーニングのウォーミングアップになってくれるならなぁ!」

 

 その男は、カルデアと縁が結ばれた『孫悟空』と同じ……

 

「チャアアアアアアアアア!!」

「っ!」

 

 黒い髪が金色の光を纏い輝く。 いや、全身が金色の光を纏いオーラとして放出されている。 その姿を、マスターだけでなくカルデアのサーヴァント達は知っている。

 

「孫……悟空さんと同じ……!?」

「『(スーパー)サイヤ人』……!!」

 

 閻魔亭でマスターが出会い、そして召喚に応じた地球の、いや全銀河の英雄孫悟空と同じ種族、サイヤ人。

 そしてそのサイヤ人でも伝説と呼ばれる存在、『超サイヤ人』にその男がなった。

 

「……貴方本当に英霊ですか?」

「ごちゃごちゃ言う暇があると思うなよ!」

「っ!」

「ハァァァアアアアアアア!!」

 

 男はカーマに一直線に向かい拳を突き出す。 並みのサーヴァントでは動きを捉える事だけで精一杯であろうその速度から繰り出される拳をカーマは手の持つ武器で防ぐ。

 だが防いだからといって男の攻撃が止まるわけではない。

 

「ハッ!」

「くっ……!」

「手のひらから魔法弾……いやアレは気功弾!」

「悟空殿が扱う、『気』の力!」

 

 受け止められた手とは反対の手から放つ気功弾がカーマに着弾し爆発する。

 

「猪口才……!」

「ふん! 妙な気を持っているな貴様……だがこの俺には関係ない!」

 

 男は上空に飛び、カーマを見下ろしながら両手を光らせる。

 

「ダダダダダダ!」

「今度は連続で……面倒な!」

 

 雨のように降り注ぐ気弾。 避け、防ぎ、晒し……だが何発も上から降り注げば防ぎきれぬものもある。

 

「くぅ! ウザったいですねこの攻撃は!」

「すごい……私達じゃ手も足も出なかったのに……」

「オマケにまだまだ余力ありありって感じね。 これはもしかしたらカーマを倒してくれるかも……!」

「いや、それは話が違ってくる」

 

 連続して放つエネルギー弾、それに防戦一方に『見えるだけ』である。 剣術無双と呼ばれる柳生但馬守宗矩、戦いにおける武の達人の目には分かる。

 

「あの御仁の攻撃、確かに有効に見えるが……その実はかーまには一切効いていない。 そしてそれを攻撃している当の本人が理解している」

「なっ……!」

「効きもしない攻撃を続けているには訳があるようには見えるが……」

 

 宗矩がいうように、カーマ自身には一切のダメージが入っていない。 カーマが勝手に攻撃に苦戦しているだけである。

 本来ならばただ立っているだけで攻撃は効かないも同然。

 

「……目的は彼の戦闘能力の把握ということですね!」

「左様。 であるならばああやって一つ一つの攻撃に手を出したりはしないだろう」

 

 戦闘能力の把握。 それは現在攻撃を加えている彼も同然理解している。

 

「……」

 

 だから次の攻撃にでた。

 

「……攻撃が止んだ?」

「いえ、あの構えは……!?」

 

 カーマを見下ろしながら右手を照準として真っ直ぐに構える。 その手の平には球体状の光が輝く。

 

「あれって……私の目だと『貯めてる』ように見えるんだけど!?」

「誰の目から見ても同じだと思います! つまり……」

「大技が来る!」

 

 その一撃はまさしく宇宙創造の爆発に匹敵する、破壊の技。

 

「ビッグ・バン・アタック!」

「っ!」

 

 発射された光の玉はカーマ目掛けて一直線に飛んでいき、着弾と同時に一際大きく爆発を起こす。

 範囲は絞られているものの、男がカーマを倒すのに必要とされるエネルギーが注がれていたためその余波は凄まじい。

 

