IS〜運命の切り札を掴み取れ!〜 (proto)
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第1話 誘拐と異常

あらすじ書くのって苦手です。


今作は、CSMブレイバックルの発売記念で
書きたくなっちゃったものです。

よろしくお願いします。


これは、運命の切り札を掴み取ろうとした1人の少年のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は誘拐された。

少年には姉がいた。世界最強の称号《ブリュンヒルデ》の肩書きを持つ姉がいた。

そして今、ブリュンヒルデの称号を掛けた戦いが行われようとして居る。

それ故に少年は誘拐されたのだった。

 

 

廃工場。

少年を誘拐した犯人達はテレビを見ていた。ブリュンヒルデの称号を掛けた一戦のテレビ中継だ。

「お、おい!ブリュンヒルデが決勝戦に出てるぞ!」

1人の男がそう叫ぶ。

「ちゃんと日本政府には連絡入れたんでしょうね?」

声から苛立ちが隠せない女性は、パワードスーツを纏っている。

そのパワードスーツの名は『インフィニット・ストラトス』。通称IS。

それは少年の姉の友人が作った宇宙活動を目的としたものだ。いや、だった。その高すぎる性能が故に、戦争に用いられそうになったが、現在はアラスカ条約によりスポーツ用に運用されている。

「は、はい!たしかに伝えました!」

「はぁ、クライアントからクレームだよ。捕まえたガキは自由にしていいわよ。」

「じゃ、じゃあ!殺さない程度に撃ち殺しても?」

「好きになさい。」

「へへ!ちょうど生きた的が欲しかったところだ!」

「私は帰るわ。足が付かないようにしなさい。」

そう言ってISを纏った女性は奥へと消えていった。

「やったぜ。さて、これからたっっぷりと遊んでやるから……簡単に死ぬんじゃねぇぞぉ〜。んじゃ、的ゲットの景気付けに1発!」

廃工場に銃声が響き渡る。

「ウグッ!グァァァ!」

「いいねぇ♪その叫び、無機物の的には無い痛覚!そそるねぇ、1発にしようと思ったけど、全弾ぶち込んでやる。死ぬなよぉ〜。」

そこで少年の意識は消えた。

 

 

 

 

 

少年は目を覚ます。見覚えのない天井に恐怖心を煽られつつ、重たい体を起こそうとする。

「いっくん!目が覚めたの?」

少年を“いっくん”と呼ぶ、不思議の国のアリスのようなメルヘンな格好に、メカのうさ耳を付けた人物。彼女こそISの開発者『篠ノ之 束』である。

「束さん……!?」

束の手には医療用の何か……、と思われるものが握られていた。

そして、少年……織斑一夏は自身の体確認する。

「傷が……ない。おかしいあんなに撃たれたはずなのに……。」

肉体には一切の傷がなかった。

「束さん、俺が気絶してから……どのくらいの時間が…。」

「………3時間前後だよ、いっくん。」

「………束さんは、俺に何かした?」

「…ううん、まだだよ。」

「……つまり俺は……、束さん。俺ってさ……なんなの?知ってるんでしょ?きっと……。」

「いっくんはいっくんだよ。」

「そうじゃない!異常な再生能力だけでも充分に察しがつくよ!俺は普通の人間じゃないって!」

「……だよね。………わかった、話すよ。他ならぬ本人の…いっくんからの頼みだもんね。」

こうして束は一夏に事の全てを話すのだった。




全くブレイド要素がありませんが、
早くブレイド出したい。

あと、アンデッドは出ませんので、ご了承くださいませ!


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第2話 生い立ちと決断

束さんの口調に違和感を感じられるかもしれません。
が、あらかじめご了承くださいませ!




最終警告 !本話はIS本編の重要なネタバレを含んでおります。
今後IS本編を読む予定がある方、現在読んでいるという方でネタバレを
見たくない方はブラウザバック推奨です。







全てを話すことに決めた束は、場所を移動した。と、言っても、リビングに移動したくらいだ。

「さて、まずは……いっくんは仮面ライダー好きだったよね?」

「え?う、うん。」

「いっくんはある意味それに近い存在なんだ。改造人間、うーんビルドの方がわかりやすいかな?作られたヒーロー的な……。」

束が話を進めようとしているのか、ややこしくしようとしてるのかわからなくなってきた一夏は単刀直入に言って欲しいと束に頼んだ。

「そうだよね。じゃ、じゃあ……いっくんはね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作られた人間なんだよ。」

「………。」

予想していたような、でも聞きたく無かった言葉を掛けられ一夏は困惑する。

「いっくんは、"プロジェクト・モザイカ”通称『織斑計画』……遺伝子操作によって意図的に「最高の人間」を造り出す計画で、これよって作られた1000番目の試作体にして成功体がちーちゃんなんだよ。そしてちーちゃんのデータから、より効率よく「生産」するために生み出されたのがいっくんだよ。

そういう経緯があるから、傷ついた肉体が驚異的な修復をするみたいなんだ。

まあ、天然の素体と言えるこの束さんが確認されたことで計画は放棄・凍結されたんだけど。」

「束さんは、どうしてそれを?」

当然の疑問だった。なぜ、そのような極秘プロジェクトじみた話を知っているのか、ましてやそれが自分のことなら気にならないはずはない。

「きっかけはちーちゃんなんだよ。」

織斑千冬。織斑一夏の姉にして世界最強の存在。

「いくらなんでも、束さんと張り合えるのはおかしいと思ったんだ。友達を疑う……っていうか、詮索するのは良くないとは思ったんだけどね。」

「それで…。」

「さて、いっくん。私は大体の事は話したよ。……で、この話を聞いて、いっくんはどうしたい?」

「どうって?」

「この世界の裏には、色んな人間がいる。もしかしたら、いっくんや周りの人間を狙って来るかもしれない。今回いっくんを誘拐した連中だってそうだよ。そうなった時、いっくんはどうしたい?」

「………。」

束のこの質問に一夏は目を閉じ沈黙した。自分の意思を確かめるように。

そして、目を開いた瞬間。一夏の決断は現れる。

「俺は、………俺は俺を愛してくれた人達のために、俺が愛した人たちのために戦いたい!」

「………まぁ、いっくんだもんね。そういうと、束さんは思ってたよ。………だから、用意したよ。いっくんの力、いっくんの為の剣を。」

一夏に差し出されたカードとバックルは、一夏にとって思い出深いものだった。



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第3話 切り開く運命

一夏の目の前に差し出されたスペードスートのカテゴリーA『Change beetle』とブレイバックル。仮面ライダーブレイドへ変身する為のものだ。

仮面ライダーブレイドは一夏にとって思い出深い作品だ。

たしかに序盤こそオンドゥルなどとネタにされていたが、回を重ねるごとに加速していく話や、最終回衝撃のラストなど、平成ライダーの中で一夏が最も好きな作品だ。

「剣崎さん、ディケイドとかゴライダーに出てくれて嬉しかったなぁ。」

と、結構惚れ込んでいるのである。

「さて、いっくんはこの運命の切り札を掴み取る勇気、あるかな?」

「やりますよ。俺……運命を切り開いてみせます!」

そう言ってブレイバックルとラウズカードを受け取った。

「試運転してみたいでしょ?ちょうどISのテロが確認されたから、鎮圧して来てよ。」

どうやら、束が仕組んだというわけではなさそうだ。

「わかりました、行ってきます。」

一夏は意気揚々と出口へ向かっていく。

「あ、ラウズアブゾーバーはまだ無いからね!」

強化フォームには、なれないようだ。

 

 

 

 

テロが発生したショッピングモールまでブルースペイダーで移動する。

『目標地点まで、あと3キロだよ。』

ヘルメットに内蔵された通信機から、束の指示が聞こえる。

「了解!」

一夏はブルースペイダーのスピードを上げ、到着を急いだ。

 

 

 

 

その頃、ショッピングモール2階では…

ISを纏った5名の内3名が、人質を囲い、銃を向けていた。

そして通信機で何か話しているリーダー格の者が人質に話を始めた。

「今日の午後3時までに日本政府に要求した5億が支払われなかった場合、ここにいる皆さんは殺します。恨むのなら金を渡さなかった日本政府を恨んでね。」

そう告げられた人質たちは時間を確認する。現在午後1:30。日本政府の判断は遅いだろう。人質たちは死を覚悟するという選択肢しか残されていなかった。

そんな時だ、リーダー格の者が何か良いもの見つけたような笑みを浮かべ、人達の中へ。

「これはこれは、更識のお嬢様では無いですか。」

リーダー(ryが接触した少女は、対暗部用暗部家の次女『更識簪』だった。

「あなたを交渉材料にすれば確実に政府は動くでしょう。」

と、ちょうどその時だった。急に大きな音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

一夏はブルースペイダーを走らせていた。が、目的のショッピングモールはすでに警察が囲んでいる。束の情報で二階にいる事は分かっている。が、真っ直ぐ突入できそうになかったので、一夏はブルースペイダーを宙に浮かせて、二階の外壁へ突っ込んだのだった。

中に入って、車体を横にしスペイダーを停める。

「何者?」

その問いに対し、一夏はヘルメットを取らず無言でブレイバックルを取り出した。そしてバックル中心部の〈ラウズリーダー〉にスペードスートカテゴリーA『Change beetle』を装填する。バックル左からカード状のベルト・〈シャッフルラップ〉が自動的に伸長しバックルが装着される。

一夏は右手を左斜め前方へ突き出す、

「変身!」

その掛け声ととも一夏は右手首を返し左腕を右手があった位置に、そして右手で〈ターンアップハンドル〉を引くのだった。



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第4話 変身と初戦闘

一夏がブレイバックルのターンアップハンドルを引く。

『Turn up!』

リーダーが回転し、金のスペードマークが現れ青白く光り、ブレイドアーマーを分解した光のゲートであるオリハルコンエレメントを放出される。

5機のISは一夏を標的とし、既に銃撃を開始したが、オリハルコンエレメントが全ての弾丸を弾く。

そして、一夏はオリハルコンエレメントへ向けて駆け出し、それを通過。仮面ライダー(ブレイド)に変身する。

全身装甲(フルスキン)!そんな旧式のISで!」

「問題はそこじゃない。そいつ、男よ!」

「神聖なISに男が乗るなんて!」

「違う!俺は、……。」

一夏は悩んでいた。自分が仮面ライダーを名乗っていいのかを。だが、名乗らねばなるまい。今はまだその実績がなくとも、人を守りたいと言う意思を持って戦うことを決意したのだから。

「俺は、仮面ライダーだ!」

そう言い切り、ブレイドは左腰にある覚醒機『醒剣ブレイラウザー』をホルスターから引き抜く。

「仮面ライダー……時代遅れのヒーロー風情がぁ!」

アサルトライフルの弾幕を、避けたり落としたりして、ISに接近していく。

ブレイドはラウザーを振り下ろし、ライフルを切断する。

「お前ら如きにコンボを使うまでもない!」

ラウザーのトレイを回転し展開、カードを一枚取り出し、リーダーにスラッシュし、ラウズする。

Mach(マッハ)!]

マッハジャガーの力で、高速移動し手にある銃火器を破壊する。

「今だ!早く逃げろ!」

人質たちに向けて言うと、すぐに逃げた。

「そうだ、それでいい。」

再びトレイを展開し、カードを取り出す。

Slash(スラッシュ)

スラッシュリザードの力でブレイラウザーの斬れ味をあげる。

ライフルを破壊されたISたちは近接ブレードを取り出し、ブレイドを囲み、一斉にブレードを振るった。が、ブレイドの回転斬りが炸裂、全てのISのSEを削り取った。

「ふぅ、ラウズカードの力凄いな。アンデッドを封印してるわけじゃないのに、流石は束さんだ。」

ブレイドの力に少々驚きつつ、テロを止め人質を逃すという目的のほかにある、もう一つの目的を果たす。

「束さんからの指令、“ISコアの回収”っと。…………コア5つ、回収完了!」

回収後、デコピンでテロリストらを気絶させ、縛り上げておく。

そこまでしてから、ターンアップハンドルを引き、ラウズリーダーからカードを抜く。すると、再びオリハルコンエレメントが放出、ブレイドアーマーを再度分解・回収する。

「ふぅ、戻るか。」

束の元へ戻るために、ブルースペイダーに跨ろうとした瞬間だった。

「あ、あの!」

「ヴェ!?」

振り返ると水色の髪の少女が、儚げに立っていた。




使用可能ラウズカード一覧

A CHANGE
チェンジビートル
『Change Beetle』
CHANGE
チェンジスタッグ
『Change Stag』
CHANGE
チェンジマンティス
『Change Mantis』
CHANGE
チェンジスパイダー
『Change Spider』

2 SLASH
スラッシュリザード
『Slash Lizard』
BULLET
バレットアルマジロ
『Bullet Armadillo』
SPIRIT
スピリット
『Spirit』 ジョーカーが存在しないため、ワイルド生成用
STAB
スタッブビー
『Stab Bee』

3 BEAT
ビートライオン
『Beat Lion』
UPPER
アッパーフロッグ
『Upper Frog』
CHOP
チョップヘッド
『Chop Head』
SCREW
スクリューモール
『Screw Mole』

4 TACKLE
タックルボア
『Tackle boar』
RAPID
ラピッドペッカー
『Rapid Pecker』
FLOAT
フロートドラゴンフライ
『Float Dragonfly』
RUSH
ラッシュライノス
『Rush Rhinos』

5 KICK
キックローカスト
『Kick Locust』
DROP
ドロップホエール
『Drop Whale』
DRILL
ドリルシェル
『Drill Shell』
BITE
バイトコブラ
『Bite Cobra』

6 THUNDER
サンダーディアー
『Thunder Deer』
FIRE
ファイアフライ
『Firefly』
TORNADO
トルネードホーク
『Tornado Hawk』
BLIZZARD
ブリザードポーラー
『Blizzard Polar』

7 METAL
メタルトリロバイド
『Metal Trilobite』
ROCK
ロックトータス
『Rock Tortoise』
BIO
バイオプラント
『Bio Plant』
GEL
ゲルジェリーフィッシュ
『Gel Jellyfish』

8 MAGNET
マグネバッファロー
『Magnet Buffalo』
SCOPE
スコープバット
『Scope Bat』
REFLECT
リフレクトモス
『Reflect Moth』
POISON
ポイズンスコーピオン
『Poison Scorpion』

9 MACH
マッハジャガー
『Mach Jaguar』
GEMINI
ジェミニゼブラ
『Gemini Zebra』
RECOVER
リカバーキャメル
『Recover Camel』
SMOG
スモッグスキッド
『Smog Squid』

10 TIME
タイムスカラベ
『Time Scarab』
THIEF
シーフカメレオン
『Thief Chameleon』
SHUFFLE
シャッフルセンチピード
『Shuffle Centipede』
REMOTE
リモートティピア
『Remote Tapir』

J FUSION
フュージョンイーグル
『Fusion Eagle』
FUSION
フュージョンピーコック
『Fusion Peacock』
FUSION
フュージョンウルフ
『Fusion Wolf』
FUSION
フュージョン エレファント
『Fusion Elephant』

Q ABSORB
アブゾーブカプリコーン
『Absorb Capricorn』
ABSORB
アブゾーブサーペント
『Absorb Serpent』
ABSORB
アブゾーブオーキッド
『Absorb Orchid』
ABSORB
アブゾーブタイガー
『Absorb Tiger』

K EVOLUTION
エボリューションコーカサス
『Evolution Caucasus』
EVOLUTION
エボリューションギラファ
『Evolution Giraffa』
EVOLUTION
エボリューションパラドキサ
『Evolution Paradoxa』
EVOLUTION
エボリューションタランチュラ
『Evolution Tarantula』

本作に出てくるラウズカードは全て束さん特製です。
アンデッドが封印されているわけではなく、どういう効果を発動させるかというデータが入ったカードになっております。
上記のラウズカードが各ライダーシステムに搭載されている。
またフロートのみに関しては全てのライダーシステムに搭載されている。
なお、ラウズアブゾーバー完成までの間


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第5話 引き込みと事実

一夏はテロリストの鎮圧とコアの回収を済ませて、周りは確認した。確認した上で変身解除した。だが、早速姿を見られてしまった。

水色髪の少女は、恐る恐るだがその目に好奇心を持って一夏に接触してきた。

「え、えーと、もしかして、……仮面ライダーブレイド……ですか?」

「うっ!『た、束さんどうしましょ?』」

ヘルメットを着用しておいて正解だった。まだ素顔は見られてない。なんとでもごまかせる。

『うーん、その子……完璧にブレイドって知ってて接触してきたよね〜。…………連れてきてこっち側に引きずり込んじゃう?』

「流石にまずいでしょ。」

『じゃあどうする〜?』

「……引き摺り込む込まないは後にして、とりあえず連れて行って、束さんの方から口止めで…。」

『OK〜。』

連れてくことは決まったのでヘルメットを簪に渡す。

「あ、まだこっち見ないでね。」

「は、はい!」

せめて顔を見られないようにし、再度変身する。

ブルースペイダーに乗り、本来ならスペードスートのK『Evolution Caucasus』がある位置にあるハートスートの4『Float Dragonfly』をスペーダーの“モビルラウザー”にスキャンする。

