更識家の人外 (佐藤 海)
しおりを挟む

プロローグ

感想お待ちしてます!!
オリ主は想像にお任せします


 「本気で言っているのか?」

 「ああ、殆どの者が賛成している」

 

 ここは更識という代々日本を守るための組織、対暗部用暗部である。その家の大広間に古参の更識の者たちが集まり話し合いをしている。

 

 「自分で言うのもあれだが俺は更識では妹たちよりも優秀だと思うが?」

 

 今、話した黒髪黒目の男性は更識楯無、更識家十七代目当主である。

 

 「だが、お前は男だISは動かせないだろう?だが、刀奈の方がこれからの時代を考えるならいいと思うが」

 

 ISとは女性にしか乗ることのできないものであり現在では最強の兵器と認識されている。そのため、今の世の中は女尊男卑となっている。

 

 「親父、だが刀奈はまだ、高校を卒業していないし来年度から入ることにはなっているとはいえ、それなのに任せるあんたの神経を疑うんだが?」

 

 楯無が親父と呼んだのは先代楯無で更識玄座という。

 

 「それに」

 

 現楯無はなおも言おうとする。

 

 「これは決定事項だ。刀奈も受け止めている」

 

 楯無は水色の髪をしてルビー色の瞳をしている妹を見た。

 

 「兄さん私は楯無の仕事を全うできると自負しております」

 「そう言うことだ」

 

 刀奈が入る高校とはIS学園と言い。ざっくり言うとIS操縦者並びに技術者を増やすために設立された学園である。刀奈は日本の代表候補生である。

 

 「そうか。湊、いるか」

 「はい。楯無様」

 

 音もなく茶色の髪をサイドテールにした女性が現れた。彼女の名前は更識の従者であり現楯無の専属従者 布仏湊である。

 

 「そうか、それならば俺は更識家から出ていかせてもらおう」

 「「「!!!」」」

 

 そのことには更識の面々が驚いていた。

 

 「何を驚くことがある?俺のことはよく知っていると思うが使えないならば捨てるそれが俺の主義だぞ。なぁ、湊」

 「主、恐らくあなたがいなくなるとは思っていなかったのではないかと、主がいなくなれば主と私が鍛えた部隊に命令したところで言うことを聞くものは居りませんので」

 

 湊の説明に対して

 

 「あぁ、そういうこと・・・・・・だが、俺らには関係ない話だ」

 「ですね」

 

 更識の古参連中は慌てているが、楯無には関係のないことだった。

 

 「部隊の連中に伝えて置け。更識家から離脱する。俺についてくるものはこちらの指示があるまで身を隠して待機しろ。二日後に連絡する」

 「はっ!」

 

 楯無が指示を出すと直ぐに動く湊。

 

 「た、楯無。じょ、冗談だろ」

 

 玄座は楯無がいなくなると言うと慌てている。

 

 「こんなつまらない、冗談があるわけないでしょ」

 

 楯無はそう言い荷物をまとめるため部屋を後にする。

 

 「お兄ちゃん!」

 「当主~!」

 「当主!」

 

 楯無が部屋を出ると次女の簪、布仏三女で簪の従者本音、布仏次女で刀奈の従者虚が追いかけてきた。

 

 「どうした?」

 「本当に家を出るのですか!」

 

 虚が聞いてくる。

 

 「本当だよ。まぁ、お前らには苦労掛けると思うが、どうせこのまま行ったとしてもどこかで行き詰るさ」

 「ならば・・・・・・」

 

 なおも言おうとする。

 

 「少しの間お前達は大変だろうが我慢してくれ、特に虚。刀奈が迷惑をかけるだろうからな」

 「・・・・・・ですが、古参の連中はあなたを!そして、何よりお嬢様を」

 

 古参の連中は自分たちにとって扱いづらい現楯無を切り刀奈を使い好きにしようとしているのである。

 

 「わかっているさ、そのことについて話すからついてこい」

 

 楯無はそれだけ言うと歩きだす。

 

 「簪様、本音行きましょう」

 「うん」

 

 簪と本音もついてくる。

 

 「これから、話すことについては誰にも話すなよ。刀奈は知っているが、俺たちは更識を・・・・・・・・する」

 

 その言葉に三人とも頷き楯無は簪の頭を撫でてその日の内に更識家を後にした。

 その後、刀奈は十八代目楯無となった。

 




湊は『あかね色に染まる坂』から長瀬湊のイメージです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話

今回は新たにオリキャラ1名と原作キャラの兎が登場します。
全体的にこれからのことも含めて名前に関してはツッコミなしでお願いします。良い名前が思いつかないので



 俺は十七代目楯無だった。しかし当主をやめた今の俺の名前は更篠(さらしの) 蒼羅(そうら)という。

 

 「やぁ!やぁ!起きてる!」

 「はぁ」

 

 俺は半分起きていたため起き上がると入ってきた人物にため息と同情の視線を向けた。

 

 「ん?どしたの~そ~くん!」

 

 その女性は俺の様子に首を傾げたが次の瞬間には空気が凍った。

 

 「ね、え、さ、ん」

 

 そんな低い声が俺の隣から聞こえてきた。その声に入ってきた女性は首をギギギと顔を青褪めさせながら向けた。

 

 「せ、せいちゃん!」

 「私の睡眠を邪魔するとはいい度胸ですね」

 「ゆ、ゆるして~!」

 「ギルティです」

 

 笑顔で死刑宣告がされた。

 

 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 と端っこで震えながら謝り続けているのはISの産みの親であり俺から見れば義理の姉になる篠ノ之束である。

 

 「全く、私が寝ているときには入ってくるなといつも言っていますよね姉さん」

 

 今、その束を叱っているのは束の双子の妹である更篠星羅(せいら)であり旧姓は篠ノ之。俺の奥さんである。あの日、更識家を後にした俺と湊は、その足で二人の住んでいる場所にやってきた。俺たちが更識家を抜けて一年が経った。

 ついでに、苗字の更篠は俺の更識の更と星羅の篠ノ之の篠を合わせて結婚するときに苗字を作った。

 ハッキング便利だよな。

 

 「はぁ、朝から何をやっているんですか」

 

 現れたのは俺の従者である布仏湊である。

 

 「それより二人ともこの兎は放っておいて服を着てください」

 

 そうなのである。昨日はナニをやっていたため俺も星羅も裸である。

 

 「湊、この駄ウサ・・・・・・駄姉にO・HA・NA・SHIしておいてください」

 「かしこまりました。それと、朝食の用意が出来ておりますので直ぐに着替えて降りてきてください」

 「ええ」「ああ」

 

 そう言うと湊は束の耳を引っ張って降りていった。「耳がちぎれる~!」「ちぎれてしまいなさい!」と言った声が聞こえてきた。

 

 「それで、何か用があったから俺らの寝てるときに来たんじゃないのか?」

 

 俺たちは朝食を食べ終わり束に聞いた。

 

 「そうそう!すっかり忘れていたよ!ちーちゃんの弟がISをなんでか知らないけど動かしたんだよ!」

 

 束がそう言うと一瞬空気が凍り。

 

 「「はぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

 俺と星羅の叫び声が家に響いた。

 

 「はぁ、何をやったら動かすのよ」

 「同感だ」

 

 星羅と俺は愚痴る。

 

 「だよね~」

 「ですね」

 

 束と湊は同じ気持ちのようだ。

 

 「千冬大変そうだな」

 「そうですね」

 「どうする?今クーちゃんがちーちゃんの所にどうなっているのか話をしに行ってもらっているからそろそろ連絡が来ると思うんだけど」

 

 プルルルル!プルルルル!

 

 丁度よく電話が鳴った。

 

 『皆様、クロエです聞こえますか』

 「クロエ、蒼羅だ。朝早くから悪いな」

 『いえ!これが私の仕事なので』

 

 クロエはとある実験施設から保護した。遺伝子強化素体である。

 

 「クーちゃん、さっそくで悪いけどちーちゃんはいる?」

 『今、代わります。千冬様』

 『ああ、すまんな』

 「よっ!大丈夫か?」

 『大丈夫に見えるか?』

 

 千冬はかなり疲れているような状態だった。その様子に俺たちは苦笑するしかなった。

 

 『全く、あいつは高校受験だというのに、建物が複雑で道に迷ったそうだ。』

 「どんだけ複雑だったんだ?」

 『私も見たがかなり複雑だった。だが、それまではいいさ。そこからが問題だ、間違えてIS学園の入試会場に入りあまつさえISがあったから触ったというんだぞ!ふざけるな!試験よりも大事だとでも言うのか!あの愚弟は!』

 

 途中からは我慢が出来なくなったのか怒り口調になってきていた。

 

 「大丈夫・・・・・・なわけないか」

 『当たり前だ』

 「それで、IS学園への入学か」

 『ああ、決定事項だ。だが、誰かこちらに来てくれないか?私だけだと何かあったときに対処しきれない可能性がある』

 

 千冬の言葉に俺たちは何となく予想はしていたが顔を見合わせた。

 

 「はぁ、俺が行くしかないか」

 

 束や星羅はまず論外、湊でもいいが束と星羅の二人はずぼらだから湊をIS学園に入れるわけにはいかない、クロエは普通に色々と問題が起きるからダメになる。消去法で俺になる。

 

 「「「だね(ですね)」」」

 『その方がいいな』

 

 千冬も同意らしい。

 

 「まぁ、いいか久しぶりにあいつらにも会いたいからな」

 

 俺は妹たちを思い浮かべた。

 

 「妹たちのことよろしくお願いします。主様」

 「ああ」

 

 湊がそう言ってくる。

 

 「箒ちゃんはどうでもいいかな」

 「そうね。どうもあの子は独善的ですから。関わると面倒なことになります」

 

 束と星羅がどうでも良さそうに言う。箒とは束と星羅の妹で姉妹仲はかなり悪い。

 

 「そうか。それじゃあそう言うことわけで。学園長にでも伝えておいてくれ」

 『わかった。すまんな』

 「構わないさ。クロエ、お前も戻ってきて構わない」

 『了解しました』

 

 ブツ!

 

 そう言うと連絡を切るクロエ。

 

 「では、とりあえずある程度の準備はしておきますか」

 「「「了解!」」」

 

 「はぁ、にしても面倒にしてくれやがって。アレ、どうする湊?」

 「そう、ですね。アレはGW中にでも行いその後の仕事はこちらでスムーズに行くように部隊へと連絡をしておきませんか?」

 「だな」

 

 「蒼羅」

 

 湊との会話が終わると星羅が話しかけてきた。

 

 「どうした?」

 「一夏にはくれぐれも私のことはバレないように」

 「ああ、わかっているさ」

 

 一夏は星羅に初めて会った時に一目惚れされ変な勘違いをしているらしい。

 

 「あの子、私が弱いから自分が守るってしつこいのよね。付きまとってくるし」

 ということらしい。俺はあったことはないが千冬と束が説得しても聞く耳をどうやら持っていないらしい。

 「「はぁ」」

 

 俺と星羅はこれからのことにため息を吐くのだった。

 




星羅のイメージは特に決まってないです。清楚系で黒髪ロングぐらいしか決まってないのでお好きなイメージでお願いします。
苗字の変更には普通は色々と大変なようなのでご都合主義、天災だからで片づけてください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話

楯無の機体の名前を変えて武器の名前は変わらずです。


蒼羅side

 「すまんな、急に呼び出して」

 「構わないさ」

 

 俺は今、千冬に呼び出されIS学園のアリーナに来ている。

 

 「それで?今日、俺を呼んだ理由は?」

 「簡単だ、実技試験をしてもらう」

 「そういうことか」

 

 俺はそう言ってそのまま出ようとするが。

 

 「機体は?」

 「やっぱりダメ?」

 

 俺は千冬に聞く。

 

 「実技だからな。本来ならダメだ、と言うところだが、相手はあいつだからここでバレるわけにもいかないだろうからな。構わないさ」

 「相手はあいつか」

 

 俺は自然と笑みが出てきた。

 

 「そうだ。自分からやると言ってきてな」

 「わかった」

 

 俺はそれだけ言うとISを纏わずに出ていく。そこで、待っていたのは

 

 「やっぱりお前か、楯無」

 「お兄ちゃん久しぶり。まさか、ISを纏わずに出てくるなんて。一応、実技試験なんだけど」

 

 楯無は元気に手を振ってきてから少し驚いていた。

 

 「動きやすいのが一つ。二つ目はまだ、俺の機体は出すべきではないと思ってね」

 

