其之銘『夢想実現之事』 (鉤森)
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これがきっと前書き《はじまり》


はい懲りずに書きました




拝啓 

 

おじいさん、おばあさん、御元気ですか。早いもので「駒王町」に越してきて八年、そんでもって私立駒王学園で教職について三か月ホドになります。

 

当初はエラソーに他人に絵教えるなんてガラ(・・)でもなく、成り行きでなったはイイものの何時まで続くかワカらんと思っていましたが、なんとか今も続いております。教員免許なんぞ取ってもいないのに、いきなり勧誘即採用で非常勤の美術教師されただけあって、この学園やっぱり変わった所でした。

 

 

生徒会長が悪魔でした。そんで悪魔に勧誘されました。…人間って悪魔になれるんですね。

 

 

長生きも地位もキョ―ミないんで断りましたが、男子の役員メッチャ睨んできました。でも当の生徒会長は特になんも咎めず笑って納得もしてくれたし、断ったから即クビとか言い出さないので良い人だと安心しました。そしたらなんでか更に役員男子にメチャクチャ睨まれました。なんやっちゅーねん。

 

 

しかし知的なメガネの真面目そうな子でしたが、悪魔でも視力って落ちるんですね。悪魔に一番近いのは人間とかって聞きましたが、本当みたいです。ドキドキします。

 

 

広げた羽根はすぐに閉じて消えましたが、服とか突き破らないみたいです。聞けば尻尾とかはないみたいですが、あの飛べそうにもない羽根って触ったらどういう感触なんでしょう。気にはなりましたが、社会的にも後が怖いのでヤメました。

 

で、やっぱりそんな学校なだけあって他にも生徒には何人か悪魔がいるらしいです。というかこの街を管理してるらしいです、大変です父さん。

…知っての通り諸々の事情があってこの世には「そういう存在」がいるのは知っていたわけですが、見分けることは出来なかったので素直に驚いた半面、メンツ聞いたらキャラ濃かったんで納得した節もありました。

 

 

最後に今聞いたことの記憶だけの消すかと聞かれました。ヤバイです母さん、わかっちゃいましたが悪魔思ったよりなんでもアリです。

 

 

とりあえずそっちもお断りしたら、普通に了承されました。手紙に書いてしまっているが大丈夫でしょうか?もしもの時は弟よ、後のことは頼む。

 

 

その後は放課後まで悪魔の彼女たちと、悪魔関係の話でもなく学校の話やら絵についての話をして楽しかったです。不思議なことはいろいろありますが、初対面の「悪魔」がいきなり魂とってくるような類でなくて安心しました。いえ、素直にうれしかったです。

 

 

 

そんなカンジでそれなりに元気です。おじいさん、おばあさん、お体に気をつけて、いつまでも長生きしてください。

 

 

 

                                     ――――――――福太郎より

 

 

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

 

 

「………。」

 

 

 

学園の屋上。

 

そこは時に秘めたる想いの憩いの場にもなり得れば、古くから伝わる由緒正しきサボリの場でもある。しかし学園生活という日常の中においては限りなく不要、立ち入り禁止の学校も多く、解放されていたとしても現実としては「何もない」というだけの普段であればまず訪れない場所であり…故にこそ、多くの人間を惹きつけてやまない場所。謎と日常の両極に位置する、最も身近で最も遠い、「不思議」を感じさせられる場所である。

 

そしてそんな「不思議」に惹かれ、何となく訪れるのはなにも人間に限った話ではないのだ。

 

中天に坐す太陽からの陽光が肌を焼き付ける、昼休みの最中。生徒会長にして「小さな鍵(ゴエティア)」に名を連ねる72柱の一柱に属する悪魔「シトリー」の一族である支取・蒼那(ソーナ・シトリー)は、駒王学園の屋上にいた。

その表情は普段の凛々しさも何処へやら。その眼差しをどこかボンヤリと物憂げに、転落防止とは名ばかりのごく普通の鉄柵に肘をつき、眼下に広がる光景…その一点を見つめている。

その一点。そこには、つい先日自らの勧誘を断った見知った人物がいた。午後の授業に美術の項目はないらしく、楽しそうにキャンバスの前に立ち、絵の具を音符交じりに走らせる人物…。

 

 

「田村・福太郎…先生ね。そんなに熱心に見つめてるなんて、相当ホンキだったのね。」

 

 

「…リアス。」

 

 

隣から浴びせかけられた声に、固定されていた視線がゆるゆると外される。接近に気付けなかったことをボンヤリ反省しながらも、見慣れた深紅の幼馴染を視界に捉え…認識し、再び視線は福太郎へと戻っていく。

幼馴染(リアス・グレモリー)へと向けられた返答は、何とも覇気のないものであった。

 

 

「当たり前でしょう。大事な大事な眷属選びに、本気で挑むのは…。」

 

「…そうね。でも、正直ソーナらしくはない気がしたのよ。」

 

鉄柵に背を預け、赤い髪が風に揺らめく。仰ぐように傾いだ首を僅かに傾けながら、リアスの言葉は静かに続いた。

 

「あなたは前に進む人よ。目的へ向かって、夢に向かって、明日に向かって「今」を考え生きる。そんなあなたが…彼を選んだ理由って何かしら?そこまでわかりやすく(・・・・・・)落ち込むだけの理由があなたに…それとも、田村先生にあったのかしら。」

 

「……。」

 

「私にとってあなたは親友でありライバル。冷静な判断力や理性的な考え方で言えば、悔しいけど私よりもずっと「王」らしく思える。嫉妬してしまいそうなホド…ね。」

 

「…リアス…。」

 

「だからこそ気になるのよ。あなたの眷属から、三日ほど前に田村先生への勧誘と…ソレを断られたムネは聞かされたわ。記憶を消さなかった事に関しては、誠意に対して誠意で応じるあなたらしいケド。自分の眷属に心配されるほど消沈するのは違うわよね?」

 

「リアス。」

 

「私の知っているあなたならスッパリ頭を切り替える…そうでないなら、諦めないという選択肢をとるハズよね。そうでなくとも、あくまでも合理主義のあなたが…言い方は悪いけど「ただの人間」にそこまで固執する理由が――。」

 

 

 

「———リアス!!」

 

 

思わずと発せられたソーナの怒声に、リアスの言葉が静かに止まる。そこに驚きはない…「情愛」を冠するグレモリーだからこそ、気に入った相手へ向けられる侮辱とも言える言葉への憤りは、十二分に理解しているからだ。

二つの視線が交差する。まずはリアスより、言霊が再び躍った。

 

「…ごめんなさいね、ソーナ。無神経だったわ。」

 

「…いえ、今の言葉が私への発破だということは理解しています。そうですね…些か腑抜けが過ぎました。友や眷属にまでこうも心配をかけてしまっては「王」失格でしょうね。」

 

一呼吸置き、純粋にこちらを案ずるリアスの視線から逃れるようにして再び福太郎に向けられ…ソーナは再び口を開いた。

 

「…絵、よ。」

 

