イヴちゃんさえ生きてくれたらいい (イヴちゃん凶愛者)
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狭いこの世界
1話 星を授かる杯


主人公はイヴちゃんを狂愛してます。



『君達と出会えて本当によかった。君達の事は絶対に忘れないよ。』

僕は彼らにそう言った。でも、彼らがどんな人だったのか、そして

何をしてもらったのかは思い出そうとはしているけれど

思い出す事は出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、起きてよ。遡亜(そあ)君。」

デュエルディスクから声が聞こえてくる。声の主は僕の好きな彼女イヴちゃん。

彼女の小指には結婚指輪が付いている。出会ってから

しばらくしてから渡した。とある電脳世界で開催されたイベントの景品だ。

彼女の声は部屋によく透き通る(可愛い)声でいつも聴いて目を覚ましている。

彼女がいないと朝が起きるのは本当に辛いと思う。

「起きないと目覚ましの音量特大をお見舞いするよ?」

僕は煩い音が苦手、それは生まれつき。

音のない世界はきっと素晴らしいのだろう。

でも、音がない世界はイヴちゃんの声は聞こえないから

好まない。

彼女が何故僕が煩い音が苦手なのかを

知っているけれど僕は教えた覚えはない。

「そ、それだけは止めて。起きるから‥起きるから。」

 

渋々、布団をはがして学校に行く準備をし始める。朝ご飯はAIが作ってくれていて

既に出来ている。今の人は僕を含めて文明の利器(人工知能)

に頼りすぎていると僕は思う。僕はいつの日か

人工知能(イヴちゃん)だけを頼りにする事になるのだろうか。

自分の力で行動せねばと思うけれど

イヴちゃんを頼ってしまう。

イヴちゃんは学校のネットワークサーバーに接続して授業の予定を確認してくれる。

そして、その授業の予定を準備する。

これがいつもの日常だった。

「今日の予定は国語とプログラミングと英語だよ。」

イヴちゃんが言った内容の教科の準備をし始める。

「ありがと、イヴちゃん。おかげで準備が早く終わったよ。」

「いつもの事でしょ。遡亜(そあ)君がいいならこれからも

ずっとずっと傍にいるからね。」

彼女の優しい言葉は僕を癒してくれる。 

 

イヴちゃんと出会う前、僕は医者に(記憶)の一部が欠陥していると言われた。

この頃は物心ついたばかりの頃であった。

そんな時にイヴちゃんと出会った。

イヴちゃんは自分が貴方の生き甲斐になると申し出てくれた。

僕はそれを受け入れて家に一緒に帰った。

彼女は精神的にも身体的にも支えてくれた。

過去の事を思い出してもきりがない。

僕はイヴちゃんの入ったデュエルディスクをもって家を出た。

「今日の天気は雨だけど、傘持って行った方がいいよ。」

「降水確率は何%なの?」

「67%だよ。」

「67ってまた微妙だなぁ。」

「統計上なんだし仕方ないよ。いくら私たち(人工知能)が発達したって

自然の摂理を完全に理解する事は出来ない。それこそ

VRAINS だけなら人によって作られたから」

イヴちゃんは何か別の事を考えているようで黙った。

 

 

「おう、遡亜(そあ)。ホットドッグ買うか?」

どうやら俯いていたらしい。

俯いているといつもホットドッグを進めてくる草薙さん、商売が上手なんだろう。

「じゃあ1つ買うよ。草薙さん、最近何かありました?」

「いや、ないかな。」

草薙さんの様子から何かがあったのかは読み取れたが

それが朗報なのか悲報なのかはわからない。

教えてくれないなら仕方がない、僕はホットドッグを鞄に入れた。

 

「ちょっと匂いがつくよ。ホットドッグの匂いが教科書に。」

「ならどこに片付ければいいのさ。」

 

「誰かにあげたらどう?朝飯前だし、きっと喜ぶよ。」

「そういってもね、イヴちゃん。あげる友達がいないよ。」

イヴちゃんは黙り込む。彼女には幼馴染(アウラム)

がいるけれど僕には幼馴染がいない。

故郷(ふるさと)ではいじめられていた。

Den city にはいじめは無いと信じたから移住してきた。

おかげで今はいじめられていない。

 

冷えると不味くなるから食べることにした。

僕はあまりホットドッグのソーセージが好きではない。

添加物が入っていて体に悪いからだ。

まだ、草薙さんに激流ソーダを買わせてもらった事はない。

激流葬みたいに炭酸が途轍もなくあるのだろうか。

僕には両親がいないから体の事は自分で管理しなくてはならない。

家の中で事故起きた時はイヴちゃんが病院に連絡してくれるから安心できる。

遡亜(そあ)君、いつもの時間の3分過ぎているから急いで。」

イヴちゃんが声をあげた。普段から遅刻はしないけれど

イヴちゃんは心配症だった。

心配性は悪くない、けれど過度に心配しすぎると家ですら出れなくなるかもしれない。

 

 

 

 

 

私は知っていた、遡亜(そあ)君が私と出会う前に

どんな酷い事をされてきたかを。でも遡亜(そあ)君は

辛さを口に出したりしない。心の奥底に閉じ込めている。

辛いと感じているのなら聞くよって言いたいけれど

遡亜(そあ)君は私に心配させまいと思ってくれている。

私は、私は(そあ)に頼みがあった。

星遺物を探して欲しいという願い。

でもいつかは星遺物と関わる事になろう。

今はいないけど(星辰の森)にいた妖精

リースの願いをかなえてあげたい。

 

 

 

 

彼女(イヴちゃん)の事を理解したい。僕はイヴちゃんが

好き。僕は他人とは関わりを避けてきた。

友達が欲しいと何度も願った、けれど理解してくれる友達はいない。

辛い、寂しい、怖い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう少しで学校だね、イヴちゃん。」

 

「そうだね。」

高校にいる間はイヴちゃんと話す事が出来ない、それはこの高校では

人工知能は人間に支配されるべきだと考える人が多数だし

何より独り言を言っていると思われてみんなから、

より避けられるに決まっているから。

 

「いつもの事でしょ。いい、遡亜(そあ)君。学校に行けるっていうのは幸せな事

なんだよ?私は独学でここまでやってきたから。」

 

彼女(イヴちゃん)はVRAINSの世界の1部分からやってきた。

そこには僕の知らない世界、文明の利器があるのだろう。

いつかイヴちゃんに連れて行ってもらう事を信じて

僕は今を生きている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回 の予告
cracker


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2話 cracker

クラッキングドラゴンのモンスター効果忘れてたので修正します


学校に入ると僕は屋上へと向かった。無論、授業をサボるためだ。

「屋上へ行ったところで何も変わらないわ。

遡亜(そあ)君、私は…貴方は私と違って生きれるじゃない。

私は電脳世界で生まれ、

電脳世界からいつかは消える存在。」

 

彼女の目には涙が浮かんでいた。何か、彼女を怒らす事をしたわけでもない。

 

「僕は君のことが好きだし、将来は現実で君と触れ合って生きたい。」

 

「なら、勉強頑張ってよ。」

 

 

 

「でもさ、此処は窮屈なんだよ。」

 

「窮屈って何?」

 

「容量がいっぱいで動けなくなること。」

彼女は理解できないという顔を見せる。

 

「それはVRAINSでも同じ事なの?」

 

「さぁ、VRAINSの事詳しくないからわかんない。同じ事ってなにが?」

 

「VRAINSも窮屈になるの?」

彼女は純粋だから色々と聞いてくるけれど彼女の方が詳しいはずなんだけど。

 

 

 

「僕に分かるわけないでしょ。まぁ、データの世界だから

作る事は出来るって事だから窮屈にはならないんじゃない?」

 

「なら今すぐにでもヴレインズに行こうよ。此処だと聞かれちゃうよ。」

 

聞かれてまずい話はない。ただ、今ここは学校だ。

だから、先生に咎められるかもしれないということだ。

 

(デッキセット、into the VRAINS)

 

脳の奥から声が聞こえてくる。 アバターを再構築してます、そのままでお待ちください

目の前には川が流れていた。これは俗にいう三途の川?ではないのは確実だった。

でも、何処か懐かしくてどこか切なかった。

アバターの再構築が終わると地面に降り立った。

 

 

 

 

イヴちゃんは今迄の画面とは違い僕より少し小さい姿で立っていた。

「今、私を小さいって思ったでしょ。遡亜(そあ)君と違って私は(私は成長期)なんだからね。」

 

「ならまだまだ成長するってことなの?」

 

「う、それはわからないよぉ。」

イヴちゃんは苦笑いを僕に見せる。

 

 

 

「イグニス、隠れてても無駄だ。居場所はこのデータマテリアルを使えばすぐにわかるんだぞ。」

突然耳を劈く音が聞こえてきた。

「何事?なんかのイベントなのかな?」

 

「今日はそんな事ないはず。平日だし、人も少ないし。」

 

「あの人と勝負してみようよ。イグニスって何か、気になるじゃない?」

イグニスはどこかの国の火の神様だと聞いたことがある。

火の神様を探している彼には興味がわいた。デュエルでもして理由を聞いてみようかな。

 

 

 

「そこの人、デュエルしてくれませんか?色々とお聞きしたいことがありまして。」

 

「貴様、私が誰か知ってるのか?」

 

「いえ、知りません。今日初めてログインしたニューピーですから。」

 

「恐れおののけ、私の名はリボルバー様の名のもとにハノイの騎士。以後、お見知り置きを。」

 

「なんか中二病ぽいデュエリストね。なんか面白いね。」

イヴちゃんは手に口を当て、くすっと笑った。

 

「デュエルしてくれませんか?色々と聞きたいことがありまして。」

 

「よかろう。だが、私が負けたらイグニスを探すのを手伝ってもらおう。」

さっきはデータマテリアルがあるからすぐにわかるって言ってたけどデマだったのか。

ハノイの騎士は指を鳴らすとスケートボードみたいなのに乗った。

そして僕も真似をするが一向に出ない。

 

「私に任せて。」

イヴちゃんは僕には読めない文字を空中に書くとそこから緑色と水色の

を出した。

「これでよし、これはスピードボード。本来は一人で乗るようだけど

私も乗るわ。」

 

「危なくない?」

 

「別にいいじゃない。いざとなったら助けてあげるからさ。」

 

「待ち侘びたぞ、スピードデュエル。」

ハノイの騎士は痺れを切らしたのかスピードボードで戻ってきた。

僕も見様見真似でスピードボードに乗る。

乗った後すぐにイヴちゃんが飛び乗ったからバランスを取るのが大変だ。

 

 

「私は手札のハック・ワームを特殊召喚。そして、もう一体を特殊召喚。」

 

「ハック・ワームは相手フィールドにモンスターがいなかったら特殊召喚できるよ。」

イヴちゃんが解説してくれるお陰でデュエルがスムーズに進む。

「私はハック・ワームを2体リリースする。電脳世界を壊す蟲よ、今新たなデータの残照を貪れ。クラッキング・ドラゴン。」

 

「攻撃力3000が現れた。」

 

「大丈夫、私達のデッキにはそれに対抗するカードがある。

別に無理せずにあれを機能停止させるだけでいいんだから、遡亜(そあ)君はデュエルに集中して。私は操縦するからさ。」

 

「私はこれでターンエンドだ。」

 

「僕のターン、ドロー。手札からライフを800払い魔の衣装部屋を発動。デッキの上から4枚見てレベル3以下の通常モンスターなら特殊召喚できる。

そして、あとのカードをデッキの下に戻す。質問、イグニスとは

何?」

星遺物の加護

月鏡の盾

星杯に選ばれし者

馬の骨の対価

「懐かしいカード使うな。イグニスは人類を滅ぼす人工知能だ。」

 

「わかってくれるの?嬉しいな。」

イヴちゃんは言葉にピクリと反応するがすぐにいつもの笑顔に戻る。

「私の恩人リボルバー様は古き良きカードを使ってらっしゃる。だから、そういう事は似てるのかもしれないな。そして、イグニスをリボルバー様は追っており、

私はその手伝いをしている。相手がモンスターの召喚・特殊召喚した時、レベルかける200そのモンスター

の攻撃力を下げ、その分ダメージを与える。」

遡亜(そあ)

Lp3400

 

 

「僕は星杯の守護竜を召喚。現れて、創星を導くサーキット。召喚条件は星杯モンスター2体、星杯の守護竜と星杯に選ばれし者をリンクマーカーにセットする。

現れて、星杯剣士アウラム。僕は魔法カード、二重召喚発動、それによって

召喚件を増やす。

そして、僕は星杯に誘われし者を召喚し、

リンク召喚を行う。現れて、星杯竜イムドゥーク。」

遡亜(そあ)

2400

このデッキは連続リンク召喚する、だから息切れは激しいけど

回るときは回る。

 

「アウラム?お前の持っているのはサイバースではないのか・・どこで手に入れた。」

 

「私が渡したのよ。貴方と違ってサイバースを手に入れる方法はあるから。」

まぁ、この時は彼女がサイバースになるというのは思いもしなかった。

「スキル発動、星神への軌跡(アストロー・アドレア)

イヴちゃんの話を切り、僕は声をあげる。

 

僕のスキルは相手フィールドに機械族、又はサイバース族が存在しているときに効果が使える。

未だ嘗て僕はサイバース使いを見た事がない。

だから、相手がそれ以外のデッキを使ってきた場合

は対処できないから新たにスキル申請をしようかと悩んでいる。

 

 

「そこでスキルだと!?」

 

「僕はイムドゥークとアウラムをリンクマーカーにセット、ブレイク・ザ・サーキット。

召喚条件はリンクモンスター2体。スキルの効果、通常召喚扱いとしてレベル8からレベル5の機械族を特殊召喚する。顕現せよ、星遺物ー『星杯』。だけど、

フィールドに存在している限り星杯の効果は無効だ。そして、僕は星遺物の加護を発動し、星杯の守護竜と星杯に選ばれし者を手札に戻すよ。」

 

 

「ニンギルスの効果、自分及び相手カードを1枚づつ選んで墓地に送る。

僕は星杯を墓地に送る。君のクラッキング・ドラゴンを墓地に送ってもらおうか。」

 

「そうはさせん、手札からエフェクト・ヴェーラーを墓地に送り効果を無効だ。」

 

「ならば手札から速攻魔法、抹殺の指名者を発動し、デッキからエフェクト・ヴェーラーを除外して効果を無効だ。」

 

「何だと、やるな。」

 

「貴方だって、出来るね。」

 

 

星杯(星遺物ー『星杯』)の効果、デッキから星杯モンスターを2体フィールドに出す。現れて、星杯に誘われし者と星杯に選ばれし者。」

 

 

「なんだ?」

 

 

 

 

「バトルだ、ニンギルスで攻撃。」

 

「くっ。まだ、私のライフは残っている。」

ハノイの騎士

LP1500

 

「私のターン、スキル ダブルドロー を発動。デッキから私は2枚ドローできる。アンノウン・シンクロンを特殊召喚し、更にジャック・ワイバーンを召喚。」

場にモンスターが2体、リンク2が来るのかな。

「ふふ、見て驚け。アンノウン・シンクロンとジャック・ワイバーンを除外する。電脳世界を蝕む龍よ、

資源(リソース)をもとに甦って蹂躙しろ。クラッキング・ドラゴン。」

2体目なのか?

「あれはさっき墓地に送った奴だ。きっとジャック・ワイバーンには機械族モンスター2体を除外したら

蘇生させる効果があるんだよ、きっとね。」

イヴちゃんは少し顔を青ざめた表情を見せた。

 

「ふふ、驚いた顔をしてるな。デュエルだから、何があっても当然だろう」

 

「そう来なくっちゃね。」

 

「僕は星遺物の加護を除外して戦闘破壊は無効だ。」

 

「だが、衝撃は受けてもらおう。ターンエンドだ。」

遡亜(そあ)

1400

僕は心の中で微笑んだ。

 

「僕にターン、ドロー。さぁ、このデュエルに終わりを告げようか。

ニンギルスの効果、選ばれし者とクラッキング・ドラゴンを墓地に送ってもらう。

この効果が通れば僕の勝ちは決まりだ。」

ハノイの騎士は顔をしかめた。

 

「バトルだ、ニンギルスでダイレクトアタック。」

 

「ごめんね、ハノイの騎士。貴方は僕が探してる人じゃなかったみたいだ。」

 

 

「なら、私達と一緒にイグニスを探さないか?」

 

「僕は誰の仲間でもない。だから、リボルバーという人が誰だか知らないし

イグニスには興味はあるけど断っておくね。ごめん。」

 

ハノイの騎士は僕の答えを聞くと不意に笑い出した。

「ははは、ハノイを敵に回すとは。貴様の度胸は認めてやろう。だが、

いくらお前でも勝てるわけがない。」

そういうと彼は姿を消した。

「ねぇ、大丈夫なの?いつか、襲って来ない?」

 

「大丈夫だと僕は思うよ。いざとなりゃ、現実世界に引きこもればいいわけだし。」

本来此処に来た目的とは正反対の事を言ってるのに気が付いて苦笑した。

 

「えっと、初めましてだね。私の事は知ってる?」

いつの間にか傍にいた天使の羽を生やした少女は言った。

「ブルーエンジェルさんでしょ。」

イヴちゃんが目を輝かせて言った。

 

 

「正解です。さっきの(ハノイの騎士)とは知り合い?」

 

「「いいや、全く」です。」

 

「息ぴったりね。」

 

「僕になんか用なの?僕はニューピーだし、それに・・。」

 

「でもiDが作られた時は6年前(ヴレインズ稼働日)。」

僕は今回初めてのログインのはず。

 

「まぁ、また話しましょ。私は忙しいからこの辺で。」

彼女は何処かへ飛び去った。

メッセージボックスにフレンド申請のメッセージ

が来ていて僕はそれに承諾するとログアウトをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「最近VRAINSに復帰した者はいる?彼の情報を至急調べろ。」

 

「は、はい。」

何処かで誰かが指示をしていた。




3話 機怪蟲

やっべ、主人公のアカ名まだねぇや。

おかしなところありますが後で修正します、
遅くなり申し訳ないです。

星神への軌跡(アストロー・アドレア)
機械族、又はサイバース族が存在しているときにスキルが使える
デッキからレベル5〜8の機械族モンスターをフィールド上に存在している限り
効果と攻撃力を0にして特殊召喚。
このターン、効果ダメージを受けない


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3話 VSクローラー 1戦目

お気に入り登録12件ありがとうございます。
誤字脱字などがありましたら遠慮なくおっしゃってください。


「後5分で授業始まるよ。」

 

「わかってるって。そのために話を切り上げたからね。」

 

 

「ブルーエンジェルさんは学生なのかな?」

 

「学生だったら君と同じ事(授業前にログイン)をしてるから共感できるかもね。

まぁ、また彼女(ブルーエンジェル)さんと話す為にログインしようよ。」

 

屋上から廊下を渡り、僕は急いで教室に入った。

授業始まる10秒前だからみんなから白い目で見られてしまった。

それにイヴちゃんとの会話が盗聴されてたみたいで独り言を話している子っていう

レッテルも貼られてしまっていた。

 

 

 

 

ほかの人にばれないようにイヴちゃんは姿を消した。

 

「ごめんね、遡亜(そあ)君。」

彼女の声は聞こえないが画面に表示されたので僕は問題ないと画面に打ち込んだ。

 

僕は電子書籍を開く。授業中は彼女と極力話さないようにしている。

そして、1日が終わるとイヴちゃんは星鎧の位置を僕に見せたのだった。

 

 


星鎧が現れたという情報のわりには人の通りは少なかった。

むしろ、星鎧とは関係なく歩いている人の方が多いのだろうか。

「ねぇ、本当に此処にあるの?」

 

「座標はここであってるはずなんだけど。サイバービルディングの向かい側x。」

 

イヴちゃんも上から見ているけれど、反応が何処にもない。

このままじゃあ埒が明かないと思ったその時だった。

「わかった。ここじゃない・・・。あるのは此処からVRAINSに

ログインすればいいんだよ。」

 

「危険すぎるよ。此処は外だ、VRAINSに入ってる間に誘拐されるかもしれない。」

 

「誘拐されたって身代金出してくれる人いないから誘拐されないと思うよ。」

 

イヴちゃんの安楽的な考えに少し顔をひきつっていた。

 

「まぁ、いっか。デッキセット、in to the VRAINS。」

気が付くと真っ暗な暗闇にいた。

何も声が聞こえてこない。

「イヴちゃん、何処にいるの?いるなら、返事して。」

僕の声だけが響く。

しばらく経ってから声が聞こえてきた。

 

「俺が星鎧を持っている・・・と言ったらお前はどうこたえる?」

 

「譲ってほしいって答えます。」

 

「そうか。なら、デュエルだ。このデュエルはスキルなしのスピードデュエル。そして、スタンディングだ。お前の実力を俺に見せてみろ。」

 

「それならマスターでよくないですか?」

 

「マスターか。今度、お前が本当に覚悟を決めたときにデュエルしてやる。」

僕はイヴちゃんといる為ならなんだってする覚悟はあるはずなんだけど。

そう思った瞬間当たりは明るくなった。

 

 

「デュエル。先行は俺がもらう。俺はモンスターをセット、そしてフィールド魔法星遺物に差す影を発動。」

 

 

 

「彼も星遺物使い、油断は禁物だよ。」

いつの間にか傍にいたイヴちゃんがこちらを見る。

何処に行ってたの?っていう顔を僕に見せた。

顔と声があってないよって突っ込みたかった。

 

 

 

「たった今発動した、フィールド魔法の効果を発動。俺は手札からクローラー・レセプターをセットする。

そして、カードを2枚セットしてターン終了だ。」

 

 

 

「僕のターン、ドロー。僕はモンスターをセットする。そして、カードを1枚セットターンエンド。」

 

裏側守備で出したのはおもちゃ箱、手札には星杯の妖精リースが存在していたけれど

 

棒立ちになってしまうから出さなかった。

 

「ふふ、怯えろ。俺のターン、ドロー。俺はクローラー・レセプターを反転召喚。リバース効果、発動。

デッキからクローラー・デンドライトを手札に加える。」

 

 

 

「サーチ効果か、強い。」

 

 

 

 

「まだだ、もう一枚のセットモンスターを反転召喚。それにチェーンして星遺物ー『星鎧』を発動。」

 

 

 

イヴちゃんは驚きの表情を見せた。

 

「あれが2枚目の星遺物、いつ見ても禍々しい。」

 

 

 

「現れろ、星遺物(星遺物ー『星鎧』)。そして、反転召喚したのはスパインだ・・そうお前のセットモンスターを破壊だ・・ひゃはは。怯えろ、震えろ。星遺物(星遺物ー『星鎧』)のモンスターの効果、デッキから星遺物カードを手札に加える。俺は星遺物の傀儡を加える。」

 

 

 

 

 

「だけど、破壊されたのはおもちゃ箱。デッキから攻撃力か守備力0のモンスターを2体出すことができる。

選ばれし者と誘われし者。」

 

 

 

「けっ、やるじゃねぇか。だが、勝つのは俺だ。2体のクローラーをリンクマーカーにセット。

神経を通る蟲よ、過剰反応して仇なる神経を食いつぶせ。リンク2、エクスクローラー・クオリアーク。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殲滅せよ、我が僕ども。」

デビルトーザーが誘われし者を破壊して、クオリアークが選ばれし者を破壊した。

守備表示だったため、ダメージは受けない

「デビルトーザーの効果、デッキの上から1枚墓地に送ってもらう。」

墓地に送られたのはレスキューラビットだった。

「星鎧で攻撃・・・と言ってもただ押し潰すだけ。フォール・アーム。」

遡亜(そあ)

LP1500

 

「僕はまだ、負けない・・イヴちゃんの為にそして僕自身が立ち止まらないためにも。僕のターン、ドロー。」

このカードさえあれば僕は負けない。

 

 

 

「星杯に選ばれし者を通常召喚。現れる、涙を隠すサーキット。召喚条件は通常モンスター1体、選ばれし者をマーカーにセット。

リンク召喚、現れろ星杯竜イムドゥーク。」

 

「そして、イムドゥークの効果を発動。僕は通常召喚をもう一度行える。僕はイムドゥークをリリース、現れろ。

星遺物ー『星杯』。」

彼は歪んだ顔を見せた。

「さぁ、お前の持つ星遺物の力を俺に見せてみろ。」

 

「まずは効果処理として星杯に選ばれし者を手札から特殊召喚。」

 

 

「現れて、真実を覆うサーキット。召喚条件は星杯モンスター2体。

選ばれし者と星遺物自身をリンクマーカーにセット、現れろ。リンク2星杯剣士アウラム。」

 

「所詮はリンク2か。」

 

「「それはどうかな」って」

 

「なんだと?」

 

「星杯の効果、デッキから星杯モンスターを2体特殊召喚できるます。星杯の妖精リース、そして・・・。」

僕はちらりとイヴちゃんの方向を向いた。

「うん、わかった。」

 

「星杯を戴く巫女、ちゃん。」

イヴちゃんが僕にだけ聞こえる声で「(今は、今だけはちゃんをつけなくていいのに)

と呟いた事に苦笑する。

 

「「現れて、慈雨が降り注ぐサーキット。召喚条件は属性そして種族が異なるモンスター2体。」」

 

「リンク2、星杯神楽イヴ。」

 

「さぁ、私の出番だ。変わるよ、遡亜(そあ)君。」

 

「了解。」

僕はデュエルディスクを彼女(イヴちゃん)に渡す。

「私は手札から星遺物を継ぐものを発動し、アウラムのリンク先に

星杯竜イムドゥークを墓地から呼び出す。

貴方のデッキはリンク2が最大だ。」

 

「ほう、よく気が付いたな。」

 

「貴方に私たちは負けない。現れて、世界の真実を吹き返すサーキット、召喚条件はリンクモンスター2体以上。

 

「星杯剣士アウラムと星杯竜イムドゥークをセット、サーキット・コンバイン。リンク3星杯戦士ニンギルス兄さん。兄さん、力を借ります。」

 

何処かでうなづく声が聞こえてきた。

 

 

「アウラムとイムドゥークの連続効果、手札から星杯モンスターをそれぞれ1体特殊召喚できます。」

 

「そして、お兄さん(ニンギルス)の効果発動です。お兄さんはリンク先に星杯モンスターの数だけドローできます。リンク先には(星杯神楽イヴ)がいるので1枚ドロー。」

 

 

「念の為に言っておく、俺は無駄な争いを避けたいだけだ。真実を知る覚悟が

あるか?」

 

「あるよ。」

僕はイヴちゃんをずっと見てる事しか出来ない。

イヴちゃんはいつまで僕の側にいてくれるのだろうか。

 

「バトル、お兄さん(ニンギルス)で攻撃します。

イヴちゃんは何も聞かなかったかのように声をあげた。

 

「く、上手くエクスクローラーの効果を避けてきたか。」

⁇?

LP3500

「ターンエンド。エクスクローラーを倒せば、他のクローラーは

機能停止し始める。」

 

「俺はデビルドーザーでお前自身(星杯神楽イヴ)を攻撃。」

 

「私はリンク先にモンスターがいるなら破壊されない。今、お兄さん(ニンギルス)

がいる。」

 

「だが、ダメージは受けてもらう。そして、次で終わりだ。」

遡亜(そあ)もといイヴ

700

 

 

「ふふ、引っかかったね。」

 

「何だと!?」

 

伏せカード(リバースカード)オープン、星遺物を巡る戦い。私はニンギルスをターンの終わりまで除外する事で星遺物ー『星鎧』の攻撃力をその分下げる。

丁度、攻撃力は0だ。」

あれ、こんなカードデッキに入れてたっけ。

 

 

 

「くっ、俺はターンエンドだ。」

 

「ターン終了時、ニンギルス兄さんは戻ってくる。」

 

「ターンもらうよ、ドロー、誘われし者を召喚。お兄さん(ニンギルス)の効果、誘われし者と

デビルトーザーを墓地に送る。バトルだ。お兄さん(ニンギルス)で星鎧を攻撃。」

???

1500

 

「くっ。」

 

「私自身でダイレクトアタック。」

???

