NARUTO〜ほんとはただ寝たいだけ〜 (真暇 日間)
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ボツ案
NARUTO~78(ボツ案)


ボツ案です。こんなのもありかなと思ったけれど続き考えると発狂しそうになったのでやめました。


 

 side うずまきナルト

 

 俺は再不斬。相棒の白と共に今日も金策をしている。できるだけあくどいことをやらかしている輩から金品を頂いたり、様々な賞金首を狩り殺したり、戦場で出会った敵から優秀な武器を奪ったりしながらナルトとして眠れない分をできるだけ補填するように行動している。そのため依頼を受けても拘束期間の長い仕事はできず、用心棒のような仕事が増えている。そういう仕事をしていると同じ穴の狢とでも言うべき抜け忍達が白に言い寄ってきたりするわけだが、残念だったな白も俺だ。両腕をへし折られて後悔した奴もいるし、普通に断られて普通に諦めた者もいる。

 そんな世界において一つ面倒なことが起きている。勧誘である。それもどこぞの里からではなく犯罪組織である暁から。これを受けたら間違いなく再不斬は表の世界じゃ使えなくなるだろう。しかし断ったら断ったで襲ってきそうなやつがいる。霧隠の怪人と名高い鮫男だ。俺を見てにやにやしているが、まあ大抵にやにやしているから気にしないでも大丈夫だろう。多分。

 

「久しぶりですねぇ再不斬」

「……あ、もしかしてこの身体の持ち主の知り合い? 俺こいつに使ってた身体を殺されたから取り憑いて成り代わってるんだわ。だからあんたは知らない……いや、木の葉の里の近くで白が一回戦ってたかな? くらい」

「……なるほど。通りで私の顔に反応しなかったわけです」

「ちなみに白の方は俺の相方が身体を奪った。名前だけは聞いていたからそれを名乗っているが……おっと、中身の名前は聞かないでくれよ? 面倒臭いからな」

 

 まあ中身が違うことに対しての言い訳はこんなもんでいいだろう。ついでにチャクラ量が増えている言い訳は『他人の身体を乗っ取る度に元々持ってたチャクラに加えて使っていた身体のチャクラまで持っていくから』とでも言っておくつもりだ。あとプロテインだな、プロテイン。

 

「そんな訳で俺を殺すのはご自由に。だが俺を殺したらお前たちの身体は貰うぞ。どんな理屈で俺が身体を奪ってるかわからないがなんかできるから多分行ける」

「随分と曖昧ですね」

「曖昧でもできるもんはできんだから仕方ないだろうが。なんだやるか? 構わんぞ? 最終的に俺勝つぞ?」

「そちらもどうします? 生き残っても死んでも僕が勝ちますよ? あと僕が乗り移ると身体が女になりますからそのあたり承知の上で殺してくださいね」

 

 一瞬あいつらが固まったのは多分自分たちが女になった時の事でも考えているんだろう。大丈夫だ、ネタ以上の意味は現状ないし実際に俺を殺したとしても乗り移られるような事は無い。まあそもそも俺を殺せると思ってないがな。

 さて、もう一度暁とやらかしてみるか? 前回は俺とイラチ、白と怪人サメ男の組み合わせだったが、今回は組み合わせを変えてみるとしよう。……白としての先方にテコ入れした方がいいかもしれん。速度は大分早いが覚醒しきってない写輪眼でもなんとか見切れる程度だし、攻撃面では武器が千本だけと言う貧弱っぷり。千殺水翔と言う技もあるにはあるが小さい傷を数多く与える系統の術だから大きな一発をぶち込まないといけない時には向かない。

 となれば……氷遁の封印術とか、あとは上空に氷の城を作って落とすとかそういう技を作るか。質量と重力が合わされば最強とこの漫画では教えてくれるしな。例外もあるにはあるが。

 あと、雪山のような場所の方が使いやすいが水龍弾の氷遁版もあるからそっちも使えるようになっていきたいところだ。正直白ちゃんの姿で『まっすぐ行ってぶっ飛ばす、右ストレートでぶっ飛ばす』が一番強くて一番早い戦い方ってのはちょっとどうかと思ってたところだしな。再不斬ならともかく。と言うか再不斬だったら『残念だが首切り包丁は使わない……意味が解るか? 俺にとって武器の使用はむしろ相手を気遣っての事なんだよ』とか言っても誰も不思議に思わないだろうが、同じことを白ちゃんが言ってたら疑問符が大量に出そうだしな。

 

 だが今回はそれを実行する。

 

「食らえぃ!」

「ゲフッ!?」

 

 勝った!決まり手は顔面パンチ!怪人サメ男の首から上が吹き飛んだ! そして大刀・鮫肌を手に入れた! 正直俺が一番使いにくいと思ってる霧の忍刀だ!ちなみに持っている手を刺そうとしているが皮膚を突き破ることもできずに思い切り握り締められて暴れている。まあこれは後々役に立ってくれることだろう。忍術で封印してもチャクラを食うという性質上そう長く封印が持たないんだよな……ああ面倒だ。

 ……ああそうだ、チャクラ食わせておけば大人しくなるんだっけか? 大量にぶち込んでやるオラ肥えろ。

 

 

 ※この後鮫肌はちょっとした小国の領土を覆い隠せる程度にまで大きくなり、大人しくなったので封印されました。

 




Q.ちなみにこれが続いていた場合、どうなってた?
A.イタチが女体化してサスケとぶつかり合ってたんじゃないかと。

Q.なんで再不斬もどきはどこぞの犯罪者みたいなこと言ってんの?
A.再不斬ってモロ犯罪者やん? おかしくないやん?


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NARUTO~後日談6(ボツ案)

今まで1日二話書いていた分をNARUTO一話BLEACH一話に振り分けたんや……仕方ないんや……!
そんな感じのボツ案です。


 

 side うずまきナルト

 

 ヒナちゃんとの子供が生まれ、サスケとの子供も生まれ、ついでにイラチとの間の子供も生まれ、さらにヒナちゃんとの間に第二子を儲け、いつの間にか急成長していた製菓会社で儲け、ついでに美容についてで色々とコネができたりしながらのんびりと過ごしていたが、ふとサスケを抱くことになったころに九喇嘛が俺の事を死ぬほど煽り倒してくれやがったことを思い出したので今更だがこちらからも反撃をすることにした。

 どんなことをするかと言えば、ちょっと学園物のゲームを作ってみただけだ。と言っても今の科学力だと大したゲームができないのでまた会社を一つ作って急成長させ国を超えて世界中に広げ、技術を一気に引き上げてから発表してやった。研究や実験にばかり使われていたコンピューターだが、遊ぶためにも使えると言う事をしっかりと広めるのに役立ったわけだな。

 そのゲームの名前は『ドキドキ☆十尾学園』。まあ簡単に言えばエロゲーだ。ただし、無限月読の中で九喇嘛が見ていた幻覚をかなり正確にトレースしている。違うところと言えば、尾獣全員が何らかの形で擬人化+女体化しているというところか。

 一尾と二尾、六尾、八尾、九尾については殆どそのまま使いまわせたが、三尾は学校の池に昔から住んでいた亀だったし四尾はゴリラ顔の体育教師、五尾はキモイルカで七尾はクラスの観察対象、これじゃあ流石に使いまわしが効かないのでとりあえずそれっぽい設定も作っておいた。

 

 男として育てられた寺育ちの少女、分福守鶴。

 いついかなる時も長靴をはいた少女、二位股旅。

 何十年も前に死んだ地縛霊少女、水無月磯部。

 熱血ゴリラ体育教師、火華山孫悟空。

 メカクレ系おかっぱ水泳少女、穆王。

 わんこ系元気後輩、泡塩犀犬。

 幸運寄りの悪運体質、風花重明。

 外見ゆるふわ中身しっかり女教師、九頭竜牛鬼

 見た目永遠のロリ、六道九喇嘛。

 

 こいつらを攻略していくゲームだ。内容をしっかりと思い浮かべながらゲームディスクを出したからあとはコピれば全部問題なし。一回九喇嘛の前でやってみたら転げまわって殺せと懇願してきたくらいの出来だ。十分な出来と言っていいだろう。

 ちなみにハーレムルートも搭載しているが、それをやると十尾と言う強大な敵が現れてバトルパートに突入していくのでぜひ頑張ってほしい。

 

「……ナルト君はこういうのが好みなの?」

「これは九喇嘛が無限月読の中で見てた幻術を基に作ったゲームだから俺の好みと言うよりは九喇嘛の好みじゃないか? まあ九喇嘛の作った幻術世界では主人公の立ち位置にいるのが俺だったけど」

「ふーん……借りてもいい?」

「それなりの枚数あるから十枚までなら好きにしてくれていいぞ」

 

 ちなみに十尾が出ると言う事でトラウマを刺激される奴も出てきてはいるが、上手いことやればボコボコにできるので人気も出ている。コンピューターも中々の売り上げ。まったく笑いが止まらんね。左団扇左団扇。

 ただ、こんだけ稼いだところで使う当てがない。なにしろ食事についてはそこらで買うよりよほど美味いものが作れるし、必要な物も同じように作れる。使い道らしい使い道と言えばサスケの所に送りつけるくらいだ。色々と便宜を図ってもらうことになっているが、あくまでそういう事になっているだけで本当に便宜を図ってもらわなければいけないことになったことはない。

 ……しかし、あれだな。こうやって金を稼いでその金をスポンサーとして里に……正確にはサスケに回しまくっていると色々と面倒な奴らが寄ってくるのな。サスケは誰にも話していないはずだが、それでもわかる奴はわかるんだろう。面倒極まりないが。

 

 俺の子供もそれなりに大きくなった。上の子供はもうアカデミーに通っているし、下の子供も元気にその辺を走り回ることができている。たまに誘拐されそうになることもあるようだが、そういう事をしようとすると不思議と事故にあうらしい。例えば偶然開いていたマンホールに落ちたと思ったら上るための取っ手に変な形で足を突っ込んでしまって大腿骨を骨折し、折れた骨が血管を傷つけそこに骨髄から滲み出た脂が流れ込み、肺にまで流れていった脂が脂肪塞栓を起こして死んでしまったりとか、どこからともなく股間にボールが飛んできて股間からの出血多量で男女関係なくお亡くなりあそばしましやがるとか、まあそう言う感じの事があったらしい。発見までかなり遅れたとか何とか言う話もあったそうだが、俺は何も知らん。ああ、知らんとも。そもそもマンホールなんてものが無かったところに突如としてマンホールが現れた理由も知らないし、偶然求道玉が変な所に突然現れて何かを削り飛ばしていったことも、何にも知らん。

 そんな感じで、俺はこれからもこの場所でのんびり過ごせる間は過ごしていくんだろう。できなくなったら……まあ、里抜けか。

 




Q.展開早くね?
A.故にボツ。

Q.サスケの子供出てなくね?
A.故にボツ


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NARUTO~後日談7(ボツ案)

本当はこうやって終わらせるつもりだったけど書きたいことが増えたから続行!



 

 side うずまきナルト

 

 時が過ぎるのは早いもので、あれだけの被害を出したと言うのにたった百年少々でまた戦争だ。まあそれについてはどうでもいいが、結局最後にはこんな感じになるだろうと予想はしていた。人間は学ぶ生き物だが、同時に忘れる生き物だからな。世代が変われば別物も同然だ。

 ヒナちゃんが死んで、サスケが死んで、バクラが死んで、俺と同年代で生きている奴はもう誰もいなくなってしまった。オカマ丸はまだ生きているが、あれはもう例外と言う事でいいだろう。面倒だし。

 そう言う訳で、俺がこの場所を守る理由も無くなった。俺の血縁は既に独り立ちして俺の手元から離れていったし、この場所に暮らしているのももはや俺一人。木の葉の里が完全に壊滅してから、一体何年過ぎたっけ? まあ、よく覚えていないと言うか、どうでもよかったから記憶にないというか……何でもいいか。

 

 しかし、なかなか楽しい人生だった。世界の裏側で暗躍するゴミ共を何度も根こそぎ殺したり、異世界っぽい機械系の存在に対してほぼ最強であるシルバーカーテンでハッキングからの洗脳→操作→暴走→自爆で被害を拡大させたり、サスケが俺との言えない関係を俺との子供であるラセン(男だった)とサラダに言わないまま死んでしまったり、ヒナちゃんとの間にできたボルトが俺をかなり下に見ていたのを物理で矯正することになったり、中忍試験で『チームワークを見る試験を作りたい』と言われて無限月読を応用した限定月読で各班三人を一つの組にして班ごとに別の世界に閉じ込めそこから脱出するための鍵を作り、それらを何らかの形で力を合わせなければ手に入れることができないようにして見たりもした。ちなみにボルトは一回目ではクリアできなかった。すまんな。

 中忍試験で一番楽しかったのは、結構な数の制限を付けておきながら『今言った全ての制限は試験官に露見することが無ければ破ってもいい。ただし、露見した場合試験終了時に失格とする。またその時点で失格になっていた者も失格とする』と言うルールとも言えないルールで模擬戦をやらせた時だな。ちなみに制限の内容は『殺害及び殺傷の禁止』『事前に毒物を盛ることの禁止』『金銭及びそれに準ずるものによる勝敗の取引の禁止』『他者を人質にとる等の脅迫行為の禁止』と言った、まあ普通なら子供が思いつくようなものではないし思いついたとしても絶対にやらない類の禁止事項だが、俺としては勝敗以上に『どれだけ自分の中に隠し札を作ることができるのか』と言うのを重点的に見ていきたかったからそう言う風に言うだけ言ったわけだ。普通はやらん。俺でも―――訂正、相手によっては俺はやるが基本やらん。これを言った時の受験者たちの表情はとても面白かったがな。まるで綺麗な物だと信じていた人類の中に癌細胞を見つけたような表情だった。

 その他にも異世界からの面倒な敵を皆殺しにしたり、機械系をぶち壊しまくったり、勝手に作られそうになったクローンが暴走して里一つが無くなりかけた時に一応出動して嫌々止めたり、まあ本当に色々とやった。ただし、責任のある立場にはつかなかった。製菓会社も従業員は影分身だし、電気系も全部俺だ。本当に影分身ってのは便利な術だ。

 

 だがそれも今は昔。俺もそろそろこの世界を離れる時がやってきた。

 しかしこの世界には色々と残せるものがある。それは例えば俺のチャクラから生まれる尾獣だったり、無限とも思えるような膨大なチャクラだったり、あとゲームのせいで全体的な認識が変わって全員擬人化&女体化した尾獣たちとかも残るな。

 

「お前……ナルトお前ふざけるなよ……!?」

「こうなったのは俺の責任だ。だが俺は謝らない。色々と煽り倒してきた九喇嘛に対する反撃だから俺は謝らない」

「おい九喇嘛お前……」

「おっ、にょ狸じゃないか儂とお揃いだな(白目)」

「うるせえよ馬鹿狐どうしてくれんだこれはよぉ」

「どうせ みんな めすになる」

「おい誰だ今の」

「昆虫王者って呼ばれてた時の方がずっとよかった俺だよ(喀血)」

 

 まあなんとも面白いことになったもんだな。流石は変態国家日本に住む日本人が作った作品。色々と考察の余地が増えて凄いことになっている。ちなみにだがこいつらこうやって女になってはいるが実際の能力はむしろ上がっていたりする。何しろ今までは修業とかそんなことをするでもない獣だったが、今では人間っぽくなったからな。鍛えれば鍛えるだけ強くなるぞ。特に俺の中に居た時間の長い九喇嘛とにょ狸、昆虫女帝は。

 

「にょ狸は止めろよ……いやもう遅いから諦めてはいるがそれでもやめろ……やっぱいいやもう手遅れだし……」

「やっと儂と同じように諦めたな? ようこそこちら側へ!歓迎するぞ!盛大にな!(白目)」

「変身できるからまあいいか……翅も普通に出せないことも無いし」

 

 なおこいつらなんと尾獣化すると総合的にやや弱くなります。巨体になるから一撃の威力や射程は上がるんだが、小回りが利かなくなったり細かい所に目が届かなくなったりで弱点も増える。なにより人間の身体で身に着けた技法の大半が使えなくなるからな。色々と教えたし。結果、尾獣は俺を除けば三強になっている。九喇嘛、守鶴、そして重明。あとはまあ相性とかそう言うので団子状態って所か。

 

 よし、それじゃあさようなら、この世界。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今この瞬間、俺は俺になった。

 英霊である織斑一夏が抜け出て、俺は色々な物を作ることができなくなった。俺はかつて神から貰い、再現した特典の数々を使うことができなくなった。

 ただ、織斑一夏はチャクラの殆どを残していったので俺はこうして今ここに尾獣として再誕した。

 俺は身体の中で増え続けていた十尾を全て俺として再構築し、これ以上増える事は無いが代わりに俺からチャクラを持って行かれることも無いようにした。この世界で身に着けたほぼ全てを残された俺は、間違いなくこの世界において最強の存在のままなのだろう。

 

「……行ったのか」

「ああ。行ったらしい」

 

 かつて憎悪の塊だった九尾の妖狐、九喇嘛は俺にそっと寄り添った。反対側には守鶴が、そして背中には重明が、それぞれ引っ付いているのがわかる。

 

「なんと呼べばいい?」

 

 俺はその問いに笑いながら返す。決まっている、この世界での俺の名前はただ一つだ。

 

渦巻鳴門(うずまきナルト)だ」

 




Q.うわぁ……なんか凄いことになってる……
A.なおアカデミーにVRぶっこんだこともあった模様。馬鹿ですか? ハイ馬鹿です。

Q.なんでそんな人間の汚さを前面に押し出すような試験を作ったの……?
A.ナルチカにとって人間とは須らく汚いものだから。


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本編
NARUTO~01


 side うずまきナルト

 

 と、言う名の俺だ。かつて織斑一夏と言う名前で世界を大いにかき回し、気が付いたら神格化された挙句に英霊の座に放り込まれて日がな一日眠りながら過ごしている俺だよ。久し振りだな。

 最近は宝石のような翼を持つ吸血鬼の少女にガチ信仰されたり、じゃんけんで勝利をもぎ取った鈴と一緒にNEXTと呼ばれる超能力者が割と一般的になった世界でヒーローやったり、一千倍ほどに加速された電脳世界でエネミーやったりしていたが、今回はどうやら成り代わり転生系らしい。

 いえーい俺がナルトだってばよーピースピース。木の葉の里のほぼ全体から嫌われてまともに買い物すら出来ないのになんでかそいつらを守る火影になりたいとか言ってる俺にはよくわからない自己犠牲系主人公様だってばよー(棒)。

 まあ、ジャンプ系の作品だと俺がどれだけ暴れても上には上がいたりするから基本問題なく終わるから楽だな。めだかボックスとか意味わからん。一番わからんのはそんな世界に行くと色々覚えられる上に座にまでその技術を持ち帰れる俺自身なんだが。めだ箱では異常も過負荷も手に入れられなかったが、なんでかスタイルだけは手に入った。ただし『無言使い』で『言葉を使わないままに自身の意思を過不足なく間違えようもなく完璧に伝えることができる』と言うスタイル。はっきり言って役には立たない。便利ではあるが役には立たない。

 あとドラゴンボール。舞空術や瞬間移動は技術として覚えられたし気を使った技は覚えられたが、合体とかドラゴンボールの生成とかは無理だった。仕方ないね。

 あ、それと鋼の錬金術師の錬金術及び錬丹術。あれは覚えはしたけど使えるか使えないかはかなりランダム。魔法系の世界だと大抵使えない。何故なら大地を精霊とかが支配してるから、こっちで扱うエネルギーがない。使えて魂のエネルギーくらいだが、それ使うと死の世界の支配者系統の奴に怒られるから使えたもんじゃない。

 

 さてそんな俺だが、現在産まれたばかり。なんか敵意を向けて来る奴がいたから肺の中に水を出してやったり、血液の中に気泡を出してやったり、眼球の前に霧状のカプサイシン結晶を出してやったりしたんだが、残念なことに透過して避けられた。残念なことに俺はなんでも扱えるし使いこなせるが、逆に言うと使いこなすより上のことはできない。具体的には木刀を使って概念切断とか、そう言う武器の限界以上を技術でなんとかする系統のことは現状できないのだ。残念ながら。

 なお、某世界の二の太刀系統は武器ではなく気でやってるためなんとかなる。気は便利だ。気合いで大抵はなんとかなるからな。

 

 まあ、そんなこんなで俺は産まれ、両親は死に、俺の身体の中に尾獣の九尾が封印され、俺のこの世界での両親を殺した奴は逃げ去った。今は無理だが余裕ができたらNARUTOの原作を読んで隠れている場所を特定して殺しておこうと思う。

 ……その前に九尾の奴と話くらいはしておかないとまずいな。確か十尾がどうとか輝夜がどうとか六道仙人がどうしたとか言う話があったし、チャクラの性質とか属性とか形質変化に形態変化に属性の組み合わせになんやかんやとやっておいた方が良いことは山のようにある。面倒ではあるがやった分は持ち帰れると思って色々学んでおこう。この世界だと世界を超える系の空間転移が結構簡単にできるらしいし、その辺りを学んでみても良いかもしれない。

 まあ先ずは腹拵えか。腹が減っては戦はできぬ。食い物はある種武器として出せるからほんとありがたい。ホームアローン的に家は武器。空間転移装置系も武器。トリコの世界の生物達も武器。アンダーグラウンドサーチライトの中にトリコの世界みたいなものを作ってやると勝手に増えて便利。数を考えればちょこちょこつまめるし、地球を割れる筋力があれば大体どいつ相手にしてもなんとかなる。料理の腕は……まあ、トリコ世界の料理人からすればクソだろうけど、一般的に見ればそこそこ上の方だろう。多分。

 

 さて、食うぞー。



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NARUTO〜02

 side うずまきナルト

 

 三代目火影に守られながら、色々と人間の暗い面ばかりを見て生きてきた。

 日々山や川に出かけて獲物を狩り、忍者アカデミーで学びながらその日暮らし。ちなみに食料品を買わないのはまともなものを売ってくれないからだ。基本自分で用意できるし。

 

 忍者アカデミーだが、学ぶ内容がかなり幅広い。普通の小学校のような国語と算数、この世界ならではの歴史の授業に加えて忍術・体術、忍具の扱い。流石に起爆札等は実際に使うようなことはないが、苦無や手裏剣はよく使われる。適当に投げれば割と刺さるし、必死にはならないでもそこそこ術も使える。この身体の属性は風らしいが、なぁに五行を応用すればなんでも使える。五行的には木行である風と雷が別の属性となっている上に木行が土と水の合成で存在しているから大分合わせるのが面倒だが、一度合わせれば使うのは難しくない。合わせるまでが滅茶苦茶面倒だが、そもそも理論どころか世界が違うし性質まで違うものを使っているんだから大変で当然なんだが。

 で、チャクラを用意できたら後は組み合わせだ。血継限界は無いから氷遁だの熔遁だのと言った物は使えないだろうが、組み合わせるだけだったらいくらでも使える。風と水を合わせて霧を作ったり、風に炎を合わせて炎をより大きくしたり、逆に炎を風に呑ませて爆破したりと言った普通の組み合わせはできる。

 いちいち作って使うのは面倒だが、まあしゃあない。慣れれば一発で作れるらしいが、慣れないからな。しゃあない。

 だが、俺にしては珍しく割と真面目に授業を受けてはいる。分身の術の練習で走るチルノが出てきたり、幻術の授業中にクトゥルフ神話系の神格が見えた奴が何人か出て授業が中断したり、体術の授業中に優秀な奴の前で後ろ向きに走って煽り倒したり、喧嘩があれば賭けの胴元になったり、知り合いが泣いていたらひっそりと近くに行って泣き言くらいは聞いてやったり、自分で言うのもあれだがかなり自由にやらせてもらっている。

 お陰で担任であるイルカせんせー(覚えた)には割と問題児として扱われているし、同級生のサルケは俺の顔を見るたび額に青筋浮かべるし、俺に近寄ろうとする奴はほぼいない。皆無というわけでは無いが、非常に少ないと言えるだろう。

 基本的に多くの木の葉の里の下忍から中忍を親に持つ子供は親から俺に近づくなと言われているし、上忍でも四代目火影にある程度以上近い存在でなければ俺のことについて詳しい説明はしていない。さらに三代目の爺さんの命令により、俺の中に九尾の狐が居るということは俺を含めた俺の同年代全員の耳に入れないようになっている。そのお陰で俺に近づかないようにしろという言葉の理由も知らないままに多くの同年代は俺から距離を取り、そう言われていない奴も詳しい説明を受けられないため空気を読んで俺に近づかないようになるわけだ。

 三代目の爺さんには感謝しなきゃならん。流石に周りの奴ら全てから命を狙われたら面倒極まりないし、里での生活なんぞできるわけがない。原作において普通に生きてこれたと言うだけで、九尾の狐と同一視されていたナルトがどれだけ大切にされてきたのかわかるというものだ。

 

 その辺りどう思うよ。

『ワシにそれを聞くか、小僧』

 身体はともかく魂の年齢だったらお前よりよっぽど歳上だと何度言ったらわかるんだろうなこのロリ狐。

『誰がロリじゃゴルァ!』

 ペド狐か?

『おい小僧、今すぐ精神世界に入って来い。食い殺してやる』

 ……s

『違ぇわボケェ!!』

 戦闘的な意味でないとすると……まさかs

『戦闘的な意味だよボケガキ!オラさっさと入って来い!!』

 ちょっと前にボコり倒してやったじゃねえかよ。じゃあ俺が勝ったら今晩モフ枕な。

『今度は負けん!』

 

 頭の中で九尾の狐がギャンギャン騒ぎまくっているが、結構良い歳してるくせにかなり元気だよなこいつは。

 ……ところで、最初の食い殺すに対しての答えをどんなものだと思ったんだろうな? 不思議だ。

『小僧の方こそ二つ目はなんて言おうとしてたんだぁ?』

 食事的な意味。

『…………』

 何だろうなこの空白。わからん。



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NARUTO〜03

 side うずまきナルト

 

 今晩はモフ枕を使えることが決定したが、九尾の狐と頭の中で喧嘩していると普通は外が疎かになる。意識を分けられる俺だから特にそんなことはないが、それができると思われると仕事量が増やされたりすることがあるそうなのでそれができるようには見せないでいる。

 その結果、俺はよく眠っているキャラになっているわけだが……実際よく寝るキャラだからな。何も言えん。単なる事実だ。

 だが、そんな俺が少なくとも体術において成績が良いとなると良く思わない奴が出てくる。実際には様々な場所で手抜きをしまくっているから知識面ならともかく戦闘面においてこの程度の歳の奴が勝てる理屈が無いわけだが、外から見れば同い年な訳で。負けず嫌いが何とかして勝とうとしてくるわけだな。毎度毎度勝手に張り合ってくるが、こっちはそれに付き合ってやる理由もないので適当に終わらせている。

 体術では特にそうだが、できるだけ相手の攻撃を受け止めないようにしている。理由はと言うと、俺の身体の強度から言って相手の攻撃の威力がそのまま相手に返ってしまうため、いらん怪我をさせてしまうからだ。痛いのは嫌いだからこれに関しては譲るつもりがないが、まあ仕方ないわな。

 で、そうして避けているとむきになって攻撃しまくってくるわけだが、それに合わせて額を指先でつついてやればそれで大抵終わり。簡単な仕事だ。ただ、毎回これで勝とうとすると俺がつつくのに合わせて頭突きをしてくる奴が出てくるんだが、残念ながら俺の指の方が相手の頭よりよっぽど固いから余計に相手が痛い思いをするだけだ。せめてチャクラで強化できるようにしてから来いよな。

 

 まあそれはそれとして今日も今日とて八極拳。浸透剄で熊を相手に七孔墳血。多分蛇相手でも同じことができるなこれなら。蛇は耳の穴から血が出るかわからないし、鼻の穴があるかも知らんがまあ似たようなことにはなるだろう。

 狩った獣は血を抜いてから内臓やらなにやらの処理をして肉にする。内臓も食えない事は無いがこうやって手間をかけてまで美味く食う気にはなれないんだよな。ちー姉さんと一緒ならともかく自分だけのために料理ってのも味気ないし、適当に火を通して野菜炒めにする感じで終わらせてしまうのが楽。保存はご存知アンダーグラウンドサーチライトを冷蔵庫仕様にしてやれば済む。実に便利なことだな。

 だが、まだこの近くで俺に襲い掛かってくる野生動物なんてのが居たんだな。最近は無言使いで襲ってこない限りこちらから傷つけはしないと通達しておいたはずなんだが、どこかから迷い込んできたのかそれとも人間の手によって新しく放されたのか。後者だとしたら面倒臭いから何も知らないことにしよう。忍熊でないことは確認していたし、流石に一般人でペットに熊を飼うってのは考えにくいし、何かしら悪いことに使おうとしてたんじゃないかと思われるしな。

 この世界の熊は大抵でかいが、こいつはその中ではまだ小さい方だ。俺の知っている何にもない日本では相当でかいヒグマで500kg程度。ツキノワグマが大きくて130ぐらいだと聞いていたが、こいつはどう見ても血抜きした後ですら700はあるとみていいだろう。生きている時なら1t行ってたんじゃなかろうか。俺がどこぞの神格にチート系統の能力をもらっていなかったら死んでたところだ。どこの神格かは知らんし、名前も知らんし、目的も正直あれが本心かどうかも知らん。まあ、力は使えるからそれでいいかと。

 それはそれとして肉だ肉。トリコ世界の食材に慣れてしまうと普通に食べる食事が本当に味気なくなってしまうから、基本的にはその世界のその場所で取れる食材を使うのがベターだ。ベストなのはその世界の食材でかつ中々取れないなら自分で取りに行けるようにするかあるいは取りやすいように改良するか。俺の場合は気候や地形の問題は全部解決できるから大抵後者になるんだがね。

 

 



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NARUTO~04

 

 side うずまきナルト

 

 キスには意味があるというのを知っているだろうか。

 愛情を伝える物であってもその愛情が親愛のものであるか友愛のものであるか敬愛のものであるかによってキスする場所は変わってきたりもするし、場所によっては愛情よりも欲望を伝える場合があったりもする。

 つまり、キスとは言葉を用いないコミュニケーションであり、俺のスタイルの範囲内でもあるわけだ。

 ちなみに俺が一番多くしたキスの場所は指先だったりする。される場所は耳やら首筋やらが多いんだが、そこに込められた意思については黙秘させてもらう。

 そして、この世界で最も多くキスをした場所も、同じく指先である。

 

 無言使いを得てから、俺は親しい相手との会話があまり多くなくなった。親しい相手には俺の本心を伝えたかったし、本心は言葉で伝えるよりも無言使いで伝えた方がより正確に伝えられるからだ。言葉で返すのは大抵相手をからかう時、もしくは本心を伝えるつもりが全くない時、親しくもなんとも無いからむしろ本心を伝えたくない時くらいで、そしてそれは俺にとって世界に存在している大半の相手に当てはめられるものだった。かつての束姉さんのように人間という存在にほんの僅かの期待も抱いていないが故の対応ではなく、単純に俺が好意を向けるに値しないと判断した相手が非常に多かったからと言うだけの話だ。あと、そもそも勝手に心を読まれることが多かったから無言でもあまり変わらないという落ちがあったりもするが、まあ気にしないでいいだろう。気にするならそもそも心を読まれているということの方を気にするべきだろうし。

 実際、俺がこのスタイルという物を手に入れた世界では基本的にどいつもこいつも異様にキャラが濃い奴ばかりで態々本心を伝えたいと思うような奴はそういなかった。本心を伝えて一緒に居たいと思えるような奴は数少ないし、本心を伝えて実際に受け入れてくれる奴と言うのはそれ以上に少ない。何しろ俺は友愛と親愛と恋愛の区別がつかないある意味人格破綻者だ。唯一、全く性欲に結びつかない愛情を『敬愛』として独立させることはできたが、それは大抵の奴らは当然のようにやっていることだ。褒められるようなことでもなければ罵倒されるようなことでも無い。ごく普通のことだと認識している。

 

 で、キスをするとなると相手が必要になる訳だが、その相手は……実は名前を知らん。顔は知っているし、漫画に名前も出ていたし、それ以前にアカデミーで同学年なんだが、直接名乗られていないからな。そもそも関わりがあまりなかったせいで名前を覚える対象にはなっていなかった。ちなみに原作においては主人公であるうずまきナルトの顔を見ると顔を真っ赤にして恥じらってしまうとある良家のお嬢様だが、まあ色々あってそれなりの付き合いをしている。具体的には意思疎通は無言のままで行い、ちょくちょくお互いの修行を手伝う程度の仲だ。

 最近の彼女は回天を改造し、防御ではなく攻撃に重きを置いた技を開発している。全身の点穴からチャクラを放出しながら高速回転することによって飛び道具や術に対しての防壁とするのが正式な回天らしいが、彼女はチャクラを放出する点穴を指先のものに限定し、さらにかなり細く鋭く放出して糸のようにすることで物を斬れる糸を作り、周囲でぶん回して防御しながら斬りつけるという技を目指しているそうだ。

 だがまあその技は制御が難しいうえに指先の点穴への負担が大きくよく指先を怪我しているのを見たので、ちょいとチャクラを混ぜ混ぜして医療忍術もどきの実践として指先にキスをしたりするわけだ。キスはキスだがどちらかと言うと治療に近いな。

 初めのころはそれをする度に驚いたり顔を赤くしたり気絶したりしていたものだが、今ではだいぶ慣れて来ていて顔には出さないが少々心臓の鼓動が早くなってしまう程度に収まっている。それでも未だに怪我をしたところをできるだけ隠そうとするし、恥ずかしがってもいるようだから指先以外は無理強いはしないようにしている。指先でもだいぶセクハラだが、太腿とかにやったら完全に事案だからな。お縄になっちまうわ。

 



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NARUTO~05

 side うずまきナルト

 

 最近の俺の趣味は、彼女のメシの顔を観察することだ。

 アカデミーが休みの時に時々一緒に修行したりしている仲だが、俺が自作の弁当を持ってきてから色々と状況が変わってしまった。何しろ弁当の材料に使われているのが基本的にトリコの世界の生き物たち、つまりグルメ細胞を持つ食材ばかりなのだ。この世界の食材に比べると文字通りの意味で美味さが段違い。これに関してはもう仕方がない。何しろ世界から違うのだから物理法則の一つや二つ違っていたとしても何もおかしくは無いだろう。

 とは言っても、料理を美味く食べるのにも慣れや訓練という物は必要だ。世の中には旨味と言う味覚を感じ取ることができないという人間もいる。それはそれまでの人生の中で旨味と言う味覚に出会った経験が少ないから起きることで、一度それを感じることができるようになればまあ大抵の場合で忘れる事は無い。一度自転車に乗ることができるようになった後、数年乗っていないからと言って全く自転車に乗れなくなってしまうということが無いように、一度獲得した感覚と言うのはなかなか忘れないようにできているのだ。

 しかしどうも彼女はそう言った感覚には鋭い方だったらしく、顔を真っ赤にしつつも俺の弁当のおかずを一口食べたと思ったら別の意味で顔を真っ赤にしてしまった。まるでアーサー王が治めていた頃のブリタニア人に栄養価が高くかつ非常に美味なスープを与えてみたような感じだ。それは非常に彼女の味覚に合ったらしく、しばらく恍惚の表情を浮かべていた程だった。食べさせすぎるとグルメ細胞が宿る可能性が高くなるからあまり多くやるつもりはなかったんだが、ちー姉さんと暮らしていた頃からおねだりには弱いんだよね、俺。束姉さんがつまみ食いしに来た時なんて、つまみ食いの量を遥かに超えて食べさせちゃったくらいだし。ちなみに太ったそうだ。流石の束姉さんでも一口三百万キロカロリー×沢山を一日足らずで消費しきることはできなかったらしい。着ていた服がむっちりとして、特に靴下で太腿がぷにぃっとなっているのが眼福だった。なお、同じ量を食べ切ったはずのちー姉さんは全く太っていなかった。何故だろうね?

 

 まあともかく、真っ白なのにキラキラと輝いているのがわかる目の持ち主に口を開けさせ、そこにゆっくりととある美しい銀色の魚の素揚げを運ぶ。調味料は当然とある砥石からできた金色の調味料で、これがまた見た目も美しい。

 さっきから彼女は無言のまま、しかし『ほしい』『たべたい』『はやく』と言う意思が空襲を知らせるサイレンのように何度も何度も繰り返し伝わってくる。口の中に溜まる涎が目に見える速度でその嵩を増しているのがわかり、このままだとあと三十秒もしないうちに口の端から涎が毀れるなと予想できるようになった辺りで素揚げを投入。何日も水と僅かな米だけで暮らしていたかのような勢いで彼女は素揚げを頬張り、蕩けるような、あるいは今まさに蕩けているような、そんな笑顔を浮かべた。

 実に良いメシの顔だ。最近はこれを見るためにわざわざ弁当の格を上げていると言っても過言ではない。と言うか完全に事実としてこの顔を見るためにここ最近は弁当の格を上げている。とは言っても流石に現段階ではグルメ界ではなく人間界の食材しか使っていないが、これにも理由はある。トリコの世界では人間界の食材でも凄まじく美味いが、グルメ界の食材の美味さはそれこそ別物と言える。そんなものを何の耐性も無い彼女に食べさせたら、文字通りの意味で虜になってしまうかもしれない。少なくとも、料理している本人の腕が十分良ければこの世界の材料から作った料理でもトリコ世界における人間界の食材のそこそこいい程度の食材に慣れた舌で『まあ美味しい』くらいならいけるということは確認している。自分で。

 そもそも俺はトリコの世界に行った事は無いからな。行ったことがあるならもっと難しい食材でも調理できるんだろうが、行ったことがない以上は基本的に誰でも簡単に調理できるものであるかあるいは調理済みの物を出すしかなくなるのだ。しかも調理済みの物は調理内容を変えると一気に不味くなったり毒ができたりするから変えられないというおまけつき。もしも行くことがあるなら早めにトリコの世界にも行ってみたいもんだ。行くことがあればの話だが。

 

 じーっとこちらを見つめる彼女から『ありがとう』『おいしかった』『おわり?』『かなしい』『もっとたべたい』『がまん』と言うような意思が流れてくる。言葉にすると今の以外にもまだまだ単語と文章の羅列が続きそうだが、これが俺に伝わってきたのは文字通り一瞬のこと。戦闘には全くと言っていいほどに役に立たない俺のスタイルだが、普段使いするにはここまで便利なスタイルも中々無い事だろう。

 ……いやまあ、漢字使いとか換喩使いはあまりにも便利すぎて例外とするけども。あの便利さは正直羨ましい。

 

 



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NARUTO~06

 side 日向ヒナタ

 

 見られてしまう。私がご飯を食べさせてもらって、それでとても幸せになっているところを見られてしまう。

 それがわかっているのに、私は彼からご飯をもらえるこの時間が楽しみで仕方がない。

 美味しいのだ。今まで食べた何よりも。美味しいのだ。家族で食べた食事よりも。美味しいのだ。友達と一緒に食べたお弁当よりも。何よりも。

 一口食べる。ただそれだけのために私は彼に向って口を開け、じっと待つ。彼はじっと私を見つめながら、その日のご飯を一口だけ分けてくれる。

 それはお肉だったりお魚だったり野菜だったりと一貫性は全くない。あるとするならそうして食べさせてもらった全ての料理がとても美味しかったということくらいで、それ以上のことは私にはわからない。私は彼に食べさせてもらった次の瞬間から、意識のほとんどがこの世界から遥か離れたどこかに飛ばされてしまうのだ。だから私には何もわからない。

 一口食べるだけで意識が弾ける。天にも昇るような、あるいはどこまでも落ちていくような、どこまでも強い快楽が舌から喉を走り、お腹の中に落ち込んで背筋を登る。びりびりと痺れるような、けれど実際には痺れるどころかとても敏感になった舌から走るその刺激は、私の身体中を蹂躙し尽くしてから我が物顔で記憶に居座る。

 彼は毎回、そんな私をじっと見つめる。顔が蕩け、意識が自分の内側に向ききっているせいで自分の体であるにも関わらず自分で動かすことができない私がどんな顔をしているのかは私にはわからないけれど、きっととてもはしたない顔をしているのだと思う。

 それがわかっていても、私は彼が差し出す一口だけのご馳走を拒絶することができない。恥ずかしくても、情けなくても、たった一口だけの快楽がどうしても忘れられなくなっているから。

 本当は一口だけじゃなくてもっとたくさん食べたい。けれど、一口以上食べるときっと私は帰ってこれない。帰ってこれたとしても、それから先の食生活が灰色になることは間違いないと思う。一度に一口しか食べていない今でも普段の食事の多くが『栄養をとるための作業』になりかかっているという自覚はあるし、それはとても危ないという予想はできている。

 けれど、それでも私はそうなってしまう事に強く惹かれてしまう。そうなってしまったらきっと私は食事のためにおよそ何でもしてしまうようになると想像できるし、もしもそうなってしまったら家を追い出されてしまうというのも予想できる。それでも私の目の前にあるこの選択肢はあまりにも私にとって魅力的だった。

 

 けれど、絶対に一口だけ。私はまだ、自分にできる全てを行なってはいない。私はまだ下忍にもなっていないし、身体も十分成長したとは言えない。身長や筋力だってこれからどんどん伸びていくだろうし、彼の隣に居られるとは思えない。

 まだまだ私にはやることがある。だから、そのためには私はこんなところでダメになってしまう訳にはいかない。そう、たとえどれだけ目の前にある唐揚げが美味しそうでも、金色に輝くような衣と白銀のご飯が私を誘っていたとしても、私は絶対にそれを食べる訳にはいかない。

 ……涎が凄いぞ、とか思われていても私は聞こえないふりをして、自分のお弁当を流し込む。こういう感情も全部わかってしまうのだろうけれど、それでも女の子のプライドにかけてこういう物はできるだけ隠しておきたい。彼の用意する料理は妙にお腹に溜まるものが多いけれど、それでも流石に一口で完全にお腹が一杯になってしまうような物は食べたことがない。あるのかもしれないけれど、出されていない以上は無いのと変わらないし、知ってしまったら食べたくなってしまうから知らない方がいい。だから知りたくない。

 私の考えを読んでいる彼は少しだけ唇の端を持ちあげて笑い、いい子いい子と撫でるように私の手を取り、指先にキスをした。

 



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NARUTO~07

 side うずまきナルト

 

 原作はある意味でもう崩壊しているが、それでもこの世界の時間は止まることなく進み続ける。時々俺がスタープラチナのように光を超える速度で動き回ることで時間の流れのない世界を作ってしまうこともあるが、まあ気にする事は無い。いつものことだし誰も困らん。

 あと、この世界でとても使えるらしい影分身修行と言うのがあるようだが、これがまた実際にかなり使える。

 俺は基本的に寝ていると成長する。RPGで言うと睡眠時に限って自動で経験値が入り、HPとMPが常時回復し続け、STRやVITといった数字が永久的に微増し続けるといった効果があるんだが、なんとこの効果は影分身の俺にも適用されると同時に影分身が消えると増えた分はそのまま俺に加算されるらしいのだ。はっきり言って頭がおかしい。

 影分身で100人出す→全員寝る→回復して起きたら影分身たちと一緒にまた百人に影分身する→寝る→エンドレス。これを続けていると影分身たちのチャクラまで常時回復し続け、更に消えた時には増加分の能力が俺に入ってくるようになるわけだ。

 ちなみにだがこの修行(?)はアンダーグラウンドサーチライトの内部の異空間で行われており、影分身の数だけ増えた九尾のロリ狐がドン引きしていた。『えぇ……なんで影分身のチャクラが自動で回復してんの……? ……えぇ…………?』といった具合だ。ちなみに回復する理由は俺にもわからん。実に不思議だな。

 

『ロリ狐とペド狐は止めろ……もう化け狐でもクソ狐でも何でもいいからロリ狐とペド狐だけはマジでやめろ……あ、一応言っとくがロリペド狐も却下な』

 そうだな。お前みたいな精神的な存在はそうやって呼ばれ続けると存在が変化したまま固定されて本当にロリになったりするもんな。わかるわー。

『わかってるならヤメロォ!あと一応言っとくがな!言ってるのがお前じゃなければ別にどう呼ばれようと気にせんのだ!お前はチャクラの総量が多すぎてマジで世界の意志とタメ張るかそれ以上なんだ!世界に対しての影響力がそれだけ強い奴に呼ばれ続けたせいで今のワシは雌だぞ!? ちょっと前まで雄だったのが気付いたら雌だぞ!? ギリギリでロリ化はしていないが完全に雌だ!どうしてくれる!!?』

 ごめん流石に笑う。まさかマジでそうなってるとか流石に笑う。大爆笑だわ。草生えるわ。草生やすわ。

wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

 草生やした。

『表出ろ!!』

 出てもいいけどお前出れないだろ。俺がそっち行くから待ってろ。俺が勝ったら呼び方自由にさせてもらって更にお前を枕にして寝るから毛並みをもふもふにして待っていろ。あ、あと心象世界にも草生やしとくな。

『腹立つなおい!』

 表出ろと言われたからせめて表っぽくしたかったんだ。他意は無い。

『生えてくる草がどいつもこいつも『w』の形してることに対する言い分は?』

 趣味。現実にそんな草が生えてるわけないから俺の自由にできる心象世界の中で作ってみた。どこまで自由にできるかの実験には前に付き合ってもらったろう? 布団出したり家を出したりなんかよくわからないビームのようなものを出したり、自分の意識を一度爆破解体したらどうなるのか試してみたり。

『あれはひどかった……本当に酷かった』

 まさかマジで心象世界が一度崩壊するとか思いもしなかったよな。しかもそこで両親が両方とも出てきたし。どっちも何が起きてるのかわからないままだったからお前が説明してたよな。

『一応言っておくがもう二度とやらんぞあんな面倒なこと』

 安心しろ、俺ももう二度とやる予定はないから。まさか俺の封印にあんな仕込みがあったとか思わんよ。それ知ってたら軽率に封印を心象世界と言う空間ごと爆破解体とかしてないし。もう一度両親を封印しなおすのはかなり疲れたしな。マジで気を使ったし二度とやりたくないわ。それはそれとして到着したから後ろからドーン!

『ぐわぁぁぁぁっ!?』

 よし勝った。じゃあ約束通り明日までもふもふぱーりーだ。寝ながらだけどな。

 



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NARUTO~08

 sideうずまきナルト

 

 忍者アカデミーの卒業試験は分身の術で行われることが多い。そしてそれは今回も変わらず分身の術だった。影分身の方が数を決めたら適当にチャクラを割り振って寝るだけだから簡単で好きなんだが、まあ分身もできないわけじゃない。この世界の分身はチャクラを使って作り上げた実体の無い幻影のようなものだから使い勝手はそこまでいい物じゃないんだが、まあできる。

 ちなみに悪戯としては壁に変化してから分身することで迷路みたいなものを作り出せたりするが、まあ接触不可の幻影なので大した悪戯にはならない。せいぜいちょっとした嫌がらせ程度だ。まともに使うなら道路に変化して分身してマンホールの蓋を開けた所を隠してそこに突っ込ませるくらいだが、相手が忍だと結構な確率で避けられる。たまに酔っ払いが引っかかって酷いことになったり、あからさまに罠だとわかるように蓋を穴に対して垂直に立てた状態で穴だけ隠してやったら見事に落ちて股間を強打した誰かさんが居たりしたらしいが、忍ならちゃんと対応できるようになってもらいたい。と言うか立ててるところは隠してないのにどうして引っかかるのか。目は見えてるはずなんだがね。

 まあそれはそれ。卒業試験も無事クリアという事で、とりあえず適当にあたりを散策することにする。突然こうして暇な時間ができると何をするか悩むんだが、修行やら飯テロやらチキチキメシ顔レースやら悪戯やらちょっと空間転移して別の里にまで行って勝手に書庫の中をのぞき見して逃げ出したりするくらいしかなかったからあまりこの里のことはよく知らないんだよな。原作では試験を担当したいるかてんてーともう一人いて、そのもう一人の方がなんか色々とやらかしてたらしいが……ここではどうなってるかしらん。欠片も興味ない。と言うか興味云々以前に存在してたっけ? 俺が受けた時にはもういなかった気がするぞ?

 ……いや、もしかしたら俺を暗殺とまでは行かないものの傷つけようとした奴に居たかもしれない。よく覚えてないんだが何人か殺してるし、どこからか俺を見ていた奴の目をかなり簡単な呪詛返しで失明させたこともあるし、その中にいたか……?

 

 まあいいやなんでも。とりあえず俺の覚えている限りいるかてんてー以外に俺に恩師と呼べるような奴はいなかったし、ついでに言うと原作では今か今よりもう少し後かは知らんが三代目の爺さんの孫と出会ってたはずだが俺は会ってないしな。

 原作なんてのはそんなもんだ。かなり大雑把な所は信用できても細かいところは全く使えないことが多い。特に原作で死んでいる奴らが生きていたりその逆だったりがあるともう原作崩壊まっしぐら。バタフライエフェクトってのは大げさかもしれないが、もうはっきり言って似たようなことが起きてしまう。この世界だと死んだ奴を人形として蘇らせるとかそういう技もあるらしいから確実とは言えないが、死んだという事実があればまあそうなるわな。

 ……ああもう面倒になってきた。今のうちに敵になる奴をできる限り殺しておくか? 主に木の葉の『根』の奴らとかそのあたり。未来が変わるかもしれないが、普通に考えて邪魔すぎるしな。なんとか殺しておきたいよな。

 

 さてここで俺のできることについて詳しく確認していこう。

 まず、武器であればあらゆるものが出せる。ただし生きているものは不可。植物類はなぜか生きていても問題なく作れるのと、死にたての死体を出して蘇生させると疑似的に生きているのも作れるという反則臭い裏技あり。

 そしてそうやって作った武器を自在に使いこなすことができるだけの身体能力。これには精神的なエネルギーである魔力は含まれないが肉体から生まれる気は含まれるため、気違い染みた気の量を扱える。そして本来の使い方だけでなく、例えば武器として山を作ればそれをぶん投げることができるだけの身体能力を持つようになるので上限らしい上限という物が現状存在しない。

 それとIS、リリカルなのはで出てきた『インヒューレントスキル』だが、これはなぜか全部持ってる。理由はわからん。ランブルデトネイターだけお願いしたはずなんだけどな。

 そして黄金律Cと幸運。これが初転生を果たすときに俺に付与された能力だ。

 これらの物は神から貰ったもので、一度死んだ時に俺を転生させた神に返還されたんだが、ずっと持ってたせいで魂が変質してもう一度同じものを使えるようになっていた。

 

 ここからは神から貰ったものではなく俺自身が覚えた技術になるんだが、まず一番初めの世界で『世界唯一の男性IS操縦者』として神格化されたせいで神性が若干ある。ランクはE-だがまあそんなもんだろう。正直なくてもいい類のものだ。

 それから身を守るために気合と勢いで何とかした剣術と体術、特典繋がりで覚えられてしまった『斬りたいものだけ斬る剣技』や合気柔術もこれに含める。

 世界が変わってFate/世界にて、指差しの呪いなどを含めた簡単な呪詛とそれに対する呪詛返しを習得。基本的に呪詛返しと指差しの呪い、邪視あたりが非常に使い勝手がいい。

 ネギま!世界にて悪魔召喚および精霊魔術を習得。UQ時空でなくネギま!時空なので基本ハッピーエンド。悪魔たちから様々な呪詛を習った結果、指差しや邪視の呪いの強度が上がったり呪詛返しラリーでクソほど威力を上げてから返すやり方を覚えた。

 ゼロ魔世界にて……あれ、あそこ別に覚えたもの無いな? うん、特になし。

 同じく恋姫世界、特になし。

 リリカル世界、ハリポタ世界、艦これ世界、東方世界、とうらぶ世界、タイバニ世界、UQ世界(?)、その他も記録として無い事は無いが、多分これ未来の経験だな。もしかしたら経験済みのもあるかもだが正直実感が無いし使えると言われても使える気がしない。

 

 ……あー、うん、考えんのめんどい。もう寝よう。疲れた。

 



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NARUTO~09

 side うずまきナルト

 

 原作において守られるべきところと守られなくとも全く問題のないところと言うのは結構わかりやすかったりする。

 簡単に分類すると、こっちが特に何もしているつもりがないのに変わってしまうのは原作において割とどうでもいいところであり、こっちが何をしようと早々変わらないところが原作、つまりその世界線においての重要な場所であるわけだ。

 例えばNARUTOと言う作品世界において、主人公がナルトでなければならない理由は無い。ナルトが最も主人公に近い存在であるというだけで、同じような結果に持っていけるというのであれば主人公の立ち位置に全くの別人が居ても世界から見れば問題ないのだ。結果として世界が主人公の手によって救われるという状態に落ち着けば、その主人公が敵役のオカマ丸であろうがその部下であるカブタックであろうが誰かが転生あるいは憑依と言う形で成り代わったオリジナルキャラクターだろうが、そして当然俺であろうが世界がある程度形になって終わってしまえば世界はそれで満足だ。

 つまり、俺がいろいろやらかした結果世界がどんどん変わっていったとしても変わった所は重要なところではないので全く問題ない。そういうことだ。詭弁だとか暴論だとかそう言った話は聞くつもりがない。

 まあともかく、そういう点で考えると俺の下忍のチームが原作通りになるのは結構大事な事なんだろう。原作においては最後に殺し合いをしてお互い片腕を失っていたが、俺が成り代わったこの世界においてその通りに世界が進むかどうかはわからない。もしかしたら良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれない。

 まあ、はっきり言ってどうでもいいわな。元々未来なんてものは不確定であるくらいがちょうどいいんだ。確定した未来があって、その未来に向かってただひたすらに進んでいくだけなんてのは面白くないし、そう思っていた方が気分的にも救われる。運命なんてのは自分にできないんものを諦めるために使われる言葉だと言われるが、心の底からどうでもいい。今一番大切なのは、俺が分けられた班が原作と同じだということだ。できれば彼女と一緒の方がよかったんだが、そうそう上手くはいかないか。

 しかし不思議だ。俺は落ちこぼれてないし、留年もしてないはずなのになんでこいつらと一緒なんだか。

 原作的に考えれば、木の葉の里において唯一のうちは一族の生き残りと、尾獣を宿した人柱力であり四代目火影の忘れ形見である俺を一纏めにしておきたかったんじゃないかとか考えられるんだが、まあとりあえずおそらくこれから来るだろうマスクマンに罠でも仕掛けておこう。暇だし。

 

「ちょっとナルト!何やってるのよ!」

「来る奴に心当たりがあるからトラウマアタックしてやろうかと」

 

 初恋だか何だかの相手を殺した時の映像が頭ん中エンドレス再生されるように幻術をな。油断しているだろうし初めの一発は効くだろうよ。追い打ちで初めてできた親友と呼べる相手にそれを見られて本気で殺されそうになるとかどうだろうか。まあ、原作通りだとしたらマジで起こってることなんだが、それを知るにはまだだいぶ早いか。

 だがやる。本当だったらもう話とか終わって帰って寝るか彼女と一緒に鍛錬してから餌付けしたかったんだが、結構ロマンチックな誰かさんが墓参り(片方生きてる)に行ってるせいで遅れてるからできなくなったわけだし、これくらいは良いよな? 駄目でもやる。

 ……ただ、俺幻術得意じゃないんだよな。かけられるし、狙った結果も出せるけど、本気でやると強度が高すぎて解けないことがままある。その場合も外からぶん殴れば五割で解除できるが、俺が殴ると大抵ミンチだから困る。本気でやらなければいいだけの話なんだが、元暗部で非常に優秀だったと言われるあれを相手に生半可な術は通用しないだろうし……忍術による幻術じゃなく、魔術やら陰陽道やらの方向から思考加速と体感時間加速を重ね掛けして幻術ではなく幻影と念話の合わせ技で一瞬で数日責め続けてやれば行ける……か?

 

『相変わらず他人の嫌がることをさせたら天下一品だな』

 え? ロリペド幼女狐っ子がなんか言った?

『おいゴルァ!お前の言葉は重いからやめろってんだろうが!』

 そんなロリ声で凄まれても全く怖くないな。と言うかいつの間にそんなロリ声に……?

『今だよ馬鹿野郎!お陰で門は抜けられたが人間の身体でほぼ固定されちまっただろうが!』

 知らんな。ああそうだ、チャクラだけどなんか気合でどうにかなりそうだから気にしないでのんびりしてていいぞ。やろうとすれば血継限界や血継淘汰が必要な奴でもなんとかなりそうだ。

『……お前本当に人間か?』

 何回目の同じ質問だよ。普通ではないかもだが人間だよ俺は。ちょっと属性の操作についてこの世界の人間の大多数より上手いけどな。隠遁陽遁とかは陰陽術系統で理解してるし、そのあたりを適当に混ぜればいけるいける。

 六道仙人? 誰それ(すっとぼけ)。

 



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NARUTO~10

 side うずまきナルト

 

 大失敗だ。まあそりゃそうだよな。突然自分の人生の中でも最大級のトラウマが襲ってきたら発狂しないまでも情緒不安定にはなるわな。しかも幻術だと思って解除しようとしても解除できないまま、加速されてるのが思考だけなせいで全く動けず罵倒され続ければ……なぁ?

 まあそんなわけで、理由はわからない(と言うことにしておく)が突然現れて突然倒れた不審なマスクマンを適当に運び出しておく。しかし、ぶっ倒れた直後にまずいと思って内容をかなり幸せな奴に変えたんだが、どうにも起きる気配がない。これはあれか、わけわからん幻覚を見せた直後に幸福すぎる夢を見てそっちに溺れてる感じかね?

 

『相変わらずえげつない……』

 せやろか。普通とは言わないが戦争中ならこのくらいは良くある事だったんじゃねーの?

『儂がそんなもの知るはずなかろう。儂九尾ぞ? 尾獣ぞ?』

 ロリ狐耳娘がなんか言ってる件。

『いい加減ヤメロォ!いやもうこうなったら他の奴等もそんな感じで呼べ!儂だけ被害に遭うとか納得いかん!』

 会ったことも見たこともない奴にあだ名つけるのはちょっと……筋肉モリモリマッチョマンの変態ち尾とか、お燐とか、ミシシッピアカミミガメとか、水廉堂の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖とか、ケルピーとか、ゾンビ犬とか、ラッキー7大カブトとか、クトゥルーとか、そのぐらいしかつけられんぞ。

『一尾はともかく他の奴全員儂よりはるかにマシなんだがどうなってんだそりゃよォ!』

 そもそも俺はそいつらの名前を知らん。お前の名前も知らん。俺がロリ狐耳巫女幼女とか呼ぶたびにやめろとは言っても名前を教えはしなかったからな。

『儂の馬鹿野郎!あと服が白と赤のよくわからんのに変わったんだがどういう事だ!?』

 巫女服だろうな。見えてないから多分だが。似合ってるんじゃないか? 見えないから多分だが。なあ、金髪狐耳合法のじゃロリ巨乳巫女幼女。

『これ以上儂の属性を増やすな!今でもいっぱいいっぱいどころか属性の過剰搭載で溺れるわ!』

 まだ褐色とか日焼けとか泣き黒子とかナインテールとか追加できる属性は結構あったりするんだが……?

『ヤメロォ!!!』

 

 流石に泣かれてしまうのは良くないのでこの辺りでやめにする。見えないけど多分泣きそうになってる。見えないけど声が震えてるしなんとなくわかる。後、今更だがのじゃロリは違う気がしてきた。可哀そうだから真面目に他の奴らにも被害出してやるとするか。

 一尾は確か狸だったはずだからショ狸。二尾が猫だったから長靴をはいた猫娘。三尾は亀っぽかったはずだから亀甲マン。四尾は水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖だから水廉堂の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖。五尾は馬とイルカみたいなのが混ざったとかそんな感じのだからキモイルカ。六尾は犬だったはずだからワン()。七尾は昆虫王者。八尾は……やっぱあれクトゥルーだわ。ただし日本って名前の変体魔改造国家に輸出されちゃった結果眠たがりかつ引きこもりで髪は触手の様にもじゃってる感じの女の子にされちゃった奴でも想像しとけばいいんじゃないかな。と言うかそう言う奴だったら眠るの大好きな俺と割と気が合ってたんじゃ……?

 よし、じゃあこれから呼び方はこれな。ショ狸、長靴猫娘、亀甲マン、水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖、キモイルカ、ワン娘、昆虫王者、クトゥルー、金髪狐耳合法ロリ巨乳巫女幼女。

 

『おい最後ォォォ!!』

 じゃあ名前くらい教えろよ。

『あんだけ他の奴らの名前忘れて適当なあだ名で呼んでるやつにわざわざ変な名前で呼ばれるために名前なんぞ教えたくないわぁ!』

 全くの正論だな、九喇嘛。

『知ってんじゃねぇか!!そして呼べんのかよ!!!じゃあ最初からそう呼べよぉぉぉ!!!!!!』

 まあ十年以上も付き合いあればな。覚えたくないから覚えてないわけじゃないから覚えようとすれば覚えられるとも。十年とかかかるが。

『くそう……くそう……!』

 んー……(見た目は)年端もいかない幼女を監禁(封印)して泣かせるって、外聞最悪じゃね? まあ外から現状を見れる奴とかいないけども。

 

 

 





 ~そのころ他の尾獣&人柱力たち~

 ショ狸『どうなってんだおい!なんでこんなんなった!?』ショターン!
 がーら「ファッ!?」

 ねこ娘『ニャッ!? にゃぜ私の姿がこんなものに!?』
 にばん「カワイイ……」

 亀甲マン『僕、なんで縛られてるの……?』
 やぐら「いやほんとお前なんで縛られてるのさ?」

 水廉堂の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖『……ん?』
 ろーし「……」

 キモイルカ『ワクワクを、思い出すのです……!』
 ハァン「えっ」

 ワン娘『ウタカターなんか俺こんなんなりよったよ』
 ほうまつ「なんでだ」

 昆虫王者『変わったような変わってないような』
 ふーん「変わったような変わってないような」

 九頭竜『……Zzz……Zzz』
 ビー「誰だ♪誰だ♪……いやマジで誰だ」


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NARUTO~11

 side うずまきナルト

 

 九喇嘛(金髪狐耳合法ロリ巨乳巫女幼女)を泣き止ませてからもしもしマスクマン? したらなんとかマスクマンが起きたので説明を受ける。が、どうせまた遅れてくるのは目に見えていたし、多分だが割と本気の戦闘になっても負ける気はしないので普通に飯を食っていこうと思う。

 

 さて、いかれた仲間たちを紹介するとしよう。

 まずは俺、うずまきナルト(転)。転生と言うか成り代わりと言うか、まあそんな感じの奴だ。転生云々は他人に言う事は無いけどな。元々男で今も男。好きなものは睡眠、嫌いな物は睡眠時間を削ろうとしてくる存在。趣味は睡眠学習と睡眠鍛錬。将来の夢は世界が滅んでいくのを特等席で眺めること、だが流石にこんなことは言えないので適当に餌付けとでも答えておいた。嘘ではないしまあこれでいいよな。

 次は第七班の紅一点、名前は確か……猿野バクラ、だっけか? 顔芸してたし多分そんなんだろう。顔芸してたし。好きなものは言わなかったがちらちらと隣のやつ見てたから多分それ。『好きなものと言うか好きな人』って言ってたし多分間違いなかろ。嫌いな物は俺で将来の夢はキャーーーーー! キャーーーーー!になりたいとか意味わからんな。察してるけど。

 で、この班随一の問題児、うっちゃりサルケ。好物も嫌いな物も固有名詞は言わなかったが嫌いな物はたくさんあって好きなものは特にないそうだ。将来の野望として一族の復興に加えてある男を殺すことと言った、文字通りの意味で問題児。原作読んである程度その通りになっているのを確認している俺からすると非常に愚かな男だが、まあ子供だし仕方ないね。

 最後に、実際には最初にだが、この班の担当上忍になった突然ぶっ倒れる系マスクマン改め鼻毛カラシ。しみそう(小並感)。好物や嫌いな物を言う筋合いはないと言い放ち、さらには趣味も『まあ色々』とか言っちゃう頭おかしいんじゃないかと思われるイチャイチャパラダイスの狂信者。大人しく死んだらいいんじゃないかな?

 こんな感じだ。

 

『名前の間違いがひどすぎるがまあいいんじゃないか? どうせ人間の名前だ』

 悪いが尾獣の名前も覚えるのに十年とかかかることもあるぞ。お前のは覚えたが。

 

 九喇嘛(金髪狐耳合法ロリ巨乳巫女幼女)の言葉は置いておくとして、明日はとりあえずサバイバル演習と言うことになった。朝五時集合と聞いたがこいつまた遅刻する気満々だろう。しかも朝飯抜いて来いとか殺してやろうかこの男。偶然を装って塵遁限界剥離の術でも叩き込んでやりたい。まあ陰陽遁ができるんだったら大体何でもできるんだよね、マジで。確か地水火風雷に陰と陽を合わせて性質変化させると陰陽遁になるそうだから、何歩か前の地風火三つくらいならできんじゃないかとも思うんだが……完全に一対一対一で混ぜるんじゃないみたいで中々苦労させられる。その点陰陽遁は全部を均等に混ぜるだけだからかなり簡単だ。理屈とやり方がわかってるんだったらその通りにやればできるのが術ってもんだからな。

 あ、木遁その他は例外な。木遁はマジで無理。いや、正確にはできないこともないんだが制御が無理。思いっきり成長を加速させたり存在しないところに作り出したりとかはできなくもないんだが、木遁分身とか檻作ったりとかの便利遣いはできない。他のまともな術はそれなりにできたんだけどな。

 

 よし、練習してみるか。九喇嘛(金髪狐耳合法ロリ巨乳巫女幼女)曰く俺のチャクラ量は尾獣からみてもキチガイらしいし、一千万体ほど出して片っ端から練習させ続ければ明日の朝までには覚えられんだろ。

 ついでにもし遅れたら変化の術でカラシ上忍に変化させて木の葉の里中をヤゴコロダンスとモリヤステップで凱旋させてやる。里内の放送機器全部使っての音楽流しながらな。噂で死ね。社会的に死ね。

 

『……どんなだそれは?』

 一曲披露してやろう。お前の姿で数百体でな。

 

 この後涙目になったょぅι゛ょを慰めつつ滅茶苦茶修業した。一千万体の影分身はいつも通りアンダーグラウンドサーチライトの中で修業してもらった。

 明日が楽しみだ。



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NARUTO~12

 side うずまきナルト

 

 予想通りと言うかなんと言うかマジで遅刻しやがったのでこっちも本当にやることにした。後悔しやがれクソが。

 

 爽やかな朝。具体的には午前五時三十分。一千万体のカラシ野郎がそこらじゅうで曲に合わせてモリヤステップを踏んでいるのを眺めながら、俺は呼び出された演習場で作った塹壕のような洞穴のようなものの中で寝袋に入ってひと眠りすることにした。ちなみに踊っているカラシ野郎たちとして出した影分身たちは修業に使ったそれとは別の奴らなので修行の内容が踊りで埋め尽くされたりはしない。まったく問題ない。

 いや、実際には影分身を止めようとしている見知らぬ上忍たちや特別上忍たち、そしてカラシ野郎本人が現れて色々となんか言ってたり攻撃しようとして来たりしたが、全員怪我を負わせないようになぎ倒してステップを踏み続ける。ちなみに雷切には雷切を、木の葉剛力旋風には木の葉剛力旋風を、火遁には火遁、水遁には水遁、土遁には土遁、風遁には風遁、雷遁には雷遁で返し続けていたらどう見てもコピー忍者にしか見えないよね。

 それと、俺の影分身は俺の身体能力を完全に受け継いでいる。つまり、影分身状態で寝ればなぜかチャクラが回復するし、身体の強度が異様に高いから物理系の術はほぼ全くと言っていいほど機能しない。火球ぶつけられても痛くないし、水の槍を叩き付けられても刺さることも無ければ打撲にもならない。土や風も同様。雷だけは若干体の中に通るが、まあ気にしなくてもいいレベル。

 問題は特殊な術、例えば影縛りとかだが、チャクラ任せに振りほどけるのが大半。封印や結界もチャクラ量でどうとでもなるし、幻術も同じく。と言うか影分身なんだから幻術とかほぼ無意味。

 そのままついでにちょっと普段は入れないようなところにも入ってみたりしたが、まあ本当に色々と出てくるものだ。黒い物から後ろ暗い物、ついでに九尾の人柱力、つまり俺の飼育計画書とかな。

 

 そんなこんなで木の葉の里を突然のカラシパニックが襲ったわけだが、不思議なことに二時間もするとまるで影分身が消えるかのように全てのカラシが消え去り、木の葉の里は平穏を取り戻したそうだが……いや実に不思議だ。ついでに演習場やら忍者アカデミーには奇天烈な音楽と一緒に奇妙な踊りを踊りながら無表情で近づいてくる不審なマスクマンは出てこなかったらしく、子供たちにトラウマが刻まれるような事は無かったらしい。

 

 で、さらに二時間後。異様に疲労しているように見えるカラシ野郎が原作と比べて早々と演習場にやってきた。ちなみに俺はバクラとサルケを巻き込んで朝飯を終わらせておいたのでそこまで腹は減っていない。

 ただし、カラシの方はここに来るまでの間色々と苦労をしたらしい。里の奴らの間でひそひそと噂をされて精神的にも多少削られたようだ。

 

「……すまん、遅れた」

「なんか異様に疲れてるように見えっけど、何かあった? ここに来る途中で困ってるおばあさんを助けたら山盛りの荷物とおばあさん本人を背負ってやたらと険しい岩山を登らされたとか」

「いや、それは無い。それは無いが……まあ、いい。始めようか」

 

 今の今まで後処理やらカラシの姿をとって木の葉中で奇妙な踊りを踊っていたのは誰だ、あるいは何故だとかそんな話をしていたのは知ってるし、自分には全く心当たりがないのに妙に攻められるのが嫌で任務と言うか俺たちとの約束を引き合いに出して抜け出してきたのは知っているが、まあここは適当に『まあ無いよな』と言うことを並べておいた。まあ実際そんなことがあるわきゃない。あるとしたら絶対何かしら仕組まれてる。俺なら仕組む。

 で、ルールは割と簡単。カラシの腰にぶら下がった鈴を昼までに奪い取れば合格。ただし鈴は二つしかなく、誰か一人は必ずアカデミーに戻されるとか。まあ実際に戻されるとなったら間違いなく一人が戻されるって事は無いんだろうけどな。木の葉の里では基本的に任務は四人一組。下忍の場合は下忍三人につき担当上忍一人がつくのが決まりになっている。戻されるなら一人ではなく全員だ。

 と言ってもこのルールだと一回奪ってから返してまた別の奴に奪わせれば問題なく三人とも合格取れたりするんだが、普通の下忍にゃまあ無理だろう。まあ原作ナルトは下忍のままあの大戦に参加して五影以上の働きをしたが、そんなのは特殊例も特殊例。まともに数えちゃいかん。

 まあとにもかくにもまずは実力確認っと。

 



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NARUTO~13

 side うずまきナルト

 

 開始の合図と同時に瞬身の術で身を隠しつつ影分身を置いてその様子を気配を隠しながら眺める。ちなみに位置は上空800m。そこに浮遊している。

 俺の影分身はなかなか優秀だ。まあそれはつまり俺の身体が優秀だってことでもあるんだが、兎にも角にも優秀なのは間違いない。

 

「さて、そんじゃ威力偵察ですよーぃ」

「……あのさ、お前なんかずれてない?」

「いいのいいの、影分身だからやられるのは目に見えてるし、気配もごまかせて情報も持ち帰れて一石二鳥。問題ない……と言うか分身出してられる時間を考えると急ぎたい」

「あ、そう。考えてはいるわけね……忍戦術その一、体術を教えてやろう」

「一応言っとくけどもしここでイチャパラなんぞ読みだしたらネタバレすっからな」

「おいやめろ。と言うかなんでお前俺がそれ持ってるって知ってんだ。それ以上にこれ18禁だぞ!?」

「最新刊は『イチャイチャバイオレンス』らしいですね。この作品では主人公の―――」

「あーあーあーーー!!!ヤメロォ!!」

 

 なんか周りでは『なんてくだらない……』とかそんな空気が漂ってるが、普通調べね? 敵対するってわかってなくとも近しい関係を築かなくちゃいけない奴のことは普通調べね? ちなみに俺は調べた結果昨日の夜にカラシがイチャパラを読み終えないままポーチにしまったのを見たからこうしてるわけなんだけど。

 ともかく両手が塞がったので瞬身で近づいて鈴を取るべく手を伸ばす。素早く躱されたがそれを目で追いかけて『見えている』ことを小さくアピール。その動きをさらに追いかけていくが流石にコンパスの長さが違うから正確に付いていくのに手間がかかる。特に空中にいる間の方向転換とか面倒すぎる。それやった時点でカラシの目が変わったから流石に目の前で本を出すようなことはしないと思うが、そこでさらに追撃に指先に小さな螺旋丸を作って連射してやるとかなりガチで回避した。まあ実際あれ当たるとそれなりに痛いらしいからな。

 螺旋手裏剣が飛ばせるんだから螺旋丸だって飛ばせるだろうがコンセプト。実は大きくするより小さくする方が難しかったりするが、射程が短ければ圧縮が解ける前に当てられる。速度も速いしな。

 

「おま……そんなのどこで習った?」

「ん? 前にビール瓶で頭カチ割られそうになった時に発狂しかけたらなんかこう色々あって四代目に習った」

「うっそだろお前……」

 

 まあ実際嘘だがわからんわからん。ビール瓶で頭割られそうになったのはマジだけどな。頑丈だったから割られなかったけど。

 ちなみに俺の頭をたたき割ろうとした奴は不思議な悪夢を見て何百日か分の胡蝶の夢を過ごして発狂して死んだらしい。不思議だね? 未だに原因不明らしいよ?幻術じゃなかったらしいけど何があったんだろうね?

 

「ちなみにお色気の術も四代目に習った」

「うっそだろお前!?」

「うん嘘。そっちの方は三代目の爺さんの所にあった秘伝書に偽装された本を読んで思いついた」

「そ……そうか」

「あ、そうそうそれとな~?」

 

 星の白金の世界(スタープラチナ・ザ・ワールド)

 

 僅かな時間時の止まった世界を俺は動く。カラシの腰に下げられた鈴の糸を半ばから切り、鈴を頂いて元居た位置へ。

 

「もーらい!」

「ハァ!?」

 

 カラシがびっくりしているようだが、とある世界だと時止めとか基本技術な所もあるんだよな。信じがたいけど。しかも時を止めるとか基本出来ない物ってことになってるようだし。時空間忍術なんてものがあるんだからできてもおかしくないと思うんだけどなぜか無い。実に不思議だ。

 しかし今この世界においてはそんなことを考える奴すらおらず、カラシは滅茶苦茶驚いて俺と取られた鈴を交互に見る。まあ、そりゃアカデミーでは体術において負けなしだったからっていきなり不意打ちされて目標を奪取されるとか思わんよな。わかるわかる。少し離れたところからサルケとバクラのかなり驚いている気配がしている。まったくなんてわかりやすい奴等だ。嘆かわしい。

 

「じゃ、次は本体で取りに来るから。チームワークに関しては俺が引く方向で行ってみるけどどうにもその気がないみたいだから期待しないでくれなー」

「気づいてたのか」

「そりゃ複数人で固まって一つの目的のために動く時に個人でやるのとの一番大きな違いって言ったらそこだしな? 特に率いるんだったらそのあたり徹底しておきたいだろうなーと思いつつ情報収集して確信をば」

「ちなみにソースは?」

「あんたが今まで落としてった奴ら」

 

 ちなみに影分身に変化を加えてそれで聞いた。木の葉の里では俺は嫌われ者だからな。他の奴にはただで正確な情報を伝えたとしても俺には無条件で足元見た金取ってしかも嘘を教えるとか当然のようにする奴等だし? まあそのあたり期待とか一切してないよね? 極一部除いて滅べばいいんじゃないかとすら思ってるよ俺は?

 頭を抱えてしまったカラシを置いて、俺は影分身を消す。さて、協力協力と。

 



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NARUTO~14

 side うずまきナルト

 

 とっとこ走るはナル太郎。大好きなのは睡眠時間。あともふもふも嫌いじゃないよ。ヒマワリの種は……炒めてポリポリ食べるのが好きだ。結構おいしい。

 さてそんなわけで影分身がカラシから鈴を奪って数分。気配を探って見つけたサルケに背後から近寄って肩を叩いた。

 

「おっす元気かー?」

「!?」

 

 凄まじい勢いでこっちに振り向きながら手裏剣を投げつけようとしてくるが、それを全部受け止めて返還。まったく危ない奴だ。

 

「で、見てただろ? 俺と組まないか?」

「……チッ。余裕かよ」

「まあ初見殺しではあるがね? 影分身が手に入れたってのが本当に手に入れることになるわけじゃなし。まさか取れるとは思ってなかったからやってみたら本当に取れちゃってびっくりしてんだわ」

「で、俺に何を望む? お前だけでも取れるだろう?」

「やろうとすればまあいくらでも。でもそれ班としての動き方じゃないんだよ。班の任務として演習してるんだから班として動かないと多分合格貰えないんだよね。あの人『目的は鈴をとること』と言ってはいるけど『鈴を取ったら合格』とは言ってないし」

「ハァ?」

「いやほら、『鈴を取ったら弁当を食っていい』とは言ってたけど『鈴を取ったら合格』とは言ってないだろ?」

 

 もっと正確に言えば『鈴をとれなかったら昼飯抜き』であって『鈴を取ったら弁当食っていい』じゃないんだが、説明面倒だしいいや。おそらく同じような意味で言ってるだろうし。俺は料理とかいくらでも出せるから困らないし。

 ついでに取れるとは思ってなかったってのも嘘だ。取れるとは思ってたが取ったところで意味がないとわかってたから気にしない、って感じだな。

 そんな俺の本音には気付いているのかいないのか、サルケは舌打ちしつつ俺の手を取った。

 

「で、策はあるのか?」

「その前に全員集まってからだな。一応チームなわけだし」

「……サクラは役に立つのか?」

「少なくともチャクラコントロールに関してはお前より上だと思うがね」

 

 ちなみに俺はチャクラコントロールとかあまりよくわからなかったから精神世界内で馬鹿みたいな量の影分身を出してコントロール特化で修業した結果三日で螺旋丸ができる程度まで成長した。原作でも出てたが影分身ってほんとチートだわ。あるのと無いのとでは成長効率が違いすぎて草生える。

 ちなみに精神世界内で九喇嘛の目の前でクソほど影分身を出したら九喇嘛のやつ顎が外れそうなほど驚いていた。まあ、そりゃ尾獣である自分よりチャクラの量が多い人間とか普通いないしわからなくもないが、だからってそこまで驚くか?

 まあともかくバクラを探して作戦会議だ。鈴は……まあ、最悪一回奪ってから返却してもう一度奪い直せば行ける行ける。あとチームワーク重点な。俺が前に出ると間違いなく警戒されるだろうから基本は引いておくとして、サルケ中心バクラサポート俺援護って所か。で、ちょこちょこ姿をさらして俺に注意を引きつけながらミスのカバー。この時間だと多分バクラはカラシの奴に気絶させられてる頃だし、悲鳴を聞いてから向かえばいいかな?

 

「と、まあ大体こんな感じの作戦を立ててる」

「……なるほど。だが、お前が主体でなくていいのか?」

「鈴を取った実績がある俺が主体じゃないからこそ、チームワークを重視してるってのが見せられると思ってね。だからお前さんは全力で狙っていくといい。サポートはしてやる」

「わかった」

 

 サルケは少なくとも実力のある奴の言葉には大分素直なんだよな。少なくとも何か一点であっても自分より優れたところのある相手の言葉しか聞かないってのは欠点でもあるが、まあそのあたりは仕方ない。まだまだ二十も生きてない子供だし、そういうもんだ。

 

「ギャアァァァァァァ!!!」

 

 ……声からして察することはできたけど、女の子が上げちゃいけない悲鳴が聞こえた。サルケも頭を抱えているが、まあそのあたりは授業料とでも思ってもらうか。

 

 



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NARUTO~15

 

 side うずまきナルト

 

 バクラを迎えに行って叩き起こして、それからやっと作戦の説明と俺の影分身の威力偵察で分かったことの説明、そしてついでにいろいろと知ってたことの中で確認が取れたことを伝えておく。

 鼻毛カラシ、二つ名は『コピー忍者』あるいは『写輪眼』。左目に写輪眼を持ち、あらゆる術を一目見ただけでコピーしてしまうという。千以上の術をコピーしたとか言う話もあり、様々な国で手配書(ビンゴブック)にも載っているという有名人。口寄せに忍犬が何頭か居り、血継限界及び血継淘汰、血継網羅以外の術は大抵コピーできる。得意忍術は雷遁だが土遁、水遁、火遁、風遁も十分以上に扱うことができ、最も得意かつ有名な持ち技はカラシ自身が作り出した唯一のオリジナル忍術である『千鳥』。その技で雷を斬ったとも言われることから『雷切』と呼ばれることもある。五歳で下忍、六歳で中忍、十二歳で上忍にまでなった木の葉隠れきっての天才忍者として名高く、一時は暗部にまでなったことがある。ちなみに左腕にその証が残っているらしい。忍者登録番号009720、アカデミー卒業年齢五歳、中忍昇格年齢六歳、誕生日は九月十五日の乙女座、血液型はO。好きな食べ物はサンマの塩焼きと茄子の味噌汁、嫌いな食べ物は天麩羅と甘い物。趣味は読書で最近はもっぱら木の葉の三忍の一人が書いたイチャイチャパラダイスって本を愛読。

 

「待った待った待った。ナルトはなんでそんな詳しいの?」

「普通調べね?」

「そこまで調べないと思うけど……私やサスケ君のことも知ってたりする?」

「語ってやろうか?」

「絶対やめてよ!?」

「叫ぶな五月蠅い見つかるだろ馬鹿何考えてんだデコッパチ」

「でこっぱ……!?」

「いいから具体的な案考えろ。俺は大雑把な方向性を見出すところまではできるがそれ以上細かくすると突然脳筋になるから向かねえ」

「具体的に」

「影分身百万人ぐらい出してひたすら苦無やら手裏剣やらを一斉に投げ続ければ相手は死ぬ」

「脳筋すぎない……?(震え声)」

「自覚はある。自覚があるから具体的な案を聞いてんだろ」

 

 俺の案を聞いた途端この場の全員にドン引きされた。そしてこっそりこっちの話を聞いているっぽいカラシにもドン引きされた気がする。腹が立ったから結構な速度でカラシの顔の横に苦無を飛ばしてやった。避けなくても当たらない場所に飛ばしたのに避けようとして逆に当たってた。ワロス。

 と言うか、俺からするとなんで色々考えないのかと。何か言われたらとりあえず考えるでしょ普通。時間を貰ったら準備で終わらせないで何かやるでしょ普通。俺の場合はそれやった結果今朝カラシの群れがモリヤゴコロダンステップで練り歩くなんて言う悲しい事件が発生しちゃったわけだが。

 なお、百万の影分身による苦無投げが躱された場合、百万の影分身たちによる螺旋丸アタックが炸裂します。しかも雷遁風遁水遁火遁土遁に加えて溶遁熔遁灼遁磁遁の性質変化付き。当たった場合相手はまあ死ぬ。そして何が悲しいって、こんな術使うより普通に殴った方が強いってのが悲しい。もちろん相性ってのもあるから絶対じゃないけどな。

 

 そんなこんなで細かい作戦を立てている間、俺は影分身を放ってカラシの気を引く役目を果たす。ついでに鈴についてだが俺は一回取ったから遠慮することにした。それに今また影分身が一回取ったし。おっそい。鈍ってるって話があったけど、なるほどこれは確かに鈍ってるなと思わされる。じゃないとこの程度で世界中で有名ってことになるしな。無い無い。いくらジャ〇プがパワーインフレ激しい世界だからってこれは無い。多分。

 そんなわけで作戦も立てたし次回に期待。

 



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NARUTO~16

 

 side うずまきナルト

 

 一応合格は貰った。チームワークも見たし作戦も見事だったと。最終的に鈴も取れたし、全員怪我無く終わった。問題は作戦が全体的にえげつないことだと言われたが、そんなものを気にしていたら死ぬから気にしていない。特にこの里は俺には優しくないんでな。

 そういうことで本日は自由時間。異空間でひたすらチャクラコントロールの修行と性質変化、形態変化の修行を繰り返す。この三つはどれだけ上達しても害がないからありがたい。

 風のイメージは二つに分けたチャクラを高速で擦り合わせて研ぐようなイメージだと原作にあったが、他の性質のイメージはとりあえず片っ端から自分たちで試してみたところ火はチャクラが沸騰して気化するような、水は凝集し滴るような、土は圧縮し固まるような、雷は放散と集束を繰り返す様なイメージでなんか行けたが、陰陽遁はかなり難しい。精神エネルギーで無から形を作り、生命エネルギーで形に命を吹き込むとか言われているが、何をどうやっているのやら。何かいい想像ができればいいんだが、今のところイメージすら固まっていない。

 ……いや、実のところ陽遁の方は何となくできるんだ。一応神格の端くれとして分霊くらいは出せるからな。そんなイメージでやればできない事は無い。隠遁の方も精神エネルギーを物質化させるってのは要するに『千の顔を持つ英雄』みたいなもんだ。ある意味身体に染みついているからできないわけじゃない……と、思う。多分。

 解らなかったから確認ついでにやってみた。できた。オッケーオッケー。あとは一度に変換できる量の増大と変換したチャクラのコントロール、そして陰陽を使い分けることで様々な属性の再現とかやっていきたい。いやまあ今でもできないわけじゃないんだが、効率ってのは重要だ。

 

『バケモノよりも量が多いチャクラ持っとるくせに何言ってんだお前は』

 ほっとけ金髪ナインテロリ。特に意味はなくとも必要なくとも目に見える無駄くらいは無くしておきたいんだよ。

『睡眠時間はどうなんだ』

 あれは俺にとってはとても有意義な時間だから。睡眠とか基本的にそのために生きている感じだから。死んでも眠れるけど自殺とかはめんどいし、他殺されるのも嫌だから普通に。

『普通の法則が乱れに乱れて跡形も無くなっとる気しかせんのだが』

 気のせいじゃないと思うぞ。よく言われるし。

『儂にな』

 せやな。

 

 ちなみに九喇嘛は俺に何度も呼ばれて存在が幼女に固定されきってしまってからはもう呼称のことでどうこう言ってくる事は無くなった。よっぽど酷くない限りは普通に返事をしてくれるが、今までの呼び方が自分で言うのもあれだが中々に酷かったせいで俺からすると結構酷い呼び方でも割と返事をしてくれる。びっくりだわ。

 じゃあ明日から下忍の仕事頑張ろう。俺は正直普通に暮らしていける程度に稼げればいいんだが、この里だと俺相手にだけぼったくりやがるから中々安定したくらしはできそうにないんだよな。この里から離れようとしたら追手がかかるだろうし、どうにかして抜けられないかと思うんだが……あれだな、九喇嘛のチャクラの雰囲気を真似て俺のっぽい死体を用意してから影分身で九喇嘛が出てきたように見せかけて逃げ切ればいいのかな? で、逃げ切ったら影分身は消す。完全犯罪成功? 欠点は白眼やら写輪眼やらで見られたらばれそうということだが、行けなくもない……か?

 ここで俺が消えれば九尾が消えたのとそう変わらないから最終決戦とかそういうのが大体消えるし、もしも原作と同じように金銀兄弟あたりを穢土転生して代用したとしても、結局のところ物理的に月を消し飛ばせば無限月読とやらはできなくなるし、問題は無い。多分

 

『いやいや、問題ありまくりだろ』

 知らん。正直に言って知ったことじゃない。と言うか世界の命運を一人の肩に載せないと存続できない世界とか滅んでいいんじゃないか?

『儂の生活はどうなる? 死にたくはないぞ?』

 星ごと消滅させるわけじゃないし、十尾に戻すわけでもない。封印を解いて俺から出てけば元通りになるんじゃないか? 人間が滅んだ世界でだが。

『……悪くはないな。それまで付き合ってやる』

 マジでやるかは決まってないから期待しないで待ってな。

 



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NARUTO~17

毎回奇数で終わるのは座りが悪いので今日は三話更新します。
1/3


 

 side うずまきナルト

 

 それから俺を含めた第七班は色々な任務をこなしていった。と言っても基本はDランクの大したことのない任務と修業ばかりであまり変わったところのない生活が続いているためわざわざ残すようなこともない。そして今更思い出したんだが、俺が、と言うよりナルトが駄々をこねて難しい任務をしたいと言ってないせいか、波の国編と言われる一連の話は起きていない。そしておそらく波の国への護衛と橋作りの警護は失敗し、依頼人とその家族は死んであの国ではいまだに悪徳海運会社の社長が幅を利かせているのだろう。

 ……そう言えば、ガトーカンパニーの社長であるガトーは世界でも有数の大金持ちであると原作では言われていた。かなりの悪事を働いて金を集めてきたのだろうが、俺に関わりが無ければその金がどんな方法で集められたのかとかはどうでもいい。むしろ俺としては悪い方法で集められた金である方が訴えに出られるようなことが無くて都合がいいまであったりするが……うん、使えるものは手近に置いておきたいよな。

 頂きに行こう。犯罪? 知らんな。

 だが、アリバイが必要だ。影分身ではいろいろと問題が出てくることが考えられるので、影分身ではなく俺本体を物理的に増やす方向で行こう。この『サテライト30』を使って。

 

 と言うことで潜入。波の国までの地図は持ってないが見るだけなら十分できるので方向と距離を理解していれば一跳びで行ける。まあ地図が正しいという前提条件が守られている上での話だが、この世界の正確な地図を出してそれで確認したからまず間違いはないはずだ。

 文字通り一跳びで潜入したは良いが、かなりズタボロだ。作られていただろう橋は途中で放棄されるだけに飽き足らずかなり壊されているし、昼だと言うのに橋を作る人足や大工もいない。これは完全にガトーの思惑通りになってしまっていると言うのが一目瞭然だ。なんとまあわかりやすい。

 潜入するにはまず額当てを外すことが大事だ。そして変化の術で体格その他を誤魔化して周囲に埋没するような没個性な人間を演じることが大切。普通ならそうやって時間をかけて色々と探ったりするんだが、今回は時間があまりないので気配遮断と光学迷彩、電子迷彩の三つを使って正面から攻略しに行く。目的は金庫あるいは金。宝石なんかの貴金属類もターゲットに入れておこう。

 途中で何度か雇っているらしいごろつきを見かけるが、攻撃する気になっていない俺には全く気付くことなく何の意味もない見回りを続けている。いや、身体は避けなければいけないから意味自体はあるのかもしれないが、殆ど無意味と言っていいだろう。実際少し邪魔程度でそれ以上のことは全くないわけだし。

 しかしそう穏やかにもしていられなくなった。どうもこの先で誰かが殺されているらしい。血の匂いに加えて凄まじい湿気、そして下では何も気付かずに見回りをしていた奴らがいたことを考えると……原作で出てくる例の奇人変人とお面君が殺ったんじゃなかろうか。原作においてもなんかしらの目的があって行動していたようだし、そのための金を得るためにガトーを殺したとかそんな感じだと思われる。なんで初めから殺さなかったのかは不思議だが、まあそういうこともあるだろう。例えばお面君のことをとやかく言われてつい殺っちゃったからとんずらこく前に取るものを取っておこうと考えたとかな。

 

 だがそいつは困る。俺が取っていく分が無くなるじゃないか。いやまあ実のところ金でも銀でも大体の物は出せるから金に困るようなことにはならないと思うが、換金の手間とか木の葉でのクソボッタクリ手数料とかを考えるとそういったものが必要ない金ってのは是非とも欲しい。まさか換金手数料に六割持ってくとか足元を見てるとかそういう次元じゃない。いっそ本気で殺してやろうか悩むレベルだ。実際悩んだ。悩んだが偶然にも落ちてきた植木鉢によって頭蓋骨陥没骨折と脳挫傷からの廃人一直線コースを辿ったので心の広い俺は許しはしないが見逃してやることにした死ね。

 おそらく金庫と社長室だろう最上階には霧が立ち込めていた。一応飛べるため足音すら出さずに移動はしているが、これ普通に歩いていたら水面の波紋やら水音やらですぐばれてただろうと思わせる。室内だってのにかなり濃い霧の中での行動を強制されるとは、また面倒なことだ。

 

 ああ、居た居た。

 



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NARUTO~18

毎回奇数で終わるのは座りが悪いので今日は三話更新します。
2/3


 side うずまきナルト

 

 ガトーの死体は首がなく、その周りには護衛についていただろうごろつき達の武器が死体と一緒に転がっている。その場に立っている二つの影。これはもうほぼ確定だろうな。

 ガトーは殺された。霧隠の鬼人とその道具に。それについて俺がどうこう言う事は無いし、正直言って世界のゴミが減ったこと自体には何の文句も無いが……こいつら恐らく木の葉の忍びも殺してるんだよな。俺に関わりのない奴だったし死んでくれても全く持って構いはしないけど。むしろお礼を言ってもいいくらいだ。

 

「もしもし?」

「!?」

 

 反応されると同時に千本を投げつけられたが、そいつを普通に受け取って袖の中の異空間にしまいこむ。同時に鬼人の方が振るう人斬り包丁……いやこれだとただの日本刀だな。首斬り包丁だったっけか? 首斬り包丁で切りかかってくるがそいつの刃を掴んで受け止める。俺の身体は物理に対しては非常に頑丈だからな。斬れない斬れない。単分子ブレードでも斬れなかった実績すらあるしな。あの世界には魔法とかなかったから完全に化物・怪物・人外の扱いをされたけどな。

 とりあえず斬りかかってきた奴の腹を蹴り飛ばすが、掴んでいた包丁と一緒に水になって砕け散る。後ろから振るわれた首斬り包丁を身体で止めて殴り返せば今度は消えずに吹き飛んだ。

 

「再不斬さん!」

 

 ……ああ、うん、そういえばそんな名前だったね? 特徴的だけど忘れてたわ。三音以上だからね。仕方ないね。正直どうでもいいとも言える。

 時間を稼ぐためかお面君が千本を投げつけながら片手で印を組む。名前は覚えられないが他の物なら大体覚えられるので印と術に流されていくチャクラの流れを読み取って即座に真似る。千殺水翔とかいう術だったかな?片手印とはまたなかなか珍しい術だ。と言うか片手印って他に何かあったっけ?

 兎にも角にも俺を目指して飛んでくる水でできた千本に同じものを同じだけぶつけて相殺する。時を止めない程度の速度で顔面に飛び膝蹴りを叩き込み、鬼人と同じように吹き飛ばす。目的はこいつらじゃなくてガトーがため込んでた金と貴金属類だからな。あまり大きな音もさせたくない。下の奴らに気付かれたら面倒だし、強盗殺人罪をこいつらに全部擦り付けて身軽なまま行動するという目的が果たせなくなってしまう。殺せたら殺して武器奪って実体のある分身で変化使ってこいつらに化けて適当に暴れまわらせれば賞金が上がり、そして最後は保管しておいた死体を換金して霧隠に首斬り包丁を売り払うのが理想。こいつら俺が声かけただけで攻撃して来たから今のところ敵認識だしな。

 

「何もんだ、てめぇ……」

「何者、と言われてもな……お前の敵だ。それ以上に必要か?」

「なるほど……舐められたもんだ」

「舐める? こいつは余裕と言うもんだ。背中に起爆札張られて気付かないような奴にはこの程度で十分だろう?」

 

 そして敵の言葉を素直に信じて貼られてもない背中の起爆札に目を向けるようなアホどもにもな。

 目を反らした瞬間に接近して風遁チャクラを載せた貫手を腹に。風遁は斬撃力を高めるが、貫手でやると攻撃範囲が広がる。雷遁だと硬いものに対しての貫通力が上がるが、硬くないものに対しては風遁の方が優秀だ。この場合の硬くないものってのは普通に斬れる物という意味でだが、俺の場合は少し勝手が違う。

 あれだ、所謂『余の手刀こそ世界最強の剣なのだ』ってやつだ。実際大抵のものはチャクラ無しでも斬れるし、攻撃範囲もなかなかある。同じように世界最強の槌は拳、世界最強の鞭は腕、世界最強の槍は足、世界最強の鎧は皮膚。どこぞの二代目雷影のようだな?

 俺の接近に気付いたが反応できなかった鬼人と、気付くことができて動けたお面君。今の一瞬で秘術を使って鬼人の身代わりになって両脚を切り落とされたが、鬼人は無事だ。残念。転倒の際に足だけじゃなく腕も切り落として術も使えなくしておいて、鬼人に追撃。首斬り包丁での迎撃を手首で打ち払って風遁貫手で打ち抜いてフィニッシュ。普通武器が効かない相手とか想像しないよね。それもその武器が霧隠の秘蔵である忍刀ともなれば、チャクラによる防御があってもそこそこ以上に貫けるくらいだし。

 だからこそ道具に頼る戦い方ってのはどうかと思うんだよな。いや、俺こそ道具を使いまくってるしある意味頼りまくりだから何とも言えないけども。そのものじゃなければ首斬り包丁くらいいくらでも作り出せるし、忍び刀七人衆の七本の刀も作り出せない事は無いだろうし。

 そして俺の目的もこれでほぼお終いだ。血継限界持ちは怒らせると怖いから先に殺しておいて、それから鬼人の方に取り掛かろう。身体の情報とかをしっかり調べておかないとぼろが出るかもしれないからな。あと金。

 



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NARUTO~19

毎回奇数で終わるのは座りが悪いので今日は三話更新します。
3/3


 

 side うずまきナルト

 

 この世界にも空間転移術ってあるのな。いや、正確には時空間忍術ってカテゴリらしいが、時空間と言う割に時間加速とか減速、停止系の術は存在しない。もしかしたらあるのかもしれないが、チャクラの消費が激しすぎるんだろうな。使えないから知らんけど。

 まあともかく自由に使える金は手に入れたし、自由に動ける立場も手に入った。行きがけの駄賃にガトーカンパニーの社員のうち用心棒と言う名のごろつきは片端から殺しておいたし、橋職人として最後まで仕事をしていた爺さんの残した設計図の通りの橋を完成させておいたからこれから多少はこの国もましになるだろう。正直、この国は貧乏すぎる。海産物とかかなり良い線行ってるんだから是非とも輸出してほしい。ちなみに橋の名前は『手綱大橋』な。霧の中で写真に残っていた爺さんの姿になって一気に橋を完成させたのをおそらく孫だと思われるガキに見せてからおさらばしておいたので、できることは大体終わらせた。あとは知らん。

 ついでに霧隠の鬼人と血継限界持ちのお面ちゃんこと白だが、変化の際に違和感バリバリだったので勝手ながら白君は女の子にさせてもらった。これから世界中に悪名を轟かせるのだから別に女にしなくてもいいかもしれないが、違和感が凄かったからな。仕方ない。

 

 さて今日も今日とて任務と修業。子守にお使いに芋ほりなんかの簡単な物ばかりだが、自分の力でまっとうに稼ぐってのは良いもんだ。全うじゃなくても金は金だから区別はすれど差別はしないがな。

 あと俺がカラシ相手に鈴取りで不可思議なことをやったせいか暗部かどこかの見張りがついたこともあったが、まあ異空間転送と影分身ができる俺を家の外から見張っててもほとんど何も知ることなんぞできんだろう。ご苦労なこった。

 で、任務ばかりでなく修業もしたんだが、忍術を使いこなすには必ず必要となるチャクラコントロールをかなり今更学ぶことになった。落ち着いてゆっくり学ぶことができるのは良いことなんだろうが、原作においては命の危機とも言える実戦で写輪眼を開眼したサルケはいまだに写輪眼に目覚めていない。この著しい弱体化は本当にどうしようかと。原作ナルトのあの我儘はマジでファインプレーだったんだなと思い直した。実際このすぐ後の中忍選抜試験では木の葉崩しとかいうのが待っているはずだし、その時写輪眼を持っていなければサルケはあっという間に負けていたことだろう。

 まあなんて言ったところで突然サルケが写輪眼に目覚めるような事は無いだろうし、そうなれば流石にカラシも中忍選抜試験に俺たちを推薦しようとか思わんだろう。されたら流石に驚きを通り越してあきれ果て、第二次百万体カラシのモリヤゴコロダンステップ音頭を開催したくなる。当然カラシは真顔な?

 そして今度は邪魔しようとした奴らの姿も混ざるようにするか。木の葉上忍及び暗部たちによるモリヤステップ感謝祭の開催となる。困れ。そしてオカマ丸の腹筋をねじ切れさせてしまえ。……あ、でも白眼使うと変化元の人間が誰だかわかるんだっけ? それとも変化しているって事実がわかるんだっけ? まあ前回は俺のせいだとばれなかったから恐らく『変化しているという事実がわかるだけ』なんだろう。多分な。

 

 ……あ。うん、そうだ、写輪眼。もしかしたら武器扱いで出せるかもしれん。機能としてオンオフできるようにしとけば普段から使えるんじゃね? 多分。永遠の万華鏡写輪眼にも勝手になるだろうし、ついでに輪廻眼も出せたら出しとこう。輪廻写輪眼の方が効果高いかもしれないからそっちも。

 しかしそう考えるとこの世界のうちわ一族ってのはマジキチ多いよな。なんだよ最も愛した存在を殺したあるいはその死を体感しないと万華鏡写輪眼が使えないとか、万華鏡写輪眼になったらなったで失明しないようにするためには同じ万華鏡写輪眼を持っている相手の目を移植しないといけないとか、そういうのが体系的にしっかり確立されてるってのがもう怖い。ナルト世界ではあまり表に出てなかった忍者的な真っ黒な部分がよく出てるわ。うちわ一族だけに。

 いや、白眼の一族の方にも多少そういうのがあったっけか。分家の呪印がどうこう籠の鳥がどうこうって言ってたような気がする。それでなんか反抗期になって色々やらかすんだっけか。原作ではナルトと戦うことでなんか吹っ切れた感じになってたが、この世界じゃ俺がそのナルトだからな。余計歪ませることはできても叩き直すのは難しいぞ俺の場合。

 

 ……もういいや。そのことはその時になってから考えるとしよう。今考えてもらちが明かない。

 



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NARUTO~20

 

 side うずまきナルト

 

 はーい第二次ビリオンカラシーズによる全人類モリヤゴコロダンステップ祭りの開催だよー!みんな元気に踊っていこうねー!

 今回はもうすぐ中忍試験、他の里の方も続々集まっています!ですので今回中忍試験に参加する他の里の方々も参加していただきましょう(強制)!それではビリオンカラシーズ、出発!

 この番組は影分身建設、影分身訓練場、影分身悪だくみ委員会の提供でお送りします。

 ちなみにミリオンは1000000、ビリオンは1000000000。百万と十億な。

 それと今回のカラシはしっかりと写輪眼を使いこなして様々な術を真似きったことをご報告いたします。この写輪眼ってやつ超絶便利だわ。

 

 さてそんなわけで中忍選抜試験に参加することになった。やったらやったで面倒臭そうだがやらなかったらやらなかったで世界がどういう風に帳尻合わせをしようとするのかわからんから、まあ乗ってもいいかと思える所は乗っておくことにした。それにつけても写輪眼が超便利。無くても普通に真似られるが、流石に須佐能乎だのなんだのは写輪眼なしじゃ使えないからな。一番いいのは幻術系がほぼ無効化できるって所。俺の場合チャクラ量が多すぎて幻術を見せようとしても相手の実力が足りなければ自動で幻術返しが起きるようになっているが、だからと言って何の対策も取らないとかちょっとな。

 あと、俺に合わせた万華鏡写輪眼の固有の能力だが……あれだ、うん、チャクラを一切使えなくなる。俺が。その代わりに相手もチャクラが一切使えなくなる。ただし俺の使えなくなったチャクラの総量以下の場合に限る。

 クッソ使えん能力じゃろ?

 

『お前のキチガイ染みたチャクラ量のことを考えれば基本どんな奴でも封じれるわ馬鹿者』

 おっと最近ロリ狐と言われてもいい反応を返さなくなったロリっ娘狐がなんか言ってるよ。それに俺は知ってるんだぞ? 六道仙人とかマジキチな量のチャクラを持ってたんだろ?

『安心せい、チャクラ量のキチガイさではお前の方がはるか上だ。あれだ、六道のジジイの最大チャクラ量を100とすれば、今のお前の最大チャクラ量は2.2E+1500と言ったところだ』

 ……俺のチャクラ量マジキチじゃね?

『しかも日々増えとる。二次関数的に』

 完全にマジキチじゃね?

『そのうえ制御まで覚えようとするとかマジキチ以外の何と言えと』

 俺は俺だから的な感じの扱いでいいんじゃね? 知らんけど。しかしチャクラ量マジキチか……あれだな、全開でチャクラ放出したら国が一つ吹っ飛ぶとか割とありそうで草生えるな。

『生やした草が星ごと吹っ飛ぶだろうから勧めはせんぞ』

 俺のチャクラ核弾頭よりヤベーイ。これは今まで以上に制御をしっかりする必要があるな。限界まで大きな螺旋丸とか作ったらどうなるだろうか。

『太陽より大きくなると思うぞ。なんにしろやめろ。死ぬぞ? 儂が』

 

 九喇嘛に死なれると話し相手が居なくなって暇で暇で死んでしまう。そうなったら嫌なので最大級の螺旋丸は使わないことにしよう。最大でも月までだな。

 

『この星が吹き飛ぶことには変わりないわボケェ!』

 

 まあ実際にそんなもん作るこたないだろう。絶対その分圧縮して撃ち込んでから破裂させた方が威力出るだろうし。はっきり言って今でも尾獣相手に金縛りの術を掛けられると思うし、まともな人間相手に全力で金縛りかけたら動きだけじゃなくて心臓とか呼吸器とかまで完全に止めてしまって殺しそうな気がするし。あーまともな術使いたい。まともに使ってもそこまで被害が大きくなくてそこそこ効果的でかつ加減次第でほぼあらゆる敵に対処できる術が欲しい。

 欲張りすぎなのはわかってる。と言うか影分身だけでも十分その用途があるからある意味じゃそういう術をもう覚えてるんだけど、あまり派手じゃないんだよなこれ。今まさに派手にモリヤステップ踏ませてる影分身たちには悪いけど。あれだな、新術作るか。全部の属性を混ぜた求道玉的な奴。もっと使いこなせるようにした方がいいよな、あれ。あれ操作可能範囲はチャクラコントロールとチャクラの察知能力によって左右される技っぽいし、できることはやっておきたい。できなくてもまあやる。やることが増えたから今日の夜から影分身の数を十倍にしよう。そして起きる直前に消せば沢山修業ができるぞ。九喇嘛は俺の話し相手にはなってくれるっぽいがあまり協力はしてくれなさげだからな。仙人モードはまた今度覚えるか。

 




ちなみに2.2E+1500は2.2に10の1500乗を掛け合わせた数値です。つまり22に0が1499個後ろにつく感じです。


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NARUTO~21

 

 side うずまきナルト

 

 写輪眼って結構簡単に開眼するものなんすね(白目)。

 昨日の今日でサルケが写輪眼開いてきた。原作では確か小さい頃に一回兄に襲われた時に写輪眼のおたまじゃくし一個版を出してた描写があった気もするが、だからってこんな簡単に意識的に使えるようになるものか? うちわの家系は天才が多いってよく聞くが、実際の所サルケって天才集団の中でもかなり上の方の天才なんじゃなかろうか。馬鹿だが。

 ともかくカラシの野郎が中忍選抜試験に出しても大丈夫そうな状況が整ってしまったから仕方なく俺も行くことにする。まあ、自分の身くらい自分で守ってもらいたいが、相手が相手だし難しいだろうな。十束の剣で封印するか……いや、だめだな。ここで消えられるとまた面倒なことになりそうだ。

 

 ともかく受験だが、バクラが自分から受ける気にならないとスリーマンセル組めないから返されるだろうし、自信を持たせるために幻術を堂々と解かせたりしてなんとか願書提出から会場までの道を通過。第一試験会場に到着した。

 

 ……が、人数多すぎて気分悪い。ついでにキバの所の犬に死ぬほど怯えられて若干へこむ。

 

「なあキバ。なんで俺そいつにそんな怖がられてんだ?」

「こいつはチャクラ量とかを感じて強い弱いを教えてくれたりするんだが……なあナルト、おまえチャクラめっちゃ多いとかあるか?」

「ああ、それなら納得だわ。俺多分チャクラ量だけならここにいる誰より何より多いわ。それこそ砂の古狸より多い自信があるわ」

 

 チャクラ量だったらまず間違いなくこの場にいる俺以外の全員の量を合計しても俺のチャクラ量の百分の一以下だろうし、怯える理由もまあわかった。

 あとはあれだな、俺は人間的に割と歪んでるからそのあたりがチャクラに出るんだろうな。多分。なんか最近、と言うか輪廻写輪眼を使えるようになってからまたチャクラ増えたっぽいし。パワーインフレ激しい世界ってこれだから……。

 

 まあそれはともかく、売られた喧嘩は買うことにしている。殺気を向けられたらまあ、殺気で返すとしようか。

 

 

 

 

 

 side うちはサスケ

 

 死んだ、と思った。

 俺が死んだ。突然に、何が起きたのかもわからないまま殺された、と思った。

 サクラが死んだ。何もできないままに殺された、と思った。

 空気が死んだ。死ぬはずがない、命すらないはずのものですら死んだと、そう思わされた。

 息ができない。瞬き一つできない。息をしたら殺されると思うとか心音一つで殺されると思うとか、そんなレベルじゃない。既に殺されていると身体が勝手に判断してしまうほどに濃厚な殺気がこの場所を包んでいた。

 偶然に視界に入っていた時計の秒針は、感覚的に数十秒、あるいは数分過ぎていると言うのにピクリともしないまま。死の直前に意識が圧縮されて一瞬が何十秒にも感じるということがあるとは聞いていたが、まさかそんなものが本当にあるとは思ってもみなかった。これはそれこそ、写輪眼を使っている時よりも物が遅く見えてしまう。あらゆるものがほぼ完全に動きを止めて、まるで凍り付いたようだ。

 このままこの世界に居たら、頭がおかしくなってしまう。だが身体は言うことを聞こうとしない。ガタガタと震えることすらできず、ただただ死の世界をただひたすらに沈んでいく事しかできない。

 

「―――」

 

 不意に死が薄くなり、ようやく時間が流れ始める。誰かの声が聞こえているような気がしたが、一瞬で消費されきった酸素を取り込むためにゼイゼイと荒い息を繰り返すのに精いっぱいで気を失うことすらできない。

 だが、それでもまだましな方だったらしい。泣いているだけなら大したことじゃない。気絶している奴等も多い。だがそれ以上に多くの者たちがズボンを濡らしてしまっていた。一部の奴は尻の部分が盛り上がり、異様な臭いをさせていることから漏らしたのが小の方だけではないと察せてしまった。

 特に何も感じていないようにしているのは、草隠の長髪の奴と砂隠の砂漠の我愛羅、そして―――ナルトと、木の葉の額当てを持った黒い髪の女だけだった。

 

「―――なんか今、空気が重かったな。あれだ、最近少しお腹周りを気にしだした女性に『太った? なんか腹回りが』とか言った時の空気を一億倍に濃縮した感じの重さがあったんだが」

「お、まえ、いまの、感じなかった、のかよ……!?」

「あ? この程度のは慣れたわ。こちとら里一番の嫌われ者なもんでね。ちょくちょく本気の殺気ぶつけてくる奴とか、手を出したら罪になるからと周囲を囲ってひたすら威圧しようとしてくる奴らを相手にしてたんだ。悪意もなく憎悪もない単なる殺気程度にどうこうされるほど弱かねぇよ」

「あ、あははは……」

 

 ナルトの傍にいつの間にか立っていた黒い髪の女が、ナルトの言葉に苦笑を浮かべる。今の殺気をこの程度と言い切れる奴と、そう言い切ったナルトの隣に平然と立てるこの女……一体何者だ!?

 

「俺は俺だ。それ以外の何者でもないさ……いや、んなこと無いか。少なくともうずまきナルトでなかった頃もあったわけだし」

「な、にを、いって……」

「なに、気にする事は無い。単なる戯言、何の意味もない物語さ」

 

 そう言いながら、ナルトは今まで見たことがない笑顔を浮かべた。

 



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NARUTO~22

 

 side うずまきナルト

 

 中忍選抜試験に集まった色々な奴から色々な物が漏れ出してしまった結果、開始時間がしばらく遅れてしまった。まあいくら優秀な中忍達でも糞便の匂い漂う中で集中して行動とか絶対嫌だろうしな。必要ならそれでもやるだろうが、別に今回は必要と言う訳でもないだろうし。

 そうしてできたおよそ一時間の間に、俺は久し振りに会った彼女にいつもの通りに餌付けをしていた。実のところ俺は彼女の名前を憶えていないが、一度だけ聞いた彼女の名前を覚える努力は続けている。多分あと一年か二年もあれば覚えられるだろう。

 

 今日は大切な日だから、かなりいい物を用意した。あの食材世界には記憶力が良くなる食べ物ってのがそれなり以上にあったりするが、大抵の場合特殊な調理が必要だったりあるいは味が悪い意味ですさまじかったりするのでパス。今回の食材は極楽米と完美牛のロース、バラ、ハラミなどなど各部位。ソースなどは無しで塩で。

 あと、彼女に食べさせる量はかなり抑えてきたし厳選もしてきたんだが、やっぱりと言うかなんというかグルメ細胞が身体に取り込まれてしまったようだ。なので今回以降、食べる量については解禁します。そう無言のまま伝えると彼女はとても嬉しそうな顔で俺を見た。口の端から涎が垂れてなかったら見惚れても良かったんだがな。なんと言うか残念だ。

 それと、すぐ近くでこの料理に手を出そうとしている自称ぽっちゃり系がいるが、絶対やらん。と言うかあの世界の食材を食わせる相手はこの世界では一人だけと決めている。これ以上増やすつもりは無いし、たとえ彼女が死んだとしたら俺以外に食う奴がいなくなるというだけだ。

 まあ、あの世界産じゃない奴だったら普通に食わせてやるんだが、今回のは絶対駄目。他の奴等も腹鳴らしても絶対駄目。涎垂らしても上目遣いしても駄目。飯テロ受けて集中できずに落ちろ。試験官もこっち見ててもくれてやる物は無い。瞬身で持ってこうとかしても殴り返すからなこの野郎。いい感じに焼けたのを持っていくとかそれ犯罪だから。木の葉の警察機構は基本的に俺には悪い方にしか働かないけどそれでも三代目の爺さんだけはそれなり以上にまともに話を聞いてくれるからそこに直接持ってくぞこの野郎。それはそれとしてはいあーん。

 彼女はとても美味しそうに、幸せそうに食事を食べる。正直俺が木の葉の里を崩壊させてない理由の四割くらいはこの顔をまた見たいからだ。残りの六割くらいのうち三割くらいは三代目の爺さんがいるからで、さらに残りの三割はいるかてんてーがいるからだな。まあ、木の葉を滅ぼさない理由であるだけで死にそうになった時に助けるつもりは現状ないんだけども。

 彼女に食べさせつつ俺も食べる。横から持っていこうとする奴らは顎打ち抜いたりして足腰立たなくさせてやった。強盗未遂だからね。仕方ないね。打ち抜かれるのが頭じゃなくてよかったと思ってもらおう。試験は……まあ頑張って。あと第二試験官の人に報告しておかないと、第一の試験が終わったとたんに窓を破って突入してくるようなタイプだと試験開始と共に突入してくる可能性があるからやっといた方がいいんじゃね? 万が一そんなことになったらあまりにも痛すぎるから。可哀そうすぎるから。具体的にどのくらい可哀そうかは置いといて、それにつけても可哀そうだから一応ね。やるやらないは試験官の匙加減だけど、もしそれで酷いことになったら大笑いしそうだ。ナルトになってしばらくしてから表情筋が固まって基本仏頂面になったんだよな。原因は何となくわかるが。

 

 とにかく肉を焼いて、ご飯と合わせて食べさせて、また肉を焼く。この肉の香りはついさっきまで精神崩壊を起こしそうだった様々な奴を立ち直らせるくらいの威力がある。ただし、精神崩壊を起こしたあるいは起こしそうだった原因についての記憶は消え去ることになるけどな。

 ……肉と穀物ばっかりじゃバランスが悪いな。第一の試験が終わったら美味い野菜でも食わせてやるか。天空の野菜をな。

 



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NARUTO~23

 

 side うずまきナルト

 

 百豪の術という物を知っているだろうか。五代目火影の婆さんが全力の医療忍術を使う時に開放するもので、最低三年間チャクラを額に集中し続けることで必要な時に大量のチャクラを使うことができるようになるという技だ。

 俺はこれを応用して、身体の様々な場所に大量に溜め込むことによってチャクラの電池のようなものを作ることに成功した。九喇嘛には『お前あれだけチャクラ持ってて必要な時のための貯蓄もしとるっていったい何と戦う気だ』と呆れられたりもしたが、仕方なかろう。俺がいるということは俺以外にもいるかもしれないということで、神様転生の特典ってのは俺を見てもわかる通り頭おかしいようなものが多いんだ。何が起こるか分かったもんじゃない。

 ともかく、対策は必要な物だと考えているので色々とチャクラをため込むようにしているんだが、最近チャクラの増加量がだいぶ増えてきたので一つの電池に溜め込むチャクラの量を増やすことにした。ちなみにその封印を刻んでいる場所だが、当然体表ではない。背骨一つ一つに刻んだり、肩甲骨に刻んだりしているんだが……ちょっと数を増やしすぎている気がしないでもない。色々面倒だがまあしゃあないわな。

 

 それはそれとして第一の試験が始まった。なぜか、不思議と、腹を空かせている奴等が多いような気もするがきっと気のせいあるいは偶然だろう。そうでないとしても知ったことじゃない。某ぽっちゃり系が飢えた野獣の目でこっちを見ていたが知らんな。

 ルールは原作のそれと変わりないし、ついでに無言使いの副次効果である相手の狙いを一方的に察する力で最後の問題の狙いも察することができた。これは適当に解いて普通にやってりゃ問題ないな。質問については受け付けないと言っていたが……このルールだと試験官を全員殴り倒して気絶させれば堂々とカンニングし放題ってことになりそうだよな? いや流石にやらんけども。十問目が出題されなくて合格もなにも無くなりそうな気がするし。

 内容はかなり面倒臭い。あまりにも面倒だから『正しい問題の答えが書かれたテスト用紙』を出して入れ替えてやった。こういうのも通るから便利だよな、これ。本来だったらカンニングして正答を知るんだろうが、こんなところで隠し札でもある写輪眼やら輪廻眼やらを見せる訳にもいかないし、それ以外の方法だと時間を止めて覗き見して戻って書くとかそういうのになるが面倒だし、やっぱこれが一番だわ。

 で、やること終えたらさっさと寝たいんだが……そうもいかない。寝てたら後出しで合格基準を変えてきたりしそうだし、彼女に心配かけたりしそうだしな。文字通り無駄な心配なんだが。

 そう言う訳で真面目に見えるように適当に過ごしているが、こういうまともな戦闘ではないところでは本当に無言使いは便利だ。隣にいる彼女と対話もできるし、暇つぶしにはもってこい。ついでに答えも一緒に教えてもらって答え合わせだけはやっておく。多分必要ないと思うけどな。

 

 で、実際そんな必要もなく終わった。合格した。後ろでバクラが手を上げようとしていたからかなり弱めの金縛りで動きを封じておいたが、まあ気付かれては無いな。気付かれるような動きはしてないし、印も組んでない。と言うか印とか無くてもチャクラコントロールは上手くなれば印なしで術使えるし、最近簡単な術なら俺もできるようになった。螺旋丸は簡単な術には入らないが元々印が必要ない形態変化のみを極めた術みたいなもんだからな。原作初めのころとは違って片手でできる。やっぱり基礎は体術とチャクラコントロールだな。

 そして終わってすぐに第二の試験の試験官が来たが、今日はこれで終わりらしい。明日またどこぞの演習場に行く必要があるようだが、試験官に変化させた影分身をくっつけて原作通りなら配られるであろう巻物をちょろまかしておく。予想より多かったと言っていたということは、何をやるかは決めていたが必要な物はこれから作るということだろう。そして何らかの不備や不具合があった時のためにこう言う物は多めに作っておくものだ。普通はな。

 なので、これから作られるだろう術式の書き込まれた天と地の巻物ができたらそのうちの各一本ずつを開始直前に拝借しておいて即座に塔を目指すのが良いだろう。もちろん原作通りに進むとは限らないのでそのあたりの確認のためにも情報収集は大事。あー滅ぼしたい。この滅ぼしたい欲を抑えるためには、彼女にたっぷりと食べさせるしかないな。餌付けの時間だ。

 

 ついでにぽっちゃり君にも餌付けした。普通の肉と普通の米だが、喜んではくれたからいいとする。野菜の方が美味いけどな。

 




Q.イタチと本気で戦ったらナルトはどうなる?
A.初手万華鏡写輪眼で術全部封じてから一方的にボコる。

Q.じゃあ長門、と言うかペイン六道相手なら?
A.同上。あるいは時間を止めて本体見つけて転移して殴る。


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NARUTO~24

 

 side うずまきナルト

 

 第二の試験は死の森でやるサバイバルのようなもので、まあ死ぬこともあるらしい。同意書三枚と交換で天地の書をどちらか片方貰うことになっているが、こっそりと両方既に(無断で)貰っている俺に抜かりはない。

 そして内容も原作通り。この辺りの流れは俺が大きく関わってないから変わらなくても全くおかしくないが……一番おかしいのは俺たち三人が参加しているということなんだよな。まだ一度もガチの殺し合いをしたことがないってのに、何で突然こんな中に放り込まれてるんだか。

 

 それはそれとして開始することになったが、襲ってくる奴らが大して強くないのが幸いだ。一番初めに襲ってきたよくわからないなんか白いのは両手両足を開きにして骨を露出させて目の細かい鑢をかけてやったらあっという間に巻物を持ってないことと仲間の得意忍術、ばらばらになって探してから合流した時の合図や落ち合う場所なんかの情報を歌ってくれたのですぐに殺して獣の餌にしてやった。チャクラをそれなりに込めた俺の影分身は半月以上普通に持つし、寝ればチャクラ量が全快するのでそれで情報を吐いたアンラッキーマンの小隊に合流する。

 ……実のところ記憶を読み取って更に身体を自由に操れる道具があったからそれを使ってやれば拷問の必要もなかったんだが、サルケもバクラも人の死に慣れてないし殺すことにも躊躇があるだろうから少しずつ慣らしていってやらんとな。最後にはちゃんと記憶も読み取って裏も取ったから大丈夫だが。

 あと、尋問で得た情報ではこいつらに配られた巻物は天の方らしいので現状必要ではない……どころかそもそも初めから両方持ってる俺たちは戦う必要すら無かったりするんだが、こういうところでの行動の経験も必要だろうし五日間のうち丸々三日くらいはここで過ごすとしよう。危険も苦労もあるだろうが、経験ってのは大事だ。俺が保証する。ちょっとした無茶ってのも若いうちなら取り返しがつくことが多いし、人間の寿命はこの世界では八十九十くらいは普通に行く。たまに寿命が五十年くらいって世界もあるが、火影の爺さん以外にもこの世界にはジジババがそれなりにいるからな。戦争で死ぬことも結構あるようだが。

 

 しかしあれだな。こうやって若者を育ててるとある種の育成ゲームでもしているような気分になってくる。今はバラバラにされて獣に食われていく死体を見て吐いているこいつらだが、そのうち忍者として十分大成すれば敵の死体で吐くような事は無くなるだろう。ここジャンプ漫画の世界だし。

 

「ああもう大丈夫か? 水飲む?」

「っぷ……ぉ゛え゛……よこせ」

「ほらよ」

 

 死にそうな顔をしながらサルケは水を含み、口の中を濯いでから吐き出した。そして次の一口はしっかりと飲み込み、空になった水筒を俺に返してきた。いや、いらねえんだがな?

 

「そっちはどうだ? 水はいるか?」

 

 返事もできないままにえずき続けているバクラの姿を見ると流石に少しばかり罪悪感が湧いてこなくもない。だがまあいずれ通る道だしそれが少し早まっただけだ。これで折れるならずっと下忍のまま里の中で血の流れない簡単な任務だけ受けてればいいと思うぞ? 世界的に平和なんだったらまた話は別だが、今は戦争虐殺何でもありのクソ危ない世界だし、このくらいは乗り越えてくれないと。それにわざと臓物類は見せないようにして衝撃は抑えたし、直接見るのは難しいにしても写真とかでいいんだったらこのくらいのやつは現代日本でも結構見れたりするからそこまでやばくないと思うんだがね?

 まあとりあえず今日の夕食に肉を出してやろう。人を殺したその日に血が滴るような厚切りのステーキを食べられれば一人前のキチガイだ。忍者なんて基本どいつもこいつもキチガイだから何も間違ってないね!ちなみに俺はステーキはミディアムレアが好きだから血の滴るようなって形容詞は当てはめられないが、ローストビーフとかそういうのでも食える。むしろ人肉とか食い物がない時の最後の手としては割とありふれてるからな。俺は出されたステーキが人肉でも食えるぞ? しっかりと処理しないと食えたもんじゃないから前準備とか法律とかそういう面を加味して考えると割に合わないから自分から食べたいとは思わないが。

 

 しばらくは休んで、それから進もうか。面倒だけど。

 




Q.もしナルトが暁で尾獣を抜かれそうになったらどうなる?
A.マジキチなチャクラコントロールで抜かせないどころかもう入ってる他の尾獣を取り込み十尾までも手に入れて封印を破って逃げ出す。

Q.つまりどう言うことだってばよ?
A.俺自身が十尾になる事だ。


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NARUTO~25

 

 side うずまきナルト

 

 蛇の気配がする。今日の晩飯は決まったな。蛇肉って鶏肉と味が似てるとよく言われるが、骨の多さとか鱗と皮の処理の面倒さからしてあまり好まれないことが多い。人肉料理の後の隠蔽工作とか法的な処理をかいくぐる方法とかと比べれば遥かに楽だからそのあたりは気にしないでいい。ちなみにこれは俺が生きていたころの日本での話であってこの世界の事ではない。この世界だったら適当に貧乏な小国の裏路地にうずくまってる子供を処理してやればだれも気にしない。まったく物騒な世の中になったもんだ。

 だがまあこれもまた経験。ちょっとあの蛇野郎を相手にしててもらうか。呪印が刻まれる前には戻るつもりだが、蛇の解体で遅れたらすまんな。ここはやっぱり影分身解体企業を設立するべきか? 社長俺、理事長俺、理事俺、社員俺、現場監督俺、実働俺、要するに全部俺のやつ。

 いや、チャクラは十分あるんだ。考える前にやっちまえ。蛇狩りだ。

 

 

 

 

 side うちはサスケ

 

 ナルトの奴が『飯取ってくる』と言って居なくなろうとして、その場で合言葉を決めた。単純な物の方がいいかもしれないが、明らかに他の誰かが聞いていたのがわかったからあえてかなり長い奴にしたんだが、ナルトもそれには気付いているようで意味深な視線を向けてから瞬身の術で消えた。

 その動きを俺は目で追うことができなかった。一瞬にして完全に姿も気配も消え、どこにいるかもわからなくなった。まるで、さっきまで俺の傍にいたナルトと言う存在がただの幻覚だったかのように。

 

 そもそもあいつは何なんだ。俺と同じように里の奴等から排斥されていたのは知っている。俺と違って暴力を受けていたことも。

 だってのにあいつの瞳には欠片の憎悪も存在しない。ただ全てを受け入れ、達観しているかのような目だ。

 木の葉の里の嫌われ者として、悪意には慣れていると言ったあいつはいったいどんな人生を送ってきたんだ? 一体どうすればあいつのように強くなれる?

