可能性の一幕・・・・・あり得た未来・・・・後悔先にたたず (雷狼輝刃)
しおりを挟む

第1話 イギリス代表候補生 セシリア・オルコットの場合

 
 セシリア・オルコットの場合。
 彼女は入学早々にやらかしましたからね。
 

 一応、それなりに幸せな結末を迎えます。


 

 

 昼休み、食堂に向かうセシリア・オルコットは苛立っていた。 先程行われた授業の始めにあったクラス代表を決める時に起きた出来事が未だに尾をひいていたのだ。

 

 (なんなんですか! あの男の無礼千万な振舞い! だいたい誰も私を推薦しないのがいけないのですわ!)

 

 クラス代表を決めるに辺り、セシリアはイギリス代表候補生で入学試験首席、実技試験で唯一試験官を倒した(女性で)自分が真っ先に名前が上がり推薦されると自負していた。

 

 だが、蓋を開けてみれば誰もセシリアの名前を上げず、面白半分で織斑一夏の名前をあげるばかり。

 流石にセシリアも我慢出来ずに声を荒げてクラスメイト達を批判した。 その最中に自身が男性そして日本という国、更に日本人に対して侮蔑と誹謗中傷する言葉を発していたことに気づかず。 

 

 そんなセシリアだが、一夏からブーメランとも言える反撃を受けて激昂する。 そこからは子供の口喧嘩ともとれる低次元な言い合いが始まった。

 結局は千冬がISの試合で決着をつける事で収まった。 それはセシリアにとってありがたかった。

 

 (ISにまともに乗った事の無いド素人の野蛮で低俗な男にイギリス代表候補生序列第5位の私が負けるはずありませんわ!何たってイギリスの最新鋭の機体ブルーティアーズがあるのですから)

 

 セシリアは自分の勝利を疑っていなかった。本来なら序列第3位までに入らなければ与えられない専用機を与えられているのだから。 だがセシリアは完全に理解していなかった。

 セシリアはBT適性値が序列上位から調べた結果高い数値だったということを。

 

 「オルコットさん、少しよろしいかしら?」

 

 食堂に向かうセシリアの前に一人の女子生徒が現れて声をかける。

 

 「ウェルキン先輩。」

 

 IS学園操縦科2年、イギリス代表候補生序列第2位のサラ・ウェルキンだ。

 

 「御無沙汰しておりますウェルキン先輩。どうかなされましたか?」

 

 「大事な話があります。私についてきてください。」

 

 有無を言わせぬサラの態度に気負わされて黙ってついていくセシリア。 セシリアはサラを苦手としていた。

 生真面目で口煩い事も去ることながら、何より模擬戦で全戦全敗なのだから。 いや、サラを含めたトップ3に一度も勝てたためしがなかった。

 序列第4位の候補生には十度戦えば、2つか3つ勝ち星を拾う事もある。だが、トップ3には全く歯がたたない。 まるでそこに見えない壁があって、伸ばそうとする手を遮る。

 

 先を進むサラは人気の無い校舎の外れに向かっていく。 そしてある扉の前で立ち止まると、扉のスリットにカードキーを通してロックを解除する。

 そして扉が開くと、室内に入るサラ。それに続くセシリア。

 セシリアが室内に入ると同時に扉は閉まりロックがかかる。 そして

 

 「えっ?! きゃあ!何をしますの?」

 

 突然セシリアの両手が捕まれて背中にまわされる。そして手首に手錠のような拘束具がはめられる。見れば、セシリアの左右に同じイギリス出身の代表候補生がそれぞれ立っており、セシリアの腕をつかんで拘束したのだ。 いや、それだけにとどまらず口にも拘束具のようなマスクを装着し、更に革のベルトを使い腕と足を拘束していく。身動きが取れなくなり、床に倒れるセシリア。

 

 「んーーーんーーーーん?!」

 

 最後にセシリアの左耳につけられているブルーティアーズの待機形態のイヤーカフスを取り上げてサラに渡す女子生徒。 突然の出来事に驚き混乱するセシリア。気がつけば薄暗い室内には10人程の女子生徒がいた。全員がイギリス出身の生徒達で、代表候補生もサラを含めて4人いる。その全員がセシリアを睨んでいた。

 

 「さて、セシリア・オルコット。今から貴女に代表候補生規約違反による処罰を言い渡します。これはイギリス政府とIS委員会イギリス支部により決定された事柄です。一切の反論は許しません。」