 俺はISを纏わない理由を話す。

 

 「機体を出すべきじゃないってどういうこと?私は生身のお兄ちゃんとやりたくないんだけど。主に、私の身の安全のために」

 

 楯無は小声で言っているが俺には丸聞こえである。

 

 (出してもいいがそれだと、バレるんだよなぁ。厳密に言えば俺の機体も楯無と同じ場所になるからなぁ。それをここでバラすと面白味がないし)

 

 「ところで楯無それがお前の機体か?」

 

 俺は楯無の機体を知っているが話をそらすために楯無の機体について聞いてみる。

 

 「そうだよ。私の機体 。ナチュラルディザスター・コーポレーションが開発した機体だよ。これでも、日本の国家代表だしね」

 「そうか。それにしてもすごい企業の名前だな。訳すと天災企業って」

 

 (他に名前はなかったのかよ。何度聞いてもおかしな名前だ)

 

 俺はそんなことを良いながらあの普段からハチャメチャな兎とタガが外れるとハッチャケル自分の妻の顔を思い浮かべる。

 

 「それに関しては同感。でも、私も社長に会ってみたけど優しそうな人だったし」

 「そうか。よかったじゃないか」

 

 (まぁ、社長は星羅の事だが、楯無は知らないしな。更識にある星羅の情報は顔も含めて偽物だしな)

 

 「うん」

 『二人とも準備はいいか?』

 

 話していると千冬から通信が入った。

 

 「「いいぞ(いつでも)」」

 

 俺と楯無は同時に返事をする。

 

 『それでは試合     開始!』

 

 その言葉と同時に楯無は俺に向かって蒼流旋で攻撃してきた。

 

 「甘いな」

 

 蒼流旋を片手で逸らし懐に飛び込み腹に一撃を与える。

 

 「ぐっ!まだまだ!」

 

 楯無は直ぐに体制を立て直し蛇腹剣ラスティ―・ネイルを呼び出し蒼流旋に内蔵されている四連装ガトリングで攻撃してきた。

 

 「おっと!」

 「今!」

 

 楯無はそう言うと急激に距離を詰めて蒼流旋で貫こうとしてきた。

 

 ガギンッ!

 

 「なっ!」

 

 楯無は驚いていた。俺は咄嗟に粒子化していた刀を二本出して蒼流旋の攻撃を防いでいた。

 

 「いっただろ?甘いと」

 

 俺は鞘から刀を引き抜くその刀身は黒と異質であり二本で戦う双剣となる。

 

 「双黒牙」

 「!!!」

 

 楯無は驚き体が一瞬硬直した。

 

 「何?その双剣から感じる力は」

 「これか、これは今じゃこの形だがもとは一本の刀だったんだよ。あまりにも強すぎるから二つに俺が打ち直した」

 「え、お兄ちゃんが!」

 「そうだ、にしても話過ぎたなそろそろ終わらせよう」

 

 俺は双剣の一本を振り下ろす楯無は間一髪で躱したがその威力は大地を切り裂いた。それから数撃楯無は攻撃を避けたが遂に

 

 「ま、参りました」

 

 降参した。辺りはボロボロになりバリアもひび割れている状態になっていた。

 

 『試合終了!』

 

 その合図を聞くと俺は双黒牙をしまった。

 

 「お、お兄ちゃん!いくらなんでもあんなの喰らったらISでもただじゃすまないよ!私じゃなかったら死んでるよ!というより二つに分かれたうちの一本でその威力ってもとはどれだけ強かったのよ!」

 

 ISを解除して楯無は猛抗議してくる。

 

 「アハハ、すまんな。つい」

 「ついじゃないわよ!」

 「そう怒るなって!」

 「キャッ!」

 

 抗議してくる楯無をお姫様抱っこしてピッドに戻る。この時楯無はかなり顔が赤くなっていた。

 

 「双黒牙を抜くな、バカ者が」

 

 バシ!

 

 「いたっ!」

 

 戻ってくると千冬の軽いチョップがやってきた。

 

 「つい」

 「はぁ」

 

 俺は楯無を下ろしながらそう言うが待っていたのは千冬の溜息だった。

 

 「溜息なんて傷つくじゃないか」

 「お前がその程度で傷つくなら間違いなくお前は死んでいる」

 「そうか?」

 「そうだ」

 

 俺たちが話をしていると

 

 「お兄ちゃん」

 

 楯無が入ってきた。

 

 「どうした?」

 「織斑先生と知り合いなの?」

 「ああ、小学校からの付き合いになるからな」

 「え、えぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!!」

 

 楯無の驚きの声が響き渡った。

 

 「うるさいぞ、更識」

 「す、すいません。って静かに出来るわけないじゃないですか!!!初耳ですよ!」

 「聞かれなかったから。教えてないだけだぞ?それに、更識の連中にバレたら面倒くさくなるし」

 「いや、でも、じゃあ篠ノ之博士とも」

 「ああ、知り合いだな。一緒に住んでるし」

 「うそ!あれ?でも、そう言えばナチュラルディザスター・コーポレーションって天災企業いや、まさかね、社長さんは全然知らない人だし」

 「何をブツブツ言っている、更識」

 「いえ何でもないです。じゃあもう一つ更篠って何ですか!」

 

 織斑先生に聞かれて何でもないと答える楯無。

 

 「結婚したんだよ。その時に二人の苗字を一緒に合わせてな、それでなければ色々と後から面倒なことになりかねないからな」

 「・・・・・・え、えぇぇぇぇええぇぇぇ!!!」

 

 少しの沈黙のあと再び楯無の声が響いた。

 

 「お嬢様何を叫んでいるのですか」

 

 ピッドに入ってきたのは湊の妹である虚だった。

 

 「久しぶりだな。楯無が迷惑かけてないか」

 「お久しぶりです、蒼羅様。聞いてくださいお嬢様は何度も仕事をさぼるのですよ!」

 「ほう」

 

 俺が楯無の方を見ると。

 

 「うっ!それはその・・・・・・ってそれどころじゃないのよ!虚ちゃん!お兄ちゃんが結婚していたんだよ!」

 「え」

 

 楯無が話題を逸らしてきた。虚はその報告に一瞬固まった。

 

 「本当ですか」

 「ああ」

 「誰と」

 「秘密だ」

 

 俺と虚はしばらく視線を合わせて短くやり取りした。

 

 「そう、ですか。おめでとうございます」

 

 どこかぎこちなくそう言うと楯無の頭を掴みこの場を去ろうとする。

 

 「ちょ、う、虚ちゃん!頭が割れるから!私死んじゃうから!」

 

 楯無はかなりの握力で掴まれているのかかなり痛がっている。

 

 「布仏、こいつは結婚していると言ってもあっちこっちで女に手を出しているぞ」

 

 退出しようとしていた虚は千冬の言葉で足を止めた。

 

 「はい?」

 「おい、千冬余計なことを言うなよ」

 

 俺は千冬を睨みつける。

 

 「ふっ、良いだろ?事実だ」

 「蒼羅様、本当ですか?」

 「あ、ああ」

 

 俺は虚の鋭い視線に引きながらも頷いた。

 

 「そうですか」

 

 どこか嬉しそうな顔で納得する虚。

 

 「それでは私たちは仕事があるので失礼させていただきます」

 

 足早に虚は楯無を連れて出ていこうとする。

 

 「待て、二人とも。楯無、虚あの計画だが、GWの最初にでもやろうと思うがどうだ?」

 「あの計画を?でもそうすると織斑先生の弟さんの護衛が疎かになりかねないけど?」

 

 楯無は気持ちを直ぐに切り替えて真剣な眼差しになった。

 

 「私もお嬢様と同意見ですが大丈夫なのですか?」

 

 虚も心配そうな表情で見つめてくる。

 

 「まぁ、確かに心配もあるのだろうがそこは俺の部隊の方でそのまま引き継ぐさ」

 

 楯無と虚は顔を見合わせているが決まったのかこちらに顔を向けた。

 

 「わかりました」

 「私の方もそれとなく連中を集めておきます」

 「頼むよ。楯無、虚」

 「「はい!」」

 

 俺は二人の頭を撫でてその場を後にする。

 




スペックは天災が作り上げたので原作の機体よりは強いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話

今日で胆振東部地震から五か月です。早いような遅いような。

改行して読みやすくしました。投稿している三話も改行していきます。

今回から原作突入です。



蒼羅side

 (視線が鬱陶しいな)

 

 現在は入学式から時間が経ち教室でHRが始まるのを待っているところだが、教師が来ないため女子の興味津々という視線が俺ともう一人の男織斑に突き刺さるのだ。

 すると、一人の女性が入ってきた。

 

 (確か千冬が可愛い後輩が出来て癒されると言っていたな。特徴が一致しているから彼女が山田真耶かな?)

 

 千冬が現役の時に聞いたのを思い出していた。

 

 「皆さん入学おめでとうございます。今日から一年間皆さんと一緒に過ごす副担任の山田真耶です!よろしくお願いします」

 「「「・・・・・・」」」

 

 だが、だれも返事を返さないため若干涙目になった。

 

 「よろしくお願いします」

 

 俺は流石に可哀そうだと思い返事を返した。

 

 「よ、よろしくお願いします!更篠さん!」

 

 嬉しそうに返事をしてきた。

 

 (うん、千冬の言う通り癒し系だな)

 

 「それではまず『あ』の人から自己紹介をお願いします」

 「相川清香です。好きなことは・・・・・・」

 

 自己紹介が千冬の弟の所までいったが気づいていないのか山田先生が何度か呼びかけようやく気付いたのか自己紹介を始めた。

 

 「え、えっと、織斑一夏です」

 

 女子からの視線が一気に来たためか若干のけ反ってから自己紹介を始めた。

 

 「・・・・・・以上です」

 

 ガタガタ!

 

 まだ、何か話すことがあるのかと思っていた女子たちは音を立てて何人かが転げた。

 

 「自己紹介ぐらいまともにやらんか」

 「へ?」

 

 急に聞こえた声に織斑は変な声を出し後ろに振り向いた。

 

 「ち、千冬姉!」

 「織斑先生と呼べ」

 「は、はい。織斑先生」

 

 織斑は千冬に睨まれおとなしく言い直した。

 

 「さて、諸君私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。君たちをこの一年で鍛え上げるのが私の役目だ。わからない所は正直に聞け」

 「「「きゃ「色めき立つなよ、小娘ども」」」」

 

 千冬の言葉に色めき立とうとした連中を千冬は低い声で睨みつけ黙らせてから話を続ける。

 そんなことを言われると女子たちは黙るしかなかった。

 

 「それから、今までの貴様らが考えているISの価値観などここでは無意味だと思え良いな!」

 「「「は、はい!!!」」」

 

 千冬の言葉に皆返事をした。

 

 (まぁ、ここでは価値観なんて崩れるだろうな、俺や千冬がいるし。ISが最強なのは夢に消えるだろうし女が強いと思っている奴らは容赦なく千冬の制裁対象になるだろうな)

 

 「よし、時間がないから更篠、自己紹介しろ」

 「了解」

 

 時計を見て千冬は時間がないことがわかると俺に自己紹介をするように言ってきた。

 

 「更篠 蒼羅。二番目にISを動かした男だ。まぁ、迷惑をかけることもあるだろうがよろしく頼む」

 

 俺は簡単に自己紹介をして席に着く。

 

 「いいだろ。次から授業があるから準備をしておくように」

 

 そう言い退散していく二人の教師。

 

休憩時間

 「蒼兄~」

 次の授業の用意をしていると、まったりとした声が聞こえた。

 

 「ん?」

 

 俺は呼ばれた方に振り向くと

 

 「おっと、久しぶりだな、本音元気にしていたか?」

 

 本音が抱き着いてきて俺は思わず受け止める。

 

 「うん~元気にしているよ~」

 「そうか」

 「それより~」

 

 本音は意味深な視線を向けてきた。

 

 「ん?」

 「お姉ちゃんから聞いたよ~」

 「ああ、どっちの話だ?」

 

 俺は本音が虚から聞いたと聞くとどちらの話か聞くと

 

 「両方だよ~」

 

 どうやら俺の結婚の話とGWに行うことの両方を聞いたようだ。

 

 「その話はここでは話しづらいから、後にしよう」

 「了解なのだ~」

 「休み時間が終わるから早く戻りなさい」

 「は~い」

 

 本音はゆっくりと戻っていった。

 

 「それでは授業を始めます」

 

