夜天の息子がSAOにログインしたようです (ウィングゼロ)
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プロローグ

「これにて、ソードアート・オンライン、正式チュートリアルを終了する、プレイヤーの諸君健闘を祈る」

そう無慈悲にも俺達を見下ろすそれは姿を消し、この世界の参加者であるプレイヤー達はただ呆然と立ち尽くす。

しかし、その静粛も終わる、一人の女性の悲鳴を合図に湧き上がる負の連鎖は止められることはなく、波のようにこの街を包み込む。

 

(くそ!どうして…!どうしてこんなことに!!)

 

俺も冷静さを欠き苛立ちを隠せない一人ではある…

つい昨日までは何時もの日常を過ごしていたのに関わらず、今まさにそれをぶち壊してくれた。

八神隼人の波乱に満ちた戦いは今幕を開けることになる。

 

新暦89年

俺が生まれる前後に起きたという未曾有の大規模テロ事件JS事件から早14年、此処第一世界ミッドチルダ、首都クラナガンは平穏な毎日を過ぎていた。

そんな日常に俺、八神隼人は何時ものように家の近くの浜辺でデバイス、パルティアを持ち約50メートル離れた的に目掛けて、魔力で生成した矢を引き狙いを定める。

 

「っ!」

意を決して放たれた矢は的のど真ん中に刺さり、それを見た俺は息を吐くと改めてデバイスの基本機能についているカレンダーと時計を見る。

 

「今が11時49分…あと一時間か」

そう俺は待ちきれない高まりに思わず笑みを浮かべる。

それもしかたがないことだ。なんせ今日はあれの正式サービス開始日なのだから

ソードアート・オンライン…通称SAOと呼ばれるそれは、地球史上初となる五感全てを使ってプレイする今までとは全く違うゲームだ。

プロモーションビデオを見て、これだ!っと思った俺は母さんのコネをフル活用して、ナーヴギアとソフトを手に入れ、喜んだのはつい昨日の事だと思えてしまう。

 

そんなこんなで好奇心を落ち着かせる?的当てを終えると12時58分には自室のベッドでナーヴギアをかぶりサービス開始を待ちわびていた。

 

「さあ、俺も新世界に導いてくれよ!」

 

先程落ち着かせた興奮は、先程以上に上がって、そしてその時はきた。

 

「リンクスタート!」

そう魔法の言葉を呟いた瞬間俺の思考はゲームの世界へと旅立った。

 

ソードアート・オンラインにログイン前に動作確認や、設定などの工程、後は名前やアカウントを作成したあと、遂に、SAOの舞台…浮遊城アインクラッドの門は開かれた。

 

『Welcome to Sword art Online』

 

その文字と内から湧き出る興奮感と共に俺はアインクラッドへと降り立った。

 

 



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1話「ソードアート・オンライン」

アインクラッドへと降り立った俺は次に視界に捉えたのはとてもデジタルとは思えない、本物と差し控えがない建物の数々だった。

 

「此処が」

 

此処にあるものが全て電脳で作られたものと一瞬でも忘れさせる、そんな衝撃に俺は漠然と立っていたが直ぐに持ち直して歩き始める。

さて、先ずは何をしようか

町の観光、というのも有りといえば有りだが、此処は時間を有益に使いたいと思う。

となればこのゲームの醍醐味であるモンスターとの戦闘だろう。

 

「そうと決まれば行動だな」

そう今日の行動方針を決めると軽快な足取りで、商店通りだと思う場所へと向かっていく。

所為のベータテスターではないのでこの街のことは詳しくはわからない

つまりだ、何故ここまで軽快に動けるかというと…

 

勘だ

強いていうなら勘だが、周囲を見渡して何も迷いもなく動けるプレイヤーが何人も俺が向かっている方向に走っていったのを目撃したからである。

 

そういうのは大体ベータテスター、つまりこの街など眼中になく醍醐味の戦闘を始めようとするプレイヤーだ。

そして初期設定ではプレイヤーは武器を持たない。

つまりはそのプレイヤー達を追いかければ自然と武器屋に辿り着くという話だ。

 

そんなわけで、走り去ったプレイヤーを追跡、これで辿り着けるだろうと考えていると後ろから何故か俺を付けてくる足音が1つ。

 

(ん?)

一度足を止めて、後ろを振り返ると、そこにいたのは茶髪でセミロングヘア、そして美少女といってもいい可憐な少女の姿があった。

 

「あ、あのすみません、えっともしかしてベータテスターの方ですか?」

 

どうやら広間にいたときに迷いのない動きを見ていたのか俺をベータテスターだと勘違いしたらしい。

これは先に誤解を解いておいたほうがいいか。

「残念だけど、俺はベータテスターじゃないんだ…君の行っているベータテスターを追いかけててね、恐らくこの先に武器屋があると思うんだけど…」

 

俺はベータテスターではないことを正直に打ち明け、彼女と同じ理由で追いかけていたとことを話す。

しかしだ、正直に言って既に路地裏と行っても良い場所、こんな所に本当に武器屋などあるのかと少し疑問なところがあるが今はあのベータテスター…であろうプレイヤーを信じるしかない。

 

「そ、そうなんですか…あの…もしかしてですけど、帰り道も…」 

 

「……ええ、全く……」

 

来るときにかなり入り込んでいた路地を通っていたから道は忘れている。

そして此処で話し合っていることから完全に追いかけられないだろう、追跡していたプレイヤーの目的地が此処ら辺であることを願うしかない。

 

「えっと、よかったら一緒に行きますか…あなたがよければ…ですけど」

 

俺の動きで追いかけてきた彼女に対する罪悪感も含め、此処は一緒に行動するのが良いと判断した俺は誘ってみると彼女は少し考えた後、恐る恐るだがその口を開けた。

 

「それじゃあ、お言葉に甘えさせて、私、ユイって言います」

 

「よろしく、ユイさん、俺はハヤトって言います」

お互いのプレイヤーネームを教えたあと、先のプレイヤーが進んでいった方向へと歩き始める。

(ユイさん…ねえ…どことなく本名な気がするけど…ネカマの可能性とかあるよな…例えば家族の姉、妹の名前とか…いや流石にそれは…)

 