本来ならば『Thunder』と『Mach』のみだが、そこは兎印の発明品。少しだけだが幅が増えている。

「戻るか、しっかり掴まってね!」

「は、はい!」

ブルースペイダーが浮き上がり、エスカレーターを経由して、屋上から束の元へと戻った。

 

 

 

 

 

束のラボに戻ると、一夏は変身を解かずに少女を束の元へと連れて行った。

少女はオロオロと周りを見渡している。

「さてと、とりあえず自己紹介しよっかな。まず、このラボの主である束さんだよ〜。」

「わ、私は……さ、更識簪……です。」

「俺もした方がいいですかね?」

「そうだね〜、もう解いていいんじゃな!い?」

「そうですね。」

一夏は変身を解いた。

「織斑一夏、よろしく。」

「え?お、織斑一夏?し、死んだはずの?」

「「ヴェ!?」」

「ダバネザァン!イッダイドゥウナッテルンディス!」

「束さんが聞きた………あー、そう言えば束さんいっくんをここに連れてくるとき誰にも言ってないや〜。」

「だからだ〜。死亡扱いになってるじゃないですか。死んだ人間が生きてるなんて事になったら、大騒ぎだ。ってか、束さん。千冬姉にも言ってないんじゃないんですか?」

「どーしよ?とりあえずちーちゃんには生きてるって言っとこうか。」

「そうですね、そうしましょう。」

急いで姉の織斑千冬に電話する。

『はい……どちら様でしょうか?』

「あ、千冬姉?一夏だけど…。」

『イタ電なら、切ってくれ。そういう気分じゃないんだ。』

「束さん、ダメです。ショックで聞いてくれません!」

「じゃあ、直接会いにいくしかなさそうだね〜。」

「えっと、あの……、私は…。」

「あ、この娘の事は束さんが話しておくから、いっくんは一回帰るといいよ。」

「わかりました!そうします!」

こうして、一夏は家に戻るのだった。



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第6話 説明とギャレン

一夏は病みに病んでる千冬の元へ行ったので、ラボに主の束と連れてこられた簪が残った。

「さてさて、色々説明しないとね〜。改めて、篠ノ之束さんだよ〜。」

「さ、更識簪……です。」

「更識簪かぁ〜。なら、かんちゃんだね。」

「それ……。」

「ん?」

「私の、……友達と同じ、呼び方。」

「そっか〜。なら、カッちゃん。」

「野球漫画っぽいけど、まぁ。」

「よし、じゃあカッちゃん!」

「は、はい!」

「とりあえず、そこ座って。」

束が指差した椅子に簪はチョコンと座る。

「とりあえず剣付けるね〜。」

モニターには仮面ライダー剣 第1話が流れ始めた。

簪の目がキラキラと輝く。

(この娘……。)

「ねぇ、カッちゃん。……ヒーローになってみたくない?」

「え?」

束はバックルとカードを見せた。

「これって……。」

「御察しの通り、ギャレンバックルとダイヤスートのカテゴリーA。」

「アンデッドってTVの中の…。」

「うん。実際に封印されてるわけじゃないよ。まぁ、ギャレンバックルを使うための鍵……みたいなものだよ。」

「それ、本当に変身できるんですか?」

「うん、いっくんみたいにね。」

「………でも、どうして?」

「いっくんには口止めって言われてたんだけどね〜、ブレイドは超近接型だからサポート……中・遠距離があった方がいいって束さんは思うんだ〜。だから…ね?」

「そんな大事なこと、なんで、初対面の私、なんかに?」

「束さんがブレイドかけ始めた瞬間、カッちゃんの目がキラキラした。……女尊男卑になって、女性差別って言って特撮が潰されたこの世の中で、そんな反応を示してくれる娘が悪い娘とは思えないからね〜。」

「わ、私は、ただ、好きな事は好きって、ちゃんと、……理解してほしいわけじゃ、なくて……。」

「うん。わからくてもいい。でも、バカにはされたくないよね?」

「……はい!」

「いっくんにはね、もう一つお願いしてることがあるんだ。ISのコアを回収してほしいってね。あの子たちを、宇宙(そら)に、本来あるべき姿に戻したいって。」

「ISを宇宙に、元に戻す。

 

 

………わ、私も……元に戻してあげたい。ISもこの世界も……と、特撮も。」

「なら、決まりだね。今からカッちゃんが、仮面ライダーギャレンだ。」

束はギャレンバックルとダイヤスートAのカードを差し出す。

「はい!」

自身に差し出されたものを受け取る。

「よーし、じゃあ早速特訓と行こうか〜。精密射撃に動体視力、格闘訓練とやる事はいっぱいあるからね〜。」

メニューを聞いて若干後悔した簪だった。



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第7話 正気と通知

束たちがタックン……特訓を始めた頃。

織斑一夏は自宅に戻っていた。

「ただい……暗いし、酒くさっ!」

とても自分が暮らしていたとは思えない自宅の現状に思わず声が出てしまった。

「千冬姉〜。居るなら返事してくれ〜。」

腐海と化しかけて居る我が家を片付けながら、一先ずリビングを目指す。

「見つけた、こんな呑んだくれて。」

リビングで見つけた姉は、ビールの空き缶に囲まれ、机に突っ伏していた。

先ほどの声に反応したのか、顔を上げる。

「私も末期だな。幻覚と幻聴が同時に襲いかかってくるレベルか。」

「はぁ、しっかりしてくれ。ただの飲み過ぎだ。ほら、水。」

「あ、あぁ。………(ゴクゴク。水だ……実体がある?いや……束か?悪ふざけならやめろ。」

「まだ信じないか。……よし、終わった。」

一夏は千冬に話しかけながらも、さくさくっと部屋の片付けを済ませていた。

「ん?あれ?ゴミが消えた?死んだのか?」

「はぁ。千冬姉、いい加減目を覚ませよ。」

「あ、そうか。私も死んだんだな。」

「どうしてそうなる…。」

テイ!と軽く頭にチョップを入れる。

「痛い?……一夏?本物の?生きた?」

「そうだって何遍も繰り返し言ってるって。はぁ、……ただいま、千冬姉。」

「あぁ、おかえり……一夏!」

涙ぐむ千冬は一夏に思いっきり抱きつくのだった。

 

 

 

千冬が落ち着いたところで、リビングでテーブルを挟み座る。

そして、ブレイバックルとA(エース)のカードを置く。

「………これは?」

「……俺の力。守りたいものを守るための力。」

「………そうか。」

「千冬姉、俺に剣の全てを教えてくれ。」

「フッ、私が付けるまでもない。……私は来年からIS学園で教鞭をとる。そこに来い、そしてお前の剣を見つけろ。」

「で、でもIS学園は、ISを使えないと……。」

「……きっと全て知っているのだろう?」

「え?」

「束が全て話たのだろう?」

「……俺たちの出生に関して?」

「あぁ。お前はISを使えるだろう。それに、お前にはそれがある。それで自身の剣を探し、守りたいものを見つけ、運命を切り開き、切り札を掴みとればいい。」

「………あぁ!そうする。」

「なら、決まりだな。束には私から言っておこう。」

「それじゃ、俺晩御飯の買い出ししてくる。」

「あぁ、いってらっしゃい。」

姉に笑顔で見送られながら、エコバッグ片手に走り出した。

 

 

 

一夏がスーパーで食材の厳選をしていると、ポケットがブーブーと揺れる。

携帯を取り出すと、「発信者 束さん」と表示されていた。

「はい、一夏です。」

「もすもす〜、たっばねさんだよぉ〜。」

「束さん、どうしたんです?」

「あの子……カッちゃんが正式にギャレンになりました。どんどんぱふぱふ!」

「そ、そうですか。それは、双方合意で?」

「もちろん、強制なんてしてないよ〜。」

「良かった。」

「ところで、ちーちゃんは?」

「立ち直りました。……全てお見通しと言わんばかりに、束さんから聞いたことを当てられました。」

「そっか。戻ってくるのは?」

「千冬姉に飯作らなきゃいけないですから、その後にでも。」

「わかった、準備しておくね。」

「お願いします、それじゃあ。」

通話を終えると一夏は食材選びに戻った。



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第8話 晩餐と味覚確認

食材を買い終えた一夏は自宅に戻り、ハンバーグ、オムライス、刺身、酒のつまみなどテキパキと作っていく。

「ふぅ〜。千冬姉、お待たせ。」

テーブルに多数の料理が置かれていく。

酒のみで生き延びていたので、かなり腹は減っているだろうという予想で大量に作った。

案の定、大量の料理は約1時間ほどで平らげられた。

「ははは。千冬姉、そんなに食べてなかったのか。」

「まあな。お前が死んだと思ってからはずーっとやけ酒だ。」

「そうなんだ……。食べ物のストックは冷蔵庫にタッパーに入れてある。だいたい1〜2週間は持つから……1週間ごとにチェックして足しておく。」

「あぁ、わかった。一夏、ありがとう。」

「いや、………どういたしまして。」

気不味くなったのか、そこから沈黙が続く。

「「あっ!」」

「先に言え、一夏。」

「うん……。俺は死んだって判定された。戸籍は……多分使えなくなってる。あそこまで大きな騒ぎで死んだってなってるから、生きてるってなったら逆に殺されるかもしれない。だから…。」

「あぁ、織斑一夏は死んだことにするんだな。」

「そうなる。ま、まぁ2人でいる時は普段通り呼んでよ。」

「そうしよう。」

「で、千冬姉の方は?」

「いや、その……フッ、頑張ってこい。」

「あぁ!」

「私も、来年の4月からは学園に居ることになる。待ってるぞ!」

「そん時には、千冬姉と10分以上打ち合えるようにはなって……たいな。」

「なれるさ。お前は私の弟だ、たとえ私たちの生まれが特殊でもな。」

「千冬姉……そうだな!それじゃ、行ってくる!」

「あぁ!……あ!一夏、言い忘れていたが…。」

「ん?」

「再来月の1日から1ヶ月間、日独の合同のIS訓練があってな。特別教官として呼ばれている。その間はご飯は大丈夫だからな。」

「りょーかい。帰ってきたら、ご飯作るから、ちゃんと連絡してくれよ。」

「もちろん、楽しみにしている。」

こうして、一夏は束の元に向かった。

 

 

 

 

 

ブルースペイダーをFloatで飛ばし、束のラボに戻る。

「あ、いっくん。おかえり。」

「ただいまです、束さん。」

「早速申し訳ないんだけど……ご飯お願いできる?束さんもカッちゃんもお腹ペコペコでさぁ〜。」

「あ、はい。すぐ支度します。」

どうやら家事も並行しなくてはならないようだ。

 

 

すぐに冷蔵庫にあったものを調理する。

「いっくんの料理サイコー!」

「……お、美味しい。」

「それは良かった。(味覚障害を患ってないか調べるために……。)」

一夏は1つ、仕込みをして居た。極端に不味い料理を入れておいた。

今まさに、簪がその料理に手を伸ばした。

口の中に入った瞬間、冷や汗が止まらない。

(あ、よかった。味覚正常だ。あ、でもなんか申し訳ないな。)

簪の味覚は正常でした。




活動報告欄にアンケ?がございます。
ぜひ皆様のアイデアをお借りしたいなぁと思います。


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第9話 新たな名前と胸の奥

本日ジオウ ブレイド編ということで、本来ならばオーズの方を先に更新すべきなのですが、こちらを更新させていただきます。


なお、主はリアタイ視聴不可勢ですので、ネタバレコメはお控えくださいますよう、お願い致します。


食事を終え、片付けをしている一夏に束はこう尋ねた。「いっくん、新しい戸籍の名前どうする?」と。

「そうですね。……ちょっと考えさせてください。」

「わかったよ〜ら決まったら言ってね〜。あ、そうそう。ちーちゃんから連絡があってIS学園に入れるようにしておくからね〜。」

「ありがとうございます。」

一夏は片付けに戻った。

 

 

一夏は片付けを終え、椅子に座ってブツブツと呟いていた。

「あの、彼は何を?」

「あ〜、いっくんって束さんのせいで死んだ事になってるから、新しい戸籍に為の名前を考えてるんだ〜。」

「そ、そうなん、ですね。」

「でもね〜、かれこれ半日近く考えててね〜。」

「え?そんなに?」

「ま、そりゃねぇ。でも、そろそろ決めて欲しいんだよね〜。……よし!いっく〜ん!決まらないなら、束さんが決めてあげようか〜?」

「えっと、すみません。すぐ決めますから。」

「もうさ〜、束さんは剣崎 一真でいいと思うんだよね〜。」

「いや、それは本人に申し訳ないっていうか。自分如きが彼の名前を名乗るのは気が引けるっていうか、おこがましいっていうか……。」

「ね?こうなるの。」

「だったら、……剣崎一真、相川始、橘朔也、上城睦月で、……………………相崎(あいざき) 朔月(さつき)でどう?」

「いっくん、良いんじゃない?」

「……それにします。ありがとう簪……さん?」

「か、簪でいい。」

「そうか。それじゃあ織斑一夏改め相崎 朔月だ、よろしく。」

「うん、よろしく。」

「いっくん改めさっくんだね。それじゃあ相崎 朔月で戸籍を作るよ〜。ちーちゃんにも言っといてね。」

「はい!」

「それかは、さっくんのIS学園入学は公にはしないからね〜。なるべく隠密に済ませるから〜。」

「そうですね。公にすると顔が出たりするでしょうからその方が良さげですね。」

「でしょでしょ。だから、情報漏洩とかしないようにしないとね。カッちゃんもお願いね。」

「も、もちろん!」

「うん。それじゃ、今日は解散しようか?」

「あ、俺簪のギャレン見てみたいです!」

「ふぇ!?あ、わ、わ、私のギャレンなんてそんな……。」

「ふむ。じゃあ、さっくんとカッちゃんで模擬戦と行こうか!」

「はい!」

「ふぇ、えぇ〜〜。」

予期せぬ事態に、涙目の簪を見た相崎 朔月こと一夏は胸の奥がなんだか苦しいと感じているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近、簪ちゃんが頻繁に外に行くわね。あの子が……何かあったに違いないわね。これは、調べないと……。脅されたりしてないといいけど……。」




えー、という事でですね、一夏の新しい名前は
………相崎 朔月になりました。
アイデアは班長利根川様です。
いつもありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。

他の方のも劇中で使わせていただきます。
ご協力ありがとうございました。


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第10話 機影と困惑

なんか、破茶滅茶やっておりますが、
温かい目で見守ってくださるとありがたいです。


ブレイドとギャレンの模擬戦は時間切れとなり引き分けとして、互いの実力を認めるのと高いデータを得ることができた。

「お疲れ様〜。いや〜、良いデータが取れたよ。」

「本当ですか?」

「うん!さっくんも、カッちゃんも凄い戦いだったよ〜。」

「そ、それは、よ、よかったです。」

「そこで、2人には連携力を高めてもらうために、晩御飯の買い出しに行ってもらいまぁ〜す。お金は束さんが持つからメニューは好きなように決めてね♪」

「はい!」「は、はい。」

こうして2人で買い出しに行くこととなった。

 

 

シャワーで模擬戦の汗を流し、スーパーに向かう。朔月はそのままだと織斑一夏であるとバレてしまうことを危惧し、剣崎のように茶髪にし、メガネをかけることにした。

スーパーに入る直前で朔月は何かを感じ取ったのか、「さて、それじゃあ……ちょっと下がっててね。」と簪に告げ、「え?」と驚いている簪を自分の背後に引っ張る。

すると、「やぁぁぁぁぁ!」という叫び声をあげ、槍を構えて突っ込んでくる機影が一つ。

「ヘシン!」

朔月は突っ込んでくる影に向けてオリハルコンエレメントを展開、機影を弾いて、そのままブレイドに変身する。

()()()()人がいなくて顔を見られたりすることは無かったが、少し危ない行為だった。

「お前、一体何なんだ!何故、俺たちを襲う!」

「狙いはあんただけよ!この……

 

 

 

 

 

誘拐犯!恐喝マン!」

「「は?」」

全くもって身に覚えのない事に対する怒りの矛先を向けられて疑問符頭に浮かべる一夏と、なんだか聞き覚えのある声が変なことを述べている事に対し、これまた疑問符を浮かべている簪。