 俺も気付かなかった距離の忍びに気付いて捕まえ、顔色を全く変えないままに拷問を始めたあいつ。苦無で皮膚を剥がして肉を削ぎ落とし、骨をがりがりと削りながら淡々と質問を続けるその姿は、まるであの時のイタチのように凍てついた視線を向けていた。

 ……いや、凍てついた視線だというのは今気付いただけかもしれない。まったく変わっていない顔色と同じように、今まで俺たちに向けられていた視線も凍てついていたがそれに全く気付かなかっただけなのかもしれない。

 それに、第一試験開始前のあの殺気。あの場のほとんどの人間が固まってしまっていた中でナルトが言った言葉は―――慣れた、だった。あんな殺気の中で当然のように動くことができる。それはつまり、あの程度の殺気はナルトにとっては立ち上がって歩くような、あるいは息を吸って吐くような、できて当然のことでしかないと言うことか!?

 それに、あれだけの殺気が放たれたと言うのにあの後入ってきた試験官たちはその場の状態に驚いていた。つまり、部屋の外にはあの殺気はほんの僅かも漏れ出ていなかったと言うことだろう。

 

 ナルト……お前はいったい何なんだ!? なぜ俺の前に立つ!? なぜ俺はお前に届かない!? なぜ―――

 

 なぜ、俺はこんなにも弱い!?

 

 ギリィと歯が軋みを上げる。悔しさと無力感が内側から身体を突き破って噴き出しそうなほどだ。今が命懸けの試験中でなければ、そして人の目がない場所であったなら、年端もいかぬ子供のように泣きわめいて地を転げまわっていただろう。だがそんな無様なことはできないししたくない。俺はうちはだ。うちはサスケだ。あいつを、兄を、イタチを殺すまで、絶対に諦めてなどやるものか!

 

 そして気付く。周囲があまりに静かすぎると。俺にはわからない、何かが起きていると。

 苦無を掴んで立ち上がり、周囲を警戒する。ナルトなら、こんな風にはならない。あいつはよく動物と触れ合っていたし、一部の相手の強さを測れる特殊な動物以外はナルトに怯えるようなことはなかったはずだ。つまり、俺にも気配を悟らせないような、しかし間違いなく邪悪と言われる類の何かが近くにいるってことだ。

 サクラに声をかけて警戒させる。あまり意味があるとも思えないが無いよりはましだ。

 

「そう、ちゃんと警戒しているのね……偉いわぁ」

「キモい」

「ブベェッ!?」

 

 …………なんか、ナルトに殴り飛ばされて消えてった。なんだったんだ今のは……?

 




Q.え、ちょっと待ってこれどうなるの? 呪印は?
A.見たままです。刻まれません。

Q.え、じゃあサスケ抜けないんじゃないの?
A.キャラが勝手に動くんだってばよ……。


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NARUTO~26

毎度の誤字報告ありがとうございます。助かっています。
これからも寝たいだけシリーズをよろしくお願いします。


 

 side うずまきナルト

 

 よくよく考えたら流石に良い年したおっさんがつけたキスマークが全身に侵食して変態するようになるって首くくっても仕方ないよなと思い直したので蛇の頭を砕いた後は影分身たちに解体と精肉を任せてさっさと戻ってきた。するとやっぱりオカマが長い舌でサルケをprprしようとしていたのでつい殴り飛ばしてしまった。ちゃんと原形は留めているし、死んでもいないようなので安心してほしい。生きてますよ。

 ついでに荷物を漁ってみたら地の書が出てきたので回収して、さらに首から下を埋めておく。いや、こいつ首を伸ばしてたから筒咥えさせて頭のてっぺんまで埋めた方がいいか? コンクリ詰めとか……まあ時間無いからいいやめんどい。

 

「ナルト、お前……」

「話は後な。飯取ってきたから安全な所まで移動したら食うぞ。あと地の書も手に入れたから塔に向かうか?」

「あ、ああ……」

 

 ……よく考えたらこれって原作キャラたちの成長の機会を奪ってるってことか? 前の波の国編と言い今回のオカマ丸と言い……世界が滅びそうな気がするな。別にどうでも良いけども。

 その分適当に鍛えてみるか? 俺のやり方だと『なんで俺死んでないのかわかんない』とか『どうしてわたしいきてるの? ゆめ?』とかまあいろいろ言われたりする程度にスパルタらしいが、基本的に死にも再起不能にもならないように気を付けてるんだがなぁ……いや、一部訂正。時々死んでも死なない類の奴等がいるが、そう言う奴等は精神的に死なないようにすることだけ考えてやってた。そしてマジに敵対することになったら凍結粉砕封印からの太陽の次に近い恒星に放り込むコンボを実行したりした。流石に帰ってはこなかった。凄いな不死身。

 さて移動して飯にするんだが、ここでまた吐きそうになった奴が二名。人の肉じゃなくて蛇の肉だからそこまで気にすることでもないと思うんだが、やっぱり気になるらしい。ちゃんと毒腺と毒袋は取っておいたし、牙や骨も処理してあるから食えるんだが……あまり我儘ばかり言ってても腹は膨らまないぞ? もともと生きている存在を殺してこそ肉ってのは手に入るんだ。今まで食べてきた肉がどうやって食卓に並んでいるのか、今の今まで一度たりとも考えなかったとでも? だとしたらそれは怠慢だぞ?

 

「じゃああれか? 蟲食うか? 蛭とか百足とか色々いるが、そこらに生えてる薬草使えば毒抜きはできるし、食えないこともないぞ? 味も見た目も普通の肉とはかけ離れてるから気にもならんだろうし」

「いや、やめておく……いただきます」

「うん、虫はちょっと……いただきます」

 

 こいつら基本的に育ちがいいんだよな。サルケなんぞ何もなければ名家のお坊ちゃんだし、バクラの方は……まあ普通に良い家だしな。多分。

 それに一度食べ始めればまあ止まらん。煙や焼いた肉の匂いが周囲に漂っているだろうが、むしろそれを狙ってきた奴らは返り討ちにできるしな。今はあの……名前忘れた。砂漠のがらがらどんとか言う奴も今は本気は出せないだろうから嵌めるのは容易い。と言うか全く動かないからがらがらどんの足元にアンダーグラウンドサーチライトを広げてやれば封印できるんだよな。口寄せされると出てきちゃうけど。

 

「……意外と、不味くないな」

「ほんと、結構おいしい」

「そこらに生えてた薬草に香草もあったから使ってる。そこそこ食えるだろ?」

「ナルトってなんか色んなこと知ってるわよね」

「里の奴等が俺に物売るときは基本ボッタクリだからな。自給自足しないと間に合わなかったんだよ。だから知ってる」

 

 一気に空気が重くなったな。俺の殺気の時と同じくらいか?(殺気の方がはるかに重いです)

 まあともかく、殺したからには可能な限り無駄なく食っておきたい。そう言うのを気にしなくなると本当にどこまでも傲慢になっていく物だからな、人間ってのは。謙虚に生きろと言うつもりは無いが、必要な分以上が常に手元にある状況に慣れてしまうと精神的に歯止めが効かなくなることがある。俺みたいにな。

 だから、いつか俺に全く能力がないまま、その世界で得たものだけを使って転生あるいは憑依ってのをやってみたいと思うこともある。魂が俺である以上難しいとは思うがな。

 

 この食事が終わったら、さっさと塔に行ってクリアしちまうか。

 




Q.ラスボスとナルトが本気で戦ったらどうなるの?
A.万華鏡写輪眼でチャクラ封じて一方的に殴り続けるいつも通りの光景が広がります。

Q.と言うかそもそもラスボス復活できんの? 大丈夫?
A.原作でも八尾と九尾のチャクラが不完全でできてましたから多分。


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NARUTO~27

 

 side うずまきナルト

 

 あまりにも時間が余ってしまったのに加えてどうも俺に対しての不信感が拭えていないようだから、俺の話をするとしよう。

 

 俺の名前はうずまきナルト。四代目火影とうずまき一族の巫女の間にできた唯一の子だ。確認したけりゃ三代目の爺さんにでも聞いてくれ。俺がそう言ってたと聞けば素直に話してくれるだろうよ。

 さて、一応里を救った英雄の息子である俺がどうしてここまで嫌われているのかと言えば、簡単に言うと四代目火影が封印したという九尾の狐のせいだ。まあ落ち着け。これには様々な誤解が入り組んでできてしまった仕方のない出来事みたいなもんでな? 俺は里のことはそこまで気にしちゃいないのさ。

 で、どうして狐のせいで俺が嫌われているかって話だが、簡単な話だ。四代目火影が九尾の狐を封じたのがこの俺の中だからだ。強めにチャクラを練れば今でも封印式が浮き出てきたりするが、面倒だからやらんぞ。

 おかしいとは思わなかったか? 四代目火影が九尾の狐を封じたという話は聞いても、どこに封じたという話は全く聞かないだろう? 普通に考えれば箝口令が敷かれてもおかしくないが、しかし同時にその場所を守るために数多くの忍びが動員されてもおかしくは無い。むしろそうなっていない方がおかしい。何しろ相手は里を焼き尽くした九尾の狐。もしも封印が解けてしまえばそれを封じる術を持った四代目火影はとっくに死んでしまっているのだから被害がどこまで大きくなるか分かったものじゃない。

 しかし、現実にはそうなっていない。なぜか。

 九尾の狐のような所謂『尾獣』と呼ばれる存在は、道具に封印するのはまず不可能だ。封印の内側で暴れられれば少しずつ封印は緩み、緩んだ封印の隙間からチャクラが漏れ出して道具を傷つけ、あっという間に出てきてしまう。だからこそ尾獣は人間の身体に封印されるのが一般的だ。それは俺であったり、お前たちの知っている奴で言えば砂隠の隈が凄いあいつもそうだ。

 

 ……騒ぐなよ鬱陶しい。単なる事実だ。

 ちなみにあいつに封じられているのは一尾、砂の身体を持つ大狸だな。砂の里では老僧の魂がどうとか言われているが、その老僧も俺やあいつと同じように身体の中に尾獣を封じられていたんだろうよ。長生きしちまったからそのことを忘れられたのかもしれないが、流石にそこまで知らん。

 で、尾獣を体内に収めた人間ってのは尾獣から力を得ることによって凄まじい力を発揮できることがある。ただし、それには心を通わせたり会話したりで分かりあった上で尾獣と協力関係を築くか、あるいは尾獣を調伏して力を奪い取るかのどちらかの方法を取る必要があるけどな。

 

 ……俺? 俺は素だ。何もしてない。話し合いはしたが協力関係を築けるほど仲良くは無いし、だからと言って調伏して無理矢理力を奪うようなこともしていない。やろうとすれば調伏の方なら今すぐにでもできると思うが、面倒だしな。多分遊びに使うから貸してと言えば普通に貸してくれんじゃないか? 尾獣のチャクラってのは人間のチャクラとは質がだいぶ違うから、普段の俺じゃ使えない術に使えたりするからな。実用性はともかくとして。

 まあともかく俺が嫌われている理由だが、俺が生まれたのは九尾による木の葉の里襲来と同時だ。そして事件が終わってみれば残っていたのは破壊されつくした里と死んだ英雄とその妻、そして九尾が居なくなると同時にそこに現れたように見える俺だけだった。

 ここまで言えばまあ察するだろう? 里の上層部は俺のことを知っている。なにしろ火影の息子だ。いつ生まれるか。母親が産気づいたのはいつか。そう言ったことを知らないわけがない。そして、四代目が俺につけると言っていた名前を俺につけた。だが、何も知らない木の葉の里の住民は、俺こそが九尾の狐だと思い込んだ。里を燃やし、数多くの人を殺し、四代目火影を奪った化物が、姿を変えてそこに現れたと。

 誤解だ。冤罪だ。事実とは異なる。しかし、全くの的外れと言う訳でもない。実際に俺は外から見れば九尾襲来の直後にこの里に現れたし、九尾が俺の中に封印されている以上俺を指させば中にいる九尾も指さしているような状態にある。そして人間ってのはたとえ事実と違ったとしても自分が納得できる答えを探したがるもので、理不尽を受けたならば欝憤を何かにぶつけたがるもんだ。そして目の前には九尾の狐が化けていると言われている俺の姿があった。自身が様々な物を失ったのに、のうのうと過ごしている俺と言う存在が居た。

 要するに、俺が悪意やら憎悪やらに慣れているって言ったのはそう言うことだ。単なる事実として悪意も憎悪も受け慣れている。三代目の爺さんの目の届かないところで俺を殺そうと首に苦無を投げつけられたこともあったし、買い物をしようとすれば前の奴が10両で買っていったのと同じ物を買おうとすると300両も取られ、挙句にそれを払って店を出ようとしたら泥棒だと叫んで商品を奪い返し、周囲の奴を集めて袋叩きにした挙句に警邏に突き出しやがった奴もいた。

 

 ……さっきも言ったろ。俺はもう里の事なんざ気にしちゃいない。例えこの里が滅ぶとしたら俺は座して見守るし、住人が皆殺しにされるんだったら見捨てる。誰かによって救われるんだったらそれもただ観察するだろう。里のことなどどうでも良いからな。続こうが滅ぼうが知ったことかよ。

 ただ、三代目の爺さんやイルカ先生には色々と気にかけてもらっていたからな。特に三代目の爺さんは暗部の総帥が俺を洗脳して駒としようとしていたのを見とがめ、禁止してくれたからな。そう言うごく少数の悪感情を持ってない相手が居なかったら、木の葉の里を本気で潰す方向に行動してたな。三代目の爺さんたちがいるから木の葉が滅びそうなときでも静観するだけでその血を一滴も残さない方に行動しないと決めているし、今も動いていないんだ。あいつらは今の千倍は三代目の爺さんに感謝した方がいいと思うね。

 

 憎んでるか? さてな。そうかもしれんがよくわからん。九尾曰く、俺の精神構造は常人のそれとだいぶかけ離れてるらしくてな。恋愛、親愛、友愛、性愛と言った様々な形の好意と、嫌悪、憎悪、殺意、嗜虐欲と言った様々な負の感情が同一線上に全部並んでるそうだ。だから俺は誰かを殺したいほど憎いとは思わない。殺したいと思ったらただ殺したい。ひたすらに殺したい。ただただ殺したい。相手の尊厳を踏みにじるとか行動を後悔させるとか謝らせたいとかひれ伏させたいとかそんなことは一切考えない。殺したいと思ったんなら殺す以外は考えない。

 同じように憎むだけならただ憎い憎いと思うだけだ。行動はしない。ただ憎む。ひたすらに憎む。そしてそれらを面にも出さない。代わりに、そいつが助けを求めていて、俺が助け無かったら間違いなく死ぬという時に俺は偶然目が悪くなったり耳が遠くなったりしてそいつの存在を見逃すことがあるかもしれないし、そいつが気付いていない間に狙撃されてこのままだと眉間に苦無が生えるって時には偶然話しかけたい内容を思いついて話しかけて警戒を逸らすことがあるかもしれないが、まあ大したことじゃない。感情が表に出にくくなった原因のくせに『殴っても何をしてもあの表情なのはあの化け狐が化けてるからだ』とか言ってくるような奴の末路なんざ気にしない。

 ただただひたすらに死んでほしい消えて欲しいと思うだけだ。いつか俺の知らないところで俺の知らない間にできるだけ無残に惨たらしく苦しみ抜いて死ねと、心の底から祈るだけだ。大したことなかろう?

 

 まあともかくだ。俺が嫌われている理由も悪意や殺意に慣れてる理由も大体わかったろう? 一人一人からは大したことがなくとも、千人、万人分の悪意や殺意を受け続けてれば慣れるもんさ。慣れないとやってけない。抜けようとすると俺の中にいる九尾を狙って色々とやってくる奴もいるだろうしな。そいつさえ死ねば俺はさっさと離れてもいいんだが……ああ言う奴に限って長生きするからな。面倒なことに。

 俺の話はこれで終わりだ。重苦しくてすまんな。わざわざ話すようなことでもないと思ってたんだが、気になってるようだったから。

 

 じゃあ、また明日。俺はいつも通り修行してから寝るよ。じゃあな。

 




Q.これサスケ達心折れない?
A.主人公格だから大丈夫っしょ(雑)

Q.と言うかマジでこんな状態なの?
A.この世界ではこんな感じです。


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NARUTO~28

 side うずまきナルト

 

 サルケとバクラの纏う空気がクソ重い。しかもどうやらまともに寝てもいない様子。このままだと身体を壊しかねない。

 そう言うことなので寝るか気絶するか選んでもらおうとしたんだが、カラシに止められた。どうも二人ともカラシに相談していたらしく、俺の言ったことのほとんどを肯定されてしまったらしい。殆どと言ったのは俺の実力についてでカラシは俺が自分でも気付かないうちに九尾の力を引き出していると思っているようだ。残念ながら大外れなんだがな。

 そんなわけで止められてしまったので仕方なくこっそり紛れ込んでいるオカマ丸の所に行ってみた。カブタックから情報カードを貰ってにやにやしていたが、呪印をサルケに残せなかったことは残念そうにしていた。あと俺のことは殺すらしい。来やがれ返り討ちだダボハゼが。

 

 ああ、それと最近俺が化けている鬼人と白ちゃんが有名になってきているらしい。戦場を渡り歩いて敵を皆殺しにし、価値あるものを根こそぎ奪って消えていく。血継限界のある者には非常に厳しいようで、その血を自慢していた奴が文字通りの意味で針山になって発見されたり、目を奪われていたりすることもあったとか。

 そうやって奪われたものは俺のところに送られたり小国で換金されたりしているが、順調に溜まってきている。やっぱ世の中金だよ金。あと力もか。金と力があれば大体のことはできる。全てが叶うとは言わないが、まあ実際大体のことはできるからな。金ってのは本当に便利だ。実際には何の価値もない紙きれや金属の塊を別の物に変えられるってんだから金ってのは良いな。ある意味では人類の文化の結晶であり、同時に人類同士の信用の形でもある。お互いを信用していなければ金なんてものは何の意味も無くなる。これだけの金を払えばこれだけのものが買えるという基本原則もまた信用を基礎にしたものだ。その点から考えてもやっぱり金は良い。

 ま、木の葉の中に限って言えば俺にとってはかなり価値の低いものでしかないがな。

 

 さて、それはそれとして彼女と一緒に飯にしよう。考えたところで現実が変わるわけじゃない。行動に移すならともかく、何もしないのに結果が変わるわけもなく。里から嫌われ排斥された俺と、実家からある意味見捨てられている彼女。ある意味お似合いなのかもな。

 そんな俺たちの今日の朝飯。魚のあらや屑野菜の端切れ及び剥いた皮などを煮込んで出汁を取った具だくさんの味噌汁と脂ののった焼きストライプサーモン、そしてたっぷりの大根おろし。ほうれんそうのお浸しと十黄卵のだし巻き卵。量は多くないが朝食はこんなもんでいい。肉も無いから五月蠅くないだろうしな。

 で、量を解禁してから彼女にはちゃんと自分の分の箸を用意しておいたはずなんだが、どうして俺に食べさせてもらいたそうな顔で俺のことをじっと見つめるんだろうな全く。まあ食わせるけどさ。餌付け楽しいし。なんと言うか、手ずからものを食べてくれるって動物的には最大級の好意表現だよな。キバの所の犬たちは絶対にやってくれない。撫でようとすると漏らして気絶される。悲しい。

 ちなみにだが九喇嘛は精神世界内できつねうどん作ったら食べてくれた。やっぱりお揚げは好きらしい。今度は稲荷寿司を作ろうと思っている。

 

 何度も繋げていたせいか、彼女と俺の間には割と簡単に繋がりができる。視線を合わせれば無言使いが繋がるし、それどころか相手のことを考えるだけでも一方的になら繋がる。だからわかる。彼女は俺に食べさせてもらいたいと思っている。期待しつつも期待しすぎないように、けれどそうなってくれたら嬉しいなとその程度には考えている。

 まあ、そう言うのには応えたくなるのが俺なんだがね。気に入らない相手だったらともかく、気に入った相手にはとても優しい。それが俺だと言ってもいい。だからサービスにこんなことまでしてしまう。

 

 フルーツと野菜をいくつか用意します。なるべく苦みは抑えめにしたいので、ニンジンやトマト、パイナップルにりんごと言った爽やかな物を選びます。

 それらを纏めて手に持ち、チャクラを乱回転させながら放出し、一か所に留めた球体の中ですり潰します。

 コップの上でチャクラの回転を止めれば中でできたジュースがコップに溜まり、簡単ミックスジュースの出来上がり。

 

 ちなみにこれを見たカラシはすっごく驚いた顔をしていた。と言うか見ていた上忍全員かなり驚いていた。カラシは使えることは知っていたはずだが、まさかこんなことに使うと思っていなかったんだろう。わからんでもない。むしろめっちゃわかる。普通螺旋丸(これ)でミックスジュース作ろうとか考えないし、考えたとしてもやる奴はそういない。多分俺が初めてだろう。

 あ、ジュースは好評だった。よかったよかった。

 




Q.螺旋丸ジュースってお前……
A.なお普通にやるより滑らかになるそうな

Q.他に何か料理に使える術とかは?
A.火遁でオーブン、沸遁で蒸し器などが代用できます。


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NARUTO~29

 

 side うずまきナルト

 

 時すでに時間切れ。そう言う訳で第三の試験の予選が始まったんだが、これがまた結構面倒。一試合目はサルケとカッチュウ。呪印を受けていないサルケが普通に勝って普通に終わり。二試合目はシノとザク。腕を折られてはいなかったが結局空気穴に蟲を詰められて腕が内側からパーンして敗北。第三試合は砂の傀儡子カンゴロウとセイバーさん。セイバーなのに素手にこだわるから全身の骨を粉々に砕かれて負ける。第四試合、バクラといの。ダブルノックダウンだったはずがバクラに意思が足りなかったせいか、あるいはナルトの声が聞こえなかったせいかいのの勝ち。これはあれだな、もっとちゃんと鍛える場を作るべきだったかな?今更ではあるが若干後悔。第五試合、CVゆかりんとCV豆粒ドチビの人。名前は両方忘れた。テマテマとテンリだったっけか? ともかくでかい扇子持ってる方の勝ち。第六試合。□〇とキンの勝負。キンが頭を打って気絶して負け。影真似ってああいう術か……印もチャクラの流れも覚えたし今度やってみよ。第七試合、なんだが……本来は俺とキバだったはずがなぜかキバとinショ狸になっていた。やばさを理解していたキバが即座に棄権したから怪我はなかったが、ここは良かったと言っておこう。

 さて第八試合。ネジと彼女。この世界の忍術だけなら間違いなくネジの方が上なんだろうし、ついでに言うと気の強さとか性格の悪さとか戦闘に有利に働く奴は根こそぎ全部ネジの勝ちなんだろうが、残念なことに彼女は最近この世界の人間の枠を超えたばかりなんだよね。グルメ細胞で。それも加減はしていたが俺と一緒の訓練についてこれてたんだから、弱いわけはない。純粋筋力で言えばそこらの奴を遥かに超えているし、少々目に頼りすぎるきらいはあるが見切りも上手い。ついでにチャクラが使えなくなった時のために一つだけ中国拳法の技も教えておいた。その技以外は使えないが、その技だけなら威力は十分。まともに当てれば上忍クラスでも七孔墳血撒き散らすことになるだろう。

 ただ、一つ問題があるとするならば……俺と繋がる機会が多すぎたせいなのか、どうも精神の根元の方が俺に引きずられてるっぽいんだよな。虫も殺せないようなおとなしい顔して七孔墳血させそうな気がする。これは発破かけるまでもなかったかもしれん。

 

 発破の内容? なに簡単だ。一口だけセンチュリースープを飲ませて『本選出場が決まったら一緒にこれでお祝いしよう』ってな。そのせいか彼女は明らかにネジの挑発のような暴言を欠片も聞いていない。あんな糞下らない基礎の心理学を堂々と言っても……ああそうか、この世界だと心理学の本とか一般に広まってないわな。となるとネジはそれを独学で覚えたわけか。なるほど天才だわ。

 だが彼女も原作から見ると色々と狂ってるからな。諦めの悪さはフェイスレス司令並みだし頑丈さも中々。内臓は鍛えられない? それは魔法も気もチャクラも無い世界での話だ。外気功によって皮膚を頑丈にできるのならば内臓だって当然頑丈にできる。流石に経絡系まで頑丈にはできないが、常に大量のチャクラを流し続けていれば柔拳対策にはなる。と言うか俺の知ってる柔拳ってのは禽拿(きんな)術を始めとした関節技や寝技、何歩か譲って合気柔術、百歩譲って柔術、限界すれすれまで譲ってプロレスのような投げ技と間接技を主体とする技術の総称だったんだが、この世界では違うのな。まあ柔術は戦場格闘技だから武器全般に加えて素手での打撃にも十分通じるし、プロレスはあれ剛柔両方あるから本当に柔拳と呼ぶには限界すれすれまで譲らないと無理なんだがね。

 

 そして戦闘が始まった。

 




Q.ヒナタに一つだけ教えた中国拳法の技って?
A.基本の基本、崩拳。

Q.待って内臓鍛えられるとか聞いてない
A.チャクラ量のごり押しだオラァン!


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NARUTO~30

 

 side 日向ヒナタ

 

 美味しかった。とっても美味しかった。今まで食べた何よりも。今まで口にしたあらゆるものよりも。もしかしたら、初めて出会った時に食べさせてくれた金色のお米のおにぎりよりも。

 とても美味しい物を食べさせてもらったせいなのか、私の身体は今絶好調だ。全部が見える。筋肉の引きつりから次の動作がわかる。神経を通る生体電気からフェイントか本命かがわかる。チャクラの流れと量から狙いがわかる。身体の中を流れる経絡の点穴の位置すら手に取るようだ。

 私は突き出される手を払い、流し、一つずつ点穴を潰していく。私の腕に兄さんの手が触れる度に自分の点穴の確認をして、塞がれていたら自分の手を当ててこじ開ける。僅かに痛みが走るけれど、それもすぐに消えてなくなる。本当に、今の私の身体は普段よりずっとよく動いてくれる。

 

 何かを言っている気がするけれど、私はそれを気にすることも聞くこともなく動き続ける。私が弱い事なんて知ってるし、怖がりだってことも知ってるし、今更他の誰かに言われて自覚するようなものでもない。運命がどうとか人は変わらないだとか、そんなものは……ナルト君のように言うのなら『どうでもいい』。私が私の思うままに生きることが運命だと言うのなら、私はそれに満足できる。たとえそれで誰かに殺されるようなことになっても、最後まで私が私でいられるのならば私は一向にかまわない。

 兄さんの手を打ち払い、掌にある点穴も抑え始めたことでようやく兄さんも私が点穴を見切っていると気付けたらしい。そしてそれに気付けたと言うことは、兄さんもまた点穴を見切れていると言うことだ。的確に点穴を突いてきたからそうだとは思っていたけれど、これは時間を掛ければ私のように点穴を治せると思っておいた方がいいかもしれない。そのつもりで早めに点穴を塞げるだけ塞いでしまう。点穴を全て突いてしまえばチャクラが身体を流れなくなり、全身の身体能力が大きく落ちる。そこまでできれば理想だけれど、それより何より安全策。針を使った遠隔での点穴封じや空掌を圧縮した空気弾での点穴封じ、そして足での柔拳。できるものも隠し札もまだいくつかあるけれど、確実に決められるという時にしっかり使っていきたいと思う。

 伸びてきた手を打ち払わずに掴み取り、勢いに合わせて回転を加えれば兄さんは空を飛ぶ。そして浮いている背中にある点穴を片端から突いていって、もうすぐ点穴封じも終わる。ただ、最初の方に突いた指先の点穴が開き始めている。普段から指先をよく使っているからだと思うけれど、点穴って鍛えられるんだ……へぇ……私もあとでやってみよう。

 ちなみにナルト君に点穴封じを受けてもらった時にはその場で新しく点穴を作ってそこからのチャクラ放出による衝撃波で負けた。『真の英雄は目で殺す』らしいけど、ナルト君はほんとに目で殺せそうで怖い。見たところが燃え上がったりしそう。あと目からビーム出したりしそう。

 

 でも、兄さんはやっぱり諦めが悪い。全身の点穴をほぼ塞がれているのに、それでもまだ立とうとしている。運命とかよくわからないことを言っているけれど、運命論者っていうのはおよそ二通りだと思っている。

 自分の現状に納得できないけれど自分の力ではそれを変えることなんてできないから仕方ないと自分を納得させるためにそう言っている家畜と、自分の行動が全て正しいからこそ運命が味方すると言って憚らない幼児的万能感の抜けきらない子供。兄さんの場合は両方かな? 自分より下の人には自分の意志を押し付けて自分こそが正しいと言って憚らず、けれど自分より強い存在には内心不満を抱きながら結局初めから諦めて何もできない臆病者。猿山の大将、井戸の中の蛙、虫の中では強いけれど鳥には簡単に食べられてしまう百足……あたりかな?

 

 なんだっていいけれど。

 

 日向の柔拳でなく、ナルト君の柔拳。チャクラを使わず相手の力を利用して組み伏せ、無力化する。唯一開いている点穴には触れず、相手からも触れさせず、抑え込んでから首筋に手を当てる。これ以上暴れれば経絡ではなく神経、それも脊髄を破壊できると兄さんに教えるように。

 チャクラを使えず、動くこともできず、唯一の勝ち筋も潰されて、そして私にこれからの人生を握られている。分家に生まれた日向の天才児、宗家に生まれた落ちこぼれの私に負ける。周りから見れば大番狂わせ。もしかしたらこのことでお父様から呼び出されてしまうかもしれないけれど……今更だ。

 ナルト君のように木の葉の里全体がどうでもいいと言う訳ではないし、日向の家でもハナビには肉親の情ともいえるものが残っている。でも、お父様には今まで育ててもらった恩があるだけで情は一切抱いていない。多分これはナルト君に引っ張られて考え方が寄ったんだと思う。

 

「……まいった」

 

 小さく、囁くように放たれた言葉だけれど、試験官の人はそれをしっかり聞き取って私の勝利を宣言してくれた。

 さあ、後はナルト君が勝てば美味しいご飯で本選出場のお祝いができる。

 

 後ろで何かを言っている兄さんがいた気がしなくもないけれど、私が今更言えることなんて何もない。私は何も返すことなくその場を去った。

 




Q.ヒナタさん強くね……?(震え声)
A.なお殺す気はなかったので本気ではあっても全力ではなかった模様

Q.それはそうと餌付けされすぎてね?
A.フルコースもあったりします。三虎よりはやばくないとだけ。


現在70話まで執筆してますが、このまま進むとサスケがホモォ……ルートに行く可能性が出てまいりました……何故だ……? あれか?火遁使いだからって 焦熱世界・激痛の剣とかやらせようとしたからですかね?
といっても直接的な表現はしないと思いますけどね。するとしても多分死ぬほど悩む描写くらいだと思われますし。


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NARUTO~31

 

 side うずまきナルト

 

 キバと戦った……いや、戦ってはいないか。当たった相手がショ狸の宿主がらがらどんだった時点で察してはいたが、俺の相手は木の葉の気高き碧の猛獣、ロック・リー。なんと驚くことにギリギリ覚えられる名前だ。しかもフルネームを両方。とても珍しい。

 そんなわけで試合開始。即座に終わらせるんだったらそれこそ初手螺旋丸直撃とか初手雷切とか忍術使えないのを知ってるから足元にアンダーグラウンドサーチライトを開けて封印とかでも勝てそうだが、そう言うことができると知られると面倒だからな。いやまあ螺旋丸はさっきミックスジュース作るときに使ったからばれてるだろうけど、体術使いに合わせてこっちも体術で対応しようと思う。

 木の葉流体術は派手な技が多い。隙が大きくしかし与えるダメージも大きい物が名前を付けられて大きく取りざたされているが、俺のはそれとは違う。具体的には小技を一撃必殺の領域にまで引き上げて使う系統で、基礎の基礎は初転生先で子供の頃に習った篠ノ之流剣術、そして柔術だ。そこに合気だの八極拳だの八卦掌だの空手だのムエタイだの異世界系トンデモ格闘だのとごちゃ混ぜになっているが、剛拳相手に柔拳でやるともはや弱い者苛めになってしまうことも多いので剛拳で行こう。いや、それはそれで苛めかもしれないが。

 

 それに、第二の試験が終わってからサルケとバクラに聞かせた話のせいで里の上層部から随分と警戒されているらしい。まあ警戒されたところで対応策はいくらでもあるし、そもそも俺が封じられたとしても鬼人とお面ちゃんは俺の影分身でなく俺自身。代わりは合計30体以内なら問題なく用意できる。俺を作るのに必要なエネルギーはチャクラや気でいけるし、俺の中にいる九喇嘛は一体きりだが俺の中を自由に行き来できる。封印を改造して封印されてさえいれば自由度をかなり上げておいたからな。居住性も抜群だ。俺なら封印されたまま五百年は寝れるね。

 リーの拳を避けずに受け止める。片足を軸にリーの姿を追い、攻撃されたらそれを掌で、あるいは足裏で受け止める。かなり鍛えられているのに加えて重りのせいか威力はなかなかに高いが、俺を吹き飛ばすことはできそうにないな、これは。

 体術だけなら誰にも負けないスペシャリストと言う触れ込みだったはずだが、まあ例外を除けば努力で行けるところまでは極めつくせるだろう。そこから先に行くには色々と面倒なことをしなくちゃならないかもしれないが、人間が努力で到達できる限界値ってのは思ったよりも高いものだ。牽制の一撃で七孔墳血とかもできるようになる可能性だって十分にある。ちなみに俺は牽制の一撃に七孔墳血させる威力が普通にある。と言うか寝起きだったり気を抜いてたりするとつい加減を忘れてそのくらいの威力が出てしまう。

 ちなみに好きな技は寸勁、発勁、鉄山靠、崩拳、猛虎硬爬山。基本的に応用が効きやすくて汎用性が高い技が好みだが、一撃で決めたい時には猛虎硬爬山が役に立つ。上手くやれれば本当に軽くしか当てていないにも関わらず相手が死ぬこともあるからな。しかも死因が内臓破裂で。と言ってもこの世界だと内臓が破裂しても平然と動き回る奴が結構いるからそこまで切り札と言えるかどうかはわからないがな。

 

 さてそろそろこっちからも攻めに回ろうか。さっさと殴るか相手の攻撃に合わせて拳を置いとくのが楽だが、今回は相手の成長を願って置いとく方にしておこう。対応してきたらこっちも対応しなおすのみ。完全体術型相手だったら結構楽ができていい。慣れがあるからな。

 拳を置いて、リーに当てさせる。こっちから振り切ったりはしないでただ置いておく。意識の隙間を縫ってそれをやるだけでリーにはどんどん傷が増えていく。まあ見切りと多少の先読みができてかつあの速度に追いつければこのくらいはな? 当たってもダメージがあるとは思えないが、当たらないに越した事は無い。UN〇や大貧民と違って手持ちの札は多い方がいいからな。使いこなせるかはまた別の話だが。

 今まで打ち払っていた攻撃を躱して拳を置くようにしてから、リーの身体に傷が増えていく。それはリーが重りを外してからも変わらないし、表蓮華のために開門を開けても変わらない。それどころか速度が上がったせいで受けるダメージはより大きくなってすらいる。このまま暫くすればリーは自身の身体が出す速度に耐えきれず勝手に自滅することだろう。

 

「棄権しろ、なんて無粋なことは言わない。それ以上やっても無駄だとか、身体を壊すから駄目だとか、賢しらなことも言わんがね……今の速度じゃ俺の不意はつけないよ。体力が残ってて身体が動くうちに切り札があるなら出せるだけ出しときな。あるなら、だけども」

「……ありますよ。とっておきがね!」

 

 知ってるよ。そのとっておきの存在も、技の内容も。

 

「一応忠告。それで決められなかったら即降参してくれな? 相性の問題でこっちばかり一方的に殴ってたが、殆ど動けなくなった奴を殴りたいと思うほど倒錯した性癖は持ってないんだよ」

「無用な心配です。僕はこの技で、君に勝つ!」

 

 顔が赤く染まり、目が白くなる。ビキビキと浮き上がった血管が拍動し、急激に血圧が上がったせいだろうが鼻血が垂れる。原作で見た時から思ってたがすっげぇ身体に悪そうな技だよな、それ。

 だが効果はかなり高い。むしろ命を失う可能性がある技なのにそこまで効果が高くなかったらそれこそ使われる事なんて無くなっていただろう。命を懸けてそこそこの効果の術とか、コスパが悪いにもほどがある。命をコストにしてもいいと思えるだけのリターンがあるからこそ、そういった技は使われるわけだ。今のように。

 速度は目に見えて上がった。威力も力も比べ物にならない程に上がった。それはわかる。

 

 だがそれでも。それでもなお、俺を倒すには程遠い。

 

 やることは変わらない。超高速の体術の鼻先に割り込むように拳を置いて、高速連続体術の起点から潰す。喰らいながら打ち込んで来ようとする時には当たったままの拳から寸勁を打ち込んで吹き飛ばす。踏み込みや方向転換ですら身体に馬鹿みたいな負担をかけているのがわかる。なにしろ力む度に筋肉が千切れるような鈍い音が聞こえてくるのだ。わからないわけがない。

 本番の裏蓮華を叩き込むこともできないまま、俺からだけでなく自分自身でも身体を削っていく。俺から見てもそこそこの、一般的には目に映らない程度には早かった動きは見る影もなく、その手足は一度も俺に触れていないにもかかわらずボロボロ。もはや立っているだけでもやっとと言った状態でなお勝ちを諦めていない。俺なら全力でやってここまでやられたらひとまず諦めてなんとかなる道を探すんだが、本当に心が強い。

 

「……で、どうする? 八門遁甲も切れたようだが……降参するか?」

 

 肩で大きく息をする、そんな体力すら残っていないと言うのにまだ諦めていない目をしている。まったく、男の子だな。青春とでも言えばいいのか? 何とも熱い男だ。

 降参は望めないようだし、まあ仕方ない。こっちを見ている元木の葉隠もいるようだし、一発だけ見せてやろうか。

 

 星の白金の世界。止まった時の世界に入門できない存在は、この世界では何をされても文句は言えない。

 俺はただ一撃を腹に打ち込んでから、止まった時の世界を抜け出した。

 




Q.最後、リーになにぶち込んだの?
A.崩拳です。腹パン。

Q.ところでナルトが八門開いたらどうなりますか……?
A.影分身に開かせて消える前に特攻するという戦法を思いついて実行してきます。そして一撃で世界は滅ぶ。


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NARUTO~32

 side うずまきナルト

 

 いやぁ、ロック・リーは強敵でしたね。死んではないがかなりぼっこぼこにしてしまった。大丈夫? 修業する? ……多分起きた直後にこう聞いたら即座に肯定の言葉が返ってくるだろう。四肢の筋断裂に胴体の一部の筋の損傷、両手足の数か所にわたる骨折に経絡系に一度に大量のチャクラを流し込んだことによる損傷。そんな状態で一体どんな修行をするのかは知らないが、多分そう返ってくるだろう。俺としては精神修行をお勧めする。

 ただ、周囲からはだいぶ警戒の目を向けられている。この場には止まった時の世界に入門できる存在はいないから俺が最後にやった動きの一切がわからなかったんだろう。一瞬たりとも目を離していないにも関わらず、上忍、特別上忍、伝説の三忍、そして火影といった名だたる存在が俺の動きの一切を見切ることができなかった。それどころかいつ動き出したのか、動いた軌道、そういったものも全く分からなかったのだからその警戒心もわからなくもない。しかもつい最近木の葉の里に隔意があると言い切ったからな、俺。ただ、正直に言って滅ぼしたいと思うほどの興味を持てないってだけなんだが……そう認識する奴はいないよなぁ……めんどくせぇ。

 

 ともかく第十戦。ぽっちゃり系とドス。ふっつーにドスが勝って終わり。そして本戦開始まで一か月の期間を設けることと、その間に対策を練るなりなんなりしておけと、まあ意訳すればそんな感じの事を言われてくじを引く。

 結果は……俺の知ってる原作とはだいぶ変わった。そもそも残ったのが九人ではなく十人になっているし、そのためシード枠が二つできているから一回戦が何回繰り返されるかわからん。多分今度はちゃんとカラシ野郎も間に合うんじゃないか? と言うか間に合わなかったらカラシに変化してオカマ丸に愛の告白させてやるから覚悟しやがれクソッタレが。ちゃんと真っ赤なバラの花を百本そろえてやるからな馬鹿野郎この野郎。

 

「先生」

「ん? どうしたナルト」

「あいつ修業に連れて行くなら好きにすればいいと思うけど、ありえないとは思うけどもしも万が一、天文学的確率で、中忍選抜試験の本戦にあいつが遅刻したなんてことが起きたとしたら影分身と変化で先生に化けて百本の赤い薔薇の花束抱えて風影様に『一目見て惚れました結婚を前提にお付き合いしてください』って言いに行くから覚悟してな」

「そいつは洒落にならないぞナルト!?」

「大丈夫、俺は口にしたことはできる限り守る。ちなみに振られたら『残念ですな。じゃあ火影様、俺と結婚を前提にお付き合いとかどうです?』と言う。無いとは思うけど振られなかったらそのままお付き合いですな」

「ヤメロォ!?」

「遅刻しなけりゃいいのよ遅刻しなけりゃ。大丈夫、あいつに『先生が風影様に真っ赤な薔薇の花束持って告白しに行くのを見たかったら少しだけ遅刻してくるといい』とか言わないから」

「本当に勘弁して!?」

「あ、歳近い奴の方がいい? ガイ先生辺りにしとく?」

「わかった絶対に遅刻しないしさせないからそのことを考えるのも計画を練るのもヤメロォ!!!あとお前俺のことは名前で呼んだこと一度もないのにガイのことは名前で呼ぶのなんで!?」

 

 覚えられる名前だからだよ言わせんな。

 ともかく言質は取った。言質を取ったからにはもし遅れた場合本当に実行する。花を買うのはいのの所の花屋で買うとして、しっかり人前でやらないと意味がないから実行する場所はオカマ丸と三代目の爺さんが並んだその時にしてやれば多くの人がそれを見るだろう。あとは……

 

「ナルトお前計画練ってるな? 計画練ってるだろ!?」

「大丈夫、第三次百万人先生ダンス大会に必要なチャクラ量の計算とかしてない」

「してる言い方だろうそれは!?」

「ちなみに百万も出すとなると九尾のチャクラじゃ難しいと思う。十万単位までならいけそうなんだけどなぁ……」

「冷静に計算するのはヤメロォ!もうあれはきついぞ俺は!次起きたら胃潰瘍でぶっ倒れる自信があるぞ!?」

「遅れなければいいんじゃない? ちなみに次起きた時の数が一万くらいだったら俺の可能性大ね」

「クソァァア!」

 

 実際には百万の時も十億の時も俺だったんだが、普通に考えれば一個人がそんな量のチャクラを持ってるとか考えないからな。そんな量持ってるとかマジキチだろ。

 

『5.8E+2300……この数字の意味が解るか? 六道のジジイを100とした時のお前のチャクラ量だよ……』

 なんかめっちゃ増えてね? 具体的には桁が800桁ほど増えてね?

『まだまだ増えるぞ多分。マジキチめ』

 

 悲しいから今日は金髪合法ロリ巨乳狐耳巫女の尻尾を抱いて寝ようと思う。モフり倒してやるから覚悟しやがれ。

 

『ヤメロォ!』

 できぬぅ!

 




Q.マジでやるの?(花束告白)
A.もし遅れたらやります(断言)

Q.どこまでチャクラ増えるの?
A.必要なだけ(白目)


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NARUTO~33

 

 side うずまきナルト

 

 木の葉の里は俺にとってはほぼ敵地。そんな中で動き回るには変化が必須になる訳だが、今回変化した俺に物凄い勢いで釣られた奴がいた。それについて俺は呆れると同時に世界の修正力は凄いもんだと感心してしまった。

 そう、釣られた相手とは木の葉の三忍と名高いオープンドスケベ、エロ仙人。よくよく思い出してみたら原作でもナルトのお色気の術で現れた姿に『超好み』と言うコメントを残していたし、釣られるのはおかしくはない……のか?まあどちらにしろ男に釣られたと言う事実は変わらないが。

 で、釣られてしまったエロ仙人だが俺は相手のことを知らない体で、つまり女として接しているためにやにやとなんとも言えないだらしない顔をしている。まあ好みらしいし仕方ないんじゃないかね。知らんが。しかしなんか騙しているような気分だ。狐は化かすものだから間違ってないかもしれないが。

 しかし、こういう風に女の身体で男に対応しているとうずまきナルトとして男に生まれて本当に良かったと思う。もしもうずまきナルトが本当に女として生まれていたとしたら、まず間違いなくそっちの意味で襲われていただろうからだ。四代目火影に似た姿の美女。俺が言うのもあれだがこの身体はかなりの美人だし、九尾の狐は傾国の象徴でもある。もしかしたら本当に傾国の存在になっていたかもしれない。俺が俺である限りはならなかっただろうが、男の身体でも襲ってきた変態が居たくらいだからな。流石に見ず知らずの男相手に抱かれたくなかったから霧の中で発狂死してもらったが、そのことに関しては一切の後悔をしていない。木の葉って所はどうせこんなところだと思い始めたのもそのころからだったな。思い出したくもないが。

 

「どうかしたかのぉ?」

「あ、あはは……少し、嫌なことを思い出してしまって」

 

 この身体になってからあまり動かなくなった表情だが、変化している間は素直に動いてくれる。そして乗せる必要のない感情まで表情や目に乗せてしまう。

 サルケやバクラには体裁上無いと言ったが、無いわけがない。憎悪。嫌悪。赫怒。過去のことなど思い出したところで尻を拭いた後の紙より使い道がない、そう思って気にしないようにしていただけでそれらの感情が無くなったわけではない。性格上気にしないようにしたら本当に気にしないようにできるだけで、澱のように溜まった感情については俺はしつこい方だ。報復するまでは絶対に忘れないし、報復については二回目以降が絶対に起きないようにする方だ。蛇のように、あるいは蠍のように。誰かにはっきりと聞かれない限りは俺から話すことはないだろうし、聞かれたとしてもできる限りはすっとぼけることだろう。話したところで意味なんぞないのだから。

 原作におけるサスケは自身を復讐者だと言った。だが恐らくこの世界では精神的には俺の方がよほど復讐者に近いだろう。ただ俺は、復讐者と言うには少々面倒臭がりすぎるだけだ。

 瞳に闇を映した俺に何を見たのか。エロ仙人は表情を真剣なものに変えて俺を見つめた。

 

「……話ぐらいなら聞いてやれるが、どうかの?」

「結構です。聞くも語るも気分のいい話ではないので」

 

 特に、木の葉の里を愛している人間には気分の良くない話だろう。俺を嫌う者にとっても、そうでない者にとっても。

 しかしエロ仙人は真剣な顔で俺の手を取って引き留める。良くない予感でも感じたのか、それとも俺の中に燻る悪意でも見たのか。正直、オカマ丸辺りに勧誘されたらホイホイついていきたくなる程度にはこの里の事は好いていない。その程度の事を感じ取るとは思えないが、まあいいか。エロ仙人がどう思ったとしても俺には関係ない。

 

「……この姿は変化で俺は男なんだけども、それでも話聞く気ある?」

「おお、あるとも。親身になる気は若干失せたが、あんな目を見せられちゃあのぉ」

「女好きだねぇ……話の間はこの姿でいるから目の保養にでもしてくれや。可愛いだろ?」

「超好みじゃ」

「エロ仙人」

「否定はせん。だができれば蝦蟇仙人と呼んでくれ」

「エロ蝦蟇仙人」

「ぐぬぬ……まあほれ、話してみろ」

 

 お望みどおりに話してみることにしようか。それで一体どんな反応が返ってくるかは知らないが、最悪全てを塵遁で消し飛ばしてさっさと逃げればいいし、そうして滅んだあとは月に行ってアンダーグラウンドサーチライトを出してその中に空気を作り、死ぬまで生活していけばいい。そうすれば九尾のチャクラが本当に集まる事は無くなるだろうから無限月読も何もかも完成しなくなるだろうしな。

 俺は嘘は言わんぞ? 社交辞令と嘘ではないが紛らわしい事は言うけどな。

 




Q.この蝦蟇仙人仲良くなるの?
A.基本的にナルトは自分に害を与えない存在には寛容です

Q.これからマジで蝦蟇仙人の前でお色気状態?
A.全裸ではないし普通の服ですがそうです。


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NARUTO~34

 

 side うずまきナルト

 

 話の内容は大体サルケとバクラに話した通りだ。少し違うのは生まれてからすぐの事を覚えていることと、俺の母親の腹に封印されていた九尾を引き抜いて操っていたのがうちはマダラを名乗る男だったこと、そしてそいつが黒地に赤い雲の模様の外套を着ていたことを伝え、一尾の人柱力については話をしなかったことくらいだ。

 実際全部覚えている。この世界における俺の両親が死んだにもかかわらず、泣くことも涙を流すこともできなかったことをよく覚えている。九尾から俺を守るために二人そろって腹を貫かれていたことも、俺の封印式に自分たちのチャクラを入れて意識を残していたことも、全部覚えている。普段態々思い出すようなことがないだけで、全部覚えているんだ。名前以外。

 一応親が愛した場所だ。初めのうちは守りたいと思っていたこともあったが、まあそんな感情は擦り切れるよな。俺は聖人じゃないし、どちらかと言えば我儘で自分勝手だ。原作のナルトのようにはなれやしない。だがそれでも今の俺を守ってくれている存在がいて、その存在が守りたいものだと思っているから俺は木の葉に手を出していない。それが無ければさっさと滅ぼしているところだ。特に根の連中な。あれほんと邪魔。特に頭が邪魔。

 

「お前は……ミナトの息子か?」

「……ああ、四代目火影の名前だっけか。生まれた直後に二三回しか聞いてないから覚えてないんだよね。多分そうだと思う。飛雷針の術とかいう苦無の所に自分を飛ばす術と螺旋丸使ってた。あとネーミングセンスが『ぼくのかんがえたさいきょうのにんじゅつ』みたいで痛々しかった」

「母親は、どんな特徴があった?」

「髪が赤かった。あと口癖かなにかは知らんけど語尾に『だってばね』が多かった気がする。あとなんか身体から鎖が出てたのも覚えてる」

 

 自分の弟子が残した子が、こんな生活を送っていると知らなかったのだろう。世界的にはよくある話……でもないが、少なくはない話であることは間違いない。もしも俺が今のような力を持たないままこんな状況に押し込まれたら、それこそ変化で女を売って金を稼ぐようなことまでしていたかもしれない。絶対やりたくないが、物理的に可能か不可能かで言えば可能だからだ。考えるだけでおぞましいが。

 エロ蝦蟇仙人は頭を抱えている。俺はのんびりと茶を啜っている。エロ蝦蟇仙人にとっては今知ったばかりの大事件かもしれないが、俺にとっては現在進行形かつ終わったことだ。わざわざ騒ぐには今更過ぎる。ただ、俺の実力……本気を出してもいないのに実力と言えるのかは甚だ疑問だが、実力を知ったら暴力に訴えるようなことは少なくなるだろう。そして後々の報復を考えれば精神的な方も多少ましになるかもしれないが……まあ望み薄だな。過激派ってのは殺しても殺しても雲霞の如くだ。厄介極まりない。そしてそう言う奴ばかり上層部にいたりするから余計に面倒なんだよな。

 さて、それじゃあ修業に戻るかね。適当に買うもん買ったし正直買わなくてもよかったけど何か突っ込まれると面倒だから最低限買っただけだし、普通に過ごそう。カラシからは『お前もう大体できてるから、と言うか正直俺を凌駕してる部分もかなりあるからなに教えればいいのかわからない。とりあえずどんな状況であっても持ってて腐らないチャクラコントロールと体力強化を基本に自分で適当にやっといて』と言われて放任されてるから、雷切でも真似てやろうと思う。コピー忍者の術をコピーするとか面白いよな。ちなみに俺の最強の技は全力パンチだ。空間ごと相手を粉砕するぞ!当然相手は死ぬ(例外あり)。

 

「じゃあな、エロ蝦蟇仙人。久々にまともに話ができる奴と話せてよかったよ。偽物で悪いがサービスだ」

 

 もにゅんと乳揉ませてやると真剣な顔が一瞬にして崩れてただのエロオヤジの顔になる。原作でも美女に弱いと言われていたが、マジで弱いのな。流石に童貞ってわけじゃなさそうだし、どこかの誰かさんたちのように鼻血噴き出してぶっ倒れたりもしないみたいだし。これで誤魔化されてくれるといいんだが……望み薄かね? 一瞬でチャクラのマーキングまでつけられてるようだし、とりあえずこれは砕いて解除しておこう。

 あーあ、腹減った。飯食って影分身して寝るか。

 




Q.このエロ仙人大丈夫?
A.原作でも大丈夫だったし多分大丈夫。

Q.仙人と言えば、ナルトは仙人モードになれるの?
A.自前のチャクラ量が多すぎて星が死ぬレベルで自然エネルギーを取り込んだとしてもまず無理です。できるとしたら星の外から持ってくる必要があります。そしてナルトはこの星以外の自然を個人で所有しています。便利ですねほんと。


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NARUTO~35

 

 side 日向ヒナタ

 

 ネジ兄さんに勝ってから、お父様は私の扱いを少し変えた。もう一度私に稽古をつけようとして、ナルト君に習った唯一の剛拳で一撃必殺……死んでないけどそんな感じになって、私はまた日向の宗家としてどうこうと言われるようになった。

 変わらないのはナルト君とハナビだけ。結局私の周りの多くの人は私の事ではなく私の力の事しか見ていなかったんだなと納得できた。

 それから、ネジ兄さんと話をした。戦っている間は私は人の話は聞かないようにしているから、あの時ネジ兄さんが何を言っていたかとかほとんど覚えていない。ただ、何度も運命とか決まってるとかそんな言葉を聞いた気がするけれど……まだ大した努力もしていないのに運命論者になるのは早いと思うんだけどなぁ……ってただそう思ってた。

 でもネジ兄さんの話を今度はちゃんと聞いて、それからどうしてそんな風に考えるようになったのかを聞いてみると、なんだかちょっとだけ罪悪感が湧いてきた気がする。私が攫われかけたことが原因……そもそもその人が私を攫おうとしたのが原因の根本なんだけど、そのせいでそういう風に考えるようになってしまったみたいだし……。

 けれど、見下していた私に点穴を突かれて抑え込まれて呪印でではなく実力で命を握られてしまってから私への悪感情はなぜか若干薄らいでいるらしい。とても不思議。普通は自分を殴り倒した相手って嫌うものだと思うのだけれど……もしかしたらネジ兄さんはマゾヒストと言う奴なのかもしれない。ハナビに近付けないように気をつけなくちゃ。あとナルト君にお願いして玉天崩を習っておきたい。男の人に特に効果が高い技って聞いてるから、ナルト君からの応援がない状態の私でもネジ兄さんを倒せると思うし。当たればだけど。最悪開門休門生門あたりまで開けてでも当てるけど。

 

 どうして力を隠していたのかとか、色々と言われているけれど……別に私が力を隠していたからと言って何か変わるのだろうか? 私が力を隠していることにも気付かない無知蒙昧な有象無象が勝手に私に見切りをつけるだけだと言うのに、勝手に見切りをつけておきながら思っていたより優秀だったというだけで手の平を返すなんて、ナルト君風に言ってみれば『とても人間らしい』。私がどうしても好きになれないタイプだ。

 それに、私にはやらなければいけないことがある。せっかく本戦に出場することができて、勝ち上がっていけばナルト君と戦えるかもしれない。流石にナルト君と戦って勝てる気はしないけれど、一回戦で当たることになったサスケ君、二回戦のいのちゃんなら多分勝てない事は無い。ただ、サスケ君もいのちゃんも今のままと言う事は無いだろうから、私もちゃんと修行をしないと。日向の柔拳の完成系はお父様がハナビに何度も見せているのを見たし、回天も勝手に見た。回天は私に合わないのがわかったから、何か新しい防御技を考える必要がある。でもまずは、ご飯を食べないと。あんまり美味しくないけれど、食べないと身体が持たないからね。

 どんな技にしようか。基礎は今まで通り。遠距離の技は空掌でいいとしてもあれはあまり威力が出ないから他に何か欲しい。私には決め技と言えそうなものが一つしかないし、柔拳はまあある意味全てが決め技だけど何か違う気がするし、何か遠隔で相手の点穴を穿てる技を考えないと。じゃないと本戦まで行ったのにあっという間に負けたりしちゃいそう。サスケ君は天才だという話だし、一月後には……重りを外したリーさんくらいは動けるものとして修行をしなくちゃいけない。

 楽しいな。またナルト君とたくさん修行ができる。たくさん修行をしてたくさんご飯を食べて、何度も何度も実践で戦って。本気で戦う時には精神世界に招待してもらって何度も何度もあの狐さんの前で殺されて、何度でも生き返らせてもらって。狐さんに呆れられたりしながらナルト君と戦って、失敗したり成功したり褒められたり怒られたりしながら修行して。私の日常はこうでなきゃ。

 あとは、私の中に増えたこの力。なんとかして制御あるいは抑制できるようにならないと。

 

 




Q.ヒナタの中の力って何が増えたの?
A.グルメ細胞が活動を開始しました。

Q.ちなみにヒナタのフルコースって?
A.現在はこんな感じ(メイン以外はこれからも結構変わる)
オードブル:ナルト君が用意してくれたおつまみ(その日の気分)
スープ:オーロラを放つ無色のスープ(センチュリースープ)
魚料理:金の粉をかけた銀色の魚の素揚げ(サンサングラミー)
肉料理:宝石のように輝くお肉(ジュエルミート)
メイン:初めてのおにぎり
サラダ:ナルト君が用意してくれたお野菜(ベジタブルスカイの野菜をお好みで)
デザート:ナルト君が用意してくれたお菓子(その時の気分で適当に)
ドリンク:虹の実ジュースの炭酸割り


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NARUTO〜36

もしも原作のあのシーンに居たのがナルトではなくナルチカだったら。

サスケがダンゾウを殺してカカシが復讐の虚しさを説いた直後

「ここにイタチを!両親を!一族を連れてこい!そうすれば復讐なんてやめてやる!」
「ん?ああわかったちょい待ち。
まず死にたての死体を出します。
輪廻眼を解放して外道・輪廻天生を使います。
生き返ります。
はいできた。
これで復讐辞めんだよな? じゃあ木の葉にもどるぞ」
「えっ、あっ、はい」


全てが台無し(白目)


 

 side うずまきナルト

 

 原作であったら師弟関係となっていただろうエロ蝦蟇仙人だが、俺とはそういった関係になる可能性は非常に低い。俺はそんなつもりは全くないんだが、あちらさんが俺の事を怪しんでいるのだから致し方ない。俺は木の葉の危険には興味が無いし、もし木の葉の里が崩壊するという情報を掴んだらそっと心にしまっておくだろう。ただし、木の葉の里があと一歩で滅びそうなところで耐えていたとしてもそこで手を出すようなことはしない。おおよそそんな感じだし、実際にそんな風に俺が構えていればまず間違いなく木の葉の里は崩壊する。それがわかっているから耐えられるというところもなくはない。

 だが、エロ蝦蟇仙人からすればそれが真実かどうかはわからないだろう。俺は嘘は言わないが、隠し事はするし紛らわしい伝え方もする。あと社交辞令とかも言ったりするな。だからこそエロ蝦蟇仙人はちょくちょく修行している俺のところに来ては話をしたり俺の修行風景を眺めたりしているわけだ。影分身たちによるアングラキチガイ修行は見せていないが。

 それと、彼女の事も眺めているのがわかる。俺と一緒に修行している彼女は所謂下忍レベルを遥かに凌駕しているし、柔拳使いの一族に生まれながら剛拳も覚えようとしている彼女はとても珍しい物だろう。まあその珍しさのおかげでほぼ不意打ちとはいえ宗家の当主に一発叩き込めたようだし。

 

「チャクラコントロールの修行はせんのかのォ?」

「俺はしてるよ。量だけなら馬鹿みたいにあるんで影分身でだけどな」

「そう、なんだ……すごいね、ナルト君」

「と言うかコントロールについてはちょっと命が掛かってた時期があってな。俺のチャクラには青いのと赤いのがあるんだが、青いのは問題なく使えるんだが赤いのは使ってると殺戮衝動が芽生えそうになることがあって、流石にそこらにいる奴らを殺して回るのはまずいと思ってコントロールだけは気を付けてるんだよ」

「そうなんだ……」

「まさか九尾のチャクラを使いこなしてんのか……予想外だのぉ」

 

 実のところその九尾のチャクラより俺の自前の奴の方が多かったりするんだがね。

 

『最近気付いた。お前が影分身の経験を受け取る度に最大容量がガンガン増えとる』

 あ、毎日増えてるのってそんな感じの理由?

『多分な。確信はないぞ』

 あったとしてもやることは変わらんからいいよ別に。……あ、そうだ。今度チャクラ貸してくんね? 本戦で遊ぶ。

『構わんが儂のチャクラを全部持ってってもお前のよりはるかに少ないぞ』

 前にも聞いたから知ってるよ。言ったろ遊ぶって。

『具体的にはどんなことするんだ?』

 神滅斬(ラグナ・ブレード)もどきを少々。

『なんぞそれぇ』

 本番を見てからのお楽しみだな。本当は詠唱的に俺と九喇嘛の協力技って感じの竜破斬(ドラグスレイブ)の方がよかったんだが……いや、知ってる奴いないしそういう風な技ってことにしてそっち使えばいいのか。よし、そうしよう。もしお前のチャクラが足りなかったらお前のチャクラを真似てこっちでやるからそこまで気にしなくてもいいぞ。

『……そんな簡単に儂のチャクラを真似られると言うあたり、量だけじゃなく質の方もマジキチだな』

 うるせえお前の前で俺だけお稲荷さん食うぞ。

 

「私も、何か遠距離の技が欲しいんだけど……印を組まなくてよくて、白眼や柔拳と一緒に使えるの……」

「あー……細く鋭く作ったチャクラ糸で相手の点穴を突くとかどうだ。チャクラコントロールだけでできるから多分便利だぞ。……こんなやつだな」

「すごい、できるんだ……」

「命が掛かってたからな」

 

 と言ってもこれを最大限活用できるのは傀儡師か点穴を見切った柔拳使い、後はトラップ名人くらいだろうが……使い慣れるまで使うことができるかね? チャクラの量にもよるがこれ結構むずいぞ? 込める量が多いと難しいし少ないと通じない。圧縮を上手くやれば極少量でも効果が出るだろうが……少なくともよっぽど上手くやらないと俺に通じるとは思うなよ?

 さて、俺も竜破斬用のなんちゃって魔法陣の練習でもしておくか。格好良く、それでいてそれなりに簡単に書ける奴だ。この世界では基本が五行、陰陽道系ではなく仏教系五行だから地水火風空で空が雷。だから異世界感と言うか理解できないもの感を出すには円を基本に正方形を二つ重ね、梵字とローマ字があるからそれは却下としてルーン文字で縁取りして意味深に。実際に意味はないけどこれ見よがしに描いておけば深読みされんだろ。多分。厨二設定考えるのは面白いな。特にそれが悪戯とか嫌がらせに実用できるとなると余計にそう思う。

 




Q.ラグ……!?
A.もどきですのでお気になさらず。

Q.詠唱とかは……?
A.力を借りる対象が魔王じゃ無く尾獣になってますのでその辺りを考え改造する予定。


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NARUTO~37

 

 side うずまきナルト

 

 今更だが本戦の組み合わせについてだ。まず俺は原作では第一試合、相手はネジだったはずだがそのネジは彼女に倒されて本戦不参加。そして一回戦に彼女が出ることになってその相手がサルケだ。木の葉に残った最後のうちは一族と、日向一族の天才児を破った彼女の戦い。恐らく愚民共……じゃなかった、大名や各国の忍頭達を含めた多くの奴等がサルケの試合を楽しみにしているだろう。第二試合はカンジュウロウとシノ。多分カンジュウロウが棄権する。第三試合がテンリと□〇。俺の試合は先にないし、あったとしても穴は掘ってないだろうからどうなるか楽しみ。第四試合がいのとドス。原作では0回戦とも言える段階でドスが返り討ちにあって死んでいたが、あれはドスが余り者だったからだ。ちゃんと組む相手がいればそんなことはおそらくしないだろう。

 

 で、もうわかってるだろうが第五試合、俺とがらがらどん……絶対違うと思う。そして多分元の名前より長い。倍くらい長い。まあともかく一尾がinしてるあいつが俺の相手になる。

 今のところあいつは全参加者の前で堂々と力を晒した事は無かったはずだからどの程度の物かとあたりをつけてはいただろうが実力は不明。彼女の組は近くで見ていたから知っているかもしれないが、もしかしたらそれ自体起きていないかもしれない。キバやシノから忠告が無いしな。

 それと、点穴は点穴でも点穴違いの技を思い出したからノリと勢いで彼女に教えてみた。その結果、白眼以外のチャクラの使用なしで実験として倒してみた虎の頭が内側からはじけ飛んだ。本当に殺さなければいけない時以外は禁止だな、この技。

 ちなみに俺にもやってもらったが効果が出るほど強く押せなくてノーダメージだった。チャクラで強化しても結果は同じ。俺の身体ってマジで何なんだろうな?

 

 そんなこんなでのんびり必死に修行をしているんだが、木の葉崩しの計画がどんどんと進んでいるのがわかってきた。とりあえず俺が木の葉崩しに求める目的は、木の葉の里の壊滅と恐らく死んでしまうだろう三代目の爺さんの死を看取ること、そして根に蓄積された情報を引っこ抜くことだな。三代目の爺さんがいなくなったら、この里はさらに暮らしにくくなるのは間違いない。三代目の爺さんがいなくなった場合、俺の手が出る速度はそれまでより格段に速くなるから、八つ当たりで俺に攻撃とかしてきたら次の日にはみんな死んでると思ってくれていい。そんなことがないといいなと思ってはいるが。

 

「ナルトよ。お前は忍術は使わんのか?」

「影分身」

「それ以外だ。攻撃系の忍術、欲しくないかの?」

「螺旋丸より使い勝手いい奴なら欲しいかも」

「使えんのかぁい!」

「指先に螺旋丸を五つ並べて握りこみ、チャクラの乱流の制御を一気に手放しながら相手に叩き付けることで爆発的な威力をなす。これぞ『五指螺旋弾(フィンガー・ストーム・ボムズ)』」

「……ミナトの子じゃの」

「冗談十割だからそういう言い方やめてほしいんだけど。そもそもそんなことしても威力が周囲に散って大した被害出せないからやらないし、威力を出すなら乱回転するチャクラの流れの一本一本の密度を上げたり速度を上げたりする方がよっぽど有意義だから」

「実験済みか?」

「ちなみに粗くすると野菜とフルーツでいい感じにミックスジュースが作れる」

「無駄に高度なチャクラコントロールを要求されるジュース作りじゃの!?」

「全力で細かく、かつ密度を上げて速度を落とすととても柔らかな感触になる。具体的にどんな感触かは言わないけども」

「ほほう……?」

 

 やっぱこのエロ蝦蟇仙人はエロ蝦蟇仙人だわ。こんなところばっかり無駄に察しがいい。とりあえず手本のように作ってみせると見様見真似で作り出したがあえなく失敗。まあ密度がいるから仕方ないな。だがそれができると知って即座にやり始めるあたり、人間のエロにかける情熱ってのは凄いものだと再認識した。

 あと、俺はついにチャクラを変質させることで尾獣のチャクラっぽく見えるチャクラとそれに付随する血継限界を楽に使えるようになった。これを使いこなせるようになって、それから求道玉のしっかりとした制御だな。神滅斬のような歪な剣の形に形態変化させた陰陽遁の求道玉と、同じく形態変化させた九尾のチャクラっぽく見えるチャクラ。それを合わせて巨大な剣を作り、振り下ろす。相手は死ぬ(かも)。

 ちなみに今のところ俺が知ってる尾獣の気配とチャクラは九尾の九喇嘛と一尾のショ狸の二体だけだ。だから尾獣っぽいチャクラとして使えるのは九喇嘛のとショ狸のだけ。しかも慣れていないから一尾のはあまり上手く使えない。要研究って所か。目指すは自力で無限月読できて解除もできるようになること。頑張ろうか。

 




Q.求道玉できるの?
A.現状出力がチャクラ量に比較して大分低いですが可能です。

Q.もしここのナルトが真実の滝で本当の自分を出したら何が出る?
A.一切のチートを授かる前の自分が出てきて意気投合するか、座にいる本体と同じような状態で新しく出てきて意気投合するか、普通に今の自分が出てきて意気投合するかの三択。


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NARUTO~38

 

 side うずまきナルト

 

 ついに始まる本戦だ。そしてあれだけ脅したかいあってカラシは遅れずにサルケをつれてやってきた。いや普通は遅れないのが当然なんだが、カラシが遅れないとなると逆に何かあるんじゃないかとひやひやしてしまう。失礼かもしれないが文句を言うなら今までの自分の行動を思い出してから文句を言ってほしい。そしてついでにモリヤゴコロダンステップを踏むカラシを思い出して胃の痛みで死ぬがいい。

 

 それはそれとして一回戦、突然始まる本命の勝負に観客たちは大盛り上がり。見た感じサルケは原作と似たような感じで体術面を底上げして来たらしいが、多分本当に打ち合えば彼女は勝てるだろう。問題は写輪眼だが、この世界にはしっかりと体を鍛え、写輪眼で見ても真似できない技が一つある。簡単に言えばそれは道具に刻まれた術だ。起爆札を見ればそれに使われている術式がわかるだろうが、しかしそれを使ったところで自爆するか術を刻んだ何かが爆発するだけ。そんな感じの術については使い慣れないとまともに使えはしない。上手くなるとチャクラだけで術式を描き土地そのものを巨大な起爆札にして跡形もなく消し飛ばすなんてこともできるだろうが……今のサルケにそんなコントロール能力は無いし、そもそもそんなことができるほどのチャクラも無いから安心だな。

 

 そうだ、飯テロしよう。

 

『お前いきなりどうした!?』

 なんか突然凝った料理が作りたくなった。虹の実の果汁とビリオンバードの卵(望まれて産まれた方)からケーキでも作ろう。今。ここで。

『迷惑極まりないな』

 突然作りたくなっちゃったからね。仕方ないね。

 ちなみに虹の実は非常に糖度が高いがさっぱりとしていて口に入れてから胃に落ちるまで七つの味に変わると言われている不思議な果実。それでケーキを作るとなるとそれに負けないメインのおかずが必要になってくるんだが、今回はそれを数百年以上生きているだろう超大型のガララワニの肉に受けてもらうことにした。ジュエルミートと比べると一段二段と言うレベルではなく劣るが、足りないなら追加すればいい。そう言うことでメテオガーリックとメルクの星屑を醤油に漬けて、それで味をつける。ちなみに取り出した後のにんにくは漬物として俺のおやつになります。

 そんな感じに料理をしていると近くの奴等が大体腹を鳴らして俺の方を見ている。あと某ぽっちゃり系が物凄い勢いで暴れて俺の方に来ようとしているのを止められているクッソワロ。

 

「ナルト!笑ってないでそれ片付けてよ!」

「腹の中にでいいか?」

「それでいいから早くして!」

 

 彼女と一緒に食べたかったんだが仕方ない、食べてしまおう。

 

 摩り下ろした山葵をやや厚めに切ったガララワニの肉に乗せる。そのままメテオガーリックのにんにく醤油に端を付け、大胆に頬張る。

 まず舌から感じるのは醤油の塩味。それからメルクの星屑によって添加された圧倒的な旨味と漬け込まれたメテオガーリックの風味。年経たガララワニの肉は特A級ブランド和牛のサーロインにも匹敵する味だと言われているが、それが完全に醤油の味に負けている。次にこの醤油を使うことがあったらもっといい肉を使うことを決意しつつ一口ずつ食べ進めていく。

 鰐のそれとは思えないほどに柔らかく、たっぷりと脂がのった霜降り肉。一般的な熊肉や猪肉のように獣臭いと言う事は無く、そして脂が多すぎて口の中がしつこくなってしまいそうなところで乗せておいた山葵がいい仕事をする。脂のこってりとした甘みと醤油の塩味をさらに引き締める辛味。実に美味い。だがやっぱりもう少し調味料の食材ランクを下げるべきだった。反省。

 今回は実験と言うことで数枚しか焼いていなかったのでさっさとそれを食べきると、ドッシャァ……と何かが地面に落ちたような音がした。正直振り向かなくともわかるが某ぽっちゃり系が肉が無くなったことを察知して崩れ落ちた音だろう。すまんな、この肉一人用なんだ。

 しかしガララワニの肉では力負けするとなると、必要なのはもっと力のある肉。エンドマンモスは流石にやりすぎなのがわかるし、だからと言って蟹豚では足りない。完美牛は美味いは美味いが味が優しすぎるから普通に負けるだろうし……こうなったら肉以外に魚にも手を出してみるか? アナザは無いとして……フグ鯨とかどうだろうか。ちゃんと毒抜きしたやつな。

 試すか。

 

「おいコラァ!新しいの出してんじゃ無いわよ止めんの大変なのよ!?」

「これ肉じゃなくて魚……あ、鯨は肉か。悪い止めといて」

「後でそれ私にも食べさせなさいよぉ!?」

「じゃあいいや」

「アァン!?」

「フグだから失敗してたら死ぬけど食べる?」

「あんたが死んでなかったら食べれるでしょ!」

「残念俺は毒を盛られ慣れてるからこの程度なら死なない。ちょっと指先が痺れるくらいで……む、舌が痺れる。これは当たったかもしれん。ほらあーん」

「私の傍に近寄るなぁぁぁぁっ!!!」

 

 物凄い勢いで拒否られた。ちなみに舌が痺れているのは直前に食べたメテオガーリックのせいであってフグ鯨は関係なかったりする。滋養が多いのは良いことかもだが多すぎるとこうなるから困るな。美味いけど。

 




Q.チョウジを止めてるのって誰?
A.山中さん家のいのちゃんです。

Q.ところで本当に当たってたの?
A.毒袋の処理は完璧です。なお、実際に毒があったとしても特に気にせず食べられる模様。


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NARUTO~39

 side うずまきナルト

 

 さて彼女とサルケの試合だが、いい感じに煮詰まっている。

 彼女は基本カウンター型。それも触れれば効果がある柔拳使い。つまり向かってくる相手の攻撃をその手で逸らせば相手にダメージが入るのだ。

 そしてそれを会得するために彼女は毎日ヒットアンドアウェイ型の俺と模擬戦を繰り返し、体術相手なら重りを外して動きやすくなりかつ第一門を開けたリーと同程度までなら対応できるようになっている。また、俺のチャクラを渡して何度も繰り返し影分身させることで原作の俺と同じように経験の蓄積速度を底上げしている。チャクラの受け渡しは結構面倒だが、まあできなくはない。性質変化させようとすると少々手間がかかるが形態変化なら問題なく機能する。影分身も同じくだ。

 そう言う訳でこのひと月で数年分くらい身体の動かし方と動体視力、チャクラのコントロールを学んだ彼女は相手がよっぽど格上だったり幻術や道具を駆使して戦うタイプだったりしない限りそうそう負ける事は無くなった。白眼も常に点穴を見切る事ができるように精度を上げ、日向流はともかく俺流の柔拳とちょっとした必殺技をいくつか覚えるに至った。具体的には北斗の拳の断迅拳は覚えたが破顔拳はまだ無理。ただし剛掌波ができるのでそれを薄く研いで身体の正中前面にある点穴に叩き込めばできるはずだからもう少しと言ったところだろうか。威力は高くないからちゃんと点穴を突かないとあまり意味がないのが珠に瑕か。

 そして彼女と向き合うサルケはどうやら原作通りに身体能力を高めて千鳥を会得したようだが、実戦でそれを使うとなると欠点が色々とありすぎるようで使えていない。そして写輪眼と体術の両方でスタミナを多く消費し続けているサルケは少しずつその動きを鈍らせてきていた。

 豪火球は剛掌波とエロ蝦蟇仙人からさわりだけ習った螺旋丸のなりそこないの合わせ技で散らされ、鳳仙火は日向柔拳の空掌で、手裏剣は途中で撃ち落とされるか受け止められ、体術はそれまでと変わらずあまり効果が見られない。しかし彼女も遠距離から攻めて来るサルケを相手にするには決め手に欠け、体術では負けないようにすることを重点的に学んできたため手足はほぼ潰すことに成功したが身体に致命的なダメージを入れることはできていない。このまま戦いが続けば間違いなくサルケのチャクラ切れで決着がつくとわかっているようでどっしりと構えて焦りを一切見せていないが、手がないことには違いない。さて、これからどうするのかね?

 

『稲荷寿司を作ると言うのはどうだ?』

 作ったところで九喇嘛が外に出れない以上食えないけどそれでもいいなら。

『否!儂がお前にチャクラを貸し、貸したチャクラで口を作れば味わえる!』

 それ最後には俺の腹に収めなくちゃならんだろ? 却下で。

『なら精神世界で作ればよいではないか!』

 イメージの力だけで精神世界を弄るのにどれだけチャクラが必要か知ってて言ってる?

『お前のチャクラからすれば芥子粒にも届かぬ量だろうが。けちけちせず使え』

 山葵をたっぷり効かせてやるから覚悟しやがれ。

『鬼ィ!!』

 違う。俺は人間だ。一応な。

 ……いや待て、逆に考えるんだ。外に出れないから味わえないと言うなら、外に出れるようにしてしまえばいいんだ。死んだ人間の魂を憑依させる穢土転生なんて言う術があるのだから、身体の中の尾獣の意識を適当な何かに憑依させる術くらい作れるだろう。一番いいのは……封印されてる当人の影分身か? この場合、俺のか。

 基本を影分身として俺の中にいる九喇嘛のチャクラで遠隔操作をできるようにして、前に読んだラノベのVRのような状態にすれば普通に出歩けそうだが……九喇嘛を普通に出歩かせたら常識とか全く知らないまま動き回りそうだから困るな。お揚げ上げるからおいでとか言われたらホイホイついていきそうだし。

『行くか!お前は儂を何だと思っとる!』

 お揚げ大好き九喇嘛さん。

『間違ってはいないが見知らぬ奴に出されたものなど食えるか!』

 はいデレ頂きました。じゃあ食事の時にはできるだけ出す方向で……あ、待て、食ったものはどうなるんだ? 影分身を消したらそこに消化しかけのどろどろしたものだけが残るとか最悪だぞ?

『じゃあチャクラで作ればいいだろうが』

 それなら精神世界でいいじゃねえか。それとチャクラで作ったものを精神世界でお前に食わせたらお前のチャクラ増えね?

『増える』

 正直だなおい……増えた分お前のチャクラの使用権をよこせ。交換な。

『交渉成立……そんじゃ今すぐくれ』

 一応言っとく。俺のチャクラはカロリー高いから太るぞ。

『チャクラにカロリー……?』

 

 そんなわけで俺のチャクラをやった代わりに九喇嘛のチャクラの永久使用権をゲット。これって確か忍界大戦編でやってたチャクラの綱引きみたいなもんだよな? なんか凄まじく平和的にチャクラのやり取りをすることになってんだがどうなってんだろうなこれは。

 




Q.チャクラにカロリーって本当にあるの?
A.あるわきゃない。単純に滅茶苦茶濃厚で重いだけ。

Q.これで尾獣モードになれますか?
A.なれるけどなる意味あんまりないんじゃないかな……?

Q.北斗神拳正統伝承者?
A.ラオウに見て盗めと言われた方に近いです。正統ではない。



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NARUTO~40

 

 side うずまきナルト

 

 原作において、開始の合図と言うのはいったいどちらを見た結果下されることになったのだろうか。一尾がinしたあいつが変身しそうになったから開始したのか、それともそれを破るだけの能力をサルケが見せたから開始したのか。恐らくサルケの方だと思いはするんだが、今回の試験では良い所なく終わってしまったから開始の合図を出していないんだろうか。

 ちなみにサルケは彼女がカウンター型だと言うことに気付いてこれ以上長引かせると逆転の一発を打つこともできなくなると言うあたりで一か八かで千鳥を使い、途中に張られた細いチャクラの糸に足を取られてずっこけて千鳥の手が自分に触れて痺れて負けた。まさかこの勝負の終わりがこんな風になるとはなぁ……。

 そしてサルケは今、シーツにくるまって人目を避けつつ泣いている。まあ、あんな負け方したらなぁ……そりゃ泣きたくもなるわな。流石の俺もこの状況でサルケの周りで影分身して反復横跳びしながらNDK(ねえ今どんな気持ち)? とは言えん。あの状況で自爆はなぁ……いや、実際にはサルケが自爆したんじゃなくて彼女がサルケを自爆させたんだけど、チャクラの糸とか普通見えないし、見える目を持っていてもあそこまで細く圧縮してたらこの距離じゃ見えないだろうしな。実際サルケも見えていなかったようだし、オカマ丸も呆れているようだから見えていなかったらしい。

 次はシノとカンザブロウの試合……のはずだったがカンザブロウが棄権。その次のテンリと□〇だが□〇は『めんどくせえ』と棄権しようとしたところで『ここで棄権した場合に起こりうる面倒事』を説明したらなんとか出場した。ナルトの開けた穴の代わりにサルケが千鳥で作った溝の影を利用して距離を伸ばして勝っていた。

 しかしその直後、いのとドスもいのが棄権してあっという間に俺の番になってしまった。なんでこいつらこんな棄権するの? いやまあわかるけど。本番の前に手の内晒すとか馬鹿のやることだもんな、わかるわかる。めんどくさいよな、わかる、めっちゃわかる。まず勝てない相手に絶対必要だという理由も無いのに向かっていくとかありえないよな、わかるわかる。

 ……と言うかなんでオカマ丸はさっさと開始の合図を出さないんだろうな? サルケの出来を見たいって目的は果たせただろうし、がらがらどんのあれは原作の砂の上忍の言葉を信じればそんな予定は無かったはずだ。となると……ああ、そういえば俺第二試験でオカマ丸殴り飛ばしてたな。それか。俺の力を一尾の人柱力とぶつけて量りたいから俺の試合がある程度進むまで待ってると、そう言うことか。それに確かまだサルケに呪印刻んでないはずだし、自分の力を見せつけても無いだろうし、このままやってもサルケが自分の所に来る事は無いとわかってるんだろう。だからまだ始めの合図を出せないわけだ。

 ここからどう転べばオカマ丸は自分の力をサルケに見せつけることができるだろうか。それを考えればオカマ丸がどう動くかもわかるかもしれないが、俺にはそんな頭は無いからな。わからないならわかる範囲でなんとかしなきゃならん。できるかどうかはまだわからんが。

 どんな行動をするのかしっかり分かればその作戦を邪魔するか静観するかくらいは決められるんだが……とりあえず三代目の爺さんを殺しに来ることだけは確かだろう。最期くらいは看取りたい。あと暗部だが、結界で封じられた時屋根抜けば普通に入れると思うんだが何故それをしないのか不思議に思ってたんだ。まあ行っても邪魔にしかならなかっただろうけども。

 

 毎度行われるルール説明。ルールがないことがルールで、戦闘続行不可かどうかはこの特別上忍が務めると。そのあたりのルールは変わらないようだが、やっぱり俺はこいつらに警戒されている。俺は何もせんよ。襲うことも、助けることも。

 それと、一つ俺の技について大きな問題がある。俺の転生特典だったディープダイバー、無機物をすり抜ける技だが、コンクリとかは抜けられても地面は色々と生き物や腐葉土なんかがあるから抜けられないし、チャクラと言う生体エネルギーも抜けられない。つまり俺はこいつの砂に限らず忍術、特に土遁系の技はすり抜けられないと言う訳だ。まあすり抜けられないからと言ってぶち抜けないと言う訳じゃないけども。

 

 さて、死合開始と行こうじゃないか。

 




Q.NDKしないんですか?
A.あまりに可哀想なのでしません。

Q.チャクラすり抜けられないってことは術とか普通に食らう?
A.もちろん食らいます。と言うか石や岩及び鉱物以外はチャクラなしでも抜けられません。ただし効くとは言ってない。


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NARUTO~41

 

 side うずまきナルト

 

『そうあれかし』と叫んで斬れば、世界はするりと片付き申す。本当にそうであってくれれば一体どれだけ楽であったことだろう。この世界に転生してから本当によくそう思った。

 だが、そうあれかしと喉が潰れるまで叫んでも、あらゆるものを斬り捨てても、世界が俺の思う通りに片付いたことなど一度もない。人間社会ってのは何があろうとどこの世界でも面倒極まりないものだ。

 こいつ、がらがらどんの技は既に何度も見た。原作においてそれを止める技があることも知っている。ここに砂金は無いが、代わりとなる技術を俺は持っているし、十分に扱うことができる。

 

 久方振りにこいつを動かす。臙脂色のガラス質の結晶。重量は同体積の金の実に数百倍。粒子でありながら流体のように動かすことができ、そして金剛よりもなお固い。正式名称は自在法『マグネシア』。だがこの世界で再現するのであればこう言うべきだろう。『晶遁・魔愚寝死亜』。かっこ悪い? 同意見だ。それにそもそも俺のは『投擲物を自在に操ることができる』と言うように変えた元転生特典『IS・スローターアームズ』の効果によって投擲された無数の超重量の粒子を操っているだけだから自在法でも何でもないんだが。

 しかしがらがらどんの操る砂を真正面から受け止めることはできたし、それどころか押し返しすらしている。総量についてはこっちは気にする必要は無いし、そもそも俺の力でできたものを俺が操れないわけがない。マグネシアの結晶の上に座って浮かび上がり、がらがらどんを眺めながら使える砂をマグネシアの結晶の中に封印してから砂に染みついたチャクラを奪い取っていく。……これショ狸のか?

 

『いいや、あの小僧の……とも言えんか。混じり合っているようだから何とも言えん』

 混じってんのか。じゃあこれのチャクラを奪えばショ狸のチャクラを若干でも使えるようになると?

『混じっている量はかなり少ないからまともに使えるとは思うなよ。お前の精神世界の中に一尾の馬鹿が現れることもだ』

 いやあんな不眠症を強いる奴とか俺の中に存在させる気欠片も無いから。チャクラだけ絞る。寝てても起きてても五月蠅そうだしな。

 

 飛んでくる砂礫をマグネシアで防ぎながらこちらも同じような物を返す。しかし俺の場合は奪われる事は無いがあいつの場合は俺の方に向けてきた砂は大半が奪われるため攻撃に躊躇いが混じるようになった。今では瓢箪本体を除いた分のおよそ半分が俺の周囲でチャクラを抜かれ、マグネシアの結晶の中で漂っている。それはつまり攻撃力も防御力も半減したことを意味するわけだ。

 マグネシアで丸鋸を作って飛ばせば、砂の盾が攻撃を防ごうと動く。しかし砂よりはるかに重く、そして固いマグネシアの結晶体は砂の盾をがりがりと削り飛ばしていく。削った砂は当然マグネシアで受け止めてチャクラを抜いて封印していくが、やや焦り始めたようにも思える。これ以上砂を削られるとショ狸を外に出すための準備ができなくなる可能性もあるからだろうな。俺の知ったことじゃないが。

 こちらの攻撃で削られれば飛び散った分の砂を受け止め封印される。しかし攻撃すると攻撃に回した分の砂を丸々奪われてしまう。こうなればあちらさんはもう一つしかできる事は無いだろう。印を組み、瓢箪も砂に分解して砂の防壁を作り上げる。今まで以上に硬く硬く練り上げられた防壁の中で術を完成させる気だろうが、こっちもそれを待っていた。

 周囲に浮いている砂を封印したマグネシアを一か所に集めて結合させ、一つの大きな結晶にする。それに封印の術と札をくっつけてから布の中に作ったアンダーグラウンドサーチライトの中にしまい込んでその布をしまう。布には封印を入れた直後に砂の入ったマグネシアの結晶体の絵を浮かび上がらせておく。まあこれは仕込みの一つだ。

 

 そしてあちらさんがのんびりと準備をしている間にこっちも術の準備(偽)としてそこそこ大きい魔法陣を描き出すべく行動を始める。チャクラを使う術式としては明らかに成り立っていない、しかしチャクラ以外に何か別の力があれば成り立つかもしれないと思わせるような不思議で奇妙な魔法陣。さて、俺はこの一発で一体何人騙せるだろうな?

 




Q.布の絵で何を仕込んだの?
A.まだ秘密。(ヒント・エニグマ)

Q.結局魔法陣で何人騙したの?
A.少なくともここを見ている奴のうちヒナタを除く全員。


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NARUTO~42

 

 side 日向ヒナタ

 

 大殺界。そう名付けられているナルト君のあの技は、平たく言ってしまえばただの威圧だ。範囲を区切って殺気を振り撒き、その内側にいる存在に対して圧力を加える。今回はわかりやすく戦闘区域が区切られているから私たちに被害はこないけれど、もしもこれが本当の戦場だったら息が詰まってしまうほどの圧を受け続けることになっていただろう。

 それが無くてもナルト君は圧倒的に見える。臙脂色の水晶のようなものに砂を取り込んで封印することでどんどんと選択肢を減らし、どれだけやろうとも関係なく最後には勝てるだけの動きをしている。と言うかあの変な術式はどうしたの? 私ナルト君がこの一月の間そんな技の練習してたとか知らないよ? あとその技私と凄く相性悪そう。衝撃も何もかも取り込んで受け流しちゃうだろうし、流体だから斬撃打撃どちらも効果はなさそうだし、身体から離れてるから柔拳でチャクラを流し込んでも意味がなさそう。対処の仕方が思いつかない。どうしよう。

 そして場は動く。このままでは追いつめられる一方だと察した相手は新しい術の準備だと思われる砂の殻の中に閉じこもってしまった。それを見たナルト君は、突然火影様に顔を向けて問いかけた。

 

「三代目の爺さん!ちょいと広範囲かつ大威力の術使う予定なんだが被害ができるだけ抑えられる方角だけ教えてくれね? 教えてくれないならこのままやるけどその場合に出た被害について俺は責任取らんからな!」

「ほぅ……?」

「具体的にはどの程度の技なのです?」

「てめえには聞いてねえんだよ成り代わりオカマ野郎!風影の死体を放置した場所教えてさっさと音隠れに帰って糞して寝てろ!俺は知ってるんだぞ!お前初めてできた弟子が研究中に突然やってきたと思ったら『あそこから血が出て止まらない、私死んじゃうんですか? 助けて先生……』って言われて何とも言えない顔してナメクジ女に助け求めてたろ!そんな奴に聞く事は無い!」

「 」

「ぎ゛に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!???!???!?」

「アンコ、お前……」

「忘れろぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 一瞬にして会場全体が凍り付いた。風影様……ナルト君の言葉を信じるなら風影様を殺して成り代わったオカマらしいけれど、その人とその人の弟子の黒歴史を大観衆の前でぶちまけた。例え嘘でも被害があまりに大きすぎるし、そして恐らくその人の弟子だと思われる人の悲鳴と暴れる音が聞こえたから多分これは本当のこと……あれ? 第二試験の試験官の人……?

 

「あとお前エロ蝦蟇仙人の書いてた自作の小説の挿絵にキャラクターの特徴を抑えたままどっちも男にした男同士絡みの絵混ぜて精神的にぶち殺してたろ!知ってんだぞ!」

「 」

「それに三代目の秘密の書庫に忍び込んでたエロ蝦蟇仙人の姿を見つけて後をつけ、読んでた本に変化の術使って濃厚なホモ本にしてその反応楽しんでただろ!お前が変化解かなかったせいで次にあれ読んだ三代目の爺さんが鼻血じゃなくて吐血してたの知ってんだぞ!なんつー手段で木の葉崩し目論んでんだよ危うく最も情けない死因の火影が生まれるところだったんだぞこのカマ蛇野郎!」

「 」

「まてナルト!その話は儂に効く!」

「どうせお前音の里では自分の好みの奴に『私に抱かれると力が手に入るわよさあその身体を私に差し出しなさいゲヘヘヘヘヘベロムシャァ』って感じに食いまくってんだろ!?」

「待ちなさい私そんなことしてないわ!今はサスケ君一筋よ!」

「あいつの兄が欲しかったけど手に入らなかったからその代用品だろ!俺は知ってるんだぞ!暁の任務で移動してる時に後ろから襲い掛かったら反撃されて足腰立たなくされそうになったから暁から逃げ出したんだろ!知ってんだぞ!」

「何で知ってるのよ!?」

「はい自白したーカマ蛇野郎自白したー!ついでに自分が暁に居たことも風影じゃないことも自白したー!そんなんだから『一番下衆くて一番外道で一番厄介で一番人外染みてるくせに一番弱い三忍』とか言われるんだよ!」

「言われた覚えないわよ!?」

「メンタル面だよハゲ!」

「禿げてないわよ!」

「知ってんだぞ!お前禿げるのが嫌で自分の精神だけを他人の身体に乗り移らせて生きながらえてるんだろ!そんなふさふさがいいのか!他人はお前の毛根コレクションじゃないんだぞ!」

「身体を変えてるのも方法もあまり外れてはいないけど理由だけが余りにも違いすぎるわよ!」

「と言うか伝説の三忍ってこんなんばっかだよな!覗きセクハラなんでもござれのエロ小説家な自称仙人に実年齢五十超えてるくせに特殊な術で外見年齢誤魔化して賭けの借金を変化の術で踏み倒す常習犯な超絶若作りの博打狂と人体実験の挙句に他人の身体を自分の毛根のために乗っ取るオカマ野郎とか救えねぇわ!弟子におしべとめしべがどうこうって子供の作り方でも教えてから帰れ!」

「う゛に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!?!?!?!??!!!!!?」

「あとな!お前のキスマークが全身に広がって変態するようになるとか可哀想だろ!謝れ!あそこで今まさに黒歴史を暴露されたことによる心の痛みと興奮からくる呪印の暴走で変態しながら転げまわっている第二試験官に謝れ!」

 

 ああ、色々な意味で中忍試験が崩壊していく……。

 




Q.威圧してたの?
A.加減したはいますがやってます。ただし相手も慣れているようでスルーしていますが。

Q.えっちょっまって待って舞tte
A.アンコさんに10000000000000000000のダメージ!アンコさんが(社会的かつ精神的に)死んだ!この人でなし!


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NARUTO~43

 side うずまきナルト

 

 カマ蛇を煽り倒していたらなんか砂隠れの里の奴等の動きがおかしくなった。そりゃそうだ、風影の意志だと思って動いていたらその風影がとっくに殺されて成り代わられていたと知ったらそうもなる。

 しかしあれだな、オカマ丸って天然かボケだと思ってたんだがツッコミ属性なんだな。いや、ツッコミに見せかけて俺の言葉にいちいち反論しては自爆しているからある意味これも高度な……高度か? 実際に高度かどうかは知らんがボケかもしれん。少なくとも今は完全にギャグキャラ。

 だが準備をしているがらがらどんは止まらないし、木の葉崩しも止まらない。例え砂がこの瞬間に全部手を引いたとしても、これは既に砂の里全体が動いている一大作戦。止められるはずがない。

 だからこそ風影に扮したオカマ丸は開始の合図を出し、音隠と何も知らない砂隠れは同時に動き出す。この場にいる四人を除いて。

 

 ところで、俺の最強の術は影分身だと自負している。その理由としては……影分身の元が俺だからだ。

 影分身は傷を負ったり強い衝撃を与えられると消えてしまう。では、俺基準で強い衝撃と言うといったいどのくらいの威力になるか、そしてまだ獣形態だった頃の九喇嘛に咬まれても服しか破れず俺自身は無傷だったことを考えれば俺に傷を与えると言うことがどれだけ困難かはわかってくれることだろう。つまり、俺が俺だからこそ俺自身を増やす影分身が最強の忍術になりうると言うことだ。しかも影分身なのに寝るとチャクラが最大値まで高速で回復する不思議な現象も起きる。さらに増えた分にチャクラは引き継ぐ上に上限まで回復して無駄になった分は自動的に百豪の術に装填されて無駄にならない。それどころか百豪に装填された分まで影分身倍になって帰ってくるから凄いことになっている。これには九喇嘛も一時的狂気に陥るレベル。自傷癖引いて尻尾千切ろうとし始めたので殴って止めた。仕方ないね。なおそのことは九喇嘛は忘れてしまっているので思い出させないようにしている。俺は精神分析持ってないから殴るしかできんのだ。

 だが、そんな影分身ができると知られると色々と面倒なことになるのが目に見えている。正直、木の葉の裏のクソ共が何をしようと負ける気はしないが、本当に敵対することになったら文字通り全てを敵に回すことになるだろう。全てを敵に回したところで現状俺が負けるようなことは考えられないし、霧隠れの鬼人とお面ちゃんと言うアンカーがある以上そこにすぐさま転移することもできるのだから最悪でも死ぬ事は無いだろうが……面倒だ。手配書に顔も名前も載らないように一夜どころか一瞬で里の全てを焼き払いでもしない限りばれるだろう。そしてそこでばれなかったとしてもそこで九尾が出なければ俺が死んでないとわかってしまう。そんなことを考えんのも面倒だ。

 

「なあ、そこの馬鹿に八つ当たりしていいか? 殺したら中身出てくるだろうから殺しはしないからさ。な? な?」

 

 がらがらどんの籠った殻を叩いて作戦の中止を呼び掛けていた砂の忍がいたが、まあ俺には関係ないわな。幻術を使っている奴もいるようだし、ここももうすぐ戦場になるだろう。だから先にがらがらどんを叩いて砂の士気を挫く。三代目の爺さんはオカマ丸と一緒に屋根の上。屋根にはもう結界が張られ、中ではなんか話が行われているらしいから聞きに行きたいんだよな。

 まあ、答えが返ってこなくても関係ない。やる。

 

 動きを速めて五秒で書き上げた魔法陣に乗り、本来は欠片も必要ない詠唱を行う。ただし、元々の呪文にアレンジを加えた上で。

 

「『九天の闇を統べる獣、汝ら欠片の縁に従い、汝ら全ての力もて、我に更なる力を与えん』」

 

 まず魔力増幅。これは基本だ。そしてこの詠唱と魔法陣の合わせ技によって俺は世界そのものとも言える十尾、その欠片である一から九までの尾獣の力を一時的にこの身に宿すことができる。なお、設定上だけの話である。実際にはこの呪文にも魔法陣にもそんな効果は無いが、そう思わせるのが重要だ。何より考えてて楽しい。

 この呪文によって一気に増幅されたかのようにチャクラを変換しながら放出。俺のチャクラに加えて九喇嘛と一尾のそれを含めた禍々しいチャクラを九種類纏めて放出しているため、知っている奴からすれば間違いなく尾獣のチャクラを持ってきたと思うことだろう。魔法陣も光り輝いているし。

 そこから本番。印を組むのではなくただ両手を合わせ、そしてそこに放出していたチャクラを集束、圧縮して歪な形の剣を形成していく。

 

「『黄昏よりも暗き存在(もの)』」チャクラを集束させ始める。

「『血の流れよりも(あか)き存在』」圧縮は続けながら圧縮によってできた球体を手の中に収める。

「『時の流れに埋もれし偉大なる汝の名において』」圧縮はそのまま球体を柄状に形態変化。

「『我、ここに闇に誓わん』」圧縮先を手の中にあるように見える柄の根元から刀身が伸びていくように形態変化。

「『我等が前に立ち塞がりし全ての愚かなるものに』」黒々とした刀身が伸びていく。

「『我と汝が力もて』」刀身完成。

「『等しく滅びを与えんことを』」そして某黒化した騎士王の聖剣のように黒いチャクラを放出。

「『竜破斬(ドラグ・スレイブ)!』」そして思いっきり振り下ろせば、見事に防御をぶち抜き観客席を両断し地平線まで続く巨大な刀傷ができましたとさ。

 

 ……やっぱこれ使った感じ神滅斬(ラグナ・ブレード)だよな? それも完成版の大剣と未完成版の稲妻のような刀身のが混じり合ったやつ。

 

『儂に聞かれても知らん。ほれ、片腕片足切り落とされた霊媒が出てくるぞ』

 殺さないように中心は避けた甲斐があったわ。手足は凍らせてから封印して事が済んだら返してやる方向で行くか。

 




Q.竜破斬と言うより獣破斬では?
A.それギガスレイブでやるんで。

Q.片腕片足斬り落とされてるってやばくね?
A.ちゃんとくっつけて返すから大丈夫(震え声)


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NARUTO~44

 

 side うずまきナルト

 

 世界が死んだかのような静寂だ。まあ突然あんなのが飛んでったらそりゃ何事かと思うわ。わかる。そしてそこに刻まれた馬鹿でかい刀傷……もはや崖だが、そんなものが突然現れたらそりゃ驚く。当たり前だ、俺だって驚く。

 そんな中で俺がオカマ丸と会話していた分の時間で大分出て来ていたショ狸が……あれ、俺の目の前にマジで見覚えのないショタしかいないんだが。どういうことだ?

 

「ちくしょう……おれさまともあろうものがなんてなさけねえすがたに……!」

 

 あ、こいつまず間違いなくショ狸だわ。柔らかそうな尻尾ついてるし。まあ砂を操る能力とかチャクラ量とかそういうのは変わってないはずだから油断は禁物……(モフモフ)

 

「ふあっ!? お、おまえなんだ!? なんでおれさまのしっぽをさわってるんだ!?」

「おっといかん魅惑のモフモフに誘われてつい手が」

 

 切り落とされたがらがらどんの片腕と片足はもう拾った。そしてマグネシアに収めて時間ごと封印したから新鮮なままだ。本体の方は手足が切り落とされたままのはずなんだがショ狸は斬られても砂で形だけなら再生できるようで全く問題なく動こうとして俺が尻尾をモフってるせいで遠くに行けなくなっているようだ。

 

「ふざけるな!おれさまはすなのしゅかくだぞ!いちびのびじゅうなんだぞ!」

「あ、耳も狸なのな」

「きけよぉ!」

 

 すっげぇ柔らかい。これあれだ、ビーズクッションみたいなやつだ。ビーズの代わりに砂だがかなりサラサラのが詰まっててもっちもち。これはやばいな、九喇嘛のが傾国のモフモフだとすればこいつは魔性のモフモフだ。どっちが優れているとか劣っているとかそういう話じゃなく、単純に超がつくほど上質なモフモフの方向性が違うだけだ。

 

「やめろー!」

「五月蠅い気が散る。一瞬の油断が命取り」

「いままさにおまえゆだんしまくってるからな!? ころすぞくそがきぃ!」

「いや見た感じお前の方がガキだがな?」

「ちくしょーちくしょー!なんだかとってもちくしょー!!!」

 

「これが……私が恐れたあの化物……」

「これが……我愛羅に封印されてた化物……」

「これが……砂の切り札……」

 

 なんか砂忍三人が物凄い勢いで意気消沈している。まあ自分たちの切り札として見ていた存在がいきなり相手の手練手管で無力化されてたらそんな感じにもなるわな。

 だが俺には初めの転生で身に着けたこの技がある!そう、ナデホだ!撫でてポっと惚れられるやつではなく、撫でるとホッとしてくつろぐやつ。これを使うことで俺に撫でられた奴はなぜかなごんでしまい、俺の膝の上で昼寝なんかをする奴も出る! ショ狸みたいにな!

 

「これが……私が恐れたあの化物……」

「これが……我愛羅に封印されてた化物……」

「これが……砂の切り札……」

「むにゃむにゃ……くらまころすぅ……」

「寝てても物騒な奴だなお前は」

 

 と言うか仲悪いなお前ら。尻尾の数=強さじゃないってのは知ってるだろ?俺は九喇嘛相手だったら何百居ても一方的に殴り殺せるだろうが尻尾は無いぞ?

『いや儂最近お前の事人間どころかこの世界に生きる存在と認めてねぇから』

 単性生殖で生まれたチャクラ生命体がなんか言ってんな? あ、そうだそう言えばお前九喇嘛の陽の方だけなんだよな?

『そうだがそれがどうした』

 俺これからショ狸の陰の部分と陽の部分を分けて陰の方だけもらって陽の方返すことにするから、シェアハウスよろしく。

『ふざけんなァ!クソ狸なんぞと一緒に過ごせるか!』

 大丈夫だ。狸じゃなくてショタだから問題ない。

『問題しかねえだろ!と言うか今は儂もロリだぞ!? 問題だろ!?』

 大丈夫大丈夫、ちゃんと部屋は分けるから。と言うかお前の部屋居心地良いだろ? 似たようなのをかなり離れたところに作るから会いたくなければ会わないだろうし大声出しても聞こえない。思いっきり暴れても影響は出ないようになってるからな。

『……あいつ入れてると寝れなくなるぞ』

 逆に聞こう。あいつが俺に影響を与えようとして俺が何か変わると思うか? むしろあっちに影響が出て『ぼくはおひるねだいすきなおとこのこ、きょうもおひさまがぽかぽかできもちいいなぁ』とか言い出すようになると思わんのか。

『お前に影響を与えるとかまあ無いしお前の影響を受けてとりあえず寝るようになるのも納得した』

 そう言うことだ。これよりなんか適当に分けて暗い方だけもらう作戦を開始する。陽の方だけだったらこいつも少しはましに……なるか? なるだろ。なれ。

 では開始。

 




Q.尾獣二体入れて平気なの?
A.九体の複合を入れて平気な奴もいるし平気でしょ。多分。

Q.そんなに気持ちのいいモフモフなんですか?
A.とても気持ちのいいモフモフです。


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NARUTO~45

 

 side うずまきナルト

 

 ショ狸を半分手に入れた!

 自動で動く砂を手に入れた!

 なんかマグネシアにも応用できるのがわかったから今ある砂全部捨ててマグネシアにチャクラ染み込ませて使うことにした。多分これで威力上がる。あと普段使わないチャクラの使い道ができてよかった。服やら額当てやらに隠した数千Ptのマグネシアにチャクラを送り込み続けている。大丈夫、ちゃんと異空間にしまってあるから重くない。

 

『……なんだこいつにんげんじゃねぇ』

『諦めろ。儂はもう諦めた……身体がこんなになったのも諦めた……振り回されるの疲れた……』

『おいくらま、おまえ……』

『ツッコミは任せた。儂は暫く寝る』

『おいまてくらま!おれさまだけでこいつをなんとかするとかむりだ!』

『Zzz…』

『あっこのばかぎつねもうねてやがる!』

 うるせえもう寝ろ嫌なら寝かすぞ。

『ごめんなさいねます』

 よし寝ろ。

『はい、おやすみなさい』

 

 さて俺にショ狸を半分移したおかげかがらがらどんの状態は大分ましになった。しかし俺が斬り落とした腕と足はそのままだったので封印から引っ張り出してチャクラ糸で筋肉と筋肉、骨と骨、神経と神経と言った感じに綺麗に合わせてやった。手術とかめんどいがやらなきゃ死ぬからな。

 

「で、えーとそこの……刃牙さんだっけ? 悪いんだけどおたくの風影さん成り代わられて出された命令だから木の葉崩しの参加止めて来てくれない?」

「……」

「はよ行け砂の里に『刃牙は風影様の御意志であらせられるならばと服の下に亀甲縛りで大事な作戦に参加した』って噂を広めるぞ」

「やめろ」

「いいからはよ行け砂に埋もれて息苦しいのを風影にのしかかられて苦しいんだと脳内変換して恍惚としてたって噂の方がいいか」

「頼むからやめろ」

「ならはよ行け好物の高野豆腐は戻して自慰に使ってから食べてると砂の里で常識にされたいか」

「ヤメロォ!」

「どうせこの状態じゃ参加なんぞできんだろさっさと行け。どうせここにいても俺を止められやしねぇだろ。あとそっちの……カンゴロウだったっけか?」

「カンクロウじゃん!」

「あーそうそうカンザブロウな。悪いけど俺二音以下って特殊例を除いて他人の本名覚えられないから諦めるか自分はこう呼ばれたいって渾名考えといて。ともかくカンシロウとそっちの……テンリ?」

「テマリだ」

「テマルな」

「テマリだ」

「テマテマ」

「違うテマリだ」

「テマ子」

「誰だそれはテマリだ」

「テマ男」

「男になってるぞテマリだ」

「テマーリン」

「この星は青いが砂は黄色い。テマリだ」

「デナリ」

「銀貨じゃないテマリだ」

「テマちゃん」

「テマちゃ……やめろテマリだ」

「『四代目風影の娘さん』とどっちがいいか選んで?」

「…………テマちゃんでいい」

「よろしくテマちゃん。早速で悪いんだけどこのあとカンタロウと一緒に色々聞かれると思うから逃げない方がいいと思うよ。木の葉って基本糞だからね。尋問拷問何でもござれのスペシャリストが結構いるし、裏を牛耳るクソ野郎とかうちわ一族の崩壊にそいつが関わってると知っているけど木の葉のためって理由でそれを見過ごした無駄で何の中身も無い事しか言わないご意見番とか色々いるからまず俺んところの担当上忍あたりに話を通すといいよ」

「……お前、木の葉が嫌いか?」

「当然嫌いだ。多分こいつが砂の里を嫌っているのより遥かに嫌ってると思うね。悪いがこれ以上はノーコメントな」

 

 さて、欲しかった物は手に入れたしあとは見物か。あとついでに斬った跡もきれいに直しておいた方がいいだろう。なぁに賛ちゃんみたいに地味にすれば問題なく行ける。そして適当に土遁で直しておいたとか大規模な地殻変動が起きてちょうどいい形に地形が変更されたとかなんか直ったとかそれらしいことを言っておけば信じざるを得ないだろう。実際直ってるわけだし。

 あとついでにカブタックに真空飛び膝蹴りを叩き込んどこう。ちなみに俺の真空飛び膝蹴りは雷影の雷虐水平と同じようなもので風のチャクラを纏っているから刺さる。そして爆ぜる。敵は内側から腸をぶちまける羽目になる。と言ってもこの程度じゃまだ死なないんだろうけどな、こいつ。医療忍術の使い手で回復能力はクソ高かったはずだし、いつか身体を縦に真っ二つにされても何秒か以内ならくっつけられるようになるに違いない。プラナリアかな? 流石に頭が二つになって再生するまではいかないと思う……と言うか行かないでくれないと困るけども、結構な再生能力を持っているのも間違いではないしな。そう言う認識で行こう。カブタックな。

 




Q.どうやって守鶴を分けたの?
A.かつての一夏は触れられないものをぶった切る技をよく使っておったじゃろ?

Q.ちなみに封印は何封印?
A.物理封印術・握撃。握り潰すと封印できます。ただし、相手のサイズと頑丈さによって封印できるかどうかは変わってくる模様。

なおPtはペタトン、1Pt=1,000,000,000,000,000t=1千兆トン。


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NARUTO~46

 

 side うずまきナルト

 

 影分身を残して移動した場所は、三代目の爺さんが戦っている結界のすぐそば。まだ樹は出ていないが初代と二代目の姿は見えるのでそこそこ話は進んでいるらしい。

 

「貴様、化け狐のッ!?」

「少し黙れや小物。何もできないまま見ているだけの分際で喚くな鬱陶しい。この程度の結界こうやって指でつつけば簡単に穴開けられるってのにそれもしない役立たず。いや、しないんじゃなくてできないのか。だったらそれこそ無能ってこったな?」

 

 プスプスと結界に指を突きさして穴を開けながら返すと俺に驚愕の目が向けられる。いやこの程度ならできるだろ四赤陽陣じゃあるまいし。いや多分四赤陽陣とか六赤陽陣でも同じようなことできると思うけど。

 

「ならさっさと結界を開け!」

「なんで? お前火影レベルの争いに巻き込まれて何かできんの? 結界に守られてるのは木の葉の里の方だぞ? なにお前里を滅ぼしたいの? 開けようか? お前らが開けろと命令して上官に従った俺が開けてそれで木の葉が滅んだらお前らの責任な? と言うか屋根に穴開けて下から行けば? 触れた時に燃える結界だったら下から火が出てないってことはそこには結界が無いから通れるって事だろ? まあ入れたとしてもこの結界を破れない程度じゃ邪魔になるだけだろうけどさ」プスプスプスプス

 

 そのあたりの事を一切考えていなかったのか暗部の誰かさんは俺を呆然と見つめている。いや、普通考え付くだろこのくらい……頭固いな。

 

「おいコラそこのクソちび!なんでお前触って全然平気なんだ!私らがこの結界にどれだけ力割いてるのかわかってんのかアァン!?」

「たかが四紫炎陣だろうが!俺を止めたいなら最低限四赤陽陣持って出直して来やがれ!オラさっさと直さないと俺が通れる穴開けちまうぞ!」プスプスプスプスプスプスプスプス

「……ナルト君。悪いんだけれどそれをしたら木の葉を巻き込むわよ?」

「元から巻き込んでるようなもんだろ何言ってんだ。と言うか正直このくらいの穴が開いてれば入れるけどな。変化で小さくなれば余裕で」

「ナルト!来るでない!」

「入れるってだけで入らないから安心して戦ってくれや三代目の爺さん。ただ穴が開いてれば影分身くらいは送り込めるから初代の方は任せろーばりばり」

「やめろ!かなう相手では」

 

 ドスッ!ドスッ!

 

「オラッ!オラッ!自分の孫娘を博打狂にした張本人が!オラッ!あのナメクジ女今じゃ借金まみれで忍術を悪用しまくって各国の借金取りから逃げ回ってんだぞ!オラッ!責任取れ!オラッ!」

「……すまん」

「馬鹿な……自我は消したはずなのに!?」

「あ、もしかして殴って頭砕けた時に飛び出てきたこの苦無と札? 悪い破っちゃった」

「ちょっとぉ!?」

「あ、ごめん二代目の方もそんな感じになっちゃった」

「兄者……しばらくそこで大人しく殴られててくれ」

「扉間ぁ!?」

「一応言っとくがもしここで三代目の爺さんが死んだらお前の孫娘が火影になる可能性があるんだぞ!? 三代目の爺さんはエロ蝦蟇仙人を推したいかもしれないが絶対あのエロ蝦蟇仙人は断るだろうから同じ三忍として賭け狂いのくせに運も実力も無いあの女が選ばれる可能性があるんだ!どうしてくれる!?」

「……いや、ほんとすまん……大人しく殴られとく……すまん…………」

「ちょ、ナルト君、君……ええい『解』!」

 

 穢土転生が消えた。俺が持ってるのがなんかどこかで見たことのある男女の死体になってしまった。……あ、思い出した、これ今回の試験に参加してたけど予選でぼろ負けした二人の音忍じゃん。こいつら生贄にされてたのか……そっか。まあ来世があれば幸せに生きろよ。

 

「じゃ、影分身にできる援護はこのくらいだし、と言うか正直もうすぐ消えるからそこのオカマ丸との決着頑張ってな!」

「……ハハハ!うむ!助かったぞナルト!」

「生きて帰ったら動物性蛋白一切使わないこってりラーメン作ってやっからちゃんと帰ってきてなー……あと、結界の外に待機してる暗部だけどさ、下忍の俺でもこのくらいできんのに何もできずに見てるだけって本当に暗部? コスプレしただけとかそういうオチは無い? あってくれないとこの程度のこともできないくせに精鋭名乗ってるって木の葉のレベルが心配なんだけど……」

「本物じゃよ……暗殺集団じゃからの。正面戦闘が得意なものはあまり居らんのだ」

 

 つっかえ。マジつっかえ。辞めたらこの仕事?

 

「まあいいや。頑張れ爺さん。応援してるぞー」

 

 はい影分身消滅。そして俺は結界の外で戦いを見守るとしましょうかね。チャクラはまだまだあるが、この際に襲われたら困るからある程度以上残しておかんとな。

 




Q.ちなみに四紫炎陣と四赤陽陣の強度の差を教えて?
A.ティッシュの二枚重ねの一枚を水で濡らしてぐずぐずにした感じの強度のが四紫炎陣。しっかりと漉かれて密度が高い和紙が四赤陽陣。

Q.ところでナルトのチャクラは神樹のそれより多そうだけど元々全てのチャクラが神樹のだったらそれより多くなるわけないよね?
A.影分身で上限とその中身が増えまくった結果、いつの間にか元々の神樹のそれを越えました。ナルチカさんマジキチ。


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NARUTO~47

 

 side うずまきナルト

 

 どうやら三代目の爺さんはもう少し生きていけるらしい。ただし一気に大量のチャクラを使って無茶をしたせいで寿命は大分削れてしまったとか。あまり長いこと生きられないのはわかったし、今後の事を考えて五代目火影を選ぶって話になったんだが……なんで俺はここにいるんだろうな?

 

「なあ三代目の爺さん、なんで俺はここにいんの? 半ば以上尋問染みた取り調べにも素直に応じた上に直接殴ってきた奴以外怪我もしてないんだし帰ってよくね?」

「いや、すまんなナルト。もう少し聞きたいことがある。答えてくれるな?」

「答えられることなら。ちなみに竜破斬についてはよく知らん。九尾曰く『契約した尾獣がかつて放出して大気に残っているチャクラを一か所に集束して打ち出す技』って言ってたぞ。なんか嘘っぽいけど」

 

 俺が頼んでそう言うだけ言ってもらったから嘘ではないぞ。ただ事実と異なるってのは間違いない。んで多分聞きたい事ってのはこれに関することだろうし先に答えておく。

 

「そうか、九尾が……ではもう一つ。どうやってあれだけの力を手に入れた?」

「あー……うん、三代目の爺さんだけならともかくこいつらに教えたくはないね」

「真面目に答えんか!」

「うるせえ老害脳味噌取り出して猿のと交換するぞ」

「これナルト!」

「喧嘩売ってきたのはあっちからだから俺は謝らないし後悔もしない。そして明日あれは冷たくなってるだろうから引継ぎしといたほうがいい」

「……殺す、と?」

「いや? 勝手に『死ぬ』のさ」

 

 チャクラじゃなくて魔法系、と言うか呪術系で呪うんだけどな。指差しと邪視はもう使ってるし、名前については覚えられないからスルーするとしても……まあ明日には死ぬな、あれ。名前を覚えられたらそれこそ数分で殺して見せるんだが、できないことを言っても仕方ない。

 

「……できれば殺さんでくれんか? お前にとっては嫌いな相手かもしれんが、こ奴はこの里に必要なのじゃよ」

「だから俺が殺すんじゃないって言ってるだろうに……はいはいじゃあ忠告な。頭上注意。以上」

 

 ほっとけば間違いなく『偶然』落ちてきた建材に頭を砕かれて死んでただろうに、なんで俺がそういうのを言ってやらないとならんのだ。俺は基本人の生き死にには無関心だってのに。本来は三代目の爺さんも最期の雄姿を見るだけのつもりがなんか勝っちまってるし……原作通りオカマ丸の両腕は奪っていったし……物理的切断と呪印のコンボ強すぎ。

 あー面倒臭い。ここに俺を陥れたクソ野郎がいるってのも面倒臭い。今すぐこいつの初代細胞暴走させてやろうか? それとも致命傷負わせてから俺の万華鏡写輪眼の固有能力でチャクラ封じてそのまま死ぬまで放置するか?

 ああ、それと俺の万華鏡写輪眼の能力だが名前を『蛭子』と言うことにした。元々あるはずがない写輪眼から生まれた俺以外には本当に何の役にも立たない能力。だからこそ日本神話において役立たずとして捨てられた存在の名前を付けた。そして俺に使われることで『日子(ひるこ)』として太陽神の権能をも持つ存在へ……いやまあ俺のチャクラが化物通り越してマジキチってくらい多くないと使えないんだけどな?

 

『なら使えるだろう? よかったな』

『くらまぁ!こいつほんとうににんげんか!? おれらぜんいんあわせたよりちゃくらおおくね!?』

『それどころか六道の爺より多いぞ間違いなく』

『だよな? にんげんじゃないよな!?』

 うるせえ俺は人間だ夜通しモフるぞ。

 

「それとナルト……あの術は禁術とする。よいな?」

「別に構わんけどあれ自作の戦闘用の術の中では被害小さい方なんだけど」

「嘘じゃろマジか」

「マジマジ。正直あの砂の塊の中身殺さないように加減してた。ちなみに一番被害がでかそうなのは月を口寄せして地上に物理的に叩き付ける技ね。前に口寄せを練習しようとした時にふと思いついて月にマーキングのチャクラ伸ばしたら届いちゃってさ。呼ぶ?」

「やめよ……ああ胃が痛い……」

「俺が寿命以外で死んだら身体の中に残ったチャクラを使って自動で月が召喚されるから、俺を殺そうと思ってる奴がいたら辞めた方がいいと思うよ? 聞いてるかそこの暁のとあるメンバーを謀殺したおかげで輪廻眼の持ち主に木の葉を狙う理由を作らせたクソ無能。お前は無能だから知らないかもしれないが俺は知ってるぞ? お? 殺気だったな? 呼ぶ? 月呼んじゃう? 木の葉滅ぶけどやっちゃう? 俺の言葉を信じないでやってみる? いいよ? そもそもお前程度に殺されるつもりなんて欠片も無いし少なくとも俺だけは生き延びる自信あるし全く構わないよ? 別天神はかけられる前からかけられていると認識して幻術返しし続けていれば効果無いからな? かけられていないと思っているから効果を持つ幻術だからかけられてるとわかってればその程度だぞ? そもそも俺にそんなもん効くと思うなよ?」

「止めよナルト。……と言うかそれマジかの?」

「三代目の爺さんは優しすぎるからって排斥したかったんだろ。それでそもそもは親父が守ったとこだし守ってもいいかなと思ってた俺に木の葉を守る気失せさせた戦犯だけどな。一応言っとくな? 万が一にでもお前が火影を名乗ることになったらその時に何を相手していようと殺してやるから覚悟しろ。その眼の別天神もイザナギも絶対じゃねえってことを教えてやるよ。あと今こいつの服を剥げば気持ち悪い眼球がいくつも埋め込まれた腕が見れるからわかると思うぞ死ね」

「語尾に死ねは物騒じゃからやめよ」

「道半ば木の葉を守れずむしろ自分の行動の結果木の葉存続の道を絶たれてしまったことを自覚し、木の葉の里が滅亡するのを何もできないままに見せつけられてから死ね」

「結局最後死ねなんじゃな……ダンゾウ、後で話がある」

「あ、こいつの隠してる方の目の写輪眼は別天神って瞳力があって『まるで本人がそうしたいからそうしたと思わせながら自分の意思に従わせる催眠をかける』なんて能力があるから気をつけてな。一回使うと初代火影のチャクラでもない限り十年くらい使うことができなくなるそうだけど多分持ってるから今のうちに殺しといたほうがいいと思うよ」

 

 さて帰って異空間に入って寝るか。俺が外出する度に物が盗まれるからベッドすら置けないんだよな、俺の……まあ、一応家。秘密基地の方は万全だけど。

 




Q.ダンゾウはこれからどうなるの?
A.三代目様激おこぷんぷん丸。相談役達にも同じく。少なくとも権力は多少削られる事でしょう。

Q.ヒルコってなんかいなかったっけ?
A.サソリの傀儡。別物ですからお気になさらず。


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NARUTO~48

 

 side うずまきナルト

 

 酒と金と女。忍びの三禁とはその三つであり、身を崩す忍者と言うのは大抵その三つで駄目になると言うことらしい。とは言っても、戦場で死なないそこそこに実力のある忍者の話であって戦場で死ぬやつの方が多分はるかに多いんだろうがな。

 そして今まさにその三禁のうち三つとも破りまくろうとしているエロ蝦蟇仙人と一緒にいるわけだ。理由は……まあ何となく察せるが知らんと言うことにしておこう。察しているだけで確定しているわけでもないしな。

 

「ところで俺は何でエロ蝦蟇仙人と一緒に行かなきゃならんのだ?」

「なに、お前少々やりすぎだのォ……里の方もじゃが上層部相手に隠し事を暴いてなぎ倒したそうじゃねえか」

「あれ隠してたの? マジで? ふっつーに書庫にあったから普通に読んだんだけどな、報告書」

「……どこの書庫にあったやつだ?」

「暗部の情報保存室の隠し扉の機密文書保管庫の奥にさらに隠し棚があってその中に暗号化されて置いてあった」

「完全に隠したがっとるだろそれは……まあとにかく、そうやっていろいろ知っとる上に手を出そうとした奴らが全員変な仮面をかぶって暴れまわって処理されることになったからのォ。暫く里を離れて欲しいんだと」

「めんどくせぇ……ああそうだ、エロ蝦蟇仙人はこっちの方がいいんだっけか?」

 

 俺が女として生まれていた時のシミュレーション通りの姿に変化すると、エロ蝦蟇仙人の頬が緩んで鼻の下が伸びる。まったく、本当にこれはどうなんだろうな。木の葉の三忍って頭おかしいのしかいない気がするぞ? 俺が言えることじゃないが。

 

「まあ、探し物やらなにやらはエロ蝦蟇仙人に任せて俺は気楽にやりますかね」

「……一応聞いとくが、お前綱手の今の居場所とか知らんか?」

「短冊街」

「知っとんのかい!?」

「冗談だよ、流石に知らない。ただ賭け事が好きすぎることは知ってるから暫く離れてただろう賭け事の街に居ても不思議じゃないと思うがね」

「ちなみにナルト。お前、賭け事好きか」

「参加したくもないのに無理やり参加させられて負けたら金奪われて勝ったらイカサマ扱いで金だけじゃなく色々奪われそうになるようなもの誰が好きになるかよ。人によってルールに変更を加えたり俺だけ特別に払い戻しのレートが異様に低かったりしないんだったら見るだけ見るのは好きだがね」

「なんかすまん」

「謝るくらいならなんか適当な術でも教えてくれると嬉しいな?」(甘え声)

「よっしゃ何でも教えちゃるぞ!」

 

 このエロ蝦蟇仙人本当に大丈夫なのか不安になってくるな。まあこうしている間はいろいろと教えてくれるしありがたく受け取っとくとしようかね。

 しかし、教えてもらうにしても何教えてもらおうか。最近俺の中にショタが増えたせいで全自動晶遁バリアができるようになったのと、あと磁遁を若干やりやすくなった気がするくらいだから……まあこうなるか。

 

「螺旋丸はできる。性質変化もまあそれぞれできる。両方合わせるのもできる。でもこれにいくつか混ぜて血継限界属性の螺旋丸がどうしてもできない。なんとかならない?」

「すまんそれ儂も無理。と言うかいくつも指先に出して一つ一つの属性の螺旋丸に変える時点で無理」

「そっか。じゃあ最近塵遁ができるようになったんだが威力の加減が全く利かないのはなんとかならないかね?」

「すまん儂塵遁使えんからわからん。と言うかお前血継淘汰までできんのか……」

「鍛えたらできた。ちなみに生やすだけなら木遁もできる。ただ、自分の思う通りに形成したりとかはできないから本当にその場を森に変えるだけだけども」

「木遁まで……初代の細胞でも取り込んだのかの?」

「ちょっと考えて? 身体の中に自分以外の良い年したおっさんが我が物顔で居座ってるのどう思う? 俺は絶対嫌」

「儂も嫌じゃな……なるほど、していないと」

 

 まあそういうこったな。……しかしこれもわからないとなるとどうすっか……。

 よし、話でも聞きながら行くか。

 

「じゃあエロ蝦蟇仙人、俺の名前の元ネタになったっていう処女作について色々教えてくれね?」

「おっ……知っとるのか? あれはあまり、と言うか全然有名じゃないと思うんだがのォ」

「俺も自分の名前が出てなかったら無視してたと思うね。ちなみに前に買った本は一度読む前に俺が外出していたらその間に本棚ごと燃やされて無くなったからサインとかは無理だしいらんぞ」

 

 エロ蝦蟇仙人はがっはっはと機嫌よく笑いながら俺にその話をしてくれた。主人公の名はなると。ラーメンを食べながら適当に考えた名前だそうで俺の親父がそのキャラクターをとても気に入ったようで俺にそのキャラから名前が付けられたそうな。

 俺が諦めるのを諦めろ、か。かっこいいな。忍びは根性だと言っているが、根性は必要最低限でできる限り当人にとってどれだけ伸びるかは努力次第。こういう平穏な世界だったら……いや、ないな。夢想はまた今度だ。今は楽しいド根性忍伝でも見てるかね?

