次元 遊魔は静かに暮らしたい。 (臆病者の白兎)
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第一話 怪物生も楽じゃない
「ダーカーラー! 法に縛られず何処までも自由な悪人としての怪人の魅力こそが至高なのでやがりますよ!」
私、
「違う⋯⋯弱きを助け強きをくじく正義の味方としてのヒーローの魅力こそが至高⋯⋯」
私に反論する同僚⋯⋯どうしてこうなったのか説明すると、私は部屋に入って久々に入学前に録画していた特番ヒーローの作品を見出した事がはったんでやがりました⋯⋯そしたら気付けば同僚の子も隣で食い付いて見ていたので、お互い趣味が合うと思い話したら⋯⋯彼女はまさかのヒーロー派で私は怪人派と言う事が露見したのでやがります。
「はぁ⋯⋯わかりましたこうなったら仕方が無いでやがりますね」
「それはつまりヒーローが至高と認めたととっていい?」
「全然! この程度で妥協するなら怪人好きを名乗ってないでやがります! と、言うかお前さんこそ怪人の素晴らしさを分かりやがれ! もはやこっからは口論だ! 聖戦じゃな! 怪人派としてのいじを見せてやがりますよ!」
私がそう叫ぶとすぐさま私は今の今までなの手この手で入手した秘宝(特典付きDVDにCDや限定フィギュアetc.)の数々の品々を全て出す。
彼女は私の意図に気付いたのか目を細める。
「⋯⋯なるほど⋯⋯それじゃな語る?」
何処までもこちらの覚悟を確認するかのような、鋭くも決意の篭もった真っ直ぐな眼差し、私はその瞳を同じように決意を込めて真剣に見つめながら、彼女の問いに迷わず頷いた。
「⋯⋯えぇ⋯⋯夜明けまで語らせて頂きますよ⋯⋯今日は寝れないと覚悟するでやがりますね」
そして、私と彼女のお互いの譲れない正義をかけた聖戦が、その幕を開けたのでやがります。
翌朝⋯⋯
「ふわぁー⋯⋯」
翌朝⋯⋯私は頭が寝てる中、身体に鞭打って教室に向かいやがりました。
昨日は結局、決着が付かないまま終わってしまったでやがりましす⋯⋯まったくヒーローの何処がいいんでやがりますか⋯⋯ヒーローは理不尽の塊、私のような極悪人には助けにすら来ない人種でやがりましょうに⋯⋯まぁ怪人が自分を助けに来るかと言えば話は別と言う話になるでやがりますが⋯⋯。
てか好みの作品はどれもこれも10割中9割は重なるレベルで似通ってるって言うのに、その作品の好きなものだけ対極とかもはやこれは私にとって宿敵と言っても過言じゃ無いでやがりますよ!
「やっほーユウちゃん! あれ? 眠そうだけどどうしたの〜〜!」
「ん? あぁ⋯⋯ホンネッチか⋯⋯」
教室に向かうろうかで偶然にも挨拶してきた私のクラスの相席の娘⋯⋯
「ふわぁ⋯⋯実は昨日同室の娘とお互いに譲れないモノをかけて、朝まで激しい激戦を繰り広げたんでやがりますよぉ」
「そうなんだ〜〜」
うん⋯⋯なんと言うかさっきまでの嫌な気分も馬鹿らしくなってきたでやがります。
私は気持ちを切り替えると、教室までの足を早める。
「な、そうそうユウちゃん〜〜」
「ん? 何ホンネッチ?」
「またモンストルムが出たらしいよ〜〜」
彼女の言葉に私は思わず足を止める。モンストルム⋯⋯なる日突如として現れた未知の頂上的な生物⋯⋯その耐久力は50口径の砲撃クラスの兵器でやっとダメージが通り、最低でも三万馬力を軽く超えていると推定されている怪力による身体能力を有している。
それによりISでも一体を倒すのにかなり骨とされており、彼等はその頂上的な身体能力や耐久力から、魔物即ちモンストルムと呼ばれている。
私としては余り聞きたくない話題No.1の話だ。
「⋯⋯そ、そうでやがりますか⋯⋯」
「うんそれでねライダーがまた現れてね〜〜」
私は思わずライダーと言う単語に顔を顰める。
いや⋯⋯それは仕方が無い事だろう、極悪人の私にとって彼等は私の平穏を脅かす存在でしか無いのだから。
「ん〜〜? ユウちゃん顔色悪いよ? どうしたの?」
私はそんなホンネッチの言葉で我に返る。
「な⋯⋯な、何でもないでやがりますよ! ただ私個人としては余りモンストルムとかライダーの話題は苦手何でやがりましてねぇ⋯⋯」
「えー! そうだったんだ〜〜ごめんねぇ〜〜」
私に謝ってくるホンネッチ⋯⋯私はそんな彼女に気にしないでとばかりに微笑む。
「いや⋯⋯まだ会って一日でやがりますし⋯⋯今後から気おつけてくれれば私としては問題ないでやがりますよ」
「⋯⋯うん! わかったよ〜〜今後からは気おつけるね〜〜」
はぁ⋯⋯何とか誤魔化せたでやがります⋯⋯私は安堵の息を吐くと、急に腹回りから何かがせり上がる感覚⋯⋯。
「ホンネッチ!」
「へ? どうしたのユウちゃん?」