簪は目を凝らしてその聞き覚えのある声を発する人物を見る。

そして……

「お、お姉ちゃん!」

どうやら、ISを纏った簪の姉(仮)らしい。

「あ、簪ちゃ〜〜〜ん!待っててねぇ〜!すぐにこんな奴、叩き潰しちゃうからぁ〜!」

と、やる気満々の姉にかける言葉を失った簪は朔月に「さ、朔月さぁぁん!その人、叩き潰しちゃって大丈夫でぇ〜す!」

「り、了解。」

急に大声で呼ばれて、叩き潰して大丈夫と言われ、若干戸惑いを隠せて居ない朔月だったが、いざブレイラウザーを構えると、その表情は真剣そのものだったが、残念ながらマスクで隠れているため相手には見えない。

再び簪姉(仮)は刺突を繰り出してきたので、カードを2枚ラウズすると、ブレイドはラウザーを収めた。

簪姉(仮)の槍はブレイドの胴体を貫通……

 

 

 

 

 

は、せずに弾かれた。メタルのカードで攻撃を弾いたのだ?そして、体勢を崩した簪姉(仮)にパンチを叩き込む。ただし、ただの拳ではない。スペードスートの3 ビートライオンの効果で強化されたパンチを装甲部に叩き込んだのだ。

ISはぶっ飛び操縦者である簪姉(仮)は気絶した。

 

 

「……これ、どうすればいいの?」

涙目の朔月であった。




と、とりあえずブレイド編には間に合った


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第11話 焼肉太郎とハートのライダー

気絶した簪姉(仮)を何処からともなく出てきた黒服さん達に預け、買い物を済ませラボに戻る。

「とりあえず、夜は……。」

「「「焼肉っしょぉ〜〜!!」」」

と、朔月が前振りをし、佐〇〇郎ネタを全員で披露したところで、実際にホットプレートを用意する。

ホットプレート近くに冷奴(絹)があるが気にしてはならない。

焼き肉の匂いが他の衣服に移らぬよう、予め片付けておき、換気扇を回し、肉を焼いて行く。

「ん〜、焼肉サイコー!……で、なんで焼肉?」

「「なんか、疲れちゃって…。」」

「あ、なるほど。」

ラボに戻った簪から報告はあったので、大筋何があったのか知っている。

「じゃあ、これのお披露目はまたの機会のほうがいいかな?」

そう言って取り出したのは、カリスラウザーだった。

もちろん、それに反応しない2人ではない。

「いや!束さん、食べ終わり次第すぐやりましょ!ね?ね?ね?」

「う、うん。わ、わかったからとりあえず食べよ?」

「あ、はい。」

その後、普通に焼肉を食べました。

 

 

 

焼肉を食べ終え、片付けも終えたので、束作カリスラウザーのお披露目を開始した。

「これはねぇ〜、ナノマシンを使っていつでも展開可能なんだよ〜。」

そう言うと、腰回りにカリスラウザー展開される。

「因みに、ナノマシンの制御はこのうさ耳がやってるだよ〜。」

と、自身の頭に付いているうさ耳を指差す。

「それじゃあ〜、変身。」

『Change!』

カリスラウザーから発せられた黒い波が束の体を包み、仮面ライダーカリスへと変身させる。

「こ、これがマンティスアンデッドかぁ〜。」

「いや、まぁそうなんだけどね?さっくん、そこはカリスとして見てほしいなぁ〜って束さん思うなぁ〜。」

「あ、す、すみません。……つい。」

「ま、まぁいっか。」

『Spirit!』

オリハルコンエレメントのような白い波動を通り、束に戻る。

「「た、束さんって、ジョーカーだった!?」」

「そんなに上手く再現できたのか〜。束さんも満足満足。この調子でレンゲルバックルも作っちゃお〜。」

ノリノリな束さんであった。

 

 

 

 

束が開発室に入ると、朔月は簪の姉について触れた。

「な、なぁ、今日襲ってきたあの……。」

「わ、私のお姉ちゃん。名前は更識か……楯無。」

「更識楯無……か。」

「うん。それでね、あの〜…。」

「どうした?」

「IS学園のせ、生徒会長やってる…らしいの。」

「ウェ!」

それを聞いた朔月は、どうやら早めに話を付けねばならないと思うのであった。



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第12話 暗部と回答

焼肉の翌日。

朔月は簪に連れられ、更識邸へ来ていた。

今は応接室的なところに案内され、質のいいソファーに腰掛けていた。

「ウチ、私が小さい時にお父さんとお母さんが亡くなって、今はお姉ちゃんがここの当主なの。」

「……そうなんだ。俺も……まぁ、出生事情的に親なんていなくて、千f……姉さんがずっと面倒みてくれてた。」

「朔月と私は似た者同士ってことだね。」

「そうだな。」

「17代目当主更識楯無が参ります。」

黒子とまではいかないが、そんな感じの人物がそう告げ、ドアを開ける。

前回のこともあり、ブレイバックルには既にカテゴリーAを装填済みだ。

「私が、対暗部用暗部更識家現当主更識楯無よ。仮面ライダーブレイドさん。」

「なぁ簪。暗部って何?」

後半仮面ライダーであることを言われたが、それよりも聞きなれない単語に反応してしまう朔月だった。

「あ、朔月にはウチのこと説明してなかったっけ?」

「うん。」

それを聞いた楯無はギャグ漫画のようにズッコケた!

まさか、何も知らずに来るとは微塵とも思っていなかった更識楯無はギャグ漫画のようにズッコケるのであった!

「えーと、暗部っていうのは国から命令された裏工作を実行する部隊。ウチはその暗部に対する抑止力的なものだよ。」

「ありがとう、簪。」

「そ、それで一体どうしてウチに?」

「IS学園に行く前に誤解を解いておこうと思いまして。」

「え?」

「別に俺は簪を誘拐も脅迫しても居ませんので、全くの誤解なんですよ。」

「………そうなの?」

「……う、うん。」

「……フフッ、なんだ。私の勘違い……早とちりだったのか〜。」

「ご、ごめんなさい。」

「どうして簪ちゃんが謝るの?」

「し、心配……かけたみたいだから。」

「こっちこそ。当主になって、色々あって簪ちゃんのことちゃんと見れてなかった。ごめんなさい。」

「諸々の誤解は解けたみたいですね。それじゃあ俺はこれで「待って。」え?」

「簪ちゃん、ちょっとだけ席を外してくれない?2人で話しがしたいの。」

「え?う、うん。」

簪がそっと部屋から出る。

「それで、俺に話って?」

「相崎 朔月……いえ、織斑一夏。そうね?」

「………バレてましたか。」

「そりゃね。髪型や色、眼鏡とかで隠してるつもりでしょうけど、残念ながらおねーさんには通用しないわ。」

「それで、それを言った上で自分と何を話すと?」

「あの子は、簪ちゃんはあなたが織斑一夏であるという事は知ってるの?」

「えぇ。知ってるも何も、相崎朔月……この名を与えてくれたのは彼女自身ですから。」

「そう。」

「聞きたいのはそれだけですか?」

「最後にもう1つ。簪ちゃんのことどう思ってるのか。」

「…………それは、どういう意味で?友人…仲間としてはもちろん大切ですが。」

「端的に言った方があなたには良さそうね。簪ちゃんのこと、好き?もちろん、1人の女性として……。」

その問いに対して朔月は回答を躊躇っていた。自分自身答えが出ていないからだ。

 

 

しばらく沈黙していたが、朔月はどう答えるか決めた。

「……わかりません。ただ、簪と居ると……なんかこう〜胸が締め付けられるって言うか〜、千冬姉と居るのとはちょっと違う感じだけど安心するって言うか〜。」

決めたものの上手く言葉に纏まらず、なんとも言えない回答になる。

「そう。………簪ちゃんのこと、よろしくね。」

「え?あ、はい。」

こうして更識楯無の誤解を解き、IS学園入学後に襲撃されるという懸念は消えた。



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第13話 強奪とクローバー

楯無の誤解を解いた後も、簪を交えて談話していた。

が、朔月のポケットから着信音が鳴り響いた。

「すみません、ちょっと失礼します。あ、もしもし束さん?………え?わ、わかりました。すぐ向かいます!」

「朔月?」

「束さんが襲撃にあったって。カリスになれるだろうけど、急いで戻らないと!」

「わ、私も行く。束さんを守らないと。」

「すみません。ここで失礼します!」

「じゃあ、お姉ちゃん。行ってきます。」

こうして、朔月は更識邸を後にした。

 

 

 

 

 

走りながらヘルメットを被り、ブルースペイダーに向かう。簪が後ろに乗り、しっかりと捕まった事を確認すると、すぐに『Float』をモビルラウザーでラウズし、すぐさまラボに向かう。

 

 

 

 

 

ラボに着いた朔月が目にしたのは、最強のライダーシステム……仮面ライダーレンゲルだった。

「一体、誰なんだ……。」

レンゲルは無言で右腰のラウズバンクからカードを一枚取り出し、自身の武器である醒杖レンゲルラウザーでラウズする。

『Blizzard!』

ラウザーから冷気が発せられる。

「「変身!」」

『『Turn Up!』』

それぞれのバックルから出現したオリハルコンエレメントが2人を冷気から守る。冷気が止まったタイミングでエレメントを通過し、変身を完了させる。

レンゲルに突っ込みながら、ブレイラウザーを引き抜き、レンゲルに斬りかかる。レンゲルは余裕だと言わんばかりに、紙一重で避ける。

レンゲルラウザーでブレイドは突き飛ばされ地面を転がるが、すぐに立ち上がり、大振りの攻撃を開始する。

「無駄だ。その程度では、私に攻撃を当てることn……ッ!」

ブレイドが大振りな攻撃で気を引き、背後のギャレンが当てて行くという連携だ。

ギャレンラウザーの弾丸で怯んだレンゲルに空かさず『Slash!』で強化したブレイラウザーで斬撃を叩き込む。

軽くノックバックしたレンゲルは手を握ったり開いたりする。

「ふむ、やはりまだ使い慣れていないコイツでは部が悪いか。」

そう呟くと、再びカードをラウズする。

『Smog!』

レンゲルはスモッグスキッドのカードをラウズし、煙幕を張る。

「逃すか!」

剣を高速で振り、煙幕を晴らす。

しかし、その晴れた一瞬でブレイドとギャレンはレンゲルが駆るグリンクローバーに轢かれ、吹き飛ぶ。

「じゃあな。」

「待てっ!」

外壁を破り、グリンクローバーごとそのまま落下して行くが、途中でISを展開し、(おそらくグリンクローバーを量子化して収納したのだろう)消えて行った。

「……よりによってレンゲルを奪われるなんて……。クッ、とりあえず束さんを探さないと。」

「束さんならここだよ〜。」

「「束さん!……?」」

「あ、ごめんごめん。……よっと。」

『Spirit!』

スピリットで元に戻る束の手にはハートのAが握られていた。




グリンクローバーはレンゲルの意思で自動的に動きます。

何故、束の手にハートのAがあるのかは次回!


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第14話 亡国(ファントム)とテイピア

久々の更新、令和初更新、
遅くなって申し訳ない


瓦礫から出てきたカリスラウザーをしたウルフアンデットが『Spirit!』をラウズし、束に戻った。その手にはハートスートのA『Change Mantis』が握られていた。

「いや〜参ったね〜。」

「束さん、一体誰が……。」

亡国機業(ファントム・タスク)のエムって名乗ってたね〜。」

「「亡国機業……、って何?」」

「そっか〜。そりゃ知らないよね〜。えーと、亡国機業って言うのは、裏の世界で結構大きい組織。んで、さっくんを誘拐させた組織だね。いや〜、その事を吐かせるのに苦労したよ〜。」

「なるほど。つまり、当面の敵はそのファントムタスクってわけか。」

「でも、なんでそんな連中がレンゲルバックルを?」

「ん〜、多分たまたまだね。」

「「え?」」

「それがさぁ〜、勝手にそっちの手に渡っちゃってさ〜。……アレは、レンゲルバックルとラウザーが開発し終わって、オートでグリンクローバーの調整が終わったタイミングだったんだけど……。」

 

 

 

 

 

全てのアイテムの最終確認を終わらせ、体を伸ばしていた時だった。

ドゴォォン!と言う破壊音が聞こえたので、急いで開発室から出た。すると、

「な、なんじゃこりゃ?」

破壊されたラボの一部を見渡していると、上から声が聞こえて来た。

「篠ノ之束だな?一緒に来てもらう。」

ISを纏った少女がライフルの銃口を束に向け、そう告げた。

「えー。なんで束さんがそんな面倒なことしなきゃいけないのかな〜?」

「さぁな。とにかく来て……ん?」

「え?」

振り返ると紫色のオーラを発しているレンゲルバックルが宙へと浮き上がり、少女の手元に。

「ほぅ、これは私を選んだのか。面白そうだ。」

空からラボに降り立つと、少女はISを解除する。

「ち、ちーちゃん!?にしてはちっちゃいな。」

「私はエム。亡国機業(ファントムタスク)のエムだ。」

「ファントムタスク…エム、自己紹介ありがとう。」

「さて、では来てもらうぞ。…変身。」

「!?」

既に腰に巻かれていたレンゲルバックルを睦月のポージングで開く。

『Open up!』

紫色のオリハルコンエレメントが展開され、束を吹き飛ばす。

オリハルコンエレメントは今度はエムの方に戻っていき通過すると同時にエムをレンゲルに変身させる。

「あ〜あ、なんでカード入れっぱにしちゃったかな〜。ま、いっか。実戦データも取れるから。……変身!」

「させるか!」

『Remote!』

クラブスートのカテゴリー10『Remote Tapir』のカードから紫の細い光線が発せられ、Change Mantisに当たると、データが実体化し、マンティスアンデッドの再現体が出来上がる。

「ならこっちで、変身!」

『Fusion!』

失ったChange Mantisの代わりにハートスートのカテゴリーJ『Fusion Wolf』をラウズし、ウルフアンデッドに変身する。

 

 

 

 

 

 

 

「……そんなわけで、ウルフアンデッドになって空になったラウズカードを回収、バックル開かせて、データ回収してたんだ〜。」

「………アンデッドの力をデータ化して実現したラウズカード。そのラウズカード のデータを実体化してアンデッドの再現体をその場に出すレンゲルのリモート。」

「あ、アンデッド相手なら心強いけど……。」

「そうだね〜。私達としては天敵だね〜。」

「対策、しておかないとな。」

「でもさっくんとカッちゃんは、あと1週間で……

 

 

 

 

 

 

IS学園入学だよね?」

 

 

………to be continued



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第15話 対策と再会

遅くなって申し訳ありません。


亡国機業(ファントムタスク)のエム襲撃から1週間。結局レンゲルの対策は立てきれず、IS学園入学に向けての準備でバタバタし、気付けばもう当日の朝を迎えていた。

「結局まともな対策ができなかったな。」

「そうだね。レンゲルと戦う時はラウズカードを使わないってくらいだよね。」

「一応束さんの方でも警戒しておくけど、さっくんもカッちゃんも、各々警戒しておいてね。」

「「はい!」」

「それと、まだ未完成だけどアブゾーバーを渡すよ。いつまでも上級カードのKを持てないままは嫌でしょ?」

「「ありがとうございます!」」

現在2人のラウザーのKが入る位置にはハートの4の「Float dragonfly」が入っている。キングのカードこそ完成しているものの持てないままでいたのだ。

それに上級カードはラウザーのAPを回復させる、持久戦になった時持っていた方が良いのだ。

「それじゃあ!学園ライフをエンジョイして来てね〜♪」

「はい!行ってきます!」「い、いってきます!」

束に見送られながら、2人は自身のマシンを発進させた。

 

 

 

 

 

学園近くのモノレール乗り場に着いた2人は、そこからどう学園に向かうか悩んでいた。バイクを持ったままじゃモノレールには乗れないし、モノレールに乗らずバイクで行こうにも道がないからだ。そんな時だった……。

「待っていたぞ、2人とも。」

朔月にとっては聞き慣れた声、それが聞こえた。声の主を探そうとキョロキョロしていると、やはり見覚えのある人物がそこにはいた。

「千冬姉、元気そうで何より。」

「一k……今は朔月だっな。お前の方も元気そうだな。」

「今は一夏でいいよ。学園内でさえ気を付けてくれればいい。2人っきりの時と更識姉妹だけがいるときは大丈夫だから。」

「そうか。さ、バイクに乗れ。学園までの道を案内する。」

「あ、あの!」

「ん?」

「ど、どうして私のことを?」

「束から話は聞いている。それに更識姉にもな。」

「そ、そうですか。」

「あぁ、2人から君はとても優秀だと聞いている。」

「そ、そんな、こと。」

「謙遜はするな。だが、学園に入学したら一般の生徒と一緒だ。特別扱いはできんぞ?」

「は、はい!の、のぞむところ、です!」

「いい返事だ。一夏、彼女とはいつからお付き合いしてるんだ?」

その質問に朔月と簪は吹くしかなかった。

「ち、ち、ち、ち、千冬姉!?ま、ま、ま、まだ俺たちはそんな関係じゃ!いや、まだっていうかのそ……。」

「そ、そ、そ、そうですよ!お、お、お、お付き合いだなんて…。」

(2人とも脈アリか…、早よくっつけ。)