 




Q.今更だけどこのナルトが九尾抜かれたらどうなるの? やっぱ死ぬ?
A.献血したような気分になります。まず抜けるかどうかが不明。

Q.ちなみに外道魔像に鎖で抜かれそうになった場合どうなる?
A.鎖から逆に魔像のチャクラを吸い取って十尾の人柱力になる。その後十尾を体内で解体して尾獣たちに戻して放す。


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NARUTO~49

 

 side うずまきナルト

 

 エロ蝦蟇仙人は俺が男の時と女の時で対応が全く違う。だがどっちも俺だと認識した上でのことだから単に女好きなんだろう。まあ、自分で言うのもあれだが女の俺は美人だからな。目の保養にするくらいは問題ないんだが……エロい服を着てくれと要求してくんのはマジでやめろ。あれ寒いから俺はあまり好きじゃないんだよ。あと趣味が絶妙に古い。なんだよボディコンって俺今までそんなものリアルで着てる奴見たことないぞ? 確か漫画の中にだったら勝負服として着てる奴もいたような気がするけども、あれって確か俺の知ってる日本におけるバブル時代の……まあいいや。

 まあともかくそんなリクエストに応えて某ネギ色ボーカロイドのカラーバリエーション服とか仙人に合わせて修験者の服とか某異変を解決していく弾幕ゲームに出てきた白狼天狗の服とかを日替わりで変化しながら着ていったんだが、なかなか好評だ。ちなみに一度般若面で起こしたら悲鳴を上げられた。

 

「あの時は本当にビビったのォ……」

「伝説の三忍ともあろうものがあの程度で驚くとは思っていなかった。だが俺は謝らない」

「謝るくらいはしろ」

「ごめんなさい……許して、くれますか?」(甘え声)

「何でも許しちゃるわい!」

「ほんとそういう条件反射的な答え方直した方がいいと思う」

 

 そんなある意味いつも通りのやり取りを繰り返しながら進んでいく。しかし不思議だ。確かこの旅行と言うか旅ではサルケの兄のイガリとか言うのと霧隠の怪人が俺と会うはずなんだが、もしかして俺が木の葉で色々とやらかしすぎたせいかね? 色々と無茶をしたし、三代目の爺さんはかなり弱ったとはいえ生きてるし、ついでにオカマ丸は屍鬼封尽は受けてないが屍鬼封尽の持ってるあの刀を元にして作った術で腕を魂ごと切り落とされて燃やされた。これを治す方法って……マジで転生するしかないんじゃないか? あるいはどこかのクソ根暗野郎みたいに初代の細胞で義手でも作るとか。

 となるとこの旅での伝説の三忍総結集は無くなるのかもしれない。そして俺を捕らえようとする暁からの追手が増える可能性……と言うかペイン六道が来る可能性、あるよな?

 よし、それじゃああれだ、鬼人とお面ちゃんに成り代わっている俺を呼び寄せておこうか。それで大体なんとかなるはずだ。ついでに途中で怪人やペイン六道に会ったら端末を全部纏めて壊しておけばしばらく動けなくなるだろう。確かエロ蝦蟇仙人の死因はペイン六道によるものだったはずだから今ここで現れて殺されるのは困る。

 

「よぉしそれじゃああれだ、今日は口寄せでも教えてやるとしようかのォ。使えるか?」

「使えるっちゃ使えるけど契約相手が現状九尾と一尾しかいないから上手く使えない」

「そうかいそうk待て今なんてった?」

「口寄せはできないことも無い」

「その後」

「九尾と一尾しか契約してない」

「九尾はわかる!お前の腹の中にいるもんな? だが一尾ってどういうことだ!?」

「木の葉崩しで砂の忍びの一人が一尾の人柱力だったのは知ってると思うが、その人柱力から出てきた一尾が見た目完全に狸っぽいコスプレしたショタで、適当に相手してたらなんか気に入られたから契約した」

「聞いとらんのだが!?」

「今初めて言ったんだから当たり前だと思う。聞かれなかったから答えなかった」

「そういう大事なことはもっと早く言っとくべきじゃろうが!」

「……ああ、うん、ごめん俺十年以上も九尾と一緒にいて頭ん中で話とかする時もからかったりなんだりしてたせいでその同類って認識が強かったわ。最近はもう諦めたのか慣れたのかあんまりいい反応しなくなっちゃったんだけどさ」

「九尾に突っ込みさせとんのかお前は……」

 

『諦めたんだよ馬鹿野郎……守鶴、ほんと任せた』

『おいまて!ここはしょうぶできめるのがてっそくだろうがよ!?』

『ほれ』

『ぶべぇっ!?』

『儂の勝ち。じゃあ任せるぞ守鶴』

『ちくしょー!』

 

 子供かよ……ああ子供だったな少なくとも見た目は。

 

「で、口寄せがなんだって?」

「ああ、うむ、まあ、それを教えてやろうと言うことだったんだが……できると言うなら儂の契約している蝦蟇たちと契約してみんか?」

「……あ」

「どうした?」

「あーいやそのうーんなんと言うか……うん、やめとく」

 

 流石にこの世界にちー姉さんやらののちゃんやらを呼ぶのはどうかと思うし、なのちゃんだとこの世界魔力がないに等しいからかなり弱体化するし、口寄せしたら術式に割り込んでマジで来る可能性があるからやめておこう。俺と存在がある意味重なっている九喇嘛と一尾はなんとか選択的に呼べるようだが、それ以外はきつい。やめとくのが吉。

 ……何か別の機会に出番があればなんとかなるとは思うんだが……難しいかね?

 




Q.……え? 出んの? ブラッドウィンター出んの?
A.可能性は無くはない。だって愛に狂ったキチガイばかり。

Q.オカマ丸の腕、どうなった?
A.斬り飛ばされた後死神に食われました。ただし、三代目も同じ状態になり術を失いました。



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NARUTO~50

 

 side 日向ヒナタ

 

 よくわからないけれど、里が大きく動いた日だったと記憶している。ナルト君に言われて外出はしなかったけれど、代わりに時間を全部白眼の修行に回すことで沢山の情報が飛び込んできた。

 ナルト君が怒って相談役と暗部の責任者の首を挿げ替えさせたとか、そうしなければ木の葉を俺が滅ぼすぞと火影様を脅したとか、里を抜けたとか、本当に好き勝手言っている。もしもナルト君が本当に里を抜けていたらそれこそこの場所が今まで通りに回っているはずがない。自分に追手がつかないように自分の事を知っている存在ごと木の葉の里を物理的に消滅させてさっさと消えているだろう。その場合、一番に殺されるのは私かな? 多分そうだよね。有象無象として扱うことなく直接殺しに来てくれると思うけど、殺さないって選択肢は無いだろうから。

 その他にも、暗部の人が私を攫いにきたり、写輪眼を持つ人が里に入り込んでいたり、人と鮫を混ぜたような顔の人が木の葉の里の中で暴れまわったり、とても多くの事が起きているようだ。

 私にわかるのは、暗部の責任者はその権限を結構大きめに削られたこととその事が一般に知られてはいないこと。そして黒地に赤い雲の服装の写輪眼の人たちがナルト君を求めてここに来ていたと言うことと、ナルト君の変化二体がその二人を迎え撃って撤退させていたと言うことくらいだ。

 侵入と迎撃には誰も気付いていないようで、終わってから暗部が動くようなことも無かったけれど……なぜか私が一部始終を見ていたことをナルト君に気付かれてしまった。普通に見ていただけで手出しなんて全くしていないのに、いったいどうして気付かれたんだろう?

 

「それは俺が呪術師寄りの魔術使いで、特技が邪視と指差しの呪い及び呪詛返しだからだよ」

「! ……びっ、くりしたぁ……」

「そいつはすまんな、式神だ。白眼じゃ霊体は見えんらしいから結構使えるんだよ。問題は影分身と違って消えたところで情報共有はできないことと、情報を受け取るのに時間がかかるってことくらいだな。影分身より見つかりにくい分使い勝手はかなり悪い」

「そうなんだ……」

「そんなことよりチャーハン食おうぜ」

「わーいやったぁ」

 

 チャーハン美味しいよねチャーハン。シンプルに卵と葱を塩だけで味付けたチャーハンもおいしいし、小さく角切りにしたチャーシューを混ぜ込んでもおいしい。変わり種だとさっぱり目のスープに入れてお茶漬けみたいにして食べるのもいいし、と言うかもうほんと美味しすぎて大変。そして不思議と食べても食べても全然太らない……ちょっと太ったら全力で拳を振るうだけであっという間に100グラムくらい落ちるから全く問題ないし、ほんと私の身体ってどうなってるんだろう……?

 ちなみにそんな感じの事をサクラちゃんといのちゃんに相談したら凄くひきつった顔をされたから二回目からは何も言わないようにしている。ナルト君曰く『俺のちょっと素材が特殊な料理を食べ慣れると細胞が変質してより多くのカロリーを溜め込みやすくなるし溜め込んでも外見は変わりにくくなる。さらに溜め込んだカロリーを一度に使うことで出力を比例で上げられるような不思議な身体になるんだ』と言っていた。燃料を溜めるタンクが大きくなって、そして溜めた分の燃料を一度に使える量が多くなるって解釈している。大体あってるそうだ。

 まあそんなこんなで私は今日もおいしく修行をしている。日向一族である私の身体は近接肉弾戦に特化しているため身体の動かし方と使い方については日々試行錯誤を重ねているし、一応遠距離攻撃と言えなくもない空掌と空壁掌はそこそこに威力を上げることができている。ナルト君にヒントを貰ったチャクラ糸を使った点穴封じや私の身体を作り替えている細胞の超回復を利用した白眼の性能向上策、そして有視界範囲内における瞬身の術を利用した有情断迅拳。流石に最大距離に一瞬で移動してそこまでにいる敵全てに対して正確に秘孔を突くなんて真似はできないけれど、距離を制限すれば二人までなら確実にできる。実行した場合、相手は「痛ぇ……いて、いってれぼっ!?」のような奇妙な悲鳴を上げて内側から経絡系が暴走して内臓と筋骨を弾けさせて死ぬ。

 

「北斗神拳は使えるようになってきたか……じゃあジャギでも使える有能技である千手殺でも教えようか」

「破顔拳がまだ使えないんだけど……」

「あーあれ気当たりと点穴とを重ねないといけないから難しいよな。先にここの柔拳を応用できる技を覚えた方が効率良いと思うぞ。どうしてもって言うならまた影分身修行だな」

「あははは……よろしくお願いします、ナルト君」

 

 あれ、精神的に結構どころじゃなく辛いんだよね……頑張るけど。

 




Q.色々噂されていますがそれに準ずることをした覚えはありますか
A.ヒナタの考察はとても正確(やってないです)

Q.式神が見えないってどういうこと?
A.霊的存在である死神や魂が基本見えていなかったようなので式神も多分見えないんじゃないかなと。

Q.最近の欲望は?
A.オリジナルのうちはキャラ出してCV神谷浩史で「両の目をくり抜いてお前達に差し出そう」ってサスケに言わせてドン引きさせたい。


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NARUTO~51

 

 side うずまきナルト(再不斬モード)

 

 うー仕事仕事。

 俺はもちもちざぶざぶ、改め桃地再不斬(自分につけた偽名としてるからいけた。相変わらず俺が覚えられる範囲ってのがよくわからん)。元霧隠れの抜け忍だ。効果抜群以外効かないわけではないのでまあまずは落ち着いてほしい。

 俺が鬼人とお面ちゃんをぶっ殺した後、死体は綺麗に片づけて封印してからその存在を乗っ取った。ガトーカンパニーに居た全員を殺しつくして金を奪い、俺はひたすらに金を稼ぐ傭兵のような存在となって諸国を巡った。時々依頼料を踏み倒そうとする奴や俺を罠に嵌めてかけられた賞金を頂こうとする奴もいたが、当然全員それなりの対応をしてある。そんなことをしている間にどんどんとかけられている懸賞金が跳ね上がっていくが、現状俺に勝てる奴と戦った事は無い。と言うか俺と戦って勝てる奴ってこの世界のラスボス以外にいるのか? あの何でもできる女の他にいるか?

 まあともかくそんな感じで白に化けた俺と一緒に戦場を渡り歩き、様々な里の戦力をすり潰し、時に様々な里の忍具を奪い、術を奪い、ついでにちょいちょい人助けみたいなことをして過ごしていた。傭兵ってのは信用が大事だからな。俺を雇っておけば勝てるって思われれば一番いい。

 

 そしてある時俺から『使える傭兵として来てくれ』と言う要請が入ったと思ったら途中でうちわイラチと怪人サメ男が現れ、一戦やらかすことになった。イラチ相手には俺が、怪人サメ男には白を当てて暫く戦ったが、ちゃんとした写輪眼ってのはこんなにも面倒なもんだったんだな。特に万華鏡写輪眼は面倒だった。月読は刺そうとして刺せないで磔にしていた十字架から自力で脱出して並んでいる俺たちが集まってどんちゃん騒ぎにイラチを巻き込んでめっちゃ困惑させてやったが、問題は天照と須佐能乎だ。ピントを合わせただけでそこが燃えるとかなんなの? ブレイズ・オブ・グローリーで身体を炎に変えられなかったら酷いことになってたとこだ。まあ結局効かなかったが。

 そしてサメ男の方は滅茶苦茶頑丈。千本を刺しまくって文字通りにハリセンボンにしてやったにもかかわらず普通に回復してくるし、水遁の術の威力は高いしで嫌になる。まあ水遁は全部凍らせて氷遁の同名及びほぼ同効果の術として全部返してやったが、それでも生きている。どれだけ頑丈なんだあいつは……いや俺が言える台詞じゃないが。

 まあ水遁の千喰鮫を全部凍らせて氷遁の千喰鮫にして返した時の顔は見物だったな。チャクラを食ってより巨大になる? 知らんな死ね、とでも言わんばかりのあのカウンター。見事に決まった。何が凄いってそれでも生きている怪人サメ男だが。

 あとイラチは精密KI械の真似をして(レイ)の動きで嵌めてる途中でワンチャンとして補正切りしたらそこから一瞬で退避していった。あれは南斗も……失礼、なんとも凄い見切りだったな。万華鏡も見たし十分な結果だった。あと彼女が自宅から俺を眺めていたので手を振っておいた。

 

 さて、これから俺は国家問わずに戦力を擦り減らせていくかね。当然有名だったり強かったりする奴の死体は全部集めて封印しながら。穢土転生が捗る捗る。本来の術の使い方とはだいぶ違うらしいが、便利遣いはできるわな。

 と言うか、やってみたい実験があるんだよな。本人が死んだからこそ本人の魂を呼び寄せる穢土転生があるわけだが、もしも本人の身体を後から作って生きている状態でその本人の身体を生贄に穢土転生をした場合、それは一体どうなるのか。もしかしたらマジで黄泉返りの可能性があるわけだ。低いとは思うが。

 理想は十尾が復活できなくなる程度まで、あるいはあの樹が花を咲かせることができなくなる程度にまでチャクラを持つ存在をこの世界から減らすことだが、流石にそれは無理だろう。無理なら無理なりに無茶苦茶やらかすつもりだが、やらかしたところでどうにかなるもんじゃない。世界ごと滅ぼす勢いでなければ無理だし、俺は世界を滅ぼしたら生活レベルが著しく下がるからあまりやりたくない。まったく、めんどくさいことだ。

 ……あ、そうだ。月って十尾の抜け殻封印してるんだよな? あれ取り込んだら十尾の人柱力もどきになれたりせんかね?

 

『やめとけ。抜け殻だけだとお前のチャクラを吸い尽くされ……いや、なんでもない。いける』

『おまえちゃくらのりょうはやばいからな。たぶんいけるとおもうぞ』

 マジかよ九割九分九厘九毛冗談だったのに。これはマジでやってみるしかねえな。

 

 




Q.何やってんのお前さん
A.金稼ぎ。そして情報集め。

Q.十尾……吸収すんの?
A.するかも?


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NARUTO~52

 

 side うずまきナルト

 

 今日はチャイナ風の拳法着で過ごすことにしたが、なんで俺のイメージで一番に出てきたのがドラクエⅢの女武闘家のあれなんだろうな。まあ胸の龍と書いてあるところが龍じゃなくて狐だったけどな。ちなみにこれが出てきた時俺の中に住んでる狸がガンガン不満漏らしていたがお揚げ5枚で買収された九喇嘛に九秒で鎮圧された。よわい(確信)。

 まあともかく本来ならエロ蝦蟇仙人がナルトに修行をつけている間にエロ蝦蟇仙人が情報を集めながら遊ぶはずだったが、俺は原作のナルトに比べて酷く優秀だったから修行にそこまで時間を取られない。ただ、情報収集に行く時にはコブ付きだと思われるとあれだからと別行動していたが、適当に作った異空間での修行が捗る。チャクラコントロールと形態変化、性質変化、そしてそれらを混ぜ合わせる修行を色々と数任せにやるわけだが、ついに一度に出す影分身が百兆出しても大丈夫になった。俺はいったいどこに行くんだろうな?

 それで修行しているものだからなんと螺旋丸に血継限界の性質変化を加えることに成功したし、どの属性であってもそれを飛ばすことが可能になった。木遁も生やすだけでなく多少の方向の操作くらいはできるようになった。木遁マジで難しい……なんぞこれ……。

 あと、普段は水遁を使う時にはその場に適当に水を出してから使うんだが、なしでやってみたらこれがまた結構難しい。できることはできるんだが威力が大分落ちるから、これを克服するためにいろいろやってみることにする。脳筋でできる修行って楽しいよな! ちなみに影分身で八門遁甲もやってみたが、死門を開けてみても力が増すだけで特に赤い蒸気とかは出なかった。どうもこれまともな人間だったら身体が異常に熱くなることで皮膚や血管などが焼け、血液が蒸発しているから起きることだったらしい。俺の場合例え体温が1500度にまで上がろうとも特に何ともないから出ないんだろう。ただし八門開いたら強くなる代わりに死ぬと言われているが、それは普通に起きた。通常は前述したとおりの熱で死ぬことが多いだろうし、それがなくとも動き回った時に身体にかかる負荷で死ねるし、それでも生き残ったとしても勢いよく流れていくチャクラに経絡系が耐え切れずに中から破裂するだろう。これは俺自身経絡系を鍛えねば……全力でチャクラを練っ……たら世界が崩壊するんだったな危ねえ。ともかく経絡を鍛えねば。一切放出することなくチャクラを練り続けて身体に溜め込めば内側からの圧に耐えられるようになるか?

 

 聞いてみた。

 

「……お前馬鹿か?」

「できるかなと思ってやったらできた。ただしやった結果予想外の被害が出たからその被害が出ないようにするにはどうすればいいか聞いてるだけだと言うのになんて酷い師匠だ……ナルコ、泣いちゃう!」(最後だけ甘え声)

「真顔でそれ言われてものォ……経絡系を鍛えると言うのは内臓を鍛えるのとそう変わらん。内臓なんぞ自分の意識で鍛えられるようなところではないし、そもそもそんなアホなこと考えた挙句に実行して成功させるとか、マジで意味わからん」

「むしろほぼノーリスクで使えるものを何故使おうとしないのか全く分からん」

「普通は影分身にやらせても攻撃した時の反作用でダメージを受けて消えるんじゃがのォ……」

「だったら余計に数出して死門開いて一撃限りの砲弾みたいに使うのが正解じゃね?」

「移動の反作用でもダメージ受けるから無理だ。と言うかなんでお前はそれができてるのか本当に不思議で仕方ない」

 

 んなもん反作用でダメージ受けない程度に身体が頑丈だからに決まってると思うんだがね。と言うかそれ以外にダメージ受けない方法ってある? 元々物理無効の種族であるとかそのぐらいしかないと思うけども? 受ける傍から回復するってのは受けないわけじゃないし。

 ……そうだ、今度八門遁甲を影分身にやらせた時には朝孔雀、昼虎、夕象の練習をしてみよう。夜ガイは……ちょっとな。うん。あれ要するに力を溜めてから放つ全力の跳び蹴りだし。と言うか多分夕象って居合い拳とか無音拳とかで代用みたいなことできるだろうし、練習が必要そうなのって炎を飛ばさなくちゃならない朝孔雀と打ち出されてから圧縮されてある程度飛んでから解放され爆発が起こる昼虎だろう。まあ俺の場合門を開いた時に起きる青い汗による蒸気とか血液からできた赤い蒸気だとか緑の蒸気だとかは出ないからそういった色は出ないかもしれないけどな? ちょうど服も武闘家だし、次になんか出てきたらやってみるか。

 イラチとかな。出たらやってやるから覚悟しろ? そして死ね。

 




Q.どんな服着てんだよ
A.織斑一夏だった頃から『自分の身体じゃない』的な感覚があったため見せるのにあまり抵抗がないんです。

Q.……影分身+八門遁甲とかお前……オマエ……
A.百兆人に影分身してみんなで夜ガイ。世界崩壊待ったなし。


「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガイ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜ガ「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「夜「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「v「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y「y……

世界崩壊は近い。


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NARUTO~53

 

 side うずまきナルト

 

 よく考えてみたらこれ多分じゃなくまず間違いなく原作崩壊するわ。

 サルケは呪印を受けず、オカマ丸とまともに戦闘もせず、ナルトの成長速度を見て焦るようなこともない。なにしろ実技はアカデミー時代から俺の方が上だったしな。さらに今回イラチが木の葉の里に来たことを知ることもできず、よって今回の旅行の間に自分が弱いと思わされるようなこともなく、強さを求めるようなことはあってもそれがオカマ丸と繋がるようなことも無い。なにしろ俺が全部シャットアウトしてるからな。

 里抜けが起きるとしたらオカマ丸が懲りずに四人衆だか五人衆だかを木の葉に派遣して誘うあるいは拉致ることだが、それの対策に再不斬モード&白モードの俺を木の葉に送っている。まあサルケが里を抜けるような事は無かろう。多分。なお、再不斬と白には『世界最高のラーメンのために木の葉地鶏の鳥ガラと山の中に生える行者大蒜が欲しいから取ってくるようにと命令された、終わったら砂で岩塩買って、茶の国で山葵買って、雪の国で柑橘類買ってこい』と言う依頼を出されていることにしている。まあ、聞く方が力が抜ける依頼を出されていると言うことにするわけだな。

 となるとあとは……やっぱり三忍のナメクジ女の所かね? 腕生やすとか医療忍術じゃ絶対無理だと思うが再生忍術だったら可能かもしれないし、原作では火影を目指しているナルトとの関わりが無ければ受けていた可能性の方が高そうだし。

 あー……カブタック腹パンして終わらせたい……可能ならオカマ丸も腹パンして終わらせたい……ついでに写輪眼チラ見せして里抜けを俺の方に向けさせるのもありかもしれん……いや多分やらんけどね。だってそれもまた面倒臭そうだし。

 

 ……凄まじくどうでもいいこと思いついた。俺はよくオカマ丸をオカマ丸と呼ぶが、しかしオカマ丸がホモ丸あるいはゲイ丸なのかはわからない。ノー丸ではないと思うんだが、どんな相手がタイプなんだろうか。エロ蝦蟇仙人がタイプだけど敵だからと愛を押し隠して戦いに臨んでたりしたらそれを本に起こして薄い本の販売会場でそこそこの値段でうっぱらってやるところなんだが、まず間違いなくそれは無いだろうからな。それにエロ蝦蟇仙人はいまだにナメクジ女が大好きみたいだし、本にするんだったらそっちからの方がいいか? 俺にはホモォ好きな腐女子方の萌ポイントとかはわからんし、どんなキャラのどんなシチュが誰のどんな性癖に刺さるとかもよくわからんからまずはノーマルの方がいいと思う。

 

「なあエロ蝦蟇仙人。好きな相手居るか?」

「あん? 儂は可愛い女子はみぃんな好きだがのォ?」

「聞き方を変える。結婚し、結ばれ、子を成したいと思った相手はいるか?」

「……なぜそれを聞く?」

「これから会いに行く相手がそれで、その相手がオカマ野郎に協力しようとしてたら多分殺すだろう? 代わりに殺ってやろうかと」

「ガキがそんなこと気にせんでいい。そう言うのは大人の仕事だ」

「影分身修行のおかげで経験時間だったら間違いなくエロ蝦蟇仙人の千倍は生きてると思うがね。まあそう言うんだったらお任せするよ。別に俺は殺したいわけじゃないしさ」

「……お前、もしや殺し慣れているか?」

「相手が命を狙ってきていた時と、俺の命に届きかねないことをやらかしてきた相手は確実に殺すようにしているが、俺から殺したいと思って殺したことはこの世界に生まれて来てから一度も無い……うん、無い」

「なぜ今溜めた」

「ちゃんと無い事を確認していた」

 

 ちなみに白と鬼人は声を掛けたらこっちの命を取る気で動かれたから殺した。何も間違ったことは言っていないし嘘も言っていない。それに殺したい相手がいるからと言って即座に殺しに行くほど俺は向こう見ずじゃない。

 

「そういやエロ蝦蟇仙人。エロ蝦蟇仙人って口寄せする相手がいない状態で口寄せの術の印を組んでチャクラを込めた結果妙木山に行ってそこで修行してたって聞いたけどマジ?」

「お前……誰から聞いた?」

「オカマ丸」

「うっそだろお前」

「口寄せ交換日記で」

「うっそだろお前」

「ちなみにお互い丁寧語な」

「うっそだろお前」

「うっそだよ当然」

「どこから嘘だ」

「オカマ丸から聞いたってあたりから嘘」

「そうか……お前を殺さんですんでよかった」

「本当はオカマ丸の隠れアジトに残されてた日記を無断でコピーして読んだ」

「うっそだろお前」

「あ、目的地に着いたっぽいぞエロ蝦蟇仙人。こっからいつも通り別行動なんだよな? じゃあ俺のんびり観光してるから」

 

 さて観光観光。

 




Q.え、最後のマジで?
A.嘘です。

Q.ところでオカマ丸はホモ丸あるいはゲイ丸設定ですか?
A.この世界では『可愛い子が好き、ちょっと歪んでるけどまっすぐ進む子が好き』と言う設定。……ん? ナルト……どストライク?


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NARUTO~54

本日十六時二十分ごろ、予約投稿をミスって少し先の話を上げてしまいましたことをここにお詫び申し上げます。


 

 side うずまきナルト

 

 俺には色々と貸しを作った相手がいる。例えば砂の国の風影の子息三人は、がらがらどんの中にいるショ狸を大人しくさせ、多少眠れるようにした結果大分精神的に安定するようにしたら大分喜んで恩に着てくれたし、特にがらがらどん本人は俺が似たような存在であるからと仲間意識のようなものが芽生えもしているようだ。俺は仲間意識と呼べそうなものは感じていないが、まああっちがどう思っていようと止めるようなことではないから構わないと流している。

 それから三代目の爺さんだが、オカマ丸の時に初代と二代目の火影を何とかしたことで恩を着せた。腕だけ千眼の邪教神は多分恨んでるが知ったことじゃないし、実際に俺を殺す命を受けただろうと思われる奴を何十か始末しているが、それこそ知ったことじゃない。殺しに来た奴は殺し返すさ。まったく、無駄に戦力を擦り減らすとはいったい何を考えてこんなことをしているんだろうな?

 まあ何でもいい、どうせ滅ぶ里だ。滅んでから生き延びたやつを殺していくようなことはするつもりはないが、滅びを止めるつもりもない。面倒だしな。

 

 まあともかく、色々あったが短冊街に到着した。ちなみにこの情報を得た時にエロ蝦蟇仙人は『お前本当は知っとったんじゃなかろうな』なんてことを言っていたが、時間的にその時には別の場所にいただろうからさっさと来ていたとしても意味は無いと思うぞと返すと黙った。あと、なんか近くにオカマの気配があるが……このオカマの気配の持ち主がオカマ丸かどうかはわからん。ただの無害なオカマかもしれないし、有害ではあるが危険ではないオカマかもしれない。一番確率高いのは米を炊くお釜の気配だな。生きているお釜なんてものが存在しているのだったらの話だが。

 まあ冗談は置いといて、やっぱりオカマ丸かね。ここで会ったらどうなるか……やっぱりナメクジ女の想い人と弟を生き返らせるとか何とか言って腕の治療を願っているんだろうか。例えそれを実行したとして、生贄は誰にするんだろうか。正直俺には何もわからん。ただ、このまま行ったらまず間違いなくエロ蝦蟇仙人と付き人あたりが生贄になると思うが……それを止めるべきか否かでも色々考えなければいけない。面倒臭い。

 

 逆に考えろ。面倒臭くない生き方をするにはどうすればいいか。食事は自力でどうとでもなる。風呂だのなんだのは自分の身体を炎に変えてやれば垢やら汚れやらはきれいさっぱり消えるだろうし、なんて考えても正直俺は寝ながらなら死んでも全く構わない。

 

『いやいや構え。それは構え。少なくとも儂は困るぞそれ』

『そうだそうだー!それにおまえがしんだらまずまちがいなくふういんしていたちゃくらとからだにのこったちゃくらがぼうそうしてたいへんなことになるぞー!しぬなー!』

『と言うかお前ほどチャクラを持ってたらなにも食わないでもチャクラだけで生きていけるだろうし、死を望まないまま肉体のみが滅びれば儂らとは違う在り方の尾獣になる可能性すらあるな。なにしろ儂ら全員集めたよりも明らかにチャクラの量が多い』

『つまりおまえはおれさまのおとうとになるってことだな!あきらめていきろ!』

 マジかよこいつらの弟とかマジ勘弁。あと残念ながら俺の強さは肉体に依存している分と魂に依存している分で分けられるから肉体を失ったらかなり弱体化すると思うぞ。なにしろ完全なチャクラ体になるんだから、チャクラを斬る術とかには間違いなく弱くなる。そんな状態で存在し続けたらまた人間にいろいろと利用されることになるんだろうな。ほんと、この世界は面倒臭い。

 

 ……ん? 待て、なんで面倒臭い? どこの世界も似たようなもののはずだ。だがこの世界ではいくらチャクラ量が多くとも様々な方法でそれをひっくり返されてしまう。何故だ?

 そうだ、もしもこの世界でチャクラを有する存在が尾獣だけであったのならば、人間は尾獣を封印するだの利用するだのと言ったことは考えられなかったはずだ。ではなぜ今の世界では尾獣が利用されているのか。

 そう、人間にチャクラなんてものがあるからだ。そのせいで色々と俺が面倒な目にあっているんだ。

 チャクラが無ければこの世界もまともな化学世界に移行することになるだろう。科学の力のみで尾獣を封印できるとは思わないが、しっかりと進めば十分に撃退はできるだろう。まあ、それ以前に四尾とか九尾と言った人間に対して敵対的な存在に人間たちが滅ぼされなければの話だが。

 

 よし、まあ目指すべきところは見えた。頑張ってみるとしようか。




Q.マジで死んだら尾獣化すんの?
A.設定上そうです。

Q.何を目指すの?
A.月の目計画の乗っ取りですかね?


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NARUTO~55

 

 side うずまきナルト

 

 実験の結果、俺が死ぬとマジで俺が尾獣のようなチャクラ生命体になることが分かった。これはサテライト30で文字通り増えた俺を殺してみたことで分かったことなんだが、殺す場所をちゃんと隔離した世界にしておいて本当に良かった。世界が丸々一つ内側から破裂して吹っ飛びかけたが、暴発しないようにちゃんと制御はできたからな。ただし被害は出た。仕方ないね。

 ちなみにそうしてできた新しい尾獣は今俺の中に封印と言う形で同居したと思ったら元が同じ存在なせいか完全に溶け合って封印が必要なくなってしまった。サイズは九尾達よりはるかにでかいらしく、月に封印されている十尾の肉体よりよほど大きかったとか。

 あと、チャクラを純粋なチャクラにしたからか得意属性は無いようだが、もう一人、今度は風の性質のチャクラにして吸収したら風の性質変化をしやすくなった。調子に乗って色々と組み合わせながら様々な属性のチャクラにして吸収したら、ようやく木遁の術をかなり自由に使えるようになった。万歳。これで影分身じゃなく木遁分身を使って色々できるようになった。感無量だ。

 

『マジキチぃ……』

『あたまおかしいだろこのにんげ……にん、げん? ……にんげんってなんだったっけか?』

『蹂躙すべきザコ』

『ちーっすじゅうりんすべきざこにあやつられたあげくまっぷたつにわけられてふういんされたくらまさーん!』

『貴様を殺す』

『えっちょっとまってやばいそれはやばいしぬしぬしぬしnぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 うるせえケツに長さ30直径12の張り型突っ込んでベルトで止めるぞボケども。

『『やめてくださいしんでしまいます』』

 

 まあ実際の所このくらいでこいつらが死ぬとは思えないし大丈夫だろう。大丈夫じゃなかった時? 知らん。チャクラ生命体なんだからバラバラにされても戻れるだろ、多分。実際俺はできたようだし。

 あ、そう言えば三代目の爺さんにラーメン作るって言ってたのにまだ作ってねえや。この旅で材料とか集めておこう。未だに俺が木の葉の里で買い物しようとすると高くつくからな。塩10gで20両とかボッタクリってレベルじゃない。中世における塩の取れない内陸より酷い値段だ。その値段を聞いてから俺は買い物をしないようになったしな。

 

「のうナルト」

「なんだいエロ蝦蟇仙人」

「おぬし、確か血継限界の螺旋丸はできぬとか言っとらんかったか?」

「言ってたけど暫く練習したらできるようになった。塵遁螺旋丸やばい触れたら消滅するとかやばい」

「血継淘汰じゃねえか……え、できんの? なんで?」

「結局属性を混ぜればできるんだから感覚でちょこちょこ変えていけば何となく割合がわかるようになるからその割合のまま量を増やせばできるようになる。エロ蝦蟇仙人もやってみたらどうだ? 三代目の爺さんの水晶玉を使った監視術とかできるようになるけど」

「何に使えと」

「まあ、覗きには見つかるか見つからないかと言うスリルが必要だって言うなら使う機会は真面目な時に限定されるだろうが、真面目な時でも結界が張ってなければ大体の場所を一方的に覗けるから結構便利だぞ」

「……ほー……」

 

 はいここでにやけて緩んだだらしない顔をしているのが天下の三忍の一人である地雷野郎です。多分同じ三忍のナメクジ女の裸でも思い浮かべてるんだろうが、俺は止めんぞ。これ下手な奴がやると視線がなんとなくわかるからな。巻き込まれたら困るからできれば離れたところでやってくれや。

 ……ついでに上手いことやるとそうやって覗いている映像に別の物を映せたりするんだが、もし俺の近くでやろうもんなら鼻歌歌いながら上機嫌でシャワーを浴びるオカマ丸の映像でも映してやろうかね。血反吐ぶちまけて悶え苦しむんじゃねえか? あの時の三代目の爺さんの時みたいに。

 あとは……白君の映像とか見せられたらどうなるんだろうなこのエロ蝦蟇仙人。一瞬マジで期待して、それから一緒に風呂に入っている再不斬を見て現実を理解して暫く覗きとかやめようと……自分で言っててないなと思った。覗きのショックは覗きで癒すタイプだもんな、エロ蝦蟇仙人は。

 それと、塵遁螺旋丸はやばいと言ったが螺旋丸以外も含めた俺の使える術の中で本当に一番やばいのは血継網羅の求道螺旋丸な。あれ他の術とかで防御できないし、求道玉が元だから俺の思考でかなり自由に動かせるしで相当やばい。なにより螺旋丸と言う術の性質上存在し続けているかぎりチャクラの回転速度が上がっていくから威力がどんどん上がっていくのが本当にやばい。

 

 ……と言っても、そういった術の殆どは俺が殴ると威力負けして解けるんだけどな。

 




Q.ついに使えるようになっちゃったか……。
A.ついに使えるようになっちゃいました。

Q.その おしおきは やばい
A.いやなら やめろ あほめ


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NARUTO~56

 

 side うずまきナルト

 

 月に封印されているはずの十尾の抜け殻が、無い!そう言えば外道魔像って十尾の抜け殻だったなと思いだしたが、あれが無いと俺が十尾の人柱力になれないじゃないか!せっかく話全体をめっちゃくちゃにしてやろうと思ったってのに。

 まあ嘆いたところで無い物は無い。仕方ないので自作することにした。

 

『待てその理屈はおかしい』

 何が。

『十尾の抜け殻が無いから作ろうって発想そのものが頭おかしい』

 大丈夫だ、ちゃんと中身入りで作るから。

『何一つ大丈夫じゃないと思うんだがそれは儂だけではないと信じたい』

『おまえとおなじってのはむしょうにあたまにくるがどういけんだぞ、ばかぎつね』

『じゃあ儂はなんかもうナルトだから大丈夫だと思うことにする。クソ狸なんぞと同じ意見でいられるか』

『おまえそれいいだしたらせんそうだろうがよぉ!』

『上等だ、表に出やがれ』

 出さねえからな。そしてくらえ。

『『お゛ぉ゛ん゛っ!!?』』

 

 有言実行、そう言うことでケツに長さ30cm直径12cmの張型ぶち込んでベルトで止めてやった。暫く開発されてろアホ共。ちなみにウィンウィン音立てながらくねるから楽しむといい。

 

『楽しめるかっ、ぐぅぅっ!?』

『おに、おにっ!きちくっ!みためとしはもいかないこどもにこんにゃことしてたのしいのかっ!どへんたいっ!』

 よーしド変態な俺は色々装備を追加しちゃおっかなー?

『ごめんなさいっ!ゆるしてくだ、ひぎぃっ!!?』

 

 まあ流石にこれ以上やるのはあれだから追加はせんがな。今回は10分だけで許してやろう。

 さて、ルールを決めよう。俺の中での私闘は厳禁。やるんだったら実力行使ではなくカードやらスマブラやらのゲームで決着をつけること。それが守れない奴は今やってるそれを当人のケツがギリギリ裂けないサイズで行います。回数や程度によって時間は変わるが最低五分、長いと……まあ、飯とか食う訳じゃないし半年とかでいいか。出す物無いもんな。

 あと勝負の際には俺に言えばそれなりの物を出してやるからそれでやること。時間が無ければじゃんけんでもいいぞ。わかったな? わからなかったらもっかい喰らうだけだからまあ別に構わないが、嫌ならちゃんと守れよ。

 

 ……俺何やってんだろうな。いやほんと、何やってるんだろうな、俺。なんで尾獣のケツを開発してるんだろう……意味が解らない。本当に意味が解らない。精神世界だから殺しても死なないってのはわかってるんだが、それだと罰になってくれないから、かね。あーやだやだ。

 そうしている間に異空間に十尾……天目一箇だとか一本だたらとかダイダラボッチだとか呼ばれている奴の完全版の死体を作って即座に甦らせ、体内に封印。そうしたら目が自動で輪廻眼になった上に第三の目が開いたが叩いたら直った。もとからあった眼は輪廻写輪眼になって便利だが、使う時は来るんだろうか。来たとしても炬燵でダラダラしててリモコンに手が届かない時に万象天引で持ってくるとかそんな感じの使い方になる気がする。こっちも叩いたら直った。流石に自分で自分の眼球叩くのは少し痛い。他の奴なら大抵の場合眼球の方が頑丈だから何ともないんだが……自分だからな。

 時間になったので九喇嘛とショ狸のケツの張型を引っこ抜く。なんかショ狸の方がやばい痙攣しているように見えるがきっと気のせいだ。九喇嘛すら心配そうな目で見ているようにも見えるがそれもきっと気のせいだ。ビクンビクンしている。

 まさかとは思うが、癖になったりして無いよな? 流石にそれは困る。いやまあ確かに俺は一度戦った高慢なお嬢様をあっという間にドM豚に堕としたこともあるが、流石に今回のでそうはならないよな? ならないと言ってくれ。

 

『なっとったらどうする?』

 がらがらどんのと変えてくる。

『やめてやれ。流石に哀れだ』

『なってねえよ……なってたまるかよ……じんじんしてすげぇいたい』

 

 なってないらしい。よかったよかった実によかった。

 

 





Q.発想も頭もおかしい
A.知ってる。でもやる

Q.マジにブッ込んだの?
A.マジにブッ込みました

Q.で、封印された十尾はどうなってるの?
A.ナルトの中で大きな枝を広げ葉を繁らせています。ちゃんと完全体で作ったからね!平和なもんさ!


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NARUTO~57

 

 side うずまきナルト

 

 ナメクジ女を発見。オカマ丸も気配だけは発見。城が崩れているからどうやらもうすでに会合した後であるらしい。つまり一週間以内に腕を治すかどうかの返事をよこせと言われている状態のはずだ。そんな状態でよくもまあ酒なんぞ飲めるもんだな。

 居酒屋で飲んだくれてるこの女が伝説の三忍ねぇ……力はあるのかもしれんけど信用できんな。現状心折れてるみたいだし、結構簡単にふにゃふにゃ曲がりそうだ。

 

 ……これ口出した方がいいのかね? 面倒だが俺なりの関わり方となるとこれくらいしかできんし。

 

「エロ蝦蟇仙人」

「……せめてこいつの前でくらい蝦蟇仙人と呼んでくれんかの?」

「あー……真面目一辺倒な話の時ならな。で、俺の知ってる話聞く?」

「聞こうか」

「おい自来也、このガキは一体何なんだ?」

「どーも、木の葉隠れからエロ蝦蟇仙人に連れられてこんなところに来てしまいましたうずまきナルトです。男なのにこっちの方が好みだからとこうして女の姿をしてます。服もエロ蝦蟇仙人の趣味です」

「…………。おい自来也、表出ろ」

「違う!儂ではない!」

「木の葉をこの姿で歩いてたら声を掛けられ、その場を後にしようとしたら腕を掴まれました」

「おいコラナルト!お前誤解を加速させるようなことを言うな!」

「え? 何か俺嘘言った? 俺のこの格好が好みだから声をかけ、俺が去ろうとしたら腕掴んだよな? 服もボディコンだのバニーだのは却下したけどまあこれならってのをやってるからエロ蝦蟇仙人の趣味だろ? 何か間違ったこと言ってる?」

「シズネ、支払いとそのガキのお守りを頼む」

「待て!待て待て待て儂は確かにあの姿のナルトに声をかけたが腕を掴んで引き留めた理由はナルトの目に闇が見えたからだし、木の葉から連れ出したのもナルトが上層部相手に斬った張ったの大立ち回りをやらかして騒ぎになったのを収めるためだ!それ以外の理由なぞちょっと修行でもつけてやるかとかその程度しかない!本当だ!」

 

 ……まあそんなこと言っても店の外に引きずられていったら意味ないよね。あと耳摘ままれたらついて行かないと千切れるし。

 

「……なんか大変なことになってるね」

「大体君のせいなんですけどね?」

「え? オカマ丸に恋人と弟を生き返らせてやると言われて迷いまくってるあの人のせいじゃなく?」

「!? なぜそれを……?」

「何でも知ってるわけじゃあないが知ってることは知っている。ついでに」

 

 ズドォォン!!

 

 ……マジでおっぱじめやがった嘘だろおい。周りに被害が出ないようにしてほしいもんだが……望み薄かね? まあ稼げたから支払いは俺持ちでも大丈夫っちゃ大丈夫だが、できれば自分たちの分くらいは払ってもらいたいもんだね。特にエロ蝦蟇仙人は稼いでんだから。

 三忍で一番まともに稼いでいる奴の仕事がエロ小説書きとか、世も末だわ。そんなんだから彼女が剛掌波とか覚えちゃうんだよ。世紀末だから。

 

「……なんか始まったみたいだけど、どうしよう? オカマ丸なら殴って止められたけどあの二人も殴って止められると思う?」

「大蛇丸を殴って止められるならいけるんじゃないですか? 本当ならですけど」

「じゃあちょっと行ってくる」

 

 後ろでえっちょっと、とか慌てた声が聞こえるが聞かないふりをして外に出ると、目の前で片方が追いかけ、もう片方が逃げ回るという形の地獄絵図ができていた。有言実行、殴って止めようか。

 

 バトーワンデッサイダデステニーナギッペシペシナギッペシペシハァーンナギッハァーンテンショーヒャクレツナギッカクゴォナギッナギッナギッフゥハァナギッゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッカクゴーハァーテンショウヒャクレツケンナギッハアアアアキィーンホクトウジョウダンジンケンK.O.

 命を投げ捨てろナメクジ女。

 バトートゥーデッサイダデステニー セッカッコーハアアアアキィーン テーレッテーホクトウジョーハガンケンハァーン FATAL K.O.

 少しは懲りろエロ蝦蟇仙人。

 

 以上、終了。店の入り口近くでナメクジ女の付き人が凄い顔で俺を見てたが知らんな。とりあえず二人を同じ宿の同じ部屋の同じ布団の中に全裸で放り込んでおくか。そして起きた頃を見計らって俺が行くと。

 




Q.綱手からナルトへの認識は現状どんなもの?
A.自来也に変な服を着せられている奴

Q.明日の朝どうなる?
A.宿が粉砕してんじゃね?


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NARUTO~58

 
現状のナルトの他人への呼び名

カカシ→鼻毛カラシ
サクラ→猿野バクラ
サスケ→うちわサルケ
シカマル→奈良□〇
チョウジ→某ぽっちゃり
いの→山……田?いの
キバ→犬神キバ
シノ→油汗シノ
ヒナタ→『彼女』
リー→ロック・リー
ネジ→日向(ひむかい)ネジ
テンテン→テマテマ
我愛羅→がらがらどん
カンクロウ→カンタロウ、カンジロウ、カンザブロウなど
テマリ→テマちゃん
九喇嘛→九喇嘛、あるいは狐耳幼女など
守鶴→ショ狸、古狸
三代目火影→三代目の爺さん
大蛇丸→オカマ丸
カブト→カブタック
綱手→ナメクジ女
シズネ→シズさん
自来也→エロ蝦蟇仙人





 

 side うずまきナルト

 

 朝、エロ蝦蟇仙人の凄まじい絶叫で無理矢理起こされたが、まあこれは仕方ないので今回は何もしないでおく。それに俺が何もしないでも同じ絶叫で起こされたナメクジ女が制裁してくれるだろうしな。かなり五月蠅いし。

 

「あの、ナルト……ちゃん?」

「この格好の時はそれでいいけど男の時はできれば君でよろしく。で、なに?」

「あの……綱手様と自来也様を放っておいてよかったのかなと」

「巻き込まれに行きたいって言うなら止めはしないけど、どうする? 命が大事だったらむやみに突っ込んで行かない方がいいと思うね」

 

 あーあー荒れてる荒れてる。これじゃあ支払いとかできそうにないな。その前に修理代を支払う必要がありそうだが、多分エロ蝦蟇仙人以外は出せないだろうな。俺は出せないことも無いが出したらそれをどうやって手に入れたのかって問題が出てくる。何しろ元は波の国にいた世界有数の大金持ちから奪った金だ。探られると痛い。

 と言っても公的にはそれは霧隠れの鬼人がやったことになっているから俺の方に疑いが向く事は無いと思うが……まあ秘密は知っている人数が少なければ少ないほどばれにくいって言うしな。ここは一発適当に賭場でそこそこに儲けてくるか。あんまり多く儲けると出禁になったりお尋ね者になったりするから、時間をかけて勝ったり負けたりしながら少しずつ増やすとしよう。

 ……それを見てナメクジ女がどう思うかは知らん。賭けの熱がもっと熱くなるかもしれんが知ったことか。そもそも賭けってのは余裕があるときに嗜むものであって、全てを捨ててのめりこむようなものではない。だからそのあたり賭け好きな奴と話が合わないんだよな。賭けで破滅するんだったらそれはそれで構わないんだが、こっちまで巻き込まれるのは御免被る。

 

「ところで、オカマ丸って正確になんて言ってた? 俺が知ってるのは腕を治すことと引き換えに恋人と弟を生き返らせるってことと、腕が治ったら今度こそ木の葉を完全に潰すって話をされて、返答を待ってもらったけど期限は当日から数えて一週間、後六日ってことくらいなんだけど」

「ほぼ完全に理解してるじゃないですか。どこで聞いてたんです?」

「さあ? 聞いてなかったりするんじゃない? ……それはそうと、あの人オカマ丸の誘いは断るってことでいいんだよね?」

「当然です!綱手様があんな誘いに乗るはずがありません!」

「だよね。『火影は俺の夢だから』が口癖だった二人をあんだけ罵倒してたんだから当然未練なんて残ってないよね。『火影になりたがる奴なんて馬鹿しかいない』そうだし、そもそも『火影なんてクソ』らしいし。そうなると自分もそんなクソになんてなりたくないだろうから受けたりしないんだろうね」

「……ナルトちゃんはそれでいいんですか?」

「どうでもいい。やる気のない実力者を頭に据えても自分がどれだけ楽をするか、あるいは自分の仕事をどうやって他人に押し付けるかしか考えないだろうから不正の温床にしかならないと思うがね。俺の意見なんざ初めから聞かれる事は無いだろうから何も言ってない」

「……そうですか。昨日自来也様が言っていた言葉の意味が分かった気がします」

「俺の目に闇が見えた、ってやつだっけ? 普段は抑えてるんだがふと気を緩めるとついな。普段はあれでも流石は三忍と謳われるだけのことはあるってことかね? ……今生はともかく、次からは何かバレたらまずい隠し事をしなければいけない世界ではずっと目を閉じたまま生活することにすると今決めたわ」

「まるで死んだ先があるかのような口ぶりですね?」

「死んだ先があったから俺はこうしているんだがね?」

 

 ……あ、そうだ、ちょっと考え付いたわ。

 

「悪いんだけど、あのナメクジ女の弟さんが死んだのって何年何月何日のどこだかわかる? できるだけ正確にわかると嬉しいんだけど」

「は? えっと、いったい何のために……と言うかナメクジ女って……」

「まあまあいいからいいから、ほら教えて? 生贄なしで蘇らせて見せるからさ」

「……は?」

 




Q.死者蘇生とかできんの?
A.死んだ瞬間の身体を綺麗な状態で出して降霊術でなんとか?

Q.ナルトの歴代火影に対しての認識ってどんなもん?
A.一番偉大なことをした火影が初代。一番嫌いな火影が二代目。一番好きな火影が三代目。一番身近な火影が四代目。一番扱いやすい火影になるのが五代目。名乗りを上げた瞬間死んじゃったのが六代目になれなかった戦犯。一番面倒な火影が六代目。一番何考えてるのかわからなくなるのが七代目。なお、七代目はナルトではないものとする。


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NARUTO~59

 

 side うずまきナルト

 

 人間を蘇らせる方法。ただし、死んだことをなかったようにするのは不可。世界が一度死んだと思ったら死んだままにしておかないと修正力が無駄に仕事してもう一度殺しにきたりするからな。だから可能であれば本名、と言うか死ぬ前に使っていた名前はできるだけ使わない方がいい。

 練習としてうちわ一族を使おうかとも思ったが、それやったらそれこそ木の葉で戦争が起きると思ったのでやめておく。戦争とかめんどくさい。勝手にやって勝手に死ね。そう思っていても俺らも巻き込まれるからほんとやだ。

 

 まあともかくちょっとした次元連結システム……ではなく、時空間忍術の応用と言うことにして死んだ当時の状態の本人を作り、即座に修復。これはチャクラを使う治療ではなく俺固有の修復だから似たような技術で真似は出来ても同じことはまずできないだろう。

 そうして身体を完成させたら、本人の記憶をちゃんと残させるために魂を呼ばなくちゃならないんだが、屍鬼封尽をやっている魂は通常の場所とは違うところにあるのでひと手間加えることになる。別にそんなことないんだったら普通に降霊術なりなんなりで降ろしてやればいい。

 そして準備が整ったら魂として降ろした陰のチャクラの塊と同量の陽の性質変化を起こさせたチャクラを心臓に叩き込むと、息を吹き返す。

 

「そうして蘇らせてみたのがこちら、うちの親父です」

「はっはっは……まさか実験で蘇らせられるとは……」

「なに言ってんだ? できるってことはわかってたから実験じゃなくて確認だぞ? ちゃんと生贄を使わない方法でもできるって証明をしただけだ」

「普通出来ないんだけどね?」

「寿命で死んだ奴にはできないし、病死も怪しい。怪我とかならたぶん行けるけど俺が甦らせたいと思える相手じゃないとちょっとなぁ……」

「母さんは甦らせないのかい?」

「どこかの誰かさんを蘇らせるために屍鬼封尽の解術で腹掻っ捌いてなければこの場でやっても良かったんだけどね? 一応ナメクジ女が引きつけ起こさないように血が出ないようにやりはしたけどめっちゃ痛いからまた今度な?」

 

 しかしうずまき一族の祠みたいなところに置いてある面を被ってやらないといけないって話だったが、同じように作った面でも行けるのな。流石に大分痛かったけども。ちなみに武器だと通らなかったから手で裂いた。流石に痛い。

 

「まあともかくこんな感じでオカマ丸の術と違って生贄なしでも蘇らせることは可能です。完全に治ってるけど多分幻痛で腹が痛いからまた後でになるけども……俺と契約して五代目火影になってよ!」

「やろう!」

「やったねエロ蝦蟇仙人!火影になってくれるってさ!」

「その前にミナトが復活したなら五代目就任とかしなくてもいいんじゃないかのォ」

「やだなあエロ蝦蟇仙人冗談きついね。木の葉の連中が俺の術で蘇った存在を信じるわけないじゃないか。精々死ぬほどびっくりするくらいだよ」

 

 まあ普通驚く。俺だって驚く。しかしかなり外道とはいえ死者蘇生法がある世界でまだよかった。完全に死者蘇生の方法が存在しない世界だともっと作業が面倒になってくるからな。これが死者蘇生法が結構広まっている世界、例えばドラゴンクエストだったりすればこんな面倒な準備をしないでもザオリク一発で何とかなるんだが、そうでない世界、例えば鋼の錬金術師のような世界だとさらに手間が必要になる。まああの世界はあの世界で魂の存在が確立されている上に神と呼ばれる存在が死の国を治めていたりしないから楽な方なんだが、マジ物の死の世界とかがあると超絶面倒な手続きを踏まなければならなくなってしまう。まあ超古代の日本神話のように地上と死の世界が地続きで歩いて行ける上に管理者もいないような時代なら簡単なんだが、それだと普通に亡者のまま地上を出歩く奴も出てくるから死者蘇生に意味がない。役に立つような立たないような技術ばっかりうまくなるんだから……。

 ……ちなみにだが、俺が出した以上俺と敵対しようものなら消せる。そのことは説明しないでもわかっているだろう。この世界の忍術ってのは使用者の意志で簡単に消すことができる物ばかりだからな。当然わかっていることだろう。わかっているから聞いてこないのだろう。

 そして俺は復活させた後に消さないとは言っていない。ちゃんと仕事してほしいもんだね。

 




Q.死者蘇生とかNARUTOで出しちゃダメな奴じゃ……?
A.もうこの流れで100話まで書いちゃったから知らね。

Q.ちなみにこういった死者蘇生が面倒な世界って例えばどこ?
A.GS美神やら鬼灯の冷徹やらですね。あと神話におけるギリシャとか。


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NARUTO~60

 

 side うずまきナルト

 

 (本当は必要ないけれど)できる限り詳しく本人達の情報を貰い、(全く意味はないけれど)死んだ時間と場所を教えてもらい、(欠片も存在価値がない)陣を敷いて、(ごまかし以外の何物でもない)難しめなひふみの祓詞を同時に七個重ねて発音して意味を読み取れなくした上でそれぞれ速度を変えてリピートする。なお、ここまでやったすべての行為に意味などごまかし以外に何もない。そして今俺が放出している馬鹿みたいな量のチャクラにも意味はない。見様見真似で第三生門まで開いて捻出していると言ってあるが、まあ嘘っぱちだわな。このくらいなら普通に出せる。

 

『ちなみに万分どころか億分の一も使っとらんぞ』

『もはやばけものとおりこしてげてものだな』

 化物を通り越すと下手物になるのか……初めて知ったわ。多分そんなことを知ってる奴はお前だけだろうな。

『すごいだろう!おれさまをあがめてもいいんだぜ!』

『お前が適当に作った比較とか誰も知らねえよ馬鹿、と言われとるのだ』

『なんだとこのばかぎつね!』

『儂が言ったのではないわこのクソ狸!』

 同レベル乙。やっぱりこいつら精神的にはこの程度の年齢(ロリショタ)だわ。俺の名付けは正しかった。……いや、俺がそう名付けたからこう変わったのかもしれないが、まあどうでもいいな。

 

 さて術式の途中だが、少しずつ肉体が構成され始めている。陽遁チャクラで身体を作り、隠遁チャクラ体である魂を入れ、身体の始動に陽遁チャクラを叩き込めばいけるが、こうしてゆっくり作っていくのは面倒臭い。そして疲れる。ラーメン食べたい。三代目の爺さんにと作ったラーメンの試作があるからそれ食べて改良案出して寝たい。まあこれ終わったらしばらく寝こけると先に伝えてあるから大丈夫だとは思うが……起こされたら殴ります。多分マジで。

 そして肉体を作るのを終わらせてからちょいとイタコの術で魂をあの世から引っ張ってきて身体に結びつけ、そして身体を動かすためのスターターとして心臓部分にチャクラをドン!はい復活。

 

「完了だ。死んでいた時間が長かったり俺の知識が多くなかったり思い入れが少なかったりすると起きるまでの時間が大分かかったりするからのんびり待て。あと俺これから泥のように眠るから自然に起きるまで起こさんでくれ。多分起こされたら八門遁甲六門まで開けて殴って更に起きるまでの時間がかかると思うから」

「縄樹……」

「おう聞いてねえなこのナメクジ女。一応かなり遠くはあるけど辿れる程度の近さで俺と血縁があるようだから結構早く起きるだろうよ。一週間はかからんて」

「縄樹……」

「完全に聞いてねえなナメクジ女。まあいいや。おーいエロ蝦蟇仙人、疲れたから宿まで運んでー」

「自分で歩けるだろうのォ」

「歩けるけどめんどい。正直ここで寝てもいい気分。いやもう寝るわ、お休み」

「……本当に寝よった。やはりいくらナルトでも限界はあるってこったのォ」

「だったら僕が運びますよ、自来也先生」

 

 当然俺にも限界はあるとも。ただしこの程度で限界とは言ってない。勝手に勘違いしてもらうためにいろいろとやったんだがね。現在それらの悪巧みがとてもよく働いている。限界なんてまだまだ遠いが限界っぽく見せるのは面倒ごとをさぼるのによく使える手だ。死者蘇生とか人間の夢だからな。やってほしいと言う奴が滅茶苦茶多く出てくるだろう。まあ実際には死者蘇生とは似ても似つかぬ技術なんだが、これには色々と制限を付けてやった。

 一つ。俺が『生き返らせるべき奴だ』と思っていること。やる気の有無によって精度が変わるのは当然だし、生き返らせたくない奴はこれでどうとでもなる。

 二つ。俺に生き返らせる対象の知識が十分にあること。必要ないがあることにしておく。

 三つ。生き返らせる対象を知っている存在がその場に少なくとも二人はいること。同上。

 四つ。対象の死因が寿命及び病死では無い事。これについてはマジで必要な奴だ。死にたて出して蘇らせてもあっという間に死ぬからな。

 五つ。一度に甦らせることができるのは一人だけ。それ以上を同時にやろうとすると二人以上が混じり合ってキメラみたいになるからおすすめしない。

 六つ。術者である俺のチャクラの性質上、個人が元々使えていた術の性質変化がおかしくなることがあるがご容赦ください。

 とまあこんなところだ。実際には必要ないのがいくつも混じっているが、と言うか一つしか必要なのはないが、まあそのあたりは楽をするためだ。本来死人は死人。蘇るべきものじゃない。世界の干渉をはねのけられるだけの力が無ければあっという間に世界に再度殺されるだけ。まあ短い春だろうが楽しんでおくことだ。

 俺は初めて父親の背中で揺られながらそんなことを考えつつ寝に入る。やっぱ俺人肌って好きだわ。いい感じにあったかい。

 




Q.条件はこれだけ?
A.都合がいい条件を増やしたり削ったりしていくつもりの模様。

Q.そもそもチャクラ必要?
A.いいえ、必要ありません。


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NARUTO~61

 

 side うずまきナルト

 

 俺が寝こけている間に色々と状況が動いたようだ。オカマ丸は撃退され、ナメクジ女の弟は意識を取り戻し、そして親父の中の九尾と俺の中の九尾が色々と話し合った末に協力関係を取り付けたりもしたそうだが、結局のところよくわからん。俺の特殊技術と言うことで死者蘇生の方法は禁術中の禁術として扱われるようになり、記憶処理すら必要になったらしいが……記憶喪失状態は健康じゃないから俺には効かんのよね、それ。

 ともかく、起きた俺が一番にやることは飯を食って身体を多少動かすことと、ナメクジ女の恋人の資料をできる限り読み込むこと。俺が今回こうして起きるのが遅くなったのは俺と繋がりの浅い存在を何とか蘇らせたからだってことになっているので、一応薄ーく血縁がなくもない程度ではあるが繋がりがあるナメクジ女の弟を蘇らせるのにあれだけ寝ていたなら恋人を蘇らせるにはどれだけ眠り続けることになるだろうか。まあ、できるだけ細かい資料を持ってこさせたのにはそういう反動を軽減するって目的もあったわけだな。実際には反動も何もありゃしないんだが。ただゆっくり出して起こしてるだけだし。せいぜいゆっくり出すのに神経使うってくらいだ。

 で、それが終わったら親父のリクエスト通りにかーちゃん出して、それが終わったら……サルケに話してみるか。一族を殺された復讐→生き返ったよのコンボでどんな阿保面晒すのか今から少し楽しみだ。

 

『性格悪いのお前』

『今更だ今更。十年以上見てきた儂が言うんだから間違いない』

『じゅうねんどころかはんつきもいっしょにいないおれさまもそうおもうけどな』

『訂正しよう。いい性格してやがる』

『おうばかぎつねけんかならかうぞ?』

『二対一でか? よしスマブラな』

『ボコボコにしてくれる、首を洗え』

『ひきょうくさくね!? というかなんでおまえらりょうほうこっちにいんだよ!?』

『なんか共鳴した』

『全部ナルトのせい』

『なるとのせいならしかたねえな!やるか!おれちっこいみどりのけんしな!』

『儂狐』

『儂狼』

『いやおまえおおかみじゃなくてきつねだろ』

 

 こいつら俺の事ナチュラルに人外扱いしてやがる……まあ喧嘩の内容が平和になったのはありがたいから何も言わないでおくか。言っても変わらんだろうし。

 ……あとなんかショ狸がツッコミキャラになってきている。原作では俺様キャラでファンキーだったはずなんだが……不思議だ。実に不思議だ。

 

 さて、それじゃあこれからまたお仕事の時間だ。今度はナメクジ女の恋人の資料をしっかり読み込んで、写真やら何やらも見ておかないといけないが……ああ面倒だ。自分で決めたこととはいえ非常に面倒だ。なんで直接会ったこともない見ず知らずの相手を蘇らせなきゃならんのか……まあやるけども。

 

「ナルト、起きたばかりだろう? もう少しゆっくりしてても……」

「俺から言い出した取引だから仕方ない。これが向こうから押し付けてきた仕事だったら押し付けてきた当人ぶん殴って出奔してるとこだけど、自分から言い出したならちゃんとやる」

「……頑固だね」

「よく似てるだろ? ……だってばね」

「ああ……本当に、よく似ているよ」

 

 どっちかって言うと顔は親父の方に似てると思うんだが……いや、そんなことないか? 似てるのは髪くらいであとは大体かーちゃんの方か。

 そう言えば、うずまき一族と言えば自分の身体を噛ませることで相手にチャクラを渡して回復させるなんて術を使う奴がいたはずだ。傷は適当に医療忍術でいくらでも治せるが、チャクラの受け渡しがスムーズにできるってのは羨ましい。今度そんな術を作ってみるか。流石に噛まれるのは嫌だから、こっちから噛みつくことで相手にチャクラを渡したり逆に奪ったりできる術。本当は普通の接触でそれができれば最高なんだが……ん? 確か奪うだけなら触れるだけでできる奴がいたような気がする。名前は……こう、なんか甲冑っぽい名前のやつ。アーメット、ガントレット、ヴァンプレイス、キュイラス、グリーヴ、レギンス、フォールド、タセット、ソルレット……なんか違う。まあともかくなんかこう具足系統の名前だったはず。そいつがなんかそんな感じの術を使えたはず。そいつが今どこで何しているのかは知らないが、そいつの術を解析すれば似たようなことができるようになるだろう。解析してもそもそも身体の作りが違うから真似できない技もあったりするけどな。斬空波とか。

 さあもうひと頑張りだ。

 




Q.誰だよ最後の?
A.赤胴ヨロイ? でしたっけ? 多分その人。

Q.斬空波できないの?
A.手に穴開いてないんで。


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NARUTO~62

ちなみにですが今やってるアンケートは80あたりで締め切ります。


 

 side うずまきナルト

 

 ナメクジ女の恋人さんを蘇らせたはいいものの、俺もその人もしばらく目を覚まさなかった。まあ俺にとっては何の繋がりもないのに加えて良い感情もない相手だからね。仕方ないね。

 だが、それでも俺とその恋人さんの目覚めを待っていたらしく、俺が起きた時にはすでに三日以上の時間がたっていた。俺以外の俺、白でも再不斬でもない完全に予備の俺で影分身からの修行をひたすら続けていたから疲れたってのもあるな。何しろ本来寝ていれば起きた時には疲労が全快する俺だが、疲労が回復しきる前に後から後から精神的な疲労が積み重なってくるわけだ。かなり無茶ではあるが、まあやった甲斐はある。チャクラもだいぶ増えた。

 

『まだまだ増えんのな……こいつほんとどこまで行く気だ……?』

『しらね。とりあえずにんげんそつぎょうぱーてぃーでもひらいてみるか?』

『欠片も嬉しくねえんだが』

『同意』

『じぶんでいっといてあれだがしょうじきおれさまも』

 ところでいつものあれで表すとどのあたりまで増えた?

『あまりにでかすぎてもうわからん。『とにかく多い』ってくらいだな、わかるのは』

『蟻が象を見た時にこんな気分になるのかもしれないな。同じ生き物ではあるが規格が違う。そもそも儂らからは生き物かどうかもわからねえ』

『あるのはわかる。ただでかすぎてよくわかんねえ。そもそもこれかぎりがあるのかどうかもわからねえ』

 限界はあるさ。人間だもの。

『嘘乙』

『嘘乙』

『うそおつ』

 お前ら後でモフり倒してやるからちゃんと風呂入って毛並み磨いとけよ獣臭かったらバリカンな。

 

 尾獣三体の悲鳴をバックに起きたら即座にかーちゃん蘇生。直接的な親レベルだったら消費もかなり少なくて済むという設定にしておいたのでこのくらいならすぐできる。……ついでに判断材料に近親者の生体情報とかがあると楽になるとかそういうのも付け加えておくか。サルケあたりが全身の毛と言う毛を剃って持ってきたりしてな。

 ……いや、忍者だったら毛よりも血か。実際そんなもの必要ではないんだが、恩に感じてくれればありがたい。とても便利で頑丈な鎖になってくれることだろう。

 

 そんなわけで俺は目覚めたって設定なので普通に行動し始める。でも親父を生き返らせたのはちょいとやりすぎだったかもしれんな。死人を生き返らせることができると知られたら滅茶苦茶面倒なことになりそうな気がするんだが、流石に人の目に触れさせたものを消すのもな……ナメクジ女の方にまで影響が出そうだからやらない方がいいだろうし、しかし厄介だ。

 となると木の葉には連れて帰らず別居……だがそれも難しい。なにしろ元火影とその妻、木の葉の里に対しての愛情は人一倍だ。面倒臭い。

 ではどうするか。もうこの際さっさと公表してしまうのも一つの手だが、そうなると今度は俺の自由が無くなってしまう。里のために誰かを蘇らせるとかやってられるか面倒臭い。俺に深くかかわった奴で仲がいい方ならともかく、なんで大して仲が深かったわけでもないような奴を蘇らせなければならんのだ。意味が解らん。そして木の葉の相談役と暗部の支配人の言うこととか絶対聞きたくない。もしそいつらが俺に直接何かを命令してくるようなことがあったらそいつら殺して暗部も滅ぼして木の葉を抜けるわ。ついでにサルケの奴を引き込むために上層部のクソ共によってイラチが一族を殺しつくす命令を受けたことをバラした上で里抜けに誘ってやるわ。最後のうちわの血族と九尾の人柱力を同時に失ってしまえ。そして滅べばいいと思うよ。

 ……もしそうなったとしたら彼女はどうしようか。流石に意思を無視して連れて行こうとは思わないし、だからって彼女は木の葉を捨ててまでついてきてくれるとは思わない。じゃあ……やっぱり置いて行くことになるか。

 

 いや待て、面倒だが楽な方法があった。初めからそんな事実はないと思わせるようにすればいいんだ。

 人が生き返ってなどいない。そもそもそんな術などない。少なくとも上層部にはそう思わせておけばいい。そしてそのためには契約を結ぶべきだな。セルフギアススクロールで魔力回路の代わりに経絡系を人質に取って俺の術の事を一切口外しないようにさせればいける……か?

 まあいいまず行動だ。最悪滅ぼせばいいしな。ほんと、相手を滅ぼしてもいい交渉って楽だわ。

 




Q.結局どのくらい増えたの?
A.『測り知れねえってことが測れるだけだ』より上。

Q.それで両親はどうすんの?
A.隠れ住んでもらう感じになるかな?


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NARUTO~63

 

 side うずまきナルト

 

 契約完了。これによって俺の術について話すことができなくなった。契約を破ろうとすることもできないような契約だし、この契約自体が俺の術だから契約について誰かに相談することもできない。そして同時に大人数の前で俺の術についてを考えることもできないし、独り言や知っている者同士での相談もできなくなった。このくらいやっておかないと何が起きるかわからんからな。

 

「ずいぶん硬い契約術式だのォ」

「記憶操作なんてされたらたまらないし、木の葉の里の道具になるのもお断りだから仕方ないね。ゆるして?」(最後だけ甘え声)

「許ーす!」

「ありがとっ」(甘え声)

 

 しかしこの姿にも慣れてきたな。親父とかーちゃんはこの状態の俺を見る度笑いをこらえたりエロ蝦蟇仙人に苦無やら手裏剣やらを投げつけたりするけど、まあそのあたりは俺じゃなくて親父たちに文句を言ってくれや。俺には何ともできん。

 まあうっかり話して経絡系が内側からオーバーフローして弾けて死ぬなんてことはそうそう起きないように術を組んだからな。それの防止のための言論統制術だし。……なんか意味が違う気がするがまあいいや。規模はともかくとして口に出せないって点じゃ似たようなもんだろ。

 あとは親父とかーちゃんの事だが……どうしようか非常に迷う。一緒に暮らすのは俺の部屋の惨状を考えるとあれだし、全く別の所にひっそりと隠れ家でも立ててそこにも俺を置いて普通に暮らしてみるか? 外出はできないが空気も食料も何とでもなるし……あーだがそれはそれで見つかったら面倒なことに……見つからなければ問題は……ペインに木の葉全域消し飛ばされるから無理……里外れに……どこまで壊れるかわからないから却下……木の葉を守る……無い……暁滅ぼす……これだ。暁滅ぼして成り代わろう。それで無限月読を先にかけて平和な世の中を作ってしまうのがいいかもしれない。確か原作で十尾の人柱力となったマダラハゲが額の輪廻写輪眼でやって成功させてたし多分できるな。そうやって平和な世界にしてから尾獣を少しだけ抜いて極小の神樹を作り、自動で世界に幻術をかけ続けるようにすればいい。

 

 ……良い訳ねえんだよなぁ……俺が想像できる出来事しか起きない世界とか、楽しい訳がない。わざわざ来ているんだからもっとちゃんと楽しみたいところだ。

 となると、もう本当に世界の敵にでもなるくらいしか道がない。……今まで世界の敵ルートや大魔王ルートはやったことがなかったし、それも悪くないかもしれない。ただ、できるだけ自分が動くようなことはしたくないんだが、それだとこの世界ではあまり動けない。本当に今回の世界は出生が糞過ぎる。生まれたところの周囲にいる奴がどいつもこいつも潜在的な敵とか本当に救えない。原作読んで知ったが俺って一応主人公だよな? 立ち位置も同じだよな? よくもまあこんだけの事をされて……いや、流石にされてはいないか。じゃなけりゃ里の奴を守るとか言えないもんな。俺だからか。

 ……ああもういいや、平和に場を収めるのは諦めよう。最悪の状況として上役全員暗殺となり代わりによる支配、そして暁メンバーとの戦いによって死んでもらうところまで考えておこう。初めから『内容を聞こうとしたら殺す、知ろうとしたら殺す、誰かに探らせる命令を出したら殺す、探ったら殺す、覗きは殺す、敵は殺す、俺の気に障ったら殺す』と真正面から言っておけばいいや。それでこっちに接触してきたら殺せばいい。もう知らん悩むの疲れた。

 




Q.話すとマジで弾けて死ぬの?
A.体の内側から弾けて死にます。

Q.殺して成り代わったりは……?
A.もう既に二人ほど成り代わってるのでこれ以上は面倒になる可能性大。


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NARUTO~64

 

 side うずまきナルト

 

 ナメクジ女を連れて木の葉に戻ってみれば、予想通りに面倒事に巻き込まれてしまった。ナメクジ女の弟と恋人が死んでしまっていることは木の葉の上層部にとっては知っていて当然の事だったし、四代目火影が死んだことなんて常識も常識。それが今突然覆されたのだからそりゃあ大騒ぎにもなるだろう。

 そんな大騒ぎの中、俺はまたもや三代目の爺さんに呼び出しを受けていた。面子も前回とそう変わらない。精々根の実質的支配者がいない程度だ。まあ天井裏に術によって作られているらしい何かがいるようだったから見えないように細く細くしかし頑丈に作り上げたチャクラ糸で縛り上げて解体してやった。他国の忍の諜報かもしれないからね。仕方ないね。

 

「で、なんで俺が呼び出されたわけ?」

「わからんか?」

「わかっていようがわかっていなかろうがまずはどんな理由で呼び出したのかを聞かせてもらうのは普通の事だと思うんだがね。で、なんで? 少なくともまだ上層部暗殺計画も木の葉崩し第二段もふと脳裏によぎったくらいで実行どころか草案すらできてないんだけど」

「まずそんなものがよぎっている時点で色々と危ないのじゃがな……単刀直入に聞こう。縄樹とダン、この二人を蘇らせたのはお前か?」

「条件付きでね。ちなみにやろうとすれば俺の命令に絶対服従の状態に一瞬で移行されるから、初代とか二代目とかを蘇らせて戦いに出すとかは考えない方がいいぞ相談役のお二方(クソ共)

「……穢土転生か?」

「いや? まあ確かに穢土転生の術式も多少参考にはしたけども術自体は別物だ。だから禁術指定もされてなかった。一回使って即座にされたけども」

「当り前じゃ」

「わかってるよ。だから文句はない」

 

 文句はないが使いたい時には使う。禁術ってあれだろ? 代償がでかいがリターンもでかい術ってことだろ? まあ代償がでかくて効果が低い術も禁術と言われたりしているらしいが、そんな禁術とか使う奴はいないだろう。禁術と言うよりただのクソだし。

 

「ああ、穢土転生で思い出したわ。俺が甦らせた奴が生きている限り穢土転生はできないってのと、俺が甦らせてからまた死んだ奴は甦らせられない。と言うか俺が蘇らせようって気になれないから術が失敗するから人間爆弾みたいに何度も使うのは無理だと思ってくれな」

「はぁ……やはりおぬし何を聞かれるか予想しておったな?」

「当たり前。あと、相談役に俺に話しかけないようにさせるってのは大正解だと思うと言わせてもらう。声聞いてたら即座に帰って里抜けも考えてたわ」

「それは困るの……欠片も冗談が含まれていないのが恐ろしいわ」

「実際いつでも里抜けできるように荷物は用意してあるしな」

「完全に本気じゃな……できれば木の葉に残ってもらいたいが……」

「流石に命を狙ってくる奴とか日常生活で溜まっていく不満をぶつけて良い存在として意識誘導した奴が上層部にいる上権力に守られてるようなところに好き好んで居つく奴とかいないだろ何が何でもそこに居なくちゃならん理由があるわけでもあるまいに」

 

 特に俺はな。なにしろ俺の故郷と言えるのはある意味じゃあの世界の外側、座だ。この世界にそれほど深い思い入れは無いし、俺がこうして別人として生きているのも個人的には結構長い旅行みたいなもんだと思っている。

 

『ほぉ……世界の外があると。興味深いな……』

 この世界からそこに行けるかは知らんぞ。俺がここに来れた以上多分行けるだろうが行き方は知らん。あとそこには俺以上の怪異殺しとかうじゃうじゃいるぞ。

『『絶対行かん』』

『いきたくねー……』

 賢明な判断だと思うぞ。何しろ俺の腹を傷一つなく掻っ捌いて病原体だけ取り出して握りつぶす奴とか、俺に取り付いてた奴を俺の身体をすり抜けてそいつだけ斬る奴とかもいたから、そいつらからすると俺の中でのんびりしてるお前らカモだぞ。

『『超怖ぇ……』』

『にんげんじゃねー……』

 まあそのくらいなら俺もできるんだけどな。チャクラなしで。

『もっとにんげんじゃねえのがここにいやがった……』

 いやまあそいつらもチャクラなしで同じことやるんだけども。

『どっこいどっこいだっただと……!?』

 

「あ、それと実験で親父も蘇ってるけどどうする? 俺の力で蘇った俺の親父をもう一度四代目にしてみる? それとも新しく五代目を立てる? どちらにしろ俺の言葉が直接火影に届けられるようになるわけだけども」

「それは今と何か変わるのか?」

「さあ? できることなら俺にとっていい方に変わってもらいたいもんだがね。ポーカーフェイスのできない相談役たちの顔から見るに望み薄って所じゃない?」

 

 ほんと、嘘の付けない表情なこって。

 




Q.術を禁術指定にされたことで何か思うことは?
A.クソ共に利用させる事は無いからそのつもりでいろカス。

Q.結局四代目達はどうなるの?
A.次話で。


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NARUTO~65

 

 side うずまきナルト

 

 結局、親父とかーちゃんは俺と一緒に住むことになった。しかし親父は火影に戻らず、そして死人が蘇ったとなると色々問題が出てくるからと姿を変えている。それはかーちゃんも同じだが、二人はとても仲睦まじい。あと、俺に対して非常に甘い。さっさと死んでしまって十年以上もほったらかしにして、さらには人柱力として様々な差別と言うべきものを受けてきたと知ってしまったからだろうが、まあそれは今更だ。俺の木の葉に対しての認識が変わるわけじゃないし、これまでが無くなるわけでもない。

 結局のところ全ては遅いんだ。まあ、どうでもいいが。

 

 そんなわけで本日は俺の作った異界で育つ様々な生物たちから取れた食材で料理をしていこうと思う。ちなみにトリコ世界の猛獣たちではなく、モンハン世界の獣たちだ。ただし、モンハン世界でも食い合わせによって悪い効果が出るものがあるバージョンもあるが、今回はそう言った効果は出ない。猫飯ではなく俺飯だからな。

 肉に野菜に果物、酒と穀物と乳製品。組み合わせでマイナス効果が出るようなものもあったはずだが、少なくとも食材だけで味が決まるわけでもなければ体調が悪くなるわけでもないことを確認している。新鮮な物を使っているから大丈夫。

 さて調理開始。まずは適当にくず肉を―――

 

「待つってばね」

「? どしたいかーちゃん」

「それ、何?」

「くず肉」

「くずっ……!?」

「くず肉。安いし血抜きが完全じゃないからやや栄養価が高い。ただし臭いから香草なんかを使ってごまかし必須」

「……食べられるものなんだってばね?」

「人肉でも食えない事は無いからいけるいける。人のじゃないから安心していいよ」

 

 まあ人のじゃないとは言ったものの『じゃあなんの肉だ』って聞かれたら答えに窮するんだが。だって知らんし。くず肉はくず肉だもの。

 ともかくくず肉を叩いてミンチにしたら適当に取ってきたオニキスペッパーと上質ハーブで臭み取りと風味付け。不思議と塩なんかはそのままなので普通の岩塩を使っている。完全に肉なハンバーグも悪くないよな。かーちゃんは塩ラーメンが好きだそうだが、それはまた今度。良い小麦と昆布と塩と海苔が手に入ったらな。

 ご飯は千年米をやや軟らかめに。普通は量が取れないそうだがまあ知ったことじゃないよな。出せるし。野菜には生のシモフリトマトとミリオンキャベツ、マカセロリに茹でた堅牢モロコシを適当に使ったサラダ。ちなみに食材を出すたびにストップがかかったが説明を受けるとすぐに下がってくれる。まあ美味しいからね。安心してくれ。

 米と野菜と肉、正直これで俺は十分だが一応汁物も作っておく。大ドンドル豆を発酵させて作った味噌とシナトビウオの枯節から取った出汁を使った味噌汁に糸豆腐と五香セロリを入れたもの。まあそこそこ上手くできたと思うんだよな。

 最後に肉から出た油を使って作ったグレービーソースをハンバーグにかければ出来上がり。くず肉でもそこそこ食える味になるからいいよな。

 

 ……ちなみにだがトリコ世界では旨味を増幅させる細胞が旨味以外の強さとかも増幅させるため、強ければ強いほど美味かったりするもんだが……モンハンじゃそんなことも無い。そもそもモンハンの世界の食材でトリコ世界の食材と味で張り合えるようなものはあまり存在しないと言ってもいいだろう。勿論トリコ世界の食材にも不味い物はあるし、モンハン世界の食材にも美味い物はあるが、アベレージで完全にトリコ世界が突き放している。仕方ないね、仮にもグルメを全面に押し出した世界だからね。

 さて、気になるお味の方は?

 

「ん!なかなか美味しいね!」

「……なんか負けた気がするってばね」

「男の一人料理は滅茶苦茶凝るか滅茶苦茶手を抜くかのどっちかで、俺はどちらかと言うと前者なんだよね。勿論手を抜く時は抜くけど」

「でも、自分のためじゃない味付けってのをちゃんと考えられてるってことは……ナルト!さては誰かによくごちそうしてるってばね!」

 

 なんでわかるし。あれか? 母親の勘ってやつか? こわ……。

 

「まあ、少なくとも俺一人で食う時よりは気合入れて作る相手が一人……あ」

 

 忘れてた。三代目の爺さんにラーメン作らねえと。俺から言い出した話だし。

 

「悪いかーちゃん、ちょっとこれから三代目の爺さんと約束してたラーメン作るから味見に付き合って」

「任せるってばね!」

「親父もいいか」

「ん!もちろんいいよ!」

 

 よしそれじゃあ作るか。動物性蛋白質を一切使わないさっぱりとしたこってりラーメンを。

 




Q.この作品のメインヒロインは?
A.ヒナタ。でもあと一月知るのが早かったらフウになってた可能性も。

Q.モンハン世界持ってんの?
A.モンハンの獣だけいる世界です。祖龍は流石にいません。


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NARUTO~66

繰り返しますが今の巨大ロボアンケート(だったもの)は80話で締め切ります。また、81話からは新しいアンケートを行う予定ですので奮ってご参加ください。


 

 side うずまきナルト

 

 こってりラーメンはできた。できたんだが、かーちゃんがどうしても俺が作った塩ラーメンが食べたいとのことだったので夕食をかーちゃんに任せることで昼も俺が作ることになった。まあ、元々昼は毎度作ってたから構わないんだが、ラーメンなぁ……しかも塩。一番誤魔化しがきかない奴だ。正直得意じゃない。

 まあお願いされたし作ることにはしたが、今日は彼女の所に行くのは影分身になってしまうな。残念だ。

 

「ラブセンサー!」

「……いきなりなんだよかーちゃん」

「なんと言うかこう、ビビッと来た!ナルト!あんた好きな子いるってばね?」

「……あー……敵対関係にあってもできれば殺したくないと思える程度の相手なら一人」

「答え方からして不穏だけどヨシ!女の子? 名前は?」

「女だが……あー……実は俺って他人の本名を覚えるのがどうにも苦手で、例外除いて覚えるのに五年とかかかんのよね」

「……ってことは、覚えてない、と?」

「おう。目下努力中」

「そう……わかったわ。ところで、敵になったとしてもできれば殺したくない相手、って言っていたけれど、それって好感度的にはどのあたりになるの?」

「ん~……そうだな……」

 

 睡眠(死んだとしても必要不可欠レベル)>空気(無いと生命維持に即座に支障が出るレベル)>水(無いと生命維持に緩やかに支障が出るレベル)>地面(あった方が絶対に良いと言えるレベル)>太陽(無いならないでいいけどあった方がいいレベル)>月(あっても無くても増えてもいいレベル)>消しゴム(どうでもいい)>真夏の炎天下で遠出して四時間、喉の渇きに耐えながらコンビニもカフェもない道を歩いていた時にやっと見つけた自販機が『あったかーい』コーンポタージュとおしるこしか売っていなかった時のその自販機(なんで存在してるの? レベル)>無能な敵(利用できるだけ利用して殺すレベル)>そこそこの敵(見つけたら殺すレベル)>有能な敵(上司に無能を用意して実力を出せなくして殺すレベル)>無能な味方(できる限り事故死あるいは敵の暗殺に見せかけて殺す。できなければ時間を止めてでも殺すレベル)>有能な上に俺に悪意敵意殺意あるいは捨て駒のように思っている奴(『ぶっ殺す』なんて言葉を使うんじゃない!『ぶっ殺した』なら使っていい!レベル)

 

 まあこんな感じで考えると彼女は……

 

「……太陽、かね?」

「べったぼれじゃないのナルト」

「ああうん多分だけど認識がちg」

「ミナトー!ナルトに好きな子ができたってばねー!」

 

 行ってしまった。困ったもんだ。ちなみに親父とかーちゃんは『消しゴム寄りの月』だ。

 

『ちなみに儂等は?』

 月寄りの太陽。彼女は地面寄りの太陽な。

『思ってたより高いな。消しゴムくらいだと思っていたが』

『びじゅうとけしごむがどうらんくでかたられるとはいったいなにがおきているんだ……?』

 五月蠅いぞ月寄りの消しゴム。

『おれさまけしごむなのか!? すなけしか!?』

 ああ、あの受験とかでは絶対使えないやつな。ちなみに砂消しは俺の中だと自販機レベルな。

『おれがけしごむですなけしがじはんきとはいったい……うごごごご』

『大変だな砂消し』

『頑張れよ砂消し』

『よろしいならばぽーかーだ!おれさまがかったらばかぎつねどもどげざな!』

『では儂が勝ったらクソ狸はケチャダンスな』

『まっておれさまけちゃとかしらない』

『チッ……じゃあもしもナルトがまた新しく尾獣を体内に封印したら『今から面白いことやります!』と宣言してから同じ一発ギャグを三回やり、それが受けなかったら何故その一発ギャグが面白いのか、どこが笑いのポイントなのかを明確に明瞭にかつ詳細に説明してもらう』

『まってそれおれさまのだしたじょうけんのどげざとつりあってないばつげーむというよりしょけいだろそれ』

『では始めるか』

『まってほんとまってけちゃがんばるからそっちにさせて』

『初めからそう言っておればよい物を……では開始だ。儂、カードを配れ』

『まてぇぇぇぇぇぇ!!でぃーらーがばかぎつねとかありえないだろ!? いかさましほうだいじゃねえか!?』

『『それがどうしたルールを確認しなかった方が悪い』』

『ちくしょうめぇぇぇぇぇっ!!』

 

 元気なことだ。だがそれも悪くない。

 




Q.結局ナルトはヒナタの事をどう思ってるの?
A.餌付けしたら懐かれた子。癒し。

Q.太陽で月で消しゴムが砂消しは自販機……?
A.考えるな、感じろ

Q.ショ狸はどうなったの?
A.初手でスペードのロイヤルストレートフラッシュを揃えて九喇嘛を土下座させました。


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NARUTO~67

 

 side うずまきナルト

 

 悪戯の意味も込めて、サルケに聞いてみた。もしも兄への復讐を諦める代わりに家族を生き返らせてやると言われたらどうするかと。サルケは一度は鼻で笑い飛ばそうとして、しかし言った相手が俺であるということを思い出したのか真剣に悩み始めた。うん、まあ普通に考えればあり得ないことだし悩んだところで意味など欠片もないことだが、どうもサルケの中では俺はマジで万能だと思われているらしい。実際求められていることは可能だから言い訳とかできないよな。

 

「……確認したい。できるのか?」

「嘘偽りなく答えよう。できる」

「……時間を貰いたい」

「悪いがあまり時間が無い。……ああそうだ、証拠が欲しいなら少し付き合え」

 

 そう言って連れて行ったのは、親父とお袋の名義で買った新しい家。以前使っていたところは俺が帰ってきた時には予想通り私物が全部消えて代わりにゴミで溢れていたから爆破しておいた。被害は軽微だったそうだ。

 そして出てくるのはかーちゃんで、俺が連れてきたサルケを見てきょとん顔。

 

「ナルト? えっと……お友達?」

「同じ班で任務する程度の仲だから……戦友? 戦友は友達に入るか……?」

「入れて良いと思うけれど……そう、ナルトにも友達が……ミナトー!ナルトがお友達を連れてきたわよー!」

「……若いだろ。死んだ当時の姿で生き返らせたから、肉体年齢的には俺と十ちょいしか変わらないんだ」

「マジか……と言うか、ミナトってのは……四代目か!?」

「おう。できるとは思ってたが確認で生き返らせてみたらやっぱりできちゃってな。そこでお前に『兄への復讐を諦めるなら親族を生き返らせてやる』って話を持っていく事にしたわけだ。ついでにお前の兄がどうして一族郎党皆殺し一歩手前までやったのかの裏話も教えてやるぞ」

「待て。裏があるのか?」

「あったぞ。確認も取った。そしてお前の兄はお前に恨まれても仕方ないが同時に殺してからそのことを知ったら俺に『どうしてあの時教えてくれなかったんだ!興味を持っていなくとも殴って縛り上げて筋弛緩剤叩き込んででも教えろよ!』と逆切れしそうだと思ったからまあ教えておこうかと」

「……イタチへの復讐ではなく、そちらにしろと?」

「するかどうかはお前に任せる。ただ、殺した後で聞いたら間違いなく死ぬほど悔やむだろうから先に聞かせておいた方がいいなと。聞く?」

「聞こう。復讐を諦めるかどうかは俺次第なんだろう?」

「ああ。俺は別にこの約束は破られても構わないと思っている。何が何でも破られたくない場合はそれなりの対応をするからな。勿論破られた時には相応の報復を行うが」

「報復ってのは具体的になんだ?」

「お前の姿で霧隠れに不法侵入して唯一残された忍刀であるヒラメカレイを叩き折って逃げ、雲隠れに不法侵入して雷影に乳首ドリルを実行して逃げ、岩隠れに不法侵入して土影をひたすら爺呼ばわりして逃げてやる」

「相応の報復ってレベルじゃないだろそれは……!」

「なあに破らなければいいんだ破らなければ。あともしその時に名前を聞かれたら『うっちゃりサルケ』って答えてやるから安心しろ、今のお前の服で行くから家紋は残ってもお前の名前は残らない」

「ふざけんなもっと嫌だわそんなもん!」

「なあに破らなければいいんだ破らなければ」

 

 まったくこいつはからかうと楽しいな。からかいすぎると怒るかもしれないし、もったいぶりすぎると切れそうだからそのあたり気を付けないとな。

 

「まあともかく上がってけ。そして飯を食え。お前の答えを聞くのはその後だ」

「……わかった。邪魔をする」

 

 邪魔するなら帰ってどうぞ、って喉まで出かかった。危ない危ない。こう言う奴にノリで発言はしてはいけない。たまにマジで帰る奴がいる。

 兎にも角にも今日は色々楽しい日だ。そして同時に面倒な日だ。恐らくサルケは俺の誘いに乗って兄であるイラチではなく木の葉を復讐の対象とするだろう。サルケの蘇った一族たちは、一旦闇に紛れて今度こそクーデターを成功させようとするだろう。オカマ丸は俺がいることを考えて音の四人衆をできるだけ秘かに潜入させようとするだろう。ペインたちは木の葉を間違いなく滅ぼそうとするだろう。うちわの目を奪ったあいつは木の葉を変えようとして滅ぼすだろう。とても面白い日になることは間違いない。

 

 その日がとても楽しみだ。

 




Q.教えてしまうんですか?
A.教えます。

Q.木の葉に救いは残されていないんですか?
A.大蛇丸が木の葉を狙わなくなり、サスケが木の葉に復讐しようと思わなくなり、蘇るだろううちは一族が木の葉へのクーデターを取りやめ、ペイン達が木の葉を滅ぼす前に打倒し、ダンゾウをこっそり暗殺でき、さらにナルトがなんとなくそんな気分にならなければワンチャン。


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NARUTO~68

 

 side うちはサスケ

 

 ナルトは言った。イタチが一族を滅ぼした理由は、一族が木の葉の里に対してクーデターを起こそうとしていたのを根の設立者であるダンゾウ(確認のためか紙を見ながら言っていた)が知ってそれを抑えさせるために皆殺しにしろと言う命令を受けたからだと。しかしイタチは皆殺しと言う命令を受けたにもかかわらず俺を残した。それは間違いなくイタチが俺の事を愛していたという証明なのだと。そして写輪眼が覚醒した万華鏡写輪眼は使えば使うほどに視力が落ちていき、やがては全く見えなくなるがそれを克服するために他人の万華鏡写輪眼を奪って自分の目と入れ替えればそれは永遠のものとなるため、自分を殺してより強くしたかったということ。そして憎めと言った理由は、弱いままでは恐らくダンゾウによって命を狙われるからそれを弾き返せるようになれとそういう理由からだろうとも。

 ナルトが何故それを知っているのかはわからないが、ナルトが真剣に言っている言葉は大抵マジなので今回もマジなんだろう。それに暗部の書類も見せられたが、命令としてイタチに一族の殲滅任務が出されていたことも確認した。殲滅させておきながら、木の葉の上層部の奴等はイタチを里から追い出しやがったのか……ッ!

 

「万華鏡写輪眼の開眼のさせ方教えてやるからまずは落ち着け」

「……ああ、わかった。少し待て、表面上だけでも落ち着いてみせる」

「そうだな、せめて写輪眼くらい引っ込めろよ」

 

 出てたか……なるほど落ち着けと言われるわけだ。俺でも落ち着けと言う。そしてナルトは俺の扱い方をよくわかっている。万華鏡写輪眼、より強い力。それを得るためならば俺はまあ表面上程度なら落ち着いてみせる。

 

「よし落ち着いたように見えるぞ。だがお前写輪眼で俺の行動トレースしてるだろ」

「……わかるか?」

「まあ恰好が全く同じだからな。わかりにくく少し動かしてみたが同じように動かしたし、ガマクやっても真似たし」

「ガマクってなんだ」

「腰の一番細い所。ここの使い方がうまくなると軸足を誤魔化せたりする」

 

 意味あんのかそれ?

 

「『意味あんのかそれ?』って顔をしているな。まあ一発芸には役に立つ。……さてこんな話ができる程度まで落ち着いたようだし、万華鏡写輪眼の開眼条件を教えようか」

「……その前に、なんでうちは一族でもないナルトがそれを知っている?」

「俺も持ってるからな、万華鏡写輪眼」

「は?」

「見るか? 俺の場合は特殊でな。死者蘇生の術は想いや記憶と言った情報を基にチャクラで生きていた頃の身体を作ってそこに降霊術で死者の魂を入れてから身体を動かすためのスターターを特殊な属性のチャクラで代用することで死んだばかりの人間の蘇生のような感じで生き返らせるんだが、それの応用で俺に合った万華鏡写輪眼を俺の情報と万華鏡写輪眼の情報を組み合わせて作った物でな。まあ実際にはその他にも色々組み合わせてたらもう少し上のになったりもしたが、まあ今は無理だから万華鏡の方だけな。ほれ」

 

 そう言って瞼を閉じ、再び開いた時にはナルトの目には奇妙な文様が浮かび上がっていた。ただの写輪眼とは違う、赤い地に黒の五芒星。その中心部には細い線状の赤い円と、それよりほんの僅かに小さい黒い円がある。

 

「ちなみにこの模様は一人一人違うってのと、他者の万華鏡写輪眼を移植して永遠の万華鏡写輪眼に変えた場合にはもともとの柄に取り込んだ相手の万華鏡の模様が混じったような形になるそうだ。俺のは初めから永遠のそれになるよう調整して作ったから変わった経験はないけどな」

「……これが、お前の……どんな能力があるんだ?」

「一言で説明するのは難しいから少々時間を貰うぞ。まず、基本は元々の写輪眼の完全上位互換と考えていい。普通の写輪眼にできて万華鏡写輪眼にできないことはない。ただし、永遠にしていない場合は発動時間に難があるが、それはどんな術でも同じだから割愛な。あと、万華鏡写輪眼の開眼者はそれぞれ固有の術を持つようになる。お前の兄なら左目に炎遁天照、右目に幻術月読と言った具合にだ」

「片目につき一つ、なのか?」

「そうとも限らない。例えば先生いるだろ? あれの元々の持ち主って実はまだ生きてるんだが、そいつの右目の術も先生の左目の術も同じ神威って術だし、お前の兄貴の親友だった奴は両目に別天神(ことあまつかみ)って言う最強級の幻術を持っていた。お前が開眼した場合に片目ずつ違う術になるのかそれとも両目で同じになるのかは現状不明だ。あと、この術は目を移植されても変わらないからそのあたり気をつけてな」

「……お前は、どんな術を持ってるんだ?」

「お前が見事目覚めたら祝いに教えてやるよ。ただ、俺以外だったらクソ使えない術だとだけ言っとく」

 

 クックックと笑って目を閉じ、そして次に開いた時にはナルトの瞳は元の青に戻っていた。

 

「で、肝心の開眼方法だが……多分お前もう開眼できると思うんだよな」

「なんだと? だが……!」

「解ってるよ。多分あれだ、チャクラ不足。チャクラ増やすには身体と精神を両方育てないと増えないからな。千鳥二発でばててるようじゃ難しいだろ」

「そういうお前は?」

「二十四時間千鳥打ちっぱなしでも全く息切れしない程度にチャクラ持ってるぞ」

「……腹の中の尾獣のおかげだろ」

「いーや違うね。九尾のチャクラは俺のチャクラと色が違うからすぐわかる。お前は見てなかったかもしれないが、中忍試験本戦で出した術に使ってた殺意と憎悪をたっぷり混ぜ込んだようなチャクラだ。俺の中の九尾曰く俺のはやばいらしいが」

「なにがそんなやばいんだ?」

「本気でチャクラを練るとその衝撃で大陸が割れかねないからやめろって言われてな。なんでもかつて九尾を含めた尾獣たちのもとになったって言う六道仙人の百倍はあるそうだ」

「お前人間か?」

「え? なに? 万華鏡写輪眼開眼なんてしたくない? そっかーざんねんだなー」

「すまなかった教えてくれ」

「まあともかく、条件だけ教えておこう。万華鏡写輪眼は、親でも家族でも友人でもいいから親しい存在の死を体験してそれに深い悲しみや悔恨を抱えること、だ」

 

 ―――なる、ほど。それは確かに俺は条件を満たしている。だが、ただ出すだけなら大したチャクラは必要ないはずだ。どうして出ない?

 

「それは多分、悲しみや後悔よりも恨みが大きかったからだろうな。基礎の力をつけるためなら恨みの方が燃料にしやすいし、基礎なしで万華鏡写輪眼を開眼してもチャクラ不足でまともに使えないだろうしな。真実を知ってひたすら後悔し、悲しんだ今のお前ならできんじゃね?」

「できると思うか?」

「お前新しいことをやり始めるのにできないと思いながらやんのか? いいからやってみ。ただ、できたとしても瞳術は使うなよ。チャクラの消費が凄いだろうしもし火が出たりしたらそれこそ問題だからな」

「ああ、そうだな。わかった」

 

 ―――こうして俺はこの日、かつての真実を知った。そしてそれと同時、新たな力を手に入れた。

 




Q.サスケ君は開眼できましたか?
A.しました。ここからテコ入れされていきます。

Q.ナルトの万華鏡写輪眼ってそうやって作ってるの?
A.ナルトが作った設定上そう言うことになっています。


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NARUTO~69

 

 side 日向ヒナタ

 

 ナルト君が連れてきたサスケ君が、今日から一緒に修行をするらしい。影分身修行をするためらしいけれど、私だけじゃなくサスケ君にまであんなにチャクラを送り込んで全然平気って……一体どれだけチャクラを持っているんだろう?

 

「お前、どれだけチャクラ持ってるんだよ?」

「俺の中の奴らがドン引くぐらい」

「だからそれはいったいどれだk待った、奴『ら』?」

「おう」

「えっと……だれのこと?」

「ん? ああ、俺の腹の中にかつて木の葉を荒らした九尾の狐が封印されててな。四代目火影がやったんだけど生まれたばっかの自分の子に封じるかね普通? まあその時には俺しかいなかったから仕方ないと言ったら仕方ないんだけども。で、そいつらとも結構付き合い長くてな。言ってなかったっけ?」

「聞いてないかな」

「そうか。まあ今言った通りそんな感じだ」

「……あれ? でも複数形なんだよね?」

「中忍試験で色々あって砂の一尾も半分請け負っててな」

「マジかよお前」

「マジだよ驚いた?」

「大丈夫なの……?」

「昨日かーちゃんと喧嘩した内容が『ラーメンに入れるにんにくは薄切りのフライか生の刻みか』だったくらいには元気。ちなみに俺はとんこつを想像してたから生の刻みだったんだけどかーちゃんは塩ラーメンを想像してたから薄切りフライだったらしくて最終的に『みんな違ってみんないい』で和解した。親父は苦笑ってた」

「そうなんだ……あれ? ナルト君のお父さんは四代目様なんだよね?」

「おう」

「四代目様は九尾を封印した時にお亡くなりになったよね?」

「おう」

「……昨日、ナルト君とナルト君のお母さんの喧嘩を苦笑いしながら見てたのって……」

「親父だな。生き返ったんだよ。ちなみに蘇った直後の一言目は『やめてくれ!その攻撃は僕に効く!』だった」

「お前の父親は何をどうしてそんなことを言ってたんだ……?」

 

 本当に、ナルト君のお父さんは何でそんなことを言ったんだろう? 夢でも見てたのかな?

 

「俺もそれ気になって聞いてみたらなんか背中から鎖を生やしたかーちゃんに雑巾絞るみたいにされた夢を見てたんだと。さてそう言う訳で今回の授業は幻術です。影分身の皆さんはとりあえず消えるまでひたすらチャクラコントロールの練習な。目標は指先から出したチャクラ糸を十km伸ばしてそのどこからでも術を発動できるようにすること」

「「「「「無理だろそれは!?」」」」」

「俺はできる。彼女も術は派手じゃないけどできる。だからきっとお前もできる。これができるようになると里の離れたところから糸を伸ばして暗部に潜入させて情報を抜いたり火事を起こしたり点穴を突いて黙らせたり脳にチャクラを流し込んで無音で幻術をかけて操ったりもできるから便利だぞ御託を抜かすなやれ。大丈夫だ消えたらこっちも休憩に入るからな」

「「「「「……おー」」」」」

「さてまず幻術は掛けるよりも返す機会の方が多くなるものだと思っておきましょう。実際写輪眼でも持っていない限りは幻術は相手が使ってくることの方が多いし、そういう機会が多いと言うことはそれを返す機会もまた多いと言うことです。幸運なことに写輪眼使いは相手が幻術をかけてきたらそれが空間そのものにかけられたものでない限りは大体わかるようになっているし、白眼使いは自分にかけられたものであるなら経絡系のチャクラの流れが不自然になっているのがわかるはずなのでかけられたことは大体わかるでしょう。ちなみに俺は幻術をかけようと俺のチャクラに干渉しようとして流れを制御できずに巻き込まれてチャクラを根こそぎ抜かれて狂死した奴を見たことがあるので相手のチャクラが自分のそれよりはるかに多い場合には注意しましょう」

 

 なんだかちょこちょことても危ない言葉が混じってる凄い話を聞いちゃってる気がするよ……。

 

「幻術返しの方法ですが、結界や空間そのものにかけられた幻術は結界の起点を壊すか術の込められた道具を壊すかしなければ破れないことが多いです。しかし個人の感覚に働きかけるものでは本人の脳内のチャクラの流れが掌握されて相手にとって都合のいい幻覚を見せられているわけです。そこでまず全身のチャクラの流れをいったん止めて、それから相手がこちらのチャクラの動きを掌握している以上の力で一気にかき混ぜれば大抵解けます」

「はい、ナルト君。もし解けなかったらどうすればいいですか?」

「自力で解くのは諦めろ。仲間がいるなら仲間にチャクラの流れを乱してもらえば幻術は解ける。逆に言えば相手のチャクラの流れを乱されなければこっちが掛けた幻術は解かれないと言う訳だ。かける側はまず幻術をかけたということに気付かれないようにすることと、幻術にかけたことを知られた後もできるだけ解かれないようにチャクラコントロールを学んでおきましょう。チャクラコントロールの技術はどんなところまで行っても裏切らないので暇があったら繰り返すことをお勧めします」

「何で突然敬語だ」

「特に理由はない。なんとなくやりたかったからやった。後悔も反省もしていない」

 

 わーいごり押しが凄いね。慣れないとだめだよサスケ君?

 




Q.サスケにナルトのチャクラを送り込んだら輪廻眼出ない?
A.理由は秘密だけど大丈夫。

Q.なんで中途半端に敬語?
A.その場のノリと気分。


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NARUTO~70

 

 side うちはサスケ

 

 自身が大切にしている存在の死を体験し、そしてそれに深い悲しみや悔恨を抱くこと。両親の死と言う形でそれを体験しているはずなのになぜか万華鏡写輪眼が開眼しない理由をチャクラ不足だろうとナルトは言う。実際にナルトにチャクラを供給されながら万華鏡写輪眼を開こうとしてみたら開けた感触があったので間違いではないんだと思うが、チャクラと言うのは増やそうと思ったからと言って簡単に増やせるものじゃない。精神と肉体を鍛えていればある程度まで増えるし身体が成熟を迎えるまでは少しずつ増えていくようなもんだがそんな悠長にしていられるわけがない。

 万華鏡写輪眼を開くことができるとわかってすぐに俺の両親だけは蘇ることになったが、兄さんに殺された記憶があることと状況説明によって今はナルトの両親と同じ家で暮らしている。母さんはナルトの母親とそれなりに付き合いがあったらしく仲良くしているが、時々肌を見比べて怖い顔をしている。理由はわからないが、男からすればくだらないことだろう。多分。

 

 それと、俺の一族もやろうとすれば蘇らせることはできなくもないそうだが情報があまり多くないせいでチャクラ消費よりも精神的に辛いから無理、だそうだ。あまり感情を込められない相手を蘇らせようとすると時間がかかり、体力も消耗するそうだが……そもそも死者蘇生自体が奇跡のようなものだ。そこまで求めはしない。術式も正直理解できないしな。なんぞこれ……?

 

「お前がいれば父親と母親の遺伝子情報の半分ずつは読み解けるからそこまで苦労はしないが、兄弟とかだといいとこ四割最悪全く当てはまらないなんてこともあるから面倒なんだよ」

「そうなのか?」

「色々実験した結果だ、まず間違いない。ちなみに違法行為じゃねえよ? なにしろ死者に人権なんて物は無いからな」

「もしあったらどうなってた」

「知られたら両手が後ろに回ってたかもな。知られなければ同じだが。そう言うことで本日の授業は自分の行動を悟られないようにする術、透遁術です」

「どんな会話からでも本日の授業に繋げられるその話術が若干羨ましい」

「慣れだな。今までお前はあまりこういう軽口とか叩いてこなかっただろ? 話術ってのは使わないと磨かれないからな。使え使え」

「そういうもんか」

「そういうもんさ」

 

 そしてナルトから溢れるほどにチャクラを与えられて影分身をして、ひたすらに技を磨き続ける。どれもこれも手本と称してしっかりやっているナルトを見るたびに、俺ももっと強くならなければと思わされる。それに、方向は違うがある意味ライバルのような奴もできたしな。

 日向ヒナタ。あの外見だけは小動物みたいな女。影分身同士で実力を確かめ合うために戦ってみたが、何だよあの北斗有情断迅拳って。見切る見切らない云々の前に影さえ追えなかった。どんな速度してんだよ……リーの最速ですら一応影くらいは追えたってのに、何だ、ナルトの近くにいる奴はキチガイばかりか?

 

「それだとお前もいつかキチガイの仲間入りだぞ」

「万華鏡写輪眼を使ってもいないのに心を読むな」

「白眼でも行けるぞ」

「……待て、白眼使えるのか?」

「やろうとすれば。ちなみにそれを万華鏡写輪眼と同時に使うと世界中どこに相手がいても一方的に瞳術を掛けられるようになる場合もある。天照のような狙った場所に焦点を合わせることで発動できる物に限るけどな」

「まあ普通は持ってないから関係ないな」

「やろうか?」

「……貰った場合写輪眼はどうなる?」

「お前のは俺が貰う。新しい目には両方つけることもできるがそれをやると万華鏡写輪眼の時に黒い部分が白くなるぞ」

「それで強くなれるか?」

「使い方次第。白眼にしろ写輪眼にしろ使ってるだけでチャクラを消費するから考えなしに使ってたらあっという間にチャクラの枯渇でぶっ倒れるから気をつけろよ」

「いや、やっぱいらねえ」

「そうかい。今から作るのは面倒だったから助かる」

 

 作るのか……と言うか作れるのか……こいつ絶対大蛇丸に渡したら駄目な奴だな。それだけはわかる。あと木の葉の上層部にもできるだけ知られない方がいいな。間違いない。

 




Q.白眼も作れんの?
A.写輪眼作れて万華鏡写輪眼作れて見た目オンオフできる輪廻写輪眼作れるんだから作れないと思う方がおかしい。なお転生眼もいける模様。

Q.ところでサスケはナルトの瞳術を知ったの?
A.知って頭を抱えました。


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NARUTO~71

 

 side うずまきナルト(白ちゃん)

 

 現在、大蛇丸の所から来た四人衆と戦闘中。全力でやれば一瞬だが、今の俺はか弱い白ちゃん()だ。そんな脳筋ゴリラのような真似はできない。そう言うのは再不斬モードの俺の役割だ。

 再不斬は四人衆のうちデブと二人羽織を相手にしていて、俺はダーマッと笛吹きを相手にしている。ここに骨麻呂が出てきたら制限の相性的に俺が相手するのはきついので再不斬に相手をしてもらおう。

 

 さてここで俺達によるこいつらへの対策を発表する。

 まずデブ。殴れ。以上。いや、本当に基本殴ってくるだけだから殴れば死ぬ。実際死んだ。

 次にダーマッ。口の中でくちゃくちゃ噛んでた物を人に向けて吐きつけると言う常識云々以前に人間としてどうかと思うようなことを当たり前のようにしてくる気持ちの悪い男。気配を察知して氷遁の鏡で後ろを取って点穴を刺す。これで無力化はできたから次。

 二人羽織。あれってマジでどうなってんだ……? まあともかく基本殴ってくるだけなので殴って殺す。乗り移ろうとして失敗していたが、俺の細胞の真似したら死ぬよ? いやマジで。実際少しだけ成功したと思ったらグルメ細胞の所だったみたいで俺のグルメ細胞に食われて消えたし。クソ不味かったごちそうさま二度と食いたくない。

 最後に笛吹きだが、音楽プレイヤーで音楽聞いてたら特に何もなく勝てた。あと人形は全身を凍らせて砕いた。簡単だった。あまりに簡単だったから『お前の術が一番なまっちょろいぞッ!!』と言ってしまったが反省はしていない。後悔ももちろんしていない。

 

 そんな感じで戦闘を終わらせて現在生き残った二人の尋問中だが、どちらも中々吐こうとしない。どうも痛みには強いようだ。

 仕方ないから男の方は脳から直接情報を頂くことにして、女の方は呪印を解除して売り払うことにした。実際には男たちの方も音隠の里の忍びとして適当な小国に売り払おうとしているわけだが、一人くらい生きていた方が色々と使えるだろう。何に使うか? 女なら誰しも使おうとすれば使えるだろうよ。いや、男でも使おうとすれば使えるだろうがな? 少なくとも俺はこいつらを使いたくはない。

 ……こう、賞金首にでもなっていてくれればもう少しやりようはあったんだがな。こうなったら……ああそうだ、オカマ丸に狙われている木の葉に音の里の忍びが入り込んできていたけどいくらで買うかと聞いてみればいい。少なくとも処理の手間はかからなくなる。まあそれをされた結果どんなことをされるかは分かったもんじゃないが、面倒事は早目に片づけておきたい。

 だが一応再不斬も白も抜け忍で国際的には犯罪者だからな。色々と足元見られそうだ。ほんと、どうしてこいつら賞金首じゃないんだか。

 それにこいつらオカマ丸に忠誠とかそういうレベルじゃなく従っているからな。呪印のせいだとか言ってる奴もいたが、消したとしても行動は変わらなさそうだ。

 

 もういいややっぱ殺そう。そして埋めよう。気付かれたところで額当てを見て音の忍だと思われればそこまで大きな騒ぎには……なりそうだな。襲われたばかりだし。見つからなければいいんだよな。地下500mまで沈めればいいか。

 

「さて、これからあなた達には死んでもらいますが、何か言い残すことはありますか?」

「……けっ。ねえよ、クソヤローども」

「そうですか。それでは」

 

 千本で頭を貫き、内部で小さく爆破させることで脳を粉砕する。……そう言えば、俺はこの世界に来て一体どれくらい人間を殺しただろうか? 数えてはいなかったが結構な数殺している気がするが……まあこれからどうなるかによってはこの惑星の全人類が死に絶えることもあるかもしれない。それに比べたら些細な数だろう。

 

 ……チタタプ食べたくなった。作るか。

 

 

 

 ※この日、ナルトと一緒の家で家族纏めてお世話になっているサスケ君は初めて生のリス肉の叩きを食べることになりました。

 




Q.サスケの里抜けはせんの?
A.する意味あります?

Q.生で食わせたの……?(震え声)
A.薬味もしっかり使っておいたから和人(シャモ)でも美味しく食えるぞ!


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NARUTO~72

 

 side うずまきナルト

 

 三代目の爺さんは火影の座を降り、のんびりと隠居している。俺は時々そこに行っては約束通りラーメンを作ったり変な術を思いついたと言って遺品に宿る残留思念を呼び起こして一時的に会話させる術などを披露して白目を剥かせたり、三代目の爺さんの孫の木っ端丸と知り合って俺に向けられた悪戯に百万倍で返してみたりしていたら何故か懐かれたりしていた。

 本当だったら隠居したとはいえ長いこと火影として木の葉の里を治めていた三代目の爺さんはもっと忙しいはずなんだが、爺さんをあまり里の運営に関わらせたくない一派がいるらしい。まあどこかは少し考えればすぐわかるな。無能老人一派と、やることなすこと裏目に出る自業自得爺の一派だ。

 そう言う訳で割と強制的に里の運営から離されている三代目の爺さんだが、今回は五代目火影、つまりナメクジ女が色々と意見を聞きに来ているようだった。ナメクジ女は火影歴短いし、長くやってきた先達に意見を聞きたいと思っても何もおかしくはない。実際そういう理由で来ているようだしな。

 

 それとそのナメクジ女だが、非常に楽しそうに人生を送っている。俺の手によってではあるが好いた男と愛する弟の二人が蘇り、見た目だけならまだまだ若いナメクジ女は三十年ほど遅い青春を謳歌しているようでもあった。まあ、その青春も恐らく長くは続かないけどな。

 なにしろ三十年近い時が流れている。それは転生を繰り返している俺からすれば大した年月でもないが、普通に生きる人間にとっては結構な年月だ。若さが足りないこともあるだろう。

 

「そんなわけで五代目のばーちゃん、若返ってみない?」

「ばーちゃんはよせと言っただろう。……まあ、お前の事だしできるんだろうが……副作用は?」

「一時的に代謝が無茶苦茶上がるから終わったら風呂に入ることを推奨する。全身垢とフケまみれになること間違いないからね。あとは……多分暫く身体が動かしにくくなると思う。何しろ若返るとなると筋肉とかのバランスも崩れるだろうし。それくらい? 寿命は普通に伸びると思うよ」

「ならばなぜそれを三代目にしない?」

「若返りたい?」

「いや、儂はこのままでよい。もう儂の時代は終わった。これからはただ見守るのみよ」

「大体そんな感じの答えになると思ってた。まあそう言うことだね。で、どうする? 身体だけでも本当に恋人さんと同じくらいになりたくない?」

「なりたい」

「弟さんを置いて寿命で三十年以上早く死にたい?」

「死にたくない」

「あなたは若返りの秘術を受け?」

「る」

「じゃあ俺の事を拘束しようとか傷つけようとか封印しようとかそう言う奴等は止めといてね? まあ止めなかった場合実行直前に死体が沢山出てくるだけだと思うけど」

「ナルト。お前は何をしようとしておる?」

「大丈夫だよ爺さん。俺は基本的に面倒臭がりだ。どこかの誰かさんみたいに木の葉崩しとか企んだりはしてないよ。もしやるつもりがあるんだったら俺はもっと明るい感じで生きてるね。その方が木の葉を潰そうと考えてるとか思われないだろうし……まあ死ねばいいのにと思う奴が何人もいるのは否定しないけども」

「そこに私は入っていないだろうな?」

「入るとしたら火影の仕事として俺を監禁するという決定を出したりした後だな。痛みなくあの世に送ってやるよ」

「抜かせ」

 

 しかしここ凄いな。三代目火影、初代火影の孫にして五代目火影、四代目火影の子供にして九尾の人柱力。なんとも凄まじい面々だ。笑いがこみあげてくる。

 そしてそんな中で行われているのが雑談と質問と若返りの秘術。ギャップが色々な意味で酷すぎる。

 

「ところで何歳くらいまで若返りたい? 理論上赤子は難しいにしても十代半ばくらいまでは若返れると思うけど」

「25で頼む」

「恋人さんより二歳若い年齢か。見栄っ張り」

「見栄くらい張るさ、乙女だからな」

「……。ところでさ、オカマ丸に初めてできた弟子が夜中にオカマ丸に連れられてやってきて月の物の事について聞かれて説明したって本当?」

「……本人には言ってやるなよ」

「半年ほど遅いぞその台詞。もう言った」

「言ったのか!?」

「中忍試験の本戦、各国の大名や忍頭なんかも含まれる大勢の観客の目の前で思いっきり」

 

 ナメクジ女の視線に哀れみが混じった。まあ頑張れのりまきショウユ……団子っぽい名前だから多分こんな名前だったよな? 忘れたけど。

 




Q.若返りまでできんの?
A.可能です。便利だね。

Q.ここまで火影を挑発して大丈夫?
A.実力勝負でナルトに勝てる奴が今現在木の葉にいるわけないだろいい加減にしろ!(ナルトに対して)



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NARUTO~73

 

 side うずまきナルト

 

 九尾の封印式の鍵を自作してみた。親父に見せたら鼻からコーヒー噴いて新聞を汚してたからちゃんとできてると思う。

 その流れでエロ蝦蟇仙人にも見せてみたら飲んでた酒を鼻から噴いて転げまわっていた。師匠と弟子で反応が同じって少し笑える。

 

『いや普通そんな反応するだろ』

 まあなんかちっこくなった九喇嘛だったら封印してても門の隙間から抜けられるんだけどな。

『普通封印をすり抜けたら出れるもんだってのに全く出れないのはなんでだ?』

 チャクラコントロールの修行の成果だな。あと気合。

『お前の場合気合十割な気がするのは儂の気のせいか?』

 気のせい気のせい。

 

「ナルト、お前……」

「なんかできた」

「なんかできたって……まさか解いてはおるまいの?」

「九尾? 九尾だったらとっくに封印の中で変化して小さくなって外に出てたよ。目の前に油揚げ垂らすと跳びあがって取ろうとするのがとても可愛い」

「うっそじゃろお前」

「油揚げで釣るとモフらせてくれたりもする」

「うっそじゃろお前」

「膝の上で昼寝までしたりする」

「うっそじゃろお前」

「親父の中にいた陰の方の九尾も取り込んだからモフモフハーレムだ」

「うっそじゃろお前」

「毛玉に包まれて寝るととても気持ちがいいんだよ」

「うっそじゃろお前」

「さっきから『うっそじゃろお前』しか言ってないけど大丈夫? 九尾モフる?」

「うっそじゃろお前」

「あ、ごめん俺以外にモフられるの嫌だって。諦めて」

「うっそじゃろお前」

「ちなみに九尾は狸そばを食わせようとすると機嫌が悪くなる」

「うっそじゃろお前」

「最近新術で相手の全身のありとあらゆる毛根を皆殺しにする術を開発した」

「うっそじゃろお前それ禁術な」

「勢いあまって写輪眼を開眼した」

「うっそじゃろお前」

「万華鏡写輪眼もいけそうだ」

「うっそじゃろお前」

「もっと頑張れば輪廻眼もいけそうな気がする」

「うっそじゃろお前やめとけ」

「実はもう使える」

「うっそじゃろお前洒落にならんぞ」

「最近名を売り始めた再不斬と白、今俺が雇ってます。死んだら蘇らせて幸せに暮らさせる条件で」

「うっそじゃろお前」

「あとなんかオカマ丸の里の奴が攻めてきたからこっそり暗殺しといた」

「うっそじゃろお前いつじゃそれ」

「やったことないけど多分俺尾獣化できるわ」

「うっそじゃろお前ここで試すなよ」

「暁って組織を立ち上げたのってエロ蝦蟇仙人の弟子なんだって? 大変だね」

「うっそじゃろお前儂知らんのだが」

「雨隠れの里に潜伏してるらしいよ」

「うっそじゃろお前マジか」

「あとうちわ一族を一部蘇らせてみた」

「うっそじゃろお前あとうちわじゃなくてうちはな」

「どこまでマジでどこまで嘘だと思う?」

「正直全身の毛根と言う毛根を皆殺しにする術を開発したってあたりから嘘であってほしいのォ」

「じゃあそこから嘘ってことで」

「うっそじゃろお前それで誤魔化せると思っとんのかのォ?」

「思ってないけど大人しくさせてるから木の葉に無用な争いは起こしたくないだろうエロ蝦蟇仙人に話してみた。三代目の爺さんや五代目の婆さんには言ってない。聞かせた方がいいと思ったら伝えといて」

「うっそじゃろお前……責任重大だのォ」

 

 こんな馬鹿みたいな掛け合いができる相手はそういない。彼女は精神的にはあまり強くないから仕方ないね。サルケは強くなることにひたすら貪欲でこういう掛け合いとか応じてくれないし。腹が立ったから月読もどきの術で精神だけを加速させてひたすら戦闘経験を積ませるよね。

 ちなみにサルケと彼女の戦績はサルケの0勝122855敗で引き分けなし。影分身修行でチャクラが切れる前に戦闘訓練をしてから消してるんだけど、まあ一撃くらえば消える影分身の扱いは彼女の方が長けてるから仕方ないね。もうちょっと頑張れそうな気もするんだけどもまずは身体に負担をかけないようにスムーズに動けるようになることだ。それは体力の温存にもなるしな。大変だね。

 

 




Q.どこからどこまで嘘?
A.事実上全部マジ

Q.と言う事は九喇嘛はモフらせてくれんの?
A.色々諦めてモフらせてくれます。

Q.ヒナタさん強くね? サスケって一応万華鏡写輪眼持ちでしょ?
A.影分身でそんなもん使おうとしたら効果出る前にチャクラ切れで消えますわ


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NARUTO~74

 

 side うずまきナルト

 

 思いついた。思いついてしまった。そう言えばこの目はこんな使い方もできたな、と。ただこれだと混線が怖いから少しやり方を変える。

 再不斬と白は戦場を自由に動き回るにはうってつけの存在だ。多くを殺し、多くを奪い、そして裏切りに死をもって応えてきた。そうして集めた死体の中には十分な実力を持った者もいたし、いくつかは換金してしまったから無くなったがそこそこ以上に実力者も多い。

 で、そんな死体を何に使うかと言うことなんだが……俺の目は輪廻写輪眼なんだよな。輪廻眼と永遠の万華鏡写輪眼の両方の機能を併せ持つ。つまりはあれだ、ペイン六道と同じようなものが俺にも作れるってわけだ。原作を読んでみる限り自動操縦ではなさそうだが、俺の方で動かすのも楽しそうではあるからいいとしておく。面倒そうだけど。

 そう言う訳で俺はペイン六道の制作に取り掛かることにした。恐らく実働は本物のペインたちが動きを止めてからになるだろうが、物を作って保存しておくだけなら問題なかろう。

 天道、人間道、修羅道、畜生道、地獄道、餓鬼道……一体どれを誰に使うか……。

 

 ―――!なんか今座にいるちー姉さんたちから『私ら作ってそれ使え』的なイメージが……!? 仕方ない作ろうか。ちー姉さんに本気の殺し合い以外じゃ勝てん。

 天道、引力と斥力を操る個体。なんかやりたいって声が瀑布の如く頭に流れ込んできてやばい……よろしいならばくじ引きだ!ただしシャルは俺の個人的意見から畜生道な!めっちゃ呼び出しまくる奴だし!それに運極だからくじ引きだと絶対出るのがわかってるから先に決めます!よしでは後五人なオリャー!