 

 「んーー?!んーーー!(急にどうしてですか!)」

 

 サラにそう言われてもセシリアは何の事だが理解できていなかった。何故自分が処罰を受けるのかを。

 

 「1、代表候補生たる者、性差別並びに人種差別をしてはならない。1、代表候補生たる者、他国を誹謗中傷してはならない。1、代表候補生たる者、その振る舞いは傲慢にあってはならない。1、代表候補生たる者、その立ち振舞いや発言には注意しなければならない。何故ならばその全てが母国の総意としてみなされるからだ。・・・・以上、4つに貴女は違反しました。代表候補生になるときに貴女は誓約書にサインをしましたね。代表候補生規約を守ると。ですが、貴女はそれを破りました。それ故に処罰が下されるのです。」

 

 そう言ってサラはポケットからICレコーダーを取り出して再生させる。そこからはセシリアがクラス代表を決める話し合いの時にした発言が流れてきた。

 それを聞いてセシリアの顔は青ざめていく。今更ながら自分のした事の重大さに気がついたのだ。

 

 「このように証拠も揃っております。」

 

 サラの冷酷な視線がセシリアの心を蝕む。目から涙があふれだしてくる。

 

 「イギリス代表候補生序列第5位、セシリア・オルコットに処罰を言い渡します。1、代表候補生の資格剥奪。2、専用機ブルーティアーズの没収。3、IS学園の即時退学。4、イギリスへの緊急強制送還。5、オルコット家の全資産没収。6、オルコット家の家名断絶。7、三ヶ月間の強制奉仕作業。以上7つ。既にIS学園にイギリス大使館からの迎えが来ております。」

 

 サラがそう言うと女子生徒が二人セシリアの両脇を抱えて立ち上がらせる。

 

 「んーーーー!んーーーー!!(やめてください!反省してますから!)」

 

 「さて、セシリア。最後に貴女に見せておく事があります。」

 

 そう言うとサラはセシリアから没収したイヤーカフスを見せる。

 

 「IS学園1年3組所属、イギリス代表候補生序列第6位エミリア・ルイノン。」

 

 「はい!」

 

 サラがそう言うと部屋の端にいた女子生徒が進み出る。

 

 「貴女にIS委員会イギリス支部の決定を伝えます。現時点をもって貴女を序列第5位への昇格並びに専用機ブルーティアーズを与えます。」

 

 「?!」

 

 セシリアの目の前で行われたのは、自分が今までいた序列第5位の地位と専用機ブルーティアーズが他の候補生に与えられる儀式だった。それはセシリアに絶望を与えるのに充分だった。

 

 「んんーーー?! んーーーんーーーー!!(返して!私の地位を!私のブルーティアーズを!返して!)」

 

 泣き叫ぶセシリア。だが、誰もセシリアに見向きもしない。暴れて抵抗しようとするも、手錠やベルトで拘束されている為に何も出来ない。

 

 「つれていって。」

 

 サラがそう言うと、両脇を抱える女子生徒に引き摺られて部屋を出ていくセシリア。

 

 「んーーー!!んーーーー!!んーーーーーーー」

 

 人気の無い通路にセシリアのうめき声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1年1組 昼休みが終わり、午後の授業がはじまるが、クラス担当の千冬も副担当の真耶も姿を現さず、更にセシリアの姿もなかった。

 教壇には見知らぬ女性がいる。

 

 「さて、これから午後を開始しますが、幾つか連絡事項があります。既に気づいているかと思いますが、このクラスに所属していたセシリア・オルコットさんですが、代表候補生規約違反によりIS学園を退学し、イギリスに強制送還される事になりました。」

 

 女性の言葉に教室にいる生徒達は騒然とする。あまりにも突然の事態に。

 

 「それから織斑先生と山田先生ですが、現在学園上層部に今回の一件に関しての説明を行っておりますので、午後の授業は私が代理で行います。最後にクラス代表の一件ですが、オルコットさんの退学に伴い織斑君に決定するとの事です。それでは授業を始めます。」

 

 そう言うと女性は教科書を開く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 セシリア・オルコットのその後