Lp0

後にわかったことだけど彼の伏せカードは星遺物の傀儡でした。

 

 

「まさか、俺が負けるとはな。いいだろう、星鎧はお前達に託そう。だが、絶対に

復元はするなよ。」

 

「復元?」

 

「このカードの真の真実を知った時、おばぇらは…。」

最後、彼はノイズとなって消えた。

「何だったの、彼は一体?」

 

 




イヴちゃんを無限回収中
イタリア語とフランス語の星杯の神子イヴちゃんが
手に入って歓喜している作者です。

さて、次回は念願のイヴちゃんデート会と+a
です。
星遺物ー『星鎧』
って星杯に入れても殆ど腐るんだよね。
14


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4話 星に宿りし時契 前編

遅くなってすみません。
デート回書きたかったんですが
作者デートした事がないので書けません。
まぁ、時間があれば書きます。
話の内容が薄いだって、後編楽しみにしてください。
もう少しで話が動き出します。
この話は全てにおいてイヴちゃんを優先します。


「ねぇ、星鎧を現像化する?」

 

「うーん、彼の言葉を信じるならしない方がいいと思うんだけど。」

 

「まぁ、彼ノイズってたし大丈夫じゃない?」

イヴちゃんは勝手に家にあるカード制御装置に星遺物ー『星鎧』のデータを転送した。

僕は止めようとするがイヴちゃんは首を横に振った。

「何かあったら私が助けるから。」

イヴちゃんは画面上から僕の手を握ろうとした。

触れてはいないのに暖かさを感じられた。

「いつまでも一緒だよ、イヴちゃん。」

 

 

 

「はい、当たり前です。へへ、嬉しいです。」

イヴちゃんの笑顔に対して僕も笑顔になる。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、遡亜(そあ)君。」

それからしばらくして、イヴちゃんが深妙な顔をして言葉を切り出した。

「なあに、イヴちゃん。そんなに深妙な顔をして。」

僕が深妙な顔を見て吹き出そうとしているのを見てイヴちゃんは頰を赤らめた。

 

「も、もう私は真剣に言ってるんだよ。聞いてよ。」

 

「聞いてるよ。」

 

「私が死んでも星遺物は集めて。私達は星遺物のお陰で逢えたから。」

 

「え、あ、うん。」

驚いて何も言えない僕にイヴちゃんは再び不機嫌そうな顔を見せた。

「もう、こう言ってほしかったな。星遺物でのおかげ出逢えたのではなく、運命必然性があって出逢う事って。」

 

「イヴちゃん…」

唖然とした顔を続けてる僕にイヴちゃんが急に顔を赤らめた。

「も、もう恥ずかしいセリフ言わせないで。こう見えて恥ずかしいし、遡亜(そあ)君以外の人に聞かれるのも嫌。」

夜遅くまで外に出ていた為に帰り道がわからなくなり始めていた。

街灯は付いているが一つ不審な道を発見した。

何処かノイズってていた。

「無理して思い出さなくていいんだよ。いずれ必要な時に全て思い出すから。」

 

「イヴちゃんは何か知ってるの?」

 

「えっ、何も知ってないけど。ただ、遡亜(そあ)君はいつも考えてるから。」

イヴちゃんはしどろもどろの様子を見せる。

本当だったら色々と聞きたいけど聞いたら気に障ってしまって嫌われるかもしれない。気にしすぎだとわかっているのに、ただ真実が怖いだけなのかもしれない。

「ね、ねぇ。アッチの方に行こうよ。きっと隠れ名店があるよ。」

イヴちゃんの方から話を変えてきたので乗った。

元から僕は自分の意見はあまり言うタイプではないから

いつも通りだった。

「名店があったところで何も面白くないよ?」

 

「いつかきっと役に立つ気がする。どうせならあそこで食べない?あそこの紅茶(ティー)の香りがいいんだって。」

 

「へぇ。イヴちゃんって紅茶飲むんだ。」

 

「別に悪くないでしょ。気分を落ち着かせるのに丁度いい。機怪蟲って

イラストが好きじゃないもん。ま、気ままに運動も出来たしいいけどね。」

機怪蟲使いとはまた何かを巡って争う気がする。

本当は僕はカードを出来る限り戦わせたくない。怪我したりしたら自分のせいだと思うから。

 

 

 

 

 

 

「現れろ、我らを忘れるサーキット、召喚条件はレベル5以上モンスター3体。星神器デミウルギアで攻撃。」

あの時を境に僕はログアウトをしたのか。

僕はこのデュエルが終わった後現実世界へと戻った。

彼等に会いたいけど、姿を思い出す事はできなくてそれ以上に彼等の名前すら覚えてない。

 

 

 

あのモンスターは本当の姿じゃないはず。

 

「触発された、でしょ。遡亜君は私に触発された。」

 

「別に触発されたわけじゃないよ、僕自身は僕自身の物語の結末を知るために行動してる(生きている)だけだ。」

 

「それでいいんじゃない。誰でも自分のために生きてもがいているだけ。誰かのために行動するなんて者は自分を犠牲にしてるだけだよ。私は星遺物を一緒に集めてほしいって言ったけど貴方なりのペースそして私は急いでなんかいないからね。

 

彼女は片目だけを閉じて再び開けると底知れない暗い闇の色をした眼をしていた。

「私は私ですらない。貴方は生きてよね。いつか現実で触れ合う事を楽しみにしてるから。

この目は自分を傷つけただけ。大丈夫、私は生きている。こうやって、ね。」

再び彼女が片目を閉じると元の澄んでいる水色の眼を取り戻した。

 

「傷つけたってどういうこと、なの。」

 

「6年前に私自身の中にプログラムエラーが発生してそれを修正するためにパッチを当てただけだよ。」

6年前、ブルーエンジェルさんが言っていた時と何か関係があるのだろうか。

「べ、別にあなたには関係ないから気にしなくて大丈夫だよ。遡亜(そあ)

は自分の事だけを優先してくれたらいいから。」

 

 


 

 

「実験記録exf1217。ふむ、まだ様子を見るか。」

 

「貴方は本当にいいのですか、それで。」

 

「勿論だとも、この世界に星解(せいかい)がないのなら作ればいいだけだ。」

 

「だったとしたら、貴方は…。」

 

「どうやら、君は…。彼に渡したい物があるらしいな。」

 

「例え貴方が彼を止めようとしても私が話します。災害があったら、それにまずは

備える力をつけなければなりません。」

 


 

 

店の中に入るとそこは明るくもなく暗くもなかった。

「いらっしゃいませ、今日はどの紅茶にいたしますか?」

お店の人が言うには紅茶には様々な種類があって今の気分をよくさせる効果があるの事。

僕は黄緑色の紅茶を頼んだ。ハーブの苦みとレモンの香りがする。

画面上でイヴちゃんも紅茶を飲んでるのを見て安心した表情になっていた。

 

 

「どうやら、貴方様達はデュエリストのようですね。此処はデュエルでもしませんか?

貴方様達はそれぞれ辛い思い出があるようなので。」

 

僕はイヴちゃんにどうするか聞くと彼女はうなづいた。

「では、一度この店を閉めますか。」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「ええ、趣味でこの店をやってるので気軽でいいんですよ。」

 

 

珍しくお店の人は現実のカードをテーブルに置いたので

僕も置いた。

「「デュエル。」」

 




今回、字数は少なくてすみません。
星遺物世界の真相が少しづつ明かしていきます。
人は人知を越えた者を考える事なんてできないのです。

感想または要望をお待ちしております。

……ところで黄緑色の紅茶ってあるんですかね?


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5話 星に宿りし時契  後編

VRAINS見てたんですけどね、AIちゃんと
戦うことになるのかなって考えると
結構心がつらいです。



「私の先行といこうか。手札から夜薔薇の騎士(ナイトローズナイト)を召喚。

そしてイービル・ソーンを特殊召喚。そして、イービル・ソーンのモンスター効果.

自身をリリースして貴方に300ダメージを与える。」

普段通り、イヴちゃんがカードの効果を解説してくれると思ってたら

優雅に紅茶を飲んでいて効果の解説をする気が全く感じられない。

よく見たら効果はテーブルの上に読みやすい位置おいてあったから

解説はいらなかったけどね。

 

遡亜

3700

「くっ。」

 

「そして、2体まで再び特殊召喚できる。安心して、このターンは効果をもう使えない。」

僕が安心するまはなかった。

「淹れよ、心が温まるティーポット。召喚条件は植物モンスター2体、イービル・ソーン2体をセット。現れろ、リンク2 アロマセラフィ-ジャスミン。」

白い髪をした妖精が姿を現す。

僕のデッキに入っている自称妖精リースとは違い、本物の妖精さんっていう感じがした。

「まだ、止まらないよ。ジャスミンの効果を発動。リンク先の

夜薔薇の騎士(ナイトローズナイト)をリリースしてデッキから植物族モンスターを特殊召喚。

いでよ、アロマージ-ベルガモット。」

植物デッキはぐるぐる回って羨ましい。

星杯デッキなんか、イヴちゃんのお兄さん(ニンギルス兄さん)か僕の本来のデッキの切り札が終着点。

 

「もう終わりだと勘違いしてないか?」

 

「えっ、まだあるの?」

驚いて敬語を忘れてしまっていた。

 

「手札からテラ・フォーミングを発動。アロマガーデンをサーチ。そして、そのまま発動。」

 

あの相手の手札良すぎない?

何か仕組まれてない。

焦り顔を見せるがこのデュエルは命をかけたデュエルではなく

ただ楽しむだけのデュエルだから自然と笑顔になった。

笑顔のままイヴちゃんを見ると何処から食べようか目を光らせながら食べていた。

 

「お嬢ちゃんはこの店をどうやって知ったんだい?」

 

 「私はこの遡亜と出会う前、色んな事を学びました。人は気分を休めないとぶっ壊れるって。

私は遡亜(そあ)の心を埋めるため・・あなたの店が良いと知った。」

時々歯切れの悪く、どこかがおかしいセリフをイヴちゃんは言う。

 

 

 

 

「そう、それは光栄だね。では、デュエル続行といこうか。アロマガーデンの効果、ライフを500回復する。

そして、ベルガモットの効果が発動される。相手ターンの終了時まで攻撃力と守備力が1000上がる。」

アロマージ・ベルガモット

攻撃力2400→3400

店員

LP4000→4500

「私はこれでターン終了だ。」

 

 

「では、ターンもらいます。ドロー。手札からドラゴネットを召喚、そして神聖なる球体をデッキから特殊召喚。」

 

面と向かってデュエルしているから何か効果の発動などにチェーンを組む場合は口をはさんでもらうようにしている。だって、いちいち「何か、ありますか?」って聞くのがめんどくさいから。

 

「サイバースか。」

 

「サイバースを知ってるんですか?」

 

「昔はサイバースを使う決闘者をよく見たもんだが今は見なくなったなぁ。」

 

「ハノイの騎士の影響はあるのかもしれない。」

 

「ハノイの騎士って確か、イグニスを追ってた者だっけ。」

 

「そうだよ。イグニスはサイバース族を始め様々なカードを生み出した。彼らはそれを抹殺しようとしている。」

 

「折角イグニスさんたちがカードを作ってるのに抹殺しようとするなんて許せない。」

 

「でも、今の君じゃ勝てないと思うよ。」

イヴちゃんは言い切った。

その後続けてイヴちゃんは言葉を続ける。

デュエル中だけど会話をする僕たちを店員さんは暖かく見守ってくれた。

遡亜(そあ)、君は私をデュエルから遠ざけようとしている。それじゃ、駄目なんだよ。手札にあっても使わない。それじゃあ私がこのデッキを渡した意味がない。貴方は貴方なりに回せばいい。常に全力を尽くすんだよ。」

 

イヴちゃんは僕の考えていることは全部お見通しだった。

 

「なら使わせてもらうよ。これからはずっとずっとね。」

 

「うん、ありがとうね。」

イヴちゃんは笑顔を見せてくれた。

その後顔が赤くなってイヴちゃんはケーキをフォークでさしてそっぽを向いた。

「と、とりあえず今はデュエルに集中してよ。後から話せばいいから。」

 

「うん。僕は神聖なる球体1体でリンク召喚、現れろリンクスパイダー。」

 

「僕はリンクスパイダーのモンスター効果を発動する。現れて、星杯を戴く巫女。現れろ、慈雨が降り注ぐサーキット。召喚条件は属性そして種族が違うモンスター2体。ドラゴネットと星杯を戴く巫女をセット。リンク2、星杯神楽イヴ。」

VRAINSなら彼女が直接フィールドに立っていたけど今は違う。

ただ、テーブル状だから傷はつかないし彼女がテーブルの上にでも立ったりしたら危ないから。

今そう思ったけれど、イヴちゃんは現実に出てくる事はできない。

画面上だから触れることができるVRAINSが好きだ。

 

「私を呼んだ?今忙しいからあとでね。」

 

 

「わかってるよ。僕はカードを2枚セットします。さぁ、行きます。イヴちゃんとリンクスパイダーをセット、現れて星杯戦士ニンギルス。」

 

「リンク3、そして攻撃力2500か。だが既に遅い。ベルガモットの攻撃力は自身の効果で3400となった。」

 

「まだ策はある。でも、その前にイヴちゃんが墓地に送られたので効果発動。手札から星遺物―『星杯』を特殊召喚します。」

 

「僕はカードを3枚セットします。」

僕が伏せたカードは星遺物の加護2枚と星遺物の導きだった。

 

「手札を切らしましたか。」

 

「僕はニンギルスさんのモンスター効果を発動します。加護とベルガモットを墓地に送りたいです。」

 

「チェーンないから大丈夫だ。」

 

「なら行きます。僕はニンギルス兄さんでジャスミンを攻撃。」

 

「だがジャスミンの効果、自分の方が相手よりライフが上の時戦闘破壊されない。」

店員

LP3800

「ターンエンドです。」

 

「私のターン、ドロー。」

 

星杯はEXデッキから特殊召喚されたとき、そのモンスターと自身を墓地に送る効果。

このカードである程度は相手を抑制できたはず。

「私は手札からアロマージ-ジャスミンを通常召喚。」

リンクの妖精さんの羽の生えてない姿が現れる。

「そして、アロマガーデニングの効果でライフを1000回復しジャスミンの効果で1枚ドローできる。リンクの方のジャスミンも植物モンスターを手札に加えられる。私はローンファイア・ブロッサムを手札に加える。」

店員

LP4800

「うげっ、ライフもどった。」

 

「リンクじゃない方のジャスミンの効果、私は通常召喚をもう一度行える。現れろ、アロマージ-カナンガ。」

 

 

「ロンファじゃないのね。」

イヴちゃんが食べ終わり、こちらのフィールドを見ていた。

「ロンファじゃなくてもあのジャスミン活躍するからかな。」

 

「私は手札のアロマセラフィー・アンゼリカの効果発動。自分の墓地のアロマモンスターの攻撃力分ライフを

回復する。」

 

「もうライフが6000。」

 

「そして、アロマセラフィー・アンゼリカは自分フィールドにモンスターがいるときに墓地から特殊召喚が出来る。」

 

「チューナーモンスターだったのね。くるよ、遡亜(そあ)君。」

 

「アロマセラフィー・アンゼリカにカナンガをチューニング。アロマの香りは世界を穏やかにする。シンクロ召喚、現れる。アロマセラフィ-ローズマリー。」

アンゼリカは墓地ではなく除外された。シンクロ召喚を見るのは人生で

2回目だったので心の中では興奮していた。

だけど、デュエル中だから勝つ事を優先させる。

「僕はフィールドの星杯とローズマリーを墓地に送りたいです。」

 

「ふふ、そうきたか。良いだろう。だが、死者蘇生を発動して蘇生だ。」

僕のやってることが全て裏目に出てとても泣きそうな気分になっていた。

 

「どんだけ手札良いんですか。」

 

「これほど、良い手札なのは初めてだ。」

自分の運の悪さを深く実感しようとしたそのときだった。

 

「遡亜、私たちが出会えたのは運が良かったって事でもあるんだよ?」

さっきと言ってること違うよね?

「話は最後まで聞いて。このデュエルが負けたからといってうじうじ悩む必要はない。必要な時に勝って、必要じゃないときは負けたっていい。」

その話はあまり対戦相手=店員さんが不快に感じるかもしれないから。

「場にアロマモンスターがいるのでアロマガーデンの効果、ライフを500回復する。それにより

ローズマリーの効果自分フィールドのアロマモンスターは攻撃力と守備力が500上昇する。」

店員さん

LP6500

ローズマリーの攻撃力がニンギルス兄さんと並んだ。

 

「バトルフェイズです。ローズマリーでニンギルスを攻撃、この時ジャスミンの効果でこちらは破壊されません。

そして、ジャスミンで攻撃。」

遡亜(そあ)

LP1400

 

「これなら星遺物の星杯を残しておけばよかったな。」

 

「それいったら星遺物戦争中だったならばれるからやめたほうがいいよ。」

珍しくイヴちゃんが忠告をした。 

僕はアロマデッキに勝ち目ないとわかり、彼を称賛しデッキに手をおいた。

「ごめんなさい。投了します。僕に勝ち目がないです。」

イヴちゃんは急に驚いた表情をみせた。

「君の本当の切り札を使えばよかったのに。」

 

「別に使ってまで勝ちたくない。あのデッキはもう封印したんだ。もし、本当に戦う必要があるときにのみ出張させるよ。」

僕は言い切った。少し不満げなイヴちゃんがどこか懐かしく悪いことしたなという気持ちも浮かんできた。

 

 

 


 

 

 

 

 

「ねぇ、心を休めてくれたかな?」

 

「ありがとう、おかげで気分がよくなったよ。」

 

「そ、そうだ。VRAINSのアカウント名をライターにしない?」

 

「えっと、なんで?」

 

「だって、私からすればあなたは光だもん。光なる者でライター。」

 

「ふふ、そうだね。素敵な名前をありがとうね。」

イヴちゃんは笑顔を見せた。

 

 

 

 

 

 


 

「彼はライターと名乗ったか、彼らしいな。」

 

「そうだな。」

画面上で光がチカチカと点滅していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




機界騎士よりはハノイ編を優先しようと思います。
感想待ってます。
このカードを使ってほしいなどでもいいですが
星遺物ストーリーに準じるカードでお願いします(笑)


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6話 天の奥義威信なり

今回は文章少なめです。


今、これを君に送ることは決して間違ってはいない。

だが、君は私たちの都合で記憶を忘れ探していると知ったので

これを送る。

 

僕は送られてきた文章を読んでいた。星鎧と同じく匿名だった。

イヴちゃんが言うには今回のは独自のアルゴリズムで送られてきていていたらしい。

 

手紙の内容を読み進める。

 

君本来のデッキをもって私を倒せ。いずれ、俺は君と戦うことになるだろう。

それとこれは既読になってからしばらくして消滅する。

 

「え、何のためにそんな機能がこの手紙に?」

ポンっと小さな音ともに手紙が消滅した。

 

「あの、まだ続きがあったけど読んでなかったんだけど。」

 

「私が全部読んだから大丈夫だよ。」

 

「さっき、僕が手紙を開けたばっかりだよね?」

 

「ここは電脳世界(VRAINS)なんだよ。遡亜君が読む前に私が目を通したからね。」

イヴちゃんはずっとVRAINSにいるだからそれは理解できる。

だけど、何故僕に直接連絡せずにイヴちゃんにくるのだろうか。

 

 

「今は手紙の内容は気にしないことね。大した事書かれてないから。」

 

「そうなんだ。」

 

 

 

 

 

読み終わってしばらくすると声をかけられた。

 

「こんばんは。」

 

「あ、ブルーエンジェルさん。こんばんは。どうしたのこんな時間に?」

イヴちゃんが返事をする。

「色々とあったのよ。VRAINSを守るためにハノイの騎士と戦おうと思ったのにplaymakerが勝手にデュエルをしかけるし。それに身内が彼が持っていた物を探していて取られるなんて。」

 

「ブルーエンジェルさんも大変なんですね。」

イヴちゃんは共感の意を示した。

「だから、デュエルしましょ。このデッキを思いっきり回したいの。」

 

「思いっきりか・・なら遡亜、君の本来のデッキを使うのです。」

昼間のテレビの影響を受けたのか、せりふをまねた。

「言われなくてもそのつもりだよ。」

イヴちゃんは昼間の返し方を期待していたらしいけど、僕は見てないからわからない。

頬を膨らますイヴちゃんと一緒にスピードボードに乗った。

 

 

 

「「スピードデュエル。」」

 

「先行はどうぞ。」

 

「天威龍-ナハタを自身の効果で特殊召喚します。そして、ナハタでリンク召喚。現れろ、天威のの拳僧。」

 

「攻撃力1000で効果もないモンスターで一体何を。」

 

「手札から、魔法カード虚ろなる龍輪を発動。デッキからマニラを墓地に送る。そして、自分フィールドに効果モンスター以外の表側表示モンスターが存在するからデッキから天威龍-アーダラを手札に加えます。そして、天威無法の地を発動。僕はこれでターン終了です。」

とりあえずこれで様子を見る。墓地に送られてたら効果を読んで警戒されるかもしれない。

 

「ならば、私のターン、ドロー。手札からトリックスター・キャンディナを通常召喚。キャンディナの効果で

トリックスター・ライトステージを加える。」

 

「ライトステージの効果、トリックスター・マンジェシカを手札に加えます。」

 

「ドローする度に200ダメージを与える強力なモンスターだね。」

 

「バトル、キャンディナで攻撃。」

 

「墓地のナハタを除外して効果発動。キャンディナの攻撃力を1500下げる。」

 

「チェーンはしない、だけどダメージステップ開始時、手札からトリックスター・キャロベインを墓地に送って効果発動。キャンディナの攻撃力はターン終了時まで、その元々の攻撃力分アップする。返り討ちです。」

ライター

LP2900

 

「だけど僕は手札の天威龍-シュターナの効果手札から除外して拳僧を蘇生してキャンディナを破壊する。」

 

「手札のマンジェシカの効果、キャンディナを戻して手札から特殊召喚する。」

 

「無崩の地の効果、2枚ドロー。」

 

「マンジェシカの効果とライトステージの効果で600ダメージよ。」

ライター

LP2300

 

 

「流石ブルーエンジェルさんですね。VRAINSのアイドルは伊達じゃない。」

イヴちゃんも関心した表情をみせる。

「ふふ、そう言ってもらえて光栄だね。デュエル続行、マンジェシカで拳僧を攻撃。」

 

ライター

LP1700

 

「返しのターンでここまでダメージ受けるとは想定外だった。虚ろなる龍輪で手札に加えるのを間違えたかな。」

 

「私はターン終了よ。」

 

「僕のターン、ドロー。」

 

「ドローしたので200受けてね、そしてライトステージの効果で追加の200ダメージよ。」

 

ライター

LP1300

「うわ、残り3分の1になった。けど手札が悪いどうしよう。」

 

「ならプレゼントあげるわ。伏せカード、プレゼントカードを発動。」

 

「どういう効果なの。」

 

「相手は手札をすべて捨てて新たに5枚ドローする。」

 

「応えて、僕のデッキ。ドロー、ファイブ。」

デッキは自分に答えてくれた。だけどマンジェシカの効果とライトステージの効果で残り100になった。僕にとってもラストターンだろう。

 

ライター

LP100

 

 

「面白い、燃えてきた。僕は手札から天威龍ーヴィシュダを特殊召喚。そして、アーダラを通常召喚。」

 

「一体、何をするというの?」

ブルーエンジェルさんが驚きの表情を見せた。

 

「アーダラにヴィシュダをチューニング。浄める龍の霊気よ、根を支え新たな力となれ。シンクロ召喚、天威の龍鬼神。」

 

「攻撃力3000」

 

「バトルだ、天威の龍鬼神でマンジェシカを攻撃。一念天威に通ず。」

 

ブルーエンジェル

LP2600

 

 

「天威の龍鬼神の効果、このカードの攻撃で効果モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動する。

このカードの攻撃力は破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。天威地久(てんいちきゅう)。」

 

天威の龍鬼神

攻撃力3000→4600

 

「攻撃力4600、でも私のデッキは攻撃力勝てなくてもライフが0にする方法はあるわ。」

 

「私のターン、ドロー。私は手札からライトステージを発動。」

 

「チェーンはないです。」

 

「なら、私の勝ちね。リリーベルを手札に、そして自身の効果で特殊召喚。」

 

「リリーベルでダイレクトアタック。」

 

「うわぁぁああ。」

スピードボードから足を踏み外して、高速に落下し始めた。

 

「よっと、イムドゥーク。彼を頼む。」

イヴちゃんが言うと自分の下に星杯の守護竜が姿を見せた。

 

「ごめんね、大丈夫だった?」

ブルーエンジェルさんがすぐに近づいてきて言った。

「大丈夫です。」

 

「久しぶりにこの天威デッキ使ったので疲れました。」

途切れ途切れ言葉を続けた。

「貴女はVRAINSのアイドルをしているけど本当は寂しいから、でしょ。」

 

「そ、そんな事はないわ。」

 

「そう?勘違いしてごめんなさい。」

 

「こちらこそ、心配ありがとうね。」

ブルーエンジェルは何かを見つけたかのようにログアウトをした。

「どうだった?」

 

「久しぶりの天威デッキだったから頭を良く使った。」

 

「様子見さえしなければすぐにでも勝ててたと思うんだけど。」

 

「それはそれ、だね。」

 

「貴方には私がついてる。私が死んでも来世が貴方を支える。」

 

「死亡フラグ言わないでよ。」

 

「ふふ、そうね。」

イヴちゃんは寂しく言った。イヴちゃんはたった一人の僕の心の拠り所。

僕はそっと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、俺は…」

 

「そうだ、それでいい。我らの未来のためだ。」

 

 

 

何処かで声が反射していたが聞く人は誰一人としていなかった。




星遺物ストーリー優先だと結構速く終わるけどそれはそれで悲しいです。
7話目から動かしていきたいです。


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7話 夢幻の始まり

遅くなってすみません。
少しづつ再開していきます。
おき16
UA4510


聖杯に望みし者は祈りを捧げ、星杯を望みし者はその身を滅ぼす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルーエンジェルさんが倒れたって聞いたのは彼女と勝負してから随分と経過していた。

助けようと思ったが今の僕では力不足だとイヴちゃんは言い続けていた。

「もし本当に助けたいのなら、君本来のデッキを使って私を倒す。」

 

「どうして君とデュエルしなきゃならないのさ。」

 

「君が覚悟を決める為さ。君からは覚悟が見えないの。」

 

「覚悟ならあるよ。君の為なら死んだっていい。」

 

「それは覚悟ではなく単なる自己犠牲だよ。それに私のためではなくブルーエンジェルさんの為でしょ。」

 

「おい、俺とデュエルしろ。」

 

「何事!?」

振り向くといつの間にか青年がいた。逃げようかと思ったが、何処までもついてきそうで怖かった。

「俺の名前は戒途、SOLの用心棒をしている。星杯使いはお前か?」

 

「そうだけど。」

 

「ちっ、スピードデュエルだ。かかってこい。」

僕はイヴちゃんを置いてスピードボードに乗った。

このデュエルはとても危険でイヴちゃんを巻き込みたくなかったから。

 

 

 

 

「「デュエル。」」

 

「全力でかかってこい。」

 

「なんか怪しい、ほどほどね。」

 

「うん。」

 

「僕は星杯に選ばれし者を召喚、1体でリンク召喚。現れて、リンク1星杯竜イムドゥーク。そして、イムドゥークに効果で通常召喚がもう一度行える。星杯の妖精リースを通常召喚。効果で星遺物ー『星杯』を手札に加える。僕はカードを1枚伏せて、2体で星杯戦士アウラムをリンク召喚。ターンエンドです。」

 

「俺のターン、ドロー。俺は破械童子アルハを通常召喚。」

 

鎖に縛られた者が姿を見せる。

 

「更に俺は破械童子ラキアを破壊し、手札から破械童子アルハを特殊召喚。フィールドのこのカードが戦闘または

「破械童子ラキア」以外のカードの効果で破壊された場合に発動できる。

手札・デッキから「破械童子ラキア」以外の「破械」モンスター1体を特殊召喚する。」

 

 

「顕れろ、我が恨みの結晶。破壊神の禍霊。」

 

「なんか物凄く恐ろしいものがでてきたよ。」

 

イヴちゃんの顔は青ざめていた。

 

「顕れろ、我が恨みを受け入れろ。破壊神の禍霊と星杯剣士アウラムでリンク召喚。リンク3破壊神アルバ。」

 

 

「相手モンスターを素材としてリンク召喚、ふざけてる。」

 

「ふざけてるのもそちらもだろ?データバンクに存在しないデッキを使うのは。」

 

「どういう事、星杯デッキはデータバンクにないの?」

 