「なんて爆発なの……大丈夫マスター?」

「咄嗟に庇わせてもらいましたが……思いのほか衝撃がくるだけでしたね」

 

 マタハリとシェヘラザードが咄嗟にマスターを庇うも、一点集中された一撃による余波は大したことはなかった。 爆発地点以外には無駄な破壊は起こらない、それだけ洗練された必殺技というわけだった。

 

「……これか宇宙創造の爆発? ご冗談を」

 

 しかし、カーマという宇宙には通用しない。

 爆発の煙が晴れ、そこに立っているのはダメージどころか埃が付いた程度の事だと言わんばかりに肩を叩いているカーマの姿が。

 

「ちっ……やはり『ただの超サイヤ人(コレ)』では駄目か」

「わざわざ確かめて頂きありがとうございます。 おかげで貴方の力の秘密が理解できました」

 

 ゆっくりと歩をすすめる。 その表情に慈愛と蔑みと愉悦を混ぜながら。

 

「貴方のその尋常ではない力は『生命エネルギー』による自己強化ですね? それも桁外れのエネルギーをまさに手足のように巧みに操れる……ふふ、これで『サーヴァント』だったらまだ何とかなったかもしれませんね」

「……」

 

 睨み返す男の視線を感じると、より一層愉悦を漏らしながら講釈を垂れる。

 

「貴方はたまたま偶然、生きている『ただの人間』がここに居るだけ。 概念も解釈もないただの着の身着のままの人間。 そんな人間が、私に勝てるとでも? 貴方も! そこに這いつくばって誰かに守られなければ息をすることすら出来ない脆弱な人間なんですよぉ!」

「……フン」

「強がっても意味ないですよ。 『強さの次元が違う』んです。 まぁそんな生意気でムカつく態度をしてもちゃあんと愛してあげますよ……!」

「っ!」

 

 瞬間、カーマの魔力が跳ね上がる。 そしてカーマの淫靡な魔力が光を放ち、この宇宙を満たす。

 

「これは一体……くっ!」

「魔力の解放……いやこれは違う……!?」

 

 誰もが目を覆う中、超サイヤ人のこの男だけは伏せることなく構えている。

 そして光の輝きが落ち着いてきたと同時にゆっくりと目を開ける。

 

 そこにはマスターの目を疑う光景があった。

 

「何だこれ……って間抜けな顔で言ってますね。 見たら分かるでしょう? 『私が宇宙』というのなら、『私という存在で満たされている』のが当たり前でしょう!!」

 

 右を見てもカーマ、左を見てもカーマ。 上にも下にも奥にも後ろにも……この宇宙という空間が『宇宙(カーマ)』によって満たされていた。

 これがビーストの脅威、マーラという魔王の恐怖。

 カーマという愛の神の支配なのだ。

 

「これは……もう本当に後がありませんね……」

 

 キアラは一人この状況を冷静に分析していた。 残された唯一にして最後の一手。 しかしそれをこの状況で可能なのかどうか思案していた。

 カーマに善戦していた男が戦っているうちにすべき事であったとややも後悔する。

 

 だが、それでもキアラが二人の戦いを黙って見ていたのは、『()()()()()()()()()』という確信があった。 最初に姿を見た時のマスターの反応を見るに、『カルデアのマスター』の知る人物なのだと理解した。

 

 故にこの状況でも未だ不遜な態度を崩さない男を見て、まだ動かない。

 

「さぁさぁさぁ! どうしますかこの状況! もう溺れてしまいますか? この『宇宙(ワタシ)』に!!」

「……くだらん技だな」

「……は?」

 

 腕を組み、男は静かに、重く、カーマに告げる。

 

「こんな気色悪い技を使うのは『第2宇宙の戦士達(あの連中)』だけだと思っていたが……こんな所にもいるとはな。 気色悪さで言えばあいつらの方が上だが……お前の方が品がないな」

「……貴方、本当にムカつきますね。 そこまで減らず口なのであれば……宝具で終わりにしてあげますよ!」

 

