仮面ライダーエレクトロ (ディーボーイ)
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EP:1 『僕達の変身』

※前に書いた同作品を作り直したものです。

「ついに始まったぞ!仮面ライダーエレクトロ!」
「エレクトロ?あらすじには1文字もそんなの書いてなかったよ?」
「なぜ君達はそんなことを気にしているんだい?本編を読んでればわかるはずですよ」
「確かに・・・おかしいぞ!?トロマグロとかいう仮面ライダーはいない!」

「「いやトロマグロじゃなくてエレクトロ」」



 ここは日本の都市、五反市にある"飯ケ谷高校"。

 

 とある教室に、先生らしき人物と転校生であろう青年がやってきた。

 

 

 

「お? 転校生?」

 

「男かよ~つまんねえな」

 

「なんか地味めじゃない?」

 

 

 

 教室内に、生徒たちの話し声が響く。

 

 

 

「静かに! 今日から2年A組に新しい人が入ってきます! 自己紹介してね」

 

「は……はい、僕の名前は……在形作人です……よろしく……お願いします」

 

「あるかた、さくと? 変な名前(笑)」

 

「あいつの親のネーミングセンス無いな(笑)」

 

 

 

 たくさんの視線を感じて恥ずかしくて顔が下向きな作人。

 

 そんな作人を見つめてニヤけている人がいた。

 

 

 

「コウちゃん、新しい野郎見てなにニヤニヤしてんだ?」

 

「ん~、何か人知れぬ魅力を持っている感じがするんだ~」

 

「なんだそれ、気持ちわりぃ」

 

 キーンコーンカーンコーン

 

「チャイムが鳴ったわよ! 起立、礼」

 

 

 

 生徒が起立をして礼をすると共に、教室からぞろぞろと生徒達が出てくる。

 

 教室に残ったのはさっきの転校生、在形作人と2人の生徒だった。

 

 

「ちょっといいかい? 在形作人くん」

 

「あ……はい?」

 

「俺の名前は内光高貴、コウちゃんと呼んでね。隣にいるのはこの教室の中で一番おバカなグンタロスさ」

 

「おい!! 俺はバカじゃねぇよ! あとグンタロスじゃなくて天・道・軍だ!」

 

「とりあえずクラスメイト同士、よろしくね」

 

「う、うん……それで何か用?」

 

「そう、ちょっと作人くんのことが知りたくてね。ここに来る前は何をしていたんだい?」

 

「あぁ……それがね、ここに来る前は僕はあまり覚えてなくて……」

 

「あ? ……それってどういうことだ?」

 

「僕は山奥で倒れていて、それで目が覚めたら博士の研究所にいたんだ。覚えてるのは"ドールプロジェクト"って変な言葉と暗い部屋に閉じ込められていたことくらいなんだ」

 

「そうか……そういうのに僕は魅力を感じていたんだ!! 放課後に僕のもとにおいでよ!」

 

「わ、わかった」

 

 内光高貴、髪型は頭部から右耳の横まで流れるような前髪で、白いVネックシャツに黒のジャケット、黒のスキニーを履いている。二重と大きな瞳があり、細身の体を持つ。

 

 天道軍、ツッパリヘアスタイルに赤いパーカー、胸元に見える黒いシャツ、青のジーパンを履いている。目は細く、ガタイの良い体を持つ。

 

 

 

 ──ーそして放課後

 

 

「ここは……どこ?」

 

 作人が案内されたのは飯ケ谷高校の第一理科室。

 

「まーたお前、強引に部活に入れる気してんのかよ……」

 

 以前にも同じようにオカルト部に入った軍が呆れる。

 

「ようこそ! オカルト部へ!」

 

 高貴が作人の手を引っ張って第一理科室に入る。

 

「なにー? コウちゃん、また男子連れてきたの?」

 

「別に男だろうが女だろうが男女じゃなくてもいいだろう?」

 

「え、その人LGBTなの?」

 

