ロリコン☆ドラグーン (王蛇専用ガードベント)
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プロローグ

勢いのままに書いてしまった作品です。
いささか読みづらい所もあるかもしれませんが楽しんで読んでくれれば幸いです。


遥か太古ーーーーーー二種の人類がこの世界に存在していた。

片方は異能の力を持ち、永遠とも呼べる寿命を誇り、己の魂の形である≪魂龍(ドラ・ニムス)≫と呼ばれる龍を顕現出来る、蒼穹を翔け抜ける「天の種族」。

そしてもう一つが異能や長い寿命は持たないものの、千差万別の道具を作り出すことの出来る技術力を誇る「地の種族」。

彼らは互いの長所を理解し、手を取り合って共存していた。

……しかし、この世は万物流転。死人が尽きないように、溺れる魚がいないように、その共存はいつまでも続くことはなかった。

年月を経るごとにその関係に軋轢が生まれ亀裂が入り、やがて種族同士の存亡を賭けた戦争が起き、何千何万もの命が奪われ、数多の都市が劫火の中に崩れ去り、筆舌に尽くし難い惨劇が繰り広げられた。

当初は圧倒的な力を持つ「天の種族」が戦争を優位に進めていた。だが、それに綻びが生じ始めたのは一人の「天の種族」の男の裏切りが契機であった。

彼は「地の種族」の女に恋慕をしていた。それ故に仲間達の元を出奔し、種族の禁忌を破って彼女と交わり、そして一人の息子を授かる。

その息子は、両方の種族の力を持っていた。

やがて成人した息子は父と共に「地の種族」の側に付き、戦争において多くの戦果を挙げ、彼らと共に10年もの歳月を費やして「天の種族」を悉く滅ぼしたのであった。

……そして、現在。

彼の子孫は世界中に散らばり、その子孫達は「天の種族」の≪魂龍(ドラ・ニムス)≫を顕現する力と異能を脈々と受け継いでいった。

「天の種族」と「地の種族」両方の血を受け継ぐ彼らを、人々は……≪龍騎士(ドラグナイト)≫と呼んだ。

 

ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ

 

ーーーーーーー闇が深林を満たす中を、僅かな月明かりを頼りに少女は必死に走り続ける。

服装はどこかの山脈地帯の民族のようなポンチョを纏い、胸には金色のペンダントを着けている。見た目はまだ10にも満たない幼女。何故彼女は夜の森を駆けるのだろうか。

 

「探せッ‼︎まだ近くにいるはずだ‼︎≪龍の巫女≫はまだガキ、そう遠くは逃げられねぇ‼︎虱潰しに探し回れェッ‼︎」

 

その訳は、森の中に響き渡る怒声と、数多の星が瞬く夜空を飛び回る数匹の≪魂龍(ドラ・ニムス)≫の姿にあった。

その背中には全て人間が騎乗しており、龍と共に地上へと眼を向けて幼女の姿を見つけようと探し回っている。

地上からはランプの光が遠くから蛍のように入り乱れ、森を真昼の如く照らし出していた。

その警戒網を灰銀色の髪を翻しながら潜り抜け、幼女は長い草の茂みの中に隠れてから暫しの休憩を取る。

 

「ッ、はっ、はっ、はっ、はっ、はぁっ……‼︎」

 

底知れぬ恐怖に体の震えと涙が止まらない。

息を潜めたくてもその意思とは真逆にどんどん呼吸は荒くなっていってしまう。彼女は自らの身体を強く抱き抱いて、震え掠れる声で小さく呟いた。

 

「なんで……なんでわたしが……こんなめにあわなきゃ……?ぐすっ……さむいよ……こわいよぉ……‼︎」

 

彼女は今自分を襲っている男達が何者なのかさえ知らない。それ故に恐怖も倍増し、彼女の魂魄を縛り付けてゆく。

 

「……キュルルル……」

 

それを和らげたのは、一匹の小さな金色の蜥蜴であった。

幼女の着ていたポンチョのフードから姿を現し、安心させるように優しく彼女の頰に擦り寄る。

それでようやっと幼女も恐怖と緊張を和らげることが出来たらしく、段々と呼吸も落ち着いてきた。

首にかけられたペンダントを握りしめて、少女は肩にちょこんと座っている蜥蜴に僅かながらも笑いかける。

 

「ありがと、リト……わたし、もうだいじょうぶだから……」

 

その様子で平静を取り戻したと分かると、蜥蜴は再び彼女のフードの中へと潜り込んだ。

 

「にげなきゃ。どこかとおいところに、みつからないところににげて……かくれないと」

 

涙を拭い、冷静さを取り戻した幼女はゆっくりと周りを警戒しながら立ち上がる。

だが、

 

「いいや、もうその必要はないぜお嬢ちゃん」

 

声と共に、幼女の上から影がかかる。

 