 授業が開始されてからしばらくすると織斑の落ち着きがなくなっていた。

 

 「ここまででわからない人はいますか?」

 

 わからない人はいないだろうここは初歩中の初歩だ。

 

 「あ、あの先生!」

 

 すると織斑が手を上げた。千冬も織斑がバカな発言をするのを直感したのか厳しい顔になっている。

 

 「はい!織斑君!」

 「ほとんど全部わかりません!」

 「へ?」

 

 山田先生は予想外だったのか変な声を上げた。だが、千冬の目元は更に厳しい顔つきになっている。

当然だろう勉強さえしていれば男でもついていける部分のここで何もわからないということは今まで勉強をまるっきりしていないということになる。

 

 「い、今の段階でわからない人はどれだけいますか!?」

 

 山田先生が他にいないか聞くが当然そんな人はいない。一度言っただろうがもう一度言わせてもらう初歩中の初歩だ。

 

 「蒼羅!お前もわからないよな!?」

 「え!そうなんですか!?」

 織斑の言葉に山田先生がなぜか信じた。

 

 「山田先生、織斑の言葉を鵜呑みにしないでください。ちゃんと?勉強していますから?」

 「いや、でも、何でハテナが付くんですか!」

 「山田先生、あまり公開されていませんが更篠は完全記憶能力というのを持っています。一度見た者特に自分の興味のある分野は絶対に忘れないので、勉強という勉強はしてないでしょうからハテナが付いたんです」

 

 千冬がいい具合でフォローしてくれる。

 

 「そ、そうなんですか。それならよかったです」

 「まぁ、今はそんなことよりも織斑、一、二か月ほど前に渡した参考書はどうした」

 「あ~あの分厚いのですか」

 「そうだ」

 「電話帳と間違って「バシンッ!!!」~~~~~~~!!!」

 

 織斑が話している途中で準備していた出席簿で叩き織斑は蹲った。

 

 「バカ者が!あれほど勉強しておけといっただろ!」

 「いや!ちふ、織斑先生、待ってくれ勉強しようと思ったけどその時にはもう間違って捨てた後だったんだ!」

 

 織斑がなおも言い続ける。

 

 「ほう、電話帳とどうやって間違えるのか教えてもらおうか」

 

 千冬はさらに睨みつける。

 

 「えっと・・・・・・だから」

 

 織斑は更に千冬に言いつめられる。織斑は竦みながらなんとか言葉をだそうとする。

 

 「織斑、貴様の勉強部屋は二階のはずだ。それから、私の記憶が確かならお前に渡した後お前は二階に持っていったはずだと思うが?そして、電話帳は一階にある。それなのにどうやったら一階と二階にあるものを間違えるのだ?」

 

 さらに、千冬が自分の推測を話すと織斑の顔は真っ青に染まった。

 

 「お前の噓などお見通しだ!このバカ者が!!!」

 「ぎゃぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」

 

 千冬のアイアンクローが織斑にさく裂し織斑は絶叫を上げた。

 

 (千冬を騙せると思っていたのか?)

 

 俺は呆れた視線を織斑に向けた。

 

 「この、バカ者が・・・・・・山田先生、授業の続きを。このバカに合わせていたら他の者たちの授業が遅れてしまいます」

 「は、はい!」

 

 山田先生は千冬に言われそのまま授業を再開した。

 




ぶっちゃけ参考書は勉強する部屋の二階にあるはずだからどこの家にも大抵一階にあるであろう電話帳と間違えるわけがないと思います。


千冬マジギレ。次回も誰かたちにキレます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話

評価の制限を解除しました。
一日おきにこれから投稿します。


蒼羅side

 「蒼羅!頼む勉強を教えてくれ!」

 

 織斑が休み時間にやってきて挨拶もなしに開口一番に言ってきたのがそれである。

 それだけ、焦っているといるのだろう。それでも、最低限の礼儀は弁えるべきであろう。

 

 「断る。俺は放課後することがある。それと、初対面なのにいきなり名前で呼ぶな」

 「いいだろ、別に。それにここには男は二人しかいないんだぜ!仲良くやろうぜ!」

 

 織斑はそう言ってなおも詰め寄ってくる。

 

 「はぁ、俺にはそんなこと関係ないしこの学園には知り合いがいるから別に不自由はないし気まずくもない」

 

 俺は普段からなぜか女子たちしか周りにいないからこのぐらい何ともないのだ。

 

 「ちょっとよろしくて」

 「へ?」

 「・・・・・・はぁ」

 

 俺と織斑が話していると金髪の女子が声を掛けてきた。織斑は気の抜けた返事を俺は面倒さを感じてため息を吐いた。

 

 「聞いていますの?」

 「ああ、聞こえているけど?何かようか?」

 「聞いているけど」

 「まぁ、なんですの!この私が話しかけているというのにその態度!」

 

 (年上に対してその態度のお前がそれを言うのか?)

 

俺は今すぐ消したい衝動にかられたが何とか我慢した。

 

 「いや、君が誰だか知らないし」

 「な!?知らない!?入試主席のこの私を!?」

 「おう、知らん」

 

 織斑と金髪女子が会話をしていくが俺はさして、興味がないので名前以外は全部無視した。

 

 「あなた!あなたも試験官を倒しましたの!」

 「ああ」

 「あ、ありえませんわ、私だけだと聞きましたのに」

 

 オルコットはかなり驚いている。

 

(初心者が乗って倒して驚くのは理解できる。だが、そこまで倒したことをよく自慢できるな、専用機を使っているはずだから負けることなどないだろう)

 

 実のところ彼女のことは知っているイギリス代表候補生のセシリア・オルコット。彼女が専用機を持っていることもそして、専用機で試験官と戦ったことも。

ちなみに千冬から聞いたことだが簪とアイツ(・・・)は目立ちたくないからと訓練機を使って手を抜いて負けたのを千冬に知られ非公式試合として千冬と対戦することになり二対一で専用機を使い大バトルの果てに二人とも負けたそうだ。

 

 「女子だけっていうオチじゃないのか?」

 

 織斑が余計なことを言う。こういうのには黙っていればいいだろうに。

 

 「ふ「キーンコーンカーンコーン」くっ!後でまた来ますわ!逃げないことですわね!」

 

 オルコットはチャイムが鳴ったことに悔しそうにしながら捨て台詞を吐いて席に戻っていった。

 

 「織斑、お前も戻れ」

 「あ、ああ」

 

 織斑もようやく戻っていった。

 

 「さて、この時間では授業を始める前にクラス代表を決める。クラス代表とはその名の通りクラスの代表であり、今月下旬に行われるクラス対抗戦への出場、後は教師の手伝いなどだ。自薦他薦は問わないが一年間変更はないから真剣(・・)に選べよ。それから他薦されたものに拒否権はない。誰かいないか」

 「はい!織斑君が良いと思います!」

 「私も!」

 「私は更篠君が良いと思います!」

 「私も!」

 

 俺と織斑を推す声が大多数だった。

 

 「お前た「納得いきませんわ!」ピキピキ」

 

 千冬が話そうとしたときそれに被せるようにオルコットが抗議してきた。千冬の血管が浮かび上がったのは気のせいではないだろう。

 

 「興味本位でクラス代表に男を推薦するなど納得いきませんわ!それに、ただでさえ極東の島国で後進的な国に来ることでさえ耐えがたい苦痛だというのに!クラス代表に男を推すなど納得いきませんわ!」

 

 オルコットの言葉にクラスの日本人が彼女に抗議の視線を向けているが気づいていないようだ。

 言い過ぎなければ正論であろう言葉も言い過ぎの為あまり意味をなしてない。何より敵を増やすだけである。

 

 「オルコ「そっちだってメシマズランキングで何年連覇だよ!」ピキピキピキ」

 

 千冬が話そうとすると今度は自分の弟が遮った。そのため、さらに血管が浮かび上がっているようだ。

 

 (千冬の奴、今日は厄日だな~)

 

 俺は呑気にそんなことを考えていた。

 

 「な!私の祖国を侮辱しますの!」

 「先に侮辱したのはそっちだろ!」

 

 (これ、どこの小学生の喧嘩だよ。バカなのか、というより千冬に気づいてやれよ。可哀そうに)

 

 千冬からだんだんと黒いオーラが出始めているが誰も気づいていないようだ。本音を見ると若干震えているのが目に留まった。

 

(本音は気づいているようだな、震えている。後で、慰めてやろう)

 

 俺は一人でこの後のことを考える。

 

 「蒼羅、お前からもなんとか言ってやれよ!」

 

 織斑が俺の方に話を振ってきた。ちょうどいいから気づかせてやろうと思い俺は話す。

 

 「お前らさ、俺から言えるのはただ一つだ。いい加減に教壇に目を向けろ」

 

 俺がそう言うと本音以外が教壇を向くとようやく気付いたのか途端に顔色を真っ青にした。

 

 「オルコット、織斑貴様ら何の権限があって私の話を遮るのだ?それに、小娘ども私は真剣に考えろと言ったはずだが?お前たちからは男だからという理由で推薦しているようにしか見えんぞ?」

 

 どす黒いオーラを纏いながらいつもより低い声で話す千冬。

 

 「あ、あ、あ、あ、」

 「こ、こここれは」

 「「「・・・・・・ガクガク!!!」」」

 「この大バカ者どもが!!!」

 

 織斑とオルコットはもうすでに言葉が出ないようだ。千冬の最後の気迫にクラス中の女子達も本音が何とか耐えている以外は皆気を失っている。

 

 (さすがにそろそろ止めるか)

 

 「織斑先生」

 「更篠、なんだ」

 「それ以上は色々大変なのでやめた方が良いでしょう。それと、俺、織斑、オルコットで対戦してクラス代表を決めた方が早いでしょう」

 

 俺は千冬を諫めると同時にクラス代表を決めるのに提案する。

 

 「・・・・・・ふぅ、そうだな。一週間後にクラス代表決定戦を行う更篠、織斑、オルコットの三人は準備するように!授業はこれまで」

 

 そう言って、千冬は気を失っている山田先生を連れて教室を後にした。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話

蒼羅side

 「本音大丈夫か?」

 「蒼兄、怖がっだよ゛~」

 

 俺は震えている本音に近づき声を掛けると滅多に泣くところを見せない本音が涙声で抱き着いてきた。

 

 「はいはい、大丈夫だからな」

 

 本音を抱きしめて慰める。まぁ、かなり怖いだろうな、俺以外が未だに放心状態だし。

 

放課後

 結果的に今日はほとんど授業にならなかった。だが、そんなことは知らんという態度で千冬は授業を進める。

まぁ、面白半分で他薦したバカどもに対して優しくするほど千冬は優しくないし俺も慰めてやる義理はない。

結局、自業自得なのだから。

 

 「本音」

 

 俺は本音に優しく語りかける。

 

 「蒼兄~?」

 

 まだ、本調子ではないだろうがだいぶ回復してきたようだ。

 

 「今日は生徒会室に楯無と虚は居るのか?」

 「うん」

 「そうか、なら会いに行こうか」

 

 本音は頷いた。

 

 「じゃあ、まずは簪の所に行ってだな、簪は何組だ?」

 「かんちゃんは四組だよ」

 「それじゃ、行くか」

 「うん」

 

 俺たちは放心しているクラスメートを置いて四組に向かう。

 

 「更篠、どこかに行くところか?」

 

 廊下の途中で千冬がやってきた。

 

 「ああ、四組に」

 「妹の所か」

 「まぁな」

 

 俺と千冬が話していると後ろから誰かが出てきた。

 

 「主、本音」

 

 後ろから現れたのは湊だった。

 

 「うわっ!?お姉ちゃん!」

 

 本音はかなり驚いていた。

 

 「そんなに驚かなくてもいいではないですか本音、傷つきますよ」

 「湊、急に現れたらだれでもびっくりするだろう?」

 「そうですか?」

 「ああ、そうだよ」

 「そうだよ~」

 

 そう言いながら本音は湊に抱き着く。湊は本音を抱きしめて撫でている。

 

 「えへへへ」

 

 本音は嬉しそうに笑い先程まで怖がっていたのが噓みたいになった。

 

 「簪様の所へ?」

 

 本音を撫でながら湊が聞いてきた。

 

 「ああ、簪を連れて生徒会室に行くつもりだ。まだ、大丈夫なら先に行っといてくれ」

 「わかりました。それと、今日からどうやら入寮となったようですので主の荷物をお持ちしました」

 「そうなのか?」

 

 俺は千冬に聞く。

 

