THE NOT SIGNALS −Segregated world− (穏詠 桜太)
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#0 月も見えぬ丑の刻

構想に3年近くかかった(現在進行形)幻想入り小説です。
主に人間ドラマを重点に描写していますので、バトルとかの要素は希薄です。

【注意事項】
・こんなタイトルでもれっきとした東方Projectの二次創作です。
・一部のシーンに暴力的、差別的なシーンや発言が含まれます。
・この世界設定の8割が独自設定で含まれています。
・スペルカード、弾幕ごっこ等の原作の要素は含まれていません。
・原作の雰囲気が壊れるのが嫌な方はブラウザバックをしてください。

上記の注意事項を理解した上でお楽しみください。

質問やご感想などもコメント欄でお待ちしております。


――目が覚めた。

 

その第一に網膜に刻まれた風景は、今は自分がいた場所すべてが、

いや――そのすべてが消し去られたとも言ってもかなわない。地を見れば

瓦礫が、山を見れば褐色が、天を見れば鬱憤な感情を促す負を生む雲が――

 

与えられたのは喪失だった。

 

今まで家族と過ごし、その15年間を過ごした家が消え――

今まで友人と過ごし、その9年間を過ごした場が消え――

今まで過ごしてきた、村が――

記憶にあったはずのものすべてが濃霧の中に溶ける。

虚無(そら)と黒い雨で。幼き頃のあの日だった。

歩くことすら酷く重荷で、虫の音ほどもない息が限界であった。

 

「――あっ」

 

また瓦礫に足をすくわれた。

と誰もいないこの地で――確かにそう聞こえた気がしてきたのも、

黒い雨でずぶぬれになったが、この時の阿須羽にはどうでもよかったのだ。

 

「――向日葵、大丈夫かな...」

 

暗い霧の中から少女の声が聞こえる。

そこら辺を見ても向日葵の花弁――声主はいなかった。

 

 

 

彼女は――枯れた向日葵を握りしめている。

 

彼女は――古い大幣を握りしめている。

 

彼女は――壊れた人形を抱いていた。

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

 

「あの~お客様・・・」

 

物が叩かれる音が聞こえてくることで阿須羽は覚醒した。どうやらさっきまで

見ていたのは――幻だったようだ。しかし、あの夢はとても現実なものだった。

「彼女」は確か最後に・・・

 

「長時間お店に入らず駐車場に長居されますと他のお客様に迷惑がかかりますよ。

それに、ずっと窓を開けっぱなしにしてる。これじゃあ、あなたが寝ている間に

 盗人が来ちゃうし。あなた自身を守るために、注意してますからね」

 

気が付けば車内にいた。モニターに映る時刻はちょうど5時を示している。

最期に起きた時間は2時間前ほどか否か――

しかし、申し訳ながらに起きたばっかりだ。後ろの二人も熟睡してる。

二人の気分も損ねないよう慎重に店員の旨をもう一度聞くことにした。

なんにせよ、聞いていなかっただけである。

 

「あ~なんの話か長いからもいちど」

「ですからここに長居しているのは迷惑で――」

「「うるせぇ!ビールぶっかけたられてぇのか!?」」

 

後ろで熟睡していたはずの二人が目を覚ました。片手には泡もとっくに溶けた

缶ビールを今そこに向けて発射体制に備えているところだ。

とっさな自己紹介になるが、後ろで怒号を散らした『真崎 功』『森谷 啓之』

の二人は阿須羽と同じ大学の講義で知り合った仲だ。片方の啓之は高校から

知り合い、弓道部の打ち上げで啓之が友人である功を紹介して今に至っている。

しかし、少しでも泥酔すると、今さっきのように手の焼ける世話になるのだ。

 

「おい、いきなり起きてそれはないぞ!」

「俺を一文無しと呼びてぇのか!?」

缶ビールを持つ功は伸ばした手に掴まれながら、じたばたする。

ながらに何故彼らにそれを買い与えたのが頭になかった。

 

――小1時間経過して、二人を治めて目的地へと向かう。

落ち着かせたところでやっと阿須羽は思い出した。

 

 

あの夢で見た幼き日に見た、壊された『居場所』――。

誰かに、いや正しくは――誘われたのだ。

 

 

今は―――――そこに。

 

 

「おい、山奥に入ってなんする気だ?」

「肝試しだよ。」

「肝試しだって?ふつう夏にやるものだよなぁ?」

「別にいいだろ?勝手だし」

 

これが最後の会話になるかもしれなかった。ここ数年の間でも、周辺で軽い土砂崩れが

何回か起きているからだ。そんな命の保証がつかないことを、

友人に付きまとわせるわけにはいかない。だから阿須羽は嘘をついたのである。

――阿須羽の考えはこうだ。

 

その1―――例の山奥に途中まで二人を連れ、目的地が近くなったところで

二人と別れる。しかし、どう撒けばいいのかが問題だ。思いつかない。

 

その2―――何かが追ってきていると言い訳をし、先を急ぐ。しかし彼らは

そう『何か』に対し信憑性を持つのか?