少しユイさんというプレイヤーを観察し、ゲームだからと姫プレイをしている男性か?と考えたが直ぐにそれは否定した。

先程の話し方がとても女の子ぽい気がするし、恐らく学生でお淑やかな人物…っと推測する。

 

「あのハヤトさん、あそこに人集りがありますよ」

試行錯誤を続けているとユイさんが歩いている方向に指差し、人集りが出来ていることを教えてくれると俺はその方向に向く。

 

そして此処から10メートル離れたところの露店で三十人以上の人集りを見つける。

 

「どうやら到着できたみたいだな…それじゃあ行きましょうユイさん」

 

当初の目的は達成し、あそこの露店に向かうべく、後ろのユイさんに訪ねるとはいっと二つ返事で頭を頷き、人集りのある露店へと歩いて行った。




ふと書いてて思ったこと。
ユイ(SAO)とユイ(プリコネ)の二人がいる…どうしよう


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2話『戦闘開始』

 

 

「まいったな、漸く外に出てこれたのに、幾分か時間が掛かるとは…」

「あははは、ベータテスターと違って道順も覚えてませんでしたからね」

 

そう頭をかきながらぼやく俺、そして同じ気持ちであるユイは苦笑いをしてお互い腰に武器を携えながらしながら外の草原を歩いていた。

既に日は二時間後には沈みきるであろう時刻に漸くこの場所に辿り着いた。

何故ここまで時間が掛かったのか、それはビギナーでよくある、町で迷子になるっというものだ。

武器山で来れたのは良いが、帰り方がわからず。

そしてベータテスター達は既に武器などは決めていたことも有り即決で購入する反面、俺とユイさんも悩みながらも武器を購入した。

その時間差もあって気付いたらベータテスター達は狩り場へと向かっていき…俺達は未知の町を運任せで歩くしかなかった。

まあ、その結果は今の現状を生み出しているのだが。

そして最後に大通りまで帰ってきた後、武器を腰に指していたことで二人のプレイヤーに武器屋を訪ねられたりして多少のタイムロスあったが……

あの二人…どう見ても整形してる美男子に猫みたいな元気な女の子…今頃武器屋についてるのかな

 

先程合った二人のことを考えていると後ろにいるユイさんが近づいてきて後ろ腰に付けている俺の武器をまじまじと見ながら話しかけてくる。

 

「それにしても、意外です。ハヤトさんはてっきり定番な片手剣とか重い武器を使うのかと思ってました」

 

「えっと、俺…そんなにこの武器を使うの以外なの?」

 

そういって俺は後ろ腰に付けている武器を鞘から取り出し逆手持ちで構えながら、その抜かれた曲がった刀身を見る

 

それは曲刀であり、SAOでは殆ど片手剣などが人気であまり曲刀は人気ではなかったりする。

だがしかし、俺にとってはこっちの方が使い慣れているために迷うことなく購入、その即決していたこともあって意外だったのかも知れない。

 

「そういうユイさんは片手混……かなり悩んでましたけどどうして片手混を?」

「えっと、ほら片手混って杖…ロッドとかに似てるでしょ?だから」

「でもこの世界、魔法無いだろ?」 

この世界は剣の世界、魔法のような遠距離なんかはほぼ省いていて、パーティー全員が前衛…といっても過言ではない。

まあなりきりプレイというのもあるから、ユイさんもそういう類いなのかな?

 

と、試行錯誤をしているとシュワーンっと何かが出てくる音が聞こえてきて振り返るとそこには先ほどいなかったものがそこにいた。

それは青い猪の姿をしていてフレイジーボアというモンスターだ。

 

こちらを視認しているのに関わらず襲ってくる気配はない。

こういうのはこっちが攻撃しないと仕掛けてこないタイプだろう

 

「あっ!モンスター!!」

「みたいだな、襲ってこないみたいだし、どっちから仕掛ける?」

 

ユイさんがモンスターの出現に驚き、俺は漸くの戦闘で心躍る中、どちらが仕掛けるかを決める。

「ハヤトさんがお先にどうぞ、私は見ているだけで良いので」

 

っと、ユイさんは遠慮したがどうしたものか…

っと遠巻きにフレイジーボアを眺めていると2匹、3匹とシュワーン、シュワーンっと増え続け、すると町の方からブーツが草原を駆ける音が聞こえてきた。

 

「アキくん!アキくん!ほら!モンスターがいるよ!!」

「ま、待って…はぁはぁ…ひよりさん、急ぎすぎ」

っと、そこにやって来たのは黄色い髪の猫のような少女と整形しているような美男子、少女は正に元気の塊のようにはしゃぎ、男性は仮想世界なのに息を切らして辛そうにしていた。

「あれ?あの人達は」

「ああ、さっきあった人達ですね」

幾分か前に武器屋の場所を教えた2人組であることを俺とユイさんは話しかけていると、その悲劇は起きた。

 

走っている少女は一度急停止したが止まった足元には手の平に収まる程度の小石が落ちていてそれを蹴飛ばしてしまい、それが運悪くフレンジーボアの頭に直撃すると先程まで大人しかったフレンジーボアはプレイヤー達に牙をむいた。

 

「ご、ごめんね猪さん、石を当てる気はなかったんだ」

怒るフレンジーボアを見て後退りながら誤る少女

けど、それ…データの塊にいっても無理じゃね?

 

そしてブヒー!!っと雄叫びを上げながらフレンジーボアは少女の元へと突撃していく。

それに続くように残り2匹のフレンジーボアもその子目掛けて向かっていく。

 

「あわわわわ、ど、どうしよう!?」

攻撃させることに慌て出す少女、隣の美男子もテンパってるようだ。

横槍はマナー違反だけど…こういう場合は違反にはならないよな。

…ここは助けますか

「ユイさん!あの2人助けるよ!ユイさんはあの一番早い猪を!後の2匹はこっちに任せて」

「えっ!?ハヤトさん!?」

俺はユイさんにも指示を出し彼女の有無など聞かずに駆け出し抜いていた海賊刀ですれ違いざまに2匹の胴体に一撃ずつ入れる。

 

そして足を止めたと同時に体を反転させて2匹を方向に向けて海賊刀を構えると攻撃されたことでタゲが俺になり少女には行かずに俺に向けて突っ込んでくる。

 

「さあ…こい!」

 

予想外だけどこの世界での初戦闘、心が躍りそうだ…!