「ひっ……ッ‼︎」

 

唐突な声に彼女は引き攣った悲鳴を上げ、再び噴き出した恐怖に足を取られて尻餅をつく。

周りには気を張り巡らせていた。それなのに見つかったのは、声の主が気配を完全に絶っていたのもあるが、なによりも明かりを点けずにいたのが一番の理由だ。

明かりは辺りを照らすにはうってつけだが、どこにいるのかも分かってしまう。声の主はそれを察して明かりなしで幼女を探していたのだ。

 

「……本当にまだガキじゃねェか。こんなのが本当に“(かなめ)”になるのか?」

 

幼女の背後から現れた男は、身を竦ませている彼女を睥睨する。

 

「……まぁいいさ。生死問わずに捕まえろって命令だが……反抗するなよ?死にたくなきゃァな……」

 

完全に怯えている幼女を見て、男は無造作に襟首を掴もうと右手を伸ばす。

もはやまともな抵抗は出来ないと確信しているが故に彼は慢心し、油断していた。

そして、難なく男の右腕が幼女の服の襟首を掴んで持ち上げてーーーーーーー。

 

「グルルァァッ‼︎」

「ッ⁉︎」

 

同時に彼の右腕を伝って這い上って来た一条の金の光が彼の顔に向けて躍りかかった。

確かに幼女は身を竦ませ、まともな抵抗など取れる状況になかった。しかし、彼女以外なら話は別。例え、それが矮小な蜥蜴であったとしても……。

 

「リトッ‼︎」

 

幼女の声に応えるかのようにリトは男の顔に張り付くと、その鼻に小さな顎門で喰らい付いた。

 

「ッッッ⁉︎()ッだァァァァッ⁉︎」

 

予想外の抵抗に男は痛みに叫びながらもリトを引き剝がしにかかる。

だがリトも小さいながらもそれに見合わぬ力で男の顔に張り付き、瞼を引きちぎらんと顎門の力を強める。

 

「クソッタレが、離れろっ、この、小せえ癖によぉっ‼︎クソッ、畜生がッ‼︎とっとと離れろって……言ってんだろうがよォォォォォォォォッ‼︎」

 

男も必死だ。小さいとはいえこのままでは鼻を喰い千切られる可能性が高い。そうなる前に外さなくては。

その焦りが、ミスを生んだ。

リトを剥がそうと片手で試みていた男が、両手で蜥蜴を引き剝がそうとした。彼はあまりの焦りのために、手を持っていたもの……即ち、幼女を投げ捨ててしまったのだ。

 

「ぇ」

 

幼女の体は勢いよく夜の空に投げられた。

それを見て、リトが男の顔から離れて主人の後を追う。続いて鼻を抑えた男も、幼女を捕まえんと猛然と走る。

幼女は実に10m弱も空を舞った。

その間に生い茂る木々に当たらなかったのは奇跡とも呼べるだろう。

しかし、その着地点は不幸にもーーーーーーー30m近い落差のある断崖の先であった。

 

「やばいっ‼︎」

 

男が足を速め、少女を掴もうと手を突き出す。

だがもう遅く……その指先は少女の胸元を掠め……空を切った。

 

「きゃあああああああああああああ‼︎」

 

つんざくような悲鳴と共に、幼女は崖から落ちて行き、その下にある深い川へそのまま転落。

男が慌てて川の様子を確認するが、彼女が浮かび上がる様子はいつまでたっても現れなかった。

 

「……なんてこった。面倒なことになったなぁ」

 

浮かび上がってくる様子がないのを悟り、男はため息を吐いて立ち上がる。

 

「うまく川底に引っかかってくれりゃいいんだが」

 

そう言いながら、男は先程突き出した手を開く。

そこには、幼女が首にかけていたペンダントが収まっていた。胸元を掠めた際に引っ掛けたのだろう。

 

「早く見つかってくれよ?≪龍の巫女≫。俺達の≪帝≫の復活の為にはあんたが必要なんだからなァ……シシシシッ」

 

夜天を仰ぎ、男は体を震わせながら哄笑した。先程噛まれた鼻からだらだらと赤い血が流れ出ているのも気にせずに。これから巻き起こるであろう、波乱の時代の幕開けに心を躍らせて。

龍達が舞う夜はまだ、終わりそうにはなかった。



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一人のロリコンと幼女 その1

主人公登場回。


ーーーーーリブルア大陸で最も巨大な領土圏を誇るメトロクロ王国の首都、レオラン。

その中心部にある警備局の一室で、取り調べが行われていた。

 

「またお前か……クラン」

 

そう、警備局の職員である男はぽりぽりと頭を掻きながら、慣れたことのように目の前の少女に向けて呆れたように言い放った。

 

「これで何回目だ?38回目か?」

「……49回目です」

 