 

その3―――彼らが車から降りた際、携帯した拳銃で二人を殺害する――。

ありえない、確かに二人は山奥に入った地点で用済みだ。しかしそれだけで

わざわざ殺める需要はないだろう。

 

提案が煮つまらない中、目的地にたどり着いた。

 

阿須羽は助手席に置いてあるショルダーバッグから静々と拳銃を取り出し、

ばらまかれていた弾丸を掴み、ポケットに入れる。弾は確認する余裕がない。

彼らはすでに車外にいる。さて、どう始末するのか――

 

 

瞬間、頭痛と耳鳴りが同時に襲われた。それは一瞬に過ぎない。しかし、彼の底から何かが

這いあがる感覚が痺れるように伝わってきた。

そしてどこかから声が

 

 

阿須羽は3発の鉛玉を詰める。

この引き金を指に入れれば――――確実に。

 

「アスのやつ、俺を置いて5分たったぞ」

「そうせっかちせぇへ―――」

 

乾いた銃声が、耳を刺激した瞬間

 

彼に一発頭に撃ち込んだのだ―――。

 

即死だった。

 

「!?――功!」

 

啓之が倒れる功をかばう瞬間。

 

背中に残り2発―――。

 

 

 

答えは3だ。

 

 

■■■■

 

 

月がいつもと比べて大きかった。まるで手に届きそうなくらいに大きかった。

それと比較して、2人の亡骸はとても小さく見える。

彼らをこの場に入れようとも足枷になるばかりであったことを理解する。

しかし、何故殺したのかは自覚はしなかった。

 

目的はただ一つ―――自分の『居場所』を探すためである。

 

そこは『角惣村』という地図からすでに消えた村である。

『阿須羽』の故郷である。幼き日々、あの姿を見たかったのである。

彼はその荒廃した村を踏み入れた。

 

「........っ」

 

木の葉のせせらぎが耳をくすぐる。目の前には錆で色が映えないバリケードが一直線に並んでいる。

あの災いから永き年月が経とうとし、人々からも忘れ去られ、それを語る者もただ一人―――。

あの孤独を、彼―――阿須羽 誠は内心想う。

夜明けまでは、まだ遠い。

あの日から長く閉ざされ、形を留めない家屋。深緑が蔓延するこの場に男が一人。

『彼女』に誘われたのには、目的があった。

 

 

――そこから左に、『居場所』へと続く門が開く。

 

 

見えなき声に導きを示され、『彼女』の思うがままのように動く。

阿須羽はその声に否定はしなかった。まして、肯定などしなかった。

声には聞きなじみがある。だが正体がつかめない。

彼は『彼女』の言う通りに左へとその門と呼ばれる場所へと向かう。

門と呼ばれる場所へとたどり着いた。その奥は半分に埋もれた石だった。

その石はまるで小心者が原石を刻んだかのようなダイアモンドのような形をしており、

ほどけたしめ縄に縛られている。

『彼女』は彼に対し訊いた。

 

 

――それは『要石』。それに触れることであなたの『居場所』への門が開く。

 

手を触れる。冷たい感触だった。彼が経験したそれは――この世界では最後となった。

 

 



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#1 眩き閃光

構想に3年近くかかった(現在進行形)幻想入り小説です。
主に人間ドラマを重点に描写していますので、バトルとかの要素は希薄です。

【注意事項】
・こんなタイトルでもれっきとした東方Projectの二次創作です。
・一部のシーンに暴力的、差別的なシーンや発言が含まれます。
・この世界設定の8割が独自設定で含まれています。
・スペルカード、弾幕ごっこ等の原作の要素は含まれていません。
・原作の雰囲気が壊れるのが嫌な方はブラウザバックをしてください。

上記の注意事項を理解した上でお楽しみください。

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「長洲名物の栗かの子に・・・信州りんごパイ!これいいよ、いいよ!!」

「それに~やっぱ長野といえば地獄だ、たに猿公・・・えん?だっけ、が有名だって、

いきなり先生ったらあーだこーだ言って慰霊碑に行くとかないよね?」

 

一人騒がしく観光ガイドをぱらぱらとめくりながら狭い密室で声を高める

少女―――『牧野 美優』。ここ最近、事情が絡み他校から転入してきた転校生だ。

しかし、感情が高ぶるとコミュニケーションが行き過ぎてしまい偏った話題にしか

耳を傾けないので、周りは聞く耳持たずして一人騒いでいた。

 