 カーマの魔力が一際上昇する。そして発動する、恐るべきカーマ/マーラの宝具。

 

 ──我は煩悩の化身にして、第六天の王。

 

「何だこれは……!」

 

 ──感応の火は障害ならず、冷たき虚無を満たす済度。

 

「くっ! あの女の分身が纏わり付いて……!」

 

 ──堕ちて揺蕩え、欲の星海。

 

「──っ!」

 

 ──『愛の世界、燃える宇宙(マーラ・アヴァローダ)

 

 無数のカーマに纏わり付かれた男はそのままその身を燃やされ『宇宙(カーマ)』に溶かされる。

 そしてそのまま『宇宙(カーマ)』に溺れ、一部となっていく。

 

「あ、あれがカーマの宝具……! あんなのマスターが食らったら二度と『徳川化』から戻れなくなる……!」

「さぁ、次は貴方の番ですよ、カルデアのマスター!」

 

 次の標的……いや、標的というのは些か表現が間違っている。 『次の作業』に移ると言った方が正しい。 特に感情もなく、得るものもなく、ただ愛をばら撒く。

 

 そして二度とその愛から這い上がれなくなるように、溶かして解かして融かす。

 

「貴方も『(ワタシ)』に溺れなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──くだらん技と言ったはずだ。

 

 突如として立ち昇る『蒼くゆらめく光』。

 

「……………………は?」

 

 その光はこの宇宙よりも深く蒼い輝きを放つ。 静かにゆらめく蒼い輝き、しかし熱く燃ゆる炎のようにも見える。

 その蒼炎の中心にあるシルエット、それは先程カーマの宝具をくらい宇宙に溶けて消えたと思われていた男。

 

「何ですか貴方……」

 

 纏う光は先程までの眩しく激しい金色のそれとは全く違う。

 

「何で『神性』を放っているんですか……!?」

 

 蒼炎を全身に纏い、その髪の色までも『蒼』に染まる。

 その変化をマスターは知らない、いやカルデアに召喚された孫悟空ですら成る事が出来ない姿。

 

「貴方一体……何者なんですか!?」

 

 一筋の汗がカーマの頬を伝う。 それは明確な焦りと混乱。

 今目の前にいる男の存在が余りにも不明瞭であり……そして確実に自らを脅かす存在だと少しずつ感じ取っているのである。

 

「……知りたいか? なら教えてやる」

 

 纏う蒼炎が少しずつ剥がれ、男の姿を鮮明にする。 蒼い髪に蒼い瞳。

 その身に纏うは……『神の気』。

 

「俺は『()()()()()()()』……」

 

『神の領域』に達した、誇り高き戦闘民族の王子。

 

「『ベジータ』様だ!!」

 

『Z』を超えた『(スーパー)』の世界より、『グランドオーダー』に参戦。

 戦いは『神次元』へと突入する。

 

 




後日にまた設定集出しときますね。


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ベジータ(超)設定資料

とりあえず置いておきます。
後々追加だったり修正をするかもしれません。


 ベジータ((スーパー)

 

【クラス】アーチャー

 

【マスター】カルデアのマスター

 

【真名】ベジータ四世

 

【性別】男

 

【身長・体重】164cm・56kg

 

【属性】善・中立

 

 ステータス

 

 筋力A+

 耐久A

 敏捷B

 魔力──

 幸運C

 宝具EX

 

【クラス別スキル】

 

 対魔力B:自身の弱体耐性を上昇させる。

 単独行動A:自身のクリティカル威力を上昇させる。

 神性A:自身に与ダメージプラス状態を付与。(超サイヤ人ゴッド、超サイヤ人ゴッド超サイヤ人の場合のみ)

 

【固有スキル】

 

 神の気A+:生きとし生けるもの全てが持つエネルギー、「気」。その次元よりも一つ上にある神の持つ気を操ることができる。この特殊な気は同じ次元に立つ者、それと同等の力を持つ者でしか感じ取る事が出来ない神性を帯びている。

