リリカル武者〇伝 (ぷらもん)
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2005年 一月

なのはの世界が2005年だったこと。武者〇伝がさらに前の2001年だったこと。二重の意味で驚きで、もうそんな昔かぁ……ともの悲しくなってくるお年頃。

年代は違いますが、両作品の時系列をなるたけ守って書いていこうと思います。

完走できるかは未定。


天宮(アーク)の国。

 

そこにはヒト型機械生命体ともいえる存在、武者頑駄無たちが平和に暮らしていた。

 

その世界では何世代、何百年という歴史の中光の『頑駄無軍団』と邪悪な『闇軍団』との闘いが繰り広げられ、常に光側が勝利を収めていた。

 

しかし、かの国は現在、その勝利によってもたらされた数十年にも及ぶ平和が打ち破られようとしていた。

 

 

その原因とは………『是断の門』!! 数百年周期で武者頑駄無たちの世界に接近する謎の小惑星である!! その小惑星はまさに巨大の一言。

 

十字の形をしたその星は地上からも肉眼ではっきりと目にすることができるほど接近すると、その内部から地上に向けて多くの兵を率いる軍団が降下し始めたのだ。

 

その軍団の名は『堕悪(ダーク)闇軍団』。かつて、天宮の歴史の中で頑駄無軍団と戦い続けてきた闇軍団が錬金術によって強化・復活した姿である。

 

その錬金術を操る男こそが『鉄仮面』。素顔を仮面に隠した謎の男である。

 

「ついに、ついに見つけたぞ! 時間と空間の移動を可能とする驚天動地のカラクリ……超時空転移装置(ぶっとびシステム)!!」

 

錬金術師である鉄仮面は、『是断の門』内部で見つけたそのシステムで過去の時代から呼び寄せた闇の武者たちを強化し意のままに操ることで天宮を混乱に陥れる……ハズだった。

 

「汝らに力を授けよう……我が錬金術で!!!」

 

次々と現れ、強化される闇軍団たち、いや『堕悪闇軍団』。しかし、鉄仮面は侮っていた。

 

「その力をもって今度こそこの世を闇で覆いつくすのだ!!」

 

「俺に命令するな!」

 

「なにッ!!!!!!?」

 

鉄仮面の誤算は己の力を過信し、侮ったこと。錬金術による洗脳が効かぬ相手が、強力な『闇』の存在をも召喚してしまったことだった。

 

ザクッ!!

 

巨大な大鎌が鉄仮面を切り裂く。その一撃で絶命した彼の背後に、漆黒の武者がいた。

 

その男こそ、過去の時代で頑駄無軍団を壊滅一歩手前まで追い込んだ魔界武者……『魔刃頑駄無』!

 

否、『堕悪魔刃頑駄無』!!

 

「コヤツらを……堕悪闇軍団を指揮するのはこの……堕悪魔刃頑駄無様だ!!!!」

 

 

こうして。天宮の国にまたしても戦乱の火ぶたが切って落とされた。

 

 

 

 

堕悪闇軍団の侵攻に抗う武者軍団。しかし。何千何万という大軍に押し寄せられようと勇猛果敢に敵を蹴散らす部隊があった。

 

その名は『武者遊撃隊』。

 

「ウォオオオオオオオオオ! 燃えてくるぜ!!」

 

切り込み隊長の武者丸!

 

「命を粗末にするは…愚かナリ!!」

 

鉄機武者、斗機丸!

 

「いかなる敵も恐れはせぬ!!」

 

鎧武者、鎧丸!!