「ねぇ、ここ行きたいと思わない?だってここ栗かの子と長洲りんごパイが名物だし」

「う、うん・・・そうだね・・・・・・」

「それに、しら、ほ・・・白骨温泉!もう寒くなるころだし、ウチも最近温泉行ってない

からちょうどいいんだよね~」

 

美優が手に持っている観光ガイドを覗いてみる。すぐさまそれに気が付いたのか、

彼女は隣にいた『前田 治』に話しかけた。彼は学校のクラスメイトでも

とりわけ浮かれた人物で、そこに因縁をつけたかのように執拗に美優に

振り回されやすい人物だ。

 

 

 

―――その後も一人の声がロープウェイの中、密室に響く状態が続いた。

 

 

■■■■

 

 

そんな話声も時間が経つにつれて騒がしさは薄れていった。おそらく、美優が

自身の持っている観光ガイドなどの情報誌を読みつくしたのだろう。

その証拠にあたりにはそれが散らばっている。

あとには男女との談笑が聞こえるだけだ。しかし、ただの愚痴にもならないものだった。

 

「慰霊碑の見学だったり黙祷とかどーのこーのつまらないんだよね」

「それな、せっかくの旅行が台無し」

「そういやお前って校長の所まで凸ってきて指導くらったな」

「一度っきりだから俺たちの好きにさせてくれればいいのにね」

 

その声に答えない『佐藤 理恵』はひとりでに窓越しから見える景色に釘付けだった。

窓からは雲一つない青空が広がっている。その下には視界の半分を覆うほどの

山脈の姿が堂々と構えていた。山肌は緑と岩肌のまだら模様で、雪のような白さは

窺えなかった。それでも至近距離から見る景色はとても迫力がある。

その迫力さに彼女は思わず「わぁ」と感嘆した。

 

―――彼女たちが所属している、長宮高等学校附属長見中学校の修学旅行先である

長野県は、かつて8年前の大地震で数多の犠牲者を出した『長野木曽大地震』。

その犠牲者を悼むために、かつての残骸が遺された地へと訪れていくのだ。

しかし、生徒たちはこの予定に異議を申し立てる声が相次いだ。

これに対し教師たちは多少の危険を理解しつつも半ば強引に行かせた。

これは、その初日の出来事である。

 

「おい、見てみろよ」

「ん?」

 

震え声をきたしながら窓を指して『斎賀 昇』が見つめる。空は青空だった。だが、

明らかに間違ったものが彼の視界には映っていた。

 

――――月から真っ直ぐ伸びた光が、静穏ながらも月に衝動をもたらした。その衝撃は

響かず、ただ一方に向かっていく地にめがけていた。

 

「あのまっすぐ延びた光はなんだ――――!!」

 

その光は無慈悲なまでに彼らへと向かっていく。一瞬にして光に包まれるその瞬間。

 

「―――――!!」

 

光が届いたのと同時に、閃光と轟音が響きわたった。どうやら恐らく目の前で落ちたのか。

嗚呼、耳鳴りがひどい。あまりにも閃光が眩しすぎたせいか、半目になっても視界がぼやけてしまっている。

ある程度時間が経ち、光が消えていくとその先に見えたものは凄惨な光景だった――――。

 

悲鳴と絶叫が響き渡り、割れた窓から生徒が投げ出されてしまい、山肌は緑が剥がれ落ち露わになった

褐色の岩肌が見えていた。そして銅索と滑車が擦れていく音が聞こえていた。千切れ始めている

ことが息をのんだと同じにわかった――――。

「早く逃げなくては」と焦燥に駆られながら安全な脱出路を確保しようとした。

まず、彼は非常口の扉に駈け出した。ここの扉は、まず開けると下に取り付けられた梯子が自動で降りる

構造となっていて、そこから抜け出すことができる事が書かれていた事を見たことがある。

しかし――――いざ抜け出そうとしたが不幸なことに非常口の扉はどういうわけか開けられない。

多分自分の握力が足りずに扉が開かないというかもしれなかった。

その扉から離れると、すぐさま他の生徒が扉を開けようと複数人で取りかかったが、びくともしない。

あきらめてしまったのか、前者に乗るように割れた窓めがけて落ちていくようになった。

さっきまで聞こえた声は依然と比べて少なくなり、人もいなくなっていく。

――――何も考えることができずに、ぼうとしていると鈍い金属音が鳴り、右に一気に傾いた。

身が傾いた方向に投げ出され、壁に追突する。頬に冷たい金属の感触が鳥肌を出してくる。

 

 

――――まずい。と直感で感じ取った彼は一か八かの賭けを賭して窓から身を投げ出した。

 

――――この判断に悔いは無いはずだ。

 

