いじめられっ子はインクの悪魔と共に嗤う (火壁)
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少年は悪魔と契約する

本命の方でアンケートとったくせに欲望に忠実なクソ作者がいるらしい。←

なんか最近スッキリしない日が続き、スッキリする為にこんなの書きました(サイコパス)。暇つぶしにでも読んで行ってください。


人間なんて大嫌いだ。

 

欲望に忠実でそのためなら他者なんて平気で陥れ、よってたかって嬲り続ける。それで僕はずっと一人だった。

 

僕の両親も魔獣討伐戦に駆り出されてそのまま戦死した。その戦いで出た利益は貴族が独占した。

 

学校の連中もいつも僕を虐めて笑う。周りの奴も笑うだけで助けようともしない。助けてくれる人がいてもその人が理由で更に殴られる。

 

こんな世界なんであるんだろう。魔王の方が人道的とかいうオチじゃないだろうか。

 

ああ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな世界、消えてしまえばいいのに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王国王都

 

聖ジョーイ魔闘学園

 

僕の名前は”アンク・アンジュ”この学園の生徒……だけど落ちこぼれで、皆から嫌われてる。それで今日は僕にとって良くない日。

 

「皆さん、今日は王都で各産業について社会見学を行います。各自で好きなところに赴き、そこで学んだことをレポートにまとめてください。時間は午後5時までです。それまでにこの噴水広場に集合ですので遅れないように。では一時解散です」

 

今日は魔闘学校、聖ジョーイ学園1年の社会見学会。王都で興っている産業の中から一つを選んで、そこで学んだことをレポートにまとめるんだけど、

 

「おや~これはボッチで落ちこぼれのアンク君じゃあないか~。これからどこいくんだい?何なら俺たちも連れていってくれよお~」

 

いつも僕を苛める4人組、ジラーニ、デジール、ティペッシュ、そしてドムだ。なんでいつも絡んでくるのかなあ。こういう感じで苛めグループが僕を目の敵にする。1人だからなおさら狙いやすい。

 

「やめておけよジラーニ。そんな奴といたら落ちこぼれがうつっちまうよw」

 

「そうだな~こんなゴミ、相手するだけ損かw……おい、いい加減サリアに付きまとうな。お前うぜえんだよ。それ自覚してんの? サリアだって迷惑してるって気づかないのかなあ? そんなこともわかんないんでちゅかあ~?」

 

「ぼ、僕が付きまとってるわけじゃ」ドゴォ「うぐう!」

 

「あのね、言い訳はいらないのよ。俺は寛大にもお前がサリアに関わらなけりゃいいだけって言ってんじゃん。そうすりゃ皆ハッピー。お前は皆にとって悪そのものなんだよ。だからよ、頼むわ。もう二度とその面見せんな!!」ドガッ

 

「ぐうっ……ゴホッ……ゴホッ」

 

「うわっきったねえ! ふざけんじゃねえよ!」ドガッ

 

「まあまあ、その辺にしとけよ。おい、俺が言いたい事は大体ジラーニと一緒だ。サリアに近づくな。あいつは俺の女なんだからな」

 

ドムが僕の髪を鷲掴みにしながら言う。見向きもされてない奴が何言ってんだか。

 

「なんだその目は。まあいいさ。これに懲りたらもう近づかないこった。これは忠告なんだから俺たちに感謝しろよ? これはお前のためなんだからな」

 

そういい捨てると笑いながら歩いていった。眼鏡は無事なようだ。無事だからよかったけど、割れたらどうするつもりだったんだ。いや、あいつらはそんなこと考えないか。

 

すると向こうから、

 

「また派手にやられたわね。怪我は大丈夫?」

 

さっきあいつらの口から出てきた”サリア・アモロソ”。才色兼備、文武両道とは彼女のことを言うのだろう。唯一の彼女の汚点と言えば、僕と幼馴染ってところかな。それ程彼女は完璧なんだ。

 

「いつものことだよ。大丈夫だから」

 

「でもたまにはやり返しなさいよ。こっちが見てて気分が悪いわ」

 

「無理だよ。あっちの方が強いし、僕じゃ勝てない。それよりサリア。やっぱり僕に関わらない方がいいって」

 

「なんでよ」

 

「だって何をやらせても完璧なサリアに僕みたいな落ちこぼれが一緒にいたらサリアが変な目で見られちゃうよ」

 

「そんなこと気にする暇があるなら少しでも魔法の訓練でもしなさい。落ちこぼれって自覚があるならなおさらよ。今日だってこっちに来ないで訓練するべきだっていうのに。じゃ、私は行くから」

 

そう言うだけ言ってサリアはさっさと行ってしまった。結局何がしたかったんだろう。

 

「何だよ。何が楽しくって皆して僕を苛めるんだよ。僕だって好きでこうなったわけじゃないのに」

 

目に浮かぶ涙を拭って、僕は見学先に向かった。

 

 

 

 

 

 

「よし、行ったな。行くぞ」

 

「おし。でもなんでこんな周りくどいことするんだ? 普通にボコせばいいじゃんよ」

 

「わかってねえな。あいつはたとえ腕折ってもサリアにくっ付いたまんまだ。サリアに付く悪い虫は文字通り駆除しないとな」

 

