魔法少女リリカルなのは〜嵐を巻き起こす死神 (コズモ君v)
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第一話〜第二の人生なの!〜

どうもこんにちは、コズモ君vです。
本格的な投稿は多分3月の前半くらいになると思います。それまではボチボチ書き溜めておく予定です。
まあ予定なのでもしかしたら書いた側から投稿してしまうかもしれませんが………

でわでわ


最初に目に入ったのは、真っ白な空間だった。

 

「……ふぇ?」

 

異変に気づいて起き上がった俺……咲理 蓮太(さきり れんた)の第一声は、そんな間抜けな声だった。

いや、こんな状況になって冷静でいられるような奴なんていないだろうから、しょうがないと言えばしょうがないのだが……

 

「あれ、俺……なんでこんな………あれ??」

 

自分の顔をペタペタ触り、ちゃんと実体がある事を確認しながらそんな言葉を呟く。

確か俺は、深夜にお腹が空いたからコンビニに行って…そこに強盗がいて……それから…

 

「あ、そっか。死んだのか、俺。」

 

ポン と、呆気なく口に出されたその言葉は、時間が経つにつれてその重みを増していく。

強盗と鉢合わせてしまった俺は、興奮した強盗に(恐らく頭を)拳銃で撃たれ、即死したのだ。

 

「はは……なんだ、結構あっけなかったな俺の人生。」

 

第一志望の大学に落ち、第二志望の大学に入ったはいいがそこでも勉強に追い付けず中退……バイトを掛け持ちしながら、なんとか今まで食い繋いできたが、それも今回で終わりだ。

 

「はぁ……ん?ってことはここは、俗に言うあの世って奴なのか?だとしたら俺……今から天国に行くか地獄に行くか判断されるんじゃ……」

 

地獄に落ちるほど悪いことをした覚えはないが、それでも何かあるのではないかと思わず身構えてしまう。

 

「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ、少なくとも私の見る限りでは、貴方は善良な方ですから。」

 

と、不意に後ろから声が聞こえる。

恐る恐る振り返ってみたら、そこには全身を白で統一した服を着た、自分と同い年くらいの女性がいた。

その女性は艶やかすぎて光を反射しているブロンドヘアの髪を少しかきあげながら、俺へと手を伸ばす。

 

「こんにちは咲理さん、私は貴方の住んでいた世界を管理している神のラナと言います。」

 

あまりに情報量が多すぎる自己紹介に半ばパンクしながら、俺はラナさんの手をとる。ラナさんはその見かけによらない力強さで、俺をひょいと立ち上がらせてしまう。

 

「あの……えっと、色々聞きたい事があるんですが……まず、なんで俺の名前を知ってるんですか?」

 

「名前だけじゃありませんよ?体のデータから月の食事量、今までのトイレの回数や死ぬ直前の健康状態まで全て把握しております。」

 

ハッハ〜ん…ラナさん、さては貴方プライベートという言葉を知りませんね?

というか俺やっぱ死んでるのな。

 

「えっと……次に、この世界を管理してる神と聞こえたような気がしたんですが。」

 

「はい、ばっちり管理してますよ?だから咲理さんの色々な事を知ってるんじゃないですか。」

 

「え?神様ってもっとこう………顔面毛むくじゃらのおじさんで杖持ってて偉そうに玉座に座ってるもんじゃないんですか?」

 

「貴方は神にどんなイメージを持っているんですか……まあそんな神も居ることにはいますが。」

 

「(あ、やっぱり居るんだ。)」

 

そんな事を思っていると、コホン……と咳払いの声が聞こえる。

 

「そろそろ進めても?」

 

「アッハイ。」

 

「では……咲理 蓮太さん、貴方は不運の事故によりその尊い生涯を終えてしまいました。「そんな尊いもんじゃありませんよ?」………ですが、貴方にはまだ人生をやり直すチャンスがあります!「それ別の人にあげた方が……」…………そう、貴方には転生をしてもらいます!!「いえ、それよりも僕天国に……」っていい加減にして下さい!?」

 

ふぇ?と首をかしげる俺を、涙目になりながらラナさんが睨み付ける。

 

「どれだけ転生したくないんですか貴方!今までこの文句で落ちなかった人なんていないんですからね!あぁもう分かりました正直にいいますよ!貴方は私が間違って殺してしまったので他の神にバレないうちに遠い異世界に転生して下さいお願いします。」

 

そう一息で言い、白い床に土下座を始めるラナさん……っていやいやいや

 

「仮にも神様なんですから土下座なんてやめて下さい!ほら、俺あの世界に未練なんてこれっぽっちも………なくはないですけど」

 

そう言った瞬間、さらに頭を白い床に埋めようとするラナさん。

 

「う……うわぁ!転生だー、ヤッタナー、チート能力もらいたい放題だぁ〜〜〜」

 

と、心にもないことを言ってようやく顔をあげてくれた。

 

「うぅ……ヒッグ……本当に転生してくれます?」

 

ブンブン……と、頭を勢いよく縦に振る。

 

「……じ、じゃあ……転生する際の願いを………好きなだけどうぞ……。」

 