少女は左目にかかっている黒髪を払ってから、真剣な表情で男を見つめる。

その顔は女性にしては凛々しい顔立ちで、なおかつ花のような可憐さと美しさも兼ね備えていた。その顔立ちであれば、あまねく男達のみならず、一部の女性すら虜に出来るだろう。

クラン・F(ファルクス)・フォーエ。それが少女の名前だ。

年齢は今年で16。性格、容姿、頭脳、身体能力全てにおいて優秀な能力を持つ神童とも呼ぶべき逸材である。

……だが、当然とも言うべきか、この世に完全な人間がいないようにクランにもたった一つ、欠点があった。

 

「今回も、幼女絡みか?」

「……ハイ」

 

その言葉に「だろうなぁ」と男は溜息をつく。

 

「えーっと。今回お前はレオラン市内にある幼稚園の近くで、園児が丁度帰宅する午後2〜3時頃に徘徊している所を不審に思った警邏に捕まった訳だが……何か言うことはないか?」

「幼女可愛かったです」

「お前拘留な」

 

彼女はーーーーーとんでもないロリコンであった。

今日までに警察にお世話になった回数は数知れず。投獄された事はないものの、厳重注意や罰金刑は何度も経験している札付きである。

更に言えば捕まっていないもの、犯罪スレスレのものも含めれば人が一生の内に食べるパンの数と同等になるだろう。

そしてその全てが幼女に関連した案件。相手を殺したり怪我させたりしたことは決してない。……というか折角恵まれた才能をそんなことになぜ使ってしまったのか

そしてクランには幼女に対して「決して触らない」という規律を自らに課しており、それ故に「不審者」止まりで済んでいるのだ。

 

「ちょっ⁉︎待ってよエリン叔父さん‼︎私はただ見てただけ、幼女には指一つ触れてはいないから‼︎」

 

職員……いや、叔父のエリンに拘留を言い渡されたクランは顔を青ざめさせながら必死に弁明する。

 

「エリン叔父さんだって知ってるでしょ、私が今までに幼女に触れたことすらないってことは‼︎」

「ああ。それぐらい分かってるさクラン。……だけどな」

 

そこで一旦言葉を区切り、長らく座っていた椅子から立ち上がって、エリンはクランの顔を改めて見つめる。

 

「俺は過去のことはどうでもいいんだ。終わっちまったことはどうにもならないからよ。けどな、未来のことは変えられるから重要だ。

クラン、正直に言う。いつかお前が幼女に手を出すんじゃないのかって俺はハラハラしてるんだよ」

 

彼は知っている。クランが今までにどんな幼女絡みの事件を引き起こしてきたのかを。だからこそ、クランが今自らに課している楔を解き放ったらどうなるのかを真に恐れ、そして彼女を心配しているのだ。

 

「大丈夫だよ。私は決して、絶対に幼女には手を出さない」

 

そんなエリンの心配を悟り、クランは自信ありげに笑って宣言する。エリンの想像しているようなことは決してしないと。

 

「大体捕まったら幼女を見られないしね。私の命は幼女で成り立ってると言っても過言じゃないから。ノーロリータ・ノーライフ(幼女なくして人生なし)、これが私の座右の銘だから」

「はい有罪(ギルティ)ッ」

「ちょっ、私はまだ何も……アバーッ⁉︎」

 

思わず本音を漏らしたクランに、今回もエリンの卍固めが炸裂するのであった。

 

ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ

 

長々とエリンの説教を食らい、クランが解放されたのは夜も更けようという頃であった。

 

「いてて……エリン叔父さんったら酷いなぁ。私は決して手を出さないって言ってるのにコブラツイスト決めてくるなんて」

 

極められた身体中の関節を動かして問題ないかどうかを確認しながらクランはまだ肌寒い街の中をとぼとぼ歩いていく。

警備局からクランが住んでいる家までは少し離れており、普通に歩いてゆくと30分程の時間がかかる。

 

「っうう、寒〜……っ‼︎もうすぐ春なのに寒い〜……っ」

 

だが今日は少し勝手が違う。このまま真面目に歩いていけば風邪を引くこと間違いなしである。

なのでクランは近道を使うことを決心した。

その近道はクランが見つけた警邏である叔父エリンですら知らない裏ルート。

それは街にある迷路のような裏通りを通り街の水源であるジャッパ川沿いに抜ける形になっており、使えば普通に歩く半分の15分で家に帰ることができる。

ただクランがいつもこのルートを使わないのは裏通りは治安が悪く、犯罪に巻き込まれる可能性が高いからである。

 

「まあ、走って通れば問題ないんだけどね」

 

クランは一旦息を整えてから、裏ルートの入り口である行きつけのパン屋と民家の間の細い通路を走り始めた。

 