 

 王の血筋A++:戦闘民族サイヤ人の王、ベジータの系譜を受け継ぐ者。 その血に気高き誇りを持つが故に残酷な一面もあるが、常にその血に誇りを持ちながら強さの限界を超えていく。 時に残忍であり、時に仲間思いの一面を持つ戦闘民族の象徴。

 

 戦闘センスA++:戦いにおける戦闘のセンスが抜群である。 どんな敵であろうとその力や能力を観察し的確に対応できるようになる。 戦闘において天才と呼ばれる者はこのスキルを必ず所持している。 なおベジータは孫悟空よりもこのスキルが上である。

 

【宝具】

 

『ギャリック砲』

 

 ランク:C〜A

 種別:対人宝具

 レンジ:1〜99

 最大捕捉:1〜5

 

 両手を重ね合わせ気を溜め、両手を前方に突き出しながら放つエネルギー砲。 紫色の光を放ち、その威力は地球を粉々にする程の威力が出る。かめはめ波によく酷似しているとベジータ本人が語っている。

 

『ビッグ・バン・アタック』

 

 ランク:A

 種別:対人宝具

 レンジ:1〜30

 最大捕捉:1

 

 突き出した手の平を標的に合わせ、球体状の気弾を発射し、着弾時に大きな爆発と破壊を起こす。 通常の気弾と違って爆発が大きく、さらに気を溜めているため威力は桁違いであり、無駄な破壊も行わない。 球体状ではなく丸みを帯びた光線のパターンもある。

 

『ファイナルフラッシュ』

 

 ランク:A+

 種別:対人宝具

 レンジ:1〜99

 最大捕捉:1〜10

 

 両手両足を大の字に大きく広げ、その後両手を横に向けたまま合わせ膨大な気を溜めて放つ、技巧派なベジータの技の中でも特に威力に特化した技である。 溜めるのに時間がかかるものの、時間をかければかけるほど威力は増す。 逆に溜める時間が短いと威力は抑えられる。 最大まで溜めた場合は海を割り宇宙までも貫く一撃となる。

 

『ファイナルエクスプロージョン』

 

 ランク:A++

 種別:対魔人宝具

 レンジ:1〜99

 最大捕捉:1〜99

 

 全身をドーム状に気で覆い、自らの肉体が滅びる程の大爆発を起こす捨て身の技。 身もふたもない言い方をすれば自爆である。 莫大な威力を誇る代わりにベジータ本人の肉体は完全に燃え尽き、石のように灰色に固まり、最後にはチリとなって消滅する。 しかし超サイヤ人ゴッド超サイヤ人(進化)へと進化したベジータはこの技の反動に耐えられるようにはなった。 それでも満身創痍になることには代わりないが、破壊神の破壊エネルギーですら破壊しきれない程の攻撃に進化している。

 

『超サイヤ人』

 

 ランク:EX

 種別:対人宝具

 レンジ:──

 最大捕捉:──

 

 穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚める伝説の存在。 髪や眉は金色に輝き、瞳は緑色になる。 超サイヤ人となることで戦闘能力を遥かに上昇させ、その気性もサイヤ人本来のものとなり荒々しくなる。 悟空を始めとする数人はそれを克服し、更なるパワーアップを可能にした。 英霊となったこのベジータは超サイヤ人、超サイヤ人2に変化できる。 超ベジータという超サイヤ人の派生形の変身も可能である。 当然マスターへの魔力負担も変身段階によって変化する。

 

『超サイヤ人ゴッド』

 

 ランク:EX

 種別:対神宝具

 レンジ:──

 最大捕捉:──

 