 

三人の若武者たちは、単身宇宙に飛んだ。『是断の門』に殴り込み、堕悪闇軍団の首領、堕悪魔刃頑駄無を倒すために。

 

「オラオラ~~~!!! 姿を見せやがれ堕悪魔刃頑駄無!! この武者丸様が成敗してくれる~~~!!」

 

『是断の門』に突入し、超時空転移装置のある広間にまで侵入した武者遊撃隊。

 

だが、そこで彼らが見たものとは。

 

「な、こ、これは!?」

 

それは巨大なガチャポンだった。いくつも並ぶその中には球形上のカプセルが収められており、内部には……。

 

「號斗丸!?」

 

「紅蓮頑駄無! 武者鷺主!?」

 

「ほかにもたくさんいる!? みんな過去の時代に活躍した武者たちじゃないか?!」

 

そう。そのガシャポンの中に集められていたのは天宮の歴史の中で語り継がれてきた歴戦の無者頑駄無たち。過去の時代で活躍し、その命を終えたはずの彼らがなぜ?

 

そんな疑問に答える者が一人いた。いや、答えられる者など一人しかいなかった。

 

「フフフフ……ハハハハハ!!!」

 

「!? 堕悪魔刃頑駄無!!」

 

超時空転移装置に身を置き武者遊撃隊を見下ろしながら高笑いを上げるのは敵の首魁、堕悪魔刃頑駄無。

 

彼は言う。

 

天馬(ペガサス)の国を知っているか?」

 

と。

 

「伝説によればそこには巨大なエネルギーがあるという……俺はこの装置で天馬の国に行く!! そしてそのエネルギーを手に入れ全宇宙最強の支配者になるのだ!!」

 

「頑駄無軍団は堕悪武者に改造し、我が戦力とするために呼び寄せたのだ!!」

 

「ふざけやがって! 許さねぇッ!!」

 

その言葉に怒り、切り込む武者丸。だが、堕悪魔刃頑駄無はその一撃を軽く受け止めてみせた。

 

「威勢がいいな、若造……。貴様、名は?」

 

「俺は武者丸! 武者遊撃隊の斬り込み隊長だ!!」

 

 

「だあーーーーーーーーーッ!!」

 

「ウォリャッ!!」

 

ズババ、ドォーーーーーーーン!!!

 

斗機丸の斬撃と鎧丸の砲撃がガシャポンを破壊しカプセルから続々と武者頑駄無が解放されていく。

 

「やい、これでテメェの計画もオシャカになったぜ! 観念しやがれ!!」

 

「そうか?」

 

好転した状況に勝ち誇る武者丸であったが、堕悪魔刃頑駄無の余裕は崩れない。むしろ彼はこれを好機ととらえていた。

 

「とんだ邪魔が入ったが……これで我ら堕悪闇軍団の野望がついえたワケではない!!」

 

「なんだと!?」

 

「過去にさかのぼり全ての歴史を暗黒に塗り替えてやる!!」

 

なんと、堕悪魔刃頑駄無が堕悪闇軍団を率いて超時空転移装置に飛び込んでいったのだ。装置は起動し、歴史のカウンターがその転移先の時代を示す。

 

 

その時代は、天馬歴2005年!!

 

 

「やつら……天馬歴2005年の時空に逃げたのか!?」

 

「とにかく追うぞ!」

 

「オゥッ!」

 

未開の時代へすぐさま向かおうとする武者遊撃隊たち三人。

 

しかしその時、目を覚ました頑駄無たちはすぐさま状況を把握し、ともに闘いに向かおうとした。

 

「闇軍団と戦うは我らが使命!!」

 

「「そうだそうだ!!」」

 

その数、四十四名!!!

 

「「え、ちょっ!?」」

 

「「「行くぞーーーー!!」」」

 

「「「おぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」

 

「わぁあああああ待て待てマテ!?」

 

「そんな一気に押しかけたら装置が!?」

 

真面目でどこか抜けているおっちょこちょいなのが玉に瑕な武者頑駄無たち。

 

時代は変われどそんな彼らが集まってさぁ大変。駆け込み乗車は大変危険ですのでおやめください。え? もう遅い? だよね。

 

先に堕悪闇軍団の軍勢を通したにも関わらず、武者軍団は駄目なのか融通の利かない超時空転移装置。それとも限界だったのか、装置はパンパンのおしくらまんじゅうに値を上げて暴走しオーバーフローを引き起こした。

 

「いわんこっちゃなーーーい!!」

 