と、弟の恋路を密かに応援する千冬だった。




感想書いてもらえるとモチベアップするかも……


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第16話 上陸と自己紹介

2人は千冬の先導でバイクで学園のある島へと向かう。

学園のごく一部の者のみが知るモノレール以外に学園へと繋がる道を10分ほど走り、2人は学園のある島に上陸した。

「さて、着いたな。この通路はなるべく使わないように頼む。非常時以外はモノレールで行き来してくれ。」

「「はい。」」

そのままバイクを専用の駐車場に駐車し、教室へと向かう。

「それから一夏……いや、相崎。学園にいる間は織斑先生と呼ぶように。」

「はい、織斑先生。」

「ま、校舎内かつ放課後までで構わん。」

「わかったよ。」

「お前たち2人は1組、担任は私だ。」

「織斑先生が担任……ちょっと感動。」

「それじゃあ、私は職員室に用がある。先に教室に向かってくれ。」

「「はい!」」

こうして2人は千冬と別れた。

 

 

 

朔月と簪が教室に着くと、中には既に人影が多数あった。朔月は辺りを見渡し、自分の席を探す。相崎となっただけあって織斑の時よりも出席番号が早くなった、と感じていた。

因みに出席は2番。

簪とは少し席が離れてしまったが、まぁ問題ないだろう。

それより周りのコソコソ声の方が気になる。まぁ、朔月には全て筒抜けだが…。大体の内容は「なぜこの場に男がいるのか?」とか「そんな話聞いてない」だとか、「あの子、イケメンね。嫌いじゃないわぁ〜」などなどだ。

まぁ、本来居るはずのない男がいるのだから当たり前の反応だと思い聞き流すことにした。

 

しばらくすると、ガラガラッ!と教室のドアが開く。

千冬姉かと思って見ると、千冬姉とは違う女性が入ってきた。が、先生かと言われるとやや幼い感じがするのは気のせいではないだろう。

「えー。皆さん、ご入学おめでとうございます。1組の副担任の山田真耶です。よろしくお願いします。」

「「よろしくお願いします。」」

反応したのは朔月と簪だけだった。

2人だけとはいえ反応があったことで安堵したのか、そっと胸をなでおろす。

「それでは、出席番号順に自己紹介をお願いします。まずは、相川さん。」

「はい。相川清k……。」

この時、朔月は悩んだ。自分は一体……どんな自己紹介をすればいいのだろうか、と。

「……くん。あ……きくん。相崎くん!」

「ウェイ!あ、山田先生。」

「今ね、相川さんが終わって出席番号2の相崎くんの番なんだ。自己紹介してくれるかな?してくれないかな?」

涙目の山田先生が目の前に居た。

「すみません、すぐしますね。」

とりあえず起立する朔月。内容は全く思いつかないが行き当たりばったりでいくしかなかった。

「えー………。」

 

 

……to be continued




朔月はどんな自己紹介をするのでしょうか。
明日投稿できるように頑張ります!!


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第17話 ザワつきと紅潮

自己紹介内容を考えていたのだが、無慈悲にも出席番号2番で早々に順番が回ってきてしまった。

「えー、お……相崎 朔月です。……なぜ男がこんな場所にいるのか?と、皆さん疑問に思っているでしょう。私は束さ……篠ノ之 束博士によって極秘に保護されて居たので、報道が全くなかったので仕方ありませんが、……IS適正を持っています。」

その発言で教室内がざわつく。

「で、ですがわからないことも多いので、ぜひ皆さんのお力をお借りできればと思ってます。あと、オ〇ナミンCが好きです。どうぞ、よろしく。」

先ほどの爆弾発言でクラス内は困惑している。それを打ち破ったのは簪だった。簪は大きな拍手をし始めると、周りも拍手を始める。それを受けて朔月もようやく席に着けた。

拍手が鳴り止んだタイミングでドアが開く。

「山田先生、クラスの自己紹介を任せてすまなかったな。」

「いや、そんなこと…。」

山田先生のセリフはここで途切れた。なぜなら……

「「「「「「キャアァァァァァァァァァァ!」」」」」

という女子たちの黄色い歓声にもみ消されたから。

これをいち早く察知した朔月はアイコンタクトで簪に耳栓をするよう指示した。案の定着けておいて正解だった。耳栓なしで食らっていたら鼓膜が死んでいただろう。

 

「静まれ!」

と、クラスに静寂をもたらす。

「私が担任の織斑千冬だ。貴様ら小娘を1年で使い物になるようにするが私の仕事だ。返事は「はい」か「Yes」だ、いいな!」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」

(…………どこの軍隊だよ。)

「よし。それでは、この後すぐ授業に入る。各自準備しておけ、いいな?」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」

そして千冬と山田先生は教室から出て行った。

 

 

 

SHR後、とりあえず簪のところへ行く。

「ふぅ〜、緊張したぁ〜。」

「おつかれ、朔月。」

「さっきはありがとう、簪が拍手してくれなきゃ、気不味くて座れもしなかった。」

「………そんな、別に、ただ、その…、無意識的にしてた、から…。それに、か、カッコ良かったから///」

「え?そ、そんな……///」

照れから2人の顔が紅潮している。

そんな2人を見ている周り(一部除く)はこんなことを思った。

(え?この2人付き合ってんの?付き合ってないの?付き合ってないなら、はよ付き合え。)と。

が、前述した通り、全員ではなく、その光景を面白くないと思うものが、少なくとも2人はいるのだった。

そのうちの片方はすぐに動こうとした。が、始業の鐘が鳴ったため、一旦諦めるのだった。



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第18話 幼馴染と金髪ロール

IS学園で初めての授業が始まる。が、朔月は束からISの事を学んでいる。授業など聞かなくてもいいのだが、そんな訳にもいかないので、しっかりとノートを取る。成績が低いと、束の名に傷が付くと考えているのだ。

「ここまでで、何かわからない人はいませんか?」

担当は山田先生だったので、周りを見ながら授業しているようだ。

「相崎くん、ここまで大丈夫ですか?」

「えぇ、先生の授業もわかりやすいので、問題ありません。」

「そうですか、なら良かった。」

そのまま、何事も起きず授業は終了のチャイムを迎えた。

 

 

休み時間に入り、結局簪の元へ行く朔月。

前のことがあるので、周りは暖かく見守っている。……が、空気を読まない奴はいるのだ、どんな場所にも。

「すまない、相崎。ちょっといいか?」

「え?……箒?」

「朔月、だれ?」

(幼少時代の幼馴染)。」

「なぜ私のことを知っている?」

「あー、ちょっと外に行こうか?」

朔月は教室から出て行った。

 

 

 

 

空気を読まず話しかけてきたのは、篠ノ之箒。御察しの通り、篠ノ之束の妹だ。

篠ノ之が小4の時に引っ越すまで仲の良かった人物だ。

「まさかと思うが、お前は……一夏、なのか?」

「あぁ〜、まぁな。……久しぶり箒。」

「し、しかし、なぜ相崎となど…。」

「俺、死んだことになったからな。致し方なく、別の人物として生きることになったのさ。」

「そ、そうか。……(よかった、生きていたのか)。」

一夏が生きていると知り、涙ぐむ篠ノ之。

「え?なんだって?」

「な、なんでもない!おっと時間だな。戻るぞ、一夏。」

「あぁ、その前に1つ。一夏というのは死んだ人間の名だ。相崎 朔月それが今の俺の名だ。」

「あ、あぁ。わかった、朔月。」

「さ、戻ろう。」

こうして、篠ノ之は一夏が生きていると知ったのだった。

 

 

 

時間だ、と行って戻ってきた割には少し時間に余裕があったが、大人しく席に着くことにした。特に何かするわけでもないので、とりあえず簪の方を向こうとしたその時だった。

「ちょっとよろしくて?」

「え?」

「まぁ!なんですの、そのお返事は?」

「……えーと、どちら様で?」

金髪の縦巻きロールの外国人が突然話しかけて来た。

「まさか!イギリス代表候補生であるこの私!セシリア・オルコットをご存じないと!」

「……えぇ、俺外国に知り合いはいませんし……。」

「な、なんなんですの!代表候補生にしてエリートであるこの私に対して、不敬ですわ!」

なんだか面倒な展開になりそうだと感じた朔月を救済するかのように、始業の鐘が鳴るのだった。

「また来ますわ!」

 

 

 

………to be continued



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第19話 クラス代表と自薦他薦

篠ノ之とオルコット、この2人を相手にした直後の授業

「そうだ、クラス代表を決めないとな。」

「織斑先生、クラス代表とはなんですか?」

誰が聞いたのかはわからないが、当然の疑問だった。

「クラス代表は、クラス対抗戦などの試合に出場したり、クラスを纏めたりする役職だ。まぁ、クラス委員だとでも思ってくれればいい。1回決まれば1年間は変更できんがな。自薦他薦は問わん、誰か居ないか?」

「はい!相崎くんがいいと思います!」

「私も!」

「同じく!!」

自薦他薦を問わずと聞いた瞬間に、こうなる事を朔月は理解していた。それ故に、対策も講じていたのだ。

「織斑先生!」

「なんだ、相崎。」

「謹んで辞退させていただきます。」

「無理だ。他薦されたのだ、拒否権はない。」

「生徒会に入ろうと考えていましたので、そこを考慮していただけませんか?」

「うむ……、わかった。では、誰か他薦しろ。」

「他薦しろ、と言われましても、まだ交流の浅いクラスメイトを他薦できるかと言われれば、正直……。」

「まぁ、それもそうだな。」

割と正論だったので少し悩む織斑先生。

「………では、私がクジ引きで決めると…「納得いきませんわ!」ん?」

「こういう事は、本来実力を見て判断するべきですわ!それなのに、ただ珍しいからという理由で男を推薦し、あまつクジ引きで決めるなんて、納得いきません!だいたい、文化的にも後進的な国で暮らす事自体、私には耐え難いのですわ!」

「なら、自薦すればよかったじゃないか。」

朔月は正直に言う。

先程絡んで来たのを見て、代表候補生であることを誇らしげに言ってきたことから、他薦されることを待つのは予想がついて居た。

「な、なんですって!!」

「それから、文化が後進的とかなんだか抜かして居たが、そもそもISを開発したのは束さん……篠ノ之博士だし、モンド・グロッソ2連覇の初代ブリュンヒルデはそこに居る織斑教諭だ。どこが後進的なのか、教えてもらいたいね。」

「……フッ!決まってますわ!アニメや特撮なんていう低俗な…ッ!」

刹那、殺気を感じたオルコットは防御姿勢を取った。そのあまりにも強い殺気は、他のクラスメイト達を失神させるギリギリに追い詰めた。

「相崎、更識。殺気を抑えろ。ほぼ全員気絶しかけている。」

「すみません、織斑先生。」

「す、すみません。」

「まぁ良い。」

2人が殺気を消すと、クラスメイト全員が察した。この2人を怒らせたら死ぬと。

「……わ、私にこのような屈辱を……。許せませんわ!……そこのあなた!決闘、決闘を申し込みますが。」

その宣言を受けた朔月は簪と目を合わせて吹き出してしまった。

「な、何がおかしいのですか!」

「え?いやぁ、ごめんごめん。日本で決闘なんてカードゲームくらいでしか言わないからさ…。それに、日本は法律的に決闘とか禁止だし。」

「うぬぬぅっ。で、でしたら!ただの勝負ですわ!私が勝てばあなたは一生小間使い……いえ!奴隷ですわ!」

「……だってさ。織斑先生、どうしますか?」

「ま、いいだろう。相崎相手をしてやれ。」

「はい。」

「では、その勝負の日程は後日連絡する。それでは授業に移る。」

こうして、オルコットvs朔月が幕を開けようとして居た。



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第20話 寮と不敵な笑み

放課後……

「相崎、更識。少しいいか?」

「はい。」「は、はい。」

「よし、では付いて来い。」

織斑先生は2人をどこかに連れて行く。

「織斑先生、どこに連れて行くんです?」

「寮、そして生徒会室だ。あと、もういつも通りでいいぞ?他の生徒が通らなければな。」

「わかったよ、千冬姉。……でもなんで先に寮なんだ?生徒会室の方が近いだろ?」

「大人の事情ってやつだと思っててくれ。」

「そっか。」

しばらく歩き続けると寮に到着。

「お前達の部屋は1070だ。一緒の部屋だからといって、不純異性交友はするなよ。」

「ふ、ふ、ふ、不純異性交友!?な、な、な、なんでそんなことを!」

「そ、そ、そ、そうでしゅよ!……///」

動揺しすぎて噛んだ簪はより一層赤くなった。

(この2人、見てて飽きないが、早くくっつかないかな〜)

「さて、お前達の荷物は束から、更識には実家の方から追加の荷物がある。後で確認してくれ。」

「「はい。」」

急に業務連絡じみたことを言われ、2人とも正気に戻る。

「さて、では向かうとするか。」

再び校舎へと足を運ぶ。時間も時間だからなのだろうか、少し急ぎ足のように感じた。

 

 

 

数分で生徒会室の前に到着する。

「さて、そろそろ終わってるといいが…。」

千冬のその呟きは、2人の頭にハテナを浮かべさせた。

軽くノックをし、「入るぞ」とドアを開ける。

部屋には3人、中心にいる1人は見たことがある。

対暗部用暗部 更識家17代目当主で簪の姉 更識楯無だ。前にここの生徒会長をやってると聞き、誤解による入学直後の襲撃を回避するため、話をし和解した。

他の2人は見たことあるような、ないような感じがする。

「ハァ…ハァ…ハァ…。朔月くん、久しぶり。」

「えぇ、ご無沙汰してます。……えっと、どうかされたんですか?」

「コイツは、生徒会の仕事をよく溜め込む。」

「あ、なるほど。」

「申し訳ありません。当主がこのような格好で。」

「当主が…、という事はあなたも更識家の関係者?」

「はい。代々更識家に仕え、当主専属従者という形で、仕えております。布仏 虚と申します。……簪様を救っていただきありがとうございました。」

と、深々と頭を下げる。

「い、いえ。偶々そこに行っただけなので、そ、そんな…頭をあげてください。」

「えー、サッチー?私はねぇ〜、布仏 本音〜。かんちゃんの専属従者だよぉ〜。かんちゃんを助けてくれてありがと〜。」

ブカブカの服を着ている少女も頭を下げるが、割とすぐ上げるのだった。

「さて、そのことに関しては改めてお礼を言うわ。ありがとう、朔月くん。それで、本題なのだけど……朔月くん、オネーさんと勝負して♪」

「「え?」」「やはりな。」

楯無は不敵な笑みを浮かべるのだった。



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第21話 本題と砂煙

朔月達は生徒会室にいるのだが……。

「それで、本題なのだけど……朔月くん、オネーさんと勝負して♪」

「「え?」」「やはりな。」

楯無は不敵な笑みを浮べる。

「ちょ、ちょっと待ってください!え?勝負?俺と楯無さんで?」

「うん♪いくら怒りで我を忘れて居たって言ったって、私に勝ったのだから。すぐにこの座を譲り渡すわ。でも、それじゃあ周りもあなたも納得しない。だから、勝負するの。」

「その口調じゃ、もう……。」

「えぇ、決定事項にして準備済みよ。さぁ!アリーナに行きましょうか!」

「千冬姉、だから先に寮に行ったんだ?」

「一度、お前の戦いを見ておくのも悪くないと思った。つまり私の独断とも言える。だが、私は謝らない。」

「はぁ〜。」

「さ、朔月。頑張って!!」

この一言で、朔月の心に火が付くには十分だった。

「あぁ、頑張るよ!」

(やってやろうじゃねぇかぁぁっ!)