 

 結果→天道・ちー姉さん。人間道・ラルちゃん。畜生道・シャル。修羅道・弾。地獄道・束姉さん。餓鬼道・のほほんちゃん。何人か非常に残念がっていたけど知ったこっちゃないわな。籤を恨め。

 ただし、あくまでも出したのは容姿だけであり座にいる本人たちは出てこない。まあ画風がNARUTOっぽくアレンジされているが美人ではある。これに穴開けるのか……いや、大丈夫、脳にチップみたいなの埋め込む方式に変えたし、少なくとも外見はまんまだから大丈夫。多分。ただし外見はそのままと言ったが、うずまき一族っぽく赤い髪になってしまった。仕方ないね。

 脳にチップを仕込む方式で動かせるかと思ったが結構いける。普通に生きているのと変わらないくらいの感じで行ける。と言うか本体の方式より動かしやすいのは、多分だが元から筋肉を刺激して動かすよりも元々身体を動かすための機能があるところを支配しているせいじゃないかと思うが、細かいことはわからん。ただそっちの方が動かしやすいのは確かなので気にしない。そもそも俺の影分身の方がよっぽど強い気もするがそこも気にしない。こういうのはロマンらしいからな。

 ロマン繋がりで自爆装置も仕込んでおいた。解剖とかそう言うことが始まった時に作動して周囲200kmを一瞬にして灰燼に変え、その五倍以上の距離に死の灰を降り注がせると言う凶悪な爆弾だ。まあ出番は無いと思うが、だからってちー姉さんたちの身体を他人に弄らせる気は全くない。

 しかし、これで集めておいた死体はほとんど意味が無くなってしまった。これでは穢土転生をさせないためくらいにしか理由が無くなってしまう。流石に刻んで腐らせて畑の肥料にはしたくないし、何かいい手は無いものか……。

 

 まあいいや。ほっといても腐らないように時間の流れのない空間に保存してあるから俺が生きている間は大丈夫だし、俺が死んだら空間ごと消滅するだけで済む。誰も困らん。

 

『なんつーモンを仕込んでるんだお前は……』

 必要だと思ったからな。必要ならやるぞ俺は。

『実際やったのを見たから知っとる。……まあ、らしいと言えばらしいか』

 一応言っとくと、この姿の持ち主は元々俺の同族だから。

『なんだ唯のマジキチか……わかった好きにするといい。どうせ人間……人間? のやることだ』

 おうなんで種族に疑問符つけた言ってみろ。

『何度も言っているが儂はお主を人間と思ってない』

 いい度胸だ。やるつもりはなかったが今度お前とチャクラの綱引きしてやる。

『死ぬぅ!?』

『待て、陽の方の儂だけだよな? 儂もじゃないよな?』

『おれさまはかんけいないだろ!? なにもいってねえし!』

 俺は人間だ。

『『『なにいってんだこいつ』』』

 お前ら全員同罪な。

 




Q.本当に綱引きしたの?
A.全員まとめて相手にした結果勝ちました。右手と左手繋いで右から引き抜きつつ左から押し込んだ結果なんかよくわからない間に全員のチャクラが増幅という結果に。

Q.こんなところまで出席とはお疲れ様です血冬さん。
A.ガワだけなので突然現れて木の葉を塵にはしないはず。


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NARUTO~75

 

 side うずまきナルト

 

 突然の中段突きから低空ダッシュ突き!浮かせたサルケに追いつくようにハイジャンプしながら連撃を叩き込み天破活殺!そして追い打ち弱有情猛翔破!サルケは死ぬ!(死なない)

 

「ぐわあぁぁぁっ!!」

「まだっ!」

 

 そして追い打ち!世紀末バスケゲーだったらダウン中に相手の攻撃は入らないようになっているがこれはNARUTOだ。ダウン中でも普通に追撃できる!繰り返し小足が刺さっておっとサルケ変わり身で逃げる!しかし彼女も即座にブーストでサルケの攻撃範囲を逃れて躱した直後に切り返し!サルケの防御をすり抜けるしゃがみ小足から再び中段!グレイブからハイジャンコン決めて精鋭孔!サルケは死ぬ!(十一秒ぶり二回目。そしてやっぱり死なない)

 おっとここでサルケに限界が来たようだ。残念なことに影分身が消えてしまった。もう少し体術を鍛えた方がいいと思うんだが……体術を鍛えた理由って千鳥をちゃんと使えるようにするためだったよな? あれを刀か何かに応用できれば体術じゃなくて剣術で何とかできそうな気もするんだが……ああ、できるな。確かできるはずだ。

 

「なあ、お前剣術使ってみる気あるか?」

「は? なんだ突然」

「いやお前体術より剣術の方が合ってると思ってな。千鳥は雷遁だし金属製の刀に流してチャクラ刀にして威力上げたりもできるだろうし」

「……良い武器あんのか?」

「忍刀七人衆の使っていた雷刀・牙と俺が作った(なまくら)とどっちがいい?」

「……何となくお前の性格がわかってきたから一応聞くぞ。お前の作った鈍ってのは銘が『鈍』ってことでいいのか?」

「そうだぞ」

「その鈍、実際に鈍か?」

「使い手次第だが形があるものなら切れない物は無いと言っていい程度には切れるな。俺が剃刀に使えるくらいには切れる。ちなみに正式名称は『斬刀・鈍』」

「お前の毛って確か切ろうとした鋏が一回で刃こぼれするってあれだよな? しかもチャクラ纏わせたチャクラ刀状態で」

「ついでに纏わせたチャクラは切断力と貫通力を大幅に引き上げる風遁チャクラであることも考慮してくれな」

「そんなお前の毛を、切れるのか」

「おう」

「鈍にするわ」

「まあちゃんと使えるようになるまでは鉛入りの竹刀だけどな。宝の持ち腐れはよろしくないし」

 

 さて、サルケの強化の方はこんな感じでいいとして、彼女の方の強化はどうするか。もっとチャクラが増えてくれれば回天の時に触れれば切れるチャクラ糸を伸ばして周囲一帯を切り刻む回天なんてものができたりしそうなんだが、彼女はそもそも回天が苦手らしいしな……。

 何か武器を持たせようにも基本的に素手じゃないと威力が下がるから籠手とかも不可だし、何かいい技とか……点穴を見切れる彼女ならではの技……。

 ……スカーレットニードル? だがあれは明らかに拷問技だしな……北斗神拳ともかぶってるし教える意味があまりない。じゃあどうするって言われると困るんだが、ほんとどうしようかね?

 

 …………ああ、あった、いい技あった。繊細なチャクラコントロールが必須でかつ汎用性が高くて今まで教えた技術の先にあるタイプの技でついでに作品が違ったとしても使うための条件は整ってるやつ。彼女はグルメ細胞も持ってるし多分行ける。悪魔がヘアモンスターかどうかは知らんけど、なんかいるっぽいし。これもしかして俺が作った食材だからそのグルメ細胞に宿ってるの英霊の俺だったりしてな。

 ……無いか。無いな。うん、無い。

 

「じゃああっちにテコ入れした以上こっちもテコ入れします。そう言うことで新技を覚えてもらいます。三日で」

「みっ……!?」

「大丈夫だ、影分身修行とチャクラ供給で三日もあれば十分できる。それの今までやってきたことの延長だからできないはずがない」

「で、でも……」

「おっとこんなところに虹の実のゼリーが」

「私頑張る!」

「おう頑張れ。手助けはする」

 

 よしこれで二人とも強化はできるな。あとは強化した後の行動だが、少なくとも三年で二人とも原作のあのくらいに力はつけてもらわないと色々困る。敵対するにしても味方になるにしても最低限それくらいは必要だろう。

 それにバクラの方も……いや、バクラはバクラでナメクジ女こと五代目の婆さんに弟子入りしていろいろやってるらしいから大丈夫か。

 俺は俺で色々考えないとな。最終的にこの世界をどうするか、とか。

 




Q.なんで『バスケしようぜ!お前ボールな!』を実行してんの?
A.『焼肉しようぜ!お前肉な!』よりは遥かにマシでしょうが。

Q.完成系変態刀なら切れんの?
A.気合入れていない状態かつ『むしろ切ってほしい』くらいの状態の髪なら切れます。


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NARUTO~76

 

 side うずまきナルト

 

 原作において死んでしまった三代目の爺さんは、生き延びても長くは持たないで死んでしまった。あの年であれだけのチャクラを使い、内臓に傷も受けてよく一年近くも生き延びたと言えるくらいだ。

 死ぬ前に聞いた通り、三代目の爺さんは蘇らせることはしない。エロ蝦蟇仙人と答えが同じなあたり、やっぱり師匠と弟子ってのは似る物なんだなと思わされた。

 

 人を生かすってのは難しいものだ。人を死なせるよりよっぽど難しい。人は誰であろうと殺せば死ぬが、誰であろうと殺さないことで生かし続けることはできない。何かあれば簡単に死ぬ。それが人間だ。

 これで俺をこの里に縛る鎖が一本解かれた。三代目の爺さん。イルカ先生。彼女。最近では蘇らせた親父とかーちゃんもいるが、暮らしている場所が俺の作った異空間なので簡単に連れていく事ができるし、サルケやその家族も俺の作った世界の中に居候しているような状態なので里に縛り付ける鎖としては機能していない。

 残った鎖はあと二本。その二本の鎖に金槌を振り下ろし続ける馬鹿が沢山。俺が大人しくしている理由がその鎖にあると言うことも知らず、馬鹿が馬鹿らしく馬鹿なことを繰り返してるのは見ていて滑稽と言う以外にない。愚か愚か。サルケも怒るぞ。

 

 三代目の爺さんの葬式だが、俺は不参加だ。と言うか、参加させてもらえなかった。こういうところでも本当に頭が湧いている。だがそれは別にいい。俺は霊なら見えるし、霊体になった三代目の爺さんが昇天する直前に会いに来て話もしたから別にいい。だが三代目の爺さんがいなくなったからと言って三代目の爺さんに禁止されてた俺への手出しを再開しようとするのは正直どうなんだろうな。まあアレに関してはサルケに譲るって言ってしまったから俺は手を出せないんだ。できればさっさと終わらせてもらいたいところだが……難しいな。少なくとも今のサルケでは勝てないだろう。

 まあともかく、三代目の爺さんの追悼式として俺は何も食べず、精神世界の中で丸一日九喇嘛と九喇嘛とショ狸と戯れることにした。

 

 もっふもふやでぇ……。

『……もう好きにすればいい』

『同意』

『あきらめればらくになるぜ……かんしょくだけならきもちいいしな……』

 右手に九喇嘛(陽)、左手に九喇嘛(陰)、膝の上にショ狸(陰)。ついでに俺の中に封印したら同化しちゃった俺と言う名の名も無き尾獣がいればもっと面白かったかもしれないが、残念なことにと言うべきか同化した俺と俺は完全に同一存在だ。つまり力が増えただけで俺がどうにかなるわけではないのだ。

 何が言いたいかと言うとモフモフパラダイスは誰にも渡さない。そのためなら暁が尾獣を集めている理由を『重症なケモナーの集まりが世にも珍しいチャクラの獣を集めて○○○○しようとしている』とかそんな噂を流すことも辞さない。精神的にかつ社会的に死ぬがいい。

『それ儂等にも効く奴』

『儂等の精神が削られる方が間違いなく早い』

『そうなるまえにひざをかせー!ねかせろー!もふもふしろー!おれさまたちをいやせー!』

 はいはいモフモフモフモフ……

『すやぁ……』

『こやつ寝よった……間抜けな寝顔だなクソ狸め』

『儂の前でこいつが眠るなど少し前までは考えられんかったな』

 まあ人は変わる。人じゃなくとも生きていれば変わるし存在し続けていれば変わる。不変のものなど存在しない。座にいる俺ですら様々な情報を追加されていく過程で色々と変わっていく。記録も記憶も移り変わるもんさ。

『は、若造が。儂はこれでも千年以上存在する化け狐だぞ?』

 俺は中身だけなら数千億年は存在しているが?

『……爺かよ』

『……爺だなお前。やっぱり人間じゃなかったか』

 一応人間だぞ? いやまあ確かに人間から若干変化して神格とか持ってるが元は人間だ。ただの人間がいつの間にやら英霊になり、神霊となり、人間でない部分も確かにできたが……それでも俺の認識上は人間なんだよ。何しろ生きていた頃は人間だ。神ではない。

 それに英霊なんてのは基本世界に縛られた使い勝手のいい人形みたいなもんだ。俺はその中では使いにくい方だと自負しているが、俺以上に使い勝手の悪い奴も当然いるし俺以上にえげつないのも頭おかしいのも普通にいる。そんな中に俺が並べられて存在しているってだけでもう何もかもがおかしいんだよな。

 

 あー、まあ、いいか。もう気にしない。三代目の爺さんとは別れを済ませた。遺言も一応聞くだけ聞いた。叶えるかどうかは別として。

 

(今まで木の葉がお前にしてきたことを鑑みれば恨むななどとは言えん。)

(しかし、もしも許されるのであれば。ほんの少しでもそんな気分になってくれることがあるのであれば。)

(一度だけでいい。木の葉の里を、守ってほしい)

 

 ……あー、やだやだ。本当に甘ったるい爺さんだったよ、三代目の爺さんは。

 




Q.死んだの?
A.死にました。ナルトが生き返らせる予定は現状なし。

Q.遺言は守るの?
A.状況次第。


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NARUTO~77

 

 side うずまきナルト

 

 エロ蝦蟇仙人に誘われて諸国漫遊修行の旅。原作におけるナルトはそんなことをしていたんだろうが、俺がそんなことをしようとしたら面倒な奴らが後から後から湧いてくるため実行なんぞできそうにない。ただ、中忍試験は二回目で普通に合格を貰った。二回目の試験は一応同盟国でもある風の国の砂隠れでやったが、まあ落ちるような難しい事は無いわな。実力だけなら中忍どころか上忍レベルのサルケ。戦闘こそいまだそこそこ止まりだが医療忍術の腕を着々と伸ばしているバクラ。そして三代目の爺さんからも四代目である親父からも五代目であるナメクジ女からも実力だけならもう人外一直線と言われた俺だ。そりゃ落ちんわな。

 さて今回俺は少々自分の力に制限をつけることにした。まず、あらゆる状況で使える時間停止の禁止。正確には光速以上の速度で移動することで時間の流れより早く移動することでその瞬間の時間の中を動き回っているのだから時間停止とは少し違う気もするが、やっていること自体は変わらない。世界そのものの時間の流れを押し止めると言う形である意味デバフ系の『世界(ザ・ワールド)』ではなく、自己バフによって自分を時間停止可能速度にまで押し上げる『星の白金の世界(スタープラチナ・ザ・ワールド)』と呼称している理由はこれだ。まあ今回は俺以外の誰かが使ってこない限り使わない予定だけどな。

 それと、ノーモーションから極大被害を出す全力体術系は無しにした。世界割りとか地球割りとかだな。それは無し。ついでに血継限界及び血継淘汰、血継網羅も無し。つまり写輪眼とか輪廻眼も無し。木遁も無し。千の顔を持つ英雄は俺以外の誰が見ても武器にしか見えない奴でかつこの世界のこの時代にあってもおかしくないものだけ解禁。これ解禁にしてなかったらサルケの鈍も駄目になるしな。いやあれは未来技術を逆輸入して作られた物だけども。

 被害半径が大きすぎる技も禁止。必殺ただのパンチは駄目だってこったな。流石に俺の行動で戦争が始まるのはどうかと思うし仕方ない。そして何より人道に悖る系統の術は禁止。穢土転生とか絶対駄目。俺自身はあれ結構便利な術だと思うんだが、思いっきり禁術なんだよなあれ。禁術にもまだまともな禁術と人道とか全部ぶっ飛ばす系の禁術があるが、穢土転生は間違いなく後者として扱われている。

 

 じゃあどんな風に戦うのか。音楽だ。音隠れっぽい戦い方だが、実際あいつらの戦いを見て思いついた戦い方だから音隠れっぽくて当然だがな。基本はあれだ、斬空衝波。ただし身体を改造するような趣味は無いから出す場所は基本口だがな。あとは声で幻術掛けたり歌で幻術掛けたり音圧叩き付けたり楽器にチャクラを込めて音を刃にしたり槍にしたり槌にしたりするくらいだ。古琴波動拳って知ってるか? 俺が初めて転生する前の人生で見たちょっと古めの映画に出てた妄想拳法だが、多分これチャクラ糸で奏でたらできそうな気がするんだよな。実際できたし。ちなみにだが特殊な楽器を使って再現すれば人間の声帯では絶対無理な蝦蟇臨唱も使えそうな気がする。楽譜を知らんから練習もできないが。

 なお、俺の戦い方を知っていた去年の参加者及び担当上忍は白目を剥きそうになっていた。去年は基本は体術、相手によっては相手と同じような技術で一枚上の対応をしてやっていたからな。がらがらどんの砂に対してマグネシアとか、尾獣に対しての尾獣チャクラ斬ことなんちゃって神滅斬(ただし名前はドラグスレイブ)とか……体術自体もリーがやってたからやったと思われてるかもしれないが。

 

 そんなこんなで砂の里で軽く公演してみたり、一尾の影響での不眠症がいまだ続くがらがらどんにチャクラ糸を張った琴で眠りに入りやすい子守唄を奏で、ついでに出てきたショ狸(陽)を膝にのっけて寝かしつけ、それを見ていた砂の忍の一部を発狂させたりしたが……まあ気にすることじゃないな。よくあるよくある。

 

『ねえよ』

『ねえよ』

『ねえよ』

『( ˘ω˘)スヤァ』

 前提条件を変える。俺に関わっていれば割とよくある。

『ああ、それならわかるな』

『そうだな、よくあることだ』

『おまえらそれでいいのか? ほんとうにそれでいいのか?』

『( ˘ω˘)スヤァ』

 なんか俺も眠くなってきたから寝るわお休み。あと、万が一俺が気付かない間に害意を持って近付いてきた奴がいたら起こせ。秒で殺す。じゃあお休み( ˘ω˘)スヤァ。

『秒どころか瞬きで寝よった……』

『ナルトと一緒に居ればよくあることだ。諦めろ』

『( ˘ω˘)スヤァ』

『( ˘ω˘)スヤァ』

『おいこいつつられて寝てんぞ』

『よくあるよくある』

 

 ( ˘ω˘)スヤァ。

 




Q.中忍になったの?
A.原作ナルトと違って参加条件満たせますので。

Q.なんで寝てんの……?
A.むしろこの主人公にしては今まで寝てる描写少なすぎだと思うんですよね。


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NARUTO~78

23時55分くらいにこの話のボツ案を投稿します。内容に期待せずお待ちください。


 

 side うずまきナルト

 

 原作において中忍試験はあの一度以降は出てこなかった。しかし木の葉崩しが行われたあの状態で中忍選抜試験なんてものをやる余裕があるはずがないのは馬鹿でもわかるのでまず間違いなく数年は中忍試験は行われなかったのだろう。

 だが、ここではすでに中忍試験が行われている。多くの被害が出たのは木の葉だが、砂も人的被害と言う点では無視できない程度に被害が出たはずだ。だと言うのにこうして試験が行われていると言うのは、木の葉崩しがとある一撃で一度止まり、さらにそこで風影が暗殺されていることが即座に広まったせいだろう。ぶった切った中に音の忍が何人かいたようだが、まあ俺には関係ないよな。

 しかも木の葉は木の葉で三代目の爺さんが弱ったとはいえ暫く生きていてちゃんと舵を取っていたってのもあるだろうし、戦闘が速攻で終わったと言うことは被害も少ないと言うことだ。あの時もう少し遅らせていたらもっと被害が大きかったのか……暫く放置しておくんだったわ。

 

 まあそんなこんなで中忍になった俺だが、今まで一度たりとも中忍用の任務服を着たことがない。流石にここまでくると毒を仕込んだり直接的な害を及ぼすような事は無くなってくるが、だからと言って今までの事が無くなるわけではない。俺は割と執念深い方だ。それこそ蛇のように。だから俺は以前、具体的にはこの世界に転生する大分前に食事中に中近代ブリタニアの餌の話をした某青セイバーの事をいまだに許していない。カレーを食べている時に腹の調子が悪くて下痢気味だと言う話題を出してくる奴と同じくらいに罪深い。場所によっては即座に斬首刑から晒し首にされても『まあ仕方ないわな』と言われるだけで許されるレベルの罪だ。

 

『そんなやばい場所あったか……?』

 俺の脳内。

『それ場所じゃねえだろ自重しろ』

 そう言われて自重できるようなら今の俺はいない。諦めろ。

『儂はもう諦めとるから構わんが周りの奴らがどう思うかは知らんぞ?』

 俺はこの世界で周りの奴がどうこうってのは気にしないことにしている。理由はお察し、そんなことをしていたらそれこそ五分で死ぬか奴隷のように生きるかの二択だ。そんな人生は御免なんでね。

 

 それと中忍試験のために砂の里に行ったが、がらがらどんが新しい風影になっていた。なんか里の中でクーデターがどうこうとかそういう話もあったようだが、俺が何をするわけでも無く終わったから問題なかろう。一応怪我人はできるだけ出さないように医療忍術を主体に立ち回ったし、後は音にチャクラを載せて索敵したりしたくらいだ。俺が目立つようなことは殆ど無い。ちょっと腕が吹き飛んだ奴の腕を生やしたり胴体が半ばから抉り飛ばされていた奴の傷を修復したりしたが、まあ問題はない。少々効果の高い医療忍術使いなだけだと言うことにしておく。面倒だしな。

 だが、こうして万能でいると不安がる奴もいる。医療忍術をかじり始めたバクラなんかは俺が医療忍術を上手く使っているのを見て自分は本当に役に立てるのか、存在している意味はあるのか、なんてことを不安に思ったりするらしい。

 ……そういうことを不安に思う子供ってのはとても可愛いものだ。ついつい身の丈に合わない力を与えてしまいたくなるくらいに。

 

「……なあ。俺が今まで一度もお前の名前を呼んだことが無い事には気付いていたか?」

「え? ……うん。あと、サスケ君とカカシ先生の事も呼んでなかった……キバとシノ、ネジさんとリーさんくらい? ……あといのもか」

「よく見てんなぁ……実はな? 俺には特殊な術が常にかけられている」

「特殊な術? どんな術?」

「記憶を燃料にして力を増す術って言う珍しい術があってな。これまでの人生で積み上げてきた記憶を焼き払うことでエネルギーに変え、チャクラにしたり身体能力にしたりするわけだな」

「それがなんだって……まさか、名前……!?」

「察しがいいようで結構。この術は自動で発動し続ける術でな。常に何かをくべていないと燃料を求めた術の炎が見境なしに記憶全体を焼き始める。つまり加減を間違えると人生そのものがすべて焼き払われることにもなりかねない危険がある。それも思い出とかそんな物だけではなく言葉や歩き方まで忘れる完全な白痴になる可能性もあるが、そうならないようにするためには名前だけをくべ続けたりする必要がある訳だ」

「そう、なの……」

「態々他人に言うような術でもないし広まると馬鹿が湧きそうだと思ったから黙ってたんだが、こうして伝えたからにはそうした理由があるわけだ……力が欲しいって言うなら、この術を教えてもいいぞ? 解析して自動で焼き続ける術式から自分の選択した記憶や範囲だけを焼いて力に変える術に改変したし、必要ない時には切ってもおける。一度火をつけたら止まらない方はいちいち火をつけたり消したりする必要がない分出力や変換効率は若干高いが使い勝手は最悪だし、改造版の方しか渡す気はないが……使ってみる気はあるか?」

 

 バクラは迷ったように視線を彷徨わせる。まあ突然『記憶を代償に力を得る術使うか?』と言われても迷うわな。普通は迷う。俺だって迷う。

 だが、バクラの無力感は凄まじい物だったのだろう。迷いはしていたが、それでも迷いの果てに俺の手を取った。




Q.どこの錬金術師さんですかねぇ……?
A.思い出さなくてもいい記憶、思い出したくもない記憶を焼き払える上にエネルギーまで手に入る、とっても便利な術ですよ。

Q.え? 覚えてられない理由って体質じゃなかったっけ?
A.『特殊な術が掛けられている』のは本当ですし、『記憶を燃料に力に変える術がある』のも本当です。かけられている術がそれとは言ってないです。


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NARUTO~79

今更なんですが『原作キャラ生存』とかそういうタグをつけといた方がいいですかね? いや死んでますけどね? 生き返っただけで生存してるかどうかは怪しいですけどもね?


 

 side 春野サクラ

 

 新しい術を覚えた。チャクラもそう多くなく身体も頑丈とは言い難い私が強くなるための術。それがこの術『焼却錬成・思兼(オモイカネ)』。私の記憶を代償に大量のチャクラを得ることができる術だ。私はこの術を誰かに教えてもらったのだけれど、誰に教えてもらったのかは覚えていない。けれどつい最近までこの術は使えなかったはずだから、きっとこの術を覚える時に確認として誰に教わったかとかそういう記憶だけを焼却したんだと思う。

 使い方は覚えている。忘れがたい記憶であるほど燃料とした時に取り出せる力は多く、すぐに忘れてしまうような記憶では殆ど力は取り出せない。だから火力が欲しいのなら自分や誰かの名前をくべてみれば大きなチャクラに変えることができる。そして一度くべた記憶は二度と戻る事は無い。

 また、この術は知られていないからこそ禁術ではないけれど、多くに知られることがあれば間違いなく禁術に属されるもの。無理矢理誰かに使わせ、そして得た力を利用して残った人間はそのまま放置してもいい。なにしろ記憶だけではなく歩き方や筋肉の動かし方、呼吸の仕方まで忘れてしまっている相手だ。放置しておけば死ぬ。そしてそれは使いすぎれば私自身にも降りかかる可能性のある未来だ。

 それでも私はきっとこの力を使い続けるんだろう。力が無くて嘆くより、記憶を失って嘆く方がよほどつらいとしても。この術の使い過ぎで自分が誰なのかと言う記憶すら失ってしまったとしても。私はきっと私のためにこの術を使う。

 きっと私は、最後までサスケ君の記憶だけは焼こうとしないだろうから。

 

 

 

 

 

 side うずまきナルト

 

 焼かれた記憶。俺がこの術を教えたと言う記憶。俺が他人を名前で呼ぼうとしないと言う事実とその理由。ここまでは俺が狙って焼いた。だが、ここから先はバクラが焼いて行ったものだ。

 敵に対しての情。自分に対しての情。そして恐怖心の一部。それを焼いてしまえば戻る事は無いと言ったのにそれでも勢いあまって焼いてしまった。まあ感情は焼けても積み重なった分だけだからいずれ再び湧き上がってくるはずなので大丈夫だろうし、一度抱いた情はある程度付き合っていけば再び芽生える。ただし、全く同じものが芽生えるわけではないから毎回歪みはするだろうが。

 

『……お前、そんな術を使っていたのか……』

 は? 何言ってんだお前。俺が生まれてお前が俺に封じられてからもう十五年近い時間が過ぎてるってのに、一体お前は俺の何を見てきたんだ? と言うかお前は俺の中にいるんだから俺がそんな術を使ったことなんてないことくらいわかりそうなもんだがね。

『おま、え、ちょ、じゃあなんだ? お前あれだけ言った言葉全部嘘かよ!?』

 嘘なんて一つも言ってないぞ。俺に常に封印術が掛けられているのは事実だし、記憶を燃料として力を得る術があるってのも嘘じゃない。その内容についても嘘じゃないし、実際にバクラに教えただろう? そもそも俺にかけられている術がその術じゃないってだけの話だ。実際に俺が作った時には自動で記憶を焼いて力に変えるだけの術で制御とかかなり難しかったし、ほっといたら記憶も経験も力に変えて燃え尽きるような術だったのを俺が解析して改造した結果調整できるようになって、僅かに最大出力と効率が落ちたってのも本当だ。

 堂々と言おう。嘘など一つもついていないと。

『明らかに誤解を招くことを狙って言ってんじゃねえか!?』

 それがどうした。俺は嘘も間違いも言っていない。ちょっと前後が繋がらない話をしてしまって偶然相手がそれに気付かず誤解してしまっただけだ。俺は悪くない。そしてそれが俺を監視している暗部連中に聞かれ根の統括の耳に入って根にその術を覚えさせて暴走して死んでも俺のせいではない。術式をわざと写し取れるようにゆっくりと展開していったのもわざとではない。そもそも術式展開とかしないで念話とかの要領で意識下に刻み込めばそれで全く問題なく出来たとかそんな事実はあるけどない。

『あるのかないのかどっちだよ』

 事実としてはあるが無いと言うことにしておきたいから対外的には無いと言う。

『相変わらず変な所でクソ正直だなオイ』

 俺はいつでも正直だぞ。ただ胡散臭い言い回しを多用するだけだ。悪いと思ったら謝りもするしな。

 そうそう、今度ちょっと封印開けるからそのつもりでいてな。

『出すのか? それともチャクラを奪うのか?』

 いやいやチャクラだったら接触してる時間が長かったんだからいくらでも真似られるっての。ただ普通に出すと面倒だから影分身にお前らの意識を載せて出せるようにする。今のところ術式はできてるしお前たちじゃない俺の中にいる奴も出せたから多分行けると思う。すまんな、本体を出してやれんで。

『構わない、とは言わんぞ。礼も言わん』

 いいよ別に。俺がやりたいからやるだけだ。

 ただ、影分身で出てる時に封印されたりするとどうなるかわからないから気を付けてな。元の身体は一応俺のだからどうとでもなると思うが、ならないかもしれんからな。

 




Q.根の誰か見てたの?
A.見せてない見せてない。偶然見られた可能性が無きにしも非ずってだけ。

Q.九尾が出るのか……
A.実は九喇嘛ですが初めは『くらみん』とか呼ばせようと思っていたと言う事実があります。


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NARUTO~80

今回で巨大ロボについてのアンケートはおしまいです。千人以上の方に参加していただきました。ありがとうございました。
……巨大ロボなのになんで生身でやることになってるんですかね?


 

 side うずまきナルト

 

 九喇嘛が外に出たが、どう見てもいつものあの姿だ。ロリ顔ロリ声ロリボディ。瞳孔もいつもの赤に縦長だが、美幼女で衆目を集める以外に問題はない。ちなみに服については俺の趣味により和装だ。洋風の狐も悪くないが、やっぱり狐耳と言えば和装あるいは中華系と相場は決まっている。そして実際よく似合っているから問題なかろう。あっても知らん。

 ちなみに戦闘力については身体が小さくなった分一撃の威力は大分落ちたが尾獣玉のようなチャクラ攻撃などは威力そのまま扱える。要するにまともな戦いでは十分強い。まともじゃない戦い? こいつ脳味噌ロリだから力任せで何とかならないゲームの類はあまり強くなかったりする。反射神経だけで戦えるほどスマブラは甘くないんだよ。

 

「……お前が作った方が美味いな、ナルト」

「そう言ってくれるんだったら作った甲斐があるよ。出した甲斐は無いけどな」

「いやいや、出れるなら外で食べればいいだろう? 儂は稲荷寿司を所望する」

「お前それ術解いた後どうするんだよ」

「消化が終わるまで戻らん」

 

 こいつ阿呆だわ。今更だけども。と言うかそもそも食事が必要ないんだから消化器官とか備えてるのか? 影分身が元だから備えてるとは思うが……。

 ……いや待て、よく考えたら戻す必要無くないか? 誘拐(口寄せ)にだけ気を付けていればそれでいい気がする。普通の影分身だったらともかく俺の影分身だから傷を負ったり比較的強い衝撃を受けたりもしないだろうし、影分身なのに寝るとチャクラが回復する仕様だから九喇嘛が入っていても問題なく回せるはずだ。全力でやってチャクラを使い切ったら流石に戻ってくるだろうが、それ以外で戻ってくる事は無いんじゃなかろうか。

 それに影分身だったら空間的に断絶していようが封印されていようが術が解ければ情報ごと戻ってくるだろうし、多分大丈夫! のはず!

 

「お前な……儂は尾獣だぞ? 早々儂を捕らえることができるような輩がいるものか」

「初代火影にマダラハゲ、俺の親父にかーちゃんに……まあどいつもこいつもそうそういるような奴じゃないのは確かだわな」

「だろう? そもそもお前は心配性なのだ。儂だってそうそう誰かについていくような事はせんし、道を忘れることはあっても目的地を忘れるようなことはありえん」

「そうか。だが相性ってものもあるからな。チャクラ生命体であるお前はチャクラを喰らう系統の存在には強くないだろう?」

「阿呆抜かせ。お前ほどではないにしろ儂のチャクラが早々切れるようなことがあるものか。と言うかお前くらいだぞ? 仙術チャクラを練るために自然エネルギーを感じ取って取り込むところまで簡単にできた挙句動きながら問題なく取り込めるくせに自分の持っているチャクラ量が多すぎて周囲の自然を完全に枯らしてしまう心配から仙人モードになれん奴なんてな」

「いいんだよ別に。自然エネルギーについては圏境で一体化するのに慣れてたから一体化するついでに取り込んだだけだし、圏境で気配感知もできるんだから。流石に九喇嘛のチャクラ使ってる時の悪意感知はできないが、困っても無いしな」

「相変わらず人外だなお前も……」

「一応言っておくが俺が自分を人外だと認めた場合魂の性質変化が起こっていくらか格が上がって更に凄まじいことになるけど構わんな?」

「構うわ。わかった儂は少なくとも直接口に出して言いはせん」

 

 まあそれで十分か。何しろ面倒事だ、人間から魂が外れるとか、この世界じゃなかったら本当に面倒臭いことになるところだわ。特に魂の存在が当然の世界とかでそれが起きると本当に面倒臭いんだ。だから毎度否定してるわけだが。

 さてそれじゃあこの金髪狐耳幼女の顔見せをしておくとしようか。どうせ大抵は俺の家で過ごすことになるんだろうし、そうでなくとも『九尾とこんな感じで仲良くやってます』的なことを伝えておけば安心させられるだろうし。

 ……となるとサルケにも伝えることになるが、それだったら先に伝えたい相手がいる。勿論彼女の事だ。彼女は自分に自信を持てないタイプで、俺から構っていかないと結構よくへこたれてはなんとか立ち上がるを繰り返している。そう言うタイプは大器晩成型であることが多いが、俺はその大器をさっさと作り上げて周囲を彩る方が好きなのでできればさっさと完成させておきたいのだ。

 まあそう言うことで、まずは彼女に伝えよう。間違いなく驚くだろうが、まあ俺と一緒にいるならよくあることだと諦めてもらうしかない。

 




Q.ナルトの料理って美味いの?
A.この世界における一般的な食材を使ってもそこそこ美味いです。

Q.で、ヒナタに伝えたの?
A.伝えた結果軽く流されました。同サスケ。


ロボのアンケートが終わったところで次のアンケートです。
NARUTO~100が投稿される頃までが締め切りです。


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NARUTO~81

 

 side うずまきナルト

 

 火眼金睛という物を知っているだろうか。現代風にわかりやすく言えば赤白目に金の虹彩を持った目の事で本来はあくまでも色彩の事であってそれに何かしらの効果があるものではない。

 だがショ狸は青黒い白目に十字に裂けたような金の虹彩を持ち、それがなんとも似合っている。普段の言動から考えるとこんなかっこいい奴は似合わないと思ったんだが、外見だけは美ショタだからな。外見美幼女の九喇嘛と揃って眺めているだけならとてもいい感じだ。

 

「そんな訳で封印解いて出したらこんなんなったわ」

「うっそだろナルト」

「あ、その反応エロ蝦蟇仙人と同じだな。やっぱり師匠と弟子は似る物か……あ、ちなみにこっちの可愛い幼女の方が九尾の九喇嘛でこっちの可愛いショタの方が一尾の……名前なんだっけ?」

「しゅかくだよ!いかげんおぼえろ!」

「十年待って」

「なげえよ!じゅうねんはさすがになげえよ!」

「仕方ないだろ、毎日使う俺の名前ですら覚えるのに五年くらいかかったんだから他人の名前とか短くて五年長くて永遠に覚えないままその存在を忘れるまであるんだから」

「うっそだろおまえものおぼえわるすぎだろ」

「待って、待って待って待って。九尾がいるのはいい、いや本当はよくないけどまあいい。僕が封印したのに封印解いて普通に外に出てるとかおかしいよねとかいろいろ言いたいことはあるけどまだいい。なんで一尾の守鶴がここにいるのさ」

「九尾がいるのも驚きだけど、何よりあの九尾がこんなかわいくなっちゃってるのも驚きだってばね……」

「五月蠅い!全部お前たちの息子のせいだぞクシナにミナト!」

「ん!どういうことなのかよくわからないね!ナルトがそうなるように術を組んだってことかな?」

「いや、チャクラ生命体は他者の認識の総体によって姿が変わるらしいんだが、その認識の総体に関わる力は主にチャクラ量によって変わってくるそうなんだわ。で、俺のチャクラ量は九喇嘛曰く十尾を分割した六道仙人の何十億倍以上もあるらしく、それって俺以外の世界の総体に匹敵あるいは凌駕する量だったみたいでさ。結果的に俺一人の認識で姿が変わっちまってな。初めは冗談でロリ狐とか呼んでたんだがいつの間にやら立派なロリ狐耳美幼女に……」

「もう儂はその件については諦めた。だが文句くらいは言わせろ。お前ら儂にナルトを押し付けよって。 絶 対 に 許 さ な い か ら な 覚 悟 し て お け よ

「こわい」

「ちなみにロリ狐と呼ばれ続けてこんなになってしまった時に巻き添えでショ狸と呼ばれるようになってしまった結果ショタになってしまった一尾がこちらになります」

「おたくはむすこにどんなきょういくをしてるんだ!」

「つい最近まで死んでたのを俺が蘇らせたんだ。親から教育とか受けた覚えないぞ。あるとしたら『人間はいつか死ぬ、それがいつになるかはわからないからできるだけ自由に生きるべき』ってのだけだな」

「「ごべはぁっ!?」」

「いきなりちをはいてもだえくるしんでいる!? きずはあさいぞしっかりしろ!」

 

 まあ親としての仕事とかされた覚えないわ、と返されたらそんな感じにもなるわな。ちなみに現在封印が解除されたあの場所は九喇嘛の個室みたいな感じになっている。双子分な。

 

「……それで、僕たちに九尾と一尾を見せて何がしたいんだい? いや、何をしてほしいんだい?」

「ん? いや普通に封印解いたって報告と出してる間は飯食って風呂入ってとかするからって報告。特に何かしてほしいとかそういうのは無い」

「え? 無いの?」

「無い。……あ、かーちゃんには九喇嘛達の服の世話とかを頼むのもありかと思ったけどただでさえ不自由な生活をお願いしたり別の一家とシェアハウスしてたりで迷惑かけてるしこっちで何とかするから別に―――」

「やるってばね!いやーナルトは本当に手のかからない子だし今までが今までで人に頼ることをしない子だけどたまには頼ってほしいってばね!」

「あー……九喇嘛?」

「儂は別にこの服だけでも気にせんぞ。どうせチャクラで編まれた服だ。消して作り直せばいい」

「たぬきち?」

「おいまてそれおれさまのことか? そうよばれるくらいならいちびのほうがまだましだわぼけぇ!」

「じゃあ一尾。お前は?」

「ふくとかすなでどうとでもなるからいらね。いまきてるのもすなでふくのかたちをつくってるだけだし」

「……こういう訳なんで、よろしく、かーちゃん」

「まっかせるってばね!」

「ははは……僕もそろそろ不定期のじゃなくてちゃんとした仕事につかなくちゃね……三代目が亡くなってから仕事が殆ど無いし」

「そのとしでじぶんのこどものすねをかじってくうめしはさぞうまいだろうな」

「……」

「おいナルト!ミナトの奴力のない笑顔を浮かべながら口と目から血を出してるぞ!?」

「流石にそんなこと言われてもなぁ……どうしようもないわ」

 

 この日から親父はよく働きに出るようになった。サルケの親父もな。

 




Q.ちょっと待って? ショ狸のくせに目だけかっこよすぎない?
A.実はロリ狐も目だけはとてもかっこいいんですよ?

Q.つまり前回の外出で九喇嘛は全裸……?
A.実質そうですが違うと言えば違います。と言うか違ってほしい。

Q.あとアンケートなんだけど、どっちからどっちを見た時の難易度かはっきりさせて?
A.マダラからナルトを見た時の難易度です。そう考えるとゲージ攻撃が通る時点で温情ですよね? なおベリーイージーがあったらなんと通常攻撃が通るようになります。


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NARUTO~82

 

 side うずまきナルト

 

 有名になると色々と面倒事はやってくるものだ。それが力で何とかなる範囲内であるなら俺に何とかできないことはあまりないが、それが力ではどうにもならないこととなれば色々と面倒臭くて仕方ない。まあ力も極まれば大体の事はどうにかできるんだけどな。権力が相手なら相手の権力基盤を根こそぎ消し飛ばせばいいし、財力が相手ならその財を奪い尽くせばいい。そして暴力が相手なら……まあ、言わずもがなだ。

 再不斬、そして白。この二人は有名になりすぎた。懸賞金は右肩上がりで伸びていき、本人の持っている様々な特殊忍具や武器の数も凄まじいことになっていると思われて狙ってくるものも増えた。当然ながら手に入れたものの多くは俺の方に回されて秘密の保管庫に厳重に封印されているんだが、それを知っているのは基本俺と九喇嘛、そしてショ狸くらいだ。

 そして今回俺を……と言うか、再不斬と白を狙ってきたのは他でもない、オカマ丸だ。いつも通りカブタックも傍に控えている。腕については身体を取り換えることで対処したようだが、おそらくかなり急いで身体を取り換えたせいだろう、チャクラの量がやや減っているようにも見える。まあ肉体を置いて精神だけで乗り換える術だ、肉体が鍛えられていなければ精神エネルギーだけが多くともどうにもならないだろう。

 

「初めまして、再不斬。私は―――」

「何が『初めまして』だカマ蛇野郎!なんだその身体は!また毛根が心配になって若い身体に乗り換えたのか!?」

「 」

「 」パリンッ

「残念だったな!俺だよ!何年も前にこいつを殺して穢土転生の術で動かし続けてるんだよ!死にたての本人の死体を無理矢理死魂の術で一時的に動かして生贄に捧げるとかなり相性がいいからそれで動かしてんだよ!再不斬じゃなくて残念だったな!悔しかったら時間巻き戻して俺がこいつを殺す前に戻って出直してきな!」

「……ナルト君、貴方……」

「あ、それはそれとして俺穢土転生を応用してそいつの身体を再構成する術を作ったんだけど、欲しい身体があるならサンプル出せば作ってやるよ?」

「ここにサスケ君の髪があるわ」

「はい借りるな。……ほい」

 

 ではまず貰った髪を適当に眺めまわします。

 次に試験管から出して指先で触れます。

 そしてそれを磨り潰して掌にまぶします。

 両手を打ち合わせ、変質させて九尾のに寄せたチャクラを放出します。

 サルケの身体を出します。

 この間僅か十二秒!

 

「できたぞ」

「いくらなんでも早くないかしら!?」

「ちゃんと写輪眼も使えるようにしてあるけどいらないなら持って帰るぞ」

「頂くわ」

「お代」

「言い値を払いましょう」

「じゃあ5000万両」

「カブト」

「はい、大蛇丸様」

 

 口寄せで受け渡された金を確認。その間にあっちはあっちでサルケの身体を確認。生きてはいるが魂が無いからそのまま入れば簡単に乗っ取れるようにしてある。

 

「それと、万華鏡写輪眼は使えば使うほど視力を失う。別の万華鏡写輪眼を奪って移植すれば永遠のものになるが早々万華鏡写輪眼に開眼した奴なんていない。そこで別料金で万華鏡写輪眼だけ左右セットで作れるが買うか?」

「その眼、誰のどんな能力があるかは指定できるのかしら?」

「できないこともないが移植した万華鏡は基本的に元々の瞳力を失うから意味がないぞ。元々写輪眼が使える身体じゃないなら別だが、基本的にはあくまでも自分の魂に合った瞳術しか使えない。それが写輪眼だ」

「そう……それは残念。じゃあ一組頂こうかしら」

「2000万両になります」

「足元を見るわね……カブト」

「問題ありません」

 

 そして再び受け渡し。人身売買は儲かると聞くが、確かにこれは儲かる。いい商売ができた。

 

「もしかしてだけれど……他の忍の死体を持ってたりはしないかしら?」

「あるぞ。と言っても俺が戦場で殺した奴ばっかりだけどな。何をお求めで?」

「とにかく強い忍の肉体情報が欲しいのよ。血、肉、骨、髪、なんでもいいけれど穢土転生に使えるくらいは欲しいわね」

「今俺の所にあるのは……感覚的に強い順で出すが……(カンペを見つつ)うちはマダラとかどうだ? 確か千手柱間と千手扉間は持ってたろ?」

「 」

「 」パリンッ(二回目)

「……いらんか?」

「欲しいわ。凄く欲しい。まったくあなたは商売上手なんだから……」

「毎度。まあ身体の一部だし生きている身体そのものを出すわけでもないし、500万両でどうだ? 使い道から考えればすさまじく安かろう?」

「お値打ち価格ね。いいじゃない。ちなみにだけれど、うちはマダラの生きた身体を欲しいと言ったらいくらかかるのかしら?」

「五百億両。強い奴を作るとなるとそれに応じてチャクラの消費量が凄まじいからそのくらいは欲しいね。初代火影の場合も同じくだ」

「桁違いね……」

「で、どうする? 生体を買うか死体の一部を買うか」

「流石に生体には手が届かないもの、死体の一部を貰うわ」

「500万両ね。この身体は俺が賞金首とかを相手にするために使ってる奴だ。まあ、ご贔屓に」

 

 さて、儲けた儲けた。あのオカマ丸がどんな目を開眼するのか、少し楽しみだ。

 




Q.おい……おいおいおいおい!?
A.サスケの身体を諦めさせるためにはサスケの身体をあげればいいんじゃないかなと思いまして……。

Q.マダラとかどこで手に入れたの……?
A.作ったんだよ言わせんな。


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NARUTO~83

 

 side うずまきナルト

 

 オカマ丸とカブタックの二人との商談を終えたが、実はこっそりと契約術式を仕込んである。契約内容に関しては簡単だ。俺との取引の事と、そもそも俺とこの時に出会ったと言う事実を他人に知られることができなくなるという、ただそれだけの物。他人に伝えるだけではなく知られることで伝わる契約なので、知った相手にも同じ契約が結ばれる。無論それを知らせてしまった者は経絡系を魂ごと砕かれて死ぬことになる。これによって相手が穢土転生された場合には魂が砕かれて術ごと消滅するし、死因が契約違反だった場合にはそもそも穢土転生されることも輪廻天生されることもなくなる。実に便利な契約だ。

 なお、こういった便利な契約には当然穴がある。知られてしまった時点でそいつは死ぬが、知られてしまったと言う事実には変わりないわけだ。要するに誰かが自分の命を犠牲にしてそれを伝えたり、書面に残してそれを誰かに見られてしまってもそれを止める手段は俺には無い。それくらいだ。

 と言っても、こっちだってそれに対するカウンターくらいは用意してある。かつて人間の総体とも言える意識の中で飼っていた、夕焼けよりも赤い空を自由自在に飛び回る鳥。ちなみに番だ。殺しても蘇るしたまに卵も産む。そしてそれで作ったスカーレットフライドチキンは非常に美味い。ともかく、その認識の鳥に感染させることで知ったら狂死する。まあテロだな。世界を本当に滅ぼしたいと思っているのなら是非ともやってみるといい。

 ちなみに鳥を呼ぶにはこの言葉を口に出して唱えるんだ。

 

 赤時化 柳下 緋色の鳥よ 九叉食み寝食み 卦を伸ばせ

 七都 光刺す 緋色の鳥よ 戸掻き夜魔掻き 名を屠れ

 皇たる 名執 緋色の鳥よ 日食い黄泉食い 関徹れ

 煌々たる紅々荒野に食みし御遣いの目に病みし闇視たる矢見しけるを何となる

 口角は降下し功過をも砕きたる所業こそ何たるや

 其は言之葉に非ず其は奇怪也

 カシコミ カシコミ 敬い奉り御気性穏やかなるを願いけれ

 紅星たる星眼たる眼瘴たる瘴気たる気薬たる薬毒たる毒畜たる畜生たる生神たる我らが御主の御遣いや

 今こそ来たらん我が脳漿の民へ

 今こそ来たらん我が世の常闇へ

 今こそ来たらん我が檻の赫灼ヘ

 緋色の鳥よ 今こそ発ちぬ

 

『おいナルト。今突然なんか赤い鳥が現れたんだが』

 おっと、来たか。そいつは俺のペットだ。昔飼ってたんだが呼んだら来た。と言うか読んだら来た。まあ気にする事は無い……のは、俺だけか。そいつに食われないように気をつけな。食われても死にはしないが思考力が下がるし強迫観念に苛まれることになるからな。

『なんつーモンを飼っとるんだお前は』

 勝手に懐かれたんだよ。最初は俺を餌と思って来たんだろうが、何億回か殴り潰したら大人しくなってな。

『億』

 億。ともかく安全だ。ちなみにそいつ、死んでも復活する特性から夢の中から現実に持ってきてフライドチキンにしたら精神汚染を引き起こすほどの人気商品になってな。まあその時の謳い文句のせいだって話もあるが……。

 気にするな。気にしたら精神汚染されるぞ。

『なにそれこっわ……ちかよらんどこ……』

 ちなみに逃げる奴を追う習性もあるから見かけたからって即座に逃げようとはしない方がいいぞ。

 

 さて、精神汚染がこの世界に広がらないように願いつつ……スカーレットフライドチキンでも食べるとしようかね。

 

 ちなみに、その世界では俺もそいつの同類だった。クラスはEuclid。『常に健康な男』と言う名前だったが、その世界ではただひたすらに健康であり続けた結果そうなった。と言うかそれ以外のをほぼ全て封じて健康にだけ振り切った結果、マジで健康でしかいられなくなった世界だった。怪我をするのは健康ではないから怪我はしない。病気にかかるのは健康ではないから病気にもかからない。老化するのも健康ではないから老化しない。死ぬのは健康ではないから死なない。ミーム汚染は健康ではないからされない。収容は『肉体的・精神的・社会的に良好である状態』の社会的の部分に引っかかるせいか収容もされない。それはもう仕方ないから財団で働いてたよね。収容ではなく雇用と言う形だったが、まあ実質的には収容と変わらない。割と自由にさせてもらってたから中々いい世界だったね。認識の鳥は夢の世界だとわかってたからブチコロがしたけども。

 




Q.お前SCPだったのか……。
A.しかも健康に全振りした結果存在そのものがやばいことになりました。

Q.フライドチキンになんの? マジで?
A.チキンを買え。食え。クーポンもあるぞ!


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NARUTO~幕間の物語1

ここから幕間物語。現状四話のみ


 

 side うずまきナルト

 

 木の葉に親父とかーちゃんを連れて戻った時、本当に驚かれた。里の人間たちの俺への対応が思っていた物の-10倍は酷かったらしい。まあ全体的にあの戦犯のせいなんだが、態々それを伝えたところでどうにもならないので流すことにした。

 俺の周りにはいつでも見張りがついている。しかしその見張りは俺が何をされても手を出してくる事は無い、本当にただの見張りでしかない。俺が頑丈でなければとっくに壊れていただろうが、その時には九喇嘛が解き放たれて木の葉は今度こそ崩壊していただろうな。運のいい奴らだ。

 それでも俺は毎日をこの里で暮らしている。普通ならば耐えられない程度に厳しいらしいこの状況にも慣れてしまった。そのせいか今の俺はかつての世界にいた最凶最悪の過負荷と同じような雰囲気があるらしい。まともな人間には嫌われるが、俺と同じような存在には好まれる。排斥されたもの、置いて行かれたもの、そう言った存在に対しては非常に好かれるようになった。まあ例外は多々あるようだが、俺にあのマジキチ手ブラジーンズ先輩のような真似を期待されても困る。なんだよ現実を虚構に変えるとか頭おかしいんじゃないか?

 まあともかく、そうやって普通に暮らしていたら親父とかーちゃんから話があると言われてしまった。

 

「ナルト。君は木の葉を恨んでいるかい?」

「好きか嫌いかで言えば嫌いだし守りたいか否かで言えば守りたくない。滅んだとしても悲しくはないしむしろ俺の知らないところで俺の知らない間にいつの間にか勝手に滅んでいてほしいくらいに思ってるけど別に恨んではない」

「それぜったい恨んでる奴の言い分だってばね……」

「ん? 三代目の爺さんと約束したから例え俺が手を出しさえしなければあと一歩のところでギリギリ耐えられるって時に手を出して崩壊させたりしないぞ? まあ同時に俺が手を貸せばギリギリ存続できるって時にも手は貸さないようにするつもりだし、木の葉が総力を挙げて潰しに来たらこっちも総力を挙げて潰しに行く予定だけども。」

「ん!大体わかったよ。ナルトは自覚してるかどうかわからないけれどねじ曲がりながらまっすぐ育ってるんだね」

「自覚はあるよ。じゃなかったらいつでも報復できるように塵遁結界なんて敷いておきながら平然と暮らしてたりしないだろうし」

「待って!? 塵遁結界って何!? どこに敷いたの!?」

「俺が暮らしてた家の家具に仕込んでおいた。外出する度盗まれるから報復してやろうと思ってね。壊れると半径5mくらいを飲み込む原界剥離が発動されるようになってて、もう何個か発動してる。行方不明者も出てるみたいだね」

「……なるほど。うん。ナルトにとっては木の葉は敵かい?」

「一部除いて仮想敵って認識だね。流石に罵倒するくらいでそう思いはしないけども手裏剣投げてくる奴は完全に敵、忍術使ってくる奴は即座に事故にあってもらってる」

「事故?」

「事故。まあそんな感じで悪意にも殺しにも慣れててね。実力的にできるかどうかはともかく、親父もかーちゃんも殺せると思うよ。三代目の爺さんが教えてくれたんだ。『木の葉に住む者は皆家族』って。家族ってのは悪罵し、殺意を向け、武器と術を向けてくる相手の事を言うんだと一時期本気で思ってたし」

 

 俺の言葉に親父は頭を抱え、かーちゃんは涙を流しながら俺を抱きかかえた。俺はこの人生で愛と言う物を向けられることは殆ど無かった。産まれてすぐに両親から向けられたものと、つい最近まで三代目の爺さんから向けられていた物。それくらいだ。イルカ先生は……あれは多分愛なんだろうな。俺の知る愛のどれとも違うから良くわからないんだが、師弟愛とでもいうのだろうか。多分そんな感じだ。多分な。

 ……しかし、俺に向けられる愛ってのはどいつも歪んでるのばっかりだな。

 親愛と性愛が混じり合ったもの。同じく依存と恋愛と欲が混じった物であったり、あるいは所有物に向けるような愛であったり、同族との傷の舐め合いのような、ぬるま湯に浸かって腐り堕ちていくような。そんな物ばかりだ。

 この世界に来てからもあまり変わらない。だが、そんな汚泥の中にあるからこそ純粋な愛と言うのは尊い物なのだと生まれ変わる度に思わされる。

 

 まあ、俺はまだ愛情と殺意が直結してたりするキチガイではない。愛することと殺すことを同等に見てはいないし、あらゆる事が殺人に繋がるわけでもない。まあ精神的にそこそこ頑丈なだけの一般人だと言える。

 それに、笑いたい時には笑えるからな、俺は。まだまだ平気だ。

 




Q.黒っ!?
A.こんなことを考えて木の葉で生活しています。

Q.なんでこんな黒いの?
A.英霊は冠位召喚ではない形で召喚される時にはクラスに当て嵌められ、そのクラスで持っていない物に関しては削ぎ落されます。大抵のナルチカ君はもっと明るいことが多いのですが、今回のナルチカ君はこういう黒い所が多めに集まっています。それに伴って明るい所は当然少なめ。仕方ないね。


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NARUTO~幕間の物語2

 

 side 日向ヒナタ

 

 白眼は実はあまり強い力ではない。透視と望遠、そしてチャクラを見ることができると言うだけの目でしかない。けれどこの目の強みはまさにそこであり、自身のチャクラコントロールがどれだけできているのかをしっかりと自分の目で見つめることができる。それができるからこそ日向には柔拳と言うチャクラを使って相手の身体を破壊する技術を代々伝えることができている。

 けれど、それはあくまでも白眼の副次的な効果でしかない。白眼の能力ではなく、白眼を道具として使うことでうまく進むことができるようになるだけ。白眼自体には見る以上の力はない。幻術を掛けられる力も無ければ新たな術が使えるようになるわけでもない。単体の瞳術としては決して強い物ではない。

 けれどそんな私が今こうしてそこそこに強くいられるのは、ナルト君に引っ張られてと言うのが大きいと思う。白眼と言う力は大きなものではなくとも小さかった私には大きすぎて、けれどそんな私に進める道を見せてくれた。手を引いてくれた。

 自分はもっと大きくて重い物を背負っているのに、それを全く感じさせないくらいに軽々と。

 

 ……まあ、ご飯につられて自分から歩いて行ったと言うのも間違いではない。でもあのご飯が美味しすぎるのが悪い。私は悪くない。だってあのご飯凄く美味しい。

 ともかく、私は日向としては微妙だけれど忍としては間違いなく強くなったと思う。人間としてそれはちょっとどうなの? と言われてしまう程度には。赤丸にも時々怯えられてしまうし、シノ君の虫にもちょっと避けられているきがする。……あれ? 確か赤丸が私を避けるようになった理由って、任務がうまくいかなくてお腹がすいた時にふと赤丸を見てしまって以来だった気がする……あ、うん、仕方ないね。私だってそれは怯える。普通に怯える。

 でも、私の身体は代謝が良いのに燃費は良くない。ナルト君に貰った不思議な豆が無かったら本当に飢え死にしていたこともあったかもしれない。その分出力は上がったけれど、結局強い力を出すとすぐにお腹が減ってしまうのには変わりない。いつでも袋に五つくらい入れているけれど、それに助けられた回数は数知れず……そしてなぜか元々の小さい壷から出しても出しても無くならないんだよね。不思議。

 ただしあの豆は美味しくはない。美味しくはない。不味いとまではいかないけれど決して美味しくはない。常人だったら一粒食べれば一週間から十日くらいは何も食べないで水だけ飲んでれば大丈夫なくらいにお腹が膨らむらしいけど、私の場合は長くて三日、短くなると十時間くらいでお腹が空き始めてくる。修業中に一体何回齧ったことか……。

 それにこの豆、怪我も治るし疲れも取れる。チャクラだって回復する不思議な効果がある。私としてはお腹を膨らませることが重要でそっちの効果についてはあまり考えた事は無いけれど、これは結構重要なことかもしれない。あまり公にしないようにって言うのもこの副次効果の事を考えればまあ当たり前かもしれないね。

 

 さて、それでは私の目の話に戻ろう。なぜ白眼を持つ日向が木の葉最強と言われるようになったか。簡単に言えば決して日向は木の葉において最強と言う訳ではない。他の一族にも強い者はいるし、うちは一族なんてみんなとても強かった。けれどうちはは滅び、そして千手の家系も少なくなった今では一族全体の平均的な強さでは日向が圧倒することは間違いない。

 白眼はチャクラそのものを見ることで経絡のどのあたりからチャクラが放出されているのか、あるいはされていないのかがはっきりとわかる。そして自分の思った通りに動かす時にはどういう感覚でやればどう動くのかが一目瞭然となる。基礎をしっかりと固められるからこそ日向はおよそどんな戦場であってもどんな相手であってもあまり気にせず戦うことができる。苦手なのは遠距離型だけれど、遠距離型と言うのは大抵の場合近付かれると脆いもの。古琴波動拳使ってる時のナルト君はほら……ナルト君だから。仕方ない。ね?

 ……なんなんだろうねあの古琴波動拳って。チャクラ使ってないのに何で音で大木を両断したり岩の壁を貫いたり鉄板に小さな穴をいくつも高速で空けたり全てを吹き飛ばす衝撃波を出したり、極めつけにはなんだかよくわからない軍勢みたいなものを呼び出してみたり……本当に意味が解らない。どういう技なんだろうね? 別に使ってる琴もあれじゃなくてもできるみたいだし、なんならハープでもできるみたいだし……技術? あれ技術なの? 欠片もできる気がしないんだけど? できなくてもあまり困りはしないだろうけど……。

 

 聞いてみた。『気功と技術だから多分無理だと思う』だそうだ。じゃあなんでナルト君がそれをできてるのかは聞かないことにした。だって怖いし。

 




Q.待って仙豆あるの?
A.作れたようです。

Q.転生眼は持ってないの?
A.愛情もあるけれど食欲も強いので。


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NARUTO~幕間の物語3

 
SCP-444-jp-j
by locker

SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)
http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja

SCP財団日本支部サイト
http://ja.scp-wiki.net/


……もう少し前に出せよと言われそうな気がする。


 

 side うちはサスケ

 

 人は言う。俺は天才だと。うちはサスケは天才だと、多くの人が言う。

 人は言う。うちはイタチに劣らない、うちは史上に残る天才だと。

 人は言う。俺ならば、誰よりも強くなれると。

 

 ―――そんな言葉はまやかしだ。俺にそういう言葉を向けた者の誰もが、うずまきナルトと言う存在の本気を知らない。

 天才。なんとも陳腐な言葉だ。天の才、天から与えられた才能。まるで俺が積み上げてきた全ての物など存在しないかのようにも聞こえる。

 だが、俺はその思いをぐっとこらえる。同時に『そんなに強くなりたいんだったらナルトの修行を受けてみやがれ』と言う言葉も飲み込む。本当に来られたら俺に向けられる時間が減ってしまう。ナルト修行塾の先輩でもあるヒナタだけならともかく、後輩はいらない。

 確かに毎回修業は厳しい。チャクラ量を伸ばすために体力作りと精神修行。全身の筋肉をぶっちぶちに引きちぎりながら持久力を鍛えるために全身に重力を掛けながらゆっくりと身体を動かす。初めのうちはそもそも筋力が足りずに十秒も持たなかったが、今では水面歩行をしながら三十分は維持していられる。それも体中に重りを付けてだ。

 倒れる度に怪我や疲れを治す豆を食わされ、豆だけで腹いっぱいになりそうなら月の光に似た懐中電灯のようなものの光を向けられると疲れも痛みもあっという間に癒され、身体が強くなっていく。拷問染みた鍛錬は精神的な修練も兼ねていて、更に水面歩行によってチャクラのコントロールまで学ぶことができる。しかも身体にかかる重力は不定期で強弱をつけられていて、完全に一定量を流しているだけだと水面を弾いて溺れてしまったり沈んでしまったりする。そうなると身体にかかった重力が邪魔をして水面にたどり着くこともできなくなり、死を経験することになる。

 しかしそれは大抵の場合終わりではない。そんな経験を一億以上の影分身がそれこそ何千億や何兆何十兆といった回数繰り返すことで刻みつけられる精神的負担もまた修行の一環。自身の身体にかかる負荷と精神にかかる負荷をひたすら身体に馴染ませることで、俺はどんどんと強くなっている自覚がある。

 唯一不満があるとするならナルトは俺に新たな術を教えてくれることはほぼ無いと言う事だが、現在俺が覚えている術をより強くする方法や使い勝手が良くなるように改造する方法などは教えてくれるので大した事ではない。そもそもこうして凄まじい数の影分身を出せているのもナルトのおかげだ。今の俺のチャクラだけではいいとこ数百出せるかどうか。出したとしてもまともに戦闘には使えそうにない。

 それもこれも俺の万華鏡写輪眼に宿った術がどれもこれもチャクラを馬鹿みたいに消費するせいだ。須佐能乎と言い天照と言い、どれだけチャクラを馬鹿食いするのか。幸い右目の加具土命はそこまで多くのチャクラを消費する事は無いから大分マシだが、他のはどれもこれも相当やばい。そして何より俺がどれだけ強くなってもナルトには一瞬でひっくり返される可能性があるのが一番やばい。なにしろナルトは最近チャクラを練ろうとして練ると周囲に突風と言う言葉が可愛らしく思えるほどのチャクラの圧力が吹き荒れるせいで一切チャクラを練ろうとしない。いや、練っている分をどこかに送って溜め込んでいる。あんな気違いすぎる量のチャクラを一体どこに送り、何に使おうとしているのか……ナルトの事だから恐らく自分の身を守ることに使っているのだろうが、もしかすると大量破壊兵器でも……作る必要無いな。普通に全力でチャクラを練るだけでかなり大きくて強い台風ができるくらいだし、そのまま適当な広範囲系の術を使えば問答無用で大陸も島も海もこの星も全て纏めて消し飛ぶだろう。そしてそれを止めることは恐らくできない。チャクラを練るだけでそれとかちょっと理解できませんね……。

 

 そして疲れたらリフレッシュのために飯を食う。

 

 おいしさ やばげ 緋色の鳥よ あぶらみあかみ てをのばせ

 頂きます!

 

 毎度のことながら食事中には意識が消し飛んでしまう。あまりにもスカーレット・フライドチキンが美味いせいだ。俺は悪くない。

 さてリフレッシュは済んだので食休み。身体を動かさずにできる修行と言えば? そう、幻術だ。ちなみに相変わらずナルトに幻術は効かないので相手は大抵ヒナタになるんだが、ヒナタもヒナタで相当だ。前に自分が幻術にかかっていると気付いた瞬間躊躇なく自分の脳内にチャクラ糸を突っ込んで経絡系の流れをかき乱しやがった。あれは本当にどうやってるんだろうな? 自分のチャクラでも自分の身体は傷つく物のはずだが……。

 聞いたところによるとあのチャクラ糸はチャクラの糸ではなくチャクラを凄まじく細かい粒子状にしたものを繋げて見えるようにしてあるだけで糸ではなく、細胞の隙間などに傷一つつけずに入り込ませることができるんだとか。人間じゃねえのがここにもいたか……。

 

 そして食休みも兼ねた幻術修業が終わるとまた何億回も死ぬような目にあうことになる。影分身ならもう数えきれないほど死んだ。それでもこうして修業について行っているのは、やはりナルトの修行では強くなれることを実感しているからだろう。術の数は増えなくとも、基礎力が大きく上がったことを実感できる。イタチと話をしてから、俺はまた新しく目標を持った。

 

 俺は、火影になる。

 




Q.ここにもスカーレット・フライドチキンの感染者が……。
A.美味しいらしいので。

Q.拷問と何が違うんですか?
A.死んでもやり直しがきくところかな?

Q.ところで月の光っぽい懐中電灯ってなんぞ? なんで回復すんの?
A.金色のガッシュに出てた『月の石』の光です。怪我を治し、体力と心の力を回復させます。類似品にファウードの回復液と言うのもあります。


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NARUTO~幕間の物語4

 

 side 春野サクラ

 

 幻術を自分にかけて、思考速度を一気に上昇させる。その中で私は地獄を見て、そしてその地獄のような記憶を思兼で焼き払ってチャクラに変える。変えたチャクラを封印に組み込むことで百豪の印を引き出し、私はついに戦闘で前に出ることができる医療忍者となった。あまりに早かったため師匠には怪しまれたけれど、この術に関しては誰にも言ってはいけないし誰かに知られそうになったら使い方ごと頭から消えるようになっている。その際、頭の中身を覗いてきた相手の意識も道連れに焼き払うらしいけれど、流石にそこまではよくわからない。まだ一度も頭の中身を覗かれた事なんて無いし。

 ……そして、百豪の印を作りはしたけれどへそくりとしてもう一つ作っておく。舌の裏側に作れば早々見つからないだろうし、あのやり方でやればチャクラはいくらでも作れる。まあ、やる度に精神崩壊を起こしそうになっているようだけれど、そんなものは忘れてしまえば問題はない。完全に覚えこまされてしまった強い記憶の方が、よりチャクラを多く引き出せる。さて、いったい私はどんな幻術を自分にかけていたんだろうか。しっかりと覚えられて、濃厚で、密度が高そうな幻術……エッチなやつ?

 

 ……今回から自分にかけた幻術の内容をちゃんと書き残しておこう。どんな幻術にするのが一番効率的なのか、覚えておきたいし。

 ああ、もしかしてそういうことをやりすぎたせいで精神が一時的におかしくなってた? あるいは幻術で見ていた光景を失うのが嫌で壊れそうになっていた?

 でも、例えそうだったとしても私は最後にはちゃんとそんな記憶も消してきている。つまり、私は幻術の中の幸福よりも現実でサスケ君やナルト達と一緒に前に進んでいきたいとそう思っていたんだろう。多分だけれど。

 サスケ君は強い。チャクラ量は多いし体術も相当。写輪眼のおかげで一度見れば体術は大体覚えられるそうだし、どこまでも強くなっている。

 ナルトだって何がどうなっているのかわからないくらいに強い。私達には努力している所なんて一切見せようとしないくせに妙に強い。『強く生まれたものがそれ以上自身を鍛えようとするのは汚い』とか言い出しそう。あるいは『虎はなぜ強いと思う? もともと強いから強いんだ』とかね。

 もちろんそんな事は無い事は知っている。ナルトだって修業してあそこまで強くなったはずだし、勝てない相手もいるだろう。ただ、私ではナルトに勝てる相手と言うのが想像できないけれど。

 

 だってナルト、本気出してないのに砂の時の中忍試験でいきなり現れた乱入者を遠距離から切り刻んでいたし、カカシ先生を相手に影分身で手玉に取ってたし、特殊な術と言って血継限界とか言う技を使ってきたり、チャクラ無しでビーム撃ってたし……サスケ君もナルトに修行を見てもらっているって言ってたし。もう木の葉の中忍では一番強いんじゃないだろうか?

 ……もしかしたら上忍どころか火影様を含めても一番かもしれないけれど、それをナルトに直接聞く気にはならない。だってナルトを怒らせると本当にどうなるかわからない。木の葉の里の噂ではナルトに何かをするとその人は眠っている間に家に火が出てしまうとか、戦死するとか、自分の血液で意味の分からないことを繰り返し壁に描いて発狂して死ぬとか本当に色々言われている。昔ナルトに確認してみたら、そういう傾向はあると答えられた。ナルトがやっているのかと聞くと首を横に振るけれど、調べてみるとその傾向があるなんて言う言葉では表しきれないくらいにそうなっている。それを知ってから私はそのことを調べるのをやめた。だって怖かったもん。

 そしてその直後、資料を閉じて頭を振った私の耳元で『賢明な判断だ』と言う声が聞こえてきたらもうね……よく漏らさなかったと自分を褒めたい。

 ただ、それからも何度か不審火や事故は続いた。私はナルトのためではなく私のためにナルトに一定以上の干渉をしようとする友達を止めた。話しかける、馬鹿にするくらいまでは大丈夫だけど、直接傷つけようとしたりすると大体駄目。ただし、授業での組手なんかは大丈夫。喧嘩になるようなことはまずないけれど、もしも巻き込まれた場合ちょっと大変なことになったこともあった。

 あの時はまだわからなかったけれど、医療忍術を学んだ今ならわかる。一切の傷を与えないままあれだけ人間の身体を壊すことにどれだけの技量がいるのか。ほんの僅かな後遺症もなく、全身のあらゆる関節を外しつくしてしまうなんて私には無理だ。だってあれ多分頭蓋骨の縫合まで外されていた。それでもなお頭の皮膚が裂けたり脳に傷がついたりしていないのだから、もう一度言うが私には今でも無理だ。相手が全面的に協力してくれたとしても不可能だろう。

 

 けれど、人間にできないわけではない。だってナルトができているんだから、できないとは思わない。目標はあれだ。難しいけど。

 




Q.幻術で濃厚な淫夢を見てそれを燃料にするって……。
A.妄想を燃料に変えられるわけですね。

Q.そう言えばなんで思兼って鏡文字にしてるわけ? 読みにくいんだけど。
A.思兼は記憶の神です。反転させることで記憶を失うと言う事を暗示しています。

Q.ところでサクラに対するテコ入れが足りない気がするんだけど?
A.マジで? ……考えときます。


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NARUTO~幕間の物語5

 

 side うずまきナルト

 

 俺は今、龍地洞で追いかけっこをしている。ちなみに追いかける側だ。相手は前に俺の事を食うとか何とか言っていた巨大な蛇、名前は……なんだっけか? マ、マ……忘れた。ともかくあのでかい蛇を追いかけている。

 原因? また喧嘩を売って来たから返り討ちにして全身の鱗をはぎ取って油で揚げて鱗チップスにしてやろうとしたら必死になって逃げだしたからだ。あちらさんから喧嘩を売ってきておいて負けたら何もなく逃げるとか許されるわけも無し。最終的にはでかい鱗を文字通り全部はぎ取ってマッパにしてやった。しくしく泣いていたが知らん。喧嘩を売ってきたあいつが悪い。

 ちなみに尻尾の肉は不味くはなかったが美味くも無かったので今回は見送った。代わりに全裸だ。暫く体中がひりひりするかもしれないが、この世界では蛇の再生能力は凄まじいことになっているからおそらく数日もしないうちに全ての鱗が生え変わるだろう。

 

 さてはぎ取った鱗だが、これはこのまま揚げるわけにはいかない。何しろ蛇の鱗だ。地面に何度も擦り付けられている以上、雑菌や土が至る所についている。だからまずはそれを洗って綺麗にしてから調理するわけだ。

 水遁・水喇叭で水を噴き掛けて大きな汚れを落とし、沸遁で酸もアルカリもない蒸気を出して滅菌する。それから一口サイズになるまで殴り砕いて熱した油に落とす。あの蛇の鱗はかなり高い温度にしなければ火が通らないしサクサク感も出てこないので特殊な油を使う必要があるが、結構美味い。

 揚がったら油から引き揚げて醤油を片面に塗り付けて七輪で十数秒の間焼く。これをするとしないとでは風味が大分変ってくるのだが、やっているとオカマ丸が凄い目で俺の事を見てきたりする。カブタックもひきつったような顔で俺の事を見てくる。まったく、お前らがあの蛇を俺に会わせたんだろうに。

 

「会わせたのは確かだけれど、まさか鱗を奪って素揚げにして醤油を塗って七輪で香ばしい匂いをさせるとか思わないわよ……」

「大蛇丸様。その言い方では殴り倒すところまでは予想していたと言わんばかりですが」

「事実そこまでは想定していたわ。マンダが殺されるとも思っていた。けれど実際には……」

「何言ってるんだ。俺が真正面から喧嘩を売ってくるだけの可愛い子蛇を殺すわけないだろう? それも美味い鱗を態々提供してくれるんだ。生かしておいた方が得だ」

「……そもそもマンダを食材にしようというその認識自体が私の想定外だったのだけどね」

「生きている相手なら大抵の場合は食える。毒を避けたり酸を抜いたりと調理の方法は考えなくちゃならないかもしれないが、まあ食える。味の保証はできないがな……食うか?」

「……頂くわ」

 

 何を言おうと美味い物は美味い。それはサクサクと軽快な音を立てつつもどこか納得のいかない顔をしているオカマ丸を見ていればわかること。自分が扱いきれなかった奴を他人が扱うどころか振り回しているというのは腹が立つものなのだろう。俺にはその感覚はもうわからないが。

 ちなみに俺は襲われない限り襲い掛かるつもりは基本ないのでもしかしたらこれが最後の鱗揚げになるかもしれないと思いながら食べている。前回は尾を斬り落としてやったが今回に続いたから次もあるかもしれないが、確実ではないから仕方ない。

 ……白蛇仙人ってどんな味がするんだろうな?

 

「止めときなさい」

「襲われない限りこっちから手は出さねえよ。知ってんだろ? 中忍試験の時はそっちから手を出してきたから反撃したし、風影に成り代わってた時も仕込みを進めてたから仕掛け返した。ナメクジ女の時にはこっちの狙った相手に手を出したから仕掛けた。だからこうして普通に襲おうとしていない時には普通に対応しているだろうが」

「……そうね。でもいいのかしら? 私は未だに木の葉を潰すことを諦めてはいないわよ?」

「好きにすればいい。ただし、俺が住んでいる所に被害が出たら止めに行くからな」

「あら怖い。それじゃああらかじめナルト君のいない時を狙ってナルト君の家のない場所だけを狙いにしないとね」

「だったらいいと思うぞ。ただしあくまでも俺は良いと思うだけだから他の奴に止められても俺は知らん」

「解っているわよ」

 

 ……外道なことも含めて話せば大体理解してくれるこいつと話すの楽だわ。そう言えばこいつが一番尊敬している火影は二代目なんだっけか。なるほど、卑の意思は脈々と受け継がれているわけだな。

 



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二章・青年編開始
NARUTO~84 第二部開始


 

 side うずまきナルト

 

 大したこともなく時は過ぎ、暁と呼ばれる組織が派手に動き出したと聞いた。ついにその時が来た、と思いつつも俺はそれまでと大した違いもなく普通に生活を続けている。

 だが、大きく変わったことが一つ。木の葉の里で俺を直接傷つけようとする者はいなくなったし、不安げな目を向けてきたとしてもそれを隠そうとする努力もまた見えるようになった。そして里の中でも普通に買い物ができるようになった。原作で言えば『ナルトが認められ始めた』とでも言うんだろうが、ひねくれた俺の場合は『今まで八つ当たりをしていた相手が強くなって仕返しされないか不安なんだろう』としか思えない。安心していい、俺は木の葉を直接潰そうとか考えてないからな。

 元第七班は全員が中忍になったため解散。バクラは医療忍者として活躍しているし、サルケは火影直属の暗部に就任して頭角を現した。そして俺と入れ替わるようにエロ蝦蟇仙人に弟子入りしている。螺旋丸は教えられていないようで、しかしその代わりに千鳥に磨きをかけているようだ。

 ……そう言えばあの千鳥、カラシの場合は雷切と呼ばれるあの術だが、あんな派手に光と音をまき散らしておいてなんと暗殺用の術だと言う。意味が解らない……あれか? 周囲の被害が小さければ暗殺だとでも? そんな訳が無い事はわかれ? いや本当に。

 ちなみにその話を直接聞いた時カラシについ『あんな馬鹿みたいに音と光ぶちまけて暗殺用の術とか暗殺舐めんな』的なことを十数分ほどぶちまけてしまった。ちなみに螺旋丸もチャクラの光が圧縮して見えてしまうので暗殺には向かない。暗殺向きの能力と言ったらやっぱり時間を止めて殴って逃げて時間を動かす、これが最強。ただし相手が止まった時の世界に入門していない場合に限る。チャクラも感知されないしな。そもそも使ってないし。

 俺は俺で普通に中忍やってる。適当に仕事して適当に稼いで適当に修行して……まあ周囲から見た時に修行においての俺の適当はどう見てもオーバーワークだったらしいが、知ったこっちゃないな。

 それと俺の両親だが、サルケの両親たちと合わせて仲睦まじくやっている。仕事に関しては……まあ、忍者だと思われないように変化ではなく変装を駆使してちょっとした店を出した。三代目の爺さんがまだ生きていた頃に何とか戸籍だけは用意してもらっていたからそれを使ったらしいが、まあ暗部からは疑われて色々と聞かれたりもしたらしい。知らんが。

 サルケの両親だが、刑務部隊が無くなってから現金収入がサルケの任務に頼り切りな状態だったので、遺産の管理をやっているらしい。少しずつ増やしているようだが、そのあたりは流石名家と言うべきだろうか。

 そしてヒナタは……そう、ヒナタだ。ちゃんと覚えた。まだ一度も呼んでないが、とにかく覚えられはした。ヒナタは順調に実力を伸ばし、しかし日向としては異端も異端と言うことで当主として立つ事は無くなった。分家になって婿を取るか自由にやるかと言うことで自由にやることになったらしいが、できればこれからもたくさん食べて蕩けた顔を見せてもらいたい。可愛いしな。

 

 それはそうとさっき話に出した暁だが、基本的にオカマ丸が相手をしてくれるらしい。実験体が欲しいのと、身体の調子を確かめたいのと、二つの目的があるそうだ。本当なら俺自身も欲しいらしいが丁重にお断りしておいた。と言うか影分身出して『そいつに勝てたらまともに相手してやる』と言って相手して、結局傷一つつけられずに終わったからな。まだまだ甘い。しかもその原因が単純に俺の身体が頑丈すぎるからと言うオチだったのには絶句すら超えて笑いしか出ない様子だった。このオカマ、付き合い長くなると結構面白いわ。オカマだけど。変態だけど。ショタコンだけど。

 それに、そこそこに気に入られて弟子入り……のようなことをしている。俺が戦場で拾ってきた様々な忍達の体組織や血継限界の血を渡し、オカマ丸は俺に様々な情報や新しい力を渡す。と言っても力に関しては困っていないが、唯一面白そうだと思ったのは口寄せだ。はい、顔と身体と態度のでかいあの蛇ぶん殴りました。食い殺すとか言われたので逆に食ってやった。圧縮して重さを増し、1×1×1cmの立方体で200ktと言う超重量の結晶体をマグネシアとして操って全身を拘束し、尻尾の方から斬り落として食ってやった。俺を龍地洞に連れて行ったオカマ丸でさえ冷や汗流していたが気にしない。あと体液が毒だったが気にしない。岩が溶けるくらいの毒だったが気にしない。鱗は揚げて煎餅代わりにパリパリ食ってる。美味い。そう言ったらそこに居た全員からドン引きされた。

 ちなみにそのマグネシア、重量を増やすのに圧縮が必要で、まだあまり量が用意できていない。ちょっとした島国を覆いつくすのがやっとの量しか持っていない。増やそう。せめて星を覆いつくして『俺に従う国にのみ太陽の光を与えよう』とか言えるくらいに。まあそんなことを言う予定もする予定も無いけども。

 




Q.何喰ってんの?
A.マンダ。……そういう意味じゃない? 鬱陶しかったからつい。

Q.ちゃんと名前覚えたのね。
A.覚えました。でもまだ一度も呼んでいない模様。


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NARUTO~85

 

 side うずまきナルト

 

 一尾を身体に封じられたがらがらどんがなんか攫われたらしい。砂の里を守るためにいろいろ無茶をやらかしたらしいが、何やってんだかね。

 そこで久々に元第七班が揃ってがらがらどんの奪還任務に就いたわけだが……やっぱり面倒臭いことになりそうだ。仕方ないね、一応この世界の主人公って俺らしいし。

 

 さてまずは連絡を受けてから砂の里に行くんだが、急がないといけないとは言っても流石にこっそりつけておいた飛雷神のマーキングを使う訳にもいかないので車で行くことにする。当然ながらこの世界にもあるような人力あるいは動物の力を使うようなものではなく、チャクラをエネルギーとする機械の車だ。最近見つけたこの世界の十年だか二十年だか未来では科学忍具なんて呼ばれてるものの先駆けだな。途中でテマちゃんも拾ってさっさと進む。一人のチャクラ消費で全員が結構な速度で進むことができるんだから中々便利な道具だ。本当ならガソリンとかを使うものでも良かったんだが、流石に科学があまり発達していない……と言うにはゴム風船が安価で売られていたり均一な窓ガラスがあったりとよくわからない科学の進み方をしているこの世界に完全機械の便利な道具は出さない方がいいだろうと思ったのでこっちを使っている。

 

「……なあ、ナルト。これなんだ?」

「電気、あるいは雷遁チャクラをエネルギーにして動かすことができる車だ。中々早かろう? これなら砂の里まで一日半で着くぞ。まあ到着したら俺は暫く寝るけどな。疲れるし」

「俺達でも動かせるか?」

「雷遁チャクラを一定量正確に流し続けることができるなら誰でもできるよ。ただし一気に量を多くしたり逆に少なくしたりすると不具合が出るからそのあたりを何とか調整したいところだ。暇してるんだったらそのあたりにおいてある充電池に雷遁チャクラ流し込んでおいてくれると夜に俺が動かし続けなくても勝手に動いてくれて楽なんだが」

「わかった、やっておく。サスケ、やるぞ」

「ああ、わかってる」

「一応言っとくが直接流し込もうとかするなよ。同じところに充電器があるからそれに填めてやらないと逆流してきた電気にやられて痺れることもあるからな。最悪死ぬぞ」

「先に言え!」

「あと、充電器には雷遁の出力が強くても弱くてもある程度の強さに変えて流す効果がある。まあ全体のエネルギーの量は変わらないんだが所謂変圧器に似た効果だな。だから適当に流してくれて構わないが、強く流したら一度に流れる分以上は無駄になるし少なく流すと今度は時間がかかるようになるから適切な所を見極めて流すと効率がいい」

「つまり……正確に一定量のチャクラを流す修行か」

「そんなつもりは欠片も無かったけどそれでいいぞ。ちなみにもしその電池の量をきっちり流すことができたらこの車を運転できるだけの技量があるってことだから」

 

 まあ、かなり自由に作れるとはいえまだ一つしかできていないんだ。こいつを誰かに簡単に運転させるつもりはないけどな。

 木の葉のある火の国を抜けて暫く進むとだんだんと砂漠になってくる。そこでタイヤをチャクラで覆い、底無し沼や目の細かい砂の上を走っても車体が沈まないようにホイールの幅を広げてそのまま走る。この速度で走っている車を襲う奴なんてそういないと思うが、一応俺以外に一人が起きていて見張りをしつつ砂漠を進んでいく。砂嵐が鬱陶しいし、車の中でなければ昼は暑くて夜は寒い。オアシスなどがあればもう少しましになるんだろうが、こんなところに住もうとした奴の気が知れない。

 ……ああ、まったく。本当にやることがない。今の俺がやれることと言ったら、流し込むチャクラの量を安全な範囲で上げて速度を上げるくらいだ。できれば明日の昼頃、砂の里からギリギリ見えない場所辺りで一旦不具合が起きてくれれば砂の里にわざわざ説明とかしないで済んでとても楽だからそうしたいところだが、忍の視力ってかなりいいからな。もしかしたら変な感知能力とかであっという間に見つけられてしまうかもしれない。

 

 まあいいや。そうなったらそうなった時。最悪滅ぼして逃げればいい。できればやりたくは無いから聞かないでくれるといいんだが……まあ、普通相手の手の内を堂々と真正面から探ってくるような馬鹿はいないから大丈夫だと思うけどな。

 




Q.何作ってんだよ!?
A.この世界から見れば完全に未来の機械。ただし不完全。

Q.サスケ居んの?
A.だって出ていく理由ないし……。


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NARUTO~86

 

 side うちはサスケ

 

 砂に着く直前、エンジンに砂埃が入って調子が悪くなった車を一旦しまってから走って砂に向かう。ナルトは有言実行とばかりに思いっきり寝ていたが、本来三日四日はかかる道のりをたったの一日半で走破したナルトを置いて行くような奴はいない。カカシが背負って運ぶことになったが、ナルトは身体の様々な場所に色々と武器を仕込んでいるから見た目からは考えられないほど重かったりする。

 

「カカシ、腰は大丈夫か」

「めちゃくちゃ重いけどなんとかね……なにこれナルトはいつもこんな重いの?」

「任務の時には色々仕込んでいるらしい。口寄せではなく収納系の術を仕込んだものらしいが、それでもそこまで重いそうだ」

「よく知ってるね……!」

「修行の時にクソほどボコられながら聞かされたからな……きつかった……本当にきつかった……なんで今ここに五体満足でいられるのかわからなくなる程度にはきつかった…………!」

「サスケ君、いったいどんな修行だったの?」

 

 どんな……

 

『今から影分身を一億体出してもらいます。チャクラはこっちから送るから気にすんな。で、ひたすらチャクラコントロールの修行をしてもらう。印なしで千鳥を打てるようになるのが目標な。影分身が消えると死ぬほど精神が疲れるから気を付けてな』

 

 どんな………

 

『いつも通り影分身を一億体出してもらう。で、今度は本体が千鳥を印ありで出して、その時のチャクラの流れを写輪眼で真似て印なしで打てるようになってもらう。できない? いいからやれ』

 

 ドンナ…………

 

『できるようになったら次だ。千鳥を放出して広域に散らすのはできるか? できる? じゃあチャクラ糸を通して自在に誘導できるようになれ。できたらチャクラ糸のどこからでも打てるようになれ。一週間以内にできなかったらその日から毎日昼飯は納豆巻きな』

 

 donna……………

 

『できたか? できたか。そうか。じゃあ今度はそれを戦闘中にやってもらう。相手をするのは俺と彼女とどっちがいい?』

『の、のうナルト? いくらなんでもやりすぎじゃないかのォ?』

『俺達の代わりにエロ蝦蟇仙人が相手してくれるってさ。じゃあ頑張れ』

 

 ███………………

 

『須佐能乎無しだと一撃の威力が必要十分に届かないからテコ入れするぞ。須佐能乎を二十四時間三百六十五日常に使い続けてもチャクラの回復量が勝るようになるまで時間を圧縮した精神世界で何十何百、あるいは何兆何京と死に続けて俺に甦らせられながら身体と精神を鍛えられるのと、エロ蝦蟇仙人に頼んで仙術の修行漬けにされるのとどっちがマシか選ばせてやろう。両方でもいいぞ』

 

 ……ゴパッ!

 

「キャー!? サスケ君が血を吐いて倒れた!?」

「……大丈夫だ、サクラ、問題ない。いつもの事だ……いつもの事だから思い出させないでくれ……頼む……」

「え、あ、うん……大丈夫なの?」

「大丈夫ではないがいつもの事だ……」

「しんせつせっけいってやつだナ……」

「おい待てあれが親切ってどういうことだ。あれか? 心を折るで心折、(くび)を切るで切頸か? おい寝てるんじゃねえ起きろ」

「初恋の相手は近所に住んでたお姉さんな奴がうるせえ。こうなったら精通の時に夢精してパンツをこっそり洗ってた時の動画を裏に流すしかないな」

「ヤメロォ!? いや、違う、やめてくださいお願いします」

 

 こいつなんでそんなもんを……と言うかどうやって撮った? 細心の注意を払って警戒していたはずなのに……!? クソッ、すやすや気持ちよさそうな顔で寝やがって……!

 

「……」

「……」

「……」

「止めろ!俺をそんな目で見るのをやめろ!」

「……まあ、あれだうちはサスケ。生きていればいい事あるさ」

「腹立つ顔だな!?」

「テマちゃんの初めてのお赤飯の日は―――」

「ヤメロォ!?」

「初めての女の子の日に泣きながら父親である風影に相談して凄まじく微妙な顔をされたことを思い出し、かつての中忍試験でオカマ丸にぶちまけられた誰かさんを見て同族意識湧いちゃった人がいるらしいですね。おやどうしましたか風影の唯一の娘さん」

「記憶を失えぇぇぇぇ!!!」

 

 テマリが扇子を振って術を使った瞬間に、ナルトの姿が掻き消えた。ナルトの姿だけ掻き消えた。カカシは……なぜかアフロになったカカシ人形となってそこに立っていた。ナルトの変わり身だろう。多分。

 そして消えた時同様に突如現れるナルトの姿。我愛羅の絶対防御と同じようなものを臙脂色の結晶体で作っているようだ。そして結構な速度で砂隠れの里に進んで行っている。これならすぐ着くな。

 

「待ちやがれうずまきナルト!そもそもどうやって知った!」

「諦めろ。あいつは木の葉の里に暮らしている奴全員の何かしら恥ずかしい話とか後ろめたい話とかを知ってるからな……そういう話が出た時に周りに居たのが少人数でよかったと思うことだな」

「諦めすぎじゃないかお前!?」

「……あいつな……生身に千鳥直撃させても傷一つつかないんだよ……豪火球やっても『服に煤がつくからやめろ』だぜ? 服が焦げるとか燃えるとかですらなく煤がつくだけだぜ? もう諦めたよ俺は。幻術にかけようとしたらなんかかかってるはずなのに自由に動き回って幻術に集中しているこっちにできた隙を突くようにひっぱたいてくるし、幻術の中で大蛇丸や自来也に変化して褌一丁でポージングするのを見せつけてきたりするんだ……」

「……そうか」

 

 可哀想な物を見る目で見られた。きつい。

 




Q.やべえ修行つけられてる……
A.なお強くはなった模様。

Q.テマリサン!?
A.バレた人数が少なくてよかったね!(白目)


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NARUTO~87

 

 side うちはサスケ

 

 カンクロウが毒を受けて死にそうなところだったそうだが、サクラが何とかして解毒していた。しかも同じ毒に対しての解毒薬をいくつか作り、毒を受けても二分程度なら効果が無くなるようにしたらしい。ナルトはこういう細かいことにはあまり気を使わないからな。サクラの技が光る。流石は五代目火影、三忍の綱手の弟子だ。

 まあ、俺も一応三忍の弟子ではあるんだが、自来也には弟子と言うより可哀想な奴扱いを受けている気がする。心に沁みるが色々とコツなんかを教えてもらったし、悪い気はしない。心は痛いがそんな物よりナルトの拷問(修行)の方が億倍きつい。影分身もちょうど一億人だしな。死ねる。本気で精神的に死ねる。

 しかし砂隠れも変わった。少なくとも聞いていた話とは大きく違う。我愛羅は里の多くの者に好かれているようだし、こうして攫われた時もその身を心配するものが多くいる。心配していないどころかむしろさっさと死ねばいいと思っている者もそれなりの数いるようだが、まあ人間が誰からも好かれることは不可能だ。だからこそ戦争なんてものが起きるしいつまでも終わらないんだろうが……今更だ。

 

 しかしナルトはよく寝るな。丸一日あれを動かしていたから仕方ないとはいえ、一体いつまで寝るんだ?

 

「寝ることに関しては三日だろうが一週間だろうが一月だろうが続けられるぞー」

「起きてんのかよ」

「寝ながら会話できるだけー」

「お前の頭の中身どうなってんだ……?」

「木遁分身なら中身見れるけど見るかー? 割ったら木になるしそもそも今のお前じゃ割れないけどなー」

「俺じゃなくても割れねえよ……」

「俺だって怪我することくらいあるんだぞー?」

「具体的に」

「舌を噛むと痛いー」

「自爆じゃねえか……結局それはあれか、俺を傷つけられるのは俺だけだ的なあれか?」

「ちょっと遠出して近場の恒星を呑んだ時は流石にやばかったー」

「俺の耳がおかしくなったか? 星を? 呑んだ?」

「面倒だったら『また化物がなんか言ってるよ』とでも流せばいいんじゃね?」

「……はぁ……相変わらずぶっ飛んでるな、お前は」

 

 まったく、こいつに追いつけるのはいったいいつになる事やら。イタチの事、一族の事、木の葉の上層部の事、暗部の事、そして両親のこと。こいつには借りを作りっぱなしだ。どうすればそれを返せるのか。そもそも返すことができる日が来るのか? 色々考えさせられるな。

 ……いや、考えれば考えるほどに受け取ったものが大きすぎて文句も言えない。日々ぶち殺されては蘇る修行の名を借りた拷問を受けていても実際にそれで強くなれてしまっている上にこうして生きていられる以上何も言えないレベルだ。それを考えればこういった時にからかわれたり煽られたりしてもまあいいかと流すことを自身に義務付けてもいいくらいかもしれない。

 それに、ヒナタだ。こいつの傍にいる日向の女。あいつにもいくらか世話になった。点穴封じを解除する方法や点穴封じをそもそも受けない方法、チャクラ穴からのチャクラ放出技術により細いチャクラ糸を作るコツ。ナルトの場合は基本が影分身によって増やした練習時間の暴力で大体の事を突破させるタイプだからな。要するに脳筋だ。ヒナタや自来也からコツが聞けるのはとてもありがたかった。

 その他にもナルトが用意した家で居候している俺の両親と、そんな状態でも笑って暮らしているナルトの両親。考えてみれば俺は本当に多くの物をナルトから受け取っている。まず言ってこないだろうが、尻を貸せと言われたら貸せるかもしれない。ヒナタもいるしまず言ってこないだろうが。

 

(サスケ君、帰ってきたら演習場)

(許してくださいなんでもします)

(じゃあ許してあげるから演習場)

(勘弁してくださいお願いします)

(私を揶揄おうとするとそういう目に合う。OK?)

(OK!)

(じゃあ身体に刻み込むために演習場ね?)

 

 ……俺は木の葉に戻ったらヒナタに殺されるかもしれん。死にたくは無いし、まだイタチに色々と話をつけていないから死ぬわけにはいかない。だが、正直ヒナタに殴り殺されるかもしれない。俺の須佐能乎はまだ不安定。ヒナタなら指先一つで砕くことができるだろう。ナルトもそうだがヒナタも人間の限界をちょくちょく突破してくるのは本当になんなんだろうな……以前千鳥を叩き込もうとしたら極細のチャクラ糸の網で受け止められてカウンターで返されたし、もう本当に意味が解らない。万華鏡写輪眼に目覚めたくらいしか俺の成長は無いんじゃないだろうか?

 

「そう思うなら今度は俺と地獄めぐりしようぜー。ちょっと最低何千回死ぬけど強くはなれるぞー?」

「悪いが死ぬのは却下だ」

「ちょっと須佐能乎を使って溶岩で泳いだり須佐能乎を使って深海にダイブしたりするだけさー」

「それは死ぬな。やめておく」

 

 ……ヒナタの前にナルトに殺されるところだったぜ……油断できねえな本当によ!

 




Q.ナルトは解毒薬とか出せないの?
A.出せるけど突然『はい解毒薬』とか言われて出されたものを呑んで本当に毒が治ったら敵と繋がっていると思われるかもしれないじゃないですか。

Q.ヒナタはどうやって会話してるの?
A.ナルトの『無言使い』に共鳴した結果、離れた相手とテレパシーができるようになっています。


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NARUTO~88

 

 side うずまきナルト

 

 実は最近の俺はチャクラを意識して練ると言うことをあまりしていない。と言うかいつからか多くなりすぎて意識してチャクラを練ると空間に歪みが出て世界が滅びかけるようになったので、意識して練るのは毎日続けている異界での影分身修行の時と、属性が必要なチャクラを使う時くらいでその他の時はむしろチャクラを意識して練らないようにする必要が出てきてしまった。

 その結果、俺の経絡系の流れは完全に止まった。それどころか経絡系に何も流れることが無くなり、チャクラによる身体能力の強化のない一般人のような身体になってしまった。彼女の白眼でそれに気付かれた時には色々と問い詰められたが、チャクラを意識して練るとその量で周囲に影響が出て最悪星が砕けると言われたら流石に黙るしかない。心配されているのはいまだに続いているが、まあ見ての通り元気だ。

 副次効果として俺は完全に幻術にかかることが無くなった。なにしろ幻術は本人の脳のチャクラの流れを弄って見せたいものを見せたり精神を攻撃したりする術だ。まったくチャクラの流れていない相手に効くわけもない。

 当然戦闘中にはチャクラを練らないと言う縛りは解くが、最近ではそうなった俺の状態を『チャクラモード』なんて呼ぶ奴も出てきた。肉体と精神が触れ合っている限り常にほんの僅かずつできてしまうチャクラでしかないんだが、俺の場合それでも十分でかいらしい。

 

 ちなみに九喇嘛曰く『人間が水分子一つとしたら儂は小さめのコップ一杯、十尾はジョッキ、ナルトは海あるいは宇宙空間に存在しているすべての水の集合体』らしい。俺のチャクラ一体どんだけでかいんだ……?

 

『めっっっちゃ多いぞ』

『砂と地球レベル』

『ちゃくらのしばりといてかってにできるちゃくらだけでおれたちのさいだいりょうくらいがまいびょううみだされてるかんじか……?』

 なにそれ? 秒間1九喇嘛? 九喇嘛/s? 九喇嘛増えんの?

『増えねえよ……いやまあ確かに一度増えたし増えた儂が隣にいるが!』

『いえーい増えたぞーぴーすぴーす(死んだ目)』

『おれさまもふえたぞーぴーすぴーす(腐った魚の目)』

 …………。

『おい待て何を考えている。お前が突然黙った時は大抵ろくなことは考えておらんのだ!』

 いやほら、前に俺を増やして殺したらチャクラだけが残って新しい尾獣になっただろ?

『……明らかに文脈がおかしいが事実だから何も言えん。そうだな。それで?』

 つまり『俺は尾獣を作れる』訳だろ?

『もういい、読めた。そして先に言っておくぞ。やめろ』

 いや別に九喇嘛達を増やすわけじゃない。ただ前にやって吸収して性質変化のチャクラを使いやすくした時には基本の五つに加えて火と水の沸遁、火と土の熔遁、火と風の灼遁、火と火の炎遁、水と風の氷遁、水と雷の嵐遁、水と土の泥遁、土と風の爆遁、土と土の鉱遁、風と雷の磁遁、風と土と火の塵遁、土と水と陽の木遁の俺を吸収したわけだが、隠遁と陽遁そのものの俺は吸収し損ねている。全属性のは吸収したが、陽遁だけ、陰遁だけの俺はやってないはずだ。

『予想以上にヤベーなこいつ』

『儂等の予想を軽々と超越するその姿』

『しびれないしあこがれない。じちょうしろ』

 自重してこれだ、って言ったらどう思う?

『『『うっそだろまじか』』』

 自重してなかったら九喇嘛のチャクラ性質を真似た俺のチャクラで九喇嘛もどきを作って放流して悠々自適に木の葉の里を抜けて過ごしてるって。世界としてはそっちの方がよほど平和なのかもしれないが。

 まあそんなわけで自重している俺を疑ったお前ら全員家に戻って出したらその尻尾がもっふもふになるまで磨いてやるから覚悟しておけ。

 

 さて問題だ。カンパチロウの人形が持っていた襲撃者の匂い付きの布。これをどうする? 臭いを追える奴でもいれば……ああいたな、そう言えば。忍犬。最近見てないから……と言うか俺見た覚えねえわ。木の葉崩し編ではサルケががらがらどんを追っかけるどころか逃げ出す前に終わらせたし、サルケの里抜けなんて無かったし。そもそも存在を知ってた方がおかしいな。それ以上に知ってたらおかしいことを知っている時点で色々あれだが。

 

「……ああ、思い出した。そう言えば暁の人形師、三代目風影の人傀儡持ってたらしいな」

「「「「!?」」」」

「なんか砂鉄に毒混ぜて使って来たとか言ってたな……」

「待て、待つんだナルト。なんでそれを知っている?」

「ちょっと昔から雇ってた忍が暁に勧誘されたらしくてね。断ったら襲われたけど反撃して逃げ切ったそうな。毒食らって死にそうだったから浄化パンチしたら治った」

「浄化パンチってなんだよ!? と言うかそれで治せるのならなぜカンクロウにやってやらない!?」

「ん? 全身を毒ごと一瞬で分子レベルで粉々になるよう殴り砕いてから毒以外を治療する方法なんだが、痛いから最悪痛みでショック死するんだよ。脳だけは残すが心臓とかまで丸ごと砕くから絵面も最悪だし、なにより重要な部位を優先して修復するから血液とかがそれなりに戻しきれなかったりするせいで暫くは余計に弱るんだわ」

「じょ……浄……化? それ浄化か……?」

「俺の中では。まあどうしても間に合いそうになかったら勝手にやるつもりだったけど。それに一瞬で全身医療忍術で治しきらなくちゃいけないから滅茶苦茶チャクラ使う上に患者にも負担がかかるんだよ。具体的には寿命が数年くらいは縮むと思うね。原理は五代目の婆さんの創造再生と変わらんし」

 

 実際できる。ただそんなことをするより塵遁で消し飛ばして蘇らせる方がよっぽど早いし俺的には楽だけどな。

 あ、だめだ眠い。お休み。

 




Q.無限月読はナルトに通るの?
A.もともと通らないけど絶対に通らなくなりました。

Q.何思いっきりばらしてんの!?
A.特に問題ないと判断したんじゃないですかね?

Q.普通にしているだけで秒間一九喇嘛は多すぎじゃない?
A.仕方ないね。ナルトだからね。


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NARUTO~89

 

 side 春野サクラ

 

 ナルトはキチガイ。そして自由人。今も砂のチヨ様がサソリと三代目風影の話を聞こうと話しかけているのに突然眠り始めたし、起こそうとしても全然起きない。疲れてるのはわかるけど、明日になったら話してもらわないと困るのよね。でもナルトって基本的に眠り浅いし、誰かが近づくと大抵即座に起きるんだけど……。

 

「そう言えば昔両親を任務で亡くした少年が自分の両親にそっくりな傀儡を作って自分を慰めていたことがあったらしいですね。一番誰かが傍にいて欲しい時期に一人きりにされて歪んだ成長をしないわけがなく……誰か近くにいてやれなかったんですかね」

「ゴパッ!」

「姉ちゃん!おい姉ちゃん!?」

「ご、ごほっ、な、なーんちゃって……吐血したふ……ゲホッガホッ!」

「明らかにフリじゃねえだろ何強がってんだ姉ちゃん!」

「あと一人で自室で下半身を晒して何かをしていた時に突然姉が部屋に入ってきて大事故起こした少年が昔この里にいたとか何とか」

「 」

「……エビゾウ様? エビゾウ様! 大変だ!エビゾウ様が息をしておられない!」

 

 おっとまたナルトが何かやらかしたみたいね。こういうことがあるから寝ているナルトにはあんまり近づきたくないんだけど……普通に近付けるのってヒナタとサスケ君くらいなのよね。サスケ君は時々被害出してるみたいだけど。

 そして私は時々出されるサスケ君の昔の恥ずかしい話を聞いて楽しむ、と……フヒヒヒヒ

 

「おいサクラ。なんて顔してるんだお前は……」

「へっ!? ど、どんな顔してた!?」

「多分お前が首括りたくなるような顔だな。女が人前でしていい顔じゃなかった」

 

 ……さて、縄ってどこにあったかしら。

 

「本当に首括ったら即座に助け出すから死ねないぞ。それに首吊って死んだら体内に溜まった老廃物が重力にひかれて出てきてすげー汚いそうだ。やめとけ」

 

 ……あ、ちょうどこんなところに毒があるわ。

 

「お前が解毒薬作ったばっかりだろうが。無駄にするな」

 

 ……カンクロウさんの傀儡の刃って鋭いわね。

 

「なんでお前はそんな死にたがるんだ医療忍者。最後まで生きていなくちゃだめだろお前は」

「あそこに私より腕のいいマジキチ忍者がいるわよ……」

「細かいことを力業で解決する癖があるから薬物に関してはお前の方が適任だろう? それにあいつはひねくれ者だ。必要な時に当然のように前に出ている可能性もあるし、むしろ戦闘でこそ本領を発揮するタイプだ。医療忍者と言うより全てにおいて高適性のオールラウンダー型だしな」

「……ちなみに私は?」

「医療忍術を修められる程度にチャクラコントロールに長けた、多少なら肉弾戦もできるが裏方で医療と対幻術に努めてもらった方が効率がいいと思われる一般的には十分を越して十二分に優秀な忍、だな」

 

 ぐうの音も出ない程度に正論。とても正しい推測だと私自身でも思う。そして同時にそれは今の私はサスケ君たちの隣に立つことはできないという予想にもなる。今の私では思兼を使ったとしても増えたチャクラを使いこなすことができないだろう。そして増やしたとしても、そこそこ筋力を割り増す程度で限界になる。それが今の私の限界だ。

 けれど、あくまでも今の私の限界であって未来まで含めた私の限界ではない。百豪の術と創造再生、それを修めれば私はもっと強くなれる。きっとサスケ君の隣に立てる。ナルトは……うん、ごめん、ナルトは無理。いや本当に無理。医療忍術をある程度使えるようになってから気付いたけど、今のナルトって身体にチャクラが一切存在していない、つまり忍じゃない一般人と同じような身体なのに当たり前のように私達の動きについてこれてるし、サスケ君のチャクラ刀を爪で弾いてた。意味が解らない。悪いけどあれはほんと無理。

 あと、チャクラなしで巻物から物を取り出していたししまってもいた。本当に意味が解らない。どうなっているのかもわからない。ナルト自身に聞いてもみたけれど、特殊な道具を使っているんだとか。チャクラなしで使える便利な道具らしいけれど、ナルト以外には使えないみたいなのよね……と言うか使えたとしても理屈がわからないものに自分の大切な物を預けるって言うのは正直どうかと思うしね。

 だからまあ、ナルトに並ぶのは正直諦めているけれど……サスケ君の隣には立ちたいと思っている。

 




Q.被害者がまた増える……。
A.予定は未定ですが各里一人は被害者を出したいと考えております。

Q.鈍に雷遁チャクラを纏わせても爪切れないのか……。
A.しかもナルトはチャクラ無し。まあナルトだからね。


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NARUTO~90

 

 side うずまきナルト

 

 サトリについて色々聞かれたのでわかることから答えていく。俺が言っていた暁の傀儡師ってのは『赤砂のサトリ』って奴の事かとか、そいつが三代目風影の人傀儡を持っているのは本当かとか、どうやってその情報を手に入れたのかとか、今もそれを持っているかわかるかとか、そんな感じの事だ。

 ちなみに答えは1.合っている。2.聞いた話だとそうらしい。3.俺が雇っている元霧隠れの抜け忍、桃地再不斬と白がサトリと戦った時に出してきたらしい。4.壊し損ねたらしいから多分まだ持ってるんじゃないか。まあそのくらいだ。

 その他にもヒルコや三代目風影の機構や仕込み絡繰なんかも聞かれたが、金属製の異様にでかい尻尾と腕に毒針を大量に詰めた筒を打ち出して広範囲にばらまくものがあったことくらいは話しておいた。それとサトリ自身が人傀儡になっていたらしいこともついでに話しておいた。チヨバアが白目剥いてたが知らん。

 

「と言うかナルト? お前なんでそんな奴らと繋がりあるわけ? 再不斬って言ったら元霧隠れで忍刀七人衆、当時の水影暗殺を企んで失敗し、里を抜けたって言う大罪人じゃないか」

「ん? ああ、なんか当時の水影は幻術で操られてたらしいよ。それでそれを解いて霧隠れを元に戻そうとしたんだと。失敗して抜けてからもそのために力と金を集めてたらしくてそこからな」

「……どこまでマジだ?」

「調べられる範囲で調べたけど大分マジだった。ちなみに水影を操ってた奴って先生の左目の元の持ち主らしいよ」

「馬鹿な。オビトは死んだはずだ」

「ところがどっこい生きてるんだよね。ちなみに今はその時助けてくれた相手の名前を使ってマダラ、あるいはトビって名乗ってるらしいよ。まあ助けてくれたと言っても利用されてるだけっぽいけどね。なにしろ幼馴染のリンって奴に三尾の尾獣を入れて人柱力にした後心臓に呪印仕込んで逆らえなくしたのもそいつだし、先生がその娘さんを殺す瞬間を見せつけるタイミングで伝えたのもそいつだし、さらに言うとチャクラの消費量が多すぎてほぼ即死が確定している術を使わせるために心臓に呪印札を仕込んでいつでも操れるようにしているみたいだし、元水影の支配権もそいつから受け継いだものだったらしいし」

「……おい、冗談だとしたら笑えないぞ」

「冗談じゃないから笑えないんじゃない? 凄まじい顔してるけど」

「……どんな顔してる? すまないが今、俺は自分がどんな顔をしているのかわからん」

「子供が見たら泣くとか悲鳴を上げるとか以前に呼吸が詰まって死にそうな顔。マスクと額当てで殆ど隠れてるのにそれとかやばいね。控えめに言って修羅道を踏破した直後の悪鬼羅刹みたいな顔かな。悪いけどその顔で他人の前に出ない方がいいと思うよマジで」

「……そんなか」

「実は少し表現抑えめにしてる。珍しく写真撮るのも自重するくらいやばい顔してる。自重したから一枚しか撮ってない」

「まず撮るな……ああ、そうか……そうか……」

 

 カラシ先生がもう完全に復讐者の顔になっている。サルケがせっかく復讐者を脱却したってのになんでカラシ野郎が復讐者になろうとしてるんですかね? バカラシ!

 ……ん? なんか俺が言った言葉に矛盾がある気が……水影は当時人柱力だった、人柱力から尾獣を抜いたら人柱力は死ぬ、リンが尾獣を入れられて自殺した、オトビはそれを見てマダラになった、尾獣は水影に入れられた……んん?

 ああ、そうか、元の人柱力は別か。一番扱いやすい水影に後から秘密裏に尾獣を入れたのか。なるほど。

 

 さて、じゃあ俺は一番厄介な相手に対応する策を練ろうか。流石に触れると異空間に逃げる相手を殴るのは難しい。蛭子でチャクラを封じれば楽だが無差別だから全員術が使えなくなる。熱を集束させないで当てれば……周囲にかなり被害が出るし、当たる前に全身逃げられれば意味がない。

 となるとあれだ、すり抜けされたら全身を常に相手の全身に重ね続けてやればいい。そしてすり抜けの時間が切れて戻ってきた瞬間に俺の身体と重なって俺のグルメ細胞に食われて相手は死ぬ。

 ……駄目だな。最悪混ざる可能性もある。止めておこう。じゃあ……仕方ない、また九喇嘛に脳筋と言われてしまうだろうが、異空間に逃げられたらその逃げた先の異空間ごと殴り砕こう。空間破砕はチャクラなしの生身でもできる。行ける行ける。

 ……あ、そうだ、カラシ先生に影分身を先に向こうに送ってもらえば異空間に逃げた瞬間に殴り殺せるよな? 今度実験としてやってもらうか。

 

「カカシせんッ!? ヒィッ!?」

「あ、今なんか物凄い切れてるから話しかけたり顔見たりしない方がいいよ」

「遅いわよナルトォ!?」

 

 サーセン。

 




Q.さとりん? さとりん?
A.別人です。

Q.どんな顔してたのカカシ?
A.子供なら漏らす顔。


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NARUTO~91

 

 side うずまきナルト

 

 なんか重要参考人として砂の首脳会談的な場所に呼び出されたんだが影分身に任せておいた。面倒だし是非も無いよな。実際俺が知っていることは影分身だって知ってるんだし、あっちが殴ったり拷問したり幻術掛けたりしなければいいだけの話だ。一応形だけでも同盟国と言うことになっているんだし、流石に呼びつけて即尋問は無いと思うが……まあそこそこ長く拘束されるだろうな。面倒だが。

 

「そう言う訳で出発しねえ? 今ならまだ追いつけるって。元々予定より大分早く着いたんだし、その分を余裕として扱うんじゃなく予定の繰り上げでやった方がいいって」

「……あんた確か砂の上層部に呼ばれてなかった?」

「欲しいのが情報だけなら影分身で十分だろ? まさか拷問したいから本体よこせとか言ってくるはずも無いし、風影奪還に本体を使う必要があるからって言えば何も言えんだろうよ。実際何も言えないみたいだし」

「なに? もしかして本当に影分身を送ったわけ?」

「おう。……で、砂からは誰が来るのかなっと」

「儂じゃ。すまんの、砂隠れは三代目様が突然いなくなってしまった時に色々あってな。こういう時には即座に国の守りに動くようにしておるのじゃよ。代わりに儂が行くから安心してよいぞ? ひゃひゃひゃ……」

「ああチヨバアさん、だっけ? 確か、昔初恋の相手に正面から告白できなくて自分と同じ姿の傀儡を作って後ろから操り告白して成功を収めたと言う……」

「何で知っとる!?」

「弟さんに伝えておいた方がいい。酒は飲んでも飲まれるな」

「エビゾォォォオオオオォォォォ!!!!ゲホッゲホッゲホ!」

 

 まあ実際にはちょいと『チヨバアの忘れたい、あるいは忘れてしまった黒歴史が文章化されて書かれた紙』を出して覚えただけなんだが。これ本当に使い勝手が良すぎてやばい。万能であれと思って要求したが思った以上に万能すぎて草しか生えない。木遁かな? 紙出てるし木遁だろう。すげえや木遁忍術は紙まで作れるんだな。いや木遁じゃないのは知ってるけども。

 さて、チヨバアを連れて走り出す。ここに来る時に使ってたあれは残念ながらまだ防塵加工が済んでないしレストアもされてないので走っていく。仕方ないね。それにあれ現状使える奴が俺しかいないから俺に負担がかかりまくるしね。

 走っている間になんかカラシやサルケが色々と話をしているようだが、やっぱり到着が原作に比べて凄まじく早かったせいかまだがらがらどんのチャクラを感じることができるうちに到着してしまった。結界で塞がれているようだが……毎回意味が解らないんだよな。なんでわざわざ結界のある所から行こうとするのか。

 

「上ぶち抜いたら駄目なのか?」

「ごめん待ってどういうこと?」

「結界はこの岩を覆うように張られている。つまりここは入り口で中に空洞があるのはまず間違いない。じゃあ天井をぶち抜いて上から空洞に入るのは駄目なのかと聞いている」

「落ちてる時が隙になるでしょ? 聞いた話だと遠距離型が二人もいるんだよ? 爆弾とかつけられたらどうすんの」

「ああ、あいつの起爆粘土は雷遁叩き込めば不発するから雷遁螺旋丸を降らせて防ぐ。ヒルコの尻尾もチャクラで操っている以上こっちのチャクラで動きを妨害できる」

「瓦礫が我愛羅に当たる可能性があるがそのあたりは?」

「そんなもん今この結界を力任せにぶち抜いたところで同じだろうが。真面目に答えるなら外道魔像のチャクラの繭に包まれてるから平気だと思うぞ。今まさに抜いてるところだろうからな」

「……ん? 待てナルト。結界破れるのか?」

「多分な」プスプスプスプス

「指でつつくだけで破んな」

「わかった」スパスパスパ

「チャクラを纏わせてもいない手刀で斬るな」

「OK」ドスドスドスドス

「おいおい結界に穴とか切れ目とか開いてる状態で蹴って穴空けてるよなんだこいつ」

「ナルトだから仕方ないわ」

「ああなんだナルトか。驚くところだったぜ」

「お前らその受け入れ様は一体何なんだ……? 見てみろチヨ様なんて白目剥いて口から魂らしきものが出てr……チヨ様アァァァァァァ!!?」

「 」

「大丈夫よカカシ先生。適当に魂捕まえて口から戻せば……」

「……( ゚д゚)ハッ!」

「はいこの通り」

「サクラは本当に手際がいいな。いつも助かっている」

「なお俺との修行の時には命すら助かっていない模様」

「 」(魂フワーン)

「……」(魂掴んでサルケに突っ込む)

「( ゚д゚)ハッ!」

「なんだこれ……なにこの……何?」

 

 何ともカオスな状況になってきてしまったが、まあよくあることだ。少なくとも俺の周りでは。

 さて、結界ぶち抜いて岩盤割るか。

 




Q.エビゾウ爺さんとばっちり凄くね?
A.とばっちり一位の特別上忍さんには及びませんが。

Q.サクラさん慣れてますね……
A.なおサクラは自力で自分の魂も戻せる模様。


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NARUTO~92

 

 side うずまきナルト

 

 岩盤と結界を纏めてぶち抜いてみたところ、儀式はまだ途中だったようで何人かと目が合った。写輪眼で幻術を見せられた気もしたが今の俺はチャクラを流していないと言うかそもそも経絡系にチャクラが無いので幻術が効果を及ぼすわけがない。そう言う訳で手近にいる奴を殴り飛ばしておいた。人間を材料にした傀儡みたいな感触だったから人間を材料に作った傀儡だったんだろう。多分。

 

「さて暁の皆様初めまして、私は九尾こと九喇嘛の人柱力、姓をうずまき名をナルトと申します。輪廻眼を持つうずまき一族の同族の方、初めまして。霧隠れの怪人殿、初めまして。そこの目の中におたまじゃくし三匹飼ってる人、初めまして。なんか自爆しそうな方、初めまして。なんか人形になりたいけど人形になり切れない人間っぽい雰囲気を全力で漂わせている方、初めまして。なんか死ななそうな方、初めまして。財布の方、初めまして。かつての無限月読の被害者の慣れの果ての方、そしてそれと同居している兎の女神の最後の子供の方、初めまして。出会いの印にこれでもくらっとけ?」

 

 エクストリーム腹パンの術!

 説明しよう。エクストリーム腹パンの術とは、何となく相手がいる場所を察知して何となくそこに拳を振るうとなぜか映像しか出していなかったり完全に透過したりしているにもかかわらず胃袋の真上に拳が直撃するという不思議な術である。理屈はわからん。

 だが非常に便利な術であることには間違いがなく、事実この場に姿を見せている全員が突然蹲った。その隙に外道魔像の吐き出しているチャクラ塊に囚われているがらがらどんを引っ張り出す……つもりだったんだがこのまま引っ張ったらショ狸を置いて身体だけ引っ張り出してしまいそうだったので外道魔像に俺の背中から出した金剛封鎖でチャクラの綱引きをがらがらどん越しにやった……ら、何かよくわからないがショ狸以外にも取れてしまった。

 

「……ん? 誰? ……いや、マジで誰?」

『こいつは……恐らく七尾だな』

 七尾……ああ、ラッキーマンな昆虫王者。なるほど。そう言われるとそんな感じに見えてきた。

『いや、見えてきたって言うよりお前が思い出して認識を強化したせいで変質していってると言う方が合ってると思うぞ』

『そしてしちびもおれたちとおなじようにふういんされるんだな、わかるわかる』

 いや、俺昆虫の飼い方とかわかんねえぞ? 流石に放し飼いってのは良くないだろうし……誰か飼い方わかる奴とか居ないか?

『いや、そもそも本人の前で飼うとか言うのは止めてくれないか?』

 それもそうか。すまん、俺的には九喇嘛は腹ん中にいる頭のいいペット的認識でな?

『おい誰がペットだコラ』

 お稲荷さん上げるから許して。

『九個でいい』

 謙虚だなー憧れちゃうなー。

『……え? 九喇、嘛……?』

 

 ……あ、そう言えば九喇嘛って元々はでかい狐の形だったっけか。最近ずっと幼女だったから忘れてたわ。それにショ狸も刺青塗れの砂の塊で作ったヤクザっぽい狸だったっけか。ショタの姿しか見たことなかったから忘れてた。

 

『……ああ、そう言えばそうだったな。儂も正直忘れてた。そうだよ儂本来はでかい狐だったな……』

『しちびがすごいかおでこっちみてるぞー……まあおれもみられてるんだが』

 まあとりあえず七尾も引っこ抜いとくか。封印逆流。外道魔像の中身全部引っこ抜いておく。ただし、陽のショ狸はがらがらどんへ、七尾は一旦俺の中へ。そしてがらがらどんをカラシ先生に持たせて殿を務める。

 

「ここは俺に任せて先に行け!なに必ず後から追いつく!俺は彼女と約束しててな!今度の休みに一緒に食事に行くんだ!こんなところでこんな奴らに負けるものかよ!」

「何で突然そんな死亡フラグを乱立させるの!? ちゃんと生きて帰ってくる気ある!?」

「大丈夫だ、問題ない」

「問題しかない返答なんだけどォ!? サスケ君!ナルトをよろしく!私とカカシ先生とチヨ様はサソリを相手にす」

「オラッ!オラッ!脆いなこの傀儡!ちゃんと整備してるのか? オラッ!」

「ほうほうこれが起爆粘土……よし覚えた。なるほど、なかなか便利だ。」

「なんかもう全体的に決着ついてるー!?」

「まあ良くあることだ、諦めろ」

「サスケ君がなにか悟りを開いたような顔をしてナルトを見てる……え? 待ってなにこれどういうこと?」

「考えるな、感じろ」

 

 なんかどこかで聞いたことのある言葉が返ってきた。目も死んでいる。まあしばらくすれば戻るわな。多分。

 




Q.死亡フラグめっちゃ立ってるけど大丈夫?
A.既にここにいる実体の奴は大体倒し終わってるんだよなぁ。……ゼツ? 知らね。

Q.この時期だと七尾以外も入ってると思うんだけど?
A.書いていた当時は調べが足りんでな。すまぬ。漫画持ってないから仕方ないと許しておくれやす。


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NARUTO~93

 

 side うずまきナルト

 

「地獄の断頭台―――ッ!」

「グワ―――ッ!!」

「勝った!第三部、カン!ツモ!嶺上開花!」

「前回に引き続いて敗北フラグおったてたと思ったらそれ以上に強い勝利フラグで上塗りしたー!?」

「ここで周りが『やったか!?』とか言うと相手が立ち上がってきたりするらしいな」

「……いや、まあ、この状況なら立ってもらっても全然構わないけど……我愛羅も奪い返せたし、相手滅茶苦茶弱ってるし……」

 

 なんてメタ発言してるんだこいつら……大丈夫なのか?