「うぇえええええ!!!」

 

武者頑駄無たちは制御の失った装置の中、バラバラに分散して時空の渦へと流されていく。彼らがどこに向かうのか、その答えは……天馬の国へ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、2005年 一月。

 

大阪 道頓堀にて。新年を祝う人々が初日の出を見るために集まっていた。

 

空が、割れたのだ。

 

「な、なんやアレ!? 空が裂けてる!?」

 

突如空に空いた大きな穴。そこからキィーーィンという飛行機のような音が響いて、それは降り立った。

 

「姿を見せろ堕悪闇軍団!! こも武者丸様が成敗してくれる!!」

 

ヒト型の未確認物体。それは日本刀に似た剣のような武器を振り回し大阪の街を破壊し飛び回る。その光景に、新年早々災難だと人々は逃げまどっていた。

 

「うわぁぁぁっ!! バケモンだぁあああ!!」

 

「逃げろ!!!」

 

その阿鼻叫喚の騒ぎが近づいてくるのを、たこ焼きの屋台を営む少年と客の少女がいぶかしむ。

 

「なんやろ? なにか向こうが騒がしいで、ススム兄ちゃん」

 

「そうだね? お客さんも逃げちゃって、どうしたんだろう?」

 

少年の名はススム。東京出身の彼はたこ焼き店を営む父親が病気療養中のため、修行を兼ねて大阪に暮らす祖父のもとで生活している。

 

少女の名は八神はやて。彼女も東京出身ではあるが、死んだ両親の身辺整理のため出身である大阪にやってきていた。

 

二人は両親同士が友人であり、幼いころより(今も十分幼いが)の友人である故、こうして新年からも二人で会う仲ではあった。ちなみにススムは小学四年生、はやては二年生である。ススムの弟であるカツミ(三年生)は東京の実家で寝正月中である。

 

「なんだか危なくなってきたかもしれないし、離れたほうがいいかもね。片づけちゃうから待ってて」

 

「ススム兄ちゃん、堪忍なぁ」

 

不穏な空気に、この場からの撤退を始めるススム。自分一人ならまだ粘ってもいいが、今日ははやてがいる。

 

彼女は足が不自由で、車いすなのだ。ただでさえ人が集まる場所、新年の道頓堀近くなどは通りがかるだけで危険で、彼女が一人で自分の屋台まで車いすに乗ってきたときは驚きすぎてタコを入れ忘れてしまうほどだった。

 

はやてはそういうところがある。一人で街中を車いすで移動し、誰の助けも求めない。人からの同情や手助けを嫌い、なんでも自分の力で解決しようと努力する。

 

それは見ていて、どうにも、危なっかしい。

 

一人で頑張るという気概は褒められるところかもしれないが、八歳の少女にはそれでも限度がある。しかも彼女は両親のいない家で一人暮らしだ。今回だって、一人で大阪にまで来たという。

 

正直、心配で仕方ない。だけど彼女はその心配されることを嫌がる。だからそういった諸々を隠そうとする。それではいつか困るのはいつだって自分自身だというのに。

 

「かまわないよ。はやてちゃんは妹みたいなものだしね」

 

「むー。ススム兄ちゃんはいっつもそれや」

 

だからまぁ、『家族』が助け合うことにすれば、この少女も断ることもできないわけで。

 

「よし、じゃぁ逃げようはやてちゃん」

 

「了解や! 兄ちゃん!」

 

ヒュ~~~~、ドォオオオン!!!