 

フレンジーボアの習性はオリジナルですそこんところおねがいします

 



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3話『終わりの始まり』

ユイSIDE

 

ど、どうしよう…

突然のことで思わずあたふたしてしまっている私

今日、ソードアート・オンラインの正式サービス開始ということで弟達とどっちが先にやるかと相談した末に私がやることになった。

ログインして直ぐにこの世界に目を奪われ、冒険したいと好奇心に駆り立てられるけど今の状態は少し望んではいない。

町の中であった…確かひよりさんとアキさんも同じように狩りに来たのだけど、運が悪くてフレンジーボアを怒らせてしまった。

ハヤトさんは3匹の内の2匹を相手にすることになったけど、大丈夫かな…

私はひよりさんとアキさんの所に助けに行ってっといわれて来たのは良いけど…

「あの、大丈夫ですか!?」

「あっ、君はあの時の…ありがとう、僕たち二人だと、厳しかったんだ」

 

っとアキさんは持っているのはハヤトさんと同じく…確か、海賊刀だったかな、それを持つ手は若干の震えて見える。

このSAOは従来のMMORPGとは違い、実際にモンスターと戦うというところがある。

画面越しでの戦闘が今正に私達の目の前で火蓋が切られている。そう思うと慣れてもいない私達にとって若干の恐怖心がこみ上げてくるのだろう。

誰だって初体験というものは不安でしかたがない。

けど、そんな状況でもひよりさんは前に進んだ。

 

「いっくよぉ!!!」

 

両手に装着した、クローで臆することなく、寧ろ高ぶる気持ちを全面に押し出すように、果敢に踏み込み、研ぎ澄まされている爪で一太刀フレンジーボアに入れた。

だけど、それで終わりじゃない、踏み込んだは良いもののまだ体に慣れていないということもあるのかひよりさんは攻撃した後勢い余ってふらつき、その隙をフレンジーボアは頭を振り上げ、顔についている立派な角でひよりさんにダメージを与えた。

「うわっ!」

「ひよりさん!このっ!」

「私も手伝います!」

 

ひよりさんのHPバーが減る中今度はアキさんが海賊刀でフレンジーボアに切りつける。

それに追撃するように私も持っているブロンズメイスで攻撃。その攻撃は頭に直撃してクリティカル判定されたのかフレンジーボアのHPは全損して青い粒子となって飛散した。

「や、やった…!」

敵を倒したことで微笑みを零し、目の前に戦闘のリザルト画面が表示され獲得したアイテム、経験値、それとこの世界の通貨であるコルが表示される。

突然のことだけど何とかなったっと、一息するけど、直ぐにあることを思い出す。

「ハ、ハヤトさんは!?」

 

そうだ、彼は一人で戦っているはず。急いで助けないと

そう思ってハヤトさんが戦っている方に視線を向けると私は信じられない表情を見せる。

そこには何事もなく立っているハヤトさん、2回ほど空振りで海賊刀を振るった後後ろ腰の鞘に収めて、こちらに帰ってきていた。

ハヤトさんは2匹のフレンジーボアと戦っていたはず。なのにそこにいるのはハヤトさんだけ、あの2匹はいない。

つまり、既に戦闘は終了していてハヤトさんが倒した。そういうことなのだろうか

私達が3人係で倒した敵をたった一人で2匹も…もしかしたらハヤトさんは他のゲームをやり込んで、こういうことには馴れているのだろうか

そんなことを考えているとハヤトさんは苦笑いの笑みを浮かべながらやって来た。

「そっちも無事みたいだな、突然のことでしたから少し心配ではあったんですけど…よかったです」

「おかげさまで、でもハヤトさんの方が危険だったと思うんですけど」

「まあ、動きながら切ってただけでしたからそれほど苦労はしていませんよ」

ハヤトさんはそういって陽気に笑っているけど普通はそんなこと出来ない。やっぱりハヤトさんは何処かビギナーとは違うのだろう。

そう思っていると後ろからひよりさんとアキさんもやって来た。

 

「あの~大丈夫でしたか?私の性で巻き込んじゃって」

「別に気にしないでください、こちらとしても戦闘をしようと話あっていたところ、先のことは少しスパイスがきいたイベント…っと受け取っておきますから」

 

っと微笑みを浮かべるハヤトさん、人によってはわめきちらす人もいるのにハヤトさんは器が大きいのだろう。笑って許している。

 

「えへへ、そういって貰えると嬉しいな、あっ!そうだ!名前言い忘れてた!私は…」

 

一応ひよりさんの名前は知っているけど、自己紹介はしていないからしようとするひよりさんだが突如としてそれは遮られる。

この世界に鳴り響くかのような鐘の音、それと同時に私達の体を青いエフェクトが包み込む。

 

「えっ!?何々!?」

「うわぁっ!?」

「きゃあぁっ!!」

「っ!これは!」

そうして私は気がつくとこの世界に降り立った場所、始まりの街の大広間に立っていた。

そして私達は知ることになるこの世界はゲームであって遊びではないということを

 

 

 



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4話『狂乱の幕開け』

 

 

ハヤトSIDE

俺達はただそのセレモニーを受け入れることしか出来なかった。

突如として告げられた命をかけたデスゲームの実体

この世界で一度でも全損すればナーヴギアに仕掛けられているマイクロ波が脳を焼き切るという最悪の仕掛けと気付いていなかったがログアウトする項目が存在しないという事実を先程俺達を見下ろしていた巨大な赤いローブのアバター、茅場晶彦はそう告げた。付け加えるように既に200人以上の犠牲者が出ていることも含めてだ。

 

既に始まりの町は悲しみの嘆きで満たされたといってといい。目指さなければならないのはこの城の最上階100層、そこに待ち受けるであろう敵を倒すこと。

間違いなく月日程度ではこの戦いは終わらない…もっと時間が掛かるだろう。

そして俺達は…というより俺は広間から逃げるように離れていった。 

あの中にいれば今はまだ正常の精神も狂いかねない。

後ろからは未だに悲鳴の断末魔が多く聞こえる。

その嘆きに俺は心を締め付けられるけど、俺以上に彼女の方が疲弊しているだろう

「大丈夫か!?」

 