 「ああ、政府から話があった。これが部屋の鍵だ」

 「ああ、わかった」

 「はぁ、今から苦労が絶えんな」

 

 千冬は今日のことを思い出しのかため息を吐いた。

 

 「そうかもな。そういえば千冬、お前の後輩はどうした?」

 

 俺が山田先生について聞くと

 

 「ああ、真耶か。職員室で休んでいろと言って休ませてきた」

 「疲れている原因は、お前が怒ったオーラのせいじゃないのか」

 

 そう言うと千冬は目を逸らすだけだった。

 

 「千冬、そろそろ教室にいる織斑君が待っているんではないですか?」

 「そうだったな。また明日な、遅れるなよ」

 「ああ」

 

 千冬は湊にそう言われ別れの挨拶をした後、教室へと戻っていった。

 

 「では、主、本音後で」

 「ああ」

 「後でねぇ~」

 

 湊とも別れ四組へと向かう。

 

簪side

 今日、私はお兄ちゃんに久しぶりに会えると思ってほとんどの授業は上の空だったが、授業の途中に大きな叫び声が聞こえてきて私も含めてクラスの子たちも驚いていた。後は一組がなぜか放心状態だった、とか聞き。初日からよくわからない日になった。

 

 「簪?」

 

 私に声を掛けてきたのは水色の髪をした女性、朝田詩乃さん中学からの同級生で私と同じ日本の代表候補生でありそして、ライバルでもある。三組のクラス代表だ。

 ちなみに四組のクラス代表は私になった。

 

 「どうしたの?」

 「いや、あんたのことを何人かが話したそうにしているわよ」

 

 そう言われ周りを見回してみるとクラスメート数人が興味津々と言った表情でこちらを見てきた。

 

 「え、え、」

 

 お兄ちゃんのことが気になっていた私は周りのことに全然気づいていなかったため恥ずかしくなり顔が赤くなっていく。

 

 コンコン

 

 「失礼するよ。更識簪は居るかな?」

 

 そう言って入ってきたのは私の大好きなお兄ちゃんだった。

 

蒼羅side

 「随分簪は人気があるのか注目されているな」

 「かんちゃんは日本の代表候補生の中でももう一人の代表候補生と一緒に並んでとても人気なんだよ~」

 「そうなのか?まぁ、確かに贔屓目に見なくても可愛いが。それよりも、さすがに可哀想だからそろそろ行くか」

 

 俺はそう言って教室のドアをノックする。

 

 コンコン

 

「失礼するよ。更識簪は居るかな?」

 「え!二人目の男性IS操縦者が何でこんな所に!」

 「それより、更識さんを呼んでいるよ!?知り合いなの!」

 

 クラス中が一気に盛り上がった。

 

 「え、えっと、あの」

 

 簪は更に顔を紅潮させていた。

 

 「すまないけど。簪が恥ずかしがっているから今日の所はその辺にしてもらえないかな。時間はこれから沢山あるんだから」

 「は、はい!すみません。あの、でも」

 「俺は簪とは苗字が違うが兄妹なんだ。それで、簪を呼びに来た」

 

 俺は優しく語りかける。

 

 「そ、そうなんですか!わ、わかりました!」

 「簪、生徒会室に行くぞ」

 「う、うん。あ、詩乃また明日ね」

 「ええ」

 

 俺は簪を連れて教室を出て、本音と合流し生徒会室へと向かう。

 




ソードアート・オンラインの朝田詩乃『ガンゲイル・オンライン』の時のシノンを朝田詩乃として登場させました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話

誤字報告ありがとうございます!


蒼羅side

 コンコン

 

 俺たちは生徒会室に着きドアをノックした。

 

 「どうぞ~」

 

 楯無の声が聞こえてきた。

 

 「入るぞ」

 

 そう言ってから扉を開ける。

 

 パン!パン!パン!

 

 「「「入学おめでとう!!!」」」

 

 湊、虚、楯無がクラッカーを鳴らして俺たちの入学を祝ってくれた。ケーキやお菓子がたくさん出ていた。これに簪や本音は驚いていた。

 

 「お兄ちゃん何で驚かないのよ~」

 「蒼羅様が、そう簡単に驚きになるわけないじゃないですか!」

 「でも、驚いてほしいじゃない!」

 

 楯無と虚は言い合っていた。

 

 「まぁ、お前らのしそうなことぐらい簡単にわかるよ」

 「クスクス」

 

 湊は楽しそうに笑っていた。

 

 「さて、席に着こうか」

 「うん」

 「は~い」

 

 俺が指示すると本音と簪も従った。

 

 「ほら、虚も楯無様も何時までも言い合っているのではありませんよ?今日の主役は三人なのですから。待たせるのは悪いですよ」

 

 湊が二人を落ち着かせる。

 

 「そ、そうね」「そうですね」

 

 二人も言い争いをやめて席に着く。

 

 「それじゃあ、入学パーティーを始めましょう!」

 

 楯無がそう言いパーティーが始まる。

 先ほどの簪のクラスで起きていたことについて写真付きで話すと楯無がその写真が欲しいと言ってきたので送った。簪は顔を真っ赤にしていた。

 

 「ねぇ、お兄ちゃん、本音聞きたいことがあるけど良い?」

 

 しばらくしてから簪が聞いてきた。

 

 「何だ?」「なに~」

 「いや叫び声が四組まで聞こえてきたんだけど」

 「ああ、あれか実は・・・・・・ということがあった」

 

 何があったかを話すとその内容に全員が呆れていた。

 

 「千冬も大変ですね」

 

 湊も思わず同情していた。

 

 「後もう一つ、一組が放心状態になっていたっていう話だけど」

 

 簪が聞いてきた。

 

 「そう言えば私も聞いたわね」

 「私もです」

 「私は千冬から聞きました」

 

 楯無と虚も気になっていたようだ。湊は千冬から聞いていたと話した。

 

 「それか・・・・・・」

 「あの時の織斑先生、物凄く怖かった」

 

 本音は未だに思い出すと震えるようだ。

 

 「実は・・・・・・ということだ」

 

 俺が話すと

 

 「一組ってバカが多いの?」

 「それは、さすがに織斑先生怒りますよ」

 「うわ~、私たちの時でもそんなことはなかったわよ」

 

 簪は辛辣に呟き、虚は織斑先生に同情し、楯無はかなり引いていた。

 

 「まったく、男がいるからと面白半分で推薦した罰が当たったんだろ」

 

 俺は軽く話す。

 

 「さて、そろそろ寮に行くとするか」

 「そうですか、それでは私も戻ります。こちらの中に粒子変換して入れておりますので」

 

 そう言って、湊が渡してきたのは腕輪だった。

 

 「わかった」

 

 俺がその腕輪を受け取ると湊は帰っていった。

 

 「それじゃあ、お姉ちゃん、虚さん私と本音も行くね」

 「うん、いつでもいらっしゃい!」

 「いつでもどうぞ。お嬢様がサボるので監視に来てくれるとありがたいです」

 「う、虚ちゃん!」

 

 そんな楯無の声を背に俺たちは苦笑し生徒会室を後にして、寮に向かう。

 

 「さてと、ここが俺の部屋だな1030番」

 「私たちの隣の部屋だ」

 「そうなのか」

 

 簪たちは隣の1029番だそうだ。

 

 「お、お兄ちゃん」

 

 簪が何だか恥ずかしそうに聞いてくる。

 

 「久しぶりにお兄ちゃんの手料理が食べたい」

 「私も~食べたいな~」

 

 どうやら簪はそれで恥ずかしがっていたようだ。

 

 「構わないよ。用意しておこう」

 「うん!」

 「は~い」

 

 簪と本音は部屋に入るのを見てから中に入る。

 

 「ふぅ、初日から疲れたな」

 

 中は一人部屋で俺はベッドに倒れ体を預けた。

 

 「お疲れ様です、蒼羅」

 

 誰もいないはずの部屋から女性の声が聞こえてきた。

 

 「来ていたのか、星羅」

 

 俺が名前を呼ぶと音もなく星羅が現れた。

 

 「ええ、湊から話を聞いたので疲れているかと思って」

 「という建前は良いからどうせ見ていたんだろ?」

 「な、何のことでしょうか?」

 

 星羅は目を逸らしそんなことを話すが目を逸らした時点で確定的だろう。

 

 「まぁいい。だが、これから簪と本音が料理を食べたいと言っていたから来るんだよ」

 「そうなの?それじゃあ、今日はダメそうね」

 「そうしてくれ」

 

 星羅は部屋を後にした。

 この後は料理を作り簪たちと一緒に食事をした。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話

ユー〇ャンをはじめたため三日おきに投稿します。もしかしたらもう少し遅くなるかもしれません


蒼羅side

 さて、初日から二日が経った。織斑は篠ノ之からISについて教えてもらっているようだ。なぜか、剣道場に行っているのは謎だが。

 そんな今は、HR中である。

 

 「織斑お前に専用機が与えられることとなった。まぁ、主な目的がデータ取りのための物だが」

 

 それに対してクラスの女子たちが騒ぎ始めた。

 

 「専用機ってそんなにすごいのか?」

 

 織斑がそんなことを言ったためクラスが凍り付いた。

 

 「織斑、勉強はちゃんとしているんだろうな?最初のページの方だぞ」

 

 千冬が睨みながら言うが織斑は目を逸らすだけだった。

 

 「いい加減に勉強をせんか!」

 

 千冬のアイアンクローがさく裂した。

 

 「ぎゃぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」

 

 織斑の絶叫が響いた。

 

 「ふぅ」

 

 千冬は織斑を放し一息吐いた。

 

 「あの、織斑先生、更篠さんに専用機は?」

 

 一人の女子が千冬に聞く。

 

 「それは」

 

 俺は千冬とアイコンタクトを取り俺が話すと伝える。

 

 「俺はすでに持っているよ」

 「「「え、ええぇぇぇぇぇえぇ!!!」」」

 

 女子の驚きの声が教室に響いた。

 

 「お前達、今はHR中だ。静かにしろ!」

 「「「す、すいません」」」

 「まったく、これでHRを終わる」

 

休み時間

 「まさか、専用機を与えられるとは思いませんでしたがまぁ、これでフェアですわね」

 

 話し相手が欲しいのかオルコットは織斑の所に行き話をしている。

 

 「蒼兄~」

 「ん?本音どうした?」

 「何か、お菓子持ってない?」

 「はぁ、まだ朝なんだが」

 「えへへ、ダメ~?」

 

 相変わらず本音の食欲は旺盛なようだ。

 

 「ほら、グミでいいだろ?」

 「うん!ありがとう~!」

 

 そう言って本音は戻っていった。

 

放課後

 俺は今、ISスーツ姿でアリーナの一つに来ており人が来るのを待っていた。理由は、クラス代表決定戦の為であるが本当のことを言うならストレスの発散である。特にあいつは相当ストレスをため込んでいるからな。

 主にクラスの問題児二人のせいで。

 

 「すまん、待たせたな」

 

 そう言って、千冬が現れた。

千冬も髪形をポニーテールにしてISスーツ姿で出てきた。

 

「いや大丈夫さ。こっちこそ悪いな、忙しいだろうに」

「構わん、私も少し体を動かしたかったからな。まぁ、あまり時間もかけていられないからな早く始めよう」

 

そう言うと千冬の体を光が纏い、光が止むとISを纏っていた。

 

「暮桜か」

 

暮桜とはISの世界大会モンドグロッソにて千冬が優勝した時の機体である。

 

「ああ、アレで戦うわけにはいかないだろう?」

「それもそうだな」

 

千冬の言うアレとは千冬本来の機体である。正直なところ暮桜でも千冬の全力の動きについてこれないのである。

そのために、作られた機体があるがその機体を使うにはこのアリーナでは簡単に壊れてしまうのである。

 

「それじゃあ、始めよう」

 

こうして俺はクラス代表決定戦まで千冬の空いている時間を使い生身で動き。また、ISで時間の許す限り戦い続けた。

それとは別にちゃんとオルコットの戦闘データを見たがつまらない試合になりそうなので速攻で片づけることに決めた。

 




次回 クラス代表決定戦開始です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話

ナチュラルディザスター・コーポレーションはNDCと表記しています。
自信はないですが戦闘回です。
ネーミングセンスないなぁ~という感じで武器の名前は見てください。


蒼羅side

クラス代表決定戦当日

 俺は一人でピッドにいる。楯無たちもここに来ると言っていたが俺が断った。

 