 

『お前が言うなよ……本当にお前だけはそれ言ったら駄目だろう……』

 自覚はあるが正直自重するの面倒で……。

『じちょうはしとけよ……なくすなよじちょう……』

 

「つーかお前ら先に行けって言ったのに何でまだここに居るんだ?」

「あんたが五秒で終わらせたから移動する隙が無かったのよ!」

 

 ……まあそれはそれとして、こいつらどうしよう? 起爆粘土使いの(粘)土ペロさんと、傀儡使いの九割人形。……傀儡師のスキルで人の身体でもチャクラ糸で扱えるそうだからそれで持ってくか? だがこいつら拘束しておいても物理的に抜け出したり小さい爆弾を出して穴空けたりしそうだし、ここで殺して焼き払っておくのが一番……か? 俺だけならともかく、他の奴らもいるしな……。

 土ペロの方は両手足を物理的に消し飛ばして口を塞げば無力化できるだろう。だが傀儡師の方はなぁ……あの蠍って書かれた丸いパーツだけ引っこ抜いて袋詰めしておけば……いや、チャクラ糸を使って袋を破られたりするだろう。面倒な……。

 それに、がらがらどんはなんとかなったが新しく七尾が増え、なんか羽二枚分程度を像の中に置いて行ってしまった。しかも一尾の方も全体の砂の一割程度を置いて行ってしまった。俺に直結してたわけじゃないから扱いにくいんだよな……。

 まあ、一般人な俺にできるせめてもの事だ。失敗には目を瞑ってくれると嬉しい。

 

『一般人? 誰が? お前が? ……ッハ』

『無いな。無い無い。百兆歩譲って人間であることを認める日が来るとしてもお前が一般人とか無い。むしろ音が同じと言う理由で出されることがある逸般人と言う言葉すらおこがましいだろ』

『ないわぁ……ぜったいないわぁ……』

『え? 何? この人間そんなやばいの? 俺アンラッキー?』

『間違いなくこの人間はやばい。チャクラ量……は、今封じているからわからんだろうが六道の爺を1として軽く6.5E+300000000くらい行ってるだろうしな』

『……ああ、大体そんな感じか。影分身一体から還元された分と数を考えればそれぞれの使った量とかを考えて揺らぎは出ても大体そんなもんだろ』

『……ろくてんごいーぷらすさんおくってどんなもんだ? けたがでかすぎてよくわからん』

『悪い九喇嘛、俺もわからない』

『あー……6.5に10を掛けると65になるな? これが6.5E+1だ。そして同じようにもう一度10を掛けると650になる。これが6.5E+2だ』

『ふんふん……ん? 待て、それって相当でかくないか!?』

『でかいぞー。こいつのはすさまじくでかいぞー。じゅうびよりでかいのはほぼかくていってれべるででかいぞー。だからなるとはにんげんじゃねえといわれるわけだな』

 

 まああれだな、原作においてナルトが十尾のチャクラを感知しようとしても測り知れないと言うことを測れるだけだったが、俺の場合『んー……九喇嘛よりはでかい? かな?』程度でしかないだろう。それに他の暁のメンバーもいなくなってしまったし、外道魔像も無くなって……あ。目の前にあったんだったら取り込んでおけばよかった。口寄せ契約を強制的に破棄してやればよかった。

 

「……ナルト。お前今度何ができて何ができないか全部教えてもらうぞ」

「具体的過ぎる内容はやってみないとわからんとしか返せないけどそれでいいなら答えられそうなことは答えるぞ。答えたくないことは答えないけど」

「ナルト」

「影分身に八門遁甲の死門開けさせて木の葉の里に突撃させないといけなくなるから答えないぞ。契約上聞いた相手にそれを実行しなくちゃならんのだよ。契約は守らないといけないからできればやりたくないんだが」

「いやいや、影分身にそれやらせてもチャクラの勢いと攻撃の反動に術が耐えられるわけないでしょ」

「俺前に千鳥の直撃を影分身にくらって皮膚どころか服にすら傷一つできなかったんだけど」

「……うっそだろマジか」

 

 カラシ先生もまたあの師弟の流れを汲む者だったな、そう言えば。……そう言えば、エロ蝦蟇仙人とイチャパラ狂の二つの点を繋ぐ存在なのに俺の親父って結構まともだよな? いや、あれをまともと言っていいのか知らんけどまあまともな方だ。自己犠牲の精神が凄まじい気もするが。

 だが、それでもかなり優秀なんだよな。なんでこう強い忍ってのはどこかしらおかしかったり癖が強かったりするんだろうな? かーちゃんもかーちゃんでハバネロモードだと色々怖いし。

 

「あ、そうそうさっき一発ぶち込んだ時にお前の兄の現在の居場所を逆算して割り出せたぞ」

「教えてくれ」

「この任務終わったらな」

「いや、場所を考えて計画を練る必要がある。すぐ教えてくれ」

「必要なら俺が直接向こうに行って呼び出すから場所については考えなくていいと思うぞ」

「……ナルト。お前自分が狙われてるって自覚あるか?」

「木の葉のためにスパイしてる奴に会いに行くだけだから問題ないって。前にも言ったと思うんだが」

「……ああ、言ってたな、そう言えば」

 

 こいつ忘れてやがったな……まあいいや。とにかく兄弟喧嘩のお膳立てはしてやろうか。

 




Q.キン肉マン世界にも行ったことあんのかよ……
A.超人強度とは全く違う力を使い超人を圧倒する人間でした。必殺技は時間停止モツ抜きパンチ。そしてそもそもダイヤモンド相手だろうがロンズデーライト相手だろうが一切気にせず攻撃を受けても無視できる頑強さ。

Q.イタチとサスケ会わせんの?
A.そう言う約束でしたからね。ナルトは自分から言い出した約束は相手が自分との約束を破らない限り守ります。


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NARUTO~94

 

 side うずまきナルト

 

 死者は敵のみ、参加者は全員無事。今回の任務は大成功と言えるだろう。問題があるとすれば、がらがらどんがまたも俺に救われたと思ってかなりべったりになっていることだが、まあ放置でいいだろう。あっちもあっちでどういう対応をするべきなのか測りかねてるようだしな。

 まあだがここはとりあえず、こう言っておくべきなんだろう。

 

「生還おめでとう」

「……ああ、ありがとう、ナルト」

 

 

 

 

 

 side うちはイタチ

 

 突然の事だった。一尾の封印中に突然結界が粉砕され、現れた九尾の人柱力、うずまきナルト。封印がまだ終わっていなかった一尾の人柱力を奪い返し、その場に存在していなかった俺達を殴りつけ、その場にいたサソリとデイダラを殺害、死体を指輪ごと持ち去っていった。それだけではなく既に封印されていた七尾の殆どを魔像から抜かれ、暁の計画は大きく後退したと言わざるを得ない。そしてその光景を目の前で見せられた暁の構成員である俺たちは秘かに集まり、これからの方針について会議を開いていた。

 

『……単刀直入に言う。あの九尾の人柱力のおかげで計画に狂いが生じた。まさか封印に乱入して封印されていくチャクラを逆流させるなどと言うことができるとは……』

『おいおい、じゃあどうすんだ? 一尾だけじゃなく封印が終わっていた七尾まで持っていかれちまってよ』

『そのことだが、一尾と七尾が抜かれた時、一尾は一尾の人柱力の中に戻っていったのを確認したが、七尾の方は恐らく九尾の人柱力の方が吸収したと思われる。九尾と七尾が同時に同じ人柱力の中にいると言うのは……選択的に尾獣を封印すると言うのは可能なのか?』

『問題ない。だがそれよりも封印の際に意識があると最悪それまで封印していた全ての尾獣を持っていかれると言うことが問題だ……』

『……殺して中身を別の奴に入れ替えるか、あるいはそのまま入れちまえばいい』

『ふむ、だが奴の中には二匹いる。ゼツの報告が正しければ九尾の人柱力はデイダラとサソリを同時に相手にした上で無傷で勝利したそうだぞ? 例え奴に勝てたとして、そのまま九尾と七尾を同時に相手にできるのか?』

『なあに、それなら人柱力を殺すのは飛段さんにお任せするとして、九尾と七尾は私とイタチさんが相手すればいい。それに飛段さんを無力化するなら封印する必要がある。封印される前に妨害し、そして飛段さんの儀式で殺してしまえばいいでしょう』

『無力化って言うならイタチの幻術でもいいんじゃないかなぁ?』

『無理だ。あの時に一応かけてはみたが無視された……と言うよりそもそもかける対象が見当たらなかった』

『それはどういうことだ?』

『チャクラが流れていなかった。突然挨拶をしてきた時に目を合わせたが効果が出なかったから確認した。あの時うずまきナルトはチャクラを一切使っていなかった』

『…………本当に人間か?』

 

 あたりが沈黙に包まれる。それはそうだ、自分達を退け、更にはメンバーであったデイダラとサソリを殺した相手が全く本気ではない……それこそ殻だけを失って薄皮のみに包まれた生卵を割らないように持ち上げるような加減をしていたと聞かされればそういう反応にもなる。

 しかしその沈黙は突然に、そして劇的に破られた。

 

「俺は人間だパーンチ!」

『『『『『『ぐぼへぇぁっ!?』』』』』』

「つーか首飛ばされても死ななかったりそもそも人間として作られてない奴らに人間じゃないだろとか言われたくねえよキーック!」

『『『『『『ごっぼぉぉ!!?』』』』』』

 

 み……鳩尾……と言うかなんでここに……!?

 

「なんか気配がしたから追っかけてきたぞ!あとそこのブラコン!お前の弟にお前がかつて受けた木の葉からの特別任務の内容を洗いざらいぶちまけたからなざまあ見やがれ!」

『お前……うずまき、ナルトォ……!』

「うわ何お前なんかチャクラが無いと人間と樹の間に凄まじい拒絶反応が生まれて即死しそうな顔してるんだけど大丈夫? 死ね? 間違えた、死ぬよ?」

『お前……どうやってこの場所が……』

「うわ何その眼キモッ!なんか年季の入ったクレイジーサイコホモの気配がするんだけどその眼キモッ!」

 

 突然絶対に隠しておかなければいけなかったことを弟にばらされていたと聞かされた兄は俺だ。写輪眼持ちなのに白目剥きそう。と言うか既にきつい……!

 

「よーしとりあえず大体の居場所はわかった!もう二度と俺の前に顔見せんなよ!じゃあな!」

 

 それだけ言い残してうずまきナルトは煙を残してその場から消えた。……影分身だったのか、それとも指輪を使ったのか……。

 

『……暫く、俺はあれに近づきたくはない』

『イタチさんに同じく。できることなら九尾と七尾以外の尾獣を全て集め終えてから暁の総力を挙げて戦う必要があると思いますねぇ?』

 

 ……だが、それでもいずれ会わなければならな(カサッ)ん? これは……?

 




Q.どうやって入ったの?
A.人探しには抜群に便利な武装錬金があるじゃないですか。

Q.ナルトの言ったことについての言及は?
A.いった直後に殴っていったお陰で一種のセクシーコマンドー的な物と思われ黙殺されました。


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NARUTO~95

 

 side うちはサスケ

 

 ナルトがイタチと話を付けたらしい。戦いは必須となるだろうが、それでももう一度イタチと話ができる。

 武器、手の内に手裏剣の口寄せ術式。刀、鈍。両目に万華鏡写輪眼、左に天照、右に加具土命、両方を使って須佐能乎。術、火遁と雷遁、そして仙術。恐らく仙人モードには入らせてくれないだろうが、幻術を使っている間なら身体は動くことがないからもしかしたら使えるかもしれない。これはあくまで兄弟喧嘩だ。そこに誰かを入れるつもりはない。たとえそれがナルトであってもだ。

 お互い頑固なことは知っている。一度これと決めたことはそれこそ死なない限りは諦めないだろう。兄さんがそういう人間なのは知っているし、兄さんも俺がそういう人間なのは知って……知らないかもしれない。

 

「ところで先生のあのマスクの下ってタラコ唇だったりすんのかね?」

「……い、きなりどうした、ナルト」

 

 一瞬想像して吹きかけたじゃねえかいきなり何言ってんだこいつは……?

 

「あるいは出っ歯……もしかしておちょぼ口……」

「ヤメロォ!イタチとの戦いの前に変な想像をさせるな!」

「ちなみに俺はその答えを知っている……知りたかったら生きて帰ってこい」

「お前な……こう、もう少し真面目な雰囲気のまま送り出そうとかそう言うのは無いのか?」

「シリアスは前世に置いてきた。もう色々面倒だから軽く生きていくぞ俺は。と言うか俺がシリアス始めたら三日後には木の葉の里が物理的に消滅して地図がかなり書き変わることになると思うぞ?」

「はぁ……じゃあお前はイタチをどうやって真面目じゃなく呼び出したんだ? 兄さんは軽い言葉じゃ呼び出せないだろう」

「ああ、『もし来なかったらお前の弟を妹に変えてうちはの血を広め直してやる』って書いた紙を押し付けた」

「お前馬鹿じゃないのか!?」

「だが実際効果はあったようだぞ? ほら見てみろ、あそこにいるのが割と命にかかわる病気のくせに大事な弟の事が心配過ぎてまたもや木の葉の里の結界を抜けて俺がお前に何かしようものなら天照で速攻焼き払おうとしているお前の兄だ。怒りと興奮で顔の穴と言う穴から血を流しているのが見えるか?」

「なんで来てんだよそんなことできるわけないって少し考えれば……いや、ナルトならあり得る……?」

「なってみるか? 女。変化の術とかじゃない本物に」

「お断りします」

 

      ハ,,ハ

     ( ゚ω゚ )  お断りします

    /    \

  ((⊂  /)   ノ\ つ))

    (_ ⌒ヽ

     ヽ ヘ }

  ε≡Ξ ノノ  `J

 

 

 影分身の術!

 

 

      ハ,,ハ ハ,,ハ

     ( ゚ω゚ )゚ω゚ )  お断りします

    /    \  \    お断りします

  ((⊂  /)   ノ\ つノ\つ))

    (_ ⌒ヽ ⌒ヽ

     ヽ ヘ } ヘ }

   ε≡Ξ ノノ `Jノ  `J

 

 

 水遁・お断りします!

 

お断りします

 ハ,,ハ

( ゚ω゚ )つ日 ザバー

.     .川

 

 

 火遁・お断りの術!

 

        \  ヽ     ! |     /

     \    ヽ   ヽ       /    /       /

        お断りだああああああああああぁぁぁ!!

        \          |        /   /

                        ,イ

 ̄ --  = _           / |              --'''''''

          ,,,     ,r‐、λノ  ゙i、_,、ノゝ     -  ̄

              ゙l            ゙、_

              .j´ . .ハ_, ,_ハ   (.

     ─   _  ─ {    (゚ω゚ )   /─   _     ─

               ).  c/   ,つ   ,l~

              ´y  { ,、 {    <

               ゝ   lノ ヽ,)   ,

 

 

 

「そこまで嫌がらんでも」

「いや普通にこのくらい言うだろう誰が好き好んで男から女になりに行くんだよ」

「俺の知り合いに白って男が居たんだが、今ではそいつ女になって憧れの人の隣で幸せ新婚生活もどきを送ってるぞ」

「……マジかよ……!?」

「……あーいや、付き合いは相当長かったから新婚と言うより熟年夫婦か?」

「訂正するところがそこってことは割とマジなんだな? そうか……そう言う奴もいるのか……」

 

 俺にはまだよくわからん。俺がイタチに愛されていた、大切にされていたってのはナルトから話を聞いて何となく理解したつもりだが、それで俺が誰かに愛を向けられるか、そしてどんなものを愛と呼ぶのかはわからないままだ。

 ……愛、か。俺にもいつか愛おしいと思える者ができるのだろうか。俺の中から愛と言える感情が芽生えることはあるのか。そもそも俺に愛なんて感情を抱く余地があるのか。未来の事はわからないが、自分の事もわからない。こんな精神状態ではイタチに勝てるはずがないとわかってしまう。きっと兄さんは俺の事を殺しはしないだろうが、弱ければ確実に鍛錬のような気分で追い詰めてくることだろう。

 今は、今だけは、兄さんとの戦いに集中しなければ。

 

「あ、じゃあ兄の方を女にしてみるか?」

「お前ほんといい加減にしろよ?」

 




Q.どんな呼び出し方法!?
A.効果はあったのでいいと思います。

Q.ちなみに、できんの?
A.結論だけ言えば可能。


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NARUTO~96

 

 side うちはサスケ

 

「……来たな、サスケ」

「ああ。……病気だと聞いた。大丈夫なのか?」

「 問題ない」

「今の一瞬の空白であまり大丈夫ではないとわかったよ。それと、話は聞いた。木の葉の上層部からの命令だったらしいな」

「……」

「知っている。聞いている。ダンゾウに命令されたと。うちはが木の葉にクーデターを起こそうとしていたことも、それを止めるために兄さんがうちはを滅ぼしたことも」

「……誰から聞いた?」

「ナルトだ。あいつも色々と命を狙われたらしくてな。報復ついでに色々探っていたらわかったそうだ」

 

 兄さんは額を抑えて俯いた。気持ちはわからなくもない。本当ならずっと黙っておくつもりだったことが当たり前のようにバレていたと言うのは精神にクるものがある。俺もそういうものがある。まあナルトにぶちまけられた黒歴史の事とかな……なんであいつあんなことまで知ってんだ……?

 あとサクラもだ。身長は見ればわかるし体重も持ち上げてみれば大体わかる。スリーサイズもあくまで外見の事だから見ればわかる奴もいるだろう。なんでサクラの昔の恥ずかしい事やら初めての赤飯の日やらを知っていたのか……カカシもカカシで初恋の相手の事だとか親友の事だとか色々と……全くあいつはいったい何をどうやってどこまでの事を知っているんだか……。

 

「話をしたい。いや、違うな……話をしよう、兄さん。俺達は分かれていた時間が長すぎた。色々話したいことが山ほどある」

「……いいだろう。しかし―――」

「ああ、それもわかってる」

 

 覗きがいるのはわかっている。わかっているなら話し合いの場は一つしかない。俺の写輪眼にはイタチの月読のような幻術系の術は無いが、写輪眼そのものに十分すぎるほどその力がある。

 ……それにあれだな、俺はナルトにそっちの方も無理矢理に鍛え上げられた。失敗するとオカマ丸に掘られそうになったりカカシに掘られそうになったりする幻術返しをされるから必死になった。ああ、本当に必死になった。あそこまで必死になったのは初めて須佐能乎を使えるようになって調子に乗りナルトと戦った時にデコピン一発で須佐能乎の全身を消し飛ばされてからいつもの無表情のまま『仕置きの時間だ。殺す技を当てるが死ぬなよ』と言われて追い掛け回された時くらいだろう。なおその後死んだ。そして蘇った。あいつはあれだな、絶対に戦争映画に出しちゃいけない類の奴だ。主人公の友人が『あの人を返せ!』と泣いて喚いている所にひょっこり現れて『返せばいいのか? わかったちょい待て。……ほい出来た』と本当に返してしまう。もうこの時点でシリアスが完全に死ぬよな? 空気と一緒に何もかもが崩壊するだろ? 絶対にやってはいけない。まるで物語を無理矢理にハッピーエンドに導こうとする機械仕掛けの神のようだ。

 まあ、あいつの場合自分にとって幸せに終わらせるためなら他のあらゆるものを地獄に叩き落とすくらいの事はするだろうが。

 

 さあ幻術の掛け合いだ。幻術の世界の中ならば、俺とイタチは誰憚ることなく会話ができる。だがまずは確認だ。

 

「兄さんの初めてのキスの相手がうちはシスイだったってマジか?」

「 」

 

 お、白目剥いた。マジらしい。そしてちゃんと兄さんが幻術にかかっていることもわかった。だが瞳術で俺にかけられた幻術の世界が消えてしまった。これでは会話ができそうにない。

 ……しかしナルトはいったいどうやってこのことを知ったんだか。当時を知っているのはまだたくさんいるとは言ってもほとんどは既に死んだうちはの一族ばかりだろうし、父さんや母さんなら知っていてもおかしくないがそれをナルトに伝えるかと言われれば微妙だし、そもそもそのことを確認してみたら誰かから聞いたと言われたからまず間違いなく俺の両親からではない。前々から思ってはいたが一体どんな情報網が……?

 

「……サスケ」

「なんだ、兄さん」

「忘れてくれ。頼む。できれば俺も忘れたいんだ。二度と話題に出さないでくれ」

「わかった。じゃあ代わりにこれからの話し合いはしっかりしてもらうぞ」

「ああ、わかっている」

「もし嘘をついたりはぐらかしたりしたら変化して木の葉に天照するからな」

「止めるんだサスケ。嘘はつかないしはぐらかしもしないから」

 

 よし、これで大丈夫だろう。会話の主導権の握り方がナルト式になったがまあ問題ないはずだ。




Q.なんかサスケがナルチカに似てきてない?
A.まあ付き合いも長いですし影響を受けていたとしてもおかしくはないでしょう。いえ、行動と頭がおかしいんですが。

Q.薄い本が厚くなるような展開はありますか?
A.すみませんねお客さん、ここ全年齢対象なんですよ。


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NARUTO~97

 

 side うちはサスケ

 

 話し合いの結果、ちょくちょく精神攻撃を織り交ぜていった甲斐もあって無事俺の意見が通ることになった。

 万華鏡写輪眼を既に開眼している俺が、兄さんから万華鏡写輪眼を貰う。兄さんは俺の万華鏡写輪眼を使う。病気についてはどんな病気でも治せそうなやつが一人知り合いにいるのでそいつに土下座でも靴舐めでも何でもして治してもらう。最悪マジで一旦女になって身体で支払うのも考慮に入れる。

 

「おい待て流石にそんなもん考慮に入れられても困る。隣見てみろお前の兄ちゃん万華鏡写輪眼で俺睨んでるじゃねえかよ」

「……天照!」

「あっつ。何すんだよ熱いだろう。そんなにこいつにお前が童貞より処女失った方が早かった話をしたのを根に持ってんのかよ」

「根に持たないわけがないだろう……それに、サスケの貞操は兄である俺が守る!」

「あくまでお前を呼び出すための話だってのに……おいお前もなんとか言ったらどうだ? お前の兄ちゃんなんか暴走してんぞ」

「その前に、なんでお前がここにいる? ここは俺と兄さんが作った幻術の世界だぞ?」

「陰遁で幻術に割り込んだ。自分から幻術にかかりに行く術なんて本来使い物にならないんだが、こういう時には便利だな」

「天照!」

「あっつ。幻術内なんだから意味ないってのに……」

「……兄さん、諦めろ。ナルトは基本的に人間だと思わない方がいい。前に完成体の須佐能乎で全力で戦ってみたがなんかよくわからない方法でなんかよくわからないうちになんかよくわからないけど一方的にボコられたからな。天照程度で何とかなる相手じゃないし、幻術とかも簡単に返した挙句に内容を身近な知り合いに掘られるものに変えてきたりするからお薦めしない」

「あ、二秒遅かった。月読されたから七十二時間暁メンバーに掘られたり術を使ったアブノーマルなプレイをされたりする幻術を見てもらった」

「だからお前本当に何やってんだよ!?」

「これに関しては正当防衛を主張するぞ俺は。実際術掛けてきたのあっちの方だし。あーあー目からハイライト消えちゃってるよ大丈夫かな?」

「……それらの影響も含めて、兄さんの身体を治してやってくれないか。あと俺と兄さんの眼球の摘出と移植も」

「……別に構わんが貸し二な」

「うっ……わかった」

 

 ナルトに借りを作ってしまった……また借りを作ってしまった……一体いつになったら返しきれるんだろうか。むしろ返しきれる日なんて来るんだろうか。踏み倒すにしてはあまりに大きすぎる借りだ。返せるときにコツコツと返すしかない。普段から色々と世話を焼くことで返していっているつもりだが、ナルトは貸しを作らせるときには一気に作らせてそれをちょいちょい引き出してはまた一気に貸すってのを基本にしているようで、全く返していけてる気がしない。

 とは言っても書面にも何にも残っていないし、ナルトは貸しだの借りだのはあまり気にしないだろうが……気分がな。女になって云々は流石に冗談にしても、何かの形で返しておかないと正直後が怖い。あれだ、最終決戦で突然現れて『お前には貸しがあったな? 悪いが貸し全部と引き換えで構わないからお前の命を貰っていくぞ』とか言ってきたりしそうだ。まあその後で蘇れるかどうかがナルト次第ってのが一番恐ろしいんだが。

 本当にそうなったとしてもこいつが命と引き換えにしたんだったら間違いなく結果は出すだろう。そう信じられる状態で死ぬんだったらまあ幸せな方だとは思うし、態々自分から被害を出しに行って失敗する姿が見えないから実際に完璧に終わらせられるってのが救いと言えば救いか。

 

 ……だからそろそろ俺を睨みつけるのを勘弁してはいただけませんかねヒナタさん。何で幻術の中の出来事を察せるのかとかそう言うのは置いておくから本当にやめてください、さっきから身体の方が凄まじく冷や汗掻き続けててやばいことになってるんですお願いします。

 

『 ・--・() -・-・・() ・・() -・・・() ・-・() ・-() 』

 

 ……なんかチャクラの波動を使った簡単な暗号で脅された……『次やったらお前の脳髄をチャクラ糸で掻き回して耳からコンクリの地べたにぶちまけるぞ』的なことを言われた……。(言われてない)

 まあ次に同じようなことを言う時も冗談だろうから勘弁してほしい。いや本当に。

 




Q.ホモォ?
A.精神的には? まあ実現するにはナルトがそれを要求するかサスケから誘う必要が出てきますが。

Q.ヒナタさんが順調に人外になってってる気が……
A.ちなみにチャクラの波動を使った簡単な暗号は日本語版モールス信号です。


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NARUTO~98

 

 side 日向ヒナタ

 

 チャクラ糸での点穴攻撃。柔拳使いじゃなければ大抵の場合は見逃してしまうけれど、チャクラの感知能力が高かったりすると避けられることもままある。そうでなくても戦闘中と言う激しい動きがある中での正確なチャクラコントロールは難しいし、何より相手の動きとチャクラ糸の動きをしっかりと合わせなければ点穴攻撃なんてできはしない。とても難しい。

 ただ、私の視界内でかつほとんど動いていない相手であれば百発百中と言えるくらいにはなった。そして一度突き刺せばそこから根を張るようにチャクラ糸を伸ばし、全身の経絡系に私のチャクラ糸を絡めてズタズタに引き裂いたり点穴と言う点穴を突いたり強制的に八門遁甲をさせることができるようにもなった。ただ、八門遁甲をさせると全身の点穴から噴き出すチャクラの圧力に押されて経絡破壊も点穴封じもできなくなってしまう。ナルト君にそれについてどうしようと相談してみたんだけれど、ナルト君の場合チャクラ無しで四紫炎陣を指一本で軽々突き破るという離れ業ができてしまうからあまり考えたことがないらしい。ただ、チャクラの圧縮を上手くすればチャクラの圧力を受け流しながら自在に動かして経絡系をズタズタにできるようになるんじゃないかと言うアドバイスを受けたので再び一億人の私によるチャクラコントロール修行の始まりです(死んだ目)。

 目標はチャクラ糸の先端部分でチャクラを纏った苦無を貫通すること。そして貫通させた苦無をそのまま一切動かさずに両断すること。目標は遠い。

 

「大丈夫、行けるって。俺は毎日一兆体を越える影分身で同じことやってるんだからいけるって」

「えっ……ナルト君、身体は大丈夫なの……?」

「死にはしないし効果も十分ある。ただ副次効果として柔らかな笑みを浮かべながら一瞬でハイライトを滅殺できるようになる」

「ナルト君、それすごく怖い。いつも無表情なナルト君が笑ってるのも怖いけど一切の光を飲み込むようなその眼が凄く怖い」

「嫌だなあ、僕はいつだって人類の平和を願って生きているって言うのに」

「待って待って待って待って待って待って待って待って怖い怖い怖い怖い本当に怖いからそれ本当にやめてお願いだから」

「~♪」(『アンパンマンマーチ』を短調で)

「その顔でその歌は本当に待って怖い!泣くよ!? 子供に聞かせたら多分泣くよ!? と言うか私もちょっと泣きそう!」

「そいつは良くないな。わかったいつも通りにしておく。まさかちょっとしたイメチェンでここまで言われるとは思ってもみなかった」

 

 ……ちょっと、言いすぎちゃったかな?

 でも、あれは怖い。普段からナルト君に付き合いがあればあるほど怖いと思う。天気が槍になったりしても正直驚かない自信がある。そのくらい怖いしおかしい。絶対おかしい。そして怖い。

 もしかして、毎日一兆体の影分身を出して修業なんてことをしていたせいで精神的に不安定なのかな……?

 

「無いとは言い切れないな」

 

 やっぱり……一億体くらいの私でも正直それを一度やった後は暫く寝込みたいくらいに疲れるのに、その千倍以上を出しているナルト君が疲れないってことは流石に無いんだろう。いくらナルト君でも疲労は感じるよね? ナルト君ってちょっと人間かどうか怪しかったりすることもあるけど、人間じゃないわけじゃないもんね。時々『疲れた』って言ってるし、修業も任務もない時にはよく寝てるし……。

 

『いーやこいつ人間じゃない』

『どう考えても人間じゃない』

『ひゃくおくほゆずってもにんげん(?)だな』

『……ああ、うん、そのようだ』

 

 なんだかナルト君と繋がっていると聞こえてくるいくつかの声が増えた気がする。最近までは二人……いや、同じ声が二人と違う声が一人だったと思ったけれど、そこにまた誰かが入ってきている。誰だろう? 前に居たのは多分九尾だと思うけれど、じゃあ残りは誰なのか。どうして九尾と同じようになっているのか。ナルト君が前に言っていたから初めに聞いたのは九尾で、中忍試験の後から聞こえ始めたのは一尾なんだと思う。じゃあ今回増えたのと、一番初めからいた九尾と同じ声だけれど別の誰かの声。何が何だかよくわからないけれどきっとナルト君がまた何かしたんだよね?

 ……一尾と九尾がいる。つまりナルト君の中に封印されているのは尾獣たち。九尾の声が二つある理由はわからないけれど、ナルト君は一尾を半分にして片方だけを請け負ったと言っていた。だとするとナルト君に九尾を封印した四代目様も同じように九尾の半分だけをナルト君に封印して、そしてナルト君が復活させた四代目様から何らかの形で受け取ったんじゃないだろうか。だから九尾の声が二つある。

 最近増えた声については、多分風影である我愛羅君が攫われたのと何か関係があるはず。暁と言う組織に攫われたと聞いてるし、暁は尾獣を集めているということも聞いた。つまり、何らかの形で暁が持っていた尾獣をナルト君は奪ってきた?

 

『大正解』

『この小娘頭の回転が速いのと現状の受け入れ能力が高いよな』

『ちなみにふえたのはしちびだな!』

『どうも、ラッキー7オカブト、または昆虫王者だ』

『……その呼び名、気に入ったのか?』

『ロリ狐よりは』

『『サッカーしようぜ!お前ボールな!』』

 なに? 直径18のボールをケツに埋め込まれたいとな?

『『裂けるからやめろ!』』

 

 お仕置きの内容が怖い……と言うか凄い……怖い……。

 



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NARUTO~99

 

 side うずまきナルト

 

 湯隠れ出身のローカル邪神教徒と滝隠れ出身のロートル心臓マニア、そして植物人間に加えて怪人サメ男までもが俺を狙って動き始めたという情報がオカマ丸とイラチの両方から入った。早々殺せない俺に対してのカウンターを狙っているのかどうかは知らないが、湯隠れ出身の不死身男は死なないからと言って再生や復活が早いわけじゃないってのはわかっているし、心臓マニアは五回殺せば死ぬ。正確には五回殺すのではなく五つの心臓を全て潰せば一回殺しただけでも死ぬわけだが、まあ変わりはない。植物人間は輪廻眼なりなんなりでチャクラを奪ってやれば消えるしかないし、怪人サメ男はチャクラ量が並外れているのと武器がなんか生きていてチャクラを食うの以外は普通の水遁が強い忍でしかない。結局殺しに来た相手は基本殺し返すのみ。特に今回は俺の動きを絶対に封じるためとその後詰めにこいつらが派遣されてきているわけだ。それにどうも七尾こと……昆虫王者が言うには七尾の人柱力を襲って無力化したのはその二人だったそうだから油断はしない。ちょっと塵遁で分子レベルまで崩壊させたら生き返るのかの実験をしたいと思っているだけでこれは油断ではない。

 ちなみに俺の他人の名前覚えられない病のようなものの事は昆虫王者には伝えておいた。呼ばれたいなら頑張っては見るが十年くらい見といてほしいと言うことも伝えた。そして九喇嘛やショ狸の今の姿についても俺がそう言う存在だと認識したり呼んだりしたせいでチャクラ生命体としての形が変わってしまったためにそんな姿になったのだと。なお昆虫王者の名前は気に入られたのでそのまま呼ぶことにした。まあ実際元からそんな感じだったせいで変わらんしな。元の形をよく覚えていないが本人がなんとなく変わった気がする程度の認識なんだからまあ別にいいだろう。虫ってのは幼虫と成虫で姿が大きく変わることもある生物だから、自分の姿が変わると言う事にあまり頓着しないのかもしれん。

 

 しかしどうするかね。情報じゃあ俺がいつ現れるかわからないから心臓マニアと邪神教徒が殺られないようにとある意味護衛のようなことをしているそうだ。本来は二人一組で動くところを四人一組に変えたと言う事になるが、それは実際意味があるのかわからない。その相手が俺だと言うならはっきりと無駄だと言わざるを得ない。実際無駄だからな。

 俺は基本的に襲われない限りは反撃しない。襲われると言うのは計画を練るところまでは見逃すが計画の前準備を始めたらアウトと言う認識。つまり某戦犯は許さない。卑劣様は俺に関係ないから許す。卑の意志は脈々と受け継がれている。

 

『ところでなんでこんな殺風景な世界に一本だけ青々とした樹が?』

『ああ、あれ神樹だ』

『は? いや、俺達こうしてここにいるだろう?』

『中身ごとナルトが作ったそうだ。だからナルトは九尾の人柱力で一尾の人柱力で七尾の人柱力でありながら十尾の人柱力でもあり、六道の爺とは類の異なる六道仙人と言う事だな。まあぶっ飛び具合はナルトの方が上だろうが』

『なるといじょうにぶっとんでるやつがいたらせかいがもたねえよ』

『以上どころか少し足りない程度でも持たない気がするな』

『『『はっはっはっは』』』

『笑えねぇ……全く笑えねぇよ……』

 

 まあこれで笑える奴がいるとしたら俺くらいなものだろう。それに加えて色々と諦めざるを得なかった尾獣たちとか。まあ尾獣たちの場合目が死んだまま笑っているが。

 ……そう言えば、俺は六道仙人の術はほとんど使っていない。たまには試しておかないといけない気がする。

 万象天引、神羅天征、地爆天星、天碍震星、あと使った事は無いが万華鏡写輪眼ではなく輪廻眼になって初めて宿る術もあったはずだ。確かめておかないと。できれば仙人モードが使えないから感知系のを強化してくれると嬉しいね。できるかどうかは知らんけども。

 

『おーいナルトがまた自分を強化しようとしてるぞー』

『わーい世界の終わりだー測り知れないー』

『やったーこれでせかいはへいわになるぞーみなごろしてきないみでー』

『おっふ(白目)』

 

 お前ら後でモフり倒して……七尾モフれないな。仕方ない某殺せんせーの如くたっぷりと手入れをしてやる。

 




Q.輪廻眼の瞳術ってどんなものを使えるようにするおつもりで?
A.待て次回。

Q.卑の意思とな?
A.脈々と受け継がれておりますな!


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NARUTO~100

これでナルトの難易度アンケートは終了となります。アンケートの結果を鑑みまして、マダラとの戦いにおける難易度は『死ね』でお送りさせていただきます。

そんな訳で次のアンケート『第四次忍界大戦、忍連合視点から見たラスボスを誰にするか』にもお答えいただけると幸いです。期限はNARUTO~110の投稿までです。


 

 side うずまきナルト

 

 輪廻眼の固有瞳術あるじゃん? 輪廻写輪眼だから万華鏡写輪眼の蛭子と同時発動できるじゃん? まあ便利かなと思ったら俺の万華鏡の能力のせいで輪廻眼の能力に回すチャクラまで封印されて使えんのな。残念。

 だが一応使えるようにはなった。俺の輪廻眼に宿る力は力の増幅だ。具体的には二倍になる。倍率は低いが十分にやばい。何しろこれ対象を選ばない。九喇嘛の力を二倍にしようと思えばできるし、ショ狸の力を二倍にしようと思えばできる。しかも二倍にする対象の最大数が不明。流石に同じ対象の同じものに対して何度もかけて四倍八倍十六倍と増やしていくのは体力とかチャクラ量のような消費する系統の物以外には無理っぽいが、それはそれで非常に便利だ。最大値は一回限りだが現在値なら何度でも二倍にできるし、何より成長速度とかも二倍にできるしチャクラの回復速度や疲労回復速度だけを二倍にすることもできる。使い勝手は非常にいい能力だ。

 ちなみに一番ヤベー使い方だと数を増やせる。そう、純粋に数を増やせる。生きた人間やそこらの石ころに対して数を増やせる。ただし思考の共有とかは当然できないし、ある意味だと全く同じ能力のクローンを即座に作り出すのと変わらない。そして当然ながらこれに関しては輪廻眼の能力を使うのをやめても元には戻らない。チャクラ生命体だったら大丈夫そうなんだが、駄目だった時が怖いので使っていない。

 ちなみに増やした人間は俺だ。まさかここにきて自分自身の数を増やせるとは思っていなかった。ただし増やした俺はこの世界の能力は使えても俺自身の魂に刻まれた能力は使えないようなので完全とは言えないらしいが、まあヤベーわな。

 

『やべー……やべー』

『やべー』

『まじやべー』

『やべーなおい』

 矢部って誰だ?

『やべー』

 

 駄目だこいつらの語彙が死んだ。光の消えた目でやべーやべーまじやべーと繰り返すだけになってる……一体誰がこんなことを!?

 

『やべーわ……まじやべーわ』

『やっべ、やっべー』

『やべー』

『やっべー』

 

 駄目だ帰ってくるのに相当な時間がかかるなこれは。ツッコミすら無いとは……SANチェック失敗から一時的発狂or不定の狂気入りしてるわ。ただ揃いも揃って語彙の欠如と放心だけで済んでてまだよかった。奇妙な性的嗜好とか引かれて俺の中で○○○○(ピーーー!)とかおっぱじめるのはマジで勘弁してほしいからな。

 ……SAN? ああそうだ、こいつらの残りのSANを増やしてみるか。体力なんかは増やした後に能力を切ってもそのままみたいだし、SANも同じようにできるだろう。多分。問題はSANが100を超えた場合だが……こいつらある意味じゃ神話生物みたいなもんだし大丈夫だろう。文字通りの意味で神話の生物から生まれてるし。

 だがまあ今度な。もう少し見ているのも面白い。

 

 さあ修行だ修行だ、とりあえず神羅天征を対軍も対個人も狙って切り替えられるようにしたりタイムラグを減らしたり、万象天引の最大出力を上げたり、外道魔像を口寄せ……いや、多分無理だな。外道魔像を口寄せできるのはあの十尾の人柱力の目と同じ目だったからだ。俺が作った十尾改め神樹の輪廻眼だったら多分俺の中の神樹の方が口寄せされるだろう。何の意味も無いしやるつもりもない。出しても何かあるわけでもなし。

 とりあえず、出した大岩を使って万象天引と神羅天征を交互に使ってヨーヨーの真似でもしてみることにする。突き放して引っ張って突き放して引っ張って……これ一つの対象に同時にかけたらどうなるんだ? 前後から圧迫されて潰れて死ぬか? それとも前面と後面が千切れてそれぞれの方に飛んでいくのか? あるいは左右で剪断されるのか、全身の細胞あるいはそれらを構成する極小原子の半分が引き抜かれて前後に分かれるのか……どうなるんだ?

 とりあえず何も考えずに実行したらただその場に留まった。なるほど釣り合う訳だな。そして力を掛ける場所を選んでみたら、前後から圧縮されて砕けたり前後に分かれて飛んで行ったり左右に千切れたり上下に千切れたり全体が崩壊したり……最後のはあれだ、極小原子を狙って数をきっちり半分にして選択的に引き抜いたら塵遁のあれっぽくなった。そうか、こんなこともできんのな。最後のは出力を結構上げないとできなかったが面白い実験だった。後は俺の輪廻眼の能力に名前でも付けるか。

 

 どんなんがいいと思う?

『ヤベーィ』

『ヤベーィ』

『ヤベーィ』

『ヤベーィ』

 よしわかった、能力名『ヤベーィ』な。こんなもん解ればいいんだ解れば。ウンコだって良い……やっぱウンコは嫌だわ。目にウンコとか病気になりそうだし。

 




Q.マジで能力名『ヤベーィ』になるの!?
A.はっきり言っておきますが仮の名前です。

Q.神羅天生と万象天引の同時使用やばくね? 何が起きたかもわからず前後に千切れて死ぬとか怖すぎね?
A.どうしてペインの天道はこれをしなかったんでしょうね? 不思議。


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NARUTO~101

 

 side うずまきナルト

 

 俺には輪廻眼と万華鏡写輪眼と言う二つの目の瞳力を併せ持った輪廻写輪眼と言う目がある。万華鏡写輪眼は俺のチャクラの全てを封じる代わりに俺の周囲の存在のチャクラも問答無用で封じる能力、ただし封じることができる合計量は俺の封じられたチャクラ量までと言う制限がある、俺でなければまともに使えないことは間違いない術、蛭子。輪廻眼の能力はあらゆるものを二倍にする術、仮名称『ヤベーィ』。流石にこれは無いわな、後で何か考えよう。

 で、重要なことが一つある。俺は十尾の人柱力でもある。普段は閉じているし目立たないと言うか見えないようにしているんだが、額にも目が一つあったりするんだよな? 輪廻写輪眼が。

 それで確かめてみた。額の目に宿った術だが、万華鏡写輪眼の蛭子も輪廻眼の『ヤベーィ』も使えなかった。……駄目だ、この名前出すだけで笑いがこみ上げてくる。腹がよじれて死にそうだ。死なないが。

 ともかく試してみた結果、俺の左右の輪廻写輪眼とは違う術が使えることは間違いない。二人ほど額の輪廻写輪眼で無限月読をやろうとしていたからもしかしたらそれ専用かとも思ったがそうでもなく、なんと無限月読は輪廻写輪眼にデフォルトで備わっている瞳術らしい。頭おかしいなこれ。

 そして俺の額の輪廻写輪眼に宿る能力だが、輪廻眼の物と万華鏡写輪眼の物とで二つあった。まずは万華鏡写輪眼の物は……あれだ、直死の魔眼。しかも型月風の『死を見てそれを斬ると間違いなく死ぬ』ようなものではない。ある意味では本家本元とも言えるケルト神話のバロールのそれだ。視界に入れた相手は問答無用で死ぬ。それは視線が合うとか見たと認識していないとかそんなものは関係ない。ただ視界に入れば死ぬ。誰が相手であろうとどんな存在であろうと関係なく死ぬ。そして輪廻眼の能力は、待望の感知系能力だ。白眼と同じように透視と望遠ができる。流石に視神経が繋がっている場所で見るための細胞が存在しない場所は盲点として存在する……と思ったか? 驚け、これ脳にほぼ直結しているせいで盲点と言える所が存在しない。上下を含めた全周囲全てが俺の有効視界だ。しかも輪廻眼だけあって感知可能距離がやばい。太陽系全土は余裕で飲み込めるし、なんなら数兆光年先の星の表面の液化した大気の漣の数ですら数えることができる。

 ……なんでこう地球上の全存在を殺すためとしか思えない組み合わせが出る? 視界に入ったら問答無用で殺すと言うのは俺が制御できる物じゃないんだ。運のいいことに鏡に映った自分を見ても死にはしないし、影分身の俺が影分身の俺を見ても俺自身が影分身の俺を見ても影分身の俺がチャクラを使っていない俺を見てもチャクラを使っている俺を見ても特に何かが起こるわけではなかったからまだいいが、これ完全に世界を終わらせるための術だな? なんとか制御できるようにしないとマジで使えんぞ?

 視界そのものを広げるだけの輪廻眼の方は普通に便利だが、万華鏡写輪眼の方がやばい。しかも気付いた。なんとこれ左右の輪廻眼の能力で視界を二倍にできるし、更には視界に入れられる距離をも二倍にできる。この能力については見ないふりをして死ななくなるようなもんじゃないからな……困るわ。

 

『ヤッベベベ』

『ヤーベッヤベ』

『ヤベーベヤベ』

『ヤーベーベー?』

 

 こいつらはこの間のからまだ戻ってきてないし、相談もできない。まったくこれは難題だぞ? いつもだったら寝ながら適当に考える俺だが、今回は寝ながら考えて仮に暴発したらこの世界の全存在の滅亡が確定するんだから寝てられない。答えを出してしまえば考えることも少なくなるから大丈夫だと思うんだが……とりあえずあれだな、名前だけでも決めておけば使う使わないを決めやすいな。これだけ決めてあとは額の輪廻眼の制御を考えればいいか。結局視界を抑える方法を考えればいいだけの話だしな。

 まあ、名前はもう何となく決まっている。万華鏡写輪眼で生まれた術の由来からは外れるが、日本神話には純粋な死の神ってのがいないんだよな。殺すために殺す神ってのがいない。大抵が自分に何らかの不利益を齎したとか侵略行為の果てにとか自分を敬わなかったからとか自分との約束を破ったからとかそう言う理由で殺している。だから第一印象で決めてしまう。『バロール』だ。この世界風に漢字を当てはめるなら『芭聾琉』かね? それから輪廻眼の方も簡単にそのまま決めてしまう。『千里眼』だ。千里を見通すバロールとか最悪じゃね?

 あとついでに左右の輪廻眼のも決めてしまおう。流石に『ヤベーィ』は無い。増やす系……地母神か農耕神辺りだろうか。日本神話で、古くて有名なのにすると……大気都比売(オオゲツヒメ)か。じゃあ『大気都』としておこうか。

 よし、寝るか。

 




Q.一番やばくね?
A.汎用性がクソですが一番殺意の高い瞳術ですね。ちなみに設定上ナルチカの保有するチャクラ量が相手より多ければ効きます。

Q.大気都の神話知ってて名前つけてんの?
A.考えるな。頼むから。


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NARUTO~102

 

 side うずまきナルト

 

 問題。俺に尾獣を奪われた暁の連中が次に狙う尾獣はなんでしょう?

 1、ショ狸 2、長靴猫娘 3、亀甲マン 4、水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖 5、キモイルカ、6.ワン娘、7、昆虫王者 8、クトゥルー 9、金髪狐耳合法ロリ巫女。

 

 ……いつもだったらここでツッコミが入るんだが、残念ながら今は全員『やっべ』に類する言葉しか発音しないし理解もできないようだからな。仕方ない。

 まあ消去法で考えるとして、まず金髪狐耳合法ロリ巫女はあり得ない。あの状況でまだ俺に勝てると思っているんだったら甘く見られたもんだ。そして俺が奪い取った昆虫王者もあり得ない。理由は同じ。次に考えにくいのはショ狸だ。片方は今までと理由は変わらず、もう片方はまた俺が救出に行ったら同じかそれ以上に不味いことになるのがわかるだろうからだ。

 そう言う訳で残りは長靴猫娘、亀甲マン、水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖、キモイルカ、ワン娘、クトゥルーのどれかだが、クトゥルーは人柱力が雷影の弟であり実力も人柄も認められているから難しいと後回しにするだろう。入れる順番はできれば尾の数順が良いそうだが、既に七尾が放り込まれていたり、捕まえた順がかなりばらばらだったことから殆どあってないような物なんだろう。その順番が好ましいが無いならないで良い、程度の。

 まあそんなのでもその方がいいと言うんだったらそうするだろう。だから恐らく次に狙われるのは長靴猫娘。そしてその次に亀甲マンで水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖と続き、キモイルカ、ワン娘、と言う順に狙われることだろう。

 あと、原作ではクトゥルーの所にサルケが行っていたはずだがサルケは木の葉にいるから八尾の所には誰が行くことになるのか……恐らくイラチだろうとは思うんだが。

 まあともかく、俺は基本的に受け身で待っていればいい。俺がここにいて色々と動き回ったんだから、原作通りに事が進むわけがない。むしろそうやって進んで行ったら驚き以外の何物でもない。

 

 今はそれよりも額の輪廻眼の術である千里眼をなんとか上手く使いこなせるようにならないといけない。と言うかこれを使いこなせるようになれば相当諜報が楽になる。隠し事を探るのも隠れた奴を探すのも簡単になる。そしてやろうとすれば世界の裏側から狙った奴だけを見殺せる。間違いなく便利になる。

 ……身体に紐づく能力だからどれだけ慣れても持ってはいけないだろうけどな。九喇嘛達が言っていたように俺が尾獣になるのだったら、チャクラと言う何かを繋ぐ力を座にいる俺自身に繋げればいけるかもしれないが、そこまでしたいとは思わないしなぁ……さっき言った通り身体に紐ついているからもしも他の世界で使いたいと思ったら多分自分の目を抉り出して移植しないといけないだろうし、流石にやってられん。俺の身体を俺以外の物で傷つけるのってかなり難しいんだぞ? 大抵の場合は手刀に気を纏わせてやることが多いけども。

 と言っても選択肢が増えるのは悪いことじゃないから一応もしもそんな風になったら全部持っていけるように準備だけはしておこう。

 

 ……ところで、SAN値を増やしても発狂したと言う事実は消えんのだな。増やしても発狂したままだった。もしかしたら足りないのかもしれないと思って七回やったんだが、全員直らなかった。これを即座に直したいんだったら多分今度は跡形も無くなるほどに砕いて作り直すくらいしかないんじゃなかろうか。知らんけども。

 もう一週間以上これだ。そうなるとやっぱり不定の狂気か永続的狂気のどちらかと言う事になる。尾獣だし流石に永続的狂気は無いと思うが、不定の狂気は不定の狂気で長いんだよな。後遺症を含めれば最悪年単位だ。

 ああ、いや待て。精神さえ直れば身体の方は大丈夫なはずだ。つまり今と全く同じ環境の中で暫く過ごせば治るんだったら、幻術で精神の速度だけを加速させ続ければいい。それも発狂が収まったタイミングで効果が無くなるようにしておけば元通りになるはずだ。チャクラ生命体ってのは決まった肉体を持たないからな。情報を大量にぶち込んでも発狂する事は無いんだからそれなりの速度まで加速させても大丈夫なはずだ。

 だが本当に大丈夫かわからないので俺を増やしてから殺した新たな尾獣で実験してみた。解らなかった。そりゃそうだよな俺だもの。俺が認識できる速度を俺が耐えられないわけがない。まったく馬鹿な実験をしたものだと思いつつ吸収。

 と言う訳で仕方ないから実行しようか。

 




Q.ちなみに実際にはどんな順番で?
A.知らね。と言うかあれ順番とかあるはずなのにガン無視して封印されてるしね。マジで意味わからん。

Q.ところでいつになったら正気に戻るの?
A.ある程度時間が過ぎるか作者が書くことに困ったら。


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NARUTO~103

 

 side うずまきナルト

 

 暫くの間精神世界で療養中の尾獣たちを置いて俺はまた修行をする。バロールの方はもう制御を諦めた……と言うかオンオフはできてもハイロウはできんのな、これ。付けたら常に最大威力。仕方ないので千里眼の方だけを鍛え上げていく事にした。勿論いつものチャクラコントロールの修行と同じように大量の影分身を使って。

 結論。視界を狭めるのは無理だ。だってこれ物理的に見えてしまうんだもの。目を閉じれば狭まるかとも思ったが、残念ながらこの目は透視機能付きだから瞼も頭蓋も全部透かして方向が見えてしまう。仕方ないしまあ諦めるよな。オンオフが利かないのとハイロウが利かないのだったら間違いなくハイロウが利かない方が扱いやすい。使うか使わないかと言う1と0がはっきりしていない能力ってのはどうにもなぁ……。

 あと、千里眼を使わないで芭聾琉だけ使えば普通に視界内の存在だけ殺せたからそこまで困るようなものでもなかった。千里眼と合わせたら? そりゃもちろん全部まとめて皆殺しだ。

 ただこれについても何となく理想が見えてきた。と言うか、そもそも俺のアレは殺す瞳術では無かったのに俺が使ったせいで殺す目になっているようだ。

 芭聾琉と名付けたあの瞳術。実際に他者を一方的に殺害しているようだが、実際には視界内の存在を殺す目ではなく視界内の存在を止める目であったらしい。それが俺の尾獣がまとめて発狂するくらいの意味わからないレベルで多いチャクラと結びついた結果、視界に入った存在全てを殺す瞳術として機能してしまったらしい。

 ならば答えは見えてくる。込めるチャクラの量と質を落とせばいい。だが俺はつい癖でチャクラは上質の物ばかり練ってしまう。と言うか自然にそう言うチャクラしか作れない。わざとチャクラの質を悪くするとかやり方がよくわからん。精神エネルギーと身体エネルギーの比率をどちらかにかなり偏らせたりすれば質の悪いチャクラも作れるのかもしれないが、そんな無駄なことをしたくはない。精神エネルギー多めのチャクラで作った術なんてのもあったはずだが、今必要ではないしな。

 だから制御するとなると量を絞るしかないんだが……全く練らないように肉体と精神を少し浮かしている状態では使えないし、術を使うためにそれをやめると秒間1九喇嘛くらいのチャクラがあふれ出す。……今はもっと多いかもしれないが、とにかく相当な量のチャクラになる。それの止め方なんぞ俺は知らんぞ……? 全くチャクラを流さないようにできるだけでも相当なんだし。

 

 ……そう言えば今の今までまるで気にしてこなかったが、チャクラを使っていない尾獣ってのはどの程度頑丈なんだろうな? 精神世界とはいえ仙法の螺旋丸を喰らっても大したダメージを受けていなかったからロケラン程度じゃああまり効果は無いだろう。最後のインフレ仕切ったあたりの戦闘描写を見れば最低限核弾頭くらいは用意しないといけないんだろうが……流石に実際に用意して使う訳にもいかんしな。と言うかそんなもん使うくらいなら千里眼に手加減無しの芭聾琉使うわ。

 そう言うのを知るには実践が一番手っ取り早いんだが、命の危機があるのを当然のように実験できるのは俺くらいだ。俺は増えれるからな。

 そもそもNARUTOの世界には当たれば必殺級の技が多々存在する。大抵の場合はそれを躱すことで生きているんだが、時々直撃喰らっても普通に耐えたから問題ない奴とか、なんか死なない奴とか、命のストックが結構あるから大丈夫な奴とか、喰らって半身が吹き飛んで死ぬかと思ったけど死ぬかと思うだけで実際には死なずに再生するクレイジーサイコホモとかもいたりするから人間の頑丈さってのがよくわからん。『基準は俺ではない』ってくらいだな、わかるのは。

 あともう一つ。この世界の存在は異界法則に影響されやすい。チャクラなんて言う存在を繋げる力を持っているからだろうが、他の世界の力を取り込んで自分の力にするのが非常に上手い。そのせいもあっていい物にも悪い物にもかなり簡単に影響されてしまうから事件が絶えないと言う訳だ。もう少し平穏な世界だと嬉しいんだが、そうもいかねえんだよなぁ……こう、世界を巻き込むような戦いが何度も巻き起こるような世界は嫌だ。ドラゴンボールとか本当にきつかった。もう二度とあそこには行かんぞ俺は。

 

 あー、駄目だ考え事してたら眠くなってきた。寝るわ。

 




Q.ドラゴンボール行ったんだ……どのくらい強い?
A.勝っても勝っても後から強くなってまた挑んでくるような奴ばっかりだったので最終的に負けて消滅したふりして異界を作って逃げ込み平穏に過ごしました。『相手に勝つのに必要なだけ強くなれる』ので、その問いは無意味です。

Q.止める奴なら改名したら?
A.出る結果は同じなので制御できる日が来たら変わるかもしれませんね。


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NARUTO~104

 

 side うずまきナルト

 

 さて、色々あったがサルケが仙人モードを使っているのを見て彼女がそれを見よう見まねで真似ようとして失敗して蛙石化を起こしそうになったところで自然エネルギーを吐き出させ、もうなんと言うか仕方ないので俺が覚えている限りの方法で彼女に仙人モードについて叩き込みながらサルケに完成体須佐能乎を身体に慣れさせるために何度も繰り返し使わせる。チャクラを大量に送り込みながらなら影分身でも使えない事は無いから慣れさせるのにも影分身。ただし完成体の須佐能乎は非常に目立つので俺の作った不思議な世界の中でやらせた。不思議な世界……まあいつものだわな。

 結果。彼女は仙人モードを習得し、サルケは完成体須佐能乎をほぼ自分のものとした。テコ入れテコ入れ楽しいなっと。なお、今のところサルケと彼女が戦うと十回中三回くらいはサルケが勝てるようになってきた。いやはっきり言って完成体の須佐能乎相手にほぼ素手で真正面から殴り勝てる彼女の方がおかしいんだけどね? マジで。口に出したら即座に『おまいう』系のツッコミを入れられそうだから何も言わんでおくけども。

 

 ……しかしこうなるとバクラにももう一回テコ入れしとくか? 幻術系で良さそうな奴……対象の方向感覚と平衡感覚を奪う幻術結界とかどうだろうか。多分できる。準備と言うか媒体として霧状にした何かが必要だろうが、それは霧隠れの術なり小麦粉ぶちまけるなりで何とかなる。と言うかなんとかしろ。そこまで面倒見切れん。お薦めはチャクラがあればできるだろう水遁系の霧隠れと風遁系の砂隠れ、土遁系の粉塵隠れだ。火遁系陽炎隠れと雷遁系電磁迷彩は残念ながらその術の適応がないからな。

 と言うかそもそも幻術系の技ってのが少ないんだよな。そして幻術で高威力の技がない。幻術と言う精神に働きかける術である以上は直接的な威力に欠けるのは仕方ないことだが、仕方ないで終わらせていたら成長なんて見込めやしない。

 それに、幻術系における最強の術はほぼあらゆる状況に対応できる可能性を持つ。全てにおいて平均的だったとしても、これ一つを持つだけで上位に食い込める幻術。名を伊邪那岐……いや、漢字ではなかったな。イザナギと言う。

 本来ならば写輪眼を持つものでなければ使えず、更に使ったものも写輪眼の失明と言う重大すぎるリスクを背負って使う技だが、よく考えて欲しい。血継限界だのなんだのと言うが、結局のところは術だ。それもある程度以上の人間に可能な術でしかない。ならば当然、できるだろう。完全な真似など必要ない。そもそも失明するところまで完全に真似てどうする。こういう術は要するにリスクとリターンを良い感じに釣り合わせて使うものだ。リスクに対してリターンを過剰に求めようとするから多くの技は失敗するし、リスクを恐れてリターンを小さくしては本末転倒。つまりはバランスだ。

 

 陰陽遁。陰遁と陽遁。イザナギは自身にとって都合の悪い現状を隠遁で幻として消し去り、都合のいい現実に陽遁で書き換える。完全版はそこまでできてこそのイザナギだ。

 だが、最も重要なのは自分が死なないことだ。要するに、『自分に都合が良かろうが悪かろうが全ての現実を一度幻として消し去り、その間に起きたことを全て自身の記憶にのみ残してもう一度やり直せばいい』訳だ。この方式なら幻術の対象を非常に大きく取るためチャクラの消費量は恐らく数倍から数十倍に膨れ上がるだろうが、代わりに自分以外が死んだという未来も何もかもを一度なかったことにしてそれを覆すために動くことができる。そしてこの術ならばリスクは戻された全体に負わせることができる。失明することも無いだろうし動けなくなることも恐らく無い。戻された時点に到達するまでの間、妙にデジャヴに襲われるくらいで済むだろう。

 一番の問題はチャクラだが、それも問題ない。バクラにはチャクラを増やす術と溜め込む技の両方が揃っている。つまるところ必要な奴の所に必要な術が行くわけだ。バクラは医療班だから最後の最後まで生き残っているだろうしな。

 俺もやらんのかと? こんな糞みたいな世界を二回やることになったら俺はキレるぞマジで。多分初手で俺が産まれた時に木の葉を襲ったクソ野郎を物理的に首から上を消し飛ばして殺してから月を崩壊させ、現存する輪廻眼を全て潰してから木の葉の裏を牛耳る自業自得マンを磨り潰してるな。そこまでやれば恐らく俺に面倒は来ないだろう。多分な。その後で木の葉に対してのクーデターだとかそんなのが起きたら……まあ起きるだろうが、そうなればまず間違いなく火影である俺の親父はそれに対応するべく戦いに出るだろう。かーちゃんの方も出るかもだが、流石にどうなるかはわからん。俺は研究者でもなければ実験屋でもないんでな。

 ともかく、使えれば便利な術だ。一応作ってみるとしよう。

 




Q.その術便利すぎない?
A.Re:ゼロを思い出して羨ましいと思えるならそうなんでしょう。

Q.そもそも作れんの? 血継限界でもなく?
A.術として存在するならそれを正確になぞればできるのは道理。イザナギと言う現実を書き換える術があるのだから不可能ではないと考えます。


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NARUTO~105

 

 side うずまきナルト

 

 俺が術を作ったり九喇嘛達の精神を立て直している間に色々と面倒事が起きていたようだ。

 まず、□〇が下忍の頃に担当をしていた三代目の爺さんの息子が死んだ。暁のローカル邪神教徒とロートル心臓マニアに殺されたらしい。ツーマンセルではなくフォーマンセルで動いているはずだが、どうもそいつらは既に二人で動いているらしい。これは俺が手を出されなければこっちから何かしようとはしないタイプだってのが向こうに知られたのかもしれんな。実際イラチにそういう風に見せておいたから何も返せないけども。

 さて復讐だとかつての十班、猪鹿蝶の三人組が行こうとしたところにカラシ乱入。そして第七班との共同任務にしてくれやがった。こんなんだったらオカマ丸の所に行商に行って色々と吹っ掛けまくる方がよほど楽だってのに、なんでこんなことに……まあ、あの先生は少なくとも俺に悪感情は抱いていなかったようだから絶対に協力したくないとかそう言う訳じゃないから構わないっちゃ構わないんだが。

 

 そう言う訳で現地に到着。□〇の影真似を基礎に攻めていく、と言う話だったが面倒だったので超遠距離から石を投げたら心臓マニアの上半身を消し飛ばしてしまった。あれは心臓五つ纏めて死んだな。

 索敵中だったいのが索敵を中断して俺の方を凄い目をしてみていたが気にせずもう一度石を投げる。すると今度はローカル邪神教徒の胴体が消し飛ぶ。が、首だけで話してる。あれどうなってんだ? 普通肺から声帯を震わせる空気の流れがあって、その上で口腔と言う音を響かせたり籠らせたりする場所があって、歯やら舌やらを正しく使わないとまともな言葉は発音できないと思うんだが。

 

「とりあえず無力化しといたぞ」

「……ナルト」

「なんだ?」

「相変わらずぶっ飛んでんな」

「石がか?」

「お前がだよ……やれやれ、考えた作戦の殆どが無駄になっちまったが……結果オーライってことにするか」

「あ、一応言っとくがなんとかかんとか首だけで陣を書いて近付いた奴に噛みついて血を奪って陣に入って舌を噛み切ろうとかしてるみたいだからもう何発か投げて頭蓋骨を砕いておいた方がいいと思うけどどうする?」

「……ああ、うん、頼むわ」

「あいよー」

 

 そんなわけでさっき適当に拾った石ころをいくらか投げておく。あれだ、スラッグ弾を西瓜に超至近距離でぶっ放したら大体あんな感じになるわな。投げたのは一つだけだったんだが空中で砕けて散弾になったから俺は悪くない。と言うかあれは大分やばいな……どこからどこまでがローカル邪神教徒でどこからどこまでがロートル心臓マニアかが全く分からん。ミキサーにかけられたかのようだ。

 

「すまん、どこからどこまでが誰だったのかわからなくなった」

「は? ……ああ、なるほど。まあ構いやしねえよ。そこまでやったんだったら蘇りもしねえだろ」

「俺の知ってる奴には最大でも10g以上の肉片が無くなる様に磨り潰した挙句に焼き払って灰にして畑に撒いた所から復活した奴がいるぞ」

「なんだその怪物……絶対人間じゃないだろ?」

「人間の定義をどこに置くかにもよるが、少なくとも一般的に人間と言われている種族とはだいぶ違ってたことは間違いないな。ちなみにそいつまともに戦ったら俺でも勝てん」

「待て。お前に勝てる奴とかいるのか……?」

「当然いるとも。初恋の相手の心臓を自分の手でぶち抜いた誰かさんにはわからないかもしれないがな」

「 」

「カカシ先生!? カカシ先生のマスクの縁からなんか白くてもやっとしたものが!?」

「それ魂だな。ほっといたら身体との接続が切れて死ぬよ」

「なんでそんな落ち着いてるのよあんたは!? カカシ先生死なないでー!」

「そうだぞ、こんなところで死なれたら困る。困って困ってかつて『ルールを守って当然、仲間の命よりも任務の成功』を掲げていた白い牙の息子の話をしてしまうかもしれない」

『ヤメテ……オネガイ……』

「魂のまま喋る元気があるなら身体に戻って!?」

「そして里に戻ったら『先生は任務中にイチャイチャタクティクスを読み返していたら顔面から樹に突っ込んで首の骨を折って死んだ』ってことにするぞー。頑張れー」

『ガンバル……ガンバルカラヤメテ……」

「あっ戻ってきた!」

 

 よしこれで大丈夫。それじゃあ指輪を頂いてから死体と肉片は土遁で地下深くに埋めておこうか。それこそ地下数千m級に。

 




Q.作戦とか見せ場は?
A.ナルチカに蹂躙されました。

Q.カカシ先生メンタル弱すぎない?
A.原作でもちょくちょく折れそうになってるじゃないですか。


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NARUTO~106

 

 side うずまきナルト

 

 オカマ丸からちょっとした連絡があった。なんでもイラチと一戦やらかすことになったそうだが、今のイラチとオカマ丸のどっちが分がいいかを聞かれてしまった。まあ残念なことに7:3イラチなんだよな。オカマ丸は自分の大切な人を失っていないから現状自身の万華鏡写輪眼は持っていないし、イラチはイラチで病気だったのが治ったから強化されているし、万華鏡で須佐能乎を使われたらそれこそ何の抵抗もできずに殺される未来しか見えない。

 

「ちゃんと身体の予備は用意してあるか? 死んだ時にちゃんと蘇れる準備は大事だぞ?」

「もちろんちゃんと用意してあるわよ……ねぇ?」

「詳しくは君には言えないけどね」

「呪印と細胞を合わせてって所?」

「 」

「……君はどこでそういう知識を手に入れてくるのかな?」

「俺に変な情報源があるのは知ってるだろ。俺はそれ以上は教えねえぞ……さてそれはそうとして、何かご入用ですか?」

「君が欲しいわ」

「相手の細胞一つ一つに繋がる経絡系を攻撃する術があるんだけど喰らってみるか? 復活できないようにするための術だが」

「やめておくわ。私は死にたくないもの」

「俺自身でなく細胞くらいだったら売ってもいいけどそれから何か作った結果被害が出ても俺は知らんからな? 責任はそっち持ちな?」

「ちなみに予想できる被害はどの程度かしら?」

「細胞一つを植え付けた実験体が細胞そのものに秒で食いつくされて細胞が石も金属もチャクラも食いながらただひたすらに成長を続けいつの間にか大陸全土が俺の細胞からできた肉の塊に埋め尽くされて人間も生物も滅ぶ可能性がまあ十回やったら四回か五回くらい?」

「やばいわねそれは。と言うか実行したことあるの?」

「特殊な結界で封鎖した世界でやった。最終的に結界ごと消滅させる羽目になった。もう二度とやりたくないけどお前さんがやるなら俺は悪くないと開き直れるからな。まあそうなったら世界中の多くの忍術が人間と一緒に消えることになるだろうけども」

「ちょっと試してみてもいいかしら?」

「いいけど結界の中でやってな。可能なら中身ごと全部消せるタイプの」

「もちろんよ」

「ああ、それと俺の細胞を結界で抑え込もうとするんだったら最低限四紫炎陣、可能なら四赤陽陣あるいは六赤陽陣辺りを持ってこないと難しいから気を付けてな。危険度も鑑みて6000万両になります」

「いい値段するわね……でもいいの? マダラや柱間と比べてずいぶん安いじゃない」

「俺の欠片の欠片が俺に勝てるわけないだろ? それにこの世界のチャクラ以外は再現できないみたいだしな」

「まるでこの世界の外があるような口ぶりね……あるの?」

「あると言えばあるな。あんたが行けるかどうかは知らんが」

 

 さて営業は終わりだ。細胞と言っても髪一本、これから一体どれだけの物を作れるのか……楽しみ、と言うよりは期待していると言う方が合っているか。世界を滅ぼす一助となる様にとな。

 

「そうそう、一応言っとくが暁に協力したいんだったら俺は止めないが、俺に敵対することがほぼ確定しているからそのつもりでそっちにつけよ」

「……どこまで知ってるのかしら?」

「どこまでだろうな」

 

 まあ、基本的に俺に敵対しようとしなければ殺されることはまず無いからそのつもりでな。木の葉の上層部は既に俺に敵対していると認識しているから機会があれば絶対に殺すがな。

 

 




Q.ナルトの細胞を植え付けた場合どうなりますか?
A.ナルトの細胞に身体を乗っ取られて細胞に刻まれた欲(睡眠欲)に従って存在するだけの何かになります。つまり寝ながら勝手に死にます。

Q.オカマ丸は暁に協力するの?
A.したら殺すよと念を押されたので多分しない。


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NARUTO~107

 

 side うずまきナルト

 

 オカマ丸が殺され、予備の身体に逃げざるを得ない状態まで追い込まれたそうだ。せっかく育て上げたサルケの身体を破棄して逃げるのは悔しかっただろうな。まあ予備の身体ってのも同じ程度まで育て上げた状態のサルケの身体だからそこまで困りはしないだろうが。

 そして今回オカマ丸を殺した相手の名は、トビと言うらしい。右目を中心とした渦を巻いたような面を付けた写輪眼を持つ男だったそうな。

 流石にまだ切り札となる穢土転生達を出すようなことはしなかったそうだが、攻撃透過やら時空間忍術やら物体透過やらを繰り返されて負けてきたらしい。まああの術を初見攻略はきついわな。わかるわかる。ちなみに俺だと空間ごと殴り割って通す。多分通せる。

 まあオカマ丸は死にはしたがこうして生きている。それは問題ないんだが、かつて暁として行動していた頃に持っていた指輪、玉の指輪を奪われたそうだ。何やってんだよこのアホンダラ。

 まあ恐らくだがこれで暁にトビが正式加入したと考えて良いだろう。かーちゃんの直接的な死因を作った相手だが、それはまだいいとしてもその時俺を殺そうとしたんだよな。次顔を見せたら殺そう。

 

 さてそれはそれとして、エロ蝦蟇仙人がちょっと出かけてくるらしい。心変わりの確認のために死んだら蘇らせた方がいいかと聞いてみたが、首を横に振られてしまった。なんでまともな奴ほど生き返ったり若返ったりってのを拒否するんだろうな。不思議だ。逆に腐ってる奴ほど生に執着する。お前が生きていたところでこっちに何の得もないだろと言いたくなるが、言ったところで変わらないから言わないでおく。死ねと言って死ぬならいくらでも言うが、死ねと言っても死なないから言わないのと似ているな。まあ俺の場合殺そうとすれば見ただけで殺せなくもないんだが、三代目の爺さん曰く木の葉に必要な人材らしい。あー殺したい。

 だが今はまだ駄目だ。もっとちゃんと殺せるときが来るまでは。しっかりと殺しきれるその時までは。殺したところで誰一人文句を言わないその状況までは。文句を言って来た相手もまとめて殺しつくしてそれでも大丈夫な時までは。木の葉が滅んだんだったらそれに紛れて殺すがな。

 そう言えば、ナメクジ女はバクラの師匠だ。サルケは俺とエロ蝦蟇仙人の弟子のようなもので、対外的にはエロ蝦蟇仙人の弟子だろう。しかし俺はと言うと、オカマ丸に龍地洞に連れていかれて蛇の口寄せを教えられたりもしたが弟子と言う訳ではないし、エロ蝦蟇仙人にもそこそこ術やらを教えてもらったがエロ蝦蟇仙人の弟子と言う訳ではない。ナメクジ女なんて殆ど会うこともない。俺は師匠らしい師匠なんていないことになるよな。ある意味じゃあ原作が俺の師匠と言う事になるんだろうか。よくわからんが。

 

 きっとこれでエロ蝦蟇仙人は死ぬだろう。六道の目を持つものを相手にするのはなかなか面倒だ。俺も普段は使っていないが使うとなると便利すぎるからな、あれ。チャクラを吸収することによってあらゆる忍術を無効化する。引力と斥力を操ることでほぼあらゆる術を無効化し、敵を封印することができる。数多くの口寄せを行うことで陽動や攻撃などを行うことができる。接触した相手の記憶を読み、さらに魂を引き抜くことができる。質問することで相手がそれに対して嘘を言うと相手を殺すことができ、さらに壊れた仲間たちの修理を行うことができる。チャクラを使った近未来兵器を身体に宿し、使いこなすことができる。それに加えて文字通りの死者蘇生か。知らないと絶対的に不利すぎる。まともな奴じゃあ敵わない。仙人だろうが何だろうが種を知っていない限りは延々と戦い続けることになる。そして種を知ったからと言って必ず勝てる相手と言う訳でもない。中々面倒な相手だ。

 俺の重しはどんどんと外れていく。三代目の爺さん。エロ蝦蟇仙人。大きな二つの重しが外れてしまった。もしかしたら、木の葉が滅ぶのと世界が滅ぶのはほぼ同時になるかもしれないな。知らんが。

 結局俺は何をしようか。世界の敵? そんなことをしてまで欲しい世界ではない。木の葉の英雄? あんなクソ共を守る人形になんてだれがなるものか。

 

 ……ああ、そうだな。どうせなら、滅んだ木の葉の里を眺めて酒でも飲むか。この世界ではこの年で酒を飲むことは推奨されていないが、在って無いような決まりだ。まともな親のいる家庭ではちょくちょく父親に少しだけ飲んでみるかと聞かれ、少しだけ飲んでみる子供が見られると聞くしな。俺にはわからんが。

 




Q.なんでオカマ丸が狙われたの?
A.ナルチカが指輪を奪ってったせいですね。

Q.オカマ丸は平気?
A.今現在死んでいない事を平気と言うなら平気です。


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NARUTO~108

 

 side うずまきナルト

 

 エロ蝦蟇仙人はやっぱり死んだそうだ。人間ってのは結構頑丈だが、ふとした時にあっさりと死んでしまう。頑丈なのかそれとも脆いのかがわからないのが人間の不思議な所だ。

 殺された場所は雨隠れの里。殺した相手はペインと呼ばれる六人組。俺の知っていた通りの情報が語られる。だが問題は俺にはイチャイチャタクティクスは渡されていないと言う事だ。残された暗号は恐らく原作の通り。そしてイチャイチャタクティクスを渡されているのは……サルケだ。実は結構前からサルケではなくサスケと呼べたりするが気にせず俺はサルケと呼ぶ。少なくとも内心では。

 まあそれはそれとしてイチャイチャタクティクスを即座に作り出して引っ張り出して蛙の爺さんの背中の暗号と示し合わせてやると、やっぱり思った通りの結果になった。『本物はいない』だそうだ。

 

 ……うん、知ってる。俺だけだろうが知ってた。すまんな。

 

 空気が重くなるが、俺だけはそうでもない。そうなるという予想はできていたし、覚悟も準備もしていた。悲しくは無いし涙も出ない。

 

「……お前は、平気そうだな」

「悲しみを感じるための心なんてのは木の葉で暮らして二年もしないうちに擦り切れたよ。お陰で三代目の爺さんの時も今回も、涙一つ流せやしない。あるのはただ、俺の中にあった物がすっぽりと抜けてくような感覚だけだ」

 

 ……ああ、そうか。これが置いて行かれた奴の想いか。俺は自分とある程度以上仲のいい存在が俺を置いて行っちまうなんて体験は殆どしたことが無かった。気に入った相手が死んだらその魂を連れて英霊の座に帰っていたしな。だから、こうやって置いて行かれるってのはほぼ初めてに近いわけだ。三代目の爺さんの時にはこれがそういう奴だって全く気付かなかった。何しろ完全に初めてだったから、似たような感情で代用していたんだな。今は代用することもなくちゃんと理解できる。感情が一部死んでなければもう少しちゃんとわかったのかもしれないけどな。

 

「……生き返らせることはできないのか」

「できるが無理だ。死んだら生き返らせてほしいかと聞いたら否と答えられたからな。生き返る側に俺の呼び声に応える気が無いならいくら呼んでも生き返らねえよ。無理矢理蘇らせたいなら穢土転生でも使うんだな」

「お前はできるか?」

「合法的な方法で生贄を用意できるならやってやるが? 直接術式も見た。戦闘までできるかどうかは知らんが一時的に起こして情報を聞くくらいはできると思うぞ」

「…………そこらへん走ってるトカゲじゃ無理か?」

「…………やったこと無いな。試してみるか?」

「ちょっと捕まえてくる」

「最悪虫でもやってみるか。成功した時に何とも言えない気持ちになりそうな気もするが。……あ、そう言う訳で失礼する」

「おい待てナルト。それは禁術だろうが」

「え? 禁術ってあれだろ? 使っても命の保証はしないから自己責任でって術の総称だろ? ダイジョブダイジョブ行ける行ける」

「駄目だ。やるな」

「……まあ俺は構わないけど、結果どうなっても俺は知らんよ?」

「解っている。その上で言おう。自来也を穢土転生することは禁ずる。これは五代目火影としての命令だ」

 

 まあ、そう言うんだったら従わせてもらおうか。原作でもエロ蝦蟇仙人は死んだって描写はされてない。もしかしたら普通に生きている可能性だって十分ある。そのあたりは俺にとってどうでもいいことだがな。生きていようが死んでいようが俺の人生に一切干渉しないなら存在していないのと変わらない。世界の流れという物を相手に一体どこまでできるかは俺の知ったことではないが、精々足搔いてみせることだ。

 しかし、サルケを説得するのが面倒だな。適当にそこらにいるトカゲを捕まえに行ってからまだ帰ってこない。説明するときには五代目火影が強権を発揮してエロ蝦蟇仙人の蘇生を禁じたとでも言っておくことにしよう。まあ生贄にそこらのトカゲって時点で失敗するイメージしか湧かないが。

 

 ……ん? ……ああ、そう言えばそんな設定だったっけか。

 




Q.穢土転生するの?
A.必要な時までにBORUTOで出てくるアレが自来也じゃないという確証ができたら可能性があります(ない)。

Q.聞き方を変える。トカゲやら虫やらでできんの?
A.チャクラを持っていればできる設定。そして大抵の動物はチャクラを持っている(原作でチャクラを流れを操る幻術である無限月読に動物もかかっている描写があったため)ので可能と言えば可能。


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NARUTO~109

 

 side うずまきナルト

 

 原作と違って俺はエロ蝦蟇仙人の弟子ではない。だが俺に新しい力が増えるのは悪いことじゃないと妙木山まで行くことになった。俺がチャクラを練る量を抑えれば仙術チャクラも練れるようになるって話だったが、残念なことに俺の場合仙術チャクラを使っても恩恵があまり見えないんだよな。感知能力が上がるとか言われているが、こちとら一応圏境を修めた身だ。自然と一体化するなんてのはそう難しい事じゃない。コサックダンス踊りながらでもできるわ。

 まあそれ見せたらドン引かれたけどな。圏境やりながら殴ればいいんだからできなくはない。油無し、蛙化無し、ついでに言うと隈取が出るほど自然エネルギーを吸おうとしたら周囲の自然が枯れ始めたから途中で止めたので隈取も無し。仕方ないから体内世界で神樹を増やすことにする。俺のチャクラをたっぷり吸って育つ神樹は大量のチャクラの実をつけ、それが落ちて新しい神樹が育つ。なるほど、神樹がかつてチャクラを取り返さんと暴れたのは自身のチャクラが実一つ分しかなかったからか。そりゃ大切にするはずだ。俺の所だと一年に何回かボタボタと凄い勢いで落ちてきて増えているが、俺の体内世界以外だとそんなチャクラの多い場所は無いからな。仕方ないか。

 ちなみに神樹のチャクラは自然エネルギーの塊だ。だからこいつを仙術チャクラ用の自然エネルギーとして取り込めば神樹のおよそ三倍分くらいの仙術チャクラが出来上がる。まあ神樹はまだ三本くらいだし、増やす方に注力していきたいと思うがな。三本のうち二本は最近やっとちょっとした木陰ができるようになったくらいの大きさしかないしな。

 自然が精神に良いと聞いたからその状態を九喇嘛達に見せたんだが、なんか発狂がひどくなった。自然を感じるのは良いはずなんだが本当にどういうことなのかわからない。

 

 ともかく完全ではないにしろ仙術チャクラも動きながら練れるようになった。使う機会があるかどうかはまた別の話として、仙術チャクラの保存が面倒だが仙術も使えるようになった。妙木山に来てから二時間もしていないのにこの結果。中々だな。

 あと、虫料理。見た目は糞、臭いも糞、味も蛙的にはともかく人間的にはちょっと敬遠したい味。だが栄養価だけはとてもいいと言わざるを得ない。今回はむしろ修行より食事の方に使った時間の方が多かった気もするな。

 そう言う訳で当日中に帰宅したが、ついでに親父も妙木山に連れて行ってもらうことにした。仙術が苦手だって話は聞いていたし、これで多少使えるようになってくれればいいなと言う思いで送り出した。かーちゃんにも行ってもらいたかったってのは少しあるが、そうもいかない。かーちゃんは妙木山の蛙たちと契約をしていないからな。俺はサルケについて行ったから行けた。本来は行けないはずらしいが何でか行けた。不思議なこともあったもんだ。

 まあ一度行った後は飛雷神のマーキングを付けといて自由に行き帰りできるようにするよな、普通。これで俺の行動範囲に妙木山が追加された。行く事はあまりなさそうだが。

 

 ……どうせだったら完全に我流のヒナタにもちゃんとした仙人モードを教えて貰っておくか? 触れていない相手に自然エネルギーで攻撃する蛙組手が柔拳の役に立つかは知らないが、点穴を突く時に触れていないのにピンポイントで触れることができるようになれば便利かもしれない。

 ちなみに俺は蛙組手はできない。そもそも十分な自然エネルギーを取り込めない以上できるわけが無いから仕方ないが、空気でもなければ衝撃でもない素手の中距離攻撃手段とかあったら便利だとは思った。なお、サルケはできる。自然エネルギーを感じ取るまでは俺でもできるしある程度取り込むこともできるので少し攻撃判定が広がった程度の認識だが、自然エネルギーが見えない白眼にはとても相性がいい技だったらしく仙人モードを習得するまでサルケがヒナタに対して6:4有利だったこともある代物だ。まあ今では当然のように対処されているからそこまでの結果は出ないが。

 

 ああ、それとなんか八尾が捕まったそうだ。本物かどうかは知らないが、千里眼で探してみたら当たり前のように元気に歌って踊っていたのでまず間違いなくタコ足分身で騙したんだろう。誰がそれをやったのかは知らないが、イラチだったら面白いな。原作ではサルケが騙され、この世界ではイラチが騙される。悪くない。面白い。

 




Q.仙人モード使用可能おめ
A.なおチャクラ量に制限がかかるためむしろ弱くなる模様。

Q.神樹って増えんの……?(震え声)
A.樹なんだから増えてもおかしく無いでしょ別に。


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NARUTO~110

アンケートの結果、裏ボスとしてナルチカさんが追加されることになりました。
では次のアンケートですが……まあ、どうぞご参加ください。


 

 side うずまきナルト

 

 仙人の修行は終わり、サルケもヒナタも蛙組手を覚え、更に強くなった。まあそれで俺も挑まれたがいつも通り殴り勝った。サルケはマジで意味が解らねえと頭を抱えていたが、それは要するにあれだ、元々の強さが精々0.00000000000000000000002とかその程度の奴が鍛え、ドーピングをしてずっとずっと強くなり、強さ1になったとしても元から強さが阿僧祇の数値まである奴に勝てる理屈はねえよな。本人的には何十倍や何百倍どころじゃない倍率で強くなったと感じていてもそれ以上に元から強い奴には出力的に敵いようがない。それをひっくり返すのが武術であったり技術であったりするんだが、身体能力の持ち越しをしなかった時に健康体操的な合気柔術や八極拳は大分鍛えたから体術面でそうそう後れを取るつもりはない。

 ……それがなくとも頑丈すぎて俺を傷つけるとか無理と思われてるらしいけどな。

 

 ともかく修行によってサルケとヒナタは新しい技を覚えてきたわけだ。その祝いと言う訳ではないが、俺は二人を連れて一楽のラーメン屋に来ていた。

 

「……驚いた。結構美味いな、ここのラーメン」

「うん、結構おいしい」

「何が良いってこの店、俺が相手でも残飯を出さないところだよ。初めての時も俺の名前が知られた後も変わらなかったからな。贔屓にしてる」

「あたりめえだろうが!俺はラーメン作るしかできねえんだから客だったら大事にするさ!うめえって言ってくれる客ならなおさらな!」

「こういう人だから安心して食える」

「「なるほど」」

 

 本当に木の葉の人間とは思えないくらいに良い人だ。俺なんぞを普通に客にしていたら色々と被害もあっただろうに、優しいと言うか愚直と言うか。まあ嫌いではないけどな。

 まあ、ラーメンは栄養が偏るとかいろいろ言われるが俺の場合余り気にしなくていい。どうせこのくらいじゃ腹は膨らまないし、後で仙豆とか食うことになるしな。あれはマジで完全食。ただし美味くはない。むしろ美味かったらそればっかり食うだろうし美味くなくて正解かもしれない。

 サルケもヒナタもどうやら気に入ったらしく美味そうにラーメンをすすっている。実際美味いしな、ここのラーメン。

 

「木の葉にも俺の知らない美味い店があるもんだな」

「そうだね。ラーメンと言えばナルト君の作ったラーメンしか食べたことなかったけど、ちゃんと美味しいと思える店もあるんだね」

「実は砂にもそこそこ美味いラーメン屋があってな。一楽では豚骨味噌が俺のお薦めだが砂の方だと塩がお薦めだ。と言うか砂の場合海産物も山の幸もそう取れないからどうしても塩になるんだが、その分塩の使い方が上手いぞ」

「へー……今度行ってみようかな?」

「またいつか砂に行く用事があったら案内してやるよ」

「楽しみにしておく」

「おう。それはそうとして豚骨味噌チャーシュー大盛りメンマをお代わり」

「あいよっ!」

「すみません、私もお願いできますか?」

「へい!」

「俺は今度は醤油で」

「あいよっ!」

 

 ……たまにはこういうのも悪くない。もしかしたら俺が暫く来れなくなる可能性もあるし、修行以外にも楽しみを見せてやらないとな。俺と修行するようになってからどうも修行修行でこういう事をしてこなかったようだから。

 まあ、修行は修行でしてもらうけどな。原作では生き延びることもできていたが、この世界でもあんなご都合主義なことが起きるとは限らないし。と言うか正直起きない方が普通だしな。何しろ俺はうずまきナルトではあるが身体を動かしているのは英霊・織斑一夏だ。チャクラだけで転生を続けていると言う六道仙人の子供の弟の方が俺の中にいるかどうかはわかりゃしない。なにしろ俺のチャクラとして感じてきた存在が実は別の誰かの物でしたとか言われてもよくわからないからな。今は俺のだ。返さんぞ。いやまあ返す相手はもう死んでるから返しようがないんだけども。

 

 しかし不思議だ。俺が作った方が間違いなく美味いのに、どうしてここのラーメンはたまに無性に食いたくなるんだろうか。ポテチとかもたまに無性に食いたくなるが、そんな感じか? 原因がわからないが悪くは無い。そこそこ美味いし。

 ……あれか、何歳になっても自分の母親のメシは美味いってのと同じか。母親のメシで舌を開発されている以上、大抵の場合、よっぽど不味いとかそう言うのじゃなければ母親のメシを美味く感じるもんだ。特に子供のうちはな。たまにそう言うのを全部まとめて吹き飛ばすような美味ってのもあるが、この世界にそんなものはそうそうない。

 まあ俺のように親からのメシを殆ど食うことがない奴にはわからんことだが。

 




Q.一楽のラーメンは美味いか……?
A.中々に。

Q.実際アシュラの方はどうなってんの?
A.まだ秘密。


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NARUTO~111

 

 side うずまきナルト

 

 写輪眼と言う目の本来の開眼の仕方と言うのは、うちは一族が愛情を持った相手を失ったりした時の喪失感などによって脳から特殊なチャクラが噴き出して目を染め上げることでできるものらしい。だが俺の場合は自分の目の代わりに出した目にそういう機能を付け加えて移植したもので、実際に俺自身が開眼したものではない。言ってしまえばカラシと同じだ。元々写輪眼だったものを植えて写輪眼にしただけ。オンオフが付けられるのもそう言う風に作ったから。それだけの事だ。

 だが、最近エロ蝦蟇仙人を失って俺の中に悲しみだとか喪失感だとかそういうものを感じることができる心とでもいうものがまだ残っていることに気付き、少し閉じこもってその感情に思いっきり流されてみた。それもサルケが万華鏡写輪眼を使っている時に脳内から出ているチャクラと同じ質のチャクラを出しながら。

 すると、何とびっくり俺自身の写輪眼が開眼した。作った眼球に機能として備わっている物ではなく、俺自身の性能として使える写輪眼だ。これで一応俺の目が抉り出されて元の目を使わないといけない時でも写輪眼は使えると言う事がほぼ確定したわけだ。十尾こと神樹の人柱力だから額の輪廻写輪眼は普通に使えるだろうし、はっきり言って左右の輪廻眼の能力については必要か否かで言えば必要ない能力だから無くなってもそこまで困らない。輪廻眼と万華鏡写輪眼では俺にとっては万華鏡写輪眼の能力の方が使える。日常で使うんだったら間違いなく輪廻眼の方が使えるだろうし、そもそも俺の目を抉り取れる奴がいるのかとかそんなことは考えない。もう一人俺がいるならもしかすると行けるかもしれないが。

 

 さて、そう言う訳で俺の目の能力ではなく俺の身につけた術としての万華鏡写輪眼を見てみると、なぜか永遠の万華鏡写輪眼になっていた。移植を先にして万華鏡の能力に目覚めるのが後だったとしてもちゃんと永遠の万華鏡写輪眼にはなるらしい。まあ俺の作ったこの目でなら万華鏡写輪眼のリスクである失明とかは起きないんだが、それでも瞳力は上がったから良しとする。

 瞳力が上がった結果……なんとチャクラ封じができる蛭子をやっている間でもある程度術が使えるようになった。ただし、この世界の存在を全部まとめて封印した後の余剰分だけ。もしかしたら今までもそうだったのかもしれないと思わないでもないが、突然できるようになったから多分瞳力の問題だったんだろう。まあその成長の結果が余りにえぐい物になったが。

 まあえぐさで言えばこの世界の人間の方がえぐいわな。どいつもこいつも……ああ、いや、そんなのはどこの世界でもそう変わらんか。そんな中で清涼剤になるような奴らを選んでその他は全部切り捨てて、今まで色々な世界を巡ってきたんだ。この世界でも同じようにすればいい。

 そのために必要な目だ。そのために俺は待っているんだ。そのためだけに俺はここにいるんだ。民族浄化だのなんだのってのは考えない。この世界が滅んだところで何があるわけでもない。所詮は無数に存在する世界の一つ。枯れ果てようが朽ち落ちようが世界の系統樹に何ら影響は与えない。むしろ俺のいる世界は大筋から外れた世界になるんだから、勝手に枯れた方が剪定する方もやりやすかったりするんじゃないか?実際どうなのかは知らんけども。

 

 ちなみにだが、輪廻眼は強化されていなかった。2倍から3倍とまでは言わないから2.5倍くらいになっててくれると嬉しかったんだが……いや、計算面倒だし二倍のままでいいや。大して変わらんし。そして事実変わっていない。慣れればもう少し増やせそうな気配はあるが……態々使うような機会がない。精々が毎晩の限界までチャクラを振り絞って影分身してからのチャクラ回復くらいだ。かなりの回数使ってはいるが、もっと色々な種類の物を倍加させる必要があるのかもしれないな。多分やらんが。二倍でも困ってないし。

 




Q.強化されちゃったの?
A.されちゃいました。

Q.この世界で今現在ナルチカに勝てる奴は存在しますか?
A.チャクラに頼っている存在には勝てないとはっきり申しあげておきましょう(意訳:いねーよ)


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NARUTO~112

 

 side うずまきナルト

 

 周囲を見渡せば、綺麗なクレーターが作られている。ここは木の葉隠の里。かつてそう呼ばれていた場所だったはずだが、一体いつの間にこんな派手なリフォームをしたんだろうな? これじゃあまともな神経を持ってる奴は住まないと思うんだが。

 とまあ冗談は置いておくとして……そうか。今日だったか。ペイン六道が木の葉を襲うのは。

 

 圏境。隠遁術。チャクラ使用禁止。光学迷彩。電子による熱源隠蔽。浮遊。これだけやって俺を見つけることができる奴はそういない。俺の親であろうと恐らくは不可能だし、俺と一緒に鍛えたサルケやヒナタであっても無理だろう。……ああ、そう言えばある意味自分だけが記憶を持って逆行するイザナギを基にした幻術、作ったはいいけどバクラにはまだ教えてなかったっけか。

 命が消えていくのがわかる。忍に限らず、生きている者たちの命の炎が次々に掻き消されていくのがわかる。気配もチャクラも感じなくなっていく。

 

 ……正直、俺はこの時を待っていたんだ。こうして木の葉が襲われ、俺に付けられた全ての監視の目がよそに行くこの時を。俺は、俺自身による復讐を求めない。俺が知らない間にいつの間にか勝手に死んでいてくれるのが一番ありがたい。できる限り相手の事を思い出したくも無いし、できる限り存在してほしくもない。

 そう考えるとこのタイミングで木の葉の里を襲撃し、かなりの人数を殺してくれたペイン六道には感謝の言葉を捧げてもいい。俺の存在を認めようとしないのはどうでもいい。俺もそいつらの存在を認めないし認識もしないだけだから構わない。だから死んでいても知ったことじゃない。だが、俺に直接的な害を齎した奴がどんどんと死んでいくのがチャクラで分かるこの状況はとても愉快だ。

 

 だが、未だに俺に敵意を向ける奴もいる。ペイン六道の狙いが俺だと知ると、俺のせいで木の葉の里が襲われたと喚く奴。憎む奴。自分の命のために知っている限りの俺の情報を簡単に話す奴。耳が良すぎるってのも考え物だな。そう言うのが大体聞こえてしまう。音楽を使った術を使っていたせいかそう言うのに結構敏感になってしまった。

 今更下がるような株もない。本当ならこの場でどこぞの目玉爺からの悪因を悪果で返してやりたいところだが、あの自業自得爺の始末についてはサルケに譲ってしまったから殺せない。……殺さなければいい。

 根は壊滅した。イザナギを使う間もなく手足を斬り落として右目を奪い、さらに右腕に埋め込まれていた十の写輪眼も奪ってから最低限の止血をし、経絡系にチャクラを流せないように点穴を塞ぎ裏四象封印を発動できないように皮膚を刻み、隠れていた木の葉の地下深くに放置してきた。初代の細胞が無いから回復力は人並み。チャクラも人並み。写輪眼も無いからイザナギは使えず、俺に自身を助けさせるために別天神を使おうにも右目の万華鏡写輪眼は無くなっている。まあ、今の今まで生きてこれたんだ。幸運を噛みしめながら残り短い人生を過ごすといい。

 根の人員の死体を全て磨り潰し、特殊な術や血継限界の使い手を焼き払う。細胞の中で細胞を壊しながら増殖する毒蟲がいなければ焼いたりしないで済んだんだが、居たからな。仕方ない。俺に効かなくても自業自得爺には効果があるだろうし、ここに来るだろうサルケにも十分に効果が出てしまう。流石にそれは無いからな。

 俺は影分身を解いて本体に記憶と使っていないチャクラと一緒に合流した。

 

 

 

 ……ああ、どうやら終わったらしい。奪ったものはちゃんと共有の戦利品倉庫(生物(ナマモノ))に入れてあるから取り逃しもない。ついでに人間道で情報を引っこ抜き、思兼で全ての記憶をチャクラに還元した上で餓鬼道で吸収。それをその場にいた全員に行った結果、俺のチャクラが雀の涙にすら届かないことが確定的だと思える程度の少量回復した。これくらいなら秒……いや、一応二秒くらいか? そのくらいの回復量だ。

 

『にくらまだな、にくらま』

 おや、ようやっと回復したか。お前さんが一番だよ。褒美にちょっと俺自身に幻術をかけて五年くらい時間を進めてお前の名前を憶えてやろう。ちょっと待ってろ。

『え、いやべつに―――』

 覚えたぞ、守鶴。

『はっや。まじはっや。なんでそれをいつもやらねえんだよ?』

 これ精神的に疲れるんだよ。それにわざわざ覚えたくもない上に覚える価値もない奴のために使いたくはない。暇な時間は寝ていたいんだ。どっかの誰かさんのおかげで無理になったけど。

『そうかい。たいへんだな。どうじょうはしねーけど』

 いらんいらん。むしろ同情なんぞされてたらもう一回発狂してもらってたかもしれん。

『こえーなおい。……そうだ、くらまとちょうめいももうすぐおきるぞ。くらまははんぶんなせいかふだんよりかいふくがおせえ』

 そりゃ仕方ない。諦めるしかねえな。

 




Q.木の葉は滅びますか
A.今まさに滅んでます。

Q.ダンゾウは死んだ?
A.サスケに殺させる約束をしてるので死んでません。


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NARUTO~113

 

 side うちはサスケ

 

 木の葉の里に暁の奴が攻めてきた。自来也を殺した奴だって話だが、ナルトを……正しくは九尾を探しているらしい。

 ナルトが出てこなければ木の葉の里を壊し続けると。ナルトを隠すならば女子供も構わず殺すと。それを言われてナルトの事を話すような奴が、ナルトに普段の居場所を教えられているはずがない。特に今はこんな状況だ。木の葉の里が嫌いなナルトなら、木の葉の里が更地になるまでは出てこないだろう。それこそ、俺達を含めた全員が死体になったとしても。

 だが、それでいい。それでもいい。ナルトには大きすぎる恩がある。返しきれないほどの借りがある。俺だけでなく、ヒナタもそうだろう。あいつは偏屈だが、気に入った相手のためになら多少骨を折るくらいの事はしてくれる。それもこっちが頼む前にこっちで起こるだろうことを予想して必要な物を集めてくれる形でだ。

 俺はイタチの真実を伝えられた。イタチにそれを確認する機会を与えられた。両親を取り戻してくれた。力を与えてくれた。

 だから俺は今、ナルトを守るために戦える。

 

 須佐能乎を纏い、剣を振り、天照で焼き、加具土命で黒炎を操る。ペインのうちの三体、身体を妙な武器にする奴、術を吸収する奴、引力と斥力を使う奴らを俺が相手して、残りの三体、口寄せしてくる奴、死んだ奴を治す奴、掴んだ相手から魂を引き抜く奴らをヒナタとサクラが相手している。だが正直なところじり貧だ。特に術を無効化してチャクラを奪っていく奴を相手にするのが辛い。ただでさえ須佐能乎のチャクラ消費は凄まじいと言うのに、更に奪われて回復に当てられてしまうばかりか天照の黒炎までも吸い取られてしまう。

 それに、口寄せの獣が厄介だ。本体の方はヒナタとサクラに止められているが、口寄せの方はかなり自由に動かれてしまっている。初動が遅れたせいもあって大体の忍は殺されてしまった。今ここにいないと言う事は、五代目の婆さんも危ういだろう。

 

 だが、援軍は来ない。来たとしても精々数人が限度。期待はできない。運が良ければ―――ナルトの両親が出てくる可能性もある。俺の両親もだ。しかしこいつらは強い。勝てるか勝てないかで言えば、勝てはするだろうが厄介すぎる。一対一で戦いたくないのは間違いなく引き寄せと反発の奴。多数の時に一番に仕留めなければいけないのは直す奴。だがその隙は作れそうにない。チャクラ糸を仕込んでもあいつらの目はそれを見て取るようだし、全員の死角から攻撃を叩き込もうにもそうさせないように立ち回りをするのが上手い。俺の万華鏡は幻術には向いていないせいかこいつらに対してはかかりが悪いし、はっきり言って決め手がない。

 まずはあの直す奴だ。あいつが動き続ける限り倒したとしても復活させられる。何か、何か不意を打つ一手は無いか? あいつだけは即座に決めておかなければ勝ち目がない。

 ヒナタの白眼と柔拳は、どうもあまり効果がない。サクラの純粋な力による攻撃は通るようだが、一撃で決めるとなると大振りになるし溜めがいる。こいつらは本当にどうなってやがる? 正直なところ負ける気はしないが勝てる気もしない。戦い続けるだけならできるだろうが攻め切れない。殺せば殺せるし壊せば壊せるが後から後から直され追加される。あと一人。あと一人欲しい。あと一人、ナルトほどとは言わないし俺たちくらいとも言わない。サクラと同等くらいでいい。そのくらいの奴が居てくれれば―――

 

「到着……僕でいいかい? サスケ君」

「十分だ!」

 

 四代目火影は現れた瞬間に一人を連れて即座にこの場を離れた。一番厄介だった引力と斥力の奴だ。そしてどこに置いて行ったかはわからないが即座に戻ってきて術を吸収する奴の相手を始めた。

 その少しの間に俺は身体を武器に変える奴を殺し、焼き尽くす。一人が相手だったら俺もヒナタもサクラも負けるわけがない。そして術を吸収する奴の対策は思いついた。だが、それをやるなら俺や四代目よりも適任がいる。俺はサクラとヒナタが戦っている所に乱入し、口寄せを使う女を縦に分割する。

 

「ヒナタ!あそこで四代目と戦っている奴はチャクラを奪う!仙術チャクラを食わせてやれ!」

「!わかった。じゃあここはお願い!」

「任せろ!」

 

 サクラが相手をしているのは直す奴。そして俺は魂を掴んで引き抜く奴を相手にする。チャクラを抜かれないのがここまで戦いやすいとは思わなかった。

 だが、本物葉意無椅……本物はいない。つまり、こいつら以外に本体がどこかに……

 

 衝撃。

 暗転。

 




Q.サスケとヒナタがいて滅ぶの? マジで?
A.普通に考えて六道の術は初見殺しも甚だしいので……。

Q.最後どうなってんの?
A.最大出力の神羅天生で一瞬意識が消し飛びました。


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NARUTO~114

 

 side 日向ヒナタ

 

 ペインのうち五人を片付けて、残ったのがナルト君のお父さんがどこかに飛ばしたあの一人だけになったところで、突然上から思い切り圧し潰された。それは私だけじゃないようで、サスケ君やサクラちゃんも地面に叩き付けられている。

 重圧は広がっているようで、里のほぼ真ん中で戦っていた私達を巻き込んで木の葉の里の建物の殆どが崩壊して行くのが見える。その崩壊の中心部は、私たちのいるこの場所。顔を動かすことはできないけれど、白眼の力で上に視線をずらしてみると……そこに飛ばされたはずのペインの一人がいた。

 他に周囲を見渡してみると、私たちが倒したペインの死体が存在しない。衝撃に耐えながら視界を広げて探してみれば、木の葉の里の壁の外、少し入った森の中に六体のペインが倒れ伏していた。

 そのうち一体は私たちが戦っていた六体の中にはいなかったけれど、見覚えがある。あれは自来也様が持ってきたペインの亡骸と同じ顔。つまり、ペインはあれを奪って直してから隠し札として残しておいたんだろう。だから四代目様に飛ばされたあの一人が戻ってきて、今こうして木の葉を壊している。

 それどころか、この威力だと耐えられるのは私くらい。サスケ君は須佐能乎が頑丈だけどあれはあくまで鎧のようなもの。鎧の中身は普通の人間より少し頑丈程度でしかない。四代目様はどうかは知らないけれど、サクラちゃんは前線で戦えると言っても医療忍者。耐えるのではなく無理矢理治すのでは負担がかかりすぎる。私とサスケ君はある意味慣れているけれど、これに耐えられるとは思えない。

 

 十数秒。粉砕され削り飛ばされた地面から身体を起こすと、ズタズタにになったサクラちゃんと須佐能乎に身を包んだサスケ君、そして瞬身の術で突然現れた四代目様。ただ、四代目様もかなりボロボロだ。一度受けてから何とか術を起動して致命傷だけは避けたんだと思うけれど、状況は悪化の一途を辿っている。口寄せされた動物たちを止める数は既になく、少し離れた森の中では応急で直された傷を治すペインがまず自身を治し、次々に倒したペイン達を治している。

 ……北斗神拳が通じればもう少し楽だったんだけど、死体相手に通じる技は持っていない。反射技もチャクラを見ることができる相手には不意打ちの効果は無くなってしまうし、そもそも普通の放出系の忍術をほとんど使ってこない相手には相性が悪い。柔拳は撃ち込む度に一瞬経絡系が乱れて動きが止まるけれど次の瞬間には元通り。これは本格的に詰みに近い。そして何より……お腹が空いた。ナルト君がくれた不思議な豆はこれでおしまい。ここから先は消耗戦になる。

 サクラちゃんの百豪の術にはまだ余裕があるようだけれどどうも出力を上げる度にだんだんと動きが荒くなってきているように思える。サスケ君もチャクラがあまり残っていないようだし、まだ多少余裕があるのは四代目様だけ。

 

「サクラちゃん。大丈夫?」

「……えっと……ああ、うん、大丈夫よ」

 

 明らかに大丈夫じゃないと思ったのでサクラちゃんを白眼で見てみると、お腹からではなく頭からチャクラが湧き出ている。それも凄まじい量が。そしてチャクラが湧き出る度にサクラちゃんの顔が苦痛に歪み、ぶつぶつと何かを呟き始める。

 

「大丈夫……私は、春野サクラ……木の葉の里の、忍者……大丈夫……まだ覚えてる…………!」

「まだ覚えてる? ……サクラちゃん、まさか記憶を力に!?」

「あれ? えっと……ごめんなさい、誰だかはわかるんだけれど名前が出てこないの。貴女もこの術を知っているの?」

「使えはしないけど知ってはいます。……どのくらい焼いたの?」

「そうね……もう両親の顔は思い出せないわ。名前もね。でも大丈夫、まだ私は戦える」

「……そう」

 

 柔拳でサクラちゃんの意識を刈り取る。流石に自分の名前すらいちいち確認しないといけないくらいに記憶を焼いているサクラちゃんにこれ以上無理をさせるわけにはいかない。もう使っちゃった分についてはどうにもならないけれど、残っている分ならなんとか記憶に戻したりできないだろうか。

 いや、今はそれよりもやらないといけないことがある。サクラちゃんを四代目様に預けて一旦退避させてもらって、それからサスケ君に一瞬の幻術でサクラちゃんに起きていたことと戦線離脱することを伝える。記憶をチャクラに変換する術。多分あれをサクラちゃんに教えたのはナルト君だ。サクラちゃんがサスケ君に置いて行かれてしまっていることを悔やんでいるのは知っていたけれど、まさかナルト君に相談してあんな無茶な術まで教えられているなんて……ナルト君って本当に身の程知らずが好きだよね。

 自分の実力以上の力を欲しがる人に、自身の大切な物を削らせながら発揮される力を与える。記憶や知識や感情を焼いてチャクラに変えるあの術もそうだし、自分の血肉を食べさせて成長する武器もそう。私の場合はどんな時でもたくさん食べないと飢えて死んでしまうこの身体がそうなんだと思うし、サスケ君の場合……多分だけど殺されすぎて死への恐怖や忌避感の欠如した今の状態がそうなんじゃないかと思う。

 それでも、確かに私たちは貰うものを貰ってしまった。だったらもうやるしかない。

 

「だよね」

「ああ、そうだな」

 

 サスケ君と拳を合わせる。ナルト君のようにチャクラ無しで自動の心伝身なんてものはできないけれど、チャクラの糸を繋げてお互いの思考や見ている物を常に共有することはできる。

 

「じゃあ、戦おう」

「ああ。まあ気楽にいこうか」

 




Q.なんで気楽?
A.危険度の比較対象がガチなナルチカだから。

Q.サクラが記憶の殆ど消し飛ばしてるんですけど!?
A.そう言う術だ。アキラメロン(AA略)

Q.サスケって前回のあれで死んだんじゃ?
A.サスケ「須佐能乎が無ければ即死だった……!」


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NARUTO~115

 

 side うずまきナルト

 

 死んだ。多くの奴らが死んだ。俺を傷つけようとしてできなかった暗部の盆暗共が死んだ。俺を傷つけようとして反撃喰らって泣き寝入りしたゴミのような無能共が死んだ。ひたすらに俺を無視し続けた奴らが死んだ。顔も知らない人間達が死んだ。男であっても女であっても関係なく死んだ。大人も子供も老人も赤子も関係なく死んだ。

 木っ端丸が死んだ。地獄道を相手に戦い、つかまり、俺の事を話さず死んだ。

 カラシが死んだ。天道と修羅道を相手にして死んだ。

 イルカ先生が死んだ。天道の吹き飛ばした瓦礫に圧殺された。

 親父が死んだ。腹の中の九喇嘛の半分はこっちで受け取ったが、腹を貫かれ地に磔にされて死んだ。

 ヒナタが死んだ。餓鬼道にチャクラを奪われながら人間道に魂を奪われて死んだ。

 サルケが死んだ。須佐能乎の中にも通る万象天引と神羅天征を身体の左右に同時に受け真っ二つになって死んだ。

 今の木の葉で生きているのは、俺と根腐れ、そしてようやく正気を取り戻し始めた尾獣たちくらいだ。

 

 俺はサルケに根腐れ野郎の事は任せた。だから俺はサルケにあれを殺させなければならない。

 俺はヒナタに約束をした。ヒナタが俺の敵になるまでは飯を食わせてやると。だから俺はヒナタに飯を食わせなければならない。

 そして、木の葉の里のほぼ全てが無くなってから気付いたことだが……嫌いな所ばかりが目立っていた木の葉の里にも気に入っている場所があった。

 一楽のラーメン屋。店主もその娘も避難した先の洞窟が天道の神羅天征で崩落して死んだ。

 歴代火影の顔岩の上。これも同じく神羅天征で飛び散った瓦礫で崩壊している。

 三代目の爺さんとよく会っていた火影の執務室。ぐっしゃぐしゃに崩壊している。

 三代目の爺さんが眠る墓。見るも無残な状態だ。

 

 俺は、木の葉には何の未練も無いと思っていたが……俺の場合、本当に何の未練も無かったら木の葉の里にいつまでも残っているわけがないし、そもそも木の葉の里がいつまでも残っているわけがないんだよな。今更だが。

 だから、どうせ誰一人聞く者のいないこの場所で、最初で最後に本音を出してみようか。

 

「嫌いだ」

「木の葉が嫌いだ」

「俺を無視する木の葉が嫌いだ」

「俺に暴力を振るう木の葉が嫌いだ」

「俺を傷つけようとする木の葉が嫌いだ」

「大嫌いだ」

「木の葉が大嫌いだ」

「俺を殺そうとする木の葉が大嫌いだ」

「誰もが俺を疎ましく思う木の葉が大嫌いだ」

「疎ましい」

「憎らしい」

「殺したい」

「壊したい」

「滅ぼしたい」

「狂わせたい」

「発狂させたい」

「すべて」

「なにもかも」

「眠れるルルイエの支配者を見て」

「吹き荒ぶ風を纏う黄衣の王を眺め」

「悪意に塗れた燃える三眼と視線を絡め」

「貪食する炎の花弁と目を合わせ」

「戦争なんてする余裕もなく」

「戦いなど起こる余地もなく」

「ただひたすらに一方的に滅びてしまえばいい」

「忍術の実験中に核の炎を呼び出して中性子線で焼き払われればいい」

「濃厚な放射能の中で誰もが奇形に生まれて死ねばいい」

「月が衝突して地殻津波で国も大陸も星も滅べばいい」

「月の内部から現れた奴に全てのチャクラを奪われ失意のままに死ねばいい」

 

「だが」

「それでも」

「生きていてほしい奴もいた」

「兄のように思えた人がいた」

「祖父のように思えた人がいた」

「弟のように思えた奴がいた」

「妹のように思える奴がいた」

「出来の悪い弟子のような奴がいた」

「不器用だと今でも思う親父がいた」

「歪んだ愛しか持たない俺をそれでも愛そうとした母親がいた」

「木の葉の里は今でも嫌いだ」

「木の葉の里なんて守りたくはない」

「だが」

 

「そいつらの居場所なら、守ってやってもいいかもしれない」

 

 ……ああ、全く、言葉に出してみるってのはやっぱり結構重要なことなんだな。昔から知っていたつもりではいたが、自分の本音なんてのはこんな時でもないとぶちまけられるもんじゃない。特にこんな真っ黒い内容は。

 

 三代目の爺さん。奇しくもあんたの最後の願いを叶える時が来たようだ。

 周囲には誰もいない。みんな死んだ。親父が逃がそうとしたバクラも死んだ。だからこそ丁度いい。

 誰も見ていないなら、俺は自由だ。死者を蘇らせる術があろうが記憶の全てを焼き払ってしまえば結局のところ何も残らない。全てをやろう。

 

 三代目の爺さん。今、俺はそんな気分になったよ。

 




Q.結局守るのね
A.一回だけね。

Q.クー子「ニャルラトホテプ、ハスター、クトゥルフと並んでなぜ私がいないのか。訴訟」
A.尾獣達のSAN値がピンチだから(遅い)


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NARUTO~116

エイプリルフール企画でなんか作っとけばよかった……明日でいいか。
そう言う訳で明日はエイプリルフール企画ですよー。


 

 side うずまきナルト

 

 移動は静かに。ヒナタとサルケ、バクラ、親父、そしてイルカ先生の死体を綺麗に並べる。

 

「うずまきナルトか。俺と来てもらうぞ」

「死にたいなら後で殺してやるから黙ってろ」

 

 手を打ち鳴らす。練らないようにしているチャクラを意識して練り始める。たったそれだけでこの場にいた全てのペインが彼方に吹き飛ばされた。畜生道の一体が本体のいる場所の近くに口寄せで他のペイン達を引き寄せたようだが、そうしなければ動かせないのだろう。俺も同じだからわかっている。

 俺のチャクラで陽遁と陰遁を使って全員の身体を修復し、生きているのと変わらない状態まで戻す。死んでいたこいつらはどう頑張っても半日程度は目を覚まさないだろう。組む印は目が教えてくれる。チャクラを励起させながら俺は輪廻眼の術を使う。

 外道・輪廻天生。死んだばかりの奴ならばこれで生き返らせることができる。輪廻眼を開眼したのはあっちが先かもしれないが、俺のは十尾の輪廻写輪眼。瞳力には天地ほどの差があるし、ついでに言えばチャクラ任せでかなりの無理を押し通して道理にしてしまうことができる。

 そして、蘇った里の人間が意識を取り戻さないうちに俺のチャクラで包み込み、思兼で俺の記憶を全て根こそぎ焼き払ってチャクラに変える。他人の記憶を集めてから焼き払うのは難しいが、他人の記憶を思兼で焼き払ってから出来上がったチャクラを集めるのは難しい事じゃない。

 

「……あんた……」

「ん? ……ああ、なるほど。暴走に備えて勝手に思兼が発動したら目覚めるようにしていたのか。相変わらずしっかりしてんな」

「……ごめん、誰だかはわかるけど名前が思い出せないの。焼いちゃったから」

「だろうな。無茶したな、お前さん」

「必要だったのよ。……何の……いえ、誰の記憶を消しているの?」

「……本当に鋭い奴だな。お前さんの予想の通り、俺の記憶だよ」

「……わかってる。貴方は木の葉の里に苦しめられてきた。でも、サスケ君と彼女の記憶だけは消さないであげて」

 

 ……まあ、俺が記憶を消すのはもう木の葉の里に関わり合いになりたくないからだが、ヒナタとサルケならそのあたりの事を織り込んで行動してくれるだろう。記憶は若干焼き始めてて灰にこそなっていないが炭にはなっている。多分だが、俺の事を一時的に思い出せなくはなっているだろうな。何かがあったら思い出すだろうが。

 ああ、そうだ。サルケとヒナタのこれから向かうべき道を書いた本とか、バクラに渡す超幻術の書とかも渡しておくか。こいつなら悪いようには使わないだろう。

 

「今回、自分の記憶を失うことに対して何か思うことはあったか?」

「……ええ。怖いわ。自分が今まで積み上げてきたものがすべて消えてしまうような感覚。自分と言う器の中から突然ある場所だけがぽっかりと消えてしまう虚無感。けれど私の中にある私には多すぎるくらいのチャクラが、私がどれだけの物を失ったのかを明確に見せつけてくる」

「……」

「でも、私はまたこの術を使うわ。使わなくていいなら使いたくないけど、使ってなんとかなるなら……」

「……まあ十分だな。ほれ」

 

 俺はバクラに時空輪廻の術と名付けた幻術の書を渡す。覚えるのにそれなりの時間が必要だろうが、こいつなら使えるようになるだろう。それに合わせてサルケ宛の指南書と根腐れ男の居場所を。ヒナタには仙豆の壷と仙豆栽培に必要な手順書と道具、それに加えてサスケと同じように指南書を。それぞれに渡しておいてくれと手渡した。

 

「俺以外には思兼を使えるお前くらいにしか使えないだろうから、この幻術の書はやる。使いどころを間違えるな」

「……名前」

「ん? ああ、そうか。そうだったな。焼いたんだっけか。俺はうずまきナルトだ。……暫くはお前以外は起きないだろうから、後を頼んだ。できればここを守ったのはサスケってことにしといてくれや」

「……ナルト、ね。うん、わかった。でも、ナルトがサスケ君の名前をちゃんと呼ぶところって初めて聞いた気がするんだけど」

「実際そうだな。その術を教えた時にも同じ説明をしたから省くぞ」

「やっぱり、ナルトなんだ。この術を私に教えてくれたの」

「さっきの巻物の幻術も合わせて超級の禁術だからな。誰にも知られんなよ? ……時間切れだ。じゃあな」

 

 俺は木の葉の里の跡地を後にする。ほぼ全員が命は無事で、しかし里自体は壊滅状態。これから向かうは完全に敵地。まったく、面倒だが……妙に清々しい感情がある。

 たった一度。恐らくこの生涯で一度きりの、愛の言葉。なんてのはクサすぎるかね。まあ、それはそうとして。

 

 さようなら。愛して(憎んで)いたよ。木の葉隠れ。

 




Q.サクラはどのくらい忘れてる?
A.人の名前は殆ど。一部は存在すら忘れてる。木の葉の里の道とか位置も結構忘れてる。

Q.陽遁と陰遁って……イザナギ?
A.を、チャクラコントロールと性質変化のみで完全再現したものです。

Q.この流れでエイプリルフール企画とか正気かよ……?
A.正気でこんな作品が作れるとでも?

Q.ちなみにどういう内容に?
A.夢オチ。




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NARUTO~117

無理だったよ……
エイプリルフールとか何を書けばいいのか……


 

 side うずまきナルト

 

 原作であれば、ペインの本体とナルトの対話があった。本体はナルトとの会話でナルトを信じ、輪廻天生を使って死にたての木の葉の住人達を生き返らせてから自身は死んでいった。

 だが、この世界においてはそんなことは起きようがない。俺はうずまきナルトだが、同時に英霊である織斑一夏でもある。そして六道仙人の息子のチャクラを両方継いでしまった、異端の転生者だ。お陰で兄と弟のチャクラは混じり合い、二度と離れることが無いだろうと確信できるほどに同一化してしまった。ちなみに六道仙人には会ってない。

 恐らく、弟の方はうずまきナルトの身体に惹かれて宿ったのだろう。だが兄の方は織斑一夏に惹かれて身体に宿った。その結果、ある意味で長く続いた六道仙人の因縁は幕を閉じたと言う事になる。

 ちなみに弟の方についてはともかく、兄の方に気付いたのには理由がある。以前、俺自身の万華鏡写輪眼を開眼した直後に永遠の万華鏡写輪眼に変化したが、俺の万華鏡写輪眼には五本の直巴があった。サルケがイラチと交換して得た永遠の万華鏡写輪眼は、原作のそれと違って中心部の巴がかなり曲がって中心の六角形の中に納まっていた。少なくとも、サルケは六道仙人の息子たちの兄の方の転生者ではない。

 

 まあ、そんなことはどうだっていいんだ。重要なことじゃない。この世界にとっては重要かもしれないが、俺にとってはどうでもいいことだ。

 敵は殺す。敵であるならば問答無用で殺す。天道を切り捨て人間道を磨り潰し修羅道を爆破し地獄道をぶち抜き二体の畜生道を物理的に一つに纏め餓鬼道を塵に変え、最後の外道を持つ男のいる場所にやってきた。

 

「よう。殺しに来たぞ」

 

 返事は黒い棒だった。チャクラの受信機であり刺した相手のチャクラの流れを妨害するそれは、しかし俺の皮膚すら傷つけることのないまま弾かれた。

 即座に紙が俺の周囲を飛び交うが、全て纏めて塵に変える。尾獣玉で螺旋丸なんて物を作ってみるのも悪くはないが、こういう時には求道玉の方が便利だ。術とか全部まとめて消せるからな。仙術系だと消しきれないこともあるが、まあ今は関係ないわな。

 

「おいおい、今のが最後の手段か? 随分となまっちょろい攻撃じゃないか」

「……なるほど。小南、退がれ」

「駄目よ!今のあなたの身体は……!」

「退がれ。死ぬぞ」

 

 いや、退がっても死ぬけどな? しかし、敵が目の前にいるってのに余所見ができるとはこいつ結構余裕あんのな。戦闘中によく話をしたりする世界だが、まさかこんな時にまで話をするとは。もしかしたら何かの仕込みに必要な時間だったりするのか?

 どちらにしろ、聞いてやる義理は無い。

 

「なあ、殺していいか?」

「……里の復讐と言う訳か」

「は? いや別に? 俺あの里嫌いだったしむしろ今回の事で後腐れ無くなって感謝したいくらいだが?」

「お前の友を殺したぞ」

「人はいつか死ぬもんだ。早いか遅いかは別として、結局のところ滅びに向けて進んでいることに違いはない。何を悲しむことがある」

「お前の親を殺したぞ」

「親は子より先に死ぬもんだ。死ぬか殺されるかは決まってないが、俺の親は殺される方だったってだけだろうよ」

「……では、お前は何のためにここに来た?」

「話聞いてなかったのか? 初めに言っただろうが。お前を殺しに来たんだよ」

 

 訳が分からないと言う顔をしている。人間が人間を殺す理由は憎悪と復讐心が根底にあるからだと本気で信じていたような顔だ。別にそう言う感情以外でも人は殺せる。

 俺はそうは思わないが、人を殺すのが楽しいから人を殺すものがいる。強い相手と戦いたいから戦い、そして殺してしまうものがいる。仕事だからと感情と共に殺すものがいる。そして俺は自分の命を守るために敵を殺している。

 俺の意志に一番近いのは、人間の理屈ではなく獣の理屈だろう。

 腹が減った。生きるために食う必要がある。狩った。食った。生きている。

 襲われた。返り討ちにした。敵の群れを壊滅させた。生きている。

 そう言った単純な世界の流れが今の俺を生かしている。

 

「……平和が、遠のくな」

「いやいや、平和にはなるさ。と言うか十尾だっけか? それより俺の方がなんぼか強いからそんな物を作っても大した抑止にはならんぞ?」

 

 俺はその場にいた二人の首を刎ねた。紙を使う女の方は自身の存在を紙に移し替えていたが、術の中心を刻めば問題なく殺すことができた。これでまた世界は進むわけだ。

 

 ……さて、それじゃあこいつの加齢臭のする輪廻眼を抉り取って、白ゼツとか言うのが邪魔だから自然エネルギーを注ぎ込んで胞子の術で潜んでいるこいつらを炙り出して皆殺し。そして俺はこんな目は欲しくないので螺旋丸で磨り潰し……たかったんだが輪廻眼そのものにチャクラを吸収する力があったようだから仕方なく手作業で磨り潰し、この世から消す。これで穢土転生ならともかく輪廻天生を使えるのは俺だけになったわけだ。ちなみに使う予定は現状これっぽっちもない。

 そういう事で新しく目を作って移植しておく。こっちで見えるものを調整できるようにな。なお六道の力以外の特殊な能力は使えないようにしておいた。輪墓? 使わせねえよ?

 




Q.まってどういうこと?
A.先にマダラの目を潰してデチューンした奴を代わりに填めとくよ!一応六道仙術は使えるよ!ただし本人に合った瞳術は使えなくなるよ!そして合図を送れば自爆するよ!

Q.ナルチカってなんかブレブレじゃね?
A.今まで一度もぶれたことが無いものだけナルチカと作者に石を投げよ。


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NARUTO~118

 

 side 春野サクラ

 

 木の葉隠れの英雄。サスケ君とヒナタ、そして私はそんな言葉で祭り上げられた。ナルトが置いて行った六体のペインの死体。そしてそれに突き刺さっていたサスケ君の刀と、明らかに柔拳の物である内部破壊の跡、そして私か師匠くらいしか出せないだろう拳の跡。間違いなく殺された筈の皆が生きているのは私の行動の結果となり、ペイン達を倒したのは私たち三人とされた。四代目様は存在を隠され、そしてナルトのこと、九尾の人柱力の事は誰一人として覚えていなかった。それこそあの時ナルトの傍にいた私たち以外には。

 私はサスケ君とヒナタが目を覚ますまで近くで待っていることにした。その間、ナルトに渡された幻術・時空輪廻の書を読み続ける。戦いに必要だからチャクラコントロールや身体の動かし方には一切手を付けてこなかったけれどそれ以外の記憶は大半が焼かれてしまっている。完全に壊されてしまったからそもそも無いんだけれど、私は自分の家がどこにあるのかもわからないくらいだ。

 顔はわかる。どんな人かもわかる。どんな術を使うのかもわかる。けれど名前がわからない。そういう人が私達のお見舞いとしてやってきたけれど、今まで成長させてきた感受性や感情まで全部焼いてしまった私は上手く笑えた自信が無い。だから、私はつい言ってしまった。

 

「……ごめん、みんなの名前って何だっけ?」

 

 私の症状は激しい戦いの後遺症のようなものだと診断された。実際には術の反動のようなものであって戦闘によるものではないのだけれど、まあある意味間違ってはいないから別にいい。

 ただ、私が名前を聞いた時の反応は凄かった。いのなんて私の額に触って熱があるかを確認して、ふざけてるのかと聞こうとして私の目を見て本気で分からなくなっていると言う事を察した。そして私が戦っていた相手が敵の記憶を読み取り、魂を抜く能力だった事を思い出して私の記憶も抜かれたのかと心配してくれたようだった。まあ、実際にはほぼ自爆のような事なんだけど。

 と言っても私からするとナルトと言う忘れようにも忘れられない存在を忘れてしまっている皆の方がよっぽど重症に思えて仕方ない。だってナルトだ。あのナルトだ。この場にいる誰もがナルトに一度は自分の秘密を暴露されている。私とサスケ君のは置いておくとして、いのは昔一人で料理をして出来上がったものを味見した時に余りのまずさに昏倒して漏らしてしまったこととかをバラされたし、シカマルは父親のシカクさんが隠している秘蔵の本の場所を全部知っていて時々こっそりと借りていることを知られていたし、チョウジは拾い食いして中ってカロリーコントロールなんてしていないのにがりがりになるまで下痢をしたとか、キバはダイナミックマーキングの練習中に赤丸のことを目で追い続けていたせいで眼球に直撃して悶え苦しんだことがあるとか、とにかく全員が何らかの形で秘密を暴露されている。それこそ自分自身忘れていたかったいくつもの記憶を無理矢理ほじくり返されて泣きそうになった回数も一回や二回じゃない。

 そんな相手を忘れている時点で正気じゃないと思うけれど……術の効果で記憶を燃やされているのだから仕方ない。

 

 とにかく私はやらなければいけないことがある。サスケ君とヒナタにナルトからの預り物を渡さないといけない。そしてその時、もしもナルトの事を忘れているようならその記憶に刺激を与えて思い出させてあげないといけない。それができるのは今では私しかいない。

 まあ、サスケ君とヒナタが起きるまでは待たないといけないんだけれど……一体いつになったら起きるんだろう? ナルトは起きるのに半日くらいはかかると言っていたけれど、それ以上にかかってもおかしくはない。のんびり待とう。

 




Q.サクラはナルチカの事をどの程度覚えているの?
A.重要人物として大体の情報はあります。名前は焼いちゃいましたが。

Q.ナルチカが蘇らせたんだからすぐ起きんじゃないの?
A.記憶が一部焦げ付いているのでその影響です。


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NARUTO~119

 

 side 春野サクラ

 

 サスケ君とヒナタ、二人の目が覚めるまでに実に三日と言う時間が流れていた。私はその間に焼き払いすぎて失った分の記憶を埋め直し、幻術で自分に偽の記憶を植え付けてそれを焼却して陰封印に溜め込み続けることで百豪の印を復活させた。ただ、ナルトの事を思い出す度に胃が痛くなるような思いになったし、私が記憶をかなり失っていると言う事を見せつけられることであっちもあっちで色々と思うことがあるようだ。

 ……記憶はないのに察することができると言うのは少し奇妙な気分。私は自分の好物も忘れてしまった。積み重ねてきた味覚の経験もなくしてしまった。だから私の好きなものとして色々教えられても思い出せないし、思い出すことは永遠に無い。それが解ってるから、なんだか少し悪いことをしている気分になってしまう。

 

 そんな三日間もこれで終わる。私は目を覚ましてぼんやりとしている二人の頭をはたきながらそう確信していた。

 ぼんやりとしながら私に視線を向ける二人に、ナルトからの預り物を押し付ける。結構強めに叩いたはずなんだけれど、二人とも全く堪えていないようでちょっと落ち込む。……もっと強くなりたい。

 

「……これは?」

「ナルトからの預り物よ」

「……ナルト……ナルト…………?」

「……んん゛っ!『なに? 強くなるためにもっと厳しい修行にしてほしい? 仕方が無いな、じゃあとりあえず皮膚を鉄より硬くするために刺されまくってみようか!』」

「 」

「『なに? 防御じゃなくて攻撃面も強くなりたい? 仕方が無いな、じゃあ大量のチャクラを使うのに慣れるように八門遁甲で慣れようか!安心しろ、開けない時には俺がこじ開けてやるし死んだら何度でも生き返らせてやる!』」

「ゴパッ!?」

「『写輪眼の認識できる速度に身体がついてこなくてもどかしい? わかった、じゃあチャクラコントロールと瞬発力だな! 俺がこれから秒間50発弾丸を打ち込み続けるから避けろ!一応言っておくがかすったら半身吹き飛んで死ぬから気を付けろよ』」

「思い出した! 思い出したからやめろ! ヤメテ……」

 

 サスケ君の方はこれでいい。ちゃんと思い出せたみたいだし大丈夫。ただ死にそうな顔してるけど。

 それからヒナタの方は用意されていた豆をポリポリ齧って……あれ、普通に立ったよ? 一応医療忍術は掛けたとは言っても全身ボロボロだったはずなのに……!?