「おっほお~悪い顔してんねえ! まああいつには悪いけど、これも俺たちがサリアと付き合うようになるためと思って退場してもらおうかねえ」

 

「「ヒッヒッヒッヒ/クックックックック」」

 

「アンクゥ、お前は皆の邪魔なんだよ。お前がいるからサリアと喋ることだってできねえ。悪いけど消えてくれ。それが、皆のためなんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見学先 インク工場

 

「いや~まさか学園から見学者が来てくれるなんてなあ! 来てくれてありがとうね!」

 

僕は王都のインク工房に来てる。インクはいい。書物を書くのには全てインクを必要とする。その黒の液体は沢山の物語を紡ぎ、記録を残し、それはこれからも続いていくのだろう。その工房を見ることは密かな憧れだったのだ。

 

「はい。見学の許可をくださり、ありがとうございます」

 

「いいんだよ。学園から見学に来てくれたってだけで嬉しくなる。自分のとこのものに箔がつくからね。じゃあさっそくだけど案内するよ」

 

そうして工房の見学が始まった。僕は中の機械に胸を躍らせっぱなしだ。

 

「そういえば、なんで見学先がここなんだい? 学園の生徒なら魔導書館とか色々あるだろうに」

 

「インクって物事を書くために必要じゃないですか。この黒の液体はこの世の全部を記すなんてロマンだと思うんです。そんなインクをつくる工房を見るのがちょっと憧れだったりするんですよ」

 

「はっはっは! そりゃいい! じゃあとことん見せてやらないとな!」

 

こうして色々な所を見せてもらい、本当に充実した時間だった。この時間は皆のことを忘れることが出来た。

 

「よーし、これで見せるとこは大体全部だよ。わかってもらえたかな?」

 

「はい! ただこれを基にレポートを作らないといけないのでもう少し見ていたいんですがいいですか?」

 

「いいよいいよ。じっくり見てって立派なレポートつくってな!」

 

「はい!」

 

工房主のおじさんから許可を貰って、僕は工房で見学を続ける。

 

 

 

 

「これが確かインクを溜める機械か……この中にインクが沢山詰まってるってすごいなあ」

 

僕は工房の奥に鎮座するインク貯蔵機を見ている。それは正しく壮観で、いつまで見ても飽きない代物だ。

 

「王都にしかないっていうけど、これが国中にできるってなると一体いくらかかるんだろう。それよりこれはどうやって動くのかな? 魔導回路が通っている感じもしないし、となると地下水道のポンプを応用してるのかな? でも貯蔵箇所がわかんないや」

 

そうやって僕が思案していると、

 

「あっれえ~。誰かと思えばアンク君じゃないか~さっきぶりだねえ~」

 

振り返ったら今朝の4人組がいた。なんで!? ここには絶対来ないって思ってたのに!

 

「実を言うとね~、アンク君。君にお別れを言おうと思って来たんだ~」

 

? 何を言っているんだ? 僕は引っ越しの予定も無いし、彼らが引っ越すのか? でもそんなこと僕に言う奴らじゃないし

 

「もう鈍くさいなあ~。君が死ぬからさよならってことだよ!」

 

「……え?」

 

僕が呆気にとられていると、ドムが前に出てきた

 

「俺たちは、お前が前からうざいって思ってたんだ。落ちこぼれのくせにサリアにいつもいつも助けられてよお、恥ずかしいって思わないわけ? 男が女に助けられてさ。それにお前は腕を切り落としても離れねえってわかった。だからここで事故にあってもらう。心配すんな。サリアは俺たちが可愛がってやるよ」

 

気持ち悪い笑みを浮かべてドムが僕を睨みつける。そんなことよりサリアをどうするって? お前たちは見向きもされてないのに大層な自信だ。

 

「……やっぱりその目は気に入らねえ。よーしわかった! そんなに俺たちに逆らうってなら、このおっさんもやっちまっていいな!」

 

「!!」

 

そこには工房主のおじさんが顔に痣をつくって倒れていた。

 

「なんで……なんでなんだよ! 僕1人を狙えばいいじゃないか! なんでおじさんまでこんな目にあわせるんだよ!」

 

「お前やっぱわかってねえな。こいつはお前のせいで死ぬんだよ! お前が逆らわなけりゃ死ぬこともなかったのになあ! ま、恨むんならアンクを恨めよおっさん!」

 

ヒャハハハハハハ!

 

残りの3人が汚い笑い声をあげる。

 

「おじさん。おじさん!」

 

「あ、アンク君。君は悪くない。悪いのは全部こいつらだ。君が気に病むことはないよ」

 

「おじさん……」

 

「んだと……ただの平民風情が! 魔闘師様に向かって大層な口きくじゃねえか! そうかい、そんなに死にたいなら殺してやるよ!」

 

ドムの手に青のオーラが集中する。

 

「死ね!」

 

ズシャッ

 

「ぐふっ……」ドサ

 

おじさんは血だまりの中で数回痙攣してそのまま動かなくなった。

 

「ああ、あああああああ、おじさん。おじさあああああああああああああああああああんん!!!」

 

「はっはっはっは!! あ~あ、死んじゃった。お前のせいだぞアンク。お前が言う事を聞いておけばこんなことにはならなかったのに。さて、次はお前が死ぬ番だ。まあお前はここを爆発して殺せばいい。爆発事故ってんなら俺たちに容疑はかからねえ。んじゃ、バイバイアンク君」