「……?」

 

「だから絵、よ。私があの人を気に入った、少なくとも最初の理由。」

 

発せられた言葉にポカンと、リアスが呆けたのがわかる。無理もない、とソーナは思った。少なくとも逆の立場で同じセリフを聞いたならば、失礼な話だが私も相手の正気を疑ったことは想像に難くない。

眷属とは基本的に一生のモノであり…互いに命を預けながら生きていく存在だ。「本気になるのが当たり前」といった人間(あくま)から出される解答としては、余りにも不適切だろう。

 

だが。

 

「描きたいものがピリピリ伝わってきたの。絵から、先生を感じた…あの人が伝えたい事、描いた夢想。その色鮮やかさに、心奪われた。だからかしらね…思った以上に私は凹んでるし、願わくば…意思を尊重してあげたいのよ。」

 

自分には夢がある。きっと多くの同族たちに荒唐無稽と笑われるような、形すら未だ定まらぬ夢が。

あの人は、私が抱えたこの夢を「肯定」はしないだろう。それでもあの人が「肯定」するとすれば、それはきっと夢へ向かうことへの自由…私の「選択」、その「自由」。あの「人間」は、そんな人だ。…そう、きっと、信じているのだ。

非力でも無力ではないと知っていて。自分が信じている「何か」を、逃げたり泣いたりしながらも信じ続けている人だ。それが他者からどのように見られたとしても、その「信じている」という思いを曲げはしないだろう。

 

 

 

だから、一緒にいて欲しいと。私の「夢」の先を一緒に見て、あの人に描いて欲しいと思ったのだ。

だから、私は―――。

 

 

 

「…駄目ね。上手く言葉に出来そうにないわ。」

 

 

 

「いいえ、伝わったわよソーナ…あなたの気持ち。私が焦がれて焦がれて、未だ手にしていない、羨ましい…その気持ち。」

 

 

 

 

 

 

ソレは―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「その気持ちの名前はね―――――――――。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇくし、ふぇくし、ふぇくし!あ――……くしゃみ三回?どっちやったっけ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 




続きますよ


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物語は未だ動かず《壱頁目》

時系列とかは調整しています。




 

 

 

 

「田村・福太郎先生ね…。」

 

ソーナと別れた後、リアス・グレモリーは幾度目かになるかわからない呟きをこぼして、コピー用紙にプリントアウトされた日刊誌ほどの厚みの資料に目を通す。

資料は三か月前、ソーナが多少強引に手を回して福太郎を教員に迎え入れた際、個人的興味と土地の管理を任されている自負の念から作成させた調査書だ。ソーナの普段らしからぬ行動故に思わず行動した結果のモノだったが…。

 

 

「田村・福太郎。満二十七歳、独身(ヒトリグラシ)。外見的特徴はこれといってなく、強いてあげるなら右前髪付近の部分的な白髪。至って普通の人間種。親族は弟に父母…、……。

…出身は関西(にし)、十七歳までは向こうで過ごしているけど、当時在学していた学校での卒業を待たず引っ越し。各地を転々としながら、八年前に駒王町に。でも常に滞在していた訳ではなく、長い時は年単位で不在にしている、か。それまでの間は主に風景画を細々と売っていたのね。」

 

 

読み返して思うのは、やはり平凡。しかし悩ませられるのは、現金な話だが親友の想いを聞いた後では随分と興味深いと思ってしまうことだ。…よくも悪くも…だが。

パラパラと紙面をめくり、とある項目を視認してその眼が細められる。

 

 

「多少変わっているけどあくまでも変わり者という以外では特筆すべきことはない…と思っていたけれど、そうでもないわね。所々の空白が多い、粗もある。大げさに言えば歪な経歴と言っても問題ないくらい。

…それに何といっても目に付くのがコレよね。正直ソーナに忠告を入れるべきか迷うところだけど…。」

 

 

でしゃばりすぎ、大きな御世話。百も承知だが、親友が関わるとなると無視できないのではないかと頭を悩ませられる。

その項目には…。

 

 

「過去九回、悪魔の眼から見ても「とんでもない」曰くつき物件への引っ越し…加えて六回の自殺未遂(・・・・・・・)。」

 

 

思わずこの調査書を作らせたことを後悔するような、重過ぎる過去(けいれき)。余りにも軽はずみな行動だったと自らの行動を反省し、いまだ年若い彼女には理解できない闇を前に、一人の人生が抱える重さに眉間を抑える。

あんなにも楽しそうに絵を描く人間の経歴とは到底思えなかった。まして親友を虜にするほどの絵描きの経歴とは思い難かった。

 

 

「…乗り越えたということなのかしら。だとしたらとても立派なのだけどね…。」

 

 

読み終えた資料を、手元より立ち昇りし漆黒の「滅び」が(ボウ)ッ!と跡形もなく消滅させる。フルフルと頭を振って思考を切り替え…なんにせよ、手遅れかもしれないがこれ以上は無粋の極みだ。踏み込むべきではないと半ば無理やりに自分に結論付ける。

深々と息を吐き…自らの「女王」が淹れた紅茶が飲みたい、どうかこの気分を入れ替えたいと思う中。…やっぱり、調査は必要かなと再び想い悩むリアスであり。自分で思っている以上に彼女は若かったと言えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そういえば、変わった名前の場所に住んでいるのね…。ええと…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出そうとするも出ては来ず、最早抹消した資料は返ってこない。まあいいかと、大した情報ではなかったと判断した彼女の記憶はそれ以上の捜索を放置した。

尚、彼女が知りたい項目には、このようなことが書かれていた。

 

 

 

 

 

『現住所・駒王町○○××ー協同住宅(アパート)「足洗邸」也。』…と。

 

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

 

 

 

拝啓

 

 

みなさま、御元気ですか。

 

 

突然ですが私が教鞭取ってる元は女子高であったというこの学園には、珍妙な名物生徒が存在します。

三位一体さながらに常共に行動し、あまねく生徒に混沌をもたらす存在。何故かちょいちょい縁があるのが複雑な心境というトコロです。

 

 

名を兵藤・一誠。ならびに元浜、松田。

「変態三人組」と、人は彼らをヒネリも加えずにこう呼んだ。

 

 

覗きに始まり教室でのエロ本鑑賞、猥談乱舞。いっそ清々しいとまで言えるエロガキどもです。根っコからエロガキです。母さん、最近のエロガキってスゴイですよ。

さてそんな問題児以前の三人組ですが、今日も今日とて覗きを働きましたらしく。

 

 

 

 

 

 

絶賛死にかけていマス。

 

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

「やべぇ、やべぇやべぇやべぇ!追ってきてるか!?まだ来てるか!?どうなんだ!?」

 

 

 

「うるっせぇぞ元浜ァ!見てる暇はねぇさっさと走れ、物理的に殺されかねねぇんだぞ!」

 

 

 

「———うおっ!?ウソだろオイ、撃ってきたぞ(・・・・・・)!走れ、走れぇぇぇえええええ!」

 

 

 

 

