間桐 心現の聖杯戦争 (Reidou Shion)
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第1話

ちゅんちゅんと小鳥の声が聞こえる。

 

 

……ここはどこだろうか。

 

 

 

何故かズキズキとした頭痛を感じる。

 

 

 

今まで閉じていた重い瞼を開けると、眩しい朝日を浴びて思わず顔を勢い良く左に逸らす。

 

 

……勢い良く顔を逸らした反動で頭痛が少し酷くなった気がする。

 

 

「起きたか…心現(しんげん)。」

 

 

突然左から声がかけられる。

 

 

それに反応し右に顔を向けると、少し癖の目立つ青い髪をした好青年が目に映る。

 

 

「昨日あった事は覚えているか?」

 

 

昨日?

 

 

するとまたもや酷い頭痛に襲われる。

 

 

頭が割れる様な痛みに比例し、色々な記憶が流れ込んでくる。

 

 

 

まずこの肉体の持ち主と思われる人間の記憶と、その前世と思われる人間の記憶。

 

 

隣の青年が言っている【昨日】にあった事も思い出した。

 

 

そう、私は昨日、5歳になったこの肉体で、初めて魔術回路の作成を行ったのだ。

 

 

私はその反動で気絶し、今その状態から回復した訳か。

 

 

「しっかり記憶しております、父上」

 

 

そう、隣の青年は私の父親、【間桐 臓硯】。

前世と呼ばれる私の記憶にも存在しており、その記憶では老人の姿をしており記憶が磨耗しており、野望を追い求める妖怪と化しているらしい。

 

前世の記憶でも若き頃の姿の存在を確認しており、どうやら間桐臓硯の若き姿、つまり現在の目的はこの世全ての悪の根絶が目的と思われる。

 

 

「そうか、お前の魔術回路の本数はメイン80本、サブが20本づつ、合計140本、素晴らしい才能だ。」

 

 

……どうやらこの身体の才能はとてつもないらしい。

 

前世の記憶の原作と呼ばれる情報から察するに、最高レベルの才能とされている遠坂凛でさえメイン40本、サブで30本づつだった事を考えれば、確かに素晴らしい才能であると言えるだろう。

 

 

まあ、この身体の記憶からの情報で、現在は西暦1785年、つまり江戸時代である。神秘も原作より多く存在しているし、日本外で言えば、16、17世紀に比べて収まりつつあるといえ、まだ魔女狩りが続いている時代である。

 

 

「そして属性は水と虚数、希少属性も含まれていた、これによりお前を次期当主にする事は確定された。」

 

 

ほう、虚数か…つまり原作の桜と同じ属性、水もある事から言ってしまえば上位互換か。

 

 

 

「そして問題は起源、お前の起源は干渉と収束……間桐の魔術に適した正に神童と呼べるに相応しい魔術師だ。」

 

 

 

……心当たりがある。

 

 

まず前世と呼ばれる記憶の中に、Fateグッズ、つまり私が存在している世界観のグッズを集める癖があり、そして他人のパソコンや携帯等に干渉(ハッキング)する事に愉悦を感じていた(犯罪とわかっていたがな)。

 

 

 

……永きに渡る前世の妄想による成果が分からんが、魔術のアイデアを思いついてしまった。

 

 

私の起源は干渉に収束、つまり、私の切った髪の毛や爪、唾液や涙を使って蚊等の虫を作って多数の人間からほんの少しづつ寿命や魂、魔力を吸い取り私に収束させると言う恐ろしい魔術、私の才能ならば出来るのではないか?

 

 

 

まあ、そこまで甘くは無いだろう、他人の魂を吸うと言うことで、私の魂にも何かしらの異常があってもおかしくはない、まあ、魔力ぐらいなら問題ないだろうがな。

 

 

取り敢えずの目標は自分の才能に見合った魔術を極めることとしよう。

 

 

 

それと、前世の記憶がバレぬ様に適度に父上とのコミュニケーションも取っておかねば。

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公の状態は、脳内の記憶データは残りつつ感情や精神をリセットした様な状態です。


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第2話

 

 

 

あの後、父上から魔術の基礎や間桐の魔術、そして自分の肉体を虫に変えて延命する事に苦痛を感じている事を聞き、私は真剣に魔術を学んでいた。

 

 

父上に、15歳になったらイギリスのロンドンにある時計塔に行くように言われている為、それまでに己の魔術をある程度完成させなければならない。

 

 

時計塔には、「個体基礎」「降霊」「鉱石」「動物」「伝承」「植物」「天体」「創造」「呪詛」「考古学」「現代魔術論」の12個の学問があるが、私は「個体基礎」 「降霊」 「伝承」 「創造」 「現代魔術論」の5つを取ろうと思う。欲張りすぎかと考えたが、私が今後生きていく為に必要そうな学問のみを選出してこの数なので、これ以上削れそうにない。