「ちょっとトイレ行ってくる!」
「え? ちょっちょっと──!?」
私はホンネッチの呼び止める言葉を無視して走り出す。何故なら、今の私にはそれ所では無いでやがりますから。
私は全力でトイレに駆け込むと、すぐさまIS学園の制服から下着全てを脱ぐ。
すると私の身体は瞬く間に黒い煙に覆われ、そのまま私の姿は変貌、ミニサイズのプリーツスカートで黒を基準とした白黒のセーラー服を身に纏い、髪や肌は真っ白に染まって、青い血管が薄っすらと手足の部位から所々に目立つように浮き出る。
歯はギザギザのサメの歯に近い形状に変化し、そんな歯を除く舌から頬や顎に至るまでの、口の中の色から、瞳や目の白い部分すらもが黒一色に染まる。
そして口元や目から赤色の液体が流れる。以前この姿を自分で鏡で見た時もこれは酷いと思ったが、もはや誰もが見ても明らかに化物と呼ぶのがふさわしい容姿だろう。私はそんな事を考えながら独り苦笑した笑みを浮かべる。
とまぁ⋯⋯そんな事よりも急がねば、私はすぐさま時空間の狭間をこじ開け、適当な場所に移動する。
「よし⋯⋯どうやら人気のない林の中のようでやがりますね」
これは私としても都合が良い、では直ぐに始めないと⋯⋯。
前屈みになると、口から黒いコルタールのような半液状の物体が流れ出てくる。
それはどんどんと出てくると生き物のように這いずりやがて膨れ上がり少しづつ形を成していく。
やがて、鋭い牙と黒く長い鉤爪を手足にもつ真っ黒くろすけで赤い目をした人型の何かがそこにいた。
「はぁ⋯⋯相変わらず慣れないものでやがりますなっと!」
私はそう言いながらも容赦なく私の中から出てきたそいつの頭部を蹴りなげる。
「──────ッ!?」
そいつは蹴り上げられた事で、林の木々を何本かへし折りながら盛大に吹っ飛ぶ。
だが逃がさない、前回は逃がしてしまったが今回は確実に仕留める。
私は時空間を移動すると、奴の元に移動する。
地面に倒れている奴⋯⋯いや⋯⋯モンストルムは私から逃げるために必死で走り出す。
「だから逃がさないって行ってるでやがります!」
私は容赦なくモンストルムを追いかけ、そのまま頭を引っ掴むと地面に勢いよく叩き付ける。
チッ地面が土だから余りダメージが薄い⋯⋯私はモンストルムの頭を容赦無く踏みつける!
「死んで! 死ね! 死にやがれ!」
私は何度も何度も踏みつける。やがてモンストルムは身体を痙攣させてそのまま沈黙し、やがて黒い煙となって消滅した。
「はぁ⋯⋯今回は前回見たいなヘマをしないですみやがりましたね」
私は現状何とかなった事に胸を撫で下ろす。
「知られる訳には行かないのでやがります私の正体は⋯⋯」
私は誰に聞かせるでもなく独りでそう呟いた。
そう⋯⋯何故なら私はモンストルムの母体、どうも私の中のストレスが一定値を超えるとこうなるらしい⋯⋯しかも生理現象見たいなもので、自分でも止められないし⋯⋯我慢したら我慢したで複数体に増えて出てくる。
その為、出来る限り定期的に行っている訳だ、ちなみにIS学園に通っているのは身を隠す為、こうやって時空間移動して別の場所でモンストルムを殺してるのは私の正体を隠す為、仮に逃がしても出来る限り私だと感ずかせない為だ。
「しかし⋯⋯今回は一体で良かったでやがります」
ひどい時は五〜六体は出現するからなぁ⋯⋯正直今回は一番マシだったと言わざる追えないだろう⋯⋯どうやら⋯⋯ストレス発散はそれなりに効果的なようだ⋯⋯ホンネッチ様々でなる。
まぁ⋯⋯今回の原因は恐らくモンストルムやライダーの話を聞かされて、ナイーブになってしまった事だろう⋯⋯。
できるなら何時もこうでなって欲しいものだが⋯⋯何がトリガーになるか分かったもんじゃない⋯⋯ストレス社会と言うだけに負の感情を溜め込まない生活など出来ないに等しいのだから⋯⋯。
「はぁ⋯⋯やっぱり〝抑制者〟を早く見つける必要がなるでやがりますね⋯⋯」
伊達に今の今まで、幾度と無く異世界を渡り歩いていないのだ。
経験状は間違いなくこの世界にもいるはず⋯⋯。早く見つけねば⋯⋯私の目的の為に⋯⋯。
「さて今日はやることもやりやがりましたし帰るとしやがりますか⋯⋯」
そして私は時空間の狭間を開くとすぐ様トイレへと戻るのだった。
その後は担任に脳細胞を五千個殺されたのは言うまでもないでやがります。
遊魔「怪人の母体である少女、遊魔。 そんな彼女の背後には恐るべき存在がいた! そして明かされる抑制者の力! 抑制者を探す彼女の目的とは!」
次回! 次元 遊魔は静かに暮らしたい。〝ライダーとの戦い何て面倒なだけです。〟
次回も見てくれると嬉しいです。
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