 サイヤ人の伝説の中でも超サイヤ人以上の伝説の存在。 それ故に歴史の中で葬り去られた存在でもある。 5人の純粋な心を持つサイヤ人の気を1人の純粋なサイヤ人に送り込むことで始めてその存在が出現する。全身の気が神の気へと変化し、赤い気に赤い髪、全身は無駄が削ぎ落とされ少し痩せた体型となる。 超サイヤ人とはいうものの、髪が逆立つこともなく、超サイヤ人のような変化だからそう呼ばれているのであって、本質は超サイヤ人とは別の存在である可能性がある。

 

『超サイヤ人ゴッド超サイヤ人』

 

 ランク:EX

 種別:対神宝具

 レンジ:──

 最大捕捉:──

 

 超サイヤ人ゴッドのパワーを持ったサイヤ人のみが辿り着ける新たな境地。 別名超サイヤ人ブルー。 荒々しいゴッドの赤い気と違い、穏やかな青い気を纏い髪の色も青になる。 ゴッドの持つ神の力を超サイヤ人に融合させた変身であり、気のコントロールを完璧に操れる変身でもある。 パワーはゴッドより上であり、気の消費も大きい。 またベジータのみこの変身の更なる進化が可能である。 進化した超サイヤ人ゴッド超サイヤ人は全ての能力がパワーアップし、神性もこの時のみA+++となる。

 

 

 

【解説】

 

 絆Lv.1で開放

 身長/体重:164cm・56kg

 出典:ドラゴンボール(スーパー)

 地域:日本

 属性:善・中立 性別:男性

「サイヤ人の王子、ベジータ様が相手だ!」

 

 絆Lv.2で開放

 ベジータは元々この地球に存在しないためクラスにおいてはフォーリナーが該当すると言われているが、サイヤ人としての誇りを持ち地球を守るために戦う決意を持っているため、このベジータはフォーリナーからは外れている。 もしかしたら地球に降り立ったばかりの頃であるならあるいは……

 

 絆Lv.3で開放

 ドラゴンボール超からの召喚になるものの、『神と神』、『復活のF』とは間接的には繋がりがあるもののあくまでアニメの超からである。 そのためこのベジータはビンゴダンスはしないものの料理が出来る。 このように映画とアニメで混同されがちであるが、特に勘違いや間違いをしてもこのベジータなら大して怒りはしない。

 

 絆Lv.4で開放

 英霊としての規格は孫悟空(GT)と同じである。 またゴッドに変身している時だけ神性を持つようになっている。 本来ならばその身にゴッドのパワーを有しているため平常時でも少しは神の気を持っているはずだが、どうやら此度の召喚ではこのような仕様になっているようだ。 もちろん神性のランクは高く、神霊クラスに匹敵する。

 

 絆Lv.5で開放

 孫悟空を超えるという目的はどんな時でも変化はしない。 例え英霊というシステムによって召喚されようとも彼は常にたゆまぬトレーニングを続ける。 誇り高きサイヤ人の王子として彼の姿勢は変わらず、マスターとサーヴァントの関係を理解しながらも彼はその生き様を変えることはない。 故に扱いは難しいかもしれないが、信頼し合えばこれほど頼りになる存在はない。 特に孫悟空と共にあれば……

 

 絆Lv.5で開放及び幕間の物語をクリアで開放

 超サイヤ人ゴッドと超サイヤ人4は進化するという事においては同格ではあるものの、その特性は大きく違う。 超サイヤ人4はサイヤ人の持つ大猿という本質が色濃く出ている変身であり、逆に超サイヤ人ゴッドはその本質から外れた善の心から生まれた異端な変身ともいえる。 しかしそのどちらも正しい進化であり間違いではない。 故にサイヤ人としての本質を維持しながらも善の心を持ち、決して戦闘民族サイヤ人としての誇りを捨てない彼だからこそ。 超サイヤ人ゴッド超サイヤ人(進化)という神の領域から進化できたのかもしれない。

 

 

 

 召喚時ボイス

「ちっ、貴様が俺のマスターというわけか。 ……まぁいい、俺はサイヤ人の王子ベジータだ。 腑抜けたマスターでないことを期待してるぞ」

 