――――空中の風に晒された。その後打ち付けられた衝撃で動けないままになった。

 

自分の体が地面に打ち付けられた衝撃は、まるで土から出てきた腕に絡まれて行くような感じだ。

右に左へと――――周りを見回すと自分と同じ境遇である生徒たちが倒れていた。

 

そして――――

 

真上には落ちていく鉄塊が見えた――――

 




ああ、2月の半ばに2話を出す予定だったんだけど、完成直前で執筆しているデータと設定資料が消滅して、数週間書く気にならなかったけど、思い立って書き始めたんだ。僕の作品を期待してた(というか誰もいないと思うけど)みんなには申し訳ない。そこで、僕はこう思った。クオリティを優先して、時間をかけてもいいか、投稿頻度を多くして話の内容は薄めで読みやすくするかが、僕の中で葛藤しているんだ。どちらも良いも悪いもないし、別に僕が勝手に判断することだから、その考えはみんなにゆだねようかと思う。
話が長くなったけどこれからのTHE NOT SIGNALSを楽しんでくれたらうれしい。


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#2 最初の出会い 前編

話が少し長いため一気に書き上げてしまうと投稿が長引く可能性があるため
急遽前編、後編に分かれて書き上げます。


 

――――そこは狭く、そして息苦しかった。とても窮屈で、今すぐここから逃げ出そうとしたが、

四方八方冷たい鉄板で作られた密室の中である。

上から押し潰されたかのように壁がへし曲がっており、ほふくの姿勢でないと

移動に十分な空間が取れないほどだった。以前に置き去りにされていた荷物がわずかな道をふさいでいる。

ここに籠ってもなにも出来るはずがない。彼はここから出ることにした。

 

――――ここに至る経緯は鉄塊に押しつぶされる、その瞬間に斎賀が落ちた地点に、

奇跡が降り立ったのか一つだけ割られた窓に気づかないうちに身体が入り込んだようだ。

ちょうどいいところで落下したらしく、無傷で済んだという。

 

 

自分を包んでいったあの閃光――――

 

落ちていく自分――――

 

動けない恐怖――――

 

 

もはや、あの時に感じたことを言葉に表しても、三つしか思い浮かばない。

狭い通路を這いずりながら思い浮かびながら、向こうから光が差してくるのが見えてきた。外だ――――。

しかし、本来自分がいたはずの場所とは違い、木漏れ日が差し込む樹海――――。

立ち上がって土汚れをはたき落とすと、振り向くと自分がこれまでいた場所だった。

上から何か大きい物に押し潰された鉄塊は、そこがかつて自分が過ごしていた所だということが

斎賀には分かった。鉄塊の背後には斜面を擦って出来た土色の山肌が露わになっている。

そこを擦りながら落ちて行ったことは分かるが、何故鉄塊を押し潰した原因の物が無いというのだけは、

どうしても推測は出来なかった。

 

「うごっ...あう......こっちだ――――」

 

向こうから声が聞こえる。誰かがこちらに向かうよう促された気がした。声の発信源が自分がいたところと

一緒だということが勘付いた。早足でそこに向かって、鉄塊との距離が近づくことに一枚板の薄い鉄板が

鈍い音を立てて振動する。その隙間からー本の腕が差し伸べられていた。

 

「今あけるから待って!」

 

やることは即興で行った。まず斎賀は負担の少ない薄い鉄板を引き抜いた後、次に巨大な鉄塊を下から

少しずつ負担を増やして持ち上げていく。そこから抜け出すようにと声をかけると、下敷きになった男が

這いずりながら姿を現した。土まみれの全身を見せつけると、斎賀は安心して持ち上げていた鉄塊を

一瞬で手を放した。ガンッ、という音で胸に衝撃が伝わった。

 

「ああ、助かったぜ。おかげで泥だらけだけど」

 

土まみれの学ランをはたきながら感謝の述べから一言付け加えた。

 

「お前に助かるとはね、からかっていた俺が悪かった気分だ。ってここどこか言ってみろよ?」

「わからない。山の麓だと思うけど、ここみたいに樹海があったことは知らない。とにかく、

ここから抜け出そう。もしかしたら救助隊が来るかもしれない」

 

男の名は『上田 智』。斎賀とは小学校時代から知り合っており、一緒に遊ぶなどの仲であった。

しかし、中学校に入学した数日後、事故に巻き込まれたことをきっかけに変わってしまった。

以前の口数の少ない控えめな印象から小突き回す癖のある姿になった。――――あくまで自分以外だが。

斎賀の提案に男は納得するかのように首を上下にうなずく。テレビで見たように、災害が発生したら

救助隊や警察などが捜索に出るはずだからだ。

 

「おけ。もし、開けたところについたら救助が来るんだよな」

「――――だな」

 

二人は冷静に対応し、その場から去っていった。

 




おくれましたすみません!!!!