その問掛けに彼女はこくりと頷くだけ、返答する気力も既に失われているのであろう

 

彼女、ユイさんは偶然にもあの広間で隣にいた。

だからこそ、理想のアバターから現実の姿に強制的に帰られてもお互い姿は直ぐにわかったのだ。

因みにユイさんはあまり変わってない、どうやら自分に似させて作ったのだろう。

かくいう俺も二点を除けばそうだった…身長と少しの顔の修正以外はな

アバターでは170以上合った身長が現実の小柄な体型に戻されている。しかも顔もどちらかというと女顔。

どれもこれも父さんがかなり女顔だったのが悪い…どうしようもないけど

 

俺の話は後にして今は休める場所へ移動することこそが先決だ。

NPCしかいない、夕暮れの大通りをユイさんの手首を掴みながら、移動しINN宿屋の看板がある場所を見つけると迷うことなく入っていった。

 

受付の女性がいらっしゃいませとお決まりの挨拶を俺は軽く流し、宿を取ると当てられた部屋に入り一息…つけなかった。

ここで問題が発生

この部屋どうやら2人用だった模様で、原因はユイさんと一緒だったのが原因ではないだろうか

 

既に取り返しのつかない過ちを犯したことで頭を抑え項垂れる中、取りあえずユイさんを窓際のベッドに座らせると俺は反対側のベッドに腰を下ろした。

 

「………」

「………」

 

終始無言

仕方がないだろう行き成りすぎる急展開、思考が追いつかないのも無理はない。

「…本当に

「え?」

「本当に…元の世界に戻れないのかな…」

そこから出てきたのはユイさんの悲痛な嘆き

声は今にも消えそうな掠れた声で俺の心を締め付ける。

「……ハッキリ言って、確率は低いと思う」

「っ!」

告げたくはないけど、目を背けていても何も変わらない。心が痛むが俺の思うことを口にした。

「けど、絶対なんてないと思う……今すぐとは行かないけどいつかは……きっと」

この混乱状態で動いているのはごく限られているだろう。

だけど、プレイヤー達は必ず動いてくれるはず…もちろん俺も含めだが

 

「…まだ頭の中整理できてないだろうから、俺は少し食べ物買ってくるよ…」

 

そういって俺は一度宿から出て物が揃う商店通りの方へ大広間を避けながら向かう。

 

俺も歩きながらでも考え纏めないとな

既に此処は戦場そのものと頭を切り替え歩いた。

 

歩いて三十分ほど、迂回路を使ったために結構時間が掛かり商店通りに辿り着くことが出来た。

 

やはりといって周りはNPCのみ、プレイヤーはいない。

食べ物を取り扱っている出店で黒パンを二つ購入し、来た道を戻ろうと歩き始めると途中の雑貨屋である物に目がとまった。

 

 




SAOレポート『始まりの日』

今日この日俺を含む約10000人は仮想世界という牢獄に閉じ込められた。
主犯者である茅場晶彦は恐らくこの計画を長年組み立てていたのであろう。正に完璧と言わしめてもいい
現に外部からは完全に遮断され、外側からは救出することは困難だと見られる。
俺にとって不幸中の幸いといえばナーヴギアを無理矢理外されなかったことであろう。
恐らくは両親にこのことを知り合いが教えたのだろう。確認のしようがないが

正式チュートリアル後は待っていたのは嘆きの連鎖、俺と傍らにいた少女と共にその場から離れたが少女もまた心を痛めている。
これからの方針はまだ決めていない、このレポートもどちらかといえば日誌で書き残しておこうとペンと一緒に雑貨屋で買ったものだ。
今日は疲れたので早めに寝ることになる。明日から行動することになるだろう
気が向いたら再び書き残しておこう。

筆記者 八神隼人


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5話『準備』

 

デスゲーム開始から一夜が明けた。

雑貨屋から買ってきたほとんど白紙の本を枕替わりに机に凭れながら寝ていた俺は身体中が凝っている中、肩を上げて体を伸ばすと、すとベッドの方を見る。

そこにはユイさんがいる、疲れ切っていた彼女はしっかりと眠ったが寝顔は穏やかではない。

「……少し朝練習してこよう」

何時もの日課としていた素振りだが…パルティアは手元にないし、今までの技術だけでは太刀打ちは出来ないかも知れない。

この世界での技術を身につけることそれが世界に適応する第一歩の事だろう。

しかし、基礎はリアルでもバーチャルでも同じだ。

 

現実ではないから体の筋力低下は絶対に免れないがそれでもだ。

そうして町の外の草原にやって来たが、先日の活気はなくこの辺りはプレイヤーは俺を除けば誰一人いない

「この場所なら遠慮なく出来そうだな」

 

そういって、周囲に湧きまくるフレンジーボア、それもかなりの数だ。

「10…20はいかないけど結構いるな…」

昨日と同じならあれば一斉に襲いだす…練習としては不可だろう。

「でも、やるしかないか」

そういって俺はメニュー開けてストレージからもう1本の海賊刀を取り出し鞘を後ろ腰に左右対称で取り付けると2本の海賊刀を抜刀する。

これは昨日調べた見解から成り立っている。

右手に持つ海賊刀が本来装備している武器だが左手はストレージから出しただけの海賊刀、あくまで装備はしていない、取り出しただけの武器だ。

これにより俺は本来のスタイル、曲刀の二刀流を実現できる。

「さて…狩りといこうか」

準備は完了し、思考を戦闘モードへと切り替え俺は駆け出した。

 

あれから大体15分…

残すところ敵は後2匹

「ふっ…!」

疾走する俺はフレンジーボアの横腹に二つの刃を切りつけそして直ぐに反転して素早く4回両手の海賊刀でフレンジーボアを切り裂き、1匹を屠る。

倒した後直ぐに残りの1匹に思考を向け、一気に踏み込み、海賊刀の範囲に入ると滅多打ちでHPを全損させ、一息をつく。

 

「これで…レベル3か…」

 

今回の戦闘で得た経験値でレベルが2上がった俺は辺りに敵はいないことを確認してからステータスポイントを割り振る

基本的にステータスは全パラメーターが1ずつ上がるけどそれとは違いステータスポイントは1レベ上がる事に2ポイント獲得できる。

 