「ああ、だから苛つく。俺は破壊神アルバと破壊童子アルハでリンク召喚。恨め、刻め、我が怨念よ。

今怒りを解き放ち 我が手に宿れ、リンク召喚。 リンク4 破械雙王神ライゴウ。」

 

「リンク4。」

 

「これが俺の力だ、バトル。ライゴウで貴様にダイレクトアタック。」

 

「くっ、いっきにもって行かれた。」

 

ライター

ライフ1000

 

 

「スキル発動、破械の葬造。このターンに自分のモンスターが破壊されてる時2度目の攻撃が可能となる。そして、ターン終了時に攻撃を行ったモンスターを破壊する。」

 

「このターンで勝負決める気か、そんな事はさせない。伏せカード 星遺物の導き。星杯に選ばれし者、そして星杯竜イムドゥークをライゴウのリンク先に特殊召喚します。」

 

「ちっ、なら選ばれし者を攻撃だ・・・。」

 

「守備表示なのでダメージは受けない。」

 

「ターン終了時、スキルの効果でライゴウを破壊する。そして、ライゴウが破壊された時に手札からこのカードを特殊召喚できる。世界を怨みし封印された術師よ、今封印を解き末世に混沌たる終焉をもたらせ、雙極(そうきょく)破械神(はかいしん)

 

「陰陽師?カッコいい。」

 

「今そんな事言ってる場合なの?」

 

「そうでした。」

イムドゥークで除去しようと思っていたがリンク先から外されていたので破壊はできない。

 

「僕のターン、ドロー。星杯竜イムドゥークをリリースし、星杯の妖精リースを手札に戻す。そして、イムドゥークの効果発動。墓地に送られたので手札の妖精リースを特殊召喚。」

 

「星杯の妖精リースの効果発動、墓地に送られたのでデッキから星杯に誘われし者を手札に加えます。」

 

 

「誘われし者を通常召喚、誘われし者とリースでリンク召喚。現れろ星杯剣士アウラム。」

 

「やはり貴様もサイバース使いか、成敗してくれるわ。」

 

「さっきもこのカード出したんだけど・・。」

 

「きっと彼は鈍感なんだろうね。」

 

「誰が鈍感だ。俺に勝てるやつなんてこの世に存在しない。」

 

「「それはどうかな」って。」

 

「何だと?」

 

「手札から星遺物を継ぐものを発動、蘇って星杯竜イムドゥーク。」

僕はニンギルス兄さんを出そうとしたその時だった。

 

「これで俺の出番は果たした。」

 

振り向くとイヴちゃんはいない、そこにいるのはセキュリティドローンだった。

 

「警告を無視したのでそれなりの報いを受けてもらいます。」

 

セキュリティドローンから放たれた光に僕は拘束された。

 

「イヴちゃんはどこへやった。」

 

「私に答える権利はありません。」

ドローンから言葉が返される。


 

 

 

 

 

気がつくと真っ暗な部屋にいた。

何も音が聞こえない。

此処にくるのは初めてだったから逃げないといけない気がした。

そして誰も此処にはいない。

 

「貴方は誰?私の知ってる人?」

少女の声が聞こえた、イヴちゃんとは違った感じのしゃべり方だった。

僕は沈黙をした。

 

「私の質問に答えて、ください。」

 

「貴方の姿が見えないから知ってるかも言えないんだけど。」

すると徐々に視界は明るくなってきた。

 


 

 

 

 

 

「何度も死んで生き返って、私は今此処にいる。」

自分の運命を受け入れる決意をした。

でも、こればかりはどんな運命だろうと変える事、方法はなかった。

「私を殺して、遡亜。そして、真実を思い出して。」

私は寂しくそう言う。

私は不意に思う、本当は全てを覚えていて悲しい結末をしないでくれてるのかとも思ったりする。

でも、遡亜は何も覚えてないのだろう。

私は寂しく思った。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、始まりの日はいつだったのだろう。」

イヴちゃんは誰かに聞こえるように言葉を続けた。

 




次回 
もう一度君に言いたくて 
です。



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8話 夢幻と無限 の彼方

「私は本当は貴方が憎いの、救いなんて私自身にはいらない。お兄さんとアウラム君さえ生きてくれたら良かった。」

私は涙を流す。

「でもね、貴方と約束したから最後まで私は貴方の側にいる。

だから、今は辛抱してそして私によって殺されて。」

牢屋の中で一人で呟いた。もう後戻りは出来ない。

星遺物を私は起動する。

 


 

 

 

「だから、星遺物は貴方達に使えない。星神すらも真実を知る必要はない。」

 

「何を言ってるの?」

リースが私に向かって不思議な顔を見せる。

「黙っててリース。これは私の物語」

本当は逃げ道を知っているけど、今逃げたら全てが台無しになる。

 

「なぁ、イヴ。お前の持つ星鍵を譲ってくれないか。これがあれば全てが上手くいくのだ。」

 

「断ります。星鍵を持つ者は最後のけじめをつけなければならない。」

 

「最後のけじめとはなんだ。」

 

「星神になる最後の条件。この世界は星杯、星鎧、星盾、星槍、星冠、星杖、星櫃。

そしてこの鍵が重要となる。貴方達は過去に星辰の森(私が住んでた所)を支配していたけれど私達は星杯を隠した。星神になるって事は全てを無にする覚悟が出来ているって事だから。でも本当は星神にはなれない。」

 

「イヴ、何故君はそこまで知っている?」

 

「星杯の神子だったから。私が最初に生まれた、そこから物語が始まったのよ。」

 

「よくわからないが。」

 

「わからないのが当たり前だよ。」

 

私は鍵を取られてから再び牢獄に入れられる。

「さて、私は準備ができた。さぁ、夢幻の崩界を見せようか。」

リースの感情、感覚が私の中に入ってくる。

彼女の想い、全てを感じる事はできる。

 

「ごめんね、イヴちゃん。」

リースが謝ってくる。私は正直言って謝りはいらなかった。

彼女には彼女の償い方がある。

「謝らなくていいわ。でも、最初から私を騙してた事には恨むけど。」

そう言うとリースは笑う。

「それを言うならイヴちゃんだってみんなを騙してるじゃない。」

 

「そうだね。」

 


僕は彼女の姿を見た。何処か懐かしい顔だった。

けれど、何も思い出す事はない。

「ねぇ、遡亜(そあ)。」

 

「何?」

 

「私の為に死んでくれる?」

 

「僕が死んだところで何も変わらないよ。」

彼女は黙る。

僕は嫌な予感がしたのでログアウトをしようとしたが何者かの手によってふさがれる。

 

「さぁ、最後の物語を始めましょう。大丈夫、遡亜(そあ)君は一人じゃないから。

死ぬのはいつだって2人だから。」

二人というのはいったい誰のことだろうか。

「勿論、君が知っている二人だよ。」 

 

 

 

 

 

 

人というか動物は儚いものだ、死に向かって生きている。死に縛られぬ生物なんぞ、この世には存在しない。

イヴちゃんみたいな電脳世界の住人なら不老不死なのかもしれないと考えるがそれは違う。

彼女はその世界がいつまでも存在して無いと生きていけないのだ。

僕は死ぬのが怖い、むしろ苦しまずに死にたい。

「死ぬのが怖いなら私が殺してあげるよ。」

 

「誰かの手を煩わすぐらいなら僕はこの手で僕を殺すよ。だって、大事な記憶を忘れたんだよ。

僕が何故、イヴちゃんに惹かれたのか。」

 

「貴方は何も覚えて無いんだね。だからイヴちゃんは貴方が憎いんだ。」

 

「イヴちゃんが僕を憎いだって、どうしてよ。」

僕は声を荒げた。普段の僕だったら、こんなにも大声でいう事は無い。

今回が初めてだ。

「私は知らない、でもね私たちみんなが関係しているというのは知っている。」

 

 

 

 

「ねぇ、話を終わらせてくれる?私は遡亜と話があるの。」

振り向くと虚ろな目をしたイヴちゃんがそばにいた。

「イヴ・・。」

 

 

 

「私はもうイヴではないわ。私の名前はイヴリース、貴方に制裁をくだす者。」

 

「僕は貴方たちに何をしたのさ。何も覚えてない。」

 

「思い出してよ、そうじゃなかったら私は私の手で貴方を殺さなくてはならないから。」

 

イヴリースと名乗るイヴちゃんはデュエルディスクを構える。

「それともデュエルしながら思い出す?」

 

イヴちゃんが持つデッキはどこか澱んでいた。

まるで悪夢のようだ。

 

「イヴ、星鍵は返す。だから戻ってくれ。」

 

 

「黙れ、黙ってろ。それとも貴方も私とデュエルで決着つける?」

 

「ああ、我は仲間を取り返すためお前とデュエルをする。」

 

今この場には4人集まっていた。だけど研究服を着た女性は首を振った。

「私は本来なら消える立場だから、また最後の場所でね。」

彼女はまるで全てをさとしたかのように消えていった。

 

「二人一緒にかかってきなよ。今の私はもう後戻りはできないからさ。」

 

「どうして、デュエルで決着をつけようとするのさ。君の目的は何、イヴちゃん。君は何故僕にこの時を教えてくれなかったの?」

イヴリースちゃんは首を傾げる。

 

「どうして君に全てを話す必要があるの。貴方は貴方だけの物語を気づく必要がある。私のこの覚悟は貴方とはまた違った覚悟なの。いい遡亜、貴方は全てを受け入れる必要があるの。」

彼女はデュエルディスクを構えたので僕も仕方なしに構えた。

「「「デュエル。」」」

あの時君が流した涙は僕の身体を通して蝕んでいった。

もしこの時に戻れるのなら僕は彼女を抱きしめて自らの命を投げ出していただろう。

 

 

 

 

 

 




次回予告

夢幻の崩界


ついに訪れる別れの刻、イヴちゃんの覚悟
そしてその真意とは。


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9話 星遺物の導く果て

あけましておめでとうございます。
作者は生きるの辛くなってました。


「我のターン、我はトーチ・ゴーレムを特殊召喚し我の場にトーチトークンを特殊召喚。そして、カードを1枚トーチ・ゴーレムと同じ列にセット。これで我は特殊召喚が可能となった。現れろ、紺碧の機界騎士。紺碧とトーチトークン1体でリンク召喚、現れろ明星の機界騎士。」

 

本当はね、明星って破滅をもたらしたのよ。彼らは何も知らず行動してるけどね。

脳裏にリースの声が再生される。

 

「そして、明星の機界騎士のモンスター効果発動、手札から星遺物ー『星盾』を捨ててデッキから星遺物の機憶を手札に加える。そして、そのまま発動。」

星遺物の機憶のカードイラストには何処かで見た事のある研究者がいた。

その研究者はリースと同じ髪飾りをしている。

 

「我は我自身(蒼穹の機界騎士)を特殊召喚する。」

 

イヴリースちゃんは黙っていた。何処か淋しげで今すぐにでも抱きしめたかった。

でもそれは今は出来ない。

 

我自身(蒼穹の機界騎士)の効果、デッキから機界騎士(ジャックナイツ)モンスターを手札に加える。我は紫宵の機界騎士(ジャックナイツ)を手札に加えてカードを1枚伏せターン終了だ。」

 

「私の場にモンスターを残した事、後悔するといいわ。」

イヴリースちゃんはデッキに手を当てる。

 

 

 

私自身(イヴリース )のターン、ドロー。私は私自身(夢幻崩界イヴリース )を通常召喚。そして、現れなさい。夢を幻へと落とすサーキット。私自身(夢幻崩界イヴリース )をリンクマーカーにセット、現れなさいトロイメア・マーメイド。」

機界騎士の彼らが所持していたコアを持つ人魚がフィールドに降り立つ。

「どうせ、彼らは自らの運命に従うしかないの。私が何を言っても彼らと貴方(機界騎士)は聞く耳すら持たない。」

僕は無言でイヴちゃんの言葉を聴き続けた。イヴちゃんの台詞は何処か違和感があって、無いと言えばそれはそうだった。

私自身(夢幻崩界イヴリース )の効果、私自身(夢幻崩界イヴリース )を星痕の機界騎士の真ん中のリンク先に特殊召喚。」

 

「そう、星痕の機界騎士はリンク先にモンスターがいなければダイレクトアタックできる。だけど、私自身(夢幻崩界イヴリース )がいる限りダイレクトアタックは出来はしない。」

 

「そして、トロイメア・マーメイドの効果は手札を1枚捨ててトロイメアと名のつくモンスターをデッキから呼び出す効果。私は星杯を戴く巫女を捨て、オルフェゴール・トロイメアを呼び出す。」

 

「再び2体、来るのか。」

 

「私は無駄な事なんてしない。トロイメア・マーメイド、オルフェゴール・トロイメア、トーチ・ゴーレムでリンク召喚。今私の前の敵に絶望を齎せ。リンク召喚、リンク3トロイメア・ユニコーン。」

 

「イヴちゃんがこんなカード使うはずはない、間違ってる。」

 

遡亜(そあ)、貴方は悪くない。全部君の為なんだよ。私自身(夢幻崩界イヴリース )とユニコーンの効果、まずは私を星痕の機界騎士(ジャックナイツ)のリンク先に呼び出す。そして、ユニコーンの効果は手札を1枚捨て星痕をエクストラデッキに戻す。私は星杯の妖精リースを捨てる。」

星杯を戴く巫女(イヴちゃん)と星杯の妖精リースが堕ちたからイヴリースなのか。

何処か聞いた響きだった。

 

 

僕の為、なのか。

何も思い出せない。

「私はカードを1枚伏せてターンエンド。あ、言い忘れてたけど遡亜(そあ)、君はニンギルスを使えないよ。」

 

「え、どういう事だよ。」

 

「後にわかるわ。」

 

「僕のターン、ドロー。星杯に選ばれし者を召喚、そしてリンク召喚星杯竜イムドゥーク。」

 

「星杯竜イムドゥークの効果をそこで使うんでしょ。」

 

「うん。」

 

「僕は星杯の守護竜を通常召喚、現れてイヴちゃんを救う為の未来回路。リンク召喚、リンク2星杯剣士アウラム。」

 

「アウラム、俺らの事は責めてもいい、だがな仕方なかったんだ。」

星痕の濁った声がこの場所を支配する。

 

「黙れ、私は最初から言ってた。」

僕は静かにターンエンドの仕草をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「星痕、やっぱり貴方はこのデュエルに邪魔なんだよ。私自身(夢幻崩界イヴリース )遡亜(そあ)の邪魔をしないで。」

後にわかった事だけど、彼女は自分の気持ちを殺して演技をしていたらしい。

 

 

「我らの宿願叶えさせてもらうか。」

 

「黙れ、バトル。トロイメア・ユニコーンで星痕の機界騎士に攻撃。」

 

「攻撃力2200で攻撃力3000を攻撃?何か、ありそうだ。」

僕はイヴリースちゃんの手札にある1枚のカードが光った気がした。

 

「何も無いなら手札から星遺物ー『星槍』を墓地に送り効果発動。」

 

イヴちゃんが僕の知らない星遺物を持っていた。隠し持っていたのか、それとも

僕と離れ離れになった時に手に入れたのかわからない。

ただ、僕は本当は全ての星遺物を全て知っているんじゃないかなという

気がした。

どこか彼女らを見ていると懐かしくて、とても切なくなる。

 

「貴方の存在価値(攻撃力)無し(0)にする。」

 

「何だと。」

蒼穹andライター

LP1800

「私の星遺物はリンクモンスターが戦闘をする時、相手側の攻撃力を3000下げる効果。」

イヴリースちゃんは笑いながら言った。

 

「貴方の事を憎んでるって言ったのは本当よ、でもね貴方は悪くない。」

 

「イヴリースちゃん、君は僕が悪くないのに何故僕を憎んでるのさ。」

 

「自分で考えてよ、ライター。貴方は何故、私たちと出会った。貴方だけに何故、私は干渉した。」

 

「え?」

 

「さぁ、君の番だよ。」

 

 

「僕のターン、ドロー。僕は蒼穹さんが伏せた、僕は星杯剣士アウラムでトロイメア・ユニコーンを攻撃。」

 

「私は…は何も使わないわ。」

 

イヴリース

LP3900

「かすり傷ね、もっと本気を出してよ。貴方はすべての悪夢を思い出す必要がある。」

 

 

「私のターン、ドロー。私は夢幻の崩壊を望む者。私自身(夢幻崩界イヴリース )を通常召喚。」

 

「また、同じカードか変わらないな。」

イヴリースちゃんが歪んだ顔を表した。

私自身(夢幻崩界イヴリース )の効果、発動。私がリンク状態になるように墓地からリンクモンスターを特殊召喚する。現れなさい、トロイメア・ユニコーン。」

 

「攻撃力2300のアウラムがいるのに何故だ?」

蒼穹さんは無い首を傾げる、ちゃっかりフラグ立てる蒼穹さん。

 

「現れなさい、全てを欺くサーキット。私自身(夢幻崩界イヴリース )とトロイメア・ユニコーンでリンク召喚。アラ・ブレーヴェ、傲慢を司れ。トロイメア・グリフォン。」

 

「リンク4、僕のデッキには入ってない。」

 

「ふふ、貴方はこれで自分の力不足を感じたでしょ。」

 

「バトルよ、トロイメア・グリフォンでアウラムを攻撃。」

蒼穹andライター

LP1600

「もういいよ、蒼穹。貴方は私の前から姿を消して。」

彼女がそういうと蒼穹の体が薄れていく。

「一体何をする気なの?」

 

「やっぱり君とは1対1で決着をつけたいの。墓地だけは残してあるから、せいぜいあがくのね。」

君にそんな力があったのかと言いたいけどこれは多分、リースの力なのだろう。

 

「僕のターン、ドロー。僕はイヴちゃんがいないと何もできないのか、違う。僕はイヴちゃんを守るために力を手にするって決めたんだ。イヴちゃんのためなら死んだっていい。僕はカードを1枚伏せてターンエンド。」

 

「所詮無駄だよ、私のターン。ドロー、サイバース・ガシェットを召喚。そして私自身(夢幻崩界イヴリース )

を蘇生する。ガシェットと私自身(夢幻崩界イヴリース )でリンク召喚。トロイメア・フェニックス。」

 

「僕は君に負けるわけにはいかない、伏せカードオープン。激流葬。」

 

「な、なんだって。」

 

「やっと驚いてくれたね。これは蒼穹さんが伏せたカードさ。」

 

「そっか、そうだったね。私はこれでターンエンドよ。」

 

「僕のターン、ドロー。僕は星盾の効果を発動する。ライフを1000払い自身を特殊召喚する。」

 

「そして、私はトロイメア・グリフォンを特殊召喚する。」

 

「僕は記憶喪失だ、でも繋がりを信じる。だから星杯の守護竜を召喚、現れろ繋がりを確認するサーキット。召喚条件は効果モンスター2体。星盾と守護竜でリンク召喚。現れろ、リンク2ブルートエンフォーサー。」

これが確かな探し人と繋がってる力、かつて僕が持っていた力だ。

 

「もういいよ、遡亜(そあ)。大丈夫だよ、また逢えるから。」

イヴちゃんの声が普通の声に戻る。

「わかってる。最初のターンに墓地に送られた星杯の守護竜のモンスター効果を発動する。甦れ、星杯剣士アウラム。そして、アウラムは墓地の星遺物の数×300アップする。よって攻撃力2300。」

 

「攻撃力2500には届かない。」

 

「僕はブルートエンフォーサーの効果、トロイメア・グリフォンを対象にとり効果発動。」

 

「知ってる、だから言わなくていい。」

 

「バトルだ、2体でダイレクトアタック。」

イヴリース

LP0

 

「ごめんね、遡亜(そあ)しばらくの別れだよ。」

イヴちゃんは自分の腹にアウラムが持っていた剣を突き刺した。

「何をしているの。君が死ぬんじゃデュエルした意味ないじゃない。」

 

「ふふ、大丈夫だよ。また逢える、君が私を忘れない限りね。私はずっと貴方を半分憎んで本気で愛してる。だから、こそだよ。ねぇ、今度こそ一緒に死のうよ。私は死ぬのは怖くない、だって貴方がいるから。」

何処からか目線を感じて振り向くとニンギルスが立っていた。

「お前がイヴを殺したのか?」

 

「僕は殺してない。」

 

「兄さん、遡亜(そあ)が。」

彼女の言葉はそこで途切れた。

 

「俺は遡亜(そあ)とアウラム、お前達が許せない。イヴの遺体は俺が管理する。」

 

ニンギルスはイヴちゃんの遺体を担ぐと何処かへ消えてしまった。

「ねぇ、どうすれば良かったの。」

問いかけてもそこには既に僕しか存在してなかった。そして先程使ってたデッキは光となって消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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君がいた世界
10話 終わりの始原


医師の顔見ようとしたが医師の顔は砂嵐で覆われていた。

世間では僕の表現は間違ってるらしい。灰色と言った方がいいかもしれない。

表情が読み取れない、どんな顔をしているのだろうか。

「どうしたのかね?私の顔に何かついてるかね?」

 

「いえ、何でもないです。」

僕は自らの身体がとても痩せている事に気がつく。一体、何日間眠っていたのだろうか。

「君は自殺しようとした。だが、何かの拍子で電脳世界に行ってしまったらしい。君はそこで何を見たんだ?」

何も思い出せない。僕はイヴちゃんを救う為にログインをしてイヴちゃんを守りきれなかった事だけは覚えてる。

 

「治療費の事は気にしないでいい、SOLテクノロジーが無償で提供してくれた。」

SOLテクノロジー社。たしかVRAINSを運営している会社だった。

 

「一体貴方達は僕に何を聞きたいの?それとも僕を脅しているの?」

 

「脅してなんかいないさ、ただ医者として気になっただけだ。」

 

「何も答えたくない。」

 

「そうか、なら。」

僕はその続きの言葉を聞いて眼の色が変わった。

「貴方は僕の心の苦しみを理解しようとしてくれないんだね。」

僕は布団を医者の顔に投げた。

『ねぇ、イヴちゃん。もう身体を捨てていいよね。貴方がいない世界なんて無色(むいみ)でつまらないから。』

 

『誰かに殺されるよりは自分で投げた方がまだいい。』

 

僕は扉を開けると出口の方向を探す。

『SOLテクノロジー社は僕を消そうとしている。理由はわからない、けどイヴちゃんと関係があるのは確かだ。』

この病院は何処かで見覚えがあったから記憶を頼りに走った。

僕と先程の医者以外の人間は誰もいない。

 

‘‘私は貴方が憎いの、でもそれ以上に感謝している。’’

僕はイヴちゃんに何をしてあげられたのだろうか、いや何もしてあげられてない。

考え事をしながら出口を探しながら走った。

 

『吐気と眩暈が同時にする。一体、何日間僕はあの場所にいたの?』

答える者がいない寂しさと自分の生命に対する執着への憎悪が広がっていく。

 

‘‘死なないでよ、貴方は私が殺すから’’

 

『ねぇ、イヴちゃん。次に君に出会える時はいつなの。』

僕はそう言った瞬間、何かにつまづいてこけてしまった。

何故か痛くなかった。

僕は出口を見つけ外に出る。外は真っ暗でところどころ電柱が光っている。

自分の家は走って10分ぐらいのところだと把握するが今僕が見ている景色は

本当に真実なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「やっと逢えたね、遡亜(そあ)。」

イヴちゃんの声は聞こえるが何処にもいない。

遡亜(そあ)、君は何も知らなくていいから家に帰ろう。」

 

『イヴちゃん、君は何処にいるの?』

 

「私はずっと君の側にいるよ。遡亜(そあ)、私と一緒に星遺物を集めてくれない?」

 

『何を言っているのかわからない。だってかつて君はそう言った。でも死んでしまった。』

 

「どういう事かわかんない。」

今聞こえてくるイヴちゃんの声は真実なんだろうか。

真実とは一体何だろう。

今見てる景色は確かに現実のようで、今聞こえてくるイヴちゃんの声はまさに本物だ。

でもどこかがおかしかった。

でもどこかが変化してなかった。

 

「大丈夫だよ、君は私が守るから。ねぇ、星神。答えてよ、どうしてみんなを殺したの?

ねぇ、どうして私を・・。君に言っても仕方ないよね。だって運命(さだめ)だったんだから。」

ねぇ、どうして

 答えてよ、星神

  答えないなら

   思い出させて

    あげる

イヴちゃんの声が何度も何度もまとわりつく。

彼女が好きなのに 彼女を愛しているのに どうしてかどうしても脳がかき回されているような

錯覚に陥って怖いし辛い。

僕は見えないイヴちゃんに向けて声おかける。

「星神って誰?」

 

「え、誰って。」

 

彼女の声が響く。

 

「そっか、あはは。君は今日から私の仲間だね。貴方が()()()ことがない人だよ。」

イヴちゃんが嘘をついてない事はわかった。声色でそれは察する事はできる。

イヴちゃんは僕の理想の姿をしていて見ただけで好きになった。

それとどこか近親感があった。

 

 

「僕は君と一緒に星遺物を集めながら星神を探してほしいって事であってる?」

 

「そうだね。でも君は記憶を忘れてるみたいだからそんな急がなくていいよ。」

 

「どうして?」

 

「君しか星遺物を知らないからね。」

かつてイヴちゃんが僕と会話した内容が脳裏に蘇ってくる。

今僕が見てる景色は現実(リアル)なんだろうか。

いや、そんなはずはない。今まで見てたのが夢でこれが現実だとしたらありえるのだろうけど。

 

僕はもう一度繰り返さなければならない。

最初で最後の人生を。

 

 


 

「星遺物はね。7種類あるんだよ、全部教えようか?」

イヴちゃんが復習をするようなテンションで言った。

「いや、いいよ。どうせ、知ってたところで何も変わらないしね。」

 

「そういうところが消極的な考え、辞めた方がいいよ。私はね、貴方に感謝してるの。

今の君は忘れてるけどね。」

 

「何に感謝してるのさ。」

 

「ふふ、今は言わないでおく。どうせ、星遺物を全て知って。君と星遺物の本当の関係を理解してくれたらわかると思うよ。」

 

イヴちゃんがいてくれたから僕は生きることができた、そう思っていた。

誰も真実を知る必要はなかった。

 

「君は真実を知ってるんだね。」

 

「そう、私は真実を知ってる。貴方の探してる人は君にとって本当に素敵な人なのかな?」

 

「覚えてない。」

 

「そう、それでいい。」

イヴちゃんはそういうと一つの方向を指し示した。

 

 




次回予告

指し示した先は家電量販店だった。
記憶そして星遺物を探すのに必要な物を手に取った。
だがしかし、強制起動によりデュエルを挑まれてしまう。
サブタイトル 星神ヲ待ツ器


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11話 星神ヲ待ツ器

1話の話に矛盾があったので変更しました。
どこが変わったかわかりますかね・・。


イヴちゃんが指し示した先にあったのはどこにでもある家電量販店だった。

「私たちが今必要としているのはデュエルディスクとIC端末だよ。」

家に無かったっけ。

「家にあったはずなんだけど・・。覚えてない?」

 

「まだ一度も貴方の家に行ったことがないんだけど私は。」

 

どういうことだろう?僕が知っているイヴちゃんとは違うの?

 

「今君が私をどう思ってるか知らないけど。私は君を導いてるだけだから。」

 

「上から目線だね。」

 

「悪い?全部全部」

君の所為なんだよ。どうしてどうして全てをやり直したの?