 

ドムたちは僕をインク貯蔵機に拘束して逃げるように去っていった。

 

「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!待てえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」

 

 

あいつらが工房を出てから所々から火が回ってきた。

 

「くそ! やっぱり僕はいない方がよかったんだ……ううっ、おじさん、ごめんなさい」

 

動かなくなったおじさんに謝る。でも涙が止まらなくて声がうわずる。

 

「なんで、なんでここまでできるんだよ……ふざけんな……クソッタレ」

 

そして視界が白ける。爆発したのかな。  まあもう関係ないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ~あ、死んじまったな。お前さん』

 

なんだ。何かが喋ってる。

 

『あんなんにやられちまって、ドンマイとしか言いようがねえな」

 

うるさい。お前に何が分かるって言うんだ。

 

『わかんねえよ。負け犬の遠吠えなんざ』

 

クソッ。何だってんだよ!

 

『まあ落ち着け。こうして話してるのはお前さんにいい話を持ち掛けに来たんだ』

 

話? ってもう死んでるのに話なんか……

 

『そうだな。だが、生き返るってなったらそうでもねえだろ?』

 

……は?

 

『お前さんの人生は言っちまえば災難の連続だった。親が死に、周囲から虐げられ、それでこれだ。俺は悪魔だが、同情だってする。だからいい話を持って来たんだ』

 

そういうと自称悪魔が軽く息を吸い、雰囲気を改めること、

 

『俺と契約しろ。そうすればお前は生き返る』

 

……? 何を言ってるんだ?第一悪魔と契約なんて

 

『おっと、そんなことを言うが言ったろ? 同情してるんだって。だから生き返らせて人生リスタートしようぜって』

 

でもそういうのって契約の代償で魂が食われたりとかあるんじゃ……?

 

『確かにそういう奴はいる。でも今回は魂を融合させて俺の力をくれてやるってことよ。だから代償はお前の魂の融合と体の共有だ。おけ?』

 

……

 

『あいつらに復讐しろとはいわねえさ。でも、幸福を掴むくらいはいいじゃねえか。あいつらには仕返しくらいしても罰は当たらねえよ』

 

……そうだけど

 

『それにサリアだっけ? あの子はどうするんだい?』

 

!?

 

『あの子はこのままだと何しでかすかわかんねえぞ。下手すれば死ぬかも』

 

な、なんでそんな事……

 

『そこは君が確かなきゃ。さあどうする? ここまで来て嫌ですってかい? 気にならないの? 彼女の気持ち』

 

……わかった。契約……するよ。

 

『そうだ! それでこそ人間! 欲望の為に、そして俺の楽しみの為に頑張ってくれ!!」

 

そういって悪魔は小さい玉になって僕の中に入っていった。

 

そうだ。君の名前は?

 

『名前? んーそうだな。と言ってももう話すこともないし必要ないんじゃないか?』

 

それでもだよ。ないなら僕が決めるけど、いいかい?

 

『構わねえよ。ほらさっさとしろ。もう時間ねえぞ』

 

そうだね……どんな力を使えるの?

 

『力? 俺はインクを操るだけだ。それでも普通の人間よか全然強いがな』

 

そうか……じゃあ”インキー”なんてどうかな。安直だけど。

 

『インキーだあ? お前ネーミングセンス皆無かよ。まあいいか。インキーな』

 

うん。よろしく、インキー!

 

『あいよ。じゃ、魂の融合を始めるぜ!』

 

そうインキーが言うと、体が中からかき混ぜられるような、不思議な感覚に襲われた。僕ともう一つの魂、インキーの魂が混ざっていく。段々と僕という感覚が消えていく。

 

僕が消えて、()が生まれる。

 

「さて、ハッピーバースデー()。今日が俺の……誕生日だ!」

 




駄文でしたがいかがだったでしょうか。これからアンク君は色々インキーの力を使って暴れていく予定です。冒頭のあれ?……なんだろ?

投稿ペースは、1~2週間に1本でしょうか……。でもアイデア出ればどんどん上げてくのでお楽しみください。

ではまた次回ー


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少年は敵を嗤う

ゼロから設定考えるって本当に大変ですよね。火壁です。

悪魔と契約という名の融合を果たしたアンク君。彼はこれから目の前を遮るものを敵と認識しますが、そこに1人向かうのは……

視点としてはアンク君以外の場合sideを入れて入ります。

では第2話お楽しみくださいな。


サリア side in

 

ザワザワ

 

「先程アンジュ君の行ったインク工房で爆発事故が起こったようです。我々教師で様子を見に行きますから皆さんはこのまま下校してください。決して現場に近づいてはいけませんよ」

 

先生が機械的にそう告げて行ってしまった。インク工房にそんな危険物があるっていうの? いやそんな事は重要じゃない。

 

アンクが爆発に巻き込まれた……! アンクが……死んだ? 嫌、そんなことない。アンクが死ぬなんて無い! アンクは私が守るって決めたんだもの。死ぬなんて……ダメ……ダメだよ……アンク

 

「サリア。大丈夫だよ。アンク君が死ぬわけないじゃないか。だから俺たちと帰ろう? 明日には学校に来てるって」

 

ドムがそう言って私の肩に触れる。正直言ってやめてほしい。あんたたちに触られたくない。私に触れていいのはアンクだけ。アンクがどれだけ凄いのかあんたたちは全く理解してないのに分かったような口聞かないでよ!

