霧の中の巡回者 (時雨日和)
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第1話 霧と犯行

私いつもハマったものに影響され過ぎデスよねー……


ある筈なんだ!

俺…私にも!

才能が…

人が…世界が羨む才能が!!

ゴミだめの中にも…人の海に呑まれた凡人にも!

 

と、ある男が教えてくれた。波に呑まれ、居場所が消えた私の元へと現れた。ある男が…

 

白く…黒い…霧の夜。

 

教えられた事を行使し…私は…霧になった。

 

じかんが無い

 

やらなければ

 

繋がなくては

 

繰り返される

 

惨殺の日々が

 

辺獄へと繋ぐ

 

掴まなくては

 

パトロンども

 

ーーーー死ね

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「先輩?せんぱーい…先輩ってば!」

 

「何ですかうるさいですよ」

 

「先輩が返事をしないのが悪いです。あの事を考えてましたか?」

 

「そうですね。考えるのはあなたの分野ですが、どうもそうは言ってられない状況ですからね」

 

先程の『偉人の杜』なる組織からの通信。どうやら全世界へと送られているらしい。それから送られてきたもの『偉人類計画』と言うなのほぼ人類滅亡計画でした。

 

「これからどうなっちゃうですかね?私達」

 

「偉人類化ですからね…」

 

「先輩…」

 

私達二人は既に廻者である。

彼女はフランスの名探偵。現代捜査の父と呼ばれる『ウジェーヌ・フランソワ・ヴィドック』。

 

「安心してください貴女は間違いなく偉人格です。このまま行けば貴女が狙われる事は無いでしょう」

 

「でも!先輩は…」

 

私は『ジャック・ザ・リッパー』。世界で最も有名な殺人鬼の1人で最も有名な未解決事件の犯人です。

ええ、間違いなく罪人格です。

 

「そうですね…私は間違いなく罪人格です。真っ先に殺されそうです」

 

「嫌です、そんなの嫌です!先輩が殺されるなんて」

 

「ええ、私も嫌ですよ。死にたくありません。なので今もこうして能力発動中です。他の人には認知できません」

 

「そうですね。そのお陰で私もいつも助かってます。でも今とか別に私も消さなくても良いですよ?先輩疲れません?」

 

「貴女は顔が良いので目立ちますからね。私としては心配ですから」

 

「も、もぅ…やめてくださいよ先輩。これ以上私の好感度を上げても何も出ませんよ〜」

 

楽しそうでなによりです。

 

「今のは私の個人的な意見ですが、相手側に立っての視点では貴女の能力は強力です。間違いなく誰からも必要とされる能力です。それが私達にとって味方でも敵でも」

 

「…私が敵に捕まえられて無理矢理能力を使わされて…先輩にも迷惑がかかったらどうしますか?」

 

「もちろん死にものぐるいで助けますよ。貴女の先輩として」

 

「彼氏としてじゃなくて?」

 

「私達付き合ってませんからね」

 

「ええ!?付き合ってなかったんですか!?」

 

貴女からのアプローチに1度もOKを出てないですからね。

 

「さあ、行きましょうか。もうあの人は居ないのですから私達で何とかしましょう。あの人が居なくなったのは居なくなっても問題ないと思えたからでしょう。何か策はあるはずです」

 

「そうですね…あの人そこそこ怖いですけど、何だかんだいい人ですからね」

 

「そうですね。なんせあの人は"世界最強"ですからね」

 

クスクスと笑う私につられ彼女も隣でクスクスと笑う。一度目を合わせた後その場から姿を消しました。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それからは早かったですね。本当に丁度いいタイミング。

私の能力がちょうど切れるタイミングで花びらがどこからともなく現れました。ふむ、能力のタイミング間違えましたかね?

 

「せ、先輩!」

 

「気づいていますよ。白い花びらでした。流れた映像から見えたジョン・フォン・ノイマンからは赤い花びらでしたから恐らくは『偉人の杜』とは別の人ですね。私の仮説でしかありませんが」

 

「わ、私としても同意見です!」

 

「それは何より心強いです。さて、これだけ無駄に会話を続けていても仕掛けて来ず、姿を現さないのは敵対していないか、あるいは来ないと油断した所を狙ってくるかですね。どうです?」

 

「…流石の私でももう少し絞り込みが欲しいですね。まず犯罪者じゃないかもしれないですから」

 

「そうですね。見た目で判断付きにくい人もいますからね」

 

「先輩もですけどね」

 

「私は普通の人には見えませんよ」

 

「お楽しみの所失礼。眼鏡のジェントルマンに可愛らしいレディ」

 

気づいていないわけではないありませんでしたがあえて無視さていただいたのですが、自分から声をかけるとは…

 

その人物は前方約4メートルほどの場所に立っているのはとてもみすぼらしい男性でした。ボロボロの布切れのような上着を着てダメージジーンズなんてものではない程のズボンを着ていましたが、顔立ちは悪くありません。いえ、決して良いとは言えないのですがね。

 

ただ左目だけほとんど閉じていた。

 

そして彼には私は"眼鏡をかけた男"に見えたようです。

 

「聞くまでもないようですが貴方は廻り者ですね?」

 

「…ああそうだ。そっちもだろ?俺は『ヘンリー・リールーカス』全米で3000人を殺した男だ!」

 

