君の名は future story (黒猫チハヤ)
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1話 ~糸~

いつからだったか、俺が彼女を求め探していたのは。この気持ちはきっと紛れもない恋だ。そして、今ついにその彼女と向かい合っている。もう彼女は涙目だ。俺は全身が震えるような気がした。きっと、科学を超越した何かで俺と彼女は繋がっていたんだろう。それなら、言う言葉は1つしかない。

 

彼だ。名前も分からないけれど私が探していたのはこの男だったんだ。そう思うと、自然と泣きそうになる。泣いちゃダメと心の中に言い聞かせるも、溢れ出す感情は動き出した時計のように止まらない。今はもう心の赴くままに、

 

俺は彼女と同時に口を開く。

 

私は運命と言う風を思いっきり吸い込み、言う。

 

 

「「君の名は?」」

 

と。

 

 

こういうのはどちらから言うべきなのかと迷いながらも俺は

 

「俺は立花瀧です。あ、あなたは?」

 

思わず力が入って声が裏返ってしまった。それでも、彼女は泣きながら笑っていた。俺はそんな涙を流す彼女を心の底から美しいと思った。

 

彼の名前を聞いた瞬間全てが繋がった気がした。やっぱり私が恋したのは他の誰でもなく瀧くんなんだってこと。逢えて良かった、私は心の中で呟き涙がこぼれ落ちる。これは今までの涙とは違い幸せの涙であるとそう感じた。そして、私は彼に応えるべく

 

「私は宮水三葉!」

 

と満面の笑みで返した。

 

思い出した。失われた記憶が徐々に走馬灯のように蘇る。確かに俺はあの時宮水三葉と恋に落ちた。俺の恋は間違っていなかったんだ。俺以外の誰も信じないだろうが、俺達は時空を超えた恋をしていたと俺は確信した。嬉しさと幸せに包まれた俺はそんな涙を流す三葉を抱きしめた。

 

「ようやく、逢えた…。ずっと、三葉を探してた。生きてて良かった」

 

三葉の鼓動と体温を感じながら俺は言った。また、俺もこの状況に感極まってまぶたが熱くなるのを感じた。

 

こんなに嬉しくて幸せなことはないと私は思った。どこにいるかも分からない好きな人に偶然出会って自分を探してたって、本当に奇跡のような出来事を私は体験してる。これが今まで信じてすらいなかった運命の糸なんだと私は思った。

 

「私もやよ。瀧くんと逢いたくてたまらなかった!本当に今嬉しい!」

 

彼の体を感じながら、私は溢れる想いと共にそう言葉を発した。

 

好きな人にこんなこと言われて嫌な訳がないと俺はひしひしと感じる。そして、時に夢なんじゃないかと疑うほどこの状況が運命的であることに疑いの余地はない。でも、只今はようやく出逢えた三葉を抱きしめることが一番の幸せであると俺は思った。もし、こんな幸せな時間が続いたら三葉に言いたいことがある。

 

ずっとこんな時間が続けばいい、私は今そう願っている。今まで私がどうして恋に落ちなかったか、それは今まで瀧くんの温かさを求めていたからだと自信を持って言える。そして今日、運命的に出逢った私は滝くんに伝えなければならない。

 

 

俺は三葉のことを、

 

私は滝くんのこと、

 

愛してます、

 

と。

 

 



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2話 ~逢瀬~

遅くなってごめんなさい...

pixivにも投稿します!!


俺は自分の頭がカーッと熱くなっていくのが分かる。人生初の告白だった。少し前の自分なら、抱きしめながら「愛してる」と告白する未来があるなんて微塵にも思わなかっただろう。人への告白がこんなにも嬉しいことで幸せなことだとは思わなかった。今は、ただこうやって三葉を抱きしめていたい、そういう思いに俺は駆られた。

 

徐々に嬉しさが込み上げてくる。彼は私の初恋の人。私は他の誰でもない彼を無意識に求めて探してた。そしてようやく私は彼と再開して今こうして抱きしめ合っている。運命的で奇跡的な出会い、今私は猛烈に神に感謝している。初めて人に愛してると泣きながら告白したことも一生忘れない。だけど今は、もう少しだけ、もう少しだけでいいから、彼に包まれていたいと私はそう思う。

 

「コホン//」

 

ふと俺は我に返る。階段のど真ん中で抱きしめてたためか、邪魔だったらしい。通行人の老婆の咳払いが物語っていた。幸せの絶頂だった時から少し現実に引き戻された。告白してお互い両想いだということは分かった。しかし、これから付き合うのか、結婚するのか...。でも付き合うにしても結婚するにしても、三葉にはもう相手がいるかもしれない、俺の脳裏に不安が過る。この不安を払拭する為にも、三葉に聞かなければいけないと俺は感じる。聞くためには、三葉をデートに誘うしかないんだよな...よし誘おうと俺は意を固める。

 

おばあちゃんの咳払いでようやく気づいた。大分、通り道を邪魔してたみたい、確かに階段のど真ん中で抱き合ってたら邪魔だしこの上なくはずかしいことに気付く。一気に現実に引き戻されたけど、やはりこの男の匂いは安心するし好きなんだと私は改めて感じる。今日、仕事が終わった後、食事に誘おう、探し求めてた期間を埋めるくらい沢山話がしたいと私は想いを膨らませる。

 

「ご、ごめん。俺、急に抱きしめたりして」

 

「わ、私こそ...でも、嬉しかった、たきくん」

 

「俺も三葉に会いたかったから嬉しくてつい...」

 

デートに誘うには今しかない。むしろここを逃せばもう二度と誘えない、そういう気がしている。俺は少し緊張しながら口を開く。

 

よし、瀧くんを帰りにご飯を誘おう、そう私は心の中で決める。友人となら気軽に誘えてたものも好きな男の前になると緊張してしまう。でも、誘うなら今しかない、私は勇気を振り絞る。

 

「「あの...」」

 

「み、三葉からでいいよ...」

 

「た、瀧くんから先で...」

 

「今日...夕方、一緒に飯食べない...?いや、全然無理だったらいいんだけど...」

 

「さっき同じこと思ってた...。私も瀧くんと一緒に食べたい!」

 

良かった...成功した。嬉しさが心の中から溢れていく。そして、何よりも三葉の幸せの笑顔を見るのが1番の喜びだと俺は想う。

 

瀧くんも同じ様に想ってくれてたんだ。今までに、私はこんなにも1人の人に夢中になったことはない。きっとこれからも私は瀧くん以上の男の人に出会うこともないし恋もしないと運命が教えてくれている気がした。

 

「ならさ、三葉のLINE教えてくれない?」

 

「うん!!」

 

俺と三葉はLINEの連絡先を交換して一旦互いの仕事の為三葉と別れた。夜の6時にこの階段で集合することになった。今から仕事だけど、これだけスッキリして幸せな朝の通勤はないんじゃないかと俺は思い返す。いつの間にか足りない何かをずっと探していたから。

 

連絡先をお互いに交換した後、私は仕事に出勤する。今までより今日は仕事か捗りそう、いや、瀧くんのこと考えて集中出来ないかもと考える自分に私は少し笑ってしまう。笑っているのもつかの間、私は仕事に遅れることに気づき我に返る。でも、今日は瀧くんと出会えたんだから素直に怒られようと私はそう思えた。

 

 

 




次話もご期待よろしくお願いします<(_ _)>


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