 『更篠、直ぐに出れるか?』

 

 千冬から通信が入った。

 

 「何か問題でも?」

 『ああ、倉持の連中が時間に遅れると連絡をしてきた』

 「はい?」

 

 俺は千冬の返答に素っ頓狂な声が出た。企業が決められている時までに納品しないというのはまずありえないことだから素っ頓狂な声が出ても仕方がないだろう。

 

 『普通ならあり得ないのだが。まぁ、連中には私から後で仕置きをしておくさ』

 

 俺は心の中で倉持に自業自得と思いながらも合掌した。

 

 「まぁ、とりあえず俺がオルコットと先に戦うということか」

 『そう言うことだ。すまんな』

 「気にするな。どっちでも結果は変わらないさ」

 『そうだな。だが、やりすぎるなよ』

 

 千冬が忠告をしてきた。

 

 「それは約束しかねる」

 『はぁ、まぁいい。出撃してくれ』

 

 千冬はため息を吐き。出るように言ってきた。

 

 「了解。『エレメント 漆黒』出るぞ」

 

 俺は黒の機体を纏いアリーナへとでた。

 

三人称side

 『ようやく来ましたのね!』

 

 オープンチャネルを開き話しかけてきた。

 

 「すまんな」

 『まぁ、いいですわ。あなたに最後のチャンスを上げますわ!』

 「いらない、どうせ『自分が勝つのは自明の理だから降参しろ』とかいうんだろ?」

 『うっ!』

 

 セシリアは言葉に詰まった。その様子を見て蒼羅は

 

 「図星のようだな。早く始めよう、お前ごときに時間をかけるつもりはない」

 『な!?この私をごときですって!いいですわ!それがあなたの望みだというのであれば叩き潰して差し上げますわ!』

 

 『それでは試合   開始!!!』

 

 『お別れですわ!』

 

 セシリアはレーザーを撃ってきた。

 

 「遅い」

 

 蒼羅は紙一重で躱す。

 

 『なっ!躱した!』

 「双炎銃-リバイバル-」

 

 蒼羅は双銃を手元に呼び出した。

 

 『この私と遠距離勝負とは!男のくせに生意気ですわ!ですが、その勝負受けて立ちましょう!』

 

 セシリアは遠距離勝負と言っているがこれから始まるのは勝負にすらならない戦いである。

 

 「早く終わらせるとしよう」

 

 蒼羅はそう呟き銃をセシリアに向けて放つ。

 

 『なっ!』

 

 その銃から放たれたのは炎の銃弾だった。セシリアはその攻撃を見ると咄嗟に避ける。

 

 「焦げ散れ」

 

 蒼羅は連続で撃ち続ける。

 

 『くっ!こんなことで私には当たりませんわよ!』

 「それはどうかな?」

 

 蒼羅は呟く。

 

 『何を言っているんですの?』

 

 意味が分からないのかセシリアは首を傾げるだけだった。今のセシリアと蒼羅の位置関係はセシリアが地面におり、蒼羅は空に居る状態だ。

 

 「こういうことだ」

 

 蒼羅は銃弾を一発撃つ。だが、それはセシリアの居るところとは別の場所だった。

 

 『あれだけのことを「ドガーーーーーーーン!!!」きゃぁぁぁぁぁ!!!』

 

 セシリアを大量の爆炎が襲った。

 

 「俺の撃った銃弾は、一度消えたとしても別の銃弾を当てると、もう一度起動する。そして、それが連鎖的に起こる。と言っても聞こえてないか」

 

 煙が晴れるとそこにはボロボロになり気を失ったセシリアがいた。

 

楯無side

 「楽しみね~簪ちゃん」

 

 私は今、簪ちゃん、虚ちゃん、本音ちゃんと一緒に居る。

 

 「うん、あ」

 

 簪ちゃんは何かに気づいたのか声を上げた。

 

 「簪?ここに居たんだ」

 「うん。お姉ちゃんたちと一緒に見ようと思って、詩乃も一緒に見ない?」

 「いいの?」

 「いいよね」

 

 簪ちゃんが聞いてくる。

 

 「いいわよ。久しぶりね、詩乃ちゃん」

 「お久しぶりです。楯無さん」

 

 私は詩乃ちゃんとあいさつを交わす。彼女のことはよく知っている簪ちゃんのライバルで私も何度か話したことがある。簪ちゃんとそろって次の国家代表との呼び声が高い。

 

 「し~ちゃんヤッホー!」

 「本音相変わらず元気ね」

 「当然だよ~!」

 

 本音ちゃんとあいさつを交わす詩乃ちゃんもどこか表情が和らいだ笑みを浮かべている。

 

 「お久しぶりです。詩乃さん、簪様と仲良くしてくださってありがとうございます」

 「いえ、簪には助けられることもありますから」

 

 虚ちゃんとも仲良く話をしているが簪ちゃんは少し恥ずかしかったのか顔を赤らめている。

 

 「も、もう二人とも私のことを話さないで恥ずかしい・・・・・・」

 「そうね、それよりそろそろ始まるんじゃない?」

 「そうだったわね」

 

 詩乃ちゃんは席に座りながら話す。

 

「あれが、イギリスの専用機、ブルーティアーズのようね」

 

私はそう呟くと同時にお兄ちゃんの番に早くならないかと機体を楽しみにしているがまさかあの機体が出てくるとは思っていなかった。

 

数分後

 オルコットさんが出てきた後、織斑君の番のはずだが未だに出てこないことを不思議に思っているとアナウンスが入った。

 

 『連絡します。織斑君の専用機について不手際があったため試合を一つ繰り上げて

   オルコットさん VS 更篠君

   織斑君     VS 更篠君

   オルコットさん VS 織斑君   の順とさせていただきます』

 

 その報告に会場は少し騒めいた。

 

 「機体に不手際?一体何があったのかしら?」

 「うん、不思議だね。お姉ちゃん」

 「案外、倉持の搬入が遅れていたりして」

 

 私と簪ちゃんが話しているところに詩乃ちゃんが入ってきて予想外のことを言われた。

 

 「いや、さすがにないでしょ。仮にも大企業よ?時間に納品されないなんてありえないわ」

 「会長。今、確認したところ詩乃さんの言った通りみたいです」

 「はい?」

 

 隣から話しかけてきた虚ちゃんの言葉に私は思わず虚ちゃんを見つめた。だが、虚ちゃんは頷くだけだった。

 

 「倉持にしなくてよかった」

 

 簪ちゃんがそう呟いた。

 簪ちゃんの機体は私と同じNDCに専用機を頼んで開発してもらった。本当は倉持が受け持つという話も出てきたのだが機体が元からある程度完成しており後はパイロットの要望に合わせて完成させるだけであったためにNDCになった。

 倉持は詩乃ちゃんにも頼んだようだが倉持は銃での戦いより近接戦闘での方に重点を置いていたため断ったのだそうだ。その時にNDCならば自分好みの戦いを続けることが出来るためにNDCにしたのだそうだ。

 

「あ、蒼兄~出てきた~」

「黒い機体ですね」

 

本音ちゃんと虚ちゃんがそう言っているが私や簪ちゃんは驚愕していた。詩乃ちゃんはあまり表情に出ないためかよくわからない。

 

「うそ!あの機体って!」

 

簪ちゃんは立ち上がった。

 

「簪、気持ちはわかるけど今は座って」

 

詩乃ちゃんがなだめる。

 

「う、うん。ごめん」

 

詩乃ちゃんに言われて気づき周りの視線が突き刺さり顔を真っ赤にしていた

 

「会長、あの機体の事を知っているんですか?」

 

虚ちゃんが訊ねてきた。本音ちゃんも興味津々とこちらを見てきた。

 

「あの機体の名前はエレメント 漆黒。といってNDCが開発した機体の一機であり。私たち三人の専用機のベースとなった機体なの」

「「!!!」」

 

二人は驚いていた。

 

「驚くわよね」

「はい」

「うん」

「でも、何で?お兄ちゃんが持っているんだろうあの機体を」

 

簪ちゃんが疑問を口に出す。

 

「簪、多分あの機体を操りきれるのはあなた達のお兄さんか千冬さんクラスじゃないかな。だから、」

「だから、私たちには乗せなかった。いえ、あの機体のスペックを思い出してみれば確かに予想できたわね」

 

詩乃ちゃんが最初に話、私がその後に続いて話した。

この間も試合は続いていく。

 

「そうよね。お兄ちゃんなら私たちの癖や動き方まで分かっているわよね。だから、機体を纏った時に違和感が少なかったのね」

「そう言えば私の時も他の機体にも乗ったけど一番しっくり来たのが今の専用機だった」

 「もしかして、私たちが会った社長って、お兄ちゃんの?」

 「確かに、それなら何となく私たちを見守るような雰囲気なのにも納得いくかもしれない」

 

私と簪ちゃんは二人で話し合っていく。すると

 

 ドガーーーーーーン!!!

 

 大きな爆発音がなった。

 

 「な、なにが!?」

 「これは!」

 

 虚ちゃんと本音ちゃんは何が起こっているのか分からないようだが。私たちにはわかっている。お兄ちゃんが起こしたものだということを。

 

 「これは、一度はなった炎の銃弾は消えても別の銃弾を当てるともう一度発動してその時は大爆発を起こすようになっている。私の機体にも積まれている。まぁ、作動しない条件もあるけど・・・・・・。

 だから、リバイバル、復活と名付けられたの」

 

 詩乃ちゃんの言葉に周りで聞いていた人たちも引いている。と言うのもアリーナのような密閉空間では攻略法がわからない限り最悪な能力だろう。

 

 (オルコットちゃんは相手をなめすぎたわね)

 

 BT兵器を使うことなく敗れたのだからこれ以上ないほどの屈辱だろう。相手を見下していたが故の結果である。

 




セシリアは本気も出せずにボロ負けです。次回は一夏との戦闘です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話

千冬side

 私は今、一夏とピッドで待機している。篠ノ之も来ていたがここは関係者以外立ち入り禁止のため無理やり追い出した。

 

 「な、何だよ!あいつ卑怯だろ!」

 

 一夏は蒼羅の戦いに文句があるようだ。

 

 「はぁ、織斑そんなバカなことを試合中に言うなよ」

 「何でだよ!あんな戦い方卑怯だろ!それに、男なら正々堂々と勝負をしないといけないだろ!」

 「はぁ」

 

 私はまた、ため息を吐いてしまった。もう今ではそんな時代ではないというのに。

 

 (一夏自分の考えを他人に押し付けるのはいい加減にやめろ。出なければお前に待つのは破滅だぞ)

 

 何度言ってもわからない弟のことを心配するのだった。

 

蒼羅side

 「ふぅ」

 

 俺はピッドに戻ってエネルギーの補給を待ちながら一休みしている。

 

 『更篠、エネルギーの補給まであとどのぐらいだ?』

 「そうですね。後五分ぐらいですね。ギリギリだったもので」

 『双炎銃など使うからだ』

 「最初から速攻で倒すのと本気を出す前に叩くのが前提で戦っていたので」

 『はぁ』

 

 千冬はため息をついている。俺はそれに肩を竦ませるにとどめた。

この双炎銃の一番のデメリットは炎の銃弾を撃つためにシールドエネルギーを消費するのである。

 そして、密閉空間なら早く勝負を終わらせるためには一番使いやすいのである。

 

 『なら、五分後に試合を開始するがいいか?』

 「いいですよ」

 

 千冬はそれを聞くと連絡を切った。

 

五分後

 「さて、出るぞ」

 

 俺はカタパルトから出撃した。

 

 「おい!さっきの戦いは何だよ!?蒼羅!」

 

 俺が出てくると織斑がいきなり文句を言ってきた。

 

 「戦いは戦いだろ?何が気に入らないんだ?」

 「そんなの、あの戦い方に決まっているだろ!あんな不意を突くような戦い男がしていいわけないだろ!」

 

 織斑の言葉に同調するかのように観客席から少なくない罵倒が俺に飛んできた。まぁ、女尊男卑の連中だろう。

 

(というよりこの機体を作ったのは俺じゃないのに俺に文句を言われても困る)

 

そんなことを思いながら織斑の様子を見る。

 

 (はぁ、ヤジを飛ばしている連中の中には三年もいるのかよ?あいつら大企業の一つの就職先自分たちで潰したよ)

 

 自分たちの企業で作った物を悪く言う連中を就職させる企業はいないだろう。

 

 「そうかい、わかった。不意(・・)を突かずに真正面から戦えばいいんだな?」

 「そうだ!」

 

 『試合    開始!!!』

 

 開始の合図がなされると俺は一つの剣を呼び出した。

 

 「さぁ、始めよう」

 「望むところだ!この剣で俺はお前のその腐った根性を叩きなおす!」

 「その剣は・・・・・・」

 「この剣は千冬姉の剣、雪片だ!今の俺は負ける気がしねぇ!」

 

 織斑のその言葉に俺は呆れを感じたがそんなことで表情に出す俺ではないので平静を装う。

 織斑が真っ直ぐ突撃してきたため一つの大剣を呼び出した。

 

「うぉぉぉぉおおおぉ!!!」

「うるさいぞ」

 

 織斑は剣を振り下ろしてくるのに合わせて俺は雪片に向かって大剣で横にないだ。

 

 ガギンッ!!!