叫び、泣き、焦燥しながら駆け抜ける影が三つ。夕陽で茜に色好き始めた校庭の隅、校舎の裏手に差し掛かる道を怒声と泣き言が木霊する。

駆け抜ける影たちは一様に死に物狂いだ。肩で息をする体力さえ惜しいとばかりに走り続けてかれこれ一時間弱、体力の限界などとっくに迎えているにも関わらず、未だ彼らは止まる素振りを見せない。見せようとはしていない。

 

否、正確には「許されていない」のだ。他ならぬ「襲撃者(ハンター)」たちの手によって。

 

 

「チクショウなんでいるんだよ!授業変更でもあったのか!?しかも二人そろってなんて!」

 

 

「今ンなこと考えてなんになるんだよ!なんに!チェックミス言及するにも後でいいだろ!」

 

 

「生きていられたらな!――でも正直眼福でした!」

 

 

「同意!」

 

「同意!!」

 

 

彼らのエロ塗れの脳髄にも後悔の二文字は確かに存在する。されど「覗いた」という行為にはその二文字が決して作用しないのが、彼らの恐ろしい所だ。反省の二文字もモチロン適用されないだろう。

故に彼らが絶賛後悔中なのは、チェック漏れによることの相手を間違えたというただ一点のみ。何よりも危険視していた、最近になってこの学校に転校してきた変態三人組にとっての文字通りの天敵。そしてソレは、女生徒たちにとっての文字通りの「英雄(ヒーロー)」である存在。

 

 

言うまでもないコトだが。

 

古今東西。「英雄(ヒーロー)」とは遅れてやってくるものであり、必ずやってくるものだと決まっている。

 

 

 

 

「ムカツク。」

 

 

 

 

「待たンかぃボケェ!!!」

 

 

 

BANG!BANG!BANG!  ――頭巖(ズガン)!!!

 

 

 

 

 

 

「「うッぎぃいやぁぁあああああああああああッ!!?」」

 

 

「元浜松田ぁぁぁあああああああああッ!?」

 

 

二者二様・一念統一。銃声(ばせい)衝撃音(どごう)が轟き震え、二人の馬鹿(のぞきま)が土砂を巻き上げ宙を舞う。運よく生存した一人は思わず叫んで安否を心配するも、ゴム弾によるものとはいえバカにならない威力であろう銃撃を喰らった上に、真下からの正体不明の衝撃を受けたただの人間に意識の有無など期待するまでもない。断末魔のごとき叫び声を残して落下する二人は、そのまま沈黙を余儀なくされた。

逃走の甲斐もなく鎮圧された二人、となれば残る「獲物」は一人となる。驚愕のあまり足を止めてしまった「獲物(イッセー)」が、やがて我に返って状況に震えながら…ゆっくりと振り返る。

 

 

視線の先。沈みゆく日光を背に、(ザン)ッ!と体操着を纏う「襲撃者」たちが仁王立つ。その視線はあまりにも鋭く、険しいものだ。

ソレはあまりにも両極端で、統一感のない二人組。最も警戒していた天敵。運悪く覗いた眼福。

 

 

「手コずらせよってからにぃ、こンクソ覗き魔どもがあ…!」

 

ゴキゴキッと拳を鳴らす、怒気と呼気を熱気に乗せた「正義の味方」。

駒王学園転校生その一。誰が呼んだか"浪花天使"「上池田・美奈歩」。

 

 

「ムカツク。」

 

 

右手に日傘、左手には照準を定めたコルト・パイソン357マグナム。死人のような顔色に青筋立てるのは、無類の「猥褻嫌い(エロネタ即殺)」。

駒王学園転校生その二。イギリスより謎多き留学生「ラウラ・S(シルヴァ)・グロウリー」。

 

 

その邂逅に恐怖のあまり顔が引きつり、言葉は愚か声すら出せずに一誠は後ずさる。無論、意味のない行動だと理解はしている…何故ならば、彼らが彼女たちに追われるのは実に二度目だからだ。当然、「この後」どうなるかも彼はわかっていた。そして悟る、「足が止まった時点で自分も終わった」ということを。

 

「ヒーロー」が来た以上、結末は変わることもない。

はたして訪れる断罪の後に、少しだけでも「覗きとかしないようにしよう」と反省できたのか…その真相を知る者は、今はいないであろう。

 

 

 

 

**************

 

 

てなカンジでした。

その後なんでかボクが介抱しましたが、とりあえず生きてはいました。…あんま懲りてなさそやったけどな。

巻き込まれたくないし、はたしてコイツらは野放しにしといてエエのか今も首をひねりますが、とにかく私は元気に生きられています。でも便りが途絶えたらヤバイと思ってください。

 

 

 

 

                                      ————————————福太郎より

 

 




タノシイ。でも難しい、修正はいるかも


とりあえず。この二人はいますのです


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「落ちていった」《弐頁目》


クロスオーバーとは難しい。面白い。
辻褄合わせてクロスさせると、らしさを出すの難しい。
クロスさせたキャラは、「その世界キャラ」になるのが面白い。




 

 

それは、落ちるかの如く始まった。

 

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

「彼女ができた?」

 

 

ことの始まりは、そんなささやかなサプライズ発言からだった。

 

「はい!そりゃあもう可愛いンですよ!」

 

デレデレと鼻の下を盛大に伸ばして報告するのは、先日ボッコボコにされてなし崩し的に面倒を見てやった三人組の一人、兵藤・一誠。

あの日より数日たった今日、屋外写生の授業の片づけをしていたところ、ヤケに嬉しそうにニヤケてもじもじしている一誠と遭遇した。ハッキリ言ってその様子見た時にまたか(・・・)と思って「懲りんやっちゃな」などと誤解したりもしたのだが、向こうもコッチに気付いたらしく、相変わらずもじもじしながら(キモイけど)にじり寄ってきた一誠は…聞いてもいないのにそんなことを言い出した。

で、ソレ聞いたオレの反応はというと。

 

「あー、アー。そりゃまぁオメデトサンデスナー。」

 

とりあえず否定するのもなんなので、「信じてみる」ことにした。

ぶっちゃけ下手すれば近隣住民は愚かちょいと離れた他校にまで変態として知れ渡っているコイツに告白する猛者がよくいたものだと思っていた。我ながら失礼な気もするが仕方ないだろうと思う。

すると一誠がポカンとした後に唐突に涙を流し、盛大な男泣きを始めた。あまりにも突然だったので困惑していると、どうも「みんな信じてくれやしないンす!」「祝福されたの先生が初です」と涙ながらに語っていた。哀れである。でも当然やろなと頷いた。

 

「福ちゃん先生!俺、俺!絶対に夕麻ちゃんを幸せにしてみせます…!」

 

「イヤイヤ気ぃ早すぎやろ!なんでいきなり結婚宣言みたいになってんねん。ってかオレがオヤジかい!」

 