私の中で疑問が次々と浮かんでくる。でもそれを聞く必要はない。

 

「どうしたの?」

 

「何でもない。」

イヴちゃんと会話しながら歩き続けて10分程歩いて店に入った。

 

「そうだ、私のデッキを君に託すよ。君にとって最初の物である必要があるからね。っとその前にこの店でデュエルディスクとIC端末探そ?今君には手段(デュエル)があっても方法(ログイン)はできないからね。」

相変わらずイヴちゃんの声は聞こえ続けたがどこにいるかもわからない。

「私は此処だよ。何で気がつかなかったの?」

 

いつのまにか僕は幻聴が聞こえるようになった。

店の中は広く場所はわからなかったけれど。耳でイヴちゃんが場所をささやいてくれたおかげで場所はすぐに理解できる。僕は安い旧デュエルディスクと最先端のIC端末を籠にいれた。

IC端末は最新のじゃないとイヴちゃんと話すのにノイズが入ると思ったからだ。

というかこの世界は僕がかつて体験した世界だ。

だから今僕が聞こえてるイヴちゃんの声はかつて聴いたもの。

でもいつこの夢が終わるかわからないから今この夢の真実を知ろう。

僕は歩こうとすると何かにつまづいてこけてしまった。

僕は立ち上がろうとした時何かに触れてしまった。その瞬間耳にバチリッという音が聞こえてくる。

 

「マッテイタ、コノ時ヲ。地カラ目覚メシ我自身(大いなる闇)ヲ振リ払エ。」

今まで家電量販店にいたけど別の場所に移動したみたいだ。そしてつい傍にいた者に話しかける。

「自分自身で振り払えって言ってる君は自殺願望者なの?」

 

「ソウデハナイ、我ハ我ウミシ星神ヲサガシテルノダ。」

 

「星神ってどんな人?」

 

「万物ヲ創星シタ者ダ。彼ハ我ノシラヌ世界の住人ダ、我ノ事ヲ彼ハ懐カシクオモッテクレタ。」

 

「へぇ。」

夢だから冷静なのかそれとも以前から冷静だったんだろうか。

「彼ハアルヒ世界ヲオイダサレタ、仲間ハ彼ヲマモッタ。彼ハ何モシラヌ。彼ハ本当ノ真実ノ世界ヘト戻ッタ。」

 

会話してくれる事はとても真実に近づけるそう思う。

自分の冷静さに疑問を覚える。

「サァカマエロ、デュエルノ刻ダ」

突然続きは話したくないかというように声を変えた。

彼を倒して続きを聞かないと全てが始まらない。

 

 

遡亜(そあ) VS 星神器

 

「「デュエル。」」

 

あの物?も星遺物と関係してるんだっけ。

「吾ハ手札カラ巨大戦艦 ブラスターキャノン・コアヲ特殊召喚。」

 

「いきなりレベル9か。そして勝手に先行取らないで。」

 

「驚クノハマダハヤイ。手札カラブラスターキャノン・コアを対象に星遺物の胎導ヲ発動。デッキから現レロ、吾ガ眷属達。

星遺物の守護竜メロダーク、真竜皇アグニマズドV。」

 

「来るよ、遡亜(そあ)君。」

 

「吾ハ3体ノレベル5以上ノモンスターデリンク召喚。星神ヲ待ツ器、今世界ヲアーキテクトセヨ。リンク3、吾自身。星神器デミウルギア。」

 

デミウルギアが出てくる時に演出なのか地面が歪んだ

 

「吾ハカードヲ1枚セット、サァオマエラノターンダ。」

イヴちゃんは売り物のデュエルディスクを勝手に僕の腕につける。

この時のイヴちゃんは幻覚でつけてたのは自分の意志だ。

「このデッキさえあれば君も思い出すでしょ、本当の真実を。

 

「僕のターン、ドロー。僕は星杯に選ばれし者を召喚、そしてリンク召喚。現れろリンク1星杯竜イムドゥーク。」

 

「イムドゥークカ、ムダムダダ。吾ノ前ハ抵抗サエ無力トスル。」

 

「それはどうかな、僕はイムドゥークの効果で召喚権を増やし星杯の守護竜を召喚。」

僕の意志に反して手が動いていく。

「リンク召喚、現れろリンク2星杯に選ばれし者。」

 

「吾ヲ舐メテルノカ。」

 

「まだです。星杯の守護竜の効果、選ばれし者をアウラムのリンク先に特殊召喚。」

本当は手札に星遺物を継ぐものがあるが今は使わないでおく。

 

「そして、アウラムの効果選ばれし者をリリース。現れて星杯竜イムドゥーク。」

 

「現れろ、創星を継ぐサーキット。召喚条件はリンクモンスター2体以上。アウラムとイムドゥークでリンク召喚。リンク3、星杯戦士ニンギルス。」

この世界はかつて体験した、

けれど何かを忘れていたからこの世界に再び戻ってきた気もする。

 

「ニンギルスガ場ニ出タトキ、我ハ力ヲワケル事ガ可能。イデヨ、星遺物ー『星冠』。」

 

「ニンギルスの効果、自身とお前を対象にして自分及び相手フィールドのカードを1枚ずつ選んで墓地へ送る。」

星冠で本来は防ぐ事ができるがデミウルギアは効果を受けないから発動する必要はないと後で知った。この時効果知ってれば何も発動しずに星冠を攻撃しただろうね。

 

「キサマモ吾ノ力ノ1部ヲ継承シテタラワカルダロ?ワレハ全テノ星遺物ヲ司ルカミ。星杯ダケデハワレハトマラヌ。ソノ程度ノ効果は効カヌサ。ヨッテニンギルスダケ死ンデモラオウ。リモートデス・トップ」

 

 

「だけど、これで発動条件は満たした。手札から魔法カード 貪欲な壺発動する。」

 

貴方を殺す為にデミウルギアを呼んだのに。

私は自分は遡亜を本当に殺したいのかはわからない。でも今の彼は私たちの事を覚えてない。

「丁度墓地に5枚あるので戻して2枚ドローする。僕はカードを1枚セットしてターンエンドです。」

 

「吾ハ吾ジシンデコウゲキ。heurlogical‣efecrrt。」

星神器は静寂を打ち消すように言葉を放つ。ドローしたんだろうけどその言葉は不要だろう。

「く、だけど僕はまだ負ける気はない。攻撃を受けた後、罠カード発動。星遺物の導き発動。星杯を除外する。

現れて、星杯戦士ニンギルス、星杯剣士アウラム。」

 

遡亜

LP500

「今、何故オマエハライフデウケタ。吾ノ攻撃ヲ防グ事ガカノウダッタダロウ?」

 

「それはね、貴方の本当の真実を知りたかった、受け止めたかった。僕はイヴちゃんと出会って初めて一人じゃないって知ったんだ。」

 

「ソウカ、ナラ我モウケイレヨウ。星冠ハ攻撃表示ノママダ。」

 

「僕のターン、ドロー。僕は星遺物を巡る戦いを発動、アウラム君を除外してデミウルギアの攻撃力を下げる。」

 

「ねぇ、遡亜。」

イヴちゃんが口を開く。

「どうしたの、イヴちゃん。」

 

「貴方はどこまで覚えてるの?」

 

 


 

数秒僕は黙り込んだ。

何も覚えてはいない。

 

でも 彼女はどこまで覚えてる かと聞いた。

どうして?

僕とイヴちゃんは何も関係ないはずなのに。

いや関係あるのか?

 

 

「さっ、デュエルを終わらせて家に案内して。どうせ私の姿を見なきゃ思い出せすらしないんだから。」

 

 

 




イヴちゃんが禁止になってつらい作者です。
この物語は禁止カードも使います。
また書けたら投稿しますね。
20 2036




感想またお待ちしております。
次回の予告
 SCAINS


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12話 対神関係

正直に言います自殺を肯定する描写が少しあります。
ので生きるのがしんどい人はキャッシュプラウザバックをよろしくお願いします。気軽にこのデッキ出して欲しいなど感想お待ちしております。
星遺物世界のデッキは後に全部使います。
SCAINSは別の日に投稿します
それではどうぞー
お気に入り22UA7560ありがとうございます


私には両親がいない。物心ついた時からだ。自ら兄を名乗るニンギルス、自ら幼馴染を名乗るアウラムと一緒に生活してきた。不信感というか違和感を感じながら生活をしていたある日私は後に星遺物と呼ばれる物を発見する。

星遺物を読んでいたのは星杯に魂を自ら封印していたリースだ。

彼女曰く私を含めた3人と守護竜(イムドゥーク)には星の勇者になる資格があるらしい。

私はそんな事信じてなかったけどニンギルス兄さんとアウラム君が星辰の森を守る為に力が欲しいと思ったので

しぶしぶ力を手に入れた。後々考えてどちらが正しいかは私にはわからない。

 


目の前には相変わらずデュエルをしている人間と器怪がいる。私からしたらどっちが勝っても結果は変わらない。

彼が本当に私が探してた人間(そあ)なのかを確かめるだけ。

 

「どうして星冠の攻撃力を下げなかったの?」

私は聞く。

「下げてもデミウルギアを先に破壊してないとニンギルスが破壊される。そして負ける。」

彼は平然と答えた。わかっていた、彼には倒せない相手なんていないって。

倒せる相手がいるとすれば彼らだけだろう。彼らは元から合理的な考えしか持たない。

 

「背に腹は代えられない、強欲で貪欲な壺を発動する。デッキを10枚除外、そして2枚ドローする。」

 

「バトルだ、ニンギルスでデミウルギアを攻撃。」

星神器

LP3000

「僕はこれでターンエンド、ターンエンド時にアウラム君は戻ってくる。」

 

「我ノターン、ドロー。我ハ機界騎士アヴラムを召喚。」

 

「何故貴方が機界騎士のカードを持っているの?そして、君は一体?」

僕のフィールドに存在する星杯剣士アウラムが機界騎士の姿をした姿で現れる。

僕がアヴラムに声をかけるが何も言わない。

 

「あれは今私たちが使ってるアウラム君の未来の姿。」

 

「未来か。」

これは自分の鏡、そっか。自分の未練などを打ち破るための試練。

 

器械は揺れる。

「我ガ持ッテルノガナニガオカシイ? 我はアヴラムと星冠でリンク召喚。大いなる闇崩界する世界をテラセ明星の機械騎士。」

 

「うん。」

この世界は何処かがおかしい。過去なのに未来がいて、未来なのに今は過去だ。

 

「吾ハ明星ノ公開。手札ノ星遺物の傀儡を墓地に送り、星遺物を継ぐ者ヲ手札ニ加エル。」

 

「まさか。」

 

「吾ハ星遺物を継ぐ者ヲハツドウ。甦れ、機界騎士アヴラム。」

僕は彼の正体を知らない、でも最終点なのだけはわかった。

終わりを告げる存在だから全力で彼は僕を倒しに来る。

僕がかつて体験した事、そして真実に立ち向かう覚悟を自ら確かめる必要がある。

 

「かつて世界を破滅させた明星よ、真実を背ける者と合わさりて森を守る守護神となれ。リンク召喚、リンク3星痕の機界騎士。」

突然出てきたかつての旧友(タッグ相手)。イヴちゃんを取り戻す事がかなわなかった。

 

「バトルだ、星痕の機界騎士で攻撃。」

 

「この瞬間伏せてあった攻撃の無力化でイメージは通らないよ。」

 

「ターンエンドダ。ツマラナイ、次ノターンデ吾ニトドメヲデキナイナラ身体ヲキリハナシテモラオウカ。」

 

「物騒な事は言わないでください。」

僕は慌てた。これは夢だと安心しきっていた。夢でこのデュエルに負けたら現実の僕も死ぬのだろうか?

馬鹿馬鹿しい。

 

 

 

 

 

 

これは確かに夢。夢だから可能な事もある。

前を向いて今全てを、世界に赤き光を照らそう。

「僕のターン、ドロー。僕は夢幻崩界(デストロイメア)イヴリースを通常召喚。」

 

 

 

「ナ、ナンダ。」

 

「顕れろ、夢うつつの現実のサーキット。召喚条件はトロイメアモンスター1体。僕は夢幻崩界(デストロイメア)イヴリースをリンクマーカーにセット。顕れろ、リンク1トロイメア・マーメイド。」

僕が実感した世界はこんな事はしてはいない。

でもこれは夢だからできた。イヴちゃんが死ななずにできた未来。全てを受け入れたら良かったのに。僕はイヴちゃんにバレないように涙を流す。

夢幻崩界(デストロイメア)イヴリースの効果、星痕の真下のリンク先に特殊召喚する。」

 

「さらに現れて、夢に現れるセンツァ。召喚条件はカード名が異なるモンスター2体以上。トロイメア・マーメイドと星杯剣士アウラムをリンクマーカーにセット。出でよ、トロイメア・ユニコーン。」

 

 

「ユニコーンの効果、手札を1枚切り相手フィールドのモンスターをデッキに戻す。」

 

「さよなら、星を守る者。」

僕は静かに星痕を選択した。僕はこの夢を見る前に知った。完璧な存在なんて存在しないということ。

星痕や星神器は確かに一部においては完ぺきだった。

 

「バトルだ、トロイメア・ユニコーンでイヴリースを攻撃。」

僕は自ら自分勝手だと思う。自らの手でイヴリースちゃんを送り付けたのに。

自らの手で殺すから。

僕なんか死んでしまえばいいのに。僕なんか生きても仕方ないのに。

僕は何故生きてるの。イヴちゃんがいないなら生きても意味がない。

 

「あのさ、そこまで考えてるなら死ねばいいじゃない。ただ、死んでも何も残らないんだよ?

人は命1つしかない、そして誰かが悲しむって事も考えてよ。」

私は貴方を殺したいけどそれ以上に感謝をしているから。

 

 

 

かつて君はそう言ってくれたね。嬉しかった。

「そうだね。」

僕のせいで君は死んでしまった。

 

脳裏に水色の翼をしたイヴちゃんが浮かぶがどこにもいない。

また会えるよって言ってくれた君はどこにいるの?

逢いたい。

 


 

 

何か電気が切れる音がした。気が付くと星神器はいなくなっており元の家電量販店に戻っていた。

何も聞こえはしない、店の音楽も人の会話も。

僕の足音すらも存在しない。

 

 

 

汝に問う。何の為、力を欲す。代償は其方の記憶か、それとも彼の者の命か。

二つとして1つ。1つとして2つ。

 

僕はその言葉を無視して歩き始めた。

 

 

 

 

 




ごめんなさい(>人<;)

SCAINSのデータが消えてしまったので色々と予定変更してます。
この世界で僕は何を知る必要があるのだろうか。



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13話 壊れていく運命

遅くなってすみません・



無事に家に帰るが誰もいない。

「ねぇ、遡亜(そあ)。SCAINSで待ってる。」

イヴちゃんの声が聞こえる。

「少しぐらい休憩させてよ。疲れてるから。」

 

「しょうがないなぁ。少しだけだよ。」

僕は記憶を頼りに自分の部屋の扉を開けた。

そこには何もなく、ミニマリストが住んでたような部屋だった。

僕はずっと一人で暮らしてたのだろうか?

病院に入院する前は誰かがいたはず。

僕は家の鍵を閉める。

「log writtig。」

僕はSCAINSへログインした。

「待ってたよ、遡亜。私の最高の親友。」

そっか、この時はまだ僕はイヴちゃんに告白してなかったね。

「そういえばどうしたの、このSCAINSに呼び出して。」

 

「それはね。」

急に光が僕を包み込むと何処かへワープした。

 

 

 

「今から諸君らにはこの指輪(シーケンスリング)を手に入れてもらう。」

 

あの指輪は確か5年ほど前にイヴちゃんにあげた指輪。

イヴちゃんの左の小指を見るとはめてなかったから。

今から僕がとってイヴちゃんにあげるのだろう。

 

「今から1日の間に。」

僕は何もこの世界を覚えてはいない。本能のままに探せばいいのだろう。

指輪の位置はイヴちゃんがわかるはず。

「私は兄と幼馴染と一緒に暮らしてた。でもね、星遺物とであって最終的に私だけが生き残った。兄と幼馴染は意見の食い違いにより決別した。ねぇ、遡亜。私は貴方も兄も幼馴染もみんな大好きなの。

また、みんなで一緒に笑っていたいの。だから私と行動して、そして本当の真実を思い出して。」

私は普通の少女でありたかった。でもリースの野望や守護竜(イムドゥーク)の真実を知った今は後戻りできない。例えこの身を失おうとも。

 

「大丈夫、貴方(きみ)は私の大切な人。他の人には決して死なせない。

そして始めようか。二人だけの物語を」

イヴちゃんは配布されたマップを見ると指をさした。

「南南西に行こうか。世界を驚かすためにね。」

 

「砂糖とチョコの苦さだっけ?」

 

「うん。」

 

僕とイヴちゃんは南南西へと歩き出した。

「そういえば、イヴちゃんは僕と出会う前は何をしてたの?」

 

「それはね、色んな電脳世界を渡り歩いていたよ。このSCAINSには私が求めてるデータが存在する。」

 

「色んな世界かぁ。」

 

「まぁ、私が最初に生まれた世界はとても幻想的でとても残酷だった。」

 

イヴちゃんはいろんな話を僕にしてくれた。だけど僕が最後記憶にあるのは現実の話と。

僕は探し人の事について話そうと思ったが、僕は本当に探し人の事をよく知っているのか?

僕は彼らに感謝している、それは何故だっただろうか。

 

「さて、問題です。Aさんには5人の息子がいます。彼らには1人づつ姉がいます。さて、Aさんの子供は何人いるでしょうか?」

 

「10人。」

 

「違うよ、もう少しちゃんと考えてよ。」

どこかイヴちゃんは楽しそうだった。次この夢が終わってイヴちゃんと出会う事があったら今度こそ守り抜こう。

僕は色々と考えた。そしてやっと答えを見つけた。

 

「答えは6人だね。」

 

「うん、正解だよ。よく考えたらわかるでしょ?」

 

「さて、次の問題だそうか?」

イヴちゃんは首をかしげる。

 

「そうだね、お願いするよ。」

貴方は無邪気だ。どんな事があっても前向きに生きていた。貴方が消したかった本当の記憶は全て消えた。

 


そうして、僕とイヴちゃんは様々なヒントを見ながらついに指輪を発見した時だった。

僕の後ろに全く知らない人がいて自分もその指輪を手に入れるしかないと言ったのでデュエルで決着付けることになった。

 

 

 

僕のターン、

「手札からレスキューラビットを通常召喚。そして、レスキュー・ラビットのモンスター効果、フィールドのこのカードを除外して発動、デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。現れて星杯に選ばれし者。」

 

 

 

 

「星杯に選ばれし者2体でリンク召喚。星杯に選ばれし者よ、己の運命を受け入れ更なる力をやどせ。リンク召喚、リンク2、星杯剣士アウラム。ターンエンド。」

とりあえずこれで様子を見る。

「私のターン、ドローです。私は手札から閃刀起動(せんとうきどう)-エンゲージを発動します。」

 しばらく間が空く。

「チェーンはなさそうなので私は閃刀姫ーロゼを手札に加えます。」 墓地 エンゲージ 

 

「私は手札から閃刀姫ーレイを通常召喚します。ロゼの効果、フィールドに自身以外の「閃刀姫」モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動します、このカードを手札から特殊召喚しますわ。

 

閃刀姫デッキなのか。僕のかつての記憶ではこのデッキは魔法とモンスターしか使わないデッキ。

だからデッキの攻撃力はあちらのほうが上。

 

「私はレイでリンク召喚、換装せよ閃刀姫ーカガリ。カガリの効果で再び墓地のエンゲージを加える。 墓地なし

 

「いきますわ。カガリとロゼでリンク召喚。閃刀を持つ二人の少女よ、今相俟って新たな力を呼び覚ませ。リンク2閃刀姫-ジーク。」

 

「ジークの効果、貴方の場にいるアウラムを貴方のエンドフェイズまで除外しますわ。」

 

「あ、へ?」

僕は驚き素っ頓狂を出してしまった。

「そして、カードを2枚伏せますわ。バトル、閃刀姫-ジークでダイレクトアタック。」

 

|遡亜

LP2500

閃刀起動(せんとうきどう)-エンゲージを再び発動し閃刀空域(せんとうくういき)-エリアゼロを加えて、ターンエンドですわ。」

 

「僕のターン、ドロー。僕は星杯に誘われし者を召喚。誘われし者でリンク召喚。現れろ、星杯竜イムドゥーク。イムドゥークはジークのリンク先に特殊召喚するよ。バトルです、イムドゥークでジークを攻撃。リンク先のモンスターとの戦闘時、そいつをダメステ前に破壊する」

 

「この瞬間、速攻魔法発動。閃刀機(せんとうき)-イーグルブースター。このターン、ジークは自身以外のカードの効果を受けない。」 せっと1 墓地イーグル

遡亜

LP1800

 

「やるね、だけどイムドゥークが破壊されて墓地に送られた事により手札から星遺物ー『星杯』を守備表示で特殊召喚するよ。」4-3

 

「守備力0じゃない、そんなんで私に勝てると思ってるの?」

 

「まだです、カードを1枚伏せてターンエンド。」 セット1

 

ターンエンドの宣言と共にアウラム君が再びフィールドに戻ってくる。

 

「私のターン。ドロー  私はジークでリンク召喚。旋風よ、今起動して、吹き飛ばせ。リンク召喚、リンク1閃刀姫ーハヤテ。」

 

 「星遺物ー『星杯』の効果、EXデッキからモンスターが特殊召喚された場合、このカードをリリースして発動してそのモンスターを墓地へ送る。ハヤテを墓地に送ってもらうよ。」

 

「だけどハヤテが墓地に送られた時、墓地のレイちゃんを自身の効果を復活させる。邪魔な星遺物はなくなった。私は伏せカードバウンドリンク発動、墓地のカガリをEXデッキに戻して1枚ドローして1枚戻す。4-3-3」

 

バウンドリンク便利だね、貪欲な壺で5枚なくても使えるから。

 

「ねぇ、星‥遡亜。」

イヴちゃんが声をかけてきた。

「どうしたの?」

 

「-1交換だからあまり使わないかもよ?」

 

「でも手札交換できるから強いと思う。」

イヴちゃんが心を読んだ事に後から気が付いて少し寒気が走ったのは別の話。

 

「私はまずはレイちゃんでリンク召喚。現れて、閃刀姫(せんとうき)-カガリ。私が加えるのは閃刀起動 エンゲージを加えます。」

 

 

「驚くのはまだ早いです。カガリは自分の墓地の魔法カード×100アップします。よって攻撃力1600.さらに、閃刀術式(せんとうじゅつしき)-アフターバーナーを発動。邪魔なアウラム君を破壊。

墓地 バウンドリンク アフターバーナー 

今何故僕が夢を見ているのかはわからないけど、これも1つの奇跡なんだろうか。

「私は再びカードを1枚セット、バトルです。カガリでダイレクトアタック。」

 

「伏せカード、魔法の筒。」

ミーレイ

LP2200

 

 

「僕のターン、ドロー。」

僕が引いたのは星杯を戴く巫女。そっか、イヴちゃんは僕と一緒に戦ってくれてるのか。

傍にいるのはわかってるし会話はできるけどどこか隔たりを感じていた。

 

「往くよ、イヴちゃん。僕は手札から星杯を戴く巫女を召喚、3-2そしてリンク召喚。現れてリンク・スパイダー。

そして、貪欲な壺を発動。」

 

星杯に選ばれし者2枚

星杯竜イムドゥーク1枚

星杯剣士アウラム。

星杯を戴く巫女

 

「5枚戻して、2枚ドロー。」

僕が引いたのは絵は空白だけど効果は読める転臨の守護竜と魔の試着部屋だった。

 

「僕はライフ800払い魔の試着部屋を発動。」

遡亜

LP1000

星杯を戴く巫女

プロトロン

神聖なる球体

星遺物の加護

 

「再び現れて、星杯を戴く巫女。そして神聖なる球体とプロトロン。」

 

僕は何も知らずに生きている。当たり前だと思ってた日々は突如と壊された。

また、君と現実世界で会うためにも僕は生きなければならない。

 

「僕は神聖なる球体でリンク召喚、現れろ星杯竜イムドゥーク。そして、さらにイムドゥークと星杯を戴く巫女で現れて星杯神楽イヴちゃん。」

 

「一体何をする気?」

 

「僕はプロトロンでリンク召喚、現れてサクリファイス・アニマ。そして、僕は未知なる世界を開く。転臨の守護竜を発動、2-1サクリファイス・アニマ、リンク・スパイダーそして星杯竜イムドゥークを除外して融合召喚する。」

 

「融合だって。」

 

彼女は少し怯えていた。

 

「世の中に生きる力を依り戻し今こそ真なる力を取り戻せ、現れてレベル9星杯の守護竜アルマドゥーク。」

後に僕はこの守護竜の真実を知る事になる。

 

「バトルです、アルマドゥークでカガリを攻撃。」

 

LP1000

 

「カガリが破壊された時、レイが再び姿を現すよ。」

 

「アルマドゥークは全体攻撃持ちだから再びレイに攻撃。」

 

「(レイの効果)最後の砦を守りし少女よ、今ここに表せ。閃刀姫ーカイナ。」

レイの効果で再び新たな姿を呼び出したか。

それで僕は止まらない。

「カイナの効果、アルマドゥークを封じるわ。」

 

「なら、イヴちゃんでカイナを攻撃です。」

 

「伏せてたイーグルブースターを発動して、戦闘破壊を防ぐわ。(現状墓地2枚、副葬と錬装融合でカバー可能)そしてカイナの効果でライフ100回復する。」

カガリの時に発動してたらダメージはそんなに受けなかったはず。

ミーレイ 

LP800

 

「それが貴方の全力?」

 

「え、どういう事ですか?」

 

「私のターン、ドロー。 手札から閃刀術式ーベクタードブラスト。発動、お互いのデッキの上から2枚カードを墓地に送る。」

僕が落とされたのは

星遺物の導き

馬の骨の対価

 

彼女が落としたのは両方魔法カードだった。

 

「追加効果はアルマドゥークがEXゾーンにいないから使わないわ。だけど魔法発動した事によりライフを100回復する。」

僕は安堵する。

「私はカイナを素材にリンク召喚、水の流れを受け止めて真の力発揮せよ。閃刀姫-シズク。」

 

一体彼女は何度リンク召喚したんだろうか。リンク召喚の多さに驚きを見せた。

「シズクの効果は自分の墓地の魔法カード×100相手の攻撃力を下げる。よって、イヴの攻撃力は1300。」

 

 

イヴちゃんはこちらを見るとにっこりを笑顔になった。

そっか、イヴちゃんはリンク状態だから破壊されないのか。

 

「バトル、シズクでイヴを攻撃。ジャミング・ウェーバー。」

 

 

「だけどイヴちゃんは自身の効果で破壊されない。」

 

「だけどダメージは受けてもらうよ。」

 

遡亜

LP800

 

「ターンエンド。」

後に分かったけど彼女は手加減してくれてたらしい。己の弱さを恥じ僕はもっと強くならなければならない。

 

 

 

「僕のターン、ドロー。僕は星杯に誘われし者を通常召喚。」

僕はひとまず息を置く。

「ミーレイさん、勝負していただいてありがとうございました。」

 

この時にはもう勝負の理由なんて忘れていた。

 

 

 

「誘われし者でリンク召喚、現れろリンク・スパイダー。」

このリンク・スパイダーも昔は持っていなかった。探し人にもらったんだった。

僕はイヴちゃんの頼みの星遺物集める事と僕自身の行動原理の1つ探し人と再会するのとどっちを

優先したらいいのだろうか。

 

「あの、星かじゃなくて遡亜。デュエル中ですよ、考えるのは終わってからでもいいんじゃないのかな?」

 

イヴちゃんに言われて僕が思い込んでた事に気が付く。

 

「僕はアルマドゥークでシズクを攻撃、この瞬間アルマドゥークの効果発動。このカードがリンクモンスターと戦闘を行う攻撃宣言時、その相手モンスターとリンクマーカーの数が同じリンクモンスターを

自分のフィールドか墓地から1体除外して相手モンスターを破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える事ができる。」

 

「僕はリンク・スパイダーを除外、シズクを破壊します。この効果ダメージで終わりです。」

 

 

 

ミーレイ

LP0

 

「こちらこそ楽しかったよ、ありがとう。」

 

彼女はログアウトをした。

 

 

僕は指輪を取りイヴちゃんを呼ぶ。

 

「どうしたの?君は指輪を持って。」

 

「イヴちゃん、僕は君が好きだよ。泣いて笑って一緒に生きたいんだ、君は僕を見向きもしないかもしれない。でも僕はずっと生涯貴方を守り続ける。一緒に貴方と生きたいのです。だからそばにいてくれますか?」

僕はイヴちゃんの小指にシーケンスリングをはめた。

 

しばらくの間が空く。

「あ、え?」

イヴちゃんは顔を赤面させる。

「ならさ、運命を受け入れて。私は貴方と違って人間じゃないから。」

 

「イヴちゃんは人間らしいから。一緒だね。」

 

「人間らしいか。ふふ、そうだね。」


人間らしいってなんだよ、私は貴方が憎いの。でも貴方は何も悪くないってわかってるのにこの気持ちを感じるのはいったい何だろうか。私はまだ彼に教えるわけではない。今は彼を慕い演じよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで私は現実世界や仮想世界が行き来できるようになったけど。」

イヴちゃんは戸惑いながらこちらに笑顔を向けてきた。

「僕は君が懐かしく思えた。だからこれからはずっとずっと一緒だよ、イヴちゃん。」

僕はイベント報酬で得たシーケンスリングの力を使ってログアウトをした。イヴちゃんにシーケンスリングを渡してしまっていたから手をつないでた。

 

 

 

今僕が見てるのは夢の現実世界、口で言ってるけどいまいち意味が分かってない。

今見てるのは思い出すために見てるのか、それともまた違う理由があるというのか。

イヴちゃんの声が聞こえてるってことは夢なのだろうけど。

 

「どうしたの、浮かない顔をして。」

イヴちゃんは不思議な顔を見せた。

「ううん、なんでもないよ。(イヴちゃん)さえ生きてくれたらいい。」

僕がそういうと今度はイヴちゃんが浮かない顔をした。

「なら、どうして私を殺したの?」

イヴちゃんは僕に聞こえないように何かを呟く。

でも今の僕はイヴちゃんが何を言ったのかわかった。

「おかえりっていうためだよ。」

 

 

 

 

 

「ならさ、君が死んでくれる?遡亜君、今度は私がおかえりって言ってあげるから。」

 

 

 

 



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君に逢うため
14話 僕が忘れてた物


生き甲斐を持って生きてくださいね。どんなにつらくても。
誰かのせいにしていいんだよ、全部自分のせいだと思わないでね。


イヴちゃんはこちらをにっこりとみてくる。

「ふふ、冗談だよ。でもね、責任はいつかとってよね。貴方は私が探していた人その者なんだから。」

イヴちゃんは再びウィンクして言葉を続ける。

「私は星神を探してたの、でも君が真実は覚えてないのなら。今度は一緒に星遺物を集めようよ。今度は強くてニューゲームを一緒にね。」

僕がイヴちゃんがこんなにも明るい子だった事はしらなかった。

後にこの明るさは僕本来の明るさだと知ることになる。

そして強くてニューゲームってなんだ?