心の叫びをなんとか表に出さないようにして、やる気を漲らせるのだった。

 

 

……アリーナ

「おねーさんの場合、SEが無くなる、降伏する、または何かしらの要因で戦闘が続行できなくなる。この3つが敗北条件ねね。」

「俺の場合は、強制変身解除(・・・・・・)、降伏、何かしらの要因。と、同じく3つですね。」

「わかりました。それでは、試合を開始しますので、準備をしてください。」

霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)!」

「変身!」『Turn up!』

楯無の体が光に包まれるのと同時に、朔月はオリハルコンエレメントを通過する。

「公平を期すため、お嬢様は飛行禁止。ホバリングのみ可能とします。

それでは、試合、開始!」

布仏 虚のコールで試合が始まる。

先に仕掛けたのは楯無。一点集中型の突きを距離を御構い無しに仕掛ける。

ブレイドはブレイラウザーを抜き、それをパリィ。そのまま回転斬りに繋げるが、紙一重で避けられる。

「さすがね、朔月くん。」

「そりゃどうも!」

今度はブレイドから接近する。

楯無は蒼流旋にある四門のガトリングでブレイドを蜂の巣にしようとするが、ブレイラウザーにすべて弾かれる。

ガトリングの雨が止んだ一瞬の隙で、カードを一枚とりだし、ラウズする。

ラウズしたカードは……

 

 

 

『Tackle!』『Magnet!』

 

 

 

 

タックルボアとマグネットバッフォロー、コンボとして成り立ちすらしないが、物は使いようなのだ。

一直線の軌道しかないTackleだが、Magnetの効果で対象を引きつけてしまえばいい。

予想通り、楯無は霧纏の淑女ごとブレイドに引き寄せられている。だが、そのまま攻撃を食らうわけもなく、水のヴェールを前面に集め、しっかりとガードする。

が、やはりそう簡単に防ぎきれるわけもなく、だが確実に入りきらず、互いにノックバックする。

「………朔月くん、そろそろ決めましょうか。」

「その提案には、賛成です。」

ガードのために集めたアクアヴェールが槍へと集まって行く。

ブレイドもカードを2枚、ラウズする。

ブレイドのヘッドが赤くなり、高速演算処理を開始、ラウザーを地面に突き立てる。

「ミストルティンの槍ィィィィッ!」

『Kick!Thunder!ライトニングブラスト!』

「ハァァァァッ、ウエェェェェェェェイィィィッ!」

互いの必殺技がぶつかる。それらは衝撃波を起こし、エネルギー同士のぶつかり合いは爆発を起こした。

爆風で砂埃が舞う中、1人立つシルエットが見える。

砂煙が晴れ、そこに立って居たのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朔月だった。



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第22話 手加減と激動

楯無と朔月の勝負。お互いの必殺技が炸裂し、ぶつかり合いに耐え、地に足をついていたのは、朔月だった。

霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)、シールドエネルギー エンプティ!よって勝者、相崎 朔月!」

布仏虚が朔月の勝利宣言をする。

「やった、朔月!」

勝利した朔月の元に駆け寄る簪。

反対に虚は、楯無の元へゆっくりと歩みを進める。

「お嬢様、手加減なさいましたね?」

「そう見える?」

沈む床(セックヴァベック)を使用なさらなかった時点で、そう考えました。」

「そう。……………朔月くんのキック、もう一段上のやつがあるの。つまり手加減されてこのザマよ。さらに本体自体、まだ真の力は引き出せてないのよ。そんな状態で沈む床(セックヴァベック)なんて使って、破られたら流石の私も心が折れるわ。」

「なるほど。で、生徒会長は交代を?」

「えぇ、もちろん。生徒会長、即ち全ての生徒の長たる存在は最強であれ。つまり、彼は生徒最強の私に勝った。それ即ち生徒の中で最強に躍り出たということ。それだけよ。」

「では、生徒会のメンバーも一新ですかね。」

「それは、朔月くん次第じゃない?」

「そうですね。」

(さぁ、朔月くん。舞台は整えたわ。あとはあなたの剣を磨きなさい。)

アリーナ中央で立ち尽くす朔月を見ながら、そう思う楯無だった。

 

 

 

アリーナ中央に立ち尽くすブレイドに駆け寄る簪。

「朔月、おめでとう。」

賞賛を送っても、なんの返答もない朔月に違和感を覚える簪。

「ね、ねぇ、朔月?」

正面から肩を叩くと、ブレイドは背中から倒れ、オリハルコンエレメントが体を通過する。

「さ、朔月。ねぇ、目を開けて、朔月、朔月!」

「う、うぅっ。か、かん、ざし?」

「よ、よかった。」

「どうやら、気絶していただけのようだな。」

「あ、千冬姉。こりゃ、無様な姿を見られちゃったな。」

「気にするな。お前は学園最強と戦っていたのだ。それに、ISにはパイロット保護機能があるが、それにはあまりなさそうだからな。」

「そっか、今後とも精進するとよ。」

「それより、オルコットとの勝負、明日の放課後にしようと思っていたのだが、その様子じゃ無理そうだな。」

「いや、大丈夫。学園最強の称号を得てしまったんだ。明日でも問題ないよ。」

「しかし、アーマーがそれでは「それも問題なし。自動的に修復されるから。」そ、そうか。では、明日の放課後とする。全員、解散しろ。」

「「「「はい。」」」」

こうして、楯無との勝負が終わり、学園の新しい生徒会長として朔月が就任した。

 

 

寮の2人の部屋

「朔月、改めて、就任おめでとう。」

「いや、楯無さんはまだ奥の手を持ってただろうから、完璧に勝ったわけじゃない。でも、まずは喜ぶとするよ。ありがとう。それでさ、簪に頼みがあるんだ。」

「な、何?」

「その〜、えーと、あのー……生徒副会長として、俺の仕事を手伝ってくれないか?」

「う、うん。もちろん。」

「そ、そっか〜。よかった、断られたらどうしようかと思ってた。」

「そ、そんな。こ、断るだなんて、しないよ。」

「あ、ありがとう。そ、そ、そろそろ寝よっか?」

「う、うん。そうだね。おやすみ、朔月。」

「あぁ、おやすみ簪。」

こうして、激動の1日目が終わった。




ここまで1日目の出来事だから!
日跨いでないから!

ってか、いつ朔月と簪くっつけようかな。


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第23話 放送報告と憎しみの眼

楯無との激闘の翌日のSHR

「と、言うわけでオルコット対相崎は本日の放課後にやることにした。異論は?」

クラス内から声が発せられることはなかった。

「無いな。それでは、2人は準備しておくように。以上だ。授業の準備をしておけ、いいな?」

「「「「「「「はい!!」」」」」」」

織斑先生は教室から出て行った。

次の瞬間だった。クラスのスピーカーから放送が始まったのは。

『はーい、皆さんこんにちは〜。()生徒会長の更識楯無でーす。今回は皆さんにご報告があります。この度、更識楯無は生徒会長の座から退き、相崎 朔月くんが生徒会長となりました〜、拍手〜。』

この放送により、「相崎くんが生徒会長!?」「最強の座を奪ったの!?」などと、驚愕の知らせを聞いたようだった。

『あと、この事をあまりしつこく聞かないでね?私にも相崎くんにも、それじゃあ。』

最後の一言がなければきっと、数多の生徒からしつこく質問攻めにあっていただろう。朔月は楯無に感謝した。

 

 

放課後 アリーナにて

「これより、相崎 朔月対セシリア・オルコット。1組代表決定戦を始めます。」

昨日の楯無対朔月は互いの実力が拮抗しているため、より公平な状態にするためにホバリングのみとしていたが、今回はそんな事はない。

 

 

 

ピットに居る朔月の元には簪がいた。

「朔月、よかったらコレ。」

「……それは……、あぁ、ありがとう。」

簪から受け取ったのは……

 

 

 

 

 

ピットからバイクで降りる朔月に、観客から感嘆の声が上がる。

「ふ、ふざけてますの!」

「いや、やっぱコイツは近くにないとね。」

既にISを展開し、上空で待機して居るオルコット。苛立ちを隠せないで居る。

「早くISを展開しなさい!」

「焦らない、焦らない。」

そう言ってブレイバックルを取り出す。

「俺のカッコいい変身、見せてやるからよく見とけ!」

ブレイバックルに♠︎A Change Beetleを装填する。シャッフルラップからベルトが射出、朔月の腰に巻かさり待機音がなり、いつものポーズをとる。

変身(ヘシン)!」『Turn Up!』

バックルが回転し、オリハルコンエレメントが展開、それを通り抜けブレイドへと変身する。

全身装甲(フルスキン)……、いえ、カメンライダー!」

その声には憎しみのような感情が込められて居るような気がした。それを証明するかのように、オルコットの目の色が変わった。

「それでは、試合開始!」

山田先生の開始宣言で、戦いの幕が上がった。




流石にテスト当日の2日間は投稿できなかったよ……


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第24話 円舞曲と勝敗

「さぁ、舞い散りなさい。私の奏でる円舞曲(ワルツ)で。」

試合開始の合図と共に、上空からライフルを乱れ撃つオルコット。

ラウザーを引き抜き、全て斬り落とすブレイド。

「行きなさい、ブルーティアーズ!」

オルコットの機体から4機のファンネルのようなものが射出されると、ブレイドを囲うように配置され、一斉にレーザーを撃つ。

ブレイドはジャンプし、レーザーを避ける。が、それはお見通しと言わんばかりに、ライフルで狙いを定めるオルコットが引き金を引いた。

しかし、ブレイドもそれは予測していた。手に持っているカードをラウズする。

『Metal!』

スペード7“メタルトリロバイト”は体を硬質化させ、防御力を上げる。

ライフルの弾は無意味となった。

そのまま地面にもどるブレイド。

それに対して、再びブルーティアーズを動かすオルコットは、ティアーズにブレイドの着地点を取り囲ませる。

「そろそろ反撃と行きますか。……簪、借りるよ!」

簪から受け取ったカードを、ラウザーから取り出し、ラウズする。

『Genimi!』

ダイヤ9“ジェミニゼブラ”は2人に分身することが可能。つまり、2対1となる。だが、ブレイドの狙いは違った。

2人目のブレイドからブレイラウザーを受け取ると、ラウザーを渡した方はアンダーパスをするかのような姿勢をとる。

すると、二刀流のブレイドはもう1人の方に向けて走りだし、もう1人の方は走るブレイドが自身の腕に足をかけた瞬間、上へぶっ飛ばす。

ぶっ飛ばされた二刀流ブレイドは、一番近くにあったティアーズを斬り落とす。

そして、次のティアーズにラウザーを投擲し、破壊。

先に地上に降りたブレイドは、ラウザーを回収し、もう一度同じ工程で展開されていた全てのティアーズを破壊した。

「残りはお前だけだ、オルコット!」

「よくもティアーズを……ッ!!」

ライフルを構え直し、ブレイドを銃撃しようとする。が、スコープを覗いた時、ブレイドはその場に居なかった。

「ど、どこですの!?」

「ここだよ!」

声は聞こえるのに姿が見えないブレイドに困惑するオルコット。

「いい加減、スコープから目を離したら?」

オルコットはスコープから目を離し、真下を向いた。

「ッ!!」

スコープを覗いている時、真下が死角になっている事に気がついたブレイドは、ライフルを構え直したタイミングで、オルコットの真下に移動して居た。

先ほどまでと同じ手順で、上空に上がりライフルを破壊した。

「ざ、残念でしたわね!ティアーズはあと2機ありましてよ!」

このタイミングしかないと思ったのだろう。腰にあるミサイル型ティアーズを射出した。1個は斬り伏せられても、もう1つは当たると考えた。しかし……

「ウェイ!」

突如したから投げられたブレイラウザーによって、もう1つも破壊された。

「な、何故下から!?」

「一本置いて来たのさ。」

上空に飛ぶ寸前に左手のラウザーを放し、もう1人のブレイドに返し、奥の手に備えて居たのだ。

「くっ!い、インターセプター!」

既に地上へと戻ったブレイドに合わせて、オルコットも降りてくる。

近接武器を出して来たと言うことは、それが最後の武器と言っているのと変わらない。わざわざ遠距離にいる必要がない、と言うことだ。

「アンタの諦めない心に応えよう。」

『Slash!Thunder!ライトニングスラッシュ!』

刃の切れ味を上げ、さらに電撃を纏うラウザーを構える。オルコットもそれに合わせて短剣を構えた。

同時に駆け出し、全力の一閃を放つ。

「やぁぁぁぁぁ!」

「ウェーーーイ!」

各々の剣は振られた。膝をついたのは……

 

 

 

 

 

オルコットの方だった。

『ブルーティアーズ SEエンプティ!勝者 相崎 朔月!』



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第25話 照れ臭さと子供騙し

勝敗が付いたことを告げるアナウンスが流れ、ブレイドはバックルのレバーを引き、カードを抜く。オリハルコンエレメントがブレイドを通過して、朔月に戻るとブルースペイダーに跨り、退場用に作ってもらった出口から出て行く。

 

 

 

 

ピットに戻ると、駆け寄って来た簪にGeminiのカードを返した。

「ありがとう、助かったよ。」

「ううん。よかった、勝てて。」

そう言って、そっと体を預ける簪に対して朔月は……

(なぁ〜んですかぁ〜、この小動物みたいな可愛らしさと癒し成分を兼ね備えた生き物はぁ〜。)

と、やや北の都のカシラのような思考に陥って居たのは、本人と皆さんだけの秘密という事で。

「んっん!……一夏、1ついいか?」

「あわわ、な、何?千冬姉。」

慌てて離れる2人に対して姉は……

(別にそのままでもよかったんだがな、驚かせてしまったか。)

「何故、飛行しなかった?」

「……これ、PIC付いてないから、飛ぶのにAP消費したら不利になるから。」

「その割には分身はするのだな。」

「アレはラウザーも増えるからね。二刀流で手数を多くできる。」

「……そうか。まぁ、今後とも精進しろ。」

おめでとう。この一言を言わないのはこの結果に満足させないためか、単に弟の勝利に賛辞を送ることが照れ臭いのはわからないが、朔月は姉らしいと考えるのだった。

「さて、行くか。」

「どこに行くの?」

「オルコットのところだ。彼女、俺……変身した後の俺を見た途端に顔色が変わったからな。」

「気になるんだ。」

「まぁな。仮面ライダーに対しての恨みの可能性も高い。好きなものが恨まれるのは好ましくないからさ。」

「なら、私も行く。」

「あぁ、頼むよ。」

2人はオルコットの元へ向かうのだった。

その道中………

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏ぁぁぁ!さっきの戦いはなんだ!」

「なんだってなんだよ。」

篠ノ之箒が突如現れ、先ほどの戦いを良く思ってないようだ。

「あんな邪道な戦いをしおって!篠ノ之流はどうした?」

「ブレイドは……剣崎さんは篠ノ之流なんてやってないからな。」

「な、なんだと。け、剣崎さん?だ、誰だそいつは!」

「そいつとは失礼な!」「うんうん。」

剣崎への失礼な態度に少し苛立ち覚えた。そして、失礼と言った朔月の意見に賛成するように相槌を入れる簪。

「で、誰なのだ!」

「椿隆〇さん演じる仮面ライダーブレイド/剣崎一真!職業仮面ライダーの彼は、安月給・振り込まれない給料・封印を解かれた不死の生命体『アンデッド』と命をかけて戦う!」

「それは番組ではないか!そんな子供騙しにうつつを抜かしおって!その曲った根性叩きなおしてくれるわ!」

「………朔月、先に行って。」

「簪?」

「この人の相手は私がする。」

「あ、あぁ。頼んだ。」

こうして、2人は別行動を取ることとなった。しかし、その思いは同じであるのだった。



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第26話 想いと拒否

もしかしたら、不快になる人がいるかもしれない。
そうなったら、先に謝っときます。
申し訳ありませんでした。
最近よく見る特撮批判などに対しての
簪様からの言葉です!目ぇ見開いて、よく見てね♪


立ち塞がる篠ノ之を横を通り抜け、オルコットのもとに向かおうとする朔月。

しかし、そうはさせまいとどこからともなく刀………真剣を取り出し、朔月に斬りかかろうとする。

が、いち早く察して居た簪は、こっそりと忍ばせて居たギャレンバックル(カード挿入済み)を装着し、篠ノ之の正面に回って居た。

「変身。」『Turn up!』

オリハルコンエレメントが篠ノ之を吹き飛ばし、簪を通過させギャレンへと変身する。

「まさか、学園での初変身が、こんなことで……。」

「どけ!邪魔だぁぁぁぁ!」

標的を朔月からギャレンに切り替える。

篠ノ之はむやみやたらと刀を振り回すが、ギャレンは全てギリギリで避けている。

「どうしたぁ!所詮その程度なのだろ!子供騙しがぁ!」

刹那、篠ノ之が持って居た刀の刀身が折れた。何かにぶつかったわけでもないのに、バキンッ!という音を立てて、それは地に落ちた。ギャレンはピクリとも動いて居なかったが、ラウザーの銃口からは、すこし煙が立って居た。