オンオンと泣きながら盛大な宣誓をたてる一誠をなんとかなだめて聞いたところによれば、わざわざオレに報告してきた理由は自慢したいというのもあるが、なんと今日は早速デートだという話だ。随分と急な話だが、まあ放課後デートなど定番の一つなんでしょうな(ボク知らんけど)。

で、その相談をオレにしたいという。因みに福ちゃん先生ゆーんはオレのアダ名らしいです。

 

 

「まあオレしか信じてへんゆーなら仕方ないけどな…。オレも経験ないからアテにならへんぞ?」

 

「え?福ちゃん先生って彼女とかいなかったンですか?」

 

さも意外そうに聞いてくる一誠に軽く笑いながら、手を顔の前にて振って否定する。

 

「ナイナイ、今までおったことあらへんよ。そもそもそない意外そうにすなや、オレそないモテそうにみえるか?あらぬ自信つけさせへんといてや。」

 

「いやモテそうっていうか…実際モテてるんじゃないすか…?」

 

「どこがやねん。オレ今までコクられたこともないへんぞ。」

 

その言ってやると一誠は雷から落っこちた雷獣のミイラみたいな顔をして硬直し…ワナワナ震えて、声を絞り出す。

()ッ!と瞳が見開いた。

 

 

 

「DONKAN…これが、これが伝説のDONKANスキル…!?っくそう、これが、これが今まで特にパッとしないのに俺たちとは違って女子たちにヒソヒソチョットイイヨネーされる片鱗だというのか!?数限りない生徒を虜にしてきた福ちゃん先生の48ある魅了テクだと…!?」

 

 

「オマッ、教師的にも最ッ悪に人聞き悪いコト抜かしてんねやないぞボケコラァ!だいたいなんや48の魅了テクって、そんな不思議ステキ面白技能持ってるワケないやろが!オレがぬっるいラブコメ好きやからって神様はプレゼントとかせえへんからな!日頃ン行い別によくもないしな!」

 

 

ぎゃいのぎゃいのと騒いでいれば、随分と時間がかかったように感じさせるチャイムが鳴り響く。聞き馴染んだ授業開始の合図に、一誠が血相を変える。

 

 

「や、やべっ。移動教室から戻る最中だってすっかり忘れてた…!?」

 

「あー…。エエよ、オレの片づけ手伝ってたことにしといて。とりあえずもう行っとき。」

 

「う、うす。あ!それであの…。」

 

「行けって。相談やろ?オレもよーワカランから、とりあえずオマエの好きな範囲で相手も好きそうな範囲のデートコース行けばエエんちゃう?人から教わるんも大事やけど、最初くらいは自分で選んだモン使っとけよ。」

 

「…はい!ありがとうございます!」

 

 

一度頭をこちらへと下げてダッシュで教室に向かう一誠の背中に、一応定番として「廊下走るなよー」と声をかけて置く。驚きはしたが、何はともあれ青春しているようで何よりだ。エロネタが酷すぎるという点を除けば…ああやって相手を想って真剣に悩める辺りは、そう悪いヤツでもないのかもしれないと、兵藤・一誠の人となりの一面を見た気がする(その欠点がヒドすぎるので評価はどうしようもない気がするが)。

まあ他人事ではあるが、この出逢いとイベントで少しは大人しくなるかもしれない。そう思い、オレはサッサと職員室へと向かった。

 

 

 

この時は、本当にそんな風にしか思っていなかったのだ。思えなかったのだ。

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

それからの流れに、特筆すべきことは何もなかった。

 

 

放課後になり、私物の油絵一式を持って帰宅する。口々に挨拶を交わす生徒の中、遠目に二人組の変態にどつかれながら校門へと向かう一誠の姿を見た。その様子ははた目から見ても嬉しそうで、純粋にこの後の時間を楽しみにしている様子だった。何よりだと思う。残るは二人組…という展開にも、もしかしたらなるのかもしれない。

 

 

校門を出てしばらくすると、帰る方向が同じラウラと美奈歩らと偶然にもカチあったので特に疑問もなく共に帰る流れなる。その際、一誠に彼女が出来たというコトを教えると酷く驚いていた。気持ちはわかる。

 

 

家路につき。途中に美奈歩を、そして「家で」ラウラを見送って。

 

まだ少々早い時間ではあったのだが、家で「皆」と食事をした。

 

 

 

進みゆく「流れ」は、ここまでだった。オレはきっと忘れていたのだと思う。

「落ちる」とは唐突で、直前までおよそ見えず、気付けぬものだというコトを。

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

夕食を終えた後、オレはタバコを買いに夜道を一人歩んでいた。

思えば昼休みに最後の一本を吸ってから吸う機会もなかったので忘れていた。しかし食後に一服…と思ってないコトに気付くと、なんだか無性に吸いたくなってしまった。そうなると人間とは弱いもの、メンドイ思っても、気付けば手近なコンビニへと足を向けていた。

愛飲の「joker」をちょっと贅沢にカートンで購入し、早速一本に火をつけて、馴染みのある温かな煙が肺を満たすささやかな幸福を味わい、人気のない暗がりを帰路についていた時だ。

 

不意に、タバコの煙が夜風に散らされ、「匂い」が鼻についた。

 

生臭く、鉄臭く、錆びっぽい。嗅ぎ覚えのある匂いだった。

 

足が動いていた。嫌な予感がした。それでもとにかく、急げという衝動に駆られて、夜風の方向へとオレは走って———。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血だまりに沈む、「兵藤・一誠」だったモノを発見した。

酷く「見覚えのある翼」を生やした女が、薄嗤いを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

平和は流れ、落ちていく。瀑布の中に砕けて消えた。

騒乱の始まりは、そんな唐突なモノだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




お気に入りと評価をしてくださった方々、深く深く感謝いたします。

まだ、続きます。



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邂逅。そして《参頁目》

難しい。文才が欲しい。






**************
この場を借りて、今作と読み切りを含めてお気に入りや評価をくださいました皆様に感謝の言葉を述べさせていただきます。

拙作はまだまだ続きます。そして思い付きの一発ネタもたまに出すと思います。どうか皆様、これからも呼んでくださると嬉しいです


 

ここで、作品としてはいささか足早ではあるが田村・福太郎という人物について少しばかりのオサライをしておこう。

 

 

リアス・グレモリーが自らの使い魔、「女王」、民間の探偵事務所などを使って作らせた資料に記載されていた通り、田村・福太郎は単体のスペックに限って言えば、「普通の人間」でしかない。

彼は至って普通のごくごくありふれた人間の一個人であり、間違っても自ら闘える者でなければ、極端に傾倒した善人でも悪人でもない。絵を描く特技という本人さえも認めるほど「それだけ」しか持っていない人間だ。優しくて臆病、野望もなく、時には道に迷ってばかりの人間だ。

 

だが忘れてはならないのが、人間は多くの「可能性」に満ちた生き物だというコト。

そして彼は「普通の人間」であると同時に、「田村・福太郎」なのだ。

 