「い……いや違うよ!」

 

「それはすまないね! ウチの名前はセクレ、オカルト部女子2人のうち1人よ」

 

「え、もう1人いるの……?」

 

「おおおお! 転校生じゃな~い!」

 

「作人くんの魅力に惹かれてオカルト部に誘ったんだ」

 

「こんな人に誘われるのは可哀想だけど来てくれてありがとう! あとすっっごくかわいい顔してるわよね~! あ、私はラプ! 2年A組のクラスリーダーだからよろしく♡」

 

 

 作人の頬を触ってプニプニしているラプの手を強引に引き離した。

 

 

「それでちょっとセクレに聞きたいことがあるんだけどいいかい?」

 

「珍しいね、ウチに聞きたいことあるって」

 

「"ドール"って知っているだろう?」

 

「あぁ……あまり聞きたくない言葉だけどね」

 

「作人くんがドールについて少し知っているらしいんだ」

 

「どういうこと!? ちょっと教えなさいよあんた!」

 

 驚いたセクレは作人の目の前まで近づいて問い詰めた。

 

「いや知ってると言っても"ドールプロジェクト"っていう言葉しか知らないよ!」

 

「ドールプロジェクト……!! お父さんの遺した本に書いてあったものだわ……」

 

「そうなの……? お父さんってそれに関わってる人?」

 

「そうよ、ウチのパパはドールプロジェクトに関わっていたの。けど、研究をしているうちに事故にあって死んだの。でもパパの部屋の机の上に遺書があってそこには『ドールの存在はこの世のためだ、だがドールは逃げ出した』って書いてて、ウチは事故にあったとは思えない」

 

「それで、ここはオカルト部って名称だけどドールについて調べているってわけさ、ちなみに『暗い部屋にいた』と『山奥で倒れてた』と言っていたんだがもしかして君はドールなのかい?」

 

「それはごめん……わからない、でもちょっとお願いがあるんだけどいい? 高貴さん」

 

「何かな? さん付けはしなくていいよ」

 

「いや、さん付けはするよ。それでさ、僕はここに入部させてもらってもいいかな? 自分のことを調べたいんだ」

 

「もちろん! 入ってもらうために誘ったんだからさ!」

 

「じゃあ、こっちからもひとつお願いがあるんだけど聞いてくれるかい? ここ飯ケ谷高校では夜の特定の時刻になると斧を持った大柄な怪物が追いかけてくるという怪奇現象が起きるんだ。それを今夜調べてみたいんだが付き合ってくれないかい?」

 

「うん、もちろん!」

 

「もちろん、グンタロスも来るよな?」

 

「あ? え、あ? うん……あ?」

 

「じゃあ今日は俺、軍、作人の3人で夜21時に学校に集合ー!」

 

「「「おー!!」」」

 

 

 何のことかわからない軍、探求心が強い高貴、友達ができたことに喜ぶ作人の3人は手を合わせて天井に向けて腕を上げた。

 

 

「あんたたち、親に心配されないうちに帰りなさいよ」

 

 

 

 ──夜21時、飯ケ谷高校

 

 

「ねぇ、夜に学校はいるときっていつもここから入るの? ものすごく狭いけど……」

 

「そうさ、学校でここの入り口のカギさえ外しておけば、いつでも入れるのさ」

 

「なぁ、これから何すんだよ?」

 

 

 飯ケ谷高校の倉庫に大きな換気口が存在していて、そこのカギはロックされておらず、事前に外しておくことにより出入りが自由なのである。

 

 ただ、巡回警官の目を常に盗む必要がある。

 

 

「よいしょっと……気を付けて来いよ」

 

「何度も侵入してると慣れたもんだね」

 

「何度もって……本当はだめだよこういうのは」

 

「大丈夫さ! オカルト部顧問のコネで免れるさ!」

 

「作人、こいつはこういうやつだから暗黙の了解をしたほうがいいぞ」

 

「あ、うん……」

 

 