 

 雪片と大剣がぶつかり合う。勝敗はこちらに軍配が上がり織斑はその衝撃で後ろへと押された。

 そのまま見逃すわけはなく俺は追撃して大剣を振り下ろす。織斑は防ごうとするも織斑は大剣の威力に負けて地面と激突した。

 

 ドガン!!!

 

 「ウワァァァァァ!!!」

 「織斑この大剣を防ぐのは無理だぞ」

 「な、なに?」

 「この大剣は、物体とぶつかったとき瞬間的に重力を発生させる『重力(じゅうりき)剣』。お前の雪片では力のぶつかり合いでは勝ち目はない」

 

 俺のこの話に一部の女子達が「卑怯よ!」「そうよ、卑怯よ!」などと文句を言ってくる。その様子に呆れた。

 

 「て、てめぇ!最初から真面目にやる気がないんじゃないか!」

 「お前は勘違いしている俺は不意をつかないといったんだ」

 

 織斑は激高してくるが俺は冷静に返す。

 

 「それに、しょうがないだろ?武器がさっきの双炎銃とこれしか今(・)は(・)入ってないんだから」

 「な、なんだと!」

 「さて、終わらせよう」

 

 織斑に冷めた目を向けながら剣を振り下ろす。織斑は間一髪のところで躱したが剣の振り下ろした後にはクレーターが出来ていた。

 

 「俺はお前を許さない!こんなやり方で倒そうとするお前を千冬姉のこの剣で絶対に倒す『零落白夜!』」

 

 織斑のその言葉に俺は白けた目を向ける。

 

 (千冬はこの剣を使ってもそんなことを一度も言わなかったぞ?と言ったところで聞く耳を持たないだろうな)

 

 織斑が斬り掛かってくるが何度か躱して重力剣で隙だらけの腹に叩き込む。

 

 「グアッ!」

 

 織斑はそれで吹き飛ぶ。

 

 「はぁ、つまらないな」

 「何だと!」

 

 俺はそう呟き織斑に背を向け戻ろうとする。

 

 「逃がすかぁぁぁぁ!!!」

 

 織斑が俺に数センチと迫ったところで

 

 『試合終了!!!白式 シールドエネルギーエンプティ 勝者 更篠蒼羅!!!』

 

 そのアナウンスにほとんどが「なぜ?」と言う表情になったが零落白夜の能力を知っている者は理解しているだろう。

 この後、オルコット VS 織斑が行われたがその試合内容はオルコットがギリギリで織斑に勝利した。

 こうして、クラス代表決定戦は幕を閉じた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一話

蒼羅side

 『すまんな、一夏が迷惑をかけた』

 

 俺がピッドに入って直ぐに千冬から連絡が入った。

 

 「構わない。だが、いつか破滅するぞ?あいつはまだ守られる子どもとはいえ自分の立場を理解してなさすぎる。ないとは思うがこの三年間で成長しなかったら職を持てないぞ?」

 『わかっているさ。だがな、あいつは私が何度言ってもわかろうとしない。なぜ、こうなったのか私が聞きたいぐらいだ』

 「脳でも見てもらってほうが良いんじゃないのか?」

 『一度本格的に考えた方がいいかもしれんな』

 

 冗談で言ったことなのだが、真に受けてしまったようだ。

 

 (真に受けたなぁ。冗談だったんだが)

 

 『まぁ、その話は良いだろう。クラス代表はやらないだろ?』

 「やるわけがない」

 

 俺は即答する。

 

 『だろうな。では、織斑かオルコットになるか。はぁ』

 

 これからのことを思い溜息を吐く千冬。

 

 「大変だな」

 「全くだ」

 「今晩は俺のところで食べるか?」

 『頼む』

 「分かった、準備して待ってるよ。こっちもこれから話をしないといけないしな」

 

 扉の方に目をやる。

 

 『そういうことか。では、あとで』

 「ああ」

 

 何が言いたいのか察してくれた千冬が通信を切った。その後、直ぐに扉が開いた。

 

 「お兄ちゃん説明して!」

 「そうだよ、お兄ちゃん」

 「そうですね」

 「そうだね~」

 

 入ってきたのは楯無たちで入って来て早々問い詰めてきた。

 

 「まぁ、話すことは色々あるが今度の休みにNDCに武装を取りに行くことになっているからそこで話をしないか?」

 

 俺の言葉に楯無たちは顔を見合わせた。

 

 「わかったわ。ちゃんと話してね」

 「うん、私も良いよ」

 「わかりました」

 「了解なのだ~」

 

 四人から了承を貰いこの話を一旦終わりにし俺たちはそれぞれ帰路についた。

 

千冬side

 「一夏!何だ、あの体たらくは!あのような卑怯者に負けるなど・・・・・・」

 

 私が少し更篠と話すために席を離している間に篠ノ之がやってきており一夏を叱っていた。

 

 (卑怯者かあいつの実力なら一夏だけでなくほとんどの者が一瞬で終わるだろう。あいつにはそれだけの実力がある)

 

 そう思ってもこいつらは納得しないのだろうなと考えながら一夏たちに近づいていく。

 

 「さて織斑、お前にこれを渡しておく。専用機の所持に関する注意事項だ。捨てるなよ、今度は知らんぞ」

 「うっ!わかった。ちふ「織斑先生だ」織斑先生」

 

 今度は知らないと釘を刺され気まずい表情になる一夏。

 

 「奴の実力ならお前もオルコットも瞬殺されるのがオチ、もっと言うなら遊ばれているだけだ」

 「なっ!あいつ遊んでいるって言うのかよ!」

 「千冬さん!一夏があんな卑怯な奴に負けるというのですか!」

 

 一夏と篠ノ之は納得せず噛みついてきた。

 

 「織斑、篠ノ之ハッキリ言うがそれは、お前たちが弱いからだ。奴に真面目に相手をしてほしいのであればもっと強くなれ。それに、今のままのお前たちでは絶対に勝てんぞ?」

 「どういうことだよ?」

 

 怪訝な表情になる一夏と篠ノ之。

 

 「お前らの今の努力は更篠からすれば全然足りない尚且つお前たちは成長しろ、出なければ追いつかないぞ」

 

 それだけ言うとピットを後にした。

 

 (これであいつらが理解してくれたならいいんだが)

 

 そう考えながら歩きだした。

 

 

 「織斑先生」

 

 私がピットを出てしばらく歩くと真耶が声を掛けてきた。

 

 「どうした?」

 「クラス代表は更篠さんですか?」

 「いや、更篠はやらないと言ったから次はオルコットだな」

 「え!?そうなんですか!?」

 

 真耶は驚く。

 

 「ああ、あいつはクラスの中心には立とうとしないからな」

 「更篠さんのことを知っているのですか?」

 「ああ、よく知っているさ。腐れ縁のようなものだ」

 「はぁ」

 

 私がそれ以上話さないと感じたのか真耶はそう返事をするしかなかった。

 

 「仕事はまだある、早く行って終わらせるぞ」

 「は、はい!」

 

蒼羅side

 コンコン

 

 「開いているぞ」

 「お邪魔する」

 「いらっしゃい、千冬」

 「千冬ちゃん、大変そうね。大丈夫?」

 「星羅無断侵入か?」

 「私が暴れてもいいなら来ないけど」

 「バレるなよ?」

 「そんなミスはしないよ」

 

 千冬に言われても何のそのと躱す。

 

 「冷めないうちに食べちゃいましょう?」

 「だな、話すのは後でいいだろ?」

 「まぁな、私も腹が減っているからその方が嬉しいな」

 

 千冬は普段は見せないであろう優しい笑顔を浮かべながら話した。

 

 「「「いただきます!」」」

 

 こうして夜が更けていく。

 

三人称side

 千冬たちが晩飯を食べている頃一夏の部屋では。

 

 「一夏クヨクヨするなよ、千冬さんはああ言ったがあいつのやり方は卑怯な手で勝ったにすぎん。オルコット相手にあそこまで正面から追い詰めたのだからお前はあの男よりも強いさ」

 「ああ、今度は負けねぇ!」

 

 一夏は千冬の言った言葉に対して努力をして成長しろと言われていると思っているが千冬は努力をして自分の考えを押し付け考えることをやめ成長しろと言っているのが一夏や箒には伝わっていなかった。

 千冬の言葉足らずな所もあるだろうがたとえ話したとしても今回のように一夏の周りが正しいといってしまえば一夏はそちらに流れるだろう。考えなくても周りが自分は正しいといってくれるから。

 そして、箒は一つ勘違いをしている。一夏がセシリアに善戦することが出来たのは慢心が抜けていなく一夏に対しても見下す状態のためそれが、仇となり善戦することが出来たのである。

 また、セシリアは自分が強いと思っているようだが学園の専用機持ち(一夏を除いた)の中でも一番弱いことに気づいていないことも彼女を慢心させる要因だろう。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十二話

蒼羅side

 クラス代表決定戦が行われた翌日クラスの女尊男卑者数人が白い目で見てきた。

 

 「蒼兄~!おはよう~」

 「ん?本音かおはよう」

 

 白い目など気にしないとばかりに本音が抱き着いてくる。まぁ、俺もこの程度の事では大して気にしないが。それに、白い目でみてくる主義者の連中をさらに白い目で見ているのがいることに主義者どもは気づいていないようだ。

 

 「朝から元気だな、お前は」

 「えへへ~」

 

 俺は本音を撫でながらHRまでの時間を潰している。

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 チャイムが鳴り山田先生と千冬がやってきた。

 

 「え~と、それではクラス代表を発表します。クラス代表は織斑一夏くんです。あ、一繋がりでいいですね」

 「え」

 

 織斑は自分がクラス代表になったことに戸惑いを隠せないようだ。

 

 「あの、山田先生、何で俺がクラス代表なんですか?昨日俺は負けましたよ」

 「それはですね「私が辞退したからですわ!」う~私のセリフ~」

 

 山田先生の話にオルコットが割って入った。彼女には学習能力がないのだろう。

一週間前の出来事を覚えていないのだから。つまり、

 

 「オルコット」

 「はい?」

 「貴様はよほど学習能力というものがないのだな?前は私の話を遮って怒られたというのに今度は山田先生か?一度国に戻るか?」

 

 千冬は冷静に話しているように見えるが後ろから黒いオーラが立ち上っている。

 

 「ヒッ!」

 

 オルコットは短い悲鳴を上げた。クラスの女子達も震えるまではいかないが顔を青くしていた。

 こうして、今日も一日が始まった。

 

 

 「さて、今日はISの飛行を実習してもらう。更篠、織斑、オルコット前に出ろ」

 

 あれから時間が過ぎ今はISの実習訓練を行っている。

 

 「「「はい!」」」

 「ISを展開しろ」

 

 千冬に言われて俺とオルコットは直ぐに展開したが。

 

 「織斑、早く展開しろ」

 「わ、わかった「公私混同するな!はいかいいえで答えろ」は、はい!来い白式!」

 

 織斑は千冬に言われてようやく展開できた。

 

 「よし、飛べ!」

 

 千冬の指示で俺たち三人は飛んだ。

 

 『どうした織斑、白式のスペックはブルーティアーズよりも上だぞ。早く慣れろ』

 「は、はい!」

 

 織斑は何とかしようとしているが上手く飛べないでいた。

 

 「難しいな」

 「一夏さん、イメージは所詮イメージです。深く考えない方がいいですわよ」

 

 オルコットが織斑に並んで話をしている。オルコットの態度が何故か織斑だけに対して軟化している。どうやら織斑に惚れたようだ意味が分からない。

 俺に対しては、「あなたのような不意をつく卑怯者、私は許しませんわ!」と言われた。本音が抱き着いていなければぶん殴っていただろう。

 なので、俺の部隊の奴にイギリスへ情報を流すように言っておいた。織斑の発言の件もあるから酷いことにはならないだろうが仮にも代表候補生、何らかの処罰は今日中には下るだろう。

 

 『よし、止まれ。そこから、急降下から急停止地面から10㎝で行え』

 「了解。先に行かせてもらう」

 

 俺から降りていき次にオルコットが降りて俺とオルコットはクリアした。

 

 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 だが、織斑は止まらずに地面と激突した。

 

 「バカ者、誰が地面に穴をあけろと言った」

 「一夏、あれほど私が教えてやっただろ!」

 

 千冬はどこか呆れながら言った。それに対し篠ノ之は怒りながら文句を言い出した。

 

 「一夏さん、大丈夫ですか!?」

 「ISを纏っているのだからこのぐらい大丈夫に決まっているだろう」

 「あら、篠ノ之さん私は普通のことをしただけですわ」

 

 オルコットと篠ノ之が言い合いを始めたが今が誰の時間か忘れているようだ。

 

 「オルコット、篠ノ之よく貴様らは私の時間にそんなことをできるな。特にオルコット貴様は今朝怒られたばかりだと思ったのだが私の気のせいか?それとも、貴様は自分の方が偉いとでも思っているのか?」

 「い、いや。あの、これはその」

 

 ゴツンッ!