つまり、ギャレンはほんの一瞬のうちにラウザーを抜き、正確に精密に刀身だけを撃ち落としたのだ。

「な、何故だ……何故なのだ!こんな子供騙しの力に、この私が……。」

「それだよ、それ。」

「なに!」

「子供騙し、そう侮ったから。」

「そうではないか!作り物の世界に、作り物のスーツ!作り物の悪に、作り物のストーリーと結末!子供騙し以外の何者でもないじゃないか!」

「確かに!作り物かもしれない。でも、それでいい。子供達に夢を与えるライダー達は、実在したら恐怖対象にしかならない。でも、彼らはその世界で生きている。……理解してくれとも、受け入れてくれとも言わない。ただ……否定しないで欲しい。頭ごなしに批判して、何かあるごとに叩いて、あたかもライダーやアニメが悪いように報道して。それは、それらを生み出した人たちを、そして、それらを純粋に愛する私や朔月のような人たち侮辱する行為だということを知って欲しい。」

篠ノ之は無言だった。すこし考えをまとめてるようにも感じた。

「な、ならば!何故ライダーは消えた!時代背景に合わないと消されたのではないのか!視聴率や玩具販促が悪くなったから!た、確か……じ、じ、じお、ジオング?「ジオウ」そ、そうだ!そこで番組が終わったのだろう!!」

「それは、女尊男卑になったせいで、政府辺りから圧力をかけられ、円〇の光の巨人も、東〇の戦隊も闇に葬られた。そう、束さんは教えてくれた。」

「ね、姉さんが……。まさか、そのアイテムも!」

「そう、束さんが作ってくれた。」

「妹の私には、何も無いのに…。」

「それは、あなたが束さんを拒否したから。あなたが束さんから離れたから。」

「……そんな、そんなバカな!私たち家族が離れ離れになったのは、全部!姉さんがISなんか作ったせいなんだ!」

「そう。なら、そうやって駄々をこねていれば良い。でも、もしやり直したいなら、束さんとしっかり向き合う事だ。」

そう言うと篠ノ之は膝から崩れ落ちた。

「朔月の所に、行かないと。」

簪は朔月の元に向かうのだった。



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第27話 誤解と和解

簪と別れ、反対のピットに着いた朔月。

「はぁ…はぁ…はぁ…。よかった、まだここに居た。」

「な、なんでずの?いっだい…。」

負けた事への悔しさなのか、涙ぐむオルコット。

「……オルコットさんは、仮面ライダーが憎い、そうでしょ?」

「ッ!……やっぱり、表に出してしまいましたのね。」

「どうして?どうして仮面ライダーを憎むの?」

「……私の父は母に常にペコペコするような人でした。それを見ていると、男は情けない生き物だと、子供ながらに思っておりました。でも、そんな2人でも、1つ共通の趣味がありましたわ。それが…「仮面ライダー……でも、だったらなんで?」両親は、ライダーに殺されたも同然!」

「ライダーに殺された?」

「10年ほど前でしょうか?Foreverを観に行くとかなんとか言って、そのまま飛行機事故で……。」

「………。」

「もし、仮面ライダーなんてものがなければ!お父様やお母様は死なずに済んだ!だから私は、女権の男尊女卑特撮撲滅運動?に署名しました。」

「そ、そっか。でもそれって、ご両親の好きなものを、次世代に繋げずに消したって事でしょ?」

と、口ではマイルドに言ったが、朔月の内心(お前も元凶の1人かぁぁぁっ!)と叫んで居た……叫ばざる得なかった、心の中で。

「……っていうか、それってライダーじゃなくて、飛行機扱ってる会社の方を恨むんじゃないの?」

「………確かに、そう……ですわね。」

どうやら、オルコットの頭には“仮面ライダーを観に行って亡くなった”そう固定されて居て、亡くなったの前に来るはずの【飛行機事故で】が消えて居たようだ。

「……今、冷静に考えてみれば、仮面ライダーに当たるのはお門違い……と、言うことなんでしょうか?」

「……そう、ではないのでしょうか?」

雰囲気が混沌(カオス)になったせいで、朔月の口調がおかしくなった。

「………申し訳ありませんでしたわぁ!!!」

突如大声で謝罪された朔月は、割と驚いた。

「勝手な思い込みで、アニメや特撮を低俗なものと……、見てすらないものをイメージで批判してしまいましたわ。」

素直に謝られ、これも割と驚いた。もっと高飛車で自分の非を認めないと思って居たからだ。

「いや、こっちこそ。オルコットさんに勝手なイメージを持って居たみたいだ。申し訳ない。」

「……許していただけますの?」

「あぁ、もちろん。改めて、相崎 朔月だ。よろしく。」

「セシリア・オルコットですわ。こちらこそ、よろしくお願いします。」

オルコットと無事に和解できましたとさ。めでたし、めでたし。



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第28話 察しとツインテール

オルコットと和解が終わった直後に、ギャレンがやってきた。

「簪、変身してるけど……真剣でも出されたの?」

「……正解。」

「そっか。まぁ簪のことだし、刀身だけ狙い撃ったんだろうけど。」

「うん、それも正解。でも、こんなのが学園初変身か…って思っちゃった。」

「……そりゃ、そう思っちゃうな。でもまぁ、簪が変身して吹き飛ばしてくれたから、無事ここに辿り着けた。ありがとう。」

そう言って、軽く頭を撫でる。

撫でられた簪は、頭を軽く抑えて頬を赤く染めた。

それを見た朔月も、我に返り…赤くなる。

「………お二人は付き合っていらっしゃいますの?」

「「いやいやいやいや!そ、そ、そんなんじゃない、そんなんじゃない!!っていや、簪(朔月)が嫌いだとかそういうことではなくて!!!!」」

(あぁ〜、なるほど。これが「はよ、くっつけ!」と言うやつですわね。)

と、1人納得するオルコットだった。

 

 

 

……その後

部屋に戻った2人は、今日のデータを束に送って居た。

「早く、アブゾーバーが完成するといいね。」

「あぁ、IS相手にいつまでも地上戦は続かないからな。フロートだってタダで飛べるわけじゃないし。……さて、そろそろ寝よう。おやすみ、簪。」

「うん。おやすみ、朔月。」

こうして2人は夢の世界へと誘われた。

 

 

 

 

翌日

千冬が教室に入ってくる。HRが始まろうとしたときだった。

「えー、それではHRを「申し訳ありません。」ん?どうしたオルコット?」

「私に少しだけ時間をくださいませんか?」

「………手短に済ませろ。」

「ありがとうございます。

千冬に許可を得て、教室の前へ。

「皆さん、この度は私の不用意な言動で、皆さんに不快な思いをさせてしまいましたことを、お詫び申し上げますわ。」

深々と頭を下げ、謝罪の意を表する。

すると、「別にいいよ。」「オルコットさんだって、人間だもんね。」「間違いを犯してこそ、人だよ。」「完璧な人間なんていないんだよ。」と言う声が上がってきた。そして朔月は……

「Nobady's perfect…誰も完璧じゃない。まだ未熟な学生同士、互いに支え、高め合っていけばいい。」

と、某私立探偵の言葉を使うのだった。

 

 

 

その頃、中国のとある空港

「全く……一体何処から男性操縦者なんて話が出たのかしら。しかも……。」

手に握られた写真には、朔月の顔があった。

「……真偽を確かめないと。……一夏。」

ツインテールの少女は、日本への切符とその写真を手に、飛行機へと乗り込むのだった。



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第29話 中国からの転校生

転校生が来る。そう言う類の噂は、学園生活を送っていれば1、2回くらいは聞くだろう。しかしまぁ、流石IS学園と言ったところか。中国から、と言うのだから朔月も驚いた。が、どちらかと言うと……

(中国かぁ……、アイツどうしてるかな?)

と、誰かを懐かしむような感じだった。

そして、それはすぐに誰か分かることとなるのだった。きっかけは……ほら、いま丁度……。

「でも、専用機持ちは1組だけだから、デザートフリーパス(半年)は1組の頂ね!」

「その情報、古いわよ!」

バダンッ!とドアを開ける音を響かせ登場したのは、朔月が思い出していた人物、その人だった。

「……アンタが世界初の男性操縦者、相崎 朔月ね。」

そう言うと、朔月の顔を見つめる。

「やっぱり!生きてたんだ、いt…ングッ!」

(「ごめん、ちょっと静かにしてくれ」)

そう言って、その人物の口を抑える。朔月は内心焦っていた。自分の顔を知る人物2人目が現れたこと。自身の正体をバラされそうになったこと、そして、何故か男性操縦者がいると言うことがバレていることだ。

|《「話は後でする。とりあえず、昼に屋上で。」》

「プハァ!……わかったわ。何か事情がありそうだしね。」

「そろそろHRだ。千冬ね……織斑先生が来る。早く教室に戻れ。」

「それはヤバイわね。早く戻るわ。」

そう言ってツインテールは教室から急ぎ足で出て行った。

 

 

お昼休み

「……ってなわけで、アイツとは小学校の頃から中国へ帰るまで仲が良かったんだ。」

「へぇ〜。いいなぁ〜、小学校の頃の朔月かぁ〜。見てみたかったなぁ〜。」

無意識的に心で思ったことを述べた簪は、ハッと我に返り軽く赤面する。

朔月はそれを見てたが、恥ずかしくなりそうだったので、見て見ぬ振りをした。

そんなこんなで屋上のドアを開けると、「遅い!」という声が聞こえてくる。

「全く、ラーメンが伸びるじゃないの。」

「なんで屋上でラーメン作ってんだよ。ま、いいや。」

「久しぶり、一夏。」

「あぁ、久しぶり……鈴。」

彼女の名は凰鈴音、中国代表候補生である。

 

 

鈴は伸びかけラーメンを、朔月と簪は朔月自前の弁当をそれぞれ食べて居た。

「しっかしアンタさ〜、何んでIS学園にいる訳?」

「それがかくかくしかじか。本来は極秘事項だったのに……。どっから漏れたんだろ?」

(言えない……うちのクラスじゃない女子が漏らして退学処分食らったのを本音から聞いたなんて……言えない。)

と、事情を軽く把握している簪だった。

「ねぇ、1組のクラス代表はいち……朔月?」

「いや、オルコットってイギリスの代表候補生だ。俺は生徒会長。」

「ふぅ〜ん、生徒会長ねぇ………ズルズルッ)ボッフォ!……ゴホゴホッ!せ、生徒会長ぉ!?」

啜っていた麺を至る所から吹き出す鈴。

「ちょ、アンタ入学早々生徒会長になるなんて……バカなの?」

「最強に勝ったら、そのままそーなるらしい。」

「そ、そーなんだ。」

と、慣れることにした鈴だった。



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第30話 告白と嫉妬

引き続き屋上からお送りしまーす。

 

懐かしの幼馴染と再会した朔月。昔話に花を咲かせ、弁当を消化していくら。

「で、アンタ。その子いつになったら紹介してくれんの?」

「え?あ、してなかったっけ?」

「うん。ずっとアンタが作った弁当を幸せそうに食べてたわよ。」

そう言われた簪はカァーっと擬音が出そうな感じで赤くなった。

「彼女は更識 簪。……俺の相棒だ。」

「へぇ〜。改めて凰鈴音よ、よろしく。」

「さ、更識 か、簪。簪でいい、よろしく。」

「で、朔月。その子と付き合ってるの?」

「ふぇ?い、いやいやいや!べ、別にそ、そ、そういう関係ではないからぁ!!」

「そ、そ、そ、そう!べ、別にそんな関係ではないから!!」

「そ、そうなんだ。」

そこまで全否定するとは思ってなかったのか、鈴は内心……若干引いた。

「……ねぇ、一夏。私が言った約束、覚えてる?」

「……『料理が上達したら、毎日あたしの酢豚を食べてくれる?』……だったよな。」

「うん。」

「……ごめん。最初、タダ飯食わしてくれるくらいに思ってた。」

その告白を聞いた鈴はこうリアクションを取った。

ウソダドンドコドーン!(嘘だそんなことー)

「でも!今は違う……。今ならわかる。でも、今……俺は側に居たいと思う人がいる。その人に寄り添いたいって、そう思える人がいる。その人が受け入れてくれるかそれはわからないけど………だからごめん。」

「そっか……でも、ありがとう。返事くれただけでも嬉しかった。生きていてくれて、嬉しかった。」

そう言って今でも泣き出しそうな鈴を抱き寄せる朔月。そこで大泣きする鈴。

 

 

 

 

 

……それを見て、胸の奥がモヤモヤする簪。

三者三様の状態だったが、簪はそれで完璧に自身の気持ちに気が付いた。

(私、やっぱり朔月が好きなんだ。LikeじゃないLoveか……。)

しかし、簪は迷った。先程の朔月の言葉、

【側に居たいと思う人がいる。その人に寄り添いたいって、そう思える人がいる。】

それが自分だとしたら嬉しいが、自分でなかった場合、それが怖かった。

だから、簪は………

 

 

 

 

 

 

 

 

その気持ちを心の奥底に仕舞い込んだ。

 

 

 

 

 

鈴も泣き止み、鐘が鳴った。

「ヤバッ!片付けないと。簪は先に戻っててくれ。俺これ片付けてからすぐ戻るから!」

「う、うん。わかった。」

「鈴もまたな!」

「またなって。もう、いつでも会えるんだから。また仲良くしましょ!昔みたいにゲームしたり、特撮見たり!」

「そうだな、簪も特撮好きなんだ。みんなで見て語ろう。」

「……アンタの好きな人わかった。でも、早く気持ちを伝えないと、あの子……壊れちゃうかもよ?」

「え?」

「時間ヤバッ!じゃあ、おっ先〜!」

「ちょっと!俺も急がないと!」

無事、授業に1分遅刻し、ありがたく頭頂部に出席簿を食らいましたとさ。




ウソダドンドコドーン!のくだり、入れるか迷ったんですけど、
ブレイド要素欲しさに本来入れるべきではなかったところに
入れてしまったような気がする。申し訳な……だが私は謝らない


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第31話 不安と非常事態

鈴が来てから1週間ちょっと。

遂にクラス対抗戦が始まろうとしていた。

「1発目から代表候補対決か……。お互い全快の状態だから、いい試合が見れそうだ。」

「そう、だね。」

普段通りに見える簪だが、朔月は違和感を感じていた。鈴と再会してから、3人で食事をしたり、特撮鑑賞したりと色々して来たが、どうにも簪は不安を抱え続けていたようだ。

(……一体誰なんだろ、朔月の好きな人。)

セシリア・オルコットvs凰鈴音の試合。それが始まっても意識はそっちに引きずられた。

 

 

 

そして、事件は起きる。

アリーナのシールドを破って入ってきた者が居た。

「あれは、レンゲル!?」

「どうして、ここに…。」

「と、とにかく行かないと!変身(ヘシン)!」

「へ、変身!」

『『Turn Up!』』

オリハルコンエレメントを通過し、観客席のドアを開こうとする。

「だ、ダメ。開かない。」

「千冬姉、ドア破壊してもいい?」

と、皆忘れているであろう通信機能で千冬にコンタクトを取る。

『非常事態だ、構わん。』

「了解ッ!」

ブレイラウザーでドア数カ所を破壊する。

「みんな、早く逃げて!」

「焦らず落ち着いて避難するんだ!」

『さっくんさっくん!ピットのドアのロックは開けておいたよ!さぁ、急いで!』

「束さん!ありがとうございましたさかあささます!簪、行こう!」

「う、うん。」さ

2人はピットに急いだ。

 

 

 

 

ピットに入り、急いでアリーナへと降りる。

「千冬姉、アリーナに突入する!」

『事後報告になってるぞ!まぁ、いい。急げ!』

まっすぐアリーナへと落下する2人。

既に中破レベルのダメージを受けている鈴とオルコットに朔月は「早く逃げろ!」と、撤退を促す。

「まだまだ……戦えるわよ!」

「鈴、あのレンゲルは束さん製だ!まともに戦えるわけない!だから逃げろ!」

「……わかった。ここは撤退する。」

「オルコットさんも!」

「は、はい!」

鈴とオルコットをアリーナから逃がし、ブレイド、ギャレン、レンゲルのみとなった。

「簪、こっからラウズカードはまともに使えない。そういう前提で戦う!」

「了解。」

3人が自身のラウザーを構える。

先手を撃ったのはギャレンだった。

レンゲルラウザーを持つ手を狙い、数発放つ。

が、予測していたようにラウザーを回転させ、弾丸を弾く。

ブレイドはその間に接近、自身の間合いに持ち込もうとしたが、レンゲルラウザーの方が長いこともあり、上手くいかない。

「やはり、私のリモートを警戒してラウズカードを使わないな。ラウズカードの力を使わずに、この最強のライダーに勝てると思うなよ!」

「そうかな?」

「「「!?」」」

その場にいた全員が驚いて居ると、どこからともなく遠距離攻撃があり、レンゲルに当たる。

攻撃があった方を見るとそこには…

「待たせたね。さっくん、カッちゃん!」

「「束さん!」」

カリスが居た。




リアルの事情で投稿できずに申し訳ない。
少しずつ投稿ペースを戻していけたらと思ってます。


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第32話 カリスと気持ち

カリス/束の登場は、レンゲルにも、ブレイドとギャレンにも意外なことであった。

が、3vs1となるこの戦況でも、レンゲルにはまだ余裕があった。

(こちらにリモートがある限り、ラウズカードを使うライダーは、私に勝ち目などない!)