 イギリス帰国
   ↓
 収容施設入所(施設内においてカウセリングを受けて思想矯正)
   ↓
 オルコット家解体 財産没収(使用人には退職金や当座の生活費が支払われる)
   ↓
 家名断絶(関連企業等は同業者に売られる。売られた時の資金は使用人の退職金等に当てられた。)
   ↓
 三ヶ月間の強制奉仕(清掃作業・農作業の手伝い等様々)
   ↓
 収容施設から出所(当座の生活費の支給、就職先の斡旋される)
   ↓
 生活するために斡旋された仕事に従事する(かつての使用人達に頼ろうとするも断られる)
   ↓
 最初は環境に馴染めず(元代表候補生という肩書き故に騒がれる)に職を点々とするも、やがて自身の事が忘れられ、自身も世間慣れしてきて、地方農園で働く。
   ↓ 
 農園の次男坊にプロポーズされて結婚。そのまま農園で生涯を過ごす。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話  フランス代表候補生 シャルロット・デュノアの場合

鈴音を飛び越してシャルロットに行きます。

 あんまりアンチになった気がしないけど。

 少なくとも2巻の段階では穴だらけの計画ですしね。
転入前にたぶん殆どバレてたと思います。


 


 

 

 シャルル・デュノア・・・・いやシャルロット・デュノアはIS学園の地下にある特別懲罰房の中で茫然としていた。

 

 (これからどうなるのかな僕?)

 

 父親であるアルベール・デュノアに命じられたまま、性別を偽り男装してIS学園に編入した。

 全てはデュノア社の経営危機を回避するために。男性操縦者の織斑一夏の遺伝子サンプルとその専用機[白式]のデータを手に入れる、その目的を果たす為に。

 

 だがシャルロットはその任務に気がのらなかった。 そもそも、デュノア社の為と言われてもピンとこなかった。殆ど面識の無い実父に、敵愾心を露にする義母、家族の絆を全く感じなかった。赤の他人の為に命懸けで、何かをしろと言われても気概が湧くはずもない、かといって拒否できる状況でもなく、結局流されるまま言われるままに行動したのだ。

 だが結局のところは、その使命感の低さが災いした。

 

 (はーーー、気を抜きすぎたのが、いけなかったのかな。)

 

 一夏と同室となり生活していたが、一夏のあまりの無防備ぶりにシャルロットの警戒心は極限まで下がっていた。 何より性別を偽っての生活はシャルロットの心と体に自身では気づかない程の疲労感を与えていたのだ。

 

 

 

 シャルロットはシャワーを浴びていた。しかし自室のシャワールームの鍵を掛け忘れてしまった。

 そこに一夏が乱入してきたのだ。 そこからシャルロットは自身の事情を一夏に打ち明けた。一夏は特記事項でIS学園に在学している間は大丈夫だと言って励ました。 些か楽観的だと思ったが、シャルロットには何の手立てもなかったので一夏の言う通りにすることにした。  

 ただ不安はあった、一夏が解決手段を何か考えているのだろうかと?  しかし、状況は一変した。

 突然、部屋に千冬が現れてシャルロットと一夏を連れて校舎の一室に連れてこられた。

 部屋に入った瞬間、シャルロットは室内にいた教師に拘束されたのだ。

 

 「フランス代表候補生シャルロット・デュノア。お前をスパイ行為の容疑で拘束する。」

 

 千冬のその言葉に絶望するシャルロット。千冬に食いかかる一夏。

 

 「ま、待ってくれよ千冬姉! シャ、シャルは自分の意思でやっていた訳じゃなく仕方な「黙れ織斑!」えっ?!」

 

 「如何なる事情が有ろうと、デュノアのやろうとしていた行為は国際法に違反する。織斑、お前がそれを庇いだてするならお前も同罪で裁かれるのだぞ!それが如何に周囲の人間に迷惑をかけるのかわかっているのか!」

 

 千冬に一喝される一夏。周囲の人間=千冬に迷惑をかける、それは一夏にとって一番避けたい物だった。そもそも一夏は何故わかったのか気になった。 それがわかったのか千冬は

 

 「元々学園はシャルル・デュノア、いやシャルロット・デュノアに疑いを持っており、常に監視をしていたのだ。それに加えて、織斑。お前の部屋にはハニートラップを警戒して盗聴機と出入り口に監視カメラが設置されていたのだ。」

 

 それを聞き愕然とする一夏。そして最初から疑われていた事を知りショックを受けるシャルロット。

 