 

「ヒナタ、俺にもくれ」

「はい」

「……相変わらず美味くはねえな」

「仕方ないよ、そういうものだから」

「……仲いいわね」

「「修行仲間だし」」

「まあ、別にいいけど」

 

 ついでに私も一つ貰った。凄い勢いでお腹が膨れた上にチャクラまで完全に回復した。細胞の調子からしてこれ多分傷も治る。なるほど、これで傷を治したんだ。

 

「まあそう言う訳で、ナルトからの預り物は渡したわよ」

「うん、ありがとう、サクラちゃん」

「……あの、放して?」

「うん、私の話が終わったらね?」

 

 それから結構怒られた。そうだった、ヒナタは思兼の事を知っているんだった。私の記憶のかなりの部分が焼かれて消えているのも知っているはず。これは流石に誤魔化しは効かないか……。

 

「いい? 使うんだったら使うでいいけれど、ちゃんとそれ用の記憶を用意してそれから使わないと駄目なんだから」

「いつも幻術で作ってそれで溜め込んでたけど、足りなくなったんだもの。あそこで私が抜けるわけにもいかなかったでしょう?」

「持たせるだけならできるから! と言うかやってみせるから!」

「そう……私はナルトに術と使い方だけしか教わらなかったから知らなかったんだけど、ヒナタって強いのね?」

「強くなるためにやらないといけないことはやってきたから。まあ今回は色々あって負けちゃったけど」

「……ああ、そうそう。ナルトの事だけど、私とサスケ君とヒナタくらいしか覚えてないと思うわ。ナルトが里の人たちの中から自分の記憶を燃やし尽くしてチャクラに変えて持って行っちゃったから」

 

 流石に少し驚いたのかヒナタの目が見開かれる。……ああ、そうか、思い出した。この感情が『面白い』だ。感情に付けられた名前も、感情そのものも燃やし尽くしてしまったけれど、それでもなんとなくわかる。

 

「あと、ナルトがサスケ君やヒナタの記憶まで持っていこうとして止めたの私だから、感謝してもいいわよ?」

「それについてはありがとう。でもお説教はまだ終わらないからね?」

 

 ヒナタはにっこりと私に笑いかける。ただ、その笑顔の裏側に怒りと心配が含まれている事には今の私でも気付くことができた。まあ、聞くしかないわよね。

 私は大人しくヒナタのお説教を聞くことにした。

 




Q.ヒナサス……?
A.ちげーようちのヒナタはナルチカ一筋だよサスケはサクラとくっつけ。

Q.万が一、天文学的確率でサスケが女体化してナルトとくっついた場合サラダは生まれてくんの?
A.男のサスケがサクラと子供を作り、女のサスケがナルトと子供を作ったりするんじゃねーですかね。まだ書いてないんで知りませんが。


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NARUTO~120

 

 side うちはサスケ

 

 ナルトからの預かり物としてサクラから渡された巻物の修行を続けているんだが、今までの修行がどれだけ効率的……と言うか、効果的なものだったのかをまざまざと見せつけられている。

 一億体の影分身を使った一億倍速の修行。どれだけ才能がなくとも修行時間の暴力で全てを乗り越えさせる方法というのはここまで効率的だったのかと今更ながらナルトの有難さを再確認してしまう。

 ナルトは自身に敵対していない事を前提条件として、強さに貪欲な者には優しい。強さを求めるサクラに代償は大きいが効果の高い術を教えたことからも分かる通り単純に強くはしてくれないが、代償さえ支払えば強くはなれる。問題はその代償と言うのが力に見合うだけの大きさなのかどうかは使っている本人にもわからないと言うくらいだが、満足できるならそれでいいと思う俺もいる。

 しかし、仙術……そう、仙術だ。仙術チャクラを動きながら練ることは俺には難しい。須佐能乎の中で動かないでいても全体が動いている以上は自然エネルギーの取り込みまではできても加減はできないし、影分身でも失敗すると蛙石化してしまう以上無茶はできない。両生の術を使えば何とかならなくもないが、ナルトはそんなものを使わないでも大量の自然エネルギーを取り込むことができていた。つまり、動きながら自然エネルギーを取り込んで仙人モードを維持するのは不可能なことではないわけだ。自分の力を使うのに他人に依存すると言うのもどうかと思うしな。

 そのあたりの事も書かれていたが、武術を極めて明鏡止水の域に常時入れるようになれば簡単に維持できるようになるそうだ。明鏡止水の域ってなんだ? と調べてみればこれもう完全に精神修行の奥義の一つじゃねえかと切れそうになった。まあナルトなら『な? 簡単だろう?』とか言いながらそれをやっていてもおかしくないが、少なくとも今の俺にそれは無理だ。やってみたが無理だった。フサカクと言う蛙の仙人も無理だと言っていた。目の前で見せられた時には目が死んでいたと言うか、一瞬にして目が死んでいったのを覚えている。

 

 だが、ともかく今は強くならなければいけない。ナルトがいないと言う事は死んでも蘇ることはできない。傷を負ったら医療忍術かヒナタの所に残されている仙豆を食べるかのどちらかだが、仙豆は主にヒナタのカロリー補給用だ。じゃないとヒナタは死ぬしな。本当に。

 だが、とりあえず影分身による修業は俺に出せる数だけでもやる。それをやればそれだけ速度が上がるし、技量的な物はより早く身に着けることができる。ナルトによって何度も無茶苦茶された俺達の身体は、まともな人間のそれよりもはるかに頑丈だ。経絡系も物理的な強度も比較にならないし、チャクラの回復速度も人間の限界なんじゃないかと言うくらいまで上げられている。ついでにチャクラや体力の最大容量もだ。木の葉の優秀な上忍としてカカシあたりを比較対象に出すが、少なくともカカシの50倍程度はあることがわかっている。カカシは影分身を出せるのは良いとこ三人か四人程度らしいが、俺は現段階で200くらいは出せるし出したまま数時間程度なら活動させられる。ヒナタはもう少し少ないらしいが、肉体とチャクラの回復速度は俺の十倍どころではない。俺も他人の数十倍から百倍程度は早い自信があるし、傷を負っても軽い物なら数分で完全に塞がるようになっているが、ヒナタの場合は傷を治す仙豆を常食しているせいか文字通り目に見える速度で傷が治る。最近までは欠損まで行くと治りも遅いと言うか難しかったが、ナルトに最後に蘇生されてからは身体に穴が開いた程度では止まらなくなった。チャクラを集中すれば腕くらいなら生やせそうだし、チャクラの回復も仙人モードの影響かかなり早い。そして元々が拳法使いだったこともあってか自然エネルギーを僅かずつではあるが動きながら取り込むことができるようにもなっていた。本当に人間か? 人間か。ナルトも人間だと言っていたから人間に違いない。違うと言われても俺は知らん。どうでもいい。

 ともかく修行だ。影分身ってのは便利だな、死ぬような修行をしても消えるだけで済む。死に慣れると死に対しての恐怖を失って弱くなると言われることもあるが、安心しろ俺も死ぬのは嫌だ。まだうちは再興してない。

 

 ……だが、うちは再興するにも相手がいるのは間違いないが、その相手にしてもいいと思える相手がいない。第一はヒナタだがヒナタはナルトに首ったけだから無理。第二はサクラだが……サクラは今感情とかそういうものを根こそぎ失っているから暫くそう言う対象にできないだろう。

 ……そうか、俺が女になってナルトの子を宿せばいいんだ!(発狂)

 

 ※この後ヒナタに点穴突かれて暫く悶え苦しむことになりました。

 




Q.なんか発狂してらっしゃる!?
A.神話生物ナルチカを詳細に脳裏に思い描いたことによってSANチェックが入り、失敗して2D10振って一時的狂気からの『異常な性癖の発現』のコンボ。神話生物怖いわー。

Q.それだと常にナルトを意識していると思われるヒナタのSAN値がヤバいと思うんだがどうだろう?
A.マグロが泳いでいないと死ぬようにヒナタはナルトの事を考え続けています。(呼吸と同じく慣れているのでSANチェック免除。なお現在値は夢の二十代)


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NARUTO~121

 

 side うちはサスケ

 

 ナルトの残した巻物に紙が挟まっていた。それに従って木の葉の地下施設に行ってみると、そこには身体の大半を樹に飲まれた一人の男が半死半生の状態で存在していた。

 ……こいつが、志村ダンゾウ。うちは一族を皆殺しにするようイタチに命じた男。そう思うだけで殺意がゆっくりと湧き上がってくる。四肢を奪われ片目を抉られ舌を噛み切って自殺しないように歯を全て抜かれ、切り落とされた四肢は焼いて止血されているものの一週間近く飲まず食わずのまま放置されていただろうこともあって全身の肉が落ち、皮はたるんで筋と骨ばかりになっている。

 いつもだったらそんな無残な状態であれば敵であっても少しは哀れに思うのだろうが、今の俺は全くそんなことは思わない。ただ無様と嗤うのみ。

 しかし、嗤ってばかりもいられない。ナルトの報告書によると、この状態でならなんと回復が見込めるらしい。こいつに回復されるのは許さない。絶対に許さない。俺は両目を万華鏡写輪眼に変え、ダンゾウに向けて天照を放った。

 

「グアァァァァ……!」

 

 鈍い悲鳴とパチパチと火の粉がはじける音が空間を満たす。ついでに近くにあった元は人間の物だと思われる無数の死体も同じように焼き捨てておく。天照の黒い炎は狙ったものが全て灰になるまで消える事は無い。かなり危険な術ではあるが、封火法印で封じたり加具土命で消したりすることはできる。ちなみにナルトはチャクラコントロールの応用だとかで術式を分解してチャクラに戻して消していた。意味が解らない。それ以外にも特殊な方法で術そのものを吸収したり斥力で弾き飛ばしたり……ん? チャクラコントロールで何とかする以外はあのペインって奴がやっていたような……そうか!ナルトも輪廻眼を持っているんだ!(名推理)

 そんな冗談はさておいて、ゆっくりと燃え尽きていくダンゾウの姿を眺める。……思った以上に何も感じない。うちはの直接的な敵だと言うのに、ただ燃えていると言う認識だけで歓喜も法悦も感じない。イタチの真実を知り、両親だけとはいえ一族がいるせいだろうか。達成感すら感じないのはどういう事だ?

 ふと手を見下ろしてみる。すると俺の手はフルフルと細かく震え続けていた。感情が昂っている証とも言えるこの現象、しかし俺自身に昂っている自覚は全くない。恐怖もなく、興奮もなく、身体だけが震えると言う事は無い事もないが、俺はここに来る前に毒物を身体に入れた覚えはない。一応幻術返しもしておくが身体の震えは止まらない。

 

 ……ああ、そうか。わかった。俺は興奮しているんだ。俺には全く自覚がないが、精神的には興奮しているんだ。

 そう認識した瞬間に、じわじわとではあるが何かを大声で叫びまわりたいような、あるいは思い切り吐き出してしまいたいような、奇妙な感覚に襲われた。涙が勝手に流れ出し、口からは哄笑が溢れ出す。嬉しいのか悲しいのか達成感と虚無感と様々な感情が入り混じり、俺はとにかく嗤い続けた。笑って笑って声が枯れるまで嗤い続けて、泣いて泣いて涙の色が透明から赤に変わるまで泣いて、死体と仇が灰すら残らず焼き尽くされて、天照の炎に焼かれた地面しか残らなくなった頃になって漸く止めることができた。

 復讐は果たされた。本当ならば木の葉の相談役に収まっているあの二人も殺したいところだが、今の状況であれを殺したら面倒なことになるのは目に見えている。直接的な命令を下した男の首だけで今は我慢しておこう。どうせ後十年もしないうちに勝手にくたばるだろうしな。

 俺の手で殺せないのは業腹だが仕方ない。機会があれば是非殺したいところだが、残念なことにその機会は無さそうだからな。残念なことに。

 

 ……しかし、ヒナタの白眼は凄まじいな。こんなところに居てもまだ見えるのか。方向さえわかっていればそれなりの距離を誰でも見ることができるのが白眼だが、上下を含めたすべての方向を同時に注視するのはヒナタくらいにしかできないんじゃないだろうか。ナルトは……白眼持ってないからできないだろうが、白眼持っていないなら持っていないでまた別の方法で何とか実行しそうな気がする。実際に見えていなくても気配で分かったとかそう言う系統のやつな。

 俺? 俺はそんな人外染みた特技とか持ってないから。気配察知も自分を中心に鈍の間合いの範囲内までしかわからないし、チャクラも色で強さや範囲がわかる程度。ナルトのように見てもいないのにチャクラの集束が甘いとか見様見真似で千鳥を使って指先から放出して千鳥レーザーとかできるほどのチャクラコントロールも無いし、相手が術に変換したチャクラを術からチャクラに変換し直して吸収するとか絶対無理。ナルトじゃあるまいし。

 ともかく俺は普通だ。一般人だ。異常なのはナルトとヒナタ、そしてサクラだ。ヒナタはフィジカル面が頭おかしい。サクラはあんな術を実用している時点で精神面で頭おかしい。そしてナルトはもう全体的に頭おかしい。まったく、強い奴ってのは頭おかしい奴しかいないのか!

 




Q.おう鏡見ろや
A.サスケ「イケメン常識人が一人映っているな」

Q.サスケ君名推理過ぎない?
A.自分で冗談だと思っているのでノーカンで。

Q.ヒナタの白眼、そろそろ転生眼に変わっても良くない?
A.いやいや、まだ駄目。

Q.代償を支払う代わりに強力な力を与えるナルチカはサスケとヒナタにはどんな代償を支払わせたの?
A.サスケは精神の奥深くにまで刻み込まれたトラウマとナルトの言う事ならつい従ってしまう条件反射を植え付けられた代償に力を得ました。ヒナタはナルト以外と食べる食事がどれもこれも非常に味気ないものになるという人生の楽しみを一つ奪われる代わりに力を得ています。サクラは……まあわかるからいいですね。


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NARUTO~122

 

 side 春野サクラ

 

「……え、あの、本気?」

「うん。百豪の術に溜めてたチャクラをほとんど使いきっちゃったからまた溜め直すために『まともに生活していたら絶対に忘れられないような内容の幻術』をかけて欲しいの。燃やしてチャクラに変えるから」

「あ、ああ、うん、なるほど……え? 本気?」

 

 ヒナタに二回も確認されてしまった。普通考えるわよね? 時間を圧縮して記憶を作れば密度が上がっていい燃料になるし、幻術は会話や通信に使われた物でもなければ消しちゃって全く問題ない物ばかりだし。普通考えるわよね?

 

「あの、確かナルト君がサクラちゃんに渡したって言うあの巻物の最後に幻術の術式が書かれてたよね? しかもチャクラ注入式で何回でも使える奴……」

「……え? ごめん最後とか全然読んでない……」

「読みなよ……とにかくまずは帰ってから巻物の最後開いてみて!多分求めてた術だから!」

「あ、うん。ありがとう、ヒナタ」

「いいよもう……でも気を付けてね。ナルト君の幻術はどれも強烈だよ?」

「大丈夫よ。私だって強烈なのは見慣れてるはずだから」

 

 まあ、その強烈なのは全部燃やしてチャクラに変えちゃったから本当に強烈かどうかはわからないんだけどね?

 ともかくそう言う訳で私はナルトの時空輪廻の巻物を最後まで開いて術式を見る。……これ、確かに幻術ね。それも込めるチャクラの量の僅かな差によっていくつかの幻術を見られるようになっている……天才だけど馬鹿だわこの術式組んだ人……ナルトか。

 ベッドに横になり、巻物の術式を起動する。すると光が私の視界を一瞬で埋め尽くし、幻術の世界に私を引きずり込んだ。

 

 ……………………。

 

 超真顔のサスケ君がなんか不思議な踊りを踊っていた。と言うか木の葉の人全員が超真顔で踊り続けている。

 火影様の顔岩には横断幕が吊るされていて『第四次木の葉モリヤゴコロダンステップ音頭開催中』と書かれていたのが目に入った瞬間、私は窓を閉じた。

 そして目を閉じて深呼吸。もう一度目を開くと私はなぜか審査員席に座っていて、私の前でガイ先生、リーさん、大蛇丸、自来也様と言ったキャラの濃い面子が揃って真顔であの変な踊りを踊り続けていた。

 

 ……………………解!

 

 ……うん、これは忘れられないわ。多分今寝たら夢に見る。あの真顔の集団が徐々に近づいてくる夢を見る。間違いない。

 そこで即座に思兼。今の幻術の記憶をチャクラに変えて、全部まとめて陰封印に流し込む。ちょっと足りないのでもう一度、今度は少し少なめに巻物の術式にチャクラを流し込んで術式を起動させる。

 

 ……………………。

 

(サスケがH〇T LIM〇T(MITSUYA-MIX)をミュージックビデオ版で歌って踊る。本物より大分布面積抑えめ)

 

 ……………………解!

 

 これはダメでしょ? もうなんと言うか、駄目だよね。うん、駄目。駄目だからこれは私の秘蔵ってことにしておかないと。ともかく即座に思兼。なんだかわからないけどすっごいチャクラ量になった……何を見たの私? 鼻血出てるし……。

 ともかく次。普通にやって少し少なめにしたから今度は少し多めにチャクラを込めて、術式起動。

 

 ……………………。

 

(原哲夫画風のサスケが同じく原哲夫画風の大蛇丸に百裂拳を決めている)

「お前はもう死んでいる」

「何を馬鹿なこt、こと、っこおt(頭パーン!脳漿ベシャー!)」

 

 ……………………解!

 

 ……確かに忘れられそうにない。忘れられそうにないけどこれってどうなの? 兎にも角にも思兼。凄い、もう百豪の印が一つ分溜まっちゃった……二つ目に行っとこうかな。二つでも足りなかったし三つ四つ、五つぐらいあってもいいかもしれない。

 そう言う訳で適当に込めて術式を起動。

 

 ……………………。

 

 カカサスR-18。

 

 ……………………解!

 

 ホモが嫌いな女の子はいません!この巻物家宝にしなきゃ!それはそうとして思兼。理由はよくわからないけどともかくこの巻物は家宝にしないと。次ィ!

 

 ……………………。

 

 サスナルR-21G

 

 ……………………解!

 

 ……リョナ……カニバ……四肢切断……お料理教室……酒池肉林(人の血と人の肉)……完全にマジキチ……おっふ……思兼。なんだかまずい物を見た気がするわ。今の適当のチャクラ量では二度と見ないことにしましょうか。手に入ったチャクラ量もあまり多くないようだし。もっと必要だ。

 ハイ次。

 

 ……………………。

 

 私の黒歴史の暴露。

 

 ……………………解!

 

 思兼!…………いや、私覚えてないんだけどね。ここでこの暴露が来たってことは本当の事なんだろうと思ってつい消してしまった。後悔はない。チャクラは……多いなこれ。二つ目満杯。じゃあ三つ目作ろうか。

 

 ……………………。

 

「ん? ああ、サクラか。なんだ、急に」

「……!」

「修行? 悪いが先約が……ああ、そうか。じゃあお前も来るか?」

「……?」

「どこって、修練場。当たり前だろ」

「!」

「じゃあ俺は行く。来るなら……いや、そうだな」

「一緒に、行くか?」

 

 ……………………解!

 

 いやーいいっすねぇー。こいつは効きますわー!思兼。……え、何これすっごい量溜まったんだけど。私どんな幻術見たの? こわ……冷や汗掻いてないから多分幸せな奴だとは思うけど、でもやっぱりこわい。

 次。

 

 ……………………。

 

(サスケのお休みボイス)

 

 ……………………( ˘ω˘)スヤァ

 

 

 

 ※次の日滅茶苦茶思兼した。一気に百豪一個半くらい溜まった。

 




Q.他にはどんなネタがあるの?
A.サスケの黒歴史CG集やお色気逆ハーレムの術サスケ版、サクラ視点で木の葉の里を題材にした乙女ゲー等々、多数のネタを取り揃えております。乙女ゲーではライバルキャラにいのや香燐も出るよ!

Q.サクラ(鼻血による出血多量とかで)死なない?
A.死ぬかもしれないけど死んでない。


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NARUTO~123

 

 side 日向ヒナタ

 

 五代目火影様が臥せっているので六代目火影としてカカシ先生が推薦された。ダンゾウがいなくなっているからかその意見はあっさりと通り、五代目である綱手様が臥せっている間の代理のようなものではあるけれど六代目として立つことになった。

 ちなみにそのダンゾウ、サスケ君が殺したことは私しか知らないし、止めを刺す前にボロボロになるまで痛めつけられていたのがナルト君によるものだとわかっているのもサスケ君と私くらいだと思う。まあ、サスケ君の一族の仇だったのは間違いないけれど、同時にナルト君の人生を捻じ曲げた存在でもあるんだよね。それで都合がいいからあの時に死ぬ寸前まで追い込まれた。まあ、自業自得かな。

 

 そんな時に五影会談の要求が雲隠れの里からあたった。暁と言う組織についての対話を求めるものだったそうだけれど、多分雲隠れも持っていた尾獣を全部持っていかれたんだと思う。だからまずは五影全体で集まって残されている尾獣がどれだけあるかを確認したいという思惑もあるんだろう。

 まあ、無駄なんだけれど。だってもうナルト君はこの里にはいない。もしも残りの尾獣の数がわかるとしたら、五影会談の場所に暁の棟梁のような存在が現れて突然俺達の捕まえていないなんたら尾となんたら尾をよこせ、とか言ってこない限りわかるわけがない。そして態々五影会談の時に現れて宣戦布告なんて言う頭おかしいことをやるとは思えない。

 まあ、私にできることと言えば有事の際に備えて修行を続けることくらい。私は上忍でもなければ暗部でもないから五影会談に行く理由はない。白眼で感知はできるけれど不意打ちにはあまり強くないし、仙人モードを使うとなると流石に隠せない。自然エネルギーについては仙人について知っているだけじゃあわからないけれど、隈取は見ればわかるしね。

 ……そう思っていたんだけれど、なんと私が五影会談での傍付きに任命されてしまった。各里二名ずつ付くそうだけれど、私よりもサクラちゃんの方がいい気がする。だって私は医療忍術は使えない。私にできることと言えば感知と壊すことだけだもの。サスケ君も行くそうだから仙人モードでの感知はサスケ君に任せてもしものための医療忍術使いを一人連れて行った方がいいんじゃないかなと思うんだけど……白眼で見た限り、百豪の印も順調に増えてきているみたいだし。額に一つ、舌に一つ、口蓋に一つ。両目に一つずつ。首筋をぐるっと一周するように合計二十二個。一体どれだけ記憶を燃やしたんだろうね?

 まあ、そう言ってはみたけれど私が行くことは覆されなかった。ただ、私とサスケ君に加えてサクラちゃんも一緒に行くことになったからもしもの時の備えとして十分だと思う。本当なら逃走特化型も用意しておいた方がいいとは思うんだけれど、早々居ないからね、そんな人。そもそも付き添うのは二人までと決められているらしいから普通に違反なんだけれど、そのあたりは必要な時に口寄せの術式で直接呼ぶことで何とかするつもりらしい。鍵として私とサスケ君はそれぞれ一本ずつサクラちゃんを呼び出せる口寄せの術式が書かれた巻物と媒体になるサクラちゃんの血を少し預かったけれど、できれば使うようなことにならなければいいなぁ……。

 

 五影会談の開催場所は鉄の国。忍者ではなく侍と呼ばれる者達が忍者の代わりに国の武力を担う珍しい国だ。だからこそ忍びの里を『関係はあるが遠い問題』として中立の立場から客観的に見ることができるために選ばれたんだろう。こういう話し合いの場においては中立の立場に誰かがいないと全部グダグダになってしまうからね。

 ……でも、大丈夫かな? 超がつくほどの武闘派である雲隠れの雷影、エー。経験の多さでは誰にも負けない岩隠の土影、両天秤のオオノキ。様々な残酷を通り越して非合理的な頭のおかしい方法で忍びを育ててきた血霧の里こと霧隠れの里の水影、二つの血継限界を使う照美メイ。そして若くして風影にまでなった一尾の人柱力、砂隠れの砂漠の我愛羅。誰もが影としての経験はカカシ先生以上。戦闘能力で言えば、多分カカシ先生が一番弱いんじゃないだろうか。

 防御不能にして一撃必殺の塵遁と土遁を極めた土影。溶遁と沸遁の血継限界を使いこなす水影。雷遁のチャクラを纏い極限まで上げた身体能力で敵を蹂躙する雷影。人柱力としての膨大なチャクラを持ち、砂を操る風影。カカシ先生が勝つためには、敵対していると言う事が相手に伝わっていないうちに超遠距離から首から上を削り飛ばすくらいしか無いんじゃないだろうか。できればだけど。最近目がよく見えなくなってきているそうだし、できない可能性もある。

 一応護衛兼付き人みたいなことをやるんだから、命は守りたいと思うけれど。

 




Q.守る気あんの?
A.ゼロではない。

Q.原作ではサスケによる襲撃から宣戦布告だったよね?
A.原作ではそうですね。

Q.……オビト出てくんじゃん!? カカシいんじゃん!?
A.残念、ナルトから直接伝えられたことだから忘れてんですよね。


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NARUTO~124

 

 side うちはサスケ

 

 五影会談だが、とにかく初っ端から荒れることになった。暁について話したり、これからの対策を話し合うものだと思っていたんだが、これは俺が若いからそう思うんだろうか? 老いていれば色々と経験を積んできたと言う証になるかもしれないが、だからと言ってその経験が常に役に立つとは限らない。方針の転換についていけなくなるのは大抵経験が多すぎてその経験から外れたことをしたくない奴ばかりだ。物を知らない方がそういう事に対応はしやすくなるものだが、経験則という物が使えなくなってしまう。経験を積むのも善し悪しと言う奴だな。

 さて五影会談は進まない。突然現れた植物みたいなやつが胞子のようなものをまき散らしているのを見て俺はチャクラを放出して弾く。ヒナタは仙術チャクラを纏うことで無理矢理に成長させてはチャクラの糸で切り刻むのを繰り返しているが……マジでそれはどうなっているんだか。明らかにチャクラを吸収する能力があるのに、細いチャクラ糸が吸収されることなく両断できている。本当にどうやってやるのかわからない。

 とは言っても何となく察しはついている。チャクラコントロールだ。全てのチャクラを完全に自分自身の意識のもとに操作することができれば、相手にチャクラを吸収されるような事にはならない。吸収されそうになったチャクラを引き戻せば吸収されずにまた自分の物として使うことができるだろうし、人柱力は実際にチャクラを引きあって自分の力に変えたりすることもできると言う。

 つまり、チャクラを吸収してくる奴に対してこちらからチャクラをくっつけて相手のチャクラを奪い取ってやれば吸収されるどころかこっちのチャクラを増やすこともできるわけだ。

 はっきりと言うが俺にはできない。そもそも放出する系統の技が多い俺に逆向きの吸収する系統の技は向いていない。ヒナタのように指先にチャクラを集束して圧縮した上で戦うようなタイプなら可能かもしれないが、炎や雷と言った形で放出してしまうとなかなか難しい。

 ちなみにナルトはできていた。自分以外の誰かが放出した術をチャクラに戻して吸収していた。本当に人間か怪しいと思ったものだが、まともな人間にできるような事ではないと確証を得ることができた。

 

 だが、やはり俺は心の底からこいつらと共闘するのは難しいだろうと言う事もよくわかった。できるとしたら我愛羅までだ。ナルトの事を九尾の人柱力、あるいは九尾としか見ていないこいつらと仲良く同じ敵を相手に戦うとか想像もできない。

 ……木の葉の連中はまあある意味仕方ない。なにしろナルトが直々に自分の記憶を消していったんだから覚えていられるはずがない。と言うか確認した時には驚いた。まさかカカシや五代目火影からも記憶を消しているとは思わなかったし、止められたとはいえそんな状況で俺達からは記憶を消さなかったことにも驚いた。サクラが言うには記憶を消す準備はしたけれど記憶の密度が高すぎて術式の通りが悪かったから一瞬ボケたくらいで思い出すことができたが、本当だったら一度消した記憶は絶対に戻る事は無いらしい。恐ろしい術を考えるよな、ナルトは。

 植物と人間の混ざりもののような奴は雷影が片付けたが、直後に現れた渦を巻くような形の面の男が五影を含んだ全忍世界に宣戦布告なんてことをしてきたせいで一気に話が前に進むことになった。一瞬俺と目が合った気もしたが、おそらく狙いは俺ではないな。いや、一応俺の事も多少は気にかけていると言う意味では狙いと言えなくもないかもしれないが、主目的ではないはずだ。

 そしてあっちの目的は、八尾と九尾の人柱力。八尾の人柱力については攫われたと聞いていたがどうやら逃げ切っていたようで今どこにいるのかは不明。九尾の人柱力については……正直なところ探しようがない。本気で隠れれば一切のチャクラを発することが無くなるような奴を相手にどうやって探せばいいんだと首をかしげるとかそう言うの以前の問題だ。

 何しろ木の葉の里の人間でナルトの事を覚えているのは俺、ヒナタ、サクラの三人以外は表に出ることができない人間ばかりだ。ついでに言えばそもそも九尾の人柱力が誰だったのかもわかっていないし記録もペイン六道が木の葉の里ごと粉砕してしまったため全く分からない。守りようが無いし見つけようもない。九尾のチャクラを探すこともできない。ナルトはいつも九尾のチャクラは使っていないらしいからな。ノリとネタ以外では。

 

 ……だが、どうやら説明が必要になるようだ。砂隠れの三人はナルトの事を覚えているようだし、説明しないわけにもいかないだろう。説明したところでどうにかなるようなものではない気もするが、致し方ない。

 




Q.ヒナタ……人外染みてきてない?
A.流石に相手の術を吸収したり自分以外のチャクラを操ったりはできないのでまだ人間。なお判定はガバガバである模様。

Q.説明って何するんだ?
A.普通にうずまきナルトと言う存在がどんなものかを説明します。信じてもらえないのはご愛敬。


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NARUTO~125

 

 side 我愛羅

 

「説明しよう!うずまきナルトとは!」

「サスケ君後で演習場」

「ごめんなさい許してください」

「許してあげるから演習場」

「行くから殺さないでください」

「サクラちゃんも連れて行くから安心だね」

「おっふ」

 

 突然ボケが始まったと思ったら即座に鎮圧された。だが、この二人は少なくともうずまきナルトの事を知っているらしい。いや、知っていると言うよりは覚えている、と言った方が正しいのかもしれないが。

 正直今はナルトの情報が欲しい。俺はナルトとはあまり深い付き合いであるとは言えないが、それでもナルトは一度あの無茶苦茶っぷりを見せられたらどう頑張ったところで忘れられるような存在ではない。むしろ忘れたくても忘れられないだろう。それを忘れているのだから何かしらの理由があるはずだ。

 

「簡単に言うとだな……ナルトは木の葉に愛想尽かして出て行っちまったんだよ。その時に自分に関わった存在から自分の記憶だけ全部焼き払って行ったお陰で、木の葉の里に居なかった奴と最後まで意識を保っていた俺達だけ記憶を持って行かれなくて済んでてな。俺からするとあの環境でよくもまあ15年以上も耐え続けたと思ってたからナルトが里抜けすると聞いて『やっとか』って気分になった」

「……つまり、今の木の葉にはナルトはいないのか?」

「うずまきナルトと言う存在を覚えている奴すら稀だな。ついでにナルトがそういう扱いを受ける直接の原因になった男がいたんだが、見事なまでに磨り潰されて死んでたぞ。まあそいつの右目にうちはシスイの目が移植されて大名すら操っていた疑いが濃厚だったし、ついでにうちは一族の虐殺を直接命令した奴でもあったっぽかったから俺としては死んでくれてとても胸がすくような思いだったがな」

「それより、ナルトが今どこにいるのかわからないのか?」

「ナルトは自分のチャクラを完全に消せてな。そのお陰で基本的に察知ができないのに加えてそもそも移動速度が人外のそれだ。さっきの雷影殿は目で追えたが、ナルトの場合目で追うとか影が映るとかそう言う領域にない。まともに戦えば『気が付いたら首が飛んでいた』と言う状態になりかねない」

「捕まえることは?」

「ナルトが遊んでくれるんだったら自分ルールに抵触させて戦術的勝利によってお願いと言う形をとることはできるだろうが、気分次第で勝手に抜けられることまで考えておいた方がいい。時空間忍術で様々な所にマーキングを残しているだろうから結界で封鎖したところで異空間を通って抜けられる」

「で、九尾の人柱力はどの程度強いんだ?」

「……あー……よし、ちょっとこれから俺がこの場にいる全員を殺さないように手加減しながら襲い掛かるから、全力で抗ってみてく」

 

 雷影が動いた。雷遁のチャクラを身体に纏った状態での高速移動からうちはサスケの首に手刀を叩き……込もうとして、左腕を正面から受け止められた。驚愕からか目を見開く雷影に対し、うちはサスケは軽く顎先をこするような高速の打撃を……見えた限りでは三発ほど叩き込んだ。

 すると雷影の身体がその場で崩れ落ちる。意識ははっきりしているようだし言葉もしっかりしているが、どうしても足だけが言うことを聞こうとしないようだ。幻術を疑ったが雷影のチャクラの流れは正常そのもので、足に何らかの傷があるわけでも縛りがあるわけでもないように見える。

 

「ば……馬鹿な……!儂の足が……足に力が入らん……立ち上がれない……!?」

「脳を軽く揺らしただけだ。四半時もすれば元通り歩けるようになる。……ああ、今のでいいか。俺はこういう事ができるし、あそこにいるヒナタは体術においては俺以上だ。まあ全部総合すれば俺の方が強い自信はあるが……」

「え? なに? 演習場でガチバトルしたい?」

「勘弁してくれお前と本気で殺し合いとか命がいくつあっても足りないだろうが。ともかく、訓練とか修行のような相手を殺してはいけない戦いなら俺はまず間違いなくヒナタに負けるが、本気ではなかったとはいえいきなり襲い掛かってきた雷影を軽くひねる程度の事はできることがここに証明されたわけだ」

「それで? それが九尾の人柱力の強さとほぼ同じと言う事か?」

「いや? ナルトは俺とヒナタが本気で殺す気でかかって行ってそれでなお俺達を殺すことなく対処できる。影分身一体でな」

「……は?」

「使う術は影分身一体のみ。チャクラの性質変化及び形態変化による忍術及び幻術無し、自然エネルギーを使った仙人モード無しで、完全に殺す準備を整えた仙人モードの俺とヒナタの二人を同時に相手にして、自身のみでなく俺達も含めて無傷で決着を付けられる。そう言う奴だ」

「ちなみにナルト君は全ての性質変化を極めています。火遁、水遁、土遁、風遁、雷遁に加えて陰遁と陽遁、更にはそれらを組み合わせた血継限界である沸遁、溶遁、熔遁、灼遁、嵐遁、磁遁、炎遁、氷遁、泥遁、木遁に加えて血継淘汰である塵遁すら扱います」

「……はっはっは!冗談きついぜ嬢ちゃん。儂以外に塵遁が使える忍はただ一人、既に死した先代土影である無様しかおらんのじゃぜ」

「あ、じゃあ真似てみましょうか? 何度か見せてもらったのでそれぞれのチャクラ比率や術式は大体覚えてるので……えーと……『見様見真似・原界剥離の術』!」

 

 本当に原界剥離の術ができていた。土影は顎が外れそうな顔でそれを見ている……いや、驚いていないのはうちはサスケだけか。

 

「こんな感じでナルト君もできます。と言うか私よりずっと上手です。範囲も広いし出すまでの時間も短いし」

「そして何が一番恐ろしいかと言うと、その頑丈さ。我愛羅はわかるだろう?」

「ああ……あの結晶の壁の頑丈さは嫌と言うほど思い知ったさ」

「それじゃなく、中忍試験が終わる直前に一尾出しただろう? 一尾の攻撃を真正面から受け止めてなんでもない顔して立ってたどころか一尾ひっぱたいてたからな」

「……ああ、そっちか。そう言えばそうだったな」

 

 俺の中の守鶴が全力で忘れて欲しそうにしていたから今の今まで忘れていた。そう言えばそんなこともあったな。

 

「……つまり、影分身が消えるほどの衝撃を与えると言うのは実質不可能?」

「カカシの千鳥を直撃させたことがある……と言うか威力確認のために影分身に全力で叩き込ませてもらったことがある。影分身に傷一つつかなかった。泣きそうになったぞ本気で」

「ちなみに私の本気も通らなかったです。全身の点穴にチャクラ糸を突き刺して経絡系を内側から撹拌して暴発させる技なんですけど……」

 

 ……恐ろしい技だ。いや。恐ろしいと言うよりえぐい技だ。チャクラを放出する穴からチャクラを逆流させるだけでなく暴走させるとは……木の葉は恐ろしい所だ。

 




Q.どっちも人外やんけ……
A.まあ、塵遁は規模小さいわ時間かかるわでこのくらいが限度だし、サスケの方は相手がナルトだから……。

Q.こいつらナルチカとお互い以外に勝てない相手っているの?
A.全力カグヤ相手なら苦戦は免れないかと。


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NARUTO~126

 

 side うずまきナルト

 

 再不斬と白と言う便利な目を残して本体含めてとある場所に作った異界の中に引きこもりながら影分身を出したり消したりしながら過ごしている俺は誰か。そう、うずまきナルトだ。

 突然だが、影分身を消すことで俺の最大チャクラ量が増える理由が分かった。まず初めに、俺には成長の限界点が無い。これが一番重要。次に、影分身で使ったチャクラは消されるんじゃなくて自分で術を解くとチャクラは戻ってくる。これを利用して原作では仙人モードを維持していたわけだな。そして俺は影分身であろうとも寝るとチャクラ量が全快する。つまり、限界まで出して、寝て、チャクラを回復させて、それから術を解いてチャクラを吸収することで俺のチャクラの最大値は出した人数分倍だけ増加すると言う事だ。

 一日一回、十体だけだったとしても一日ごとにチャクラ量が十倍になる。では一日に一回、一兆体出していた俺はどうなるかと言えば、毎日一兆倍ずつチャクラの最大値が増えていくわけだ。まあ、正確にはチャクラコントロールの修行でチャクラが減っていたからそこまで一気に増える事は無いんだが、最大値はそんなもんだ。

 一日たった30分の修行でどんどん強くなれる!うずまき式影分身修行場はやる気のある生徒を募集しています。

 

『実際に募集しているわけじゃないだろ。と言うかそもそもここにはお前以外居ないだろうが』

 いやお前らいるだろ。

『外に出てないからノーカンだ』

『しかし……お前の身体どうなってるんだそれ。なんで毎日チャクラ量が馬鹿みたいに増えてるんだ? 意味が解らんぞ』

『いみがわからなくてもじじつはまちがいなくそこにある。うけいれろ。そしてあきらめろ。これがなるとだ』

『そうだな……なんでこんな化物染みた奴の中に封印される羽目になったんだか……』

 九喇嘛は暁って組織の奴が先代の人柱力から引っぺがしたから俺に封印されることになった。昆虫王者は暁によって封印されていたけど守鶴の片割れが封印されそうになって俺が引っぺがした時についてきたから。つまり、全部暁って組織の仕業なんだ!

『『『な、なんだってー!?』』』

『おれさまはどうなんだよ? えぇ?』

 人助けのために半分にして陰の方を引き受けた。と言うかお前の身体は殆どが陰のチャクラでできた砂だったんだな。そのせいでがらがらどんの方にはかなり小さくしか残っていないが……まあ、いいか。

『よかねーだろおい』

 まあ、全部終わったらまた一つに戻してやるからそれまでのんびりしててくれや。俺は俺でやることがあるんでな。

『具体的に何をやらかすつもりなのか教えてもらおうか』

 やらかすと決めつけるなよ。実際にはやらかさないかもしれないだろうが。

『予定ではどうなっている?』

 やらかしなど何一つない。

『この世界に数多く存在するお前を除く人間達の平均値を『一般的』としたとして、お前がこれからやろうとしていることは果たして一般的と言う言葉の範疇に入る物か?』

 誰もが一度は考えているだろうからおかしくは無いと思うぞ。単純に世界の救済を俺の手で行えるってだけの話だからな。

『具体的にと言っただろうが具体的な方法を上げてみろ』

 無限月読を応用して月に俺の輪廻写輪眼の蛭子を映して世界全体からチャクラを消し去れば少なくとも戦争の規模は小さくなるだろうし、それに加えて俺の異空間に誰一人入ることができなくなるだろうからはっきり言って世界に大混乱が起きる。

『何一つ穏当でも一般的でもねぇ……ついでに儂はそんなこと考えたこともないぞ』

 戦争なんて無くなればいい、と考えたことは?

『だからって方法がチャクラを全部使えなくするになるとかおかしいだろうが!なにを考えてそうなった!』

 世界平和。

『……なあ九喇嘛。ナルトは本気でそう考えて行動しているのか?』

『あー……まあ、間違いなく本気ではあるだろうな。ただし、世界平和は目的でなく手段だと思うが』

『どういうことだ?』

『何かをしたい。しかし戦争とか戦いがあると邪魔になる。戦争を無くす。その上で目的を達成する。つまるところそう言う流れなんだと思うぞ。儂にはナルトの考えていることはあまりよくわからん……と言うか、細かくわかったらナルトと同じ思考回路を持っていると言う事だから泣きたくなる』

 なんて酷いことを言う狐娘だ。こうなったらモフるしかないなモフモフモフ……ついでにもう一人の九喇嘛もモフモフモフ……そしてもちろん守鶴もモフモフモフモフモフモフ……

『おれだけなんかながくね!?』

 2九喇嘛分を1守鶴でやってるからな。倍の時間かかって当然。影分身の逆だ。千体の影分身で一日かかる修行を一人でやれば千日はかかるだろう。九喇嘛は分かれてたから一人の時間は半分。守鶴は一人だからそのまま。何もおかしくはない。

『いーやおかしい。なんでナルトがクソ狸の事を名前で呼んでんだ?』

 幻術で意識の時間を加速して一瞬で覚えた。不定の狂気から一番に復活したからな。

 

 さて、それじゃあまた修行だ。飯食って修行して寝ての繰り返し。邪魔が入らないっていいわー。

 

 




Q.実際の月の眼計画とどっちの方がマシかな……?
A.自由意志と行動の自由がある分こっちの方がマシじゃないですかね?

Q.マジでやるの?
A.世界救済とかナルチカがやるわけないでしょ今まで何読んできたの?

Q.……は?
A.うるさい気が散るモフモフモフモフ……


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NARUTO~127

 

 side うずまきナルト

 

 近々戦争が起こるらしい。と言うか、もう宣戦布告まで終わらせた阿呆がいるらしい。まったく馬鹿な奴だ。あの輪廻眼には俺の仕込みがたっぷりある。俺の目の前に立った瞬間に爆破して脳味噌を地面にぶちまけてやることもできたりする。少なくとも俺に対してあの輪廻眼は使い物にならないと思ってくれていい。

 さてそう言う訳で俺個人としてはもうすでに終わっているのと変わらない戦争だが、なんと今回第三勢力として再不斬、白、オカマ丸、カブタック、イラチが参戦することになった。木の葉を敵に回した時点で暁とイラチは袂を分かった。まあ、これで俺も木の葉に対して手を出しにくくなったわけだが……出そうとすれば出せないわけではない。

 病を治して身体の負担を考えなくてよくなったイラチは確かに強くなった。しかし前に月読やら天照やらを相手にし、須佐能乎と須佐能乎が持つ十束の剣を相手にしても俺が負けることはまずないとはっきりしたのでそこまで構える必要はなくなった。今はむしろオカマ丸の方が敵対した時に色々と構えなければならないだろう。科学者に限らず研究者ってのは時に妙な方向から予測や予定を覆しに来るから、本人に力があろうが無かろうが対策は必須だ。マッドは特にな。

 

 ……あー、なんか噂されてる気がする。よし、噂の元に影分身を送り出すか。

 

 

 

 

 

 side うちはサスケ

 

「なんか今俺の噂してたか?」

「ヴェッ!? あ、ああ、何だナルトか……いや、噂と言うか事実確認と言うかだな……ナルト!?」

「全く気配を感じなかった……どうやってここに侵入した!?」

「影分身って自分から結構離れた所にも出せるだろ? つまりチャクラコントロールを極めると大陸の端から大陸の逆の端に影分身を出すこともできる。常識だ」

「どこの世界の常識か全くわからんのじゃが?」

「えーと……なあヒナちゃん。このなんか頭の固そうなちっこい塵遁使いっぽい気配を漂わせるまるで三代目土影である両天秤の爺さんみたいな人は誰だ?」

「ヒナちゃん!? ま、まあいいや。ナルト君の言った通り、三代目土影で塵遁の使い手、三代目土影様だよ」

「へー。じゃあそこで這いつくばってる褐色筋肉モリモリマッチョマンは?」

「雷影様。サスケ君に顎先掠められて立てないみたい。多分もう少しで回復すると思う」

「なるほど。あ、久しぶり。元気してるか?」

「ああ。お前は?」

「寝ている間に闇討ちの心配とか放火の心配とかしなくてよくなったからすこぶる快調だ。……あ、どうも初めまして綺麗なお姉さん」

「ナルト君?」

「美人さんに美人さんと呼びかけることに何の問題があろうか。例え立場的にかなり上であろうが美人さんは美人さんだ」

「流石に空気読もう? 今真面目な話してる真っ最中だから。ね?」

「わかったわかった。あ、かつて自分の親友の前でその親友の初恋の相手を千鳥で心臓ぶち抜いて殺した木の葉の白い牙の息子さんじゃないですか」

「ゴベッ!?」

「カカシ先生が死んだ!」

「この人でなし!」

「人として扱ってもらえなかったからね!仕方ないね!」

 

 なんでナルトはこうちょくちょくブラックジョークをかましていくんだろうか。意味が解らないし笑えない。いやむしろ意味が解るからこそ笑えない。

 だがここで口をはさんでくるのが五影と言う奴だ。まあ仕方ないな、相手の狙いの一つである九尾の人柱力がこうして目の前にいるんだから確保しようとするのはおかしなことじゃない。ただ、勝てるとは思えないが。

 

「九尾の人柱力!」

「……」

「おい!聞いているのか!」

「……ごーめん俺ってば脳筋語は履修してないんだわ。自分の弟が無事に過ごしていることにも気付けなかった過保護な脳筋の脳筋語はわっかんねーわ。通訳頼めるか、サスケ」

「……お前に名前を呼ばれたのは初めてな気がするな。と言うか煽るのをやめろ。息をするように他人を煽るな。HBの鉛筆を指でべきっとへし折るように他人の心を抉るな」

「ねえ知ってる? 頭がカッチカチになった土影にも頭が柔らかかったことがあるんだぜ。この昔のテスト用紙を見ればわかる」

「……問一、『うってかわって』という言葉を使って文章を作りなさい。『土影様は薬をうってかわってしまった』……まあ、間違いではないな。×になっているが」

「三代目土影の昔のテストだな。ちなみに本人はすさまじく不満だったとか何とか。確かに『うってかわって』を使っているから外れじゃないんだよな。問題文が悪い。これを外れにさせたいんだったら『うってかわってと言う単語を使って文章を作りなさい』にするべきだ。それなら単語じゃないこれは外れになるから」

「おーいそこのお二人さん? (わり)ィんだけどうちのジジイが顔を覆ったまま動かなくなったからその話は後にしてくれっかー?」

「そんなことはどうでもいい!九尾の人柱力!貴様ビーの居場所を知っているなら今すぐ教えろ!」

「普通に感知すればわかるんだから無精をすんなよ」

「ナルト。残念ながらあいつらは感知タイプとか言いつつ探す対象のチャクラが活性化してないと精々1km程度しかわからないんだそうだ」

「……?」

「わかる。そうなるよな。普通感知タイプと言えばチャクラ感知の範囲は100km単位だよな。わかる。でも雲隠れだとその程度なんだと」

「マジかよ……サスケ、お前確か感知可能範囲は250kmだったよな?」

「少し伸びたぞ。まあ俺は当人のチャクラを知らんから感知できても誰のだかわからないんだが」

「で、俺?」

「らしい。色々できることとかできそうなこととか話したからな。ともかく、忍界大戦での憂いを無くすためにも雷影の弟の居場所を探してくれるとありがたいんだが」

「了解。探す」

「あとついでにお前の本体も隠させてくれると嬉しいんだが」

「自分でやってるからいらね。……居たぞ。あれだ、なんか演歌が上手そうな顔で大鉞持ってアライグマに乗った忍に歌習ってるっぽいな。地図ある?」

「知らん」

「シー!地図だ!」

「こちらに」

「現在地が……ここか。方角がこっちだから、ここにいるな。あとなんか近くに元霧隠れの怪人っぽいチャクラもあるから気をつけて。あいつ鮫肌と合体して巨大な水牢の術の中で水伝いに相手のチャクラを奪い尽くして生け捕りにする戦法を使ってくるからまともにやったら勝てないよ」

「ナルトならどうする」

「顔を見せた瞬間頭を殴り砕いて殺す」

「欠片も参考にならねえ……まあそう言う訳だ、頑張って探してくれ」

「一応感謝する!あとお前の本体も来ておけ!」

「見つけることができたら大人しくついて行ってやるよ」

 

 ……ナルトのその言葉でヒナタの目の色が変わったことについては何も言わないでおこうか。

 ……ん? 待った、本当に目の色変わってないか? 比喩とかじゃなく物理的に。

 




Q.白眼から物理的に目の色変わったらそれ転生眼じゃね?
A.せやで。なんか愛で目覚めるとか何とか言う話だったから行けんじゃねえかなと。

Q.なんで雷影の言葉ガン無視なん?
A.ナルチカの名前は『九尾の人柱力』ではありません。

Q.影分身ってそんな便利な術だったっけ……?
A.チャクラコントロールを極めつくせばたぶん誰でもできる(できるとは言ってない)


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NARUTO~128

 

 side 日向ヒナタ

 

 ……ちょっぴり本気で行こうと思う。だってナルト君が自分の意志で『見つけた相手について行ってやる』と言ってくれたんだ。それが有効な間に見つけ出してナルト君についてきてもらう!絶対だ!

 そう言う訳で私は白眼を全力で起動する。探すべきものはナルト君。だけど基本的にナルト君はチャクラを一切練っていないからチャクラを追っても意味がない。となると姿を追うことになるんだけれど、ナルト君は完全に透明になって気配も消している状態を『息を潜める』と言う。では『隠れて』いるナルト君はどこまでやるのか。最低限チャクラは出さないだろう。それから気配は消してかつ姿も透明化しているに違いない。ただ、それはあくまでもこの世界にいる場合の話だ。前に連れて行ってもらった異なる世界。異なる空間。時間の流れが捻じ曲がって外での一日が中での一年になる世界や、常に雪の吹き荒ぶ氷の大陸、昼は灼熱の太陽に焼かれ夜は極寒に震える大砂漠など、ナルト君は色々な世界を()()()いる。意味が解らないかもしれないけれど、とにかく持っている。その世界の入り口をどこかに作ってその中で過ごしているのなら、私の白眼でその入り口を見つければいい。

 入り口が閉じられているとその発見は困難だ。けれど今ならナルト君はチャクラを使ってくれている、だって今まさに影分身を使っているのだから当然だ。だったら内側から僅かにでもチャクラが漏れ出している所があるはず。綺麗な枠の形でチャクラが噴き出すようなところは早々ない。だからこそ探せばわからないと言う事は無いはずだ。ナルト君がチャクラを練るのを止めたら私には打つ手が無くなってしまうけれど。

 

「あー……初めまして、じゃないんだよな?」

「そうだね。ところで六代目のそのマスクの下って凄いたらこ唇だって噂を聞いたことがあるんだけどマジ?」

「事実とは異なるよ。と言うか誰から聞いたのそんな噂?」

「ちなみにたらこ唇の他には出っ歯だとかおちょぼ口だとかケツ顎に詰め物してるとかちょろりと黒子から毛が生えているとかそういう噂もあるけどマジ?」

「全て事実とは異なるよ!と言うか誰だそんなことを初めに言いだしたのは!」

「そういう噂の出所を探るのって難しいよな。あ、じゃあこれも嘘かな? なんか生徒達を六時間近く待たせておいて自分は木の葉の里で変な曲に合わせて変な踊り踊ってたって噂があるんだけどマジ?」

「あれは俺じゃない!俺じゃないんだ!俺の顔をした誰かなんだ!俺じゃないんだ!」

「なんか止めようとした奴を相手に写輪眼使って技をコピーして反撃したとか言う話もあるけど」

「違う!俺じゃない!」

「千鳥も使ってたらしいけど」

「違うんだぁぁぁぁぁぁ!」

「なんか巻き込まれた人がいるそうだよ。メイって名前だったっけ? 違う気もするけど仮称メイさんね。なんか踊りに巻き込まれて一緒になって踊ったら足の小指を机にぶつけて悶絶している所を知り合いに見られてドン引きされたとか。ちなみにその時に爪が剥がれて血痕(結婚)()()()()()()()()()らしいね」

「知らないんだけど何それ!?」

「ちなみにその仮称メイさん、曲がり角で偶然ぶつかった相手とのラブロマンスを経て結婚し、マイホームで幸せに暮らそうとしていたところでペインにマイホーム壊されたって話だ。切ないね」

「どうやってそう言う情報集めてくるのかはほんとわからないよな。どこから集めてくるんだ?」

「ペイン六道は相手の記憶を読み取り、さらに魂を奪って殺す術が使えるそうだよ」

「知ってる。……おい、その言葉が出てくるってことはお前まさか」

「いや? 術なんだったら再現性がある。再現性があるなら再現すれば使える。つまり一遍見れば真似られる。と言っても塵遁の方がよっぽど簡単だったくらいには難しいけどな」

「ああ、そうじゃ。お主塵遁が使えると聞いたが本当か?」

「印なしで使えるぞあのくらいなら。ほれ」ゲンカイハクリー

「 」

「他の血継限界も使えると聞きましたが」

「全部出すの面倒だから火木水雷土の基本性質に陰遁と陽遁を加えた血継網羅だけな。ほれ」グドウダマー

「 」

「そう言えば前に砂で『うちはマダラを名乗っているうちはオビトと言う奴』の話をしていたな。もしかしてさっきまでここにいたあいつか?」

「あ、テマちゃんお久。新しい黒歴史仕入れたんだけど暴露していい?」

「ヤメロォ!」

「どういう事だ? オビトは死んだはずだ!」

「あ、そう言えば俺の記憶を消したんだからそりゃその話の記憶も無いわな。要するに『NARUTO~90参照』(カクカクシカジカ)って話を前にしたんだけど忘れさせてたな。サーセン」

「……つまり、あれか? あそこにいたのが、オビトだと?」

「多分。ちなみに前に教えた時にもそんな顔してたわ」

「……………………なんで俺の記憶からそれを消したァ!」

「俺が密接に関わる記憶だったからだね。文句なら俺に木の葉を離れる決意をさせた木の葉の上層部の奴らに言いな。……ん? その手はなんだ? 雷切か? 雷切っちゃうか? 俺が消えたらどうする? ん?」

「だから呼吸するように煽るな千鳥!」

「おいやめろよ!服に皺ができるだろ!」

「皺……全力の千鳥で服の皺の心配をされた……わかってはいたけど相変わらず心折れるわー」_(:3」∠)_

「どうしたサスケ? なんだ? 倒れている奴の心臓の鼓動音でも聞いているのか?」

「相変わらず意味わからねえしよ……」

 

 ……みーつけた♪

 




Q.何を見つけたの?
A.多分次回わかる。……次々回かな?

Q.カカシはどんな顔してたの?
A.原作でナルトがオビトの面を叩き割った時にしてた時のような顔


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NARUTO~129

今のアンケートですが、戦争開始までで打ち切らせていただきます。
これからも寝たいだけシリーズをよろしくお願いします。


 

 side 日向ヒナタ

 

「ナルト君」

「ん?」

「……(ボソボソ)」

「……正解。やりよる」

「いっぱい修業したからね」

 

 ナルト君の今いる場所を伝えると、驚いたような顔でナルト君は私を見た。流石にこの速度で見つかるのは想定していなかったんだろう。私も正直見つかるまでやるつもりはあってもこんなにすぐに見つかるとは思わなかった。予想よりも大分近くにいて驚いたくらいだ。

 ……まさか、終末の谷にこっそりと隠れ潜んでるとは思わないよね。普通里からいなくなった場合は里からはできるだけ離れようとするものだし、ナルト君なら最低でも大陸の外、もしかするとこの星を脱出して月か火星にでも移り住んでいるんじゃないかってところまで考えてたからね。びっくりだ。限界まで遠くを見ようとする前に慣らしで大陸中を散策しておいて本当に良かった。

 でも、これでナルト君は私についてきてくれる。まあ、いつからいつまでとは言ってないし、私のお願いを全部聞いてくれるわけではないだろうけど……ちょっとでも一緒に居られるのは嬉しい。

 

 それに、ナルト君が誰かを相手に勝つために戦って負けるというのは想像できない。ナルト君なら例え相手がナルト君より強かったとしても最終的に自分の目的は果たして見せそうだ。自前復活とかしそうだし。

 だから私はナルト君の事についてはあまり心配していない。ただ私が一緒に居たいと思ったから探しただけだ。偶然でも見つけることができて助かった。

 ……まあ、見つけるついでにものすごい物も見ちゃったんだけどね。

 

 ナルト君の中の世界。九尾の九喇嘛さんや一尾の守鶴さんが住む世界。その中に大きな大きな樹があった。

 樹はいくつもの実をつけて、実はナルト君の中の世界である大地に落ちて、ナルト君のチャクラを吸い上げてどんどんと大きくなっていく。まあ、どれだけ大きくなってもナルト君の世界の方が大きすぎて大した事は無いように見えたし、なんならその樹が増えていく速度よりナルト君の世界が広がっていく速度の方がよっぽど早く見えた。だからナルト君の世界が枯れるような事は無いと思う。

 けれど、ナルト君の世界から見たら一本のもやしのひげ根よりも小さく見えるその樹は、現実に持ってきたら天空を貫かんばかりに大きな大樹。大きさからして……月にまで届きうるんじゃないかな? ただ、その場合にはナルト君からたっぷりと貰えていたチャクラが突然ほとんどなくなって暴走を始めそうだからできれば出てこないでほしいけど。

 その樹を育てるためにナルト君はチャクラを練っていた。一億とか一兆とか、もしかしたらそれよりもずっと多い影分身を出して、どうやってか影分身に分け与えたチャクラを回復させてから取り込んでチャクラを増やしていた。……私が同じようなことをやってもチャクラは増えなかったから、多分あれはナルト君の体質みたいなものなんだと思う。正直どんな血継限界よりもナルト君のその体質が恐ろしい。だってあの速度でチャクラ増やされたら誰も追いつけない。勿論私だって追いつけない。と言うかまだ増えるんだね、チャクラ……どこまで増やすの?

 

 目を見て聞いてみた。増やせる限り限りなく、と言ったニュアンスの思考が私に流れてくる。ナルト君と繋がっているこの感覚は好きだけれど、少しだけ恥ずかしくもある。ナルト君の思考は全部流れてくる。それはつまり私の思考も全部流れていると言う事。隠し事も誤魔化しもなく、全部。流石にそれはちょっと恥ずかしい。

 でも、これはとっても便利だ。言葉ではなく思いが伝わる、と言えばいいのだろうか。人間が言葉を使う際に起きる意味の取り違えなどが全く起きないし、時間も一瞬で終わる。誰かにこっそり聞かれることもないし、距離すらある程度無視できる。チャクラの消費も身体への負担もほぼ無い。まあ、使い続けたことが無いから副作用なんてわからないし、ナルト君以外と繋がりたいとは微塵も思わないから構わないと言えば構わないんだけれど。

 ちなみに、何か副作用ってあるの? 繋がり続けていると溶け合って一心異体になるから感覚がおかしくなるくらいだな。どのくらいの時間でそうなるの? 相性次第で長くも短くもなるしそこまでつながり続けた相手とか居ないからわからん。ナルト君は私と一緒は嫌? 多分残滓すら残さずただ飲み込むだけになるから嫌だね。そっか。じゃあほどほどにするね。止めないんだな。ナルト君が好きだからね。そうか。そうだよ。熱烈な告白だな。前から分かってたくせに。直接言われなければスルーするつもりだったしそうして来ただろうが。じゃあこれからはスルーはしないでね? わかったわかった。

 

 ……あ、ナルト君を見つけはしたけど五影の人たちに場所伝えるの忘れた。まあいいや、どうせあの人たちじゃあ見つけられないと思うし。

 




Q.よくそこに隠れてたの見つけられたね?
A.ナルトがチャクラを練って無かったら見逃してたと思われます。

Q.嘘吐き絶対焼き殺すガール的な感じになったりは……?(震え声)
A.ナルチカ限定なので安心するべし。


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NARUTO~130

 

 side うずまきナルト(再不斬)

 

 オカマ丸とイラチ、カブタックと共に行動している再不斬モードの俺と白モードの俺だ。しかし、結構気付かれないもんだ。まあこの俺とイラチがオカマ丸に引き合わされた時に思いっきりぶちまけて俺だとバラしたけどな。

 ちなみにその時の内容は『おっと親友の死を看取って遺品に眼球貰ったサスケのお兄さんじゃないか!眼球に飼ってるおたまじゃくしはまだ元気か?』だ。トラウマ掻き毟られて死にそうな面してたが病気は治っているし大丈夫だろう。多分。なお俺達を引き合わせたオカマ丸は愉悦顔をしていた。ついでにオカマ丸にサスケの身体を売ったのがばれていたのは恐らくオカマ丸の意趣返しだろう。色々こっちも振り回したからな。

 なお、こうなった時のための言い訳もしっかり用意してある。『サスケの身体を狙っていたオカマ丸は殺しても何らかの形で自分を蘇らせるのが目に見えていたからサスケ本人を守るために何をすればいいかと考えたらサスケの身体だけ新しく作って渡せばサスケ本人には被害はなくオカマ丸も蘇っていい事尽くしだと思ったから実行した』という物だ。実際には蘇る度に殺せばそれで終わりだが、蘇る度にわざわざ探し出すのは究極に面倒臭い。異空間で蘇られたりしたらまず察知できないしな。流石に異空間まで持ち出されたら察知にそれなり以上に気を割かないといけないし。

 

「そんでどうする? 俺としてはこの世界が戦争を続けることができなくなる程度に痛めつけられてから全部ひっくり返してやれば暫くは平和になると思うんだが」

「木の葉にまで被害が及ぶだろう。それは無しだ」

「まともにやっても結局被害は出るんだから出る被害を有効活用するべきだと思うがね。できる限り無駄にならないように」

「……それは、救える命を捨てると言う事か?」

「一応言っとくが俺は未だに木の葉の事が嫌いだからな? 三代目の爺さんの遺言で一回だけ木の葉の里を救っただけでも俺の認識では奇跡が何回か起きてたレベルだ。俺に言わせれば、先に俺を捨てたのはあっちだ。捨てられた側が捨てた側の事を気にかけてやる理由はないね」

「……」

「おいおい怖い顔するなよ。俺は邪魔をしようってんじゃない。単に俺の力を木の葉を救うことに向ける気は無いと言うだけだ。俺が行動した結果勝手に救われているならともかく、木の葉を救うために俺が何かをする事は無い。あと俺にそれ(・・)は通らないから無駄遣いしないで引っ込めておけ。前にもそれの片割れを使ってきた爺がいたが木の葉の地下で灰になってるぞ」

 

 なお実行したのはイラチの弟であるサスケだ。そこまでのお膳立てとして情報を探り、本人を見つけ出し、顔の眼球を抉り、腕の眼球を腕ごと捥ぎ取り、チャクラを奪い、植え付けられた初代火影の細胞を暴走させて動けなくしたのは確かに俺だが、俺は決して殺していない。殺したのはサスケだ。悪いとは言わないが。何しろあの根腐れ野郎は俺にとっては不倶戴天の敵だったからな。死んでくれてむしろ助かった。礼を言いたい。実際言った。影分身が。

 しかし有能だからこそイラチは面倒だな。結局のところどうすれば満足なんだ?

 

「お前にサスケはやらん」

「俺は男を抱く趣味も男に抱かれる趣味も無いんだが」

「サスケの何が不満だというんだ!」

「性別だろうな」

「さてはサスケを女に変えて抱くつもりか!サスケの貞操は俺が守る!」

「流石にそこまで行くと相手の了解を取った上での事になるから安心していいぞ。あと落ち着け」

「サスケの何が不満だと言うんだ!女に変わってもサスケは愛らしいだろうが!」

「落ち着けスカタン眼球にラー油を塗り込んで滑りをよくするぞ」

「……ナルト君がツッコミに回っているなんて、珍しい物が見れたわね」

「そこでしみじみ頷いてるオカマ丸も少しはこいつを何とかする努力をしろ話が進まん」

 

 特に抱かれる方となると俺の好感度が相当高い相手じゃないとな。そこまで行ったことがあるのは今のところ男では一人くらいじゃないか? 他の知り合いの男どもはそもそも俺に恋愛感情を抱くような質じゃないからそういう関係にならなかっただけかもしれないが。

 兎にも角にも落ち着いてもらわないと話が進まない。と言うか俺は別にサスケが目的じゃないんだがな。サスケ目的はどっちかと言うとオカマ丸だろ。あれだけ堂々と『サスケ君の身体が欲しい』とか言ってたくせに。お前のせいで何人か腐海に行って帰ってこなくなった奴を俺は知っている。バクラとかな。

 ともかく、俺は別にサスケの身体や貞操を狙ってはいない。

 

「嘘だっ!」

「お前一遍寝てろ」

 

 ガッシ、ボカッ!イラチは気絶した。スイーツ(笑)

 

「なんで私まで……」

「なんで僕まで……」

 

 見てたのに解決しようとしなかったから。

 




Q.イタ……チ?
A.現在ブラコン爆発中です。

Q.戦争前だってのに呑気だなオイ
A.戦争中に呑気になるよりゃマシでしょ。


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NARUTO~131

 

 side うずまきナルト

 

「はいそう言う訳で短い間ですがやっていきたいと思います、うずまきナルトの追い込み修業時間のコーナー。今回の生徒さんはこちら」

「日向ヒナタです。チャクラを奪われないようにコントロールする術は手に入れたので今度は攻撃力が欲しくて来ました」

「うちはサスケだ。須佐能乎の新たな可能性について色々と聞きたくて来た」

「はたけカカシです。……え、ちょっと待ってこれ何なの? いつもこんな感じなの?」

 

 ……チッ、空気読めねえなこのカラシ野郎。頭ん中空っぽか? オズの魔法使いの案山子かよ?

 

「まあ大体こんな感じ。まず初めに今の自分の目標を宣言することで『それを使うことができるようになった自分』を想像しやすくすることができるし、気合も入る。目標設定は結構大事」

「毎回手を変え品を変えはしますけど、大体こんな感じですね」

「慣れろ。俺は慣れた。そして慣れる度にまた上を行かれる」

「……あっそ。まあともかく、はたけカカシだ。ナルトの言う『効率のいい修行』を見に来た。もしかしたら俺にもできるかもしれないからな」

「「絶対無理」」

「チャクラが足りないからまあ無理だと思うぞ。見るだけなら好きにしてくれて構わんけども。

 さて、それではいつもの通り生徒たちにチャクラを分け与えていき、同時に多重影分身の印を組んでもらいます。それから術を発動すると……」

「「多重影分身の術!」」

「このように各々千兆体の影分身が出来上がります。影分身の経験は本体に蓄積されるため、十分から三十分、長くても一時間ごとに全ての影分身の経験を蓄積させるために修行の内容をしっかりと反芻しながら術を解いてもらいます。するとたったの一時間で千兆時間、日数に直して四十一兆六千六百六十六億六千六百六十六万六千六百六十七日分、月数に直して一兆三千八百八十八億八千八百八十八万八千八百八十九ヶ月分(小数点第一位を四捨五入)、年に直して千百四十一億五千五百二十五万千百四十一年と半年強。それだけの分の修行ができます!」

「……えっ? 死なない?」

「精神的に死にそうになったらこの月の光の懐中電灯を使うことで精神を回復させることができるぞ!正気度は……まあ元から在って無いようなものだから気にすんな! さあ修行だ!サスケは須佐能乎で防ぐことができるものについて色々知っておくべきだ。恐らくだが、須佐能乎は力そのものを遮断できる。何が言いたいかと言うと、重力を遮断すれば空を飛ぶこともできるはずだと言う事だ!やってみろ!」

『おう!』×千兆

「ヒナちゃんはあれか、威力のある必殺技が欲しいんだな? だったらこれだ、螺旋丸。仙術を合わせたり性質変化を合わせたりすればいくらでも威力の上がるいい術だぞ!ちなみに自然エネルギーと身体エネルギーとをいい感じに混ぜた仙法螺旋丸は、チャクラのプラスマイナスをちゃんと理解できるようになり、かつそれを扱いこなすことができるようになると尾獣玉が生身で撃てるようになったりするから頑張ってみ!」

『はい!』×千兆

「とりあえず十分だ!十分やったら十五分休憩、それからまた十分修行、十五分休憩と繰り返していく!暴発させて死ぬなよ!」

『了解!』×二千兆

「まあこんな感じ? やります?」

「死ねるからやめとく……ああ、いや、十とか百とかなら疲れるだけで済む……か? と言うかチャクラは平気かこんな使って」

「忘れてるかもしれないから一応言っとくけど俺影分身だから。影分身でもこの二人をそれぞれ千兆体に影分身させるのを二十五分ごとに一月繰り返しても全然平気。それが俺だから。尾獣にすら『お前人間じゃねえよ。人間の姿をしてるだけの人間以外の何かだよ』とドン引かれるから」

 

 おっとカラシ野郎も引いた。そして頭痛そうだ。

 

「まああれだカカシ、慣れろ。ナルトなら例え死者蘇生とか時間停止とか時間逆行とか世界間移動とかイザナギを幻術返しして自分の好きなように世界を弄るとかそういう事を当然のようにやってきても何もおかしくないから」

「そうですよカカシ先生。ナルト君なら自分のチャクラを世界中に広げてからチャクラ吸収で全てのチャクラを自分に集束させて奪い尽くしたりとか十尾に幻術をかけて輪廻写輪眼でイザナギ使わせて相手の願いも努力も根本から粉砕したりしても何もおかしくないんですから」

 

 流石に十尾に幻術は無理……ああ、いや、写輪眼で幻術掛けられるはずだからいけない事は無い、のか? だが写輪眼って元が十尾の瞳術だから効果あるか怪しいな。写輪眼同士なら問題ないはずだが、効くか?

 

「……ともかく、俺も参加したい。数は百くらいで―――」

「わかりました百京ですね」

「単位がヤバい!? 違う!俺初心者!人外道初心者だから!いきなりその桁数は無理!精神が焼き切れて死ぬから!」

「いやいやいけるいける」

「いけない!行けないって!」

「えー? じゃあ一万くらいにしとく?」

「いや、だから百……」

「え? 百万?」

「だから桁がおかしいっての!百!ただの!百!」

 

 仕方ないのでカラシは百だけ出して修行させた。寂しいねぇ……二千兆と一人の中に百人がぽつんと……寂しいねぇ。

 




Q.ぅゎなるとっょぃ
A.人外道師範の実力は伊達じゃないですね

Q.カカシは……どんな強化がされるの?
A.チャクラ量増加、視力回復、持ち物に仙豆を追加、くらいですかね?


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NARUTO~132

 

 side うちはサスケ

 

「重力の遮断が上手くいったか!ならば次は熱の遮断だ!この溶岩の海の中で須佐能乎を使ってバタフライをしてもらう!百兆体でいいぞ!」

「別の百兆体は電撃の遮断だ!この雷霆奔る積乱雲の中で重力と共に雷撃、ひいては電子を遮断してもらう!」

「熱を防ぐべきなのは何も外側から内側への熱に限ったものではない!氷遁などで周囲が極寒になれば身体のパフォーマンスは落ちる!そこで百兆体は今から絶対零度の氷の大陸で自身の体温を守り抜いてもらう!」

「完全に遮断するのも大切だが、物によっては少しだけ通さなければならないものもある!空気とかな!そこで俺が音を使った幻術を使うから音は防ぎながら空気だけを取り込め!音に百兆、熱に百兆、冷気に百兆、雷に百兆、そして風遁で斬撃や砲弾を使うからそこから必要量だけ取り込むのに三百兆だ!」

『おう!』×千兆

 

 そして十分後。俺は灰になっていた。真っ白な灰に。月光灯を浴びながら休むことで徐々に回復しているが……死ねる。まあ一番最初が一番きつい。二回目以降は慣れる。問題ない。大丈夫だ。多分な。

 ……死ぬほど疲れていた精神が不思議とどんどん回復していく。体力もチャクラもたっぷりだ。

 

「じゃあもう一回同じように分かれてやってもらう。死ぬなよ」

「死んでたまるかよ」

 

 俺はナルトのチャクラを受け取りながら、全力で多重影分身を行った。

 

 

 

 

 

 side 日向ヒナタ

 

「ヒナちゃんは体術型だ。しかし運のいいことに螺旋丸と言う技はチャクラコントロールさえできれば体術型だろうが何だろうが問題なく使用できる術の一つだ。チャクラの放出とコントロールさえできればな。そういう事でまずはチャクラを乱回転させて水風船を割って」

「出来たよ!」

「じゃあ次同じようにゴムボール割って」

「出来たよ!」

「最後に風船を割らずに中で螺旋丸作って」

「出来たよ!」

「じゃあ次。自分の性質わかる?」

「ううん、わからない」

「ちょっと指借りるよ(ぱくっ、ちゅー)よし、雷だね」

「今ので分かるんだ……じゃあどうするの?」

「雷の性質変化を極めてもらいます。雷は主に振動と活性だから、今回は振動かね。ここに塩の棒を用意したから、チャクラだけで塵にして」

「頑張る!」

 

 七分後、私は大量の経験を受け取って倒れていた。仙豆は精神までは癒してくれないけれど、カロリー的には凄くありがたい……たくさん頭使ってお腹空いた……でも経験を大量に詰んだおかげで最後に一応塩の棒を崩壊させられたから一応満足……これ難しい……。

 でも、前に進むのがこんなに早くなるのはナルト君がいてこそだ。前に進みたくても進めないより、ちょっと無茶をして進めるならそっちの方がいい。特に今は戦争一歩手前で何が何でも力が欲しい時だからね。

 でも、まだいける。まだ頑張れる。十五分の間に全力で頭と体を休めて、それからまた影分身を使う。死ななければどんどん強くなれるよ!やったね!

 

 

 

 

 

 side はたけカカシ

 

 百人でもツラァ……いやまあ確かに有効な方法だってことはわかる。解るんだがツラァ……。

 とりあえず俺は神威の事を知っていく事にした。ナルトの言う通りあの面の男がオビトだとして、あのすり抜ける技が神威によるものだとすれば、何となくだが見えてくるものがある。

 まず、俺は自分の影分身を神威で消し去る。そして消えた先で影分身が見たものを俺も理解する。

 異空間。神威は物を消す技ではなく、物を異空間に送る技。ならば攻撃をすり抜けたように見えたのは相手と接触している部分のみを異空間に飛ばすことですり抜けているように見せているだけ。つまり、こちらの世界の攻撃と神威の異空間での攻撃を同時に同じ場所に行えば、攻撃を通すことはできる。

 

「じゃあ俺の影分身を一体向こうに送っておいてくれね? あっちに現れた時に即効向かって殴り倒すから」

「今送っても戦争までに消えてしまうだけだと思うんだが」

「大丈夫だ。影分身も寝ればチャクラが回復するからな」

「うっそだろマジか」

「それにどこに出るのかわからないことに関しては気配察知でどうにかなるから安心しろ」

「うっそだろマジか」

「それに万が一誰かがそっちの空間に取り込まれたら手当てして待ち伏せとかもできるようになるしな」

「それは便利だな」

「それに出るだけなら出れると思うし、一度入ったら多分マーキングを残しておきさえすれば飛雷神でまた入れると思うし」

「飛雷神とかマジか」

「黙ってたけど四代目火影、つまり俺の親父も生き返ってるんだよ」

「うっそだろマジか」

「だから習った」

「俺も習いてぇ……無理か?」

「百億人出せば半日で覚えられるよ!」

「いやどす」

 

 百億人とか絶対発狂する。まともな人間に耐えられるとは思えない。サスケとヒナタはほら、もう人間じゃなさそうだし。

 

「ちなみに俺のチャクラも混ぜて影分身している以上あいつらの経験と疲労は俺にも入ってきます。疲れる」

「単純計算であいつらの二倍の疲労とかお前よく平気だね!?」

「俺は俺で毎日暇があれば限界まで影分身してたりするから。一応言っておくとあいつ等にやらせてる数とか目じゃないよ? 桁が違うよ? 五回ほど累乗しても届かないよ?」

 

 やはり人間じゃねえ……これが最強と謳われる九尾の人柱力の実力か……!?

 




Q.頭おかしくない……?
A.いつも通りおかしいですね。

Q.ヒナタさん器用すぎない?
A.今までの修行の成果です。

Q.カカシは飛雷神使えるようになるの?
A.その予定。


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NARUTO~133

 

 side うずまきナルト(再不斬)

 

「こんな感じで弟さんはどんどん強くなっているわけだけどお兄さんの方はどうする?」

「サスケを増やしてサスケハーレムを堪能するとは……この外道!」

「お前キャラ崩壊激しすぎないか?」

「ナルト君。私もそれやってもらっていいかしら」

「いいよ。オカマ丸はなんか精神的に頑丈そうだから最初から一兆体くらいでいいか?」

「百万ぐらいからお願いするわ」

「僕もそれぐらいからお願いします」

「サスケにも君にも負けてはいられない!サスケの純潔は俺が守る!十垓だ!」

 

 キャラ崩壊的にも精神疲労的にも大丈夫かこいつ? いやまあできるが。十垓な……いやいや、本当に大丈夫か? 本人がそれを求めているなら俺はそれをやるし、俺のチャクラで構成されている以上俺の方も俺が使えない術を体感できるから悪くは無いんだが……大丈夫か? マジで。

 あと俺は別にサスケの純潔を狙ってはいない。ブラコンが過ぎて正気失ってんじゃないのかこいつ? SAN0か? 大丈夫? サスケの写真いる?

 

「くれ」

「何も言ってないぞ俺」

「いいからくれ」

「……はい、任務の途中に返り血を頭から浴びてしまったので水場で水を浴びているサスケの写真」

「貴様さては覗いたな!?」

「覗くと言うか普通に話しながら水浴びしてたけど」

怨怒霊ェエエェェェ!!

 

 突然イラチが襲い掛かってきた。合気で投げたが須佐能乎で殴りかかってきた。須佐能乎ごと合気で投げた。影分身達が全員同時に天照してきた。炎と同化して吸収した。イラチが自分に月読をかけて思考速度をクソほど加速させながら天照を纏わせた完成体須佐能乎で襲い掛かってきた。お前こんなことできるんだったらもっとちゃんと戦っとけよという思いを込めて同じ方法を取りながら襲い掛かってきていた影分身ごとチャクラエネルギーソードで薙ぎ払った。なんかオカマ丸とカブタックも巻き込まれたようだが知らん。と言うかあれだな、須佐能乎はチャクラでできているだけあってチャクラコントロールを極めれば思考と同速度で動かせるんだな。月読を自分にかけて思考速度を上げて完成体須佐能乎で襲い掛かってくるとか流石に予想外だった。

 だが、これができるんだったら今度木の葉の修行にバクラを巻き込もう。色々あって幻術が得意になっているバクラならサスケに思考速度を上げさせるだけの幻術をかけてやることもできるだろう。で、本人にも時空輪廻を練習させつつ修行で汗をかいたサスケの水浴びシーンとかそう言うのを見せてやればいい感じに火力の出る記憶にできるはずだからこれでwin-winだな。

 天照が効かないとわかったのか天照に回す分のチャクラを速度と剣に振って襲い掛かってくる。あれは斬られたり貫かれたりすると封印されてしまうらしいが、まあ刺さらん。こんな物が刺さってしまうほど軟ではない。

 だがまあこれもまた修行と思って回避していく。前にサスケを女にして孕ませるぞ的なことを言ったのも今の暴走の原因の一つだろうし、いきなりチャクラの供給を止めて気絶させたりはしないでおく。実際イラチにとっては修業になるはずだし。

 しかしあれだな、イラチの奴はっちゃけたな。サスケやヒナちゃんもはっちゃけてるが、一気にそれに追いつけるレベルではっちゃけられるってのもまた凄い。

 

『お前のせいだろうが』

『無理だろ儂よ。ナルトに何言ってもナルトは変わらん』

『そうだな。つきあいはそんなながくないがおれでもわかる』

『わかりたくない(白目)』

『重明、お前複眼が全部真っ白になってるぞ。ショウジョウバエの遺伝の実験で出てくるあれみたいになってる』

『蠅じゃねえ昆虫王者だ』

『お前その渾名マジで気に入ってんのな』

『正直、めっちゃ気に入ってる。重明と呼ばれるのが一番なのは当然として、少なくとも七尾何て名前とも言えない名前で呼ばれるのより遥かに良いな』

『なおくらまはろりぎつねである』

『うるせえショ狸ハイエースされてろ』

『うるせえショ狸裏ビデオに出演してろ』

『ぺどぎつねだったっけか』

『『ナルト!ショ狸になんか付け加えるひどい渾名を考えろ!』』

 酷い渾名を所望とは……ロリ狐は中々性格が悪い。いくら俺でもショ狸が時々出てくるカボチャパンツで白馬に跨る王子様みたいな格好していたら大爆笑だよなとかそんなこと……。

『なんかふくがきょうせいてきにかわってってるんだがこいつはどういうことだおい!?』

『m9(^Д^)』

『m9(^Д^)』

『くらま!きさまをころす!』

『お? やるか? やるのか白馬の王子様(笑)』

『白馬に跨ってから出直して来いよ王子様(笑)』

『穆王が一番馬に近いな……いや、姿が変わっているだろうから今どんな姿なのかはわからんか』

 俺の想像が正しければN・アクア・ドルフィンのような姿になってると思うがね。こんなだ(正面からの絵)。

『『『『キモッ!!?』』』』

 故にキモイルカなのだよ。

 

「 」

 

 おや、イラチが経絡系にチャクラ回しすぎて倒れた。一旦終わりとしよう。

 




Q.イタチ……さん……?
A.病弱治って前向きになったら吹っ切れてこうなりました。ブラコン怖い。

Q.イタチさんつっよ!? サスケとどっちが強い?
A.よーいどんで始めたらサスケが須佐能乎発動するより先に自分に月読からの完成体須佐能乎発動そして攻撃で必殺できます。ちなみにヒナタは防戦一方になっている間にミスって攻撃を喰らうかミスらず相手のチャクラ切れを待てるかでどちらが勝つか決まります。


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NARUTO~134

 

 side うずまきナルト(影)

 

 影分身の俺は今日もサスケとヒナちゃん、カラシの修行に手を貸しているんだが、ここに新しく一人追加されることになった。

 

「春野サクラです。医療忍術と幻術、それとちょっとした体術を修めています。目標はナルトに貰った禁術をマスターすることです」

「それだけじゃなくサスケの強化もしてもらう。サスケに思考速度を上昇させるだけの幻術をかけてやれば、その思考速度でチャクラコントロールをすることにより須佐能乎の能力が格段に上昇するだろうと踏んでの参加になります。勿論本人の強化もするから楽しみにしてね。何人から行っとく?」

「五千兆からで」

「「止めろ死ぬぞ」」

「今までも色々やってきたなら大丈夫!がんばれサクラちゃん!」

「頑張るわ」

 

 そう言う訳でバクラが参加することになった影分身修行だが、チャクラコントロールを極めようとしていたバクラにはうってつけの修行方法だったらしい。実際、この修行って身体能力によらない感覚的な物に対して単純な結果を求める時が一番効果が高いんだよな。チャクラのコントロールだとかそう言うのに最適。逆に体力作りには不適。なぜなら身体に負担がかかる運動量だと影分身が消えるから。チャクラの集束が過ぎて火傷するくらいになると影分身も消えるな。俺のはともかく。

 さて人数を増やした修行だが、問題が一つ。数を増やしすぎて戻ってきた時に発狂してしまったカラシを殺害から蘇生して発狂状態を解除したんだが、その場にいる誰も倫理的に問題がありすぎるこの光景に何も言わなかった。状況やらなにやらから最終的に生きているんだったらそれでいいと言った感じなようだが、そもそもこいつら全員死に慣れすぎていると考えられる。バクラの場合は記憶に何度も何度も刻み付けすぎて焼き払っても記憶が死の形に固定されてしまった部分があるのかもしれない。

 そんな訳でそこそこに強くなれたカラシは六代目として復帰……と思ったら五代目であるナメクジ女が昏睡状態から復活。再び火影として行動し始めたためカラシは暇になって出戻りしてきた。ちなみにその時俺は笑った。

 

 時空輪廻の術は隠遁の究極系とも言える術として作り上げた。世界全てを幻術にかけ、一度体験した未来を記憶したまま自身を含めて過去に戻る。戻った時にはしっかりと記憶があるのは本人だけで、本人が全く同じ行動をすれば未来は全く同じ形になるが、違う行動をとればそれ相応の形に未来は変わる。イザナギとの違いは、自分も幻術として消してしまうことでリスクが全く無い事だ。なにしろ術を発動したという事実そのものが幻として消えてしまい、結果だけが時空輪廻を発動する以前の時間の自分に伝わるのだから。

 ただし対象が世界という非常に広い物である以上、相応のチャクラを消費する。加えて自身の記憶の保護をするために正確なチャクラコントロールが必要になる。

 そこでバクラの五千兆の影分身のうち、本体を含めた二千五百兆に陰遁の強化をさせもう残りの二千五百兆にチャクラコントロールの修行をさせる。基礎は木登り、次に水面歩行、それからチャクラ糸を作らせ自在に動かさせ、模様を作ったり編み物をさせたりして、さらに一度チャクラ糸で作り上げた布を糸ではなく板に変え、そこから一本ずつチャクラ糸を引き抜いて元の糸の数にさせたりもした。ちなみに俺はチャクラ糸で作ったナスカの地上絵を立体化させた物を動かし、サスケの完成体須佐能乎を追い掛け回していた。地縛神の魚っぽい奴だ。サスケは溶岩水泳をしながら必死に逃げていた。

 やっぱり修行には時間が必要だが、その時間が無い時には数で補える影分身は便利すぎてやばいな。それにこの方法だとバクラが時空輪廻を覚えたら俺も使えるようになるわけだし。超便利。

 ……こいつらここまで俺に頼りっぱなしだと後々俺に頭上がらなくなるんじゃないか?

 

 とにもかくにも修行を続けていたんだが……ナメクジ女によって俺は雲隠れの飼ってる大亀の所で過ごすことになってしまった。まあ影分身残していけばいいだけだから全く問題はないけどな。俺自身影分身だし、場所は覚えているから転移とかも可能だしな。

 まあこいつらにとっては何も変わらないし、俺にとっても新しく分身が一つ少し遠い所にまで行くだけでしかない。さっさと行くか。

 




Q.五千兆は流石に無謀過ぎないですかねサクラさん……
A.精神力だけで言うならナルトの弟子三忍の中で最強はサクラです。POW21くらい。SANチェックは確定成功。ただしSANの現在値は幻の一桁。いい幻術を見るとモリモリ回復、悪い幻術でガリガリ削減されます。

Q.上の説明読む限りサクラって精神的に神話生物にしか思えないんだけど?
A.男からすれば女子はみんな神話生物みたいなものでしょ(暴論)まあ逆もまた然りですが。


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NARUTO~幕間の物語6

戦争開始は137です。


 

 side うずまきナルト

 

 戦争目前だが、今回は俺の……何だ? 内弟子? まあそんな感じの存在であるヒナちゃんこと日向ヒナタと、サルケことうちはサスケの修行風景を見ていこうと思う。バクラ? バクラはまだ内弟子ってほどでは……。

 

 まずはヒナちゃん。トリコにおける屈指のチート技である『裏のチャンネル』を体得するためにアナザとニュースを食べ、クリームぜんざいのノリで仙豆とアースを使ったなんちゃって善哉を大量に食べる。そして周囲の時間を置き去りにする速度で動き回れるようになったヒナちゃんだが、すぐにエネルギーが切れてしまう。……食没も教えた方がいいかもしれない。と言うかむしろ食没こそ先に教えるべきだったかもしれないと今更になって後悔しつつ、とある寺で行われていた修業を精神世界で再現し、なんとかかんとか実時間五分程度で食没を体得させた。ちなみに精神世界の時間では二年ほどかかっているが、加速させまくったおかげで脳の栄養が足りなくなって漸く食没できるようになった。なお、食没ができるようになったことで多少ヒナちゃんのエネルギー問題は改善したが、解決には程遠い状態なのは変わらない。

 これと同じことをサルケがやりたいと言っていたが、サルケの場合燃料タンクが小さいから無理だと答えておいた。と言うか多分こいつの場合グルメ細胞を入れたら弱くなると思うんだよな。

 それに加えて極めればおよそあらゆる攻撃を無力化できる『猿舞』も影分身の数のごり押しで体得させた。全身の細胞を完全に一致させるというのはかなり難しいはずなんだが、流石は自身の身体の精密なコントロールにおいては木の葉で最も優れている人間であるヒナちゃんだ。まずは全身の細胞が一つになる感覚を一体の影分身に覚えさせてそれを還元。そして全ての影分身がそれをできるようになったところで一度還元。やがて常に猿舞を行ったまま行動できるようになった。いつの間にかチャクラを直結していたサスケとバクラも集中すれば多少できるようになっていた。上手いわー。

 ただ、裏のチャンネルに関しては感覚を覚えようが何だろうがグルメ細胞が存在していない以上サルケとバクラに使える道理が無いため使用はできない。まあ仕方ないわな。

 

 それからサルケ。忍術の方は適当に相手からコピれば良いだろうと基本放置のつもりだったが、この度ついに俺が作った術をくれてやることになった。

 とは言っても今までの修行と絡めた上でちゃんと使えるものでなければ意味がない。そんなわけで俺がくれてやることになった術は『仙術須佐能乎』だ。須佐能乎に仙術チャクラを練りこむだけの術だが、十尾相手なら絶対に必要になる。今まで仙術チャクラを他の術に込めて使ったことはあっても、須佐能乎に仙術チャクラを使うことはまず無いだろうから練習は必要だ。原作では自然エネルギーを取り込み放出できる奴がサルケの仲間にいたが、この世界にはいないから必要になったら自分でやるしかないわけだ。

 それから、須佐能乎は基本的には巨大な動甲冑のようなものだ。つまり、ある意味では巨大ロボと言う事だな。そんな巨大ロボを効率よく動かすためにはチャクラコントロールに加えて生身の身体の動かし方をしっかりと理解しておいた方がいい。ヒナちゃんと繋げて猿舞も習得した以上まず問題ないだろうが、ついでに須佐能乎の羽根に天照を纏わせて打ち出すとかそんな感じの小技もいくつか伝えてみた。

 そして最後にこれが一番の成果になるが、のちに習得した雷遁ではなく生来の火遁に限ったものではあるが、印なしで十分な威力の術を発動させることに成功した。これで印なし不意打ち豪火球とかができることだろう。もう少し頑張れば不意打ち千鳥とかもできるようになるはず。まあそう言う攻撃は大抵須佐能乎の攻撃の方が強いから小技にしかならないんだが、チャクラの温存にはなるはずだ。必要以上に使ってもあまりいい事は無いしな。

 

 そして一応バクラ。数分程度に限定すれば安定して時空輪廻の術を使うことができるようになった。ちなみにこの時空輪廻の術だが、効果範囲を区切って使えるようになるとどこかの誰かさんが輪廻天生で蘇った瞬間に自分とその対象だけを時空輪廻することで『輪廻天生の術は使われたけど使われる前に戻る』と言う風に術の無駄打ちをさせることもできるようになったりする。まあ相手が輪廻眼を持っていると時空輪廻が吸収されて意味がなくなる確率の方が高いが……まあ気にする事は無かろう。

 それと膨大すぎるチャクラを溜め込むために体中に陰封印の刺青が大量にできている。まるであれだ、オカマ丸が刻んだ呪印状態のレベル1。あれみたいになっている。

 当然実際には呪印ではないが、見た目だけならもう完全に呪印だ。術を刻んだ印を呪印と言うのであればある意味ではあれも呪印だが、もうそのあたりは置いておこう。

 ところでサルケに耳を舐められる幻術はどうかな?

 

「最の高」

 

 欲望に忠実で結構。原作でもお色気・逆ハーレムの術を見て『私ならともかくあんなラスボスっぽいのに効くか!』とか言っていたから絶対に喜ぶだろうとは思っていたが、やっぱ大喜びだったか。バクラは意外とむっつりなんだよな。

 




Q.ついに裏のチャンネルを習得しよった……!
A.なお使うと死ぬほど腹が減るためあまり使いたがらない様子。

Q.仙術須佐能乎とか、それ術と言っていいの?
A.難易度的には十分術扱いでいいと思います。

Q.サクラェ……
A.なお加速された幻術世界の三十分ごとに記憶を焼き払うだけで陰封印の文様が一つ増えます。凄いね、エロ。


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NARUTO~幕間の物語7

 

 side うずまきナルト

 

 腹が減っては戦はできぬという格言があるが、これはごく当たり前のことだ。人間腹が減れば動けなくなるし、動けたとしてもパフォーマンスは悪くなる。何かを食って、そして動く。それこそが人間という物だ。

 つまり、腹が減った時に食える物の準備はちゃんとしておかないと戦う前に腹減らして死んでしまうぞ、と言う事だ。特に燃費が多少改善されたとは言っても未だによくはないヒナちゃんはちゃんと用意しておかないといけない。本人も理解していて仙豆をいつでもいくつか持っているから問題ないとは思うが……。

 まあ、兎にも角にも飯にすることにした。木の葉の里にこっそりとたてられた親父とかーちゃんのいる俺の家。サルケの両親も同居している広い家だが、元々サルケが過ごしていた名家のような広さは無い。正確には内部の広さ自体そこらの家の数百万倍はあるが、その大半がモンハン的な野生動物の闊歩する不思議な世界になっているため生活空間としては使えないというのが正しい。

 実質的に木の葉の里を抜けてからは一度も来ていなかった家に久々に行ってみると、かーちゃんが凄まじい勢いで抱き着いてきた。吹き飛んで後頭部をドアに打つかと思うくらいの勢いで抱き着いてきた。やっぱり何も言わずに実質里抜けはまずかったかと思いつつ、少し痩せた感じのするかーちゃんを抱きしめ返した。

 

 ……その後三十分くらい放してもらえなかったがまあそれは置いておくとして、ともかく俺はもう暫くこの家には戻らないことと、かーちゃんと親父が九喇嘛と一緒に居た時間が結構あるからもしかして九喇嘛のチャクラを使えたりすると俺の代わりに狙われてしまうかもしれないと言う事を伝えつつチャーハンを作っていた。ちなみに今日の客はこの家に暮らすかーちゃんとサルケの両親、そしてサルケを除いて二人。ヒナちゃんとバクラだけだ。親父? なんか最近忙しく働いているらしいが細かいことはよく知らん。なんか昔の教え子に飛雷神の術を教えているとか何とか言っていたが、これはカラシの強化フラグかもしれないな。あとかーちゃんは九喇嘛のチャクラは使えないそうだ。

 

 それはそれとして今日作るのは麻婆豆腐。辛いのが苦手な奴のために辛さは何段階にも変えていくつも用意してみたが、どれも結構好評だ。一つを除いて。

 泰山麻婆。まあ、某聖杯を求めて七騎の英霊を呼び出して戦う世界で愉悦神父が一押ししていた物だが、この麻婆は尋常じゃないほどに辛い。美味いは美味いし深みやコクも素晴らしい。栄養も十分だし。ついでに言えば薬膳効果もあって冷え性なんかにはよく効く。しかしそれらの効果を鑑みてもなお敬遠されるほどに辛いのだ。俺はまあ食えないこともないが、基本的に面倒臭がりで眠たがりの俺はあまりそう言うのは食べる機会が無い。あれば食べる程度だ。

 ついでに豆知識だが、女の方が冷え性が多いって言う話があるが統計的に事実であり、同時に冷え性の奴は辛い物を食べたがることが多いらしい。つまり、今回俺が作った麻婆豆腐は結構な人気でどんどん無くなってるわけだが、サスケは甘い物は苦手でも辛い物が得意と言う訳ではなかったようであまり進んでいない。少し手を加えてトマトや白菜などをかなり多く使った野菜麻婆も作ってあったが、女性陣の前にあっという間に駆逐されてしまった。女って時々驚くくらい食う奴がいるけど……いや、男でも驚くくらい食う奴はいるんだが、男と女だとどうも女の方が激辛とかに強いイメージがある。気のせいかどうかは知らんがね。

 

「……美味いな、トマト麻婆」

「……カツオの削り節で出汁を取ってみた。好きだったろ? おかか」

「ああ。……お前そんなものまで考えてたのか」

「いくつか当人の好きな味にしようとして作ったんだよ。辛さを控えて梅干し入れた奴とか、甘くはないが小豆たっぷりに餅も少々入れた善哉風とか、豆腐を麺にして入れた塩ラーメン風とかな」

「ほー……その結果がこれか」

「凄まじい速度で消えてったな」

 

 結構量を作ったつもりだったんだがな……残ったら混ぜるなり薄めるなりして何か別の料理に再生させるつもりが、まさかのほぼ全滅。一人前以上残っているのは泰山麻婆くらいという、まさに惨憺たる結果。それだけ喜んでくれたと言う事だからまあいいとして……親父の分はどうするかね? 親父は好きな物がかーちゃんの手料理ってなってたから好みがよくわからん。愛情を味覚で感じるとかそんな感じの特殊能力でも持ってたりするのか?

 仕方ないから親父のを俺が作ると大概オーソドックスな物になるんだが、好みをちゃんと教えてくれない親父が悪い。俺は悪くない。

 

「……そう言えばお前の兄は昆布の握り飯とキャベツが好きだったな」

「そうなのか?」

「本人に聞いたからな。まああいつは嘘吐きだから嘘の可能性もあるが」

 

 ……いや、マジでな。あいつの嘘はかなりわかりづらい。そして面倒臭い。

 




Q.泰山麻婆なんて作れんの?
A.泰山麻婆を出すことができます(作っているとは言ってない)

Q.善哉風……豆麻婆でよくね?
A.書き終わってから自分でそう思った。


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NARUTO~135

 

 side うずまきナルト(影)

 

「俺の名前は『うずまきナルト』

 あんたは知ってる『キラー・ビー』だと

 あんたの特技は頭八刀(ヘッドバット)

 コンビで放つ絶牛雷黎熱刀(ダブルラリアット)

「俺も知ってるうずまきナルト

 俺と同じ人柱力と

 俺の中には八尾の八っさん

 お前の中には九尾がいると」

「……あーうん、なるほど。俺も言うほど上手くはないが韻を踏む位置がバラバラだったりリズムが途切れて悪くなったりすんのな。技術面はともかく楽しくできるってんなら何も問題はねえけども」

 

 下手だ下手だと言われていたのは覚えていたが、直接聞いてみると確かにこいつは下手だ。初手でこっちからラップで仕掛けてみたが、返ってくる答えがあれとはな。かなり前からそんな感じだったそうだし、成長は見込めないと思った方がよさそうだ。

 

「その口調、楽しんでるか?」

「俺のライムはすなわち人生!

 けれどブラザーたちまち呆然……」

「ライフワークがあるのは良いことだな。ちなみに俺のライフワークは世界中に影分身を放って眠りながら各地の旅路を楽しむことだ」

 

 作者的にはこういう癖のありすぎる口調はいちいち文章考えるのが面倒で今の今まで出番が遅れてたんだが、話してみれば悪い奴ではなさそうだ。同時に何となく疲れそうだが。

 

『よう牛鬼、久し……牛鬼、だよな?』

『……Zzz』

『寝てやがる……と言うか何だこの姿』

『なるとがなにそうぞうしたのかでかわるんだからかんがえるだけむだだろ』

『ちなみに何考えたんだ?』

 クトゥルーな。蛸っぽいのは知ってたから蛸っぽい渾名を付けるとしたらクトゥルーかあるいはうわへへになってた。うわへへよりはいいかなと。

『蛸から想像してうわへへが渾名になるとかいったいどういう思考の繋がりがあったのか全く分からん……あ、解説はいらないからな。されても多分わからん』

 ちなみに想像した人間化クトゥルーは赤紫の芋ジャーに寝ぐせと身体が全体的に弛んでむっちむちな美人さんのイメージでございます。APPで表すと身体は弛みまくってるくせに驚きの16。俺の想像できる範囲だとこれくらいが限界だ。ニャルラトホテプの化身も見たことがないでもないんだが、あれと同じ顔の存在を近くに置いておきたくない。できれば同じ世界に存在してほしくない。俺も一応人間なんでSAN値に限界ってもんがあるんですわ。

『嘘つけSAN0だろお前』

『SAN0じゃないとか冗談きつい』

『あのあかいとりとたたかったけどかなりつよいぞあのとり。みてるだけでなんかくるし』

『あの赤い鳥に羽を毟られかけてマジ切れして惨殺したのは俺だ』

 九喇嘛共、お前ら後で神樹の枝にぶら下げてやるから覚悟しろ。枝だからチャクラは奪われないぞ、よかったな。

『……ふぁ……誰だぁ?』

 お、起きた。騒いだからな。すまんすまん。まずは挨拶からだな。

 俺はうずまきナルト。九喇嘛の人柱力としてここに居るが実はこっそり守鶴と七尾の人柱力でもある。

 

「おいそれは聞いてねえぞ、馬鹿野郎、この野郎」

「こっそりやってるからな。知らなくて当然、知ってたらむしろ呆然」

 

 すっげ、拳を合わせて何となくでも内心がわかるのか。チャクラ感知の応用だと思うが、多分この図太い性格とは裏腹にかなり感受性は高いんだろうな。

 それはそれとして挨拶がまだ途中だ。

 

 俺は他人の名前を覚えるのが苦手で、覚えようとして大体五年から十年くらいかかる。だから勝手にあだ名をつけるんだが、いいか?

『……内容次第だな』

 クトゥルー。

『……なんでクトゥルーだ? 俺の名前は九喇嘛から聞いてるだろ?』

 ああ、覚えられてないけど聞いてる。牛頭天皇だっけ?

『牛鬼な、牛鬼。読みが一切合ってねえじゃねえかよ……ふぁ……悪い、こうなってから妙に眠くてな……』

 まあクトゥルーだからな。深海にて封ぜられ眠り続ける水の最大神格だ。形だけでもその姿を取っていたらそら眠くもなる。ちなみにショ狸は風が得意で黄色っぽいから黄衣の王にでもしようと思ったこともあったがやめた。実のところあの神話では水の神格が一番話を通しやすいからな。例外もあるが。

 逆に火は一番話が通らないイメージがある。土は一番ビジネスライクな話ができて、風は水と土の中間って所か。当然例外はあるが。

『……九喇嘛。こいつは何の話を……九喇嘛、だよな?』

『九喇嘛だぞ』

『九喇嘛だぞ』

『しゅかくだぞ』

『重明だ』

『…………お前ら、変わったな。俺が言えることじゃないが……変わったな。特に九喇嘛。なんで増えてんだお前』

『封印の形態がそう言う奴だったんだよ気にすんな』

 

 まあ、ともかくこれで挨拶は済んだ。ちなみに本体は自分で作った異空間で寝ている。影分身ってのは本当に便利な術だな。

 




Q.褐色筋肉モリモリマッチョグラサンが本気になると全体的に緩い女になるとか草も生えねえんだけど
A.大丈夫、加減すればちゃんと普通の尾獣化もできる。やり方知らない? 覚えろ。

Q.土とか風とか水とか何の話?
A.クトゥルフ神話に後付けされたと思われる属性の話。


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NARUTO~幕間の物語8

 

 ※木の葉襲撃から五影会談の間の出来事です

 

 side うずまきナルト

 

 色々なことを考えるのは好きか? 俺は寝たい時と寝ている時以外なら色々考えるのは嫌いではない。時々よくわからん結論に到達したりすることもあるが、ただ考えるだけなら被害は出ないからな。

 そして何より、考えているだけなら何を考えていても全てが許される。木の葉の里を百度火の海に変えようと、世界全土に神樹を植樹して全体的に神樹畑にしてしまったとしても、月からやってきたどっかの一族を相手に無双して『いつか帰れるといいなぁ……』とか言った直後に超圧縮したチャクラの気弾で月を消し飛ばしたりしても、オカマ丸の本体の白蛇のあれでヨーヨーやっても、俺の今いるこの世界全ての存在の性別が逆だったらどうなっているかと言う想像を膨らませても、ラスボスの兎の女神がチャクラ不足で幼女になってたらとか、オトビが突然現れて荒ぶる鷹のポーズを決めて約2〜3秒の空白の後に何事もなかったかのように姿をくらました場合の里に与える影響とか、そんな感じのそこそこ大きなことから大したことない下らないことまで、何を考えてもどんな事をしても許される。想像の中ならな。

 ちなみに最近のトレンドは『九喇嘛×守鶴にするにはどんな過程をたどれば可能か』と言う凄まじく実のない思考だ。そこそこ興味の出る暇潰しにはもってこいの議題でありながら何の意味もない、そして万が一実行できてしまったとしたらとても面白い。そんな感じの話だ。偶然にも俺の思考を何となく読んでしまった守鶴は死にそうな顔をしていたがな。なお結果は大抵『無理だろ』に落ち着く。当然だな。最悪の手段として幻術でどうこうするというのも考えたが、それは九喇嘛×守鶴ではないから無かったことにした。馬鹿なことを考えるのはとても楽しい。この世界では馬鹿なことを考えていると時々命を狙われてたからな。そんなことをしている余裕は無かったんだが、ようやく余裕ができてきた。あの時木の葉の奴らから記憶を抜いといて正解だったわ。なお抜いた記憶は『俺に関わる全て』だったので俺の存在だけでなく俺の構成要素の一つとも言える九喇嘛の事も忘れている奴が結構多かったりする。なぜならそいつらにとっては俺と九喇嘛は等号で結ばれる存在だったからだ。実際には全く違うんだが、そう言う話が通じているなら俺は木の葉を抜けてない。原作ではよくもまああの里を積極的に守っていく火影なんて仕事に就いたよな、うずまきナルトは。

 

 また俺はのんびりと適当なことを考える。例えば俺が木の葉以外のどこか適当な場所で大食い大会にでも出たらどうなるか。昔は昔でかなり食えたが、この身体になってからもどんどん食える。まず間違いなく俺が優勝できると思うが、何かの忍術でも使っているんじゃないかと言われたら何も反論できないな。参加するとしたら間違いなく姿を残さないために変化の術くらいは使っているだろうし。

 そう言えば俺が想像した尾獣たちの中でおよそ人間の形をしていると思われるのはショ狸、長靴猫娘、ワン娘、クトゥルー、ロリ狐の五体。キモイルカは……俺の想像通りならまあ人間の形をしていると言ってもいいのかもしれないが頭が完全に海豚になっているはずだし人間と言われて想像できる姿からはやや遠い気がするから除外しておいた。

 ……ここまでのんびりと意味の無い事を考えられたのは本当に久しぶりだ。まあ、こういうのが続くと今度は刺激が欲しくなるんだが、メリハリが大事ってのは人生においては当然のことだ。今のように緩みまくった時間が全くないというのは問題だし、同時に今までのように張り詰めっぱなしと言うのもまた問題がある。馬鹿みたいなことを考えるのは単純に悪いことにはならないもんだ。

 ただし、俺がこうやって馬鹿みたいなことを考えている事が他人を揶揄う時に出てしまったりもするんだが、被害は俺じゃないしまあいいだろう。

 

『かんべんしろよ……こっちはつかれんだよ……』

 無理を言うな。お前人間が呼吸すんなと言われて呼吸しないでいられると思ってんのか? 無理に決まってるだろう?

『そのれべるかよ……おまえのたにんをからかうしゅうせいはたましいにきざまれてんのか?』

 その通りだがそれがどうかしたか?

『だんげんされるとはおもわなかった』

 事実だから仕方ないな。何度も転生のようなことを繰り返している俺が言うんだから間違いない。そして俺にからかわれる奴は基本的に救われるか破滅するかのどちらかだ。多分お前たちはどちらかと言うと救われる方だと思うぞ。良かったな。

『よかった……よかった……? よかったとはいったいどんないみのことばだったか……?』

 

 また随分と悩んでいるようだが、それもまた楽しいな。うん。

 




Q.ちなみに九喇嘛×守鶴にするにはどんなことが必要?
A.マジで聞いてるなら、とりあえずこいつら両方記憶消して関係を再構築させるところから始めないとまず無理。

Q.どれだけ無駄なこと考えてるの……?
A.暇潰しの相手が来るまで。


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NARUTO~幕間の物語9

 

 side うずまきナルト

 

『ではこれより尾獣会議を始める。今回の議長は儂、陽の九喇嘛が請け負う。いつもの事だが参加者は自己紹介を』

『陰の九喇嘛だ。最近ナルトから『陰……影……黒っぽい……褐色狐耳ロリ狐巫女?』などと言うたわけたことを言われたおかげで小麦色だが頼むから気にせんでくれ(吐血)』

『(陰の九喇嘛を哀れみの目で見つつ)……しゅかくだ。さいきんなるとに『しょたとはすなわちろりとおなじようなものでは?』というあたまおかしいすいりをきかされたけっかじょじょにおんなになりそうでせんせんきょうきょうしているがおれさまはおとこのつもりだからそうにんしきしてくれ。あとくらま、すまん』

『重明だ。俺は未だに昆虫王者だ。何も変わらない。ただ飛行して宙返りして螺旋に回転しながらの突撃が強くなった気がする。スーパーダ○ガンと叫ぶと威力がさらに上がる気がするようになった』

 未来の尾獣、うずまきナルトだ。今俺の中に居ない天然物の十尾の事を小傘と呼ぼうと思っている。

『以上、この五名で開催する。四名かもしれないが気にせんでいいだろう。あとナルト、それは止めろ』

 

 九喇嘛に止めろと言われてしまった。俺が九喇嘛以外の尾獣をあだ名で呼び始めたのは九喇嘛が原因だってのに。それともあれか? 天然物の十尾は出来上がると尾獣全員が消えるからやめろって意味か?

 

『……なあくらま。なんでなるとがいるんだよ?』

『本人が言っていただろう、未来の尾獣だと。いった通りそいつは死んだらチャクラだけが遊離して尾獣になるぞ』

『それはしってんだよ。おれがいってるのはなるときんしのこのばしょになんでなるとがいるかってことなんだが』

『今までも聞こうとすれば聞けるし混ざれる状態だったんだ。何も変わらんだろうが阿呆狸が』

『あほはてめえだばかぎつね!なんでじこしょうかいのときにそのこといわなかった!きぶんがちがうんだよきぶんが!』

『儂ロリだから難しいことはわからん』

『あっくそこのめぎつねすっとぼけやがった!いつもろりいうなとかぬかしやがるくせに!』

『残念だが今の儂は間違いなくロリだからな。残念ながら。残念ながら。クソァ!!』

 

 突然陽の九喇嘛、金色の方だがもう片方と比較して白っぽいので白ロリ九喇嘛と勝手に呼ぶが……なんか髪が普通の金からホワイトゴールドっぽく変わったが気にしない。白ロリ九喇嘛が切れた。いったい何があったんだろうな。俺にはわからんわ。

 ちなみにこの尾獣会議だが、基本的には俺への愚痴が飛び交うらしい。まあやってきたことを考えれば当然と言えば当然だ。ツッコミをしても改善はほぼ無い、しかしたまにすることもあるからツッコミは欠かせない、そんな日常は色々と疲れるんだろう。知ったことじゃないしこれからも加減はしないが。

 そんな中に突然俺が現れたらそりゃパニックにもなる。解るわかる。要するにあれだろう? そいつの悪口を言っていたらそいつが自分の後ろに立っていたみたいな感じ。怖いよなーわかるわかる。

 そして陰の九喇嘛、同じように黒ロリ九喇嘛とでも呼ぶが、黒ロリ九喇嘛はなんと言うか色々と達観しているように見える。この差は何だろうな? あれか? ストレスのたまり具合で色々と変わってきているのか? やっぱりロシアの『カチューシャ』を『クラーマ』に変えて歌ったのは良くなかったか? それとも九喇嘛の声で『儂は九喇嘛!ピッチピチの○○○○(ピーーー)歳!特技はお揚げの早食いと尾獣玉だお?』とか言ったのが悪かったのか? もしかするともう一人俺を出す方法で出した俺と変化の術を使って九喇嘛と守鶴の名前で大食い大会に参加して優勝したのが悪かったか? もしくは『しゅかくら』と言うコンビ名でお笑い大会に参加して結構いい成績を残してしまったのが問題だったか?

 

『全部だボケぇ!』

『お前そんなことしとったのか……?』

『ばかぎつねとこんびとかそしょうおこすぞそしてかつぞ』

『みんな元気だね』

 ほんと、こいつらは元気だ。ああ、それと前にも言ったと思うが一区切りついたら俺の中から出して自由にさせるから行きたいところとかやりたいこととか考えといてな。俺の中で色々振り回されながら楽しく過ごしたいってんならそれもありだぞ。

 

 ……しかし、どうにも面倒臭い。世界を救うとかそう言うのは飽きてるんだよな。どうせなら世界ではなく俺のためだけに動いてみたいもんだ。世界を相手にとかそう言うのでもなく、単純に自分のためだけに。

 いつかできるといいんだがねぇ。

 




Q.未だに名前変えて呼ぶんですね……?
A.お仕置きにもなるそうで。

Q.全体的に問題行動しかしてない気がしますよナルチカさん。
A.今までこの主人公が徹頭徹尾まともだった回があったかどうか思い出してからもう一度どうぞ


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NARUTO~136

 

 side うずまきナルト(再不斬)

 

 問題。十万いると言う白ゼツですが、原作においてはカブタックによって強化されています。

 さらにカブタックは改造された穢土転生によってかつての実力者達をこの世に呼び戻すことで戦力としていました。

 そんなカブタックは今オカマ丸と共にこっち側についています。現在の敵の策の成功率はどんなものでしょう? なお、別に原作通りだったとしても普通に失敗するものとする。

 

 まあ0だわな。知ってる。と言うか穢土転生でクレイジーサイコホモ爺が出てこない以上、大して強くなっていない植物人間達と兎の女神の落とし子、そしてトビオとトビオによって口寄せ輪廻眼の素体にされた元人柱力達くらいしかまともな戦力は無いんじゃなかろうか。

 いや、一応外道魔像があったが、クトゥルーとロリ狐、ショ狸、昆虫王者がここに居ると言う事は中に入っているのは最大でもショ狸の一部、猫娘、キッコーマン、水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖、キモイルカ、ワン娘、昆虫王者の羽根二枚、クトゥルーの蛸足一本までのはず。追加があったとしても穢土転生された金銀兄弟の九尾チャクラだが、そもそも穢土転生する術者はこっちにいる。

 ……あれ? あちらさん詰んだんじゃね? いやマジで。本気で俺を捕まえるくらいしか……あ、いや、いやいやいや、いた。もう一人、九喇嘛のチャクラに触れ続けて九喇嘛と同じチャクラを宿せる人間が。

 親父だ。かーちゃんの方は……使えるのかもしれないが実際に使っていたという描写は無かったからわからん。ただ、親父は九喇嘛のチャクラモードも尾獣化もやってのけてたから多分できるはず。一回死んだ時に剥がしはしたが、チャクラを直接身体に取り込むことで尾獣化できるってのは金銀兄弟が証明している。だったらチャクラの一部どころか半分を取り込んでいた親父ができない道理はない。かーちゃんにも言えることだが、かーちゃんの方は九喇嘛とわかり合ってはいなかったようだからな。いやまあ俺もわかりあったかと聞かれると微妙な所だが、少なくともお互いに悪友的な認識ではいると思われる。事実かどうかは知らん。

 

 そのあたりどうよ。

『あー……多分ミナトは尾獣化できるだろうな。半端になら。完全尾獣化は無理だ』

『クシナは無理だな。儂のチャクラを扱うことをしてこなかった』

『『あと悪友と言う認識についてだが、大体当たりと思っていい』』

『くらまがこういうってことはかなりすきだってことだかr』

『『黙れクソ狸!!』』

 

 大分好かれているらしい。九喇嘛が素直じゃないってのはよく知っているから良いとして、このことをどう伝えるか……影分身して影分身を消せば全部に伝わるな。便利便利。

 

「おのれうずまきナルト!さてはサスケの裸を思い出してニヤニヤしているな!?」

「オカマ丸と一緒にしないでもらっていいですかねクレイジーサイコブラコン野郎」

「汝はゲイ!罪ありき!」

「ゲイじゃねえしそれお前の中の人じゃないからやめろ。あとそう言う性癖とかに対しての言及は無駄に敵を作るだけだからほんとやめとけ」

「波悉く我が盾と―――ゲボァ!?」

「中の人繋がりなら何やっても良いってことじゃねえんだよ黙れ(無言の腹パン)」

 

 さてなんでか最近ブラコンをこじらせ始めた……いや、ある意味こじらせてたのは最初からか……ともかくブラコンをこじらせまくったイラチを殴って気絶させ、オカマ丸の方に視線を向けると……なんかあっちはあっちで狂喜乱舞していた。自分が大量にいることでここまで術の習得速度が高まるとはとかなんとか言っていたが、こまめに術を解いて休憩する手間があるんだよな。それでも凄まじい速度だけども。

 

「あら、またイタチは暴走したの?」

「暴走する度に強くなってくれるからありがたいっちゃありがたいんだが、同時に面倒だ。なんとかならんかね」

「記憶を消してしまうか、もしくは重い愛の対象を別の物に移してしまえばいいんじゃないかしら。ナルト君に移してしまえばそれこそイタチが言っていたように女になって優しく相手してくれたりもごめんなさいそれほんと待って魂が軋むから待ってくださいお願いします私が悪かったわもうこの件に関してはからかわないから」

「次同じことやったら一度殺して女にして蘇らせるからな」

「……ちょっと興味があるのだけれど」

「ただし素体はエロ蝦蟇仙人な」

「……それはそれで興味があるけれど止めておくわ」

 

 これだから研究者は手に負えねえ。どうすればまともに精神的なダメージを与えられる? やっぱり弟子ネタじゃないと駄目か? 師匠の事が嫌いな弟子が師匠の教えとは真逆の方向に行くために身体を鍛えたらマッチョしぃならぬマチョらしマチョコになって『トゥットゥルー』という掛け声と共に全てを筋肉で解決していく感じの幻術でもかけてやればいいんだろうか。流石にそこまでやればダメージは通る……よな?

 あ、なんならカブタックの方にそれやらせてみるか。マッチョカブみたいな感じで。

 

「ッ!?……なんだ、寒気が……?」

 

 ※この後マジでカブタックに肉体改造が行われ大蛇丸が発狂しかけたことをお知らせします。

 




Q.カブトはそれ強くなったの?
A.弱くはなってないです、とだけ。

Q.キャラ崩壊ずごいっすね
A.正直自分も予想外


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NARUTO~137 戦争開始

今回で今のアンケートは終了させていただきます。後日談に関してはノリと勢いで自由にやらせていただきます。


 

 side うちはサスケ

 

 忍連合が結成されてすぐに額当てが更新された。忍の一文字が記された額当てだが、この程度で各里に長年積み重なっていた恨みが解消されるわけもない。しかしそれでもやらないよりは幾分マシだし、我愛羅の言葉によって一時的に不満を棚上げすることは全員できていると思われる。できてなかったらチームワーク不足でそいつが死ぬだけだし構わない。和を乱す奴は相応の力が無ければ駆逐されるのみだ。

 ちなみに俺は強襲偵察を行う部隊に配属された。俺は人を率いるという経験が無いから隊長にはならないというのはわかるんだが、これはどうすればいいんだろうな。

 

 敵は妙になまっちろい雑魚。地下を進んできていたのを土遁で地上に引きずり出し、あるいは地下で磨り潰す。近場の奴だけでも俺一人で三万程度は潰すことができた。ナルトに言われてヒナタとサクラの二人とチャクラを直結してお互いの修行も同時にフィードバックさせた甲斐があった。血継限界である白眼はどうにもならないが、チャクラコントロールの面では学べるものが多々あった。逆にヒナタは俺から体術面を、サクラからは幻術を学んだそうだ。サクラはサクラで必要な知識や記憶を選別し、必要ない物を焼き払ってチャクラに変えて溜め込むことを続けていた。一度に三千兆人分の経験を積み続けて一週間。このくらいの事はできて当然だ。

 なお、敵の全体の数は十万だという話だが……この程度なら俺一人で十万どころか百万でも片づけられるな。弱い。はっきり言って話にならない。

 

 敵は雑魚のみ。こっちには雑魚と引き分けられる程度の奴が沢山と雑魚になら勝てる程度の奴、雑魚に負ける事は無いと思われる奴、雑魚がどれだけ集まってきても物の数にならない奴がいる。多くは雑魚になら勝てる程度の奴だが、もう少し全体の力が強かったら危なかったかもしれないな。

 ……と言うか、この程度の奴しかいないのに忍五大国を相手に戦争を吹っかけてくるというのは馬鹿だとしか思えない。何か隠し玉があるんだろうとは思うが、その隠し玉が何かはわからない。ナルトに聞けばわかると思うが、何でもかんでもナルトに聞いていては不意の出来事に対応する能力が落ちてしまうから今回は聞かないまま来た。ナルトがいるなら万が一にも負ける事は無いだろうし、適切な判断だったと今でも思っている。

 ここから相手、うちはマダラを名乗るうちはオビトが一体どんな手を使ってくるのか、想像もつかない。俺ならもうこれ完全に諦める状況だ。いったいどんな手を使ってくるんだ? どんな手が残っている? 考えろ!

 

 敵の能力は時空間忍術による転移とすり抜け、そして武器の吐き出し。移動はあれでできたとして、マダラと名乗る以上は写輪眼も持っているはず。それが本物か偽物か、あるいは奪ったものかはわからないが、俺はあれを相手に決着を付けなければいけない。それこそが俺が火影になるための一番の道だ。

 うちはから始まった因縁……いや、ナルト曰く、六道仙人の血筋から始まっている長い因縁。それを俺がこの手で断ち切らなければならない。この写輪眼()にかけて。

 

「感知班!近くに敵は!?」

「恐らくですが存在しません!この場にいる全ての敵は既に倒されていると思われます!」

「どうするカカシ!進むか!?」

「一応休憩を取ってから進む!周囲の警戒は怠るな!」

 

 まあ、俺はまだまだ平気だがな。この程度でへばっていたらナルトの修行はクリアできなかった。ナルトの修行は……マジキチだからな。

 俺は一度瞼を閉ざし、自然エネルギーを取り込んで仙人化する。動いている間は自然エネルギーを取り込むことができない以上、こうして取り込める時に取り込んでおくのが上策だ。

 ただ、須佐能乎を展開しながらだったら動きながらでも自然エネルギーを取り込めるんだが、須佐能乎無しでは制御が難しすぎてどうにもできない。体術や剣術は十分と言えるくらいには修めたが、極めたとは口が裂けても言えないくらいの腕前でしかない。そのあたりはヒナタやリーを尊敬している。体術にしか才能のないリーはともかくとして、ヒナタはナルトよりは遅いものの動きながら自然エネルギーを取り込むことができる。仙人モードは感知にも戦闘にも使える便利な戦闘スタイルだからな。今後戦いが無かったとしても使えるようになっておきたい。

 

 ……敵はまだ遠いな。よし、休むとしようか。

 




Q.確か原作で用意された白ゼツって10万だったよね? しかも強化された奴。
A.およそ三分の一の兵力が一人相手に消し飛びました。勝てる訳が無いのです。

Q.これってどうやればオビト側に勝ちの目が見えてくるの?
A.過去に戻ってクシナがナルチカを妊娠する前にクシナかミナトを暗殺していればワンチャン。


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NARUTO~138

 

 side 日向ヒナタ

 

 チャクラの糸を張り巡らせるのではなく、張り詰めさせたまま振り回す。すると細い細い糸に触れた敵の身体はあっという間に寸断され、チャクラは消えていく。

 ナルト君のチャクラを見つけるために必死になった時に突然変わったこの目は、白眼以上に周囲がよく見える。白眼の透視と望遠の能力はそのままに、妙な能力が付随されているのがわかる。けれど今はそれの制御に割いている時間があまりないので、効果とオンオフだけは完璧にしてあとは必要な時に使えそうなら使うという形にすることにした。

 ナルト君曰く、転生眼。六道仙人の実の弟が独自に発現させた、写輪眼や輪廻眼とは別系統の瞳術。月に住む六道仙人の弟の一族でなければ早々発現しない瞳術らしく、ナルト君でもあまり細かい事は知らないらしい。びっくりだね。ナルト君にも知らない事ってあるんだ……って思うよね。

 ともかくそんな感じの珍しい瞳術を開眼したのだけれど、私の戦い方は変わらない。走って近付いて殴る。究極的にはそれだけだ。もちろん殴る場所や殴る時の手の形なんかにも色々考えることはあるんだけれど、究極的にはそんなものでしかない。近付いて殴る。あとは点穴を突いて内側からチャクラの流れを暴走させて爆散させたり、チャクラ糸を体内に潜り込ませてチャクラを奪い取ったりするくらいなんだけど、どうもこの白いのはチャクラを吸収するらしいので一瞬で切り捨てないとチャクラ糸が持たない。ナルト君なら相手がチャクラを吸収しているのとか一切構わず一方的に持って行くんだろうけど、私はそこまで人間やめてないから。ちょっと転生眼を持っててちょっと食べる量が多くてちょっと怪力なだけの普通の人間だから。

 チャクラ無しのデコピンで海を引き裂き山を消し飛ばせるナルト君とは違って八卦空掌で空気弾のようなものを打ち出したところでちょっとした岩を吹き飛ばす程度しかできないし、チャクラ無しの手刀でサスケ君の須佐能乎を中身ごとすぱすぱ斬ってしまえるナルト君と違ってチャクラを圧縮してチャクラの刃を作った上で全力で踏み込まないと須佐能乎の中にいるサスケ君の心臓を打ち抜いたりできないし、サスケ君の完成体須佐能乎の弓を受けて服の汚れを気にする程度で済むナルト君と違って全力で螺旋丸を腕に纏わせるようにいくつも出してタイミングよく横から弾かないと防げないし、もうどこからどう見てもただの人間だよね!異論は聞かない!