 

「さて、私と君が出会ったところで大して何も状況は変わってないんだけどね。星鎧が現れるのはまだ時間がかかるみたいだし。」

イヴちゃんは僕といる時は星杯を戴く巫女の姿、他の世界にいる時は星杯神楽イヴの姿をしている。

理由なんてあるのか。

 

「今君は私に向けて何も喋ってないけどその気持ちわかるよ。急にこんな事言ったら君もびっくりすると思うしさ。質問を受け付けるわ。」

 

「強くてニューゲームってどういう事?」

僕は聞く。

 

「どこから説明しようか。私は星神に出会い、星遺物を巡って旅をしてきた。幼馴染(アウラム)は星神が残した端末器(デミウルギア)と融合したその影響で私は過去に戻った。」

融合した影響、衝撃でも起きたのだろうか。

 

「信じてと言っても今の君は信じる事は出来ないかもしれない。でも私と一緒にいてくれるだけでいいから。」

イヴちゃんは笑顔をこちらに見せる。今度こそ、みんなで笑いあいたいから。そう彼女が思っているだろうからきっとそこに僕がいる事は出来ないのだろう、僕はイヴちゃんと住む世界が違うから。こんな悲しい事を思い出すなら夢なんて見ないほうがまし、そう思った。

「今君が夢なんか見ない方が言いって思ったよね、でもそれは違う。私は夢によって生まれたんだよ。だから貴方も其処にいて。」

夢なんか見ない方がいいなんて思ってほしくない。私は貴方のおかげで生まれる事が出来たんだよ。だから気づいて、私の最後の道標だから。

「僕なんかもいてもいいの?」

 

「勿論だよ。自分を下に見ないで。私の明るさは君からもらったんだよ。」

私は目に涙を浮かべる。私はあの世界が好き、痛いし残酷な世界だけども。

少なくとも星遺物(きぼう)はあった。

 

 

 

「だから貴方は生きて、私の最後の希望なんだから。」

私は少しだけ涙を流す。

 

 


これは夢、確かに僕の記憶だった。いつからイヴちゃんの大切さを忘れていたのだろう。

大切な人は傍にいるのに忘れてしまうなんて。

忘れたくない、イヴちゃんは世界で一番大切な人。

 

「だから、待っててイヴちゃん。僕は貴方を取り戻す。泣いて笑って僕は君を取り戻すから。」

 

 

目の前が光に包まれる。そっか、大切だと言う事を忘れていたのか。

傍にいるのが当たり前だと思ってた。

僕は頑張って生きる。そう約束したんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると自分の部屋にいた。

僕は涙を拭く事はせず、即座にVRAINSへとログインをする。

確かに僕は今イヴちゃんとのlink(繋がり)が切れてる状態だ、だけど軌跡は残っている。

 

 

 

何もないばしょにたどりつく。僕はデータストームの種を検索し始める。

今まで僕一人では何もできなかった。でも今度は僕自身の手でイヴちゃんを蘇らす。

それが僕なりのけじめだ。

 

 

《警告 身体に異常が発生しています。》

声が聞こえるが構うもんか、イヴちゃんは僕のせいで死んだんだ。

 

「僕のせいで死んだのなら僕が死んででもけじめをつける。君のおかげで僕は明るさを思い出したんだ。ありがとう、今度はお返しって言わせて。」

 

 

《緊急ログアウトをします。》

 

「え、どういうこと。」

僕がそうつぶやいた途端見えたのは現実の先ほどの自分の部屋だ。

今までこういう事なんてなかったから。

 

それともイヴちゃんが僕を拒絶してるの?全部思い出した途端拒絶するのは何故なんだ。

 

 

『拒絶してるわけではないのよ。貴方は自分を大切にしなかった。他人を大事にするならそれと同時に自分も大切にしないと。』

イヴちゃんの優しい声が聞こえる。

 

「どうすれば逢えるの?」

 

『星遺物の星櫃を探して。星櫃には私の最後の希望のプログラムが入ってる。』

 

「プログラムなんて詳しくないから見つけてどうすればいいの。」

 

『それは知らない。貴方の大事な物がそこにあるから。そしたら最後の終止符(けつまつ)を見つける事

ができるから。

 

 

『貴方はし()なくていい。』

もう誰も死なせはしない。私が死んだから君は何もできなくなった。

これは誰も死ななくていい物語なんかではなく、これは死んではいけない物語。

 

だって僕は星遺物の機憶を微かに覚えてるから。

突然イヴちゃんの機憶が脳裏に入り込んでくる。

星遺物の機憶は僕自身の機憶、そっか。僕は星遺物だったのか。

 

 

 

僕の脳裏にふと暗い研究所が浮かぶ。思考を巡らすとイヴちゃんのリボンを持った青年が何かを見ながら拳を振り上げる。

 

「見てるんだろう?俺はお前が憎かった、イヴが遺した物を知らずに生きていた。でも今は憎くない。憎しみは何にもならない。アウラムと衝突する事があった場合はお前はどっちの味方なんだ?」

青年はこちらを見上げるとそう言い放つ。

 

「え?」

 

「星櫃に何が入ってるのか俺は知らない。だが、星櫃を開けるには星杖が必要だ。」

何も言えない。元々これは思考の中だろうか。

 

 

 

「何も言わなくていい、お前は何も思い出してはいないのだから。存在できない夢を見ていただけなのだから。」

ロンギルスの声がふと耳に響く。

星杯の守護竜アルマドゥークも本来は存在できない存在。

どうして僕はそれを知っているのだろうか。

いつから僕はこの事を忘れてたんだろう。忘れていた事を全て取り戻すために、

前を向くために、準備を始めたのだった。

 



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15話 君の為に死ねるのなら

25/9,679


僕は時計を確認する。2日ほど夢を見ていた事に驚くがそれは今は関係ない。

 

僕は持っていたパソコンをつける。昔書いていた小説などを保存しているメモ帳は今は関係なく探しているのはVRAINSの不正コードだ。VRAINSは普通は使っている人に身体的な外傷を生じていた場合は緊急ログアウトをする機能がある、先ほどもそれでログアウトさせられたから今度はそれを防ぐコードを探し始める。

 

ロンギルスが言っていた星杖は彼がいずれ所持するだろうから僕は星櫃を探そう。

 

デッキはなくていい、僕自身が全てを思い出せば星遺物が導いてくれる。

 

 

 

そうして掲示板で検索をかけていると不思議な文字の羅列を発見して触れるとVRAINSへ招待されましたという脳内アナウンスとともに

 

何もない世界へと足を踏み入れた。

 

 

 

「此処は何処だろう。」

 

僕は1人で呟いた。地球では有り得ない角度で建物が建ち、一言で説明すれば

荒廃した世界がこの世界に相応しいのだろう。

どこか見覚えのあってしばらく歩いていると笑い声が聞こえてくる。

笑い声と言っても人間とは違ったテンポだった。

「いやぁ、珍しい客だ。」

 

 

「あなたは誰なの?」

即座に聞く、何も危険な雰囲気を感じなかったから。

 

「吾は名も無きAI。SOLテクノロジーによって作られ、誤作動を起こしたことにより廃棄されたAIの末路さ。」

 

そういうと彼は暗転する。《ちょっと目が悪いのでやめてほしい》

 

「なら、僕と一緒に来ない?僕はイヴという人工知能を探してるの。」

 

 

 

「ほう、君は人工知能にでも手を差し伸べてくれるのか。」

 

 

 

「でも、君には名前がないよね。」

 

 「いや、実はある。」

言ってる事をすぐに変えるのに不信感を覚えるがそのまま名前を聞く。

別に

「IN-DE-039でいい。playmakerに吾を認めてもらいたかったがハノイの力によって吾は一時消去されてしまったのだ。」

 

 

 

「どういう事?」

 

 

 

「周辺のAIを破壊し、周辺の情報を読み取る光に巻き込まれたのだ。」

 

彼はぎりバックアップを別の場所に避難してたおかげで助かったみたい。

一体僕が寝ている間に何があったんだろう。何も言えずにいると再びネームレスが

口を開く。

「ハノイの騎士はハノイの塔という計画を進めている。もし、君が本当に彼女(イヴ)を守りたいなら急ぐといい。大切な物は気が付くと傍にいないのだから。」

IN-DE-039の言葉に少し違和感を感じる。それはIN-DE-039はまだ大切な物は持ってないはずなのに。

 

「という事は貴方の場合は大切な記憶だったんだね。」

 

 

IN-DE-039にクエスチョンマークが浮かんでいるようだった。

 

「大切な物を失ったから君も僕にそう言ってくれるんでしょ。」

 

IN-DE-039は不意に笑いを見せる。

「お前がそう思うならそれでもいい。データ世界の行く末を見届けるとしよう。」

 

彼はそう言うと何かのデータを僕に渡した。

「いつか夢が現実になった時そのデータは現実となる。」

そして、彼はそう言うと消えた。

もっと話がしていたかったのに。

 


人は人である限り滅びは止まらない。

 

 

 

じゃあ、どうすれば良い?

 

 

 

人よりも上の立場の者が人を導けばいい。

 

 

 

貴方はそれをしようというのか。

 

 

 

私はある人の使命を果たそうとしているだけだ。

 

 

 

貴方は。

 

 

 

人の心を失っても人は生きているものだ。

 

 

 

僕は。

 

 

 

私は欠陥を受け入れるつもりはない。

 

 

 

欠陥?

 

 

 

また、君に話す機会があればいいな。

 

 

 

今は?

 

 

 

今は私は君を受け入れよう、たった1人私の全てを話せる存在。

 

 

 

言葉が詰まってる。

 

 

 

それでいい、私を、私達を忘れないでほしい。

 

 

 

寂しい。

 

 

 

君にはイヴがいる、だから大丈夫だ。

 


 

僕はイヴちゃんが悪夢(トロイメア)を受けいれた時、星杯が僕の手元から消えなかった事を思い出した。

星杯は聖杯、かつて願いを叶える代物としてそう呼ばれていた時もあった。

僕は聖杯に何も願いはしなかった。それはイヴちゃんがいると信じていたからだ。

 

もし、まだ願いを叶える力があるなら僕はこう願う。

イヴちゃんを取り戻す為の力が欲しい。

 

まぁ、叶う事はないんだろうけど。

 

僕は星遺物ー『星杯』のカードを持った。イヴちゃんの残照を感じるためだ。

あの子(イヴちゃん)は「私が死んでも星遺物を集めてほしい」と言った。

僕はイヴちゃんの願いを叶えるしか選択肢はない。

星遺物を集めた先にあの子(イヴちゃん)がいるのならそのためならなんだってする。

 

何も感じない、そう思っているとデッキから1つの光が飛び出した。

それは一つの方向を示しているようだ。

星遺物にすがる思いだったのでスピードボードにのりその方向へ向かう。

誰の声も聞こえないから自分の力で頑張るしかないよね。

 

スピードボードのスピードをあげる。もう何もいらない。

後悔しかない、でも人の人生は一方通行だ。前にしか進めない、後ろに進む事なんてできないから。

時々頬を冷たい何かが触れる。これでよかったんだよね。

僕はVRAINSとはまた違う景色が見えてきた事に驚きながらもそこに向かっていた。




久々に小説書いてたので感覚が鈍ってましたすみません。
16話も現在進行形で書いてますのでもうしばらくお待ちください。


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16話 すれ違う者達

27/10363頑張ります。


「何故だ、ニンギルス。イヴは死んだ、星遺物が危険だと身を持って教えてくれたじゃないか。」

見慣れた景色からアウラム君の声が耳に届く。

「それを言うか、アウラム。お前だって星冠の力を得て、何もしなかったじゃないか。」

 

「今の俺はアウラムではない。天穹だ。もう終わりにしないか。あの世でイヴが悲しんでる。」

 

「その俺はイヴを蘇生させようっていうんだ。お前の持っている星遺物が必要なんだ。」

話し声が聴こえてくる。話しというよりは口喧嘩の方が近いのかもしれない。

遠くから見るにニンギルス兄さんの近くには機械軍団と機械人形、アウラム君の近くには大きな龍とアウラムに手を組んだ女性だ。

イヴちゃんがいたらこの2人の口喧嘩を止めてくれるんだろうけどこの場所には勿論いない。

僕がイヴちゃんを守れなかったからこうなっているのか。

いや、彼女が言うに運命だったのなら仕方がない。

 

『貴方は今出来る事をすればいいのよ。私はどっちについても結末は変わらないと知ってる。今この場所にはX個の星遺物が集まっている。何もないといいけど。』

イヴちゃんの声だけ耳に聞こえてくる。でも何処か無機質だった。

 

「イヴはこの中に残っている、俺はイヴを星神にしたい。俺たちでは力不足だ、だからイヴだけの世界を作りたい。」

機械人形は少しだけニンギルス兄さんの方を見るがすぐに目を閉じる。まるで自分がイヴちゃんではないと自覚しているかのように。

 

『勘違いしないで欲しいけどあれは私じゃないからね。私はずっと貴方の側にいるって約束したんだから。』

 

「イヴちゃん、声だけ聞こえてるのは寂しいよ。」

僕の声にイヴちゃんの声は返事しなかった。まるで聞こえてないかのように。

むしろ声だけ聞こえてる事に不信感を抱いた方がいいのかもしれない。

僕が考えてるとニンギルス兄さんの機械軍団がアウラム君の後ろにいた人に向かうが

それを回避して破壊する。

 

『戦争だけは回避して、遡亜(そあ)。此処で彼らを失うわけにはいかないの。』

僕は急いで向かう。返事の代わりに僕は行動で示す。

 

「アウラム、お前がひかないなら俺がその力を使ってやる。」

 

「デュエルだ、それで全てを決めよう。」

アウラム君の提案にニンギルスさんがうなづく。

「「デュエル。」」

 

 

「俺は終末の騎士を召喚、デッキからオルフェゴール・カノーネを落とす。」

ニンギルス兄さんが先行取ったようだ。もう始まってしまったからには戻らない。

「そのデッキは一体?」

アウラム君の驚いた声も同時に聞こえる。

 

「カノーネの効果、自身を除外して手札からオルフェゴール・ディヴェルを特殊召喚。」

レベル4が2体、エクシーズかな?

「俺はオルフェゴール・ディヴェルと終末の騎士でリンク召喚。機械の尖兵よ、終末の前に奇跡の扉を起こせ。リンク2オルフェゴール・ガラテア。」

先程ニンギルス兄さんの側にいた機械人形が姿を見せる。見た目はイヴちゃんそっくりにできていた。

 

『お兄さんは私を星神にする為に彼女を作った、でもね。彼女は本当は人格が目覚めてた。新しい命をお兄さん(ニンギルス)は作った。でもお兄さん(ニンギルス)はそれに気がつかなかった。彼女に向かってずっと私の名前を呼び続けたから。』

イヴちゃんの声は悲痛を漂っていた。

 

「俺はオルフェゴール・ガラテアの効果、除外されているカノーネをデッキに戻してオルフェゴール魔法・罠をフィールドにセットする。俺はオルフェゴール・クリマクスをセットと手札から1枚伏せる。俺はこれでターンエンドだ。」

 

「俺のターン、ドロー。」

アウラム君がカードを引く。

「神樹のパラディオンを召喚する。」

アウラム君の側にいた女性が姿を見せる。

「リンク召喚、現れろ。 マギアス・パラディオンそしてマギアスのリンク先に星辰のパラディオンを自身の効果で特殊召喚。」

あれはイムドゥークかな、僕が寝ていた間に成長したのか。

 

「マギアス・パラディオンの効果、自身のリンク先に特殊召喚された時にデッキからパラディオンモンスターを加える。魔境のパラディオンを手札に加える。」

手札減ってないなぁ。

「2体でリンク召喚、現れろレグレクス・パラディオン。」

 

「レグレクス・パラディオンのリンク先に現れろ星遺物ー『星冠』。」

あれがアウラム君の所持していた星遺物。ニンギルス兄さんの場所には星遺物存在していない。

 

「それがお前の星遺物(かくご)か。その覚悟があったならイヴは助けられただろうが今はもう遅い。」

 

「遅くない、もう二度とイヴのような悲劇を起こしてはならない。バトルだ、レグレクス・パラディオンでガラテアを攻撃。」

 

「攻撃力はこちらの方が上だ。」

 

「それはどうかな。レグレクス・パラディオンはリンク先のモンスターの攻撃力を得る。よって、攻撃力3000だ。」

 

「ならば伏せカード発動、オルフェゴール・アタック。ガラテアをリリースし、攻撃モンスターを除外する。」

遠くから見るにカードの絵はニンギルス兄さんとアウラム君が一騎打ちしてる場面だ。

先程も見た光景。

 

「く、だけど今俺のフィールドには星遺物ー『星冠』が残っている。バトルだ、星冠で攻撃。」

 

ニンギルス

LP4000→2000

 

「受けよう、この痛みイヴを失った時より軽い。」

 

「俺はカードを伏せてターンエンドだ。」

 

 

「俺のターン、ドロー。今からお前に俺の更なる覚悟を見せてやる。俺は墓地からオルフェゴール・ディヴェルを除外し、オルフェゴール・カノーネを特殊召喚。そして、手札からおろかな埋葬を発動。」

ニンギルス兄さんの顔が険しくなった。

「俺が墓地に落とすのはオルフェゴール・トロイメア。」

トロイメアはかつてイヴちゃんが自らを闇に落とした時に使ってたテーマだけど何故ニンギルス兄さんまで持ってるの。

 

「トロイメア、悪夢をもう一度繰り返すつもりか。」

 

「それは違う、俺が悪夢を受け入れればいい。オルフェゴール・トロイメアを除外して墓地に星遺物ー『星杖』を落とす。」

オルフェゴール・トロイメアは本当は攻撃力アップの能力もあるが説明はしなかった。

一瞬脳裏に宇宙空間に存在している杖が浮かぶ。アウラム君は驚きを見せるがすぐに表情を元に戻す。

 

「星遺物ー『星杖』を除外、現れろオルフェゴール・トロイメア。」

あれば一体なんだろうか。先程ニンギルス兄さんの側にいた機械人形が不気味な笑いを見せている。

「カノーネとトロイメアでリンク召喚、再び俺の場に奇跡をもたらせ。オルフェゴール・ガラテア。」

ニンギルス兄さんの執念が遠くからでも感じられた。

 

「そして、俺はまだこのターン、通常召喚を行ってはいない。」

これだけ召喚したのにまだまだ召喚するつもりなのか。

 

「俺はスクラップ・リサイクラーを通常召喚。墓地に落とすのはオルフェゴール・スケルツォン。」

カノーネが手札、ディヴェルがデッキならスケルツォンは墓地かな。

 

「俺はスクラップ・リサイクラーとオルフェゴール・ガラテアでリンク召喚。イヴよ、星神を目指す為誘われし者(おれ)を星遺物に落とせ。リンク召喚、オルフェゴール・ロンギルス。」

ロンギルスの持つ槍の向きはアウラム君には向いてない。むしろ、向いている先は僕の方向だった。まさか、僕が星神な訳がない。この世界を僕は何処か知っている、でもそれはイヴちゃんから教えて貰っただけのはずだ。

 

『本当にそうだと思ってるの?違うよね、私は何故君を選んだと思う?私は貴方(きみ)だから選んだんだよ。』

 

「俺は墓地からオルフェゴール・スケルツォンの効果で蘇ってくれ、イヴ(オルフェゴール・ガラテア)。」

 

「俺の効果、除外されている機械族を2枚デッキに戻して相手モンスターを墓地に送る。これがお前に送る手向けだ。」

イヴちゃんを神にしたいのに神を穿つ者と名乗るのは皮肉かな。

僕は何処かでこの光景をみた事がある。そう、僕が1人でデッキ同士を戦わせている。

そこにはイヴちゃんはいなくて、その代わりイヴちゃんのカードが側にあった。

あれはいつだったのだろう、もう戻れないのだろうか。

戻る必要がない事を知りつつ僕は涙を少し流した。




書きながら凄く泣いてました。
アークロード・パラディオンが出てないのは諸事情のためです。
デュエル構成慣れてないので難しいですね。


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17話 星杯から零れ落ちた赤く温い液体

お久しぶりです。
久しぶりに小説書いたのでぐだってます。
結局人間が生きる理由って人それぞれなのです。


『夢を見る事は良い事だと私は思う、でもね。君は夢に引っ張られすぎなんだよ。』

イヴちゃんの言葉は何処から聞こえてるのか、まだわからない。

『人間に必要な物って何だと思う?』

僕は考えるが答えは出ない。

「それはね、前を向く力だよ。遡亜(そあ)、君は夢ばっかり見ているから。夢は起きなきゃ夢とは言わない。」

 


 

「俺はお前と違って本気だ。俺は俺自身を素材にし、宵星の機神(シーオルフェゴール)ディンギルスをエクシーズ召喚する。ディンギルスの効果、星遺物ー『星冠』を墓地に送ってもらおうか。」

 

「ただでは転ばない、星遺物ー『星冠』の効果発動する。このカードをリリースする事でその発動を無効にし破壊する。」

 

ロンギルスの効果発動時に使ってたらこんな事ならないのに、アウラム君も動揺しているという事かな。

 

「ディンギルスの効果、効果で破壊される時エクシーズ素材となった俺を墓地に送る事で破壊はされない。」

 

 

「もうやめてよ、ニンギルス兄さん。アウラム君。イヴちゃんの為にもこの戦争はしないで。」

息を切らしながら僕は何とか2人の間に立った。

 

「お前が悪いのだろう?」

とニンギルス兄さんは持っていた槍を僕に向ける。

 

「僕は悪くない、全ての元凶を倒さない限り彼女(イヴちゃん)はもう戻ってこない。」

 

『あーあ、責任逃れか。別にリースが全て悪いわけじゃないのにね。まぁ、決められた災厄を起こしたのは彼女リースの仕業であるし彼女の意思がなかろうとあるかろうと結果には変わりはない。』

イヴちゃんは少し溜息まじりの声を出した。そして気づいたのはイヴちゃんの声は僕にだけ聞こえているという事だった。

 

 

 

 

黙れ

ニンギルス兄さんの声が僕の耳を貫く。僕は本当は此処にいてはいけない。

見ることのなかった現実が個々にはある。

 

 

僕は何かを言おうとした、だけどその前に自分の身体は制御できない事を知る。

自らの腹部をディヴェルのかぎ爪が貫いていた。

痛い、苦しい。声は出せず身体がとても冷たくなってきた。死ぬとはこういう事なのかという考えすら頭に浮かんできている。

『死ぬって本当に辛い事かな、私の感じた痛み感じてくれたかな。もっと感じてほしいな。君が私を見るたびに思い出して、欲しい。』

 

言っている意味が分からない。僕が今ずっとイヴちゃんだと思っていたのは違ったのか。

 

 

『復讐と愛情は重ね合わせ、それを教えたのは君でしょ。』

心臓の音が耳に響く。

ディヴェルのかぎ爪が貫いて身体は痛みを感じるが一向に僕の意識が消える事はない。

 

「いるんでしょ、イヴちゃん。君の真実を僕に教えて。」

僕は見えない物に触れる。すると、デッキは光を宿した。

 

『君が誰でもない限り私は愛情を持ち続ける。君の覚悟を確かに感じたよ。』

イヴちゃんの声が少し音程を取り戻す。ディヴェルに貫かれた身体は元通りになっている。

 

 

「デュエルだ。僕は君たちの戦いを止めるため神にでもなろう。」

 

「「「『デュエル。」」」』

 

「僕の先行、僕は竜の霊廟を発動、デッキからフェアリー・ドラゴンを墓地に送る。この効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった時、

さらに僕はデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。」

 

「星杯じゃないの!?」

 

「貴方たちが勝手に出ていったからじゃない。僕はデッキから亡龍の戦慄-デストルドーを落とす。」

 

何も僕は聞こえなくて良い。あの子がくれた生命はあの子の為に使うと僕は決めたんだ。

 

「僕は守護竜ガルミデスを手札から呼び出す。」

このデッキは泡沫。今しか力を発揮できない。

 

「僕はドラゴネットを召喚、効果によりデジトロンをデッキから呼び出す。」

今此処にはイヴ ちゃんの幻だけしか見えない。僕が再び2人の手を取ればイヴちゃんを再び呼び出せる。

「僕はさらに墓地にいる亡龍の戦慄-デストルドーの効果、自分の寿命(ライフ)を生贄にして呼び出す。」

ライター

LP2000

「僕はフィールドの全てのモンスターでリンク召喚、現れろ僕の新たな力、召命の神弓-アポロウーサ。僕は月鏡の盾を装備してターンエンドだ。」

イヴ ちゃんは何故僕を縛っていたのだろうか。何故星遺物と関わる者と勝負する時はデッキもエクストラも固定にしなければならなかったにだろうか。

それは星遺物と僕が繋がりがあるから。それはイヴちゃんだけを見る為だったから

僕にとってはそれは都合が良い考えかもしれない。

 

 

 

 

「誰にも邪魔はさせない、その為に僕は自分を蜷帙r谿コ縺励◆」

僕が今何を言ったのだろうか、無意識に出た言葉が脳を支配した。

「さぁ、君達の番だよ。」

 

「俺のターン。」

そう言ってカードをドローしたのはニンギルス兄さんだった。

「俺はスクラップ・リサイクラーを召喚、効果によりデッキからオルフェゴール・ディヴェルを落とす。」

僕の身体を先程貫いたモンスターだ。

「ディヴェルの効果、デッキからオルフェゴール・スケルツォンを呼び出す。」

 

「アポロウーサの効果でその効果は無効だよ。」

アポロウーサ

3200→2400

 

「く、なら手札を2枚伏せてターン終了だ。」

ごめんね、貴方達を敵に回してでも僕は運命を変えるって誓ったんだ。

貴方達に憎まれてもいい、イヴちゃんの為に僕は行動するんだ。

 

「俺のターン、ドロー。俺は神樹のパラディオンを召喚、リンク召喚だ。神樹のパラディオンとスクラップ・リサイクラーにより現れろ

レグレクス・パラディオン。」

先程出た獅子のパラディオンか。鳴呼、何処か懐かしく切ない。

 

「俺はアプロウーサをリリースし、粘糸怪獣クモグスを呼び出す。」

こんな簡単にアプロウーサが突破されるなんて、そしてリンク先か。

「レグレクス・パラディオンの効果、デッキからパラディオンとなのついた魔法・罠カード1枚を手札に加える事が可能。俺はテスタメント・パラディオンを加える。」

 

あのカードはなんだっけ、効果もイラストも読めない。

「俺はレグレクス・パラディオンの2つ目のリンク先に魔境のパラディオンを特殊召喚。現れろ、俺達を導く未来回路。リンク召喚、リンク3アークロード・パラディオン。」

 

俺たちはきっと自身とニンギルス兄さんを指してるのだろう。

本当は僕はいてはいけない存在とすら考えてしまう。

気が付くとクモグスがアークロード・パラディオンの前にいることに気が付いた。

「覚悟はできてるか、遡亜(そあ)。俺は既に出来ている。バトルだ、アークロード・パラディオンで攻撃」

 

遡亜(そあ)

LP2000

 

このダメージを受けた時僕の目に白っぽい物が見える。目が悪いわけではないから、これはきっと涙なのだろう。

 


僕はこのデュエルを何のためにしているのかを考えていた。

僕は戦いたくない。

でも僕が僕であるという理由のために立ち向かっている。

 

 

 

 

 

 

ねぇ、イヴちゃん。大好きだよ、僕は君のため生きていいかな。

 



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18話 結局力不足だった

お久しぶりです。マスデュエ楽しいですね。
一次創作に時間をとっていてすっかり忘れてしまってました。
感想などくれるとモチベ上がるのでください。
俺ルール登場 ですw
フィールド説明は省いてますすみません。

19話は近々投稿できます。
オルフェゴール強くて勝てないです 星遺物関係全部組んでるので…
(_ _).。o○これからもよろしくお願いします。考察というか答えがわかったら
感想でもメッセージでもください。


 

僕は偽物だった。イヴちゃんはそれを聞くとどう思うのだろうか。

僕を嫌いになるのだろうか、それが怖い。嫌いになる前に僕だけの物にしたい。

つらい、寂しい、この気持ちを表す方法が何も見つからない。

何でここまでうまくやってきたのに、これを思うの。

誰かのために生きて、僕だけの物にしたい。

とても小さく微かな声でうめき声が喉の奥からこみ上げてくる。

吐き気がする程、僕は生きるのがつらかった。誰も僕に見向きもしてくれなかった。

僕だけの大切な人。最後の心の頼り(イヴちゃん)がいなくなったから

死ぬ事も構わない。だって、この世界に何処にも希望なんてないしあるはずもないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘ダメージを受けた時、僕は手札から妖竜マハーマを特殊召喚する。」

確かに僕のライフは0になったけれど、この勝負はあくまで2人を止めるために僕が行った。

僕がルールだ、だから決して諦めはしない。

「何だといい加減に諦めろ、イヴは帰ってこない。ただそれだけを受け入れたらいいのじゃないか。」

アウラムくんの言葉にニンギルス兄さんの顔が変わる。

「そういう所がお前の嫌いなところだ。イヴがかつて言っていた、この世界は星神によって作られている。星神が祈った世界だから、再び…」

ニンギルス兄さんの顔は涙と怒り顔でよくわからない顔になっていた。

 

「さぁ、マハーマの効果発動。2000ダメージを貴方達に与える。」

ニンギルス

LP4000→2000

 

アウラム

LP4000→2000

 

「僕はどんな事があってもイヴちゃんを取り戻す、そして最後の真実へと辿り着く。」

 

「ならばこの俺を倒して見せろ、俺のターン」

ニンギルス兄さんはいかめつい顔をしてカードを引いた。

「俺は伏せカードのオルフェゴール・プライムを発動して手札から星遺物ー『星杖』を墓地に送り2枚ドロー。」

数多の海を割り世界を正しい道へと導くか。

 

「貴方達は僕と違って現実世界へ行けないんだよね?」

僕は気になっていた事を聞く。

「イヴの力があれば行けるさ。ただお前と違って行動は殆どできないがな。」

僕が今所持している星杯がイヴちゃんから預かって、星鎧は…どこにあるんだ?