 

1番注目したのは個体基礎、主に脳について学ぼうと思う。

 

脳のスペックを上げておかねばこの後数百年生きていく過程で記憶が圧迫し、古いものから忘れてしまう可能性がある為だ。

 

そして、時計塔に行くにわたって、時計塔である程度の地位を築いていれば、いざと言う時役に立つだろうし、それに他の魔術師との交流も持ちたい。

 

そして聖杯戦争のこともある。

 

 

25年後には、アインツベルン、マキリ(間桐)、遠坂の御三家による聖杯の創造が行われるので、それまでにまともな戦闘力を得ねばならない。

 

 

戦闘力を得る過程で、【固有結界】の取得も目指してはいる。

 

 

 

固有結界とは、魔法に最も近い魔術とされ、魔術協会では禁呪のカテゴリーに入っており、魔術の到達点のひとつとも言われているらしい(前世の記憶参照)。

 

 

固有結界についてわかりやすく例えると、『タマゴの殻』を自分の『心像風景』と『現実』との境界線と考え、膨大な魔力を使い、タマゴの殻をそのままに『現実』と『心像風景』を入れ替えると言う仕組みである。

 

 

恐らく時計塔の禁書の中に、魔術理論【世界卵】についての記述がある資料がある筈なので、時計塔で地位を築き、時計塔の上位権力者と等価交換を称し禁書の閲覧許可を取る事が出来ればいいと考えた。

 

 

 

自分の固有結界はどんな能力か自分でも分からないのが不安だが、恐らく自分に害を成す能力の可能性は限りなく低いだろう。

 

 

そして、私が考えるに、固有結界が抑止力による排斥によって莫大な魔力を必要とされる事から、衛宮切嗣の使っている固有時制御の様に、「持って生まれた肉体と外界との遮断」は概念的に最も無理がないことを利用し、結界の範囲を自らの体内に限定するという手法を魔力を対価として行えば、固有結界の練習になるのでは無いかと考えた。

 

 

そうして、私は魔術鍛錬を行いつつ、固有結界発動のキーを探し始める事を決めた。

 

 

 

〜数日後〜

 

 

やはりこの身体の才能はずば抜けている。

 

虚数魔術は完全にアイテムボックスとして活用されており、父上から与えられた虫の制御も完璧にこなせるようになった。

 

 

父上からは、虫の創造を許可されたので!今日は自分の体の一部(髪)も魔力を使って新たな虫の創造をしようと思う。

 

 

作ろうと思う虫は【蟻】

 

 

勘のいい人ならば分かるだろう、そう、キメラアントだ。

 

 

某ハンターでは、女王が巨大過ぎるのが問題だったが、今回作るキメラアントの女王は20cm程にしようと思う。

 

 

そう、私の起源は干渉と収束。

 

他生物の遺伝子に【干渉】し産まれてくる子孫をより強くする為に餌を集める(収束)。

 

 

それを私が制御し、有り余るであろう子孫は個体差別にして虚数空間(アイテムボックス仕様)に放り込んでおけば、最強の虫の軍勢が誕生だ。

 

時間は無いが、私がわざわざ1匹1匹作っていくよりかは効率的だ。

 

だが、虫の制御にも少なからず魔力は使うだろう、虫にも寿命があるだろうが、個体差によって違うし、増える方が早そうだ。

 

 

これは、何らかの魔道具と魔力を収集する魔術も完成させなければ。

 

魔力を収束するのは魔蚊を使えば良さそうだが、集めた魔力を貯めておく器も必要だ。

 

 

ふむ、どうするか……ああ、そう言えば時計塔の地下には幻想種も彷徨う希少資源の溜まり場の様な迷宮があると前世の記憶にあるな、そこで資源を集めればいいか。

 

 

少なくとも10年は待たなければ行けないのか……まあ、やる事は色々ある、キメラアントの繁殖は少しづつ行うとするか。

 

 

 

…その後、キメラアントはしっかりと創造され、父上の驚いた顔が見れたのはラッキーだったな( ̄∀ ̄)

 

 




主人公に少しずつ感情が芽生えました、そして、次回から10年程時間を飛ばして主人公は時計塔に行きます。


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第3話

2019/7月21日/大幅な編集を行いました。


 

 

 私は先月15歳になった、つまり時計塔に行くことが出来るようになったのだ。時計塔に入学している間に、礼装製作や研究の為の素材集めや、コネクションを作りサーヴァント召喚の触媒集めもしておかないといけない為、先ず時計塔で友人を作ろうと考えた。