 

「大丈夫よ、私は1人で帰るから。じゃあね」

 

私は早くここから立ち去りたかった。ここじゃ気が触れてしまいそうだから。

 

でもあいつらはしつこく私に言い寄ってくる。私が嫌な顔をしてるって気づかないのかな。

 

「あんな爆破があったんだ。気が触れた魔闘師がいるかもしれないよ。ここは俺たちが護衛するよ!」

 

1人でいいっていうのになんでこんなにしつこいの。こいつらアンクを悪だなんだ言ってるけど私からしたらアンクをいつも苛めるこいつらの方がよっぽど悪人だわ。

 

「いいって言ってるじゃない。私は1人で大丈夫だから1人にさせてよ」

 

「そうもいかない。危険だってのはサリアも分かっているだろう? だったらここは俺たちの出番じゃないか」

 

「……もういいから1人にしてよ」

 

私は冷たくドムに言い放ってその場を後にした。やっぱり自分の目で見ないと気が済まない。現場に行くなって言われてるけどアンクの無事の確認をしなきゃ!

 

 

 

 

 

「ドム、どうすんだよ。サリア全然振り向いちゃくれねえぜ」

 

「クソッ、なんだってサリアはあんなクズを気に掛けるんだよ! あんなクズより俺の方が優れてんだ! 見てろ……絶対に俺のものにしてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は爆発現場の工房に来た。そこには先程まで建物だったであろう残骸が残っているだけだった。

 

「ああ、あああああ……」

 

「アモロソさん!? 来てはいけないと……!」

 

先生も何かを察して口を噤んでくれた。

 

「ごめん……ごめんなさい……アンク……!」

 

「アモロソさん……」

 

こうなってしまってはもう……現実を受け入れるしかないの? ねえ、あの約束まだ果たしてもらってないよ? まだアンクとしたいこといっぱいあるんだよ?

 

「アンクぅ……アンクぅ……」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

「よんだか?」

 

 

 

 

「!」

 

 

 

サリア side out

 

 

 

 

 

 

「アンク!!」

 

そう言いながらサリアは俺に抱き着いてきた。珍しいこともあるもんだな。

 

「おいおい、どうした? そんな死に別れの恋人を見るような面して」

 

「? あ、アンク? いつもと雰囲気が違うみたいだけど……」

 

「アンジュ君!? 無事だったんですね。一体何があったんですか?」

 

「無事……とは言い難いな~。一回死んじゃったっていうか殺されたし」

 

「「!!??」」

 

おお~う、まあ死んだって言ったらこんな反応普通か。

 

「アンジュ君! 死んだというなら何故あなたは生きているんですか!? 冗談でも死んだなどと、笑えませんよ!」

 

「冗談でこんな事は言いませんよ。まだ身体中に火傷跡も残ってるし」

 

「アンク。それ本当なの? だとしたらそれは誰? 私ちょっとそいつ殺して来ないといけないから早く教えて」

 

サリア、先生の前でそんなこと言っちゃダメだよ。先生サリアの殺意で恐怖マシマシじゃん。

 

「アモロソさん! そんな事言ってはいけません! こういう事は先生たちに任せてーーー」

 

「先生に任せたところで犯人が学園内にいたら? 貴族の多い魔闘師を育成する学園なら体裁の為にもみ消さないといい切れないでしょう? そもそもこれは私とアンクの関係を妬んでやった可能性がありますなら私が探して殺す方が手っ取り早いですそれとも先生まで私とアンクの邪魔をするんですか? そんなわけないですよね? そんな事したらどうなるか先生がどうなるかも理解してますもんね私は今すぐにでもアンクを殺そうとした奴を冥府に送らなければいけませんので無駄口を叩くくらいなら少しでも情報を整理して寄越してください」

 

サリア、喋るのはいいがハイライトなんとかしてくれ。先生もう涙目じゃんかよ。

 

「わ、わかりました。あなたも調査に入って構いません。しかし、こちらの指示に従うことが条件です。いいですね」

 

「……はい。では調査の続きよろしくお願いします。私はアンクを介抱しなければいけませんからこれで」

 

そう言ってサリアは俺の腕を掴んでそそくさと帰ろうとする。

 

このまま帰宅……ならよかったんだがそうもいかないのは経験則。邪魔者がやって来る。

 

「サリア! よかった。無事だったんだね! 急にどこか行くから心配したんだよ!」

 

そう、ドムの4人組である。性懲りもなくサリアを狙ってるのか。いい加減飽きねえのか?