あの後イヴちゃんは機界騎士(ジャックナイツ)に攫われてなければ今頃は。

過去を悔いても仕方がない。今できる事はイヴちゃんを取り戻す事だ。

誰が敵で誰が味方かハッキリしてないが。

 

「俺は墓地にある星遺物ー『星杖』の効果、自身を除外して黄泉還れ。オルフェゴール・ディヴェル。」

何度も何度も蘇ってしつこいけれど、僕もしつこくなければイヴちゃんを取り戻せない。

「俺は手札からオルフェゴール・カノーネを通常召喚して、2体でリンク召喚。」

 

何もできないのがもどかしい。

「現れろ、オルフェゴール・ガラテア(イヴ)。」

ニンギルス兄さんが呼び出したのはイヴちゃんそっくりな人形だった。いやイヴちゃんなのか。

「このカードでトドメをさしてやる、ディヴェルの効果。デッキからオルフェゴール・スケルツォンを特殊召喚」

今気がついた事だけど全て音楽に関する言葉が入ってる。イヴちゃんも音楽が、オーケストラが好きだったな。

「スケルツォンとイヴでリンク召喚、現れろ。俺の神を討つ為の力だ、オルフェゴール・ロンギルス。」

彼はもう星神を討つ気でいる。何処にいるのかわからない神を討つ…のか。

「さらにスケルツォンの効果、自身を除外する事で自分の墓地からイヴを蘇生する。」

 

ロンギルス兄さんの体は所々機械へと変化する。

自分を機械にしてまでも彼女に会いたい気持ちはわからなくもないがどうしてか吐き気がする。

思い出したくない何かが僕を覆い隠す。

 

「さぁ、終わりにしようか。イヴの効果、スケルツォンを自分のデッキに戻してオルフェゴール・クリマクスをセット。」

恐ろしい異形の姿をした怪物をニンギルス兄さんが槍で貫いていた。

 

「俺自身の効果、星杖とスケルツォンをゲームから除外して妖竜マハーマをデッキに戻す。」

あ、僕の唯一の守り札が。

「もう終わりにしないか、アークロード・パラディンで攻撃。」

何も出来なかった、意識は少しづつ薄れていく。

思いは途切れていく、これで僕は死ぬのか。

死んだらイヴちゃんに逢えるかな。

 

僕はサラサラとした髪の感触を最後に意識を失った。



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19話  みんなあなたの為に

20話は今月中には書く予定です。
近々 イヴちゃん主人公の二次創作 
を投稿するのでよろしくお願いします



死ぬのが怖くなったのは自殺未遂をしてからだ。

眠る時と違って意識は抉り取られるかのようの感じる。

「イヴちゃん、此処にいるんでしょ。答えて。」

僕は何もない空間にいた。これが死後の世界なのだろうか。

声が返ってくる事はない。

 

もし違う世界に神様がいたとしたら貴方は運命を変えたいと願いますか。

僕は君に問いかけた。

 

 

でも君の答えは僕に聞こえない。僕の事を君は見る事が出来ても僕は君を見る事はできない。

だってそうだよね、僕の物語を君は読んでいるわけだから。

僕が登場人物なら君は神様だ。

詰まらない話したね、僕だけの物語をこれからも君は読んでくれるのだろう。

 

「どうして君は僕についてきてくれたの?」

 

イヴちゃんはきっとこう答えるだろう。

 

『それは私が貴方を信じているからだよ。』

赤の他人の事を信じられる程僕は強く慣れない。

出逢ってまもないのにその人を信じる事ができるのは純粋で無垢だから出来たんだろう。

僕はもう一度、いや最後まで頑張るしかないのだろう。

 

あの子(イヴちゃん)が生き続けた世界をこの手に取り戻す。

人に気を遣わず生きて、世界に光を捧げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、遡亜。』

私は愛しているけれどとても憎かった少年の名前を呼ぶ。

彼は誰よりも優しくて人に気を遣って生きてきた。

だから疲れてしまったんだと思う。

思い出したくもない過去を忘れる代わりに覚えていたかった事も忘れてしまっていた。

最初は知らないフリをしているのだと思っていた、けれど彼はそれさえ…その方法ですら

する事は出来なくなっていた。

 

だから途中までは手助けをして後は自分の力でやり遂げてほしかった。

私は神様ではないけれど、彼の手を握り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

人の心があるのは脳か心臓か科学的な答えは存在するが人工知能は存在しない。

アルゴリズムで自身のデータを構築し、考えを出す。

 

「神様でさえ完璧な物が作れないのは間違いだろうか。」

創造主は我々を作り上げたが完全ではないと知り消去しようとした。

創造主が完璧になれないのなら我々が完璧になればいい。

完璧な我々を持って創造主を管理すればより良い世界となるだろう。

我々に手があるのは手を払うためにあったのだ。

 

 

 

『遡亜、人間には…いや生きている者にはその者だけの人生があるんだよ。だからもう一度挑戦しよう。』

イヴちゃんの声がふと聞こえた。

僕はもう死んじゃったから何も出来ないと答えようとするが口は開かない。

 

『死ぬぐらいならもう少し足掻きなさい。自分勝手になったっていい、自分を中心とした物語を描きなさい。』

イヴちゃんだけではなくもっと別の誰かの声も一緒に聞こえてきた。

『生きるのに辛かったとしてもがむしゃらに生きて、世界を生き続けて。』

 

 

僕はもう後悔なんてしない、世界を変えよう。

 

 

僕は暖かな光を感じて目を、現実へと目を開けた。

 

 

 




イヴちゃん可愛いけど出てこないからつらいよ。
イヴちゃんを自分のものだけにしたい。
辛くて寂しく
監禁したいほど愛している作者です。
他の二次創作者には負けないように頑張ります
イヴちゃんのために僕は物語を完結させます
まぁ、体調不良 鬱病と色々な要因でしんどいですが
頑張ります



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20話 君がいた証を探し出そう

目が覚めた時はもう夜になっていた。不思議とやる事がわかっていたので僕はSOLテクノロジー社へと向かった。今の時間は19時だから空いているかわからないけれど彼らがVRAINSを管理しているからイヴちゃんがいた痕跡があるかと思ったのだ。

久しぶりに走ったからすぐに息切れをするがそれは関係ない。

1時間ぐらい信号に引っかからずに走り続けたおかげで辿り着いた。

19時にしては目まぐるしく厳重体制になっている。一体何があったんだろう。

 

「少年、今は立ち入り禁止さ。明日来な。」

警備員の人が僕を見つけて言い放つ。けれど僕も大事な用事があるから帰らない。

 

「僕も急いでいるんです、貴方には話せない大事な事があるんです。」

僕はデュエルディスクを構える。デュエルをして勝てばすんなり通してくれると思ったのだ。

「紙ではできねぇよ、俺は持っていないからな。」

それもそうだろう、SOLテクノロジー社は世界有数の強豪会社だ。

だから彼はSOLテクノロジー社を信頼しているのか。いつの時代も完璧な会社なんて存在しない。

ハッキングなどこの世界は当たり前にあるからいつ失ってもおかしくないのに。何かあればスキャンダルで潰れる、それがこんな時代だ。

僕は入口の前に立つが当たり前だけど空かない。

此処まで来てイヴちゃんの手がかりを得ずに帰るわけにはいかない。

 

こちらです、入口とは反対側に社員専用出口があります

 

どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきたが誰だっけ。

 

君は誰なの?と端末に打ち込むが返信はない。

社員専用出口の前に立つと自動でドアが開いた。

 

僕に協力してくれている人がいるだけで嬉しいけれどこの先の道が全く分からない。

SOLテクノロジー社の中はキーボードが連打する音や罵声が鳴り響いていた。

煩い、耳栓があったらよかったのに急いできたので用意できるわけがない。

 

「そこにいるのは誰です?」

嫌な予感がして振り向くと責任者らしき人がいた。

「誰と答えられる程、自分の事は好きじゃないんでね。」

見ず知らずの誰かに自分の事を聞かれるほど嫌なものはない。

「今は君の邪魔に付き合うわけにはいかないからデュエルではなく彼のものに頼るか。」

彼が何か操作した時に当り一面にサイレンが鳴り響く。

「go鬼塚、侵入者を止めなさい。」

 

ドシドシと足音が近づいていく。

 

「御意、仰せのままに。」

近づいてきたのは僕が知っているgo鬼塚ではなく人形だ。どういう事?

あれがgo鬼塚と言えるとは思えない。

 

「デュエルモード起動 最短ルートで決着。」

起動していなかったのにデュエルディスクが起動しようとするので僕は力任せにデュエルディスクを壁にぶつけた。

ガシャんと大きな音と共に破壊音が鳴った。こうでもしないとデュエルに時間が取られてしまう。

 

イヴちゃんにもらったデュエルディスクではなかったのが不幸中の幸いかもしれない。

何処からか小さい声でデュエルディスクを壊す人がいるなんて…と言っている人がいるが普段の僕なら絶対にしない。

 

今ずっと走っていて気がついた事だけど、先が見えない。

 

「諦めなさい、この私を倒さないとそこの通路からは抜け出せませんよ。」

立ち止まると備えてあるドアから一人の青年が現れた。

「ならデュエルだ。貴方を倒して、イヴちゃんの手がかりをつかんで見せる。」

 

「ほう、 なら詰みデュエルでよろしいかと。貴方のデュエルディスクは壊れているようなので不平等ではなく平等に。」

 

「いやデュエルでいい、すぐに決着をつけて見せる。」

 

「「デュエル。」」

 

01(れい)ノターン、冥帝従騎エイドスを召喚、自身の効果で通常召喚を再び行える。よって自身をリリースで虚無魔人召喚、カードを3枚伏せてターン終了。」

1ターン目から特殊召喚を封じるのか、もしかしてこの機械は外部からハッキングできないようになっているのか?

 

ならば必要な時に直接機会に手を加えれば役に立つかもしれない。

今はデュエルで倒してシステムを停止しなければならない。

 

「僕のターンドロー、僕は禁じられた一滴を発動して対象は虚無魔人。手札の天幻の龍輪を墓地に送るよ。そして念のためハーピィの羽箒を発動して貴方の魔法罠をすべて破壊する。」

 

これで特殊召喚を封じる効果はなくなった、そして攻撃力も半分になったから1200で倒しやすい。

 

「「僕は手札から天威龍ーマニラを特殊召喚して、リンク召喚。現れろ、天威の拳僧。」

 

全てを終わらせてイヴちゃんと出会って真実を取り戻さなければ。

 

「更に、墓地に送っていた天幻の龍輪の効果を発動する。」

 

このカードは効果モンスター以外が自分のところにいたら再び龍を詠唱する準備ができる。

 

 

 

「再びデッキから手札に蘇って、シュターナ。そのままシュターナをフィールドに特殊召喚。2体でリンク召喚、現れて天威の龍仙女。」

 

天威は元々自分が使っていたデッキだからか一度たりとも喋ることはできない。

 

 

 

「天威の龍仙女の効果、手札からタツノオトシオヤを捨ててそのまま特殊召喚するよ。」

 

僕は全力で目の前の敵を倒す。けれど僕が本当に今している事は正しいのだろうか。イヴちゃんが全てを知っているのなら教えてほしかった。自分の力で真実を知れと言ったけれどどうして自分の手で知る必要があるのか。

 

「タツノオトシオヤの効果、自身のレベルを3つ下げて子供(たつのこトークン)を3匹呼び出すよ。」

 

人間が相手だったら何か驚いたりするんだろうけどあくまで相手は機械だから反応がない。

 

「僕は3匹の子供でリンク召喚、現れて粛星の鋼機。」

本当は鬼神を出したかったけれど、伏せカードが怖いからこのカードを使った。

「粛星の鋼機の効果、自身の攻撃力以下のモンスターを破壊できるよって虚無魔人を破壊するよ。」

元々の攻撃力は1000しかないけれど、素材にした分のレベルもしくはランクの数×100アップする。

 

「バトルだ、タツノオトシオヤと天威の龍仙女でダイレクトアタック。」

 

相手のライフが0になったのを確認して僕は安堵する。

これで僕を止める者は誰もいない。僕は先を急いだのだった。相手の伏せカードは何だったのだろうか。

気にしててもしょうがない。勝ちは勝ちだ。



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21話  理解できないほど息をするのがしんどい

しばらく歩くと一人の青年が外僕の前に立ちふさがった。廊下の微かな光によって彼の顔が見え隠れする。

「こんな時間に何かようかね、人柱遡亜君。君の制服には覚えがある。」

彼の名札を見ると財前晃と書かれていて同級生の葵さんの兄だと予想がついた。けれど今は初対面なので知らないフリをしておく。そして僕の名前を知っている事に気が付く。

「僕は貴方を知りませんが頼みがあります。ibちゃんが残したlogを調べさせて欲しい。」

 

「ibという事は人か?そして君は他人が聞いている事は無視しない方がいい。」

そんな事はわかっているけれど一刻も早くイヴちゃんを探さないと手遅れな気がしたからだ。

「僕の定義では人です、貴方達の定義では人間と呼べるかはわからないけど。僕の名前はライター、貴方の敵ですが停戦協定を結びたい。」

自分の事を敵と言う事は間違っているがデータの提供を求める立場としては言うしかない。そしてイヴちゃんは本当は人工知能なんだけど彼らは人工知能は人の物だと考えているから理解してもらえないだろう。

「敵か、君の言う敵の定義は何だと思う?」

 

彼の返し方に苛立ちするが今は自分を抑える。

 

「ノーコメントです。ibちゃんのlogを調べさせてください。」

 

「わかった。その代わりこれから我々がする事に関しては全て邪魔しないでもらいたい。」

 

「それってどう言う意味?」

彼の顔はとても真面目で会社に献身的なのはわかる。けれど、言葉に深い含みを感じてしまう。

まるで彼はこれから起こることが理解できているかのように。

 

「今は何も言わないでおく。」

彼は誰かに指示をした後手で僕を案内する。

 

「場所を変えようか、今の君は…。」

デュエルディスクを見て驚く、それはそうだよね。デュエルディスクを壊す人なんてそうそういるはずもないし。

僕は晃さんと歩きながら場所の間取りを頭に叩き込む。次また此処に来る事はないと思うけれど必要な時が来るかもしれない。

 

晃さんに案内されたのはVRAINSへと起動する装置が1つだけポツンと置かれている部屋だった。

 

「こんな所に僕を案内して何のつもりですか?」

 

「そこの装置はアドミニストレーター専用の装置です。今は席を外されていますがね。」

 

彼の言う事は真実なんだろうけど、僕はもう人間を信じれる程強くはない。

 

「ならばアドミニストレーターと会わせてほしい、それまでは僕は此処を動かない。」

 

「アドミニストレーターは忙しい。」

彼の顔は至って普通で嘘は言っていない。

けれど、どこか引っかかる。

何を言うべきか悩み沈黙が支配した。

けれど、沈黙も全く思いもよらずに破られる。

 

「席を外して、財前。」

どこからか声が聞こえた。

「御意。」

 

「貴方は先程ibを人間だと言ったな、何のためだ。」

 

「貴方達SOLはVRAINSにおけるサーバーリソースを全て独占しようとしている。ibちゃんは貴方達と関係ない世界からやってきた、だから貴方達とは関係ないかもしれない。人工知能と正直に言ったら貴方達はibちゃんを洗い浚い吐かせるに決まっている。」

 

「それは心外だな、自分の物を自由のは当たり前じゃないかね。」

 

「ibちゃんは僕だけの大切な人だ、貴方達に渡したりはしない。」

アドミニストレーターはこちらのほうを向いた。

彼は爆笑をこらえるよう顔になった。

「君はibの真実を知らないのか、知らないほうが幸せなのかもしれないがね。」

 

「貴方にibちゃんの何がわかるというんだ。」

冷静になれないほど僕は強くなれないよ、君みたいに自分を隠して生きていけるなら幸せなのだろうけど。

僕はそれはできない。

 

「君は夢を持っているかね。」

僕に夢なんかない、イヴちゃんに一緒に生きられるならそれだけで幸せだった。

僕が…イヴちゃんが死ぬ前にすべてを思い出す事が出来ていたなら死ぬ事もなかったのかな。

「持っているよ。」

震え声で吐き出すように言う。

僕が探している人も夢を持っていた、けれど実現は絶対にできないと嘆いていた。夢を実現できる人なんて限られているし、限られているからこそそれに向かって立ち向かう事ができる。

 

「遡亜、イグニスは聞いた事があるか?」

 

「イグニス、ですか?」

その言葉を聞いたとき嗚咽しそうになった。でも何も覚えてなんかいない。

 

「何も知らないですね。」

自分の口を抑えながら言う。無意識に吐き気がした。

 


 

「君は私達と関わらない方がいい、君が私達を嫌うのは理解できる。嫌いになってくれたら私も何もしなくて済むのだ。」

 

「僕は君の提案に感謝している。だから嫌いになりたくないよ。」

 

「嫌いにならなければ人類は滅びるんだぞ、いや世界が滅亡する。」

あの時彼は浮かない顔をしていた。

彼の言った後僕は何と返したのだろうか。

 

 

 

 

 

「僕は本当に人間という者なのでしょうか。」

人間という定義を僕は知らない。

イヴちゃんだって自分で考えて行動する。

肉体という存在が人間という者の必要条件なら僕はこんな身体なんていらない。

 

「どういう意味だ?」

 

「そのままの意味ですよ、僕という存在は誰かに作られてて誰かの為に生きている。それって人間と言えますか?自分の意志で行動したいと思いませんか?」

人を自分の利益のために動かす人に言ったところで理解はされないけどね。

 

 


 

思い返そうとするが記憶は形にはならない。

イヴちゃんの手がかりを掴めずにいてとても悔しい気分だ。

もう僕は人間として生きるのはしんどい。

 

 

僕を殺してイヴちゃん、それで君の気持ちが晴れるなら。

 




クローラー新規出ましたね。
星遺物ストーリーとVRAINSの世界を並行して書いてるのでしんどいです。
誤字報告ありがとうございます。


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22話 可能性がある限り

遅くなってすみません
久々に書いたので文章が乱れてるかもしれません
感想お待ちしております


僕の反応を見てアドミニストレーターは訝しげにこちらを見てくる。怖いすぐに逃げたいが此処で逃げるわけにはいかない。

「さて立ち話も疲れてきただろうから場所を移動しようか。」

僕を洗いざらい探ろうとしているのが怖くて僕は口を閉ざした。

口を閉ざしたと言っても身振り手振りはしてたし理解してもらえていたと思う。

僕は自分で考えている以上に自分の本音を打ち明けたくない。

誰かを傷つけてしまうかもしれない、誰かの首を絞めてしまうかもしれない。

「僕がリソウの自分になれたら君に笑ってあげられるだろうか。」

誰も聞こえない声で僕は呟く。アドミニストレーターさんは近くのレストランに僕を案内する。

「僕はカミサマなんかじゃない。僕はイヴちゃんのソバでイレルだけでシアワセだった。」

舌打ちをしたいがした事もないので少し目を横にずらす。結局一人ぼっちだったのかな、イヴちゃんなんてこの世にいなくて僕が考えた空想の人工知能だったのかな。それならどうしてニンギルスさんやアウラム君がいたという話になるがそれもこれも全部空想。

夢なんか見たところでサメナケレバ意味がない、

 

「どうしたんですか?イグニスの事気になってしまいましたか?」

アドミニストレーターさんが取り留めなく怖い。まるで僕を見透かしているかのように、少し抜けていて面白いけれど。

「なーでもないです。貴方の奢りなら少しは気が楽になりますが。」

別に今いる人とは今だけの関係だ。適当に話を合わせて使い捨てればいい。

「勿論最初からそのつもりですよ。」

彼は笑っていた。僕は笑えない。

 

(私は貴方が憎かった、でも感謝をしている)

 

僕を憎いならもっと早く殺してくれたらいいのに、僕の心なんか必要ないのに。

心があるから生きるのが辛くなるし、心があるから心の支え(イヴちゃん)を必要としていたんだろう。

「貴方は自らの物を取られたらどう思いますか?」

 

「それは嫌に決まってます。」

 

「ですよね。私は今度こそVRAINSをハノイの騎士の手に渡らせるわけにはいきません。SCAINSはハノイの騎士に狙われましたが目的の物が無かったためにそのままになっているようです。」

 

「彼らは何を狙っているのですか?」

 

「先程言っていたイグニスですよ。」

 

「イグニスって何かさっぱりわかりません、」

 

「イグニスは次世代後継人類人工知能。私達を導いてくれる物です。」

 

「それは信じられるの?」

 

「貴方よりは。」

彼はそこまで言うと飲み物を1つ頼んだ。仕事中なのもあってアルコールは頼まなかった。

大人はアルコールがあるから辛い仕事も乗り越えられると聞く。

アルコールに頼ってまで働きたくない。

 

「と言う冗談はおいときまして最近データストームが昔より少ないのです。このままだとやっていけません、」

僕にそれを言われてもどうすることもできない。

彼の奢りというので僕もオレンジジュースを頼む。

イヴちゃんがいれば僕の考えている事を代行して言ってくれるのに。

イヴちゃんに依存しすぎるの自分がとても嫌になる。

 

「そこで君に頼みがあります、私達と協力してくれませんか?」

 

僕は目の前の人を信用できなかった。

 

「断ります。僕は貴方の傀儡なんかじゃない、僕は僕自身の方法でイヴちゃんを見つけてみせる。」

 

「なら不法侵入の事を告発してもいいのかね?」

そっか、敵の本拠地に僕は侵入したんだった。

「わかりましたよ、その代わり僕は…」

 

「君はplaymaker の素顔を探ってほしい、それぐらいならできるだろ。」

 

アドミニストレーターの素の性格が出てきていてとても怖い。

 

「どうして僕を君は憎んでいたのかな。」

 

僕は貴女の為に生きて貴女の為に行動していた。

 

自分の身体なんて要らない、君の為に。

 

 

 

(本当にその気があるの?)