……ジャッパ川。それはメトロクロ王国一長い川であり、3つの街と2つの村にまたがってそこに住む人々に恵みの水を提供する必要不可欠な存在だ。

ことにレオランを通るジャッパ川は源流から一番近い為に、「レオランの水は世界一の旨さ」と言われる程に水が清い。

だが、海に近い下流においては汚物やゴミが処理の為に流されておりレオランとは真逆の評判となっている。

そんな矛盾を抱えた川の土手を、クランは喉の渇きを覚えながらとぼとぼと一人で歩いていた。

 

(……喉乾いたなぁ。長い距離走ったから、当然の話なんだけどさ。丁度ジャッパ川が近くにあるし、そこで水分補給でもしようかな)

 

乾きによって痛みが現れてきた喉と走って消費した体力を癒す為、彼女は草が茫々に生えているジャッパ川の側へと向きを変える。

川はいつものように穏やかに流れ、清い水は泳ぐ魚の姿すら鮮明に見える程である。

 

「……ふう……やっぱりこの川の水は美味しいなぁ」

 

クランはその清水で喉を潤し、暫しの休憩を挟む。

ふと、川面に映る自分と眼が合う。

片目を隠すような黒のショートボブ。ぱっちりと開いたサファイア色の瞳。桃色の滑らかでふくよかな唇。

一般的な男達が想像するであろう美人が、そこに存在した。

 

「なんで、私はロリに恵まれないんだろう……。顔も頭も恵まれたと思うけど、ロリにだけはどうしてこうも恵まれないのかな?

ロリに恵まれる為なら、喜んで何でも差し出す覚悟はあるんだけど」

 

他の人が聞けば「ウッソだろお前⁉︎」と卒倒されかねないことをさらりと口にするクラン。

だがクラン当人にとってはこれはまさしく死活問題であった。

 

彼女の人生は、ずっと幼女に恵まれなかった。

生まれてすぐに事故で両親を亡くし、山脈地帯に住む父方の元で長年暮らし、彼女の才能を伸ばす為13歳で母方の兄弟であるエリンの元に送られた。クランがロリコンであるのを自覚したのはその時だ。

同世代の子がいない父方の住む土地では知り得なかった幼女の素晴らしさを、あどけなさを、美しさをクランは幼稚園で遊ぶ幼女達を見て知ったのだ。

ただ、その時すでに遅くクランは幼女と触れ合える機会を失っていたのだった。

その悔しさは未だ彼女の心に鉄杭の如く深く、深く突き刺さっている。

それを思い出し、クランの胸が何か熱いもので塞がれる。

 

「はぁ……幼女と触れ合える機会、ないかなぁ……」

思わず、クランは心の底からの願望を吐き出した。

 

だが当然、何かが起こるわけがなく、クランはため息を吐く。

 

「……さて、そろそろ行くかな」

 

心に未だ残る寂しさを抱え、彼女は立ち上がってーーーーーー。

 

ふと、草むらの中に何か異様なものが転がっているのが目に留まった。

 

「……んん?」

 

暗い中クランは眼を凝らしてゆっくりとそれへと近づいていく。

「それ」はちょっとした大きさがあり、濡れた布で覆われていて、あちこちが破れている。その裂け目からは肌色の何かと灰銀色の毛が見えており……。

刹那、クランは真っ暗な闇の中でありながらその正体を悟った。悟ったと同時に、「それ」の元へと走り出していた。

どきんどきんと心臓が跳ね回っていたのは急に走り出したせいだけではないだろう。

クランは「それ」の元へとたどり着くと、僅かに震える息を吸って、小さく呟いた。

 

「……嘘、でしょ……⁉︎」

 

クランが草むらの中で見つけたのはーーーーー、

ボロボロになった服を纏った、ずぶ濡れの幼女であった。



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一人のロリコンと幼女 その2

今回かなり長めです。ご了承下さい。


ーーーーーー幼女がいる。クランの心と目はその姿に釘付けにされた。

幼女の美しさには上も下もないというのがクランの持論だが、その幼女はクランが今まで見た中で群を抜いて華麗、可憐、流麗であった。

身体は濡れて泥に塗れているにも関わらず……いや、そうであるからこそ更に彼女の美しさが際立っているのだ。

暫しの間その姿にクランは見入っていたが、やがてはっとして幼女の生死を確認するためにその薄い胸へと顔を近づけてーーーーーー。

 

(……ッ、駄目だ……‼︎この娘は、この娘は……‼︎)

 

ずくん、ずくんと脈打つ鼓動を抑え、顔を赤く染めながらクランは幼女の胸から顔を離し、その端正な(かんばせ)を注視しながら悟る。

 

(この娘は……可愛すぎて幼女に対する免疫機能がない私には触れる事が出来ないッ‼︎)

 