 倉庫をこっそり出ると、調理室があり、そこを抜けると2階まで筒抜けのホールに出ることができる。

 

 

「確か、ここのホールで待っているとやってくるはずだ」

 

 

 ドス……ドス……ドスと大きな足が階段を下りて1階のホールまで向かってくる。3人の目で見えたのは、見上げるほどとても大きくゴツい身体に顔はマスクをしていてよく見えず、茶色くボロボロなタンクトップに黒く穴の開いたジーパンを履いた大男だった。

 

 

「そろそろやばいんじゃねーか……?」

 

 

 ホールにある窓から見える外は雨と風が強く降りだす。

 

 

うぅぅ……うぅぅぅぅぅぅおおぉぉぉ!!

 

 

 視線をこちら側に向けた途端、大きなうめき声を発しながら斧を大きく振り上げ、俺を狙って振り下ろしてきた。

 

 

「危ない!」

 

 

 斧を避けると、ドオンという音と同時に学校の床に大きな穴が開いた。

 

 

「逃げろ!」

 

「どこに行けばいいの!!」

 

「3階の第一理科室にライトがあるはずさ! それを取りに行って光を怪物の目に当てて怯ませて撒くぞ!!」

 

 

 階段を2段飛ばしで駆け上がっていき、第一理科室まで走っていく。ホールと第一理科室は端と端で、階段を2階まで行き、廊下を直進し別の階段を使って3階に行き、さらに左の廊下を直進して奥にあるのが第一理科室なためものすごく遠い。

 

 

「ちょっ! あいつ意外と走るの早くないか!?」

 

「足が大きくて大股なだけさ! たぶん! うんたぶん!」

 

「たぶんってなんだよ! てか、ここでいったん別れたほうが良くないか!?」

 

「じゃあグンタロスがおとりだ! ホールで待ってろ」

 

 

 言ったからには責任を果たせよ、グンタロス。

 

 

「おいおいおいおい待て待て待て! ぎぃぃやぁぁぁぁぁ」

 

 

 俺がおとりってどういうことだ! いや、わかれた方が良いとは言ったけどよぉ! たく、コウちゃんは人使いが荒いな! 

 

 

「おらぁ! こっちこいや!」

 

ぐおおおぉぉぉ

 

 

 案外、簡単に挑発に乗ってくれるもんだな……。

 

 俺は斧を華麗にかわして怪物の後ろに回り込んだ俺はホールに向かって走っていった。

 

 

「おらどうしたぁ!? かかってこい」

 

 

 しばらくホールで走り回っているが、自慢のスタミナを持つ俺でもそろそろ限界だ。

 

 

「ぜぇ……はぁ……くっそ……もう走れねぇ……」

 

 

 再度、怪物が斧を振り上げる。もう絶体絶命な気がする。

 

 その瞬間、光が現れてその光は怪物の目へとクリティカルヒットした。

 

 怪物は目をやられ、斧を振り下ろしたが軍を外して横にあった棚が壊された。

 

 

ぐぉぉあぁぁぁぁ

 

「間に合った!」

 

「遅いぞコウちゃん、作人!」

 

「どうだ! 怪物さん! ……いや、なんでこっち向くんだい? 斧を持って振らないでぇ!」

 

 

 怪物は弱まったが、斧を縦横無尽に振っている。

 

 ライトを当てた高貴が狙われ、どんどん追いつめられる。

 

 

  ズババババンッ!!