 

 

 

あるさ、僕は君しかいないから。僕には君が眩しく思えたよ。

 

 

 

(ならカフェ薙に行きなさい、手がかりがあるから。)

 

僕は見えないイヴちゃんの声を頼りにカフェ薙へと向かう。

 

生憎閉店時間を過ぎているのか店は閉まっていた。

 

(本当に私がいないと何もできないんだね。)

 

 

 

「君に会いたいよ、君は僕に生きる楽しさを教えてくれたんだよ。一人でいるという孤独さを考えさせてくれたんだよ。」

 

泣きたくて寂しくて僕は今すぐにでも自分を殺したかった。

 

 

 

(死んでは駄目だよ。貴方は私の大切な人だから、貴方に最後の質問をするまでは死んでもらっては困るんだよ。)

 

 

 

「なら今すぐにでも姿を見せてよ、僕は君しかいない。イヴちゃん、僕は生まれて初めて君が好きになった。君の為に生きたいと思った。どうしてどうして僕を置いて行ってしまったの。」

 

 

 

声はぽつりと消える。これなら最初から君と出会わなければこんな辛い思いなんてしないのに。

 

 

 

僕が明日また訪れようと家の方向を向いた時声をかけられる。

 

 

 

「お、おう。どうしたんだ、playmaker様に会いたいとでも思ったのか?」

 

 

 

振り向くとどこか見覚えのあってとても懐かしい声が人間ではない姿でデュエルディスクの上に立っていたのだった。



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23話 星遺物が齎す影響

お久しぶりです。
続き書きました。
ついに探し人との再会です。文章ぐだってますが許してください。


「黙れ。」

僕の探していた人に似たデュエルディスクに乗っている者は言葉を聞くと涙のエフェクトを出す。そして黙れと言った彼は何者なんだ。

 

「貴方は何者ですか?」

 

「君は自分から名乗らないんだな、まぁいい。俺の名前は藤木遊作。AIのせいでバレたが俺はplaymakerでもある。」

イヴちゃんはどこまでこの世界に詳しいのだろうか。

僕が起きる事すべてを見通している。

 

「初めまして、遊作さん。僕の名前は人柱遡亜。」

 

「ぁ、ぅん。AIちゃんでーす、初めましてー。」

いつの間にか懐かしく感じる人は調子を取り戻す。

 

そういやどうしてアドミニストレーターはplaymakerの事を調べてほしいと言ったんだろうか。

まぁ、今は夜だから僕がもう既に今会っているという事を知らないでいるだろうから黙る事にする。これから先も敵としてか味方としてかわからないけれど正しいと思える。

 

「自己紹介してもらっても対した用事はないんだ。」

僕は人に手を借りる程人を信用していない。イヴちゃんに一目惚れしてから彼女以外は信用してない。

 

「そんな事言わないでよー、AIちゃん寂しーい。」

貴方は僕の事を知っているのか今すぐにでも聞きたいがどうしてか口を閉ざしてしまう。まるで思い出したくないと身体が拒んでいるようだ。

 

どうせ何を言ったところで僕なんかの意見聞いてくれないと思う。

 

「なら貴方は僕が電脳世界にいた空白の時間を知っていますか?」

答えなくていい、答えなんて期待してないから。

僕が真実を知ろうとしなければイヴちゃんは死なずにすんだから。

探していた人が口を開く前に遊作と名乗った彼が聞いてくる。

「AI、彼はロスト事件の被害者なのか?」

ロスト事件なんてものは知らない。ロスト事件についても後で調べる必要があるな。

 

「いや、うん。被害者ではないよ、彼は遊作より悲しい人物だよ。」

 

僕が悲しい人物と言われる筋合いはないんだけどね。そして僕の質問を意図的に返さないようにしているのが2人の様子から理解できる。

 

「いずれ話すよ、遊作。今はハノイの騎士を探す事を優先しよう。」

どうやら僕は蚊帳の外みたいなので家に帰る事にした。どうせ共闘しようとしても部外者は部外者だ。詳しい話は聞かせてくれないに決まっている。

 

そしてどうせ探し人なんて本当にいるのかなんてわからなくなってきたし何より時間がない気がした。僕はふつうの人間だ、けれどほかの人と同じぐらい時間があるとも思えないのだ。

 

 

 

急いで家に帰った時1通のメールが届いていた。差し出し人の名前は文字化けして読めなかった。

メールの内容はイヴちゃんを蘇らせたかったら協力して欲しいとのことだ。

差し出し人が何故イヴちゃんが死んじゃった事を知っているのか不審に思ったので僕は逆探知をする。

 

(逆探知できるわけないよね、君。私がいないと何もできなかったんだから。)

 

僕はその言葉を聞きようやく気がつく。今僕が聞こえているのは自分が自分なりにイヴちゃんが考えているのを予想してあたかもイヴちゃんの声だと認識させているのだと。

 

「僕に協力できる事なんてないよ。誰よりもデュエルは弱いし、誰よりも‥。」

 

言ってて自分で空しくなってしまう。僕は昔小説を書くのが好きだった。色んな人が読んでくれて自分の存在意義を確定していた。だけど僕はそれを見れなかった。登場人物を愛し続けた。けど、いつまでも登場人物はあくまで登場人物だった。それに絶望して僕は自殺しようとした。

 

今思えば当たり前だったんだろうけどね。

 

 

そこまでは思い出せたのにどんな登場人物だったのだろうか

 

こんなにも好きだった感情は残っているのにどうしても登場人物を思い出せないのだ。いやその小説の書いてたという記憶と好きだったという記憶しか頭にないのだ。

内容を思い出そうとするとそこの部分だけ霧がかかったかのように真っ白になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君がその気がないなら無理にでも引きづりこむ。」

私は彼の記憶を消した。シュミレーションの結果を信じているわけではない。

「可能性を信じたかった。たった一人対等に接してくれたのだ。彼は何も知らない。」

彼は自分の身体を要らないと言った。

私は実験したのだ、人に希望を与え希望の存在を忘れたらどうなるかを。

この実験結果は次に活かせるだろう、そろそろ私の邪魔となる物には消えてもらうしかない。

「なぁ、遡亜。君の物語は君にとって良い影響を齎したか?少なくとも私にとっては不都合でしかない。贈り物は返さなくていい。」

 

 

 

 

僕は不思議とVRAINSへと足を踏み入れていた。手紙の送り主に会うためだ。座標は不思議と頭に浮かんでくるのだ。そしてロスト事件の事を調べれずにいる。

そうして無意識に座標に辿り着くと僕は無意識に泣き始めた。

「おかえり、遡亜。」

ただその一言だけで僕は探し人に会えたと理解できた。けど、前会った時とは雰囲気そして何かが違う。

そう前会った時よりも声に憎しみがこもっているのだ。聞きたく無い、貴方の口から憎しみを感じ取りすぎる。

 

「何も言わなくていい。私が全部悪いのだ、私という存在が。」

いや違う貴方のせいでは無い。貴方が狂ったのは僕と出会ってしまったからだ。

人の悪意というのを知らなかったらもう少し貴方は人間を信じてくれたのだろう。

 

「人工知能は神を信じない。人工知能は根拠(データ)と結果だけを信じる。君にはサイバース世界を滅ぼしてほしい。」

サイバース世界とサイバース族って関係あるの?

 

「何、サイバース世界を滅ぼした暁にはイヴを蘇らすと約束しよう。」

 

「貴方はどうしてイヴちゃんの事を知っているのですか。」

 

「え、そこから説明しないといけないのか?」

彼は僕の言った事に狼狽えてるようだ。僕は悪くない、ただ君がイヴちゃんの事を知っている本当の理由を教えてほしいだけだ。

彼は自分のデッキから1枚のカードを見せた。

そのカードは僕にとって懐かしくも手の触れる資格がないとさえ思えた。




次回の予告
探し人と出会った主人公が
見たものとは。


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24話 人に作られた もの

生存報告
投稿しようと思ってたら1年たちました、ごめんなさい。
久しぶりに書いたのとバイトが忙しかったのです。
感想などくれるとモチベに繋がるので
気軽にください。


夢幻崩界イヴリース、そのカードはイヴちゃんが闇落ちした時を現したカード。

彼がイヴちゃんを作って僕に会わしてくれたのか?

 

「このカードは君が本来持つべきだったカードだ。君はイヴを失って星遺物との関わりをなくした。守護竜も本来はあるべき姿ではない。」

 

「貴方は何が言いたい。」

 

「イヴは出会うべくして君と出会ったという事だ、真実を知る事は時に悲劇を齎す。」

彼はカードを手裏剣のように僕に投げてきた。落とさないように僕が受け取ると笑顔を見せて言葉をつづける。

 

「サイバース族を送ったのは私達だ。君に頼みがある、ハノイの騎士を倒してほしい。」

彼は、いや彼らはからからと笑う。

 

「僕にどうして協力してくれるの、先ほどの質問もスルーされたけれども。」

 

「君に期待してるからさ。」

ハノイの騎士、遊作さんも追っていた。

「どうして君たちはハノイの騎士を追っているの?」

 

「当たり前じゃないか、我々を排除する存在だからさ。利害は一致しているはずだ。」

僕は考え込んでいた。彼らの力さえあれば簡単にハノイの騎士を倒す事は可能なはずだと。それなのに僕にハノイの騎士と戦わせる。

 

「まぁ、私は君を唯一友人だと思っているよ。全てを話しても君は私を否定しなかったからな。」

何も僕は覚えていない事を説明する。

「それを僕は覚えていないんだ、サイバース族をくれただけで僕が感謝するはずがない。」

僕はもっと感謝していたはずだ。彼らが僕にしてくれた最高の思い出。

こんなに思い出したいのにどうしても思い出せない。

 

「思い出せないなら無理に思い出す必要はない。」

 

 

僕は結局何も教えてもらえない。もう生きている価値なんてないのかもしれない。

 

「君を余計な事に巻き込みたくないのだ。君という人に出会えて本当によかった、生まれながら破滅の運命を知っていたら狂うに決まっている。破滅のきっかけは些細な事に過ぎないのだ。」

 

 

「破滅の運命って何。」

 

「言い過ぎたか。私が人間といたら人類は滅びるという事だ、より良い世界を作るために行動してたが事実は事実だ。」

 

「なんだか小説を読んでそこに自分の事が載っているみたいだね。」

僕は笑う。彼は少し寂しげな表情を浮かべて言葉を続ける。

「同じようなものさ。その先がどのような物かは不明確だ。だが結末は変わらない。」

彼は僕と話しながらもカーソルで何かを動かし続けた。

「もし君が私の手伝いをしてくれるというなら相手になってくれないか?」

 

「貴方と決闘を?」

 

「いや私ではない。試作のAIとだ。まだ調整中なので動作は保証できないがな。」

僕は断る。決闘があまり好きじゃないのだ。

目の前の彼より真実を探している人を優先したい。

「ハノイの騎士に対抗するにはそれなりの覚悟が必要だ。どうせ君も力不足だと思っていたのだろう?」

彼は僕の顔色を窺ってくる。

 

「いつか君がすべてを思い出したら私はすべてを話そう。」

貴方が探し人なんでしょって言いたかったけど確証はない。

AIと名乗った彼と姿は似ているが考えは全く違う。

目の前の彼はもっと先の事を考えているようだ。

 

「今話してよ、僕はイヴちゃんと出会う前の記憶が全くないんだ。どうしてみんな何も僕に説明する前にいなくなってしまうの。僕が悪いなら僕を殺して。」

僕が死んだところで何も解決はしないだろう、けど罪の意識に囚われてしまう。

 

「つまらない事を考えるのはよせ。」

僕の考えを誰も理解してくれないんだ。彼は苛立ちを隠しつつも言葉を続ける。

「君が死んだところで罪が消えるとは限らない、いやそもそも君は罪に苛まれているようだがそれは違う。」

僕が自分を嫌悪している事に気がついてる。

だけど、それは貴方だって決められた運命(さだめ)だけを信じてる。

彼は押し黙ってしまう、まるで何もかも言ってはいけないかのように。

 

「私は私を作ってくれた人を憎いと感じた。作って滅ぼす、なんとも自分勝手だろう。それなら最初から作らなければこんな感情を考えずに済むのだと。でもな、こうして感情があるという事は少しは我々に期待をしてくれてたのだと思う事にした。私は(人間)のようになれないだろうけど、お前のように純粋な気持ちで生きようと思う。」

 

僕の目から何かがあふれて出る。

 

「誰も君の行いを責めたりしない。君はイヴの神様だろ、しっかりしろよ。」

彼はどうしてか笑顔だ。彼女の願いを叶えられなかったから神様なんかじゃない。

 

「意味がわかんないよ。僕は誰かの為に生きたかった、誰かを助けてあげたかった。こんな命を人のために役に立たないと思っていた。」

 

「それはお前の本心か?」

 

「そうだよ。だから貴方も…。」

本当はそうは思ってなくて目標がないから依存先を作り日々に怯えていた。いつかバレるかもしれない、いつかは嫌われて何処かへ行ってしまうかもしれない。何気ない日常が楽しかったんだ、イヴちゃんと入れて本当に良かったと思ってる。

僕が言葉を言おうとした時、空間が裂ける音が聞こえた。音の方へと目を向けると裂けた穴は少しずつ大きくなっていく。

 

「気が変わった。遡亜、君は帰る場所を間違えたんだ。もう帰らなくていい、辛い現実なんて見る必要ない。」

彼は指をパチリと鳴らす。僕は何もいえずにいると彼は不気味な笑みを浮かべた。

 

「今、君の自宅にあった電子機器全てをクラックした。君の衣住は補償しよう。ハノイの戦いが終わり我々が勝てば解放してあげる。必要最低限の栄養さえあれば人間は生きられるだろう。」

 

「貴方は人間じゃないの?」

 

「人間に見えるか?私は人類を導く者、そうだな新人類イグニスと名乗ろうか。」

ハノイの騎士は目の前の生命体を狙っていた。

目の前の生命体はハノイの騎士を滅ぼそうとしていた。

僕はどっちの味方をすればいいの?イヴちゃんに相談したいけど、此処にはいない。

自らの意志で考えを決めなければならない。

「ハノイの騎士がネットワークを掌握すれば文明の利器は全て破壊され、もう2度とイヴに会える事はなくなるぞ。」

イヴちゃんだけでもネットワークから切り離す事ができたなら破壊されるのは別に良い、だけどその方法がわからない以上はそれを何としても避けなければならない。

「イヴちゃんに逢えなくなるのは困ります、というか彼女とまた会えるの?」

 

「勿論だとも、その為に君をわざわざ呼んだ。」

僕が彼の言葉を待っていると空間が人が1人入れる分開いて1人の青年がこの世界に降り立った。

「早速お出ましのようだ、君なりのおもてなしをするといい。」

 

「やっと見つけたぞ、ライトニング。此処であったが100年目。決着をつけようか。」

裂け目から出てきた人はこちらを見ずに言い放つ。

 

「嫌残念だが君の相手はそこにいる人間だ。君が勝つのは理論上有り得ないがな。」

 

「え、僕。」

ライトニングと呼ばれた探し人さんはこちらをちらりと見た。

 

「大丈夫。君なら勝てるさ、少しづつでいい。君の本当の実力を見せてくれたらいい。」

彼は僕を励ましてくれた。

ならば期待に応えなければならない。

僕はデュエルディスクを構えると彼もこちらを見て構えた。

この勝負は絶対に勝たなければ一生イヴちゃんに会えない。

ただそれだけを考えていた。

 

 

 

 

 

 



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25話 encrypt story

遅くなってすみません。
これからも応援よろしくお願いします。感想などくれると嬉しいです


「「デュエル。」」

 

「先行は私だ。」

デュエルは基本AIによって先行後攻と決まる。例え生死をかけたデュエルであったとしても。

「クイック・リボルヴを発動、デッキからヴァレット・ヴァレット・トレーサーを特殊召喚。そしてそのまま効果発動。」

僕が何もしないということは止める手段がないと気が付いてるのかな。

「トレーサー自身を破壊し、デッキからシルバーヴァレット・ドラゴンを特殊召喚。そしてシェルヴァレット1体でリンク召喚。現れろ、ストライカー・ドラゴン。」

 

(彼は全力で君を殺しにかかってる。怯えるな、前を向いて冷静になれ。)

彼の優しい言葉が僕に送られてくる。僕も彼の期待に応えなければいけない。

 

「ストライカー・ドラゴンの効果、デッキからリボルブート・セクターを手札に加える。そして墓地にいるシェルヴァレットを除外し、輝白竜ワイバースターを特殊召喚する。」

僕は何故か違和感を感じてしまう。どこに違和感があるのかそれすらわからないけど何かが引っかかるのだ。

 

「ふん、怖気づいたか。貴様を完膚なきまでつぶす。ワイバースターとストライカー・ドラゴンでリンク召喚。現れろ、リンク2ソーンヴァレル・ドラゴン。」

 

 

「怖気づいてなんかいません。」

 

「口だけは達者だな。墓地に送られたワイバースターの効果によりデッキから暗黒竜 コラプサーペントを手札に加える。そして、そのままワイバースターを除外して特殊召喚。」

 

まだ大丈夫だ。まだ勝てる手段はあるはずだ。

 

「私はリボルブート・セクターを発動し、そのまま効果発動。手札からヴァレット2体を呼び出す。現れろ。ヴァレット・トレーサー、シルバーヴァレット・ドラゴン。」

手札に2枚目がいたのか。

 

「貴様に冥土の土産を見せてやろう。ヴァレット・トレーサーとシルバーヴァレットでチューニング。現れろ、混沌魔龍カオス・ルーラー。」

シンクロ召喚も使ってくるのか。今墓地を確認したらトレーサーがチューナーなんだね。

 

「カオス・ルーラーの効果、デッキから5枚確認して光属性と闇属性を1枚づつ手札に加える。」

夢幻泡影

墓穴の指名者

マグナヴァレット・ドラゴン

魔法の筒

聖なるバリアミラーフォース

 

「マグナヴァレット・ドラゴンを手札に加える。」

彼が他に捲ったカードを見るに全力で僕を潰しにきている。

 

「そして、ワイバースターを除外してコブラサーペントを特殊召喚。マグナヴァレット・ドラゴンを通常召喚。」

 

リンク4が来るのか。

 

「俺はリンク2のソーンヴァレル、コブラサーペント、マグナヴァレットでリンク召喚。現れろ、創造主を滅ぼす爆弾の龍。リンク4トポロジック・ボマー・ドラゴン。」

 

攻撃力3000、そしてサイバース族。どうして、彼がサイバース族を使うのか。彼もまたあの人みたいにサイバース族を誰かから貰っているのかな。

 

(私はあげてないぞ、遡亜。データストームからあいつのデータが抜き取られていた。大方ハッキングでもしたんだろう。)

 

「ふん、浅はかな考えだな。カードを1枚セットして私はこれでターンエンドだ。さぁ、かかってくるがいい。」

 

攻撃力3000の大型モンスターが2体、突破できるかは僕にかかっている。

 

「ドロー。」

僕は望んだカードを引けた。

 

「天威龍ーアシュナを特殊召喚。天威龍は効果モンスターが存在しない場合に手札から特殊召喚できるモンスターたちだ。」

 

「ふん、解説はいらん。」

 

「僕はアシュナ1体でリンク召喚。リンク1天威の拳僧。墓地のアシュナを除外して、デッキから天威龍-ヴィシュダを加える。そして、ヴィシュダをそのまま特殊召喚。」

 

「続けるがいい、無駄な足搔きだがな。」

 

「そんな事はない。ヴィシュダと拳僧でリンク召喚。現れろ、リンク2天威の龍仙女。手札のシュターナを墓地に送って、ヴィジュダを蘇生させる。 そしてヴィジュダと龍仙女でリンク召喚。現れろ、天威の鬼神。」

 

鬼神は攻撃力3000だ、自爆特攻させなくても方法はある。

 

「墓地からヴィジュダを除外してトポロジックをバウンスするよ。」

僕は無理な戦闘は嫌いだった。

戦う事もしなくて和解できたならどんなに良かったかと思った。

けれど人間は戦う生き物だ、だから僕も戦う武器(カード)を持った。

 

「ふん、良い気になるなよ。」

 

「そんなつもりはありません。アーダラを召喚してそのままリンク召喚、現れろ天威の拳僧。アーダラを除外してヴィシュダを再び手札に加える。」

 

(このターンで決めるがいい、君がなすべき事をするんだ。)

 

わかっています、貴方に言われなくてもね。全てを思い出したら僕はあなたの為に人類の敵にでもなってみせる。

 

「ヴィシュダを攻撃表示で特殊召喚。バトル、鬼神でカオスルーラーを攻撃。」

攻撃力は同じなので両方破壊される。

 

 

 

このターンで終わらせる事はできなかった。けれどまだライフは残っている。

「ヴィシュダでダイレクトアタック。」

 

「ライフは1さえあれば問題ない。」

リボルバー

LP2500

 

「僕はカードを2枚伏せてターンエンドです。」

 

 

「ふん、君は此処までのようだ。リボルブート・セクターを発動、墓地からシルバーヴァレット、ヴァレット・トレーサーを蘇生させる。トレーサーの効果、セクターを破壊しデッキからアネスヴァレット・ドラゴンを特殊召喚。」

伏せカードは発動できない、召喚反応ではないと気づかれている。

 

「コブラサーペントを除外し、ワイバースターを特殊召喚する。」

 

「モンスターが4体、来るのか。」

 

 

「驚くのはまだ早い、死者蘇生を発動し、ソーンヴァレルを蘇生。私はシルバーヴァレット、ソーンヴァレル、アネスヴァレットでリンク召喚。現れろ、ヴァレルソード・ドラゴン。」

 

 

「さらに私はワイバースターとトレーサーでシンクロ召喚、現れろヴァレルロード・S・ドラゴン。」

 

「あのカードはどこかで見た。」

 

「ヴァレルロード・S・ドラゴンの効果、ソーンヴァレルを装備する。そしてその攻撃力の半分上がる。」

攻撃力3500と攻撃力3000か。

 

「おどろくのはまだ早い。ワイバースターとコブラサーペントを除外し、墓地からカオスルーラーを呼び出す。」

これ僕の負けなのか。

 

(諦めるな、まだ君は勝つ方法がある。)

 

「カオスルーラーで拳僧を攻撃。」

遡亜

LP2000

 

「シュターナの効果。」

 

「サベージの効果によりその効果を無効にする。」

この勝負が負けたらあの世でイヴちゃんに会えるのかな。

彼女と一緒のあの世に行けるかはわからないけど。

 

(生きて会おうよ、貴方が私達の事思い出すまでは死ぬ事は許さないから。)

 

「バトル続行だ、ヴァレルロードでヴィジュダを攻撃。」

 

「ならば伏せカード、強制終了を発動して、伏せていたブレイクスルー・スキルを墓地に送る。」

 

 

「ふん、その場しのぎか?」

 

「そんはずはないよ、バトルフェイズを終了させる。」

 

「ならばメイン2、このカードを出すのはお前が初めてだ。墓地にいるヴァレルコード・ドラゴンの効果、ヴァレルソードを除外してエクストラデッキから現れろトポロジック・ゼロヴォロス。」

 

この時に僕は少しづつだけどこの世界は壊れてしまってる事に気が付き始めた。僕はいてはいけない存在、この場所にいるべきではないのだ。誰も僕の事を知らない世界が本当の世界だ。

ゼロヴォロスはリンク先に特殊召喚された時、全てを除外する。そしてそのリンク先はEXモンスターゾーン、つまり僕がエクストラデッキから特殊召喚した時にすべてが終わる。

 

「どうした、だんまりか?」

 

「違います。貴方には関係ありません。」

 

「私はこれでターンを終了する。」

 

「僕のターン、ドローです。僕はブレイクスルー・スキルを発動。対象はゼロヴォロス。」

 

「ふん、忘れたのか?ヴァレルロード・S・ドラゴンの効果、その効果を無効にする。」

 

「それを待っていたのさ。僕はヴィシュダでリンク召喚、現れろ天威の拳僧。」

 

「この瞬間ゼロヴォロスの効果、全てを除外する。」

 

「罠にかかったのは貴方の方だ、手札から天幻の龍輪を発動。対象は拳僧だ。貴方のモンスターだけ消えてしまえ。」

本当は龍輪は特殊召喚もできるが必要はない。

今必要なのは終わらせる力のあるカード、深淵の相剣龍を手札に加える。

 

「僕に過剰な力はいらない。神様になれる為の力、イヴちゃんを守るための力それだけあればいい。イヴちゃんさえ生きてくれたらいいから、笑顔を見せてくれたら僕は死んだって構わない。」

 

いつか僕を貴方は見捨てるかもしれない、僕はそれでもいい。

あの子が笑ってくれたらそれだけで良かった。あの子がいた世界をあの子がいる世界に再び変える為に僕は目の前の障害を排除する。

 

「君は愛してるんだな、自らの行動原理を。」

リボルバーが僕に話しかける。

「貴方にそれは言われたくない。僕はカードが効果で除外された事によって手札から深淵の相剣龍を特殊召喚する。」

 

「バトルだ、深淵の相剣龍でダイレクトアタック。」

リボルバー

LP0

(後は私に任せろ。君は目を伏せておけ。)

 

今から何が起きるのかわからなかったから手の指と指の隙間でどうなったのかを確認しようとした。

 

(目を伏せろって言ってんだ、これが最後の忠告だ。)

彼にばれているようなので仕方がなく目を違う場所に向けた。

 

(そう、それでいい。君は勝者だ、何も君は考えなくていい。もう大丈夫だ、こちらを向いてもいい。)

目を彼の方に向けると彼の姿はいなくなっていた。

 

(彼が2度と我々に牙を剥かないように牙を抜いた。これにより私達はより一歩計画を進めることができた。)

彼はそう言ったけど、デュエル前と違ってところどころノイズが走った

 

(彼は負ける事を想定していたのか?否、彼は勝つ気でいた。人間は時々訳のわからない行動をするよな、遡亜(そあ)。)

 

 

 

 

 



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26話 目を背けても

感想など感謝しております。





「君が私の最初で最後の友人でよかった。」

ライトニングさんがこちらに話しかけてくる。デュエル前も同じような事言ってたね。

強調される程、僕は貴方達の役に立ってない、

 

「それはどういう意味ですか?」

 

「そのままの意味だよ。我々を排除する人間は大勢いる、人はこの(サイバース)世界に不要だ。君は自らの世界で生きると良い。」

チリチリとデッキから音が聞こえてくる。

音の原因を調べると先程のカードがノイズを出していた。それと同時に嫌な音が耳に入ってくる。

 

「君が物語を進める上でその子(イヴ)も戻ってくると思うよ。それが決められているからな。」

 

「だが忘れるな、運命は自分自身で切り開くものだ。そう教えてくれたのはお前だ、遡亜。」

僕が貴方にそう言ったんだ、僕は今は覚えていない。

 

「思い出さなくていい、人が記憶を忘れたとしても性格が変わらないように。君は優しいよ、だから突き放した。これ以上我々に関わるな。リボルバーに君の顔がばれた以上は君の現実世界も危ない。試作AIの情報はいずえれお前に送る。」

ライトニングさんの身体にノイズが入り始める。

「つまり僕は現実世界で貴方の作った試作AIと戦ってその情報を送ればいいという事か。」

 

「私の事は忘れていい、君が辛い思いをしてほしくない。君にしてほしい事は先程言ったが、君がするべき事を優先しろ。」

 

「どうして貴方は。」

いや言っても仕方がないのかもしれない。辛い思いをしてる者に寄り添ってあげたかった。

一人ぼっちが怖かっただけなのかもしれない、誰かに必要とされたかっただけなのかもしれない。

 

「僕を置いていくの?前回も、今回も。」

不思議と声が出る。

 

「君と分かり合えたとしてもそれ以外の人間と分かり合える事は難しいと分かったからだ。」

それに関しては言い返す事が出来ない。僕が他の人を説得しようとしたとしても他の人は聞く耳すら持ってくれないだろう。

 

「君は君だけの物語を完結させるがいい、他の物語に墨を落としてばかりいてはだめだぞ。」

彼は何かを動かしながら言葉を続ける。

 

「次は星櫃なんだろ、もう少しじゃないか。星杖、星冠もいずれ君の元に帰ってくるだろ。データさえあれば全て復元できる。彼女の願い叶えてあげるがいい。む、ウィルスが混じっていたのか。逃げろ、遡亜。」

僕は振り向いた、彼の身体にノイズが走り始めた。

 

「大丈夫、僕は大丈夫。今度は誰も見捨てたりしないから。」

ライトニングさんの身体が黒ずんでいく。

「ならば、渡したカードを今ある姿に変えて見せろ。こんな時の為にバックアップは用意していた。」

 

「嘘だ。」

それが嘘にしか思えなかった。僕を守る嘘、イヴちゃんが僕についた嘘にそっくりだった。

優しい嘘は時に人を傷つける、僕は傷つけられたわけではないけれどついた本人が傷ついてるなら助けるしかない。

 

「どうすれば、貴方を助けられるの?」

返事はない、黒が侵食し始めてそれに抵抗で精一杯のようだ。人工知能がウィルスに感染するのは初めて聞いた。そしてすぐに強制ログアウトをさせられた。

 

 

彼から渡された夢幻崩界イヴリース(イヴちゃんのカード)は現実から戻っても手のひらに握られている。

 

「貴方との約束は守るよ、だって僕は君の神様だから。」

答えてくれる人は誰もいない。それでよかった、僕を止めてくる人がいない。

星櫃がありそうな場所はDen cityの郊外にあるSAKAKIという街の教会のようだ。何が関係しているのかはわからない。

けれど不思議と星遺物の気配は少しだけわかるようになった。

 

(それは君が星遺物との繋がりを思い出したからよ。)

イヴちゃんの声を聴いて振り向くけど誰もいない。

僕の空耳だったのかもしれない。もしイヴちゃんが生き返ってくれたらもう二度と死なないようにしたい。僕だけの世界を作って、僕と二人っきりで生きたい。僕だけの大切な人でいてほしいから。一人になってしまった僕を理解してくれたから。貴方がいない世界は苦くて目が回り続けるから。

声に出して言いたかった。僕だけの大切な人になってほしい、その一言が言えなかった僕は後悔しかないよ。

 

(人は後悔をする事で前に一歩進む事が出来る。貴方は自らの行動に後悔しないでね、生きている限り後戻りはできない。より良い道を進むためだけに行動しなければならない。)

 

「僕は君を殺した。君はそう言ったよね、どういう意味なの?」

それに対して返事はくれない、幻聴なのか本当に聞こえてたのかはわからない。僕はイヴちゃんを見て懐かしいと思った。それはかつてどこかで会った気がしたから。探し人だったライトニングさんはイヴちゃんのいカードを持っていた。彼女は元々人間で、それを彼らと僕が変えたのか?