 

 かなり離れたところで暴れまわっているサスケ君も私と同じかそれ以上に白いのを倒している。須佐能乎は使っていないようだけれど、多分使うほど追い詰められていないんだろう。チャクラも纏わせていない刀で凄まじい速度で切り捨てているのが見えるし、その周囲ではカカシ先生たちが指揮を執っているのも見える。

 ……でもまだ殲滅はできていないし、地下深くをいくつものチャクラが進行しているのが見える。海から上がってこようとしているのもいるけれど、そっちの方はかなり簡単に殲滅されている。

 敵、マダラを名乗る男はいったい何がしたいんだろうか。八尾と九尾が目的なのはわかっているけれど、そのために一体何をしようとしているんだろう? このままじゃあっという間に殲滅されて終わっちゃうよ? このまま終わらせるような甘い想定で戦争を挑んできたわけではないと思うんだけど……と言うかそう思いたいんだけど、まさかまさかこれで終わりなわけないよね? ちゃんと次の手を考えてるよね?

 例えば……そう、尾獣たちを操って各戦場で何匹かずつ滅茶苦茶に暴れまわらせるとか、ナルト君には届かないにしてもあのペイン六道全員を合わせたくらいには強いと仮定して本人が出てきて五影全員を暗殺して回ったりとか……そう言えば風影様の中の一尾は取られかけはしたけどまだいるんだっけ? じゃあそのあたりも気を付けないといけないのかな。

 そもそもこの戦争の勝利条件ってなんなんだろう? 敵を倒すこと……だけじゃないよね。恐らくだけどあれはいくらでも増やせる類の物。消耗戦になったら私達では勝ち目が薄い。となると狙うは大将首だけど、マダラは死んだと言われているにもかかわらずああして存在しているならば黄泉帰りの手段を持っているかあるいは死んでも死なない類の存在。倒すんじゃなくて封印するべき? その手段は? 誰がやる? 死んでも死なない存在も蘇りができる存在も私は知っている。一人いるならもう一人か二人いる可能性はあるし、どんどん増えていく可能性も考慮しなければいけない。今私にできることは、敵を倒しながら周囲の警戒と索敵、そして恐らく敵の切り札になるであろう外道魔像と呼ばれる巨人のような形の何かを探すこと。見つけさえすれば多分ナルト君がどうにでもしてくれる……と言うかそもそも見つけているけど利用価値があるから努めて無視している可能性もある。

 

 ……考えることが多くて大変。これだから戦争なんてやるべきじゃないんだよ。やるんだったらもっとこう平和的な戦争にするべきだよね。

 




Q.いつ転生眼に目覚めたんですかね?
A.五影会談でヒナタが物理的に目の色を変えてナルチカを探した時です。

Q.ところでこの戦争負けようとしても負けられなくね?
A.遊ぶとかそう言うのを考えなければ大抵即死ですからね。ヒナタの技は。


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NARUTO〜139

 

 sideうずまきナルト

 

 戦争が始まってすぐ、俺はオカマ丸によって集められていた体組織から様々な忍の肉体をほぼ生きた状態で作り出し、それを生贄に穢土転生を行なって戦力を補充してみた。必要か必要でないかで言えばまったくもって必要無いんだが、数は力だよ兄貴!と言う事で。いや俺に兄はいないんだが。

 ともかくそんな感じで歴代の五影やら忍刀七人衆やら血継限界使いやらを呼び起こし、とりあえず『暁と言う組織のマダラと名乗る男が忍五大国を含むこの大陸全てに対して宣戦を布告したから戦力として呼んだ。二代目火影の卑劣な術だが人間達を守りたいなら協力してほしい』とできるだけ端的に説明して協力を願った結果、結構簡単に協力してもらえることになった。ついでに二代目火影の前で二体目火影の卑劣な術扱いしてしまったためちょっと怒られたが、実際卑劣な上に血も涙もない冷血漢な極悪非道の術だと堂々と言ってやったら周囲の二代目火影を知っていた当時の影たちから拍手を貰ってしまった。

 ちなみに生贄はそこら辺に生息していたトカゲやザリガニや虫なんかだと嘘っぱちも教えておいた。何とも言えない顔をしていたが、まあ使えるから良いだろう。

 

「協力しなかったらどうするつもりだ?」

「対象の方の意識を乗っ取り全裸に女性用マイクロビキニもしくはスリングショットを着せてひげダンスで出身の里を凱旋させます」

「 」

「大蛇丸様の腹筋が!おのれナルト君!よくも二代目火影様に白のマイクロビキニを着せてひげダンスを踊らせてくれたな!」

「まだ着せてないし白とも言ってない上に踊らせてもいないんだが……まあそう言う訳で卑劣さm、二代目火影が断ったら白のマイクロビキニでひげダンスな。安心してくれ、ちゃんと影分身もさせるからみんなが見るぞ」

「協力する。協力するからそれは止めろ……!あと卑劣様と呼ぶな……!」

「初代様は黒のマイクロビキニでよろしいか?」

「うむ!」

「兄者ァ!?」

 

 まあ何とも面白いことになってしまったが兎にも角にも手駒を手に入れたのでそいつらを放っておくことにした。頭の中に埋め込んだ札は裏切り防止とついでに穢土転生及び術者との連絡用で、俺達は裏でこそこそと動き回っていた。なお、本物のマダラハゲの穢土転生体があるというのは話していないので是非とも頑張ってほしい。

 ついでに一度『お前のような餓鬼に従えるか』と言い出した雲隠れ出身の筋肉モリモリマッチョマンがいたので即座に叩き伏せて服を蛍光ピンク色のスリングショットに変化させてひげダンスを躍らせながら雲隠の里に行ってらっしゃいさせようとしたらマジで謝ってきたから『次は無い』と言う事にしておいた。まあ最低一度は誰かが反発すると思っていたから丁度良かったな。

 なお、それをやった結果二代目水影が大爆笑して空気が悪くなったがじっと見つめて『……半透明の水色とか似合うか?』と呟いたら即座に黙ってくれた。ついでに他の奴も黙った。

 極一部『むしろそれ着たい!』と言う奴もいたので支給したが、色合いやら形状やらで少々時間を取ることになった。そしてオカマ丸の腹筋がまた死んだ。そして俺がカブタックに人でなし扱いされるまでがテンプレ。オカマ丸はもう少し笑いのツボを鍛えた方がいいと思うの。

 

 あと、イラチは主に情報収集に動いているようだ。それ以外にも色々と仕込んではいるようだが、それについては知らん。あいつは嘘が上手いから隠されたら本物を見るまではわからないし、多分実力行使系ではないと思うから放置している。俺に実力行使しても無駄だってのは何度か暗殺をしかけてきたあいつが一番よくわかっているだろうしな。

 ……あいつくらいだ。ノーヒントのまま俺の切り札の一枚、時間停止を見抜いたのは。そういうあたり本当に厄介で、そして同時に重宝もしている。観察力や分析・解析に関しては本当にカラシ以上かもしれないな。まあ目玉焼きを作ろうとして卵を手から滑らせて落としそうになった時に時間停止で拾い上げたのを見られただけでそこまで考え付くとか予想しないって。一応誰にも伝えないように釘は刺したし、もしも誰かに伝えたらお前だけじゃなくて伝えた相手も殺すと言っておいた。特にオカマ丸には絶対伝えるなとも言っておいた。流石に無いとは思うがあいつは科学的に時間停止を実用可能段階まで持って行く可能性があるから若干怖い。そしてそれを応用して自分の身体に凍れる時の秘法を掛けたままその身体を操るどこぞの大魔王と暗黒闘気生命体のような状態になるんじゃないかとひやひやしている。まあ実際にそれをやったら肉体エネルギーが一切使えなくなるからチャクラを練れなくなるんだけどな。精神エネルギーと自然エネルギーなら使えるからその二つで疑似的なチャクラでも作れば……いかん、そう言うことを言っているとあのオカマ丸はオカマ丸だから本当に実行しかねない。何も言わないでおこう。

 

 ともかく、これで俺の方の準備は大体終わった。本体はこっそり隠れているのが一体、今ここにいる元再不斬用のが一体、同じく元白用のが一体の計三体。影分身は雲隠れの飼ってる島亀の所に八尾&キラービーと一緒にいてなんか演歌唄ったりラップに合わせて踊ったりしているのが一体、最近まで木の葉の里で四名に修行つける時のチャクラタンクになってたのが一体と実働可能なのが計二体。そしていつもの他称キチガイ修行に限界まで出してひたすら瞑想したり体術を極めたりチャクラコントロールを極めたりしている影分身達が山の……山どころじゃないがともかくたくさん。当然こいつらはある程度修行したら眠って回復してから還元してチャクラ量を増やす用にも使っている。出しては消して出しては消して……多分今現在一番強さに貪欲な行動をしてるのは俺だね。

 あ、腹減った。飯にしよう。

 




Q.ナルチカさん卑劣様に何やらせようとしているんですか
A.トラウマスイッチを作ろうとしました。失敗しましたが。

Q.ちなみに誰にどんなものを着せようとしましたか? 五影関係者だけでいいんで
A.初代火影に黒マイクロビキニ、二代目は白マイクロビキニ、三代目はぴっちりとした全身タイツ。二代目水影は半透明の水色スリングショット、二代目土影は包帯取ると誰だかわからないので乳首の所だけ穴をあける形に変更。三代目雷影は蛍光ピンクのスリングショット、四代目風影はフリルの付いたワンピースタイプ。なお四代目風影がある意味一番きつかった模様(血反吐)


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NARUTO~140

完結まで書きあげました。あとは投稿していくのみ。
なお後日談はまだ完成しておりません。


 

 side うずまきナルト

 

 この戦いを真面目にやって負けるにはどうすればいいのか考えないといけないレベルで戦力差が開いてしまった。ちゃんと穢土転生達には輪廻眼を持っている相手への対処法とか穢土転生でも殺せる特殊な術についてとかそれについての実演とかをやってみせたから心配は無いと思うが、もしも忍連合とぶつかってしまうと面倒だ。ぶつかりそうになったらある程度情報の開示もしていいからちゃんと話して協力するようにと言っておいたから多分大丈夫だろう。多分な。

 ……と言うかこれ本当にどうやれば負けられる? 相手に穢土転生なし、十尾復活恐らくほぼ無し、あるとすれば外道魔像で暴れまわるのと原作でも出てきてたペイン仕様の人柱力くらいだろ? しかも六道の能力なしで。あれ無しなら多分サスケ一人で人柱力は全員抑えられると思うし、トビオは影分身と言う名のチャクラタンクを載せたカラシ野郎がいれば抑えられる。外道魔像は俺の前にあれば拳一つでへし折ってやるわ。

 そんなわけでかなりやる気が削がれているんだが、それでも一応な。実際に外道魔像が出てきたら多分と言うかほぼ間違いなく大体のやつは勝てない。そもそも大きいと言うことは力だ。なんでもありなら俺は全高10000mを超える巨大ロボを大量に作って蹂躙してる。そんなことをしたら間違いなく世界が敵に回るだろうからやる気がしないが、世界ごと滅ぼしていいならやるのもありかと考える時もある。

 今の状態では戦争ではなく蹂躙だ。原作における戦争とは違って被害が少なすぎる。もっともっと被害を大きくしなければいけない。そうしなければ人間の心理に余裕ができてしまう。

 余裕があると人間はさらに上を求めるようになる。上を求めれば当然争いが起こる。小さいものだったらともかく、ある一定以上の大きさの団体同士の争いはそれこそ戦争と呼ばれて忌避されるべきだ。故にある程度ここで被害を出して戦争に対しての愚かさだのなんだのをある程度刻み付けておいた方がいいだろう。まあそれでも時間とともに忘れていくのが人間なんだが、やっておけば多少は意識に変わるところが出てくるだろう。

 可能ならそれなり以上に長引かせて全ての国を疲弊させ、内側から厭戦の雰囲気が出始め、さらに厭戦空気が国中に蔓延するようになってからが本番だ。

 国の中で多くの民が戦争という苦しい状況に耐えきれなくなる頃に、まるでその意思を代弁するかのように第三者が現れて戦争を止める。方法はよほど酷くなければ大体何でも大丈夫だ。今の状態を変えるために国を滅ぼし、民の欲望を開放させる。当然国家の方も民の方も甚大な被害が出ることだろう。大国を一つ滅ぼせばその余波で周囲の小国の一つや二つは崩壊して更に世は乱れるだろうから国自体はあまり変えないように。国家としての形はそのまま、戦争はできる限り減らす。で、のんびり過ごす。これ理想。

 

 まあともかく、暁にはもう少し頑張ってもらいたい。この世界では量より質を実現できるだけの実力者がいるんだから、是非とも実行してほしい所だ。と言ってもそれを実行するのはつまり外道・輪廻天生でマダラハゲを呼び出すと言う事になるからトビオは死ぬんだけどな。残念。

 

 ……そう言えば、穢土転生で異世界の存在は呼べるのか? 本来ならそもそも異世界の存在の体組織を得ることができないから実験なんてできないが、俺なら話は別だ。やろうとすればいくらでも出せる。そうやって出した体組織を使って穢土転生をしたら、異世界の存在でも呼べたりするか……?

 流石に今呼ぶのはどうかと思うし、実行したとしてチャクラ以外の力を使えるのかがわからないし、この世界に魔力が無いのもわかってるし精霊もいないのがわかるから精霊魔法の使い手は役に立たないだろうし……あと気も怪しい。気も魔力も俺に付属してついてきている分だけで他に感じ取ったことが無い。そういったエネルギーを全部代用できるのがチャクラなんだろうが、あまりに便利すぎるなほんと。

 

『何考えてんのかわかんねえのが怖い』

『何言ってんだ。何考えてるか分かったところで怖いものは怖いだろ』

『なるとだからな。しかたないな』

『ん? 守鶴、君確か昨日の夜にモフられてナルトの膝の上で眠っていなかったか?』

『うるさいだまれください』

『安心しろクソ狸。儂も似たようなものだ。モフられるとヤバい』

『十年以上の時間をかけて調教された儂がこちらになります』

『そっちの儂も似たようなもんだろうが。自爆になるから何も言わんが』

『ああ、確か尻尾にブラシをかけらr』

『『黙れ重明ィ!』』

 

 これがこいつらの日常だってんだから世界は終わってるよな。マジで。

 




Q.九喇嘛さん調教済みっすか
A.まあある意味その通り。

Q.守鶴もですか
A.調教と言うか染めたというのが適切になりますかね。


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NARUTO~141

 

 side 日向ヒナタ

 

 突然現れた面の男。そしてすぐさま出てきた巨大な像。多分あれがナルト君の言っていた外道魔像なんだろう。自称マダラの方はどうやらお面を変えたついでに眼も変えたらしい。元から見えていた右目は万華鏡写輪眼だけれど、左目の方はチャクラの感じが違う。前回と同じように、けれど前回とは別人の目を埋め込んでいるのがわかる。そして何よりあれは写輪眼ではなく輪廻眼、ペインの持っていた眼と同じだ。

 そしてその周りには六人のペイン。ただ、前回と違うのは片目が写輪眼になっていると言う事で、さらにそのペイン達はそれぞれが恐らく人柱力であると言う事だ。

 私は細く鋭く研ぎ澄ませたチャクラ糸を七本伸ばしてペイン達の腹部の中心にある点穴に突き刺した。……あれ、気付かれないの? 使い慣れてないから気付かなかったとか? でも自称マダラの方にも刺さっちゃってるけど……いや、違う。これ刺さってない。細胞と細胞の隙間をすり抜けて点穴に刺せているのは六体のペインだけで、本体の自称マダラには刺せてない。すり抜けられてる。だって糸の先に刺さった感触も突き当たった感触もない。どうやっているのかはわからないけど避けられたのだけは確かだ。

 そしてどうやらそのすり抜けはほぼ自動発動だったらしい。樹に着地した瞬間だけチャクラ糸に接触の感覚が返ってきたし、それから宙に浮いている間は感触が無くなった。私の糸は限界まで圧縮することで刺された感触を感じさせずに刺すことができるが、刺した私は刺さった感覚を感じ取れるのだ。

 そう考えると、相手のこれは本当にすり抜けているとしか考えられない。自分から何かに触れようとする時だけは接触できるようなのでその瞬間を狙えばいけるかな?

 まずは人柱力らしきペイン達の経絡系に私のチャクラ糸を潜り込ませる。体内でチャクラ糸を分割させ、細胞の一つ一つから流れ出るチャクラの経絡に侵入させて待機。こういうのは気付かれてしまうと効果が半減してしまうから、気付いたとしても精々索敵用と思わせておくのが一番。こちら側に近付くにつれて少しずつ分かりやすくしておけば索敵用に伸ばしていると思ってくれるだろう。実際には殲滅用なんだけど。

 

 人柱力たちの方は全身の経絡の乗っ取りをほぼ完了させた。今は自称マダラが操るのに任せて動かしているけれど、自称マダラが間接的にチャクラで動かすよりも私が直接チャクラ糸で操った方が強制力は恐らく強い。問題は尾獣のチャクラを纏った状態になったら全身の経穴からチャクラが噴出するから経絡の中に仕込んでおいたチャクラ糸が圧に負けて消し飛ぶか制御を離れて経絡を内側からズタズタにしてしまうかのどちらかになってしまうと言うところなんだけれど、まあ問題はないはずだ。だって敵だしね。

 それに、一応尾獣と意思疎通ができるようになった我愛羅君に衣の状態を見せてもらったけれど、あれの中にチャクラ糸を入れても大丈夫そうだったしね。圧縮率が違いすぎるようで大量のチャクラの奔流の中でも私のチャクラ糸は形を保てるし流れを斬って受け流せる。いきなりじゃなければ、だけど。

 それと、ペインと同じように身体に杭を刺して操っているらしいのでその杭に触れないようにしておく。チャクラで触れれば自称マダラの意思どおりに動かなくなってしまうかもしれないし、やるならしっかりと決められるところまで状況を進めてからやるべきだ。骨折り損のくたびれ儲けなんてのは御免だからね。

 

 けれど、どうやらこの戦場では決め手に欠けるらしい。十尾の殻でもある外道魔像は中身が欠けていても十分に強く、多くの忍を蹂躙している。元人柱力たちは尾獣を使ってはいないようだけれど、尾獣のチャクラ性質からくる様々な特殊な術を使っている。これは、もう少し抑えるために色々とやっておいた方がいいかもしれない。

 感知班は既に私たちのいる場所にマダラがいるという情報を送ったはずだ。なら後は援軍が来るまで耐えればいい。以前のペインを相手にした時には死体相手に効果的な技を作っていなかったから後れを取ったけれど、今は違う。時間稼ぎなら十分できるはず。

 転生眼となった私の眼は、人間の経絡だけではなく大地の経絡をも見抜く。ナルト君曰く『龍脈』と言うらしいけれど、龍脈の流れに乗っての高速移動で仮面を被った自称マダラに隣接する。私の指はマダラをすり抜けるけれど、マダラの攻撃も私をすり抜ける。

 話は聞かない。対話はしない。息つく暇なく攻撃を続け、常時私の身体とマダラの身体を重ね続ける。

 

「五分間……私は貴方の心臓を貫き続ける」

「何……!?」

「重なった部分がどうなるのか……見物だね」

 

 残り、四分三十八秒。

 




Q.話しないんじゃないの?
A.独り言だからセーフ。

Q.ヘアモンスターかよ……
A.元ネタはそれですからね。


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NARUTO~142

 

 side 日向ヒナタ

 

 ナルト君は何でも知っているわけではないらしいけれど、大体の事は知っている。チャクラを使って空を踏む方法や、空を飛ぶ方法、更にチャクラを使った術に対して術の中心部分を糸で貫くことで術を崩壊させる方法。本当に色々なことを教えてくれた。

 あれから二分弱。私はマダラの心臓を貫いた右腕をそのままに人柱力たちの猛攻を凌ぎ続けていた。

 外道魔像の攻撃は空掌で弾き返し、人柱力たちは一部を他の人たちに任せ、一部を私が相手の体内に仕込んだチャクラ糸を通して操ったり術に送られるチャクラの流れを阻害したりすることで攻撃を不発させる。死体を操る欠点だ。もしも生きている人間ならば私がやっているようなことをすれば激痛によって何かが起きていると言う事がわかるのだろうが、死体に痛覚は存在しない。つまり私に内側から経絡や身体を操られてもなぜそうなっているのかがわからない。もしもちゃんとしたペインならば私が使っているチャクラ糸を吸収できたかもしれないけれど、どうやら術をチャクラに分解して吸収する能力はこのペイン達にはついていないらしい。そのお陰で私のチャクラ糸は相手の経絡系を蹂躙し、さっきから送っているだろう尾獣化の命令の実行を阻止し続けることもできている。

 

「馬鹿な……何をした!?」

「敵に教える馬鹿がいる訳ないでしょう? 馬鹿なんですか? 教えたとしてそれが本当でも嘘でもこっちの策の通りになると思いますが? それに、あと二分は無いですけど大丈夫ですか? 死に(殺し)ますよ?」

 

 私が腕を貫通させている以上体術は使えない。そして転生眼を開眼した私に放出系の忍術はほぼ効果が無い。尾獣たちは抑えているし、人柱力もチャクラの流れを妨害されて殆ど無力化されている。一番の問題は外道魔像が全体重をかけて踏みつけてきたり、あるいはマダラが地面をすり抜けて消えてしまうことだけれど、外道魔像に対してはチャクラ糸を使った反射攻撃が、地面に逃げようとした場合は土遁で追いかけられるから問題ない。それに……。

 

「遅くなった!状況は!」

「見ての通り!このまま時間が来れば心臓を貫ける!サスケ君は人柱力の方をお願い!」

「任せろ!」

 

 援軍も到着した。まあ援軍と言っても完成体須佐能乎で飛んでこれたサスケ君一人だけなんだけれど、サスケ君なら一人だけだったとしても十分頼りになる。絶望してもいいんだよ?

 

 そんなことを考えていたら、突然マダラの胴体が吹き飛ばされた。物理的に。何が起きたのかわからないけれど今までの分が無駄になってしまった……とは考えない。多分、やったのはナルト君だ。結構前にカカシ先生に頼んで影分身一体を神威で飛ばしてもらっていたのが功を奏したんだろう。今まで身体を貫いて向こうの世界に飛ばしておいた甲斐があった。

 ここからは適当に殴ればいい。そうすればナルト君が追いついて飛んだ場所を殴り飛ばしてくれる。

 ちなみにどうして向こう側の世界について知っているかと言うと、ナルト君の影分身があっちの世界で影分身して消えた結果、神威で飛ばされた先には世界が一つあるということがわかり、それを教えてもらったからだ。

 そしてここからは単純。ナルト君曰くあのマダラはカカシ先生の同輩のオビトと言う人で、カカシ先生の写輪眼はオビトと言う人から貰ったものだと言う事を聞いた。だったらカカシ先生の神威の先とオビトの術の先は繋がっていても何もおかしくはない。そう言う話だ。

 そして「多分繋がってるから行ける行ける。食料とかは仙豆一杯あるし行ける行ける」と言ってさっさと行ってしまったナルト君の影分身だったが、今こうして役に立っていると言う事は本当に消えずに残っていたんだろう。ナルト君って凄い。

 一旦すり抜けの時間切れは狙えなくなってしまったけれど、次の手としてあちら側にいるナルト君の元に行かせないように接近戦。近くでは完成体須佐能乎を纏うサスケ君が外道魔像を抑え、連合軍の皆が人柱力たちを抑えている。これで私はオビト改め自称マダラだけに集中できる。

 

 自称マダラの攻撃を回避するためには、態々避けるより相手より早く攻撃する方が効率的だ。私の攻撃をすり抜けている間は自称マダラの攻撃も私の身体をすり抜ける。そしてすり抜けた先にいるナルト君の影分身によってダメージを受ける。カカシ先生がいなかったらこんな手段は絶対に取れなかっただろうけど、居るからね。写輪眼のカカシが。

 自分の視界を潰さないように攻撃を続ける。瞳術によって幻術を掛けようともしているみたいだけれど、あの万華鏡写輪眼はあまり幻術には向いていないらしい。それに私の眼も特別品で、この目を使っている間は敵の術からチャクラを吸収できる上に攻撃も通らない。なお体術や純粋に物理的な攻撃は通る。ちょっと調子に乗ってナルト君の影分身に挑んでみたら拾った石ころを大気摩擦で沸騰する勢いで投げつけてきたものを受けて粉々になったことがある。あの時は影分身だったのに死んだと思った。絶対死んだと思った。生きてたけど。

 

 うん、結構余裕が出てきたかな?

 




Q.なんか吹っ飛んでったんだけど何があったの?
A.以前カカシに神威で飛ばされてた影分身がヒナちゃんの身体と重なって異空間に来ていた身体の一部を殴り飛ばした結果です。

Q.ヒナちゃん強くね……?
A.まあ相手も使い慣れてない能力を持ってましたから、そのあたりの迷いに付け込むことができたんでしょう。本来なら神羅天征で弾けば結構簡単に引きはがせますからね。


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NARUTO~143

 

 side 日向ヒナタ

 

 余裕が出てきたので私はチャクラで繋がった人柱力から封印されている尾獣たちの所にまで意識のおよそ三割を接続させた。私は人柱力ではないから表層のところまでしか行けないけれど、それでも同時に顔合わせするくらいならできる。

 ……猫耳に長靴の女の子。なんだか縛られている大きな亀。赤銅色の毛皮の大猿。イルカの頭を持つ人型。犬耳の付いたちょっとぽっちゃり気味の女の子。千切られた薄手の二枚の翼。……あれ、最後の本体じゃないね? 間違いなく羽だけだよね? そしてあの羽、まず間違いなくナルト君の中に放し飼いにされている昆虫王者さんのだよね?

 ともかくそんな彼らが大きな鎖に囚われ、胸を錨のようなものに貫かれているのは見ていて痛々しい。胸じゃなくて首を貫かれているのもいて中々ひどい。

 

「あぁん!? あの面野郎に続いて今度はお前か!俺の力を取ろうってのは!」

「え、いや別にいらないけど……」

「ハァ!? じゃあ何でこんな所に居んだよ!」

「あなたが囚われていると戦いの邪魔にしかならないから、さっさと解放して居なくなってもらおうかなと」

 

 転生眼で大猿を縛り上げている鎖からチャクラを抜いて行く。大猿以外の他の尾獣たちを縛る鎖からも同じようにしていくけれど、やっぱりこの大猿が一番五月蠅い。そして多分この大猿が一番人間嫌いなんだと思う。……本当は尾獣は全員人間嫌いなんだろうけど。

 ともかく外道の鎖からチャクラを引き抜き続けていると、鎖はみるみる細くなっていく。そしてついに一か所が切れると、全体が私の中に引きずり込まれていく。あ、尾獣はいらないから一回ストップ。錨を引き抜いてから再開。よし。

 

「これで動けるでしょ?」

「……お前、何だ? 六道の爺とは違うようだが……」

「それを気にしている暇があるならまず出て欲しいなって思うんだけど」

「……まだ無理だ。あの人柱力の体の胸の所に黒い棒みたいなもんが刺さってる。それが俺達をこの身体に繋ぎ止める楔みたいなものでな。あれがある限り俺達は出られない。……本当なら外道魔像に縛られてるこっちの方が面倒だったはずだってのに、よく抜けたな」

「チャクラの細かい操作と小手先の技は得意なので。じゃあ、直接戦っている人に頼んで抜いてもらいますから暫くは大人しくしていてくださいね」

 

 とりあえず言うべきことは言った。あとは直接戦っている人たちに人柱力の胸のあたりに刺さっている黒い棒を引き抜けば無力化できることを伝えて……あ、でもそれをやったら多分尾獣たちはその場に出てくるからそのことも一緒に伝えて、そうすれば多分あの外道魔像って言うのも中身が無くなって動かなくなるはず……。

 まあ、その前にこっちの決着がつきそうだけどね。

 

 振るう武器を二本の指で挟んで止め、足の指で点穴を突く。すり抜けられるけれど初めからそうなると思っている以上何も問題はない。気を付けるべきは一つ、相手の目を攻撃しない事だ。相手の目が向こう側に行ってしまったらナルト君の影分身が相手の視界に入る。そうなれば何が起きているのかが簡単にわかってしまうだろう。それは避けたい。まあ実際にはバレたところで何があるわけでもないけれど、多分彼との決着はカカシ先生が付けたいだろうから止めを刺しきりたくないんだよね。だから今こうしてうだうだとやってるわけだし。

 ……まあ、攻め切れないのもまた事実ではある。私はナルト君のように空間を砕いて相手に拳を直撃させるとかそんな技は持っていないので、避けに徹されると当てられないのだ。相手が攻撃してくるのに合わせてチャクラ糸で刻めば行けるかもしれないけれど、それをやったら間違いなく死んじゃうからできない。カカシ先生早く来てくれないかな……。

 

 待っている間に尾獣たち、と言うか人柱力たちの方はなんとかしておいた。突き刺しておいたチャクラ糸を太くして鎖に変え、チャクラを封じつつ人柱力たちに尾獣を縫い付けている黒い棒を引き抜いてもらう。それから誰もいない方に人柱力たちを走らせて、そこで尾獣たちを解放した。

 これで囚われていた尾獣たちは解放し終えた。そろそろ相手も後がなくなってきたんじゃないかな? 捕らえていた尾獣は全て逃がされ、簡単に勝てると思っていた戦争も今やジリ貧。何か切り札が無いんだったらこのまま終わらせちゃおっかなー、とか考えているんだけれど。

 外道魔像も中身が無くなって……あ、いや違う。まだ何か残ってる。尾獣たちは出したはずなんだけど、一体何が残ってるんだろう?

 

 転生眼でじっと見つめる。ひたすら見つめる。……蛸足が一本と虫の羽根が二枚、結構な大きさの砂山が一つ。なるほど出ていくのは本人たちの意思に任せたけれど元から意思が無ければそりゃそうなるか。できることならさっさと終わらせたいけれど、サスケ君は物理的な破壊をもたらす術は得意だけれど封印とか小手先の技はあんまり得意じゃないんだよね。できなくはないけど。

 私たちの中で一番小手先が上手い、よく言えば器用なのはサクラちゃんだけれど、サクラちゃんは今医療部隊で怪我人の治療中のはず。こうなったら私が引っこ抜くしかないかな。

 

『……おい、お前』

『なんですか水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖さん』

『そこまで知ってるなら名前で呼べよ』

『残念ながらそこまで知っているけれど名前を知らないんです。教えてくれた人が他人の名前を五年とか十年とかかけないと覚えられない人で……聞いた名前は確か……孫……ゴテンクスさん?』

『孫悟空だ!なんだゴテンクスって!?』

『私に聞かれても……その人がそうやって間違えて「まず間違いだからこれで呼ぶなよ」って言ってたことくらいしか』

『間違いだって自覚はあるのな……』

『なんと言うか、ごめんなさい。とてもとても良い人とは言えないんですけど、悪い人ではないんですよ?』

『フン……お前に良い物をくれてやる。多分役に立つだろうよ』

 

 そう言って水廉洞の美猿王六道の仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王斉天大聖改め孫悟空は、私にチャクラの糸を通して自分のチャクラを少しだけ分け与えてくれた。

 ……何に使えと?

 




Q.ヒナタが六道仙人化していく気がするんだけど気のせい?
A.いいえ、気のせいではありません。ちなみにこの後他の尾獣たちのチャクラも貰っています。

Q.足で点穴って突けるの?
A.手の指と同じことが足の指でできればできるはず。


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NARUTO~144

 

 side うちはサスケ

 

 外道魔像の動きが弱くなった。つまり、ヒナタが外道魔像から尾獣を引っこ抜くのに成功したと言う事だろう。通常の須佐能乎だったらともかく、完成体の須佐能乎を使い続けるには俺のチャクラは潤沢とは言えない。ナルトとは違うんだナルトとは。

 だが、動きが完全に止まるわけではない。これは恐らく中にまだ何かが残っているということだろう。以前ナルトに尾獣の封印式に割り込まれて一体持って行かれたことから色々と考えたんだろう。万が一同じように抜かれても致命傷にならないようにいくつか残しておいたに違いない。相手もそこそこやるものだ。

 

 それはそうと外道魔像に卍固めをかけて動きを封じておく。しっかりと決めれば予想以上に動けなくなるからな。ソースはナルトに一度かけられて無理に動こうとして筋肉の断裂の衝撃と共に消え去った影分身の俺。正直涙が止まらなかった。関節技とか千鳥流しや須佐能乎でどうにでもなると思っていたが、相手がナルトになると全く効果が無くて草すら生えない。

 これでまあ動きは封じることができただろう。そう思いながらナルトから借りている月の光の懐中電灯を自分に当ててチャクラと体力の回復をしておく。いつどこから攻撃が来るかわからないってのはナルトにさんざん体に叩き込まれたからな。いや、本当に意味わからないことが結構起きたからな。なんだよ須佐能乎で防御してたら防御の中に現れてシュールストレミング缶に威力の低い起爆札くっつけて消えるって。あれは本気でトラウマになったぞ俺は。臭いを選択的に防御して空気は通すって修行だったが、いくらなんでもあれを使うことは無かっただろう……?

 まあお陰で須佐能乎の操作性は向上したから何も言えないんだがな。俺にできるのは死んだ目のまま礼を言うくらいの事だ。

 

 外道魔像がこの体勢に慣れてきたようなので技を変える。足を払い引き倒し、腕を取って逆関節に引く。腕拉ぎ十字固めと呼ばれる技だが、身体の固めはほぼできなくなるので再び変える。腕を取ったまま背に回り関節を破壊しつつ首を絞める。まあ呼吸もしていなければ血も巡っていないので絞める意味は抑え込み以外には無いんだが、形としてはこれで正しい。

 こうして外道魔像が関節技に慣れる度にこちらもかける技を変える。お互いの身体が大きいせいもあって周囲への被害がかなりの物になってしまうが、まあ尾獣たちが尾獣玉をぶっぱなし合うよりはよほど被害は小さいだろうから諦めてもらおうか。それにナルトが全力で……訂正する。ナルトが全力で暴れたら被害の事を考える間もなくこの星ごと崩壊するだろうから、大分手加減しながらも周りへの被害を考えないで暴れまわったら、尾獣玉よりも凄まじい被害が出るだろう。尾獣玉を撃つより殴った方が早くて強いとか、あれは本当になんなんだろうな。人間じゃないと言う事だけはわかるんだが、人間じゃないなら何だと言われると非常に困る。解らないからだ。

 外道魔像をアルゼンチンバックブリーカーに固めながら時を待つ。尾獣は既に放たれた。今の外道魔像は尾獣の一部で何とか保っている程度で、俺からすれば脅威ではない。しかし流石は十尾の外骨格のような物だけあって非常に頑丈だ。壊せる気がしない。頑丈すぎる。

 だが、動きを抑え続けることならできる。殴り合いをしたらわからないが、こうして抑え込める程度には俺の方が技術は上だ。正確にはこいつではなくこいつを動かしている術者と俺との比較だが、まあ変わらないな。俺の方が上だ。

 

 ……しかし、長いな。いつになったらヒナタは止めを刺すんだ? こいつが弱体化したと言う事は殆どの尾獣は抜いたはず。あとは殺せば済むと思うんだが……ああ、あれか。カカシに決着を付けさせたいのか。カカシの奴本当に引きずってたからな。解らないでもない。それにこの戦争を吹っかけてきたのはあっちからだ。こちらが勝ったら間違いなくあいつは処刑されるだろう。チャンスは今しかないわけだ。

 そうなると俺も流石に文句を言う訳にはいかなくなるな。カカシには大分世話になったし、恩もある。ついでに言うなら六代目の火影が内定もしている。形として敬うくらいはしてもいい。

 そうなると、俺のこれはまだしばらく続く感じか。ヒナタの仙豆と違って空腹は紛れないが、月の光の懐中電灯があって本当に良かった。耐久戦には必須だな。

 



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NARUTO~145

 

 side 日向ヒナタ

 

 やっとカカシ先生が来た。仮面は私が相手している間に叩き割ったから相手が誰かと言うのがよくわかるだろう。左目が輪廻眼で右目が写輪眼と言うのは異様に見えるけれど、まあおかしくはないよね。

 それよりも私としては叩いた時の感触が人間のそれと言うよりも白いあれに似ている事の方が気になる。多分だけれどこの身体、かなり改造されている。

 

 まあ気にせずカカシ先生にバトンタッチ。あの人の事はカカシ先生にお任せするとして、私は外道魔像を抑えに行こうと思う。

 今はサスケ君が物理的に抑えていてくれる十尾だけれど、これを今度は中身を全部抜いて本当に出がらしにしてしまう。それはつまり燃料が無くなると言う事だから外道魔像も動かなくなるだろう。

 ただ、残っているのは意思のない部分だけ。具体的には蛸足一本、羽根二枚、砂山一つ。向こうから出ようとすることのないチャクラの塊を一体どうやって出せばいいのかと少し迷うけれど、まあ最終的にはチャクラコントロールだよね。チャクラを繋げて引っ張り出す。ただ、私の身体にチャクラを入れてしまうと私が人柱力になってしまうからあくまで引っ張り出すだけにしておかないといけない。出した後は……どうしよう? 本人たちに吸収してもらうのが一番なんだけれど、砂山の元だと思われる一尾は別の場所で戦闘中、羽の持ち主だと思われる七尾はナルト君の中、そして八尾はナルト君の影分身の一体と一緒に居るはず。つまり届ける方法が無い。

 ……仕方ないから転生眼チャクラモードを使うのと同じように引き抜いたチャクラだけを私の中に留めておこう。それで本人を見つけたら返せばいいだろうし。孫悟空のチャクラも少し貰っちゃたけれど、まあ一応預かるだけ預かっておこうと思う。そんな感じに残っていたチャクラを引き抜いたら、外道魔像は動きを止めた。サスケ君が須佐能乎で抑えていなくとも、もうこの像は動かない。また中身が入れられるか、膨大なチャクラを持つ者が一時的な電池にでもならない限りは。

 

 ……そう言えば、この戦争に余裕がありすぎるせいかもしれないけれど私が解放した尾獣たちを捕らえようとする動きがあった。まあ五体の尾獣を同時に相手にできる存在が早々いる訳もなく、雲隠れと岩隠れの暗部部隊、そしてこの戦争に参加しようとしなかったいくつかの中小国の部隊が蹂躙され壊滅状態になったそうだけれど、まあ自業自得と言う事で諦めてもらう。実際自業自得だし、私達には何の関係も無いしね。

 余裕があるからこういう無駄な策略が出てくるというのはよくわかる。そして、もうすぐそんな無駄な策略なんて出せないくらいやばいのが出てくると思う。それがナルト君の予想しているものかどうかは知らないけれど、とにかく何か出てくることは間違いない。出てこなかったら多分ナルト君が何かしらやらかすと思う。そこまで読める。ただしそのやらかしの内容は全く読めない。ナルト君だからね。仕方ないね。

 正直、ナルト君が何かをするなら止める手段はほぼ無いものと思っていいよね。あったとしても難易度が凄まじいことになりそうだし、ついでに言うなら完全に対処することができたとしてもそれでもナルト君の思惑の上だったりしそう。例えば『戦争を起こすことそのものが目的』とか、あるいは『各地で戦争を起こして血を流させることによってできる巨大な術式を使って何らかの巨大な術を使う』とか、そう言う可能性があったりするから怖い。だって相手はナルト君だし、何を考えているかと言う大雑把な方向性はわかっても目的地に着くまでの移動がどんな形になるのか全く予想もつかない。

 例えば、家から出て近くの店に行き、目的の物を買って家に帰る。たったそれだけの事であったとしても人によって様々な違いが出る。歩くのか、走るのか、乗り物に乗るのか。歩いたとして速度はどんなものか。走ったとして軽く走るのか飛ぶように走るのか全速力か、乗り物は何を使うか。道も一本とは限らない。どの道を使うか、寄り道はするのかしないのか、道の状態はどうなのか、道の右側を歩くのか左側を歩くのか真ん中を歩くのか、そんな違いが沢山ある中で、ナルト君は私たちが思いもしないような方法でそれを実行する。

 そうだね、例えば……直接空間を繋げて貰うものを貰って手首から先以外外出しないとか、そもそも自分で作るとか、そう言う前提条件から壊してしまうのがナルト君だ。だから、私はナルト君が大体何を求めているのかを理解できてもそれに対して協力することはできない。だって何が起こるかわからないし、何が起こっても何が起こらなくてもナルト君だったら大体の事は一人で成し遂げてしまえるだろうから協力する意味があまりない。勿論協力してくれと頼まれたら喜んで協力すると思うけどね?

 

 ……ここからどう自体が進んでいくのか、タノシミダナー(棒)。

 



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NARUTO~146

 

 side うずまきナルト

 

 大体の想定はしてあった。カラシはトビオの事を先に知っているから衝撃を受けることもなく、救いたいと思いながらも結局は何らかの形で一度無力化しなければならないことを分かっていた以上はそれを実行するだろうと。

 そして外道魔像からほぼ全ての尾獣が抜かれ、十尾復活が遥かに遠のいてしまった上に透過による防御もできなくなったトビオが最後にやることとなればそれはもう決まり切っている。自分でどうにもならなくとも、それを何とかできるだけの存在を呼び出すことだ。それこそ命を捨ててでも。

 原作だったらナルトが意思を見せつけて立ち戻らせるんだろうが、残念ながら俺はナルトではあるが原作のように火影を目指そうとはしてないんでな。カラシだけじゃあ説得不可だったようでトビオは外道・輪廻転生でマダラハゲを蘇らせ、蘇ったマダラハゲはオトビから輪廻眼を奪ってカラシを攻撃、周囲に隕石を降らせて忍連合を瓦解させた。

 そのころにはオトビを倒さんと多くの忍びが集まってきていたし、五影もその場に到着していたんだが……まあ、普通に考えてボコられるわな。唯一対応できていたのが完成体須佐能乎を纏ったサスケと身体能力がそろそろ人外になってきたバクラ、そしてチャクラ糸で全ての攻撃を威力二倍で跳ね返せるヒナちゃんくらいだ。マジでヒナちゃんがいなかったら忍連合壊滅してたんじゃね?

 

 原作ではまず穢土転生を相手にする一段目、オトビが出てきた二段目、マダラハゲを相手にする三段目があったがこの世界においては穢土転生はこちらの味方、さらに一段目の敵である白い方のゼツはほとんど被害を出せずに片付けられた。二段目ももう終わり、三段目がこれから開始されるわけだ。まあこの後にもう一段残っているがそれはまあいいな。

 続々と穢土転生体が集まってくる。加えて各地で戦っていた連合の忍もだ。相手は輪廻天生にて完全体で蘇ったマダラハゲ。完全体ではげと言う事は置いたらマダラじゃなく完全なハゲになるのだろうなとどうでもいいことを考えつつ、隣にいる男に話しかける。

 

「クレイジーサイコホモがお前の弟を見つめて『いいな……お前をよこせ』とか言ってるけど行かないでいいのか?」

エェェェェェェェェェェェェェェ…………」(ドップラー効果)

 

 おお、速い速い。実際にはマダラハゲはサスケの目を見て『いい(眼だ)な……(俺の眼が戻るまで)お前(の眼)をよこせ』だが、まあ一部省略しただけだし問題なかろう。と言うか俺が飛雷神で送った方が早いと思うんだが、全く気付くことなく走って行った。ブラコンここに極まれりって奴か。ブラコン怖いわー。

 ちなみにだが、俺はトビオが奪った輪廻眼の右の方がどこにあるかは知らない。ただ言えるのは、あの目を使ったところで六道仙術以外の瞳術などは一切使えないと言う事だ。当然だ、俺はそう作ったんだから。自爆させることもできるが、まだやってもらわないといけないことがあるから暫くは手を出さない方向で行く。俺が直接それをするより勝手に動き回っている奴が俺の目的もついでにやってくれるんだったら、俺はそいつがやりすぎた時にその首を刎ね飛ばして眼球を爆破し脳漿を地べたにぶち撒けさせるだけで済む。そしてそれをサスケが攻撃したのに合わせれば完璧だな。

 だが、マダラハゲを殺しただけでは終わらない。兎の女神の最後の子供が色々と暗躍しているはずだからな。そいつを殺すなり封印するなり洗脳して太陽に飛び込ませるなり月の転生眼使いの所に行かせて全員を乗っ取らせて自爆させるなりしておかないと俺の愛する平穏が遠のいてしまう。

 マダラハゲは殺す。兎の女神も殺す。兎の女神の最後の子供、毒舌も殺す。十尾の殻である外道魔像はあらゆる特徴も残らないレベル、具体的に言うなら原子レベルまで崩壊させられればそうするし、チャクラにしかならないと言うなら純粋なチャクラになるまで分解して俺の世界に植えてやる。まあ枯れ木も同然だからいつか倒れ朽ち果てて吸収されることになるんだろうがな。

 ペインは世界平和には痛みが必要だと言っていた。実に正しいと思う。家庭や村と言った小さな世界であるならまだしも、文字通りに世界全てに平和を齎すならばそこには必ず痛みが必要だ。それこそ何十年単位では到底忘れられないようなとてつもない痛みが。中には痛みを覚えていてそれでも戦いを望む奴もいるから一概には言えないんだが、大抵の奴は痛みを受ければ大抵覚える。ただし、それは継続的な痛みではいけない。人間は良くも悪くも慣れる生き物だ。一度は耐えきれないほどの痛みを受けて二度とこんなことが無いようにと願ったところで、常にその痛みに晒され続けていれば慣れてしまう。痛みが大きければ大きいほど慣れるには時間がかかるだろうが、それでもいつかは受け続けた痛みをそういうものだと認識して当然のように動き回る奴が必ず出てくる。だからこそ、痛みは継続的な物ではなく断続的な物でなければならないのだ。

 百年に一度の大災害。百年では人間の代は二つか三つ、多いと五つくらいは変わるから長すぎるかもしれないが、だったら二十年に一度でも構わない。結局のところ、戦争を起こそうとする度に何かが起きて戦争などやっている暇が無くなればいいわけだ。戦争を吹っかけようとした国の真下で偶然にも直下型の大地震が起きて物的資産も人的資産も纏めて失えば、周囲の国に対して頭を下げて救助を求めるくらいしかできなくなる。結局のところそうしておいた方が世界は平和に進んでいく。

 

 まあ、理想論だな。できたら面白そうではあるが。

 




Q.もしも理想論が現実になった場合、どんな世界に?
A.ゴッドイーターか進撃の巨人、あるいはモンハンっぽくなると思われます。

Q.トビオとかカラシはまだいいとして、マダラハゲって出てくるたびに気が抜けるんですが
A.そう言うキャラだからね。仕方ないね。フルフルニィさんでもいいよ。


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NARUTO~147

 

 side うちはサスケ

 

 この男は、強い。忍び連合軍と現五影に加えて穢土転生体で若干弱体化しているとはいえかつての五影たち、それに加えて唯一この男と正面から戦えたという初代火影を同時に相手にしてやや優勢を保っている。だが、負ける気は正直していない。

 マダラの完成体須佐能乎を相手に俺の完成体須佐能乎が剣を振るう。完成体須佐能乎に全力で武器を振るわせたら大陸に大きな切れ目が入るのは間違いない。木遁分身にはナルトからチャクラを貰って影分身で対応し、一体一体完成体須佐能乎の防御を剥がしては五影たちに討たせる。時々剣で防御ごと貫いて殺す。それができる程度に実力の差がある。これもナルトの超圧縮影分身修行のおかげだ。精神的に死ぬかと思ったがな。

 それに、途中からではあるがイタチも参戦した。イタチの須佐能乎が持つ剣は俺の須佐能乎の剣と違って突き刺した相手を封印する能力がある。本体はともかく分身体ならその身体を保つためのチャクラを奪い取れば封印は簡単にできる。まさに木遁分身に対しての特効とも言える術だ。

 それに、ヒナタはともかくとしてサクラがヤバい。拳の一撃で完成体須佐能乎の防御を文字通りに粉砕して中にいる分身もろとも消し飛ばすとか、お前はナルトかと。ちなみにぼそりと呟いたらサクラから幻術通信が掛かってきて『ナルトと一緒にするとか訴訟』という内容が伝えられた。幻術タイプってのはマジだったんだな、サクラ。拳の威力が明らかに人間のそれじゃないから忘れていた。

 しかし、サクラのあれは今まで溜め込んできたチャクラを使っての一時的な強化でしかない。言ってしまえば外付けニトロターボの燃料を普段から少しずつ溜め込んで必要な時に使っているようなものだ。いずれはガス欠を起こしてしまう。

 なおガス欠を起こした場合五分もすると最低限の燃料補給ができて戦線復帰してくる。チャクラ切れがそんな速度で回復するとかお前はナルトかよ。今度は口に出さなかったはずだがまたサクラから幻術通信が掛かってきて幻術の中でギャラ○ティカマグナムと言う掛け声とともに腹パンされた。幻術内で無ければ即死していた。女は怖い。ちなみに幻術内で俺はサクラの拳によって胴体を物理的に撃ち抜かれ内臓を背中側から骨や内容物と共にぶちまけていた。幻術内で無ければ即死していた(二回目)。

 

 しかし、決め手がない。術が吸収されるのに加えて相手のチャクラに底が見えない。ナルトかよ。……いや、ナルトなら本気でなくともここに居る全員秒殺か。秒殺して蘇らせたうえで『もう一度だ』とか言うタイプだもんな。知ってた。

 マダラが服をはだけて初代火影の細胞を身体に移植しているとかそういう事も聞かされたが正直それについてはどうでもいい。輪廻眼の効果によるものだろうが術の吸収が本気で面倒臭い。仙術チャクラを吸収させて石化を狙ってみたが、どうもかなり簡単に仙術チャクラを扱えるようになってしまったようで逆に強化までされてしまった。仙人モードでの広域感知と須佐能乎の移動力が合わさると、せっかく引きずり出した尾獣が再び捕らえられてしまう可能性があり面倒臭いことこの上ない。本当にこいつ意味わからないレベルで強いな……いや、強いというより厄介なのか。

 だが、こいつの言うように絶望するようなことは少なくとも俺とヒナタ、そしてサクラに限ってはありえない。何しろ間違いなくこいつよりはるかに強い奴を一人知っている。ただそれだけのことで心の余裕がかなりできる。

 このまま戦いが続けばどうなるか。今、あいつは生きている。生きているなら殺せる。どうも何かの術を使おうとして不発しているようだし、恐らくだがあいつは今何らかの制限がある。まあ恐らくナルトが何か仕込んだんだろう。何かは知らないが。

 

「ヒナタ」

「ほぼ十割」

「サクラ」

「九割九分九厘九毛九糸と少し」

「ほぼ十割でいいだろそれは。だが上等だ」

 

 余裕はまだある。恐らく俺が一番チャクラ消費が激しいだろうが、使う傍から回復を続けている以上なくなるような事は無い。ヒナタはチャクラの使い方が上手いこともあってほぼ十割、サクラは溜め込んだ分の十万分の一程度しか使っていないようだし、余裕があればいくらでも取り返しがつく。相手には尾獣も無し、俺達を無視して術を発動できるような余裕も無し。風呂に入れるほどの余裕はないが、負けることはまず無いはずだ。なんか前にもこんな感じのことを言って不意打ちを受けた気もするが、今回はしっかりと感知している。不意打ちは無い。

 多くの奴らが膝を折る中、立ち上がった俺達は勇者か何かにでも見えているかもしれないな。まあ、勇者と言うより大魔王の部下の魔軍司令辺りのポジションだと思うが。

 

「ナルト君を裏切ったら殺したからよろしく」

「裏切らねえよ。……ん? 殺『した』?」

「意志表明だよ、気にしないで。さあ、倒しに行こ」

「そうね。あ、それじゃあ私は魔軍司令の参謀兼回復役ね」

「大魔王の秘書に立候補かな」

「恐ろしい魔王軍だなおい。絶対敵に回したくない」

 

 苦笑を一つ。拳を合わせて意思を繋げる。

 

『『『さあ、戦おう!』』』

 




Q.おっそろしい魔王軍だなオイ
A.大魔王ナルチカ、魔王付き秘書官ヒナタ、魔軍司令サスケ、魔軍参謀サクラ。もうこれだけで大体の敵に勝てそうな気がします。

Q.イタチの強さはどんなもの?
A.初見だったらサスケを無傷で殺せます。初見じゃなければ持久力で負けるので超短期決戦になり、サスケが耐えられればサスケの勝ち。そんな感じ。


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NARUTO~148

 

 side はたけカカシ

 

 俺の前でオビトは死んだ。自分ではもうできることが無いと言い放ち、本物のうちはマダラを呼び出して。

 俺にくれた左の写輪眼の代わりに埋め込まれていた輪廻眼は本物のマダラに抉り取られ、虚ろな右目の写輪眼だけがじっと俺を見つめているようだ。

 情けない。教え子たちが今も戦っていると言うのに、俺はこうして打ちひしがれる事しかできない。身体を動かし、戦わなければならない時だとわかっているのに、俺の身体は意思に反して動こうとしない。まるで身体と意識の繋がりが完全に断ち切られてしまったかのようだ。

 

ふぁふぁへふぁいふぁ(情けないな)ファファヒ(カカシ)

 

 ……ふと、声が聞こえた気がした。周囲を見渡してみればそこは戦場ではなく、ただ真っ白な空間が広がるばかり。そして俺の目の前に立っているのは―――

 

「……誰だ?」

ふぉえあ(俺だ)オウィオあ(オビトだ)

「……は? オビト? と言うか耳に聞こえてくる音と理解した意味が違いすぎるんだが……と言うか何があったお前。顔面が月面より酷いことになってるぞお前」

フィンいふぁあえふぁ(リンにやられた)ふぁんふぁおへふぁひおこお(なんか俺達の事)いえふぁあひうえ(見てたらしくて)わはあこおいへあいぇ(馬鹿なことしてないで)あっはおあゃはっへいあはいっえいあへあ(さっさと謝ってきなさいって言われた)アウンホえオフォあへああるぁ(マウントでボコられながら)

「あー……リンは怒ると怖かったからな……ボッコボコにされたか」

いふぇぇ(痛ぇ)

「それで痛くないんだったらそれこそ病院だよお前」

えいあんひうひょっぉうあ(霊安室直行か)?』

「確かに今のお前死んでるが……霊安室直行になるだろうが……」

 

 ……何だこれは? 何が起きているんだ? オビトは死んだよな? 俺の前で死んだのを確かに確認したぞ? なんで当たり前のように俺に話しかけてきているんだ? まるで意味が解らない……ナルト案件か?

 

ふぁあ(ああ)ふぁいあんああひんあ(時間が無いんだ)ふぉあへいあっはんあっぇあ(火影になったんだってな)ふぁえいはいをわあひいいふぁんあ(前祝いを渡しに来たんだ)

「前祝い……? と言うか、お前謝りに来たんじゃないのか? 忘れて戻って『ちゃんと謝れた?』とか聞かれて忘れてたとか答えたらさらに倍になるくらい殴られるんじゃないか?」

『……ふあん(すまん)ファアヒ(カカシ)ふぉえああふぁあおほを(俺は馬鹿なことを)いへいはっふぁおうふぁ(してしまったようだ)

「……ああ」

ふいふぉいいふぁあひ(虫のいい話)ふぁおいへあひけおあ(かもしれないけどさ)……ふぉえあふぉあおうほふぃあ(俺が壊そうとした)ふぇあいをあをっぇうへえ(世界を守ってくれて)ふぁいあふぉうあ(ありがとうな)ふぉあえふぁああ(お前らなら)ふぃっおあわあを(きっとマダラも)あをえふあお(倒せるだろ)ふぇあいふぉあおんはえ(世界を頼んだぜ)ふぁいんあんふぉ(写輪眼の)ファアヒ(カカシ)』』

 

 それだけ言って、オビト……オビト……? 多分オビト……? は消えた。そしてオビト……? が消えたと同時に、俺の右目に熱がこもったような感覚があった。

 俺の前で倒れているオビトの眼は、既に写輪眼ではなくなっていた。そしてその虚ろな目に映る俺の眼には左右揃った万華鏡写輪眼が開眼されていた。この戦争で使いすぎて掠れていた視界は完全に回復していたし、追いつけそうにないと思っていたマダラの戦闘速度も見切れるようになってもいた。なるほど、オビト、これはこの状況では最高の前祝いだ!

 

 両目の万華鏡写輪眼が揃ったことで須佐能乎を発動し、マダラたちの戦闘に割り込む。神威はあらゆる防御も強度も無視する刃。流石に術そのものをチャクラに還元されて吸収されたらどうしようもないが、それでも不意打ちには非常に長けている。

 さらに両目が揃ったことで、完全な神威が使えるようになった。俺自身を相手の攻撃からすり抜けさせながら一方的に攻撃を続ける。神威手裏剣でマダラの完成体須佐能乎を切り裂き、そうしてできた傷からイタチやサスケの須佐能乎の剣がマダラを突き刺さんとする。どうもマダラは攻撃系の能力は非常に高いようだが、防御系の能力は須佐能乎の強度と輪廻眼の他者の術をチャクラに変えて吸い取る術に任せっきりであるようだ。

 ……よし、ガイの出番だな!

 




Q.何言ってるかわかんないんですけど……
A.ボッコボコだからね。仕方ないね。

Q.あれ? これだとカカシに写輪眼残る?
A.残ります。片目だけ。


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NARUTO~149

 

 side うずまきナルト

 

 マダラハゲは木遁分身で尾獣たちを全部捕まえてきた。そして輪廻眼で外道魔像に封印し直し、さらに自前で代用品の九尾まで引っ張り出してきた。具体的には雲隠れの金銀兄弟とか言う奴らを穢土転生させて即座に取り込んだ感じだが、よくそんな物を用意してたなこいつ……と思ったら前にオカマ丸が襲撃された時に触媒ごと持ってかれたんだと。一応予備として考えていたんだろうが、まさか本当に使われることになるとは。それ以外はほぼ手つかずだったそうだから本当にチャクラの予備としか見ていなかったんだろうな。

 

 守鶴は時間短縮のためにがらがらどんから無理矢理引っ張り出して一部を切り取り取り込んで、八尾に関してはトビオがオカマ丸の所を襲撃した際にそこにあったかつて先代雷影に斬り落とされた八尾の角で、七尾に関してはそこらに落ちていた鱗粉で代用……代用できんのかすげえなおい。確かに設定上全てのチャクラをそろえることが大事なんであってその量には言及されてなかったけども。マジか。

 それで一応十尾として復活を果たしたわけだが、一、七、八、九が中途半端にしか入っていないだけあってかなりその動きは遅い。まあそれでも完全な尾獣が五体分は入っているわけだからかなり難しい戦闘になったようだ。

 それに加えて木遁分身で自分を増やしまくるマダラハゲはその本体をサスケとカラシが抑えているとはいえ、須佐能乎で暴れまわられるだけで分身だったとしても並大抵の奴じゃ相手にならない。かつての五影やそこそこ使える奴らを穢土転生させておいてよかったと思う。そうじゃなかったらあっという間に恐怖や痛みを伝える間もなく死んでいたところだ。それじゃあ何の意味も無いだろうに。

 だが、十尾相手に普通にやりあえてるってのも中々に凄いな。原作では忍連合全体がかなりボロクソにされていたはずだが、ここでは穢土転生された奴らの力もあってなかなかいい勝負になっている。問題と言えば精々マダラハゲが十尾を取り込もうとする度に邪魔が入って未だに十尾の人柱力、すなわち六道仙人モードになれていないと言うことくらいだが……流石のヒナちゃんでも大量のマダラハゲを相手に不完全とはいえ完成された十尾から尾獣を引き抜くことはできていないしできるほどの余裕もないように見える。問題なかろう。

 俺の方も問題はない。やることはやっているし仕込みも大体は済んでいる。オカマ丸ご所望の多くの忍びの死体も今回の戦争で大量に出ては打ち捨てられている死体を集めて渡している。俺にとってはゴミでしかないがオカマ丸にとっては宝の山なんだろう。どうでもいいが。

 

 しかし、もう少し被害が大きくならないものかと思って千里眼で戦場を眺めているんだが……膠着してるな。これは何かが無いともう暫くこの膠着状態が続くことになるのがわかってしまう。

 ……ならば、何かを与えてやればいい。一度戦場に顔を出しマダラハゲをその視界に収め―――大気都をマダラハゲに向けて発動した。マダラハゲを二倍にしたら髪の量が増えるのかそれともハゲの部分が増えるのか、面白そうだから今度髪の方のマダラハゲを見たらやってみようと馬鹿なことを考えつつ。

 しかし大気都に俺の馬鹿な思考は関係ない。マダラハゲの能力は全て二倍に跳ね上がり、拮抗していた現状は即座にひっくり返された。まあ、マダラハゲがどれだけ無茶をしたとしても全てを殺しつくすようなことはしないとわかっているからこその行動だが、大分多くの奴が命を失ったらしい。

 そして余裕ができたマダラハゲは十尾に近付き、十尾を丸ごと取り込み十尾の人柱力となった。まあ、俺の元に九喇嘛と守鶴の半分、そして昆虫王者が居る以上は完全体になれるはずもないんだが……それでも十分だろう。それまでただ放出するだけだった力に指向性が付けられるようになっただけでも効果はあるし、それを扱うのが一応忍の神とも呼ばれていた初代火影と同等かそれ以上の力を持つマダラハゲであるならばなおさら効率的に使えるようになることだろう。

 と言っても俺はマダラハゲが十尾を取り込む瞬間に大気都の効果を解除してマダラハゲの能力を元通りにしておいたから、ここから先がどうなるかはわからない。十尾の力で暴れまわる方が強いのか、それとも今まで十尾を抑えきっていたヒナちゃんやバクラ達が参戦した方が強いのか……まあ、数は力だし原作においてはガイに半死半生まで追い詰められていたマダラハゲだから最終的になんとかなると思うがな。

 一瞬の火力やそれを相手に当てる技量ではバクラはガイには敵わないが、死門ならともかく驚門状態なら十分張り合える。動体視力が追いつかないだろうから防御に徹するしかないだろうが、真正面からせーので殴り合えばほぼ相殺できる程度の力を出せるはずだ。

 ヒナちゃんは相手が生きた人間ならば点穴を突くことで様々な障害を与えることができる。ちなみに一応教えたらできてしまったが相手を酷い下痢にすることもできるはずだ。まあ今のマダラハゲは蘇ってから何も食べてないだろうから出てくるものは何もないと思うが、腹痛を起こさせるという点ではとても効果的な技ではある。社会的な立場のある相手に使ったらもうそれは処刑と変わらないほどの効果を及ぼすだろうが、マダラハゲは社会的な地位は無いと言ってもいいくらいだから意味は無いだろうな。

 そしてサスケ。サスケはある意味マダラハゲの劣化版のようなものだ。輪廻眼のないマダラハゲ、と言えば大体正しいだろう。ただし実力自体は相当なもので、輪廻眼の分を除けばまず間違いなくマダラハゲにも勝っている。まあ輪廻眼があるからその仮定にはあまり意味は無いんだが。

 

 よし、それじゃあもう暫く眺めていよう。無限月読が発動すれば、そこから俺の出番になるだろうからな。

 




Q.なんで強化してんの……!?
A.しないと忍連合に十分な被害が出ないじゃないですか。

Q.ここからどうすんの?
A.乞うご期待。


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NARUTO~150

予約投稿に失敗したので不規則にいくつか投稿しています。本日三話目になりますので最新話から来た方はご注意ください。


 

 side うずまきナルト

 

 最初の被害者は穢土転生の二代目水影だった。六道モードになったマダラハゲの黒い球と棒に触れたら穢土転生だろうが何だろうが問答無用で死ぬと伝えておいたはずなんだが、忘れていたのか聞いてなかったのかそれとも嘘か冗談とでも思っていたのか……ともかく一番に脱落したちょび髭の水影の術を解いてこちらで再度呼び出した。

 

「……俺さ。言わなかったっけ? あの黒い球とか棒とかに触ると術が消えるから穢土転生でも触れるなってさ。言ったと思うんだけどそのあたりどうよ?」

「……ああ、うん、言ってた。思い出した。頭の半分と胴体吹き飛ばされてそれから思い出した。すまん」

「まあ、まだお前さんの触媒も生贄も結構いるからいいけどさ。このままだとお前さんを呼ぶときの生贄がゴキブリになるからそのあたりよく考えて行動してな?」

「おいちょっと待て。ゴキブリで呼べんの!?」

「いける。と言うか行けた。あっち見てみろ。あそこで爆破芸極めようとしている奴の核はそこらへん這いまわってたちっこい百足だったし、あそこでかっこいいポーズを取った自分を彫像として残そうとしている奴の核は確かダンゴムシだったはずだ。ゴキブリでも多分行ける」

「うっそだろオイ……じゃあなんでわざわざ人間を生贄に……?」

「その方がチャクラの節約になるし術の難易度もかなり下がるからだろうな。ほれ、送ってやるからそこ立て」

「あん? ここか?」

「そうそう、そこな……天送の術」

 

 なおこの術は凄まじく頑丈か不死身か傷ついたそばから治せるような奴じゃない限り送られる時の衝撃その他で死ぬそうだ。飛雷神があるならそっちを使うべきだな。ちなみに俺は穢土転生達全員に飛雷神のマーキングを付けてあるから本当はそれで送りつけられたんだが、まあ気にするこたねえわな。どうせ蘇るんだし。

 

「へぇ……? そんな術まで使えたのね。雲隠れの秘術だったと思うのだけど」

「時空間忍術だし、基礎を覚えればそこから発展させてある程度できるようになるぞ。結局のところ送りつけるだけだしな」

「教えてもらってもいいかしら」

「構わんぞ。ただ、この術は生きている奴を送るには適さない術だ。そこだけ理解した上で使用してくれよ」

 

 ……さて、後は無限月読が発動してオカマ丸も喰らってしまうまでこうしてのんびりと話を続けていればいいな。オカマ丸って木の葉の三忍の中で一番の変態だが、同時に木の葉の三忍の中で一番話が通じる相手でもあるんだよな。なにしろ理系だ。賭博狂いの体育会系や色狂いの文系とは大違いと言っていい。感情論で話をされると対話が成り立たなくなることが多いから文系と体育会系を相手にするのは苦手なんだ。嫌いじゃなく苦手って所重要な。嫌いなわけではないから。苦手なだけだから。

 ちなみにだが、俺がもしもこの術を本気で使うとしたらまず間違いなく迷宮のトラップとして使う事だろう。生きている人間に使うとまず間違いなく死ぬこの術を迷宮の転移トラップ的な感じに使うことでよりハードな迷宮攻略をお楽しみいただけます。死ねっ。

 その他にも忍術って狭い所で使うべきではない術が揃ってるよな。火遁系はほぼ全部そうだし、水遁も規模が大きい奴は排水ができないところでやったら溺れてしまう。迷宮内で使えそうなのは小規模な土遁と風遁、雷遁くらいじゃなかろうか。時空間忍術や結界系は物によっては使った瞬間死ぬ可能性もあったりしそうだが、使ったら死ぬ系の術はままあるから気にするだけ無駄かもな。

 特にあれだ、八門遁甲。あれは使ったら力を得る代わりにまず間違いなく死ぬ技。効率は良いのかもしれないが俺はあまり好かん。だってあれチャクラコントロールを極めつくすと八門開いて途中で止めて回復したらまた開いてとかできるのに、そこまでできない奴らが使って死んでいくのを見るのが余りに偲びないからだ。いや本当に。

 ……それに、そう言う技を使う奴ってのは自己犠牲精神が強い奴がかなり多い。要するに悪い奴じゃ無い事が多いわけだ。まああくまでも統計的な話だが。そしてその統計から外れるようなクソ共はさっさと死ねばいいと思うのも間違いない。そう言う奴に対しては秘孔なり点穴なりを突いて強制的に八門遁甲の死門まで開かせてやりたい。自分の身体の制御も全身に走る激痛に耐えることもできないまま自身の守りたかったものを狂乱のままに破壊しながら死ね……とか思ってしまう。

 

 お、おお、なんか眩しいと思ったら、ようやく来たか。この状態はしばらく続くだろうが、それが終わったら俺も出動だな。できるなら俺の事は誰も知らないでいてくれた方が動きやすいのは間違いないし、できるだけ俺を知る存在に残っていてほしくないんだよ。だから態々こうして無限月読が発動するまで穢土転生なんて術を使って待ってたわけだしな。

 




Q.天送の術とかどこで見たの?
A.まあ、使ったところだろうね。

Q.ちなみにナルチカは他にどんな悪用方法を思いついた?
A.相手を強制的に『いしのなかにいる』状態に。あるいは直接太陽の中心にポイ。

Q.お前確か八門遁甲使えただろ。なんで嫌いになってんだよ。
A.やろうとすれば止められるという事実を知らないまま使っている奴がいるのがやるせないそうです。


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NARUTO~151

 

 side うずまきナルト

 

 サスケは未だ輪廻眼を開眼していない。故に須佐能乎では無限月読の光は防げない。結局この大陸にいる中で、俺以外にまともに動けている奴は存在しなくなってしまった。

 だが、ここからが俺にとっての本番だ。今まで使わなかった両目の輪廻写輪眼と額の輪廻写輪眼を開き、十尾の人柱力としての六道仙人モードに変わる。血継網羅の求道玉から作り上げた錫杖と背負った無数の求道玉。その状態でマダラハゲを強襲した。

 やり方は難しくない。時を止め、近付き、殴り飛ばす。それだけだ。移動の途中に生えていた神樹をへし折ってしまったりもしたが問題は無かろう。俺からすればこの程度の奴だが、他の世界……例えばドラゴンボール等では俺以上に強い奴とかそこら辺を適当に眺めるだけで結構見つかるから一応慎重にな。なんと言ってもNARUTOはジャンプの漫画だ。しかもなんか息子の代に繋がって何かやっているという話も聞いたし、息子の代では今以上のインフレが起こっていても俺は何も不思議には思わない。何しろジャンプ漫画だからな。

 だが、今その心配は必要ないらしい。時間を止めて殴り飛ばしても無反応。胴体を削ぎ飛ばしても無反応。自作の輪廻眼を自爆させて頭を粉々にしても無反応。結局俺とマダラハゲとの戦いはこれで終わりと言う事だ。

 だが、マダラハゲが終わっても全部が終わるわけではない。時間停止を解除して落ちていくマダラハゲの肉体を生贄に捧げ、兎の女神を蘇らせようとする奴がいる。恐らくこれで終わりになるだろう。

 

 兎の女神が現れた。世界はこれより破滅に向かうが完全に破滅されるのは問題しかない。何しろ完全に破滅されてしまっては暇になってしまう。ある程度は残しておいてもらいたい。まあそんなことを言ったら俺の事も無限月読してくるだろうが……そもそもこの状態の俺を相手に不完全な十尾しか入れられてないマダラハゲから作られた兎の女神が使う術が通んのかどうかは俺も知らない。ただ一つ言えるのは、兎の女神が使ってくる術がどれも俺にかすり傷一つ負わせることができないようだと言う事だ。

 世界を変えても俺は浮遊している以上全く問題なく行動できる。重力の強い場所に呼び出されてもこの程度の重力では俺に重みを感じさせることはできない。あまりに馬鹿らしかったので自分の世界の強めの重力で押しつぶされそうな兎の女神の顎に蹴りを入れてしまった。舌を噛んで血まみれになっていたが知ったことじゃない。容赦なく追撃。

 共殺しの灰骨、とか言う棒きれは俺に僅かな傷をつけることもできずに弾かれ、その場で崩れ落ちた。世界を移動しているようだが、俺は関係なく拳で無理矢理空間の道を開いて兎の女神の後を追う。そして殴る蹴るの暴行を繰り返す。左の袖の中にいる最後の子供はチャクラ糸を繋いで全部のチャクラを奪い尽くしたことで恐らく死んだ。一応死体らしいものは見つけて焼いておいたが……結局この場で復活とはいかない感じだな。肉片を粉々にして畑に撒いて土に混ぜ込んで肥料にしても復活する奴もいるが、流石にそこまでの再生能力は無かったらしい。

 兎の女神は慌てているようにも見えるが、まあ俺にはそれは関係の無い事だ。俺が平穏無事にこの世界で生きていくのに邪魔になる。故に殺す。とにかく殺す。ひたすら殺す。何が何でも殺す。

 だが、輪廻眼を持つ者と言うのはどいつもこいつも非常にしぶとい。六道仙人と同じ力を手に入れたマダラハゲが胴体のおよそ半分、それも心臓のある左側を吹き飛ばされても再生してみせたように、生命力はすさまじいのだ。それが大本の兎の女神ともなれば一体どれだけしぶといのか想像もつかない。

 想像もつかないからとにかく殴る。時間を止めて粉々になるまで殴り続け、粉々になっても殴り続け、体内の液体成分の分子間結合が砕かれて単一分子になるまで全身を粉々にした。

 さらに魂を捕まえて圧壊させ、記憶を焼き払い、チャクラを奪い取り、砕いた魂を封印した石を地球の衛星軌道上にのっけて……ここまでやって漸く一安心だ。

 

 ……よし、NARUTO・忍界大戦編。これにて終了だな。

 問題は……俺は十尾のチャクラを持ち、輪廻写輪眼を開眼してはいるが、別の十尾と別の輪廻写輪眼だ。輪廻写輪眼の方は良いとしても、十尾が別ってのは問題しかないだろう。実際やってみても駄目だったし。

 しかし今現在、この世界に元からあった尾獣九体のチャクラを全て持っている奴はいない。そして尾獣は兎の女神を殺した時に出てはきたが、俺に力を貸したがる物好きはいないようだからな。

 仕方がないからヒナちゃんを起こしてなんとかすることにしよう。ヒナちゃんは現在一、二、三、四、五、六、七、八の尾獣チャクラを持っている。起こして九の、つまりは九喇嘛のチャクラを入れれば完成だ。

 まずは無限月読に干渉する術式を使って、それから起こしてやればいい。具体的には……夢の中で暴れまわればいいわけだ。

 よーし夢の中の登場人物が何をするにもキタキタ踊りを続けている世界に改変しちゃうぞー。

 




Q.えっ……えっ……?
A.第三次忍界大戦、完!

Q.キタキタ踊るの? マジで? 正気?
A.ナルチカが正気なわけない(断言)


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NARUTO~152

 

 side うずまきナルト

 

 まずはヒナちゃんを見つけて巻きつけられた樹をはぎ取る。再生がうっとおしいので求道玉で斬り落とせば再生することなく取り出せた。

 そこでちょいと幻術返し……とできればよかったんだが残念ながら無理だったのでこっちから無限月読の世界に侵入していく。ついでに俺は平気だったんだが俺の中にいる九喇嘛や守鶴、昆虫王者達は全員無限月読にかかったままなのでこっちの方も解術させていかないといけない。めんどいがやらざるを得ない。なにしろ尾獣たちの多くは兎の女神ごと解体したからな。チャクラとして奪った分もあるが殆どを俺の術を介したせいで俺のチャクラとして認識されるようになっているし、本当に面倒臭い。

 そんなわけでヒナちゃんの無限月読の世界に潜入しまーす。お邪魔します。

 

 入ってすぐに俺は色々な意味で圧倒された。右を見ても料理。左を見ても料理。そしてそんな料理にかじりつく年代様々なヒナちゃんたち。ついでにどこからか料理の追加を持ってきたりヒナちゃんに食べさせたりキタキタ踊りを踊っていたりしている俺。場所は不明。

 まあともかく俺が出した覚えのない俺がこれだけいる時点でここが俺のあずかり知らぬ場所だと言う事がよく分かった。ちゃんと無限月読の世界に乱入できたと言う事だろう。これからこの世界をいい感じに引っ掻き回して夢だったと言う事にしなければならない。無限月読の世界が幻術を掛けられた存在にとって都合のいい幻術世界であるという術の基本理念があるが、要するに術を掛けられた当人が嫌な世界だと心底思うことがあれば無限月読の拘束力は著しく弱まることになる。それを見計らって外からチャクラを乱してやれば、なんとかなるだろう。

 外には現在自由に動き回っている穢土転生達がいるが、一応喧嘩はしないでくれているらしい。それどころか周囲の警戒までやってくれているようだ。まあ一応マダラハゲの死体と初代火影の穢土転生体が接触することで六道仙人が出てきて色々と話をしてくれているのは知っているが、まあはっきり言わせてもらうが面倒臭い。単なる事実として面倒臭くて仕方ない。六道の爺さん、俺の事は話さなくてええねんでー。

 

 さて、この食道楽の世界を無茶苦茶にしなければいけないわけだが、やり方自体はそう難しくない。何しろかけた相手は十尾の人柱力だが俺もまた十尾の人柱力、しかも不完全な一体しか入っていなかった相手に比べてこっちは日々増殖を続ける十尾だけでできた森林が俺の中にできている。出力も権能も格が違うんだよ格が。

 ただ、十尾を一体取り込んで人柱力になると額に眼ができる。百とか千とかそんな数字じゃ追いつかないくらいに体内に十尾を封印している俺はどうなのかと言えば……あれだ、額の眼が複眼みたいになった。しかも複眼なら一つ一つはのっぺりした六角形だが、俺の場合は一つ一つが独立して動く輪廻写輪眼だ。それも全部違う瞳術を保有してるやつな。さらに全体の模様が大きな輪廻写輪眼を描いていて普通に見る分には違和感は全く感じないし、全ての輪廻写輪眼を同時に発動することでチャクラ消費のみと言う実質的にノーリスクでイザナギが使えるようになると言う……やばいなこれ。

 まあともかくそう言う訳で無限月読に干渉すること自体は簡単にできる。そこでまずいつも通りに修行を吹っかけることにした。

 

「起きないとヒナちゃんのチャクラを勝手に使って影分身して強制修行させちゃうぞ」

「モグモグ……ふぇ? ナルト、くん……?」

「おはよう。迎えに来たよ」

「えっと…………ああ、うん、そっか。そうだったね。ここ、幻術の世界だったっけ」

「そう言う訳で幻術内で精神を鍛えよう、チキチキ断食修行のコーナーです。なお今回の修行はヒナちゃんが幻術から覚めない限り終わらないし終わらせません」

「だ……断、食……」

「断食。大丈夫だ俺も付き合うから。なーに人間数ヶ月くらい食わなくても死なないって」

「私は死ぬよ……?」

「わー儚い笑顔。なおこの修行も当然影分身を用いて行います。千兆体の影分身の空腹も同時に味わうことになるから早く起きないとマジで発狂するから早めに起きた方がいいと思うぞ」

「だんじき……だんじき……しんじゃう……」

 

 おっと修行の内容を聞いただけでこの世界のあらゆる場所から希望が消えたような声を出している。要するに準備が整ったと言う訳だ。

 外からヒナちゃんの背に触れて、チャクラの流れを掌握。一度止め、経絡が内側からはちきれる寸前のところまでチャクラを流し込み、一気にかき混ぜる。すると無限月読の世界はあっさりと崩壊し、ヒナちゃんの眼は覚めた。

 

「……だんじきはやだぁ……おきたよ? ちゃんとおきたよ?」

「あーよしよし大丈夫大丈夫、幻術の中じゃ無かったらやらないから。リアルにやったらヒナちゃんが死んじゃうのわかってるから絶対やらないから大丈夫」

 

 暫く使い物にならなそうだな……それとそこの眉のない水影、茶化すな割とマジで精神崩壊寸前なんだ。

 




Q.断食の一言で無限月読から解放されるとかこわ……
A.無限月読は幸せな世界を作り出します。幸せでなければ無限月読ではありません。幸せでなくすればただの幻術になります。跡は解くだけ。ね? 簡単でしょ?(簡単とは言ってない)

Q.ヒナタは断食発言によってどれだけ追い詰められたの?
A.SANチェック強制失敗から10D10くらい。


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NARUTO~153(副題【ドキドキ☆十尾学園】)

 

 side 六道九喇嘛

 

 儂の名前は六道九喇嘛。十尾学園付属の小学校に通う普通の三年生。ちょっと違うところがあるとするならば、儂が人間じゃないってことくらいか。特技はお揚げの早食いと尾獣玉。双子なのかそうでないのかよくわからない妹のような姉のようなそんな存在がいるが、どちらも儂である事には変わりないとお互いに思っているので問題ない。

 だが、最近面倒な奴によく絡まれるようになった。

 

「ようばかぎつね。あいかわらずむっつりしたぶすがおしてんな」

「黙っていろクソ狸。貴様こそ気色の悪い顔をしておるな」

「失せろエロ狸。儂等の半径50m以内に近付くな」

 

 このエロ狸は分福守鶴。だがエロ狸あるいはクソ狸でいい。こいつは初対面の時にずっこけて儂らを押し倒し、胸に顔を埋めたド変態エロ狸だ。次があったら処刑してやるつもりだが今のところそんなことは起きていないのでこいつはまだ生きている。早く殺したい。

 そうして儂等とクソ狸が言い争いながら学校に向かえば、顔見知りの姿も見えてくる。いつも長靴を履いている化け猫娘、二位又旅。性別不詳の海豚顔、穆王。汗っかきの犬娘、泡塩(あわしお)犀犬。そして校門の前に立ってる猿顔の体育教師、孫悟空。こいつがまた暑苦しくとてもうるさい。こいつが担任でなくて本当に良かった。

 そして教室について、みんなで世話をしている昆虫王者、重明と……もう八十年以上学校に住み着いているらしい大亀、磯撫に挨拶をして、授業開始を待つ。五月蠅いクソ狸は無視だ無視。

 

 チャイムと共に担任の外見ゆるふわなしっかり者、九頭竜牛鬼が現れて出席を取る。見た目はゆるふわで頭ん中花畑にも思える教師だが、意外や意外精神的にしっかりとした芯のある先生だ。ただし眠たがりで給食が終わった直後の昼休みなどではカーテン越しの柔らかな日差しに当たって窓際でうつらうつらしている姿が散見されたりもする。

 そんな先生が信じがたいことを口にした。

 

「今日から転校生がこのクラスにやってきます。それではどうぞ」

「おはようございます。うずまきナルトと言います。趣味はロリ狐とショ狸を揶揄う事、そして睡眠。グロンギ語とブロ語、オンドゥル語を少し話せます。以後よろしく」

 

 儂の人生の平穏全部消し飛んだ。ナルトがいる限り儂に平穏は訪れない。ツッコミと胃痛に塗れた人生のスタートだ。まあ胃痛だ何だと言ってもすぐ治るけどな。儂チャクラの塊だし。

 ……ん? チャクラってなんだ?

 

「起きろよ半全裸巫女狐娘」

「半全裸ってなんだ半裸でいいだろそれは!いや半裸にされても困るが!」

「まあ落ち着け。落ち着いて俺に付けられたあだ名の数を数えるんだ」

「多すぎて数え切れんし類似作品が山のようにあるせいでうろ覚えだボケ!」

「よしよし思い出してきたな。ところでこの世界の俺ってどういうキャラになってたんだ?」

「教えねえよ!」

 

 転校してきた主人公として九喇嘛や守鶴達と一緒に幼年期を過ごし、高校まで行った辺りで始まるちょっとしたエロありのギャルゲー的な感じである。最終的に陽の九喇嘛と精神内で同居している陰の九喇嘛を同一化させていちゃいちゃ喧嘩しながら過ごす九喇嘛ルート、男として育てられてきたが成長するにつれて隠し切れなくなってしまった守鶴を助けて同棲することになる守鶴ルート、妖怪の血を引いていたせいで襲われたところから接点を持つようになった牛鬼ルートなどがあるマルチシナリオゲームです。

 

「ほーんなるほど」

「モノロォォォォグゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

 なおロリ狐の体系は今の状態で最大です。守鶴はこれから大きくなっていきます。色々と。

 

「ほーん」

「儂だけ置いて行かれるとか冗談きついんだが」

「俺がロリ狐と呼称している限りはロリのままだと思うぞ」

「今すぐ直せ」

「ペド狐」

「よし分かった貴様を殺す。いや、まずこの世界を壊しつくしてやるから覚悟しろ」

 

 儂は暴れた。幻術世界が丸ごと崩壊するほど暴れまわった。お陰で幻術は解けたが、記憶はなくならない。

 あの世界は儂が望んだ幻術の世界。つまるところ、あのモノローグの言っていたのは儂の願望と言う事になる。悪夢だ……悪夢でしかない……!

 いや、待て、待つんだ儂。相手が誰だか忘れとらんか? ナルトだ。ナルトだったら無限月読に干渉して内容を自在に変えることだってできるだろう? できると言ってくれ頼むから。

 

「一応できるが基本的に当人の望みに沿った形にしないとチャクラの消費が面倒臭い」

「ナルトのチャクラだったらできるんだな!? よーしやっぱり儂はあんなの望んでないな!」

 

 ああよかった本当に良かった!

 




Q.で?
A.何が?

Q.実際のところどうなの?
A.何の?

Q.九喇嘛の幻術の内容はナルチカが弄ってたのかと聞いているんですが。
A.本文を見る限り内容を知っているようには見えませんでしたが。

Q.弄ってたか弄ってないかだけ答えろ。
A.尾獣全員の意識を一点に集めたという意味では弄ってた。それ以外は全部九喇嘛始点の無限月読。

Q.つまり?
A.ナルチカがもう少し九喇嘛を女の子として扱っていれば九喇嘛のヒロイン化もワンチャンあった。それだけの話。

Q.続きは?
A.誰か書きたい人がいたら書いて。作者は無理です。




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NARUTO~154

 

 side うずまきナルト

 

 九喇嘛を起こしてヒナちゃんにチャクラを渡し、九体の尾獣全てのチャクラを体内に収めたヒナちゃんと俺とで『子』の印を組む。そうすればこの無限月読の術は解かれることになるんだが……忍び連合の被害が原作よりも大分大きくなってしまった。これは恐らく俺と言う存在がいなかったことが原因だと思われる。ほら、前にどこかで言った気もするけど俺って六道仙人の息子の両方の魂を継いでいるわけだし、俺がいないせいで被害が大きくなってもまあ仕方ないわな。ちなみに十尾はバクラが生身で殴り倒していたが、パワーだけならマジで最強クラスにまで育ったな、バクラ。

 何が言いたいかと言えば、そんな中でかつての五影たちが協力して敵に当たるのを見ていた忍連合の面々は、多分これからもちゃんと協力していく下地だけはできていると判断できると言う事だ。滅ぼすのも悪くは無いんだが、それをしてしまうと厄介ごとが無くなる代わりに面白いことも無くなるからやりたくはない。こうして態々異世界に来るのも基本的には娯楽と力を求めての事だ。寝るだけなら座でいくらでもできるのだから、こういう時には俺に余り被害が出ない限りは面白い方に進めていきたい。

 ともかく穢土転生の皆さんにはお帰り頂いて、あと兎の女神を封印ではなく滅殺してしまったから恐らく二度と現世に出てくる事は無いだろう六道仙人にもお帰り頂いて、それからヒナちゃんと一緒に子の印を組んだ。

 

 世界が再び変わっていくのがわかる。世界を覆っていた無限月読の術が解かれ、十尾の殻は枯れ砕け落ち、囚われていた者たちが目を覚ます。どんな夢を見ていたのかは知らないがさっさと起きてくれ。いやまあキタキタしてたのは知ってるんだが。

 そしてこういう大きな功績は誰かに擦り付けておいた方がいい。そう言う訳で火影を目指しているサスケに幻術で状況説明をして即座にとんずら。面倒だからな。仕方ない。どうせ今起きているのは俺とヒナちゃんを除けば尾獣くらいだ。その尾獣たちもさっさとこの場所から消えようとしているし、ちゃんと誤魔化せば周りは騙されるだろう。騙されなかったら? 知らん。

 それにサスケには貸しがある。山のように貸しがある。ついでに今回のもある種の貸しにしておく。本来なら俺が貸している分を払って押し付けるところだが、色々と実績が必要なサスケにとってはこれはおそらくかなり嬉しいプレゼントになることだろう。俺は持っていても使わないどころか邪魔にしかならない物を押し付け、それが必要な所に行く。その際に立場を考えれば……まあ、そういう事になるわけだ。

 これでもう二度とあいつは俺に頭上がんねえな!

 

「とっくに上がらなくなってると思うよ? 足も向けて寝れないと思う」

「ちなみに解除寸前でサスケの声で『今からこの幻術を解くぞ』と言った感じの内容を伝えておいた。咽び泣け、お前の末期は英雄だ」

「英雄って罰ゲームみたいになるような物だっけ……?」

「リボルケインで貫かれるのとどっちがマシかと聞かれたら少々悩むくらいには」

「リボルケインって何? ナルト君の皮膚を貫ける時点で超兵器以外の何物でもないんだけど」

「皮膚どころか筋肉も骨も抜けるぞあれは。そして内側にちょっとした超新星爆発程度のエネルギーを流し込まれて爆散して死ぬ。そして俺を殺したと油断した相手を背後から蘇った俺がズドン」

「まごう事なき超兵器……実在するの?」

「ポケットに何本かあるから一本やろうか? エネルギー源のキングストーンが無いから使えないけど」

「いらないです」

 

 まあそうだろうな。

 ちなみにリボルケインは転生前に知ったものの一つだ。ただし色々と格が違いすぎるのでよっぽどの相手にしか使ったことが無い。ドラゴンボール世界で一度お目見えしたくらいだな。あの世界は本当に世界の危機が多すぎる。地球とか星一つ程度の危機もあったが、宇宙全体の危機だったり時代の危機だったり……まあそうでもしないとパワーインフレできないから仕方ないのかもしれないけども。

 もう少しおとなしい世界とか無いのかね? ちなみに俺が絶対に何が何でも行きたくない世界はボーボボな。行ったら即座に世界を切り裂いてでも帰るわ。自殺も辞さない。自殺したくらいで死ねるような世界じゃないのは知ってるけどな。何しろ一話平均二十回近く吐血喀血含めた出血をするような漫画だ。胴体を真っ二つにされたり細切れにされたりしてもなんでか次のページに行く頃には傷だらけではあるものの元通りになってることが殆どだし。

 そう考えればこの世界はまだましな方か。糞みたいな世界であることには変わりないが。

 

 ああ、夜が明ける。そう言えば原作では第三次忍界大戦が終わった日が主人公であるナルトの誕生日だったんだっけ? 俺はその辺り全く気にしてないからよくわからないんだが、確かそうだったはずだ。確かな。

 




Q.そう言えば外道魔像とは生身で戦うんじゃ?
A.サクラがやってます。外道魔像と言うか十尾相手ですが。

Q.リボルケインは通るのか……
A.かなり気合を入れれば耐えられますが、逆に言えば気合を入れていなければ通ってしまいます。ただし、それに耐えられることが前提の武器を出す頃ができれば話は変わってきますが。


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NARUTO~155(本編最終話)

 

 side うずまきナルト

 

 戦争が終わり、五大国が同盟を組み、戦争らしい戦争が無くなり、世界は大体平和になった。五代目であるナメクジ女が歳を理由に引退したが、若返ってるからそんな事は無いはずだ。まあ仕事が面倒になって次の代に押し付けようとしたんだろうな。そんな理由で継がされるカラシ野郎も少々……いや全く可哀想じゃないな。大笑いだ。笑わんが。

 そんな平和な世界で俺は、ほぼ誰もが俺を忘れた木の葉の里で普通に暮らしている。木の葉の里が襲撃された時に任務などでいなかった奴らくらいしか俺を知らないが、そう言う奴らも俺に仇為す奴であれば容赦なく記憶を消去してやった。お陰で今はのんびり過ごすことができている。

 ただ、忍者としての俺の記録は残っていても俺と言う個人の記憶のほぼ全てが消え去ってしまっているせいで、難易度はともかく重要度の高い任務はあまり与えられなくなった。精々サスケが探し物をする時に影分身用のチャクラの供給を頼んでくる時くらいしか任務らしい任務を受ける事は無い。悠々自適な生活。いいな。とても。

 

 だが、そんな俺の生活にも時々闖入者が現れる。その多くはヒナちゃんで、俺の用意した食材を使って色々と料理を作ったりしている。食わなくても生きていける植物のような俺にとっては食事は文字通りの意味で余暇にしかならないんだが、それでも食べられるなら食べておきたい。実際に腹が減る事は無くとも空腹感はあるからな。

 ……驚くことにいつの間にか俺とヒナちゃんの間柄は一般的に言われる夫婦という物になっていた。俺は書類にサインを書いた覚えも判を推した覚えも無いんだが、いつの間にやらそういう事になっていたらしい。入れ知恵したのはバクラだろうな。今度会ったらSAN値直葬させてやる、と決めたのも既に数年前。なんだかんだとあったせいでまだSAN値直葬できてないが、そろそろやってもいいんじゃなかろうかと。少なくとも子供ができたらしばらくはできないしな。

 ちなみに月に住んでた奴らは皆殺しにした。具体的には転生眼を尾獣に見立てて俺に封印することで条件を達成し、その上で一人一人殺していった。力の源が俺の中にある以上大した力が出せなくなった……あー、うん、名前忘れた。東武練馬とか東京都練馬区越谷とかそんな感じの名前だったと思うが、ともかくそいつがヒナちゃんの妹から奪った眼を奪い返して切り刻んでおいた。あと月を物理的に砕いてしまったので新しく一つ浮かべておいた。今あの空に浮いている月は俺のだ。だから爆破もできるようになったし軌道を操ることもできる。色々な意味で俺に逆らえる奴とかいなくなったな。誰にも言ってないが。

 

 で、そんなことがあってから俺はヒナちゃんと公的にお付き合いを始めることになった。ヒナちゃんの妹を救ったことも考慮されての事だと思うが、一番の理由はヒナちゃん自身がそれを望み、それを妨害するなら親でも殺す気概を見せたせいもあっただろう。あの時のヒナちゃんは大分強い圧を放っていたからな。俺が圧を感じ取れるレベルなんだから周りがどうなったかはまあ御察しと言う奴だ。

 ちなみに結婚式は小さめに上げた。記憶を失っている奴らは日向一族の宗家の長女がどこの馬の骨とも知れない男に嫁ぐのが我慢ならないという風だったが、真正面から言ってきた奴にはともかく陰口をたたいていた奴には制御なしの全力の殺気をプレゼントしておいた。制御なしだったせいで辺り一面に振り撒かれ何十人か心臓麻痺あるいはショック死しそうになったので関係ない奴だけは蘇生させたが、陰口叩くばかりだった奴は死にはしなかったが後遺症がいくつか残ったそうだ。俺は敵には容赦せんよ。記憶が残っていたらどうせこいつら俺のことを認めないどころか夜中に家に火をつけるとか平気でやってただろうしな。

 ああ、それと忍界大戦にて名を馳せた木の葉の英雄であるうちはサスケも結婚した。お相手は当人の強い希望もあってバクラと言う事になったが、バクラもまた非常に優秀な忍びであるというのは周知の事実。羨ましいという声は上がれど否定する声は上がらないか、上がったとしても聞こえない程度の音量でしかなかった。

 

 表立った戦争もなく、少なくとも俺が普段行動する範囲内において世界はゆっくりと回っていく。さあ、これからものんびりとした時間を過ごしていこう。態々世界に平和なんてものを齎したんだ、これくらいの我儘は許されるだろう。

 




後は後日談になります。なお、精神的BL、女体化・性転換と言ったものが入りますので嫌な方はスルー推奨です。

Q.ちなみにこの平和はどのくらい続くの?
A.さあ? とりあえずナルチカがガチギレするようなことがあったら即終わります。

Q.九喇嘛達は?
A.基本自由の身。なお十尾から分かたれた中で意思のない部分(一尾の砂の山、七尾の翅と鱗粉、八尾の蛸足と角、九尾の腹の肉)はヒナちゃんの中にあります。ただし八尾は普通にビーの中、九喇嘛は合体してナルチカの中、七尾はナルチカの中の神樹の森が居心地良いのでナルチカの中、守鶴の片割れはなぜか問答無用でナルチカの中です。


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後日談
NARUTO~後日談1


ここから先にシリアスなど一片もありません。加えて原作キャラの性転換・女体化、ハーレムに対する肯定的(?)な発言、キャラ崩壊などの地雷が多数埋め込まれております。
それでもいいよ、あるいは何でも許せるという方のみどうぞ。
下を開けておきます。

























































































































それと今活動報告で次回作のアンケートやってるのでまだ見てない方は奮ってご参加ください。

追記
博麗 霊夢さん。二つ以上選んでいらっしゃるので無効票となっています。


 

 side うずまきナルト

 

「ナルトの子供が欲しいんだ」

 

 突然呼び出されたと思ったらサスケの嫁であるバクラと実質的に俺の嫁になっていたヒナちゃんの前でそんなカミングアウトをされた俺の反応を答えよ。ただし、サスケの目は完全にマジであるものとする。

 ちなみに正答は『正気かと問いかける』だ。

 

「正気か?」

「俺の認識する限りでは正気だと思うぞ」

「……本気か?」

「昔兄さんに復讐すると言っていた頃があっただろう? それと同じくらいには本気だ」

 

 完全にマジじゃねえかと思いつつヒナちゃんとバクラを見てみるが、どうもかなり落ち着いているように見えた。……はっはーん? さてはサスケの奴俺に相談を持ちかける前にこいつらに話だけは通しておいたな?

 

「で、俺の子供が養子に欲しいと?」

「違う。うちはの血を継いだナルトの子供が欲しい」

「……まさかとは思うが、お前の子供が女だったら抱けとか言うつもりじゃあるまいな?」

「ねえよ。いくらナルトでも俺の子供に手を出したら殺すぞ。できるできないは考えず。……と言うか鈍くないか? それともわかってて惚けてるのか? だったらはっきり言おう。俺を女にして孕ませてくれ」

「仕事はどうすんだよ七代目火影」

「影分身と言う糞ほど便利な術があるだろ。チャクラ供給を頼む」

「この状況で反論が出てない以上ヒナちゃんとサクラは説得済みだろうから省くとして、子供は誰がどう育てるんだ」

「俺の子供を俺の子供として育てて何が悪い」

「外聞が悪い。お前が男である以上お前がサクラ以外の誰かを抱いて作った子供だと思われるぞ」

「養子扱いにする。昔木の葉から抜けたうちは一族の血が隔世遺伝したのを見付けて引き取った事にすればいい」

「なんでそんな乗り気なのかを教えてくれるか?」

「お前の強さを鑑みれば、お前の血を入れるために娘の一人や二人差し出す奴は掃いて捨てるほどいると思うぞ。元土影のオオノキの爺も孫娘を薦めてきてたことがあっただろう?」

「……あー、あったなそんなのも。欠片も興味が湧かなかったから忘れてた」

 

 実際あった。そして個人的に全く興味が湧かなかったからスルーした。冗談混じりのように言っていたが完全にガチだったことを知っていて、額面通りに冗談だと受け取って流させてもらった。そしたらなんか暫くして岩隠れで巨大な肉塊が暴走したとかなんとか言う話で岩隠れが壊滅寸前まで行ったとか行ってないとか。どうでもいい話だな?

 要するに、サスケも同じように俺の血をうちはに取り入れたいと言うことか。

 

「一応言っておくが俺は結構ロマンチストだからお互いに思いが通じあっていない奴を相手にはしないぞ」

「だからだよ。思い自体は通じ合わせただろうが」

 

 確かにその通り。そうじゃなかったら俺は忍連合を相手に戦争を吹っ掛けてたところだ。それも忍連合はチャクラなしで俺だけチャクラありの状態で、かつチャクラを使わない機械兵を億単位で相手してもらうところだった。戦争を無くすために。

 実際には一時的にでも忍達の意識や感情が共鳴した結果暫くは戦争なんてする気にならないようになったから実行されなかったが、それがなかったらまず間違いなく実行していただろう。そうなった原因は俺が面倒がって無限月読の世界を纏めて同じ方向に引っ張ったせいで混線したからなんだが。

 

「……お前はいいのか、サクラ」

「サスケ君の嫁は私。サスケ君の夫がナルト。問題ないわ」

「それは本当に問題ないのか……?」

「サクラちゃんが問題無いって言ってるからサクラちゃん的には問題ないんじゃないかな?」

「ヒナちゃんは?」

「私が正妻。サスケちゃんが愛人。名家としては優秀な人が多くのお嫁さんをもらうのはままあること。弁えてくれるなら平気」

「サスケが弁えてなかったら?」

「黄泉沼に沈するよ」

「チン? ……ああ、沈。……沈!?」

「沈するとさ。気を付けろよサスケ」

「気を付けてなんとかなる類いの存在じゃないだろそれは」

 

 俺としてはそれより他の事を気にするべきだと思うんだがね。何がどうなって俺の血を入れるために女になろうとか思うのか……いや理由は聞いたが理解はできない。頭おかしいんじゃないのか? しかも大半が俺頼みと言うのも意味がわからん。ついでに俺の周りの奴からしっかりと外堀埋めてきやがるし。

 できることならサスケの兄であるイラチにも話を通しておいてほしかったんだが、こいつのことだからまず間違いなく通していない。そしてどこからか話が漏れてイラチが俺に襲撃をかけてくる所まで簡単に想像できる。恐らく俺が一人になった所で天照を纏わせた八坂ノ勾玉を超遠距離から連発してくるだろう。月詠は基本俺にはまともな効果を及ぼさない。最大威力となれば須佐能乎を使ってかつ自身の瞳力を最大限使うとなるとそう言う形になるだろう。

 まあ、自身に月詠をかけて精神時間を加速させながら高速のチャクラコントロールで須佐能乎をブン回してきたりもするから遠距離と近距離のどっちが強いかとかは難しいんだが……あれだ、某魔改造格ゲーで時間を止めてナイフ投げまくるように八坂ノ勾玉連発してくるのと、時間停止中にロードローラー的な物を上から叩きつけてさらに打撃を加えて圧殺してくるように剣を振り回すのとでどっちの方が強いのか、と聞かれるようなものだ。どっちもそう変わらん。結局は対応できるかできないかの差でしかない。

 ちなみに俺はどちらも対応可能だ。面倒なのには変わりないが。

 

「そう言うわけだ。身体付きとかはナルトの好みでやってくれて構わないから頼む」

「あ、お前さては俺が変えたお前の身体から好みをヒナちゃんに教えることを代価に説得したな?」

「した」

「正直な奴め……残念な話をしてやろう。俺は全体のバランス重視だからサスケを女にした場合の好みの体型がヒナちゃんにも適応されるわけではないとな」

「なるほど。つまりやろうとすれば弄れるんだな? 胸だけ大きくしたり小さくしたり、太りにくい体質にしたり身長を伸ばしたりもできるんだな?」

「できるぞ。ついでに記憶はそのまま若い身体にして蘇らせることもできなくはない。あと五年くらいしたらアンチエイジングとしてやってやろうか?」

「「お願い」」

 

 女性陣から食い気味に返事がきた。ヒナちゃんもバクラも術やら特殊な細胞を身体に取り込んでたりすることもあってまともな人間に比べれば遥かに老けにくい身体に出来上がってるはずなんだが……まあ、そのあたりは仕方ないことか。女だもんな。美を求めるのは本能に刻まれているのと変わらないと。流石、とでも言えばいいのか?

 

 ……なんか来るな。なんだ?

 

「サスケェ!見つけたぞォ!」

「イタチ……!」

「サスケが身体を張る必要はない!どうしてもうちはにナルト君の血を入れたいと言うなら俺が変わろう!」

「俺だって嫌な相手に身体を許すほど呆けちゃいねえよ!色々総合して在りだと思ったからわざわざこんなこと言ってんだ!ほっとけ!」

「サスケ君、演習場」

「お前腹に子供いるだろやめとけ」

「代理でナルト君が相手してくれるから大丈夫」

「何一つ大丈夫じゃねえだろ俺が死ぬ未来しか見えないんだが!?」

「何!? ナルト君がサスケを女にして死ぬまで責めるだって!?」

「難聴にしても酷すぎるだろサスケが膝枕で耳掃除してくれるそうだから横になってろ」

「サスケ、頼む」(キリッ)

「早っ!? いつの間に膝に……しかもなんかキメ顔してるし……」

 

 まったくブラコンはこれだから……怖い怖い。かつての俺の姉もまたあれだったが、なんにしろかなり怖いな。俺はサスケに竹の耳かきと脱脂綿を渡しつつそんなことを考えた。

 




Q.サスケは催眠状態だったりすんの?
A.聞いて驚け、正気だ。

Q.イタチは幻術にかかってたりすんの?
A.聞いて驚け、正気だ。

Q.サクラは酔っぱらってたりすんの?
A.聞いて驚け、シラフだ。

Q.ヒナタは洗脳でもされてるの?
A.ある意味その通りだけど今回のはほぼシラフ。


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NARUTO~後日談2

 

 side うずまきナルト

 

 ついにやってしまった。いや、やってしまったと言うか押し切られてしまった。何度も意思確認はしたしずっと影分身を出し続けた場合に起きる認識の乖離やら何やらについても話した。話した上で全部承知されてしまった。本当に馬鹿なんじゃなかろうかこいつ。いや、馬鹿なのはわかってる。馬鹿じゃなかったら元々男だった奴が優秀な子供が欲しいが一番優秀な相手が自分と同性だからと言って性転換しようとは思わない。まあ子供を産み終えたらまた男に戻る予定だと言ってはいたが、本当にこいつ馬鹿なんじゃなかろうか。いや馬鹿だったわこいつ。と言うかこいつら。

 複数形にした理由は実に簡単。馬鹿が複数人いるからだ。一人は思いっきり俺に話を持ってきたサスケ。背が高い細身スレンダー系。そしてもう一人がイラチ。同じく背は高いがこっちはグラマラス。なおこれは完全に俺の趣味と言う訳ではない。一部混じっている可能性も否定はできないが、それ以上にこいつらの身体を構成している遺伝子情報から無理なく女にしたらこうなったというだけの話だ。だからサスケはイラチのと自分の乳を比べて不満げな顔をしないでほしい。イラチの乳を下からたゆたゆ揺らしたりとかしないでほしい。あとさっさと服も着てほしい。

 

「サスケ君ってば綺麗ね……お肌なんかこれ凄いわよ」

「まあ今まさに新しい身体になったわけだからある意味じゃ赤んぼのそれと変わらんぞ」

「なんでこんな胸に差をつけたの?」

「一番自然に女にしたらこうなっただけだから、本人の体質だろうな」

「マジか。俺の胸ってこんなもんなのか……」

 

 サスケが若干落ち込んだが俺は胸の大きさで他人を見る事は無いから安心してくれ。何に安心すればいいのかは言ってる俺自身よくわかって無いから何とも言えないんだがな。

 ちなみに胸に関してはいくらでも後から乗せられる。バランスとか色々考えれば限度はあるが、よっぽどおかしくない限りは気にしない。精々物理的に凹んでいるのはちょっとどうかと思う程度だ。少しでも膨らみがあればそれはもう乳と言う事でいいんじゃないか? 知らんけど。

 

「じゃ、早速一発……」

「阿呆。できたばっかの身体にいきなりそんな負担掛けられるかボケ。少なくともちゃんと生理が来るかの確認くらいはしてから出直せ」

「出直すも何も今の俺の実家はここだという認識なんだが」

「あと恥じらいは持て。確かにはっきり言ってお前の裸とか黄泉返りの時に飽きるくらいに見てるし女の裸も同じくだが恥じらいは持て」

「恥じらいか……そういう趣味があるんだな」

「正確には『一切恥じらわない相手とはそういう空気にならない』って感じだな。そもそもそう言う奴は誘ってこないだろうから余計にな」

「据え膳だぞ。揉むくらいしないか?」

「お前と言う食材()調理して据え(女にし)たの俺だけどな」

 

 と言いつつ一応揉む。女になりたてなだけあってどこもかしこも綺麗……と言っていいのかどうかはわからないが、ともかく全体的に色素が薄めだ。イラチの方も同じく。なおこれも俺の趣味ではなく遺伝子からくるものなのでどうこう言われても困る。総合的に言えば少なくとも一応美人ではあるんだが、どうにも態度とかがなぁ……。

 

「いつまでサスケの胸を揉んでいる。跡になったらどうするんだ丁重に扱え。これ以上サスケの胸を揉むと言うなら俺の胸を揉めばいい」

「なんでお前ら揃いも揃って一言目から残念なの? うちはの血なの?」

「サスケ君は私の旦那。ナルトはサスケ君の旦那、つまりナルトは私の旦那の旦那……それはもはや私の旦那も同然なのでは?」

「お前は酔ってんのかそれともハーブか何かやっておられるのかどっちだ」

「あんなものもう効かせようとしない限り効きゃしないわよ。いったい私がどれだけ薬とか触ってきたと思ってるの。まあさっきのは冗談だけどね。お腹の中に子供もいるし」

「ああなるほど、うちはの遺伝子が胎盤越しに混じったか」

「うちはを変態一族のように言うんじゃねえよ」

「男に抱かれるために女になりに来た奴に言われてもな」

「お前じゃなければ相手を女にしてたっての……お前以外の男に抱かれるとか死んでもお断りだ。兄さんだったらキスくらいまでは許すが」

「いや、俺もサスケに欲情はしないな。進んだとしても親愛の意味で頬か額にキスをするくらいだと思うが」

「俺もそのくらいだろうな。それ以上は相手を選びたい」

「選んだ相手が俺とか趣味悪くないか?」

「ナルト君、それは私の趣味が悪いって言ってるのかな?」

「おう。少なくとも俺が女で今の俺と同じような奴が近くに居ても絶対に選ばないと確信してる」

 

 あるとするならお互い虫よけと言う扱いにする感じかね? 俺だったなら寝る時に何かに抱き着いた方が寝やすいだろうし、お互いにお互いを抱き枕くらいにしか思わないんじゃなかろうか。……流石にもう少し考えるか? だが俺だからな……微妙な所だ。

 ともかく俺同士と言うのは特に何もない時ならそれなりに相性はいいかもしれないが、何らかの形で動くとなると意見の対立やら何やらで余計に面倒なことになりそうだから選ぶ事は無いだろう。多分だがな。

 




Q.自分で趣味悪いとか言うかね?
A.常識を強めに持って考えてこの世界でやらかしたことを冷静に見つめ直してからもう一回どうぞ。

Q.……ヒナタさん趣味悪いっすn(ピチューン!)
A.ムチャシヤガッテ……。

Q.ところでサクラさんはハーブか何かやっておられる?
A.お腹の中に子供がいるしやっておられないから安心して?


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NARUTO~後日談3

 

 side うずまきナルト

 

 色々と面倒なことになってきたが、兎にも角にも一月ほど時間を稼ぐことができた。なにしろいきなり身体が女になるという状態だ。検査やら何やらをして健康である確証が取れてからの方がいいだろう……と言う事で身体の検査と生理の確認などなどのために時間を取ることになった。それがおよそ一月。だが生理の確認から次の生理まではおよそ一月かかるし、実際にはおよそ二月と言ったところだろう。まあ生理が確認できた時点で孕むためではなくその下準備として慣れるために抱かれに来る可能性も無いではないが、正直勘弁してほしいという気持ちは嘘ではない。だって面倒だもの。

 まあ恐らく不具合は出ないと思うが、それでも確実とは言い切れない。いつの時代もヒューマンエラーという物は起こりうる。それは対象が俺となっても同じこと。俺だって人間だからな。

 

『ダウト』

『だうと』

『……やっぱダウトじゃね?』

 お前ら後で幻術で操ってレズらせるかホモらせるかしてやるから覚悟しておけよ。安心しろ、ちょっと正気を失うかもしれないだけだ。

『やめろ……やめてくれ……』

『おれらがわるかったからほんとそれだけはかんべんしてくれ……』

『俺と誰を組ませるんだ……?』

 昆虫王者は強制的に影分身させて自分同士で絡ませてやる。

『ヤメテ……ヤメロ……』

 

 と言っても実際にそれをするには色々と面倒なことが多すぎて困る。正直俺の中でそういう事をされるのもあまり好ましい事じゃないし、こいつらにダメージは入るだろうがそれと同じくらい俺にもダメージが入る。サスケとイラチの事で既にダメージが酷いんだからこれ以上はノーサンキュー。なんでああなったかね……。

 ちなみに九喇嘛は陰陽を合体させたから一人だ。まあ合体しても九喇嘛はロリ狐娘だが、力は強くなった。問題は俺から渡したチャクラを使うと一気に成長してロリじゃなくなったりすることだ。まあ基本形態がロリだからロリ狐でいいよな。うん。

 それと、ロリ形態でも変わったことが一つ。ロリ形態だと気分次第で陰だった頃の九喇嘛と陽だった頃の九喇嘛が分かれて出てくることがあり、身体の色が1Pカラーから2Pカラーになったりその逆になったりと面白いことが起きるようにもなった。ちなみに一番面白かったのは右側が陽で左側が陰と言うあしゅら男爵風の見た目になっていたことか。大人状態だと完全に合一しているようだからそんなことは起きないみたいなんだが、不思議なこともあるもんだ。

 

 ……しかし、サスケか……気が重い。だってあれだ、元が男だと理解している相手を女として抱くことがいつの間にか決定事項になってしまっている。これが周囲に広まったら変態呼ばわりは免れない。その時はまた周囲の人間達の記憶を焼き払ってやるつもりだが、そんなことにならないことを祈っている。面倒だからな。

 しかし俺もこの世界に来て一番荒れた時に比べたら大分丸くなったな。平和ボケしたと言ってもいいかもしれない。未だに毎日限界まで影分身して回復してチャクラの最大量をガン上げしたり色々と妙な術の開発をしていたりとか色々とやらかしてはいるが、ハングリー精神はかなりなくなってきた気がする。それもこれも今が平和だからと考えれば悪い事ではないんだが。

 

 そうそう、俺はNARUTOしか知らないから普通にのんびりとしていたんだが、どうやら続編があるらしいな。それを知ってからちょっと動いて未来の敵対組織である殻とかいうのを全部纏めて削り飛ばしておいた。邪魔だからな。もしかしたらそんなことをしない方が未来で平和になったりするかもしれないが、まあ知ったことじゃ無いわな。よく言われるのはあれだ。逃げる奴はベトコンだ、逃げない奴は訓練されたベトコンだ、ってやつ。まあ実際にはこの世界にベトコンなんぞ存在しないからあくまでも似たようなものでしかないんだが、似ていれば基本的に対処は同じだ。殺せ。殺す。殺した。それで終わりだ。

 同じように殻とか言う組織に対しても今までやってきた敵に対する行動と変わらないことをすればいい。構成員を全部見つけてから全部まとめて殺す。俺にとっては非常に楽なことに、この世界の異能はどれもこれもチャクラが密接に関わってきているから基本的に全部まとめて封殺できる。あと、き〇この山とたけ〇この里を同時に売り出すことで大戦争を起こすことができ、それにより組織内でのチームワークや繋がりを脆くすることができる。上手くいけば内部抗争による空中分解や共倒れなんかも狙えるからな。よっぽど馬鹿でもない限りそこまでは行かないだろうが。

 

 よし、この世界にモリ〇ガ……は、駄目だな。まあなんか適当に製菓会社でも作って売り出すか。多々買え……もっと多々買え……! そして戦え!

 馬鹿なこと言った、飯にしようか。

 




Q.作者はきのこ派? たけのこ派?
A.すぎのこが好きです。

Q.きのこ派かたけのこ派か聞いてんだよ。
A.ドラえもんのようにどら焼きが好きです。

Q.じゃあ粒派? こし派?
A.そのあたり言及し始めたら戦争しか起きないだろいい加減にしろ!

Q.ちなみにこの世界だとどうなるの?
A.ナルチカは創造主であるため派閥を越えて存在します。サスケは甘いものが嫌いなため除外、ヒナタはすぎのこ、サクラはきのこ。

Q.戦争だオラァ!
A.なお暁は海賊版を売り出しきのこ派にもたけのこ派にも喧嘩を売る感じ。


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NARUTO~後日談4

 

 side うずまきナルト

 

 きのこ、たけのこ、そしてすぎのこ。実の所争いを激化させるんだったら二強にした方がよほどいいんだが、わざわざ三強状態にしたのには理由がある。なんという事は無い、ヒナちゃんの一番の好みがすぎのこだったというだけの事だ。ナッツの食感が好きらしい。

 これによりきのこたけのこすぎのこ戦争が各地で勃発、こっそり他の国や里でも売り出した結果、一般人ばかりではなく里の上層部や国の大名の間でも色々と諍いが起こることとなってしまった。馬鹿じゃなかろうか? たかが菓子だ、それぞれの人間が違った好みを持つことの何が問題だというのか全く理解できない。自分はこれが好きだ、だからお前はおかしい、おかしいから矯正しなければ、と言うのはあまりにも理不尽かつ勝手な言い分だ。それを理解できないから世界から戦争が無くならないんだろうな。まあ今まさに新しい戦争が勃発しているわけだが、きのこたけのこすぎのこ戦争は暴力をよしとしない戦争だから悪くは無いだろう。一部暴力に走る馬鹿もいるようだが、そういった輩は法によって裁かれる。何事にも暴力をまかり通らせたいんだったら、最低限世界最強にならないといけない。それも、個人で世界全てを相手取ることができる程度の差が無ければ暴力で全てを押し通すことなどできる訳もない。それを理解したところでできるかどうかはまた別の話だがな。

 

 さて、それはそうとサスケの話だ。忘れていたかったが忘れると本当に必要な時に困るから思い出さなければいけない。本当に嫌だ。あそこまで肉食系な奴とか……あ、ちー姉さんもそうだったか。束姉さんもそうだな……ののちゃんも鈴もシャルもラルちゃんもそうだな……結構いるな肉食系。おお怖い怖い。

 ともかく、あそこまで積極的に迫られると正直引く。弟子から妻ルートに入った奴は他にもいるが、男だったのに女になって愛人ルートとか流石に初体験だ。あいつの頭は一体どうなっているのか……。

 だがまあ嫌か嫌ではないかと聞かれれば嫌ではない。これが別の木の葉の人間だったら流石にお断りして男割り(股間)していたところだが、サスケならまあ……ギリギリ? なおイラチは仕事としてやった。仕事だったら大体の事はやるぞ。気分次第だが。

 それに、どうやらちゃんと女として機能していると言う事がわかったし、恐らく次の周期辺りに俺の所に来るだろう。薬や何かを自分に使うことも考えていると思うが、俺がそう言うのが嫌いだから自重してくれるはずだ。しなかったら縄抜けできないように縛り上げて全身のケアをしてくれる。爪を切り、鑢で仕上げ、角質を落とし、ムダ毛を処理し、耳垢を落とし、全身ピカピカに磨き上げた上で放置してやる。疲れを取るオイルマッサージに加えて肌には保湿成分たっぷりの乳液を蜂蜜に混ぜて塗りつけ、全身をリフレッシュさせてやる……。

 なお、練習台にしたヒナちゃんからは『ナルト君は私をどうしたいの? 私の胃袋をがっつり掴むだけじゃ飽き足らずこんな癒しを与えて私を依存させたいの? しちゃうよ? むしろしてるよ? これ以上とかもう本当にナルト君無しじゃ生きていけなくなっちゃうよ?』というコメントを頂いております。実行した翌日にはいつもの倍キラキラを背負ったヒナちゃんにちょっと肌とか髪とかに気を使っている淑女の皆々様が群がって何があったのかを根掘り葉掘り聞いて来ようとしたそうだが、ヒナちゃんは良い感じに誤魔化してくれたようだ。

 ……最終手段としてこれで生計を立てていくというのも悪くないかもしれない。客が少なくても食うだけなら困らんし、多ければ影分身でどうとでもなる。場所もどうにでもなる。暇ができたら考えてみるのもありかもしれないな。どこぞの外史の世界では何度も何度も繰り返すのをいいことに様々な国の中枢に忍び込み、睡眠薬を嗅がせてから無断で全身のケアをしてから『美貌仮面見参』という文字を残してさっさと出ていったりもしたしな。なおその世界では様々な女性陣から本気で追っかけまわされたことをここに明記する。美に対しての女の執着を甘く見ていたあの頃。だから今回やるとしたら完全予約制にするか一見さんお断りにするか、あるいはその両方か……やったらやったで暴動とか起きそうな気がしなくもないけど知らんな。起きるなら起きろ。そして死ね。戦え……もっと戦え……! そして俺はその戦いでトトカルチョを開いて儲ける。元手は今まさにきのこたけのこすぎのこ戦争でたっぷりと稼いでいるから問題ないな。争え争え愚民共。

 




Q.外史の話っていつのこと?
A.ネタだけ考えて放置している世界ですのでお気になさらず。

Q.殺せんせーかな?
A.まあ殺せないという点においては似たようなものですが……

Q.R-18系統を書くご予定は?
A.ワッフルがたくさん集まったらやるかも?


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NARUTO~後日談5

 

 side うずまきナルト

 

 はいどうもうずまきナルトです。この度ついにサスケとヤりました。受精着床妊娠まで確認しています。あとイラチが俺の事をじっと見つめているその眼が写輪眼なのに瞳孔が完全に開いててどうなってんのか滅茶苦茶興味がある。これで俺も二児の父か……マジでなんでこうなった? しかもこの後イラチの相手もすることになってるし、マジで理屈が良くわからん……何がどうしてこうなった?

 ちなみに名前はサスケが決めることになった。俺の呼び名だと色々とあれなのはわかりきっているからだろうが、別に俺は子供に名前を付けることが大好きという訳でもないので了承しておいた。ちなみに名前は……(カンペ見る)男ならうちはラセン、女ならうちはウズメにする予定らしい。イラチが名前決めたがってたのにもう決まってると言われて広辞苑の1.3倍から1.5倍くらいありそうな厚さの紙束を取り落としていたが、残念だったなと慰めておいた。なお『慰めるな!慰めるくらいなら俺を抱け!孕ませろ!サスケの子供に親戚を一人増やしてやるんだ!』とまた暴走していた。一体どれだけ暴走すれば気が済むのやら……。

 

「これで俺も母親か……父親でありながら母親にもなるとは、妙な気分だ」

「まあ普通はあり得ない状態だから言うのはわかるんだが、俺に薬盛って三重に幻術掛けてその上で襲おうとした奴の発言じゃねえ気がするんだが。……ともかく、これから色々と苦労すると思うが、多少の手助けはするぞ。俺の子でもあるわけだし」

「頼んだ。……早速なんだが、水を貰ってもいいか? 乱暴では無かったはずなんだが腰が抜けて立てそうにない」

「はいはい了解」

 

 俺はとても頑丈だ。頑丈すぎて普通にやってたらまともな刺激が入ってこないせいでかなり遅い方になるんだが、それを何とかするのが房中術と言う奴だ。これまでの転生と憑依の繰り返しの中で色々あって覚えることになったそれらの技術だが、今回もいかんなく発揮させてもらった。だから恐らく痛みは無かったはずだ。

 ……それと今思いついたんだが、もしかしたら影分身を解除した時に残ってたチャクラが全部吸収されるのはこれの応用かもしれない。詳しい説明は省くがそんなことを思ってしまった。

 何が言いたいかと言うと、多分やろうとすればこれをサスケやヒナちゃん辺りに教えることもできるだろうと言う事なんだが……面倒だからやめておこう。気付かれたら一応話だけはする、と言った感じで。

 

「ところで一つ質問があるんだがいいか?」

「なんだ?」

「お前こんなエロ衣装とかどこで手に入れたんだ? なんだこの着てる方が恥ずかしいレベルの古風な忍装束モドキは」

「自作だ。盛り上がっただろう?」

「マジかよお前……どこでそんな知識仕入れてきた」

「自来也から」

「あのエロ仙人め……」

 

 まあ納得。それにサスケは結構器用だからな。自分の服も自分で繕ったりできるし、料理もできるし、できないことと言ったら本格的な医療忍術くらいじゃないだろうか。本格的なのをやるには知識量が足りないから仕方ないと言えば仕方ないんだが、そのあたり加速世界で勉強すれば結構簡単に使えるようになりそうな気もする。サスケって基本的に天才型だし。俺? 俺は天災型。

 それはそれとして万が一エロ蝦蟇仙人が生きていたりしたら問答無用で一発かまそうと思いました、まる。

 

「他にも色々知っているし、使わなかったが口寄せでいつでも着れるようにしてあったんだぞ」

 

 そう言ってサスケが出してきたのはかなり切れ込みのえぐい競泳水着や股下数センチくらいしか無いんじゃないかと思われる超ミニの浴衣、股間にジッパーの付いた全身タイツ、男だった頃の自分が来ていた服……なんでこう変な所で積極的なんだこいつは……? しかも縫い目とかを見る限り全部手作りだし。

 

「頑張って作ってみた。何か気に入ったのはあるか?」

「気に入ったと言うか……この競泳水着、なんか仕込みないか?」

「流石ナルトだ。実はこれはこの色の違う縦のラインで簡単に分割できるようになっていてな。俺のサイズでも横乳が楽しめるようにしてみたんだ。角度も更にえぐくなるぞ」

「お前の飽くなき探求心はいったいどこから来るの?」

「うちは一族の将来を考えると色々と出てきてな。今の俺の感情と擦り合わせて実行してもいいかなと思うやつだけ実行するようにしている。ちなみに競泳水着の分割は兄さんの案だ」

「……マジか……そっか……」

 

 イラチの野郎……もう野郎じゃなかったな、女郎だったわ……あいつ本当になんでこんなキャラになったし? 原作からは考えられないくらいのキャラ崩壊が起きている。まあ公式二次創作では他にも色々なキャラが崩壊しまくっているから今更かもしれないがな。ナルトスでは幼いころのサスケに片手で柔拳法八卦六十四掌撃ち込んでたし、まあそれに比べればまだましか。サスケの親父さんとラップしてたりもしないようだし、なんか凄い顔でオレオ要求したりもしてないそうだし、マシだろう。

 ……マシか……? マシ……だよな? マシ…………なのか?

 




Q.薬盛ったの!?
A.効きはしませんでしたが盛ったことはバレていました。

Q.ヤったんだ?
A.薬と幻術のコンボが気に食わなかったようで大分長いこと鳴かせたようです。

Q.他の奴もチャクラを増やせるようになるの?
A.ナルチカが教える気になれば恐らくは。

Q.サスケェ!!お前の前のたなのオレオとってオレオ!
A.止めろ めろめろ イタチ めろ!



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NARUTO~後日談6

今日の投稿はこの一話だけにさせていただきます。ストックが切れました…….