クランは人生でこれまでただの一度も幼女に触れた事はない。

幼女を観察することや話しかける事は普通に出来るが、触る事はどうしても出来なかった。

別に、クランが潔癖症だとかそういった類の問題ではない。

幼児特有の柔らかで白い肌を、自らの手で触って汚してしまうことを彼女は恐れているのだ。

だが、このままでは幼女の身体は冷たい夜風で完全に冷え切って死んでしまうかもしれない。

幼女の鼻先に指を差し出して、呼吸をしているか確認する。

 

(良かった、まだ生きてる……この娘だって、必死に生きようとしているんだ、私だって……覚悟を決めなきゃ‼︎)

 

意を決して、クランは幼女を抱き抱える。

初めて触れた幼女の身体は思っていたよりも軽く、暖かく、そして柔らかかった。

 

「く、うぅ〜ッ……‼︎」

 

抱き抱えた刹那、クランの身体を言いようの知れない善悪両方の入り混じった複雑な感情が煮えたぎるマグマの如く噴き上がってきた。

ただでさえ清い幼女が泥で汚れているのに自分の手で触れて汚してしまった罪悪感と、こんな状況でなければ幼女に一生触れることさえなかったのではないのかというこの機会に対しての感謝と喜び。

それらが相反し、時には混じり合い、強烈なエクスタシーとなって彼女の身体を駆け巡っていた。

 

(と、とりあえず警備局に向かおう。あそこは暖かいしエリンおじさんもまだいるはずだ)

 

クランはその衝動に身体を震わせ激しくなる動悸を抑えながら、来た道を幼女を抱えて走り出したのだった。

 

ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ

 

「ッ、やっぱ、ハァ……いくら、軽いっていっても……人一人抱えて走り続けるのは、流石にキツイな……‼︎」

 

息を切らしながらも、ペースを落とすことなく裏の路地を走り抜けるクラン。多分その呼吸が荒いのは走っているからという理由だけではないのだろう。

その速さは行きよりは多少遅くはなってはいるが、この調子で行けば後3分も経たずに警備局へとたどり着けるはずだった。

だが、

 

「……おォ?」

「っ……‼︎」

 

それはまさにあと少しで裏通りを抜けようという時に起こった。

道なりに曲がったクランが出くわしたのは、4、5人程の男達。誰もが見ただけでチンピラかその類の人種と分かる服装をしていた。

 

(しまった、なんでこんな時に……今まで何度も通って、一度も出会ったことがなかったのに、どうしてこんな時に限って‼︎)

 

最悪の邂逅にクランはこの道を使わなければ良かったと後悔するがもう遅い。

男達もクランの姿を見つけ、ニヤニヤと下卑た笑みをその顔に浮かべるとゆっくりと彼女の方にへと近づいて来た。

 

「よーォお嬢ちゃん?こんな夜更けにこんな所で何してるのかなぁ?もし良かったら俺達と遊ばねーか?」

「そうそうそんなガキなんかほっといてさぁ。俺達に付いて来りゃ楽しいこといろいろ出来るぜェ」

「ついでに気持ちいい事もあるかもなぁ」

 

仲間の一人が呟いたジョークにギャハハハ‼︎と馬鹿みたいな笑い声を上げる男達。

クランは苛つきから危うく声を荒げそうになったが、歯を食いしばって耐えた。今考えなしに行動すれば今抱えている幼女の生存は危うくなる。

この状況をどうやって切り抜けるか。今この瞬間、彼女の思考はその一点のみに集約されていた。

 

もぞり、と腕の中で何か動く感覚を覚えてクランは抱き抱えている幼女を見下ろす。

 

「……ん……ぅ……」

 

運んでいた時の振動からか、あるいはクランの体温で暖まることが出来たのか、クランの腕の中で幼女がうっすらと眼を開けて眠りから覚醒した。

 

「こ、ここは……⁉︎」

 

眼を覚まし、辺りの様子に気づいた幼女は慌ててクランの腕から暴れるようにして降りようとする。

クランはそれを抑えようと男達に聞こえないように幼女の耳元で囁いた。

 

(落ち着いて。私は貴女の敵じゃない)

「っ‼︎」

(大丈夫。悪い人はお姉ちゃんの命にかけても貴女に指一本触れさせないから)

 

幼女はクランの顔を困惑と疑念の顔で見つめていたが、やがて彼女の真剣な様子にゆっくりと頷いた。

「おいおい、無視かよぉ〜?そんな汚ねぇガキなんかそこら辺に捨てておきなよお嬢ちゃん」

その直後、今まで無言を貫いていたクランに業を煮やしたか、男達の中で一際大柄の男が近づいて来て、幼女に手を伸ばす。

 

ーーーーーー刹那。

 

「シャアァァッ‼︎」

「いたぐぁ⁉︎」

 

勢いよく放たれたクランの回し蹴りが、男の顎を薙ぎ払っていた。

奇怪な声を上げて地面に叩きつけられ、ぴくりとも動かなくなる大柄の男。

 