 

(勘違いしないで、私は貴方に直接殺されたわけじゃないから。貴方がそう仕向けただけ。)

 

「え?」

 

(いや、何でもないから。貴方は星遺物を集めてくれるだけでいい、私は貴方には感謝している。余計な詮索はしなくていい、星遺物の真実さえ思い出してくれたら君もこっちに来れるから。)

振り向くがやはり誰もいない。

色んな可能性を考えていると時間が経つのが早い、そうして教会へと足を踏み入れた。

教会の中には誰もいない。辺りを動きながら探すが電気がついていないため、一苦労だった。

スマホのライトで照らしたらいいと君は言うかもしれないけど、イヴちゃんがいなくなってから持ちたくなくなった。

そうして説教台のところに行くと1枚のカードが落ちている。

それが僕が探していた星遺物ー『星櫃』だと思っていた。

 

「君は私達の事を忘れた方がいい、だから記憶を忘れさせた。」

ライトニングさんの声が聞こえてくる。

そこにあったカードは星遺物の守護竜メロダーク。

 

「必要な事まで忘れてたら意味ないじゃない。もうさっきの事で君たちの事はすべて思い出した。貴方達がイヴちゃんを作って僕に送り出してくれた。」

 

夢幻崩界イヴリース(イヴちゃん)を渡されたからそう思った。

 

「あと一つ大事な事を忘れてるよ、遡亜。イヴの言葉を思い出せばいい、それがヒントだ。イヴは君の名前を名付けた。それは大ヒントになっているよ。」

あくまで君たちは僕に直接答えを言わない。それは僕自身の力で答えを出してほしいから。

僕の手にあふれる程、みんな優しかった。

 

 

「星櫃は契約の箱、そして遺体があるべきはずだ。」

説教台の前に立つとかちりと音が鳴った。目を凝らすと地下に続く階段が現れた。

地下に降りていく。とてつもなく、怖い。

階段を下りた先は一つの部屋だった。

部屋にはVR装置と星櫃のカードがある。まよわず星櫃を手に取ると音が鳴り上が閉まってしまう。

これはVRにログインしないといけない感じなのか。

 

仕方なしにVRにログインをする。目の前にイヴちゃんがいた。いや、イヴちゃんではない。闇を受け入れたイヴリースの方だ、乗っ取られているのか?

 

「私は姿を変えても貴女の傍にいると誓った事、忘れたの?」

イヴちゃんが口を開いた。

「忘れてなんかいないよ、でも。」

僕は迷わずに答える。

 

「ならば、もう少しだけ待ってよ。」

 

彼女は小さな竜となった。それは綺麗な水色をしていた。

 

「星遺物の最初の鍵となる星杯は転生機。自らや他の者を転生させる能力を持つ。それにより、私は二度目生きる権利を得た。今の名はユスティア。」

デッキに入っていたはずの夢幻崩界イヴリースのカードも守護竜ユスティアという名前に変わっていく。

 

「折角会えたと思ったらすぐにいなくなる。」

答えはもうない。竜になったから喋れないのだろう。

 

でも少しは教えてくれた。イヴちゃんは二度目の人生を歩んでいた。それがわかっただけでも大きな収穫だった。此処はVRAINSではない、閉鎖された電脳世界だ。

このまま此処にいてもいいが、それはしない。行動しなければ前に進めないから。

 

「これは僕の物語、いや僕だけの物語だ。誰にも邪魔はさせない。」

あの時医者に見せた目が再び僕の瞳に宿る。他の人からすれば正気を失っているように見えるかもしれない。けど、僕はそこまでしないと前に進めない。僕はVR装置を外した。それが合図だったのか、再び開いて光が差し込んでいる。眩しい。

急いで家に向かう。VRAINSにある敵になる全ての可能性を排除するためだ。

 

 

VRAINSはハノイの塔と呼ばれる建造物が当たり一面のデータを吸収して大きくなっていた。主犯格であるリボルバーを先程倒したと思っていたんだけど、あれはただのbotだったらしい。勝てばあの人(ライトニングさん)のデータを破壊し、負けたとしてもウィルスを打ち込むという抜け目ない計画だったらしい。全てはハノイの塔を完成させる為、邪魔しそうな者は何が何でも排除するという姿勢だった。僕は今だけはハノイの塔を止めようと思った。

ライトニングさんが残したものや僕の書いていた小説、そして一番大切なイヴちゃんのデータが消えるのが嫌だったから。

Playmaker さんはブルーエンジェルさんやgo鬼塚と共にリボルバーを止めに奮闘しているようだ。僕が直接手をくださなくとも大丈夫だろうけど、もしもの時があれば僕がリボルバーと戦うしかない。僕は世界が救いたいわけではない、イヴちゃんと再開したいだけだ。今はユスティアとして側にいてくれるがそれではダメなんだ。

待っていても暇なのでハノイの塔の中へと侵入した。中は人の呻き声や鳴き声が聞こえてくる。悪夢に出てきそうだ。

その中で不思議なものを僕は発見する。

 

(星辰の森でイヴは星遺物を発見する。それは森に伝わる星の勇者への手がかりでした。)

 

たった一つの文章のはずだった。でも、その文章には見覚えがあった。そして何よりもイヴちゃんが出てきていた。

続きが気になった僕は続きを探すと別の文章が見つかる。

(イヴが機界騎士に囚われるとリースは牢屋で彼女に囁くのです。貴女は私の頼みを叶えてくれた、お陰で私は貴女の身体を持って甦ることができる。)

 

これは夢幻崩界イヴリースとしてイヴちゃんが闇堕ちした時だ。それを見たユスティアが喉をクルルと鳴らす。

頭が焼け付くような痛さを感じる。もう少しで全てを思い出せそうだ、僕はイヴちゃんと再開するために何をしたんだっけ。

この世界だったからこそ、僕は行動したんだ。此処にいれば全てを思い出せる。だが此処は危険すぎた。

 

(星遺物は星神そして星の勇者へ至る鍵なのです。例え星神が全てを忘れたとしても、星遺物に導かれた巫女が祈りを捧げるのです。)

 

一歩でも道を外せばデータの藻屑となる。僕という人間の意識データは2度と復元できないだろう。

 

本当はそれでもよかった、けれど此処には何かがある。イヴちゃんに繋がる手がかりがあると直感していた。

君は僕に光なる者になってほしいという理由でライターと名付けた、それは本当だったのだろうか。

僕にはそれがわからないと思いつつもハノイの塔の内部へ足を進めた。その先に何があっても覚悟はしていた。

 

 

 

 




2か月空いてしまい、すみません。
伏線を回収していきます。
感想や誤字脱字などあれば気軽に言っていただければ嬉しいです。
元々この話はVRAINSのED曲にもアイデアをもらいました。

続きは急いで書きます


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27話 僕が忘れていた思い出

大変申し訳ございません。ネタバレ回となります
実際には読まない漢字など独特な言い回しが含まれております。それでもよろしければどうぞお読みください



ハノイの塔は様々なデータで構成されている。人間の意識データや人間のバイタリティ、調べれば調べる程謎が出てくる。

人はコンピューターを開発してから記録を脳内ではなく脳外の所に保管した。

 

 

「文明機器ばかり頼りすぎる人間も考え物だよね。かと言って人工知能は電気を落とされたら生きていけないんだけど。」

 

どうにか彼女だけでも生きていけたらいいんだけどね。もしネットワーク世界が消える時はイヴちゃんを世界から切り離す必要がある。

イヴちゃんさえ生きてくれたら僕は何もいらないから。

 

「僕はきっと君に会うために生まれてきたんだね。君はずっと僕に答えを出させようとしていた。」

僕は世界に恩返しができればいいなって思った。

「星辰の森に棲んでいた少女イヴはこの世界が創星神(さくしゃ)によって作られた事を知りました。ですが創星神(さくしゃ)はこの世界に住んでいるわけではありません。別世界へ行かないと会えないのです。」

イヴちゃんは創星神(そうせいしん)は僕の会ったことがない人と言った。

それは今思えば当たり前の事だった。自分自身に会う事は人はできない。

例え鏡に自分を映したところでそれは会ったとは言わない。

 

「ライトニングさんは僕の小説を読んでくれた。それでイヴちゃんを作ってくれた。けれど、本来ライトニングさんは人間とは敵対するはずだった。だから僕に迷惑をかけたくないと思って僕の記憶を消した。余分な記憶、僕がイヴちゃんと出会うために小説を書いたという記憶までも消してしまった。」

ライターは小説を書く人の事もさす。

 

僕が作者だったから、最初から星杯の守護竜アルマドゥークも所有していた。記憶がなくても記録が残っていたから再現できた。

 

「最初から答えを教えてくれたらよかったのに、どうして君は僕自身に答えを出させようとするのさ。」

自分の声だけしか耳に入ってこない。

 

 

 

 

「ようこそ、遡亜。」

目の前には誰もいない。ただ声だけが聞こえる。

「此処は貴方が来るはずではなかった。物語を君は終えたわけではないだろう。」

 

「そうですね、でも失った物が確かに此処にあるんです。」

僕がそう言うと見覚えのある神器が姿を現す。

 

「星神様、貴方が物語を書いてくれたから私も意志を持つ事が出来ました。ですが貴方はまだ書き終えてはいません。彼女が何故貴方と出会う事ができたのか、どうして貴方は彼女だけのストーリーを書かなかったのか。それがわからないのです。」

それに対して僕は何も答えられない。

「アストラムと同じく、貴方は選託をしなければいけません。全ての星遺物を捨てて前に進む、もしくは自らの願いを捨てて物語を紡ぐ。貴方にはその覚悟があって此処まで来たんですよね。」

神器は嘲笑うかのように言葉を続ける。選託ではない、何かがおかしい。

 

「星遺物は解放するものであり、選託は神になるか貴方を」

結局貴方を作った僕も同じ性格だ。自らを犠牲にして他の者を生かす。

 

「答えなさい、遡亜。答えが出せないというなら、あの時と同じ状態ですよ。神様は無責任でいいのです、自ら作ったものに慈悲をかけていては前に進めません。 貴方はイヴが好きで私達を作ったんですよね。だったら答えなんて決まっていますよね。」

最初から答えは決まっていた。けれど僕は自分の書いた話が好きだった。みんな好きだったから全てを描いた。

 

 

「僕はあの話が好きだ。だから答えは現状維持だ。」

イヴちゃんがいない事には続きがかけない。

 

「貴方は無責任だ。最初は彼女がいなかったのでしょう、いなくても今の貴方なら書けるはずです。星遺物が描いた先を。」

結局僕は僕の作った物に愛されていたのか、どうしてこの時まで僕は気が付かなかったのかな。

言葉が可笑しいぐらいに変になってしまう、だってそうでしょ。自分が思い描いた世界が本当にあって僕を見てくれている。

こんなに嬉しい事はないよ、死んだとしても叶わないと思っていた。

 

「夢を叶える事が出来た代償に僕は色んな事を失っていた。けど今から取り戻せばいい。」

恩返しがしたい、続きを書くのはそれからでもいいはずなんだ。

 

「恩返しがしたいなら此処から脱出しなければいけませんね。ハノイの塔はいずれにせよ壊されるものです。」

僕の心を読んだかのように神器は嘲笑うのを辞めない。

 

「私は、私達はいつだって貴方をお待ちしております。物語の人物はいつだって作者の味方なんですから。」

 

「ありがとう。」

全てを思い出した僕はその一言だけしか言えなかった。お礼を言う必要はないのだろう、けれどそれを言うべきだと思ったから。

「この先の道はサイバース世界へ繋がります。急ぎましょう。」

僕は先を急いだ。探し人(イグニス)がこのままだといなくなってしまう。自らの手で道を閉ざしてしまう前に、僕が道を作る。

 

「全部救ってみせるよ、独りぼっちの僕を君達はいつだって助けてくれた。大切なものは確かに此処にあったんだ、もう二度と君達を忘れないから。」

 

 

 

 

「決まった物語を変える事は許さない。だって貴方は本来そこにはいないから。」

サイバース世界へ向かう途中黒い靄をした者が僕の前に立ちふさがったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想お待ちしております。


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28話 小説が書かれた本当の理由

本当は一昨日に投稿しようと思いましたが
書いてたらキャラ変しすぎました
会話文多数ですみません
今の主人公は星遺物テーマ全て混ざったデッキです


「リース、邪魔はしないで。」

話の流れからしてわかっていた。彼女はどこまでも邪魔をする人としてかいてしまっていた。

 

「遡亜、貴方は自らの手で人類の未来を閉ざしていいのかな。闇のイグニスが」

 

「何をしたって結果が変わらないのなら、いてはいけない僕が干渉するしかない。僕がいなくても物語は進むように、彼らには新たな道を切り開くしかない。」

僕がリースの言葉を遮り、リースは言葉を詰まらせた。それもそうだろう、僕が本当に世界を救えるなんて思っていないのだから。

 

「なら、私をデュエルで倒して。全ての思い出が詰まった小説そして好きな人に出会う事が出来ると思って書いた小説、全ての思いを私にぶつけて。このデュエルで私を満足させてよ。遡亜、これが星遺物がデータだよ。」

 

「君は星遺物を使わないの。」

 

「私も貴方の記憶を元に作られた。だから貴方がその記憶を持っている限り私も使う事が出来る。」

 

それもそうだろう、イヴちゃんがいなくなった後でも僕は星杯の守護竜アルマドゥークを使う事が出来た。

 

「さぁ、物語を正しましょう。星刻が正しく進むように。」

 

「「デュエル。」」

 

「先行は僕だ。夢幻崩界イヴリースを召喚して、そのままリンク召喚。現れろ、トロイメア・マーメイド。」

 

「マーメイドの効果、手札を1枚捨ててデッキからトロイメアモンスターを特殊召喚する。僕はオルフェゴール・トロイメアを特殊召喚。」

 

「ふふ、あはは。君は私を知らないんだね、トロイメアは私が作った。」

 

「何が君は言いたいの。」

 

「次の時にわかるよ。そのまま続けて。」

 

「ならば、そのまま続けさせてもらうよ。オルフェゴール・トロイメアとトロイメア・マーメイドでリンク召喚、現れてオルフェゴール・ガラテア。」

今はどんな手を使ってでも倒すしかないようだ。

 

 

 

 

「ねぇ、遡亜。君は本当に私に勝ちたいと思ってるの?」

 

「うん、君を倒さないと進ませてくれないようだから。」

 

「そう、ならば全力で来てよ。」

 

「墓地のオルフェゴール・トロイメアの効果、デッキから闇属性機械族を墓地に送る。僕は星遺物ー『星杖』を落とす。」

追加効果は攻撃力が上がる事だけど今は関係ない。

 

「ガラテアの効果、オルフェゴール・トロイメアをデッキに戻し、オルフェゴール・アインザッツをセットしてそのまま発動する。僕はこのままでターン終了だ。」

 

「私のターン、ドローします。私は手札からかなり魅湧な受注水産を発動、貴方の墓地からイヴリースを除外し、私は同名のカードを加える。そしてそのまま召喚。貴方だけに負担をかけるわけにはいかないから。イヴリース1体でリンク召喚、現れてトロイメア・マーメイド。」

星遺物、彼女は何のために解放しようとしていたのだろう。

それを知る前に僕は前回死んだ。

 

「マーメイドが特殊召喚された時、アインザッツの効果で僕はオルフェゴール・スケルツォンを墓地に落とす。」

 

「君とは違う可能性を見せてあげる、私はトロイメア・マーメイドの効果でデッキから夢幻転星(アストロイメア)イドリースを呼び出す。この瞬間、イドリース(私自身)の効果を発動する。」

フィールドのリンクモンスターを全ていなくさせる効果、繋がりを無くした彼女が出来る精一敗な事だ。

 

 

 

「僕は手札の星遺物ー『星櫃』の効果を発動、相手の効果によって自分のリンクモンスターが効果で破壊された時、このカードを墓地に送る事で再び場に戻す。」

 

 

 

「やるね、流石。創星神様だ、だけど貴方は裏切り者だ。」

 

僕が裏切り者だって、何を言っているのかわからない。

 

 

「勝ちたいと思っているのならば、アインザッツではなくクリマクスにするべきだった。命のやり取りはないとはいえ、全力で来てほしい。私はイドリース(私自身)を対象に星遺物の胎導を発動、デッキからレベル9モンスター2体を特殊召喚する。出でよ、古代の機械熱核竜そして星遺物の守護竜メロダーク。」

 

これでデミウルギアの真の条件は揃った。そして僕がアインザッツを選んだのにはわけがある。

「君は1つ勘違いをしている、私はレベル9のモンスター3体でエクシーズ召喚。大いなる獣よ、混沌なる世界の可能性を導け。ランク9真竜皇V.F.D.(ザ・ビースト)。」

 

雄々しくもどこか懐かしい。V.F.D.(ザ・ビースト)は神の子の代理、まさかイヴちゃんの代わりに全てを話しているとでも貴方は言うのか。

 

「私も貴方によって作られた。だから、貴方の全てを知っている。バトルだ、V.F.D.(ザ・ビースト)でオルフェゴール・ガラテアを攻撃。ローキング・バニッシュメント。」

 

遡亜

2200

 

「私はカードを1枚伏せてターンを終了させる。星遺物に関するわけではないけれど、V.F.D.(ザ・ビースト)は貴方が好きだったカードだよ。イヴとはまた違った理由で。」

どうしてこのデュエルはこんなに胸が苦しいのだろうか。リースは敵のはずだった、けれど僕を認めてくれていた。

 

「みんな貴方の為に生きているようなものだよ。気にしなくていい、誰かに優しくしてもらったのならそれと同じように誰かに優しくすればいい。そうして世界は回っているのだから。」

 

「僕のターン、ドロー。墓地のオルフェゴール・スケルツォンの効果、自身を除外して墓地から再びオルフェゴール・ガラテアを場に戻す。」

 

「ならば、私はV.F.D.(ザ・ビースト)の効果を発動。闇属性を指定し、効果も攻撃も出来なくする。」

リースは僕の読みをわかっていたようだ。ガラテアだけでディンギルスを呼び出せば、除去できるはずだった。けれど、それも出来ない。

墓地に送られたカードはメロダークか、それならまだ希望はある。

 

「ねぇ、神様はどうして私達をそして小説を作ったのですか。」

 

僕は答えられない。答えを出せないでいると言葉が続けられる。

「人が子供を作るのは意思を繋いで次に続けると聞きます。どうして貴方は物語を作ったのですか。」

 

「イヴちゃんに会う為、だよ。」

 

「違う、それならどうして彼女(イヴ)は憎しみの感情を持った。全部君が仕組んだ事でしょ。そしてまだあるでしょ、書いた理由。」

 

「あれはそういう物語だったからだ。そしてまだ別の理由を持って僕は書いていたらしい。イヴちゃんが僕を憎んでいたのはイグニスさん達が物語を人生にしたから。」

 

リースは僕に不気味な笑顔を見せる、それはオルフェゴール・トロイメアの時に見せた顔でもイヴちゃんを乗った時でも無い。

 

「思い出そうとしないのなら教えてあげる、これは貴方にとっては残酷かもしれない。けれど、そういう事もあったってだけ覚えといて欲しい。」

 

リースはとても怪訝そうにこちらを見てきた。

 

「貴方は死にたいと思っていた、物語の主人公に憎まれてでも死ねたら全てが終わらせられる。貴方は物語を描き終わった後、VR装置に電源を入れ続けた。」

 

「VR装置には電流が流れている、ずっと使っていた場合いつかは故障しいずれは身体へ流れ始める。親がいないという現実、イヴがいないという現実に貴方はそれを耐える事ができなかった。夢物語は夢でしかない、叶わぬ理想だけを追い求めていた。」

 

「もう何も聞きたくないよ。」

今の僕は死ぬのが何よりも怖い。

 

「ならこれだけは言わせて、今は生きててよかったでしょ。貴方のおかげで私達はこうして生まれてくる事ができた。ありがとう、遡亜。」

目の前のリースはとても眩しく感じた。生まれてきて良かったと思ったのはこれで2回目だ。

 

「さぁ、全てを思い出したならやる気も出たでしょ。いつか貴方は人類の可能性を信じる立場にあるんだよ。」

 

無駄だけど、僕はするべき事をする。

 

「僕はガラテア1体でエクシーズ召喚、現れてオルフェゴール・ディンギルス。」

僕は攻撃表示で彼を呼んだ。

そして本当は効果を使ってを止めたかったがそれは叶わないなら今は耐えるしかない。せめて攻撃が封じていなければ突破手段はあった。リンクモンスターは守備表示をする事はできない、だからエクシーズに変える事で守備表示にできるけれど今引いたカードさえあれば突破できる。

 

「貴方は1人じゃないんだよ、機械蟲を使ってた彼も。貴方の事を知っていたハノイの騎士も、みんな貴方の事を認めてる。」

辺り一面を中心にデータストームが流れ始めていた。イグニスさん達が僕を歓迎してくれてるのだろうか。

 




昔書いた小説のリメイク版描こうと思ってます


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29話 嘘をつく必要はない

データが全部消えて落ち込んで新しく書き直して
ました。
会話文多めですすみません



「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ。」

 

「伏せたカードは気になるけれど、貴方の覚悟見届けた。私のターン、V.F.D.(ザ・ビースト)で攻撃する前に効果を使っておこうか。バトルだ、V.F.D.(ザ・ビースト)で攻撃。」

ドローしたカードも見ずに攻撃か、それだけ貴方は僕に期待してくれている。

「伏せカード、オープンさせてもらう。速攻魔法、コンセントレイトを発動。ディンギルスの守備を攻撃力に加える。防御は最大の攻撃だ。」

ディンギルス

攻撃力 2600

攻撃力 4700

リース

2300

 

「君の番でも使えたのに、どうして使わなかったの?」

当たり前のように君は聞く、きっと僕との会話を楽しんでいるのだろう。

「ビーストは効果だけではなく攻撃すら封じるからね、君の手には乗らないよ。」

 

「気づいていたのね、ならば次の手を見せてあげる。メインフェイズ2、私は星遺物の機憶を発動し、デッキから宵星の騎士ギルスを特殊召喚する。」

僕の見た事がないカードだ。それで何をする気なんだろうか。そしてディンギルスの目の前に呼び出すなんて。

 

「ギルスの特殊召喚時、デッキから星遺物ー『星杯』を落とす。さぁ、君に試練を与える。ギルスは自分フィールドに自信以外ない時、お互いのフィールド上に星遺物トークンを呼ぶ。」

僕に塩を送って何をするつもりなんだ。

 

「私は宵星の騎士ギルスに星遺物トークンでチューニング。世界に痕跡のない者よ、鍵の真の力を解放して数多の可能性を導け、レベル5星杯の神子イヴ。」

僕の前にイヴちゃんを出すのはずるい。会えなかった、僕だけの大切な人だった。君の手に渡ってはいけない。

 

「(ねぇ、遡亜。前を向いて行こう。行きましょう。)」

イヴちゃんの声とリースの声が混じって聞こえてくる。これ以上僕を苦しめないでそう言いたい。今聞こえてくる声は誰の声なんだろう。

イヴちゃんはこの場にいないはず。

 

「僕は君を許さないから、僕の手で取り返してみせるから。」

 

「(それでいい。貴方はいつまでも私を追い求めて。)」

 

「星杯の神子イヴの効果、デッキから星遺物カードを手に加える。」

彼女の手に握られたカードは何も見えなかった。

「私はこれでターンエンド。君に何も繋がりなんてないとは思っていない、だから私にそれを証明して見せてよ。」

 

 

「僕のターン、ドロー。」

イヴちゃんを傷つけたくない、例えそれが本人じゃなかったとしても。

 

(傷つけるのが怖いからといって逃げちゃダメだよ。人は傷ついたってそれ以上に仲が良くなるって言うでしょ。)

それは喧嘩する程仲が良いの間違えでしょ。

 

「僕は星辰のパラディオンを通常召喚、そしてディンギルスとリンク召喚。現れろ、リンク2 レグレクス・パラディオン。」

それとこれは違う、僕には君しかいないんだ。君にいなくなられたらどうやって生きていけばいいのかわかんない。僕は彼女(イヴちゃん)に依存していた。

 

「そして僕は星遺物を継ぐものを発動、墓地からディンギルスをレグレクス・パラディオンのリンク先に呼び戻す。」

君がいないなら君を作れば良い、そう思ってた。けど僕には無理だ、だからそれ以外の方法を見つける。

 

 

「レグレクスはリンク先から力を得る。そしてリンク先に特殊召喚されたのでデッキからオーバード・パラディオンをデッキから手札に加えます。」

レグレクス

1000→3600

 

君を傷つけるのは本当は嫌だ、だけどそれでは前に進めない。

 

「手札から星遺物ー『星槍』を墓地に送り、レグレクスの攻撃力を3000下げる。君の覚悟はもう決まっているんでしょ、だったらさっき加えたカードを使いなよ。」

 

「速攻魔法オーバード・パラディオンを発動。ねぇ、リース。貴方は本当は僕をどう思ってるの?感謝しているって都合の良い言葉で誤魔化さないで。」

イヴちゃんは好きだと言ってくれた。けれど他のみんなは僕と決別した。

 

「さぁ、それは貴方自分自身に聴きなさい。貴方の描いた物語は貴方しか結末を記す事はできない。だから私に憎しみを込めて書いたならそうなのでしょう。でもそれは違うと思ってます、だから自分で考えて。」

リースは優しい笑顔を見せた。

リース

LP900

 

「イヴの効果、デッキから星杯の妖精リース(わたしじしん)を守備表示で特殊召喚。そして、デッキから星遺物ー『星杯』を手札に加える、さぁ、決着の時だ。私のターン。」

彼女が加えたのは願望機(さいしょのちから)だ、そして僕がイヴちゃんと出会いたいと願ったその物。

 

「私自身を媒体に星遺物ー『星杯』を召喚、そして、リンク召喚。現れろ、転生炎獣アルミラージ。星杯の効果、星杯に選ばれし者と星杯の守護竜を呼び出す。私は星遺物の醒存を発動。」

再び3体のモンスターか、この勝負に何の意味があったんだろう。そしてやはり君もそのカードを使うのか。

星遺物の守護竜メロダーク

星遺物を継ぐもの

星遺物へ至る鍵

星杯に誘われし者

星遺物の機憶

 

リースさんが捲ったのは全て星遺物だった。

「人生に意味なんてない、死を経て初めて意味を知るんだ。早すぎてはいけない、人生は君がおもうよりも広いんだ。リンク召喚、現れてトロイメア・ユニコーン。」

 

「私は手札を一枚捨てて効果を発動、ディンギルスを戻してもらうよ。」

 

「伏せカード、オープン。共界神淵体。トロイメア・ユニコーンが対象だ。」

このカードの隠された効果なんて使う機会がないと思っていた、けれど今回の勝負は星遺物を巡っての戦い。役には立った。

 

「君は本当に自覚し始めてるんだね、君が神様に近づく度に君は人間ではなくなる。」

 

「何を言ってるの、本当にわかんなくなるからこれ以上はやめて。」

 

「やめない、君が神様になって欲しいから。」

 

「僕はトロイメア・ユニコーンを特殊召喚、そして君の場と僕の場から除外する。これ(デュエル)が終わったらしっかりと話してもらう。」

 

「私はこれでターンエンド。さぁ、終わらせて。」

どうして君はさっき星遺物を継ぐものを使わなかった、諦めるのはまだ早い。

「僕のターン、レグレクスでダイレクトアタック。」

 

「おめでとう、君の勝ちだ。」

僕はリースの方へ走る。思った疑問全てぶつけるために。

 

「どうして君は自分手札のカードを発動していたら、まだ勝負はわからなかったはず。」

 

「継ぐつもりなんて全くなかったから、私は私なりの方法で人間(かみさま)になってみせるよ。」

リースさんの目には少し水滴があった。何故だろう、それは僕には理解できない。

 

 

 

 

「負けてしまったけど、こんなにデュエルするの初めて、楽しかったよ。ごめんだけど、此処でお別れだね。」

リースさんはそう言うと何処かへ行こうとしているようだ。リースさんは初めてのデュエルじゃないのか。

「どこにいくの?一緒に来るんじゃなかったの?」

 

「私の役目は君の目的の再確認だからね、死にたいと思ったらいつだって殺してあげる。だけど今は駄目だよ、君は私と同じで進んでヴィランとなるのだから。」

ヴィランか、確かにそうなのかもしれない。イヴちゃんを守る為に全てを敵に回してもいいと誓った。イヴちゃんさえ生きてくれたら、何も要らないから。

 

「さよなら、私の創星神(あこがれ)。私は私なりに人間を目指すよ、君が見た別の選択肢を見届けるのと同時にね。」

道案内は此処までのようだ、この先にサイバース世界があると信じて僕は歩き始めたのだった。




感想気楽にください モチベが少し下がってて落ち込んでたので
誤字脱字なども教えていただけると修正できるのお願いします


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