ということで4ポイントの振り分けられるポイントがあるけどどうしたものか

割り当てられるステータスは4つ

力のSTR

体力のVIT

器用のDEX

速さのAGI

この4つであり取りあえず俺はAGIに全振りする。

だって器用は腕でカバーできるし俺のスタイルはスピードアタッカーだ

一撃より手数、防御より回避、本来スタイルを取るためにAGI全振りは致し方ないのだ。

 

振り分けた後軽く疾走、やっぱり先程より早く動けている感じがした。

どことなく行き成り動きがよくなったことに少し違和感というのも覚えながら海賊刀を左右の鞘に収めると、直ぐに気配を感じた直ぐに抜刀できるように警戒をする。

「……誰だ」

 

少し声が低いくらいで気配の方を一点に見据えているとそれは観念して出てきた。

「まったく、そんな二見つめられるとオレっちも照れるゾ」

「っ!」

それはフードを被っているがその声には聞き覚えがある。

フードの中から見えるのは頰に生えている…というか付けている髭が目立つ。

その少女は被っているフードを下ろすとその顔がハッキリとする。

 

「ニャハハッ!こんなところデ会えるとは思ってなかったゾハー坊」

 

「アルゴ!?」

 

そこにいたのは同じくミッドチルダ出身のアルゴがそこにいた。

 

 



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6話「情報屋アルゴ」

 

 

「いや~ハー坊がこのSAOにログインしてたトは…オレっちも思ってなかったヨ」

「それはこっちのセリフ、アルゴこそ、このゲームを?」

「ああ、オレっちはベータテスターからやっててナ、息抜きのつもりだったけド…」 

ニャハハッ!っと猫のような笑い声でこの世界にいる理由を説明してくれた。

彼女、アルゴは俺とそれほど年も変わっていないけど、こう見えて名の知れたプロハッカー

とある事件で母さんと知り合い、同じ日本人の血を半分持つというのもあって交友を深めた。

たまに俺の家にお邪魔してご相伴に預かることもしばしばあったし。

 

そんなアルゴがいたことはかなり心強い。そう思った俺はアルゴに色々と聞くことにした。

「それじゃあアルゴ、少し教えて欲しいことがあるんだけど」

「ああ、この世界での戦闘技術だな、途中から見ててわかったゾ、それトハー坊二刀流はあまり使わない方がイイゾ」

ベータテスターならこの世界での戦闘も熟知しているそう睨み教えを請おうとしたがまず、アルゴはストレージからとりだした方の海賊刀を見て注意する。

「この世界で二刀流なんかは存在していなイ、いくらシステム外スキルでも…ハー坊以外は扱えるやつはいないしナ、まあ後でソードスキルが発動するかは見て欲しいガナ」

「そうか、わかった此処はアルゴの注意を聞き入れるよ」

そういって海賊刀の1本をストレージにしまうとふとあることを思い出した。

「そうだ、アルゴ少し暇か?」

「ン?別にオレっちは問題ないゾ?」

「いや、少し付き合ってくれないか?」

「…ハー坊」

何故か顔を赤くしてこちらを見つめてくるんだ?アルゴ

「ハー坊もやっぱり男だナ、オレっちの体をそんなに求めてる

のカ」

「一体どういう風にしたらそんな捉え方するんだよ!」

 

SIDE ユイ

 

夢であって欲しかった

次に目が覚めれば自分の部屋で朝に家族と食卓を囲み他愛のない話をして、学校に行く。

学校では友達の真琴ちゃんなんかと楽しくおしゃべりして…毎日とはいえないけどそんな平凡な日常を何時までも続く日々…

だけどそんなに人生は甘くはない。

ふと現実の夢を見た私は目を覚ますとそこは昨晩彼と一緒に流れるままに辿り着いた宿屋。

備え付けられたベッドに体を寝かせながら私の意識はハッキリと蘇る。

 

昨日、私達はSAOという名の檻に閉じ込められた。

脱出する方法はこの城の最上階にいくこと。

到底、1日2日で済む問題ではない。

彼の言うことなら外部からの救出も不可能だということ

お父さん…お母さん…!

どうしてこんなことになっちゃったの…1日過ぎたというのにまだ私の頭の中はぐちゃぐちゃで考えは纏まらない。

ベッドの上で蹲り体が震える中、あることに気付く。

彼がこの部屋にいない

彼はどこにいったのか、もしかしたら私を置いて何処かに行ってしまったのか

私の心中は孤独という喪失感に見まわれる。

あの混乱の中私を連れて来てくれた彼…そんな彼がいないだけで私は……

そんな折、部屋の扉が開いた。

開かれた音に体を震わせ恐る恐る眺めていると入ってきたのはいなくなっていた彼だった。

「ハヤトさん!」

彼のハヤトさんの名前を呼ぶと考える前に体が動き彼の元へ駆け寄る。

「ユ、ユイさん……どうしたんですか……」

彼も物凄く驚いていて、こんな突拍子のない行動をしたのが原因なのだろうけど今はそんなことどうでもよかった。

彼がいる、この世界でただ一人頼りになる彼が

こういうのを依存というのだろうけど……今だけは…

そんな私の震えている手に気付いたのか彼は優しく私に語りかけた。

「すまない、起きたら俺が居なかったことがそこまで堪えるなんて…出るときは書き置きでもしておくべきだった……」 

そう彼は少し失念していたと思うような顔をして話すとそれに続けるように私の顔を見て語りかけてくれた。

「それで、起きて早々なんだけど、ついてきてくれないか?」

「え?」

彼の突然の誘い、私は困惑しながら彼に付いていくのだった。

 



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7話『旅立ち』

SIDEハヤト

宿屋の備えられている酒場、ユイさんと一緒に降りてきた俺は先に座るアルゴのカウンターの隣に座る。

「お待たせ、アルゴ」

 

「そんなに待ってないぞ、ハー坊…ホウ…なるほどナ」

カウンターの椅子に座りながら先に待っていて、ジョッキに注がれているビール?みたいな物を飲んでいたアルゴは俺に顔を向けると直ぐに連れて来たユイさんに目がいき、何か納得したような言葉とニヤニヤと悪巧みしているようなそんな気がする笑みを浮かべていた。