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#3 最初の出会い 中編

少し長引きそうなので急遽、中編を入れました。


「ところでさ、お菓子持ってる?」

森の中を上田は、横腹のポケットから飴玉を取り出し、口の中に放り投げる。

彼はそれを口の中でころころと転がしながら話を続けた。

 

「持ってるなりゃ、その分を俺にくれよ。――――もし別の話なら......フヒヒッ。

って、こんなの面白くなかったな。お前にとっては」

 

まず上田は両手を獲物を狩ろうかというような威嚇の格好をして斎賀を嘲笑する。

やはり、あいつはこの状況でもからかい好きだということが彼には再び理解した。

こういうことに気付き始めたのは、あの時以降からだ。

その過去は、あまりに酷く、拭いきれないものだった。今ではその過去を口にするのは

到底やれたものではない。それを思い出した途端、横腹が痛み出した。

 

「っ――――それもう飽きたからさ、別のものにしちゃえば?」

 

途端に腹を隠して、しかめっ面を上田を見据えた。

その表情を見て上田は「チェッ」と舌打ちをして、

 

「お前らしくないなぁ、オレのネタをそうやってすぐに飽きるの。はっきり言う。気持ち悪いぞお前」

「そっちに対しても、同じ意見を述べるよ。だから、君のさっきの、撮っておいたよ。見る?」

 

上田の表情を真似て、斎賀は上田が持ち出した飴玉が入っていた同じところのポケットから

あるものを取り出した。それは父親から入学祝いで、買ってもらった

青色のガラパゴス携帯を取り出し、画面を上田の方へと向けた。

 

「ちょっ、いつの間に」

 

調子に乗って罵っていた姿から一変。口角が下がり、目じりが下がった。そんな彼の表情を気にせず、

斎賀はもう一度携帯のカメラのシャッターを切った。直後、

画面にはその瞬間を収めた彼の顔が窺うことができた。

この時の以前から、彼に見られないよう隠し撮っていた。理由は――――なんとなく。

 

「おい、携帯は持ち込み禁止だったはずじゃ」

「いやさ、遭難とかこんなことに逢ったら万が一の時に備えるよう、持って行っても

構わないと言っていたからな」

「......っち、持ち込みの話は聞いてねぇ。まず第一に勝手に撮んじゃねぇっつーの」

 

上田は斎賀の携帯を奪い取ると、操作し始めた。電子音が数回鳴ると、

紙をくしゃくしゃと握る音が聞こえた。思ったよりも嫌だったのか、

自分が写ってる写真を探しては、それを消していることが窺えた。

話を変えるが元々、修学旅行における携帯電話の持ち込みは禁止されていた。

が、生徒による異議の申し立てにより後に改正され、災害時などの非常事態のために

持ち込みが可能になった。この時の団結力はやけにまとまっていた。

余程、携帯を持ち込みたかったとでも言えるし、行き先が問題を持っている噂もあることからだろう。

 

――――そして、ちょうどその頃に使い所が出てきたのである。

 

「さっき言ってたように、救助隊を呼ぶ」

 

斎賀の携帯の番号に「119」と入力した。これで自分の声が届いて、

救助隊が助けに来てくれるのだろう――――そう信じた。

 

 

「発信」と書かれたボタンを力を込めて押す。

 

ツー、ツー、ツー、と話中音が耳に響く。

 

すると、機械のようにそのまま文字を読み上げていくような、女性の声でこう告げられた。

 

 

「おかけになった電話は、電波の届かない場所にある、または電源が入っていないためかかりません」

 

 

上田の顔は――――まるで血を抜き取られたかのように、顔面蒼白となった。

血の気が引いていく。まるで絞首台に乗った、死から免れようとする死刑囚のように――――。

画面を見ると、右上に「圏外」と記されていた。

それをお互いに見合うと、互いに絶望した――――。




遅い遅い遅い.....投稿する間に3Dモデリングや本作の構成などをして、コス撮影したり、その他諸々してました.....(小声)


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#4 最初の出会い 中編

ここまで膨れ上がったら、もうこいつら主役でいいんじゃない?