 そんなこんな私は、父上の紹介でグレイアス・エルメロイ・アーチボルトと言う青年と出会い、形だけの友人関係ができた。

 アーチボルト家初代当主が父上と同期らしく、その3代目当主のグレイアスは、アーチボルト家の秀才と呼ばれる優秀な魔術師らしい。聖堂教会による魔女狩りから妻を救っているらしく、代行者をも撃退する戦闘能力を持っていると父上から聞いたので、対代行者の戦い方を教えてくれと頼み込んでみた所、『なんでキミにボクの魔術を教えなきゃ行けないんだ、けどまあ、体術ぐらいは教えてあげなくもない。』と言われ、私はニッコリと笑いながらその誘いを受けた。

 ついでに言ってしまうと、彼の口から出た声は所謂【ショタボ】と呼ばれる部類の声であり、顔も中性的である事から非常にモテるだろう、と言ってみた所、水銀を槍状に変形させて思い切り脳天を叩かれた。その後三日程は痛みが引かずに辛い思いをしたのはいい思い出である。

 

 

 

□◆□

 

 

 この数ヶ月、グレイアスは、人にモノを教える才能があるのでは無いだろうか、多少他を見下す姿勢あれど、生徒を導く事に関しては超一流だと思いてしまう程、彼の体術指導は覚えやすかった。グレイアスは私の才能の所為だと言っていたが、それを含めても彼が人にモノを教える才能は飛び抜けている。

 

 そして、ある日私はグレイアスの様子がおかしい事に気付いた。

 何があったのか聞いてみると、彼は水銀に意志を持たせ、擬似的に使い魔とする事で水銀の多様性を強化しようと試みていたそうだ。実際に、水銀を改造して生物とする試みをした所、どうしても犬や猫、ホムンクルスの様に意志を持たせることができないとボヤいていたので、私は体術を教えて貰った恩がある彼に助言をする事にした。

 

『───魂を入れてみたらどうだい?』『───なんだと?』

 

 そう、彼はまだ時計塔に来てから降霊科を学んでおらず、先代や初代の当主も降霊科を学んでいなかった様で、魂についての知識が欠損していたのである。実際、魔女狩りが頻繁に行われている当時において、降霊科とは主に殺された魔女の霊体等を研究する為の科目と化していた為に、魂と言う言葉を聞かなかったと言うのも理由の一つであろう。

 私は間桐の魔術に触れないレベルで魂系統の知識を彼に教え、研究を始めてから1年程経った後、意志を持つ水銀・【Mercurius incipit(始まりの水銀)】は完成した。

 研究が予想以上に上手く行き過ぎてしまい、下手すれば封印指定レベルでの性能を誇る水銀が完成してしまった。魂関係の魔術がグレイアスにはあまり適正が無かった為、私が手伝う事にしたが原因だろう。私達は封印指定を逃れる為に、敢えて時計塔にこの研究成果を提出する事に決めた。「現代魔術師が無機物礼装に魂を宿す方法」と言う研究成果を()()()()として時計塔に提出した所、降霊科のロードが興奮した様子で私達を質問責めにしたのは必然だったのであろう。

 

 

 

□◆□

 

 

 私は今、大掛かりな礼装を作製する為の準備に取り掛かっている。以前私達を質問責めにした降霊科のロードのコネを使い、霊墓アルビオンにて魔獣等の幻想種を狩り、素材を集めた。

 勿論、霊墓での素材集めにはグレイアスも同行させ、【始まりの水銀】を有効活用させてもらった。共同開発なんだから使わせて貰っても構わないだろう(グレイアスの意志はガン無視)。

 作っている礼装だが、恐らく私が生涯使い続けるであろう代物であり、上手く行けば父上も助ける事ができる。それ故、この礼装の存在は決して漏らしてはならず、グレイアスにも話していない。この礼装は理論的には完成する事は小規模実験を繰り返した為分かっているが、今回作るのは魂に干渉する礼装であり、その存在が知られれば時計塔の権力者や聖堂教会がこぞって回収(物理)しに来るであろう事は分かりきっている。

 礼装の内容だが、まず、私の計画を今のうちに話しておく。計画とは、「魂を浄化しそれを取り込む事で自信の存在を昇華させ英霊に対抗する為の力を手に入れる」と言うモノであり、その計画には魂を浄化する礼装が必要であり、それを使えば父上の魂を浄化する事ができると言うモノ。

 だが、擬似的な不老不死とも捉えられる方法がそんな簡単にできる訳が無く、父上には少しの間無機物に乗り移って貰わねばならない。だが、虫に人格を蝕まれるよりはマシであろう、例え父上が既に願いを忘れていたとしても、私は父上を救う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───そして二年が経った今、礼装は完成した。

 

 

 

 




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