 「織斑、お前には明日改めて事情を聞くので明日の授業は出なくていい。。今日のところは自室に戻り部屋からの外出を禁じる。なお、この事は他言無用。口外を禁ずる。わかったな!」

 

 千冬に言われて一夏は部屋を後にする。

そしてシャルロットは専用機を取り上げられ手足を拘束されて地下にある特別懲罰房にいれられた。

 

 

 

 

 

 (結局、織斑君は何の役にもたってくれなかった。)

 

 そもそもシャルロットは以前から一夏の行動に別の意味で危機感を抱いていた。 やたらとボディータッチをしてきたり、裸の付き合いと言っては目の前で素っ裸になるだけではなく、シャルロットにもそれを強要したのだ。

 

 (そもそも織斑君は変だよ!何で勝手にシャワールームに入って来るのかな、いくら同性だと思っていてもノックしたりしてたずねるのが、マナーだよね!)

 

 シャルロットは一夏が、箒や鈴の好意に気づかないのは鈍いのではなく、そもそも女性に興味がないからじゃないかと感じてしまった。

 

 (やっぱり織斑君はそういう趣味の人なんだ。だから、女性と同室にしても大丈夫だと学園は判断していたんだ)

 

 シャルロットの中では既に最初から仕組まれていた罠だと思いはじめていた。

 

 (はーー、何か疲れちゃた。何もかもどうでもいいや。)

 

 シャルロットはそのまま眠りについた。IS学園に来て、ある意味はじめて安眠できた時でもあった。

 

 翌朝、シャルロットは教師に連れられて懲罰房を出て移動した。 移動した先は学園長室だった。

 室内には千冬以外に柔和そうな笑みを浮かべた初老の男性が正面のソファーに座り、その側に同じくらいの年齢の品のいい女性が座っていた。 男性はわからないが、女性はパンフレットに載っていたIS学園の学園長の轡木菊枝。更に二人の背後には上級生らしき二人の生徒が。片方の生徒もパンフレットに載っており生徒会長の更識楯無だ。

 シャルロットはそのまま椅子に座らされる。連れてきた教師は、部屋を出る。

 

 「さて、シャルロット・デュノアさん。全てを話してくれますか?」

 

 菊枝に尋ねられてシャルロットは生い立ちから学園に来るまで、そして学園に来て拘束されるまでの全てを話した。 そして菊枝が口を開く。

 

 「さて、織斑先生。フランス政府から提出された書類に関して何か?」

 

 「書類の方は間違いなくフランス政府が公式に作成したものでした。フランス大統領のサインも本物でした。」

 

 「更識生徒会長、デュノア社の調査は?」

 

 「既に終えてます。デュノア社ですが、確かに第3世代機の開発遅れで経営危機に陥ってはいますが、今日明日どうこうなる状態ではありません。現に第3世代機の開発には着手しています。」

 

  楯無の報告を聞いてシャルロットは驚く。

 

 「それから現在デュノア社では内部紛争が起きようとしています。デュノア社の社長アルベール・デュノアを排除してグループ乗っ取りを企てている一派があります。そして、その標的としてシャルロット・デュノアが狙われていた形跡があります。」

 

 再び驚くシャルロット。

 

 「なるほど、敵を欺く為にはまず娘から、という訳ですか。」

 

 何の事か未だにシャルロットは理解出来なかった。

 

 「フランス政府の女性権利主義者の議員が複数、暗殺一派に協力していた者もいたようです。そしてそれらを排除するためにも大統領はアルベール社長に協力したようです。」

 

 次々に明るみになる事実に混乱するシャルロット。

 

 「さて、更識生徒会長。どうしますか?」

 

 「残念ですが、未遂とは言えスパイ行為を目論んだ彼女を無罪放免とは行きません。ですが、彼女の周囲の環境から考えて情状酌量はあると思います。何より彼女はある意味被害者です。いくら敵の目を欺き、彼女の命を守る為とは言え、スパイ行為を示唆するのは少しやり過ぎだと思います。」

 

 「では、どうしますか?」

 

 「喧嘩両成敗というのはいかがでしょうか?」

 

 「それでいいでしょう。そして彼女の処遇は?」

 

 「とりあえず彼女には戸籍上死んでもらいます。そして此方で用意した新しい戸籍でIS学園を離れて生活してもらいます。」

 