 

「アンク! 爆破に巻き込まれたって聞いたけど無事みたいだな。じゃあサリアは俺たちが送っていくからこれで。じゃあな」

 

ドム、笑顔で繕っていても分かるぞ。その裏で苦虫を噛み潰したような面してるのが。計画通りに行かなかったのは残念だったな。だがここから恥かいてもらうぞ♪

 

「お~誰かと思えば『工房のおっちゃんを殺した』ドム君じゃないか~。よくまあおめおめとここに来られたものだねえ。恥ずかしくないの?」

 

瞬間、4人組がこっちに鋭い殺意を向けた。本当の事だろうが。何怒ってんだよ。

 

「アンク……それどういうこと?」

 

サリアが錆びた首振り人形のようにこっちに顔を向ける。そのモーション怖いからやめて。

 

「どういうことも何も、ドム含めた4人が工房のおっちゃんを殺して工房を俺ごと爆破した張本人だよ」

 

「「「「「「!!!!」」」」」」

 

「ド、ドム君! それはどういうことですか? それは立派な殺人です! 隠さずに話しなさい!」

 

「ドム、返答次第ではあなたの命は無いけど早く答えて。私は今、冷静さを欠こうとしてるの。さあ早く」

 

「おいおい待ってください先生。それはこいつが勝手に言ってるだけでしょう? そんな奴の言うことに信憑性なんかないでしょ。」

 

ドム、言い逃れ出来て安堵してるけどお前は1つ知らない事がある。

 

俺は今、()()()()()()()()んだぜ?

 

「試運転だ。記憶魔術〈シアター〉展開」

 

俺の身体はインキーと融合してからインクが体内から出るようになった。よく考えたら気持ち悪いなこれ。

 

「ん? なんだそれ」

 

「アンク……何やってるの?」

 

「強くてニューゲームの特典試運転」

 

「「?????????」」

 

「気にすんな。新しく魔術覚えたから試運転がてらドムの悪行を暴いてやる」

 

「はあ? そんなもの無いし、第一出来損ないが魔術なんて使えねえだろ」

 

「それは見てからのお楽しみってな。因みに今からやるヤツは対象の記憶を劇場公開する魔術だ。これから俺が死んだ時の一部始終を見せてやる。集中すれば演者の顔も本人そっくりに似せられるぞ」

 

「それで俺がやったように見せかけるってか。第一お前の記憶っていうのも怪しいもんだ」

 

「ならお前の記憶でも公開しようか?」

 

「やってみろよ。どうせ出来ない事を何を自慢げに」

 

「じゃあやるぜ」

 

そう言って俺はドムの頭を鷲掴んだ。そこでインクを流し、記憶を読み込む。どうやってるかって? 俺も知らん。インキーの不思議☆パワーだろ。

 

「うおぁ! てめえ! なにしやがる!!」

 

「うるせえだまれ。これでお前の記憶は理解した。後は開演だけだ」

 

そして俺は詠唱してステージを作る。というかなんで詠唱が歌っぽいんだ? インキーの趣味か……

 

俺から流れたインクは徐々に形作り、舞台と演者が出来上がる。ついでに演者の顔をドムの記憶通りに作り上げる。

 

「? これって……今朝の」

 

「そう。これならサリアも知ってるからこれの少し後の話を見せてやる。勿論音声付きでな」

 

「「「「「!」」」」」

 

おっほお~ようやっと顔色が変わったな♪ さあ、楽しい時間の始まりだ!

 

『なんだその目は。まあいいさ。これに懲りたらもう近づかないこった。これは忠告なんだから俺たちに感謝しろよ? これはお前のためなんだからな』

 

「ここは私も知ってる所ね。アンクが今朝やられてた」

 

「そう。そんでここからは俺たちも本来知らない部分だ」

 

「……」

 

ドム。冷汗ダラダラだぞ。後ろの3人も全く喋ってねえな。顔真っ青だしwww

 

 

『よし、行ったな。行くぞ』

 

『おし。でもなんでこんな周りくどいことするんだ? 普通にボコせばいいじゃんよ』

 

『わかってねえな。あいつはたとえ腕折ってもサリアにくっ付いたまんまだ。サリアに付く悪い虫は文字通り駆除しないとな』

 

『おっほお~悪い顔してんねえ! まああいつには悪いけど、これも俺たちがサリアと付き合うようになるためと思って退場してもらおうかねえ』

 

『『ヒッヒッヒッヒ/クックックックック』』

 

『アンクゥ、お前は皆の邪魔なんだよ。お前がいるからサリアと喋ることだってできねえ。悪いけど消えてくれ。それが、皆のためなんだ』

 

 

 

「という訳だ」

 

「そんな……こんな理由で……」

 

「ドム君……」

 

「い、言いがかりだ! これだってこいつが見せた幻だ!」

 

「ほう。ならお前の他の記憶をここで全公開でもするか! 安心しろよ。サリアや先生にも見てもらうから」

 

「!」

 

「さあ! 第2幕の始まりだ!」

 

「止めろおおおおおおお!!!」

 

 

 

 

 

 

「もういい……止めてくれ……止めてくれよお……」

 

「ッフ」ドヤァ

 

「あ、アンク……やりすぎ……」

 

あの後ドムの恥ずかしい過去をフルボイスで全話公開した。途中ドムが割り込んで来そうになったが、そこはサリアや先生が止めてくれた。てかサリアも喜々として足止めしてたじゃねえか。

 

「さて、これで俺の魔術の信憑性は上がったかな? かな? 何ならもう一回全話公開に加えて番外編も流すけど」

 

「わかった! わかったからもう止めて!」

 

どうやら懲りたようだ。これで安心。

 

「じゃあ改めて、おっちゃんを殺して俺を工房ごと爆破したのはお前らだよな?」

 

「……」コクン

 

「そんな……ドム君、なんでそんな事を!」

 

「……こいつが許せなかったから」

 

「え?」

 

「こいつがサリアといるのが許せなかったんだよ! 出来損ないのクズの癖して、幼馴染ってだけでいつもいつもサリアといやがって! 当てつけかっての。だから殺してやろうって思ったんだ。だってのになんだよこれ……」

 

「ドム君……」

 

「……」

 

サリアは黙っている。自分のせいで俺が死にかけたのを気に病んだのか?