「あ――――圏外だって?」

 

斎賀は携帯が繋がらないことに恐れを感じた。しかし、少し落ち着いて考えてみると、

ここは山の中だ。繋がらないことだってあるということを思い出す。以前から旅行で山に行くとき、

父親が携帯が繋がらないことに苛立っていたことがあった。確かにそうかもしれない。

この事を照らし合わせると、辻褄が合ってきた。そうしたら彼の緊迫した気分は落ち着いていった。

 

「落ち着こう、上田。多分繋がらないのは今のうちだと」

 

声を震えながらそう、胸を撫で下ろそうとさせるも、上田は助からないということに恐怖を覚えていた。

顔色が薄くなっている。今は精神が不安定な状態でいる。

斎賀はいつの間にか木にもたれかかっている彼を抱え、森を進んだ。

 

 

――――彼らが出会った場所からある程度離れていったくらいの場所で、進展があった。

 

 

数分経つと、あれまで木々が生い茂って、太陽の光が木漏れ日になっていたが、徐々に

太陽の光を遮る障害物が減っていった。朝の光は、さっきよりも光の量が多くなり始めていた。

ポキポキ、メキメキと小枝が二人によって踏み折られていく音も少しずつなくなった。

それからどんどん木々が目に入ることが少なくなり、二人は中央が野原の緑の草以外、

何もないところへとたどり着いた。今まで暗所に籠ってたせいで、瞳が慣れておらず、

彼らにとっては眩いものだ。しかし朝に起きる時と比べれば、すぐに朝の光に慣れるのは難しい。

今日に限っては、お互い慣れるのが比較的早かった。普通ならよく親に起こされて色々と促されるよう

準備などをするが、今回の場合ではそれは例外だった――――。

 

「――――すぅ............はぁ......」

 

上田は、斎賀に抱擁されながら野原にたどり着くと、深呼吸を一度した。

そうしたら、不安定な状態から抜け出すことはできた。

 

「大丈夫か?落ち着いた?」

「大丈夫――――」

「もう一度、かけるか――――」

 

そう言って、もう一度同じように「119」と掛けなおした。だが――――結果は同じで、

変わりはしなかった。彼らは一度助からないという絶望感に陥っていたが、

半ば立ち直ろうと少し提案した。まわりを見渡すと、何もない野原が見えた。

上田は、この景色に何かを思い浮かべたように、「んっ...」と何かをひらめいたかのような表情で、

目を見開いた。

 

「昇、こっちについてきて。木の棒を集めるから手伝って欲しい」

 

上田はさっきの道に戻り、歩んだ道の側にあった朽ちた樹木に立ち止まってから座り込んだ。そしたら、

地面に落ちている、およそ腕一本程の長さの枝を集め始めた。樹木のまわりを行き来しながら、

片手で集めた枝をもう片方の腕で抱えてその場から離れて、彼の行動に目を向けていた斎賀の

所へと向かい、

 

「多分これだと足りない。もう少し長いやつとか、そういうやつを持ってきて。あれに使うからさ」

「待ってくれ。何に使うって」

「あとで」

 

何に使うかをすぐ伝えず、上田は斎賀の質問を保留して、来た道を戻っていった。

斎賀は、彼に言われた『もう少し長いやつ』を探しに行きに、彼が枝を集めていた場所から少し

遠い所から探しに行った――――

 

 

元々、その場所から見える程度の遠さで十分だったが、どうしてもそこは理想の枝が見つからないので、

もっと遠くの場所から探すことになった。彼自身もあまり遠すぎると道にはぐれ、

上田に余計な心配をかけると躊躇していたが、最終的に森を抜けた道の側にある大きな樹木で

枝を集めることにした。これなら野原への道にすぐ入れて、まっすぐ行けばいいので、

迷う可能性はないだろう。

 

――――それから15分くらい経過した。ここ一帯の森林でもある程度大きいというのに、地面に

落ちている枝は多くみられなかった。斎賀は「足りないが、これといった所か」と一言つぶやいて、

10本くらいはあるであろう身の丈より少し短い枝を、両手で抱えて、野原につながる道に

向かおうとした時、彼の視界の隅に違和感のある黒い影が映った――――。

 

黒い影の方に振り向くと、やはりそれはいた。全身が覆いかぶさるほどのローブを身に包んでおり、

誰から見れば、見事に大きな影が出来上がっている。木漏れ日からわずかに見える光に頼って、

影であまり見えないが、顔が見えた。しかし、足から頭まで覆いかぶさっているものだから、

その表情は見ることができない。お互い初めて、はたまた偶然的にあってしまったため、

一直線に目を合わせているが、石像のように動けない。

なにせ真っ黒なローブの人間と思わしきものが目の前にいるものだから、こんな格好で

出歩いているのは斎賀にとっては不自然なものだ。

 

 

――――すると、その影は斎賀の方へと歩み寄り、胸から首に――――顔を近づけて鼻を鳴らした。

 

 

「く...ろふく......だぁ――――」

 

 

十分なほどに匂いを嗅がされた後、堪能したのか一歩彼のもとを離れて笑いを堪えるように言った。

その『くろふく』が何を示しているのかは当然わかってる。みんなそれを着ているのだから――――。

 

 

■■■■

 