無力を呪いもした。しかしその弱さを認め、出来る術をもって「やりたい事」に進む事を決めた。

「悲劇」を思い出し(・・・・)、「死」を望み、「死にきれなかった」。その過去が出逢いを生み、その視点を、価値観を培った。

そして多くの縁が繋がっていった。経験があって成長があった。過去無くして今はなく、今があるから行動できる。行動の先には「進化」が存在するものだ。

 

この世界(さくひん)に彼が愛し、彼を愛した「笠森・仙」はいない。

この世界(さくひん)に彼と笑い、彼を導いた「黒瀬・誄歌(クローセル)」はまだ(・・)いない。

「月ノ子《アンティクリスト》」もおらず、「十支王《ベスト・テン》」による混在世界召喚の儀「大召喚《ビッグ・ショッカー》」は起きていない。その経歴、過去や生い立ちには似通ったことこそあれ、共通したものは存在しない。

故にこそ二人の田村・福太郎は、同一の存在ではない。

 

 

それでも彼は「田村・福太郎」だ。異なる多くの出逢いを経験し、悲劇を、喜劇を経験し、成長した「田村・福太郎」だ。

ならば、彼は立ち止まらない。逃げても負けても、止まることだけは許さない。

 

 

かつて「英雄」と称され、「神」となった「王」の男の言葉をあやかるならば。

 

 

 

———「足」があるのだから。

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

兵藤(ヒョード)ォォオッ!!」

 

 

血だまりに沈んだ一誠を視認した瞬間、噴き出すように溢れ出した冷や汗に倣うように、喉を破裂させるような声が口から飛び出した。

黒翼の女が振り返る。対し、こちらが駆け出すのは同時だった。半ば無意識に首から提げられたソレ(・・)へと手は伸びるが、距離が詰まっていっても女はこちらを視認してから攻撃する素振りを見せず、突っ立ったまま薄ら嗤いを口元に浮かべていた。

不可解、もしかしなくても侮られているから…だが、より正確には違うと、もっとゲスい理由だと福太郎は判断する。そのブン殴りたくなる表情(・・・・・・・・・・)は「これから起こるであろう喜劇(ひげき)を期待している」とか、そういう類のものだと直感した。

だがなんにせよ、「今は」手を出す気がないならば好都合と考えて倒れ伏す一誠へと駆け寄り、うつぶせの彼を仰向けに抱き起す。

 

 

「兵藤…!おう、俺や!わかるか…!?」

 

 

半ば予想は出来ていたが返事はない。しかしとにかく意識の確認をすべく声をかけながら、間に合うことを祈りつつ、いざとなれば手に取っている「力」を迷わず使うと決意する。遠目にもわかるほど流れ出ていた血液は、未だ流動して地面に流れ続けていた。服を引き開き、傷口を…胸元の大穴を確認する。

 

 

素人であっても理解できた。「間に合わない」と。

傷口が大きすぎる。深すぎる。どうにもできない。…つまり。

 

 

兵藤・一誠。「人間」である彼は、ここで死ぬ。

 

 

「あら、あらあらあら?アナタ、もしかして「福ちゃん先生」って方かしら?」

 

 

身の毛もよだつ声が背後から浴びせられ、恐らくは見たくもないモノがあると理解しながらゆっくりと振り返る。そこには想像していた通り、必死にこらえようとしている笑みがこらえられていない黒翼の女の姿があった。一瞬で脳が熱を帯びるも、冷たくなっていく一誠の身体に倣うように頭が急激に冷えていくのがわかった。大きく深呼吸をし、これ以上苦しませるわけにはいかないと一誠を地面に寝かせる。

 

 

「だったらなんやっちゅーねん。ってか気安く呼ぶなや、誰やねんオマエ。」

 

 

「あら態度の大きいこと。下等な人間風情がハラの立つ…でもいいわ、どうせ殺すし、すっっごく面白かったから。それと、私の名前はレイナーレ。その短い生涯に刻み付けて逝けることを光栄に思う事ね。」

 

 

妖艶な様子で顎に手を添え、嘲笑いながらこちらを見下す異形の女。その口ぶり、黒翼に古い記憶が呼び起こされ、吐き気がこみ上げてくるのを実感する。忘れようとして一度は忘れ、再び背負った「悲劇の記憶」だ。

故にこそ吐き気を飲み込み、体勢を相手に向ける形に向き直す。しゃがんだ態勢のまま、一誠を背後に相手を睨みつけながら…その名を口にする。

 

 

「堕天使が、どない理由でオレの生徒殺しとんねや。」

 

 

「…意外。知ってるのね、我々の事。ただの人間じゃないのかしら、「福ちゃん先生」?」

 

 

「呼ぶなや。そんでもってただの人間や…オレは昔オマエらに縁があっただけ、多分その場にオマエいなかったけどな。」

 

 

「フーン?まあいいわ。それで理由…イッセー君を殺したワケ、だったかしら?」

 

 

恐らくは一誠を殺したであると推測される得物…「光の槍」を手元に呼びだし、殺意と嗜虐心を新たにしながら堕天使の女…レイナーレと名乗ったそいつは、軽い口調でその理由を口にする。

 

 

「神器《セイクリッド・ギア》。彼がその所持者だったからよ。」

 

 

「せい…?」

 

 

「そっちは知らないのね。神器とは聖書に記された唯一神が生み出し、どういう意図かは知らないけど人間の生誕の際にランダムに宿す器物(アイテム)。下等な人間には不釣り合いな力を宿した厄介な代物よ。」

 

 

だから、と。レイナーレは口にした。そしてその口は軽く、止まる様子はなく続いていく。

 

 

「これからの私の計画に万が一にでもジャマになったら嫌だもの…でも単に殺すなんてツマラナイじゃない?だから彼の望むようなシチュエーションで付き合ってあげたの。楽しかったわぁ、イッセー君とのごっこ遊び。定番(テンプレ)なデートプラン、慣れない初々しい反応の数々。私みたいな美しい存在が、ホントウに自分を好きになってくれたと信じる愚かしさ。本当に可愛かった。不幸ね、神器なんて宿していなければ飼ってあげてもよかったのに。」

 

 

楽しそうに笑いながら、レイナーレは笑い、語り続ける。ソレを聞いて福太郎は、ようやく相手が「誰」なのかを理解した。

「夕麻ちゃん」。嬉しそうに、泣いたり笑ったりしながら一誠が口にしていた女性の名前。愛しい可愛いと口にして、どうしたら喜ばせてあげられるか(・・・・・・・・・・)と、ニヤケながら語っていた存在。

再び、頭が沸騰しそうな熱に侵されるのがわかった。それが表情に出ていたのか、ようやく軽快な語りを止めるレイナーレ。

 

 

「っと、殺すからって喋りすぎてしまったわね。そろそろ一誠君も完全に事切れちゃってるでしょうし———」

 

 

 

光の槍が持ち上がる。何をする気かなど容易に理解できたから驚きはない。レイナーレも、その未来が確定されていると確信しているのか動きは緩慢だ。

見惚れるような美しさでレイナーレが微笑む。想像でしかないが、恐らくは一誠を殺した時と同じであろう、男を蕩かし、堕落させる表情だ。

 