 再臨一段階目

「これが超サイヤ人ゴッドだ。 ……何? いつ変身していたのか、だと? ふん、神の気の本質さえ掴めばこれくらいの変身、俺様にとって訳はない」

 

 再臨二段階目

「まだまだ力が足りんな……行くぞマスター! トレーニングだ、遅れるなよ!」

 

 再臨三段階目

「これが最新の超サイヤ人ブルーだ。 こうなったからには俺様も大暴れさせてもらうぜ……ついてこいマスター!」

 

 最終再臨

「ふん……ここまでブルーの力を高めさせてくれるとはな。 貴様の評価を改めてやろう。 ブルーを超えたこの力、存分に見せてやる。 このサイヤ人の王子ベジータ様が最強だとな! ハッーハッハッハッ!」

 

 絆レベル1

「ふん……何の用だ。 暇なら身体を鍛えろ。 軟弱では話にならん」

 

 絆レベル2

「ここには重力室がない代わりにいいシュミレーターがあるのはいいことだ。 トレーニングは常に変化が必要だからな。 貴様も毎日同じようなトレーニングではいかんぞ」

 

 絆レベル3

「俺たちサイヤ人の本質は戦いにこそある。 英霊というシステムはその点では好ましいが……やはり気に食わんシステムだ。 これでは成長が見込めないではないか」

 

 絆レベル4

「貴様のようなガキが世界を救わねばならんとは。 貴様を見ているとトランクスを思い出す……。 ちっ、仕方がないから手助けをしてやろう。 勘違いするなよ! 俺様は強いやつと戦いたいだけだ!」

 

 絆レベル5

「……どうやら初めて会った時よりはマシになってきたようだ。 だが忘れるなよ、大切なのは誇りを失わない事だ。 誇りを失ったらどれだけ強大な力を持っていたとしても宝の持ち腐れだ。 カルデアのマスターとして、人類最後のマスターとしての誇りを忘れるな。 貴様が誇りを失わない限り、俺も共に戦ってやる。 感謝するんだな」

 

 フォーリナー所持セリフ

「あいつらが宇宙人だと? あのような知的生命体はあまり多くはないはずだがな……ここは俺たちのいる第7宇宙とは違う宇宙だからか。 にしても気色悪い……俺はああいったウネウネしているものが嫌いなんだ。 あいつらには言うなよ」

 

 神霊サーヴァント所持セリフ

「ここにも神がいるのか。 ……とはいえビルスのような破壊神はいないようだな。 いたところで美味いものでも食わせておけば問題ないがな」

 

 カーマ所持セリフ

「……全く、おいマスター。 貴様からもこの女に言っておけ、貴様のくだらん妄言に付き合ってる暇はないと。 悪いがサイヤ人は気の強い女以外には惹かれんのでな」

 

 孫悟空所持セリフ

「勝負だカカロット! 貴様がどのカカロットかどうかなんて関係はない、勝負しろ!」

 

 子ども系サーヴァント所持セリフ

「ええい貴様ら大人しく飯を食わんか! 野菜はしっかり食べろよ! キャベツも菜っ葉もしっかり買え。 ……人参は、まぁ少しくらいなら見逃してやる」



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龍球英霊こぼれ話
こぼれ話その1


適当に書き殴った小話集。
オチはない。
解釈違いは仕方ない


 差異遊記

 

「ねぇ悟空、あなたって如意棒も()()()も持ってるって本当?」

「そうだぞ。 如意棒はオラのじいちゃんからで()()()は亀仙人のじっちゃんから貰ったんだ」

「うーん、やっぱり似ているけど私の知る『悟空』とは違う部分も多いのね。 ……にしても悟空に觔斗雲を上げたその仙人サマは凄いわね。 私だって觔斗雲に乗ることはできないのに」