おや、自分から名乗って貰えたのは有難いです。危うく私が誘導して名前を聞き出そうとしていたのですが…手間が省けました。

まあ、彼が嘘をついているかも知れませんが中々特徴が合ってるので良いでしょう。

 

「ふーん。ヘンリー・リールーカスですか。あはっ、流石似合ってますよそのみすぼらしい格好。それに3000人って、ふふふ誰にも一切信じられなかった嘘つきのくせに」

 

「母以外の女が俺を侮辱するな!!!」

 

そう吠えてほぼ閉じていた左目が開く。そこにあるのは義眼ではありましたが、現代の科学では作成することは出来ないようなメカメカしいものでした。そこに光が集まっているように見えるのはどうやら彼の能力の様です。

 

「うぉぉ…!!『神との出会い』!!!!」

 

その瞬間光が消えた。それから数秒経つが何も起きなかった。どうやら彼はヘンリー・リールーカスで間違いなかったようです。先程の激昴理由も特徴の1つですしね。彼女が上手くやってくれました。

 

「…くっ!何故だ!何故出ない!!俺の『神との出会い』が!!光の集約は出来た、何故あの光線は出ない!」

 

「ふふふ、無様ですね。ほんと無様です」

 

「お前の仕業かこの女ー!!!!!」

 

そう叫びながら彼女に向かって一直線で走り出してきました。ええ、激昴した人間というのはわかりやすい生き物ですよね。

 

「『地獄より(フロム・ヘル)』」

 

私から流れ出る霧が彼を…"ヘンリー・リールーカス"という存在を囲う。その瞬間彼はその場から姿を消した。

 

もちろん本当に居なくなった訳ではありません。私の『ジャック・ザ・リッパー』としての能力です。私の霧は相手から認識されなくなる力を持っています。使用制限はありますがその間は誰の目にも映らりません。それと私から出てくる霧は私の指示に従う意志を持っています。なので、私の指示一つで相手を拘束することが可能です。それと言い忘れていましたが私には霧が見えています。もちろん、霧に包まれた彼も見えています。霧の中では苦しい顔をした彼がもがこうとしています。でも動かせない。可哀想ですね。今楽にして差し上げますよ。

 

私は1本のメスを取り出して彼の心臓部の周りを切り抜来ました。"地獄より貴方の心臓をこれから地獄へ落ちる貴方へ送ります。"

 

それからは完全に死に絶えた彼は花弁が散るように花びらを撒き散らしながら消えていきました。黒いナイフを残して。

 

「流石先輩です!」

 

「いえ、貴女こそ流石です。彼に言ったのは判断するためですね?」

 

「はい!あの犯罪者に一番効くのは女性からの罵倒ですから。それでちょっと反応を見て見たらビンゴでしたね」

 

「ええ、そうですね」

 

「でも…同情するわけではありませんがあの人の生涯は仕方の無い悪夢ですよね。出自が原因ですから」

 

「…犯罪者にそのような感情を向けるのはやめなさい。犯罪者というのはなるべくしてなるものです。出自がどうとか関係がどうとかの話ではありません」

 

「それは…そうですが…」

 

「貴女は心優しすぎるのです。それは美徳ではありますが賢明ではありません。向けていい相手と向けてはダメな相手がいる事を理解して下さい。これは1度目では無いはずですが?」

 

「ごめんなさい…先輩…」

 

そこでさっきよりも3割増でしゅんと俯いている彼女。やれやれ…

 

「…ですが、私個人としては分け隔てなく接せられる貴女を誇らしく思います。これはやろうと思っても出来ないものですからね単純にして難関の1つです」

 

そう言って頭を撫でてあげました。ふむ、自分で言うのはなんですが彼女は私に対して好意を寄せています。それは廻り者になる前から。この頭を撫でるという行為はどうやら彼女のお気に入りみたいです。今もとても気持ちよさそうにしているのが目に見えてわかります。

 

「先輩のなでなでは世界一ですね!」

 

「まったく…私も犯罪者なのですがね」

 

「何言ってるんですか!先輩は先輩です!それがたとえ犯罪者だろうが聖職者であろうが関係ありません!」

 

「嬉しい事言ってくれますね。さて、そろそろ行きましょう。ここで長居しても何も変わりませんから。何か分かりませんか?『偉人の杜』のアジトかそれに反する者達のアジトなら良いのですが」

 

「先輩は私をなんだと思ってるんですか?私はシャーロック・ホームズじゃ無いんですよ?私は犯人しか分かりません。それも犯行がないと」

 

「ふふ、冗談です。地道に探っていきましょう。それに少し賭けではありますがアクションを起こせばどちらかの陣営が接触してくるでしょう。味方側である方が断然有難いですが」

 

「先輩となら宇宙の彼方までお供しますよ!」

 

「ふふ、それは心強いです」

 

そうして私達は霧の中へと消えていきました。




割とお試しで書いたものです。今後続くかどうか分かりません。反響があれば検討します。今はよう実の方に力入れてるような感じなので。

感想はいつでも待ってますよ。こういう偉人とか罪人を扱うのは少々慣れていないので調べながらなので…今回出てきたのはほとんどオリジナルで考えましたからね…指摘も待ってます。

あ、ちなみにしっかりと最新10巻は読みました。リィンカーネーションの花弁最新9巻と共に


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