 

 

「二人一緒に、せいぜい仲良く消えてくださいな。さようなら、「福ちゃん先生」——————!!」

 

 

 

 

光の槍が動かなくなった一誠と、右手を大きく走らせる福太郎めがけて振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 





話が進みすぎるような進まないような。ままならない



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夢想一端。登場《肆頁目》

独自解釈。戦闘微弱。無知故ににわか丸出し。

許して



お気に入りと評価、本当にありがとうございます


 

 

「光の槍」。

 

天使にほど近い神の力の欠片、堕天使が扱う極々標準的かつポピュラーな通力(魔力や妖力といったものの総称)兵装。標準武器。

 

威力、大きさはそのまま担い手である堕天使の実力を表し、通力という生体エネルギー兵装であるが故に形状や数にも応用が利く(雷光のバラキエルなどがその一例だろう)。特に「属性」が共通の出典元である悪魔には絶大な優位性と効力、そして視覚からでも不快感を覚えさせるほどの強烈な毒性のような働きを持ち合わせている。無論、武器や凶器としては対人間においても有効であり、その特徴から教会戦士、悪魔祓師(エクソシスト)が戦闘に用いる「光力」と呼ばれる通力を刃とした剣や銃と同等の材質であると伺える。

故に恐らくは天使にも類似した力の使い方があり、標準兵装となっている可能性は想像に難くない。

 

何故、属性的には悪魔の方が近いであろう堕天使が未だに天使系統の技をそのまま振るえるのかという疑問やらは多分真っ先に浮かぶが、今は置いておこう。

問題は、多くの堕天使にとって「光の槍」は自らの実力を映し出す証であり、最も信頼をおく武器であるというコトである。

 

 

だから言うまでもないことだが、レイナーレの様な自尊心が高く、人間や悪魔を見下す傾向の強い堕天使の手合いにとっては「格下に自らの槍を防がれる」などあり得ないことであり、まして———

 

 

 

ガキンッ

 

 

 

「…へ。ハ、な、ぁあああっ!?」

 

 

 

———もしも「ただの人間」程度に防がれたならば、それは自己の全てを否定されたにも等しい…途方もない屈辱なのである。

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

硬い手ごたえ。痺れる手首。意図せず上がった腕。目下に存在する存命の標的…否、存命どころではない。無傷(・・)だ。

レイナーレの自我が一瞬、全てを白へと塗りつぶされる。だがレイナーレの自我の有無に関係なく、重要なのは結果だ。

 

 

「よし…!」

 

 

標的…福太郎の、安堵の混じった確かな呟きがレイナーレの形のいい耳にまで届く。見ればその手には大ぶりのペンの様なものが握られており、その足元には彼らを覆う大きな(えん)と、内側に書かれた二文字の極東文字(にほんご)

そこには、こうあった。

 

 

『結界』

 

 

思考(いろ)が、再びレイナーレの自我を彩る。

 

 

 

「…へ。」

 

 

理屈(ワケ)はわからない。だが、ハッキリわかるのはつまりこうだ。

 

 

「ハ、な、」

 

 

レイナーレ(わたし)の槍は、下等な師弟を消し去るため、振るわれて———

 

 

 

 

「———ぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!?」

 

 

 

———神器さえ持たない、「ただの人間」に防がれたという純然たる事実。許しがたき、現実である。

 

 

レイナーレの視界が、赤く染まった。

 

 

 

**************

 

 

 

 

「にんッ、ににに人間!ただの、神器もない人間が!私の槍を、そんッ、子供だましみたいな手で、防いだ…!?何を…何をしてるのこの下等生物がぁぁぁあああああああああッッ!」

 

 

屈辱と憤怒に張り裂けそうなレイナーレの叫びが夜の帳に木霊するのを即席の結界の越しに聞きながら、冷や汗を垂らしながらも福太郎は次の手段を考えていた。

 

㒖念筆(マンネンヒツ)。その手に握られた、ペンの如き器物———「如意機」。

十種神宝(トクサシンポウ)」の一種・生玉(イクタマ)が生み出したコピーを核に、過剰に膨れ上がった「右背の彼」の通力と存在を吸い上げさせ、福太郎専用にその形状と性質を変貌させた「王選器・風靁棒」の子機。友より授かりし、唯一の武器と呼べる存在。

後述されるその性能は応用力こそ侮れないものの、癖がありすぎるが故に決して「万能」には届かないという、頼りにはなるが困った福太郎の相棒だ。

 

故に取れる手段と言っても、選択肢は限られている。ようは「いかにして逃げるか」「いかにして凌ぐか」というコトだ。

 

 

「(一誠の死体はどうにか守り抜きたいとこやねんけど、抱えて走っても追い付かれて死ぬ。そも抱えたら両手塞がっとんねんし、っつか結界解いた瞬間多分死ぬわ。㒖念筆使おうにも手元には運悪くなんもないしな…)。」

 

 

忘れかけていたが、福太郎はほとんど着の身一つの状態である。そもそも食後にタバコを買いに来た帰りであり、こんな事態になるとは微塵も想定していなかったのだ。手元には財布程度しかなく、唯一の武器と呼べる㒖念筆の真価もこれでは十全に発揮できない。

ならば福太郎が単身レイナーレを倒すという手だが———

 

 

「(死ぬだけやな)。」

 

 

福太郎はただの人間である。ついでにいえば武人でもなければ鍛錬を積んでるわけでもない絵描きである。武器があっても正面から突っ込めば、たちまち死ぬのは目に見えていた。というかこんな状況三秒も持たん。

そうなると、とれる手段は結局「一つ」しかない。

 

 

「死ぃぃィねええええええええッッ!!!」

 

 

「ッ!!」

 

 

そこまで考えたところで、ひとしきり叫んでもなお怒り狂ったレイナーレがこちらを見据え、思い出したかの如く光の槍を手に、先程の比ではない猛攻を不可視の結界の上から浴びせてきた。福太郎のイメージの元に半球状のドーム型に張られた結界は激しい音を立てながらも堅牢にそれらを防ぐが、防ぎきっているハズの福太郎の顔色には微塵も余裕がない。

 

「(ゴーレムみたく詳細な情報を書き込んだわけでもない。オレのイメージ主体の簡易的な結界(バリア)はいくら堅い言うてもいつまでも長続きせぇへん!集中力にも限りあるかんな…!)」

 

 

「人間!人間が!私を阻むな、時間をかけさせるな、私に歯向かうなァ!下等で!脆弱な!奇怪な術を使うだけの!人間風情がァ!」

 

 

レイナーレの動きは尚も止まらない。薙ぐ、突く、打つ、振り下ろす、巻き付ける、斬りつける。攻撃手段は槍の一本だが、がむしゃらに見えて技から技へと繋げに繋げて終わりが見えず、武術を嗜まない福太郎の眼からすれば竜巻さながらに治まる様子を見せない。

不可視の結界が次第に軋んでいくような錯覚に陥りそうになり、本当に壊されないためにもすぐに集中を改める。

 