 

「ふざけるなよゴミ虫が」

 

……?

 

「アンクが出来損ない?クズ?低能の虫の分際でよくそんな物言いが出来たものねあんたたちはアンクの優しさに救われていただけだというのにそれをさも自分の力で今の立場を得たと言わんばかりの言い草に虫唾が走るわそれで私に近づくなんておこがましいとは考えなかったのかしら全くおめでたいことそんな考えなら魔闘師が聞いて呆れるわこれに懲りたらもう私にもアンクにも近づかないことね本当に死ねばいいのに」

 

……

 

……いやまさかサリアがここまで言うとは……てかなんで俺込み?

 

「……」

 

ドムなんか固まっちまってるよ。後ろ3人も呆気に取られてるし。

 

「さあアンク、行こう♡」

 

……逆らわない方がいいか。何しでかすかわからん。

 




今回はここまで。なんかサリアがキャラずれてきたなあ。ここまで病ませるつもりなかったんだけど……。

次回は病みだしたサリアがアンク君を問い詰めます。問い詰めるだけ。


インキーの魔術は考えときます……

では次回をお楽しみにー


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嗤う悪魔に厄来たる

逆転デュエルの方でネタが思いつかなくなってきた……火壁です。

前回が半年ですって、遅くなってすいません……。

いじめっ子に大恥かかせたアンク君。事情を知らない人々の反応は……?

久しぶりに書くから書き方変わってるかもしれません。そこはごめんなさい。


あの後俺はサリアに腕を掴まれ家路についている。

 

「なあサリア。いい加減離してくれないか? 俺としては歩きにくいんだが」

 

「ダメ。もうアンクの事は離さないって決めたんだから」

 

なんでこうなったんだ? 今朝まで冷たく突き放す感じだったのに……確かに俺自身サリアに感謝はあれど憎しみはない。だがそれ以上に人間に興味を無くしてしまった。何というか……今は人間に対して何も湧かなくなってしまった。まあこれもあいつ(インキー)と融合したからだとは思うがこれはむしろ余計な感情を無くせる事が出来てラッキーだった。

 

「サリア、何度も言ってるけど俺とは二度と関わんない方がいいって「アンク」…なんだよ」

 

「アンク、何があったの?今までなら気弱でビクビクしてたのに今はなんか…別人見たいになってる。確かにドム達がやってきたことを許せる訳はないし私を軽蔑する気持ちを持っててもおかしくない。でもそんなのまるで無かったような……ねえ教えて。あなたに一体何があったの?」

 

……一体全体どうなったっていうんだ。ここまでサリアが詰め寄って来るなんて。今までだったら『ようやくまともに魔法を使えるようになったのね。ほら、さっさと完璧に仕上げてきなさい』ってな感じで俺を心配するなんて事は絶対に無いと断言出来るんだが。なんか言って面倒な事になってもこっちが困るし、ここは強めに言ってさっさと諦めてもらうか。

 

「それを言って何があるって言うんだ?それにあんな対応してたお前がいきなり言い寄って、何が目的だ?まさか俺を闇討ちする算段をドムとでもつけるってか?」

 

「わ、私はそんなこと考えてないわ!私はアンクの事を考えて……!」

 

「それに俺はもう守ってもらう程弱くはない。お前がどう思おうと俺は「やめて!」

 

「そんなことは分かってる!でもアンクの口から聞きたくない……それを聞いたら何かが壊れてしまいそうで……」

 

……俺は1度死んだってのに今更何言ってるのか、人ってのは1度壊れる方が何かを見つけられる。ソースは俺。

 

「だから今までの事に目をつぶって仲良しこよししましょうってか?そいつはお前だけの意見じゃぁねえか。俺の意見は無視か?いつも通りに」

 

「!?それは……」

 

「取り繕う必要はねえよ、人が欲望に正直なのは分かってる。そいつをやめろって言うつもりは無い。言ったところで無駄だからな。お前もその1人ってだけだ」

 

「そんな言い方……」

 

「そんな言い方しちまうような環境だったからな、それはお前も分かるだろ?」

 

「……」

 

もう喋らなくなったのか。もう一押しか?