 

「遅かったじゃん。見失ってから帰ってくるまで17分30秒ほど。そこまで時間かかったっていうわけ?」

「あのさ、気分損ねたかもしれないから、そこは悪い。枝は見つけたのはいいけど、ちと

帰りになんか変態じみた奴いたわ」

「どういう奴さ」

 

さっそく帰りに上田にお叱りの言葉をかまされた。探し出すのにどれくらいかかったと思ったのだろうか。

これだから上田のような隠れせっかちは嫌いだ。だが、問題は枝を拾い集めた時間だけではない。

あの影が本当に言いたい問題だ。薄汚い体験をしたならこの思い出をぶちまけてやりたいものだ。

 

「......えっと、黒いコートを着ているやつだ。帰りに目が合って、そしたら俺の方に近寄ってきたんだ。

そしたらめちゃくちゃに匂いを嗅がされてさ、『くろふく』だとか言ってきた。やなかんじ」

「――――とんだ変態に会ったか......昇、こういうのは無視するか逃げたほうがいいかもしれない。

関わらない方がいい」

 

斎賀の口からの情報から異常性を感じ、上田は警鐘を鳴らした。

その後、それぞれ持ってきた大小異なる木の枝で野原めいっぱいに『SOS』の文字を

斎賀ははじめ、理解しないまま上田の指示に従っただけだったが、木の枝で並んだ『S』の文字が見えてきた

所でようやく彼の目的が理解出来た。

 

「サバイバル番組とか、ドキュメンタリーで見たことある。無人島についたら、これを作るって――――」

「......ふーん」

「これなら空から見ているとならば助かるかもしれないからな。これだけでも助かる確率はぐんと上がる」

「だけど待つのにも時間がかかると思う。その間、ここで休んでいこう。これから体力

を溜め説いた後から少しでも楽になるからさ」

「じゃあ俺先に寝とくわ。ヘリの音が目覚まし代わりになるだろうしね」

 

上田は先に野原に寝転がって、目を閉じた。それと共に斎賀も便乗して同じように寝転がり、目を閉じた――――。




――――彼らはその真理を一体化させ、一つになろうとしている。

――――彼らはその真理を偶像化させ、新たな器を探している。

――――彼らはその真理を調和させ、団結せんとする。


――――それを確立することで、また、その真理は蘇るのだ。



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#5 黄金色の瞳が語るもの

富樫病にかかっていました。また、タイトルは「こがねいろ」と読みます。


「......いたっ...うぐ」

 

 脈拍を打つ度に頭が痛い。血が脳を循環する度に――――。風邪でも引いたのだろうか、そんな感じに痛い。

『松下 一裕』は、幼少から病弱で、修学旅行前日に体調を悪くしていた。しかし、教師の目を掻い潜って

当日を迎えられたものの、さっきまでの衝撃なのか、余計に体調を崩したのだろうか。

 その痛みを堪えて、閉じている瞼を開けた。彼が目を覚ましてみた景色は、中央でに明滅する裸電球が

ぶら下がっており、目を覚ましたばかりの彼にとっては気に障るものだったため、ふと横を向くと――――。

 

「――――目が覚めたか。...よかった」

 

そこには白髪の和装の男が目の前に座っていた。松下の顔を見ると、

 

「なんだ、君はここの人間ではないようだな。まぁ、助けてもらったには礼を言ってほしかったな。

うちは診療所でも民宿でもないし。ともかく、どこから来た?名前は?」

 

 男は金色の眼で彼を見据えながら、返答を待つ。その間に、男は白髪のくせ毛を指で弄んでいる。

しかし、松下は「ここの人間ではない」と言われたことに少し苛立ちを感じた。何せこの

成人を迎えて数年もたってないような顔立ちに、不釣り合いな白髪に金色の目を兼ね持ってるからだ。

そうなったらこっちの話であることも解釈できる。もし、できるとしたならばコスプレといった類だろうか。

彼は自分自身の情報を晒すよりも、相手の情報を晒す選択をえらんだ。

 

「まず先に僕が聞きたいことですが...あなたは誰ですか?それに、ここは?」

「おいおい、先から聞くのか。わかった、僕が言うなら君の方からも口を出してくれ」

「わかりました、ありがとうございます」

 

 男は眼鏡を掛けなおしてから――――。

 

「『森近 霖之助』それが僕の名前。で、ここが『幻想郷』さ」

「――――――っ」

 

.........あまりにも最小限すぎる。松下は霖之助にもっと話が聞きたいがために、もう一言。

 

「あっ、あの、もう少し――――」

「今はこれだけだ。君に言えることは。さっき君が言った要求に僕はその通りに答えただけだ。

後に回してくれ。そして、君の番だ」

 

