男装麗人ってだけでご飯三杯はいける (坂田 凛)
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1話
単刀直入に言おう。俺は転生するらしい。
なんか神みたいなのが「世界のバランスが〜」とか言ってたたけどあんま覚えてない、なんか難しい話だったもん。しかも正直どうでもいいし…
重要なのはその次だ。
なんとその女神、転生するならなんでも願いを叶えてくれるらしい!
当然俺は承諾して女神にむふふな要求をしようとしたがクールで天才な俺は気がついてしまったのだ!
今ここでぐへへな事をするよりも、転生先でハーレム作った方がいいんじゃねと、この女神そんなに可愛くないし、ハーレム作った方がよりどりみどりだしなぁ…ってね。
そこで天才な俺様が頼んだのは「女神でも惚れるくらいのイケメンになりたい」だ。
だが、女神は二つ返事で受けるかと思いきや嫌だとか抜かしやがった。
なんでも自分の男の趣味がバレるのが恥ずかしいし、俺が入ることで残念なイケメンになって理想が壊れるのが嫌らしい。
仕方なく予定を変更して、俺がむふふな事を命令しようとしたら、しぶしぶ了承したが、俺の頭の良さがなければこの願いを叶えるのは無理だっただろうな!!
と、そんな感じで転生したが、どうやら女神のイケメンへの願望が高かったようで…
顔が良くなる以外にも結構な恩恵がきやがった。まず1つ、知的なイケメンが好みなのか、頭がめっちゃ良くなった。
いやこれ転生前の俺ほんとやばいわ…考えてることからしてアホが滲み出てるし、とにかくうぜぇ
つーか、イケメンになっただけでモテると思ったのだろうか
ばかなの?普通に可愛い女の子のハーレムよこせで解決するのに…
ぼっちのコミュ障なのにイケメンになっただけで女子と会話出来るようになるとでも?無理に決まってんだろ。
まぁ、他にも肉体スペックが上がったり、全てのことに並以上の成果がだせる天才肌になっているのだが問題はその次だ!!
あの女神よりにもよってスラムに転生させやがった!!
確かに高スペックイケメンにして貰えたのはありがたい、有難いが、平和な世界を生きてた奴が、5歳児になってそのまま放置とか生きていけるわけねぇだろうと。
そもそもここなんか顔面偏差値高いんですけどぉ?前世で言うそこそこ美人がこの世界では普通とかやばすぎるだろうが!
俺がイケメンになるのはいいけど周りまでイケメンになったら意味ねぇじゃん!!結局は中の中のままやんけ!!
しかもあの女、元々普通の家に生まれるようにするのを、わざわざ訳ありイケメンにするためにスラムに転生させやがった!
馬鹿なんじゃねぇの?だってあいつあれだよ?自分の理想のためならなにもわからねぇ子供がスラムで野垂れ死のうがどうでもいいってことなんだぜこれ。
だがまぁ、終わったことをグチグチ言った所でなにかが変わるわけでもねぇ。
とりあえず、気を取り直してどうにか生きていく方法を考えるしかないな。
幸い、俺にはある程度の才能と、女神が餞別として送ってきた
せっかくもらった2度目の人生だ、気を長くして頑張っていきますかねぇ
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2
もう転生してから3ヶ月くらいか、7歳児のガキになった上いきなりスラムだったもんで最初は戸惑ったが、完璧ボディの便利さも相まってしばらくすればこんな生活にもなんとか慣れてきていった。
それに、スラム街だったからえぐいくらい酷い連中しかいないと思ってたが、案外親切な奴が多かったってのも大きいな。
と、そんなことを考えながら歩いていると
「有り金全部置いていきな嬢ちゃん」
「俺らとしても怪我はさせたくねぇが、もし抵抗したら…分かってるよな?」
と、なにやら4、5人くらいでカツアゲしてるのに出会った。
危ない危ない、巻き込まれるとこだった。ここで生きていくコツは厄介事には手を出さねぇ事だ。慌てて身を隠す。
ん?助けねぇのかだって?いやいや、そもそも俺7歳児だぞ?
俺みたいな糞ガキがのこのこ出てきたことで意味ねぇよ。それに、こんなスラムにのこのこ1人でやってくる方もやってくる方だ。自業自得だと思うがね。
だが、しばらくして静かになったので事が済んだかと出てきてみればあら不思議。男どもの方が地面に転がってるではないか。
えこわ、あの女まだ俺と同い年くらいなのになんであんなに戦闘力高いの?あいつ等めちゃくちゃむきむきで相当強そうなのに...
しかも倒れてる男の頭の上に足のっけてぐりぐりしてる...うわぁこの歳からドS発症してるとかこいつの親はなにをしているんだ。
と、俺が呆然としていると向こうから話しかけてきやがった。
「のう貴様、さっきからじろじろと何を見ておる。そのような不躾な視線、レディに対して失礼であろう?」
「っと済まない、ちと衝撃的なシーンを見てしまってね。思わず見入ってしまったんだ。」
「ほう?魅入ったとな。ならば仕方なかろうな。妾のこの美しさでは、ただの凡夫が魅入ってしまうのは当然の摂理よな。」
フフン、と胸を張った。ドヤ顔なのに可愛いのもなんかイライラするな。
まぁ、そんなのはどうでもいい。スラム街にいる貴族とか、どう考えても厄ネタだ。面倒事には関わらない方がいい。さっさと話を切り上げて、立ち去るとするか…
「まぁ、待つがよい」
「っ……!何だよ」
いきなり腕を捕まれ、そのまま壁に押し付けられる。首筋に当てられた扇子は刃物のつもりだろうか?やだ怖い。
「妾に対して、不躾な視線を向けてきたことは不問としよう。貴様の無礼な態度をしたのが、妾の美貌が原因だとすると、妾の方に非があるようなものだからな」
「じゃ、じゃあ…」
「だが、妾のこの美貌を舐めまわすように見つめたのだ。それ相応の対価が必要だろうて?」
「いや、その事についてはさっき許すって言ってただろ!さっさと離してくれよ」
「違う違う。妾が許したのは貴様の無礼。対価を貰うのは妾の美貌を見た事からだ。美しい絵画などを見る時に金を取るように、妾のこの美貌を見た事に対価を取るのは当然だと思わぬか?」
こ、こいつまじで頭おかしいんじゃねぇの?つーか、どこからその自信が湧いてくるんだ。
「対価を支払いたくなければ払わなくても良いぞ。ただし、その時はここにもう1つ死体が転がることになるだろうがな」
仕方ない。こいつなら本当にやりそうだし…
「分かった。対価とやらを払ってやろう。お前はなにが欲しいんだ?」
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