「いや? じっちゃんも筋斗雲に乗ることはできねぇぞ」

「へ?」

「筋斗雲は「よいこ」じゃねぇと乗れねえからな。 じっちゃんはいっつもスケベな事考えてっから筋斗雲に乗れねぇんだ」

「えぇっ!? 仙人なのになんて不埒な!」

「じっちゃんは昔っからだかんなぁ。 あ、そうだ。 三蔵も筋斗雲乗ってみっか? オラが呼べばすぐ来てくれっぞ」

「觔斗雲に乗れるの!? ……いや、やめとこうかしら」

「大ぇ丈夫だって。 三蔵がマスターの事好きなのは筋斗雲気にしねぇって」

「ちょちょちょっと待って違うって! 悟空ぅ!!」

 

 王子サマ

 

「ちっ、何故こんな場所に……」

「まぁ良いではないかサイヤの王子よ。 こうして異なる時代の王達と席を囲むのも一興だぞ?」

「分かっているではないか征服王。 しかし貴様は己の秘蔵の美酒が飲めれば口実はどうでもいいのではないか?」

「そいつは言ってくれるなら英雄王! なぁに、美味い酒には美味いツマミも必要だ。 だからこうしてサイヤの王子を呼んだんじゃないか」

「……そもそも俺は酒は好まん」

「だからこうして贋作者(フェイカー)共に頼んで色々用意させたのだ」

「ちっ……それで? 俺の何の話が聞きたいんだ?」

「おぉう、もうメインに入っちまうのか? まぁそれもいいか。 そいつは英雄王が聞きたいことがあるそうだ」

「なに?」

「サイヤの王子よ。 己は貴様らの原典を網羅した上で一つ気になる点が貴様にあってな」

「……なんだ」

「何故貴様は『王子』を名乗る? 名実共に貴様がサイヤの王足り得る実績、名声を持っているではないか。 此度の未知なる『(スーパー)』という世界においても未だ貴様は『王子』と名乗る。 その訳はなんだ?」

「……」

「ふぅむ、確かにそいつは気になるな。 お前さんは自分ンとこの血統に誇りを持っている。 そいつを強く掲げるなら王と名乗ってもいいはずだ」

「……言っておくが、貴様らにとって面白い話ではないぞ」

「構わぬ。 話してみよ」

「俺は生まれた時から親……つまりはベジータ王の戦闘力を超えていた、 だからサイヤ人の王の座などたかが知れている」

「ふむ。 なら王という地位や名声には興味がない、と?」

「違う。 気に食わんのだ。 俺よりも弱い奴のいる『王の座』に座るなど、俺の『サイヤ人としての誇り』が許さん」

「……ほぅ!」

「だから俺はこれまでもこれからも『サイヤ人の王子』ベジータだ。 ただそれだけの話だ」

「なるほどなぁ! サイヤ人の誇りが故にお前は王子なのか! なんと実に己の血統に準じる男だ! ますます気に入った! 飲め飲め!」

「貴様の物ではないだろう征服王。 しかしサイヤの王子よ、貴様のその生き方。 まさに『サイヤ人』というわけか。 実に納得した! 贋作者(フェイカー)よ、貴様の事だからさり気無く聞いていたのであろう? 褒美は以上だ、この誇り高き王子の舌を存分に満足させよ!」

「……ふん、やかましい連中だ」

 

 おじいちゃん

 