 

 「~~~~~っ!!!」

 

 オルコットは弁明しようとするが何も言い返すことが出来ず今日は連続で千冬を怒らせたのもあり千冬の鉄拳が下ろされ悶絶するのであった。

 

 「篠ノ之、貴様も貴様だ、何を勝手に出てきている?それに、教えた?それでこうなったというのは貴様の教え方が下手だからだろう?」

 「そ、そんなことはありません!!!一夏が理解できないのが悪いんです!」

 

 と言っているが篠ノ之の教え方は擬音のオンパレードと俺は聞いているので理解できるのは殆どいないだろう。

 

 「そうか。だがな、篠ノ之。他人に教えるということは相手が理解できるように自分が教え方を変える必要がある。それが人に教えるということだ。わかったか?もし、わからないというなら織斑に教えるのをやめろ、織斑のためにならん」

 「はい・・・・・・」

 

 篠ノ之も千冬に言われると反論することはできずに言い負けた。

 こうして、この時間は終わったのだった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十三話

タグ追加しました。


蒼羅side

 「お兄ちゃんいらっしゃい。どうしたの?」

 「何、お前がちゃんと仕事をしているのかなと思って様子を見に来たんだよ。楯無」

 

 俺は放課後となり生徒会室にやってきた。

 

 「む~お兄ちゃん、私の事「そう言えば昨日もサボりましたよね」うっ!虚ちゃん!」

 

 楯無が文句を言おうとしたがお茶を入れてきてくれた虚があっさりとバラしてしまった。

 

 「全く、何度も言っているんですが」

 「楯無。サボるな、なんていうことは言わないが虚だって忙しいんだ。そういう時は虚も休ませてやれよ」

 「わかったわ・・・・・・。//////」

 

 楯無がわかったというので俺は頭を撫でてやる。

 

 「むぅ~」

 

 虚が羨ましそうに見ていたので虚の頭も撫でた。

 

 「//////」

 

 虚は恥ずかしそうに顔を朱に染めた。

 

 「さて、ふざけるのはこの位にして本題に入っていいか」

 

 俺は頭を撫でていた二人から離れて真剣な顔つきで聞く。

 

 「本題?」

 「ああ、オルコットの件だ。こっちに情報が届いていると思ってな」

 

 俺がそう言うと「「ああ」」と言う二人。

 

 「これです。蒼羅様」

 「サンキュ」

 

 俺は虚から書類を受け取る。そこに書かれていたのは

 セシリア・オルコットには『GW並びに夏休み期間全てを本国での代表候補生としての再教育を徹底する。尚、GW、夏休みまで今回のように不用意な発言、行動において国際問題を引き起こした場合は退学させる。再教育を行っても治らない場合も退学とする』というものだった。

 

 「まぁ、大体予想通りかな。これ以外にも多分オルコットには罰は課せられているだろうな」

 「そうね。あるとするならば織斑君のデータの収集かしら?後は、自国に招けるようにとか?」

 「まぁ、おそらくそうでしょう。でなければ国の名誉を守るために退学させられているでしょう」

 

 虚の言う通りイギリス政府は織斑のデータを取れるし自国に招待することも出来ると踏んでいるのだろうが。

 

 「ま、無理だろうな~」

 「何が?お兄ちゃん」

 「いや、織斑がオルコットに振り向く確率がないなって」

 「確かに織斑君はかなりの鈍感だそうだしね」

 「そう言うことだ」

 

 (織斑の鈍感具合は異常だからな。まぁ、その他にもあいつに好きな奴がいるというのもあるが話さなくていいだろう)

 

 「それともう一つ、どうやってイギリスのしかも女王陛下にこの情報を与えたの?」

 「そんなの、俺の部隊にイギリスの女王陛下と通じているのがいるからそいつを通して伝えたに決まっているだろ」

 

 その言葉に二人は唖然とした表情になっている。まぁ、海外にまで俺の手が伸びていれば驚くかそれが、女王陛下となれば尚更。

 

 「通じている人がいるならその人から聞けばいいんじゃないの?」

 

 楯無がそう言ってきた。

 

 「そうだが、何度も接触すれば勘づくものもいるかもしれないしな。用心に越したことはない」

 「それはこの学園に敵がいるかもしれないと?」

 「さあな。だが、味方ばかりではないだろう?」

 「そうだけど・・・・・・」

 

 楯無は何も言えなくなる。

 

 「そういえば、今日は織斑君のクラス代表就任祝いがあると聞きましたが行かれないのですか?」

 

 虚がふと話題を変えた。

 

 「行かないな。興味がないしガキどもに混ざってはしゃぎたいわけでもないしね」

 「確かにそうね。でも、織斑君もよくあそこまで自分が正しそうに言うわ。それに、女尊男卑の連中も」

 

 クラス代表決定戦で俺に卑怯者だとか言っていた連中はやはり女尊男卑の連中のようで俺の評価を落とすために色々言っているようだがほとんどの生徒には相手にされていないそうだ。

 それだけじゃなく、企業の方にもそのことを伝えたら「就職しようとするバカは流石にいないでしょ?考えるまでもなく不合格通知を次の日には送りかえす」ということらしい。

 織斑とは今日は何も話をしていない。まぁ、俺を睨んでくるから自分が悪いとは思っていないのだろう。

 

「そう言えば話は変わるけど、二組に転校生がやってくるそうよ」

 

 俺が考え込んでいると楯無が唐突に話してきた。

 

 「今の時期に?」

 「中国の代表候補生よ」

 「ということは俺たち目当てか?」

 「ええ、専用機を持っているみたいだからクラス代表は変わってくると思うわ」

 「だろうな。これで、全員専用機持ちによる戦いになるわけか」

 

 (だとしても優勝候補は変わらないだろうな)

 

 コンコン

 

 そんなことを思っているとドアをノックする音が聞こえた。

 

 「誰かしら誰も来る予定はないのだけど?」

 「この気配は千冬だな」

 「虚ちゃん開けてくれる?」

 「分かりました」

 

 ガチャ

 

 「すまんな、急にきて」

 

 虚がドアを開けるとそこには千冬がいた。

 

 「いえ、どうしたんですか?」

 「蒼羅お前もいたか。少しな、問題でもないのだが・・・・・・」

 「「「???」」」

 

 俺たち三人は珍しく言いよどむ千冬の様子からでは何もわからず首を傾げた。

 

 「実は、クラス対抗戦を表向きは抽選ということにするが、今回は教師陣の方で相手を選んで行うことになった」

 「「「はい?」」」

 

 いつもは抽選であるはずのクラス対抗戦をなぜ今年は教師陣が決めるのか疑問に思った。

 

 「理由は?」

 「実はオルコットのあの態度で、お前にあっさり負けたせいで代表候補生そして、専用機持ちの実力を一年の中で疑うものが出てきている。そのため、代表候補生の実力を見せる必要がある」

 「なるほど。でも、それだとオルコットの立場が下がるんじゃないのか?」

 

 オルコットの立場が大変になるだろう間違いなく。

 

 「代表候補生ならそれぐらいバネにできなければオルコットはそこまでということだ」

 「厳しいね。だが、オルコットの身から出た錆。同情の余地はないな」

 

 そう言って、話を一旦区切り次に教師陣が決めるという話に移る。

 

 「それでも、教師陣の方で決める必要はないのでは?織斑君以外は代表候補生ですよ?」

 

 楯無が千冬に聞く。

 

 「ああ、それだが更識妹と朝田の二人が私と二対一で戦ったのは知っていると思うが。その映像を見た教師たちが『この二人が戦うのは絶対に決勝の方がいい!』と言って盛り上がりを重視された。まぁ、無論実力の高い者同士でもあるが四組までしかないんだ抽選ではなくこちらで決めてもわからないから盛り上がり重視でもいいだろう。と教師陣のほとんどの見解だ」

 

 (((いいのか教師陣それで)))

 

 と俺たち三人は同じことを思った。

 

 「後は、簪ちゃんと詩乃ちゃん二人の実力は私も知っているので何も言いませんけど今度転校してくる二組の子は?」

 「転校してくるあいつの戦闘映像を見たがあの程度では勝てん。それに、あいつはあいつでオルコット以上に負けん気は強いから慢心もしているだろう。まぁ、それを踏まえても三組と四組のクラス代表の実力が桁違いに上だ」

 「だろうな。三人に行なった訓練はかなりのレベルにしてあるからな」

 「お兄ちゃん、本当?確かに何度か死にかけたけど」

 

 楯無が聞いてきた。

 

 「マジだな。お前たちのやっていることなんて俺たちが中学生の時には出来たものを行わせているだけだぞ?」

 「嘘!?」

 「私もやったぞ」

 「化け物スペックの二人に私たちを合わせないでください!!!」

 

 俺と千冬の言葉に楯無の叫び声が生徒会室に響いた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十四話

次回から不定期にさせてもらいます。


蒼羅side

 「ねぇねぇ、織斑君転校生の噂聞いた?」

 「転校生この時期に?」

 

 俺が教室に入るとそう話しているのが聞こえた。

 

 それから少しすると

 

 「二組だって専用機持ちがクラス代表になったの、そう簡単に優勝はさせて上げないわよ!!」

 

 元気な声が聞こえてきた。

 

 「鈴?お前、鈴か!」

 「ええ、そうよ!この凰鈴音が二組のクラス代表よ!」

 

 その後もやり取りをしていたがそこに

 

 「おい、凰。貴様、HRの時間だというのによくここで話をしていられるな?」

 

 その声が聞こえると鳳の動きが固まり「ギギギ!」という音がつくような感じで振り向くとそこにはこのクラスの担任の千冬がいた。

 

 「ヒィ!ち、千冬さん」

 

 鳳は千冬に怯え後ずさりする。

 

 「織斑先生だ。さっさと自分のクラスに戻れ、バカ者!」

 「は、はいぃぃぃぃ!!!」

 

 千冬の言葉を受けて猛ダッシュで自分のクラスへと戻っていく鳳であった。

 

 「一夏!あいつとはどういう関係なのだ!」

 「そうですわ!」

 

 篠ノ之とオルコットをはじめとして数人が詰め寄るがそんなことをすれば

 

 「貴様らはそんなに放課後に残りたいのか?ならば放課後に補習をするか」

 

 千冬の言葉に顔を青くし女子達は直ぐに自分の席へと戻っていく。

 

 「全く、学習能力のないバカどもが」

 

 よほどストレスが溜まっているのか言葉遣いがいつも以上に乱暴になっている。今日はもう逆らわない方が良いだろう。クラスの女子達も二度と逆らわないといった表情を浮かべている。

 

数時間が経ち昼食

 俺は誰にも見つからないように自分のクラスを抜けて生徒会室にやってきた。

 

 「入るぞ~」

 「どうぞ~」

 

 中に入ると虚と楯無がいた。今日は楯無と虚に昼食を作ってきて一緒に食べることになっている。

 だが、楯無がなぜかぐったりと机に突っ伏していた。

 

 「楯無どうした?」

 「今日、織斑先生の授業があったんだけどものすごく不機嫌で私が相手に選ばれて死にかけた、お兄ちゃん何か知らない?」

 

