個性『鋼錬版フラスコの中の小人』 (nani)
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プロローグ
続きは自分のモチベーションによります。
気づいたら
真っ黒い影のような身体に赤い目と口だけが浮かんでいるあれ、鋼錬のラスボスであるお父様の初期の身体だ。
ご丁寧に、今の俺もフラスコの中に浮かんいる。
(……真理とか全く知らないんですけど)
原作の彼は生まれながらにして人知を超えた知識を持ち、クセルクセス王国の王を騙し国民全てを賢者の石に変える際、ホーエンハイムの情報を基に『いれもの』を作った。
賢者の石が残っていることから、使うとしてもそのために使う賢者の石は人間百人分は超えないだろう。
だが、人知を超えた知識もなく、錬金術も使えないただのホムンクルスにそんなことはできない。
そもそも本当にフラスコでしか生きられない小人に何の価値があるというのか。
周囲は真っ暗だが、俺のお先も真っ暗。
(というか、もしかしてここ真理の扉の中……?)
◆
そんなことはなかった。
「わぁー、元気なお子様ですよー!」
「……あなたの名前は『保無来栖』よ。これからよろしくね」
何故かフラスコの中に入って転生したらしい。
もちろんへその緒なんてない。何がどうなっているのか。
「異形型の個性で、フラスコの中に入っているから個性名は『ホムンクルス』ですかね」
「……もしフラスコの中から出られなくて、私を怒ったりしないかしら?」
個性……ヒロアカか!!
◆
あれから10年がたった。
俺の個性は『鋼錬のホムンクルス全員の能力を使える』というもの。
恐らく鋼錬のホムンクルスはお父様の魂から『七つの大罪』を割譲することで生まれているため、お父様の個性らしき俺はそれらも使うことができるのだろう。
本体である影を自由自在に操るプライド。
指先?? を伸縮自在の鋭利な刃に変えるラスト。
体内の炭素の結合度を変化させるグリード。
外見を自在に変化させるエンヴィー。
超高速移動できるスロウス。
材料や質量問わずあらゆる物を無限に食べられるグラトニーの『疑似・真理の扉』。
銃の弾道さえ見切るラースの『最強の眼』。
俺が把握しているのはその7つだ。
残念ながら錬金術は使えない。
これらの能力は一歳の誕生日から、一歳年を取るごとに上から一つずつ使えるようになった。
ただ最初の覚醒は悲惨だった。
個性の暴走。
言ってしまえばそれだけだが、最初に目覚めた能力が悪かった。
プライド。
プライドの能力は本体の操作だが、本体の性質からか『命そのものを自分自身に取り込んでしまう』こともできるのだ。
ちょっと実験で虫や動物などを取り込んだら数瞬身体の制御を僅かに乗っ取られ、両親に致命傷を負わされた。
フラスコの外まで影を伸ばし首を刺したのだ。
それはもう焦った。
しかし俺はどうにか死にかけの両親も喰らい、賢者の石として俺の中で生き長らえさせた。
だが、アルフォンスみたいに魂をものに憑依させたりしようとしても、錬金術は相変わらず使えないのだ。
だから俺は『親の蘇生』のために行動することを決意した。
親がいないなら孤児院に行くことなり、合法的に親の蘇生をするにはヒーローになる必要がある以上15年以上はかかる。
またこれで個性も奪えることも分かったが、流石にこの段階でオールフォーワンに興味を持たれるようなことができるわけもなく、影で本体を誰にも見つからない場所に移動させ無害なホームレスになった。
そして9年間、俺は誰にも見つからないように少しずつ賢者の石を集めながら個性を鍛えた。
目標はヒロアカ屈指の強個性持ちの壊理。
しかし、待っても待ってもオールマイトは怪我をしない。年齢的にオールマイトが怪我をする頃に生まれるはずなんだけど……
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