 

「どうする…!?」

 

 

考えなくてはいけない。だが考えている時間はない。そして諦めることは選択肢にない。故に、ともかくイメージの切れない内に何とか結界の下から新たな結界を描こうと㒖念筆を握る。

更なる(えん)と情報を地面に書き込もうとした———その、瞬間。

 

 

 

 

「そこまでよ。堕ちた天使の木っ端さん。」

 

 

 

透き通る様な声が響き、刹那、夜の闇を赤い光が染め上げる。その場にいた全ての視線が光の先、その根源へと向かった。それまで続いていた猛攻が嘘のように収まり、一転。警戒態勢に移り変わる。

一誠の骸、その傍ら。血染めのチラシから、黒く乾きかけた血を塗り直すように迸り、脈動する苛烈な輝き。そしてその赤き輝きに負けないほどの質量を持った「赤」が弱々しい夜風にも大きく広がり、靡く。

その光景、その美貌が、否応なしに周囲全てを威嚇するのように、目にする者へ「圧」を振りまいていた。

 

脈動する「紋章」が指し示すのは一つの「血統」。

 

背側から広げられた翼が指し示すのは一つの「種族」。

 

そして、その表情が指し示すのは———明確なる「憤怒」。

 

 

 

その登場、その正体に、堕天使レイナーレがここにきて初めてその表情に焦りの色を見せ、その名を口にする。

種族としての怨敵の一角。最初から警戒していた強敵。その登場に幾重もの憎悪と呪詛を籠め、言の葉に乗せて吐き出した。血走った眼光、その先———。

 

 

 

「グレモリィー…!!」

 

 

「消し飛ばすのは前提、でも今だけ(・・)は失せることを許してあげる。私の失態、遅すぎたが故の不始末を…この二人を救う形で返上するために。」

 

 

 

黒く赤い「滅び」を迸らせ、憤怒と贖罪に濡れた宣言が響き渡る。無断の領地侵入者、加えて下手人を目の前に、意図をもって見逃すという領主として更なる失態を犯すことを、彼女は恥じることなく宣言する。

 

 

余りにも遅すぎた登場。その不始末を、確かな形で償うために。

学び舎に身を置く一生徒として、貴族としての「グレモリー」ではなく、一人の「リアス」として。

 

 

福太郎たちの前に躍り出た彼女は、決意をもって———その全霊をもって、己の在り方を指し示す。

 

 

 

 

 

 




文章力…ホント、しっくりくる文章が難しい




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前兆の一夜。閉幕《伍頁目》


難産。自分の文章を見失いそうになる。変になってないか何度も読み返してます。
沢山の評価に新しいコメント、本当に嬉しいし励みになります。ありがとうございます。



こっから設定こねこねです。


 

 

———色々あった、というには、あまりにもひと時の間に凝縮された一日だった。だが考えてみれば、そもそも「大変な一日」なんていうものは大抵そんなものだったかなとも思う。

そんな風に思いながら灯したタバコの煙を吸い込み、肺を潜らせ()ッと吐き出す。

 

 

素由狸(スュリ)ッ…。

 

 

「………。」

 

 

口から吐き出した紫煙がゆるーくくゆり(・・・)、拡がったり廻ったりとカタチを変えて天井にのぼる様子(サマ)が、なんだかとても懐かしい気がした。

 

自室———駒王町の外れに位置する、足洗邸の捌号室である———にて、ちょくちょく寝具の役割を果たす、くたびれたソファーに身体を沈めての一服。生きて帰れたという安堵感もあるのだろうが、とにかく纏わりついた気持ちの悪い疲労感に耐え切れず、帰宅して早々にオレはこうしてタバコの封を切った次第だが…身体を横たえてうっかり眠ってしまいそうで危ういことに気が付いた。

とはいえ今更身体を起こす気にもなれず、諦めて仰ぎ見た視線を天井にボンヤリ漂わせる。回転の緩い脳みそをうっかり眠らせぬように、気付けばオレは今日一番の激動を…先程の夜の一幕を思い返していた。

 

()ゥ…。

 

もう一度温かい煙を肺にため込み、ゆっくりと吐き出す。

 

**************

 

 

あの後、堕天使レイナーレはリアスさんの挑発に乗る事もなく、アッサリと引き上げていった。

 

いや、アッサリというにはだいぶ顔がヤバかったけど。げっちゃくそ呪詛(アクタイ)()いてったし。

だが、まあ、ともかく戦闘行為には移らずに、最後にオレ指さして「お前は絶対に殺す」という捨て台詞を残して、文字通り飛んで逃げていった。

リアスさんはその姿と羽ばたきの音が完全に消え果てるまでその方角を睨みつけていた。生徒会長、蒼那さんに勧誘された際に聞いてた通り、この子も悪魔なんだなと思いながら見事な赤い髪に覆われた後ろ姿を見つめていると、ようやく警戒を解いてオレの方にやってきて———

 

「本当に、遅れてゴメンなさい」、そう一言謝って、彼女は深々と頭を下げた。

 

———何も言えなかった。圧倒されたのだ。

突然の謝罪に驚きこそしたが、彼女(リアス)が「何に対して謝っているのか」を察せないほどニブイ訳ではない。まして以前、あの生徒会室で聞いていた話によれば、彼女はこの街を預かる管理者であるという(曰く「領主」であるらしい)が、そうなれば一誠の死をはじめとした今回の一件には、思うトコロがある処の話ではないだろう。無論、彼女の人柄あってのコトだろうが。

ある種の気迫さえ纏った重い謝罪の言葉に気圧されている内に、彼女は自分が現れた魔法陣…それの傍らに転がる一誠へと視線を移していた。

 

 

「彼…一誠、だったわよね。彼にも悪いことをしてしまったわ。」

 

 

「…兵藤がリアスさんを呼んだんですかね?」

 

 

「ええ。この配布チラシ、人間の「願い」に反応して悪魔(わたしたち)を召喚する仕組みになってるんです。今回は間に合わなかったですけどね。

あと敬語は不要ですよ、先生。私は生徒で、あなたは教師です。仮に学校の外で、今が夜だとしてもね?」

 

 

「…ハハ、せやな。ちゅうか、なんやねんソレ。怪しいやろ。…ああ、でも兵藤のヤツなら胸ぇツツかせろとか言いそうやなぁ…。」

 

 

容易に目に浮かぶ鼻の下を伸ばした教え子のだらしない顔。ああ、間違いない。こいつならそう言っていただろうな。思い浮かべ、改めて一誠の死を実感し、そんな風に力なく、笑みを浮かべることしかできなかった。身体と頭の奥から拒絶するような感覚に、気を抜けば飛びそうな意識に頭がどうにかなりそうな気がした。

 

だから、

 

 

「そう、それくらいならいくらでも…ともかく。まずは生き返らせてからにしましょうか。」

 

 

「……へ?」

 

 

続いた言葉に、その意味するところに。今度こそ(・・・・)、驚愕に言葉も出なかった。

 

 