「なっ、て、テメェ‼︎」

「女だと思って甘くしてりゃいい気になりやがって‼︎ぶっ殺してやるよ‼︎」

 

そしてそれは同時に戦いの合図でもあった。

クランは抱いていた幼女を下ろし、いきり立つ男達を見据えながら彼女に語りかける。

 

「逃げて。ここはお姉ちゃんがなんとかする。あいつらを引きつけるからその間に逃げるのよ」

「ぇ、で、でも……おねえさんは?」

 

大丈夫、とクランは幼女を安心させるように笑いを浮かべ、細い腕を曲げて力こぶを作る。

 

「こう見えても私腕っぷしは強いから。少しの間くらいなら時間を稼ぐことは容易くやれるよ」

 

クランが言った内容は……その実、嘘であった。

確かに1人2人程ならなんとか撃退は出来るが、4人ともなると流石に無理がある。ましてや正面切っての戦い、奇襲ならば勝機はあっただろうがそんな機会が作れるはずもない。

それでも彼女がそんな大言壮語をしたのは、幼女を安心させる為ともう一つ……自らのミスの償いでもあった。

この道を選んだせいで幼女を危険に晒したことともう一つ、感情に任せてこの事態を悪化させた事への。

そう……。先程の男への攻撃は理性を以ってではなく、幼女を「汚いガキ」と罵られたことへの激情に任せての行動だったのだ。

 

(浅はかだった……。本当に彼女の事を考えるのなら‼︎攻撃をしない方が正解だったのに!感情を抑えられなかった自分が憎い‼︎)

 

こうなった以上、自分が出来る償いは幼女を安全に逃がすことのみだ。

 

「どうした⁉︎かかってこないのか‼︎揃いも揃って腰抜けばかりだな‼︎それでも男か⁉︎付いてないんじゃないのか⁉︎」

「なっ……なんだとぉォ‼︎」

 

狙いを自分一人に絞らせる為、あえて男達を挑発する。そうすれば幼女が逃げられる確率も上がる。

男達はクランの予想通りクラン一人に殺意と害意の視線を集め、懐からナイフを取り出したりそこらに落ちている棒を持って構えた。

 

ただ一つ、誤算があったとすればーーーーーー。

 

「え……っ⁉︎な、なんで、なんで逃げないの⁉︎おねえさんが引きつけてる間に逃げてって言ったじゃないか⁉︎」

 

肝心の逃がす幼女が、クランの足元にしがみついて逃げようとしなかったことだろう。

クランは慌てて引き剥がそうとするが、幼女は幼児とは思えない力でしっかりと彼女に縋り付く。

 

「逃げなさいッ‼︎私は大丈夫だから‼︎貴女が無事ならそれでいいから‼︎走ってッ‼︎」

「やだぁっ‼︎」

 

幼女はクランを見上げて叫ぶ。そのつぶらな瞳には、涙が滲んでいた。

 

「やだっ、やだぁぁっ‼︎おねえさんも()()()()()()()いなくなっちゃうのやだぁっ‼︎わたしを、わたしを一人ぼっちにしないでよぉぉっ‼︎」

 

その強い心からの慟哭に言葉にクランは動揺し、一瞬動きを止めた。止めてしまった。殺気立った男達の目の前で……‼︎

 

「死にやがれェェーーーーーーェェッ‼︎」

 

我に返り、男達の方へ振り返ったクランが見たのは、自分に向かって細い角材の棒を振り上げる男の姿だった。

間に合わない、と見た瞬間クランは悟った。故に、せめて幼女だけは守ろうと彼女を包み込むようにして丸まる。

次の刹那に襲いかかる死の一撃を身体中に渾身の力を入れて耐える体制を整えたその時、幼女が暗い闇を裂くような一際大きな声で叫んだ。

 

「≪夢見ル金色ノ龍(リトル ・ドリーマー)≫ーーーーーーッ‼︎」

 

直後、クランの身体に衝撃がーーーーーー走ることはなかった。

代わりにガヅッ、という、何かとても硬いものに棒をぶつけたような音が響いてきた。

 

「え……ッ⁉︎」

 

いつまでたっても棒の一撃が来ないことに困惑したクランは恐る恐る男の方に振り返る。

男も困惑の表情で、こちらを見下ろしていた。

男が全力で振り下ろした棒は……クランと男の中間の距離で何かに阻まれるようにして止まっている。

男の攻撃を防いだのは、水晶のような質感の薄い障壁。だがその硬さは棒の一撃を受けても傷一つつかない程に強靭であった。

 

「なっ、なんだよこれッ⁉︎」

(何、これ……まさか、この娘が⁉︎)

 