 楯無は顔を少し上げ聞いてくる。

 

 「そんなことがあったのか。今日は鳳が教室にやってきてから連続で怒ったからじゃないか?それに、最近忙しそうだからな…だいぶストレスをため込んでいるみたいだぞ?」

 「何をしているのよ!?今日は予定にもない模擬戦を行うっていきなり言い出して私が対戦することになったのよ!!おかげで私がひどい目にあったわ!!!」

 

 涙目でそう訴えられた。

 

 (それにしても、授業中にまで予定を変更して戦うとはよほどストレスが溜まっているみたいだし織斑達の命日も近いかもしれないな)

 

 「それを俺に言われても、簪か詩乃にでも言って自分の分までぶっ飛ばしてきてくれって頼めば?」

 「そう、ね。それで行きましょう!私を怒らせたこと後悔させてやるんだから!」

 

 その頃、ツインテールの彼女は悪寒を感じて身震いしたとか。

 

簪side

 今日は、お姉ちゃんから詩乃と一緒に呼び出されてなぜか中国の代表候補生に当たったら私の分までぶん殴ってと言われた。

 理由を聞いて私自身も納得したけど、織斑先生と戦うなんて死に物狂いだよね。私も詩乃と一緒に戦ったけど死を覚悟したもん。

 強すぎだよ織斑先生。

 

 「かんちゃんどうしたの~?」

 

 隣にいた本音が声を掛けてきた。どうやらかなり考え事をしていたようでもう少しで部屋につくところだ。詩乃はお姉ちゃんとの話の後に用があるからと別れた。

 

 「何でもないよ、お姉ちゃんとの話を思い出していただけ」

 「そうなの~?」

 「うん、大丈夫だよ」

 

 私は本音にそう言い前を向く。

 

 「一夏のバカ!!!女の子との約束を覚えていないなんて最低よ!!!」

 

 そんな声が聞こえると。一つの扉から一人の女子が出てきた。

 

 「本音、あれって」

 「あれ~?あの子、中国の代表候補生だよ~」

 

 本音が教えてくれた。

 

 「そう、でも関係ないからスルーしようか」

 

 何だか面倒そうな感じがしたからそう言う。

 

 「何見てんのよあんたたち?!」

 「大声で部屋から出てきたらみんな見るでしょ?」

 「ぐっ!うるさいわね!今あたしはむしゃくしゃしているのよ!」

 「それが何?」

 

 私はそう言うしかなかった。怒りで頭が冷静じゃないのだろう。ということは

 

 「何ですって!?」

 

 ほら、やっぱりそう言ってくる。

 

 「・・・・・・」

 

 私たちはしばらく睨み合う。

 

 「まぁいいわ!一夏!覚えておきなさいよ!」

 

 先に目を逸らし織斑君の部屋に向かって廊下で叫びその場をさっさと離れる中国の代表候補生。

 

 

 私たちは部屋に戻ってきた。

 

 「なにあれ?大して強くもなさそうなのに偉そうでムカついたんだけど?」

 

 私はNDCでの訓練である程度は相手の実力をある程度は測れるようにはなっている。

 

 「そうだね~」

 「はぁ、彼女のことは後回しにして問題は詩乃だね。間違いなく一番の強敵になる」

 「うん私もそう思うよ~」

「負けられないから織斑先生に鍛えてもらうように頼んだんだもん」

 

 そう言いつつ私は織斑先生との会話を思い出す。

 

 『失礼します。織斑先生は居ますか?』

 『更識妹どうした?』

 『私に稽古をつけてください』

 『ほう、だが私は一組の担任なのだが』

 『でも、誰も教えてもらうように頼んできていないんですよね。誰もいないならつけてください』

 

 私はその辺を既に調べておりそう言う。

 

 『はぁ、確かにそうだが。そこまでしてなぜ私に拘る?お前の兄もいるだろう?』

 『詩乃はおそらくお兄ちゃんに教えを乞いに行ったと思うから。詩乃の戦い方ならお兄ちゃんの方が私も良いと思います。同じ武器を使っていますし』

 『なるほど確かにな。良いだろうだが、私の特訓は生半可なものではないぞ?』

 

 織斑先生が挑発するように言ってくる。

 

 『望ところです。それに・・・・・・』

 『それに?』

 『どっちに頼んでも生半可ではないんでしょう?』

 

 そう聞くと織斑先生はキョトンとする。

 

 『それもそうだな。ならば、明日の朝から始める今日はゆっくり休めよ』

 『はい』

 

 織斑先生は直ぐに復帰しそう言い私は返事をした後、職員室を後にした。

 

 「詩乃に勝つために。それから、クラスの人たちにも協力してもらうように頼まないと」

 「うわ~かんちゃんやる気MAXだよ~」

 

詩乃side

 私は簪たちと別れてからある人を探していた。

 

 「ボス」

 

 人気のない屋上で横になっている私のボス 蒼羅様に会いに来た。

 私はボスの部下で一番の新参者だ。

 

 「詩乃どうした?」

 「ボス、私は簪に負けたくありません」

 「そうか」

 「ですが、今のままでは簪に負けそうな予感がしています」

 「ほう、その心は」

 「簪はおそらく織斑先生から教えを乞うでしょう」

 「なるほどな。それならお前が負ける可能性も出てくるわな」

 

 どこか面白そうにそう言うボス。

 

 「楽しそうですね」

 「おう、妹と妹分の対決楽しみに決まっているだろう」

 「ボス。私はあなたの」

 

 私はその先を言おうとするがその前に

 

 「俺はいや俺たちはお前に新しい道を歩んでほしいと思っているんだがな」

 

 その言葉に私は苦笑した。

 

 「無理ですね。私はボスたちとともに生きることを望みます」

 「そうか」

 

 ボスは何処か悲しそうな声を出す。

 

 「明日の朝から始める。早く戻りな」

 「はい」

 

 私はそのまま屋上を後にする。

 

蒼羅side

 「大変そうだな?」

 

 詩乃が屋上を後にして数分後千冬が現れ声を掛けてきた。

 

 「お互いにな」

 「やはり詩乃は・・・・・・」

 「ああ、困った連中だよ。部下にしてくれなんて」

 「ふっ、それもそうだな。だが・・・・・・」

 「ああ、あいつらの目を見ると断れないんだよな」

 「あいつらは一夏たちとは違いちゃんと覚悟がある」

 「そうだな・・・・・・」

 

 俺たちの間にしばらくの沈黙が続いた。

 

 「早く寮に戻れよ」

 「ああ、千冬も無理はするなよ」

 

 千冬に言われ俺は起き上がり寮に戻る。千冬はまだ仕事が残っているのか職員室の方へと向かって行く。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十五話

久しぶりの投稿です。
農業をしているのでこれから忙しくなるので投稿は更に遅くなると思います。


蒼羅side

 「そろそろ来ますね」

 「ああ」

 

 今日は土曜日で半日授業の後、俺は校門前でNDCの機体を使っている三人と布仏姉妹を待っている。時間前ではあるが既に湊が迎えに来て俺の隣で待っている。

 

 「「お兄ちゃん!」」

 「蒼羅様!姉さん!」

 「蒼兄~!湊お姉ちゃ~ん!」

 「どうも」

 

 全員がやってきた。

 

 「さて、それじゃ出発しますか」

 

 時間は押していないが直ぐに出発する。

 

???side

 「ターゲットが学園から出ました」

 「そう。フフッ、男が神聖なISを動かすなんて言語道断よ。消してやるわ」

 「「「はっ!」」」

 

蒼羅side

 「着いたぞ」

 

 あれから時間が経ちNDCへと着いた。

 

 「お待ちしていました」

 

 入り口で待っていたのはクロエであった。

 

 「クロエ出迎えに来なくてもよかったんだが」

 「ちょうど手が空いていたので」

 「そうか、ありがとう」

 

 クロエの頭を手で撫でる。

 

 「~~~♪」

 

 気持ちよさそうにクロエは目を細める。

 

 

「お兄ちゃんその子は?」

 

 楯無が聞いてきた。

 

 「ああ、束の助手の・・・・・・」

 「クロエ・クロニクルと言います」

 「篠ノ之博士の!?というよりここに居るの?!」

 「ああ、束はこの会社のセキュリティーから開発部門の責任者をやっているんだ」

 「「「ええぇぇぇぇええええぇぇ!!!」」」

 

 楯無たちの驚きの声が響いた。

 

 「そう言うわけでこれからは機体の方は私に言ってくだされば束様に通しておきますので不具合などがあれば仰ってください」

 「「「は、はぁ」」」

 

 楯無たちはあまりに驚きすぎてそう返すのがやっとだった。

 

 「挨拶が済んだら社長の所に行くぞ」

 

 挨拶を終え社長室へと向かう。

 

 「主」

 「うん?どうした湊」

 

 湊が声を掛けてくる。

 

 「私は先に家に戻っておきます。今日は楯無様たち以外にも来るというので料理を豪華にしようと思いますので」

 「他に?部隊の奴か?」

 「はい」

 「分かった。楽しみにしているよ」

 「はい!」

 

 湊は礼をして車に乗り込み家に向かって行った。

 

 

 コンコン

 

 「クロエです。皆様をお連れしました」

 「どうぞ」

 

 中から了承の声が出るとクロエはドアを開ける。

 

 ガチャ

 

 「失礼します」

 

 クロエに続いて中に入っていく。

 

 「皆さんお久しぶりですね。機体の調子はどうですか?」

 

 社長室の椅子に座って星羅が話しかけてきた。

 

 「今のところ問題ないです」

 「大丈夫です」

 「私も問題ありません」

 「俺も問題ないな。そうだ、クロエ」

 「はい」

 

 俺はクロエを呼び機体を渡す。

 

 「今、完成してある武装をインストールしておいてくれ。ここで、試しに使っていきたい」

 「分かりました。束様に渡しておきます。皆様の機体もデータを取るので渡していただいても?」

 

 クロエに言われ三人とも機体を渡す。

 機体を受け取るとクロエは部屋を後にした。

 

 「さて、蒼羅。自己紹介はした方がいいわよね」

 「ああ」

 「それじゃあ、改めて自己紹介しましょう。NDC社長の篠原(しのはら)星(ひかり)。本名は更篠星羅で蒼羅の妻です。旧姓は篠ノ之星羅、篠ノ之束の双子の妹よ。あなた達二人から見れば義理の姉になるわね」

 「?!うそ!!!名前が本名じゃないのは何となくわかっていたけど篠ノ之星羅!?更識に提出されている写真と違う!?」

 

 楯無は思わず叫んだ。

 

 「ええ、あなた達に気づかれたくないからね。偽名を使っていたのと更識に提出されている私の顔は別人にしてあるの、と言ってもあなた達の両親にはバレているとは思うけど・・・・・・」

 「「え、えぇぇぇぇぇぇ!!!」」

 

 楯無と虚は驚愕していた。星羅の顔を事前に見ていたからだろう。本音と簪は驚いていない。

 

 「言い忘れてたがいくらか改変してある」

 「さ、先に言ってよ!!!」

 

 楯無は叫んだ。

 

 「そうだ私のことはお義姉ちゃんって呼んで欲しいな」

 

 そう言いながら星羅は二人に顔を寄せる。その時

 

 『皆大変だよ!』

 

 束から通信が入った。

 

 「どうしたの?つまらないことだったらリンt・・・・・・じゃなくてシバクよ、姉さん?」

 『あんまり変わってないからね!?じゃなくて侵入者だよ!!IS二機と他数人を確認したよ!それと、まだ侵入したことにこっちは気づいていないと思っているけどどうする?まだ、動く気配はないけど』

 

 その報告に俺と星羅は顔を見合わせた。

 

 「そうか、こっちの機体の方は?」

 『三人のほうは大丈夫だよ!データの収集だけだから直ぐに出せるけどそーくんの機体はインストール中だから無理だね』

 「そうか・・・・・・なら、三人は機体を取りに行って一旦待機してもらう。状況次第ではお前たちにも動いて貰うから準備しておけ」

 「色々聞きたいことはあるけど後回しね。狙いは確実にお兄ちゃんだと思うけど?」

 

 楯無が聞いてきた。

 

 「だろうな、まぁ、暇つぶしに叩き潰しに行くだけだ」

 「そうね。せっかくの話を邪魔してくる連中に情けを掛けてあげる義理はないしね」

 『わかったよ!!三人とも直ぐに整備室にきて!』

 「「「はい!」」」

 

 俺たちは直ぐに行動を開始する。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。