「まさか、部屋に女の子ヲ連れ込んでるとハ…ハー坊も隅に置けないナ」

「え、ええ!?」

「アルゴ、まさかそれ本当に酒じゃないだろうな…」

これが素で言っているのか、酒の酔いの勢いで言っているのかアルゴの場合判断がしにくい。

「はぁ…まあいい、紹介するよ、この人はユイさん、初日から何かと行動を共にしている。それとこっちにいるのがアルゴ、まあちょっとしたリアルでの腐れ縁というやつだ」

溜め息を付きながらも二人にお互いのことを簡易に紹介し、アルゴはなるほどなっと理解したように頷く。

「まあ、そういうことにしておいてやル、それとハー坊、これがお目当ての情報だゾ」

そういってストレージから手帳クラスの二冊の自作したのであろう資本が現れ俺達に渡してくる。

「この一層でのベータ版で知る限りの情報ダ」

美味く有効活用してくれよっと、そう話した後また、ビール?を飲んでいく。

 

「…ベータ版ってことは変更されている可能性も考えて良いんだな?」

冊子をユイさんにも渡した後、軽くパラパラッと見るとアルゴが言っていた言葉について訪ねる。

ベータ版ということは正式版とは違う可能性も考慮しなければならない。

「あくまでベータ版ダ、そこんところはハー坊はよく分かってくれたみたいダナ」

そういって空になったジョッキをカウンターに置くと椅子から立ち上がるアルゴ

「……それじゃあ、オレっちはいくとするヨ、これから忙しくなるからナ、ああオレっちとしたことが忘れるところだっタ」

そういうとアルゴはメニュー画面を開いて、操作するとチリンチリンと何か知らせる音がして目の前にウィンドウが表示され確認するとアルゴからのフレンド登録申請が来ていた。

「フレンド登録しておくト、ダンジョンでは無理ダガ、メッセージを送ることが出来るゾ」

フレンド登録のメリットを教えてくれると俺は考えることもなく申請を承認してフレンド覧にアルゴという名前が追加される。

横ではユイも同じように来たのかフレンド登録したようだ。

「……よし…!」

登録したのだがユイは何か決めたのかメニューを操作すると再びチリンチリンと知らせ音が聞こえてきて今度はユイがフレンド登録の申請を出してきた。

 

「フレンド登録しておいた方が良いと思いまして」

「……そうだな…それと…俺のことはさん付けじゃなくても良いよ、多分同い年だと思うし」

「ハヤトさん…ううん、ハヤトくんって呼ばせて貰うね、私のこともユイって呼び捨てで良いよ」

「ああ、わかった」

少しは前向きになってくれたのかユイさん…いいやユイは昨日とは違って肩の荷が下りた言葉遣いで俺に微笑みかける。

そんなやり取りをアルゴが俺達を交互に見た後ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

「アルゴ、なんだその笑みは…!」

「いや~面白いものを見せてもらったヨ」

(これはいいネタを貰えたよ、リアルではやてさんに高く売れそうだナ)

そんなことを考えているとはいざ知らず、アルゴはニャハハッ!と軽快な足並みで宿から出ていった。

 

それからカウンターで朝食、黒パンとゲテモノを食べた後、少しして俺は町の外へと続く門前にいた。  

 

今日、俺はこの街を後にして現実に帰るために動き出すからだ。

覚悟なんてとうに出来ている。この世界から出るためならこの剣術を存分に振るう気だ。

そんな覚悟で待っていると後ろから足音が聞こえてきて少し顔を向けるとユイがやってくる。

「お待たせ、ハヤトくん…待ってた?」

っと慌てた足取りでやって来たユイに待ってないと返事をするとユイの身につけている初期の防具を見た後、ストレージから赤いフードを取り出しそれをユイに渡す。

「フードを身につけておいた方が良い、女性プレイヤーは何かと狙われやすいみたいだからな」

っとアルゴからメッセージが届きそれを実行しただけなのだが……付け食らえるのならアルゴのメッセージには買ってあげて好感度を上げよう(o^-')bっていう追伸があったけどそれは無視した。

「それと、一応確認だけど本当に良いんだな?町から離れること」

 

改めてユイに町から出て行くことを確認する俺は真剣な眼差しで見ていると、ユイは迷うことなく頷いた。

「うん、私もハヤトくんと一緒に行きたいから」

そう答え俺はそうかっと軽く返すと門の外、フィールドに視線を向け口を開けた。

 

「それじゃあ、行こう」

「うん!」

そうして俺とユイの世界から出るための旅が始まった。

 



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8話「コボルトの隠し財宝」

 

アインクラッド一層の最東端に位置する木々に囲まれた小さな集落の外れ、そこに犬が直立歩行したような、モンスター…コボルトは木々に中を進んでいく。

そうしてしばらくするとコボルトはうまく草と木に囲まれ視認が難しい洞穴を発見。

 

その前には上手く見えないところにコボルトの見張りが立っている。

そんなコボルトは突如として現れた者に首をはねられそのまま絶命する。

「……ここか…」

コボルトを暗殺したあと、先のコボルトが入っていった洞穴に目を向ける。

この先にあるもの…俺はそれを取りに来たのだから…

 

 

時は数時間前に遡る。

俺達は戦闘法を身につけながらこの層の最東端の集落に向かっていた。

理由はそこで受けられるクエストがあるから

ただしそのクエストが受けられるのは早朝5時から7時と決められていて、今晩はその集落で就寝することになっていた。

「ふっ!」

そういう理由で向かっていた俺は海賊刀を肩に乗せた姿勢で放たれたソードスキル、リーパーの一撃でフレンジーボアを一撃で倒し辺りを見渡した後、ユイと一緒に集落の方向へ向かう。

 

「大分、ソードスキルにも慣れてきたな」

この世界で必須となるソードスキル、それの扱いに慣れ始めたことに実感しながら周囲を警戒していると苦笑いの表情を見せているユイは俺に話しかけてくる。

「練習もなしに1回でマスターしてるハヤトくんが可笑しい気がするな…私なんてまだまだ上手く出来ないのに」

っとユイは未だにソードスキルの発動が五分五分だということに俯いているが、それでも前に進んでいることはわかっているのでマスターするのも時間の問題だろう。

それから、何度か敵と遭遇し撃破していき、集落に辿り着いたときには夕方、買っていた黒パンで早めの夕食を食べた後朝が早いということで早めに就寝することになった…が寝る場所が少し特殊な場所だった。