信じられないという思いで、クランは幼女の姿を見つめていた。こんな事が出来るのは≪龍騎士(ドラグナイト)≫ぐらいの者だが、クランにはそんな力はない。これを成したのは幼女以外にあり得なかった。

一方、男は驚きながらも再びクランに向けて棒を振り上げ、今度は身体ごとぶつけるように棒を叩きつける。

しかし結果は同じ。どうやろうと何人で打ちかかろうとその障壁は微動だにせず、何者もクランと幼女を傷つけることは出来なかった。

 

「……く、クソッ!この女……まさか≪龍騎士(ドラグナイト)≫かよ⁉︎」

「ヤベェ、ずらかるぞ‼︎」

 

歯が立たないことをようやく悟った男達が血相を変えて逃げるようにして走り去っていく。どうやら幼女の方ではなくクランの事を≪龍騎士(ドラグナイト)≫と勘違いしたらしい。

 

その後ろ姿を見送りながら、へなへなとクランは尻餅をついて大きく安堵の息を吐く。と同時に、パリンと音を立てて障壁が割れるようにして消滅した。

 

「よ、良かったぁ……なんか知らないけどあっちから逃げてくれた……」

 

幼女も同じようにしがみつきながらガクガクと震えてべそをかいていた。

 

「ぐすっ……ひっく……こわかったよぉぉ……」

「大丈夫。もう大丈夫だから……。これからはおねえさんが守ってあげるから……‼︎」

 

まだ幼い彼女にとって、今のはどれほどの恐怖だったか。それは筆舌に尽くしがたいものだったろう。クランは幼女の震えが収まるまで、暫らくの間彼女を優しく抱きしめて慰めの言葉をかけ続けたのだった。




割とどうでもいい雑学。
・ロリコンは本来12〜15歳の少女が対象。クランの場合は「ハイジ・コンプレックス(5〜7歳の少女が対象)」と呼ばれる。


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龍騎士(ドラグナイト) その1

ーーーーーーー警備局には昼も夜もない。日夜問わず起きる犯罪や事故に対処するために常に≪龍騎士(ドラグナイト)≫である警邏達が常駐し、不測の事態に備えている。

そして犯罪や他人に迷惑をかける不届き者を捕らえておく為にその建物の中には様々な牢屋が作られており、その中の一つ、一人用の厳重な牢屋の中にクランはいた。

「……納得いかないよ」と静かに呟く。

 

「なんで幼女を守ってここまで来たのに……私だけ牢屋に入んなきゃいけないのーーーーーーッ⁉︎」

「いや、当たり前だろ」

 

騒ぎ立てるクランの叫びにツッコミを入れ、彼女を牢屋の前で見張っているのは叔父であるエリン。

……チンピラ達を退けた後クランは幼女を慰めていたが、やがて泣き疲れて幼女が寝ると彼女を背中に乗せて警備局まで歩いてきた。

その結果がこれである。クランは自分が過去にやってきた所業のせいで、警備局に入った途端に警邏達に勘違いされて捕縛されてしまったのだ。

 

「いつかやるとは言ったけどよ、まさか言ったその日にやるとはなぁ……」

「待って‼︎ねえ待ってマジで待って‼︎私本当に今回何も悪いことしてないから‼︎信じて‼︎」

 

その言葉に眉をひそめて訝しみながらも、いつにも増して真剣な様子にエリンはやれやれとため息を吐いて、

 

「ったく、しょうがねえな……。とりあえずお前が連れてきた子供が目ェ覚ましたら事情聴取するからそれまで大人しくしてろ」

 

と眠気を覚ますために眉間のあたりを揉みながら、交代の時間が来た為にそこから歩き去っていった。

あとに残されたクランはどうすることも出来ないので、中にあった毛布にくるまって地面に寝そべった。

地面が硬かったせいかその日、クランはいつもより眠りが浅かった。

 

ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ

 

「あっ、きのうのおねーさん……‼︎」

 

取調室で年若い警邏に連れられてクランと引き合わされた幼女は彼女を一目見て顔を綻ばせた。昨日の夜のことを覚えている証拠である。

 

「そうだよ‼︎さあ、私の胸に飛び込んで……」

 

クランが嬉しさの余りつい幼女に対して腕を広げてそんなことを口走った刹那……。

 

「お前は俺の腕の中で息絶えろ」

「ンア"ーーーーーーッ‼︎」

 

愛らしい幼女ではなくむさ苦しい中年(エリン)のベアハッグが背後からクランを締め上げた。

ギリギリと背骨を軋ませる音にクランは涙目になって必死にエリンへ謝罪する。

 

「すいませんでしたああああ‼︎おじさん許してええええーーーーーー‼︎」

 

その光景を見慣れている若い警邏は眉一つ動かさず眺めていたが、それとは正反対に初めて見た幼女は顔を青ざめさせてオロオロと心配そうにクランを見つめていた。

 