 

「「て、なに~~~!?」」

 

意外! それはカニ道楽!! 有名なうごめく巨大なカニの模型。それが二人の真後ろに大きな音を立てて落下した。

 

「で、出てきやがれ……魔刃頑駄無……!!」

 

その上に、赤、白、青のトリコロール色をした人型のナニカが降り立ち、倒れた。

 

「え、えぇえええええええええええ!? なに? ナニコレ? なに!?」

 

「ロボットや! なんかようわからんけど、喋るロボットやよススム兄ちゃん!!」

 

目の前に現れ、その場に倒れる謎のロボット?を前に混乱する二人。それは仕方のない普通のことで、でも二人はそんじょそこらの普通では無かった。

 

「う、ぅぅぅ……力が出ねぇ……」

 

「えっと……どうしたんやろ? 大丈夫かいな君?」

 

「そ、そうか! ハラが減ってんだな! これ喰いなよ! ウマいんだぞ?」

 

逃げるどころか、心配そうに謎のロボット?に近づく二人。ススムに至っては自分が作ったたこ焼きを差し出すほどだ。

 

「(こ、この声……いや、それよりもこの匂いはいったい……腹減った……あぁうまそうぅぅ)」

 

武者丸とススム、はやて。三人の運命ともいえる出会いであった。

 

 

 

 

 

 




はやてって東京生まれの東京育ちらしいです。両親が関西出身で、はやての関西弁もその影響だと。大阪なのかは不明。この作品独自のものとも思いください。

ススム君。〇伝の主人公。ボンボンが送り込んだショタの刺客。道を踏み外した子供たちは今アストルフォちゃんに夢中な大人になっていると思う。


ちなみに、こいつらの再登場の予定はなし!

〇伝は八月スタートで、その時期はA'sなんじゃい!!


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2005年 四月

リリカルなのは(無印)ッてさ。二か月のお話なんだぜ? 


それから三か月が過ぎた、2005年 四月。

 

東京。

 

「いやぁ、なんだかすっかり街に溶け込んだわよねぇ。武者頑駄無って」

 

「なはは、そうだね」

 

お正月に、日本各地に突然現れた謎の生命体、武者頑駄無。その数、四十七名。彼らは日本の都道府県の数と一緒だったことから各県に一人ずつ滞在している。

 

一人ずつ。そう、彼らはロボットのような見た目に反して『人』と扱われている。

 

「頑駄無って、結局機械なの? 生き物なの?」

 

「その中間……?」

 

「結婚して夫婦になって子供も作れるって聞いたよ?」

 

頑駄無は見た目は金属なのに触れば柔らかく、弾力があり伸びる皮膚をもつ。その上、性別もあり、子供をもうけて子孫を残していく生命体だと、政府から発表されたとテレビで見た。

 

「それで、すずかちゃんとアリサちゃんのところに武者頑駄無さんが来るって本当なの?」

 

「うん。なのはちゃんのお父さん達も立ち会ってくれるらしいよ」

 

「なんか、みんな木刀持ってうきうきしてるって聞いたけど?」

 

………何をやってるんだろうか、わたしの家族は?

 

あ、ご紹介遅れました。

 

わたし、高町なのは。小学三年生。

 

それと、友達のアリサ・バニングちゃんと、月村すずかちゃん。三人は同じ小学校に通う大の仲良しさんなのです。

 

今はその放課後。学校の帰り道にみんなで通っている塾に向かっているところです。九歳で塾っていくら何でも早いのでは? って思いました? ところがどっこい、わたしたちの通う小学校はかなりレベルの高い私立の進学校でして。授業だけでは追いつけないところも多いのです。

 

……あと、わたしの親友であるこの二人、アリサちゃんとすずかちゃんは凄いお金持ちのお家のお嬢様で、庶民の家のわたしとは違って様々なお稽古もあるらしいからもう脱帽です。

 

学校の授業で、『将来なんになりたいですか?』なんて先生からの質問に、アリサちゃんは家族が経営する大企業の跡を継ぐために経営学を学びたいとはっきりと言い。すずかちゃんは機械工学の道に進みたいと言っていました。

 

わたしにはそんな具体的な将来の目標なんてありません。せいぜい、人の役に立てることがしたい、それくらいです。

 

二人に比べて、わたしには何ができるんだろう?

 

「(………けて………だ………け)」

 

……え?

 

「今……なにか聞こえなかった?」

 

「え?」

 

「何も聞こえなかったわよ?」

 

塾に向かう近道の大きな池のある公園を歩いているときです。かすかに聞こえた小さな声。それはわたしにしか聞こえていないみたいで……気のせい?