「人間としては無理でも、悪魔として…私の眷属としてなら蘇らせられる。」

 

 

「な、何ィイイイイイイ!?」

 

 

夜の帳に木霊する絶叫。別口で意識まで発射しそうになったのは言うまでもない。

そんなオレの絶叫にも動じずに彼女、リアス・グレモリーは淑女然とした所作をもって微笑みを浮かべている。彼女の言葉が、楽し気に躍った。なかなかイイ性格しとる。

 

 

「先生は「悪魔の駒(イーヴィル・ピース)」の説明についてはある程度ソーナから受けていますよね?ともあれ時間がないわ、急いで処置しますので、少しお待ちくださいな…先生。」

 

 

そう言って、彼女はざらざらとチェスの駒らしき物体を複数取り出した。そして煌びやかに輝く駒を手に、一誠の死体の傍らにしゃがみこみ———

 

 

 

**************

 

 

———そしてオレは帰宅し、現在(ぼうとう)に至るという訳である。だが、色々とクル(・・)ものが多すぎた。

 

 

「…もしかして死生観は転生なんかな。生きたまま悪魔になるというか…力を与える、「変じる」というより、いっぺん肉体的には死なせて丸々作り変えるカンジなんか?あー、河の水呑まんで転生する感じ…とは、ちょい違うなぁ…。」

 

 

「何ブツクサ呟いてんだよコエーな。っつかクセーな、寝タバコかよ。初心に帰って死ぬ気か?」

 

 

思考の現実逃避と、タバコの灰が半ばまで差し掛かったところで不意に投げかけられる声。視線を天井からずらせば、いつのまにか開いていた障子戸が開けられ、見知った顔が鼻をつまんで窓を開けている。他人の部屋という事を考えればあまりにも遠慮がない行為だが、この「足洗邸」という場所では珍しくもないし、気にならない。誰も気にしない。

 

 

保由(ホユ)か。死ぬ気ちゃうわ、疲れとるだけやって。また絵でも観に来たんかー?」

 

 

やや癖のある、ふわふわした白い髪を揺らした少女の後ろ姿へと声をかけ、重たく軋んだ身を起こす。名を呼ばれて振り返る少女の紅い瞳が、オレを捉えていた。

 

光前寺・保由。諸人の人生の分岐点・足洗邸の住人としては最も歳若い存在であり、参号室の住人である山犬の化生だ。

彼女は犬啼寺という駒王町の外に存在する寺(なぜか鳥居が存在するという、変わった寺だ)の社僧の娘であり、元・駒王学園の生徒でもある。もっとも卒業したという訳ではなく今は休学届を出しており、故あってこの足洗邸から出られない(・・・・・)状態だ。

保由は開けたばかりの窓枠に腰を下ろし、こちらを見つめている。最近は結構な頻度で出会った頃のような笑顔も見れていたのだが、今現在の少女の顔は真顔だ。その視線には、こちらの心情を逃さないという野生の感性のようなものを感じ取れる。

 

 

またか(・・・)。アンタもよくよく厄介ごとに巻き込まれる体質だな。」

 

 

「前に言ったやろ、呪われてるって。まぁ今回のは呪いとは関係あらへんけどな。」

 

 

「そうかよ。…こまさんが心配してた。マサライさんもな。」

 

 

「あー…そらアカンな。」

 

 

こんな自分の身を案じてくれているという住人たちの言葉に嬉しいと同時に、少々のむず痒さと申し訳なさを感じて、思わず苦笑してしまう。…いや、感じていることは、苦笑の理由(ワケ)はソレだけではないだろう。

やはりなれない(・・・・)。克服はある程度できたと思っていたのだが、身近に感じすぎる距離感に対して「恐れ」をオレは抱いている。タバコの煙よりも根強くシツコク染みついて、それを良し(・・)としてきた感情であるならば、それも当然だろう。

 

 

「ま、何があったか知らんけどな…ちょうどいい。抱え込んで不審火出されないように、面白そうだから私が聞いてやろう。」

 

 

「あんま面白い話しちゃうぞ。っつか笑い話ちゃうし、オレも眠いねんけどな。」

 

 

「そんなもん私の主観だ。人の不幸も関係ないなら甘い蜜にだってなるし、キモイ絵だってグロテスクな芸術性を見出せる。絵描きのアンタが一番わかってるだろ?見ていない以上、或いは見ていたとしても、他人同士が物事に抱いた心象は同一のものには絶対になり得ない。見る目が違って、感じる心と保存する脳が違うんだからな。」

 

 

したり顔でのたまう彼女に笑顔が灯り、腕を組む。その姿勢はもはや引く気がないという様子を容易にうかがわせた。

不思議なことに、その何とも言えない気安さが、己の中の凝り固まったシコリをほぐしていくような気がした。

 

 

「自慢じゃないが「家から出られない」って状況は暇すぎるしな。」

 

 

「…ああ、そんなら話したるか。せやな、まず兵藤ってヤツがいてやなー。」

 

 

そんなふうに、そんな感じに、二人は静かな夜を語り明かした。

お互いが本格的な眠気を憶えて解散し、各々が部屋に着くころには…オレ、福太郎の身体にべったり纏わりついた疲労感から、少なくとも不快な気持ちの悪さだけは消えていた。

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「面白いヤツなのは認めるけどよく捕まってないな、ソイツ。女と法の敵でしかないだろ、天使とかなら悪意なしに普通に殺してそうだぞ。」

 

 

「まあ否定できへんな!」

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

一方、その頃。某部室では。

 

 

 

 

「部長の新しい眷属の「兵士(ポーン)」が、変態で有名なあの先輩ですか…色々不安なんですが。具体的には()眷属の継続を検討するくらいに。」

 

 

 

「アハハ…ソレは多分、部長が泣いちゃうから止めてほしいかな。僕個人としても寂しいものがあるし。」

 

 

 

「そうそう。それに案外可愛らしいと思いますわよ?自分と欲に正直である、というのは、悪魔にとっては重要なことでもありますし。」

 

 

 

「私は悪魔じゃないので。まあ、まだ抜けるつもりはないので冗談ですが…。」

 

 

 

「ならひとまず安心だ。頼れる仲間がいなくなるのは心苦しいし、僕も君からはまだまだ学びたいことが多すぎる。なんなら今から手合わせしないかい?」

 

 

 

「嫌です。気分じゃないです。」

 

 

 

「ところで、やっぱり正式な眷属にはなりませんの?白音さん(・・・・)。」

 

 

 

 

 

 

 

「ええ。部長や皆さんの事は嫌いじゃないですし、無理な協力をしていただいて感謝はしていますが…魂を悪魔にだけは(・・・)売り渡すわけにはいかないんですよ。血肉を分けてくださったあの人の為にも(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

私の目的は姉様を探し出すこと。その身体からアイツの「悪魔の駒」を取り除き、塗りたくられた不名誉な汚名を払拭する…また二人で過ごすために、私は今もここにいるんです。」

 

 

 

 

 




次回から色々動きそう…いやもう動いてる、のか?



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