 

 

 銃の音がホールに響き、弾は怪物の体にあたり、怪物は吹っ飛ぶ。

 

 

「お前たち、これを受け取れ! ドールが悪霊と化した"スプーキー"を倒すための装置だ」

 

 黒いスーツに包まれた大柄な男はベルトのようなものを3人に投げ、それを受け取った3人。

 

「そいつは対スプーキー用に作られた変身アイテムだ! まずは腰に巻け!」

 

「これは……? うっ……」

 

 

 作人の頭の中で思い出す、暗い部屋の中。

 

 ~~~~~

 

 中年の男性2人が揉めているようだ……

 

 

「これは私の発明品だぞ! 君に渡すわけには行かない!」

 

「しかたがない、これは世のためだ」

 

「世のために私が必死こいて作った代物だ! 渡すわけには行かな……ぐはぁ!」

 

 

 ナイフを取り出した男が、話していた相手を刺した。

 

 刺された男は床へと倒れ、そこでふと現実へと戻る。

 

 ~~~~~

 

「これは……使いたくない」

 

「こんな怪物を倒せるなら……俺は戦う!」

 

「ドール……? なら僕はスプーキーを倒してドールを追い求めるために使ってやるさ!」

 

 

 軍、高貴は自分の腰にベルトを装着し、ベルト横についていた絵が描いてある丸い皿のような形のアイテムをベルトの中へ挿し込んだ。

 

 

PURSUES READY?

 

DEFENSE READY?

 

 

 高貴はベルトについているスイッチを押して回し、軍はベルトの上についているスイッチを押す。

 

 

GO!! GO!! SMART WHERE AM I

 

GO!! GO!! SHINING DESTROY ME

 

 

 ベルトからコンロのような形をした出てきて、高貴の足元に置かれる。そして、緑色の炎が噴き出し高貴の体を燃やす。

 

 

「あつあつ!! ……ってあつくないぞ!?」

 

 

 高貴の体にはコートのようなものが装着され、頭にはコンロが4つに分離したものがくっつく。パッと見、魔法使いのようだった。

 

 一方、軍はボックスが現れ、閉じ込められる。すると、軍の足元から頭のてっぺんにかけて湯気のような煙を出しながらどんどん装着されていく。

 

 

「閉じ込めるなよ! てか、なんだこの足!? うおおぉぉぉぉぉ……お、解放された」

 

 軍の頭部は黄色い3つの角があり、顔面は太陽のようにオレンジ色に輝く。体全体は赤く塗られ、首元、腕、膝、足は黄色いパーツが取り付けられる。

 

「えぇ!? 姿が変わった!?」

 

 

 作人は2人の変身を目の前で見て驚く。

 

 

「よっしゃぁ! やってやるぜ!」

 

「さて、決め台詞でも作ってみるか……ごほんごほん、キミ、覚悟してくださいね?」

 

 

 怪物は斧をぶんぶん振り回すが、軍は斧を指一本で止めて弾き、片足キックした。その後ろから高貴が銃を使って怪物を打ち抜く。

 

 

「よし、高貴はスイッチをさらにひねって、軍はもう一度スイッチを押してライダーキックだ!」

 

「ライダーキック? よくわからねぇけど……ここを押せばいいんだな?」

 

BURNING MY SOUL FOR YOU

 

「スイッチを……押して……強く回す!」

 

FOUND YOU

 

 

 軍は複眼が輝き、足から炎を出して浮き上がる。

 

 高貴は分離されたコンロのようなものが再び結合し、足にくっつき炎を点火して浮き上がる。

 

 

「「RIDER KICK」」

 

おりゃああああああああああ

 

 

 赤い炎と緑の炎が混ざり合い、怪物はどんどん体温が上がり、雄叫びをすると同時に怪物の体を2色の炎が貫く。

 

 

ぐおおおぉぉぉぉぁぁあああぁぁ

 

 

 怪物は大爆発を起こし、校内のホールに煙が立ちこむ。

 

 

「……お前は!?」

 

「なぜ君が……」

 

「やはりか・・」

 

 煙の中、怪物がいた位置に倒れこむ一人の女性。

 

 

 

 ──────その女性は一体、誰なのか

 

 




読み方集
ー飯ケ谷高校(いいがやこうこう)
ー在形作人(あるかた さくと)
ー内光高貴(うちみつ こうき)
ー天道軍 (てんどう ぐん)

ー次回
「小さな恨みが魂を大きくする」


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