そしてこれにて活動報告のアンケートを締め切らせていただきます。


 

 side うずまきナルト

 

 子供を育てるにはそれなりの稼ぎが必要になるわけだが、俺の場合色々と後ろ暗い資金の他にも今まさに大戦争を起こしている製菓会社の売り上げがあるのでかなりの大儲けをしている。何しろ材料費ゼロ、人件費ゼロ、広告費ゼロだと言うのにかなりの売り上げを誇っているからな。売れば売るだけ利益になる。お陰で十人単位で妻子を持っても揺るがないくらいの資金を得たわけだが、正直そんなに奥さんや子供がいても困る。織斑一夏だった頃には一人で相手できる限界みたいなものだったんだ、これ以上増えてもなぁ……まあ、座では分身とか制限無いから問題ないと言えば問題ないんだけども。

 問題と言えば、九喇嘛が俺を煽り倒してくるくらいだ。正直心の底から鬱陶しいがどれもこれも正論と言うか言い返せない事なので何も言わずに受け入れている。なお、反撃の準備はしている。楽しみにしているといい。

 

『反撃の準備ってなんだよお前……儂を脅す気か?』

 貴方様を脅す気だなどと、そのようなことがあろうはずがございません。単純に仕返しはするからそのために色々と準備を整えていると言うだけの事だ。

『内容は?』

 ここでそれを言ったら間違いなく尾獣全体から妨害を受けること間違いなしだから絶対に言わないぞ。

『儂以外にも被害が行くような内容なのか!? ……直接的な暴力は考えにくい、となればいつもの如く辱める系統。そしてそれが尾獣全体に影響を―――おい待てまさか』

 おっと気付かれたか。思兼

『ちょっとまてそのはなしきいてくちだししないわけには』

 お前もか。思兼

 

 ……これでよし。だがこの報復には時間がかかる。何しろまだこの世界ではパソコンとかそう言う物の普及率が非常に低いからな。何十年とか何百年も経っているなら行けると思うんだが……俺が全力で手を出せば十五年って所か? まあそのあたりはこいつが忘れたころにやり返すとしよう。

 

『……できれば俺は出演したくないんだが』

 すまないがそうなると話が成り立たなくなるから諦めてくれ。あまり出番の多くないサブヒロインくらいの扱いにしておくから。

『……はぁ……(*´Д`)=3』

 ちなみに攻略可能キャラは尾獣全員だ。ちゃんとまともな擬人化&女体化しているから安心しないでいるといい。

『そうだな、安心はできないな……はぁ(*´Д`)=3……』

 

 まあ、マジで『ドキドキ☆十尾学園』を出す前にシリーズ物として別作品とかも作ってみるつもりではあるんだがな。木の葉の里で火影を目指す主人公(デフォルト名『サスケ』)が周囲の女の子を惚れさせていく感じのエロゲとか。メインヒロインはバクラ、そしていの。サブヒロインに女体化した白とカラシ辺りも参加させるか。ついでにラスボスはブラコンをこじらせた女体化イラチで、負けると幻術で操られながら爛れた性活を送ることになる感じで。ちょっと面白そうな気もする。ただしサスケがバクラに殴り倒されそうな気もする。

 ……大丈夫だろ。多分。知らんけど。大丈夫であるように他にも色々と売り出してみるか。ただ、ゲームだと筐体とかパソコンとかがさっき言った通り普及率が低すぎるから小説か漫画がいいか? 通常はゲームから漫画に行くんだろうが、まあ仕方ないわな。諦めざるを得ない。

 売り出すとしたら木の葉シリーズでは無く他の里の人間を主体にした方がいいだろう。例えば……霧隠れでは水影を主役にした乙女ゲーのような世界観で、岩隠れならかなり固めなストラテジーあるいはTRPG、雲隠れではビー辺りが主役の英雄活劇、砂隠れならテマちゃん目線の育成物とかどうだろうか。色々とできることはあるだろうし、そもそも国の特色を出しさえすればジャンルはどんなものでも大丈夫な気もするが、まあそのあたりはネタ以外の何物でもない。特に霧隠れの乙女ゲーは完全にネタだ。これだったら暫くは、具体的には今の水影が降りるまでは発禁とかにはならないだろうという想定がある。イケメンに囲まれる妄想は楽しかろう……? まあ所詮は妄想でしかないんだがな。

 

 ……ゲームをマジで作る時が来たら、俺が声を当てることになるんだろうな。元から女っぽい奴あるいは女ならそいつに変化するだけでどうとでもなるが、男だったり怪物型だったりする奴は俺の方で適当に声を当てておかないとならない。どの声にするかはまあ俺次第だな。落ち着く声が好きだから基本的にやや低めになるんじゃないかと思うが、まあ所詮は予定ですらない想像だ。実際にやる時にまた考えるとしようか。

 




Q.報復の内容がえぐい上に飛び火しまくってるんですが……
A.ちゃんと名前は変えるから大丈夫だとか思ってるんじゃないですか?

Q.小説……マジで?
A.ナルチカ的には完全にマジ。


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NARUTO~後日談7

 

 side うずまきナルト

 

 ヒナちゃんの腹が膨らんできたのと同じころ、サスケの腹も僅かに膨らみ始めた。およそ一月から二月ほど違うはずだが、まあ大体想定の範囲内って所か。ちなみにイラチもサスケと同じくらいに腹を膨らませている。こいつに関してはマジでどうしてこうなったとしか言いようがないな。

 ……なんでこの世界でこんな真似をしているんだか……いやまあ全体的にサスケの発言によるものだとわかってはいるんだが、どうしても言いたくなってしまう。どうしてこうなった。

 しかし俺の子だ。一応子供を作るというのは初めてではないが、流石に元男相手に子供を作るのは初めてで色々と困惑してしまう。多分大丈夫だとは思うんだが……グレたりしないか?

 あと一つ。サクラも妊娠しているとはっきり見てわかる程度に腹が膨らみ始めている。これに関しては医療忍者だし本人が一番よくわかっているとは思うが、実際に産むのは初めてだろうし父親が色々と協力してやらなければならないところだが……今父親であるサスケが母親になろうとしているんだよな。どうすんだこれ。

 

 ちなみにサスケとイラチが女体化したことを知ったサスケの両親は啜っていた茶を鼻から噴き出すくらいに驚いていた。しかもそうなった理由が俺の子供を孕みたいと思ったからだと聞いて白目を剥いていた。正直一番白目剥きたいのは俺だと言ってやりたくなったが、俺が白目剥いた場合逆レの可能性が大分高いので意識を保っている。寝ている所に忍び込んでこないのは、修業中に俺が寝ているのを邪魔した結果全身の関節を肩とか大腿骨とか肘とか膝とかだけでなく脊椎やら頭蓋骨の縫合まで全部外して暫く放置してやったからだろう。流石にトラウマになったらしく、俺が寝ているとできるだけと静かに遠ざかるようになった。なお、ヤった次の日には俺の腕枕の上で完全に固まっていたのは恐怖やら身体にかかった負担やらで動けなかったんだろうとみている。俺が起きたら動き始めたしな。

 それと、ヒナちゃんの分は当然としてサスケとイラチの分も養育費は出す予定ではある。正直結構な稼ぎなもんで使い道が無くて少々困ってすらいるしな。金の七割ほどを金やプラチナなどに変えたりもしたが、結局その大半は俺の趣味の工作なんかに使われているから無駄にはなっていない。無駄になってほしいんだがならないんだよな、これが。売ろうとすれば結構良い値で売れるし。

 まあそんなわけで金は有り余っている。ただ、使わないでいると経済が止まってしまうので使う機会があったらできるだけ使うことにしている。どうせだったらちょっとした異世界を作って貧乏な村や国を丸ごと雇って一次産業にひたすら精を出してもらうのもいいかなと考えている。金を使うのは良いが無駄に使うのは嫌だからな。いやまあ俺の人生そのものがある意味で無駄の塊みたいなものだから今更ではあるんだが。

 

 ……何回見ても腹を膨らませた女ってのは苦手だ。壊れ物のように扱いたくなってしまう。多分それは俺が手を付けた相手だからだと思うんだが、生き死にが掛かって無ければそれはそれで仕方ないと思うようにした。かかってたら相手が妊婦だろうが何だろうが関係なく殺すがな。

 で、多分なんだが……俺はこの世界に限れば自分の子供でも本気で敵に回ったら殺せそうな気がする。他の世界だったらできるだけ殺さないようにしただろうが、この世界の俺はどうも思考が荒っぽい方に向きやすくなっている気がしてならない。それに加えて今では俺と言う存在そのものを忘れている奴が大半だから起きていないが、以前は酷かったからな。多分記憶の焼却をしていなかったら子供ができた時点で病院辺りに襲撃がかかっただろうなと簡単に想像できてしまう。今となってはどうでもいいことだが、あれだけはちゃんとやっといて正解だったな。

 誰からも敵対されない一番の方法は、そもそも存在を知られないことだという。存在を感知できなければ敵意を向けられることも無いし攻撃されることも……広範囲爆撃とかの巻き添えになる以外にはあり得ない。事故は攻撃では無いから除外するがな。それで俺は木の葉のほぼ全てから敵対されている状況を、誰にも知られなくなることで覆して見せた。思っていた以上に便利で有用な術だったな、思兼は。

 

 そうだ、今度ついうっかり燃やしてしまわないように記憶保護術式でも組んでみるか。こっちの方は普通に思兼でいいや。名前とか考えるの面倒だし。というかこれ以上考えさせられると凄まじく奇妙な感じになるのがわかり切ってるからお薦めしない。そもそも誰に進めているのかもわかってないんだが、いつもの事だな。

 




Q.両親に説明なしでやったんかい!?
A.だから暴走だと言ってたじゃないですかヤダー

Q.ちなみにナルチカの両親の反応は?
A.父親『うっそだろマジか』 母親『えっ……ちょっ……は!?』
 なお、どちらも『ヒナタもサクラも納得した上での暴挙である』と言う事を理解しているため何とも言えない表情で受け入れざることを得なかったことを表明します。


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NARUTO~後日談8

今日のサスケ

「なあナルト。着てる方がエロい服ってあるだろ?」
「『あるだろ?』とか言われてもどんな反応を返せばいいのやら」
「着てやろうか?」
「まず子供が生まれるまでは絶対に手は出さんからな。妊婦相手にするとか絶対無理」
「チッ」


 

 side うずまきナルト

 

 俺の子供が生まれた。名前はボルト。ちなみに最近気付いたんだが、名前のイントネーションを思いっきり変えると文字をそのまま覚えられるらしい。要するに、イントネーションが頭にくるボルト(工具)と、電圧を示すボルト(V)の取り違えのような扱いになるらしい。ただし、これだと間違って覚えているのが永遠に修正されないからお薦めはしない。まあ気付かれないままそう呼ばれ続けている可能性も無きにしも非ずだが、少なくとも最近気付いてからそうやって呼んでいる奴はいないからどうでもいい事なんじゃないかね。知らんけど。

 ……あれだな、俺は子供を抱くのも慣れているが、逆に親父たちが全然そう言うのに慣れてないのが笑えるな。まあ産まれてすぐに攫われて俺を置いて死んだんだから今こうして生きているだけでも上々の結果だってのはわかってるんだが、笑ってしまう物は仕方ない。だって面白いから。

 しかし、この世界で俺の子供が生まれてきたことをちゃんと祝福されるとは驚きだ。原作とは違って敵意も凄まじかったから欠片も期待していなかったしそもそも子供を作ることも無いんじゃないかと思っていたんだが、まさかこうなるとは……人生ってのはわからんものだな。

 

 子供を産むのは命懸けだと聞く。実際に命懸けだし、近くで見ているとマジで死ぬんじゃないかってくらい暴れたり苦しんだりするのが見えるんだが……ヒナちゃんは割と普通にしていた。あれだね、影分身にチャクラを送り込み続けながら術式をこっちで無理矢理保存しつつ生きたまま解剖して痛みに慣れる訓練が生きているんだろうな。ちなみに俺の方にもその痛みは来るから俺も慣れてたりする。サスケも同じように慣れているはずだが……身体が変わっているから油断はできない。多分普通か普通以上に痛いと思われる。頑張れ。

 というか、今のうちは一族って凄いことやってるよな? 兄弟が姉妹になって同じ男に処女を捧げてかつ初体験で妊娠しているとか、まともな神経している奴じゃ絶対できないしな。少なくとも俺だったら絶対やらない。

 何が驚きかって、両親がそれを黙認している事なんだよな。記憶を消していないせいか命を文字通りの意味で救われたせいか、木の葉で最も能力的に優秀な忍びと言えば俺と言う事になっているみたいだし……まあそれに関しては否定はしないよ? 実際忍に求められるものを戦闘能力と考えれば今現在この世界で俺に勝てる奴とか存在しないと言ってもいいし。月で転生眼を使って色々やらかそうとした奴に対して純粋な物理で何とかしたこともあるくらいには強い自覚もあるしね? だがはっきり言って駄目だと思うんだ、だって人間として生きていくのに必要な社会的な適応力とか一切持ってないぞ俺。しかも座にいる本体の方ならともかく今ここに居る俺は倫理観がほぼ完全に獣の倫理だし。弱肉強食があたり前、強ければおよそ全てが許される。そして自分も自身より強い相手には何をされても仕方がない。文句を言ったり反抗したりはするが、それも抑えられたりしたらまあある程度大人しくなるんじゃなかろうか。この世界で負けたこと無いからわからんけど。

 今の俺は属性で言えば混沌・中庸だ。ここまでやらかしておいて混沌・悪じゃないってのは驚きだが、実際に混沌・中庸なんだから仕方ない。一般社会から見れば十分悪だと思うが、一般社会から見た俺ではなく俺自身が見た俺を評価しているからこんな感じに落ち着いている。

 

 ……さて、これから世界をどう平和にしていくか考えようか。戦争が無ければ平和と言う訳じゃないが、戦争に変わる何らかの敵対者があった方がいいか? 例えば―――BETAとか。そう言った存在が空から地球に侵略戦争を仕掛けてきたりしたら、地上のどこであっても地獄が産まれることは間違いない。地獄があるから幸福は引き立つ。そして人間は地獄を知るからこそ平穏を尊ぶ生き物だ。上を知れば知るだけ強欲になるように、下を知れば知るだけ寛容になる。なんとも我儘な生き物だな人間は。

 

『なおナルトも含まれる』

 おっと漸く俺も人間扱いされるようになったか。

『ほんとうににんげんあつかいされていたらわざわざちゅうしゃくをいれないとおもう、とさいきんついにりょうほうできちゃったおれがつぶやいてみるぞ』

『大丈夫だ守鶴。虫には基本的に両方ある奴とかもいる。大丈夫だ』

『おれはむしじゃないからだいさんじなんだが』

 そうかそうか、ついにショ狸はにょ狸にクラスチェンジしたか。

『まだしきってねえし!』

 時間の問題だと思うがな。

 




Q.狸もにょたるの?
A.ナルチカがゲームの原案作った結果そんな感じに。

Q.……四尾も?
A.熱血系でいるでも赤いジャージ着た竹刀持ってる体育教師みたいな感じになってますね。


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NARUTO~後日談9

今日のサスケ

「マイクロビキニってあるだろ」
「あるな。で?」
「ここに一つある」
「あるな。で?」
「暑いと思ったら着てみるのも悪くないと思うんだが」
「それを着ているのを俺とお前の両親に見られてなお平常心のまま子供の世話が見れるってんならいいんじゃないか」
「……やめとく。ベッドの上だけにすrいだだだだだだだだだだだ!?」
「サスケちゃん、ちょっと地下鍛錬場いこっか」
「耳っ!? 耳が千切れっ!?」
「千切れてはいないし千切れても一秒足らずでくっつけてあげるから安心して死ね」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」



 

 side うずまきナルト

 

 原作においてうずまきナルトには二人の子供がいた。しかし今では妻が一人に愛人が二人、計三人の間に一人ずつ子供ができている。そして日向一族的に愛人と言う扱いであるうちは一族には二人の子供がいるのに日向一族には子供が一人だけというのは断己相殺拳モノらしい。お陰で俺はヒナちゃんとの間にもう一人子供を作ることが確定した訳だが……どう考えてもこれ日向一族としての意見じゃなくてヒナちゃん個人の嫉妬心からくる我儘なんだろうなと簡単に察せるくらいには深い付き合いをしている。そのあたりの事を分かっているからサスケもイラチもこの子が産まれたらすぐ二人目仕込んでくれとか言わないわけだな。ヒナちゃんに配慮するという契約と言うか約束だったらしいから、もしもこのまま配慮とかあまりないままやっていたら本当に黄泉沼に沈されていたかもしれない。ヒナちゃんはやると言ったらやる子だからな。

 あと、サスケが男の時と同じノリで猥談とか振ってくんのにはどういう反応をしたらいいのか迷わされた。何しろ内容が内容だし、エロ蝦蟇仙人の英才教育のせいか色々と無駄にそっち方面の知識ばっかり詰め込まれているから困る。いきなり『普段は高慢な名家のお嬢様の家を没落させて、力だけじゃなく食事や金で釣ってエロい事していたのにいつの間にか目的が食事とか生活費からそう言う行為(実際にはもっと直接的な表現でした)になっているのをニヤニヤ眺めるのってどんな気分なんだろうな』とか言われてもかなり困る。あとその状況は気付いていないかもしれないがサスケによく似ている。

 

 うちは一族と言う名門の生まれ、つまり名家。そしてそのほぼ全員が死亡しているため没落状態。そんなお坊ちゃん(現在はお嬢ちゃん)の面倒を見て無数の貸しを作っている俺。まさに現状だ。まあ俺はそっち系の行為に余り頓着しないから……待て、まさか頓着しないから誘ってるんじゃあるまいな?

 

「一応聞くが、それ誘ってるのか?」

「言えない」

「誘ってはいないと」

「それは違う」

「全力で拒否すると」

「それは違う」

「契約上誘えないから俺から襲わせようとしている?」

「言えない」

「本当はこんな回りくどいことしないでさっさと襲いたい?」

「言えない」

「ヒナちゃんが怖い?」

「怖いな」

「誘ってる?」

「言えない」

「ほぼ答えは出てると思うが何か言う事は?」

「……察してるなら行動に移してくれてもいいと思うんだが」

 

 まあ何ともわかりやすいが……まさかとは思うがこいつ女の快感にハマったか? 初体験で十八時間は流石に問題があったか? それとも盛られた薬と全く同じものを同量叩き込んだのが悪かったか? それともかけられた幻術をそのまま返してやったのが駄目だったか?

 ……普通に全部駄目だろこれは。まああの時の俺は色々と頭が茹っていたから仕方ないっちゃ仕方ないがな。その結果がこれとなると思うものがあるが、仕方ない。

 

「残念だったな、襲わねえよ」

「マジかよ。俺の身体ってそんな魅力ないか? 自分では結構いい感じだと思うんだが……やっぱり胸か? ヒナタとかイタチみたいに胸が無いからか?」

「その理由で駄目なんだったら俺は初めからお前を抱いてないな。というか子供はどうした」

「影分身ってほんと便利だよな」

「影分身は授乳できないだろさっさと子供のとこに帰れ」

「あーあれな。なんか体液が外に出るのは出血とそう変わらない扱いみたいだしな……そのあたりどうにかなる術とか知らないか?」

「そんな都合のいい術とかあると思うか?」

「ナルトが『無い』と答えなかった以上実在するのはわかった」

 

 よくお分かりで。ちなみにその術は自分を二人にする『分裂』な。チャクラ量及び身体能力とかは半分になるが、手数そのものは増やせるし合体すれば影分身と同じように記憶の共有もできる。ただし慣れないうちは多分ごっちゃになるだろうがな。術じゃなければサテライト30があるが、これに関しては使わせるつもりはないのでノーコメント。そしてサスケが俺の帰れという言葉に一切触れようとしないで流していることについてもノーコメント。

 ……なお、あの術は血継限界とはまた違った意味で固有の物だと思われるので教えたりはちょっとできなかったりする。流石にあれの理屈はわからん。予想だけでいいんだったら、原子よりも小さい粒子単位で存在を間引きして二つに分ける感じだが、そんなものを印なしかつ高速で実行できるとは思えないしな。俺もまあ道具に頼らないとできないし。逆に言えば道具に頼ればできるんだけども。

 ……サスケの肉体改造の時それ使って増やしてからやればよかったな、そう言えば。忘れてたわ。

 




Q.サスケは誘ってますか?
A.サスケ「『言えない』」(副音声:誘ってるから襲え)

Q.ちなみにヒナタに誘っていることがばれた場合どうなりますか?
A.たっぷりとカロリーを供給されて無残な身体になります。

Q.前書きでボコられたようですが……?
A.大丈夫、死にはしないし、そもそも連れていかれただけです。

Q.何があったんですか?
A.暫くサスケは身体の線が出る格好をしたがらなかった、という説明で納得してください。



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NARUTO~後日談10

今日のサスケ

「ひどい目にあったが今日もここにマイクロビキニがある」
「あるな」
「マイクロビキニって、どのくらいの面積あたりからマイクロビキニと呼ばれるようになるんだ?」
「俺に一般的な感覚を聞くな。知るわけないだろそんな物」
「ちなみにだが俺は今オープンブラを付けている。授乳がやりやすい」
「そうかい」
「兄さん……姉さんも同じだな」
「そうかい」
「サクラもだ」
「そうかい」
「ヒナタもそのはずだ」
「……お前らあれか? 示し合わせてんのか?」
「便利だからと広めただけだ。いや、本当に他意はない。授乳の時にわざわざ下着をずらさなくていいのはとても楽でな……問題は薄い服を着れないことと、溜まると服に母乳が染み出してしまうことくらいだ」
「……当て布でもしとけ」



 

 side うずまきナルト

 

 現在、俺の子供は三人いる。ヒナちゃんとの子供、うずまきボルト(男)。サスケとの子供、うちはラセン(男)。イラチとの子供でうちはコヨリ(女)の三人だ。名前は幻術使って加速した世界で無理矢理覚えた。流石に自分の名前を分かっていない相手に対して不定の名前で呼ぶわけにもいかないからな。違うそれ俺の名前じゃないとかそういう事もわからず奇妙な名前を覚えてしまったら流石に問題しか出てこない。草も生えない。どのくらい草生えないかと言うと最近俺の精神世界に四季を取り入れた結果春先に若干発情するようになって俺の事を獣の眼で見ていた九喇嘛くらいには草生えない。

 ちなみに美味しく頂かれそうになったので反撃しました。俺としてはモフリスト的な意味で可愛がれればそれでよかったんだが、どうしてこうなった……俺の中に生えてる十尾の樹のためと言うのも含めて四季を用意しただけだってのに、まさかこんな事になるとはこの海のリハクの眼をもってしても……そう言えば海のリハクってよくこれ言ってるよな。節穴?

 なお、九喇嘛との間に子供はできない。なぜなら九喇嘛はチャクラ体で俺は精神体だから。

 

 ただ、かなり突然の事だったから色々と聞き出してみたところ、基本的にサスケのせいだった。

 サスケは元々男で今は女をやっている。これは九喇嘛も同じだが、九喇嘛と違ってサスケはそっちの方に積極的だった。まあ俺との間に子供を作るために女になったんだから当たり前の……男から女になるのが当たり前かどうかは一旦置いておくとして、まあ目的を遂げるための正統な手段だと言えなくもないが……そのサスケが俺を襲おうとして返り討ちになり、ちょっと人には見せられないような状態になってしまったのを九喇嘛は俺の中から見ていたわけで。

 それに興味をそそられたのと、明らかに自分以上の存在である俺に対しての獣の本能的な何かは混ざり合って暴発した結果そんな感じになったらしい。九喇嘛にとっても初めての事だったらしく制御が全くできなかったそうだ。まあ普通に考えていきなり今まで感じたことが一度もない衝動が大挙して襲い掛かってきたら対応なんてできる訳もない。そして現在に至ると言う訳だ。

 ……なんか最近下半身にまつわる話が多い気がする……なんでだ? 一応少年誌……ああ、なるほど? 年齢的に青年になったから青年誌の方に移行したとかそう言う感じか? なんで青年誌に移行しちゃったかな……。

 

 まあそんな感じに関係がある意味一歩進んだような状態になったが、あくまでも九喇嘛は衝動に突き動かされているだけなので普段は全くそんな空気を感じさせない。今までと何も変わらない関係にしか見えないし、実際に季節によって多少変わるようになってしまっただけでそれ以外の時は大抵元通りだ。お互いにその時のことについては触れないようにしているというのもあるし、九喇嘛的には割と恥だと思っている所もあるように思えたので態々いう事は無いだろうと思っている。

 まあ九喇嘛も悪くは無いと思っているのか何なのかはわからないがその癖のようなものは直らないけどな。ここ数年。

 

 というか本当に大丈夫か? なんかハーレム物っぽくなってきてないか? メインヒロインヒナちゃんはまだいいとしてもなんでメイン2がサスケ(元男)でその次か九喇嘛? しかもサブヒロイン的な立ち位置にイラチがいるし……どこから聞いたのかオカマ丸が結婚祝い持って来やがるし……なお結婚祝いはアタッシュケースに満杯になるまで詰め込まれた札束だった。お返しにオカマ丸の所から逃げ出した自称うちはシンの居場所をリークしておいた。恐らく喜んでいたとは思う。

 その後どうなったかは知らん。ただオカマ丸のアジトと言うか研究所の一つが俺の細胞で浸食されて凄いことになったとかそんな話を聞いたが、恐らく前に渡した俺の髪をクローニングしてシンに埋め込んだんだろうな。拒絶反応が出ないからと言って俺の細胞をコントロールできるできないってのはまた別の話だってのに。結果的に制御できないまま研究所が生きた肉の塊になったそうだし、やっぱりクローンなんてのはマトモな奴がやることじゃないな。元からまともじゃない俺が言うのもあれだが、本当にまともじゃない。間違いなく馬鹿のやることだ。

 

 ……応用したらゴッドイーター的な世界でも作れたりしそうだな。マジで。面倒だから俺はやらんが。

 




Q.……え? マジで? 九喇嘛も?
A.発情期のみの一次加入&妊娠しないので子育てとかはしませんが、はい。マジです。

Q.ちなみにその後オカマ丸はどうしたの?
A.精神を持たないためチャクラを作れない肉塊ですが、素の頑丈さがヤバいので必死になって何とかしました。なお、その肉塊は建物と同化してトラップになっています。


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NARUTO~後日談11

今日のサスケ

「身体が鈍るから修業したいんだが」
「適度な運動は健康にいいからやればいいと思うぞ」
「流石に今の本体で何度も死ぬ気にはなれないから影分身して密度を高くしたい。あと可能ならそろそろ雷遁と火遁だけでなく土遁や風遁も覚えたい」
「チャクラだけは貸してやるからやるといい。本体の運動……まあ、軽く散歩するぐらいか」
「ラセンを連れて散歩か……悪くないな」
「あとヒナちゃんとボルトも行くらしいという信号が届いた。お前の兄は多分勝手についてくるだろうから適当に声だけかけとけばいいだろ」
「そうだな……弁当とか用意するか」
「ピクニックかよ。まあ構わんけども」

 この後滅茶苦茶ピクニックした。



 

 side うずまきナルト

 

 子供たちは順調に成長している。時々サスケが『パパも飲んでみるか? 今しか出ない貴重品だぞ』とか言って胸を出してきたり、それを見たイラチが『サスケに手を出すなっ!やるなら俺のだけにしろッ!』と叫びながら着ていた服を破り捨てて上半身だけ裸になったり、そんな二人をシバき倒したヒナちゃんが耳元に口を寄せてきて小声で『私のだったら後で飲ませてあげるから……ね?』とか言ってきたのを小突いたり、子育て経験のない俺の両親があまり役に立たないので子育て経験のあるサスケの両親が教師役になって色々と教えてくれたりと色々とツッコミどころ満載な生活もそこそこに慣れてきた。影分身の方のサスケがかなり疲れたような顔をしているが、一年以上も影分身を保ったままなんだからストレスも溜まるだろう。そんな長い時間使われることを想定された術じゃないはずだしな。まあ授乳が必要なくなったら一回戻してみた方がいいと思うが、そのあたりの事はちゃんとわかって……いや、わかって無さそうだな。ちゃんと伝えておいた方がいいか。

 というか、ここまで長くなるんだったら本当にサスケを二つ作っておいた方がいいんじゃないか? 男の身体と女の身体を両方作って、その上で両方に共通した意識を持てれば最良だと思うんだが。あれだ、分割思考で二つに分けたうちの片方の思考で男を、もう片方で女を動かす感じで。問題はどうやって実行するかだが、そのあたりは元々と言うか根本が『繋げる力』であるチャクラを利用すればなんとなかるだろう。言霊やら概念系やらはそこそこに得意な領域だからな。かなり練習もしたし、今回に限れば言霊系においての俺の問題である名前についてもどうにかなるし。何しろ相手の名前をちゃんと覚えている。俺にとっては最重要事項でもある。態々カンペで確認しなくても良くなるというのは便利だ。

 さて分割思考のやり方だが……最悪俺が勝手に分割してしまえばそれで終わる話だ。しかし勝手に分割した場合、何に使う部分かを考えずに分割するせいで意識に偏りができてしまう。だからできるだけ自力で習得してほしいんだが……最悪の場合不能の男と淫猥なことしか考えない女の二人ができることになるからマジで何とかしたい。右脳と左脳で分ければいいとか前後で分ければいいとかそう言うのじゃないからな、脳ってのは。イルカみたいに半球睡眠ができるんだったらまた話は変わってくるんだが、人間に半球睡眠はできるようになってないからな。仕方ない。

 思考を二つに増やす一番楽なやり方が影分身なんだが、影分身だとなんかあったら消えるからな……術を応用して思考回路だけを増やせば行けないこともない……か? パソコンで二窓する時のようにやればなんとか……よしやってみるか。どうせ数時間ごとに泣き出す奴が何人かいるからあまり深く眠ることもできないし、お疲れモードのヒナちゃんや空元気状態になっているサスケの代わりに少しくらい面倒を見てやろう。ちなみにイラチは凄まじく元気だ。腹立つくらいに元気だ。

 

 まずはいつも通りに影分身。影分身については昔に秘伝の巻物を読んだから術式とかには大分詳しいが、その術式について研究するなら色々と特殊な条件を整えておいた方がいい。特にこれは精神にかなり密接に関わる術だからな。

 術式をしっかりと認識し、どこの術式がどう言う意味を持つのかを解析し、解体して組み合わせてと色々とやらなければならない。精神だけを複製するなら基本的にチャクラではなく精神エネルギーを使うが、精神エネルギーだけで外に出すと安定した形になるために身体エネルギーを求めてしまう。身体エネルギーだけが宿った肉体をそこに置いておけば精神エネルギーが身体エネルギーと結びついて繋がることはできるだろうが、しかしそれはあくまでも一つの精神が二つの肉体を得ただけに終わる。精神が一つでありながら同時に二つの肉体を動かすのは結構面倒臭いんだが、できなくはない。しかし一つの事に集中できなくなるからやらない方がいいだろう。

 ……ああ、あれか。精神を二つに分ける必要は無いのか。一つのまま出力できる物を二つあるいはそれ以上にすればいいだけだ。コンセントの延長コードのように口を増やす感じで良いな。

 となれば後は簡単だ。と言うかこの術式なら多分慣れでいけるな。使って慣れてもらうか。いつも通り影分身でやればいいか? 別に身体を用意していなければただの分割思考を可能にするだけの術だし、頭がかなり疲れるだけで済むだろう。多分。

 




Q.サスケ……増えんの?
A.可能性が出てきました。

Q.ところでサスケと言うかうちはの変態度はいつになったら下がるの?
A.頭の茹りが何とかなったら。


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NARUTO~後日談12

今日のサスケ

「サクラには迷惑をかけっぱなしだからな……今度何かで返そう」
「身体でいいわよ。女の子同士って言うのも試してみたかったし」

この後滅茶苦茶以下省略


 

 side うずまきナルト

 

 俺は一応マッサージができる。基本的には痛みを与えない方向のマッサージなんだが、やろうとすれば整体の色が強めのちょっと痛かったりするマッサージや骨格の歪みに対しての所謂カイロプラクティック? とか言う系統の物もできる。あと東洋医学系のツボ押しもそこそこに。

 ちなみにそれを聞いた時のサスケの反応は『媚薬を混ぜたオイルを使ったマッサージでとろっとろにするとかできるか?』だった。今度あのエロ仙人が死んでいたとしても一度蘇らせて殴ることに決めた。ちなみにそう言う系統のはやろうとすればまあできないことも無いんだが、あまりやる気にならない。本人が求めているんだったらともかく、本人の意思を無視しての行為とか面倒くさくてやる気にならない。

 と言おうとしたら男に戻った後にサクラ相手にやりたいから教えてくれと言われた。そっちかーってなったよな。

 ちなみに普通のマッサージ技術が無いとそう言う系統の事は難しいし、同じ人間相手にやっても色々と状況が違ったりすればやるべき動きも変わってくるし、違う人間に対してなら更にそうだ。そういう事も伝えたんだが……こいつ絶対そう言うプレイをしたがってるだけだ。

 そしてそう言う話をこいつが持ち出した場合、その話は大抵俺の知り合いの秘密共有クラブ(俺、ヒナちゃん、サスケ、イラチ、サクラ)の中で共有されて次かその次辺りでヒナちゃんが興味深げに聞いてきたり、色々と用意してきたりとかもするから面倒だったりするんだが、まあこいつら相手だったら多少の面倒は見てやるつもりだから良いとする。ちなみにここまで譲歩する相手となると、既に俺の事を忘れてしまっているはずのイルカ先生。それに加えて色々と酷いことをしてしまったカラシ……は、一回か二回くらいなら面倒見てもいいかなくらいの感覚だ。両親に関してはまあお互いに色々と迷惑をかけあってる感じだし、サスケの両親は……なんとも面倒な状況に追いやってしまっているので多少はな?

 

 さてそういう事で俺はなぜかヒナちゃんを対象に実演中。マッサージの基本は身体の末端から中心部に向かっていくんだが、全身マッサージというのは時間がかかる。今のように複数人の母親が当然のように協力できる状況でもなければ難しいわな。

 まずは足から。基本的に足の裏から始めて下腿に上り、手に行って前腕から上腕へ移行してから上半身、主に背中へ。本当なら腕が終わったら大腿から尻に行ってそれから腰、そして背中に行くんだが……流石に耳どころか顔全体まで真っ赤にしているヒナちゃんの尻やら太腿やらを揉んで喘がせるわけにもいくまい。まあ後でな。

 

「ほー……なるほど。こんな感じか」

「後でお前らにもやってやるからとりあえず今は見ることに集中しとけ。本当だったら風呂上りにするのが一番効果的だとか使うオイルによっては時間を空けないと太陽光に当たると染みになりやすくなるとかそう言う豆知識もまとめて教えてやるから」

「助かる」

「ありがと」

「……ところでサクラ。お前もしかしてまだ羞恥心とかあんまり育ってなかったりするか」

「……わかる? 前に燃やしてから『恥ずかしい』って感覚がどういうのだったかよく思い出せないのよね」

「だからお前色々とやらかしたわけだな。嫉妬心とかそんなのも無くなってたりするだろ」

「さあ? 嫉妬ってどういう心の動きだったか覚えてないからなんとも言えないけど……まあ本とか読んで何となくは?」

「なるほど重症だな。なまじ一度は理解していたせいで感情の定義が難しくなってるのか」

 

 一度生まれ変わった感情と言うのは、それまでの感情とは似てはいる別物だ。大きな枠、それこそ赤子でも表現できる快と不快くらいならそう変わるものでもないし、喜怒哀楽くらいまではまあ何となく理解していなくても想像で補える範囲なんだが、それより細かくなると成長過程で色々と変わってくるから同じ感情とは思えなくなるんだよな。主に感情の濃度や密度が変わると本当に認識が変化するからな。近くにいる奴がキチガイだとそれに引っ張られやすくもなるし。

 ……要するに、大体俺のせいか。すまんな。

 

 さてそれは一旦置いておくとして、さっさとマッサージを終わらせてしまおう。今回は割と簡単な部分しか手を付けていないが、頭とか目元とか首回りとか色々とできる部分は他にもある。今回はお試し版と言う事で際どい所だとかよくAVとかにあるような内容のはやっていないが、一応できない事は無いんだよな……昔と言うか『織斑一夏』だった頃に色々と学んだのが今まさに役立っていると言うかなんと言うか……薬についても勉強したなそう言えば。まあ魔法系統の薬については流石に当時は勉強できなかったからかなり適当だったけども。

 薬……それもまあ一つの選択肢か?

 




Q.サクラの精神状態はどんな感じですか?
A.本人の認識では一般人より大分感情の起伏が鈍いかな程度。ナルチカ視点ではサスケに関わらないことに関しては割と人形。

Q.ところでサスケはサクラ相手にマジでやんの?
A.恐らくやるでしょう。二人目ができるかは不明。


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NARUTO~後日談13

今日のサスケ

「割と本気で雌落ちしかけている自覚があるのにそれがまんざらでもないと思ってしまう件について」
「サクラ、出番だぞ。頭の治療だ」
「悪いけど私外科が本領で脳の方までは守備範囲じゃないのよ」
「仕方ない、斜め45°から叩いて直すか」
「加減はしてくれ。頼む」
「いいよ」

 斜め四十五度から叩かれて白目剥いたサスケがいたとかいなかったとか。


 

 side うずまきナルト

 

 毎日誰かを相手にしていると本当に疲れるが、子育ての手伝いをしている間は大抵空気を読んでくれるのでありがたい。と言うか子育てが必要な時期にもう一人仕込んでほしいとかいったい何を言っているんだという話だよな。ただでさえうちの場合は子育ての経験者が少ないってのに……そんなわけで日向の分家の誰かさん所にお邪魔してちょっと口を塞がせてもらった。具体的には網膜をぺりっと剥がしておいた。死にはしないが白眼使いとしては死んだも同然だな。

 ヒナちゃんは確かに日向の家の出だが、もううちの子です。うちの子は日向の子ではなくうちの子です。ヒナちゃんが実家に顔を出したりする分には止めはしないが、あっちの方がこっちの意思を無視して何かを強制しようと言うなら容赦はしない。必要なら殺す。誰にもばれないように誰にもばれない方法で殺す。脳の中心に突如よくわからない金属塊を出現させて即座に消し去ることで脳に損傷を与えて殺す。今回は生きててよかったな!

 

 しかし面倒だ。子供が可愛くないのかと聞かれれば……正直わからんとしか。俺の子供って色々と問題を起こすことも多かったし、織斑一夏として作った子供は世界中に様々な問題を振り撒いて行ったからな。まあそれを解決した数の数十倍以上を子供たちに押し付けてやったからお互いにもう少し自重しようかと協定も作ったりしたな。まあ守らなかった奴も結構いるけど。束姉さんとか。

 ちなみに一番やらかしたのも束姉さんだが、一番問題が大きくなった時の中心人物は俺だった。女にしか動かせないパワードスーツがどうこうという話だったのだが、余りに鬱陶しかったので男でも動かせる奴を作っちゃったのな。理屈はわからんけど普通に男でも動かせたからまあ大騒ぎになったよな。多少反省している。後悔はしてない。なんかそれで神格化されたし神格が便利だったりするしで後悔は全くしていない。

 ともかく今は精神的に追い詰めるようなことはしないようにして、ちょっとした運動と美味い飯で楽しく子育てしていった方がいい。少なくとも子供が自分で立って歩き回れるくらいになるまでは。

 まあ立ったら立ったで色々準備はしないといけないけどな。家の角の部分に保護テープ張るとか。何かをしたら痛いとか、そう言う失敗はさせないと覚えないから取り返しがつかなかったりよっぽどヤバいものでない限りは一回目は放置。俺の考えるやばいものと他の奴が考えるやばいものの間に日本海溝より深い溝が横たわっていることもそれなりにあるからそのあたりも注意していった方がいいだろう。ある程度までならストレスは成長に必要な物だが、ある程度を越えると途端に害にしかならなくなるからな。気を付けなければ。

 

 ……なんでハーレムになってんだろうな、ほんと。

 

『強い雄ってのは雌を引き寄せるものだ。ただし、自分にとって大きすぎるような怪物と呼ばれるような同族だと身体が耐え切れないというのを本能で理解して拒絶することもあるが』

 つまり九喇嘛は俺の事が好きでたまらないと言う事か?

『うるせえ爆発しろ』

『おめーがばくはつしろばかぎつね。のろけとかいらねえから』

『俺はナルトのこと好きだぞ。この場所は居心地がいいしな』

 はいはいそいつはどうも。

 

 まあチャクラに満ちた俺の世界は尾獣にとっては極楽浄土みたいなもんだろうしな。大分広いし。恐らく本物の外の世界と言う物を知ることがなければ俺の中で永遠に暮らし続けていたとしても自由だと感じていたに違いない。あくまでも仮定の話であって実際には起きる事のない夢想の話ではあるが。

 なお、実際にそう言う尾獣を作ることは今の俺にだったらできると思うが、そんなことをやる気は欠片もない。なぜなら新しく十尾を分解して尾獣を作ると言う事はつまり子供が増えるようなもの。三人である今でさえ中々にやることが多くて困ることが多いと言うのに、さらに増やす気など欠片もない。面倒臭さで爆発するぞ? いや実際にすることは恐らくない。やった方が面白そうだと思わなければ。

 

 ……ああ、代わり映えのしない日々と言うのは中々悪くない。つまらないと思えばいくらでも壊せる日常だからこそ、大切にしておきたくなる。大切にしすぎると腐り堕ちたりもするから注意が必要だがな。

 




Q.なんでハーレムっぽくなってるの?
A.話の流れを加速させて勢い付けたらなんかこんな感じに暴走した。

Q.直す気は?
A.現状なし。このまま突っ走る予定。


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NARUTO~後日談14

今日のサスケ

「土下座ってあるだろ」
「……まあ、あるな」
「誠心誠意を込めた謝意を表す態度だよな」
「……一般的にはその通りだな」
「もしくは渾身の懇願を込めた行為でもあるな?」
「……そうだな」
「全裸土下座ってどう思う」
「…………育児疲れか? 少しくらいなら代わってやるぞ? いや流石に授乳は無理だが」
「そうだな、めっちゃエロいよな」
「まるで俺がそう言ったかのような流れにしないでもらっていいか?」
「色々と言いたいことはあるがまあともかく、俺と姉さんとヒナタ、三人並べてみないか?」
「遺言はそれでいいな?」
「待て待て待て待て落ち着け。単純にそういう事もやってみたら面白いかもしれないと思っただけだ。無理強いはしない」
「ならばその案は却下だ。忘れろ」
「残念だ……気が向いたら教えてくれ」
「永遠に向かねえよ馬鹿野郎」



 

 side うちはサスケ

 

「……なあ、火影様よ。質問があるんだが」

 

 そう言ってきたのは奈良家のシカマル。火影として働く俺の表側の右腕としてかなり優秀な忍だが、時々気付かなくてい事にまで気付く辺りが珠に瑕だ。まあそう言ったことに気付いたとしても守秘義務として黙っておけるだけの判断力があるからそのあたりは安心しているが、今回はいったい何に気付いたんだろうな?

 

「どうした。言ってみろ」

「じゃあ遠慮なく言わせてもらうがよ……俺の記憶に細工されているのに気付いた。消えたのは誰だ?」

「……なるほど。消えた所だけを繋ぎ合わせて消えたのが人間一人と気付いたか。相変わらず頭が良いな」

「そいつはどーも。で、知ってるんだろ?」

「気付いているだろうに。と言うより、そいつを見たから記憶の欠損に気付いたんじゃないのか」

「……まあな。やっぱりそういう事か?」

「俺からの答えはこうだ。『契約上言うことができない』」

「そいつは……いや、いい。予想はできてたことだ。サスケ、お前は嘘を言う事が殆ど無い。誤魔化すのも煙に巻くのも上手いが、嘘だけはあまり上手くないからな。だが、これだけは確認させてくれ。なんで消された?」

「木の葉が嫌いだったから、嫌いな木の葉を消し去るため……だそうだ。あいつなら皆殺しにもできただろうにな」

「……うずまきナルト、ってのは、そんなに強いのか?」

「強いぞ。気付いているだろうが、第三次忍界大戦で忍連合を勝利させたのもあいつだ。俺はその立役者として無理矢理功績を押し付けられただけの哀れな男だよ」

「哀れな男さんこれに判子お願いしますわ」

「わかった。……ちなみに名前はどうやって気付いた?」

「記憶の欠損に気付いてすぐ、俺の人生を頭から見直してみた。そしたら俺の記憶には一切残っていないのにアカデミーのクラスメイトだったり中忍試験を一緒に受けたりしている奴がいるじゃねえか。そりゃわかるさ」

「なるほど。まあそいつ今は抜け忍だがな」

「マジかよ。じゃあなんで当たり前に木の葉の里に居たんだ?」

「木の葉に暮らしているからだろう。知っているか? あいつはかつての忌まわしい木の葉の面影を消し去ろうと凄まじい勢いで開発を繰り返している。金をばら撒いて建物や土地を買い取り、様々な形で使って昔の面影を消し去ろうとしている。俺はそれに便乗して木の葉の経済を進めているだけだ」

 

 シカマルとの会話が途切れる。恐らく、シカマルの頭の中ではどうやって利用するかや危険度などが巡っているだろうが、それを実行に移した瞬間にナルトはこの里から出ていくだろう。

 

「止めておけ。あいつは触れられたら木の葉を捨てるぞ。今でさえ俺が頭を下げ、色々と優遇しているから他の里に行く手間やらなにやらと天秤にかけてここに居るだけだ。相手によっては顔を見るだけで不機嫌になるぞ。お前達は忘れてもナルトは忘れていないからな」

「俺達は何をやったんだ?」

「正確にはお前はやっていないな。ただ、俺達よりいくつか上の世代の奴らは色々とやっていたらしい。ナルトに対しては暴行や盗み、火付けなんかが暗黙の了解で合法とされていたそうだ。まあ反撃喰らって死んだ奴もかなりの数いるそうだがな」

「……そこまでやられて殺してないのか?」

「直接的に命を狙ってきた奴は命を、物品を狙った奴は物品を狙って反撃していたらしいぞ。まあ暴力に関しては直接脳やら内臓やらを打ち抜いていたらしいから悪意を持って殴るくらいの威力でも軽々と致命傷にしていたそうだが」

「よく知ってるな? 聞いたのか?」

「ああ。酒の席でな……話し終わる事には空気が死にきって酒を楽しむような雰囲気とはかけ離れていたが」

 

 あの時は酷かった。色々聞きだしたのは俺だったせいか、その次の日の修行で色々と無茶振りされたからな……なんだよ月読を再現して自分にかけて須佐能乎を超加速させることができるまで帰しま10(テン)とか……いや確かに強くはなれたが。そもそも月読の再現だけでも凄まじく根気が必要な作業だってのにそれに加えて須佐能乎を月読を掛けられた精神状態で出して超加速とか頭がおかしいとしか言えない。つまりそれが当然のようにできていたイタチは頭がおかしい。ナルトくらいおかしい。

 いや、言いすぎた。頭がおかしいのは事実だから否定はしないし訂正もしないがナルトくらいおかしいってのは言い過ぎだ。ナルトほどおかしい奴とかそういない。いや、精神的におかしい奴ならいないでもないがナルトのようにおかしい所とおかしくないところをどちらも持っていてその上で色々とやらかす奴はまずいない。それに加えて力があるのが厄介なんだよな。まあナルトの場合力が無かったら無かったで何らかの形で目的を遂げようとする気がするけどな。今ここに力が無いのなら、ある所から持ってくればいい、って感じで。

 

 …………駄目だ、なんか仕事の気分じゃなくなった。酒飲んで寝たい。寝る。

 




Q.シカマルはいつ気付いたの?
A.元から『記憶に空白がある』と言う事には気付いていました。そこで色々調べた結果確信を得た感じです。

Q.男のサスケはこんなにシリアスなのに女のサスケはどうしてあんなにシリアルなの?
A.はっちゃけ成分の大半が女のサスケの方に行っているせいでしょうね。


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NARUTO~後日談15

今日のサスケ

「下着とはいったいどこからが下着なのだろうか」
「何かの下に来てたら全部下着でいいだろ面倒臭い」
「それだと上にコートを着ていたら普段着すらも下着になるんだが。そして下着だけ着てたら下着が下着で無くなるんだが」
「上半身裸で外に出てる奴とか全身タイツで外に出てる奴とかもいるんだから気にすんな」
「つまり俺が上半身裸や上下下着だけで外に出るのも認められる……?」
「やりたいなら止めないが二度とこの家の敷居は跨がせないからよく考えた上で実行しろよ」
「しない」
「そうか」



 

 side うずまきナルト

 

 時間は作るもの。暇な時間が無いなら自分を増やしてそいつに仕事を任せてやれば俺自身の時間は空く。そうやって作った時間で色々な国が裏で進めている実験やら研究やらをそれまでの実験結果とか開発した現物ごと無き物にしてやるボランティアを始めた。まあ要するにテロリストだな。

 白モードの俺と再不斬モードの俺は俺に繋がる連絡役だとそれなりに広がってしまっているので別に新しく作る必要に駆られたので、絶対に俺に繋がる事のない誰かの顔を勝手に使わせてもらうことにした。この世界ではなんか鮫っぽい顔の鮫っぽい男とか人間とは思えない骨格してる奴とかも結構いるので別作品から持ってきてもまあ問題は無いだろう。多分。

 

 そう言う訳で鋼の錬金術師からキング・ブラッドレイにお越しいただいた。まあ姿形だけだから本人と言う訳ではないんだが、まあキング・ブラッドレイだな。少なくとも見た目は。そしてこのキング・ブラッドレイだが、武器は基本的に刀だ。サーベルとかあまり得意じゃなくてな。代わりに二刀にしておいた。この二刀で研究所も実験場も研究者も実験体も何もかもを斬り殺してきた訳だが、まあ違法な研究所を潰されたからと言って大っぴらに懸賞金とかかける訳にも行かんよな。それ狙って態々裏の研究所とか違法研究所とかばっかり襲撃してるんだが。

 ただ、賞金首にはなっていないらしい。まあ俺の姿を見た奴は全員殺しているし、今のところ見逃している奴もいない。実験体だろうが巻き込まれただけの一般人だろうがお構いなく殺しているし、護衛や他の国の忍ならなおさらだ。『襲撃があって全員殺された』以外の情報が残らないようにしているから俺がやったとかそう言うのも残るわけがない。ただし、明らかに刀を使って殺されている死体が多すぎるせいもあって侍が疑われているとか言う話もあったが……すまんな、侍ではなく一応ではあるが忍なんだ。一応な。

 ちなみに公的な研究所であっても研究の内容がクソなら乗り込んで潰したりしている。地下だろうが隔離区画だろうが関係ないね。乗り込んで潰す。術による防犯とかは斬ればいいし、空間を隔てられている場合でも斬ればいい。物理的に隔離されていようが術を使って隔離されていようが結界で隔離されていようが関係ない。迷わず斬れよ斬ればわかるさ。そう言う訳で斬る。なお自分で言っておきながら斬ってもよくわからないことが多々。仕方ないね。

 ちなみにだが使っている刀は鉋と鈍だ。乱戦になりかねない中で針とか使う気にもならないし、鎩の数が多いってのは俺が自前で再現できる。鎧は戦い方が合わないし鎚は持って歩くだけで脆い床が抜けるから移動が面倒で没。釵は向こうに傀儡師がいると操られかねないからアウトとして、鋸は木刀、銓は刀身が無い、鍍は持ってるとなんかキモい、鐚とか俺の身体に刺せないから論外、銃はこの世界だと割と耐えられる奴がいるから使わない、鑢と錆は刀ではあるが同時に人間だからちょっと作れない。こんな感じの理由からその二振りだ。チャクラで覆ってしまえば数打ちでもそう変わらないんだが、こだわりたいと思ったところはこだわりたい。たとえそのこだわりに自己満足以上の意味が含まれていないと言う事をしっかりと理解していたとしても、だ。どうせ手間が変わったり金がかかる様になったりするわけでもないしな。万が一折れたとしても最後には全部爆破してしまえば残らないし。

 

 しかし不思議だ。『何者だ』とか『どこの者だ』とか聞いている暇があったら少しでも逃げていればいいだろうに、態々そんなことを口にしているせいで場所を探り出されてさっさと殺される。馬鹿だな本当に。愚かだな本当に。そんなんだから今やっている実験が成功しないどころか成功のために全く必要のない犠牲を出しまくって俺に察知されて殺される羽目になるんだよ。なんでそんなことを聞くことを優先するのか……最低限自分の安全を確保することが一番じゃないのか? 人間と言うか生物としておかしいぞ?

 まあ殺すのが楽だから俺としてはありがたいんだがね。隠れていても問題なく殺せるとは言っても姿を見て首を刎ねた方が楽なのは間違いない。時々首を刎ねるくらいじゃ死なないような奴もいたりするが、そんな人間としておかしいのは極少数だからな。対処法も確立しているし何も問題はない。ちなみに対処法ってのは簡単に言うと太陽に放り込んで生きてようが死んでようが関係なく焼き続けるだけの簡単なお仕事だ。大抵の場合は酸素が足りなくて気絶してそのままだから苦しくはないぞ。よかったな。

 




Q.なんでキング・ブラッドレイ?
A.特殊な術を使わないでそれなり以上に強い存在なので。

Q.なんで違法研究所を潰して回ってるの?
A.溜め込まれた金や資材を頂いても何も言われないから。


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NARUTO~後日談16

今日のサスケ

「全身タイツ……と言うとロック・リーやマイト・ガイが出てくるだろう?」
「そうだな」
「何ともやぼったく見える」
「そうだな」
「だが、あれは生地が戦闘に耐えうるように分厚く頑丈になっているからだと考える」
「ほうほう」
「そこで伸縮力に富んだ薄い生地で作ってみた全身タイツがこれだ」
「……何やってんだお前」
「全身にぴったりと張り付き体のラインを浮き上がらせ、しかし肌の色はわからないようにやや濃いめの色で綺麗に染色。要するに対魔n―――」
「そいっ」
「かぺっ」

 退場


 

 side うずまきナルト

 

 ヒナちゃん、サスケ、イラチ、九喇嘛。俺がこの世界に来てから抱いた相手はこれだけだが、なんとサクラも俺とサスケとサクラの3Pに割と乗り気と言うおっそろしい事実に気付いてしまった。正しくは俺とサスケとサクラとサスケの四人になると思うんだが……ああ、サスケ(女)とサスケ(男)な。なんと言うかこいつら貞操観念がかなり緩いのはなんでなんだろうな? サスケはサスケでほぼ毎日のように新しいエロネタ仕込んでくるし、サクラはなんとおいろけの術を編み出しよったし。まあ効果がある奴にはあるから手札としては持っておいて損は無いだろうけども。

 それに加えてなんか結婚とか一切考えるつもりはないけど九喇嘛の状態を見て興味はあるらしいにょ狸とか、身体だけの関係を望んでいる奴もまあ多少いる。よっぽど迫られない限りは抱く気はないが、あまりにも面倒になったら記憶を焼き払ってしまおうと考えている。

 

 ……と、そんなことを考えていたところで珍しく俺に客が来た。しかもヒナちゃんの実家関係ではなく、男の方のサスケ……七代目火影からの紹介とあっては一応木の葉の里に住んでいる以上は無視できない。

 

「よう、俺の認識じゃ初めましてなんだが……違うんだよな? うずまきナルト」

「……あー、なるほど。お前頭良かったもんな」

 

 □〇だ。風影の実の姉を嫁に貰って子供こさえてしかし嫁の尻に敷かれつつそれなりに良い人生を過ごしている奈良家の□〇。子供の名前は確か……駄目だ絶対間違った奴しか出てこない。死がdie!とか絶対違うってのだけはわかる。だが正直思い出せないから名前を直接呼ぶのは避けることにする。間違いなく怒られるしな。

 

「さて、お前は覚えてないだろうがいつもお前に返していた言葉で返そう。金なら貸さねーぞ」

「もう十分稼いでるっての。と言うかそんなこと言ってたのか」

「言ってねーよ。記憶の消え残りとかがあったら面倒だからその確認をしただけだ」

「ちなみに結果は」

「見事に俺の記憶だけすっぽり消し飛んでます本当にありがとうございました」

「あーそうだろうよ。お陰でアスマを殺した角都と飛段って奴らをどうやって殺したのか全く思い出せなくて困ってたんだ。最終的になんか粉々になってたのは思えてるんだが、経緯も実際にどうなったかも全く覚えてなくてな」

「それ聞きに来たと?」

「それもある」

 

 ……ああ、なるほど。忘れてるせいもあって俺がどういう存在なのかわからないから測りに来たって所か。一応言っとくが俺の地頭はそこまで良くないから高度な話とかされてもさっぱりだぞ。情報の収集力だけは結構な物があるけどな。

 まあ、聞かれたことくらいには答えてやろうか。□〇に悪いイメージは現状ないしな。

 

「殺した方法は投石だ」

「……は?」

「そこら辺に石が転がってます」

「おう」

「拾います」

「おう」

「投げます」

「おう」

「直撃します」

「おう」

「死にます」

「どんな石投げたんだよ。隕石レベルか?」

「いや? フツーにそこら辺にあるような掌には収まりきらないけど持つのに苦労する事は無いくらいの大きさのやつを拾って投げるだけ」

「……暁の連中がその程度で死ぬのか?」

「だたし速度が音速の500倍」

「……は?」

「音速の約500倍の速度で投げた。当たる前に空中で砕けて大気摩擦で灼熱の岩石蒸気になった部分とまだ形を残している部分とが散弾のように全身を叩いた結果粉々になった。相手は死ぬ」

「そりゃ死ぬわな」

「防げる奴もいるけどな。サスケとかはいけたはず」

「マジかよ人間じゃねえな」

「お前隣でサスケが酒飲んでるの理解して言ってるか?」

「人間離れしてんのは事実だろうが」

 

 事実だったら何を言っても許されるんだったら俺の行動の大半は許されるな。まあ事実としては許す許さない以前の問題なんだが。

 報復は大体済ませた。俺に報復されたという事実すらも忘れ、自身の人生のうちで俺と関わった部分だけをごっそりと抉り取られた空虚な感情を抱えたまま生きて行け。少なくとも命には別条のないとても平和的な報復だと自画自賛している。気付かれていない以上更なる俺への報復は行われることが無いしな。ついでに言うと当時の俺について色々と考えていた存在、つまるところ俺により深い恨みを持っていた存在の方がより多くの過去を抉られるわけだ。しっかりとした報復だ。

 ……なおイルカ先生は燃やすのを加減しておいたので、かなり努力しなければ俺の事を思い出すことができない程度だ。かなり焦げ付いている感じだな。灰よりいくらかマシ、って所だ。すまんな。

 

 この後酒盛りしつつ話し合いをした。

 




Q.結局シカマルは何しに来たの?
A.記憶の事とナルトの危険度判定に。

Q.結果は?
A.そもそもこいつを敵に回したらサスケとヒナタが約職を辞してついて行くという確信ができてしまい胃痛に塗れた生活が始まります。


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NARUTO~後日談17

今日のサスケ

「肉欲ってあるだろ?」
「ああ、あるな」
「……少し前まで『肉を食いたいという欲』だと勘違いしていた馬鹿がこちらになります」
「……昨日焼肉だったのは……」
「今の間違いをして優しい笑顔で献立を決められました……辛いとです」


 

 side うずまきナルト

 

「方言ってあるだろ?」

「ああ、あるな。俺も知らんのが多いし物によっては本当に同じ国の言語なのかわからないようなのもあるが」

「まあ同じ国でも北と南で使っている言語がそもそも違うようなところだってあるわけで……」

「何となくニュアンスで分かるんだったらいいんだが、そう言うのが全く分からないものも多いからな」

「有名な奴だったら結構わかったりもするんだがな……さてそんな方言だが、何となく男っぽい方言や女っぽい方言ってのがあると思う訳だ」

「ほー。で?」

「男っぽい方言を使う女を組み伏せt」

「方言はそいつの個性として受け取ることはあるが態々それを真似たりしている奴に対してことさらに魅力を感じるような事は無いぞ」

「……チッ」

 

 まったくサスケの奴はすぐにそう言う話に持って行こうとする。あとこういう話をしていると大抵ヒナちゃんも聞き耳を立ててるんだよな。俺の中にいる九喇嘛は俺が見聞きしたことは伝わるようになっているから仕方ないけども。

 なおサスケとヒナちゃんは俺の反応がいいとそれを実行するために色々と動き始めるから困る。一番頭おかしいと思ったのは『催眠術ってあるだろ?』から始まる一連の奴だ。なんだよ催眠術は使えないから幻術で代用とか既にかけておいたとか鏡を使って自分に掛けたとか俺に幻術の内容を説明することで発動するようになっているとか馬鹿じゃないのかと。ちなみに幻術はチャクラ吸収を利用して解いておいた。それから説教だな。子供達の前で馬鹿なことをやるんじゃないと。正直俺がこの言葉を口にする日が来るとは思って……あーいやすまん、あったわ普通に。主に束姉さん相手で。子供ができても変わらんかったからな。

 

 ちなみに今のところお仕置きとして一番効果的なのは耳掃除だな。どうもサスケは耳が弱いらしく、耳に息を噴き掛けられると大変なことになる。主にくすぐったい方向で。ヒナちゃんはそんな事は無いし、ついでに言うなら男だった頃にもそんな事は無かったらしいのでサスケ固有の物なんだろう。

 それをサクラにばらしてみた。男の方のサスケ相手にやってみたが大きな反応は無かったようなので、本当に女のサスケの特有な奴なんだなと。いったい同一人物で何でこうも違うのか……男と女が変わればこうもなるか。

 ただし、男の方のサスケはサクラに耳元で『好き』と何度も繰り返されると何とも恥ずかしい気分になってくるらしく、耳まで真っ赤になるそうな。俺も女の方のサスケに試してみたが、衝撃が大きすぎたらしく一発目で気絶した。そしてヒナちゃんが同じことを要求してきたので後ろから抱きしめて繰り返し囁いていたら五分後には気絶していた。正確にいつ気絶したのかはわからないが、精神修行になるか?

 

「多分何回言われても一発目で意識が消し飛ぶから勘弁してくれ」

「そうかい」

 

 イラチは大した反応を返さなかったんだがな。ちょっと片付けていた皿を落として足を滑らせ小指を食器棚の角にぶつけて悶え転がり落としはしたが割れても皹が入ってもいなかった皿が転がった際に背骨をゴリっと抉ったらしくその場で背中で跳躍したと思ったらもう一度皿の上に背中から着地して悲鳴にならない悲鳴を上げたくらいだ。

 なお九喇嘛がそれを見ていてドン引きしていた。そして俺がその反応をあまり大きくないと判定すると俺に対してもドン引きしていた。俺が好きだと言ったことに対して大きな反応だと思われたいならかつて俺に好きだと言われて勢い余った結果モーセの海割りを刀一本と実力で再現したり月に立てておいた研究所を核として月そのものを巨大な変形ロボに変えたりした姉妹より大きなことをやってみることだな。その二つの例ではちー姉さんが両手を打ち鳴らしただけで海を元通りにしたり弾指一つで変形部分を解体して元の月の形に戻して見せた。ちなみに理屈はわからん。あれはどうやってたんだろうな?

 

 ……九喇嘛? 九喇嘛は駄目だ。一発目で気絶した挙句に記憶まで全消去して何もなかったのと同じような状態になる。軽く言うならともかく、真剣に言うとそんな感じになる。発情期の時に一回言ってみたら一発で発情期が終わったくらいだからな。ただし想像妊娠していたが。にょ狸に死ぬほど煽られていた。そして反撃でにょ狸を襲って最終的に勝っていた。まあ慣れの問題もあるだろうから十年もすれば今みたいに一瞬で蹴散らされるようなことも無くなるんじゃないか? 一瞬で終わってくれた方が俺としては楽だが。

 




Q.今日のサスケが本文に出張してきてるんですが?
A.まあ一日一回ないし二回はこんな会話がされています。ナルトも色々大変ですね。

Q.ちなみにヒナタが聞いているってのは?
A.ナルトの好みのシチュエーションがわからないので聞いている感じです。ナルトに直接聞くのが一番速くて正確なんですけどね……。


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NARUTO~後日談18

今日のサスケ

「淫紋、って文化を初めて知った」
「それを文化と呼ぶのは間違っている気がするんだが気にせず続けろ。アウトだと思ったら止めるから」
「わかった。淫紋だが、あれは本当に色々と種類があるんだな。何の力も持たない単なる模様である場合もあれば、誰かの所有物であると言う事を示す印のような物であったり……あるいは何らかの形で行われている洗脳や調教の進行度合いを測るものでもあったりする」
「あ、そこでストップな。それ以降はレートがちょっと」
「……続きはwebで!」

 続きはR-18版今日のサスケで。


 

 side うずまきナルト

 

 小さい子供ってのは本当によく伸びるもので、あっという間に赤子から子供と呼べるくらいまで背が伸びた。色々と興味を持つことも増え、子供らしい子供に成長している。顔が俺、と言うかうずまきナルトに似たのが少し不安要素でもあるが、まあ俺を覚えている奴で敵対的なのはいないから多分大丈夫だろう。多分。

 居たら殺してるしな。キング・ブラッドレイとかが。

 

 さて、基本的に金の事を考えなくていいとなると子供を増やしたくなるのが人間あるいは動物と言う物だが、お見事なくらいに増えている。ただし一部俺の子供ではないのが混じっているが。

 ヒナちゃんとの第二子であるヒマワリ、そしてなんと俺の弟であるメンマ、ついでにサスケとサクラの子供である皿だ……発音をおかしくすれば一応呼べるんだ。この発音は正直どうかとも思うから本人を呼ぶことはしないつもりだが、まあ頭の中ではな。一応そろそろ五年、ボルトはしっかりボルトと呼べるようになったし、コヨリやラセンの名前も呼べる。なお呼ぶとは言ってない。あくまでも呼べるだけだ。

 ……メンマに関しては俺の両親に直接頑張ってもらった。なんで自分の子供よりも子供の扱いに慣れてないんだ……? まあ子供の相手をすることなく死んじまったせいだろうが、これに関しては是非とも自分で苦労してほしい。実際自分たちで苦労したいだろうしな。俺の時は無理だったわけだし。

 こんな感じで俺が建てた家はそこそこの改築を繰り返し、なぜか十人以上が生活する空間となっていた。元々は俺が一人で住んでいて、徐々に増えていき、今では十三人か……何とも大所帯になった物だ。

 そろそろうちは一族も表に出て良いような気もするが……なんと言うかそんな空気じゃなくなってるんだよな。多分全員今暮らしてるこの家で生きこの家で死ぬだろう。元々あった屋敷とかはペイン襲来の際に粉砕されているから使えないし、俺自身別に嫌では無いから構いはしないんだが。

 

 ……できればこの世界で死ぬ時には俺以外誰もいない場所で死にたいもんだが……いやまあ実際にはそれは多分無理だけどな。なにしろいまだに増やし続けているチャクラのせいもあって老化が19あたりの頃で止まっている。寿命らしい寿命はない。強いて言うなら俺が飽きた時だが、飽きたら飽きたで適当に何か考えてやるだろうし最悪眠り続けるだろうから本当に死ぬことはまずない。長いこと生き続けると生きることが苦痛になってきたり、あらゆることに対しての閾値が高くなりすぎて全ての事がわからなくなったりするからな……人間のまま長生きなんぞするもんじゃない。少なくとも精神が人間を辞める必要がある。じゃなけりゃ耐えられん。

 と言っても例外はあるけどな。元から精神的に人外な奴とかもいるし、何らかのものに狂ったりすると他の物がどうでもよくなるから時間経過による発狂をほぼ無効にできたり、まあ色々と。どいつもこいつも特殊例であるということをしっかりと理解しておいてほしいが。

 まあそう言う訳で、俺は自力で着いてこれない存在を座に招くような事は無いし、座に到達したとしても擦り切れる奴を近くに呼ぶこともまあ無い。俺の知っているこの世界の住人の中で適性があるのはヒナちゃんくらいだ。サスケは割とキチっているがあれで理性を手放しているわけではないし、イタチは対象が俺じゃない。九喇嘛は適性だけなら結構高いんだが、座に招かれるための人間としての存在がない。人間でなくてもできる場合もあるがそれは大抵反英霊だし、そうなると多くの英雄に対して弱点を持つようにもなってしまう。九喇嘛の場合は封印されやすくなる、と言った感じか? 知らんが。

 そんなわけで、死ぬとしたら俺が飽きて生命活動を手放すか、あるいは俺以上に強い奴や理不尽な能力を持った奴が俺を殺すくらいしか無いわけだが……まあ、早々無いわな。完全に無いわけじゃないが。

 

 それに、俺の知る原作は既に終わった。つまり、この世界の山場は通り過ぎているわけだ。そんな世界を気にする奴は早々居ないし、そもそも俺がこうして主人公に成り代わってしまった世界にさらに外からやってくるようなことはまずない。あるとしたら……俺自身か。無いと思うが。

 




Q.家族増えたな……
A.増えましたね。まさかここまで増えるとは。

Q.メンマはどんな感じに育つ?
A.元気な男の子です。原作ナルトによく似た感じになると思われます。ただし髪色は赤。

P.S次回からちょっと外伝入ります


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外伝
BORUTO~外伝1


今日のサスケ

「蟲っているだろ」
「ああ、いるな」
「大抵の蟲はチャクラを食ったり肉を喰らったりするやつらしいが、それでも使い道がある。だったら拷問用の蟲とかもいてもおかしくないと思わないか?」
「おかしくはないがお前の口から出てくると不穏」
「具体的には淫蟲とかさ」
「はいアウト。多分秘匿されてるから探しても出ないと思うぞ」


 

 side うずまきナルト

 

 時間は進み、まあ色々あったが平和に暮らしている。サスケは男のサスケと女のサスケに分かれ、身体能力その他が半分になったが再び鍛え直すことによって元の強さを取り戻し、火影と母親の二足の草鞋を履いている。いや、父親もだな。あまりかまってやれずにどちらかと言うと父親代わりに俺に懐いているようにも見えるが、まあ火影の仕事ってのは忙しいもんだから仕方なかろう。

 ヒナちゃんは二人目の子供を産んで任務にもあまり行かなくなった。ちなみに二人目の子供の名前はヒマワリだ。二人とも影分身による修行は続けているが、昔のようなハングリー精神のようなものは失われたな。平和が続いたからそうなってしまったってのも仕方ない事でもあるんだが。

 サクラは火影夫人として、そして凄腕の医療忍者としても色々と活躍している。特に医療忍者としての活躍は凄まじいもので、最近では本人の細胞を利用したクローン技術を確立して手足を失った奴に対しての生きた義手として使わせることができるようになっている。まあ、問題は量産が効かないことと作るのに必要な金がなかなか多いってことくらいだろうが……便利には違いなかろう。

 そして俺の子供たち。ボルトは中々生意気に育ったが、俺は大抵家の中でパソコンを弄ったり適当に術を使って色々と金を増やしたり宅配したりとなんだかんだ働いているのを知っているようで、そこそこ尊敬はされている。実際にボルトも知らないうちに俺の会社で作ったゲーム機やらゲームやらで遊んでいたり、菓子を食べていたりしたわけだしな。あと、忍者としての才能はそこそこだ。術の覚えは良いが意志力が足りない。楽な方楽な方へと流れていきたがるのは、まあ凡人らしいと言えばらしいな。

 ヒマワリはまだあまり自分の意思と言う物がしっかりと発達していない。いや、ちゃんと育ってはいるんだが素直すぎて将来が少し心配になる程度だ。大したことではない。あと、ボルトが一度怒らせて白眼を使えるようになった。ボルトは点穴を突かれて気絶した。何やってるんだか……。

 サスケとの子供であるラセンは生まれて早々に火影の方のサスケに引き取られた。まあどっちにしろサスケなんだが、親と一緒に暮らせるというのは悪い事ではないだろう。それにお気に入りのおもちゃを壊してしまって悲しいという感情に触発されてか巴一つだけではあるが写輪眼も開眼していたしな。0歳で。今では火影の息子として日々修行に明け暮れている。

 イラチとの間の子であるコヨリは、うちは一族であることを隠して平穏に生きている。苗字も名乗っていないし、あまり外にも出ない。まあイラチも賞金首だし仕方ないと言えば仕方ないんだがな。ただし才能には恵まれたらしく、ラセンと同じように写輪眼を開眼し、何をどうやったのか万華鏡写輪眼まで開眼している。イラチが幻術で何かしたんだろうが、まあそれは良い。女の子らしく料理の腕はそこそこだが、それもまあ仕方ない。十ちょいだしな。

 

 ……あと、俺に弟ができた。若い身体のまま蘇らせたせいか今度こそ立派に親を務めようとサスケの両親の子育て講座を聞いて実行に移したらしい。名前は波風メンマ。この年になって弟とか……ツラァ……。

 

 ともかくそんな家族で暮らしていたが、今俺は見慣れているようないないような場所に来てしまっている。この場所は間違いなく木の葉の里なんだが、俺のいた木の葉の里とは大きく違っている所がいくつかある。

 一つ。俺の家がない。結構頑張って立てた俺の家を一瞬で消し飛ばすなら月の七割程度のサイズの隕石が秒速にして120kmくらいの速度で直撃しないと消し飛ぶ事は無い。そして周囲が無事である以上そんなことは起きていないんだが、実際にない。

 一つ。俺が世界中に付けた飛雷神のマーキングが無い。いや、あるにはあるが異様に遠い。影分身による分業によって世界旅行のついでに様々な場所に一瞬で跳べるのはちょっとした自慢のようなものだ。

 一つ。サスケがいない。火影がそう簡単に外出とかできる訳が無いし、今日はサスケは火影室と俺の家の地下訓練場にいるはずだからいないのはおかしい。

 最後に、火影の顔岩の顔、七代目の所に刻まれているのがサスケじゃなくて俺のになってる。要するにこれはあれだな。昔あったような感じで原作世界かそれに程近い世界に来てしまった、みたいなものだろう。あの時も理由はわからなかったが遊んで回ったし、今回も少々気を付けながらではあるが遊んでみるか。一応マーキングはしたから多分また来ようとすれば来れるし帰ろうとすれば帰れるだろうが、そうなると観光とかもしてみたくなるのが人情だ。俺の世界の木の葉では全くそんな気はしないんだが、これも異世界に来たせいかね? なんと言うか、対岸の火事っぽい気がする。雰囲気が。

 

 ……まあ、見るようなところがあるのかどうかってのが一番の問題だがな。

 




Q.どこに来たの?
A.原作のNARUTO世界。ただしBORUTO世代寄り

Q.なんか前にも効いたことが混じってる気がするんだけど?
A.いくつか並行して書いてた奴なんで、これ書いてた時はまだ本文で出てなかったのよ。矛盾はないはずだから許して。


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BORUTO~外伝2

今日のサスケ

「痴漢っているだろ」
「いるな」
「周囲にバレたら自分の痴態が広まってしまう状況への恐怖。自分が許したものでもないのに体に触れられる嫌悪感。良くないな」
「良くないな」
「しかし、それが同意のもとに行われるプレイであったのならば……なんか凄いワクワクしてきた」
「周囲のやつに気付かれたら空気が死ぬからやめとけ。マジで」


 

 side うずまきナルト

 

 暇潰しも兼ねて観光をしていったわけなんだが、どうやらこの世界は本当に原作の世界に近いらしい。七代目火影はナルトだし、サスケは近くにいないようだし、イタチも死んでいるようだし、うちは一族の残りもそういないようだし、サクラもチャクラの容量が特に大きくはなっていないみたいだし、ついでに言えばこの世界のナルトは右腕が義手のようだし。あとナルトは化物ではなく英雄として扱われているらしい。何とも面倒臭そうな人生を歩んでいるようだな、この世界の俺は。

 ……ちょっとこの世界で金を使ったんだが、ほんの僅かではあるがインフレとかデフレとか考えた方がいいだろうか。一応適当に同額を悪っぽい奴らから無断で拝借させてもらってから帰ることにするつもりだが……まあ、いいか。ある意味じゃ今更だし。

 あと、いくら火影っぽいとは言っても明らかに若い奇妙な奴がいるのに周囲が全く気付いた様子を見せないってのはいくらなんでも平和ボケが過ぎるような気もするが……まあ、いいか。俺はその方が楽だし。

 ちょっと顔岩の上に座って弁当をつついてみたが、やっぱり違うな。大分近代化はしているが俺が作った会社とかによる様々な形のオーバーテクノロジーが無い分遅れている。俺の知る木の葉では空を走る車とかも作られていたし、もう完全に近未来都市だった。近未来で空を走る車なんてものができるのかは知らんが。

 

 歩いている途中で適当に飛雷神の術式を刻んできたが、全く感知される気配がない。木の葉の里では感知結界を常時張っているはずだからわからないわけがないと思うんだが……確か口寄せなどの時空間忍術で直接呼ばれたらわからないんだったか。つまり俺が今こうしているのもわからなくても仕方が無い事か。なるほど。

 そう言えば俺が見つけた術式はどうやらこの世界の親父が残した術式らしい。一度刻んだ術式は消えないと言っていたが、まさか本人が死んでも消えないとは思わんよな。だがいつまでも残り続ける術式だと今のように見ず知らずの奴に逆利用されてしまう可能性もあるから気を付けてな。聞こえんだろうが。

 弁当も無くなりそうなので味の濃いおかずを集めて酒の肴にすることにした。牛蒡のきんぴらとかだな。ちなみに俺は酒を好むわけではないが、あれば飲む。嫌いと言う訳ではないが無ければ無いで構わない。そのくらいの酒好きだな。

 トリコ世界で酒と言えば出てくるのは二人。ハンサムと聞き違えることの多い所長と、狼王に育てられたノッキングマスター。そのうちのノッキングマスターの方のフルコースから『ドッハムの湧き酒』を出して適当に呑んでいたら、後ろに誰かが来たのがわかった。が、俺に対しての悪意はないようだし力もそこまで強くはなさそうだから放置。

 

「……親父?」

「あん?」

 

 ……なるほど、この世界でもナルトとヒナちゃんがくっついたんだったらボルトがいてもおかしくはないか。世界ってのはそう言うところで辻褄を合わせようとしてくるものだし。

 

「なんで親父がここに居んだよ」

「俺がどこに居ようと俺の自由だ」

「仕事は」

「終わったから酒飲んでんだよ。お前こそペンキなんて持ってどうした」

「うっ……親父には、関係ねえだろ」

「お前の親父が七代目火影なんてものをやっている以上、関係ないって事は無いと思うがな」

「……親父、だよな?」

「そうだが違うぞ」

 

 即座に離れようとするボルトをのんびりと見送る。まあ別にここで何かされても一切の被害なく鎮圧できるだろうし、やろうとすればそもそも暴れさせないことも可能と言えば可能だ。ただ、ここは俺の世界ではない以上日本人的な感覚で旅行者として振舞うつもりでいるが。別の国では旅行者とスパイがほぼ等号で結ばれたりもするらしいが、流石にそこまではなぁ……と言うか、ここをスパイしたところで特に何かがあるわけでもないし。

 だが、武器まで向けられるのは許容しない。まあこの世界において生身ほど恐ろしい武器は早々なかったりするんだがな。俺も最強の武器は生身だし。

 そう言う訳で出された武器を回収。……量産品だな。しかも手入れが甘いから切れ味もあまりよくないようだ。まあ苦無なんてのは基本的に消耗品だから俺としては別に構わんが、俺のようにいつでもいくらでも質のいい武器を取り出せないなら最低限先端だけは研ぎあげておくべきじゃないかと思うんだが……。

 

「敵対の意思がない相手に武器を向けるな。会話をするにしても敵対するにしてもあまりいい手とは言えないぞ」

「……何者だ、あんた」

「うずまきナルトだよ。まあ、お前の父親と被って呼びにくいってんなら『ナルチカ』とでも呼べばいい」

 

 俺は最後の一杯になった酒を飲みほして、俺を見つめる少年に向けてそう言った。

 




Q.ナルチカ呼びが本編に……!?
A.ついに本編まで出てきました。

Q.飛雷神って自分で覚えてなかった?
A.多少の改悪があったのでそのあたりを習いました。喜んで教えてくれたようです。


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BORUTO~外伝3

今日のサスケ

「TRPGってあるだろ?」
「あるな。で?」
「最近クトゥルフ神話TRPGってのが流行り始めただろう?」
「……そうだな」←元凶
「触手ってなんであんなにエロいんだろうな?」
「それはお前の頭の中身がエロでいっぱいだから何見てもエロく感じるんだと思うぞ」
「あとマーシャルキックでゴ=ミ倒すの楽しい」
「脳筋探索者とかお前……」


 

 side ナルチカ

 

 とりあえず回収した苦無は返却しておいたが、怪しいものを見る視線は変わらない。まあどんな視線を向けられようと俺は俺で変わらないし、俺を捕まえられるような奴は俺の知る限り存在しないと思われるので基本はスルーだ。

 

「……で、なんであんたは親父にそっくりなんだよ」

「ちょっと世界を越えはしたが一応同一存在だからな」

「は? 何言ってんだ?」

「まあ色々あってな。お前の親父がどんな人生を送ってきたのかは知らないが、どっかで何かが食い違って俺とお前の親父って違いができたんだろうよ」

「わけわかんねーってばさ」

「説明が面倒なんだが……例えばあれだ、全財産を掛けたギャンブルで勝つか負けるかによってはそこからの未来は大きく変わる。俺とお前の親父とはそういう関係だ。どっちが勝った方でどっちが負けた方かは明言しないけどな」

 

 これで分からなかったら俺はもう知らん。このことに関してはここまでにしておく。どうせどう説明しても理解できないだろうしな。

 だが、この世界のボルトは少なくとも原作のナルトよりは理解力があるらしく何とか理解したようで、若干首を傾げながらもどういう関係かだけは理解したらしい。

 

「じゃあ、どうやってあんたはこの世界に来たんだ? あんたが親父と別れた世界の存在だって言うなら、どう考えてもこの世界に来れるはずないだろ?」

「それは早計だ。時空間忍術を極めれば時間移動や世界間移動も決して不可能じゃない。失敗したら次元の藻屑だが、失敗しなければ問題ない」

「問題あると思うってばさ」

「最悪な失敗をしたら俺のいた世界ごと持ってきて重ねることになるから問題と言えば問題だがまあそのくらいだぞ」

「大問題じゃねえか……!」

「ちなみにその最悪の失敗は今のところ起きてないから安心するといい」

「できねえよ……何だこの人……親父もこんな風になる可能性があったとか絶対嫌なんだけど……?」

 

 まあその可能性は俺と言う異物が入らない限り無いから安心しとけ、とは言わないでおく。その方が後々の反応が面白くなりそうだからな。

 ……そう言えば、こいつは何をしに来たんだろうな? 原作のナルトのように悪戯で顔岩に落書きでもしに来たか? ちなみに落書きをしたとしてもそれが超リアルなちゃんとした顔の色で塗るという内容だったら結構見逃してもらえたりするぞ。最低限本人の肌とか髪とかの色を知っていないとできない事ではあるが。

 

 と、ここでようやく俺に気付いた奴が出てくるのか。ボルトの事を探している七代目火影……要するにこの世界のうずまきナルトだな。チャクラも無く悪意もない俺によく気付いた……いやまあ恐らくボルトを探していて偶然見つけたんだろうと思うがな。仙人モードと九尾チャクラモードを併用して俺に悪意が無い事を確認し、さらに俺のチャクラ量を調べることで大体の実力を把握しようとしているんだろうが……残念だったな今の俺は精神と肉体の接触をさせてないから見た目のチャクラ量は0だ。お前に俺は測れねえよ。

 だが、今俺に襲い掛かってこないのは恐らくと言うかまず間違いなくボルトが俺の傍にいることと、俺が悪意もチャクラも無いように見えるからだろう。悪意自体は結構あったりするし憎悪も未だ燻ってたりするんだが、その大半は俺の世界の木の葉の里とその里で暮らす奴らに向けられたものであってこの世界の人間には基本的に関係ないからな。報復の相手を間違えるとか格好の悪いことはしないとも。まあ、巻き込んだ方がいい報復になると判断したら実行することもあるけどな。

 

 さて、チャクラ刀と言う物がある。刀にチャクラを纏わせて作り出すのだが、実際には武器に纏わせる必要はない。あった方が楽なのは間違いないが、無くてもなんとかなるし物によっては纏わせたチャクラに負けて変形したりすることもあるので自前のチャクラだけでできるようになるのが理想だ。ちなみに原作のサスケは千鳥を刀にすることもできていたが、身体のあらゆる場所から自在に出すと言う訳にはいかないようだった。俺の世界のサスケはできたけどな。

 ただし見た目が悪かった。どう見てもあれは白いイガの栗かウニだった。なんだあれと不思議に思うくらいには変だったな。まあ中身はサスケだから不思議に思う必要も無いんだが。

 ちなみに俺も真似できる。と言うか俺の場合もっと細かく針のようにできる上に飛ばせる。エロ蝦蟇仙人の毛針千本のような技にできると言う訳だな。しかも術の性質も自由自在。一族固有の特殊な術も多少真似することができる。例えば……影真似手裏剣ならぬ影真似千本、とかな?

 

 はい、捕まえた。

 




Q.作者はTRPGやったことあります?
A.シナリオ作ってプレイしたらマジキチ扱いされました。謎解き物でしたが結構簡単だったのに……。

Q.内容を具体的にどうぞ。
A.ちょっと主人公達全員スワンプマンなだけ。

Q.……それはそうとよく影真似千本とかできたね?
A.まあ見ればできるのがナルチカでありますゆえ。

Q.ちなみにその大問題、マジで起こるの?
A.世界ごと跳べるくらいの莫大なチャクラ量が必要ですが、一応あり得るという設定。



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BORUTO~外伝4

今日のサスケ

「筋肉ってあるだろ」
「あるな」
「無いよりはあるほうがいいが、ありすぎると邪魔だよな」
「そうだな」
「ナルトの筋肉許容範囲ってどんなもんだ?」
「なんだその新種の単語……俺に関わらないなら好きにすればいいと思うし、関わるにしても好きにすればいいと思うぞ」
「いや、どこまでなら抱けるかって話なんゥボァー」
「全くこいつは……」


 

 side ナルチカ

 

「動けんだろ。別になんもせんから大人しくしとけ」

「……これで止めたつもりか?」

「動きはチャクラモードで自由自在だろ。とりあえず気付かれないようにこのくらいはできるし、一瞬あれば殺せるからとりあえず少し大人しくしとけってだけだ」

 

 敵対される前に不意打ちくらいはできるという証明も終わったし、影真似千本を解除しておく。チャクラ量でのゴリ押しが俺相手に効くと思うなよ? あとついでに俺相手にチャクラモードで触れるとそこからチャクラを侵食して制御権を奪ったりするから気を付けるんだな。言わんけど。

 ……あー嫌なこと思い出した。オカマ丸の野郎今度もう一度殴り殺してやる。死んだところでどうせ復活するし別にいいだろ。

 ちなみに俺が使った影真似千本だが、実はこれ俺が作った術では無かったりする。作ったのは男の方のサスケで、それを見て真似たのが俺だ。秒で真似られて頽れていたのを慰めるのが大変だった。まあ、真似たついでに形を変えたりしたのも悪かったかもな。

 

「……何者だ、お前」

「うずまきナルトだよ。ただし、どうやら世界線は違うようだが」

「はぁ? いったい何を言ってるんだってばよ?」

「解んねえなら別にいいさ。まあ、ここの木の葉に何かする気は無いから気にしなくていいぞ」

「そう言われてもな……火影としては見逃せねえってば」

「……おい、そっちの九喇嘛。俺の力は見えてんだろ。抑えてなかったらどうなるかも。戦いたくは無いから止めろ」

「は? ……おい、マジかよ九喇嘛」

「マジだぞ。どうせ無理だとは思うが俺を殺したらチャクラが暴発して周囲千キロのクレーターくらいはできっから話だけにしておきな」

 

 ちなみにマジだ。俺がチャクラをまともに練っている時に俺を殺すと制御を離れて周囲一帯を消し飛ばす衝撃波になる。計算上では地球の公転軌道が変わり、ついでに地軸もずれる。あと地殻津波が起きる。あれだ、超巨大隕石が落ちてきた時のシミュレーション動画みたいになる。大変だな。俺は自分が死んだ後だから気にしねえけど。

 なお、これは別に脅迫ではなく単なる事実だ。そして俺の意思ではどうにもできない事でもある。何しろ死んだ後だからな。俺と言う存在が尾獣になるにもそれなりに時間がかかるだろうし、暴発を止められる奴なぞ存在しないだろう。ヒナちゃんならワンチャンあるが、この世界ではできそうなやつは誰もいない。原作から結構な時間が過ぎているだろうが、なんとかできるとしたら……チャクラを吸えるサスケくらいか? 量が多すぎるから焼け石に水って感じだろうが。

 とりあえず弁当箱と酒を片付けて原作ナルトに向き直る。何とも難しそうな顔をしているが、まあ目の前に自分と同じツラの男が現れたらそりゃそんな顔もするわな。

 

「……悪意が無いのはわかるってば」

「そうかい。ちなみに悪意ってのはそれをやる当人が悪だと認識していなければ悪意として感じ取れないって知ってるか? 足元掬われることもあるかもしれないから注意しときな」

「おまえは、あったのか?」

「いや? 俺は敵を見かけたら言い分とか全部無視してとりあえず殺してから話を進めるタイプだからそんなことで困ったりはしてないな」

 

 それで困ったことも結構あるが、それで助かったことも多々あるからどっちがいいかってのは一概には言えないんだ。ただ、自分の命を守ると言う事だけを考えるのであれば間違いなく敵対者は殺しておいた方が楽だ。それが自分の仕業だとばれなければなお良し。そうそう上手くいくとか考えられないのでちゃんと失敗した時の事も考えて色々と仕込みをしておくのも必要だ。俺の場合は失敗したらもっとやばいことになるのが目に見えていたから絶対に失敗しないようにしてたけどな。暗部も何十人か殺したし。何百人だったかな? まあ人数なんぞどうでもいいか。全部じゃないってだけで十分。

 ちなみに俺はちゃんと善悪感情って物に対しての認識あるから安心していい。悪いことを考えたらちゃんと悪意として出てくるよ。良かったな。

 と言っても悪意が出るより先に俺の場合は手が出ることも多々あるがね。気付いたら殴っていたとかはそういう事だな。実際俺にとっては死んでも構わないを通り越して死んでくれた方が得るものの多いような相手だったからな。

 せめてオカマ丸くらい柔らかい頭を持っていてくれれば話は変わっていた物を……。

 

「……で、何しに来たんだ、お前」

「ん? いや、飛雷神の術式を辿ってみたらなんか異様に遠い場所にいくつかあるのを感じ取ってな。来てみた結果ここに居た。特に何か用事があるわけでもないし、飽きたら帰る」

「……ハァ……まあ、できれば暴れないでくれよ。頼むから」

「反撃はするぞ」

「それはまあ仕方ねえな」

 

 結構話が分かる奴だ。まあ原作の主人公やってるわけだし多少は頭もましにならないとまずいもんな。

 




Q.え、それで良いの原作ナルト
A.良くはないけど百パー無理ですからね……

Q.ちなみに何に気づいた感じ?
A.チャクラを感知のに忍術を使ったこと、ですかね?


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BORUTO~外伝5

今日のサスケ

「双子ってあるだろ」
「あるな」
「双子の共感覚ってのがあるらしいな」
「稀にあるとか聞くな」
「双子ではないが俺にもあるわけだ」
「だろうな。そう言う風に作ったわけだから」
「双子丼とかどう思う?」
「これ以上誰かを女にはしねえから」
「残念だ……じゃあ俺とイタチで姉妹丼とか」
「イタチー!お前の弟がちょっとかしくなってるからさっさと引き取りに来ーい!」
「弟じゃない妹だ!」
「妹で第二婦人だ!」
「失敗した。なんでうちは増やしたんだ俺は」


 

 side ナルチカ

 

 特に留まる理由も無かったのでその日は普通に元の世界に戻ったんだが、それからもちょくちょく原作っぽい世界に行っては適当に原作の世界を見て回ったりしていた。だが、突如としていつも使っていたマーキングが消えかけたので即座に飛雷神で移動したら……なんか色々と崩壊していた。どうもあのラスボス女の血縁と言うか一族と言うかそう言った感じの奴の関係らしいが、なんとも面倒なことだ。

 何が面倒かと言えば、即座に移動してしまったせいで女の方のサスケが付いてきてしまっていると言う事だ。説明が面倒臭いし、それ以上にこの状況が面倒臭い。しかし態々もう一度別の火影に説明して受け入れてもらうのはその万倍は面倒臭い。仕方ないからとにかくさっさと終わらせることにした。

 

 まず、時間を止めます。

 サスケを抱えて元凶らしきやつの所にまで移動します。

 貫手で心臓をぶち抜きます。

 ついでに同じような服の奴も殺しておきます。

 以上。

 

「ガベェッ!?」

「なっ……!?」

「よう、俺。なんかピンチっぽかったから勝手にやらせてもらったが、まずかったか?」

 

 ぶち抜いた心臓を掴んで抉り取りながらそいつの身体を放り捨てる。心臓をぶち抜かれたくらいなら生きているやつだっているし、脳を砕かなかったのは手落ちだったかもしれんな。まあ片手しか使えん状況だし許せ。

 こいつに向き合っている原作の表主人公と裏主人公だが、片方は驚愕の表情を浮かべつつ俺を警戒し、もう片方はやや安心したように俺を見ている。まあこっちの世界のサスケには会ったことなかったから仕方ないか。

 

「……いや、助かった。サンキュー」

「だったら飯奢れ。一楽のラーメンでいいぞ」

「げ……お前めっちゃ食うだろ」

「安心しろ。他人の金で食う時には加減するようにしているから多くてもたった50杯程度だ」

「50は多いってばよ……」

「おいナルト!こいつらは何だ? 知り合いか?」

「あー……説明が難しいと言うか実は俺も詳しくはわかっていないと言うか……」

「はぁ?」

 

 まあそうなるわな。そしてやっぱり大雑把な所しかわかってなかったんだなこいつは。まあ面倒だから別にいいが。

 

「……なあ、ナルト。結局ここはどこなんだ? 木の葉の里のようだが知っている木の葉の里じゃないってのはわかるぞ」

「並行世界だ」

「並行……ああ、あれか」

 

 サスケはイザナギについて色々教えたし、サクラの時空輪廻の時に一緒に講義だけは聞かせたから並行世界ってのにも理解があるようで助かる。何度も同じ説明を繰り返すのは面倒だからな。

 

「おい、そっちのナルト。いったいどういう事か説明しろ。こっちのナルトの説明だと話にならん」

「まあ話した感じ割と馬鹿だからなそっちのは……面倒だから簡単に説明するが、並行世界の存在だ。……並行世界ってわかるか?」

「知らん。異空間や時空間のようなものか?」

「あー……似てはいるが大分違うな。例えばの話だが、もしもあの時こうしていれば、なんてことを考えたことはあるだろう。この世界と俺達の世界はそう言う関係だ。『もしもこうなっていたら』というあり得なかった世界、しかしもしもの世界ではそうなっているただの世界。交わるようなことは本来ないんだが、なんか踏み越えようとしたらできちゃってな……」

「……イザナギによって消された世界がそのまま続いた世界、のようなものか」

「理解が早くて結構」

「もう一つ質問だ。……その女、俺とチャクラの質が全く同じなんだが……」

「ああ、俺の世界のサスケだ。火影やってる」

「 」←絶句するサスケ

「 」←絶句するサラダ

「 」←絶句するボルト

「……聞いてねえってばよ?」

「言ってないし、言う意味も無いからな。当然だろう」

「ちなみにナルトの愛人をやっている。第二婦人だ」

「 」←白目を剥き始めたサスケ

「 」←眼球が裏返ったサラダ

「 」←絶句するボルト

「ハァ!? いや、サスケが女ってのはいい、火影やってるってのも可能性としてあり得るのもわかってる。だからってそれはおかしいだろ!?」

「ちなみにイタチもナルトの愛人やってるぞ。第三婦人だ」

「 」←ついに泡を吹き始めたサスケ

「 」←くずれおちるでなくぶっ倒れたサラダ

「……?」←イタチが誰だかわかっていないボルト

「は? イタチって死んだだろ!? サスケが殺したって聞いたぞ!?」

「それこの世界ではだろ。俺の世界だとちょっといろいろあって俺の両親は生きてて俺の弟こさえてるし、サスケの両親も生きてるし、なんなら俺とサスケとイタチの関係も公認してるぞ」

「ちなみに日向の方も公認してるぞ」

「 」←口の端から吐血し膝をつくサスケ

「 」←倒れたまま痙攣しているサラダ

「……」ジト目でナルチカを見ているボルト

「マジかよ……なんでそんなことになったんだよ?」

「サスケは元々男だったんだがな? サクラと結婚して子供を作ってすぐに『俺ちょっと女になるからお前の子供仕込んでくれね?(意訳)』的なことを言ってきてな……しかも自分の嫁どころか俺の嫁にまで根回し済みで断るに断れなくてな……」

「性癖の共有だとか好みの精査とか色々とな……苦労した」

「 」←七孔墳血撒き死んだサスケ(死んでない)

「 」←痙攣が続くサラダ

「……」←女のサスケと男のサスケを見比べるボルト

「うっそだろ……」

「マジだ。そもそも俺は嫁とかもらうつもりは無かったのにいつの間にか押し切られてな……」

「『どうせナルトはそっちの方の欲とかほぼ無いだろうからお前から押し切れ』とアドバイスした。大正解だったし後悔もしていない。俺の時もそのやり方を踏襲した」

「「 」」←親子そろってぶっ倒れて痙攣しているうちは一族

「……苦労してんのな」

「まあな」

「一番この状況で頭いてえのは俺だと思うってばよ」

「そこに精神的な衝撃だけで死にそうになってんのが二人いるしな。マジの死体も二つあるが」

「っとそうだった!俺はこいつらについて色々と調べないといけないから、あれだ、俺の家で待っててくれってば!」

「おう。ベッドの下とかは調べないし夫婦の部屋も探らないから安心していいぞ」

「言われた瞬間安心できなくなるからやめろってば!」

「あー、じゃあ俺が案内してやるよ、ナルチカ父ちゃん」

「俺はお前の父親じゃないと何度も言ってるだろうに」

 

 さて、先行ってるか。

 




Q.失敗したナルチカはどうなりましたか?
A.気合と暴力で何とかしました。

Q.そんなことより今まさにうちはの血族が途絶えようとしているのですが……?
A.大丈夫。多分。


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BORUTO~外伝6

今日のサスケ

「ロリビッチってあるだろ?」
「概念として存在は知っているが実在するかどうかは知らん」
「作れるんじゃないかと思う訳だ」
「止めとけ」
「丁度サラダはお前に懐いているようだし―――ゲペッ」
「……ハァ……サクラ、止めろよ」
「ナルトが勝手に止めてくれるでしょ。ナルトが止めなかったら私が止めてたわよ」






外伝は10話で終わり、それで完結します。そのあとはなんか思いついたら。


 

 side ナルチカ

 

「……ここが並行世界なら、俺がどんな醜態をさらしたところで俺達の世界とは無関係……閃いた」

「仮想体験ヘッドギアの予約が必要か?」

「悪かった勘弁してくれ」

「? その仮想体験ヘッドギアってなんだってばさ?」

「ん? 俺の世界で俺の会社が作っている商品の一つでな。簡単に言うとゲームの世界に生身で入って自由に動き回れるようになる機械だな。色々と制限もあるし問題もあるが、適切に扱っている間は一切身体に害はない」

 

 なお不適切な扱いの堂々一位は洗脳用プログラムなんだが、これの雛型はサスケが組んだ調教プログラムだったりする。どんな奴でも一時間で奴隷根性が染みつくと言ってたが、実際には廃人の方が多く作れるという鬼畜プログラムだった。内容については子供に話せるような内容じゃない物からちょっと全身の信号を遮断して五感に加えて平衡覚やら位置覚やらを全て無くして身動きを取れなくして暫く自身の力では何一つできない絶望を味合わせてから『○○に従えば助かる』とかそんな感じの内容を刷り込み、その刷り込まれた度合いによって仮想世界の中での自由度を上げていく事で○○への忠誠心を刻み込むとか言う頭おかしいと言える程度のものまで揃っていた。子供に言えないのはR-18とR-18Gの両方があった。本当に馬鹿だと思う。

 ……サスケの性格を鑑みればわかると思うが、○○の中身は俺の事だ。映像だったり名前だったりを見せて、それ以外の全てが存在しない世界でそいつの全ては○○だと錯覚させるという……俺はそんなもの望んでないのにな。と言うか世界全ての人間に依存されても困る。実験体になった誰かさんはちゃんと記憶を消して元通りにしておいたので問題はないが、次に同じことがあったらきっちり尊厳を失わせてやるから覚悟しておけと言っておいた。適切な使い方の一例は、現実を完全に再現した仮想世界における実験や難易度の高い手術の練習などだ。あと超リアルなゲームな。

 ここ十年で大分広まったし、金もどんどん集まってきている。俺が金を殆ど回さない上に税金も納めていないから色々と社会的な問題が積みあがってきていたりもするが、残念ながら解決する見込みは無い。原因である俺が解決しようとしていないからな。

 

 さてそんな訳で案内されて来たのはこっちの世界のナルトの家。屋敷と言うには小さいが、家族が四人で暮らすなら十分な広さのある一戸建てだ。なんか色々あって中忍試験の会場およびその周辺は崩壊しているが、住宅街であるこの辺りは大丈夫らしい。

 ちなみにどうもこっちの世界のボルトは中忍試験に受かったらしい。俺の頭のおかしい試験じゃないからってのもあるだろうが、よかったな。あと、科学忍具についても俺から一つアドバイスをしておいた。

 ルールってのは破ったことがばれなければ裁かれる事は無いと言う事と、破ったことがばれた場合のデメリットと態々ルールを破ってまでそれをする必要があるかということ、そして周囲の人間がどんな奴らでばれる可能性の高さなどを考えた上でするべきかせざるべきかをしっかりと考えてやれ、と言う事だ。まあ大抵の事はやらない方が期待値高いわな。

 

「ナルトに直接修行を付けてもらえば遥かに強くなれるがな」

「えー、あのクソ親父に?」

「いや、こっちの……ナルチカと呼んでる方だな。少しと言うか大分と言うか、まあ精神的に追い詰められはするが修行の効果は高いぞ。まともな相手なら大体勝てるようになる」

「ただし精神的に凄まじく追いつめられることになるから強い意志が無いならやめとけ。効率を上げれば上げるほど辛くなるからな」

 

 まあ例の影分身修行だな。相変わらずめっちゃ便利なんだわ。俺に限った話ではあるがチャクラ回復や最大量の増加にも使えるしな。

 ただし精神への負荷についてはそのままだ。何しろこれは一気に大量の経験をしたことによる脳の酷使だからな。イタチの月読世界で修業をするようなものだ。最終的な倍率についてはどうだか知らんが。

 なお、影分身させてからの月読修業は一回やってみたところ精神がやばかったのでお蔵入りさせてもらった。あれは駄目だ。死ぬ。主に精神が死ぬ。サスケにもヒナちゃんにもやらせてない。あれは、無理です。

 

「どうする? まずはお試しコースでもやってみるか?」

「お試しコースとかあんのか?」

「今作った。まあ負担を減らしつつ速度を上げるとなると軽い説明に加えて十から二十くらいがいいだろう」

「……じゃあ、ちょっとやってみたいってばさ」

「いいぞ。じゃあ今からやるか」

「えっ」

 

 ボルトの疑問の声を軽く流しつつ俺は一応の説明を考え始めた。

 




Q.ナルチカでもきついとかできる奴居んの……?
A.この世界にはいません(白目)

Q.なんでサスケはそんなおっそろしいプログラムを組んでしまったのか。
A.馬鹿だから。


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BORUTO~外伝7

今日のサスケ

「酒ってあるだろ」
「あるな」
「美味いよな」
「美味いっていう奴も多いな」
「俺は酒が嫌いじゃないんだ」
「そうか」
「ナルトが優しいからな」
「……次酔ってるお前を見たらまず拳で対応することにした」
「照れ隠しで死にますよ俺が」


 

 side ナルチカ

 

 まずは説明から。説明ってのは何事においても大切なものだ。それにこっちのボルトは結構素直に俺の言うことを聞いてくれるしな。聞かなかったら聞かなかったで強くなれないだけだから俺は構わんと一番最初に言っておいたせいもあるだろうが。

 まず、影分身と言う術について。チャクラの許す限り実体のある分身を生み出す術であり、影分身が消える際にその影分身が経験したことを本体に還元する、つまり分身の経験も本体の物になる。ボルトの好きなゲームで言えば、影分身一体につきキャラクターの取得経験値が二倍になるようなものだと。それを使うことによって自身を何十人何百人と増やすことで修業の速度を上げるのがこの修行のやり方である。

 ただし、出した分の分身の経験を受け取る際には肉体的な疲労はともかく精神的な疲労は全て一気に降りかかるのであまり数を増やしすぎると一気に精神力を持ってかれて最悪精神崩壊するから初めのうちは十とか二十とかそのくらいから始めるべきだ、と。

 

「ナルチカさんはどのくらいからやり始めたんだ?」

「とりあえず十万くらいだったような気がするが……覚えてないな。今だと分身の数の桁数が十万くらいか?」

「また増えてないか」

「あ? 控えめに言ったぞ」

 

 実際には桁数とかわからん。多すぎて。とりあえず大量。それだけだ。

 だが十万辺りから始めたと聞いてこっちのボルトもサスケも凄い目で俺を見ている。特にサスケの目は『やっぱこいつ人間じゃねえ』という感じの目だ。実際中身は人間じゃないから仕方ないな。身体の方は一応人間のはずなんだが……。

 まあ精神の方は人間卒業してるけどな。色々と。

 

「で、どうする? やるか? 多分お前これからも色々と巻き込まれると思うが」

「なんでだってばさ!」

「お前の父親がアレだからな……俺は敵は文字通りの意味で皆殺しにしたから後々まで残してないんだが、火影なんてやってると不自由な部分が増えるだろうからな。こっちでも本気で暴れまわったら止められる奴なんぞそうはいないだろうが、本当にやったら敵が多すぎるだろうから自重せざるを得ないんだろうよ」

「あー、見た限りこの世界のナルトは世界で断トツ、ってわけでもなさそうだしな。この世界の俺とほぼトントンって所だろう」

「大きな戦いが無かったようだし、基本デスクワークばっかりやってるようだからもしかしたらこの世界のお前の方が今は強いかもしれんぞ。当人には戦う気は無さそうだが」

「この世界の俺が女だったらワンチャンありそうなくらいの執着だったなあれは!」

「男だったのに無理矢理ワンチャン作ってものにしたやつが言うと説得力が違うな」

「……そっちの世界だと、母ちゃんはどうなってんだ?」

「掌から目に見えない太さの極細のチャクラ糸を伸ばして遠隔で点穴を突いたり、伸ばしたチャクラ糸を点穴から相手の経絡系の中に潜り込ませて内側からズタズタにしたり、見切った物理攻撃を威力そのまま反射したり、目からビーム出したり……」

「サスケからの誘いの言葉をこっそり聞いて俺の性癖を探ろうとしたり、名家産まれなせいか愛人とか囲っててもあまり気にしなかったり、むしろ愛人を囲わせようと俺の外堀埋め立てたり、愛人囲わせておきながら自分だけ特別扱いされないと拗ねたり、一日に最低でも五十万キロカロリー程度は補給しないと基礎代謝だけで死ぬくらいの大食いだったりする、まあ普通の……普通の? 普通の……多分普通の人間だ」

「普通じゃないってことしかわかんねーってばさ……」

「ちなみに修行の時に出す影分身の数は最近になって桁を増やして十京ほどになった。追いつかれたな、サスケ」

「マジか……頑張るか」

 

 ボルトが死んだ目をしているが、俺達のいる方の世界ではそれが普通だ。ちなみにボルトもその修行方法には興味津々でやらせてみたが、自力での影分身は現状八体までしか出せていないので俺からチャクラの供給と影分身の術式の調整をして五十体ほどでお試しさせてやった。十分程度で悲鳴を上げたので打ち切った。まあそんなもんだよな……。

 まあ大分頑丈らしく二分も休んだら回復していたから問題ないだろうけどな。こっちの世界のボルトがどうかは知らんが。

 

「で、どうする? 一応やってみるか?」

「大丈夫だ。ちょっと一体一体が精神崩壊寸前まで追い詰められてから再生することで精神強度の超回復とかそんな感じので最終的になんとかなる。死んでも直る。何回直されたかは覚えてないけどな」

「それ絶対駄目な奴だってばさ!?」

「戦争が日常だった頃だからな……生きてればセーフ、みたいなところあったよな」

「それ以前は『死んでいようが任務に成功すればセーフ』だったから、まあ大分マシじゃないか?」

「どっちにしろアウトだってばさそれは……」

 

 ボルトはとても頭が痛そうだ。まあ、暫く放置していれば慣れるだろう。多分。

 




Q.ボルトの魔改造始まる?
A.ボルトは努力家じゃないので魔改造と言うほどの成果は出ないんじゃないかなー、と。

Q.そう言えばナルチカはサラダとどんな感じの関係?
A.仕事はしつつちゃんと子供たちの相手もするので結構好かれてます。悩みがあったら聞いてアドバイスくらいはする。幼稚園の先生と園児よりちょっと近いくらいの仲。


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BORUTO~外伝8

今日のサスケ

「靴ってあるだろ」
「あるな」
「移動の必需品だ」
「そうだな」
「装着者の足を保護する役目を持つわけだが、それで踏んで欲しいという奴もいる」
「……まあ、いるな」
「俺にはちょっと理解できない」
「全裸土下座で頭踏んで欲しいとか言ってた奴でも靴に直で踏まれるのは嫌か」
「歩いているときにどこでどんな菌を拾ってくるかもわからんからな。新品ならアリだぞ!」
「そうかい」


 

 side ナルチカ

 

 勝手に家に上がらせてもらい、庭の一角で自前の調理器具と食材で適当になんか作ってみた。具体的に言うと犯バーガー作ってみた。でかい。

 

「でっけー……なんだこれ?」

「犯バーガーだよ♪」

「いや、かなりでかくね?」

「四個分くらいかな♪」

「いや明らかに四個とかそんなレベルじゃないだろどう見ても人間よりでかいし……」

「アッパーで相手を跳ね上げ落下予測位置にこれを用意してバンズで挟み込むとなぜか爆発するよ♪」

「なんで!?」

「あと時々作った覚えもないのにどこからともなく現れて倒れた相手を圧し潰し俺にさらに上から殴られてから爆発することもあるよ♪」

「あー、やられたなそれ。俺の影分身が」

「え゛!?」

「ラン☆ラン☆ルー♪」

「ハッピーセットじゃなかったっけか?」

「ナルトス☆マジック♪」

「これはなんだってばさ……幻術か?」

「いや違う……いや、幻術なのか?」

「なんなんだってばさあれは!?」

【また幻術なのか!?】(煽り文)

 

 まあ幻術なんだが。主に犯バーガーの辺りから。誰が好き好んであのサイズの犯バーガーなんぞ作るかと。作るとしても普通サイズだわ。

 しかし、結構効果高いのなこの幻術。俺はもうチャクラ切ってるから幻術返しはできないし、したとしても効果は出ないから要するにこれはマジなやつだ。サスケは幻術にかかってると自覚してその上で乗ってるだけっぽいけども。

 

 ……しかし遅いな。結構のんびりしていたんだが、家主が帰ってくるまで暇だ。庭先借りてテントでも張ってそこで寝とくか?

 

「犯バーガー……大好きだってばさ☆」

「本物なら結構美味いんだろうが、幻術じゃなぁ……」

「俺の幻術は匂いや味も再現してあるから食いたければ食ってもいいぞ。腹は膨らまないけどな」

「あー……いや、どうせならちゃんと食いたいから遠慮しておく。……それはそうと、魔力供給ってあるだろ?」

「(この世界には)無いな」

「……無いのか?」

「無いな」

「…………無いのか」

「無い」

 

 なにしろ魔力じゃなくてチャクラだからな。主に精神系のエネルギーである魔力ではなく身体系のエネルギーと混じり合ってしまったチャクラとしてしかこの世界には存在しないから魔力供給なんてのは無い。

 ……そのくせ房中術なんてのはあるし、房中術でチャクラの受け渡しやら最大値の増加やらはできたりするんだが、どうしてなのかはわからん。まああれだ、精神エネルギーと肉体エネルギーを混ぜたものがチャクラ。そしてその他に自然エネルギーなんてものがあることを考えれば、人間からくるエネルギーがチャクラであり、自然あるいは植物からくるエネルギーが自然エネルギーと呼ばれるものなんだろう。他の世界で言うマナとオド、魔力と気のような関係だと推察できる。そのものではないと思うがな。

 もしも精神エネルギーだけで術などを使えるとしたら、おそらくそれは幻術に近い術になるだろう。形のないものを形があるように見せる、そう言う感じだ。陰遁との違いは、物質に干渉することがあるかないか。そもそも精神エネルギーが物理に干渉している時点でおかしいんだ。精霊のような自然エネルギーが形を取ったような存在によって変換されれば話は変わってくるが、そんなことが早々あるわけも無いしな。この世界における精霊枠ってのは……ああ、尾獣か。

 

『先に言っとくが精神エネルギーだけ渡されても変換は無理だからな? 少なくとも儂にはできん』

『おれもむりだな』

『同上。できるとしたら搦手が得意な犀犬あたりじゃないか?』

 あの犬耳娘は水遁と溶遁だから精神エネルギーだけとか使えなさそうだと思うんだが……いけるのか?

『さてな。そんなこと考えたことも無いから知らん』

 

 まあ自分にできるかどうかはともかく、誰にならできるかなんてのははっきりとはわからんだろうな。時々自分にできるかどうかもわからないようなのもいるが、自分の成長を考えていなかったかあるいは本当に経験が全くなかったかになるんだが……大抵は経験なしだからわからないってなるんだろうな。

 ……暇だ。寝るか。

 

『儂も寝る。鉄火場は終わったようだしな』

 そうだな。

 

 ……そう言えば、あいつの心臓をぶち抜いた時に手に浮き出てきていたあの模様は何だったんだろうな? もう分解してしまったからよくわからないんだが、良い物ではないと言う事だけはわかった。奇妙な感覚だが、何故かそれがいいものではないと本能だけが理解しているようなそんな感覚だ。実に不思議。

 まあ、それも消えてしまった以上はなんともならないだろうがな。

 




Q.なんで突然犯バーガーからのドナルド?
A.自然に指が動いちゃったのさ!

Q.ボルトはナルチカと女サスケの関係を理解している?
A.三割くらいは。


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BORUTO~外伝9

今日のサスケ

「淫紋ってあるだろ」
「……あったかそんなもん?」
「ナルトが出したゲームに出てたぞ。多分あれって作ろうとすれば似たようなの作れるだろ?」
「あー、まあ、可能か不可能かで言えば可能だとは思うがやるなよ? 面倒だから」
「流石に誰彼構わず股開くような奴にはなりたくないからやらない。ただ、対象を決めれば全く問題ないよな?」
「まず淫紋って言葉自体が問題だろ」
「なら名前を『強化術式紋』に変える。その上で身体能力とかの強化の役割も持たせればいい。どうだ?」
「どうだと言われてもお前馬鹿だな、としか。その頭には豆腐でも詰まってるのか?」
「俺の身体をこうしたのはナルトなんだから俺の頭の中身に何が入ってるかくらい知ってるだろ。こんにゃくだよ」
「あれ? 湯豆腐じゃなかった?」
「え? 葛餅でしょ?」
「もう練り切り入れとけめんどくさい」


 

 side ナルチカ

 

「ひでーや、いきなり幻術かけるなんて……」

「幻術だと自力で気付けなかった奴に言われても痛くも痒くもないな。最低限自力で気付けるようになってから言ってくれ」

「ぐぬぬ……」

「まあこいつの幻術は遊びの時ほど解きにくいからな。全力で殺しに行く時には幻術とか使わないで一方的に殴りかかりに行くタイプだ」

「さっき見たから知ってる……そう言えばどうやってあいつの背後を取って攻撃したんだ?」

「時間を止めた」

「……?」

「諦めろ、そう言う奴だ。そして時間を止めたは多分事実だ」

 

 実際事実だが何でそこまで言われなければいけないのか。時間くらい頑張れば止められるだろ。止められなかったとしても同じ時間平面の中を移動するくらいの事はできるだろ。俺以外にもできる奴を結構知ってるぞ。

 ……しかし遅いな。後始末ってこんな時間かかるもんか? まあ被害がそこそこ大きかったからこのくらいはかかってもおかしくは無い……か?

 

 

 

 

 

 side うずまきナルト(火影)

 

「サスケ!死ぬなサスケ!どっかの可能性の世界でお前が男だったのに女に肉体改造されて子供作ってただけだろ!? 俺なんてその改造した側な上に娶って孕ませるだけじゃなくイタチまで改造してたんだぞ!? あとなんかよくわからねえけど九喇嘛も大変なことになってたんだぞ!」

『思い出させるんじゃねえよボケ!』

「あと俺の父ちゃんと母ちゃんが生きてるって聞かされた上に弟までいるとか言われたんだぞ!ダメージでかいのがお前だけだと思うなよ!?」

「うるせえよ……聞いただけでもダメージでかいってのに……」

「あとあっちの世界だと大蛇丸にサスケの身体のクローン渡して買収したとか聞いた時にどんな顔すればいいのかわからなかった俺の身にもなれ!」

「今まさにどんな顔すればいいのかわからなくなった俺に謝れ!全力で謝れ!」

「あっちの世界でヒナタが遠距離で相手の身体を内側から爆散させられると聞いた時の俺の感情も考えろ!」

「おっふ……それは、きついな……ちなみにサクラは?」

「なんか記憶をチャクラに変える術を使ってるとか聞いたってばよ? 幻術で普通に暮らしていたら絶対忘れられないような記憶を作ってその術使ってチャクラに変えて、なんか三十とか四十とかおでこのあれと同じの作ってるとか聞いたってば」

「おっふ……(白目)」

「あとサスケも自分に幻術かけて思考を加速させてから須佐能乎を超高速で動かして攻撃とかするらしいぞ」

「できねえよそんなこと……」

「そしてそんな超高速で動き回る須佐能乎を簡単に拳で破壊していくとか、俺の九喇嘛モードのチャクラの衣を素手で簡単に破いて行ったのを見てなかったら信じられなかったってば」

「……ナルト、今日は酒が飲みたくなった。潰れるまで」

「残念だけど俺は向こうの世界の俺の方の対応しないといけないからな……胃薬の消費が増えるぜ……」

「そうか……俺はもう疲れた。しばらく休む」

「そうしとけ。一週間は任務を回さないようにする」

 

 ちょっと話をしただけでこんなにも大きな被害が出るとか思わねえよな……しかもボルトに『ナルチカ父ちゃん』って呼ばれてやがったしよあっちの俺……クソッ。

 いやまあ木の葉の里が嫌いなのはわかる。火影を目指さないってのも別にいい。聞いた限りじゃ俺の時より扱いが酷かったみたいだしな。そして向こうの木の葉の里への恨みつらみをこっちの世界にまで持ち込んでいないところはしっかり評価できる。だが、どうにもおれはあの俺が苦手だ。自分と同じ顔、自分と同じ声、それが自分とは全く違う感情で動いてるってのは、なんと言うかすげー苦手だ。

 憎悪じゃない、ただ嫌いなだけ。復讐心ではない、関わりたくないだけ。誰かに認められないでも、誰からも忘れ去られても構わないというように行動するあの俺は、オビトを思い出させる。細かい所は大分違うし、変な所で凄まじくはっちゃけているのも違うところだと思うが。

 ……あと、多分あの俺は人間じゃない。身体は人間かもしれねえけど中身は人間じゃねえってのはわかる。

 だってそうだろ? 人間は一人じゃ生きられない。だってのにあの俺は当たり前のように人間達の中から消えようとして、それをサクラちゃんやヒナタ、サスケによってなんとか繋ぎ止められてんだ。それは人間にできることじゃない。オビトですら目標があったからこそ一時的に人間から離れただけだったのに、あの俺は特に何の理由があるわけでもなく人間から離れ孤独になろうとしていた。

 

 ……俺には、あの俺がわかんねえ。

 

『わかる必要はねえよ。アレはそう言うもんだと考えておけばいい。儂の見立てではアレは十尾に近いものがあるな。意志を持った十尾ってのは、多分あんな感じだ』

「へぇ……そいつは怖えな」

『力だけなら十尾以上だと見ていい。チャクラ量で勝負が決まるなら、あいつに勝てる奴はこの世に存在しねえだろうよ……アレは、そう言う存在だ』

 

 難しい事はよくわかんねーけど、はっきり言えるのは……あいつは俺じゃない、ってことだけだ。それくらいしかわかんねーとも言うけどな。

 俺は立ち上がる。サスケも一応復活したし、サラダ……は、ちょっとまだダメージでかいようで起きてねーけど、サスケが背負ってくみてーだし大丈夫だろ。

 ……さーて俺はこれからやりたくもない説明と事情聴取の時間ですよーと……げふっ(吐血)

 




Q.結局サスケの頭には何が詰まってるの?
A.夢と希望と性欲と若干歪んだ愛情。

Q.物理的には何が詰まってるの?
A.主に神経線維。要するにちゃんと脳味噌詰まってます。

Q.ナルチカさん他人の子供にいきなり幻術はまずいですよ!
A.致命傷受けてないから多分セーフ。何かの仕込みもしてないからきっとセーフ。

Q.原作のナルトが吐血したり苦労しまくってるっぽいんですが……。
A.これまで何度か来た際に事件をいろいろ解決してくれましたがそれを相殺はギリギリしきらない、要するにほんの少しだけナルトに貸しが作られ続ける程度に暴れてます。なお、カタスケの幻術も解かれています。


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BORUTO~外伝10

今日のサスケ

「メイドっているだろ」
「いるな」
「服の事に関してはよくわからんし戦争になるから言わないでおくが、自分の雇い主に対しての呼び方ってのがあるだろ」
「まあ、そうだな」
「どんなのが好みだ?」
「お前最近隠さなくなってきたな……あー、そいつの中身見てから考えるかね」
「俺だったら?」
「……メイド服着て雇われてるのがお前だったらってことであってるか?」
「そうだ。俺だったらどんな呼び方が合うと思う?」
「……ご主人、か?」
「なるほどご主人。様、は無しか」
「無し」
「ヒナタの場合は?」
「旦那様一択」
「はい御馳走さん」


 

 side ナルチカ

 

 あまりにも遅いので夫婦の寝室に性別転換の術でも仕込んでやろうと思ったところで家主が戻ってきた。命拾いしたな。

 

「地下に隠し通路作ろうかと思うくらい暇だったぞ」

「一応聞くけど作ってねーよな?」

「……。

 作ってねーよ?」

「おいこっち見ろ。なんで目を逸らす。なんで疑問形だ。おい、聞いてんのかうちまだローン残ってんだぞ」

「大丈夫だこっちの世界のナルト。ナルトはぼんやりしてたくらいでこの家の中に変な細工は……俺の感知できる限りではしていないはずだ。まあ俺に隠れて色々とやってることも多いからあまり役に立つ言葉じゃないが……」

「いや、それでもありがてえよ。サンキューな、そっちのサスケ」

「……無邪気に笑うナルトとか初めて見た気がする」

「前に見せたがお前発狂してぶっ倒れて記憶失ってんだよ」

「……マジか?」

「おう。花京院の魂を賭けてもいいぞ」

「誰だよ花京院……まあお前が嘘を言うことはまず無いから信じよう。また今度見せてくれ」

「……」(無表情→無邪気な満面の笑み)

「ガヴェッ……」(血涙&鼻血&喀血&血液耳漏からの転倒)

「だから言ったってのに」

「おいサスケ死にかけてるぞ!?」

「残念なことに結構よくあることだ。飯食わせると大抵治るからちょっとキッチン借りるぞ」

 

 と言っても今回作るのは仙豆の塩茹でなんだがな。仙豆は一番近い食材で言うと空豆だ。塩茹ででもなかなかにいける味になる。そして食ったら全快だ。凄いな、仙豆。

 そんなわけで適当に鍋を出して水を張り、適量の塩を入れて豆を茹でる。これ、そのまま潰して発酵させて味噌にしても中々美味かったりするんだが、その場合一気に全快はしなくなるんだが継続回復効果が付いたりする。ベホマがリベホイムに化けるわけだ。料理に使うんだったら豆よりこっちの方が便利だし、事前に食べておくことでそれなりの時間回復効果が出るから料理バフとしてもこっちの方が有用なんだが……通常の仙豆はマジで致命傷って言う傷でも死んでさえなければ治せるのが便利だよな。

 そんなわけで出来上がった塩茹でした仙豆を一粒食わせれば、元気百倍サスパンマン。なお、あまり食わせすぎるとヒナちゃんでもない限りは太るので注意すること。欠損とかがあるなら話は別だがな。

 

 ……ん? 欠損?

 

「……お前も食ってみるか?」

「え、何それ変な薬とか入ってんじゃねえの?」

「安心しろ、俺の世界の自宅の庭で育った豆だ。ちょっと腹が膨らむぞ」

「……まあ、貰うけどよ。いただきます」

 

 結果→腕生えた。

 

「なんっだこりゃぁああぁあぁぁあぁぁぁ!!?」

「仙豆つってな? 欠損だろうが癌だろうが問答無用で治してしまう不思議な豆だ。もう三粒くれてやろう。残念ながら火を通してしまったから増やせないだろうがそこは諦めろ」

「いやいやいやいやおかしいだろこれはよ!? 腕無くなったの十年以上前だぞ!?」

「たった十年だろ。なんとかなるなる。なった結果が今のこれだ」

「足の一本や二本に加えて肩から先の腕の二、三本は治るから安心してくれていいぞ。副作用も常習性も無い事はこの俺が保証しよう。いや、便利すぎるからという点における常習性はあるかもしれねえけどよ。あ、こっちのサスケ用にもう一粒やろうか?」

「くれ」

「一応言っておくとこの豆増やすのに年単位でかかる上にほとんど増えないから結構な貴重品だ。大事にしろよ」

「う……ああ、わかった。助かる」

「また暇ができたら来る予定だし気にすんな。あとお前の息子に幻術かけて耐性つけようとしたけど失敗したわ」

「人の息子に何やってんだよ」

「不意打ちで修行が始まるのはよくあること」

「なお、俺から始めるばかりではなく向こうから始めることもあるのでそのあたりは対等」

「……結構いいコンビなんだな」

「じゃなかったら女になって子供作ろうとか思わねえよ」

「ソウダッタナ」(白目&吐血)

 

 精神的なダメージが肉体に出やすいんだなこの世界の奴らは。九喇嘛と言うかチャクラ系生命体によくみられる特徴だが、完全な精神生命体と違って一応身体があるからギャグマンガ的な補正が掛かっているかのように精神的なダメージからは結構簡単に復活するからこっちもあまりそのあたりの事を考えなくて済んで楽だ。精神的な物に関しては俺を基準にすると大抵やりすぎ判定貰うからな。ただ、俺が転生する前の常識でも割とやりすぎ判定貰うのはいったいどういう事ぞ……?

 

 まあいいやめんどくせえ。ともかく治ってよかったですね、以上。解散。

 

「あ、それじゃあ俺はそろそろ帰るわ。今度はヒナちゃん辺り連れてくるな」

「できればやめてくれ……」

 

 俺はそんな言葉はとりあえず無視して世界を越える。時空間忍術ってちょっと便利すぎないか?

 




これにてNARUTOはお終いです。ここまで読んでいただいてありがとうございました。
次はブリーチやな!


Q.え、これで終わり? 中途半端じゃね?
A.書きたくなったら続きを書ける終わり方にしています。

Q.で、ヒナタとか連れてきたらどうなる感じ?
A.老化がほぼ止まってるような状態なので凄まじく羨ましがられますね。


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