 

「1度殺された人間としてはもう人間自体信じるのは賞金のかかってる犯罪者に対して無条件で犯罪に手を貸すようなもんだ。そんな危ない橋なんぞ渡りたくないってのは分かってくれるよな?いくら夢見るアホでもそんくらい理解する頭は持ってるだろ?」

 

「あ、アホって……」

 

「アホだろ、殺されかけたどころか実際殺されたってのにそれを言うに事を欠いて守らせろ?お前じゃなかったら消し炭にするところだったぞ。全く……昔の付き合いってのはめんどくさいよな。お前を殺した後どうなるか目に見えてしまう。まあ、俺たちはもう関わりを持たない方が幸せだよな」

 

「……え?」

 

サリアがこの世の終わりのような表情をしてる。まあ俺は一回終わったけど。

 

「だってそうだろ?俺は人間を信じない。学校だって辞めたいくらいだ。そんな奴と一緒なんて不合理の極みだろ?だったら最初から関わらずいるのが正解だろ」

 

「いや、いやよ!なんで関わらないとか殺すとか言うの?確かにアンクを突き放してたのは私が悪いわ。でもこれからやり直せるじゃない!その時間はいっぱいある!私はアンクの味方なんだから頼ってよ……私ともっと一緒にいてよぉ……」

 

「……」

 

なんだこのメンヘラは

自分の事をなかったことにしようとして俺とまだいたい?ならなんで今までの突き放してたんだよってなるよな。これが普通の感情だよな?あぁもう面倒くさい。もうさっさと帰ろ。

 

「今までの時間をもっと良い関係を築けるように使いたかったな。まあ次の奴とは上手くいけよ」

 

「……え?」

 

「転移魔術〈コミック〉展開」

 

「あ、アンク?今なんて……?」

 

魔術詠唱を終えると、一冊の本が出てきた。中には見たことのないような絵と割り振り方をしていたからどういったものなのかじっくり見たかったがサリアが鬱陶しいし、さっさと()()()()()()()()()

 

「アンク?……アンク!」

 

本の中に入り切ったらもうそこに俺はいない。本もインクに戻り、そこにシミを作るだけになった。

 

「アンク……アンクぅ……」

 

 

 

 

「ただいま……」

 

とはいっても俺一人暮らしなんだけどね。もう寝間着を着る気力も無いし、制服だけ脱いでベッドに突っ伏した。

 

「はあ……学校に退学届出したい……」

 

でもこれを出来ない理由がある。それは俺の身内の話になるが両親は王宮の歴史家だった。ていうか俺の一族が代々そうで、兄貴も去年なったばかりだ。両親の時にだったと言ったのは両親が他界したからだ。確か原因が同僚が嫉妬して魔術実験と称して殺したんだったか。

 

俺の両親が死ぬ前に『アンクに学園を卒業させてくれ』と兄貴に残したのだ。だから兄貴はどれだけ俺が出来損ないでも見捨てなかったし、知識をくれた。兄貴には感謝してる。でも兄貴が裏で陰口を言ってたことも知ってるんだよなぁ。まあこんな出来損ないを託されたんだから愚痴の一つも言いたくなるわな。

 

「んなこと言っても仕方ないか。そもそもそれは俺が原因だったし、むしろ今までのよく親のいう事聞いてたもんだよ。さて、それよか俺の魔力だな。()()してても使い方がよく分かる」

 

この世界では魔力の性質から魔術や魔法に派生させていく。例えば火属性の魔力を持っていたらそこから攻撃力を上げたり、水属性なら水を様々な液体に変化させたりできる。俺は『性質不明』、言わば無属性だった。無属性は全属性を使えるが同時に扱いが困難という人一倍努力を続けてようやく人並に使える程度で言わば出来損ないだ。まあそもそもが素質無かったから魔術なんてもう無理なんて言われる程向いてなかったんだけどな……

 

「でも今なら出来る気がする……『フォック』!」

 

魔力を込めると手から火が出てきた。よし、簡単な魔法は使えるな。少し前まではこれも一苦労だったな。

 

「今日は疲れたし寝るか……しかし悪魔も疲れるんだな……」

 

そこは生物だからなのか?まあそこは追々考えていけばいいか。

 

今は寝r……

 

こうして俺の意識は闇に落ちた。

 

 

 

 

 

翌日

 

「……マジでふざけんな」

 

俺が朝から機嫌が悪くなるなんてこと普通はない。少なくとも昨日までは朝日を浴びてストレッチをしたらスッキリ起きることが出来ていた。だが今は……

 

「おはようアンク。今朝のご飯はシチューでいいかな?」

 

なんでいるんだ?

このために絶賛不機嫌だ。不法侵入だろ?さも当然のようにいないでくれよ

 

「サリア……なんで家にいるんだ?鍵かけてたはずだが……」

 

「義兄さんに借りてきたわ。アンクのこと義兄さんも心配なのよ」

 

何勝手なことしてくれてるんだ?まさか兄貴に昨日のこと言ったんじゃなかろうか……この後面倒臭いことになるのは確定したな。しんどい。

 

「兄貴を義兄さんって言うのはやめろ。それに裏じゃ俺の事を邪険にしてるのは知ってる。それに昨日言ったろ、俺に関わるなって。今まで関わらず居たんだから今後もそれd「いや」……」

 

「昨日なら私も言ったはずよ。あなたを離さないって。あなたのことを思っているのは本当だもの。性格が変わってもあなたはあなた。ならあなたを支えるのが私のやk「いい加減にしろ」アンク……?」

 

「昨日言ったこと何も理解してないんだな。俺は関わるなって言ったのはお前含めた人間に何の感情もなくなったからだ。そんな奴に付きまとわれていい顔すると思うか?しないだろ。その上で支える?サリアよぉ、どうやったって俺たちの関係は修復不可能なんだからそれでいいじゃねえか。これからはお前を思う奴に尽くしてやれよ。俺といても時間の無駄だ。さっさと出ていけ」