 「ではデュノアさん、貴女に処遇について言い渡します。シャルロット・デュノアは自分の犯そうとしていた行為に思い悩み、苦悩した挙げ句に自殺。ということにします。その上で貴女には新しい戸籍と新しい顔を与えます。IS学園を去り更識家が用意した土地で新たな人生を送ってください。」

 

 突然の話についていけないシャルロット。

 

 「織斑先生はクラスへの説明をお願いします。それから織斑君のアフターケアもお願いします。」

 

 「わかりました。」

 

 そう言って千冬は部屋を出る。

 

 「さて、デュノアさん。事が全て済むまでは此方で用意する部屋の中で生活をしてもらいますが、我慢してくださいね。外部との連絡や外出は出来ませんがテレビはありますし、要望があれば多少の差し入れてはします。」

 

 菊枝がそう言うと楯無が

 

 「虚ちゃん、彼女を例の部屋に連れて行って頂戴。」

 

 「わかりましたお嬢様。」

 

 虚はそう言うと、シャルロットを連れて別の扉から出ていく。まだ、混乱して状況把握が出来ないシャルロットは言われるがまま出ていくのだった。

 

 「それでは更識生徒会長、後はお願いします。私はフランス政府とデュノア社のフォローにまわるのでおもいっきりやってください。」

 

 菊枝の隣にいた男性、IS学園の真の学園長轡木十蔵がそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 特別懲罰房と違って窓が無いだけで、寮の部屋と遜色の無い部屋に連れてこられたシャルロット。

 漸く状況を飲み込めはじめたシャルロット。

 

 (・・・・・・何か、あっという間だったな。)

 

 怒涛の如く進んだ事態にシャルロットが思い返したのは実父と義母の事だった。 

 楯無達がシャルロットを守る為に、このような事を仕組んだというが、シャルロットには到底信じる事が出来なかった。 仮にそれが真実だとしても、わざわざ男装させた上にスパイ行為を命じるのは、やはりおかしい。

  例え敵の目を欺く為だったとしてもシャルロットへのリスクがあまりにも高過ぎる。 

 

 (もうどうでもいいや、僕・・・・いいや私には関係無いんだし。シャルロット・デュノアは死んで、私は別人になって生きるんだから)

 

 シャルロットの脳裡からは実父と義母、会社の事がもう無くなっていた。 これからの新しい生活の事を考えはじめていた。

 

 (どんなところで暮らすんだろう? )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共同通信社発信

 

 ○月X日

 IS学園の二人目の男性操縦者として公表されたフランス代表候補生であるシャルル・デュノアさんが自殺したことがわかりました。

 デュノアさんは手紙と映像で遺書を残しており、その内容が注目されております。

 

 

 

 ○月△日

 自殺したシャルル・デュノアさんですが、性別を偽っていた事が判明しました。 また、それを命じたのが実家であるデュノア社の社長であることが判明しました。

 また、この件に関してフランス政府の一部の議員が協力していた事も判明しました。

 

 

 ○月◻日

 デュノア社の一部の役員達が女性権利団体とフランス政府の女性議員達と結託して、デュノア社の社長夫妻並びに自殺したシャルロットさんを暗殺してデュノア社を乗っとる計画をしていた事が判明しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 X月○日

 フランスのISメーカーデュノア社が倒産!

 

 

 

 何処からか飛んできて足下に絡みついた1枚の新聞の記事を一瞥した金髪の少女は、その新聞を取ってクシャクシャと丸めると作業服のポケットに押し込む。

 そして鍬を手に取ると目の前に広がる畑に向かって歩いていく。

 




 
  シャルロット・デュノアのその後

 髪と爪、血液を採集され、遺書となる手紙と映像を撮影する。
      ↓
  自殺を擬装される
      ↓
 事態がある程度落ち着くまで更識本家にて保護される。
      ↓
 整形手術を受けて顔を変える。
      ↓
 新しい戸籍を与えられて、地方に移送される。
      ↓
 山間の小さな集落(更識所有地)で酪農に携わる。
      ↓
 外国人という事で最初は中々馴染めなかったものの、柵が無くなり、生来と明るさを取り戻した事により一気に溶け込む。
      ↓
 周囲の老人達のアイドルとなり、孫との見合いを進められる。
      ↓
 農村留学してきた若者が一目惚れし、そのまま定住し猛アタックする。
      ↓
 猛アタックに押されて若者と結婚


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 20~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。