 

「(助けてッ!)」

 

!? 気のせいなんかじゃない!!

 

「こっち!?」

 

「え? ちょっ!」

 

「なのはちゃん!?」

 

確かに聞こえた、助けを呼ぶ声。わたしはその今にも消えそうな小さな声を手繰り寄せるかのように走ります。

 

たしかにこっち、わたしを呼んでいる君は……どこ?!

 

「いた!」

 

公園の木々の向こう。草むらをかき分けたその先に横たわる小さな影。多分、あの子が…ッ!

 

「何よこいつ、ケガしてるじゃない!」

 

「フェレット……かな? えっと、近くの動物病院は……」

 

そこには怪我をして、血でまみれた小さな動物……フェレット? がいました。その子は今にも死んでしまいそうなほどに弱弱しくぐったりとしていました。

 

「よかった……もう大丈夫、大丈夫だからね」

 

 

 

 

 

その後、わたし達は拾ったフェレットさんを動物病院に連れて行きました。診察代とか塾をお休みすることの連絡など大人の人たちに頼らなくてはいけないこともあったので、三人の家族に連絡して、その代表にわたしの家のお兄ちゃんが来てくれました。

 

アリサちゃんやすずかちゃんたちの真っ黒な高級車のお迎えを見送って、お兄ちゃんと家に帰りました。フェレットさんは動物病院に預けてきましたが心配です。

 

あの子、うちで飼えないかなぁ。

 

怪我が治ったら、ううん、治るまでの間も面倒を見てあげたい。そう思うわたしは我が儘なのかな?

 

わたしの家は飲食店を営んでいます。喫茶『翠屋』。家とは別に街中に居を構えているので、店に連れて行かなければ衛生面でも問題ないよね? うぅん、わたしの服とかにも毛とかが付かないように気をつけなくちゃいけないんだっけ?

 

うん、交渉の余地はあると思う。

 

帰ったらお母さんに相談してみよう。

 

我が家の一番の権力者はお母さんなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃。

 

暗い夜道、人通りの多い繁華街で怪しい動きを見せる者たちがいた。

 

「フェイト! もう止めようよ!!」

 

「もう少し……もう少しだから! もうちょっとで届くから!!!」

 

そこには、自販機の下に腕を突っ込んで、小銭を拾おうと必死に手を伸ばす金髪の少女の姿が。

 

……怪しいというか、悲しい?

 

黙って見ていれば美少女である。連れの女性も黙って見ていればスタイルのいい美人である。

 

しかし、地面にはいつくばって小銭を拾おうとしている時点で残念極まりない。周りの生ぬるい視線も突き刺さり、それに耐えきれないのは赤髪の美人のみである。こういう時、子供は無敵である。そして、大人なんだからちゃんと注意しろよ、と周りの通行人たちは無言の圧を突き付ける。

 

つまりまぁ、二人は完全に浮いていた。通報されれば補導待ったなしである。

 

「お嬢さん。お困りなら長い棒はいらんかね?」

 

「ぜひ!」

 

「な、なんだいアンタは?!」

 

そんな二人に近寄ってきた不審者がもう一人。

 

その不審者は全身漆黒。巨大な大鎌を突き付け、人ではない姿をした最近日本にやってきた頑駄無という謎の存在。

 

しかし、別口の。

 

「俺の名は堕悪魔刃頑駄無……ところでいくら落ちてるの!?」

 

「五百円玉です!」

 

「なんだと!? えぇいどけ!! お前にプロの実力を見せてやる!!」

 

その数分後。

 

「もう少し、もう少し!」

 

「よおぅし………取れたーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

「やったーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

「………よかったね、フェイト……(ほろり)」

 

愛用の大鎌を自販機の下に突っ込んで小銭を拾うことに成功した悪の首魁と少女の姿がそこにあった。

 

あと、普通に通報された。

 

逃げた。

 

異世界貧乏共同生活の幕開けである。

 

 




シリアスと思ったか?

ギャグだよ。




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