そう小さな声で言われ、頭を悩ませる。

さっきはチート能力もらいたい放題だ〜等と言ったが、そんなベリーイージーモードな人生を送ろうとは、どうしても思えなかった。

 

「むぅ……あ、そうだ。」

 

そう言って閃いたのは、俺が中学くらいの頃によく読んでいた漫画だった、

 

「ブリーチって漫画知ってますか?そのブリーチに出てくる死神の力が欲しいです。斬魂刀の能力は……まあそれなりに強い奴で。」

 

「ブリーチ……分かりました。死神達が後だしジャンケンして敵に勝つ漫画ですよね?」

 

「……まあ間違ってはないですね。それで間違いないと思います。」

 

他には?……と聞かれ、俺は少し欲張りかもしれないなぁと思いながら、口を開く。

 

「えっと、虚化もしたいですね。こう……仮面被るやつ。あと……鬼道もうまく使えるようにしておいて下さい。あ、いきなり90番台を詠唱破棄できるとかそんなんじゃなくて、練習したらしただけ結果が出るくらいでいいんで。」

 

これくらいですかねと言い、頭の中で言い残した事はないか等考える。

 

「………ふふっ、やっぱり貴方っていい人ですね。」

 

「?何か言いましたか神様。」

 

何かボソッと言っていたような気がしたが、考えていて聞こえていなかった。

 

「いえ、なんでも。あ、家族構成等はこちらで決めてしまっても……」

 

家族……その言葉を聞いた瞬間、俺はすべての思考を吹き飛ばし、ラナさんを見つめる。

 

「え……あの…」

 

「家族はいいです。俺一人でどうにかするんで。もし赤ちゃんの頃からスタートするなら、身の回りの世話や家事は全て自動で行われると願いに追加しておいて下さい。」

 

あまりにもキッパリとし、冷たい声色に豹変した俺を見てラナさんは固まってしまう。

その光景を見て、俺はハッと我にかえる。

 

「すいません、どうしても……その、家族は嫌なんです。」

 

「いえ……こちらこそ、貴方の事は資料で調査しておいたのに……配慮が足りませんでした。」

 

そう言って、お互いに少し気まずくなる……元はと言えば気まずくなったのは俺のせいなので、俺は気分を切り替えてラナさんに話しかける。

 

「あ、神様。転生ってあとどれくらいで行われるんですか?」

 

俺からのパスに気づいたのか、ラナさんも気分を切り替え明るい調子で答える。

 

「はい、咲理さんがOKなら今すぐにでも転生を開始できますよ。」

 

「そうですか。ならもう転生を開始しても大丈夫ですよ。」

 

「分かりました。では転生を開始します。」

 

そう言って、俺には理解できないような言語で何かを詠唱し始める。すると、俺の回りに水色の魔法陣が展開され始める。

一つ一つが宝石のような輝きを放つ魔力の粒が魔法陣から上がり、空中に霧散するという幻想的な光景に思わず目を奪われる。

 

「では咲理さん……第二の人生をお楽しみ下さい。」

 

そう言って俺を送り出そうとするラナさんを見て、俺は思わず口を開く。

 

「神様!」

 

「?なんですか。」

 

首をかしげた神様に、俺は少しの照れくささと大きな感謝の気持ちを込めて

 

「ありがとうございます。」

 

そう言い放った。最初はキョトンとしていたラナさんだが、直ぐに笑顔になり

 

「どういたしまして………」

 

それを最後に、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???〜

 

高層ビルが建ち並ぶとある街……遠目には月の光を反射して揺らめく海と、風を受けて多くの木々が揺れる山が見え、この街が自然豊かな場所にあるということを連想させる。

そんな街の高層ビルの屋上に一人の少女が居た。

その少女は明らかに重力を無視して浮いている槍を傍らに置きながら、目の前にいる血だらけで満身創痍の男と対峙している。

もしこの光景を他の第三者が見ていたのならこの少女が??と思う事だろう。

しかしその疑問は、その男が少女を見る目と次に放った言葉で打ち砕かれるだろう。

 

「どうして…俺がこんな目に……俺はただ、この世界で好き勝手やりたかっただけなのに……何でお前何かに殺されなきゃいけねぇんだぁぁ!!」

 

そう言って男は腕から放った指向性を持った爆発をその少女に浴びせる。

普通なら防げる筈もないその攻撃を、少女は宙に浮かんでいる槍で防ぎ、そのまま男の体を貫いた。

 

「っ!がっは!!」

 

男はその場に倒れ、かろうじて動く首を動かしてその少女を見上げる。

 

「どう……して…お前も…………俺と同じ……」

 

その言葉を言い終える前に

 

グシャッ!と、男の頭は文字通り吹き飛ばされた。

 

「私は貴方とは違う。貴方はこの世界の物語を壊そうとした……でも…私は守る、この世界の物語を。それが……ハッピーエンドに一番近い選択肢だから。」

 

そう言って少女は、紅に輝く槍を大事そうに抱えながら悲しい声で呟やいた。

 

 

 

 

 

 




リリカルなのはのアニメ見返してますけどやっぱ神作品ですわ。


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