「……うーん?」

「あわわわ……」

「ウフフ……」

「……なぁ、そこのお前ぇ達。 オラになんか用か?」

「あっ……その……そのぉ……」

「お?」

「ごめんなさいね悟空おじいちゃん。 イリヤったら有名人に遭遇してびっくりしちゃってるみたいなの」

「くくくクロ!?」

「ははーん、さては二人ともオラ達の『物語』を読んだことあんだな。 オッス、オラ悟空!」

「キャー!? 生だぁー!!?」

「もうイリヤったら……」

「にしてもオメェみてぇな女の子もオラ達の事知ってんだな。 マスターとかエミヤの奴とかなら分かんだけどよ」

「まぁ悟空おじいちゃんって『少年向け少女向け(そういうの)』とは関係ないからねぇ。 日本にいるから否が応でも見たことあると思うよ」

「へぇ〜」

「ちょっとクロ! いきなりおじいちゃん呼びはフレンドリー過ぎない!?」

「何言ってんよ。 いくら向こうの方が『大御所(ベテラン)』だからって関係ないわよ。 別に悟空おじいちゃんも気にしないタチでしょ?」

「おう、好きに呼んでいいぞ」

「うう……なんだかすっごい緊張しちゃう……」

「……」

 ──おじいちゃん!

「……ハハッ!」

「ほら、イリヤもおじいちゃんって呼べば?」

「恐れ多すぎるよ!?」

 

 最恐の敵

 

「「最強の敵?」」

「そ。 貴方達ずいぶん規格外な英霊だけど、その貴方達が一番戦って強かった奴の話を聞かせなさいよ。 次の同人誌のネタになりそうだから」

「……勝手に俺たちのデータでも見ればいいだろう」

「こういうのは実際の人間にインタビューした方がいいのよ。 データだけじゃない、所謂体感した話が聞きたいわけ」

「面倒だ」

「まぁいいじゃねぇかベジータ。 別に減るもんでもねぇしよ。 それに黒いジャンヌが後で美味えモン食わしてくれるって言ってたじゃねぇか」

「……ふん」

「ありがとね。 それじゃあ孫悟空から聞かせてもらえるかしら? 一応貴方のデータはあるから予め予習はしてるけど」

「おっ、そういうことなら分かりやすいな。 やっぱオラが最後に戦った『邪悪龍』の()()()ってやつだな。 あいつが一番ヤバかったかんなぁ〜」

「あら、やっぱりそうなのね」

「おう、邪悪龍達の力全部使えっし。 オラとベジータがフルパワーで戦ってもてんで通用しなかったんだ。 オラとベジータでフュージョンしてようやくあいつのパワーを上回ったんだけんど、それでも倒しきれないくらいだからなぁ」

「ふーん。 にしてはずいぶん軽い口で言うわね」

「オラもあれからずいぶん強くなったからなぁ。 あ、もちろん今はサーヴァントだからアレだけどよ。 今度は一対一で勝負してぇなぁ」

「流石サイヤ人……頭が最高に戦闘思考ね」

「そういやベジータ。 オメェ達の世界には『邪悪龍』はいたんか?」

「……貴様のいた世界のデータに記録されていたドラゴンボールの化身とかいうやつか。 そいつらは俺たちの世界……宇宙にはいなかった。 いるのかもしれんがな」

「それなら貴方の一番の強敵は誰なのかしら?」

「『ジレン』……と断言したいが、『ブロリー』も同じくらいの強さだった」

「ブロリー? ブロリーってあの()()()()か? 『伝説の超サイヤ人』っちゅうやつか?」

「それは異なる世界のブロリーだ。 超の世界(俺たち)の所のブロリーははっきり言って同じサイヤ人でも桁違いの強さと成長を持っていた」

「はぇー! そっちのブロリーはそんなにスゲェんか!」

「……意外ね。 プライドの高い貴方が素直にそこまで評価するだなんて」

「……仕方ないだろう。 この俺にカカロットとフュージョンさせたんだ」

「そうなんか!? マジに強ぇんだな!」

「言っておくがカカロット、ブロリーは貴様の超サイヤ人4でも敵わん相手だ。 恐らくジレンもな」

「すっげぇなぁ! ベジータの話聞いてオラワクワクしてきたぜ!」

「……バケモノ二人よりも強いとか貴方達の地球はよく無事ね……」

「そうでもねぇぞ? 地球は何回かぶっ壊れてっからな。 その度にドラゴンボールで直してんだけどよ」

「…………そういえばそうだったわね。 アレ? こいつらの話は同人誌のネタに使いにくくない?」

 



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