 霖之助は松下のもう一つの要求を一蹴させて、こちら側から要求を出した。

松下は会ったばかりの彼に論されて――――

 

「えっと、僕は『松下 一裕』です。修学旅行で......その、なんか事故にあってここに来ました」

「あ~、君がここ『幻想郷』の者ではないということが分かった。別の場所から来たということね」

 

 

 ここで、松下 一裕は別世界に来たことを初めて理解することになる。

すなわち『幻想郷』という箱庭に囚われていたことにも――――。

 

 

 

■■■■

 

 

「えっと、わざわざ助けにきて...っう......」

 

 自分のことを助けてもらった霖之助に感謝の述べを言おうとしたが、途端に頭痛がした。

ここで目覚める以前、自分はロープウェイの中にいたというくらいであろう。

眩い閃光に目を焼き付けられ、聞いたことのないような轟音がしたというところが最後に覚えていることだ。

――――あの後に自分は気を失い、その間に霖之助に助けられたのだろうと。

今はそう感謝したいのだが、あまりいい状態ではなかった。

 

「まだ、ここに入れたばかりだし、多分傷が癒えていないな。まだ痛いというのなら鎮痛剤を持っていこう」

 

 そういうと、霖之助は左手にある戸棚から小瓶を一つ取り出した。

その戸棚を見てみると、何やら大小異なるものが。

 

六角形で中央を囲うように文字のようなものが彫られた物や...

戸棚の側面に立てられた、ただの変哲もない箒だったり...

壁に掛けられた、作りかけの紅の巫女服...

古びた家具や比較的新しい機械など...

 よく見るようなものから見かけないものまでもが、数知れず置かれていた。

凝視している松下を見て霖之助は彼を横目に、戸棚の中から一つの小瓶を取り出した。

 

「うちの店に買えるものはないよ。まぁ、差し入れはある程度用意してるけど。ほら」

「待たせたかな。これを2粒飲んでれば痛みは和らぐ筈さ」

 

 

 その声で反射的に松下は飛び起きた。そして再び突き刺さる頭痛。彼は頭を抱えながら小瓶を手にし、

中に入ってる白い丸薬を2粒つまんでから口に放り込む。しかし、飲み込もうとしたが――――

 

臭い。

 

 長いこと放置されたのか、発酵のようなことが起きていたのだろうか。それが原因で飲み込もうとしても

どうしても躊躇いを持ってしまう。彼は薬を飲むことが苦手だ。『良薬は口に苦し』とか言われてても、

苦手なことに変わりはない。しかし、苦痛から解放されるというのなら、と

喉をやや過剰に鳴らして飲み込んだ。その時は唾が湧き出ていて、それをオブラートで包むようにした。

 ここまで飲むだけの過程で10秒は掛かっただろう。それだけの時間を使ったためか、

霖之助はそんな彼の様子を睨んでいた気がする。

確かに、霖之助の態度も分からなくもない。いい年して薬を飲めないのは、まさしく屈辱の言葉が似合う。

 

 それから間もなくして、頭の痛みは引いてきた。即効性が早くて余計に苦しまずに済んだことに安堵した。

 

「えっと...ありがとうございます」

「いいんだよ、礼なんて。君がここに来たということは、僕にとって初めてではないんだ。

ここ数年で君に似た姿をした人間を見るんだ」

 

 まだ言えなかった感謝の旨を告げた。簡素なものだが、言わないよりは人の心を穏やかにさせたほうがいいから。

 

「ほ、他の人は見かけましたか?このような、僕みたいな制服を着た人です」

「いや、最近は、見かけていない。だけど...言いづらいけど、君を見つけるごく最近に、

地鳴りとかがここで起きていたんだ。それに、空が――――」

 

 続きを言おうとしたその時、霖之助と松下に金切り声が響いた。

鼓膜を突き破る衝撃を受け、硝子にヒビが入る音が聞こえてくる。

 

「「――――いっ...!」」

 

耳を強く抑えてその音から逃れようとする。数秒経って、それは過ぎたが、意識がぼうっとする。

 

「――――大丈夫か・・・」

「ちょっと、まぁ大丈夫です・・・」

 

 過ぎた金切り声が静かになった。それは二人にはその残響が再現できるものだった。

 

「あれか・・・・・・ダメだな、こりゃ」

 

霖之助が小声で聞こえずにつぶやく。それは松下の耳には聞こえていなかった。




前述の前書きのように、作品が書きたくなくなる、いわば「富樫病」にかかっています。
最近某FPSの新作が発表され、過去作が無料で遊べるらしいので、全部入れて遊んでました。その前は、ちょくちょくノートに下書き書いてました。ある程度2~3話分投稿可能な範囲まで書き上げています。なんとか投稿したい。

以上。


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