「だ、だいじょぶなの……?おねーさん、しんじゃったりしないの?」

「ん?ああ、大丈夫だよ。彼女はこんなのへっちゃらさ。心配しないでいいよ」

 

年若い警邏が笑いながら……正確に言えば苦笑しながらの言葉に幼女はクランは平気だと感じたらしく、「そっかぁ」と納得したような様子でクランとエリンのやりとりを眺め始めた。

 

「いや“そっかぁ”じゃないよ見てないで助けてええええええええーーーーーーーッッ‼︎」

 

「本当にやってなかったでしょ‼︎」

「あーすまんすまん悪かったよ」

「謝る気ないよね⁉︎」

 

エリンの制裁を喰らってから数分後、幼女とクランの証言を照らし合わせてようやくクランの幼女拉致の嫌疑は晴れた。

ただ、

「……しっかしまぁ、この子の記憶がねぇっつーのは結構厄介だな。警備局に来た時の服装を見る限りは少なくとも中流階級以上の家庭の出身らしいが……」

「一応、名前は覚えていたのですが……」

 

流されている間に頭でも打ったのか、幼女はクランに助けられる以前のことをほぼ覚えていなかった。覚えていたのは、「イヴル・ナル・トゥーアという自分の名前」と「己の≪魂龍(ドラ・ニムス)≫の名前」、そして「たくさんの人に追いかけられていた」ということだけだった。

 

「“イヴル・ナル・トゥーア”……?この国のお偉方でイヴルなんて家名いたか?」

 

後輩の警邏からの話を聞いてエリンが取調室のテーブルにある朝食の果実をリスのように齧っているトゥーアの頭を撫でながら聞き返した。

 

「いえ、少なくともこのレオランでイヴルという家名の貴族は見たことも聞いたこともありません」

「……そうなるとジャッパ川の上流の先、国の北のほうか、あるいはヴル国あたりから流されて来たのか?」

「エリンさん、今は春の初めとはいえヴル国やこの国の北方はまだ極寒です。流されてくる間に凍死しますよ」

「じゃあこの子は何処から来たんだ……?さっぱり分かんねぇな……」

 

ああでもない、こうでもないと二人が顔を突き合わせて悩んでいるとトゥーアが果実を食べ終えて、ふとクランに向かって近づいてきた。

そして、おもむろにクランにこう言ったのである。

 

「おねーさん。あの、その……これ、見える?」

 

言いながらトゥーアが左手の平をクランに向かって見せる。すると、その手からまるで炎のように青い光がゆっくりと立ち昇り、幼女の手を包み込んだ。

 

「うわっ⁉︎ちょ、ヤバい、おじさん水‼︎水持って来て‼︎燃えてる‼︎幼女が燃えてる‼︎」

「はぁ⁉︎」

 

余りに動転して要領を得ないクランの言葉に驚きと訝しみでエリンがトゥーアの手を見て納得したかのように息を吐いた。

「あぁ、なんだ……魔光(マナ)か。大丈夫だクラン、これは魔光(マナ)って言って魔力を昂らせると起きる……。ん⁉︎おいクラン、お前魔光(マナ)が見えるのか⁉︎」

「普通にガッツリ見えるんだけど」

 

それを聞いてエリンがさっきのクランの言葉より唖然とした様子で数瞬間押し黙り、やがて理解したのか「はぁあぁあああ⁉︎」という部屋中に響き渡るような素っ頓狂な声を上げた。

 

「お前マジで言ってるのか⁉︎色は‼︎どんな感じか分かるか⁉︎」

「え、えと……青くて、炎みたいな感じでこの子の……トゥーアの手を包み込んでる」

 

クランの回答にますます驚きを隠せなくなるエリン。若い警邏の方もエリン程ではないものの明らかに動揺している。

 

「あの……どーいうことか教えてよおじさん?」

「はぁ……あのな、魔光(マナ)は同じく魔光(マナ)を扱える人間、≪龍騎士(ドラグナイト)≫にしか見えない」

龍騎士(ドラグナイト)≫にしか見えない魔光(マナ)をクランが見ることが出来た。これが示す事実は一つしかない。

「……つまりだ。クラン、お前は≪龍騎士(ドラグナイト)≫としての力が開花したってことなんだよ‼︎」

 

通常、≪龍騎士(ドラグナイト)≫の力は生まれた時から14歳の時までに開花すると言われている。対してクランの年齢は17。クランが≪龍騎士(ドラグナイト)≫の力に目覚めたのは余りにも遅く、そして異常なことである。

そのことを教えられたクランは先程のエリンの焼き直しのように、目を見開いて数秒間押し黙り、そして、

「ええええええーーーーーーッッ⁉︎」

 

という、今度は部屋どころか警備局中に響き渡るような叫び声を上げたのだった。

 

 

 




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