そう思っていたからだ。

しかし、現実はそう上手くいかない。

アローから放たれる光の矢を弾いたまでは良かった。レンゲルは直後に接近するカリスへ対応できなかったのだ。結果、カリスの間合いに入ってしまい、アローで吹き飛ばされる。もちろん、ただ吹き飛ばすだけではない。ブレイドが居る方へと吹き飛ばし、ブレイドが斬撃でギャレンの方へと斬り飛ばす。

本来ならばギャレンが更に銃撃を加えて居るところなのだが、何故か立ち尽くしていた。

(カッちゃんの様子が変……?融合係数が低くなってる?………ダメか…。)

「さっくん!!」

「た、束さん?」

「………カッちゃんが不安がっていて、融合係数が下がってる。彼女がブレイドを知って居ることが災いとなりそう!このままだと、橘さんみたいに破滅のイメージに苦しめられることになるかもしれない!」

「お、俺にどうすれば?」

「さっくんの気持ちを!カッちゃんにさっくんの素直な気持ちを伝えて!」

「俺の……素直な気持ち……。」

「カッちゃんはあの中国から来た奴のせいで、私は要らないんじゃないか?って、不安なんだ!さっくん!」

「俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………俺は簪が好きだ!簪が居てくれるから、俺は安心して戦える!相崎 朔月として、今ここに居る!」

「……朔月。」

「だから、これからも一緒に居てくれ!」

「うん!もちろん!」

「フンッ!」

吹き飛ばされて居たレンゲルが体制を整え、ギャレンへと突っ込んでいく。

振りかざされるレンゲルラウザーを避け、そのまま回し蹴りでブレイドの方へ蹴り飛ばす。

その間にブレイドは、カードをラウズする。

『Slash!Thunder!ライトニングスラッシュ!』

「ウェイ!」

吹き飛ばされていたレンゲルは最低限の防御姿勢をとり、直撃だけは避けた。が、その威力はレンゲルを変身解除させるには十分だった。紫色のオリハルコンエレメントが通過し、少女が姿を現わす。

亡国機業(ファントム・タスク)のエムだな?レンゲルバックルは返してもらう!」

ブレイドが近づくと、エムはどこからかハンドガン取り出し、ブレイドを撃つ。

ただのハンドガンとはいえ、不意を突かれればブレイドでも怯む。その間にISを展開し、エムは逃走した。

「逃したか。束さん、ありがとうございました。」

「いいの、いいの。カリスの実戦データも取れたしね。それじゃ、束さんはこれで!まったねぇ〜♪♪」

2人は手を大きく振り、束を見送る。

「あ、あの朔月。」

「ん?」

「ふ、不束者ですが、よ、よろしくお願いします!」

「え?あ、こ、こちらこそ。これからもよろしく。」

こうして、2人は交際を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

どこかのアジト

「あら、エム。どこ行ってたの?」

「……スコールか。なに、コイツを使いこなすために少しな。」

そう言ってレンゲルバックルをスコールと呼んだ人物に見せる。

「そう。あまり派手には動かないようにね。」

「あぁ、わかっている。」

そう言って、無機質な部屋へと入った。




戦闘の中で気持ちを伝えさせてみたかった。
少し強引かもしれない、そう思いました。
だが、私は謝ります!
すみません!


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第33話 金と銀の転校生

朔月と簪がとうとう正式にくっついた、という情報がどこからか漏れたようだった。が、生徒会の会長と副会長だし、クラスでは既にそういう雰囲気だったので、周りも騒ぎ立てはしなかった。

まぁ、前よりも温かい目(国民的青たぬきロボ式)で見守る人が増えたくらいだ。

そして、簪と鈴は共通の趣味があったことから既に10年来の親友のような感じにも見える。鈴は簪を応援することに決めたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

で、そんな平和な学園にまた一つ……いや二つ、また新たなトラブルの種が蒔かれるのだった。

 

 

 

 

朝のSHR

教壇に立っていたのは山田先生だった。

そして、クラスを騒ぎ立てる発言も山田先生からだ。

「えー、皆さん。今日は転校生を紹介します、それも2名。」

と、ピースをする。これはね、うーん、かわいいね(作者の感想である、朔月の感想ではない。)

「では、どうぞ〜。」

そう言うとドアが開く。

1人は金髪、もう1人は銀髪。一瞬金閣銀閣と思ってしまった朔月は悪くない……そう信じたい。

「それでは、自己紹介をお願いします。まずは、シャルロットさんから。」

「はい!フランスから来ました、シャルロット・デュノアです。」

どうやらその名前にピンとくる者たちが居たようで「デュノアってあの?」「うん、世界第3位のシェアを誇るラファール・リバイブを作ってる会社と同じだよね?」

などと言う声が聞こえてきた。

「皆さん御察しかもしれませんが、フランスのデュノア社は僕の実家です。ラファール・リバイブから第三世代に発展させる実験データ収集を目的に来ました。日本は不慣れなので……皆さん、よろしくお願いします。」

パチパチと拍手が起こる。

「次はボーデヴィッヒさん、どうぞ。」

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」

それ以上の自己紹介が無く、クラス内がぽかんとしている。

「い、以上ですか?」と、山田先生が尋ねると、「以上だ。」と返答する。

「全く、まともに自己紹介もできんのか。」

「お、織斑教官!」

「ここでは織斑先生だ。いいな?」

「はっ!」

「それでは席に着け。授業を始める!」

こうして、授業が始まった。

 

 

 

 

2限目が終わる。次の授業はアリーナで鈴の居る2組と合同授業だ。

「あ、あの!相崎くん!」

「え?あ、えーとデュノアさんだよね?何か用?」

「あ、いや、その…挨拶だけでもと思って。」

「そっか。相崎 朔月だ、よろしく。」

「改めてシャルロット・デュノアです。よろしく。」

デュノアと握手する。すると、後ろから制服の裾をグイグイと引っ張られる。

振り向くと簪が時計を見るかのようなジェスチャーをしていた。

「おっと、急がないと!デュノアも早く着替えた方がいい!遅れたら、出席簿アタックだ!」

「え!?あ、う、うん!ありがとう!!」

デュノアと別れた朔月は、駆け足でアリーナに向かうのだった。



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第34話 ドジっ娘メガネと即席コンビ

3時間目

アリーナには1、2組の生徒が集まっていた。

「さて、とりあえず模擬戦を見てもらおう。えー、凰とオルコット出てこい。」

呼ばれた2人は前に出てくる。

「織斑先生、何故アタシ達なんでしょうか?朔月や簪とかの方が……。」

「ん?あの2人はコンビネーションこそ抜群だが、ISとは言えないだろ?」

「あ、そっか。」

「そういうことだ。」

「それで、相手は?レンゲルに邪魔されたからこないだの続きでも、アタシは構わないんだけど。」

「あら、私も望むところでしてよ。」

「焦るな、もうじき来る。」

そう言って千冬は天を仰ぐ。

「相崎、変身しておけ。」

「え?あ、はい!」

朔月はブレイバックルにChange Aを挿入。シャッフルラップからベルトが射出され、腰に巻きつく。

「変身。」『Turn Up!』

オリハルコンエレメントを通過し、ブレイドになる。

「来るぞ。」

そう言われ上を見ると……

「うわぁぁぁぁ!そこ、どいてくださぁぁぁぁい!」

ISを纏った山田先生が降ってきていた。

「なるほど、そういうことか!」

ラウザーのトレイを展開し、カードを一枚ラウズする。

『Magnet!』

「うまく調整できれば……ハッ!」

ラウザーの切っ先を山田先生に向け、磁力をコントロールする。

上手い具合に磁場に山田先生が捕まり、ゆっくりと地面の方へ下ろしていく。

「ふぅ〜。相崎くん、ありがとうございました。」

「いえ、大丈夫でしたか?」

「えぇ、久々に緊張してしまいまして。」

緊張であんなことになるのか、と内心思ってしまった。

「ん、ん!では、改めて。凰、オルコット。お前達が戦ってもらう相手は、山田先生だ。」

「………山田先生。元日本代表候補生にして『銃央矛塵(キリング・シールド)』の異名を持っていた、そう聞いてるわ。」

「……相手にとって不足なし、ですわね。」

「そ、それには触れないで欲しいです。」

どうやら、触れないで欲しい過去のようだ。

「それでは、2人とも準備しろ。」

「「はい!」」

2人がISを展開する。

「それでは、試合開始!」

即席代表候補生コンビvs元日本代表候補生という、何とも見応えのある試合のタイトルだ。

3人は空中を入り乱れながら戦闘をしている。代表候補生コンビは凰が前衛、オルコットが後衛という、スタンダードなフォーメーションだ。

一方山田先生は、上手く2人の射程に入り込まないように距離を保っている。

それを観客席で見ていると千冬がシャルロットに話題を振る。

「デュノア。山田先生が使っているラファールの説明をしろ。」

急な要求に「はい。」と返事をすると、デュノアはラファール・リバイブの説明を始めるのだった。




もうすぐ7月ですね
CSMブレイバックルが待ち遠しいです


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第35話 解説と実力

デュノアは織斑先生にラファール・リヴァイヴの説明というか解説をするよう言われ、サラサラと説明していった。

「山田先生の機体はデュノア社製『ラファール・リヴァイブ』です。第2世代に分類されますが、そのスペックは初期第三世代機にも劣らないもので、安定した性能と高い汎用性、後付武装が豊富で世界第3位のシェアを持ちます。」

「よしデュノア、そこまででいい。そろそろ、決着が付く。」

どうやら、2vs1と最新型専用機というハンデをもってしても、経験豊富な人物には勝てないらしい。

間合いの取り方や、戦況に応じた武器選択、パイロットの勘、長年の経験から即座に判断している。射撃精度も高い。あんなに動き回りながら、よくもあんなに当てられるものだ。未だ完成していないジャックフォーム。それになったギャレンとの撃ち合いを見てみたいものだ。と、朔月は心から山田先生を尊敬するのだった。

 

 

山田先生は鈴の双天牙月による斬撃を避けながら、懐にグレネードをくっつけて爆破。その後、オルコットのレーザーを避けつつ、精密射撃で銃口に弾丸を打ち込みライフルを破壊。至近距離でアサルトライフル二丁持ちでの超近距離射撃でオルコットも沈めた。

 

 

 

3人はゆっくりと地上に降りてくる。

「あ"ぁ"〜、負けたぁ〜!」

「一体何なんですの、あの精密射撃は!銃口に狙って入るなんて漫画や小説じゃないんですから、一体どんな照準の付け方を……ブツブツブツブツ。」

「教師の実力がわかっただろう?これならは、尊敬の念を持って教師と接しろ。いいな?」

「「「「「はい!」」」」」

「それでは、実技の授業を始める。あー、相崎と更識はこちらにこい。後は、専用機持ちの所に、均等に分かれるように!」

「「「「「はい!」」」」」

こうして、生徒たちはバラけた。

 

 

 

一方朔月と簪は、織斑先生と別の場所に来ていた。

「すまんな。少し話を聞いておきたくてな。」

「で、何の話?」

「これだ。」

そう言って見せてきたのは、レンゲルとエム本人の写真だった。

「この前乱入してきたお前たちと同じライダーだろう?一夏、更識。こいつに心当たりは?」

「……千冬姉、亡国機業(ファントム・タスク)って聞いたことある?」

「……名前くらいはな。」

「こいつは、亡国機業のエム。そして、千冬姉が言った通り俺らと同じライダーシステムの使用者だ。このライダーシステムは束さんのところから強奪されたものだ。」

「そ、それと。このライダーの力は私達にはすごく厄介なもので……。」

「なるほどな。私たちの方でも警戒しておいたほうがよさそうだ。よし、話は終わりだ。戻るぞ。」

「「はい。」」

こうして、何事もなかったのように授業へ戻った。




遅刻してしまった。明日は時間通りに投稿したいな。


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第36話 訓練と盗み見

放課後

アリーナでは各々のラウザーを構えたライダーが向かい合っていた。そして、手には一枚のラウズカード。それを同時にラウズする。

『Slash!』『Rapid!』

ブレイドはラウザーの切れ味を、ギャレンはラウザーの弾丸の装填速度を上げる。

この同時ラウズが戦闘開始の合図だ。

ギャレンはブレイドに銃撃を開始する。高速で発射される弾を、ブレイドはラウザーで斬り弾く。ただ弾いていても仕方ないので、しっかりと距離を詰める。

もちろんただ接近を許すギャレンでもない。狙う場所をより広い範囲にし、ブレイドに大きな動きをさせることで、少しでも足止めをさせ、自身も距離を取ろうとする。

すると、突然ブレイドが後ろに下がりラウザーを持つ手を逆にし、トレイを展開させる。ギャレンはラウザーを手から落とさせようと、手首の方を狙い撃つ。

が、トレイが盾のような役割を果たしているため、弾が当たらない。仕方なくギャレンもトレイを展開し、カードを抜きラウズする。

『Thunder!』『Fire!』

ブレイドはそのまま地面にラウザーを突き刺す。すると、雷はギャレンのもとに向かっていく。

ギャレンはブレイドの胴体へ照準を定め、火炎弾を放つ。

互いの属性攻撃は直撃し、かなり高いダメージを負った。2人は顔を見合わせ態勢を整えると、レバーに手をかけバックルからカードを抜き、変身解除した。

「ふぅ〜。簪、お疲れ様。」

「うん、お疲れ様。」

2人はそのままアリーナを後にしようとした。その時だった。

「誰だ!」

何者かの気配を感じ取ったのは。

「ご、ごめんね。盗み見るようなマネして。」

「なんだ、デュノアか。何か用か?」

「ううん。ただ、通るときに何か見えて、気になってね。」

「そうか。」

「ほ、本当にそれだけだから。ま、また明日ね!」

「あぁ、また明日。」

「また、明日。」

そう言って駆け足で帰ろうとするデュノアに思い出したように朔月は言った。

「あ、そうそう。デュノア!」

「な、何かな?」

「俺たちのデータをいくら取ったところで、第三世代ISの開発には役に立たんぞ?」

「ッ!?い、一体何のことかな?」

「それは……おっと、話は後だ。もう1人、血の気の多いお客さんが来たようだ。」

「相崎 朔月。いや、織斑一夏。織斑の名を捨てた、教官の一族の恥さらし。」

「「!?」」

現れたのはボーデヴィッヒだった。そして、驚いたのは簪とデュノアだった。

まず、簪が驚いたのは、ボーデヴィッヒが朔月のことを織斑一夏だと知っていたことに対して。

そして、デュノアが驚いた理由は、死んだとされた織斑一夏の名前が出て、それが目の前の相手に向けられていることだった。

「別に捨てたわけじゃないさ。死人と判定した奴が生きてたら逆に消されると思ったまで。別に千冬姉を裏切ったりなんかはしてないぜ。」

「黙れ。そして、消えろ。」

ボーデヴィッヒはレールカノンを撃ち始めるのだった。




お知らせ
うp主がテスト期間に入っております。
それ故に更新が止まる。もしくはか〜な〜り、遅くなります。
予めご了承くださいますよう、お願い申し上げます。


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第37話 黒の襲撃

月が変わる前に更新できた
リアルのゴタゴタが一通り終わりました!!
なるべく早く更新ペースを戻したいと思いますので、
今後もよろしくお願いします!!!!