この集落本当に小さいために宿という建物がない。

あるのは天幕で出来たちょっとした出店と大きめな天幕のみ。

そしてその大きめな天幕が寝ることが出来る宿だということ、そしてこの宿1パーティ共有で使うこと

中は遮る者などないただ広いだけの空間、そこで寝袋に入り就寝する

どことなく、登山のキャンプに似ている気もするがあまり気にしないで置こう。

そして大体八時頃には就寝したのだが…俺は早朝ではなく。真夜中1時ぐらいに起きて天幕の外を歩く。

なぜかというとそれは昨日のアルゴと町へと向かっていた最中で聞いた気になる情報だからだった。

 

 

 

「財宝?」

「そうだぞ、最東端の集落の近くでは深夜にコボルトが出現するんダ、そいつを気付かれずに追っていけばランダム出現するコボルトの巣にたどり着けるんダ。そこには、3までは使える曲刀やレアなアイテムなんかも手に入れられル」

 

「曲刀か…でもかなり危険性があるんじゃないか?」

「そりゃあそうだぞ、一層の中ではかなり攻略レベルが高い、しかも、気付かれずとなるとソロが推奨されル。そして巣の中には…」

 

 

 

 

「大量のコボルト達がいる…っか」

岩陰から巣の中を見るだけでもそのコボルトが10匹はいる。

どこから持ってきたのか略奪品の食料で宴会でもしている光景だ。

「さて、その財宝っていうのは間違いなく、あそこなんだが…」

そう俺は財宝の在処に目星を付ける。

俺の目線の先には如何にも奥に続く通路、あの先に財宝があるのだろう。

さて、どうしたものか…

 

見た限り、ついこの前習得したスキル隠蔽を使いながら奥にある通路へ行くのがセオリーだろう。

だが気付かれずに行って戻るのはかなり難しい

となれば…確率のある方を選べば良い

俺にとって確率のある方…それは…

「さて、おっぱじめるか!」

 

ストレージから二本目の海賊刀を取り出して両方とも鞘から取り出して戦闘態勢を取ると岩陰から出て駆け出す。

岩陰から出た直後、コボルト達もこちらに気付いて戦闘態勢を取ったが遅い。

あいつらが体制を整える時間など与えず俺は近場のコボルトに両手の海賊刀で交互に一撃そして3撃目で首をはねて、一体倒す。

「まず一体…」

 

後残り9体と意気込みながら海賊刀を構え直すとふと異変に気付いた。

俺の視界に見える数と先程見た数が合致しなかった。

今俺の視界に捉えている数は15

これってもしかしたら見つかったら増援が出てくるパターンだったのか?

浅はかな行動に少し後悔しながら、やってしまったことに今更引き下がれないと割り切り俺は再び敵に向かって踏み込んだ。

 

 

 

アルゴSIDE

 

 

「…やっぱり、ベータテスターが多く死んでるナ」

とある村の宿屋のベッドで情報の整理をしていて、それと同時にとある事も調べていタ。

ベータテスター、この世界にいち早く来たオレっち達の総称

平凡なビギナー以上の戦闘能力と情報量を持っているためにこのデスゲームでも解放への先駆けになることが出来るのだが、殆どのベータテスターは始まりの日の時点で行方を眩ましていル。

しかも、正式版で変わった仕様も色々とあるから過信しすぎて軽はずみな行動をしたベータテスターは死んだ者も多くいるようダ

「なんとか、しないとナ」

先ずは居場所がわかってるベータテスターにあって、情報を貰おウ。

そして攻略本を作って無料で配布するビギナー達へのせめてもの償いのため二

「となれば明日にはキリトのところにいくとするカ」

キリトのことだから初日にアニールブレードは獲得しているはズ

そこからキリトの思考を読み取って先回りできれば完璧ダ

明日の計画を立ててそのその眠ろうかと思ったときふとハー坊のことを、思い浮かべる。

今頃はコボルトの財宝をやってるのかナ

あれはベータ版でもかなり難易度が高かったものダ

まず巡回してきるコボルドを見つけて尾行

巣を発見しても中に入って隠れながら財宝を手に入れなければならなイ。

見つかればコボルドが更にPOPしてプレイヤーに襲いかかってくル。

まず見つかったプレイヤーは十中八九死んでいタ。

…でも…

 

「ハー坊、思い切って正面衝突してそうな気がするナ」

 

ニャハハハっと少しその光景を浮かべながら苦笑いの笑みを浮かべル

明日も早いからそろそろ寝るとしよウ。

 

 

 

ハヤトSIDE

「はぁ…はぁ…」

 

この仮想世界でも疲れることあるんだな…

そうぼやきながら、ふらついた足で洞穴の奥へと進む。

まさか、増援があそこまで出てくるとは…

あれから更に10体ほどコボルトが追加され最後の一体に関しては明らかに他のコボルトとは違っていた。

装備も他の奴等とは違うしレベルも他は3とかだったけどそいつだけ8という…本当に見つかったら駄目なやつだ。

それでも俺のHPが2割まで下がったけど何とか苦労して撃破した。

その後は買って置いたポーションでHPを回復しつつ奥にやって来た訳だが、直ぐに宝物を見つける。

そして宝物を開けると俺の目の前にウィンドウが表示されそこに今手に入れた物が表示された

 

10000コル

タルワール

髪染め(桜色)

 

以下の3個

 

タルワールというのがアルゴが言っていた曲刀だろう

後コルは金で…なんで髪染めが出てきたんだ?