 

「アンク……」゙

 

なんで何も言わないんだよ。俺の家だからいいものの、これが外だったら絶対俺が悪人扱いされるだろ。俺の言ったこと間違ってるか?人格まで否定してきた奴をなんで信じる必要があるって言うんだ。

 

「……アンク」

 

「なんだよ」

 

「私は諦めないから。絶対アンクの気持ちを取り戻して見せるからね」

 

そう言いながらサリアは出ていった。俺の気持ち?そんなもんとっくにぶっ壊れたわ。

 

「歯に衣着せた台詞ばっか並べやがって……」

 

悪態をつかずにはいられなかった。今サリアを受け入れたらまた元に戻ってしまいそうだから……

 

 

 

 

学園

 

「おい、あれアンクじゃねえか?随分雰囲気変わったけど……」

「ドムが殺したんじゃなかったのかよ。まあなんにせよ俺らの玩具が消えなくて良かったなwww」

「おい聞こえちまうぞwでもまあ、あそこで死んだ方がアンクには良かったのかもなww」

 

今日も今日とて生徒(ゴミども)の声がよく響く。まだ俺のことを今までと同じように考えているんだろうがそれもお終いだな。かかってきたらやり返すようにしとくか。正当防衛だから問題ない……

 

「おいアンク!!てめえ昨日はよくもやってくれたな!おかげでこっちは大恥かいたんだぞ!!」

 

……早速ドム(獲物)はっけ~ん♡他の魔術や魔法も試したかったし、モルモットが自分から実験志願して来やがった。

 

「やあドム君!今日も鶏ヘヤーが素敵だねwww赤も相まって全身白にして口を黄色に塗ったら鶏男の完成だよwwwwあ、そうだ。昨日はあの後どうなったんだい?サリアに余りにも惨めな言われ方してたから心配してたんだ。もしかすると俺のモルモットがここ辞めちゃったら他に誰に試そうかってねwwwwwww」

 

「ぶっ殺す!!」

 

ドムが右手を手刀につくり魔力を込めて走ってくる。確かあいつの属性は水だったか。まあ魔法でつくった水とはいっても真水じゃないから色々試せるんだけどね。

 

「お、何々?攻めて来るんだ。じゃあ科学実験だ!『塩分を含んだ水溶液に電撃を流したらどうなる』?」

 

「その前にてめえをぶった切る!!俺を舐めた罰は、死刑だけだ!!《アックア》!」

 

ドムの魔力が水の属性を帯びて水流をつくり出した。普通なら体を切られる攻撃だが、こちとら実験したくてウズウズしてるんだよ。

 

「受け取れモルモット!《バレーノ》!」

 

簡単な雷魔法。しかしそれも使い方だ。魔力を多く込めれば威力は当然増すし、状況も味方してくれたら更にダメージが入る。真水でないなら電気の通りも良くなるし、人間の体も半分以上は水分だ。電撃が遮断される訳がない。おかげでドムの体は黒焦げ

 

「あばばばばばばば……!」

 

「あっはっはっはっは!!ねえどんな気持ち?今まで馬鹿にしてきた奴にここまでコケにされてどんな気持ちいぃ!!?ダメだwww腹がよじれるwwだって黒焦げだもん!鶏の丸焼きwwwまあオスの家畜の末路なんてこんなもんかwwwwwはぁ、笑った笑った。朝から気分上げさせてくれてどうもねwwwww」

 

こうして手をひらひらさせてその場を去る。途中周囲の奴らが何か言ってたような気がしたがそんなものはなかった(すっとぼけ)。

 

 

「おい、アンクが来たぞ。あいつまだ懲りないんだな」

「あいつも難儀だよなぁ。ドム達にボコされる為に来てるようなもんなんだからさ」

 

ガラガラと古い扉を開けるといつも通りの教室にいつも通りのクラスメイトがいつも通り俺を見る。いつもご苦労な事だな。まあ、気にすることもない。さっさと自分の席に着くとするか。

 

俺が席に座ると同時に先生とサリアが入ってくるサリアが自分の席に座り、先生が話を切り出した。

 

「えー今日はホームルームの前に転校生を紹介します。遠い国から来たそうなので色々教えてあげてくださいね。

 

ではハルヤくん、入って来てください」

 

それが聞こえて一人の男が入ってくる。そいつは黒髪に茶色の目をしていてこの国の人間じゃないってのは一目で分かった。あと同い年にしては幼さが残る。

 

「俺は片桐春夜!この国のことはよく知らないけど、皆そこのところ色々と教えてください!よろしくお願いします!!」

 

そして俺は後に辟易する。

 

こいつは今の俺には天敵たっだんだ。




さあアンク本格始動一歩手前に転校生という名の親の顔より見たアレです(ネタバレ)。

サリアの事なぞ知ったことではないと言うように突き放すのだが転校生は空気が読めないのはお約束……だよね?

読んでて分かると思いますがここでは魔法と魔術両方があります。魔法は魔力を込めて魔法名を言えば発動し、魔術は媒介を用いて詠唱すると魔法より強い威力を出せるっていう設定です。アンクが詠唱描写ないのは元から媒介(インク)が大量にあり、詠唱の際込める魔力がカバーされてるからと考えてくださいな。

次はいつになるかな?ではまたいづれー


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