ボーデヴィッヒがISを展開、レールカノンを撃ち始めた。

朔月はデュノアを自身の背後に回すと、もう一度ブレイバックルを取り出す。簪もギャレンバックルを取り出し、すぐさまChange Aを挿入し、レバーを引く。

「「変身!」」『『Turn Up!』』

レールカノンをオリハルコンエレメントで無効化し、再び2人はライダーに変身する。

「ほう、これを防ぐか。」

「ドイツはクラスメイトにレールカノンを打ち込むのが挨拶なのか。いい勉強になった………ハッ!!」

左手でブレイラウザーを抜き、ブレイドは上空へ。

「バカめっ!」

空中にいるブレイドに、レールカノンを放つ。弾はブレイドに当たり、爆煙がブレイドを包んでいる。

が、そんなことは予測済みであり、ブレイドは既にラウザーからカードを抜きラウズしていた。

『Metal!』

攻撃を無力化した。もちろん、次の手も手の中にある。

『Thunder!』

ラウザーの切っ先から電撃を放つ。

「チィッ!……ワイヤーがやられたか。」

どうやら今の電撃で一部回路がショートしたようだ。

再びレールカノンをブレイド達に向ける。が、『そこの生徒!クラスと番号を言いなさい!』という教師からの注意が聞こえたからか、姿を消した。

 

 

ボーデヴィッヒが姿を完全に消したことを確認してから、2人は変身を解いた。

「ふぅ〜、面倒なのに巻き込まれたな。」

「うん。あの様子だとまた……。」

「あ、あのぉ〜。」

「おっと、忘れてた。……此処じゃなんだから、移動しようか。」

『だったら生徒会室でいいんじゃない?』

先ほど放送を行った教師……否、更識楯無が管制室には居た。

変身すれば管制室と繋がるが、面倒なので携帯にかけることにした。

「楯無さん。ナズェミテルンディス!?」

『……………?』

「すみません、滑舌が悪くなったみたいで。何故見てるんです?」

『え?あ、えーとね。さっきのドイツの子。色々訳ありらしくてね。更識として監視って感じ。』

「そうなんですね。」

『ついでに……デュノアちゃんだっけ?その子も監視対象。スパイ容疑がかかってるの。これは篠ノ之博士からの依頼だけどね。』

「え?束さんから?ってか、楯無さんいつ束さんと知り合ったんです?」

『え?知り合いとかでは無いわよ?ただ、メッセージとしゃs……が来ただけよ。』

「しゃ?……まぁいいです。」

『そんな訳だから、おねーさんも同席したいな〜って。いい?』

「構いませんよ。」

そう言って電話を切る。

「とりあえず移動しよう。」

と、2人に告げ生徒会室に足を向けた。



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第38話 シャルロット、告白

付き合ってください!の方の告白ではないであります!


生徒会室

どうやら束さんからスパイ容疑をかけられて居るらしいデュノアと向かい合うように朔月と簪は座っていた。楯無はというと……「そういうわけなので、はい、先生にも一度来ていただけると……はい、それではお待ちしております。」

生徒会長ではなくなったからか、丁寧に連絡して居た。

「さて、それでは始めましょ。」

「そうですね。では、シャルロット・デュノアさん。あなたの目的、教えていただけますか?」

「そ、それは……。」

「朔月、例の手をやるしか無い。」

「えぇ〜。………まぁ、簪に言われたらやるしかないけどさ〜。」

そういうと、おもむろに立ち上がり、息を吸う。そして……

「アンタスパイナンダロ!オシエテクレヨ!アンタナンノタメニガクエンニキタンダヨ!」

 

※)何となくイメージが付く人と付かない人が居ると思うので、補足しよう。今の朔月の言動はBOARDがローカストアンデッドによって崩壊し、残っていた先輩の広瀬栞にアンデッドについて問い詰める際のもの(詳しくはブレイド本編2話を参照)を参考にアレンジして言ったものである。

 

それを聞いたシャルロットは、クスッと笑った。

「ご、ごめん。別にバカにしてるわけじゃないんだけど、……急にやるもんだから僕おかしくって。」

しばらくは腹を抱えて笑っていた。5分ほどでようやく治ったようだ。

「ふぅ〜。………僕の任務は君達2人のISのデータを取ることだった。」

先程のオンドゥルもどきが功を奏したのか、シャルロットは語り始めた。

「欧州連合の統合防衛計画《イグニッション ・プラン》。事の発端は、この計画からデュノア社が降ろされた事だったんだ。ウチは第3世代機の製造が遅れていたからね。そこで、最近何かと噂の仮面ライダー達からヒント……まぁ、データを取ろうとしたんだ。」

(最近噂って、嬉しい気もするけど、情報管理ガバガバだな、IS学園。それとも、束さんがわざと流してるのかな?)

「それが束さんにバレて、こうなったと。……えーと、シャルロットさん。これから、あなたはどうするのかな?」

「よくて監獄行き。悪くて……だろうね。」

「……ごめん、聞き方が悪かった。シャルロット・デュノア、君はこれからどうしたい?」

「僕?……スパイ行為がバレた以上、別にどうも出来ないよ。本国へ強制送還、それが僕の運命だ!」

「君の意思はどこへ行った?君はどうしたい?答えろ、シャルロット・デュノア。お前はどうしたい?どこに進んで行きたい?」

「!?」

少しきつめの言い方をした朔月。

それを聞いて黙り込んでしまったシャルロットは、下唇を噛み締め、震えていた。

「君はさっき、本国に戻って罰を受けるのが運命だと言った。それに対して俺はこう言おう。“もし運命とやらがあったとしても、運命とは戦えるんじゃないか?”」

その言葉は朔月が最も尊敬する人物のもの。運命は変えられる、己の力で変えて行ける、そういう言葉だろう。

その言葉を聞いたシャルロットは、ボソボソと口を開いた。

「………自由を……求めても、いいの?」

「君がそれを望むのなら。」

「なら、僕は、僕は自由になりたいよ!!!」

そう叫んで涙を流した。




今更ながら一言、CSMブレイバックルの
到着が延期になったので作者のモチベは
か〜な〜り、下がってます。が、更新頑張っていきます!


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第39話 自由への道と黒の真実

シャルロット・デュノアが自由への狼煙となる咆哮を上げた5分後、生徒会室に入ってきたのは織斑先生だった。

「待たせたな。」

なんともダンボールに入ってきた感のあるセリフだが、千冬が言うと違和感はない。

「千冬姉、何してたの?」

「ん?何、デュノアが自由になる為の準備だ。6分前に一度来たんだが、まぁ色々聞こえてな。一旦職員室に戻り、それっぽい書類を取って来た。」

と、紙の束を机に置く。

「さてさて、どーやってデュノアさんを自由にしようかね?日本に亡命、自由国籍の取得、更識で保護してもらう、束さんに頼む。これらの内どれかだよなぁ〜。」

手段について悩む朔月。

「一番手っ取り早いのは(アイツ)に頼むことだろう。」

「アフターケアも考えれば更識(ウチ)もアリだと、おねーさんは思うなぁ〜。」

「国際問題を、考えるなら、最初の2つもしっかり、視野に入れるべきだ思うよ、朔月。」

打ち合わせでもしてあったように別々の方法に関しての意見を述べてくれた3人。これが打ち合わせしてないのだから、語彙力はないが凄いと思う。

「どの方法を取ってもメリット・デメリットは発生する。だから、本人が選ぶのが一番いい。デュノアさん、どう自由になるかは君の選択次第だ。」

「僕は………。ごめん、この場ですぐには答えが出そうにないや。」

「……うん、それがいい。今日は色々あって疲れたでしょう。この辺で終わりにしておきましょうか。それではデュノアさん、気をつけてお帰りください。」

「うん、ありがとう。」

デュノアは退室した。

「…………はぁ〜、疲れたぁ〜。生徒会長モード?みたいな感じでやったけど、肩凝るなぁ〜。」

「お疲れ、朔月。はい、オ〇ナミンC。」

「ありがとう、簪。」

蓋をあけると、キュポン!という小気味よい音を立てる。

「あぁ〜。疲れた体に染み渡るこの味、堪んないなぁ〜。」

程よい炭酸が朔月の体にちょうど良い刺激を与える。

「さて、次はボーデヴィッヒの件についてなんだけど。」

「私から説明しよう。」

「千冬姉。」

「アイツは、ドイツ軍所属の人間でな。いつかの日独合同訓練を覚えているか?」

「あぁ、そこでか。」

「そんなところだ。さて、ここからが本題だ。ボーデヴィッヒは、……私たちと同じ存在だ。」

「試験管ベビー……か。」

「……そして、ISへの適合率を上げるための手術が行われていた。それが、ラウラの左目の眼帯の奥にある真実。人体実験の物証にして、彼女をどん底へと貶めた根元でもある。」

千冬はラウラの過去を語るのだが、運命の切り札を摑み取れ 第39話 まずはここまで。



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第40話 生徒会長モードと公欠

えー、大変長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。
なかなか創作意欲を燃焼させられず……、ただの言い訳ですね。
正直、オーマジオウを題材にして書きたいと思ったり、
アイアンマンで書きたいとか、オリジナルのプロットを作ったりとかしてました。
だらだら更新の作者の作品を面白いと言ってくださる方がまだいらっしゃるなら、これからもよろしくお願いします。


ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツ軍IS配備特殊部隊【シュバルツェ・ハーゼ】隊長。試験管ベビー。IS適合移植手術を受けるも失敗し『出来損ない』の烙印を押される。そんな時、日独合同訓練で千冬と出会い、IS操縦の隠れた才能を開花させ、今の地位を得ることとなった。

「なるほどね。つまり、ボーデヴィッヒは……俺たちと同じ存在、ってわけか。しかも、生まれた場所が場所だから尚更……(俺と千冬姉はどうやって組織から出てきたんだ?小さい頃千冬姉と暮らしてたけど……。今度聞いて見るか。)」

「朔月?どうかした?」

「え?いや、なんでもない。」

「とにかく、あんまり派手に動かれても困る。千冬姉、明日辺りにでもボーデヴィッヒに釘さしといて欲しいんだけど。」

「あぁ、わかった。」

「それと専用機持ちにドイツの代表候補生が戦闘をふっかけてくることがあるので冷静に対応し、アリーナに被害を出すなと通知を……楯無さんお願いします。」

「わかったわ。」

「それから千冬姉。今度の学年別トーナメント、より実践的な連携を兼ねてという名目でタッグマッチにできるか、確認取って欲しいんだけど。」

「明日の会議の時にでも聞いてみよう。」

「なんか、嫌な予感がする。レンゲルの乱入が無いとは限らない。それぞれ警戒をお願いします。」

「うん。」「あぁ。」「わかったわ。」

「最後にシャルロットは明日は休み……公欠扱いにしておいてください。おそらく、眠れないでしょうから。」

「それもそうだな。」

「通達は俺のほうでしとくよ。それじゃ、解散しよう。」

最後に気が抜けたのか生徒会長モードが抜けたのか、言葉が堅苦しいものからいつも通りに戻った。

そして、生徒会室から誰もいなくなった。

 

 

翌朝

シャルロットには昨夜のうちにメールで『今日は公欠にしておいたので休むように。』という事を伝えておいたため、HR直前だが教室に姿はなかった。少しばかりシャルロットの身を案じつつ、ブレイバックルの清掃をする。軽いメンテナンスを終えたタイミングで教室のドアが開く。

「おはよう。今日は大事な連絡がある。学年別トーナメントだが、より実践的な連携と万が一の不測の事態に備えて、タッグトーナメントになった。出場する者はエントリー用紙に二名の名前を書いて提出してくれ。それからボーデヴィッヒ、HR後私のところへ来い。連絡は以上だ。」

そう言い残して千冬とボーデヴィッヒは教室を出て行った。

 

 

HR直後

「朔月、タッグトーナメントのことなんだけど。」

「エントリーなら準備はできてるけど……。」

「早っ!ってそうじゃなくてね。レンゲルの乱入はあると思う?」

「いや、今回はレンゲルの乱入は警戒程度だ。正直、今が別の脅威がありそうでさ。

「別の……脅威?」

「あぁ、それもかなり厄介な。ま、今は束さんの連絡を待つしかないかな。さ、授業の準備をしよう。」

「うん。」

こうして二人は授業の準備に入った。



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第41話 課題と連携

朔月たちが授業の準備をしている裏では…

「ラウラ、昨日の事聞いたぞ。なぜあの様な愚行をした。」

「それは、奴が織斑を捨てたからです。教官「織斑先生だ(バシィッ!」お、織斑先生との繋がりの一つを捨て、相崎 朔月などという名で何事もなかったかの様に……。」

「そうか。では、お前に課題を与えよう。」

「はい。」

「……相崎を、一夏を見て感じろ。アイツが何を思っているのか。何を考えているのかをな。その為にも、次のタッグトーナメントは都合がいいだろうな。恐らく更識簪と出るだろうからな。本気でぶつかって来るぞ?……それでは、教室に戻れ。それから、タッグトーナメントまで、私闘は厳禁だ。いいな?」

「はっ!織斑きょ……先生。」

ラウラは教室へと戻っていった。

(後は、頼んだ。きっと戦いの中で何かを見出すだろう。)

自身の弟子の行く末を、選ぶ道を見守る。一夏から、朔月から何かを学ぶ事を願っている千冬だった。

 

 

 

 

そうして迎えた、学年別タッグトーナメント。

1回戦の当たりが出ていた。

「なるほど、そう当てて来るか。千冬姉も人が悪い。」

「朔月、準備は?」

「万全に決まってるよ。簪に見っともない格好は見せられないからな。(後は、この嫌な予感だけ外れてくれれば。)」

「朔月、出番みたい。」

「あぁ、今行く。」

朔月と簪はアリーナへと向かった。

 

 

アリーナでは既にIS《シュバルツェア・レーゲン》を展開したボーデヴィッヒと、《打鉄》を纏った篠ノ之箒が居た。

「しかし、なんであのペアなんだ?」

「余ったらランダムでペアになるらしいよ。でも2人とも協調性皆無だから、連携攻撃はなさそう。」

「だな。」

 

『1回戦 第3試合

相崎 朔月、更識 簪ペアvsラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之 箒ペアの試合を開始します。』

 

放送がかかり各々のバックルにChangeを挿入し、シャッフルラップからなる早でベルトが巻かれる。

「「変身。」」『『Turn Up!』』

静かな変身コールでレバーを引きゆったりとオリハルコンエレメントを通る。

ブレイドとギャレンは、それぞれのラウザーに手を添える。

『それでは、試合……開始!!』

ラウザーを引き抜くと、ブレイドがラウザーで砂煙をあげる。

「煙幕などISの前では無意味!ハァッ!」

手刀の要領で砂煙を払うが、既にブレイドたちの姿はなかった。

「何!」

そして後方から「しまった!」という声が聞こえた時にはもう手遅れだった。

篠ノ之にもう接近した2人は、ギャレンラウザーで篠ノ之を牽制しつつしっかりダメージを与え、ブレイラウザーをSlashの効果で切れ味を増幅させ、確実にSEを削り切った。見本とも言えるほど綺麗で完璧な連携を見せた2人だった。



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第42話 タイマンと変化

待たせたなぁ!(大塚明〇さんボイス)



本当にお待たせしました。


2人の作戦はこうだった。無駄な消費を抑えるため、初動で脅威となり得ないが面倒な篠ノ之を排除し、2vs1の形へ持ち込み、勝利をより確実にする。もっとも無駄のなく、タッグマッチでは正当な作戦と言えるだろう。

しかし、ブレイドの狙いはここから。ギャレンに手を出さないようジェスチャーをすると、ギャレンは静かにラウザーをホルスターに収めた。

「なんのつもりだ?」

「ここでお前を倒すのは容易い。が、サシでやらないと面白くないからな。」

そう言ってラウザーを構え直す。

「フン、後悔するがいい。」

次の瞬間、全6機のワイヤーブレードがレーゲンから射出される。

ブレイドは全て紙一重で避け、地面に突き刺さったワイヤーブレードを切り落とす。

ワイヤーだけになったものを戻しながら、レールカノンをブレイドに向ける。

「終わりだ。」

レールカノンから放たれた弾が、ブレイドに炸裂する。地面から砂煙が舞い、ボーデヴィッヒからブレイドを確認することができない。が、既に勝ちを確信しているようだ。

「お前もすぐに終わらせてやる。」と、ギャレンに向けて言い放つ。が、ギャレンは静かに砂煙の中心を指差す。

砂煙が晴れると、無傷のブレイドが立っていた。

「何故!直撃のはずだ!」

「あぁ。当たったよ、コイツの切っ先にね。」

そう言ってラウザーを指差す。

ブレイドは着弾寸前でブレイラウザーを騎士の構えのような感じで持つことによって、自身への着弾を防いでいた。

「ブレイラウザーの刃は地球に存在するすべての固体を切り裂く。そういう風に作られているのさ。」

「うわぁぁぁぁ!さっさとぉぉぉぉ、落ちろぉぉぉぉ!」

レールカノンをバカスカ撃ちながら突っ込んでくるボーデヴィッヒを前に、カードを三枚ラウズする。

『Kick!Thunder!Mach!』

本来ならラウザーを地面に突き刺すが、今回はボーデヴィッヒに向けてぶん投げる。

それによりボーデヴィッヒは停止、AICを発動させてラウザーを止める。

AICで止まったラウザーから『ライトニングソニック!』と音声が鳴り、ブレイドは上空へ。蹴り姿勢をとりボーデヴィッヒに向かっていく。

ボーデヴィッヒはAICを解除して、余裕の表情でブレイドに手を向ける。

「ウェェェェーーーイ!!!」

しかし、ライトニングソニックの急な加速に対応できずに、直撃をくらい吹き飛ぶ。

「仕留めきれなかったか。もうお前の負けだ。降参しろ!」

ラウザーを回収してから降参するように促す。

が、ボーデヴィッヒに異変を覚えた2人はラウザーを構え直す。そして、そこに現れたのは……

 

 

 

 

 

 

 

黒い巨大な織斑千冬だった。



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