取りあえずはこの場にもう用はないからさっさと戻って少し寝よう。

そう思い出口へと警戒しながら歩いて行く

その間にもレベルが上がったことで振り分けられるポイントをまたAGIに全振りしてウィンドウを閉じようとしたときあることに気付いた。

 

4:49

そう時間だ

大凡3時間半もこの戦いに費やしていたのか時間感覚も狂ってしまうほどの戦闘だったのかそう思えてしまうが、そうではない

俺はユイを置いてここに来ている。

ユイにはこのことは知らせずに…あの集落にはとあるのクエストでやって来たのだからこれはついでのようなものだった。

心配されるとわかっていたので深夜にユイが寝ている時を見計らってやっていたというのにここまで時間をかけてしまったことが一番の誤算だった。

どうしようかと考えているとチリンチリンという音が響き俺はメニューを開いてメッセージを確認すると新着で一件送られていた。

差出人はユイ…内容は

 

今どこにいるの?

 

たったこれだけの内容

しかしこれだけだというのにユイの心情がもの凄くわかってしまう。

これ絶対怒ってるだろうな…

取りあえず返事送っておくか

 

今から帰る

 

そうメッセージを返し、ユイにどう言い訳しようかと隠蔽を使い敵を上手く回避しながら集落へと帰っていった。

 

 



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9話『始まりの教会』

 

 

「ハヤトくん、何か言いたいことはありますか?」

 

帰ってきて最初の一声はそれだった。

集落の入り口にニコニコと笑みを浮かべながら仁王立ちしていたユイ

それに気付いた俺は考えていた良いわけなど頭の何処かへと飛んでいき、ただ俺はそれを受け入れるしかなかった。

 

「いえ特には…」

「……大体のお話はアルゴさんに聞きました。私ハヤトさんが居なくなって心配していたんですよ!」

「本当にすみませんでした」

ただ謝るしかないそう思いふと、思いつきだがあるものを渡そうとメニューを開いてトレードでユイにあるものを渡す。

「ハヤトくん?これは?」

「これ、その洞窟の宝箱の中にあったアイテム…心配させた詫び…っていっても聞こえがいいだけなんだが」

 

そういって渡したのは例の髪染め恐らくはかなり貴重なのだろう

「…ハヤトくん、もうこんなことしない?」

「ああ、黙って危険なことには突っ込まない」

…多分な…事によってはまたやるかも知れないし、絶対とは言い切れない。

「何処か信用しきれないな、でもさっそくだけどハヤトくんから貰ったこれ試しに使ってみようかな」

 

そういってメニューを操作し始めたユイ、しかし俺はふと思った。

染めた後、そんな直ぐに元に戻せる物なのか?

「おい、ユイそれっ…て…」

直ぐに止めようと声を掛けたが手遅れ、ユイの髪は先程の茶髪ではなく桜色の髪になっていて茶髪よりもなんか可愛らしい気がしてくる。

「ど、どうかな」

そんでもってもじもじと男を擽るかのようなその上目遣い…

 

天使だ

思わずその言葉を零してしまい、ユイはその言葉に反応して顔を真っ赤にして 

 

ふええええっ!?

大声がこの森の中で響いた。

 

 

 

「あうぅぅぅっ、これからどうしよう」

「ごめん。俺も早く気付いていれば」

そう落ち込んでいるユイに俺は宥めることしか出来なかった。

やはりというか、染めた髪は元には戻れずユイは桜色の髪のまま俺と一緒に始まりの街に向かっていた。

「ううん、私もそんなの直ぐに気づけることなのに…ははは」

「取りあえず町に入る前にフードはしっかりと被っておけよ、女性っていうのもあったけどその髪も結構目立つだろうし」

「そうだね、それにあそこはあまり長居はしたくないし」

そう思い詰めるユイを見て俺は察する。

やはりといってあの始まりの日のあれは目に焼き付いているのだろうあの場所に向かえば自ずとその光景が思い浮かぶのだろう。

 

「さっさとこのクエストを済ませよう」

「ハヤトくん…うん!そうだね!」

俺にはこんな言葉しかかけられないけどユイにはそれが嬉しかったのか笑みを浮かべて整備されている道を歩いて行った。

 

始まりの街…つい昨日旅立ったというのにまた帰ってきてしまった。

何故此処に戻ってきたというと現在ユイが受けているクエストが原因だ。

あの集落で住む数少ないNPCの老人が孫に箱を託したいというお願いから始まった。

そしてその孫が居るのが始まりの街

何でも始まりの街の北区の宿で働いているとか…北区といっても広い…しかしアルゴの攻略本があるからそこは問題なかった。

一目散に北区へ向かいその宿に訪れて宿の店主にユイがそのことを伝えたけどその店主からは意外な言葉が飛び出した。

 

「え?もう此処にはいない?」

「ああ、何でもやりたいことが出来たって…確かタルビナっていう村に向かったはずだ」

「タルビナ…あった此処から北東だ…丁度此処とトルバーナっていう街の中間にあるらしい」

その受け渡し人が不在という事実、店主が何処へ向かったかの手かがりは教えてくれたが攻略本を見てその村の場所も把握した。

宿屋にはもう、用もなくなったので始まりの街を歩く。

前と同じ活気が失われた街、居るのはNPCが殆どでプレイヤーなど見るだけでも数えられるくらいだ。

そんな道を歩いているとユイはある建物に目が行く、そこは一際大きい建物、街に一つぐらいあっても可笑しくないその建物の名前を俺は口から零した。

「…教会か」

そう教会…何処か古びているが教会は立派に建っている。

「……」

「ユイ?中に入ってみるか?」

「え?良いのかな?勝手に入って」

「問題ないだろ?プレイヤーの所有物でもなさそうだし」

プレイヤーの所有物なら後で謝ろうそう思い俺達は中に入ると埃っぽく感じた。やはり管理が行き届いていないか…

奥に進むと教会にある台と何かの宗教的な石像

「ハヤトくん、少しお祈りしていかない?」

「お祈りって…この世界の神っていうと…茅場になるんだが」

ユイの言葉に俺はこの世界の創造主、茅場がこの世界では神だと冗談めいて話していると勿論ユイはそれに対して首を横に動かし否定した。

「勿論、現実の神様にだよ、あまり信じてないけど…少しそういう気にもなっちゃったから」

そしてお願いっと強請られ俺は断る理由も無かったので首を縦に振り。

そしてユイがその場でしゃがみ込む両手を合わせて祈りを捧げる。

その時ふと気配を感じた。

(数は6…いや7か、一人気配の殺しかたがなってる)

これは少し手荒な真似になりそうだと、俺はいつでも戦闘態勢に入れるように心構えだ。

 



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